0578こう そう  さん

こうそうのさん

禿とく親鸞しんらんさく

龍樹讃

 *りゅうじゅさつ *しゃくもんけて

じっしゅ

  龍樹菩薩の功績

(1)

*ほんりゅうじゅさつ

¬*智度ちど¼ ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ とう

つくりておほく*西にしをほめ

すすめて念仏ねんぶつせしめたり

(2)

*なん天竺てんじく比丘びくあらん

りゅうじゅさつとなづくべし

*有無うむ邪見じゃけんすべしと

*そんはかねてときたまふ

(3)

ほんりゅうじゅさつ

だいじょうじょうほうをとき

かんしょうしてぞ

ひとへに念仏ねんぶつすすめける

  難易の二道

(40579)

りゅうじゅだいにいでて

なんぎょうぎょうのみちをしへ

てんりんのわれらをば

*ぜいのふねにのせたまふ

(5)

ほんりゅうじゅさつ

をしへをつたへきかんひと

本願ほんがんこころにかけ*しめて

つねに弥陀みだしょうすべし

トナフベシトナリ

(6)

退たいのくらゐすみやかに

えんとおもはんひとはみな

*ぎょうしんしゅうして

コヽロニトリタモツトイフ

弥陀みだみょうごうしょうすべし

(7)

しょうかいほとりなし

ひさしくしづめるわれらをば

弥陀みだぜいのふねのみぞ

のせてかならずわたしける

  念仏の勝益

(8)

¬智度ちどろん¼ にのたまはく

如来にょらいじょう法皇ほうおうなり

さつ法臣ほっしんとしたまひて

そんじゅうすべきはそんなり

(9)

一切いっさいさつののたまはく

われらいんにありしとき

りょうこうをへめぐりて

万善まんぜんしょぎょう*しゅせしかど

(100580)

*恩愛おんないはなはだたちがたく

しょうはなはだつきがたし

念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうじてぞ

ざいしょうめっだつせし

じょうりゅうじゅさつ

天親讃

 *天親てんじんさつ  しゃくもんけて

じっしゅ

  造論の本意

(11)

しゃきょうぼうおほけれど

天親てんじんさつはねんごろに

*煩悩ぼんのうじょうじゅのわれらには

弥陀みだぜいをすすめしむ

  三種の荘厳

(12)

あんにょうじょうしょうごん

*唯仏ゆいぶつぶつけんなり

*きょうせることくうにして

広大こうだいにして辺際なし

ホトリキハナシトナリ

(13)

本願ほんがんりきにあひぬれば

むなしくすぐるひとぞなき

どく宝海ほうかいみちみちて

煩悩ぼんのうじょくすいへだてなし

(14)

如来にょらいじょうしょうじゅ

しょうがくのはなよりしょうして

しゅじょうがんぎょうことごとく

すみやかにとく満足まんぞく

(150581)

*てんにんどうしょうじゅ

*ぜいかいよりしょう

心業しんごうどく清浄しょうじょうにて

くうのごとく差別しゃべつなし

  往生の因果

(16)

天親てんじん論主ろんじゅ一心いっしん

無礙むげこうみょう

本願ほんがんりきじょうずれば

ほうにいたるとのべたまふ

(17)

じん十方じっぽう無礙むげこうぶつ

一心いっしんみょうするをこそ

天親てんじん論主ろんじゅのみことには

がんぶつしんとのべたまへ

ホトケニナラントネガフコヽロナリ

(18)

がんぶつしんはこれ

しゅじょうのこころなり

シユジヤウヲワタスコヽロナリ

しゅじょうしんはこれ

利他りた真実しんじつ信心しんじんなり

(19)

信心しんじんすなはち一心いっしんなり

一心いっしんすなはち金剛こんごうしん

金剛こんごうしんだいしん

このしんすなはちりきなり

(20)

がんにいたればすみやかに

じょうはんしょうしてぞ

すなはちだいをおこすなり

これをこうとなづけたり

0582じょう天親てんじんさつ

曇鸞讃

 *曇鸞どんらんしょう  しゃくもんけて

さんじゅうしゅ

  師徳の讃嘆

(21)

ほん曇鸞どんらんしょう

*だい流支るしのをしへにて

せんぎょうながくやきすてて

じょうにふかくせしめき

(22)

ろん講説こうせつさしおきて

本願ほんがんりきをときたまひ

ばく凡衆ぼんしゅをみちびきて

*はんのかどにぞいらしめし

(23)

*ぞくくん*幸臨こうりん

ちょくして*じょうのゆゑをとふ

十方じっぽう仏国ぶっこくじょうなり

なにによりてか西にしにある

(24)

らんこたへてのたまはく

わが智慧ちえあさくして

いまだ*地位じいにいらざれば

フタイノクラヰニイタラズトナリ

*念力ねんりきひとしくおよばれず

(25)

一切いっさい道俗どうぞくもろともに

すべきところぞさらになき

*安楽あんらくかんのこころざし

らんひとりさだめたり

(260583)

*しゅちょくして*へいしゅう

*大巌だいがんにぞおはしける

やうやくをはりにのぞみては

*ふんしゅうにうつりたまひにき

(27)

*てんはたふとみて

*神鸞じんらんとこそごうせしか

ナヅケタテマツル

おはせしところのそのをば

*鸞公らんこうがんとぞなづけたる

(28)

*じょうごうさかりにすすめつつ

*げんちゅうにぞおはしける

*こうねん

*遙山ようさんにこそうつりしか

(29)

ろくじゅうゆうしちときいたり

じょうおうじょうとげたまふ

そのとき霊瑞れいずい思議しぎにて

一切いっさい道俗どうぞくきょうしき

(30)

*くんひとへにおもくして

ちょくせんくだしてたちまちに

*ふんしゅう汾西ふんせい*しんりょう

クニノナヽリ

サトノナナリ

コホリノナナリ

しょうれいびょうたてたまふ

スグレタルトコロ

ドムランノミハカナリ

  論註の功績

(31)

*天親てんじんさつのみことをも

らんときのべたまはずは

*りき広大こうだいとく

しんぎょういかでかさとらまし

  本願の勝徳

(320584)

本願ほんがん円頓えんどんいちじょう

*ぎゃくあくせっすとしんして

*煩悩ぼんのうだいたい無二むに

すみやかにとくさとらしむ

(33)

*いつつの思議しぎをとくなかに

仏法ぶっぽう思議しぎにしくぞなき

仏法ぶっぽう思議しぎといふことは

弥陀みだぜいになづけたり

  二種の回向

(34)

弥陀みだこうじょうじゅして

往相おうそう還相げんそうふたつなり

これらのこうによりてこそ

しんぎょうともにえしむなれ

(35)

往相おうそうこうととくことは

弥陀みだ方便ほうべん*ときいたり

がんしんぎょうえしむれば

しょうすなはちはんなり

(36)

還相げんそうこうととくことは

利他りたきょうをえしめ

すなはちしょ*にゅうして

げんとくしゅするなり

  一心の釈顕

(37)

論主ろんじゅ一心いっしんととけるをば

曇鸞どんらんだいのみことには

煩悩ぼんのうじょうじゅのわれらが

りきしんとのべたまふ

  無礙の仏徳

(380585)

じん十方じっぽう無礙むげこう

みょうのやみをてらしつつ

*一念いちねんかんするひとを

かならずめつにいたらしむ

(39)

無礙むげこうやくより

とく広大こうだいしんをえて

かならず煩悩ぼんのうのこほりとけ

すなはちだいのみづとなる

(40)

*ざいしょうどくたいとなる

こほりとみづのごとくにて

こほりおほきにみづおほし

さはりおほきにとくおほし

アクゴフオホケレバクドクノオホキナリ

(41)

みょうごう思議しぎ海水かいすい

*ぎゃくほうがいもとどまらず

シニカバネニタトヘタリ

衆悪しゅあく万川ばんせんしぬれば

ヨロヅノアクヲヨロヅノカハニタトヘタリ

*どくのうしほにいちなり

ヒトツアヂハヒトナルナリ

(42)

じん十方じっぽう無礙むげこう

だい大願だいがん海水かいすい

煩悩ぼんのうしゅりゅうしぬれば

智慧ちえのうしほにいちなり

  一乗の勝益

(43)

安楽あんらく仏国ぶっこくしょうずるは

*ひっきょうじょうぶつどうにて

ヒロキミチ

セバキミチ

じょう方便ほうべんなりければ

諸仏しょぶつじょうをすすめけり

(440586)

諸仏しょぶつ三業さんごうしょうごんして

ひっきょうびょうどうなることは

しゅじょうおうしん口意くい

せんがためとのべたまふ

(45)

安楽あんらく仏国ぶっこくにいたるには

じょう宝珠ほうしゅみょうごう

真実しんじつ信心しんじんひとつにて

別道べつどうとときたまふ

(46)

如来にょらい清浄しょうじょう本願ほんがん

しょうしょうなりければ

本則ほんそく三三さんざんほんなれど

モトハコヽノシナノシユジヤウノホウドニムマレヌレバヒトリモカハルコトナシトナリ

いちもかはることぞなき

  名号の徳益

(47)

無礙むげこう如来にょらいみょうごう

かの*こうみょうそうとは

みょうじょうあん

しゅじょうがんをみてたまふ

コヽロザシ

ネガフコトヲ

  三不の信心

(48)

如実にょじつしゅぎょうといへること

オシヘノゴトクナラズトイフコヽロナリ

らんしゃくしてのたまはく

一者いっしゃ信心しんじんあつからず

にゃくぞんにゃくもうするゆゑに

アルトキニハサモトオモフアルトキハカナフマジトオモフナリ

(49)

しゃ信心しんじんいちならず

けつじょうなきゆゑなれば

三者さんじゃ信心しんじん相続そうぞくせず

アヒツガズ

ねんけんとのべたまふ

マジヘルガユヘニシンナシトイフナリ

(500587)

*三信さんしん展転てんでんそうじょう

アヒジヤウズルナリ

ぎょうじゃこころをとどむべし

信心しんじんあつからざるゆゑに

けつじょうしんなかりけり

(51)

けつじょうしんなきゆゑに

ねん相続そうぞくせざるなり

ねん相続そうぞくせざるゆゑ

けつじょうしんをえざるなり

(52)

けつじょうしんをえざるゆゑ

信心しんじんじゅんとのべたまふ

シンジムアツカラズトイフナリ

如実にょじつしゅぎょう相応そうおう

オシヘノゴトクシンズルコヽロナリ

信心しんじんひとつにさだめたり

  本願の大道

(53)

まんぎょう諸善しょぜんしょうより

*本願ほんがん一実いちじつ大道だいどう

にゅうしぬればはん

さとりはすなはちひらくなり

  師徳の讃嘆

(54)

ほん曇鸞どんらんだいをば

*りょうてん蕭王そうおう

おはせしかたにつねにむき

らんさつとぞらいしける

じょう曇鸞どんらんしょう

道綽讃

 *どうしゃくぜん  しゃくもんけて

しちしゅ

  二門の廃立

(550588)

ほんどうしゃくぜん

*しょうどうまんぎょうさしおきて

ゆいじょう一門いちもん

つうにゅうすべきみちととく

(56)

ほんどうしゃくだい

*はん広業こうごうさしおきて

本願ほんがんりきをたのみつつ

じょくぐんじょうすすめしむ

  聖道の難証

(57)

末法まっぽうじょくしゅじょう

しょうどうしゅぎょう*せしむとも

ひとりもしょうをえじとこそ

きょうしゅそんはときたまへ

(58)

らんのをしへをうけつたへ

しゃくしょうはもろともに

ざいしん立行りゅうぎょう

シヤバセカイニテボダイシムヲオコシギヤウヲタツルハミナジリキナリトシルベシ

此是しぜりきとさだめたり

コレハコレジリキナリトイフ

  諸仏の勧讃

(59)

じょくあく造罪ぞうざい

アクヲオコシツミヲツクルコトノオホキコトヲイフ

暴風ぼうふう駛雨しうにことならず

諸仏しょぶつこれらをあはれみて

すすめてじょうせしめり

  念仏の滅罪

(60)

いちぎょうあくをつくれども

せんしょうにこころをかけしめて

モハラコノミテトイフ

つねに念仏ねんぶつ*せしむれば

しょしょうねんにのぞこりぬ

  本願の正意

(610589)

縦令じゅうりょういっしょう造悪ぞうあく

タトヒ一ゴアクヲツクルモノナリトモミダノチカヒヲタノミマヒラセテワウジヤウスベシトナリ

しゅじょういんじょうのためにとて

しょうみょうがんじつつ

ワガナヲトナヘヨトグワンジタマヘリ

にゃくしょうじゃとちかひたり

モシムマレズハホトケニナラジトチカヒタマヘルナリ

じょうどうしゃくだい

善導讃

 *善導ぜんどうだい  しゃくもんけて

じゅうろくしゅ

  大師の出世

(62)

*大心だいしんかいよりしてこそ

善導ぜんどうしょうとおはしけれ

末代まつだいじょくのためにとて

十方じっぽう諸仏しょぶつしょうをこふ

(63)

世々よよ善導ぜんどういでたまひ

*ほっしょう*しょうこうとしめしつつ

どくぞうをひらきてぞ

諸仏しょぶつほんとげたまふ

  女人の成仏

(64)

弥陀みだみょうがんによらざれば

ひゃく千万せんまんごうすぐれども

*いつつのさはりはなれねば

女身にょしんをいかでかてんずべき

  釈尊の教意

(65)

しゃ要門ようもんひらきつつ

じょうさんしょ*こしらへて

しょうぞうぎょう方便ほうべん

ひとへに専修せんじゅをすすめしむ

(660590)

*じょしょうならべてしゅするをば

すなはち*雑修ざっしゅとなづけたり

一心いっしんをえざるひとなれば

仏恩ぶっとんほうずるこころなし

(67)

仏号ぶつごうむねとしゅすれども

げんをいのるぎょうじゃをば

これも雑修ざっしゅとなづけてぞ

せんちゅういちときらはるる

(68)

こころはひとつにあらねども

ぞうぎょう雑修ざっしゅこれにたり

*じょうぎょうにあらぬをば

ひとへにぞうぎょうとなづけたり

  大師の釈意

(69)

善導ぜんどうだいしょうをこひ

じょうさんしんをひるがへし

貪瞋とんじん譬喩ひゆをとき

がん信心しんじんしゅせしむ

マモリマモル

  弥陀の教意

(70)

*きょうどう滅尽めつじんときいたり

如来にょらいしゅっほんなる

*がんしんしゅうにあひぬれば

ぼんねんじてさとるなり

(71)

仏法ぶっぽうりき思議しぎには

諸邪しょじゃごうさはらねば

弥陀みだほんぜい願を

ぞうじょうえんとなづけたり

(720591)

願力がんりきじょうじゅほうには

りきしんぎょういたらねば

だいしょうしょうにんみなながら

如来にょらいぜいじょうずなり

(73)

煩悩ぼんのうそくしんして

本願ほんがんりきじょうずれば

すなはちしんすてはてて

ほっしょうじょうらくしょうせしむ

  二尊の慈悲

(74)

しゃ弥陀みだ慈悲じひ父母ぶも

シヤカハチヽナリミダハハヽナリトタトヘタマヘリ

種々しゅじゅぜんぎょう方便ほうべん

われらがじょう信心しんじん

ほっせしめたまひけり

ヒラキオコシタマフナリ

  信心の徳益

(75)

真心しんしん徹到てっとうするひとは

金剛こんごうしんなりければ

三品さんぼんさんするひとと

ひとしとしゅうはのたまへり

(76)

じょくあくのわれらこそ

金剛こんごう信心しんじんばかりにて

ながくしょうをすてはてて

ねんじょうにいたるなれ

(77)

金剛こんごうけん信心しんじん

さだまるときをまちえてぞ

弥陀みだ心光しんこうしょうして

ながくしょうをへだてける

(780592)

真実しんじつ信心しんじんえざるをば

一心いっしんかけぬとをしへたり

一心いっしんかけたるひとはみな

三信さんしんせずとおもふべし

ホングワンノシンジムヲイフナリ

(79)

利他りたしんぎょううるひとは

*がん相応そうおうするゆゑに

*きょうぶつにしたがへば

雑縁ぞうえんさらになし

(80)

しんしゅう念仏ねんぶつききえつつ

*一念いちねん無疑むぎなるをこそ

希有けうさいしょうにんとほめ

しょうねんをうとはさだめたれ

(81)

本願ほんがん相応そうおうせざるゆゑ

雑縁ぞうえんきたりみだるなり

信心しんじん乱失らんしつするをこそ

ミダレウシナフコヽロナリ

しょうねんうすとはのべたまへ

(82)

しんがんよりしょうずれば

念仏ねんぶつじょうぶつねんなり

ねんはすなはちほうなり

しょうだいはんうたがはず

  疑謗の嫌誡

(83)

じょくぞうのときいたり

ほうのともがらおほくして

ミダノチカヒヲウタガフモノソシルモノナリ

道俗どうぞくともにあひきらひ

しゅするをみては*あだをなす

(840593)

本願ほんがんめつのともがらは

ソシリホロボスナリ

しょうもう闡提せんだいとなづけたり

ムマレテヨリメシヰタルモノ

センダイハホトケニナリガタシ

*だいじんごうをへて

ながくさんにしづむなり

(85)

西さいじゅせしかども

オシヘサヅケシニ

しょうしょうせしほどに

ワガミヲサヘヒトヲサエミダルナリ

曠劫こうごうらいもいたづらに

むなしくこそはすぎにけれ

  二尊の念報

(86)

ぜいのちからをかぶらずは

いづれのときにかしゃをいでん

仏恩ぶっとんふかくおもひつつ

つねに弥陀みだねんずべし

(87)

しゃ永劫ようごうをすてて

じょう無為むい*すること

ほんしゃのちからなり

じょうおんほうずべし

じょう善導ぜんどうだい

源信讃

 *源信げんしんだい  しゃくもんけて

じっしゅ

  師徳の讃嘆

(88)

源信げんしんしょうののたまはく

われこれ*ぶつとあらはれて

モトノホトケトマフスコトナリ

えんすでにつきぬれば

*ほんにかへるとしめしけり

(890594)

ほん源信げんしんねんごろに

*一代いちだいぶっきょうのそのなかに

念仏ねんぶつ一門いちもんひらきてぞ

じょく末代まつだいをしへける

  専雑の対説

(90)

*りょうぜんちょうじゅとおはしける

源信げんしんそうのをしへには

ほう二土にどををしへてぞ

専雑せんぞう得失とくしつさだめたる

(91)

ほん源信げんしんしょう

*かんぜんしゃくにより

¬*処胎しょたいきょう¼ をひらきてぞ

まんがいをばあらはせる

(92)

専修せんじゅのひとをほむるには

せん一失いっしつとをしへたり

センニヒトツノトガナシトナリ

雑修ざっしゅのひとをきらふには

まんいっしょうとのべたまふ

マンニヒトリモホウドニムマレズトナリ

(93)

ほうじょうおうじょう

おほからずとぞあらはせる

化土けどにうまるるしゅじょうをば

すくなからずとをしへたり

  専修の称揚

(94)

男女なんにょせんことごとく

弥陀みだみょうごうしょうするに

トナフルナリ

行住ぎょうじゅう座臥ざがもえらばれず

アルク

ヰル

トヾマル

フスナリ

しょ諸縁しょえんもさはりなし

トキ

ヨロヅノコトナリ

トコロ

(950595)

煩悩ぼんのうにまなこ*さへられて

摂取せっしゅこうみょうみざれども

だいものうきことなくて

つねにわがをてらすなり

(96)

弥陀みだほうをねがふひと

外儀げぎのすがたはことなりと

本願ほんがんみょうごう信受しんじゅして

寤寐ごびにわするることなかれ

ネテモサメテモトイフナリ

(97)

極悪ごくあくじんじゅうしゅじょう

方便ほうべんさらになし

ひとへに弥陀みだしょうしてぞ

じょうにうまるとのべたまふ

じょう源信げんしんだい

源空讃

 *源空げんくうしょうにん  しゃくもんけて

じっしゅ

  専修の称揚

(98)

ほん源空げんくうにいでて

がんいちじょうひろめつつ

日本にっぽんいっしゅうことごとく

*じょうえんあらはれぬ

(99)

*智慧ちえこうのちからより

ほん源空げんくうあらはれて

じょうしんしゅうをひらきつつ

せんじゃく本願ほんがんのべたまふ

(1000596)

善導ぜんどう源信げんしんすすむとも

ほん源空げんくうひろめずは

*へんしゅうじょくのともがらは

いかでかしんしゅうをさとらまし

(101)

曠劫こうごうしょうのあひだにも

*しゅつ強縁ごうえんしらざりき

ほん源空げんくういまさずは

このたびむなしくすぎなまし

  一代の威徳

(102)

源空げんくう*さんのよはひにて

じょうのことわりさとりつつ

*えんかいをあらはして

ヨヲイトフナリ

モトノコヽロトイフ

だいのみちにぞいらしめし

(103)

源空げんくうぎょうとくには

チヱモギヤウモイタリタマフヒトナリトイフ

しょうどうしょしゅうしゅ

シヤウニンノオンシナリ

みなもろともにせしめて

*一心いっしん金剛こんごうかいとす

シヨシユノオンシノシヤウニンノオンデシニミナナリタマフ

(104)

源空げんくう存在ぞんざいせしときに

金色こんじきこうみょうはなたしむ

*ぜんじょう博陸はくりくまのあたり

クワンパクナリ

拝見はいけんせしめたまひけり

(105)

ほん源空げんくうほんをば

ぞくのひとびとあひつたへ

*しゃくしょうしょう*せしめ

あるいは善導ぜんどうとしめしけり

(1060597)

源空げんくうせいげん

シメシアラハシタマフ

あるいは弥陀みだ顕現けんげん

アラハレタマフ

じょうこう群臣ぐんしんそんきょう

コクワウナリ ダイジムクギヤウナリ

きょう庶民しょみん欽仰きんごう

ミヤコ

ヨロヅノタミ

ヰナカ

ウヤマヒアフギタテマツル

(107)

*承久じょうきゅうだいじょう法皇ほうおう

ほん源空げんくうきょうしき

しゃくもん儒林じゅりんみなともに

ソウナリ

ゾクガクシヤウナリ

ひとしくしんしゅうにゅうせり

サトリイルナリ

  教化の要旨

(108)

*諸仏しょぶつ方便ほうべんときいたり

源空げんくうひじりとしめしつつ

じょう信心しんじんをしへてぞ

はんのかどをばひらきける

(109)

しんしきにあふことは

かたきがなかになほかたし

てんりんのきはなきは

じょうのさはりにしくぞなき

ウタガフコヽロナリ

  臨終の霊異

(110)

源空げんくうこうみょうはなたしめ

もんにつねにみせしめき

賢哲げんてつ愚夫ぐぶもえらばれず

カシコクスグレタル

オロカナルモノ

ごうせんもへだてなし

ヨキヒト

イヤシキモノ

(111)

命終みょうじゅうそのちかづきて

ほん源空げんくうのたまはく

*おうじょうみたびになりぬるに

このたびことにとげやすし

(1120598)

源空げんくうみづからのたまはく

*りょうぜんじょうにありしとき

*しょうもんそうにまじはりて

頭陀ずだぎょうじて化度けどせしむ

(113)

*粟散ぞくさんへんしゅうたんじょうして

コノニチポンコクナリ

ムマレタマフトナリ

念仏ねんぶつしゅうをひろめしむ

しゅじょう化度けどのためにとて

このにたびたびきたらしむ

(114)

弥陀みだ如来にょらいしてこそ

ほん源空げんくうとしめしけれ

えんすでにつきぬれば

じょうにかへりたまひにき

(115)

ほん源空げんくうのをはりには

こうみょううんのごとくなり

ムラサキノクモノゴトシ

音楽おんがく哀婉あいえんりょうにて

アハレミスメルコヽロナリ

*きょうみぎりに映芳えいほう

カヾヤキカウバシ

(116)

道俗どうぞく男女なんにょ*さん

カネテ

アツマル

*けいしょう*雲客うんかくくんじゅう

*ほく面西めんさいきょうにて

カウベヲキタニシオモテヲニシニス

如来にょらいはんをまもる

(117)

ほん源空げんくう命終みょうじゅう

*けんりゃくだい壬申にんしんさい
しょしゅんじゅんだいにち

じょうげんせしめけり

0599じょう源空げんくうしょうにん

 

じょうしち高僧こうそうさん いっぴゃくじゅうしちしゅ

 

結讃
  要旨の結讃

(118)

じょくあくしゅじょう

せんじゃく本願ほんがんしんずれば

*不可ふかしょう不可ふかせつ不可ふか思議しぎ

どくぎょうじゃにみてり

 

*てん じく りゅうじゅさつ
天親てんじんさつ
*しん たん 曇鸞どんらんしょう
どうしゃくぜん
善導ぜんどうぜん
* ちょう 源信げんしんしょう
源空げんくうしょうにん

じょう七人しちにん

*しょうとくたい *敏達びんだつ天皇てんのう元年がんねん
しょうがつ一日ついたちたんじょうしたまふ。

 

仏滅ぶつめつ一千いっせんひゃくじゅう一年いちねんあたれり。

 

  回向の讃文

(119)

南無なも弥陀みだぶつをとけるには

衆善しゅぜん海水かいすいのごとくなり

かの清浄しょうじょうぜんにえたり

ひとしくしゅじょうこうせん

 

底本は龍谷大学蔵文明五年蓮如上人開版本(文明本)。
釈文に付けて 高僧の著作によって。
本師 本宗の祖師。
智度 ¬だい智度ちどろん¼ のこと。
十住毘婆沙 ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃろん¼ のこと。
西 西方浄土。
南天竺 南インド。りゅうじゅ菩薩は南インドに出生した。
有無の邪見 有見・無見の誤った見解。 →有無うむ
世尊は… 釈尊は (¬りょうきょう¼ に) 予言しておられる。
歓喜地 「歓喜地は正定しょうじょうじゅの位なり。 身によろこぶを歓といふ、 こころによろこぶを喜といふ。 得べきものを得てんずとおもひてよろこぶを歓喜といふ」 (異本左訓)
弘誓のふね 阿弥陀仏の本願を、 迷いの海をわたってさとりの彼岸に至らせる船に喩える。
しめて たてまつりて。
恭敬の心 つつしみ敬う心。 ここでは他力の信心のこと。
修せしかど 修めたけれども。
煩悩成就 あらゆる煩悩ぼんのうを欠くことなくそなえていること。
究竟せること その大きさが、 至りきわまっていること。
天人不動の聖衆 天上界・人間界から浄土に生れたしょうじゃたち。 大乗の善根ぜんごんを成就して動揺することがないから不動という。
弘誓の智海 本願によって成じた広大な仏の智慧ちえを海に喩える。
涅槃のかど →はんもん
世俗の君子・魏の主・魏の天子・君子 とう孝静こうせいていであろう。
浄土… 西方浄土のみ願生する理由を問う。
念力… 十方の浄土を平等に念ずる力がないということ。
安楽勧帰 安楽浄土への往生を勧め、 自他ともに阿弥陀仏に帰依きえすること。
神鸞 不思議な徳を持っている曇鸞大師の意。
浄業 念仏のこと。
魏の興和四年 542年。
遙山寺 平遙へいようさんの寺。
汾州汾西 現在の山西省平遙。
秦陵 大陵の誤伝。
天親菩薩のみこと 天親菩薩の ¬浄土論¼ をいう。
他力広大威徳の心行 心は一心帰命の信心、 行は五念門の行。 この心行は如来よりこうされたものであるので、 他力広大威徳という。
逆悪 →ぎゃくじゅうあく
煩悩菩提体無二 煩悩と菩提とが本来一つであること。
いつつの不思議 思議しぎのこと。
ときいたり 時節が到来し。
一念歓喜するひと 疑いなく、 往生せしめられることをよろこぶひと。
罪障功徳の体となる 体は本体。 罪障がそのまま功徳になる。
逆謗… 五逆・謗法の者は仏道の死骸のようなものであるのでこのようにいう。
功徳のうしほに… 万川が海に入れば同一の塩味となるように、 五逆・謗法の者も他力の信心を獲れば、 一切の悪業を転じて仏の功徳と一味となる。
畢竟成仏… 究極においては仏になること。 ここでは転じて究極無上の成仏道の意味とする。
余念間故 「まじへるがゆゑに信なしといふなり」 (左訓) 疑いがまじわるので。
三信展転… 淳心・一心・相続心の三信さんしんが相関連して一つの信心の内容が明らかになる。
如実修行相応 「をしへのごとく信ずるこころなり」 (左訓)
本願一実の大道 本願の念仏は、 すべての人の往生の道であるから大道という。
梁の天子蕭王 南朝梁の武帝 (464―549) のこと。 仏教を深く信奉した。 蕭王は通常 「しょうおう」 と読むが、 当派依用音によって 「そうおう」 と振る。
聖道万行 聖道門の教えによって修める自力諸善の行。
涅槃の広業 ¬涅槃経¼ を講ずる広大な事業。
せしむとも したてまつったとしても。
せしむれば したてまつれば。
功徳蔵 「みょうごうを功徳蔵とまうすなり。 よろづの善根ぜんごんを集めたるによりてなり」 (異本左訓)
いつつのさはり →しょうさんしょう補註14
こしらへて 誘い導いて。
浄土の行 →正行しょうぎょう
経道滅尽 末法まっぽうの時代 (教のみがあって行・証のない時代) が一万年続いた後、 自力成仏の道を説いた聖道門の経典がすべてこの世界から消え失せることをいう。
願に相応する 信心を得ることは阿弥陀仏の本願の趣旨にかなっている。
教と仏語 釈尊の教えと諸仏の言葉。
一念無疑 阿弥陀仏の本願をふたごころなく信じること。
期すること 心に待ちもうけること。 期待すること。
故仏と… 元来、 仏であったが、 しゅじょう済度のためにこの世に現れたという伝承を指す。 ¬げんしんそうぎょうじつ』にみえる。
本土 本国である浄土。
一代仏教 釈尊が一生の間に説いた教法。
霊山聴衆 インドの霊鷲山で釈尊の説法を聞いた人々。
処胎経 ¬さつ処胎しょたいきょう¼ のこと。
さへられて さえぎられて。
浄土の機縁 浄土教を信受する機縁。
智慧光のちから だいせいさつのこと。 ¬観経¼ による。
出離の強縁 迷いの世界を離れ出るための因縁いんねん。 阿弥陀仏の本願力のこと。
三五のよはひ 十五歳。 ほうねん上人は十五歳で出家受戒した。
厭離の素懐 この世を厭い離れたいというかねてからの願い。
綽和尚 どうしゃくぜんのこと。
せしめ したてまつり。
承久の太上法皇 高倉たかくらのこと。
諸仏方便… 諸仏がしゅじょうを救うためにぜんぎょう方便ほうべんする時節が到来して。
往生みたびに… インドではしょうもん僧、 中国では善導ぜんどうとして往生し、 いま日本の源空げんくうとして三たび往生することをいう。
霊山会上 釈尊がしばしば説法したりょうじゅせん (しゃくっせん) の会座えざ
声聞僧 釈尊の直弟子。 ほうねん上人はしゃほつであったといわれる。
異香みぎりに… おりからたえなる香りがあたりにただよった。
敏達天皇元年 572年。 ¬しょうとくたいでんりゃく¼ などでは、 太子の生誕をこの年とするが、 574年が正しい。