0246◎安楽あんらく集しゅう 巻かん下げ

釈しゃく*道どう綽しゃく撰せん

二 Ⅳ【第四大門】
    ⅰ 標列

【28】◎^第だい四し大門だいもんのなかに三番さんばんの*料りょう簡けんあり。 第だい一いちに↓中ちゅう国ごく (印度) の*三蔵さんぞう法ほっ師しならびに此土しど (中国) の*大徳だいとく等とうみなともに聖教しょうぎょうを詳じょう審しんし、 歎たんじて浄じょう土どに帰きするにより、 いまもつて勧すすめてよらしむ。 第だい二にに↓この ¬経きょう¼ (観経) の*宗しゅうおよび余よの大だい乗じょう諸しょ部ぶによるに、 *凡ぼん聖しょうの修しゅ入にゅう多おおく念仏ねんぶつ三昧ざんまいを明あかして、 もつて*要門ようもんとなす。 第だい三さんに↓問答もんどう解げ釈しゃくして、 念仏ねんぶつ者しゃの種々しゅじゅの功く能のう利り益やくを得うること不可ふか思議しぎなることを顕あらわす。

◎第0616四大門ノ中ニ有リ↢三番ノ料簡↡。第一ニ依リ↧中国ノ三蔵法師并ニ此ノ土ノ大徳等皆共ニ詳↢審シ聖教ヲ↡、歎ジテ帰スルニ↦浄土ニ↥、今以テ勧メテ依ラシム。第二ニ拠ルニ↢此ノ¬経ノ¼宗及ビ余ノ大乗諸部ニ↡、凡聖ノ修入多ク*明シテ↢念仏三昧ヲ↡、以テ為ス↢要門ト↡。第三ニ問答解釈シテ、顕ス↧念仏者ノ得ルコト↢種種ノ功能利益ヲ↡不可思議ナルコトヲ↥。

二 Ⅳ ⅱ 解釈
      a 師承念仏要門【念仏大徳所行】
        イ 標

【29】^第だい一いちに↑中国ちゅうごくおよび此土しどの大徳だいとくの所行しょぎょうによるとは、

第一ニ依ルト↢中国及以 オヨビ 此土ノ大徳ノ所行ニ↡者、

二 Ⅳ ⅱ a ロ 釈
          (一)師承を挙げて意を叙す

^▼余よ (道綽) は*五ご翳えいにして面めん牆しょうなり。 ▼あにいづくんぞみづからたやすくせんや。 ただおもんみれば遊ゆ歴りゃくし披ひらき勘かんがふるに、 敬うやまふに*師し承じょうあり。

餘ハ*五翳ニシテ面牆ナリ。豈ニ寧ンゾ自ラ輒タヤスクセムヤ。但以レバ遊歴シ披キ勘フルニ、敬フニ有リ↢師承↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)正挙
            (Ⅰ)六師の名徳を列嘆す
              (ⅰ)別嘆

^▼なんとなれば、 いはく、 中ちゅう国ごくの大だい乗じょう法ほっ師し流支るし三蔵さんぞう (*菩提流支) あり。

▼何トナレバ者謂ク中国ノ大乗法師流支三*蔵アリ。

^次つぎに大徳だいとくの*名みょう利りを*呵避かひするあり、 すなはち*恵え寵ちょう法ほっ師しあり。

次ニ有リ↣大徳ノ呵↢避スル名利ヲ↡、則チ有リ↢恵寵法*師↡。

^次つぎに大徳だいとくの尋じん常じょうに*敷ふ演えんするごとに聖しょう僧そうの来らい聴ちょうを感かんずるあり、 すなはち*道どう場じょう法ほっ0247師しあり。

次ニ有リ↢大徳ノ尋常ニ敷演スル毎ニ感ズル↢聖僧ノ来聴ヲ↡、則チ有リ↢道場法*師↡。

^次つぎに大徳だいとくの光ひかりを和やわらげて孤ひとり栖すみて、 二に国こく (梁・魏) 慕ぼ仰こうするあり、 すなはち*曇鸞どんらん法ほっ師しあり。

次ニ有リ↢大徳ノ和ラゲテ↠光ヲ孤リ栖ミテ二国慕仰スル↡、則チ有リ↢曇*鸞法師↡。

^次つぎに大徳だいとくの禅観ぜんかんに独ひとり秀ひいでたるあり、 すなはち*大海だいかい禅ぜん師じあり。

次ニ有リ↢大徳ノ禅観ニ独リ秀デタル↡、則チ有リ↢大海禅師↡。

^次つぎに大徳だいとくの聡そう慧えにして戒かいを守まもるあり、 すなはち*斉せい朝ちょうの上じょう統とうあり。

次ニ有リ↢大徳ノ聡恵ニシテ守ル↟戒ヲ、則チ有リ↢斉朝ノ上*統↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)総嘆
                (a)嘆人

^しかるに前さきの六ろく大徳だいとくは、 *ならびにこれ二に諦たいの神じん鏡きょう、 これすなはち仏法ぶっぽうの綱維こうゆいなり。 志し行ぎょう、 倫りんを殊ことにして古こ今こんに実じつに希まれなり。

然ルニ前ノ六大徳ハ並ニ是二諦ノ神鏡、斯乃チ仏法ノ綱維ナリ。志行、殊ニシテ↠倫ヲ古今ニ実ニ希0617ナリ。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)嘆法

^みなともに大だい乗じょうを詳じょう審しんし、 歎たんじて浄じょう土どに帰きす。 すなはちこれ無む上じょうの要門ようもんなり。

皆共ニ*詳↢審シ大乗ヲ↡、歎ジテ帰ス↢浄土ニ↡。乃チ是无上ノ要門也。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)且に終端に就きて徳を顕す
              (ⅰ)問

 ^問とひていはく、 すでに歎たんじて浄じょう土どに帰きす、 すなはちこれ要門ようもんなりといはば、 いまだ知しらず、 これらの諸徳しょとく臨りん終じゅうの時とき、 みな*霊験れいげんありやいなや。

問ヒテ曰ク、既ニ云ハバ↧歎ジテ帰ス↢浄土ニ↡、乃チ是要門ナリト↥者、未ダ↠知ラ、此等ノ諸徳臨終ノ時、皆有リヤ↢*霊験↡已不 イナ ヤ。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)答
                (a)総じて不虚を略答す

^答こたへていはく、 みなあり、 虚むなしからず。

答ヘテ曰ク、皆有リ、不↠虚シカラ。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)別して鸞祖の徳を略明す
                  (イ)先づ平生の徳化を明す
                    [一]自行

^▼曇鸞どんらん法ほっ師しのごときは、 *康存こうぞんの日ひつねに浄じょう土どを修しゅす。

如キハ↢曇*鸞法師ノ↡、康存之日常ニ修ス↢浄土ヲ↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]化他
                      [Ⅰ]断疑徳
                        [ⅰ]君子の疑を決す
                          [a]難

^▼またつねに*世せ俗ぞくの君くん子しありて、 来きたりて法ほっ師しを呵かしていはく、 「十方じっぽう仏国ぶっこくみな浄じょう土どたり、 法ほっ師しなんぞすなはち独ひとり意こころを西にしに注とどむる。 あに偏見へんけんの生しょうにあらずや」 と。

亦毎ニ有リテ↢世俗ノ君子↡、来リテ呵シテ↢法師ヲ↡曰ク、十方仏国皆為リ↢浄土↡、法師何ゾ乃チ独リ意ヲ注トドムル↠西ニ。豈ニ非ズ↢偏見ノ生ニ↡也ト。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]決

^▼法ほっ師し対こたへていはく、 「われすでに凡ぼん夫ぶにして、 智慧ちえ浅短せんたんなり。 いまだ*地位じいに入いらざれば、 念力ねんりきすべからく均ひとしくすべけんや。 草くさを置おきて牛うしを引ひくに、 つねにすべからく心しんを*槽そう櫪りゃくに繋つなぐべきがごとし。 あにほしいままにして、 まつたく帰きするところなきことを得えんや」 と。

法師対ヘテ曰ク、吾既ニ凡夫ニシテ、智恵浅短ナリ。未ダレバ↠入ラ↢地位ニ↡、念力須クケムヤ↠*均シクス。如↢似 ゴト シ置キテ↠草ヲ引クニ↠牛ヲ、恒ニ須クキガ↟繋グ↢心ヲ槽櫪ニ↡。豈ニ得ムヤト↢縦放ホシイママニシテ、全ク无キコトヲ↟所↠帰スル。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]衆人の疑を決す

^◆また*難者なんじゃ紛紜ふんうんたりといへども、 法ほっ師し独ひとり決けっせ0248り。

雖モ↢復難者紛紜タリト↡而法師独リ決セリ。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]生信徳

^▼ここをもつて一切いっさい*道俗どうぞくを問とふことなく、 ただ法ほっ師しと一面いちめんあひ遇あふものは、 もしいまだ正しょう信しんを生しょうぜざるには、 勧すすめて信しんを生しょうぜしめ、 もしすでに正しょう信しんを生しょうぜるものには、 みな勧すすめて浄じょう国こくに帰きせしむ。

是ヲ以テ无ク↠問フコト↢一切道俗ヲ↡、但与↢法師↡一面相遇フ者ハ、若シ未ダルニハ↠生ゼ↢正信ヲ↡、勧メテ令メ↠生ゼ↠信ヲ、若シ已ニ生ゼル↢正信ヲ↡者ニハ、皆勧メテ帰セシム↢浄国ニ↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)正しく終時の霊験を明す

^◆このゆゑに法ほっ師し命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 寺てらの傍かたわらの左右さうの道俗どうぞく、 みな*幡ばん華けの院いんに映ようずるを見み、 ことごとく*異い香こう・音楽おんがく迎こう接しょうして往おう生じょうを遂とげたまへるを聞きく。

是ノ故ニ法師臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、寺ノ傍ノ*左右ノ道俗、皆見↢幡花ノ映ズルヲ↟院ニ、尽ク聞ク↣異香・音楽迎接シテ遂ゲタマヘルヲ↢往生ヲ↡也。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)総じて余師の終端を結す

^余よの大徳だいとく命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 みな*徴祥ちょうしょうあり。 もしつぶさに往おう生じょうの相そうを談だんぜんと欲ほっせば、 ならびに不可ふか思議しぎなり。

余之大徳臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、皆有リ↢徴祥↡。若シ欲セバ↣具ニ談ゼムト↢往生之相ヲ↡、並ニ不可思議也。

二 Ⅳ ⅱ b 諸経念仏要門【諸経所明念仏】
        イ 標章

【30】^第だい二にに↑*此彼しひの諸しょ経きょうに多おおく念仏ねんぶつ三昧ざんまいを明あかして宗しゅうとなすことを明あかすとは、

第二ニ明スト↧此彼ノ諸経ニ多ク明シテ↢念仏三昧ヲ↡為スコトヲ↞宗ト者、

二 Ⅳ ⅱ b ロ 引釈
          (一)列分

^なかにつきて八番はちばんあり。 初はじめの二には一相いっそう三昧ざんまいを明あかし、 後のちの六ろくは縁えんにつき相そうによりて念仏ねんぶつ三昧ざんまいを明あかす。

就キテ↠中ニ有リ↢八番↡。初ノ二ハ明シ↢一相三昧ヲ↡、後ノ六ハ就キ↠縁ニ依リテ↠相ニ明ス↢念仏三昧ヲ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)正引
            (Ⅰ)観仏三昧を明す文
              (ⅰ)二種を標す

 ^第だい一いちに ¬*華け首しゅ経きょう¼ (意) によるに、 「仏ぶつ、 堅けん意い菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ª三昧さんまいに二に種しゅあり。 一いちには一相いっそう三昧ざんまいあり、 二にには衆相しゅそう三昧ざんまいあり。

第一ニ依ルニ↢¬花首経ニ¼↡「仏告ゲタマハク↢堅意菩薩ニ↡、三昧ニ有リ↢二種↡。一ニ者有リ↢一相三昧↡、二ニ者有リ↢衆相三昧↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)正しく一相を明す
                (a)修勧相
                  (イ)所観境

^一相いっそう三昧ざんまいとは、 菩ぼ薩さつあり、 その世せ界かいにその如来にょらいましまして現げんにましまして法ほうを説ときたまふと聞きき、 菩ぼ薩さつこの仏ぶつの相そうを取とるに、 もつて現げんじて前まえにまします。 もしは道どう場じょうに坐ざし、 もしは法輪ほうりんを転てんじ、 大衆だいしゅ*囲い繞にょうす。

一相三昧ト者、有リ↢菩薩↡、聞キ↧*其ノ世界ニ有シテ↢*其ノ如来↡現ニ在シテ説キタマフト↞法ヲ、菩薩取ルニ↢是ノ仏0618ノ相ヲ↡、以テ現ジテ在ス↠前ニ。若シハ坐シ↢道場ニ↡、若シハ転ジ↢法輪ヲ↡、大衆囲遶ス↥

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)能観相

^かくのごとき相そうを取とる。 *諸根しょこんを収摂しゅうしょうして心しん*馳ち散さんせず、 もつぱら一仏いちぶつを念ねんじてこの縁えんを捨すてず。 かくのごとき菩ぼ薩さつは、 如来にょらいの相そうお0249よび世せ界かいの相そうにおいて無む相そうを了りょう達だつし、 つねにかくのごとく観かんじ、 かくのごとく行ぎょうじて、 この縁えんを離はなれず。

取ル↢如キ↠是クノ相ヲ↡。収↢摂シテ諸根ヲ↡心不↢馳散セ↡、専ラ念ジテ↢一仏ヲ↡不↠捨テ↢是ノ縁ヲ↡。如キ↠是クノ菩薩ハ、於テ↢如来ノ相及ビ世界ノ相ニ↡了↢達シ无相ヲ↡、常ニ如ク↠是クノ観ジ、如ク↠是クノ行ジテ、不↠離レ↢是ノ縁ヲ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)観成益
                  (イ)定中益

^この時ときに仏像ぶつぞうすなはち現げんじて前まえにましまして、 ために法ほうを説ときたまふ。 菩ぼ薩さつその時とき深ふかく*恭く敬ぎょうを生しょうじて、 この法ほうを聴ちょう受じゅし、 もしは深じん、 もしは浅せん、 *うたた尊そん重じゅうを加くわふ。 菩ぼ薩さつこの三昧さんまいに住じゅうして、 諸法しょほうはみな*可壊かえの相そうなりと説とくを聞きく。 聞ききをはりて受じゅ持じして、

是ノ時ニ仏像即チ現ジテ在シテ↠前ニ而為ニ説キタマフ↠法ヲ。菩薩爾ノ時深ク生ジテ↢恭敬ヲ↡、聴↢受シ是ノ法ヲ↡、若シハ深若シハ浅、転タ加フ↢尊重ヲ↡。*菩薩住シテ↢是ノ三昧ニ↡、聞ク↠説クヲ↢諸法ハ皆可壊ノ相ナリト↡。聞キ已リテ受持シテ、

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)定起益

^三昧さんまいより起たちてよく四し衆しゅのためにこの法ほうを演説えんぜつすº と。

従リ↢三昧↡起チテ能ク為ニ↢四衆ノ↡演↢説スト是ノ法ヲ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)結

^仏ぶつ、 堅けん意いに告つげたまはく、 ªこれを菩ぼ薩さつの一相いっそう三昧ざんまい門もんに入いると名なづくº」 と。

仏告ゲタマハク↢堅意ニ↡、是ヲ名クト↣菩薩ノ入ルト↢一相三昧門ニ↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)念仏三昧を明す文
              (ⅰ)標

 ^第だい二にに ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃ¼ (意) によりて*一いち行ぎょう三昧ざんまいを明あかさば、

第二ニ依リテ↢¬文殊*般若ニ¼↡明サバ↢一行三昧ヲ↡者、

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)釈
                (a)問

^「時ときに▼*文殊もんじゅ師利しり、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そんいかなるをか名なづけて一いち行ぎょう三昧ざんまいとなすº と。

「*時ニ文殊師利白シテ↠仏ニ言ク、世尊、云何ナルヲカ名ケテ為スト↢一行三昧ト↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)答

^◆仏ぶつのたまはく、 ª▼一いち行ぎょう三昧ざんまいとは、 もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにん*空閑くうげんの処ところにありて、 もろもろの乱らん意いを捨すて、 仏ぶつの*方所ほうしょに随したがひて端身たんじん正しょう向こうにして、 *相そう貌みょうを取とらず、 心しんを一仏いちぶつに繋かけてもつぱら名みょう字じを称しょうして念ねんずること休く息そくなくは、 すなはちこの念ねんのうちによく過か・現げん・未み来らいの三さん世ぜの諸仏しょぶつを見みたてまつるべし。 なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつを念ねんずる功く徳どく無む量りょう無む辺へんにして、 すなはち無む量りょうの諸仏しょぶつの功く徳どくと無二むになればなり。

仏言ク、一行三昧ト者若シ善男子・善女人応シ↧在リテ↢空*閑ノ処ニ↡、捨テ↢諸ノ乱意ヲ↡、随ヒテ↢仏ノ方所ニ↡端身正向ニシテ、不↠取ラ↢相貌ヲ↡、繋ケテ↢心ヲ一仏ニ↡専ラ称シテ↢名字ヲ↡念ズルコト无クハ↢休息↡、即チ是ノ*念ノ中ニ能ク見タテマツル↦過・現・未来ノ三世ノ諸仏ヲ↥。何ヲ以テノ故ニ。念ズル↢*一仏ヲ↡功徳无量无辺ニシテ、即チ与↢无量ノ諸仏ノ功徳↡无二ナレバナリ。

^これを菩ぼ薩さつの一いち行ぎょう三昧ざんまいと名なづくº」 と。

是ヲ名クト↢菩薩ノ一行三昧ト↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)念仏冥益の文
              (ⅰ)文を括りて示す

 ^0250第だい三さんに ▼¬*涅ね槃はん経ぎょう¼ によるに、 仏ぶつのたまはく、 「もし人ひとただよく心しんを至いたしてつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを修しゅすれば、 十方じっぽう諸仏しょぶつつねにこの人ひとを見みそなはすこと、 現げんに前まえにましますがごとし」 と。

第三ニ依ルニ↢¬涅槃経ニ¼↡、仏言ク、若シ人但能ク至シテ↠心ヲ常ニ修スレバ↢念仏三昧ヲ↡者、十方諸仏恒ニ見ソナハスコト↢此ノ人ヲ↡如シト↢現ニ在スガ↟前ニ。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)(ⅱ)正しく文を引く

^◆このゆゑに ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「仏ぶつ、 *迦か葉しょう菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ªもし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんありてつねによく心しんを至いたしもつぱら念仏ねんぶつするものは、 もしは山林せんりんにもあれ、 もしは*聚落じゅらくにもあれ、 もしは昼ちゅう、 もしは夜や、 もしは坐ざ、 もしは臥がに、 諸仏しょぶつ世せ尊そんつねにこの人ひとを見みそなはすこと、 目めの前まえに現げんずるがごとし。 つねにこの人ひとと住じゅうして施せを受うけたまふº」 と。

是ノ故ニ¬涅槃経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢迦葉菩薩ニ↡、若シ有リテ↢善男子・善女人↡常ニ能ク至シ↠心ヲ専ラ念仏スル者ハ、若シハ在レ↢山林ニモ↡若シハ在レ↢聚落ニモ↡、若シハ昼若シハ夜、若シハ坐*若0619シハ臥ニ、諸仏世尊常ニ見ソナハスコト↢此ノ人ヲ↡如シ↠現ズルガ↢*目ノ前ニ↡。恒ニ与↢此ノ人↡而▼*住シテ受ケタマフト↠施ヲ。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)諸行念仏の得失を明す文
              (ⅰ)並べて二行を挙ぐ
                (a)万行の回生を明す

 ^第だい四しに ¬*観かん経ぎょう¼ および余よの諸しょ部ぶによるに、 所修しょしゅの▼万まん行ぎょうただよく*回え願がんしてみな生しょうぜざるはなし。

第四ニ依ルニ↢¬観経¼及ビ余ノ諸部ニ↡、所修ノ万行但能ク廻願シテ莫シ↠不ルハ↢皆生ゼ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅰ)(b)念仏の為要を示す

^▼しかるに念仏ねんぶつの一門いちもん、 もつて要よう路ろとなす。

然ルニ念仏ノ一*門、将テ為ス↢要路ト↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)特に念仏の得を明す
                (a)両益を標す

^なんとなれば、 聖教しょうぎょうを*審しん量りょうするに始し終じゅうの両りょう益やくあればなり。 もし善ぜんを生しょうじ行ぎょうを起おこさんと欲ほっすれば、 すなはちあまねく*諸しょ度どを該かぬ。 もし悪あくを滅めっして災わざわいを消しょうすれば、 すなはち総そうじて諸障しょしょうを治じす。

何トナレバ者審↢量スルニ聖教ヲ↡有レバナリ↢始終ノ両益↡。若シ欲スレバ↢生ジ↠善ヲ起サムト↟行ヲ、則チ普ク該ヌ↢諸度ヲ↡。若シ滅シテ↠悪ヲ消スレバ↠災ヲ、則チ総ジテ治ス↢諸障ヲ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)釈
                  (イ)始益

^ゆゑに下しもに ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまはく、 ▼「▲念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを摂取せっしゅして捨すてたまはず、 ▲寿いのち尽つきてかならず生しょうず」 と。 これを*始し益やくと名なづく。

故ニ下ニ¬経ニ¼云ク、「念仏ノ衆生ヲ摂取シテ不↠捨テタマハ、寿尽キテ必ズ生ズト。」此ヲ名ク↢始益ト↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)終益

^◆*終じゅう益やくといふは、 ¬*観音かんのん授じゅ記き経きょう¼ (意) によるにのたまはく、 「▼阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 世よに住じゅうしたまふこと長じょう久くにして*兆ちょう載さい永劫ようごうなるも、 また滅めつ度どしたまふことあり。 *般はつ涅ね槃はんの時とき、 た0251だ*観音かんのん・*勢せい至しのみありて、 安楽あんらくを*住じゅう持じして十方じっぽうを*接しょう引いんしたまふ。 その仏ぶつの滅めつ度どまた住じゅう世せの時じ節せつと等同とうどうなり。 しかるにかの国くにの衆しゅ生じょうは一切いっさい、 仏ぶつを*覩と見けんしたてまつるものあることなし。

言フ↢終益ト↡者、依ルニ↢¬*観音授記経ニ¼↡云ク、「阿弥陀仏住シタマフコト↠世ニ長久ニシテ兆載永劫ナルモ、亦有リ↢滅度シタマフコト↡。般涅槃ノ時、唯有リテ↢観音・勢至ノミ↡、住↢持シテ安楽ヲ↡接↢引シタマフ十方ヲ↡。其ノ仏ノ滅度亦与↢住世ノ時節↡等同ナリ。然ルニ彼ノ国ノ衆生ハ一切无シ↠有ルコト↧覩↢見シタテマツル仏ヲ↡者↥。

^◆ただ*一向いっこうにもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうするもののみありて、 つねに弥陀みだ現げんにましまして滅めっしたまはざるを見みる」 と。 これすなはちこれその*終じゅう時じの益やくなり。

唯有リテ↧一向ニ専ラ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡往生スル者ノミ↥、常ニ見ルト↢弥陀現ニ在シテ不ルヲ↟滅シタマハ。」此即チ是其ノ終時ノ益也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅲ)万行の失を決す

^修しゅするところの*余よ行ぎょう、 回え向こうしてみな生しょうずるも、 世せ尊そんの滅めつ度どに覩みると覩みざるとあり。

所ノ↠修スル余行、廻向シテ皆生ズルモ、世尊ノ滅度ニ有リ↢覩ルト不ルト↟*覩。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅳ)結勧

^後代こうだいを勧すすめて審しん量りょうして遠益おんやくに沾うるおさしむ。

勧メテ↢後代ヲ↡審量シテ使ム↠*沾サ↢遠益ニ↡也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)念仏正因を決する文
              (ⅰ)修相

 ^第だい五ごに ¬*般舟はんじゅ経きょう¼ (意) によるにのたまはく、 「▼時ときに跋ばつ陀和だわ菩ぼ薩さつあり、 この国こく土どに阿あ弥陀みだ仏ぶつましますと聞ききて、 しばしば念ねんを係かく。

第五ニ依ルニ↢¬般舟経ニ¼↡云ク、「時ニ有リ↢跋陀和菩薩↡、於テ↢此ノ国土ニ↡聞キテ↠有スト↢阿弥陀仏↡、数数係ク↠念ヲ。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅱ)行益
                (a)仏を見て咨嗟す

^◆この念ねんによるがゆゑに阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつる。 すでに仏ぶつを見みたてまつりをはりて、 すなはち従したがひて啓問けいもんすらく、 ªまさにいかなる法ほうを行ぎょうじてか、 かの国くにに生しょうずることを得うべきº と。

因ルガ↢是ノ念ニ↡故ニ見タテマツル↢阿弥陀仏ヲ↡。既ニ見タテマツリ↠仏ヲ已リテ、即チ従ヒテ啓問スラク、当ニキト↧行ジテカ↢何ナル法ヲ↡得↞生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅱ)(b)仏生因を決す

^◆その時とき阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 この菩ぼ薩さつに語かたりてのたまはく、 ª▼わが国くにに来らい生しょうせんと欲ほっせば、 つねにわが名なを念ねんじて休く息そくあることなかれ。 かくのごとくして、 わが国こく土どに来らい生しょうすることを得えん。

爾ノ時阿弥陀仏語リテ↢是ノ菩薩ニ↡言ク、欲セバ↣来↢生セムト我ガ国ニ↡者、常ニ念ジテ↢我ガ名ヲ↡莫レ↠有ルコト↢休息↡。如クシテ↠是クノ、得ム↣来↢生スルコトヲ我ガ国土ニ↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅲ)重ねて方便を教ふ

^まさに仏身ぶっしんの三さん十じゅう二に相そうことごとくみな具ぐ足そくして、 光こう明みょう徹てっ照しょうし*端たん正じょう無比むひなるを念ねんずべしº」 と。

当ニシト↠念ズ↢仏身ノ三十二相悉ク皆具足シテ、光明徹照シ端正无比ナルヲ↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)徳を具す故須く常念すべきを明す文
              (ⅰ)標

 ^第六だいろくに ▼¬*大だい智度ちど論ろん¼ (意) によるに三番さんばんの解げ釈しゃくあり。

第0620六ニ依ルニ↢¬大智度論ニ¼↡有リ↢三番ノ解釈↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)釈
                (a)無上法王

^▼「第だい一いちに仏ぶつはこれ無む上じょう法ほう王おう0252にして、 菩ぼ薩さつは法臣ほうしんたり。 尊とうとぶところ重おもくするところはただ仏ぶつ世せ尊そんなり。 このゆゑにまさにつねに念仏ねんぶつすべし。

「第一ニ仏ハ是无上法王ニシテ、菩薩ハ為リ↢法臣↡。所↠尊ブ所ハ↠重クスル唯仏世尊ナリ。是ノ故ニ応ニ当シ↢常ニ念仏ス↡也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)(b)報恩

^◆第だい二ににもろもろの菩ぼ薩さつありてみづからいはく、 ªわれ*曠劫こうごうよりこのかた、 世せ尊そんの長ちょう養ようを蒙こうむることを得えたり。 われらが法身ほっしん・*智ち身しん・*大だい慈悲じひ身しん、 禅ぜん定じょう・智慧ちえ、 無む量りょうの*行ぎょう願がん、 仏ぶつによりて成じょうずることを得えたり。 報恩ほうおんのためのゆゑに、 つねに仏ぶつに近ちかづかんと願がんず。 また大臣だいじん、 王おうの恩おん寵ちょうを蒙こうむりて、 つねにその主あるじを念おもふがごとしº と。

第二ニ有リテ↢諸ノ菩薩↡自ラ云ク、我従リ↢曠劫↡以来タ、得タリ↠蒙ルコトヲ↢世尊ノ長養ヲ↡。我等ガ法身・智身・大慈悲身、禅定・智*慧、无量ノ行願、由リテ↠仏ニ得タリ↠成ズルコトヲ。為ノ↢報恩ノ↡故ニ、常ニ願ズ↠近ヅカムト↠仏ニ。亦如シト↧大臣蒙リテ↢王ノ恩寵ヲ↡、常ニ念フガ↦其ノ主ヲ↥。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)(c)念仏三昧徳

^▼第だい三さんにもろもろの菩ぼ薩さつありてまたこの言ごんをなさく、 ªわれ*因いん地じにおいて、 *悪あく知ち識しきに遇あひて*般若はんにゃを誹ひ謗ほうして悪道あくどうに堕だして、 無む量りょう劫こうを経へたり。 余よ行ぎょうを修しゅすといへども、 いまだ出いづることを得うることあたはず。 ^後のちに一いち時じに*善ぜん知ぢ識しきの辺へんによるに、 われを教おしへて念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうぜしむ。 その時ときにすなはちよく諸しょ障しょうを*併あわせ遣やり、 まさに解げ脱だつを得えたり。 この大益だいやくあるがゆゑに、 願がんじて仏ぶつを離はなれずº」 と。

第三ニ有リテ↢諸ノ菩薩↡復作サク↢是ノ言ヲ↡、我於テ↢因地ニ↡、遇ヒテ↢悪知識ニ↡誹↢謗シテ*般若ヲ↡*堕シテ↢於悪道ニ↡、経タリ↢无量劫ヲ↡。雖モ↠修スト↢余行ヲ↡、未ダ↠能ハ↠得ルコト↠出ヅルコトヲ。後ニ於テ↢一時ニ↡依ルニ↢善知識ノ辺ニ↡、教ヘテ↠我ヲ行ゼシム↢念仏三昧ヲ↡。其ノ時ニ即チ能ク*併セ↢遣リ諸障ヲ↡、方ニ得タリ↢解脱ヲ↡。有ルガ↢斯ノ大益↡故ニ、*願ジテ不ト↠離レ↠仏ヲ。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)見仏に勝益有るを示す文
              (ⅰ)平生堅誓相

 ^第七だいしちに ¬*華け厳ごん経ぎょう¼ によるにのたまはく、

第七ニ依ルニ↢¬花厳経ニ¼↡云ク、

^「むしろ無む量りょう劫こうにおいて、 つぶさに一切いっさいの苦くを受うくとも、
つひに、 如来にょらいに遠とおざかりて自じ在ざい力りきを覩みたてまつらざることなからん」 と。

「寧ロ於テ↢无量劫ニ↡具ニ受クトモ↢一切ノ*苦ヲ↡
終ニ不ナカラムト↧遠ザカリテ↢如来ニ↡不ルコト↞覩タテマツラ↢自在力ヲ↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)(ⅱ)臨終必見益

^またのたまはく (華厳経)、

又云ク、

0253^「念仏ねんぶつ三昧ざんまいはかならず仏ぶつを見みたてまつり、 命終みょうじゅうの後のちに仏前ぶつぜんに生しょうず。
かの臨りん終じゅうを見みては念仏ねんぶつを勧すすめ、 また尊像そんぞうを示しめして*瞻せん敬ぎょうせしめよ」 と。

「念仏三昧ハ必ズ見タテマツリ↠仏ヲ命終之後ニ生ズ↢仏前ニ↡
見テハ↢彼ノ臨終ヲ↡勧メ↢念仏ヲ↡又示シテ↢尊像ヲ↡令メヨト↢瞻敬セ↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)(ⅲ)深契離倒益

^また (華厳経・意) 「*善財ぜんざい童どう子じ、 善ぜん知ぢ識しきを求もとめて*功く徳雲どくうん比丘びくの所ところに詣いたりてまうさく、 ª大だい師しいかんが菩ぼ薩さつの道どうを修しゅして*普ふ賢げんの行ぎょうに帰きするやº と。

又善財童子求メテ↢善知識ヲ↡詣イタリテ↢功徳雲比丘ノ所ニ↡白シテ言ク、「大師云何ガ修シテ↢菩薩ノ道ヲ↡帰スル↢普賢ノ行ニ↡也ト。

^この時とき▼比丘びく、 善財ぜんざいに告つげていはく、 ªわれ世せ尊そんの智慧ちえ海かいのなかにおいてただ一法いっぽうを知しる。 いはく念仏ねんぶつ三昧ざんまい門もんなり。 なんとなれば、 この三昧さんまい門もんのなかにおいて、 ことごとくよく一切いっさいの諸仏しょぶつおよびその眷属けんぞく、 厳ごん浄じょうの*仏刹ぶっせつを覩と見けんして、 よく衆しゅ生じょうをして顛倒てんどうを遠おん離りせしむ。

是ノ時比丘告ゲテ↢善財ニ↡曰ク、我於テ↢世尊ノ智*慧海ノ中ニ↡唯知ル↢一法ヲ↡。謂ク念仏三昧門ナリ。何トナレバ者於テ↢此ノ三昧門ノ中ニ↡、悉ク能ク覩↢見シテ一切ノ諸仏及ビ其ノ眷属、厳浄ノ仏刹ヲ↡、能ク令ム↣衆生ヲシテ遠↢離セ顛倒ヲ↡。

^念仏ねんぶつ三昧ざんまい門もんは、 微み細さいの境きょう界がいのなかにおいて一切いっさいの仏ぶつの自じ在ざいの境きょう界がいを見み、 *諸劫しょこうの不ふ顛倒てんどうを得う。 念仏ねんぶつ三昧ざんまい門もんはよく一切いっさいの仏刹ぶっせつを起おこすに、 よく壊えするものなし。 あまねく諸仏しょぶつを見みたてまつりて、 *三さん世ぜの不ふ顛倒てんどうを得うº と。

念仏三昧門者、於テ↢微細ノ境界ノ中ニ↡見0621↢一切ノ仏ノ自在ノ境界ヲ↡、得↢諸劫ノ不顛倒ヲ↡。念仏三昧門者、能ク起スニ↢一切ノ仏刹ヲ↡、无シ↢能ク壊スル者↡。普ク見タテマツリテ↢諸仏ヲ↡、得ト↢三世ノ不顛倒ヲ↡。

^時ときに功く徳雲どくうん比丘びく、 善財ぜんざいに告つげていはく、 ª仏法ぶっぽうの深海じんかいは広大こうだい無む辺へんなり。 わが知しるところは、 ただこの一いちの念仏ねんぶつ三昧ざんまい門もんを得えたるのみ。 余よの妙みょう境きょう界がいは数しゅ量りょうに出しゅっ過かして、 われいまだ知しらざるところなりº」 と。

時ニ功徳雲比丘告ゲテ↢善財ニ↡言ク、仏法ノ深海ハ広大无辺ナリ。我ガ所↠知ル者、唯得タルノミ↢此ノ一ノ念仏三昧門ヲ↡。余ノ妙境界ハ出↢過シテ数量ニ↡、我所↠未ダル↠知ラ也ト。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)見仏諸国を明す文
              (ⅰ)八法を標す
                (a)正しく標す

 ^第八だいはちに ¬*海かい竜りゅう王おう経きょう¼ (意) によるに、 「時ときに海かい竜りゅう王おう、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 弟子でし、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜんと求もとむ。 まさにいかなる行ぎょうを修しゅしてか、 かの0254土どに生しょうずることを得うべきº と。

第八ニ依ルニ↢¬海竜王経ニ¼↡、「時ニ海竜王白シテ↠仏ニ言ク、世尊、弟子求ム↠生ゼムト↢阿弥陀仏国ニ↡。当ニキト↧修シテカ↢何ナル行ヲ↡得↞生ズルコトヲ↢彼ノ土ニ↡。

^仏ぶつ、 竜りゅう王おうに告つげたまはく、 ªもしかの国くにに生しょうぜんと欲ほっせば、 まさに八法はっぽうを行ぎょうずべし。 なんらをか八はちとなす。 一いちにはつねに諸仏しょぶつを念ねんず。 二にには如来にょらいを供く養ようす。 三さんには世せ尊そんを*咨し嗟しゃす。 四しには仏ぶつの形ぎょう像ぞうを作つくりてもろもろの功く徳どくを修しゅす。 五ごには回えして往おう生じょうを願がんず。 六ろくには心しん*怯こう弱にゃくならず。 七しちには一心いっしんに精しょう進じんす。 八はちには仏ぶつの*正しょう慧えを求もとむº と。

仏告ゲタマハク↢竜王ニ↡、若シ欲セバ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者、当ニシ↠行ズ↢八法ヲ↡。何等ヲカ為ス↠八ト。一ニ者常ニ念ズ↢諸仏ヲ↡。二ニ者供↢養ス如来ヲ↡。三ニ者咨↢嗟ス世尊ヲ↡。四ニ者作リテ↢仏ノ形像ヲ↡修ス↢諸ノ功徳ヲ↡。五ニ者廻シテ願ズ↢往生ヲ↡。六ニ者心不↢怯弱ナラ↡。七ニ者一心ニ精進ス。八ニ者求ムト↢仏ノ正*慧ヲ↡。

^仏ぶつ、 竜りゅう王おうに告つげたまはく、 ª一切いっさい衆しゅ生じょうこの八法はっぽうを具ぐすれば、 つねに仏ぶつを離はなれずº」 と。

仏告ゲタマハク↢竜王ニ↡、一切衆生具スレバ↢斯ノ八法ヲ↡、常ニ不ト↠離レ↠仏ヲ也。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅰ)(b)具欠を分別す

 ^問とひていはく、 八法はっぽうを具ぐせずとも、 仏前ぶつぜんに生しょうじ仏ぶつを離はなれざることを得うやいなや。

問ヒテ曰ク、不トモ↠具セ↢八法ヲ↡、得ヤ↧生ジ↢仏前ニ↡不ルコトヲ↞離レ↠仏ヲ不ヤ。

^答こたへていはく、 生しょうずることを得うること疑うたがはず。 なにをもつてか知しることを得うる。 仏ぶつ、 ¬*宝雲ほううん経ぎょう¼ を説ときたまひし時ときのごとし。 また*十行じゅうぎょう具ぐ足そくして浄じょう土どに生しょうずることを得えて、 つねに仏ぶつを離はなれざることを明あかしたまへり。

答ヘテ曰ク、得ルコト↠生ズルコトヲ不↠疑ハ。何ヲ*以テカ得ル↠知ルコトヲ。如シ↧仏説キタマヒシ↢¬宝雲経ヲ¼↡時ノ↥。亦明シタマヘリ↧十行具足シテ得テ↠生ズルコトヲ↢浄土ニ↡、常ニ不ルコトヲ↞離レ↠仏ヲ。

^「時ときに除蓋じょがい障しょう菩ぼ薩さつありて仏ぶつにまうさく、 ª十行じゅうぎょうを具ぐせずして生しょうずることを得うやいなやº と。 仏ぶつのたまはく、 ª生しょうずることを得う。 ただよく十行じゅうぎょうのなかに一いち行ぎょう具ぐ足そくして闕かくることなければ、 余よの九く行ぎょうもことごとく清浄しょうじょうと名なづく。 疑うたがいを致いたすことなかれº」 (意) と。

「時ニ有リテ↢除蓋障菩薩↡白サク↠仏ニ、不シテ↠具セ↢十行ヲ↡得ヤ↠生ズルコトヲ已不 イナ ヤト。仏言ク、得↠生ズルコトヲ。但能ク十行之中ニ一行具足シテ无ケレバ↠闕クルコト、余之九行モ悉ク名ク↢清浄ト↡。勿レト↠致スコト↠疑ヲ也。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅱ)類を引く
                (a)汎く四法を明す

^また ¬*大樹だいじゅ緊きん陀羅だら王おう経きょう¼ (意) にのたまはく、 「菩ぼ薩さつは四し種しゅの法ほうを行ぎょうじてつねに仏前ぶつぜんを離はなれず。 なんらをか四しとなす。 一いちにはみづから善法ぜんぽうを修しゅし兼かね0255て衆しゅ生じょうを勧すすめて、 みな往おう生じょうして如来にょらいを見みたてまつる意こころをなさしむ。 二ににはみづから勧すすめ他たを勧すすめて正しょう法ぼうを聞きくことを楽ねがはしむ。 三さんにはみづから勧すすめ他たを勧すすめて菩ぼ提だい心しんを発おこさしむ。 四しには一向いっこうに志こころざしをもつぱらにして念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうず。

又¬大樹*緊*陀羅王経ニ¼云ク、「菩薩ハ行ジテ↢四種ノ法ヲ↡常ニ不↠離レ↢仏前ヲ↡。何等ヲカ為ス↠四ト。一ニ者自ラ修シ↢善法ヲ↡兼ネテ勧メテ↢衆生ヲ↡、皆作サシム↧往生シテ見タテマツル↢如来ヲ↡意ヲ↥。二ニ者0622自ラ勧メ勧メテ↠他ヲ楽ハシム↠聞クコトヲ↢正法ヲ↡。三ニ者自ラ勧メ勧メテ↠他ヲ発サシム↢菩提心ヲ↡。四ニ者一向ニ専ニシテ↠志ヲ行ズ↢念仏三昧ヲ↡。

^この四しの行ぎょうを具ぐすれば、 一切いっさいの生しょう処じょつねに仏前ぶつぜんにありて諸仏しょぶつを離はなれず」 と。

具スレバ↢此ノ四ノ行ヲ↡、一切ノ生処常ニ在リテ↢仏前ニ↡不ト↠離レ↢諸仏ヲ↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅱ)(b)偏に第四を証す

^また ¬経きょう¼ (大樹緊陀羅王経・意) にのたまはく、 「仏ぶつ、 菩ぼ薩さつの行ぎょう法ほうを説ときたまふに、 三さん十じゅう二にの器うつわあり。 なんとなれば、 布施ふせはこれ大だい富ふの器うつわ、 忍辱にんにくはこれ端たん正じょうの器うつわ、 持じ戒かいはこれ聖しょう身しんの器うつわ、 五ご逆ぎゃく不ふ孝きょうはこれ*刀山とうせん・剣樹けんじゅ・鑊湯かくとうの器うつわ、 *発ほつ菩ぼ提だい心しんはこれ成じょう仏ぶつの器うつわ、 つねによく念仏ねんぶつして浄じょう土どに往おう生じょうするはこれ見仏けんぶつの器うつわなり」 と。

又¬経ニ¼云ク、「仏説キタマフニ↢菩薩ノ行法ヲ↡、有リ↢三十二ノ器↡。何トナレバ者布施ハ是大富ノ器、忍辱ハ是端政ノ器、持戒ハ是聖身ノ器、五逆不孝ハ是刀山・剣樹・*鑊湯ノ器、発菩提心ハ是成仏ノ器、常ニ能ク念仏シテ往↢生スルハ浄土ニ↡是見仏ノ器ナリト。」

^略りゃくして六ろく門もんを挙あげて余よは述のべず。 聖教しょうぎょうすでにしかり。 行ぎょう者じゃ生しょうぜんと願がんぜば、 なんぞつねに念仏ねんぶつせざらんや。

略シテ挙ゲテ↢六門ヲ↡余者不↠述ベ。聖教既ニ*爾リ。行者願ゼバ↠生ゼムト、何ゾ不ラム↢常ニ念仏セ↡也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅲ)念仏に結帰す

^また ¬*月灯がっとう三昧さんまい経きょう¼ によるにのたまはく、

又依ルニ↢¬月灯三昧経ニ¼↡云ク、

^「仏ぶつの相好そうごうおよび徳とく行ぎょうを念ねんじ、 よく諸根しょこんをして乱動らんどうせざらしめ、
心しんに迷惑めいわくなく法ほうと合がっして、 聞きくことを得うれば、 智ちを得うること大海だいかいのごとし。

「念ジ↢仏ノ相好及ビ徳行ヲ↡能ク使メ↣諸根ヲシテ不ラ↢乱動セ↡
心ニ无ク↢迷惑↡与↠法合シテ得レバ↠聞クコトヲ、得ルコト↠智ヲ如シ↢大海ノ↡

^智ち者しゃこの三昧さんまいに住じゅうして、 念ねんを摂せっして行ぎょうずれば、 *経行きょうぎょうのところにおいて、
よく千億せんおくのもろもろの如来にょらいを見みたてまつり、 また無む量りょう恒沙ごうじゃの仏ぶつに値あひたてまつる」 と。

智者住シテ↢於是ノ三昧ニ↡摂シテ↠念ヲ行ズレバ、於テ↢経行ノ所ニ↡
能ク見タテマツリ↢千億ノ諸ノ如来ヲ↡亦値ヒタテマツルト↢无量恒沙ノ仏ニ↡」

二 Ⅳ ⅱ c 念仏の得益を釈顕す【念仏三昧利益】
        イ 標

【025631】^第だい三さんに↑問答もんどう解げ釈しゃくして、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいに種々しゅじゅの利り益やくあることを顕あらわすに、 その五ご番ばんあり。

第三ニ問答解釈シテ、顕スニ↣念仏三昧ニ有ルコトヲ↢種種ノ利益↡、有リ↢其ノ五番↡。

二 Ⅳ ⅱ c ロ 問答
          (一)一番問答
            (Ⅰ)問

 ^第だい一いちに問とひていはく、 いま↓つねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを修しゅすといはば、 なほ余よの三昧さんまいを行ぎょうぜざるや。

第一ニ問ヒテ曰ク、今云ハバ↣常ニ修スト↢念仏三昧ヲ↡、仍ナホ不ル↠行ゼ↢余ノ三昧ヲ↡也。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)答

^答こたへていはく、 いま↑常じょう念ねんといへども、 また余よの三昧さんまいを行ぎょうぜずとはいはず。 ただ念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうずること多おおきがゆゑなり。 ゆゑに常じょう念ねんといふ。 まつたく余よの三昧さんまいを行ぎょうぜずといふにはあらず。

答ヘテ曰ク、今言ヘドモ↢常念ト↡、亦不↠言ハ↠不トハ↠行ゼ↢余ノ三昧ヲ↡。但行ズルコト↢念仏三昧ヲ↡多キガ故ナリ。故ニ言フ↢常念ト↡。非ズ↠謂フニハ↢全ク不ト↟行ゼ↢余ノ三昧ヲ↡也。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (二)二番問答
            (Ⅰ)問

 ^第だい二にに問とひていはく、 もしつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを修しゅすることを勧すすめば、 余よの三昧さんまいとよく*階降かいごうありやいなや。

▼第二ニ問ヒテ曰ク、若シ勧メバ↣常ニ修スルコトヲ↢念仏三昧ヲ↡、与↢余ノ三昧↡能ク有リヤ↢階降↡以不 イナ ヤ。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)答

^答こたへていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいの*勝しょう相そうは不可ふか思議しぎなり。 これいかんが知しる。

◆答ヘテ曰ク、念仏三昧ノ勝相ハ不可思議ナリ。此云何ガ知ル。

^▼¬*摩訶まか衍えん¼ のなかに説ときていふがごとし。 「もろもろの余よの三昧さんまい、 三昧さんまいならざるにはあらず。

如シ↢¬摩訶衍ノ¼中ニ説キテ云フガ↡。「諸ノ余ノ三0623昧、非ズ↠不ルニハ↢三昧ナラ↡。

^◆なにをもつてのゆゑに。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく貪とんを除のぞきて瞋しん痴ちを除のぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく瞋しんを除のぞきて痴ち貪とんを除のぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく痴ちを除のぞきて貪瞋とんしんを除のぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく現在げんざいの障さわりを除のぞきて過去かこ・未み来らいの一切いっさい諸しょ障しょうを除のぞくことあたはず。

何ヲ以テノ故ニ。*或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除キテ↠貪ヲ不↠能ハ↠除クコト↢瞋痴ヲ↡。或イハ有リ↢三昧↡、但*能ク除キテ↠瞋ヲ不↠能ハ↠除クコト↢痴貪ヲ↡。或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除キテ↠痴ヲ不↠能ハ↠除クコト↢貪瞋ヲ↡。或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除キテ↢現在ノ*障ヲ↡不↠能ハ↠除クコト↢過去・未来ノ一切諸障ヲ↡。

^◆もしよくつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを修しゅすれば、 現在げんざい・過去かこ・未み来らいを問とふことなく一切いっさい諸障しょしょうことごとくみな除のぞこる」 と。

若シ能ク*常ニ修スレバ↢念仏三昧ヲ↡、无ク↠問フコト↢現在・過去・未来ヲ↡一切諸障悉ク皆除コルト也。」

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)三番問答
            (Ⅰ)問

 ^0257第だい三さんに問とひていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいすでによく障さわりを除のぞき福ふくを得うること*功利くり大だいならば、 いぶかし、 またよく行ぎょう者じゃを*資し益やくして年としを延のべ寿じゅを益やくせしむやいなや。

第三ニ問ヒテ曰ク、念仏三昧既ニ能ク除キ↠障ヲ得ルコト↠福ヲ功利大ナラバ者、未審イブカシ、亦能ク資↢益シテ行者ヲ↡使ムヤ↢延ベ↠年ヲ益セ↟寿ヲ以不 イナ ヤ。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)答
              (ⅰ)直答

^答こたへていはく、 かならず得うるなり。

答ヘテ曰ク、*必ズ得ルナリ。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)引証
                (イ)惟無三昧経

^なんとなれば、 ¬*惟ゆい無む三昧さんまい経きょう¼ にのたまふがごとし。 「兄きょう弟だい二に人にんあり。 兄あには因いん果がを信しんず。 弟おとうとは信心しんじんなし、 しかもよく*相法そうほうを解さとれり。 ちなみにその鏡かがみのなかにみづから面めん上じょうを見みるに、 死し相そうすでに現げんじて七日しちにちを過すぐさじ。 時ときに智ち者しゃありて往ゆきて仏ぶつに問とはしむ。

何トナレバ者如シ↢¬惟无三昧経ニ¼云フガ↡。「有リ↢兄弟二人↡。兄ハ信ズ↢因果ヲ↡。弟ハ无シ↢信心↡、而モ能善ヨク*解レリ↢相法ヲ↡。因ニ其ノ鏡ノ中ニ自ラ見ルニ↢面上ヲ↡、死相已ニ現ジテ不↠過グサ↢七日ヲ↡。時ニ有リテ↢智*者↡往キテ問ハシム↠仏ニ。

^仏ぶつ時ときに報こたへてのたまはく、 ª七日しちにちといふは虚こならず。 もしよく一心いっしんに念仏ねんぶつし戒かいを修しゅせば、 あるいは難なんを度どすることを得えんº と。 すなはち教きょうによりて*繋け念ねんす。 時ときに六日ろくにちに至いたりてすなはち二鬼にきあり、 来きたりて耳みみにその念仏ねんぶつの声こえを聞ききてつひによく前進すすむことなし。 還かえりて閻えん羅ら王おうに告つぐ。 閻えん羅ら王おう符ふだを索もとむ。 符ふだすでに注しるしていはく、 ª持じ戒かい・念仏ねんぶつの功く徳どくによりて*第三だいさん炎天えんでんに生しょうずº」 と。

仏時ニ報ヘテ言ク、七日トイフハ不↠虚ナラ。若シ能ク一心ニ念仏シ修セバ↠戒ヲ、或イハ得ムト↠度スルコトヲ↠難ヲ。尋即 スナハ チ依リテ↠教ニ繋念ス。時ニ至リテ↢六日ニ↡即チ有リ↢二鬼↡、来リテ*耳ニ聞キテ↢其ノ念仏之声ヲ↡竟ニ无シ↢能ク*前進 スス ムコト↡。還リテ告グ↢閻羅王ニ↡。閻羅王索ム↠*符ヲ。*符已ニ*注シルシテ云ク、由リテ↢持戒・念仏ノ功徳ニ↡生ズト↢第三炎天ニ↡。」

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(ロ)譬喩経

^また ¬*譬喩ひゆ経きょう¼ のなかに、 「一いちの長ちょう者じゃあり、 罪福ざいふくを信しんぜず、 年としすでに五ご十じゅう、 たちまちに夜よる夢ゆめに見みらく、 *殺せっ鬼き符ふだを索もとめ来きたりて、 これを取とらんと欲ほっして十じゅう日にちを過すぐさじと。

又¬譬*喩経ノ¼中ニ、「有リ↢一ノ長者↡、不↠信ゼ↢*罪福ヲ↡、年已ニ五十、忽ニ*夜夢ニ見ラク、*殺鬼*索メ↠符ヲ来リテ、欲シテ↠取ラムト↠之ヲ不ト↠過グサ↢十日ヲ↡。

^その人ひと眠ねむり覚さめて*惶こう怖ふすることつねにあらず。 明あけに至いたりて*相そう師しを求覓もとめて夢ゆめを占うらなはしむ。 師し*卦け兆ちょうを作つくりていはく、 ª殺せっ鬼きあり、 かならずあひ害がいせんと欲ほっす、 十じゅう日にちを過すぐさじº と。 その人ひと惶こう怖ふする0258ことつねに倍ばいす。 仏ぶつに詣いたりて求ぐ請しょうす。

其ノ人眠リ覚メテ惶怖スルコト非ズ↠常ニ。至リテ↠明ニ求↢覓 モト メテ相師ヲ↡占ハシム↠夢ヲ。師作リテ↢卦兆ヲ↡云ク、有リ↢*殺鬼↡、必ズ欲ス↢相害セムト↡、不ト↠過グサ↢十日ヲ↡。其ノ人惶怖スルコト倍ス↠常ニ。詣イタリテ↠仏ニ求請ス。

^仏ぶつ時ときに報こたへてのたまはく、 ªもしこれを攘はらはんと欲ほっせば、 いまより以去いこ意こころをもつぱらにして念仏ねんぶつし、 戒かいを持たもち、 香こうを焼たき、 灯ともしびを燃ともし、 *繒幡ぞうばん蓋がいを懸かけ、 三宝さんぼうを*信向しんこうせば、 この死しを勉まぬかるべしº と。

仏時ニ報ヘテ云ク、若シ欲セバ↠攘ハムト↠此ヲ、従リ↠今已去専ニシテ↠意ヲ念仏シ、持チ↠戒0624ヲ、焼キ↠香ヲ、然シ↠灯ヲ、懸ケ↢繒幡蓋ヲ↡、信↢向セバ三宝ヲ↡、可シト↠*勉マヌカル↢此ノ死ヲ↡。

^すなはちこの法ほうによりて専心せんしんに信向しんこうす。 殺せっ鬼き、 門もんに到いたりて功く徳どくを修しゅするを見み、 つひに害がいすることあたはず。 鬼きすなはち走にげ去されり。 その人ひとこの功く徳どくによりて寿いのち百ひゃく年ねんを満みてて、 死しして天てんに生しょうずることを得えたり。

即チ依リテ↢此ノ法ニ↡専心ニ信向ス。*殺鬼到リテ↠門ニ見↠修スルヲ↢功徳ヲ↡、遂ニ不↠能ハ↠害スルコト。*鬼即チ走ニゲ去レリ。其ノ人縁リテ↢斯ノ功*徳ニ↡寿満テテ↢百年ヲ↡、死シテ得タリ↠生ズルコトヲ↠天ニ。

^また一いちの長者ちょうじゃあり、 名なづけて執しゅう持じといふ。 戒かいを退たいして仏ぶつに還かえし、 現げんに悪あっ鬼きのこれを打うつを被こうむる」 と。

復有リ↢一ノ長者↡、名ケテ曰フ↢執持ト↡。退シテ↠戒ヲ還シ↠仏ニ、現ニ被ルト↢悪鬼ノ打ツヲ↟之ヲ。」

二 Ⅳ ⅱ c ロ (四)四番問答
            (Ⅰ)問

 ^第だい四しに問とひていはく、 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいはただよく諸しょ障しょうを*対たい治じし、 ただ*世せ報ほうのみを招まねくや、 またよく遠とおく*出しゅっ世せの*無む上じょう菩ぼ提だいを感かんずやいなや。

第四ニ問ヒテ曰ク、此ノ念仏三昧ハ但能ク対↢治シ諸障ヲ↡、唯招クヤ↢世報ノミヲ↡、亦能ク遠ク感ズヤ↢出世ノ无上菩提ヲ↡以不 イナ ヤ。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)答

^答こたへていはく、 得うるなり。 なんとなれば、 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ の 「十じゅう地じ品ぼん」 にのたまふがごとし。 始はじめ初しょ地じよりすなはち十じゅう地じに至いたるまで一々いちいちの地じのなかにおいて、 みな*入にゅう地じの加け行ぎょう道どうと*地じ満まんの功く徳どく利りと*已不いふ住じゅう道どうとを説ときをはりて、 すなはちみな結けっしてのたまはく、 「このもろもろの菩ぼ薩さつ余よ行ぎょうを修しゅすといへども、 みな念仏ねんぶつ・念法ねんぽう・念僧ねんそうを離はなれず。 *上妙じょうみょうの楽がく具ぐをもつて三宝さんぼうを供く養ようす」 (意) と。

答ヘテ曰ク、得ルナリ。何トナレバ者如シ↢¬花厳経ノ¼「十地品ニ」云フガ↡。始メ従リ↢初地↡乃チ至ルマデ↢十地ニ↡於テ↢一一ノ地ノ中ニ↡、皆説キ↢入地ノ加行道ト地満ノ功徳利ト已不住道トヲ↡訖リテ、即チ皆結シテ云ク、「是ノ諸ノ菩薩雖モ↠修スト↢余行ヲ↡、皆不↠離レ↢念仏・念法・念僧ヲ↡上妙ノ楽具ヲモテ供↢養スト三宝ヲ↡。」

^この文もん証しょうをもつて知しることを得う。 もろもろの菩ぼ薩さつ等とう、 すなはち*上じょう地じに至いたるまで、 つねに念仏ねんぶつ・念法ねんぽう・念僧ねんそうを学がくして0259、 まさによく無む量りょうの行ぎょう願がんを成じょう就じゅして功く徳どく海かいを満みつ。 いかにいはんや二に乗じょう・凡ぼん夫ぶ、 浄じょう土どに生しょうぜんと求もとめて念仏ねんぶつを学がくせざらんや。 なにをもつてのゆゑに。 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいはすなはち一切いっさいの四し摂しょう・六ろく度どを具ぐする*通つうの行ぎょう、 *通つうの伴ばんなるがゆゑなり。

以テ↢斯ノ文証ヲ↡得↠知ルコトヲ。諸ノ菩薩等、乃チ至ルマデ↢上地ニ↡、*常ニ学シテ↢念仏・念法・念僧ヲ↡、方ニ能ク成↢就シテ无量ノ行願ヲ↡満ツ↢功徳海ヲ↡。何ニ況ヤ二乗・凡夫求メテ↠生ゼムト↢浄土ニ↡不ラム↠*学セ↢念仏ヲ↡也。何ヲ以テノ故ニ。此ノ念仏三昧ハ即チ具スル↢一切ノ四摂・六度ヲ↡通ノ行、*通ノ伴ナルガ故ナリ。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (五)五番問答
            (Ⅰ)問

 ^第だい五ごに問とひていはく、 初しょ地じ以い上じょうの菩ぼ薩さつは、 仏ぶつと同おなじく真如しんにょの理りを証しょうするをもつて仏ぶっ家けに生しょうずと名なづく。 みづからよく仏ぶつと作なりて衆しゅ生じょうを*済運さいうんす。 なんぞさらに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを学がくして仏ぶつを見みたてまつらんと願がんずるを須もちゐんや。

第五ニ問ヒテ曰ク、初地已上ノ菩薩ハ、与↠仏同ジク証スルヲモテ↢真如之理ヲ↡名ク↠生ズト↢仏家ニ↡。自ラ能ク作リテ↠仏ト済↢運ス衆生ヲ↡。何ゾ須ヰム↧更ニ学シテ↢念仏三昧ヲ↡願ズルヲ↞見タテマツラムト↠仏ヲ也。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (五)(Ⅱ)答

^答こたへていはく、 その真如しんにょを論ろんずるに、 広大こうだい無む辺へんにして虚こ空くうと等ひとし。 その量りょう知しりがたし。 たとへば一いちの大おおきなる闇室あんしつに、 もし一灯いっとう・二に灯とうを燃ともせば、 その明みょうあまねしといへども、 なほ闇やみとなすがごとし。 やうやく多た灯とうに至いたれば、 大だい明みょうと名なづくといへども、 あに日光にっこうに及およばんや。 菩ぼ薩さつの所しょ証しょうの智ちは、 *地々じじあひ望のぞむるにおのづから階降かいごうありといへども、 あに仏ぶつの日ひの明あきらかなるがごとくなるに比くらぶることを得えんや。

答ヘテ曰ク、論ズルニ↢其ノ真如ヲ↡、広大无辺ニシテ与↢虚空↡等シ。其ノ量難シ↠知リ。譬ヘバ如シ↧一ノ大ナル闇室ニ、若シ然セバ↢一灯・二灯ヲ↡、其ノ明雖モ↠遍シト、猶為スガ↞闇ト也。漸ク至レバ↢多灯ニ↡、雖モ↠名クト↢大明ト↡、豈ニ及バムヤ↢日光ニ↡。菩薩ノ所証ノ智ハ、雖0625モ↣地地相望ムルニ自ラ有リト↢階降↡、豈ニ得ム↠比ブルコトヲ↣仏ノ如クナルニ↢日ノ明カナルガ↡也。

二 Ⅴ【第五大門】
    ⅰ 標列

【32】^第だい五ご大門だいもんのなかに四し番ばんの料りょう簡けんあり。 第だい一いちに↓あまねく修道しゅどうの*延促えんそくを明あかして、 すみやかに不ふ退たいを獲えしめんと欲ほっす。 第だい二にに↓*此彼しひの禅観ぜんかん*比ひ校きょうして*往おうを勧すすむ。 第だい三さんに↓此彼しひの浄じょう穢え二に境きょう、 また*漏ろ・無漏むろと名なづけて比ひ校きょうす。 第だい四しに↓聖教しょうぎょうを引ひきて*証成しょうじょうし、 後代こうだいを勧すすめて信しんを生しょうじ往ゆくことを求もとめしむ。

第五大門ノ中ニ有リ↢四番ノ料簡↡。第一ニ汎ク明シテ↢修道ノ延促ヲ↡、欲ス↠令メムト↣速ニ獲↢不退ヲ↡。第二ニ此彼ノ禅観比*挍シテ勧ム↠*往ヲ。第三ニ此彼ノ浄穢二境、亦名ケテ↢漏・无漏ト↡比挍ス。第四ニ引キテ↢聖教ヲ↡証成シ、勧メテ↢後代ヲ↡生ジ↠信ヲ求メシム↠往クコトヲ。

二 Ⅴ ⅱ 解釈
      a【修道延促】
        イ 標

【026033】^第だい一いちに↑あまねく修道しゅどうの延促えんそくを明あかすとは、 なかにつきて二にあり。 一いちには修道しゅどうの↓延促えんそくを明あかし、 二にには↓問答もんどう解げ釈しゃくす。

第一ニ汎ク明スト↢修道ノ延促ヲ↡者、就キテ↠中ニ有リ↠二。一ニハ明シ↢修道ノ延促ヲ↡、二ニハ問答解釈ス。

二 Ⅴ ⅱ a ロ 釈
          (一)延促を明す
            (Ⅰ)歎身
              (ⅰ)堪

^一いちに↑延促えんそくを明あかすとは、 ▼ただ一切いっさい衆しゅ生じょう苦くを厭いとひて楽らくを求もとめ、 *縛ばくを畏おそれて*解げを求もとめざるはなし。 みな早はやく無む上じょう菩ぼ提だいを証しょうせんと欲ほっせば、 先まづすべからく菩ぼ提だい心しんを発おこすを首しゅとなすべし。 この心しん識しりがたく、 起おこしがたし。 たとひこの心しんを発得ほっとくすとも、 *経きょうによるに、 つひに、 すべからく十じっ種しゅの行ぎょう、 いはゆる*信しん・*進しん・*念ねん・*戒かい・*定じょう・*慧え・*捨しゃ・*護ご法ほう・*発願ほつがん・*回え向こうを修しゅして、 菩ぼ提だいに進詣しんげいすべし。

一ニ明スト↢延促ヲ↡者、但一切衆生莫シ↠不ルハ↢厭ヒテ↠苦ヲ求メ↠楽ヲ、畏レテ↠縛ヲ求メ↟解ヲ。皆欲セバ↣早ク証セムト↢无上菩提ヲ↡者、先ヅ須クシ↧発スヲ↢菩提心ヲ↡為ス↞首ト。此ノ心難ク↠識リ難シ↠起シ。縦令 タトヒ 発↢得ストモ此ノ心ヲ↡、依ルニ↠経ニ終ニ須クシ↧修シテ↢十種ノ行、謂ハユル信・進・念・戒・定・恵・捨・護法・発願・廻向ヲ↡進↦詣ス菩提ニ↥。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)不堪

^▼しかるに修道しゅどうの身み相続そうぞくして絶たえずして、 一いち万劫まんごうを経へてはじめて不ふ退たいの位くらいを証しょうす。 当今とうこんの凡ぼん夫ぶは現げんに*信想しんそう軽きょう毛もうと名なづけ、 または*仮け名みょうといひ、 または不ふ定じょう聚じゅと名なづけ、 または*外げの凡ぼん夫ぶと名なづく。 いまだ火か宅たくを出いでず。

然ルニ修道之身相続シテ不シテ↠絶エ、逕テ↢一万劫ヲ↡始テ証ス↢不退ノ位ヲ↡。当今ノ凡夫ハ現ニ名ケ↢信想軽毛ト↡、亦ハ曰ヒ↢仮名ト↡、亦ハ名ケ↢不定聚ト↡、亦ハ名ク↢外ノ凡夫ト↡。未ダ↠出デ↢火宅ヲ↡。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)経証
              (ⅰ)菩薩瓔珞経

^◆なにをもつてか知しることを得うる。 ¬*菩ぼ薩さつ瓔珞ようらく経きょう¼ によりてつぶさに*入にゅう道どう行ぎょう位いを弁べんずるに、 *法ほう爾になるがゆゑに難なん行ぎょう道どうと名なづく。

何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。拠リテ↢¬菩薩瓔珞経ニ¼↡具ニ弁ズルニ↢入道行位ヲ↡、法爾ナルガ故ニ名ク↢難行道ト↡。

^またただおもんみれば一劫いっこうのうちの受身じゅしん生しょう死じすらなほ数かぞへ知しるべからず、 いはんや一いち万劫まんごうのうちにいたづらに痛つう焼しょうを受うくるをや。 もしよくあきらかに仏ぶっ経きょうを信しんじて浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずれば、 寿いのちの長ちょう短たんに随したがひて、 *一いち形ぎょうにすなはち至いたりて位くらい不ふ退たいに階かなふ。 この修道しゅどう一いち万劫まんごうと功こうを斉ひとしくす。 もろもろの仏ぶっ子し等とう、 なんぞ思し量りょうせずして難なんを捨すてて易いを求もとめ0261ざらんや。

*又但以レバ一劫之中ノ受身生死スラ尚不↠可カラ↢数ヘ知ル↡。況ヤ一万劫ノ中ニ徒ニ受クルヲヤ↢痛焼ヲ↡。若シ能ク明カニ信ジテ↢仏経ヲ↡願ズレバ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、随ヒテ↢寿ノ長短ニ↡、一形ニ即チ至リテ位階カナフ↢不退ニ↡。与↢此ノ修道一万劫↡斉シクス↠功ヲ。諸ノ仏子等、何ゾ不シテ↢思量セ↡不ラム↢捨テテ↠難ヲ求メ↟易ヲ也。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)倶舎論

^¬*倶く舎しゃ論ろん¼ のなかにまた難なん行ぎょう・易い行ぎょうの二に種しゅの道どうを明あかすがごとし。

如シ↣¬倶舎論ノ¼中ニ亦明スガ↢難行・易行0626ノ二種之道ヲ↡。

^難なん行ぎょうとは、 ¬論ろん¼ (菩薩瓔珞経・意) に説ときていふがごとし。 「三大さんだい阿あ僧そう祇ぎ劫こうにおいて、 一々いちいちの劫こうのうちに、 みな*福ふく智ちの資し糧りょう六ろっ波羅ぱら蜜みつ一切いっさいの諸しょ行ぎょうを具ぐす。 一々いちいちの行ぎょう業ごうにみな百ひゃく万まんの難なん行ぎょうの道どうありて、 はじめて一いち位いに充みつ」 と。 これ難なん行ぎょう道どうなり。

難行ト者、如シ↢¬論ニ¼説キテ云フガ↡。「於テ↢三大阿僧祇劫ニ↡、一一ノ劫ノ中ニ、皆具ス↢福智ノ資糧六波羅蜜一切ノ諸行ヲ↡。一一ノ行業ニ皆有リテ↢百万ノ難行之道↡、始テ充ツト↢一位ニ↡。」是難行道也。

^易い行ぎょう道どうとは、 すなはちかの ¬論ろん¼ (菩薩瓔珞経・意) にいはく、 「もし別べつに方便ほうべんあるによりて解げ脱だつすることあるを易い行ぎょう道どうと名なづく」 と。

易行道ト者、即チ彼ノ¬論ニ¼云ク、「若シ由リテ↣別ニ有ルニ↢方便↡有ルヲ↢解脱スルコト↡者名クト↢易行道ト↡也。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅲ)結勧

^いますでに勧すすめて極楽ごくらくに帰きせしむ。 一切いっさいの行ぎょう業ごうことごとくかしこに回え向こうして、 ただよく専せん至しなれば、 寿いのち尽つきてかならず生しょうず。 かの国くにに生しょうずることを得うれば、 すなはち究く竟きょうして清涼しょうりょうなり。 あに易い行ぎょうの道どうと名なづけざるべけんや。 すべからくこの意こころを知しるべし。

今既ニ勧メテ帰セシム↢極楽ニ↡。一切ノ行業悉ク廻↢向シテ彼ニ↡、但能ク専至ナレバ、寿尽キテ必ズ生ズ。得レバ↠生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡、即チ究竟シテ清涼ナリ。豈ニ可ケムヤ↠不ル↠名ケ↢易行之道ト↡。須クシ↠知ル↢此ノ意ヲ↡也。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)問答
            (Ⅰ)問

 ^二にに↑問とひていはく、 すでに浄じょう土どに往おう生じょうせんと願がんずれば、 この寿いのち尽つくるに随したがひてすなはち往おう生じょうを得うといふは、 聖教しょうぎょうの証しょうありやいなや。

二ニ問ヒテ曰ク、既ニ言フ↧願ズレバ↣往↢生セムト浄土ニ↡、随ヒテ↢此ノ寿尽クルニ↡即チ得ト↦往生ヲ↥者、有リヤ↢聖教ノ証↡不ヤ。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)答
              (ⅰ)標

^答こたへていはく、 七しち番ばんあり。 みな経きょう論ろんを引ひきて証成しょうじょうせん。

答ヘテ曰ク、有リ↢七番↡。皆引キテ↢経論ヲ↡証成セム。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)引経
                (a)大経
                  (イ)正引

^一いちには ¬*大だい経きょう¼ (下・意) によるにのたまはく、 「▲仏ぶつ、 *阿あ難なんに告つげたまはく、 ªそれ衆しゅ生じょうありて、 今こん世ぜにおいて無む量りょう寿仏じゅぶつを見みたてまつらんと欲ほっせば、 無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこし功く徳どくを修しゅ行ぎょうしてかの国くにに生しょうぜんと願がんずべし。 すなはち往おう生じょうを得うるがゆゑなりº」 と。

一ニハ依ルニ↢¬大経ニ¼↡云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、其有リテ↢衆生↡、欲セバ↧於テ↢今世ニ↡見タテマツラムト↦无量寿仏ヲ↥者、応シ↧発シ↢无上菩提之心ヲ↡修↢行シテ功徳ヲ↡願ズ↞生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。即チ得ルガ↢往生ヲ↡故ナリト。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)釈引

^▼¬大だい経きょうの讃さん¼ にいはく (*讃0262阿弥陀仏偈)、

¬大経ノ讃ニ¼云ク、

^「▲もし阿あ弥陀みだの*徳号とくごうを聞ききて、 歓かん喜ぎし讃仰さんごうし、 心しん帰依きえすれば、
下しも一念いちねんに至いたるまで大だい利りを得う。 すなはち功く徳どくの宝ほうを具ぐ足そくすとなす。

「若シ聞キテ↢阿弥*陀ノ徳*号ヲ↡歓喜シ讃仰シ心帰依スレバ
下至ルマデ↢一念ニ↡得↢大利ヲ↡則チ為ス↣具↢足スト功徳ノ宝ヲ↡

^◆たとひ大千だいせん世せ界かいに満みてらん火ひをも、 またただちに過すぎて仏ぶつの名なを聞きくべし。
阿あ弥陀みだを聞きけば、 また退しりぞかず。 このゆゑに心しんを至いたして稽首けいしゅし礼らいしたてまつる」 と。

設ヒ満テラム↢大千世界ニ↡火ヲモ亦応シ↣直ニ過ギテ聞ク↢仏ノ名ヲ↡
聞ケバ↢阿弥陀ヲ↡、不↢復退カ↡是ノ故ニ至シテ↠心ヲ稽首シ礼シタテマツルト」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)観経

^二にには ¬観かん経ぎょう¼ (意) によるに、 九く品ぼんのうちにみなのたまはく、 「▲臨終りんじゅう正念しょうねんにしてすなはち往おう生じょうを得う」 と。

二ニハ依ルニ↢¬観経ニ¼↡、九品之内ニ皆言ク、「臨終正念ニシテ即チ得ト↢往生ヲ↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)起信論

^三さんには ¬*起き信しん論ろん¼ (意) によるにいはく、 「もろもろの衆しゅ生じょうを教おしへて真如しんにょ平びょう等どう*一実いちじつを観かんぜよと勧すすむ。 また*始し発ほっ意ちの菩ぼ薩さつあり、 その心しん軟なん弱にゃくにして、 みづからつねに諸仏しょぶつに値あひたてまつりて*親しん承じょう供く養ようすることあたはずと謂おもひ、 意こころ退たいせんと欲ほっするものには、 まさに知しるべし、 如来にょらいに*勝しょう方便ほうべんましまして信心しんじんを摂しょう護ごしたまふ。

三ニハ依ルニ↢¬起信論ニ¼↡云ク、「教ヘテ↢諸ノ衆生ヲ↡勧ム↠観ゼヨト↢真如平等一実ヲ↡。亦*有リ↢始発意ノ菩薩↡、其ノ心軟弱ニシテ、自ラ謂ヒ↠不ト↠能ハ↧常ニ値ヒタテマツリテ↢諸仏ニ↡親承供養スルコト↥、意欲スル↠退セムト者ニハ、当ニシ↠知ル、如来ニ有0627シテ↢勝方便↡摂↢護シタマフ信心ヲ↡。

^いはく、 意こころをもつぱらにして仏ぶつを念ねんずる因縁いんねんをもつて、 願がんに随したがひて往おう生じょうす。 つねに仏ぶつを見みたてまつるをもつてのゆゑに、 永ながく悪道あくどうを離はなる」 と。

謂ク以テ↢専ニシテ↠意ヲ念ズル↠*仏ヲ因縁ヲ↡、随ヒテ↠願ニ往生ス。以テノ↢常ニ見タテマツルヲ↟仏ヲ故ニ永ク離ルト↢悪道ヲ↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(d)鼓音陀羅尼経

^四しには ¬*鼓く音おん陀羅尼だらに経きょう¼ (意) によるにのたまはく、 「その時とき世せ尊そん、 もろもろの比丘びくに告つげたまはく、 ªわれまさになんぢがために演説えんぜつすべし。 西さい0263方ほう安楽あんらく世せ界かいにいま現げんに仏ぶつまします。 阿あ弥陀みだと号なづけたてまつる。

四ニハ依ルニ↢¬鼓音陀羅尼経ニ¼↡云ク、「爾ノ時世尊告ゲタマハク↢諸ノ比丘ニ↡、我当ニシ↢為ニ↠汝ガ演説ス↡。西方安楽世界ニ今現ニ有ス↠仏。号ナヅケタテマツル↢阿弥陀ト↡。

^もし四し衆しゅありて、 よくまさしくかの仏ぶつの名みょう号ごうを受じゅ持じし、 その心しんを堅けん固ごにして憶念おくねんして忘わすれざること十じゅう日にち十じゅう夜や、 散乱さんらんを除捨じょしゃして*精しょう勤ごんして念仏ねんぶつ三昧ざんまいを修しゅ習じゅうし、 もしよく念々ねんねんに絶たえざらしむれば、 十じゅう日にちのうちにかならずかの阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつることを得えて、 みな往おう生じょうを得うº」 と。

若シ有リテ↢四衆↡、能ク正シク受↢持シ彼ノ仏ノ名号ヲ↡、堅↢固ニシテ其ノ心ヲ↡憶念シテ不ルコト↠*忘レ十日十夜、除↢*捨シテ散乱ヲ↡精懃シテ修↢習シ念仏三昧ヲ↡、若シ能ク令ムレバ↢念念ニ不ラ↟絶エ、十日之中ニ必ズ得テ↠見タテマツルコトヲ↢彼ノ阿弥陀仏ヲ↡、*皆得ト↢往生ヲ↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(e)法鼓経

^五ごには ▼¬*法ほっ鼓く経きょう¼ によるにのたまはく、 「もし人ひと臨りん終じゅうの時ときに念ねんをなすことあたはざれども、 ただかの方ほうに仏ぶつましますと知しりて往おう生じょうの意こころをなせば、 また往おう生じょうを得う」 と。

五ニハ依ルニ↢¬法鼓経ニ¼↡云ク、「若シ人臨終之時ニ不レドモ↠能ハ↠作スコト↠念ヲ、但知リテ↢彼ノ方ニ有スト↟仏作セバ↢往生ノ意ヲ↡、亦得ト↢往生ヲ↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(f)十方随願往生経

^六には ¬*十方じっぽう随願ずいがん往おう生じょう経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「もし終おわりに臨のぞみ死しに及およびて地じ獄ごくに堕だすることあらんに、 家いえのうちの眷属けんぞくその亡者もうじゃのために念仏ねんぶつしおよび*転誦てんじゅし*斎福さいふくすれば、 亡者もうじゃすなはち地じ獄ごくより出いでて浄じょう土どに往おう生じょうす。 いはんやその現在げんざいにみづからよく修念しゅねんせば、 なにをもつてか往おう生じょうすることを得えざるものあらんや」 と。

六ニハ如シ↢¬十方随願往生経ニ¼云フガ↡。「若シ有ラムニ↣臨ミ↠終ニ及ビテ↠死ニ*堕スルコト↢地獄ニ↡、家ノ内ノ眷属為ニ↢其ノ*亡者ノ↡念仏シ及ビ転誦シ斎福スレバ、亡者則チ出デテ↢地獄ヨリ↡往↢生ス浄土ニ↡。況ヤ其ノ現在ニ自ラ能ク修念セバ、何ヲ以テカ不ル↠得↢往生スルコトヲ↡者アラム也ト。」

^このゆゑにかの ¬経きょう¼ (十方随願往生経・意) にのたまはく、 「現在げんざいの眷属けんぞく、 亡者もうじゃのために*追福ついふくすれば、 遠人おんにんに餉かれいするにさだめて食じきを得うるがごとし」 と。

是ノ故ニ彼ノ¬経ニ¼云ク、「現在ノ眷属為ニ↢亡者ノ↡追福スレバ、如シト↧餉カレイスルニ↢遠人ニ↡定メテ得ルガ↞食ヲ也。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)諸経
                  (イ)大法鼓経

^第だい七しちには広ひろく諸しょ経きょうを引ひきて証成しょうじょうす。 ^¬*大だい法ほっ鼓く経きょう¼ に説ときたまふがごとし。 「もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんつねによく意こころを繋かけて諸仏しょぶつの名みょう号ごうを称しょう念ねんすれば、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ、 一切いっさいの*賢げん聖じょうつねにこの人ひとを見みること目めの前まえに0264現げんずるがごとし。 このゆゑにこの経きょうを大だい法ほっ鼓くと名なづく。 まさに知しるべし、 この人ひとは十方じっぽう浄じょう土どに願がんに随したがひて往おう生じょうす」 と。

第七ニハ広ク引キテ↢諸経ヲ↡証成ス。如シ↢¬大法鼓経ニ¼説キタマフガ↡。「若シ善男子・善女人常ニ能ク繋ケテ↠意ヲ称↢念スレバ諸仏ノ名号ヲ↡者、十方ノ諸仏・一切ノ賢聖常ニ見ルコト↢此ノ人ヲ↡如シ↠現ズルガ↢*目ノ前ニ↡。是ノ故ニ此ノ経ヲ名ク↢大法鼓ト↡。当ニシ↠知ル、此ノ人ハ十方浄土ニ随ヒテ↠願ニ往生スト。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ロ)大悲経

^また ▼¬*大だい悲ひ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「なにをか名なづけて大だい悲ひとなす。 もしもつぱら念仏ねんぶつ相続そうぞくして断たえざるものは、 その命終みょうじゅうに随したがひてさだめて安楽あんらくに生しょうず。 もしよく*展転てんでんしてあひ勧すすめて念仏ねんぶつを行ぎょうずるものは、 まさに知しるべし、 これらをことごとく大だい悲ひを行ぎょうずる人ひとと名なづく」 と。

又¬大悲経ニ¼云ク、「何ヲカ名ケテ為ス↢大悲ト↡。若シ専ラ念仏相続シテ不ル↠断エ者ハ、随ヒテ↢其ノ命終ニ↡定メテ生ズ↢安楽ニ↡。若0628シ能ク展転シテ相勧メテ行ズル↢念仏ヲ↡者ハ、当ニシ↠知ル、此等ヲ悉ク名クト↧行ズル↢大悲ヲ↡人ト↥也。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ハ)涅槃経

^このゆゑに ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「仏ぶつ、 大王だいおうに告つげたまはく、 ªたとひ大だい庫く蔵ぞうを開ひらきて一月ひとつきのうちに一切いっさい衆しゅ生じょうに布施ふせすとも、 所得しょとくの功く徳どく、 人ひとありて仏ぶつを称しょうする一いっ口くの功く徳どくにしかず。 前まえに過すぎたること*校量きょうりょうすべからずº」 と。

是ノ故ニ¬涅槃経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢大王ニ↡、仮令 タトヒ 開キテ↢大庫蔵ヲ↡一月之中ニ布↢施ストモ一切衆生ニ↡、所得ノ功徳、不↠如カ↢有リテ↠人称スル↠*仏ヲ一口ノ功徳ニ↡。過ギタルコト↠前ニ不ト↠可カラ↢挍量ス↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ニ)増一阿含経

^また ¬*増一ぞういつ阿あ含ごん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªそれ衆しゅ生じょうありて、 一いち閻えん浮ぶ提だいの人ひとに衣え服ぶく・飲食おんじき・臥具がぐ・湯薬とうやくを供く養ようせんに、 所得しょとくの功く徳どく、 むしろ多おおしとなすやいなやº と。 阿あ難なん、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 はなはだ多おおしはなはだ多おおし、 数かぞへ量はかるべからずº と。

又¬増一阿含経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡其有リテ↢衆生↡、供↢養セムニ一閻浮提ノ人ニ衣服・飲食・臥具・湯薬ヲ↡、所得ノ功徳、寧ロ為スヤ↠多シト不ヤト。阿難白シテ↠仏ニ言ク、世尊、甚ダ多シ甚ダ多シ、不ト↠可カラ↢数ヘ量ル↡。

^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªもし衆しゅ生じょうありて善心ぜんしん相続そうぞくして仏ぶつの名みょう号ごうを称しょうすること、 一ひとたび牛ご乳にゅうを搆しぼるあひだのごとくせんに、 所得しょとくの功く徳どく上うえに過すぎたること量はかるべからず。 よく量はかるものあることなしº」 と。

仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若シ有リテ↢衆生↡善心相続シテ称スルコト↢仏ノ名号ヲ↡、如クセムニ↧一タビ搆シボル↢牛乳ヲ↡*項アヒダノ↥、所*得ノ功徳過ギタルコト↠上ニ不↠可カラ↠量ル。无シト↠有ルコト↢能ク量ル者↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ホ)大品経

^¬*大品だいぼん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「もし人ひと*散心さんしん念仏ねんぶつすれば、 す0265なはち苦くを畢おわるに至いたるまでその福ふく尽つきず。 もし人ひと散さん華げ念仏ねんぶつすれば、 すなはち苦くを畢おわるに至いたるまでその福ふく尽つきず」 と。

¬大品経ニ¼云ク、「若シ人散心念仏スレバ、乃チ至ルマデ↠畢ルニ↠苦ヲ其ノ福不↠尽キ。若シ人散花念仏スレバ、乃チ至ルマデ↠畢ルニ↠苦ヲ其ノ福不ト↠尽キ。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)結

^ゆゑに知しりぬ、 念仏ねんぶつの利り、 大だいなること不可ふか思議しぎなり。 ¬*十じゅう往おう生経じょうきょう¼、 諸しょ大だい乗じょう経きょう等とう、 ならびに文もん証しょうあり、 つぶさに引ひくべからず。

故ニ知リヌ念仏ノ利大ナルコト不可思議也。¬十往生経¼、諸大乗経等、並ニ有リ↢文証↡、不↠可カラ↢具ニ引ク↡也。

二 Ⅴ ⅱ b【禅観難易】
        イ 標

【34】^第だい二にに次つぎに↑此彼しひの禅観ぜんかん比ひ校きょうして往おう生じょうを勧すすむることを明あかすとは、

第二ニ次ニ明スト↣此彼ノ禅観比挍シテ勧ムルコトヲ↢往生ヲ↡者、

二 Ⅴ ⅱ b ロ 釈
          (一)穢境禅定の劣
            (Ⅰ)乱想

^ただこの方ほうは穢え境きょうにして、 乱想らんそうありて入いりがたし。

但此ノ方ハ穢境ニシテ、乱想アリテ難シ↠入リ。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)味染

^たとひ修得しゅとくするも、 ただ*事じ定じょうを獲えて多おおく*味み染ぜんを喜よろこぶ。

*就令 タトヒ 修得スルモ、唯獲テ↢事定ヲ↡多ク憙ブ↢味染ヲ↡。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (一)(Ⅲ)退転

^またただよく*業報ごうほうの生しょうを伏ぶくし、 *上じょう界かいの寿いのち尽つきぬれば多おおく退たいす。

又復但能ク伏シ↢業報ノ生ヲ↡、上界ノ寿尽キヌレバ多ク退ス。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (一)(Ⅳ)引論

^このゆゑに ¬智度ちど論ろん¼ にいはく、

是ノ故ニ¬智度論ニ¼云ク、

^「多た聞もんと持じ戒かいと禅ぜんとは、 いまだ無漏むろ法ほうを得えざれば、
この功く徳どくありといへども、 この事じいまだ信たのむべからず」 と。

「多聞ト持戒ト禅トハ未ダレバ↠得↢无漏法ヲ↡
雖モ↠有リト↢此ノ功徳↡是ノ事未ダト↠可カラ↠信タノム」

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)西方定観の勝

^もし西にしに向むかひて修しゅ習じゅうせんと欲ほっせば、 *事じ境きょう光こう浄じょうにして、 *定じょう観かん成じょうじやすし。 罪つみを除のぞくこと多た劫こうにして、 永ながく定さだまりすみやかに進すすみて究く竟きょうして清涼しょうりょうなり。 ¬大だい経きょう¼ に広ひろく説ときたまふがごとし。

若シ欲セバ↢向ヒテ↠西ニ修習セムト↡、事境光浄ニシテ*定観易シ↠成ジ。除クコト↠罪ヲ多劫ニシテ、永ク定リ速ニ進ミテ究竟0629シテ清涼ナリ。如シ↢¬大経ニ¼広ク説キタマフガ↡。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (三)此界色天との比校
            (Ⅰ)問

 ^問とひていはく、 もし西方さいほうの境きょう界がい勝しょうにして禅ぜん定じょうをなして感かんずべくは、 この界さかいの*色天しきてんは弱よわくして禅ぜん定じょうをなして招まねくべからざるや。

問ヒテ曰ク、若シ西方ノ境界勝ニシテ可クハ↧為シテ↢禅定ヲ↡感ズ↥、此ノ界ノ色天ハ*弱クシテ不ルヤ↠応カラ↧為シテ↢禅定ヲ↡招ク↥。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)答
              (ⅰ)因の該通

^答こたへていはく、 もし修しゅ定じょうの因いん0266を論ろんぜば、 *彼此ひしに該通がいつうす。

答ヘテ曰ク、若シ論ゼバ↢修定ノ因ヲ↡、該↢通ス於彼此ニ↡。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)西方果の勝

^しかるにかの界さかいは位くらいこれ不ふ退たいにして、 ならびに▲他た力りきの持たもつあり。 このゆゑに説ときて勝しょうとなす。

然ルニ彼ノ界ハ位是不退ニシテ并ニ有リ↢他力ノ持ツ↡。是ノ故ニ説キテ為ス↠勝ト。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)色天果の劣

^この所ところはまた定じょうを修しゅするに剋こくすといへども、 ただ*自じ分ぶんの因いんのみありて、 闕かけて他た力りきの摂せっすることなし。 業ごう尽つくれば、 退たいすることを勉まぬかれず。 これにつきてしかずと説とく。

此ノ*所ハ雖モ↢復修スルニ↠定ヲ剋スト↡、但有リテ↢自分ノ因ノミ↡、闕ケテ无シ↢他力ノ摂スルコト↡。*業尽クレバ、不↠*勉マヌカレ↠退スルコトヲ。就キテ↠此ニ説ク↠不ト↠如カ。

二 Ⅴ ⅱ c【此彼浄穢】
        イ 標

【35】^第だい三さんに↑此彼しひの浄じょう穢え二に境きょうをまた漏ろ・無漏むろと名なづくるによるとは、

第三ニ拠ルト↣此彼浄穢ノ二境ヲ亦名クルニ↢漏・无漏ト↡者、

二 Ⅴ ⅱ c ロ 釈
          (一)此土有漏相

^もしこの処ところの境きょう界がいを論ろんずれば、 ただ三さん塗ず・丘く坑きょう・山澗せんけん・沙しゃ鹵る・蕀こく刺し・水旱すいがん・暴風ぼうふう・悪触あくそく・雷電らいでん・礰へきれき・虎こ狼ろう・毒どく獣じゅう・悪賊あくぞく・悪あく子し・荒乱こうらん・破は散さん・三災さんさい・敗はい壊えあり。

若シ論ズレバ↢此ノ処ノ境界ヲ↡、唯有リ↢三塗・丘坑・山澗・沙鹵・*蕀刺・水*旱・暴風・悪触・雷電・礰・虎狼・毒獣・*悪賊・悪子・荒乱・破散・三災・敗壊↡。

^正しょう報ぼうを語かたり論ろんずれば、 三毒さんどく・八倒はっとう・憂悲うひ・嫉しっ妬と・多た病びょう・短たん命みょう・飢き渇かつ・寒熱かんねつあり。 つねに*伺し命みょう害がい鬼きの追逐ついちくするところとなる。 深ふかく穢え悪あくすべし。 つぶさに説とくべからず。 ゆゑに有漏うろと名なづく。 深ふかく厭いとふべし。

語リ↢論ズレバ正報ヲ↡、三毒・八倒・憂悲・嫉妬・多病・短命・飢渇・寒熱アリ。常ニ為ル↣*伺命害鬼之所ト↢追逐スル↡。深ク可シ↢穢悪ス↡。不↠可カラ↢具ニ説ク↡。故ニ名ク↢有漏ト↡。深ク可シ↠厭フ也。

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)彼土無漏相
            (Ⅰ)総讃

^かの国くにに往おう生じょうするは勝しょうなりとは、 ¬大だい経きょう¼ (意) によるにのたまはく、 「▽十方じっぽうの人天にんでんただかの国くにに生しょうずれば、 みな種々しゅじゅの利り益やくを獲えざるはなし」 と。

往↢生スルハ彼ノ国ニ↡勝ナリト者、拠ルニ↢¬大経ニ¼↡云ク、「十方ノ人天但生ズレバ↢彼ノ国ニ↡者、莫シト↠不ルハ↣皆獲↢種種ノ利益ヲ↡也。」

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)受楽

^なんとなれば、 一ひとたびかの国くにに生しょうずれば、 行ゆけばすなはち金蓮こんれん足あしを捧ささげ、 坐ざすればすなはち宝ほう座ざ躯みを承うけ、 出いづればすなはち帝たい釈しゃく前まえにあり、 入いればすなはち梵王ぼんのう後しりえに従したがふ。 一切いっさいの聖しょう衆じゅはわれと親朋しんぼうなり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつはわが大だい師したり。 宝樹ほうじゅ・宝林ほうりんの下したには意こころに任まかせて*翺こう翔しょうし、 *八はっ徳とくの池いけのな0267かには*神じんを遊あそばせ足あしを濯そそぐ。 形かたちはすなはち身み金色こんじきに同おなじく、 寿いのちはすなはち命いのち仏ぶつと斉ひとし。

何トナレバ者一タビ生ズレバ↢彼ノ国ニ↡者、行ケバ則チ金蓮捧ゲ↠足ヲ、坐スレバ則チ宝座承ケ↠躯ヲ、出ヅレバ則チ帝釈在リ↠前ニ、入レバ則チ梵王従フ↠後ニ。一切ノ聖衆ハ与↠我親朋ナリ。阿弥陀仏ハ為リ↢我ガ大師↡。宝樹・宝林之下ニハ任セテ↠意ニ翺翔シ、八徳ノ池ノ中ニハ遊バセ↠神ヲ濯グ↠足ヲ。形ハ則チ身同ジク↢金色ニ↡、寿ハ則チ命与↠仏斉シ。

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)(Ⅲ)行楽

^学がくすればすなはち衆門しゅもん並ならび進すすみ、 止とどまればすなはち*二に諦たい虚こ融ゆうす。 十方じっぽうに*済運さいうんすればすなはち大だい神通じんずうに乗じょうじ、 *晏えん安あんすれば暫ざん時じにすなはち*三さん空門くうもんに坐ざす。 遊あそべばすなはち*八はっ正しょうの路ろに入いり、 至いたればすなはち*大だい涅ね槃はんに到いたる。

学スレバ則チ衆門*並ビ進ミ、止レバ則チ二諦虚融ス。十方ニ済運スレバ則チ乗ジ↢大神通ニ↡、晏安スレバ暫時ニ則チ坐ス↢三空門ニ↡。遊ベバ則チ入リ↢八正之路ニ↡、至レバ則0630チ到ル↢大涅*槃ニ↡。

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)(Ⅳ)結勧

^一切いっさい衆しゅ生じょうただかの国くにに至いたれば、 みなこの益やくを証しょうす。 なんぞ思し量りょうせずしてすみやかに去ゆかざらんや。

一切衆生但至レバ↢彼ノ国ニ↡者、皆証ス↢此ノ益ヲ↡。何ゾ不シテ↢思量セ↡不ラム↢速ニ去カ↡也。

二 Ⅴ ⅱ d【引証勧信】
        イ 標

【36】^第だい四しに↑聖教しょうぎょうを引ひきて証成しょうじょうし、 後代こうだいを勧すすめて信しんを生しょうじ往ゆくことを求ぐ願がんせしむとは、

第四ニ引キテ↢聖教ヲ↡証成シ、勧メテ↢後代ヲ↡生ジ↠信ヲ求↢願セシムト往クコトヲ↡者、

二 Ⅴ ⅱ d ロ 釈
          (一)生信

^¬*観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ (意) によるにのたまはく、 「▼その時とき*会え中ちゅうに十方じっぽう諸仏しょぶつましまして、 おのおの*華け台だいのなかにおいて*結けっ跏か趺坐ふざして空くう中ちゅうに現げんじたまふ。 東方とうぼうの善徳ぜんとく如来にょらいを首しゅとなして、 大衆だいしゅに告つげてのたまはく、 ªなんぢらまさに知しるべし、 われ過去かこ無む量りょう世せの時ときを念おもふに、 仏ぶつましましき、 宝ほう威い徳とく上じょう王おうと名なづけたてまつる。 かの仏ぶつ出いでたまふ時とき、 また今日こんにちのごとく三さん乗じょうの法ほうを説ときたまふ。

依ルニ↢¬観仏三昧経ニ¼↡云ク、「爾ノ時会中ニ有シテ↢十方諸仏↡、各ノ於テ↢花台ノ中ニ↡結跏趺坐シテ於テ↢空中ニ↡現ジタマフ。東方ノ善徳如来ヲ為シテ↠首ト、告ゲテ↢大衆ニ↡言ク、汝等当ニシ↠知ル、我念フニ↢過去无量世ノ時ヲ↡、有シキ↠仏名ケタテマツル↢宝威徳上王ト↡。彼ノ仏出デタマフ時、亦如ク↢今日ノ↡説キタマフ↢三乗ノ法ヲ↡。

^かの仏ぶつの滅めつ後ご末まつ世せのなかに一いちの比丘びくありて、 弟子でし九く人にんを将いて*仏塔ぶっとうに往詣おうげいして仏像ぶつぞうを礼拝らいはいするに、 一いちの宝像ほうぞうの厳顕ごんけんにして観かんずべきを見みる。 観かんじをはりて敬きょう礼らいして、 目めにあきらかにこれを観かんず。 おのおの一いち偈げを説ときて、 もつて讃歎さんだんをなす。 寿いのちの*修しゅ0268短たんに随したがひて各かく自じに命終みょうじゅうす。 すでに命終みょうじゅうしをはりてすなはち仏前ぶつぜんに生しょうず。

彼ノ仏ノ滅後*末世之中ニ有リテ↢一ノ比丘↡、将ヰテ↢弟子九人ヲ↡往↢詣シテ仏塔ニ↡礼↢拝スルニ仏像ヲ↡、見ル↢一ノ宝像ノ厳顕ニシテ可キヲ↟観ズ。観ジ已リテ敬礼シテ、目ニ諦ニ観ズ↠之ヲ。各ノ説キテ↢一偈ヲ↡、用テ為ス↢讃歎ヲ↡。随ヒテ↢寿ノ修短ニ↡各自ニ命終ス。*既ニ命終シ已リテ即チ生ズ↢仏前ニ↡。

^これより以後いごつねに無む量りょうの諸仏しょぶつに値ち遇ぐうすることを得えて、 諸仏しょぶつの所みもとにおいて広ひろく*梵ぼん行ぎょうを修しゅして念仏ねんぶつ三昧ざんまい海かいを得う。 すでにこれを得えをはりて諸仏しょぶつ現前げんぜんにすなはち授じゅ記きを与あたへたまふ。 十方じっぽうの面めんにおいて意こころに随したがひて仏ぶつと作なる。

従リ↠此已後恒ニ得テ↣値↢遇スルコトヲ无量ノ諸仏ニ↡、於テ↢諸仏ノ所ニ↡広ク修シテ↢梵行ヲ↡得↢念仏三昧海ヲ↡。*既ニ得↠此ヲ已リテ諸仏現前ニ即チ与ヘタマフ↢授記ヲ↡。*於テ↢十方ノ面ニ↡随ヒテ↠意ニ作ル↠仏ト。

^東方とうぼうの善徳ぜんとく仏ぶつとはすなはちわが身みこれなり。 *自余じよの九く方ほうの諸仏しょぶつはすなはちこれ本昔むかしの弟子でし九く人にんこれなり。 十じゅう仏ぶつ世せ尊そんは塔とうを礼らいし、 一いち偈げをもつて讃さんずるによるがゆゑに仏ぶつとなることを得えたり。 あに異人ことひとならんや、 われら十方じっぽうの仏ぶつこれなりº と。

東方ノ善徳仏ト者即チ我ガ身是ナリ。自余ノ九方ノ諸仏者即チ是本昔ノ弟子九人是ナリ。*十仏世尊ハ因↢ヨ由ルガ礼シ↠塔ヲ一偈ヲモテ讃ズルニ↡故ニ得タリ↣成↢ナ為ルコトヲ仏ト↡。豈ニ異人ナラム乎、我等十方ノ仏是ナリト。

二 Ⅴ ⅱ d ロ (二)願往(念仏三昧を勧む)

^この時とき十方じっぽうの諸仏しょぶつ空くうより下くだりて千せんの光こう明みょうを放はなち、 色身しきしん*白びゃく毫相ごうそうの光ひかりを顕現けんげんして、 おのおのみな釈しゃ迦か仏ぶつの床ゆかに坐ざす。 阿あ難なんに告つげてのたまはく、 ªなんぢ知しるや、 *釈しゃ迦か文もん仏ぶつは無む数しゅの精しょう進じん、 百ひゃく千せんの苦く行ぎょうをもつて仏ぶつの智慧ちえを求もとめてこの身みを報得ほうとくしたまへり。 いまなんぢがために説ときたまふ。 なんぢ仏ぶつ語ごを持たもちて、 未み来らい世せの天てん・竜りゅう・大衆だいしゅ・*四し部ぶの弟子でしのために、 観仏かんぶつ相好そうごうおよび念仏ねんぶつ三昧ざんまいを説とくべしº と。

是ノ時十方ノ諸仏従リ↠空而下リテ放チ↢千ノ光明ヲ↡、顕↢現シテ色身白*豪相ノ光ヲ↡、各各皆坐ス↢釈迦仏ノ床ニ↡。告ゲテ↢阿難ニ↡言ク、*汝知ルヤ、釈迦文仏ハ无数ノ精進、百0631千ノ苦行ヲモテ求メテ↢仏ノ智*慧ヲ↡報↢得シタマヘリ是ノ身ヲ↡。今為ニ↠汝ガ説キタマフ。汝持チテ↢仏語ヲ↡、為ニ↢未来世ノ天・竜・大衆・四部ノ弟子ノ↡、説クベシト↢観仏相好及ビ念仏三昧ヲ↡。

^この語ごを説ときをはりて、 しかる後のちに釈しゃ迦か文もん仏ぶつに問訊もんじんす。 問訊もんじんしをはりておのおの本国ほんごくに還かえりたまへり」 と。

説キ↢是ノ語ヲ↡已リテ、然ル後ニ問↢訊ス釈迦文仏ニ↡。問訊シ訖已 ヲハ リテ各ノ還リタマフト↢本国ニ↡。」

二 Ⅵ【第六大門】
    ⅰ 標列

【37】^第だい六ろく大門だいもんのなかに三番さんばんの料りょう簡けんあり。 第だい一いちに↓十方じっぽう浄じょう土どともに来きたして比ひ校きょうす。 第だい0269二にに↓*義ぎ推すいす。 第だい三さんに↓経きょうの住じゅう滅めつを弁べんず。

第六大門ノ中ニ有リ↢三番ノ料簡↡。第一ニ十方浄土共ニ来シテ比挍ス。第二ニ義推ス。第三ニ弁ズ↢経ノ住滅ヲ↡。

二 Ⅵ ⅱ 解釈
      a【十方西方比校】
        イ 標

【38】^第だい一いちに↑十方じっぽう浄じょう土どともに来きたして比ひ校きょうすとは、 その三番さんばんあり。

第一ニ十方浄土共ニ来シテ比挍スト者、有リ↢其ノ三番↡。

二 Ⅵ ⅱ a ロ 釈
          (一)娑婆有縁

^一いちには ¬*随願ずいがん往おう生じょう経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「十方じっぽう仏国ぶっこくみなことごとく厳ごん浄じょうなり。 願がんに随したがひてならびに往おう生じょうを得う。 しかりといへども、 ことごとく西方さいほうの無む量りょう寿じゅ国こくにはしかず。 なんの意こころをもつてか、 かくのごとくなる。 ただ阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 観音かんのん・大勢だいせい至しと先さきに*発心ほっしんしたまひし時とき、 *この界さかいより去さりたまへり。 この衆しゅ生じょうにおいてひとへにこれ縁えんあり。 このゆゑに釈しゃ迦か処々しょしょに*歎たん帰きしたまふ」 と。

一ニハ如シ↢¬随願往生経ニ¼云フガ↡。「十方仏国皆悉ク厳浄ナリ。*随ヒテ↠願ニ並ニ得↢往生ヲ↡。雖モ↠然リト悉ク不↠如カ↢西方ノ无量寿国ニハ↡。何ノ意ヲモテカ如クナル↠此クノ。但阿弥陀*仏与↢観音・大勢*至↡先ニ発心シタマヒシ時、従リ↢此ノ界↡去リタマヘリ。於テ↢此ノ衆生ニ↡偏ニ是有リ↠縁。是ノ故ニ釈迦処処ニ歎帰シタマフト。」

二 Ⅵ ⅱ a ロ (二)法蔵願取

^二にには ¬大だい経きょう¼ (上・意) によるに、 「▲*法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ*因いん中ちゅうに*世せ饒にょう王おう仏ぶつの所みもとにおいて、 つぶさに*弘ぐ願がんを発おこしてもろもろの浄じょう土どを取とりたまふ。 ▲時ときに仏ぶつ、 ために二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつ*刹せつ土どの天てん・人にんの善悪ぜんあく、 国こく土どの*精しょう粗そを説ときて、 ことごとく現げんじてこれを与あたへたまふ。 ◆時ときに法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ願がんじて西方さいほうを取とりて▲成じょう仏ぶつしたまひ、 いま現げんにかしこにまします」 と。 これ二にの証しょうなり。

二ニハ拠ルニ↢¬大経ニ¼↡、「法蔵菩薩因中ニ於テ↢世饒王仏ノ所ニ↡、具ニ発シテ↢弘願ヲ↡取リタマフ↢諸ノ浄土ヲ↡。時ニ仏為ニ説キテ↢二百一十億ノ諸仏刹土ノ天・人ノ善悪、国土ノ精麁ヲ↡、悉ク現ジテ与ヘタマフ↠之ヲ。於テ↠時ニ法蔵菩薩願ジテ取リテ↢西方ヲ↡成仏シタマヒ、*今現ニ在スト↠彼ニ。」是二ノ証也。

二 Ⅵ ⅱ a ロ (三)偉大請楽

^三さんにはこの ¬観かん経ぎょう¼ (意) のなかによるに、 「▲*韋い提だい夫ぶ人にんまた浄じょう土どを請こふ。 ◆如来にょらい (釈尊) 光台こうだいにために十方じっぽう一切いっさいの浄じょう土どを現げんじたまふ。 ▲韋い提だい夫ぶ人にん、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ªこの諸仏しょぶつの土どまた清浄しょうじょうにしてみな光こう明みょうありといへども、 ◆われいま極楽ごくらく世せ界かいの阿あ弥陀みだ仏ぶつの所みもとに生しょうぜんと楽ねがふº」 と。 これその三さん0270の証しょうなり。

三ニハ依ルニ↢*此ノ¬観経ノ¼中ニ↡、「韋提夫人復*請フ↢浄土ヲ↡。如来光*台ニ為ニ現ジタマフ↢十方*一切ノ浄土ヲ↡。韋提夫人白シテ↠仏ニ言ク、此ノ諸仏ノ土雖モ↣復清浄ニシテ皆有リト↢光明↡、我今楽フト↠生ゼムト↢極楽世界ノ阿弥陀仏ノ所ニ↡。」是其ノ三0632ノ証ナリ。

二 Ⅵ ⅱ a ハ 結

^ゆゑに知しりぬ、 もろもろの浄じょう土どのなかに安楽あんらく世せ界かいは最さい勝しょうなり。

故ニ知リヌ諸ノ浄土ノ中ニ安楽*世界ハ最勝也。

二 Ⅵ ⅱ b【義推】
        イ 標

【39】^第だい二にに↑義ぎ推すいすとは、

第二ニ義推スト者、

二 Ⅵ ⅱ b ロ 問答
          (一)問

^問とひていはく、 なんがゆゑぞかならず面おもてを西にしに向むかへて坐ざして*礼らい・念ねん・観かんするを須もちゐる。

問ヒテ曰ク、何ガ故ゾ要ズ須ヰル↢面ヲ向ヘテ↠西ニ坐シテ礼念観スルヲ↡者。

二 Ⅵ ⅱ b ロ (二)答
            (Ⅰ)正答

^答こたへていはく、 閻えん浮ぶ提だいには、 日ひの出いづる処ところを生しょうと名なづけ、 没もっする処ところを死しと名なづくといふをもつて、 死地しじによるに*神じん明みょうの趣しゅ入にゅうその相そう*助便じょべんなり。 このゆゑに法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ願がんじて成じょう仏ぶつし、 西にしにありて衆しゅ生じょうを*悲ひ接しょうしたまふ。 坐ざして観かん・礼らい・念ねん等とうによるに、 面おもてを仏ぶつに向むかふるはこれ世よの礼れい儀ぎに随したがふ。

答ヘテ曰ク、以テ↣閻浮提ニハ云フヲ↢日ノ出ヅル処ヲ名ケ↠生ト、没スル処ヲ名クト↟死ト、藉ルニ↢於死地ニ↡神明ノ趣入*其ノ相助便ナリ。是ノ故ニ法蔵菩薩願ジテ成仏シ、在リテ↠西ニ悲↢接シタマフ衆生ヲ↡。由ルニ↢*坐シテ観礼念等ニ↡、面ヲ向フル↠仏ニ者是随フ↢世ノ礼儀ニ↡。

^もしこれ聖しょう人にんならば、 飛ひ報ほう自じ在ざいなることを得えて*方所ほうしょを弁べんぜず。 ただ凡ぼん夫ぶの人ひとは身心しんしんあひ随したがふ。 もし余よ方ほうに向むかはば、 西にしに往ゆくことかならず難かたからん。

若シ是聖人ナラバ、得テ↢飛報自在ナルコトヲ↡不↠辨ゼ↢方所ヲ↡。但凡夫之人ハ身心相随フ。若シ向ハバ↢余方ニ↡、西ニ往クコト必ズ難カラム。

二 Ⅵ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)智度論

^このゆゑに ¬智度ちど論ろん¼ (意) にいはく、 「一いちの比丘びくあり、 康存こうぞんの日ひ ¬*阿あ弥陀みだ経きょう¼ を誦じゅし、 および般若はんにゃ波羅はら蜜みつを念ねんじ、 命終みょうじゅうに臨のぞみて弟子でしに告つげていはく、 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 もろもろの聖しょう衆じゅといまわが前まえにましますº と。 合がっ掌しょう帰依きえして須しゅ臾ゆに捨しゃ命みょうす。

是ノ故ニ¬智度論ニ¼云ク、「有リ↢一ノ比丘↡、康存之日誦シ↢¬阿弥*陀経ヲ¼↡、及ビ念ジ↢般若波羅蜜ヲ↡、臨ミテ↢命*終ニ↡告ゲテ↢弟子ニ↡言ク、阿弥陀仏与↢諸ノ聖衆↡今在スト↢我ガ前ニ↡。合掌帰依シテ須臾ニ捨命ス。

^ここにおいて弟子でし火か葬そうの法ほうによりて火ひをもつて屍かばねを焚やくに、 一切いっさい焼やき尽つくれども、 ただ舌根ぜっこんの一種いっしゅありて本もとと異いせず。 つひにすなはち収おさめ取とりて塔とうを起たてて供く養ようす」 と。

於テ↠是ニ弟子依リテ↢火葬ノ法ニ↡以テ↠火ヲ焚クニ↠屍ヲ、一切焼キ尽クレドモ、唯有リテ↢舌根ノ一種↡与↠本不↠異セ。遂ニ即チ収メ取リテ起テテ↠塔ヲ供養スト。」

^*龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ釈しゃくしていはく (大智度論・意)、 「¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ を誦じゅするがゆゑに、 ここをもつて終おわりに垂なんなんとするに、 仏ぶつみづから来迎らいこうし、 般若はんにゃ波羅はら蜜みつ0271を念ねんずるがゆゑに、 ゆゑに舌根ぜっこん尽つきず」 と。 この文もんをもつて証しょうす。 ゆゑに知しりぬ、 一切いっさいの行ぎょう業ごうただよく回え向こうするに往ゆかざるはなし。

龍樹菩薩釈シテ云ク、「誦スルガ↢¬阿弥*陀経ヲ¼↡故ニ、是ヲ以テ垂ナンナムトスルニ↠終ニ、仏自ラ来迎シ、*念ズルガ↢般若波羅蜜ヲ↡故ニ、所以ニ舌根不ト↠尽キ。」以テ↢斯ノ文ヲ↡証ス。故ニ知リヌ一切ノ行業但能ク廻向スルニ*无シ↠不ルハ↠往カ也。

二 Ⅵ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)須弥四域経

^ゆゑに ¬*須しゅ弥み四し域いき経きょう¼ にのたまはく、 「▼天てん地ちはじめて開ひらくる時とき、 いまだ日にち・月がつ・星しょう辰しんあらず。 たとひ天人てんにん来らい下げすることあれども、 ただ項うなじの光ひかりをもつて照しょう用ようす。 その時とき人民にんみん多おおく苦く悩のうを生しょうず。

故ニ¬須弥四*域経ニ¼云ク、「天地初テ開クル之時、未ダ↠有ラ↢日月・星辰↡。縦ヒ有レドモ↢天人来下スルコト↡、但用テ↢*項ウナジノ光ヲ↡照用ス。爾ノ時人民多ク生ズ↢苦悩ヲ↡。

^◆ここにおいて阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 二に菩ぼ薩さつを遣つかはす。 ▼一いちは*宝応ほうおう声しょうと名なづけ、 二には*宝吉ほうきっ祥しょうと名なづく。 すなはち*伏ぶく羲ぎ・*女じょ媧かこれなり。 この二に菩ぼ薩さつともにあひ*籌ちゅう議ぎして*第だい七しちの梵天ぼんてんの上うえに向むかひて、 その七宝しっぽうを取とりてこの界さかいに来らい至しして、 日にち・月がつ・星しょう辰しん*二に十じゅう八はっ宿しゅくを造つくり、 もつて天てん下げを照てらしてその四時しじ春秋しゅんじゅう冬とう夏げを定さだむ。

於テ↠是ニ阿弥陀仏遣ス↢二菩薩ヲ↡。一ハ名ケ↢宝応声ト↡、二ハ名ク↢宝吉祥ト↡。即チ伏*羲・女媧是ナリ。此ノ二菩薩共ニ相籌議0633シテ向ヒテ↢第七ノ梵天ノ上ニ↡、取リテ↢其ノ七宝ヲ↡来↢至シテ此ノ界ニ↡、造リ↢日月・星辰二十八宿ヲ↡、以テ照シテ↢天下ヲ↡定ム↢其ノ四時春秋冬夏ヲ↡。

^◆時ときに二に菩ぼ薩さつともにあひいひていはく、 ª日にち・月がつ・星しょう辰しん二に十じゅう八はっ宿しゅくの西にしに行ゆく所以ゆえんは、 一切いっさいの諸天しょてん・人民にんみんことごとくともに阿あ弥陀みだ仏ぶつを稽首けいしゅしたてまつれº となり。 ここをもつて日にち・月がつ・星しょう辰しんみなことごとく心しんを傾かたむけてかしこに向むかふ。 ゆゑに西にしに流ながる」 と。

時ニ二菩薩共ニ相謂ヒテ言ク、所↢以日月・星辰二十八宿ノ西ニ行ク↡者、一切ノ諸天人民尽ク共ニ稽↢首シタテマツレトナリ阿弥陀仏ヲ↡。是ヲ以テ日月・星辰皆悉ク傾ケテ↠心ヲ向フ↠彼ニ。故ニ西ニ流ルト也。」

二 Ⅵ ⅱ c【経教住滅】
        イ 引経

【40】^第だい三さんに▼↑経きょうの住じゅう滅めつを弁べんずとは、 いはく、 「▲*釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつ一代いちだい、 正しょう法ぼう五ご百ひゃく年ねん、 像法ぞうぼう一いっ千年せんねん、 末法まっぽう一いち万年まんねんには、 衆しゅ生じょう減げんじ尽つき、 諸しょ経きょうことごとく滅めっす。 如来にょらい痛つう焼しょうの衆しゅ生じょうを悲ひ哀あいして、 ことにこの経きょうを留とどめて止し住じゅうすること百ひゃく年ねんならん」 (大経・下意0272) と。

第三ニ弁ズト↢経ノ住滅ヲ↡者、謂ク「釈迦牟尼仏一代、正法五百年、像法一千年、末法一万年ニハ、衆生*減ジ尽キ、諸経悉ク滅ス。如来悲↢哀シテ痛焼ノ衆生ヲ↡特ニ留メテ↢此ノ経ヲ↡止住スルコト百年ナラムト。」

二 Ⅵ ⅱ c ロ 釈成

^この文もんをもつて証しょうす。 ゆゑに知しりぬ、 かの国くにはこれ浄じょう土どなりといへども、 しかも*体たい上じょう下げに通つうず。 *相そう無む相そうを知しるはまさに上じょう位いに生しょうずべし。 凡ぼん夫ぶは火か宅たくにして一向いっこうに相そうに乗じょうじて往おう生じょうするなり。

以テ↢斯ノ文ヲ↡証ス。故ニ知リヌ彼ノ国ハ雖モ↢是浄土ナリト↡、然モ体通ズ↢上下ニ↡。知ルハ↢相无相ヲ↡当ニシ↠生ズ↢上位ニ↡。凡夫ハ火宅ニシテ一向ニ乗ジテ↠相ニ往生スル也。

二 Ⅶ【第七大門】
    ⅰ 標列

【41】^第だい七しち大門だいもんのなかに両番りょうばんの料りょう簡けんあり。 第一だいいち門もんのなかに↓*此彼しひの取相しゅそうに*縛ばく・*脱だつを料りょう簡けんす。 第だい二にに次つぎに↓此彼しひの修道しゅどうに功こうを用もちゐるに軽重きょうじゅうありて、 報ほうを獲うるに真しん偽ぎあることを明あかし、 ことさらに勧すすめてかしこに向むかはしむ。

第七大門ノ中ニ有リ↢両番ノ料簡↡。第一門ノ中ニ此彼ノ取相ニ料↢簡ス縛・脱ヲ↡。第二ニ次ニ明シ↢此彼ノ修道ニ用ヰルニ↠功ヲ軽重アリテ而獲ルニ↠報ヲ真偽アルコトヲ↡、故ラニ勧メテ向ハシム↠彼ニ。

二 Ⅶ ⅱ 解釈
      a【此彼取相縛脱】
        イ 標

【42】^第だい一いちに↑此彼しひの取相しゅそうに縛ばく・脱だつを料りょう簡けんすとは、

第一ニ此彼ノ取相ニ*料↢簡スト縛・脱ヲ↡者、

二 Ⅶ ⅱ a ロ 釈
          (一)総釈

^もし西方さいほうの浄じょう相そうを取とらば、 疾とく解げ脱だつを得え、 もつぱら極楽ごくらくを受うけて、 智ち眼げん開ひらけて朗ほがらかなり。 もしこの方ほうの穢え相そうを取とらば、 ただ妄もう楽ぎょう・痴ち盲もう・厄縛やくばく・憂怖うふのみあり。

若シ取ラバ↢西方ノ浄相ヲ↡、疾ク得↢解脱ヲ↡、純モハラ受ケテ↢極楽ヲ↡、智眼開キテ朗カナリ。若シ取ラバ↢此ノ方ノ穢相ヲ↡、唯有リ↢*妄楽・痴盲・厄縛・憂怖ノミ↡。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)別釈
            (Ⅰ)出難

 ^問とひていはく、 大だい乗じょうの諸しょ経きょうによるに、 みな 「無む相そうはすなはちこれ出しゅつ離りの要道ようどうなり、 相そうに執しゅうし*拘礙くげするは*塵累じんるいを勉まぬかれず」 といへり。 いま衆しゅ生じょうを勧すすめて穢えを捨すて浄じょうを欣ねがはしむ、 この義ぎいかん。

問ヒテ曰ク、依ルニ↢大乗ノ諸経ニ↡、皆云ヘリ↢「无相ハ乃チ是出離ノ要道ナリ、執シ↠相ニ*拘礙スルハ不ト↟*勉マヌカレ↢塵*累ヲ↡。」今勧メテ↢衆生ヲ↡捨テ↠穢ヲ*忻ハシム↠浄ヲ、是ノ義云何。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)正答

^答こたへていはく、 この義ぎ類るいせず。 なんとなれば、 おほよそ相そうに二に種しゅあり。 一いちには*五ご塵じんの欲よく境きょうにおいて妄愛もうあい貪染とんぜんして境きょうに随したがひて執着しゅうじゃくす。 これらのこの相そう、 これを名なづけて縛ばくとなす。 二にには仏ぶつの功く徳どくを愛あいして浄じょう土どに生しょうぜんと願がんず。 これ相そうなりといふといへども、 名なづけて解げ脱だつとなす。

答ヘテ曰ク、此ノ義不↠類セ。何トナレバ者凡ソ相ニ有リ↢二種↡。一ニ者於テ↢*五0634塵ノ欲境ニ↡妄愛貪染シテ随ヒテ↠境ニ執着ス。此等ノ是ノ相、名ケテ↠之ヲ為ス↠縛ト。二ニ者愛シテ↢仏ノ功徳ヲ↡願ズ↠生ゼムト↢浄土ニ↡。雖モ↠言フト↢是相ナリト↡、名ケテ為ス↢解脱ト↡。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅲ)引証
              (ⅰ)十地経

^なにを0273もつてか知しることを得うる。 ¬*十じゅう地じ経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「初しょ地じの菩ぼ薩さつ、 なほみづから*二に諦たいを別観べっかんして心しんを厲はげまして作意さいす。 先さきには相そうによりて求もとめ、 終おわりにはすなはち無む相そうなり。 もつてやうやく増進ぞうしんして大だい菩ぼ提だいを体たいす。 *七しち地じの終じゅう心しんを尽つくして*相心そうしんはじめて息やむ。 その*八はち地じに入いりて相そう求ぐを絶ぜっす。 まさに無む功く用ゆうと名なづく」 と。

何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。如シ↢¬十地経ニ¼云フガ↡。「初地ノ菩薩、尚自ラ別↢観シテ二諦ヲ↡厲シテ↠心ヲ作意ス。先ニハ依リテ↠相ニ求メ、終ニハ則チ无相ナリ。以テ漸ク増進シテ体ス↢大菩提ヲ↡。尽シテ↢七地ノ終心ヲ↡相*心始テ息ム。入リテ↢其ノ八地ニ↡絶ス↢於相求ヲ↡。方ニ名クト↢无功用ト↡也。」

^このゆゑに ¬論ろん¼ (*十地経論・意) にいはく、 「七しち地じ以い還げんは悪貪あくとんを障さわりとなし、 *善貪ぜんとんを治じとなす。 八はち地じ以い上じょうは善貪ぜんとんを障さわりとなし、 無む貪とんを治じとなす」 と。 いはんやいま浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずるは、 現げんにこれ*外げ凡ぼんなり。 所修しょしゅの善根ぜんごんみな仏ぶつの功く徳どくを愛あいするより生しょうず。 あにこれ縛ばくならんや。

是ノ故ニ¬論ニ¼云ク、「七地已還ハ悪貪ヲ為シ↠障ト、善貪ヲ為ス↠治ト。八地已上ハ善貪ヲ為シ↠障ト、无貪ヲ為スト↠治ト。」況ヤ今願ズルハ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、現ニ是外凡ナリ。所修ノ善根皆従リ↠愛スル↢仏ノ功徳ヲ↡生ズ。豈ニ是縛ナラム也。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅲ)(ⅱ)涅槃経

^ゆゑに ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「一切いっさい衆しゅ生じょうに二に種しゅの愛あいあり。 一いちには善愛ぜんあい、 二にには不ふ善愛ぜんあいなり。 不ふ善愛ぜんあいはただ愚ぐのみこれを求もとめ、 善法ぜんぽう愛あいは諸しょ菩ぼ薩さつこれを求もとむ」 と。

故ニ¬涅槃経ニ¼云ク、「一切衆生ニ有リ↢二種ノ愛↡。一ニ者善愛、二ニ者不善愛ナリ。不善愛者唯愚ノミ求メ↠之ヲ、善法愛者諸菩薩求ムト↠是ヲ。」

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅲ)(ⅲ)論註

^ゆゑに ¬浄じょう土ど論ろん¼ (*論註・下意) にいはく、 「▲観仏かんぶつ国こく土ど清浄しょうじょう味み・摂しょう受じゅ衆しゅ生じょう大だい乗じょう味み・類るい事じ起き行ぎょう願取がんしゅ仏ぶつ土味どみ・畢ひっ竟きょう住じゅう持じ不虚作ふこさ味み、 かくのごとき等らの無む量りょうの仏道ぶつどうの味みあり」 と。

故ニ¬浄土論ニ¼云ク、「観仏国土清浄味・摂受衆生大乗味・類事起行願取仏土味・畢竟住持不虚作味、有リト↢如キ↠是クノ等ノ无量ノ仏道ノ味↡。」

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅳ)結成

^ゆゑにこれ相そうを取とるといへども、 執しゅう縛ばくに当あたるにあらず。 またかの浄じょう土どにいふところの相そうとは、 すなはちこれ無漏むろの相そう、 実相じっそうの相そうなり。

故ニ雖モ↢是取ルト↟相ヲ、非ズ↠当ルニ↢執縛ニ↡也。又彼ノ浄土ニ所ノ↠言フ相ト者、即チ是无漏ノ相、実相ノ相也。

二 Ⅶ ⅱ b【此彼修道】
        イ 標

【43】^第だい二に段だんのなかに↑此彼しひの修道しゅどうに功こうを用もちゐるに軽重きょうじゅうありて、 報ほうを獲うるに真しん偽ぎ0274あることを明あかすとは、

▼第二段ノ中ニ明スト↢此彼ノ修道ニ用ヰルニ↠功ヲ軽重アリテ而獲ルニ↠報ヲ真偽アルコトヲ↡者、

二 Ⅶ ⅱ b ロ 釈
          (一)総釈

^もし発心ほっしんして西にしに帰きせんと欲ほっするものは、 ひとへに少しょう時じの礼らい・観かん・念ねん等とうをもつて、 寿いのちの長ちょう短たんに随したがひて、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞめば*光台こうだい迎こう接しょうして、 迅とくかの方ほうに至いたりて位くらい不ふ退たいに階かなふ。

◆若シ欲スル↢発心シテ帰セムト↟*西ニ者ハ、単ニ用テ↢*少時ノ礼観念等ヲ↡、随ヒテ↢寿ノ長短ニ↡、臨メバ↢命終ノ時ニ↡光台迎接シテ、迅ク至リテ↢彼ノ方ニ↡位0635*階カナフ↢不退ニ↡。

二 Ⅶ ⅱ b ロ (二)別釈
            (Ⅰ)不退転

^このゆゑに ¬大だい経きょう¼ (上・意) にのたまはく、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 わが国くにに来らい生しょうして、 もしつひに滅めつ度どに至いたらずしてさらに退転たいてんあらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第十一願) と。 この方ほうは多時たじにつぶさに*施せ・戒かい・忍にん・進しん・定じょう・慧えを修しゅして、 ▼いまだ一いち万劫まんごうを満みたざるよりこのかたは、 つねにいまだ火か宅たくを免まぬかれず、 顛倒てんどう墜つい堕だす。 ゆゑに功こうを用もちゐることは至いたりて重おもく、 報ほうを獲うることは偽ぎなりと名なづく。

◆是ノ故ニ¬大経ニ¼云ク、「十方ノ人天来↢生シテ我ガ国ニ↡、若シ不シテ↣畢ニ至ラ↢滅度ニ↡更ニ有ラバ↢退転↡者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」此ノ方ハ多時ニ具ニ修シテ↢施・戒・忍・進・定・恵ヲ↡、未ダルヨリ↠満タ↢一万劫ヲ↡已来タハ、恒ニ未ダ↠免レ↢火宅ヲ↡、顛倒*墜*堕ス。故ニ名ク↢用ヰルコトハ↠功ヲ*至リテ重ク、獲ルコトハ↠報ヲ偽ナリト也↡。

二 Ⅶ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)横截

^¬大だい経きょう¼ (下・意) にまたのたまはく、 「▲わが国くにに生しょうずるものは↓横よこさまに五ご悪趣あくしゅを截きる」 と。

▼¬大経ニ¼復云ク、「生ズル↢我ガ国ニ↡者ハ横ニ截ルト↢五悪趣ヲ↡。」

^いまこれは弥陀みだの浄じょう刹せつに約対やくたいして、 娑しゃ婆ばの五ご道どうを斉ひとしく悪趣あくしゅと名なづく。 地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく生しょうは純じゅん悪あくの所しょ帰きなれば、 名なづけて悪趣あくしゅとなす。 娑しゃ婆ばの人天にんでんは*雑業ぞうごうの所向しょこうなれば、 また悪趣あくしゅと名なづく。

今此ハ約↢対シテ弥陀ノ浄刹ニ↡、娑婆ノ五道ヲ斉シク名ク↢悪趣ト↡。地獄・餓鬼・畜生ハ純悪ノ所帰ナレバ、名ケテ為ス↢悪趣ト↡。娑婆ノ人天ハ雑業ノ所向ナレバ、亦名ク↢悪趣ト↡。

^もしこの方ほうの*修しゅ治じ断除だんじょによらば、 先まづ*見惑けんわくを断だんじて三さん塗ずの因いんを離はなれ、 三さん塗ずの果かを滅めっす。 後のちに*修惑しゅわくを断だんじて人天にんでんの因いんを離はなれ、 人天にんでんの果かを絶たつ。 これみな漸ぜん次じに断除だんじょすれば、 横截おうぜつと名なづけず。

▼若シ依ラバ↢此ノ方ノ修治断除ニ↡、先ヅ断ジテ↢見惑ヲ↡離レ↢三塗ノ因ヲ↡、滅ス↢三塗ノ果ヲ↡。後ニ断ジテ↢修惑ヲ↡離レ↢人天ノ因ヲ↡、絶ツ↢人天ノ果ヲ↡。此皆漸次ニ断除スレバ、不↠名ケ↢横截ト↡。

^もし弥陀みだの浄じょう国こくに往おう生じょうすることを得うれば、 娑しゃ婆ばの五ご道どう一いち時じにたちまちに捨すつ。

◆若シ得レバ↣往↢生スルコトヲ弥陀ノ浄国ニ↡、娑婆ノ五道一時ニ頓チニ捨ツ。

^ゆゑに 「↑▲横截おうぜつ五ご悪趣あくしゅ」 と名なづくるはその果かを截きるなり。 「▲悪あく0275趣しゅ自じ然閉ねんぺい」 (同・下) とはその因いんを閉とづるなり。 これ所しょ離りを明あかす。 「▲昇しょう道どう無む窮極ぐうごく」 (同・下) とはその所得しょとくを彰あらわすなり。

◆故ニ名クル↢「横截五悪趣ト」↡者截ル↢其ノ果ヲ↡也。「悪趣自然閉ト」者閉ヅル↢其ノ因ヲ↡也。此明ス↢所離ヲ↡。「*昇道无窮極ト」者彰スナリ↢其ノ所得ヲ↡。

^もしよく作意さいし回え願がんして西にしに向むかへば、 上かみ一いち形ぎょうを尽つくし下しも十じゅう念ねんに至いたるまで、 みな往ゆかざるはなし。 一ひとたびかの国くにに到いたればすなはち正定しょうじょう聚じゅに入いりて、 ここにして道どうを修しゅする一いち万劫まんごうと功こうを斉ひとしくす。

若シ能ク作意シ廻願シテ向ヘバ↠西ニ、上尽シ↢一形ヲ↡下至ルマデ↢十念ニ↡无シ↠不ルハ↢皆往カ↡。一タビ到レバ↢彼ノ国ニ↡即チ入リテ↢正定聚ニ↡、与↢此ニシテ修スル↠道ヲ一万劫↡斉シクス↠功ヲ也。

二 Ⅷ【第八大門】
    ⅰ 標列

【44】^第八だいはち大門だいもんのなかに三番さんばんの料りょう簡けんあり。 第だい一いちに↓略りゃくして諸しょ経きょうを挙あげて来きたし証しょうして、 勧すすめてここを捨すててかしこを欣ねがはしむ。 第だい二にに↓弥陀みだ・釈しゃ迦か二に仏ぶつ比ひ校きょうす。 第だい三さんに↓往おう生じょうの意こころを釈しゃくす。

第八大門ノ中ニ有リ↢三番ノ料簡↡。第一ニ略シテ挙ゲテ↢諸経ヲ↡来シ証シテ、*勧メテ捨テテ↠此ヲ*忻ハシム↠彼ヲ。第二ニ弥陀・釈迦二仏比挍ス。第三ニ釈ス↢往生ノ意ヲ↡。

二 Ⅷ ⅱ 解釈
      a【経論勧説】
        イ 標

【45】^第だい一いちに↑略りゃくしてもろもろの大だい乗じょう経きょうを挙あげて来きたし証しょうして、 みな勧すすめてここを捨すててかしこを悕ねがはしむとは、

第一ニ略シテ挙ゲテ↢諸ノ大乗経ヲ↡来シ証シテ皆勧メテ捨テテ↠此ヲ悕ハシムト↠彼ヲ者、

二 Ⅷ ⅱa ロ 挙
          (一)大経

^一いちにはいはく*耆ぎ闍しゃ崛山くっせんの説せつ、 ¬*大だい経きょう¼ 二に巻かん。

一ニハ謂ク耆闍崛山ノ説、¬大経0636¼二巻。

二 Ⅷ ⅱa ロ (二)観経

^二にには ¬*観かん経ぎょう¼ 一いち部ぶ、 *王おう宮ぐ・耆ぎ闍しゃ両りょう会えの正しょう説せつなり。

二ニハ¬観経¼一部、王宮・耆闍両会ノ正説ナリ。

二 Ⅷ ⅱa ロ (三)小経

^三さんには ¬少しょう巻かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (*小経)、 *舎しゃ衛えの一説いっせつ。

三ニハ¬少巻无量寿経¼、舎衛ノ一説。

二 Ⅷ ⅱa ロ (四)十方随願往生経

^四しにはまた ¬*十方じっぽう随願ずいがん往おう生じょう経きょう¼ の明証みょうしょうあり。

四ニハ復有リ↢¬十方随願往生経ノ¼明証↡。

二 Ⅷ ⅱa ロ (五)無量清浄覚経

^五ごにはまた ¬*無む量りょう清浄しょうじょう覚がく経きょう¼ 二に巻かん一いち会えの正しょう説せつあり。

五ニハ復有リ↢¬无量清浄覚経¼二巻一会ノ正説↡。

二 Ⅷ ⅱa ロ (六)十往生経

^六ろくにはさらに ¬*十じゅう往おう生じょう経きょう¼ 一巻いっかんあり。

六ニハ更ニ有リ↢¬十往生経¼一巻↡。

二 Ⅷ ⅱa ハ 結

^諸しょ余よの大だい乗じょう経きょう論ろんに*指し讃さんする処ところ多おおし。 ¬*請しょう観音かんのん¼・¬*大品だいぼん経ぎょう¼ 等とうのごとし。 また*龍りゅう樹じゅ・天親てんじん等とうの論ろんのごとし。 *歎勧たんかん一いちにあらず。 △余よ方ほうの浄じょう土どはみなかくのごと0276く丁寧ていねいならず。

諸余ノ大乗経論ニ指讃スル処多シ。如シ↢¬請観音¼・¬大品経¼等ノ↡。又如シ↢龍樹・天親*等ノ*論ノ↡。歎勧非ズ↠一ニ。余方ノ浄土ハ皆不↢如ク↠此クノ丁寧ナラ↡。

二 Ⅷ ⅱ b【二尊比校】
        イ 標

【46】^第だい二にに↑弥陀みだ・釈しゃ迦か二に仏ぶつ比ひ校きょうすとは、

第二ニ弥陀・釈迦二仏比挍スト者、

二 Ⅷ ⅱ b ロ 釈
          (一)釈迦仮相
            (Ⅰ)住世の短

^いはく、 この仏ぶつ釈しゃ迦か如来にょらい、 八はち十じゅう年ねん世よに住とどまりてしばらく現げんじてすなはち去さりたまひ、 去さりて返かえりたまはず。 *忉とう利りの諸天しょてんに比ひするに、 一日いちにちにも至いたらず。

謂ク此ノ仏釈迦如来、八十年住マリテ↠世ニ蹔ク現ジテ即チ去リタマヒ、去リテ而不↠返リタマハ。比スルニ↢於忉利ノ諸天ニ↡、不↠至ラ↢一日ニモ↡。

二 Ⅷ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)救縁の弱

^また釈しゃ迦かの在ざい時じ救く縁えんまた弱よわし。

又釈迦ノ在時救縁亦弱シ。

二 Ⅷ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)例証

^毘び舎しゃ離り国こくにして人ひとの現患げんげんを救すくひたまへる等とうのごとし。 なんとなれば、 ▼時ときに毘び舎しゃ離り国こくの人民にんみん五ご種しゅの悪あく病びょうに遭あへり。 一いちには眼まなこ赤あかきこと血ちのごとし。 二にには両りょうの耳みみより膿うみを出いだす。 三さんには鼻はなのなかより血ちを流ながす。 四しには舌した噤つぐみて声こえなし。 五ごには食くらふところの物もの化けして粗そ渋じゅうとなる。 六識ろくしき閉塞へいそくせることなほ酔人すいにんのごとし。

如キナリ↧毘舎離国ニシテ救ヒタマヘル↢人ノ現患ヲ↡等ノ↥。何トナレバ者時ニ毘舎離国ノ人民遭ヘリ↢五種ノ悪病ニ↡。一ニ者眼赤キコト如シ↠血ノ。二ニ者両ノ耳ヨリ出ス↠膿ヲ。三ニ者鼻ノ中ヨリ流ス↠血ヲ。四ニ者舌噤ミテ无シ↠声。五ニ者所↠食フ之物化シテ為ル↢麁渋ト↡。六識閉塞セルコト猶如シ↢酔人ノ↡。

^五ご夜や叉しゃあり、 あるいは訖こつ拏迦羅なからと名なづく。 面おもての黒くろきこと墨すみのごとくして五ご眼げんあり、 狗牙くげ上うえに出いでて人ひとの精しょう気けを吸すふ。 良りょう医いの*耆婆ぎばその道どう術じゅつを尽つくすも、 救すくふことあたはざるところなり。

有リ↢五*野叉↡、*或イハ名ク↢訖拏迦羅ト↡。面ノ黒キコト如クシテ↠墨ノ而有リ↢五眼↡、狗牙上ニ出デテ吸フ↢人ノ精気ヲ↡。良医ノ耆婆尽スモ↢其ノ道術ヲ↡、*所ナリ↠不ル↠能ハ↠救フコト。

^時ときに月蓋がつがい長ちょう者じゃあり。 首しゅとなりて病人びょうにんを*部ぶ領りょうし、 みな来きたりて仏ぶつに帰きして*頭こうべを叩たたきて哀あわれみを求もとむ。 その時とき世せ尊そん無む量りょうの*悲ひ愍みんを起おこして、 病びょう人にんに告つげてのたまはく、 「西方さいほうに阿あ弥陀みだ仏ぶつ・観かん世ぜ音おん・大だい勢せい至し菩ぼ薩さつまします。 なんぢら一心いっしんに合がっ掌しょうして見みたてまつらんと求もとめよ」 と。

時ニ有リ↢月蓋長者↡。為リテ↠首ト部↢領シ病人ヲ↡、皆来リテ帰シテ↠仏ニ叩キテ↠頭ヲ求ム↠哀ミヲ。爾ノ時世尊起シテ↢无量ノ悲愍ヲ↡、告ゲテ↢病人ニ↡曰ク、西方ニ有ス↢阿弥陀仏・観世音・大勢至菩薩↡。汝等一心ニ合掌シテ求メヨト↠見タテマツラムト。

^ここにおいて大衆だいしゅみな仏ぶつの勧すすめに従したがひて、 合がっ掌しょうして哀あわれみを求もとむ。 その時ときかの仏ぶつ、 大だい光こう明みょうを放はなちて、 観音かんのん・大勢だいせいと一いち時じ0277にともに到いたりて*大だい神呪じんじゅを説ときたまふに、 一切いっさいの病びょう苦くみなことごとく消しょう除じょして、 平びょう復ふくすること故もとのごとし。

於テ↠是ニ大衆皆従ヒテ↢仏ノ勧ニ↡、合掌シテ求ム↠哀ミヲ。爾0637ノ時彼ノ仏放チテ↢大光明ヲ↡、観音・大勢ト一時ニ*倶ニ*到リテ説キタマフニ↢大神呪ヲ↡、一切ノ病苦皆悉ク消除シテ、平復スルコト如シ↠故モトノ。

二 Ⅷ ⅱ b ロ (二)釈迦真意

^▼しかるに二に仏ぶつ (阿弥陀仏・釈尊) の*神力じんりきまた斉等ざいとうなるべし。 ただ釈しゃ迦か如来にょらいおのが能のうを申のべたまはずして、 ことさらにかの ˆ阿あ弥陀みだ仏ぶつのˇ 長ちょうを顕あらわして、 一切いっさい衆しゅ生じょうをして斉ひとしく帰きせざるはなからしめんと欲ほっす。 このゆゑに釈しゃ迦か処々しょしょに ˆ阿弥陀だみだ仏ぶつをˇ 歎たんじて帰きせしめたまへり。 すべからくこの意こころを知しるべし。

然ルニ二仏ノ神力応シ↢亦斉等ナル↡。但釈迦如来不シテ↠申ベタマハ↢己ガ能ヲ↡、故ラニ顕シテ↢彼ノ長ヲ↡、欲ス↠使メムト↢一切衆生ヲシテ莫カラ↟不ルハ↢斉シク帰セ↡。是ノ故ニ釈迦処処ニ歎ジテ帰セシメタマヘリ。須クシ↠知ル↢此ノ意ヲ↡也。

二 Ⅷ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)鸞師領解

^◆このゆゑに曇鸞どんらん法ほっ師し意こころを正ただして西にしに帰きす。 ゆゑに ¬大だい経きょう¼ に傍そへて奉ぶ讃さんしていはく (讃阿弥陀仏偈)、

是ノ故ニ曇*鸞法師正シテ↠意ヲ帰ス↠西ニ。故ニ傍ヘテ↢¬大*経ニ¼↡奉*讃シテ云ク、

^「▲安楽あんらくの声しょう聞もん・菩ぼ薩さつ衆しゅ、 人天にんでん、 智慧ちえことごとく洞達どうだつせり。
身相しんそうの荘しょう厳ごん殊しゅ異いなし。 ただ他た方ほうに順じゅんずるがゆゑに名なを別わかつ。
顔容げんよう端たん正じょうにして比くらぶべきなし。 精しょう微み妙みょう躯くにして人天にんでんにあらず。
虚無こむの身しん無む極ごくの体たいなり。 このゆゑに平びょう等力どうりきを頂ちょう礼らいしたてまつる」 と。

「安楽ノ声聞・菩薩衆・人・天、智恵*咸ク洞達セリ
身相ノ荘厳无シ↢殊異↡但順ズルガ↢他方ニ↡故ニ*別ツ↠名ヲ
顔容端正ニシテ无シ↠可キ↠比ブ精微妙躯ニシテ非ズ↢人天ニ↡
虚无之身无極ノ体ナリ是ノ故ニ頂↢礼シタテマツルト平等力ヲ↡」

二 Ⅷ ⅱ c【往生意趣】
        イ 標

【47】^第だい三さんに↑往おう生じょうの意こころを釈しゃくすとは、 なかにつきて二にあり。 一いちには↓往おう生じょうの意こころを釈しゃくし、 二にには↓問答もんどう解げ釈しゃくす。

第三ニ釈スト↢往生ノ意ヲ↡者、就キテ↠中ニ有リ↠二。一ニハ釈シ↢往生ノ意ヲ↡、二ニハ問答解釈ス。

二 Ⅷ ⅱ c ロ 釈
          (一)往生の意
            (Ⅰ)問

 ^第だい一いちに↑問とひていはく、 いま浄じょう土どに生しょうぜんと願がんず、 いまだ知しらず、 なんの意こころをかなすや。

第一ニ問ヒテ曰ク、今願ズ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、未ダ↠知ラ、作スヤ↢何ノ意ヲカ↡也。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)答

^答こたへていはく、 ただ疾とく自利じり利他りたを成じょうじ、 *利り物もつ深広じんこうならんと欲ほっす。 十じっ0278信しん・三賢さんげんより正しょう法ぼうを*摂しょう受じゅして、 不二ふにに契かい会えし、 仏ぶっ性しょうを見けん証しょうし、 あきらかに実相じっそうを暁さとる。 *観かん照しょうの暉き心しん、 有無うむの二に諦たい、 因いん果がの先せん後ご、 十じゅう地じの優う劣れつ、 *三忍さんにん、 *三道さんどう、 *金剛こんごう無礙むげ、 大だい涅ね槃はんを証しょうす。 大だい乗じょう寛ひろく運はこびて無む限げんの時ときに住じゅうせんと欲ほっす。 無む辺へんの生しょう死じ海かいを尽つくさんがためのゆゑなり。

答ヘテ曰ク、只欲ス↧疾ク成ジ↢自利・利他ヲ↡、利物深広ナラムト↥。十信・三賢ヨリ摂↢受シテ正法ヲ↡、契↢会シ不二ニ↡、見↢証シ仏性ヲ↡、明カニ暁サトル↢実相ヲ↡。観照ノ暉心、有无ノ二諦、因果ノ先後、十地ノ優劣、三忍三道、金*剛无礙ニシテ証ス↢大涅槃ヲ↡。大乗寛ク運ビテ欲ス↢无限ノ時ニ住セムト↡。為ノ↠尽サムガ↢*无辺ノ生死海ヲ↡故ナリ。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)問答解釈

 ^↑問といに三番さんばんあり。

問ニ有リ↢三番↡。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)問

^問とひていはく、 浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずるは、 利り物もつを欲ほっするに擬ぎすとは、 もししからば、 *所抜しょばつの衆しゅ生じょうはいま現げんにここにあり、 すでによくこの心しんを発得ほっとくすれば、 ただここにありて苦くの衆しゅ生じょうを抜ぬくべし。 なにによりてかこの心しんを得えをはりて、 先まづ浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずる。 衆しゅ生じょうを捨すててみづから菩ぼ提だいの楽らくを求もとむるに似如にたり。

問ヒテ曰ク、願ズルハ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、擬スト↠欲スルニ↢利物ヲ↡者、若シ爾ラバ、所抜ノ衆生ハ今現ニ在リ↠此ニ、已ニ能ク発↢得スレバ此ノ心ヲ↡、只応シ↣在リテ↠此ニ抜ク↢苦ノ衆生ヲ↡。何ニ因リテカ得↢此ノ心ヲ↡竟リテ、先ヅ願ズル↠生ゼムト↢浄土ニ↡。似↧ニ如タリ捨テテ↢衆生ヲ↡自ラ求ムルニ↦菩0638提ノ楽ヲ↥也。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)答1

^答こたへていはく、 この義ぎ類るいせず。 なんとなれば、 ¬智度ちど論ろん¼ (意) にいふがごとし。 「たとへば二に人にんともに父母ぶも・眷属けんぞくの深淵じんえんに没在もつざいするを見みるに、 一人いちにんはただちに往ゆきて力ちからを尽つくしてこれを救すくふ。 力ちからの及およばざるところなればあひともに没もっす。 一人いちにんははるかに走はしりて一いちの舟船しゅせんに趣おもむき、 乗のり来きたりて済さい接しょうするに、 ならびに難なんを出いづることを得うるがごとし。

答ヘテ曰ク、此ノ義不↠類セ。何トナレバ者如シ↢¬智度論ニ¼云フガ↡。「譬ヘバ如シ↧二人*倶ニ見ルニ↣父母眷属ノ没↢在スルヲ深淵ニ↡、一人ハ直ニ往キテ尽シテ↠力ヲ救フ↠之ヲ、力ノ所ナレバ↠不ル↠*及バ相与倶 トモ ニ没ス、一人ハ*遥ニ走リテ*趣キ↢一ノ舟船ニ↡、乗リ来リテ済接スルニ、並ニ得ルガ↞出ヅルコトヲ↠難ヲ。

^菩ぼ薩さつもまたしかなり。 もしいまだ発心ほっしんせざる時ときは、 生しょう死じに流る転てんすること衆しゅ生じょうと無む別べつなり。 ただすでに菩ぼ提だい心しんを発おこす時ときは、 先まづ願がんじて浄じょう土どに往おう生じょうし、 大だい悲ひの船ふねを取とりて*無礙むげの弁才べんざいに乗じょうじて生しょう0279死じの海うみに入いり、 衆しゅ生じょうを済運さいうんす」 と。

菩薩モ亦爾ナリ。若シ未ダル↢発心セ↡時ハ、生死ニ流転スルコト与↢衆生↡无別ナリ。但已ニ発ス↢菩提心ヲ↡時ハ、先ヅ願ジテ往↢生シ浄土ニ↡、取リテ↢大悲ノ船ヲ↡乗ジテ↢无礙ノ弁*才ニ↡入リ↢生死ノ海ニ↡、済↢運スト衆生ヲ↡。」

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅲ)答2

^二にに ¬大論だいろん¼ (大智度論・意) にまたいはく、 「菩ぼ薩さつ浄じょう土どに生しょうじて大だい神通じんずうを具ぐし、 弁才べんざい無礙むげにして衆しゅ生じょうを教きょう化けする時ときも、 なほ衆しゅ生じょうをして善ぜんを生しょうじ悪あくを滅めっし、 *道どうを増まし位くらいを進すすめて、 菩ぼ薩さつの意こころに称かなはしむることあたはず。 もしすなはち穢土えどにありて抜済ばっさいするものは、 闕かけてこの益やくなし。 ▲鶏にわとりを逼せめて水みずに入いるるがごとし。 あによく湿うるおはざらんや」 と。

二ニ¬大論ニ¼復云ク、「菩薩生ジテ↢浄土ニ↡具シ↢大神通ヲ↡、弁才无ニシテ教↢化スル衆生ヲ↡時モ、尚不↠能ハ↠令ムルコト↣衆生ヲシテ生ジ↠善ヲ滅シ↠悪ヲ、増シ↠道ヲ進メテ↠位ヲ、称ハ↢菩薩ノ意ニ↡。若シ即チ在リテ↢穢土ニ↡抜済スル者ハ、闕ケテ无シ↢此ノ益↡。*如↢似 ゴト シ逼メテ↠鶏ヲ入ルルガ↟水ニ。豈ニ能ク不ラム↠湿ハ也ト。」

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅳ)答3

^三さんに ¬大だい経きょうの讃さん¼ にいはく(讃阿弥陀仏偈・意)、

三ニ¬大*経ノ讃ニ¼云ク、

^「▲安楽あんらく仏国ぶつこくのもろもろの菩ぼ薩さつ、 それ宣説せんぜつすべきことは智慧ちえに随したがふ。
おのが万物まんもつにおいて我が所しょを亡もうず。 浄きよきこと蓮れん華げの塵ちりを受うけざるがごとし。

「安楽仏国ノ諸ノ菩薩夫レ可キコトハ↢宣説ス↡随フ↢智*慧ニ↡
於テ↢己ガ万物ニ↡*亡ズ↢我所ヲ↡浄キコト若シ↢蓮花ノ不ルガ↟受ケ↠塵ヲ

^◆往来おうらい進しん止し汎うかべる舟ふねのごとし。 利り安あんを務つとめとなして適ちゃく莫まくを捨すつ。
かれもおのれも空くうのごとくして二に想そうを断だんず。 智慧ちえの炬ともしびを燃ともして長じょう夜やを照てらす。

往来進止若シ↢汎ウカベル舟ノ↡利安ヲ為シテ↠務ト捨ツ↢適莫ヲ↡
彼モ己モ猶クシテ↠空ノ断ズ↢二想ヲ↡燃シテ↢智*慧ノ炬ヲ↡昭ス↢長夜ヲ↡

^◆三さん明みょう六通ろくつうみなすでに足たれり。 菩ぼ薩さつの万まん行ぎょう心眼しんげんに観かんず。
かくのごとき功く徳どく辺量へんりょうなし。 このゆゑに心しんを至いたしてかしこに生しょうぜんと願がんず」 と。

三明六通皆已ニ足レリ菩薩ノ万行観ズ↢心眼ニ↡
如キ↠是クノ功徳无シ↢辺量↡是ノ故ニ至シテ↠心ヲ願ズト↠生ゼムト↠彼ニ」

二 Ⅸ【第九大門】
    ⅰ 標列

【48】^第だい九く大門だいもんのなかに両りょう番ばんの料りょう簡けんあり。 第だい一いちに↓苦く楽らく善悪ぜんあく相対そうたいす。 第だい二にに*彼此ひしの0280↓寿じゅ命みょうの長ちょう短たんを明あかして比ひ校きょうす。

第九大門ノ中ニ有リ↢両番ノ料簡↡。第一ニ苦楽善悪相対ス。第二ニ明シテ↢彼此ノ寿命ノ長短ヲ↡比挍ス。

二 Ⅸ ⅱ 解釈
      a【苦楽善悪】
        イ 標

【49】^↑初段しょだんのなかにつきて二にあり。 一いちには↓苦く楽らく善悪ぜんあく相対そうたいす。 二にには ↓¬大だい経きょう¼ を引ひきて証しょうとなす。

*就キテ↢初段ノ中ニ↡有リ↠二。一ニハ苦楽善悪相対ス。二ニハ引キテ↢¬大経ヲ¼↡為ス↠証ト。

二 Ⅸ ⅱ a ロ 釈
          (一)苦楽善悪相対

^初はじめに↑苦く楽らく善悪ぜんあく相対そうたいすといふは、 この娑しゃ婆ば世せ界かいにありては苦く楽らく二に報ほうありといへども、 つねにもつて楽らくは少すくなく苦くは多おおし。 重おもきはすなはち三さん塗ずにして痛つう焼しょうし、 軽かろきはすなはち人天にんでんにして刀とう兵ひょう・疾しつ病びょうあひ続つづきて連つらなり注そそぎ、 *遠劫おんごうよりこのかた断たゆる時ときあることなし。 たとひ人天にんでんに少しょう楽らくありとも、 なほ泡沫ほうまつ・電光でんこうのすみやかに起おこりすみやかに滅めっするがごとし。 このゆゑに名なづけて唯ゆい苦く唯悪ゆいあくとなす。

初ニ言フ↢苦楽善悪0639相対スト↡者、在リテハ↢此ノ娑婆世界ニ↡雖モ↠有リト↢苦楽二報↡、恒ニ以テ楽ハ少ク苦ハ多シ。重キハ則チ三塗ニシテ痛焼シ、軽キハ則チ人天ニシテ刀兵・疾病相続キテ連ナリ注ギ、遠劫ヨリ已来タ无シ↠有ルコト↢断ユル時↡。縦ヒ有リトモ↢人天ニ少楽↡、猶如シ↢泡沫・電光ノ速ニ起リ速ニ滅スルガ↡。是ノ故ニ名ケテ*為ス↢唯苦唯悪ト↡。

^弥陀みだの浄じょう国こくは水すい・鳥ちょう・樹林じゅりんつねに法音ほうおんを吐はきて、 あきらかに*道どう教きょうを宣のぶ。 *清白しょうびゃくを具ぐ足そくしてよく悟ご入にゅうせしむ。

弥陀ノ浄国ハ水・鳥・樹林常ニ吐キテ↢法音ヲ↡、明カニ宣ブ↢道教ヲ↡。具↢足シテ清白ヲ↡能ク令ム↢悟入セ↡。

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)引証

^二にに↑聖教しょうぎょうを引ひきて証しょうとなすとは、

二ニ引キテ↢聖教ヲ↡為スト↠証ト者、

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)浄土論

^¬*浄じょう土ど論ろん¼ (意) にいはく、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 かの国くにに生しょうずるものは、 すなはち*浄じょう心しんの菩ぼ薩さつと無二むになり。 浄じょう心しんの菩ぼ薩さつ、 すなはち上じょう地じの菩ぼ薩さつと*畢ひっ竟きょうじて同おなじく*寂じゃく滅忍めつにんを得う。 ゆゑにさらに退転たいてんせず」 と。

¬浄土論ニ¼云ク、「十方ノ人天生ズル↢彼ノ国ニ↡者ハ、即チ与↢浄心ノ菩薩↡无二ナリ。浄心ノ菩薩即チ与↢上地ノ菩薩↡畢竟ジテ同ジク得↢寂滅忍ヲ↡。故ニ更ニ不ト↢退転セ↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)大経

^△また ¬大だい経きょう¼ の四し十じゅう八はち願がんを引ひくなかに五ご番ばんの大益だいやくあり。

又引ク↢¬大経ノ¼四十八願ヲ↡中ニ有リ↢五番ノ大益↡。

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)第三願

^第だい一いちに ¬大だい経きょう¼ (上・意) にのたまはく、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 わが国くにに来らい生しょうすることあらんに、 ことごとく真しん金色こんじきならずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第三願) と。

第一ニ¬大経ニ¼云ク、「有ラムニ↣十方ノ人天来↢生スルコト我ガ国ニ↡、不ハ↢悉ク真金色ナラ↡者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)第四願

^二ににのたまはく (大経・上意)、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 わが国くにに来らい生しょうして、 もし形ぎょう色しき不ふ0281同どうにして好醜こうしゅあらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第四願) と。

二ニ云ク、「十方ノ人天来↢生シテ我ガ国ニ↡、若シ形色不同ニシテ有ラバ↢好醜↡者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)第五願

^三さんにのたまはく (大経・上意)、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 わが国くにに来らい生しょうして*宿命しゅくみょう智ちを得えず、 下しも百ひゃく千せん億おく那由他なゆたの諸劫しょこうの事じを知しらざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第五願) と。

三ニ云ク、「十方ノ人天来↢生シテ我ガ国ニ↡不↠得↢宿命智ヲ↡、下至ラバ↠不ルニ↠知ラ↢百千億那由他ノ*諸劫ノ事ヲ↡者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)第七願

^四しにのたまはく (大経・上意)、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 わが国くにに来らい生しょうして*天てん耳に通つうを得えず、 下しも百ひゃく千せん億おく那由他なゆたの諸仏しょぶつの所説しょせつを聞きかず、 ことごとく受じゅ持じせざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第七願) と。

四ニ云ク、「十方ノ人天来↢生シテ我ガ国ニ↡不↠得↢天耳通ヲ↡、下至ラバ↧不↠聞カ↢百千億那由他ノ諸仏ノ所説ヲ↡、不ルニ↦悉ク受持セ↥者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅴ)第八願

^五ごにのたまはく (大経・上意)、 「▲十方じっぽうの人天にんでん、 わが国くにに来らい生しょうして*他た心しん智ちを得えず、 下しも百ひゃく千せん億おく那由他なゆたの諸しょ仏国ぶっこくのうちの衆しゅ生じょうの心念しんねんを知しらざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第八願) と。

五ニ云ク、「十方ノ人天来↢生シテ我ガ国ニ↡不↠得↢他心智ヲ↡、下至ラバ↠不ルニ↠知ラ↢百千億那由他ノ諸仏国ノ中ノ衆生ノ心念ヲ↡者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ハ 結

^かの国くにの利り益やくの事じを論ろんぜんと欲ほっするに、 つぶさに陳のぶべきこと難かたし。 ただまさに生しょうぜんと願がんずべし。 かならず不可ふか思議しぎなり。 このゆゑにかの方ほうは唯善ゆいぜん唯楽ゆいらくにして、 苦くなく悪あくなし。

欲スルニ↠論ゼムト↢彼ノ国ノ利益之事ヲ↡、難シ↠可キコト↢具ニ陳ブ↡。但当ニシ↠願ズ↠生ゼムト。必ズ不可思議ナリ。是ノ故ニ彼0640ノ方ハ唯善*唯楽ニシテ无ク↠苦无シ↠悪也。

二 Ⅸ ⅱ b【寿命長短】
        イ 標

【50】^第だい二にに↑寿じゅ命みょうの長ちょう短たんを明あかすとは、

第二ニ明スト↢寿命ノ長短ヲ↡者、

二 Ⅸ ⅱ b ロ 釈
          (一)此方寿命の短促
            (Ⅰ)正釈

^この方ほうの寿じゅ命みょう大だい期ご百ひゃく年ねんに過すぎず。 百ひゃく年ねんのうち少すこしきは出いづるも、 多おおくは減げんず。 あるいは生しょう年ねんに夭喪ようそうし、 乃ない至し童どう子じにして身み亡もうず。 あるいはまた*胞胎ほうたいにして傷しょう堕だす。 なんの意こころかしかるとならば、 まことに衆しゅ生じょう因いんを作つくる時とき雑ぞうなるによる。 ここをもつて報ほうを受うくることまた斉同ざいどうなることを得えず。

此ノ方ノ寿命大期不↠過ギ↢百年ニ↡。百年之内少シクハ出ヅルモ、多クハ減ズ。或イハ*生年ニ夭喪シ、乃至童子ニシテ身亡ズ。或イハ復*胞胎ニシテ*傷堕ス。何ノ意カ然ルトナラバ者、良ニ由ル↢衆生作ル↠因ヲ時雑ナルニ↡。是ヲ以テ受クルコト↠報ヲ亦不↠得↢斉同ナルコトヲ↡也。

二 Ⅸ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)涅槃経

^このゆゑに ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「*作さ業ごうの時とき*黒こくなれば果か報ほう0282また黒こくなり。 作さ業ごうの時とき*白びゃくなれば果か報ほうまた白びゃくなり。 *浄じょう雑ぞうまたしかなり」 と。

是ノ故ニ¬涅槃経ニ¼云ク、「作業ノ時黒ナレバ果報亦黒ナリ。作業ノ時白ナレバ果報亦白ナリ。浄雑亦爾ナリト。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)浄度菩薩経1

^また ¬*浄じょう度ど菩ぼ薩さつ経きょう¼ によるにのたまはく、 「人寿にんじゅ百ひゃく歳さいなるも、 夜よるその半なかばを消けす。 すなはちこれ五ご十じゅう年ねんを減げん却きゃくす。 五ご十じゅう年ねんのうちにつきて、 十じゅう五ご以い来らいはいまだ善悪ぜんあくを知しらず、 八はち十じゅう以去いこは昏耄こんもう虚こ劣れつなり、 ゆゑに老ろう苦くを受うく。 おのづからこのほかはただ十じゅう五ご年ねんあり。

又拠ルニ↢¬浄度菩*薩経ニ¼↡云ク、「人寿百歳ナルモ、*夜消ス↢其ノ半ヲ↡。即チ是減↢*却ス五十年ヲ↡也。就キテ↢五十年ノ内ニ↡、十五已来ハ未ダ↠知ラ↢善悪ヲ↡、八十已去ハ昏耄虚劣ナリ、故ニ受ク↢老苦ヲ↡。自ラ此之外ハ唯有リ↢十五年↡。

^中うちにありて、 外ほかにはすなはち王官おうかん逼迫ひっぱくして*長征じょうしょう・*遠防おんぼうし、 あるいは繋つながれて牢獄ろうごくにあり、 内うちはすなはち門もん戸この吉きっ凶きょうの衆しゅ事じに牽ひき纏まとはれ、 *煢々けいげい忪々しゅじゅとしてつねに求もとむるに足たらず。

在リテ↢於中ニ↡、外ニハ則チ王官逼迫シテ長征遠防シ、或イハ繋ガレテ在リ↢牢獄ニ↡、内ハ則チ門戸ノ*吉凶ノ衆事ニ牽キ纏ハレ、煢煢忪忪トシテ常ニ求ムルニ不↠足ラ。

^かくのごとく推計すいけいするに、 いくばくの時ときありてか*道業どうごうを修しゅすることを得うべけんや。 かくのごとく思し量りょうするに、 あに哀かなしまざらんや。 なんぞ厭いとはざることを得えんや」 と。

如ク↠斯クノ推計スルニ、可ケムヤ↧有リテカ↢幾クノ時↡*得↞修スルコトヲ↢道業ヲ↡。*如ク↠此クノ思量スルニ、豈ニ不ラム↠哀シマ哉。何ゾ得ムヤト↠不ルコトヲ↠厭ハ。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)浄度菩薩経2

^またかの ¬経きょう¼ (浄度菩薩経) にのたまはく、 「人ひと世せ間けんに生しょうじておほよそ一日いちにち一いち夜やを経ふるに、 八億はちおく四し千万せんまんの念ねんあり。 *一念いちねん悪あくを起おこせば一いち悪身あくしんを受うけ、 十じゅう念ねん悪あくを念おもへば十じっ生しょうの悪身あくしんを得え、 百ひゃく念ねん悪あくを念おもへば一いっ百ぴゃくの悪身あくしんを受うく。 一いち衆しゅ生じょうの一いち形ぎょうのうちを計はかるに、 百ひゃく年ねん悪あくを念おもへば、 悪あくすなはち*三千さんぜん国こく土どに遍満へんまんしてその悪身あくしんを受うく。 悪法あくほうすでにしかり。

又彼ノ¬経ニ¼云ク、「人生ジテ↢世間ニ↡凡ソ経ルニ↢一日一夜ヲ↡、有リ↢八億*四千万ノ念↡。一念起セバ↠悪ヲ受ケ↢一悪身ヲ↡、十念念ヘバ↠悪ヲ得↢十生ノ悪身ヲ↡、百念念ヘバ↠悪ヲ受ク↢一百ノ悪身ヲ↡。計ルニ↢一衆生ノ一形之中ヲ↡、百年念ヘバ↠悪ヲ、悪即チ遍↢満シテ三千国土ニ↡受ク↢其ノ悪身ヲ↡。悪法既ニ爾リ。

^善法ぜんぽうもまたしかなり。 一念いちねん善ぜんを起おこせば一いち善身ぜんしんを受うけ、 百ひゃく念ねん善ぜんを念おもへば一いっ百ぴゃくの善身ぜんしんを受うく。 一いち衆しゅ生じょうの一いち形ぎょうのうちを計はかるに、 百ひゃく年ねん善ぜんを念おもへば、 三千さんぜん国こく土どに善身ぜんしんまた満みつ。 もし0283十じゅう年ねん・五ご年ねん阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじ、 あるいは多た年ねんに至いたることを得うれば、 後のちに無む量りょう寿じゅ国こくに生うまれ、 すなはち浄じょう土どの法身ほっしんを受うくること恒沙ごうじゃ無む尽じんにして不可ふか思議しぎなり」 と。

善法モ亦然ナリ。一念起セバ↠善ヲ受ケ↢一善身ヲ↡、百念念ヘバ↠善ヲ受ク↢一百ノ善身ヲ↡。計ルニ↢一衆生ノ*一形之中ヲ↡、百年念ヘバ↠善ヲ、三0641千国土ニ善身亦満ツ。若シ得レバ↧十*年・五年念ジ↢阿弥陀仏ヲ↡、或イハ至ルコトヲ↦多年ニ↥、後ニ生レ↢无量寿国ニ↡、即チ受クルコト↢浄土ノ法身ヲ↡恒沙无尽ニシテ不可思議也ト。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)浄国寿命の長遠
            (Ⅰ)正釈

^いますでに穢土えどは短促たんそくにして、 命みょう報ほう遠とおからず。 もし阿あ弥陀みだ浄国じょうこくに生しょうずれば、 寿じゅ命みょう長じょう遠おんにして不可ふか思議しぎなり。

今既ニ穢土ハ短促ニシテ、命報不↠遠カラ。若シ生ズレバ↢阿弥陀浄国ニ↡、寿命長遠ニシテ不可思議ナリ。

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)小経

^このゆゑに ¬*無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲仏ぶつ、 *舎しゃ利り弗ほつに告つげたまはく、 ªかの仏ぶつをなんがゆゑぞ阿あ弥陀みだと号なづくる。 ▲舎しゃ利り弗ほつ、 十方じっぽうの人天にんでん、 かの国くにに往おう生じょうするものは、 寿じゅ命みょう長じょう遠おんにして億おく百ひゃく千せん劫こうなり。 仏ぶつと同等どうとうなるがゆゑに阿あ弥陀みだと号なづくº」 と。 おのおのよろしくこの利りの大だいなることを量はかりて、 みな往ゆかんと願がんずべし。

是ノ故ニ¬无量寿経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢舎利弗ニ↡、彼ノ仏ヲ何ガ故ゾ号ナヅクル↢阿弥陀ト↡。舎利弗、十方ノ人天往↢生スル彼ノ国ニ↡者ハ、寿命長遠ニシテ億百千劫ナリ。与↠仏同等ナルガ故ニ号ナヅクト↢阿弥陀ト↡。各ノ宜シクシ ↧量リテ↢此ノ利ノ大ナルコトヲ↡、皆願ズ↞*往カムト也。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)善王皇帝尊経

^また ¬*善王ぜんのう皇帝こうてい尊そん経ぎょう¼ にのたまはく、 「それ人ひとありて、 道どうを学がくして西方さいほう阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと念欲ねんよくするものは、 憶念おくねんすること昼ちゅう夜や一日いちにち、 もしは二に日にち、 あるいは三日さんにち、 もしは四し日にち、 もしは五ご日にち、 六日ろくにち、 七日しちにちに至いたるべし。

又¬善王皇帝尊経ニ¼云ク、「其レ有リテ↠人、*学シテ↠道ヲ念↣欲スル往↢生セムト西方阿弥陀仏国ニ↡者ハ、憶念スルコト*昼夜一日、若シハ二日、或イハ三日、若シハ四日、若シハ五日、至ルベシ↢六日・七日ニ↡。

^もしまた中なかにおいて還げん悔げせんと欲ほっするものは、 われこの善王ぜんのうの功く徳どくを説とくを聞きくべし。 命いのち尽つきんと欲ほっする時とき、 八はち菩ぼ薩さつありて、 みなことごとく飛とび来きたりてこの人ひとを迎むかへ取とり、 西方さいほう阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくのうちに到いたりて、 つひに止とどまることを得えざらん」 と。

若シ復於テ↠中ニ欲スル↢還悔セムト↡者ハ、聞クベシ↣我説クヲ↢是ノ善王ノ功徳ヲ↡。命欲スル↠尽キムト時、有リテ↢八菩薩↡、皆悉ク飛ビ来リテ迎ヘ↢取リ此ノ人ヲ↡、到リテ↢西方阿弥陀仏国ノ中ニ↡、終ニ不ラムト↠得↠止マルコトヲ。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)讃弥陀偈

^これより以下いげ、 また ¬大だい経きょうの偈げ¼ (讃阿弥陀仏偈) を引ひきて証しょうとなす。 ¬讃さん¼ にいはく (同・意)、

自リ↠此已下、又引キテ↢¬大経ノ偈ヲ¼↡為ス↠証ト。¬讃ニ¼云ク、

0284^「▲それ衆しゅ生じょうありて安楽あんらくに生しょうずれば、 ことごとく三さん十じゅう有う二に相そうを具ぐす。
智慧ちえ満足まんぞくして深法じんぼうに入いる。 道要どうようを究く暢ちょうして障しょう礙げなし。

「其レ有リテ↢衆生↡生ズレバ↢安楽ニ↡悉ク具ス↢三十有二相ヲ↡
智*慧満足シテ入ル↢深法ニ↡究↢暢シテ道要ヲ↡无シ↢障礙↡

^◆根こんの利り鈍どんに随したがひて忍にんを成じょう就じゅす。 三忍さんにん乃ない至し不可ふか説せつなり。
宿命しゅくみょう五ご通つうつねに自じ在ざいにして、 仏ぶつに至いたるまで雑悪趣ぞうあくしゅに更かえらず。

随ヒテ↢根ノ利鈍ニ↡成↢就ス忍ヲ↡三忍乃至不可説ナリ
宿命五通常ニ自在ニシテ至ルマデ↠仏ニ不↠更カヘラ↢雑悪趣ニ↡

^◆他た方ほうの五ご濁じょくの世よに生しょうじて、 示じ現げんして同おなじく大だい牟尼むに (釈尊) のごとくなるを除のぞく。
安楽国あんらくこくに生しょうじて大だい利りを成じょうず。 このゆゑに心しんを至いたしてかしこに生しょうぜんと願がんず」 と。

除ク↧生ジテ↢他方ノ五濁ノ世ニ↡示現シテ同ジク如クナルヲ↦大牟尼ノ↥
生ジテ↢安楽国ニ↡成ズ↢大利ヲ↡是ノ故ニ至シテ↠心ヲ願ズト↠生ゼムト↠彼ニ」

二 Ⅹ【第十大門】
    ⅰ 標列

【51】^第だい十じゅう大門だいもんのなかに両りょう番ばんの料りょう簡けんあり。 第だい一いちに ↓¬大だい経きょう¼ によりて類るいを引ひきて証誠しょうじょうす。 第だい二にに↓回え向こうの義ぎを釈しゃくす。

第十大門ノ中ニ有リ↢両番ノ料簡↡。第一ニ依リテ↢¬大経ニ¼↡引キテ↠類ヲ証*誠ス。第二ニ釈ス↢廻向ノ義0642ヲ↡。

二 Ⅹ ⅱ 解釈
      a【引類証誠】
        イ 標

【52】^第だい一いちに ↑¬大だい経きょう¼ によりて類るいを引ひきて証誠しょうじょうすとは、

第一ニ依リテ↢¬大経ニ¼↡引キテ↠類ヲ証*誠スト者、

二 Ⅹ ⅱ a ロ 釈
          (一)正釈

^十方じっぽうの諸仏しょぶつ西方さいほうに帰きすることを勧すすめたまはざるはなく、 十方じっぽうの菩ぼ薩さつ同おなじく生しょうぜざるはなし。 十方じっぽうの人天にんでん、 意こころあるは斉ひとしく帰きす。 ゆゑに知しりぬ、 不可ふか思議しぎの事じなり。

十方ノ諸仏无ク↠不ルハ↠勧メタマハ↠帰スルコトヲ↢西方ニ↡、十方ノ菩薩无シ↠不ルハ↢同ジク生ゼ↡。十方ノ人天、有ルハ↠意斉シク帰ス。故ニ知リヌ不可思議ノ事也。

二 Ⅹ ⅱ a ロ (二)引証

^このゆゑに ¬大だい経きょうの讃さん¼ にいはく (讃阿弥陀仏偈)、

是ノ故ニ¬大経ノ讃ニ¼云ク、

^「▲神力じんりき無む極ごくの阿あ弥陀みだは、 十方じっぽう無む量りょうの仏ぶつの讃さんじたまふところなり。
0285東方とうぼう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの国くに、 菩ぼ薩さつ無む数しゅにしてことごとく往覲おうごんす。

「神力无極ノ阿弥陀ハ十方无量ノ仏ノ所ナリ↠讃ジタマフ
東方恒沙ノ諸仏ノ国菩薩无数ニシテ悉ク往覲ス

^◆また安楽国あんらくこくの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もん・もろもろの大衆だいしゅを供く養ようし、
経きょう法ぼうを聴ちょう受じゅして道どう化けを宣のぶ。 自余じよの九く方ほうもまたかくのごとし」 と。

亦復供↢養シ安楽国ノ菩薩・声聞・諸ノ大衆ヲ↡
聴↢受シテ経法ヲ↡宣ブ↢道化ヲ↡自余ノ九方モ亦如シト↠是クノ」

二 Ⅹ ⅱ b【回向釈義】
        イ 標

【53】^第だい二にに↑回え向こうの義ぎを釈しゃくすとは、

第二ニ▼釈スト↢廻向ノ義ヲ↡者、

二 Ⅹ ⅱ b ロ 釈
          (一)正釈
            (Ⅰ)回向の意

^ただ一切いっさい衆しゅ生じょうすでに仏ぶっ性しょうあるをもつて、 人々にんにんみな成じょう仏ぶつを願ねがふ心しんあり。 しかれども所修しょしゅの行ぎょう業ごういまだ一いち万劫まんごうに満みたざるよりこのかたは、 なほいまだ火か界かいを出いでざるによりて、 輪りん廻ねを免まぬかれず。 このゆゑに聖しょう者じゃこの長じょう苦くを愍あわれみて西にしに回え向こうするを勧すすむるは、 大益だいやくを成じょうぜしめんがためなり。

◆但以テ↣一切衆生既ニ有ルヲ↢仏性↡、人人皆有リ↧願フ↢成仏ヲ↡心↥。然レドモ依リテ↧所修ノ行業未ダルヨリ↠満タ↢一万劫ニ↡已来タハ猶未ダルニ↞出デ↢火界ヲ↡、不↠免レ↢輪廻ヲ↡。是ノ故ニ聖者愍ミテ↢斯ノ長苦ヲ↡勧ムルハ↣廻↢*向スルヲ西ニ↡、為ナリ↠成ゼシメムガ↢大益ヲ↡。

二 Ⅹ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)回向の功

^しかるに回え向こうの功こうは六ろくを越こえず。 なんらをか六ろくとなす。

◆然ルニ廻向之功ハ不↠*越エ↢於六ヲ↡。何等ヲカ為ス↠六ト。

^一いちには所修しょしゅの諸業しょごうをもつて弥陀みだに回え向こうすれば、 すでにかの国くにに至いたりて、 還かえりて*六通ろくつうを得えて衆しゅ生じょうを済運さいうんす。 これすなはち*道どうに住じゅうせざるなり。

◆一ニ者将テ↢所修ノ諸業ヲ↡廻↢向スレバ弥陀ニ↡、既ニ至リテ↢彼ノ国ニ↡、還リテ得テ↢六通ヲ↡済↢運ス衆生ヲ↡。此即チ不ル↠住セ↠道ニ也。

^二にには因いんを*回えして果かに向むかふ。

◆二ニハ廻シテ↠因ヲ向フ↠果ニ。

^三さんには下げを*回えして上じょうに向むかふ。

◆三ニハ廻シテ↠下ヲ向フ↠上ニ。

^四しには遅ちを*回えして速そくに向むかふ。 これすなはち世せ間けんに住じゅうせざるなり。

◆四ニハ廻シテ↠遅ヲ向フ↠速ニ。此即チ不ルナリ↠住セ↢世*間ニ↡。

^五ごには衆しゅ生じょうに回施えせして、 悲ひ念ねんして善ぜんに向むかはしむ。

◆五ニハ廻↢施シテ衆生ニ↡、悲念シテ向ハシム↠善ニ。

^六ろくには*回え入にゅうして分別ふんべつの心しんを去こ却きゃくす。

◆六ニハ廻入シテ去↢却ス分別之心ヲ↡。

^回え向こうの功こうただこの六ろくを成じょうず。

◆廻向之功只成ズ↢斯ノ六ヲ↡。

二 Ⅹ ⅱ b ロ (二)引証
            (Ⅰ)大経

^このゆゑに ¬大だい経きょう¼ (上・意) にのたまはく、 「▲それ衆しゅ生じょうありて、 わが国くにに生しょうずるものは自じ然ねんに勝しょう進しんして、 *常じょう倫りん諸しょ地じの行ぎょうに超出ちょうしゅつして、 仏道ぶつどうを成じょうずるに至いたるまでさらに*回え復ぶくの難なんなし」 (第二0286十二願) と。

是ノ故ニ¬大経ニ¼云ク、「其レ有リテ↢衆生↡、生ズル↢我ガ国ニ↡者ハ自然ニ勝進シテ、超↢出シテ常倫諸地之行ニ↡、至ルマデ↠成ズルニ↢仏道ヲ↡更ニ无シト↢廻復之難↡。」

二 Ⅹ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)讃弥陀偈

^ゆゑに ¬大だい経きょうの讃さん¼ にいはく (讃阿弥陀仏偈)、

故ニ¬大経ノ讃ニ¼云ク、

^「▲安楽あんらくの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もんの輩ともがら、 この世せ界かいにおいて比ひ方ほうなし。
釈しゃ迦か無礙むげの大だい弁才べんざいをもつて、 もろもろの仮令たとえを設もうけて少しょう分ぶんを示しめし、

「安楽ノ菩薩・声0643聞ノ輩於テ↢此ノ世界ニ↡无シ↢比方↡
釈迦无ノ大弁才ヲモテ設ケテ↢諸ノ仮令 タトヘ ヲ↡示シ↢少分ヲ↡

^◆最賎さいせんの乞人こつにんを帝王たいおうに並ならべ、 帝王たいおうをまた金輪こんりん王のうに比くらぶ。

かくのごとく展転てんでんして六天ろくてんに至いたる。 次し第だいしてあひ類るいすることみな始はじめのごとし。

最賎ノ乞人ヲ並ベ↢帝王ニ↡帝王ヲ復比ブ↢金輪王ニ↡
如ク↠是クノ展転シテ至ル↢六天ニ↡次第テ相類スルコト皆如シ↠始ノ

^◆天てんの色像しきぞうをもつてかれに喩たとふるに、 千万せんまん億おく倍ばいすともその類たぐいにあらず。
みなこれ法蔵ほうぞう願力がんりきのなせるなり。 大心だいしん力りきを稽首けいしゅし頂ちょう礼らいしたてまつる」 と。

*以テ↢天ノ色像ヲ↡喩フルニ↢於彼ニ↡千万億倍ストモ非ズ↢其ノ類ニ↡
皆是法蔵願力ノ為セルナリ稽↢首シ頂↣礼シタテマツルト大心力ヲ↡」

二 Ⅺ【第十一大門】
    ⅰ 標列

【54】^第だい十じゅう一いち大門だいもんのなかに略りゃくして両りょう番ばんの料りょう簡けんをなす。 第だい一いちに一切いっさい衆しゅ生じょうを↓勧すすめて善ぜん知ぢ識しきに託たくして西にしに向むかふ意こころをなさしむ。 第だい二にに↓死後しごに生しょう縁えんの勝しょう劣れつあることを弁べんず。

第十一大門ノ中ニ略シテ作ス↢両番ノ料簡ヲ↡。第一ニ勧メテ↢一切衆生ヲ↡託シテ↢善知識ニ↡作サシム↢向フ↠西ニ意ヲ↡。第二ニ死後ニ弁ズ↢生縁ノ勝劣アルコトヲ↡。

二 Ⅺ ⅱ 解釈
      a【勧託善知識】
        イ 標

【55】^第だい一いちに↑勧すすめて善ぜん知ぢ識しきに託たくすとは、

第一ニ勧メテ託スト↢善知*識ニ↡者、

二 Ⅺ ⅱ a ロ 釈
          (一)善知識の意

^¬*法ほっ句く経きょう¼ によるに、 衆しゅ生じょうのために善ぜん知ぢ識しきとなる。 「宝ほう明みょう菩ぼ薩さつあり。 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 いかんが名なづけて善ぜん知ぢ識しきとなすやº と。

依ルニ↢¬法句経ニ¼↡、与ニ↢衆生ノ↡作ル↢善知識ト↡。「有リ↢宝明菩薩↡。白シテ↠仏ニ言ク、世尊、云何ガ名ケテ為ス↢善知識ト↡也ト。

^仏ぶつのたまはく、 ª善ぜん知ぢ識しきはよく深法じんぽうを説とく。 いはく*空くうと無む相そうと無む願がんとなり。 諸法しょほう平びょう等どうにして業ごうなく報ほうなく、 因いんなく果かなし。 *究く竟きょう如にょ々にょ0287にして*実際じっさいに住じゅうす。 しかるに*畢ひっ竟きょう空くうのなかにおいて、 熾し燃ねんとして一切いっさいの諸法しょほうを建こん立りゅうす。 これを善ぜん知ぢ識しきとなす。

仏言ク、善知識者能ク説ク↢深法ヲ↡。謂ク空ト无相ト无願トナリ。諸法平等ニシテ无ク↠業无ク↠報、无ク↠因无シ↠果。究竟如如ニシテ住ス↢於実際ニ↡。然ルニ於テ↢畢竟空ノ中ニ↡、熾然トシテ建↢立ス一切ノ諸法ヲ↡。是ヲ*為ス↢善知識ト↡。

^善ぜん知ぢ識しきはこれなんぢが父母ぶもなり、 なんぢらが菩ぼ提だいの身しんを養育よういくするがゆゑなり。

善知識者是汝ガ父母ナリ、養↢育スルガ汝等ガ菩*提ノ身ヲ↡故ナリ。

^善ぜん知ぢ識しきはこれなんぢが眼目げんもくなり、 よく一切いっさいの善悪ぜんあくの道どうを見みるがゆゑなり。

善知識者是汝ガ眼目ナリ、能ク見ルガ↢一切ノ善悪ノ道ヲ↡故ナリ。

^善ぜん知ぢ識しきはこれなんぢが大船だいせんなり、 なんぢらを*運うん度どして生しょう死じ海かいを出いだすがゆゑなり。

善知識者是汝ガ大船ナリ、運↢度シテ汝等ヲ↡出スガ↢生死海ヲ↡故ナリ。

^善ぜん知ぢ識しきはこれなんぢが*緪こう縄じょうなり、 よくなんぢらを挽ひき抜ぬきて生しょう死じを出いだすがゆゑなりº」 と。

善知識者是汝ガ絚縄ナリ、能ク挽キ↢抜キテ汝等ヲ↡出スガ↢生死ヲ↡故也ト。」

二 Ⅺ ⅱ a ロ (二)勧帰西方

^また勧すすむ。 衆しゅ生じょうのために善ぜん知ぢ識しきとなるといへども、 かならずすべからく西にしに帰きすべし。 なにをもつてのゆゑに。 この火か界かいに住とどまれば、 *違い順じゅんの境きょう多々たたにして、 退没たいもつありて出いづること難かたきによるがゆゑなり。

又勧ム。雖モ↧与ニ↢衆生ノ↡作ルト↦善知識ト↥、必ズ須クシ↠帰ス↠西ニ。何ヲ以テノ故ニ。由ルガ↧住マレバ↢斯ノ火界ニ↡、違順ノ境多多ニシテ、有リテ↢退没↡難キニ↞出ヅルコト故也。

^このゆゑに*舎しゃ利り弗ほつここにおいて発心ほっしんして菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅすること、 すでに六十ろくじっ劫こうを経へたり。 悪あく知ち識しきの乞眼こつげんの因縁いんねんに逢あひて、 つひにすなはち退転たいてんす。 ゆゑに知しりぬ、 火か界かいにして道どうを修しゅすることははなはだ難かたし。

是ノ故ニ舎0644利弗於テ↠此ニ発心シテ修スルコト↢菩薩ノ行ヲ↡、已ニ経タリ↢六十劫ヲ↡。逢ヒテ↢悪知識ノ乞眼ノ因縁ニ↡、遂ニ即チ退転ス。故ニ知リヌ火界ニシテ修スルコトハ↠道ヲ甚ダ難シ。

^ゆゑに勧すすめて西方さいほうに帰きせしむ。 一ひとたび往おう生じょうを得うれば、 三学さんがく自じ然ねんに勝しょう進しんし、 万まん行ぎょうあまねく備そなはる。

故ニ勧メテ帰セシム↢西方ニ↡。一タビ得レバ↢往生ヲ↡、三学自然ニ勝進シ、万行普ク備ハル。

二 Ⅺ ⅱ a ロ (三)引証

^ゆゑに ¬大だい経きょう¼ (下・意) にのたまはく、 「▲弥陀みだの浄じょう国こくは造悪ぞうあくの地ところ毛髪もうはつばかりのごときもなし」 と。

故ニ¬大経ニ¼云ク、「弥陀ノ浄国ハ无シト↣造悪之地如キモ↢毛髪許バカリノ↡也。」

二 Ⅺ ⅱ b【死後受生勝劣】
        イ 標

【56】^第だい二にに次つぎに衆しゅ生じょうの↑死後しごに受じゅ生しょうの勝しょう劣れつあることを弁べんずとは、

第二ニ次ニ弁ズト↢衆生ノ死後ニ受生ノ勝劣アルコトヲ↡者、

二 Ⅺ ⅱ b ロ 釈
          (一)勝劣1

^*この界さかいの衆しゅ生じょう寿いのち0288尽つき命いのち終おわりて、 みな善悪ぜんあくの二に業ごうに乗じょうぜざるはなし。 つねに伺し命みょうの獄率ごくそつと妄愛もうあいの煩悩ぼんのうのためにあひともに生しょうを受うく。 すなはち無む数しゅ劫こうよりこのかた、 いまだ免めん離りすることあたはず。

此ノ界ノ衆生寿尽キ命終リテ、莫シ↠不ルハ↣皆乗ゼ↢善悪ノ二業ニ↡。恒ニ為ニ↢*伺命ノ獄率ト妄*愛ノ煩*悩ノ↡相与ニ受ク↠生ヲ。乃チ従リ↢无数劫↡来コノカタ、未ダ↠能ハ↢免離スルコト↡。

^もしよく信しんを生しょうじて浄じょう土どに帰き向こうし意こころを策はげまして専せん精しょうなれば、 ▲命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 観音かんのん聖しょう衆じゅと光台こうだいをもつて行ぎょう者じゃを*迎こう接しょうしたまふ。 歓かん喜ぎし随ずい従じゅうし合がっ掌しょうして台うてなに乗じょうじ、 須しゅ臾ゆにすなはち到いたりて快け楽らくならざるはなく、 すなはち成じょう仏ぶつに至いたる。

若シ能ク生ジテ↠信ヲ帰↢向シ浄土ニ↡策ハゲマシテ↠意ヲ専精ナレバ、命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏与↢観音聖衆↡光台ヲモテ迎↢接シタマフ行者ヲ↡。歓喜シ随従シ合掌シテ乗ジ↠台ニ、須臾ニ即チ到リテ无ク↠不ルハ↢快楽ナラ↡、乃チ至ル↢成仏ニ↡。

二 Ⅺ ⅱ b ロ (二)勝劣2

^また一切いっさい衆しゅ生じょう、 業ごうを造つくること不ふ同どうにして、 その三種さんしゅあり。 いはく上じょう・中ちゅう・下げなり。 みな*閻えん羅らに詣いたりて判はんを取とらざるはなし。 もしよく*信仏しんぶつの因縁いんねんをもつて浄じょう土どに生しょうぜんと願がんじて、 所修しょしゅの行ぎょう業ごうならびにみな回え向こうすれば、 命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 仏ぶつみづから来迎らいこうして*死し王おうに干おかされず。

又復一切衆生造ルコト↠業ヲ不同ニシテ、有リ↢其ノ三種↡。謂ク上・中・下ナリ。莫シ↠不ルハ↧皆詣イタリテ↢閻羅ニ↡取ラ↞*判ヲ。若シ能ク信仏ノ因縁ヲモテ願ジテ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、所修ノ行業並ニ*皆廻向スレバ、命欲スル↠終ラムト時、仏自ラ来迎シテ不↠干ヲカサレ↢死王ニ↡也。

二 Ⅻ【第十二大門】
    ⅰ 標列

【57】^第だい十じゅう二に大門だいもんのなかに一番いちばんあり。 ¬十じゅう往おう生じょう経きょう¼ につきて証しょうとなして往おう生じょうを勧すすむ。

第十二大門ノ中ニ有リ↢一番↡。就キテ↢¬十往生経ニ¼↡為シテ↠証ト勧ム↢往生ヲ↡也。

二 Ⅻ ⅱ 解釈
      a【総結勧信】
        イ 総勧

^仏ぶつ (釈尊)、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうずることを説とくに、 もろもろの大衆だいしゅのために観身かんじん正しょう念ねん解げ脱だつを説ときたまふがごとし。

如シ↧仏説クニ↠生ズルコトヲ↢阿弥陀仏国ニ↡、為ニ↢諸ノ大衆ノ↡説キタマフガ↦観身正念解脱ヲ↥。

二 Ⅻ ⅱ a ロ 引証

^¬十じゅう往おう生じょう経きょう¼ (意) にのたまはく、 「阿あ難なん、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 一切いっさい衆しゅ生じょうの観身かんじんの法ほうはその事じいかん。 ただ願ねがはくはこれを説ときたまへº と。

¬十往生経ニ¼云ク、「阿難白シテ↠仏ニ言ク、世尊、一切衆生ノ観身之法ハ其ノ事云何。唯願クハ説キタマヘト↠之ヲ。

^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªそれ観身かんじんの法ほうは東西とうざいを観かんぜず、 南北なんぼくを観かんぜず、 *四し維ゆい・上じょう下げを観かんぜず、 虚こ空くうを観かんぜず、 *外げ縁えんを観かん0289ぜず、 *内縁ないえんを観かんぜず、 *身色しんじきを観かんぜず、 *色しき声しょうを観かんぜず、 *色像しきぞうを観かんぜず、 ただ*無む縁えんを観かんず。

仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、夫レ観身之法者不↠観ゼ↢東西ヲ↡、不↠観ゼ↢南北ヲ↡、不↠観ゼ↢四維・上下ヲ↡、不↠観ゼ↢虚空ヲ↡、不↠観ゼ↢外縁0645ヲ↡、不↠観ゼ↢内縁ヲ↡、不↠観ゼ↢身色ヲ↡、不↠観ゼ↢色声ヲ↡、不↠観ゼ↢色像ヲ↡、唯観ズ↢无縁ヲ↡。

^これを正しょう真しんの観身かんじんの法ほうとなす。 この観身かんじんを除のぞきて十方じっぽうにあきらかに求もとむること在々ざいざい処々しょしょなるも、 さらに別法べっぽうにして解げ脱だつを得うることなしº と。

是ヲ為ス↢正真ノ観身之法ト↡。除キテ↢是ノ観身ヲ↡十方ニ諦ニ求ムルコト在在処処ナルモ、更ニ无シト↣別法ニシテ而得ルコト↢解脱ヲ↡。

^仏ぶつまた阿あ難なんに告つげたまはく、 ªただみづから身みを観かんずるに善力ぜんりき自じ然ねんなり、 正しょう念ねん自じ然ねんなり、 解げ脱だつ自じ然ねんなり。

仏復告ゲタマハク↢阿難ニ↡、但自ラ観ズルニ↠身ヲ善力自然ナリ、正念自然ナリ、解脱自然ナリ。

^なにをもつてのゆゑに。 たとへば人ひとありて精しょう進じん*直心じきしんにして正しょう解げ脱だつを得うるがごとし。 かくのごとき人ひとは解げ脱だつを求もとめざるに、 解げ脱だつおのづから至いたるº と。

何ヲ以テノ故ニ。譬ヘバ如シ↣有リテ↠人精進直心ニシテ得ルガ↢正解脱ヲ↡。如キ↠是クノ之人ハ不ルニ↠求メ↢解脱ヲ↡、解脱自ラ至ルト。

^阿あ難なんまた仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 世せ間けんの衆しゅ生じょうもしかくのごとき正しょう念ねん解げ脱だつあらば、 一切いっさいの地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく生しょうの三さん悪道まくどうなかるべしº と。

阿難復白シテ↠仏ニ言ク、世尊、世間ノ衆生若シ有ラバ↢如キ↠是クノ正念解脱↡、応シト↠无カル↢一切ノ地獄・餓鬼・畜生ノ三悪道↡也。

^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª世せ間けんの衆しゅ生じょう解げ脱だつを得えず。 なにをもつてのゆゑに。 一切いっさい衆しゅ生じょうはみな虚こ多おおく実じつ少すくなきによりて、 一いちとして正しょう念ねんなし。 この因縁いんねんをもつて地じ獄ごくのものは多おおく、 解げ脱だつのものは少すくなし。

仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、世間ノ衆生不↠得↢解脱ヲ↡。何ヲ以テノ故ニ。一切衆生ハ皆由リテ↢多ク↠虚少キニ↟実、无シ↢一トシテ正念↡。以テ↢是ノ因縁ヲ↡地獄ノ者ハ多ク、解脱ノ者ハ少シ。

^たとへば人ひとありて、 みづからの父母ぶもおよび師し僧そうにおいて、 外ほかには孝順きょうじゅんを現げんじ内うちには不ふ孝きょうを懐いだくがごとく、 外ほかには精しょう進じんを現げんじ内うちには不ふ実じつを懐いだく。 かくのごとき悪人あくにん報ほういまだ至いたらずといへども、 三さん塗ず遠とおからず、 正しょう念ねんあることなし、 解げ脱だつを得えずº と。

譬ヘバ如ク↧有リテ↠人、於テ↢自ラノ父母及以 オヨビ 師僧ニ↡、外ニハ現ジ↢孝順ヲ↡内ニハ*懐クガ↢不孝ヲ↥、外ニハ現ジ↢精進ヲ↡内ニハ懐ク↢不実ヲ↡。如キ↠是クノ悪人報雖モ↠未ダト↠*至ラ、三塗不↠遠カラ、无シ↠有ルコト↢正念↡、不ト↠得↢解脱ヲ↡。

^阿あ難なんまた仏ぶつにまうしてまうさく、 ªもしかくのごときものは、 さらになんの善根ぜんごんを修しゅしてか正しょう解げ脱だつを得うる0290º と。

阿難復白シテ↠仏ニ言ク、若シ如キ↠是クノ者ハ、更ニ修シテカ↢何ノ善根ヲ↡得ルト↢正解脱ヲ↡。

^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªなんぢいまよく聴きけ。 われいまなんぢがために説とかん。 十じゅうの往おう生じょうの法ほうありて解げ脱だつを得うべし。 いかんが十じゅうとなす。

仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、汝今善ク聴ケ。吾今為ニ↠汝ガ説カム。有リテ↢十ノ往生ノ法↡可シ↠得↢解脱ヲ↡。云何ガ為ス↠十ト。

^一いちには観身かんじん正しょう念ねんにしてつねに歓かん喜ぎを懐いだき、 飲食おんじき・衣え服ぶくをもつて仏ぶつおよび僧そうに施ほどこせば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

一ニ者観身正念ニシテ常ニ懐キ↢歓喜ヲ↡、以テ↢飲食・衣服ヲ↡施セバ↢仏及ビ僧ニ↡、往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

^二にには正しょう念ねんにして甘かん妙みょうの良りょう薬やくをもつて一いちの病びょう比丘びくおよび一切いっさい衆しゅ生じょうに施ほどこせば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

二ニ者正念ニシテ*以テ↢甘妙ノ良薬ヲ↡施セバ↢一ノ病比丘及ビ一切衆生ニ↡、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^三さんには正しょう念ねんにして一いちの生命しょうみょうをも害がいせずして一切いっさいを慈悲じひすれば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

三ニ者正念ニシテ不シテ↠害セ↢一ノ生命ヲモ↡慈↢悲スレバ於一切ヲ↡、往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

^四しには正しょう念ねんにして師しの所ところに従したがひて戒かいを受うけ、 *浄じょう慧えをもつて梵ぼん行ぎょうを修しゅし、 心しんにつねに歓かん喜ぎを懐いだけば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

四ニ者正念ニシテ従ヒテ↢師ノ所ニ↡受ケ↠戒ヲ、浄恵ヲモテ修シ↢梵0646行ヲ↡、心常ニ懐ケバ↢歓喜ヲ↡、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^五ごには正しょう念ねんにして父母ぶもに孝順きょうじゅんし、 *師し長ちょうに敬きょう奉ぶして憍きょう慢まんの心しんを起おこさざれば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

五ニ者正念ニシテ孝↢順シ於父母ニ↡、敬↢奉シテ於師長ニ↡不レバ↠起サ↢憍慢ノ心ヲ↡、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^六ろくには正しょう念ねんにして僧房そうぼうに往詣おうげいし、 塔とう寺じを恭く敬ぎょうし、 法ほうを聞ききて一いち義ぎを解さとれば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

六ニ者正念ニシテ往↢詣シ於僧房ニ↡、恭↢敬シ於塔寺ヲ↡、聞キテ↠法ヲ解サトレバ↢一義ヲ↡、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^七しちには正しょう念ねんにして一日いちにち一いち夜やのうちに*八はっ戒斎かいさいを受じゅ持じして一いちをも破やぶらざれば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

七ニ者正念ニシテ一日一夜ノ中ニ受↢持シテ八戒*斎ヲ↡不レバ↠破ラ↠一ヲモ、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^八はちには正しょう念ねんにしてもしよく斎月さいがつ・斎日さいにちのうちに房舎ぼうしゃを遠おん離りしてつねに善ぜん師しに詣いたれば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

八ニ者正念ニシテ若シ能ク斎月・斎日ノ中ニ遠↢離シテ於房舎ヲ↡常ニ詣イタレバ↢於善師ニ↡、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^九くには正しょう念ねんにしてつねによく浄じょう戒かいを持たもちて禅ぜん定じょうを勤修ごんしゅし、 法ほうを護まもりて悪あっ口くせず。 もしよくかくのごとく行ぎょうずれば、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうす。

九ニ者正念ニシテ常ニ能ク持チテ↢浄戒ヲ↡懃↢修シ於禅定ヲ↡、護リテ↠法ヲ不↢悪口セ↡。若シ能ク如ク↠是クノ行ズレバ、往↢生ス阿弥陀*仏国ニ↡。

^十じゅうには正しょう念ねんにして、 もし*無む上じょう道どうにおいて誹ひ謗ほうの心しんを起おこさず、 精しょう進じんにして浄じょう戒かいを持たも0291ち、 また無智むちのものを教おしへてこの経きょう法ぼうを流布るふし、 無む量りょうの衆しゅ生じょうを教きょう化けす。 かくのごときもろもろの人ひと等らは、 ことごとくみな往おう生じょうを得うº と。

十ニ者正念ニシテ、若シ於テ↢无上道ニ↡不↠起サ↢誹謗ノ心ヲ↡、精進ニシテ持チ↢浄戒ヲ↡、復教ヘテ↢无智ノ者ヲ↡流↢布シ是ノ経法ヲ↡、教↢化ス无量ノ衆*生ヲ↡。如キ↠是クノ諸ノ人等ハ悉ク皆得ト↢往生ヲ↡。

^その時とき*会え中ちゅうに一いちの菩ぼ薩さつあり、 山海さんかい恵えと名なづく。 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 かの阿あ弥陀みだ国こくになんの妙みょう楽らく勝しょう事じありてか一切いっさい衆しゅ生じょうみなかしこに往おう生じょうせんと願がんずるº と。

爾ノ時会中ニ有リ↢一ノ菩薩↡、名ク↢山海恵ト↡。白シテ↠仏ニ言ク、世尊、彼ノ阿弥陀国ニ有リテカ↢何ノ妙楽勝事↡一切衆生皆願ズルト↣往↢生セムト彼ニ↡。

^仏、 山海さんかい恵え菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ªなんぢいままさに起き立りゅうし合がっ掌しょうして身みを正ただしくし、 西にしに向むかひて正しょう念ねんにして阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくを観かんじ、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつらんと願がんずべしº と。

仏告ゲタマハク↢山海恵菩薩ニ↡、汝今応ニ当シト↧起立シ合掌シテ正シクシ↠身ヲ向ヒテ↠西ニ正念ニシテ観ジ↢阿弥陀*仏国ヲ↡、願ズ↞見タテマツラムト↢阿弥陀仏ヲ↡。

^その時とき一切いっさいの大衆だいしゅまたみな起き立りゅうし合がっ掌しょうしてともに阿あ弥陀みだ仏ぶつを観かんじたてまつる。 その時とき阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 大だい神通じんずうを現げんじて大光だいこう明みょうを放はなち、 山海さんかい恵え菩ぼ薩さつの身しんを照てらしたまふ。

爾ノ時一切ノ大衆*亦皆起立シ合掌シテ共ニ観ジタテマツル↢阿弥陀仏ヲ↡。爾ノ時阿弥陀仏現ジテ↢大神通ヲ↡放チ↢大光明ヲ↡、照シタマフ↢山海恵菩薩ノ身ヲ↡。

^その時とき山海さんかい恵え菩ぼ薩さつ等とう、 すなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつの国こく土どのあらゆる荘しょう厳ごん妙みょう好こうの事じを見みたてまつるに、 みなことごとく七宝しっぽうなり。 七宝しっぽうの山やま、 七宝しっぽうの国こく土どあり。 水すい・鳥ちょう・樹林じゅりんつねに法音ほうおんを吐はき、 かの国くにには日々にちにちにつねに法輪ほうりんを転てんず。 かの国くにの人民にんみん*外事げじを習ならはず、 まさしく*内ない事じを習ならふ。 口くちに*方等ほうどうの語ごを説とき、 耳みみに方等ほうどうの声こえを聴きき、 心しんに方等ほうどうの義ぎを解さとる。

爾ノ時山海恵菩薩等即チ見タテマツルニ↢阿弥陀仏ノ国土ノ所有ル荘厳妙好之事ヲ↡、皆悉ク七宝ナリ。七宝ノ山、七宝ノ国土アリ。水・鳥・樹林常ニ吐キ↢法音ヲ↡、彼ノ国ニハ日日0647ニ常ニ転ズ↢法輪ヲ↡。彼ノ国ノ人民不↠習ハ↢外事ヲ↡、正シク習フ↢内事ヲ↡。口ニ説キ↢方等ノ語ヲ↡、耳ニ聴キ↢方等ノ声ヲ↡、心ニ解ル↢方等ノ義ヲ↡。

^その時とき山海さんかい恵え菩ぼ薩さつ、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 われらいまかの国くにを覩と見けんするに、 勝妙しょうみょうの利り益やく不可ふか思議しぎなり。 われいま願ねがはくは一切いっさい衆しゅ生じょうことごとくみな往おう生じょうせんことを。 しかして後のちにわれらも0292また願ねがはくはかの国くにに生しょうぜんº と。

爾ノ時山海恵菩薩、白シテ↠仏ニ言ク、世尊、我等今者 イマ 覩↢見スルニ彼ノ国ヲ↡、勝妙ノ利益不可思議ナリ。我今願クハ一切衆生悉ク皆往生セムコトヲ。然シテ後ニ我等モ亦願クハ生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。

^仏ぶつこれを記きしてのたまはく、 ª正しょう観かん・正しょう念ねんせば正しょう解げ脱だつを得えて、 みなことごとくかしこに生しょうぜん。 もし善ぜん男なん子し・善ぜん女人にょにんありてこの経きょうを正しょう信しんし、 この経きょうを*愛あい楽ぎょうして衆しゅ生じょうを勧導かんどうせば、 説者せっしゃも聴ちょう者しゃもことごとくみな阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせん。

仏記シテ↠之ヲ曰ク、正観正念セバ得テ↢正解脱ヲ↡、皆悉ク生ゼム↠彼ニ。若シ有リテ↢善男子・善女人↡正↢信シ是ノ経ヲ↡、愛↢楽シテ是ノ経ヲ↡勧↢導セバ衆生ヲ↡、説者モ聴者モ悉ク皆往↢生セム阿弥陀仏国ニ↡。

^もしかくのごとき等らの人ひとあらば、 われ今日こんにちよりつねに▼*二に十じゅう五ご菩ぼ薩さつをしてこの人ひとを護持ごじせしめ、 つねにこの人ひとをして病びょうなく悩のうなからしめん。 もしは*人にん、 もしは*非ひ人にん、 その便べんを得えず、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざがに昼ちゅう夜やを問とふことなく、 つねに安穏あんのんなることを得えんº と。

若シ有ラバ↢如キ↠是クノ等ノ人↡、我従リ↢今日↡常ニ使メ↣二十五菩薩ヲシテ護↢持セ是ノ人ヲ↡、常ニ令メム↢是ノ人ヲシテ无ク↠病无カラ↡悩。*若シハ人、若シハ非人、不↠得↢其ノ便ヲ↡、行住坐臥ニ无ク↠問フコト↢昼夜ヲ↡、常ニ得ムト↢安*穏ナルコトヲ↡。

^山海さんかい恵え菩ぼ薩さつ、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 われいま尊そん教きょうを頂ちょう受じゅしてあへて疑うたがふことあらず。 しかるに世よに衆しゅ生じょうあり、 多おおく誹ひ謗ほうしてこの経きょうを信しんぜざることあらん。 かくのごとき人ひとは、 後のちにおいていかんº と。

山海恵菩薩白シテ↠仏ニ言ク、世尊、我今頂↢受シテ尊教ヲ↡不↢敢テ有ラ↟疑フコト。然ルニ世ニ有リ↢衆生↡、多ク有ラム↢誹謗シテ不ルコト↟信ゼ↢是ノ経ヲ↡。如キ↠是クノ之人ハ、於テ↠後ニ云何ト。

^仏ぶつ、 山海さんかい恵え菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ª▼後のちにおいて閻えん浮ぶ提だいに、 あるいは比丘びく・比丘びく尼にありて、 この経きょうを読誦どくじゅすることあるものを見みて、 あるいはあひ瞋しん恚にし心しんに誹ひ謗ほうを懐いだかん。 この*謗ほう正しょう法ぼうによるがゆゑに、 この人ひと現身げんしんのなかに諸悪しょあく・重病じゅうびょう・*身根しんこん不具ふぐ・聾盲ろうもう瘖おん瘂あ・水腫すいしゅ・鬼魅きみを来らい致ちして、 坐臥ざが安やすからず、 生しょうを求もとむるに得えず、 死しを求もとむるに得えず。

仏告ゲタマハク↢山海恵菩薩ニ↡、於テ↠後ニ閻浮提ニ、或イハ有リテ↢比丘・比丘尼↡、見テ↧有ル↣読↢誦スルコト是ノ経ヲ↡者ヲ↥、或イハ相瞋恚シ心ニ懐カム↢誹謗ヲ↡。由ルガ↢是ノ謗正法ニ↡故ニ、是ノ人現身之中ニ来↢致シテ諸悪・重病・身*根不具・聾盲・瘖瘂・水腫・鬼魅ヲ↡、坐臥不↠安カラ、求ムルニ↠生ヲ不↠得、求ムルニ↠死ヲ不↠得。

^あるいはすなはち死しするに致いたりて地じ獄ごくに堕だし、 八はち万劫まんごうのうちに大だい苦く悩のうを受うく。 百ひゃく千せん万まん世ぜにいまだかつて水食すいじきの名なを0293聞きかず。 久ひさしくして後のちに出いづることを得うれども、 牛ご・馬め・猪ちょ・羊ようにありて人ひとのために殺ころされて大だい極ごく苦くを受うく。 後のちに人ひととなることを得うれども、 つねに下げ処しょに生うまれ、 百ひゃく千せん万まん世ぜにも自じ在ざいを得えず。 永ながく三宝さんぼうの名みょう字じを聞きかず。

或イハ乃チ致リテ↠死スルニ*堕シ↢於地獄ニ↡、八万劫ノ中ニ受ク↢大苦悩ヲ↡。百千万世ニ未ダ↣曽テ*聞カ↢水食之名ヲ↡。久シクシテ後ニ得レドモ↠出ヅルコトヲ、在リテ↢牛・馬・猪・羊ニ↡為ニ↠人ノ所テ↠殺サ受ク↢大極苦ヲ↡。後ニ得レドモ↠為ルコトヲ↠人ト、常ニ生レ↢下処ニ↡、百0648千万世ニモ不↠得↢自在ヲ↡。永ク不↠聞カ↢三宝ノ名字ヲ↡。

^このゆゑに無智むち・無む信しんの人ひとのなかにして、 この経きょうを説とくことなかれº」 と。

是ノ故ニ▼无智无信ノ人ノ中ニシテ、莫レト↠説クコト↢是ノ経ヲ↡也。」

三 流通

【58】 ^*撰せん集じゅう流る通ずうの徳とく、 あまねく一切いっさいに施ほどこして、

先まづ菩ぼ提だい心しんを発おこし、 同おなじく浄じょう国こくに帰き向こうして、
みなともに仏道ぶつどうを成じょうぜん。

撰集流通ノ徳普ク施シテ↢於一切ニ↡
先ヅ発シ↢菩*提心ヲ↡同ジク帰↢向シテ浄国ニ↡
皆共ニ成ゼム↢仏道ヲ↡

安楽あんらく集しゅう 巻かん下げ

 

 この集しゅう一いち部ぶ、 *現行げんこう本ぼんにつきて開かい彫ちょう刻印こくいんせり。 ただ浄教じょうきょうを通つうぜしめ、 *蒼そう生しょうを沾うるおさんがためなり。 ただ*虎こ唐とうの謬びゅう、 魚ぎょ魯ろ詳つまびらかにしがたし。 正しょう本ほん流る伝でんせば、 *後昆こうこん*刪さん定じょうせよ。 庶ねがはくは、 乃ない至し一聞いちもんの類たぐいをして同おなじく九く品ぼんの縁えんを結むすばしめんのみ。

斯集一部、就↢現行本↡開彫刻印。唯為↧通↢浄教↡、沾↦蒼生↥也。但虎唐之謬、魚魯難↠詳正本流伝、後昆刪定。庶使↣乃至一聞之類同結↢九品之縁↡而已。

 *寛元かんげん三年さんねん 乙きのとの巳み *仲秋ちゅうしゅうの日ひ

願主がんしゅ比丘びく*往成おうじょう

寛元三年 乙巳 仲秋日

願主比丘往成

 

延書の底本は高野山寶壽院蔵鎌倉時代刊本(上巻)/龍谷大学蔵(写字台旧蔵)寛元三年刊本(下巻)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については原漢文対校本Ⓑ正平二年書写本等によるか。
五翳にして面牆なり 五翳は日月の光をおおいかくす五種のもの。 煙・雲・塵・霧・羅睺らご阿あ修しゅ羅ら王おう (日食・月食を起す阿修羅王)。 面牆は顔をかきねに向けていること。 ともに無知の身という意。 道どう綽しゃく禅ぜん師じが自らをへりくだっていった言葉。
斉朝の上統 統は大統 (僧官の名)。 北斉ほくせいの大統の地位にあった法ほう上じょう法師のことか。
世俗の君子 東とう魏ぎの孝静こうせい帝 (在位534-550) か。
地位 初しょ地じの位。
難者紛紜たり 論難する者がさまざまにあったという意。
此彼の諸経 ¬観経¼ および他の諸大乗経。
可壊の相 無常のありさま。
諸度を該ぬ 六度 (六ろっ波羅ぱら蜜みつ) 万行を摂めている。
終時の益 終益に同じ。
余行 念仏以外のさまざまな行業ぎょうごう。
般若 ここでは仏法の意。
併せ遣り すべて除き。
功徳雲比丘 ¬華厳経¼ 「入法界品」 に説かれる五十三人の善知識の第二。
普賢の行に帰す ここでの帰は帰入するの意。 →普ふ賢げん
諸劫|三世の不顛倒 常住 (消しょう滅めつ変化がなく永久に存在すること) の意。
刀山剣樹鑊湯 刀の山、剣の樹、熱鉄の湯。 地獄を指していう。
摩訶衍 引用は ¬大だい智度ちど論ろん¼ 取意の文。
相法 人相を占う法。
殺鬼 人の命を奪う悪鬼。
卦兆を作り 八卦などをたてて占うこと。
繒幡蓋 絹で作られた幢幡どうばんと天蓋てんがい。
入地の加行道 十じゅう地じのそれぞれの位に入るための行。
地満の功徳利 十地のそれぞれの位を満たした時に得る功く徳どく利り益やく。
已不住道 初しょ地じから二地、 二地から三地へと進むありさま。
上妙の楽具 すぐれて妙たえなる楽器。
通の行 凡ぼん夫ぶも聖者もすべてみな通じるところの行。
通の伴 いかなる行にも通じて伴う行。 四摂であれ六度であれ、 一切の行は、 念仏を離れてはいないという意。
地々 十じゅう地じの各地。
此彼 此土 (穢土えど) と彼土 (浄土)。
往 往生浄土。
解 解げ脱だつのこと。
経 ¬菩ぼ薩さつ瓔珞ようらく経きょう¼ および ¬仁王にんのう経きょう¼ に十種の行が説かれている。
進 精進のこと。 →精進しょうじん
念 心に保持して忘れないこと。
捨 施捨。 布施のこと。 →布施ふせ
信想軽毛 信心が薄いことは、 そよ風にも飛ぶ軽い毛のようなものであるという意。
仮名 名ばかりの菩薩。 菩薩の位の最初、 十信じっしん位いを指す。
外の凡夫 少分の煩悩をも断じていないもの。 また外げ凡ぼんの位とする説もある。
入道行位 さとりに到達するまでの修行の階梯かいてい。
法爾 法のごとくあること。 ここでは修行によって一段一段と菩薩の階位を昇らなければならないことを指す。
福智の資糧 福徳と智慧ちえの善ぜん根ごん。 福徳は六波羅蜜のうちの布施ふせ・持じ戒かい・忍辱にんにく・精しょう進じん・禅ぜん定じょうの五をいい、 智慧は第六の般若はんにゃを指す。 →六ろっ波羅ぱら蜜みつ
始発意 →新しん発ぽっ意ち
親承供養 親しく仕えて香こう華げ等をささげること。
勝方便 すぐれた方法。
法鼓経によるに… ¬法ほっ鼓く経きょう¼ の処々の文の意を取ったものとみられる。
大法鼓経に説きたまふ… ¬法ほっ鼓く経きょう¼ の処々の文の意を取ったものとみられる。
散心念仏 散乱した心のままで念仏すること。 ¬大品だいぼん般若はんにゃ経きょう¼ の原文では、 「散」 の字は 「敬」 となっている。
事定 三界さんがいのうちの無む色しき界かいに生ずる煩悩ぼんのうに染った禅ぜん定じょう。
味染 禅定の味に染まって執着すること。
業報の生を伏し 煩悩に染った禅定の力で欲界よくかいの業報があらわれないようにおさえているという意。
上界 三界のうちの色界しきかい・無色界。
事境 定じょう善ぜんによる所観の境界。
彼此 彼は西方の浄土、 此は諸天を指す。
自分の因 自己のなした業因。
八徳の池 八はっ功く徳どく水すいの浴池。
二諦虚融 真諦しんたい・俗諦ぞくたいの二諦が対立を離れて不二であること。 →真俗しんぞく二に諦たい
三空門 →三さん解げ脱だつ門もん
八正の路 八正道分はっしょうどうぶんのこと。
大涅槃 大いなる仏のさとり。
自余の九方 東方以外の南西北・四し維ゆい・上下のこと。
この界 娑しゃ婆ば世界を指す。
因中 因いん位にの時。 仏果 (仏のさとり) に至るまでの修行中の期間。
礼念観 礼拝らいはい・念仏ねんぶつ・観察かんざつすること。
第七の梵天 梵天ぼんてんの住する色界しきかいの初禅天しょぜんてん。 六欲天の上にあるので第七天という。
体上下に通ず 往生者の上根・下根すべてかねおさめる。
相無相 相即無相。 すべての事物には固定的なすがたがないという意。
此彼の取相 此土 (穢土えど) の相を取ることと、 彼土 (浄土) の相を取ること。
脱 解げ脱だつのこと。
五塵の欲境 五ご欲よくの境界。
二諦を別観して 真諦しんたい・俗ぞく諦たいを別々に観じて。 →真俗しんぞく二に諦たい
七地の終心 七地の最後心。 →十じゅう地じ
八地 菩薩の十地の階位の第八地。 →十じゅう地じ
善貪 仏のさとりを求めるような善き貪愛とんない。
施戒… →六ろっ波羅ぱら蜜みつ
修治断除 修行によって煩ぼん悩のうを対治し、排除すること。
王宮耆闍両会の正説 仏が王舎おうしゃ城じょう宮ぐで阿あ難なんと韋い提だい希けのために説法した王おう宮会ぐえと、阿難が耆ぎ闍しゃ崛山くっせんの大衆のために王宮会での仏の説法を再説した耆闍会。
龍樹天親等の論 龍樹菩薩の ¬十じゅう住じゅう毘婆びば娑論しゃろん¼ ¬大だい智ち度ど論ろん¼、天親菩薩の ¬浄じょう土ど論ろん¼ などを指す。
忉利 忉とう利り天てんのこと。
大神呪 不思議な呪文。
他方に… 他の世界になぞらえて、 声しょう聞もん・菩薩・人天の名を立てているだけで、 実体のないこと。
精微妙躯 不可思議ですぐれた身体。
観照の暉心 智慧ちえの光で真実の道理を照らしみる心。
金剛無礙 等とう正しょう覚がくの位を指す。
所抜の衆生 救われるところの衆生。
無礙の弁才 自由自在なる弁説の才能。
彼此 彼土 (浄土) と此土 (穢土えど)。
寂滅忍 寂じゃく滅めつの境地。
作業の時… →補註6
黒 悪。
白 善。
浄雑 浄は煩悩ぼんのうのけがれのないこと。 雑は善悪の業がまじっていること。
煢々忪々 孤独で頼るものがなく、 恐れて心が乱れ動くこと。
一念悪を起せば… →補註6
三千国土 三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのこと。
無量寿経 引用は ¬小経¼ の取意の文。
道に住せざる さとりの世界にとどまらない。
回して ふり向けて。
回して ひるがえし捨てて。
常倫諸地の行 菩薩の通常の十地の修行。 →十じゅう地じ
空・無相・無願 三さん解げ脱門だつもんのこと。
究竟如々 如々は真しん如にょに同じ。 この上ない真如。
舎利弗… ¬大だい智度ちど論ろん¼ 巻十二に説かれる舎利弗の前生。 →乞眼こつげんの因縁いんねん
この界 娑しゃ婆ば世界を指す。
外縁 色しき・声しょう・香こう・味み・触そく・法ほうの六境ろっきょうのこと。
内縁 眼げん・耳に・鼻び・舌ぜつ・身しん・意いの六識ろくしき、 六根ろっこんのこと。
身色 身体。
色声 声。
外事・内事 文脈からみて、 内事は下の 「方等」、 外事はそれ以外の法のこと。
方等 大いに増広発展させられたの意。 ここでは大乗の法を指す。
人・非人 人間と人間以外の天・竜・夜や叉しゃなどの鬼神をいう。 →補註8
謗正法 →誹ひ謗ほう正しょう法ぼう
身根不具聾盲瘖瘂 →補註10
撰集流通 ¬安楽集¼ を撰述して、 世にひろめるという意。
現行本 現在、世に流布している本。
虎唐の謬魚魯 文字の誤りの意。 虎と唐、 魚と魯は文字がよく似ていて誤りやすいところからいう。
往成 往成はこの ¬安楽集¼ のほか、 宝ほう治じ二年 (1248) に ¬往おう生じょう拾因じゅういん¼、 建長けんちょう二年 (1250) に ¬群ぐん疑ぎ論ろん¼ を版行している。
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底本は◎高野山寶壽院蔵鎌倉時代刊本(上巻)/龍谷大学蔵(写字台旧蔵)寛元三年刊本(下巻)。 Ⓐ高野山寶壽院蔵天永三年書写本、 Ⓑ龍谷大学蔵正平二年書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 全部校訂 弁→Ⓒ辨
明→Ⓐ相
五→Ⓐ吾
蔵 Ⓑ「ト云者アリ」と右傍註記
師 Ⓑ「ト云者アリ」と右傍註記
鸞→Ⓐ巒
統→Ⓑ絞
詳→Ⓐ祥
霊→Ⓐ露
均→Ⓐ劣
左右→Ⓐ右方
其→Ⓐ某
菩→Ⓐ[亦]菩
般→Ⓐ波
時 Ⓐになし
閑→Ⓒ間
念 Ⓐになし
一→Ⓒ是
若 Ⓐになし
目→Ⓐ在
住→Ⓐ作
門→Ⓒ行
観→Ⓐ現
覩→Ⓐ都
沾→◎Ⓑ沽
慧→ⒶⒷ恵
堕→Ⓐ随
併 Ⓐになし
願不→Ⓐ不願
苦→Ⓐ身
慧→ⒶⒷ慧
慧→Ⓐ恵
以→Ⓐ意
緊→Ⓐ竪
陀→Ⓐ那
鑊→Ⓐ潅
爾→Ⓐ爾[時]
或→Ⓐ惑
能 Ⓐになし
障 Ⓐになし
常 Ⓐになし
必 Ⓐになし
解 Ⓐになし
者→ⒶⒸ者[教]
耳→Ⓐ取
前 Ⓐになし
符→Ⓐ簿
符→Ⓐ簿 Ⓑになし
注→Ⓐ住
喩→Ⓐ兪
罪→Ⓐ羅
夜 Ⓐになし
殺→Ⓒ刹
索→Ⓐ
勉→Ⓒ免
鬼 Ⓐになし
徳→Ⓐ能
常→Ⓐ当
学→Ⓐ覚
通→Ⓐ道
挍→Ⓐ交
往→Ⓐ往[生]
又→Ⓐ又[来]
陀→Ⓐ陀[号]
号 Ⓐになし
有 Ⓐになし
仏→Ⓐ仏[修]
忘→◎Ⓑ妄
捨 Ⓐになし
皆→Ⓐ倶
堕→Ⓑ随
亡者→Ⓐ若
目→Ⓐ自
仏→Ⓐ念
項→Ⓒ頃
得→◎Ⓑ徳
就 Ⓐ久也と左傍註記
定→Ⓐ是
弱→Ⓒ劣
所→Ⓒ処
業→Ⓐ乗
蕀→Ⓐ棘
旱→Ⓐ早
悪→Ⓐ怨
伺→Ⓒ司
並→Ⓐ普
槃→Ⓐ槃[城]
末→Ⓑ未
既→Ⓒ即
既→Ⓐ[即]既
於 Ⓐになし
十→Ⓒ十[方] Ⓑ方イと右傍註記
豪→Ⓒ毫
汝→Ⓐ汝[師]
慧→ⒶⒷ恵
随→ⒶⒷ[経云]随
仏 Ⓐになし
至 Ⓐになし
今→Ⓑ命
此 Ⓐになし
請→Ⓐ清
台→Ⓐ豪
一切 Ⓐになし
世界 Ⓐになし
其相→Ⓐ甚想
坐 Ⓐになし
陀→Ⓐ陀[佛]
終→ⒶⒸ終[時]
念→Ⓑ誦
无→Ⓐ无[上]
域→Ⓐ城
項→Ⓐ須
犧→Ⓐ義→Ⓒ犠
減→感→Ⓒ滅
料簡 Ⓐになし
妄→Ⓐ忘
拘→Ⓐ物
累→Ⓐ畜
忻→Ⓐ悕
五 Ⓐになし
心 Ⓐになし
西→Ⓐ西[方]
少→Ⓐ小
階→Ⓐ皆
墜堕→Ⓐ堕墜
堕→Ⓑ随
至 Ⓐになし
昇→Ⓐ勝
勧→Ⓐ[皆]勧
等→Ⓐ等[得]
論 Ⓐになし
野→Ⓒ夜
或…眼14字 Ⓐになし
所不能→Ⓐ不能所
倶→Ⓑ但
到→Ⓐ倒
経→Ⓐ乗
讃 Ⓐ讀歟と右傍註記
咸→◎減
別→ⒶⒸ列
剛→Ⓐ則
无辺 Ⓐになし
倶→Ⓐ但
及→Ⓐ加
遥→Ⓐ逕
趣→Ⓐ疾
才→Ⓐ才[口]
如 Ⓐになし
経 Ⓐになし
慧→ⒶⒷ恵
亡→Ⓑ云
就 Ⓐになし
為 Ⓐになし
諸劫→Ⓐ劫諸
唯 Ⓐになし
生→Ⓐ上
胞 Ⓐになし
傷→Ⓐ腹
薩 Ⓑになし
夜→Ⓐ応
却→Ⓐ劫
吉→Ⓐ去
得 Ⓐになし
如→Ⓐ加
四→Ⓐ五
一形之中 Ⓐになし
年 Ⓐになし
往→ⒶⒸ往[生]
学→Ⓐ挙(立也と右傍註記)
昼→Ⓑ尽
誠→Ⓐ成
誠→ⒶⒷ成
向 Ⓐになし
越→Ⓐ超
間→Ⓒ間[也]
以天→Ⓐ天以
識→Ⓐ議
為→Ⓐ名
提→Ⓐ薩(提歟と右傍註記)
伺→Ⓒ司
愛→Ⓑ受
悩→◎煩 Ⓑ同と右傍註記
判→Ⓐ刺
皆 Ⓐになし
懐→Ⓐ壊
至→Ⓐ至[毎皆前相]
以→Ⓐ以[世]
仏 Ⓐになし
斎→Ⓐ斎[一日一夜中受持]
生 Ⓐになし
亦 Ⓐになし
若 Ⓐになし
穏→Ⓐ隠
根→Ⓐ相
堕→Ⓑ随
聞→Ⓐ聞[有]
提→Ⓐ薩(提と右傍註記)