0578◎高こう 僧そう 和わ 讃さん

◎高こう僧そうの和わ讃さん

愚ぐ禿とく親鸞しんらん作さく

○龍樹讃

 龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ *釈しゃく文もんに付つけて

十じっ首しゅ

 Ⅰ 龍樹菩薩の功績

(1)

◗本ほん師し龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつは

◗¬智度ちど¼ ¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ 等とう

◗つくり​て​おほく*西にしを​ほめ

◗すすめ​て念仏ねんぶつせしめ​たり

(2)

▲*南なん天竺てんじくに比丘びくあら​ん

◗龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつと​なづく​べし

◗有無うむの邪見じゃけんを破はす​べし​と

*世せ尊そんは​かねて​とき​たまふ

(3)

▲本ほん師し龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつは

◗大だい乗じょう無む上じょうの法ほうを​とき

◗歓かん喜ぎ地じを証しょうし​て​ぞ

◗ひとへに念仏ねんぶつすすめ​ける

 Ⅱ 難易の二道

(40579)

▲龍りゅう樹じゅ大だい士じ世よに​いで​て

◗難なん行ぎょう・易い行ぎょうの​みち​をしへ

◗流る転てん輪りん廻ねの​われら​をば

◗弘ぐ誓ぜいの​ふね​に​のせ​たまふ

(5)

▲本ほん師し龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつの

◗をしへ​を​つたへ​きか​ん​ひと

◗本願ほんがんこころ​に​かけ*​しめ​て

◗つねに弥陀みだを称しょうす​べし

トナフベシトナリ

(6)

▲不ふ退たいの​くらゐ​すみやかに

◗え​ん​と​おもは​ん​ひと​は​みな

*恭く敬ぎょうの心しんに執しゅう持じして

コヽロニトリタモツトイフ

◗弥陀みだの名みょう号ごう称しょうす​べし

(7)

▲生しょう死じの苦く海かいほとり​なし

◗ひさしく​しづめ​る​われら​をば

◗弥陀みだ弘ぐ誓ぜいの​ふね​のみ​ぞ

◗のせ​て​かならず​わたし​ける

 Ⅲ 念仏の勝益

(8)

▲¬智度ちど論ろん¼ に​のたまは​く

◗如来にょらいは無む上じょう法皇ほうおうなり

◗菩ぼ薩さつは法臣ほっしんと​し​たまひ​て

◗尊そん重じゅうす​べき​は世せ尊そんなり

(9)

▲一切いっさい菩ぼ薩さつの​のたまは​く

◗われら因いん地じに​あり​し​とき

◗無む量りょう劫こうを​へ​めぐり​て

◗万善まんぜん諸しょ行ぎょうを*修しゅせ​しか​ど

(100580)

~恩愛おんないはなはだ​たち​がたく

◗生しょう死じはなはだ​つき​がたし

◗念仏ねんぶつ三昧ざんまい行ぎょうじ​て​ぞ

◗罪ざい障しょうを滅めっし度ど脱だつせ​し

以い上じょう龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ

○天親讃

 天親てんじん菩ぼ薩さつ 釈しゃく文もんに付つけて

十じっ首しゅ

 Ⅰ 造論の本意

(11)

◗釈しゃ迦かの教きょう法ぼうおほけれ​ど

◗天親てんじん菩ぼ薩さつは​ねんごろに

*煩悩ぼんのう成じょう就じゅの​われら​には

◗弥陀みだの弘ぐ誓ぜいを​すすめ​しむ

 Ⅱ 三種の荘厳

(12)

◗安あん養にょう浄じょう土どの荘しょう厳ごんは

◗唯仏ゆいぶつ与よ仏ぶつの知ち見けんなり

▲*究く竟きょうせ​る​こと虚こ空くうにして

~広大こうだいにして辺際なし

ホトリキハナシトナリ

(13)

▲本願ほんがん力りきに​あひ​ぬれ​ば

~むなしく​すぐる​ひと​ぞ​なき

▲功く徳どくの宝海ほうかいみち​みち​て

◗煩悩ぼんのうの濁じょく水すいへだて​なし

(14)

▲如来にょらい浄じょう華けの聖しょう衆じゅは

~正しょう覚がくの​はな​より化け生しょうして

▲衆しゅ生じょうの願がん楽ぎょうことごとく

~すみやかに​とく満足まんぞくす

(150581)

▲*天てん・人にん不ふ動どうの聖しょう衆じゅは

~弘ぐ誓ぜいの智ち海かいより生しょうず

▲心業しんごうの功く徳どく清浄しょうじょうにて

~虚こ空くうの​ごとく差別しゃべつなし

 Ⅲ 往生の因果

(16)

▲天親てんじん論主ろんじゅは一心いっしんに

~無礙むげ光こうに帰き命みょうす

◗本願ほんがん力りきに乗じょうずれ​ば

◗報ほう土どに​いたる​と​のべ​たまふ

(17)

▲尽じん十方じっぽうの無礙むげ光こう仏ぶつ

~一心いっしんに帰き命みょうする​を​こそ

◗天親てんじん論主ろんじゅの​みこと​には

▲願がん作さ仏ぶつ心しんと​のべ​たまへ

ホトケニナラントネガフコヽロナリ

(18)

▲願がん作さ仏ぶつの心しんは​これ

◗度ど衆しゅ生じょうの​こころ​なり

シユジヤウヲワタスコヽロナリ

◗度ど衆しゅ生じょうの心しんは​これ

◗利他りた真実しんじつの信心しんじんなり

(19)

▲信心しんじんすなはち一心いっしんなり

~一心いっしんすなはち金剛こんごう心しん

▲金剛こんごう心しんは菩ぼ提だい心しん

~この心しんすなはち他た力りきなり

(20)

▲願がん土どに​いたれ​ば​すみやかに

◗無む上じょう涅ね槃はんを証しょうし​て​ぞ

◗すなはち大だい悲ひを​おこす​なり

◗これ​を回え向こうと​なづけ​たり

0582以い上じょう天親てんじん菩ぼ薩さつ

○曇鸞讃

 曇鸞どんらん和か尚しょう 釈しゃく文もんに付つけて

三さん十じゅう四し首しゅ

 Ⅰ 師徳の讃嘆

(21)

▲本ほん師し曇鸞どんらん和か尚しょうは

◗菩ぼ提だい流支るしの​をしへ​にて

◗仙せん経ぎょうながく​やき​すて​て

◗浄じょう土どに​ふかく帰きせ​しめ​き

(22)

▲四し論ろんの講説こうせつさしおき​て

◗本願ほんがん他た力りきを​とき​たまひ

◗具ぐ縛ばくの凡衆ぼんしゅを​みちびき​て

*涅ね槃はんの​かど​に​ぞ​いら​しめ​し

(23)

▲*世せ俗ぞくの君くん子し幸臨こうりんし

◗勅ちょくして*浄じょう土どの​ゆゑ​を​とふ

◗十方じっぽう仏国ぶっこく浄じょう土どなり

◗なに​に​よりて​か西にしに​ある

(24)

▲鸞らん師しこたへ​て​のたまは​く

◗わが身みは智慧ちえあさく​して

◗いまだ地位じいに​いら​ざれ​ば

フタイノクラヰニイタラズトナリ

*念力ねんりきひとしく​およば​れ​ず

(25)

▲一切いっさい道俗どうぞくもろともに

◗帰きす​べき​ところ​ぞ​さらに​なき

*安楽あんらく勧かん帰きの​こころざし

◗鸞らん師しひとり​さだめ​たり

(260583)

*魏ぎの主しゅ勅ちょくして并へい州しゅうの

◗大巌だいがん寺じに​ぞ​おはし​ける

◗やうやく​をはり​に​のぞみ​ては

◗汾ふん州しゅうに​うつり​たまひ​にき

(27)

*魏ぎの天てん子しは​たふとみ​て

*神鸞じんらんと​こそ号ごうせ​し​か

ナヅケタテマツル

◗おはせ​し​ところ​の​その名なをば

◗鸞公らんこう巌がんと​ぞ​なづけ​たる

(28)

*浄じょう業ごうさかりに​すすめ​つつ

◗玄げん中ちゅう寺じに​ぞ​おはし​ける

*魏ぎの興こう和か四し年ねんに

◗*遙山ようさん寺じに​こそ​うつり​し​か

(29)

◗六ろく十じゅう有ゆう七しちとき​いたり

◗浄じょう土どの往おう生じょうとげ​たまふ

◗その​とき霊瑞れいずい不ふ思議しぎにて

◗一切いっさい道俗どうぞく帰き敬きょうし​き

(30)

*君くん子しひとへに​おもく​して

◗勅ちょく宣せんくだし​て​たちまちに

◗汾ふん州しゅう汾西ふんせい*秦しん陵りょうの

クニノナヽリ

サトノナナリ

コホリノナナリ

◗勝しょう地ちに霊れい廟びょうたて​たまふ

スグレタルトコロ

ドムランノミハカナリ

 Ⅱ 論註の功績

(31)

▲*天親てんじん菩ぼ薩さつの​みこと​をも

◗鸞らん師しとき​のべ​たまは​ずは

*他た力りき広大こうだい威い徳とくの

◗心しん行ぎょういかでか​さとら​まし

 Ⅲ 本願の勝徳

(320584)

◗本願ほんがん円頓えんどん一いち乗じょうは

◗逆ぎゃく悪あく摂せっす​と信しん知ちして

*煩悩ぼんのう・菩ぼ提だい体たい無二むにと

◗すみやかに​とく​さとら​しむ

(33)

▲いつつ​の不ふ思議しぎを​とく​なか​に

◗仏法ぶっぽう不ふ思議しぎに​しく​ぞ​なき

◗仏法ぶっぽう不ふ思議しぎといふ​こと​は

◗弥陀みだの弘ぐ誓ぜいに​なづけ​たり

 Ⅳ 二種の回向

(34)

▲弥陀みだの回え向こう成じょう就じゅして

◗往相おうそう・還相げんそうふたつ​なり

◗これら​の回え向こうによりて​こそ

◗心しん行ぎょうともに​え​しむ​なれ

(35)

▲往相おうそうの回え向こうと​とく​こと​は

◗弥陀みだの方便ほうべん*とき​いたり

▲悲ひ願がんの信しん行ぎょうえ​しむれ​ば

◗生しょう死じすなはち涅ね槃はんなり

(36)

▲還相げんそうの回え向こうと​とく​こと​は

◗利他りた教きょう化けの果かを​え​しめ

▲すなはち諸しょ有うに回え入にゅうして

◗普ふ賢げんの徳とくを修しゅする​なり

 Ⅴ 一心の釈顕

(37)

▼論主ろんじゅの一心いっしんと​とけ​る​をば

◗曇鸞どんらん大だい師しの​みこと​には

◗煩悩ぼんのう成じょう就じゅの​われら​が

◗他た力りきの信しんと​のべ​たまふ

 Ⅵ 無礙の仏徳

(380585)

▲尽じん十方じっぽうの無礙むげ光こうは

◗無む明みょうの​やみ​を​てらし​つつ

*一念いちねん歓かん喜ぎする​ひと​を

◗かならず滅めつ度どに​いたら​しむ

(39)

▲無礙むげ光こうの利り益やくより

◗威い徳とく広大こうだいの信しんを​え​て

◗かならず煩悩ぼんのうの​こほり​とけ

◗すなはち菩ぼ提だいの​みづ​と​なる

(40)

▲*罪ざい障しょう功く徳どくの体たいと​なる

◗こほり​と​みづ​の​ごとくに​て

◗こほり​おほき​に​みづ​おほし

◗さはり​おほき​に徳とくおほし

アクゴフオホケレバクドクノオホキナリ

(41)

▲名みょう号ごう不ふ思議しぎの海水かいすいは

*逆ぎゃく謗ほうの屍し骸がいも​とどまら​ず

シニカバネニタトヘタリ

▲衆悪しゅあくの万川ばんせん帰きし​ぬれ​ば

ヨロヅノアクヲヨロヅノカハニタトヘタリ

*功く徳どくの​うしほ​に一いち味みなり

ヒトツアヂハヒトナルナリ

(42)

◗尽じん十方じっぽう無礙むげ光こうの

◗大だい悲ひ大願だいがんの海水かいすいに

◗煩悩ぼんのうの衆しゅ流りゅう帰きし​ぬれ​ば

◗智慧ちえの​うしほ​に一いち味みなり

 Ⅶ 一乗の勝益

(43)

▲安楽あんらく仏国ぶっこくに生しょうずる​は

*畢ひっ竟きょう成じょう仏ぶつの道どう路ろにて

ヒロキミチ

セバキミチ

◗無む上じょうの方便ほうべんなり​けれ​ば

◗諸仏しょぶつ浄じょう土どを​すすめ​けり

(440586)

▲諸仏しょぶつ三業さんごう荘しょう厳ごんして

◗畢ひっ竟きょう平びょう等どうなる​こと​は

◗衆しゅ生じょう虚こ誑おうの身しん口意くいを

◗治ちせ​ん​が​ため​と​のべ​たまふ

(45)

▲安楽あんらく仏国ぶっこくに​いたる​には

◗無む上じょう宝珠ほうしゅの名みょう号ごうと

◗真実しんじつ信心しんじんひとつ​にて

▲無む別道べつどう故こと​とき​たまふ

(46)

▲如来にょらい清浄しょうじょう本願ほんがんの

~無む生しょうの生しょうなり​けれ​ば

▲本則ほんそく三三さんざんの品ほんなれ​ど

モトハコヽノシナノシユジヤウノホウドニムマレヌレバヒトリモカハルコトナシトナリ

~一いち二にも​かはる​こと​ぞ​なき

 Ⅷ 名号の徳益

(47)

▲無礙むげ光こう如来にょらいの名みょう号ごうと

◗かの光こう明みょう智ち相そうと​は

◗無む明みょう長じょう夜やの闇あんを破はし

◗衆しゅ生じょうの志し願がんを​みて​たまふ

コヽロザシ

ネガフコトヲ

 Ⅸ 三不の信心

(48)

▲不ふ如実にょじつ修しゅ行ぎょうと​いへ​る​こと

オシヘノゴトクナラズトイフコヽロナリ

◗鸞らん師し釈しゃくして​のたまは​く

▲一者いっしゃ信心しんじんあつから​ず

▲若にゃく存ぞん若にゃく亡もうする​ゆゑに

アルトキニハサモトオモフアルトキハカナフマジトオモフナリ

(49)

▲二に者しゃ信心しんじん一いちなら​ず

~決けつ定じょうなき​ゆゑ​なれ​ば

▲三者さんじゃ信心しんじん相続そうぞくせ​ず

アヒツガズ

▲余よ念ねん間けん故こと​のべ​たまふ

マジヘルガユヘニシンナシトイフナリ

(500587)

▲*三信さんしん展転てんでん相そう成じょうす

アヒジヤウズルナリ

◗行ぎょう者じゃこころ​を​とどむ​べし

◗信心しんじんあつから​ざる​ゆゑに

◗決けつ定じょうの信しんなかり​けり

(51)

▲決けつ定じょうの信しんなき​ゆゑに

◗念ねん相続そうぞくせ​ざる​なり

◗念ねん相続そうぞくせ​ざる​ゆゑ

◗決けつ定じょうの信しんを​え​ざる​なり

(52)

▲決けつ定じょうの信しんを​え​ざる​ゆゑ

~信心しんじん不ふ淳じゅんと​のべ​たまふ

シンジムアツカラズトイフナリ

▲如実にょじつ修しゅ行ぎょう相応そうおうは

オシヘノゴトクシンズルコヽロナリ

~信心しんじんひとつ​に​さだめ​たり

 Ⅹ 本願の大道

(53)

▲万まん行ぎょう諸善しょぜんの小しょう路ろより

▲*本願ほんがん一実いちじつの大道だいどうに

◗帰き入にゅうし​ぬれ​ば涅ね槃はんの

◗さとり​は​すなはち​ひらく​なり

 Ⅺ 師徳の讃嘆

(54)

▲本ほん師し曇鸞どんらん大だい師しをば

*梁りょうの天てん子し蕭王そうおうは

◗おはせ​し​かた​に​つねに​むき

◗鸞らん菩ぼ薩さつと​ぞ礼らいし​ける

以い上じょう曇鸞どんらん和か尚しょう

○道綽讃

 道どう綽しゃく禅ぜん師じ 釈しゃく文もんに付つけて

七しち首しゅ

 Ⅰ 二門の廃立

(550588)

▼本ほん師し道どう綽しゃく禅ぜん師じは

▲*聖しょう道どう万まん行ぎょうさしおき​て

▲唯ゆい有う浄じょう土ど一門いちもんを

~通つう入にゅうす​べき​みち​と​とく

(56)

▲本ほん師し道どう綽しゃく大だい師しは

◗涅ね槃はんの広業こうごうさしおき​て

◗本願ほんがん他た力りきを​たのみ​つつ

◗五ご濁じょくの群ぐん生じょうすすめ​しむ

 Ⅱ 聖道の難証

(57)

▲末法まっぽう五ご濁じょくの衆しゅ生じょうは

◗聖しょう道どうの修しゅ行ぎょう*せしむ​とも

◗ひとり​も証しょうを​え​じ​と​こそ

◗教きょう主しゅ世せ尊そんは​とき​たまへ

(58)

◗鸞らん師しの​をしへ​を​うけ​つたへ

◗綽しゃく和か尚しょうは​もろともに

▲在ざい此し起き心しん立行りゅうぎょうは

シヤバセカイニテボダイシムヲオコシギヤウヲタツルハミナジリキナリトシルベシ

▲此是しぜ自じ力りきと​さだめ​たり

コレハコレジリキナリトイフ

 Ⅲ 諸仏の勧讃

(59)

▲濁じょく世せの起き悪あく造罪ぞうざいは

アクヲオコシツミヲツクルコトノオホキコトヲイフ

~暴風ぼうふう駛雨しうに​ことなら​ず

◗諸仏しょぶつこれら​を​あはれみ​て

◗すすめ​て浄じょう土どに帰きせしめ​り

 Ⅳ 念仏の滅罪

(60)

▲一いち形ぎょう悪あくを​つくれ​ども

◗専せん精しょうに​こころ​を​かけ​しめ​て

モハラコノミテトイフ

◗つねに念仏ねんぶつ*せしむれ​ば

◗諸しょ障しょう自じ然ねんに​のぞこり​ぬ

 Ⅴ 本願の正意

(610589)

▲縦令じゅうりょう一いっ生しょう造悪ぞうあくの

タトヒ一ゴアクヲツクルモノナリトモミダノチカヒヲタノミマヒラセテワウジヤウスベシトナリ

◗衆しゅ生じょう引いん接じょうのために​とて

▲称しょう我が名みょう字じと願がんじ​つつ

ワガナヲトナヘヨトグワンジタマヘリ

▲若にゃく不ふ生しょう者じゃと​ちかひ​たり

モシムマレズハホトケニナラジトチカヒタマヘルナリ

以い上じょう道どう綽しゃく大だい師し

○善導讃

 善導ぜんどう大だい師し 釈しゃく文もんに付つけて

二に十じゅう六ろく首しゅ

 Ⅰ 大師の出世

(62)

▼大心だいしん海かいより化けして​こそ

◗善導ぜんどう和か尚しょうと​おはし​けれ

◗末代まつだい濁じょく世せのために​とて

◗十方じっぽう諸仏しょぶつに証しょうを​こふ

(63)

◗世々よよに善導ぜんどういで​たまひ

◗法ほっ照しょう・少しょう康こうと​しめし​つつ

◗功く徳どく蔵ぞうを​ひらき​て​ぞ

◗諸仏しょぶつの本ほん意いとげ​たまふ

 Ⅱ 女人の成仏

(64)

▲弥陀みだの名みょう願がんに​よら​ざれ​ば

◗百ひゃく千万せんまん劫ごうすぐれ​ども

◗いつつ​の​さはりはなれ​ねば

◗女身にょしんを​いかでか転てんず​べき

 Ⅲ 釈尊の教意

(65)

▲釈しゃ迦かは要門ようもんひらき​つつ

▲定じょう散さん諸しょ機きを*こしらへ​て

◗正しょう雑ぞう二に行ぎょう方便ほうべんし

◗ひとへに専修せんじゅを​すすめ​しむ

(660590)

◗助じょ正しょうならべ​て修しゅする​をば

◗すなはち雑修ざっしゅと​なづけ​たり

◗一心いっしんを​え​ざる​ひと​なれば

▲仏恩ぶっとん報ほうずる​こころ​なし

(67)

◗仏号ぶつごうむねと修しゅすれ​ども

◗現げん世ぜを​いのる行ぎょう者じゃをば

◗これ​も雑修ざっしゅと​なづけ​て​ぞ

▲千せん中ちゅう無む一いちと​きらは​るる

(68)

▲こころ​は​ひとつ​に​あら​ね​ども

◗雑ぞう行ぎょう雑修ざっしゅこれ​に​たり

*浄じょう土どの行ぎょうに​あら​ぬ​をば

◗ひとへに雑ぞう行ぎょうと​なづけ​たり

 Ⅳ 大師の釈意

(69)

◗善導ぜんどう大だい師し証しょうを​こひ

◗定じょう散さん二に心しんを​ひるがへし

▲貪瞋とんじん二に河がの譬喩ひゆを​とき

◗弘ぐ願がんの信心しんじん守しゅ護ごせしむ

マモリマモル

 Ⅴ 弥陀の教意

(70)

▲経きょう道どう滅尽めつじんとき​いたり

◗如来にょらい出しゅっ世せの本ほん意いなる

◗弘ぐ願がん真しん宗しゅうに​あひ​ぬれ​ば

◗凡ぼん夫ぶ念ねんじ​て​さとる​なり

(71)

▲仏法ぶっぽう力りきの不ふ思議しぎには

◗諸邪しょじゃ業ごう繋けさはら​ねば

◗弥陀みだの本ほん弘ぐ誓ぜい願がんを

◗増ぞう上じょう縁えんと​なづけ​たり

(720591)

▲願力がんりき成じょう就じゅの報ほう土どには

◗自じ力りきの心しん行ぎょういたら​ねば

◗大だい小しょう聖しょう人にんみな​ながら

◗如来にょらいの弘ぐ誓ぜいに乗じょうず​なり

(73)

▲煩悩ぼんのう具ぐ足そくと信しん知ちして

◗本願ほんがん力りきに乗じょうずれ​ば

▲すなはち穢え身しんすて​はて​て

◗法ほっ性しょう常じょう楽らく証しょうせしむ

 Ⅵ 二尊の慈悲

(74)

▲釈しゃ迦か・弥陀みだは慈悲じひの父母ぶも

シヤカハチヽナリミダハハヽナリトタトヘタマヘリ

◗種々しゅじゅに善ぜん巧ぎょう方便ほうべんし

◗われら​が無む上じょうの信心しんじんを

◗発ほっ起きせしめ​たまひ​けり

ヒラキオコシタマフナリ

 Ⅶ 信心の徳益

(75)

▲真心しんしん徹到てっとうする​ひと​は

◗金剛こんごう心しんなり​けれ​ば

▲三品さんぼんの懴さん悔げする​ひと​と

◗ひとし​と宗しゅう師しは​のたまへ​り

(76)

▲五ご濁じょく悪あく世せの​われら​こそ

◗金剛こんごうの信心しんじんばかり​にて

◗ながく生しょう死じを​すて​はて​て

◗自じ然ねんの浄じょう土どに​いたる​なれ

(77)

▲金剛こんごう堅けん固ごの信心しんじんの

◗さだまる​とき​を​まち​え​て​ぞ

◗弥陀みだの心光しんこう摂しょう護ごして

◗ながく生しょう死じを​へだて​ける

(780592)

▲真実しんじつ信心しんじんえ​ざる​をば

◗一心いっしんかけ​ぬ​と​をしへ​たり

◗一心いっしんかけ​たる​ひと​は​みな

◗三信さんしん具ぐせ​ず​と​おもふ​べし

ホングワンノシンジムヲイフナリ

(79)

▲利他りたの信しん楽ぎょううる​ひと​は

*願がんに相応そうおうする​ゆゑに

*教きょうと仏ぶつ語ごに​したがへ​ば

◗外げの雑縁ぞうえんさらに​なし

(80)

▲真しん宗しゅう念仏ねんぶつきき​え​つつ

◗一念いちねん無疑むぎなる​を​こそ

▲希有けう最さい勝しょう人にんと​ほめ

▲正しょう念ねんを​う​と​は​さだめ​たれ

(81)

▲本願ほんがん相応そうおうせ​ざる​ゆゑ

◗雑縁ぞうえんきたり​みだる​なり

◗信心しんじん乱失らんしつする​を​こそ

ミダレウシナフコヽロナリ

◗正しょう念ねんうす​と​は​のべ​たまへ

(82)

◗信しんは願がんより生しょうずれ​ば

◗念仏ねんぶつ成じょう仏ぶつ自じ然ねんなり

▲自じ然ねんは​すなはち報ほう土どなり

◗証しょう大だい涅ね槃はんうたがは​ず

 Ⅷ 疑謗の嫌誡

(83)

▲五ご濁じょく増ぞうの​とき​いたり

◗疑ぎ謗ほうの​ともがら​おほく​して

ミダノチカヒヲウタガフモノソシルモノナリ

◗道俗どうぞくともに​あひ​きらひ

◗修しゅする​を​み​て​はあだを​なす

(840593)

▲本願ほんがん毀き滅めつの​ともがら​は

ソシリホロボスナリ

◗生しょう盲もう闡提せんだいと​なづけ​たり

ムマレテヨリメシヰタルモノ

センダイハホトケニナリガタシ

◗大だい地じ微み塵じん劫ごうを​へ​て

◗ながく三さん塗ずに​しづむ​なり

(85)

▲西さい路ろを指し授じゅせ​しか​ども

オシヘサヅケシニ

▲自じ障しょう障しょう他たせ​し​ほど​に

ワガミヲサヘヒトヲサエミダルナリ

◗曠劫こうごう以い来らいも​いたづらに

◗むなしく​こそ​は​すぎ​に​けれ

 Ⅸ 二尊の念報

(86)

▲弘ぐ誓ぜいのちから​を​かぶら​ずは

◗いづれ​の​とき​にか娑しゃ婆ばを​いで​ん

◗仏恩ぶっとんふかく​おもひ​つつ

◗つねに弥陀みだを念ねんず​べし

(87)

▲娑しゃ婆ば永劫ようごうの苦くを​すて​て

◗浄じょう土ど無為むいを期ごする​こと

◗本ほん師し釈しゃ迦かの​ちから​なり

◗長じょう時じに慈じ恩おんを報ほうず​べし

以い上じょう善導ぜんどう大だい師し

○源信讃

 源信げんしん大だい師し 釈しゃく文もんに付つけて

十じっ首しゅ

 Ⅰ 師徳の讃嘆

(88)

◗源信げんしん和か尚しょうの​のたまは​く

◗われ​これ*故こ仏ぶつと​あらはれ​て

モトノホトケトマフスコトナリ

◗化け縁えんすでに​つき​ぬれ​ば

*本ほん土どに​かへる​と​しめし​けり

(890594)

▲本ほん師し源信げんしんねんごろに

*一代いちだい仏ぶっ教きょうの​その​なか​に

◗念仏ねんぶつ一門いちもんひらき​て​ぞ

◗濁じょく世せ末代まつだいをしへ​ける

 Ⅱ 専雑の対説

(90)

▼*霊りょう山ぜん聴ちょう衆じゅと​おはし​ける

◗源信げんしん僧そう都ずの​をしへ​には

▲報ほう化け二土にどを​をしへ​て​ぞ

◗専雑せんぞうの得失とくしつさだめ​たる

(91)

◗本ほん師し源信げんしん和か尚しょうは

▲懐え感かん禅ぜん師じの釈しゃくに​より

◗¬処胎しょたい経きょう¼ を​ひらき​て​ぞ

◗懈け慢まん界がいをば​あらはせ​る

(92)

◗専修せんじゅの​ひと​を​ほむる​には

△千せん無む一失いっしつと​をしへ​たり

センニヒトツノトガナシトナリ

◗雑修ざっしゅの​ひと​を​きらふ​には

◗万まん不ぷ一いっ生しょうと​のべ​たまふ

マンニヒトリモホウドニムマレズトナリ

(93)

▲報ほうの浄じょう土どの往おう生じょうは

◗おほから​ず​と​ぞ​あらはせ​る

◗化土けどに​うまるる衆しゅ生じょうをば

◗すくなから​ず​と​をしへ​たり

 Ⅲ 専修の称揚

(94)

▲男女なんにょ貴き賎せんことごとく

◗弥陀みだの名みょう号ごう称しょうする​に

トナフルナリ

◗行住ぎょうじゅう座臥ざがも​えらば​れ​ず

アルク

ヰル

トヾマル

フスナリ

◗時じ処しょ諸縁しょえんも​さはり​なし

トキ

ヨロヅノコトナリ

トコロ

(950595)

▲煩悩ぼんのうに​まなこ*さへ​られ​て

◗摂取せっしゅの光こう明みょうみ​ざれ​ども

◗大だい悲ひものうき​こと​なく​て

◗つねに​わが身みを​てらす​なり

(96)

▼弥陀みだの報ほう土どを​ねがふ​ひと

▲外儀げぎの​すがた​は​こと​なり​と

◗本願ほんがん名みょう号ごう信受しんじゅして

◗寤寐ごびに​わするる​こと​なかれ

ネテモサメテモトイフナリ

(97)

▲極悪ごくあく深じん重じゅうの衆しゅ生じょうは

◗他たの方便ほうべんさらに​なし

◗ひとへに弥陀みだを称しょうし​て​ぞ

◗浄じょう土どに​うまる​と​のべ​たまふ

以い上じょう源信げんしん大だい師し

○源空讃

 源空げんくう聖しょう人にん 釈しゃく文もんに付つけて

二に十じっ首しゅ

 Ⅰ 専修の称揚

(98)

▼本ほん師し源空げんくう世よに​いで​て

◗弘ぐ願がんの一いち乗じょうひろめ​つつ

◗日本にっぽん一いっ州しゅうことごとく

*浄じょう土どの機き縁えんあらはれ​ぬ

(99)

▼*智慧ちえ光こうの​ちから​より

◗本ほん師し源空げんくうあらはれ​て

◗浄じょう土ど真しん宗しゅうを​ひらき​つつ

◗選せん択じゃく本願ほんがんのべ​たまふ

(1000596)

◗善導ぜんどう・源信げんしんすすむ​とも

◗本ほん師し源空げんくうひろめ​ずは

◗片へん州しゅう濁じょく世せの​ともがら​は

◗いかでか真しん宗しゅうを​さとら​まし

(101)

◗曠劫こうごう多た生しょうの​あひだ​にも

*出しゅつ離りの強縁ごうえんしら​ざり​き

◗本ほん師し源空げんくういまさ​ずは

◗このたび​むなしく​すぎ​なまし

 Ⅱ 一代の威徳

(102)

◗源空げんくう*三さん五ごの​よはひ​にて

◗無む常じょうの​ことわり​さとり​つつ

◗厭えん離りの素そ懐かいを​あらはし​て

ヨヲイトフナリ

モトノコヽロトイフ

◗菩ぼ提だいの​みち​に​ぞ​いら​しめ​し

(103)

◗源空げんくう智ち行ぎょうの至し徳とくには

チヱモギヤウモイタリタマフヒトナリトイフ

◗聖しょう道どう諸しょ宗しゅうの師し主しゅも

シヤウニンノオンシナリ

◗みな​もろともに帰きせしめ​て

*一心いっしん金剛こんごうの戒かい師しと​す

シヨシユノオンシノシヤウニンノオンデシニミナナリタマフ

(104)

◗源空げんくう存在ぞんざいせ​し​とき​に

◗金色こんじきの光こう明みょうはなた​しむ

◗禅ぜん定じょう博陸はくりくまのあたり

クワンパクナリ

◗拝見はいけんせしめ​たまひ​けり

(105)

◗本ほん師し源空げんくうの本ほん地じをば

◗世せ俗ぞくの​ひとびと​あひ​つたへ

*綽しゃく和か尚しょうと称しょう*せしめ

◗あるいは善導ぜんどうと​しめし​けり

(1060597)

◗源空げんくう勢せい至しと示じ現げんし

シメシアラハシタマフ

◗あるいは弥陀みだと顕現けんげんす

アラハレタマフ

◗上じょう皇こう・群臣ぐんしん尊そん敬きょうし

コクワウナリ ダイジムクギヤウナリ

◗京きょう夷い庶民しょみん欽仰きんごうす

ミヤコ

ヨロヅノタミ

ヰナカ

ウヤマヒアフギタテマツル

(107)

*承久じょうきゅうの太だい上じょう法皇ほうおうは

◗本ほん師し源空げんくうを帰き敬きょうし​き

◗釈しゃく門もん・儒林じゅりんみな​ともに

ソウナリ

ゾクガクシヤウナリ

◗ひとしく真しん宗しゅうに悟ご入にゅうせ​り

サトリイルナリ

 Ⅲ 教化の要旨

(108)

*諸仏しょぶつ方便ほうべんとき​いたり

◗源空げんくうひじり​と​しめし​つつ

◗無む上じょうの信心しんじんをしへ​て​ぞ

◗涅ね槃はんの​かど​をば​ひらき​ける

(109)

◗真しんの知ち識しきに​あふ​こと​は

◗かたき​が​なか​に​なほ​かたし

◗流る転てん輪りん廻ねの​きは​なき​は

◗疑ぎ情じょうの​さはり​に​しく​ぞ​なき

ウタガフコヽロナリ

 Ⅳ 臨終の霊異

(110)

◗源空げんくう光こう明みょうはなた​しめ

◗門もん徒とに​つねに​み​せしめ​き

◗賢哲げんてつ・愚夫ぐぶも​えらば​れ​ず

カシコクスグレタル

オロカナルモノ

◗豪ごう貴き・鄙ひ賎せんも​へだて​なし

ヨキヒト

イヤシキモノ

(111)

◗命終みょうじゅうその期ごちかづき​て

◗本ほん師し源空げんくうのたまは​く

*往おう生じょうみたび​に​なり​ぬる​に

◗このたび​ことに​とげ​やすし

(1120598)

◗源空げんくうみづから​のたまは​く

*霊りょう山ぜん会え上じょうに​あり​し​とき

*声しょう聞もん僧そうに​まじはり​て

◗頭陀ずだを行ぎょうじ​て化度けどせしむ

(113)

◗粟散ぞくさん片へん州しゅうに誕たん生じょうして

コノニチポンコクナリ

ムマレタマフトナリ

◗念仏ねんぶつ宗しゅうを​ひろめ​しむ

◗衆しゅ生じょう化度けどの​ため​に​とて

◗この土どに​たびたび​きたら​しむ

(114)

◗阿あ弥陀みだ如来にょらい化けして​こそ

◗本ほん師し源空げんくうと​しめし​けれ

◗化け縁えんすでに​つき​ぬれ​ば

◗浄じょう土どに​かへり​たまひ​にき

(115)

◗本ほん師し源空げんくうの​をはり​には

◗光こう明みょう紫し雲うんの​ごとく​なり

ムラサキノクモノゴトシ

◗音楽おんがく哀婉あいえん雅が亮りょうにて

アハレミスメルコヽロナリ

*異い香きょうみぎりに映芳えいほうす

カヾヤキカウバシ

(116)

◗道俗どうぞく男女なんにょ*預よ参さんし

カネテ

アツマル

◗卿けい上しょう雲客うんかく群くん集じゅうす

◗頭ず北ほく面西めんさい右う脇きょうにて

カウベヲキタニシオモテヲニシニス

◗如来にょらい涅ね槃はんの儀ぎを​まもる

(117)

◗本ほん師し源空げんくう命終みょうじゅう時じ

*建けん暦りゃく第だい二に壬申にんしん歳さい
◗初しょ春しゅん下げ旬じゅん第だい五ご日にち

◗浄じょう土どに還げん帰きせしめ​けり

0599以い上じょう源空げんくう聖しょう人にん

 

以い上じょう七しち高僧こうそう和わ讃さん 一いっ百ぴゃく十じゅう七しち首しゅ

 

○結讃
 Ⅰ 要旨の結讃

(118)

▲五ご濁じょく悪あく世せの衆しゅ生じょうの

◗選せん択じゃく本願ほんがん信しんずれ​ば

◗不可ふか称しょう不可ふか説せつ不可ふか思議しぎの

◗功く徳どくは行ぎょう者じゃの身みに​みて​り

 

天てん 竺じく 龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ
天親てんじん菩ぼ薩さつ
震しん 旦たん 曇鸞どんらん和か尚しょう
道どう綽しゃく禅ぜん師じ
善導ぜんどう禅ぜん師じ
和わ 朝ちょう 源信げんしん和か尚しょう
源空げんくう聖しょう人にん

以い上じょう七人しちにん

聖しょう徳とく太たい子し *敏達びんだつ天皇てんのう元年がんねん
正しょう月がつ一日ついたち誕たん生じょうしたまふ。

 

仏滅ぶつめつ後ご一千いっせん五ご百ひゃく二に十じゅう一年いちねんに当あたれり。

 

 Ⅱ 回向の讃文

(119)

▲南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつを​とけ​る​には

◗衆善しゅぜん海水かいすいの​ごとく​なり

◗かの清浄しょうじょうの善ぜん身みに​え​たり

◗ひとしく衆しゅ生じょうに回え向こうせん

 

底本は龍谷大学蔵文明五年蓮如上人開版本(文明本)。 Ⓐ石川県専光寺蔵永享九年存如上人書写本、 Ⓑ本派本願寺蔵文安六年蓮如上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵版本 と対校されている。
釈文に付けて 高僧の著作によって。
智度 ¬大だい智度ちど論ろん¼ のこと。
西 西方浄土。
南天竺 南インド。龍りゅう樹じゅ菩薩は南インドに出生した。
世尊は… 釈尊は (¬楞りょう伽が経きょう¼ に) 予言しておられる。
歓喜地 「歓喜地は正定しょうじょう聚じゅの位なり。 身によろこぶを歓といふ、 こころによろこぶを喜といふ。 得べきものを得てんずとおもひてよろこぶを歓喜といふ」 (異本左訓)
しめて たてまつりて。
恭敬の心 つつしみ敬う心。 ここでは他力の信心のこと。
修せしかど 修めたけれども。
煩悩成就 あらゆる煩悩ぼんのうを欠くことなくそなえていること。
究竟せること その大きさが、 至りきわまっていること。
天人不動の聖衆 天上界・人間界から浄土に生れた聖しょう者じゃたち。 大乗の善根を成就して動揺することがないから不動という。
涅槃のかど →涅ね槃はん門もん
世俗の君子・魏の主・魏の天子・君子 東とう魏ぎの孝静こうせい帝ていであろう。
浄土… 西方浄土のみ願生する理由を問う。
念力… 十方の浄土を平等に念ずる力がないということ。
安楽勧帰 安楽浄土への往生を勧め、 自他ともに阿弥陀仏に帰依きえすること。
神鸞 不思議な徳を持っている曇鸞大師の意。
浄業 念仏のこと。
魏の興和四年 542年。
遙山寺 平遙へいよう山さんの寺。
秦陵 大陵の誤伝。
天親菩薩のみこと 天親菩薩の ¬浄土論¼ をいう。
他力広大威徳の心行 心は一心帰命の信心、 行は五念門の行。 この心行は如来より回え向こうされたものであるので、 他力広大威徳という。
煩悩菩提体無二 煩悩と菩提とが本来一つであること。
ときいたり 時節が到来し。
一念歓喜するひと 疑いなく、 往生せしめられることをよろこぶひと。
罪障功徳の体となる 体は本体。 罪障がそのまま功徳になる。
逆謗… 五逆・謗法の者は仏道の死骸のようなものであるのでこのようにいう。
功徳のうしほに… 万川が海に入れば同一の塩味となるように、 五逆・謗法の者も他力の信心を獲れば、 一切の悪業を転じて仏の功徳と一味となる。
畢竟成仏… 究極においては仏になること。 ここでは転じて究極無上の成仏道の意味とする。
余念間故 「まじへるがゆゑに信なしといふなり」 (左訓) 疑いがまじわるので。
三信展転… 淳心・一心・相続心の三信さんしんが相関連して一つの信心の内容が明らかになる。
如実修行相応 「をしへのごとく信ずるこころなり」 (左訓)
本願一実の大道 本願の念仏は、 すべての人の往生の道であるから大道という。
梁の天子蕭王 南朝梁の武帝 (464―549) のこと。 仏教を深く信奉した。 蕭王は通常 「しょうおう」 と読むが、 当派依用音によって 「そうおう」 と振る。
聖道万行 聖道門の教えによって修める自力諸善の行。
せしむとも したてまつったとしても。
せしむれば したてまつれば。
功徳蔵 「名みょう号ごうを功徳蔵とまうすなり。 よろづの善根ぜんごんを集めたるによりてなり」 (異本左訓)
こしらへて 誘い導いて。
浄土の行 →正行しょうぎょう
願に相応する 信心を得ることは阿弥陀仏の本願の趣旨にかなっている。
教と仏語 釈尊の教えと諸仏の言葉。
故仏と… 元来、 仏であったが、 衆しゅ生じょう済度のためにこの世に現れたという伝承を指す。 ¬源げん信しん僧そう都ず行ぎょう実じつ』にみえる。
本土 本国である浄土。
一代仏教 釈尊が一生の間に説いた教法。
霊山聴衆 インドの霊鷲山で釈尊の説法を聞いた人々。
さへられて さえぎられて。
浄土の機縁 浄土教を信受する機縁。
智慧光のちから 大だい勢せい至し菩ぼ薩さつのこと。 ¬観経△¼ による。
出離の強縁 迷いの世界を離れ出るための因縁いんねん。 阿弥陀仏の本願力のこと。
三五のよはひ 十五歳。 法ほう然ねん上人は十五歳で出家受戒した。
綽和尚 道どう綽しゃく禅ぜん師じのこと。
せしめ したてまつり。
承久の太上法皇 後ご高倉たかくら院のこと。
諸仏方便… 諸仏が衆しゅ生じょうを救うために善ぜん巧ぎょう方便ほうべんする時節が到来して。
往生みたびに… インドでは声しょう聞もん僧、 中国では善導ぜんどうとして往生し、 いま日本の源空げんくうとして三たび往生することをいう。
霊山会上 釈尊がしばしば説法した霊りょう鷲じゅ山せん (耆ぎ闍しゃ崛くっ山せん) の会座えざ。
声聞僧 釈尊の直弟子。 法ほう然ねん上人は舎しゃ利り弗ほつであったといわれる。
異香みぎりに… おりから妙たえなる香りがあたりにただよった。
敏達天皇元年 572年。 ¬聖しょう徳とく太たい子し伝でん暦りゃく¼ などでは、 太子の生誕をこの年とするが、 574年が正しい。