1060◎往生要集 巻下
天台*首楞厳院沙門*源信撰
二 Ⅶ 念仏利益
【58】◎^大文第七に、 △*念仏利益を明かさば、 大きに分ちて七あり。 一には▽滅罪生善、 二には▽冥得護持、 三には▽現身見仏、 四には▽当来勝利、 五には▽弥陀別益、 六には▽引例勧信、 七には▽悪趣利益なり。 その文おのおの多し、 いま略して要を挙ぐ。
◎大1171文第七ニ明サバ↢▼念仏ノ利益ヲ↡者、大ニ分チテ有リ↠七。▼一ニハ滅罪生善。二ニハ冥ニ得ル↢護持ヲ↡。三ニハ現身ニ見タテマツル↠仏ヲ。四ニハ当来ノ勝利。五ニハ弥陀ノ別益。六ニハ引キテ↠例ヲ勧信スル。七ニハ悪趣ノ利益ナリ。其ノ文各多シ、今略シテ挙グ↠要ヲ。
二 Ⅶ ⅰ 滅罪生善
【59】^第一に△*滅罪生善といふは、
第一ニ滅罪生善トイフ者、
・滅罪
^¬*観仏経¼ の第二にのたまはく、 「一時のなかにおいて分ちて少分となして、 少分のなかによく須臾のあひだも仏の白毫を念じて、 心をして*了々ならしめ、 謬乱の想なく、 分明*正住にして、 意を注くること息まずして白毫を念ずるものは、 もしは相好を見、 もしは見ることを得ずとも、 かくのごとき等の人は、 九十六億那由他恒河沙微塵数劫の生死の罪を除却せん。
¬観仏経ノ¼第二ニ云ク、「於テ↢一時ノ中ニ↡分チテ為シテ↢少分ト↡、少分之中ニ能ク須臾ノ間モ念ジテ↢仏ノ白毫ヲ↡、令メ↢心ヲシテ了了ナラ↡、無ク↢謬乱ノ想↡、分明ニ正住ニシテ、注グコト↠意ヲ不シテ↠息マ念ズル↢白毫ヲ↡者ハ、若シハ見↢相好ヲ↡、若シハ不トモ↠得↠見ルコトヲ、如キ↠是クノ等ノ人ハ、除↢却セム九十六億那由他恒河沙微塵数劫ノ生死之罪ヲ↡。
^たとひまた人ありて、 ただ白毫を聞きて心に驚疑せず、 歓喜し信受せん。 この人もまた八十億劫の生死の罪を却けん」 と。
設ヒ復有リテ↠人、但聞キテ↢白毫ヲ↡心ニ不↢驚疑セ↡、歓喜シ信受セム。此ノ人モ亦却ケムト↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。」
^またのたまはく (観仏経)、 「仏1061、 世を去りたまひて後、 三昧正受して仏の*行を想ふものは、 また千劫の極重の悪業を除かん」 と。 仏の行歩の相は、 △上の助念方法門のごとし。
又云ク、「仏去リタマヒテ↠世ヲ後、三昧正受シテ想ハム↢仏ノ行ヲ↡者ハ、亦除カムト↢千劫ノ極重ノ悪業ヲ↡。」仏ノ行歩ノ相ハ、如シ↢上ノ助念ノ方法門ノ↡
^またのたまはく (観仏経)、 「仏、 *阿難に告げたまはく、 ªなんぢ、 今日より如来の語を持ちて、 あまねく弟子に告げよ。 仏の滅度の後に、 好き形像を造りて、 身相をして具足せしめ、 また無量の化仏の色像および*通身の色を作り、 および*仏跡を画き、 微妙の糸および*頗梨珠をもつて白毫の処に安きて、 もろもろの衆生をしてこの相を見ることを得しめよ。 ただこの相を見て心に歓喜をなさば、 この人は百億那由他恒河沙劫の生死の罪を除却せんº」 と。
又云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、汝従リ↢今日↡持チテ↢如来ノ語ヲ↡、遍ク告ゲヨ↢弟子ニ↡。仏ノ滅度ノ後ニ、造リテ↢好キ形像ヲ↡、令1172メ↢身相ヲシテ*具足セ↡、亦作リ↢无量ノ化仏ノ色像及ビ通身ノ色ヲ↡、及ビ画キ↢仏跡ヲ↡、以テ↢微妙ノ絲及ビ頗梨珠ヲ↡安キテ↢白毫ノ処ニ↡、令メヨ↢諸ノ衆生ヲシテ得↟見ルコトヲ↢*是ノ相ヲ↡。但見テ↢此ノ相ヲ↡心ニ生サバ↢歓喜ヲ↡、此ノ人ハ除↢却セムト百億那由他恒河沙劫ノ生死之*罪ヲ↡。」
^またのたまはく (観仏経)、 「▽老女の、 仏を見て、 邪見にして信ぜざるすら、 なほよく八十万億劫の生死の罪を除却しき。 いはんや、 また善き意をもつて恭敬し礼拝せんをや」 と。 *須達が家の老女の因縁は、 かの ¬経¼ (同) に広く説くがごとし。
又云ク、「老女ノ見テ↠仏ヲ、邪見ニシテ不ルスラ↠信ゼ、猶能ク除↢却シキ八十*万億劫ノ生死之罪ヲ↡。況ヤ復善キ意ヲモテ恭敬シ礼拝セムヲヤト。」須達ガ家ノ*老女ノ因縁ハ、如シ↢*彼ノ¬経ニ¼広ク説クガ↡
^またのたまはく (観仏経)、 「もろもろの凡夫および*四部の弟子、 *方等経を謗り、 五逆罪を作り、 四重禁を犯し、 僧祇物を偸み、 比丘尼を婬し、 八戒斎を破り、 もろもろの悪事をなし、 種々の邪見あらん。 かくのごとき等の人、 もしよく心を至して一日一夜、 繋念在前して、 仏如来の一の相好を観ぜば、 もろもろの悪・罪障も、 みなことごとく尽滅しなん」 と1062。
又云ク、「諸ノ凡夫及ビ四部ノ弟子、謗リ↢方等経ヲ↡、作リ↢五逆罪ヲ↡、犯シ↢四重禁ヲ↡、偸ミ↢僧祇物ヲ↡、婬シ↢比丘尼ヲ↡、破リ↢八戒斎ヲ↡、作シ↢諸ノ悪事ヲ↡、種々ノ邪見アラム。如キ↠是クノ等ノ人、若シ能ク至シテ↠心ヲ一日一夜繋念在前シテ、観ゼバ↢仏如来ノ一ノ相好ヲ↡者、諸ノ悪・罪障モ、皆悉ク尽滅シナムト。」
^またのたまはく (観仏経)、 「もしは仏世尊に帰依することあるもの、 もしは名を称するものは、 百千劫の煩悩の重障を除く。 いかにいはんや、 正心に*念仏定を修せんをや」 と。
又云ク、「若シハ有ル↣帰↢依スルコト仏世尊ニ↡者、若シハ称スル↠名ヲ者ハ、除ク↢百千劫ノ煩悩ノ重障ヲ↡。何ニ況ヤ正心ニ修セムヲヤトイヘリ↢念仏定ヲ↡。」
^¬*宝積経¼ の第五にのたまはく、 「宝珠あり、 種々色と名づく。 大海のなかにあり、 無量衆多の駃き流ありて大海に入るといへども、 珠火の力をもつて水をして消滅せしめて、 盈溢せざらしむるがごとく、 かくのごとく*如来・応・正等覚は菩提を証しをはりて、 智火の力によりて、 よく衆生の煩悩をして消滅せしめたまふことも、 またかくのごとし。 乃至
¬宝積経ノ¼第五ニ云ク、「如クニ↪有リ↢宝珠↡、名ク↢種々色ト↡、在リ↢大海ノ中ニ↡、雖モ↧有リテ↢無量衆多ノ駃キ流↡入ルト↦於大海ニ↥、以テ↢珠火ノ力ヲ↡令メテ↢水ヲシテ銷滅セ↡、而シテ不ルガ↩盈溢セ↨、如ク↠是クノ如来・応・正等覚ハ証シ↢菩提ヲ↡已リテ、由リテ↢智ノ火ノ力ニ↡能ク令メタマフコトモ↢衆生ノ煩悩ヲシテ*消滅セ↡、亦復如シ↠是クノ。乃至
^もしまた人ありて、 日々のうちにおいて如来の名号功徳を称説せば、 このもろもろの衆生はよく黒闇を離れて、 漸次にまさにもろもろの煩悩を焼くことを得べし。 かくのごとくして ª南無仏º と称念するもの、 語業空しからじ。 かくのごとき語業を、 *大炬を執りてよく煩悩を焼くと名づく」 と。
若シ復有リテ↠人、於テ↢日々ノ中ニ↡称↢説セバ如来ノ名号功徳ヲ↡、是ノ諸ノ衆生ハ能ク離レテ↢黒闇ヲ↡、漸次ニ当ニシ↠得↠焼コトヲ↢諸ノ煩悩ヲ↡。如クシテ↠是クノ称↢念スル南無仏ト↡者、語業不↠空シカラ。如キ↠是クノ語業ヲバ、名クト↧執リテ↢*大炬ヲ↡能ク焼クト↦煩悩ヲ↥。」
^¬*遺日摩尼経¼ にのたまはく、 「菩薩は、 また数千巨億万劫、 愛欲のなかにありて罪のために覆はれたりといへども、 もし仏経を聞きて一反も善を念ずれば、 罪すなはち消尽す」 と。 以上のもろもろの文は滅罪なり。
¬遺*日摩尼経1173ニ¼云ク、「菩薩ハ雖モ↧復数千*巨億万劫在リテ↢愛欲ノ中ニ↡為ニ↠罪ノ所タマヘリト↞覆ハ、若シ聞キテ↢仏経ヲ↡一反モ念ズレバ↠善ヲ、罪即チ消*尽スト。」已上ノ諸ノ文ハ滅罪ナリ
・生善
^¬*大悲経¼ の第二にのたまはく、 「もし三千大千世界のなかに満てらん須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢を、 もし善男子・善女人1063ありて、 もしは一劫、 もしは*減一劫、 もろもろの種々の*称意の一切の楽具をもつて、 恭敬し尊重し*謙下して供養せん。
¬大悲経ノ¼第二ニ云ク、「若シ三千大千世界ニ満テラム↠中ニ須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢ヲ、若シ有リテ↢善男子・善女人↡、若シハ一劫、若シハ減一劫、以テ↢諸ノ種々ノ称意ノ一切ノ楽具ヲ↡恭敬シ尊重シ謙下シテ供養セム。
^もしまた人ありて、 諸仏の所にして、 ただ一たび掌を合せ、 一たび名を称せん。 かくのごとき福徳を、 前の福徳に比ぶるに、 百分にして一にも及ばず。 百千億分にして一にも及ばず。 *迦羅分にして一にも及ばず。 なにをもつてのゆゑに。 仏如来はもろもろの*福田のなかに最無上たるをもつてなり。 このゆゑに仏に施するは大功徳を成ず」 と。
若シ復有リテ↠人、於テ↢諸仏ノ所ニ↡但シ一タビ合セ↠掌ヲ、一タビ称セム↠名ヲ。如キ↠是クノ福徳ヲ比ブルニ↢前ノ福徳ニ↡、百分ニシテ不↠及バ↠一ニモ。百千億分ニシテ不↠及バ↠一ニモ。迦羅分ニシテ不↠及バ↠一ニモ。何ヲ以テノ故ニ。以テナリ↣仏如来ハ諸ノ福田ノ中ニ為スヲ↢最モ无上ト↡。是ノ故ニ施スルハ↠仏ニ成ズト↢大功徳ヲ↡。」
^略して抄す。 三千世界に満てる辟支仏をもつて*校量することまたしかり。
略シテ抄ス。以テ↧満テル↢三千*世界ニ↡辟支仏ヲ↥挍量スルコト亦爾リ
^¬*普曜経¼ の偈にのたまはく、
¬普曜経ノ¼偈ニ云ク、
^「一切衆生の、 縁覚とならんに、 もし供養すること億数劫にして、
飲食・衣服・床臥具、 *梼香・雑香および名華をもつてすることあらんも、
| 「一切衆生ノ成レラムヲ↢縁覚ト↡ | 若シハ有ラムモ↢供養スルコト億数劫ニシテ |
| 飲食衣服床臥具 | *梼香雑香及ビ名華ヲモテスルコト↡ |
^もし心を一にして十の指を叉へ、 心をもつぱらにしてみづから一の如来に帰したてまつり、
口にみづから言を発して ª南無仏º といふことあらば、 この功徳の福をば最上なりとなす」 と。
| 若シハ有ラム↧一ニシテ↠心ヲ叉ヘ↢十ノ指ヲ↡ | 専ニシテ↠心ヲ自ラ帰シタテマツリ↢一ノ如来ニ↡ |
| 口ニ自ラ発シテ↠言ヲ南無仏トイフコト↥ | 是ノ功徳ノ福ヲバ為スト↢最上ナリト↡」 |
^¬*般舟経¼ に念仏三昧を説く偈にのたまはく、
¬般舟経ニ¼説ク↢念仏三昧ヲ↡偈ニ云ク、
^1064「たとひ一切みな仏となりて、 聖智清浄にして慧第一ならん。
みな億劫よりその数を過ぐすまで、 一偈の功徳を講説し、
| 「仮使一切皆為リテ↠仏ト | 聖智清浄ニシテ慧第一ナラム |
| 皆於テ↢億劫ニ↡過グスマデニ↢其ノ数ヲ↡ | 講↢説スルコト一偈↡之功徳ヲ |
^*泥洹に至るまで*福を誦詠し、 無数億劫にことごとく嘆誦すとも、
その功徳を究め尽すことあたはじ。 この三昧の一偈の事においてするを、
| 至ルマデニ↢於泥洹ニ↡誦↢詠シ福ヲ↡ | 無数億劫ニ悉ク嘆誦ストモ |
| 不↠能ハ↣究メ↢尽スコト其ノ功徳ヲ↡ | 於テハ↢是ノ三昧ノ一偈ノ事ニ↡ |
^一切の仏国のあらゆる地、 四方四隅および上下の、
なかに満てらん珍宝をもつて布施し、 用ゐて仏*天中の天に供養せんも、
| 一切ノ仏国ノ所有ノ地 | 四方四*隅及ビ上下ニ |
| 満テラム↠中ニ珍宝ヲ以テ布施トシテ | 用ヰテ供↢養セムモ仏天中ノ天ニ↡ |
^もしこの三昧を聞くことあるものは、 その*福祐を得ること、 かれに過ぎたらん。
*安諦に*諷誦し説講するものは、 譬へを引くとも功徳喩ふべからず」 と。
| 若シ有ラム↠聞クコト↢是ノ三昧ヲ↡者ハ | 得ルコト↢其ノ福祐ヲ↡過ギタラム↢於彼ニ↡ |
| 安諦シ諷誦シ説講セム者1174ハ | 引クトモ↠譬ヲ功徳不ト↠可カラ↠喩フ」 |
^一仏の刹を破して*塵となして、 一々の塵を取りて、 また砕くこと、 一仏刹の塵数においてするがごとくして、 この一塵をもつて一仏刹となして、 そこばくの仏刹の、 なかに満てらん珍宝を諸仏に供養せん。 これをもつて比となせり。 以上生善。
| 破シテ↢一仏ノ刹ヲ↡為シテ↠塵ト取リテ↢一々ノ塵ヲ↡、亦砕クコト、如クシテ↢一仏刹ノ塵数ニオイテスルガ↡、以テ↢此ノ一塵ヲ↡為シテ↢一仏刹ト↡、若干ノ仏刹ニ、満テラム↠中ニ珍宝ヲ供↢養セム諸仏ニ↡。以テ↠之ヲ為セリ↠比ト也。已上生善 |
・滅罪生善
^¬*度諸仏境界経¼ に説かく、 「もしもろもろの衆生の、 如来を縁じて、 もろもろの行を生ずるものは、 無数劫の地獄・畜生・餓鬼・閻魔王の生を断ず。 もし衆生ありて、 一念も*作意して如来を縁ずるものは、 所得の功徳限極あることなし1065。 称量すべからず。 百千万億那由他のもろもろの大菩薩の、 ことごとく不可思議の解脱定を得んも、 *計校してその辺際を知ることあたはじ」 と。
¬度諸仏境界経ニ¼説カク、「若シ諸ノ衆生ノ縁ジテ↢於如来ヲ↡生ズル↢諸ノ行ヲ↡者ハ、断ズ↢無数劫ノ地獄・畜生・餓鬼・閻*魔王ノ生ヲ↡。若シ有リテ↢衆生↡、一念モ作意シテ縁ズル↢如来ヲ↡者ハ、所得ノ功徳無シ↠有ルコト↢限極↡。不↠可カラ↢称量ス↡。百千万億那由他ノ諸ノ大菩薩ノ、悉ク得タルモ↢不可思議ノ解脱定ヲ↡、不ト↠能ハ↣計挍シテ知ルコト↢其ノ辺際ヲ↡。」
^¬観仏経¼ に、 「仏、 阿難に告げたまはく、 ªわれ涅槃しなん後に、 諸天・世人、 もしわが名を称し、 および «南無諸仏» と称せば、 獲るところの福徳無量無辺ならん。 いはんやまた繋念して諸仏を念ずるものは、 しかももろもろの障礙を滅除せざらんやº」 と。 以上、 滅罪生善。 その余は△上の正修念仏門のごとし。
¬観仏*経ニ¼、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、我涅槃シナム後ニ、諸天・世人、若シ称シ↢我ガ名ヲ↡、*及ビ称セムハ↢南無諸仏ト↡、所ノ↠獲ム福徳無量无辺ナラム。況ヤ復繋念シテ念ゼム↢諸仏ヲ↡者ハ、而モ不ラム↣滅↢除セ諸ノ障礙ヲ↡耶ト。」已上滅罪生善。其ノ余ハ如シ↢上ノ正修念仏門ノ↡
二 Ⅶ ⅱ 冥得護持
【60】^第二に△*冥得護持といふは、
第二ニ冥ニ得トイフ↢護持ヲ↡者、
^¬*護身呪経¼ (意) にのたまはく、 「▼*三十六部の神王に、 万億恒沙の鬼神ありて眷属となして、 *三帰を受けたるものを護る」 と。
¬護身呪経ニ¼云ク、「卅六部ノ神王ニ有リテ↢万億恒沙ノ鬼神↡為シテ↢眷属ト↡、護ルト↧受ケタル↢三帰ヲ↡者ヲ↥。」
^¬般舟経¼ にのたまはく、 「*劫尽き壊焼する時に、 この三昧を持てる菩薩は、 たとひこの火のなかに堕つとも、 火すなはちために滅しなんこと、 たとへば、 大きなる*甖の水の、 小火を滅するがごとし。
¬般舟経ニ¼云ク、「劫尽キ壊焼セム時ニ、持タム↢是ノ三昧ヲ↡菩薩者、正 使* ヒ堕ツトモ↢是ノ火ノ中ニ↡、火即チ為ニ滅シナムコト。譬ヘバ如シ↣大ナル*甖ノ水ノ滅スルガ↢小火ヲ↡。
^仏、 跋陀和に告げたまはく、 ªわが語るところは異あることなし。 この菩薩は、 この三昧を持てるに、 もしは帝王、 もしは賊、 もしは火、 もしは水、 もしは竜、 もしは蛇、 もしは*閲叉・鬼神、 もしは猛獣、 乃至 もしは人の禅を壊り、 人の念を奪ふものも、 たとひこの菩薩を中らんと欲せば、 つひに中ることあたはじº と。
仏告ゲタマハク↢跋陀和ニ↡、我ガ所語ハ無シ↠有ルコト↠異。是ノ菩薩者、持タバ↢是ノ三昧ヲ↡、若シハ帝王、若シハ賊、若シハ火、若シハ水、若シハ竜、若シハ蛇、若シハ*閲叉・鬼神、若シハ*猛獣、乃至 若シハ壊リ↢人ノ禅ヲ↡奪フモノモ↢人ノ念ヲ↡、設ヒ欲セバ↠中ラムト↢是ノ菩薩ヲ↡者、終ニ不ト↠能ハ↠中ラムコト。
^仏ののたまはく、 ªわ1066が語るところのごときは異あることなし。 その宿命をば除きて、 その余はよく中るものあることなしº」 と。
仏ノ言ク、如キハ↢我ガ所語ノ↡無シ↠有ルコト↠異。除キテ↢其ノ宿命ヲバ↡、其ノ余ハ無シト↠有ルコト↢能ク中ル者↡。」
^偈 (般舟経) にのたまはく、
偈ニ曰ク、
^「鬼神・*乾陀ともに擁護し、 諸天・人民もまたかくのごとくせん。
ならびに*阿須輪・摩睺勒も、 この三昧を行ぜば、 かくのごときことを得ん。
| 「鬼神乾陀共ニ擁護セム | 諸天人民モ亦如クセム↠是クノ |
| 并セテ阿須*輪摩1175睺勒モセム | 行ゼバ↢此ノ三昧ヲ↡得ム↠如キコトヲ↠是クノ |
^諸天ことごとくともにその徳を頌め、 天・人・竜神・*甄陀羅、
諸仏も、 *嗟嘆して願のごとくならしめたまはん。 経を諷誦し説きて人のためにせんがゆゑなり。
| 諸天悉ク共ニ頌セム↢其ノ徳ヲ↡ | 天人竜神甄陀羅 |
| 諸仏モ嗟嘆シテ令メタマハム↠如クナラ↠願ノ | 諷↢誦シ説キテ↣経ヲ↡為ニセムガ↠人ノ故ナリ |
^国々あひ伐ちて民荒乱し、 飢饉しきりに臻りて苦窮を懐くとも、
つひにその命を*中夭せじ。 よくこの経を誦して人を化するものは、
| 国々相伐チテ民荒乱シ | 飢饉*荐ニ臻リ*懐クトモ↢苦窮ヲ↡ |
| 終ニ不↣於テ↠中ニ*夭セ↢其ノ命ヲ↡ | 能ク誦シテ↢*此ノ経ヲ↡化セム↠人ヲ者ハ |
^勇猛にしてもろもろの魔事を*降伏し、 心に畏るるところなく毛竪たじ。
その功徳行も不可議ならん。 この三昧を行ずるものは、 かくのごときことを得ん」 と。
| 勇猛ニシテ降↢伏セム諸ノ魔事ヲ↡ | 心ニ無ク↢所畏↡毛不↠竪タ |
| 其ノ功徳行モ不可議ナラム | 行ゼバ↢此ノ三昧ヲ↡得ムト↠如キコトヲ↠是クノ」 |
^¬*十住婆沙¼ に、 これらの文を引きをはりていはく、 「ただ*業報かならず受くべきものをば除く」 と、 云々。
¬*十住婆*娑ニ¼引キ↢此等ノ文ヲ↡已リテ云ク、「唯除クト↢業報必ズ応キ↠受ク者ヲバ↡」*云々
^¬*十二仏名経¼ の偈にのたまはく、
▼¬十二仏名経ノ¼偈ニ云ク、
^「もし人、 仏の名を持てば、 衆魔および*波旬、
1067行住坐臥の処に、 その便りを得ることあたはじ」 と。
| 「若シ人持テバ↢仏ノ名ヲ↡ | 衆魔及ビ波旬 |
| 行住坐臥ノ処ニ | 不ト↠能ハ↠得ルコト↢其ノ便ヲ↡」 |
二 Ⅶ ⅲ 現身見仏
【61】^第三に△*現身見仏といふは、
第三ニ現身ニ見タテマツルトイフ↠仏ヲ者、
^¬*文殊般若経¼ の下巻にのたまはく、 「仏ののたまはく、 ªもし善男子・善女人、 *一行三昧に入らんと欲はば、 *空閑に処してもろもろの乱意を捨て、 *相貌を取らずして、 心を一仏に繋けて、 もつぱら名字を称すべし。 仏の*方所に随ひて身を端くして正しく向かひて、 よく一仏において念々に相続せよ。 すなはち念のうちにおいて、 よく過去・未来・現在の諸仏を見たてまつらんº」 と。
¬文殊般若経ノ¼下巻ニ云ク、「仏ノ*言ク、若シ善男子・善女人欲ハバ↠入ラムト↢一行三昧ニ↡、応シ↧処シテ↢*空閑ニ↡捨テ↢諸ノ乱意ヲ↡、不シテ↠取ラ↢相貌ヲ↡繋ケテ↢心ヲ一仏ニ↡、専ラ称ス↦名字ヲ↥。随ヒテ↢仏ノ方所ニ↡端クシテ↠身ヲ正シクシテ向ヒテ、能ク於テ↢一仏ニ↡念々ニ相続セヨ。即チ於テ↢*念ノ中ニ↡、能ク見タテマツラムトイヘリ↢過去・未来・現在ノ諸仏ヲ↡。」
^導禅師 (*善導) 釈していはく (*礼讃・意)、 「▲衆生障重くして、 観成就しがたし。 ここをもつて大聖 (釈尊) 悲憐して、 ただもつぱら名字を称せよと勧めたまふ」 と。
導禅師釈シテ云ク、「衆生障重クシテ、観難シ↢成*就シ↡。是ヲ以テ大聖悲憐シテ、直ニ勧メタマフト↣専ラ称セヨト↢名字ヲ↡。」
^¬般舟経¼ にのたまはく、 「前に聞かざるところの経巻を、 この菩薩、 この三昧を持てる威神をもつて、 夢のうちにことごとくみづからその経巻を得て、 おのおのことごとく見、 ことごとく経の声を聞かん。 もし昼日に得ずは、 もしは夜、 夢のうちにしてことごとく仏を見たてまつることを得ん。
¬般舟経ニ¼云ク、「前ニ所ノ↠不ル↠聞カ経巻ヲ、是ノ菩薩持ツ↢是ノ三昧ヲ↡威神ニ、夢ノ中ニ悉ク自ラ得テ↢其ノ経巻ヲ↡、各々悉ク見、悉ク聞カム↢経ノ声ナ ヲ↡。若シ昼日ニ不ハ↠得者、若シハ夜於テ↢夢ノ中ニ↡悉ク得ム↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ。
^仏、 跋陀和に告げたまはく、 ªもしは一劫、 もしは一劫を過ぎて、 われ、 この菩薩の、 この三昧を持てるものを説き、 その功徳を説かんに、 尽しをはるべからず。 いかにいはんや、 よくこの三昧を求め得たるものをや1068º」 と。
仏告ゲタマハク↢跋陀和ニ↡、若シハ一劫、若シハ過ギテ↢一劫ヲ↡、我説キ↧是ノ菩薩ノ持タム↢是ノ三昧ヲ↡者ヲ↥、説カムニ↢其ノ功徳ヲ↡、不↠可カラ↢尽キ竟ル↡。何ニ況ヤ能ク求ム↠得ムト↢是ノ三昧1176ヲ↡者ヲヤト。」
^また同経の偈にのたまはく、
又同ジキ¬経ノ¼偈ニ云ク、
^「*阿弥陀の国の菩薩の、 *無央数百千の仏を見たてまつるがごとく、
この三昧を得たる菩薩もしかなり。 まさに無数百千の仏を見たてまつるべし。 乃至
| 「如ク↣阿弥陀ノ国ノ菩薩ノ | 見タテマツルガ↢无央数百千ノ仏ヲ↡ |
| 得タル↢是ノ三昧ヲ↡菩薩モ然ナリ | 当ニシ↠見タテマツル↢無*数百千ノ仏ヲ↡ 乃至 |
^それこの三昧を誦受することあらば、 すでにまのあたり百千の仏を見たてまつるとなす。
たとひ最後の大恐懼においても、 この三昧を持たば畏るるところなからん」 と。
| 其レ有ラム↣誦↢受スルコト是ノ三昧ヲ↡ | 已ニ為ニ面リ見タテマツラム↢百千ノ仏ヲ↡ |
| 仮使最後ノ大恐懼ニオイテモ | 持タバ↢此ノ三昧ヲ↡無ケムト↠所↠畏ルル」 |
^¬*念仏三昧経¼ の第九の偈にのたまはく、
¬念仏三昧経ノ¼第九ノ偈ニ云ク、
^「もしはことごとく一切の仏、 現在・未来および十方を見んと欲し、
あるいはまた*妙法輪を転ずることを求めんには、 また先づこの三昧を修習せよ」 と。
| 「若シハ欲セバ↧尽ク見タテマツリ↢一切ノ仏 | 現在・未来及ビ十方ヲ↡ |
| 或イハ復求メムト↞転ゼムコトヲ↢妙法輪ヲ↡ | 亦先ヅ修↢習セヨト此ノ三昧ヲ↡」 |
^¬十二仏名経¼ の偈にのたまはく、
¬十二仏名経ノ¼偈ニ云ク、
^「もし人よく心を至して、 七日仏の名を誦せば、
清浄の眼を得て、 よく無量の仏を見たてまつらん」 と。
| 「若シ人能ク至シテ↠心ヲ | 七日誦セバ↢仏ノ名ヲ↡ |
| 得テ↢於清浄ノ眼ヲ↡ | 能ク見タテマツラムト↢無量ノ仏ヲ↡」 |
二 Ⅶ ⅳ 当来勝利
【106962】^第四に△*当来勝利といふは、
第四ニ当来ノ勝利トイフ者、
・離悪趣
^¬*華厳¼ の偈にのたまはく、
¬華厳ノ¼偈ニ云ク、
^「もし如来の小の功徳をも念じ、 乃至一念の心にも専仰したてまつらば、
もろもろの悪道の怖れ、 ことごとく永く除こり、 智眼はここにおいてよく深く悟れり」 と。 智眼天王の頌なり。
| 「若シ念ジ↢如来ノ小ノ功徳ヲモ↡ | 乃至一念モ心ニモ専仰セムハ |
| 諸ノ悪道ノ怖リ悉ク永ク除コリナム | 智眼ハ於テ↠此ニ能ク深ク悟レリト」 |
| 智眼天王ノ*頌ナリ |
^¬般舟経¼ の偈にのたまはく、
¬般舟経ノ¼偈ニ云ク、
^「その人つひに地獄に堕せじ。 餓鬼道および畜生を離れん。
世々に生るるところにて宿命を識らん。 この三昧を学せば、 かくのごときことを得てん」 と。
| 「其ノ人終ニ不↠堕セ↢地獄ニ↡ | 離レム↢餓鬼道及ビ畜生ヲ↡ |
| 世々ニ所ニテ↠生レム識ラム↢宿命ヲ↡ | 学セバ↢*是ノ三昧ヲ↡得テムト↠如キコトヲ↠是クノ」 |
^¬観仏経¼ にのたまはく、 「もし衆生ありて、 一たびも仏身の、 上のごとき功徳・相好・光明を聞かば、 億々千劫にも悪道に堕ちず、 邪見・雑穢の処に生れず、 つねに正見を得て、 勤修すること息まざらん。 ただ仏の名を聞くに、 かくのごとき福を獲。 いかにいはんや、 念を観仏三昧に繋けんをや」 と。
¬観仏経ニ¼云ク、「若シ有リテ↢衆生↡一タビモ聞カバ↢仏身ノ如キ↠上ノ功徳・相好・光明ヲ↡、億々千劫ニモ不↠堕チ↢悪道ニ↡。不↠生レ↢邪見・雑穢之処ニ↡。常ニ得テ↢正見ヲ↡、勤修シテ不ラム↠息セ。但聞クニ↢仏ノ名ヲ↡、獲↢如キ↠是クノ福ヲ↡。何ニ況ヤ繋ケテ↠念ヲ観ズル↠仏ヲ三*昧ヲヤト。」
^¬*安楽集¼ (上) にいはく、 「▲¬*大集経¼ にのたまはく、 ª諸仏、 世に出でたまふに、 四種の法ありて、 衆生を度したまふ。 なんらをか四となす。
¬*安楽集ニ¼云ク、「¬大集経ニ¼云ク、諸仏出デタマフニ↠世ニ、有リテ↢四種ノ法↡度シタマフ↢衆生ヲ↡。何等ヲカ為ル↠四ト。
^◆一には、 口に十二部経を説きたまふ。 すなはちこれ、 法施をもつて衆生を度したまふなり。
一ニ者口ニ説キタマフ↢十二部経ヲ↡。即チ是法施ヲモテ度シタマフナリ↢衆生ヲ↡。
^◆二には1070、 諸仏如来には無量の光明・相好まします。 一切の衆生、 ただよく心を繋けて観察すれば、 益を獲ずといふことなし。 すなはちこれ、 身業をもつて衆生を度するなり。
二ニ者諸仏如来ニハ有ス↢無量ノ光明・相好↡。一切ノ衆生1177、但能ク繋ケテ↠心ヲ観察スレバ、无シ↠不トイフコト↠*獲↠益ヲ。即チ是身業ヲモテ度スルナリ↢衆生ヲ↡。
^◆三には、 無量の徳用・神通道力・種々の神変まします。 すなはちこれ、 神通道力をもつて衆生を度するなり。
三ニ者有ス↢無量ノ徳用・神通道力・種々ノ神変↡。即チ是神通道力ヲモテ度スルナリ↢衆生ヲ↡。
^◆四には、 諸仏如来には無量の名号まします。 もしは総、 もしは別なり。 それ衆生ありて、 心を繋けて称念すれば、 障を除き、 益を獲て、 みな仏前に生れずといふことなし。 すなはちこれ、 名号をもつて衆生を度するなりº」 と。 云々
四ニ者諸仏如来ニハ有ス↢無量ノ名号↡。若シハ総若シハ別ナリ。其レ有リテ↢衆生↡繋ケテ↠心ヲ称念スルハ、莫シ↠不トイフコト↣除キ↠障ヲ獲テ↠益ヲ皆生レ↢仏前ニ↡。即チ是名号ヲモテ度スルナリ↢衆生ヲ↡。」云々
^*あるがいはく、 「¬*正法念経¼ にこの文あり」 と。
*有ルガ云ク、「¬正法念経ニ¼有リト↢此ノ*文↡。」
^¬十二仏名経¼ の偈にのたまはく、
¬十二仏名経ノ¼偈ニ云ク、
^「もし人、 仏の名を持てば、 *怯弱の心を生ぜず、
智慧ありて*諂曲なきは、 つねに諸仏の前にあり。
| 「若シ人持テ↢仏ノ名ヲ↡ | 不↠生ゼ↢怯弱ノ心ヲ↡ |
| 智*慧アリテ無キハ↢諂曲↡ | 常ニ在リ↢諸仏ノ前ニ↡ |
^もし人、 仏の名を持てば、 七宝の華のなかに生ず。
その華千億葉にして、 威光の相具足せり」 と。
| 若シ人持テバ↢仏ノ名ヲ↡ | 七宝ノ華ノ中ニ生ズ |
| 其ノ華千億ニシテ葉アリテ | 威光ノ相具足セリト」 |
^以上諸文、 永く悪趣を離れて浄土に往生するなり
已上諸文、永ク離レテ↢悪趣ヲ↡往↢生スルナリ浄土ニ↡
・得菩提
^¬観仏経¼ にのたまはく、 「もしよく心を至して、 繋念うちにあり、 *端坐し*正受して仏の色身を観ぜば、 まさに知るべし、 この人の心は仏の心のごとくにして1071、 仏と異なることなからん。 煩悩ありといへども、 もろもろの悪のために*覆蔽せられじ。 未来世に大法の雨を雨らさん」 と。
¬観仏経ニ¼云ク、「若シ能ク至シテ↠心ヲ、繋念在リテ↠内ニ、端坐シ正受シテ観ゼムハ↢仏ノ色身ヲ↡、当ニシ↠知ル、是ノ人ノ心ハ如シ↢仏ノ心ノ↡。与↠仏無ケム↠異ナルコト。雖モ↠在リト↢煩悩↡不↧為ニ↢諸ノ悪ノ↡之所レ↦覆蔽セ↥。於テ↢未来世ニ↡雨ラサムト↢大法ノ雨ヲ↡。」
^¬*大集の念仏三昧経¼ の第七にのたまはく、 「まさに知るべし、 かくのごとき念仏三昧は、 すなはち一切の諸法を総摂することをなす。 このゆゑに、 かの声聞・縁覚の二乗の境界にあらず。 もし人、 しばらくもこの法を説くを聞かば、 この人は*当来に決定して仏になること疑あることなからん」 と。
¬大集ノ念仏三昧経ノ¼第七ニ云ク、「当ニシ↠知ル、如キ↠是クノ念仏三昧ハ、則チ為ス↣総↢摂スルコトヲ一切ノ諸法ヲ↡。是ノ故ニ非ズ↢彼ノ声聞・縁覚ノ、二乗ノ境界ニ↡。若シ人暫モ聞カム↠説カムヲ↢此ノ法ヲ↡者、是ノ人ハ当来ニ決定シテ成ラムコト↠仏ニ無ケムト↠有ルコト↠疑也。」
^第九にのたまはく (大集経)、 「ただよく耳にこの三昧の名を聞かば、 たとひ読せず誦せず、 受せず持せず、 修せず習せず、 他のために転ぜず、 他のために説かず、 また広く分別し釈することあたはずとも、 しかもかのもろもろの善男子・善女人、 みなまさに次第に*阿耨菩提を成就すべし」 と。
*第九ニ云ク、「但能ク耳ニ聞キテ↢此ノ三昧ノ名ヲ↡、仮令不↠読セ不↠誦セ、不↠受セ不↠持セ、不↠修セ不↠習セ、不↢為ニ↠他ノ転ゼ↡、不↢為ニ↠他ノ説カ↡、亦復不トモ↠能ハ↢広ク分別シ釈スルコト↡、然モ彼ノ諸ノ善男子・善女人、皆当ニシト↣次第ニ成↢*就ス阿耨菩提ヲ↡。」
^同偈にのたまはく、
*同ジキ偈ニ云ク、
^「もしもろもろの妙相を円満し、 もろもろの好上の荘厳を具足せんと欲ひ、
および清浄の処に転生することを求めんものは、 かならず先づこの三昧を受持せよ」 と。
| 「*若シ欲ハバ↫円↢満シ諸ノ妙相ヲ↡ | 具↢足シ衆ノ*好上ノ荘厳ヲ↡ |
| 及ビ求メムト↪転1178↩生スルコトヲ清浄ノ*処ニ↨ | 必ズ先ヅ受↢持セヨト此ノ三昧ヲ↡」 |
^またある ¬経¼ (*倶舎論) にのたまはく、
又有ル¬経ニ¼言ク、
^「もし仏の福田において、 よく少分の善を殖ゑつれば、
1072初めには*勝善趣を獲、 後にはかならず涅槃を得」 と。
| 「若シ於テ↢仏ノ福田ニ↡ | 能ク殖ヱツレバ↢少分ノ善ヲ↡ |
| 初ニハ獲↢勝善趣ヲ↡ | 後ニハ必ズ得ト↢涅槃ヲ↡」 |
^¬*大般若経¼ にのたまはく、 「仏を敬ひ憶ふによりて、 かならず生死を出でて涅槃に至る。 これを置きて、 乃至、 仏を供養せんがために、 一華をもつて虚空に散ずるもまたかくのごとし。 またこれを置きて、 もし善男子・善女人等、 下一たび ª南無仏陀大慈悲者º と称するに至らば、 この善男子・善女人等は、 生死の際を窮むるまで善根尽くることなくして、 天・人のなかにしてつねに富楽を受け、 乃至、 最後には*般涅槃を得ん」 と。
¬大般若経ニ¼云ク、「依リテ↠*驚ニ憶スルニ↠仏ヲ、必ズ出デテ↢生死ヲ↡至ル↢涅槃ニ↡、置キテ↠此ヲ、乃至為ニ↣供↢養セムガ仏ヲ↡以テ↢一華ヲ↡散ズルモ↢虚空ニ↡亦如シ↠是クノ。又置キテ↠此ヲ若シ善男子・善女人等、下至ルマデセム↣一タビ称スルニ↢南*謨仏陀大慈悲者ト↡。是ノ善男子・善女人等ハ、窮ムルマデ↢生死ノ際ヲ↡善根無クシテ↠尽クルコト、於テ↢天人ノ中ニ↡恒ニ受ケ↢富楽ヲ↡、乃至最後ニハ得ムト↢般涅槃ヲ↡。」
^略して抄す。 ¬大悲経¼ の第二、 これに同じ。 ¬宝積経¼ 以下、 粗なり。
略シテ抄ス。¬大悲経ノ¼第二、同ジ↠之ニ。¬*宝積経¼已下麁*也
^¬宝積経¼ にのたまはく、 「もし衆生ありて、 如来の所にして微善を起さば、 *苦際を尽すまで*畢竟じて壊せず」 と。
¬宝積経ニ¼云ク、「*若シ有リテ↢衆生↡於テ↢如来ノ所ニ↡起ス↢微善ヲ↡者ハ、尽スマデニ↢於苦際ヲ↡畢竟ジテ不ト↠壊セ。」
^またのたまはく (宝積経)、 「もし菩薩ありて、 *勝意楽をもつてよくわが所において父の想を起さば、 かの人はまさに如来の数に入ることを得て、 わがごとくにして異なることなからん」 と。
又云ク、「若シ有リテ↢菩薩↡、以テ↢勝意楽ヲ↡能ク於テ↢我ガ所ニ↡*起セバ↢父ノ想ヲ↡、彼ノ人ハ当ニシ↠得テ↠入ルコトヲ↢如来ノ数ニ↡。如クシテ↠我ガ無ケムト↠異ナルコト。」
^¬十二仏名経¼ の偈にのたまはく、
¬十二仏名経ノ¼偈ニ云ク、
^「もし人、 仏の名を持たば、 世々所生の処に、
*身通をもつて虚空に遊び、 よく無辺の刹に至りて、
| 「若シ人持タムハ↢仏ノ名ヲ↡ | 世々所生ノ処ニ |
| 身通ヲモテ遊ビ↢虚空ニ↡ | 能ク至リテ↢無辺ノ刹ニ↡ |
^まのあたり諸仏を覩たてまつりて、 よく甚深の義を問ふ。 乃至
1073ために*微妙の法を説きて、 かれに*菩提の記を授けたまふ」 と。
| 面リ覩タテマツリテ↢於諸仏ヲ↡ | 能ク問フ↢甚深ノ義ヲ↡ 乃至 |
| 為ニ説キテ↢微妙ノ法ヲ↡ | 授ケタマフト↢彼ニ菩提ノ記ヲ↡」 |
|
|
^¬*法華経¼ の偈にのたまはく、
¬法華経ノ¼偈ニ云ク、
^「もし人、 散乱の心にして、 *塔廟のなかに入り、
一たび ª南無仏º と称すれば、 みなすでに仏道を成ず」 と。
| 「若シ人散乱ノ心ニシテ | 入リテ↢於塔廟ノ中ニ↡ |
| 一タビ称セシ↢南無仏ト↡ | 皆已ニ成リニキト↢仏道ヲ↡」 |
|
|
^¬大悲経¼ の第三に、 「仏、 阿難に告げたまはく、 ªもし衆生ありて、 仏の名を聞かば、 われ説かく、 «この人は*畢定してまさに般涅槃に入ることを得べし»º」 と。
¬大悲経ノ¼第三ニ、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若シ有リテ↢衆生↡聞カバ↢仏ノ名ヲ↡者、我説カク、是ノ人ハ畢定シテ当ニシト↠得↠入ルコトヲ↢般涅槃ニ↡。」
^¬華厳経¼ の法幢菩薩の偈にのたまはく、
¬華厳経ノ¼法幢菩薩ノ偈ニ云ク、
^「もしもろもろの衆生ありて、 いまだ菩提心を発さざらんも、
一たび仏の名を聞くことを得ば、 決定して菩提を成ぜん」 と。
| 「若シ有リテ↢諸ノ衆生↡ | 未ダラムモ↠発サ↢菩提心ヲ↡ |
| 一タビ得バ↠聞クコトヲ↢仏ノ名ヲ↡ | 決定シテ成ラムト↢菩提ヲ↡」 |
^以上のもろもろの文、 菩提を得ることなり。
已上ノ諸ノ文、得ルコトナリ↢菩提ヲ↡
^ただ名号を聞くすら、 *勝利かくのごとし。 いはんやしばらくも相好・功徳を観念し、 あるいはまた一華・一香を供養せんをや。 いはんや一生に勤修する功徳、 つひに虚しからじ。 すなはち知りぬ、 仏法に値ひ、 仏号を聞くことは、 これ少縁にあらず。
但聞クニスラ↢名号ヲ↡勝利如シ↠是クノ。況1179ヤ暫モ観↢念シ相好・功徳ヲ↡、或イハ復供↢養セムヲヤ一華・一香ヲ↡。況ヤ一生ニ勤修セム功徳、終ニ不↠虚シカラ。則チ知リヌ、値ヒ↢仏法ニ↡、聞クコトハ↢仏号ヲ↡、非ズ↢是少縁ニ↡。
^このゆゑに ¬華厳経¼ の真実慧菩薩の偈にのたまはく、
是ノ故ニ¬華厳経ノ¼真実慧菩薩ノ偈ニ云ク、
^「むしろ地獄の苦を受くとも、 諸仏の名を聞くことを得よ。
1074無量の楽を受くとも、 仏の名を聞かざることなかれ」 と。
| 「寧ロ受ケテ↢地獄ノ苦ヲ↡ | 得ム↠聞クコトヲ↢諸仏ノ名ヲ↡ |
| 不レト↧受ケテ↢無量ノ楽ヲ↡ | 而不ハアラ↞聞カ↢仏ノ名ヲ↡」 |
|
|
^以上の*四の門は、 総じて諸仏を念ずる利益を明かす。 そのなかに、 ¬観仏経¼ には釈迦をもつて首めとなす。 ¬般舟経¼ は多く弥陀をもつて首めとなす。 理、 実にはともに一切の諸仏に通ず。 ¬*念仏経¼ は三世の諸仏に通ず。
已上ノ四ノ門ハ、総ジテ明ス↧念ズル↢諸仏ヲ↡之利益ヲ↥。其ノ中ニ¬観仏経ニハ¼以テ↢釈迦ヲ↡為ス↠首ト。¬般舟経ハ¼多ク以テ↢弥陀ヲ↡為ス↠首ト。理実ニハ倶ニ通ズ↢一切ノ諸仏ニ↡。¬念仏経ハ¼通ズ↢三世ノ*諸仏ニ↡。
^問ふ。 ¬観仏経¼ にのたまはく、 「この人の心は、 仏の心のごとくにして、 仏と異なることなし」 と。
問フ。¬観仏経ニ¼云ク、「是ノ人ノ心ハ如シ↠仏ノ。心ト与↠仏無シト↠異ナルコト。」
^また ¬*観経¼ にのたまはく、 「仏、 阿難に告げたまはく、 ª▲諸仏はこれ法界の身なり、 一切衆生の心想のうちに入りたまふ。 ◆このゆゑに、 なんぢら心に仏を想ふ時、 この心すなはちこれ三十二相・八十随形好なり。 是の心、 仏に作る。 是の心、 是仏なり。 諸仏の正遍知海は、 心想より生じたまふº」 と。 以上
又¬観経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、諸*仏ハ是法界ノ身ナリ、入リタマフ↢一切衆生ノ心想之中ニ↡。是ノ故ニ汝等心ニ想フ↠仏ヲ時、是ノ心即チ是卅二相・八十随形好ナリ。是ノ心作ル↠仏ニ。是ノ心是仏ナリ。諸仏ノ正遍知海ハ、従リ↢心想↡生ジタマフトイヘリ。」 已上
^この義いかん。
此ノ義云何ン。
^答ふ。 ¬往生論¼ (天親の浄土論) の*智光の ¬疏¼ にこの文を釈していはく、 「▲衆生の心に仏を想ふ時に当りて、 仏の身相みな衆生の心のなかに顕現す。 たとへば、 水清ければすなはち色像現ず。 しかも水と像とは、 一ならず異ならざるがごとし。 ゆゑにいふ、 仏の相好の身は、 すなはちこれ心想なりと。
答フ。¬往生論ノ¼智光ガ¬疏ニ¼釈シテ↢此ノ文ヲ↡云ク、「当リテ↢衆生ノ心ニ想フ↠仏ヲ時ニ↡、仏ノ身ノ相皆顕↢現ス衆生ノ心ノ中ニ↡。譬ヘバ如シ↢水清レバ即チ色像現ズ、而モ水ト与ハ↠像不↠一ナラ不ルガ↟異ナラ。故ニ言フ、仏ノ相好ノ身ハ、即チ是心*相ナリト。
^◆ª是心作仏º とは、 心よく仏に作るなり。 ◆ª是心是仏º とは、 心がほかに仏なきなり。 たとへば、 火の木より出づれども、 木を離る1075ることを得ず、 木を離れざるをもつてのゆゑに、 すなはちよく木を焼きて火となる。 木を焼けば、 すなはちこれ火たるがごとし」 と。 以上
是心作仏ト者心能ク作ルナリ↠仏ト。是心是仏ト者心ガ外ニ無キナリ↠仏。譬ヘバ如シト↢火ノ従リ↠木出ヅレドモ不↠得↠離ルルコトヲ↠木ヲ、以テノ↠不ルヲ↠離レ↠木ヲ故ニ、即チ能ク焼キテ↠木ヲ為ス↠火ト、焼キツルハ↠木ヲ、即チ是火ナルガ↡。」 已上
^また余の釈あり。 学者さらに勘へよ。
亦有リ↢余ノ釈↡。学者更ニ勘ヘヨ。
^わたくしにいはく、 ¬大集経¼ の 「日蔵分」 (意) にのたまはく、 「行者、 この念をなさく、 これらの諸仏は従りて来るところなし。 去りて至るところなし。 ただわが心の作なり。 三界のなかにおいて、 この身は因縁なり。 ただこれ心の作なり。
私ニ云ク、¬大集経ノ¼「日蔵分ニ」云ク、「行者作サク↢是ノ念ヲ↡、是等ノ諸仏ハ無シ↠所↢従ヒテ来ル↡。去リテ無シ↠所↠至ル。唯1180我ガ心ノ作ナリ。於テ↢三界ノ中ニ↡、是ノ身ノ因縁ハ唯是心ノ作ナリ。
^われ、 *覚観に随ひて、 多を欲すれば多を見、 少を欲すれば少を見る。 諸仏如来は、 すなはちこれわが心なり。 なにをもつてのゆゑに。 心に随ひて見るがゆゑに。 心、 すなはちわが身なり。 すなはちこれ虚空なり。
我随ヒテ↢覚観ニ↡欲スレバ↠多ヲ見↠多ヲ、欲スレバ↠少ヲ見ル↠少ヲ。諸仏如来ハ即チ是我ガ心ナリ。何ヲ以テノ故ニ。随ヒテ↠心ニ見ルガ故ニ。心即チ我ガ身ナリ。即チ是虚空ナリ。
^われ、 覚観によりて無量の仏を見たてまつる。 われ、 覚心をもつて仏を見たてまつり、 仏を知る。 心は心を見ず、 心は心を知らず。 われ、 法界を観ずるに、 性、 牢固なることなし。 一切の諸仏はみな覚観の因縁より生れたまふ。 このゆゑに、 法性はすなはちこれ虚空なり、 虚空の性もまたこれ空なり」 と。 以上
我因リテ↢覚観ニ↡見タテマツル↢無量ノ仏ヲ↡。我以テ↢覚心ヲ↡、見タテマツリ↠仏ヲ知ル↠仏ヲ。心ハ不↠見↠心ヲ、心ハ不↠知ラ↠心ヲ。我観ズルニ↢法界ヲ↡、性無シ↢牢固ナルコト↡。一切ノ諸仏ハ皆従リ↢覚観ノ因縁↡而生レタマフ。是ノ故ニ法性ハ即チ是虚空ナリ、虚空之性モ亦復是空ナリト。」 已上
^この文の意 ¬観経¼ に同じ。 光師 (智光) の釈また違ふことなし。
此ノ文ノ意同ジ↢¬観経ニ¼↡。光師ノ釈亦無シ↠違フコト。
^問ふ。 心、 仏に作ることを知るに、 なんの勝利かある。
問フ。知ルニ↢心作ルコトヲ↟仏ニ、有ル↢何ノ勝利カ↡。
^答ふ。 もしこの理を観ずれば、 よく三世の一切の仏法を了す。 乃至、 一たびも聞かば、 すなはち三途1076の苦難を解脱することを得。
答フ。若シ観ズレバ↢此ノ理ヲ↡、能ク了ス↢三世ノ一切ノ仏法ヲ↡。乃至一タビモ聞クニ、即チ得↣解↢脱スルコトヲ三途ノ苦難ヲ↡。
^¬華厳経¼ の如来林菩薩の偈にのたまふがごとし。
如シ↢¬華厳経ノ¼如来林菩薩ノ偈ニ云フガ↡。
^「もし人、 三世の一切の仏を知らんと欲求せば、
まさにかくのごとく観ずべし。 心もろもろの如来を造る」 と。
| 「若シ人欲↣求セバ知ラムト↢ | 三世ノ一切ノ仏ヲ↡ |
| 応ニ当シ↢如ク↠是クノ観ズ↡ | 心造ルト↢諸ノ如来ヲ↡」 |
^¬*華厳の伝¼ にいはく、 「*文明元年に、 *京師の人、 姓は王、 その名を失せり。 すでに戒行なく、 かつて善を修せず。 患によりて死を致す。 二人に引かれて地獄の門の前に至りぬ。
¬華厳ノ伝ニ¼曰ク、「文明元年ニ、京師ノ人、姓ハ王、失セリ↢其ノ名ヲ↡。既ニ無シ↢戒行↡。曽テ不↠修セ↠善ヲ。因リテ↠患ニ致ス↠死ヲ。被テ↢二人ニ引カ↡至リヌ↢地獄ノ門ノ前ニ↡。
^見れば一の僧あり。 これ*地蔵菩薩なりといふ。 すなはち王氏に教へて、 *この一の偈を誦せしむ。 これに謂らひていはく、 ªこの偈を誦し得ては、 よく地獄を排ひてんº と。
見レバ有リ↢一ノ僧↡。云フ↢是地蔵菩薩ナリト↡。乃チ教ヘテ↢王氏ニ↡、誦セシム↢此ノ一ノ偈ヲ↡。謂ラヒテ↠之ニ曰ク、誦シ↢得テハ此ノ偈ヲ↡能ク排ヒテムト↢地獄ヲ↡。
^王氏つひに入りて閻羅王に見ゆ。 王、 この人に問ふ、 ª功徳ありやº と。 答へていはく、 ªただ一の四句の偈を受持せりº と。 つぶさに上に説くがごとし。 ˆ閻羅ˇ 王、 つひに ˆ王氏をˇ *放勉しつ。
王氏遂ニ入リテ見ユ↢閻羅王ニ↡。王問フ↢此ノ人ニ↡、有ヤト↢功徳↡。答ヘテ云ク、*唯受↢持セリト一ノ四句ノ偈ヲ↡。具ニ如シ↢上ニ説クガ↡。王遂ニ*故放勉レヌ。
^この偈を誦する時に当りて、 声の及ぶところの受苦の人はみな解脱することを得つ。 王氏、 三日ありてはじめて蘇りぬ。
当リテ↧誦スル↢此ノ偈ヲ↡時ニ↥、声ノ所ノ↠*及ブ受苦之人ハ皆得ツ↢解脱スルコトヲ↡。王ノ氏、三日アリテ始テ蘇リヌ。
^この偈を*憶持して、 もろもろの沙門に向かひてこれを説く。 偈の文を示験するに、 まさに知りぬ、 これ ¬華厳経¼ の第十二巻の ª夜摩天宮無量諸菩薩雲集説法品º なり。 王氏みづから、 空観寺の1077僧定法師に向かひて、 説きてしかりといふ」 と。 略抄
憶↢持シテ此ノ偈ヲ↡、向ヒテ↢諸ノ沙門ニ↡説キテ↠之ヲ示ス↠験ヲ。偈ノ文ハ方ニ知リヌ、是¬華厳経ノ¼第十二巻ノ夜摩天宮無量諸1181菩薩雲集説法品ナリ。王氏自ラ向ヒテ↢空観寺ノ僧定法師ニ↡、説キテ云フト↠然リト也。」略抄
二 Ⅶ ⅴ 弥陀別益
【63】^第五に△弥陀を念ずる別益をいはば、
第五ニ*念ズル↢弥陀ヲ↡別ノ益ヲイハバ者、
^行者をしてその心決定せしめんがためのゆゑに、 別にこれを明かす。 滅罪生善と冥得護持と現身見仏と将来勝利とは、 次いでのごとし。
為ノ↠令メムガ↢行者ヲシテ其ノ心決定セ↡故ニ、別ニ明ス↠之ヲ。滅罪生善ト冥得護*持ト現身見仏ト将来勝利トハ如シ↠次デノ
・滅罪生善
^¬観経¼ の*像想観に説きてのたまはく、 「▲この観をなすものは、 無量億劫の生死の罪を除きて、 現身のなかに念仏三昧を得」 と。
¬観経ノ¼*説キテ↢像想観ニ↡云ク、「作ス↢是ノ観ヲ↡者ハ、除キテ↢無量億劫ノ生死之罪ヲ↡、於テ↢現身ノ中ニ↡得ト↢念仏三昧ヲ↡。」
^またのたまはく (観経)、 「▲ただ仏 (阿弥陀仏) の名・二菩薩 (観音・勢至) の名を聞くに、 無量劫の生死の罪を除く。 いかにいはんや憶念せんをや」 と。
*又云ク、「但聞クニ↢仏ノ名二菩薩ノ名ヲ↡、除ク↢無量劫ノ生死之罪ヲ↡。何ニ況ヤ憶念セムヲヤト。」
^またのたまはく (観経)、 「▲ただ仏像を想ふに、 無量の福を得。 いはんやまた仏の具足せる身相を観ぜんをや」 と。
又云ク、「但想フニ↢仏像ヲ↡得↢無量ノ福ヲ↡。況ヤ復観ゼムヲヤト↢仏ノ具足ノ身相ヲ↡。」
^¬*阿弥陀思惟経¼ にのたまはく、 「もし転輪王、 千万歳のうちに四天下に満てる七宝をもつて十方の諸仏に布施せんも、 *苾蒭・*苾蒭尼・優婆塞・優婆夷等の、 一たび*弾指するあひだも坐禅して、 平等心をもつて一切衆生を憐愍して、 阿弥陀仏を念ずる功徳にはしかじ」 と。 以上、 滅罪生善。
¬阿弥陀思惟経ニ¼云ク、「若シ転輪王、千万歳ノ中ニ満テテ↢四天下ニ↡七宝ヲモテ布↢施シタテマツラムハ十方ノ諸仏ニ↡、不ト↠如カ↧苾蒭・苾蒭尼・優婆塞・優婆夷等ノ、一タビ弾指セム*頃モ坐禅シテ、以テ↢平等心ヲ↡憐↢愍シテ一切衆生ヲ↡、念ゼム↢阿弥陀仏ヲ↡功徳ニハ↥。」已上滅罪生善
・冥得護持
^¬*称讃浄土経¼ にのたまはく、 「▲あるいは善男子、 あるいは善女人、 無量寿の極楽世界の清浄の仏土の功徳荘厳において、 もしはすでに願を発し、 もしはまさに願を発すべく、 もしはいま願を発すは、 かならずかくのごとく、 十方の面に住したま1078へる十恒河沙の諸仏世尊の、 摂受したまふところたらん。 説のごとく行ずるものは、 一切さだめて阿耨菩提において退転せざることを得。 一切さだめて無量寿仏の極楽世界に生れん」 と。
¬称讃浄土経ニ¼云ク、「或イハ善男子或イハ善女人於テ↢無量寿ノ極楽世界ノ清浄ノ仏土ノ功徳荘厳ニ↡、若シハ已ニ発シ↠願ヲ、若シハ当ニクハ↠発ス↠願ヲ、若シハ今発スハ↠願ヲ、必ズ為ラム↧如ク↠是クノ住シタマヘル↢十方ノ面ニ↡十*兢伽沙ノ諸仏世尊之所↦摂受シタマフ↥。如ク↠説ノ行ズル者ハ、一切定メテ於テ↢阿耨菩提ニ↡得↠不ルコトヲ↢退転ヲセ↡。一切定メテ生レムト↢無量寿仏ノ極楽世界ニ↡。」
^¬観経¼ にのたまはく、 「▲光明あまねく十方世界の念仏の衆生を照らして、 摂取して捨てたまはず」 と。
¬観経ニ¼云ク、「光明遍ク照シテ↢十方世界ノ念仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不ト↠捨テタマハ。」
^またのたまはく (観経)、 「▲無量寿仏の化身無数にして、 観世音・大勢至と、 つねにこの行人の所に来至したまふ」 と。
又云ク、「無量寿仏ノ化身無数ニシテ、与↢観世音・大勢至↡常ニ来↢至シタマフト此ノ行人之所ニ↡。」
^¬*十往生経¼ (意) に、 釈尊、 阿弥陀仏の功徳、 国土の荘厳等を説きをはりてのたまはく、 「*清信士・*清信女、 この経を読誦し、 この経を流布し、 この経を恭敬し、 この経を謗ぜず、 この経を信楽し、 この経を供養せん。
¬十往生経ニ¼釈尊説キ↢阿弥陀仏ノ功徳・国土1182ノ荘厳等ヲ↡已リテ云ク、「清信士・清信女、読↢誦シ是ノ経ヲ↡、流↢布シ是ノ経ヲ↡、恭↢敬シ是ノ経ヲ↡、不↠謗ゼ↢是ノ経ヲ↡、信↢楽シ是ノ経ヲ↡、供↢養セバ是ノ経ヲ↡、
^かくのごとき人の輩は、 この信敬によりて、 われ、 今日よりつねに前の▲二十五の菩薩をしてこの人を護持せしめ、 つねにこの人をして病なく悩みなく、 悪鬼・悪神、 また中害せず。 またこれを悩まさず、 また便りを得ざらしめん」 と。
如キ↠是クノ人ノ輩ハ、縁リテ↢是ノ信敬ニ↡、我従リ↢今日↡常ニ使メム↣前ノ廿五ノ菩薩ヲシテ護↢持セ是ノ人ヲ↡。常ニ使メム↢是ノ人ヲシテ無ク↠病無カラ↟悩。悪鬼・悪神、亦不↢中害セ↡。亦不↠悩マサ↠之ヲ、亦不ト↠得↠便ヲ。」
^以上乃至、 *睡寤・行住・所至の処、 みなことごとく安穏ならしめん、 云々。
已上乃至睡寤・行住・所至之処、皆悉ク安穏ナラシメム、云々
^*唐土 (中国) の諸師のいはく、 「二十五の菩薩、 阿弥陀仏を念じ、 往生を願ふものを擁護せん」 と。 云々 これまたかの ¬経¼ (十往生経) の意に違はず。
唐土ノ諸師ノ云ク、廿五ノ菩薩擁↧護セムトイヘリ念ジ↢阿弥陀仏ヲ↡、願フ↢往生ヲ↡者ヲ↥。*云々 此亦不↠違ハ↢彼ノ¬経ノ¼意ニ↡也。
^二十五の菩薩とは、 観世音菩薩・大勢至菩薩・薬王菩薩・薬上菩薩・普賢菩薩・法自在菩薩・師子吼菩1079薩・陀羅尼菩薩・虚空蔵菩薩・徳蔵菩薩・宝蔵菩薩・金蔵菩薩・金剛蔵菩薩・光明王菩薩・山海慧菩薩・華厳王菩薩・衆宝王菩薩・月光王菩薩・日照王菩薩・三昧王菩薩・定自在王菩薩・大自在王菩薩・白象王菩薩・大威徳王菩薩・無辺身菩薩なり。
▼廿五ノ*菩薩ト者、観世音菩薩・大勢至菩薩・薬王菩薩・薬上菩薩・普賢菩薩・法自在菩薩・師子*吼菩薩・陀羅尼菩薩・虚空蔵菩薩・徳蔵菩薩・宝蔵菩薩・*金蔵菩薩・金剛蔵菩薩・光明王菩薩・山海慧菩薩・華厳王菩薩・衆宝王菩薩・月光*王菩薩・日照王菩薩・三昧王菩薩・定自在王菩薩・大自在王菩薩・白象王菩薩・大威徳王菩薩・无辺身菩薩也
^¬*双巻経¼ (大経・上) に、 かの仏の本願 (第三十七願) にのたまはく、 「▲諸天・人民、 わが名字を聞きて、 五体を地に投げて、 稽首し礼をなして、 歓喜し信楽して、 菩薩の行を修せば、 諸天・世人、 敬を致さずといふことなからん。 もししからずは、 正覚を取らじ」 と。 以上、 冥得護持。
¬双巻経ニ¼彼ノ仏ノ本願ニ云ク、「諸天・人民、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、五体ヲ投ゲテ↠地ニ、稽首シ作シテ↠礼ヲ、歓喜シ信楽シテ、修セバ↢菩薩ノ行ヲ↡、諸天・世人、莫ケム↠不トイフコト↠致サ↠敬ヲ。若シ不ハ↠爾ラ者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」已上冥得護持
・見仏
^*△¬大集経¼ の 「賢護分」 にのたまはく、 「善男子・善女人、 端坐繋念し、 心をもつぱらにして、 かの阿弥陀如来・応供・*等正覚を想ひ、 かくのごとき相好、 かくのごとき*威儀、 かくのごとき大衆、 かくのごとき説法を、 聞くがごとく繋念し、 一心に相続して次第乱れず、 あるいは一日を経、 あるいはまた一夜せん。 かくのごとくして、 あるいは七日七夜に至るまで、 わが所聞のごとく具足して念ぜんがゆゑに、 この人、 かならず阿弥陀如来・応供・等正覚を覩たてまつらん。
¬大集経ノ¼「賢護分ニ」云ク、「善男子・善女人、端坐繋念シテ専ニシテ↠心ヲ想ヒ↢彼ノ阿弥陀如来・応供・*等正覚ノ、如キ↠是クノ相好、如キ↠是クノ威儀、如キ↠是クノ大衆、如キ↠是クノ説法ヲ↡、如クシテ↠聞クガ繋念シ一心ニ相続シテ次第不↠乱レ、或イハ経↢一日ヲ↡、或イハ復一夜シ、如クシテ↠是クノ或イハ至ルマデニ↢七日七夜ニ↡、如ク↢我ガ所聞ノ↡具足シテ念ゼムガ故ニ、是ノ人、必ズ覩タテマツラム↢阿弥陀如来・応供・等正覚ヲ↡。
^もし昼の時に見たてまつることあたはずは、 もしは夜分において、 あるいは夢のうちに、 阿弥陀仏はかならずまさに現じたまふべし」 と。
若シ於昼ノ時ニ不ハ↠能ハ↠見タテマツルコト者、若シハ於テ↢夜分ニ↡、或イハ夢ノ中ニマレ、阿弥陀仏ハ必ズ当ニシト↠現ジタマフ*也。」
^¬観経¼ にのたまはく、 「▲眉間の白毫を見るものは、 八1080万四千の相好、 自然にまさに見つべし。 ◆無量寿仏を見るものは、 すなはち十方の無量の諸仏を見たてまつるなり。 十方無量の諸仏を見たてまつることを得るがゆゑに、 諸仏、 現前に授記せん。 ◆これをあまねく一切色相を観ずとなす」 と。 以上見仏。
¬観経ニ¼云ク、「見ル↢眉間ノ白毫ヲ↡者ハ、八万四千ノ相好、自然ニ当ニシ↠見1183ツ。見ル↢無量寿仏ヲ↡者ハ、即チ見タテマツルナリ↢十方ノ無量ノ諸仏ヲ↡。得ルガ↠見タテマツルコトヲ↢*十方無量ノ諸仏ヲ↡故ニ、諸仏現前ニ授記セム。是ヲ為スト↣遍ク観ズト↢一切色相ヲ↡。」已上見仏
・将来勝利
^△¬*鼓音声王経¼ にのたまはく、 「十日十夜、 六時に念をもつぱらにし、 五体を地に投げてかの仏を*礼敬し、 堅固正念にしてことごとく散乱を除き、 もしはよく心に念じ、 念々に絶えずは、 十日のうちにかならずかの阿弥陀仏を見たてまつることを得、 *ならびに十方世界の如来および所住の処を見たてまつらん。 ただ重障・鈍根の人をば除く。
¬鼓音声王経ニ¼云ク、「十日十夜、六時ニ専ニシ↠念ヲ、五体ヲ投ゲテ↠地ニ礼↢敬シ彼ノ仏ヲ↡、堅固正念ニシテ悉ク除キ↢散乱ヲ↡、若シハ能ク念ノ心念々ニ不ハ↠絶エ、十日之中ニ必ズ得テム↧見タテマツルコトヲ↢彼ノ阿弥陀仏ヲ↡、并テ見ルコトヲ↦十方世界ノ如来及ビ所住ノ処ヲ↥。唯シ除ク↢重障・鈍根之人ヲバ↡。
^いまの少時において覩たてまつることあたはざるところなり。 一切のもろもろの善をみなことごとく回向して、 安楽世界に往生することを得んと願ぜば、 終らんとする日に、 阿弥陀仏、 もろもろの大衆とその人の前に現じて、 *安喩し*称善したまはん。 この人、 すなはちの時にはなはだ慶悦をなさん。 この因縁をもつて、 その所願のごとく、 すなはち往生することを得ん」 と。
於テ↢今ノ少時ニ↡所ナリトモ↠不ル↠能ハ↠覩タテマツルコト、一切ノ諸ノ善ヲ皆悉ク廻向シテ、願ゼバ↠得ムト↣往↢生スルコトヲ安楽世界ニ↡、垂ム↠終ラムト之日ニ、阿弥陀仏与↢諸ノ大衆↡現ジテ↢其ノ人ノ前ニ↡、安*喩シ称善シタマハム。是ノ人即チノ時ニ甚ダ生サム↢慶悦ヲ↡。以テ↢是ノ因縁ヲ↡、如ク↢其ノ所願ノ↡、即チ得ムト↢往生スルコトヲ↡。」
^△¬*平等覚経¼ (三) にのたまはく、 「仏ののたまはく、 ª▲かならずまさに斎戒して、 一心清浄にして昼夜につねに念じ、 無量清浄仏の国に生れんと欲ひて、 十日十夜、 断絶せざるべし。 われ、 みなこれを1081慈愍して、 ことごとく無量清浄仏の国に生ぜしめんº」 と。 乃至、 一日一夜もまたかくのごとし。 あるいは、 この文をもつて▽下の諸行門のなかに置くべし。
¬平等覚経ニ¼云ク、「仏ノ言ク、要ズ当ニシ↧斎戒シテ一心清浄ニシテ昼夜ニ常ニ念ジ、欲ヒテ↠生レムト↢無量清浄仏ノ国ニ↡、十日十夜不ル↦断絶セ↥。我皆慈↢愍シテ之ヲ↡、悉ク令メムト↠生ゼ↢無量清浄仏ノ国ニ↡。」乃至一日一夜モ亦如シ↠是クノ。或イハ、可シ↧以テ↢此ノ文ヲ↡置ク↦下ノ諸行門ノ中ニ↥
^¬双巻経¼ (大経・下) の偈にのたまはく、
¬双巻経ノ¼偈ニ云ク、
^「▲その仏の本願力ありて、 名を聞きて往生せんと欲へば、
みなことごとくかの国に到りて、 おのづから不退転に致る」 と。
| 「其ノ仏ノ本願力アリテ | 聞キテ↠名ヲ欲フハ↢往生セムト↡ |
| 皆悉ク到リテ↢彼ノ国ニ↡ | 自ラ致ルト↢不退転ニ↡」 |
^¬観経¼ の下品上生の人は、 ▲命終の時に臨みて、 *掌を合せ手を叉へて 「南無阿弥陀仏」 と称すれば、 仏の名を称するがゆゑに、 五十億劫の生死の罪を除き、 化仏の後に従ひて、 宝池のなかに生る。
¬観経ノ¼下品上生ノ人ハ、臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、合セ↠掌ヲ叉ヘテ↠手ヲ称スレバ↢南無阿弥陀仏ト↡、称スルガ↢仏ノ名ヲ↡故ニ、除キテ↢五十億劫ノ生死之罪1184ヲ↡、従ヒテ↢化仏ノ後ニ↡、生ル↢宝池ノ中ニ↡。
^同じき品の中生の人は、 ▲命終の時に臨みて、 地獄の猛火一時にともに至らんに、 弥陀仏の十力威徳、 光明神力、 戒・定・慧・解脱・知見を聞けば、 八十億劫の生死の罪を除き、 地獄の猛火、 化して清涼の風となりて、 もろもろの天の華を吹く。 華の上にみな化仏・菩薩ましまして、 この人を迎接して、 すなはち往生することを得しめたまふ。
同ジキ品ノ中生ノ人ハ、臨↢命終ノ時ニ↡、地獄ノ猛火一時ニ倶ニ至ル。聞キテ↢弥陀仏ノ十力威徳、光明神力、戒・定・*慧・解脱・知見ヲ↡、除キテ↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡、地獄ノ猛火化シテ為リテ↢清涼ノ風ト↡、吹ク↢諸ノ天ノ華ヲ↡。華ノ上ニ皆有シテ↢化仏・菩薩↡、迎↢接シテ此ノ人ヲ↡、即チ得シメタマフ↢往生スルコトヲ↡。
^同じき品の下生の人は、 ▲命終の時に臨みて、 苦に逼められて仏を念ずることあたはず。 善友の教に随ひて、 ただ心を至して声をして絶えざらしめ、 十念を具足して 「南無無量寿仏」 と称すれば、 仏の名を称するがゆゑに、 念々のうちに八十1082億劫の生死の罪を除き、 一念のあひだのごときにすなはち往生することを得。
同ジキ品ノ下生ノ人ハ、臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、苦ニ逼メサレテ不↠能ハ↠念ズルニ↠仏ヲ。随ヒテ↢善友ノ教ニ↡、但シ至シテ↠心ヲ令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、具↢足シテ十念ヲ↡称スレバ↢南無無*量寿仏ト↡、称スルガ↢仏ノ名ヲ↡故ニ、於テ↢念々ノ中ニ↡除キテ↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡、如キニ↢一念ノ*項ノ↡即チ得ト↢往生スルコトヲ↡。
^¬双巻経¼ (大経・上) に、 かの仏の本願にのたまはく、 「ª▲諸仏の世界の衆生の類、 わが名字を聞きて、 菩薩の無生法忍、 もろもろの深総持を得ずといはば、 正覚を取らじº (第三十四願) と。 ª▲他方の国土のもろもろの菩薩衆、 わが名字を聞きて、 すなはち不退転に至ることを得ずといはば、 正覚を取らじº (第四十七願)」 と。
¬双巻経ニ¼、彼ノ仏ノ本願ニ云ク、「諸仏ノ世界ノ衆生之類、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、不トイハバ↠得↢菩薩ノ無生法忍、諸ノ深総持ヲ↡者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。他方ノ国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、不トイハバ↢*即チ得↟至ルコトヲ↢不退転ニ↡者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」
^¬観経¼ にのたまはく、 「▲もし仏を念ずるものは、 まさに知るべし、 この人はこれ人中の分陀利華なり。 観世音菩薩・大勢至菩薩、 その勝友とならん。 まさに道場に坐し、 諸仏の家に生るべし」 と。 以上、 将来の勝利なり。 余は△上の別時念仏門のごとし。
¬観経ニ¼云ク、「若シ念ズル↠仏ヲ者ハ、当ニシ↠知ル、此ノ人ハ是人中ノ分陀利華ナリ。観世音菩薩・大*勢至菩薩、為ラム↢其ノ勝友ト↡。当ニシト↧坐シ↢道場ニ↡、生ル↦諸仏ノ家ニ↥。」已上将来ノ勝利ナリ。余ハ如シ↢上ノ別時念仏門ノ↡
二 Ⅶ ⅵ 引例勧信
【64】^第六に△*引例勧信といふは、
第六ニ引例勧信トイフ者、
^▼¬観仏経¼ の第三 (意) に、 仏、 もろもろの*釈子に告げてのたまはく、 「▽*毘婆尸仏の像法のうちに一の長者ありき、 名づけて月徳といひき。 五百の子ありき、 同じく重き病に遇へり。
¬観仏経ノ¼第三ニ、仏告ゲテ↢諸ノ釈子ニ↡言フハ、「毘婆尸仏ノ像法ノ中ニ有リキ↢一ノ長者↡、名ケテ曰ヒキ↢月徳ト↡。有リキ↢五百ノ子↡、同ジク遇ヘリ↢重キ病ニ↡。
^父、 子の前に致りて涕涙し合掌して、 もろもろの子に語らひていはく、 ªなんぢら、 邪見にして正法を信ぜず。 いま無常の刀、 なんぢが身を截り切むとも、 なんの怙むところありとかせん。 仏世尊まします、 毘婆尸と名づく。 なんぢ、 仏を称すべしº と。
父*致リテ↢子ノ前ニ↡涕涙シ合掌シテ、語ラヒテ↢諸ノ子ニ↡言ヒシク、汝等邪見ニシテ不↠信ゼ↢正法ヲ↡。今無常ノ刀截リ↢切ムトモ汝ガ身ヲ↡。為ム↢何ノ所アリトカ↟怙ム。有ス↢仏世尊↡、名ク↢毘婆尸ト↡。汝可シト↠称ス↠仏ヲ。
^も1083ろもろの子聞きをはりて、 その父を敬ふがゆゑに ª南無仏º と称しき。 父また告げていはく、 ªなんぢ、 法を称すべし、 なんぢ、 僧を称すべしº と。
諸ノ子聞キ已リテ、敬フガ↢其ノ父ヲ↡故ニ称シキ↢南無仏ト↡。父復告ゲテ言ク、汝可シ↠称ス↠法ト、汝可シト↠称ス↠僧ト。
^いまだ三たび称するに及ばずして、 その子命終しき。 仏を称せしをもつてのゆゑに四天王の所に生れき。 天上の寿尽きて、 前の邪見の業をもつて大地獄に堕ちき。 獄率羅刹、 熱鉄の扠をもつてその眼を刺し壊りき。 この苦を受けし時に、 父の長者の教誨せしところの事を憶して、 仏を念ぜしをもつてのゆゑに、 還りて人中に生じき。
未ダシテ↠及バ↢三タビ称スルニ↡、其ノ子命終シキ。以テノ↠称セシヲ↠仏ヲ故ニ生レキ↢四1185天王ノ所ニ↡。天上ノ寿尽キテ、前ノ邪見ノ業ヲモテ堕チキ↢大地獄ニ↡。獄卒羅刹以テ↢熱鉄ノ*扠ヲ↡刺シ↢壊リキ其ノ眼ヲ↡。受ケシ↢是ノ苦ヲ↡時ニ、憶シテ↧父ノ長者ノ所ノ↢教誨セシ↡事ヲ↥、以テノ↠念ゼシヲ↠仏ヲ故ニ、還リテ生ジキ↢人中ニ↡。
^*尸棄仏の出でたまへりしに、 ただ仏の名を聞きて、 仏の形を覩たてまつらざりき。 乃至、 *迦葉仏の時にもまたその名を聞きき。 *六仏の名を聞きし因縁をもつてのゆゑに、 われ (釈尊) と同じく生ぜり。
尸棄仏ノ出デタマヘリシニ、但聞キテ↢仏ノ名ヲ↡、不リキ↠覩タテマツラ↢仏ノ形ヲ↡。乃至迦葉仏ノ時ニモ亦聞キキ↢其ノ名ヲ↡。以テノ↧聞キシ↢六仏ノ名ヲ↡因縁ヲ↥故ニ、与↠我同ジク生ゼリ。
^このもろもろの比丘、 前世の時に、 悪心をもつてのゆゑに仏の正法を謗ぜしも、 ただ父のためのゆゑに ª南無仏º と称せしをもつて、 生々につねに諸仏の名を聞くことを得、 乃至、 今世にわが出でたるに値遇して、 もろもろの障除こるがゆゑに阿羅漢となれり」 と。
是ノ諸ノ比丘、前世之時ニ、以テノ↢悪心ヲ↡故ニ謗ジキ↢仏ノ正法ヲ↡。但為ノ↠父ノ故ニ称セシヲモテ↢南無仏ト↡、生々ニ常ニ得↠聞クコトヲ↢諸仏ノ名ヲ↡、乃至今世ニ値↢遇シテ我ガ出デタルニ↡、諸ノ障除コルガ故ニ成レリト↢阿羅漢ト↡。」
^またのたまはく (観仏経・意)、 「*燃灯仏の末法のうちに一の羅漢ありき。 その千の弟子、 羅漢の説を聞きて、 心に瞋恨を生じき。 寿の*修短に随ひておのおの命終せんと欲せしに、 羅漢、 教へて ª南無諸仏º と称せしめき。 すで1084に仏を称しをはりて忉利天に生ずることを得てき。 乃至 未来世にまさに仏に作ることを得べし、 南無光照と号せん」 と。
又云ク、「燃灯仏ノ末法之中ニ有リキ↢一ノ羅漢↡。其ノ千ノ弟子聞キテ↢羅漢ノ説ヲ↡、心ニ生ジキ↢瞋恨ヲ↡。随ヒテ↢寿ノ修短ニ↡各欲セシニ↢命終ラムト↡、羅漢教ヘテ称セシメキ↢南無諸仏ト↡。既ニ称シ↠仏ヲ已リテ得テキ↠生ズルコトヲ↢忉利天ニ↡。乃至 於テ↢未来世ニ↡当ニシ↠得↠作ルコトヲ↠仏ニ、*号セムト↢南無光照ト↡。」
^第七巻 (観仏経・意) に、 *文殊みづから説けり、 過去の宝威徳仏に値遇し礼拝せしことを。 「その時に、 *釈迦文仏讃じてのたまはく、 ª善きかな、 善きかな。 文殊師利、 すなはち昔の時に一たび仏を礼せしがゆゑに、 そこばくの無数の諸仏に値ふことを得てき。 いかにいはんや、 未来にわがもろもろの弟子の、 つとめて仏を観ずるものをやº と。
第七巻ニ、文殊自ラ説カク、*於値↢遇シ礼↣拝シキ過去ノ宝威徳仏ヲ↡。「爾ノ時ニ、釈迦文仏讃ジテ言ク、善キ哉善キ哉。文殊師利、乃チ於テ↢昔ノ時ニ↡一タビ礼セシガ↠仏ヲ故ニスラ、得テキ↠値フコトヲ↢爾許ノ無数ノ諸仏ニ↡。何ニ況ヤ未来ニ我ガ諸ノ弟子ノ、勤メテ観ゼム↠仏ヲ者ヲヤト。
^仏、 阿難に勅したまはく、 ªなんぢ、 文殊師利の語を持ちて、 あまねく大衆および未来世の衆生に告げよ。 もしはよく礼拝するもの、 もしはよく仏を念ずるもの、 もしはよく仏を観ずるもの、 まさに知るべし、 この人は、 文殊師利と等しくして異なることあることなからん。 身を捨てて、 他世に、 文殊師利等のもろもろの大菩薩、 その和上となりたまはんº」 と。
仏勅シタマハク↢阿難ニ↡、汝持チテ↢文殊師利ノ語ヲ↡、遍ク告ゲヨ↢大衆及ビ未来世ノ衆生ニ↡。若シハ能ク礼拝スル者、若シハ能ク念ズル↠仏ヲ者、*若シハ能ク観ズル↠仏ヲ者、当ニシ↠知ル、此ノ人ハ与↢文殊師利↡等シクシテ無ケム↠有ルコト↠異ナルコト。捨テテ↠身ヲ他世ニ文殊師利等ノ諸ノ大菩薩、為リタマハムト↢其ノ和上ト↡。」
^またのたまはく (観仏経・意)、 「▲時に、 十方の仏、 来りて*跏趺して坐したまへり。 東方の善徳仏、 大衆に告げてのたまはく、 ªわれ、 過去の無量世の時を念へば、 仏の、 世に出でたまへることありき。 宝威徳上王仏と号しき。
又云ク、「時ニ十方ノ仏来リテ跏趺シテ坐シタマヘリ。東方ノ善徳仏告ゲテ↢大1186衆ニ↡言ク、我念ヘバ↢過去ノ無量世ノ時ヲ↡、有リキ↢仏ノ出デタマヘルコト↟世ニ。号シキ↢宝威徳上王*仏ト↡。
^時に比丘ありき。 九弟子と*仏塔に往詣して、 仏像を礼拝しき。 一の宝像の厳顕にして観じつべきを見て、 礼しをはりて、 あきらかに視1085て、 偈を説きて讃嘆しき。 後の時に命終して、 ことごとく東方の宝威徳上王仏の国に生れて、 大蓮華のなかに結跏趺坐して、 忽然として化生しき。
時ニ有リキ↢比丘↡。与↢九弟子↡往↢詣シテ仏塔ニ↡、礼↢拝シキ仏像ヲ↡。見テ↢一ノ宝像ノ厳顕ニシテ可キヲ↟観ジツ、礼シ已リテ諦ニ視テ、説キテ↠偈ヲ讃嘆シキ。後ノ時ニ命終シテ、悉ク生レテ↢東方ノ宝威徳上王仏ノ国ニ↡、大蓮華ノ中ニシテ結跏趺坐シテ、忽然ニ化生シキ。
^これより以後、 つねに仏に値ふことを得、 諸仏の所にして浄く*梵行を修し、 念仏三昧を得てき。 三昧を得をはりしかば、 仏、 ために授記したまひき。 «十方の面におのおの仏になることを得ん» と。
従リ↠此已後、恒ニ得テ↠値フコトヲ↠*仏ニ、於テ↢諸仏ノ所ニ↡浄ク修シテ↢梵行ヲ↡、得テキ↢念仏三昧ヲ↡。得↢三昧ヲ↡已リシカバ、仏為ニ授記シタマヒキ。於テ↢十方ノ面ニ↡各得ムト↠成ルコトヲ↠仏ニ。
^▲東方の善徳仏はすなはちわが身これなり。 東南方の無憂徳仏、 南方の栴檀徳仏、 西南方の宝施仏、 西方の無量明仏、 西北方の華徳仏、 北方の相徳仏、 東北方の三乗行仏、 上方の広衆徳仏、 下方の明徳仏、 かくのごとき十仏は、 過去に塔を礼し、 像を観じ、 一偈をもつて讃嘆せるによりて、 いま十方にしておのおの仏になることを得たるなりº と。
東方ノ善徳仏者則チ我ガ身是ナリ。東南方ノ無*憂徳仏、南方ノ*旃檀徳仏、西南方ノ宝施仏、西方ノ無量明仏、西北方ノ華徳仏、北方ノ相徳仏、東北方ノ三乗行仏、上方ノ広衆徳仏、下方ノ明徳仏ナリ。如キ↠是クノ十仏ハ、由リテ↢過去ニ礼シ↠塔ヲ、観ジ↠像ヲ、一偈ヲモテ讃嘆セルニ↡、今於テ↢十方ニ↡各得タルナリト↠成ルコトヲ↠仏ニ。
^この語を説きをはりて、 釈迦文仏を問訊したまふ。 すでに問訊しをはりて、 大光明を放ちて、 おのおの本国に還りたまひぬ」 と。
説キ↢是ノ語ヲ↡已リテ、問↢訊シタマフ釈迦文仏ヲ↡。既ニ問訊シ已リテ、放チテ↢大光明ヲ↡、各還リタマヒヌト↢本国ニ↡。」
^またのたまはく (観仏経)、 「*四仏世尊、 空より下りて釈迦文仏の床に坐して、 讃じてのたまはく、 ª善きかな、 善きかな。 すなはちよく未来の時の濁悪の衆生のために、 三世の仏の白毫の光明を説きて、 もろもろの衆生をして罪咎を滅することを得しめたまふ。
又云ク、「四仏世尊従リ↠空而下リテ坐シテ↢釈迦*文仏ノ床ニ↡、讃ヘテ言ク、善キ哉善キ哉。乃シ能ク為ニ↢於未来之時ノ濁悪ノ衆生ノ↡、説キテ↢三世ノ仏ノ白毫ノ光*明ヲ↡、令メタマフ↢諸ノ衆生ヲシテ得↟滅スルコトヲ↢罪咎ヲ↡。
^所以はいかん。 われ昔曽をおもんみれば、 空王仏の所にして出家して道を学しき。 時に1086四の比丘あり。 ともに同学となりて、 仏の正法を習ひき。 煩悩、 心を覆ひて、 堅く仏法の宝蔵を持つことあたはず、 不善の業多くして、 まさに悪道に堕つべし。
所以者何ン。念レバ↢我昔ヲ↡、曽空王仏ノ所ニシテ出家シテ学シキ↠道ヲ。時ニ四ノ比丘アリ、共ニ為リテ↢同学ト↡、習ヒキ↢仏ノ正法ヲ↡。煩悩覆ヒテ↠心ヲ、不シテ↠能ハ↣堅ク持ツコト↢仏法ノ宝蔵ヲ↡、多クシテ↢不善ノ業↡、当ニカリキ↠*堕ツ↢悪道ニ↡。
^空中に声ありて、 比丘に語りていはく、 «空王如来はまた*涅槃したまひにき。 なんぢが所犯を救ふものなしと謂へりといへども、 なんぢら、 いま塔に入りて像を観ずべし。 仏の在世と等しくして異あることなからん» と。
空ノ中ニ有リテ↠声、語リテ↢比丘ニ↡言ク、空王如来ハ雖モ↢復涅槃シタマヒニキ、汝ガ之所1187犯ヲ謂ヘリト↟無シト↢救フ者↡、汝等今可シ↢入リテ↠塔ニ観ズ↟像ヲ。与↢仏ノ在世↡等シクシテ無ケムト↠有ルコト↠異。
^われ、 空の声に従ひて塔に入り、 像の眉間の白毫を観じて、 すなはちこの念をなさく、 «如来の在世の光明・色身は、 これとなんぞ異ならん。 仏の大人相、 願はくはわが罪を除きたまへ» と。 この語をなしをはりて、 大山の崩るるがごとくにして五体を地に投げて、 もろもろの罪を懴悔しき。
我従ヒテ↢空ノ声ニ↡入リテ↠塔ニ、観ジテ↢像ノ眉間ノ白毫ヲ↡、即チ作サク↢是ノ念ヲ↡、如来ノ在世ノ光明色身ハ、与↠此何ゾ異ナラム。仏ノ大人相、願クハ除キタマヘト↢我ガ罪ヲ↡。作シ↢是ノ語ヲ↡已リテ、如クニシテ↢大山ノ崩ルルガ↡五体ヲ投ゲテ↠地ニ、懴↢悔シキ諸ノ罪ヲ↡。
^これより以後、 八十億阿僧祇劫に悪道に堕ちず、 生々につねに十方の諸仏を見たてまつり、 諸仏の所にして甚深の念仏三昧を受持しき。 三昧を得をはりて、 諸仏現前して、 われに*記別を授けたまひき。
従リ↠是已後、八十億阿僧祇劫ニ不リキ↠堕チ↢悪道ニ↡、生々ニ常ニ見タテマツリキ↢十方ノ諸仏ヲ↡。於テ↢諸仏ノ所ニ↡受↢持シキ甚深ノ念仏三昧ヲ↡。得↢三昧ヲ↡已リテ、諸仏現前ニ、授ケタマヒキ↢我ニ記別ヲ↡。
^東方の妙喜国の*阿閦仏は、 すなはち第一の比丘これなり。 南方の歓喜国の宝相仏は、 すなはち第二の比丘これなり。 西方の極楽国の無量寿仏は、 第三の比丘これなり。 北方の蓮華荘厳国の微妙声仏は、 第四の比丘これなりº と。
東方ノ妙喜国ノ阿閦仏ハ、即チ第一ノ比丘是ナリ。南方ノ歓喜国ノ宝相仏ハ、即チ第二ノ比丘是ナリ。西方ノ極楽国ノ無量寿仏ハ、第三ノ比丘是ナリ。北方ノ蓮華荘厳国ノ微妙声仏ハ、第四ノ比丘是ナリト。
^時に、 四の如来おのおの右の手を申べて、 阿難が頂を摩で、 告げて1087のたまはく、 ªなんぢ、 仏語を持ちて、 広く未来のもろもろの衆生のために説けº と。 三たびこれを説きをはりて、 おのおの光明を放ちて、 本国に還帰したまひにき」 と。
時ニ四ノ如来各申ベテ↢右ノ手ヲ↡、摩デ↢阿難ガ頂ヲ↡、告ゲテ言ク、汝持チテ↢仏語ヲ↡、広ク為ニ↢未来ノ諸ノ衆生ノ↡説ケト。三タビ説キタマフコト↠此ヲ已リテ、各放チテ↢光明ヲ↡、還↢帰シタマヒニキト本国ニ↡。」
^またのたまはく (観仏経)、 「財首菩薩、 仏にまうしてまうさく、 ª世尊、 われ過去の無量世の時を念へば、 仏世尊ましましき、 また釈迦牟尼と名づけたてまつりき。 かの仏の滅後に一の王子ありき、 名づけて金幢といひき。 憍慢・邪見にして正法を信ぜざりき。 *知識の比丘ありき、 定自在と名づくるもの、 王子に告げていはく、 «世に仏像まします、 衆宝をもつて*厳飾せり。 しばらく塔に入りて、 仏の形像を観ずべし» と。
又云ク、「財首菩薩白シテ↠*仏ニ言ク、世尊、我念ハバ↢過去ノ無量世ヲ↡、時ニ有シキ↢仏世尊↡、亦名ケタテマツリキ↢釈迦牟*尼ト↡。彼ノ仏ノ滅後ニ有リキ↢一ノ王子↡、名ケテ曰ヒキ↢金幢ト↡。憍慢邪見ニシテ不リキ↠信ゼ↢正法ヲ↡。知識ノ比丘ノ名クルモノ↢定自在ト↡、告ゲテ↢王子ニ↡言ヒシク、世ニ有ス↢仏像↡、衆宝ヲモテ厳飾セリ。可シト↣暫ク入リテ↠塔ニ観ズ↢仏ノ形像ヲ↡。
^時にかの王子、 善友の語に随ひて、 塔に入りて像を観じき。 像の相好を見て、 比丘にまうさく、 «仏像の端厳なること、 なほかくのごとし。 いはんや仏の真身をや» と。 比丘、 告げていはく、 «なんぢ、 いま像を見るに、 礼することあたはずは、 まさに "南無仏" と称すべし» と。
時ニ彼ノ王子随ヒテ↢善友ノ*語ニ↡、入リテ↠塔ニ観ジキ↠像ヲ。見テ↢像ノ相好ヲ↡、白シテ言ク、比丘、仏像ノ端厳ナルコト猶尚如シ↠此クノ。況ヤ仏ノ真身ヲヤト。比丘告ゲテ言ヒシク、汝今見ルニ↠像ヲ、不ハ↠能ハ↠*礼スルコト者、当ニシト↠称ス↢南無仏1188ト↡。
^この時に、 王子、 合掌し恭敬して、 "南無仏" と称しき。 宮に還りて、 念を繋けて塔のなかの像を念ずるに、 すなはち*後夜に夢に仏像を見き。 仏像を見しがゆゑに、 心大きに歓喜し、 邪見を捨離して、 三宝に帰依しき。
是ノ時ニ、王子合掌シ恭敬シテ称シキ↢南無仏ト↡。還リテ↠宮ニ、繋ケテ↠念ヲ念ズルニ↢塔ノ中ノ像ヲ↡、即於テ↢後夜ニ↡夢ニ見キ↢仏像ヲ↡。見シガ↢仏像ヲ↡故ニ、心大ニ歓喜シテ、捨↢離レテ邪見ヲ↡、帰↢依シキ三宝ニ↡。
^寿命終るに随ひて、 前に塔に入りて "南無仏" と称せし因縁の功徳によりて、 九百1088万億那由他の仏に値ひて、 甚深の念仏三昧を*逮得せり。 三昧力のゆゑに、 諸仏現前して、 それがために記を授けたまひき。 これよりこのかた百万阿僧祇劫、 悪道に堕せざりき。 乃至今日、 甚深の*首楞厳三昧を獲得せり。 その時の王子は、 いまのわれ、 財首これなりº」 と。
随ヒテ↢寿命終ルニ↡、由リテ↧前ニ入リテ↠塔ニ称セシ↢南無仏ト↡因縁ノ功徳ニ↥、値ヒテ↢九*百万億那由他ノ仏ニ↡、逮↢得セリ甚深ノ念仏三昧ヲ↡。三昧力ノ故ニ、諸仏現前シテ為ニ↠其ガ授ケタマヒキ↠記ヲ。従リ↠是已来タ百万阿僧祇劫、不リキ↠堕セ↢悪道ニ↡。乃至今日、獲↢得セリ甚深ノ首楞厳三昧ヲ↡。爾ノ時ノ王子ハ、今ノ我、財首是也ト。」
^またのたまはく (観仏経)、 「仏ののたまはく、 ªわれ、 *賢劫のもろもろの菩薩と、 曽、 過去の栴檀窟仏の所にして、 この諸仏の色身・変化の観仏三昧海を聞けり。 この因縁の功徳力をもつてのゆゑに、 九百万億阿僧祇劫の生死の罪を超越して、 この賢劫にして次第に仏になる。 乃至 かくのごとく、 十方の無量の諸仏もみなこの法によりて*三菩提を成じたまふº」 と。
又云ク、「仏ノ言ク、我与↢賢劫ノ諸ノ菩薩↡、曽於テ↢過去ノ*旃檀窟仏ノ所ニ↡、聞キテ↢是ノ諸仏ノ色身・変化ノ、観仏三昧海ヲ↡、以テノ↢是ノ因縁ノ功徳力ヲ↡故ニ、超↢越シテ九百万億阿僧祇劫ノ生死之罪ヲ↡、於テ↢此ノ*賢劫ニ↡次第ニ成ル↠仏ニ。乃至 如ク↠是クノ、十方ノ無量ノ諸仏モ皆由リテ↢此ノ法ニ↡成ジタマフト↢三菩提ヲ↡。」
^¬*迦葉経¼ (意) にのたまはく、 「昔、 過去久遠の阿僧祇劫に、 仏、 世に出でたまへることありき。 号して光明とまうしき。 *入涅槃の後に、 一の菩薩ありき。 大精進と名づけき。 年はじめて十六にして、 *婆羅門種なり。 端正なること比びなし。
¬迦葉経ニ¼云ク、「昔過去久遠ノ阿僧祇劫ニ、有リキ↢仏出デタマヘルコト↟世ニ。号シテ曰シキ↢光明ト↡。入涅槃ノ後ニ、有リキ↢一ノ菩薩↡。*名ケキ↢大精進ト↡。年始メテ十六ニシテ、婆羅門種トシテ端正ナルコト無シ↠比。
^一の比丘ありて、 白畳の上に仏の形像を画きて、 持ちて精進に与へき。 精進、 像を見て、 心大きに歓喜して、 かくのごとき言をなさく、 ª如来の形像すら妙好なること、 なほしかり。 いはんやまた仏の身をや。 願はくは、 われ、 未来にまたかくのごとき妙身を成就することを得んº と。
有リテ↢一ノ比丘↡、於テ↢白畳ノ上ニ↡画キテ↢仏ノ形像ヲ↡、持チテ与ヘキ↢精進ニ↡。精進見テ↠像ヲ心大ニ歓喜シテ、作サク↢如キ↠是クノ言ヲ↡、如来ノ形像スラ妙好ナルコト乃爾リ。況ヤ復仏ノ身ヲヤ。願クハ我、未来ニ亦得ムト↣成↢就スルコトヲ如キ↠是クノ妙身ヲ↡。
^いひをはりて思1089念すらく、 ªわれもし家にあらば、 この身は得ること叵しº と。 すなはち父母にまうして、 哀れみを求め、 出家せんとせしに、 父母答へていはく、 ªわれいま年老いたり、 ただなんぢ一子あるのみ。 なんぢもし出家しなば、 われらまさに死ぬべしº と。
言ヒ已リテ思念セシク、我若シ在ラバ↠家ニ、此ノ身ハ叵ケムト↠得ルコト。即チ啓シテ↢父母ニ↡、求↢哀シキ出家セムコトヲ↡。父母答ヘテ言ク、我今年老イタリ、唯汝一子アルノミナリ。汝若シ出家シナバ、我1189等当ニシト↠死ヌ。
^子、 父母にまうさく、 ªもしわれを聴したまはずは、 われ今日より飲せじ、 食せじ、 床座に昇らじ、 また言説せじº と。 この誓をなしをはりて、 一日食せずして、 すなはち六日に至る。 父母・知識・八万四千のもろもろの*婇女等、 同時に悲泣して、 大精進を礼して、 尋いで出家を聴しき。
子白サク↢父母ニ↡、若シ不ハ↠聴シタマハ↠我ヲ者、*我従リ↢今日↡不↠飲セ、不↠食セ、不↠昇ラ↢床座ニ↡、亦不ト↢言説セ↡。作シ↢是ノ誓ヲ↡已リテ、一日不シテ↠食セ、乃至六日マデニス。父母・知識・八万四千ノ諸ノ婇女等、同時ニ悲泣シテ、礼シテ↢大精進ヲ↡、尋ギテ聴シキ↢出家ヲ↡。
^すでに出家することを得、 像を持して山に入り、 草を取りて座となし、 画像の前にありて結跏趺坐し、 一心にあきらかに観ぜり。 ªこの画像は如来に異ならず。 像は覚にあらず、 知にあらず。 一切の諸法もまたかくのごとし。 相なく、 相を離れたり。 体性空寂なりº と。
既ニ得テ↢出家コトヲ↡、持シテ↠像ヲ入リテ↠山ニ取リテ↠草ヲ為シテ↠座ト、在リテ↢画像ノ前ニ↡結跏趺坐シテ、一心ニ諦ニ、観ジキ↢此ノ画像ノ不ルコトヲ↟異ナラ↢如来ニ↡。像者*非ズ↠覚ニ、非ズ↠知ニ。一切ノ諸法モ亦復如シ↠是クノ。无ク↠相、離レタリ↠相ヲ。体性空寂ナリト。
^この観をなしをはりて日夜を経て、 *五通を成就し、 *無量を具足し、 *無礙弁を得、 *普光三昧を得て、 大光明を具せり。
作シ↢是ノ観ヲ↡已リテ経テ↢於日夜ヲ↡、成↢就シ五通ヲ↡、具↢*足シ无量ヲ↡、得↢无礙*弁ヲ↡、得テ↢普光三昧ヲ↡、具シ↢大光明ヲ↡、
^浄天眼をもつて東方の阿僧祇の仏を見たてまつり、 浄天耳をもつて仏の所説を聞きて、 ことごとくよく聴受しき。 七月を満足するまで、 智をもつて食となしき。 一切の諸天、 華を散じて供養しき。
以テ↢浄天眼ヲ↡見タテマツリ↢於東方ノ阿僧祇ノ仏ヲ↡、以テ↢浄天耳ヲ↡聞キテ↢仏ノ所説ヲ↡、悉ク能ク聴受シキ。満↢足スルマデニ七月ヲ↡、以テ↠智ヲ為シキ↠食ト。一切ノ諸天散ジテ↠華ヲ供養シキ。
^山より出でて村落に来至して、 人のために法を説1090くに、 二万の衆生、 菩提心を発し、 無量阿僧祇の人は、 声聞・縁覚の功徳に住し、 父母・親眷もみな、 *不退の無上菩提に住しき。
従リシテ↠山而出デテ来↢至シテ村落ニ↡、為ニ↠人ノ説キ↠法ヲ、二万ノ衆生発シ↢菩提心ヲ↡、无量阿僧祇ノ人ハ住シキ↢於声聞・縁覚ノ功徳ニ↡。父母・親眷モ、皆住シキ↢不退ノ無上菩提ニ↡。
^仏、 迦葉に告げたまはく、 ª昔の大精進は、 いまのわが身これなり。 この像を観ぜしによりて、 いま仏になることを得たり。 もし人ありて、 よくかくのごとき観を学せば、 未来にかならずまさに*無上道を成ずべしº」 と。
仏告ゲタマハク↢迦葉ニ↡、昔ノ大精進ハ、今ノ我ガ身是ナリ。由リテ↢此ノ観ゼシニ↟像ヲ、今得タリ↠成ルコトヲ↠仏ニ。若シ有リテ↠人能ク学セバ↢如キ↠此クノ観ヲ↡、未来ニ必ズ当ニシトイヘリ↠成ル↢无上道ヲ↡。」
^¬*譬喩経¼ の第二にのたまはく、 「▽昔、 比丘ありき。 その母を度せんと欲せしに、 母すでに命過しぬ。 すなはち*道眼をもつて天上・人中・*擒狩・*薜茘のなかに求索するに、 つひにこれを見ず。 *泥梨を観ずるに、 母がなかにあるを見て、 すなはち*懊惋し悲哀して、 広く方便を求めて、 その苦を脱せんと欲ひき。
¬譬喩経ノ¼第二ニ云ク、「昔有リキ↢比丘↡。欲シキ↠度セムト↢其ノ母ヲ↡。母已ニ命過シヌ。便チ以テ↢道眼ヲ↡天上・人中・*擒狩・薜茘ノ中ニ求索スルニ、了ニ不↠見↠之ヲ。観ジテ↢於泥*梨ヲ↡、見テ↢母ガ在ルヲ↟中ニ、*便チ懊惋シ悲哀シテ、広ク求メテ↢方便ヲ↡、欲ヒキ↠脱セムト↢其ノ苦ヲ↡。
^時に辺境に王ありき。 父を害して国を奪ひてき。 比丘、 この王の命、 余り七日ありて、 罪を受くる地は、 比丘の母と同じく一処にあらんと知りて、 夜の*安靖の時に、 王の寝れる処に到りて、 壁を穿ちて半身を現ず。 王、 怖ぢて刀を抜きて頭を斫る。 頭すなはち地に落ちぬれども、 その処は故のごとし。 これを斫ること数反するに、 *化の頭、 地に満つれども、 比丘は動かず。
時ニ辺境ニ有リキ↠王。害シテ↠父ヲ奪ヒテキ↠国ヲ。比丘知リテ↧此ノ王ノ命ノ余リ有リテ↢七日↡、受クル↠罪ヲ之1190地ハ与↢比丘ノ母↡同ジク在ラムト↦一処ニ↥、夜ノ安靖ノ時ニ、到リテ↢王ノ*寝レル処ニ↡、穿チテ↠壁ヲ現ズ↢半身ヲ↡。王怖ヂテ抜キテ↠刀ヲ斫ル↠頭ヲ。頭即チ落チヌレドモ↠地ニ。其ノ処ハ如シ↠故ノ。斫ルコト↠之ヲ数反スルニ、化ノ頭満チヌ↠地ニ。比丘ハ不↠動カ。
^王、 意にすなはち解りて、 その*非常なることを知りぬ。 *頭を叩きて過を謝す。 比丘のいはく、 ª恐るることなかれ、 怖づることなかれ。 あひ度せん1091と欲するのみ。 なんぢ、 父を害して国を奪へりやいなやº と。 対へていはく、 ª実にしかり。 願はくは慈救せられよº と。
王意ニ*乃チ解リテ、知リヌ↢其ノ非常ナルコトヲ↡。叩キテ↠頭ヲ謝ス↠過ヲ。比丘ノ言ヒシク、*莫レ↠恐ルルコト、莫レ↠怖ヅルコト。欲フラク↢相度セムト↡耳。汝害シテ↠父ヲ奪ヘリヤ↠国ヲ不耶ト。対ヘテ曰ク、実ニ爾リ。願クハ見レヨト↢慈救セ↡。
^比丘のいはく、 ª大功徳をなすとも、 おそらくはあひ及ばざらんか。 王、 まさに南無仏と称すべし。 七日絶えずは、 すなはち罪を免るることを得てんº と。 かさねて、 これに告げていはく、 ªつつしみてこの法を忘るることなかれº と。 すなはち飛びて去りぬ。
比丘ノ曰ク、作ストモ↢大功徳ヲ↡、恐クハ不ラムカ↢相及バ↡。王当ニシト↧称シテ↢南無仏ト↡七日不ハ↠絶エ、便チ得テム↞*免ルルコトヲ↠罪ヲ。重ネテ告ゲテ↠之ニ曰ク、慎ミテ莫レト↠忘ルベキコト↢此ノ法ヲ↡。即便チ飛ビテ去リヌ。
^王すなはち*手を叉へて一心に ª南無仏º と称説すること、 昼夜に懈らず、 七日ありて命終して、 ˆ王のˇ *魂神、 泥梨の門に向かひて ª南無仏º と称す。 泥梨のなかの人、 仏といふ音声を聞きて、 みな一時に ª南無仏º といひしかば、 泥梨すなはち冷めにき。
王便チ叉ヘテ↠手ヲ一心ニシテ称↢*説シテ南無仏ト↡、昼夜ニ不シテ↠懈ラ、七日アリテ命終シテ、魂神向ヒテ↢泥*梨ノ門ニ↡称ス↢南無仏ト↡。泥*梨ノ中ノ人聞キテ↢仏トイフ音声ヲ↡皆一時ニ言ヒシカバ↢南無仏ト↡、泥*梨即チ冷メニキ。
^比丘、 ために法を説きしかば、 比丘の母、 王、 および泥梨のなかの人、 みな度脱を得き。 後に大きに精進して、 須陀洹道を得き」 と。 以上諸文、 略して抄す。
比丘為ニ説キシカバ↠法ヲ、比丘ノ母・王及ビ泥*梨ノ中ノ人、皆得キ↢度脱ヲ↡。後ニ大ニ精進シテ、得キト↢須陀*洹道ヲ↡。」已上諸文、*略シテ抄ス
^*¬優婆塞戒経¼ にのたまはく、 「善男子、 われ本往、 邪見の家に堕ちたりき、 *惑網おのづからわれを蓋へり。 われ、 その時に名を広利といへり。 妻は名女にして、 精進勇猛し度脱すること無量にして、 十善をもつて化導しき。 われその時に、 心に殺猟をなしき。 酒肉を貪嗜し、 懶惰懈怠にして、 精進することあたはざりき。
¬優婆塞戒経ニ¼云ク、「善男子、我本往堕チタリキ↢邪見ノ家ニ↡、*或↢網セラレタリキ自我ノ蓋ニ↡。我ヲバ於テ↢爾ノ時ニ↡名ケテ曰ヒ↢広利ト↡、妻ヲバ名ケキ↢女精進ト↡。勇猛ナリキ、度脱スルコト無量ナリキ。十善ヲモテ化導シキ。我於テ↢爾ノ時ニ↡心ニ生シキ↢殺猟ヲ↡。貪↢嗜シ酒肉ヲ↡、懶*堕懈怠ニシテ不リキ↠能ハ↢精進スルコト↡。
^妻時にわれに語らはく、 ªその猟殺を止め、 戒めて1092酒肉を断ち、 つとめて精進を加へて、 地獄の苦悩の患ひを脱して、 天宮に上生して、 一処に与することを得よº と。
妻時ニ語ラハク↠我ニ、止メ↢其ノ猟殺ヲ↡戒メテ断テト↢酒肉ヲ↡、勤メテ加ヘテ↢精進ヲ↡、得ヨト↧脱シテ↢地獄ノ苦悩之患ヲ↡、上↢生シテ天宮ニ↡与スルコトヲ↦一処ニ↥。
^われその時においても殺心止まず、 酒肉の美味をも割捨することあたはず、 精進の心も懶惰にして前まず、 天宮は意みを息め、 地獄の分を受けたり。 われその時に*聚落のうちに居し、 *僧伽藍に近くして、 しばしば鍾を槌つを聞きき。
我於テモ↢爾ノ時ニ↡殺心不↠止マ、酒肉ノ美味ヲモ不↠能ハ↢割捨スルコト↡、精進之心モ懶*堕ニシテ不↠前マ、天ノ宮ニ息メ↠意ヲ、地獄ノ分ヲ受ケタリ。我於テ↢爾ノ時ニ↡居シテ↢聚落ノ内ニ↡、近ヅケリキ↢僧伽藍ニ↡。数バ聞キキ↠*槌1191ツヲ↠*鍾ヲ。
^妻われに語りていはく、 ª事々あたはずは、 *健鍾の声を聞くとき、 三たび弾指して一たび仏を称せよ。 身を斂めてみづから恭まり、 憍慢を生ずることなかれ。 その夜半のごときも、 この法廃することなかれº と。
妻語リテ↠我ニ言ヒシク、事々ニ不ハ↠能ハ↠聞クコト↢*健*鍾ノ声ヲ↡、三タビ弾指シテ一タビ称セヨ↠仏ヲ。*斂メテ↠身ヲ自ラ恭リテ、莫レ↠生ズルコト↢憍*慢ヲ↡。如キニ↢其ノ夜半ノ↡此ノ法莫レト↠癈スルコト。
^われすなはちこれを用ゐて、 また捨失することなかりき。 十二年を経て、 その妻命終して、 忉利天に生れき。 かへりて後三年ありて、 われまた寿尽きて、 *断事に経至せしに、 われを判じて罪に入れて、 地獄の門に向かへき。
我即チ用ヰテ↠之ヲ、無カリキ↢復捨失スルコト↡。経テ↢十二年ヲ↡其ノ妻命終シテ、生レキ↢忉利天ニ↡。却リテ後三年アリテ、我亦寿尽キテ経↢*至セシニ断事ニ↡、判ジテ↠我ヲ入レテ↠罪ニ、向ヘキ↢地獄ノ門ニ↡。
^門に入る時に当りて、 鍾の三声を声きしに、 われすなはち住立して、 心に歓喜をなし、 愛楽して厭はず。 法のごとく三たび弾指して、 長き声をもつて仏を唱へき。 声ごとにみな慈悲ありて、 *梵音朗らかに徹れりき。
当リテ↢入ル↠門ニ時ニ↡*声キシニ↢*鍾ノ三声ヲ↡、我即チ住立シテ、心ニ生シテ↢歓喜ヲ↡、愛楽シテ不シテ↠厭ハ、如ク↠法ノ三タビ弾指シテ、長キ声ヲモテ唱ヘキ↠仏ヲ。声ゴトニ皆慈悲ニシテ梵音朗カニ徹レリキ。
^*主事、 聞きをはりて、 心はなはだ*愧感すらく、 ªこれ真の菩薩なりけり。 いかんぞ錯りて判ぜるº と。 すなはち*遣追・還送して、 天上に往かしめき。
主事聞キ已リテ、心甚ダ愧感セシク、此真ノ菩薩ナリケリ。云何ゾ錯リテ判ゼルト。即チ遣追シテ還シテ送リテ、往カシメキ↢天上ニ↡。
^すでに往き、 到りをは1093りて、 五体を地に投げて、 わが妻を礼敬して、 まうさく、 ª大師、 幸ひにして大恩を義けて、 いま済抜せらる。 すなはち菩提に至るまで教勅に違はじº」 と。 以上
既ニ往キ*到リ已リテ、五体ヲ投ゲテ↠地ニ、礼↢敬シテ我ガ妻ヲ↡白シテ言イヒシク、大師、幸ニシテ義クシテ大恩ヲモテ如ク見レタリ↢済抜セ↡。乃至菩提マデニ不ト↠違ハ↢教勅ニ↡。」 已上
^また震旦 (中国) には、 *東晋よりこのかた*唐朝に至るまで、 阿弥陀仏を念じて浄土に往生せるもの、 *道俗・男女、 合せて五十余人なり。 僧二十三人、 尼六人、 沙弥二人、 在家男女合せて二十四人。 ¬*浄土論¼ ならびに ¬*瑞応伝¼ に出でたり。
又震*旦ニハ、東晋ヨリ已来タ至ルマデニ↢于唐朝ニ↡、念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡往↢生セル浄土ニ↡者、道俗・男女、合セテ五十余人ナリ。*僧廿三人、尼六人、沙弥二人、在家男女合セテ廿四人。出ダセリ↢¬浄土論¼并ニ¬瑞応*伝ニ¼↡。
^わが朝に往生せるもの、 またその数あり。 つぶさには*慶氏の ¬*日本往生の記¼ にあり。 いかにいはんや、 朝市にありて徳を隠し、 山林に名を逃れたるもの、 独り修して独り去る、 たれか知ることを得んや。
我ガ朝ニ往生セル者亦有リ↢其ノ数↡。具ニハ在リ↢慶氏ノ¬日本往生ノ記ニ¼↡。何ニ況ヤ朝市ニアリテ隠シ↠徳ヲ山林ニ逃レタル↠名ヲ之者、独リ修シテ独リ去ルハ、誰カ得ム↠知ルコトヲ耶。
^*問ふ。 △下下品の人と△五百の釈子とは、 臨終に同じく念じたるに、 昇沈なんぞ別なる。
問フ。下下品ノ人ト、五百ノ釈子トハ、臨終ニ同ジク念ゼリ。昇沈何ゾ別ナル。
^答ふ。 ¬*群疑論¼ に会していはく、 「五百の釈子は、 ただ父が教によりて一たび仏を念ぜしかども、 しかも菩提心を発し浄土に生るることを求めて、 慇懃に慚愧せざりき。 またかれは心を至さず、 またただ一念にして十念を具せざるがゆゑなり」 と。 略抄
答フラク、¬群疑論ニ¼会シテ云ク、「五百ノ釈子ハ、但依リテ↢*父ガ教ニ↡一タビ念ゼシカドモ↠仏ヲ、而モ不リキ↧発シ↢菩提心ヲ↡求メテ↠生レムコトヲ↢浄土ニ↡慇懃ニ慚愧セ↥。又彼ハ不↠至サ↠心ヲ、復唯一念ニシテ不ルガ↠具セ↢十念ヲ↡故ナリトイヘリ。」略抄
二 Ⅶ ⅶ 悪趣利益
【65】^第七に△悪趣の利益を明かさば、
第1192七ニ明サバ↢悪趣ノ利益ヲ↡者、
^¬大悲経¼ の第二にのたまはく、 「もしまた人ありて、 ただ心に仏を念じて一たびも敬信をなさば、 われ説かく、 この人1094はまさに涅槃の果を得て、 涅槃の際を尽すべし。 阿難、 しばらく人中の念仏の功徳をば置きて、 もし畜生ありて、 仏世尊においてよく念をなすものをば、 われまた説かく、 その善根の福報、 まさに涅槃を得べし」 と。
¬大悲経ノ¼第二ニ云ク、「若シ復有リテ↠人、*但シ心ニ念ジテ↠仏ヲ一タビモ生サバ↢敬信ヲ↡、我説カク、是ノ人ハ当ニシ↧得テ↢涅槃ノ果ヲ↡、尽ス↦涅槃ノ際ヲ↥。阿難、且ク置キテ↢人中ノ念仏ノ功徳ヲバ↡、若シ有リテ↢畜生↡於テ↢仏世尊ニ↡能ク生サム↠念ヲ者ヲバ、我亦説カク、其ノ善根ノ福報、当ニシト↠得↢涅槃ヲ↡。」
^問ふ。 なんらかこれなるや。
問フ。何等カ是ナル耶。
^答ふ。 同経の第三に、 仏、 阿難に告げたまはく、 「過去に大商主ありき。 もろもろの商人を将て大海に入りしに、 その船、 にはかに*摩竭大魚のために、 来りて呑み噬らはれんとす。
答フ。同ジキ¬経ノ¼第三ニ、仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、「過去ニ有リキ↢大商主↡。将テ↢諸ノ商人ヲ↡*於入リキ↢大海ニ↡。其ノ船卒ニ為ニ↢摩竭大魚ノ↡欲シキ↢来リテ呑ミ*噬レムト↡。
^その時に、 商主およびもろもろの商人、 心驚き毛竪ちて、 おのおのみな悲しみ泣きて、 *嗚呼す。 ª奇しきかな、 かの閻浮提はかくのごとく楽しむべく、 かくのごとく*希有なり。 世間の人身、 かくのごとく得がたし。 われいままさに父母と離別しぬ。 姉妹・婦児・親戚・朋友にも別離して、 われさらに見ざるべし。 また仏・法・衆僧をも見たてまつることを得まじくなりぬº と。 きはめて大きに悲哭しき。
爾ノ時ニ、商主及ビ諸ノ商人、心驚キ毛竪チテ、各皆悲シビ泣キテ、嗚呼ス。奇シキ哉、彼ノ閻浮提ハ如ク↠是クノ可ク↠楽フ、如ク↠是クノ希有ナリ。世間ノ人身如ク↠是クノ難シ↠得。我今当ニシ↧与↢父母↡離別シヌ、姉妹・婦児・親戚・朋友ニモ別離シテ、我更ニ不ル↞見。亦不クナリヌト↠得マ↠見タテマツルコトヲ↢仏・法・衆僧ヲモ↡。極テ大ニ悲哭シキ。
^その時に、 商主ひとへに右の肩を袒し、 右の膝を地に着けて、 船の上に住して、 一心に仏を念じ、 掌を合せて礼拝して、 声を高くして唱へていはく、 ª南無諸仏、 *得大無畏者、 大慈悲者、 *憐愍一切衆生者º と。 かくのごとく三たび称する時に、 もろもろの商人、 また同時にかくのごとく三たび称しき。
爾ノ時ニ、商主偏ニ袒シ↢右ノ肩ヲ↡、右ノ膝ヲ著ケテ↠地ニ、住シテ↢於船ノ上ニ↡、一心ニシテ念ジ↠仏ヲ、合セテ↠掌ヲ礼拝シテ、高クシテ↠声ヲ唱ヘテ言ク、南無諸仏、得大無畏者、大慈悲者、*憐愍一切衆生者ト。如ク↠是クノ三タビ称スル時ニ、諸ノ商人、亦復同時ニ如ク↠是クノ三タビ称シキ。
^時に摩竭魚、 仏の名号1095、 礼拝の音声を聞きて、 大愛敬をなし、 聞きてすなはち口を閉ぢてき。 その時に、 商主およびもろもろの商人、 みなことごとく安穏にして、 魚の難を免るることを得てき。
時ニ摩竭魚聞キテ↢仏ノ名号、礼拝ノ音声ヲ↡、生シテ↢大愛敬ヲ↡、聞キテ即チ閉ヂテキ↠口ヲ。爾ノ時ニ、商主及ビ諸ノ商人皆悉ク安*穏ニシテ、得テキ↠免ルルコトヲ↢魚ノ難ヲ↡。
^時に摩竭魚、 仏の音声を聞きて、 心に喜楽をなし、 さらに余のもろもろの衆生をも食噉せざりき。 これによりて命終して人中に生るることを得てき。 その仏の所にして、 法を聞き、 出家して、 善知識に近づきて、 阿羅漢を得てき。
時ニ摩*渇魚聞キテ↢仏ノ音声ヲ↡心ニ生シテ↢喜楽ヲ↡、更ニ不リキ↣食↢*敢セ余ノ諸ノ衆生ヲモ↡。因リテ↠是ニ命終シテ得テキ↠生ルルコトヲ↢人中ニ↡。於テ↢其ノ仏ノ所ニ↡聞キテ↠法ヲ、出家シテ近ヅキテ↢善知識ニ↡、得テキ↢阿羅漢ヲ↡。
^阿難、 なんぢ、 かの魚の、 畜生道に生れて、 仏の名を聞くことを得、 仏の名を聞きをはりて、 乃至、 涅槃せることを観ぜよ。 いかにいはんや、 人ありて、 仏の名を聞くことを得、 正法を聴聞せんをや」 と。 略抄
阿難、汝観ゼヨ↧彼ノ魚ノ生レテ↢畜生道ニ↡、得↠聞クコトヲ↢仏1193ノ名ヲ↡、*聞クコト↢仏ノ名ヲ↡已リテ、乃至涅槃セルコトヲ↥。何ニ況ヤ有リテ↠人得↠聞クコトヲ↢仏ノ名ヲ↡、聴↢聞セムヲヤト正法ヲ↡。略抄
^また ¬*菩薩処胎経¼ の 「八斎品」 にのたまはく、 「竜の子、 *金翅鳥のために、 *頌を説きていはく、
又¬菩薩処胎経ノ¼「八斎品ニ」云ク、「竜ノ子与ニ↢金翅鳥ノ↡而説キテ↠頌ヲ曰ク、
^ª殺はこれ不善の行なり。 寿命を減じて*中夭あり。
身は、 *朝露の虫の、 光を見てすなはち命終するがごとし。
| 殺ハ是不善ノ行ナリ | *減ジテ↢寿命ヲ↡中夭アリ |
| 身ハ如シ↢朝露ノ虫ノ | 見テ↠光ヲ則チ命終スルガ↡ |
^戒を持ち仏語を奉ずれば、 長寿天に生るることを得て、
*累劫に福徳を積みて、 畜生道に堕ちず。
| 持チ↠戒ヲ奉テバ↢仏語ヲ↡ | 得テ↠生ルルコトヲ↢長寿天ニ↡ |
| 累劫ニ積ミテ↢福徳ヲ↡ | 不↠堕チ↢畜生道ニ↡ |
^いまの身は竜身たれども、 戒徳清明にして行ず。
1096*六畜のなかに堕せりといへども、 かならずみづから済度することを望まんº と。
| 今ノ身ハ為テ↢竜身ト↡ | 戒徳清明ニシテ行ズ |
| 雖モ↠堕セリト↢六畜ノ中ニ↡ | 必ズ望マムト↢自ラ済度セムコトヲ↡ |
^この時に、 竜の子、 この頌を説く時に、 竜子・竜女、 心意開解して、 寿終りて後に、 みなまさに阿弥陀仏の国に生るべし」 と。 以上、 八斎戒の竜の子なり。
是ノ時ニ竜ノ子説ク↢此ノ頌ヲ↡時ニ、竜子・竜女、心意*開解シテ寿終リテ之後ニ、皆当ニシト↠生ル↢阿弥陀仏ノ国ニ↡。」已上八斎戒ノ竜ノ子也
^*余趣の、 仏語を信じて浄土に生るること、 これに准へよ。 地獄の利益は、 △前の国王の因縁、 ならびに▽下の粗心の妙果のごとし。
余趣ノ信ジテ↢仏語ヲ↡生ルルコト↢浄土ニ↡、准ヘヨ↠之ニ。地獄ノ利益ハ如シ↢前ノ国王ノ因縁、并テ下ノ麁心ノ妙果ノ↡。
^諸余の利益は、 ▽下の念仏の功能のごとし。
諸余ノ利益ハ如シ↢下ノ念仏ノ功*能ノ↡。
二 Ⅷ 念仏証拠
【66】^大文第八に、 △*念仏証拠といふは、
大文第八ニ▼念仏ノ証拠トイフ者、
・第一問答
^▼問ふ、 一切の善業はおのおの利益あり、 おのおの往生することを得てん。 なんがゆゑぞ、 ただ念仏の一門を勧むる。
▼問フ。▼一切ノ善業ハ各有リ↢利益↡、各得テム↢往生スルコトヲ↡。▼何ガ故ゾ唯勧ムル↢念仏ノ一門ヲ↡。
^◆答ふ。 いま念仏を勧むることは、 これ余の種々の妙行を*遮するにはあらず。 ただこれ、 ▼男女・貴賎、 ▼行住坐臥を*簡ばず、 時処諸縁を論ぜずして、 これを修するに難からず、 乃至、 臨終に往生を願求するに、 その便宜を得たるは念仏にはしかじ。
◆答フ。▼今勧ムルコトハ↢念仏ヲ↡、非ズ↣是遮スルニハ↢余ノ種々ノ妙行ヲ↡。只是、▼男女・貴賎、不↠簡バ↢行住坐臥ヲ↡、▼不シテ↠論ゼ↢時処諸縁ヲ↡、修スルニ↠之ヲ不↠難カラ、乃至臨終ニ願↢求スルニ往生ヲ↡、得タルハ↢其ノ便宜ヲ↡不↠如カ↢念仏ニハ↡。
^ゆゑに ¬*木槵経¼ にのたまはく、 「△難陀国の波瑠璃王、 使ひを遣はして、 仏にまうしてまうさく、 ª◆ただ願はくは、 世尊、 ことに*慈愍を垂れて、 われに*要法を賜ひて、 われをして日夜に修行することを得やすく、 未来世のうち1097にもろもろの苦を遠離せしめたまへº と。
◆故ニ¬木槵経ニ¼云ク、「難陀国ノ波瑠璃王遣シテ↠使ヲ白シテ↠仏ニ言ク、唯願クハ世尊、特ニ垂レテ↢慈愍ヲ↡、賜ヒテ↢我ニ要法ヲ↡、使メタマヘト↧我ヲシテ日夜ニ易ク得↢修行スルコトヲ↡、未来世ノ中ニ遠↦離セ衆ノ苦ヲ↥。
^◆仏告げてのたまはく、 ª大王、 もし煩悩障・報障を滅せんと欲はば、 まさに木槵子一百八を貫きて、 もつてつねにみづから随へて、 もしは行、 もしは坐、 もしは臥に、 つねにまさに心を至して分散の意なくして、 仏陀・達摩・僧伽の名を称しては、 すなはち一の木槵子を過ぐすべし。 かくのごとくして、 もしは十、 もしは二十、 もしは百、 もしは千、 乃至、 百千万せよ。
◆仏告ゲテ言ク、大*王、若シ欲ハバ↠滅セムト↢煩悩障・報障ヲ↡者、当ニ貫キテ↢木槵子一百八ヲ↡、以テ常ニ自ラ随ヘテ、若シハ行、若シハ坐、若シハ臥ニ、恒ニ当ニシ↧至シテ↠心ヲ無クシテ↢分散ノ意↡、称シテハ↢仏陀・達*摩・僧1194伽ノ名ヲ↡、乃チ過グス↦一ノ木槵子ヲ↥。如クシテ↠是クノ、若シハ十、若シハ廿、若シハ百、若シハ千、乃至百千万セヨ。
^◆もしよく二十万遍を満てんに、 身心乱れず、 もろもろの諂曲なくは、 命を捨てて第三の炎摩天に生るることを得て、 衣食自然にして、 つねに安楽なることを受けん。
◆若シ能ク満テムニ↢廿万遍ヲ↡、身心不↠乱レ無クハ↢諸ノ諂曲↡者、捨テテ↠命ヲ得テ↠生ルルコトヲ↢第三ノ炎*摩天ニ↡、衣食自然ニシテ、常ニ受ケム↢安楽ナルコトヲ↡。
^もしまたよく一百万遍を満たさば、 まさに▲百八の結業を除断することを得て、 生死の流を背きて、 涅槃の道に趣き、 無上の果を獲べしº」 と。 略抄
◆若シ復能ク満テテハ↢一百万遍ヲ↡者、当ニシト↧得テ↣除↢断スルコトヲ百八ノ結業ヲ↡、背キテ↢生死ノ流ヲ↡、趣キ↢涅槃ノ道ニ↡、獲↦无上ノ果ヲ↥。」略*抄
^いはんやまた、 もろもろの聖教のなかに、 多く念仏をもつて往生の業となせり。 その文、 はなはだ多し。 略して十の文を出さん。
◆況ヤ復▼諸ノ聖教ノ中ニ、多ク以テ↢念仏ヲ↡為セリ↢往生ノ業ト↡。其ノ文甚ダ多シ。略シテ出サム↢十ノ文ヲ↡。
^一には、 ¬*占察経¼ の下巻にのたまはく、 「もし人、 他方の現在の浄国に生れんと欲はば、 まさにかの世界の仏の名字に随ひて、 意をもつぱらにして誦念すべし。 一心に乱れずして↓上のごとく観察せば、 決定してかの仏の浄国に生るることを得、 善根増長して、 すみやかに不退を成ぜん」 と。
◆一ニハ▼¬占察経ノ¼下巻ニ云ク、「若シ人欲ハバ↠生レムト↢他方ノ現在ノ浄国ニ↡者、応ニ当シ↧随ヒテ↢彼ノ世界ノ仏之名字ニ↡、専ニシテ↠意ヲ誦念ス↥。一心ニ不シテ↠乱レ如ク↠上ノ観察セバ者、決定シテ得テム↠生ルルコトヲ↢彼ノ仏ノ浄国ニ↡。善根増長シテ、速ニ成ラムト↢不退ト↡。」
^「↑上のごとき観察」 とは、 地蔵菩薩の1098法身および諸仏の法身と、 おのが自身と、 平等無二にして、 不生不滅なり、 常楽我浄なり、 功徳円満せりと観ずるなり。 また己身無常なること、 幻のごとし、 厭ふべしと観ずる等なり。
◆*如キ↠上ノ観察ト者、観ズルナリ↧於地蔵菩薩ノ法身及ビ諸仏ノ法身ハ、与↢己ガ自身↡平等无二ニシテ、不生不滅ナリ、常楽我浄ナリ、功徳円満セリト↥。又観ズル↢己身无常ナルコト如シ↠幻ノ、可シト↟厭フ等也。
^二には、 ▼¬双巻経¼ (大経・下) の三輩の業、 浅深ありといへども、 しかも通じてみな 「▲一向にもつぱら無量寿仏を念じたてまつれ」 とのたまへり。
▼二ニハ¬双巻経ノ¼三輩之業雖モ↠有リト↢浅深↡、然モ通ジテ皆云ヘリ↣「一向ニ専ラ念ジタテマツレト↢无量寿仏ヲ↡。」
^▼三には、 四十八願のなかに、 念仏門において別に一の願を発してのたまはく (大経・上意)、 「▲乃至十念せん。 ▽もし生ぜずは、 正覚を取らじ」 (第十八願) と。
◆三ニハ▼八願ノ中ニ於テ↢念仏門ニ↡別ニ発シテ↢一ノ願ヲ↡云ク、「乃至十念セン、若シ不ハ↠生ゼ者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」
^▼四には、 ¬観経¼ (意) に、 「▼極重の悪人は、 他の方便なし。 ただ仏を称念して、 極楽に生ずることを得」 と。
◆四ニハ¬観*経ニ¼、「▼極重ノ悪人ハ無クシテ↢他ノ方便↡、唯称↢念シテ仏ヲ↡得ト↠生ズルコトヲ↢極楽ニ↡。」
^五には、 同経にのたまはく、 「▲もし心を至して西方に生れんと欲はば、 先づまさに一の丈六の像の、 池の水の上にましますと観ずべし」 と。
◆五ニハ同ジキ¬経ニ¼云ク、「若シ欲ハバ↣至シテ↠心ヲ生レムト↢西方ニ↡*者、先ヅ当ニシト↠観ズ↣於一ノ丈六ノ像ノ在スト↢池ノ水ノ上ニ↡。」
^六には、 同経にのたまはく、 「▲光明あまねく十方世界の念仏の衆生を照らして、 摂取して捨てたまはず」 と。
◆六ニハ同ジキ¬経ニ¼云ク、「▲光明遍ク照シテ↢十方世界ノ念仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不ト↠捨テタマハ。」
^七には、 ¬*阿弥陀経¼ にのたまはく、 「▲少善根の福徳因縁をもつて、 かの国に生ずることを得べからず。
◆七ニハ¬阿弥陀経ニ¼云ク、「不↠可カラ↧以テ↢少善根ノ福徳因縁ヲ↡、得↞生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡。
^◆もし善男子・善女人ありて、 阿弥陀仏を説くを聞きて、 名号を執持して、 もしは一日 乃至 もしは七日すること、 一心に乱れずは、 ◆その人命終の時に臨みて、 阿弥陀仏、 もろもろの聖衆と現じて、 その前にましまさん。 この人終る時に、 心、 顛1099倒せずしてすなはち往生することを得てん」 と。
◆若シ有リテ↢善男子・善女人↡、聞キテ↠説クヲ↢阿弥陀仏ヲ↡、執↢持シテ名号ヲ↡、若シハ一日 乃至 若1195ハ七日スルコト一心ニシテ不ハ↠乱レ、其ノ人臨↢命終ノ時ニ↡、阿弥陀仏与↢諸ノ聖衆↡現ジテ在シテ↢其ノ前ニ↡、是ノ人終ラム時ニ、心不シテ↢顛倒セ↡即チ得テムト↢往生スルコトヲ↡。」
^八には、 ¬般舟経¼ にのたまはく、 「阿弥陀仏ののたまはく、 ªわが国に来生せんと欲はば、 ▽つねにわれを念ぜよ。 しばしば、 つねに念をもつぱらにして休息あることなかれ。 かくのごとくせば、 わが国に来生することを得んº」 と。
◆八ニハ¬般舟経ニ¼云ク、「阿弥陀仏ノ言ク、▼欲ハバ↣来↢生セムト我ガ国ニ↡者、*常ニ念ゼヨ↠我ヲ。数数*常ニ専ニシテ↠念ヲ莫レ↠有ルコト↢休息↡。如クセバ↠是クノ、得ムト↣来↢生スルコトヲ我ガ国ニ↡。」
^九には、 ¬*鼓音声経¼ にのたまはく、 「もし四衆ありて、 よくまさしくかの仏の名号を受持せば、 この功徳をもつて、 終らんと欲する時に臨みて、 阿弥陀、 すなはち大衆とこの人の所に往きて、 それをして見ることを得しめ、 見をはりて尋いで生ぜん」 と。
◆九ニハ¬鼓音声経ニ¼云ク、「若シ有リテ↢四衆↡能ク正シク受↢持セバ彼ノ仏ノ名号ヲ↡、以テ↢此ノ功徳ヲ↡、臨ミテ↢欲セム↠終ラムト時ニ↡、阿弥*陀即チ与↢大衆↡往キテ↢此ノ人ノ所ニ↡、令メ↢其ヲシテ得↟見ルコトヲ、見已リテ尋ギテ生ゼムト。」
^十には、 ¬往生論¼ (天親の浄土論・意) に、 「かの仏の*依正の功徳を観念するをもつて、 往生の業となせり」 と。 以上
◆十ニハ¬往生論ニ¼、「以テ↣観↢念スルヲ彼ノ仏ノ依正ノ功徳ヲ↡為セリト↢往生ノ業ト↡。」 已上
^このなかに、 ¬観経¼ の下下品・¬阿弥陀経¼・¬鼓音声経¼ は、 ただ名号を念ずるをもつて往生の業となせり。 いかにいはんや、 相好・功徳を観念せんをや。
◆此ノ中ニ、¬観経ノ¼下下品・¬阿弥陀経¼・¬鼓音声経ハ¼、▼但シ以テ↠念ズルヲ↢名号ヲ↡為セリ↢往生ノ業ト↡。何ニ況ヤ観↢念セムヲ相好・功徳ヲ↡耶。
・第二問答
^問ふ。 余の行に、 いづくんぞ勧信の文なからんや。
◆問フ。▼余ノ行ニ寧ゾ無カラム↢勧信ノ文↡耶。
^答ふ。 その余の行法は、 ちなみにかの法の種々の功能を明かす。 そのなかにおのづから往生の事を説くなり。 ただちに往生の要を弁ずるに、 多く 「念仏」 といふがごとくにあらず。 いかにいはんや、 仏みづからすでにのたまへり、 「△まさにわれを念ずべし」 と。 ま1100た仏の光明、 余の行人を摂取すとはいはず。
◆答フ。▼其ノ余ノ行法ハ、因ニ明ス↢彼ノ法ノ種々ノ功能ヲ↡。其ノ中ニ自ラ説クナリ↢往*生ノ事ヲ↡。▼不ズ↠如クニ↧直ニ*弁ズルニ↢往生之要ヲ↡、多ク云フガ↦念仏ト↥。何ニ況ヤ▼仏自ラ既ニ言ヘリ、当ニシト↠念ズ↠我ヲ乎。▼亦不↠云ハ↣仏ノ光明摂↢取ストハ余ノ行人ヲ↡。
^これらの文、 分明なり。 なんぞかさねて疑をなさんや。
◆此等ノ文分明ナリ。何ゾ重ネテ生サム↠疑ヲ耶。
・第三問答
^問ふ。 諸経の所説は、 機に随ひて*万品なり。 なんぞ*管見をもつて一の文を執せんや。
▼問フ。諸経ノ所説ハ随ヒテ↠機ニ万品ナリ。何ゾ以テ↢管見ヲ↡執セム↢一ノ文ヲ↡耶。
^答ふ。 *馬鳴菩薩の ¬*大乗起信論¼ (意) にいはく、 「また次に、 衆生はじめてこの法を学せんに、 その心怯弱にして、 信心成就すべきこと難きことを*懼畏して、 意に、 退しなんと欲せば、 まさに知るべし、 如来に*勝方便ましまして、 信心を摂護したまふ。 随ひて心をもつぱらにして仏を念ずる因縁をもつて、 願に随ひて、 他方の仏土に往生することを得るなり。
◆答フ。▼馬鳴菩薩ノ¬大乗起信論ニ¼云ク、「復次ニ、衆生初テ学セムニ↢是ノ法ヲ↡、其ノ心怯*弱ニシテ懼↢畏シテ信心難キコトヲ↟可キコト↢成*就ス↡、意ニ欲セバ↠退シナムト者、当ニシ↠知ル、如来ニ有シテ↢勝方便↡摂↢護シタマフ信心ヲ↡。*随ヒテ以テ↢専ニシテ↠心ヲ念ズル↠仏ヲ因縁ヲ↡、随ヒテ↠願ニ得ルナリ↣往↢生スルコトヲ他方ノ仏土ニ↡。
^*修多羅に説くがごとし。 ªもし人もつぱらにして西方の阿弥陀仏を念じて、 所作の善業をもつて回向して、 かの世界に生れんと願求すれば、 すなはち往生することを得º」 と。 以上
◆如シ↢修多羅ニ説クガ↡。若シ人専ニシテ念ジテ↢西方ノ阿弥陀仏ヲ↡、所作ノ善業ヲモテ廻向1196シテ、願↣求セバ生レムト↢彼ノ世界ニ↡、即チ得テムト↢往生スルコトヲ↡。 已上
^あきらかに知りぬ、 *契経に、 多く念仏をもつて往生の要となせり。 もししからずは、 *四依の菩薩はすなはち*理尽にあらじ。
▼明カニ知リヌ契経ニ多ク以テ↢念仏ヲ↡為セリ↢往生ノ要ト↡。若シ不ハ↠爾ラ者、四依ノ菩薩ハ即チ非ジ↢理尽ニ↡。
二 Ⅸ 往生諸行
【67】^大文第九に、 △*往生諸行を明かさば、 いはく、 極楽を求むるものは、 かならずしももつぱら仏を念ぜず。 すべからく余の行を明かしておのおのの*楽欲に任すべし。 これにまた二あり。 初めには、 ▽別して諸経の文を明かす。 次には、 ▽総1101じて諸業を結す。
大文第九ニ明サバ↢▼往生ノ諸行ヲ↡者、謂ク▼求ムル↢極楽ヲ↡者ハ不↢必ズシモ専ラ念ゼ↟仏ヲ。須クシ↧明シテ↢余ノ行ヲ↡任ス↦各ノ楽欲ニ↥。此ニ亦有リ↠二。▼初ニハ別シテ明ス↢諸経ノ文ヲ↡。次ニハ総ジテ結ス↢諸業ヲ↡。
二 Ⅸ ⅰ 明諸経
【68】^第一に△諸経を明かすといふは、 *¬四十華厳経¼ の普賢願、 ¬*三千仏名経¼・¬*無字宝篋経¼・¬*法華経¼ 等の諸大乗経、 ¬*随求¼・¬*尊勝¼・¬*無垢浄光¼・¬*如意輪¼・¬*阿嚕力迦¼・¬*不空羂索¼・¬*光明¼・¬*阿弥陀¼、 および*龍樹の所感の往生浄土等の呪なり。 これらの顕密の諸大乗のなかに、 みな受持・読誦等をもつて、 往生極楽の業となせり。
第一ニ明ストイフ↢諸経ヲ↡者、¬華厳経ノ¼普賢願・¬三千仏名経¼・¬無字宝篋経¼・¬法華経¼等ノ諸大乗経、¬随求¼・¬尊勝¼・¬無垢浄光¼・¬如意輪¼・¬阿嚕力迦¼・¬不空羂索¼・¬光明¼・¬阿弥陀¼、及ビ龍樹ノ所感ノ往生浄土等ノ呪ナリ、此等ノ顕密ノ諸大乗ノ中ニ、皆以テ↢受*持・読誦等ヲ↡為セリ↢往生極*楽ノ業ト↡也。
^¬*大阿弥陀経¼ (下) にのたまはく、 「▲まさに斎戒し、 一心清浄にして、 昼夜にまさに念じて阿弥陀仏の国に生れんと欲すべし。 十日十夜、 断絶せずは、 われみなこれを慈愍してことごとく阿弥陀仏の国に往生せしめん。 たとひしかするにあたはずは、 みづから思惟し、 よく校計せよ。
¬大阿弥陀経ニ¼云ク、「当ニ斎戒シ、一心清浄ニシテ、昼夜ニ当ニシ↢念ジテ欲ス↟生レムト↢阿弥陀仏ノ国ニ↡。十日十夜不ハ↢断絶セ↡、我皆慈↢愍シテ之ヲ↡悉ク令メム↣往↢生セ阿弥陀仏ノ国ニ↡。殊使不ハ↠能ハ↠爾スルニ、自ラ思惟シ熟ク*校計シテ、
^◆身を度脱せんと欲するものは、 まさに念を絶つべからず。 愛を去りて、 家事を念ふことなかれ。 婦女と床を同じくすることなかれ。 みづから身心を端く正しくして、 愛欲を断じて、 一心に斎戒清浄にして、 至専に阿弥陀仏国に生れんと念じて、 一日一夜、 断絶せずは、 寿終してみなその国に往生して、 七宝の浴池の蓮華のなかにありて化生せん」 と。 この ¬経¼ (大阿弥陀経) は持戒をもつて首となせり。
欲セム↣度↢脱セムト身ヲ↡者ハ、不↠当ニカラ↠絶ツ↠念ヲ。去リテ↠愛ヲ、勿レ↠念フコト↢家事ヲ↡。莫レ↧与↢婦女↡同ジクスルコト↞床ヲ。自ラ端ク↢正シクシテ身心ヲ↡、断ジテ↢於愛欲ヲ↡、一心ニ斎戒清浄ニシテ、至シテ↠専ラヲ念ゼム。生レムトシテ↢阿弥陀*仏国ニ↡一日一夜不ハ↢断絶セ↡者、寿終シテ皆往↢生シテ其ノ国ニ↡、在リテ↢七宝ノ浴池ノ蓮華ノ中ニ↡化生セムト。」此ノ¬経ハ¼以テ↢持戒ヲ↡為セリ↠首ト
^¬*十往生弥陀仏国経¼ (意) にのたまはく、 「われいま、 な1102んぢがために説く、 十の往生あり。 いかなるか十の往生。
¬十往*生弥陀仏国経ニ¼云ク、「吾今為ニ↠汝ガ説ク、有リ↢十ノ往生↡。云何ナルガ十ノ往生。
^一には身を観じて正念にして、 つねに歓喜を懐きて、 飲食・衣服をもつて仏および僧に施せば、 阿弥陀仏の国に往生す。
一ニ者1197観ジテ↠身ヲ正念ニシテ常ニ懐キテ↢歓喜ヲ↡、以テ↢飲食・衣服ヲ↡施セバ↢仏及ビ僧ニ↡、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^二には正念にして、 世の妙良薬をもつて一の病比丘および一切衆生に施せば、 阿弥陀仏の国に往生す。
二ニ者正念ニシテ、世ノ妙良薬ヲモテ施セバ↢一ノ病比丘及以一切衆生ニ↡、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^三には正念にして、 一の生命をも害せず、 一切を慈悲すれば、 阿弥陀仏の国に往生す。
三ニ者正念ニシテ、不↠害セ↢一ノ生命ヲモ↡慈↢悲セバ於一切ヲ↡、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^四には正念にして、 師の所に従ひて戒を受け、 *浄慧をもつて*梵行を修し、 心につねに喜びを懐けば、 阿弥陀仏の国に往生す。
四ニ者正念ニシテ、従ヒテ↠師ニ所ノ↠受ケタル戒ヲ浄ク*慧アリテ修シ↢梵行ヲ↡、心ニ常ニ懐カバ↠喜ビヲ、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^五には正念にして、 父母に孝順し師長を敬重し、 憍慢の心を懐かざれば、 阿弥陀仏の国に往生す。
五ニ者正念ニシテ、孝↢順シ於父母ニ↡敬↢重シ於師長ヲ↡、不ハ↠懐カ↢憍慢ノ心ヲ↡、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^六には正念にして、 僧房に往詣し塔寺に恭敬し、 法を聞きて一の義をも解れば、 阿弥陀仏の国に往生す。
六ニ者正念ニシテ、往↢詣シ於僧*房ニ↡恭↢敬シ於塔寺ニ↡、聞キテ↠法ヲ解ラバ↢一ノ義ヲモ↡、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^七には正念にして、 *一日一宿のうちに八戒斎を受持し、 一日一宿のうちに受持して一も破らざれば、 阿弥陀仏の国に往生す。
七ニ者正念ニシテ、一日一宿ノ中ニ受↢持シ八戒斎ヲ↡、一日一宿ノ中ニ受持シテ不ハ↠破ラ↠一モ、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^八には正念にして、 もしよく斎月・斎日のうちに房舎を遠離してつねに善師に詣れば、 阿弥陀仏の国に往生す。
八ニ者正念ニシテ、若シ能ク斎月・斎日ノ中ニ遠↢離シテ於房舎ヲ↡常ニ詣セバ↢於善師ニ↡、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^九には正念にして、 つねによく浄戒を持ち、 勤修して禅定を楽ひ、 法を護り悪口せず、 もしよくかくのごとく行ずれば、 阿弥陀仏の国に往生す。
九ニ者正念ニシテ、常ニ能ク持チ↢浄戒ヲ↡、勤修シテ楽ヒ↢禅定ヲ↡、護リ↠法ヲ不↢悪口セ↡、若シ能ク如ク↠是クノ行ゼバ、往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
^十には正念にして、 もし無上道において誹謗の心を起さず、 精進して浄戒を持ちて、 また無智1103のものを教へてこの経法を流布し、 無量の衆を教化す。 かくのごときもろもろの人等、 ことごとくみな阿弥陀仏の国に往生することを得」 と。 以上
十ニ者正念ニシテ、若シ於テ↢無上道ニ↡不↠起サ↢誹謗ノ心ヲ↡、精進シテ持チテ↢浄戒ヲ↡、復教ヘテ↢無智ノ者ヲ↡流↢布シ是ノ経法ヲ↡教↢化スル無量ノ*衆ヲ↡、如キ↠是クノ諸ノ人等、*悉ク皆得トイヘリ↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏ノ国ニ↡。」 *已上
^¬*弥勒問経¼ にのたまはく、 「仏の説きたまへるところのごとく、 阿弥陀仏の功徳利益を願じて、 もしよく十念相続して、 不断に仏を念ずるものは、 すなはち往生することを得。 まさにいかんが念ずべし。 仏ののたまはく、 ª▽おほよそ十の念あり。 なんらをか十となす。
¬弥*勒問経ニ¼云ク、「如ク↢仏ノ所ノ↟説キタマヘル、願ジテ↢阿弥陀仏ノ功徳・利益ヲ↡、若シ能ク十念シ相続シテ不↠断ゼ、念ズル↠仏ヲ者ハ、即チ得ム↢往生スルコトヲ↡。当ニシ↢云何ガ念ズ↡。仏ノ言ク、凡ソ有リ↢十ノ念↡。何等ヲカ為ス↠十トハ。
^一には、 もろもろの衆生において、 つねに慈心を生じてその行を毀らざること、 もしその行を毀ればつひに往生せず。
一ニ者於テ↢諸ノ衆生ニ↡常ニ生ジテ↢慈心ヲ↡不ルコト↠毀ラ↢其1198ノ行ヲ↡、若シ毀レバ↢其ノ行ヲ↡終ニ不↢往生セ↡。
^二には、 もろもろの衆生において、 つねに悲心を起して残害の意を除くこと、
二ニ者於テ↢諸ノ衆生ニ↡常ニ起シテ↢悲心ヲ↡除クコト↢残害ノ意ヲ↡。
^三には、 護法心を発して身命を惜しまざること、 一切の法において誹謗をなさざること、
三ニ者発シテ↢護法心ヲ↡不ルコト↠惜マ↢身命ヲ↡、於テ↢一切ノ法ニ↡不ルコト↠生サ↢誹謗ヲ↡、
^四には、 忍辱のなかにおいて決定心を生ずること、
四ニ者於テ↢忍辱ノ中ニ↡生ズルコト↢決定心ヲ↡、
^五には、 深心清浄にして利養に染せざること、
五ニ者深心清浄ニシテ不ルコト↠染セ↢利養ニ↡、
^六には、 一切智の心を発して日々につねに念じて、 廃忘あることなきこと、
六ニ者発シテ↢一切智ノ心ヲ↡日々ニ常ニ念ジテ無キコト↠有ルコト↢*癈忘↡、
^七には、 もろもろの衆生において、 尊重の心を起し、 *我慢の心を除き、 謙下して言説すること、
七ニ者於テ↢諸ノ衆生ニ↡起シ↢尊重ノ心ヲ↡、除キ↢我慢ノ心ヲ↡、謙下シテ言説スルコト、
^八には、 *世の談話において味着をなさざること、
八ニ者於テ↢世ノ談話ニ↡不ルコト↠生サ↢味著ヲ↡、
^九には、 覚意に近づき、 深く種々の善根の因縁を起し、 *憒閙・散乱の心を遠離すること、
九ニ者近ヅキテ↢於覚ニ↡意ヲモテ深ク起シ↢種々ノ善根ノ因縁ヲ↡、遠↢離スルコト憒鬧・散乱之心ヲ↡、
^十には、 正念にして仏を観じて諸想を除去することなりº」 と1104。
十ニ者正念ニシテ観ジテ↠仏ヲ除↢去スルコトナリト諸想ヲ↡。」
^¬宝積経¼ の第九十二に、 仏またこの十心をもつて弥勒の問に答へたまへり。 そのなかの第六の心にいはく、 「*仏の種智を求めて、 一切の時において忘失する心なし」 と。 その余の九種は、 文少し異なりといへども、 意は前の ¬経¼ (弥勒問経) に同じ。
¬宝積経ノ¼第九十二ニ、仏亦以テ↢此ノ十心ヲ↡答ヘタマヘリ↢弥勒ノ問ヲ↡。其ノ中ノ第六ノ心ニ云ク、「求メテ↢仏ノ種智ヲ↡、於テ↢一切ノ時ニ↡無シトイヘリト↣忘↢失スルコト心↡。」其ノ余ノ九種ハ、文雖モ↢少シ異ナリト↡、意ハ同ジ↢前ノ¬経ニ¼↡。
^ただ ¬経¼ (宝積経) の文にのたまはく、 「もし人、 この十種の心のうちにおいて、 随ひて一心を成じて、 かの仏の世界に往生せんと楽欲せんに、 もし生ずることを得ずといはば、 この処あることなからん」 と。 云々 明らけし、 かならずしも十を具して往生の業となすにはあらざるなり。
但シ¬*経ノ¼文ニ云ク、「若シ人於テ↢此ノ十種ノ心ノ中ニ↡、随ヒテ成ジテ↢一心ヲ↡楽↣欲セムニ往↢生セムト彼ノ仏ノ世界ニ↡、若シ不トイハバ↠得↠生ズルコトヲ、無ケムトイヘリ↠有ルコト↢是ノ処↡。」云々 明ケシ非ザル↣必ズシモ具シテ↠十ヲ為ルニハ↢往生ノ業ト↡也。
^¬観経¼ にのたまはく、 「▲かの国に生れんと欲はば、 まさに三福を修すべし。 ◆一には父母に孝養し、 師長に奉事し、 慈心をもつて殺せず、 十善業を修すること、 ◆二には三帰を受持し、 衆戒を具足し、 威儀を犯せざること、 ◆三には菩提心を発し、 深く因果を信じ、 大乗を読誦し、 行者を勧進することなり。 ◆かくのごとき三事を名づけて浄業となす。
¬観経ニ¼云ク、「欲ハバ↠生レムト↢彼ノ国ニ↡者、当ニシ↠修ス↢三ノ福ヲ↡。一ニ者孝↢養シ父母ニ↡、奉↢事シ師長ニ↡、慈心ヲモテ不↠殺セ、修スルコト↢十善業ヲ↡、二ニ者受↢持シ三帰ヲ↡、具↢足シ衆戒ヲ↡、不ルコト↠犯セ↢威儀ヲ↡、三ニ者発シ↢菩提心ヲ↡、深ク信ジ↢因果ヲ↡、読↢誦シ大乗ヲ↡、勧↢進スルコトナリ行者ヲ↡、如キ↠此クノ三事ヲ名ケテ為ス↢浄業ト↡。
^◆仏、 韋提希に告げたまはく、 ªなんぢいま知るやいなや。 この三種の業は、 過去・未来・現在の三世の諸仏の浄業の正因なりº」 と。
仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝今知ルヤ不ヤ。此ノ三種ノ業ハ過去・未来・現在ノ三世ノ諸仏ノ浄業ノ正因ナリト。」
^またのたまはく (観経・意)、 「▲上品上生といふは、 ◆もし衆生ありて、 かの国に生ぜんと願ぜば、 三種の心を発して即便往生す。 ◆なんらをか三となす。 一には至誠心、 二には深心、 三には回向発願心なり。 三心を具せるものはかならずかの国に生る。
又云ク、「上品上生トイフ者、若シ有リテ↢衆生↡願ゼバ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者1199、発シテ↢三種ノ心ヲ↡即便チ往生ス。何等ヲカ為ル↠三ト。一ニ者至誠心、二ニ者深心、三ニ者廻向発願心ナリ。具セル↢三心ヲ↡者ハ必ズ生ル↢彼ノ国ニ↡。
^◆また三種の衆生ありて、 まさに往生することを得べし。 ◆なんらをか三となす。 一1105には慈心にして殺せず、 もろもろの戒行を具すること、 二には大乗方等経典を読誦すること、 三には六念を修行して、 ◆回向発願してかの国に生れんと願ずることなり。 この功徳を具すること、 一日乃至七日にして、 すなはち往生することを得。
復有リテ↢三種ノ衆生↡、当ニシ↠得↢往生スルコトヲ↡。何等ヲカ為ル↠三ト。一ニ者慈心ニシテ不↠殺セ、具スルコト↢諸ノ戒行ヲ↡、二ニ者読↢誦スルコト大乗方等経典ヲ↡、三ニ者修↢行シテ六念ヲ↡、廻向発願シテ願ズルコトナリ↠生レムト↢彼ノ国ニ↡。具スルコト↢此ノ功徳ヲ↡一日乃至七日スルハ即チ得ム↢往生スルコトヲ↡。
^▲上品中生といふは、 ◆かならずしも方等経典を受持せざれども、 よく義趣を解りて、 第一義において心驚動せず、 深く因果を信じ大乗を謗ぜず。 この功徳をもつて、 回向して極楽国に生れんと願求するなり。
上品中生トイフ者、不シテ↣必ズシモ受↢持セ方等経典ヲ↡、善ク解リテ↢義趣ヲ↡、於テ↢第一義ニ↡心不↢驚動セ↡、深ク信ジ↢因果ヲ↡不シテ↠謗ゼ↢大乗ヲ↡、以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願↣求スルナリ生レムト↢極楽国ニ↡。
^▲上品下生といふは、 ◆また因果を信じ大乗を謗ぜず。 ただ無上道の心を発して、 ◆この功徳をもつて、 回向して極楽に生れんと願求するなり。
上品下生トイフ者、亦信ジ↢因果ヲ↡不シテ↠謗ゼ↢大乗ヲ↡、但発シテ↢无上道ノ心ヲ↡、以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願↣求スルナリ生レムト↢極楽ニ↡。
^▲中品上生といふは、 ◆もし衆生ありて、 五戒を受持し、 八戒斎を持ち、 もろもろの戒を修行して五逆を造らず、 もろもろの過患なからん。 ◆この善根をもつて、 回向して願求するなり。
中品上生トイフ者、若シ有リテ↢衆生↡受↢持シ五戒ヲ↡、持チ↢八戒斎ヲ↡、修↢行シテ諸ノ戒ヲ↡、不↠造ラ↢五逆ヲ↡、无クシテ↢*諸ノ過*患↡、以テ↢此ノ善根ヲ↡廻向シテ願求スルナリ。
^▲中品中生といふは、 ◆もし衆生ありて、 もしは一日一夜八戒斎を受け、 もしは一日一夜沙弥戒を持ち、 一日一夜具足戒を持ち、 威儀欠くることなし。 ◆この功徳をもつて、 回向して願求するなり。
中品中生トイフ者、若シ有リテ↢衆生↡若シハ一日一夜受ケ↢八戒斎ヲ↡、若シハ一日一夜持チ↢*沙弥*戒ヲ↡、一日一夜持チ↢具足戒ヲ↡、威儀无クシテ↠欠クルコト、以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願求スルナリ。
^▲中品下生といふは、 ◆もし善1106男子・善女人ありて、 父母に孝養し、 世の仁慈を行ずるなり。
中品下生トイフ者、若シ有リテ↢善男子・善女人↡孝↢養シ父母ニ↡、行ズルナリ↢世ノ仁慈ヲ↡。
^▲下品上生といふは、 ◆あるいは衆生ありて、 もろもろの悪業を作らん。 方等経典を誹謗せずといへども、 かくのごとき愚人、 多くもろもろの悪法を造りて慚愧あることなからん。 ◆終りに臨みて十二部経の首題の名字を聞き、 および合掌して ª南無阿弥陀仏º と称するなり。
下品上生トイフ者、或イハ有リテ↢衆生↡作リ↢衆ノ悪業ヲ↡、雖モ↠不ト↣誹↢謗セ方等経典ヲバ↡、如キ↠此クノ愚人ハ、多ク造リテ↢衆ノ悪法ヲ↡無カラム↠有ルコト↢慚愧↡。臨ミテ↠終ニ聞キ↢十二部経ノ首題ノ名字ヲ↡、及ビ合掌シテ称スルナリ↢南無阿弥陀仏ト↡。
^▲下品中生といふは、 ◆あるいは衆生ありて、 五戒・八戒および具足戒を毀犯せらん。 かくのごとき愚人、 ▲命終らんと欲する時に、 地獄の衆火、 一時にともに至らん。 善知識の、 大慈悲をもつて、 ために阿弥陀仏の十力威徳を説き、 広くかの仏の光明神力を説き、 また戒・定・慧・解脱・知見を讃ずるに遇はん。 ◆この人聞きをはりて八十億劫の生死の罪を除くなり。
下品中生トイフ者、或イハ有リテ↢衆生↡毀↢犯セラム五戒・八戒及1200ビ具足戒ヲ↡。如キ↠此クノ愚人、命欲セム↠終ラムト時ニ、地獄ノ衆火一時ニ倶ニ至ラム。遇ヒテ↧善知識ノ以テ↢大慈悲ヲ↡為ニ説キ↢阿弥陀仏ノ十力威徳ヲ↡、広ク説キ↢彼ノ仏ノ光明神力ヲ↡、亦讃ズルニ↦戒・定・*恵・解脱・知見ヲ↥、此ノ人聞キ已リテ除クナリ↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。
^▲下品下生といふは、 ◆あるいは衆生ありて、 不善業たる五逆・十悪を作り、 もろもろの不善を具せん。 かくのごとき愚人、 悪業をもつてのゆゑに悪道に堕つべからん。 ▲命終の時に臨みて、 善知識に遇ひて、 仏を念ずることあたはずといへども、 ◆ただ心を至して声をして絶えざらしめて、 十念を具足して ª南無無量寿仏º と称せん。 仏の名を称せんがゆゑに、 念々のうちに八十億劫の生死の罪を除くなり」 と。
下品下生トイフ者、或イハ有リテ↢衆生↡作リ↢不善業タル・五逆・十悪ヲ↡、具セラム↢諸ノ不善ヲ↡。如キ↠此クノ愚人、以テノ↢悪業ヲ↡故ニ応カラム↠堕ツ↢悪道ニ↡。臨ム↢命終ニ↡時ニ遇ヒテ↢善知識ニ↡、雖モ↠不ト↠*能ハ↠念ズルコト↠仏ヲ、但至シテ↠心ヲ令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、具↢足シテ十念ヲ↡称セム↢南無無量寿仏ト↡。称スルガ↢仏ノ名ヲ↡故ニ、於テ↢念々ノ中ニ↡除クナリト↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。」
^▼¬双巻経¼ (大経・下) の三輩の業もまたこれを出でず。
▼¬双巻経ノ¼三輩ノ業モ亦不↠出デ↠此ヲ。
^¬観経¼ に1107は、 *十六観をもつて往生の因となせり。
¬*観経ニハ¼以テ↢十六観ヲ↡為セリ↢往生ノ因ト↡。
^¬宝積経¼ に説かく、 仏前の蓮華に化生するに、 四の因縁ありと。 偈 (同) にのたまはく、
¬宝積経ニ¼説カク、仏前ニシテ蓮華ヨリ化生スルニ有リト↢四ノ因縁↡。偈ニ云ク、
^「華香をもつて仏および*支提に散ずると、 他を害せざると、 ならびに像を造ると、
大菩提において深く信解するとは、 蓮華に処して仏前に生るることを得」 と。 以上
| 「華香ヲモテ散ジテ↢仏及ビ支提ニ↡ | 不ルト↠害セ↢於他ヲ↡并ニ造ルト↠像ヲ |
| 於テ↢大菩提ニ↡深ク信解スルトハ | 得トイヘリ↧処シテ↢蓮華ニ↡生ズルコトヲ↦仏前ニ↥」 已上 |
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^余は繁く出さず。
余ハ不↢*繁ニ*出サ↡。
二 Ⅸ ⅱ 総結諸業
【69】^第二に△総じて諸業を結すといふは、 ˆ浄影寺ˇ *慧遠法師、 浄土の因要を出せるに、 四あり。 「一には観を修して往生すること、 十六観のごときなり。 二には業を修して往生すること、 三福業のごときなり。 三には心を修して往生すること、 至誠等の三心なり。 四には帰向して往生する、 浄土の事を聞きて帰向し、 称念し、 讃嘆すること等なり」 (観経義疏・意) と。
第二ニ▼総ジテ結ストイフ↢諸業ヲ↡者、*恵遠法師出スニ↢浄土ノ因ヲ↡要ズ有リ↠四。「一ニハ修シテ↠観ヲ往生スルコト、如キナリ↢十六観ノ↡。二ニハ修シテ↠業ヲ往生スルコト、如キナリ↢三福業ノ↡。三ニハ修シテ↠心ヲ往生スルコト、至誠等ノ三ノ心ナリ。四ニハ帰向シテ往生スル、聞キテ↢浄土ノ事ヲ↡帰向シ、称念シ、讃嘆スルコト等也トイヘリ。」
^いまわたくしにいはく、 諸経の行業、 総じてこれをいへば、 *¬梵網¼ 戒品を出でず。 別してこれを論ずれば、 六度を出でず。 細しくその相を明かせば、 その十三あり。
今私ニ云ク、▼諸経ノ行業、総ジテ而言ヘバ↠之ヲ、不↠出デ↢¬梵網¼「戒品ヲ」↡。別シテ而論ズレバ↠之ヲ、不↠出デ↢六度ヲ↡。細シク明サバ↢其ノ相ヲ↡、有リ↢其ノ十三↡。
^一には*財・法等の施、 二には三帰・五戒・八戒・十戒等の多少の戒行、 三には忍辱、 四には精1108進、 五には禅定、 六には般若、 第一義を信ずること等これなり。 七には菩提心を発すこと、 八には六念を修行すること、 仏・法・僧・戒・施・天、 これを六念といふ。 十六想観はまたこれを出でず。 九には大乗を読誦すること、 十には仏法を守護すること、 十一には父母に孝順し師長に奉事すること、 十二には憍慢をなさざること、 十三には利養に染せざることなり。
▼一ニ者財・法等ノ施。二ニ者三帰・五戒・八戒・十戒*等ノ多少ノ戒行。三ニ者忍辱1201。*四ニハ精進。五ニハ禅定。六ニハ般若。信ズルコト↢第一義ヲ↡等是也。七ニハ発スコト↢菩提心ヲ↡。八ニハ修↢行スルコト六念ヲ↡、*仏・法・僧・*戒・施・天、謂フ↢之ヲ六念ト↡。十六想観ハ亦不↠出デ↠之ヲ 九ニハ読↢誦スルコト大乗↡。十ニハ守↢護スルコト仏法ヲ↡。十一ニハ孝↢順シ父母ニ↡奉↢事スルコト師長ニ↡。十二ニハ不ルコト↠生サ↢憍慢ヲ↡。十三ニハ不ルコト↠染セ↢利養ニ↡也。
^*¬大集¼ の 「月蔵分」 の偈にのたまはく、
¬大集ノ¼「月蔵分ノ」偈ニ云ク、
^「樹の菓繁ければ、 すみやかにみづから害するがごとし。 竹籚の実を結ぶもまたかくのごとし。
*任騾の懐すれば、 自身を喪ぼすがごとし。 無智にして利を求むるもまたしかり。
| 「如シ↢樹ノ菓繁ケレバ速ニ自ラ害スルガ↡ | 竹*籚ノ結ブモ↠実ヲ亦如シ↠是クノ |
| 如シ↣任騾ノ*懐メル喪ボスガ↢自身ヲ↡ | 無智ニシテ求ムルモ↠利ヲ亦復然リ |
^もし比丘ありて、 供養を得、 利養を楽求し堅く着するものは、
世においてさらにかくのごとき悪はなし。 ゆゑに解脱の道を得ざらしむ。
^かくのごとくして利養を貪求するものは、 すでに道を得をはりぬれども、 還りてまた失ふ」 と。
| 若シ有リテ↢比丘↡得↢供養ヲ↡ | 楽↢求シ利養ヲ↡堅ク著スル者ハ |
| 於テ↠世ニ更ニ无シ↢如キ↠此クノ悪ハ↡ | 故ニ令ム↠不ラ↠得↢解脱ノ道ヲ↡ |
| 如クシテ↠是クノ貪↢求スル利養ヲ↡者ハ | 既ニ得↠道ヲ已リヌレドモ還リテ復失フト」 |
^また ¬*仏蔵経¼ に、 *迦葉仏、 記してのたまはく、 「釈迦牟尼仏は多く供養を受け1109たまはんがゆゑに、 法まさに疾く滅すべし」 と。 云々
*又¬仏蔵経ニ¼、迦葉仏記シテ云ク、「釈迦牟尼仏ハ多ク受ケタマハムガ↢供養ヲ↡故ニ、法当ニシト↢疾ク滅ス↡。」云々
^如来なほしかり。 いかにいはんや凡夫をや。 大象窓を出づるに、 つひに一の尾のために礙へらる。 行人家を出でたれども、 つひに*名利のために縛せらる。 すなはち知りぬ、 出離の最後の怨は、 名利より大なるものはなし。
如来尚爾リ。何ニ況ヤ凡夫ヲヤ。大象出ヅルニ↠窓ヲ、遂ニ為ニ↢一ノ尾ノ↡所ル↠礙ヘ。行人出デタレドモ↠家ヲ、遂ニ為ニ↢名利ノ↡所ル↠縛セ。則チ知リヌ出離ノ最後之怨ハ莫シ↧大ナル↢名利ヨリ↡者ハ↥也。
^ただ浄名大士 (*維摩詰) は、 身は家にあれども心は家を出で、 *薬王の本事は、 *塵寰を避りて*雪山に居せり。 いまの世の行人もまたかくのごとくすべし。 みづから*根性を料りて、 これを進止せよ。 もしその心を制することあたはずは、 なほすべからくその地を避るべし。 *麻のなかの蓬、 *屠辺の廏、 好悪いづれにかよれるや。 ¬仏蔵経¼ を見て是非を知るべし。
但シ浄名大士ハ、身ハ在リテ↠家ニ心ハ出デタリ↠家ヲ。薬王ノ、本事ハ避リテ↢塵寰ヲ↡居セリ↢*雪山ニ↡。今ノ世ノ行人モ亦応シ↠如クス↠是クノ。自ラ料リテ↢根性ヲ↡而シテ進↢止セヨ之ヲ↡。若シ不ハ↠能ハ↠制スルコト↢其ノ心ヲ↡、猶須クシ↠避ル↢於其ノ地ヲ↡。麻ノ中之蓬、屠辺之廏、好悪由レル↠何レニカ乎。可シ↧見テ↢¬仏蔵経ヲ¼↡知ル↦是*非ヲ↥
二 Ⅹ 問答料簡
【70】^大文第十に、 △*問答料簡といふは、 略して十の事あり。 一には▽極楽の依正、 二には▽往生の階位、 三には▽往生の多少、 四には▽尋常の念相、 五には▽臨終の念相、 六には▽粗心の妙果、 七には▽諸行の勝劣、 八には▽信毀の因縁、 九には▽助道の資縁、 十には▽助道の人法なり。
大文第十ニ、▼問答料簡セバ者、略シテ有リ↢十ノ事↡。▼一ニハ極楽ノ依正。二ニハ往生ノ階位。三ニハ往生ノ多少。四ニハ尋常ノ念相。五ニハ臨終ノ念相。六ニハ麁心ノ妙果。七ニハ諸行ノ勝劣。八ニハ信毀1202ノ因縁。九ニハ助道ノ資縁。十ニハ助道ノ人法ナリ。
二 Ⅹ ⅰ 極楽依正
【71】^第一に△極楽の依正といふは、
第一ニ極楽ノ依正トイフ者、
^問ふ、 阿弥陀仏の極楽浄土は、 これいづれの身、 いづれの土ぞや。
▼問フ。阿弥陀仏ノ極楽浄土ハ是何レノ身何レノ土ゾ耶。
^答ふ。 天台 (*智顗) のいはく (観経天台疏・意)、 「応身の仏、 *同居の土なり」 と。
◆答フ。天臺ノ云ク、「応身ノ仏、同居ノ土ナリト。」
^*遠法師 (浄影寺*慧遠) のいはく、 「これ応身・応土なり1110」 と。
◆遠法師ノ云ク、「是応身応土ナリト。」
^綽法師 (*道綽) のいはく、 「▲これ報仏・報土なり。 ◆古旧等、 あひ伝へて、 みな ª化土・化身なりº といふ。 これを大きに失せりとなす。 ▲¬*大乗同性経¼ によりていはく、 ª浄土のなかにして成仏するものは、 ことごとくこれ報身なり。 穢土のなかにして成仏するものは、 ことごとくこれ化身なりº と。
◆綽法師ノ云ク、「是報仏報土ナリ。古旧等相伝ヘテ、皆云フ↢化土化身ナリト↡。此ヲ為ス↢大ニ失セリト↡。依リテ↢¬大乗同性経ニ¼↡云ク、浄土ノ中ニシテ成仏スル者ハ悉ク是報身ナリ。穢土ノ中ニシテ成仏スル者ハ悉ク是化身ナリト。
^◆またかの ¬経¼ (大乗同性経) にのたまはく、 ª阿弥陀如来・蓮華開敷星王如来・竜主如来・宝徳如来等の、 もろもろの如来の清浄の仏刹にして、 現に得道するもの、 まさに得道すべきもの、 かくのごとき一切はみなこれ報身の仏なり。 ◆何者か如来の化身とならば、 なほ今日の踊歩健如来・魔恐怖如来等のごときなりº」 と。 以上 ¬安楽集¼ (上・意)。
◆又彼ノ¬経ニ¼云ク、阿弥陀如来・蓮花開敷星王如来・竜主如来・宝徳如来等ノ、諸ノ如来ノ清浄ノ仏刹ニシテ現ニ得道スル者、当ニキ↢得道シタマフ↡者、如キ↠是クノ一切ハ皆是報身ノ仏也。何者カ如来ノ化身トナラバ、由如キナリト↢今日ノ踊歩健如来・魔恐怖如来等ノ↡。」已上¬安楽集¼
^問ふ。 かの仏成道したまひて、 すでに久如しとかせん。
問フ。彼ノ仏成道シタマヒテ、為ム↢已ニ久如シトカ↡。
^答ふ。 *諸経に 「▲十劫」 とのたまひ、 ¬大阿弥陀経¼ (上) には 「▲十小劫」 とのたまひ、 ¬平等覚経¼ (一) には 「▲十八劫」 とのたまひ、 ¬称讃浄土経¼ には 「▲十大劫」 とのたまへり。 邪正、 知りがたし。 ただ ¬双巻経¼ (大経) の*憬興師の ¬疏¼ (*述文賛) に、 ¬平等経¼ を会していはく、 「十八劫とは、 それ小の字の、 そのなかの点を闕せるなり」 と。
答フ。諸*経ニ云ヘリ↢十劫ト↡。¬大阿弥陀経ニハ¼云ヘリ↢「十小劫ト」↡。¬平等覚経ニハ¼云ヘリ↢「十八劫ト」↡。¬称讃浄土経ニハ¼云ヘリ↢「十大劫ト」↡。邪正難シ↠知リ。但¬双巻経ノ¼*憬興師ノ¬疏ニ¼、会シテ↢¬平等経ヲ¼↡云ク、「十八劫ト者、其レ小ノ字ノ闕セルナリトイヘリ↢其ノ中ノ点ヲ↡矣。」
^1111問ふ。 未来の寿はいくばくぞ。
問フ。未来ノ寿ハ幾何ゾ。
^答ふ。 ¬*小経¼ に、 「▲無量無辺阿僧祇劫」 とのたまへり。
答フ。¬小経ニ¼云リ↢「无量无辺阿僧祇劫ト」↡。
^¬*観音授記経¼ (意) にのたまへり、 「阿弥陀仏の寿命、 無量百千億劫にして、 まさに終極あるべし。 仏涅槃の後に、 正法の世に住すること、 仏の寿命に等しからん。
¬観音授記経ニ¼云ハク、「阿弥陀仏ノ寿命無量百千億劫ニシテ、当ニシ↠有ル↢終極↡。仏涅槃ノ後ニ正法ノ住セムコト↠世ニ、等シカラム↢仏ノ寿命ニ↡。
^善男子、 阿弥陀仏の正法の滅して後に、 *中夜の分を過ぐして明相の出づる時に、 観世音菩薩、 菩提樹下にして等正覚を成じ、 普光功徳山王如来と号せん。 その仏の国土には、 声聞・縁覚の名あることなからん。 その仏の国土を、 衆宝普集荘厳と号せん。
善男*子、阿弥陀仏ノ正法ノ滅シテ後ニ、過グシテ↢中夜ノ分ヲ↡明相ノ出1203デム時ニ、観世音菩薩於テ↢菩提樹下ニ↡成ラム↢等正覚ヲ↡。号セム↢普光功徳山王如来ト↡。其ノ仏ノ国土ニハ、無ケム↠有ルコト↢声聞・縁覚之名↡。其ノ仏ノ国土ヲバ号セム↢衆宝普集荘厳ト↡。
^普光功徳如来涅槃したまひて、 正法の滅して後に、 大勢至菩薩、 すなはちその国にして成仏し、 善住功徳宝王如来と号せん。 国土・光明・寿命、 乃至、 法の住すること、 等しくして異なることあることなからん」 と。
普光功徳如来涅槃シタマヒテ、正法ノ滅シテ後ニ、大勢至菩薩即チ於テ↢其ノ国ニ↡成ラム↠仏ニ。号セム↢善住功徳宝王如来ト↡。国土・光明・寿命、乃至法ノ住セムコト、等シクシテ無ケムト↠有ルコト↠異ナルコト。」
^問ふ。 ↓¬*同性経¼ には 「報身」 とのたまひ、 ↓¬*授記経¼ には 「入滅」 とのたまふ。 二の経の相違、 諸師いかんが*会する。
問フ。¬同性経ニハ¼云フ↢「報身ト」↡。¬授記経ニハ¼云フ↢「入滅ト」↡。二ノ経ノ相違諸師何ガ会スル。
^答ふ。 綽禅師 (道綽)、 ↑¬授記経¼ を会していはく (安楽集・上)、 「▲これはこれ報身の、 隠没の相を現ずるなり。 滅度にはあらず」 と。
答フ。*綽禅師会シテ↢¬授記経ヲ¼↡云ク、「此ハ是報身ノ現ズルナリ↢隠没ノ相ヲ↡。非ズト↢滅度ニハ↡也。」
^*迦才、 ↑¬同性経¼ を会していはく (浄土論)、 「浄土のなかにして仏になるを判じて報となすことは、 これ*受用事身なり。 実の報身にはあ1112らず」 と。
迦才会シテ↢¬同性経ヲ¼↡云ク、「浄土ノ中ニシテ成ルヲ↠仏ニ判ジテ為ルコト↠報ト者、是受用事身ナリ。非ズト↢実ノ報身ニハ↡也。」
^問ふ。 何者をか正となすや。
問フ。何者ヲカ為ル↠正ト耶。
^答ふ。 迦才のいはく (浄土論)、 「衆生の起行にすでに*千殊あれば、 往生して土を見ることまた万別あるなり。 もしこの解を作らば、 諸経論のなかに、 あるいは判じて報となし、 あるいは判じて化となすこと、 みな妨難なし。 ただ諸仏の修行、 つぶさに報化の二の土を感ずることを知れ。
答フ。▼迦才ノ云ク、「衆生ノ起行ニ既ニ有レバ↢千殊↡、往生シテ見ルコト↠土ヲ亦有ル↢万別↡也。若シ作ラバ↢此ノ解ヲ↡者、諸経論ノ中ニ或イハ判ジテ為シ↠報ト、或イハ判ジテ為ルコト↠化ト、皆無シ↢妨難↡也。但知レ↣諸仏ノ修行具ニ感ズルコトヲ↢報・化ノ二ノ土ヲ↡也。
^¬*摂論¼ のごときには ª*加行は化を感ず、 正体は報を感ずº といへり。 *もしは報、 もしは化、 みな衆生を成就せんと欲すなり。 これすなはち、 土は虚しく設けず、 行は空しく修せず。 ただ仏語を信じて、 経によりて専にして念ずれば、 すなはち往生することを得。 またすべからく報と化とを図度るべからず」 と。 以上
如キニハ↢¬摂論ノ¼↡加行ハ感ズ↠化ヲ、正体ハ感ズトイヘリ↠報ヲ。若シハ報若シハ化、皆欲スナリ↣成↢*就セムト衆生ヲ↡。此則チ土ハ不↢虚シク設ケ↡、行ハ不↢空シク修セ↡。但信ジテ↢仏語ヲ↡依リテ↠経ニ専スルニ↠念ヲ、即チ得↢往生スルコトヲ↡。亦不ト↠須クカラ↣図↢度ル報ト之与ヲ↟化也。」 已上
^この釈、 善し。 すべからくもつぱらにして称念すべし。 労しく分別することなかれ。
此ノ釈善シ矣。須クシ↢専ニシテ称念ス↡。勿レ↢労シク分別スルコト↡。
^問ふ。 かの仏の相好、 なにをもつてか不同なる。
問フ。彼ノ仏ノ相好何ヲ以テカ不同ナル。
^答ふ。 ¬観仏経¼ に、 諸仏の相好を説きてのたまはく、 「人の相に同ずるがゆゑに*三十二と説き、 もろもろの天に勝れたるがゆゑに*八十の好と説く。 もろもろの菩薩のためには、 八万四千のもろもろの妙相好を説く」 と。 以上 かの仏これに准へよ。
答フ。¬観仏経ニ¼*説キテ↢諸仏ノ相好ヲ↡云ク、「同ズルガ↢人ノ相ニ↡故ニ説ク↢卅二ト↡。勝レタルガ↢諸ノ天ニ↡故ニ説ク↢八*十ノ好ト↡。為ニハ↢諸ノ菩薩ノ↡説クトイヘリ↢八万1204四千ノ諸ノ妙相好ヲ↡。」 已上 彼ノ仏准ヘヨ↠之ニ。
^1113問ふ。 ¬双巻経¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲かの仏の*道樹は高さ四百万里なり」 と。 *¬宝積経¼ にのたまはく、 「▲道樹の高さ十六億由旬なり」 と。 ¬十往生経¼ にのたまはく、 「道樹の高さ四十万由旬なり。 樹下に獅子座あり、 高さ五百由旬なり」 と。 ¬観経¼ にのたまはく、 「▲仏の身量、 六十万億那由他恒河沙由旬なり」 と。 云々 *樹と座と仏身と、 なんぞあひ称はざる。
問フ。¬双巻経ニ¼云ク、「彼ノ仏ノ道樹ハ高サ四百万里ナリト。」¬宝積経ニ¼云ク、「道樹ノ高サ十六億由旬ナリト。」¬十往生経ニ¼云ク、「道樹ノ高サ万由旬ナリ。樹下ニ有リ↢師子座↡、高サ五百由旬ナリト。」¬観経ニ¼云ク、「仏ノ身ノ量六十万億那由他恒河沙由旬ナリト。」云々 樹ト座ト仏身ト何ゾ不ル↢相称ハ↡。
^答ふ。 異解不同なり。 あるいは釈すらく、 「*仏の境界は大小あひ礙へず」 と。 あるいは釈すらく、 「*応仏に寄せて樹量を説き、 真仏に寄せて身量を説く」 と。 また多くの釈あり。 つぶさに述ぶべからずと。
答フ。異解不同ナリ。或イハ釈スラク、仏ノ境界ハ大小不ト↢相礙ヘ↡。或イハ釈スラク、寄セテ↢応仏ニ↡説ク↢樹量ヲ↡。寄セテ↢真仏ニ↡説クト↢身量ヲ↡。又有リ↢多クノ釈↡。不ト↠可カラ↢具ニ述ブ↡。
^問ふ。 ¬華厳経¼ (意) にのたまはく、 「娑婆世界の一劫を極楽国の一日一夜となす」 と等いへり。 云々 これによりてまさに知るべし、 上品中生の、 ▲宿を経て華開くるは、 この間の半劫に当れり。 乃至、 下下生の▲十二劫は、 この間の恒河沙塵数の劫に当れり。 なんぞ極楽と名づけん。
問フ。¬華厳経ニ¼云ク、「娑婆世界ノ一劫ヲ為スト↢極楽国ノ一日一夜ト↡」等イヘリ。云々 由リテ↠此ニ当ニシ↠知ル、上品中生ノ逕テ↠宿ヲ華開クルハ、当レリ↢此ノ間ノ半劫ニ↡。乃至下々生ノ十二劫ハ、当レリ↢此ノ間ノ恒*河沙塵数ノ劫ニ↡。何ゾ名ケム↢極楽ト↡。
^答ふ。 たとひ恒沙劫を経て蓮華開けずとも、 すでに微しき苦なし、 あに極楽にあらずや。
答フ。設ヒ経テ↢恒*沙劫ヲ↡蓮花不トモ↠開ケ、既ニ无シ↢微シノ苦↡、豈ニ非ズヤ↢極楽ニ↡。
^¬双巻経¼ (大経・下) にのたまふがごとし、 「▲その*胎生のものの処するところの宮殿は、 あるいは百由旬、 あるいは五百由旬なり。 おのおのそのなかにしてもろもろの快楽1114を受くること、 忉利天のごとし」 と。 以上
如シ↢¬双巻経ニ¼云フガ↡、「其ノ胎生ノ者ノ所ノ↠処スル宮殿ハ、或イハ百由旬、或イハ五百由旬ナリ。各於テ↢其ノ中ニ↡受クルコト↢諸ノ快楽ヲ↡如シト↢忉利天ノ↡。」 已上
^ある師のいはく、 「*胎生は、 これ*中品・下品なり」 と。
有ル師ノ云ク、「胎生ハ是中品下*生ナリト。」
^ある師はいはく、 「*九品に摂せざるところなり」 と。
有ル師ハ云ク、「九品ニ所ナリト↠不ル↠摂セ。」
^異説ありといへども快楽は別ならず。 いかにいはんや、 かの九品の経るところの日時を判ずること、 諸師不同なるをや。 懐感・智憬等の諸師は、 かの国土の日夜劫数なりと許すは、 まことに責むるところに当れり。 ある師のいはく、 「*▲仏、 この土の日夜をもつて、 これを説きて、 衆生をして知らしめたまふ」 と。 云々
雖モ↠有リト↢異説↡快楽ハ不↠別ナラ。何ニ況ヤ判ズルコト↢彼ノ九品ノ所逕ノ日時ヲ↡、諸師不同ナリ。懐感・智憬等ノ諸師ハ、許スハ↢彼ノ国土ノ日夜劫数ナリト↡。誠ニ当レリ↠所ニ↠責ムル。有ル師ノ云ク、「仏以テ↢*此ノ土ノ日夜ヲ↡説キテ↠之ヲ、令メタマフト↢衆生ヲシテ知ラ↡。」云々
^いまいはく、 後の釈、 失なし。 しばらく四の例をもつて*助成せん。
今謂ク、後ノ釈無シ↠失。且ク以テ↢四ノ例ヲ↡助成セム。
^一には、 かの仏の身量、 そこばく由旬といふは、 かの仏の指分をもつて、 畳ねてかの由旬となせるにあらず。 もししからずは、 須弥山のごとき長大の人の、 一毛端をもつて、 その指の節となさんに似たるべし。 ゆゑに知りぬ、 仏の指の量をもつて仏身の長短を説かずといふことを。 なんぞかならずしも、 浄土の*時剋をもつて華の開くる遅速を説かんや。
一ニ者彼ノ仏ノ身量ノ若干ノ由1205旬ヲ、不ジ↧以テ↢彼ノ仏ノ指ノ分ヲ↡畳ムデ為ムニ↦彼ノ由旬ト↥也。若シ不ハ↠爾ラ者、応シ↠似タル↧如キ↢須弥山ノ↡長大之人ノ以テ↢一毛端ヲ↡為ムニ↦其ノ指ノ節ト↥。故ニ*知リヌ不トイフコトヲ↧以テ↢仏ノ指ノ量ヲ↡説カ↦仏身ノ長短ヲ↥。何ゾ必ズシモ以テ↢浄土ノ時剋ヲ↡説カム↢華ノ開クル遅速ヲ↡耶。
^二には、 ¬*尊勝陀羅尼経¼ に説くがごとし。 「忉利天上の善住天子、 空の声の告ぐるを聞くに、 ªなんぢ、 まさに七日ありて死ぬべしº と。 時に*天帝釈、 仏の教勅を承けて、 かの天子をして七日勤修せしむ。 七日を過ぎて後に、 寿命延ぶることを得たり」 と。 取意
二ニ者如シ↢¬尊勝陀羅尼経ニ¼説クガ↡。「忉利天上ノ善住天子、聞クニ↢空ノ声ノ告グルヲ↡、汝当ニシト↢七日アリテ死ヌ↡。時ニ天帝釈、承ケテ↢仏ノ教勅ヲ↡、令ム↢彼ノ天子ヲシテ七日勤修セ↡。過ギテ↢七日ヲ↡後ニ寿命得タリト↠延ブルコトヲ。」取意
^これはこれ、 人中の日夜1115をもつて説けるなり。 もし天上の七日によらば、 人中の七百歳に当れり。 *仏世の八十年のうちに、 その事を決了すべきにあらず。 九品の日夜もまたこれに同じかるべし。
此ハ是人中ノ日夜ヲモテ而説ケルナリ。若シ拠ラバ↢天上ノ七*日ニ↡、当レリ↢於人中ノ七百歳ニ↡。不ズ↠応キニ↣仏世ノ八十年ノ中ニ、決↢了ス其ノ事ヲ↡。九品ノ日夜モ亦応シ↠同カル↠之ニ。
^三には、 *法護所訳の ¬経¼ にのたまはく、 「▲胎生の人は、 五百歳を過ぎて仏を見たてまつることを得」 と。 ¬平等覚経¼ (三) にのたまはく、 「▲蓮華のなかに*化生して、 城のなかにあり。 この間の五百歳にして、 出づることを得ることあたはず」 と。 取意
三ニ者法護所訳ノ¬経ニ¼云ク、「胎生之人ハ過ギテ↢五百歳ヲ↡得ト↠見タテマツルコトヲ↢於仏ヲ↡。」¬平等覚経ニ¼云ク、「於リ↢蓮華ノ*中↡化生シテ、在リテ↢城ノ中ニ↡、於テ↢是ノ間ノ五百歳ニ↡不ト↠能ハ↠得ルコト↠出ヅルコトヲ。」取意
^憬興等の師、 この文をもつて、 この方の五百歳なりといふことを証す。 いまいはく、 かの胎生の歳数、 すでにこの間によりて説く。 九品の時剋、 なんの別義ありてか、 かれに同じからざらんや。
憬興等ノ師以テ↢此ノ文ヲ↡証ス↢此ノ方ノ五百歳ナリトイフコトヲ↡也。今云ク、彼ノ胎生ノ歳数既ニ依リテ↢此ノ間ニ↡説ク。九品ノ時剋有リテカ↢何ノ別義↡不ラム↠同カラ↠彼ニ耶。
^四には、 もしかの界によりて九品を説けりとせば、 上品中生の一宿、 上品下生の一日一夜は、 すなはちこの界の半劫・一劫に当れり。 もししかなりと許さば、 胎生の疑心のものすら、 なほ娑婆の五百歳を経て、 すみやかに仏を見たてまつることを得るに、 上品の信行のもの、 あに半劫・一劫を過ぎて、 遅く蓮華を開かんや。 この理あるがゆゑに、 後の釈は失なし。
四ニ者若シ拠リテ↢彼ノ界ニ↡説カバ↢九品ヲ↡者、上品中生ノ一宿、上品下生ノ一日*一夜ハ、即チ当レリ↢此ノ界ノ半劫・一劫ニ↡。若シ許サバ↠爾ナリト者、胎生ノ疑心ノ者スラ尚シ逕テ↢娑婆ノ五百歳ヲ↡而速ニ得ルニ↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ。上品ノ信行ノ者豈ニ過ギテ↢半劫・一劫ヲ↡而遅ク開カム↢蓮華ヲ↡耶。有ルガ↢此ノ理↡故ニ後ノ釈ハ无シ↠失。
^問ふ。 もしこの界の日夜の時剋をもつてかの相を説かば、 かの上上品は、 かの国に生れをはりて、 すなはち無生法忍を悟るべからず。 しかる所以は、 この1116界の少時の修行をば勝れたりとなし、 かの国の多時の善根をば劣なりとなす。
問フ。若シ以テ↢此ノ界ノ日夜ノ時剋ヲ↡説カバ↢彼ノ相ヲ↡者、彼ノ上々品ハ、生レ↢彼ノ国ニ↡已リテ、不↠応カラ↣即チ悟ル↢无生1206法忍ヲ↡。所↢以然ル↡者、此ノ界ノ少時ノ修行ヲバ為シ↠勝レタリト。彼ノ国ノ多時ノ善根ヲバ為ス↠劣ナリト。
^すでにしからば、 上上品の人は、 この世界にして、 一日より七日に至るまで、 *三福業を具足するに、 なほ無生法忍を証することあたはざりき。 いかんぞ、 かしこに生れて、 法を聞きてすなはち悟らんや。 ゆゑに知りぬ、 かの国土の長遠の時剋を経て、 無生忍を悟るなり。
既ニ爾ラバ、上々品ノ人ハ、於テ↢此ノ*世界ニ↡一日ヨリ至ルマデニ↢七日ニ↡具↢足スルニ三福業ヲ↡、尚不リキ↠能ハ↠証スルコト↢無生法忍ヲ↡。云何ゾ生レテ↠彼ニ聞キテ↠法ヲ即チ悟ラムヤ。故ニ知リヌ経テ↢彼ノ国土ノ長遠ノ時剋ヲ↡、悟ルナリ↢無*生忍ヲ↡。
^しかも、 かしこに約して、 すなはち悟ると名づくるも、 ここに望むれば、 すなはち億千歳なり。 あるいは上上の人は、 かならずこれ*方便の後心の行、 円満せるものなるべし。 もししからずは、 諸文*桙楯せん。
然モ約シテ↠彼ニ名クルナリ↢即チ悟ルト↡。望ムレバ↠此ニ即チ億千歳ナリ。或イハ可シ↢上々ノ人ハ必ズ是方便ノ後心ノ*行円満ノ者ナル↡。若シ不ハ↠爾ラ者、諸文桙楯ナリ。
^答ふ。 いまだ、 かの国の多善は劣なり、 この界の少善は勝れたりといふことを知らず。
答フ。未ダ↠知ラ↢彼ノ国ノ多善ハ劣ナリ、此ノ界ノ少善ハ勝レタリトイフコトヲ↡。
^問ふ。 ¬双巻経¼ (大経・下) に説かく、 「▲↓ここにして広く徳本を殖ゑ、 恩を敷き恵を施し、 道禁を犯することなく、 忍辱し、 精進し、 一心し、 智慧ありて、 うたたあひ教化して、 善を立し、 意を正しくし、 斎戒清浄にして一日一夜すれば、 無量寿仏の国にありて、 善をなすこと百歳するに勝れたり。 ◆所以はいかん。 かの仏国土は無為自然にして、 みなもろもろの善を積みて毛髪の悪もなし。 ◆ここにして善を修すること十日十夜すれば、 他方の諸仏の国のなかにして善をな1117すこと千歳するに勝れたり」 と。 以上
問フ。¬双巻経ニ¼説カク、「於テ↠是ニ広ク*殖エ↢徳ノ本ヲ↡、*敷キ↠恩ヲ施シ↠*恵ヲ、勿ク↠犯スルコト↢道禁ヲ↡、忍辱シ精進シ一心シ智*恵アリテ、転タ相教化シテ、立シ↠善ヲ正シクシ↠意ヲ、斎戒清浄ニシテ一日一夜スル、勝レタリ↧在リテ↢无量寿仏ノ国ニ↡為ルコト↠善ヲ百歳スルニ↥。所以者何ン。彼ノ*仏国土ハ無為自然ニシテ、皆積ミテ↢衆ノ善ヲ↡无シ↢毛髪之悪モ↡。於テ↠此ニ修スルコト↠善ヲ十日十夜スルハ、勝レタリト↧於テ↢他方ノ諸仏ノ国ノ中ニ↡為ルコト↠善ヲ千*歳スルニハ↥。」 已上
^これその勝劣なり。
是其ノ勝劣ナリ。
^答ふ。 二界の善根を*剋対するにはしかるべし。 しかも、 値仏の縁勝れたれば、 すみやかに悟るに失なし。 あるいは↑この ¬経¼ (大経・下) は、 ただ修行の難易を顕し、 善根の勝劣を顕すにはあらず。 たとへば、 貧賎なるものの一銭を施するをば、 称美すべしといへども、 しかも衆事を弁ぜず、 富貴の千金を捨つるは称すべからずといへども、 しかもよく万事を弁ずるがごとし。 二界の修行もまたかくのごとし。
答フ。二界ノ善根ヲ剋対スルニハ可シ↠爾ル。然モ値仏ノ縁勝レタレバ、速ニ悟ルニ無シ↠失。或イハ此ノ¬経ハ¼但顕スナリ↢修行ノ難易ヲ↡。非ズ↠顕スニハ↢善根ノ勝劣ヲ↡。譬ヘバ如シ↧貧賎ナルモノ施スルヲバ↢一銭ヲ↡雖モ↠可シト↢称美ス↡、而モ不↠*弁ゼ↢衆事ヲ↡、富貴ノ捨ツルハ↢千金ヲ↡雖モ↠不ト↠可カラ↠称ス、而モ能ク*弁ズルガ↦万事ヲ↥。二界ノ修行モ亦復如シ↠是クノ。
^¬*金剛般若経¼ (意) にのたまへるがごとし。 「*仏世にして信解するをば、 いまだ勝れたりとなすに足らず。 滅後をば勝れたりとなす」 と。
如シ↢¬金剛般若経ニ¼云ヘルガ↡。「仏世ニシテ信解スルヲバ未ダ↠足ラ↠為ルニ↠勝レタリト。滅後ノヲバ為スト↠勝レタリト。」
^あるいは余の義あり。 *委曲することあたはず。
或イハ有リ↢余ノ義↡。不↠能ハ↢委曲スルニ↡。
^問ふ。 娑婆の行因に随ひて、 極楽の階位に別あるがごとく、 所感の福報もまた別ありや。
問フ。如ク↧随ヒテ↢娑婆ノ行因ニ↡極楽ノ階位ニ有ルガ↞別、所感ノ福報モ亦有リ↠別耶1207。
^答ふ。 *大都は別なきも、 *細分は差あり。
答フ。大都ハ無シ↠別。細分ハ有リナム↠差。
^¬*陀羅尼集経¼ の第二にのたまふがごとし。 「もし人、 香華・衣食等をもつて供養せざるものは、 かの浄土に生れたりといへども、 しかも香華・衣食等の種々の供養の報を得ず」 と。 この文は、 ▲かの仏の本願に違へり。 さらにこれを思釈せよ。
如シ↢¬陀羅尼集経ノ¼第二ニ云フガ↡。「若シ人不ル↧以テ↢香花・衣食等ヲ↡供養セ↥者ハ、雖モ↠生レタリト↢彼ノ浄土ニ↡、而モ不トイヘリ↠得↢香花・衣食等ノ種々ノ供養之報ヲ↡。」*此ノ文ハ*違ヘリ↢彼ノ仏ノ本願ニ↡。更ニ思↢*釈セヨ之ヲ↡。
^*玄一師・*因法師、 同じくいはく、 「*実に約して論ずれば、 また勝劣あり。 しかもその状相似せるがゆゑに1118好醜なしと説く」 と。
*玄一師・因法師同ジク云ク、「約シテ↠実ニ而モ論ズレバ、亦有リ↢勝劣↡。然モ其ノ状相似セルガ故ニ説クト↠無シト↢好醜↡。」
^問ふ。 極楽世界は、 ここを去ることいくばくぞ。
▼問フ。極楽世界ハ去ルコト↠此ヲ幾処ゾ。
^答ふ。 ¬*経¼ にのたまはく、 「▲ここより西方に、 十万億の仏土を過ぎて極楽世界あり」 と。
◆答フ。¬経ニ¼云ク、「従リ↠此西方ニ過ギテ↢十万億ノ仏土ヲ↡有リト↢極楽世界↡。」
^ある ¬経¼ (称讃浄土経) にのたまはく、 「▲これより西方に、 この世界を去ること百千倶胝那由他の仏土を過ぎて仏の世界あり。 名づけて極楽といへり」 と。
◆有ル¬経ニ¼云ク、「於リ↠是西方ニ去ルコト↢此ノ世界ヲ↡過ギテ↢百千倶胝那庾多ノ仏土ヲ↡有リ↢仏ノ世界↡。名ケテ曰リト↢極楽ト↡。」
^問ふ。 二の経、 なんがゆゑぞ不同なる。
◆問フ。二ノ経何ガ故ゾ不同ナル。
^答ふ。 ¬論¼ (浄土論) の*智光の ¬疏¼ の意にいはく、 「倶胝といふは、 ここには億となす。 那由他といふは、 この間の垓の数に当れり。 世俗にいはく、 十の千を万といひ、 十万を億といひ、 十億を兆といひ、 十兆を経といひ、 十経を垓といふ。 垓はなほこれ大数なり。 百千倶胝はすなはち十万億なり。 億に四の位あり。 一には十万、 二には百万、 三には千万、 四には万万なり。 いま億といふはすなはちこれ万万なり。 この義を顕さんがために那由他を挙ぐ」 と。 以上
◆答フ。¬論ノ¼智光ノ¬疏ノ¼意ノ云ク、「言フ↢倶胝ト↡者、此ニハ為ス↠億ト也。那*庾多トイフ者、当レリ↢此ノ間ノ*欬ノ数ニ↡也。世俗ニ言ク、十ノ千ヲ曰フ↠万ト。十万ヲ曰フ↠億ト。十億ヲ曰フ↠兆ト。十兆ヲ曰フ↠*経ト。十*経ヲ曰フ↠*欬ト。*欬ハ猶是大数也。百千倶胝ハ即チ十万億ナリ。億ニ有リ↢四ノ位↡。一ニ者十万、二ニ者百万、三ニ者千万、四ニ者万々ナリ。今言フ↠億ト者即チ是万々ナリ。為ニ↠顕サムガ↢此ノ義ヲ↡挙グト↢那*庾多ヲ↡。」 已上
^この釈思ふべし。
此ノ釈可シ↠思フ。
^問ふ。 かの仏の*所化はただ極楽とやせん、 また余ありとやせん。
問フ。彼ノ仏ノ所化ハ為ム↢唯極楽トヤ↡、為ム↢亦有リトヤ↟余。
^答ふ。 ¬大論¼ (*大智度論) にいはく、 「阿弥陀仏にもまた厳浄・不厳浄の土あること、 *釈迦文のごとし」 と。
答フ。¬大論ニ¼云ク、「阿弥陀仏ニモ亦有ルコト↢厳浄・不厳浄ノ土↡如シト↢釈迦*文ノ↡。」
^1119問ふ。 なんらかこれなるや。
問フ。何等カ是ナル耶。
^答ふ。 極楽世界はすなはちこれ浄土なり。 しかも、 その ˆ阿弥陀仏のˇ 穢土はいまだいづれの処なるかを知らず。 ただし道綽等の諸師、 ¬鼓音声経¼ の所説の国土をもつてかの穢土となす。
答フ。極楽世界ハ即チ是浄土ナリ。然モ其ノ穢土ハ未ダ↠知ラ↢何レノ処ト↡。但シ道綽等ノ諸師以テ↢¬鼓音声経ノ¼所説ノ国土ヲ↡為ス↢彼ノ穢土ト↡。
^かの ¬経¼ (鼓音声経) にのたまふがごとし。 「▲阿弥陀仏は声聞とともなり。 その国を号して*清泰といふ。 聖王の住むところなり。 その城は縦広十千由旬なり。 なかにおいて*刹利の種を充満せり。
如シ↢彼ノ¬経ニ¼云1208フガ↡。「阿弥陀仏ハ与↢声聞↡倶ナリ。其ノ国ヲバ号シテ曰フ↢清泰ト↡。聖王ノ所住ナリ。其ノ城ハ縦*広十千由旬ナリ。於テ↠中ニ充↢満セシメタリ刹利之種ヲ↡。
^◆阿弥陀仏・如来・応・正遍知の父を月上転輪聖王と名づく。 その母を名づけて殊勝妙顔といふ。 *子を月明と名づく。 *奉事の弟子を無垢称と名づく。 *智慧の弟子を名づけて攬光といふ。 *神足精勤のものを名づけて大化といふ。 その時の魔王を名づけて無勝といふ。 提婆達多あり、 名づけて寂といふ。 阿弥陀仏、 大比丘六万の人とともなり」 と。
阿弥陀*仏・如来・応・正遍知ノ父ヲバ名ク↢月上転輪聖王ト↡。其ノ母ヲバ名ケテ曰フ↢殊勝妙顔ト↡。子ヲバ名ク↢月明ト↡。奉事ノ弟子ヲバ名ク↢無垢称ト↡。智慧ノ弟子ヲバ*名ケテ曰フ↢攬光ト↡。神足精勤ノモノヲバ名ケテ曰フ↢大化ト↡。爾ノ時ノ魔王ヲバ名ケテ曰フ↢無勝ト↡。有リ↢提婆達多↡、名ケテ曰フ↢*寂ト↡。阿弥陀仏与↢大比丘六万ノ人↡*倶ナリトイヘリ。」
^問ふ。 かの仏の所化は、 ただ極楽・清泰との二の国とのみやせん。
問フ。彼ノ仏ノ所化ハ、為ム↢唯極楽・清泰トノ二ノ国トノミヤ↡。
^答ふ。 教文は、 縁に随ひてしばらく一隅を挙ぐ。 その実処を論ずれば不可思議なり。
答フ。教文ハ随ヒテ↠縁ニ且ク挙グ↢一*隅ヲ↡。論ズレバ↢其ノ実処ヲ↡不可思議ナリ。
^¬華厳経¼ の偈にのたまふがごとし。
如シ↢¬華厳経ノ¼偈ニ云フガ↡。
^「菩薩もろもろの願海を修行して、 あまねく衆生の心の所欲に随ふ。
衆生の*心行広くして無辺なれば、 菩薩の国土も十方に遍せり」 と。
| 「菩薩修↢行シテ諸ノ願海ヲバ↡ | 普ク随フ↢衆生ノ心ノ所欲ニ↡ |
| 衆生ノ心行広クシテ無辺ナレバ | 菩薩ノ国土モ遍セリト↢十方ニ↡」 |
^ま1120たのたまはく (華厳経)、
又云ク、
^「如来出現したまひて十方に遍し、 一々の塵のなかに無量の土あり。
そのなかの境界また無量なるに、 ことごとく無辺無尽の劫に住したまふ」 と。
| 「如来出現シタマヒテ遍シタマフ↢十方ノ | 一々ノ塵ノ中ノ無量ノ土ニ↡ |
| *其ノ中ノ境界亦無量ナルニ | 悉ク住シタマフト↢無*辺无尽ノ劫ニ↡」 |
^問ふ。 如来の*施化は、 事孤り起りたまはず。 かならず機縁に対す。 なんぞ十方に遍する。
問フ。如来ノ施化ハ、事不↢孤起リタマハ↡。要ズ対ス↢機縁ニ↡。何ゾ遍スル↢十方ニ↡。
^答ふ。 広劫に修行して無量の衆を成就したまへり。 ゆゑにかの機縁、 また十方の界に遍せり。
答フ。広劫ニ修行シテ成↢*就シタマヘリ無量ノ衆ヲ↡。故ニ彼ノ機縁、亦遍セリ↢十方ノ界ニ↡。
^¬華厳¼ の偈にのたまふがごとし。
如シ↢¬華厳ノ¼偈ニ云フガ↡。
^「往昔に勤修したまふこと多劫海にして、 よく衆生の深重の障を転じたまへり。
ゆゑによく身を分つこと十方に遍して、 ことごとく菩提樹王の下に現じたまふ」 と。
| 「往昔ニ勤修シタマフコト多劫海ニシテ | 能ク転ジタマヘリ↢衆生ノ深重ノ障ヲ↡ |
| 故ニ能ク分身遍シテ↢十方ニ↡ | 悉ク現ジタマフト↢菩提樹王ノ下ニ↡」 |
二 Ⅹ ⅱ 往生階位
【72】^第二に△往生の階位といふは、
第二ニ往生ノ階位トイフ者、
・第一問答
^問ふ、 ¬*瑜伽論¼ (意) にいはく、 「*三地の菩薩、 まさに浄土に生る」 と。 いま*地前の凡夫・声聞を勧むるに、 なんの意かある。
問フ。¬瑜伽論ニ¼云ク、「三地ノ菩薩方ニ生ルト↢浄土ニ↡。」今勧ムルニ↢地前ノ凡夫・声聞ヲ↡有ル↢何ノ意カ↡。
^答ふ。 浄土に差別あるがゆゑに過あることなし。
答フ。浄土ニ差別アルガ故ニ無シ↠有ルコト↠過。
^感師 (懐感) の釈 (群疑論・意) にいふがごとし。 「もろもろの経論の文に、 浄土に生ずることを説くに1121、 おのおの一の義によれり。 浄土すでに粗妙・勝劣あれば、 生ずることを得ることもまた上下階降あり」 と。
如シ↢感師ノ釈ニ云1209フガ↡。「諸ノ経論ノ文ニ説クニ↠生ズルコトヲ↢浄土ニ↡、各拠レリ↢一ノ義ニ↡。浄土既ニ有レバ↢麁妙・勝劣↡、得ルコトモ↠生ズルコトヲ亦有リト↢上下階*降↡。」
^また*道宣律師のいはく、 「三地の菩薩、 はじめて報仏の浄土を見る」 と。
又道宣律*師ノ云ク、「三地ノ菩薩始テ見ルト↢報仏ノ浄土ヲ↡。」
・第二問答
^問ふ。 たとひ報土にあらずとも、 *惑業重きもの、 あに浄土を得んや。
▼問フ。設ヒ非ズトモ↢報土ニ↡、惑業重キ者豈ニ得ムヤ↢浄土ヲ↡。
^答ふ。 天台 (智顗) ののたまはく (維摩経略疏・意)、 「無量寿の国は果報殊勝なりといへども、 臨終の時に懴悔し念仏すれば、 *業障すなはち転じて、 すなはち往生を得。 惑染を具せりといへども、 願力をもつて心を持ちて、 また ˆ浄土にˇ 居することを得」 と。
◆答フ。天臺ノ云ク、「無量*寿ノ国ハ雖モ↢果報殊勝ナリト↡、臨終之時ニ懴悔シ念仏スレバ、業障便チ転ジテ即チ得↢往生ヲ↡。雖モ↠具セリト↢惑染ヲ↡、願力ヲモテ持チテ↠心ヲ亦得ト↠居スルコトヲ也。」
・第三問答
^問ふ。 もし凡夫また往生することを得と許さば、 ¬弥勒問経¼ をいかんが通会せん。 ¬*経¼ (同) にのたまはく、 「仏を念ずるは凡愚の念にあらず。 *結使を雑せずして、 弥陀仏国に生るることを得」 と。
問フ。若シ許サバ↣凡夫亦得ト↢往生スルコトヲ↡、¬弥勒問経¼ヲ如何ガ通会セム。¬経ニ¼云ク、「念ズル↠仏ヲ者非ズ↢凡愚ノ念ニ↡。不シテ↠雑セ↢結使ヲ↡、得ト↠生ルルコトヲ↢弥陀仏*国ニ↡。」
^答ふ。 ¬*西方要決¼ に釈していはく、 「娑婆は苦なりと知りて永く*染界を辞するは、 すなはち*薄浅の汎にあらず。 *当来に仏に作りて、 意もつぱら広く、 法界の衆生を度せんとす。 この勝解あるがゆゑに愚ならず。 正念する時に結使*眠伏す。 ゆゑに結使の念を雑へずといふ」 と。 略抄
答フ。¬西方要決ニ¼釈シテ云ク、「知リテ↢娑婆ハ苦ナリト↡永ク辞スレバ↢染界ヲ↡、*即チ非ズ↢薄浅ノ*汎ニ↡。当来ニ作ラムトイヒ↠仏ニ、意ヲモテ専ニス、広ク度セムトイフ↢法界ノ衆生ヲ↡、有ルガ↢*此ノ勝解↡故ニ非↠愚ナラ也。正念スル時ニ結使眠伏ス。故ニ言フト↢不雑結使念ト↡也。」略抄
^意のいはく、 凡夫の行人の、 この徳を具せるなり。
意ノ云ク、凡夫ノ行人ノ具セル↢此ノ*徳ヲ↡也。
・第四問答
^1122問ふ。 かの国の衆生はみな不退転なり。 あきらかに知りぬ、 これ凡夫の生処にあらずといふことを。
問フ。彼ノ国ノ衆生ハ皆不退転ナリ。明カニ知リヌ非ズトイフコトヲ↢是凡夫ノ生処ニ↡。
^答ふ。 いふところの不退とは、 かならずしもこれ聖の徳にあらじ。
答フ。所ノ↠言フ不退ト者非ジ↢必ズシモ是聖ノ徳ニ↡。
^¬要決¼ (西方要決) にいふがごとし。 「いま不退を明かすに、 その四種あり。 ¬*十住毘婆沙¼ にいはく、
如シ↢¬要決ニ¼云フガ↡。「今明スニ↢不退ヲ↡、有リ↢其ノ四種↡。¬十住毘婆*娑ニ¼云ク、
^ª一には位不退、 すなはち因を修すること万劫ありて、 また、 *悪律儀の行に退堕し生死に流転せざるなり。
一ニハ位不退、即チ修スルコト↠因ヲ万劫アリテ、不ルナリ↧復退↢堕シ悪律儀ノ行ニ↡流↦転セ生死ニ↥。
^二には行不退、 すでに初地を得て、 利他の行退せざるなり。
二ニハ行不退、已ニ得テ↢初地ヲ↡利他ノ行不ルナリ↠退セ。
^三には念不退、 *八地以去は無功用にして、 意に自在を得るがゆゑに。
三ニハ念不退、八地已去ノ無功用ノ意ニ得タルガ↢自在ヲ↡故ニ。
^四には処不退、 文証なしといへども、 理に約してもつて成ず。 いかんとならば、 天のなかに果を得れば、 すなはち不退を得るがごとく、 浄土またしかなり。 命長くして病なく、 勝れたる侶と提携し、 純正にして邪なく、 ただ浄にして染なく、 つねに聖尊に事へまつる、 この五の縁によりてその処に退くことなしº」 と。 以上略抄
四ニハ▼処不退、雖モ↠無シト↢文証↡、約シテ↠理ニ以テ成ズ。何トナラバ者、如ク↢天ノ中ノ得レバ↠果ヲ、即チ得ルガ↟不コトヲ↠退セ、浄土亦爾ナリ。命長クシテ無ク↠病、勝レタル侶ト提携シ、純1210正ニシテ无ク↠邪、唯浄ニシテ無ク↠染、恒ニ事ヘマツル↢聖尊ニ↡、由リテ↢此ノ五ノ縁ニ↡其ノ処ニ無シト↠退クコト。」 已上略抄
・第五問答
^問ふ。 九品の階位、 異解不同なり。
問フ。九品ノ階位、異解不同ナリ。
^*遠法師 (浄影寺慧遠) のいふがごとし。 「▲上が上生は*四・五・六地なり。 ▲上が中生は*初・二・三地なり。 ▲上が下生は*地前の三十心なり」 と。
如シ↢遠法師ノ云フガ↡。「上ガ上生ハ四・五・六地ナリ。上ガ中生ハ初・二・三地ナリ。上ガ下生ハ地前ノ卅心也ト。」
^*力法師のいはく、 「上上は*行・向なり、 上中は*十解なり、 上下は十信なり」 と。
力法師ノ云ク、「上々ハ行・向ナリ、上中ハ*十解ナリ、上下ハ十信ナリト。」
^*基師のいはく、 「上上は十回向、 上中は*解行なり1123、 上下は十信なり」 と。
基師ノ云ク、「上々ハ十廻向、上中ハ解・行ナリ、上下ハ十信ナリト。」
^あるがいはく、 「上上は十住の初心なり、 上中は十信の後心なり、 上下は十信の初位なり」 と。
有ルガ云ク、「上々ハ十住ノ初心ナリ、上中ハ十信ノ後心ナリ、上下ハ十信ノ初位ナリト。」
^あるがいはく、 「上上は↓十信および以前の、 よく三心を発して、 よく*三行を修するものなり。 上中・上下は、 ただ十信以前の、 菩提心を発して、 善を修する凡夫を取る。 起行の浅深により、 もつて二品を分つ」 と。
有ルガ云ク、「上々ハ十信及ビ以前ニ能ク発シテ↢三ノ心ヲ↡、能ク修スル↢三行ヲ↡者也。上中・上下ハ、唯取ル↧十信以前ニ発シテ↢菩提心ヲ↡修スル↠善ヲ凡夫ヲ↥。起行ノ浅深ニヨリ以テ分ツト↢*二品ヲ↡也。」
^諸師の所判の不同なる所以は、 無生忍の位の不同なるをもつてのゆゑなりと。 *¬*仁王経¼ には、 無生忍は七・八・九地にあり。 諸論には、 初地にあるいは*忍位にあり。 ¬*本業瓔珞経¼ には、 十住にあり。 ¬華厳経¼ には、 十信にあり。 ¬占察経¼ には、 *一行三昧を修して相似の無生法忍を得るものを説けり。 ゆゑに諸師おのおの一の義によるなり。
所↢以諸師ノ所判ノ不同ナル↡者、以テノ↢無生忍ノ位ノ不同ナルヲ↡故ナリ。¬仁王経ニハ¼无生忍ハ在リ↢七・八・九地ニ↡。諸論ニハ在リ↢初地ニ或イハ忍位ニ↡。¬本業瓔珞経ニハ¼在リ↢十住ニ↡。¬花厳経ニハ¼在リ↢十信ニ↡。¬占察経ニハ¼説ケリ↧修シテ↢一行三昧ヲ↡得ル↢相似ノ無生法忍ヲ↡者ヲ↥也。故ニ諸師各拠ル↢一ノ義ニ↡也。
^中品の三生は、 遠 (浄影寺慧遠) のいはく、 「▲中上はこれ*前三果なり、 ▲中中はこれ*七方便なり、 ▲中下はこれ*解脱分の善を種ゑたる人なり」 と。 力法師これに同じ。
中品ノ三生ハ、遠ノ云ク、「中上ハ是前三果ナリ、中々ハ是七方便ナリ、中下ハ是種ヱタル↢解脱分ノ善ヲ↡人ナリト。」力法師同ジ↠之ニ。
^基法師のいはく、 「中上は*四善根、 中中は*三賢、 中下は*方便の前の人なり」 と。
基*法師ノ云ク、「中上ハ四善根、中々ハ三賢、中下ハ方便ノ前ノ人ナリト。」
^あるがいはく、 「次いでのごとく、 *忍・頂・煖なり」 と。
有ルガ云ク、「如ク↠次デノ忍・頂・*煖ナリト。」
^あるがいはく、 「*三生はならびにこれ解脱分の善根を種ゑたる人なり」 と。
有ルガ云ク、「三生ハ並ニ是種ヱタル↢解脱分ノ善根ヲ↡人也ト。」
^以上六品にまた余の釈あり。 感禅師 (懐感) の ¬論¼ (群疑論)、 龍興の ¬記¼ (観無量寿経記) 等に見えたり。
已上六品ニ亦有リ↢余ノ釈↡。見エタリ↢*感禅師ノ¬論¼、龍興ノ¬記¼等ニ↡
^下1124品の三生は別の階位なし。 ただこれ具縛造悪の人なり。
下品ノ三生ハ无シ↢別ノ階位↡。但是具縛造悪ノ人也。
^明らけし、 往生の人はその位限りあり。 いかんぞ、 なほこれわれらが分なりとは知るや。
*明ケシ、往生ノ人ハ其ノ位有リ↠限リ。寧ゾ知ル↢猶是我等ガ分ナリトハ↡耶。
^答ふ。 上品の人、 階位たとひ深くとも、 下品の三生、 あにわれらが分にあらざらんや。 いはんや、 ↑かの後の釈に、 すでに十信以前の凡夫を取りて上品の三となせるをや。
答フ。上品之人1211階位設ヒ深クトモ、下品ノ三生豈ニ非ザラム↢我等ガ*分ニ↡耶。況ヤ彼ノ後ノ釈ニ、既ニ取リテ↢十信以前ノ凡夫ヲ↡為セルヲヤ↢上品ノ三ト↡。
^また ¬観経¼ の善導禅師の 「玄義」 (*玄義分) に、 大小乗の*方便以前の凡夫をもつて九品の位を判じて、 諸師の所判の深高なることを許さず。 また経論は、 多く文によりて義を判ず。 いまの ¬経¼ (観経) の所説の上の三品の業を、 なんぞかならずしも執して深位の行となさんや。
又¬観経ノ¼善*導禅師ノ「玄義ニ」、以テ↢大小乗ノ方便以前ノ凡夫ヲ↡判ジテ↢九品ノ位ヲ↡、不↠許サ↢諸師ノ所判ノ深高ナルコトヲ↡。又経論ハ多ク依リテ↠文ニ判ズ↠義ヲ。今ノ¬経ノ¼所説ノ上ノ*三品ノ業ヲ、何ゾ必ズシモ執シテ為サム↢深位ノ行ト↡耶。
・第六問答
^問ふ。 もししからば、 かしこに生じて、 早く無生法忍を悟るべからず。
問フ。若シ爾ラバ生ジテ↠彼ニ不↠応カラ↣早ク悟ル↢無生法忍ヲ↡。
^答ふ。 天台には二の無生忍の位あり。 もし*別教の人ならば、 歴劫修行して無生忍を悟り、 もし*円教の人ならば、 乃至、 悪趣の身にしてまた頓に証するものあり。 穢土なほしかなり、 いかにいはんや浄土をや。 かの土の諸事をば、 余処に例することなかれ。
答フ。天臺ニハ有リ↢二ノ無生忍ノ位↡。若シハ別教ノ人ハ歴劫修行シテ悟ル↢无生忍ヲ↡。若シハ円教ノ人ハ、乃至*悪趣ノ身ニシテ亦有リ↢頓ニ証スル者↡。穢土尚シ爾ナリ。何ニ況ヤ浄土ヲヤ。彼ノ土ノ諸事ヲバ莫レ↠例スルコト↢余処ニ↡。
^いづれの処にか、 一切の凡夫、 いまだその位に至らざるに、 つひに退堕することなく、 いづれの処にか、 一切の凡夫、 ことごとく五神通を得て妙用無礙ならんや。 証果の遅速、 例してまたしかるべし。
何レノ処ノ一切ノ凡夫カ、未ダルニ↠至ラ↢其ノ位ニ↡、終ニ無キヤ↢退堕スルコト↡。何レノ処ノ一切ノ凡夫カ、悉ク得テ↢五神通ヲ↡妙用无礙ナル耶。証果ノ遅速、例シテ亦可シ↠然ル。
・第七問答
^1125問ふ。 上品生の人の、 得益の*早晩は一向にしかるか。
問フ。上品生ノ人ノ得益ノ早晩ハ、一向ニ爾ル耶。
^答ふ。 ¬経¼ (観経) のなかにはしばらく一類を挙ぐるなり。
答フ。¬経ノ¼中ニハ且ク挙グルナリ↢一類ヲ↡。
^ゆゑに ˆ浄影寺ˇ 慧遠和尚の ¬観経の義記¼ (観経義疏) にいはく、 「九品の人の、 かの国に生れをはりて、 益を得る劫数は、 ↓勝れたるによりて説く。 理またこれに過ぎたるものもあるべし」 と。 取意
故ニ*恵遠和尚ノ¬観経ノ義記ニ¼云ク、「九品ノ人ノ生レ↢彼ノ国ニ↡已リテ得ル↠益ヲ之劫数ハ、依リテ↠勝レタルニ而説ク。理亦有ルベシト↢過ギタル↠之ニ者モ↡。」取*意
^いまいはく、 ひろく九品を論ぜば、 あるいはまた少分これよりすみやかなるものもあるべし。
今謂ク汎ソ論ゼバ↢九品ヲ↡、或イハ復可シ↠有ル↧少分速ナル↢於此ヨリ↡者モ↥。
・第八問答
^問ふ。 ¬双巻経¼ (大経) のなかに、 また弥勒等のごとき、 もろもろの大菩薩の、 まさに極楽に生ずべきあり。 ゆゑに知りぬ、 ¬経¼ (観経) のなかの九品の得益は劣なるによりてしかも説けるなり。 いかんぞ 「↑勝れたるによる」 とはいふや。
問フ。¬双巻経ノ¼中ニ、亦有リ↧如キ↢弥勒等ノ↡諸ノ大菩薩ノ当ニキ↞生ズ↢極楽ニ↡。故ニ知リヌ¬経ノ¼中ノ九品ノ得益ハ依リテ↠劣ナルニ而モ説ケルナリ。何ゾ言フ↠依レルトハ↠勝レタルニ耶。
^答ふ。 かの国に生れてはじめて無生を悟る、 前後・早晩に約して、 これを 「勝れたるによる」 といふなり。 さらにかの上位の大士をば論ぜず。 しかも、 かの大士、 九品のなかにおいて摂と不摂とを、 別に思択すべし。
答フ。*約シテ↧生ジテ↢彼ノ国ニ↡始テ悟ル↢無生ヲ↡前後ノ早晩ニ↥、謂フナリ↢之ヲ依ルト↟勝レタルニ。更ニ不↠論ゼ↢彼ノ上位ノ大士ヲバ↡。然モ彼ノ大士於テ↢九品ノ中ニ↡摂ト与ヲ↢不摂↡別ニ応シ↢思択ス↡。
・第九問答
^問ふ。 もし凡下の輩もまた往生することを得ば、 いかんぞ、 近代、 かの国土において求むるものは千万なるも、 得ることは一二もなきや。
▼問フ。若シ凡下ノ輩ハ亦得バ↢往生1212スルコトヲ↡。云何ゾ、近代於テ↢彼ノ国土ニ↡求ムル者ハ千万ナリ。得ルコトハ無キヤ↢一二モ↡。
^答ふ。 綽和尚 (道綽) のいはく (安楽集・上意)、 「▲信心深からずして、 存ぜるがごとく、 亡ぜる1126がごときゆゑに。 信心一ならずして、 決定せざるがゆゑに。 信心相続せずして、 余念間つるがゆゑに。 この三、 相応せざるものは、 往生することあたはざるなり。 ▲もし三心を具して往生せずといはば、 この処あることなからん」 と。
◆答フ。綽和尚ノ云ク、「信心不シテ↠深カラ、若ク↠存ゼルガ若キ↠亡ゼルガ故ニ。信心不シテ↠一ナラ、不ルガ↢決定セ↡故ニ。信心不シテ↢相続セ↡、余念間レルガ故ニ。此ノ三不ル↢相応セ↡者ハ不ルナリ↠能ハ↢往生スルコト↡。若シ具シテ↢三心ヲ↡不トイハバ↢往生セ↡者、无ケムト↠有ルコト↢是ノ処↡。」
^導和尚 (善導) のいはく (礼讃)、 「▲もしよく↓上のごとく念々相続して命を畢ふるを期となすものは、 十はすなはち十生じ、 百はすなはち百生ず。 ▲もし専を捨てて雑業を修せんと欲するものは、 百にして時に希に一二を得、 千にして時に希に三五を得」 と。 「↑上のごとく」 といふは、 礼・讃等の五念門、 至誠等の三心、 長時等の四修を指すなり。
▼導和尚ノ云ク、「若シ能ク如ク↠上ノ念々相続シテ畢フルヲ↠命ヲ為ル↠期ト者ハ、十ハ即チ十生ス、百ハ即チ百生ス。若シ欲セム↣捨テテ↠専スルコトヲ修セムト↢雑業ヲ↡者ハ、百ニシテ時ニ希ニ得ト↢一二ヲ↡。千ニシテ時ニ希ニ得ト↢三五ヲ↡。」言フ↢如上ト↡者指ス↢礼・讃等ノ五念門、至誠等ノ三心、長時等ノ四修ヲ↡也
・第十問答
^問ふ。 もしかならず命を畢ふるを期となさば、 いかんぞ、 感和尚 (懐感) の、 「長時・短時、 多修・少修、 みな往生することを得」 (群疑論) といへるや。
問フ。若シ*必ズ畢スルヲ↠命ヲ為サバ↠期ト者、如何ゾ感和尚ノ云ヘル↣「長時・短時、多修・少修、皆得ト↢往生スルコトヲ↡」耶。
^答ふ。 *業類一にあらざるがゆゑに、 二の師ともに過なし。 しかも、 命を畢ふるを期となして、 勤修して怠ることなくは、 業をして決定せしむるに、 これを*張本となす。
答フ。業類非ザルガ↠一ニ故ニ二ノ師倶ニ無シ↠過。然モ畢フルヲ↠命ヲ為シテ↠期ト、勤修シテ无クシテ↠怠スルコト、令ムルニ↢業ヲシテ決定セ↡、是ヲ為ス↢張本ト↡。
・第十一問答
^▼問ふ。 *¬*菩薩処胎経¼ の第二に説かく、 「西方にこの閻浮提を去ること十二億那由他して懈慢界あり。 国土快楽にして、 *倡妓楽を作り、 衣被・服飾・香華を1127もつて荘厳せり。 七宝転開の床あり。 目を挙げて東を視れば、 宝床随ひて転ず。 北を視、 西を視、 南を視るにもまたかくのごとく転ず。
▼問フ。¬菩薩処胎経ノ¼第二ニ説カク、「西方ニ去レルコト↢此ノ閻浮提ヲ↡十二億那由他シテ有リ↢▼懈慢界↡。▼国土快楽ナリ。作リ↢*倡妓楽ヲ↡、衣被・服飾・香花ヲモテ荘厳セリ。七宝転開ノ床アリ。挙ゲテ↠目ヲ東ヲ視レバ、宝床随ヒテ転ズ。北ヲ視西ヲ視南ヲ視ルニモ亦如ク↠是クノ転ズ。
^前後に▼意を発せる衆生の、 阿弥陀仏国に生れんと欲するもの、 みな深く懈慢国土に着して、 前進して、 阿弥陀国に生るることあたはず。 億千万の衆、 時に一人ありてよく阿弥陀仏の国に生ず」 と。 以上
▼前後ニ発セル↠意ヲ衆生ノ欲スル↠生レムト↢阿弥陀仏国ニ↡者、皆深ク著シテ↢懈慢国土ニ↡、不↠能ハ↣前進シテ生ルルコト↢阿弥*陀国ニ↡。億千万ノ衆、時ニ有リテ↢一人↡能ク生ズト↢阿弥陀仏ノ国ニ↡。」 已上
^◆この ¬経¼ (菩薩処胎経) をもつて准ずるに、 生ずることを得べきこと難し。
◆以テ↢此ノ¬経ヲ¼↡*准ズルニ、難シ↠可キコト↠得↠生ズルコトヲ。
^▼答ふ。 ¬群疑論¼ に、 善導和尚の*前の文を引きて、 この難を釈して、 またみづから助成していはく、 「この ¬経¼ (菩薩処胎経) の下の文にのたまはく、 ªなにをもつてのゆゑに。 みな*懈慢によりて*執心牢固ならずº と。
▼答フ。¬群疑論ニ¼、引キテ↢善導和尚ノ前ノ文ヲ↡而釈セリ↢此ノ難ヲ↡。又自ラ助成シテ云ク、「此ノ¬経ノ¼下ノ文ニ*云ク、何ヲ以テノ故ニ。皆由ルナリト↣懈慢ニシテ執心不ルニ↢牢*固ナラ↡。
^▼ここをもつて知りぬ、 雑修のものは執心不牢の人となすなり。 ゆゑに懈慢国に生ず。 もし雑修せずして、 もつぱらにしてこの業を行ぜば、 これすなはち執心牢固にして、 さだめて極楽国に生ぜん。 乃至
◆是ヲモテ知リヌ雑修1213之者ヲ為ルナリ↢執心不牢之人ト↡。故ニ生ズ↢懈慢国ニ↡也。若シ不シテ↢雑修セ↡専ニシテ行ズルハ↢此ノ業ヲ↡、此即チ執心牢固ナルナリ、定メテ生ル↢極楽国ニ↡。乃至
^▼また*報の浄土に生るるものはきはめて少なし。 *化の浄土のなかに生るるもの少なからず。 ゆゑに経に別に説けり。 実には相違せず」 と。 以上
▼又報ノ浄土ニ生ルル者ハ極テ少シ。化ノ浄土ノ中ニ生ルル者不↠少カラ。故ニ経ニ別ニ説ケリ。実ニハ不ト↢相違セ↡也。」 已上
・第十二問答
^問ふ。 たとひ三心を具せずといへども、 命を畢ふることを期せずといへども、 かの一たび名を聞くすら、 なほ仏になることを得。 いはんやしばらくも称念する1128、 なんぞ*唐捐ならんや。
問フ。設ヒ雖モ↠不ト↠具セ↢三心ヲ↡、雖モ↠不ト↠期セ↠畢フルコトヲ↠命ヲ、彼ノ一タビ聞クスラ↠名ヲ、尚得↠成ルコトヲ↠仏ニ。況ヤ暫モ称念スル、何ゾ唐捐ナラム耶。
^答ふ。 しばらくは唐捐なるに似たれども、 つひには*虚設ならず。
答フ。暫クハ似タレドモ↢唐捐ナルニ↡、終ニハ非↢虚設ナラ↡。
^¬華厳¼ の偈に、 経を聞くものの、 転生の時の益を説きてのたまふがごとし。
如シ↧¬花厳ノ¼偈ニ、説キテ↢聞経者転生ノ時ノ益ヲ↡云フガ↥。
^「もし人、 聞くに堪任せるものは、 大海および、
*劫尽の火のなかにありといへども、 かならずこの経を聞くことを得ん」 と。 「大海」 とは、 これ竜界なり。
| 「若シ人堪↢任セルモノハ聞クニ↡ | 雖モ↠在リト↢於大海 |
| 及ビ劫尽ノ火ノ中ニ↡ | 必ズ得ント↠聞クコトヲ↢此ノ経ヲ↡」 大海ト者是竜界ナリ |
^釈していはく (*探玄記・意)、 「余の業によるがゆゑにかの難処に生る。 *前の信によるがゆゑにこの*根器を成ぜり」 と。 云々
釈シテ云ク、「由ルガ↢余ノ業ニ↡故ニ生ル↢彼ノ難処ニ↡。由ルガ↢前ノ信ニ↡故ニ成ゼリト↢此ノ根器ヲ↡。」云々
^¬華厳¼ を信ずるもの、 すでにかくのごとし。 念仏を信ずるもの、 あにこの益なからんや。 かの一生に悪業を作りて、 臨終に善友に遇ひて、 わづかに十たび仏を念じて、 すなはち往生することを得。 かくのごとき等の類は、 多くこれ前世に、 浄土を欣求してかの仏を念ぜるものの、 *宿善うちに熟していま開発するのみ。
信ズル↢¬花厳ヲ¼↡者既ニ而如シ↠是クノ。信ゼム↢念仏ヲ↡者豈ニ無カラムヤ↢此ノ益↡。彼ノ一生ニ作リテ↢悪業ヲ↡、臨終ニ遇ヒテ↢善友ニ↡、纔ニ十タビ念ジテ↠仏ヲ、即チ得ル↢往生スルコトヲ↡、如キ↠是クノ等ノ類ハ、多ク是前世ニ欣↢求シテ浄土ヲ↡念ゼル↢彼ノ仏ヲ↡者ノ、宿善内ニ熟シテ今開発スル耳。
^ゆゑに ¬*十疑¼ にいはく、 「臨終に善知識に遇ひて十念成就するものは、 ならびにこれ宿善強くして、 善知識を得て十念成就するなり」 と。 云々
故ニ¬十疑ニ¼云ク、「臨終ニ遇ヒテ↢善知識ニ↡十念成*就スル者ハ、並ニ是宿善強クシテ、得テ↢善知識ヲ↡十念成*就スルナリトイヘリ。」云々
^感師 (懐感) の意もまたこれに同じ。
感師ノ意モ亦同ジ↠之ニ。
・第十三問答
^問ふ。 下下品の人、 もし宿善によらば、 十念生の本願 (第十八願)、 すなはち名1129ありて実なからん。
問フ。下々品ノ*人若シ依ラバ↢宿善ニ↡、十念生ノ本願即チ有リテ↠名無ケム↠実。
^答ふ。 たとひ宿善ありとも、 もし十念なくは、 さだめて*無間に堕ち、 受苦窮まりなからん。 明らけし、 臨終の十念これ往生の勝縁なり。
答フ。設ヒ有レドモ↢宿善↡、若シ无クハ↢十念↡、定メテ堕チ↢無間ニ↡受苦无ケム↠窮リ。明ケシ、臨終ノ十念是往生ノ勝縁ナリ。
二 Ⅹ ⅲ 往生多少
【73】^第三に△*往生の多少といふは、
第*三ニ往生ノ多少トイフ者、
^¬双巻経¼ (大経・下意) にのたまはく、 「▲仏、 *弥勒に告げたまはく、 ªこの世界より、 六十七億の不退の菩薩ありて、 かの国に往生す。 一々の菩薩は、 すでにかつて無数の諸仏を供養して、 次いで弥勒のごとし。 もろもろの小行の菩薩および少功徳を修せるものも、 称計すべからず。 みなまさに往生すべし。
¬双巻経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢弥勒ニ↡、於リ↢此ノ世界↡六十七億1214ノ不退ノ菩薩アリテ往↢生ス彼ノ国ニ↡。一々ノ菩薩ハ、已ニ曽供↢養シテ無数ノ諸仏ヲ↡、次ギテ如キナリ↢弥勒ノ↡。諸ノ小行ノ菩薩及ビ修セル↢少功徳ヲ↡者モ、不ル↠可カラ↢称計ス↡、皆当ニシ↢往生ス↡。
^▲他方の仏土もまたかくのごとし。 ◆その遠照仏国の百八十億の菩薩、 ◆宝蔵仏国の九十億の菩薩、 ◆無量意仏国の二百二十億の菩薩、 ◆甘露味仏国の二百五十億の菩薩、 ◆竜勝仏国の十四億の菩薩、 ◆勝力仏国の万四千の菩薩、 ◆師子仏国の五百の菩薩、 ◆離垢光仏国の八十億の菩薩、 ◆徳首仏国の六十億の菩薩、 ◆妙徳山仏国の六十億の菩薩、 ◆人王仏国の十億の菩薩、
他方ノ仏土ノモ亦復如シ↠是クノ。其ノ遠照仏国ノ百八十億ノ菩薩、宝蔵仏国ノ九十億ノ菩薩、无量*意仏国ノ二百廿億ノ菩薩、甘*露味仏国ノ二百五十億ノ菩薩、竜勝仏国ノ十四億ノ菩薩、勝力仏国ノ万四千ノ菩薩、師子仏国ノ五百ノ菩薩、離垢光仏国ノ八十億ノ菩薩、徳首仏国ノ六十億ノ菩薩、妙徳山仏国ノ六十億ノ菩薩、人王仏国ノ十億ノ菩薩、
^◆無上華仏国の無数不可称計の不退のもろもろの菩薩、 智慧勇猛にして、 すでにかつて無量の諸仏を供養したてまつり、 七日のうちに、 すなはちよく百千億劫の大士の所修の堅固の法を摂取す。 ◆無畏仏国の七百九十億の大菩薩衆、 もろもろの小菩薩および比丘等は、 称計すべからず。 みなまさに往生すべし。
無上華仏国ノ无数不可称計ノ不退ノ諸ノ菩薩、智*慧勇猛ニシテ、已ニ曽供↢養シタテマツリ无量ノ諸仏ヲ↡、於テ↢七日ノ中ニ↡即チ能ク摂↢取ス百千億劫ノ大士ノ所修ノ堅固之法ヲ↡。無畏仏国ノ七百九十億大ノ菩薩衆、諸ノ小菩薩及ビ比丘等ハ、不ル↠可カラ↢称計ス↡、皆当ニシ↢往生ス↡。
^▲ただこの十四仏の国1130のなかのもろもろの菩薩等の、 まさに往生すべきのみにあらず。 十方世界の無量の仏国より、 その往生するものもまたかくのごとく、 はなはだ多くして無数なり。 ◆われ、 ただ十方の諸仏の名号および菩薩・比丘のかの国に生るるものを説かば、 昼夜にして一劫すともなほいまだ竟ることあたはじº」 と。 以上
不ズ↣但此ノ十四仏ノ*国ノ中ノ諸ノ菩薩等ノミ当ニキノミニ↢往生ス↡也。十方*世界ノ无量ノ仏国ヨリ其ノ往生スル者モ亦復如シ↠是クノ。甚ダ多クシテ无数ナリ。我但シ説カバ↧十方ノ諸仏ノ名号及ビ菩薩・比丘ノ生ルル↢彼ノ国ニ↡者ヲ↥、昼夜ニシテ一劫ストモ尚未ダト↠能ハ↠竟ルコト。」 *已上
^この諸仏の土のなかに、 いまの娑婆世界に少善を修して、 まさに往生すべきものあり。 われら、 いま幸ひに釈尊の遺法に遇ひて、 億劫の時に一たびたまたま少善往生の流に預かれり。 務ぎて勤修すべし。 時を失ふことなかれ。
此ノ諸仏ノ土ノ中ニ、今ノ娑婆世界ニ有リ↧修シテ↢少善ヲ↡当ニキ↢往生ス↡者↥。我等*今幸ニ遇ヒテ↢釈尊ノ*遺法ニ↡、億劫ニ時ニ一タビ*適マ預レリ↢少善往生ノ流ニ↡。応シ↢務ギテ勤修ス↡。莫レ↠失フコト↠時ヲ焉。
^問ふ。 もし少善根また往生することを得ば、 いかんぞ、 ¬経¼ (小経) に 「▲少善根福徳の因縁をもつて、 かの国に生るることを得べからず」 とはのたまへる。
問フ。若シ少善根亦1215得バ↢往生スルコトヲ↡、如何ゾ¬経ニ¼云ヘル↠「不トハ↠可カラ↧以テ↢少善根・福徳ノ因縁ヲ↡得↞生ルルコトヲ↢彼ノ国ニ↡。」
^答ふ。 これに異解あり、 繁く出すことあたはず。 いまわたくしに案じていはく、 大小は定まれることなし。 相待して名を得。 大菩薩に望むれば、 これを少善と名づくと。 輪廻の業に望むれば、 これを名づけて大となす。 このゆゑに、 *二経の義、 違害せず。
答フ。此ニ有リ↢異解↡、不↠能ハ↢繁ク出スルコト↡。今私ニ案ジテ云ク、大少ハ无シ↠定マレルコト。相待シテ得↠名ヲ。望メテ↢大菩薩ニ↡名クト↢之ヲ少善ト↡。望ムレバ↢輪廻ノ業ニ↡名ケテ↠之ヲ為ス↠大ト。是ノ故ニ二経ノ義不↢違害セ↡。
二 Ⅹ ⅳ 尋常念相
【74】^第四に△*尋常の念相を明かさば、 これに多種あり。 大きに分ちて四となす。
第四ニ明サバ↢尋常ノ念相ヲ↡者、此ニ有リ↢多種↡。大ニ分チテ為ス↠四ト。
^一には定業、 いはく、 坐禅入定して仏を観ずるなり。
一ニハ定業、謂ク坐禅入定シテ観ズルナリ↠仏ヲ。
^二には散業、 いはく、 行1131住坐臥に、 散心に仏を念ずるなり。
二ニハ散業、謂ク行住坐臥ノ散心ニ念ズルナリ↠仏ヲ。
^三には有相の業、 いはく、 あるいは相好を観じ、 あるいは名号を念じて、 ひとへに穢土を厭ひて、 もつぱらにして浄土を求むるなり。
三ニハ有相ノ業、謂ク或イハ観ジ↢相好ヲ↡或イハ念ジテ↢名号ヲ↡、偏ニ厭ヒテ↢穢土ヲ↡、専ニシテ求ムルナリ↢浄土ヲ↡。
^四には無相の業、 いはく、 仏を称念し浄土を欣求すといへども、 しかも身土すなはち畢竟空にして、 幻のごとく夢のごとし、 体に即して空なり、 空なりといへども有なり、 非有非空なりと観じて、 この無二を通達して、 真に第一義に入るなり。 これを無相の業と名づく。 これ最上の三昧なり。
四ニハ无相ノ業、謂ク雖モ↧称↢念シ仏ヲ↡欣↦求スト浄土ヲ↥、而モ観ジテ↢身土即チ畢竟空ナリ、如ク↠幻ノ如シ↠夢ノ、即シテ↠体ニ而空ナリ、雖モ↠空ナリト而有ナリ、非有非空ナリト↡、通↢達シテ此ノ无二ヲ↡、真ニ入ルナリ↢第一義ニ↡、是ヲ名ク↢無相ノ業ト↡。是最上ノ三昧ナリ。
^ゆゑに ¬双巻経¼ (大経・下) に、 阿弥陀仏ののたまはく、
故ニ¬双巻経ニ¼阿弥陀仏ノ言ク、
^「▲諸法の性は、 一切空・無我なりと通達すれども、
もつぱら浄仏土を求めて、 かならずかくのごとき刹を成ぜん」 と。
| 「通↢達シテ諸法ノ性ハ | 一切空无我ナリト↡ |
| 専ラ求ムル↢浄仏土ヲ↡ | 必ズ成ズト↢如キ↠是クノ刹ヲ↡」 |
^また ¬*止観¼ の常行三昧のなかに、 三段の文あり。 つぶさには△上の別行のなかに引くがごとし。
又¬止観ノ¼常行三昧ノ中ニ有リ↢三段ノ文↡。具ニハ如シ↢上ノ別行ノ中ニ引クガ↡。
^問ふ。 定散の念仏は、 ともに往生するや。
問フ。定散ノ念仏ハ倶ニ往生スル耶。
^答ふ。 慇重の心をもつて念ずれば、 往生せずといふことなし。
答フ。慇重ノ心ヲモテ念ズルハ、無シ↠不トイフコト↢往生セ↡。
^ゆゑに感師 (懐感)、 念仏の差別を説きていはく (群疑論・意)、 「あるいは深、 あるいは浅、 定に通じ散に通ず。 定といふはすなはち凡夫より十地に終る。 *善財童子の、 *功徳雲比丘の所にして念仏三昧を請け学び1132しごとき、 これすなはち甚深の法なり。 散といふはすなはち一切衆生の、 もしは行、 もしは坐、 一切の時処にみな仏を念ずることを得て、 諸務も妨げず、 乃至、 命終にまたその行を成ずるなり」 と。 以上
故ニ感師説キテ↢念仏ノ差別ヲ↡云ク、「或イハ深或イハ浅、通ジ↠定ニ通ズ↠散ニ。定トイフハ即チ於凡夫ヨリ終ル↢于十地ニ↡。如キ↧善財童子ノ於テ↢功徳雲比丘ノ所ニ↡請ケ↦学ブ念仏三昧ヲ↥、此即チ甚深ノ法也。散トイフハ即チ一切衆生ノ、若シハ行若シハ坐、一切ノ時処ニ皆得テ↠念ズルコトヲ↠仏ヲ。不↠妨セ↢諸務モ↡、乃至命終ニ亦成ズルナリト↢其ノ行ヲ↡。 已上
^問ふ。 有相・無相の業は、 ともに往生することを得るや。
問フ。有相・无相1216ノ業ハ倶ニ得ル↢往生スルコトヲ↡耶。
^答ふ。 綽和尚 (道綽) のいはく (安楽集・上)、 「▲もし始学のものは、 いまだ相を破することあたはず、 ただよく相によりて専至せば、 往生せずといふことなし。 疑ふべからず」 と。
答フ。綽和尚ノ云ク、「若シ始*学ノ者ハ未ダシテ↠能ハ↠破スルコト↠相ヲ、但能ク依リテ↠相ニ*専至スルニ無シ↠不トイフコト↢往生セ↡。不ト↠須カラ↠疑フ也。」
^また感和尚 (懐感) のいはく (群疑論)、 「往生すでに*品類差殊なれば、 修因また浅深ありて各別なり。 ただいふべからず、 ただ*無所得を修して往生することを得、 有所得の心は生ずることを得ず」 と。
又感和尚ノ云ク、「往生既ニ品類差殊ナレバ、修因亦有リ↢浅深各別ナルコト↡。不↠可カラ↢但言フ↡、唯シ修シテ↢無所得ヲ↡而シテ*得↢往生スルコトヲ↡、有所得ノ心ハ不ト↠得↠生ズルコトヲ也。」
^問ふ。 もししからば、 いかんぞ *¬仏蔵経¼ (意) に説かく、 「もし比丘ありて、 余の比丘に教へて、 ªなんぢまさに*仏を念じ、 法を念じ、 僧を念じ、 戒を念じ、 施を念じ、 天を念ずべし。 かくのごとき等の思惟をもつて、 涅槃の安楽寂滅なることを観じ、 ただ涅槃の畢竟清浄なることを愛せよº と。 かくのごとく教ふるものを名づけて邪教となし、 *悪知識と名づく。 この人を名づけて、 われを誹謗して外道を助くとなす。 かくのごとき悪人は、 われすなはち一飲の水をも受1133くることを聴さず」 と。
問フ。若シ爾ラバ、如何ゾ¬仏蔵経ニ¼説カク、「若シ有リテ↢比丘↡教ヘマク↢余ノ比丘ニ↡、汝当ニシ↢念ジ↠仏ヲ念ジ↠法ヲ念ジ↠僧ヲ念ジ↠戒ヲ念ジ↠施ヲ念ズ↟天ヲ。如キ↠是クノ等ノ思惟ヲモテ観ジ↢涅槃ノ安楽寂滅ナルコトヲ↡、唯愛セヨト↢涅槃ノ畢竟清浄ナルコトヲ↡。如ク↠是クノ教フル者ヲ名ケテ為シ↢邪教ト↡。名ク↢悪知識ト↡。是ノ人ヲバ名ケテ為ス↧誹↢謗シテ於我ヲ↡助クト↦於外道ヲ↥。如キ↠是クノ悪人ヲバ、我乃チ不ト↠聴サ↠受ケムコトヲ↢一飲ノ水ヲモ↡。」
^またのたまはく (仏蔵経)、 「むしろ五逆重悪を成就すとも、 我見・衆生見・寿見・命見・陰入界見等をば成就せざれ」 と。 以上略抄
又言ク、「寧ロ成↢*就ストモ五逆重悪ヲ↡、不レト↣成↢*就セ我見・衆生見・寿見・命見・陰入界見等ヲバ↡」耶。 已上略抄
^答ふ。 感師 (懐感) 釈していはく (群疑論・意)、 「ある聖教 (*無上依経) にまたのたまはく、 ª▲むしろ我見を起すこと須弥山のごとくにすとも、 空見を起すこと芥子ばかりのごとくもせざれº と。 かくのごとき等の諸大乗経に、 有を*訶し空を訶し、 *大を讃じ*小を讃ずること、 ならびにすなはち機に*逗じて不同なり。
答フ。感師釈シテ云ク、「有ル聖教ニハ復言ヘルコト、寧ロ起サムコト↢我見ヲ↡如クニストモ↢須弥山ノ↡、不レト↧起スコト↢空見ヲ↡如クモセ↦芥子許ノ↥。如キ↠是クノ等ノ諸大乗経ニ、訶シ↠有ヲ訶シ↠空ヲ、讃ジ↠大ヲ讃ズルコト↠小ヲ、並ニ乃チ逗ジテ↠機ニ不同ナルナリ。
^またある ¬経¼ (大集経) にのたまはく、 ªいま阿弥陀如来・応・正等覚は、 つぶさにかくのごとき三十二相・八十随形好まします。 身色・光明は聚金の融けたるがごとし。 かくのごとくおもひて、 乃至、 かの如来を念ぜず。 またかの如来を得ざれ、 すでに↓かくのごとくして次第に空三昧を得º と。
又有ル¬経ニ¼言ク、今者阿弥陀如来・応・正等覚ハ、具ニ有ス↢如キ↠是クノ卅二相・八十随形ノ好↡。身色光明ハ如シ↠聚メタルガ↢金融ヲ↡。如クオモヒテ↠是クノ、乃至不↠念ゼ↢彼ノ如来ヲ↡。亦不ルコト↠得↢彼ノ如来ヲ↡已リテ、如クシテ↠是クノ次第ニ得トイヘリ↢空三昧↡。
^また ¬観仏三昧経¼ にのたまはく、 ª如来にまた法身・十力・無畏・三昧・解脱、 もろもろの神通の事まします。 かくのごとき妙処は、 なんぢ凡夫の覚るところの境界にあらず。 ただまさに深心にして随喜の想を起すべし。 この想を起しをはりて、 まさにまた念を繋けて仏の功徳を念ずべしº と。
又¬観仏三昧経ニ¼云ク、如来ニ亦有ス↢法身・十力・無畏・三昧・解脱、諸ノ神通ノ事↡。如キ↠此クノ妙処ハ、非ズ↢汝凡夫ノ所ノ↠覚ル境界ニ↡。但当ニシ↣深1217心ニシテ起ス↢随喜ノ想ヲ↡。起シ↢是ノ想ヲ↡已リテ、当ニシトイヘリ↣復繋ケテ↠念ヲ念ズ↢仏ノ功徳ヲ↡。
^ゆゑに知りぬ、 初学の輩はかの色身を観じ、 後学の徒は法身を念ずるなり。 ゆゑに、 ª↑かくのごとくして次第に1134空三昧を得º といへり。 まさにすべからくよく経の意を会すべし、 毀讃の心をなすことなかれ。 妙に知る、 大聖 (釈尊) は巧みに根機に逗じたまへることを」 と。 以上、 ¬観仏経¼ の第九に、 仏の一毛を観じ、 乃至、 具足の色身を観ずることを説きをはりて、 引くところの十力・無畏・三昧等の文あり。
故ニ知リヌ初学之輩ハ観ジ↢彼ノ色身ヲ↡、後学之徒ハ念ズル↢法身ヲ↡也。故ニ言ヘリ↣如クシテ↠是クノ次第ニ得ト↢空三昧ヲ↡。当ニシ↣須ク善ク会ス↢経ノ意ヲ↡、勿レ↠生スコト↢毀讃之心ヲ↡。妙ニ知レト↧大聖ノ巧ニ逗リタマヘル↢根機ニ↡者ヲ↥。」已上¬観仏経ノ¼第九ニ説カク、観ズ↢仏ノ一毛ヲ↡、乃至観ズルコト↢具足ノ色身ヲ↡已リテ、有リ↢所↠引ク之十力・无畏・三昧等ノ*文↡
^▼問ふ。 念仏の行は、 九品のなかにおいては、 これいづれの品の摂ぞ。
問フ。念仏之行ハ於テハ↢九品ノ中ニ↡、是何レノ品ノ摂ゾ。
^◆答ふ。 もし説のごとく行ずるは、 理、 *上上に当れり。 かくのごとくして、 その勝劣に随ひて九品を分つべし。 しかも ¬経¼ (観経) の所説の九品の行業は、 これ一端を示すなり。 理、 実には無量なり。
答フ。若シ如ク↠説ノ行ズルハ、理当レリ↢*上々ニ↡。如クシテ↠是クノ随ヒテ↢其ノ勝劣ニ↡応シ↠分ツ↢九品ヲ↡。然モ¬経ノ¼所説ノ九品ノ行業ハ、是示スナリ↢一端ヲ↡。理実ニハ無量ナリ。
^問ふ。 もし定散ともに往生することを得るがごとく、 また現身にともに仏を見たてまつるとせんや。
問フ。為如ク↣定散倶ニ得ルガ↢往生スルコトヲ↡、亦為現身ニ倶ニ見ル↠仏ヲ耶。
^答ふ。 *経論に多く、 「三昧成就して、 すなはち仏を見たてまつることを得」 と説けり。 あきらかに知りぬ、 散業は見たてまつることを得べからずといふことを。 ただ別縁をば除く。
答フ。経論ニ多ク説ケリ、三昧成*就シテ、即チ得ト↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ。明カニ知リヌ散業ハ不トイフコトヲ↠可カラ↠得↠見タテマツルコトヲ。唯シ除ク↢別縁ヲバ↡。
^問ふ。 *有相・無相の観、 ともに仏を見たてまつることを得るや。
問フ。有相・无相ノ観、倶ニ得ル↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ耶。
^答ふ。 無相の、 仏を見たてまつることは、 理疑はざるにあり。 その有相の観も、 あるいはまた仏を見たてまつる。 ゆゑに ¬観経¼ 等に色相を観ずることを勧めたり。
答フ。無*相ノ見タテマツルコトハ↠仏ヲ、理在リ↠不ルニ↠疑ハ。其ノ有相ノ観モ、或イハ亦見タテマツル↠仏ヲ。故ニ¬観経¼等ニ勧メタリ↠観ズルコトヲ↢色相ヲ↡。
^1135問ふ。 もし有相観また仏を見たてまつらば、 いかんぞ ¬華厳経¼ の偈に、
問フ。若シ有相観亦見タテマツラバ↠仏ヲ者、云何ゾ¬花厳経ノ¼偈ニ云ヘリ、
^「凡夫の諸法を見ること、 ただ相に随ひて転ず。
法の無相を了せず、 これをもつて仏を見たてまつらざるなり。
| 「凡夫ハ見ルコト↢諸法ヲ↡ | 但随ヒテ↢於相ニ↡転ズト |
| 不↠了セ↢法ノ无相ヲ↡ | 以テ↠是ヲ不ルナリ↠見タテマツラ↠仏ヲ |
^見ることあるをばすなはち*垢となす。 これはすなはちいまだ見るとなさず。
諸見を遠離し、 かくのごとくしてすなはち仏を見たてまつる」
とのたまひ、
| 有ルヲバ↠見ルコト則チ為ス↠垢ト | 此ハ則チ未ダ↠為サ↠見ルト |
| 遠↢離セル於諸見ヲ↡ | 如クシテ↠是クノ乃チ見タテマツルト↞仏ヲ」 |
^また (華厳経)、
又云ク、
^「一切の法は*自性無所有なりと了知する、
かくのごとく法性を解すれば、 すなはち*盧舎那を見たてまつる」
とのたまひ、
| 「了↢知スル一切ノ法ハ | 自性无所有ナリト↡ |
| 如ク↠是クノ解スル↢法性ヲ↡ | 即チ見タテマツルト↢盧*舎那ヲ↡」 |
|
|
^また ¬*金剛経¼ に、
*又¬金剛経ニ¼云ク、
^「もし色をもつてわれを見、 音声をもつてわれを求むるは、
この人は邪道を行じて、 如来を見たてまつることあたはず」
とのたまへるや。
| 「若シ以テ↠色ヲ見↠我ヲ | 以テ↢音声ヲ↡求ムルハ↠我ヲ |
| 是ノ人ハ行ズ↢邪道ヲ↡ | 不ト↠能ハ↠見タテマツルコト↢如来ヲ↡」 |
|
|
^答ふ。 ¬要決¼ (西方要決) に通じていはく、 「大師 (釈尊) の、 教を説きたまふことは、 義に多門あり。 おのおの時機に称ひ、 等しくして差異なし。 ª般若経º はおのづからこれ一門なり。
答フ。¬要決ニ¼通ジテ云ク、「大師ノ説キタマフコトハ↠教ヲ義ニ有リ↢多門↡。各称フコト↢時ノ機ニ↡等シクシテ無シ↢差1218異↡。般若経ハ自ラ是一門ナリ。
^*¬弥陀¼ 等の経もまた一理なりとなす。 なんとならば、 一切の諸仏にならびに三身まします。 *法仏には形体1136なく、 色・声なし。 まことに二乗および小菩薩の、 三身不異なりと説きたまふを聞きて、 すなはち同じく色・声ありと謂ひて、 ただ化身の色相を見て、 つひに法身もまたしかなりと執するがためのゆゑに、 説きて邪となす。
¬弥陀¼等ノ経ハ復為ス↢一理ナリト↡。何トナラバ者一切ノ諸仏ニ並ニ有ス↢三身↡。法仏ニハ無シ↠形、体非ズ↢色声ニ↡。良ニ為ノ↧二乗及ビ少菩薩ノ聞キテ↠説キタマフヲ↢三身不異ナリト↡、即チ謂ヒテ↣同ジク有リト↢色声↡、但シ見テ↢化身ノ色相ヲ↡遂ニ執スルガ↦法身モ亦爾ナリト↥故ニ、説キテ為ス↠邪ト。
^¬弥陀経¼ 等に、 仏の名を念じ、 相を観じ、 浄土に生るることを求めよと勧めたることは、 ただ凡夫の障重くして、 法身の幽微にして、 *法体縁ずること難きをもつて、 しばらく仏を念じ、 形を観じ、 *礼讃せよと教へたまふなり」 と。 略抄
¬弥陀経¼等ニ、勧メタルコトハ↧念ジ↢仏ノ名ヲ↡観ジ↠相ヲ、求メヨト↞生レヨト↢浄土ニ↡者、但シ以テ↢凡夫ノ障重クシテ、法身ノ幽微ニシテ、法体難キヲ↟縁ズルコト、且ク教ヘタマフナリ↢念ジ↠仏ヲ観ジ↠形ヲ礼讃セヨト↡。」略抄
^問ふ。 凡夫の行者は、 つとめて修習すといへども、 心純浄ならず。 なんぞたやすく仏を見ん。
問フ。凡夫ノ行者ハ、雖モ↢勤メテ修習スト↡心不↢純浄ナラ↡。何ゾ輒ク見ム↠仏ヲ。
^答ふ。 衆縁合して見るなり。 ただ自力のみにはあらじ。 ¬般舟経¼ に*三の縁あり。 △上の九十日の行に引くところの ¬止観¼ の文のごとし。
答フ。衆縁合シテ見ルナリ。非ジ↢唯自力ノミニハ↡。¬般*舟経ニ¼有リ↢三ノ縁↡。如シ↢上ノ九十日ノ行ニ所ノ↠引ク¬止観ノ¼文ノ↡。
^問ふ。 いくばくの因縁をもつてか、 かの国に生るることを得る。
問フ。以テカ↢幾クノ因縁ヲ↡得ル↠*生ルルコトヲ↢彼ノ国ニ↡。
^答ふ。 経によりてこれを案ずるに、 四の因縁を具す。 一は自善根の因力、 二は自願求の因力、 三は阿弥陀の本願の縁、 四は衆聖助念の縁なり。 釈迦の護助は ▲¬平等覚経¼ に出でたり。 六方の仏の護念は ▲¬小経¼ に出でたり。 山海恵菩薩等の護持は ▲¬十往生経¼ に出でたり。
答フ。依リテ↠経ニ案ズルニ↠之ヲ、具ス↢四ノ因縁ヲ↡。一ハ自善根ノ因力、二ハ自願求ノ因力、三ハ*阿弥陀ノ本願ノ縁、四ハ衆聖助念ノ縁ナリ。釈迦ノ護助ハ出デタリ↢¬平等覚経ニ¼↡。六方ノ仏ノ*護念ハ出デタリ↢¬小経ニ¼↡。山海*恵菩薩等ノ護持ハ出デタリ↢¬十往生*経ニ¼↡
二 Ⅹ ⅴ 臨終念相
【75】^第五に△*臨終の念相を明かさば、
第五ニ明サバ↢臨終ノ念相ヲ↡、
^問ふ、 ▽下下品の人、 臨終に十念して、 すな1137はち往生することを得。 いふところの十念は、 なんらの念ぞや。
問フ。下々品ノ人、臨終ニ十念シテ即チ得↢往生スルコトヲ↡。所ノ↠言フ十念ハ何等ノ念ゾ耶。
^答ふ。 綽和尚 (道綽) のいはく (安楽集・上)、 「▲ただ阿弥陀仏の、 もしは総相、 もしは別相を憶念して、 所縁に随ひて観じ、 十念を経て他の念想間雑することなき、 これを十念と名づく。
答フ。綽和尚ノ云ク、「但憶↢念シテ阿弥陀仏ノ若シハ総*想若シハ別相ヲ↡、随ヒテ↠所ニ↢縁観スル↡、逕テ↢於十念ヲ↡无キ↢他ノ念*相間雑スルコト↡、是ヲ名ク↢十念ト↡。
^◆また十念相続といふは、 これ聖者の一の数の名のみ。 ただよく念を積み、 思を凝らして、 他の事を縁ぜざれば、 すなはち*業道成弁す。 またいまだ労はしくこれが頭数をしも記せず。
又云ク、十念相続スル者、是聖者ノ一ノ数之名耳。但能ク積ミ↠念ヲ、凝シテ↠思ヲ、不シテ↠縁ゼ↢他ノ事ヲ↡、便チ業道成*辨ス。亦未ダト↣労シク記セ↢之ガ頭数ヲシモ↡也。
^◆またいはく、 もし久行の人の念は、 多くこれによるべし。 もし始行の人の念は、 数を記するもまた好し。 これまた聖教によれり」 と。 以上
又云ク、若シ久行ノ人ノ念ハ、多ク応シ↠依ル↠此ニ。若シ始行ノ人ノ念者、記スルモ↠数ヲ亦1219好シ。此亦依レリト↢聖教ニ↡。」 已上
^*あるがいはく、 「一心に ª南無阿弥陀仏º と称念して、 この六字を経るあひだを一念と名づく」 と。
有ルガ云ク、「一心ニ称↢念シテ南無阿弥陀仏ト↡、逕ル↢此ノ*六字ヲ↡之*項ヲ名クト↢一念ト↡*也。」
^問ふ。 ¬*弥勒所問経¼ の十念往生は、 △かの一々の念、 深広なり。 いかんぞ、 いま十声仏を念じて往生を得といふや。
問フ。¬弥勒所問経ノ¼十念往生ハ、彼ノ一々ノ念深広ナリ。如何ゾ今云フ↣十声念ジテ↠仏ヲ得ト↢往生ヲ↡耶。
^答ふ。 諸師の所釈、 不同なり。
答フ。諸師ノ所釈不同ナリ。
^*寂法師 (義寂) のいはく、 「これは、 心をもつぱらにして仏の名を称する時に、 自然にかくのごとき十を具足すと説くなり。 かならずしも一々に、 別に慈等を縁ずるにはあらず。 またかの慈等を数へて十となすにはあらず。
寂法師ノ云ク、「此ハ説クナリ↧専ニシテ↠心ヲ称スル↢仏ノ名ヲ↡時ニ、自然ニ具↦足スト如キ↠是クノ十ヲ↥。非ズ↣必ズシモ一々ニ別ニ縁ズルニハ↢慈等ヲ↡。亦非ズ↧数ヘテ↢彼ノ慈等ヲ↡為ルニハ↞十ト。
^いかんぞ、 別に縁ぜざるに、 しかも十を具足するとならば、 戒を受けんと欲して*三帰を称する時に1138、 別に離殺等の事を縁ぜずといへども、 しかもよくつぶさに*離殺等の戒を得るがごとし。 まさに知るべし、 このなかの道理もまたしかなり。
云何ゾ不ルニ↢別ニ縁ゼ↡而モ具↢足スルトナラバ十ヲ↡、如ク↧欲シテ↠受ケムト↠戒ヲ称スル↢三帰ヲ↡時ニ、雖モ↠不ト↣別ニ縁ゼ↢離殺等ノ事ヲ↡、而モ能ク具ニ得ルガ↦離殺等ノ戒ヲ↥、当ニシ↠知ル、此ノ中ノ道理モ*亦爾ナリ。
^また十念を具足して ª南無阿弥陀仏º と称すべしといふは、 いはく、 よく慈等の十念を具足して ª南無仏º と称するなり。 もしよくかくのごとくすれば、 称念するところに随ひて、 もしは一称、 もしは多称、 みな往生することを得」 と。
又可シ、具↢足シテ十念ヲ↡*称ストイフ↢南无阿弥陀仏ト↡者、謂ク能ク具↢足シテ慈等ノ十念ヲ↡称スルナリ↢南無仏ト↡。若シ能ク如クスレバ↠是クノ、随ヒテ↠所ニ↢称念スル↡、若シハ一称ニマレ、*若シハ多称ニマレ、皆得ト↢往生スルコトヲ↡。」
^感法師 (懐感) のいはく (群疑論)、 「おのおのこれ聖教にして、 たがひに往生浄土の法門を説けば、 みな*浄業を成ず。 なにによりてか、 かれをもつて是となし、 これを斥けて非といはん。 ただしみづから経を解らず、 またすなはちもろもろの学者を惑はす」 と。
感法師ノ云ク、「各是聖教トシテ互ニ説ケルナリ↢往生浄土ノ法門ヲ↡。皆成ル↢浄業ト↡。何ニ因リテカ、将テハ↠彼ヲ為シ↠是ト、斥ヒテ↠此ヲ言ハム↠非ト。但シ自ラ不↠解ラ↠経ヲ、亦乃チ惑スト↢諸ノ学者ヲ↡。」
^迦才師のいはく (浄土論)、 「この十念は、 現在の時になすなり。 ▲¬観経¼ のなかの十念は、 命終の時に臨みてなすなり」 と。 以上 意、 感師 (懐感) に同じ。
迦才師ノ云ク、「此之十念ハ現在ノ時ニ作スナリ。¬観経ノ¼中ノ十念ハ臨命終ノ時ニ作スナリト。」 已上 意同ジ↢感師ニ↡。
^問ふ。 ¬双巻経¼ (大経・下意) にのたまはく、 「▲乃至一念するに、 往生することを得」 と。 これ十念と、 いかんが*乖角せる。
問フ。¬双巻経ニ¼云ク、「乃至一念モ得ト↢往生スルコトヲ↡。」此与↢十念↡云何ガ乖角セル。
^答ふ。 感師のいはく (群疑論・意)、 「極悪業のものは十を満てて生ずることを得、 余のものは、 乃至一念してもまた生ず」 と。
答フ。感師ノ云ク、「極悪業ノ者ハ満テテ↠十ヲ得↠生ズルコトヲ、余ノ者ハ乃至一念シテモ亦生ズト。」
^1139問ふ。 生れてよりこのかた、 もろもろの悪を作りて一善をも修せざるもの、 命終の時に臨みてわづかに十声念ずるに、 なんぞよく罪を滅して、 永く三界を出でて、 すなはち浄土に生れん。
問フ。生レテヨリ来タ作リテ↢諸ノ*悪ヲ↡不ル↠修セ↢一善ヲモ↡者、臨命終ノ時ニ纔ニ十声念ズルニ、何ゾ能ク滅シテ↠罪ヲ、永ク出デテ↢三界ヲ↡、即チ生レム↢浄土ニ↡。
^答ふ。 ¬*那先比丘問仏経¼ (意) にのたまふがごとし。 「時に*弥蘭王ありて、 羅漢*那先比丘に問ひていはく、 ª人、 世間にありて悪を作ること百歳に至るまです。 死の時に臨みて仏を念ぜば、 死して後に天に生るとは、 われこの説を信ぜずº と。 またいはく、 ª一の生命を殺さば、 死して泥梨のなかに入るとは、 われまた信ぜずº と。
答フ。如シ↢¬那先比丘1220問仏経ニ¼言フガ↡。「時ニ有リテ↢弥蘭王↡問ヒテ↢羅漢那先比丘ニ↡言ク、人在リテ↢世間ニ↡作ルコト↠悪ヲ至ルマデニス↢百歳ニ↡。臨ム↠死ニ時ニ念ズレバ↠仏ヲ、死シテ後ニ生ルトハ↠天ニ。我不ト↠信ゼ↢是ノ説ヲ↡。復言ク、殺シテ↢一ノ生命ヲ↡、*死シテ入ルトハ↢泥*梨ノ中ニ↡。我亦不ト↠信ゼ也。
^比丘、 王に問はく、 ª▽もし人、 小さき石を持ちて、 水のなかに置在かば、 石は浮ぶや没むやº と。 王のいはく、 ª石没むº と。 那先のいはく、 ªもしいま、 百丈の大きなる石を持ちて、 船の上に置在かば、 没しなんやいなやº と。 王のいはく、 ª没まじº と。
比丘問ハク↠王ニ、如キ↧人ノ持チテ↢小キ石ヲ↡置↦在スルガ水ノ中ニ↥、石ハ浮ブ耶没ム耶ト。王ノ言ク、石没ムト也。那*先ノ言ク、如キ↧今持チテ↢百丈ノ大ナル石ヲ↡置↦在スルガ船ノ上ニ↥、没シナムヤ不ヤト。王ノ言ク、不ト↠没セ。
^那先のいはく、 ª船のなかの百丈の大きなる石は、 船によりて没することを得ず。 人、 本の悪ありといへども、 一時も仏を念ずれば、 泥梨に没せずしてすなはち天上に生るること、 なんぞ信ぜざらんや。 その小さき石の没するといふは、 人の悪を作り、 経法を知らずして、 死して後にすなはち泥梨に入るがごとし。 なんぞ信ぜざらんやº と。 王のいはく、 ª善きかな、 善きかなº と。
那先ノ言ク、船ノ中ノ百丈ノ大ナル石ハ、因リテ↠船ニ不↠得↠没スルコトヲ。人雖モ↠有リト↢本ノ悪↡、一時モ念ズレバ↠仏ヲ、不シテ↠没セ↢泥*梨ニ↡便チ生ルルコト↢天上ニ↡、何ゾ不ラム↠信ゼ耶。其ノ少キ石ノ没スルトイフ者、如シ↧人ノ作リテ↠悪ヲ不シテ↠知ラ↢経法ヲ↡、死シテ後ニ便チ入ルガ↦泥*梨ニ↥。何ゾ不ラム↠信ゼ耶ト。王ノ言ク、善キ哉善キ哉ト。
^比1140丘のいはく、 ª両の人ともに死して、 一人は*第七の梵天に生れ、 一人は*罽賓国に生るるがごとき、 この二人は、 遠近異なりといへども、 死すればすなはち一時に到る。 一双の飛鳥ありて、 一は高き樹の上にして止り、 一は卑き樹の上に止らんに、 両の鳥一時にともに飛ぶに、 その影ともに到るがごときのみ。
比丘ノ言ク、如キ↧両ノ人倶ニ死シテ、一人ハ生ル↢第七ノ梵天ニ↡、一人ハ生ルルガ↦罽賓国ニ↥、此ノ二人ハ、遠近雖モ↠異ナリト、死スレバ則チ一時ニ到ル。如キ↧有リテ↢一双ノ飛鳥↡、一ハ於テ↢高キ樹ノ上ニ↡止ル、一ハ於テ↢卑キ樹ノ上ニ↡止リ、両ノ鳥一時ニ倶ニ飛ブニ、其ノ影ハ倶ニ到ルガ↥耳。
^愚人のごときは悪を作りて殃を得ること大なり、 智人は悪を作りても殃を得ること小なるがごとし。
如キハ↢愚人ノ↡作リテ↠悪ヲ得ルコト↠殃ヲ大ナリ。智人ハ作リテモ↠悪ヲ得ルコト↠殃ヲ小シ。
^焼けたる鉄を地に在けるを、 一人は焼けたりと知れり、 一人は知らずして、 両の人ともに取るに、 しかも知らざるものは手を爛るること大にして、 知れるものは少し壊るるがごとし。 悪を作ることもまたしかなり。
如ク↢焼キテ↠鉄ヲ在ケルヲ↠地ニ、一人ハ知レリ↠焼ケタリト、一人ハ不シテ↠知ラ、両ノ人倶ニ取ルニ、然モ不ル↠知ラ者ハ手ヲ爛スコト大ナリ、知レル者ハ少シ壊ルルガ↡、作ルコトモ↠悪ヲ亦爾ナリ。
^愚者はみづから悔ゆることあたはざるがゆゑに、 殃を得ること大なり。 智者は悪を作れども不当なりと知るがゆゑに、 日々にみづから悔ゆることをなせば、 その罪小なりº」 と。 以上
愚者ハ不ルガ↠能ハ↢自ラ悔ユルコト↡。故ニ得ルコト↠殃ヲ大ナリ。智者ハ作レドモ↠悪ヲ知ルガ↢不当ナリト↡故ニ、為セバ↢日*々ニ自ラ*悔ユルコトヲ↡、其ノ罪小シト。」 已上
^十念にもろもろの罪を滅して、 仏の悲願の船に乗りて、 須臾に往生することを得ることも、 その理またしかるべし。
十念ニ滅シテ↢衆ノ罪ヲ↡、乗リテ↢仏ノ悲願ノ船ニ↡、須臾ニ得ルコトモ↢往生スルコトヲ↡、其ノ理亦可シ↠然ル。
^また ¬*十疑¼ に釈していはく、 「^▲いま三種の道理をもつて校量するに、 軽重は不定なり。 時節の久近・多少には在らず。 いかなるをか三となす。 一には心に在り、 二には縁に在り、 三には決定に在るなり。
▲又¬十疑ニ¼釈シテ云ク、「*今以テ↢三種ノ道理ヲ↡校量スルニ、軽重ハ不定ナリ。不↠在ラ↢時節ノ久*近・多少1221ニハ↡。云何ナルヲカ為ル↠三ト。一ニ者在リ↠心ニ、二ニ者在リ↠縁ニ、三ニ者在ルナリ↢決定ニ↡。
^◆ª心に在りº といふは、 罪を造る時はみづ1141からの虚妄顛倒の心より生ずるも、 念仏の心は、 善知識に従ひて阿弥陀仏の真実の功徳名号を説くを聞く心より生ず。 一は虚、 一は実なり。 あにあひ比ぶることを得んや。
◆在リトイフ↠心ニ者、造ル↠罪ヲ之時ニハ従リ↢自ラノ虚*妄顛倒ノ心↡生ズルモ。念仏ノ心者、従ヒテ↢善知識ニ↡聞ク↠説クヲ↢阿弥陀仏ノ真実ノ功徳名号ヲ↡心ヨリ生ズ。一ハ虚、一ハ実ナリ。豈ニ得ムヤ↢相比ブルコトヲ↡。
^◆たとへば、 万年の暗き室に日の光しばらくも至りぬれば、 しかも暗たちまちに除こるがごとし。 あに久しきよりこのかたの暗といひて、 あへて滅せざることあらんや。
譬ヘバ如キハ↢万年ノ暗キ室ニ日ノ光暫モ至リヌレバ、而モ暗頓ニ除コルガ↡、豈ニ有リテ久シクヨリ来タ之暗トイフテ不ラム↢肯テ滅セ↡耶。
^▲ª縁に在りº といふは、 罪を造る時には、 虚妄痴暗の心の、 虚妄の境界を縁ずる顛倒の心より生ずるも、 念仏の心は、 仏の清浄真実の功徳名号を聞きて、 *無上菩提を縁ずる心より生ず。 一は真、 一は偽なり。 あにあひ比ぶることを得んや。
在リトイフ↠縁ニ者、造ル↠罪ヲ之時ニハ、従ヒテ↢虚妄痴暗ノ心ニ↡縁ズル↢虚妄ノ境界ヲ↡顛倒ノ心ヨリ生ズルモ。念仏之心ハ従ヒテ↠聞クニ↢仏ノ清浄真実ノ功徳名号ヲ↡縁ズル↢无上菩提ヲ↡心ヨリ生ズ。一ハ真一ハ偽ナリ。豈ニ得ムヤ↢相比ブルコトヲ↡。
^▽たとへば、 人ありて毒の箭に中てられて、 箭深く、 毒ましくて、 肌を傷り、 骨に致るときに、 一たび滅除薬の鼓の声を聞けば、 すなはち毒の箭除こるがごとし。 ▲あに深毒なるをもつてあへて出でざらんや。
譬ヘバ如シ↧有リテ↠人被テ↢毒ノ箭ニ中ラ↡、箭深ク毒シクテ、傷リ↠肌ヲ致ルトキニ↠骨ニ、一タビ聞ケバ↢滅除薬ノ鼓ノ声ヲ↡、即チ毒ノ箭除コリヌルガ↥。豈ニ以テ↢深毒ナルヲ↡不ラム↢肯テ出デ↡也。
^▲ª決定に在りº といふは、 罪を造る時は*有間心・*有後心をもつてす。 仏を念ずる時は無間心・無後心をもつてし、 つひにすなはち命を捨つるまで善心猛利なり。 ここをもつてすなはち生ず。
▲在リトイフ↢決定ニ↡者、造ル↠罪ヲ之時ニハ以テス↢有間心ヲ↡有ル↢後心↡也。念ズル↠仏ヲ之時ニハ以テシテ↢无間ノ心ヲ↡无クシテ↢後心↡、遂ニ即チ捨ツルニ↠命ヲ善心猛利ナリ。是ヲ以テ即チ生ズ。
^▲たとへば*十囲の索は千夫も制せざれども、 童子剣を揮ひて須臾に両段するがごとし。
譬ヘバ如シ↢十囲之索ヲ千夫ニ不シテ↠制タ、童子揮ヒテ↠剣ヲ須臾ニ両段スルガ↡。
^▲また千年積める草に、 大きさ豆ばかりの火をもつてこれを焚くに、 小時にすなはち尽くるがごとし。
又如シ↧千年積メル草ニ、以テ↢大キサ豆バカリノ火ヲ↡焚クニ↠之ヲ、小時ニ即チ尽クルガ↥。
^また人ありて、 一1142生よりこのかた、 十善業を修して天に生るることを得べきに、 臨終の時に一念の決定の邪見を起さば、 すなはち阿鼻地獄に堕するがごとし。
又如シ↧有リテ↠人一生ヨリ已来タ修シテ↢十善*業ヲ↡応キガ↠得↠生ルルコトヲ↠天ニ、臨終之時ニ起サバ↢一念ノ決定ノ邪見ヲ↡、即チ堕スルガ↦阿鼻地獄ニ↥。
^悪業の虚妄なるすら猛利なるをもつてのゆゑに、 なほよく一生の善業を排ひて悪道に堕せしむ。 あにいはんや、 臨終に猛利の心に仏を念ずる、 真実無間の善業をや。 無始の悪業を排ふことあたはずして、 浄土に生るることを得ずといはば、 この処あることなからん」 と。 以上
悪業ノ虚妄ナルスラ以テノ↢猛利ナルヲ↡故ニ、尚能ク排ヒテ↢一生ノ善ノ業ヲ↡令ム↠堕セ↢悪道ニ↡。豈ニ況ヤ臨終ニ猛利ノ心ニ念ズル↠仏ヲ真実無間ノ善業ヲヤ、不シテ↠能ハ↠排フコト↢無始ノ悪業ヲ↡不トイハバ↠得↠生ズルコトヲ↢浄土ニ↡者、无ケムト↠有ルコト↢是ノ処↡。」 已上
^また ¬安楽集¼ (上) に、 七の喩へをもつてこの義を顕せり。
又¬安楽集ニ¼以テ↢七ノ喩ヲ↡顕セリ↢此ノ義1222ヲ↡。
^「△一には少火の喩へ、 前のごとし。
「一ニハ少火ノ喩如シ↠前ノ。
^▲二には、 *躄なるものも他の船に寄載すれば、 風帆の勢ひによりて一日に千里に至る。
二ニハ*躄ナル者モ寄リ↢載リテ他ノ船ニ↡、因リテ↢風帆ノ勢ニ↡一日ニ至ル↢千里ニ↡。
^▲三には、 貧人、 一端の物を獲てもつて王に貢るに、 王慶びて重く賞するに、 しばらくのあひだに、 富貴、 望みに盈つ。
三ニハ貧人獲テ↢一*端ノ物ヲ↡而シテ以テ貢ルニ↠王ニ。王慶ビテ重ク賞ルニ、斯須之*項ニ富貴盈ツ↠望ニ。
^▲四には、 劣夫も、 もし輪王の行に従へば、 すなはち虚空に乗じて、 飛騰自在なり。
四ニハ劣夫モ若シ従ヒヌレバ↢輪王ノ行ニ↡、便チ乗リテ↢虚空ニ↡飛騰自在ナリ。
^△五には十囲の索の喩へ、 前のごとし。
五ニハ十囲ノ索ノ喩如シ↠前ノ。
^▲六には、 鴆鳥水に入れば魚蚌ことごとく斃ぬ。 みな犀角をもつてこれに触るれば、 死したるもの還りて活る。
六ニハ*鴆鳥入レバ↠水ニ魚蚌斯ク斃ヌ。*皆犀角ヲモテ触ルレバ↢諸ノ死シタル者ニ↡還リテ活ル。
^▲七には、 黄鵠、 ª子安子安º と喚べば、 還りて活る。 あに墳下の千齢決めて甦るべきことなしといふことを得べけんや。
七ニハ黄鵠喚ベバ↢子安子*安ト↡還リテ活ル。豈ニ可ケム↠得↠言フコトヲ↢墳ノ下ノ千齢決テ无シト↟可キコト↠甦ル也。
^▲一切の万法にみな自力・他力、 自摂・他摂ありて、 千開万閉無量無辺なり。 ◆あに有礙の識をもつて、 かの1143無礙の法を疑ふことを得んや。 ◆また五不思議のなかには仏法もつとも不可思議なり。 あに三界の繋業をもつて重しとなし、 かの少時の念法を疑ひて軽しとなさんや」 と。 以上略抄
▼一切ノ万法ニ皆*有リテ↢自力・他力、自摂・他摂↡。千開万閉、無量无辺ナリ。豈ニ得ム↧以テ↢有礙之識ヲ↡疑フコトヲ↦彼ノ无礙之法ヲ↥乎。又五不思議ノ中ニハ仏法最モ不可思議ナリ。豈ニ以テ↢三界ノ繋ノ業ヲ↡為シテ↠重シト、疑ヒテ↢彼ノ少時ノ念法ヲ↡為サムヤト↠*軽シト。」 已上略抄
^いまこれに加へていはく、 ▲一には、 *栴檀の樹出成する時に、 よく四十由旬の*伊蘭の林を変じて、 あまねくみな香美ならしむ。
今加ヘテ↠之ニ云ク、▼一ニハ*旃檀ノ樹出成スル時ニ、能ク変ジテ↢由旬ノ伊蘭ノ林ヲ↡普ク皆香美ナリ。
^▲二には、 獅子の筋を用ゐて、 もつて琴の絃となせば、 音声一たび奏するに、 一切の余の絃、 ことごとくみな断壊しぬ。
◆二ニハ用ヰテ↢師子ノ筋ヲ↡以テ為レバ↢琴ノ絃ト↡、音声一タビ奏スルニ、一切ノ余ノ絃ヲ悉ク皆断壊シヌ。
^三には、 ▼一斤の*石汁、 よく千斤の銅を変じて金となす。
◆三ニハ一斤ノ石ノ汁能ク変ジテ↢千斤ノ銅ヲ↡為ス↠金ト。
^四には、 金剛堅固なりといへども、 *羖羊の角をもつてこれを扣けば、 すなはち潅然として氷のごとく泮けぬ。 以上、 滅罪の譬へ。
◆四ニハ金剛雖モ↢堅固ナリト↡、以テ↢羖羊ノ角ヲ↡扣ケバ↠之ヲ、則チ潅然トシテ氷ノゴトク泮ケヌ。*已上滅罪ノ*譬
^五には、 ▼雪山に草あり、 名づけて*忍辱となす。 牛もし食すれば、 すなはち*醍醐を得。
◆五ニハ雪山ニ有リ↠草、名ケテ為ス↢忍辱ト↡。牛若シ食スレバ*者即チ得↢醍醐ヲ↡。
^六には、 *沙訶陀薬において、 ただ見ることあるものは、 寿を得ること無量なり。 乃至、 念ずるものは*宿命智を得。
◆六ニハ於テ↢沙訶*陀薬ニ↡但有ル↠見ルコト者、得ルコト↠寿ヲ*无量ナリ。乃至念ズル者ハ得↢宿命智ヲ↡。
^▽七には、 孔雀、 雷の声を聞きてすなはち*身あることを得。
◆七ニハ孔雀聞キテ↢雷ノ声ヲ↡即チ得↠有ルコトヲ↠身。
^八には、 ▼*尸利沙、 *昴星を見てすなはち菓実を出生す。 以上、 生善の譬へ。
◆八ニハ尸利沙見テ↢昴星ヲ↡則チ出↢生ス菓実ヲ↡。已上生善ノ*譬
^▲九には、 住水宝をもつてその身に瓔珞とすれば、 深き水のなかに入れども、 しかも没み溺せず。
◆九ニハ以テ↢▼住水宝ヲ↡瓔↢珞トスレバ其ノ身ニ↡入レドモ↢深キ水ノ中ニ↡而モ不↢没ミ*弱セ↡。
^△十には、 *沙礫少なしといへども、 なほ浮ぶことあたはず。 *磐石大なりといへども、 船に寄すればよく浮ぶ。 以上、 総の譬へ。
◆十ニハ沙礫雖モ↠少シト尚不↠能ハ↠浮ブコト。*磐石雖モ↠大ナリト寄1223スレバ↠船ニ能ク浮ブ。已上総ノ譬
^諸法の力用、 思1144ひがたきことかくのごとし。 念仏の功力、 これに准へて疑ふことなかれ。
◆諸法ノ力用、難キコト↠思ヒ如シ↠是クノ。念仏ノ功*力、准ヘテ↠之ニ莫レ↠疑フコト。
^問ふ。 臨終の心念は、 その力いくばくなればか、 よく大事を成ずる。
問フ。臨終ノ心念ハ、其ノ力幾許アレバカ、能ク成ズル↢大事ヲ↡。
^答ふ。 その力、 百年の業に勝れたり。
答フ。其ノ力勝レタリ↢百年ノ業ニ↡。
^ゆゑに ¬大論¼ (大智度論) にいはく、 「この心は時のあひだ少なしといへども、 しかも心力猛利なること、 火のごとく毒のごとくなれば、 少なしといへどもよく大事を成ず。 これ死なんとする時の心も、 決定して勇健なるがゆゑに、 百歳の行力に勝れたり。
故ニ¬大論ニ¼云ク、「是ノ心ハ雖モ↢時ノ*項少シト↡、而モ心力*猛利ナルコト如ク↠火ノ如シ↠毒ノ。雖モ↠少シト能ク成ズ↢大事ヲ↡。是垂ル↠死ナムト時ノ心モ、決定シテ勇健ナルガ故ニ勝レタリ↢百歳ノ行力ニ↡。
^この後心を名づけて大心となす。 身およびもろもろの根を捨つるをもつて、 事急なるがゆゑに。 人の、 陣に入るに身命を惜しまざるを、 名づけて健となすがごとし。 阿羅漢のこの身の着を捨つるがゆゑに阿羅漢の道を得るがごとし」 と。 以上
是ノ後心ヲ名ケテ為ス↢大心ト↡。以テ↠捨ツルヲ↢身及ビ諸ノ*根ヲ↡事*急ナルガ故ニ。如シ↧人ノ入ルニ↠陳ニ不ルヲ↠惜マ↢身命ヲ↡名ケテ*為ルガ↞健ト。如シト↧阿羅漢ノ捨ツルガ↢是ノ身ノ著ヲ↡故ニ得ルガ↦阿羅漢ノ道ヲ↥。」 已上
^これによりて ¬安楽集¼ (上) にいはく、 「▲一切衆生、 臨終の時には、 刀風形を解き、 死苦来り逼むるに、 大怖畏を生じて、 乃至、 すなはち往生することを得」 と。
由リテ↠此ニ¬安楽集ニ¼云ク、「一切衆生臨終之時ニハ、刀風解キ↠形ヲ、死苦来リ逼ムルニ、生ジテ↢大怖畏ヲ↡、乃至便チ得ト↢往生スルコトヲ↡。」
^問ふ。 深き観念の力、 罪を滅することはしかるべし。 いかんぞ、 仏号を称念するに無量の罪を滅する。 もししからば、 指をもつて月を指すに、 この指よく闇を破すべし。
問フ。深キ観念ノ力滅スルコトハ↠罪ヲ可シ↠然ル。云何ゾ称↢念スルニ仏号ヲ↡滅スル↢无量ノ罪ヲ↡。若シ爾ラバ、以テ↠指ヲ指スニ↠月ヲ、此ノ指応シ↢能ク*破ス↟闇ヲ。
^答ふ。 綽和尚 (道綽) 釈していはく (安楽集・上意)、 「▲諸法は万差なり。 一概すべからず。 おのづから名の法に即するあり。 おのづから名の法に1145異するあり。
答フ。綽和尚釈シテ云ク、「諸法ハ万差ナリ。不↠可カラ↢一概ス↡。自ラ有リ↢名即法ナル↡。自ラ有リ↢名異法↡。
^◆名の法に即するといふは、 諸仏・菩薩の名号、 禁呪の音辞、 修多羅の章句等のごとき、 これなり。
名即法トイフ者、如キ↢諸仏・菩薩ノ名号、禁呪ノ音辞、修多羅ノ章句等ノ↡是也。
^◆禁呪の辞に、 ª日出東方乍赤乍黄º といはんに、 たとひ酉亥に禁を行ずるも、 患へるものまた愈ゆるがごとし。
如シ↢禁呪ノ辞ニ曰フガ↡、日出デヌレバ↢東方ニ↡乍ニ赤ク乍ニ黄ナリト。仮令酉亥ニ行ズトモ↠禁ヲ患スル者亦愈ユ。
^◆また人ありて、 狗に噛はるることを被るに、 虎の骨を炙りてこれを熨せば、 患へるものすなはち愈ゆるがごとし。 もし時に骨なくは、 よく掌をげてこれを磨りて、 口のなかに喚びて、 ª虎来虎来º といへば、 患へるものまた愈えぬ。
又如シ↧有リテ↠人被ルニ↢狗ニ所ルコトヲ↟*噛ハ、炙リテ↢虎ノ骨ヲ↡*熨セバ↠之ヲ、患スル者*即チ愈ユルガ↥。或時ニ无クハ↠骨、好ク*ゲテ↠掌ヲ磨リテ↠之ヲ、口ノ中ニ喚ビテ言ヘバ↢虎来虎来ト↡、患スル者亦愈エヌ。
^◆あるいはまた人ありて、 脚転筋を患はんに、 木瓜の杖を炙りてこれを熨せば、 患へるものすなはち愈えぬ。 もし木瓜なければ、 手を炙りてこれを磨り、 口に ª木瓜º と喚べば、 患へるものまた愈えぬ。
或イハ*復有リテ↠人、患スルニ↢*脚転筋ヲ↡、炙リテ↢木瓜ノ杖ヲ↡*熨セバ↠之ヲ、患スル者即チ愈エヌ。或无ケレバ↢木瓜↡、炙リテ↠手ヲ磨リ↠之ヲ、口ニ喚ベバ↢木瓜ト↡、患スル者亦愈エヌ也。
^◆名の法に異するといふは、 指をもつて月を指すがごとき、 これなり」 と。 以上
名ノ異ナルトイフ↠法ニ者、如キ↢以テ↠指ヲ指1224スガ↞月ヲ是ナリト。」 已上
^¬要決¼ (西方要決) にいはく、 「諸仏は、 願行をもつてこの果名を成ずれば、 ただよく号を念ずるに、 つぶさに衆徳を苞ねたり。 ゆゑに大善を成ず」 と。 以上、 かの文に ¬浄名¼ (*維摩経)・¬*成実¼ の文を引けり。 つぶさには△上の助念方法のごとし。
¬要*決ニ¼云ク、「▼諸仏ノ願行ヲモテ成ズレバ↢此ノ果ノ名ヲ↡、但能ク念ズルニ↠号ヲ具ニ苞ネタリ↢衆徳ヲ↡。故ニ成ズト↢大善ヲ↡。」已上彼ノ文ニ引ケリ↢¬浄名¼・¬成実ノ¼文ヲ↡。具ニハ如シ↢上ノ助念方法ノ↡
^問ふ。 もし下下品の五逆罪を造れるもの、 十たび仏を念ずるによりて往生することを得といはば、 いかんぞ、 *¬仏蔵経¼ の第三にのたまはく、 「大荘厳仏の1146滅後に↓四の悪比丘ありき。 第一義・無所有・畢竟空の法を捨てて、 外道*尼健子の論を貪楽しき。
問フ。若シ下々品ノ造レルモノ↢五逆罪ヲ↡、由リテ↢十タビ念ズルニ↟仏ヲ得トイハバ↢往生スルコトヲ↡者、云何ゾ¬仏蔵経ノ¼第三ニ云ク、「大荘厳仏ノ滅後ニ有リキ↢四ノ*悪比丘↡。捨テテ↢第一義・无所有・畢竟空ノ法ヲ↡、貪↢楽シキ外道尼*健子ノ論ヲ↡。
^この人、 命終して阿鼻地獄に堕ちて、 仰ぎて臥し、 伏きて臥し、 左脇にして臥し、 右脇にして臥すこと、 おのおの九百万億歳、 熱鉄の上にして焼き燃かれ、 がれ爛れき。 死しをはりて、 さらに灰地獄・大灰地獄・等活地獄・黒縄地獄に生れて、 みな上のごとき歳数、 苦を受く。 黒縄より死しては還りて阿鼻獄に生る。
是ノ人命終シテ堕チテ↢阿鼻*地獄ニ↡、仰ギテ臥シ、伏キテ臥シ、左脇ニシテ臥シ、右脇ニシテ臥シテ、各九百万億歳於テ↢熱鉄ノ上ニ↡焼キ燃カレ*ガレ爛レキ。死シ已リテ更ニ生レテ↢灰地獄・大灰地獄・*等活地獄・黒縄地獄ニ↡、皆如クシテ↢上ノ歳数ノ↡受ク↠苦ヲ。於リ↢黒縄↡死シテハ還リテ生ル↢阿鼻獄ニ↡。
^かの、 家と出家にして親近せしもの、 ならびにもろもろの*檀越、 おほよそ六百四万億の人、 この四の師とともに生じともに死して、 大地獄にありてもろもろの焼煮を受けき。 劫尽きては他方の地獄に転生し、 劫成じては還りてこの間の地獄に生る。
彼ノ家ト・出家ノ親近セシモノ并ニ諸ノ檀越、凡ソ六百*四万億ノ人、与↢此ノ四ノ師↡倶ニ生ジ倶ニ死シテ、在リテ↢大地獄ニ↡受ケキ↢諸ノ焼煮ヲ↡。劫尽キテハ転↢生シテ他方ノ地獄ニ↡、劫成ジテハ還リテ生ル↢此ノ間ノ地獄ニ↡。
^久々にして地獄を免れて人中に生れては、 *五百世、 生れてより盲なり。 後に一切明王仏に値ひて出家して、 十万億歳、 勤修精進すること*頭燃を救ふがごとくせしかども、 *順忍すら得ざりき。 いはんや、 *道果を得んや。 命終しては還りて阿鼻地獄に生れにき。
久々ニシテ免レテ↢地獄ヲ↡生レテハ↢人中ニ↡、五百世従リシテ↠生レテ而盲ナリ。後ニ値ヒテ↢一切明王仏ニ↡出家シテ、十万億歳勤修精進コト如クセシカドモ↠救フガ↢頭燃ヲ↡、不リキ↠得↢順忍ヲダモ↡。況ヤ得ムヤ↢道果ヲ↡。命終シテハ還リテ生レニキ↢阿鼻地獄ニ↡。
^後に九十九億の仏に値ひても、 順忍すら得ざりき。 なにをもつてのゆゑに。 仏の、 深法を説きたまひしに、 この人信ぜずして、 破壊し違逆し、 *賢聖・持戒の比丘を破毀して、 その過悪を出せる破法の因縁もつて、 法としてまさにしかるべし」 と。 以1147上、 略して抄す。 「↑四の比丘」 とは苦岸比丘・薩和多比丘・将去比丘・跋難陀比丘なり。
於テ↠後ニ値ヒテモ↢九十九億ノ仏ニ↡、不リキ↠得↢順忍ヲダニモ↡。何ヲ以テノ故ニ。仏ノ説キタマヒシニ↢深法ヲ↡、是ノ人不シテ↠信ゼ、破↢壊シ違↣逆シ破↤毀シテ賢聖・持戒ノ比丘ヲ↡、出セル↢其ノ過悪ヲ↡破法ノ因縁ヲモテ法トシテ応ニ当シト↠爾ル。」已上略シテ抄ス。四ノ比丘ト者苦岸比丘・薩和多比丘・将去比丘・跋難陀比丘ナリ
^十万億歳、 頭燃を救ふがごとくせしも、 なほ罪を滅せずして、 還りて地獄に生じき。 いかんぞ、 仏を念ずること一声・十声してすなはち罪を滅して、 浄土に往生することを得るや。
十万億歳如クセシモ↠救フガ↢頭燃ヲ↡、尚不シテ↠滅セ↠罪ヲ、還リテ生ジキ↢地獄ニ↡。如何ゾ念ズルコト↠仏ヲ一声・十声シテ即チ得テ↠滅スルコトヲ↠罪ヲ往↢生スルコトヲ浄1225土ニ↡*耶。
^答ふ。 感師 (懐感) 釈していはく (群疑論)、 「仏を念ずるは、 五の縁によるがゆゑに罪を滅す。
答フ。感師釈シテ云ク、「念ズルハ↠仏ヲ由ルガ↢五ノ縁ニ↡故ニ滅ス↠罪ヲ。
^一には、 大乗の心を発す縁。 二には、 浄土に生ぜんと願ずる縁。 小乗の人は、 十方の仏ましますと信ぜざるがゆゑに。 三には、 阿弥陀仏の本願の縁。 四には、 念仏の功徳の縁。 かの比丘は、 ただ四念処の観をなせしがゆゑに。 五には、 仏の威力をもつて加持したまふ縁なり。 このゆゑに、 罪を滅して浄土に生ずることを得。 かの小乗の人は、 しからざりき。 ゆゑに罪を滅することあたはず」 と。 略抄
一ニハ発ス↢大乗ノ心ヲ↡縁。二ニハ願ズル↠生レムト↢浄土ニ↡縁。小乗ノ人ハ不ルガ↠信ゼ↠有スト↢十方ノ仏↡故ニ。三ニハ阿弥陀仏ノ本願ノ縁。四ニハ念仏ノ功徳ノ縁。彼ノ比丘ハ但シ作セシガ↢四念処ノ観ヲ↡故ニ。五ニハ仏ノ威力ヲモテ加持ノ縁ナリ。是ノ故ニ滅シテ↠罪ヲ得↠生ズルコトヲ↢浄土ニ↡。彼ノ小乗ノ人ハ不リキ↠爾ラ。故ニ不ト↠能ハ↠滅スルコト↠罪ヲ。」略抄
^問ふ。 もししからば、 いかんぞ、 ¬双巻経¼ (大経・上) に十念往生を説きて、 「▲ただ五逆と誹謗正法をば↓除く」 とのたまへる。
問フ。若シ爾ラバ云何ゾ¬双巻経ニ¼説キテ↢十念往生ヲ↡、云ヘル↣「唯除クト↢五逆ト・誹謗正法ヲバ↡。」
^答ふ。 *智憬等の諸師のいはく、 「もしただ五逆を造れるものは、 十念によるがゆゑに生ずることを得。 もし逆罪をも造り、 また法をも謗れるものは、 往生することを得ず」 と。
答フ。智憬等ノ諸師ノ云ク、「若シ唯造レル↢*五逆ヲ↡者ハ、由ガ↢十念ニ↡故ニ得↠生ズルコトヲ。若シ造リ↢逆罪ヲモ↡亦謗レル↠法ヲモ者ハ、不ト↠得↢往生スルコトヲ↡。」
^*あるがいはく、 「五逆の*不定業を造れるものは往生することを得るも、 五逆の*定業を造れる1148ものは往生せず」 と。
有ルガ云ク、「造レルモノハ↢五逆ノ不定業ヲ↡得ルモ↢往生スルコトヲ↡。造レルモノハ↢五逆ノ定業ヲ↡不ト↢往生セ↡。」
^かくのごとく十五家の釈あり。 感法師 (懐感)、 諸師の釈を用ゐずして、 みづからいはく (群疑論)、 「もし逆を造らざる人は、 念の多少を論ずるにあらず、 一声・十声ともに浄土に生る。 もし逆を造れる人は、 かならずすべからく十を満つべし。 一をも闕けつれば生ぜず。 ゆゑに ª↑除くº といふなり」 と。 以上
如クシテ↠是クノ有リ↢十五家ノ釈↡。感法師不シテ↠用ヰ↢諸師ノ釈ヲ↡自ラ云ク、「若シ不ル↠造ラ↠逆ヲ人ハ*不ズ↠論ズルニ↢念之多少ヲ↡。一声・十声倶ニ生ル↢浄土ニ↡。*若シ造レル↠逆ヲ人ハ必ズ須クシ↠満ツ↠十ヲ。闕ケツレバ↠一ヲモ不↠生ゼ。故ニ言フ↠除クト也ト。」 已上
^いま試みに釈を加へば、 *余処にはあまねく往生の種類を顕すも、 本願にはただ*定生の人のみを挙ぐ。 ゆゑにいへり、 「△しからずは、 正覚を取らじ」 と。
今試ニ加ヘム↠釈ヲ。余処ニハ遍ク顕スモ↢往生ノ種類ヲ↡。本願ニハ唯挙グ↢定生之人ノミヲ↡。故ニ云ヘリ、「不ハ↠爾ラ不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」
^*余人の十念はさだめて往生することを得、 逆者の一念はさだめて生ずることあたはず。 逆の十と余の一とは、 みなこれ不定なり。 ゆゑに、 願 (第十八願) にはただ余人の十念を挙げて、 余処には、 兼ねて逆の十と余の一とを取れり。 この義いまだ決せず。 別に思択すべし。
余人ノ十念ハ定メテ得↢往生スルコトヲ↡、逆者ノ一念ハ定メテ不↠能ハ↠生ズルコト。逆ノ十ト余ノ一トハ皆是不定ナリ。故ニ願ニハ唯挙ゲテ↢余人ノ十念ヲ↡、余処ニハ兼ネテ取レリ↢逆ノ十ト余ノ一トヲ↡。此ノ義未ダ↠決セ。別ニ応シ↢思*択ス↡。
^問ふ。 逆者の十念、 なんがゆゑぞ不定なる。
問フ。逆者ノ十念何ガ故ゾ不定ナル。
^答ふ。 宿善の有無によりて念力別なるがゆゑに。 また臨終と尋常と、 念ずる時別なるがゆゑに。
答フ。由リテ↢宿善ノ有无ニ↡念力別ナルガ故ニ。又臨終ト尋常ト念ズル時別ナルガ故ニ。
^問ふ。 五逆はこれ*順生の業なり。 報・時ともに定まれり。 いかんぞ滅することを得ん。
問フ。五逆ハ是順生ノ業ナリ。報・時倶ニ定レリ。云何ゾ得ム↠滅スルコトヲ。
^答ふ。 感師 (懐感)、 これを釈していはく (群疑論)、 「*九部の*不了の教のなかには、 もろもろの*不信業果の凡夫のために、 *密意をもつて説きて ª定1149報の業ありº といふ。 もろもろの大乗の*了義の教のなかには、 ª一切の業ことごとくみな不定なりº と説きたまふ。
答フ。感師釈シテ↠之ヲ云1226ク、「九部ノ不了ノ教ノ中ニハ、為ニ↢諸ノ不信業果ノ凡夫ノ↡、密意ヲモテ説キテ言フ↠有リト↢定報ノ業↡。於テ↢諸ノ大乗ノ了義ノ教ノ中ニ↡ハ、説キタマフ↢一切ノ業悉ク皆不定ナリト↡。
^¬*涅槃経¼ の*第十八巻にのたまふがごとし。 *耆婆、 *阿闍世王のために懴悔の法を説くに、 ª罪滅することを得たりº と。
如シ↢¬涅槃経ノ¼第十八巻ニ云フガ↡。耆婆為ニ↢阿闍世王ノ↡説クニ↢懴悔ノ法ヲ↡、罪得タリト↠滅スルコトヲ。
^またのたまはく (涅槃経)、 ª臣、 仏の説を聞くに、 «一の善心を修すれば百種の悪を破す» と。 少しき毒薬のよく衆生を害するがごとし。 少善もまたしかり。 よく大悪を破すº と。
又云ク、臣聞クニ、仏ハ説キタマフ↧修シテ↢一ノ善心ヲ↡破スルコト↢百種ノ悪ヲ↡、如シ↣少シノ毒薬ノ能ク害ルガ↢衆生ヲ↡、少善モ亦爾リ、能ク破スト↦大悪ヲ↥。
^また三十一にのたまはく (涅槃経)、 ª善男子、 もろもろの衆生ありて、 *業縁のなかにおいて心軽んじて信ぜず。 かれを度せんがためのゆゑにかくのごとき説をなしたまふ。 善男子、 一切の作業は軽あり重あり。 軽重の二業にまたおのおの二あり。 一には決定、 二には不決定なりº と。
又*卅一ニ云ク、善男子、有リテ↢諸ノ衆生↡於テ↢業縁ノ中ニ↡心軽ジテ不↠信ゼ。為ノ↠度セムガ↠彼ヲ故ニ作シタマフ↢如キ↠是クノ説ヲ↡。善男子、一切ノ作業ハ有リ↠軽有リ↠重。軽重ノ二業ニ復各有リ↠二。一ニハ決定、二ニハ不決定ナリト。
^またのたまはく (涅槃経)、 ªあるいは重業の、 軽となし得べきことあり。 あるいは軽業の、 重となし得べきことあり。 ↓有智の人は、 智慧の力をもつて、 よく地獄の極重の業をして現世に軽く受せしむるも、 愚痴の人は、 現世の軽業を地獄に重く受くº と。 阿闍世王は罪を懴悔しをはりて地獄に入らず。 *鴦掘摩羅は阿羅漢を得たり。
又言ク、或イハ有リ↢重業ノ可キコト↟得↠作ルコトヲ↠軽ト。或イハ有リ↢軽業ノ可キコト↟得↠作ルコトヲ↠重ト。有智*之人ハ、以テ↢智*恵ノ力ヲ↡能ク令ムルモ↢地獄ノ極重之業ヲシテ現世ニ軽ク受セ↡。愚痴之人ハ現世ノ軽業ヲシテ地獄ニシテ重クシテ受クト。阿闍世王ハ懴↢悔シ罪ヲ↡已リテ不↠入ラ↢地獄ニ↡。鴦*掘摩羅ハ*得タリ↢阿羅漢ヲ↡。
^*¬瑜伽論¼ に説かく、 ªいまだ解脱を得ざるを、 決定業と説き、 すでに解脱を得たるを、 不定業と名づくº と。 かくのごとき等のもろもろの大乗経論1150には、 五逆罪等を説きてみな不定と名づけて、 ことごとく消滅することを得」 と。 転重軽受の相は、 つぶさに ¬*放鉢経¼ に出でたり。
¬*瑜伽論ニ¼説カク、未ダルニ↠得↢解脱ヲ↡*説ク↢決定業ヲ↡。已ニ得ツレバ↢解脱ヲ↡名クトイヘリ↢不定業ト↡。如キ↠是クノ等ノ諸ノ大乗経論ニハ、説キテ↢五逆罪等ヲ↡皆名ケテ↢不定ト↡、悉ク得トイフ↢消滅スルコトヲ↡。」転重軽受ノ相ハ、具ニ出デタリ↢¬放鉢経ニ¼↡
^問ふ。 引くところの文にのたまはく、 「↑智者は重きを転じて軽くして受す」 と。 △下品生の人は、 ただ十念しをはりてすなはち浄土に生るるは、 いづれの処にしてか軽受する。
問フ。所ノ↠引ク文ニ云ク、智者ハ転ジテ↠重キヲ軽クシテ受スト。下品生ノ人ハ但シ十念シ已リテ即チ生ルルハ↢浄土ニ↡、何レノ処ニシテカ軽受スル。
^答ふ。 ¬双巻経¼ (大経・下) に、 かの土の*胎生のものを説きてのたまはく、 「▲五百歳のうちに三宝を見たてまつらず、 供養したてまつりて、 もろもろの善本を修することを得ず。 しかもこれをもつて苦となす。 余の楽ありといへども、 なほかの処をば楽はず」 と。 以上
答フ。¬双巻経ニ¼説キテ↢彼ノ土ノ胎生ノ者ヲ↡云ク、「五百歳ノ中ニ不↠見タテマツラ↢三宝ヲ↡、不↠得↤供↢養シタテマツリテ修スルコトヲ↣諸ノ善本ヲ↡。而モ以テ↠此ヲ為ス↠苦ト。雖モ↠有リト↢余ノ楽↡猶不ト↠楽ハ↢彼ノ処ヲバ↡。」 已上
^これに准ずるに、 ▲七七日・▲六劫・▲十二劫、 仏を見ず、 法を聞かざる等をもつて、 軽受の苦となすべきのみ。
准ルニ↠之ニ、*応シ↧以テ↢七々日・六劫・十二劫、不1227↠見↠仏ヲ不ル↠聞カ↠法ヲ等ヲ↡為ス↦軽受ノ苦ト↥耳。
^問ふ。 もし臨終に一たび仏の名を念ずるに、 よく八十億劫のもろもろの罪を滅するがごとし、 尋常の行者もまたしかるべきや。
問フ。為如ク↧臨終ニ一タビ念ズルニ↢仏ノ名ヲ↡能ク滅スルガ↦八十億劫ノ衆ノ罪ヲ↥、尋常ノ行者モ亦可シ↠然ル耶。
^答ふ。 臨終の心、 力は強くしてよく無量の罪を滅す。 尋常に名を称するは、 かれがごとくなるべからず。 しかも、 もし観念成ずれば、 また無量の罪を滅す。 もしただ名を称するのみならば、 心の浅深に随ひてその利益を得ること、 差別あるべし。 つぶさには△前の利1151益門のごとし。
答フ。臨終ノ心、力ハ強クシテ能ク滅ス↢无量ノ罪ヲ↡。尋常ニ称スルハ↠名ヲ不↠応カラ↠如クナル↠彼ガ。然モ若シ観念成ゼバ亦滅ス↢无量ノ罪ヲ↡。若シ但称スルハ↠名ヲ、随ヒテ↢心ノ浅深ニ↡得ルコト↢其ノ利益ヲ↡応シ↠有ル↢差別↡。具ニハ如シ↢前ノ利益門ノ↡。
^問ふ。 なにをもつてか、 浅心の念仏もまた利益ありとは知ることを得る。
問フ。何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ↣浅心ノ念仏モ亦有リトハ↢利益↡。
^答ふ。 ¬*首楞厳三昧経¼ にのたまはく、 「△大薬王あり、 名を滅除といふ。 もし闘戦の時に、 もつて鼓に塗りつれば、 もろもろの、 箭に射られ刀・矛に傷られたるもの、 鼓の声を聞くことを得つれば、 箭出でて毒除こるがごとし。 かくのごとく、 菩薩の*首楞厳三昧に住する時には、 名を聞くことあるものは、 *貪・恚・痴の箭自然に抜け出でて、 もろもろの邪見の毒みなことごとく除滅し、 一切の煩悩また発動せず」 と。
*答フ。¬首楞厳三昧経ニ¼云ク、「*如ク↧大薬王アリ、名ヲバ曰フ↢滅除ト↡、若シ闘戦ノ時ニ以用テ塗リツレバ↠鼓ニ、諸ノ被レ↢箭ニ射↡刀・矛ニ所タルモノ↠傷ラ、得ツレバ↠聞クコトヲ↢鼓ノ声ヲ↡箭出デテ毒除コルガ↥、如キ↠是クノ菩薩ノ住スル↢首楞厳三昧ニ↡時ニハ、有ル↠聞クコト↠名ヲ者ハ、貪・恚・痴ノ箭自然ニ抜ケ出デテ、諸ノ邪見ノ毒皆悉ク除滅シ、一切ノ煩悩不ト↢復*発動セ↡。」
^以上、 諸法の真如実相を観じ、 凡夫の法と仏法と不二なりと見る、 これを首楞厳三昧を修習すと名づく。
*已上*観ジ↢諸法ノ真如・実相ヲ↡、見ル↢凡夫ノ法ト仏法ト不二ナリト↡、是ヲ名ク↣修↢習スト首楞厳三昧ヲ↡
^菩薩すでにしかり、 いかにいはんや仏をや。 名を聞く、 すでにしかり、 いかにいはんや念ずるをや。 これによりて知りぬべし、 たとひ浅心の念も利益虚しからず。
菩薩既ニ爾リ、何ニ況ヤ仏ヲヤ。聞ク↠名ヲ既ニ爾リ、何ニ況ヤ念ズルヲヤ。*由リテ↠此ニ応シ↠知リヌ、*設ヒ浅心ノ念モ利*益不↠虚シカラ。
二 Ⅹ ⅵ 粗心妙果
【76】^第六に△*粗心の妙果といふは、
第六ニ麁心ノ妙果トイフ者、
^問ふ、 もし菩提のために、 仏において善をなすは、 妙果を証得すといふこと、 理かならずしかるべし。 もし人天の果のために善根を修せば、 いかんぞ。
問フ。若シ為ニ↢菩*提ノ↡於テ↠仏ニ作スハ↠善ヲ、証↢得ストイフコト妙果ヲ↡理必ズ可シ↠然ル。若シ為ニ↢人天ノ果ノ↡修スルハ↢善根ヲ↡云何ゾ。
^答ふ。 あるいは*染、 あるいは*浄、 仏において善を修せば、 *遠近ありといへどもかならず涅槃に至る。
答フ。或イハ染或イハ浄、於テ↠仏ニ修スルハ↠善ヲ雖モ↠有リト↢遠近↡必ズ至ル↢涅槃ニ↡。
^ゆゑに ¬大悲経¼ の第三に1152、 仏、 阿難に告げてのたまはく、 「もし衆生ありて、 生死三有の愛果に楽着して、 仏の福田において善根を種うるもの、 かくのごとき言をなさく、 ªこの善根をもつて、 願はくはわれ*般涅槃することなからんº と。
故ニ¬大悲経ノ¼第三ニ、仏告ゲテ↢阿難ニ↡言ク、「若シ有リテ↢衆生↡楽↢著シテ生死三有ノ愛果ニ↡、於テ↢仏ノ福田ニ↡種ウル↢善根ヲ↡者、作ラマク↢如キ↠是クノ言ヲ↡、以テ↢此ノ善根ヲ↡願クハ我莫ケムト↢般涅槃スルコト↡。
^阿難、 この人もし涅槃せずといはば、 この処あることなからん。 阿難、 この人、 涅槃を楽求せずといへども、 しかも仏所にしてもろもろの善根を種ゑたれば、 われ説く、 この人はかならず涅槃を得ん」 と。
阿難、是ノ人若シ不トイハバ↢涅槃セ↡、无ケム↠有ルコト↢是ノ処↡。阿難、是ノ人雖モ↠不ト↣楽↢求セ涅槃ヲ↡、然モ於テ↢仏所ニ↡種1228ヱタレバ↢諸ノ善根ヲ↡、我説ク、是ノ人ハ必ズ得ムト↢涅槃ヲ↡。」
^問ふ。 所作の業は願に随ひて果を感ず。 なんぞ、 *世報を楽ふに*出世の果を得ん。
問フ。所作之業ハ随ヒテ↠願ニ感ズベシ↠果ヲ。何ゾ楽フニ↢世報ヲ↡得ム↢出世ノ果ヲ↡。
^答ふ。 *業果の理は、 かならずしも一同ならず。 もろもろの善業をもつて仏道に回向するは、 これすなはち作業なれば、 心に随ひて転ず。 *鶏狗の業をもつて天の楽を楽求するは、 これすなはち悪見なれば、 業をして転ぜしめず。 このゆゑに、 仏においてもろもろの善業を修せば、 *意楽は異なりといへどもかならず涅槃に至る。
答フ。業果之理ハ不↢必ズシモ一同ナラ↡。以テ↢諸ノ善業ヲ↡廻↢向スレバ仏道ニ↡、是即チ作リテ↠業ト随ヒテ↠心ニ而転ズ。以テ↢鶏狗ノ業ヲ↡楽↢求スルハ天ノ楽ヲ↡、是即チ悪見ナリ。不↠令メ↢業ヲシテ転ゼ↡。是ノ故ニ於テ↠仏ニ修スルハ↢諸ノ善業ヲ↡、意楽ハ雖モ↠異ナリト必ズ至ル↢涅槃ニ↡。
^ゆゑにかの ¬経¼ (大悲経) に譬へを挙げてのたまはく、 「たとへば、 長者の、 時によりて種を良田のなかに下し、 時に随ひて漑ぎ潅ぎて、 つねによく護持せん。 もしこの長者、 余の時のうちに、 かの田所に到りてかくのごとき言をなさく、 ª*咄なるかな、 種子。 なんぢ種となることなかれ、 生ずるこ1153となかれ、 長ずることなかれº と。 しかも、 かれ、 種を種ゑつれば、 かならず果をなすべし、 果実なきにあらざらんがごとし」 と。 取意略抄
故ニ彼ノ¬経ニ¼挙ゲテ↠譬ヲ言ク、「譬ヘバ如シト↧長者ノ依リテ↠時ニ下シテ↢種ヲ於良田ノ中ニ↡、随ヒテ↠時ニ漑ギ潅ギテ、常ニ善ク護持セム、若シ是ノ長者於テ↢余ノ時ノ中ニ↡、到リテ↢彼ノ田所ニ↡作サマク↢如キ↠是クノ言ヲ↡、*咄哉種子、汝莫レ↠作ルコト↠種ト、莫レト↠生ズルコト、*莫レト↠長ズルコト↡、然モ彼ノ種ヱツレバ↠種ヲ必ズ応シ↠作ス↠果ヲ、非ザラムガ↞无キニ↢果実↡。」取意略抄
^問ふ。 かれ、 いづれの時においてか般涅槃を得ん。
問フ。彼於テカ↢何レノ時ニ↡得ム↢般涅槃ヲ↡。
^答ふ。 たとひ、 久々に生死に輪廻すといへども、 善根亡ぜずしてかならず般涅槃を得。
答フ。設ヒ雖モ↣久々ニ輪↢廻スト生死ニ↡、善根不シテ↠*忘ゼ必ズ得ル↢*般涅槃ヲ↡。
^ゆゑにかの ¬経¼ (大悲経) にのたまはく、 「仏、 阿難に告げたまはく、 ª捕魚の師、 魚を得んがためのゆゑに、 大きなる池の水にありて、 鉤餌を安置して、 魚をして呑み食はしめつ。 魚呑食しをはりて、 池のなかにありといへども、 久しからずしてまさに出づべきがごとし。 乃至
故ニ、彼ノ¬経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、如シ↧捕魚ノ師為ノ↠得ムガ↠魚ヲ故ニ、在リテ↢大ナル池ノ水ニ↡安↢置シテ*鉤餌ヲ↡、令メツ↢魚ヲシテ呑ミ食ハ↡、魚呑食シ已リテ、雖モ↠在リト↢池ノ中ニ↡、不シテ↠久シカラ当ニキガ↞出ヅ。乃至
^阿難、 一切衆生、 諸仏の所にして敬信を生ずることを得、 もろもろの善根を種ゑ、 布施を修行し、 乃至、 心を発して、 一念の信をも得れば、 また余の悪・不善業のために覆障せられて、 地獄・畜生・餓鬼に堕在すといへども、 乃至
阿難、一切衆生、於テ↢諸仏ノ所ニ↡得↠生ズルコトヲ↢敬信ヲ↡、種ヱ↢諸ノ善根ヲ↡、修↢行シ布施ヲ↡、乃至発シテ↠心ヲ得レバ↢一念ノ信ヲモ↡、雖モ↧*復為ニ↢余ノ悪・不善業ノ↡之所レテ↢覆障セ↡、堕↦在スト地獄・畜生・餓鬼ニ↥、乃至
^諸仏世尊、 仏眼をもつてこの衆生の発心の勝れたるを観見したまふがゆゑに、 地獄よりこれを抜きて出さしむ。 すでに抜き出しをはりて、 涅槃の岸に置きたまふº」 と。
諸仏世尊以テ↢仏眼ヲ↡観↢見シタマフガ此ノ衆生ノ発心ノ勝レタルヲ↡故ニ、従リ↢於地獄↡抜キテ↠之ヲ令ム↠出サ。既ニ抜キ出シ已リテ、置キタマフト↢涅槃ノ岸ニ↡。」
^問ふ。 かくのごとき ¬経¼ (大悲経) の意は、 敬信せるをもつてのゆゑに、 つひに涅槃を得るなり。 もししからば、 ただ一たび聞くは、 涅槃の因にあらざるべし1154。
問フ。如キ↠*此クノ¬経ノ¼意ハ、以テノ↢敬信セルヲ↡故ニ遂ニ得ルナリ↢涅槃ヲ↡。若シ爾ラバ但一タビ聞クハ応シ↠非ザル↢涅槃ノ因ニ↡。
^すでにしからば、 いかんぞ ¬華厳¼ の偈にのたまふ、
既ニ爾ラバ云何ゾ¬華厳ノ¼偈1229ニ云フ、
^「もしもろもろの衆生ありて、 いまだ菩提心を発さざれども、
一たび仏の名を聞くことを得れば、 決定して菩提を成ず」 と。
| 「若シ有リテ↢諸ノ衆生↡ | 未ダレドモ↠発サ↢菩提心ヲ↡ |
| 一タビ得レバ↠*聞クコトヲ↢仏ノ名ヲ↡ | 決定シテ成ルト↢菩提ヲ↡」 |
^答ふ。 諸法の因縁は不可思議なり。 △たとへば、 孔雀の、 雷震の声を聞きてすなはち身あることを得、 また△尸利沙果の、 先より形質なけれども、 昴星を見る時に、 果すなはち出生して、 長さ五寸に足るがごとし。
答フ。諸法ノ因縁ハ不可思議ナリ。譬ヘバ如シ↧孔雀ノ聞キテ↢雷震ノ声ヲ↡即チ得↠有ルコトヲ↠身、又尸利沙果ノ先ヨリ无ケレドモ↢形質↡、見ル↢昴星ヲ↡時ニ、果則チ出生シテ足ルガ↦長サ五寸ニ↥。
^仏の名号によりて、 すなはち*仏因を結ぶことまたかくのごとし。 この微因よりつひに大果を著す。 かの*尼陀樹の、 芥子ばかりの種より枝葉を生じて、 あまねく五百両の車を覆ふがごとし。 浅近の世法すらなほ思議しがたし。 いかにいはんや、 出世の甚深の因果をや。 ただ信仰すべし。 疑念すべからず。
依リテ↢仏ノ名号ニ↡即チ結ブコト↢仏因ヲ↡亦復如シ↠是クノ。従リ↢此ノ微因↡遂ニ著ス↢大果ヲ↡。如シ↧彼ノ尼*陀樹ノ従リ↢芥子許ノ種↡生ジテ↢枝葉ヲ↡遍ク覆フガ↦五百両ノ車ヲ↥。浅近ノ世法スラ猶難シ↢思議シ↡。何ニ況ヤ出世ノ甚深ノ因果ヲヤ。唯応シ↢信仰ス↡。不↠可カラ↢疑念ス↡。
^問ふ。 *染心をもつて如来を縁ずるものもまた利益ありや。
問フ。以テ↢染心ヲ↡縁ズル↢於如来ヲ↡者ハ亦有リ↠*利益耶。
^答ふ。 ¬宝積経¼ の第八に、 *密迹力士、 寂意菩薩に告げていはく、 「▲*耆域医王、 もろもろの薬を合集して、 もつて薬草を取りて童子の形を作る。 端正殊妙にして、 世の希有なり。 *所作安諦にして、 所有究竟し、 殊異なること比びなし。 往来し、 周旋し、 住立し、 安坐し、 臥寐し、 経行するに、 欠漏するところなく、 顕変するところ1155の業あり。
答フ。¬宝積経ノ¼第八ニ、密迹力士告ゲテ↢寂意菩薩ニ↡云ク、「耆域医王合↢集シテ諸ノ薬ヲ↡、以テ取リテ↢薬草ヲ↡作ル↢童子ノ形ヲ↡。端正殊*妙ニシテ世之希有ナリ。所*作安諦ナリ、所有究竟セリ、殊異ナルコト无シ↠比ビ。往来シ周旋シ住立シ安坐シ臥寐シ経行スルニ、无シ↠所↣*欠↢漏セル所顕ノ変ズル業ヲ↡。
^あるいは大豪の国王・太子・大臣・百官・貴姓・長者ありて、 耆域医王の所に来到するに、 薬の童子を視て、 ともに歌ひ戯れて、 その顔色を相るに、 病みな除こることを得て、 すなはち安穏寂静にして、 無欲なることを致す。
或イハ有リテ↢大豪ノ国王・太子・大臣・百官・貴*性・長者↡、来↢到スルニ耆域医王ノ所ニ↡、*視テ↢薬ノ童子ヲ↡、与共ニ歌ヒ戯レテ、*相ルニ↢其ノ顔色ヲ↡病皆得テ↠除コルコトヲ、便チ致ス↢安*隠ニシテ寂静无欲ナルコトヲ↡。
^寂意、 しばらく、 その耆域医王の、 世間を療治するに、 その余の医師の及ぶことあたはざるところを観ぜよ。 かくのごとく、 寂意、 もし菩薩、 *法身を奉行すれば、 たとひ衆生の、 ↓*婬・怒・痴盛りにして、 男女・大小、 欲想をもつて慕楽し、 すなはちともにあひ娯楽すれども、 貪欲の*塵労はことごとく休息することを得」 と。 *陰種諸入なしと信解し観察するを、 すなはち 「奉行法身」 と名づく。
寂意且ク観ゼヨ↧其ノ耆域医王ノ療↢治スルニ世間ヲ↡、其ノ余ノ医師ノ所ヲ↞不ル↠能ハ↠及ブコト也。如ク↠是クノ寂意、若シ菩薩奉↢行スレバ法身ヲ↡、仮使衆生ノ婬・怒・痴盛ニシテ男女・大小、欲*相ヲモテ慕楽シ即チ共ニ相娯*楽スレドモ、貪欲ノ塵労ハ悉ク得ト↢休息スルコトヲ↡。」信↢解シ観↣察スルヲ无陰種諸入ヲ↡、則チ名ク↢奉行法身ト↡也
^奉行法身の菩薩すらなほしかり、 いかにいはんや*法身を証得せる仏をや。
奉行法身ノ菩薩スラ尚爾リ、何ニ況ヤ証得法身ノ仏1230ヲ耶。
^問ふ。 欲想をもつて縁ずるに、 この利益あるがごとく、 誹謗し悪厭するもまた益ありや。
問フ。如ク↣欲想ヲモテ縁ズルニ有ルガ↢此ノ利益↡、誹謗シ悪厭スルモ亦有リ↠益耶。
^答ふ。 すでに↑婬・怒・痴といへり。 明らけし、 ただ欲想のみにはあらず。
答フ。既ニ云ヘリ↢婬・怒・痴ト↡。明ケシ非ズ↢唯欲*想ノミニハ↡。
^また ¬*如来秘密蔵経¼ の下巻にのたまはく、 「むしろ如来において不善業をば起すとも、 外道・邪見のものの所において供養を施作せざれ。 なにをもつてのゆゑに。 もし如来の所において不善業を起さば、 まさに悔ゆる心ありて、 究竟してかならず涅槃に至ることを得べし。 外道の見に随ふは、 まさに地獄1156・餓鬼・畜生に堕つべし」 と。
又¬如来秘密蔵経ノ¼下巻ニ云ク、「寧ロ於テ↢如来ニ↡起ストモ↢不善業ヲバ↡、非レ↧於テ↢外道・邪見ノ者ノ所ニ↡施↦作セ供養ヲ↥。何ヲ以テノ故ニ。若シ於テ↢如来ノ所ニ↡起スハ↢不善業ヲ↡、当ニシ↧有リテ↢悔ユル心↡、究竟シテ必ズ得↞至ルコトヲ↢於涅槃ニ↡。随フハ↢外道ノ見ニ↡、当ニシト↠堕ツ↢地獄・餓鬼・畜生ニ↡。」
^問ふ。 この文は、 すなはち因果の道理に違せり。 また衆生の妄心を増す。 いかんぞ、 悪心をもつて*大涅槃楽を得んや。
問フ。此ノ文ハ便チ違セリ↢因果ノ道理ニ↡。亦復増ス↢於衆生ノ妄心ヲ↡。如何ゾ以テ↢悪心ヲ↡得ム↢大涅槃楽ヲ↡耶。
^答ふ。 悪心をもつてのゆゑに三悪道に堕つ。 一たび如来を縁ずるをもつてのゆゑにかならず涅槃に至る。 このゆゑに因果の道理に違せず。
答フ。以テノ↢悪心ヲ↡故ニ堕ツ↢三悪道ニ↡。以テノ↣一タビ縁ズルヲ↢如来ヲ↡故ニハ必ズ至ル↢涅槃ニ↡。是ノ故ニ不↠違セ↢因果ノ道理↡ニ。
^いはく、 「かの衆生、 地獄に堕する時に、 仏において信を生じ、 追悔の心を生ず。 これによりて、 展転してかならず涅槃に至る」 と。 ¬大悲経¼ (意) に見えたり。
謂ク「彼ノ衆生堕スル↢地獄ニ↡時ニ、於テ↠仏ニ生ジ↠信ヲ、生ズ↢追悔ノ心ヲ↡。由リテ↠此ニ展転シテ必ズ至ルト↢涅槃ニ↡。」見エタリ↢¬大悲経ニ¼↡
^染心に如来を縁ずる利益すらなほかくのごとし。 いかにいはんや、 浄心にして一たびも称せんをや。 仏の大恩徳、 これをもつて知りぬべし。
染心ニ縁ズルスラ↢如来ヲ↡利益尚シ如シ↠是クノ。何ニ況ヤ浄*心ニシテ一タビモ称セムヲヤ。仏ノ大恩徳、以テ↠之ヲ可シ↠知リヌ。
^問ふ。 諸文に説くところの菩提・涅槃は、 三乗のなかにおいて、 これいづれの果ぞ。
問フ。諸文ニ所ノ↠説ク菩提・涅槃ハ、於テ↢三乗ノ中ニ↡是何レノ果ゾ耶。
^答ふ。 初めには機に随ひて三乗の果を得といへども、 究竟してはかならず無上の仏果に至る。
答フ。初ニハ雖モ↣随ヒテ↠機ニ得ト↢三乗ノ果ヲ↡、究竟シテハ必ズ至ル↢无上ノ仏果ニ↡。
^¬法華経¼ にのたまふがごとし。
如シ↢¬法花経ニ¼云フガ↡。
^「十方仏土のなかには、 ただ一乗の法のみあり。
*二もなくまた*三もなし。 仏の方便の説をば除く」 と。
| 「十方仏土ノ中ニハ | 唯有リ↢一乗ノ法ノミ↡ |
| 無ク↠二モ亦無シ↠三モ | 除クト↢仏ノ方便ノ説ヲバ↡」 |
|
|
^また ¬大経¼ (涅槃経) に、 如来の決定の説義を明かしてのたまはく、 「一切1157衆生はことごとく仏性あり。 如来は常住にして*変易あることなし」 と。
又¬大経ニ¼明シテ↢如来ノ決定説ノ義ヲ↡云ク、「▼一切衆生ハ悉ク有リ↢仏性↡。如来ハ常住ニシテ无シト↠有ルコト↢変易↡。」
^またのたまはく (涅槃経)、 「一切衆生は、 さだめて阿耨菩提を得るがゆゑに、 このゆゑに、 われ、 一切衆生はことごとく仏性ありと説く」 と。
又云ク、「一切衆生ハ*定メテ得ルガ↢阿耨菩提ヲ↡故ニ、是ノ故ニ我説クト↣一切*衆生ハ悉ク有リト↢仏性↡。」
^またのたまはく (涅槃経)、 「一切衆生はことごとくみな心あり。 おほよそ心あるものは、 さだめてまさに阿耨菩提を成ずることを得べし」 と。
又云ク、「一切衆生ハ悉ク皆有リ↠心。凡ソ有ル↠心者ハ定メテ当ニシト↠得1231↠成ルコトヲ↢阿耨菩提ヲ↡。」
^問ふ。 なんがゆゑぞ、 諸文の所説不同なる。 あるいは 「一たび仏の名を聞かば、 さだめて菩提を成ず」 と説く。 あるいは 「勤修すること、 頭燃を救ふがごとくすべし」 と説く。
問フ。何ガ故ゾ諸文ノ所説不同ナル。或イハ説ク↧一タビ聞ク↢仏ノ*名ヲ↡定メテ成ルト↦菩提ヲ↥。或イハ説ク↠応シト↢勤修スルコト如クス↟救フガ↢頭燃ヲ↡。
^また ¬華厳経¼ の偈にのたまはく、
又¬花厳*経ノ¼偈ニ云ク、
^「人の、 他の宝を数ふるに、 みづから半銭の分なきがごとく、
法において修行せざるは、 多く聞くともまたかくのごとし」 と。
| 「如ク↧人ノ数フルニ↢他ノ宝ヲ↡ | 自ラ无キガ↦半銭ノ分↥ |
| 於テ↠法ニ不ルハ↢修行セ↡ | 多ク聞クトモ亦如シト↠是クノ」 |
^答ふ。 もしすみやかに解脱せんと欲はば、 勤めずは分なきがごとし。 もし永劫の因を期せば、 一たび聞くともまた虚しからず。 このゆゑに、 諸文は、 理、 相違せず。
答フ。若シ欲フハ↢速ニ解脱セムト↡、不ルハ↠勤メ如シ↠无キガ↠分。若シ期スルニハ↢永劫ノ因ヲ↡、一タビ聞クトモ亦不↠虚シカラ。是ノ故ニ諸文ハ、理不↢相違セ↡。
二 Ⅹ ⅶ 諸行勝劣
【77】^第七に△*諸行の勝劣といふは、
第七ニ諸行ノ勝劣トイフ者、
^問ふ、 往生の業のなかには念仏を最となすも、 余の業のなかにおいてもまた最となすや。
問フ。往生ノ業ノ中ニハ念仏ヲ為スモ↠最ト。於テモ↢余ノ業ノ中ニ↡亦為ス↠最ト耶。
^答ふ。 余の行法のなかにおいても1158、 これまた最勝なり。
答フ。*於テモ↢余ノ行法ノ中ニ↡此亦最勝ナリ。
^ゆゑに ¬観仏三昧経¼ に六種の譬へあり。
故ニ¬観仏三昧経ニ¼有リ↢六種ノ譬↡。
^「一にはいはく、 ª仏、 阿難に告げたまはく、 «たとへば、 長者の、 まさに死なんとすること久しからずして、 もろもろの庫蔵をもつてその子に委付す。 その子、 得をはりて、 意に随ひて遊戯す。 たちまちに一時に、 王難あるに値ひて、 無量の衆賊、 蔵の物を競ひ取る。
一ニハ云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、譬ヘバ如シ↧長者ノ将ニルコト↠死ナムト不シテ↠久シカラ、以テ↢諸ノ庫蔵ヲ↡委↢付ス其ノ子ニ↡、其ノ子得已リテ随ヒテ↠意ニ遊戯ス、忽ニ於テ↢一時ニ↡値ヒテ↠有ルニ↢王難↡、無量ノ衆賊競ヒ↢取ル蔵ノ物ヲ↡、
^ただ一の金あり。 すなはちこれ*閻浮檀那紫金にして、 重さ*十六両なり。 *金鋌の長短また十六寸なり。 この金の一両の価は、 余の宝の百千万両に直る。
唯シ有リ↢一ノ金↡、乃チ是閻浮檀那紫金ナリ、重サ十六両ナリ、金*鋌ノ長短亦十六寸ナリ、此ノ金ノ一両ハ、価直ル↢余ノ宝ノ百千万両ニ↡、
^すなはち穢らはしき物をもつて真金を纏ひ裹みて、 泥団のなかに置きつ。 もろもろの賊見をはりて、 これ金と識らずして、 脚をもつて践みてしかも去りぬ。 賊去りて後に、 財主、 金を得て、 心大きに歓喜せんがごとし。 念仏三昧もまたかくのごとし。 まさにこれを密蔵すべし»º と。
即チ以テ↢穢ハシキ物ヲ↡纏ヒ↢裹ミテ真金ヲ↡、置キツ↢泥団ノ中ニ↡、衆ノ賊見已リテ、不シテ↠識ラ↢是金ト↡脚ヲモテ践ミテ而モ去リヌ、賊去リテ之後ニ財主得テ↠金ヲ、心大ニ歓喜セムガ↥。念仏三昧モ亦復如シ↠是クノ。当ニシト↣密↢蔵ス之ヲ↡。
^二にはいはく、 ªたとへば、 貧人、 王の宝印を執りて、 逃げ走りて樹に上りぬ。 *六兵これを追ふに、 貧人、 見をはりてすなはち宝印を呑みつ。 兵衆疾く至りて、 樹をして倒僻せしむ。 貧人、 地に落ちて、 身体散壊しぬれども、 ただ金印はあるがごとく、 念仏の心印も壊れざること、 またかくのごとしº と。
二ニハ云ク、譬ヘバ如ク↧貧人執リテ↢王ノ宝印ヲ↡逃ゲ走リテ上リヌ↠樹ニ、六兵追フニ↠之ヲ、貧人見已リテ即チ呑ミツ↢宝印ヲ↡、兵衆疾ク至リテ令ム↢樹ヲシテ倒僻セ↡、貧人落チテ↠地ニ、身体散壊シヌレドモ、唯シ金印ハ在ルガ↥、念仏ノ心印モ不ルコト↠壊レ*亦如シト↠是クノ。
^三にはいはく、 ª▼たとへば、 長者の、 まさに死なんとすること久しからずして、 一の女子に告ぐ1159らく、 «われいま宝あり。 宝のなかに上れたるものなり。 なんぢ、 この宝を得て、 密蔵して堅からしめよ。 王をして知らしむることなかれ» と。
三ニハ云ク、譬ヘバ如シ↧長者ノ将ニルコト↠死ナムト不シテ↠久シカラ、告グラク↢一ノ女子ニ↡、我今有1232リ↠宝、宝ノ中ニ上タル者ナリ、汝得テ↢此ノ宝ヲ↡密シ蔵メテ令メヨ↠堅カラ、莫レト↠令ムルコト↢王ヲシテ知ラ↡、
^女、 父が勅を受けて、 *摩尼珠およびもろもろの珍宝を持ちて、 これを糞穢に蔵す。 室家の大小、 みなまた知らず。 世の飢饉に値ひて、 *如意珠を持ちて、 語に随ひて、 すなはち百味飲食を雨らす。 かくのごとくして、 種々に意に随ひて宝を得るがごとし。 念仏三昧の堅心不動なることまたかくのごとしº と。
女受ケテ↢父ガ勅ヲ↡持チテ↢摩尼珠及ビ諸ノ珍宝ヲ↡蔵ス↢之ヲ糞穢ニ↡、室家ノ大小皆亦不↠知ラ、値ヒテ↢世ノ飢饉ニ↡、持チテ↢如意珠ヲ↡*随ヒテ↠*語ニ即チ雨ル↢百味飲食ヲ↡、如クシテ↠是クノ種々ニ随ヒテ↠意ニ得ルガ↞宝ヲ。念仏三昧ノ堅心ニシテ不ラムコト↠動ゼ亦復如シト↠是クノ。
^四にはいはく、 ªたとへば、 大きに旱して雨を得ることあたはず。 一の仙人ありて呪を誦す。 神通力のゆゑに、 天より*甘雨を降らし、 地より涌泉を出すがごとし。 念仏を得たるものは善呪の人のごとしº と。
四ニハ云ク、譬ヘバ如シ↧大ニ旱シテ不↠能ハ↠得ルコト↠雨ヲ、有リテ↢一ノ仙人↡誦ス↠呪ヲ、神通力ノ故ニ天ヨリ降ラシ↢甘雨ヲ↡、地ヨリ出スガ↦*涌泉ヲ↥。得タル↢念仏ヲ↡者ハ如シト↢善呪ノ人ノ↡。
^五にはいはく、 ªたとへば、 力士、 しばしば王法を犯して*囹圄に幽閉せらるるに、 逃げて海辺に到り、 髻の明珠を解きて、 持ちて船師を雇ひ、 かの岸に到りて、 安穏にして懼れなきがごとし。 念仏を行ずるものは大力士のごとし。 心王の鎖を挽れて、 かの慧の岸に到るº と。
五ニハ云ク、譬ヘバ如ク↧力士数バ犯シテ↢王法ヲ↡幽↢閉セラレテ囹圄ニ↡、逃ゲテ到リテ↢海辺ニ↡、解キテ↢*髻ノ明珠ヲ↡、持チテ雇ヒテ↢船師ヲ↡、到リテ↢於彼ノ岸ニ↡、安*穏ニシテ無キガ↞懼レ、行ズル↢念仏ヲ↡者ハ如シ↢大力士ノ↡。挽レテ↢心王ノ鎖ヲ↡、到ルト↢*彼ノ*恵ノ岸ニ↡。
^六にはいはく、 ªたとへば、 劫尽きて大地*洞然するに、 ただ金剛山のみ*摧破すべからずして、 還りて*本際に住するがごとく、 念仏三昧もまたかくのごとし。 この定を行ずるものは、 過去の仏の*実際の海のなかに住すº」 と。 以上略抄
六ニハ云ク、譬ヘバ如ク↧劫尽キテ大地洞燃ニシテ、唯金剛山ノミ不シテ↠可カラ↢摧破ス↡、還リテ住スルガ↦本際ニ↥、念仏三昧モ亦復如シ↠是クノ。行ズル↢是ノ定ヲ↡者ハ、住スト↢過去ノ仏ノ実際ノ海ノ中ニ↡。」 已上略抄
^また ¬般舟経1160¼ の 「問事品」 に念仏三昧を説きてのたまはく、 「つねにまさに習持し、 つねにまさに守りて、 また余の法に随はざるべし。 もろもろの功徳のなかに最尊第一なり」 と。 以上
又¬般舟経ノ¼「問事品ニ」説キテ↢念仏三昧ヲ↡云ク、「常ニ当ニ習持シ、常ニ当ニシ↤守リテ不ル↣復随ハ↢余ノ法ニ↡。諸ノ功徳ノ中ニ最尊第一ナリト。」 已上
^また不退転の位に至るに、 難易の二の道あり。 易行道といふはすなはちこれ念仏なり。
又至ルニ↢不退転ノ位ニ↡有リ↢難易ノ二ノ道↡。言フハ↢易行道ト↡即チ是念仏ナリ。
^ゆゑに *¬十住婆沙¼ の第三にいはく、 「▲世間の道に難あり易あり。 陸道の歩行はすなはち苦しく、 水道の乗船はすなはち楽しきがごとし。 ◆菩提の道もまたかくのごとし。 あるいは勤行精進のものあり、 あるいは信方便の易行をもつて、 疾く阿惟越致に至るものあり。 乃至 ◆阿弥陀等の仏および諸大菩薩、 名を称して一心に念ずれば、 また不退転を得」 と。 以上
故ニ¬十住*婆*娑ノ¼第三ニ云ク、「如シ↢世間ノ道ニ有リ↠難有リ↠易、陸*道ハ歩ヨリ行キテ則チ苦シク、水道ハ乗リテ↠船ニ則チ楽シキガ↡。菩*提ノ道モ*亦如シ↠是クノ。或イハ有リ↢勤行精進スル↡、或イハ有リ↧以テ↢信方便ヲ↡易クシテ↠行ジ疾ク至ルモノ↦阿惟越*致ニ↥。乃至 阿弥陀等ノ仏及ビ諸大菩薩ヲ称シテ↠名ヲ一心ニ念ズレバ、亦得トイヘリ↢不退転ヲ↡。」 已上
^文のなかに、 ▲過去・現在の一百余の仏、 ▲弥勒・金剛蔵・浄名・無尽意・跋陀婆羅・文殊・妙音・師子吼・香象・常精進・観世音・勢至等の一百余の大菩薩を挙げたり。 そのなかに広く弥陀仏を讃ぜり。 もろもろの行のなかにおいて、 ただ念仏の行のみ修しやすくして、 上位を証す。 知りぬ、 これ最勝の行なりといふことを。
文ノ中ニ挙ゲタリ↢過去・現在ノ一1233百余ノ仏、弥勒・金剛蔵・浄名・无尽意・跋陀婆羅・文殊・妙音・師子*孔・香象・常精進・観*世音・勢至等ノ一百余ノ大菩薩ヲ↡。其ノ中ニ広ク讃ゼリ↢弥陀仏ヲ↡也。於テ↢諸ノ行ノ中ニ↡、唯シ念仏ノ行ノミ易クシテ↠修シ証ス↢上位ヲ↡。知リヌ是最勝ノ行ナリトイフコトヲ。
^また ↓¬宝積経¼ の九十二にのたまはく、 「もし菩薩ありて、 多く衆務を営み、 七宝の塔を造ること、 三千大千世界に*遍満せんに、 かくのごとき菩薩は、 われをして歓喜をなさしむることあたはず。 またわれを供養し恭敬する1161にもあらず。 もし菩薩ありて、 波羅蜜相応の法において、 乃至、 一の四句の偈を受持し、 読誦し、 修行して、 人のために演説せん。 この人は、 すなはちわれを供養しつとなす。 なにをもつてのゆゑに。 もろもろの仏の*菩提は、 多聞より生ず。 衆務よりはしかも生ずることを得ず。 乃至
又¬宝積経ノ¼九十二ニ云ク、「若シ有リテ↢菩薩↡多ク営ミ↢衆務ヲ↡、造ルコト↢七宝ノ塔ヲ↡遍↢満セムニ三千大千世界ニ↡。如キ↠是クノ菩薩ハ、不↠能ハ↠令ムルコト↣我ヲシテ而生サ↢歓喜ヲ↡。亦非ズ↤供↢養シ恭↣敬スルニモ於我ヲ↡。若シ有リテ↢菩薩↡、於テ↢*波羅蜜相応之法ニ↡、乃至受↢*持シ一ノ四句ノ偈ヲ↡、読誦シ修行シテ為ニ↠人ノ演説セム。是ノ人ハ乃チ為ス↣供↢養シツト於我ヲ↡。何ヲ以テノ故ニ。諸ノ仏ノ・菩*薩ハ従リ↢多聞↡生ズ。不↧従リハ↢衆務↡而モ得↞生ズルコトヲ也。乃至
^もし一閻浮提の、 営事の菩薩は、 一の読誦・修行・演説の菩薩の所において、 まさに親近し供養し*承事すべし。 もし一閻浮提の、 読誦・修行・演説のもろもろの菩薩等は、 一の勤修禅定の菩薩において、 またまさに親近し供養し承事すべし。 かくのごとき善業をば、 如来随喜し、 如来悦可したまふ。 もし勤修智慧の菩薩において承事し供養せば、 まさに無量の福徳の聚を獲べし。 なにをもつてのゆゑに。 智慧の業は無上最勝にして、 一切の三界の所行に出過すればなり」 と。 云々
若シ一閻浮提ノ*営事ノ菩薩ハ、於テ↢一ノ読誦・修行・演説ノ菩薩之所ニ↡応ニ当シ↢親近シ供養シ承事ス↡。若シ一閻浮提ノ読誦・修行・演説ノ諸ノ菩薩等ハ、於テ↢一ノ勤修禅定ノ菩薩ニ↡亦当ニシ↢親近シ供養シ承事ス↡。如キ↠是クノ善業ハ、如来随喜シ、如来悦可シタマフ。若シ於テ↢勤修智*恵ノ菩薩ニ↡承事シ供養スルハ、当ニシ↠獲↢无量ノ福徳之聚ヲ↡。何ヲ以テノ故ニ。智*恵之業ハ无上最勝ニシテ、出↢過スレバナリト一切ノ三界ノ所行ニ↡。」*云々
^↓¬大集¼ の 「月蔵分」 の偈にのたまはく、
¬大集ノ¼「月蔵分ノ」偈ニ云ク、
^「もし人、 百億の諸仏の所にして、 多くの歳数においてつねに供養せんに、
もしよく七日、 *闌若にありて、 *根を摂して定を得ば、 福かれよりも多し。 乃至
| 「若シ人百億ノ諸仏ノ所ニシテ | 於テ↢多クノ歳数ニ↡常ニ供養シタテマツラム |
| 若シ能ク七日在リテ↢*闌若ニ↡ | 摂シテ↠根ヲ得バ↠定ヲ福多ケム↠彼ヨリモ 乃至 |
^閑静無為なるは仏の境界なり。 かしこにおいてよく浄菩提を得。
1162もし人、 かの住禅のものを謗らば、 これをもろもろの如来を毀謗すと名づく。
| 閑静无為ナルハ仏ノ境界ナリ | 於テ↠彼ニ能ク得↢浄菩提ヲ↡ |
| 若シ人謗ルハ↢彼ノ住禅1234ノ者ヲ↡ | 是ヲ名ク↣毀↢謗スト諸ノ如来ヲ↡ |
^もし人、 塔を破ること多百千、 および百千の寺を焚焼せんに、
もし住禅のものを毀謗することあらば、 その罪はなはだ多きこと、 かれより過ぎたり。
| 若シ人破ルコト↠塔ヲ多ノ百千ナラム | 及以焚↢焼セムニ百千ノ寺ヲ↡ |
| 若シ有ラムハ↣毀↢謗スルコト住禅ノ者ヲ↡ | 其ノ罪甚ダ多キコト過ギタリ↢於彼ヨリ↡ |
^もし住禅のものに、 飲食・衣服および湯薬を供養することあらば、
この人無量の罪を消滅して、 また三悪道に堕せじ。
| 若シ有ラバ↣供↢養スルコト住禅ノ者ニ | 飲食・衣服及ビ湯薬ヲ↡ |
| 是ノ人消↢滅シテ无量ノ罪ヲ↡ | 亦不↠堕セ↢於三悪道ニ↡ |
^このゆゑにわれいまあまねくなんぢに告ぐ、 仏道を成ぜんと欲はばつねに禅にあれ。
もし*阿蘭若に住することあたはずは、 まさにかの人を供養すべし」 と。 以上
| 是ノ故ニ我今普ク告グ↠汝ニ | 欲ハバ↠成ラムト↢仏道ヲ↡常ニ在レ↠禅ニ |
| 若シ不ハ↠能ハ↠住スルコト↢阿蘭若ニ↡ | 応ニ当シトイヘリ↣供↢養ス於彼ノ人ヲ↡。」 已上 |
^*汎爾の禅定すら、 なほすでにかくのごとし。 いはんや、 念仏三昧はこれ*王三昧なるをや。
汎爾禅定スラ尚既ニ如シ↠是クノ。況ヤ念仏三昧ハ是王三昧ナルヲ耶。
^問ふ。 もし禅定の業は読誦・解義等に勝れたらば、 いかんぞ、 ↓¬法華経¼ の 「分別功徳品」 に、 八十万億那由他劫の所修の*前五波羅蜜の功徳をもつて、 ¬法華経¼ を聞きて一念信解する功徳に校量して、 百千万億分の一分なりとする。 い1163かにいはんや、 広く他のために説かんをや。
問フ。若シ禅定ノ業ハ勝レタラバ↢読誦・解義等ニ↡、云何ゾ¬法花経ノ¼「分別功徳品ニ」、以テ↢*八十万億那由他劫ノ所修ノ前五波羅蜜ノ功徳ヲ↡、挍↧量セル聞キテ↢¬法花経ヲ¼↡一念信解スル功徳ノ百千万億分之一分ニ↥。何ニ況ヤ広ク為ニ↠他ノ説カムヲ耶。
^答ふ。 これらのもろもろの行に、 おのおの浅深あり。 いはく、 *偏円の教、 差別あるがゆゑに。 もし*当教にて論ぜば、 勝劣は前のごとし。 もし諸教を相対せば、 偏教の禅定は円教の読誦事業に及ばず。 ↑¬大集¼ と↑¬宝積¼ とは一教に約して論じ、 ↑¬法華¼ の校量は偏円相望す。 このゆゑに諸文の義、 相違せず。 念仏三昧もまたかくのごとし。 偏教の三昧は当教に勝れたりとなす。 *円人の三昧はあまねく諸行に勝れたり。
答フ。此等ノ諸ノ行ニ各有リ↢浅深↡。謂ク偏円ノ教有ルガ↢差別↡故ニ。若シ当教ニテ論ゼバ↢勝劣ヲ↡如シ↠前ノ。若シ*相↢対セバ諸教ニ↡、偏教ノ禅定ハ不↠及バ↢円教ノ読誦事業ニ↡。¬大集ト¼¬宝積トハ¼約シテ↢一教ニ↡論ズ。¬法華ノ¼挍量ハ偏円相望ス。是ノ故ニ諸文ノ、義不↢相違セ↡。念仏三昧モ亦復如シ↠是クノ。偏教ノ三昧ハ当教ニ為ス↠勝レタリト。円人ノ三昧ハ普ク勝レタリ↢諸行ニ↡。
^また定に二あり。 一は*慧相応の定。 これを最勝なりとなす。 二は*暗禅。 いまだ勝れたりとなすべからず。 念仏三昧はこれ初めの摂なるべし。
又定ニ有リ↠二。一者*恵相応ノ定。是ヲ為ス↢最勝ナリト↡。二者暗禅。未ダ↠可カラ↠為ス↠勝レタリト。念仏三昧ハ応シ↢是初ノ摂ナル↡。
二 Ⅹ ⅷ 信毀因縁
【78】^第八に△*信毀の因縁といふは、
第八ニ信毀ノ因縁トイフ者、
^¬般舟経¼ にのたまはく、 「◆独り一仏の所にして功徳を作るのみにあらず。 もしは二、 もしは三、 もしは十においてせるにもあらず。 ことごとく百仏の所にしてこの三昧を聞き、 かへりて後世の時にこの三昧を聞くものなり。 経巻を書学し誦持して、 最後に守ること一日一夜すれば、 その福計るべからず。 おのづから阿惟越致に致り、 願ずるところのものを得ん」 と。
¬般舟経ニ¼云ク、「不ズ↧独リ於テ↢一仏ノ所ニ↡作ルノミニ↦功徳ヲ↥。不ズ↠於テセルニモ↢*若シハ二若シハ三若シハ十ニ↡。悉ク於テ↢百仏ノ所ニ↡聞カム↢是ノ三昧ヲ↡、却リテ後世ノ時ニ聞カム↢是ノ三昧ヲ↡者ナリ。書シ↢学1235シ▼誦↣持シテ経巻ヲ↡、最後ニ守ルコト一日一夜モスルハ、其ノ福不可計ニシテ、自ラ致リ↢阿惟越致ニ↡、所ノ↠願ゼム者ヲ得ムト。」
^◆問ふ。 もししからば、 聞くものは決定して信ずべし。 なんがゆゑぞ、 聞くとい1164へども、 信じ信ぜざるものある。
◆問フ。若シ爾ラバ聞カム者ハ決定シテ応シ↠信ズ。何ガ故ゾ*雖モ↠聞クト有ル↢信ジ不ルモノ↟信ゼ。
^◆答ふ。 ¬*無量清浄覚経¼ (四) にのたまはく、 「▲善男子・善女人ありて、 無量清浄仏の名を聞きて、 歓喜し踊躍して、 身の毛起つことをなし、 抜け出づるがごとくなるものは、 みなことごとく宿世宿命に、 すでに仏事をなせるなり。 ◆それ人民ありて、 疑ひて信ぜざるものは、 みな悪道のなかより来りて、 殃悪いまだ尽きざるなり。 これいまだ解脱を得ざるなり」 と。 略抄
◆答フ。¬無量清浄覚経ニ¼云ク、「善男子・善女人アリテ聞キテ↢无量清浄仏ノ名ヲ↡、歓喜シ踊躍シテ、身ノ毛為ルコト↠起ツコトヲ如クセム↢抜キ出スガ↡者ハ、皆悉ク*宿世宿命ニ已ニ作セルナリ↢仏事ヲ↡。其レ有リテ↢人民↡疑ヒテ不ラム↠信ゼ者ハ、皆従リ↢悪道ノ中↡来リテ、殃悪未ダルナリ↠尽キ。此未ダル↠得↢解脱ヲ↡*也ト。」 略抄
^◆また ¬大集経¼ の*第七にのたまはく、 「もし衆生ありて、 すでに無量無辺の仏の所にしてもろもろの*徳本を殖ゑたるものは、 すなはちこの如来の十力・四無所畏・不共の法・三十二相を聞くことを得ん。 乃至 下劣の人は、 かくのごとき正法を聞くことを得ることあたはじ。 たとひ聞くことを得とも、 いまだかならずしもよく信ぜず」 と。 以上
又¬大集経ノ¼第七ニ云ク、「若シ有リテ↢衆生↡已ニ於テ↢無量无辺ノ仏ノ所ニ↡殖ヱタルモノハ↢衆ノ徳ノ本ヲ↡、乃チ得ム↠聞クコトヲ↢是ノ如来ノ十力・四无所畏・不共之法・卅二相ヲ↡。乃至 下劣之人ハ不↠能ハ↠得ルコト↠聞クコトヲ↢如キ↠是クノ正法ヲ↡。仮使得トモ↠聞クコトヲ、未ダト↢必ズシモ能ク信ゼ↡。」 已上
^◆まさに知るべし、 生死の因縁は不可思議なり。 薄徳のものの、 聞くことを得るも、 その縁知りがたし。 *烏豆聚に一の緑き豆あらんがごとし。 ただしかれ聞くといへどもしかも信解せず。 これはすなはち薄徳の致すところなるのみ。
当ニシ↠知ル、生死ノ因縁ハ不可思議ナリ。薄徳ノモノノ得ルコト↠聞クコトヲ、難シ↠知リ↢其ノ縁↡。如シ↣烏豆聚ニ有ラムガ↢一ノ緑キ豆↡。但シ彼雖モ↠聞クト而モ不↢信解セ↡。是ハ*即チ薄徳之所ナル↠致ス耳。
^問ふ。 仏、 往昔に、 つぶさに*諸度を修したまひしに、 なほ八万歳にこの法を聞きたまふことあたはざりき。 いかんぞ、 薄徳のたやすく聴聞することを得る。 た1165とひ希有なりと許せども、 なほ道理に違せり。
問フ。仏ノ於テ↢往昔ニ↡具ニ修シタマヒシニ↢諸度ヲ↡、尚於テ↢八万歳ニ↡不リキ↠能ハ↠聞キタマフコト↢*此ノ法ヲ↡。云何ゾ薄徳ノ輒ク得ル↢聴聞スルコトヲ↡。設ヒ許セドモ↢希有ナリト↡猶違セリ↢道理ニ↡。
^答ふ。 この義、 知りがたし。 試みにこれを案じていはく、 衆生の善悪に四の位の別あり。
答フ。此ノ義難シ↠知リ。試ニ案ジテ↠之ヲ云ク、衆生ノ善悪ニ有リ↢四ノ位ノ別↡。
^一には、 *悪用偏増なり。 この位には法を聞くことなし。 ¬法華¼ (意) にのたまふがごとし、 「増上慢の人、 二百億劫つねに法を聞かず」 と。
一ニハ悪用偏増ナリ。此ノ位ニハ無シ↠聞クコト↠法ヲ。如シ↢¬法華ニ¼云フガ↡、「増上慢ノ人二百億劫常ニ不ト↠聞カ↠法ヲ。」
^二には、 *善用偏増なり。 この位にはつねに法を聞く。 *地・住以上の大菩薩等のごときなり。
二ニハ善用偏増セル、此ノ位ニハ常ニ聞ク↠法ヲ。如キナリ↢地・住以上ノ大菩薩等ノ↡。
^三には、 *善悪の交際。 いはく、 凡を捨てて聖に入らんとする時なり。 この位のなかには、 一類の人ありて法を聞くことはなはだ難し。 たまたま聞きつればすなはち悟る。 *常啼菩薩、 △須達が老女等のごとし。 あるいは魔のために障へられ、 あるいはみづからの惑ひのために障へられて、 聞見を隔つといへども、 久しからずしてすなはち悟る。
三ニハ善悪ノ交際。謂ク垂ル↢捨テテ↠凡ヲ入ラムト↟聖ニ之時ナリ。此ノ位ノ中ニハ有リテ↢一類之人1236ノ↡聞クコト↠法ヲ甚ダ難キ↡。適マ聞キツレバ即チ悟ル。如シ↢常啼菩薩、須達ガ老女等ノ↡。或イハ為ニ↠魔ノ所レ↠障ヘ、或イハ為ニ↢自ラノ*或ノ↡障ヘラレテ、雖モ↠隔ツト↢聞見ヲ↡不シテ↠久シカラ即チ悟ル。
^四には、 *善悪容預なり。 この位には、 善悪は同じくこれ生死流転の法なるがゆゑに、 多く法を聞くこと難し。 悪増にあらざるがゆゑに、 一向に無聞なるにあらず。 交際するにあらざるがゆゑに、 聞くといへども巨益なし。 六趣・四生に*蠢々たる類、 これなり。 ゆゑに上人のなかにもまた聞くこと難きものあり、 凡愚のなかにもまた聞くものあり。
四ニハ善悪容預ナル、此ノ位ノ善悪ハ同ジク是生死流転ノ法ナルガ故ニ、多ク難シ↠聞クコト↠法ヲ。非ヌガ↢悪増ニ↡故ニ非ズ↢一向ニ无聞ナルニ↡。非ヌガ↢交際スルニ↡故ニ雖モ↠聞クト無シ↢巨益↡。六趣・四生ノ*蠢々タル類是ナリ。故ニ上人ノ中ニモ亦有リ↠難キモノ↠聞クコト、凡愚之中ニモ亦有リ↢聞ク者↡。
^これまたいまだ決せず。 *後賢、 取捨せよ。
此*亦*未ダ↠決セ。後*賢取捨セヨ。
^問ふ。 不信のもの、 なんの罪報をか得る。
▼問フ。不信之者得ル↢何ノ罪報ヲカ↡。
^◆答ふ。 ¬*称揚諸仏功徳経¼ の下巻に1166のたまはく、 「それ、 阿弥陀仏の名号功徳を讃嘆し*称揚するを信ぜざることありて、 *謗毀するものは、 五劫のうちに、 まさに地獄に堕して、 つぶさにもろもろの苦を受くべし」 と。
◆答フ。¬称揚諸仏功徳経ノ¼下巻ニ云ク、「其レ有リテ↠不ルコト↠信ゼ↤讃↢嘆シ称↣揚スルヲ阿弥陀仏ノ名号功徳ヲ↡、而シテ謗毀セム者ハ、五劫之中ニ当ニシト↧堕シテ↢地獄ニ↡、具ニ受ク↦衆ノ苦ヲ↥。」
^問ふ。 もし深信なくして疑念をなすものは、 つひに往生せざるや。
問フ。若シ无クシテ↢深信↡生ス↢疑念ヲ↡者ハ終ニ不ルヤ↢往生セ↡。
^答ふ。 まつたく信ぜず、 かの業を修せず、 願求せざるものは、 理として生るべからず。 もし仏智を疑ふといへども、 しかもなほかの土を願ひ、 かの業を修するものは、 また往生することを得。
答フ。*全ク不↠信ゼ、不↠修セ↢彼ノ業ヲ↡、不ル↢願求セ↡者ハ、理トシテ不↠応カラ↠生ル。若シ雖モ↠疑フト↢仏智ヲ↡、而モ猶願ヒ↢彼ノ土ヲ↡修セム↢彼ノ業ヲ↡者ハ、亦得↢往生スルコトヲ↡。
^¬双巻経¼ (大経・下) にのたまふがごとし、 「▲もし衆生ありて、 疑惑の心をもつてもろもろの功徳を修して、 かの国に生れんと願じて、 ↓仏智・不思議智・不可称智・大乗広智・無等無倫最上勝智を了せず、 このもろもろの智において疑惑して信ぜず、 しかもなほ罪福を信じ、 善本を修習して、 その国に生ぜんと願ぜん。
如キナリ↢¬双巻経ニ¼云フガ↡。「若シ有リテ↢衆生↡以テ↢疑*或ノ心ヲ↡修シテ↢諸ノ功徳ヲ↡、願ジテ↠生レムト↢彼ノ国ニ↡、不↠了セ↢仏智・不思議智・不可称智・大乗広智・无等*无倫最上勝智ヲ↡、於テ↢此ノ諸ノ智ニ↡疑*惑シテ不トモ↠信ゼ、然モ猶信ジテ↢罪福ヲ↡、修↢習シテ善本ヲ↡、願ズル↠生レムト↢其ノ国ニ↡、
^◆このもろもろの衆生は、 かの宮殿に生じて、 寿五百歳、 つねに仏を見たてまつらず、 経法を聞かず、 菩薩・声聞の衆を見たてまつらず、 ◆このゆゑにかの国土においては、 これを*胎生といふ」 と。 以上
此ノ諸ノ衆生ハ生ジテ↢彼ノ宮殿ニ↡寿五百歳マデニ*常ニ不↠見タテマツラ↠仏ヲ、不↠聞カ↢経法ヲ↡、不ル↠見タテマツラ↢菩薩・声聞*之衆ヲ↡、是ノ故ニ於テハ↢彼ノ国土ニ↡謂フト↢之ヲ胎生ト↡。」 已上
^仏の智慧を疑ふは、 罪、 悪道に当れり。 しかも願に随ひて往生するは、 これ仏の悲願の力なり。
疑フハ↢仏ノ智*恵ヲ↡、罪当レリ↢悪道ニ↡。然モ随ヒテ↠願ニ往生スルハ、是仏ノ悲願ノ力ナリ。
^¬清浄覚経¼ (平等覚経・三) に、 この胎生をもつて▲中輩・▲下輩1167の人となせり。 しかも諸師の所釈、 繁く出すことあたはず。
¬清浄覚経ニ¼以テ↢此ノ胎生ヲ↡為セリ↢中輩・下1237輩ノ人ト↡。然モ諸師ノ所釈不↠能ハ↢繁シキニ出スコト↡。
^問ふ。 仏智と等いふは、 その相いかんぞ。
問フ。言フハ↢仏智ト等↡其ノ相云何ゾ。
^答ふ。 *憬興師は、 ¬*仏地経¼ の五法をもつて、 いま↑五智と名づけたり。 いはく、 清浄法界を仏智と名づけ、 *大円鏡等の四をもつて、 次いでのごとく不思議等の四に当つるなり。 *玄一師は、 仏智は前のごとくなるも、 後の四智をもつて、 逆に*成事智等の四に対するなり。 余の異解あるも、 これを煩はしくすべからず。
答フ。憬興師ハ以テ↢¬仏地経ノ¼五法ヲ↡、今名ケタリ↢五智ト↡。謂ク清浄法界ヲバ名ケ↢仏智ト↡、以テ↢大円鏡等ノ四ヲ↡如ク↠次ノ当ツベシトイフ↢不思議等ノ四ニ↡也。玄一師ハ、仏智ハ如クナルモ↠前ノ、以テハ↢後ノ四智ヲ↡逆ニ対セリ↢成事智等ノ四ニ↡也。有リ↢余ノ異解↡。不↠可カラ↠煩シクス↠之ヲ。
二 Ⅹ ⅸ 助道資縁
【79】^第九に△*助道の資縁といふは、
第九ニ助道ノ資縁トイフ者、
^問ふ、 凡夫の行人はかならず衣食を須ゐる。 これ小縁なりといへども、 よく大事を弁ず。 *裸・餧にして安からずは、 *道法いづくんぞあらん。
問フ。凡夫ノ行人ハ要ズ須ヰル↢衣食ヲ↡、此雖モ↢小縁ナリト↡、能ク*辨ズ↢大事ヲ↡。裸ニ餧ヱテ不ハ↠安カラ、道法焉ゾ在ラム。
^答ふ。 行者に二あり。 いはく、 ↓家と↓出家となり。
答フ。行者ニ有リ↠二。謂ク*家ト出家トナリ。
^その↑在家の人は、 家業自由にして、 餐飯・衣服あり。 なんぞ念仏を妨げん。 △¬木槵経¼ の*瑠璃王の行のごとし。
其ノ在家ノ人ハ、家業自由ナリ。餐飯・衣服アリ、何ゾ妨ゲム↢念仏ヲ↡。如シ↢¬木槵経ノ¼瑠璃王ノ行ノ↡。
^その↑出家の人にまた三類あり。 もし*上根のものは、 草座・鹿皮、 一菜・一菓なり。 *雪山の大士のごとき、 これなり。 もし*中根のものは、 つねに乞食・*糞掃衣なり。 もし*下根のものは、 檀越の*親施なり。 ただ少し得るところあれば、 すなはち足るを知る。 つぶさには ¬止観¼ の第四のごとし。 いはんやまた、 もし仏弟子にして、 もつぱら正道を修して、 貪求するところなき1168ものは、 自然に資縁を具す。
其ノ出家ノ人ニ亦有リ↢三類↡。若シ上根ノ者ハ草座・鹿皮、一菜・一菓ナリ、如キ↢雪山ノ大士ノ↡是也。若シ中根ノ者ハ常ニ乞食・糞掃衣ナリ。若シ下根ノ者ハ檀越ノ*親施ナリ。但シ少シモ*有リテハ↠所↠得ル即便チ知レ↠足リヌト。具ニハ如シ↢¬止観ノ¼第四ノ↡。況ヤ復若シ仏弟子ニシテ専ラ修シテ↢正道ヲ↡无キ↠所↢貪求スル↡者ハ、自然ニ具ス↢資縁ヲ↡。
^¬大論¼ (大智度論) にいふがごとし。 「たとへば、 比丘の貪求するものは供養を得ず、 貪求するところなきはすなはち乏しく短なきところなきがごとく、 心もまたかくのごとし。 もし分別して相を取れば、 すなはち実法を得ず」 と。
如シ↢¬大論ニ¼云フガ↡。「譬ヘバ如ク↧比丘ノ貪求スル者ハ不↠得↢供養ヲ↡、無キハ↠所↢貪求スル↡則チ无キガ↞所↢乏シク短キ↡、心モ亦如シ↠是クノ。若シ分別取相スレバ則チ不ト↠得↢実法ヲ↡。」
^また ¬大集¼ の 「月蔵分」 のなかに、 欲界の六天・日月星宿・天竜八部、 おのおの仏前にして誓願を発してのたまはく、 「▼もし仏の声聞の弟子にして、 法に住し、 法に順じ、 三業相応して修行するものをば、 われらみなともに護持し養育し、 *所須を供給して、 乏しきところなからしめん。 もしまた世尊の声聞の弟子にして、 *積聚するところなからんをば護持し養育せん」 と。
又¬大集ノ¼「月蔵分ノ」中ニ、欲界ノ六天・日月星宿・天竜八部各於テ↢仏前ニ↡発シテ↢*誓願ヲ↡*云ク、「若シ仏ノ声聞ノ弟子ノ、住シ↠法ニ順ジ↠法ニ、三業相応シテ而修行セム者ハ、我等皆共ニ護持シ養育シ、供↢給シテ所須ヲ↡令メム↠無カラ↠所1238↠乏シキ。若シ復世尊ノ声聞ノ弟子ノ、无カラムヲバ↠所↢積聚スル↡護持シ養育セムト。」
^またのたまはく (大集経)、 「もし世尊の声聞の弟子にして、 積聚に住し、 乃至、 三業と法と相応せざるものをば、 またまさに棄捨すべし、 また養育せじ」 と。
又*言ク、「*若シ世尊ノ声聞ノ弟子ノ、住シ↢於積聚ニ↡、乃至三業ト与↠法不ラム↢相応セ↡者ヲバ、亦当ニシ↢棄捨ス↡、不トイヘリ↢復養育セ↡。」
^問ふ。 凡夫はかならずしも三業相応せず。 もし欠漏あらば、 *依怙なかるべし。
問フ。凡夫ハ不↢必ズシモ三業相応セ↡。若シ有ラバ↢*欠漏↡応シ↠无カル↢依怙↡。
^答ふ。 かくのごとき問難は、 これすなはち*懈怠にして*道心なきものの致すところなり。 もしまことに菩提を求め、 浄土を欣ふものは、 むしろ身命をば捨つとも、 あに禁戒を破らんや。 一世の勤労をもつて、 永劫の妙果を期すべし。 いはん1169やまた、 たとひ戒を破るといへどもその分なきにあらず。
答フ。如キ↠是クノ問難ハ、是*即チ懈怠无道心ノ者之所↠致ス也。若シ誠ニ求メ↢菩*提ヲ↡欣ハム↢浄土ヲ↡者ハ、寧ロ捨ツトモ↢身命ヲバ↡、豈ニ破ラムヤ↢禁戒ヲ↡。応シ↧以テ↢一世ノ勤労ヲ↡期ス↦永劫ノ妙果ヲ↥也。況ヤ復設ヒ雖モ↠破ルト↠戒ヲ非ズ↠无キニ↢其ノ分↡。
^同経に、 仏ののたまふがごとし。 「▼ª
もし衆生ありて、 わがために出家して、 鬚髪を剃除し袈裟を被服せば、 たとひ戒を持たずとも、 かれらはことごとくすでに涅槃の印のために印せられたり。
如シ↢同ジキ¬経ニ¼仏ノ言フガ↡。「若シ有リテ↢衆生↡為ニ↠我ガ出家シテ、剃↢除シ*鬚髪ヲ↡被↢服セラバ袈裟ヲ↡、設ヒ不トモ↠持タ↠戒ヲ、彼等ハ悉ク已ニ為ニ↢涅槃ノ印ノ↡之所レタリ↠印セ也。
^◆もしまた出家して、 戒を持たざるものを、 非法をもつて悩乱をなし、 *罵辱し*毀訾し、 手に刀杖をもつて打ち縛り斫き截りて、 もしは衣鉢を奪ひ、 および種々の*資生の具を奪ふことあるものは、 この人はすなはち三世の諸仏の真実の報身を壊り、 すなはち一切の天・人の眼目を挑るなり。
若シ復出家シテ不ラム↠持タ↠戒ヲ者ヲ、有ラム↧以テ↢非法ヲ↡而シテ作シ↢悩乱ヲ↡、罵辱シ毀訾シ、以テ↢手ニ刀杖ヲ↡打チ縛リ斫キ截リテ、若シハ奪ヒ↢衣鉢ヲ↡、及ビ奪フコト↦種々ノ資生ノ具ヲ↥者ハ、是ノ人ハ則チ壊ル↢三世ノ諸仏ノ真実ノ報身ヲ↡。則チ挑ルナリ↢一切ノ天人ノ眼目ヲ↡。
^◆この人は、 諸仏の所有の正法、 三宝の種を隠没せんと欲するがためのゆゑに、 もろもろの天・人をして、 利益を得ずして地獄に堕せしめんがゆゑに、 三悪道を増長し盈満せしむるがためのゆゑにº と。 云々
是ノ人ハ為ノ↠欲スルガ↣隠↢没セムト諸仏ノ所有ノ正法三宝ノ種ヲ↡故ニ、令メムガ↧諸ノ天人ヲシテ不シテ↠得シメ↢利益ヲ↡堕セ↦地獄ニ↥故ニ、為ノ↢三悪道ヲシテ増長シ盈満スルガ↡故ニト。云々
^▼その時に、 また一切の天・竜、 乃至、 一切の*迦富単那・人・非人等ありて、 みなことごとく合掌して、 かくのごとき言をなさく、 ªわれら、 仏の一切の声聞の弟子において、 乃至、 もしはまた禁戒を持せずとも、 鬚髪を剃除し袈裟の片を着たるものをば、 師長の想をなして護持し養育して、 もろもろの所須を与へて、 乏少なることなからしめん。
「爾ノ時ニ復有リテ↢一切ノ天・竜、乃至一切ノ迦富単那・人・非人等↡、皆悉ク合掌シテ、作サク↢如キ↠是クノ言ヲ↡、我等於テ↢仏ノ一切ノ声聞ノ弟子ニ↡、乃至若シハ復不トモ↠持セ↢禁戒ヲ↡、剃↢除シ*鬢髪ヲ↡著タル↢袈裟ノ片ヲ↡者ヲバ、作シテ↢師長ノ想ヲ↡護持シ養育シテ、与ヘテ↢諸ノ所須ヲ↡令メム↠无カラ↢乏少ナルコト↡。
^◆もし余の天・竜、 乃至、 迦富単那等の、 その悩乱をなし、 乃至、 悪心にして眼を1170もつてこれを視ば、 われらことごとくともに、 かの天・竜・*富単那等の、 所有のもろもろの相をして欠減し醜陋ならしむ。 かれをして、 またわれらとともに住しともに食することを得ざらしむ。 また同処にして戯笑することを得じ。 かくのごとくにして*擯罰せんº」 と。 以上取意
若シ余ノ天・竜、乃至迦富単那等ノ、作シ↢其1239ノ悩乱ヲ↡、乃至悪心ニシテ以テ↠眼ヲ視バ↠之ヲ、我等悉ク共ニ、令ム↢彼ノ天・竜・富単那等ヲシテ所有ノ諸ノ相ヲシテ*欠減シ醜陋ナラ↡。令ム↫彼ヲシテ不ラ↪復得↩与↢我等↡共ニ住シ共ニ食スルコトヲ↨。亦復不↠得↢同処ニシテ戯笑スルコトヲ↡。如クニシテ↠是クノ*擯罰セムト。 已上取意
^またのたまはく (大集経)、 「その時に、 世尊、 上首弥勒および賢劫のうちの一切の菩薩*摩訶薩に告げてのたまはく、 ªもろもろの善男子、 われ、 昔、 菩薩の道を行ぜし時に、 かつて過去の諸仏如来においてこの供養をなし、 この善根をもつてわがために三菩提の因となせり。
又云ク、「爾ノ時ニ世尊告ゲテ↢上首弥勒及ビ賢劫ノ中ノ一切ノ菩薩摩訶薩ニ↡言ク、諸ノ善男子、我昔行ゼシ↢菩薩ノ道ヲ↡時ニ、曽於テ↢過去ノ諸仏如来ニ↡作シキ↢是ノ供養ヲ↡。以テ↢此ノ善根ヲ↡与ニ↠我ガ*作レリ↢三菩提ノ因ト↡。
^われ、 いまもろもろの衆生を憐愍するがゆゑに、 この果報をもつて分ちて三分となし、 一分は留めてみづから受け、 第二の分をば、 わが滅後において、 禅解脱三昧と堅固に相応する声聞に与へて、 乏しきところなからしめ、 第三の分をば、 かの破戒にして、 経典を読誦し、 声聞に相応して、 正法・像法に、 頭を剃り袈裟を着たるものに与へて、 乏しきところなからしめん。
我今憐↢愍スルガ諸ノ衆生ヲ↡故ニ、*以テ↢此ノ*果報ヲ↡分チテ作ス↢三分ト↡。留メテ↢一分ハ↡自ラ受ケム。第二ノ分ヲバ者於テ↢我ガ滅後ニ↡与ヘテ↢*禅解脱三昧ト堅固ニ相応セラム声聞ニ↡、令ム↠无カラ↠所↠乏シキ。第三ノ分ヲバ者、与ヘテ↧彼ノ破戒ニシテ読↢誦シ経典ヲ↡、相↢応シテ声聞ノ正法・像法ニ↡、剃リ↠頭ヲ著タル↢袈裟ヲ↡者ニ↥、令メム↠无カラ↠所↠乏シキ。
^弥勒、 われ、 いままた三業相応のもろもろの声聞衆、 比丘・比丘尼、 優婆塞・優婆夷をもつて、 なんぢが手に寄付す。 乏しく少なく孤独にして終らしむることなかれ。 および、 正法・像法に、 禁戒を毀破して、 袈裟を着たるものをも、 なんぢが手に寄付す。 か1171れらをして、 もろもろの資具において、 乏少にして終らしむることなかれ。 また旃陀羅王ありて、 ともにあひ悩害し、 身心に苦を受けしむることなかれ。 われ、 いままたかのもろもろの施主をもつて、 なんぢが手に寄付すº」 と。 以上
弥勒、我今復以テ↢三業相応ノ諸ノ声聞衆、比丘・比*丘尼、優婆塞・優婆夷ヲ↡、寄セ↢付ク汝ガ手ニ↡。勿レ↠令ムルコト↢乏シク少ナク*孤独ニシテ而終ラ↡。及以正法・像法ニ毀↢破シテ禁戒ヲ↡著タル↢袈裟ヲ↡者ヲモ、寄セ↢付ク汝ガ手ニ↡。勿レ↠令ムルコト↧彼等ヲシテ於テ↢諸ノ資具ニ↡乏少ニシテ而終ラ↥。亦勿レ↠令ムルコト↧有リテ↢*旃陀羅王↡共ニ相悩害シ、身心ニ受ケ↞苦ヲ。我今復以テ↢彼ノ*諸ノ施主ヲ↡寄↢付スト汝ガ手ニ↡。」 已上
^破戒すらなほしかり。 いかにいはんや、 持戒をや。 声聞すらなほしかなり。 いかにいはんや、 大心を発してまことに念仏せんをや。
破戒スラ尚爾リ。何ニ況ヤ持戒ヲヤ。声聞ナラム尚爾ナリ。*何ニ況ヤ発シテ↢大心ヲ↡*誠ニ念仏セムヲ乎。
^問ふ。 もし破戒の人もまた天・竜のために*護念せられなば、 いかんぞ ↓¬*梵網経¼ (意) に、 「五千の鬼神、 破戒の比丘の跡を払ふ」 とのたまひ、 ¬涅槃経¼ (意) に、 「国王・群臣および持戒の比丘は、 まさに破戒のものを*苦治し駆遣し呵嘖すべし」 とのたまふや。
問フ。若シ破戒ノ人モ亦為ニ↢天・竜ノ↡所ルレバ↢護念セ↡者、云何ゾ¬梵網経ニ¼云ヘル↣「五千ノ鬼神払フト↢破戒ノ比丘ノ跡ヲ↡。」¬涅槃経ニ¼云フ↰「国王1240・群臣及ビ持戒ノ比丘ハ、応ニ当シト↯苦↢治シ駆↣遣シ呵↤嘖ス破戒ノ者ヲ↡」耶。
^答ふ。 もし理のごとく苦治せば、 すなはち仏教に順ず。 もし非理にして悩乱せば還りて*聖旨に違す。 ゆゑに相違せず。
答フ。*若シ如クシテ↠理ノ苦治セバ即チ順ズ↢仏教ニ↡。若シ非理ニシテ悩乱セバ還リテ違ス↢聖旨ニ↡。故ニ不↢相違セ↡。
^↓「月蔵分」 (大集経) に、 仏ののたまへるがごとし。 「国王・群臣は、 出家のものの、 大罪業たる大殺生・大偸盗・大非梵行・大妄語および余の不善をなすを見ては、 かくのごとき等の類をば、 ただまさに法のごとく、 国土・城邑・村落を擯出して、 寺にあることを聴さざれ。 また僧の事業を同ずることを得しめじ。 利養の分、 ことごとくともに同ぜしめざるべし。
如シ↢「月蔵分ニ」仏ノ言ヘルガ↡。「国王・群*臣ハ見テハ↢出家ノ者ヲ↡、作リ↢大罪業ヲ↡、大殺生シ、大偸盗シ、大非梵行シ、大妄語シ、及ビ余ノ不善セム。如キ↠是クノ等ノ類ヲバ、但当ニシ↧如ク↠法ノ*擯↢出シテ国土・城邑・村落ヲ↡、不レ↠聴サ↠在ルコトヲ↠寺ニ、亦復不↠得シメ↠同ズルコトヲ↢僧ノ事業ヲ↡、利養之分悉ク不ル↦共ニ同ゼシメ↥。
^鞭打することを得じ。 もし鞭打せば、 理1172、 応ぜざるところなり。 また口に罵辱すべからず。 一切、 その身に罪を加ふべからず。 もしことさらに法に違して、 罪を讁めば、 この人はすなはち解脱において退落し、 必定して阿鼻地獄に帰趣せん。 いかにいはんや、 仏のために出家して、 つぶさに戒を持つものを鞭打せんをや」 と。 略抄
不↠得↢鞭打スルコトヲ↡。若シ鞭打セバ者、理所ナリ↠不ル↠応ゼ。又*亦不↠応カラ↢口ニ罵辱ス↡。一切不↠応カラ↠加フ↢其ノ身ノ罪ヲ↡。若シ故ラニ違シテ↠法ニ而讁メバ↠罪ヲ者、是ノ人ハ便チ於テ↢解脱ニ↡退落シ、必定シテ帰↢趣セム阿鼻地獄ニ↡。何ニ況ヤ鞭↢打セムヲヤト為ニ↠仏ノ出家シテ具ニ持ツ↠戒ヲ者ヲ↡。」略抄
^問ふ。 人間の*擯治は、 差別しかるべし。 非人の行は、 なほいまだ決了せず。 ↑¬梵網経¼ には一向に跡を払ふ、 ↑¬*月蔵経¼ には一向に供給す。 なんぞたちまちに乖角せる。
問フ。人間ノ*擯治ハ差別可シ↠然ル。非人之行ハ猶未ダ↢決了セ↡。¬梵網経ニハ¼一向ニ払フ↠跡ヲ。¬月蔵経ニハ¼一向ニ供給ス。那ゾ忽ニ*乖角セル。
^答ふ。 罪福の旨を知らんがために、 かならずすべからく人の行を決すべし。 かならずしも非人の所行を決すべからず。 もしは制、 もしは開、 おのおの巨益をなす。 あるいはまた、 人の意楽の不同なるがごとく、 非人の願楽もまた不同なるのみ。 学者、 決すべし。
答フ。為ニ↠知ラムガ↢罪福ノ旨ヲ↡、要ズ須クシ↠決ス↢人ノ行ヲ↡。不↠可カラ↣必ズシモ決ス↢非人ノ所行ヲ↡。若シハ制若シハ開、各生ス↢巨益ヲ↡。或イハ復如ク↢人ノ意楽ノ不同ナルガ↡、非人ノ願楽モ亦不同ナル耳。学者応シ↠決ス。
^問ふ。 *論のちなみに論をなさん、 かの犯戒の出家の人において供養し悩乱せば、 いくばくの罪福を得るや。
問フ。因ニ↠論ノ生サム↠論ヲ、於テ↢彼ノ犯戒ノ出家之人ニ↡供養シ悩乱スルハ、得ルヤ↢幾クノ罪福ヲカ↡。
^答ふ。 ¬*十輪経¼ の偈にのたまはく、
答フ。¬十輪経ノ¼偈ニ云ク、
^「恒河沙の仏の、 *解脱幢相衣を被たり、
これにおいて悪心を起さば、 さだめて無間獄に堕ちなん」 と。
袈裟を名づけて 「解脱幢衣」 となす。
| 「被タル↢恒河沙ノ仏ノ | 解脱幢相衣ヲ↡ |
| 於テ↠此ニ起スハ↢悪心ヲ↡ | 定メテ堕ツト↢無間獄ニ↡」 |
| 袈裟ヲ名ケテ為ス↢解脱幢衣ト↡ |
^「月1173蔵分」 (大集経) にのたまはく、 「もしかれを悩乱せば、 その罪万億の仏身より血を出す罪よりも多し。 もしこれを供養せば、 なほ無量阿僧祇の大福徳聚を得ん」 と。 取意
「月蔵分ニ」云ク、「若シ悩↢乱スルハ彼ヲ↡、其ノ罪多シ↧於出ス↢万億ノ仏身ヨリ血ヲ↡*之罪ヨリモ↥。若シ供↢養スルハ之ヲ↡、猶得1241ムト↢无量阿僧祇ノ大福徳聚ヲ↡。」取意
^問ふ。 もししからば、 一向にこれを供養すべし。 なんぞこれを治して大きなる罪報を招くべけんや。
問フ。若シ爾ラバ一向ニ応シ↣供↢養ス之ヲ↡。何ゾ可ケム↣治シテ↠之ヲ招ク↢大ナル罪報ヲ↡耶。
^答ふ。 もしその力ありてこれを苦治せずは、 かれまた罪過を得。 これ仏法の大きなる怨なり。
答フ。*若シ有リテ↢其ノ力↡不ルハ↢苦ニ治セ↟之ヲ、彼亦得↢罪過ヲ↡。是仏法ノ大ナル怨ナリ。
^ゆゑに ¬涅槃経¼ の第三にのたまはく、 「持法の比丘は、 戒を破り正法を壊することあるものを見ば、 すなはち駆遣し、 呵嘖し*挙処すべし。 もし善比丘、 壊法のものを見て、 置きて、 呵嘖し駆遣し挙処せずは、 まさに知るべし、 この人は仏法のなかの怨なり。 もしよく駆遣し、 呵嘖し挙処せば、 これわが弟子なり、 真の声聞なり。 乃至
故ニ¬涅槃経ノ¼第三ニ云ク、「持法ノ比丘ハ見バ↧有ラム↣破リ↠戒ヲ壊スルコト↢正法ヲ↡者ヲ↥、即チ応シ↢駆遣シ呵*嘖シ挙処ス↡。若シ善比丘見テ↢壊法ノ者ヲ↡、置キテ不ハ↢呵嘖シ駆遣シ挙処セ↡*者、当ニシ↠知ル、是ノ人ハ仏法ノ中ノ怨ナリ。若シ能ク駆遣シ呵嘖シ挙処スルハ、是我ガ弟子ナリ。真ノ声聞也。乃至
^もろもろの国王および*四部の衆は、 まさにもろもろの*学人等を勧励して、 増上の戒・定・智慧を得しむべし。 もしこの三品の法を学せずして、 懈怠破戒にして正法を毀るものあらば、 王者・大臣、 四部の衆、 まさに苦治すべし」 と。
諸ノ国王及ビ四部ノ衆ハ、応ニ当シ↧勧↢励シテ諸ノ学人等ヲ↡、令ム↞得↢増上ノ戒・定・智*恵ヲ↡。若シ有ラバ↧不シテ↠学セ↢是ノ三品ノ法ヲ↡、懈怠シ破戒ニシテ毀ル↢正法ヲ↡者↥、王者・大臣、四部之衆、応ニ↢当シト苦治ス↡。」
^またのたまはく (涅槃経)、 「もし比丘ありて、 禁戒を持すといへども、 利養のためのゆゑに、 破戒のものと坐し起し行じ来し、 ともにあひ親附して、 その事業を同じくせば、 これを破戒1174と名づく。 乃至
又云ク、「若シ有リテ↢比丘↡雖モ↠持スト↢禁戒ヲ↡、為ノ↢利養ノ↡故ニ与↢破戒ノ者↡坐シ起シ行ジ来シ、共ニ相親附シテ同ズル↢其ノ*事業ヲ↡、是ヲ名ク↢破戒ト↡。乃至
^もし比丘ありて、 阿蘭若処にありて、 諸根利ならず、 *闇鈍瞢にして少欲にして乞食し、 *説戒の日および*自恣の時に、 もろもろの弟子を教へて清浄に懴悔せしめ、 弟子にあらざるもの、 多く禁戒を犯せるを見ては、 教へて清浄に懴悔せしむることあたはずして、 すなはちともに説戒し自恣する、 これを愚痴僧と名づく」 と。 以上略抄
若シ有リテ↢比丘↡在リテ↢阿蘭若処ニ↡、諸根不↠利ナラ闇鈍瞢ニシテ少欲ニシテ乞食シ、於テ↢説戒ノ日及ビ自恣ノ時ニ↡、教ヘテ↢諸ノ弟子ヲ↡清浄ニ懴悔セシメ、見テハ↧非ズシテ↢弟子ニ↡多ク犯セルヲ↦禁戒ヲ↥、不シテ↠能ハ↣教ヘテ令ムルコト↢清浄ニ懴悔セ↡而便チ与共ニ説戒シ自恣スル、是ヲ名クト↢愚痴僧ト↡。」 已上略抄
^あきらかに知りぬ、 もしは過ぎ、 もしは及ばざるは、 みなこれ仏勅に違しぬ。 そのあひだの消息すべて意を得るにあり。
明カニ知リヌ、若シハ過ギ若シハ不ルハ↠及バ、皆是違シヌ↢仏勅ニ↡。其ノ間ノ消息都テ在リ↠得ルニ↠意ヲ*之。
二 Ⅹ ⅹ 助道人法
【80】^第十に△*助道の人法といふは、 略して三あり。
第十ニ助道ノ人法トイフ者、略シテ有リ↠三。
^一には、 すべからく*明師の、 *内外の律に善くして、 よく*妨障を開除するに、 恭敬し承習すべし。 ゆゑに ¬大論¼ (大智度論) にいはく、 「雨の堕つるに、 山の頂に住まらずしてかならず下れる処に帰するがごとし。 もし人、 憍心をもつてみずから高くすれば、 すなはち法水入らず。 もし善師を恭敬すれば、 功徳これに帰す」 と。
一ニハ須クシ↧明師ノ善クシテ↢内外ノ律ニ↡、能ク開↢除スルニ妨障ヲ↡恭敬シ承習ス↥。故ニ¬大論ニ¼云ク、「*如シ↧雨ノ堕ツルニ不シテ↠住ラ↢山ノ頂ニ↡必ズ帰スルガ↦下レル処ニ↥。若シ人憍心自高1242スルハ、則チ法水不↠入ラ。若シ恭↢敬スルハ善師ニ↡、功徳帰ストイヘリ↠之ニ。」
^二には、 同行の、 ともに嶮を渉るがごときを須ゐる。 すなはち臨終に至るまで、 たがひにあひ勧励せよ。 ゆゑに ¬法華¼ にのたまはく、 「善知識はこれ大の因縁なり」 と。 ^また 「阿難のいはく、 ª善知識はこれ半の因縁なりº と。 仏ののたまはく、 ªしか1175らず、 これ全の因縁なりº」 (*付法蔵因縁伝・意) と。
二ニハ須ヰル↣同行ノ如キヲ↢共ニ渉ルガ↟*嶮ヲ、乃至臨終ニ互ニ相勧励セヨ。故ニ¬法花ニ¼云ク、「善知識者是大ノ因縁ナリト。」又「阿難ノ*言ク、善知識者是半ノ因縁ナリト。仏ノ言ク、不↠爾ラ、是全ノ因縁也ト。」
^三には、 念仏相応の教文において、 つねに受持し披読し習学すべし。 ゆゑに ¬般舟経¼ の偈にのたまはく、
三ニハ於テ↢念仏相応ノ教文ニ↡常ニ応シ↢受持シ披読シ習学ス↡。故ニ¬「般舟経ノ¼偈ニ*云ク、
^「この三昧経は真の仏語なり。 たとひ↓遠方にこの経ありと聞かば、
道法を用ゐるがゆゑに往きて聴受し、 一心に諷誦して忘捨せざれ。
| 「此ノ三昧経ハ真ノ仏語ナリ | 設ヒ聞カバ↣遠方ニ有リト↢是ノ経↡ |
| 用ヰルガ↢道法ヲ↡故ニ往キテ聴受シ | 一心ニ諷誦シテ不レ↢忘捨セ↡ |
^たとひ往きて求むるに聞くことを得ずとも、 その功徳の福は尽すべからず。
よくその徳義を称量することなからん。 いかにいはんや聞きをはりてすなはち受持せんをや」 と。
| 仮使*往キテ求ムルニ不トモ↠得↠聞クコトヲ | 其ノ功徳ノ福ハ不↠可カラ↠尽ス |
| 无ケム↣能ク称↢量スルコト其ノ徳義ヲ↡ | 何ニ況ヤ聞キ已リテ即チ受持セムヲヤト」 |
四十里・百里・千里をもつて 「↑遠方」 となす。
*以テ↢四十里・*四百里・*四千里ヲ↡為ス↢遠方ト↡也
^問ふ。 なんらの教文か、 念仏に相応する。
問フ。何等ノ教文カ、念仏ニ相応スル*耶。
^答ふ。 前に引くところの、 △西方の証拠のごときは、 みなこれその文なり。
答フ。如シ↢前ニ所ノ↠引ク西方ノ証拠ノ↡。皆是其ノ文ナリ。
^しかも、 まさしく西方の観行ならびに九品の行果を明かすことは、 ¬*観無量寿経¼ 一巻、 *畺良耶舎の訳。 にはしかず。
然モ正シク明スコトハ↢西方ノ観行并ニ九品ノ行果ヲ↡、不↠如カ↢¬観无量寿経ニハ¼↡。一巻、*畺良耶舎ノ訳
^弥陀の本願ならびに極楽の細相を説くことは、 ¬双巻*無量寿経¼ 二巻、 *康僧鎧の訳。 にはしかず。
説クコトハ↢弥陀ノ本願并ニ極楽ノ細相ヲ↡、不↠如カ↢¬双巻无量寿経ニハ¼↡。二巻、康ノ僧鎧ノ訳
^諸仏の相好ならびに観相の滅罪を明かすことは、 ¬*観仏三昧経¼ 十巻あるいは八巻、 *覚賢の訳。 にはしかず。
明スコトハ↢諸仏ノ相好并ニ観相ノ滅罪ヲ↡、不↠如カ↢¬観仏三昧経ニハ¼↡。十巻或イハ八巻、覚賢ノ訳
^色身・法身の相ならびに三昧の勝利を明かすことは、 ¬*般舟三昧経¼ 三巻あるいは二巻、 *支婁迦の訳。 ¬*念仏三1176昧経¼ 六巻あるいは五巻、 *功徳直、 玄暢とともに訳す。 にはしかず。
明スコトハ↢色身・法身ノ相并ニ三昧ノ勝利ヲ↡、不↠如カ↢¬般舟三昧経¼ 三巻或イハ二巻、支婁迦ノ訳 ¬念仏三昧経ニハ¼↡。六巻或イハ五巻、功徳*直共ニ↢玄暢ト↡訳ス
^修行の方法を明かすことは、 上の三の経ならびに ¬*十往生経¼ 一巻 ¬*十住毘婆沙論¼ 十四巻あるいは十二巻、 *龍樹の造、 *羅什の訳。 にはしかず。
明スコトハ↢修行ノ方法ヲ↡、不↠如カ↢上ノ三経并ニ¬十往生経¼ 一巻 ¬十住毘婆*娑論ニハ¼↡。十四巻或イハ十二巻、龍樹ノ造リ、羅什ノ訳
^結偈総説は、 ¬*無量寿経優婆提舎願生の偈¼ あるいは ¬浄土論¼ と名づく。 あるいは ¬往生論¼ と名づく。 *世親の造、 *菩提留支の訳、 一巻。 にはしかず。
*結偈総説ハ、不↠如カ↢¬无量寿経優婆提舎願生ノ偈ニハ¼↡。或イハ名ク↢¬浄土論ト¼↡。或イハ名ク↢¬往生論ト¼↡。世親ノ*造リ、菩*提留支ノ訳、一巻
^日々の読誦は、 ¬*小阿弥陀経¼ 一巻五紙、 羅什の訳。 にはしかず。
日々ノ読誦ハ、不↠如カ↢¬小阿弥陀経ニハ¼↡。一巻*五紙、羅什ノ訳
^修行の方法は、 多く ¬*摩訶止観¼ 十巻 および*善導和尚の ¬*観念法門¼ ならびに ¬*六時の礼讃¼ おのおの一巻。 にあり。
修行ノ方法ハ、多ク在リ↢¬摩訶*止1243観¼ 十巻 及ビ善導和尚ノ¬観念法門¼并ニ¬六時ノ礼讃ニ¼↡。各一巻
^問答料簡は、 多く天台 (*智顗) の ¬*十疑¼ 一巻 *道綽和尚の ¬*安楽集¼ 二巻 *慈恩 (窺基) の ¬*西方要決¼ 一巻 *懐感和尚の ¬*群疑論¼ 七巻 にあり。
問答料簡ハ、多ク在リ↢天臺ノ¬十疑¼ 一巻 *道綽和尚ノ¬安楽集¼ *三巻 慈恩ノ¬西方要決¼ 一巻 懐感和尚ノ¬*群疑論ニ¼↡。七巻
^往生の人を記することは、 多く*迦才師の ¬*浄土論¼ 三巻 ならびに ¬*瑞応伝¼ 一巻 にあり。
記スルコトハ↢往生ノ人ヲ↡、多ク在リ↢迦才師ノ¬浄土論¼ 三巻 并ニ¬瑞応伝ニ¼↡。一巻
^その余は多しといへども、 要はこれに過ぎず。
其ノ余ハ雖モ↠多シト、要ズ不↠過ギ↠此ニ。
^問ふ。 行人みづからかのもろもろの文を学すべし。 なんがゆゑぞ、 いま労しくこの文 (往生要集) を著すや。
問フ。行人自ラ応シ↠学ス↢彼ノ諸ノ文ヲ↡。何ガ故ゾ今労シク著ス↢此ノ文ヲ↡耶。
^答ふ。 あに前にいはずや。 予がごときものは、 広文を披きがたし。 ゆゑにいささかにその要を抄すと。
答フ。豈ニ不ヤ↢前ニ言ハ↡、如キ↠豫ガ之者ハ難シト↠披キ↢広文ヲ↡。故ニ聊ニ抄スト↢其ノ要ヲ↡*耶。
^問ふ。 ¬大集経¼ (意) にのたまはく、 「あるいは経法を抄写するに、 文字を洗1177脱し、 あるいは他の法を損壊し、 あるいは他の経を闇蔵す。 この業縁によりて、 いま*盲の報を得たり」 と。 云々 しかるをいま経論を抄するに、 あるいは多くの文を略し、 あるいは前後を乱る。 これ*生盲の因なるべし。 なんぞ自害することをなさんや。
問フ。¬大集経ニ¼云ク、「或イハ抄↢写スルニ経法ヲ↡、洗シ↢脱シ文字ヲ↡、或イハ損↢壊シ他ノ法ヲ↡、或イハ闇マシ↢蔵ス他ノ経ヲ↡、由リテ↢此ノ業縁ニ↡今得タリト↢盲ノ報ヲ↡。」云々 而ルヲ今抄スルニ↢経論ヲ↡、或イハ略シ↢多クノ文ヲ↡、或イハ乱ル↢前後ヲ↡。応シ↢是生盲ノ因ナル↡。何ゾ為サム↢自害スルコトヲ↡耶。
^答ふ。 天竺 (印度)・震旦 (中国) の論師・人師、 経論の文を引くに、 多く略して意を取る。 ゆゑに知りぬ、 経の旨を錯乱するはこれ盲の因たるも、 文字を省略するはこれ盲の因にあらず。
答フ。天竺・震*丹ノ論師・人師、引クニ↢経論ノ文ヲ↡、多ク略シテ取ル↠意ヲ。故ニ知リヌ、錯↢乱スルハ経ノ*旨ヲ↡、是為ル↢盲ノ因ト↡。*省↢略スルハ文字ヲ↡非ズ↢是盲ノ*因ニ↡。
^いはんや、 いま抄するところは、 多くは正文を引き、 あるいはこれ諸師の所出の文なり。 *繁文を出すことあたはざるものに至りては、 注して、 あるいは 「乃至」 といひ、 あるいは 「略抄」 といひ、 あるいは 「取意」 といへり。 これすなはち学者をして本文を勘へやすからしめんと欲してなり。
況ヤ今所ハ↠抄スル多クハ引ク↢正文ヲ↡、或イハ是諸師ノ所出*之文也。*至リテハ↧不ル↠能ハ↠出スコト↢繁文ヲ↡者ニ、注シテ或イハ云ヒ↢乃至ト↡、或イハ云ヒ↢略抄ト↡、或イハ云ヘリ↢取*意ト↡。是即チ欲フ↠令メムト↢学者ヲシテ易カラ↟勘ヘ↢本文ヲ↡也。
^問ふ。 引くところの正文はまことに信を生ずべし。 ただしばしばわたくしの詞を加す。 いかんぞ人の謗りを招かざらんや。
問フ。所ノ↠引ク正文ハ誠ニ可シ↠生ズ↠信ヲ。但シ屡加ス↢私ノ詞ヲ↡。盍ゾラム↠招カ↢*人ノ謗ヲ↡耶。
^答ふ。 正文にあらずといへども、 理をば失せず。 もしなほ謬ることあらば、 いやしくもこれを執せず。 見るもの、 取捨して正理に順ぜしめよ。 もしひとへに謗りをなさば、 またあへて辞せず。
答フ。雖モ↠非ズト↢正文ニ↡而不↠失セ↠理ヲバ。若シ猶有ラバ↠謬ルコト、苟モ不↠執セ↠之ヲ。見ム者取捨シテ令メヨ↠順ゼ↢正理ニ↡。若シ偏ニ生サバ↠謗ヲ、亦不↢敢テ辞セ↡。
^¬華厳経¼ の偈にのたまふがごとし。
如シ↢¬花厳経ノ¼偈ニ云フガ↡。
^1178「▼*もし菩薩の、 種々の行を修行するを見て、
善・不善の心を起すことあるを、 菩薩みな摂取す」 と。 以上
| 「若シ有ルヲ↧見テ↣菩薩ノ | 修↢行スルヲ種々ノ行ヲ↡ |
| 起スコト↦善不善ノ心ヲ↥ | 菩薩皆摂取スト」 *已上 |
^まさに知るべし、 謗りをなすもまたこれ結縁なり。 われもし道を得ば、 願はくはかれを引摂せん。 かれもし道を得ば、 願はくはわれを引摂せよ。 すなはち菩提に至るまで、 たがひに師弟とならん。
当ニシ↠知ル、生スモ↠謗ヲ亦是結1244縁ナリ。我若シ得テ↠道ヲ、願クハ引↢摂ム彼ヲ↡。彼若シ得バ↠道ヲ、願クハ引↢摂セヨ我ヲ↡。乃至菩提マデニ互ニ為ラム↢師弟ト↡。
^問ふ。 *論のちなみに論をなさん、 多日、 筆を染めて身心を劬労す。 その功なきにあらじ。 なんの事をか期するや。
問フ。因ニ↠論ノ生サム↠論ヲ、多日染メテ↠筆ヲ劬↢労ス身心ヲ↡。其ノ功非ジ↠无キニ。期スル↢何ノ事ヲカ↡耶。
^答ふ。
答フ。
^*このもろもろの功徳によりて、 願はくは命終の時に、
弥陀仏の無辺の功徳の身を見たてまつることを得ん。
| 依リテ↢此ノ諸ノ功徳ニ↡ | 願クハ於テ↢命終ノ時ニ↡ |
| 得ム↠見タテマツルコトヲ↢弥陀仏ノ | 无辺ノ功徳ノ身ヲ↡ |
^われおよび余の信者、 すでにかの仏を見たてまつりをはらば、
願はくは*離垢の眼を得て、 無上菩提を証せん。▼
| 我及ビ余ノ信者 | 既ニ見タテマツルコト↢彼ノ仏ヲ↡已レバ |
| 願クハ得テ↢離垢ノ眼ヲ↡ | 証セム↢无上菩提ヲ↡ |
往生要集 巻下
三 跋
【117981】^*永観二年甲申冬十一月、 天台山*延暦寺首楞厳院にして、 この文を撰集す。 明くる年の夏四月に、 その功を畢ふ。 一の僧ありて夢みらく、 *毘沙門天、 両の*丱童を将て、 来り告げていはく、 「源信が撰せるところの ¬往生集¼ は、 みなこれ経論の文なり。 一見・一聞の倫は、 無上菩提を証すべし。 すべからくして一偈を加へて、 広く流布せしむべし」 と。 他日に夢を語る。 ゆゑに偈を作りていはく、
永1245観二年甲申冬十一月、於テ↢天臺山延暦寺首楞厳院ニ↡撰↢集ス斯ノ文ヲ↡。明クル年ノ夏四月ニ畢フ↢于其ノ功ヲ↡矣。有リテ↢一ノ僧ノ夢ニ↡。毘沙門天将テ↢両ノ丱童ヲ↡、来リ告ゲテ云ク、源信ガ所ノ↠撰セル往生集ハ、皆是経・論ノ文也。一見・一聞之倫ハ可シ↠証ス↢无上菩提ヲ↡。須クシテシト ↧加ヘテ↢一偈ヲ↡、広ク令ム↦流布セ↥。他日ニ語ル↠夢ヲ。故ニ*作シテ↠偈ヲ*曰ク、
^▼すでに聖教および正理によりて、 衆生を勧進して極楽に生ぜしむ。
乃至展転して一たびも聞くもの、 願はくはともにすみやかに無上覚を証せん。
| 已ニ依リテ↢聖教及ビ正理ニ↡ | 勧↢進シテ衆生ヲ↡生ゼシム↢極楽ニ↡ |
| 乃至展転シテ一タビモ聞カム者 | 願クハ共ニ速ニ証セムト↢无上覚ヲ↡ |
**延久二年四月十日、 平等院南泉房に多本を取り集め読みあひ給ひけるに、 そのなかの善本をもって日野点しおはる。 その衆は皇后宮大夫殿をその張発となし、 樺尾阿闍梨をもって講師となす。 云々
*承安元年十二月十一日書写しをはりぬ
沙門弘恵の本なり
延久二年四月十日、平等院南泉房多本取集読相給ヒケルニ、其中以善本日野点畢。其衆皇后宮大夫殿其為張発、樺尾阿闍梨以為講師。云々
承安元年十二月十一日書写畢
沙門弘恵本也
1246
ª遣1247宋消息º
仏子源信暫離本山頭陀于西海道諸州名巌霊窟遠客著岸之日不図会面是宿因也然猶方語未通帰朝各促更封手札述以心懐側聞法公之本朝三宝興隆甚随喜矣我国東流之教仏日再中当今剋念極楽界帰依法華経者熾盛焉仏子是念極楽其一也以本習深故著往生要集三巻備于観念夫一天之下一法之中皆四部衆何親何疎故以此文敢附帰帆抑在本朝猶慚其拙況於他郷乎然而本発一願縦有誹謗者縦有讃歎者併結共我往生極楽之縁焉又先師故慈恩大僧正 諱良源 作観音讃著作郎慶保胤作十六相続及日本往生伝前進士為憲法法華経賦同亦贈欲令知異域之有此志嗟乎一生苒々両岸蒼々後会如何泣血而已不宜以状
正月十五日天臺楞厳院 某 申状
大宋国 某 賓旅下
返報
大宋国臺州弟子周文徳謹啓仲春漸暖和風霞散伏惟法位無動尊体有泰不審不審悚恐悚1248恐唯文徳入朝之初先向方礼拝禅室旧冬之内喜便信啓上委曲則大府貫首豊嶋才人附書状一対奉上先畢計也経披覧歟鬱望之情朝夕不休馳慣之際遇便脚重啓達唯大師撰択往生要集三巻捧持詣天臺国清寺附入既畢則其専当僧請領状餘也爰緇素喜貴賎帰依結縁男女弟子伍佰余人各発虔心投捨財施入於国請寺忽飾造五十間廊屋彩画柱壁荘厳内外供養礼拝膽仰慶讃仏日重光法灯盛朗興隆仏法之洪基往生極楽之因縁只在於斯方今文徳忝遇衰弊之時免取衣食之難仰帝皇之恩沢未隔詔勅并日之食甑重欲積塵何避飢饉之哉伏乞大師垂照鑑弟子不勝憤念之至敬表礼代状不宣謹言
二月十一日大宋国弟子周文徳申状
謹上 天臺楞厳院源信大師禅室 法座前
微塵数 無数の意。 微塵は仏教でいう物質の最小単位。
行 ここでは歩く姿の意。
通身の色 光背 (後光) のこと。 仏の全身から放たれる光明を形象化したもの。
仏跡 仏足跡のこと。
須達が家の老女の因縁 須達長者に仕える老女毘佉羅はものおしみの心が強く、 長者が布施をするのを好まなかったが、 釈尊と羅睺羅の教化によって、 聖者のさとりを得たという。
減一劫 一劫に満たない期間。 一劫未満。
天中の天 仏の称。 諸天のうちの最勝の者の意。
甖 かめ。
阿弥陀の…見たてまつるべし 現存する ¬般舟三昧経¼ にはこの部分に相当する文はない。
妙法輪を転ずる こよなくすぐれた教えを説く。 仏の説かれた教えは、 衆生の煩悩をうちくだき、 次々とひろまってゆくので、 これを車輪に喩えていう。
勝善趣 六道のうちの人・天。
勝意楽 すぐれた意向、 望み。
四の門 滅罪生善・冥得護持・現身見仏・当来勝利の四。
文明元年 684年。
京師 都。
この一の偈 前引の ¬華厳経¼ 如来林菩薩の偈。 破地獄の文とされる。
放勉しつ 底本 (青蓮院本) には 「故放勉」 (なお放勉れぬ) とある。
睡寤行住 眠る、 さめる、 歩く、 とどまること。
唐土の諸師 善導大師・懐感禅師など。
等正覚 底本 (青蓮院本) には 「等覚」 とある。
掌を合せ手を叉へ 両掌を胸のあたりで組み合わせて。
四仏世尊 阿閦・法相・無量寿・微妙声の四仏。
無量 異本には 「四無量」 とある。
普光三昧 あまねく光明を放って、 すべてのものを照らし出す禅定の境地。
不退の無上菩提 仏のさとりを得ることが決定していて、 迷いの世界に退転することがないという位。
化の頭 神通力で表し出した幻の頭。
優婆塞戒経にのたまはく… 引用に該当する文は現存の ¬
優婆塞戒経¼ にはない。
健 異本には 「」 「搥」 とある。
梵音 ここでは 「南無仏」 と称える声のこと。
主事 閻羅王のこと。
遣追還送 送り返すこと。
東晋 南北朝時代の南朝の一 (317-420)。
唐朝 618-907年。
問ふ… ¬観経¼ の下下品の人と ¬観仏三昧経¼ の五百の釈子とは、 臨終に同じく念仏したのに、 前者は浄土に往生し、 後者は生天ののち堕獄したことを問うたもの。
得大無畏者 大無畏 (安穏でいかなるおそれもないこと) を得た者。
憐愍一切衆生者 すべての衆生をあわれみいつくしむ者。
朝露の虫 朝露のように命の短い虫。
余趣 他の悪趣。
余趣 他の悪趣。
前の国王の因縁 296頁 (1090頁) 以下の ¬比喩経¼ の引文。
遮 排すること。
簡ばず 区別しない。
勝方便 すぐれた方法。
修多羅 ¬大経¼ 等の経典の取意を指す。
四依の菩薩 ここでは馬鳴菩薩のこと。
四十華厳経の普賢願 四十巻本 ¬華厳経¼ に説かれる普賢菩薩の十大願。 →
華厳経
龍樹… ¬楽邦文類¼ 巻一に龍樹菩薩の呪として記す抜一切業障根本得生浄土呪。
一日一宿 一日一夜に同じ。
弥勒問経 引用は千観 (918-984) の ¬十願発心記¼ 所引の ¬弥勒問経¼ の文に依拠したもの。
世の談話 世間話。
財宝等の施 財施 (物質的な財を施すこと)・宝施 (教えを説いて聞かせること) など。
任騾…ごとし ¬大集経¼ の原文は 「如騾懐任自喪身」 (騾の懐任すればおのずから身を喪ふがごとし)。
薬王の本事 薬王菩薩の前世の因縁。
麻のなかの蓬 麻の中に生えている蓬は自然にまっすぐになるということ。
屠辺の廏 屠所の近くにつながれた象は自然と気が荒くなるということ。 ¬付法蔵因縁伝¼ 巻六の説話による。
遠法師のいはく… ¬大経義疏¼ ¬観経義疏¼ ¬大乗義章¼ などの取意の文。
諸経 ¬大経¼ および ¬小経¼。
中夜… 夜半を過ぎて明け方になる時。
受用事身 知覚の対象となる身体。 すなわち具体的なすがたをとって現れた仏をいう。
摂論 迦才の ¬浄土論¼ における引用は、 世親菩薩の ¬摂大乗論釈¼ の取意の文。
加行は… ¬摂大乗論釈¼ (真諦訳) では、 無分別智に加行・正体・後得の三を立て、 加行無分別智の所得の果報を 「化身」、 正体無分別智のそれを 「応身」 としている。 なお、 同書にいう 「応身」 は三身中の第二身のことで、 報身に同じ。
もしは報… 報土であれ、 化土であれ、 人々を救い遂げたいという意。
千殊 千のちがい。
宝積経にのたまはく… ¬宝積経¼ 所収の ¬如来会¼ (上) の取意の文。
樹と座と仏身… ここでは仏身の量が広大すぎて、 道場樹 (菩提樹) や獅子座 (仏の座る座所) の大きさとつりあわないことを問題にしている。
仏の境界は… ¬安養抄¼ 巻三所引の義寂 ¬無量寿経疏¼ (現存せず) の説。
応仏に… 憬興の ¬述文賛¼ 巻中にみえる説。
胎生は… 源隆国編の ¬安養集¼ 巻七および ¬安養抄¼ 巻四所引の義寂 ¬無量寿経述義記¼ (現存せず) の説。 同書では胎生を中品・下品としている。
中品下品 底本 (青蓮院本) には 「中品下生」 とある。
九品に… 元暁の ¬遊心安楽道¼ 等の説。
仏この土の… 善導大師の 「散善義」 の説か。
仏世の八十年 釈尊が世におられた八十年の間。
法護所訳の経 天台大師智顗の撰述と伝える ¬観無量寿経疏¼ や憬興の ¬述文賛¼ 等では、 ¬大経¼ (康僧鎧訳) は法護の訳とされる。
方便の後心の行 無生法忍をさとる直前の位。
因法師 令因 (霊因) のこと。 新羅の憬興 (7世紀) と同時代とされ、 著作に ¬無量寿経疏¼ 一巻があったといわれる。
実に約して… 玄一の ¬無量寿経記¼ 巻上所引の因法師の説。
経 ¬大経¼ および ¬小経¼。
智光の疏 ¬無量寿経論釈¼ 五巻のこと。 天親菩薩の ¬浄土論¼ を曇鸞大師の ¬論註¼ に依拠して註釈した書。 現存しないが、 ¬安養集¼ などに引用された文を集成することによって、 ほぼ復元されている。
所化 教化を行うところ。
刹利の種 刹利は梵語クシャトリヤ (
kṣatriya) の音写である
刹帝利の略。 種は家柄のこと。 古代インドの四姓制度の中の王族、 貴族、 士族の身分をいう。 →
四姓
奉事の弟子 釈尊に照らし合せていえば
阿難にあたる。
神足精勤のもの 釈尊に照らし合せていえば
目連にあたる。
三地 菩薩十地の位のうちの第三
発光地とする説、 また七地門の第三
清浄勝意楽地 (十地のうちの
初地に当る) とする説がある。 →
十地
道宣律師のいはく… 引用に該当する文は、 道世編の ¬法苑珠林¼ 巻十六および ¬諸経要集¼ 巻一にみられる。
経 引用は ¬西方要決¼ 所引の ¬弥勒問経¼ の文によったもの。
薄浅の汎にあらず あさはかな凡夫の心ではないの意か。 「汎」 は異本には 「凡」 とある。
悪律儀の行 律儀は時を定め事を定めておこなう行為。 これに善悪があり、 生活のための狩猟などが悪律儀の行とされた。
八地以去は無功用にして 八地以上の菩薩は、 意志をはたらかせず、 努力をしないで、 自在に菩薩の行をすることができるので無功用という。 →
十地
遠法師…二品を分つ ここに列挙される諸師の説は、 龍興の ¬観無量寿経記¼ 巻下の記述によったものとみられる。
力法師 伝未詳。
仁王経には… 以下の文は懐感の ¬群議論¼ によったもの。
前三果 声聞乗の
四果のうちの
預流果・
一来果・
不還果のこと。
三生 中品上生・中品中生・中品下生。
早晩 速い遅い。
菩薩処胎経の第二 引用の文は現行の ¬菩薩処胎経¼ では第三 (巻三) にある。 なお、 懐感の ¬群疑論¼ ではこれを第二の文としているので、 源信和尚は同書によられたものとみられる。
倡妓楽 歌舞音曲。
前の文 ¬群疑論¼ 巻四の 「雑修のものは万に一も生ぜず、 専修の人は千に一も失することなし」 という ¬礼讃¼ 取意の文を指す。
執心牢固 本願をとりたもつ心 (信心) がひとすじで強固であること。
前の信 前世における聞経の信。
二経 ¬大経¼ ¬小経¼。
功徳雲比丘 ¬華厳経¼ 「入法界品」 に説かれる五十三人の善知識の第二。
品類差殊 種々の階位があること。
仏蔵経に… 懐感の ¬群議論¼ に引く ¬仏蔵経¼ の文によったもの。
我見… 我見は常住なる自我を認める見解、 衆生見は実体としての衆生を認める見解、 寿見は生命を個体に所属するものとする見解、 命見は生命が個体において持続してゆくものとする見解、 陰入界見は
五陰・
十二入・十八界 (
六根・
六境・
六識) が永久に実在すると認める見解。
訶し 否定するの意。
大・小 大乗・小乗。
逗 応じる目的に合うように与えること。
経論 ¬般舟三昧経¼ ¬華厳経¼ などの経や龍樹菩薩の ¬大智度論¼、 ¬善導大師の ¬観念法門¼ などの論。
有相無相の観 有相の観は仏の具体的なすがたかたちを認めて、 これを観想すること。 無相の観は諸法には本来、 具体的なすがたかたちがないという理に通達したうえで、 仏の相を観想すること。
自性無所有なり 固定的な実体はないという意。
盧舎那 毘盧舎 (遮) 那仏の略。 毘盧舎那は梵語ヴァイローチャナ (Vairocana) の音写。 光明遍照などと漢訳する。 ¬華厳経¼ の教主。 なお、 天台宗では、 毘盧舎那仏を法身、 盧舎那仏を報身とする。
弥陀等の経 ¬小経¼ ¬観経¼ のこと。
三の縁 ¬般舟三昧経¼ (一巻本) の原文では、 持仏力・三昧力・本功徳力。 ¬摩訶止観¼ ではこれを仏威神力・三昧力・行者本功徳力とする。
上の九十日の行… 大文第六別時念仏の尋常別行の項参照。
頭数 念仏の回数の意。
あるがいはく… 引用は千観 (918-984) の ¬十願発心記¼ の説によったもの。 ただし、 もとは義寂の ¬無量寿経述義記¼ に説かれている。 千観は天台宗三井園城寺系 (寺門) の僧で、 西方浄土を願生した。
寂法師のいはく… ¬無量寿経述義記¼ の取意の文か。
弥蘭王 パーリ語ミリンダ (Milinda) の音写。 紀元前二世紀の中頃に西北インドのシャーカラに属し、 アフガニスタンからインドまで治めたギリシア人の王。 ギリシア名はメナンドロス (Menandros) という。
那先比丘 那先はパーリ語ナーガセーナ (Nāgasena) の音写の略。 紀元前二世紀のインドの僧。 ミリンダ王と問答して、 王を仏教に帰依させた。
第七の梵天 梵天の住する色界の初禅天。 六欲天の上にあるので第七天という。
罽賓国 インド西北部の古国。 カシュミールまたはガンダーラに当るという。
十疑 以下の ¬十疑論¼ の文言は、 曇鸞大師の ¬論註¼ (三在釈義) に依拠している。
十囲の索は… 十重の縄は、 千人の男がかかっても自由にすることができないが、 剣をふるえば子供でもたちまちに切ることができる。
沙訶陀薬 ヒマラヤに産するというすぐれた香りの薬。
仏蔵経の… 懐感の ¬群議論¼ に引く ¬仏蔵経¼ の文によったもの。
智憬等の諸師 ここにあげる説は、 懐感の ¬群疑論¼ 巻三に示される十五家の説の第三にほぼ相当する。
あるがいはく… この説は前掲書に示される十五家の説の第十一に相当する。
余処 ¬観経¼ 九品段を指す。
順生の業 次に生れかわった生で報いを受ける業。
不信業果 因果の道理を信じないこと。
第十八巻 ¬群疑論¼ の原文には 「第十九巻」 とある。
瑜伽論に説かく 引用に該当する文は ¬瑜伽論¼ に見出せない。
染・浄 染は煩悩にけがれていること。 浄は煩悩のけがれのないこと。
遠近 ここでは遅い速いの意。
業果の理 善因善果、 悪因悪果の道理。
鶏狗の業 にわとりや犬のまねをする行為。
咄なるかな 呼びかける声。
密迹力士 金剛杵を持って仏法を守護する神。
所作安諦… 身のふるまいが安らかで、 すべてがととのい、 比類なくすぐれている。
法身を奉行すれば 真如法性の理を奉じて修行するならば。
法身を証得せる 真如法性の理を完全にさとったという意。
大涅槃楽 大いなるさとりの楽しみ。
十六両 両は重さの単位。 一両は約十六グラム。
六兵 兵隊の総称。
本際 もとのまま。
実際の海 実際は真実の際限の意で、 涅槃の異名。 ここでは広大なさとりの世界を海に喩えていう。
十住婆沙の第三 龍樹菩薩造の 「
易行品」 のこと。 なお、 現行の ¬十住毘婆娑論¼ では、 「易行品」 は巻五にある。
菩提 底本 (青蓮院本) には 「菩薩」 とある。
汎爾 底本 (青蓮院本) では 「おほよそ」 と読む。
前五波羅蜜 布施・
持戒・
忍辱・
精進・
禅定。 →
六波羅蜜
偏円の教 偏教と円教。 天台宗では、 仏の教説を内容のうえから、 三蔵教 (小乗の教え)、 通教 (大乗初門の教え)、 別教 (大乗特有の教え)、 円教 (完全円満な教え) の四教に分け、 そのうちの前三を偏教 (偏った方便の教え) とする。
円人 円教 (完全円満な教え) の行者。
慧相応の定 真実の智慧にかなった三昧禅定。
暗禅 智慧をともなわない三昧禅定。
第七 現行の ¬大集経¼ では巻六。
烏豆聚 たくさんの黒豆の集まり。
悪用偏増 悪のはたらきのみがひとえに増す状態。
善用偏増 善のはたらきのみがひとえに増す状態。
善悪の交際 善と悪がいりまじる状態。 ここでは凡夫から聖者の位に入ろうとする時のこと。
善悪容預 善と悪とがゆるやかにはたらいている状態。
成事智 四智の中の成所作智のこと。
道法 仏道。
瑠璃王の行 政務のために修行に専念できない瑠璃王 (波瑠璃王) は、 釈尊の教えによって、 常に木槵子の数珠を携え、 戦場にあっても仏を念じつづけたという。
資生の具 生活用品。
論のちなみに論をなさん 因論生論。 それではあえて反問するが、 という意。
学人 修行者。
闇鈍瞢 にぶくぼんやりしていること。
助道の人法 念仏の助けとなる人と経論の教え。
内外の律 内外は大乗・小乗の意。 または内心・外相の意か。 律は教団の生活規則のこと。
妨障を開除する (仏道修行の) さまたげをとり除く。
功徳直 中央アジアの人。五世紀後半。 玄暢の要請によって ¬念仏三昧経¼ を訳出した。
もし菩薩の… 親鸞聖人の ¬顕浄土真実教行証文類¼ の末尾は、 この ¬華厳経¼ の偈で結ばれている。
このもろもろの功徳… この偈文は ¬究竟一乗宝性論¼ 巻四の末尾に説く回向文によったもの。
離垢の眼 煩悩のけがれを離れた智慧の眼。
以下、 「註釈版」 にはない。「真宗聖典全書」 により補う。 また奥書の延書は有国による。
具 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
是→Ⓐ此
罪→ⒹⒺ罪[優填王作仏形像経云作仏形像功徳无量世々所生不堕悪道後皆得生无量寿仏国作菩薩当得成仏云々略抄]
万→Ⓓ方
老→Ⓓ孝
彼 Ⓓになし
消→ⒶⒷⒸⒹⒺ銷
大→Ⓐ火
日 ⒹⒺになし
巨→Ⓓ臣
尽→Ⓐ滅
世 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
梼→ⒶⒷⒸⒹⒺ擣
隅 Ⓐ求と右傍註記
魔→ⒶⒹⒺ羅
経→Ⓔ経[説]
及 Ⓐになし
使→Ⓔ仮
甖→ⒶⒹ嬰
閲叉→Ⓔ又
猛獣 Ⓐ名主と右傍註記
輪→ⒷⒸⒹⒺ倫
荐→Ⓐ茬
懐→ⒷⒸ壊
夭→Ⓔ友
此→Ⓒ比
十→Ⓐ[注□]十
娑→ⒷⒸ沙
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
言→ⒷⒸⒹⒺ云
空→ⒹⒺ至
念→Ⓐ命(念と右傍註記)
就→ⒶⒹ熟
数→ⒶⒷⒸⒹⒺ央
頌 ◎此五字注可書之と下に註記
是→Ⓐ此
昧→ⒷⒸ昧[已上]
安楽集云 ⒶⒷⒸになし
獲→Ⓔ得
有云 ⒷⒸになし
文→ⒷⒸ文[云云]
慧→Ⓐ恵
第 ◎同経ノと上欄註記し、 さらにその左に念仏三昧経と註記→ⒹⒺ[同経]第
就→Ⓐ熟
同→ⒷⒸⒺ同[経]
若 ⒹⒺになし
好→ⒷⒸⒹⒺ妙
処→ⒶⒷⒸⒹⒺ家
驚→ⒶⒷⒸⒹⒺ敬
謨→ⒶⒷⒸ无
宝積経已下麁也 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
也 ◎注不可書之と下に註記あり
若 ⒹⒺになし
起→ⒶⒷⒸⒹⒺ起[於]
諸 ⒷⒸⒹⒺになし
仏→Ⓔ仏[如来]
相→ⒶⒷⒸⒹⒺ想
唯→ⒶⒷⒸ唯[我]
故 ◎故字イ本无と上欄註記 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
及→ⒶⒷⒸⒹⒺ及[処]
念 ⒹⒺになし
持→ⒶⒷⒸⒹⒺ念
説 ⒹⒺになし
又…念22字 ⒷⒸになし
頃→ⒶⒷ項
兢→ⒷⒸ殑
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
菩薩 ⒷⒸⒹⒺになし
吼→ⒹⒺ孔
金蔵菩薩 ◎になし(金蔵菩薩落[歟]と下欄註記)
金→ⒹⒺ金[光]
王 Ⓐになし
等→ⒶⒷⒸⒹⒺ等[正]
也→ⒷⒸ也[已上]
十方 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
喩→ⒷⒸ愈
慧→ⒶⒹⒺ恵
量→◎量[量]
項→ⒸⒹⒺ頃
即得→Ⓐ得即
勢→ⒶⒷⒸⒹⒺ勢[至]
致→ⒷⒸ到
扠→Ⓔ杈
号→Ⓐ名
於 ⒹⒺになし
若能観仏者 Ⓐになし
仏 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
仏於諸仏→Ⓐ諸仏於
憂→Ⓐ優
旃→ⒶⒷⒸⒹⒺ栴
文 ⒷⒸになし
明→ⒶⒷⒸⒹⒺ相
堕→Ⓔ随
仏 ⒶⒷⒸⒹになし
尼→Ⓐ尼[仏]
語→Ⓔ教
礼→ⒹⒺ礼[念]
百万→Ⓐ十
旃→ⒶⒷⒸⒹⒺ栴
賢→Ⓒ宝
名大精進 ⒹⒺになし
我 Ⓓになし
非→Ⓔ不
足→ⒸⒺ足[四]
弁→ⒶⒹ辦→Ⓔ辨
擒→ⒶⒷⒸⒹⒺ
梨→ⒶⒷⒸⒹⒺ黎
便 ⒷⒸになし
寝→ⒹⒺ寝[殿]
乃→ⒹⒺ即
莫恐 Ⓐになし
免→ⒶⒹⒺ勉
説→Ⓐ記
洹→◎恒
略→Ⓐ毘
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
堕→Ⓔ惰
槌◎揵イと上欄註記→ⒶⒷⒸⒹ揵
鍾→ⒷⒸ鐘
健→ⒷⒸⒹ揵→Ⓔ槌
斂→Ⓔ歛
慢 Ⓐになし
至 Ⓐになし
声→ⒹⒺ聞
鍾→ⒷⒸⒺ鐘
到 Ⓐになし
旦→Ⓔ旦[国]
僧…人19字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
伝→ⒷⒸ伝[僧廿三人尼六人沙弥二人在家男女合二十四人]
父→Ⓓ文
但→Ⓐ但[一]
於入→ⒶⒷⒸⒹⒺ入於
噬→Ⓔ噛
憐→◎隣
穏→Ⓐ隠
渇→ⒶⒷⒸⒹⒺ竭
敢→ⒷⒸⒹⒺ噉
聞仏名 ⒷⒸになし
減→ⒸⒺ滅
開 Ⓐ聞と右傍註記
能→ⒹⒺ徳
王 ◎になし(王と下欄註記)
摩→ⒷⒸ磨
摩→ⒷⒸ魔
抄→ⒷⒸ抄[感禅師亦同之]
如→Ⓐ已
経→ⒹⒺ経[云]
者 ⒹⒺになし
常→ⒹⒺ当
常→ⒶⒷⒺ常[当]→ⒷⒸ当
陀→ⒶⒷⒸⒹⒺ陀[仏]
生→ⒶⒷⒸⒹⒺ生[之]
弁→ⒷⒺ辨→Ⓒ辦
弱 Ⓐ若と右傍註記
就→ⒶⒹ熟
随→Ⓐ随[謂]→ⒷⒸ謂
持→Ⓒ侍
楽 Ⓐになし
校→ⒹⒺ授
仏 Ⓐになし
生→ⒶⒹⒺ生[阿]
慧→ⒹⒺ恵
房→ⒶⒷⒸⒹⒺ坊
衆→Ⓔ衆[生]
悉皆→ⒹⒺ皆悉
已上 ⒷⒸⒹⒺになし
勒→Ⓔ勤
癈→ⒷⒸⒹⒺ廃
経→ⒶⒷⒸⒹⒺ結
諸→Ⓔ衆
患→ⒶⒷⒸⒹ悪
沙 Ⓓになし
戒→Ⓔ戒[若]
恵→ⒷⒸⒹⒺ慧
能 ⒹⒺになし
観→ⒶⒷⒸ[又]観
繁→Ⓐ繁[不]
出→Ⓔ出[私云支提者塔廟異名也]
恵→ⒶⒷⒸ慧
等 ⒶⒹⒺになし
四→ⒹⒺ四[者]
仏→ⒷⒸⒺ[念]仏
戒施→ⒶⒷⒸ施戒
籚→Ⓔ蘆
懐→Ⓔ
又 ⒶⒷⒺになし
雪 ◎雲イと上欄註記→ⒶⒷⒸⒹⒺ雲
非→ⒷⒸ非[之]→ⒹⒺ非[也]
経→ⒶⒷⒸ経[多]
憬→ⒶⒷⒸⒹⒺ璟
子 Ⓓになし
綽 Ⓐ尺と右傍註記
就→ⒶⒷⒺ熟
説 Ⓓになし
十→Ⓔ十[種]
河 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
沙 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
生→ⒶⒷⒸⒹⒺ品
此→Ⓒ比
知 Ⓐになし
日→ⒶⒷⒸⒹⒺ日[者]
中 Ⓓになし
一 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
世 ⒹⒺになし
生→Ⓐ生[法]
行 ⒹⒺになし
殖→ⒶⒷⒸⒹⒺ植
敷→ⒶⒷⒸⒹⒺ布
恵→ⒷⒸ慧
恵→ⒷⒸⒹⒺ慧
仏 ⒹⒺになし
歳→ⒹⒺ歳[等]
弁→Ⓒ辦→Ⓔ辨
此 ◎十一字注也と上欄註記
違→ⒷⒸ違[於]
釈→ⒶⒷⒸ択
玄→ⒷⒸ[又]玄
庾→Ⓔ由
欬→ⒷⒸ姟
経→Ⓐ俓
庾→ⒷⒸ由 Ⓐ庾と右傍註記
文→ⒷⒸ牟尼
広→Ⓔ横
仏 ⒷⒸⒹⒺになし
名 ⒹⒺになし
寂→Ⓔ寂[静]
倶→ⒷⒸⒺ倶[已上]
隅 Ⓐ求と右傍註記
其 Ⓐになし
辺→Ⓐ量
就→ⒶⒹⒺ熟
降→ⒶⒷⒸ降[已上]
師→ⒶⒷⒸⒹⒺ徳
寿→ⒷⒸ寿[仏]
国→ⒷⒸ国[已上]
即 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
汎→ⒷⒸ凡
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ斯
徳→Ⓐ[功]徳
娑→ⒷⒸ沙
十→Ⓐ下
二→ⒹⒺ三
法師 ⒷⒸⒹⒺになし
法 Ⓐになし
煖→Ⓔ軟
感→Ⓐ威
明→ⒶⒹⒺ[問]明
分 ⒹⒺになし
導→Ⓐ道
三 Ⓐになし
悪→Ⓐ[三]悪
恵→ⒶⒹⒺ慧
意→Ⓓ奇
約→ⒹⒺ馰
必→ⒹⒺ心
倡→Ⓓ偈
陀→ⒷⒸⒺ陀[仏]
准→Ⓓ唯
云→ⒶⒷⒸⒹⒺ言
固→Ⓓ国
就→ⒶⒹ熟
人→ⒶⒷⒸⒹⒺ生
三→Ⓔ五
意→Ⓔ音
露 Ⓐになし
慧→ⒶⒹ恵
国 ⒹⒺになし
世 Ⓐになし
上→ⒶⒷⒸ上[略抄]
今 ⒶⒷⒸになし
遺 ◎述イと上欄註記
適 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
学→ⒹⒺ覚
専 Ⓐになし
得 Ⓐになし
就→ⒶⒷⒸⒹⒺ熟
就→ⒶⒷⒸ熟
文→ⒹⒺ文[也]
上々→ⒹⒺ上々[品]
就→ⒶⒹⒺ熟
相→ⒹⒺ想
舎→ⒶⒷⒸ遮
又 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
舟→Ⓔ若
生→Ⓓ壮
阿 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
護 ⒹⒺになし
恵→ⒶⒷⒸⒹⒺ慧
経→ⒷⒸ経[云云]→ⒹⒺ経[云]
想→ⒶⒷⒸⒹⒺ相
相→ⒶⒷⒸⒹⒺ想
辨→Ⓑ弁
六→Ⓒ云
項→ⒸⒺ頃
也→ⒷⒸ也[云云]
亦→Ⓔ又
称→ⒹⒺ称[念]
若 Ⓐになし
悪→ⒹⒺ悪[業]
死→ⒶⒷⒸⒹⒺ死[即]
梨→ⒶⒷⒸ黎
先→Ⓓ生
々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
悔→ⒶⒷⒸ悔[故]
今 ⒶⒹⒺになし
近→Ⓔ遠
妄→Ⓐ忘
業 ⒹⒺになし
躄→ⒹⒺ癖
端→Ⓔ瑞
項→ⒸⒺ頃
鴆→Ⓓ雉
皆→Ⓔ皆[死]
安→ⒷⒸⒹ安[子]
有 ⒹⒺになし
軽 Ⓓになし
旃→ⒷⒸⒹⒺ栴
已→ⒹⒺ加
譬→Ⓐ喩
者 Ⓐになし
陀 ⒷⒸⒹⒺになし
无量 Ⓐになし
弱→ⒶⒷⒸⒹⒺ溺
磐→ⒶⒸⒹⒺ盤
力→Ⓐ徳
項→ⒸⒺ頃
猛→Ⓓ猛[力]
根→Ⓓ相
急→Ⓐ忽
為→ⒷⒸ為[勇]
破 ⒹⒺになし
噛→Ⓔ齧
熨→Ⓒ慰
即 ⒹⒺになし
→Ⓐ嬾→ⒷⒸ
復→Ⓔ後
脚→ⒹⒺ即
決→Ⓔ訣
悪 ⒹⒺになし
健→ⒷⒸⒹ揵→Ⓔ犍
地 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓑ燋
等 ⒷⒸⒹⒺになし
四 ⒹⒺになし
耶 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
五 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
不 ⒷⒸⒹⒺになし
若 ⒹⒺになし
択→ⒹⒺ釈
卅→Ⓓ母
之 ⒹⒺになし
恵→ⒶⒷⒸ慧
掘→Ⓐ堀
得 Ⓐになし
瑜→ⒹⒺ[如]瑜
説→Ⓔ説[名]
応→Ⓔ応[知]
答 Ⓓになし
如→ⒷⒸ如[有]
発動→ⒶⒷⒸⒹⒺ動発
已 Ⓐ經曰と左傍註記
観→ⒶⒷⒸⒹⒺ観[見]
由此 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
設 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
益→ⒶⒷⒸⒹⒺ益[亦]
提→Ⓐ薩
咄→Ⓔ拙
莫 ⒹⒺになし
忘→ⒶⒷⒸⒹⒺ亡
般 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
鉤→Ⓐ釣
復 ⒹⒺになし
此→ⒶⒹⒺ是
聞仏名→ⒹⒺ仏名聞
→Ⓓ物→Ⓔ拘
利 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
妙→ⒷⒸⒹⒺ好
作→ⒹⒺ化
欠→Ⓔ鈌
性→ⒷⒸⒺ姓
視→Ⓔ観
相→ⒶⒷⒸ相[見]
隠→ⒷⒸⒹⒺ穏
相→ⒶⒷⒸ想
楽 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
想→Ⓐ相
心→ⒶⒷⒸⒹⒺ心[一念]
定 ⒹⒺになし
衆→Ⓓ衆[定]
名 ⒷⒸⒹⒺになし
経 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
於 ⒷⒸⒹⒺになし
鋌 Ⓐ打と右傍註記
亦→ⒶⒷⒸⒹⒺ亦[復]
随→Ⓐ随[其]→Ⓔ随[意]
Ⓐ其の右傍に意とあり
語→ⒷⒸ意
涌→ⒶⒹⒺ踊
髻→Ⓐ髪
穏→ⒶⒹ隠
彼→Ⓓ被
恵→ⒷⒸⒹⒺ慧
婆→Ⓓ娑
娑→ⒷⒸⒺ沙
道→Ⓔ路
提 ◎薩イと上欄註記
亦→Ⓐ亦[復]
致 Ⓐになし
孔→ⒷⒸⒹⒺ吼
世 ⒷⒸになし
波→Ⓓ婆
持→Ⓔ得
薩→ⒶⒷⒸⒹⒺ提
営 Ⓐ永と右傍註記
恵→ⒷⒸⒹⒺ慧
恵→ⒶⒷⒸ慧
云々 ⒷⒸⒹⒺになし
闌→ⒶⒷⒸⒹⒺ蘭
八→Ⓒ一
相対諸教→ⒶⒷⒸⒹⒺ諸教相対
恵→ⒶⒷⒸ慧
若 ⒷⒸⒹになし
雖→Ⓒ声
宿世 ⒷⒸになし
也 Ⓐになし
即 ⒹⒺになし
此→Ⓐ是
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
蠢 Ⓐ順と右傍註記
亦 Ⓔになし
未 Ⓓになし
賢→ⒹⒺ賢[人]
全→ⒶⒷⒸⒹⒺ[若]全
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
无 ⒹⒺになし
常→ⒶⒷⒸⒹⒺ当
之→Ⓔ聖
恵→ⒶⒷⒸⒺ慧
辨→Ⓑ弁
家 ◎在と上欄註記→ⒷⒸⒹⒺ[在]家
親→ⒶⒷⒸ嚫→ⒹⒺ信
有→ⒹⒺ有[少有]
誓 Ⓐになし
云→ⒶⒷⒸⒹⒺ言
言→ⒶⒹⒺ云
若→ⒶⒷⒸⒹⒺ若[復]
欠→Ⓔ鈌
即→ⒹⒺ則
提→Ⓐ薩誠ⒷⒸⒹⒺ提[誠]
鬚→Ⓔ鬢
擯→ⒶⒹⒺ
作→ⒷⒸ作[於]
以此→Ⓔ此以以 Ⓓになし
果報→ⒷⒸ報果
禅→ⒹⒺ禅[定]
丘 Ⓓになし
孤→Ⓓ狐
旃→ⒶⒷⒸⒹⒺ旋
諸 ⒹⒺになし
何 ⒶⒹⒺになし
誠→ⒷⒸ[至]誠
若 ⒹⒺになし
臣→Ⓐ生
擯→Ⓐ儐→Ⓓ
亦→Ⓐ去
擯→Ⓐ浜
乖 Ⓐ化と右傍註記
之 ⒷⒸになし
若 ⒹⒺになし
嘖→ⒹⒺ責
者 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
恵→ⒷⒸⒺ慧
事 ⒹⒺになし
之 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
如→ⒷⒸ[又]如
嶮→Ⓐ噞
言→Ⓐ云
云→Ⓐ言
往 Ⓐ來と右傍註記
以 ◎或本四百无四字と右傍註記
四 ⒶⒷⒸⒹになし
四 ⒷⒸになし
耶 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
畺→ⒹⒺ薑
直→Ⓐ真
娑→Ⓐ沙
結…巻 日…譯18字→ⒶⒷⒸⒹⒺ日…譯18字 結…巻
造→Ⓐ作
提→Ⓐ薩
五紙 ⒹⒺになし
止→Ⓓ正
道→ⒸⒺ導
三→ⒶⒸⒹⒺ二
群→Ⓓ郡
耶→Ⓐ矣
丹 ◎旦と下欄註記→ⒹⒺ旦
旨→Ⓓ盲
省 Ⓐ生と右傍註記
因→ⒹⒺ因[或復於彼十法行中初書写行脱文是過為開解等略抄非過]
之 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
至→ⒶⒷⒸⒹⒺ[又]至
意→ⒷⒸ意[也]
人→ⒹⒺ人[論]
已上 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
作 Ⓒになし
曰→ⒶⒷ云