0087◎▼仏説ぶっせつ▼観かん無む量りょう寿じゅ経きょう

*宋そうの元げん嘉か中ちゅうに畺良きょうりょう耶や舎しゃ訳やくす

▼(欄外)

一 序分
  Ⅰ 証信序

【1】 ◎^かくのごとく、 われ聞ききたてまつりき。

◎▼如0077ク↠是クノ▼我聞キタテマツリキ。

一 Ⅱ 発起序
    ⅰ 化前序

^ひと時とき、 仏ぶつ、 *王舎おうしゃ城じょう*耆ぎ闍しゃ崛山くっせんのうちにましまして、 ▼大だい比丘びくの衆しゅう、 ▼千せん二に百ひゃく五ご十じゅう人にんと倶ともなりき。 ▼菩ぼ薩さつ三万さんまん二に千せんありき。 *文もん殊じゅ師利しり*法ほう王おう子じを上じょう首しゅとせり。

▼一時▼仏▼在シテ↢王舎*城ノ耆闍崛山ノ中ニ↡、▼与↢大比丘ノ衆千二百五十人↡倶ナリキ。▼菩薩三万二千アリキ、文殊師利法王子ヲ、而モ為ス↢上首ト↡。▼

一 Ⅱ ⅱ 禁父縁
      a 起化処

【2】 ^その時とき、 ▼王舎おうしゃ▼大だい城じょうに

▼爾ノ時▼王舎大城ニ

一 Ⅱ ⅱ b 闍世因縁

^▼ひとりの▼太たい子しあり、 ▼*阿あ闍じゃ世せと名なづく。 ▼調じょう達だつ (*提婆達多) 悪あく友うの教おしえに随ずい順じゅんして、

▼有リ↢一ノ▼太子↡、名ク↢▼阿闍世ト↡。▼随↢順シテ調達悪友之教ニ↡、

一 Ⅱ ⅱ c 闍世禁父

^▼父ちちの王おう*頻びん婆ば娑しゃ羅らを▼収執しゅうしゅうし、 幽閉ゆうへいして七しち重じゅうの室しつ内ないに置おき、 もろもろの群臣ぐんしんを制せいして、 ひとりも往ゆくことを得えざらしむ。

▼収↢執シ▼父ノ王頻婆娑羅ヲ↡、▼幽閉シテ置キ↢於七重ノ室内ニ↡、制シテ↢諸ノ群臣ヲ↡、一モ不ラシム↠得↠往クコトヲ。

一 Ⅱ ⅱ d 夫人献食

^▼国くにの大だい夫ぶ人にんあり、 *韋い提だい希けと名なづく。 大王だいおうを恭く敬ぎょうし、 ▼*澡浴そうよく清浄しょうじょうにして、 *酥そ蜜みつをもつて*麨しょうに和わしてもつてその身みに塗ぬり、 ▼もろもろの瓔珞ようらくのなかに蒲ぶ桃どうの漿しょうを盛いれて、 ▼ひそかにもつて王おうにたてまつる。

▼国ノ大夫人アリ、名ク↢韋提希ト↡。▼恭↢敬シ大王ヲ↡、澡浴清浄ニシテ、以テ↢*酥蜜ヲ↡和シテ↠麨ニ、用テ塗リ↢其ノ身ニ↡、諸ノ瓔珞ノ中ニ、盛イレテ↢*蒲桃ノ漿ヲ↡、密ニ以テ上ル↠王ニ。

一 Ⅱ ⅱ e 父王請法

^その時ときに、 ▼大王だいおう、 麨しょうを食じきし漿しょうを飲のんで、 水みずを求もとめて口くちを漱すすぐ。 ▼口くちを漱すすぎをはりて合がっ掌しょう恭く敬ぎょうし、 耆ぎ闍しゃ崛山くっせんに向むかひ、 はるかに世せ尊そんを礼らいしてこの言ごんをなさく、 「*大目だいもく犍連けんれんはこれわが親しん友ぬなり。 願ねがはくは慈悲じひを興おこ0088して、 われに*八戒はっかいを授さずけたまへ」 と。

▼爾ノ時ニ大王食シ↠麨ヲ飲ミ↠漿ヲ、求メテ↠水ヲ漱グ↠口ヲ。漱ギ↠口ヲ畢已 ヲハ リテ、合掌シ恭敬シ、向ヒ↢耆闍崛山ニ↡、遥ニ礼シテ↢世尊ヲ↡▼而作サク↢是ノ言ヲ↡、▼大目*犍連ハ、▼是吾ガ親友ナリ。▼願クハ興シテ↢慈悲ヲ↡、授ケタマヘト↢我ニ八戒ヲ↡。

一 Ⅱ ⅱ f 父王受法

^時ときに目犍連もくけんれん、 ▼鷹たか・隼はやぶさの飛とぶがごとくして、 疾とく王おうの所ところに至いたる。 日々にちにちにかくのごとくして、 王おうに八戒はっかいを授さずく。 世せ尊そんまた、 尊者そんじゃ*富楼那ふるなを遣つかはして王おうのために法ほうを説とかしめたまふ。

▼時ニ目*犍連如クシテ↢▼鷹・隼ノ飛ブガ↡、疾ク至ル↢王ノ所ニ↡。▼日日ニ如クシテ↠是クノ、授ク↢王ニ八戒ヲ↡。▼世尊亦遣シテ↢尊者富楼那ヲ↡、為ニ↠王ノ説カシメタマフ↠法ヲ。

一 Ⅱ ⅱ g 父王法悦

^かくのごときの時ときのあひだに三七さんしち日にちを経へたり。 王おう、 麨しょう蜜みつを食じきし法ほうを聞きくことを得うるがゆゑに顔色げんしき和わ悦えつなり。

▼如キノ↠是クノ時ノ間ニ、*経タリ↢三七日ヲ↡。王食シ↢麨蜜ヲ↡、得ルガ↠聞クコトヲ↠法ヲ故ニ、顔色和悦ナリ。▼

一 Ⅱ ⅲ 禁母縁
      a 父王猶存

【3】 ^時ときに阿あ闍じゃ世せ、 守門しゅもんのものに問とはく、 「父ちちの王おう、 いまになほ存在ぞんざいせりや」 と。

▼時0078ニ阿闍世問ハク↢守門ノ*者ニ↡、父ノ王今者 イマニ 猶存在セリ耶ト。

一 Ⅱ ⅲ b 門家具答

^時ときに守門しゅもんの人ひとまうさく、 「大王だいおう、 国くにの大だい夫ぶ人にん、 身みに麨しょう蜜みつを塗ぬり、 瓔珞ようらくに漿しょうを盛いれて、 もつて王おうにたてまつる。 沙門しゃもん目連もくれんおよび富楼那ふるな、 空そらより来きたりて王おうのために法ほうを説とく。 禁制きんぜいすべからず」 と。

▼時ニ守門ノ*人▼白シテ言ク、大王、国ノ▼大夫人、身ニ塗リ↢*麨蜜ヲ↡、*瓔珞ニ盛イレテ↠漿ヲ、持用 モテ 上ル↠王ニ。▼沙門目連及ビ富楼那、従リ↠空而来リテ、為ニ↠王ノ説ク↠法ヲ。不ト↠可カラ↢禁制ス↡。

一 Ⅱ ⅲ c 闍王瞋怒

^▼時ときに阿あ闍じゃ世せ、 この語ごを聞ききをはりて、 その母ははを怒いかりていはく、 「わが母はははこれ賊ぞくなり。 賊ぞくと伴ともなればなり。 沙門しゃもんは悪人あくにんなり。 *幻惑げんわくの呪しゅ術じゅつをもつて、 この悪王あくおうをして多た日にち死しせざらしむ」 と。 すなはち利り剣けんを執とりて、 その母ははを害がいせんと欲ほっす。

▼時ニ阿闍世聞キ↢此ノ語ヲ↡已リテ、怒リテ↢其ノ母ヲ↡曰ク、▼我ガ母ハ是賊ナリ。与↠賊為レバナリ↠伴。▼沙門ハ悪人ナリ。幻惑ノ呪術ヲモテ、令ムレバナリト↢此ノ悪王ヲシテ多日不ラ↟死セ。▼即チ執リテ↢利剣ヲ↡、欲ス↠害セムト↢其ノ母ヲ↡。

一 Ⅱ ⅲ d 二臣切諌

^▼時ときにひとりの臣しんあり。 名なを*月光がっこうといふ。 聡そう明みょうにして多智たちなり。

▼時ニ▼有リ↢一ノ臣↡、名ケテ曰フ↢▼月光ト↡。▼聡明ニシテ多智ナリ。

^および*耆婆ぎばと王おうのために礼らいをなしてまうさく、 「大王だいおう、 *臣しん聞きく、 ª*毘陀びだ論ろん経きょうº に説とかく、 ª*劫初こうしょよりこのかたもろもろの悪王あくおうありて、 国こく位いを貪むさぼるがゆゑにその父ちちを殺害せつがいせること一万いちまん八千はっせんなりº と。 ▼いまだかつ0089て無む道どうに母ははを害がいすることあるを聞きかず。 ▼王おういまこの殺せつ逆ぎゃくの事じをなさば、 *刹せつ利り種しゅを汚けがさん。 臣しん聞きくに忍しのびず。 これ*栴せん陀羅だらなり。 よろしくここに住じゅうすべからず」 と。

▼及↢与 トモニ 耆婆ト↡、▼為ニ↠王ノ作シテ↠礼ヲ▼白シテ*言ク、大*王、▼臣聞ク、毘陀論経ニ説カク、▼劫初ヨリ已来タ▼有リテ↢諸ノ悪王↡、▼貪ルガ↢国位ヲ↡故ニ、▼殺↢害セルコト其ノ父ヲ↡、▼一万八千ナリト。▼未ダ↢曽テ聞カ↟有ルヲ↢無道ニ害スルコト↟母ヲ。王今為サバ↢此ノ殺逆之事ヲ↡、▼汚サム↢刹利種ヲ↡。▼臣不↠忍ビ↠聞クニ。▼是*栴陀羅ナリ。▼*不ト↠宜クカラ↠住ス↠此ニ。

^▼時ときにふたりの大臣だいじん、 この語ごを説ときをはりて、 手てをもつて剣けんを按おさへて*却行きゃくぎょうして退しりぞく。

▼時ニ二ノ大臣説キ↢此ノ語ヲ↡竟リテ、▼以テ↠手ヲ按ジテ↠剣ヲ、▼却行シテ而退ク。▼

一 Ⅱ ⅲ e 闍王惶懼

^▼時ときに阿あ闍じゃ世せ、 驚きょう怖ふし*惶おう懼くして▼耆婆ぎばに告つげていはく、 「なんぢわがためにせざるや」 と。

▼時ニ阿闍*世驚怖シ▼惶懼シテ、告ゲテ↢▼耆婆ニ↡言ク、▼汝不ル↠為ニセ↠我ガ耶ト。

一 Ⅱ ⅲ f 二臣重諌

^耆婆ぎばまうさく、 「大王だいおう、 つつしんで母ははを害がいすることなかれ」 と。

▼耆婆白シテ言ク、大王、慎ミテ莫レト↠害スルコト↠母ヲ。

一 Ⅱ ⅲ g 闍王悔恨

^▼王おう、 この語ごを聞きき、 懴さん悔げして救たすけんことを求もとむ。 すなはち剣けんを捨すて、 止とどまりて母ははを害がいせず。

▼王聞キ↢此ノ語ヲ↡、懴悔シテ求ム↠救ケムコトヲ。即便チ捨テ↠剣ヲ、止リテ不↠害セ↠母ヲ。

一 Ⅱ ⅲ h 余瞋禁母

^▼*内官ないかんに勅ちょく語ごし深じん宮ぐに閉へい置ちして、 また出いださしめず。

▼勅↢語シ内官ニ↡、閉↢置シテ深宮ニ↡、不↠令メ↢復出サ↡。▼

一 Ⅱ ⅳ 厭苦縁
      a 韋提憔悴

【4】 ^▼時ときに韋い提だい希け、 幽閉ゆうへいせられをはりて愁しゅう憂う*憔しょう悴すいす。

▼時ニ韋提希被レ↢幽閉セ↡已リテ、愁憂憔悴ス。

一 Ⅱ ⅳ b 韋提請仏

^▼はるかに耆ぎ闍しゃ崛山くっせんに向むかひて、 仏ぶつのために礼らいをなしてこの言ごんをなさく、 「如来にょらい世せ尊そん、 在昔むかしの時とき、 つねに*阿あ難なんを遣つかはし来きたらしめて、 われを慰い問もんしたまひき。 われいま愁しゅう憂うす。 世せ尊そんは*威い重じゅうにして、 見みたてまつることを得うるに由よしなし。 願ねがはくは目連もくれんと尊者そんじゃ阿あ難なんを遣つかはして、 われとあひ見まみえしめたまへ」 と。

▼遥ニ向ヒテ↢耆闍崛山ニ↡、為ニ↠仏ノ作シテ↠礼ヲ而作サク↢是ノ言ヲ↡、▼如来世尊、在昔 ムカシ 之時、恒ニ遣シテ↢阿難ヲ↡来リテ慰↢問セシメタマフ我ヲ↡。我今愁憂ス。▼世尊ハ威重ニシテ、無シ↠由↠得ルニ↠見タテマツルコトヲ。願クハ遣シテ↢目連ト尊者阿難トヲ↡、与↠我相見マミエシメタマヘト。

^この語ごをなしをはりて▼悲ひ泣きゅう雨う涙るいして、 はるかに仏ぶつに向むかひて礼らいしたてまつる。 いまだ頭こうべを挙あげざるあひだに、

▼作シ↢是ノ語ヲ↡已リテ、▼悲泣0079雨涙シテ、遥ニ向ヒテ↠仏ニ礼シタテマツル。未ダル↠挙ゲ↠頭ヲ頃ニ、▼

一 Ⅱ ⅳ c 世尊降臨

^▼その時とき世せ尊そん、 耆ぎ闍しゃ崛山くっせんにましまして、 韋い提だい希けの心こころの所念しょねんを知しろしめして、 すなはち大目だいもく犍連けんれんおよび阿あ難なんに勅しょくして、 空そらより来きたらしめ、 ▼仏ぶつ、 耆ぎ闍しゃ崛山くっせんより没もっして王おう宮ぐ0090に出いでたまふ。

▼爾ノ時世尊在シテ↢耆闍崛山ニ↡、知リタマヒテ↢韋提希ノ心之所念ヲ↡、▼*即チ勅シテ↢大目*犍連及以 オヨビ 阿難ニ↡、従リ↠空而来ラシメ、▼仏従リ↢耆闍崛山↡没シテ、於テ↢王宮ニ↡出デタマフ。

^◆時ときに韋い提だい希け、 礼らいしをはりて頭こうべを挙あげ、 世せ尊そん*釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつを見みたてまつる。 身しんは*紫し金色こんじきにして百ひゃっ宝ぽうの蓮れん華げに坐ざしたまへり。 目連もくれんは左ひだりに侍はべり、 阿あ難なんは右みぎにあり。 ▼*釈しゃく・梵ぼん・護世ごせの諸天しょてん、 虚こ空くうのなかにありて、 あまねく天てん華げを雨あめふらしてもつて供く養ようしたてまつる。

▼時ニ韋提希礼シ已リテ挙ゲテ↠頭ヲ、▼見タテマツル↢世尊▼釈迦牟尼仏ヲ↡。▼身ハ紫金色ニシテ、▼坐シタマヘリ↢百宝ノ蓮華ニ↡。▼目連ハ侍リ↠左ニ、阿難ハ*在リ↠右ニ。▼釈・梵・護世ノ▼諸*天、在リテ↢虚空ノ中ニ↡、普ク雨ラシテ↢天華ヲ↡、持用 モテ 供養シタテマツル。▼

一 Ⅱ ⅳ d 韋提傷歎

^◆時ときに韋い提だい希け、 仏ぶつ世せ尊そんを見みたてまつりて、 みづから瓔珞ようらくを絶たち、 身みを挙あげて地じに投なげ、 号ごう泣きゅうして仏ぶつに向むかひてまうさく、 「世せ尊そん、 われ宿むかし、 なんの罪つみありてか、 この悪あく子しを生しょうずる。 世せ尊そんまた、 なんらの因縁いんねんましましてか、 提だい婆ば達だっ多たとともに眷属けんぞくたる。

▼時ニ韋提希見タテマツリテ↢仏世尊ヲ↡、▼自ラ絶チ↢*瓔珞ヲ↡、▼挙ゲテ↠身ヲ投ゲ↠地ニ、▼号泣シテ向ヒテ↠仏ニ▼白シテ言ク、世尊、我宿ムカシニ何ノ罪アリテカ生ズル↢此ノ悪子ヲ↡。▼世尊復有シテカ↢何等ノ因縁↡、▼与↢提婆達多↡、共ニ為ル↢眷属↡。▼

一 Ⅱ ⅴ 欣浄縁
      a 通請所求

【5】^*やや、 願ねがはくは世せ尊そん、 ▼わがために広ひろく憂う悩のうなき処ところを説ときたまへ。 われまさに往おう生じょうすべし。 閻えん浮ぶ提だいの濁じょく悪あくの世よをば楽ねがはざるなり。

▼唯願クハ世尊、▼為ニ↠我ガ広ク説キタマヘ↧無キ↢憂悩↡処ヲ↥。我当ニシ↢往生ス↡。不ル↠楽ハ↢*閻浮提ノ濁悪ノ世ヲバ↡也。

一 Ⅱ ⅴ b 厭苦欣浄

^この濁じょく悪あくの処ところは地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく生しょう盈満ようまんし、 不ふ善ぜんの聚ともがら多おおし。 願ねがはくは、 われ未み来らいに悪あくの声こえを聞きかじ、 悪人あくにんを見みじ。

◆此ノ濁悪ノ処ハ▼地獄・*餓鬼・畜生▼盈満シ、▼多シ↢不善ノ聚↡。▼願クハ我未来ニ不ラム↠聞カ↢悪ノ声ヲ↡。不ラム↠見↢悪ノ人ヲ↡。

一 Ⅱ ⅴ c 夫人懴悔

^▼いま世せ尊そんに向むかひて、 *五ご体たいを地じに投なげ、 哀あわれみを求もとめて懴さん悔げす。

◆今向ヒテ↢世尊ニ↡五体ヲ投ゲ↠地ニ求メテ↠哀ミヲ懴悔ス。

一 Ⅱ ⅴ d 通請去行

^▼やや、 願ねがはくは*仏日ぶつにち、 ▼われに教おしへて*清浄しょうじょう業処ごっしょを観かんぜしめたまへ」 と。

▼唯願クハ▼仏日、▼教ヘテ↠我ヲ観ゼシメタマヘト↢於清浄業処ヲ↡。

一 Ⅱ ⅴ e 応請現土【光台現国】

^▼その時とき世せ尊そん、 眉み間けんの光ひかりを放はなちたまふ。 その光ひかり金色こんじきなり。 あまねく十方じっぽう無む量りょうの世せ界かいを照てらし、 還かえりて仏ぶつの頂いただきに住とどまりて化けして金こがねの台うてなとなる。 ˆその形かたちはˇ 須しゅ弥み山せんのごとし。 十方じっぽう諸仏しょぶつの浄妙じょうみょうの国こく土ど、 みななかにおいて現げんず。

◆爾ノ時世尊放チタマフ↢眉間ノ光ヲ↡。其ノ光金色ナリ。徧ク照シ↢十方無量ノ世界ヲ↡、還リテ住リテ↢仏ノ頂ニ↡、化シテ為ル↢金ノ台ト↡。▼如シ↢須弥山ノ↡。十方諸仏ノ浄妙ノ国土、皆於テ↠中ニ現ズ。

^あるいは国こく土どあ0091り、 七宝しっぽう合ごう成じょうせり。 また国こく土どあり、 もつぱらこれ蓮れん華げなり。 また国こく土どあり、 *自じ在ざい天てん宮ぐのごとし。 また国こく土どあり、 *玻瓈はり鏡きょうのごとし。 十方じっぽうの国こく土ど、 みななかにおいて現げんず。 かくのごときらの無む量りょうの諸仏しょぶつの国こく土どあり。 *厳顕ごんけんにして観みつべし。 韋い提だい希けをして見みせしめたまふ。

◆或イハ有リ↢国土↡、七宝合成セリ。復有リ↢国土↡、純モハラ是蓮華ナリ。復有リ↢国土↡、如シ↢自在天宮ノ↡。復有リ↢国土↡、如シ↢*玻瓈鏡ノ↡。十方ノ国土、皆於テ↠中ニ現ズ。有リ↢如キ↠是クノ等ノ無量ノ諸仏ノ国土↡、厳顕ニシテ可0080シ↠観ズ。令メタマフ↢韋提希ヲシテ見セ↡。▼

一 Ⅱ ⅴ f 感荷仏恩

^▼時ときに韋い提だい希け、 仏ぶつにまうしてまうさく、 「世せ尊そん、 このもろもろの仏ぶつ土ど、 また清浄しょうじょうにしてみな光こう明みょうありといへども、

▼時ニ韋提希白シテ↠仏ニ言ク、世尊、是ノ諸ノ仏土、雖モ↣復清浄ニシテ皆有リト↢光明↡、

一 Ⅱ ⅴ g 別選所求

^▼われいま極楽ごくらく世せ界かいの阿あ弥陀みだ仏ぶつの所みもとに生しょうぜんことを楽ねがふ。

▼我今楽フ↠生ゼムコトヲ↢極楽世界ノ阿弥陀仏ノ所ニ↡。

一 Ⅱ ⅴ h 別請去行

^▼やや、 願ねがはくは世せ尊そん、 ▼われに*思し惟ゆいを教おしへたまへ、 ▼われに*正しょう受じゅを教おしへたまへ」 と。

◆唯願クハ世尊、▼教ヘタマヘ↢我ニ思惟ヲ↡、▼教ヘタマヘト↢我ニ正受ヲ↡。▼

一 Ⅱ ⅵ 散善顕行縁
      a 光益父王

【6】 ^▼その時とき世せ尊そん、 すなはち微み笑しょうしたまふに、 五ご色しきの光ひかりありて仏ぶつの口くちより出いづ。 一々いちいちの光ひかり、 頻びん婆ば娑しゃ羅らの頂いただきを照てらす。 その時とき大王だいおう、 幽閉ゆうへいにありといへども心眼しんげん障さわりなく、 はるかに世せ尊そんを見みたてまつりて頭ず面めんをもって礼らいをなし、 ˆ王おうの心こころはˇ 自じ然ねんに増進ぞうしんして阿那あな含ごんと成なる。

▼爾ノ時世尊、▼即便チ微笑シタマフニ、▼有リテ↢五色ノ光↡、従リ↢仏ノ口↡出ヅ。▼一一ノ光照ス↢頻婆娑*羅ノ頂ヲ↡。▼爾ノ時大王雖モ↠在リト↢幽閉ニ↡、心眼無ク↠障、遥ニ見タテマツリテ↢世尊ヲ↡、頭面ヲモテ作シ↠礼ヲ、自然ニ増進シテ成ズ↢阿那含ヲ↡。

一 Ⅱ ⅵ b 答別求行【去此不遠】

【7】 ^▼その時とき世せ尊そん、 韋い提だい希けに告つげたまはく、 「なんぢいま、 知しれりやいなや。 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 此ここを去さること遠とおからず。 なんぢまさに*繋け念ねんして、 あきらかに*かの国くにの▼浄じょう業ごう成じょうじたまへるひとを観かんずべし。 ▼われいまなんぢがために広ひろく*もろもろの譬たとへを説とき、

▼爾ノ時世尊告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝今知ルヤ不ヤ。▼阿弥陀仏去ルコト↠此ヲ不↠遠カラ。▼汝当ニシ↣繋念シテ▼諦ニ観ズ↢彼ノ国ノ浄業成ジタマヘル者ヲ↡。▼我今為ニ↠汝ガ、▼広ク説キ↢衆ノ譬ヲ↡、

一 Ⅱ ⅵ c 挙機勧修

^▼また未み来らい世せの一切いっさい凡ぼん夫ぶの、 浄業じょうごうを修しゅせんと欲おもはんものをして西さい方ほう0092極楽ごくらく国こく土どに生しょうずることを得えしめん。

▼亦令メム↧未来世ノ一切凡夫ノ欲スル↠修セムト↢浄業ヲ↡者ヲシテ得↞生ズルコトヲ↢西方極楽国土ニ↡。

一 Ⅱ ⅵ d 勧修三福

 ^▼かの国くにに生しょうぜんと欲おもはんものは、 まさに三福さんぷくを修しゅすべし。

▼欲スル↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者ハ、▼当ニシ↠修ス↢三福ヲ↡。

^▼一ひとつには▼父母ぶもに孝きょう養ようし、 ▼師し長ちょうに奉事ぶじし、 慈じ心しんにして殺ころさず、 *十じゅう善業ぜんごうを修しゅす。

▼一ニ者▼孝↢養シ父母ニ↡、▼奉↢事シ師長ニ↡、▼慈心ヲモテ不↠殺サ、▼修ス↢十善業ヲ↡。

^▼二ふたつには*三さん帰きを受じゅ持じし、 *衆戒しゅかいを具ぐ足そくし、 *威儀いぎを犯おかさず。

▼二ニ者▼受↢持シ三帰ヲ↡、▼具↢足シ衆戒ヲ↡、▼不↠犯サ↢威儀ヲ↡。

^▼三みつには菩ぼ提だい心しんを発おこし、 ▼深ふかく*因いん果がを信しんじ、 ▼*大だい乗じょうを読誦どくじゅし、 行ぎょう者じゃを*勧進かんじんす。

▼三ニ者▼発シ↢菩提心ヲ↡、▼深ク信ジ↢因果ヲ↡、▼読↢誦シ大乗ヲ↡、▼勧↢進ス行者ヲ↡。

^◆かくのごときの三さん事じを名なづけて浄じょう業ごうとす」 と。

▼如キノ↠此クノ三事ヲ名ケテ為スト↢浄業ト↡。▼

一 Ⅱ ⅵ e 引聖励凡

^◆仏ぶつ、 韋い提だい希けに告つげたまはく、 「なんぢいま、 知しれりやいなや。 この三種さんしゅの業ごうは、 過去かこ・未み来らい・現在げんざい、 ▼三さん世ぜの諸仏しょぶつの*浄じょう業ごうの正しょう因いんなり」 と。

▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝今知ルヤ不ヤ。▼此ノ三種ノ業ハ、*過去・未来・現在三世ノ諸仏ノ浄業ノ正因ナリト。▼

一 Ⅱ ⅶ 定善示観縁
      a 勅聴許説

【8】 ^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「あきらかに聴きけ、 あきらかに聴きけ、 よくこれを思し念ねんせよ。 ▼如来にょらい、 いま未み来らい世せの一切いっさい衆しゅ生じょうの、 煩悩ぼんのうの賊ぞくのために害がいせらるるもののために、 清浄しょうじょうの業ごうを説とかん。

▼仏▼告ゲタマハク↢阿難▼及ビ韋提希ニ↡、諦ニ聴ケ諦ニ聴ケ、善ク思↢念セヨ之ヲ↡。如来今者 イマ 、▼為ニ↧未来世ノ一切0081衆生ノ▼為ニ↢煩悩ノ賊ノ↡之*所ルル↠害セ者ノ↥、▼説カム↢清浄ノ業ヲ↡。

一 Ⅱ ⅶ b 問当聖意

^▼善よいかな韋い提だい希け、 快こころよくこの事じを問とへり。

▼善哉韋提希、快ク問ヘリ↢此ノ事ヲ↡。

一 Ⅱ ⅶ c 勧持勧説

^◆阿あ難なん、 なんぢまさに受じゅ持じして、 広ひろく多た衆しゅのために仏ぶつ語ごを宣説せんぜつすべし。

▼阿難、汝当ニシ↧受持シテ広ク為ニ↢多衆ノ↡宣↦説ス▼仏語ヲ↥。

一 Ⅱ ⅶ d 勧修得益

^▼如来にょらい、 いま韋い提だい希けおよび未み来らい世せの一切いっさい衆しゅ生じょうを教おしへて西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいを観かんぜしむ。

▼如来今者 イマ 、教ヘテ↢韋提希及ビ未来世ノ一切衆生ヲ↡、観ゼシム↢於西方極楽世界ヲ↡。

^◆仏力ぶつりきをもつてのゆゑに、 まさにかの清浄しょうじょうの国こく土どを見みること、 明鏡みょうきょうを執とりてみづから面像めんぞうを見みるがごとくなるを得うべし。 ▼かの国こく土どの極ごく妙みょうの楽らく事じを見みて、 心しん歓かん喜ぎするがゆゑに、 時ときに応おうじてすなはち無む生しょう法忍ぼうにんを得えん」 と。

▼以テノ↢仏力ヲ↡故ニ、▼当ニシ↠得↠見ルコトヲ↢彼ノ清浄ノ国土ヲ↡。▼如シ↧執リテ↢明鏡ヲ↡自ラ見ルガ↦面像ヲ↥。見テ↢彼ノ国土ノ極妙ノ楽事ヲ↡、▼心歓喜スルガ故ニ、▼応ジテ↠時ニ即チ得ムト↢無生法忍ヲ↡。▼

一 Ⅱ ⅶ e 韋提実凡

^▼仏ぶつ、 韋い提だい0093希けに告つげたまはく、 「なんぢはこれ凡ぼん夫ぶなり。 *心想しんそう羸劣るいれつにしていまだ*天眼てんげんを得えざれば、 遠とおく観みることあたはず。 ▼諸仏しょぶつ如来にょらいに*異いの方便ほうべんましまして、 なんぢをして見みることを得えしむ」 と。

▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、▼汝ハ是凡夫ナリ。▼心想羸劣ニシテ▼未ダレバ↠得↢天眼ヲ↡、不↠能ハ↢遠ク観ルコト↡。▼諸仏如来ニ有シテ↢▼異ノ方便↡、令ムト↢汝ヲシテ得↟見ルコトヲ。

一 Ⅱ ⅶ f 牒恩起問

^時ときに▼韋い提だい希け、 仏ぶつにまうしてまうさく、 「世せ尊そん、 わがごときは、 いま仏力ぶつりきをもつてのゆゑにかの国こく土どを見みる。

▼時ニ韋提希白シテ↠仏ニ言ク、世尊、如キハ↠我ガ今者 イマ ▼以テノ↢仏力ヲ↡故ニ、見ル↢彼ノ国土ヲ↡。

一 Ⅱ ⅶ g 韋提為物

^▼もし仏滅ぶつめつ後ごのもろもろの衆しゅ生じょう等とう、 濁じょく悪あく不ふ善ぜんにして五苦ごくに逼せめられん。 いかんしてか、 まさに阿あ弥み陀だ仏ぶつの極楽ごくらく世せ界かいを見みたてまつるべき」 と。

▼若キハ↢仏滅後ノ▼諸ノ衆生等ノ↡、▼濁悪不善ニシテ▼五苦ノ所ナレバ↠逼ムル、▼云何ガ当ニキト↠見タテマツル↢阿弥陀仏ノ極楽世界ヲ↡。▼

▼(裏)

二 正宗分
  Ⅰ 定善
    ⅰ【▼日観】
      a 総告総勧

【9】 ^▼仏ぶつ、 韋い提だい希けに告つげたまはく、 「なんぢおよび衆しゅ生じょう、 まさに心こころをもつぱらにし念おもいを一処いっしょに繋かけて、 ▼西方さいほうを想おもふべし。

▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝及ビ衆生▼応ニ当シ↧専ニシ↠心ヲ、繋ケテ↢念ヲ一処ニ↡、想フ↦於西方ヲ↥。

二 Ⅰ ⅰ b 牒所観事

^いかんが想そうをなす。 おほよそ想そうをなすといふは、 一切いっさい衆しゅ生じょう、 *生しょう盲もうにあらざるよりは、 有う目もくの徒ともがら、 みな日没にちもつを見みよ。▼

▼云何ガ作ス↠想ヲ。▼凡ソ作ストイフ↠想ヲ者、▼一切衆生、▼自リハ↠非ザル↢生盲ニ↡、有目之徒、皆見ヨ↢日没ヲ↡。

二 Ⅰ ⅰ c 正教観察

^まさに想念そうねんを起おこし、 正しょう坐ざし西向さいこうし、 あきらかに日ひを観かんじ、 心こころをして*堅けん住じゅうならしめ、 専想せんそうして移うつらざれば、 日ひの没もっせんと欲ほっして、 状かたち、 鼓つづみを懸かけたるがごとくなるを見みるべし。

▼当ニシ↧起シ↢想念ヲ↡、正坐シ西ニ向ヒ、諦ニ観ジ↢於*日ヲ↡、令メ↢心ヲシテ堅住ナラ↡専想シテ不レバ↠移ラ、見ル↦日ノ欲シテ↠没セムト状如クナルヲ↞懸ケタルガ↠鼓ヲ。

二 Ⅰ ⅰ d 弁観成相

^すでに日ひを見みること已おわらば、 閉目へいもく開目かいもくに、 みな明了みょうりょうならしめよ。

▼既ニ見ルコト↠日ヲ已ラバ、閉目・開目ニ、皆令メヨ↢明了ナラ↡。

二 Ⅰ ⅰ e 総結

^これを日想にっそうとし、 名なづけて初はじめの観かんといふ。

▼是ヲ為シ↢日想ト↡、名ケテ曰フ↢初ノ*観ト↡。

二 Ⅰ ⅱ【▼水観】
      a 総標地体

【10】^次つぎに水想すいそうをなせ。 水みずの澄清ちょうしょうなるを見みて、 また明了みょうりょうにして分散ふんさんの意こころなからしめよ。

▼*次ニ作セ↢水*想ヲ↡。見テ↢水ノ澄清ナルヲ↡、亦令メヨ↣明了ニシテ無カラ↢分散ノ意↡。

^▼すでに水みずを見みをはりなば、 まさに▼氷ひょう想そうを起おこすべし。 氷こおりの*映徹ようてつせるを0094見みて*瑠璃るりの想そうをなせ。

既ニ見↠水ヲ已ラバ、当ニシ↠起ス↢*氷想ヲ↡。見テ↢*氷ノ映徹セルヲ↡、作セ↢*瑠璃ノ想ヲ↡。

^この想そう成じょうじをはりて、 ▼瑠璃るり地じの内ない外げに映徹ようてつせるを見みん。

此ノ想成ジ已ラバ、見ヨ↢▼*瑠璃地ノ内外ニ映徹セルヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b 地下荘厳

^▼下したに金剛こんごう七宝しっぽうの金こがねの幢はたぼこありて▼瑠璃るり地じを擎ささぐ。 ▼その幢はたぼこ、 *八方はっぽうにして八はち楞りょうを具ぐ足そくせり。 ▼一々いちいちの方面ほうめんは百ひゃっ宝ぽうの所しょ成じょうなり。 ▼一々いちいちの宝珠ほうしゅに千せんの光こう明みょうあり。 ▼一々いちいちの光こう明みょう、 八万はちまん四し千せん色しきなり。 ▼瑠璃るり地じに映ようずること億千おくせんの日ひのごとし。 つぶさに見みるべからず。

▼下ニ有リテ↢金剛七宝ノ金0082ノ幢↡、▼擎ササグ↢*瑠璃地ヲ↡。▼其ノ幢八方ニシテ、八楞ヲ具足セリ。▼一一ノ方面ハ百宝ノ所成ナリ。▼一一ノ宝珠ニ、有リ↢千ノ光明↡。▼一一ノ光明ニ、八万四千色アリテ、▼映ズルコト↢*瑠璃地ニ↡、如シ↢億千ノ日ノ↡。不↠可カラ↢具ニ見ル↡。

二 Ⅰ ⅱ c 地上荘厳

^▼瑠璃るり地じの上うえに黄金おうごんの*縄なわをもつて*雑ざっ廁し間錯けんざくし、 七宝しっぽうをもつて界さかひて*分斉ぶんざい分ぶん明みょうなり。

▼*瑠璃地ノ上ニ、以テ↢▼黄金ノ縄ヲ↡、雑廁▼間錯シ、以テ↢七宝ヲ↡界サカヒテ、分斉分明ナリ。

二 Ⅰ ⅱ d 空裏荘厳

^▼一々いちいちの宝たからのうちに五ご百ひゃく色しきの光ひかりあり。 ▼その光ひかり、 華はなのごとし。 また星しょう月がつに似にたり。 ▼虚こ空くうに懸処けんしょして光こう明みょうの台うてなとなる。 ▼楼閣ろうかく千万せんまんにして百ひゃっ宝ぽう合ごう成じょうす。 ▼台うてなの両りょう辺へんにおいて、 おのおの百ひゃく億おくの*華け幢どうあり。 ▼無む量りょうの楽がっ器きをもつて荘しょう厳ごんとす。

▼一一ノ宝ノ中ニ、有リ↢五百色ノ光↡。▼其ノ光如シ↠華ノ。又似タリ↢星月ニ↡。▼懸↢処シテ虚空ニ↡、成ル↢光明ノ台ト↡。▼楼閣千万ニシテ、百宝合成ス。▼於テ↢台ノ両辺ニ↡、各ノ有リテ↢百億ノ華幢↡、▼無量ノ楽器↡ヲ、以テ為ス↢荘厳ト↡。

二 Ⅰ ⅱ e 光明説法

^▼*八種はっしゅの清しょう風ふう、 光こう明みょうより出いでて▼この楽がっ器きを鼓うつに、 ▼苦く・空くう・無む常じょう・無我むがの音こえを演説えんぜつす。

▼八種ノ清風、従リ↢光明↡出デテ、▼鼓ツニ↢此ノ楽器ヲ↡、▼演↢説ス苦・空・無常・無我之音ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ f 総結

^これを水想すいそうとし、 第だい二にの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↢水想ト↡、名ク↢第二ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅲ【▼地観】
      a 結前生後

【11】^この想そう成じょうずる時とき、

▼此ノ想成ズル時、

二 Ⅰ ⅲ b 弁観成相

^▼一々いちいちにこれを観かんじて、 ▼きはめて了々りょうりょうならしめよ。 ▼閉目へいもく開目かいもくに散失さんしつせしめざれ。 ▼ただ睡すい時じを除のぞきて、 つねにこの事じを憶おもへ。

▼一一ニ観ジテ↠之ヲ、▼極メテ令メヨ↢了了ナラ↡。▼閉目・開目ニ、不レ↠令メ↢散失セ↡。▼唯除キテ↢*睡時ヲ↡、恒ニ憶ヘ↢此ノ事ヲ↡。

^▼かくのごとく想おもふものを、 名なづけてほぼ極楽ごくらく国こく地じを見みるとす。 ▼もし三昧さんまいを得えば、 かの国こく地じを見みること了々りょうりょう分ぶん明みょうなり。 つぶさに説とくべからず。

▼*如ク↠此クノ想セバ者ヲ、名ケテ為ス↣*粗ボ見ルト↢極楽国ノ地ヲ↡。▼若シ得バ↢三昧ヲ↡、見ルコト↢彼ノ国ノ地ヲ↡、了了分明ナリ。不↠可カラ↢具ニ説ク↡。

二 Ⅰ ⅲ c 総結

^これを地じ想そうとし、 第三だいさんの観かんと名なづく」 と。

▼是ヲ為シ↢地想ト↡、名クト↢第三ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅲ d 勧発流通

^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「▼なんぢ仏ぶつ語ごを持たもちて、 未み来らい世せの0095一切いっさい大衆だいしゅの、 ▼苦くを脱まぬかれんと欲おもはんもののために、 ▼この観かん地じの法ほうを説とけ。

▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、▼汝持チテ↢仏語ヲ↡、▼為ニ↢未来世ノ一切大衆ノ▼欲スル↠脱レムト↠苦ヲ者ノ↡、▼説ケ↢是ノ観地ノ法ヲ↡。

二 Ⅰ ⅲ e 顕観利益

^▼もしこの地じを観かんずるものは、 ▼八はち十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞき、 ▼身みを捨すてて他世たせにかならず浄じょう国こくに生しょうぜん。 ▼心こころに疑うたがいなきことを得えよ。

▼若シ観ズレバ↢是ノ地ヲ↡者ハ、▼除キ↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡、▼捨身シテ他世ニ▼必ズ生ズ↢浄国ニ↡。▼心ニ得ヨ↠無キコトヲ↠疑。

二 Ⅰ ⅲ f 弁観邪正

^この観かんをなすをば、 名なづけて正しょう観かんとす。 もし他た観かんするをば、 名なづけて邪観じゃかんとす」 と。

▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢正観ト↡。▼若シ他観セバ者、名ケテ為スト↢邪観ト↡。

二 Ⅰ ⅳ【▼宝樹観】
      a 総挙観名

【12】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「地じ想そう成じょうじをはりなば、 次つぎに宝樹ほうじゅを観かんぜよ。

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、地想成ジ已ラバ、次ニ観ゼヨ↢宝樹ヲ↡。

二 Ⅰ ⅳ b 重牒観名

^宝樹ほうじゅを観かんずとは、 一々いちいちにこれを観かんじて七しち重じゅうの*行ごう樹じゅの想そうをなせ。

▼観ズト↢宝樹ヲ↡者、▼一一ニ観ジテ↠之ヲ、作セ↢▼七0083重ノ▼行樹ノ▼想ヲ↡。

二 Ⅰ ⅳ c 樹之体量

^一々いちいちの樹きの高たかさ八千はっせん由ゆ旬じゅんなり。

▼一一ノ樹ノ高サ、八千由旬ナリ。

二 Ⅰ ⅳ d 宝樹異相

^▼そのもろもろの宝樹ほうじゅ、 七宝しっぽうの華け葉よう具ぐ足そくせざることなし。 ▼一々いちいちの華け葉よう、 異ことなれる宝色ほうしきをなす。 ▼瑠璃るり色しきのなかより金色こんじきの光ひかりを出いだし、 玻瓈はり色しきのなかより紅ぐ色しきの光ひかりを出いだし、 碼め碯のう色しきのなかより硨しゃ磲この光ひかりを出いだし、 硨しゃ磲こ色しきのなかより緑ろく真珠しんじゅの光ひかりを出いだす。 ▼珊さん瑚ご・琥こ珀はく、 一切いっさいの衆宝しゅぼうをもつて映飾ようじきとす。

▼其ノ諸ノ宝樹、七宝ノ華葉、無シ↠不ルハ↢具足セ↡。一一ノ華葉、作ス↢異ノ宝色ヲ↡。*瑠璃色ノ中ヨリ出シ↢金色ノ光ヲ↡、*玻瓈色ノ中ヨリ出シ↢紅色ノ光ヲ↡、*碼碯色ノ中ヨリ出シ↢*硨磲ノ光ヲ↡、*硨磲色ノ中ヨリ出シ↢緑真珠ノ光ヲ↡、珊瑚・*琥珀、一切ノ衆宝ヲ、以テ為ス↢映飾ト↡。

二 Ⅰ ⅳ e 空裏荘厳

^▼妙みょう真珠しんじゅ網もうは、 樹じゅ上じょうに*弥覆みふせり。 ▼一々いちいちの樹じゅ上じょうに七しち重じゅうの網あみあり。 ▼一々いちいちの網あみのあひだに五ご百ひゃく億おくの妙みょう華けの宮く殿でんあり。 *梵王ぼんのう宮ぐのごとし。 ▼諸天しょてんの童どう子じ、 自じ然ねんになかにあり。 ▼一々いちいちの童どう子じ、 五ご百ひゃく億おくの*釈しゃ迦か毘び楞りょう伽が摩尼まに宝ほうをもつて瓔珞ようらくとす。 ▼その摩尼まにの光ひかり、 百ひゃく由ゆ旬じゅんを照てらす。 ▼なほ百ひゃく億おくの日月にちがつを和わ合ごうせるがごとし。 つぶさに名なづくべからず。 *衆宝しゅほう間錯けんざくして、 色いろのなかに上すぐれたるものなり。

▼妙真珠ノ網ハ、弥↢覆セリ樹上ニ↡。一一ノ樹上ニ、有リ↢七重ノ網↡。一一ノ網ノ間ニ、有リ↢五百億ノ妙華ノ宮殿↡。如シ↢梵王宮ノ↡。諸ノ天ノ童子、自然ニ在リ↠中ニ。一一ノ童子ニ、*五百億ノ釈迦毘楞伽摩尼*宝アリテ、以テ為ス↢瓔珞ト↡。其ノ摩尼ノ光、照ス↢百由旬ヲ↡。*猶如シ↣和↢合スルガ百億ノ日月ヲ↡。不↠可カラ↢具ニ名ク↡。衆宝間錯シテ、色ノ中ニ上スグレタル者ナリ。

二 Ⅰ ⅳ f 自然而有

^▼このもろもろ0096の宝樹ほうじゅ、 行々ごうごうあひ当あたり、 葉々ようようあひ次ちかし。 もろもろの葉はのあひだにおいて、 もろもろの妙みょう華けを生しょうず。 華はなの上うえに自じ然ねんに七宝しっぽうの果このみあり。

▼此ノ諸ノ宝*樹、行行相当リ、葉葉相次チカシ、於テ↢衆ノ葉ノ間ニ↡生ズ↢諸ノ妙華ヲ↡、華ノ上ニ自然ニ有リ↢七宝ノ果↡。

二 Ⅰ ⅳ g 華葉色相

^▼一々いちいちの樹葉じゅよう、 *縦じゅう広こう正しょう等とうにして二に十じゅう五ご由ゆ旬じゅんなり。 ▼その葉は、 千色せんじきにして百ひゃく種しゅの画えあり。 ▼天てんの瓔珞ようらくのごとし。 ▼もろもろの妙みょう華けあり。 閻えん浮ぶ檀だん金色ごんじきをなし、 *旋せん火か輪りんのごとく▼葉はのあひだに*婉転えんでんす。

▼一一ノ樹葉、縦広正等ニシテ二十五由旬ナリ。其ノ葉千色ニシテ有リ↢百種ノ画↡。如シ↢天ノ*瓔珞ノ↡。有リ↢衆ノ妙華↡。作シ↢閻浮檀金色ヲ↡、如ク↢旋火輪ノ↡*婉↢転ス葉ノ間ニ↡。

二 Ⅰ ⅳ h 菓有徳用

^▼もろもろの果このみを涌ゆ生しょうすること、 ▼*帝たい釈しゃくの瓶かめのごとし。 ▼大だい光こう明みょうあり、 化けして幢幡どうばん・無む量りょうの宝蓋ほうがいとなる。 ▼この宝蓋ほうがいのなかに三千さんぜん大千だいせん世せ界かいの一切いっさいの*仏ぶつ事じを映現ようげんす。 ▼十方じっぽうの仏国ぶっこくもまたなかにおいて現げんず。

▼*涌↢生スルコト諸ノ果ヲ↡如シ↢帝釈ノ瓶カメノ↡。有リ↢大光明↡、化シテ成ル↢幢旛・無量ノ宝蓋ト↡、是ノ宝蓋ノ中ニ映↢現ス三千大千世界ノ一切ノ仏事ヲ↡。十方ノ仏国モ亦於テ↠中ニ現ズ。

二 Ⅰ ⅳ i 弁観成相

^▼この樹きを見みをはりて、 ▼またまさに次し第だいに一々いちいちにこれを観かんずべし。 ▼樹じゅ茎きょう・枝し葉よう・華果けかを観見かんけんして、 みな分ぶん明みょうならしめよ。

▼見↢此ノ樹ヲ↡已ラバ、亦当ニシ↢次第ニ一一ニ観ズ↟之ヲ。観↢見シテ樹茎・枝葉・華果ヲ↡、皆令メヨ↢分明ナラ↡。

二 Ⅰ ⅳ j 総結

^これを樹想じゅそうとし、 第だい四しの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↢樹想ト↡、名ク↢第四ノ*観ト↡。

二 Ⅰ ⅴ【▼宝池観】
      a 総挙観名

【13】^▼次つぎにまさに水みずを想おもふべし。 水みずを想おもふとは、

▼*次ニ当ニシ↠想フ↠水ヲ。*想フト↠水ヲ者、

二 Ⅰ ⅴ b 池数出処

^▼極楽ごくらく国こく土どに▼八やつの池ち水すいあり。 ▼一々いちいちの池ち水すいは七宝しっぽうの所しょ成じょうなり。 ▼その宝たから柔にゅう軟なんなり。 ▼*如にょ意い珠王しゅおうより生しょうじ、

▼極楽国土ニ有リ↢八ノ池水↡。一一ノ池水ハ、七宝ノ所成ニシテ、其ノ宝柔0084軟ナリ。従リ↢如意珠王↡生ジ、

二 Ⅰ ⅴ c 支溜旋還

^▼分わかれて十じゅう四し支しとなる。 ▼一々いちいちの支し、 七宝しっぽうの色いろをなす。 黄金おうごんを渠みぞとし、 ▼渠みぞの下したにみな雑色ざっしきの金剛こんごうをもつて、 もつて底そこの沙いさごとす。

▼分レテ為ル↢十四支ト↡。一一ノ支作ス↢七*宝ノ色ヲ↡。黄金ヲ為リ↠渠ミゾト、▼渠ミゾ ノ下ニ、皆以テ↢雑色ノ▼金剛ヲ↡、以テ為ス↢底ノ沙ト↡。

二 Ⅰ ⅴ d 水有妙用

^▼一々いちいちの水みずのなかに▼六ろく十じゅう億おくの七宝しっぽうの蓮れん華げあり。 ▼一々いちいちの蓮れん華げ、 *団円だんえん正しょう等とうにして十じゅう二に由ゆ旬じゅんなり。 ▼その*摩尼まに水すい、 華はなのあひだに流ながれ注そそぎ、 ▼樹きを尋めぐりて上じょう下げす。

▼一一ノ水ノ中ニ有リ↢六十億ノ七宝ノ蓮華↡。一一ノ蓮華、団円正等ニシテ十二由旬ナリ。其ノ摩尼ノ水流レ↢注ギ華ノ間ニ↡、尋メグリテ↠樹ヲ上下ス。

二 Ⅰ ⅴ e 水有妙徳

^▼その声こえ微み妙みょうにして、 苦く・空くう・無む常じょう・無我むが・諸しょ0097波羅はら蜜みつを演説えんぜつす。 ▼また諸仏しょぶつの相好そうごうを讃歎さんだんするものあり。

▼其ノ声微妙ニシテ、演↢説シ苦・空・無常・無我・諸波羅蜜ヲ↡、▼復有リ↧讃↢歎スル諸仏ノ相好ヲ↡者↥。

二 Ⅰ ⅴ f 摩尼神徳

^▼如にょ意い珠王しゅおうより金色こんじき微み妙みょうの光こう明みょうを涌ゆ出すいす。 ▼その光ひかり、 化けして百ひゃっ宝ぽう色しきの鳥とりとなる。 ▼ˆその声こえˇ 和わ鳴みょう哀あい雅げにして、 ▼つねに仏ぶつを念ねんじ、 法ほうを念ねんじ、 僧そうを念ねんずることを讃たたふ。

▼*如意珠王ヨリ、*涌↢出ス金色微妙ノ光明ヲ↡。▼其ノ光、化シテ為ル↢百宝色ノ鳥ト↡、▼和鳴哀雅ニシテ、▼常ニ讃ズ↢念ジ↠仏ヲ念ジ↠法ヲ念ズルコトヲ↟僧ヲ↡。

二 Ⅰ ⅴ g 総結

^これを八はっ功く徳どく水すい想そうとし、 第だい五ごの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↢八功徳水想ト↡、名ク↢第五ノ*観ト↡。

二 Ⅰ ⅵ【▼宝楼観】
      a 総挙観名
      b 宝楼住処
      c 正顕其数

【14】^▼衆宝しゅぼう国こく土どの一々いちいちの*界かい上じょうに五ご百ひゃく億おくの宝ほう楼閣ろうかくあり。

▼*衆宝国土ノ▼一一ノ界上ニ、▼有リ↢五百億ノ宝楼*閣↡。

二 Ⅰ ⅵ d 閣内荘厳

^◆その楼閣ろうかくのうちに、 無む量りょうの諸天しょてんありて天てんの伎ぎ楽がくをなす。

▼其ノ楼閣ノ中ニ、有リテ↢無量ノ諸天↡、作ス↢天ノ伎楽ヲ↡。

二 Ⅰ ⅵ e 楼外荘厳

^また楽がっ器きありて虚こ空くうに懸処けんしょし、 *天てんの宝幢ほうどうのごとく、 鼓うたざるにおのづから鳴なる。

▼又有リテ↢楽器↡、懸↢処シ虚空ニ↡、如ク↢天ノ宝幢ノ↡、不ルニ↠鼓タ自ラ鳴ル。

二 Ⅰ ⅵ f 楽能説法

^▼この衆音しゅおんのなかに、 みな仏ぶつを念ねんじ、 法ほうを念ねんじ、 比丘びく僧そうを念ねんずることを説とく。

▼此ノ衆音ノ中ニ、皆説ク↣念ジ↠仏ヲ念ジ↠法ヲ念ズルコトヲ↢比丘僧ヲ↡。

二 Ⅰ ⅵ g 顕観成相

^◆この想そう成じょうじをはるを、 名なづけてほぼ極楽ごくらく世せ界かいの宝樹ほうじゅ・宝ほう地じ・宝ほう池ちを見みるとす。

▼此ノ想成ジ已ルヲ、名ケテ為ス↣*粗ボ見ルト↢極楽世界ノ宝樹・宝地・宝池ヲ↡。

二 Ⅰ ⅵ h 総結

^これを*総観そうかん想そうとし、 第六だいろくの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↢総観想ト↡、名ク↢第六ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅵ i 牒前生後
      j 此観利益

^もしこれを見みるものは、 無む量りょう億劫おくこうの極ごく重じゅうの悪業あくごうを除のぞき、 ▼命終みょうじゅうの後のちにかならずかの国くにに生しょうず。

▼若シ見レバ↠此ヲ者ハ、▼除キ↢無量*億劫ノ極重ノ悪業ヲ↡、命終之後ニ必ズ生ズ↢彼ノ国ニ↡。

二 Ⅰ ⅵ k 弁観邪正

^この観かんをなすをば、 名なづけて正しょう観かんとす。 もし他た観かんするをば、 名なづけて邪観じゃかんとす」 と。

▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為スト↢邪観ト↡。

二 Ⅰ ⅶ【▼華座観】
      a 勅聴許説

【15】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼あきらかに聴きけ、 あきらかに聴きけ、 よくこれを思し念ねんせよ。 ▼仏ぶつ、 まさになんぢがために苦く悩のうを除のぞく法ほうを分別ふんべつし解げ説せつすべし。

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼諦ニ聴ケ諦ニ聴ケ。善ク思↢念セヨ之ヲ↡。▼*仏当ニシ↫為ニ↠汝ガ分↩別シ解↪説ス▼除ク↢苦悩ヲ↡法ヲ↨。

二 Ⅰ ⅶ b 勧発流通

^◆なんぢら*憶おく持じして、 広ひろく大衆だいしゅのために分別ふんべつし解げ説せつすべし」 と。

▼汝等憶持シテ、広ク為ニ↢大衆ノ↡、分別シ解説セヨト。

二 Ⅰ ⅶ c 二尊許応【住立空中尊】

^▼この0098語ごを説ときたまふ時とき、 ▼*無む量りょう寿じゅ仏ぶつ、 ▼空くう中ちゅうに住立じゅうりゅうしたまふ。 ▼*観かん世ぜ音おん・*大だい勢せい至し、 この二に*大だい士じは左右さうに侍じ立りゅうしたまふ。 ▼光こう明みょうは熾し盛じょうにして▼つぶさに見みるべからず。 ▼百ひゃく千せんの閻えん浮ぶ檀だん金色ごんじきも比ひとすることを得えず。

▼説キタマフ↢是ノ語ヲ↡時、無量寿仏住↢立シタマフ空中ニ↡。観世音・大勢至、是ノ二大士ハ侍↢立シタマフ左右ニ↡。光明ハ熾盛ニシテ不↠可カラ↢具ニ見ル↡。百千0085ノ閻浮檀金色モ、不↠*得↠為スコトヲ↠比ト。

二 Ⅰ ⅶ d 韋提実凡

^▼時ときに韋い提だい希け、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつを見みたてまつりをはりて、 *接足せっそく作さ礼らいして

▼時ニ韋提希見タテマツリ↢無量寿仏ヲ↡已リテ、接足作礼シテ、

二 Ⅰ ⅶ e 仏恩領荷

^▼仏ぶつにまうしてまうさく、 「世せ尊そん、 われいま仏力ぶつりきによるがゆゑに、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを見みたてまつることを得えたり。

▼白シテ↠仏ニ言ク、世尊、我今因ルガ↢*仏力ニ↡故ニ、得タリ↠見タテマツルコトヲ↢無量寿仏及ビ二菩薩ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ f 為物置請

^◆未み来らいの衆しゅ生じょうまさにいかんしてか、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを観みたてまつるべき」 と。

▼未来ノ衆生当ニキト↣云何ガ観タテマツル↢無量寿仏及ビ二菩薩ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ g 総告許説

^▼仏ぶつ、 韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼かの仏ぶつを観みたてまつらんと欲おもはんものは、 まさに想念そうねんを起おこすべし。

▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、欲スル↠観タテマツラムト↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、当ニシ↠起ス↢想念ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ h 教観方便

^▼七宝しっぽうの地じ上じょうにおいて蓮れん華げの想そうをなせ。

▼於テ↢七宝ノ地上ニ↡、作セ↢蓮華ノ想ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ i 宝華荘厳

^◆その蓮れん華げの一々いちいちの葉はなびらをして百ひゃっ宝ぽうの色いろ ˆありとの想そうˇ をなさしめよ。 ▼ˆその葉はなびらにˇ 八万はちまん四し千せんの脈すじあり、 なほ天てんの画えのごとし。 ▼脈すじに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり、

▼令メヨ↣其ノ蓮華ノ一一ノ▼*葉ヲシテ作サ↢百宝ノ色ニ↡。▼有リ↢八万四千ノ脈↡、猶如シ↢天ノ画ノ↡。▼*脈ニ有リ↢八万四千ノ光↡、

二 Ⅰ ⅶ j 弁観成相

^◆了々りょうりょう分ぶん明みょうに、 みな見みることを得えしめよ。

▼了了分明ニ、皆令メヨ↠得↠見ルコトヲ。

二 Ⅰ ⅶ k 葉葉荘厳

^▼華葉はなびらの小ちいさきは、 縦じゅう広こう二に百ひゃく五ご十じゅう由ゆ旬じゅんなり。 ▼かくのごときの蓮れん華げに八万はちまん四し千せんの葉はなびらあり。 ▼一々いちいちの葉はなびらのあひだにおのおの百ひゃく億おくの摩尼まに珠王しゅおうありて、 もつて映飾ようじきとす。 ▼一々いちいちの摩尼まに、 千せんの光こう明みょうを放はなつ。 ▼その光ひかり ˆ天てんˇ 蓋がいのごとく七宝しっぽう合ごう成じょうせり。 ▼あまねく地じ上じょうを覆おおへり。

▼華葉ノ小サキ者、縦広二百五十由旬ナリ。如キノ↠是クノ*蓮*華ニ有リ↢八万四*千ノ葉↡。一一ノ葉ノ間ニ*各ノ*有リテ↢百億ノ摩尼珠王↡、以テ為ス↢映飾ト↡。一一ノ摩*尼、放ツ↢千ノ光明ヲ↡。其ノ光如ク↠蓋ノ七宝合成シ、徧ク覆ヘリ↢地上ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ l 台上荘厳

^◆*釈しゃ迦か毘び楞りょう伽が宝ほうをもつてその台うてなとす。 この蓮れん華げの台うてなは、 八万あちまんの金剛こんごう・*甄けん叔しゅく迦か宝ほう・*梵ぼん摩尼まに宝ほう・妙みょう真珠しんじゅ網もうをもつて交きょう飾じきとす0099。

▼釈迦毘楞*伽宝ヲ、以テ為シ↢其ノ台ト↡、此ノ蓮華ノ台ニ八万ノ金剛・甄叔迦宝・梵摩尼宝・妙真珠ノ網アリテ、以テ為ス↢*交飾ト↡。

二 Ⅰ ⅶ m 幢上荘厳

^▼その台うてなの上うえにおいて自じ然ねんにして四し柱ちゅうの*宝幢ほうどうあり。 ▼一々いちいちの宝幢ほうどうは百ひゃく千万せんまん億おくの須しゅ弥み山せんのごとし。◗^▼幢どう上じょうの*宝幔ほうまんは、 *夜摩やま天てん宮ぐのごとし。 ▼†また五ご百ひゃく億おくの微み妙みょうの宝珠ほうしゅありて、 もつて映飾ようじきとす。

▼於テ↢其ノ台ノ上ニ↡、自然ニシテ而有リ↢四柱ノ宝幢↡。一一ノ宝幢ハ、如シ↢百千万億ノ須弥山ノ↡。幢上ノ宝*幔ハ、如シ↢夜摩天宮ノ↡。*有リテ↢五百億ノ微妙ノ宝珠↡、以テ為ス↢映飾ト↡。

二 Ⅰ ⅶ n 珠光徳用

^◆一々いちいちの宝珠ほうしゅに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。 ▼一々いちいちの光ひかり、 八万はちまん四し千せんの異い種しゅの金色こんじきをなす。◗^▼一々いちいちの金色こんじき、 その宝ほう土どに遍へんし、 ▼処々しょしょに変へん化げして、 おのおの異い相そうをなす。 ▼あるいは金剛こんごうの台うてなとなり、 あるいは真珠しんじゅ網もうとなり、 あるいは*雑ざっ華け雲うんとなる。 十方じっぽう面めんにおいて、 意こころに随したがひて変現へんげんして仏ぶつ事じを施作せさす。

▼一一ノ宝珠ニ有リ↢八万四千ノ光↡。一一ノ光作ス↢八万四千ノ異種ノ金色ヲ↡。一一ノ金*色徧シ↢其ノ宝土ニ↡、処処ニ変化シテ、各ノ作ス↢異相ヲ↡。或イハ為リ↢金剛ノ台ト↡、或イハ作リ↢真珠ノ網ト↡、或イハ作リ↢雑華雲ト↡、於テ↢十方面ニ↡、随ヒテ↠意ニ変現シテ施↢作ス仏事ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ o 総結

^◆これを華座けざの想そうとす、 第七だいしちの観かんと名なづく」 と。

▼是ヲ為シ↢華*座ノ想ト↡、名クト↢第七ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅶ p 得成所由

^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「▼かくのごときの妙みょう華けは、 これもと*法蔵ほうぞう比丘びくの願力がんりきの所しょ成じょうなり。

▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、如キノ↠此クノ妙華ハ、是本▼法蔵比丘ノ願力ノ所成0086ナリ。

二 Ⅰ ⅶ q 重顕観儀

^◆もしかの仏ぶつを念ねんぜんと欲おもはんものは、 まさにまづこの華座けざの想そうをなすべし。 この想そうをなさん時とき、 *雑観ざっかんすることを得えざれ。 みな一々いちいちにこれを観かんずべし。 一々いちいちの葉はなびら・一々いちいちの珠たま・一々いちいちの光ひかり・一々いちいちの台うてな・一々いちいちの幢はたぼこ、 みな分ぶん明みょうならしめて、 鏡かがみのなかにおいてみづから面像めんぞうを見みるがごとくせよ。

▼若シ欲セバ↠念ゼムト↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、*当ニシ↣先ヅ作ス↢*此ノ華*座ノ想ヲ↡。作ス↢此ノ想ヲ↡時、不レ↠得↢雑観スルコトヲ↡。皆応シ↢一一ニ観ズ↟之ヲ。*一一ノ葉・一一ノ珠・一一ノ光・一一ノ台・一一ノ幢、皆令メテ↢分明ナラ↡、▼如クセヨ↧於テ↢鏡ノ中ニ↡自ラ見ルガ↦面像ヲ↥。

二 Ⅰ ⅶ r 観成利益

^▼この想そう成じょうずるものは、 ▼五ご万劫まんごうの生しょう死じの罪つみを滅除めつじょし、 ▼必ひつ定じょうしてまさに極楽ごくらく世せ界かいに生しょうずべし。

▼此ノ想成ズレバ者ハ、▼滅↢除シ五*万劫ノ生死之罪ヲ↡、▼必定シテ当ニシ↠生ズ↢極楽世界ニ↡。

二 Ⅰ ⅶ s 弁観邪正

^▼この観かんをなすをば、 名なづけて正しょう観かんとす。 もし他た観かんするをば、 名なづけて邪観じゃかんとす」 と。

▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為スト↢邪観ト↡。

二 Ⅰ ⅷ【▼像観】
      a 結前生後

【16】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼この事じを見みをはらば、 次つぎにまさ0100に仏ぶつを想おもふべし。 ゆゑはいかん。

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、見↢此ノ事ヲ↡已ラバ、次ニ当ニシ↠想フ↠仏ヲ。▼所以者何ン。

二 Ⅰ ⅷ b 応心即現【法界身】

^▼諸仏しょぶつ如来にょらいはこれ*法界ほうかい身しんなり。 一切いっさい衆しゅ生じょうの心想しんそうのうちに入いりたまふ。

▼諸仏如来ハ、▼是法界身ナリ。▼*入リタマフ↢一切衆生ノ心想ノ中ニ↡。

二 Ⅰ ⅷ c 結勧利益

^▼このゆゑになんぢら心しんに仏ぶつを想おもふ時とき、 この心しんすなはちこれ ˆ仏ぶつのˇ 三さん十じゅう二に相そう・八はち十じゅう随ずい形ぎょう好こうなれば、 *この心しん作さ仏ぶつす、 この心しんこれ仏ぶつなり。 *諸仏しょぶつ正しょう遍へん知ち海かいは心想しんそうより生しょうず。

▼是ノ故ニ汝等心ニ想フ↠仏ヲ時、▼是ノ心即チ是三十二相・▼八十随形好ナレバ、▼是ノ心作仏ス。▼是ノ心是仏ナリ。▼諸仏正徧知海ハ従リ↢心想↡生ズ。

二 Ⅰ ⅷ d 勧観彼仏

^このゆゑにまさに一心いっしんに繋け念ねんして、 あきらかにかの仏ぶつ、 *多陀阿ただあ伽度かど・*阿羅訶あらか・*三さん藐みゃく三さん仏ぶっ陀だを観かんずべし。

▼是ノ故ニ応ニ当シ↣一心ニ繋念シテ、諦ニ観ズ↢彼ノ仏・多陀阿伽度・阿羅*訶・三藐三仏陀ヲ↡。

二 Ⅰ ⅷ e 牒前生後

^▼かの仏ぶつを想おもはんものは、 まづまさに像ぞうを想おもふべし。

▼想ハム↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、▼先ズ当ニシ↠想フ↠像ヲ。

二 Ⅰ ⅷ f 弁観成相

^▼閉目へいもく開目かいもくに▼一ひとつの宝像ほうぞうの閻えん浮ぶ檀だん金色ごんじきのごとくにして、 ▼かの華け上じょうに坐ざせるを見みよ。 ^▼像ぞうの坐ざせるを見みをはらば、 心眼しんげん開ひらくることを得えて、 ▼了々りょうりょう分ぶん明みょうに極楽ごくらく国こくの七宝しっぽう荘しょう厳ごんの宝ほう地じ・宝ほう池ち・宝樹ほうじゅ行列ごうれつし、 諸天しょてんの宝幔ほうまんその上うえに弥覆みふし、 衆宝しゅぼうの*羅ら網もう、 虚こ空くうのなかに満みてるを見みん。 かくのごときの事じを見みること、 きはめて明了みょうりょうにして、 掌たなごころのうちを観みるがごとくならしめよ。

▼閉目・開目ニ、見ヨ↧一ノ宝像ノ如クニシテ↢閻浮檀金色ノ↡、坐スルヲ↦彼ノ華上ニ↥。*見↢*像ノ坐スルヲ↡已ラバ、心眼得テ↠開クルコトヲ、了了分明ニ見ム↧極楽国ノ七宝荘厳ノ宝地・宝池・宝樹行列シ、諸ノ天ノ宝*幔弥↢覆シ*其ノ上ニ↡、衆宝ノ羅網満テルヲ↦虚空ノ中ニ↥。見ルコト↢如キノ↠此クノ事ヲ↡、極メテ令メヨ↢明了ニシテ如クナラ↟観ルガ↢掌ノ中ヲ↡。

二 Ⅰ ⅷ g 結上生後
      h 二菩薩観

^▼この事じを見みをはらば、 ▼またまさにさらに一ひとつの大だい蓮れん華げをなして仏ぶつの左さ辺へんに在おくべし。 前さきの蓮れん華げのごとくして等ひとしくして異いあることなし。 また一ひとつの大だい蓮れん華げをなして仏ぶつの右う辺へんにおけ。 一ひとつの観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつの像ぞう、 左ひだりの華座けざに坐ざすと想おもへ。 また金光こんこうを放はなつこと、 前さきの ˆ仏ぶつのˇ ごとくして異いなし。 一ひとつの大だい勢せい至し菩ぼ薩さつの像ぞう、 右みぎの華座けざに坐ざすと想おもへ。

▼見↢此ノ事ヲ↡已ラバ、▼復当ニシ↧更ニ作シテ↢一ノ大蓮華ヲ↡在オク↦仏ノ左辺ニ↥。如クシテ↢前ノ蓮華ノ↡、等シクシテ無シ↠有ルコト↠異ルコト。復作シテ↢一ノ大蓮華ヲ↡在オケ↢仏ノ右辺ニ↡。▼想ヘ↣一ノ観世音菩薩ノ像ノ、坐スト↢*左ノ華座ニ↡。亦*放ツコト↢金*光ヲ↡、如クシテ↠前ノ無シ↠異ルコト。▼想ヘ↣一ノ大勢至菩薩ノ像ノ、坐スト↢*右ノ華座ニ↡。

二 Ⅰ ⅷ i 成多身観

^この想そう成じょうずる時とき、 仏ぶつ・菩ぼ薩さつの像ぞうはみな光こう明みょうを放はなつ0101。 その光ひかり金色こんじきにしてもろもろの宝樹ほうじゅを照てらす。 一々いちいちの樹じゅ下げにまた三みつの蓮れん華げあり。 もろもろの蓮れん華げの上うえにおのおの一仏いちぶつ二に菩ぼ薩さつの像ぞうましまして、 かの国くにに遍満へんまんす。

▼此ノ想成0087ズル時、仏・菩薩ノ像ハ、皆放ツ↢*光明ヲ↡。其ノ光金色ニシテ照ス↢諸ノ宝樹ヲ↡。▼一一ノ樹下ニ*復有リ↢三ノ蓮華↡。諸ノ蓮華ノ上ニ、各ノ有リテ↢一仏・二菩薩ノ像↡、徧↢満ス彼ノ国ニ↡。

二 Ⅰ ⅷ j 因定得見

^▼この想そう成じょうずる時とき、 行ぎょう者じゃまさに水すい流る・光こう明みょうおよびもろもろの宝樹ほうじゅ・*鳧ふ・雁がん・*鴛鴦えんおうのみな妙みょう法ほうを説とくを聞きくべし。 *出定しゅつじょう・*入定にゅうじょうにつねに妙みょう法ほうを聞きく。◗^行ぎょう者じゃの ˆ入定にゅうじょう中ちゅうにˇ 聞ききしところのもの、 出定しゅつじょうの時とき憶おく持じして捨すてず、

▼此ノ想成ズル時、行者当ニシ↠聞ク↣水流・光明、及ビ諸ノ宝樹・鳧・鴈・鴛鴦ノ皆説クヲ↢妙法ヲ↡。出定・入定ニ、恒ニ聞ク↢妙法ヲ↡。行者ノ所ハ↠聞ケル、出定之時憶持シテ不↠捨テ、

二 Ⅰ ⅷ k 弁観邪正

^*修しゅ多羅たらと合がっせしめよ。 もし合がっせざるをば、 名なづけて妄想もうぞうとす。もし合がっすることあるをば、 名なづけて粗そ想そうに極楽ごくらく世せ界かいを見みるとす。

▼令メヨ↧与↢修多羅↡合セ↥。若シ不ハ↠合セ者、名ケテ為ス↢妄想ト↡。▼若シ*有ラバ↠合スルコト者、名ケテ為ス↣麁想ニ見ルト↢極楽世界ヲ↡。

二 Ⅰ ⅷ l 総結

^これを像想ぞうそうとし、 第八だいはちの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↢*像想ト↡、名ク↢第八ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅷ m 現蒙利益

^▼この観かんをなすものは、 無む量りょう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞき、 現身げんしんのなかにおいて念仏ねんぶつ三昧ざんまいを得えん」 と。

▼作セバ↢是ノ観ヲ↡者ハ、除キ↢無量億劫ノ生死之罪ヲ↡、▼於テ↢現身ノ中ニ↡得ント↢念仏三*昧ヲ↡。

二 Ⅰ ⅸ【▼真身観】
      a 告命生後

【17】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「この想そう成じょうじをはらば、 次つぎにまさにさらに無む量りょう寿じゅ仏ぶつの身相しんそうと光こう明みょうとを観かんずべし。

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、此ノ想成ジ已ラバ、次ニ当ニシ↣更ニ観ジタテマツル↢無量寿仏ノ身相ト光明トヲ↡。

二 Ⅰ ⅸ b 真仏身相

^阿あ難なんまさに知しるべし、 ▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつの身しんは百ひゃく千万せんまん億おくの夜摩やま天てんの閻えん浮ぶ檀だん金色ごんじきのごとし。

▼阿難、当ニシ↠知ル、無量寿仏ノ身ハ如シ↢百千万億ノ夜摩天ノ閻浮檀金色ノ↡。

二 Ⅰ ⅸ c 身量大小

^▼仏身ぶっしんの高たかさ六ろく十じゅう万億まんおく那な由他ゆた恒ごう河が沙しゃ由ゆ旬じゅんなり。

▼仏身ノ高サ、六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。

二 Ⅰ ⅸ d 総観身相

^▼眉み間けんの*白びゃく毫ごうは、 右みぎに旋めぐりて婉転えんでんして、 ˆ大おおきさˇ 五いつつの須しゅ弥み山せんのごとし。 ▼仏眼ぶつげんは*四し大だい海水かいすいのごとし。 *青白しょうびゃく分ぶん明みょうなり。 ▼身しんのもろもろの毛もう孔くより光こう明みょうを演出えんすいす。 ˆ大おおきさˇ 須しゅ弥み山せんのごとし。

▼眉間ノ白毫ハ、▼右ニ旋リテ*婉転シテ、如シ↢五ノ須弥山ノ↡。▼仏*眼ハ如ク↢四大海水ノ↡、*青白分明ナリ。▼身ノ諸ノ毛孔ヨリ演↢出スルコト光明ヲ↡、如シ↢須弥山ノ↡。

^▼かの仏ぶつの*円光えんこうは、 ˆ広ひろさˇ 百ひゃく0102億おくの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのごとし。 ▼円光えんこうのなかにおいて、 百ひゃく万億まんおく那な由他ゆた恒ごう河が沙しゃの化け仏ぶつまします。 ▼一々いちいちの化け仏ぶつにまた衆しゅ多た無む数しゅの化け菩ぼ薩さつありて、 もつて侍じ者しゃたり。

▼彼ノ仏ノ円光ハ如シ↢百億ノ三千大千世界ノ↡。▼於テ↢円光ノ中ニ↡、有ス↢百万億那由他恒河沙ノ化仏↡。▼一一ノ化仏ニ亦有リテ↢衆多無数ノ化菩薩↡、以テ為リ↢侍者↡。

二 Ⅰ ⅸ e 光益有縁【摂取不捨】

^▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつに八万はちまん四し千せんの相そうまします。 ▼一々いちいちの相そうにおのおの八万はちまん四し千せんの随ずい形ぎょう好こうあり。 ▼一々いちいちの好こうにまた八万はちまん四し千せんの光こう明みょうあり。 ▼一々いちいちの▼光こう明みょうは、 あまねく十方じっぽう世せ界かいを照てらし、 ▼念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを*摂取せっしゅして捨すてたまはず。

▼無量寿仏ニ有ス↢▼八万四千ノ相↡。▼一一ノ*相ニ、各ノ有リ↢八万四千ノ随形好↡。▼一一ノ*好ニ復有リ↢八万四千ノ光明↡。▼一一ノ▼光明ハ、▼徧ク照シ↢十方世界ノ▼念仏ノ衆生ヲ↡、▼摂取シテ不↠捨テタマハ。

二 Ⅰ ⅸ f 結少顕多
      g 荘厳微妙

^その光こう明みょうと相好そうごうと、 および化け仏ぶつとは、 つぶさに説とくべからず。 ▼ただまさに*憶想おくそうして、 心眼しんげんをして見みたてまつらしむべし。

▼其ノ光*明ト相好ト及与 オヨビ 0088化仏トハ、不↠可カラ↢具ニ説ク↡。▼但当ニシ↣憶想シテ、令ム↢心*眼ヲシテ見タテマツラ↡。

二 Ⅰ ⅸ h 観益得成

^▼この事じを見みるものは、 すなはち十方じっぽうの一切いっさいの諸仏しょぶつを見みたてまつる。 ▼諸仏しょぶつを見みたてまつるをもつてのゆゑに念仏ねんぶつ三昧ざんまいと名なづく。 ^▼この観かんをなすをば、 一切いっさいの仏身ぶっしんを観かんずと名なづく。 ▼仏身ぶっしんを観かんずるをもつてのゆゑにまた仏心ぶっしんを見みたてまつる。 ▼仏心ぶっしんとは大だい慈悲じひこれなり。 *無む縁えんの慈じをもつてもろもろの衆しゅ生じょうを摂せっしたまふ。

▼見ル↢此ノ事ヲ↡者ハ、▼即チ見タテマツル↢十方ノ一切ノ諸仏ヲ↡。▼以テノ↠見タテマツルヲ↢諸仏ヲ↡故ニ、名ク↢念仏三昧ト↡。▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ク↠観ズト↢一切ノ仏身ヲ↡。▼以テノ↠観ズルヲ↢仏身ヲ↡故ニ亦見タテマツル↢仏心ヲ↡。▼*仏心ト者大慈悲是ナリ。▼以テ↢無縁ノ慈ヲ↡摂ス↢諸ノ衆生ヲ↡。

二 Ⅰ ⅸ i 得生彼益

^この観かんをなすものは、 身みを捨すてて他世たせに諸仏しょぶつの前みまえに生しょうじて無む生しょう忍にんを得えん。

▼作セバ↢此ノ観ヲ↡者ハ、▼捨身シテ他世ニ生ジテ↢諸仏ノ前ニ↡、得ン↢無生忍ヲ↡。

二 Ⅰ ⅸ j 結勧利益

^▼このゆゑに▼智ち者しゃ▼まさに心こころを繋かけて、 あきらかに無む量りょう寿じゅ仏ぶつを観かんずべし。

▼是ノ故ニ▼智者、▼応ニ当シ↣繋ケテ↠心ヲ、諦ニ観ジタテマツル↢無量寿仏ヲ↡。

 ^▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつを観かんぜんものは、 ˆ仏ぶつのˇ 一ひとつの相好そうごうより入いれ。 ただ眉み間けんの白びゃく毫ごうを観かんじて、 きはめて明了みょうりょうならしめよ。 ▼眉み間けんの白びゃく毫ごうを見みたてまつれば、 八万はちまん四し千せんの0103相好そうごう、 自じ然ねんにまさに現げんずべし。

▼観ジタテマツラム↢無量寿仏ヲ↡者ハ、*従リ↢一ノ相好↡入レ。但観ジテ↢眉間ノ白毫ヲ↡極メテ令メヨ↢明了ナラ↡。見タテマツレバ↢眉間ノ白*毫ヲ↡者、八万四千ノ相好、自然ニ当ニシ↠*現ズ。

^◆無む量りょう寿じゅ仏ぶつを見みたてまつれば、 すなはち十方じっぽう無む量りょうの諸仏しょぶつを見みたてまつる。 ^▼無む量りょうの諸仏しょぶつを見みたてまつることを得うるがゆゑに、 諸仏しょぶつは現前げんぜんに授じゅ記きしたまふ。

▼見タテマツレバ↢無量寿仏ヲ↡者、即チ見タテマツル↢十方無量ノ諸仏ヲ↡。▼得ルガ↠見タテマツルコトヲ↢無量ノ諸仏ヲ↡故ニ、諸仏ハ現前ニ*授記シタマフ。▼

二 Ⅰ ⅸ k 総結

^◆これをあまねく*一切いっさいの色身しきしんを観かんずる想そうとし、 第だい九くの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↧徧ク観ズル↢一切ノ色*身ヲ↡*想ト↥、名ク↢第九ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅸ l 弁観邪正

^この観かんをなすをば、 名なづけて正しょう観かんとす。 もし他た観かんするをば、 名なづけて邪観じゃかんとす」 と。

▼作サバ↢*此ノ観ヲ↡者名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者名ケテ為スト↢邪観ト↡。

二 Ⅰ ⅹ【▼観音観】
      a 結前生後

【18】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「無む量りょう寿じゅ仏ぶつを見みたてまつること、 了々りょうりょう分ぶん明みょうなること已おわりて、 次つぎにまたまさに観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつを観かんずべし。

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、見タテマツルコト↢無量寿仏ヲ↡、了了分明ナルコト已ラバ、次ニ*復当ニシ↠観ジタテマツル↢観世音菩薩ヲ↡。

二 Ⅰ ⅹ b 総標身相

^▼この菩ぼ薩さつ、 身みの長たけ八はち十じゅう万億まんおく那な由他ゆた由ゆ旬じゅんなり。 ▼身しんは紫し金色こんじきなり。 ▼頂いただきに*肉髻にくけいあり。 ▽項うなじに円光えんこうあり。 *面おもておのおの百ひゃく千せん由ゆ旬じゅんなり。

▼此ノ菩薩、▼身ノ長八十*万億那由*他由旬ナリ。▼身ハ紫金色ナリ。▼頂ニ有リ↢肉髻↡、項ウナジニ有リテ↢▼円光↡、面各ノ百千由旬ナリ。

^▽その円光えんこうのなかに五ご百ひゃくの化け仏ぶつましまして、 釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつのごとし。 ▽一々いちいちの化け仏ぶつに五ご百ひゃくの化け菩ぼ薩さつと無む量りょうの諸天しょてんありて、 もつて侍じ者しゃたり。

▼其ノ円光ノ中ニ有シテ↢五百ノ化仏↡、▼如シ↢釈迦牟尼*仏ノ↡。一一ノ化仏ニ有リテ↢五百ノ*化菩薩ト無量ノ諸天↡、以テ為リ↢侍者↡。

^▼*挙こ身しんの光ひかりのなかに五ご道どうの衆しゅ生じょうの一切いっさいの色相しきそう、 みななかにおいて現げんず。

▼挙身ノ光ノ中ニ五道ノ衆生ノ一切ノ色相アリテ、皆於テ↠中ニ現ズ。▼

二 Ⅰ ⅹ c 天冠殊異

^▽頂上ちょうじょうに*毘び楞りょう伽が摩尼まに宝ほうあり、 もつて*天冠てんがんとす。 その天冠てんがんのなかに、 ひとりの*立りゅう化け仏ぶつまします。 高たかさ二に十じゅう五ご由ゆ旬じゅんなり。

▼頂上ニ▼毘楞伽摩*尼宝アリテ、以テ為ス↢天冠ト↡。其ノ天冠ノ中ニ有シテ↢一ノ立化仏↡、高サ二十五由旬ナリ。

二 Ⅰ ⅹ d 身色不同

^▼観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつの面おもては、 閻えん浮ぶ檀だん金色ごんじきのごとし。

▼観世音菩薩ノ面ハ、如シ↢閻浮檀金色ノ↡。

二 Ⅰ ⅹ e 毫光転変

^▼眉み間けんの*毫相ごうそうに七宝しっぽうの色いろを備そなへ、 ▼八万はちまん四し千種せんしゅの光こう明みょうを流る出すいす。 ▼一々いちいちの光こう明みょうに、 無む量りょう無む数しゅ百ひゃく千せんの化け仏ぶつまします。 ▼一々いちいちの化け仏ぶつは、 無む数しゅの化け菩ぼ薩さつを0104もつて侍じ者しゃとす。 ▼変現へんげん自じ在ざいにして十方じっぽう世せ界かいに満みてり。 たとへば紅ぐ蓮れん華げ色しきのごとし。

▼眉間ノ毫0089相ニ備ヘ↢七宝ノ色ヲ↡▼流↢出ス八万四千種ノ光明ヲ↡。▼一一ノ光明ニ有ス↢無量無数百千ノ化仏↡。▼一一ノ化仏ニ無数ノ化菩薩アリテ、以テ為リ↢侍者↡。▼変現自在ニシテ満テリ↢十方*世界ニ↡。*譬ヘバ如シ↢紅蓮華色ノ↡。

二 Ⅰ ⅹ f 身服光瓔

^八はち十じゅう億おくの光こう明みょうありて、 もつて瓔珞ようらくとす。 その瓔珞ようらくのなかに、 あまねく一切いっさいのもろもろの荘しょう厳ごんの事じを現げんず。

▼有リテ↢八十*億ノ光明↡、以テ為ス↢瓔珞ト↡。其ノ瓔珞ノ中ニ普ク現ズ↢一切ノ諸ノ荘厳ノ事ヲ↡。

二 Ⅰ ⅹ g 手有慈用

^▼手しゅ掌しょうに五ご百ひゃく億おくの雑ぞう蓮れん華げ色しきをなす。 ▼手ての十じっ指しの端はし、 一々いちいちの指ゆびの端はしに八万はちまん四し千せんの画えあり。 なほ*印文いんもんのごとし。 ▼一々いちいちの画えに八万はちまん四し千色せんしきあり。 ▼一々いちいちの色いろに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。 ▼その光ひかり柔にゅう軟なんにしてあまねく一切いっさいを照てらし、 ▼この宝手ほうしゅをもつて衆しゅ生じょうを*接しょう引いんしたまふ。

▼手掌ニ作シ↢▼五百億ノ雑蓮華色ヲ↡、手ノ十指ノ端、▼一一ノ指ノ端ニ有リ↢八万四千ノ画↡。猶如シ↢印文ノ↡。▼一一ノ画ニ有リ↢八万四千ノ色↡。▼一一ノ色ニ有リ↢八万四千ノ光↡。▼其ノ光柔軟ニシテ普ク照シ↢一切ヲ↡、▼以テ↢此ノ宝手ヲ↡接↢引シタマフ衆生ヲ↡。

二 Ⅰ ⅹ h 足有徳用

^▽足あしを挙あげたまふ時とき、 足あしの下したに*千せん輻輪ぷくりんの相そうあり、 自じ然ねんに化けして五ご百ひゃく億おくの光こう明みょうの台うてなとなる。 足あしを下おろしたまふ時とき、 *金剛こんごう摩尼まにの華はなあり、 一切いっさいに布ふ散さんして*弥み満まんせずといふことなし。

▼挙ゲタマフ↠足ヲ時、足ノ下ニ有リテ↢千輻輪ノ相↡、自然ニ化シテ成ル↢五百億ノ光明ノ台ト↡。下ゲタマフ↠足ヲ時、有リテ↢金剛摩尼ノ華↡、布↢散シテ一切ニ↡莫シ↠不ルハ↢弥満セ↡。

二 Ⅰ ⅹ i 指同於仏
      j 師徒位別

^▼その余よの身相しんそう・*衆好しゅこう、 具ぐ足そくせること仏ぶつのごとくして異いなし。 ただ頂上ちょうじょうの肉髻にくけいおよび*無む見けん頂ちょうの相そう、 世せ尊そんに及およばず。

▼其ノ*余ノ身相・衆好具足セルコト如クシテ↠仏ノ無シ↠異ルコト。▼唯頂上ノ肉髻及ビ無見頂ノ相ノミ、不↠及バ↢世尊ニ↡。

二 Ⅰ ⅹ k 総結

^これを観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつの真実しんじつ色身しきしんを観かんずる想そうとし、 第だい十じゅうの観かんと名なづく」 と。

▼是ヲ為シ↧観ズル↢観世音菩薩ノ真実色身ヲ↡*想ト↥、名クト↢第十ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅹ l 生其後益

^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「もし観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつを観かんぜんと欲ほっすることあらんものは、 まさにこの観かんをなすべし。

▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若シ*有ラバ↠欲スルコト↠観ジタテマツラムト↢観世音菩薩ヲ↡*者ハ、当ニシ↠作ス↢是ノ観ヲ↡。

二 Ⅰ ⅹ m 勧観利益

^この観かんをなすものはもろもろの禍かに遇あはず、 *業ごっ障しょうを浄じょう除じょし、 無む数しゅ劫こうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。 かくのごときの菩ぼ薩さつは、 ただその名なを聞きくだに無む量りょうの福ふくを獲う。 いかにいはんやあきらかに観かんぜんをや。

▼作セバ↢是ノ観ヲ↡者ハ、不↠遇ハ↢諸ノ禍ニ↡、浄↢除シ業障ヲ↡、*除ク↢無数劫ノ生死之罪ヲ↡。如キノ↠此クノ菩薩ハ、但聞クスラ↢其ノ名ヲ↡獲↢無量ノ福ヲ↡。何ニ況ヤ諦ニ観ズルヲヤ。

二 Ⅰ ⅹ n 重顕観儀

^もし観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつを観かんぜんと欲ほっすることあらんものは、 まづ頂上ちょうじょうの0105肉髻にくけいを観かんじ、 次つぎに天冠てんがんを観かんぜよ。 その余よの衆相しゅそう、 また次し第だいにこれを観かんじて、 また明了みょうりょうなること、 掌たなごころのうちを観みるがごとくならしめよ。

▼若シ有ラバ↠欲スルコト↠観ジタテマツラムト↢観世音菩薩ヲ↡者ハ、*先ヅ観ジ↢頂上ノ肉髻ヲ↡、次ニ観ゼヨ↢天冠ヲ↡。其ノ余ノ衆相モ亦次第ニ観ジテ↠之ヲ、*亦令メヨ↢明了ニシテ如クナラ↟観ルガ↢掌ノ中ヲ↡。

二 Ⅰ ⅹ o 弁観邪正

^この観かんをなすをば、 名なづけて正しょう観かんとす。 もし他た観かんするをば、 名なづけて邪観じゃかんとす。

▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者名ケテ為ス↢邪観ト↡。

二 Ⅰ ⅺ【▼勢至観】
      a 総挙観名

【19】^▼次つぎにまた大だい勢せい至し菩ぼ薩さつを観かんずべし。

▼*次0090ニ*復応シ↠観ジタテマツル↢大勢至菩薩ヲ↡。

二 Ⅰ ⅺ b 弁観相
      c 不同相

^▼この菩ぼ薩さつの身しん量りょうの大だい小しょうは、 また観かん世ぜ音おんのごとし。 △円光えんこうの*面おもては、 おのおの百ひゃく二に十じゅう五ご由ゆ旬じゅんなり。 △二に百ひゃく五ご十じゅう由ゆ旬じゅんを照てらす。

▼此ノ菩薩ノ身量ノ大小ハ、亦如シ↢観世音ノ↡。▼円光ノ面ハ▼*各ノ百二十五由旬ニシテ、▼照ス↢二百五十由旬ヲ↡。

二 Ⅰ ⅺ d 身光照益

^▼挙こ身しんの光こう明みょうは▼十方国じっぽうこくを照てらし、 ▼紫し金こん色じきをなす。 ▼有う縁えんの衆しゅ生じょうは、 みなことごとく見みることを得う。

▼挙身ノ光明ハ照シ↢▼十方国ヲ↡、作ス↢▼紫金色ヲ↡。▼有縁ノ衆生ハ皆悉ク得↠見ルコトヲ。

^▼ただこの菩ぼ薩さつの一いち毛もう孔くの光ひかりを見みれば、 すなはち十方じっぽう無む量りょうの諸仏しょぶつの浄妙じょうみょうの光こう明みょうを見みる。 ▼このゆゑにこの菩ぼ薩さつを号なづけて*無む辺へん光こうと名なづく。 ▼智慧ちえの光ひかりをもつてあまねく一切いっさいを照てらして、 三さん塗ずを離はなれしむるに無む上じょう力りきを得えたまへり。 ▼このゆゑにこの菩ぼ薩さつを号なづけて大だい勢せい至しと名なづく。

◆但見レバ↢此ノ菩薩ノ一毛孔ノ光ヲ↡、即チ見ル↢十方無量ノ諸仏ノ浄妙ノ光明ヲ↡。▼是ノ故ニ号シテ↢此ノ菩薩ヲ↡名ク↢無辺光ト↡。▼以テ↢智慧ノ光ヲ↡普ク照シテ↢一切ヲ↡、令ムルニ↠離レ↢三塗ヲ↡得タマヘリ↢無上力ヲ↡。▼是ノ故ニ号シテ↢此ノ菩薩ヲ↡名ク↢大勢至ト↡。

二 Ⅰ ⅺ e 天冠荘厳

^△この菩ぼ薩さつの天冠てんがんに五ご百ひゃくの宝ほう華けあり。 ▼一々いちいちの宝ほう華けに五ご百ひゃくの宝台ほうだいあり。 ▼一々いちいちの台うてなのうちに十方じっぽう諸仏しょぶつの浄妙じょうみょうの国こく土どの*広こう長じょうの相そう、 ▼みななかにおいて現げんず。

▼此ノ菩薩ノ天冠ニ有リ↢五百ノ*宝華↡。▼一一ノ宝華ニ有リ↢五百ノ宝台↡。▼一一ノ台ノ中ニ、十方諸仏ノ浄妙ノ国土ノ広長之相、▼皆於テ↠中ニ現ズ。

二 Ⅰ ⅺ f 肉髻宝瓶

^▼頂上ちょうじょうの肉髻にくけいは*鉢頭はず摩華まけのごとし。 肉髻にくけいの上うえにおいて一ひとつの宝ほう瓶びょうあり。 もろもろの光こう明みょうを盛いれて、 あまねく仏ぶつ事じを現げんず。

▼頂上ノ肉髻ハ如シ↢鉢頭摩華ノ↡。於テ↢肉髻ノ上ニ↡有リ↢一ノ宝瓶↡。盛イレテ↢諸ノ光明ヲ↡、普ク現ズ↢仏事ヲ↡。

二 Ⅰ ⅺ g 指同観音

^余よのもろもろの身相しんそうは、 観かん世ぜ音おんのごとく、 等ひとしくして異いあることなし。

▼余ノ諸ノ身相ハ如ク↢観世音ノ↡、等シクシテ無シ↠有ルコト↠異ルコト。

二 Ⅰ ⅺ h 行相

^△この菩ぼ薩さつ行ゆきたまふ時とき、 ▼十方じっぽう世せ界かいは一切いっさい震動しんどうす。 ▼地じの動うごく処ところに当あたり0106て五ご百ひゃく億おくの宝ほう華けあり。 ▼一々いちいちの宝ほう華けの荘しょう厳ごん、 *高たかく顕あらわれて極楽ごくらく世せ界かいのごとし。

▼此ノ菩薩ノ行キタマフ時、▼十方世界ハ一切*震動ス。▼当リテ↢地ノ動ク処ニ↡*有リ↢五百億ノ宝華↡。▼一一ノ宝華ノ荘厳、高ク顕レテ如シ↢極楽世界ノ↡。

二 Ⅰ ⅺ i 坐相

^△この菩ぼ薩さつ、 坐ざしたまふ時とき、 ▼七宝しっぽうの国こく土ど一いち時じに動揺どうようし、 ▼下げ方ほうの金光こんこう仏ぶつの*刹せつより乃ない至し上じょう方ほうの光こう明みょう王仏おうぶつの刹せつまで ˆ及およびˇ、 ^▼その*中ちゅう間げんにおいて▼無む量りょう*塵数じんじゅの分身ぶんしんの無む量りょう寿じゅ仏ぶつ、 分身ぶんしんの観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し、 みなことごとく極楽ごくらく国こく土どに雲うん集じゅうしたまふ。 ▼空くう中ちゅうに*側塞しきそくして蓮れん華座げざに坐ざし、 ▼妙みょう法ほうを演説えんぜつして苦くの衆しゅ生じょうを度どしたまふ。

▼此ノ菩薩ノ坐シタマフ時、▼七宝ノ国土一時ニ動揺シ、▼従リ↢下方ノ金光仏ノ刹↡、乃チ至ルマデ↢上方ノ光明王仏ノ刹ニ↡、▼於テ↢其ノ中間ニ↡無量塵数ノ分身ノ無量寿仏、分身ノ観世音・大勢至、皆悉ク雲↢集シタマヒ極楽国土ニ↡、▼*側↢塞シテ空中ニ↡坐シ↢蓮華座ニ↡、▼演↢説シテ妙法ヲ↡▼度シタマフ↢苦ノ衆生ヲ↡。

二 Ⅰ ⅺ j 弁観邪正

^この観かんをなすをば、 名なづけて正しょう観かんとす。 もし他た観かんするをば、 名なづけて邪観じゃかんとす。 大だい勢せい至し菩ぼ薩さつを見みたてまつる。 これを大だい勢せい至しの色身しきしんを観かんずる想そうとし、 第だい十じゅう一いちの観かんと名なづく。

▼作サバ↢此ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢*正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為ス↢邪観ト↡。見タテマツル↢大勢至菩薩ヲ↡、是ヲ為シ↧観ズル↢大勢至ノ色身ヲ↡*想ト↥、*名ク↢第十一ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅺ k 修観利益

^▼この菩ぼ薩さつを観かんずるものは、 無む数しゅ劫こう阿あ僧そう祇ぎの生しょう死じの罪つみを除のぞく。

▼観ジタテマツレバ↢此ノ菩薩ヲ↡者ハ、▼除ク↢無*数劫阿僧0091祇ノ生死之罪ヲ↡。

二 Ⅰ ⅺ l 重生後益

^この観かんをなすものは*胞胎ほうたいに処しょせず、 つねに諸仏しょぶつの浄妙じょうみょうの国こく土どに遊あそぶ。

◆作セバ↢是ノ観ヲ↡者ハ、不↠処セ胞胎ニ↡、常ニ遊ブ↢諸仏ノ浄妙ノ国土ニ↡。

二 Ⅰ ⅺ m 弁観成相

^この観かん成じょうじをはるをば、 名なづけて*具ぐ足そくして観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至しを観かんずとす。

▼此ノ観成ジ已ルヲバ、名ケテ為ス↣具足シテ観ズト↢観世*音・大勢*至ヲ↡。

二 Ⅰ ⅻ【▼普観】
      a 牒前生後
      b 凝心入観

【20】^▼この事じを見みる時とき、 ▼まさに*自じ心しんを起おこして▼西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいに生しょうじて、 ▼蓮れん華げのなかにして*結けっ跏か趺坐ふざし、 ^▼蓮れん華げの合がっする想そうをなし、 ▼蓮れん華げの開ひらくる想そうをなすべし。

▼*見ル↢此ノ事ヲ↡時、▼当ニシ↧起シテ↢*自心ヲ↡、▼生ジテ↢於西方極楽世界ニ↡、▼於テ↢蓮華ノ中ニ↡結*跏趺坐シ、▼作シ↢蓮華ノ合スル想ヲ↡、▼作ス↦蓮華ノ開クル*想ヲ↥。

^▼蓮れん華げの開ひらくる時とき、 五ご百ひゃく色しきの光ひかりあり。 来きたりて身みを照てらし、 ▼ˆ心こころのˇ 眼目げんもく開ひらくと想おもへ。 ▼仏ぶつ・菩ぼ薩さつの虚こ空くうのなかに満みてるを見みると想おもへ。 ▼水すい・鳥ちょう・樹林じゅりん、 および諸仏しょぶつの所出しょすいの音おん声じょう、 みな妙みょう法ほうを演のぶ ˆと想おもへˇ。

▼蓮華ノ開クル時有リ↢五百色ノ光↡。来リテ照スト↠身ヲ想ヘ。▼眼目開クト想ヘ。▼見ルト↣仏・菩薩ノ満チタマヘルヲ↢虚空ノ中ニ↡。▼水・鳥・樹林及与 オヨビ 諸仏ノ所出ノ音声、皆演ベテ↢妙法ヲ↡、▼

二 Ⅰ ⅻ c 無遺常憶

^十じゅう二に部ぶ経きょうと合がっして、 ^出定しゅつじょうの時とき ˆ想おもい0107をˇ 憶おく持じして失うしなはざれ。

▼与↢十二部経↡合ス。*出定*之時、憶持シテ不レ↠失セ。

二 Ⅰ ⅻ d 観成之益

^この事じを見みをはるを無む量りょう寿じゅ仏ぶつの極楽ごくらく世せ界かいを見みると名なづく。

▼見↢此ノ事ヲ↡已ルヲ、名ク↠見ルト↢無量寿仏ノ極楽世界ヲ↡。

二 Ⅰ ⅻ e 総結

^これを普ふ観かん想そうとし、 第だい十じゅう二にの観かんと名なづく。

▼是ヲ為シ↢普観想ト↡、名ク↢第十二ノ観ト↡。

二 Ⅰ ⅻ f 弥陀護念

^▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつの化け身しん無む数しゅにして、 観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至しとともに、 つねにこの行ぎょう人にんの所ところに来らい至ししたまふ」 と。

▼無量寿仏ノ化身無数ニシテ、与トモニ↢観世*音・大勢至↡▼*常ニ来↢至シタマフト此ノ行人之*所ニ↡。

二 Ⅰ ⅼ【▼雑想観】
      a 告命結勧
      b 観像表真

【21】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼もし心こころを至いたして西方さいほうに生しょうぜんと欲ほっせんものは、 まづまさに一ひとつの*丈じょう六ろくの像ぞう、 池ち水すいの上うえにましますを観かんずべし。

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、若シ欲セバ↣至シテ↠心ヲ生ゼムト↢西方ニ↡者ハ、▼先ヅ当ニシ↠観ズ↣於一ノ丈六ノ像ノ在ルヲ↢池水ノ上ニ↡。

二 Ⅰ ⅼ c 勧観於小

^先さきの所説しょせつのごとき、 ▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつの身しん量りょうは無む辺へんにして、 これ凡ぼん夫ぶの心力しんりきの及およぶところにあらず。

▼如キ↢先ノ所説ノ↡▼無量寿仏ノ身量ハ無辺ニシテ、非ズ↢是凡夫ノ心力ノ所ニ↟及ブ。

二 Ⅰ ⅼ d 凡小聖寛

^◆しかるを、 かの如来にょらいの*宿しゅく願がん力りきのゆゑに憶想おくそうすることあらば、 かならず成じょう就じゅすることを得う。

▼然ニ彼ノ如来ノ宿願力ノ故ニ、有レバ↢憶想スルコト↡者必ズ得↢成就スルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅼ e 比校顕勝

^▼ただ仏像ぶつぞうを想おもふに無む量りょうの福ふくを得う。 いかにいはんや仏ぶつの具ぐ足そくせる身相しんそうを観かんぜんをや。

▼但想フスラ↢仏像ヲ↡得↢無量ノ福ヲ↡。*何ニ況ヤ観ズルヲヤ↢仏ノ具足セル身*相ヲ↡。

二 Ⅰ ⅼ f 仏像大小

^▼阿あ弥陀みだ仏ぶつは*神通じんずう如にょ意いにして、 十方じっぽうの国くににおいて変現へんげん自じ在ざいなり。 ▼あるいは大身だいしんを現げんじて虚こ空くうのなかに満みち、 あるいは小しょう身しんを現げんじて丈じょう六ろく、 八はっ尺しゃくなり。

▼阿弥陀仏ハ神通▼如意ニシテ、於テ↢十方ノ国ニ↡変現自在ナリ。▼或イハ現ジタマヒテ↢大身ヲ↡満チ↢虚空ノ中ニ↡、或イハ現ジタマヒテ↢小身ヲ↡丈六八尺ナリ。

二 Ⅰ ⅼ g 光相無異

^▼所現しょげんの形かたちは、 みな真しん金色こんじきなり。 円光えんこうの化け仏ぶつおよび宝ほう蓮れん華げは、 上かみの所説しょせつのごとし。

▼所現之形ハ皆真金色ナリ。円光ノ化仏及ビ宝蓮華ハ如シ↢上ノ所説ノ↡。

二 Ⅰ ⅼ h 指同前観

^観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつおよび大だい勢せい至し、 一切いっさい処しょにおいて身しん同おなじ。

▼観世音菩薩及ビ大勢至、於テ↢一切処ニ↡身同ジ。

二 Ⅰ ⅼ i 勧観二別

^衆しゅ生じょうただ*首相しゅそうを観みて、 これ観かん世ぜ音おんなりと知しり、 これ大だい勢せい至しなりと知しる。

▼衆生但観0092テ↢首相ヲ↡、知リ↢是観世音ナリト↡、知ル↢是大勢至ナリト↡。

二 Ⅰ ⅼ j 三尊相随

^▼この二に菩ぼ薩さつ、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを助たすけてあまねく一切いっさいを化けしたまふ。

▼此ノ二菩薩助ケテ↢阿弥陀仏ヲ↡普ク化シタマフ↢一切ヲ↡。

二 Ⅰ ⅼ k 総結

^これを雑想ざっそう観かんとし、 第だい十じゅう三さんの観かんと名なづく」 と。

▼是ヲ為シ↢雑*想観ト↡、名クト↢第十三ノ*観ト↡。

▼(欄外)

二 Ⅱ 散善
    ⅽ 上輩
      a 上上品
        イ 告命
        ロ 位

【010822】^▼仏ぶつ0331、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼上じょう品ぼん上生じょうしょうといふは、

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提*希ニ↡、▼上品上生トイフ者、

二 Ⅱ ⅽ a ハ 有縁

^▼もし衆しゅ生じょうありて、 ▼かの国くにに生しょうぜんと願がんずるものは--、 ▼三種さんしゅの心しんを発おこして▼*即便すなわち往おう生じょうす。

▼若シ有リテ↢衆生↡▼願ズル↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者ハ、▼発シテ↢▼三種ノ心ヲ↡▼即便チ往生ス。

二 Ⅱ ⅽ a ニ 三心

^◆なんらをか三みつとする。 ▼一ひとつには至し誠じょう心しん、 ▼二ふたつには▼深心じんしん、 ▼三みつには回え向こう発願ほつがん心しんなり。 ▼三心さんしんを具ぐするものは--、 かならずかの国くにに生しょうず。

▼何等ヲカ為ス↠三ト。▼一ニ者▼至誠心、二ニ者深心、三ニ者廻向発願心ナリ。▼具スル↢三心ヲ↡者ハ必ズ生ズ↢彼ノ国ニ↡。

二 Ⅱ ⅽ a ホ 機

^▼また三種さんしゅの衆しゅ生じょうありて、 まさに往おう生じょうを得うべし。

▼復有リテ↢三種ノ衆生↡、当ニシ↠得↢往生ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ a ヘ 受法

^◆なんらをか三みつとする。 ▼一ひとつには慈じ心しんにして殺ころさ殺せ ず、 もろもろの*戒かい行ぎょうを具ぐす。 ▼二ふたつには大だい乗じょう方等ほうどう経きょう典てんを読誦どくじゅす。 ▼三みつには六念ろくねんを修しゅ行ぎょうす。

▼何等ヲカ為ス↠三ト。▼一ニ者▼慈心ヲモテ不↠殺サ、▼具ス↢諸ノ戒行ヲ↡。▼二ニ者▼読↢誦ス大乗ノ方等経典ヲ↡。▼三ニ者▼修↢行ス六念ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ a ト 回向
        チ 時節

^◆回え向こう発願ほつがんしてかの国くにに生しょうぜんと願がんず。 この功く徳どくを具ぐすること、 一日いちにち乃ない至し七日しちにちしてすなはち往おう生じょうを得う。

▼廻向発願シテ*願ズ↠生ゼムト↢*彼ノ国ニ↡。▼具スルコト↢此ノ功徳ヲ↡▼一日乃至七日シテ即チ得↢往生ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ a リ-1 迎接

^▼かの国くにに生しょうずる時とき、 ▼この人ひと、 ▼精しょう進じん勇ゆう猛みょうなるがゆゑに、 ▼阿あ弥陀みだ如来にょらいは--、 ▼観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し・無む数しゅの化け仏ぶつ・百ひゃく千せんの比丘びく・声しょう聞もんの--大衆だいしゅ・無む数しゅの諸天しょてん・▼七宝しっぽうの宮く殿でんとともに------ ˆ現前げんぜんすˇ。、 ▼観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつは--▼金剛こんごうの------台うてなを-----執とりて------、 大だい勢せい至し菩ぼ薩さつとともに------行ぎょう者じゃの前まえに至いた└りたまる  ふ┘。

▼生ズル↢彼ノ国ニ↡時、▼此ノ人精進勇*猛ナルガ故ニ、▼阿弥陀如来ハ与トモニ↢▼観世*音・大勢至、無数ノ化仏、百千ノ比丘・声聞ノ大衆、無*数ノ諸天、▼七宝ノ宮殿↡、▼観世音菩薩ハ執リタマヒテ↢金剛ノ台ヲ↡、与トモニ↢大勢至菩薩↡、至リタマフ↢行者ノ前ニ↡。

^▼阿あ弥陀みだ仏ぶつは--、 大だい光こう明みょうを放はなちて行ぎょう者じゃの身みを照てらしたまふ、。 ▼もろもろの菩ぼ薩さつとともに------└手みてを授さず授手けて┘*迎こう接しょう└したます  ふ┘。 ▼観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至しは--、 無む数しゅの菩ぼ薩さつとともに------行ぎょう者じゃを讃歎さんだんして、 その心こころしむ を勧進かんじん└したます  ふ┘。

◆阿弥陀仏ハ放チテ↢大光明ヲ↡照シ↢行者ノ身ヲ↡、▼与トモニ↢諸ノ菩薩↡授ケテ↠手ヲ迎接シタマフ。▼観世音・大勢至ハ与トモニ↢無数ノ菩薩↡讃↢歎シテ行者ヲ↡、勧↢進シタマフ其ノ心ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ a リ-2 去時

^▼行ぎょう0332者じゃ見みをはりて歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくしす。、 みづからその身みを見みれば、 金剛こんごうの--台うてなに乗じょうぜりず  。 仏ぶつの--後しりえに随ずい従じゅうして、 ▼*弾だん指しのあひだのごとくに、 かの国くにに往おう生じょうす。

▼行者見已リテ歓喜踊躍シ、自ラ見レバ↢其ノ身ヲ↡、乗ジ↢金剛ノ台ニ↡、随↢従シテ仏ノ後ニ↡、▼如クニ↢弾指ノ頃ノ↡往↢生ス彼ノ国ニ↡。▼

二 Ⅱ ⅽ a ヌ 華開
        ル 得益

^か0109の国くにに生しょうじをはりて、 ▼仏ぶつの色身しきしんの衆相しゅそう具ぐ足そくせるを見み、 └もろも諸 ろの┘菩ぼ薩さつの色相しきそう具ぐ足そくせるを見みる。 光こう明みょうの宝林ほうりん、 妙みょう法ほうを演説えんぜつす。 聞ききをはりて▼すなはち無む生しょう法忍ぼうにんを悟さとる。

▼生ジ↢彼ノ国ニ↡已リテ、▼見↢仏ノ色身ノ衆相具足スルヲ↡、見タテマツル↢諸ノ菩薩ノ色相具足スルヲ↡。光明ノ宝林▼演↢説スルニ妙法ヲ↡、▼聞キ已リテ即チ悟ル↢無生法忍ヲ↡。

^▼須しゅ臾ゆのあひだを経へて諸仏しょぶつに*歴りゃく事じし、 十方じっぽう界かいに遍へんして、 諸仏しょぶつの--前みまえにおいし  て次し第だいに授じゅ記きせらる。 ▼本国ほんごくに└還かえり到いた 還到し り┘て無む量りょう百ひゃく千せんの*陀羅だら尼に門もんを得う。

▼*経テ↢須臾ノ間ヲ↡歴↢事シタテマツリ諸仏ニ↡、徧シテ↢十方界ニ↡、於テ↢諸0093仏ノ前ニ↡次第ニ*授記セラル。▼還リテ*到リテ↢本国ニ↡、得↢無量百千ノ陀羅尼門ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ a ヲ 総結

^これを------上じょう品ぼん上生じょうしょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢上品上生ノ者ト↡。

二 Ⅱ ⅽ b 上中品
        イ 位

【23】^▼上じょう品ぼん中生ちゅうしょうといふは、

▼上品中生トイフ者、

二 Ⅱ ⅽ b ロ 受法
        ハ 時節
        ニ 回向

^▼かならずしも方等ほうどう経きょう典てんを受じゅ持じし--読誦どくじゅせざれずといへども、 ▼よく義ぎ趣しゅを解さとり、 第一だいいち義ぎにおいて心しん驚きょう動どうせず。 ▼深ふかく----因いん果がを信しんじ 深信し て大だい乗じょうを謗そしら謗ぜ ず。 ▼この功く徳どくをもつて回え向こうして極楽ごくらく国こくに生しょうぜんと願がん求ぐす。

▼不レドモ↤必ズシモ受↢持シ読↣誦セ方等経典ヲ↡、▼善ク解シテ↢義趣ヲ↡、▼於テ↢第一義ニ↡心不↢驚動セ↡。▼深ク信ジテ↢因果ヲ↡不↠謗ラ↢大乗ヲ↡。▼以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願↣求ス生ゼムト↢極楽国ニ↡。

二 Ⅱ ⅽ b ホ 迎接

^◆この行ぎょうを行ぎょうずるもの、 ▼└命いのち終おわらんと命欲終時にする時とき┘、 ▼阿あ弥陀みだ仏ぶつは--、 観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し・無む量りょうの大衆だいしゅとともに--------眷属けんぞくのために*囲い繞にょうせられて、 ▼紫し金こんの--台うてなを持もたしめて、 行ぎょう者じゃの前まえに至いた└りたまる。 ひ、┘ ▼讃ほめて└のたい ま┘はく、 ª*法ほう子し、 なんぢ大だい乗じょうを行ぎょうじ▼第一だいいち義ぎを解さとる解す 。 ▼このゆゑに、 われいま来きたりてなんぢを迎こう接しょうすº と。

▼行ズル↢此ノ行ヲ↡者ノ▼命欲スル↠終ラムト時、▼阿弥陀仏ハ与トモニ↢観世*音・大勢至、無量ノ大衆ノ眷属↡囲繞セラレテ、▼持タシメテ↢紫金ノ台ヲ↡至リタマヒ↢行者ノ前ニ↡、▼讃ジテ言ク、法子、汝行ジ↢大乗ヲ↡解ス↢第一義ヲ↡。▼是ノ故ニ我今来リテ迎↢接スト汝ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ b ヘ 去時

^▼千せんの化け仏ぶつとともに------一いち時じに└手みてを授さずけた 授手す  まふ┘。 ^▼行ぎょう者じゃみづから見みれば紫し金こんの--台うてなに坐ざせりす  。 ▼合がっ掌しょう*叉手しゃしゅして諸仏しょぶつを讃歎さんだん└したてます  つる┘。 ▼*一念いちねんのあひだのごとくに、 ▼すなはちかの国くにの七宝しっぽうの--池いけの--なか中  に生しょうず。

▼与トモニ↢千ノ化仏↡一時ニ授ケタマフ↠手ヲ。▼行者自ラ見レバ、坐ス↢紫金ノ台ニ↡。▼合掌シ叉手シテ讃↢歎シタテマツリ諸仏ヲ↡、▼如クニ↢一念ノ頃ノ↡、▼即チ生ズ↢彼ノ国ノ七宝ノ池ノ中ニ↡。

二 Ⅱ ⅽ b ト 華開

^この紫し金こんの--台うてなは大だい宝ほう華けのごとし。 ▼*宿しゅくを経へてすなはち開ひらく。 行ぎょう者じゃの身みは、 紫磨しま金色こんじきになれり0110。 足あし0333の下したにまた----七宝しっぽうの蓮れん華げあり。

▼此ノ紫金ノ台ハ如シ↢大宝華ノ↡。経テ↠宿ヲ*則チ開ク。行者ノ身ハ作レリ↢紫磨金色ト↡、足ノ下ニ亦有リ↢七宝ノ蓮華↡。

二 Ⅱ ⅽ b チ 得益

^▼仏ぶつおよび菩ぼ薩さつ、 *倶時くじに光こう明みょうひかり を放はなちて行ぎょう者じゃの身みを照てら└したます ふに┘、 ▼目めすなはち└開ひらけてあ開明きらか┘なり。 ▼*前さきの宿習しゅくじゅうによりて、 あまねく ˆ浄じょう土どのˇ └もろも諸 ろの┘声こえを聞きくに、 もつぱら甚深じんじんの第一だいいち義ぎ諦たいを説とく。 ▼すなはち金台こんだいより下おりて、 仏ぶつを礼らいし合がっ掌しょうして世せ尊そんを讃歎さんだん└したてます  つる┘。

▼仏及ビ菩薩、倶*時ニ放チテ↢光*明ヲ↡照シタマフニ↢行者ノ身ヲ↡、▼目即チ開ケテ明カナリ。▼因リテ↢前ノ宿習ニ↡普ク聞クニ↢衆ノ声ヲ↡、純モハラ説ク↢甚深ノ第一義諦ヲ↡。▼即チ下リテ↢金台ヨリ↡、礼シ↠仏ヲ合掌シテ讃↢歎シタテマツル世尊ヲ↡。

^▼七日しちにちを経へて、 時ときに応おうじてすなはち阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいにおいて不ふ退たい転てんを得う。

▼経テ↢於七日ヲ↡、応ジテ↠時ニ即チ於テ↢阿耨多羅三藐三菩提ニ↡得↢不退転ヲ↡、

二 Ⅱ ⅽ b リ 他方得益

^▼時ときに応おうじてすなはちよく飛ひ行ぎょうトビユキテして、 あまねく十方じっぽうに至いたり▼諸仏しょぶつに歴りゃく事じす。 ▼諸仏しょぶつの所みもとにしてもろもろの三昧さんまいを修しゅす。 ▼一いち小しょう劫こうを経へて無む生しょう忍にんを得え、 ▼現前げんぜんに授じゅ記きせらる。

▼応ジテ↠時ニ即チ能ク飛*行シテ、徧ク至リ↢十方ニ↡▼*歴↢事シタテマツリ諸仏ニ↡、於テ↢諸仏ノ所ニ↡▼修ス↢諸ノ三昧ヲ↡。▼経テ↢一小劫ヲ↡得↢無*生忍ヲ↡、▼現前ニ*授記セラル。

二 Ⅱ ⅽ b ヌ 総結

^これを上じょう品ぼん中生ちゅうしょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢上品中生ノ者ト↡。

二 Ⅱ ⅽ c 上下品
        イ 位

【24】^▼上じょう品ぼん下げ生しょうといふは、

▼上品下生トイフ者、

二 Ⅱ ⅽ c ロ 受法

^▼また因いん果がを信しんじ▼大だい乗じょうを謗そしら謗ぜ ず。 ▼ただ*無む上じょう道心どうしんを発おこす。

▼亦信ジ↢因果ヲ↡▼不↠謗ラ↢大乗ヲ↡、▼但発シ↢無上道心ヲ↡、

二 Ⅱ ⅽ c ハ 回向

^▼この功く徳どくをもつて回え向こうして極楽ごくらく国こくに生しょうぜんと願がん求ぐす。

▼以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願0094↣求ス生ゼムト↢極楽国ニ↡。

二 Ⅱ ⅽ c ニ-1 迎接

^▼行ぎょう者じゃ└命いのち終おわらんと 命欲終時 する時とき┘に、 ▼阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 および観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し、 もろもろの眷属けんぞくとともに------金蓮こんれん華げを持もたしめて、 ▼五ご百ひゃくの化け仏ぶつを化作けさしてこの人ひとを来迎らいこう└したます  ふ┘。 ▼五ご百ひゃくの化け仏ぶつは--、 一いち時じに└手みてを授さず 授手し け┘て讃ほめてのたまはく、 ▼ª法ほう子し、 なんぢいま清浄しょうじょうにして└ なり。┘無む上じょう道心どうしんを発おこせりす  。 ▼われ来きたりてなんぢを迎むかふº と。

▼*行者ノ命欲スル↠終ラムト時ニ、▼阿弥陀仏及ビ観世*音・大勢至ハ、与トモニ↢諸ノ*眷属↡持タシメテ↢金ノ蓮華ヲ↡、化↢作シテ▼五百ノ*化仏ヲ↡来リテ迎ヘタマフ↢此人ヲ↡。▼五百ノ化仏ハ、一時ニ授ケテ↠手ヲ、▼讃ジテ言ク、法子、汝今▼清浄ニシテ発セリ↢無上道心ヲ↡。▼我来リテ迎フト↠汝ヲ。

二 Ⅱ ⅽ c ニ-2 去時

^▼この事じを見みる時とき、 すなはちみづから身みを見みれば金蓮こんれん華げに坐ざす。 坐ざしをはれば華はな合がっす。 ▼世せ尊そんの後しりえうしろに随したがひて、 ▼すなはち七しっ0111宝ぽうの------池いけの----なかに------往おう生じょうすること--------を得う、七宝池中にあり。

▼見ル↢此ノ事ヲ↡時、即チ自ラ見レバ↠身ヲ、坐ス↢金ノ蓮華ニ↡。坐シ已レバ華合シ、▼随ヒテ↢世尊ノ後ニ↡、▼即チ得↣往↢生スルコトヲ七宝ノ池ノ中ニ↡。▼

二 Ⅱ ⅽ c ホ 華開
        ヘ 得益

^一日いちにち一いち夜やにして----蓮れん華げすなはち開ひらけく。、 七日しちにちのうちにすなはち仏ぶつを見みたてまつることを得う。 仏ぶっ0334身しんを見みたてまつるといへども、 もろもろの相好そうごうにおいて心しん明了みょうりょうならず。 三七さんしち日にちの後のちにおいて、 └すなは いまし ち┘了々りょうりょうに見みたてまつる。 もろもろの音おん声じょうを聞きくにみな妙みょう法ほうを演のぶ。

▼一日一夜ニシテ蓮華乃チ開ケ、▼七日之中ニ乃チ得↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ。雖モ↠見タテマツルト↢仏身ヲ↡、於テ↢衆ノ相好ニ↡心不↢明了ナラ↡。於テ↢三七日ノ後ニ↡、乃チ了了ニ見タテマツル。聞クニ↢衆ノ音声ヲ↡皆演ブ↢妙法ヲ↡。

二 Ⅱ ⅽ c ト 他方得益

^十方じっぽうに遊ゆ歴りゃくして諸仏しょぶつを供く養ようす。 諸仏しょぶつの--前みまえにして甚深じんじんの法ほうを聞きく。 ▽三さん小しょう劫こうを経へて*百ひゃっ法ぽう明みょう門もんを得え、 歓かん喜ぎ地じに住じゅうす。

▼遊↢歴シテ十方ニ↡供↢養シタテマツリ諸仏ヲ↡、於テ↢諸仏ノ前ニ↡聞ク↢甚深ノ法ヲ↡。経テ↢三小劫ヲ↡得↢百法明門ヲ↡、住ス↢歓喜地ニ↡。

二 Ⅱ ⅽ c チ 総結

^これを上じょう品ぼん下げ生しょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢上品下生ノ者ト↡。

^これを上じょう輩はい生しょう想そうと名なづけく 、 第だい十じゅう四しの観かんと名なづく」 と--。

是ヲ名ケ↢上輩生想ト↡、名クト↢第十四ノ*観ト↡。

▼(欄外)

二 Ⅱ ⅾ 中輩
      a 中上品
        イ 告命
        ロ 位

【25】^仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼中ちゅう品ぼん上生じょうしょうといふは、

▼*仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼中品上生トイフ者、

二 Ⅱ ⅾ a ハ 受法

^▼もし衆しゅ生じょうありて、 ▼五ご戒かいを受じゅ持じし、 八はっ戒斎かいさいを持たもち、 諸戒しょかいを修しゅ行ぎょうして、 ▼五ご逆ぎゃくを造つくらず、 ▼もろもろの*過か患げんなからん└  し  ┘。

▼若シ有リテ↢衆生↡▼受↢持シ五戒ヲ↡、▼持チ↢八戒斎ヲ↡、修↢行シテ諸戒ヲ↡▼不↠造ラ↢五逆ヲ↡、▼無カラム↢衆ノ過*患↡。

二 Ⅱ ⅾ a ニ 回向

^▼この善根ぜんごんをもつて回え向こうして西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいに生しょうぜんと願がん求ぐす。

▼以テ↢此ノ善根ヲ↡廻向シテ願↣求ス生ゼムト↢於西方極楽世界ニ↡。

二 Ⅱ ⅾ a ホ-1 迎接

^▼└命いのち終おわる時ときに臨命終時に臨のぞみて┘、 ▼阿あ弥陀みだ仏ぶつは--、 もろもろの比丘びく└ととも・  に┘眷属けんぞくのために囲い繞にょうせられて、 ▼金色こんじきの光ひかりを放はなちて、 その人ひとの所ところに至いたる。 ▼苦く・空くう・無む常じょう・無我むがを演説えんぜつし、 出しゅっ家けの▼衆しゅ苦くを離はなるることを得うることを讃歎さんだん└したます  ふ┘。

▼*臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、▼阿弥陀仏ハ与トモニ↢諸ノ比丘・眷属↡囲繞セラレテ、▼放チテ↢金色ノ光ヲ↡至リタマヒ↢其ノ人ノ所ニ↡、▼演↢説シ苦・空・無常・無我ヲ↡、讃↢歎シタマフ出家ノ得ルコトヲ↟離ルルコトヲ↢衆苦ヲ↡。

二 Ⅱ ⅾ a ホ-2 去時

^▼行ぎょう者じゃ、 見みをはりて心しん大おおきに歓かん喜ぎす。 みづから己こ身しんを見みれば蓮れん華げの--台うてなに坐ざせりす  。 *長じょう跪き合がっ掌しょうして仏ぶつのために礼らいをなす。 ▼いまだ頭こうべを挙あげざるあひだに、 すなはち極楽ごくらく世せ界かいに往おう生じょう0112することを得えてう  、

▼行者見已リテ、心大ニ歓喜ス。自ラ見レバ↢己身ヲ↡、坐ス↢蓮華ノ台ニ↡。長跪合掌シテ為ニ↠仏ノ作ス↠礼ヲ。▼未ダル↠挙ゲ↠頭ヲ頃ニ、即チ得テ↣往↢生スルコトヲ極楽世界ニ↡、▼

二 Ⅱ ⅾ a ヘ 華開
        ト 得益

^蓮れん華げすなはち開ひらく。 ▼華はなの--敷ひらくる時ときに当あたりて、 ▼もろもろの音おん声じょうを聞きくに四し諦たいを讃歎さんだんす。 ▼時ときに応おうじてすなはち阿羅あら漢かん道どうを得う。 *三さん明みょう六通ろくつうありて、 八はち解げ脱だつを具ぐす。

▼蓮華尋スナハチ開ク。▼当リテ↢華ノ敷ヒラクル時ニ↡、▼聞クニ↢衆ノ音声ヲ↡讃↢歎ス四諦ヲ↡。▼応ジテ↠時ニ即チ得↢▼阿0095羅漢道ヲ↡。▼三明・六通アリテ具ス↢▼八解脱ヲ↡。

二 Ⅱ ⅾ a チ 総結

^こ0335れを中ちゅう品ぼん上生じょうしょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢中品上生ノ者ト↡。

二 Ⅱ ⅾ b 中中品
        イ 位

【26】^▼中ちゅう品ぼん中生ちゅうしょうといふは、

▼中品中生トイフ者、

二 Ⅱ ⅾ b ロ 受法

^▼もし衆しゅ生じょうありて、 ▼もしは一日いちにち一いち夜やに--八はっ戒斎かいさいを受じゅ持じし、 ▼もしは一日いちにち一いち夜やに--沙しゃ弥み戒かいを持たもち、 ▼もしは一日いちにち一いち夜やに--具ぐ足そく戒かいを持たもちて、 威儀いぎ欠かくることなし。

▼若シ有リテ↢衆生↡、▼若シハ一日一夜ニ*受↢持シ八戒斎ヲ↡、▼若シハ一日一夜ニ持チ↢沙弥戒ヲ↡、▼若シハ一日一夜ニ持チテ↢具足戒ヲ↡、威儀無カラム↠欠クルコト。

二 Ⅱ ⅾ b ハ 回向

^◆この功く徳どくをもつて回え向こうして極楽ごくらく国こくに生しょうぜんと願がん求ぐす。

▼以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願↣求ス生ゼムト↢極楽国ニ↡。

二 Ⅱ ⅾ b ニ-1 迎接

^◆*戒香かいこうの--熏くん修じゅせる、 かくのごときの行ぎょう者じゃは--、 ▼└命いのち終おわらんと命欲終時にする時とき┘、 ▼阿あ弥陀みだ仏ぶつの--、 もろもろの眷属けんぞくとと--もに----▼金色こんじきの光ひかりを放はなちて、 ▼七宝しっぽうの蓮れん華げを持もたしめて、 行ぎょう者じゃの前まえに至いた└りたまる  ふ┘を見みる。

▼戒香ノ熏修セル▼如キノ↠此クノ行者ハ、▼命欲スル↠終ラムト時、▼見ル↧阿弥陀仏ノ与トモニ↢諸ノ眷属↡、▼放チ↢金色ノ光ヲ↡▼持タシメテ↢七宝ノ蓮華ヲ↡、至リタマフヲ↦行者ノ前ニ↥。

^▼行ぎょう者じゃみづから聞きけば、 空くう中ちゅうに声こえありて讃ほめて└のたい ま┘はく、 ▼ª善男ぜんなん子し、 なんぢがごときは善人ぜんにんなり。 三さん世ぜの諸仏しょぶつの教きょうに随ずい順じゅんするがゆゑに、 われ来きたりてなんぢを迎むかふº と。

▼行者自ラ聞ケバ、空中ニ有リテ↠声▼讃ジテ言ク、善男子、如キハ↠汝ガ善人ナリ。▼随↢順スルガ三世ノ諸仏ノ教ニ↡故ニ、我来リテ迎フト↠汝ヲ。

二 Ⅱ ⅾ b ニ-2 去時

^▼行ぎょう者じゃみづから見みれば、 蓮れん華げの上うえに坐ざせりす  。 蓮れん華げすなはち合がっしす 、 ▼西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいに生しょうじて宝ほう池ちのなかにあり。

▼行者自ラ見レバ、坐ス↢蓮華ノ上ニ↡。▼蓮華即チ合シ、生ジテ↢於西方極楽世界ニ↡在リ↢宝池ノ中ニ↡。▼

二 Ⅱ ⅾ b ホ 華開

^▼七日しちにちを経へて蓮れん華げすなはち敷ひらく。

▼経テ↢於七日ヲ↡蓮華乃チ敷ヒラク。

二 Ⅱ ⅾ b ヘ 得益

^▼華はなすでに敷ひらけをはりて目めを開ひらきく 、 ▼合がっ掌しょうして世せ尊そんを讃歎さんだん└したてます  つり┘、 ▼└法ほうを聞き聞法きて┘歓かん喜ぎして、 ▼須しゅ陀だ洹おんを得えう 、 ▼半劫はんこうを経へをはりて阿羅あら漢かんと成なる。

▼華既ニ敷ヒラケ已リテ開キ↠目ヲ、▼合掌シテ讃↢歎シタテマツリ世尊ヲ↡、▼聞キテ↠法ヲ歓喜シ、得↢須陀洹ヲ↡、▼経↢半劫ヲ↡已リテ成ズ↢阿羅漢ヲ↡。

二 Ⅱ ⅾ b ト 総結

^これを中ちゅう品ぼん中生ちゅうしょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢中品中生ノ者ト↡。

二 Ⅱ ⅾ c 中下品
        イ 位

【011327】^▼中ちゅう品ぼん下げ生しょうといふは、

▼中品下生トイフ者、

二 Ⅱ ⅾ c ロ 受法

^▼もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんありて、 ▼父母ぶもに孝きょう養ようし、 ▼世よの仁にん慈じを行ぎょうぜんず  。

▼若シ有リテ↢善男子・善女人↡、▼孝↢養シ父母ニ↡、行ジテ↢世ノ仁*慈ヲ↡、

二 Ⅱ ⅾ c ハ 時節

^◆この人ひと└命いのち終おわらんと命欲終時にする時とき┘、 善ぜん知ぢ識しきの、 それがために広ひろく阿あ弥陀みだ仏ぶつの--国こく土どの楽らく事じを説とき、 また法蔵ほうぞう比丘びくの四し十じゅう八はち願がんを説とくに遇あはん。

▼此ノ人命欲スル↠終ラムト時、遇ハム↧善知識ノ為ニ↠其ガ広ク説キ↢阿弥陀仏ノ国土ノ楽事ヲ↡、亦説クニ↦▼法蔵比丘ノ四十*八願ヲ↥。

二 Ⅱ ⅾ c ニ 去時

^▼この事じを聞ききをはりて、 すなはち0336命いのち終おわる└ 命終す ┘。 ▼たとへば*壮しょう士じの臂ひじを屈伸くっしんカヾムルするあひだのごとくに、 すなはち西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいに生しょうず。

▼聞キ↢此ノ事ヲ↡已リテ、尋即 スナハ チ命終ス。譬ヘバ如クニ↧壮士ノ屈↢*伸スル臂ヲ↡頃ノ↥、即チ生ズ↢西方極楽世界ニ↡。

二 Ⅱ ⅾ c ホ 華開
        ヘ 得益

^生しょうじて七日しちにちを経へてふ  、 ▼観かん世ぜ音おんおよび大だい勢せい至しに遇あひて▼└法ほうを聞き聞法きて┘歓かん喜ぎしす 、 ▼一いち小しょう劫こうを経へて阿羅あら漢かんと成なる。

▼*生ジテ経テ↢七*日ヲ↡、▼遇ヒテ↢観世音及ビ大勢至ニ↡、▼聞キテ↠法ヲ歓*喜シ、▼*経テ↢一小劫ヲ↡成ズ↢阿羅漢ヲ↡。

二 Ⅱ ⅾ c ト 総結

^これを中ちゅう品ぼん下げ生しょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢中品下生ノ者ト↡。

^これを中ちゅう輩はい生想しょうそうと名なづけく 、 第十五だいじゅうごの観かんと名なづく」 と--。

是ヲ名ケ↢中*輩生想ト↡、名クト↢第十五ノ*観ト↡。

▼(欄外)

二 Ⅱ ⅿ 下輩
      a 下上品
        イ 告命
        ロ 位

【28】^仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼下げ品ぼん上生じょうしょうといふは、

▼仏0096告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼下品上生トイフ者、

二 Ⅱ ⅿ a ハ 機

^▼あるいは衆しゅ生じょうありて、 ▼もろもろの悪業あくごうを作つくらんれり 。 ▼方等ほうどう経きょう典てんを*誹ひ謗ほうせずといへども、 ▼かくのごときの愚ぐ人にん、 ▼多おおく衆悪しゅあくを造つくりて慚ざん愧ぎあることなけんし  。

▼或イハ有リテ↢衆生↡、▼作リ↢衆ノ悪業ヲ↡、▼雖モ↠不ト↣誹↢謗セ方等経典ヲ↡、▼如キノ↠此クノ愚人、▼多ク造リテ↢*衆悪ヲ↡無クシテ↠有ルコト↢慚愧↡、

二 Ⅱ ⅿ a ニ 受法

^▼└命いのち終おわらんと命欲終時にする時とき┘、 ▼善ぜん知ぢ識しきの、 ▼ために大だい乗じょう十じゅう二部にぶ経きょうの*首題しゅだい名みょう字じを讃さんずるに遇あはん。 ▼かくのごときの諸しょ経きょうの名なを聞きくをもつてのゆゑに、 千劫せんごうの極ごく重じゅうの--悪業あくごうを除じょ却きゃくす。 ▼*智ち者しゃまた教おしへて、 合がっ掌しょう叉手しゃしゅして--南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつと称しょうせしむ。 ▼仏ぶつ名みょうを称しょうするがゆゑに、 ▼五ご十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。

◆命欲スル↠終ラムト時、▼遇ハム↣善知識ノ▼為ニ*讃ズルニ↢大乗十二部経ノ首題ノ名字ヲ↡。▼以テノ↠聞クヲ↢如キノ↠是クノ諸経ノ名ヲ↡故ニ、除↢却ス千劫ノ極重ノ悪業ヲ↡。▼智者復教ヘテ合掌シ叉手シテ、称セシム↢南無阿弥陀仏ト↡。▼称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ▼除ク↢五十億劫ノ生死之罪ヲ↡。

二 Ⅱ ⅿ a ホ-1 迎接

^▼その時ときにかの仏ぶつ、 すなはち▼化け仏ぶつ・化け観かん世ぜ音おん・化け大だい勢せい至しを遣つかはして行ぎょう者じゃの前まえに至いたらしめむ。、 ▼ˆ化け仏ぶつ等とうのˇ 讃ほめて└のたい ま┘はく、 ▼ª善ぜん0114男なん子し、 なんぢ仏ぶつ名みょうを称しょうするがゆゑに└もろも諸 ろの┘罪つみ消しょう滅めつす。 われ来きたりてなんぢを迎むかふº と。 ▼この語ごをなしをはりて、 行ぎょう者じゃすなはち化け仏ぶつの光こう明みょうの--、 その室しつに遍満へんまんせるを見みたてまつる。

▼爾ノ時彼ノ仏、即チ遣シテ↢化仏・化観世音・化大勢至ヲ↡▼至ラシメ↢行者ノ前ニ↡、讃ジテ言ク、▼*善男*子、▼汝称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ諸ノ罪消滅ス。我来リテ迎フト↠汝ヲ。▼作シ↢是ノ語ヲ↡*已ルニ、行者即チ見タテマツル↣化仏ノ光明ノ徧↢満スルヲ其ノ室ニ↡。

二 Ⅱ ⅿ a ホ-2 去時

^▼見みをはりて歓かん喜ぎしてすなはち└命いのち終おわ命終する┘。 ▼宝ほう蓮れん華げに乗じょうじ、 化け仏ぶつの後しりえうしろに随したがひて宝ほう池ちのなかに生しょうず。

▼見已リテ歓喜シテ即便チ命終シ、▼乗ジ↢宝蓮華ニ↡、▼随ヒテ↢化仏ノ後ニ↡生ズ↢宝池ノ中ニ↡。▼

二 Ⅱ ⅿ a ヘ 華開

^▼七しち0337七しち日にちを経へて蓮れん華げすなはち敷ひらく。

▼経テ↢七七日ヲ↡蓮華乃チ敷ヒラク。

二 Ⅱ ⅿ a ト 得益

^▼華はなの--敷ひらくる時ときに当あたりて、 ▼大だい悲ひ観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつおよび大だい勢せい至し、 大だい光こう明みょうを放はなちて▼その人ひとの前まえに住じゅうして、 ▼ために甚深じんじんの十じゅう二部にぶ経きょうを説と└きたまく  ふ┘。

▼当リテ↢華ノ敷ヒラクル時ニ↡、▼大悲ノ観世音菩薩及ビ大勢*至、放チテ↢大光明ヲ↡▼住シテ↢其ノ人ノ前ニ↡、▼為ニ説キタマフ↢甚深ノ十二部経ヲ↡。

^◆聞ききをはりて信しん解げして、 無む上じょう道心どうしんを発おこす。 △十じっ小しょう劫こうを経へて百ひゃっ法ぽう明みょう門もんを具ぐし、 *初しょ地じに入いる いたる ことを得う。

▼聞キ已リテ信解シテ、発シ↢無上道心ヲ↡、▼経テ↢十小劫ヲ↡具シ↢百法明門ヲ↡、得↠入ルコトヲ↢初地ニ↡。

二 Ⅱ ⅿ a チ 総結

^これを下げ品ぼん上生じょうしょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢下品上生ノ者ト↡。

二 Ⅱ ⅿ a リ 挙益

^仏ぶつ名みょう・法ほう名みょうを聞きき、 および僧そう名みょうを聞きくことを得う。 三宝さんぼうの名みなを聞ききて、 すなはち往おう生じょうを得う」 と--。

▼*得ルモ↧聞キ↢仏名・法名ヲ↡及ビ聞キ↢僧名ヲ↡、▼聞クコトヲ↦三宝ノ名ヲ↥、即チ得ト↢往生ヲ↡。

▼(欄外)

二 Ⅱ ⅿ b 下中品
        イ 告命
        ロ 位

【29】^仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼下げ品ぼん中生ちゅうしょうといふは、

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼下品中生トイフ者、

二 Ⅱ ⅿ b ハ 機

^▼あるいは衆しゅ生じょうありて、 ▼五ご戒かい・八戒はっかいおよび具ぐ足そく戒かいを 毀きヤブリ 犯ぼんオカスせんす  。 ▼かくのごときの愚ぐ人にん、 *僧そう祇ぎ物もつを偸ぬすみ、 現前げんぜん僧物そうもつを盗ぬすみ、 ▼*不ふ浄じょう説法せっぽうしてす  、 ▼慚ざん愧ぎあることなくし。、 ▼もろもろの悪業あくごうをもつてみづから荘しょう厳ごんす。 ▼かくのごときの罪人ざいにん、 悪業あくごうをもつてのゆゑに地じ獄ごくに堕だすべし。

▼或イハ有リテ↢衆生↡、▼毀↢犯セム五戒・八戒及ビ具足戒ヲ↡。如キノ↠此クノ愚人、▼偸ミ↢僧祇物ヲ↡、盗ミ↢現前僧物ヲ↡、▼不浄説法シテ▼無ク↠有ルコト↢慚愧↡、▼以テ↢諸ノ悪*業ヲ↡而自ラ荘厳ス。如キノ↠此クノ▼罪人、以テノ↢悪業ヲ↡故ニ▼応シ↠堕ス↢地獄ニ↡。

二 Ⅱ ⅿ b ニ 去時

^▼└命いのち終おわらんと命欲終時にする時とき┘、 ▼地じ獄ごくの*衆しゅ火か、 一いち時じにともに至いたる。 ▼善ぜん知ぢ識しきの、 ▼大だい慈悲じひをもつて、 ために阿あ弥陀みだ仏ぶつの十じゅう力りき威い徳とくを説とき、 広ひろくかの仏ぶつの光こう0115明みょう神力じんりきを説とき、 また*戒かい・定じょう・慧え・解げ脱だつ・解げ脱だつ知ち見けんを讃さんずるに遇あはん。

▼命欲スル↠終ラムト時、▼地獄ノ衆火0097、一時ニ倶ニ至ルモ、▼遇ハム↧善知識ノ▼以テ↢大慈*悲ヲ↡▼*為ニ説キ↢阿弥陀仏ノ十力威徳ヲ↡、広ク*説キ↢彼ノ仏ノ光明神力ヲ↡、亦讃ズルニ↦戒・定・慧・解脱・解脱知見ヲ↥。

^▼この人ひと、 聞ききをはりて▼八はち十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。 ▼地じ獄ごくの猛みょう火か、 化けして清涼しょうりょうの風かぜとなりて、 ▼もろもろの天てん華げを吹ふく。 ▼華はなの上うえにみな▼化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつましまして、 この人ひとを迎こう接しょう└したます  ふ┘。 ▼一念いちねんのあひだ0338のごとくに、 すなはち往おう生じょうを得う。

▼此ノ人聞キ已リテ▼除ク↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。▼地獄ノ▼猛火、化シテ為リ↢*清涼ノ風ト↡、▼吹ク↢諸ノ天華ヲ↡。▼華ノ上ニハ皆有シテ↢化仏・菩薩↡、迎↢接ス此ノ人ヲ↡。▼如クニ↢一念ノ頃ノ↡、即チ得↣往↢生ヲ。▼

二 Ⅱ ⅿ b ホ 華開
        ヘ 得益

^七宝しっぽうの--池いけのなかの--蓮れん華げのうちにして▼六劫ろっこうを経へてふ、 ▼蓮れん華げすなはち敷ひらけん。 華はなの----敷ひらくる------時ときに----当あたりて、 --------観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し、 *梵音ぼんのん声じょうを--もつてかの人ひとを安あん慰にしす 、 ▼ために大だい乗じょう甚深じんじんの--経きょう典てんを説と└きたまく  ふ┘。 ▼この法ほうを聞ききをはりて、 時ときに応おうじてすなはち無む上じょう道心どうしんを発おこす。

▼七宝ノ池ノ中ノ▼蓮華之内ニシテ経テ↢於六劫ヲ↡▼蓮華乃チ敷ヒラク。*当リテ↢華ノ敷ヒラクル時ニ↡、観世音・大勢至以テ↢梵音声ヲ↡安↢慰シ彼ノ人ヲ↡、▼為ニ説キタマフ↢大乗甚深ノ経典ヲ↡。▼聞キ↢此ノ法ヲ↡已リテ、応ジテ↠時ニ即チ発ス↢無上道心ヲ↡。

二 Ⅱ ⅿ b ト 総結

^これを下げ品ぼん中生ちゅうしょうのものと名なづく」 と--。

▼是ヲ名ク↢下品中生ノ者ト↡。

▼(欄外)

二 Ⅱ ⅿ c▼下下品
        イ 告命
        ロ 位

【30】^仏ぶつ、 阿あ難なんおよび韋い提だい希けに告つげたまはく、 「▼下げ品ぼん下げ生しょうといふは、

▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼下品下生トイフ者、

二 Ⅱ ⅿ c ハ 機

^▼あるいは衆しゅ生じょうありて、 ▼不ふ善業ぜんごうたるの  ▼五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あくを作つくりる。、 もろもろの不ふ善ぜんを具ぐせんる、。 ▼かくのごときの愚ぐ人にん、 ▼悪業あくごうをもつてのゆゑに▼悪道あくどうに堕だし、すべし。▼多た劫こうを*経歴きょうりゃくして苦くを受うくること、窮きわまりなかるべし└ らん ┘。

▼或イハ有リテ↢衆生↡、▼作リ↢不善業タル▼五逆・十悪ヲ↡、具セム↢諸ノ不善ヲ↡。▼如キノ↠此クノ愚人、▼以テノ↢悪業ヲ↡故ニ▼応シ↧堕シ↢悪道ニ↡、▼経↢歴シテ多劫ヲ↡受クルコト↠苦ヲ無カル↞窮リ。

二 Ⅱ ⅿ c ニ-1 受法

^◆かくのごときの愚ぐ人にん、 ▼└命いのち終おわらんとする臨命終時に時ときに臨のぞみて┘、 ▼善ぜん知ぢ識しきの、 ▼種々しゅじゅに安あん慰にして、 ために妙みょう法ほうを説とき、 教おしへて念仏ねんぶつせしむるに遇あはん。 ▼この人ひと、 苦くに逼せめられて念仏ねんぶつするに遑いとまあらず。 ▼善ぜん友ぬ、 告つげていはく、 ªなんぢもし念ねんずるにあたはずは、 まさに------無む量りょう寿じゅ仏ぶつ ˆの名みなˇ をと 称しょうすべしº と。

▼如キノ↠此クノ愚人▼臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、▼遇ハム↧▼善知識ノ▼種種ニ安慰シテ為ニ説キ↢妙法ヲ↡、▼教ヘテ令ムルニ↦念仏セ↥。▼*此ノ人苦ニ逼メラレテ不↠遑アラ↢念仏スルニ↡。▼善友告ゲテ言ク、▼汝若シ不ハ↠能ハ↠*念ズルコト者、▼応ニシト↠*称ス↢無量寿仏ト↡。

^◆かく0116のごとく└心こころを至心 至いた┘して、 ▼声こえをして絶たえざらしめて、 ▼十じゅう念ねんを具ぐ足そくして南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつと称しょうせしむ。 ▼仏名ぶつみょうを称しょうするがゆゑに、 念々ねんねんのなかにおいて▼八はち十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。

◆如ク↠是クノ至シテ↠心ヲ、令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、▼具↢足シテ十念ヲ↡称スレバ↢南無阿弥陀仏ト↡、▼称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ、於テ↢念念ノ中ニ↡▼除ク↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。▼

二 Ⅱ ⅿ c ニ-2 去時

^▼└命いのち終おわ命終のる┘時とき、 ▼金蓮こんれん華げを見みるに--、 なほし日輪にちりんのごとくしてその人ひとの前まえに住じゅうせんす  。 ▼一念いちねんのあひだのごとくに、 ▼すなはち極楽ごくらく世せ界かいに往おう生じょうすることを得う。

▼命終ル之*時、見ルニ↧▼金ノ蓮華ノ猶如クシテ↢日輪ノ↡住スルヲ↦其ノ人ノ前ニ↥、▼如クニ↢一念ノ頃ノ↡、即チ得↣*往↢生スルコトヲ極楽世界ニ↡。

二 Ⅱ ⅿ c ホ 華開

^◆蓮れん華げのなかにして▼十じゅう二に大劫だいこうを満みてて、 蓮れん華げま0339さに開ひらく。

▼於テ↢蓮華ノ中ニ↡満テテ↢十二大劫ヲ↡、蓮華方ニ*開ク。

二 Ⅱ ⅿ c ヘ 得益

^◆観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し、 大だい悲ひの音おん声じょうをもつて、 それがために広ひろく*諸法しょほう実相じっそう・└罪つみを除じょ滅めつ 除滅罪 する┘の法ほうを説と└きたまく  ふ┘。 ▼聞ききをはりて歓かん喜ぎしす。、 ▼時ときに応おうじてすなはち菩ぼ提だいの心しんを発おこさんす  。

▼*観世*音・大勢至、以テ↢大悲ノ音声ヲ↡、*為ニ↠其ガ広ク説キタマフ↧*諸法実相除↢滅スルノ罪ヲ↡法ヲ↥。▼聞キ已リテ歓喜0098シ、▼応ジテ↠時ニ即チ発ス↢菩提之心ヲ↡。

二 Ⅱ ⅿ c ト 総結

^◆これを下げ品ぼん下げ生しょうのものと名なづく。

▼是ヲ名ク↢下品下生ノ者ト↡。

^これを下げ輩はい生しょう想そうと名なづけく 、 第だい十じゅう六ろくの観かんと名なづく」 と--。

是ヲ名ケ↢下輩生想ト↡、名ク↢第十六ノ観ト↡。▼

▼(欄外)

三 得益分
  Ⅰ 牒前生後
  Ⅱ 明能聞人
  Ⅲ 見極楽相

【31】^この語ごを説ときたまふ時とき、 ▼韋い提だい希け、 五ご百ひゃくの侍じ女にょとともに------仏ぶつの所説しょせつを聞ききく。、 ▼時ときに応おうじてすなはち極楽ごくらく世せ界かいの広こう長じょうの相そうを見みたてまつる。

▼*説キタマフ↢是ノ語ヲ↡時、▼韋提希与トモニ↢五百ノ侍女↡聞キタテマツリ↢仏ノ所説ヲ↡、▼応ジテ↠時ニ即チ見タテマツル↢極楽世界ノ広長之相ヲ↡。

三 Ⅳ 得無生益

^▼*仏身ぶっしんおよび二に菩ぼ薩さつを見みたてまつることを得えて、 心しんに歓かん喜ぎを生しょうじて未曽有みぞうなりと歎たんず。 *廓然かくねんとして大だい悟ごして無む生しょう忍にんを└得えたう り┘。

▼得テ↠見タテマツルコトヲ↢仏身及ビ二菩薩ヲ↡、心ニ生ジテ↢歓喜ヲ↡歎ジ↢未曽有ナリト↡、*廓然トシテ大悟シテ*得タリ↢無生忍ヲ↡。

三 Ⅴ 侍女発心

^五ご百ひゃくの侍じ女にょ、 阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だい心しんを発おこして、 かの国くにに生しょうぜんと願がんず。

▼五百ノ侍女発シテ↢阿耨多羅三藐三菩提心ヲ↡、願ズ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。

三 Ⅵ 侍女授記

^世せ尊そん、 ことごとく、 「みなまさに往おう生じょうすべしと記したまふ。 かの国くにに生しょうじをはりて、 *諸仏しょぶつ現前げんぜん三昧ざんまいを得えん」 と記きし----たまへり--------。

▼世尊悉ク記シタマヒ↧皆当ニシ↢往生ス↡、生ジ↢彼ノ国ニ↡*已リテ得ムト↦諸仏現前三昧ヲ↥、

三 Ⅶ 諸天聞法

^無む量りょうの諸天しょてん、 無む上じょう道心どうしんを発おこせりす  。

▼無量ノ諸天モ発セリ↢無上道心ヲ↡。▼

四 流通分(王宮流通)
  Ⅰ 阿難請発

【011732】^その時ときに阿あ難なん、 すなはち座ざより起たちて、 前すすみて仏ぶつにまうしてまうさく、 「世せ尊そん、 まさにいかんがこの経きょうを名なづくべき。 この法ほうの要ようをば、 まさにいかんが受じゅ持じすべき」 と。

▼爾ノ時阿難、即チ従リ↠座起チ、*前ミテ白シテ↠仏ニ言ク、世尊、当ニキ↣▼何ガ名ク↢此ノ経ヲ↡。▼此ノ法之要ヲバ、当ニキト↢▼云何ガ受持ス↡。

四 Ⅱ 正説経名

^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「この経きょうをば ª観極楽ごくらく国こく土ど・無む量りょう寿じゅ仏ぶつ・観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつ・大だい勢せい至し菩ぼ薩さつを観かんず------º と名なづく。 また ª└業ごっ障しょうを浄じょう除じょし諸仏しょぶつの浄除業障生諸仏前 前みまえに生しょうず┘ と名なづく。

▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、此ノ経ヲバ名ケ↠観ズト↢極楽国土・無量寿仏・観世音菩薩・大勢至菩薩ヲ↡、亦名ク↧▼浄↢除シ業障ヲ↡生ズト↦諸仏ノ前ニ↥。

四 Ⅲ 汝当受持

^◆なんぢまさに受じゅ持じすべし。 忘失もうしつせしむることなかれ。

▼汝当ニシ↢受持ス↡。無レ↠令ムルコト↢忘失セ↡。

四 Ⅳ 比挍顕勝

^▼この三昧さんまいを行ぎょうずるものは、 ▼現身げんしんに無む量りょう寿じゅ仏ぶつ0340および*二に大だい士じを見みることを得う。 ^▼もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにん、 ▼ただ仏ぶつ名みょう・二に菩ぼ薩さつ名みょうを聞きくだに└ に ┘、 無む量りょう劫こうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。 いかにいはんや憶念おくねんせんをや。

▼行ズル↢此ノ三昧ヲ↡者ハ、▼現身ニ得↠見タテマツルコトヲ↢無量寿仏及ビ二大士ヲ↡。▼若シ善男*子・善女人、▼但聞クスラ↢仏名・二菩薩名ヲ↡除ク↢無量劫ノ生死之罪ヲ↡。何ニ況ヤ憶念スルヲヤ。

四 Ⅴ 念仏功能

^▼もし念仏ねんぶつするものは、 ▼まさに知しるべし、 この人ひとは▼これ人にん中ちゅうの▼分ふん陀利だり華けなり。 ▼観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつ・大だい勢せい至し菩ぼ薩さつ、 その勝しょう友うとなる。 ▼まさに道どう場じょうに坐ざし*諸仏しょぶつの家いえに生しょうずべし」 と--。

▼若シ念仏スル者ハ、▼当ニシ↠知ル。此ノ*人ハ▼是人中ノ*分陀利華ナリ。▼観世音菩薩・大勢至菩薩、為リ↢其ノ勝友ト↡、▼当ニシト↧坐シテ↢道場ニ↡▼生ズ↦諸仏ノ家ニ↥。

四 Ⅵ 付属流通【付属持名】

^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「▼*なんぢよくこの語ごを持たもて。 この語ごを持たもてといふは、 すなはちこれ無む量りょう寿じゅ仏ぶつの名みなを持たもてとなり」 と--。

▼仏0099告ゲタマハク↢阿難ニ↡、▼汝、*好ク持テ↢是ノ語ヲ↡。▼持テトイフ↢是ノ語ヲ↡者、即チ*是持テトナリト↢無量寿仏ノ名ヲ↡。

四 Ⅶ 聖衆歓喜

^仏ぶつ、 この語ごを説ときたまふ時とき、 尊者そんじゃ目犍連もっけんれん・阿あ難なんおよび韋い提だい希け等とう、 仏ぶつの所説しょせつを聞ききたてまつり----------て、 みな大おおきに歓かん喜ぎす。

▼仏説キタマフ↢此ノ語ヲ↡時、尊者目*犍連・*阿難及ビ韋提希等聞キタテマツリテ↢仏ノ所説ヲ↡、皆大ニ歓喜ス。▼

五 耆闍分
  Ⅰ 序分

【33】^その時ときに、 世せ尊そん、 足みあし虚こ空くうを歩あゆみて耆ぎ闍しゃ崛山くっせんに還かえりたまふひぬ。

▼爾ノ時ニ世尊、足歩ミテ↢虚空ヲ↡還リタマフ↢耆闍崛山ニ↡。

五 Ⅱ 正宗分

^その時ときに、 阿あ難なん、 広ひろく大衆だいしゅのために、 上かみのごときの事じを説とくに--、。

▼爾ノ時ニ阿難、広ク為ニ↢大衆ノ↡説クニ↢如キノ↠上ノ事ヲ↡、

五 Ⅲ 流通分

^無む量りょうの*諸天しょてんおよび竜りゅう・夜や叉しゃ0118、 仏ぶつの所説しょせつを聞ききたてまつり----------て、 みな大おおきに歓かん喜ぎして、 仏ぶつを礼らいして退しりぞきぬく  。

▼無量ノ*諸天及ビ*竜・夜叉、聞キタテマツリテ↢仏ノ所説ヲ↡、皆大ニ歓喜シ、礼シテ↠仏ヲ而退キヌ。▼

▼仏説ぶっせつ観かん無む量りょう寿じゅ経きょう

**康応元年 己巳 八月三日 以聖人御点秘書写之訖

▼(裏)

 

▼[八十億劫]:要義問答(指下) Ⅲ1063-11
" class="menu"> 観経註 Ⅲ121-9
Ⅲ121-14 ▼四明~益也[右傍]:散善義 Ⅰ791-6
延書の底本は兵庫県勝福寺蔵本。 ○観無量寿経延書 (浄聖全Ⅲ) の底本と同一だが、 標準化されているので、 参考までに○との相違を下に細字で示した。 --は延書にない語句。 (ただし、 延書されているのは末巻のみ。)
宋元嘉 424-453。 劉りゅう宋そうの三代、 文帝ぶんていの年代。
漿 汁。
幻惑の呪術 呪文などをとなえて、 人をまどわす魔術。
臣聞く わたくしどもの聞くところでは。
内官 宮中に奉仕する役人。
釈梵護世の諸天 釈は帝たい釈しゃく天てん、 梵は梵天ぼんてん、 護世の諸天は四し天王てんのうのこと。
自在天宮 欲界よくかいの天の最高処である他化たけ自じ在ざい天てんの宮殿。
玻瓈鏡 水晶でできた鏡。
厳顕 おごそかなありさまがはっきりと顕れていること。
かの国の… 「浄業成じたまへるひと」 は、 きよらかな行を完成して仏になった阿弥陀仏のこと。 延書底本には「かの国を観ずべし。 浄業成ずるものなり」とある。 この場合は浄土を観ずることによって往生の業因ごういんが成就するという意味になる。
もろもろの譬へ 以下に明かす定じょう善ぜん十三観をいう。
因果を信じ 善悪ぜんあく煩悩ぼんのうの因によって迷いの苦果を生じ、 善業ぜんごうの因によってさとりの果を得ると信じるという意。
大乗 大乗教典のこと。
浄業の正因 三世の諸仏が、 仏となるために修行したきよらかな行いを浄業といい、 それがさとりを得るための正まさしき種であることを正因という。
心想羸劣 心が弱く劣っていること。
八方… 方は側面、 楞は角の意。 幢が八角柱の形をしているということ。
縄 道をまっすぐにひかれた縄に喩える。
雑廁間錯 縦横に交わり合っていること。
八種の清風 →八風はっぷう
梵王宮 色界しきかいの初禅天しょぜんてんの王である梵天ぼんてんの住む宮殿。
衆宝間錯 種々の宝の飾りが互いに入りまじっていること。
縦広正等 長さ広さがすべて等しいこと。
帝釈の瓶 帝釈天の所持する容器で、 求めるものを意のままに出すという。
如意珠王 如意珠は梵語チンター・マニ (cintā-maṇi) の漢訳。 如意宝珠、 無価宝珠、 摩尼宝珠ともいい、 意のままに宝や衣服、 食物を出す徳をもつ宝珠のこと。 あらゆる宝石の王である如意珠。
団円正等 完全な円形で大きさが等しいこと。
摩尼水 摩尼まに珠より流れ出る水。
界上 境界きょうがい。 地域。
天の宝幢 兜率天の宝幢大神の楽器。
総観想 浄土のすべてを見る観相の意。 宝楼観ほうろうかんを成就する時、 宝樹・宝地・宝池がおのずから一時に見られるので、 宝楼観を総観想という。
夜摩天宮 夜摩やま天てんにある宮殿。
阿羅訶 →阿羅あら漢かん。
鳧雁 かもとかり。
鴛鴦 おしどり。 鴛は雄、 鴦は雌を指す。
修多羅と合せしめよ 修多羅は梵語スートラ (sūtra) の音写。 経と漢訳する。 経の説に違わぬようにせよ。
四大海水 四大海。 須しゅ弥み山せんの四方にある大海のこと。
青白分明 青い瞳と白い部分とがくっきりとわかれているという意。
無縁の慈 平等にして無差別な仏の大慈悲。 →三縁さんえん
一切の色身 阿弥陀仏が具そなえている一切の色身しきしんとする説と、 一切諸仏の色身とする説がある。
面 ここでは円光の縦横。 身色不同中、 「観世音菩薩の面」 の 「面」 は顔の意。
挙身の光 身光のこと。 全身をあげて輝いている光。 頭部から放たれる円光に対する。
毘楞伽摩尼宝 →釈しゃ迦か毘び楞りょう伽が摩尼まに宝ほう
立化仏 阿弥陀仏の化け身しん。
金剛摩尼の華 無漏むろ (煩悩ぼんのうのない状態) 堅固なる摩尼宝珠の花。
衆好 八はち十じゅう種好しゅこうのこと。
面 ここでは円光の縦横。
無辺光 阿弥陀仏の十二光の一に無辺光がある。 勢至は阿弥陀仏の徳をあらわす菩薩だから、 この称がある。
広長の相 広大無辺なすがた。
鉢頭摩華 →鉢は曇どん摩華まけ
中間 上方から下方に至るすべての国土。
胞胎に処せず 胞胎は母胎内で胎児をつつんでいる膜 (えな) をいい、 胎たい生しょうのこと。 輪りん廻ねの迷いの生存をくりかえす胎生をとらないという意。
具足して ここではあますところなく、 のこらずの意。
自心 みずからが往生する想い。
丈六の像 一丈六尺の阿弥陀仏の像。
宿願力 阿弥陀仏が法蔵ほうぞう菩薩といわれた因いん位にの時に衆しゅ生じょう救済のためにおこした本願の力。
神通如意 思うがままに、 何事もできる不思議なはたらき。
首相 頭首のすがた、 特徴。 觀音の天冠には立りゅう化け仏ぶつがあり、 勢至の肉髻にくけいには宝ほう瓶びょうがある。
即便往生 経文の上でいえば即と便は分けず 「すなはち」 と読むが、 親鸞聖人は、 「即便」 という文字によって、 他力の往生を即往生、 自力による往生を便往生とした。 →二種の往生
法子 仏法の導きによって生れた子という意味で、 仏弟子のこと。
宿 一夜。
前の宿習 前世において習い身につけたもの。 ここでは生前に第一義諦を解したことをいう。
戒香の熏修せる 持じ戒かいの徳が香のように身にそなわっているという意。
壮士の臂… 力のある若者が臂をまげのばしする間にという意で、 きわめてはやいことの喩え。
智者 ここでは善ぜん知ぢ識しきをいう。
衆火 もろもろの猛火。
戒定慧解脱解脱知見 →五ご分ぶん法身ほっしん
梵音声 清らかな声。
経歴 ここでは流る転てんを繰り返すこと。
仏身および二菩薩 阿弥陀仏の仏身と観音・勢至の二菩薩。
廓然 明るくひらけるさま。 からりと迷いがはれたことをいう。
二大士 観音・勢至の二菩薩。
なんぢ… 「この語を持て」 とは、 阿弥陀仏の名みょう号ごうを常に心にとどめよということで、 阿弥陀仏の名みなを信じ、 称えよということである。
諸天および竜夜叉 仏教を守護する八部衆のうち、 代表的なものをあげる。 →八はち部ぶ鬼き神じん
底本は◎本派本願寺蔵版¬校点浄土三部経¼本。 Ⓐ高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ金版¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ元版(普寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓔ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓕ京都府清浄華院蔵平安時代書写本、 Ⓖ本派本願寺蔵正平六年書写本 と対校。 なお、 宗祖の¬観経註¼において書き込まれている¬観経疏¼ほかの本文が参照できるようリンクしてある。
城→Ⓑ成
酥→Ⓐ蘇
蒲桃→ⒶⒷ葡萄→Ⓔ蒲萄
犍→Ⓐ乾→ⒷⒸⒹⒻ揵
経→Ⓕ逕
者→Ⓐ人
人→Ⓐ者
麨蜜→Ⓑ蜜麨
瓔珞→Ⓔ纓絡
言 Ⓑになし
王→Ⓑ王[言]
栴→ⒷⒸⒹⒺ旃
不宜住→ⒶⒸⒹⒺ我等不宜復住於
世→Ⓑ世[聞此語已]
即 Ⓑになし
犍→ⒶⒷⒸⒹⒻ揵
在→ⒷⒸⒹⒺ侍
天→Ⓑ天[王等]
閻→Ⓑ閨
餓→Ⓔ饑
玻瓈→ⒶⒻ頗梨→Ⓑ頗黎
羅→ⒶⒷⒸⒹⒺ羅[王]
過→ⒶⒸⒹⒺ[乃是]過
所→Ⓑ所[苦]
日→ⒸⒹⒺ日[欲没之処]
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
次→Ⓐ[仏告阿難及韋提希初観成已]次
想→Ⓐ想[想見西方一切皆是大水]
氷→ⒷⒻ水
氷→Ⓕ水
瑠→ⒶⒷⒻⒼ琉
瑠→ⒶⒷⒼ琉
瑠→Ⓖ琉
睡→ⒶⒷⒸⒹ食
如此想者→Ⓐ作此観者名為正観若他観者名為邪観仏告阿難及韋提希水想成已
粗→Ⓔ麁
瑠→ⒶⒷⒸ琉
玻瓈→ⒶⒷⒸ頗梨
碼碯→ⒶⒷ馬脳→Ⓕ瑪瑙
硨磲→ⒶⒷⒻ車
琥珀→Ⓕ虎魄
五→ⒶⒷ[有]五
宝 ⒸⒹⒺになし
猶 Ⓑになし
樹→Ⓒ林
瓔→Ⓐ纓
婉→ⒶⒹⒺ宛
涌→ⒶⒷ踊
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
次→Ⓐ[仏告阿難及韋提希樹想成已]次
想→ⒶⒷⒸⒺ[欲]想
宝→ⒸⒹⒺ宝[妙]
如→ⒶⒷ[従]如
衆→[仏告阿難及韋提希]衆
閣 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
億 Ⓔになし
仏→ⒶⒸⒹⒺ吾
得→ⒶⒷ可
仏→Ⓑ仏[神]
葉→ⒸⒹⒺ葉[上]
脈→Ⓐ[一一]脈→Ⓑ脈[一一]
蓮 Ⓑになし
華→ⒸⒹⒺ華[具]
千→ⒶⒸ千[大]
各 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
有→Ⓑ有[五]
尼→ⒶⒷⒸⒹⒺ尼[珠]
伽→ⒶⒷ伽[摩尼]
交→ⒹⒺ校
幔→ⒶⒷⒻ縵
有→ⒶⒸⒹⒺⒼ[復]有
色→Ⓑ光
座→Ⓒ台
当先作 Ⓒになし
此→Ⓐ此[妙]
座→Ⓒ座[当先作]
一→Ⓑ[一一花]一
万→Ⓐ百億→ⒷⒸⒹⒺ万[億]
入→ⒶⒷⒸ[遍]入
訶→ⒶⒷⒻ呵
見 ⒶⒷになし
像→Ⓐ像[既]→Ⓑ既見
幔→ⒶⒷⒸⒻ縵
其→Ⓐ樹
左→Ⓑ左[蓮]
放→ⒸⒹⒺⒼ作
光→ⒸⒹⒺⒼ色
右→Ⓑ右[蓮]
光明→Ⓐ妙光→Ⓑ金光
復→ⒶⒷⒸⒹⒺⒼ亦
有→ⒶⒷⒹⒺⒼ与→Ⓑ得
像想→ⒶⒷ想像
昧→Ⓐ昧[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
眼→Ⓐ眼[清浄]
青→ⒶⒷ清
相→ⒶⒸⒹⒺ相[中]
好→ⒶⒸⒹⒺ好[中]
明 ⒶⒸⒹⒺになし
眼→ⒶⒷⒸ明
仏→ⒶⒸ[諸]仏
従→Ⓑ[但]従
毫→ⒶⒸⒹⒺ毫[相]
現→ⒶⒷ見
授→ⒶⒷ受
身 ⒶⒷになし
想→ⒷⒺ相
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ是
復当→ⒶⒸⒹⒺ亦応
復→Ⓑ応
万 ⒶⒷになし
他→ⒶⒷ他[恒河沙]
仏 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
化 ⒶⒷになし
尼→Ⓐ尼[妙]
世界 ⒶⒷになし
譬→ⒶⒷⒸⒹⒺ臂
億→ⒶⒸⒹⒺ億[微妙]
余→Ⓖ諸
想→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻ相
有 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
者 ⒶⒷになし
除→Ⓑ除[劫]
先→ⒶⒷ[当]先
亦→ⒶⒸⒹⒺ悉
次→Ⓐ[仏告阿難及韋提希]次
復応 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
各→Ⓐ各[二]
宝→Ⓐ宝[蓮]
震→Ⓕ振
有→Ⓐ有[各]
側→ⒹⒺ畟
正観若他観者名為邪 ⒶⒸⒹⒺになし
名第十一観観此菩薩者→ⒶⒸⒹⒺ観此菩薩者名第十一観→Ⓑ観此菩薩者名第十一観観此菩薩已
数→Ⓕ量
音→Ⓐ音[及]
至→Ⓐ至[作此観者名為正観若他観者名為邪観]
見→Ⓐ[仏告阿難及韋提希]見
自心→Ⓐ想作心自見
跏→ⒸⒹⒺ加
想→Ⓑ想[見]
出→ⒶⒸⒹⒺ[若]出
之 ⒶⒸになし
音→ⒶⒸⒹⒺ音[及]
常→Ⓕ当
所→Ⓐ所[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
何況→ⒶⒷⒸⒹⒺ況復
相→Ⓒ想
想観→ⒷⒻ観想
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]→Ⓓ観[仏]
希→Ⓐ希[凡生西方有九品人]
願 ⒶⒷになし
彼→ⒶⒸ彼[仏]
猛→Ⓒ猛[力]
音→ⒶⒸ音[及]
数→ⒶⒷⒸⒹⒺ量
経→Ⓕ逕
授→ⒶⒸⒹⒺ受
到→ⒶⒷⒸⒹⒺ至
則→ⒶⒷⒻ即
時 ⒶⒷになし
明 ⒸⒹⒺⒼになし
行徧 Ⓐになし
歴 Ⓑになし
生→ⒶⒷ生[法]
授→ⒶⒷⒸⒹⒺ受
行→Ⓐ[彼]行
音→ⒶⒸ音[并]
眷属→ⒸⒹⒺ菩薩
化 ⒹⒺになし
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
仏告→Ⓒ復次
患→ⒶⒷ悪
臨→ⒶⒷ[行者]臨
受 ⒶⒸⒹⒺになし
慈→Ⓐ義
八→ⒶⒷⒸ八[大]
伸→ⒶⒷ申
生 ⒸⒹⒺになし
日→ⒸⒹⒺ日[已]
喜→ⒶⒷⒸⒹⒺ喜[得須陀洹]
経→ⒶⒷⒸⒹⒺ過
輩→Ⓑ輩[下]
衆悪→ⒶⒷⒸⒹⒺ悪法
讃→ⒸⒹⒺ説
善→Ⓐ[善哉]善→Ⓑ[善哉善哉]善
子→ⒸⒹⒺ子[以]
已→Ⓔ曰
至→ⒶⒷⒸⒹⒺ至[菩薩]
「得…生」18字 ⒸⒹⒺになし
業→ⒶⒷ法
悲→ⒶⒸⒹⒺ悲[即]
為→ⒶⒸⒹⒺ為[讃]
説→ⒶⒷⒸⒹⒺ讃
清 ⒶⒸになし
当華敷時 ⒷⒸⒹⒺⒼになし
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ彼
念→ⒶⒸⒹⒺ念[彼仏]
称→ⒶⒸ称[帰命]
時→Ⓒ後
往→Ⓒ生
開→Ⓓ聞
観→ⒶⒷ[当花敷時]観→Ⓒ[時]観
音→Ⓒ音[及]
為其→ⒶⒸ[即]為其[人]
諸法 ⒶⒸになし
説→ⒶⒷ[爾時世尊]説
廓→ⒶⒷⒸⒹⒺ豁
得→ⒸⒹⒺ逮
已→ⒶⒸⒹⒺ已[獲]
前 ⒸⒹⒺになし
子→ⒶⒷⒸⒹⒺ子[及]
人→ⒶⒷ人[即]→ⒸⒹⒺ人[則]
分→ⒶⒷ芬
好→Ⓒ好[受]
是→Ⓒ是[受]
犍→ⒸⒹⒻ揵 Ⓐになし
阿→ⒶⒸⒹⒺ[尊者]阿
諸→ⒶⒸ人
竜→ⒶⒸ竜[神]
宗祖加点本による延書〔龍谷大学蔵康応元年書写本〕の奥書。
また 漢文底本◎になし。 対校本ⒶⒸⒹⒺⒼによる。