0165仏説ぶっせつ阿弥陀あみだきょう かん

げっこく居士こじけんやく

 

往生因果
    衆生往生

【14】ぶついつさつげたまはく、 それけん人民にんみんもしは善男ぜんなんぜん女人にょにんがんじて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっするものに三輩さんぱいあり、 とくをなすにだいしょうありて、 うたたあひおよばずと。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩↡、其世間人民若シハ善男子・善女人、願ジテスル↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡者↢三輩↡、作スニ↠徳リテ↢大小↡、転↢相及↡。

ぶつのたまはく、 なんらをか三輩さんぱいとなす。 さいじょうだい一輩いっぱいとは、 まさにいえさい愛欲あいよくだんぎょうじて沙門しゃもんとなり、 無為むいどうきてまさにさつどうをなし、 ろっ波羅ぱらみつきょうぎょうするものなり。 沙門しゃもんとなりてきょうかいかず、 しんをもつてしょうじんしまさにしんせず、 まさに女人にょにんきょうつうせず、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにしてこころとんするところなく、 じょうがんじて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっし、 つねにねんじてしんにして断絶だんぜつせざれば、

仏言、何等ヲカ↢三輩↡。最上第一輩者、当↠家↢妻子↡断↢愛欲ジテ↢沙門↡、就キテ↢无為之道↡当↢菩薩道↡、奉↢行スル六波羅蜜経↡者ナリ。作↢沙門↡不↠虧↢経戒↡、慈心ヲモテ精進不↢当瞋怒↡、不↧当与↢女人↡交通↥、斎戒清浄ニシテ↠所↢貪慕スル↡、至誠ジテ↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡、常ジテ至心ニシテレバ↢断絶↡者、

そのひとすなはちこんにおいてどうもとむるとき、 すなはちねんにその臥止がしちゅうにおいて、 弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんたてまつり、 そのひと寿じゅみょうおわらんとほっするとき弥陀みだぶつすなはちみづからもろもろのさつ阿羅あらかんとともにほんぎょうしてこれをむかふ。

人便↢今世↡求ムル↠道時、即自然↢其臥止夢中↡、見タテマツリ↢阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢↡、其人寿命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏即与↢諸菩薩・阿羅漢↡共翻飛行シテ↠之

すなはち弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうし、 すなはち七宝しっぽうすいれんのなかよりしょうして、 すなはちねんけ、 ちょうだいしてすなはちゆいおっさつとなり、 すなはちもろもろのさつとともに翻輩ほんぱいぎょうして八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅぶつようしたてまつり、 すなはち智慧ちえゆうみょうなるにおよびて、 ねがひてきょうどうき、 そのこころかんらくす。 しょ七宝しっぽう舎宅しゃたくくうのなかにありて、 ほしいままにそのこころしたがひて所欲しょよくのごとくありて作為さいして、 弥陀みだぶつることちかしと。

往↢生阿弥陀仏国↡、便↢七宝水池蓮華中↡化生シテ、即自然↠身、長大シテ↢阿惟越致菩薩↡、便即与↢諸菩薩↡共翻輩飛行シテ供↢養シタテマツリ八方上下无央数↡、即オヨビテ↢智慧勇猛0166ナルニ↡、楽ヒテ↢経道↡、其心歓楽。所居七宝舎宅在リテ↢虚空↡、恣ヒテ↢其↡在リテ↢所欲ノゴトク↡作為シテ、去ルコト↢阿弥陀仏↡近シト

ぶつのたまはく、 もろもろの弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっするもの、 まさにしょうじんしてきょうかいたもち、 かくのごときのじょうほうぎょうするものは、 すなはち弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすることをしゅのためにそんきょうせらるることをべし。 これをじょうだい一輩いっぱいとなすと。

仏言、諸スル↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡者、当精進↢経戒↡、奉↢行キノ↠是クノ上法↡者、則↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国↡可↠得↣為↠衆ルルコトヲ↢尊敬↡。是スト↢上第一輩↡。

【15】ぶつのたまはく、 そのちゅうはいとは、 そのひとがんじて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっするに、 いえさい愛欲あいよくぎょうじて沙門しゃもんとなることあたはざるものといへども、

仏言、其中輩者、其人願ジテスルニ↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡、雖↩不↠能↧去↠家↢妻子↡断↢愛欲↡行ジテルコト↦沙門↥者↨、

まさにきょうかいたもちてしつることなく、 ますます分檀ぶんだん布施ふせをなして、 つねにぶつきょうふかきことを信受しんじゅし、 まさにじょうちゅうしんをなして、 もろもろの沙門しゃもん飯食ぼんじきせしめ、 ぶつつくとうて、 はならしこうともしびともし、 ざつ繒綵ぞうさいく。 かくのごときのほうのもの、 ちゃくまくするところなく、 まさにしんせず、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにしてしんをもつてしょうじんし、 愛欲あいよくだんじて、

チテ↢経戒↡无↠得ルコト↢虧失↡、益マスシテ↢分檀布施↡、常信↢受経語キコトヲ↡、当シテ↢至誠中信↡、飯↢食セシメ沙門↡、作↢仏寺↡起↠塔、散↠華↠香トモ↠灯、懸↢雑繒綵↡。如キノ↠是クノ者、無↠所↢適莫スル↡、不↢当瞋怒↡、斎戒清浄ニシテ慈心ヲモテ精進、断ジテ↢愛欲↡、

ねんじて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっして、 一日いちにちいち断絶だんぜつせざれば、

ジテシテ↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡、一日一夜不レバ↢断絶↡者、

そのひとすなはちこんにおいて、 また臥止がしちゅうにおいて弥陀みだぶつたてまつり、 そのひと寿じゅみょうおわらんとほっするとき弥陀みだぶつすなはちしてそのひとをしてにみづから弥陀みだぶつおよびそのこくしめたまふ。 弥陀みだ仏国ぶっこくおうすれば、 智慧ちえゆうみょうなることをべしと。

人便↢今世↡、亦復於↢臥止夢中↡見タテマツリ↢阿弥陀仏↡、其人寿命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏即シテメタマフ↣其ヲシテ見↢阿弥陀仏及国土↡。往↢至スレバ阿弥陀仏国↡者、可シト↠得↢智慧勇猛ナルコトヲ↡。

ぶつのたまはく、 そのひと施与せよぎょうすることかくのごとし。 もしそのひとのしかうしてのちまたちゅうし、 しんちゅう狐疑こぎして、 分檀ぶんだん布施ふせ諸善しょぜんをなさば後世ごせにそのふくることをしんぜず、 弥陀みだ仏国ぶっこくあることをしんぜず、 そのくにおうじょうすることあるをしんぜず。 しかればそのひとねんつづけてえざるに、 しばらくはしんじしばらくはしんぜず、 意志いしゆうしてせんするところなしといへども、 つづけてその善願ぜんがんほんとすればなほしおうじょうすることを

仏言、其人奉↢行スルコト施与↡如↠是クノ者。若シテ後復中悔、心中狐疑シテ、不↠信↧分檀布施サバ↢諸善↡後世ルコトヲ↦其↥、不↠信↠有ルコトヲ↢弥陀仏国↡、不↠信↠有ルヲ↣往↢生スルコト↡。雖↢爾レバ者其人続ケテ↠念ルニ↠絶、蹔クハクハ不↠信、意志猶シテシト↟所↢専0167スル↡、続ケテ善願レバ↠本ナホ得↢往生スルコトヲ↡。

そのひと寿じゅみょうみておわらんとほっするとき弥陀みだぶつすなはちみづからしてぎょうぞうとなり、 そのひとをしてにみづからこれをしめたまふ。 くちにまたいふことあたはざれども、 ただしんちゅうかんやくして、 こころ念言ねんごんすらく、 われますます斎戒さいかいぜんをなすことをらざりしをゆ。 いままさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべしと。 そのひとすなはちこころにみづから悔過けかす。 悔過けかすればすこしくえてくるも、 またおよぶところなし。 そのひと寿じゅみょうしゅうじんするに、 すなはち弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすれども、 弥陀みだぶつみもとすすいたることをることあたはず。

人寿命病ミテスル↠終ラムト時、阿弥陀仏即シテ↢形像↡、令メタマフ↢其ヲシテ見↟之。口レドモ↠能↢復言フコト↡、但心中歓喜踊躍シテ、意念言スラク、我悔↠不リシヲ↠知↢益マス斎戒スコトヲ↟善。今当シト↣往↢生阿弥陀仏国↡。其人即悔過。悔過スレバ者小シクエテクルモ、無↠所↢復及↡。其人寿命終尽スルニ、即往↢生スレドモ阿弥陀仏国↡、不↠能↠得ルコト↣前↢至ルコトヲ阿弥陀仏↡。

すなはちどう弥陀みだ仏国ぶっこくかいほとりねん七宝しっぽう城中じょうちゅうて、 こころすなはちおほきにかんし、 すなはちその城中じょうちゅうとどまる。 すなはち七宝しっぽうすいれんのなかよりしょうして、 すなはちねんちょうだいす。 城中じょうちゅうにあることこのけんにおいてひゃくさいなり。 そのしろこうじゅうおのおのせん城中じょうちゅうにもまた七宝しっぽう舎宅しゃたくあり。

便↢阿弥陀仏国界自然七宝城中↡、心便歓喜、便↢其城中↡。即↢七宝水池蓮華中↡化生シテ、則↠身自然長大。在ルコト↢城中↡於↢是↡五百歳ナリ。其広縦各千里、城中ニモ亦有↢七宝舎宅↡。

ちゅうないにみな七宝しっぽうよくあり。 よくのなかにもまたねんこうありてめぐれり。 よくほとりにまた七宝しっぽうじゅありてかさなりならび、 またみなまたいつつのおんじょうをなせり。 その飯食ぼんじきほっするときまえねんじきあり、 ひゃくしたる飲食おんじきなり。 んとほっするところのごとくありてこころおうじてみないたる。 そのひと城中じょうちゅうにおいてまたらくあり。 その城中じょうちゅうたとへばだいとうてんじょうねんのもののごとし。

中外内皆有↢七宝浴池↡。浴池ニモ亦有リテ↢自然華香↡繞レリ。浴池亦有リテ↢七宝樹↡重ナリナラ、亦皆復作セリ↢五音声↡。其スル飯食↡時↢自然食↡、具シタル↢百味↡飲食ナリ。在リテ↠所ノゴトク↠欲スル↠得ムトジテ↠意皆至。其人於↢城中↡亦快楽アリ。其城中タトヘバ↢第二忉利天上自然之物↡。

しかりといへどもそのひと城中じょうちゅうよりることをることあたはず。 また弥陀みだぶつたてまつることをることあたはず。 ただそのこうみょうたてまつりて、 こころにみづからしゃくやくしてよろこぶのみ。 またきょうくことをることあたはず。 またもろもろの比丘びくそうることをることあたはず。 また弥陀みだぶつこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかん状貌じょうみょうはなんらのたぐいなるかをけんすることをることあたはず。 そのひとしゅうすることかくのごとく小適しょうちゃくのごときのみ。

↠爾リト人城中ヨリ不↠能↠得ルコト↠出ルコトヲ。復不↠能↠得ルコト↠見タテマツルコトヲ↢阿弥陀仏↡。但見タテマツリテ↢其光明↡、心悔責踊躍シテ耳。亦復不↠能↠得ルコト↠聞クコトヲ↠経。亦復不↠能↠得ルコト↠見ルコトヲ↢諸比丘僧↡。亦復不↠能↠得ルコト↣見↢知スコトヲ阿弥陀仏国中菩薩・阿羅漢状貌何等ナルカヲ↡。其人愁苦スルコト是比 カク ↡如↢小適↡耳。

ぶつまたしからしむるにあらず、 しんぎょうしょねんにこれをるなり。 みなこころにみづから趣向しゅこうしてどうにその城中じょうちゅうるなり。 そのひともと宿命しゅくみょうどうもとめしときしんおのおのことにして言念ごんねんじょうしんなく、 ぶっきょう狐疑こぎして、 またこれを信向しんこうせず、 まさにねん悪道あくどうのなかにるべし。 弥陀みだぶつ哀愍あいみんして、 じんをもつてこれをきてらしめたまふのみ。

仏亦不0168↠使ムルニ↠爾、身行所作、自然ルナリ↠之。皆心趣向シテルナリ↢其城中↡。其人本宿命メシ↠道時、心口各ニシテ言念無↢誠信↡、狐↢疑シテ仏経↡、復不↣信↢向↡、当↣自然↢悪道↡。阿弥陀仏哀愍シテ、威神ヲモテキテ↠之ラシメタマフ爾。

そのひと城中じょうちゅうにおいてひゃくさいにして、 すなはちでて弥陀みだぶつみもとおうしてきょうくことをるも、 こころかいせず、 またもろもろのさつ阿羅あらかん比丘びくそうのなかにありて、 きょうきもつてることをず。 しょところ舎宅しゃたくにありて、 舎宅しゃたくをしてこころしたがひて高大こうだいにしてくうのなかにあらしむることあたはず。 また弥陀みだぶつることはなはだおほきにとおくして、 弥陀みだぶつごんしたてまつることをることあたはず。 そのひと智慧ちえあきらかならず、 きょうることもまたすくなくして、 こころかんせず、 こころかいせず。

人於↢城中↡五百歳ニシテ、乃ルモ↧出デテ往↢至シテ阿弥陀仏↡聞クコトヲ↞経、心不↢開解↡、亦復不↠得↧在リテ↢諸菩薩・阿羅漢比丘僧↡、聴キテ↠経ルコトヲ↥。所居舎宅在リテ↠地、不↠能↠令ムルコト↣舎宅ヲシテヒテ↠意高大ニシテ↢虚空↡。復去ルコト↢阿弥陀仏↡甚クシテ、不↠能↠得ルコト↣近↢附シタテマツルコトヲ阿弥陀仏↡。其人智慧不↠明カナラ、知ルコトモ↠経復少クシテ、心不↢歓喜↡、意不↢開解↡。

そのひと久々くくにまたみづからまさに智慧ちえかいしてきょうることみょうごんゆうみょうなるべくして、 こころまさにかんすべし。 いでまさにまたかみだい一輩いっぱいのごとくなるべし。 ゆゑはいかん。 そのひとただぜん宿命しゅくみょうどうもとめしとき、 おほきに斎戒さいかいたもたず、 きょうぼうしつし、 意志いし狐疑こぎなるによりて、 ぶつしんぜず、 ぶっきょうふかきことをしんぜず、 分檀ぶんだん布施ふせしてぜんをなせば後世ごせにそのふくべきことをしんぜず、 またちゅうして弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすることをしんぜざるによりて、 とくをなすことしんならず、 これをもつてのゆゑにのみなり。 これをだいちゅうはいとなすと。

人久久亦自クシテ↢智慧開解シテルコト↠経明健勇猛ナル↡、心当↢歓喜↡。次イデ↣復如クナル↢上第一輩↡。所以者何。其人但リテ↧前世宿命メシ↠道時、不↣大↢斎戒↡、毀↢失経法↡、意志狐疑ナルニ↥、不↠信↢仏語↡、不↠信↢仏経キコトヲ↡、不↠信↢分檀布施シテセバ↠善後世キコトヲ↟得↢其↡、復リテ↢中悔シテルニ↟信↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国↡、スコト↠徳不↢至心ナラ↡、用テノナリ。是スト↢第二中輩↡。

【16】ぶつのたまはく、 その三輩さんぱいとは、 そのひとがんじて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっすれども、 もしは分檀ぶんだん布施ふせもちゐるところなく、 またこうはならしともしびともし、 ざつ繒綵ぞうさいけ、 ぶつつくとうてもろもろの沙門しゃもん飯食ぼんじきせしむることあたはざるものは、 まさに愛欲あいよくだんじてとんするところなく、 きょうしんをもつてしょうじんし、 まさにしんせず、 斎戒さいかい清浄しょうじょうなるべし。

仏言、其三輩者、其人願ジテスレドモ↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡、若シハ↠所↠用ヰル↢分檀布施↡、亦不↠能↧焼↠香↠華トモ↠灯、懸↢雑繒綵↡、作↢仏寺↡起↠塔飯↦食セシムルコト沙門↥者ジテ↢愛欲↡無↠所↢貪慕スル↡、得↠経慈心ヲモテ精進、不↢当瞋怒↡、斎戒清浄ナルベシ

かくのごときのほうのもの、 まさに一心いっしんねんじて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっし、 ちゅうじゅうにち断絶だんぜつせざれば、 寿じゅみょうおわりてすなはち弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうして、 そんきょう智慧ちえゆうみょうべしと。

キノ↠是クノ0169者、当一心ジテ↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡、昼夜十日不レバ↢断絶↡者、寿命終リテ往↢生シテ阿弥陀仏国↡、可シト↠得↢尊敬智慧勇猛↡。

ぶつのたまはく、 そのひとこれをなして以後いご、 もしまたちゅうしん狐疑こぎして、 ぜんをなさば後世ごせにまさにそのふくべきことをしんぜず、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすることをしんぜず。 そのひとしかりといへども、 つづいておうじょうすることを。 そのひと寿じゅみょうみておわらんとほっするとき弥陀みだぶつすなはちそのひとをして臥止がしちゅうにおいて弥陀みだぶつしめたまふ。

仏言、其人作シテ↠是以後、若復中悔心意狐疑シテ、不↠信↢作サバ↠善後世キコトヲ↟得↢其↡、不↠信↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国↡。其人雖リト、続イテ得↢往生スルコトヲ↡。其寿命病ミテスル↠終ラムト時、阿弥陀仏即メタマフ↧其ヲシテ↢臥止夢中↡見↦阿弥陀↥。

しんちゅうにおほきにかんし、 こころにみづから念言ねんごんすらく、 われますます諸善しょぜんをなすべきことをらざりしをゆ。 いままさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべしと。 そのひとただこれをねんじてくちにまたいふことあたはざれども、 すなはちみづから悔過けかす。 悔過けかすれば、 やや減少すくなきも、 ゆるにまたおよぶところなし。 そのひと命終みょうじゅうして、 すなはち弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずるも、 すすいたることをることあたはず。

心中歓喜、意念言スラク、我悔↠不リシヲ↠知↣益マススベキコトヲ↢諸善↡。今当シト↣往↢生阿弥陀仏国↡。其人但念ジテ↠是レドモ↠能↢復言フコト↡、即悔過。悔過スレバ者、ヤヤ減少 スクナ キモ、悔ユルニ↠所↢復及↡。其人命終シテ、即ズルモ↢阿弥陀仏国↡、不↠能↠得ルコト↢前ルコトヲ↡。

すなはちどうせん七宝しっぽう城中じょうちゅうて、 こころひとかんし、 すなはちそのなかにとどまりて、 また七宝しっぽうよくれんのなかよりしょうし、 すなはちねんけてちょうだいす。 そのしろもまたさきしろほうのごとし。 たとへばだいとうてんじょうねんのもののごとし。 そのひとまた城中じょうちゅうにおいて、 ひゃくさいをはりてすなはちづることをて、 弥陀みだぶつみもといたり、 しんちゅうにおほきによろこぶなり。

便↢二千里七宝城中↡、心歓喜、便リテ↢其↡、亦復於↢七宝浴池蓮華中↡化生、即自然ケテ↠身長大。其亦復如↢前↡。タトヘバ↢第二忉利天上自然之物↡。其人亦復於↢城中↡、五百歳竟リテ↠出ヅルコトヲ、至↢阿弥陀↡、心中ブナリ

そのひときょうちょうもんすれどもこころかいせず、 こころかんらくせず、 智慧ちえあきらかならず、 きょうることまたすくなし。 しょ舎宅しゃたくにありて、 舎宅しゃたくをしてこころしたがひて高大こうだいにしてくうのなかにあらしむることあたはず。 また弥陀みだぶつることおほきにとおくして、 弥陀みだぶつごんしたてまつることをることあたはず。 またこのだいちゅうはい狐疑こぎのもののごときなり。

人聴↢聞スレドモ↡、心不↢開解↡、意不↢歓楽↡、智慧不↠明カナラ、知ルコト↠経復少。所居舎宅在リテ↠地、不↠能↠令ムルコト↣舎宅ヲシテヒテ↠意高大ニシテ↢虚空↡。復去ルコト↢阿弥陀仏↡大クシテ、不↠能↠得ルコト↣近↢附シタテマツルコトヲ阿弥陀仏↡。亦復如↢是第二中輩狐疑↡也。

そのひと久々くくにまたまさに智慧ちえかいしてきょうることゆうみょうなるべくして、 こころまさにかんらくすべし。 いでかみだい一輩いっぱいのごとし。 ゆゑはいかん。 みなぜん宿命しゅくみょうどうもとめしときちゅう狐疑こぎし、 しばらくはしんじしばらくはしんぜず、 ぜんをなせばその福徳ふくとくることをしんぜざるに、 みなねんにこれをるのみ。 そのどくげんげんするところあるにしたがひておのおのねん趣向しゅこうす。 きょうどうぎょうずること億万おくまんすぐれ、 ちょうぜつしてあひおよばず。

人久久亦当クシテ↢智慧開解シテルコト↠経勇猛ナル↡、心当↢歓楽↡。次イデ↢上0170一輩↡也。所以者何。皆リテ↧前世宿命メシ↠道時、中悔狐疑、蹔クハクハ不↠信、不ルニ↟信↢作セバ↠善ルコトヲ↢其福徳↡、皆自然↠之爾。随ヒテ↢其功徳ルニ↟所↢鉉・不鉉スル↡各自然趣向。説↠経ズルコト↠道↢億万↡、超絶シテ↢相及↡。

ぶつのたまはく、 それもとめてさつどうをなして弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとほっするものは、 そのひとしかうしてのちみなまさにゆいおっさつべし。 ゆいおっさつは、 みなまさにさんじゅうそう紫磨しま金色こんじきはちじゅう種好しゅこうあるべし。

仏言、其スル↧求メテシテ↢菩薩道↡生ゼムト↦阿弥陀仏国↥者、其人然シテ後皆当↠得↢阿惟越致菩薩↡。阿惟越致菩薩者、皆当↠有↢三十二相・紫磨金色・八十種好↡。

みなまさにぶつして所願しょがんしたがふべし。 よくするところのごとくありて、 ほう仏国ぶっこくにおいてぶつし、 つひにまたないきんじゅう薜荔へいれいかえらず。

皆当↣作仏シテ↢所願↡。在リテ↠所ノゴトク↢求欲スル↡、於↢他方仏国↡作仏、終不↣復更↢泥犁・禽獣・薜荔↡。

それしょうじんどうもとむるにしたがひて、 早晩そうばん同等どうとうなるのみ。 どうもとめてまずは、 かならずまさにこれをてその所欲しょよくがんしっせずと。

ヒテ↢其精進ムルニ↟道、早晩之事同等ナル爾。求メテ↠道↠休、会↠之↠失↢其所欲↡也。

【17】ぶついつさつらの諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんげたまはく、 われみななんぢらにかたる。 もろもろの弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっするものは、 おほきにしょうじんぜんじょうしてきょうかいたもつことあたはざるものなりといへども、 おほきにかならずまさにぜんをなすべし。 いちにはせっしょうすることをざれ。 には盗窃とうせつすることをざれ。 さんには淫泆いんいつにしてにんにょ奸愛かんあいすることをざれ。 には調じょうすることをざれ。 には飲酒おんじゅすることをざれ。 ろくにはりょうぜつすることをざれ。 しちにはあっすることをざれ。 はちにはもうすることをざれ。 にはしっすることをざれ。 じゅうには貪餮とんてつすることをざれ。 しんちゅうけんじゃくするところあることをざれ。 しんすることをざれ。 愚痴ぐちなることをざれ。 こころよくしたがふことをざれ。 こころちゅうすることをざれ。 狐疑こぎすることをざれ。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等諸天・帝王・人民↡、我皆語↢汝↡。諸スル↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡者、雖↧不↠能↣大精進禅定シテツコト↢経戒↡者ナリト↥、大↠作↠善。一者不↠得↢殺生スルコトヲ↡。二者不↠得↢盗窃スルコトヲ↡。三者不↠得↣淫泆ニシテ奸↢愛スルコトヲ他人婦女↡。四者不↠得↢調欺スルコトヲ↡。五者不↠得↢飲酒スルコトヲ↡。六者不↠得↢両舌スルコトヲ↡。七者不↠得↢悪口スルコトヲ↡。八者不↠得↢妄言スルコトヲ↡。九者不↠得↢嫉妬スルコトヲ↡。十者不↠得↢貪餮スルコトヲ↡。不↠得↢心中ルコトヲ↟所↢慳惜スル↡。不↠得↢瞋怒スルコトヲ↡。不↠得↢愚痴ナルコトヲ↡。不↠得↠随フコトヲ嗜欲↡。不↠得↢心中悔スルコトヲ↡。不↠得↢狐疑スルコトヲ↡。

まさに孝順きょうじゅんをなすべし。 まさにじょうちゅうしんをなすべし。 まさにぶっきょうふかきことを信受しんじゅすべし。 まさにぜんをなせば後世ごせにそのふくることをしんずべし。 かくのごときそのほう奉持ぶじしてしつせざるものは、 こころ所願しょがんのごとくありて弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすることをべし。 かならずまさに斎戒さいかい一心いっしん清浄しょうじょうにして、 ちゅうにつねにねんじ、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとほっして、 じゅうにちじゅう断絶だんぜつせざるべし。 われみなこれをあいしてことごとく弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜしめんと。

↠作↢孝順↡。当↠作↢至誠忠信↡。当↣信↢受経語キコトヲ↡。当↠信↣作セバ↠善後世ルコトヲ↢其↡。奉0171↢持シテ↠是クノ↡不↢虧失↡者、在リテ↢心所願ノゴトク↡可↠得↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国↡。至要 カナラ ↧斎戒一心清浄ニシテ、昼夜、欲シテ↣往↢生セムト阿弥陀仏国↡、十日十夜不↦断絶↥。我皆慈↢哀シテ↡悉メムト↠生↢阿弥陀仏国↡。

ぶつのたまはく、 けんひともつてげんみょうしたおよばんことをほっすれども、 いえしてぜんしゅどうをなさんもの、 さいとともにし、 恩好おんこう愛欲あいよくのなかにりて、 ねんおおく、 家事けじそうにして、 大斎だいさい一心いっしん清浄しょうじょうなるにいとまあらず。 いえよくつることをることあたはずといへども、 空閑くうげんときありて、 みづからしんただしくし、 ぜんをなすことをねんじ、 せんしょうどうぎょうずることじゅうにちじゅうすればしゅなり、 もししこうすることあたはずは、 みづからゆいしつらつらきょうすべし。

仏言、世間人以レドモ↣慕↢及バムコトヲ賢明↡、居シテ↠家↠善サム↠道者、与↢妻子↡共、在リテ↢恩好愛欲之中↡、憂念・苦多、家事怱務ニシテ、不↠暇アラ↢大斎一心清浄ナルニ↡。雖↠不↠能↠得ルコト↢去↠家ツルコトヲ↟欲、有リテ↢空閑時↡、自シクシ↢心意↡、念↢身スコトヲ↟善、専精ズルコト↠道十日十夜スレバ者殊ナリ使↠能スルコト、自思惟ツラ挍計スベシ

だつせんとほっするもの、 しもまさにおもいうれひをるべく、 家事けじねんずることなかれ。 にんどうじょうすることなかれ。 みづから身心しんしんたんじょうにして愛欲あいよくだんじ、 一心いっしん斎戒さいかい清浄しょうじょうにして、 こころいたして弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとねんじて一日いちにちいち断絶だんぜつせざれば、 寿いのちおわりてみなそのくにおうじょうし、 七宝しっぽうよくれんのなかにありてしょうして、 智慧ちえゆうみょうなることをべし。 しょ七宝しっぽう舎宅しゃたくざいこころ所欲しょよくのごとく作為さいして、 いでかみだい一輩いっぱいのごとくなるべしと。

スル↣度↢脱セムト↡者、下当↢絶↠念↟憂、勿↠念ズルコト↢家事↡。莫↧与↢婦人↡同床スルコト↥。自端↢正ニシテ身心↡断↢於愛欲↡、一心斎戒清浄ニシテ、至シテ↠意ジテ↠生ゼムト↢阿弥陀仏国↡一日一夜不レバ↢断絶↡者、寿終リテ皆往↢生↡、在リテ↢七宝浴池華蓮↡化生シテ、可↠得↢智慧勇猛ナルコトヲ↡。所居七宝舎宅、自在所欲ノゴトク作為シテ、可シト↣次イデクナル↢上第一輩↡。

ぶついつさつかたりてのたまはく、 もろもろの八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸天しょてん人民にんみん比丘びくそう比丘びく優婆うばそく優婆うばの、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうする衆等しゅとうだい、 みなともに七宝しっぽうよくすいのなかにおいてす。

仏語リテ↢阿逸菩薩↡言、諸八方上下無央数諸天・人民・比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷、往↢生スル阿弥陀仏国↡衆等大会、皆共テス↢七宝浴池水↡。

すべてともに人々にんにんはことごとくみづからひとつのだいれんうえにおいてして、 みなことごとくみづから道徳どうとくぎょうぜんぶ。 人々にんにんおのおのみづからそのぜん宿命しゅくみょうどうもとめしときかいたもちてなすところの善法ぜんぽうじゅうらいするところのしょう本末ほんまつ、 その好憙このむところのきょうどうきょうれる智慧ちえぎょうするところのどくき、 かみよりしもぎてうたたみなへんす。

人人↢一大蓮華↡坐シテ、皆悉↢道徳行善↡。人人各↧其前世宿命メシ↠道チテ↠戒↠作善法、所↢従来スル↡生本末、其好憙 コノ ↡経道、知0172レル↠経智慧、所↢施行スル↡功徳↥、従↠上次ギテ↠下皆遍

もつてきょうるにみょうみょうあり、 深浅じんせんだいしょうあり、 とくれつ厚薄こうはくありて、 ねんどうとして、 才能ざいのう智慧ちえごんみょうべっす。 しゅはあひかんしょうし、 らいじゅんして、 みなみづからかんやくす。 智慧ちえゆうみょうあるに、 おのおのあひ属逮およばずと。

ルニ↠経↢明・不明↡、智↢深浅・大小↡、徳リテ↢優劣・厚薄↡、自然之道トシテ、別↢知才能智慧健猛↡。衆相観照、礼義和順シテ、皆自歓喜踊躍。智慧ルニ↢勇猛↡、各↢相属逮 オヨ ↡。

ぶつのたまはく、 そのひとことにあらかじめとくをなしぜんをなすことをせず、 きょうししからしむることをしんぜず、 徒倚といだいなれば、 ためにもつてしかるべく、 ときいたりて都集あつまりてきょうどうけども、 ねん迫促はくそくせられて応答おうとうばんなり。 どう卓殊たくしゅちょうぜつにして才能ざいのうこうみょうなれども、 ひと辺羸へんるいにおいてのぞみてすなはちゆ。 ゆればすでにづるも、 そののちにまさにまたなんのやくかあらん。 ただしんちゅうらいろうしてひとしからんとぎゅうするのみと。

仏言、其人殊不↢↠徳スコトヲセ↟善、軽戯不↠信↠使ムルコトヲ↠然、徒倚懈怠ナレバ、為↠爾、至リテ↠時都集 アツマ リテケドモ↢経道↡、自然迫促セラレテ応答遅晩ナリ。道智卓殊超絶ニシテ才能高猛ナレドモ、独↢辺羸↡臨ミテ↠事。悔ユレバ者已ヅルモ、其復何カアラム。但心中シテ慕↢及スルシカラムト

【18】ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろのさつ阿羅あらかん衆等しゅとう大聚だいじゅは、 ねん都集あつまりて、 こころとどこころせいし、 ただおこなひをただしくし、 遊戯ゆげ洞達どうだつして、 ともにあひしたがひてぎょう翻輩ほんぱい出入しゅつにゅうす。 ようすることきわまりなく、 歓心かんしんをもつてらくして、 ともにきょうかんどうぎょうじ、 こうひさしくならひ、 ざいたけ智慧ちえあり。 こころざしくうのごとくにしてしょうじんしてがんし、 こころつひにまたちゅうせず、 こころつひにまたてんぜず、 つひにごくときあることなし。

仏言、阿弥陀仏国菩薩・阿羅漢衆等大聚会、自然都集 アツマ リテトド↠心↠意、端↠身シクシ↠行、遊戯洞達シテ、倶相随ヒテ飛行翻輩出入。供養スルコト↠極、歓心ヲモテシテ、共↠経↠道、和好シク、才猛智慧アリ。志クニシテ↢虚空↡精進シテ求願、心終不↢復中↡、意終不↢復転↡、終↠有ルコト↢懈極時↡。

どうもとむるにほかかんのごとくなりといへどもうちひときゅうしつにして、 容々ようようとしてくうのごとく、 まさにそのちゅう中表ちゅうひょう相応そうおうす。 ねんごんじょうに、 けんれん端直たんじきに、 身心しんしんしょうけつにして、 愛欲あいよくあることなく、 ちゃくどんするところなくして、 衆悪しゅあく瑕穢かえあることなし。 そのがんみなおのおのあんじょう姝好しゅこうにして、 ぞう欠減けつげんなし。

↣求ルニ↠道クナリト↢遅緩↡内急疾ニシテ、容容トシテ虚空ノゴトク、適↢其↡中表相応。自然厳整、撿斂端直、身心清潔ニシテ、无↠有ルコト↢愛欲↡、無クシテ↠所↢適貪スル↡、无↠有ルコト↢衆悪瑕穢↡。其志願皆各安定姝好ニシテ、無↢増欠減↡。

どうもとむるにしょうにして、 あやまりてじゃかたむかず。 道法どうぼうじゅんもうし、 きょうしたがりょうやくし、 あへてたがひてでつせず。 もしは八方はっぽうじょうにおいて辺幅へんぷくあることなく、 ざい所欲しょよくのごとくとうすることぐうごくなり。 咸然げんねんどうをなし、 恢廓かいかくぎゅうし、 曠蕩こうとうどうねんじて、 ねんなく、 憂思うしあることなし。 ねん無為むい虚無こむくうりゅうかいあんよくにして、 善願ぜんがんとくして、 こころくしてしゃくし、 あわれみをふくみてみんし、 しょうじんしてうちおもてらいにすべてがっす。

ムルニ↠道和正ニシテ、不↢誤リテ↟邪。准↢望道法↡、随↠経↠令、不↢敢ヒテ蹉跌↡。若シハ↢八方上下↡無↠有ルコト↢辺幅↡、自在所欲ノゴトク至到スルコト無窮无極ナリ。咸然↠道、恢廓慕及、曠0173ジテ↠道、無↢他之念↡、无↠有ルコト↢憂思↡。自然無為、虚无空立、恢安無欲ニシテ、作↢得シテ善願↡、尽シテ↠心求索、含ミテ↠哀慈愍、精進シテ礼義

通洞つうどうしてすることなく、 じゅんふくしょうし、 ひょうほうし、 過度かどだつして、 よく泥洹ないおん升入しょうにゅうし、 ながへに道徳どうとくごうみょうし、 ねんにあひしゅす。 快意けいしんしげらし、 しんしげらしてあきらかに潔白けっぱくなり。 がんじょうにして、 清浄しょうじょうあんじょうして、 じょうらくきわまりあることなく、 善好ぜんこうあることならびあることなし。 巍々ぎぎ耀ようしょうし、 耀ようしょうしてつねに開達かいだつみょうてつなること、 ねんのなかのねんそう、 これをしからしむるに根本こんぽんあり。

通洞シテ↠違スルコト、和順副称、褒↢羅表裏↡、過度解脱シテ、能升↢入泥洹↡、長ヘニ与↢道徳↡合明、自然相保守。快意之滋ラシ↠真、滋ラシテ↠真カニ潔白ナリ。志願無上ニシテ、清浄之安定シテ、静楽之无↠有ルコト↠極、善好ナルコト↠有ルコト↠比。巍巍之耀照、耀照シテ開達明徹ナルコト、自然自然相、然ラシムルニ↠之↢根本↡。

ねんこうじょうじ、 こうよりしきいたり、 しきまじわてんしてしゅひゃくせんきょうへんし、 鬱単うったんねんなり。 ねん七宝しっぽうじょうじ、 よこさまりて万物まんもつじょうじ、 こうしょうまじわりあきらかにしてともにづ。 このましくして甚姝じんしゅなることきわまりあることなし。

自然↢五光↡、五光ヨリ↢九色↡、九色参ハリ徊転シテ数百千更変、鬱単之自然ナリ。自然↢七宝↡、横リテ↢万物↡、光精参ハリカニシテ。好シクシテ甚姝ナルコト↠有ルコト↠極

釈迦指勧
    浄穢欣厭

そのこくはなはだしきことかくのごとし。

国土甚ダシキコト↠此クノ

なんぞつとめてぜんをなし、 どうねんねんじ、 じょうなく洞達どうだつして辺幅へんぷくなきことをじゃくし、 こころざしくうのなかにてざる。

ツトメ↠善、念↢道之自然↡、著↧於無↢上下↡洞達キコトヲ↦辺幅↥、捐↩志虚空↨。

なんぞおのおのしょうじんりきしてみづからしゃくせざる。

↢各精進努力シテ求索↡。

ちょうぜつしてつることをべし。 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすれば、 よこさま悪道あくどうり、 ねん閉塞へいそくして、 どうのぼるにきわまりなきに、 きやすくしてひとあることなし。 そのこくぎゃくせず、 ねんくにしたがふなり。

↠得↢超絶シテツルコトヲ↡。往↢生スレバ阿弥陀仏国↡、横↢於五悪道↡、自然閉塞シテ、升ルニ↠道之無キニ↠極クシテ↠往↠有ルコト↠人。其国土不↢逆違↡、自然之随フナリ↠牽クニ

なんぞ世事せじててぎょうじて道徳どうとくもとめざる。 ごくじょうしょうにして寿いのちきわまりあることなきをべし。 なんすれぞ世事せじじゃくして々にょうにょうとしてともにじょう憂思うしせん。

↧棄テテ↢世↡行ジテ↦道徳↥。可↠得↢極長ニシテ寿キヲ↟有ルコト↠極何為ナンスレシテ↢世事↡トシテ憂↢思セム無常↡。

にん薄俗はくぞくにしてともにきゅうあらそふ。

世人薄俗ニシテ↢不急之事↡。

ともにここにおいてぎゃくあくごっのなかにしょして、 つとめてしょうしもつてあひきゅうかつす。 そんとなくとなく、 となくひんとなく、 ろうとなくしょうとなく、 なんとなくにょとなく、 みなまさにともに銭財せんざいうれふ。 有無うむ同然どうねんなり。 憂思うしまさにひとしく、 びょうようとしてしゅうし、 おもいかさりょして、 こころのために使そうせられ、 やすときあることなし。

↠是シテ↢劇悪極苦之中↡、勤メテ↠身治生相給活。无↠尊↠卑、无↠富↠貧、无↠老↠少、无↠男↠女、皆当↢銭財↡。有无同然ナリ。憂思適シク、屏営0174トシテ愁苦、累↠念思慮シテ、為↠心使走セラレ、無↠有ルコト↢安時↡。

あればうれへ、 いえあればいえうれへ、 うしあればうしうれへ、 うまあればうまうれへ、 六畜ろくちくあれば六畜ろくちくうれへ、 奴婢ぬひあれば奴婢ぬひうれふ。 衣被えひ銭財せんざい金銀こんごん宝物ほうもつあれば、 またともにこれにうれふ。 かさそくかさねて、 ねんしゅうす。

レバ↠田憂↠田、有レバ↠宅憂↠宅、有レバ↠牛憂↠牛、有レバ↠馬憂↠馬、有レバ↢六畜↡憂↢六畜↡、有レバ↢奴婢↡憂↢奴婢↡。有レバ↢衣被・銭財・金銀・宝物↡、復共↠之。重↠思ネテ↠息、憂念

よこさまじょうすい盗賊とうぞく怨主おんしゅさいのために漂焼ひょうしょうせられつながれ唐突とうとつせられもつにゃくせられ、 どく忪々しゅじゅとしてくるときあることなし。 いきどおりを胸中きょうちゅうむすび、 たくわへて恚怒いぬし、 やまいきょうふくにありて、 憂苦うくはなれず。 こころかたこころかたくして、 まさにじゅうしゃすることなし。

↢非常水火・盗賊・怨主・債家↡所↢漂焼ガレ唐突セラレ没溺セラレ、憂毒忪忪トシテ↠有ルコト↢解クル時↡。結↢憤胸中↡、稸ヘテ↠気恚怒、病在リテ↢胸腹↡、憂苦不↠離。心堅意固クシテ、適↢縦捨スルコト↡。

あるいは摧蔵ざいぞうせらるるによりていのちほろぼす。 これをえんりてたれもしたがふものなし。

イハリテ↢摧蔵セラルルニ↡終↠身ボス↠命。棄↢捐↡去リテ↢誰者↡。

そんごうひんこの憂懼うくあり。 ごんすることかくのごとし。 もろもろの寒熱かんねつむすびていたみとともにす。

尊卑・豪貴・貧富有↢是憂懼↡。勤スルコトクノゴトシ。結ビテ↢衆寒熱↡与↠痛

しょう貧者ひんじゃこんぼうす。 なければまたうれへてあらんことをほっし、 いえなければまたうれへていえあらんことをほっし、 うしなければまたうれへてうしあらんことをほっし、 うまなければまたうれへてうまあらんことをほっし、 六畜ろくちくなければまたうれへて六畜ろくちくあらんことをほっし、 奴婢ぬひなければまたうれへて奴婢ぬひあらんことをほっす。 衣被えひ銭財せんざいじゅうもつ飲食おんじきたぐいなければ、 またうれへてこれあらんことをほっす。

小家貧者窮困苦乏。无ケレバ↠田亦憂ヘテ↠有ラムコトヲ↠田、無ケレバ↠宅亦憂ヘテ↠有ラムコトヲ↠宅、无ケレバ↠牛亦憂ヘテ↠有ラムコトヲ↠牛、无ケレバ↠馬亦憂ヘテ↠有ラムコトヲ↠馬、無ケレバ↢六畜↡亦憂シテ↠有ラムコトヲ↢六畜↡、無ケレバ↢奴婢↡亦憂ヘテ↠有ラムコトヲ↢奴婢↡。无ケレバ↢衣被・銭財・什物・飲食之属↡、亦憂ヘテ↠有ラムコトヲ↠之。

たまたまひとつあればまたひとき、 これあればこれをきて、 あること斉等さいとうならんことをおもふ。 たまたますこしくゆうすればすなはちまたじんす。 かくのごとくしょうず。 まさにまたしゃくそうすれどもやくなかるべし。 ときることあたはず。 身心しんしんともにろうして坐起ざきやすからず、 憂意うしあひしたがひてごんすることかくのごとし。 こころやつこんはなれずしてひといかる。

レバ↠一復↠一、有レバ↠是少キテ↠是、思↢有ルコト斉等ナラムコトヲ↡。適シク具有スレバ便賜尽。如↠是クノ苦生。当↢復求索思想スレドモカル↟益。不↠能↢時ルコト↡。身心倶シテ坐起不↠安カラ、憂意相随ヒテ勤苦スルコト↠此クノ。憔↠心シテ↠離↢恚恨↡独

またもろもろの寒熱かんねつむすびていたみとどうす。

亦結ビテ↢衆寒熱↡与↠痛同居

あるときはこれによりていのちほろぼす。 またぜんをなしどうをなすをがえんぜず。 寿じゅみょうしゅうじんしてすれば、 みなまさにひととおるべし。 趣向しゅこうするところあれども、 善悪ぜんあくどう、 よくこれをるものなし。

リテ↠之↠身ボス↠命。亦不↠肯↢作↠善スヲ↟道。寿命終尽シテスレバ、皆当↢独↡。有レドモ↠所↢趣向スル↡、善悪之道、莫↢能モノ↟之

あるときにん父子ぶしきょうだいふうしつちゅう親属しんぞくとして、 てんのあひだにしてまさにあひきょうあいすべく、 まさにあひにくむべからず。 有無うむまさにあひきゅうすべくして、 まさにとんじゃくあるべからず。 言色ごんしきまさにしてあひらいすることなかるべし。

世人、父子・兄弟・夫婦・家室・中外親属トシテ、居シテ↢天地0175之間↡当↢相敬愛↡、不↠当カラ↢相憎↡。有無当クシテ↢相給与↡、不↠当カラ↠有↢貪惜↡。言色当↣和シテカル↢相違戻スルコト↡。

あるいはもしこころあらそひて恚怒いぬするところあらば、 こんうらみのこころかすかにしてあひ嫉憎しつぞうすれども、 後世ごせにはうたたはげしくして大怨だいおんとなることをいたす。 ゆゑはいかん。 いまのごとき、 さらにあひがいせんとほっしてときのぞみてきゅうにあひやぶるべからずといへども、 しかもしゅうどくしていきどおりをしょうじんむすび、 ねんこくしてあひはなるることをず、 みなまさにたがひにしょうひてたがひに報復ほうぶくすべければなり。

イハヒテラバ↠所↢恚怒スル↡、今世ニシテ相嫉憎スレドモ、後世ニハシクシテ↠成ルコトヲ↢大怨↡。所以者何。如↠今之事、更シテ↢相害セムト↡雖↠不↣臨ミテ↠時カラ↢急相破↡、然之愁毒シテ↢憤精神↡、自然剋識シテ不↠得↢相離ルルコトヲ↡、皆当ケレバナリ対相 タガヒ ヒテ更相 タガヒ 報復↡。

ひとけん愛欲あいよくのなかにありて、 ひとひときたり、 ひとひとしょうず。 まさにきてらくところいたるべし。 みづからこれにあたりてかわるものあることなし。

人在リテ↢世間愛欲之中↡、独、独。当↣行キテ↢苦楽之処↡。身自リテ↠之↠有ルコト↢代者↡。

善悪ぜんあくへんせるおう悪処あくしょ、 あらかじめ厳待ごんたいす。 まさにひと升入しょうにゅうすべきに、 とおしょいたり、 よくるものなし。 りていづれのところにあれども、 善悪ぜんあくねん追逐ついちくしてしょうず。 窈々ようよう冥々みょうみょうとしてべつひさしくながし。 どうおなじからざればることなく、 はなはだまたあひふことをがたし。

善悪変化セル殃咎悪処、宿厳待。当キニ↢独升入↡、遠↢他処↡、莫↢能ルモノ↡。去リテレドモ↢何↡、善悪自然追逐シテ。窈窈冥冥トシテ別離久シク。道路不レバ↠同ジカラルコト↠期、甚↠得↢復相値フコトヲ↡。

なんぞ家事けじてて、 おのおの強健ごうごんときおよびて、 りきしてぜんをなしつとめてしょうじんせざる。 度世どせもとむればごくじょう寿いのちべし。 ことにどうもとむるをがえんぜずして、 また須待しゅたいせんとほっしなにをかねがはんとほっするや。

↧棄テテ↢家事↡、各オヨビテ↢強健↡、努力シテ↠善ツトメテ精進↥。求ムレバ↢度世↡可↠得↢極長寿↡。殊シテ↠肯↠求ムルヲ↢於道↡、復欲↢須待セムト↡欲スル↢何ヲカハムト↡乎。

かくのごときにんぜんをなせばぜんることをしんぜず、 どうをなせばどうることをしんぜず、 すれば後世ごせにまたしょうずることをしんぜず、 施与せよすればその福徳ふくとくることをしんぜず。 すべてこれをしんぜずして、 しかももつてしからずとおもひてつひにすることあることなし。

↠是クノ世人、不↠信↢作セバ↠善ルコトヲ↟善、不↠信↢為セバ↠道ルコトヲ↟道、不↠信↢死スレバ後世復生ズルコトヲ↡、不↠信↣施与スレバルコトヲ↢其福徳↡。都シテ↠信↠之、爾ヒテ↠不↠然↠有ルコト↠是スルコト

ただこれによるがゆゑにしばらくみづからこれを、 たがひにかはるがはるぜん相続そうぞくし、 うたたあひちちのこせる教令きょうりょうじょうじゅす。

ルガ↠是見↠之更相 タガヒ カハルガハル前後相続、転相承↢受ノコセル教令↡。

先人せんにん祖父そふもとよりぜんをなさず、 もとよりどうをなさず、 おろかにたましいくらく、 こころふさがりこころじて、 大道だいどうず。 ことによくひとしょうして趣向しゅこうするところあるをることあることなく、 またよくるものなし。 まさに善悪ぜんあくどうることあることなく、 またかたるものもなし。 ために善悪ぜんあくをなすをもつて、 福徳ふくとくおうばつ、 おのおのみづからきおひてこれを作為さいするも、 もつてことにあやしむことあることなし。

先人・祖父素ヨリ不↠作↠善、本ヨリ不↠為↠道、身愚タマシヒ、心塞意閉ヂテ、不↠見↢大道↡。殊↠有ルコト↣能ルコト↢人死生シテルヲ↟所↢趣向スル↡、亦莫↢能者↡。適↠有ルコト↠見ルコト↢善悪之道↡、復無↢語↡。為0176↠作スヲ↢善悪↡、福徳・殃咎・禍罰、各ヒテ作↢為スルモ↡、用↠有ルコト↠怪シムコト也。

しょうどういたること、 うたたあひぞくりゅうす。 あるいはちちこくし、 あるいはちちこくし、 あるいはおとうとあにこくし、 あるいはあにおとうとこくし、 あるいはつまおっとこくし、 あるいはおっとつまこくす。 顛倒てんどうじょうすることはじょう根本こんぽんなり。 みなまさにるべく、 じょうとくすべからず。 きょう開導かいどうすれどもどうしんずるものはすくなし。 みなまさにしょうすべくして休止くしあることなし。

ルコト↢於死生之道↡、転相続立。或イハ子哭↠父、或イハ父哭↠子、或イハ弟哭↠兄、或イハ兄哭↠弟、或イハ婦哭↠夫、或イハ夫哭↠婦。顛倒上下スルコトハ根本ナリ。皆当↢過↡、不↠可カラ↢常得↡。教語開導スレドモズル↠道。皆当クシテ↢死生↡無↠有ルコト↢休止↡。

かくのごときたぐいひともうみょう抵突たいとつしてきょうしんぜず、 おのおのこころこころよくせんとほっして、 こころりょせず、 愛欲あいよく愚痴ぐちにして、 道徳どうとくさとらず、 しん迷惑めいわくして財色ざいしき貪狼とんろうす。 これによりてどうず、 まさにごんきわみをて、 悪処あくしょにありてしょうじ、 つひにとどまりてそくすることをざるべし。 これをいたむことはなはだいたむべし。

↠是クノタグヒ矇冥抵シテ不↠信↢経語↡、各シテ↠快クセムト↠意、心不↢計慮↡、愚↢痴ニシテ於愛欲↡、不↠解↢於道徳↡、迷↢シテ於瞋怒↡貪↢狼於財色↡。リテ↠之不↠得↠道、当↢勤苦↡、在リテ↢悪処↡生、終↞得↢止リテ休息スルコトヲ↡。痛ムコト↠之↠傷

あるときしつちゅう父子ぶしきょうだいふうしょういたりて、 たがひにこくきゅうし、 うたたあひ思慕しぼす。 ねん憤結ふんけつし、 恩愛おんないにょうぞくし、 しんじゃくつうして、 たがひにれんす。 ちゅうばくせられくるときあることなし。

或時家室・中外・父子・兄弟・夫婦、至リテ↢於死生之義↡、更相 タガヒ 、転相思慕憂念憤結、恩愛繞続、心意著痛シテ対相 タガヒ 顧恋。昼夜縛セラレ↠有ルコト↢解クル時↡。

道徳どうとくおししめせども、 こころかいみょうせず、 恩好おんこうそうしてじょうよくはなれず、 閉塞へいそくもうみょうとして交錯きょうしゃくへいせらる。 思計しけしてこころみづからたんじょうにして世事せじ決断けつだんし、 せんしょうどうぎょうずることあたはず。 便旋べんせんとしていたりをはり、 寿いのちおわいのちくれどもどうることあたはずして、 いかんともすべきことなし。

シメセドモ道徳↡、心不↢開明↡、思↢想シテ恩好↡情欲不↠離、閉塞矇瞑トシテ交錯覆蔽セラル。不↠能↧思計シテ心自端正ニシテ決↢断世事↡、専精ズルコト↞道。便旋トシテ、寿終命尽クレドモシテ↠能↠得ルコト↠道、无↠可キコト↢那何トモス↡。

総猥そうわいかいにょうにしてみな愛欲あいよくむさぼる。 かくのごときのほうありて、 どうさとらざるものはおおく、 どうるものはすくなし。 けん怱々そうそうとしてりょうらいすべきものなし。

総猥憒ニシテ皆貪↢愛欲↡。如↠是クノ之法アリテ、不↠解↠道、得↠道。世間怱怱トシテ↠可キモノ↢聊頼↡。

そんじょうごうひん男女なんにょだいしょう、 おのおのみづからそうごんして、 みづから殺毒せつどくいだき、 あっようみょうとして、 惆悵ちゅうちょうせざるものなし。 ためにみだりにをなし、 てんあくぎゃくして人心にんしん道徳どうとくしたがはず。

尊卑・上下・豪貴・貧富・男女・大小、各怱務勤苦シテミヅカ↢殺毒↡、悪気窈冥トシテ、莫↠不ルモノ↢惆悵↡。為↠事、悪↢逆シテ天地↡不↠従↢人心道徳↡。

あくにはまづしたがひ、 これにくみしてほしいままにすところをゆるす。 その寿いのちいまだいたらざるに、 すなはちたちまちにこれをうばひて悪道あくどうくだりて、 るいごんし、 展転てんでんしゅうどくして、 しゅ千万せんまん億歳おくさいあることなし。 いたみいふべからず、 はなはだ憐愍れんみんすべしと。

非悪ニハ、与シテ↠之↠所↠為。其寿未ルニ↠至、便0177チニヒテ↠之↢入リテ悪道↡、累世勤苦、展転愁毒シテ、数千万億歳無↠有ルコト↢止期↡。痛不↠可カラ↠言、甚シト↢憐愍↡。

二 Ⅴ 弥勒領解

【19】ぶついつさつら、 諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんげたまはく、 われみななんぢらにけんかたれり。 ひとこれをもつてのゆゑにとどまりてどうず。 なんぢらつらつらこれをゆいして、 あくをまさにじゅうしゃしてこれをおんるべし。 そのぜんなるものにしたがひて、 まさにかたたもちてみだりにをなすことなくますます諸善しょぜんをなすべし。 だいしょうしょう愛欲あいよくえい、 みなじょうとくすべからず。 よりてまさにべつすべく、 たのしむべきものなし。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等、諸天・帝王・人民↡、我皆語レリ↢汝世間之事↡。人用テノ↠是トドマリテ不↠得↠道。汝ツラ思↢惟シテ↡、悪者当↧縦捨シテ遠↢離↡去↥。従ヒテ↢其ナル↡、当↧堅チテ↢妄コト↟非マス↦諸善↥。大小・多少愛欲之栄、皆不↠可カラ↢常得↡。由リテ↢別離↡、无↢可↠楽シム者↡。

ぶっときおよびて、 それぶっきょうふかきことを信受しんじゅし、 道徳どうとくぎょうするものあらば、 みなこれわがしょうていなり。 それはじめてぶつきょうかいまなぶことあらんとほっするものは、 みなこれわが弟子でしなり。 それいだしていえさいてて財色ざいしきぜっせんとほっし、 沙門しゃもんとなり、 ぶつのために比丘びくとならんとほっするものあらば、 みなこれわがそんなり。 わがにははなはだふことがたし。

オヨビテ↢仏世↡、其ラバ↧信↢受経語キコトヲ↡、奉↦行スルモノ道徳↥、皆是我小弟也。其スル↠有ラムトハジメブコト↢仏経戒↡者、皆是我弟子ナリ。其ラバ↩欲↧出シテ↠身↠家テテ↢妻子↡絶↦去セムト財色↥、欲スル↧作↢沙門↡、為↠仏ラムト↦比丘↥者↨、皆是我子孫ナリ。我ニハ↠得↠値フコト

それがんじて弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとほっするものあらば、 智慧ちえゆうみょうにしてしゅのためにそんきょうせらるることをべし。 こころほっするところにしたがひてきょうかい虧負きぶしてひとしりえにあることをることなかれ。 もし疑意ぎいありてきょうさとらざるものは、 またすすみてぶつひたてまつれ。 なんぢがためにこれをかんと。

ラバ↧願ジテスル↠生ゼムト↢阿弥陀仏国↡者↥、可↠得↣智慧勇猛ニシテ↠衆ルルコトヲ↢尊敬↡。勿↠得ルコト↧随ヒテ↢心↟欲スル虧↢負シテ経戒↡在ルコトヲ↦於人↥。リテ↢疑意↡不↠解↠経、復前ミテヒタテマツレ↠仏。為↠汝カムト↠之

いつさつじょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつじんそんじゅうにして、 きたまふところのきょうぜんなり。

阿逸菩薩長跪叉手シテ、仏威神尊重ニシテ、所↠説キタマフ快善ナリ

われらきょうきて、 みなこころにこれをつらぬく。 にんまことにしかなり、 ぶつかたりたまふところのごとくあることなし。 いまぶつわれらをあいして、 大道だいどうかいしょうきょうしたまふ。 もくそうみょうにしてながへにだつすることをて、 いまさらにしょうずることをたるがごとし。

キテ↢経語↡、皆心↠之。世人実ナリ、如↢仏↟語リタマフ↠有ルコト↠異。今仏慈↢哀シテ↡、開↢大道↡教↢語シタマフ生路↡。耳目聰明ニシテヘニ↢度脱スルコトヲ↡、今若↠得タルガ↢更ズルコトヲ↡。

われらぶつきょうきて、 しんをもつてかんやくかいせざるものなし。 諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいおよぶまで、 みなおんこうむりて憂苦うくだつせざるものなし。 ぶつきょうかいははなはだふかきことごくたいなり。

キテ↢仏経語↡、莫↧不↢慈心ヲモテ歓喜踊躍開解↡者↥。及ブマデ↢諸天・帝王・人民・蜎飛蠕動之類0178↡、皆蒙リテ↠恩↧不↣解↢脱憂苦↡者↥。仏語キコト無極无底ナリ

ぶつ智慧ちえけんしたまふところの八方はっぽうじょうらい現在げんざいは、 じょう無下むげにして、 へんふくなり。 ぶつにははなはだくことをがたし、 われらしたしく仏所ぶっしょしんあり。

智慧見知シタマフ↡八方上下、去・来・現在之事、無上无下ニシテ、無辺无幅ナリ。仏ニハ↠得↠クコトヲ、我シク慈↢心アリ於仏所↡。

われらをしてだつすることをしむるもの、 みなこれぶつぜんどうもとめたまひしときごん学問がくもん精明しょうみょうにして、 いたすところの恩徳おんどくあまねくおおひ、 ぎょうするところの福徳ふくとく相禄そうろく巍々ぎぎたればなり。 こうみょうてっしょうし、 どうなることごくにして、 泥洹ないおんかんにゅうせしめ、 きょうじゅするにてんり、 せいしょうして、 八方はっぽうじょう改動かいどうすること、 ぐうごくなり。

ムル↣我ヲシテ得↢度脱スルコトヲ↡者、皆是仏前世メタマヒシ↠道時、勤苦学問精明ニシテ、所↠致恩徳普、所↢施行スル↡福徳相禄巍巍タレバナリ。光明徹照、洞虚ナルコト無極ニシテ、貫↢セシメ泥洹↡、教授スルニ、制威消化シテ改↢動スルコト八方上下↡、无窮無極ナリ

ぶつほうそんたり、 ぐんしょうぜっして、 すべてよくぶつおよぶものなし。 ぶつ八方はっぽうじょう諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんのためにとなり、 そのこころ欲願よくがんするところのだいしょうしたがひて、 みなどうしむ。

↢師法尊↡、絶シテ↢群聖↡、都↢能↠仏者↡。仏為↢八方上下諸天・帝王・人民↡作↠師、随ヒテ↧其↢欲願スル↡大小↥、皆令↠得↠道

いまわれらぶつとあひまみゆることを弥陀みだぶつこえくことをたり。 われらはなはだよろこびて、 *がちにしてかいみょうなることをざるものなしと。

今我得↢与↠仏相見ユルコトヲ↡、得タリ↠聞クコトヲ↢阿弥陀仏↡。我ビテ、莫レト↧不↠得↢黠慧ニシテ開明ナルコトヲ↡者↥。

ぶついつさつげたまはく、 なんぢがことばなり、 まことにまさにしかるべし。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩↡、若言是ナリ、実↠爾

なんぢ仏所ぶっしょしんあることおほきによろこばしきことなり。 じつにまさにぶつねんずべし。 てん久々くくにしてすなはちまたぶつましますのみ。 いまわれ苦世くせにおいてぶつとなり、 だすところのきょうどうをもつて、 きょうじゅ洞達どうだつにして狐疑こぎ截断ぜつだんし、 こころただしくしおこなひをただしくしてもろもろの愛欲あいよくき、 衆悪しゅあく根本こんぽんち、 遊歩ゆぶするにとらはるることなく、 智慧ちえ典総てんそうす。 衆道しゅどうひょう維綱ゆいこうらんして、 しょうねんぶんみょうなり。 どうひらしめして、 しょう泥洹ないおんどうとをけっしょうすと。

若有ルコト↣慈↢心於仏所↡者大シキコトナリ。実↠念↠仏。天下久久ニシテ復有↠仏耳。今我於苦世↡作↠仏、所↠出経道ヲモテ、教授洞達ニシテ截↢断狐疑↡、端シクシ↠心シクシテ↠行↢諸愛欲↡、絶↢衆悪根本↡、遊歩ルニ↠拘ルルコト典↢総智慧↡。衆表裏、攬↢持シテ維綱↡、照然分明ナリ。開シメシテ五道↡、決↢正スト生死泥洹之道トヲ↡。

ぶつのたまはく、 なんぢら数劫しゅこうよりこのかた、 不可ふか復計ぶけこう、 なんぢらさつどうをなして、 諸天しょてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい過度かどせんとほっしてよりこのかた、 はなはだおんなり。 ひとなんぢにしたがひてどうするもの央数おうしゅなり。 泥洹ないおんどうるにいたるものもまた央数おうしゅなり。

仏言、若↢无数劫↡以来、不可復計劫、若シテ↢菩薩道↡、欲シテヨリ↣過↢度セムト諸天・人民及蜎飛蠕動之類↡已来、甚久遠ナリ。人従ヒテ↠若↠道スル者无央数ナリ。至↠得ルニ↢泥洹之道↡者亦無0179央数ナリ

なんぢらおよび八方はっぽうじょう諸天しょてん帝王たいおう人民にんみん、 もしは比丘びく比丘びく優婆うばそく優婆うば、 なんぢら宿命しゅくみょうに、 数劫しゅこうよりこのかた、 このどうのなかに展転てんでんしてしょうしゃし、 たがひに哭涙こくるいし、 うたたあひとんし、 憂思うししゅうどくして、 つういふべからず。 こんいたるまでしょうえずして、 すなはち今日こんにちぶつとあひまみえともに会値ひて、 ここにすなはち弥陀みだぶつみなくことはなはだぜんなり。 われなんぢらをたすけてよろこばん。

八方上下諸天・帝王・人民、若シハ比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、若宿命、従↢无数劫↡已来、展↢転シテ五道↡死生呼嗟更相 タガヒ 哭涙、転相貪慕、憂思愁毒シテ、痛苦不↠可カラ↠言。至ルマデ↢今世↡死生不シテ↠絶、乃今日、与↠仏相マミ会値 アヒ 、是クコト↢阿弥陀仏↡甚快善ナリ我助ケテ↢汝↡喜バム

またみづからしょう痛痒つうよういとふべし。 うまるるときははなはだいたみはなはだくるしみてはなはだきわまれり。 としちょうだいするにいたりてもまたくるしみてまたきわまる。 するときもまたいたみまたくるしみてまたきわまる。 はなはだあくしゅうところにしてじょうけつならずして、 つひにとするものあることなし。

亦可↣自↢死生痛痒↡。生ルルミテレリ。至リテモ↢年長大スルニ亦苦ミテ亦極↡。スル亦痛亦苦ミテ。甚悪臭ニシテシテ↢浄潔ナラ↡、ツヒ↠有ルコト↢可トスル者↡。

ぶつゆゑにことごとくなんぢらにかたらん。 なんぢらまたみづからしゅうしょ決断けつだんすべし。 なんぢらまたこころただしくしただしくしてますます諸善しょぜんをなすべし。 ここにおいてつねにちゅうただしくし、 身体しんたいけつじょうにし、 しん洗除せんじょして、 みづからあひ約撿やくけんし、 ひょう相応そうおうして、 ごんぎょうちゅうしんにせよ。 ひとよくみづからだつして、 うたたあひしょうし、 もろもろの愛欲あいよくき、 精明しょうみょうしんにして、 がんしててんぜず、 その善道ぜんどう根本こんぽんけっせよ。

仏故ラム↢若↡。若亦可↣自決↢断臭処・悪露↡。若亦可↣端シクシ↠心シクシテ↠身マス↢諸善↡。於↠是シクシ↢中外↡、潔↢浄ニシ身体↡、洗↢除シテ心垢↡、自相約撿、表裏相応シテ、言行忠信ニセヨ。人能度脱シテ、転相扶接、抜↢諸愛欲↡、精明至心ニシテ、求願シテ不↠転、結セヨ↢其善道根本↡。

しょうすといへどもいっしゅのあひだなるのみ。 こんぜんをなせば後世ごせ弥陀みだ仏国ぶっこくしょうじて、 らくはなはだきわまりなく、 ながへに道徳どうとくごうみょうす。 しかうしてよくあひしゅし、 ながへに悪道あくどう痛痒つうようのうはなれ、 ごん諸悪しょあく根本こんぽんき、 もろもろの愛欲あいよく恩好おんこうちて、 ながへに弥陀みだ仏国ぶっこくしょうじて、 またもろもろの痛痒つうようあることなく、 またふくしてもろもろのあくしゅうところあることなく、 またふくしてごんあることなく、 また淫泆いんいつしん愚痴ぐちなく、 また憂思うししゅうどくあることなし。

↢精苦スト↡一世須臾ナル耳。今世セバ↠善後世ジテ↢阿弥陀仏国↡、快楽甚↠極、長ヘニ与↢道徳↡合明。然シテ相保守、長ヘニ↢離悪道痛痒之憂悩↡、抜↢勤苦諸悪根本↡、断チテ↢諸愛欲恩好↡、長ヘニジテ↢阿弥陀仏国↡、亦無↠有ルコト↢諸痛痒↡、亦无↣復シテルコト↢諸悪臭処↡、亦↣復シテルコト↢勤苦↡、亦無↢淫泆・瞋怒・愚痴↡、亦無↠有ルコト↢憂思・愁毒↡。

弥陀みだ仏国ぶっこくうまれて、 寿いのち一劫いっこう十劫じっこうひゃくこう千劫せんごう万億まんおくこうならんとほっし、 みづから恣意しい寿いのち央数おうしゅこう不可ふか復計ぶけ数劫しゅこうじゅうせんとほっせば、 ほしいままになんぢのこころしたがひてみなこれをべし。 じきせんとほっすもじきせざらんとすも、 ほしいままにそのこころのごとくにすべてことごとくねんにみなこれをべし。

レテ↢於阿弥陀仏国↡、欲↢寿一劫・十劫・百劫・千劫・万億劫ナラムト↡、自恣意セバ↣住0180セムト寿无央数劫・不可復計数劫↡、恣ヒテ↠意皆可↠得↠之スモ↠食セムトラムトスモ↠食、恣クニ↢其↡都自然皆可↠得↠之

泥洹ないおんどうちかし。 みなおのおのみづから精明しょうみょうしん所欲しょよくがんしゃくすべし。 狐疑こぎこころちゅうることなかれ。 おうじょうせんとほっするものは、 そのしつによりて、 弥陀みだ仏国ぶっこくかいほとりねん七宝しっぽう城中じょうちゅうにありて、 ちゃくせらるることひゃくさいなるをることなかれと。

チカ↢於泥洹之道↡。皆各精明求↢索スベシ心所欲↡。勿↠得ルコト↢狐疑中悔↡。欲スル↢往生セムト↡者、無レト↠得ルコトリテ↢其過失↡、在リテ↢阿弥陀仏国界自然七宝城中↡、讁セラルルコト五百歳ナルヲ↥。

いつさつまうさく、 ぶつごんみょうなる重教じゅうきょうけて、 みなまさにしょうじんして一心いっしんしゃくすべし。 ねがはくはこれをぎょうしてあへてたいせずと。

阿逸菩薩言、受ケテ↢仏厳明ナル重教↡、皆当↢精進シテ一心求索↡。ネガハクハ奉↢行シテ↡不↢敢疑怠↡。

二 Ⅴ 五善五悪

【20】ぶついつさつらにげたまはく、 なんぢらこのにおいてよくみづからこころせいこころただしくして、 あくをなさざれば、 これを大徳だいとくぜんとなし、 すべて一輩いっぱいとしてありて、 八方はっぽうじょうさいとなりてならびあることなし。 ゆゑはいかん。 八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみんは、 みなねんぜんをなしておほきにあくをなさざればきょうしやすければなり。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等↡、若↢是↡能↠心シクシテ↠意、身レバ↠作↠悪者、是↢大徳↡、都リテ↢一輩トシテ↡、為リテ↢八方上下↡無↠有ルコト↠比。所以者何。八方上下无央数仏国諸天・人民、皆自然シテ↠善レバ↢大↟悪ケレバナリ↢教化↡。

いまわれこのけんにおいてぶつとなる。 あくつうしょうのなかになしてぶつとなることもつともはげしとなす。 人民にんみんきょうして、 あくじゅうしゃせしめて、 つうらしめ、 しょうのなかよりらしめ、 そのこころごうして、 ぜんたもち、 その福徳ふくとく度世どせちょう寿じゅ泥洹ないおんどうしめん。

今我於↢是世間↡作↠仏。為シテ↢於五悪・五痛・五焼之中↡作ルコト↠仏↢最シト↡。教↢語シテ人民↡、令メテ↣縦↢捨五悪↡、令↠去↢五痛↡、令↠去↢五焼之ヨリ↡、降↢化シテ↡、令メム↧持↢五善↡、得↦其福徳・度世・長寿・泥洹之道↥。

ぶつのたまはく、 なんらをかあくとなし、 なんらをかつうとなし、 なんらをかしょうのなかのものとなす。 なんらをかあくしょうしてぜんしめんものとなす。 なんらをかぜんたもちてその福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせ泥洹ないおんどうとなすと。

仏言、何等ヲカ↢五悪↡、何等ヲカ↢五痛↡、何等ヲカ↢五焼↡。何等ヲカ↧消↢化シテ五悪↡令メム↠得↢五善↡者↥。何等ヲカスト↧持チテ↢五善↡得↦其福徳・長寿・度世・泥洹之道↥。

【21】ぶつのたまはく、 その一悪いちあくとは、 てん人民にんみんよりしもきんじゅうけん蠕動ねんどうたぐいいたるまで、 衆悪しゅあくをなさんとほっしてつよきものはよわきをぶくし、 うたたあひ剋賊こくぞくし、 おのづからあひせっしょうしてたがひに食噉じきだんす。

仏言、其一悪者、天・人民ヨリ下至ルマデ↢禽獣・蜎飛蠕動之属↡、欲シテ↠為サムト↢衆悪↡強0181↠弱キヲ、転相剋賊、自相殺傷シテ更相 タガヒ 食噉

ぜんをなすことをらず、 あくぎゃくどうにしてその殃罰おうばつく。 どうねんにしてまさにきて趣向しゅこうすべし。

不↠知↠作スコトヲ↠善、悪逆不道ニシテ↢其殃罰↡。道之自然ニシテ↢往キテ趣向↡。

じんみょう記識きししてこれをおかさばゆるさず、 うたたあひつづく。 ゆゑにびんせん乞丐こつがいどくなるものあり。 ゆゑにろうもうおん愚痴ぐち憋悪ひつあくなるものありて、 しもおうきょうにして及逮およばざるたぐいあり。 ゆゑにそんごう高才こうざいみょうだつ智慧ちえゆうみょうなるものあり。 みなそのぜん宿命しゅくみょうぜんをなしきょうにして恩徳おんどくほどこすがゆゑなり。

神明記識シテサバ↠之不↠、転相承。故↢貧窮・下賎・乞丐・孤独ナルモノ↡。故リテ↢聾・盲・瘖瘂・愚痴・憋悪ナルモノ↡、下↧尫狂ニシテ及逮 オヨ ↡之属↥。故↢尊卑・豪貴・高才明達・智慧勇猛ナルモノ↡。皆其前世宿命↠善慈孝ニシテ↢施スガ恩徳↡故ナリ

かん王法おうぼう牢獄ろうごくあれども、 おそつつしむことをがえんぜずしてあくをなせばほうりてそのちゃくく。 じゅうばついたりてはげしくして、 だつもうすれどもしゅつすることをがたし。 こんにこれありて目前もくぜん現在げんざいし、 寿いのちおわりてところあり、 そのようみょうけてまたしょうず。 たとへば王法おうぼうぎゃっごくぎょうのごとし。

レドモ↢官事王法牢獄↡、不シテ↠肯↢畏ムコトヲ↡作セバ↠悪リテ↠法↢其過讁↡。重罰致リテシクシテ、求↢望スレドモ解脱↡難↠得↢度出スルコトヲ↡。今世リテ↠是目前現在寿終リテ処、入↢其窈冥↡受ケテ↠身タトヘバ↢王法劇苦極↡。

ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 うたたしんぎょう貿へ、 あくあらためてどうへ、 寿じゅみょうたんじょうあり。 魂神こんじんしょうしきねんしゅりてかたちたいりて、

↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。転貿↢身形↡、改メテ↠悪↠道、寿命短長アリ。魂神精識、自然リテ↠趣↠形リテ

まさにひとむかふも、 あひしたがひともにしょうずべく、 うたたあひほうしょうしてまさにあひ還復げんぶくすべし。 殃悪おうあくばつしゅいまだきざれば、 つひにはなるることをずして、 そのなかに展転てんでんして、 世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢独フモ、相従↡、転相報償シテ↢相還復↡。殃悪・禍罰、衆事未レバ↠尽、終シテ↠得↠離ルルコトヲ、展↢転シテ↡、世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

てんのあひだにねんにこれあり。 ときのぞみてにはかにときおうぜずといへども、 ただねんどうりて、 みなまさに善悪ぜんあくこれにすべし。

天地之間自然↠是。雖↠不↢臨ミテ↠時卒暴 ニハカ ↟時、但取リテ↢自然之道↡、皆当↢善悪帰↟之

これをひとつの大悪だいあくとなし、 ひとつのつうとなし、 ひとつのしょうとなす。 ごんかくのごとくして、 しゅうどくしゃすべし。 たとへばぎゃくおこりて人身にんじんくがごとし。

↢一大悪↡、為↢一↡、為↢一↡。勤苦如クシテ↠是クノ、愁毒呼嗟スベシタトヘバ↣劇火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをひとつの大善だいぜんとなす。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独↢諸善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是0182↢一大善↡。

【22】ぶつのたまはく、 そのあくとは、 けん帝王たいおうちょう人民にんみん父子ぶしきょうだいしつふう、 ほぼ義理ぎりなくして正令しょうりょうしたがはず、 奢淫しゃいんきょうまんにしておのおのこころこころよくせんとほっし、 しんざいにして、 たがひに調じょうし、 ことにおそれず。 しんおのおのことにして言念ごんねんまことなく、 にょうてんにしてちゅうならず、 諛媚ゆみぎょうにしておこな端緒たんしょならず。 たがひにねたにくみ、 うたたあひざんしてひと冤枉おんおうおとしいる。

仏言、其二悪者、世間帝王・長吏・人民・父子・兄弟・家室・夫婦、略クシテ↢義理↡不↠従↢正令↡、奢淫憍慢ニシテ↠快クセムト↠意、恣心自在ニシテ更相 タガヒ 欺調、殊不↠懼↠死。心口各ニシテ言念無↠実、佞諂ニシテ不↠忠ナラ、諛媚巧辞ニシテ不↢端緒ナラ↡。更相 タガヒ 、転相讒悪シテ↢人冤枉↡。

しゅじょうあきらかならずこころあきらかにらさずしてしん任用にんようす、 しん存在ぞんざいしてみてよくおこなひそのぎょうりて、 くらいにありてただしからざれば、 その調じょうするところとなりてみだりに忠良ちゅうりょう賢善けんぜんそんじ、 天心てんしんあたらずしてはなはだどうす。

主上不↠明カナラ心不シテアキラカ↡任↢用臣下↡、臣下存在シテミテ↠度リテ↢其↡、在リテ↠位レバ↠正シカラ、為リテ↢其↟調スル忠良賢善↡、不シテ↠当↢天心↡甚↢道理↡。

しんはそのくんあざむき、 はそのちちあざむき、 おとうとはそのあにあざむき、 つまはそのおっとあざむき、 しつちゅうしきはあひあらそひておのおの貪淫とんいん心毒しんどくしん矇聾もうろう愚痴ぐち欲益よくやくいだく。 そんじょうあることなく、 おとことなくおんなとなく、 だいとなくしょうとなく、 こころともにおなじくしかなり。

↢其↡、子↢其↡、弟↢其↡、婦↢其↡、家室・中外・知識相訟ヒテ ↢貪淫・心毒・瞋怒・矇聾・愚痴・欲益↡。無↠有ルコト↢尊卑・上下↡、無↠男↠女、無↠大↠小、心倶ジクナリ

みづからおのれをあつくせんとほっし、 いえやぶほろぼして、 ぜんしつ親属しんぞくねんせず、 これによりてやからやぶる。

↢自クセムト↟己、破↠家シテ↠身、不↣顧↢念前後・家室・親属↡、リテ↠之↠族

あるときちゅうないしきぼうごうとう市里じりみんにん、 うたたかはるがはるじゅうし、 ともにあひがいしてざいあらそひ、 闘訟とうじゅ忿ふんしてあだをなし、 うたたしょうあらそふ。

家中・内外・知識・朋友・郷党・市里・愚民・野人、転カハルガハル従事、共相利害シテ↠財、闘訟怒忿シテ↠仇、転↢勝負↡。

とみしみこころがして施与せよすることをがえんぜず、 祝々しゅくしゅくとしてまもあいたもちてとんしゃくす。 これによりてねん心労しんろうくるしむ。

オシ↠富ガシテ↠心不↠肯↢施与スルコトヲ↡、祝祝トシテチテリテ↠之思念心労身苦シム

かくのごとくにしていたりをはるに、 恃怙じこするところなし。 ひときたひとりてひとりとしてしたがふものなし。 善悪ぜんあく福徳ふくとくおうちゃくばつみょうひてしょうずるところなり。 あるいは楽処らくしょにありあるいはどくる。 しかうしてのちにすなはちゆともまさにまたなんぞおよぶべき。

クシテ↠是クノルニ、無↠所↢恃怙スル↡。独リテ↢一トシテ者↡。善悪福徳・殃禍・讁罰追ヒテナリ↠生ズル。或イハ↢楽処↡或イハ↢毒苦↡。然シテユトモ↢復何↡。

あるときにんしんしょうにして、 ぜんてはほうしてこれをいかり、 したおよぶことをがえんぜず。 ただあくをなさんとほっしてみだりにどうをなし、 ただ盗窃とうせつほっしてつねに毒心どくしんいだき、 にん財物ざいもつんとほっしてもってみづからにきゅうし、 しょうさんじんしつくしてまたしゃくす。 邪心じゃしんにしてただしからず、 つねにひと恐怖くふしてひとることあらんとおそる。 ときのぞみてはからず、 いたりてすなはちゆ。

世人、愚心少智ニシテ、見テハ↠善誹謗シテ↠之、不0183↠肯↢慕ブコトヲ↡。但欲シテ↠為サムト↢不道↡、但欲シテ↢盗窃↡常↢毒心↡、欲シテ↠得ムト↢他人財物↡用ラニ供給、消散靡尽ツクシテ復求索。邪心ニシテ不↠正カラ、常恐怖シテ↢人ラムコトヲルコト。臨ミテ↠時不↠計、事至リテ

こんげんちょう牢獄ろうごくありて、 ねん趣向しゅこうしてそのおうく。 けんびん乞丐こつがいどくただぜん宿命しゅくみょう道徳どうとくしんぜずしてぜんをなすことをがえんぜざるによりて、 こんあくをなす。 天神てんじんじゃくわかち、

今世リテ↢長吏・牢獄↡、自然趣向シテ↢其殃咎↡。世間貧窮・乞丐・孤独但リテ↧前世宿命シテ↠信↢道徳↡不ルニ↞肯↠為スコトヲ↠善、今世↠悪。天神別↠籍

寿いのちおわりて悪道あくどうる。 ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

寿終リテ↢悪道↡。↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをふたつの大悪だいあくとなし、 ふたつのつうとなし、 ふたつのしょうとなす。 ごんかくのごとくにして、 たとへばおこりてはげしく人身にんじんくがごとし。

↢二大悪↡、為↢二↡、為↢二↡。勤苦如クニシテ↠是クノタトヘバ↣火リテシク於焼クガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをふたつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独↢諸善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢二大善↡。

【23】ぶつのたまはく、 その三悪さんあくとは、 もろもろのけん人民にんみんしょうしあひりともによりて、 てんのあひだにす。 処年しょねん寿じゅみょう、 よくいくばくのとしもなし。 いたりてはごうちょうじゃげんみょう善人ぜんにんあり、 しもには貧賎びんせん尫羸おうるいしゃあり。 なかにはりょうひとありて、 ただ毒悪どくあくねんして身心しんしんただしからず、

仏言、其三悪者、世間人民、寄生相因リテ、居↢天地之間↡。処年寿命、无↢能クノ↡。至リテハ↢豪貴・長者・賢明・善人↡、下ニハ↢貧賎・尫羸・愚者↡。中ニハリテ↢不良之人↡、但懐↢念シテ毒悪↡身心不↠正シカラ

つねに淫泆いんいつねんじてわずら胸中きょうちゅうつ。 愛欲あいよく交錯きょうしゃくして坐起ざきやすからず、 とんけんじゃくにしてよこさまにいたづらにんことをほっす。 細色さいしき眄睞めんらいして悪態あくたい婬泆いんいつし、 つまあれどもいとにくみてひそかにみだりに出入しゅつにゅうし、 いえしょたもちてあひきゅうしてをなし、 じゅ飲食おんじきしてもつぱらともにあくをなす。

ジテ↢淫泆↡煩↢胸中↡。愛欲交錯シテ坐起不↠安カラ、貪意慳惜ニシテ↢横イタヅラムコトヲ↡。眄↢睞シテ細色↡悪態婬泆、有レドモ↠婦厭ミテヒソカ出入、持チテ↢家所有↡相給シテ↠非、聚会飲食シテ↠悪

ひょうおこぞくをなしてしろ格闘かくとうし、 劫殺ごうせつ截断ぜつだんして強奪ごうだつどうなり。 ひと財物ざいもつちゅうせつしてにはかにれどもしょうすることをがえんぜず、 まさにもとむべきところのものこれをなすことをがえんぜず、 悪心あくしんほかにありては、 もつぱらなすことあたはず、 よくしてをなしせいはくきょうし、 かえりてはいえきゅうしてともにあひしょうかつす。 こころをほしいままにしこころここよろくしておこなひをきわらくをなす。 にんにょぎょうらんし、 あるいはその親属しんぞくにおいてそんちょうろうけず。 しゅともにぞうし、 しつちゅううれひてこれをいかる。

↠兵シテ↠賊↠城0184、劫殺截断シテ強奪不道ナリ。取リテ↢人財物↡偸窃シテニハカレドモ不↠肯↢治生スルコトヲ↡、所↠当↠求者不↠肯↠為スコトヲ↠之、悪心在リテハ↠外、不↠能↢専スコト↡、欲シテ↠事勢迫脅、持リテハシテ↠家相生活。恣ニシ↠心クシテ↠意↠行↠楽行↢乱他人婦女↡、或イハ↢其親属↡不↠避↢尊卑・長老↡。衆共憎悪、家室・中外患ヒテ而恚↠之

また県官けんかんほうりょうおそれず、 ろくくるところなし。 かくのごときあくねん牢獄ろうごくあり、 日月にちがつしょうじんみょうしゅして諸神しょじんしょうろくす。

亦復不↠畏↢県官法令↡、無↠所↠避クル↠録。如↠是クノ之悪、自然牢獄アリ、日月照識神明記取シテ諸神摂録

ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをつの大悪だいあくとなし、 つのつうとなし、 つのしょうとなす。 ごんかくのごとくにして、 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢三大悪↡、為↡、為↢三↡。勤苦如クニシテ↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独↢諸善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢三大善↡。

【24】ぶつのたまはく、 そのあくとは、 諸人しょにんぜんをなすことあたはずしてみづからあひはいし、 うたたあひ教令きょうりょうしてともに衆悪しゅあくをなし、 しゅとして伝言でんごんをなすに、 ただりょうぜつあっもうほっし、 あひねたみてたがひに闘乱とうらんす。

仏言、其四悪者、人不シテ↠能↠作スコト↠善相壊敗、転相教令シテ↢衆悪↡、主トシテスニ↢伝言↡、但欲↢両舌・悪口・罵詈・妄語↡、相嫉ミテ更相 タガヒ 闘乱

善人ぜんにん憎嫉ぞうしつ賢善げんぜんはいしてかたはらにこれをよろこぶ。 また父母ぶも孝順きょうじゅんようせず、 しききょうしてしんなくじょうじつがたし。 だいそんにしてどうありといひ、 よこさま威武いぶぎょうじてごんりきいきおひをくわへ、 侵剋しんこくしてひとあなどりみづからあくをなすとることあたはず、 みづからしゅうざんせず、 ゆう頑健がんごんにしてひとをしてこれをじょうきょうせしめんとほっす。

憎↢嫉善人↡敗↢壊シテ賢善↡於↠之。復不↤孝↢順供↣養父母↡、軽↢易シテ師友・知識↡無↠信難↠得↢誠実↡。自大尊貴ニシテリトイヒ↠道、横ジテ↢威武↡加↢権力勢↡、侵剋シテアナド↠人不↠能↢自ルコト↟為スト↠悪、不0185↢自羞慚↡、自用頑健ニシテ↠令メムト↤人ヲシテ承↢事畏↣敬↡。

またてんじんみょう日月にちがつきょうせず、 またぜんをなすことを教令きょうりょうすべからず、 ごうすべからず。 ゆう偃蹇えんけんにしてつねにまさにしかなり。 またあいしんなく恐懼くくこころらずしてきょうまんなることかくのごとし。

復不↣畏↢敬天地・神明・日月↡、亦不↠可カラ↣教↢令スコトヲ↟善、不↠可カラ↢降化↡。自用偃蹇ニシテナリ。亦復无↣憂心↡不シテ↠知恐懼之意↡憍慢ナルコト↠是クノ

天神てんじんこれをしるす。 そのぜん宿命しゅくみょうにすこぶる福徳ふくとくをなすによりて、 しょうぜんしょうようしてこれをたすくるも、 こんあくをなして諸善しょぜんじんしてり、 あくのこれをふをひとりむなしくちてまたるところなく、 おもおうちゃくけて、

天神記↠之リテ↣其前世宿命スニ↢福徳↡、小善扶接営護シテクルモ↠之、今世シテ↠悪尽↢シテ諸善↡日、見↢悪フヲ↟之、身独チテ↠所↢復依↡、受ケテ↢重殃讁↡、

寿じゅみょうおわるとき衆悪しゅあくめぐしてねん迫促はくそくす。 まさにきて追逐ついちくしてそくすることをざるべし。 ねん衆悪しゅあくともにこれにおもむいたる。

寿命終ルトキ衆悪繞シテ自然迫促。当↢往キテ追逐シテ↟得↢止息スルコトヲ↡。自然衆悪共イタ↡。

その名籍みょうじゃくじんみょうところにあることありて、 おう引牽いんけんしまさに相得そうとくすべし、 ねん趣向しゅこうし、 とがちゃくばつ身心しんしん摧砕ざいさいし、 じんぎょうごくして、 きゃくすることをず。 ただすすきてそのかくることを。 このときあたりてゆともまたなんのやくかあらん。 まさにまたなんぞおよぶべき。 天道てんどうねんにしてでつすることをず。

リテ↣其名籍ルコト↢神明↡、殃咎引牽↢値相得↡、自然趣向、受↢過讁罰↡身心摧砕、神形苦極シテ、不↠得↢離却スルコトヲ↡。但得↣前キテルコトヲ↢其火鑊↡。当リテ↢是之時↡悔ユトモ復何カアラム。当↢復何↡。天道自然ニシテ不↠得↢蹉跌スルコトヲ↡。

ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをつの大悪だいあくとなし、 つのつうとなし、 つのしょうとなす。 ごんかくのごとくにして、 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢四大悪↡、為↢四↡、為↢四↡。勤苦如クニシテ↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただしくしおこなひをただしくして、 ひと諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、独↢諸善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢四大善↡。

【25】ぶつのたまはく、 そのあくとは、 にん徒倚といにしてぜんをなすことをがえんぜず、 しょうすることをおもはずして、 さいかんし、 父母ぶももともにしかなり、 してそのおしへんとほっすれば、 その悪心あくしんをもつてまなこいからしてごんりょうおうしてしたがはず、 らいほんぎゃくすることにんよりもはげし。 たとへばおんのごとし。 なきにしかず。

仏言、其五悪者、世人徒倚懈惰ニシテ不↠肯↠作スコトヲ↠善、不シテ↠念↢治生スルコトヲ↡、妻子飢寒、父母0186ナリ。欲スレバシテヘムト↢其↡、其子悪心ヲモテラシテ↠目応↢怒シテ言令↡不↠従、違戻反逆スルコト↢於野人ヨリモ↡。タトヘバ↢怨家↡。不↠如↠無キニ↠子。

みだりにあまねくたいしてしゅともにうれいとふ。 とがむるもまたほうしょうしんあることなし。

仮貸シテ衆共トガムルモ↣復有ルコト↢報償之心↡。

ひん困乏こんぼうしてまたることあたはずして、 かくかいしょうしほしいままにさんし、 しばしばいたづらにるにならひて、 ゆうしんきゅうす。 防禁ぼうきんおそれず、 飲食おんじききわまりなく、 さけきっうまきをたしなみ、 出入しゅつにゅう期度ごどあることなし。 魯扈ろこ抵突たいとつしてにんじょうらず、 しょうごうせいして

窮貧困シテシテ↠能↢復得ルコト↡、辜較諧声放縦ホシイママ遊散ナラヒ↢数イタヅラルニ↡、自用賑給。不↠畏↢防禁↡、飲食無↠極、喫↠酒↠美、出入↠有ルコト↢期度↡。魯扈抵シテ不↠知↢人情↡、壮吁強制シテ

ひとよろこびあるをてはぞうしてこれをいかり、 なくらいなく、 ゆう識当しきとうしてかんぎょうすべからず。 また父母ぶもさい有無うむねんせず、 またつひに父母ぶもとくほうずることをおもはず、 また恩好おんこうおもはず。 こころにつねにあくねんじ、 くちにつねにあくをいひ、 につねにあくおこなひて、 じょうじゅすることあらず。

テハ↢人ルヲ↟喜憎妬シテ↠之、無↠義无↠礼、自用識当シテ不↠可カラ↢諌暁↡。亦復不↣憂↢念父母・妻子有无↡、又復不↠念ツイズルコトヲ↢父母之徳↡、亦復不↠念↢師之恩好↡。心↠悪、口↠悪、身ヒテ↠悪、日不↢成就スルコトアラ↡。

道徳どうとくしんぜず、 げんみょうせんしょうあることをしんぜず、 ぜんをなしどうをなせば度世どせべきことをしんぜず、 けんぶつあることをしんぜず。 かんころ比丘びくそうをしてたたかはしめんとほっし、 つねにひところさんとほっし、 父母ぶもきょうだいさいそうしんぼうころさんとほっす。 父母ぶもきょうだいさいそうしんぼうも、 ぞうしてこれをてはこれをしてせしめんとほっす。 ぶつきょうしんぜず、 ひと寿じゅみょうしゅうじんして後世ごせにまたしょうずることをしんぜず、 ぜんをなせばぜんることをしんぜず、 あくをなせばあくることをしんぜざるなり。

不↠信↢道徳↡、不↠信↠有ルコトヲ↢賢明・先聖↡、不↠信↢作↠善セバ↠道キコトヲ↟得↢度世↡、不↠信↢世間ルコトヲ↟仏。欲↢羅漢↡闘ハシメムト↦比丘僧ヲシテ↥、常↠殺サムト↠人、欲↠殺サムト↢父母・兄弟・妻子・宗親・朋友↡。父母・兄弟・妻子・宗親・朋友、憎シテテハ↠之↠使メムト↢之ヲシテ↡。不↠信↢仏経語↡、不↠信↢人寿命終尽シテ後世復生ズルコトヲ↡、不↠信↢作セバ↠善ルコトヲ↟善、不ルナリ↠信↢作セバ↠悪ルコトヲ↟悪

かくのごときらのひとなん女人にょにんしんともにしかなり。 らいほんぎゃくして愚痴ぐち蒙篭もうろうなり。 しんよくにしてしきするところなく、 ゆうぜんにしておほきに智慧ちえありとなして、 またじゅうらいするところのしょうして趣向しゅこうするところをらず。 がえんじてきょうならずしててんあくぎゃくす。 そのちゅうげんにおいてきょうぎょうもうし、 長生じょうしょうんとほっし、 不死ふししゃすれども、 かならずまさにしょうごん善悪ぜんあくどうじゅす。 つくるところのあくおうおおおもむき、 だつするをず。 またごうしてぜんをなさしむべからず。

↠是クノ人、男子女人心意倶ナリ。違戻反逆シテ愚痴蒙篭ナリ。瞋怒嗜欲ニシテ↠所↢識知スル↡、自用快善ニシテシテ↢智慧アリト↡、亦不↠知↧所↢従来スル↡生、死シテ↦趣向スル↥。不シテ↢肯慈孝ナラ↡悪↢逆天地↡。於↢其中間↡望↢求僥倖↡、欲↠得ムト↢長生↡、射↢呼スレドモ不死↡、会↣帰↢就生死勤苦善悪之0187↡。身↠作殃咎衆、不↠得↢度脱スルヲ↡。亦不↠可カラ↢降化シテ↟作↠善

しんをもつてきょうし、 死苦しく善悪ぜんあく趣向しゅこうするところこれあることを開導かいどうすれどもまたこれをしんぜず。 しかればしんしてともにかたりてだつせしめんとほっすれどもやくなし。 そのひとしんちゅう閉塞へいそくしてこころかいせず、

慈心ヲモテ教語、開↧スレドモ苦善悪所↢趣向スル↡有ルコトヲ↞是復不↠信↠之。然レバ苦心シテリテスレドモ↠令メムト↢度脱↡无↠益。其人心中閉塞シテ意不↢開解↡、

だいみょうまさにいたらんとするに、 ときいたりてみなゆ。 そののちにすなはちゆれどもまさにまたなんぞおよぶべき。 あらかじめはかりてぜんをなさずしてきわまるにのぞみてなんのやくかあらん。

大命将ラムトスルニ、至リテ↠時皆悔。其ユレドモ↢復何↡。不シテリテ↟善ミテ↠窮ルニカアラム

てんのあひだにどうおのおのあきらかにして、 恢曠かいこうようちょう浩々こうこう汗々かんかんたり。 うたたあひ善悪ぜんあく毒痛どくつうじょうじゅして、 みづからこれにあたりてかわるものあることなし。 どうねんなり、 そのしょぎょうしたがひてみょうひてしょうずるところ、 じゅうしゃすることをず。

天地之間五道各カニシテ、恢曠窈窕、浩浩汗汗タリ。転相承↢受シテ善悪毒痛↡、身自リテ↠之↠有ルコト↢代者↡。道之自然ナリ、随ヒテ↢其所行↡追ヒテ↠命所↠生ズル不↠得↢縦捨スルコトヲ↡。

善人ぜんにんぜんぎょうじてきょうなれば、 らくよりらくり、 みょうよりみょうる。 悪人あくにんあくぎょうじて、 よりり、 みょうよりみょうる。 たれかよくるものあらん。 ひとぶつけんしたまへるのみ。 人民にんみんきょうしたまへども信用しんようするものはすくなし。 しょうやすまず、 悪道あくどうえず。 かくのごときにんには、 ことごとく道説どうせつすべからず。

善人ジテ↠善慈孝ナレバ、従↠楽入↠楽、従↠明入↠明。悪人ジテ↠悪、従↠苦↠苦、従↠冥↠冥。誰アラム。独見知シタマヘル耳。教↢語シタマヘドモ人民↡信用スル。死生不↠、悪道不↠絶。如↠是クノ世人ニハ、不↠可カラ↢悉道説↡。

ゆゑにねんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにもづるあることなく、 だつがたし。 いたみいふべからず。

↢自然犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ↡世世累劫ニモ↠有ルコト↢出ヅル期↡、難↠得↢解脱↡。痛不↠可カラ↠言

これをいつつの大悪だいあくいつつのつういつつのしょうとなす。 ごんをなすことかくのごとし。 たとへばおこりて人身にんじんくがごとし。

↢五悪・五痛・↡。スコト↢勤苦↡如↠是クノタトヘバ↣火リテクガ↢人身↡。

ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんこころせいただおこなひをただしくして、 ごんぎょうあひかなひてなすところじょうかたるところことばのごとくして、 しんてんぜずしてひと諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 ひとだつして、 その福徳ふくとくちょう寿じゅ度世どせじょうてん泥洹ないおんどうべし。 これをいつつの大善だいぜんとなすと。

人能↢其↡一心↠意シクシ↠身シクシテ↠行、言行相カナヒテ所↠作至誠所↠語クシテ↠語、心口不シテ↠転↢諸善↡不レバ↠為↢衆悪↡者、身独度脱シテ、得↢其福徳↡、可↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道↡。是スト↢五大善↡。

【26】ぶついつさつらにげたまはく、 われみななんぢらにかたる、 このあくごんかくのごとし。 つうおこさしめしょうおこさしめて展転てんでんしてあひしょうず。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等↡、我皆語↢若↡、是五悪勤苦如↠是クノ。令↠起↢五痛↡令メテ↠起0188↢五焼↡展転シテ相生

けん人民にんみんぜんをなすことをがえんぜずして衆悪しゅあくをなさんとほっす。 あへてこのもろもろのあくおかさんとほっすれば、 みなことごとくねんにまさにつぶさにきょうりゃくして悪道あくどうのなかにるべし。

世間人民不シテ↢肯↠為コトヲ↠善↠作サムト↢衆悪↡。敢スレバ↠犯サムト↢此悪事↡者、皆悉自然↣具更歴シテ↢悪道↡。

あるいはそれこんにはまづびょうおうかぶりてしょうず。 しゅしめしてこれをしむ。 寿いのちおわりてはごくだいしゅにゅうし、 しゅう酷毒こくどくし、 みづからあひしょうねんしてうたたあひしょうめつするなり。

イハ今世ニハリテ↢病殃↡死不↠得。シテ↠衆シム↠之。寿終リテハ趣↢入至極大苦↡、愁憂酷毒、自相燋然シテ相焼滅スルナリ

そのしかうしてのちいたりてともにおんとなりてたがひにしょうせつす。 しょうよりおこりてだいこんぎゃくいたる。 みな財色ざいしき貪淫とんいんしあへて忍辱にんにくして施与せよせざるによりてなり。 おのおのみづからこころよくせんことをほっして、 またこくちょくなく、 ごんみょうんことをほっすれども、 よくせまるところとなり、 こころしたがひてそうし、 またることあたはず。 いきどおりを胸中きょうちゅうむす財色ざいしき縛束ばくそくせられて、 だつすることあることなし。

リテ↢其シテ↡共リテ↢怨家更相 タガヒ 傷殺。従↢小微↡起リテ↢大困劇↡。皆従リテナリ↧貪↢淫財色↡不ルニ↦肯忍辱シテ施与↥。各シテ↢自クセムコトヲ↡、無↢復曲直↡、欲スレドモ↠得ムコトヲ↢健名↡、為↢痴欲↟迫、随ヒテ↠心思想、不↠能↢復得ルコト↡。結↢憤胸中↡財色縛束セラレテ、无↠有ルコト↢解脱スルコト↡。

厭足えんそくらずして、 おのれをあつくしよくあらそひてしょうろくするところなし。 えいなれどもときあたりて忍辱にんにくしてぜんほどこすことをらず。 せいいくばくもなくしてあくみょうしたがひてこがし、 ろうしてひさしくしてのちおほきにはげし。

シテ↠知↢厭足↡、厚クシ↠己ヒテ↠欲↠所↢省録スル↡。富貴栄華ナレドモリテ忍辱シテ不↠知↠施スコトヲ↠善。威勢無クシテ↠幾クモヒテ↢悪名↡燋↠身、坐シテ↢労苦↡久シテ後大

ねん随逐ずいちくしてけやむことあることなし。 王法おうぼうちょうしてねん糾挙くこし、 じょう相応そうおうしてもうこう煢々けいげい忪々しゅじゅとしてまさにそのなかにるべし。 こんにこれあり。 いたましきかないたむべし。 すべて義理ぎりなくしょうどうらずと。

自然随逐シテ↠有ルコト↢解ムコト↡。王法施張シテ自然糾挙、上下相応シテ羅網綱紀、煢煢忪忪トシテ↠入↢其↡。古今↠是。痛マシキ哉可↠傷。都↢義理↡不↠知↢正道↡。

ぶついつさつらにかたりたまはく、 もしにこれあらんに、 ぶつみなみんしてこれをあわれみ、 じんをもつて衆悪しゅあくしょ摧動ざいどうし、 みなこれをしょうしたまふ。 あくりてぜんしょえんきょうかい奉持ぶじすることをしめ、 きょうぼうじょうじゅぎょうせざるはなく、 あへて度世どせ無為むい泥洹ないおんどうぜんにして極楽ごくらくたるをしつせずと。

リタマハク↢阿逸菩薩等↡、若ラムニ↠是、仏皆慈愍シテ↠之、威神ヲモテ摧↢動衆悪諸事↡、皆消↢化シタマフ↡。令↠得↧去リテ↠悪↠善棄↢捐所思↡奉↦持スルコトヲ経戒↥、莫↠不ルハ↤承↢受施↣行経法↡、不↣敢違↢失度世・無為・泥洹之道快善ニシテタルヲ↡。

ぶつのたまはく、 なんぢら、 諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんおよび後世ごせひとぶつきょうてつらつらこれをゆいして、 よくみづからそのなかにおいてこころただしくしおこなひをただしくすべし。

仏言、若、諸天・帝王・人民及後世人、得↢仏経語↡熟ツラ思↢惟シテ↡、能↢其↡端シクシ↠心シクスベシ↠行

そのしゅじょうぜんをなしそのしもそっけんして、 しゅおしへうたたあひ勅令ちょくりょうし、 うたたともにぜんをなしうたたあひだつせよ。 おのおのみづからただしくまもにんみんあいして、 しゅうしんおこたらざれ。 しょうとうときょううやま通洞つうどう博愛はくあいにして、 ぶつ教令きょうりょうはあへて虧負きぶすることなく、 まさにうれへて度世どせ泥洹ないおんどうたるべし。 まさにうれへてしょう痛痒つうよう断截だんぜつあく根本こんぽんくべし。 まさにうれへてないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうあっどう断絶だんぜつすべし。 まさにぶっおよびてかたきょうどうたもちてあへてしつすることなかるべしと。

主上為↠善率↢化撿↣御シテ↡、教↠衆相勅令、転0189↠善相度脱セヨ。各シク慈仁愍哀シテ、終身不↠怠。尊↠聖↠孝通洞博愛ニシテ、仏語教令↢敢虧負スルコト↡、当↢憂ヘテ度世・泥洹之道タル↡。当↧憂ヘテ断↢截死生痛痒↡抜↦悪根本↥。当↣憂ヘテ断↢絶犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動悪苦之道↡。当シトオヨビテ↢仏世↡堅チテ↢経道↡無カル↦敢違失スルコト↥。

ぶつのたまはく、 なんぢら、 まさにしんずべきものはいかん、 第一だいいちきゅうにまさにみづからただしくすべし、 まさにみずづからこころただしくすべし、 まさにみづからただしくすべし、 まさにみづからみみただしくすべし、 まさにみづからはなただしくすべし、 まさにみづからくちただしくすべし、 まさにみづからただしくすべし、 まさにみづからあしただしくすべし。 よくみづから撿斂けんれんしてみだりにどうすることなく、 身心しんしんじょうけつにしてともにぜん相応そうおうし、 ちゅう約束やくそくしてよくしたがふことなく、 諸悪しょあくおかさざれ。

仏言、若、当↠信云何、第一急↢自シクス↟身、当↢自シクス↟心、当↢自シクス↟目、当↢自シクス↟耳、当↢自シクス↟鼻、当↢自シクス↟口、当↢自シクス↟手、当↢自シクス↟足。能撿斂シテ↢妄動作スルコト↡、身心浄潔ニシテ相応、中外約束シテ↠随フコト↢嗜欲↡、不↠犯↢諸悪↡。

言色ごんしきまさにすべし。 しんぎょうまさにせんなるべし。 ぎょう坐起ざきしょまさにやすらかなるべし。 をなさばなすところまさにまづつらつらりょしてこれをはかるべし。 才能ざいのうたくし、 えんせんし、 あんじょうにしておもむろにこれを作為さいすべし。 をなすこと倉卒そうそつにして、 あらかじめじゅくせずしてこれをなしてあきらかならざればその功夫くふうしなふ。 はいのちにあればいたづらにくるしみてほろぼす。 じょうちゅうしんにしてどうぜっすべしと。

言色当。身行当↠専ナル。行歩・坐起所作当↠安カナル。作サバ↠事所↠為↢先ツラ思慮シテ↟之。揆↢度才能↡、視↢瞻円規↡、安定ニシテ作↢為スベシ↡。作スコト↠事倉卒ニシテ、不シテ計熟↡為シテ↠之レバ↠諦ナラ↢其功夫↡。敗悔在レバ↠後イタヅラミテボス↠身。至誠忠信ニシテ↠道絶去スベシト

ぶつのたまはく、 なんぢら、 ここにおいてますます諸善しょぜんをなして、 おんとくほどこしてよくどうきんおかさず、 忍辱にんにくしょうじん一心いっしん智慧ちえをもつて、 展転てんでんしてまたあひきょうしてぜんをなしてとくをなせ。 かくのごときのきょうぼうしん専一せんいつにして、 斎戒さいかい清浄しょうじょうなること一日いちにちいちなれば、 弥陀みだぶつくににありてぜんをなすことひゃくさいなるにすぐれり。

仏言、若、於↠是マスシテ↢諸↡、布↠恩シテ↠徳不↠犯↢道禁忌↡、忍辱・精進・一心・智慧ヲモテ、展転シテ復相教化シテシテ↠善↠徳。如キノ↠是クノ経法、慈心専一ニシテ、斎戒清浄ナルコト一日一夜ナレバ者、勝レリ↧於在リテ↢阿弥陀仏国↡作スコト百歳ナルニ↥。

ゆゑはいかん。 弥陀みだ仏国ぶっこくはみなとく衆善しゅぜんむこと無為むいねんにしてしゃくするところのごとくにありて、 諸悪しょあくおおきさ毛髪もうはつのごとくなるものもあることなければなりと。

所以者何。阿弥陀仏国皆積ムコト↢徳衆善↡无為自然ニシテリテ↠所ノゴトクニ↢求索スル↡、無ケレバナリト↠有ルコト↣諸悪クナルモノモ↢毛髪↡。

ぶつのたまはく、 ここにおいてぜんをなすことじゅうにちじゅうなれば、 そのとくほう仏国ぶっこくのなかの人民にんみんぜんをなすこと千歳せんざいなるにすぐれり。

仏言、於↠是スコト↠善十日十夜ナレバ者、其徳勝レリ↢於他方仏国人民スコト↠善0190千歳ナルニ↡。

ゆゑはいかん。 ほう仏国ぶっこくはみなことごとくぜんをなすに、 ぜんをなすものはおおあくをなすものはすくなし、 みなねんものありて、 求作ぐさぎょうぜずしてすなはちおのづからこれをればなり。

所以者何。他方仏国皆悉スニ↠善、作↠善↠悪、皆有リテ↢自然之物↡、不シテ↠行↢求作↡便レバナリ↠之

このけんあくをなすものはおおぜんをなすものはすくなし、 求作ぐさぎょうぜざればしむることあたはず。 にんよくみづからただしくせいしてぜんをなし、 しんどうもとむ、 ゆゑによくしかるのみ。 このけんねんなることあることなく、 きゅうすることあたはず、 まさにしゃくぎょうじてごんしてしょうすべし。 うたたあひだい調じょうしてあくこのみ、 その財物ざいもつさいきゅうす。 どくこころろうくるしむ。 かくのごとくにしていたりをはるに、 しんせんならず惚恫こっとうとしてやすからず。

↠悪↠善、不レバ↠行↢求作↡不↠能↠令ムルコト↠得。世人能シクシテ↠善、至心↠道、故耳。是↠有ルコト↢自然ナルコト↡、不↠能↢自給スルコト↡、当↧行ジテ↢求索↡勤苦シテ治生↥。転相欺殆調詐シテ↠悪、得↢其財物↡帰↢給妻子↡。↢食毒↡↠心身苦。如クニシテ↠是クノルニ、心意不↠専ナラ惚恫トシテ不↠安カラ

ひとよくみづからあんじょうにしてぜんをなし、 しょうじんしてとくをなす、 ゆゑによくしかるのみ。

人能安静ニシテ↠善、精進シテ↠徳、故

ぶつのたまはく、 われみななんぢらおよび諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんあわれみて、 みなおしへて諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざらしむ。 その所能しょのうしたがひてすなはちどうきょうかいじゅ開導かいどうして、 ことごとくこれをぎょうせしむ。

仏言、我皆哀ミテ↢若諸天・帝王・人民↡、皆教ヘテ↧作↢諸善↡不↞為↢衆悪↡。随ヒテ↢其所能↡輒授↢与↡開導シテ、悉奉↢行セシム↡。

すなはちくんそっしてぜんをなしてしん教令きょうりょうし、 ちちはそのおしへ、 あにはそのおとうとおしへ、 おっとはそのつまおしへ、 しつない親属しんぞくぼう、 うたたあひきょうして、 ぜんをなしどうをなしきょうほうかいたもち、 おのおのみづからただしくまもりてじょうあひいましめ、 そんとなくとなく、 おとことなくおんなとなく、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにしてかんせざるはなし。 義理ぎりじゅんしてかんらくきょうし、 みづからあひ約撿やくけんす。

率化シテシテ↠善教↢令臣下↡、父↢其↡、兄↢其↡、夫↢其↡、家室・内外・親属・朋友、転相教語シテ、作↠善↠道↠経↠戒、各シクリテ上下相撿、无↠尊↠卑、無↠男↠女、斎戒清浄ニシテ↠不ルハ↢歓喜↡。和↢順シテ義理↡歓楽慈孝、自相約撿

それぶつきょうることあらば、 ことごとくたもちてこれをおもへ。 まさにしょすべからざるをしかもおかしてこれをなさば、 すなはちみづから悔過けかせよ。 あくりてぜんき、 じゃててしょうをなし、 あしたきてゆうべあらためて、 きょうかい奉持ぶじすればぎゃくたから

ラバ↠得ルコト↢仏経語↡、悉チテ↠之。不ルヲ↠当カラ↢所作↡而シテサバ↠之、即悔過セヨ。去リテ↠悪↠善、棄テテ↠邪↠正、朝キテメテ、奉↢持スレバ経戒↡劇得↠

ぶつしょぎょうところ所在しょざい郡国ぐんこくにはすなはちきょうかいじゅす。 諸天しょてん日月にちがつしょうしん諸神しょじん国王こくおう旁臣ぼうしんちょう人民にんみんしょりゅうじんないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいも、 しんをもつてかいせざるものなし。 みなことごとくきょうしてぶつしたがひ、 きょうどう稽受けいじゅしてけてこれをぎょうす。

所行処、所在郡国ニハ授↢与経戒↡。諸天・日月・星辰・諸神・国王・旁臣・長吏・人民・諸竜・鬼神・泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属、莫↧不↢慈心ヲモテ開解↡者0191↥。皆悉敬事シテ↠仏、稽↢受シテ経道↡承ケテ奉↢行↡。

すなはちくんがいしてぜんをなし、 斎戒さいかいしょうしてきよくみづからすすあらひ、 こころただしくしおこなひをただしくせん。 くらいして厳慄ごんりつにして、 教勅きょうちょくしゅひきゐてぜんをなし、 道禁どうきんぎょうしてごんりょうをしてただしからしむ。 しんはそのくんきょうし、 ちゅうじきりょうけてあへて違負いぶせず。 父子ふしごんりょう孝順きょうじゅんじょうじゅし、 きょうだいふうそうしんぼうじょうあひりょうしてことばしたがす。 そんだいしょう、 うたたあひきょうするに、 らいをもつてしにかなひあひ違負いぶせず。

改化シテ↠善、斎戒精思シテ、端シクシ↠心シクセム↠行。居シテニシテ、教勅ヰテ↠衆↠善、奉↢行シテ道禁↡令↢言令ヲシテシカラ↡。臣↢其↡、忠直ケテ↠令不↢敢違負↡。父子言令孝順承受、兄弟・夫婦・宗親・朋友上下相令シテ↠言↠理。尊卑・大小、転相敬事スルニ、以テシ↠礼カナ↠義不↢相違負↡。

おうあらたらいしゅこころあらぎょうおさめずといふことなく、 中表ちゅうひょうたんじょうにしてねんぜんをなし、 ねがふところすなはちて、 ことごとくごうすることねんどうなり。 不死ふしもとほっすればすなはちちょう寿じゅべし。 度世どせもとほっすればすなはち泥洹ないおんどうべしと。

↠不トイフコト↢改↠往↠来↠心ヲサ↟行、端↢正ニシテ中表↡自然↠善、所↠願降化スルコト自然之道ナリ。求↢欲スレバ不死↠得↢長寿↡。求↢欲スレバ度世シト↠得↢泥洹之道↡。

ぶつのたまはく、 ぶつじんとうととくおもくして、 あくぜんして、 だつせざるはなし。 いまわれてんでて、 このあくのなかにありて、 においてぶつとなり、 みんあいしょうきょう開導かいどうす。 諸天しょてん帝王たいおう旁臣ぼうしん左右さうちょう人民にんみん、 そのこころがんぎょうするところにしたがひてみなどうしむ。

仏言、仏威神尊徳重クシテ、消↠悪シテ↠善、莫↠不ルハ↢度脱↡。今我出デテ↢於天下↡、在リテ↢是↡、於↡作↠仏、慈愍哀傷教語開導。諸天・帝王・旁臣・左右・長吏・人民、随ヒテ↣其↢願楽スル↡皆令↠得↠道

ぶつのもろもろのしょぎょうところきょうるところの郡国ぐんこく県邑けんおうじゅ市里じりじゅくせざるはなし。 てんたいびょうにして、 日月にちがつうんしょうますますみょうこうに、 ふうせつありて人民にんみん安寧あんねいならん。 つよきはよわきにのぞまず、 おのおのそのところて、 悪歳あくさい疾疫しつやくなく、 びょうしゅするものなく、 ひょうかくおこらず、 くに盗賊とうぞくなく、 冤抂おんごうあることなく、 へいせらるるものあることなからん。

所行処、所↢経過↡郡国・県邑・丘聚・市里、莫↠不ルハ↢豊熟↡。天下太平ニシテ、日月運照倍益マスマス明好、風雨時節アリテ人民安寧ナラム。強キハ不↠臨↠弱キニ、各↢其↡、无↢悪歳・疾疫↡、無↢病痩スル者↡、兵革不↠起、国↢盗賊↡、無↠有ルコト↢冤抂↡、无カラム↠有ルコト↢拘閉セラルル者↡。

君臣くんしん人民にんみん喜踊きゆせざることなく、 ちゅうじょうにして、 おのおのみづからただしくまもり、 みなみづからくにまもり、 よう孝順きょうじゅんにしてかんせざるはなからん。 有無うむあひともにおんとくほどこして、 こころかんらくしともにみなきょうあいして、 ゆずり、 ぜん謙遜けんそんして、 らいをもつてきょうすることちちのごとくのごとく、 あにのごとくおとうとのごとくにして、 仁賢にんげんじゅん礼節らいせつならざることなく、 すべてにじょうなくぜんきわまりなからんと。

君臣人民莫↠不ルコト↢喜踊↡、忠慈至誠ニシテ、各シク、皆自↠国雍和孝順ニシテカラム↠不ルハ↢歓喜↡。有无相与↠恩シテ↠徳、心歓楽皆敬シテ、推↡、謙↢遜シテ前後↡、以↠礼敬事スルコト↠父↠子、如↠兄クニシテ↠弟0192、莫↠不ルコト↢仁賢・和順・礼節ナラ↡、都テニ↢違諍↡快善無カラムト↠極

ぶつのたまはく、 われなんぢらあわれみて、 これをだつせんとほっすること父母ぶもおもふよりもはげし。 いま八方はっぽうじょう諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいぶつきょうかい仏道ぶつどうぎょうし、 みなみょうこころことごとくかいして、 憂苦うく過度かどだつすることをざるものなし。 いまわれぶつとなり、 あくつうしょうのなかにありて、 あくごうし、 つうしょうじんし、 しょう絶滅ぜつめつして、 ぜんをもつてあくどくりて、 どうしめ、 ぜんしめてあきらかにこのましく、 しょうあくおこらざらしむ。

仏言、我哀ミテ↢若↡、欲スルコト↣度↢脱セムト↡劇↢父母フヨリモ↟子。今八方上下諸天・帝王・人民及蜎飛蠕動之類、得↢仏経戒↡奉↢行仏道↡、皆得↢明慧↡心開解シテ、莫↧不↠得↤過↢度解↣脱スルコトヲ憂苦↡者↥。今我作↠仏、在リテ↢於五悪・五痛・五焼之中↡、降↢化五悪↡、消↢尽五痛↡、絶↢シテ五焼↡、以↠善↠悪↢去リテ毒苦↡、令↠得↢五道↡、令メテ↠得↢五善↡明カニシク焼・悪不ラシム↠起

われはつ泥洹ないおんりてのちきょうどうやや断絶だんぜつし、 人民にんみんてんにしてややまた衆悪しゅあくをなしまたぜんをなさざれば、 しょうまたおこり、 つうぎゃっ、 またさきほうのごとく、 ねん還復げんぶくひさしくしてのちうたたはげしからん。 ことごとくくべからず。 われただなんぢらがためにすこしくこれをいふのみ。

我般泥洹リテ後、経道稍断絶、人民諛諂ニシテ復為↢衆悪↡不レバ↢復作↟善、五焼復起、五痛劇苦、復如↢前↡、自然還復シクシテ後転シカラム。不↠可カラ↢悉↡。我但為↢若↡小シク↠之耳。

ぶついつさつらにげたまはく、 なんぢらおのおのおもひてこれをたもて。 展転てんでんしてあひきょうかいし、 ぶつきょうぼうのごとくにしてあへてぼんすることなかれと。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等↡、若ヒテ↠之。展転シテ相教、如クニシテ↢仏経法↡无レト↢敢違犯スルコト↡。

いつさつじょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつ道説どうせつしたまへるところはなはだつうなり。 にんあくをなすことはなはだはげしきことかくのごとし。 ぶつみなあいしてことごとくこれをだつしたまふと。 みなまうさく、 ぶつ重教じゅうきょうけたまへり、 ねがはくは展転てんでんしてあひおしへてあへてぼんせじと。

阿逸菩薩長跪叉手シテ、仏シタマヘルトコロ苦痛ナリ。世人為スコト↠悪シキコト↠是クノ。仏皆慈哀シテ度↢脱シタマフト↡。皆言、受ケタマヘリ↢仏重教↡、ネガハクハ展転シテ相教ヘテ↢敢違犯↡。

二 Ⅴ 霊山現土

【27】ぶつなんげたまはく、 われなんぢらをあわれみて、 ことごとく弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんしょこくしめむ。 なんぢこれをることをほっするやいなやと。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、我哀ミテ↢若↡、令メム↣悉見↢阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢所居国土↡。若欲スルヤ↠見ルコトヲ↠之ヤト

なんすなはちおほきにかんし、 じょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ねがはくはみなこれをることをほっすと。

阿難即歓喜、長跪叉手シテ、願クハ皆欲スト↠見ルコトヲ↠之

ぶつのたまはく、 なんぢちてあらためて袈裟けさ西にしむかひてはいし、 没処しょもつのところにあたりて弥陀みだぶつのためにらいをなし、 のうをもつてけ、 南無なも弥陀みださんさん仏檀ぶつだんといへと。

仏言、若起チテメテ↢袈裟↡西ヒテ、当リテ↢日所没↡為↢阿弥陀仏↡作↠礼、以↢頭脳↡著↠地、言0193ヘト↢南无阿弥陀三耶三仏檀↡。

なんまうさく、 だくきょうけんと。 すなはちちあらためて袈裟けさ西にしむかひてはいし、 所没しょもつところあたりて、 弥陀みだぶつのためにらいをなし、 のうをもつてけて、 南無なも弥陀みださんさん仏檀ぶつだんといふ。

阿難言、諾、受ムト↠教。即↢袈裟↡西ヒテ、当リテ↢日所没処↡、為↢弥陀仏↡作↠礼、以↢頭脳↡著ケテ↠地、言↢南無阿弥陀三耶三仏檀↡。

なんいまだたざるに、 弥陀みだぶつすなはちおほきにこうみょうじんはなちて、 すなはち八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅ仏国ぶっこくへんす。 もろもろの央数おうしゅ諸天しょてん、 すなはちみなためにおほきに震動しんどうし、 もろもろの央数おうしゅてんしゅせんほう摩訶まかしゅ大山だいせんほう、 もろもろのてん大界だいかいしょうかい、 そのなかのもろもろのだいないしょうない、 もろもろの山林せんりん渓谷けいこくゆうみょうところ、 すなはちみなだいみょうにして、 ことごとくおほきにかいびゃくす。

阿難未ルニ↠起、阿弥陀仏便チテ↢光明威神↡、則↢八方上下无央数仏国↡。諸無央数諸天地、即皆為震動、諸无央数天地、須弥山羅宝・摩訶須弥大山羅宝、諸天地、大界・小界、其大泥犁・小泥犁、諸山林・渓谷・幽冥之処、即皆大明ニシテ開闢

すなはちときなん、 もろもろのさつ阿羅あらかんら、 諸天しょてん帝王たいおう人民にんみん、 ことごとくみな弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんこく七宝しっぽうをはりて、 こころおほきにかんやくして、 ことごとくちて弥陀みだぶつのためにらいをなし、 のうをもつてけて、 みな南無なも弥陀みださんさん仏檀ぶつだんといふ。

阿難、諸菩薩・阿羅漢等、諸天・帝王・人民、悉皆見↢阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢国土七宝リテ、心大歓喜踊躍シテ、悉チテ↢阿弥陀仏↡作↠礼、以↢頭脳↡著ケテ↠地、皆言↢南無阿弥陀三耶三仏檀↡。

弥陀みだぶつくにはなてるこうみょうじんありて、 もつてもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい、 みなことごとく弥陀みだぶつこうみょうたてまつるに、 しんをもつてかんせざるものなし。 しょないきんじゅう薜荔へいれいしょこうごんところ、 すなはちみな休止くししてまたせず。 憂苦うくだつせざるものなし。

阿弥陀仏テル光明威神アリテ、以无央数天・人民及蜎飛蠕動之類、皆悉タテマツルニ↢阿弥陀仏光明↡、莫↧不↢慈心ヲモテ歓喜↡者↥。諸有犁・禽獣・薜荔、諸有考治勤苦之処、即皆休止シテ不↢復治↡。莫↧不↣解↢脱憂苦者。

しょ盲者もうじゃはすなはちみなることをしょ聾者ろうじゃはすなはちみなくことをしょ喑者あんじゃはすなはちみなよくかたり、 しょしゃはすなはちぶることを、 もろもろのへき蹇者けんじゃはすなはちみなはしき、 しょびょうしゃはすなはちみなえてち、 もろもろの尫者おうじゃはすなはちみな強健ごうごんに、 もろもろの愚痴ぐちしゃはすなはちさらにがちに、 しょ婬者いんじゃはみなこれぼんぎょうし、 もろもろのしんしゃはことごとくみなしんをもつてぜんをなし、 しょどくかぶものどくみなめぐらず、 しょうけい琴瑟きんしつ箜篌くごがっしょせざるにみなおのづからいつつのおんじょうをなし、 にょ珠環しゅかんはみなおのづからこえをなし、 百鳥ひゃくちょう畜狩ちくしゅみなおのづからみょうす。

諸有盲者皆得↠視ルコトヲ、諸有聾者皆得↠聴クコトヲ、諸有喑者皆能、諸有僂者得↠ブルコトヲ、諸癖蹇者皆走、諸有病者皆愈エテ尫者強健、諸愚痴者黠慧、諸有0194婬者是梵行瞋怒皆慈心ヲモテ↠善、諸有↠毒毒皆不↠メグ、鍾磬・琴瑟・箜篌楽器諸伎ルニ↠鼓皆自↢五音声↡、婦女珠環皆自↠声、百鳥畜狩皆自悲鳴

このときあたりて、 かんぜんぎょうして過度かどざるものなし、 すなはちそのときしょ仏国ぶっこくちゅう諸天しょてん人民にんみんてんじょうこうちてきたくだり、 くうのなかにおいてことごとくみな諸仏しょぶつおよび弥陀みだぶつうえようさんぜざるはなし。 諸天しょてんおのおのともにおほきに万種まんじゅねんがくをなして、 諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんたのしましむ。 このときあたりて、 そのらくいふべからずと。

リテ↢是↡、莫↧不↣歓喜善楽シテ得↢過度↡者↥。即諸仏国中諸天・人民莫↠不ルハ↫持チテ↢天上華香↡来、於↢虚空↡悉皆供↩養↪諸仏及阿弥陀仏↨。諸天各シテ↢万種自然伎楽↡、マシム↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。当リテ↢是之時↡、快楽不↠可カラ↠言

ぶつなんいつさつらにげたまはく、 われ弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんこくねん七宝しっぽうくに、 もしはあることなきやと。

仏告ゲタマハク↢阿難・阿逸菩薩等↡、我説クニ↢阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢国土自然七宝↡、シハ↠有ルコト↠異乎

なんじょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつ弥陀みだぶつこくぜんなることをきたまふ。 ぶつののたまふところのごとくひとつもことなることあることなしと。

阿難長跪叉手シテ、仏説キタマフ↢阿弥陀仏国土快善ナルコトヲ↡。如↢仏↟言キタマフシト↠有ルコト↢一ツモナルコト↡。

ぶつのたまはく、 われ弥陀みだぶつどくこくぜんかんに、 ちゅう一劫いっこうつくすともなほまたいまだへず。 われただなんぢらがためにすこしくこれをくのみと。

仏言、我説カムニ↢阿弥陀仏功徳、国土快善↡、昼夜尽ストモ↢一劫↡尚復未↠竟。我但為↢若↡小シク↠之

二 Ⅴ 十方来生

いつさつすなはちじょう叉手しゃしゅして、 ぶつひたてまつりてまうさく、 今仏こんぶつこくはこのけんよりまさにいくばくのゆいおっさつありてか弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべき。 ねがはくはこれをかんとほっすと。

阿逸菩薩即長跪叉手シテ、問ヒタテマツリテ↠仏、今仏国土↢是間↡当↧有リテカ↢幾何阿惟越致菩薩↡往↦生阿弥陀仏国↥。願クハスト↠聞カムト↠之

ぶつのたまはく、 なんぢらんとほっせば、 あきらかにきてしんちゅうけよと。 いつさつまうさく、 きょうけんと。

仏言、汝欲セバ↠知ラムト者、明カニキテケヨト↢心中↡。阿逸菩薩言、受ケムト↠教

ぶつのたまはく、 わがくによりまさにしちひゃくじゅうおくゆいおっさつありて、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。 ひとりゆいおっさつは、 ぜん央数おうしゅ諸仏しょぶつようし、 もつてぎてろくのごとし。 みなまさにぶつすべし。 およびそののもろもろのしょうさつともがらは、 央数おうしゅにしてまたかぞふべからず、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべしと。

仏言、従↢我国↡当リテ↢七百二十億阿惟越致菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。一阿惟越致菩薩者、前後供↢養无央数諸仏↡、以ギテ↢弥勒↡。皆当↢作仏↡。及小菩薩0195輩者、無央数ニシテ不↠可カラ↢復計↡、皆当シト↣往↢生阿弥陀仏↡。

ぶついつさつげたまはく、 ただわがこくちゅうのもろもろのさつのみまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべきにあらず。 ほうこくにまたぶつましましてまたかくのごとし。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩↡、不↤但我国中菩薩ノミキニ↣往↢生阿弥陀仏国↡。他方異国復有シテ↠仏亦復如↠是クノ

第一だいいちぶつ頭楼ずる和斯わしづく。 そのくにひゃくはちじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

第一↢頭楼和斯↡。其↢百八十億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいぶつりん那阿なあかつづく。 そのくにじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第二↢羅隣那阿竭↡。其↢九十億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこく第三だいさんぶつ朱蹄しゅだい彼会ひえづく。 そのくにひゃくじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第三↢朱蹄彼↡。其↢二百二十億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいぶつ蜜蔡みつさいさつづく。 そのくにひゃくじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第四↢阿蜜蔡羅薩↡。其↢二百五十億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいいつつのぶつ楼波るは黎波りはさいせつづく。 そのくにろっぴゃくおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第五↢楼波黎波蔡↡。其↢六百億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこく第六だいろくぶつゆいさいづく。 そのくにまんせんさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第六↢那惟于蔡↡。其↢万四千菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこく第七だいしちぶつゆい波羅はらはんせつづく。 そのくにじゅうさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第七維黎波羅潘↡。其↢十五菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこく第八だいはちぶつ和阿わあさいづく。 そのくにはちさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第八↢和阿蔡↡。其↢八菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいぶつ尸利しり群蔡ぐんさいづく。 そのくにはつぴゃくいちじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第九↢尸利群蔡↡。其↢八百一十億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいじゅうぶつ那他なたさいづく。 そのくに万億まんおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国第十↢那他蔡↡。其↢万億菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいじゅういちぶつ和羅わらゆいさいせつづく。 そのくにまんせんさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。

他方異国0196十一↢和羅那惟于蔡↡。其↢万二千菩薩↡、皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいじゅうぶつふつ図耶ずやさいづく。 そのくににもろもろのさつあり、 央数おうしゅにしてまたかぞふべからず。 みなゆいおっなり。 みな智慧ちえゆうみょうにして、 おのおの央数おうしゅ諸仏しょぶつようしをはりて、 いちにともにこころがんじてかんとほっして、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずべし。

他方異国第十二↢沸覇図耶蔡↡。其↢諸菩薩↡、无央数ニシテ不↠可カラ↢復計↡。皆阿惟越致ナリ。皆智慧勇猛ニシテ、各供↢養無央数諸仏リテ、一時ジテシテカムト、皆当↠生↢阿弥陀仏国↡。

ほうこくだいじゅうさんぶつずいえつ波多はたさいづく。 そのくにしちひゃくじゅうおくさつあり、 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべしと。

他方異国第十三↢随呵閲祇波多蔡↡。其↢七百九十億菩薩↡、皆当シト↣往↢生阿弥陀仏国

ぶつのたまはく、 このもろもろのさつはみなゆいおっなり。 もろもろの比丘びくそうちゅうしょうさつともがらおよぶまで央数おうしゅなり。 みなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし。 ひとりこのじゅう仏国ぶっこくちゅうのもろもろのさつのみまさにおうじょうすべきにあらず。 すべて八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくのもろもろのさつともがら、 おのおのこれみなまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべし、 はなはだ央数おうしゅなり。 すべてともにきて弥陀みだ仏国ぶっこくす。 おほきにしゅにしてかぞふべからず。

仏言、是菩薩皆阿惟越致ナリ。諸比丘僧中ブマデ↢小菩薩↡无央数ナリ。皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡。不↣独十四仏国中菩薩ノミキニ↢往生↡也。都八方上下無央数仏国菩薩輩、各各是皆当↣往↢生阿弥陀仏国↡、无央数ナリ。都キテ↢阿弥陀仏国↡。大衆多ニシテ不↠可カラ↠計

われただ八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつみょうかんに、 ちゅう一劫いっこうすともなほいまだへず。 われただまた諸仏しょぶつこくのもろもろの比丘びくそうしゅさつのまさに弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべき人数にんじゅかんに、 これをくこと一劫いっこうにして休止くしせざるもなほいまだへず。 われただなんぢらがために総攬そうらんしてすべてすこしくこれをくのみと。

但説カムニ↢八方上下無央数諸仏名字↡、昼夜一劫ストモ尚未↠竟。我但復説カムニ↧諸仏国比丘僧菩薩↣往↢生阿弥陀仏国↡人数↥、説クコト↠之一劫ニシテルモ↢休止↡尚未↠竟。我但為↢若↡総攬シテシク↠之

流通分
  弥勒付属

【28】ぶつなんいつさつらにかたりたまはく、 それけん帝王たいおう人民にんみん善男ぜんなんぜん女人にょにんぜん宿命しゅくみょうぜんをなしていたすところの相禄そうろく巍々ぎぎとして、 すなはちまさに弥陀みだぶつみなくべきもの、 はなはだぜんなり。 われこれにかわりてよころばんと。 ぶつのたまはく、 それ善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 弥陀みだぶつみなき、 しんをもつてかんしていちやくし、 しんじょうけつに、 もうためにちて、 なみだすなはちづるものは、 みなぜん宿命しゅくみょう仏道ぶつどうをなせることほうぶつのごとく、 もとさつにして凡人ぼんにんにあらず。

仏語リタマハク↢阿難・阿逸菩薩等↡、其世間帝王・人民、善男子・善女人、前世宿命シテ↠善↠致相禄巍巍トシテ、乃↠聞↢阿弥陀仏↡者、甚ナリ我代リテ↠之バムト。仏0197、其リテ↢善男子・善女人↡、聞↢阿弥陀仏↡、慈心ヲモテ歓喜シテ一時踊躍、心意浄潔、衣毛為チテ、涙即ヅル、皆前世宿命セルコト↢仏道↡若↢他方↡、モト菩薩ニシテ↢凡人↡。

それ人民にんみんなん女人にょにんありて、 弥陀みだぶつみなきてしゃしんぜず、 きょうぶつしんぜず、 比丘びくそうあることをしんぜず、 しんちゅう狐疑こぎしてすべてしんずるところなきものは、 みなもと悪道あくどうのなかよりきたしょうじて、 愚痴ぐちにしてさとらず、 宿命しゅくみょう殃悪おうあくいまだきず、 なほいまだまさにだつすべからず。 ゆゑにしんちゅう狐疑こぎして、 信向しんこうせざるのみと。

リテ↢人民、男子・女人↡、キテ↢弥陀仏↡不↠信↢有者↡、不↠信↢経仏語↡、不↠信↠有ルコトヲ↢比丘僧↡、心中狐疑シテ↠所↠信ズル、皆モト↢悪道中↡来ジテ、愚痴ニシテ不↠解、宿命殃悪未↠尽、尚未↠当カラ↢度脱↡。故心中狐疑シテ、不↢信向

ぶつのたまはく、 われなんぢらにかたらん。 なんぢらまさになすべきところの善法ぜんぼうは、 みなまさにぎょうしてこれをしんじ、 うたがいることなかるべし。 われはつ泥洹ないおんりてのち、 なんぢらおよび後世ごせひと、 またわれ弥陀みだ仏国ぶっこくにあることをしんぜずといふことをることなかれ。 われことさらになんぢらをしてことごとく弥陀みだぶつこくしむ。 まさになすべきところのものはおのおのこれをもとめよ。

仏言、我語ラム↢若↡。若↠当↠作善法、皆当↢奉行シテ↠之、無カルルコト↠疑。我般泥洹リテ後、汝後世人、无↠得ルコト↣復言フコトヲ↢我不↟信↠有ルコトヲ↢阿弥陀仏国↡。我故ラニ↣若ヲシテ見↢阿弥陀仏国土↡。所↠当↠為メヨ↠之

われつぶさになんぢらがためにきょうかい慎法しんぼう道説どうせつす。 なんぢらまさにぶつほうのごとくこれをたもつべし。 しつることなかれ。 われこのきょうたもちもつてなんぢらにるいす。 なんぢらまさにかたくこれをたもつべし、 みだりにこのきょうぼう増減ぞうげんするをなすことをることなかれ。

我具↢若↡道↢説経戒慎法↡。若↧如↢仏↡持↞之。無↠得ルコト↢毀失↡。我持↢是↡以↢若↡。若↢堅↟之、无↠得ルコト↠為スコトヲ↣妄増↢減スルヲ経法↡。

特留此経

われはつ泥洹ないおんりてのちきょうどう留止るしすること千歳せんざいせん。 千歳せんざいのちきょうどう断絶だんぜつせん。 われみなあいして、 このきょうぼうたもとどめてじゅうすることひゃくさいせん。 ひゃくさいちをはりてすなはち休止くし断絶だんぜつせん。 こころ所願しょがんのごとくありてみなどうべしと。

我般泥洹リテ後、経道留止スルコト千歳セム。千歳後、経道断絶セム。我皆慈哀シテ↢留メテ経法↡止住スルコト百歳セム。百歳リテ休止断絶セム。在リテ↢心所願ノゴトク↡皆可シト↠得↠道

ぶつのたまはく、 ひと開導かいどうするに、 もく智慧ちえみょうだつにして、 ひとだつしてよく泥洹ないおんどうふことをしむ。 つねにまさにぶつきょうすること父母ぶものごとくすべし。 つねにまさにおんねんずべし。 つねにねんじてえざればすなはちどうることはやからんと。

仏言、師開↢スルニ↡、耳目・智慧明達ニシテ、度↢脱シテ↡令↠得↣善フコトヲ↢泥洹之道↡。常↧孝↢慈スルコト↡父母ノゴトクス↥。常↠念↢師↡。常ジテレバ↠絶ルコト↠道カラムト

ぶつのたまはく、 てんぶつましますははなはだひがたし。 もしは沙門しゃもんありてのごとくひとのためにきょうくは、 はなはだひがたし。

仏言、天下↠仏者甚↠値。若シハリテ↢沙門↡若↠師↠人↠経0198、甚↠値

ぶつこのきょうきたまふとき、 すなはちまん千億せんおく諸天しょてん人民にんみんみな天眼てんげんてっし、 ことごとく一心いっしんにみなさつどうをなす。 すなはちひゃくおく諸天しょてん人民にんみんみな阿那あな含道ごんどう、 すなはちはっぴゃく沙門しゃもん、 みな阿羅あら漢道かんどう、 すなはちじゅうおくさつ、 みなゆいおったりと。

仏説キタマフ↢是↡時、即万二千億諸天・人民皆得↢天眼↡徹視、悉一心皆為↢菩薩道↡。即二百億諸天・人民皆得↢阿那含道↡、即八百沙門、皆得↢阿羅漢道↡、即四十億菩薩、皆得タリト↢阿惟越致↡。

ぶつきょうきをはりたまふに、 もろもろのさつ阿羅あらかん諸天しょてん帝王たいおう人民にんみん、 みなおほきにかんし、 ちてぶつのためにらいをなし、 めぐること三帀さんぞうして、 すすみてめんをもつて仏足ぶっそくけてりにき。

仏説↠経リタマフニ、諸菩薩・阿羅漢・諸天・帝王・人民、皆大歓喜、起チテ↠仏↠礼、遶ルコト三帀シテ、前ミテ↢頭面↡著ケテ↢仏足↡而去リニキ

 

阿弥陀あみだきょう かん

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ正倉院聖語藏本、 Ⓔ高田派専修寺蔵顕智上人書写本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒶⒷⒸⒹⒺ瑠 孤→Ⓔ狐
→Ⓓ
→ⒶⒹⒺ
呉…譯9字 Ⓓになし
支国→ⒶⒷⒸⒺ
居士→ⒷⒸ優婆塞 ⒶⒺになし
 ⒶⒺになし
夢中→ⒶⒷⒸⒹⒺ中夢
→ⒶⒷⒺ翻[輩]
→Ⓔ
 Ⓓになし
命終→ⒶⒷⒸⒹⒺ終命
→Ⓓ
→Ⓔ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
 Ⓑになし
→ⒶⒷⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ作[功]
→Ⓔ
→ⒶⒷⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ仏[国]
→Ⓓ仏[国]
→ⒶⒷⒸⒺ大[歓]
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ百千
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒺ→ⒷⒸ→Ⓓ
→ⒶⒺ→ⒷⒸ Ⓓになし
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ楽[楽]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
 ⒶⒷⒸⒺになし
 ◎ⒶⒸⒹになし
无空→ⒶⒷⒸⒹⒺ空无
→ⒸⒷ
慈愍→Ⓓ愍慈
通洞→ⒶⒷⒸⒺ洞通
→Ⓓ願[高]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ悪[悪]
→ⒶⒷⒸⒺ事[勤]
寿→ⒶⒷⒸⒹⒺ寿[楽]
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
唐突→ⒶⒷⒸⒺ搪揬
→Ⓓ
意固→ⒶⒷⒸⒺ固意
→ⒶⒷⒸⒺ苦[如]
→ⒷⒸ→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓒ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
 ⒶⒺになし
矇瞑→ⒶⒷⒸⒹⒺ蒙蒙
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ懐[怨]
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ億[億]
→◎
→ⒶⒷⒸⒺ
 Ⓓになし
 Ⓓになし
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ皆[悉]
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ深[甚]
見知→Ⓔ知見
→ⒶⒷⒸ→Ⓔ→
→Ⓓ
→ⒷⒹ
→Ⓔ
→Ⓔ
→ⒷⒸ→Ⓔ
→ⒹⒺ
→ⒶⒺ
→ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒹ亦[痛亦]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ極[病時亦痛亦苦亦極死時亦痛亦苦亦極]
→ⒶⒷⒸⒺ
无復→ⒶⒷⒸⒺ復無
→ⒶⒷⒸⒺ万[劫]
→ⒶⒷⒸⒺ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ者[諸]
→Ⓒ
→ⒶⒺ→ⒷⒸ
→Ⓓ
→ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ受[於]
寄胎→ⒶⒷⒸⒺ寿
→Ⓓ
 Ⓔになし
嫉憎→ⒶⒷⒸⒺ憎嫉
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓓ
欲益→ⒶⒷⒸⒺ殺盜
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ守[惜]
→ⒷⒸ Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒺ悔[生]
 ◎ⒶⒹⒺになし
→Ⓑ
→Ⓓ
→ⒷⒸ
→ⒶⒹ→Ⓔ
→Ⓒ
 Ⓔになし
→Ⓐ
相因→Ⓓ想恩
→Ⓓ
→ⒶⒷⒹⒺ
→ⒶⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒺ使
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ三[大]
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒺ
有道 ⒶⒷⒸⒺになし
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→ⒶⒹⒺ
→◎ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓔ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ殺[阿]
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ→Ⓓ
→ⒶⒷ Ⓔになし
汗汗→Ⓓ晧晧
→Ⓓ
入苦 ◎Ⓓになし
入冥 ◎Ⓓになし
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒺ悪[為]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ痛[為]
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→Ⓑ時[快意不能]
→ⒷⒸⒺ
 Ⓓになし
→Ⓒ
→ⒶⒷⒸ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ善[者]
→Ⓓ徳[福徳]
飲食毒 ⒶⒷⒸⒺになし
身苦→ⒶⒷⒸⒺ苦身
惚恫→ⒶⒷⒸⒹⒺ怱洞
 ◎になし
爾耳→Ⓓ耳爾
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒷⒸ
→ⒷⒸ
→ⒶⒺ
 ⒶⒷⒸⒺになし
→ⒶⒷⒸⒺ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒹ
→ⒷⒸ
 Ⓔになし
→ⒶⒺ
→ⒶⒹⒺ→ⒷⒺ
→Ⓑ
 ⒶⒷⒸⒺになし
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ歓[喜]
→ⒶⒷⒸⒺ与[得]
→ⒶⒷⒸⒺ
譲義→ⒶⒷⒸⒺ義譲
ⒷⒸⒹ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
→◎
→ⒶⒺ
→Ⓓ
 Ⓔになし
→Ⓓ悉[両]
 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓓ
 ⒶⒷⒸⒺになし
→ⒶⒷⒸⒺ放[大]
諸无央数天→ⒶⒷⒸⒺ无央数諸天
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ復[拷]
→ⒶⒷⒸ者[也]
喑者→ⒶⒷⒸⒺ瘖瘂
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ即[皆]
→ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ諸[有]
→ⒶⒺ尫[愚]
→ⒷⒸ
強健諸愚痴者即更→ⒷⒸ強健愚者皆 ⒶⒺになし
強健諸愚痴者即Ⓓになし
皆是梵行 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ当[于]
 ⒶⒷⒸⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
国仏 Ⓓになし
皆当→Ⓔ当皆
→ⒶⒷⒸⒹⒺ会[蔡]
→ⒶⒷⒸⒺ如来
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
一十→Ⓓ十一
→Ⓓ名[若]
 Ⓓになし
→Ⓓ
→◎Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ往[生]
→ⒶⒷⒺ→Ⓒ
→Ⓑ各[如]→Ⓒ各[在]
→ⒷⒸ
→Ⓓ但[当]
→Ⓓ善[哉]
→◎ⒶⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ聞[阿]
 Ⓓになし
心中→Ⓓ中心
→ⒶⒷⒸ得[狐]→Ⓔ得[孤]
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸ
→ⒷⒸ仏[如]
 ⒶⒹⒺになし
[仏説]ⒷⒸⒹ