0271仏説ぶっせつりょう清浄しょうじょうびょう等覚どうがくきょう かんだい

かんげっこく三蔵さんぞう支婁しるせんやく

 

二 Ⅴ 五善五悪

【23】ぶついつさつらにげたまはく、 なんぢらこのにおいて、 よくみづからこころせいこころただしくして、 あくをなさざれば、 これを大徳だいとくぜんとなし、 すべて八方はっぽうじょうさいとなりてならびあることなし。 ゆゑはいかん。 八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみんは、 みなねんぜんをなしておほきにあくをなさざればきょうしやすければなり、

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等↡、ナンヂ↢是↡、能↠心シクシテ↠意、身レバ↠作↠悪者、是↢大徳↡、都リテ↢八方上下↡無↠有ルコト↠比。所以者何。八方上下無央数仏国諸天・人民、皆自然シテ↠善レバ↢大↟悪ケレバナリ↢教化↡、

いまわれこのけんにおいてぶつとなる。 あくつうしょうのなかにおいてぶつとなることもつともはげしとなす。 人民にんみんきょうして、 あくたしめて、 つうらしめ、 しょうらしめ、 そのこころごうして、 ぜんたもちその福徳ふくとく度世どせちょう寿じゅ泥洹ないおんどうしむ。

今我於↢是世間↡為↠仏。於↢五悪・五痛・五焼之中↡作ルコト↠仏↢最シト↡。教↢語シテ人民↡、令メテ↢五悪↡、令↠去↢五痛↡、令↠去↢五焼↡、降↢化シテ↡、令メム↧持↢五善↡得↦其福徳・度世・長寿・泥洹之道↥。

ぶつのたまはく、 なんらをかあくとなし、 なんらをかつうとなし、 なんらをかしょうのなかのものとなす。 なんらをかあくしょうしてぜんたもたしむものとなす。 なんらをかぜんたもちてその福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせ泥洹ないおんどうとなすと。

仏言、何等ヲカ↢五悪↡、何等ヲカ↢五痛↡、何等ヲカ↢五焼者↡。何等ヲカ↧消↢化シテ五悪↡令メム↠持↢五善↡者↥。何等ヲカスト↧持チテ↢五善↡得↦其福徳・長寿・度世・泥洹之道↥。

【24】ぶつのたまはく、 その一悪いちあくとは、 諸天しょてん人民にんみんよりしもきんじゅうけん蠕動ねんどうたぐいいたるまで、 衆悪しゅあくをなさんとほっしてつよきものはよわきをぶくし、 うたたあひ剋賊こくぞくし、 おのづからあひせっしょうしてたがひに食噉じきだんす。

仏言、其一悪者、諸天・人民ヨリ下至ルマデ↢禽獣・蜎飛蠕動之類↡、欲シテ↠為サムト↢衆悪↡強↠弱キヲ、転相剋賊、自相殺傷シテ更相 タガヒ 食噉

ぜんをなすことをらず、 あくぎゃくどうにしてその殃罰おうばつく。 どうねんにしてまさにきて趣向しゅこうすべし。

不↠知↠為スコトヲ↠善、悪逆不道ニシテ↢其殃罰↡。道之自然ニシテ↢往キテ趣向↡。

じんみょう記識きししてこれをおかさばゆるさず、 うたたあひつづく。 ゆゑにびんせん乞丐こつがいどくなるものあり。 ひとろうもうおん愚痴ぐち弊悪へいあくなるものありて、 しもおうきょうにして及逮およばざるたぐいあり。 そのそんごう高才こうざいみょうだつ智慧ちえゆうみょうなるものあるは、 みなそのぜん宿命しゅくみょうぜんをなしきょうにしておんとくほどこせるがゆゑなり。

神明記識シテセバ↠之不↠貰、転相承。故↢貧窮0272・下賎・乞丐・孤独ナルモノ↡。人リテ↢聾・盲・瘖瘂・愚痴・弊悪ナルモノ↡、下↧尫ニシテ及逮 オヨ ↡之属↥。其ルハ↢尊貴・豪富・高才明達・智慧勇猛ナルモノ↡、皆其前世宿命↠善慈孝ニシテ↠恩セルガ↠徳ナリ

かん王法おうぼう牢獄ろうごくあれども、 おそつつしむことをがえんぜずしてあくをなせばほうりてそのちゃくく。 じゅうばついたりてはげしくして、 だつもうすれどもしゅつすることをがたし。 こんにこれありて目前もくぜん現在げんざいし、 寿いのちおわりてもつともはげし。 そのようみょうり、 けてまたしょうず。 たとへば王法おうぼうぎゃくごくぎょうのごとし。

レドモ↢官事王法牢獄↡、不シテ↠肯↢畏ムコトヲ↡作セバ↠悪リテ↠法↢其過讁↡。重罰致リテシクシテ、求↢望スレドモ解脱↡難↠得↢度出スルコトヲ↡。今世リテ↠是目前現在寿終リテ。入↢其窈冥↡、受ケテ↠身。譬ヘバ↢王法劇苦極↡。

ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどう類属るいぞくあり。 しんぎょう貿へ、 あくあらためてどうへ、 寿じゅみょうたんじょうあり。 魂神こんじん命精みょうしょうねんしゅりてかたちたいりて、

↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類属↡。貿↢身形↡、改メテ↠悪↠道、寿命短長アリ。魂神命精、自然リテ↠趣↠形リテ↠胎

まさにひとむかふも、 あひしたがひともにしょうずべく、 うたたあひほうしょうしてまさにあひ還復げんぶくすべし。 殃悪おうばつちゃくばつしゅいまだきざれば、 つひにはなるることをずして、 そのなかに展転てんでんして、 世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢独フモ、相従↡、転相報償シテ↢相還復↡。殃悪・讁罰、衆事未レバ ↠尽、終シテ↠得↠離ルルコトヲ、展↢転シテ↡、世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

てんのあひだにねんにこれあり。 ときのぞみてにはかにいたときおうぜずといへども、 つねにねんどうりて、 みなまさに善悪ぜんあくこれにすべし。

天地之間自然↠是。雖↠不↢臨ミテ↠時卒暴 ニハカ ↟時リテ↢自然之道↡、皆当↢善悪帰↟之

これをひとつの大悪だいあくとなし、 ひとつのつうとなし、 ひとつのしょうとなす。 ごんかくのごとくして、 しゅうどくしゃすべし。 たとへばぎゃくおこりて人身にんじんくがごとし。

↢一大悪↡、為↢一↡、為↢一↡。勤苦如クシテ↠是クノ、愁毒呼嗟スベシタトヘバ↣劇火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて、 一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをひとつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡、一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独↢諸善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢一大善↡。

【25】ぶつのたまはく、 そのあくとは、 けん帝王たいおうちょう人民にんみん父子ぶしきょうだいしっふう、 ほぼ義理ぎりなくして政令しょうりょうしたがはず、 うたたいんじゃくきょうまんにしておのおのこころこころよくせんとほっし、 しんざいにして、 たがひに調じょうし、 ことおそれず。 しんおのおのことにして言念ごんねんまことなく、 にょうてんにしてちゅうならず、 諛媚ゆみぎょうにしておこなたんじょうならず。 たがひにねたにくみ、 うたたあひざんして悪枉あくおうかんにゅうす。

仏言、其二悪者、世間帝王・長吏・人民・父子・兄弟・室家・夫婦、ホボクシテ↢義理0273↡不↠従↢政令↡、転淫奢憍慢ニシテ↠快クセムト↠意、恣心自在ニシテ更相 タガヒ 欺調、殊不↠懼↠死。心口各ニシテ言念無↠実、佞諂ニシテ不↠忠ナラ諛媚巧辞ニシテ不↢端正ナラ↡。更相 タガヒ 、転相讒悪シテ陥↢↡。

しゅじょうあきらかならずこころあきらかにらさずしてしん任用にんようす、 しん存在ぞんざいしてみてよくおこなひそのぎょうせいりて、 くらいにありてただしからざれば、 その調じょうするところとなりてみだりに忠良ちゅうりょうえんじ、 天心てんしんあたらずしてはなはだどうす。

主上不↠明カナラ心不シテアキラカ↡任↢用臣下↡、臣下存在シテミテ↠度リテ↢其形勢↡、在リテ↠位レバ↠正シカラ、為リテ↢其↟調スル↢忠良↡、不シテ↠当↢天心↡甚↢道理↡。

しんはそのくんあざむき、 はそのちちあざむき、 おとうとはそのあにあざむき、 つまはそのおっとあざむき、 しっちゅうしきはあひぎておのおの貪淫とんいんしんいだき、 ひとしん蒙聾もうろう愚痴ぐちにして、 ますますおおくあらんことをほっす。 そんじょうおとことなくおんなとなく、 だいとなくしょうとなく、 こころともにおなじくしかなり。

↢其↡、子↢其↡、弟↢其↡、婦↢其↡、室家・中外・知識ギテ ↢貪淫↡、独恚怒・蒙聾・愚痴ニシテ↢益マスラムコトヲ↡。尊卑・上下無↠男↠女、無↠大↠小、心倶ジクナリ

みづからおのれをあつくせんとほっし、 いえやぶほろぼして、 ぜんしつ親属しんぞくねんせず、 これによりてやからやぶる。

↢自クセムト↟己、破↠家シテ↠身、不↣顧↢念前後・家室・親属↡、リテ↠之↠族

あるときちゅうないしきほうごうとう市里じりみん、 うたたともにじゅうし、 たがひにがいして銭財ぜんざいあらそたたかひ、 忿ふんしてあだをなして、 うたたしょうあらそふ。

家中・内外・知識・朋友・郷党・市里・愚民、転従事更相 タガヒ 利害シテ↢銭財↡闘、忿怒シテシテ、転↢勝負↡。

とみおしこころこがして施与せよすることをがえんぜず、 専々せんせんしゅしゃくし、 たからあいしてむさぼおもんず。 これによりてねんこころろうくるしむ。

オシ↠富シテ↠心不↠肯↢施与スルコトヲ↡、専専守惜、愛シテ↠宝ンズリテ↠之思念心労身苦

かくのごとくにしておわるにいたり、 恃怙じこするところなし。 ひときたひとりてひとりとしてしたがふものなし。 善悪ぜんあくふくおうちゃくばつみょうひてしょうずるところなり。 あるいは楽処らくしょにありあるいはどくる。 しかうしてのちにすなはちゆともまさにまたなんぞおよぶべし。

クニシテ↠是クノ↠竟ルニ、無↠所↢恃怙スル↡。独リテ↢一トシテ者↡。善悪禍福・殃咎・讁罰追ヒテナリ↠生ズル。或イハ↢楽処↡或イハ↢毒苦↡。然シテユトモ↢復何↡。

あるときにんしんしょうにして、 ぜんてはほうしてこれをいかり、 したしたがふことをがえんぜず。 ただあくをなさんとほっしてみだりにほうをなし、 ただ盗窃とうせつほっしてつねに毒心どくしんいだき、 にん財物ざいもつんとほっしてもちゐてみづからにきゅうし、 しょうさんじんつくしてまたしゃくす。 邪心じゃしんにしてただしからず、 つねにひと恐怖くふしてひとることあらんことをおそる。 ときのぞみてはからず、 いたりてすなはちゆ。

世人、愚心少智ニシテ、見テハ↠善誹謗シテ↠之、不↠肯↢慕ブコトヲ↡。但欲シテ↠為サムト↠悪↢非法↡、但欲シテ↢盗窃↡常毒心↡、欲シテ↠得ムト↢他人財物↡用ヰテラニ供給、消散摩尽ツクシテ復求索。邪心ニシテ不↠正シカラ、常恐怖シテ↢人ラムコトヲルコト。臨ミテ↠時0274↠計、事至リテ

こんげんちょう牢獄ろうごくありて、 ねん趣向しゅこうしてそのおうく。 けんびん乞丐こつがいどく、 ただぜん宿命しゅくみょう道徳どうとくしんぜずしてぜんをなすことをがえんぜざるによりて、 こんあくをなす。 天神てんじんじゃくわかち、

今世リテ↢長吏・牢獄↡、自然趣向シテ↢其殃咎↡。世間貧窮・乞丐・孤独、但リテ↧前世宿命シテ↠信↢道徳↡不ルニ↞肯↠為スコトヲ↠善、今世↠悪。天神別↠籍

寿いのちおわりて悪道あくどうる。 ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

寿終リテ↢悪道↡。↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをふたつの大悪だいあくふたつのつうふたつのしょうとなす。 ごんかくのごとくにして、 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢二大悪・二痛・二↡。勤苦如クニシテ↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと衆善しゅぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくて、 ちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをふたつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独衆善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢二大善↡。

【26】ぶつのたまはく、 その三悪さんあくとは、 けん人民にんみんしょうしあひよりともによりて、 てんのあひだにす。 処年しょねん寿じゅみょう、 よくいくばくのとしもなし。 いたりてはごうなるもの・げんみょう善人ぜんにんあり、 しも貧賎びんせん尫羸おうるいしゃあり。 なかにりょうひとありて、 ただ毒悪どくあくねんして身心しんしんただしからず、

仏言、其三悪者、世間人民、寄生相因リテ、居↢天地之間↡。処年寿命、无↢能クノ↡。至リテハ↢豪ナル者・賢明・善人↡、下↢貧賎・尫羸・愚者↡。中リテ↢不良之人↡、但懐↢念シテ毒悪↡身心不↠正シカラ

つねに婬泆いんいつねんじてわずら胸中きょうちゅうつ、 愛欲あいよく交錯きょうしゃくして坐起ざきやすからず、 とんけんじゃくにしてただいたづらにんことをほっす。 細色さいしき眄睞めんらいして悪態あくたい婬泆いんいつし、 つまあれどもいとにくみてひそかにみだりに出入しゅつにゅうし、 いえしょちてあひけっしてをなし、 じゅ飲食おんじきしてみづからともにあくをなす。

ジテ↢婬泆↡煩↢胸中↡、愛欲交錯シテ坐起不↠安カラ、貪意慳惜ニシテ但欲イタヅラムコトヲ↡。眄↢睞シテ細色↡悪態婬泆、有レドモ↠婦ミテヒソカ出入、持チテ↢家所有↡相結シテ↠非、聚会飲食シテ↠悪

ひょうおこぞくをなしてしろ格闘かくとうし、 劫殺ごうせつ截断ぜつだんして強奪ごうだつどうなり。 ひと財物ざいもつちゅうせつしてにはかにれどもしょうすることをがえんぜず、 まさにもとむべきところのものこれをなすことをがえんぜず、 悪心あくしんほかにありては、 もつぱらなすことあたはず、 よくしてをなしせいはくきょうし、 かえりてはいえきゅうしてともにあひしょうかつす。 こころをほしいままにしこころこころよくしてきわらくをなす。 にんにょぎょうらんし、 あるいはその親属しんぞくにおいてそんちょうろうけず。 しゅともにぞうし、 しつちゅううれひてこれにくるしむ。

↠兵シテ↠賊↠城格闘、劫殺截断シテ強奪不道ナリ。取↢人財物↡偸窃シテニハカレドモ不↠肯↢治生スルコトヲ↡、所↠当↠求者不↠肯↠為スコトヲ↠之、悪心在リテハ↠外、不↠能↢専スコト↡、欲シテ↠事恐勢迫脅、持リテハシテ↠家0275生活。恣ニシ↠心クシテ↠意↠身↠楽行↢乱他人婦女↡、或イハ↢其親属↡不↠避↢尊卑・長老↡。衆共憎悪、家室・中外患ヒテ而苦↠之

また県官けんかんほうりょうおそれず、 ろくくるところなし。 かくのごときあくねん牢獄ろうごくあり、 日月にちがつしょうじんみょうしゅして諸神しょじんしょうろくす。

亦復不↠↢県官法令↡、無↠所↠避クル↠録。如↠是クノ之悪、自然牢獄アリ、日月照識神明記取シテ諸神摂録

ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢度脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをつの大悪だいあくつのつうつのしょうとなす。 ごんかくのごとくにして、 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢三大悪・三痛・三↡。勤苦如クニシテ↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと衆善しゅぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独衆善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢三大善↡。

【27】ぶつのたまはく、 そのあくとは、 もろもろの悪人あくにんぜんをなすことあたはずしてみづからあひはいし、 うたたあひ教令きょうりょうしてともに衆悪しゅあくつくり、 しゅとして伝言でんごんをなすに、 ただりょうぜつあっごんもうほっし、 あひねたみてたがひに闘乱とうらんす。

仏言、其四悪者、悪人不シテ↠能↠作スコト↠善相壊敗、転相教令シテ↢衆悪↡、主トシテスニ↢伝言↡、但欲↢両舌・悪口・罵詈・妄語↡、相嫉ミテ更相 タガヒ 闘乱

善人ぜんにん憎嫉ぞうしつ賢善げんぜんはいしてかたわらにおいてあくよろこぶ。 また父母ぶも孝順きょうじゅんようせず、 師父しぶしききょうしてしんなくじょうじつがたし。 みづからそんにしてどうありといひて、 よこさま威武いぶぎょうじて捲力けんりきいきおひをくわへ、 侵剋しんこくしてひとあなどりみづからあくをなすとることあたはず、 みづからしゅうざんすることなく、 ゆうごんにしてひとをしてじょうきょうせしむ。

憎↢嫉善人↡敗↢壊シテ賢善↡於↠傍ヨロコ↠悪。復不↤孝↢順供↣養父母↡、軽↢易シテ師父・知識↡無↠信難↠得↢誠実↡。自ヒテ↢尊貴ニシテリト↟道、横ジテ↢威武↡加捲力勢↡、侵剋シテアナド↠人不↠能↢自ルコト↟為スト↠悪↢自羞慚スルコト↡、自用頗健ニシテ↢人ヲシテ承事敬畏↡。

またてんじんみょう日月にちがつきょうせず、 またぜんをなすことを教令きょうりょうすべからず、 ごうすべからず。 ゆう偃蹇えんけんにして、 つねにまさにしかなりとおもへり。 またあいしんなく、 また恐懼くいらずして、 恣意しいきょうまんなることかくのごとし。

復不↣敬↢畏天地・神明・日月↡、亦不↠可カラ↣教↢令スコトヲ↟善、不↠可カラ↢降化↡。自用偃蹇ニシテ、謂ヘリ↢常ナリト↡。亦復無↢憂哀心↡、亦0276シテ↠知↢恐懼↡、恣意憍慢ナルコト↠是クノ

天神てんじん記識きしす。 そのぜん宿命しゅくみょうにすこぶる福徳ふくとくをなすによりて、 しょうぜんしょうようしてこれをたすくるも、 こんあくをなして福徳ふくとくじんし、 もろもろのぜんじんおのおのりてこれをはなれ、 ひとりむなしくちてまたよるところなく、 おもおうちゃくけて、

天神記識。頼リテ↣其前世宿命スニ↢福徳↡、小善扶接営護シテクルモ↠之、今世シテ↠悪福徳尽、諸善鬼神各リテ↠之、身独シクチテ↠所↢復依↡、受ケテ↢重↡、

寿じゅみょうおわるときあくめぐしてねん迫促はくそくす。 まさにきて追逐ついちくしてそくすることをざるべし。 ねん衆悪しゅあくともにおもむきこれにいたる。

寿命終ルトキ悪繞シテ自然迫促。当↢往キテ追逐シテ↟得↢止息スルコトヲ↡。自然衆悪共イタ

それ名籍みょうじゃくじんみょうところにあることありて、 おう引牽いんけんしまさに相得そうとくすべし、 まさにきて趣向しゅこうすべし。 とがちゃくばつ身心しんしんざいさいし、 じんぎょうごくして、 きゃくすることをず。 ただすすみてきてかくることを。 このときあたりてゆともまたなんのやくかあらん。 まさにまたなんぞおよぶべき。 天道てんどうねんにしてでつすることをず。

リテ↣名籍在ルコト↢神明↡、殃咎引牽↢値相得↡、当↢往キテ趣向↡。受↢過讁罰↡身心摧砕、神形苦極シテ、不↠得↢離却スルコトヲ↡。但得↣前キテルコトヲ↢於火鑊↡。当リテ↢是↡悔ユトモ復何カアラム。当↢復何↡。天道自然ニシテ不↠得↢蹉跌スルコトヲ↡。

ゆゑにないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをつの大悪だいあくつのつうつのしょうとなす。 ごんかくのごとくにして、 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢四大悪・四痛・四↡。勤苦如クニシテ↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと衆善しゅぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独衆善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢四大善↡。

【28】ぶつのたまはく、 そのあくとは、 にん徙倚しいにして、 ぜんをなすことをがえんぜず、 しょうすることをおもはずして、 さいかんし、 父母ぶももともにしかなり。 してそのおしへんとほっすれば、 その悪心あくしんをもつていからしてごんりょうおうしてせず、 らいほんぎゃくすることにんよりもはげし。 たとへばおんのごとし。 なきにしかず。

仏言、其五悪者、世人徙倚懈ニシテ、不↠肯↠作スコトヲ↠善、不シテ↠念↢治生スルコトヲ↡、妻子飢寒、父母ナリ。欲スレバ↣呵シテヘムト↢其↡、其子悪心ヲモテラシテ↠目譍↢怒シテ言令↡不↠和、違戻反逆スルコト↢於野人ヨリモ↡。タトヘバ↢怨家↡。不↠如↠無キニ↠子。

みだりにあまねくたいしてしゅともにうれいとふ。 もつとも反復ほんぶくすることなし、 ほうしょうしんあることなし。

仮貸シテ衆共。尤スルコト↡、无↠有ルコト↢報0277償之心↡。

びん困乏こんぼうしてまたることあたはずして、 かくかいじょうしほしいままにさんし、 しばしばいたづらにるにならひて、 ゆうしんきゅうす。 防禁ぼうきんおそれず、 飲食おんじききわまりなくさけきっうまきをたしなみ、 出入しゅつにゅう期度ごどあることなし。 魯扈ろこ抵突たいとつしてにんじょうらず、 めん強制ごうせいして

窮貧困乏シテシテ↠能↢復得ルコト↡、辜較諧声放縦ホシイママ遊散ナラヒテ↢数イタヅラルニ↡、自用賑給。不↠畏↢防禁↡、飲食无↠極↠酒↠美、出入↠有ルコト↢期度↡。魯扈抵突シテ不↠知↢人情↡、睢眄強制シテ

ひとよろこびあるをては憎嫉ぞうしつしてこれをいかり、 なくらいなく、 ゆう職当しきとうしてかんぎょうすべからず。 また父母ぶもさい有無うむねんせず。 またつひに父母ぶもとくむくゆることをおもはず、 また師父しぶおんおもはず。 こころにつねにあくねんじ、 くちにつねにあくをいひ、 じょうじゅすることあらず。

テハ↢人ルヲ憎嫉シテ↠之、無↠義无↠礼、自用職当シテ不↠可カラ↢諌暁↡。亦復不↣憂↢念父母・妻子有無↡。又復不↠念ツヒズルコトヲ↢父母之徳↡、亦復不↠念↢師父之恩↡。心↠悪、口↠悪、日不↢成就スルコトアラ↡。

道徳どうとくしんぜず、 げんみょうせんしょうあることをしんぜず、 ぜんをなしどうをなせば度世どせべきことをしんぜず、 けんぶつあることをしんぜず。 かんころ比丘びくそうをしてあらそはしめんとほっし、 つねにひところさんとほっし、 父母ぶもきょうだいさいそうしんほうころさんとほっす。 父母ぶもきょうだいさいそうしんほうも、 ぞうしてこれをてはこれをしてせしめんとほっす。 ぶつきょうしんぜず、 ひと寿じゅみょうしゅうじんして後世ごせにまたしょうずることをしんぜず、 ぜんをなせばぜんることをしんぜず、 あくをなせばあくることをしんぜざるなり。

不↠信↢道徳↡、不↠信↠有ルコトヲ↢賢明・先聖↡、不↠信↢作↠善セバ↠道キコトヲ↟得↢度世↡、不↠信↢世間ルコトヲ↟仏。欲↧殺↢羅漢↡闘ハシメムト↦比丘僧ヲシテ↥、常↠殺サムト↠人、欲↠殺サムト↢父母・兄弟・妻子・宗親・朋友↡。父母・兄弟・妻子・宗親・朋友、憎悪シテテハ↠之↠使メムト↢之ヲシテ↡。不↠信↢仏経語↡、不↠信↢人寿命終尽シテ後世復生ズルコトヲ↡、不↠信↢作セバ↠善ルコトヲ↟善、不ルナリ↠信↢作セバ↠悪ルコトヲ↟悪

かくのごときらのひとなん女人にょにんしんともにしかなり。 らいほんぎゃくして愚痴ぐち濛澒もうこうなり。 しんよくにしてしきするところなく、 ゆうぜんにしてだい智慧ちえありとなして、 またじゅうらいするところのしょうして趣向しゅこうするところをらず。 あへてきょうならずしててんあくぎゃくす。 そのちゅうげんにおいてきょうぎょうもうし、 長生じょうしょうてみづから不死ふしんことをほっすれども、 かならずまさにしょうごん善悪ぜんあくどうじゅすべし。 つくるところのあくおうおおおもむき、 だつするをず。 またごうしてぜんをなさしむべからず。

↠是クノ人、男子女人心意倶ナリ。違戻反逆シテ愚痴濛澒ナリ。瞋怒嗜欲ニシテ↠所↢識知スル↡、自用快善ニシテシテ↢大智慧アリト↡、亦不↠知↧所↢従来スル↡生、死シテ↦趣向スル↥。不シテ↢肯慈孝ナラ↡悪↢逆天地↡。於↢其中間↡求↢望僥倖↡、欲スレドモ↧得↢長生ミヅカムコトヲ↦不死↥、会↣帰↢就生死勤苦善悪之道↡。身↠作殃咎衆、不↠得↢度脱スルヲ↡。亦不↠可カラ↢降化シテ↟作↠善

しんをもつてきょうし、 しょう善悪ぜんあくおもむくところこれあることを開導かいどうすれども、 またこれをしんぜず。 しかればしんしてともにかたりてだつせしめんとほっすれどもやくなし。 そのひとしんちゅう閉塞へいそくしてこころかいせず、

慈心ヲモテ教語、開↢導スレドモ生死善悪所↠趣ルコトヲ↟是、復不↠信↠之。然レバ苦心シテリテスレシドモ↠令メムト↢度脱↡無↠益。其0278人心中閉塞意不↢開解↡、

だいみょうまさにいたらんとするに、 ときいたりてみなゆ。 そののちにすなはちゆれどもまさにまたなんぞおよぶべき。 あらかじめぜんせずしてきわまるにのぞみてなんのやくかあらん。

大命将スルニ↠至ラムト、至リテ↠時皆悔。其ユレドモ↢復何↡。不シテ↢予↟善ミテ↠窮マルニカアラム

てんのあひだにどうぶんみょうに、 恢廓かいかくようちょう浩々こうこう茫々もうもうたり。 うたたあひ善悪ぜんあく毒痛どくつうじょうじゅして、 みづからこれにあたりてかわるものあることなし。 どうねんなり、 そのしょぎょうしたがひてみょうひてしょうずるところ、 じゅうしゃすることをず。

天地之間五道分明、恢廓窈窕、浩浩茫茫タリ。転相承↢受シテ善悪毒痛↡、身自リテ↠之↠有ルコト↢代者↡。道之自然ナリ、随ヒテ↢其所行ヒテ↠命所↠生ズル、不↠得↢縦捨スルコトヲ↡。

善人ぜんにんぜんぎょうぜんしたがきょうなれば、 らくよりらくり、 みょうよりみょうる。 悪人あくにんあくぎょうじて、 よりり、 みょうよりみょうる。 たれかよくるものあらん。 ひとぶつけんしたまへるのみ。 人民にんみんきょうしたまへども信用しんようするものはすくなし。 しょうまず、 悪道あくどうえず。 かくのごときのにん、 ことごとくいふべからず。

善人↠善↠善慈孝ナレバ、従↠楽入↠楽、従↠明入↠明。悪人ジテ↠悪、従↠苦入↠苦、従↠冥入↠冥。誰アラム。独知見シタマヘル耳。教↢語シタマヘドモ人民↡信用スル。生死不↠休、悪道不↠絶。如キノ↠是クノ世人、不↠可カラ↢悉↡。

ゆゑにねんないきんじゅう薜茘へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢自然泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動之類↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをいつつの大悪だいあくいつつのつういつつのしょうとなす。 ごんかくのごとし、 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢五大悪・五痛・五焼↡。勤苦如↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ごんぎょうあひかなひてなすところじょうかたるところことばのごとくして、 しんてんぜずしてひと衆善しゅぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをいつつの大善だいぜんとなす。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、言行相カナヒテ所↠作至誠所↠語クシテ↠語、心口不シテ↠転衆善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢五大善↡。

【29】ぶついつさつらにげたまはく、 われみななんぢらにかたる、 このあくごんかくのごとし。 つうおこさしめしょうおこさしめて展転てんでんしてあひしょうず、

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等↡、我皆語ナンヂ↡、是五悪勤苦如↠是クノ。令↠起↢五痛↡令メテ↠起↢五焼↡展転シテ相生

けん人民にんみんぜんをなすことをがえんぜずして衆悪しゅあくをなさんとほっす。 あへてこのもろもろのあくおかすことあるものは、 みなことごとくねんにまさにかはるがはるつぶさに悪道あくどうのなかにるべし。

世間人民不シテ↠肯↠為スコトヲ↟善↠作サムト↢衆悪↡。敢↠犯スコト↢此悪事↡者、皆悉自然カハルガハ↢悪道↡。

あるいはそれこんにはまづびょうおうこうむりてしょうず。 しゅしめしてこれをしむ。 寿いのちおわりてはごくだいしゅにゅうし、 しゅうつう酷毒こくどくし、 みづからあひしょうねんしてうたたあひしょうめつするなり。

イハ今世ニハリテ↢病殃↡死不↠得0279。示シテ↠衆シム↠之。寿終リテハ趣↢入至極大苦↡、愁痛酷毒、自燋然シテ相焼滅スルナリ

そののちいたりてともにおんとなりてたがひにしょうせつす。 しょうよりおこりてだいこんぎゃくいたる。 みな財色ざいしき貪淫とんいんしあへて忍辱にんにくして施与せよせざるによりてなり。 おのおのみづからこころよくせんことをほっして、 またこくちょくあることなく、 ごんみょうんことをほっすれども、 よくせまるところとなり、 こころしたがひてそうし、 ることあたはず。 いきどおりを胸中きょうちゅうむす財色ざいしき縛束そくばくせられ、 だつすることあることなし。

リテ↢其↡共リテ↢怨家更相 タガヒ 傷殺。従↢小微↡起リテ↢大困劇↡。皆従リテナリ↧貪↢淫財色↡不ルニ↦肯忍辱シテ施与↥。各シテ↢自クセムコトヲ↡、無↣復有ルコト↢曲直↡、欲スレドモ↠得ムコトヲ↢健名↡、為↢痴欲↟迫、随ヒテ↠心思想、不↠能↠得ルコト也。結↢憤胸中↡財色縛束セラレテ、无↠有ルコト↢解脱スルコト↡。

厭足えんそくらずして、 おのれをあつくしよくあらそひてしょうろくするところなし。 すべて義理ぎりなくしょうどうしたがはず。 ようなれどもときあたりてこころこころよくし、 忍辱にんにくすることあたはず、 ぜんほどこすことをらず。 せいいくばくもなくしてあくみょうしたがひてこがし、 ろうしてひさしくしてのちにおほきにはげし。

シテ↠知↢厭足↡、厚クシ↠己ヒテ↠欲↠所↢省録スル↡。都↢義理↡不↠随↢正道↡。富貴栄華ナレドモリテ↠時クシ↠意、不↠能↢忍辱スルコト↡、不↠知↠施スコトヲ↠善。威勢无クシテ↠幾クモヒテ↢悪名↠身、坐シテ↢労苦↡久シクシテ

ねん随逐ずいちくしてけやむことあることなし。 王法おうぼうちょうしてねんし、 じょう相応そうおうしてもうこう々げいげい忪々しゅじゅとしてまさにそのなかにるべし。 こんにこれあり。 いたましきかな、 いたむべし。

自然随逐シテ↠有ルコト↢解ムコト↡。王法施張シテ自然糺挙、上下相応シテ羅網綱紀、忪忪トシテ↠入↢其↡。古今↠是。痛マシキ哉、可↠傷

ぶついつさつらにかたりたまはく、 もしにこれあらんに、 ぶつみなねんしてこれをあわれみ、 じんをもつて衆悪しゅあくしょ摧動さいどうし、 みなこれをしょうしたまふ。 あくりてぜんしょえんしてきょうかい奉持ぶじすることをしめ、 きょうぼうじょうぎょうせざるはなく、 あへて度世どせ無為むい泥洹ないおんどうぜん極楽ごくらくにしてじんみょうごくなるをしつせずと。

仏語リタマハク↢阿逸菩薩等↡、若ラムニ↠是、仏皆慈愍シテ↠之、威神ヲモテ摧↢動衆悪諸事↡、皆消↢化シタマフ↡。令↠得↧去リテ↠悪↠善棄↢捐シテ所思↡奉↦持スルコトヲ経戒↥、莫↠不ルハ↤承↢施↣行経法↡、不↣敢違↢失度世・無為・泥洹之道快善極楽ニシテ甚明无極ナルヲ↡。

ぶつのたまはく、 なんぢら諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんおよび後世ごせひとぶつきょうてつらつらこれをゆいして、 よくみづからそのなかにおいてこころただしくしおこなひをただしくすべし。

仏言ナンヂ諸天・帝王・人民及後世人、得↢仏経語↡熟ツラ思↢惟シテ↡、能↢其↡端シクシ↠心シクスベシ↠行

そのしゅじょうぜんをなしそのしもそっけんして、 人民にんみんきょうしうたたあひ敕令ちょくりょうし、 うたたともにぜんをなしうたたあひだつせよ。 おのおのみづからただしくまもにん愍哀みんあいして、 しゅうしんおこたらざれ。 しょうとうときょううやま通洞つうどう博愛はくあいにして、 ぶつ教令きょうりょうはあへて虧負きぶすることなく、 まさにうれへて度世どせ泥洹ないおんどうたるべし。 まさにうれへてしょう痛痒つうよう断截だんぜつあく根本こんぽんくべし。 まさにうれへてないきんじゅう薜茘へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあっどう断絶だんぜつすべし。 まさにぶっつとめてかたきょうどうたもちてあへてしっすることなかるべしと。

上為↠善率↢化撿↣御シテ↡、教↢語人民↡転相敕令、転↠善相度脱セヨ。各シク慈仁愍哀シテ、終身不オコタ。尊↠聖↠孝通洞博愛ニシテ、仏語教令↢敢虧負スルコト↡、当↢憂ヘテ度世・泥0280洹之道タル↡。当↧憂ヘテ断↢截生死痛痒↡抜↦悪根本↥。当↣憂ヘテ断↢絶泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動之類悪苦之道↡。当シトメテ↢仏世↡堅チテ↢経道↡無カル↦敢スルコト↥也。

ぶつのたまはく、 なんぢらまさにぜんをなすべきものはいかん、 第一だいいちきゅうにまさにみづからただしくすべし、 まさにみづからこころただしくすべし、 まさにみづからただしくすべし、 まさにみづからみみただしくすべし、 まさにみづからはなただしくすべし、 まさにみづからくちただしくすべし、 まさにみづからただしくすべし、 まさにみづからあしただしくすべし。 よくみづから撿斂けんれんしてみだりにどうすることなく、 身心しんしんじょうけつにしてともによく相応そうおうし、 ちゅう約束やくそくしてよくしたがふことなく、 諸悪しょあくおかさざれ。

仏言ナンヂ↠作↠善云何、第一急↢自シクス↟身、当↢自シクス↟心、当↢自シクス↟目、当↢自シクス↟耳、当↢自シクス↟鼻、当↢自シクス↟口、当↢自シクス↟手、当↢自シクス↟足。能シテ↢妄動作スルコト↡、身心浄潔ニシテ相応、中外約束シテ↠随フコト↢嗜欲↡、不↠犯↢諸悪↡。

言色ごんしきつねにす。 しんぎょうまさにせんなるべし。 ぎょう坐起ざきどうぜず、 をなさばなすところまさにまづつらつらりょしてこれをはかるべし。 才能ざいのうたくし、 えんせんし、 あんじょうにしておもむろにこれを作為さいすべし。 をなすこと倉卒そうそつにして、 あらかじめじゅくせずしてこれをなしてあきらかならざればその功夫くふうしなふ。 はいのちにあればいたづらにくるしみてほろぼす。 じょうちゅうしんにしてどうぜっすべしと。

言色。身行当↠専ナル。行歩坐起不↠動、作サバ↠事所↠為↢先ツラ思慮シテ↟之。揆↢度才能↡、視↢瞻円規↡、安定ニシテ作↢為スベシ↡。作スコト↠事倉卒ニシテ、不シテ↢予熟計↡為シテ↠之レバ↠諦ナラ↢其功夫↡。敗悔在レバイタヅラミテボス↠身。至誠忠信ニシテ↠道絶去スベシト

ぶつのたまはく、 なんぢらここにおいてますます諸善しょぜんをなして、 おんとくほどこしてよく道禁どうきんたず、 忍辱にんにくしょうじん一心いっしん智慧ちえをもつて、 展転てんでんしてまたあひきょうしてぜんをなしとくをなせ。 かくのごときのきょうぼうしん専一せんいつにして、 斎戒さいかい清浄しょうじょうなること一日いちにちいちなれば、 りょう清浄しょうじょうぶつくににおいてぜんをなすことひゃくさいなるにすぐれり。

仏言ナンヂ↠是マスシテ↢諸善↡、布↠恩シテ↠徳不↠↢道禁↡、忍辱・精進・一心・智慧ヲモテ、展転シテ復相教化シテ↠善↠徳。如キノ↠是クノ経法、慈心専一ニシテ、斎戒清浄ナルコト一日一夜ナレバ者、勝レリ↢无量清浄仏↡作スコト↠善百歳ナルニ↥。

ゆゑはいかん。 りょう清浄しょうじょうぶつくにはみなとく衆善しゅぜんむこと無為むいねんにしてしゃくするところのごとくありて、 諸悪しょあくのおほきさ毛髪もうはつのごとくなるものもあることなければなりと。

所以者何。無量清浄仏皆積ムコト↢徳衆善↡无為自然ニシテリテ↠所ノゴトク↢求索スル↡、無ケレバナリト↠有ルコト↣諸悪キサクナルモノモ↢毛髪↡。

ぶつのたまはく、 ここにおいてぜんをなすことじゅうにちじゅうなれば、 そのふくることほう仏国ぶっこくのなかの人民にんみんぜんをなすこと千歳せんざいなるにすぐれり。

仏言、於↠是スコト↠善十日十夜ナレバ者、其ルコト↠福レリ↢於他方仏国人民スコト↠善千歳ナルニ↡。

ゆゑはいかん。 ほう仏国ぶっこくはみなことごとくぜんをなすに、 ぜんをなすものはおおあくをなすものはすくなし、 みなねんのものありて、 求作ぐさぎょうぜずしてすなはちおのづからこれをればなり。

所以者何。他方仏国皆悉スニ↠善、作↠善↠悪、皆有リテ↢自然之物↡、不シテ↠行↢求作↡便レバナリ↠之0281

このけんあくをなすものはおおぜんをなすものはすくなし、 求作ぐさぎょうぜざればることあたはず。 ひとよくみづからただしくせいしてぜんをなし、 しんどうもとむ、 ゆゑによくしかるのみ。 このけんねんなることあることなく、 きゅうすることあたはず、 まさにしゃくぎょうじてごんしてしょうすべし。 うたたあひだい調じょうしてあくこのみ、 その財物ざいもつさいきゅうす。 どくくらこころろうくるしむ。 かくのごとくにしていたおわるに、 しんせんならずしゅうせんとしてやすからず。

↠悪↠善、不レバ↠行↢求作↡不↠能↠得ルコト也。人能シクシテ↠善、至心↠道、故耳。是↠有ルコト↢自然ナルコト↡、不↠能↢自給スルコト↡、当↧行ジテ↢求索↡勤苦シテ治生↥。転相欺調作シテ↠悪、得↢其財物↡帰↢給妻子↡。飲↠苦↠毒↠心↠身。如クニシテ↠是クノルニ、心意不↠専ナラ周旋トシテ不↠安カラ

ひとよくみづからあんじょうにしてぜんをなししょうじんしてとくをなす、 ゆゑによくしかるのみと。

人能安静ニシテ↠善精進シテ↠徳、故

ぶつのたまはく、 われみななんぢらおよび諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんあわれみて、 みなおしへて諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざらしむ。 その所能しょのうしたがひてすなはちどうきょうかいじゅ開導かいどうして、 ことごとくこれをぎょうせしむ。

仏言、我皆哀ミテナンヂ諸天・帝王・人民↡、皆教ヘテ↧作↢諸善↡不↞為↢衆悪↡。随ヒテ↢其所能↡輒授↢与教戒↡開導シテ、悉奉↢行セシム↡。

すなはちくんそっしてぜんをなしてしん教令きょうりょうし、 ちちはそのおしへ、 あにはそのおとうとおしへ、 おっとはそのつまおしへ、 しっない親属しんぞくほう、 うたたあひきょうして、 ぜんをなしどうをなしきょうほうかいたもち、 おのおのみづからただしくまもりてじょうあひいましめ、 そんとなくとなく、 おとことなくおんなとなく、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにしてかんせざるはなし。 義理ぎりじゅんしてかんらくきょうし、 みづからあひ約撿やくけんす。

率化シテシテ↠善教↢令臣下↡、父↢其↡、兄↢其↡、夫↢其↡、室家・内外・親属・朋友、転相教語シテ、作↠善↠道↠経↠戒シクリテ上下相イマシ、無↠尊↠卑、無↠男↠女、斎戒清浄ニシテ↠不ルハ↢歓喜↡。和↢順シテ義理歓楽慈孝、自相約撿

それぶつきょうることあらば、 ことごとくたもちてこれをおもへ。 まさにしょすべからざるをおかすがごとくにこれをなさば、 すなはちみづから悔過けかせよ。 あくりてぜんき、 じゃててしょうをなし、 あしたきてゆうべあらためて、 きょうかい奉持ぶじすればはげしきこと貧人ひんにんたからるがごとし。

ラバ↠得ルコト↢仏経語↡、悉チテ↠之。不ルヲ↠当カラ↢所作↡如クニ↠犯スガサバ↠之、則悔過セヨ。去リテ↠悪↠善、棄テテ↠邪↠正、朝キテメテ、奉↢持スレバ経戒↡劇シキコト↢貧人ルガ↟宝

ぶつしょぎょうところ所在しょざい郡国ぐんこくにはすなはちきょうかいじゅす。 諸天しょてんにちがつしょうしん諸神しょじん国王こくおう傍臣ぼうしんちょう人民にんみんしょりゅうじんないきんじゅうも、 けてこれをぎょうす。

所行処、所在郡国ニハ授↢与経戒↡。諸天・日・月・星辰・諸神・国王・傍臣・長吏・人民・諸竜・鬼神・泥犁・禽獣、承ケテ奉↢行↡。

すなはちくんがいしてぜんをなし、 斎戒さいかいしょうしてきよくみづからすすあらひ、 こころただしくしおこなひをただしくせん。 くらいしてごんひょうにして、 教敕きょうちょくしゅひきゐてぜんをなし、 道禁どうきんぎょうしてごんりょうをしてましむ。 しんはそのくんつかへて、 ちゅうじきりょうけてあへて違負いぶせず。 父子ぶしごんりょう孝順きょうじゅんじょうじゅし、 きょうだいふうそうしんほうじょうあひりょうして、 ことばしたがす。 そんだいしょう、 うたたあひきょうするに、 らいをもつてしかなひあひ違負いぶせず。

君改化シテ↠善、斎戒精思シテ、端シクシ↠心シクセム↠行。居シテ↠位厳慓ニシテ、教敕ヰテ↠衆↠善、奉↢行シテ道禁↡令↢言令ヲシテ↡。臣ヘテ↢其↡、忠直ケテ↠令0282↢敢違負↡。父子言令孝順承受、兄弟・夫婦・宗親・朋友上下相令シテ、順↠言↠理。尊卑・大小、転相敬事スルニ、以テシ↠礼カナ↠義不↢相違負↡。

おうあらたらいしゅこころそそおこなひをおさめずといふことなく、 中表ちゅうひょうたんじょうにしてねんぜんをなし、 ねがふところすなはちかんて、 よくごうすることねんどうなり。 不死ふしよくすればすなはちちょう寿じゅべし。 度世どせよくすればすなはち泥洹ないおんどうべしと。

↠不トイフコト↢改↠往↠来↠心ヲサ↟行、端↢正ニシテ中表↡自然↠善、所↠願↠感、善降化スルコト自然之道ナリ。求↢欲スレバ不死↡則↠得↢長寿↡。求↢欲スレバ度世↡則シト↠得↢泥洹之道↡。

ぶつのたまはく、 ぶつじんそんじゅうにして、 あくぜんして、 だつせざるはなし。 いまわれてんでて、 このあくのなかにありて、 においてぶつとなり、 みんあいしょうきょう開道かいどうす。 諸天しょてん帝王たいおう傍臣ぼうしん左右さうちょう人民にんみん、 そのこころほっがんぎょうするところにしたがひて、 みなどうしむ。

仏言、仏威神尊重ニシテ、消↠悪シテ↠善、莫↠不ルハ↢度脱↡。今我出デテ↢於天下↡、在リテ↢是↡、於↢苦↡作↠仏、慈愍哀傷教語開道。諸天・帝王・傍臣・左右・長吏・人民、随ヒテ↣其↢欲願楽スル↡、皆令↠得↠道

ぶつのもろもろのしょぎょうところ、 さらにるところの郡国ぐんこく県邑けんおうじゅ市里じりじゅくせざるはなし。 てんたいびょうにして、 日月にちがつうんしょうますますみょうこうに、 ふうせつありて人民にんみん安寧あんねいならん。 つよきはよわきをしのがず、 おのおのそのところて、 悪歳あくさい疾疫しっぺいなく、 びょうしゅするものなく、 ひょうかくおこらず、 くに盗賊とうぞくなく、 怨抂おんおうあることなく、 へいせらるるものあることなからん。

所行処、所↢更↡郡国・県邑・丘聚・市里、莫↠不ルハ↢豊熟↡。天下太平ニシテ、日月運照倍益マスマス明好、風雨時節アリテ人民安寧ナラム。強キハ不↠↠弱キヲ、各↢其↡、無↢悪歳・疾疫↡、無↢病痩スル者↡、兵革不↠起、国↢盗賊↡、無↠有ルコト↢怨抂↡、无カラム↠有ルコト↢拘閉セラルル者↡。

君臣くんしん人民にんみんかんせざることなく、 ちゅうじょうにして、 おのおのみづからただしくまもり、 みなねんくにまもり、 よう孝順きょうじゅんにして、 かんせざるはなからん。 有無うむあひともにおんとくほどこして、 こころかんらくしともにみなあひきょうあいして、 ざいゆずりまづぜんけんじょうして、 らいをもつてきょうすることちちのごとくのごとく、 あにのごとくおとうとのごとくにして、 仁賢にんげんじゅん礼節らいせつならざることなく、 すべてじょうなくぜんきわまりなからんと。

君臣人民莫↠不ルコト↢歓喜↡、忠慈至誠ニシテ、各シク、皆自然↠国、雍和孝順ニシテ、莫カラム↠不ルハ↢歓楽↡。有无相与↠恩シテ↠徳、心歓楽皆相敬愛シテ、推↠財↠義謙↢譲シテ於先前後↡、以↠礼敬事スルコト↠父↠子、如↠兄クニシテ↠弟、莫↠不ルコト↢仁賢・和順・礼節ナラ↡、都↢違諍↡快善無カラムト↠極

ぶつのたまはく、 われなんぢらをあわれみて、 これをだつせんとほっすること父母ふぼおもふよりもはげし。 いま八方はっぽうじょう諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいぶつきょうかい仏道ぶつどうぎょうし、 みなみょうこころことごとくかいして、 憂苦うく過度かどだっすることをざるものなし。 いまわれぶつとなり、 あくつうしょうのなかにありて、 あくごうし、 つうしょうじんし、 しょう絶滅めつじんして、 ぜんをもつてあくどっりて、 ぜんしめてあきらかにこのましく、 しょうあくおこらざらしむ。

仏言、我哀ミテナンヂ↡、欲スルコト↣度↢脱セムト↡劇↢父母フヨリモ↟子。今八方上下諸天・帝王・人民及蜎飛蠕動之類、得↢仏経戒↡奉0283↢行仏道↡、皆得↢明慧↡心悉開解シテ、莫↧不得↤過↢度スルコトヲ↣憂苦↡者↥。今我作↠仏、在リテ↢於五悪・五痛・五焼之中↡、降↢化五悪↡、消↢尽五痛↡、絶↢滅シテ五焼↡、以↠善↠悪↢去リテ毒苦↡、令メテ↠得↢五善↡明カニシク、焼・悪不ラシム↠起

われはつ泥洹ないおんりてのちきょうどうやや断絶だんぜつし、 人民にんみんてんにしてあつ衆悪しゅあくをなしまたぜんをなさざれば、 しょうまたおこり、 つうぎゃく、 またさきほうのごとく、 ねん還復げんぶくひさしくしてのちうたたはげしからん。 ことごとくくべからず。 われただなんぢらがためにすこしくこれをいふのみと。

我般泥洹リテ後、経道稍稍断絶、人民諛諂ニシテ↢衆悪↡不レバ↢復作↟善、五焼復起、五痛劇苦、復如↢前↡、自然還復シクシテ後転シカラム。不↠可カラ↢悉↡。我但為ナンヂ↡小シク↠之

ぶついつさつらにげたまはく、 なんぢらおのおのおもひてこれをたもて。 展転てんでんしてあひきょうかいし、 ぶつきょうぼうのごとくにしてあへておかすことなかれと。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等↡、ナンヂヒテ↠之。展転シテ相教戒、如クニシテ↢仏経法↡無レト↢敢スコト↡也。

いつさつじょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつきたまふところはなはだつうなり。 にんあくをなすことはなはだはげしきことかくのごとくかくのごとし。 ぶつみなあいしてことごとくこれをだつしたまふと。 みなまうさく、 ぶつ重教じゅうきょうけたまへり、 ねがはくは展転てんでんしてそうじょうしあへておかさずと。

阿逸菩薩長跪叉手シテ、仏所↠説キタマフ苦痛ナリ。世人為スコト↠悪シキコト↠是クノ↠是クノ。仏皆慈哀シテ度↢脱シタマフト↡。皆言、受ケタマヘリ↢仏重教↡、ネガハクハ展転シテ↢敢↡也。

二 Ⅴ 霊山現土

【30】ぶつなんげたまはく、 われなんぢらをあわれみて、 ことごとくりょう清浄しょうじょうぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんしょこくしめん。 なんぢこれをることをほっするやいなやと。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、我哀ミテナンヂ↡、メム↣悉見↢无量清浄仏及菩薩・阿羅漢所居国土↡。若欲スルヤ↠見ルコトヲ↠之ヤト

なんすなはちおほきによろこび、 じょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ねがはくはみなこれをることをほっすと。

阿難則、長跪叉手シテ、願クハ皆欲スト↠見ルコトヲ↠之

ぶつのたまはく、 なんぢちてあらためて袈裟けさ西にしむかひてはいし、 もっするところあたりてりょう清浄しょうじょうぶつのためにらいをなし、 めんをもつてけ、 南無なもりょう清浄しょうじょうびょうどうがくといへと。

仏言、若起チテメテ↢袈裟↡西ヒテ、当リテ↢日スル↡為↢无量清浄仏↡作↠礼、以↢頭面↡著↠地、言ヘト↢南無無量清浄平等覚↡。

なんまうさく、 だくきょうけてすなはちち、 あらためて袈裟けさ西にしむかひてはいし、 所没しょもつところあたりて、 りょう清浄しょうじょうぶつのためにらいをなし、 のうをもつてけて、 南無なもりょう清浄しょうじょうびょうどうがくといふ。

阿難言、諾、受ケテ↠教、更メテ↢袈裟↡西ヒテ、当リテ↢日所没↡、為↢无量清浄仏↡作↟礼、以↢頭脳↡著ケテ↠地、言↢南無無量清浄平等覚↡。

なんいまだたざるに、 りょう清浄しょうじょうぶつすなはちおほきにこうみょうじんはなちて、 すなはち八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅ仏国ぶっこくへんす。 てんすなはちみなためにおほきに震動しんどうし、 諸天しょてん央数おうしゅてんしゅせんほう摩訶まかしゅ大山だいせんほう、 もろもろのてん大界だいかいしょうかい、 そのなかのしょだいないしょうない、 もろもろの山林せんりん渓谷けいこくゆうみょうところ、 みなすなはちだいみょうにして、 ことごとくみなおほきにかいびゃくす。

阿難未ルニ↠起、无量清浄仏便チテ↢光明威神↡、則↢八方上下0284無央数仏国↡。天地則皆為震動、諸天无央数天地、須弥山羅宝・摩訶須弥大山羅宝、諸天地、大界・小界、其諸有大泥犁・小泥犁、諸山林・渓谷・幽冥之処、皆則大明ニシテ、悉皆大開闢

すなはちなん、 もろもろのさつ阿羅あらかんとう諸天しょてん帝王たいおう人民にんみん、 ことごとくみなりょう清浄しょうじょうぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんこく七宝しっぽうをはりて、 こころみなおほきにかんやくして、 ことごとくちてりょう清浄しょうじょうぶつのためにらいをなし、 のうをもつてけて、 みな南無なもりょう清浄しょうじょうさんみゃくさんぶっといふ。

阿難、諸菩薩・阿羅漢等、諸天・帝王・人民、悉皆見↢无量清浄仏及菩薩・阿羅漢国土七宝↡已リテ、心皆大歓喜踊躍シテ、悉チテ↢无量清浄仏↡作↠礼、以↢頭脳↡著ケテ↠地、皆言↢南無無量清浄三藐三仏陀↡。

りょう清浄しょうじょうぶつはなてるこうみょうじんありて、 すでにもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい、 みなことごとくりょう清浄しょうじょうぶつこうみょうたてまつるに、 しんをもつてかんしてぜんをなさざるものなし。 しょないきんじゅう薜茘へいれいしょこうごんところ、 すなはちみな休止くししてまたせず、 憂苦うくだつせざるものなし。

无量清浄仏テル光明威神アリテ、已無央数天・人民及蜎飛蠕動之類、皆悉タテマツルニ↢无量清浄仏光明↡、莫↧不↢慈心ヲモテ歓喜シテ↟善者↥。諸有泥犁・禽獣・薜茘、諸有考治勤苦之処、則皆休止シテ不↢復治↡、莫↧不↣解↢脱憂苦↡者↥。

しょ盲者もうじゃはすなはちみなることを、 もろもろのびゃく蹇者けんじゃは、 すなはちみなはしくことを、 もろもろのびょうしゃはすなはちみなえてち、 もろもろの尫者おうしゃはすなはちみな強健ごうごんに、 愚痴ぐちしゃはすなはちみなさらにがちに、 しょ婬泆いんいつしんしゃは、 みなことごとくしんをもつてぜんをなし、 しょどくこうむるものはどくみなめぐらず、 しゅ琴瑟きんしつ箜篌くごがっしょせざるにみなおのづからおんじょうをなし、 にょ珠環しゅかんはみなおのづからこえをなし、 百鳥ひゃくちょうちくじゅうみなおのづからみょうす。

諸有盲者皆得↠視ルコトヲ、諸跛躄蹇者、則皆得↢走クコトヲ↡、諸病者皆愈エテ、諸尫者皆強健、愚痴者皆更黠慧、諸有泆・瞋怒者、皆悉慈心ヲモテ↠善、諸有↠毒毒皆不↠メグ、鍾鼓・琴瑟・箜篌楽器諸伎ルニ↠鼓皆自↢音声↡、婦女珠環皆自↠声、百鳥畜獣皆自悲鳴

このときあたりて、 かんして過度かどざるものなし。 すなはちときにちしょ仏国ぶっこくちゅう諸天しょてんにんてんじょうこうちてきたくだり、 くうのなかにおいてことごとくみな諸仏しょぶつおよびりょう清浄しょうじょうぶつうえようさんぜざるはなし。 諸天しょてんおのおのともにおほきに万種まんじゅねんがくをなして、 諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんたのしましむ。 このときあたりて、 はなはだらくすることいふべからず。

リテ↢是之時↡、莫↧不↣歓喜シテ得↢過度↡者↥。則爾日、諸仏国中諸天・人莫↠不ルハ↫持チテ↢天上華香↡来、於↢虚空↡悉皆供↩養0285↪諸仏及无量清浄仏↨。諸天各シテ↢万種自然伎楽↡、楽マシム↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。当リテ↢是之時↡、甚快楽スルコト不↠可カラ↠言

ぶつなんいつさつらにげたまはく、 われりょう清浄しょうじょうぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんこくねん七宝しっぽうくに、 まさにことなることなきやと。

仏告ゲタマハク↢阿難・阿逸菩薩等↡、我説クニ↢无量清浄仏及菩薩・阿羅漢国土自然七宝↡、当↠有ルコト↠異乎

なんじょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつりょう清浄しょうじょうぶつこくぜんなることをきたまふ。 ぶつくところのごとくひとつもことなることあることなしと。

阿難長跪叉手シテ、仏説キタマフ↢無量清浄仏国土快善ナルコトヲ↡。如↢仏↟説シト↠有ルコト↢一ツモナルコト↡。

ぶつのたまはく、 われりょう清浄しょうじょうぶつどくこくぜんかんに、 ちゅう一劫いっこうすともなほまたいまだへず。 われただなんぢらがためにすこしくこれをくのみと。

仏言、我説カムニ↢無量清浄仏功徳、国土快善↡、昼夜一劫ストモ尚復未↠竟。我但為ナンヂ↡小シク↠之

二 Ⅴ 十方来生

いつさつすなはちじょう叉手しゃしゅして、 ぶつひたてまつりてまうさく、 今仏こんぶつくにはこのけんよりまさにいくばくのゆいおっさつありてかりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべき。 ねがはくはこれをかんと。

阿逸菩薩則長跪叉手シテ、問ヒタテマツリテ↠仏、今仏↢是間↡当↧有リテカ↢幾クノ阿惟越致菩薩↡往↦生无量清浄仏↥。願クハカムト↠之

ぶつのたまはく、 なんぢらんとほっせば、 あきらかにきてしんちゅうけよと。 いつさつまうさく、 きょうけんと。

仏言、若欲セバ↠知ラムト者、明カニキテケヨト↢心中↡。阿逸菩薩言、受ケムト↠教

ぶつのたまはく、 わがくによりまさにしちひゃくじゅうおくゆいおっさつありて、 みなりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。 ひとりのゆいおっさつは、 ぜん央数おうしゅ諸仏しょぶつようし、 もつていでろくのごとし。 みなまさにぶつすべし。 およびそののもろもろのしょうさつともがらは、 央数おうしゅにしてまたかぞふべからず、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

仏言、従↢我国↡当↧有リテ↢七百二十億阿惟越致菩薩↡、皆往↦生無量清浄仏↥。一阿惟越致菩薩者、前後供↢養无央数諸仏↡、以イデ↢弥勒↡。皆当↢作仏↡。及小菩薩輩者、無央数ニシテ不↠可カラ↢復計↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ぶついつさつげたまはく、 ただわがこくちゅうのもろもろのさつのみまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべきにあらず。 ほうこくにまたぶつましましてまたかくのごとし。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩↡、不↤但我国中菩薩ノミキニ↣往↢生無量清浄仏↡。他方異国復有シテ↠仏亦復如↠是クノ

第一だいいちぶつ光遠こうおんしょうづく。 そのくにひゃくはちじゅうおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

第一↢光遠↡。其↢百八十億菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこくだいぶつあり、 ぶつほうしゃくづく。 そのくにじゅうおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第二アリ、仏↢宝積↡。其↢九十億菩薩↡、皆当0286↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこく第三だいさんぶつじゅ無垢むくづく。 ひゃくじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第三↢儒無垢↡。有↢二百二十億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏↡。

ほうこくだいぶつごくこうみょうづく。 そのくにひゃくじゅうおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第四↢無極光明↡。其↢二百五十億菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこくだいぶつ於世おせじょうづく。 そのくにろっぴゃくおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第五↢於世无上↡。其↢六百億菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこく第六だいろくぶつ勇光ゆうこうづく。 そのくにまんせんさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第六↢勇光↡。其↢万四千菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこく第七だいしちぶつそくきょうらくづく。 そのくにじゅうおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第七↢具足交絡↡。其↢十四億菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこく第八だいはちぶつおうおうづく。 そのくにはちさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第八↢雄慧王↡。其菩薩↡、皆当↣往↢生无量清浄仏↡。

ほうこくだいぶつりき無過むかしゃづく。 そのくにはっぴゃくいちじゅうおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第九↢多力無過者↡。其↢八百一十億菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこくだいじゅうぶつきちりょうづく。 そのくに万億まんおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第十↢吉良↡。其↢万億菩薩↡、皆当↣往↢生无量清浄仏↡。

ほうこくだいじゅういちぶつべんづく。 そのくにまんせんさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第十一↢慧弁↡。其↢万二千菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ほうこくだいじゅうぶつじょうづく。 そのくににもろもろのさつあり、 央数おうしゅにしてまたかぞふべからず。 みなゆいおっなり。 みな智慧ちえゆうみょうにして、 おのおの央数おうしゅ諸仏しょぶつようしをはりて、 いちにともにこころがんじておうじょうせんとほっして、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにしょうずべし。

他方異国第十二無上華↡。其↢諸菩薩↡、无央数ニシテ不↠可カラ復計↡。皆阿惟越致ナリ。皆智慧勇猛ニシテ、各供↢養無央数諸仏リテ、一時ジテシテ↢往セムト↡、皆当↠生↢无量清浄仏↡。

ほうこくだいじゅうさんぶつらくだいみょうおんづく。 そのくにしちひゃくじゅうおくさつあり、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。

他方異国第十三↢楽大妙音↡。其↢七0287百九十億菩薩↡、皆当↣往↢生無量清浄仏↡。

ぶつのたまはく、 このもろもろのさつはみなゆいおっなり。 もろもろの比丘びくそうちゅうしょうさつともがらおよぶまで央数おうしゅなり。 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし。 ひとりこのじゅう仏国ぶっこくのなかのもろもろのさつのみまさにおうじょうすべきにあらず。 すべて八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくのもろもろのさつともがら、 おのおのかくのごとし、 みなまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし、 それ央数おうしゅなり。 すべてともにきてりょう清浄しょうじょうぶつくにす、 おほきにしゅにしてまたかぞふべからず↡。

仏言、是菩薩皆阿惟越致ナリ。諸比丘僧中ブマデ↢小菩薩↡无央数ナリ。皆当↣往↢生無量清浄仏↡。不↣独十四仏国菩薩ノミキニ↢往生↡也。都八方上下無央数仏国菩薩輩、各各如↠是クノ、皆当↣往↢生无量清浄仏↡、其無央数ナリ。都キテ↢無量清浄仏↡、大衆多ニシテ不↠可カラ↢復計↡。

われただ八方はっぽうじょう央数おうしゅぶつみょうかんに、 ちゅう一劫いっこうすともなほいまだへず。 われただまた仏国ぶっこくのもろもろの比丘びくそうのもろもろのさつのまさにりょう清浄しょうじょうぶつくにおうじょうすべし人数にんじゅかんに、 これをくこと一劫いっこうにして休止くしせざるもなほいまだへず。 われただなんぢらがために総攬そうらんしてすべてすこしくこれをくのみと。

我但説カムニ↢八方上下無央数名字↡、昼夜一劫ストモ尚未↠竟。我但復説カムニ↧仏国比丘僧菩薩↣往↢生无量清浄仏↡人数↥、説クコト↠之一劫ニシテルモ↢休止↡尚未↠竟。我但為ナンヂ↡総攬シテシク↠之

流通分
  弥勒領解

【31】ぶつなんいつさつらにかたりたまはく、 それけん帝王たいおう人民にんみん善男ぜんなんぜん女人にょにんぜん宿命しゅくみょうぜんぎょうじていたすところの相禄そうろく、 すなはちまさにりょう清浄しょうじょうぶつみなきて、 しんをもつてかんすべし。 われこれにかわりてよろこばんと。 ぶつのたまはく、 それ善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 りょう清浄しょうじょうぶつみなき、 しんをもつてかんしていちやくし、 しん清浄しょうじょうに、 もうためにちて、 なみだづるものは、 みなぜん宿命しゅくみょう仏道ぶつどうをなせることほうぶつのごとく、 もとさつにして凡人ぼんにんにあらず。

仏語リタマハク↢阿難・阿逸菩薩等↡、其世間帝王・人民・善男子・善女人、前世宿命ジテ↠善↠致相禄、↧聞キテ↢无量清浄仏↡、慈心ヲモテ歓喜↥。我代リテ↠之セムト。仏言、其リテ↢善男子・善女人↡、聞↢無量清浄仏↡、慈心ヲモテ歓喜シテ一時踊躍、心意清浄、衣毛為チテ涙出ヅル、皆前世宿命セルコト↢仏道↡若↢他方仏↡、モト菩薩ニシテ↢凡人↡。

それ人民にんみんなん女人にょにんありて、 りょう清浄しょうじょうぶつみなきてぶつありとしんぜざるものは、 ぶつきょうしんぜず、 比丘びくそうあることをしんぜず、 しんちゅう狐疑こぎしてすべてしんずるところなきものは、 みなもと悪道あくどうのなかよりきたしょうじて、 もうにしてさとらず、 宿命しゅくみょう殃悪おうあくいまだきず、 いまだまさにだつべからず。 ゆゑにしんちゅう狐疑こぎして、 信向しんこうせざるのみと。

リテ↢人民、男子・女人↡、聞キテ↢無量清浄仏↡不↠信↠有リト↠仏者、不↠信↢仏経語↡、不↠信↠有ルコトヲ↢比丘僧↡、心中狐疑シテ↠所↠信ズル、皆モト↢悪道中↡来0288ジテ、愚ニシテ不↠解、宿命殃悪未↠尽、未↠当カラ↠得↢度脱↡。故心中狐疑シテ、不↢信向↡耳

ぶつのたまはく、 われなんぢらにかたらん。 なんぢらまさになすべきところの善法ぜんぽうは、 みなまさにぎょうしてこれをしんずべし、 われはつ泥洹ないおんしてりてのちといふゆゑをもつてすることをることなかれ。 なんぢらおよび後世ごせひと、 またわれりょう清浄しょうじょうぶつくにあることをしんぜずといふことをることなかれ。 われことさらになんぢらをしてことごとくりょう清浄しょうじょうぶつこくしむ。 まさになすべきところのものは、 なんぢみづからこれをもとめよ。

仏言、我語ラムナンヂ↡。ナンヂ↠当↠作善法、皆当↢奉行シテ↟之、無↠得ルコト↠以テスルコトヲ↢我般泥洹リテトイフ↡。ナンヂ後世人、無↠得ルコト↣復言フコトヲ↢我不↟信↠有ルコトヲ↢无量清浄仏国↡。我故ラニナンヂヲシテ見↢無量清浄仏国土↡。所↠当↠為、若自メヨ↠之

われつぶさになんぢらがためにきょうかいじゅんぽう道説どうせつす。 なんぢらをしてまさにぶっほうのごとくこれをたもつべし、 しつることなかれ。 われこのきょうたもちもつてなんぢらにるいす。 なんぢらまさにかたくこれをたもつべし、 みだりにこのきょうぼう増減ぞうげんするをなすことをることなかれ。

我具↢汝曹↡道↢説経戒順法↡。ナンヂヲシテ↧如↢仏↡持↞之、无↠得ルコト↢毀失↡。我持↢是↡以↢汝↡。汝曹当↢堅↟之、無ルコト↠為スコトヲ↣妄増↢減スルヲ経法↡。

特留此経

われはつ泥洹ないおんりてのちきょうどう留止るしすること千歳せんざいせん。 千歳せんざいのちきょうどう断絶だんぜつせん。 こころ所願しょがんのごとくありてみなどうべしと。

我般泥洹リテ後、経道留マルコト千歳セム。千歳後、経道断セム。在リテ↢心所願ノゴトク↡皆可シト↠得↠道

ぶつのたまはく、 ひと開導かいどうするに、 もく智慧ちえみょうだつにして、 ひとだつしてよく泥洹ないおんどうがっすることをしむ。 つねにまさにぶつきょうすること父母ぶものごとくすべし。 つねにおんねんじてまさにねんじて断絶だんぜつせざれば、 すなはちどうることはやからんと。

仏言、師開↢導スルニ↡、耳目・智慧明達ニシテ、度↢脱シテ↡令↠得↣善スルコトヲ↢泥洹之道↡。常↧慈↢孝スルコト於仏↡如クス↦父母↥。常ジテ↢師↡当ジテレバ↢断絶↡、則ルコト↠道カラムト

ぶつのたまはく、 てんぶつましますははなはだふことをがたし。 ひとほうきょうふかきことを信受しんじゅすることあるは、 またふことをがたし。 もしは沙門しゃもんありてのごとくひとのためにぶっきょうくもの、 はなはだふことをがたし。

仏言、天下↠仏者甚↠得↠値フコトヲ。人有↣信↢受スルコト師法経語キコトヲ↡者、亦難↠得↠値フコトヲ。若シハリテ↢沙門↡若↠師↠人↢仏経↡者、甚↠得↠値フコトヲ

ぶつこのきょうきたまふとき、 すなはちまん千億せんおく諸天しょてん人民にんみんみな天眼てんげんてっし、 ことごとく一心いっしんにみなさつどうをなす。 すなはちひゃくじゅうおく諸天しょてん人民にんみんみな阿那あな含道ごんどう、 すなはちはっぴゃく沙門しゃもんみな阿羅あら漢道かんどう、 すなはちじゅうおくさつ、 みなゆいおったりと。

仏説キタマフ↢是↡時、則万二千億諸天・人民皆得↢天眼↡徹視、悉一心皆為↢菩薩道↡。則二百二十億諸天・人民皆得↢阿那含道↡、則八百沙門皆得↢阿羅漢道↡、則四十億菩薩、皆得タリト↢阿惟越致↡。

ぶつきょうきをはりたまふに、 もろもろのさつ阿羅あらかん諸天しょてん帝王たいおう人民にんみん、 みなおほきにかんし、 すすおもむきてぶつのためにらいをなし、 ぶつめぐること三帀さんぞうして、 めんをもつて仏足ぶっそくけてりにき。

仏説↠経リタマフニ、諸菩薩・阿羅漢・諸天・帝王・人民、皆大歓喜、前キテ↠仏↠礼、遶ルコト↠仏0289三帀シテ、以↢頭面↡著ケテ↢仏足↡而去リニキ

 

仏説ぶっせつりょう清浄しょうじょうびょう等覚どうがくきょう かんだい

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ高麗版(初雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒷⒸⒹ瑠、 項→ⒷⒸⒹ頂、 虎→ⒷⒸⒹ琥
13字 ⒷⒸⒹになし
12字 ⒷⒸⒹになし
仏国→Ⓓ国界
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓐ
→Ⓑ
類属→ⒷⒸⒹ属転
→ⒷⒸⒹ
→Ⓑ
→Ⓑ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓑ
→◎ⒶⒷ
→Ⓒ
→ⒷⒹ→Ⓒ
蒙聾→ⒷⒸⒹ朦朧
欲益多→ⒸⒹ殺盜無
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒸⒹ
→ⒸⒹ
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ相[仮]
→ⒸⒹ貴[長]
→ⒷⒸⒹ
→Ⓐ
→◎ⒷⒸⒹ
→Ⓑ
→ⒸⒹ
→Ⓑ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ比[如]
→ⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒶⒷⒸ
→Ⓐ→Ⓑ
→◎ⒶⒸⒹ
其有→ⒷⒸⒹ有其
→Ⓐ
→ⒷⒸ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓑ
→Ⓓ
→Ⓐ
→ⒶⒷ→ⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓒ
→ⒷⒸⒹ
濛澒→ⒷⒸⒹ蒙冥
為大→ⒷⒸⒹ大為
→Ⓐ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓑ退
知見→ⒷⒸⒹ見知
→ⒶⒷⒸ
更具→ⒶⒹ具更
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓐ
→ⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓒ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓑ
→ⒷⒸⒹ
→ⒶⒷⒸⒹ於[在]
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹ
→ⒸⒹ[世]人
→ⒸⒹ
室家→ⒷⒸⒹ家室
→Ⓐ
→◎
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓐ→ⒷⒸⒹ
→ⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ得[度]
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
令悉→Ⓓ悉令
→◎Ⓐ
→ⒸⒹ
→ⒸⒹ泆[者皆修梵行]
爾日→ⒷⒸⒹ念曰
→ⒷⒸⒹ皆[当]
→ⒷⒸⒹ
→Ⓓ八[十億]
無上華→ⒷⒸⒹ
→Ⓐ
→◎ⒶⒷ
 ⒷⒸⒹになし
→Ⓐ
→Ⓓ
→◎ⒶⒷ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹ
→ⒸⒹ
→Ⓐ
→ⒸⒹ絶[我皆慈哀特留是経法止住百歳百歳中竟乃休止絶]
→◎Ⓐ
仏説 ⒷⒸになし
第四→ⒷⒸⒹ