0271◎*仏説無量清浄平等覚経 巻第四
*後漢月氏国三蔵支婁迦讖訳
二 Ⅴ ⅲ 五善五悪
【23】◎仏、 阿逸菩薩らに告げたまはく、 なんぢらこの世において、 よくみづから心を制し意を正しくして、 身に悪をなさざれば、 これを大徳の善となし、 すべて八方上下の最となりて比びあることなし。 ゆゑはいかん。 八方上下の無央数の仏国のなかの諸天・人民は、 みな自然に善をなして大きに悪をなさざれば教化しやすければなり、
◎○仏告タマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、若曹於テ↢是ノ世ニ↡、能ク自ラ制シ↠心ヲ正クシテ↠意ヲ、身ニ不レバ↠作サ↠悪ヲ者、是ヲ為シ↢大徳ノ善ト↡、都テ為リテ↢八方上下ノ最ト↡無シ↠有コト↠比。所以者何ン。八方上下ノ無央数ノ*仏国ノ中ノ諸天・人民ハ、皆自然ニ作テ↠善ヲ不レバ↢大ニ為サ↟悪ヲ易レバナリ↢教化シ↡、
いまわれこの世間において仏となる。 五悪・五痛・五焼のなかにおいて仏となることもつとも劇しとなす。 人民を教語して、 五悪を絶たしめて、 五痛を去らしめ、 五焼を去らしめ、 その心を降化して、 五善を持ちその福徳・度世・長寿・泥洹の道を得しむ。
○今我於テ↢是ノ世間ニ↡為ル↠仏ト。於テ↢五悪・五痛・五焼之中ニ↡作コト↠仏ト為ス↢最モ劇シト↡。教↢語テ人民ヲ↡、令テ↠*絶タ↢五悪ヲ↡、令メ↠去ラ↢五痛ヲ↡、令メ↠去ラ↢五焼ヲ↡、降↢化テ其ノ心ヲ↡、令メム↧持チ↢五善ヲ↡得↦其ノ福徳・度世・長寿・泥洹之道ヲ↥。
仏のたまはく、 なんらをか五悪となし、 なんらをか五痛となし、 なんらをか五焼のなかのものとなす。 なんらをか五悪を消化して五善を持たしむものとなす。 なんらをか五善を持ちてその福徳・長寿・度世・泥洹の道を得となすと。
○仏言ク、何等ヲカ為シ↢五悪ト↡、何等ヲカ為ス↢五痛ト↡、何等ヲカ為ス↢五焼ノ中ノ者↡。何等ヲカ為ス↧消↢化テ五悪ヲ↡令メム↠持タ↢五善ヲ↡者ト↥。何等ヲカ為スト↧持テ↢五善ヲ↡得ト↦其ノ福徳・長寿・度世・泥洹之道ヲ↥。
【24】仏のたまはく、 その一悪とは、 諸天・人民より下禽獣・蜎飛蠕動の類に至るまで、 衆悪をなさんと欲して強きものは弱きを伏し、 うたたあひ剋賊し、 おのづからあひ殺傷してたがひに食噉す。
○仏言ク、其ノ一悪ト者、○諸天・人民ヨリ下至マデ↢禽獣・蜎飛蠕動之類ニ↡、欲テ↠為サムト↢衆悪ヲ↡強キ者ハ伏シ↠弱キヲ、転タ相ヒ剋賊シ、自ラ相ヒ殺傷テ更相ニ食噉ス。
善をなすことを知らず、 悪逆不道にしてその殃罰を受く。 道の自然にしてまさに往きて趣向すべし。
○不↠知ラ↠為コトヲ↠善ヲ、悪逆不道ニシテ受ク↢其ノ殃罰ヲ↡。道之自然ニシテ当ニシ↢往テ趣向ス↡。
神明記識してこれを犯さば貰さず、 うたたあひ承け続く。 ゆゑに貧窮・下賎・乞丐・孤独なるものあり。 人に聾・盲・瘖瘂・愚痴・弊悪なるものありて、 下に尫狂にして及逮ばざる属あり。 その尊貴・豪富・高才明達・智慧勇猛なるものあるは、 みなその前世宿命に善をなし慈孝にして恩を布き徳を施せるがゆゑなり。
○神明記識テ犯バ↠之ヲ不↠貰サ、転タ相ヒ承ケ続ク。故ニ有リ↢貧窮0272・下賎・乞丐・孤独ナルモノ↡。人ニ有テ↢聾・盲・瘖瘂・愚痴・弊悪ナルモノ↡、下ニ有リ↧尫*狂ニシテ不ル↢及逮バ↡之属↥。其ノ有ルハ↢尊貴・豪富・高才明達・智慧勇猛ナルモノ↡、皆其ノ前世宿命ニ為シ↠善ヲ慈孝ニシテ布キ↠恩ヲ施セルガ↠徳ヲ故ナリ。
官事王法の牢獄あれども、 畏れ慎むことを肯ぜずして悪をなせば法に入りてその過讁を受く。 重罰致りて劇しくして、 解脱を求望すれども度出することを得がたし。 今世にこれありて目前に現在し、
○有ドモ↢官事王法ノ牢獄↡、不シテ↠肯ゼ↢畏レ慎ムコトヲ↡作バ↠悪ヲ入テ↠法ニ受ク↢其ノ過讁ヲ↡。重罰致テ劇クシテ、求↢望ドモ解脱ヲ↡難シ↠得↢度出コトヲ↡。今世ニ有テ↠是目前ニ現在シ、
寿終りてもつとも劇し。 その窈冥に入り、 身を受けてまた生ず。 たとへば王法の劇苦極刑のごとし。
○寿終テ尤モ劇シ。入リ↢其ノ窈冥ニ↡、受テ↠身ヲ更タ生ズ。譬バ若シ↢王法ノ劇苦極*刑ノ↡。
ゆゑに自然の泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動の類属あり。 身形を貿へ、 悪を改めて道を易へ、 寿命に短長あり。 魂神命精、 自然に趣に入りて形を受け胎に寄りて、
○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之*類属↡。貿ヘ↢身形ヲ↡、改テ↠悪ヲ易ヘ↠道、寿命ニ短長アリ。魂神命精、自然ニ入テ↠趣ニ受ケ↠形ヲ寄テ↠胎ニ、
まさに独り値ひ向かふも、 あひ従ひともに生ずべく、 うたたあひ報償してまさにあひ還復すべし。 殃悪・讁罰、 衆事いまだ尽きざれば、 つひに離るることを得ずして、 そのなかに展転して、 世々累劫にも出づる期あることなく、 解脱を得がたし。 痛みいふべからず。
○当ニク↢独リ値ヒ向フモ、相ヒ従ヒ共ニ生ズ↡、転タ相ヒ報償テ当ニシ↢相ヒ還復ス↡。殃悪・讁罰、衆事未ダレバ
↠尽キ、終ニ不シテ↠得↠離コトヲ、展↢転テ其ノ中ニ↡、世世累劫ニモ無ク↠有コト↢出ル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可ラ↠言フ。
天地のあひだに自然にこれあり。 時に臨みてにはかに至り時に応ぜずといへども、 つねに自然の道を取りて、 みなまさに善悪これに帰すべし。
○天地之間ニ自然ニ有リ↠是。雖モ↠不ト↢臨テ↠時ニ卒暴ニ至リ応ゼ↟時ニ、*恒ニ取テ↢自然之道ヲ↡、皆当ニシ↢善悪帰ス↟之ニ。
これを一つの大悪となし、 一つの痛となし、 一つの焼となす。 勤苦かくのごとくして、 愁毒呼嗟すべし。 たとへば劇火の起りて人身を焼くがごとし。
○是ヲ為シ↢一ノ大悪ト↡、為シ↢一ノ痛ト↡、為ス↢一ノ焼ト↡。勤苦如クシテ↠是ノ、愁毒呼嗟スベシ。比バ如シ↣劇火ノ起テ焼ガ↢人身ヲ↡。
人よくみづからそのなかにおいて、 一心に意を制し身を端しくし行ひを正しくして、 独り諸善をなし衆悪をなさざれば、 身独り度脱して、 その福徳を得、 長寿・度世・上天・泥洹の道を得べし。 これを一つの大善となすと。
○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡、一心ニ制シ↠意ヲ端シクシ↠身ヲ正クシテ↠行ヲ、独リ作シ↢諸善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱テ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢一ノ大善ト↡。
【25】仏のたまはく、 その二悪とは、 世間の帝王・長吏・人民・父子・兄弟・室家・夫婦、 ほぼ義理なくして政令に従はず、 うたた淫奢憍慢にしておのおの意を快くせんと欲し、 恣心自在にして、 たがひに欺調し、 殊に死を懼れず。 心口おのおの異にして言念実なく、 佞諂にして忠ならず、 諛媚巧辞にして行ひ端正ならず。 たがひに嫉み憎み、 うたたあひ讒悪して悪枉に陥入す。
○仏言ク、其ノ二悪ト者、○世間ノ帝王・長吏・人民・父子・兄弟・室家・夫婦、略ボ無クシテ↢義理0273↡不↠従ハ↢政令ニ↡、転タ淫奢憍慢ニシテ各ノ欲シ↠快クセムト↠意ヲ、恣心自在ニシテ、更相ニ欺調シ、殊ニ不↠懼レ↠死ヲ。心口各ノ異ニシテ言念無ク↠実、佞諂ニシテ不↠忠ナラ、*諛媚巧辞ニシテ行ヒ不↢端正ナラ↡。更相ニ嫉ミ憎ミ、転タ相ヒ讒悪テ陥↢*入ス*悪*枉ニ↡。
主上あきらかならず心あきらかに照らさずして臣下を任用す、 臣下存在して度を践みてよく行ひその形勢を知りて、 位にありて正しからざれば、 その調するところとなりてみだりに忠良を捐じ、 天心に当らずしてはなはだ道理に違す。
○主上不↠明カナラ心不シテ↢察ニ照サ↡任↢用ス臣下ヲ↡、臣下存在テ*践テ↠度ヲ能ク行ヒ知テ↢其ノ形勢ヲ↡、在テ↠位ニ不レバ↠正カラ、為リテ↢其ノ所ト↟調ル妄ニ*捐ジ↢忠良ヲ↡、不シテ↠当ラ↢天心ニ↡甚ダ違ス↢道理ニ↡。
臣はその君を欺き、 子はその父を欺き、 弟はその兄を欺き、 婦はその夫を欺き、 室家・中外・知識はあひ紹ぎておのおの貪淫の心を懐き、 独り恚怒・蒙聾・愚痴にして、 ますます多くあらんことを欲す。 尊卑・上下男となく女となく、 大となく小となく、 心ともに同じくしかなり。
○臣ハ欺キ↢其ノ君ヲ↡、子ハ欺キ↢其ノ父ヲ↡、弟ハ欺キ↢其ノ兄ヲ↡、婦ハ欺キ↢其ノ夫ヲ↡、室家・中外・知識ハ相ヒ*紹テ○各ノ懐キ↢貪淫ノ心ヲ↡、独リ恚怒・*蒙聾・愚痴ニシテ、*欲ス↢益ス多ク有ムコトヲ↡。尊卑・上下無ク↠男ト無ク↠女ト、無ク↠大ト無ク↠小ト、心倶ニ同ク然ナリ。
みづからおのれを厚くせんと欲し、 家を破り身を亡して、 前後・家室・親属を顧念せず、 これによりて族を破る。
○欲シ↢自ラ厚セムト↟己ヲ、破リ↠家ヲ亡テ↠身ヲ、不↣顧↢念セ前後・家室・親属ヲ↡、坐テ↠之ニ破ル↠族ヲ。
ある時は家中・内外・知識・朋友・郷党・市里・愚民、 うたたともに従事し、 たがひに利害して銭財を争ひ闘ひ、 忿怒して仇をなして、 うたた勝負を争ふ。
○或時ハ家中・内外・知識・朋友・郷党・市*里・愚民、転タ共ニ従事シ、更相ニ利害テ争ヒ↢銭財ヲ↡闘ヒ、忿怒テ成テ↠*仇ヲ、転タ争フ↢勝負ヲ↡。
富を慳み心を焦して施与することを肯ぜず、 専々に守惜し、 宝を愛して貪り重んず。 これによりて思念し心労し身苦しむ。
○慳ミ↠富ヲ焦テ↠心ヲ不↠肯ゼ↢施与コトヲ↡、専専ニ守惜シ、愛テ↠宝ヲ貪リ重ズ。坐テ↠之ニ思念シ心労シ身苦ム。
かくのごとくにして竟るに至り、 恃怙するところなし。 独り来り独り去りてひとりとして随ふものなし。 善悪の禍福・殃咎・讁罰命を追ひて生ずるところなり。 あるいは楽処にありあるいは毒苦に入る。 しかうして後にすなはち悔ゆともまさにまたなんぞ及ぶべし。
○如ニシテ↠是ノ至リ↠竟ルニ、無シ↠所↢恃怙ル↡。独リ来リ独リ去テ無シ↢一トシテ随フ者↡。善悪ノ禍福・殃咎・讁罰追テ↠*命ヲ所ナリ↠生ル。或ハ在リ↢楽処ニ↡或ハ入ル↢毒苦ニ↡。然シテ後ニ乃チ悔トモ当ニシ↢復何ゾ及ブ↡。
ある時は世人、 愚心少智にして、 善を見ては誹謗してこれを恚り、 慕ひ及ふことを肯ぜず。 ただ悪をなさんと欲してみだりに非法をなし、 ただ盗窃を欲してつねに毒心を懐き、 他人の財物を得んと欲して用ゐてみづからに供給し、 消散し摩尽し賜してまた求索す。 邪心にして正しからず、 つねに独り恐怖して人の色ることあらんことを畏る。 時に臨みて計らず、 事至りてすなはち悔ゆ。
○或時ハ世人、愚心少智ニシテ、見ハ↠善ヲ誹謗テ恚リ↠之ヲ、不↠肯ゼ↢慕ヒ及コトヲ↡。但欲テ↠為ムト↠悪ヲ妄ニ作シ↢非法ヲ↡、但欲テ↢盗窃ヲ↡常ニ懐キ↢*毒心ヲ↡、欲テ↠得ムト↢他人ノ財物ヲ↡用ヰテ自ラニ供給シ、消散シ*摩尽シ*賜テ復求索ス。邪心ニシテ不↠正カラ、常ニ独リ恐怖テ畏ル↢人ノ有ムコトヲ↟色コト。臨テ↠時ニ不0274↠計ラ、事至テ乃チ悔ユ。
今世に現に長吏・牢獄ありて、 自然に趣向してその殃咎を受く。 世間の貧窮・乞丐・孤独、 ただ前世宿命に道徳を信ぜずして善をなすことを肯ぜざるによりて、 今世に悪をなす。 天神籍を別ち、
○今世ニ現ニ在テ↢長吏・牢獄↡、自然ニ*趣向テ受ク↢其ノ殃咎ヲ↡。世間ノ貧窮・乞丐・孤独、但坐テ↧前世宿命ニ不シテ↠信ゼ↢道徳ヲ↡不ルニ↞肯ゼ↠為コトヲ↠善ヲ、今世ニ為ス↠悪ヲ。天神別チ↠籍ヲ、
寿終りて悪道に入る。 ゆゑに自然の泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動の類あり。 そのなかに展転して世々累劫にも出づる期あることなく、 解脱を得がたし。 痛みいふべからず。
○寿終テ入ル↢悪道ニ↡。○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。展↢転テ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ無ク↠有コト↢出ル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可ラ↠言フ。
これを二つの大悪・二つの痛・二つの焼となす。 勤苦かくのごとくにして、 たとへば火の起りて人身を焼くがごとし。
○是ヲ為ス↢二ノ大悪・二ノ痛・二ノ焼ト↡。勤苦如ニシテ↠是ノ、比バ如シ↣火ノ起テ焼ガ↢人身ヲ↡。
人よくみづからそのなかにおいて一心に意を制し身を端しくし行ひを正しくして、 独り衆善をなし衆悪をなさざれば、 身独り度脱して、 その福徳を得て、 長寿・度世・上天・泥洹の道を得べし。 これを二つの大善となすと。
○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端クシ↠身ヲ正クシテ↠行ヲ、独リ作シ↢*衆善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱テ、得テ↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢二ノ大善ト↡。
【26】仏のたまはく、 その三悪とは、 世間の人民、 寄生しあひよりともによりて、 天地のあひだに居す。 処年寿命、 よくいくばくの歳もなし。 至りては豪貴なるもの・賢明・善人あり、 下に貧賎・尫羸・愚者あり。 なかに不良の人ありて、 ただ毒悪を懐念して身心正しからず、
○仏言ク、其ノ三悪ト者、○世間ノ人民、寄生シ*相ヒ因リ共ニ依テ、居ス↢天地之間ニ↡。処年寿命、无シ↢能ク幾ノ歳モ↡。至テハ有リ↢豪*貴ナル者・賢明・善人↡、下ニ有リ↢貧賎・尫羸・愚者↡。中ニ有テ↢不良之人↡、但懐↢念テ毒悪ヲ↡身心不↠正カラ、
つねに婬泆を念じて煩ひ胸中に満つ、 愛欲交錯して坐起安からず、 貪意慳惜にしてただいたづらに得んことを欲す。 細色を眄睞して悪態婬泆し、 婦あれども厭ひ憎みてひそかにみだりに出入し、 家の所有を持ちてあひ結して非をなし、 聚会飲食してみづからともに悪をなす。
○常ニ念テ↢婬泆ヲ↡煩ヒ満ツ↢胸中ニ↡、愛欲交錯テ坐起不↠安カラ、貪意慳惜ニシテ但欲ス↢唐ニ得ムコトヲ↡。眄↢睞テ細色ヲ↡悪態*婬泆シ、有ドモ↠婦*厭ヒ憎テ私ニ妄ニ出入シ、持テ↢家ノ所有ヲ↡相ヒ結テ為シ↠非ヲ、聚会飲食テ自ラ共ニ作ス↠悪ヲ。
兵を興し賊をなして城を攻め格闘し、 劫殺截断して強奪不道なり。 人の財物を取り偸窃してにはかに得れども治生することを肯ぜず、 まさに求むべきところのものこれをなすことを肯ぜず、 悪心外にありては、 もつぱらなすことあたはず、 欲繋して事をなし恐勢迫脅し、 持ち帰りては家に給してともにあひ生活す。 心をほしいままにし意を快くして身を極め楽をなす。 他人の婦女を行乱し、 あるいはその親属において尊卑・長老を避けず。 衆ともに憎悪し、 家室・中外患ひてこれに苦しむ。
○興シ↠兵ヲ作テ↠賊ヲ攻メ↠城ヲ格闘シ、劫殺截断テ強奪不道ナリ。取リ↢人ノ財物ヲ↡偸窃テ趣ニ得ドモ不↠肯ゼ↢治生コトヲ↡、所ノ↠当ニキ↠求ム者不↠肯ゼ↠為コトヲ↠之ヲ、悪心在テハ↠外ニ、不↠能ハ↢専ラ作コト↡、欲*繋テ成シ↠事ヲ恐勢*迫脅シ、持チ帰テハ給テ↠家ニ共ニ相0275生活ス。恣ニシ↠心ヲ快クシテ↠意ヲ極メ↠身ヲ作ス↠楽ヲ。*行↢乱シ他人ノ婦女ヲ↡、或ハ於テ↢其ノ親属ニ↡不↠避ケ↢尊卑・長老ヲ↡。衆共ニ憎悪シ、家室・中外患ヒテ而苦ム↠之ニ。
また県官の法令を畏れず、 録を避くるところなし。 かくのごとき悪、 自然に牢獄あり、 日月照識し神明記取して諸神摂録す。
○亦復不↠*畏レ↢県官ノ法令ヲ↡、無シ↠所↠避ル↠録ヲ。如キ↠是ノ之悪、自然ニ牢獄アリ、日月照識シ神明*記取テ諸神摂録ス。
ゆゑに自然の泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動の類あり。 そのなかに展転して世々累劫にも出づる期あることなく、 度脱を得がたし。 痛みいふべからず。
○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。展↢転テ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ無ク↠有コト↢出ル期↡、難シ↠得↢*度脱ヲ↡。痛ミ不↠可ラ↠言フ。
これを三つの大悪・三つの痛・三つの焼となす。 勤苦かくのごとくにして、 たとへば火の起りて人身を焼くがごとし。
○是ヲ為ス↢三ノ大悪・三ノ痛・三ノ焼ト↡。勤苦如ニシテ↠是ノ、*比バ若シ↣火ノ起テ焼ガ↢人身ヲ↡。
人よくみづからそのなかにおいて一心に意を制し身を端しくし行ひを正しくして、 独り衆善をなし衆悪をなさざれば、 身独り度脱して、 その福徳を得、 長寿・度世・上天・泥洹の道を得べし。 これを三つの大善となすと。
○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端クシ↠身ヲ正クシテ↠行ヲ、独リ作シ↢*衆善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱テ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢三ノ大善ト↡。
【27】仏のたまはく、 その四悪とは、 もろもろの悪人善をなすことあたはずしてみづからあひ壊敗し、 うたたあひ教令してともに衆悪を作り、 主として伝言をなすに、 ただ両舌・悪口・罵詈・妄語を欲し、 あひ嫉みてたがひに闘乱す。
○仏言ク、其ノ四悪ト者、○諸ノ悪人不シテ↠能ハ↠作コト↠善ヲ自ラ相ヒ壊敗シ、転タ相ヒ教令テ共ニ作リ↢衆悪ヲ↡、主トシテ為スニ↢伝言ヲ↡、但欲シ↢両舌・悪口・罵詈・妄語ヲ↡、相ヒ嫉テ更相ニ闘乱ス。
善人を憎嫉し賢善を敗壊して傍らにおいて悪を快ぶ。 また父母に孝順し供養せず、 師父・知識を軽易して信なく誠実を得がたし。 みづから尊貴にして道ありといひて、 横に威武を行じて捲力勢ひを加へ、 侵剋して人を易りみづから悪をなすと知ることあたはず、 みづから羞慚することなく、 自用頗健にして人をして承事し敬畏せしむ。
○憎↢嫉シ善人ヲ↡敗↢壊テ賢善ヲ↡於テ↠傍ニ快ブ↠悪ヲ。復不↤孝↢順シ供↣養セ父母ニ↡、軽↢易テ師父・知識ヲ↡無ク↠信難シ↠得↢誠実ヲ↡。自ラ*言テ↢尊貴ニシテ有リト↟道、横ニ行テ↢威武ヲ↡加ヘ↢*捲力勢ヲ↡、侵剋テ易リ↠人ヲ不↠能ハ↢自ラ知コト↟為スト↠悪ヲ、*無ク↢自ラ羞慚コト↡、自用頗健ニシテ令ム↢人ヲシテ承事シ敬畏セ↡。
また天地・神明・日月を敬畏せず、 また善をなすことを教令すべからず、 降化すべからず。 自用偃蹇にして、 つねにまさにしかなりと謂へり。 また憂哀の心なく、 また恐懼を知らずして、 恣意憍慢なることかくのごとし。
○復不↣敬↢畏セ天地・神明・日月ヲ↡、亦不↠可ラ↣教↢令ス作コトヲ↟善ヲ、不↠可ラ↢降化ス↡。自用偃蹇ニシテ、謂ヘリ↢常ニ当ニ爾ナリト↡。亦復無ク↢憂哀ノ心↡、亦0276不シテ↠知ラ↢恐懼ヲ↡、恣意憍慢ナルコト如シ↠是ノ。
天神記識す。 その前世宿命にすこぶる福徳をなすによりて、 小善扶接し営護してこれを助くるも、 今世に悪をなして福徳尽儩し、 もろもろの善鬼神おのおの去りてこれを離れ、 身独りむなしく立ちてまたよるところなく、 重き殃讁を受けて、
○天神記識ス。頼テ↣其ノ前世宿命ニ頗ル作ニ↢福徳ヲ↡、小善扶接シ営護テ助ルモ↠之ヲ、今世ニ作テ↠悪ヲ福徳尽*儩シ、諸ノ善鬼神各ノ去テ離レ↠之ヲ、身独リ空ク立テ無ク↠所↢復依ル↡、受テ↢重キ殃*讁ヲ↡、
寿命終るとき身の悪繞り帰して自然に迫促す。 まさに往きて追逐して止息することを得ざるべし。 自然に衆悪ともに趣きこれに頓る。
○寿命終トキ身ノ悪繞リ帰テ自然ニ迫促ス。当ニシ↢往テ追逐テ不ル↟得↢止息コトヲ↡。自然ニ衆悪共ニ趣キ頓ル↠*之ニ。
それ名籍神明の所にあることありて、 殃咎引牽しまさに値ひ相得すべし、 まさに往きて趣向すべし。 過の讁罰を受け身心摧砕し、 神形苦極して、 離却することを得ず。 ただ前みて行きて火鑊に入ることを得。 この時に当りて悔ゆともまたなんの益かあらん。 まさにまたなんぞ及ぶべき。 天道自然にして蹉跌することを得ず。
○*其レ有テ↣名籍在コト↢神明ノ所ニ↡、殃咎引牽シ当ニシ↢値ヒ相得ス↡、当ニシ↢往テ趣向ス↡。受ケ↢過ノ讁罰ヲ↡身心摧砕シ、神形苦極テ、不↠得↢離却コトヲ↡。但得↣前ミ行テ入コトヲ↢於火鑊ニ↡。当テ↢是ノ時ニ↡悔トモ復何ノ益カアラム。当ニキ↢復何ゾ及ブ↡。天道自然ニシテ不↠得↢蹉跌コトヲ↡。
ゆゑに泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動の属あり。 そのなかに展転して世々累劫にも出づる期あることなく、 解脱を得がたし。 痛みいふべからず。
○故ニ有リ↢泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転テ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ無ク↠有コト↢出ル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可ラ↠言フ。
これを四つの大悪・四つの痛・四つの焼となす。 勤苦かくのごとくにして、 たとへば火の起りて人身を焼くがごとし。
○是ヲ為ス↢四ノ大悪・四ノ痛・四ノ焼ト↡。勤苦如ニシテ↠是ノ、比バ*如シ↣火ノ起テ焼ガ↢人身ヲ↡。
人よくそのなかにおいて一心に意を制し身を端しくし行ひを正しくして、 独り衆善をなし衆悪をなさざれば、 身独り度脱して、 その福徳を得、 長寿・度世・上天・泥洹の道を得べし。 これを四つの大善となすと。
○人能ク於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端クシ↠身ヲ正クシテ↠行ヲ、独リ作シ↢*衆善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱テ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢四ノ大善ト↡。
【28】仏のたまはく、 その五悪とは、 世人徙倚懈惰にして、 善をなすことを肯ぜず、 治生することを念はず、 妻子飢寒し、 父母もともにしかなり。 呵してその子を教へんと欲すれば、 その子悪心をもつて目を瞋らして言令に譍怒して和せず、 違戻反逆すること野人よりも劇し。 たとへば怨家のごとし。 子なきにしかず。
○仏言ク、其ノ五悪ト者、○世人徙倚懈*惰ニシテ、不↠肯ゼ↠作コトヲ↠善ヲ、不シテ↠念ハ↢治生コトヲ↡、妻子飢寒シ、父母モ倶ニ然ナリ。欲レバ↣呵テ教ムト↢其ノ子ヲ↡、其ノ子悪心ヲモテ瞋シテ↠目ヲ譍↢怒テ言令ニ↡不↠和セ、違戻反逆コト劇シ↢於野人ヨリモ↡。比バ若シ↢怨家ノ↡。不↠如カ↠無キニ↠子。
みだりにあまねく仮貸して衆ともに患ひ厭ふ。 もつとも反復することなし、 報償の心あることなし。
○妄ニ遍ク仮貸テ衆共ニ患ヒ厭フ。尤モ無シ↢*反*復コト↡、无シ↠有コト↢報0277償之心↡。
窮貧困乏してまた得ることあたはずして、 辜較し諧声しほしいままに遊散し、 しばしばいたづらに得るに串ひて、 自用賑給す。 防禁を畏れず、 飲食極まりなく酒を喫し美きを嗜み、 出入に期度あることなし。 魯扈抵突して人情を知らず、 睢眄強制して
○窮貧困乏テ不シテ↠能ハ↢復得コト↡、辜較シ諧声シ放縦ニ遊散シ、串テ↢数バ唐ニ得ルニ↡、自用賑給ス。不↠畏レ↢防禁ヲ↡、飲食无ク↠極リ喫シ↠酒ヲ嗜ミ↠美ヲ、出入ニ無シ↠有コト↢期度↡。*魯扈*抵突テ不↠知ラ↢人情ヲ↡、睢*眄強制テ
人の喜びあるを見ては憎嫉してこれを恚り、 義なく礼なく、 自用職当して諌暁すべからず。 また父母・妻子の有無を憂念せず。 またつひに父母の徳に報ゆることを念はず、 また師父の恩を念はず。 心につねに悪を念じ、 口につねに悪をいひ、 日に成就することあらず。
○見ハ↢人ノ有ヲ↟*喜ビ憎嫉テ恚リ↠之ヲ、無ク↠義无ク↠礼、自用*職当テ不↠可ラ↢諌暁ス↡。亦復不↣憂↢念セ父母・妻子ノ有無ヲ↡。又復不↠念ハ↣*卒ニ報コトヲ↢父母之徳ニ↡、亦復不↠念ハ↢師父之恩ヲ↡。心ニ常ニ念ジ↠悪ヲ、口ニ常ニ言ヒ↠悪ヲ、日ニ不↢成就コトアラ↡。
道徳を信ぜず、 賢明・先聖あることを信ぜず、 善をなし道をなせば度世を得べきことを信ぜず、 世間に仏あることを信ぜず。 羅漢を殺し比丘僧をして闘はしめんと欲し、 つねに人を殺さんと欲し、 父母・兄弟・妻子・宗親・朋友を殺さんと欲す。 父母・兄弟・妻子・宗親・朋友も、 憎悪してこれを見てはこれをして死せしめんと欲す。 仏の経語を信ぜず、 人の寿命終尽し死して後世にまた生ずることを信ぜず、 善をなせば善を得ることを信ぜず、 悪をなせば悪を得ることを信ぜざるなり。
○不↠信ゼ↢道徳ヲ↡、不↠信ゼ↠有コトヲ↢賢明・先聖↡、不↠信ゼ↢作シ↠善ヲ為バ↠道ヲ可コトヲ↟得↢度世ヲ↡、不↠信ゼ↢世間ニ有コトヲ↟仏。欲シ↧殺シ↢羅漢ヲ↡闘シメムト↦比丘僧ヲシテ↥、常ニ欲シ↠殺ムト↠人ヲ、欲ス↠殺ムト↢父母・兄弟・妻子・宗親・朋友ヲ↡。父母・兄弟・妻子・宗親・朋友モ、憎悪テ見テハ↠之ヲ欲ス↠使ムト↢之ヲシテ死セ↡。不↠信ゼ↢仏ノ経語ヲ↡、不↠信ゼ↢人ノ寿命終尽シ死テ後世ニ復生コトヲ↡、不↠信ゼ↢作バ↠善ヲ得コトヲ↟善ヲ、不ルナリ↠信ゼ↢作バ↠悪ヲ得コトヲ↟悪ヲ。
かくのごときらの人、 男子も女人も心意ともにしかなり。 違戻反逆して愚痴濛澒なり。 瞋怒嗜欲にして識知するところなく、 自用快善にして大智慧ありとなして、 また従来するところの生、 死して趣向するところを知らず。 あへて慈孝ならずして天地に悪逆す。 その中間において僥倖を求望し、 長生を得てみづから不死を得んことを欲すれども、 かならずまさに生死の勤苦善悪の道に帰就すべし。 身に作るところの悪の殃咎衆く趣き、 度脱するを得ず。 また降化して善をなさしむべからず。
○如キ↠是ノ曹ノ人、男子モ女人モ心意倶ニ然ナリ。違戻反逆テ愚痴*濛澒ナリ。瞋怒嗜欲ニシテ無ク↠所↢識知ル↡、自用快善ニシテ*為テ↢大智慧アリト↡、亦不↠知ラ↧所ノ↢従来ル↡生、死テ所ヲ↦趣向ル↥。不シテ↢肯テ慈孝ナラ↡悪↢逆ス天地ニ↡。於テ↢其ノ中間ニ↡求↢望シ僥倖ヲ↡、欲ドモ↧得テ↢長生ヲ↡*躬ラ得ムコトヲ↦不死ヲ↥、会ズ当ニシ↣帰↢就ス生死ノ勤苦善悪之道ニ↡。身ニ所ノ↠作ル悪ノ殃咎衆ク趣キ、不↠得↢度脱ルヲ↡。亦不↠可ラ↢降化テ令ム↟作サ↠善ヲ。
慈心をもつて教語し、 生死善悪の趣くところこれあることを開導すれども、 またこれを信ぜず。 しかれば苦心してともに語りて度脱せしめんと欲すれども益なし。 その人心中閉塞して意開解せず、
○慈心ヲモテ教語シ、開↢導ドモ生死善悪ノ所↠趣ク有コトヲ↟是、復不↠信ゼ↠之ヲ。然レバ苦心テ与ニ語テ欲ドモ↠令ムト↢度脱セ↡無シ↠益。其0278ノ人心中閉塞テ意不↢開解セ↡、
大命まさに至らんとするに、 時に至りてみな悔ゆ。 その後にすなはち悔ゆれどもまさにまたなんぞ及ぶべき。 あらかじめ善を計せずして窮まるに臨みてなんの益かあらん。
○大命将ニルニ↠至ムト、至テ↠時ニ皆悔ユ。其ノ後ニ乃チ悔ドモ当ニキ
↢復何ゾ及ブ↡。不シテ↢予メ計セ↟善ヲ臨テ↠窮ルニ何ノ益カアラム。
天地のあひだに五道分明に、 恢廓窈窕、 浩々茫々たり。 うたたあひ善悪の毒痛を承受して、 身みづからこれに当りて代るものあることなし。 道の自然なり、 その所行に随ひて命を追ひて生ずるところ、 縦捨することを得ず。
○天地之間ニ五道分明ニ、恢廓窈*窕、浩浩茫茫タリ。転タ相ヒ承↢受テ善悪ノ毒痛ヲ↡、身自ラ当テ↠之ニ无シ↠有コト↢代ル者↡。道之自然ナリ、随テ↢其ノ所行ニ↡*追テ↠命ヲ所↠生ル、不↠得↢縦捨コトヲ↡。
善人は善を行じ善に従ひ慈孝なれば、 楽より楽に入り、 明より明に入る。 悪人は悪を行じて、 苦より苦に入り、 冥より冥に入る。 たれかよく知るものあらん。 独り仏の知見したまへるのみ。 人民を教語したまへども信用するものは少なし。 生死休まず、 悪道絶えず。 かくのごときの世人、 ことごとくいふべからず。
○善人ハ行ジ↠善ヲ従ヒ↠善ニ慈孝ナレバ、従リ↠楽入リ↠楽ニ、従リ↠明入ル↠明ニ。悪人ハ行テ↠悪ヲ、従リ↠苦入リ↠苦ニ、従リ↠冥入ル↠冥ニ。誰カ能ク知ル者アラム。独リ仏ノ*知見タマヘル耳。教↢語タマヘドモ人民ヲ↡信用ル者ハ少シ。生死不↠休マ、悪道不↠絶エ。如キノ↠是ノ世人、不↠可ラ↢悉ク道フ↡。
ゆゑに自然の泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動の類あり。 そのなかに展転して世々累劫にも出づる期あることなく、 解脱を得がたし。 痛みいふべからず。
○故ニ有リ↢自然ノ泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動之類↡。展↢転テ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ無ク↠有コト↢出ル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可ラ↠言フ。
これを五つの大悪・五つの痛・五つの焼となす。 勤苦かくのごとし、 たとへば火の起りて人身を焼くがごとし。
○是ヲ為ス↢五ノ大悪・五ノ痛・五ノ焼↡。勤苦如シ↠是ノ、比バ*如シ↣火ノ起テ焼ガ↢人身ヲ↡。
人よくみづからそのなかにおいて一心に意を制し身を端しくし行ひを正しくして、 言行あひ副ひてなすところ至誠に語るところ語のごとくして、 心口転ぜずして独り衆善をなし衆悪をなさざれば、 身独り度脱して、 その福徳を得、 長寿・度世・上天・泥洹の道を得べし。 これを五つの大善となす。
○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端クシ↠身ヲ正クシテ↠行ヲ、言行相ヒ副テ所↠作ス至誠ニ所↠語ル如クシテ↠語ノ、心口不シテ↠転ゼ独リ作シ↢*衆善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱テ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢五ノ大善ト↡。
【29】仏、 阿逸菩薩らに告げたまはく、 われみななんぢらに語る、 この世の五悪の勤苦かくのごとし。 五痛を起さしめ五焼を起さしめて展転してあひ生ず、
○仏告タマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、我皆語ル↢若曹ニ↡、是ノ世ノ五悪ノ勤苦如シ↠是ノ。令メ↠起サ↢五痛ヲ↡令メテ↠起サ↢五焼ヲ↡展転テ相ヒ生ズ、
世間の人民善をなすことを肯ぜずして衆悪をなさんと欲す。 あへてこのもろもろの悪事を犯すことあるものは、 みなことごとく自然にまさにかはるがはるともに歴て悪道のなかに入るべし。
○世間ノ人民不シテ↠肯ゼ↠為コトヲ↟善ヲ欲ス↠作ムト↢衆悪ヲ↡。敢テ有ル↠犯コト↢此ノ諸ノ悪事ヲ↡者ハ、皆悉ク自然ニ当ニシ↣*更ル具ニ歴テ入ル↢悪道ノ中ニ↡。
あるいはそれ今世にはまづ病殃を被りて死も生も得ず。 衆に示してこれを見しむ。 寿終りては至極の大苦に趣入し、 愁痛酷毒し、 みづからあひ燋然してうたたあひ焼滅するなり。
○或ハ其レ今世ニハ先ヅ被テ↢病殃ヲ↡死モ生モ不↠得0279。示テ↠衆ニ見シム↠之ヲ。寿終テハ趣↢入シ至極ノ大苦ニ↡、愁痛酷毒シ、自ラ相ヒ*燋然テ転タ相ヒ焼滅ルナリ。
その後に至りてともに怨家となりてたがひに傷殺す。 小微より起りて大困劇に至る。 みな財色を貪淫しあへて忍辱して施与せざるによりてなり。 おのおのみづから快くせんことを欲して、 また曲直あることなく、 健名を得んことを欲すれども、 痴欲の迫るところとなり、 心に随ひて思想し、 得ることあたはず。 憤りを胸中に結び財色に縛束せられ、 解脱することあることなし。
○至テ↢其ノ後ニ↡共ニ作テ↢怨家ト↡更相ニ傷殺ス。従リ↢小微↡起テ至ル↢大困劇ニ↡。皆従テナリ↧貪↢淫シ財色ヲ↡不ルニ↦肯テ忍辱テ施与セ↥。各ノ欲テ↢自ラ快クセムコトヲ↡、無ク↣復有コト↢曲直↡、欲ドモ↠得ムコトヲ↢健名ヲ↡、為リ↢痴欲ノ所ト↟迫ル、随テ↠心ニ思想シ、不↠能ハ↠得コト也。結ビ↢憤ヲ胸中ニ↡財色ニ縛束ラレテ、无シ↠有コト↢解脱コト↡。
厭足を知らずして、 おのれを厚くし欲を諍ひて省録するところなし。 すべて義理なく正道に随はず。 富貴栄華なれども時に当りて意を快くし、 忍辱することあたはず、 善を施すことを知らず。 威勢いくばくもなくして悪名に随ひて身を燋し、 労苦に坐して久しくして後に大きに劇し。
○不シテ↠知ラ↢厭足ヲ↡、厚クシ↠己ヲ諍テ↠欲ヲ無シ↠所↢省録ル↡。都テ无ク↢義理↡不↠随ハ↢正道ニ↡。富貴栄華ナレドモ当テ↠時ニ快クシ↠意ヲ、不↠能ハ↢忍辱コト↡、不↠知ラ↠施コトヲ↠善ヲ。威勢无シテ↠幾モ随テ↢悪名ニ↡*燋シ↠身ヲ、坐テ↢労苦ニ↡久クシテ後ニ大ニ劇シ。
自然に随逐して解けやむことあることなし。 王法施張して自然に糺挙し、 上下相応して羅網綱紀、 々忪々としてまさにそのなかに入るべし。 古今にこれあり。 痛ましきかな、 傷むべし。
○自然ニ随逐テ無シ↠有コト↢解ケ已コト↡。王法施張テ自然ニ糺挙シ、上下相応テ羅網綱紀、忪忪トシテ当ニシ↠入ル↢其ノ中ニ↡。古今ニ有リ↠是。痛シキ哉、可シ↠傷ム。
仏、 阿逸菩薩らに語りたまはく、 もし世にこれあらんに、 仏みな慈愍してこれを哀み、 威神をもつて衆悪諸事を摧動し、 みなこれを消化したまふ。 悪を去りて善に就き所思を棄捐して経戒を奉持することを得しめ、 経法を承奉し施行せざるはなく、 あへて度世・無為・泥洹の道の快善極楽にして甚明無極なるを違失せずと。
○仏語タマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、若シ世ニ有ムニ↠是、仏皆慈愍テ哀ミ↠之ヲ、威神ヲモテ摧↢動シ衆悪諸事ヲ↡、皆消↢化タマフ之ヲ↡。令メ↠得↧去テ↠悪ヲ就キ↠善ニ棄↢捐テ所思ヲ↡奉↦持コトヲ経戒ヲ↥、莫ク↠不ルハ↤承↢*奉シ施↣行セ経法ヲ↡、不ト↣敢テ違↢失セ度世・無為・泥洹之道ノ快善極楽ニシテ甚明无極ナルヲ↡。
仏のたまはく、 なんぢら諸天・帝王・人民および後世の人、 仏の経語を得てつらつらこれを思惟して、 よくみづからそのなかにおいて心を端しくし行ひを正しくすべし。
○仏言ク、若曹諸天・帝王・人民及ビ後世ノ人、得テ↢仏ノ経語ヲ↡熟ラ思↢惟テ之ヲ↡、能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡端クシ↠心ヲ正クスベシ↠行ヲ。
その主上善をなしその下を率化し撿御して、 人民を教語しうたたあひ敕令し、 うたたともに善をなしうたたあひ度脱せよ。 おのおのみづから端しく守り慈仁愍哀して、 終身おこたらざれ。 聖を尊び孝を敬ひ通洞博愛にして、 仏語の教令はあへて虧負することなく、 まさに憂へて度世・泥洹の道たるべし。 まさに憂へて生死の痛痒を断截し悪の根本を抜くべし。 まさに憂へて泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動の類の悪苦の道を断絶すべし。 まさに仏世に勱めて堅く経道を持ちてあへて失することなかるべしと。
○其ノ主*上為シ↠善ヲ率↢化シ撿↣御テ其ノ下ヲ↡、教↢語シ人民ヲ↡転タ相ヒ敕令シ、転タ共ニ為シ↠善ヲ転タ相ヒ度脱ヨ。各ノ自ラ端ク守リ慈仁愍哀テ、終身不レ↠*殆ラ。尊ビ↠聖ヲ敬ヒ↠孝ヲ通洞博愛ニシテ、仏語ノ教令ハ無ク↢敢テ虧負コト↡、当ニシ↢憂テ度世・泥0280洹之道タル↡。当ニシ↧憂テ断↢截シ生死ノ痛痒ヲ↡抜ク↦悪ノ根本ヲ↥。当ニシ↣憂テ断↢絶ス泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動之類ノ悪苦之道ヲ↡。当ニシト↧*勱テ↢仏世ニ↡堅ク持テ↢経道ヲ↡無カル↦敢テ失コト↥也。
仏のたまはく、 なんぢらまさに善をなすべきものはいかん、 第一急にまさにみづから身を端しくすべし、 まさにみづから心を端しくすべし、 まさにみづから目を端しくすべし、 まさにみづから耳を端しくすべし、 まさにみづから鼻を端しくすべし、 まさにみづから口を端しくすべし、 まさにみづから手を端しくすべし、 まさにみづから足を端しくすべし。 よくみづから撿斂してみだりに動作することなく、 身心浄潔にしてともによく相応し、 中外約束して嗜欲に随ふことなく、 諸悪を犯さざれ。
●仏言ク、若曹当ニキ↠作ス↠善ヲ者ハ云何ン、第一急ニ当ニシ↢自ラ端クス↟身ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟心ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟目ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟耳ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟鼻ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟口ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟手ヲ、当ニシ↢自ラ端クス↟足ヲ。能ク自ラ撿*斂テ莫ク↢妄ニ動作コト↡、身心浄潔ニシテ倶ニ善ク相応シ、中外約束テ勿ク↠随コト↢嗜欲ニ↡、不レ↠犯サ↢諸悪ヲ↡。
言色つねに和す。 身行まさに専なるべし。 行歩坐起動ぜず、 事をなさばなすところまさにまづつらつら思慮してこれを計るべし。 才能を揆度し、 円規を視瞻し、 安定にしておもむろにこれを作為すべし。 事をなすこと倉卒にして、 あらかじめ熟計せずしてこれをなして諦かならざればその功夫を亡ふ。 敗悔後にあればいたづらに苦しみて身を亡ぼす。 至誠忠信にして道を得て絶去すべしと。
●言色*常ニ和ス。身行当ニシ↠専ナル。行歩坐起不↠動ゼ、作バ↠事ヲ所↠為ス当ニシ↢先ヅ熟ラ思慮テ計ル↟之ヲ。揆↢度シ才能ヲ↡、視↢瞻シ*円規ヲ↡、安定ニシテ徐ニ作↢為ベシ之ヲ↡。作コト↠事ヲ倉卒ニシテ、不シテ↢予メ熟計セ↡為テ↠之ヲ不レバ↠諦ナラ亡フ↢其ノ功夫ヲ↡。敗悔在バ↠*後ニ唐ニ苦テ亡ス↠身ヲ。至誠忠信ニシテ得テ↠道ヲ絶去ベシト。
仏のたまはく、 なんぢらここにおいてますます諸善をなして、 恩を布き徳を施してよく道禁を絶たず、 忍辱・精進・一心・智慧をもつて、 展転してまたあひ教化して善をなし徳をなせ。 かくのごときの経法、 慈心専一にして、 斎戒清浄なること一日一夜なれば、 無量清浄仏の国に善をなすこと百歳なるに勝れり。
○仏言ク、若曹於テ↠是ニ益ス作テ↢諸善ヲ↡、布キ↠恩ヲ施テ↠徳ヲ能ク不↠*絶タ↢道禁ヲ↡、忍辱・精進・一心・智慧ヲモテ、展転テ復相ヒ教化テ作シ↠善ヲ為セ↠徳ヲ。如キノ↠是ノ経法、慈心専一ニシテ、斎戒清浄ナルコト一日一夜ナレバ者、勝レリ↧*於テ↢无量清浄仏ノ国ニ↡作コト↠善ヲ百歳ナルニ↥。
ゆゑはいかん。 無量清浄仏の国はみな徳衆善を積むこと無為自然にして求索するところのごとくありて、 諸悪の大きさ毛髪のごとくなるものもあることなければなりと。
○所以者何ン。無量清浄仏ノ国ハ皆積コト↢徳衆善ヲ↡无為自然ニシテ在テ↠所ノゴトク↢求索ル↡、無レバナリト↠有コト↣諸悪ノ大サ如クナルモノモ↢毛髪ノ↡。
仏のたまはく、 ここにおいて善をなすこと十日十夜なれば、 その福を得ること他方仏国のなかの人民の善をなすこと千歳なるに勝れり。
○仏言ク、於テ↠是ニ作コト↠善ヲ十日十夜ナレバ者、其ノ得コト↠福ヲ勝レリ↢於他方仏国ノ中ノ人民ノ作コト↠善ヲ千歳ナルニ↡。
ゆゑはいかん。 他方仏国はみなことごとく善をなすに、 善をなすものは多く悪をなすものは少なし、 みな自然のものありて、 求作を行ぜずしてすなはちおのづからこれを得ればなり。
○所以者何ン。他方仏国ハ皆悉ク作スニ↠善ヲ、作ス↠善ヲ者ハ多ク為ス↠悪ヲ者ハ少シ、皆有テ↢自然之*物↡、不シテ↠行ゼ↢求作ヲ↡便チ自ラ得バナリ↠之0281ヲ。
この間は悪をなすものは多く善をなすものは少なし、 求作を行ぜざれば得ることあたはず。 人よくみづから端しく制して善をなし、 至心に道を求む、 ゆゑによくしかるのみ。 この間は自然なることあることなく、 自給することあたはず、 まさに求索を行じて勤苦して治生すべし。 うたたあひ欺怠し調作して悪を好み、 その財物を得て妻子に帰給す。 苦を飲み毒を食ひ心を労し身を苦しむ。 かくのごとくにして至り竟るに、 心意専ならず周旋として安からず。
○是ノ間ハ為ス↠悪ヲ者ハ多ク*為ス↠善ヲ者ハ少シ、不レバ↠行ゼ↢求作ヲ↡不↠能ハ↠得コト也。*人能ク自ラ端ク制テ作シ↠善ヲ、至心ニ求ム↠道ヲ、故ニ能ク爾ル耳。是ノ間ハ無ク↠有コト↢自然ナルコト↡、不↠能ハ↢自給コト↡、当ニシ↧行テ↢求索ヲ↡勤苦テ治生ス↥。転タ相ヒ欺*怠シ調作テ好ミ↠悪ヲ、得テ↢其ノ財物ヲ↡帰↢給ス妻子ニ↡。飲ミ↠苦ヲ食ヒ↠毒ヲ労シ↠心ヲ苦ム↠身ヲ。如ニシテ↠是ノ至リ竟ルニ、心意不↠専ナラ周旋トシテ不↠安カラ。
人よくみづから安静にして善をなし精進して徳をなす、 ゆゑによくしかるのみと。
●人能ク自ラ安静ニシテ為シ↠善ヲ精進テ作ス↠徳ヲ、故ニ能ク爾ル耳ト。
仏のたまはく、 われみななんぢらおよび諸天・帝王・人民を哀れみて、 みな教へて諸善をなし衆悪をなさざらしむ。 その所能に随ひてすなはち道の教戒を授与し開導して、 ことごとくこれを奉行せしむ。
○仏言ク、我皆哀テ↢若曹及ビ諸天・帝王・人民ヲ↡、皆教テ令ム↧作シ↢諸善ヲ↡不ラ↞為サ↢衆悪ヲ↡。随テ↢其ノ所能ニ↡輒チ授↢与シ道ノ教戒ヲ↡開導テ、悉ク奉↢行シム之ヲ↡。
すなはち君は率化して善をなして臣下に教令し、 父はその子に教へ、 兄はその弟に教へ、 夫はその婦に教へ、 室家・内外・親属・朋友、 うたたあひ教語して、 善をなし道をなし経を奉じ戒を持ち、 おのおのみづから端しく守りて上下あひ撿め、 尊となく卑となく、 男となく女となく、 斎戒清浄にして歓喜せざるはなし。 義理に和順して歓楽し慈孝し、 みづからあひ約撿す。
●則チ君ハ率化テ為テ↠善ヲ教↢令シ臣下ニ↡、父ハ教ヘ↢其ノ子ニ↡、兄ハ教ヘ↢其ノ弟ニ↡、夫ハ教ヘ↢其ノ婦ニ↡、*室家・内外・親属・朋友、転タ相ヒ教語テ、作シ↠善ヲ為シ↠道ヲ奉ジ↠経ヲ持チ↠戒ヲ、*各ノ自ラ端ク守テ上下相ヒ撿メ、無ク↠尊ト无ク↠卑ト、無ク↠男ト无ク↠女ト、斎戒清浄ニシテ莫シ↠不ルハ↢歓喜セ↡。和↢順テ義理ニ↡*歓楽シ慈孝シ、自ラ相ヒ約撿ス。
それ仏の経語を得ることあらば、 ことごとく持ちてこれを思へ。 まさに所作すべからざるを犯すがごとくにこれをなさば、 すなはちみづから悔過せよ。 悪を去りて善に就き、 邪を棄てて正をなし、 朝に聞きて夕に改めて、 経戒を奉持すれば劇しきこと貧人の宝を得るがごとし。
●其レ有バ↠得コト↢仏ノ経語ヲ↡、悉ク持テ思ヘ↠之ヲ。不ルヲ↠当ニカラ↢所作ス↡如ニ↠犯ガ為バ↠之ヲ、則チ自ラ悔過ヨ。去テ↠悪ヲ就キ↠善ニ、棄テ↠邪ヲ為シ↠正ヲ、朝ニ聞テ夕ニ改テ、奉↢持レバ経戒ヲ↡劇キコト如シ↢貧人ノ得ガ↟宝ヲ。
仏の所行の処、 所在の郡国にはすなはち経戒を授与す。 諸天・日・月・星辰・諸神・国王・傍臣・長吏・人民・諸竜・鬼神・泥犁・禽獣も、 承けてこれを奉行す。
●仏ノ所行ノ処、所在ノ郡国ニハ輒チ授↢与ス経戒ヲ↡。諸天・日・月・星辰・諸神・国王・傍臣・長吏・人民・諸竜・鬼神・泥犁・禽獣モ、承テ奉↢行ス之ヲ↡。
すなはち君改化して善をなし、 斎戒精思して浄くみづから湔ぎ洒ひ、 心を端しくし行ひを正しくせん。 位に居して厳慓にして、 教敕し衆を率ゐて善をなし、 道禁を奉行して言令をして止ましむ。 臣はその君に事へて、 忠直に令を受けてあへて違負せず。 父子は言令し孝順に承受し、 兄弟・夫婦・宗親・朋友は上下あひ令して、 言に順ひ理に和す。 尊卑・大小、 うたたあひ敬事するに、 礼をもつてし義に如ひあひ違負せず。
●則チ君改化テ為シ↠善ヲ、斎戒精思シテ浄ク自ラ湔ギ洒ヒ、端クシ↠心ヲ正クセム↠行ヲ。居テ↠位ニ厳慓ニシテ、教敕シ率テ↠衆ヲ為シ↠善ヲ、奉↢行テ道禁ヲ↡令ム↢言令ヲシテ*止マ↡。臣ハ事テ↢其ノ君ニ↡、忠直ニ受テ↠令ヲ不0282↢敢テ違負セ↡。父子ハ言令シ孝順ニ承受シ、兄弟・夫婦・宗親・朋友ハ上下相ヒ令テ、順ヒ↠言ニ和ス↠理ニ。尊卑・大小、転タ相ヒ敬事ルニ、以テシ↠礼ヲ如ヒ↠義ニ不↢相ヒ違負セ↡。
往を改め来を修し心を洒ぎ行ひを易めずといふことなく、 中表を端正にして自然に善をなし、 願ふところすなはち感を得て、 よく降化すること自然の道なり。 不死を求欲すればすなはち長寿を得べし。 度世を求欲すればすなはち泥洹の道を得べしと。
●莫ク↠不トイフコト↢改メ↠往ヲ修シ↠来ヲ洒ギ↠心ヲ易メ↟行ヲ、端↢正ニシテ中表ヲ↡自然ニ作シ↠善ヲ、所↠願フ輒チ得テ↠感ヲ、善ク降化コト自然之道ナリ。求↢欲レバ不死ヲ↡則チ可シ↠得↢長寿ヲ↡。求↢欲レバ度世ヲ↡則チ可シト↠得↢泥洹之道ヲ↡。
仏のたまはく、 仏は威神尊重にして、 悪を消して善に化して、 度脱せざるはなし。 いまわれ天下に出でて、 この悪のなかにありて、 苦の世において仏となり、 慈愍哀傷し教語開道す。 諸天・帝王・傍臣・左右・長吏・人民、 その心の欲し願楽するところに随ひて、 みな道を得しむ。
●仏言ク、仏ハ威神尊重ニシテ、消シ↠悪ヲ化テ↠善ニ、莫シ↠不ルハ↢度脱セ↡。今我出テ↢於天下ニ↡、在テ↢是ノ悪ノ中ニ↡、於テ↢苦ノ世ニ↡作リ↠仏ト、慈愍哀傷シ教語開道ス。諸天・帝王・傍臣・左右・長吏・人民、随テ↣其ノ心ノ所ニ↢欲シ願楽ル↡、皆令ム↠得↠道ヲ。
仏のもろもろの所行の処、 さらに過ぎ歴るところの郡国・県邑・丘聚・市里、 豊熟せざるはなし。 天下太平にして、 日月の運照ますます明好に、 風雨に時節ありて人民安寧ならん。 強きは弱きを凌がず、 おのおのその所を得て、 悪歳・疾疫なく、 病痩するものなく、 兵革起らず、 国に盗賊なく、 怨抂あることなく、 拘閉せらるるものあることなからん。
○仏ノ諸ノ所行ノ処、所ノ↢更ニ過ギ歴ル↡郡国・県邑・丘聚・市*里、莫シ↠不ルハ↢豊熟セ↡。天下太平ニシテ、日月ノ運照倍益明好ニ、風雨ニ時節アリテ人民安寧ナラム。強キハ不↠*凌ガ↠弱キヲ、各ノ得テ↢其ノ所ヲ↡、無ク↢悪*歳・疾疫↡、無ク↢病痩ル者↡、兵革不↠起ラ、国ニ无ク↢盗賊↡、無ク↠有コト↢怨*抂↡、无ラム↠有コト↢拘閉ラルル者↡。
君臣人民歓喜せざることなく、 忠慈至誠にして、 おのおのみづから端しく守り、 みな自然に国を守り、 雍和孝順にして、 歓喜せざるはなからん。 有無あひともに恩を布き徳を施して、 心歓楽しともにみなあひ敬愛して、 財を推し義を譲りまづ前後に謙譲して、 礼をもつて敬事すること父のごとく子のごとく、 兄のごとく弟のごとくにして、 仁賢・和順・礼節ならざることなく、 すべて違諍なく快善極まりなからんと。
○君臣人民莫ク↠不コト↢歓喜セ↡、忠慈至誠ニシテ、各ノ自ラ端ク守リ、皆自然ニ守リ↠国ヲ、雍和孝順ニシテ、莫ラム↠不ルハ↢歓楽セ↡。有无相ヒ与ニ布キ↠恩ヲ施テ↠徳ヲ、心歓楽シ与ニ皆相ヒ敬愛テ、推シ↠財ヲ譲リ↠義ヲ謙↢譲テ於先ヅ前後ニ↡、以テ↠礼ヲ敬事コト如ク↠父ノ如ク↠子ノ、如ク↠兄ノ如クニシテ↠弟ノ、莫ク↠不コト↢仁賢・和順・礼節ナラ↡、都テ无ク↢違諍↡快善無ラムト↠極リ。
仏のたまはく、 われなんぢらを哀れみて、 これを度脱せんと欲すること父母の子を念ふよりも劇し。 いま八方上下の諸天・帝王・人民および蜎飛蠕動の類、 仏の経戒を得て仏道を奉行し、 みな明慧を得て心ことごとく開解して、 憂苦を過度し脱することを得ざるものなし。 いまわれ仏となり、 五悪・五痛・五焼のなかにありて、 五悪を降化し、 五痛を消尽し、 五焼を絶滅して、 善をもつて悪を攻め毒苦を抜き去りて、 五善を得しめてあきらかに好ましく、 焼・悪起らざらしむ。
○仏言ク、我哀テ↢子曹ヲ↡、欲コト↣度↢脱ムト之ヲ↡劇シ↢父母ノ念ヨリモ↟子ヲ。今八方上下ノ諸天・帝王・人民及ビ蜎飛蠕動之類、得テ↢仏ノ経戒ヲ↡奉0283↢行シ仏道ヲ↡、皆得テ↢明慧ヲ↡心悉ク開解テ、莫シ↧不ル↠*得↤過↢度シ脱コトヲ↣憂苦ヲ↡者↥。今我作リ↠仏ト、在テ↢於五悪・五痛・五焼之中ニ↡、降↢化シ五悪ヲ↡、消↢尽シ五痛ヲ↡、絶↢滅テ五焼ヲ↡、以テ↠善ヲ攻メ↠悪ヲ抜キ↢去テ毒苦ヲ↡、令テ↠得↢五善ヲ↡明ニ好シク、焼・悪不ラシム↠起ラ。
われ般泥洹し去りて後、 経道やや断絶し、 人民諛諂にして淳く衆悪をなしまた善をなさざれば、 五焼また起り、 五痛の劇苦、 また前の法のごとく、 自然に還復し久しくして後うたた劇しからん。 ことごとく説くべからず。 われただなんぢらがために小しくこれをいふのみと。
○我般泥洹シ去テ後、経道稍稍断絶シ、人民*諛諂ニシテ淳ク為シ↢衆悪ヲ↡不レバ↢復作サ↟善ヲ、五焼復起リ、五痛ノ劇苦、復如ク↢前ノ法ノ↡、自然ニ還復シ久クシテ後転タ劇シカラム。不↠可ラ↢悉ク説ク↡。我但為ニ↢若曹ガ↡小シク道フ↠之ヲ耳ト。
仏、 阿逸菩薩らに告げたまはく、 なんぢらおのおの思ひてこれを持て。 展転してあひ教戒し、 仏の経法のごとくにしてあへて犯すことなかれと。
○仏告タマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、若曹各ノ思テ持テ↠之ヲ。展転テ相ヒ教戒シ、如ニシテ↢仏ノ経法ノ↡無レト↢敢テ犯コト↡也。
阿逸菩薩長跪叉手してまうさく、 仏の説きたまふところはなはだ苦痛なり。 世人悪をなすことはなはだ劇しきことかくのごとくかくのごとし。 仏みな慈哀してことごとくこれを度脱したまふと。 みなまうさく、 仏の重教を受けたまへり、 請はくは展転して相承しあへて犯さずと。
○阿逸菩薩長跪叉手テ言ク、仏ノ所↠説タマフ甚ダ苦痛ナリ。世人為コト↠悪ヲ*甚ダ劇キコト如ク↠是ノ如シ↠是ノ。仏皆慈哀テ悉ク度↢脱タマフト之ヲ↡。皆言ク、受タマヘリ↢仏ノ重教ヲ↡、請ハ展転テ相*承シ不ト↢敢テ犯サ↡也。
二 Ⅴ ⅳ 霊山現土
【30】仏、 阿難に告げたまはく、 われなんぢらを哀れみて、 ことごとく無量清浄仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢所居の国土を見しめん。 なんぢこれを見ることを欲するやいなやと。
●仏告タマハク↢阿難ニ↡、我哀テ↢若曹ヲ↡、*令メム↣悉ク見↢无量清浄仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢所居ノ国土ヲ↡。若欲ルヤ↠見コトヲ↠之ヲ不ヤト。
阿難すなはち大きに喜び、 長跪叉手してまうさく、 願はくはみなこれを見ることを欲すと。
●阿難則チ大ニ喜ビ、長跪叉手テ言ク、願クハ皆欲スト↠見コトヲ↠之ヲ。
仏のたまはく、 なんぢ起ちて更めて袈裟を被て西に向かひて拝し、 日の没する処に当りて無量清浄仏のために礼をなし、 頭面をもつて地に著け、 南無無量清浄平等覚といへと。
○仏言ク、若起テ更テ被テ↢袈裟ヲ↡西ニ向テ拝シ、当テ↢日ノ没ル処ニ↡為ニ↢无量清浄仏ノ↡作シ↠礼ヲ、以テ↢頭面ヲ↡著ケ↠地ニ、言ヘト↢南無無量清浄平等覚ト↡。
阿難まうさく、 諾、 教を受けてすなはち起ち、 更めて袈裟を被て西に向かひて拝し、 日の所没の処に当りて、 無量清浄仏のために礼をなし、 頭脳をもつて地に著けて、 南無無量清浄平等覚といふ。
○阿難言ク、諾、受テ↠教ヲ則チ起チ、更テ被テ↢袈裟ヲ↡西ニ向テ拝シ、当テ↢日ノ所没ノ処ニ↡、為ニ↢无量清浄仏ノ↡作シ↟礼ヲ、以テ↢頭脳ヲ↡著テ↠地ニ、言フ↢南無無量清浄平等覚ト↡。
阿難いまだ起たざるに、 無量清浄仏すなはち大きに光明威神を放ちて、 すなはち八方上下のもろもろの無央数の仏国に遍す。 天地すなはちみなために大きに震動し、 諸天無央数の天地、 須弥山羅宝・摩訶須弥大山羅宝、 もろもろの天地、 大界・小界、 そのなかの諸有の大泥犁・小泥犁、 もろもろの山林・渓谷・幽冥の処、 みなすなはち大明にして、 ことごとくみな大きに開闢す。
○阿難未ダルニ↠起タ、无量清浄仏便チ大ニ放テ↢光明威神ヲ↡、則チ遍ス↢八方上下0284ノ諸ノ無央数ノ仏国ニ↡。天地則チ皆為ニ大ニ震動シ、諸天无央数ノ天地、須弥山羅宝・摩訶須弥大山羅宝、諸ノ天地、大界・小界、其ノ中ノ諸有ノ大泥犁・小泥犁、諸ノ山林・渓谷・幽冥之処、皆則チ大明ニシテ、悉ク*皆大ニ開闢ス。
すなはち阿難、 もろもろの菩薩・阿羅漢等、 諸天・帝王・人民、 ことごとくみな無量清浄仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の国土の七宝を見をはりて、 心みな大きに歓喜し踊躍して、 ことごとく起ちて無量清浄仏のために礼をなし、 頭脳をもつて地に著けて、 みな南無無量清浄三藐三仏陀といふ。
●則チ阿難、諸ノ菩薩・阿羅漢等、諸天・帝王・人民、悉ク皆見↢无量清浄仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ国土ノ七宝ヲ↡已テ、心皆大ニ歓喜シ踊躍テ、悉ク起テ為ニ↢无量清浄仏ノ↡作シ↠礼ヲ、以テ↢頭脳ヲ↡著テ↠地ニ、皆言フ↢南無無量清浄三藐三仏陀ト↡。
無量清浄仏の放てる光明に威神ありて、 すでにもろもろの無央数の天・人民および蜎飛蠕動の類、 みなことごとく無量清浄仏の光明を見たてまつるに、 慈心をもつて歓喜して善をなさざるものなし。 諸有の泥犁・禽獣・薜茘、 諸有の考治勤苦の処、 すなはちみな休止してまた治せず、 憂苦を解脱せざるものなし。
●无量清浄仏ノ放テル*光明ニ威神アリテ、已ニ諸ノ無央数ノ天・人民及ビ蜎飛蠕動之類、皆悉ク見マツルニ↢无量清浄仏ノ光明ヲ↡、莫シ↧不ル↢慈心ヲモテ歓喜テ作サ↟善ヲ者↥。諸有ノ泥犁・禽獣・薜茘、諸有ノ考治勤苦之処、則チ皆休止テ不↢復治セ↡、莫シ↧不ル↣解↢脱セ憂苦ヲ↡者↥。
諸有の盲者はすなはちみな視ることを得、 もろもろの跛躄蹇者は、 すなはちみな走り行くことを得、 もろもろの病者はすなはちみな愈えて起ち、 もろもろの尫者はすなはちみな強健に、 愚痴者はすなはちみなさらに黠慧に、 諸有の婬泆・瞋怒者は、 みなことごとく慈心をもつて善をなし、 諸有の毒を被るものは毒みな行らず、 鍾鼓・琴瑟・箜篌楽器諸伎は鼓せざるにみなおのづから音声をなし、 婦女の珠環はみなおのづから声をなし、 百鳥畜獣みなおのづから悲鳴す。
●諸有ノ盲者ハ則チ皆得↠視コトヲ、諸ノ跛躄蹇者ハ、則チ皆得↢走リ行コトヲ↡、諸ノ病者ハ則チ皆愈テ起チ、諸ノ尫者ハ則チ皆強健ニ、愚痴者ハ則チ皆更ニ黠慧ニ、諸有ノ婬*泆・瞋怒者ハ、皆悉ク慈心ヲモテ作シ↠善ヲ、諸有ノ被ル↠毒ヲ者ハ毒皆不↠行ラ、鍾鼓・琴瑟・箜篌楽器諸伎ハ不ルニ↠鼓セ皆自ラ作シ↢音声ヲ↡、婦女ノ珠環ハ皆自ラ作シ↠声ヲ、百鳥畜獣皆自ラ悲鳴ス。
この時に当りて、 歓喜して過度を得ざるものなし。 すなはち時に爾日、 諸仏国中の諸天・人天上の華香を持ちて来り下り、 虚空のなかにおいてことごとくみな諸仏および無量清浄仏の上に供養し散ぜざるはなし。 諸天おのおのともに大きに万種自然の伎楽をなして、 諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢を楽しましむ。 この時に当りて、 はなはだ快楽することいふべからず。
●当テ↢是之時ニ↡、莫シ↧不ル↣歓喜テ得↢過度ヲ↡者↥。則チ時ニ*爾日、諸仏国中ノ諸天・人莫シ↠不ルハ↫持テ↢天上ノ華香ヲ↡来リ下リ、於テ↢虚空ノ中ニ↡悉ク皆供↩養シ散0285ゼ↪諸仏及ビ无量清浄仏ノ上ニ↨。諸天各ノ共ニ大ニ作テ↢万種自然ノ伎楽ヲ↡、楽マシム↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。当テ↢是之時ニ↡、甚ダ快楽コト不↠可ラ↠言フ。
仏、 阿難・阿逸菩薩らに告げたまはく、 われ無量清浄仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の国土の自然の七宝を説くに、 まさに異なることなきやと。
○仏告タマハク↢阿難・阿逸菩薩等ニ↡、我説クニ↢无量清浄仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ国土ノ自然ノ七宝ヲ↡、当ニ無キ↠有コト↠異乎ト。
阿難長跪叉手してまうさく、 仏、 無量清浄仏の国土の快善なることを説きたまふ。 仏の説くところのごとくひとつも異なることあることなしと。
○阿難長跪叉手テ言ク、仏説タマフ↢無量清浄仏ノ国土ノ快善ナルコトヲ↡。如ク↢仏ノ所ノ↟説ク无シト↠有コト↢一ツモ異コト↡。
仏のたまはく、 われ無量清浄仏の功徳、 国土の快善を説かんに、 昼夜一劫すともなほまたいまだ竟へず。 われただなんぢらがために小しくこれを説くのみと。
○仏言ク、我説ムニ↢無量清浄仏ノ功徳、国土ノ快善ヲ↡、昼夜一劫ストモ尚復未ダ↠竟ヘ。我但為ニ↢若曹ガ↡小シク説ク↠之ヲ耳ト。
二 Ⅴ ⅴ 十方来生
阿逸菩薩すなはち長跪叉手して、 仏に問ひたてまつりてまうさく、 今仏の国はこの間よりまさにいくばくの阿惟越致の菩薩ありてか無量清浄仏の国に往生すべき。 願はくはこれを聞かんと。
○阿逸菩薩則チ長跪叉手テ、問マツリテ↠仏ニ言ク、今仏ノ国ハ従リ↢是ノ間↡当ニキ↧有テカ↢幾ノ阿惟越致ノ菩薩↡往↦生ス无量清浄仏ノ国ニ↥。願クハ聞ムト↠之ヲ。
仏のたまはく、 なんぢ知らんと欲せば、 あきらかに聴きて心中に著けよと。 阿逸菩薩まうさく、 教を受けんと。
●仏言ク、若欲バ↠知ムト者、明ニ聴テ著ヨト↢心中ニ↡。阿逸菩薩言ク、受ムト↠教ヲ。
仏のたまはく、 わが国よりまさに七百二十億の阿惟越致の菩薩ありて、 みな無量清浄仏の国に往生すべし。 ひとりの阿惟越致の菩薩は、 前後無央数の諸仏を供養し、 もつて次いで弥勒のごとし。 みなまさに作仏すべし。 およびその余のもろもろの小菩薩の輩は、 無央数にしてまた計ふべからず、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○仏言ク、従リ↢我ガ国↡当ニシ↧有テ↢七百二十億ノ阿惟越致ノ菩薩↡、*皆往↦生ス無量清浄仏ノ国ニ↥。一ノ阿惟越致ノ菩薩者、前後供↢養シ无央数ノ諸仏ヲ↡、以テ次イデ如シ↢弥勒ノ↡。皆当ニシ↢作仏ス↡。及ビ其ノ余ノ諸ノ小菩薩ノ輩者、無央数ニシテ不↠可ラ↢復計フ↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 ただわが国中のもろもろの菩薩のみまさに無量清浄仏の国に往生すべきにあらず。 他方異国にまた仏ましましてまたかくのごとし。
○仏告タマハク↢阿逸菩薩ニ↡、不ズ↤但我ガ国中ノ諸ノ菩薩ノミ当ニキニ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。他方異国ニ復有シテ↠仏亦復如シ↠是ノ。
第一の仏を光遠炤と名づく。 その国に百八十億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○第一ノ仏ヲ名ク↢光遠*炤ト↡。其ノ国ニ有リ↢百八十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第二の仏あり、 仏を宝積と名づく。 その国に九十億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第二ノ仏アリ、仏ヲ名ク↢宝積ト↡。其ノ国ニ有リ↢九十億ノ菩薩↡、皆当0286ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第三の仏を儒無垢と名づく。 二百二十億の菩薩あり、 みなまさに阿弥陀仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第三ノ仏ヲ名ク↢儒無垢ト↡。有リ↢二百二十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏ノ国ニ↡。
他方異国の第四の仏を無極光明と名づく。 その国に二百五十億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第四ノ仏ヲ名ク↢無極光明ト↡。其ノ国ニ有リ↢二百五十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第五の仏を於世無上と名づく。 その国に六百億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第五ノ仏ヲ名ク↢於世无上ト↡。其ノ国ニ有リ↢六百億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第六の仏を勇光と名づく。 その国に万四千の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第六ノ仏ヲ名ク↢勇光ト↡。其ノ国ニ有リ↢万四千ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第七の仏を具足交絡と名づく。 その国に十四億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第七ノ仏ヲ名ク↢具足交絡ト↡。其ノ国ニ有リ↢十四億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第八の仏を雄慧王と名づく。 その国に八の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第八ノ仏ヲ名ク↢雄慧王ト↡。其ノ国ニ有リ↢*八ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス无量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第九の仏を多力無過者と名づく。 その国に八百一十億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第九ノ仏ヲ名ク↢多力無過者ト↡。其ノ国ニ有リ↢八百一十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第十の仏を吉良と名づく。 その国に万億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第十ノ仏ヲ名ク↢吉良ト↡。其ノ国ニ有リ↢万億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス无量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第十一の仏を慧弁と名づく。 その国に万二千の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第十一ノ仏ヲ名ク↢慧弁ト↡。其ノ国ニ有リ↢万二千ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第十二の仏を無上華と名づく。 その国にもろもろの菩薩あり、 無央数にしてまた計ふべからず。 みな阿惟越致なり。 みな智慧勇猛にして、 おのおの無央数の諸仏を供養しをはりて、 一時にともに心に願じて往生せんと欲して、 みなまさに無量清浄仏の国に生ずべし。
○他方異国ノ第十二ノ仏ヲ名ク↢*無上華ト↡。其ノ国ニ有リ↢諸ノ菩薩↡、无央数ニシテ不↠可ラ↢*復計フ↡。皆阿惟越致ナリ。皆智慧勇猛ニシテ、各ノ供↢養シ無央数ノ諸仏ヲ↡*已テ、一時ニ倶ニ心ニ願テ欲テ↢往*生ムト↡、皆当ニシ↠生ズ↢无量清浄仏ノ国ニ↡。
他方異国の第十三の仏を楽大妙音と名づく。 その国に七百九十億の菩薩あり、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。
○他方異国ノ第十三ノ仏ヲ名ク↢楽大妙音ト↡。其ノ国ニ有リ↢七0287百九十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。
仏のたまはく、 このもろもろの菩薩はみな阿惟越致なり。 もろもろの比丘僧中の小菩薩の輩に及ぶまで無央数なり。 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし。 独りこの十四仏国のなかのもろもろの菩薩のみまさに往生すべきにあらず。 すべて八方上下の無央数の仏国のもろもろの菩薩の輩、 おのおのかくのごとし、 みなまさに無量清浄仏の国に往生すべし、 それ無央数なり。 すべてともに往きて無量清浄仏の国に会す、 大きに衆多にしてまた計ふべからず↡。
○仏言ク、是ノ諸ノ菩薩ハ皆阿惟越致ナリ。諸ノ比丘僧中ノ及マデ↢小菩薩ノ輩ニ↡无央数ナリ。皆当ニシ↣往↢生ス無量清浄仏ノ国ニ↡。不ズ↣独リ是ノ十四仏国ノ中ノ諸ノ菩薩ノミ当ニキニ↢往生ス↡也。都テ八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸ノ菩薩ノ輩、各各如シ↠是ノ、皆当ニシ↣往↢生ス无量清浄仏ノ国ニ↡、*其無央数ナリ。都テ共ニ往テ会ス↢無量清浄仏ノ国ニ↡、大ニ衆多ニシテ不↠可ラ↢復計フ↡。
われただ八方上下の無央数の仏の名字を説かんに、 昼夜一劫すともなほいまだ竟へず。 われただまた仏国のもろもろの比丘僧のもろもろの菩薩のまさに無量清浄仏の国に往生すべし人数を説かんに、 これを説くこと一劫にして休止せざるもなほいまだ竟へず。 われただなんぢらがために総攬してすべて小しくこれを説くのみと。
○我但説ムニ↢八方上下ノ無央数ノ仏ノ名字ヲ↡、昼夜一劫ストモ尚未ダ↠竟ヘ。我但復説ムニ↧仏国ノ諸ノ比丘僧ノ衆ノ菩薩ノ当ニキ↣往↢生ス无量清浄仏ノ国ニ↡人数ヲ↥、説コト↠之ヲ一劫ニシテ不ルモ↢休止セ↡尚未ダ↠竟ヘ。我但為ニ↢若曹ガ↡総攬テ都テ小シク説ク↠之ヲ耳ト。
三 流通分
Ⅰ 弥勒領解
【31】仏、 阿難・阿逸菩薩らに語りたまはく、 それ世間の帝王・人民・善男子・善女人、 前世宿命に善を行じて致すところの相禄、 すなはちまさに無量清浄仏の声を聞きて、 慈心をもつて歓喜すべし。 われこれに代りて喜ばんと。 仏のたまはく、 それ▼善男子・善女人ありて、 無量清浄仏の声を聞き、 慈心をもつて歓喜して一時に踊躍し、 心意清浄に、 衣毛ために起ちて、 涙出づるものは、 みな前世宿命に仏道をなせること他方仏のごとく、 もと菩薩にして凡人にあらず。
○仏語タマハク↢阿難・阿逸菩薩等ニ↡、其レ世間ノ帝王・人民・善男子・善女人、前世宿命ニ行テ↠善ヲ所ノ↠致ス相禄、*廼チ当ニシ↧聞テ↢无量清浄仏ノ声ヲ↡、慈心ヲモテ歓喜ス↥。我代テ↠之ニ喜ムト。仏言ク、其レ有テ↢善男子・善女人↡、聞キ↢無量清浄仏ノ声ヲ↡、慈心ヲモテ歓喜テ一時ニ踊躍シ、心意清浄ニ、衣毛為ニ起テ、*涙出ル者ハ、皆前世宿命ニ作コト↢仏道ヲ↡若ク↢他方仏ノ↡、故菩薩ニシテ非ズ↢凡人ニ↡。
▼それ人民、 男子・女人ありて、 無量清浄仏の声を聞きて仏ありと信ぜざるものは、 仏の経語を信ぜず、 比丘僧あることを信ぜず、 心中に狐疑してすべて信ずるところなきものは、 みなもと悪道のなかより来り生じて、 愚蒙にして解らず、 宿命の殃悪いまだ尽きず、 いまだまさに度脱を得べからず。 ゆゑに心中に狐疑して、 信向せざるのみと。
●其レ有テ↢人民、男子・女人↡、聞テ↢無量清浄仏ノ声ヲ↡不ル↠信ゼ↠有ト↠仏者ハ、不↠信ゼ↢仏ノ経語ヲ↡、不↠信ゼ↠有コトヲ↢比丘僧↡、心中ニ狐疑テ都テ无キ↠所↠信ル者ハ、皆故従リ↢悪道ノ中↡来リ生0288テ、愚*蒙ニシテ不↠解ラ、宿命ノ殃悪未ダ↠尽キ、未ダ↠当ニカラ↠得↢度脱ヲ↡。故ニ心中ニ狐疑テ、不ル↢信向セ↡耳ト。
仏のたまはく、 われなんぢらに語らん。 なんぢらまさになすべきところの善法は、 みなまさに奉行してこれを信ずべし、 われ般泥洹して去りて後といふゆゑをもつてすることを得ることなかれ。 なんぢらおよび後世の人、 またわれ無量清浄仏の国あることを信ぜずといふことを得ることなかれ。 われことさらになんぢらをしてことごとく無量清浄仏の国土を見しむ。 まさになすべきところのものは、 なんぢみづからこれを求めよ。
○仏言ク、我語ム↢若曹ニ↡。若曹所ノ↠当ニキ↠作ス善法ハ、皆当ニシ↢奉行テ信ズ↟之ヲ、無レ↠得コト↠以テスルコトヲ↢我般泥洹シ去テ後トイフ故ヲ↡。若曹及ビ後世ノ人、無レ↠得コト↣復言コトヲ↢我不ト↟信ゼ↠有コトヲ↢无量清浄仏ノ国↡。我故ラニ令ム↣若曹ヲシテ悉ク見↢無量清浄仏ノ国土ヲ↡。所ノ↠当ニキ↠為ス者ハ、若自ラ求ヨ↠之ヲ。
われつぶさになんぢらがために経戒順法を道説す。 なんぢらをしてまさに仏の法のごとくこれを持つべし、 毀失を得ることなかれ。 われこの経を持ちもつてなんぢらに累す。 なんぢらまさに堅くこれを持つべし、 みだりにこの経法を増減するをなすことを得ることなかれ。
●我具ニ為ニ↢汝曹ガ↡道↢説ス経戒*順法ヲ↡。若曹ヲシテ当ニシ↧如ク↢仏ノ法ノ↡持ツ↞之ヲ、无レ↠得コト↢毀失ヲ↡。我持チ↢是ノ経ヲ↡以テ累ス↢汝曹ニ↡。汝曹当ニシ↢堅ク持ツ↟之ヲ、無レ↠*得コト↠為コトヲ↣妄ニ増↢減ルヲ是ノ経法ヲ↡。
三 Ⅱ 特留此経
われ般泥洹し去りて後、 経道留止すること千歳せん。 千歳の後、 経道断絶せん。 心の所願のごとくありてみな道を得べしと。
○我般泥洹シ去テ後、経道留*止コト千歳セム。千歳ノ後、経道断*絶ム。在テ↢心ノ所願ノゴトク↡皆可シト↠得↠道ヲ。
仏のたまはく、 師は人を開導するに、 耳目・智慧明達にして、 人を度脱してよく泥洹の道に合することを得しむ。 つねにまさに仏に慈孝すること父母のごとくすべし。 つねに師の恩を念じてまさに念じて断絶せざれば、 すなはち道を得ること疾からんと。
●仏言ク、師ハ開↢導ルニ人ヲ↡、耳目・智慧明達ニシテ、度↢脱テ人ヲ↡令ム↠得↣善ク*合コトヲ↢泥洹之道ニ↡。常ニ当ニシ↧慈↢孝コト於仏ニ↡如クス↦父母ノ↥。常ニ念テ↢師ノ恩ヲ↡当ニ念テ不レバ↢断絶セ↡、則チ得コト↠道ヲ疾カラムト。
仏のたまはく、 天下に仏ましますははなはだ値ふことを得がたし。 人師法の経語の深きことを信受することあるは、 また値ふことを得がたし。 もしは沙門ありて師のごとく人のために仏経を説くもの、 はなはだ値ふことを得がたし。
○仏言ク、天下ニ有ス↠仏者甚ダ難シ↠得↠値コトヲ。人有ル↣信↢受コト師法ノ経語ノ深キコトヲ↡者、亦難シ↠得↠値コトヲ。若ハ有テ↢沙門↡若ク↠師ノ為ニ↠人ノ説ク↢仏経ヲ↡者、甚ダ難シ↠得↠値コトヲ。
仏この経を説きたまふ時、 すなはち万二千億の諸天・人民みな天眼を得て徹視し、 ことごとく一心にみな菩薩道をなす。 すなはち二百二十億の諸天・人民みな阿那含道を得、 すなはち八百の沙門みな阿羅漢道を得、 すなはち四十億の菩薩、 みな阿惟越致を得たりと。
○仏説タマフ↢是ノ経ヲ↡時、則チ万二千億ノ諸天・人民皆得テ↢天眼ヲ↡徹視シ、悉ク一心ニ皆為ス↢菩薩道ヲ↡。則チ二百二十億ノ諸天・人民皆得↢阿那含道ヲ↡、則チ八百ノ沙門皆得↢阿羅漢道ヲ↡、則チ四十億ノ菩薩、皆得タリト↢阿惟越致ヲ↡。
仏、 経を説きをはりたまふに、 もろもろの菩薩・阿羅漢・諸天・帝王・人民、 みな大きに歓喜し、 前み趣きて仏のために礼をなし、 仏を遶ること三帀して、 頭面をもつて仏足に著けて去りにき。
○仏説キ↠経ヲ已タマフニ、諸ノ菩薩・阿羅漢・諸天・帝王・人民、皆大ニ歓喜シ、前ミ趣テ為ニ↠仏ノ作シ↠礼ヲ、遶コト↠仏0289ヲ三帀テ、以テ↢頭面ヲ↡著テ↢仏足ニ↡而去ニキ。
*仏説無量清浄平等覚経 巻*第四
延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ高麗版(初雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒷⒸⒹ瑠、 項→ⒷⒸⒹ頂、 虎→ⒷⒸⒹ琥
佛…四13字 ⒷⒸⒹになし
後…譯12字 ⒷⒸⒹになし
仏国→Ⓓ国界
絶→ⒷⒸⒹ断
狂→ⒷⒸⒹ羸
刑→Ⓐ形
犁→Ⓑ黎
類属→ⒷⒸⒹ属転
恒→ⒷⒸⒹ但
諛→Ⓑ諭
入→Ⓑ人
悪→ⒷⒸⒹ怨
枉→Ⓑ抂
践→◎ⒶⒷ浅
捐→Ⓒ損
紹→ⒷⒹ殆→Ⓒ訟
蒙聾→ⒷⒸⒹ朦朧
欲益多→ⒸⒹ殺盜無
里→ⒷⒸⒹ廛
仇→ⒷⒸⒹ讐
命→ⒸⒹ念
毒→ⒷⒸⒹ恚
摩→ⒸⒹ靡
賜→ⒸⒹ儩
趣→Ⓓ趨
衆→ⒷⒸⒹ諸
相→ⒷⒸⒹ相[仮]
貴→ⒸⒹ貴[長]
婬→ⒷⒸⒹ恣
厭→Ⓐ懕
繋→◎ⒷⒸⒹ撃
迫→Ⓑ拍
行→ⒸⒹ婬
畏→Ⓑ思
記→ⒷⒸⒹ紀
度→ⒷⒸⒹ解
比→ⒷⒸⒹ比[如]
言→ⒸⒹ大
捲→ⒷⒸⒹ権
無→ⒷⒸⒹ不
儩→ⒶⒷⒸ賜
讁→Ⓐ擿→Ⓑ適
之→◎ⒶⒸⒹ乏
其有→ⒷⒸⒹ有其
如→Ⓐ而
惰→ⒷⒸ堕
反→ⒷⒸⒹ返
復→Ⓑ覆
魯→Ⓓ虜
抵→Ⓐ詆
眄→ⒶⒷ吁→ⒸⒹ盱
喜→ⒷⒸⒹ善
職→Ⓒ識
卒→ⒷⒸⒹ酬
濛澒→ⒷⒸⒹ蒙冥
為大→ⒷⒸⒹ大為
躬→Ⓐ射
窕→ⒷⒸⒹ窈
追→Ⓑ退
知見→ⒷⒸⒹ見知
如→ⒶⒷⒸ而
更具→ⒶⒹ具更
燋→ⒷⒸⒹ焦
奉→ⒷⒸⒹ受
上→Ⓐ人
殆→ⒸⒹ怠
勱→ⒷⒸⒹ励
斂→Ⓒ歛
常→ⒷⒸⒹ当
円→ⒷⒸⒹ図
後→Ⓑ彼
絶→ⒷⒸⒹ犯
於→ⒶⒷⒸⒹ於[在]
物→Ⓓ仏
為→ⒷⒸⒹ作
人→ⒸⒹ[世]人
怠→ⒸⒹ詒
室家→ⒷⒸⒹ家室
各→Ⓐ又
歓→◎勧
止→ⒷⒸⒹ正
里→ⒷⒸⒹ廛
凌→Ⓐ臨→ⒷⒸⒹ陵
歳→ⒸⒹ穢
抂→ⒷⒸⒹ枉
得→ⒷⒸⒹ得[度]
甚→ⒷⒸⒹ其
承→ⒷⒸⒹ教
令悉→Ⓓ悉令
皆→◎Ⓐ雨
光→ⒸⒹ大
泆→ⒸⒹ泆[者皆修梵行]
爾日→ⒷⒸⒹ念曰
皆→ⒷⒸⒹ皆[当]
炤→ⒷⒸⒹ照
八→Ⓓ八[十億]
無上華→ⒷⒸⒹ仏
復→Ⓐ得
已→◎ⒶⒷ以
生 ⒷⒸⒹになし
其→Ⓐ甚
廼→Ⓓ乃
涙→◎ⒶⒷ抜
蒙→ⒷⒸⒹ朦
順→ⒷⒸⒹ慎
得→ⒸⒹ以
止→Ⓐ心
絶→ⒸⒹ絶[我皆慈哀特留是経法止住百歳百歳中竟乃休止絶]
合→◎Ⓐ舎
仏説 ⒷⒸになし
第四→ⒷⒸⒹ下