0356仏説ぶっせつだいじょうりょう寿じゅしょうごんきょう かんちゅう

西天さいてんやくきょう三蔵さんぞうちょうさんたいこうろくきょう明教うきょうだいしん法賢ほっけんしょうやく

 

三一 そのときほう苾芻びっしゅそんにまうしてまうさく、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる一切いっさいしゅじょう、 わがみょうごうきて、 なが熱悩ねつのうこころはなれ、 清涼しょうりょうぎょうしんぎょうただしくしてわがくにしょうずることを宝樹ほうじゅもとしてしょうにんしょうし、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん。

時作法苾芻白シテ↢世尊↡言、我得↢菩提↡成↢正覚↡已ラムニ、所有一切衆生、聞キテ↢我名号↡、永↢熱悩↡、得↢清涼↡、正シクシテ↢信行↡得↠生ズルコトヲ↢我↡、坐シテ↢宝樹↡証↢無生忍↡、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提↡。

三二 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽう一切いっさい仏刹ぶっせつしょさつしゅ、 わがみょうごうきて、 ときおうじて寂静じゃくじょうさん摩地まじしょうとくせん。 このじょうじゅうしをはりて、 一念いちねんのなかにおいてりょうへん不可ふか思議しぎ諸仏しょぶつそんることをじょうようして、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方一切仏刹諸菩薩衆、聞キテ↢我名号↡、応ジテ↠時証↢得セム寂静三摩地↡。住↢是↡已リテ、於↢一念↡得↠見ルコトヲ↢無量無辺不可思議諸仏世尊↡、承事供養シテ、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提↡。

三三 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽう一切いっさい仏刹ぶっせつしょうもんさつ、 わがみょうごうきて、 しょうにんしょうし、 一切いっさいびょうどう善根ぜんごんじょうじゅし、 無功むくゆうじゅうし、 ぎょうはなるるがゆゑに、 ひさしからずしてのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方一切仏刹声聞・菩薩、聞キテ↢我名号↡、証↢無生忍↡、成↢就一切平等善根↡、住↢無功用↡、ルルガ↢加行↡故、不シテ↠久シカラメム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

三四 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽう一切いっさい仏刹ぶっせつしょさつしゅ、 わがきをはりて、 希有けうしんしょうじ、 このひとすなはちへんさつさん摩地まじん。 このじょうじゅうしをはりて、 一念いちねんのなかにおいてりょうしゅ不可ふか思議しぎしょ仏刹ぶっせつのなかにいたることをて、 諸仏しょぶつぎょうそんじゅうようし、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方一切仏刹諸菩薩衆、聞↢我↡已0357リテ、生↢希有↡、是人即↢普徧菩薩三摩地↡。住↢此↡已リテ、於↢一念↡得↠至ルコトヲ↢無量無数不可思議諸仏刹↡、恭↢敬尊↣重供↤養諸仏↡、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提↡。

三五 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがくにのなかにおけるあらゆるさつ、 あるいは説法せっぽうねがひ、 あるいはちょうほうねがひ、 あるいは神足じんそくげんじ、 あるいはほうくに、 こころしたがひてしゅじゅうし、 円満えんまんせざることなく、 みなのく多羅たらさんみゃくさんだいしょうとくせしめむ。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、於ケル↢我↡所有菩薩、或イハ↢説法↡、或イハ↢聴法↡、或イハ↢神足↡、或イハクニ↢他方↡、随ヒテ↠意修習、無↠不ルコト↢円満↡、皆令メム↣証↢得阿耨多羅三藐三菩提↡。

三六 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽう一切いっさい仏刹ぶっせつのわがかんもの、 ときおうじてすなはち初忍しょにんにんないしょう法忍ぼうにんて、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせんと。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方一切仏刹カム↢我↡者、応ジテ↠時↢初忍・二忍乃至無生法忍↡、成↢就セムト阿耨多羅三藐三菩提↡。

二 Ⅰ 重誓偈

【6】 そのときほう苾芻びっしゅかの仏前ぶつぜんかひ、 かくのごときのがんおこしをはりて、 ぶつじんけて、 すなはちじゅきていはく、

時作法苾芻向↢彼仏前↡、発↢如キノ↠是クノ↡已リテ、承ケテ↢仏威神↡、即キテ↠頌

われいま仏前ぶつぜんむかひて じょうじつがんおこせり
ぶつじゅう力身りきしんて じん等々とうどうなけん

我今対ヒテ↢仏前而発セリ↢誠実
 獲↢仏十力身威徳無ケム↢等等↡

まただい国王こくおうとなりて ごうにしてしかもざい
ひろくもろもろの財宝ざいほうをもつて あまねくびんほどこして

復為リテ↢大国王富豪ニシテ自在
 広↢諸財宝シテ↢於貧苦

かのもろもろのぐんじょうをして じょうのうなく
もろもろの善根ぜんごんすいしょうし だいじょうじゅせしめん

メム↧彼群生ヲシテ長夜↢憂悩↡
 出↢生善根成↦就菩提

われもししょうがくじょうぜば りょう寿じゅてん
しゅじょうこのきて ともにわがせつちゅうきた

我若ゼバ↢正覚テム↢名無量寿
 衆生聞キテ↢此↢我刹中

ぶつ金色こんじきしんのごとく みょうそうことごとく円満えんまんせん
まただいしんをもつて もろもろの群品ぐんぼんやくせん

↢仏金色身妙相悉円満セム
 亦以↢大慈心利↢益セム群品

ねがはくはわが智慧ちえこう ひろ十方じっぽうせつらし
もろもろのじょうの 貪瞋とんじん煩悩ぼんのうやみ除滅じょめつせん

0358クハ智慧光↢十方
 除↢滅セム有情貪瞋煩悩

ごくちくしょう ことごとくさん
またわがせつちゅうしょうじて 清浄しょうじょうぎょうしゅじゅう

地獄・鬼・畜生↢三塗
 亦生ジテ↢我刹中修↢習清浄

かのこうみょうしんて ぶつのごとくあまねくしょうようして
日月にちがつ珠宝しゅほうひかりも そのみょうならぶべからず

↢彼光明身↠仏照曜シテ
 日月・珠宝明不ラム↠可カラ↠比

ねがはくはわれらいに つねに天人てんにんとなりて
ひゃくおくかいのなかに しかも師子ししをなし

クハ我未来世リテ↢天人
 百億世界↢師子吼

かの過去かこぶつの ぎょうぜしところのみんぎょうのごとく
ひろりょうへん ていのもろもろのじょうをして

↢彼過去仏↠行ゼシ慈愍
 広無量無辺倶胝有情ヲシテ

むかし所願しょがん円満えんまんし 一切いっさいみなじょうぶつせしめん
この大願だいがんおことき 三千さんぜん大千だいせんかい

円↢満所願一切皆成仏セシメム
↢是大願↡時三千大千界

震動しんどうして十方じっぽうにあまねく 天人てんにん空界くうかいのなか
一切いっさいはな 栴檀せんだんおよび沈水ちんすいさん

震動シテ↢十方天人空界
 散↢雨一切栴檀及沈水

だい苾芻びっしゅしょうさんす 願力がんりきはなはだ希有けうなり
けつじょうしてまさにぶつして ひろしゅじょうかいすべしと

称↢讃大苾芻願力甚希有ナリ
 決定シテシト↣作仏シテ↢衆生界

菩薩修行

【7】 またつぎなんときほう苾芻びっしゅざいおう如来にょらいおよび天人てんにんぼん沙門しゃもん婆羅ばらもんしゅとうたいして、 このがんおこしをはりて、 真実しんじつじゅうし、 ゆうみょうしょうじんにして、 りょうどくしゅじゅうし、 仏刹ぶっせつしょうごんし、

復次阿難、時作法苾芻対シテ↢世自在王如来及天人・魔・梵・沙門・婆羅門・阿修羅等↡、発↢是↡已リテ、住↢真実↡、勇猛精進ニシテ、修↢習無量功徳↡、荘↢厳仏刹↡、

さん摩地まじり、 だいそうこうて、 さつぎょうしゅし、 慳貪けんどんしんしんしん愚痴ぐちしんしょうぜず、 また欲想よくそう瞋想しんそうそうしきしょうこうそくそうなし。 こころ迷乱めいらんせず、 くちおんならず、 だいせず、 ただこのみて過去かこ諸仏しょぶつ所修しょしゅ善根ぜんごんぎょう寂静じゃくじょうぎょう憶念おくねんし、

↢三摩地↡、歴↢大阿僧祇劫↡、修↢菩薩↡、不↠生↢慳貪心・瞋恚心・愚痴心↡、亦無↢欲想・瞋想・痴想、色・声・香・味・触想↡。心不↢迷乱↡、口不↢瘖瘂ナラ↡、身不↢懈怠↡、但楽ミテ憶↢念過去諸仏所修善根行・寂静↡、

もうおんして、 かたりつまもり、 つねにあいをもつてしゅじょうにょうやくし、 仏法ぶっぽうそうにおいてしんじゅうぎょうし、 調順じょうじゅんにゅうなんにして、 真諦しんたいもんによりてもろもろの徳本とくほんえ、

遠↢離シテ虚妄↡、↢律儀↡、↢愛語↡饒↢益衆生↡、↢仏法僧↡信重恭敬、調順柔軟ニシテ、依リテ↢真諦門0359↡植↢衆徳本↡、

くうそうがん無為むいしょうめつさとり、 よくごうまもりてとがそしらず、 よく身業しんごうまもりてりつしっせず、 よくごうまもりて清浄しょうじょうにしてぜんなし。

サト↢空・無相・無願・無為・無生・無滅↡、善リテ↢口業↡不↠譏↢他↡、善リテ↢身業↡不↠失↢律儀↡、善リテ↢意業↡清浄ニシテ↠染。

あらゆるこくじょう聚落じゅらく男女なんにょ眷属けんぞくこんごん珍宝ちんぽうないしきしょうこう触等そくとうに、 すべてしょじゃくなし。 つねに布施ふせかい忍辱にんにくしょうじんぜんじょう智慧ちえろくぎょうをもつてしゅじょうらくし、 はんそくし、 善根ぜんごん円満えんまんす。

所有国城・聚落、男女・眷属、金・銀・珍宝、乃至色・声・香・味・触等、都↢所著↡。恒↢布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧六度之行利↢楽衆生↡、軌範具足、善根円満

しょしょうところにはりょうしゅひゃくせんてい那由なゆ珍宝ちんぽうくらありてよりじゅつし、 りょうしゅひゃくせんてい那由なゆしゅじょうしょうじゅして、 のく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこさしめん。

所生之処ニハリテ↢無量無数百千倶胝那由他珍宝之蔵↡従↠地湧出、摂↢受シテ無量無数百千倶胝那由他衆生↡、発サシメム↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。

かくのごときのぎょうりょうへんにして、 くともくすことあたはず。

↠是クノ之行、無量無辺ニシテ、説クトモ不↠能↠尽スコト

【8】 またつぎなんほう苾芻びっしゅさつぎょうぎょうぜしとき諸仏しょぶつみもとにおいて、 そんじゅうぎょうじょうようしていまだかつて間断けんだんせず、 だい天王てんのうとなりて、 つねに仏所ぶっしょいたり、 ぎょう礼拝らいはいじょうようし、 とう天王てんのうとなりて、 つねに仏所ぶっしょいたり、 ぎょう礼拝らいはいじょうようし、 夜摩やま天王てんのうそつ天王てんのうらく天王てんのう他化たけざい天王てんのうない大梵だいぼん天王てんのうとうとなりて、 つねに仏所ぶっしょいたり、 ぎょう礼拝らいはいじょうようせり。

復次阿難、作法苾芻行ゼシ↢菩薩↡時、於↢諸仏↡、尊重恭敬承事供養シテ↢曽間断↡、為リテ↢四大天王↡、恒↢仏所↡、恭敬礼拝承事供養、為リテ↢忉利天王↡、恒↢仏所↡、恭敬礼拝承事供養、為リテ↢夜摩天王・兜率天王・化楽天王・他化自在天王、乃至大梵天王等↡、恒↢仏所↡、恭敬礼拝承事供養セリ

またつぎなんえんだいしょしては転輪てんりんのうとなりてかんじょうけ、 および大臣だいじん官族かんぞくとうとつねに仏所ぶっしょいたり、 ぎょう礼拝らいはいじょうようし、 刹帝せってい婆羅ばら門等もんとうとなりて、 つねに仏所ぶっしょいたり、 ぎょう礼拝らいはいじょうようせり。 かくのごとくりょうしゅひゃくせん万億まんおくこうて、 諸仏しょぶつ親近しんごんし、 もろもろの徳本とくほんえて、 のく多羅たらさんみゃくさんだいあつむるところなり。

復次阿難、処シテハ↢閻浮提↡為リテ↢転輪王↡受↢潅頂位↡、及大臣・官族等↢仏所↡、恭敬礼拝承事供養、為リテ↢刹帝利・婆羅門等↡、恒↢仏所↡、恭敬礼拝承事供養セリ。如↠是クノ↢無量無数百千万億劫↡、親↢近諸仏↡、植エテ↢衆徳本↡、0360ナリ↠集ムル↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

【9】 またつぎなんほう苾芻びっしゅさつぎょうぎょうぜしときちゅうよりつねに栴檀せんだんこういだし、 のもろもろのもうより優鉢うは羅華らけこういだせり。 そのこうあまねくりょうへん不可ふか思議しぎ那由なゆひゃくせんじゅんくんじ、 じょうのこのこうぐもの、 みなのく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこせり。

復次阿難、作法苾芻行ゼシ↢菩薩↡時、口中ヨリ栴檀之香↡、身毛孔ヨリセリ↢優鉢羅華↡。其香普↢無量無辺不可思議那由他百千由旬↡、有情↢此↡者、皆発セリ↢阿耨多羅三藐三菩提心

【10】またつぎなんほう苾芻びっしゅさつぎょうぎょうぜしとき色相しきそう端厳たんごんにして、 さんじゅうそうはちじゅう種好しゅこうことごとくみなそくせり。 また一切いっさい珍宝ちんぽうをもつてしょうごんせり。 りょうしゅちゅうよりつねに一切いっさいぶく一切いっさい飲食おんじき一切いっさい幢幡どうばん一切いっさい傘蓋さんがい一切いっさい音楽おんがくない一切いっさいさいじょう所須しょしゅものいだして、 一切いっさいしゅじょうらくし、 のく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこさしむと。

復次阿難、作法苾芻行ゼシ↢菩薩↡時、色相端厳ニシテ、三十二相・八十種好悉皆具足セリ。復以↢一切珍宝↡荘厳セリ。両臂手中ヨリシテ↢一切衣服・一切飲食・一切幢幡・一切傘蓋・一切音楽、乃至一切最上所須之物↡、利↢楽一切衆生↡、令ムト↠発↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。

弥陀果徳
    十劫成道

【11】そのときなんぶつのかのほう苾芻びっしゅさつぎょうきたまふことをきて、 そんにまうしてまうさく、 ほう苾芻びっしゅはこれ過去かこぶつとせんや、 らいぶつなりや、 現在げんざいぶつなりやと。

時阿難聞キテキタマフコトヲ↢彼作法苾芻菩薩之行↡、白シテ↢世尊↡言、作法苾芻↢是過去↡耶、未来ナリ耶、現在ナリ

そんげてのたまはく、 かのぶつ如来にょらいは、 きたるにきたるところなく、 るにるところなく、 しょうめつにして、 げんらいにあらず、 ただがんむくしょうするをもつてげんにまします。 西方さいほうえんだいることひゃくせんてい那由なゆ仏刹ぶっせつかいあり、 づけて極楽ごくらくといふ。 ぶつをばりょう寿じゅづく。

世尊告ゲテ、彼仏如来、来ルニ↠所↠来、去ルニ↠所↠去、無生無滅ニシテ、非↢過・現・未来↡、但以↢酬↠願スルヲ↟生西方ルコト↢閻浮提↡百千倶胝那由他仏刹↢世界↡、名ケテ↢極楽↡。仏ヲバ↢無量寿↡。

じょうぶつよりこのかた、 いまにおいて十劫じっこうなり。 りょうしゅさつ摩訶まかさつおよびりょうしゅしょうもんしゅありて、 ぎょうにょうせり。 しかもために説法せっぽうしたまふ。

成仏ヨリ已来、於↠今十劫ナリリテ↢無量無数菩薩摩訶薩及無量無数声聞之衆↡、恭敬囲繞セリ。而説法シタマフ

二 Ⅲ 光明無量

かのぶつこうみょう東方とうぼうごうしゃしゅひゃくせんてい那由なゆ不可ふか称量しょうりょう仏刹ぶっせつらす。 かくのごとく南西なんざい北方ほっぽうゆいじょうもまたかくのごとし。

光明、照↢於東方恒河沙数百千倶胝那0361由他不可称量仏刹↡。如↠是クノ南西北方・四維・上下亦復如↠是クノ

またつぎなん、 かのぶつりょう寿じゅ円光えんこうのごときは、 あるいはいちじゅんじゅんさんじゅん、 あるいはひゃくじゅんせんじゅんひゃくせんじゅん、 あるいはてい那由なゆひゃくせんじゅんないりょうへんしゅ仏刹ぶっせつ徧満へんまんせり。

復次阿難、彼仏無量寿、若キハ↢化円光↡、或イハ一由旬・二由旬・三由旬、或イハ百由旬・千由旬・百千由旬、或イハ倶胝那由他百千由旬、乃至徧↢満セリ無量無辺無数仏刹↡。

・十三光

またつぎなん、 いまこのこうみょうをばりょうこう無礙むげこう常照じょうしょうこうくうこうやくこうあいぎょうこう安隠あんのんこうだつこうとうこう思議しぎこう日月にちがつこうだつ一切いっさいけんこう無垢むく清浄しょうじょうこうづく。

復次阿難、今此光明ヲバ↢無量光・無礙光・常照光・不空光・利益光・愛楽光・安隠光・解脱光・無等光・不思議光・過日月光・奪一切世間光・無垢清浄光↡。

かくのごときのこうみょう、 あまねく十方じっぽう一切いっさいかいらす。 てんりゅうやくしゃ乾闥けんだつしゅ迦楼かるきん那羅なら摩睺まご羅伽らかにん人等にんとう、 このこうみょうだいしんおこらくるがゆゑなりと。

キノ↠是クノ光明、普↢十方一切世界↡。天・竜・薬叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩睺羅伽・人・非人等、見↢此光明↡発↢菩提心↡獲ルガ↢利楽↡故ナリト

ぶつなんげたまはく、 われじゅうすること一劫いっこうにしてこのこうみょうどくやくくも、 またくすことあたはず。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、我住スルコト一劫ニシテクモ↢此光明功徳利益↡、亦不↠能↠尽スコト

二 Ⅲ 聖衆無量

またつぎなんりょう寿じゅ如来にょらいにはかくのごとくのひゃくせんまんじゅうまんひゃくまんいちていひゃくていせんていきん迦囉ならしゅびん婆囉ばらしゅ那由なゆしゅ由他ゆたしゅ毘婆びばしゅはく娑那ばなしゅじょうしゅそうしゅじゅうそうしゅひゃくそうしゅせんそうしゅひゃくせんそうしゅ阿摩あま你野にやしゅ不可ふか思議しぎしゅ、 かくのごときのりょうしゅしょうもんしゅあり。 譬喩ひゆ算数さんじゅしてかぞふともおよぶことあたはず。

復次阿難、無量寿如来ニハ↢如キノ↠是クノ百・千・万・十万・百万・一倶胝・百倶胝・千倶胝・緊迦囉数・頻婆囉数・那由他数・阿由他数・毘婆訶数・嚩娑那数・穣伽数・阿僧祇数・十阿僧祇数・百阿僧祇数・千阿僧祇数・百千阿僧祇数・阿摩你野数・不可思議数、如キノ↠是クノ無量無数声聞之衆↡。譬喩算数シテフトモ不↠能↠及ブコト

なん、 かの大目だいもく乾連けんれん神通じんずう第一だいいちにして、 三千さんぜん大千だいせんかいのあらゆる一切いっさい童男どうなん童女どうにょいっちゅうにおいてことごとくそのかずらん。 たとひひゃくせんていしょうもん神通じんずうちから、 みな大目だいもく乾連けんれんのごとくして、 また一々いちいちしょうもん寿いのちひゃくせんてい那由なゆさいにして、 その寿じゅみょうくしてかのしょうもんかぞふとも、 ひゃくぶんのなかの一分いちぶんにもおよばず。

阿難、彼大目乾連神通第一ニシテ、三千大千世界所有一切童男・童女↢一昼夜↡悉ラム↢其↡。仮使 タトヒ 百千倶胝声聞0362神通之力、皆如クシテ↢大目乾連↡、又一一声聞寿、百千倶胝那由他歳ニシテ、尽シテ↢其寿命↡数フトモ↢彼声聞↡、百分之中不↠及↢一分ニモ↡。

またつぎなん、 たとへば大海だいかいふかきこと八万はちまんせんじゅん広闊こうかつなることへんなるに、 たとひひとありて一毛いちもういだし、 くだきてひゃくていとなし、 さいなることじんのごとくなし、 一々いちいちちりをもつてうみとうじてみずいださんに、 みずちりうえにある形量ぎょうりょうもまたしかなるがごとし。 かくのごとくして毛塵もうじんとうくさんに、 こころにおいていかん、 毛塵もうじんみずおおからんや、 かいちゅうみずおおからんやと。

復次阿難、譬ヘバ ↧大海キコト八万四千由旬、広闊ナルコト無辺ナルニ仮使 タトヒ リテ↠人出↢身一毛↡、砕キテ↢百倶胝↡、細ナルコトクナシ↢微塵↡、以↢一一↡投ジテ↠海サムニ↠水、水↢塵↡形量亦爾ナルガ↥。如クシテ↠是クノ↢尽サムニ毛塵↡、於↠意云何、毛塵水多カラムヤ、海中水多カラムヤト

なんぶつにまうしてまうさく、 そん毛塵もうじんいだせるみずはいまだ半合はんごうおよばず、 海水かいすいりょうなりと。

阿難白シテ↠仏、世尊、毛塵セル↠及↢半合↡、海水無量ナリト

ぶつのたまはく、 なん、 かのもく乾連けんれんとうしょうもんしゅ、 そのぎょう寿じゅくしてかぞへてれるかず毛塵もうじんみずのごとく、 かぞへていまだくさざるはかいちゅうみずのごとし。 かくのごとくかのぶつにはかくのごときりょう不可ふか算数さんじゅしょうもん弟子でしあり。

仏言、阿難、彼目乾連等声聞之衆、尽シテ↢其形寿↡数ヘテレル数者如↢毛塵之水↡、数ヘテ↠尽者如↢海中↡。如↠是クノニハ↢如↠是クノ無量不可算数声聞弟子↡。

またかの仏国ぶっこくだいりょうにして、 ただらくのみをけて、 もろもろのあることなし。

又彼仏国土大富無量ニシテ、唯受ケテ↢快楽ノミヲ↡、無↠有ルコト↢衆苦↡。

ごく餓鬼がきちくしょうえん魔羅まらかいおよび八難はちなんほうなく、 ただ清浄しょうじょうさつ摩訶まかさつおよびしょうもんしゅのみあり。

↢地獄・餓鬼・畜生・焔魔羅界及八難之報↡、唯有↢清浄菩薩摩訶薩及声聞之衆ノミ↡。

二 Ⅲ 宝樹荘厳

またつぎなん、 かの仏国ぶっこくには種々しゅじゅほうちゅうあり、 みなひゃくせん珍宝ちんぽうをもつてもちゐてしょうごんせり。 いはゆるこんちゅうごんちゅう瑠璃るりちゅう頗梨はりちゅう真珠しんじゅちゅうしゃちゅうのうちゅうなり。

復次阿難、彼仏国土ニハ↢種種宝柱↡、皆以↢百千珍宝↡而用ヰテ荘厳セリ。所謂金柱・銀柱・瑠璃柱・頗梨柱・真珠柱・硨磲柱・瑪瑙柱ナリ

またこんごんほうちゅうこんごん瑠璃るり三宝さんぽうちゅうこんごん瑠璃るり頗梨はりほうちゅうこんごん瑠璃るり頗梨はり真珠しんじゅほうちゅうこんごん瑠璃るり頗梨はり真珠しんじゅしゃ六宝ろっぽうちゅうこんごん瑠璃るり頗梨はり真珠しんじゅしゃのう七宝しっぽうちゅうあり。

復有↢金・銀二宝柱、金・銀・瑠璃三宝柱、金・銀・瑠璃・頗梨四宝柱、金・銀・瑠璃瓈・頗梨・真珠五宝柱、金・銀・瑠璃・頗梨・真珠・硨磲六宝柱、金・銀・瑠璃・頗梨・真珠・硨磲・瑪瑙七宝柱↡。

またつぎなん、 かの仏国ぶっこくにはまた種々しゅじゅ宝樹ほうじゅあり、 くきえだみき黄金おうごんしょじょうはなこのみびゃくごん化作けさなり。 また宝樹ほうじゅあり、 くきえだみきびゃくごんしょじょうはなこのみ瑠璃るり化作けさなり。

復次阿難、彼仏国土ニハ復有↢種種宝樹↡、根茎枝0363黄金所成、華葉菓実白銀化作ナリ。亦有↢宝樹↡、根茎枝幹白銀所成、花葉菓実瑠璃化作ナリ

また宝樹ほうじゅあり、 くきえだみき瑠璃るりしょじょうはなこのみ頗梨はり化作けさなり。 また宝樹ほうじゅあり、 くきえだ頗梨はりしょじょうはなこのみ真珠しんじゅ化作けさなり。 また宝樹ほうじゅあり、 くきえだみき真珠しんじゅしょじょうはなこのみしゃ化作けさなり。 また宝樹ほうじゅあり、 くきえだみきしゃしょじょうはなこのみのう化作けさなり。 また宝樹ほうじゅあり、 くきえだみきのうしょじょうはなこのみ黄金おうごん化作けさなり。

亦有↢宝樹↡、根茎枝幹瑠璃所成、華葉菓実頗梨化作ナリ。亦有↢宝樹↡、根茎枝葉頗梨所成、華葉菓実真珠化作ナリ。亦有↢宝樹↡、根茎枝幹真珠所成、華葉菓実硨磲化作ナリ。亦有↢宝樹↡、根茎枝幹硨磲所成、花葉菓実瑪瑙化作ナリ。亦有↢宝樹↡、根茎枝幹瑪瑙所成、花葉菓実黄金化作ナリ

また宝樹ほうじゅあり、 黄金おうごんとなし、 びゃくごんとなし、 瑠璃るりえだとなし、 頗梨はりこずえとなし、 真珠しんじゅとなし、 しゃはなとなし、 のうこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、黄金↠根、白銀↠身、瑠瓈↠枝頗梨、真珠↠葉、硨磲↠花瑪瑙↠菓

また宝樹ほうじゅあり、 びゃくごんとなし、 瑠璃るりとなし、 頗梨はりえだとなし、 真珠しんじゅこずえとなし、 しゃとなし、 のうはなとなし、 黄金おうごんこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、白銀↠根、琉璃↠身頗梨↠枝、真珠、硨磲↠葉瑪瑙↠花、黄金↠菓

また宝樹ほうじゅあり、 瑠璃るりとなし、 頗梨はりとなし、 真珠しんじゅえだとなし、 しゃこずえとなし、 のうとなし、 黄金おうごんはなとなし、 びゃくごんこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、瑠璃↠根頗梨↠身、真珠↠枝、硨磲、瑪瑙↠葉、黄金↠花、白銀↠菓

また宝樹ほうじゅあり、 頗梨はりとなし、 真珠しんじゅとなし、 しゃえだとなし、 のうこずえとなし、 黄金おうごんとなし、 びゃくごんはなとなし、 瑠璃るりこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、頗梨↠根、真珠↠身、硨磲↠枝、瑪瑙↠梢、黄金↠葉、白銀↠花、瑠璃↠菓

また宝樹ほうじゅあり、 真珠しんじゅとなし、 しゃとなし、 のうえだとなし、 黄金おうごんこずえとなし、 びゃくごんとなし、 瑠璃るりはなとなし、 頗梨はりこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、真↠根、硨磲↠身瑪瑙↠枝、黄金↠梢、白銀↠葉、瑠璃↠花頗梨↠菓

また宝樹ほうじゅあり、 しゃとなし、 のうとなし、 黄金おうごんえだとなし、 びゃくごんこずえとなし、 瑠璃るりとなし、 頗梨はりはなとなし、 真珠しんじゅこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、硨磲↠根、瑪瑙↠身、黄金↠枝、白銀↠梢、瑠璃↠葉頗梨↠花、真珠↠菓

また宝樹ほうじゅあり、 のうとなし、 黄金おうごんとなし、 びゃくごんえだとなし、 瑠璃るりこずえとなし、 頗梨はりとなし、 真珠しんじゅはなとなし、 しゃこのみとなす。

亦有↢宝樹↡、瑪瑙↠根、黄金↠身、白銀↠枝、瑠璃↠梢頗梨↠葉、真0364↠花、硨磲↠菓

かくのごとく極楽ごくらくかいには七宝しっぽう行樹ごうじゅあり。

↠是クノ極楽世界ニハ七宝行樹アリ

またつぎなん、 かの仏国ぶっこく清浄しょうじょう厳飾ごんじき寛広かんこう平正びょうしょうにして、 りょうきょうかんきょうこくしゃりゃくしゃくとうやま黒山こくせん雪山せっせん宝山ほうせん金山こんぜんしゅせんてっせんだいてっせんあることなく、 ただ黄金おうごんをもつてとなせりと。

復次阿難、彼仏国土清浄厳飾寛広平正ニシテ、無↠有ルコト↢丘陵・坑坎・荊棘・沙礫・土石等山、黒山・雪山・宝山・金山・須弥山・鉄囲山・大鉄囲山↡、唯以↢黄金↡為セリト↠地

二 Ⅲ 宝河荘厳

【12】そのときなんこのきをはりて、 そんにまうしてまうさく、 だい王天おうてんとうてんしゅ山王せんのうによりてじゅうするに、 夜摩やま天等てんとうはまさになにによりてかじゅうすべきと。

時阿難聞↢是↡已リテ、白シテ↢世尊↡言、四王天・忉利天リテ↢須弥山王↡住スルニ、夜摩天等キト↢依リテカ↠何↡。

ぶつなんげたまはく、 夜摩やまそつないしき色界しきかい一切いっさい諸天しょてん、 みな空界くうかいによりてじゅうすと。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、夜摩・兜率、乃至色・無色界一切諸天、皆依リテ↢空界↡而住スト

なんまうしてまうさく、 空界くうかい無礙むげなり、 いかにしてじゅうするや、 業因ごういんほう不可ふか思議しぎなりと。

阿難白シテ、空界無礙ナリ、云何ニシテ依住スルヤ、業因・果報不可思議ナリト

ぶつなんげたまはく、 なんぢがほうもまた不可ふか思議しぎなり、 しゅじょう業報ごうほうもまた不可ふか思議しぎなり、 諸仏しょぶつしょうりき不可ふか思議しぎなり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、汝果報亦不可思議ナリ、衆生業報亦不可思議ナリ、諸仏聖力不可思議ナリ

かの仏国ぶっこくには大海だいかいなしといへども、 しかもいずみかわありて処々しょしょきょうす。 そのみずあるいはひろきことじゅうじゅんじゅうじゅんさんじゅうじゅんないひゃくせんじゅんふかきことじゅうじゅんなり。

仏国土ニハ↠無シト↢大海↡、而リテ↢泉・河↡処処交流。其水或イハキコト十由旬・二十由旬・三十由旬、乃至百千由旬、深キコト十二由旬ナリ

そのみず清浄しょうじょうにして、 はっどくし、 みょうこえいだせり。

水清浄ニシテ、具↢八功徳↡、出セリ↢微妙↡。

たとへばひゃくせん万種まんしゅ音楽おんがくこえのごとく、 もろもろの仏刹ぶっせつへんす。 一切いっさいしゅじょうけば、 ちゃくえつしてだいらく

ヘバ↢百千万種音楽之声↡、徧↢諸仏刹↡。一切衆生聞ケバ者、適悦シテ得↢大快楽↡。

またみずりょうがんに、 またしゅ栴檀せんだん香樹こうじゅきっしょうじゅ花卉けけあり、 つねにかんばしくしてこうみょうしょう耀ようせり。

又水両岸、復有↢無数栴檀香樹・吉祥菓樹花卉↡、恒シクシテ光明照耀セリ

もしかのしゅじょう、 このみずぐるときあしいたるをもとむるもの、 ひざいたるをもとむるもの、 ないうなじいたるをもとむるものあり。

衆生、過グル↢此↡時、モトムル↠至ルヲ↠足者、モトムル↠至ルヲ↠膝者、乃至モトムル↠至ルヲアリ

あるいはりょうなるもの、 おんなるもの、 きゅうながるるもの、 ゆるながるるものをもとむるに、 そのみず一々いちいちしゅじょうこころしたがひてらくけしむ。

イハモトムルニ↢冷ナル者、温ナル者、急ルル者、ユルルル↡、其水一一ヒテ↢衆生↡令↠受↢快楽↡。

またすいちゅうにおいて種々しゅじゅこえいだす。 ぶっしょうほうしょうそうしょうそくしょうしょうしょう波羅はらみつしょうりきしょう無畏むいしょう通達つうだつしょうぎょうしょうしょうしょうめつしょう寂静じゃくじょうしょうだいしょうだいしょうしゃしょうかんじょうしょう、 かくのごときの種々しゅじゅみょうおんじょういだす。 しゅじょうきをはりて、 清浄しょうじょうしんおこして、 もろもろの分別ふんべつなく、 しょうじきびょうどうにして、 善根ぜんごん成熟じょうじゅくし、 ながのく多羅たらさんみゃくさんだいしん退たいせず。

又於↢水中↡出↢種種↡。仏声・法声・僧声・止息声・無性0365声・波羅蜜声・力声・無畏声・通達声・無行声・無生声・無滅声・寂静声・大慈声・大悲声・喜捨声・潅頂声、出↢如キノ↠是クノ種種微妙音声↡。衆生聞リテ、発シテ↢清浄心↡、↢諸分別↡、正直平等ニシテ、成↢熟善根↡、永不↠退↢於阿耨多羅三藐三菩提心↡。

またかの仏刹ぶっせつのそのなかにしょうずるものは、 ごくしょう餓鬼がきしょうちくしょうしょうしゃしょうとうじょうしょうあっしょうりょうぜつしょうせっしょうしょうちゅうとうしょう一切いっさいあくしょうかず。

又彼仏刹ズル、不↠聞↢地獄声・餓鬼声・畜生声・夜叉声・闘諍声・悪口声・両舌声・殺生声・偸盗声・一切悪声↡。

しかもかのしゅじょう色相しきそう端厳たんごんにして福徳ふくとくりょう智慧ちえ明了みょうりょうにして神通じんずうざいなり。 殿でん楼閣ろうかく園林おんりんしょうぶく臥具がぐ他化たけざいてんさいじょうらく一切いっさいそくせるがごとし。

衆生色相端厳ニシテ福徳無量、智慧明了ニシテ神通自在ナリ。宮殿・楼閣・園林・池沼・衣服・臥具、如↢他化自在天最上快楽之具一切豊足セルガ↡。

またつぎなん、 かのしゅじょうこうとうおもひて諸仏しょぶつそなへんとほっすれば、 このおもいをなすときこう瓔珞ようらくこう末香まっこう幢幡どうばん傘蓋さんがいおよびもろもろのがくこころしたがひてすなはちいたりて仏刹ぶっせつのなかにつ。

復次阿難、彼衆生思ヒテ↢香花等↡欲スレバ↠供ヘムト↢諸仏↡、作↢是↡時、花香・瓔珞・塗香・末香・幢幡・傘蓋及伎楽、随ヒテ↠意リテ↢仏刹↡。

もし飲食おんじき湯薬とうやくぶく臥具がぐ頭冠とうかんかん真珠しんじゅもうとうおもへば、 おもいしたがひてすなはちいたりてまた仏刹ぶっせつへんす。 また摩尼まにほうとうしょうごん殿でん楼閣ろうかくどう房閤ぼうこうのあるいはだいあるいはしょう、 あるいはこうあるいはなるをねんすれば、 かくのごとくねんずるときこころしたがひて現前げんぜんして、 そくせずといふことなし。

ヘバ↢飲食・湯薬・衣服・臥具・頭冠・耳環・真珠・羅網等↡、随ヒテ↠念リテ亦徧↢仏刹↡。又復思↢念スレバ摩尼宝等荘厳宮殿・楼閣・堂宇・房イハ大或イハ小、或イハ高或イハナルヲ↡、如↠是クノズル時、随ヒテ↠意現前シテ、無↠不トイフコト↢具足↡。

二 Ⅲ 眷属荘厳

【13】またつぎなん、 たとへばひとありてすこしき財宝ざいほうあらんもかんじょうくる刹帝せっていおうたいするに、 あらゆるせいことごとくみなげんぜず、 また刹帝せっていてんたいしゃくたいするに、 さきのあらゆるせいことごとくみなげんぜず、 またてんたいしゃく他化たけざいてんたいするに、 あらゆるせいことごとくみなげんぜざるがごとし、 また他化たけざい天等てんとうおよびしき色界しきかい一切いっさいせいりょう寿じゅ如来にょらい極楽ごくらくこくたいするに、 ことごとくみなげんぜず。

復次阿難、譬ヘバ↩有リテ↠人少シキラムモ↢財宝↡対スルニ↧受クル↢潅頂位↡刹帝利王↥、所有威勢悉皆不↠現又刹帝利スルニ↢天帝釈↡、前所有威勢悉皆不↠現又天帝釈0366スルニ↢他化自在天↡、所有威勢悉皆不ルガ↝現又他化自在天等及色・無色界一切威勢スルニ↢無量寿如来極楽国土↡、悉皆不↠現

かくのごとくかのどくしょうごん不可ふか思議しぎなり。

↠是クノ功徳荘厳不可思議ナリ

【14】またつぎなん、 かの仏国ぶっこくじきごとに香風こうふうおのづからおこりて宝樹ほうじゅうごかすに、 じゅあひちょうそくしてみょうこえいだし、 くうじょう無我むがしょ波羅はらみつ演説えんぜつす。

復次阿難、彼仏国土↢於食時↡香風自リテ↢動スニ宝樹↡、樹相掁触シテ↢微妙↡、演↢説苦・空・無常・無我・諸波羅蜜↡。

またじゅきてじょうとし、 仏刹ぶっせつしゅうへんすることたか七人しちにんりょうにして、 平正びょうしょうしょうごんし、 にゅうなん光潔こうけつなり。 ひと往来おうらいに、 あしそのめば、 くぼむこと四指ししりょうにして、 りんれて安楽あんらくなるがごとし。

復吹キテ↢樹花↡落↢於地上↡、周↢徧スルコト仏刹↡高七人量ニシテ、平正荘厳、柔軟光潔ナリ。行人往来、足躡メバ↢其↡、クボムコト四指量ニシテ、如↢迦隣那レテ↠身安楽ナルガ↡。

じきぎてのち、 このもろもろのほうかくれてげんぜず。 しゅのあひだをて、 またかぜありてしょうじ、 じゅはなおとしてめんうえけば、 さきのごとくことなることなし。 しょ後夜ごやも、 またかくのごとし。

ギテ↢食時↡後、是宝花隠レテ↠地不↠現。経↢須臾↡、復有リテ↠風生、吹↠樹シテ↠花ケバ↢地面↡、如↠前↠異ナルコト。初夜・後夜、亦復如↠是クノ

【15】またつぎなん、 かの仏国ぶっこくはその黒闇こくあんなく、 そのしょうようなく、 その日月にちがつなく、 そのちゅうなく、 その取捨しゅしゃなく、 その分別ふんべつなし。 じゅんいちぞうにして、 ただ清浄しょうじょうさいじょうらくくるのみ。

復次阿難、彼仏国土↢其黒闇↡、無↢其星曜↡、無↢其日月↡、無↢其昼夜↡、無↢其取捨↡、無↢其分別↡。純一無雑ニシテ、唯受クルノミ↢清浄最上快楽↡。

往生因果
    十一・十七・十八願成就

もし善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 もしはすでにしょうじ、 もしはまさにしょうぜんもの、 このひとけつじょうしてのく多羅たらさんみゃくさんだいしょうすべし。 こころにおいていかん。 かの仏刹ぶっせつのなかには三種さんしゅしつなければなり。 ひとつにはこころもうなく、 ふたつにはくらい退転たいてんなく、 つにはぜん唐捐とうえんなし。

リテ↢善男子・善女人↡、若シハ、若シハゼムモノ、是人決定シテスベシ↢於阿耨多羅三藐三菩提↡。於↠意云何。彼仏刹ニハケレバナリ↢三種失↡。一ニハ↢虚妄↡、二ニハ↢退転↡、三ニハ↢唐捐↡。

【16】またつぎなん東方とうぼうごう沙数しゃしゅかいあり。 諸仏しょぶつ如来にょらいこうじょう舌相ぜっそういだし、 りょうひかりはなち、 じょうじつごんきてりょう寿仏じゅぶつ不可ふか思議しぎどくしょうさんしたまふ。

復次阿難、東方↢恒河沙数世界↡。諸仏如来出↢広長舌相↡、放↢無量↡、説キテ↢誠実↡称↢讃シタマフ無量寿仏不可思議功徳↡。

南方なんぽうにもまたごう沙数しゃしゅかいあり。 諸仏しょぶつ如来にょらいこうじょう舌相ぜっそういだし、 りょうひかりはなち、 じょうじつごんきてりょう寿仏じゅぶつ不可ふか思議しぎどくしょうさんしたまふ。

南方ニモ亦有↢恒河沙数0367界↡。諸仏如来出↢広長舌相↡、放↢無量↡、説キテ↢誠実↡称↢讃シタマフ無量寿仏不可思議功徳↡。

西方さいほうにもまたごう沙数しゃしゅかいあり。 諸仏しょぶつ如来にょらいこうじょう舌相ぜっそういだし、 りょうひかりはなち、 じょうじつごんきてりょう寿仏じゅぶつ不可ふか思議しぎどくしょうさんしたまふ。

西方ニモ亦有↢恒河沙数世界↡。諸仏如来出↢広長舌相↡、放↢無量↡、説キテ↢誠実↡称↢讃シタマフ無量寿仏不可思議功徳↡。

北方ほっぽうにもまたごう沙数しゃしゅかいあり。 諸仏しょぶつ如来にょらいこうじょう舌相ぜっそういだし、 りょうひかりはなち、 じょうじつごんきてりょう寿仏じゅぶつ不可ふか思議しぎどくしょうさんしたまふ。

北方ニモ亦有↢恒河沙数世界↡。諸仏如来出↢広長舌相↡、放↢無量↡、説キテ↢誠実↡称↢讃シタマフ無量寿仏不可思議功徳↡。

かくのごとくゆいじょうごう沙数しゃしゅかい諸仏しょぶつ如来にょらいこうじょう舌相ぜっそういだし、 りょうひかりはなち、 じょうじつごんきてりょう寿仏じゅぶつ不可ふか思議しぎどくしょうさんしたまふ。

↠是クノ四維・上下恒河沙数世界諸仏如来↢広長舌相↡、放↢無量↡、説キテ↢誠実↡称↢讃シタマフ無量寿仏不可思議功徳↡。

なんこころにおいていかん。 しゅじょうをしてかのぶつみなき、 清浄しょうじょうしんおこし、 憶念おくねんじゅし、 帰依きえようして、 かのしょうぜんことをもとめしめんとほっすればなり。 このひと命終みょうじゅうすれば、 みな極楽ごくらくかいおうじょうすることをて、 のく多羅たらさんみゃくさんだい退転たいてんせず。

阿難、於↠意云何。欲スレバナリ↠令メムト↧衆生ヲシテ↢彼↡、発↢清浄心↡、憶念受持、帰依供養シテ、求↞生ゼムコトヲ↢彼↡。是人命終スレバ、皆得↣往↢生スルコトヲ極楽世界↡、不↣退↢転於阿耨多羅三藐三提菩↡。

二 Ⅳ 衆生往生

【17】またつぎなん、 もし善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 このきょうてんき、 じゅ読誦どくじゅ書写しょしゃようして、 ちゅう相続そうぞくし、 かのくにしょうぜんことをもとめん。 このひとりんじゅうに、 りょう寿じゅ如来にょらいもろもろのしょうじゅげんじてそのまえにましまし、

復次阿難、若リテ↢善男子・善女人↡、聞↢此経典↡、受持読誦書写供養シテ、昼夜相続、求メム↠生ゼムコトヲ↢彼↡。人臨終、無量寿如来与↢諸聖衆↡現ジテ↢其↡、

しゅのあひだをて、 すなはち極楽ごくらくかいおうじょうすることをて、 のく多羅たらさんみゃくさんだい退転たいてんせず。

↢須臾↡、即↣往↢生スルコトヲ極楽世界↡、不↣退↢転於阿耨多羅三藐三菩提↡。

【18】またつぎなん、 もし善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 だいしんおこしをはりて、 もろもろの禁戒きんかいたもち、 かたまもりておかさず、 じょうにょうやくし、 しょ善根ぜんごんことごとくこれを施与せよし、 安楽あんらくしめ、 西方さいほうりょう寿じゅ如来にょらいおよびかのこく憶念おくねんせん。

復次阿難、若リテ↢善男子・善女人↡、発↢菩提心↡已リテ、持↢諸禁戒↡、堅リテ不↠犯、饒↢益有情↡、所作善根悉施↢与↡、令↠得↢安楽↡、憶↢念セム西方無量寿如来及0368国土↡。

このひと命終みょうじゅうすれば、 ぶつ色相しきそうのごとく種々しゅじゅしょうごんして宝刹ほうせつのなかにしょうじ、 げんじょうにょうして、 すみやかにほうくことをて、 ながのく多羅たらさんみゃくさんだい退転たいてんせず。

人命終スレバ、如↢仏色相↡種種荘厳シテ↢宝刹↡、賢聖囲繞シテ、速↠聞クコトヲ↠法、永不↣退↢転於阿耨多羅三藐三菩提↡。

【19】またつぎなん、 もし善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 十種じっしゅしんおこさん。 いはゆるいちにはちゅうとうにはせっしょうさんには淫欲いんよくにはもうには綺語きごろくにはあっしちにはりょうぜつはちにはとんにはしんじゅうには不痴ふちなり。

復次阿難、若リテ↢善男子・善女人↡、発サム↢十種↡。所謂ニハ不偸盗、二ニハ不殺生、三ニハ不淫欲、四ニハ不妄言、五ニハ不綺語、六ニハ不悪口、七ニハ不両舌、八ニハ不貪、九ニハ不瞋、十ニハ不痴ナリ

かくのごとくちゅう極楽ごくらくかいりょう寿仏じゅぶつ種々しゅじゅどく種々しゅじゅしょうごんゆいし、 しん帰依きえちょうらいようせん。 このひとりんじゅうに、 おどろかずおそれず、 こころ顛倒てんどうせずして、 すなはちかの仏国ぶっこくおうじょうすることを

↠是クノ昼夜思↢惟極楽世界無量寿仏種種功徳・種種荘厳↡、志心帰依頂礼供養セム人臨終、不↠驚不↠怖、心不シテ↢顛倒↡、即得↣往↢生スルコトヲ仏国土↡。

りょうしゅ諸仏しょぶつそんましまして、 りょう寿仏じゅぶつどくみょうごうしょうさんしたまふ。 このほうきをはりて、 ながのく多羅たらさんみゃくさんだい退於たいてんせず。

シテ↢無量無数諸仏世尊↡、称↢讃シタマフ無量寿仏功徳名号↡。聞↢是↡已リテ、永不↠退↢於阿耨多羅三藐三菩提↡。

 

仏説ぶっせつだいじょうりょう寿じゅしょうごんきょう かんちゅう

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓐ金版¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓔ¬房山石経(遼金刻経)¼所収本 と対校。
西→Ⓐ→Ⓓ[宋]西
訳経 Ⓓになし
 Ⓓになし
→Ⓒ
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹ
→Ⓒ
→Ⓓ
→Ⓒ
→ⒶⒺ
→Ⓑ
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹ仏[所]
→Ⓓ
頗梨→Ⓓ玻瓈
→Ⓓ
頗梨→Ⓓ玻璃
→Ⓓ
瑪瑙→Ⓑ碼碯
瑪瑙→Ⓔ碼碯
→Ⓓ
→Ⓓ
王天→Ⓔ天王
→Ⓑ
→ⒷⒸⒹ
 Ⓔになし