0600◎正しょう 像ぞう 末まつ 和わ 讃さん

 

^*¬般舟はんじゅ三昧ざんまい行ぎょう道どう往おう生じょう讃さん¼ にいはく

^「▲敬うやもふて一切いっさい往おう生じょうの知ち識しき等とうにまふさく。 大おおきにすべからく慚ざん愧ぎすべし。 釈しゃ迦か如来にょらいは実じつにこれ慈悲じひの父母ぶもなり。 種々しゅじゅの方便ほうべんをしてわれらが無む上じょうの信心しんじんを発ほっ起きせしめたまふ。」 文

○夢告讃

 ◎^▼*康元こうげん二に歳さい 丁ひのと巳のみ 二に月がつ九ここぬ日かの夜よ

   寅とらの時とき夢ゆめに告つげていはく

 

(1)

▼弥陀みだの本願ほんがん信しんず​べし

◗本願ほんがん信しんずる​ひと​は​みな

◗摂取せっしゅ不ふ捨しゃの利り益やくにて

◗無む上じょう覚かくをば​さとる​なり

 

○三時讃
 Ⅰ 二教の興廃
  ⅰ 道教の衰滅

正しょう像ぞう末まつの浄じょう土ど和わ讃さん

愚ぐ禿とく善信ぜんしん集あつむ

(2)

▲釈しゃ迦か如来にょらい*かくれ​ましまし​て

◗二に千せん余よ年ねんに​なり​たまふ

◗正しょう像ぞうの二時にじは​をはり​にき

◗如来にょらいの遺弟ゆいてい悲ひ泣きゅうせよ

カナシミナクベシ

(30601)

▲末法まっぽう五ご濁じょくの有う情じょうの

*行証ぎょうしょうかなは​ぬ​とき​なれば

◗釈しゃ迦かの遺法ゆいほうことごとく

◗竜りゅう宮ぐに​いり​たまひ​にき

(4)

▲正しょう像ぞう末まつの三さん時じには

◗弥陀みだの本願ほんがんひろまれ​り

◗像ぞう季き・末法まっぽうの​この世よには

◗諸善しょぜん竜りゅう宮ぐに​いり​たまふ

  ⅱ 五濁の相状

(5)

▲¬大集だいじっ経きょう¼ に​とき​たまふ

◗この世よは*第だい五ごの五ご百ひゃく年ねん

◗闘とう諍じょう堅けん固ごなる​ゆゑに

◗白びゃく法ほう隠滞おんたいし​たまへ​り

(6)

◗数万しゅまん歳ざいの有う情じょうも

◗果か報ほうやうやく​おとろへ​て

◗二に万まん歳ざいに​いたり​ては

◗五ご濁じょく悪あく世せの名なを​え​たり

(7)

▲劫こう濁じょくの​とき​うつる​には

◗有う情じょうやうやく身しん小しょうなり

◗五ご濁じょく悪邪あくじゃまさる​ゆゑ

◗毒蛇どくじゃ・悪あく竜りゅうの​ごとく​なり

(8)

▲無む明みょう煩悩ぼんのうしげく​して

◗塵数じんじゅの​ごとく遍満へんまんす

◗愛憎あいぞう違い順じゅんする​こと​は

◗高こう峰ぶ岳山がくざんに​ことなら​ず

タカキミネオカニアクノコヽロヲタトヘタリ

(90602)

▲有う情じょうの邪見じゃけん熾し盛じょうにて

◗叢林そうりん棘こく刺しの​ごとく​なり

クサムラハヤシムバラカラタチノゴトクアクノ心シゲキナリ

◗念仏ねんぶつの信者しんじゃを疑ぎ謗ほうして

◗破壊はえ瞋毒しんどくさかりなり

ヤブリイカリハラダツナリ

(10)

▲命濁みょうじょく中ちゅう夭よう刹せつ那なにて

ヒトノイノチミジカクモロシトナリ

◗依え正しょう二に報ほう滅亡めつもうし

▲*背はい正しょう帰き邪じゃまさる​ゆゑ

タヾシキコトヲソムキヒガゴトヲコノムナリ

*横おうにあだを​ぞ​おこし​ける

ヨコサマ

  ⅲ 浄土の一門

(11)

▲末法まっぽう第だい五ごの五ご百ひゃく年ねん

◗この世よの一切いっさい有う情じょうの

◗如来にょらいの悲ひ願がんを信しんぜ​ずは

◗出しゅつ離りその期ごは​なかる​べし

(12)

▲九く十じゅう五ご種しゅ世よを​けがす

◗唯ゆい仏ぶつ一道いちどうきよく​ます

◗菩ぼ提だいに出しゅっ到とうして​のみ​ぞ

◗火か宅たくの利り益やくは自じ然ねんなる

シヤバセカイヲイフナリ

(13)

▲五ご濁じょくの時機じきいたり​ては

◗道俗どうぞくともに​あらそひ​て

◗念仏ねんぶつ信しんずる​ひと​を​み​て

◗疑ぎ謗ほう破は滅めつさかりなり

ウタガフ

ソシル

ヤブル

(14)

▲*菩ぼ提だいを​う​まじき​ひと​は​みな

◗専修せんじゅ念仏ねんぶつに​あだ​を​なす

◗頓とん教ぎょう毀き滅めつの​しるし​には

◗生しょう死じの大海だいかいきは​も​なし

  ⅳ 聖道の難成

(150603)

▲正しょう法ぼうの時機じきと​おもへ​ども

◗底てい下げの凡ぼん愚ぐと​なれ​る身みは

ボムナウアクノ人ボムブヲテイゲトイフナリ

◗清浄しょうじょう真実しんじつの​こころ​なし

◗発ほつ菩ぼ提だい心しんいかが​せん

(16)

▲*自じ力りき聖しょう道どうの菩ぼ提だい心

◗こころ​も​ことば​も​およば​れ​ず

◗常じょう没もつ流る転てんの凡ぼん愚ぐは

◗いかでか発ほっ起きせしむ​べき

(17)

▲三さん恒ごう河が沙しゃの諸仏しょぶつの

◗出しゅっ世せの​みもと​に​あり​し​とき

*大だい菩ぼ提だい心しんおこせ​ども

◗自じ力りきかなは​で流る転てんせ​り

  ⅴ 浄土の隆盛

(18)

▲像末ぞうまつ五ご濁じょくの世よと​なり​て

◗釈しゃ迦かの遺ゆい教きょうかくれ​しむ

◗弥陀みだの悲ひ願がんひろまり​て

◗念仏ねんぶつ往おう生じょうさかりなり

  ⅵ 浄土の易成
   a 大悲の根本

(19)

▲超ちょう世せ無む上じょうに摂取せっしゅし

◗選せん択じゃく五ご劫こう思し惟ゆいして

▲光こう明みょう・寿じゅ命みょうの誓願せいがんを

◗大だい悲ひの本ほんと​し​たまへ​り

   b 回向の信心

(20)

▲浄じょう土どの大だい菩ぼ提だい心しんは

◗願がん作さ仏ぶつ心しんを​すすめ​しむ

◗すなはち願がん作さ仏ぶつ心しんを

◗度ど衆しゅ生じょう心しんと​なづけ​たり

(210604)

▲度ど衆しゅ生じょう心しんといふ​こと​は

ヨロヅノシユジヤウホトケニナサントナリ

◗弥陀みだ智ち願がんの回え向こうなり

◗回え向こうの信しん楽ぎょううる​ひと​は

◗大だい般はつ涅ね槃はんを​さとる​なり

(22)

▲如来にょらいの回え向こうに帰き入にゅうして

◗願がん作さ仏ぶつ心しんを​うる​ひと​は

*自じ力りきの回え向こうを​すて​はて​て

◗利り益やく有う情じょうは​きは​も​なし

   c 信心の勝益

(23)

▲弥陀みだの智ち願がん海水かいすいに

ミダノホングワンヲウミニタトヘマフスナリ

◗他た力りきの信水しんすいいり​ぬれ​ば

◗真実しんじつ報ほう土どの​ならひ​にて

◗煩悩ぼんのう・菩ぼ提だい一いち味みなり

ボムナウトクドクトヒトツニナルナリ

(24)

▲如来にょらい二に種しゅの回え向こうを

◗ふかく信しんずる​ひと​は​みな

◗等とう正しょう覚がくに​いたる​ゆゑ

◗憶念おくねんの心しんは​たえ​ぬ​なり

(25)

◗弥陀みだ智ち願がんの回え向こうの

◗信しん楽ぎょうまことに​うる​ひと​は

◗摂取せっしゅ不ふ捨しゃの利り益やくゆゑ

◗等とう正しょう覚がくに​いたる​なり

(26)

▲*五ご十じゅう六億ろくおく七千しちせん万まん

◗弥み勒ろく菩ぼ薩さつは​とし​を​へ​ん

◗まこと​の信心しんじんうる​ひと​は

◗このたび​さとり​を​ひらく​べし

(270605)

◗念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がんに​より

◗等とう正しょう覚がくに​いたる​ひと

◗すなはち弥み勒ろくに​おなじく​て

◗大だい般はつ涅ね槃はんを​さとる​べし

(28)

◗真実しんじつ信心しんじんうる​ゆゑに

◗すなはち定じょう聚じゅに​いり​ぬれ​ば

◗補ふ処しょの弥み勒ろくに​おなじく​て

◗無む上じょう覚かくを​さとる​なり

   d 信心の結勧

(29)

*像法ぞうぼうの​とき​の智ち人にんも

◗自じ力りきの諸しょ教きょうを​さしおき​て

◗時機じき相応そうおうの法ほうなれば

◗念仏ねんぶつ門もんに​ぞ​いり​たまふ

(30)

▲弥陀みだの尊号そんごうとなへ​つつ

◗信しん楽ぎょうまことに​うる​ひと​は

◗憶念おくねんの心しんつねに​して

◗仏恩ぶっとん報ほうずる​おもひ​あり

(31)

▲五ご濁じょく悪あく世せの有う情じょうの

◗選せん択じゃく本願ほんがん信しんずれ​ば

◗不可ふか称しょう不可ふか説せつ不可ふか思議しぎの

◗功く徳どくは行ぎょう者じゃの身みに​みて​り

 Ⅱ 二尊の本意
  ⅰ 久還の化導

(32)

◗無礙むげ光こう仏ぶつの​みこと​には

◗未み来らいの有う情じょう利りせん​とて

◗大だい勢せい至し菩ぼ薩さつに

◗智慧ちえの念仏ねんぶつさづけ​しむ

(330606)

◗濁じょく世せの有う情じょうを​あはれみ​て

◗勢せい至し念仏ねんぶつすすめ​しむ

◗信心しんじんの​ひと​を摂取せっしゅして

◗浄じょう土どに帰き入にゅうせしめ​けり

  ⅱ 二尊の一致
   a 二尊の慈悲

(34)

▲釈しゃ迦か・弥陀みだの慈悲じひより​ぞ

◗願がん作さ仏ぶつ心しんは​え​しめ​たる

▼信心しんじんの智慧ちえに​いり​て​こそ

◗仏恩ぶっとん報ほうずる身みと​は​なれ

   b 弥陀の悲願

(35)

▲智慧ちえの念仏ねんぶつうる​こと​は

◗法蔵ほうぞう願力がんりきの​なせ​る​なり

◗信心しんじんの智慧ちえなかり​せば

◗いかでか涅ね槃はんを​さとら​まし

(36)

▲無む明みょう長じょう夜やの灯とう炬こなり

ツネノトモシビヲトウトイフ

オホキナルトモシビヲコトイフ

ツネノトモシビヲミダノホングワンニタトヘマフスナリ

◗智ち眼げんくらし​と​かなしむ​な

◗生しょう死じ大海だいかいの船筏せんばつなり

フネ

イカダ

◗罪ざい障しょうおもし​と​なげか​ざれ

(37)

▲願力がんりき無む窮ぐうに​ましませ​ば

◗罪業ざいごう深じん重じゅうも​おもから​ず

◗仏ぶっ智ち無む辺へんに​ましませ​ば

◗散乱さんらん放逸ほういつも​すて​られ​ず

チリミダルホシキマヽノコヽロトイフ

(38)

▲如来にょらいの作さ願がんを​たづぬれ​ば

◗苦く悩のうの有う情じょうを​すて​ず​して

◗回え向こうを*首しゅと​し​たまひ​て

◗大だい悲ひ心しんをば成じょう就じゅせ​り

(390607)

▲真実しんじつ信心しんじんの称名しょうみょうは

◗弥陀みだ回え向こうの法ほうなれば

◗不ふ回え向こうと​なづけ​て​ぞ

◗自じ力りきの称しょう念ねんきらは​るる

(40)

▲弥陀みだ智ち願がんの広海こうかいに

◗凡ぼん夫ぶ善悪ぜんあくの心水しんすいも

ボンブノゼンノコヽロアクノ心ミヅニタトヘタルナリ

◗帰き入にゅうし​ぬれ​ば​すなはち​に

◗大だい悲ひ心しんと​ぞ転てんず​なる

アクノ心ゼントナルヲテンズルナリトイフナリ

   c 釈迦の慈誡

(41)

◗造悪ぞうあくこのむ​わが弟子でしの

◗邪見じゃけん放逸ほういつさかりに​て

◗末まっ世せに​わが法ほう破はす​べし​と

◗¬蓮れん華げ面めん経ぎょう』に​とき​たまふ

(42)

▲念仏ねんぶつ誹ひ謗ほうの有う情じょうは

◗阿鼻あび地じ獄ごくに堕だ在ざいして

ムケンヂゴクナリ

◗八万はちまん劫こう中ちゅう大だい苦く悩のう

◗ひま​なく​うく​と​ぞ​とき​たまふ

   d 二尊の遣喚

(43)

▲真実しんじつ報ほう土どの正しょう因いんを

◗二に尊そんの​みこと​に​たまはり​て

◗正定しょうじょう聚じゅに住じゅうすれ​ば

◗かならず滅めつ度どを​さとる​なり

  ⅲ 諸仏の証誡

(44)

▲十方じっぽう無む量りょうの諸仏しょぶつの

◗証誠しょうじょう護ご念ねんの​みこと​にて

◗自じ力りきの大だい菩ぼ提だい心しんの

◗かなは​ぬ​ほど​は​しり​ぬ​べし

(450608)

▲真実しんじつ信心しんじんうる​こと​は

◗末法まっぽう濁じょく世せに​まれなり​と

◗恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの証誠しょうじょうに

◗え​がたき​ほど​を​あらはせ​り

 Ⅲ 遇法の恩徳
  ⅰ 二種の回向

(46)

◗往相おうそう・還相げんそうの回え向こうに

*まうあは​ぬ身みと​なり​に​せば

◗流る転てん輪りん廻ねも​きは​も​なし

◗苦く海かいの沈淪ちんりんいかが​せん

(47)

▲仏ぶっ智ち不ふ思議しぎを信しんずれ​ば

◗正定しょうじょう聚じゅに​こそ住じゅうし​けれ

▲*化け生しょうの​ひと​は智慧ちえすぐれ

◗無む上じょう覚かくを​ぞ​さとり​ける

(48)

◗不ふ思議しぎの仏ぶっ智ちを信しんずる​を

◗報ほう土どの因いんと​したまへ​り

▲信心しんじんの正しょう因いんうる​こと​は

◗かたき​が​なか​に​なほ​かたし

(49)

▲無始むし流る転てんの苦くを​すて​て

◗無む上じょう涅ね槃はんを期ごする​こと

◗如来にょらい二に種しゅの回え向こうの

◗恩徳おんどくまことに謝しゃし​がたし

(50)

▲報ほう土どの信者しんじゃは​おほから​ず

◗化け土どの行ぎょう者じゃは​かず​おほし

*自じ力りきの菩ぼ提だいかなは​ねば

◗久く遠おん劫ごうより流る転てんせ​り

(510609)

▼南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつの回え向こうの

◗恩徳おんどく広大こうだい不ふ思議しぎにて

*往相おうそう回え向こうの利り益やくには

◗還相げんそう回え向こうに回え入にゅうせ​り

(52)

◗往相おうそう回え向こうの大だい慈じより

◗還相げんそう回え向こうの大だい悲ひを​う

◗如来にょらいの回え向こうなかり​せば

◗浄じょう土どの菩ぼ提だいは​いかが​せん

  ⅱ 教化の恩徳

(53)

▲弥陀みだ・観音かんのん・大だい勢せい至し

◗大願だいがんの​ふね​に乗じょうじ​て​ぞ

◗生しょう死じの​うみ​に​うかみ​つつ

◗有う情じょうを*よばう​て​のせ​たまふ

(54)

▼弥陀みだ大だい悲ひの誓願せいがんを

◗ふかく信しんぜ​ん​ひと​は​みな

▲ね​ても​さめ​ても​へだて​なく

◗南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつを​となふ​べし

(55)

◗聖しょう道どう門もんの​ひと​は​みな

◗自じ力りきの心しんを*むね​と​して

◗他た力りき不ふ思議しぎに​いり​ぬれ​ば

◗義ぎなき​を義ぎと​す​と信しん知ちせ​り

(56)

▲釈しゃ迦かの教きょう法ぼうましませ​ど

◗修しゅす​べき有う情じょうの​なき​ゆゑに

◗さとり​うる​もの末法まっぽうに

◗一人いちにんも​あら​じ​と​とき​たまふ

(570610)

*三さん朝ちょう浄じょう土どの大だい師し等とう

◗哀愍あいみん摂しょう受じゅし​たまひ​て

◗真実しんじつ信心しんじんすすめ​しめ

◗定じょう聚じゅの​くらゐ​にいれ​しめよ

(58)

▲他た力りきの信心しんじんうる​ひと​を

◗うやまひ​おほきに​よろこべ​ば

◗すなはち​わが親しん友ぬぞ​と

◗教きょう主しゅ世せ尊そんは​ほめ​たまふ

  ⅲ 報謝の結勧

(59)

▲如来にょらい大だい悲ひの恩徳おんどくは

◗身みを粉こに​して​も報ほうずべし

◗師し主しゅ知ち識しきの恩徳おんどくも

◗ほね​を​くだき​ても謝しゃす​べし

以い上じょう正しょう像ぞう末法まっぽう和わ讃さん 五ご十じゅう八首はっしゅ

 

○誡疑讃
 Ⅰ 疑惑の過失

(60)

▲不ふ了りょう仏ぶっ智ちの​しるし​には

◗如来にょらいの諸しょ智ちを疑ぎ惑わくして

*罪福ざいふく信しんじ*善本ぜんぽんを

◗たのめ​ば辺へん地じに​とまる​なり

(61)

◗仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎを​うたがひ​て

◗自じ力りきの称しょう念ねんこのむ​ゆゑ

◗辺へん地じ懈け慢まんに​とどまり​て

▲仏恩ぶっとん報ほうずる​こころ​なし

(620611)

◗罪福ざいふく信しんずる行ぎょう者じゃは

◗仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎを​うたがひ​て

◗疑ぎ城じょう胎たい宮ぐに​とどまれ​ば

◗三宝さんぼうに​はなれ​たてまつる

(63)

◗仏ぶっ智ち疑ぎ惑わくの​つみ​に​より

◗懈け慢まん辺へん地じに​とまる​なり

◗疑ぎ惑わくの​つみ​の​ふかき​ゆゑ

*年歳ねんさい劫数こうしゅを​ふる​と​とく

(64)

▲転輪てんりん皇のうの王おう子じの

◗皇おうに​つみ​を​うる​ゆゑに

◗金こん鎖さをもちて​つなぎ​つつ

◗牢獄ろうごくに​いる​が​ごとく​なり

(65)

◗自じ力りき称名しょうみょうの​ひと​は​みな

◗如来にょらいの本願ほんがん*信しんぜ​ねば

◗うたがふ​つみ​の​ふかき​ゆゑ

◗七宝しっぽうの獄ごくに​ぞ​いましむる

(66)

▲信心しんじんの​ひと​に​おとら​じ​と

◗疑ぎ心しん自じ力りきの行ぎょう者じゃも

◗如来にょらい大だい悲ひの恩おんを​しり

◗称名しょうみょう念仏ねんぶつはげむ​べし

(67)

◗自じ力りき諸善しょぜんの​ひと​は​みな

◗仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎを​うたがへ​ば

◗自じ業ごう自じ得とくの道どう理りにて

◗七宝しっぽうの獄ごくに​ぞ​いり​に​ける

(680612)

▲仏ぶっ智ち不ふ思議しぎを​うたがひ​て

*善本ぜんぽん徳本とくほんたのむ​ひと

◗辺へん地じ懈け慢まんに​うまるれ​ば

◗大だい慈じ大だい悲ひは​え​ざり​けり

 Ⅱ 疑惑の貶斥

(69)

◗本願ほんがん疑ぎ惑わくの行ぎょう者じゃには

▲含がん花け未み出しゅつの​ひと​も​あり

▲或わく生しょう辺へん地じと​きらひ​つつ

アルヒハヘンヂニムマレ

▲或わく堕だ宮く胎たいと​すて​らるる

アルイハクタイニオツ

 Ⅲ 胎生の辺地

(70)

▲如来にょらいの諸しょ智ちを疑ぎ惑わくして

◗信しんぜ​ず​ながら​なほ​も​また

◗罪福ざいふくふかく信しんぜ​しめ

◗善本ぜんぽん修しゅ習じゅうすぐれ​たり

(71)

▲仏ぶっ智ちを疑ぎ惑わくする​ゆゑに

◗胎たい生しょうの​もの​は智慧ちえも​なし

◗胎たい宮ぐに​かならず​うまるる​を

◗牢獄ろうごくに​いる​と​たとへ​たり

(72)

◗七宝しっぽうの宮く殿でんに​うまれ​ては

◗五ご百ひゃく歳さいの​とし​を​へ​て

◗三宝さんぼうを見聞けんもんせ​ざる​ゆゑ

◗有う情じょう利り益やくは*さらに​なし

(73)

◗辺へん地じ七宝しっぽうの宮く殿でんに

◗五ご百ひゃく歳さいまで​いで​ず​して

◗みづから過咎かぐを​なさ​しめ​て

◗もろもろ​の*厄やくを​うくる​なり

モロクアヤウキナリ

(740613)

◗罪福ざいふくふかく信しんじ​つつ

◗善本ぜんぽん修しゅ習じゅうする​ひと​は

◗疑ぎ心しんの善人ぜんにんなる​ゆゑに

◗方便ほうべん化け土どに​とまる​なり

(75)

▲弥陀みだの本願ほんがん信しんぜ​ね​ば

◗疑ぎ惑わくを帯たいし​て​うまれ​つつ

◗はな​は​すなはち​ひらけ​ねば

*胎たいに処しょする​に​たとへ​たり

(76)

▲ときに慈氏じし菩ぼ薩さつの

◗世せ尊そんに​まうし​たまひ​けり

▲何が因いん何が縁えんいかなれば

◗胎たい生しょう・化け生しょうと​なづけ​たる

(77)

*如来にょらい慈氏じしに​のたまは​く

◗疑ぎ惑わくの心しんを​もち​ながら

◗善本ぜんぽん修しゅする​を​たのみ​にて

◗胎たい生しょう辺へん地じに​とどまれ​り

(78)

◗仏ぶっ智ち疑ぎ惑わくの​つみ​ゆゑに

◗五ご百ひゃく歳さいまで牢獄ろうごくに

◗かたく​いましめ​おはします

◗これ​を胎たい生しょうと​とき​たまふ

(79)

◗仏ぶっ智ち不ふ思議しぎを​うたがひ​て

◗罪福ざいふく信しんずる有う情じょうは

◗宮く殿でんに​かならず​うまるれ​ば

◗胎たい生しょうの​もの​と​とき​たまふ

(800614)

◗自じ力りきの心しんを​むね​と​して

◗不ふ思議しぎの仏ぶっ智ちを​たのま​ねば

◗胎たい宮ぐに​うまれ​て五ご百ひゃく歳さい

◗三宝さんぼうの慈悲じひに​はなれ​たり

(81)

◗仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎを疑ぎ惑わくして

◗罪福ざいふく信しんじ善本ぜんぽんを

◗修しゅして浄じょう土どを​ねがふ​をば

◗胎たい生しょうといふ​と​とき​たまふ

 Ⅳ 釈尊の訓戒

(82)

▲仏ぶっ智ちうたがふ​つみ​ふかし

◗この心しんおもひしる​ならば

◗くゆる​こころ​を​むね​と​して

◗仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎを​たのむ​べし

^以い上じょう二に十じゅう三首さんしゅ、 仏ぶつ不ふ思議しぎの弥陀みだの御おんちかひをうたがふつみとがをしらせんとあらはせるなり。

 

○聖徳奉讃
 Ⅰ 本迹の化導

0615愚ぐ禿とく善信ぜんしん作のさく

皇こう太たい子し聖しょう徳とく奉讃ほうさん

(83)

◗仏ぶっ智ち不ふ思議しぎの誓願せいがんを

*聖しょう徳とく皇おうの​めぐみ​にて

◗正定しょうじょう聚じゅに帰き入にゅうして

◗補ふ処しょの弥み勒ろくの​ごとく​なり

(84)

◗救世くせ観音かんのん大だい菩ぼ薩さつ

◗聖しょう徳とく皇おうと示じ現げんして

◗多々たたの​ごとく​すて​ず​して

チヽヲイフナリ

◗阿摩あまの​ごとくに​そひ​たまふ

ハヽヲイフナリ

(85)

◗無始むしより​このかた​この世よまで

◗聖しょう徳とく皇おうの​あはれみ​に

◗多々たたの​ごとくに​そひ​たまひ

◗阿摩あまの​ごとくに​おはします

(86)

◗聖しょう徳とく皇おうの​あはれみ​て

◗仏ぶっ智ち不ふ思議しぎの誓願せいがんに

◗すすめ​いれ​しめ​たまひ​て​ぞ

◗住じゅう正定しょうじょう聚じゅの身みと​なれる

(87)

◗他た力りきの信しんを​え​ん​ひと​は

◗仏恩ぶっとん報ほうぜ​ん​ため​に​とて

◗如来にょらい二に種しゅの回え向こうを

◗十方じっぽうに​ひとしく​ひろむ​べし

 Ⅱ 恩徳の奉讃

(880616)

◗大だい慈じ救世くせ聖しょう徳とく皇おう

◗父ちちの​ごとくに​おはします

◗大だい悲ひ救世くせ観かん世ぜ音おん

◗母ははの​ごとくに​おはします

(89)

◗久く遠おん劫ごうより​この世よまで

◗あはれみ​まします​しるし​には

◗仏ぶっ智ち不ふ思議しぎに*つけ​しめ​て

*善悪ぜんあく・浄じょう穢えも​なかり​けり

(90)

▼*和わ国こくの教きょう主しゅ聖しょう徳とく皇おう

◗広大こうだい恩徳おんどく謝しゃし​がたし

◗一心いっしんに帰き命みょうし​たてまつり

*奉ほう讃さん不ふ退たいなら​しめ​よ

(91)

▼*上じょう宮ぐう皇おう子じ方便ほうべんし

◗和わ国こくの有う情じょうを​あはれみ​て

◗如来にょらいの悲ひ願がんを弘ぐ宣せんせ​り

◗慶きょう喜き奉讃ほうさんせしむ​べし

(92)

◗多た生しょう曠劫こうごうこの世よまで

◗あはれみ​かぶれ​る​この身みなり

◗一心いっしん帰き命みょうたえ​ず​して

◗奉讃ほうさんひま​なく​このむ​べし

(93)

◗聖しょう徳とく皇おうの​おあはれみ​に

◗護持ごじ養育よういくたえ​ず​して

◗如来にょらい二に種しゅの回え向こうに

◗すすめ​いれ​しめ​おはします

0617以い上じょう聖しょう徳とく奉讃ほうさん 十じゅう一首いっしゅ

 

○愚禿悲歎述懐
 Ⅰ 機根の劣悪

愚ぐ禿とく悲ひ歎たん述じゅっ懐かい

(94)

◗浄じょう土ど真しん宗しゅうに帰きすれ​ども

◗真実しんじつの心しんは​ありがたし

◗虚仮こけ不ふ実じつの​わが身みにて

◗清浄しょうじょうの心しんも​さらに​なし

(95)

◗外儀げぎの​すがた​は​ひと​ごと​に

◗賢善けんぜん精しょう進じん現げんぜ​しむ

◗貪瞋とんじん・邪じゃ偽ぎおほき​ゆゑ

◗奸かん詐さ*ももはし身みに​みて​り

(96)

◗悪あく性しょうさらに​やめ​がたし

◗こころ​は蛇蝎じゃかつの​ごとくなり

◗修善しゅぜんも雑毒ぞうどくなる​ゆゑに

◗虚仮こけの行ぎょうと​ぞ​なづけ​たる

 Ⅱ 弘願の勝益

(97)

◗無む慚ざん無愧むぎの​この身みにて

◗まこと​の​こころ​は​なけれ​ども

◗弥陀みだの回え向こうの御名みななれば

◗功く徳どくは十方じっぽうに​みち​たまふ

(98)

◗小しょう慈じ小しょう悲ひも​なき身みにて

◗有う情じょう利り益やくは​おもふ​まじ

◗如来にょらいの願船がんせんいまさ​ずは

◗苦く海かいを​いかでか​わたる​べき

(990618)

◗蛇蝎じゃかつ奸かん詐さの​こころ​にて

◗自じ力りき修善しゅぜんは​かなふ​まじ

◗如来にょらいの回え向こうを​たのま​では

◗無む慚ざん無愧むぎにて​はて​ぞ​せん

 Ⅲ 外道の帰敬

(100)

*五ご濁じょく増ぞうの​しるし​には

◗この世よの道俗どうぞくことごとく

◗外儀げぎは仏ぶっ教きょうの​すがた​にて

◗内心ないしん外げ道どうを帰き敬きょうせ​り

(101)

◗かなしき​かな​や道俗どうぞくの

◗良りょう時じ・吉日きちにちえらば​しめ

◗天神てんじん・地祇じぎを​あがめ​つつ

◗卜占ぼくせん祭さい祀しつとめ​と​す

ハラヘマツリ

(102)

◗僧そうぞ法ほう師しの​その御名みなは

◗たふとき​こと​と​きき​しか​ど

*提だい婆ば五ご邪じゃの法ほうに​に​て

◗いやしき​もの​に​なづけ​たり

(103)

◗外げ道どう・*梵ぼん士じ・*尼に乾けん志しに

◗こころ​は​かはら​ぬ​もの​として

*如来にょらいの法ほう衣えを​つねに​きて

◗一切いっさい鬼き神じんを​あがむ​めり

(104)

◗かなしき​かな​や​このごろ​の

◗和わ国こくの道俗どうぞくみな​ともに

◗仏ぶっ教きょうの威儀いぎを​もと​として

◗天てん地ちの鬼き神じんを尊そん敬きょうす

 Ⅳ 仏法の軽侮

(1050619)

◗五ご濁じょく邪悪じゃあくの​しるし​には

◗僧そうぞ法ほう師しといふ御名みなを

◗奴婢ぬひ・僕ぼく使しに​なづけ​て​ぞ

◗いやしき​もの​と​さだめ​たる

(106)

*無む戒かい名みょう字じの比丘びくなれ​ど

◗末法まっぽう濁じょく世せの世よと​なり​て

◗舎しゃ利り弗ほつ・目連もくれんに​ひとしく​て

◗供く養よう恭く敬ぎょうを​すすめ​しむ

(107)

◗罪業ざいごうもとより​かたち​なし

*妄想もうぞう顛倒てんどうの​なせ​る​なり

◗心しん性しょうもとより​きよけれ​ど

◗この世よは​まこと​の​ひと​ぞ​なき

(108)

◗末法まっぽう悪あく世せの​かなしみ​は

◗南なん都と北嶺ほくれいの仏法ぶっぽう者しゃの

*輿こしかく僧達そうたち*力りき者しゃ法ほう師し

◗高こう位いを​もてなす名なと​し​たり

(109)

◗仏法ぶっぽう*あなづる​しるし​には

◗比丘びく・比丘尼びくにを奴婢ぬひとして

◗法ほう師し・僧そう徒との​たふとさ​も

◗僕ぼく従しゅうもの​の名なと​し​たり

^以い上じょう十じゅう六首ろくしゅ、 これは愚ぐ禿とくがかなしみなげきにして述じゅっ懐かいとしたり。 この世よの本ほん寺じ本山ほんざんの*いみじき僧そうとまうすも法ほう師しとま0620うすも*うきことなり。

釈しゃくの親鸞しんらんこれを書かく。

 

○善光寺讃

(110)

◗善光ぜんこう寺じの如来にょらいの

◗われら​を​あはれみ​ましまし​て

*なにはのうら​に​きたり​ます

◗御名みなをも​しら​ぬ*守もり屋やにて

(111)

◗そのとき*ほとほりけ​と​まうし​ける

◗疫癘えきれい*あるいは​この​ゆゑ​と

◗守もり屋やが​たぐひ​は​みな​ともに

◗ほとほりけ​と​ぞ​まうし​ける

(112)

◗やすく​すすめ​ん​ため​に​とて

◗ほとけ​と守もり屋やが​まうす​ゆゑ

◗とき​の外げ道どうみな​ともに

◗如来にょらいを​ほとけ​と​さだめ​たり

(113)

◗この世よの仏法ぶっぽうの​ひと​は​みな

◗守もり屋やが​ことば​を​もと​として

◗ほとけ​と​まうす​を​たのみ​にて

◗僧そうぞ法ほう師しは​いやしめ​り

(114)

◗弓削ゆげの守もり屋やの大おお連むらじ

◗邪見じゃけんきはまり​なき​ゆゑに

◗よろづ​の​もの​を​すすめ​ん​と

◗やすく​ほとけ​と​まうし​けり

 

○自然法爾章

0621*親鸞しんらん八はち十じゅう八歳はっさい御ご筆ひつ

 ^*▼「獲ぎゃく」 の字じは、 因いん位にの​とき​うる​を獲ぎゃくといふ。 「得とく」 の字じは、 果位かいの​とき​に​いたり​て​うる​こと​を得とくといふ​なり。

 ^▼「名みょう」の字じは、 因いん位にの​とき​の​な​を名みょうといふ。 「号ごう」 の字じは、 果位かいの​とき​の​な​を号ごうといふ。

 ^▼「*自じ然ねん」といふは、 ^「自じ」 は​おのづから​といふ、 行ぎょう者じゃの*はからひ​に​あらず。 しからしむ​といふ​ことば​なり。 ^「然」 といふは、 しからしむ​といふ​ことば、 行ぎょう者じゃの​はからひ​に​あらず、 如来にょらいの​ちかひ​にて​ある​が​ゆゑに。

^◆「法ほう爾に」 といふは、 如来にょらいの御おんちかひ​なる​が​ゆゑに、 しからしむる​を法ほう爾にといふ。 この法ほう爾には、 御おんちかひ​なり​ける​ゆゑに、 すべて行ぎょう者じゃの​はからひ​なき​をもちて、 *この​ゆゑに他た力りきには義ぎなき​を義ぎと​す​と​しる​べき​なり。 「自じ然ねん」といふは、 もとより​しからしむる​といふ​ことば​なり。

 ^◆弥陀みだ仏ぶつの御おんちかひ​の、 もとより行ぎょう者じゃの​はからひ​に​あらず​して、 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつと​たのま​せたまひ​て、 むかへ​ん​と​はからは​せたまひ​たる​によりて、 行ぎょう者じゃの​よから​ん​とも​あしから​ん​とも​おもは​ぬ​を、 自じ然ねんとは申もうす​ぞ*と​きき​て候そうろふ。

 ^0622◆ちかひ​の​やう​は、 「*無む上じょう仏ぶつに​なら​しめ​ん」 と誓ちかひ​たまへ​る​なり。 無む上じょう仏ぶつと申もうすは、 かたち​も​なく​まします。 かたち​も​ましまさ​ぬ​ゆゑに、 *自じ然ねんとは申もうす​なり。 かたち​まします​と​しめす​とき​は、 無む上じょう涅ね槃はんとは申もうさ​ず。 かたち​も​ましまさ​ぬ​やう​を​しらせ​ん​とて、 はじめに弥陀みだ仏ぶつと​ぞ​きき​ならひ​て候そうろふ。 弥陀みだ仏ぶつは自じ然ねんの​やう​を​しらせ​ん*料りょうなり。

^◆この道どう理りを​こころえ​つる​のち​には、 この自じ然ねんの​こと​は​つねに*さた​す​べき​には​あらざる​なり。 つねに自じ然ねんを​さた​せば、 義ぎなき​を義ぎと​す​といふ​こと​は、 なほ義ぎの​ある​べし。 これ​は仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎにて​ある​なり。

(115)

◗よしあし​の文もん字じをも​しら​ぬ​ひと​は​みな

◗まこと​の​こころ​なり​ける​を

*善悪ぜんあくの字じしりがほ​は

◗おほそらごと​の​かたち​なり

(116)

▼是非ぜひしら​ず邪じゃ正しょうも*わか​ぬ

◗この​み​なり

◗小しょう慈じ小しょう悲ひも​なけれ​ども

◗名みょう利りに人にん師しを​このむ​なり

以い上じょう

 

般舟三昧… この引文は註釈版にない。 聖典全書 (下段・顕智上人本) の原文より有国が書き下した。
底本は龍谷大学蔵文明五年蓮如上人開版本(文明本)。 Ⓐ石川県専光寺蔵永享九年存如上人書写本、 Ⓑ本派本願寺蔵文安六年蓮如上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵版本 と対校されている。
かくれましまして 入にゅう滅めつなされて。
行証… 修行ができず、 さとりを得ることができない時代であるので。
第五の五百年 五五ごご百ひゃく年ねん (五五百歳、 五箇五百年) の第五期。
背正帰邪 仏教の正理に背いて、 外げ道どうの邪法に帰すること。
横に 不当に。
菩提をうまじきひと 仏のさとりを得られそうもない人。
自力聖道の菩提心・大菩提心 自力で自利利他円満の仏のさとりを得ようと願う勇ゆう猛みょう心しん。 四し弘ぐ誓ぜい願がんであらわされるような願心。
自力の回向 自力によって修めた功く徳どくを往生の果を得るためにふり向けたり、 また他の人に与えようとすること。
五十六億七千万 釈尊の入にゅう滅めつから弥み勒ろく菩薩が成仏するまでの年数 (¬菩ぼ薩さつ処胎しょたい経きょう¼ の説)。
像法のときの智人 龍りゅう樹じゅ菩薩・天親てんじん菩薩などを指す。
まうあはぬ 「まうあふ」 は 「あいたてまつる」 の意。
化生のひと 真実報ほう土どに往生した人。 →化け生しょう
自力の菩提… 自力をもってさとりを完成しようとすること。
往相回向の利益には 浄土に往生して仏果 (仏のさとり) を証したことの利益として。
よばうて 呼びつづけて。
むねとして 根本としているが。
三朝浄土の大師等 インド・中国・日本の三国に現れた浄土教の祖師たち。 七しち高僧こうそうのこと。
罪福信じ 自業自得の因果のみを信じて、 善悪を越えた阿弥陀仏の本願力の救いを信じないことをいう。
善本をたのめば 阿弥陀仏の名号を称えた功く徳どくをたのみにして往生しようとはからえば。
年歳劫数をふる 長い年月を空しく過すという意。
信ぜねば 信じないので。
善本徳本たのむひと 名みょう号ごうは善根ぜんごん、 功く徳どくの本であると信じ、 念仏の功をつんで往生しようとする自力念仏の人。
厄 わざわい。 三宝さんぼうを見聞しないことや、 有う情じょう利り益やくができないことなどを指す。 自利利他の行ができないことが菩薩の 「わざわい」 である。
胎に処する 母胎に宿っている胎児は、 親をみることもできず、 自由に行動できないように、 方便化土けどに生れた者は、 真仏にあえず、 自在無礙むげの菩薩行ができないことをいう。
如来 釈尊のこと。
聖徳皇 聖徳太子のこと。
つけしめて 就つしたがわせて。 聖徳太子の慈悲によって、 久く遠おん劫ごうより流る転てんして来た身が仏智の不思議につきしたがうことになったという意をあらわす。
善悪浄穢… 善人も悪人も、 浄心の者も穢悪な心をもつ者も、 わけへだてなく救われるという意。
和国の教主 日本の教主。
奉讃不退 怠ることなく讃仰したてまつる。
上宮皇子 聖徳太子のこと。 父、 用明ようめい天皇がいた宮の南の上かみつ宮みやに住したのでこの名がある。
五濁増 五ご濁じょくが熾し烈れつとなること。
提婆五邪の法 提だい婆ば達だっ多たが釈尊の教団を破壊しようとして立てた五つの邪法。
梵士 梵天をあがめる者。 バラモン教徒。
尼乾志 ジャイナ教徒。
如来の法衣 釈尊が制定した法衣。 袈裟けさのこと。
無戒名字の比丘 戒律を持つことなく、 ただ外形のみ出家の姿をした名ばかりの僧。
妄想顛倒 虚こ妄もうの分別によって、 真実とは全く逆の見解にとらわれること。
輿かく僧達 南都・北嶺の高位の僧侶の輿をかつぐ僧。
力者法師 剃髪して公家・寺社・武家などに仕え、 駕輿、 馬の口取り、 長刀を帯しての警護、 使者など、 力役を中心とした奉仕に従った者。
あなづる 軽蔑する。
いみじき僧 官位のある立派な僧。
うきこと なげかわしいこと。
なにはのうら… 百済から摂せっ津つの難波 (現在の大阪) の浦へ来たことをいう。
守屋 →物部もののべの守もり屋や
ほとほりけ 熱気。 仏像が熱病の起るもとであるという邪説。
あるいはこのゆゑと もしや仏像が原因ではないかと。
獲の字… 次下の自然法爾の法語は、 顕けん智ち上人書写本と文に少し異同がある。
自然 →願力がんりき自じ然ねん
このゆゑに… 顕智上人書写本にはこの前に 「この法のとくのゆゑに、 しからしむといふなり。 すべて人のはじめてはからはざるなり」 とある。
とききて候ふ 法然ほうねん上人から伝え聞いた法義であるから、 「とききて候ふ」 という。
自然 →無為むい自じ然ねん
料 ここでは 「…するためのもの」 という意。
善悪の字しりがほ 善や悪の意味をさも知っているかのようなふりをすること。
わかぬ みわけがつかない。