0452かんぎょう0538正宗しょうしゅうぶん散善さんぜん かんだい

沙門しゃもん*善導ぜんどうしゅう

正宗分
  総明大綱
    総標【総説】
      総標大宗

【1】 ^これより以下いげは、 つぎ三輩さんぱい散善さんぜん一門いちもんす。

0759↠此已下↢三輩散善一門之義↡。

一 Ⅰ ⅰ 別弁因行

^こののなかにつきてすなはちそのあり。 いちには三福さんぷくかしてもつてしょういんとなす。 にはぼんかしてもつて正行しょうぎょうとなす。

キテ↢此↡即↢其二↡。一ニハシテ↢三福↡以↢正因↡。二ニハシテ↢九品↡以↢正行↡。

一 Ⅰ 別釈
      広明三福正因【三福】
       

^いま三福さんぷくといふは、

今言↢三福↡者、

一 Ⅰ ⅱ a
          (一)明行体不同

・世福

^第一だいいちふくはすなはちこれぞく善根ぜんごんなり。 むかしよりこのかたいまだ仏法ぶっぽうかず、 ただおのづから*きょうよう*じんれいしんぎょうず。 ゆゑにぞくぜんづく。

第一是世俗善根ナリムカシヨリコノカ↠聞↢仏法↡、但自↢孝養・仁・義・礼・智・信↡。故↢世俗↡也。

・戒福

^だいふくこれを戒善かいぜんづく。 このかいのなかにつきてすなはちにんてんしょうもんさつとうかいあり。 そのなかにあるいは*じゅ不具ふぐじゅあり、 あるいは*具持ぐじ具持ぐじあり。 ただよくこうすればことごとくおうじょう

第二福者此↢戒善↡。就キテ↢此↡即↢人・天・声聞・菩薩等戒↡。其イハ↢具受・不具受↡、或イハ↢具持・不具持↡。但能廻向スレバ得↢往生↡。

・行福

^第三だいさんふく づけてぎょうぜんとなす。 これはこれ*だいじょうしんおこせるぼん、 みづからよくぎょうぎょうじ、 ねてえんすすめてあくしんたもたしめて、 *してじょうしょうず。

第三者名ケテ↢行善↡。此是発セル↢大乗心↡凡夫、自↠行、兼ネテメテ↢有縁↡捨↠悪タシメテ↠心、廻シテ↢浄土↡。

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)弁受法単複

^またこの三福さんぷくのなかにつきて、 あるいは一人いちにん ひとへにふくぎょうじてしてまたしょうずることるあり。 あるいは一人いちにん ひとへ0453戒福かいふくぎょうじてしてまたしょうずることるあり。 あるいは一人いちにんひとへにぎょうふくぎょうじてしてまたしょうずることるあり。

又就キテ↢此三福之中↡、或イハ↧一人単ジテ↢世福↡廻シテ亦得↞生ズルコトヲ。或イハ↧一人単ジテ↢戒福↡廻シテ亦得↞生ズルコトヲ。或イハ↧一人単ジテ↢行福↡廻シテ亦得↞生ズルコトヲ

^あるいは一人いちにんかみふくぎょうじてしてまたしょうずることるあり。 あるいは一人いちにんしもふくぎょうじてしてまたしょうずることるあり。

イハ↧一人行ジテ↢上二福↡廻シテ亦得↞生ズルコトヲ。或イハ↧一人行ジテ↢下二福↡廻シテ亦得↞生ズルコトヲ

^あるいは一人いちにんつぶさに三福さんぷくぎょうじてしてまたしょうずることるあり。 あるいは人等にんとうありて、 三福さんぷくともにぎょうぜざるものすなはちじゅうあく邪見じゃけんせん0539だいひとづく。

イハ↧一人具ジテ↢三福↡廻シテ亦得↞生ズルコトヲ。或イハリテ↢人等↡、三福倶↠行↢十悪・邪0760見・闡提↡也。

一 Ⅰ ⅱ 略指九品正行

^ぼんといふは、 もんいたりてまさにべんずべし、 るべし。 いまりゃくして三福さんぷく差別しゃべつ *りょうけんしをはりぬ。

↢九品↡者、至リテ↠文↠弁、応↠知。今略シテ料↢簡三福差別義意↡竟リヌ

別釈文義
    【上輩観】
      総料簡【文前料簡】
       

【2】 ^じゅうじょうはいかんぎょうぜん文前もんぜんにつきて、 そうじてりょうけんしてすなはちじゅう一門いちもんとなす。

十四キテ↢上輩観行善文前↡、総ジテ料簡シテ↢十一門↡。

一 Ⅱ ⅰ a
          (一)列科目

・告命

^いちにはそうじて*ごうみょうかす。

者総ジテ↢告命↡。

・弁定其位

^にはそのくらいべんじょうす。

者弁↢定↡。

・総挙有縁

^さんそうじてえんたぐいぐ。

者総ジテ↢有縁之類↡。

・三心正因

^三心さんしんべんじょうしてもつてしょういんとなす。

者弁↢定シテ三心↡以↢正因↡。

・簡機堪不

^はまさしく*かんかんとをえらぶことをかす。

者正シク↠簡ブコトヲ↣機↢不堪↡。

・受法不同

^ろくはまさしく受法じゅほうどうかす。

者正シク↢受法不同↡。

・時節延促

^しちはまさしく修業しゅごうせつ*延促えんそくことなることあることをかす。

者正シク↢修業時節延促有ルコトヲ↟異ナルコト

・回行願生

^はち所修しょしゅぎょうして、 弥陀みだ仏国ぶっこくしょうんとがんずることをかす。

者明↧廻シテ↢所修↡願ズルコトヲ↞生ゼムト↢弥陀仏国↡。

・迎接去時

^命終みょうじゅうときのぞみてしょうきたりて*こうしょうしたまふどう*去時こじしつかす。

者明↧臨ミテ↢命終↡聖来リテ迎接シタマフ不同、去時遅疾トヲ↥。

・華開遅疾

^じゅうはかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

者明↢到リテ↠彼華開クル遅疾不同↡。

・開後得益

^じゅういちかい以後いご得益とくやくことなることあることを0454す。

十一者明↢華開已後得益ルコトヲ↟異ナルコト

一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)例結余品
            (Ⅰ)正例結

^いまこのじゅういちもんは、 ぼんもん約対やくたいするに、 一々いちいちほんのなかにつきてみなこのじゅういちあり。 すなはち*いっぴゃくばんとなす。 またこのじゅういちもんは、 じょうはいもん ぜんにつきて、 そうじてりょうけんするまたたり。 あるいはちゅうはいもん ぜんにつきて、 おのおのりょうけんするまたたり。

今此十一門義者、約↢対スルニ九品之文↡、就キテ↢一一↡皆有↢此十一↡。即↢一百番↡也。又此十一門、就キテ↢上輩文前↡総ジテ料簡スルモ亦得タリ。或イハキテ↢中・下輩文前↡、各料簡スルモ亦得タリ

一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)弁具欠

^また*このもしもんをもつてきたかんがふれば、 すなはち不具ふぐあり。 *隠顕おんけんありといへども、 もしそのどうによらばことごとくみなあるべし。 この因縁いんねんのためのゆゑに、 すべからく広開こうかいしてけんしゅつべし。 ぎょうするものをしてさとりやすくりやすからしめんとほっす。

又此義若↠文フレバ者、即↢具・不具↡。雖↠有リト↢隠顕↡、若ラバ↢其道理↡悉↠有。為↢此因縁↡故、須↢広開シテ顕出↡。欲↠令メムト↢依行スルヲシテサトカラ↟識也。

一 Ⅱ ⅰ a

^じょうらい じゅういちもんどうありといへども、 ひろじょうはい三品さんぼん りょうけんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢十一門不同↡、広料↢簡上輩三品義意↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅰ 別解釈
        正釈
          (一)上上品【上品上生釈】
            (Ⅰ)総標

【3】 ^次下つぎしもじょうぼん上生じょうしょうくらいのなかにつきて、 また*げ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうあり。

次下キテ↢上品上生↡、亦先、次、後。即↢其十二↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)告命

^いち ぶつ0540ごうなん より以下いげはすなはちならべてこころひょうす。

↢「仏0761告阿難」↡已下ベテ↢二↡。

^いちにはごうみょうかす。

ニハ↢告命↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)弁成其位

^にはそのくらいべんじょうすることをかす。 これすなはちだいじょう修学しゅがくするじょうぜんぼんにんなり。

ニハ↣弁↢定スルコトヲ↡。此即修↢学スル大乗↡上善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅲ)総挙有縁

^さん にゃくしゅじょう」 よりしも即便そくべんおうじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくそうじて*しょうたぐいぐることをかす。 すなはちそのあり。

↢「若有衆生」↡下至↢「即便往生」↡已来タハシク↣総ジテグルコトヲ↢有生之類↡。即↢其四↡。

・能信人

^いち能信のうしんひとかす。

ニハ↢能信之人↡。

・求願往生

^にはおうじょうがんすることをかす。

ニハ↣求↢願スルコトヲ往生↡。

・発心

^さんには*発心ほっしんしょうかす。

ニハ↢発心多少↡。

・得生益

^にはとくしょうやくかす。

ニハ↢得生之益↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)三心正因
                (a)牒文総科

^ とう0455さん」 よりしもひっしょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしく三心さんしんべんじょうしてもつてしょういんなすことをかす。 すなはちそのあり。

↢「何等為三」↡下至↢「必生彼国」↡已来タハシク弁↢定シテ三心↡以スコトヲ↦正因↥。即↢其二↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)別釈文句
                  (イ)釈自徴

^いちにはそんしたがひてやくあらわしたまふこと*みつにしてりがたし、 ぶつみづからひみづからあらわしたまふにあらずは、 るによしなきことをかす。

ニハ↧世尊随ヒテ↠機シタマフコト↠益意密ニシテ↠知、非ズハ↢仏シタマフニ↡、無キコトヲ↞由↠得ルニ↠解

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)釈如来答数
                    [一]総示

^には如来にょらい (釈尊) かえりてみづからさき三心さんしんかずこたへたまふことをかす。

ニハ↣如来還リテヘタマフコトヲ↢前三心之数↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]別釈
                      [Ⅰ]広釈三心体相
                        [ⅰ]【至誠心釈】
                          [a]牒文

【4】 ^¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 「いちにはじょうしん

¬経¼云、「一者至誠心」。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]釈義
                            [イ]釈名

^」 とはしんなり、 「じょう」 とはじつなり。

「至」者真ナリ、「誠」者実ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]解義
                              ª一º就利他直釈
                                ªⅠº略示勧誡
                                  ªⅰº勧他力

^一切いっさいしゅじょうしん口意くいごう 所修しょしゅ*ぎょう真実しんじつしんのうちになすべきことをかさんとほっす。

↠明サムト↣一切衆生身口意業所修解行、必キコトヲ↢真実心↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅠºªⅱº誡自力

^ほか賢善けんぜんしょうじんそうげんうち虚仮こけいだくことをざれ

↠得↧外↢賢善精進之相↡内クコトヲ↦虚仮↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡº広弁機法
                                  ªⅰº明機不実
                                    ªaº正明機相

^*貪瞋とんじんじゃかんひゃくたんにして、 あくしょうめがたこと*蛇蝎じゃかつおなきは、 三業さんごうおこすといへどもづけて雑毒ぞうどくぜんとな、 また虚仮こけぎょうづく真実しんじつごうづけ

貪瞋・邪偽・奸詐百端ニシテ、悪性難↠侵、事同ジキハ↢蛇蝎↡、雖↠起スト↢三業↡名ケテ↢雑毒之善↡、亦名↢虚仮之行↡。不↠名↢真実↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbº重斥自力

^もしかくのごとき安心あんじんぎょうをなすものは、 たとひ身心しんしんれいして、 *にちじゅう きゅう*はしきゅうになすこと*ねんはらふがごとくるもの、 すべて雑毒ぞうどくぜんづく。 この雑毒ぞうどくぎょうしてかのぶつじょうしょうずることをもとんとほっ 、 これかならず不可ふかなり。

↢如↠此クノ安心・起行↡者縦使 タトヒ 苦↢励シテ身心↡、日夜十二時急スコト、如クスル↠灸フガ↢頭燃↡者、衆↢雑毒之善↡。欲セバ↧廻シテ↢此雑毒之行↡求メムト↞生ズルコトヲ↢彼浄土↡者、此必不可也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº顕法真実

^なにをもつてのゆゑに。 まさしくかの弥陀みだぶつ*いんちゅうさつぎょうぎょうじたまひしときすなはち一念いちねん0456いちせついたるまでも三業さんごう所修しょしゅ、 みなこれ真実しんじつしんのうちになしたまひ*おほよそ*施為せいしゅしたまふところ、 またみな真実しんじつるによりてなり。

テノ。正シクリテナリ↧彼阿弥陀仏因中ジタマヒシ↢菩薩↡時、乃ルマデモ↢一念一刹那↡、三業所修、皆是真実心シタマヒ、凡所↢施為趣求シタマフ↡、亦皆真実ナルニ↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二º分二利重弁
                                ªⅠº標列

^また真実しんじつしゅあり。 いち0541*自利じり 真実しんじつ*利他りた 真実しんじつなり。

又真実↢二種↡。一者自利0762真実、二者利他真実ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅡº随釈
                                  ªⅰº明自利真実
                                    ªaº明厭離真実

^自利じり真実しんじつといふは、 またしゅあり。

↢自利真実↡者、復有↢二種↡。

・聖道厭離

^ いち真実しんじつしんのうちに、 自他じた諸悪しょあくおよび*こくとう*制捨せいしゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざが一切いっさいさつ諸悪しょあく制捨せいしゃしたまふおなじく、 われもまたかくのごとくならんとおもふなり。

者真実心、制↢捨シテ自他諸悪及穢国等↡、行住坐臥↧同ジク↣一切菩薩制↢捨シタマフニ諸悪↡、我亦如クナラムト↞是也。

・聖道欣求

^真実しんじつしんのうちに、 自他じた ぼんしょうとうぜん勤修ごんしゅす。

者真実心、懃↢修自他凡聖等↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅰºªbº明欣求真実

・口業

^真実しんじつしんのうちのごうに、 かの弥陀みだぶつおよびしょうほう讃歎さんだん 。 また真実しんじつしんのうちのごうに、 三界さんがい六道ろくどうとう自他じたしょうほうあく*えんす。 また一切いっさいしゅじょう三業さんごうしょぜん讃歎さんだんす。 もし善業ぜんごうにあらは、 つつしみてこれをとおざかれ、 また*ずいせざ

真実心口業、讃↢歎阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心口業、毀↢厭三界・六道等自他依正二報苦悪之事↡。亦讃↢歎一切衆生三業所為↡。若ズハ↢善業↡者、敬ミテ而遠ザカレ↠之、亦不↢随喜↡也。

・身業

^また真実しんじつしんのうちの身業しんごうに、 がっしょうらいきょうして、 *四事しじとうもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうよう。 また真実しんじつしんのうちの身業しんごうに、 このしょう三界さんがいとう自他じたしょうほう軽慢きょうまん厭捨えんしゃす。

又真実心身業、合掌礼敬シテ、四事等ヲモテ供↢養阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心身業、軽↢慢厭↣捨生死三界等自他依正二報↡。

・意業

^また真実しんじつしんのうちのごうに、 かの弥陀みだぶつおよびしょうほうそう観察かんざつ憶念おくねんしてまえげんずるがごとくす 。 また真実しんじつしんのうちのごうに、 このしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうせん厭捨えんしゃす。

又真実心意業、思↢想観↣察憶↤念シテ阿弥陀仏及依正二報↡、如クス↠現ズルガ↢目↡。又真実心意業、軽↢賎厭↣捨生死三界等自他依正二報↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅱº明利他真実
                                  ªaº別明

^*ぜんさんごう0457は、 かならずすべからく真実しんじつしんのうちにつべし。 *またもしぜん三業さんごうおこさば、 かならずすべからく真実しんじつしんのうちになすべし。

不善三業、必↢真実心↡。又若サバ↢善三業↡者、必↢真実心↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅱºªbº総結

^*ないみょうあんえらばず、 みなすべからく真実しんじつなるべし。

不↠簡↢内外明闇↡、皆須↢真実ナル↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][c]結名

^ゆゑにじょうしんづく。

↢「至誠心」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]深心釈
                          [a]牒文

【5】 ^には深心じんしん

「二者深心」。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]釈義
                            [イ]釈名義
                            [ロ]明信相
                              ª一º深信機法【二種深信】
                                ªⅠº標数

^深心じんしん」 といふはすなはちこれふかしんずるしんなり。 またしゅあり。

「深心」↡者即是深ズル之心也。亦有↢二種↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª一ºªⅡº列釈
                                  ªⅰº明信機

^いちけつじょうしてふかしんげんにこれ*罪悪ざいあくしょうぼん *曠劫こうごうよりこのかたつねにもっつねにてんして*しゅつえんあることなしとしんず。

者決定シテ↢自身是罪悪生死凡夫、曠劫ヨリ已来流転シテ、無シト↟有ルコト↢出離之縁↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº明信法

^けつじょうしてふかかの弥陀みだぶつじゅうはちがんしゅじょうしょうじゅ0542したまふこと、 うたがいおもんぱかりなかの願力がんりきじょうじてさだめておうじょうしんず。

者決定シテ↧彼阿弥陀仏四十八願摂↢受シタマフコト衆生↡、無↠疑無↠慮0763ジテ↢彼願力↡定メテ↦往生↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª二º深信観経

【6】 ^またけつじょうしてふかしゃぶつこの ¬*かんぎょう¼ の三福さんぷくぼんじょうさんぜんきて、 かのぶつしょうほうしょうさんして、 ひとをしてごんせしめたまふしんず。

又決定シテ↧釈迦仏説キテ↢此¬観経¼三福・九品・定散二善↡、証↢讃シテ依正二報↡、使メタマフト↦人ヲシテ欣慕↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª三º深信小経

^またけつじょうしてふか¬*弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ一切いっさいぼん けつじょうしてしょうずることをしょうかんしたまふとしんず。

又決定シテ↣¬弥陀経¼中、十方恒沙諸仏証↢勧シタマフト一切凡夫決定シテ↟生ズルコトヲ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª四º唯信仏語

^また深信じんしんとは、 あおねがはく一切いっさいぎょうじゃとう一心いっしんにただぶつしんじて身命しんみょうかえりみず、 けつじょうしてぎょうぶつてしめたまふをばすなはちて、 ぶつぎょうぜしめたまふをばすなはちぎょうじ、 ぶつらしめたまふところをばすなはちる。 これをぶっきょう随順ずいじゅんぶつ随順ずいじゅんすとこれを仏願ぶつがん随順ずいじゅんすとづく。 これをしんぶつ弟子でしづく。

又深信者、仰クハ、一切行者等、一心唯信ジテ↢仏語↡不↠顧↢身命↡、決定シテ依行、仏メタマフヲ↠捨者即、仏メタマフヲ↠行者即、仏メタマフヲ↠去ヲバ。是↧随↢順仏教↡随↦順スト仏意↥、是↣随↢順スト仏願↡。是↢真仏弟子↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五º依観経信
                                ªⅠº総標信得

^また一切いっさいぎょうじゃただ0458よくこの ¬きょう¼ (観経) によりてふかしんじてぎょうるものは、 かならずしゅじょうあやまたず。

又一切行者但能リテ↢此¬経¼↡深ジテズル、必不↠悞↢衆生↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡº別顕可信
                                  ªⅰº略示

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつはこれだい満足まんぞくしたまへるにんなるがゆゑなり*じつしたまふがゆゑなり

テノ。仏是満↢足シタマヘル大悲↡人ナルガナリ、実語シタマフガナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱº広顕
                                    ªaº挍説人分満

^ぶつのぞきてげんは、 *ぎょういまだたず。 その*がくにありて、 *正習しょうじゅうしょうていまだ のぞこらざるによりて、 *がんいまだまどかならず。

キテ↠仏已還、智行未↠満。在リテ↢其学地↡、由リテ↧有リテ↢正習二障↡未ルニ↞除コラ、果願未↠円カナラ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱºªbº挍教語虚実
                                      ªイº明因説必要果証

^これらのぼんしょうはたとひ諸仏しょぶつきょうしきりょうれども、 いまだけつりょうすることあたはず。 *平章びょうしょうすることありといへども、 かならずすべからくぶつしょうしょうじてじょうとなすべし。 もしぶつかな すなはち*いんして*にょにょ」 とのたまふ。 もしぶつかなはざれば、 すなはち 「なんぢら所説しょせつこのにょ」 とのたまふ。

此等凡聖縦使 タトヒ 測↢量スレドモ諸仏教意↡、未↠能↢決了スルコト↡。雖↠有リト↢平章スルコト↡、要↧請ジテ↢仏証↡為↞定也。若カナヘバ↢仏意↡、即印可シテ↢如是如是↡。若レバカナ↢仏意↡者、即↢汝等所説是義不如是↡。

^いんせざるはすなはち*無記むき無利むりやくどうぶついんしたまふは、 すなはちぶつ正教しょうきょうずいじゅんす。 もしぶつあらゆる言説ごんせつなればすなはちこれ正教しょうきょうしょう正行しょうぎょうしょうしょうごうしょうなり。

↠印者即↢無記・無利・無益之語↡。仏印可シタマフ者即随↢順仏之正教↡。若所有言説ナレバ、即是正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱºªbºªロº明果説必不要因証

^もしはもしはしょう、 すべてさつにんてんとうひて、 その是非ぜひさだめざれもしぶつ所説しょせつなればすなはちこれ*了教りょうきょうなり。 さつとうせつことごとく了教りょうきょうづく、 るべし。

シハ多若シハ少、衆↧問ヒテ↢菩薩・人・天等↡、定↦其是非↥也。若所説ナレバ是了教ナリ。菩薩等↢不了教↡也、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅢº結示勧誡

^このゆゑにいまのときあおぎて一切いっさいえんおうじょうとうすすむ。 ただ0543ふかぶつしんじて*せんちゅうぎょうすべし。 さつとう*相応そうおうきょう信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし わくいだ0459づからまよ おうじょう大益だいやく廃失はいしつすべからず。

時、仰ギテ↢一切有縁往生人等↡。唯可↧深ジテ↢仏0764↡専注奉行↥。不↠可カラ↧信↢用シテ菩薩等不相応↡、以↢疑礙↡、抱キテ↠惑、廃↦失往生之大益↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六º建立自心
                                ªⅠº略示

【7】 ^また深心じんしんは 「ふかしんなり」 といふは、 けつじょうしてしんこんりゅうて、 きょうじゅんしゅぎょう ながさくのぞきて、 一切いっさい*べつべつぎょう*がくけんしゅうのために退失たいしつ*きょうどうせられざるなり。

又深心ナリトイフ者、決定シテ建↢立シテ自心↡、順ジテ↠教修行、永キテ↢疑錯↡、不↧為↢一切別解・別行・異学・異見・異執↡之所↦退失傾動↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡº広説
                                  ªⅰº

 ^ひていはく、 ぼんあさ *わくしょうしょすることふかし。 もしぎょうどうひとおおきょうろんきてきたりてあひぼうなんし、 しょうして 「一切いっさいざいしょうぼんおうじょうず」 といはば、 いかんがかのなん*たいして、 信心しんじんじょうじゅして、 けつじょうしてただちにすすみて、 *怯退こうたいしょうぜざらんや。

ヒテ、凡夫智浅、惑障処スルコト。若ハバ↧解行不同人多キテ↢経論↡来リテ相妨難、証シテフニ↦一切罪障凡夫不↞得↢往生↡者、云何対↢治シテ↡、成↢就シテ信心↡、決定シテミテ、不ラム↠生↢怯退↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱº
                                    ªaº明就人立信【四重破人
                                      ªイº正明
                                        ˆ一ˇ凡夫

^こたへていはく、 もしひとありておおきょうろんきてしょうして 「しょうず」 といはば、 ぎょうじゃすなはちこたへていへ。 「なんぢきょうろんをもつてきたしょうして ªしょうずº といふといへども、 わがこころのごときはけつじょうしてなんぢがけず。

ヘテ、若リテ↠人多キテ↢経論↡証シテハバ↠不↠生者、行者即ヘテ仁者 ナンヂ ↧将↢経論↡来シテフト↞不↠生、如↢我↡者決定シテ不↠受↢汝↡。

^なにをもつてのゆゑに。 しかるにわれまた、 これかのもろもろのきょうろんしんぜざるにはあらず。 ことごとくみな仰信ごうしん

テノ。然ルニ我亦、不↢是不ルニハ↟信↢彼経論↡。尽皆仰信

^しかるにぶつかのきょうきたまときは、 処別しょべつべつたいべつやくべつなり。 またかのきょうきたまときは、 すなはち ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼ とうきたまふときにあらず。 しかるにぶつせっきょう*そなふ、 ときまたどうなり

ルニ仏説キタマフ↢彼↡時、処別・時別・対機別・利益別ナリ。又説キタマフ↢彼↡時、即↧説キタマフ↢¬観経¼・¬弥陀経¼等↡時↥。然ルニ説教↠機、時亦不同ナリ

^かれ すなはちつうじてにんてんさつぎょうく。 い0460ま ¬かんぎょう¼ のじょうさんぜんきたまふことは、 ただだいおよびぶつ めつじょく五苦ごくとう一切いっさい ぼんのために、 しょうして ªしょうずることをº とのたまふ。

彼即ジテ↢人・天・菩薩之解行↡。今説キタマフコトハ↢¬観経¼定散二善↡、唯為↢韋提及仏滅後五濁・五苦等一切凡夫↡、証シテ↠得↠生ズルコトヲ

^この因縁いんねんのために、 われいま一心いっしんにこのぶっきょうによりてけつじょうしてぎょうす。 たとひなんぢひゃく千万せんまんおくありて ªしょうぜずº といふとも、 ただわがおうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん」

↢此因縁↡、我今一心リテ↢此仏教↡決定シテ奉行縦使 タトヒ 汝等百千万億アリテフトモ↠不↠生者、唯増↢長成↣就セムト往生信心↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ二ˇ賢聖

^またぎょうじゃさらにかひてきていへ。 「なんぢよくけ、 われいまなんぢがためにさらにけつじょうしん そうかん。

又行者更ヒテキテ仁者 ナンヂ 、我今為↠汝カム↢決定信相↡。

^たとひ*ぜんさつかん*びゃくとう、 もし0544いちもしはない十方じっぽう*遍満へんまんして、 みなきょうろんきてしょうして ªしょうぜずº といふともわれまたいまだ一念いちねんしんおこ。 ただわが清浄しょうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん。

縦使 タトヒ 地前菩薩・羅漢・辟支等、若シハ一若シハ多、乃至0765遍↢満シテ十方↡、皆引キテ↢経論↡証シテフトモ↠不↠生者、我亦未↠起↢一念疑心↡。唯増↢長成↣就セム清浄信心↡。

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつけつじょうじょうじゅりょうにして、 一切いっさいのために破壊はえせられざるによるがゆゑなり」 と。

テノ。由ルガ↫仏語決定成就了義ニシテ、不ルニ↪為↢一切↡所↩破壊↨故ナリト

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ三ˇ地上

^またぎょうじゃよくけ。 たとひ*しょじょうじゅうらい、 もしはいちもしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 異口いく同音どうおんにみないはく、しゃぶつ弥陀みださんし、 三界さんがい六道ろくどう*毀呰きしし、 しゅじょう勧励かんれい 、 ª専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅすれば、 この一身いっしんへてのちひつじょうしてかのくにしょうº といふは、 これかならずもうなり、 しんすべからず」 と。

又行者善縦使 タトヒ 初地已上十地已来、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方↡、異口同音皆云、釈迦仏指↢讃弥陀↡、毀↢呰三界・六道↡、勧↢励衆生↡、専心念仏、及スレバ↢余善↡、畢ヘテ↢此一身↡後必定シテズトイフ↢彼↡者、此必虚妄ナリ、不↠可カラ↢依信↡也。

^われこれらの所説しょせつくといへども、 また一念いちねんしんしょうぜず。 ただわがけつじょう上上じょうじょう信心しんじんぞう0461じょうじょうじゅせん。

我雖↠聞クト↢此等所説↡、亦不↠生↢一念疑心↡。唯増↢長成↣就セム決定上上信心↡。

^なにをもつてのゆゑに。 すなはちぶつ真実しんじつ*けつりょうなるによるがゆゑなりぶつはこれじっじつ実見じっけんじっしょうにして、 これわくしん ちゅうにあらざるがゆゑなりまた一切いっさいさつけん異解いげのために破壊はえせられず。 もしじつにこれさつならば、 すべてぶっきょうせじ。

テノ。乃ルガ↢仏語真実決了ナルニ↡故ナリ。仏是実知・実解・実見・実証ニシテ、非ザルガ↢是疑惑心中↡故ナリ。又不↧為↢一切菩薩異見・異解↡之所↦破壊↥。若是菩薩ナラバ者、衆不↠違↢仏教↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ四ˇ報化
                                          ˆⅠˇ

^またこのく、 ぎょうじゃまさにるべし。

又置↢此↡、行者当↠知

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇ
        ˆⅰˇ出離破

^たとひぶつ*報仏ほうぶつ、 もしはいちもしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 おのおの ひかりかがやかし、 したきてあまねく十方じっぽうおおて、 一々いちいちきてのたまはく、 「しゃ所説しょせつに、 あひめて一切いっさいぼん勧発かんぽつして、 ª専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅして、 *がんすればかのじょうしょうずることをº といふは、 これはこれもうなり、 さだめてこのなし」 と。

縦使 タトヒ 化仏・報仏、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方↡、各各輝カシ↠光、吐キテ↠舌ヒテ↢十方↡、一一キテ、釈迦所説、相讃メテ勧↢発シテ一切凡夫↡、専心念仏、及シテ↢余善↡廻願スレバトイフ↠生ズルコトヲ↢彼浄土↡者、此是虚妄ナリ、定メテシト↢此事↡也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇ明不受
          ˆaˇ総示

^われこれらの諸仏しょぶつ所説しょせつくといへども、 *ひっきょうじて、 一念いちねん退たいしんおこしてかのぶっ こくしょうずることをることをおそ

我雖↠聞クト↢此等諸仏所説↡、畢竟ジテ、不↧起シテ↢一念疑退之心↡畏↞不ルコトヲ↠得↠生ズルコトヲ↢彼仏国↡也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇ別明
           ˆイˇ
           ˆロˇ
             (一)立理
               (Ⅰ)明仏々平等

^なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつ一切いっさいぶつなり、 あらゆるけんぎょうしょう果位かいだい等同とうどうにしてすこしき 差別しゃべつなし。

テノ。一仏一切仏ナリ、所有知見・解行・証悟・果位・大悲、等同ニシテ↢少シキ差別↡。

^このゆゑに一仏いちぶつせい0545したまふところは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくせいしたまふ。 前仏ぜんぶつせっしょうじゅうあくとうつみ制断せいだんしたまひっきょうじておかぎょうぜざるをば、 すなはち*じゅうぜん*じゅうぎょうにして*ろくずいじゅんづけたまふがごとき、 もしぶつしゅったまふことあらんに、 あ0462さきじゅうぜんあらためてじゅうあくぎょうぜしめたまふべけんや。

一仏↠制シタマフ、即一切0766仏同ジクシタマフ如↫似 ゴト 前仏制↢断シタマヒ殺生・十悪等↡、畢竟ジテ不↠犯ルヲ↠行者、即ケタマフ↪十善・十行ニシテ随↩順スト六度之義↨、若ラムニ↢後仏出世シタマフコト↡、豈ケム↧改メテ↢前十善↡令メタマフ↞行↢十悪↡也。

^このどうをもつて*推験すいげんするに、 あきらかにりぬ、 諸仏しょぶつごんぎょうあひしつざることを

↢此道理↡推験スルニ、明カニリヌ、諸仏言行ルコトヲ↢相違失↡。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(一)(Ⅱ)示二仏同勧

^たとひしゃ一切いっさいぼんかんて、 「この一身いっしんつくすまで専念せんねん 専修せんじゅすれば、 しゃみょう以後いごさだめてかのくにしょう」 とのたまはばすなはち十方じっぽう諸仏しょぶつことごとくみなおなじくめ、 おなじくすすめ、 おなじくしょうしたまはん。 なにをもつてのゆゑに。 *同体どうたいだいなるがゆゑなり一仏いちぶつ*しょすなはちこれ一切いっさいぶつなり。 一切いっさいぶつすなはちこれ一仏いちぶつしょなり。

縦令 タトヒ 釈迦指↢勧シテ一切凡夫↡、尽スマデ↢此一身↡専念専修スレバ、捨命已後定メテズトノタマハバ↢彼↡者、即十方諸仏悉皆同ジク、同ジク、同ジクシタマハム。何テノ。同体大悲ナルガナリ。一仏所化是一切仏ナリ。一切仏是一仏所化ナリ

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)引証
                (Ⅰ)正引
                  (ⅰ)依正荘厳分

^すなはち ¬弥陀みだきょう¼ のなかにきたまふ。 しゃ極楽ごくらく種々しゅじゅしょうごん讃歎さんだんし、

¬弥陀経¼中キタマフ。釈迦讃↢歎極楽種種荘厳↡、

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅱ)往生行相分

^また 「一切いっさいぼん一日いちにち七日しちにち一心いっしんもつぱら弥陀みだみょうごうねんれば、 さだめておうじょう(意)すすめたまひ、

又勧メタマヒ↧一切凡夫一日七日一心スレバ↢弥陀名号↡、定メテ↦往生↥、

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅲ)互相讃徳分

^次下つぎしももん (小経・意)、 「十方じっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃよくじょくあくあくかいあくしゅじょう悪見あくけんあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかりなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさん、 ªしゅじょう しょうねんすればかならずおうじょうº と勧励かんれいしたまふをさんたまふ」 とのたまふは、 すなはちそのしょうなり。

次下、云フハ↱十方シテ↢恒河沙等諸仏↡、同ジクジタマフト↫釈迦能↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪見・悪煩悩・悪邪・無信ナル↡、指↢讃シテ弥陀名号↡、勧↪励シタマフヲ衆生称念スレバ↩往生↨、即証也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅳ)諸仏証誠分

^また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃ一仏いちぶつ所説しょせつしんぜざことを恐畏おそれて、 すなはちともに同心どうしんどうに、 おのおの*舌相ぜっそういだしてあまねく*三千さんぜんかいおおひて、 じょうじつごんたまふ。なんぢらしゅじょう0463みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょう*せつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくし、 しも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんずれば、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいなし」

又十方仏等、恐↢畏 オソ レテ衆生ルコトヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即同心同時シテ↢舌相↡遍ヒテ↢三千世界↡、説キタマフ↢誠実↡。汝等衆生皆応↠信↢是釈迦所説・所讃・所証↡。一切凡夫不↠問↢罪福多少、時節久近↡、但能上尽↢百年↡下至ルマデ↢一日七日↡、一心ズレバ↢弥陀名号↡、定メテルコト↢往生↡必シト↠疑也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅱ)結証

^このゆゑに一仏いちぶつ所説しょせつ、 すなはち一切いっさい ぶつおなじくその*証誠しょうじょうしたまふ。

一仏所説、即一切仏同ジク証↢誠シタマフ0767↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªロº結名【就人立信】

^これ0546*にんきてしんつとづく。

↢就キテ↠人ツト↟信也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªbº【就行立信】
                                      ªイº標目
                                      ªロº正明【正雑二行】
                                        ˆ一ˇ標列

【8】 ^つぎ*ぎょうきてしんつといふは、 しかるにぎょうしゅあり。 いち正行しょうぎょうぞうぎょうなり

キテ↠行ツトイフ↠信者、然ルニ↢二種↡。一者正行、二者雑行ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªbºªロºˆ二ˇ随釈

  ~   ˆⅠˇ明行相
        ˆⅰˇ正行
          ˆaˇ総示

^正行しょうぎょうといふは、 もつぱら*おうじょう きょうぎょうによりてぎょうずる、 これを正行しょうぎょうづく。

↢正行↡者、専リテ↢往生経↡行ズル者、是↢正行↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇ別顕
            ˆイˇ

^何者なにものかこれなるや。 一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬*りょう寿じゅきょう¼ とう読誦どくじゅし、 一心いっしんせんちゅうしてかのくに*ほうしょうごんそう観察かんざつ憶念おくねんし、 もしらいするにすなはち一心いっしんもつぱらかのぶつ らいし、 もしくちしょうするにはすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうし、 もし讃歎さんだんようするにはすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだん ようす、 これをづけてしょうとなす。

何者ナル也。一心読↢誦¬観経¼・¬弥陀経¼・¬無量寿経¼等↡、一心専注シテ思↢想観↣察憶↤念二報荘厳↡、若スルニハ一心↢彼↡、若スルニハ一心↢彼↡、若讃歎供養スルニハ一心讃歎供養、是ケテ↠正

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ合【正助二業】
              (一)

^またこのしょうのなかにつきてまたしゅあり。

又就キテ↢此↡復有↢二種↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ(二)
                (Ⅰ)明正業

^いち一心いっしんもつぱら弥陀みだみょうごうねんて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがせつごんはず念々ねんねんてざる、 これを正定しょうじょうごうづく、 かのぶつがんじゅんずるがゆゑなり

者一心ジテ↢弥陀名号↡、行住坐臥不↠問↢時節久近↡念念↠捨者、是↢正定之業↡、順ズルガ↢彼仏願↡故ナリ

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅱ)指助業

^もし*礼誦らいじゅとうによるを すなはちづけて助業じょごうとなす。

ルヲ↢礼誦等↡即ケテ↢助業↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅱˇ雑行

^0464しょうじょぎょうのぞきて以外いげ自余じよ諸善しょぜんことごとくぞうぎょうづく。

キテ↢此正助二行↡已外自余諸善↢雑行↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅡˇ判得失

^もしさきしょうじょぎょうしゅればしんつねに ˆ弥陀みだぶつにˇ 親近しんごん憶念おくねん ず、 づけて*けんとなす。 もしのちぞうぎょうぎょうれば、 すなはちしんつねに*間断けんだんす、 こうしてしょうずることをべしといへども、 すべてぞうぎょうづく。

スレバ↢前正助二行↡、心常親近シテ憶念不↠断、名ケテ↢無間↡也。若ズレバ↢後雑行↡、即心常間断、雖↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ、衆↢疎雑之行↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][c]結名

^ゆゑに深心じんしんづく。

↢「深心」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]【回向発願心釈】
                          [a]牒文

【9】 ^さんにはこう発願ほつがんしん

「三者廻向発願心」。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]釈義
                            [イ]明自利廻願

^こう発願ほつがんしん」 といふは、 過去かこおよびこんじょうしん口意くいごう 所修しょしゅ*しゅっ善根ぜんごん、 および一切いっさい *ぼんしょうしん口意くいごう 所修しょしゅしゅっ善根ぜんごんずいせると、 この自他じた所修しょしゅ善根ぜんごんをもつてことごとくみな真実しんじつ深信じんしんしん ちゅうこうしてかのくにしょうぜんとがんず。 ゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

↢「廻向発願心」↡者、過去及以 オヨ 今生身口意業所修世・出世善根、及随↢喜セルト一切凡聖身口意業所修世・出世善根↡、以↢此自他所修善根↡悉皆真実深信心中廻向シテ↠生ゼムト↢彼↡。故↢「廻向発願心」↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]明利他廻願
                              ª一º約往相
                                ªⅠº略示

^またこう発願ほつがんしてしょうぜんとがんずるものは*かならずすべからくけつじょう真実しんじつしんのうちにこうがんじて*とくしょうおもいをなすべし。

又廻向発願シテズル↠生ゼムト↣決定真実心廻向ジテ、作↢得生↡。

^このしん深信じんしんせること金剛こんごうのごとくなるによりて、 一切いっさい0547けんがくべつべつぎょうにんとうのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして一心いっしんりてしょうじきすす、 かのひときてすなはち進退しんたい あり しん*こうにゃくしょうずることをざれ。 *回顧えこすれば*どうより、 すなはちおうじょう大益だいやくしっするなり

心深信セルコト0768リテ↠若クナルニ↢金剛↡、不↧為↢一切異見・異学・別解・別行人等↡之所↦動乱破壊↥。唯是決定シテ一心リテ正直、不↠得↧聞キテ↢彼↡即↢進退↡、心ズルコトヲ↦怯弱↥。廻顧スレバチテ↠道ヨリ、即スル↢往生之大益↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡº広説
                                  ªⅰº法説
                                    ªaº

【10】^ひていはく、 もしぎょうどう邪雑じゃぞう にんとうありて、 きたりてあひ惑乱わくらんし、 ある0465いは種々しゅじゅなんきて、 「おうじょうず」 といひ、 あるいはいはく、 「なんぢらしゅじょう曠劫こうごうよりこのかたおよびこんじょうしん口意くいごうに、 一切いっさいぼんしょううえにおいてつぶさにじゅうあくぎゃくじゅう謗法ほうぼう闡提せんだいかいけんとうつみつくりて、 いまだ除尽じょじんすることあたはず。 しかるにこれらのつみ三界さんがい悪道あくどう*ぞくす。 いかんぞいっしょう修福しゅふく念仏ねんぶつをもつてすなはちかの無漏むろしょうくにりて、 なが退たいくらいしょうすることをんや」

ヒテ、若リテ↢解行不同邪雑人等↡、来リテ相惑乱、或イハキテ↢種種疑難↡、↠不↠得↢往生↡、或イハ、汝等衆生曠劫ヨリ已来及以 オヨ 今生身口意業、於↢一切凡聖↡具リテ↢十悪・五逆・四重・謗法・闡提・破戒・破見等↡、未↠能↢除尽スルコト↡。然ルニ此等之罪繋↢属三界悪道↡。云何一生修福念仏ヲモテリテ↢彼無漏無生之国↡、永↣証↢悟スルコトヲ不退↡也

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbº
                                      ªイº明教行非一

^こたへていはく、 諸仏しょぶつ教行きょうぎょうかず*塵沙じんじゃえたり。 *稟識ほんじきえんこころしたがひていちにあらず。

ヘテ、諸仏教行、数越エタリ↢塵沙↡。稟識機縁随ヒテ↠情↠一

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªロº明教益多門

^たとへばけんひとまなこべくしんずべきがごときは、 みょう よくあんし、 くうよくふくみ、 よく*載養さいようし、 みずよく*しょうにんし、 よく*じょうするがごときなり。 かくのごときをことごとく*待対たいたいほうづく。 すなはちべし、 千差せんじゃ万別まんべつなり。 いかにいはんや仏法ぶっぽう思議しぎちから、 あに種々しゅじゅやくなからんや。

ヘバ↢世間↠見キガ↟信者、如キナリ↢明能↠闇、空能↠有、地能載養、水能生潤、火能成壊スルガ↡。如↠此クノ↢待対之法↡。即↠見、千差万別ナリ。何仏法不思議之力、豈カラム↢種種益↡也。

^したがひて一門いちもんれば、 すなはちいち煩悩ぼんのうもんづ。 したがひて一門いちもんれば、 すなはちいちだつ智慧ちえもんる。

ヒテヅレバ↢一門↡者、即↢一煩悩↡也。随ヒテレバ↢一門↡者、即↢一解脱智慧↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªハº明随縁起行

^これがためにえんしたがひてぎょうおこして、 おのおのだつもとめよ

↠此ヒテ↠縁シテ↠行、各メヨ↢解脱↡。

^なんぢ、 なにをもつてかすなはち*えんようぎょうにあらざる をもつてわれをしょうわくするしかるにわが所愛しょあいは、 すなはちこれわがえんぎょうなり。 すなはちなんぢがしょにあらず。 なんぢ0466所愛しょあいは、 すなはちこれなんぢがえんぎょうなり。 またわがしょにあらず。 このゆゑにおのおの*しょぎょうしたがひてそのぎょうしゅれば、 かならずだつ

汝何テカ↠非ザルヲ↢有縁之要行↡障↢惑スルヤ於我↡。然ルニ之所愛、即是我有縁之行ナリ。即↢汝所求↡。汝之所愛、即是汝有縁之行ナリ。亦非↢我所求↡。是ヒテ↢所楽↡而修スレバ↢其↡者、必0769得↢解脱↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªニº明解行旨異

^ぎょう0548じゃまさにるべし。 もし*がくせんとほっば、 *ぼんより*しょういたり、 すなはちぶっいたるまで一切いっさいさわりなくみながくすることをもしぎょうがくせんとほっば、 かならずえんほうによすこしきろうもちゐるにおおやくればなり

行者当↠知。若セバ↠学セムト↠解、従↠凡至↠聖、乃ルマデ↢仏果↡、一切無↠礙皆得↠学スルコトヲ也。若セバ↠学セムト↠行者、必↢有縁之法↡。少ヰルニ↢功労↡多レバ↠益也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº譬説【二河譬】
                                    ªaº正説
                                      ªイº標意

【11】^また一切いっさいおうじょうにんとうにまうさく、 いまさらにぎょうじゃのためにいち譬喩ひゆきて、 信心しんじんしゅしてもつてじゃけんなんふせがん。 何者なにものかこれなるや。

又白サク↢一切往生人等↡、今更↢行者↡説キテ↢一譬喩↡、守↢護シテ信心↡以ガム↢外邪異見之難↡。何者ナル也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロº立譬
                                        ˆ一ˇ略喩機法

^たとへばひとありて西にしかひてひゃくせんかんとほっするがごとし。 忽然こつねんとして*ちゅうかわるをいちにはこれかわみなみにあり。 にはこれみずかわきたにあり。 二河にがおのおのひろひゃく、 おのおのふかくしてそこなし。 南北なんぼく ほとりなし。

ヘバ↤有リテ↠人欲スルガ↣向ヒテ↠西カムト↢百千之里↡。忽然トシテ中路↠有ルヲ↢二河↡。一ニハ是火河、在↠南。二ニハ是水河、在↠北。二河各ヒロ百歩、各クシテ↠底。南北無↠辺。

^まさしくすいちゅうげんいちびゃくどうあり。 ひろ四五しごすんばかりなるべし。 このみちひがしきしより西にしきしいたるに、 またながひゃくそのみずろうまじはりみち湿うるおそのえんまたきたりてみちく。 すいあひまじはりて、 つねにしてそくすることなし。

シク水火中間↢一白道↡。可ヒロ四五寸バカリナル↡。此道従↢東岸↡至ルニ↢西↡、亦長百歩、其波浪交ギテ湿↠道、其火焔亦来リテ↠道。水火相交リテニシテ↢休息スルコト↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ二ˇ広喩信相

  ~   ˆⅠˇ喩願生心発

^このひとすでに*空曠くうこうのはるかなるところいたるに、 さらに人物にんもつなし。 おお群賊ぐんぞくあくじゅう ありて、 このひと単独たんどくなるをて、 きおきたりてころさんとほっす。 このひと おそれて0467ただちはしりて西にしかふに、

人既ルニ↢空曠カナル↡、更↢人物↡。多リテ↢群賊・悪獣↡、見↢此単独ナルヲ↡、競リテ↠殺サムト。此人怖レテ↠死リテフニ↠西

  ~ ˆ二ˇˆⅡˇ喩顧機疑法

^忽然こつねんとしてこのたいて、 すなはちみづから念言ねんごん「このかわ南北なんぼく*辺畔へんぱんず。 ちゅうげんいちびゃくどうるも、 きはめてこれ狭小きょうしょうなり。 きしあひることちかしといへども、 なにによりてかくべき。 今日こんにちさだめてすることうたがはず。

忽然トシテ↢此大河↡、即念言。此南北不↠見↢辺畔↡。中間ルモ↢一白道↡、極是狭小ナリ。二岸相去ルコト↠近シト、何リテカ↠行。今日定メテスルコト不↠疑

  ~ ˆ二ˇˆⅢˇ喩苦慮出要

^まさしくいたかえらんとほっすれば、 群賊ぐんぞくあくじゅう*漸々ぜんぜんきたむ。 まさしく南北なんぼくはしらんとほっすれば、 あくじゅうどくちゅうきおきたりてわれにかふ。 まさしく西にしかひてみちたずねてんとほっすれば、 またおそらくはこのすい二河にがせんときあたりて*こうすることまたいふべからず。

シクスレバ↢到カヘラムト↡、群賊・悪獣漸漸。正シクスレバ↢南北ラムト↡、悪獣・毒虫競リテ↠我。正シクスレバ↢向ヒテ↠西ネテ↠道而去カムト↡、復恐クハセムト↢此水火二河↡。当リテ↠時惶怖スルコト不↢復可カラ↟言

  ~ ˆ二ˇˆⅣˇ喩機熟分位

^すなはちみづからねんす。 「われいまかえらばまたせん。 とどまらばまたせん。 かばまたせん。 一しゅとしてまぬかずはわれ*むしろこのみちたずねてさきかひてかん。 すでにこのみちあり。 かならずわたるべし」

思念。我今カヘラバ亦死セム。住マラバ亦死セム。去カバ亦死セム。一種トシテ不↠マヌカ↠死者、我寧ネテ↢此↡向ヒテ↠前而去カム。既↢此道↡。必応↢可シト↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇ喩聞名信喜
        ˆⅰˇ喩釈迦教命

^このねんをなすときひがしきしにたちまち0549ひとすすむるこえく。 「なんぢただけつじょうしてこのみちたずねてけ、 かならずなんなからん。 もしとどまらば、 すなはちん」

↢此↡時、東0770↢人ムル↡。仁者 ナンヂ 但決定シテネテ↢此↡行、必カラム↢死難↡。若マラバ、即セムト

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅱˇ喩弥陀願意

^また西にしきしうえひとありてばひていはく、 「なんぢ一心いっしん しょうねんしてただちきたれ。 われよくなんぢをまもらん。 すべてすいなんすることをおそれざれ」

又西リテ↠人喚バヒテ、汝一心正念ニシテ。我能ラム↠汝。衆レト↠畏↠堕スルコトヲ↢於水火之難↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅲˇ喩行者聞信

^このひとすでにここにつかはしかしこにばふをきて、 すなは0468ちみづから 身心しんしん正当しょうとうにして、 けつじょうしてみちたずねてただちにすすみて、 *こう退心たいしんしょうぜず。

人既キテ↢此バフヲ↡、即正↢当ニシテ身心↡、決定シテネテ↠道ミテ、不↠生↢疑怯退心↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅳˇ喩不受他破

^あるいはくこと一分いちぶんぶんするに、 ひがしきし群賊ぐんぞくばひていはく、 「なんぢかえきたれ。 このみち嶮悪けんあくにしてぐることをかならずすること うたがはず。 われらすべて悪心あくしんをもつてあひかふことなし」 と。 このひとばふこえくといへどもまた回顧えこず。 一心いっしんにただちにすすみてみちねんじてけば、

イハクコト一分二分スルニ、東群賊等喚バヒテ仁者 ナンヂ カヘ。此道嶮悪ニシテ不↠得↠過グルコトヲ。必スルコト不↠疑。我等衆シト↢悪心ヲモテ相向フコト↡。此人雖↠聞クト↢喚バフ↡亦不↢廻顧↡。一心ミテジテ↠道而行ケバ

  ~ ˆ二ˇˆⅥˇ喩即得往生

^しゅにすなはち西にしきしいたて、 ながもろもろのなんはなる。 ぜんあひまみえてきょうらくすることむことなし。

須臾リテ↢西↡、永↢諸↡。善友相マミエテ慶楽スルコト↠已ムコト

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ三ˇ結喩

^これはこれたとへなり。

是喩也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハº合法
                                        ˆ一ˇ

 ^つぎたとへをがっせば、

セバ↠喩者、

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハºˆ二ˇ
                                          ˆⅠˇ

・東岸

^ひがしきし」 といふは、 すなはちこのしゃたくたとふ。

↢東↡者、即↢此娑婆之火宅↡也。

・西岸

^西にしきし」 といふは、 すなはち極楽ごくらく宝国ほうこくたとふ。

↢西↡者、即↢極楽宝国↡也。

・賊獣

^群賊ぐんぞくあくじゅういつわしたしむ」 といふは、 すなはちしゅじょう六根ろっこん六識ろくしき六塵ろくじんおんだいたとふ。

↢群賊・悪獣詐シムト↡者、即↢衆生六根・六識・六塵・五陰・四大↡也。

・空沢

^にん*くうきょうさわ」 といふは、 すなはちつねにあくしたがひてしんぜんしきはざるにたとふ。

↢無人空迥↡者、即↧常ヒテ↢悪友↡不ルニ↞値↢真善知識↡也。

・二河

^すい 二河にが」 といふは、 すなはちしゅじょう*貪愛とんないみずのごとく*瞋憎しんぞうのごとくなるにたとふ。

↢水火二河↡者、即↢衆生貪愛↠水、瞋憎クナルニ↟火也。

・白道

^ちゅうげんびゃくどう四五しごすん」 といふは、 すなはちしゅじょう貪瞋とんじん煩悩ぼんのうのなかによく清浄しょうじょうがんおうじょう しんしょうずるにたと。 すなはち貪瞋とんじんこわきによるがゆゑにすなはちすいのごとしとたとふ。 善心ぜんしん*なるがゆゑにびゃくどうのごとしとたとふ。

↢中間白道四五寸↡者、即↣衆生貪瞋煩悩ズルニ↢清浄願往生心↡也。乃ルガ↢貪瞋強キニ↡故↠如シト↢水火↡。善心微ナルガ↠如シト↢白道↡。

・水波

^また0469すいつねにみち湿うるおす」 といふは、 すなはち*愛心あいしんつねにおこりて、 よく善心ぜんしんぜんするにたとふ。

又水波常湿ストイフ↠道者、即↣愛心常リテ染↢汚スルニ善心↡也。

・火炎

^また 「えんつねにみちく」 といふは、 すなはち*瞋嫌しんけんしんよくどく法財ほうざいくにたとふ。

又火焔常クトイフ↠道者、即↣瞋嫌之心能クニ↢功徳之法財↡也。

・向西

^ひとみちうえきてただちに西にしかふ」 といふは、 すなはちもろもろのぎょうごうしてただちに西方さいほうかふにたとふ。

↧人行キテ↢道↡直フト↞西者、即↧廻シテ↢諸行業↡直フニ↦西方↥也。

・勧遣

^ひがし0550きしひとこえすすつかはすきて、 みちたずねてただちに西にしすすむ」 といふは、 すなはちしゃすでにめっしたまひて、 のちひとたてまつらざれども、 なほきょうぼうありてたずぬべきにたとふ。 すなはちこれをこえのごとしとたとふ。

↧東0771キテ↢人スヲ↡、尋ネテ↠道西ムト↥者、即↧釈迦已シタマヒテ、後人不レドモ↠見タテマツラナホリテ↢教法↡可キニ↞尋。即↢之シト↟声也。

・喚回

^あるいはくこと一分ぶんぶんするに群賊ぐんぞくばひかえす」 といふは、 すなはちべつべつぎょう悪見あくけんにんとう*みだりに*けんきてたがひにあひ惑乱わくらんし、 およびみづからつみつくりて退失たいしつるにたと

↢或イハクコト一分二分スルニ群賊等喚バヒカヘスト↡者、即↧別解・別行・悪見人等妄リニキテ↢見解タガヒ相惑乱、及リテ↠罪退失スルニ↥也。

・喚言

^西にしきしうえひとありてばふ」 といふは、 すなはち弥陀みだがん たとふ。

↢西リテ↠人喚バフト↡者、即↢弥陀願意↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハºˆ二ˇˆⅡˇ

^しゅ西にしきしいたりてぜんあひまみえてよろこぶ」 といふは、 すなはちしゅじょうひさしくしょうしずみて、 曠劫こうごうよりりん 迷倒めいとうして*みづからまとひて、 だつするによしなしあおぎてしゃ*発遣はっけんしてゆびさして西方さいほう かはしめたまふことをこうむり、 また弥陀みだ しんをもつて*しょうかんしたまふによりていまそん (釈尊・阿弥陀仏)みこころしんじゅんして、 すい二河にがかえりみず、 念々ねんねんわするることなく、 かの願力がんりきどうじょうじて、 しゃみょう0470かのくにしょうずることをて、 ぶつとあひまみえてきょうすることなんぞきわまらんといふにたとふ。

↧須臾リテ↢西↡善友相マミエテブト↥者、即↧衆生久シクミテ↢生死↡、曠劫ヨリ淪廻、迷倒シテヒテ、無↠由↢解脱スルニギテ↣釈迦発遣シテシテハシメタマフコトヲ↢西方↡、又藉リテ↢弥陀悲心ヲモテ招喚シタマフニ↡、今信↢順シテ二尊之意↡、不↠顧↢水火二河↡、念念ワスルルコト、乗ジテ↢彼願力之道↡、捨命已後得↠生ズルコトヲ↢彼↡、与↠仏相マミエテ慶喜スルコトラムトイフニ↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªbº結勧

【12】^また一切いっさいぎょうじゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざが三業さんごう所修しょしゅちゅう せつふことなく、 つねにこのをなしつねにこのおもいをなすゆゑに、 こう発願ほつがんしんづく。

又一切行者、行住坐臥三業所修、無↠問フコト↢昼夜時節↡、常↢此↡常スガ↢此↡故、名↢「廻向発願心」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª二º約還相

^また 「こう」 といふは、 かのくにしょうじをはりて、 かえりてだいおこして、 しょう*にゅうしゅじょうきょうするをまた こうづく

又言↢廻向↡者、生↢彼↡已リテ、還リテシテ↢大悲↡、廻↢入シテ生死↡教↢化スルヲ衆生↡亦名↢廻向↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]略解必生彼国【三心結釈】

【13】^三心さんしんすでにすれば、 *ぎょうとしてじょうぜざるなし。 *がんぎょうすでにじょうじて、 もししょうずは、 このことわりあることなからん。 またこの三心さんしんはまたつうじてじょうぜんせっす、 るべし。

三心既スレバ、無↢行トシテルハ↟成。願行既ジテ、若↠生者、無カラム↠有ルコト↢是コトワリ↡也。又此三心亦通ジテ↢定善之義↡、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅴ)簡機堪不

【14】^ 復有ぶう三種さんしゅしゅじょう より以下いげは、 まさしくよくほうけ、 きょうによりてしゅぎょうするへたるを*えらことをかす。

↢「復有三種衆生」↡已下シク↠簡ブコトヲ↣機ヘタルヲ↢能↠法、依リテ↠教修行スルニ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)受法不同
                (a)総標

^ろく とうさん」 よりしも六念ろくねん」 にいたるこのかたは、 まさしく受法じゅほうどうかす。 すなはちそのさんあり。

↢「何等為三」↡下至↢「六念」↡已来タハシク↢受法不同↡。即↢其三↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)別釈
                  (イ)明不殺具戒
                    [一]明慈心不殺
                      [Ⅰ]

^いちにはしん せつかす。

ニハ↢慈心不殺↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]明殺業
                          [a]
                          [b]

^しかるに殺業せつごうしゅあり。 あるいはせつあり、 あるいは身殺しんせつあり、 あるいは心殺しんせつあり。

ルニ殺業↢多種↡。或イハ↢口殺↡、或イハ↢身殺↡、或イハ↢心殺↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][c]

^0551せつ」 といふは、 処分しょぶん許可こかするをづけてせつとなす。 「身殺しんせつ」 といふは、 身手しんしゅとううごかしじゅするをづけて身殺しんせつとな0471す。 「心殺しんせつ」 といふは、 方便ほうべんねんして*きょうするとうづけて心殺しんせつとなす。

↢口殺↡者0772、処分許可スルヲケテ↢口殺↡。言↢身殺↡者、動↢身手等↡指授スルヲケテ↢身殺↡。言↢心殺↡者、思↢念シテ方便↡計校スルケテ↢心殺↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][d]

^もし殺業せつごうろんぜばしょうえらばず、 みなよくつみまねきてじょうしょうずることをふ。

ゼバ↢殺業↡不↠簡↢四生↡、皆能キテ↠罪↠生ズルコトヲ↢浄土↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]明不殺
                          [a]総標

^ただ一切いっさい生命しょうみょうにおいてしんおこすは、 すなはちこれ一切いっさいしゅじょう寿じゅみょう安楽あんらくほどこす。

但於↢一切生命↡起↢於慈心↡者、即是施↢一切衆生寿命安楽↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別釈

^またこれさいじょう勝妙しょうみょうかいなり。 これすなはちかみしょふく (世福)第三だいさんに 「しんせつ」 といへるにがっす。 すなはちぎょうぜんあり。 みづからせっせざるがゆゑにぜんづく。 おしへてせっせざらしむるがゆゑにぎょうぜんづく。 自他じたはじめてだんずるをぜんひっきょうじてながのぞくをぎょうぜんづく。

亦是最上勝妙戒也。此即↣上初福第三ヘルニ↢「慈心不殺」↡也。即↢止・行二善↡。自ルガ↠殺↢止善↡。教ヘテ↠他ラシムルガ↠殺↢行善↡。自他初ズルヲ↢止善↡、畢竟ジテクヲ↢行善↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][c]結示

^*ぜんありといへども、 そうじて*慈下じげぎょうけつじょうす。

↠有リト↢止・持二善↡、総ジテ結↢成慈下↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[二]釈具足戒行
                      [Ⅰ]標牒
                      [Ⅱ]解釈
                        [ⅰ]標示

^しょかいぎょう」 といふは、 もしにんてんじょうやくすれば すなはち*しょうかいけ、 もし*大心だいしんだいぎょうひとやくすれ、 すなはちさつかいづく。

↢「具諸戒行」↡者、若スレバ↢人・天・二乗之器↡、即↢小戒↡、若スレバ↢大心大行之人↡、即↢菩薩戒↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別指

^このかいもしくらいをもつてやくすれば、 こじょうはいさんのものにあたれり、 すなはちさつかいづく。 まさしくにんさだるによるがゆゑにねんてんじょうす。 すなはちかみだいふく (戒福)戒分かいぶん善根ぜんごんがっす。

戒若↠位スレバ者、当レリ↢此上輩三位↡、即↢菩薩戒↡。正シクルガ↢人位定レルニ↡故自然転成。即↢上第二福戒分善根↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)明読誦大乗
                    [一]標牒

^には読誦どくじゅだいじょうす。

サバ↢「読誦大乗」↡者

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]解釈
                      [Ⅰ]総標

^これしゅじょう*性習しょうじゅうどうにして、 ほうることおのおのことなることをかす。

此明↢衆生性習不同ニシテ、執ルコト↠法ナルコトヲ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]別釈

^さき第一だいいちひとは、 ただしゅかいたもをもつてのうとなす。 つぎだいひとは、 ただ読誦どくじゅだいじょうをもつてとなす。 しかるにかいはすな0472はちよくじょう*三仏さんぶつたもち、 ほうはすなはち三賢さんげんじゅうまんぎょう智慧ちえ*くんじょうす。

第一、但用↢修↠慈、持ツヲ↟戒↠能。次第二、唯将↢読誦大乗↡為↠是。然ルニ↢五乗・三仏之機↡、法薫↢成三賢・十地万行之智慧↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]結示

^もし徳用とくゆうをもつてきたきょうせば、 おのおのいちのうあり。

↢徳用↡来比校セバ者、各↢一能↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[三]結貼

^すなはちかみ第三だいさん ぷく (行福) 第三だいさんに 「読誦どくじゅだいじょう」 といへるにがっす。

↣上第三福第三ヘルニ↢「読誦大乗」↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)釈修行六念
                    [一]標牒

^さんには*しゅぎょう六念ろくねんかす

サバ↢「修行六念」↡者

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]解釈
                      [Ⅰ]総明

^いはゆるぶつほうそうねんじ、 かいしゃてんとうねんず。 これまたつうじてかみ第三だいさん ぷくだいじょう意義いぎがっす。

所謂↢仏・法・僧↡、念↢戒・捨・天等↡。此亦通ジテ↢上第三福大乗之意義↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]別釈
                        [ⅰ]釈念仏

^念仏ねんぶつ」 といふ0552は、 すなはちもつぱら弥陀みだぶつごうどく身業しんごうどくごうどくねん一切いっさい諸仏しょぶつもまたかくのごとし。

↢念0773↡者、即↢阿弥陀仏口業功徳・身業功徳・意業功徳↡。一切諸仏亦如↠是クノ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]釈念法僧

^また一心いっしんにもつぱら諸仏しょぶつしょしょうほうならびにもろもろの眷属けんぞくさつそうねんじ、

又一心↢諸仏所証之法并眷属菩薩僧↡、

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅲ]釈念戒捨

^また諸仏しょぶつかいねんじ、 および過去かこ諸仏しょぶつ現在げんざいさつとうの、 なしがたきをよくなし、 てがたきをよくて、 うちほかて、 ないつるをねんず。 これらのさつただほうねんぜんとほっして*身財しんざいしまず。 ぎょうじゃとうすでにこのねんば、 すなはちすべからくつねにあおぎて*前賢ぜんけんしょうがくしんみょうつるこころ なすべし。

又念↢諸仏之戒↡、及↢過去諸仏、現在菩薩等、難キヲ↠作、難キヲ↠捨、内、内外ツルヲ↡。此等菩薩但欲シテ↠念ゼムト↠法不↠惜↢身財↡。行者等既念↢知セバ↡、即↧常↦仰ギテ↢前賢・後聖↡、捨ツル↢身命↡意↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅳ]釈念天
                          [a]明所念境

^また 「念天ねんてん」 とはすなはちこれ*さいしんじゅうさつなり。 これらはなんぎょうぎょうすでにぎ、 *さんこうすでにえ、 万徳まんどくぎょうすでにじょうじ、 *かんじょうくらいすでにしょうせり。

又念天者、即是最後身十地之菩薩ナリ。此等難行之行已、三祇之劫已、万徳之行已、潅頂之位已セリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅳ][b]示能念意

^ぎょうじゃとうすでにねんしをはりなば、 すなはちみづからねんすべし。 わが*さいよりこのかた、 とともにどうがんおこしてあくだんじ、 さつどうぎょう0473き。 はことごとくしんみょうしまず。 どうぎょうくらいすすみていんまどかにじゅくして、 しょうしょうせるもの*だいじんえたり。 しかるにわれらぼんすなはち今日こんにちいたまで、 *ねんとしてろうす。 煩悩ぼんのうあくしょう転々てんでんしてますますおお*ふく微微みみること、 *じゅうこんたいして明鏡みょうきょうのぞむがごとし。 たちまちにこの*そんするに、 しん おどろきてたんするへざるものをや。

行者等既念知リナバ、即思念スベシ。我無際ヨリ已来、共↠他同時シテ↠願↠悪、行ジキ↢菩薩↡。他不↠惜↢身命↡。行↠道ミテ↠位、因円カニ果熟シテ、証セル↠聖エタリ↢於大地微塵↡。然ルニ我等凡夫、乃ルマデ↢今日↡、虚然トシテ流浪。煩悩悪障転転シテマス、福慧微微ナルコト、若↧対シテ↢重昏↡之臨ムガ↦明鏡↥也。忽思↢忖スルニ↡、不↢心驚キテ悲歎スルニ↡者哉。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅶ)廻行願生

^しちこう発願ほつがん」 より以下いげは、 まさしくおのおの さき所修しょしゅごうして、 しょところかふことかす。

↢「廻向発願」↡已下シク↧各各廻シテ↢前所修之業↡、向フコトヲ↦所求↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)修時延促
                (a)標科目

^はち具此ぐしどく」 より以下いげは、 まさしくしゅぎょう*せつ延促えんそくかす。

↢「具此功徳」↡已下シク↢修行時節延促↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)(b)釈文句
                  (イ)正明修時延促

^かみ*いちぎょうつくしも一日いちにちいち一念いちねんとういた。 あるいは一念いちねんじゅうねんよりいち一日いちにちいちぎょういたる。 たいは、 ひとたび*発心ほっしんして以後いごちかひてこのしょうおわるまで退転たいてんあることなし。 ただじょうをもつてとなす。

上尽↢一形↡下至↢一日・一時・一念等↡。或イハ↢一念・十念↡至↢一時・一日・一形↡。大意者、一タビ発心シテ已後、誓ヒテルマデ↢此↡無↠有ルコト↢退転↡。唯以↢浄土↡為↠期

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)(b)(ロ)釈具此功徳

^また 「具此ぐし0553どく」 といふは、 あるいは一人いちにんにして*かみし、 あるいは一人いちにんにして*しもし、 あるいは一人いちにんにして三種さんしゅことごとくす。 あるいはひとありて三種さんしゅぶんなきを づけて*ひとかわたるちくしょうとなす、 ひとづくるにあらず。

又言↢「具此功徳」↡者0774、或イハ一人ニシテ↢上↡、或イハ一人ニシテ↢下↡、或イハ一人ニシテ三種尽。或イハリテ↠人三種無キヲ↠分者、名ケテ↧著タル↢人↡畜生↥、非↠名クルニ↠人也。

^またさん不具ふぐさんはず、 すればことごとくおうじょうるべし。

又不↠問↢具三・不具三↡、廻スレバ得↢往生↡、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅸ)迎接不同
                (a)総標大科
                (b)別分文句
                  (イ)標数

^に 「しょうこく」 よりしもおうじょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしく命終みょうじゅうときのぞみてしょうきたりてこうしょうしたまふどう去時こじ0474しつとをかす。 すなはちそのじゅういちあり。

↢「生彼国時」↡下至↢「往生彼国」↡已来タハシク↧臨ミテ↢命終↡聖来リテ迎接シタマフ不同、去時遅疾トヲ↥。即↢其十一↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅸ)(b)(ロ)別列

・標所帰国

^いちには*しょくに標定ひょうじょうすることをかす。

ニハ↣標↢定スルコトヲ所帰之国↡。

・重顕其行

^にはかさねてそのぎょうあらわして、 けつじょう*しょうごんのものをいだことかす。 またこれどくごうにゃく*校量きょうりょうす。

ニハ↧重シテ↢其↡、指↦出スコトヲ決定精懃↥。亦是校↢量功徳強弱↡。

・弥陀自来

^さんには弥陀みだ*しゅしんみづかららいしたまふことをかす。

ニハ↢弥陀化主身自来赴シタマフコトヲ↡。

・大衆皆従

^には 「観音かんのんより以下いげは、 さらにしゅ大衆だいしゅとうみな弥陀みだしたがひてぎょうじゃ来迎らいこうすることあらわすことをかす。

ニハ↫「観音ヨリ」已下、更スコトヲ↪無数大衆等皆従ヒテ↢弥陀↡来↩迎スルコトヲ行者↨。

・宝宮随衆

^にはほうしゅうしたがふことをかす。

ニハ↢宝宮随フコトヲ↟衆

・観音勢志

^ろくにはかさねて観音かんのんせいともに金台こんだいりて、 ぎょうじゃまえいたることをかす。

ニハ↧重観音・勢志共リテ↢金台↡、至ルコトヲ↦行者↥。

・光照行者

^しちには弥陀みだひかりはなちてぎょうじゃらしたまふことをかす。

ニハ↣弥陀放チテ↠光シタマフコトヲ↢行者之身↡。

・同時接手

^はちにはぶつすでにひかりべてらし、 およびすなはちぶつとうどうみてせっしたまふことをかす。

ニハ↧仏既ベテ↠光、及与↢化仏等↡同時シタマフコトヲ↞手

・同声讃勧

^にはすでにせっしてだいのぼらしめて、 観音かんのんとうどうしょうぎょうじゃしん讃勧さんかんしたまふことをかす。

ニハ↣既シテラシメテ↠台、観音等同声讃↢勧シタマフコトヲ行者之心↡。

・自見乗台

^じゅうにはみづからればだいじょうぶつしたがふことをかす。

ニハ↢自レバ↠台フコトヲ↟仏

・去時遅疾

^じゅういちにはまさしく去時こじしつかす。

十一ニハシク↢去時遅疾↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅹ)無華合障

^じゅう しょうこく」 より以下いげは、 まさしく金台こんだいかしこにいたりてさらにごうさわりなきことをかす。

↢「生彼国」↡已下シク↣金台到リテ↠彼、更キコトヲ↢華合之障↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅺ)到彼得益
                (a)標大科

^じゅういちけんぶつ色身しきしん」 よりしも*陀羅尼だらにもん」 にいたるこのかたは、 まさしく金台こんだいいたりてのち得益とくやくどう かす。 すなはちそのさんあり。

十一↢「見仏色身」↡下至↢「陀羅尼門」↡已来タハシク↢金台到リテ得益不同↡。即↢其三↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅺ)(b)釈文句

・得無生忍

^いちははじめてみょうほうきてすなはちしょうさとる。

者初キテ↢妙法↡即↢無生↡。

・次第授記

^しゅりゃくしてだいじゅせらる。

者須臾歴事シテ次第授記セラル

・更証聞持

^さん*本国ほんごく*ほう0475してさらにもん*やくしょう

者本国他方ニシテ↢聞持二益↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅻ)総結

^じゅうみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

十二↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅲ)結示

^じょうらいじゅうどうありといへども、 ひろじょうぼん上生じょうしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢十二句不同↡、広↢上品上生↡竟0775リヌ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)上中品【上品中生釈】
            (Ⅰ)総標

【15】^つぎ0554じょうぼん中生ちゅうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのはちあり。

キテ↢上品中生↡、亦先、次、後。即↢其八↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)総標位名

^いちじょうぼん中生ちゅうしょうしゃ」 より以下いげは、 そうじてくらいぐ。 すなはちこれだいじょうぜんぼんにんなり。

↢「上品中生者」↡已下ジテ↢位↡。即是大乗次善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)廻業指西

^ひつじゅ」 よりしもしょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしく第六だいろく第七だいしち第八だいはちもんのなかの所修しょしゅごうして、 西方さいほうさだすことをかす。 すなはちそのあり。

↢「不必受持」↡下至↢「生彼国」↡已来タハシク↧第六・第七・第八門シテ↢所修↡、定↦指スコトヲ西方↥。即↢其四↡。

・受法不定

^いちには受法じゅほうじょうにして、 あるいは読誦どくじゅ読誦どくじゅざることをかす

ニハ↧受法不定ニシテ、或イハ得↢読誦↡、不ルコトヲ↞得↢読誦↡。

・善解空義

^にはよくだいじょうくうすることをかす。 あるいは諸法しょほう一切いっさいみなくうにしてしょう無為むいもまたくうなり*ぼんしょうみょうあんもまたくうなりけん六道ろくどうしゅっけん三賢さんげんじっしょうとう、 もしその*たいしょうのぞむればひっきょうじて不二ふになりちょうもん。 このせつくといへども、 そのしん坦然たんねんとしてたいしょうぜず。

ニハ↣善スルコトヲ↢大乗↡。或イハ聴↧聞諸法一切皆空ニシテ生死無為亦空ナリ凡聖明闇亦空ナリ世間六道、出世間三賢・十聖等、若ムレバ↢其体性↡畢竟ジテ不二ナリト↥。雖↠聞クト↢此↡、其心坦然トシテ不↠生↢疑滞↡也。

・深信因果

^さんにはふか*しゅっらくしゅいんしん、 これらのいんおよびもろもろのどう*ほうしょうざることをかす。 もしほうしょうずれば、 すなはちふくぎょうじょうぜず。 けんほうすらなほべからず、 いかにいはんやじょうしょうずることをんや。 これすなはち第三だいさん ぷく (行福) だいだいさん0476がっす。

ニハ↧深↢世・出世苦楽二種因果↡、此等因果及道理ルコトヲ↞生↢疑謗↡。若ズレバ↢疑謗↡、即不↠成↢福行↡。世間果報スラ尚不↠可カラ↠得、何ムヤ↠生ズルコトヲ↢浄土↡。此即↢第三福第二・第三↡也。

・標指所帰

^にはさき所業しょごうして、 *しょひょうすることをかす。

ニハ↧廻シテ↢前所業↡、標↦指スルコトヲ所帰↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)主伴来応

^さんぎょうぎょうじゃ」 よりしもこうしょうにょ」 にいたるこのかたは、 まさしく弥陀みだもろもろのしょうじゅだい来応らいおうしたまふことをかす。 すなはちそのあり。

↢「行此行者」↡下至↢「迎接汝」↡已来タハシク↧弥陀与↢諸聖衆↡、持シテ↠台来応シタマフコトヲ↥。即↢其五↡。

・命延不久

^いちにはぎょうじゃ*みょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢行者命延不ルコトヲ↟久シカラ

・主伴自来

^には弥陀みだしゅうとみづからきたりたまふことをかす。

ニハ↢弥陀与↠衆自リタマフコトヲ↡。

・持台至前

^さんにはしゃだいしてぎょうじゃまえいたることをかす。

ニハ↣侍者持シテ↠台ルコトヲ↢行者↡。

・同声讃歎

^にはぶつしょうじゅどうしょう讃歎さんだんして、 ˆぎょうじゃのˇ *ほん所修しょしゅごうべたまふことをかす。

ニハ↧仏与↢聖衆↡同声讃歎シテ、述ベタマフコトヲ↦本所修之業↥。

・我来迎汝

^にはぶつぎょうじゃうたがいいだことをおそたまふがゆゑ 「われきたりてなんぢをむかふ」 とのたまふことをかす。

ニハ↧仏恐レタマフガ↢行者クコトヲ↟疑、言フコトヲ↦我来リテフト↞汝

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅳ)去時遅速

^せんぶつ」 よりしも七宝しっぽうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかしゅしょう授手じゅしゅと、 去時こじしつかす。 すなはちそのあり。

↢「与千化仏0776」↡下至↢「七宝池中」↡已来タハシク↢第九門衆聖授手、去時遅疾トヲ↡。即↢其五↡。

・報化授手

^いちには0555せんぶつどう授手じゅしゅしたまふことをかす。

ニハ↧弥陀与↢千化仏↡同時授手シタマフコトヲ↥。

・自見坐台

^にはぎょうじゃすでに授手じゅしゅこうむりてすなはちみづかられば、 すでにこんだいすることをかす。

ニハ↧行者既リテ↢授手↡即レバ↠身、已身坐スルコトヲ↦紫金之台↥。

・合掌仰讃

^さんにはすでにみづからだいすることをて、 がっしょうしてあおぎて弥陀みだとうしゅうさんずることをかす。

ニハ↣既↠坐スルコトヲ↠台、合掌シテギテズルコトヲ↢弥陀等↡。

・去時遅疾

^にはまさしく去時こじしつかす。

ニハ↢正シク去時遅疾↡。

・住宝池内

^にはかしこにいたりてほうのうちにじゅうすることをかす。

ニハ↣到リテ↠彼止↢住スルコトヲ宝池之内↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅴ)華開時節

^ 此紫しし金台こんだい」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなひらくる0477せつどうかす。

↢「此紫金台」↡已下シク↢第十門リテ↠彼華開クル時節不同↡。

^ぎょうこわきによるがゆゑに、 上上じょうじょうはすなはち金剛こんごうだいぎょうれつなるによるがゆゑに、 上中じょうちゅうはすなはち金台こんだいˆじょうにˇ しょうじてほうにありて宿しゅくひらくるがごとし。

ルガ↢行強キニ↡故、上上得↢金剛台↡。由ルガ↢行劣ナルニ↡故、上中得↢紫金台↡。生ジテリテ↢宝池↡逕↠宿↠開クルガ也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅵ)開後得益

^ろく ぶつぎゅうさつ倶時くじ放光ほうこう」 よりしもとく退転たいてん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかのかい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのあり。

↢「仏及菩薩倶時放光」↡下至↢「得不退転」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益不同↡。即↢其五↡。

・仏光照身

^いちには仏光ぶっこうらすことをかす。

ニハ↢仏光照スコトヲ↟身

・目即開明

^にはぎょうじゃすでにたいらすことをこうむりて、 すなはちかいみょうなることをかす。

ニハ↢行者既リテ↠照スコトヲ↠体、目即開明ナルコトヲ↡。

・所習還聞

^さんにはにんちゅうにしてならへるところ、 かしこにいたりてしゅしょうあらわすところとなり、 またそのほうくことをかす。

ニハ↣人中ニシテ所↠習ヘル、到リテ↠彼衆声トナリ↠彰、還クコトヲ↢其↡。

・開眼聞法

^にはすでにまなこひらほうくことを、 すなはち金台こんだいより したしく仏辺ぶっぺんいたりて、 ようしてとくさんずることをかす。

ニハ↧既↢眼開ケテクコトヲ↟法、即↢金台ヨリ↡、親シクリテ↢仏辺↡、歌揚シテズルコトヲ↞徳

・逕時得忍

^にはときること七日しちにちにして、 すなはちしょうることをかす。

ニハ↣逕ルコト↠時七日ニシテ、即ルコトヲ↢無生↡。

^七日しちにち」 といふは、 おそらくはこのけん七日しちにちなり、 かのくに七日しちにちすにあらず。 このけん七日しちにちるは、 かのところにはすなはちこれ一念いちねんしゅのあひだなり、 るべし。

↢「七日」↡者、恐クハ七日ナリ、不↠指スニ↢彼七日↡也。此↢於七日↡者、彼ニハ是一念須臾間也、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅶ)他方得益

^しち おう即能そくのう飛至ひし十方じっぽう」 よりしも現前げんぜんじゅ」 にいたるこのかたは、 まさしく*ほう得益とくやくかす。 すなはちそのあり。

↢「応時即能飛至十方」↡下至↢「現前授記」↡已来タハシク↢他方得益↡。即↢其五↡。

・身至十方

^いちには十方じっぽういたることをかす。

ニハ↣身至ルコトヲ↢十方↡。

・歴供諸仏

^には一々いちいち諸仏しょぶつ*りゃくすることをかす。

ニハ↣一一歴↢供スルコトヲ諸仏↡。

・修多三昧

^さんにはおおくの三昧さんまいしゅすることを0478かす。

ニハ↠修スルコトヲ↢多クノ三昧↡。

・延時得忍

^には*えん得忍とくにんかす。

ニハ↢延時得忍↡。

・現蒙授記

^には一々いちいち仏辺ぶっぺんにしてげんじゅこうむることをかす。

ニハ↣一一0777ニシテルコトヲ↢授記↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅷ)総結

^はち みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅲ)結示

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろじょうぼん中生ちゅうしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢八句不同↡、広↢上品中生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)上下品【上品下生釈】
            (Ⅰ)総標

【16】^つぎじょうぼんしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのはちあり。

キテ↢上品下生↡、亦先、次、後。即↢其八↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)総挙位名

^いち じょうぼんしょうしゃ」 より以下いげは、 そうじてくらいぐ。 すなはちこれだいじょうぜんぼんにんなり。

↢「上品下生者」↡已下ジテ↢位↡。即是大乗下善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)受法不同

^亦信やくしんいん」 よりしもじょう道心どうしん」 にいたるこのかたは、 まさしく第六だいろくもんのなかの受法じゅほうどうかす。 すなはちそのさんあり。

↢「亦信因果」↡下至↢「無上道心」↡已来タハシク↢第六門受法不同↡。即↢其三↡。

・因果不定

^いちには所信しょしんいんじょうなることかす。

ニハ↢所信因果不定ナルコトヲ↡。

^あるいはしんしんぜず。 ゆゑにづけて 「やく」 となす。 あるいはまたさきˆじょうぼん中生ちゅうしょうのˇ 深信じんしんおなじかるべし。

イハ不↠信。故ケテ↠亦。或イハ↣亦同ジカル↢前深信↡也。

^またしんずといへどもふかからず。 善心ぜんしんしばしば退たいし、 悪法あくほうしばしばおこる。 これすなはちふからくいんしんぜざるによりてなり。 もしふかしょうしんずるものは、 罪業ざいごうひっきょうじてかさねておかず。 もしふかじょう無為むいらくしんずるものは、 善心ぜんしんひとたびおこりてなが退失たいしつすることなし。

又雖↠信ズト不↠深カラ。善心数退、悪法数。此乃リテ↠不ルニ↣深↢苦楽因果↡也。若ズル↢生死↡者、罪業畢竟ジテ不↢重↡。若ズル↢浄土無為↡者、善心一タビリテ↢退失スルコト↡也。

・不謗大乗

^にはしん間断けんだんすといへども、 一切いっさいだいじょうにおいてほうすることをざることをかす。 もしほうおこさば、 たとひ千仏せんぶつめぐりたまふとも、 すくふべきによしなし。

ニハ↧信雖↢間断スト↡、於↢一切大乗↡不ルコトヲ↞得↢疑謗スルコトヲ↡。若サバ↢疑謗↡者、縦使 タトヒ 千仏遶リタマフトモ↠身、無↠由↠可キニ↠救也。

・諸善無功

^さんにはじょう諸善しょぜんまたこう0479きにたることをかす。 ただ一念いちねんおこしていと 諸仏しょぶつきょうがいしょう 、 すみやかにさつだいがんぎょうてて、 しょうかえりて、 あまねくしゅじょうせんとねが 。 ゆゑに*ほつだいしんづく。 この第三だいさん ぷく (行福) のなかにすでにかしをはりぬ。

ニハ↣已上諸善似タルコトヲ↢亦無キニ↟功。唯発シテ↢一念↡厭↠苦、楽↧生↢諸仏境界↡、速テテ↢菩薩大悲願行↡、還↢入リテ生死↡、普セムト↦衆生↥。故↢発菩提心↡也。此義第三福リヌ

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅲ)廻行願生

^さん以此いしどく」 より以下いげは、 まさしくだい八門はちもんのなかのさき正行しょうぎょうして、 しょところかふことをかす。

↢「以此功徳」↡已下シク↧第八門シテ↢前正行↡向フコトヲ↦所求↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅳ)聖来迎接

^ ぎょうじゃみょうよくしゅう」 よりしも七宝しっぽうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 りんじゅうしょうきたりてこうしょうしたまふと、 去時こじしつかす。 すなはちそのあり。

↢「行者命欲終時」↡下至↢「七宝池中」↡已来タハシク↢第九門臨終聖来リテ迎接シタマフト、去時遅疾トヲ↡。即0778↢其九↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢命延不ルコトヲ↟久シカラ

・主伴来応

^にはもろもろのしょうじゅ*こん来応らいおうしたまふことをかす。

ニハ↧弥陀与↢諸聖衆↡持シテ↢金華↡来応シタマフコトヲ↥。

・報化授手

^さんにはぶつどう授手じゅしゅしたまふことをかす。

ニハ↢化仏同時授手シタマフコトヲ↡。

・同声等讃

^にはしょうじゅどうしょうひとしくさんずることをかす。

ニハ↢聖衆同声シクズルコトヲ↡。

・罪滅発心

^にはぎょうじゃつみめっするがゆゑに 「清浄しょうじょう」 といひ、 ˆぎょうじゃのˇ *ほん所修しょしゅるがゆゑに0557ほつじょう道心どうしん」 といふことをかす。

ニハ↧行者罪滅スルガ↢清浄↡、述ブルガ↢本所修↡故フコトヲ↦発無上道心↥。

・我来迎汝

^ろくにはぎょうじゃ*りょうるといへども、 しんありて おうじょうことをおそ。 このゆゑにしょうじゅどうしょうげて、 「われきたりてなんぢをむかふ」 といふことをかす。

ニハ↧行者雖↠覩ルト↢霊儀↡、疑心アリテ↠不ルコトヲ↠得↢往生↡、是聖衆同声ゲテ、言フコトヲ↦我来リテフト↞汝

・自見坐台

^しちにはすでにげをこうむり、 およびすなはちしんるに、 すでにこんうえして、 *篭々ろうろうとしてがっすることをかす。

ニハ↧既↠告、及ルニ↢自身↡、已シテ↢金華之上↡、篭篭トシテ而合スルコトヲ↥。

・一念即生

^はちには仏身ぶっしんあとしたがひて0480一念いちねんにすなはちしょうずることをかす。

ニハ↧随ヒテ↢仏身↡、一念ズルコトヲ↥。

・在宝池中

^にはかしこにいたりてほうのなかにあることをかす。

ニハ↣到リテ↠彼ルコトヲ↢宝池↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅴ)華開不同

^ 一日いちにちいち」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなひらせつどうかす。

↢「一日一夜」↡已下シク↢第十門リテ↠彼華開クル時節不同↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅵ)開後得益

^ろく 七日しちにちちゅう」 よりしも皆演かいえんみょうほう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかのかい以後いご得益とくやくどうかす。

↢「七日之中」↡下至↢「皆演妙法」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益不同↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅶ)他方得益

^しち りゃく十方じっぽう」 よりしもじゅうかん」 にいたるこのかたは、 まさしくほう得益とくやくかす、 また*やくづく。

↢「遊歴十方」↡下至↢「住歓喜地」↡已来タハシク↢他方得益↡、亦名↢後益↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅷ)総結

^はち みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅲ)結示

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろじょうぼんしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢八句不同↡、広↢上品下生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅰ b 結讃【上輩総讃】
          (一)正讃

【17】^¬讃¼ にいはく (*礼讃)

¬讃¼云

^じょうはい*上行じょうぎょうじょうこんひとなりじょうしょうずることをもとめて*貪瞋とんじんだんず。
ぎょう差別しゃべつにつきて三品さんぼんわかつ。 *もん相続そうぞくして*三因さんいんたすく。

「上輩上行上根ナリメテ↠生ズルコトヲ↢浄土↡断↢貪瞋
キテ↢行差別↡分↢三品五門相続シテ↢三因

^一日いちにち七日しちにちもつぱらしょうじんして、 *ひつみょうだいじょうじて*六塵ろくじんづ。
よろこばしきかな、 ひがたくしていまふことをたり。 なが*無為むいほっしょうしんしょうせん」 と。

一日七日専精進シテ畢命ジテ↠台↢六塵
シキ哉難クシテ↠逢今得タリ↠遇フコトヲセムト↢無為法性↡」

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)総結

^じょうらいさんどうありといへどもそうじてじょうはいもんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢三位不同↡、総ジテ↢上輩一門之義↡竟リヌ

一 Ⅱ 【中輩観】
      【文前料簡】

【18】^じゅうちゅうはいかんぎょうぜんもん ぜんにつきて、 そうじてりょうけんしてすなはちじゅういちもんとな0481す。

0779キテ↢中輩観行善文前↡、総ジテ料簡シテ↢十一門↡。

・告命

^いちそうじてごうみょうかす。

者総ジテ↢告命↡。

・弁定其位

^はまさしくそのくらいべんじょうすることかす。

者正シク↣弁↢定スルコトヲ↡。

・総挙有縁

^さんはまさしくそうじてえんたぐいぐることをかす。

者正シク↣総ジテグルコトヲ↢有縁之類↡。

・弁定三心

^はまさしく三心さんしんべんじょうしてもつて0558しょういんとなすことをかす。

者正シク↧弁↢定シテ三心↡以スコトヲ↦正因↥。

・簡機堪不

^はまさしくかんかんとをえらぶことをかす。

者正シク↠簡ブコトヲ↣機↢不堪↡。

・受法不同

^ろくはまさしく受法じゅほうどうかす。

者正シク受法不同↡。

・時節延促

^しちはまさしく修業しゅごうせつ延促えんそくことなることあることをかす。

者正シク↢修業時節延促有ルコトヲ↟異ナルコト

・廻行願生

^はちはまさしく所修しょしゅぎょうして、 弥陀みだ仏国ぶっこくしょうんとがんずることをかす。

者正シク↧廻シテ↢所修↡、願ズルコトヲ↞生ゼムト↢弥陀仏国↡。

・迎接去時

^はまさしく命終みょうじゅうときのぞみてしょうきたりてこうしょうしたまふどう去時こじしつかす。

者正シク↧臨ミテ↢命終↡聖来リテ迎接シタマフ不同、去時遅疾トヲ↥。

・華開遅疾

^じゅうはまさしくかしこにいたりてはなひらしつどうかす。

者正シク↢到リテ↠彼華開クル遅疾不同↡。

・開後得益

^じゅういちはまさしくかい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。

十一者正シク↢華開已後得益ルコトヲ↟異ナルコト

^じょうらいじゅういちもんどうありといへども、 ひろちゅうはい三品さんぼんりょうけんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢十一門不同↡、広料↢簡中輩三品↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅱ 正釈
        中上品【中品上生釈】
          (一)総標

【19】^つぎちゅうぼん上生じょうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのはちあり。

キテ↢中品上生↡、亦先、次、後。即↢其八↡。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)告命

^いち 仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 そうじてごうみょうかす。

↢「仏告阿難」↡已下ジテ↢告命↡。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)弁定其位

^ちゅうぼん上生じょうしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれ小乗しょうじょうこんじょうじょうぜんぼんにんなり。

リハ↢「中品上生者」↡、シク↣弁↢定スルコトヲ↡。即是小乗根性上善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)受法不同

^さん にゃくしゅじょう」 よりしもしゅげん」 にいたるこのかたは、 まさしくだい五・第六だいろくもんのなかの、 受法じゅほうどうかす。 す0482なはちそのあり。

↢「若有衆生」↡下至↢「無衆過患」↡已来タハシク↢第五・第六門受法不同↡。即↢其四↡。

・簡機堪不

^いちにはかんかんとをえらぶことをかす。

ニハ↠簡ブコトヲ↣機↢不堪↡。

・受持小乗

^には小乗しょうじょう斎戒さいかいとうじゅすることをかす。

ニハ↣受↢持スルコトヲ小乗斎戒等↡。

・小戒不消

^さんにはしょうかいりきにしてぎゃくつみさざることをかす。

ニハ↧小戒力微ニシテルコトヲ↞消↢五逆之罪↡。

・余改悔

^にはしょうかいとうたもちておかすことあることをずといへども、 もし*けんあらば、 つねにすべからく*がいしてかならず清浄しょうじょうならしむべきことをかす。

ニハ↫雖↧持チテ↢小戒等↡不↞得↠有ルコトヲ↠犯スコトモシラバ↢余↡、恒キコトヲ↪改悔シテ↩清浄ナラ↨。

^これすなはちかみだい二の戒善かいぜんふくがっす。 しかるに修戒しゅかいときは、 あるいはこれしゅうしん、 あるいは一年いちねん一月いちがつ一日いちにちいちいちとうなり。 このまたじょうなり。 たいはみなひつみょうとなしてぼんすることをず。

此即↢上第二戒善之福↡也。然ルニ修戒、或イハ是終身、或イハ一年・一月・一日・一夜・一時等0780ナリ。此時亦不定ナリ。大意皆畢命シテ↠期不↠得↢毀犯スルコトヲ↡也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)廻行願生

^以此いし善根ぜんごんこう」 より以下いげは、 まさしくだい八門はちもんのなかの所修しょしゅごうして しょところかふことをかす。

↢「以此善根廻向」↡已下シク↧第八門シテ↢所修↡、向フコトヲ↦所求↥。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅴ)迎接去時

^ りん命終みょうしゅう」 よりしも0559極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかのじゅうしょうきたりてこうしょうしたまふどう去時こじしつかす。 すなはちそのろくあり。

↢「臨命終時」↡下至↢「極楽世界」↡已来タハシク↢第九門終時聖来リテ迎接シタマフ不同、去時遅疾トヲ↡。即↢其六↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢命延不ルコトヲ↟久シカラ

・無有菩薩

^には弥陀みだ比丘びくしゅきたりて、 さつあることなきことをかす。 これ小乗しょうじょうこんじょうなるによりて、 またしょうこんしゅうかんぜり

ニハ↧弥陀与↢比丘衆↡来リテ、無キコトヲ↞有ルコト↢菩薩↡。由リテ↢是小乗根性ナルニ↡、還ゼリ↢小根之衆↡也。

・光照行者

^さんにはぶつ金光こんこうはなちてぎょうじゃらしたまふことをかす。

ニハ↧仏放チテ↢金光↡照シタマフコトヲ↦行者↥。

・讃離衆苦

^にはぶつ、 ためにほうき、 またしゅっ しゅ種々しゅじゅ俗縁ぞくえんごう王官おうかん*長征じょうしょう*遠防おんぼうとうはなるることをさんずることをかす。 「0483んぢいましゅっして*はいあおがれまんうれへず。 *ぎょうねんとしてざいにして*じゅう さわりなし。 これがために*道業どうごうしゅすることを」 と。 このゆゑにさんて 「 しゅはな」 とのたまふ。

ニハ↤仏為↠法、又讃ズルコトヲ↣出家ルルコトヲ↢多衆苦、種種俗縁・家業・王官長征遠防等↡。汝今出家シテガレ↢於四輩↡、万事不↠憂。迥然トシテ自在ニシテ、去住無↠障。為↠此↠修スルコトヲ↢道業↡。是ジテ↠離ルト↢衆苦↡也。

・自見坐台

^にはぎょうじゃすでに見聞けんもんしをはりてごんへずすなはちみづかられば すでに*だいこうべれてぶつらいすることをかす。

ニハ↧行者既見聞リテ不↠↢欣憙レバ↠身↢華台↡、レテ↠頭スルコトヲ↞仏

・挙頭在彼

^ろくにはぎょうじゃこうべること ここにありてこうべげをはればかのくににあることをかす。

ニハ↧行者ルルコト↠頭リテ↠此、挙↠頭レバルコトヲ↦彼↥也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅵ)華開遅速

^ろくれん尋開じんかい」 よりは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

↢「蓮華尋開」↡者、シク↢第十門リテ↠彼華開クル遅疾不同↡。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅶ)開後得益

^しちとう敷時ふじ」 よりしもはちだつ」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかのかい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのさんあり。

↢「当華敷時」↡下至↢「八解脱」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益不同↡。即↢其三↡。

・華開

^いちにはほうたちまちひらくることをかす。 これ戒行かいぎょうしょうごうなるによるがゆゑなり。

ニハ↢宝華タチマヒラクルコトヲ↡。此由ルガ↢戒行精強ナルニ↡故也。

・聞法

^には法音ほうおんおなじくたいとくさんずることをかす。

ニハ↣法音同ジクズルコトヲ↢四諦之徳↡。

・獲果

^さんにはかしこにいたりてたいくをきて、 すなはちかんることをかす。

ニハ↧到リテ↠彼キテ↠説クヲ↢四諦↡、即ルコトヲ↦羅漢之果↥。

・釈義

^かん」 といふは、 ここにはしょうとい、 またじゃくといふ。 いんもうずるがゆゑにしょうなり。 そうするがゆゑにじゃくなり。

↢「羅漢」↡者、此ニハ↢無生↡、亦云↢無著↡。因亡ズルガ無生ナリ。果喪スルガ無著ナリ

^さんみょう」 といふは、 宿命しゅくみょうみょう天眼てんげんみょうじんみょうなり。

↢「三明」↡者、宿命0781明・天眼明・漏尽明也。

^はちだつ」 といふは、 *ないしき観色かんしきいちだつなり。 *ないしき観色かんしきだつなり。 *じょうそうさんだつなり。 *くうとおよび*滅尽めつじんそうじて0484はちじょう

↢「八解脱」↡者、内有色外観色解脱ナリ。内無色外観色解脱ナリ。不浄相解脱ナリ。四空滅尽ジテ↠八也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅷ)総結

^はち 0560みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅱ b イ(三)結示

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろちゅうぼん上生じょうしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢八句不同↡、広↢中品上生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅱ b 中中品【中品中生釈】
          (一)総標

【20】^つぎちゅうぼん中生ちゅうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

キテ↢中品中生↡、亦先、次、後。即↢其七↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)別釈
            (Ⅰ)弁位

^いち ちゅうぼん中生ちゅうしょうしゃ」 よりは、 そうじてぎょうげてそのくらいべんじょうす。 すなはちこれ小乗しょうじょうぜんぼんにんなり。

リハ↢「中品中生者」↡、ジテゲテ↢行↡弁↢定↡。即是小乗下善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)機法

^ にゃくしゅじょう」 よりしも威儀いぎけつ」 にいたるこのかたは、 まさしくだいろく七門しちもんのなかのけんぶん受法じゅほうとうどうかす。 すなはちそのさんあり。

↢「若有衆生」↡下至↢「威儀無欠」↡已来タハシク↢第五・六・七門簡機・時分・受法等不同↡。即↢其三↡。

・持八戒斎

^いちにははっ戒斎かいさいじゅすることをかす。

ニハ↣受↢持スルコトヲ八戒斎↡。

・持沙弥戒

^にはしゃかいじゅすることをかす。

ニハ↣受↢持スルコトヲ沙弥戒↡。

・持具足戒

^さんにはそくかいじゅすることをかす。

ニハ↣受↢持スルコトヲ具足戒↡。

^この三品さんぼんかいはみなおなじく一日いちにちいちなり。 清浄しょうじょうにしておかすことすなはちきょうざいいたまでごくじゅうとがおかがごとくし、 三業さんごう*威儀いぎしつあらしめず。 これすなはちかみだいふく (戒福)がっす、 るべし。

三品皆同ジク一日一夜ナリ。清浄ニシテ↠犯スコト、乃ルマデモ↢軽罪↡、如クシ↠犯スガ↢極重之過↡、三業威儀不↠令↠有↠失也。此即↢上第二↡、応↠知

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)廻向

^さん 以此いしどく」 より以下いげは、 まさしく所修しょしゅごうして、 しょところかふことをかす。

↢「以此功徳」↡已下シク↧廻シテ↢所修↡、向フコトヲ↦所求↥。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)迎接

^ 戒香かいこう熏修くんじゅ」 よりしも七宝しっぽうちゅういたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかのぎょうじゃじゅうしょうきたりてこうしょうたまふと、 去時こじしつかす。 すなはちそのはちあり。

↢「戒香熏修」↡下至↢「七宝池中」↡已来タハシク↢第九門行者終時聖来リテ迎接シタマフト、去時遅疾トヲ↡。即↢其八↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢命延不ルコトヲ↟久シカラ

・与諸比丘

^には0485もろもろの比丘びくしゅきたりたまふことをかす。

ニハ↧弥陀与↢諸比丘衆↡来リタマフコトヲ↥。

・光照行者

^さんにはぶつ金光こんこうはなちてぎょうじゃらしたまふことをかす。

ニハ↧仏放チテ↢金光↡照シタマフコトヲ↦行者↥。

・持華来現

^には比丘びくはな来現らいげんすることをかす。

ニハ↢比丘持シテ↠華来現スルコトヲ↡。

・行者聞讃

^にはぎょうじゃみづからくうしょうとうさん見聞けんもんすることをかす。

ニハ↣行者自見↢聞スルコトヲ空声等↡。

・深信仏語

^ろくにはぶつさんじて、 「なんぢふかぶつしんじ、 ずいじゅんしてうたがふことなしゆゑにきたりてなんぢをむかふ」 とのたまふことかす。

ニハ↧仏讃ジテ、言フコトヲ↦汝深↢仏語↡、随順シテ↠疑フコトリテフト↞汝

・坐華華合

^しちにはすでに仏讃ぶっさんこうむりてすなはちるに、 みづから*華座けざしをはればはながっすることをかす。

ニハ↧既リテ↢仏0782↡即ルニ、自↢華座レバ、華合スルコトヲ↥。

・入西宝池

^はちにははなすでにがっしをはりて、 すなはち西方さいほうほうのうちにることをかす。

ニハ↣華既リテ、即ルコトヲ↢西方宝池之内↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)華開

^ きょう七日しちにち」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるせつどうかす。

↢「経於七日」↡已下シク↢第十門リテ↠彼華開クル時節不同↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)得益

^ろく 華既けき敷已ふい」 よりしも0561じょうかん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのあり。

↢「華既敷已」↡下至↢「成羅漢」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益不同↡。即↢其四↡。

・華開見仏

^いちにははなひらけてぶつたてまつることをかす。

ニハ↢華開ケテタテマツルコトヲ↟仏

・合掌讃仏

^にはがっしょうしてぶつさんずることをかす。

ニハ↢合掌シテズルコトヲ↟仏

・聞法得果

^さんにはほうきて*しょることをかす。

ニハ↣聞キテ↠法ルコトヲ↢於初果↡。

・逕時得成

^には半劫はんこうをはりてまさにかんとなることをかす。

ニハ↧経↢半劫↡已リテルコトヲ↦羅漢↥。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)総結

^しち みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅱ b ロ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろちゅうぼん中生ちゅうしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七句不同↡、広↢中品中生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅱ b 中下品【中品下生釈】
          (一)総標

【21】^つぎちゅうぼんしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 す0486なはちそのしちあり。

キテ↢中品下生↡、亦先、次、後。即↢其七↡。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)別釈
            (Ⅰ)弁位

^いち ちゅうぼんしょう」 より以下いげ、 まさしくそうじてぎょうげて、 そのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれぜんじょうふくぼんにんなり。

↢「中品下生」↡已下シク↧総ジテゲテ↢行↡弁↦定スルコトヲ↥。即是世善上福凡夫人也。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)機法

^ にゃく善男ぜんなん」 よりしもぎょうにん」 にいたるこのかたは、 まさしくだい第六だいろくもんのなかの、 けん受法じゅほうどうかす。 すなはちそのあり。

↢「若有善男子」↡下至↢「行世仁慈」↡已来タハシク↢第五・第六門簡機・授法不同↡。即↢其四↡。

・簡機

^いちにはけんかす。

ニハ↢簡機↡。

・孝養奉順

^には父母ぶもきょうようし、 *六親ろくしんじゅんすることをかす。 すなはちかみ初福しょふく (世福)第一だいいちだいがっす。

ニハ↧孝↢養父母↡、奉↦順スルコトヲ六親↥。即↢上初福第一・第二↡。

・性調柔善

^さんにはこのひとしょう調ととのほりにゅうぜんにして自他じたえらばず、 *ものへるをきょうおこすことをかす。

ニハ↧此人性調ホリ柔善ニシテ不↠簡↢自他↡、見↢物ヘルヲ↟苦スコトヲ↦於慈敬↥。

・不聞仏法

^にはまさしくこのほんひとかつて仏法ぶっぽう見聞けんもんせず、 また*することさとらず、 ただみづからきょうようぎょうずることをかす、 るべし。

ニハシク↧此品之人不↣曽見↢聞仏法↡、亦不↠サト↢悕求スルコトヲ↡、但自ズルコトヲ↦孝養↥也、応↠知

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅲ)遇法

^さん にんみょうよくじゅう」 よりしもじゅうはちがん」 にいたるこのかたは、 まさしくだい八門はちもんのなかの、 りんじゅう仏法ぶっぽう遇逢せつ*分斉ぶんざいかす。

↢「此人命欲終時」↡下至↢「四十八願」↡已来タハシク↧第八門臨終遇↢逢仏法↡時節分斉↥。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅳ)得生

^ もん此事しじ」 よりしも極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 とくしょうやく去時こじしつかす。

↢「聞此事已」↡下至↢「極楽世0783」↡已来タハシク↢第九門得生之益、去時遅疾トヲ↡也。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅴ)開不

^ 生経しょうきょう七日しちにち」 よりは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなかいかいとをなすことをかす。

↢「生経七日」↡者、シク↢第十門リテ↠彼不開トヲスコトヲ↟異

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅵ)得益

^ろく ぐうかんおん」 よりしも0562じょうかん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのさんあり。

↢「遇観世音」↡下至↢「成羅漢」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益不同↡。即↢其三↡。

・逕時得遇

^いち0487にはとき以後いご観音かんのん大勢だいせいひたてまつることをることをかす。

ニハ↢逕↠時已後、得ルコトヲ↟遇ヒタテマツルコトヲ↢観音・大勢↡。

・逢聖聞法

^にはすでにしょう (観音・勢至)たてまつりて、 みょうほうくことをることをかす。

ニハ↧既ヒタテマツリテ↢二聖↡、得ルコトヲ↞聞クコトヲ↢妙法↡。

・逕時得成

^さんにはいちしょうこう以後いご、 はじめてかんさとることをかす。

ニハ↧逕↢一小劫↡已後、始ルコトヲ↦羅漢↥也。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅶ)総結

^しち みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅱ b ハ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろちゅうぼんしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七句不同↡、広↢中品下生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅱ 結讃【中輩総讃】

【22】^¬さん¼ にいはく (礼讃)

¬讃¼云

^ちゅうはい*中行ちゅうぎょうちゅうこんひとなり一日いちにち斎戒さいかいをもつて金蓮こんれんしょす。
父母ぶもきょうようせるをおしへてこうせし、 ために西方さいほうらくいんく。

「中輩中行中根ナリ一日斎戒ヲモテ↢金蓮
孝↢養セルヲ父母↡教ヘテ廻向セシメ↢西方快楽

^ぶつしょうもんしゅきた りて、 ただちに弥陀みだ華座けざほとりいたる。
ひゃっぽうはなこもりて七日しちにち三品さんぼんはちすひらけて*しょうしんしょうす」

仏与↢声聞衆↡来リテ↢弥陀華座
百宝リテ経↢七日三品蓮開ケテスト↢小真↡」

一 Ⅱ ⅱ 総結

^じょうらいさんどうありといへども、 そうじてちゅうはい一門いちもんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢三位不同↡、総ジテ↢中輩一門之義↡竟リヌ

一 Ⅱ 【下輩観】
      【文前料簡】

【23】^じゅうろくはいかん善悪ぜんあくぎょうもん ぜんにつきて、 りょうけんしてすなはちじゅういちもんとなす。

十六キテ↢下輩観善悪二行文前↡、料簡シテ↢十一門↡。

・告命

^いちそうじてごうみょうかす。

者総ジテ↢告命↡。

・弁定其位

^はそのくらいべんじょうす。

者弁↢定↡。

・総挙有縁

^さんそうじてえんしょうるいぐ。

者総ジテ↢有縁生類↡。

・弁定三心

^三心さんしんべんじょうしてもつてしょういんとなす。

者弁↢定シテ三心↡以↢正因↡。

・簡機堪不

^かんかんえらぶ。

者簡↣機↢不堪↡。

・受法不同

^ろくらくほうくるどうかす。

者明↧受クル↢苦楽二法↡不同↥。

・時節延促

^しち修業しゅごうせつ延促えんそくこと0488ることあることをかす。

者明↢修業時節延促有ルコトヲ↟異ナルコト

・廻行願生

^はち所修しょしゅぎょうして、 しょところことをかす。

者明↧廻シテ↢所修↡向フコトヲ↦所求↥。

・迎接去時

^りんじゅうときしょうきたりてこうしょうしたまふどう去時こじしつかす。

者明↢臨終時聖来リテ迎接シタマフ不同0784、去時遅疾トヲ↡。

・華開遅疾

^じゅうはかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

者明↢到リテ↠彼華開クル遅疾不同↡。

・開後得益

^じゅういちかい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。

十一者明↢華開已後得益ルコトヲ↟異ナルコト

^じょうらいじゅういちもんどうありといへども、 そうじてはいさんりょうけんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢十一門不同↡、総ジテ料↢簡下輩三位↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅲ 正釈
        下上品【下品上生釈】
          (一)総標

【24】^つぎ0563ぼん上生じょうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのあり。

キテ↢下品上生↡、亦先、次、後。即↢其九↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)告命

^いち 仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 まさしくごうみょうかす。

↢「仏告阿難」↡已下シク↢告命↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅱ)弁位

^ ぼん上生じょうしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれじゅうあくつくきょうざいぼんにんなり。

リハ↢「下品上生者」↡、シク↣弁↢定スルコトヲ↡。即是造↢十悪↡軽罪凡夫人也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅲ)簡機

^さん わくしゅじょう」 よりしも無有むうざん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 けんに、 いっしょうらい造悪ぞうあく軽重きょうじゅうそうすいすることをかす。 すなはちそのあり。

↢「或有衆生」↡下至↢「無有慚愧」↡已来タハシク↣第五門簡機、挙↢出スルコトヲ一生已来造悪軽重之相↡。即↢其五↡。

・総挙悪機

^いちにはそうじて造悪ぞうあくぐることをかす。

ニハ↣総ジテグルコトヲ↢造悪之機↡。

・造作衆悪

^には衆悪しゅあくぞうすることをかす。

ニハ↣造↢作スルコトヲ衆悪↡。

・不謗大乗

^さんには衆罪しゅざいつくるといへども、 もろもろのだいじょうにおいてほうしょうぜざることをかす。

ニハ↧雖↠作ルト↢衆罪↡、於↢諸大乗↡不ルコトヲ↞生↢誹謗↡。

・重牒悪人

^にはかさねて造悪ぞうあくひと*でつして、 しゃたぐいにあらざることをかす。

ニハ↧重シテ↢造悪之人↡、非ザルコトヲ↦智者之類↥也。

・造悪無愧

^にはこれらにん衆罪しゅざいつくるといへども、 そうじて*しんしょうぜざることをかす。

ニハ↧此等愚人雖↠造ルト↢衆罪↡、総ジテルコトヲ↠生↦愧心↥。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅳ)遇法

^ みょう0489よくじゅう」 よりしもしょうざい」 にいたるこのかたは、 まさしく造悪ぞうあくにんとうりんじゅうぜんひてほうくことをかす。 すなはちそのろくあり。

↢「命欲終時」↡下至↢「生死之罪」↡已来タハシク↢造悪人等臨終ヒテ↠善クコトヲ↟法。即↢其六↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢命延不ルコトヲ↟久シカラ

・忽遇知識

^にはたちまちに*おうじょうぜんしきふことをかす。

ニハ↣忽フコトヲ↢往生善知識↡。

・為讃衆経

^さんには善人ぜんにんために衆経しゅきょうさんずることをかす。

ニハ↣善人、為ズルコトヲ↢衆経↡。

・聞経功力

^にはすでにきょうりきつみのぞくこと千劫せんごうなることをかす。

ニハ↢已↠経功力、除クコト↠罪千劫ナルコトヲ↡。

・教称名号

^にはしゃきょうてん弥陀みだみな称念しょうねんせしむることをかす。

ニハ↣智者転ジテ↠教、称↢念セシムルコトヲ弥陀之号↡。

・称名除罪

^ろくには弥陀みだみなしょうするをもつてのゆゑに、 つみのぞくことひゃく万劫まんごうなることをかす。

ニハ↧以テノ↠称スルヲ↢弥陀↡故、除クコト↠罪五百万劫ナルコトヲ↥。

・料簡

【25】^ひていはく、 なんがゆゑぞ、 きょうくこと*じゅうなるには、 ただつみのぞくこと千劫せんごこうぶつしょうすることいっしょうるには、 すなはちつみのぞくことひゃく万劫まんごうなる は、 なんのこころ

ヒテ、何、聞クコト↠経十二部ナルニハ、但除クコト↠罪千劫、称スルコト↠仏一声スルニハ、即クコト↠罪五百万劫ナル者、何也。

^こたへていはく、 造罪ぞうざいひとさわりおもくして、 くわふるに死苦しくきたむるをもつてす。 善人ぜんにんきょうくといへども、 *餐受さんじゅしんさんす。 しんさんずるによるがゆゑに、 つみのぞくことややかろし。 またぶつみょうこれいちれば、 すなはちよくさんせっしてもつてしんとどむ。 またおしへてしょうねんしょうせしむ。 *しんおもきによるがゆゑに、 すなはちよくつみのぞくことこうなり。

ヘテ、造罪之人障重クシテ、加フルニテス↢死苦ムルヲ↡。善人雖↠説クト↢多経↡、餐0785受之心浮散。由ルガ↢心散ズルニ↡故、除クコト↠罪ヤヤ。又仏名是一ナレバ、即シテ↠散↠心。復教ヘテ↢正念↟名。由ルガ↢心重キニ↡故、即クコト↠罪多劫也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅴ)来迎

【26】^爾時にじぶつ」 よりしも0564しょうほうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもん0490のなかの、 じゅう*しゅ来迎らいこう去時こじしつかす。 すなはちそのろくあり。

↢「爾時彼仏」↡下至↢「生宝池中」↡已来タハシク↢第九門終時化衆来迎、去時遅疾トヲ↡。即↢其六↡。

・遣化来現

^いちにはぎょうじゃまさしくみなしょうするとき、 かの弥陀みだすなはちしゅつかはしてこえおうじて来現らいげんせしめたまふことをかす。

ニハ↧行者正シクスル↠名時、彼弥陀即シテ↢化衆↡応ジテ↠声来現セシメタマフコトヲ↥。

・同讃行人

^にはしゅすでにげんじてすなはちおなじくぎょうにんさんじたまふことをかす。

ニハ↣化衆既已 スデ 身現ジテジクジタマフコトヲ↢行人↡。

・但述称功

^さんには所聞しょもん*さんただしょうぶつこうて、 「われきたりてなんぢをむかふ」 とのたまひて*もんきょうろんぜざることをかす。

ニハ↧所聞化讃但述ベテ↢称仏之功↡、「我来リテフトノタマヒテ↠汝」不ルコトヲ↞論↢聞経之事↡。

^しかるにぶつがん のぞむれば、 ただすすめてしょうねんみなしょうせしむ。 おうじょうきこと*雑散ぞうさんごう おなじからず。 この ¬きょう¼ (観経) および*しょのなかのごとき、 処々しょしょひろたんじて、 すすめてみなしょうせしむまさに*要益ようやくとなすなり、 るべし。

ルニムレバ↢仏願意↡者、唯勧メテ正念セシム↠名。往生義疾キコト不↠同ジカラ↢雑散之業↡。如↢此¬経¼及諸部↡、処処ジテ、勧メテ↠称↠名。将↢要益↡也、応↠知

・光明遍室

^にはすでにしゅげをこうむり、 およびすなはちこうみょうしつへんするをることをかす。

ニハ↧既↢化衆↡、及ルコトヲ↦光明スルヲ↞室

・報命尋終

^にはすでにこう しょうこうむりて、 *ほうみょうすなはちおわることをかす。

ニハ↧既リテ↢光照↡、報命スナハルコトヲ↥。

・乗華生池

^ろくにははなじょうぶつしたがひてほうのなかしょうずることをかす。

ニハ↣乗↠華、従ヒテ↠仏ズルコトヲ↢宝池↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅵ)華開

^ろく きょう七日しちにち」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

↢「経七日」↡已下シク↢第十門リテ↠彼華開クル遅疾不同↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅶ)得益

^しち とう敷時ふじ」 よりしもとくにゅうしょ」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。 すなはちそのあり。

↢「当華敷時」↡下至↢「得入初地」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益ルコトヲ↟異ナルコト。即↢其五↡。

・二尊放光

^いちには観音かんのんとう*神光じんこうはなつことをかす。

ニハ↣観音等先ツコトヲ↢神光↡。

・聖赴華側

^には ˆ観音かんのんとうのˇ ぎょうじゃ0491ほうほとりおもむくことをかす。

ニハ↣身赴クコトヲ↢行者宝華之側↡。

・為説宿教

^さんにはためにぜんしょう所聞しょもんきょうくことをかす。

ニハ↣為クコトヲ↢前生所聞之教↡。

・領解発心

^にはぎょうじゃきをはりてりょう発心ほっしんすることをかす。

ニハ↢行者聞リテ領解発心スルコトヲ↡。

・逕時得証

^にはとおこうて、 *ひゃっぽうくらいしょうりんすることをかす。

ニハ↧遠↢多劫↡、証↦臨スルコトヲ百法之位↥也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅷ)総結

^はち みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅸ)挙益

^ 得聞とくもんぶつみょう」 より以下いげは、 かさねてぎょうじゃやくぐ。 ただ念仏ねんぶつのみひとおうじょうるにあらず。 ほうそう通念つうねんするもまたことを

↢「得聞仏名」↡已下↢行者0786之益↡。非↣但念仏ノミルニ↢往生↡。法・僧通念スルモ亦得↠去クコトヲ也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (三)結示

^じょうらい九句くくどうありといへども、 ひろぼん上生じょうしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢九句不同↡、広↢下品上生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅲ b 下中品【下品中生釈】
          (一)総標

【27】^つぎ0565ぼん中生ちゅうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

キテ↢下品中生↡、亦先、次、後。即↢其七↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)別釈
            (Ⅰ)総明告命

^いち 仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 そうじてごうみょうかす。

↢「仏告阿難」↡已下ジテ↢告命↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)弁定其位

^ ぼん中生ちゅうしょうしゃ」 より、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれかいざいぼんにんなり。

リハ↢「下品中生者」↡、シク↣弁↢定スルコトヲ↡。即是破戒次罪凡夫人也。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅲ)簡機

^さん わくしゅじょう」 よりしもおうごく」 にいたるこのかたは、 まさしくだい第六だいろくもんのなかの、 けん造業ぞうごうかす。 すなはちそのしちあり。

↢「或有衆生」↡下至↢「応堕地獄」↡已来タハシク↢第五・第六門簡機造業トヲ↡。即↢其七↡。

・総挙悪機

^いちにはそうじて造悪ぞうあくぐることをかす。

ニハ↣総ジテグルコトヲ↢造悪之機↡。

・多犯諸戒

^にはおお諸戒しょかいおかすことをかす。

ニハ↣多スコトヲ↢諸戒↡。

・偸盗僧物

^さんには*僧物そうもつ*ちゅうとうすることをかす。

ニハ↣偸↢盗スルコトヲ僧物↡。

・邪命説法

^には*じゃみょう説法せっぽうかす。

ニハ↢邪命説法↡。

・総無愧心

^にはそうじてしんなきことをかす。

ニハ↣総ジテキコトヲ↢愧心↡。

・兼造衆罪

^ろくには 衆罪しゅざいつく うちしんあくおこし、 ほかはすなはちしんあくをなすことをかす。 すでにしんぜん0492れば、 またるものみなにくむ。 ゆゑに 「もろもろの悪心あくしんをもつてみづからしょうごん」 といふ。

ニハ↧兼↢造衆罪↡、内ニハ↠悪、外ニハ身口スコトヲ↞悪。既自身不善ナレバ、又見者皆憎。故↢諸悪心ヲモテ荘厳スト↡也。

・定入地獄

^しちにはこのざいじょうあきらむるに、 さだめてごくるべきことをかす。

ニハアキラムルニ↢斯罪状↡、定メテルベキコトヲ↦地獄↥。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅳ)善悪来迎

^ みょうよくじゅう」 よりしも即得そくとくおうじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 じゅう*善悪ぜんあく来迎らいこうすることをかす。 すなはちその九あり。

↢「命欲終時」↡下至↢「即得往生」↡已来タハシク↢第九門終時善悪来迎スルコトヲ↡。即↢其九↡。

・命延不久

^いちには罪人ざいにんみょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢罪人命延不ルコトヲ↟久シカラ

・獄火来現

^にはごく 来現らいげんすることかす。

ニハ↢獄火来現スルコトヲ↡。

・遇善知識

^さんにはまさしくげんずるときぜんしきふことをかす。

ニハ↣正シク火現ズル時、遇フコトヲ↢善知識↡。

・為説弥陀

^には善人ぜんにんために弥陀みだどくくことをかす。

ニハ↣善人為クコトヲ↢弥陀功徳↡。

・除罪多劫

^には罪人ざいにんすでに弥陀みだみょうごうきて、 すなはちつみのぞくことこうなることをかす。

ニハ↧罪人既キテ↢弥陀名号↡、即クコト↠罪多劫ナルコトヲ↥。

・火変為風

^ろくにはすでに罪滅ざいめつこうむりて、 へんじてかぜとなることをかす。

ニハ↧既リテ↢罪滅↡、火変ジテルコトヲ↞風

・天華来応

^しちにはてんかぜしたがひて来応らいおうして、 まえれつすることをかす。

ニハ↣天華随ヒテ↠風来応シテ、羅↢列スルコトヲ↡。

・化衆来迎

^はちにはしゅ来迎らいこうすることをかす。

ニハ↢化衆来迎スルコトヲ↡。

・去時遅疾

^には去時こじしつかす。

ニハ↢去時遅疾↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅴ)華開不同

^ 七宝しっぽうちゅう」 よりしも六劫ろっこう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなひらくるせつどうかす。

↢「七宝池中」↡下至↢「六劫」↡已来タハ0787↢第十門リテ↠彼華開クル時節不同↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅵ)開後得益

^ろく れんない」 よりしもほつじょう道心どうしん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかのかい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。 すなはちそのさんあり。

↢「蓮華乃敷」↡下至↢「発無上道心」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益ルコトヲ↟異ナルコト。即↢其三↡。

・華開安慰

^いちにははなすでに0566ひらけをはりて、 観音かんのんとう*ぼんしょうをもつてあんすることをかす。

ニハ↢華既リテ、観音等梵声ヲモテ安慰スルコトヲ↡。

・為説妙典

^にはために甚深じんじんみょうでん0493くことをかす。

ニハ↣為クコトヲ↢甚深妙典↡。

・領解発心

^さんにはぎょうじゃりょう発心ほっしんすることをかす。

ニハ↢行者領解発心スルコトヲ↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅶ)総結

^しち みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅲ b ロ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろぼん中生ちゅうしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七句不同↡、広↢下品中生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅲ b 下下品【下品下生釈】
          (一)総標

【28】^つぎぼんしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

キテ↢下品下生↡、亦先、次、後。即↢其七↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)別釈
            (Ⅰ)告命

^いち 仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 そうじてごうみょうかす。

↢「仏告阿難」↡已下ジテ↢告命↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)弁位

^ ぼんしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれつぶさにぎゃくとうつくれる重罪じゅうざいぼんにんなり。

↢「下品下生者」↡、シク↣弁↢定スルコトヲ↡。即是具レル↢五逆等↡重罪凡夫人也。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅲ)簡機造悪

^さん わくしゅじょう」 よりしもじゅぐう」 にいたるこのかたは、 まさしくだい第六だいろくもんのなかの、 けん造悪ぞうあく軽重きょうじゅうそうとをかす。 すなはちそのしちあり。

↢「或有衆生」↡下至↢「受苦無窮」↡已来タハシク↢第五・第六門簡機造悪軽重之相トヲ↡。即↢其七↡。

・明造悪機

^いちには造悪ぞうあくかす。

ニハ↢造悪之機↡。

・挙不善名

^にはそうじてぜんぐることをかす。

ニハ↣総ジテグルコトヲ↢不善之名↡。

・簡罪軽重

^さんにはつみ軽重きょうじゅうえらぶことをかす。

ニハ↠簡ブコトヲ↢罪軽重↡。

・総結衆悪

^にはそうじて衆悪しゅあく けっして、 にんごうにあらずといふことをかす。

ニハ↧総ジテシテ↢衆悪↡、非ズトイフコトヲ↦智人之業↥。

・造悪既多

^にはあくつくることすでにおおければ、 つみまたかろきにあらざることをかす。

ニハ↢造ルコト↠悪ケレバ、罪亦非ザルコトヲ↟軽キニ

・果報必苦

^ろくにはごうとしてそのほうけざるあらず、 いんとしてそのけざるあら因業いんごうすでにこれらくにあらず、 ほういづくんぞよくならざらんといふことをかす

ニハ↧非↢業トシテルハ↟受↢其↡、非↢因トシテルハ↟受↢其因業既↢是楽↡、果報イヅクンゾラムトイフコトヲ↞苦ナラ也。

・酬報未窮

^しちには造悪ぞうあくいんすでにして*しゅうほうこういまだきわまらざることをかす。

ニハ↢造悪之因既シテ、酬報之劫未ルコトヲ↟窮

料簡

049429】^ひていはく、 じゅうはちがんのなかˆだいじゅうはちがんのˇ ごときは、 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞきて、 おうじょうしめず。 いまこの ¬かんぎょう¼ ぼんしょうのなかには謗法ほうぼうえらびてぎゃくせっせるは、 なんのこころかあるや。

ヒテ、如キハ↢四十八願↡、唯除キテ↢五逆誹謗正法トヲ↡、不↠得シメ↢往生↡。今此¬観経¼下品下生ニハ、簡ビテ↢謗法↡摂セル↢五逆↡者、有↢何↡也。

【抑止門釈】

^こたへていはく、 このあおぎて*おくもんのなかにつきてせん。

ヘテ、此0788義仰ギテキテ↢抑止門↡解セム

・抑止門釈 ・本願

^じゅうはちがんのなかˆだいじゅうはちがんのˇ ごとき、 謗法ほうぼうぎゃくとをのぞくことは、 しかるにこのごうそのさわりごくじゅうなりしゅじょうもしつくればただちに*阿鼻あび *りゃくこう周慞しゅうしょうしてづべきによしなし。 ただ如来にょらいそれ0567このとがつくことをおそれて、 方便ほうべんしてとどめて 「おうじょうず」 とのたまへり。 またこれせっせざるにはあらず。

↢四十八願↡、除クコト↢謗法五逆トヲ↡者、然ルニ此之二業其障極重ナリ。衆生若レバ↢阿鼻↡、歴劫周慞シテ↠由↠可キニ↠出。但如来恐レテ↣其ルコトヲ↢斯↡、方便シテメテヘリ↠不↠得↢往生↡。亦不↢是不ルニハ↟摂也。

・抑止門釈 ・今経

^またぼんしょうのなかに、 ぎゃくりて謗法ほうぼうのぞは、 それぎゃくはすでにつくれりてててんせしむべからず。 かえりてだいおこして摂取せっしゅしておうじょうせしむ。 しかるに謗法ほうぼうつみいまだつくらず。 またとどめて 「もし謗法ほうぼうおこば、 すなはちしょうずることをず」 とのたまふ。 これは造業ぞうごうにつきてす。 もしつくらば、 かえりてせっしてしょうずることをめん

又下品下生、取リテ↢五逆↡除↢謗法↡者、其五逆レリ不↠可カラ↣捨テテ↢流転↡。還リテシテ↢大悲↡摂取シテ往生セシム。然ルニ謗法之罪ツク。又止メテ↧若サバ↢謗法↡、即↞得↠生ズルコトヲ。此キテ↢未造業↡而解也。若ラバ、還リテシテシメム↠生ズルコトヲ

^かしこにしょうずることをといへども、 はながっしてこう。 これらの罪人ざいにんはなのうちにあるとき三種さんしゅさわりあり。 いちぶつおよびもろもろのしょうじゅることをず。 しょうぼうちょうもんすることをず。 さん*りゃくようすることをず。

↠得↠生ズルコトヲ↠彼、華合シテ逕↢於多劫↡。此等罪人在↢華↡時、有↢三種障↡。一者不↠得↠見ルコトヲ↢仏及聖衆↡。二者不↠得↣聴↢聞スルコトヲ正法↡。三者不↠得↢歴事供養スルコトヲ↡。

^これをのぞきて以外いげさらにもろ0495もろのなし。 *きょうにのたまはく、 「なほ比丘びく*三禅さんぜんれるらくのごとし」 るべし。 はなのなかにありてこうひらけずといへども、 阿鼻あびごくのなかにして長時じょうじ永劫ようごうにもろもろのつうくるにすぐれざるべけんや。 このおくもんにつきてしをはりぬ。

キテ↠此已外↢諸苦↡。¬経¼云、「猶如シト↧比丘レル↢三禅↡之楽↥也、」応↠知。雖↧在リテ↢華↡多劫不↞開、可ケム↠不↠勝↣阿鼻地獄之中ニシテ、長時永劫クルニ↢諸苦痛↡也。此義就キテ↢抑止門↡解リヌ

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅳ)念仏利益

【30】^ にょにん」 よりしも*しょうざい」 にいたるこのかたは、 まさしくほうぶつねんじて、 *現益げんやくこうむることをることをかす。 すなはちそのじゅうあり。

↢「如此愚人」↡下至↢「生死之罪」↡已来タハシク↢聞↠法ジテ↠仏ルコトヲ↟蒙ルコトヲ↢現益↡。即↢其十↡。

・重牒悪人

^いちにはかさねて造悪ぞうあくひとでつすることをかす。

ニハ↣重スルコトヲ↢造悪之人↡。

・命延不久

^にはみょうえんひさしからざることかす。

ニハ↢命延不ルコトヲ↟久シカラ

・遇善知識

^さんにはりんじゅうぜんしきふことをかす。

ニハ↣臨終フコトヲ↢善知識↡。

・教令念仏

^には善人ぜんにんあんしておしへてぶつねんぜしむることをかす。

ニハ↢善人安慰シテヘテムルコトヲ↟念↠仏

・死苦来逼

^には罪人ざいにん死苦しくきためてぶつみょうねんずることをるによしなきことをかす。

ニハ↢罪人死苦来メテ、無キコトヲ↟由↠得ルニ↠念ズルコトヲ↢仏名↡。

【転教口称】

^ろくにはぜんくるしみて*失念しつねんりて、 きょうてんくち弥陀みだみょうごうしょうせしむることをかす。

ニハ↧善友知リテ↢苦ミテ失念スト↡、転ジテ↠教セシムルコトヲ↦弥陀名号↥。

・称名無間

^しちには念数ねんじゅしょう声々しょうしょうひまなきことをかす。

ニハ↢念数多少、声声無キコトヲヒマ

・除罪多劫

^はちにはつみのぞくことこうなることをかす。

ニハ↢除クコト↠罪0789ナルコトヲ↡。

・臨終正念

^にはりんじゅうしょうねんにしてすなはちこん来応らいおうすることあることをかす。

ニハ↣臨終正念ニシテルコトヲ↢金華来応スルコト↡。

・直到極楽

^じゅうには去時こじしつただちにしょくにいたることをかす。

ニハ↣去時遅疾、直ルコトヲ↢所帰之国↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅴ)華開不同

^ れんちゅうまんじゅうこう」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかのかしこにいたりてはなひらくるしつ0568どうかす。

↢「於蓮華中満十二劫」↡已下シク↢第十門リテ↠彼華開クル遅疾不同↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅵ)開後得益

^ろく0496 観音かんのん大勢だいせい」 よりしもほつだいしん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。 すなはちそのさんあり。

↢「観音大勢」↡下至↢「発菩提心」↡已来タハシク↢第十一門華開已後得益ルコトヲ↟異ナルコト。即↢其三↡。

・為宣妙法

^いちにはしょう (観音・勢至)ために甚深じんじんみょうほうべたまふことをかす。

ニハ↣二聖、為ベタマフコトヲ↢甚深妙法↡。

・除罪歓喜

^にはつみのぞかんすることをかす。

ニハ↢除キテ↠罪歓喜スルコトヲ↡。

・後発勝心

^さんにはのち*しょうしんおこすことをかす。

ニハ↣後スコトヲ↢勝心↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅶ)総結

^しちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅲ b ハ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろぼんしょうしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七句不同↡、広↢下品下生↡竟リヌ

一 Ⅱ ⅲ 結讃【下輩総讃】

【31】^¬さん¼ にいはく (礼讃)

¬讃¼云

^はい*ぎょうこんひとなりじゅうあくぎゃくとう貪瞋とんじん
じゅう*ちゅうそう*ほうしょうぼうと、 いまだかつてざんしてさきとがいず。

「下輩下行下根ナリ十悪・五逆等貪瞋
四重偸僧謗正法↣曽慚愧シテ↢前トガ

^じゅう そうくものごとくにあつごくみょう罪人ざいにんまえにあり。
たちまちにおうじょうぜんしききゅうすすめてもつぱらかのぶつみなしょうせしむるにふ。

終時苦相如クニ↠雲地獄猛火罪人ニアリ
↣往生善知識メテセシムルニ↢彼

^ぶつさつこえたずねていたりたまふ。 一念いちねんしんかたむくれば宝蓮ほうれんる。
*さんさわりおもくしてこうひらく。 ときにはじめてだいいんおこす」

化仏・菩薩尋ネテ↠声リタマフ一念傾クレバ↠心↢宝蓮
三華障重クシテ↢多劫于↠時始スト↢菩提↡」

一 Ⅱ ⅲ 総結

^じょうらいさんどうありといへども、 そうじてはい一門いちもんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢三位不同↡、総ジテ↢下輩一門之義↡竟リヌ

並結二善

049732】^さきにはじゅうさんがんかしてもつて 「じょうぜん」 となす。 すなはちこれ*だいしょうにして如来にょらい (釈尊) すでにこたへたまふ。 のちには三福さんぷくぼんかして、 づけて 「散善さんぜん」 となす。 これぶつ (釈尊)せつなり。 じょうさんりょうもん りてことなることありといへども、 そうじて正宗しょうしゅうぶんしをはりぬ。

ニハシテ↢十三観↡以↢定善↡。即是韋提致請ニシテ、如来已ヘタマフ。後ニハシテ↢三福・九品↡、名ケテ↢散善↡。是仏自説ナリ。雖↧有リテ↢定散両門↡有リト↞異ナルコト、総ジテ↢正宗分↡竟リヌ

【得益分】
  総標
  別釈
    標数

【33】^さん得益とくやくぶんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんず。 すなはちそのしちあり。

キテ↢得益分↡、亦先、次。即↢其七↡。

二 Ⅱ 随釈
      牒前文

^はじめに 「せつ是語ぜご」 といふは、 まさしくそうじてさきもんでつしてのち得益とくやくそうしょうずることをかす。

↢「説是語」↡者、シク↧総0790ジテシテ↢前↡生ズルコトヲ↦後得益之相↥。

二 Ⅱ ⅱ 明能聞人

^ だい」 より以下いげは、 まさしくよくほうひとかす。

↢「韋提」↡已下シク↢能↠法↡。

二 Ⅱ ⅱ 光台見土

^さん おう即見そくけん極楽ごくらく」 より以下いげは、 まさしくにんとう かみ光台こうだいのなかにおいて極楽ごくらくそうることをかす。

↢「応時即見極楽」↡已下シク↧夫人等於↢上光台↡見ルコトヲ↦極楽之相↥。

二 Ⅱ ⅱ 七観得益

^0569 得見とくけん仏身ぶっしんぎゅうさつ」 より以下いげは、 まさしくにん第七だいしちかん (華座観)はじめにおいてりょう寿じゅぶつたてまつりしとき、 すなはち*しょうやくることをかす。

↢「得見仏身及二菩薩」↡已下シク↧夫人於↢第七観↡見タテマツリシ↢無量寿仏↡時、即ルコトヲ↦無生之益↥。

二 Ⅱ ⅱ 侍女発心

^ にょ」 より以下いげは、 まさしくこのしょうそうて、 おのおの*じょうしんおこしてじょうしょうんともとむることをかす。

↢「侍女」↡已下シク↧覩↢斯勝相↡、各シテ↢無上之心↡求ムルコトヲ↞生ゼムト↢浄土↡。

二 Ⅱ ⅱ 蒙記獲定

^ろく そんしっ」 より以下いげは、 まさしくにょ*そんこうむることをて、 みなかのくにしょうてすなはち現前げんぜん三昧ざんまいることをかす。

↢「世尊悉記」↡已下シク↧侍女得↠蒙ルコトヲ↢尊記↡、皆生ジテ↢彼↡即ルコトヲ↦現前三昧↥。

二 Ⅱ ⅱ 諸天発心
        総標

^しち りょう諸天しょてん」 より以下いげは、 まさしくさき*えんえんのなかに、 *しゃくぼん*護世ごせ諸天しょてんとう ぶつ (釈尊)したが0498おうにしてくうのぞみてほうことをかす。

↢「無量諸天」↡已下シク↢前厭苦、釈・梵・護世諸天等、従ヒテ↠仏王宮ニシテミテ↠空クコトヲ↟法

二 Ⅱ ⅱ g 別釈
          (一)挙例見聞

^あるいはしゃ *毫光ごうこう転変てんぺん、 あるいは弥陀みだ金色こんじきりょう、 あるいはぼんおうじょうしゅき、 あるいは*じょうさんりょうもんともにせっすることをき、 あるいは善悪ぜんあくぎょうひとしくすることをき、 あるいは西方さいほうじょうたいしてとおきにあらざることをき、 あるいはいっしょうせんしょうこころざしけっすればながしょうながれわかつことを

イハ見↢釈迦毫光転変↡、或イハ見↢弥陀金色霊儀↡、或イハ↢九品往生殊異↡、或イハ↢定散両門倶スルコトヲ↡、或イハ↢善悪之行斉シクスルコトヲ↡、或イハ↢西方浄土対シテ↠目ザルコトヲ↟遠キニ、或イハ↧一生専精スレバ↠志与↢生死↡分ツコトヲ↞流

二 Ⅱ ⅱ g ロ (二)結示得益

^これらの諸天しょてんすでに如来にょらい (釈尊)ひろ*希奇けきやくきたまふ、 おのおのじょうしんおこ 。 これすなはちぶつはこれ聖中しょうちゅうごくなり。 ことばおこしたまへばきょうとなり*凡惑ぼんわくたぐい*さんこうむる。 よくこれをくものをしやくしむ。

此等諸天既キテ↣如来キタマフヲ↢希奇之益↡、各↢無上之心↡。斯乃是聖中之極ナリ。発シタマヘバ↠語↠経、凡惑之類蒙↠餐。能使↢聞クモノヲシテ↠之獲↟益

結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろ得益とくやくぶんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七句不同↡、広↢得益分↡竟リヌ

【流通分】
  弁二分開合

【34】^つぎ通分ずうぶんす。 なかにあり。 いちには*おうずうかす。 には*しゃずうかす。

↢流通分↡。於↠二。一ニハ↢王宮流通↡。二ニハ↢耆闍流通↡。

約開釈文

^いまおう通分ずうぶんのなかにつきてすなはちそのしちあり。

今先キテ↢王宮流通分↡、即↢其七↡。

三 Ⅱ 請発由

^いち 爾時にじなん」 より以下いげは、 まさしくしょうほつよしかす。

↢「爾時阿難」↡已下、正シク↢請発之0791↡。

三 Ⅱ 経名得益

^ 仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 まさしく如来にょらい *しょうならひょう 、 もつてきょうて、 またよくきょうによりてぎょうおこせば、 さんしょうくもおのづからくことをかして、 さきはじめのといの 「うんみょうきょう」 のいっこたふ。

↢「仏告阿難」↡已下、正シクシテ↧如来↢標依正↡、以↢経↡、又能リテ↠経セバ↠行、三障之雲自クコトヲ↥、答↢前「云何名此経」一句↡。

三 Ⅱ 答前後問

^さん にょ0570とうじゅ」 より以下いげは、 さき0499のちといの 「うんじゅ」 のいっこたふ。

↢「汝当受持」↡已下、答↢前「云何受持」一句↡。

三 Ⅱ 比挍顕勝

^ ぎょう三昧さんまいしゃ」 よりしもきょう憶念おくねん」 にいたるこのかたは、 まさしく*きょう *けんしょうて、 ひとすすめてぎょうせしむることをかす。 すなはちそのあり。

↢「行此三昧者」↡下至↢「何況憶念」↡已来タハ、正シク↢比校顕勝シテ、勧メテ↠人奉行セシムルコトヲ↡。即↢其四↡。

・標定善

^いちにはそうじてじょうぜんひょうしてもつて三昧さんまいつることをかす。

ニハ↧総ジテシテ↢定善↡以ツルコトヲ↦三昧之名↥。

・見三身

^にはかんによりてしゅぎょうして、 すなはち三身さんしんやくかす。

ニハ↧依リテ↠観修行シテ、即↢三身↡之益↥。

・能行機

^さんにはかさねてよくきょうぎょうずる ぐることをかす。

ニハ↣重グルコトヲ↢能ズル↠教之機↡。

・勧帰依

^にはまさしくきょう けんしょうして、 ただ 三身さんしんみなすらなほこう*罪ざいけんめっす、 いかにいはんやしょうねん帰依きえしてしょうざらんやといふことをかす

ニハシク↧比校顕勝シテ、但聞クスラ↢三身之号↡尚滅↢多劫罪↡、何正念帰依シテ而不ラムヤトイフコトヲ↞獲↠証也。

三 Ⅱ 念仏超絶

^ にゃく念仏ねんぶつしゃ」 よりしもしょう諸仏しょぶつ」 にいたるこのかたは、 まさしく念仏ねんぶつ三昧ざんまい*のうちょうぜつして、 じつ*雑善ぞうぜんもつてるいなすことをるにあらざることをあらわす。 すなはちそのあり。

↢「若念仏者」↡下至↢「生諸仏家」↡已来タハシク↣念仏三昧功能超絶シテ、実ザルコトヲ↢雑善ヲモテルニ↟為スコトヲ↢比類↡。即↢其五↡。

・専念弥陀

^いちにはもつぱら弥陀みだぶつみなねんずることかす。

ニハ↣専ズルコトヲ↢弥陀仏↡。

・讃能念人

^には能念のうねんひとさんることをかす。

ニハ↣指↢讃スルコトヲ能念之人↡。

・喩分陀利

^さんにはもしよく相続そうぞくして念仏ねんぶつるものは、 このひと はなはだ*希有けうなりとなす、 さらにものとしてもつてこれにならぶべきなしゆゑに*ふん陀利だりきてたとへとなすことをかす。

ニハ↧若相続シテ念仏スル、此人甚↢希有ナリト↡、更↣物トシテ↢以ナラ↟之キテ↢分陀利↡為スコトヲ↞喩

・喩分陀利 【五種嘉誉】

^ふん陀利だり」 といふは、 にんちゅうこうづけ、 また希有けうづけ、 またにんちゅう上上じょうじょうづけ、 またにんちゅうみょうこうづく。 このはな相伝そうでんして*さいづくるこれなり。 もし念仏ねんぶつるものは、 すなは0500ちこれにんちゅう好人こうにんなり、 にんちゅうみょう好人こうにんなり、 にんちゅう上上じょうじょうにんなり、 にんちゅう希有けうにんなり、 にんちゅうさいしょうにんなり。

↢「分陀利」↡者、名↢人中好華↡、亦名↢希有華↡、亦名↢人中上上華↡、亦名↢人中妙好華↡。此華相伝シテクル↢蔡華↡是ナリ。若念仏スル、即是人中好人ナリ、人中妙好人ナリ、人中上上人ナリ、人中希有人ナリ、人中最勝人也。

・二尊常随

^にはもつぱら弥陀みだみなねんずるものは、 すなはち観音かんのんせいつねにしたが*ようしたまふこと、 またしん*しきのごとくなることをかす。

ニハ↧専ズル↢弥陀↡者、即観音・勢至常ヒテ影護シタマフコト、亦如クナルコトヲ↦親友知識↥也。

・当益

^にはこんじょうにすでにこのやくこうむりてしゃみょうしてすなはち*諸仏しょぶついえることをかす。 すなはちじょうこれなり。 かしこにいたりて、 じょうほうき、 りゃくようして、 *いんまどかにまんず。 どうじょう、 あにはるかならんや。

ニハ↧今生リテ↢此↡、捨命シテ0792ルコトヲ↦諸仏之家↥。即浄土是也。到リテ↠彼、長時↠法、歴事供養シテ、因円カニ果満。道場之座、豈ハルカナラムヤ

三 Ⅱ 付属流通【付属釈】

^ろく 仏告ぶつごうなん汝好にょこう是語ぜご」 より以下いげは、 まさしく弥陀みだ0571みょうごうぞくして、 *だいずうしめたまふことをかす。 じょうらいじょうさんりょうもんやくくといへども、 *ぶつ本願ほんがんのぞむるに、 こころしゅじょうをして一向いっこうもつぱら弥陀みだぶつみな しょうせしむるにあり。

↢「仏告阿難汝好持是語」↡已下シク↧付↢属シテ弥陀名号↡、流↦通セシメタマフコトヲ於遐代↥。上来雖↠説クト↢定散両門之益↡、望ムルニ↢仏本願↡、意在↣衆生ヲシテ一向セシムルニ↢弥陀仏↡。

三 Ⅱ 遇餐意躍

^しち 仏説ぶっせつ此語しご」 より以下いげは、 まさしく*のうしょう能伝のうでんとう、 いまだかざるところをき、 いまだざるところをたまたまかんさんて、 *やくしてもつてみづからふることなきことをかす。

↢「仏説此語時」↡已下シク↧能請能伝等、聞↠所↠未↠聞、見↠所↠未↠見、遇シテ↢甘露↡、憙躍シテキコトヲ↦以フルコト↥也。

結王宮流通分

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろおう通分ずうぶんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七句不同↡、広↢王宮流通分↡竟リヌ

耆闍分【耆闍会】

【35】^*しゃのなかにつきて、 またそのさんあり。

キテ↢耆闍会↡、亦有↢其三↡。

序分

^いち 爾時にじそん」 より以下いげは、 しゃ序分じょぶんかす。

↢「爾時世尊」↡已下↢耆闍序分↡。

正宗分

^爾時にじなん」 より以下いげは、 しゃ正宗しょうしゅうぶん0501かす。

↢「爾時阿難」↡已下↢耆闍正宗分↡。

流通分

^さんりょう諸天しょてん」 より以下いげは、 しゃ通分ずうぶんかす。

↢「無量諸天」↡已下↢耆闍流通分↡。

^じょうらいさんどうありといへども、 そうじてしゃぶんかしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢三義不同↡、総ジテ↢耆闍分↡竟リヌ

結科【総結】

・序分

【36】^はじ にょもん」 よりしもうんけん極楽ごくらくかいいたるこのかたは、 序分じょぶんかす。

↢「如是我聞」↡下至↢「云何見極楽世界」↡已来タハ、明↢序分↡。

・正宗分

^日観にっかんよりしもぼんしょういたるこのかたは、 正宗しょうしゅう分をかす。

↢日観↡下至↢下品下生↡已来タハ、明↢正宗分↡。

・得益分

^さん せつ是語ぜご」 よりしも諸天しょてん発心ほっしんいたるこのかたは、 得益とくやくぶんかす。

↢「説是語時」↡下至↢「諸天発心」↡已来タハ、明↢得益分↡。

・流通分

^ 爾時にじなん」 よりしもだいとうかんいたるこのかたは、 おう通分ずうぶんかす。

↢「爾時阿難」↡下至↢韋提等歓喜↡已来タハ、明↢王宮流通分↡。

・耆闍分

^爾時にじそん」 よりしもらい退たいいたるこのかたは、 そうじてしゃぶんかす。

↢「爾時世尊」↡下至↢「作礼而退」↡已来タハ、総ジテ↢耆闍分↡。

^じょうらいぶんどうありといへども、 そうじて ¬かんぎょう¼ いちもんしをはりぬ。

上来↠有リト↢五分不同↡、総ジテ↢¬観経¼一部文義↡竟リヌ

【結嘆】

【37】^ひそかにおもんみれば、 しんしゅうひがたくじょうようひがたし。

0793レバ、真宗叵↠遇、浄土之要難↠逢

^ˆしゃくそんはˇ *しゅをしてひとしく しょうぜしめんとほっす。 ここをもつてすすめて後代こうだいかしむ。 ただ 如来にょらい*神力じんりき*転変てんぺんほうなり。 *隠顕おんけんしたがひておうにひそかにす。 ここにおいてしゃしょうじゅしょう0572うたがいいだく。 ぶつ (釈尊)のちやま (*耆闍崛山)かえりたまふに、 きょううかがず。

↠使メムト↢五趣ヲシテシク↡。是メテカシム↢於後代↡。但如来神力転変無方ナリ。隠顕随ヒテ↠機王宮。於↠是耆闍聖衆、小智懐↠疑。仏後リタマフニ↠山、弗↠闚↢委況↡。

^ときなん、 ためにおうじょうさんりょうもんぶ。 しゅこれによりておなじくきて、 ぎょうしてちょうだいざるはなし。

↠時阿難、為↢王宮之化、定散両門↡。異衆因リテ↠此ジクキテ、莫↠不ルハ↢奉行シテ而頂戴↡。

後序【後跋】

050238】^うやまひて一切いっさいえん*しきとうにまうす。 すでにこれしょうぼんなり。 智慧ちえ浅短せんたんなり。 しかるにぶっきょう*ゆうれば、 あへてたやすく異解いげしょうぜず。 つひにすなはちしんひょうがんけっして*霊験れいげんしょうす。 まさにしんいたべし。 *じんくうへん法界ほうかい一切いっさい三宝さんぽうしゃ牟尼むにぶつ弥陀みだぶつ観音かんのんせいかのもろもろのさつだい海衆かいしゅおよび一切いっさいしょうごんそうとう南無なもみょうしたてまつる。

ヒテ↢一切有縁知識等↡。餘是生死凡夫ナリ。智慧浅短ナリ。然ルニ仏教幽微ナレバ、不↣敢タヤス↢異解↡。遂↠心シテ↠願、請↢求霊験↡。方イタ↠心。南↢無帰↣命シタテマツル尽虚空遍法界一切三宝、釈迦牟尼仏・阿弥陀仏・観音・勢至、彼菩薩大海衆及一切荘厳相等↡。

^それがしいまこの ¬かんぎょう¼ のよういだして、 *こんかいじょうせんとほっ もしさん諸仏しょぶつしゃぶつ弥陀みだぶつとうだいがんかなはば、 ねがはくはゆめのうちにおいて、 かみ所願しょがんのごとき一切いっさいきょうがい諸相しょそうることをしめたまへ仏像ぶつぞうまえおいがんけっをはりて、 *日別にちべつに ¬弥陀みだきょう¼ じゅすること三遍さんべん弥陀みだぶつ ねんずることさん万遍まんべんしんいた発願ほつがんす。

某今欲↧出シテ↢此¬観経¼要義↡、楷↦定セムト古今↥。若カナハバ↢三世諸仏・釈迦仏・阿弥陀仏等大悲願意↡者、願クハ↢夢↡、得シメタマヘ↠見ルコトヲ↧如↢上所願↡一切境界諸相↥。於↢仏像↡結↠願リテ、日別スルコト↢¬阿弥陀経¼↡三遍、念ズルコト↢阿弥陀仏↡三万遍、至シテ↠心発願

^すなはちとうにおいて西方さいほうくうちゅう に、 かみのごとき 諸相しょそうきょうがいことごとくみな顕現けんげんるを雑色ざっしき宝山ほうせん百重ひゃくじゅうせんじゅうなり。 種々しゅじゅこうみょうしもらすに、 金色こんじきのごとし。 なかに諸仏しょぶつさつましまして、 あるいはあるいはりゅうし、 あるいはあるいはもくす。 あるいは身手しんしゅどうじ、 あるいはじゅうしてどうぜざるものあり。 すでにこのそうがっしょうしてちてかん。 ややひさしくしてすなはちめぬ。 めをはりて*ごんへず。

↢当夜↡、見↢西方空中、如↠上諸相境界悉皆顕現スルヲ↡。雑色宝山百重千重ナリ。種種光明、下、照スニ↢於地↡、地如↢金色↡。中シテ↢諸仏・菩薩↡、或イハイハ、或イハイハ。或イハ↢身手↡、或イハシテ↠動アリ。既↢此↡合掌シテチテヤヤシクシテメヌ。覚リテ不↠↢欣喜↡。

^すなはち ˆこ0503かんぎょうのˇ *もんじょうろくす。 これより以後いごまいゆめのうちにつねにいちそうありてきたりて*げんもんじゅす。 すでにおわりて、 さらにまたえず

ココ条↢録義門0794↡。自↠此已後、毎夜リテ↢一僧↡而来リテ指↢授玄義科文↡。既リテ、更不↢復見↡。

^のちとき*脱本だっぽんをはりて、 またさらにしんいたして七日しちにちようして、 日別にちべつに ¬弥陀みだきょう¼ をじゅすること十遍じっぺん0573弥陀みだぶつねんずることさん万遍まんべん*しょ後夜ごやかのぶつこくしょうごんとうそう観想かんそうて、 じょうしんみょうすることもつぱらかみほうのごとく

脱本竟已 ヲハ リテ、復更シテ↠心要↢期シテ七日↡、日別スルコト↢¬阿弥陀経¼↡十遍、念ズルコト↢阿弥陀仏↡三万遍、初夜・後夜観↢想シテ国土荘厳等↡、誠心帰命スルコトクス↢上↡。

^とうすなはちらく、 *さん磑輪がいりんみちほとりひとてんず。 たちまちに一人いちにんありて、 しろらくりてまえきたりてまみすす 。 「まさにつとめてけつじょうしておうじょうすべし、 退転たいてんをなすことなかれ。 このさかいあくにしておおし。 いたわしく*とんぎょうせざれ」 こたへていはく、 「おおきに賢者けんじゃ*好心こうしん視誨じげこうむれり それがしひつみょうとなして、 あへて*まんしんしょうぜず」

当夜ラク、三具磑輪、道。忽リテ↢一人↡、乗リテ↢白駱駝↡来リテ↠前マミエテ。師当努力ツトメ決定シテ往生↡、莫↠作スコト↢退転↡。此穢悪ニシテ↠苦。不レトイタハシク貪楽↡。答ヘテ、大レリ↢賢者好心視誨↡。某畢命シテ↠期、不↣敢↢於懈慢之心↡。

^だい二夜にやらく、 弥陀みだぶつしんしんこん じきにして、 七宝しっぽう じゅもと こんれんうえましましてしたまへり。 十僧じっそうにょうして、 またおのおのいち宝樹ほうじゅもとせり。 仏樹ぶつじゅうえ すなはちてんありて、 かかめぐれり。 おもてただしくし西にしかへて、 がっしょうしてしてかんず。

第二夜ラク、阿弥陀仏真金色ニシテ、在シテ↢七宝樹下、金蓮華↡坐シタマヘリ。十僧囲遶シテ、亦各セリ↢一宝樹↡。仏樹リテ↢天衣↡、カカレリ。正シクシ↠面ヘテ↠西、合掌シテシテ

^第三だいさんらく、 ふたつ*幢杆どうかんきはめておおきにたかあらわれて、 はたかかりてしきなり。 どうじゅうおうにして、 ひとることさわりなし。

第三夜ラク、両幢杆極レテ、幡懸リテ五色ナリ。道路縦横ニシテ、人観ルコト↠礙。

^すでにこのそうをはりて、 すなはち休止くしして七日しちにちいた0504ず。

得↢此↡已リテ、即便休止シテ不↠至↢七日↡。

^じょうらいあらゆる*霊相れいそうは、 本心ほんしんもののためにしてしんのためにせず。 すでにこのそうこうむれり。 あへて*隠蔵おんぞうせず、 *つつしみてもつて のちあらわして、 くことを末代まつだいこうむらしむ。 ねがはくは*含霊がんれいこれをくものをししんしょうぜしめ *しきるものをして西にしせしめん。

上来所有霊相者、本心為ニシテ↠物不↠為ニセ↢己身↡。既レリ↢此↡。不↢敢隠蔵↡、謹ミテ↢呈シテ↡、被ラシム↢聞クコトヲ末代↡。願クハ使メム↢含霊クモノヲシテ↠之ゼシメ↠信、有識ヲシテ西↡。

^このどくをもつてしゅじょう*回施えせす。 ことごとくだいしんおこして、 しんをもつてあひかひ、 仏眼ぶつげんをもつてあひだいまで眷属けんぞくとしてしんぜんしきとなりて、 おなじくじょうこく 、 ともに仏道ぶつどうじょうぜん

↢此功徳↡廻↢施衆生↡。悉シテ↢菩提心↡、慈心ヲモテ相向、仏眼ヲモテ相看、菩提マデ眷属トシテリテ↢真善知識↡、同ジク↢浄国↡、共ゼム↢仏道↡。

^このすでにしょうひてさだめをはりぬ。 いっいちげんすべからず。 うつさんとほっするものは、 もつぱらきょうぼうのごとくすべし、 るべし。

義已ヒテ↠証リヌ。一句一字不↠可カラ↢加減↡。欲スル↠写サムト、一クスベシ↢経法↡、応↠知

かん0574ぎょう正宗しょうしゅうぶん散善さんぜん かんだい

 

延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。 なお、 宗祖加点本と対校し、 相違箇所を赤の点下線(クリックで内容表示)、 減語句を青の点下線で示している。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。 じょうのこと。
具受不具受 五戒のすべてを受けることと、 その一部分を受けること。
具持不具持 戒のすべてをたもつことと、 その一部分をたもつこと。
この義… 十一門の義は、 九品それぞれの文についてみると、 すべてそろっているものと、 そろっていないものとがあるということ。
隠顕 文の表に顕れたものと裏に隠れたもの。 善導ぜんどう大師の隠顕は、 ともに真実の説意で、 親鸞聖人が 「化身土文類」 でいわれるような真仮 (真実・方便) を分別する意味ではない。
先づ挙げ… まず九品各位の名を挙げ、 次にその相を述べ、 終りに文を結ぶ。善導大師は九品のすべてにこの三科があるとする。
有生の類 往生を得る機類。
発心 じょうしん深心じんしんこう発願心ほつがんしんの三心をおこすこと。
かならず…得ざれ 親鸞聖人は 「かならず真実心のうちになしたまへるをもちゐんことを明かさんとおもふ。外に賢善精進の相を現ずることを得ざれ、 内に虚仮を懐いて」 (信文類訓) と読まれた。
貪瞋邪偽奸詐百端 むさぼり、 いかり、 よこしまな心、 いつわりの心が無数にあり、 絶えず起ること。
走り 親鸞聖人は 「もとめ」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…真実なるに 親鸞聖人は 「おほよそ施したまふところ趣求をなす。 またみな真実なり」 (信文類訓) と読み、 如来の回施えせされた真実をもちい (受領し) て、 浄土を趣求 (願生) するという意味に転じられた。
施為趣求 しゅじょうに施しを行う利他 (施為) と、 さとりを求める自利 (趣求) のこと。
不善の…捨つべし 親鸞聖人は 「不善の三業はかならず真実心のうちに捨てたまへるをもちゐよ」 (信文類訓) と読まれた。
またもし善の…名づく 親鸞聖人は 「またもし善の三業を起さば、 かならず真実心のうちになしたまへるを須ゐて、 内外明闇を簡ばず、 みな真実を須ゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (信文類訓) と読まれた。
正習の二障 しょう使じっのさわり。
如是如是 そのとおりそのとおり。
専注奉行 心を専一にして行 (念仏) を修すること。
不相応の教 仏の意にかなわない教え。
処別 場所が異なっていること。
対機別 教えの対象となる人の資質や能力が異なっていること。
機に備ふ 教えの対象となる人の資質や能力にあわせる。
地前の菩薩 しょの位以前の菩薩。 菩薩五十二位の修道階位のうち十地じゅうじの階位以前の十信じっしん十住じゅうじゅう十行じゅうぎょうじゅうこうの四十位を指していう。 →さつ
初地以上十地以来 第一かん喜地ぎじから第十法雲ほううんまでの十地の菩薩。 →さつ
十行 ここでは十善じゅうぜんを修し行うことを指して十行という。
舌相を出して 仏の説くところがもうでないというしょうじょうの意を示す。
人に就きて… →就人じゅにん立信りっしん
行に就きて… →じゅぎょう立信りっしん
往生経 ¬大経¼ ¬観経¼ ¬小経¼ を指す。
礼誦等 五正行ごしょうぎょうのうちの称名以外のぎょうごう読誦どくじゅかんざつ礼拝らいはい讃嘆さんだんよう助業じょごうをいう。
世出世の善根 世間の善 (世福せふく) と出世間の善 (かいふく行福ぎょうふく) のこと。 →三福さんぷく
かならず…想をなすべし 親鸞聖人は 「かならず決定して真実心のうちに回向したまへる願をもちゐて得生の想をなせ」 (信文類訓) と読まれた。
得生の想 かならず浄土に往生できるという想い。
道より落ちて 白道より退転して。 「道に落ちて」 と読めば、 悪道に落ちるという意になる。
有縁の要行 自分の素質能力にかなった肝要な方法。
凡・聖 ぼん、 聖者。
空曠のはるかなる処 なにもなくてどこまでも広がっている場所。
むしろ 原漢文は 「寧」 の字。 親鸞聖人は 「やすく」 (信文類訓) と読まれた。
空迥の沢 広々とした野原のこと。
 かすか。
妄りに…喩ふ 親鸞聖人は 「妄りに見解をもってたがひにあひ惑乱し、 およびみづから罪を造りて退失すと説くに喩ふるなり」 (信文類訓) と読まれた。
行として… ぎょうじょう
簡ぶ 区別する。
 行善のこと。
慈下の行 しもを慈しむ行為。
大心大行 大乗の心、 大乗の行。
修行六念 六念ろくねんの行を修習すること。
前賢後聖 前世 (過去) の賢者や後世 (未来) の尊い聖者・菩薩たち。
最後身十地の菩薩 とうしょうがくの位の菩薩。
三祇の劫 三大阿僧祇劫のこと。 菩薩が修行して仏になるまでに経なければならないというきわめて長い時間をいう。
潅頂の位 菩薩の第十地の位。 菩薩が第十地に入るとき、 諸仏がその頂にかん (香水) を潅いで法王の職を授けるしるしとするところから潅頂という。
大地微塵 大地を微塵 (物質の最小単位) にくだいたほどの数という意。
時節の延促 時間の長短。
上の二 しん不殺ふせつ読誦どくじゅだいじょう
下の二 読誦大乗と修行六念。
人の皮を着たる畜生 →補註8
所帰の国を… 帰するところの浄土を定めること。
凡聖明闇 ぼんと聖者、 智者と愚者のこと。
所帰 西方の浄土のこと。
本所修の業 往生する以前に修めた善根ぜんごんどく
他方の得益 極楽以外の世界で得るやくのこと。
延時の得忍 後の時にしょう法忍ぼうにんを得ることを指す。
本所修 本所修の業のこと。 往生する以前に修めた善根ぜんごんどく
霊儀 (仏聖者来迎の) 尊いありさま。
後益 往生後に得る利益。
上行上根の人 高度の行を修めるこんのすぐれた人。
五門 念門ねんもんのこと。
六塵を出づ 迷いの境界を離れ出る。 →六塵ろくじん
無為法性の身 すべての限定を超えたさとりの身。
去住 ゆくもとどまるもの意。
内有色外観色 内身のむさぼりを除くために、 外界の不浄を観じ内身の貪りの心を離れる禅定ぜんじょうはちだつの第一。
内無色外観色 内身への貪りはないが、 さらに外界の不浄を観じて、 貪りの心を捨てることを一層堅固にする禅定。 八解脱の第二。
不浄相 不浄相を除いて浄色を観じ、 貪りの心を離れる禅定で、 普通は浄解脱という。 八解脱の第三。
四空 しきかいの四種の禅定。 くう辺処へんしょじょうしき辺処へんしょじょうしょしょじょうそう非非ひひ想処そうしょじょうのこと。
滅尽 滅尽定。 心のはたらきをすべて滅し尽したぜんじょう
中行中根の人 中度の行を修めるこんの中程度の人。
小真 小乗のさとり。
往生の善知識 往生浄土を勧めるぜんしき。 以下の善人・智者もこれに同じ。
十二部 →じゅう二部にぶきょう
心重きによるがゆゑに 心が落ち着き、 統一されているので。
諸部 ¬大経¼ ¬小経¼ およびその他諸々の大乗経を指す。
百法の位 ひゃっぽうみょうもんの位。
僧物 →そうもつ
善悪来迎 下品中生者は臨終に地獄の苦相が現れ、 次いで聖者の来迎があるので、 善 (楽) 悪 (苦) 来迎という。
酬報の劫… 悪業の報いを受ける時がきわまりないこと。
抑止門 抑止はおさえとどめること。 謗法・五逆は重罪であるから、 しゅじょうがこれを犯さないようにおさえとどめて説かれた法門。
歴劫周慞 幾劫にもわたって苦しみうろたえること。
経にのたまはく ¬悲華ひけきょう¼ ¬はんぎょう¼ ¬報恩ほうおんぎょう¼ および ¬観仏かんぶつきょう¼ からの取意の文とみられる。
三禅に… 三禅の楽
生死之罪 実際にはもう二文あとの「極楽世界」。
現益 現前に受けるやく
勝心 だいしんのこと。
下行下根の人 悪を行う根機の劣った人。 →こん
偸僧 そうもつを盗むこと。
謗正法 →ほうしょうぼう
韋提の致請 だい懇請こんせいのこと。
無生の益 無生法忍むしょうぼうにんの利益。
無上の心 じょうだいしん
尊記 釈尊による往生の保証。
厭苦の縁 序文じょぶんほっじょの一段。 韋提希が苦悩の穢土えどを厭う因縁いんねん
希奇の益 すぐれたやく
餐を蒙る (教えを) 受け入れる。
王宮の流通 仏が王舎おうしゃじょうなんだいのために説法した会座での付属のこと。
耆闍の流通 阿難が耆闍崛ぎしゃくっせんの大衆のために再説した会座での付属のこと。
因円かに果満ず 成仏のいんが満足する。
仏の本願に望むるに意 「仏の本願の意を望まんには」 と読む説もある。 この場合の 「意」 は本願に属すが、 本文の場合は釈尊の意となる。
能請能伝 法を請うものと、 法を伝えるもの。 ここでは、 能請はだい、 能伝はなんを指す。
耆闍会 耆闍分。 なん闍崛山しゃくっせんの大衆のために王宮での説法を再説した会座。
転変無方 自由自在で定まりのないこと。
隠顕 ここでは、 人に応じて仏のすがたが隠れたり現れたりするという意。
知識 ここでは同行、 法友の意。
義門 ¬観経¼ の法義を明らかにりょうするための教義の分類のこと。
玄義の科文 奥深い教義についての科文、 科段のこと。 また 「玄義・科文」 と読んで、 「玄義分」 と 「文義分」 (序分義・定善義・散善義) のこととする説もある。
初夜後夜 初夜は午後八時頃、 後夜は午前四時頃。 両者をあわせて、夜を通じてというほどの意。
三具の磑輪 三つの石臼。 釈尊の転法輪てんぽうりんの相 (三転法輪)、 じょうさん・念仏・来迎らいこうさん、 弥陀の身口意しんくい三業さんごう至誠しじょうしん深心じんしんこう発願心ほつがんしんの三心などに当てる説がある。
好心の視誨 好意のこもった教え。 好意ある教訓。
つつしみて… (上の霊相のことは) 謹んで ¬観経疏¼ の末尾に書き添えて、 末代の者にまで聞かせたい。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓒ
→◎
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
ヲバ
スルコト
メグラ
アリ、
ルイ
生レ
広ク開キ顕シテ出ス
セム
スル
シユスル
シタマヒシヲモチヰム
ズルコトヲザレ
ケレバナリ
ザルナリ
サバ
モト
シテ
生セ
乃至
シニヨリテナリ。
シタマフシユ
シ、
ベシ
ザル
ウヤマ
ルナリ
テタマヘルヲモチヰ、
シタマヘルヲモチヰテ、
ヲ須ヰルガ
ジム信ノ
ナリ
モチ
オモテ
コトヲ
ヲ証勧シタマフ、
イデ
リ行ジテ
レバ
マン足大
ルニ
果願
ズ。
ザルコト、
ヒヌレ
ナム
カクノゴトクナラズ
同ジ
所有ノ
ハズ
トコロ
コノムデ
ハム
ガウテ信ズ
ヒシ
教ヲ説タマフコト
同ジカラズ
ナムダチ
ハバ
ナルニ由
生ル
ノタマフコト
ラムト
フガゴトク
ボム
ト名ヅク、
マシマシテ
世ニ出テ
スヽ
命ヲ捨テヽ
フハ
ヲ勧メテ
専念ス
説ク。
云ク
クワンレイシテ
ラム
テ、
ス。
専念シ
者ヲ
ルハ
ダム
願生ト
イハ
深ク信
イタ
ムデ
ウシナウコトヲ得ザレト
ルトハ
ムベシ
イマシ
オモ
ベシ
ルベシ
譬喩タトヒ
ヲ見レバ
火河
水河
ケウマジハルクワ
火ノホノヲ
ノミ
セムコト
ヂキ
ラク、
漸漸ヤウヤク
去ラ
チムコトヲ
当時ノ
ルトモ
ヂユストモ
去トモ
ザレバ
去ナム
ガム
仁者ナンダチ
住セ
正ク
ニ当テ
ナリ、
シテ、
メグカヘリ
ヌ。
レテ、
水ノナミ
廻ラ
クニ喩フ。
トナリ
無レバ
命ヲテヽ
カヘ
名テ
イフ
堪能カンノウエラ
セチセザルコト
思念方便
ク、
ハジメ
ニ不殺
サバ、
シウシテ
持戒
ハ、
ヲ念ナリ。
アリ
ナイ
シナ
ガウスルコトヲ
ムデ
ゾウ多ニ
ヘズシテ
乗台ヲ見テ
益ヲ得ルコト
ナルコト
ト云
ク。
ヲ明ス
チヤウ聞ス。
ズルヲ明ス
ブル
カン
コトサラ
手ヲサヅ
手ヲ授クル
去ル時
益ヲ得ルコト
還テ
開眼ヲ得
時ヲベテ忍ヲ得ルコト
コトヲ発ス
手ヲサヅクル
ジユツ
恐クハ
生レムト
ケタ
ボン
タト
ヲ離ルヽコトヲ讃ズルコトヲ明ス
ガウシテ
身ハ
セリ
テイ
イデ
犯スル
トガ
オハル時
ト、
コトヲ見ル、
レバ
性調セイテウニウニシテ
華開
ウル
ヲ簡ブ
テウ
テンジテ教ヘ
多クノ
ヂユセシ
ジユ
云、
マムニハ
同ゼ
ルヲ
ツイスナハチ
ヒトリヲ念テ
カネ
諸悪心荘厳
ザルコトヲ明ス
報ヲコタウル
ケル
極メテ重シ
劫ヲ
ス、
シム
念ヲシツ
テンジテ教ヘ
ハン
スルニ、
請ヲイタシテ
ソラ
クヱチシテ
コトヲ明ス
スニ
ヲ成ズレバ
ユヘ
ナラベテ
モン
勝ヲ顕シ
コトヲグル
勝ヲ顕スコトヲ明ス。
専念弥陀仏名
サン
仏ヲ念ズ
ノ意ヲ
マムニハ
スルニ
マウア
是ヲ
ズト云コト
ザウ心ス
南無シテ
オモ
ムス
三遍
三万遍
ヲ見ル
科文クワモン
ルニ
セムコトヲ。
竟已ツイ
ジヤウ
マタ
ラク
努力ユメユメ
マシマシテ
アラハス、
ヲモテ
ヲシテ
ルナリ。
ラム
オモハム