0014

標挙

0140▼諸仏しょぶつ称名しょうみょうの願がん ▼**浄じょう土ど真実しんじつの行ぎょう ▼選せん択じゃく*本願ほんがんの行ぎょう

 

題目

0141◎▼顕けん浄じょう土ど真実しんじつ▼行ぎょう文類もんるい ▼二

▼愚ぐ禿とく釈しゃく親鸞しんらん集しゅう

 (太字は 「略文類」 と重なる表現を示す。)

一 正説
  Ⅰ 正しく大行を顕す【大行釈】
    ⅰ 通じて行信を標す

【1】 ◎^▼つつしんで往相おうそうの*回え向こうを案あんずるに、 △大だい行ぎょうあり、 ▽大信だいしんあり。

◎▼謹0015デ按ズルニ↢▼往相ノ廻向ヲ↡、▼有リ↢大行↡、有リ↢大信↡。

一 Ⅰ ⅱ 別して大行を釈す
      a 直釈【出体出願】
        イ 出体

^▼大だい行ぎょうとはすなはち▲無礙むげ光こう如来にょらいの名みなを称しょうするなり。

大行ト者ハ則チ称スルナリ↢无光如来ノ名ミナヲ↡。

一 Ⅰ ⅱ a ロ 弁徳

^▼この行ぎょうはすなはちこれ*もろもろの善法ぜんぽうを摂せっし、 ▲もろもろの徳本とくほんを具ぐせり。 ▲*極速ごくそく円満えんまんす、 *真如しんにょ一実いちじつの▲功く徳どく宝海ほうかいなり。 ゆゑに大だい行ぎょうと名なづく。

斯ノ行ハ即チ是▼摂シ↢諸ノ善法ヲ↡、▼具セリ↢諸ノ徳本ヲ↡。極速円満ス、▼真如一実ノ▼功徳宝海ナリ。故ニ名ク↢大行ト↡。

一 Ⅰ ⅱ a ハ 正しく出願を明かす

^▼しかるにこの行ぎょうは▽大だい悲ひの願がん (第十七願) より出いでたり。

然ルニ斯ノ行者ハ▼出デタリ↠於ヨリ↢大悲ノ願↡。

一 Ⅰ ⅱ a ニ 願の異名を挙ぐ

^すなはちこれ諸仏しょぶつ*称しょう揚ようの願がんと名なづく、 また諸仏しょぶつ称名しょうみょうの願がんと名なづく、 また諸仏しょぶつ*咨し嗟しゃの願がんと名なづく、 また往相おうそう回え向こうの願がんと名なづくべし、 また選せん択じゃく称名しょうみょうの願がんと名なづくべきなり。

即チ是名ケ↢諸仏▼称揚之願ト↡、復名ク↢諸仏▼称名之願ト↡、復名ク↢諸仏▼*咨嗟之願ト↡、亦可シ↠名ク↢往相廻向之願ト↡、亦可キ↠名ク↢選択称名之願ト↡也。▼

一 Ⅰ ⅱ b 引証【引文】
        イ 正引
          (一)経説
            (Ⅰ)引文
              (ⅰ)本経
                (a)正依
                  (イ)因願
                    [一]¬大経¼二文

1.第十七願文

【2】 ^△諸仏しょぶつ称名しょうみょうの願がん、 ¬*大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

▼諸仏称名願 *第十七願 ¬大経ニ¼言ハク、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう世せ界かいの無む量りょうの諸仏しょぶつ、 ことごとく咨し嗟しゃして、 わが名なを称しょうせずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 以上

「▼*設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方世界ノ无量ノ▼諸仏、不ズ↣悉ク*咨嗟シテ、称セ↢我ガ名ヲ↡者ハ、▼不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」 已上

2.重誓(名号摂化)

【3】 ^またのたまはく (大経・上)、

▼又言ク、

^「▲われ仏道ぶつどうを成ならんに至いたりて、 名声みょうしょう十方じっぽうに超こえ0142ん。 究く竟きょうして聞きこゆるところなくは、 誓ちかふ、 正しょう覚がくを成ならじと。

「▼我至リテ↠成ラムニ↢仏道ヲ↡名声超エム↢十方ニ↡
*究竟シテ*靡ナクハ↠所↠聞ユル誓チカフ不ジト↠成ラ↢正覚ヲ↡

^▲衆しゅうのために宝蔵ほうぞうを開ひらきて、 広ひろく功く徳どくの宝ほうを施せせん。 つねに大衆だいしゅのなかにして、 説法せっぽう獅子吼ししくせん」 と。 抄要

▼為ニ↠衆ノ開キテ↢▼宝蔵ヲ↡広ク*施セム↢功徳ノ宝ホウヲ↡
常ニ於シテ↢大衆ノ中ニ↡▼説法師子吼セムコト。」 抄要

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ロ)成就
                    [一]¬大経¼三文

1.第十七願成就文

【4】 ^願がん (第十七願) 成じょう就じゅの文もん、 ¬経きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

▼願成就ノ文、¬経ニ¼言ク、

^「▲十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともに無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん功く徳どく不可ふか思議しぎなるを讃嘆さんだんしたまふ」 と。 以上

「▼十方恒砂ノ諸仏如来、皆共ニ讃↢嘆シタマフ无量寿仏ノ▼威神功徳不可思議ナルヲ↡。」 已上

2.諸仏称嘆

【5】 ^またのたまはく (大経・下)、

▼又0016言ク、

^「▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん極きわまりなし。 十方じっぽう世せ界かい無む量りょう無む辺へん不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ如来にょらい、 かれを称しょう嘆たんせざるはなし」 と。 以上

「▼无量寿仏ノ威神无シ↠極。▼十方世界无量无辺不可思議ノ諸仏如来、莫ナシト↠不ルハ↣称↢嘆セ▼於ヲ↟彼カレ。」 已上

3.聞名往生

【6】 ^またのたまはく (大経・下)、

▼又言ク、

^「▲その仏ぶつの本願ほんがん力りき、 名みなを聞ききて往おう生じょうせんと欲おもへば、 みなことごとくかの国くにに到いたりて、 おのづから不ふ退転たいてんに至いたる」 と。 以上

「▼其ノ仏ノ▼本願力▼聞キテ↠名ヲ欲オモヘバ↢往生セムト↡
皆悉ク到リテ↢彼ノ国ニ↡▼自オノヅカラ致ルト↢▼不退転ニ↡」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)異訳
                  (イ)¬如来会¼二文

1.万徳回施(重誓偈)

【7】 ^¬*無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にのたまはく、

▼¬*无量寿如来会ニ¼言ク、

^「▲いま如来にょらいに対たいして弘ぐ誓ぜいを発おこせり。 *まさに無む上じょう菩ぼ提だいの因いんを証しょう (証しょうの字じ、 験げんなり) すべし。 もしもろもろの*上じょう願がんを満足まんぞくせずは、 *十じゅう力りき無む等とう尊そんを取とらじと。

「▼今対シテ↢如来ニ↡▼発セリ↢弘誓ヲ↡当ニシ↠証ス↢ *証ソウ字 験也 无上菩提ノ因ヲ↡
若シ不ズハ↣満↢足セ諸ノ上願ヲ↡不ジト↠取ラ↢▼十力无等尊ヲ↡

^◆*心こころ、 あるいは*常行じょうぎょうに堪たへざらんものに施せせん。 広ひろく貧びん窮ぐを済すくひてもろもろの苦くを免まぬかれしめ、 世せ間けんを利り益やくして安楽あんらくならしめんと。 乃至

▼心或イハ※不ラムモノニ↠堪ヘ↢常行ニ↡施セム広ク*済ヒテ↢貧窮ヲ↡免レシメ↢諸ノ苦ヲ↡
利↢益シテ世間ヲ↡使シメムト↢安楽ナラ↡。 乃至

 ^▲*最さい勝しょう丈じょう夫ぶ修しゅ行ぎょうしをはりて、 かの貧びん窮ぐにおいて*伏蔵ぶくぞうとならん。 善法ぜんぽうを円満えんまんして0143*等倫とうりんなけん。 大衆だいしゅのなかにして獅子吼ししくせん」 と。 以上抄出

▼最勝丈夫修行シ已リテ於テ↢彼ノ貧窮ニ↡為ナラム↢伏蔵ト↡
円↢満シテ善法ヲ↡无ケム↢等*倫リン↡於シテ↢大衆ノ中ニ↡師子吼セムト」 已上抄出

2.諸仏称讃(成就文)

【8】 ^またのたまはく (如来会・下)、

▼又言ク、

^「▲阿あ難なん、 この*義利ぎりをもつてのゆゑに、 無む量りょう無む数しゅ不可ふか思議しぎ無有むう等等とうどう無む辺へん世せ界かいの諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともに無む量りょう寿じゅ仏ぶつの所しょ有うの功く徳どくを称しょう讃さんしたまふ」 と。 以上

「阿難、以テノ↢此ノ義利ヲ↡故ニ无量无数不可思議无有等等无辺世界ノ諸仏如来、皆共ニ称↢讃シタマフト无量寿仏ノ所有ノ功徳ヲ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)¬大阿弥陀経¼

【9】 ^¬*仏説ぶっせつ*諸仏しょぶつ阿あ弥陀みだ三さん耶や三さん仏ぶつ薩楼さる仏ぶつ檀だん過度かど人道にんどう経きょう¼ (上) ¬大だい阿あ弥陀みだ経きょう¼ といふ、 ¬二に十じゅう四し願がん経きょう¼ といふ にのたまはく、

▼¬仏説諸仏阿弥陀三那三仏*薩*楼仏檀過度人道経ニ¼ ¬*大阿弥陀経ト¼云フ¬廿四願経¼ト云フ 言ク、

^「▲第だい四しに願がんずらく、 ª某それがし作さ仏ぶつせしめん時とき、 わが名みょう字じをもつてみな、 八方はっぽう上じょう下げ*無む央おう数しゅの仏国ぶっこくに聞きかしめん。 みな諸仏しょぶつおのおの比丘びく僧そう大衆だいしゅのなかにして、 わが功く徳どく・国こく土どの善ぜんを説とかしめん。 諸天しょてん・人民にんみん、 *蜎けん飛ぴ*蠕動ねんどうの類たぐい、 わが名みょう字じを聞ききて慈じ心しんせざるはなけん。 歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくせんもの、 みなわが国くにに来らい生しょうせしめ、 この願がんを得えていまし作さ仏ぶつせん。 この願がんを得えずは、 つひに作さ仏ぶつせじº」 と。 以上

「第四ニ願ズラク、▼使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ名*字ヲモテ皆聞ヘ↢八方上下无央数ノ仏国ニ↡。皆令シメム↧諸仏各ノ於シテ↢比丘僧大衆ノ中ニ↡、説カ↦我ガ功徳・国土之善ヲ↥。▼諸天・人民、▼*蜎ケン反ムクメク*飛*蠕ネンムクメク*動之類、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡莫ケム↠不ルハ↢慈心セ↡。歓喜踊躍セム者、皆令メ↣来↢生セ我ガ国ニ↡、得テ↢是ノ願ヲ↡乃 マシ作仏セム。不ズハ↠得↢是ノ願ヲ↡、終ニ不ジト↢作仏セ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)¬平等覚経¼四文

1.称名信楽願(第十七・十八願意)

【10】^¬*無む量りょう清浄しょうじょう平びょう等どう覚がく経きょう¼ の巻かん上じょうにのたまはく、

▼¬*无0017量清浄平等覚*経ノ¼巻上ニ言ク、

^「▲ªわれ作さ仏ぶつせん時とき、 わが名なをして八方はっぽう上じょう下げ無む数しゅの仏国ぶっこくに聞きかしめん。 諸仏しょぶつおのおの弟子でし衆しゅのなかにして、 わが功く徳どく・国こく土どの善ぜんを嘆たんぜん。 諸天しょてん・人民にんみん、 蠕動ねんどうの類たぐい、 わが名みょう字じを聞ききてみなことごとく踊ゆ躍やくせんもの、 わが国くにに来らい生しょうせしめん。 しからずはわれ作さ仏ぶつ0144せじº と。

「我 レ作仏セム時、▼令メム↣我ガ名ヲシテ聞カ↢八方上下无数ノ仏国ニ↡。諸仏各ノ於シテ↢弟子衆ノ中ニ↡、嘆ゼム↢我ガ功徳・国土之善ヲ↡。諸天・人民蠕ネン反*動之類、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡皆悉ク踊躍セムモノ、▼来↢生セシメム我ガ国ニ↡。不ズ↠爾ラ者ハ、我 レ不ジト↢作仏セ↡。

2.聞名果遂願(第二十願意)

^ª▲われ作さ仏ぶつせん時とき、 他た方ほう仏国ぶっこくの人民にんみん、 前ぜん世せに*悪あくのためにわが名みょう字じを聞きき、 およびまさしく道どうのためにわが国くにに来らい生しょうせんと欲おもはん。 寿いのち終おへてみなまた三さん悪道まくどうに更かえらざらしめて、 すなはちわが国くにに生うまれんこと、 心こころの所願しょがんにあらん。 しからずはわれ作さ仏ぶつせじº と。

我作仏セム時、他方仏国ノ人民、▼前世ニ為 メニ↠悪ノ聞キキ↢我ガ名字ヲ↡、及ビ正シク為ニ↠道ノ欲オモハム↣来↢生セムト我ガ国ニ↡。寿終オヘテ皆令メテ↠不ラ↣復マタ更カヘラ↢三*悪道ニ↡、則チ生レムコト↢我ガ国ニ↡、在ラム↢心ノ所願ニ↡。不ズ↠爾ラ者ハ我不ジト↢作仏セ↡。

3.聞経宿縁

^▲*阿あ闍じゃ世せ王おう太たい子しおよび五ご百ひゃくの長ちょう者じゃ子し、 *無む量りょう清浄しょうじょう仏ぶつの二に十じゅう四し願がんを聞ききて、 みな大おおきに歓かん喜ぎし踊ゆ躍やくして、 心しん中ちゅうにともに願がんじていはまく、 ªわれらまた作さ仏ぶつせん時とき、 みな無む量りょう清浄しょうじょう仏ぶつのごとくならしめんº と。

▼阿闍世王太子及ビ五百ノ長者子、聞キテ↢无量清浄仏ノ二十四願ヲ↡、皆大ニ歓喜シ踊躍シテ、心中ニ倶ニ願ジテ言マク、令シメムト↣我等ラ復 タ作仏セム時、皆如クナラ↢无量清浄仏ノ↡。

^◆仏ぶつすなはちこれを知しろしめして、 もろもろの比丘びく僧そうに告つげたまはく、 ªこの阿あ闍じゃ世せ王おう太たい子しおよび五ご百ひゃくの長ちょう者じゃ子し、 後のち無む央おう数しゅ劫こうを却さりて、 みなまさに作さ仏ぶつして無む量りょう清浄しょうじょう仏ぶつのごとくなるべしº と。

仏則チ知シロシメシテ↠之ヲ、告ゲタマハク↢諸ノ比丘僧ニ↡、是ノ阿闍世王太子及ビ五百ノ長者子、却サリテ↢後无央数劫ヲ↡、皆当ニ シト↣作仏シテ如クナル↢无量清浄仏ノ↡。

^◆仏ぶつののたまはく、 ªこの阿あ闍じゃ世せ王おう太たい子し・五ご百ひゃくの長ちょう者じゃ子し、 菩ぼ薩さつの道どうをなしてこのかた無む央おう数しゅ劫こうに、 みなおのおの四し百ひゃく億おく仏ぶつを供く養ようしをはりて、 いままた来きたりてわれを供く養ようせり。 この阿あ闍じゃ世せ王おう太たい子しおよび五ご百ひゃく人にん等とう、 みな前ぜん世せに*迦か葉しょう仏ぶつの時とき、 わがために弟子でしとなれりき。 いまみなまた会えしてこれともにあひ値あへるなりº と。

仏ノ言ノタマハク、是ノ阿闍世王太子・五百ノ長者子、作ナシテ↢菩薩ノ道ヲ↡以来タ无*央数劫ニ、皆各ノ供↢養シ四百億仏ヲ↡已リテ、今復来リテ供↢*養セリ我ヲ↡。是ノ阿闍世王太子及ビ五百人等、皆前世ニ迦葉仏ノ時、為ニ↠我ガ作レリキ↢弟子ト↡。今皆復*会シテ是共ニ相 ヒ値アヘル也ト。

^◆すなはちもろもろの比丘びく僧そう、 仏ぶつの言みことを聞ききて、 みな心こころ踊ゆ躍やくして歓かん喜ぎせざるものなけんと。 乃至

則チ諸ノ比丘僧、聞キテ↢仏ノ言ミコトヲ↡、皆心踊躍シテ莫ケムト↧不ル↢歓喜セ↡者 ノ↥。 乃至

4.聞名利益

^▲ªかくのごときの人ひと、 仏ぶつの名みなを聞ききて、 快こころよく安穏あんのんにして大だい利りを得えん。 われらが類たぐいこの0145徳とくを得えん。 もろもろのこの*刹くにに好よきところを獲えん。

▼如キノ↠是クノ人聞キテ↢仏ノ名ヲ↡快ク安穏ニシテ得エム↢大利ヲ↡
0018吾等ラガ類得ム↢是ノ徳ヲ↡諸ノ此ノ*刹ニ獲ム↠所ヲ↠好ヨキ

^▲*無む量りょう覚かくその*決けつを授さずけん。 «われ前ぜん世せに本願ほんがんあり。 一切いっさいの人ひと、 法ほうを説とくを聞きかば、 みなことごとくわが国くにに来らい生しょうせん。

无量覚授 ヅケム↢其ノ*決ヲ↡我 レ前世ニ有リ↢本願↡
一切ノ人聞カバ↠説クヲ↠法ヲ皆悉ク来↢生セム我ガ国ニ↡

^◆わが願がんずるところみな具ぐ足そくせん。 もろもろの国くにより来らい生しょうせんもの、 みなことごとくこの間けんに来到らいとうして、 一いっ生しょうに不ふ退転たいてんを得えん» と。

吾ガ所↠願ズル皆具足セム従ヨリ↢衆ノ国↡来生セム者 ノ
皆悉ク来↢到シテ此ノ*間ニ↡一生ニ得ムト↢不退転ヲ↡

^▲すみやかに疾とく超こえて、 すなはち安楽あんらく国こくの世せ界かいに到いたるべし。 無む量りょう光こう明みょう土どに至いたりて、 無む数しゅの仏ぶつを供く養ようせん。

速カニ疾トク超エテ便スナハチ※可シ↠到ル↢安楽国之世界ニ↡
至リテ↢无量光明土ニ↡供↢養セム於无数ノ仏ヲ↡

^▲この功く徳どくあるにあらざる人ひとは、 この経きょうの名なを聞きくことを得えず。 ただ清浄しょうじょうに戒かいを有たもてるもの、 いまし還かえりてこの正しょう法ぼうを聞きく。

▼非ザル↠有ルニ↢是ノ功徳↡人ハ不ズ↠得エ↠聞クコトヲ↢是ノ経ノ名ヲ↡
唯有タモテル↢清浄ニ戒ヲ↡者 ノ乃シ還リテ聞ク↢斯ノ正法ヲ↡

^▲悪あくと憍きょう慢まんと*蔽へいと懈け怠だいのものは、 もつて*この法ほうを信しんずること難かたし。 *宿しゅく世せの時とき仏ぶつを見みたてまつれるもの、 楽このんで世せ尊そんの教きょうを聴ちょう聞もんせん。

悪ト*驕慢ト*蔽ト*懈怠ノモノハ難シ↣以テ信ズルコト↢於此ノ法ヲ↡
宿シウ世ノ時見タテマツレル↠仏ヲ者 ノ楽コノムデ*聴↢ユルサレテキク聞セムシンジテキク世尊ノ教ヲ↡

^▲人ひとの命いのち希まれに得うべし。 仏ぶつ、 世よにましませどもはなはだ値もうあひがたし。 *信しん慧ねありて致いたるべからず。 もし聞見もんけんせば*精しょう進じんして求もとめよ。

人之命希ニ可シ↠得ウ仏在セドモ↠世ニ甚ダ難シ↠値マウアヒ
有リテ↢信慧↡不ズ↠可カラ↠致ル若シ聞見セバ精進シテコノミススムナリ求メヨ

^◆この法ほうを聞ききて忘わすれず、 すなはち*見みて敬うやまひ得えて大おおきに慶よろこばば、 すなはちわが善よき*親厚しんこうなり。 これをもつてのゆゑに*道どう意いを発ほっせよ。

▼聞キキ↢是ノ法ヲ↡而テ不ズ↠忘レ便チ見テ敬ヒ得テ大ニ慶ヨロコバヾ
0019則チ我ガ之善ヨキ*親原ナリ以テノ↠是ヲ故ニ発セヨ↢道意ヲ↡

^◆たとひ世せ界かいに満みてらん火ひにも、 このなかを過すぎて法ほうを聞きくことを得えば、 かならずまさに世せ尊そんとなりて、 まさに一切いっさい生しょう老ろう死しを度どせんとすべしº」 と。 以上

設令 タトヒ 満テラム↢世界ニ↡火ニモ過ギテ↢此ノ中ヲ↡得エバ↠聞クコトヲ↠法ヲ
会カナラズ*当ニ シト↧作リテ↢世尊ト↡*将ス ニ↞度セムト↢一切生老死ヲ↡」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅱ)末教
                (a)¬悲華経¼

【11】^¬*悲華ひけ経きょう¼ の 「*大だい施せ品ぼん」 の二に巻かんにのたまはく、 *曇どん無む讖しん三蔵さんぞうの訳やく

▼¬悲華経ノ¼「大施品」之二巻ニ言ク、 *曇無讖三蔵ノ*訳

^「願ねがはくは0146、 われ阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成なりをはらんに、 無む量りょう無む辺へん阿あ僧そう祇ぎの余よ仏ぶつの世せ界かいの所しょ有うの衆しゅ生じょう、 わが名なを聞きかんもの、 もろもろの善本ぜんぽんを修しゅしてわが界かいに生しょうぜんと欲おもはん。 願ねがはくは、 それ命いのちを捨すてての後のち、 必ひつ定じょうして生しょうを得えしめん。 ただ五ご逆ぎゃくと聖しょう人にんを*誹ひ謗ほうせんと、 正しょう法ぼうを廃はい壊えせんとを除のぞかん」 と。 以上

「願クハ我 レ成リ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡已ラムニ、无量无辺阿僧祇ノ余仏ノ世界ノ所有ノ衆生、聞カム↢我ガ名ヲ↡者 ノ、修シテ↢諸ノ善本ヲ↡欲ハム↠生ゼムト↢我ガ界ニ↡。願クハ其レ捨↠命之後、必定シテ得シメム↠生ヲ。唯除カムト↧五逆ト誹↢謗セムト聖人ヲ↡、廃ハイ↦*壊セムトヲ正法ヲ↥。」*已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)述成【称名破満】

【12】^▼しかれば、 ▲名みなを称しょうするに、 よく衆しゅ生じょうの一切いっさいの無む明みょうを破はし、 よく衆しゅ生じょうの*一切いっさいの志し願がんを*満みてたまふ。 ▼称名しょうみょうはすなはちこれ最さい勝しょう真しん妙みょうの正しょう業ごうなり。 正しょう業ごうはすなはちこれ念仏ねんぶつなり。 念仏ねんぶつはすなはちこれ南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつなり。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつはすなはちこれ正しょう念ねんなりと、 知しるべしと。

▼爾レ者バ▼称スルニ↠名ヲ能ク破シ↢衆生ノ一切ノ无明ヲ↡、能ク満テタマフ↢衆生ノ一切ノ志願ヲ↡。称名ハ則チ是最勝真妙ノ正業ナリ。正業ハ則チ是念仏ナリ。念仏ハ則チ是南无阿弥陀仏ナリ。南无阿弥陀仏ハ即チ是正念也ト、可シト↠知ル。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)師釈
            (Ⅰ)引文
              (ⅰ)南天引意(¬十住毘婆娑論¼九文)
                (a)「入初地品」

1.入初地相

【13】(註:この段は 「為い得とく十じゅう力りき故こ 入にゅう於お必ひつ定じょう聚じゅ 則そく生しょう↓如来にょらい家け ↓無有むう諸しょ過咎かぐ 即そく↓転てん世せ間けん道どう 入にゅう出しゅっ世せ上じょう道どう 是以ぜい↓得とく初しょ地じ 無有むう諸しょ過咎かく」 の釈。)

^¬*十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ論ろん¼ (*入初地品) にいはく、

▼¬*十住毘婆沙論ニ¼曰ク、

^「ある人ひとのいはく、 *般舟はんじゅ三昧ざんまいおよび大だい悲ひを↑諸仏しょぶつの家いえと名なづく。 この二に法ほうよりもろもろの如来にょらいを生しょうず。 このなかに般舟はんじゅ三昧ざんまいを父ちちとす、 また大だい悲ひを母ははとす。 また次つぎに般舟はんじゅ三昧ざんまいはこれ父ちちなり、 無む生しょう法ぼう忍にんはこれ母ははなり。

「有ル人ノ言ク、▼般舟三昧及ビ大悲ヲ名ク↢諸仏ノ家ト↡。従リ↢此ノ二法↡生ズ↢諸ノ如来ヲ↡。此ノ中ニ般舟三昧ヲ為ス↠父ト、又大悲ヲ為↠母ト。復次ニ般舟三昧ハ是父ナリ、无生法忍ハ是母ナリ。

^¬*助じょ菩ぼ提だい¼ のなかに説とくがごとし。 ª^般舟はんじゅ三昧ざんまいの父ちち、 大だい悲ひ無む生しょうの母はは、 一切いっさいのもろもろの如来にょらい、 この二に法ほうより生しょうずº と。

如シ↢¬助菩提ノ¼中ニ説クガ↡。

般舟三昧ノ父大悲无生ノ母
一切ノ諸ノ如来従リ↢是ノ二法↡生ズト

1.入初地相 ・無有過咎

^家いえに↑過咎かぐなければ家いえ清浄しょうじょうなり。 ゆゑに清浄しょうじょうとは六ろっ波羅ぱら蜜みつ・四し功く徳どく処しょなり。 方便ほうべん・般若はんにゃ波羅はら蜜みつは善ぜん慧えなり。 般舟はんじゅ三昧ざんまい・大だい悲ひ・諸忍しょにん、 この諸法しょほう清浄しょうじょうにして過とがあることなし。 ゆ0147ゑに家いえ清浄しょうじょうと名なづく。 この菩ぼ薩さつ、 この諸法しょほうをもつて家いえとするがゆゑに、 過咎かぐあることなし。

家ニ无ケレ↢*過*咎グ↡者バ家清浄ナリ。故ニ清浄ト者ハ▼六波羅蜜0020・四功徳処ナリ。方便・般若波羅蜜ハ善慧ナリ。般舟三昧・大悲・▼諸忍、是ノ諸法清浄ニシテ无シ↠有ルコト↠過。故ニ名ク↢家清浄ト↡。是ノ菩薩、以テ↢此ノ諸法ヲ↡為ルガ↠家ト故ニ、无ケム↠有ルコト↢過咎↡。

1.入初地相 ・転凡入聖

^↑↓世せ間けん道どうを↓転てんじて↓出しゅっ世せ↓上じょう道どうに↓入いるものなり。

転ジテ↢於世間道ヲ↡入ル↢出世上道ニ↡者 ノナリ。

^↑世せ間けん道どうをすなはちこれ凡ぼん夫ぶ所しょ行ぎょうの道どうと名なづく。 *↑転てんじて休く息そくと名なづく。 凡ぼん夫ぶ道どうは究く竟きょうして涅ね槃はんに至いたることあたはず、 つねに生しょう死じに往来おうらいす。 これを凡ぼん夫ぶ道どうと名なづく。 ↑出しゅっ世せ間けんは、 この道どうによりて三界さんがいを出いづることを得うるがゆゑに、 出しゅっ世せ間けん道どうと名なづく。 ↑上じょうは妙みょうなるがゆゑに名なづけて上じょうとす。 ↑入にゅうはまさしく道どうを行ぎょうずるがゆゑに名なづけて入にゅうとす。 この心こころをもつて↑初しょ地じに入いるを歓かん喜ぎ地じと名なづくと。

世間道ヲ名ク↢即チ是凡夫所行ノ道ト↡。転ジテ名ク↢*休息ト↡。凡夫道者ハ不ズ↠能ハ↣究竟シテ至ルコト↢涅槃ニ↡、常ニ往↢来ス生死ニ↡。是ヲ名ク↢凡夫道ト↡。出世間者ハ、因リテ↢是ノ道ニ↡得ルガ↠出ヅルコトヲ↢三界ヲ↡故ニ名ク↢出世間道ト↡。上者ハ妙ナルガ故ニ名ケテ為ス↠上ト。入者ハ正シク行ズルガ↠道ヲ故ニ名ケテ為ス↠入ト。以テ↢是ノ心ヲ↡入ルヲ↢初地ニ↡名クト↢歓喜地ト↡。

2.名歓喜地

 ^問とうていはく、 初しょ地じなんがゆゑぞ名なづけて歓かん喜ぎとするやと。

問ウテ曰ク、初地何ガ故ゾ名ケテ為ルヤト↢歓喜ト↡。

 ^答こたへていはく、 ª↓*初しょ果かの究く竟きょうして涅ね槃はんに至いたることを得うるがごとし。 菩ぼ薩さつこの地じを得うれば、 心こころつねに歓かん喜ぎ多おおし。

答ヘテ曰ク、

如シ↠得ルガ↣於初果ノ究竟シテ至ルコトヲ↢涅槃ニ↡
菩薩得レバ↢是ノ地ヲ↡心常ニ多シ↢歓喜↡

^自じ然ねんに諸仏しょぶつ如来にょらいの種しゅを増ぞう長じょうすることを得う。 このゆゑにかくのごときの人ひとを、 賢善けんぜん者しゃと名なづくることを得うº と。

自然ニ得ウ↠増↢長スルコトヲ諸仏如来ノ種ヲ↡
是ノ故ニ如キノ↠此クノ人ヲ得ウト↣名クルコトヲ↢賢善者ト↡

^ª▽↑初しょ果かを得うるがごとしº といふは、 人ひとの須しゅ陀だ洹おん道どうを得うるがごとし。 よく三さん悪道まくどうの門もんを閉とづ。 法ほうを見みて法ほうに入いり、 法ほうを得えて堅牢けんろうの法ほうに住じゅうして傾きょう動どうすべからず、 究く竟きょうして涅ね槃はんに至いたる。 *見諦けんたい所断しょだんの法ほうを断だんずるがゆゑに、 心こころ大おおいに歓かん喜ぎす。 たとひ睡眠すいめんし*懶らん堕だなれども二に十じゅう九く有うに至いたらず。

▼如シトイフ↠得ルガ↢初果ヲ↡者ハ、如シ↣人ノ得ルガ↢▼須陀洹道ヲ↡。善ク閉ヅ↢三悪道ノ門ヲ↡。見テ↠法ヲ入リ↠法ニ得テ↠法ヲ住シテ↢*堅牢ノ法ニ↡不↠可カラ↢傾動ス↡、究竟シテ至ル↢涅槃ニ↡。▼断ズルガ↢見*諦所断ノ法ヲ↡故ニ、心大ニ歓喜ス。設使 タトヒ 睡眠シ*懶堕ナレドモ不ズ↠至ラ↢▼二十九有ニ↡。

^一毛いちもうをもつて百ひゃく分ぶんとなして、 *一分いちぶんの毛もうを0148もつて大海だいかいの水みずを分わかち取とるがごときは、 二に三さん渧たいの苦くすでに滅めっせんがごとし。 大海だいかいの水みずは余よのいまだ滅めっせざるもののごとし。 二に三さん渧たいのごとき心こころ、 大おおきに歓かん喜ぎせん。

▼如キハ↧以テ↢一毛ヲ↡為ナシテ↢百分ト↡、以テ↢一分ノ毛ヲ↡分チ↦取ルガ大海ノ水ヲ↥、若ゴトシ↢二三渧ノ*苦已ニ滅セムガ↡。如シ↢大海ノ水ハ余ノ未ダル↠滅セ者 ノノ↡。如キ↢二三渧ノ↡心大キニ歓喜セム。

^菩ぼ薩さつもかくのごとし、 ^初しょ地じを得えをはるを如来にょらいの家いえに生しょうずと名なづく。 一切いっさい*天てん・竜りゅう・夜や叉しゃ・乾闥けんだつ婆ば、 乃至 声しょう聞もん・辟びゃく支し等とう、 ともに供く養ようし*恭く敬ぎょうするところなり。 なにをもつてのゆゑに、 この家いえ過咎かぐあることなし。 ゆゑに世せ間けん道どうを転てんじて出しゅっ世せ間けん道どうに入いる。 ただ仏ぶつを*楽敬ぎょうきょうすれば、 四し功く徳どく処しょを得え、 六ろっ波羅ぱら蜜みつの果か報ほうを得えん。

菩薩モ如シ↠是クノ、得エ↢初地ヲ↡已ルヲ名ク↠生ズト↢如来ノ家ニ↡。一切天・竜・夜叉・乾闥婆、 乃至 声聞・辟支等、所ナリ↢共ニ供養シ恭敬スル↡。何ヲ以テノ故ニ。是ノ家无シ↠有ルコト↢過咎↡。故ニ*転ジテ↢世間道ヲ↡入ル↢出世間道ニ↡。但楽ゲウ↢敬スレバ仏ヲ↡、得エ↢四功0021徳処ヲ↡、得ム↢六波羅蜜ノ果報ヲ↡。

^滋味じみもろもろの*仏種ぶっしゅを断たたざるがゆゑに、 心こころ大おおきに歓かん喜ぎす。 *この菩ぼ薩さつ所しょ有うの余よの苦くは二に三さんの水渧すいたいのごとし。 百ひゃく千せん億おく劫こうに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得うといへども、 *無始むし生しょう死じの苦くにおいては二に三さんの水渧すいたいのごとし。 滅めっすべきところの苦くは大海だいかいの水みずのごとし。 このゆゑにこの地じを名なづけて歓かん喜ぎとす」 と。

*滋ジ味ミコキアヂワイ不ルガ↠断タ↢諸ノ仏種ヲ↡故ニ心大ニ歓喜ス。是ノ菩薩所有ノ余ノ苦ハ如シ↢二三ノ水渧ノ↡。雖モ↣百千億劫ニ得ト↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、於テハ↢无始生死ノ苦ニ↡如シ↢二三ノ水渧ノ↡。所ノ↠可キ↠滅ス苦ハ如シ↢大海ノ水ノ↡。是ノ故ニ此ノ地ヲ名ケテ為スト↢歓喜ト↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)「地相品」

1.歓喜所由

 (*地相品) ^「問とうていはく、 初しょ歓かん喜ぎ地じの菩ぼ薩さつ、 この地じのなかにありて多た歓かん喜ぎと名なづく。 もろもろの功く徳どくを得うることをなすがゆゑに歓かん喜ぎを地じとす。 法ほうを歓かん喜ぎすべし。 なにをもつて歓かん喜ぎするやと。

問ウテ曰ク、初歓喜地ノ菩薩、在リテ↢此ノ地ノ中ニ↡名テ↢多歓喜ト↡、為スガ↠得ルコトヲ↢諸ノ功徳ヲ↡故ニ歓喜ヲ為ス↠地ト。法ヲ応シ↢歓喜ス↡。以テ↠何ヲ而歓喜スルヤト。

 ^答こたへていはく、 ª*つねに↓諸仏しょぶつおよび↓諸仏しょぶつの大法だいほうを念ねんずれば、 ↓必ひつ定じょうして↓希有けうの行ぎょうなり。 このゆゑに歓かん喜ぎ多おおしº と。

答ヘテ曰ク、

常ニ念ズレバ↢於諸仏及ビ諸仏ノ大*法ヲ↡
必定シテ希有ノ行ナリ是ノ故ニ多シト↢歓喜↡

^かくのごときらの歓かん喜ぎの因縁いんねんのゆゑに、 菩ぼ薩さつ0149、 初しょ地じのなかにありて心こころに歓かん喜ぎ多おおし。

如キ↠是クノ等ノ歓喜ノ因縁ノ故ニ菩薩在リテ↢初地ノ中ニ↡心ニ多シ↢歓喜↡。

^ª↑諸仏しょぶつを念ねんずº といふは、 *燃灯ねんとう等とうの過去かこの諸仏しょぶつ、 阿あ弥陀みだ等とうの現在げんざいの諸仏しょぶつ、 *弥み勒ろく等とうの将しょう来らいの諸仏しょぶつを念ねんずるなり。 つねにかくのごときの諸仏しょぶつ世せ尊そんを念ねんずれば、 現げんに前まえにましますがごとし。 三界さんがい第一だいいちにしてよく勝すぐれたるひとましまさず。 このゆゑに歓かん喜ぎ多おおし。

念ズトイフ↢諸仏ヲ↡者ハ、念ズルナリ↢然灯等ノ過去ノ諸仏、阿弥陀等ノ現在ノ諸仏、弥勒等ノ将来ノ諸仏ヲ↡。常ニ念ズレバ↢如キノ↠是クノ諸仏世尊ヲ↡、如シ↢現ニ在スガ↟前ニ。三界第一ニシテ无マサズ↢能ク勝レタル者ヒト↡。是ノ故ニ多シ↢歓喜↡。

^ª↑諸仏しょぶつの大法だいほうを念ねんぜばº、 略りゃくして諸仏しょぶつの*四し十じゅう不共ふぐ法ほうを説とかんと。 一ひとつには自じ在ざいの飛ひ行ぎょう意こころに随したがふ、 二ふたつには自じ在ざいの変へん化げ辺ほとりなし、 三みつには自じ在ざいの所聞しょもん無礙むげなり、 四よつには自じ在ざいに無む量りょう種しゅ門もんをもつて一切いっさい衆しゅ生じょうの心しんを知しろしめすと。 乃至

念ゼ↢諸仏ノ大法ヲ↡者バ、略シテ説カムト↢諸仏ノ四十不共法ヲ↡。一ニハ自在ノ飛行随フ↠意ニ、二ニハ自在ノ変化无シ↠辺、三ニハ自在ノ所聞无*閡ゲサワルナリ、四ニハ自在ニ以テ↢无量種門ヲ↡知シメスト↢一切衆生ノ心ヲ↡。 乃至

^ª↑*念ねん必ひつ定じょうのもろもろの菩ぼ薩さつº は、 もし菩ぼ薩さつ、 阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいの記きを得えつれば、 *法ほう位いに入いり無む生しょう忍にんを得うるなり。 千万せんまん億おく数しゅの魔まの軍衆ぐんしゅ、 壊え乱らんすることあたはず。 大だい悲ひ心しんを得えて*大人だいにん法ぽうを成じょうず。 乃至 これを念ねん▼*必ひつ定じょうの菩ぼ薩さつと名なづく。

念必定ノ諸ノ菩薩者ハ、若シ菩薩得ツレバ↢阿耨多羅三藐三菩提ノ記ヲ↡、入リ↢法位ニ↡得ルナリ↢无生忍ヲ↡。千万億数ノ魔之軍衆不ズ↠能ハ↢*壊ヤブル*乱ミダルスルコト↡。得テ↢大悲心ヲ↡成ズ↢大人法ヲ↡。 乃至 是ヲ名ク↢念必定ノ菩薩ト↡。

^ª↑希有けうの行ぎょうを念ねんずº といふは、 必ひつ定じょうの菩ぼ薩さつ、 ▼*第一だいいち希有けうの行ぎょうを念ねんずるなり。 心こころに歓かん喜ぎせしむ。 一切いっさい凡ぼん夫ぶの及およぶことあたはざるところなり。 一切いっさいの声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつの行ぎょうずることあたはざるところなり。 仏法ぶっぽう*無礙むげ解げ脱だつおよび*薩婆さは若にゃ智ちを開かい示じす。 また十じゅう地じのもろもろの所しょ行ぎょうの法ほうを念ねんずれば、 名なづけて心しん多た歓かん喜ぎとす。 このゆゑに菩ぼ薩さつ初しょ地じに入いることを得うれば、 名なづけて歓かん喜ぎとすと。

念ズトイフ↢希有ノ行ヲ↡者、念ズルナリ↢必定ノ菩薩、第一希有0022ノ行ヲ↡。令ム↢心ニ歓喜セ↡。一切凡夫ノ所ナリ↠不ル↠能ハ↠及ブコト。一切ノ声聞・辟支仏ノ所ナリ↠不ル↠能ハ↠行ズルコト。開↢示ス仏法无*閡解脱及ビ薩婆若智ヲ↡。*人念ズレバ↢十地ノ諸ノ所行ノ法ヲ↡、名ケテ為ス↢心多歓喜ト↡。是ノ故ニ菩薩得レバ↠入ルコトヲ↢初地ニ↡、名ケテ為スト↢歓喜ト↡。

2.歓喜差別

 ^0150問とうていはく、 凡ぼん夫ぶ人にんのいまだ*無む上じょう道心どうしんを発ほっせざるあり、 あるいは発心ほっしんするものあり、 いまだ歓かん喜ぎ地じを得えざらん、 この人ひと、 諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつの大法だいほうを念ねんぜんと、 必ひつ定じょうの菩ぼ薩さつおよび希有けうの行ぎょうを念ねんじて、 また歓かん喜ぎを得えんと。 初しょ地じを得えん菩ぼ薩さつの歓かん喜ぎとこの人ひとと、 なんの差別しゃべつかあるやと。

問ウテ曰ク、有リ↢凡夫人ノ未ダル↟発セ↢无上道心ヲ↡、或イハ有リ↢発心スル者 ノ↡、未ダ ラム↠得エ↢歓喜地ヲ↡、是ノ人念ゼムト↢諸仏及ビ諸仏ノ大法ヲ↡、念ジテ↢必定ノ菩薩及ビ希有ノ行ヲ↡、亦得ムト↢歓喜ヲ↡。得ム↢初地ヲ↡菩薩ノ歓喜ト与ト↢此ノ人↡、有ルヤト↢何ノ差別カ↡。

 ^答こたへていはく、 ª菩ぼ薩さつ初しょ地じを得えば、 その心こころ歓かん喜ぎ多おおし。 諸仏しょぶつ無む量りょうの徳とく、 われまたさだめてまさに得うべしº と。

答ヘテ曰ク、

菩薩*得バ↢初地ヲ↡其ノ心多シ↢歓喜↡
諸仏无量ノ徳我亦定メテ当ニ シト↠得ウ

^初しょ地じを得えん必ひつ定じょうの菩ぼ薩さつは、 諸仏しょぶつを念ねんずるに無む量りょうの功く徳どくいます。 われまさにかならずかくのごときの事じを得うべし。 なにをもつてのゆゑに。 われすでにこの初しょ地じを得え、 必ひつ定じょうのなかに入いれり。 余よはこの心こころあることなけん。 このゆゑに初しょ地じの菩ぼ薩さつ多おおく歓かん喜ぎを生しょうず。 余よはしからず。 なにをもつてのゆゑに。 余よは諸仏しょぶつを念ねんずといへども、 この念ねんをなすことあたはず、 われかならずまさに作さ仏ぶつすべしと。

得ム↢初地ヲ↡必定ノ菩薩ハ、念ズルニ↢諸仏ヲ↡有イマス↢无量ノ功徳↡。我当ニシ↣必ズ得ウ↢如キ↠是クノ之事ヲ↡。何ヲ以テノ故ニ。我已ニ得エ↢此ノ初地ヲ↡、入レリ↢必定ノ中ニ↡。余者ハ无ケム↠有ルコト↢是ノ心↡。是ノ故ニ初地ノ菩薩多ク生ズ↢歓喜ヲ↡。余者ハ不ズ↠爾ラ。何ヲ以テノ故ニ。余者ハ雖モ↠念ズト↢諸仏ヲ↡不ズ↠能ハ↠作スコト↢是ノ念ヲ↡、我必ズ*当ニ シト↢作仏ス↡。

^たとへば転輪てんりん聖じょう子じの、 転輪てんりん王のうの家いえに生うまれて、 転輪てんりん王のうの相そうを成じょう就じゅして、 過去かこの転輪てんりん王のうの功く徳どく尊そん貴きを念ねんじて、 この念ねんをなさん。 われいままたこの相そうあり。 またまさにこの豪ごう富ふ尊そん貴きを得うべし。 心こころ大おおきに歓かん喜ぎせん。 もし転輪てんりん王のうの相そうなければ、 かくのごときの喜よろこびなからんがごとし。

譬ヘバ如シ↧転輪聖子ノ、生レテ↢転輪王ノ家ニ↡、成↢就シテ転輪王ノ相ヲ↡、念ジテ↢過去ノ転輪王ノ功徳尊*貴ヲ↡、作サム↢是ノ念ヲ↡、我今亦有リ↢是ノ相↡、亦当ニシ↠得↢是ノ豪ガウ富フ尊貴ヲ↡、心大ニ歓喜セム、若シ无ケレ↢転輪王ノ相↡者バ、无カラムガ↦如キノ↠是クノ喜ビ↥。

^必ひつ定じょうの菩ぼ薩さつ、 もし諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつの大だい功く徳どく・威儀いぎ・尊そん貴きを念ねんずれば、 われこの相そうあ0151り。 かならずまさに作さ仏ぶつすべし、 すなはち大おおきに歓かん喜ぎせん。 余よはこの事じあることなけん。

必定ノ菩薩、若シ念ズレバ↢諸仏及ビ諸仏ノ大功徳・威*儀・尊貴ヲ↡、我有リ↢是ノ相↡。必ズ当ニシ↢作仏ス↡、即チ大ニ歓喜セム。余者无ケム↠有ルコト↢是ノ事↡。

^定じょう心しんは深ふかく仏法ぶっぽうに入いりて心しん動どうずべからず」 と。

定心者ハ深ク入リテ↢仏法ニ↡心不ト↠可カラ↠動ズ。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)「浄地品」

1.信力増上

【14】(註:この段は 「↓信力しんりき転てん増ぞう長じょう ↓深じん行ぎょう大だい悲ひ心しん 慈じ愍みん衆しゅ生じょう類るい 修しゅ善心ぜんしん無む倦けん」 の釈。)

^またいはく (*浄地品)、

又0023*云ク、

^「ª↑信力しんりき増ぞう上じょうº はいかん。 *聞見もんけんするところありてかならず受うけて疑うたがいなければ増ぞう上じょうと名なづく、 殊しゅ勝しょうと名なづくと。

「信力増上者ハ*何 カン。名ク↧有リテ↠所↢聞見スル↡、必受シテ无ケレバ↠疑増上ト↥、名クト↢殊勝ト↡。

 ^問とうていはく、 二に種しゅの増ぞう上じょうあり。 一ひとつには多た、 二ふたつには勝しょうなり。 いまの説せつなにものぞやと。

問ウテ曰ク、有リ↢二種ノ増上↡。一ニ者多、二ニ者勝ナリ。今ノ説何 ニ者モノゾヤト。

 ^答こたへていはく、 このなかの二事にじともに説とかん。 菩ぼ薩さつ初しょ地じに入いればもろもろの功く徳どくの味あじはひを得うるがゆゑに、 信力しんりき転増てんぞうす。 この信力しんりきをもつて諸仏しょぶつの功く徳どく無む量りょう深じん妙みょうなるを*籌量ちゅうりょうしてよく信受しんじゅす。 このゆゑにこの心しんまた多たなり、 また勝しょうなり。

答ヘテ曰ク、此ノ中ノ二事倶ニ説カム。菩薩入レバ↢初地ニ↡得ルガ↢諸ノ功徳ノ味ヲ↡故ニ信力転増ス。以テ↢是ノ信力ヲ↡*籌チウ↢ハカラフ量シテ諸仏ノ功徳无量深妙ナルヲ↡能ク信受ス。是ノ故ニ此ノ心亦多ナリ亦勝ナリ。

2.深行大悲

^ª↑深ふかく大だい悲ひを行ぎょうじº とは、 衆しゅ生じょうを*愍念みんねんすること*骨体こったいに徹てつ入にゅうするがゆゑに名なづけて深じんとす。 一切いっさい衆しゅ生じょうのために仏道ぶつどうを求もとむるがゆゑに名なづけて大だいとす。

深ク行ジト↢大悲ヲ↡者ハ、愍↢念スルコト衆生ヲ↡*徹↢入スルガ骨体タイニ↡故ニ名ケテ為ス↠深ト。為ニ↢一切衆生ノ↡求ムルガ↢仏道ヲ↡故ニ名ケテ為ス↠大ト。慈心者ハ常ニ求メテ↢利事ヲ↡安↢穏ス衆生ヲ↡。

^慈じ心しんはつねに*利事りじを求もとめて衆しゅ生じょうを安穏あんのんす。 *慈じに三種さんしゅあり」 と。 乃至

慈ニ有リト↢三種↡。」 乃至

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)「易行品」

1.難易二道

【15】^またいはく (*易行品)、

又曰ク、

^「▲仏法ぶっぽうに無む量りょうの門もんあり。 ◆世せ間けんの道どうに難なんあり、 易いあり。 陸道ろくどうの歩ぶ行ぎょうはすなはち苦くるしく、 水道すいどうの乗じょう船せんはすなはち楽たのしきがごとし。 ◆菩ぼ薩さつの道どうもまたかくのごとし。 あるいは勤ごん行ぎょう精しょう進じんのものあり、 あるいは信しん0152方便ほうべんの易い行ぎょうをもつて疾とく阿あ惟ゆい越おっ致ちに至いたるものあり。 乃至

「▼仏法ニ有リ↢无量ノ門↡。如シ↢世間ノ道ニ有リ↠難有リ↠易、陸道ノ歩行ハ則チ苦シク、水道ノ乗船ハ則チ楽シキガ↡。菩薩ノ道モ亦如シ↠是クノ。或イハ有リ↢*懃行精進ノモノ↡、或イハ有リ↧以テ↢信方便ノ易行ヲ↡疾トク至ル↢*阿惟ユイ越ヲチ致チフタイノクライナリニ↡者 ノ↥。 乃至

2.弥陀易行 ・十仏章

^ª▲もし人ひと疾とく不ふ退転たいてん地じに至いたらんと欲おもはば、 *恭く敬ぎょうの心しんをもつて執しゅう持じして名みょう号ごうを称しょうすべしº。

▼若シ人疾ク欲オモハ↠至ラムト↢不退転地ニ↡者バ
応シ↧以テ↢恭敬ノ心ヲ↡執持シテ称ス↦名号ヲ↥

2.弥陀易行 ・十仏章 ・十方仏

^◆もし菩ぼ薩さつ、 この身みにおいて阿あ惟ゆい越おっ致ち地じに至いたることを得え、 阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成ならんと欲おもはば、 まさにこの*十方じっぽう諸仏しょぶつを念ねんずべし。 名みょう号ごうを称しょうすること ◆¬*宝月ほうがつ童どう子じ所問しょもん経ぎょう¼ の ª阿あ惟ゆい越おっ致ち品ぼんº のなかに説とくがごとしと。 乃至

▼若シ菩薩欲オモハ↧於テ↢此ノ身ニ↡得エ↠至ルコトヲ↢阿惟越致地ニ↡、成ラムト↦阿耨多羅三藐三菩提ヲ↥者バ、応シ↣*当ニ念ズ↢是ノ十方諸仏ヲ↡。称スルコト↢名号ヲ↡如シト↢¬宝月童子所問経ノ¼阿惟越致品ノ中ニ説クガ↡。 乃至

2.弥陀易行 ・十仏章 ・西方無量明

^ª▲西方さいほうに善ぜん世せ界かいの仏ぶつを無む量りょう明みょうと号ごうす。 身光しんこう智慧ちえあきらかにして、 照てらすところ辺際へんざいなし。 それ名みなを聞きくことあるものは、 すなはち不ふ退転たいてんを得うと。 乃至

西方ニ善世界ノ仏ヲ号ス↢无量明ト↡
身光智慧*明ニシテ所 ロ↠照ス无シ↢辺際↡
其レ有ル↠聞クコト↠名ヲ者 ノハ即チ得ウト↢不退転ヲ↡ 乃至

2.弥陀易行 ・十仏章 ・過去海徳仏

^▲過去かこ無む数しゅ劫こうに仏ぶつまします。 *海徳かいとくと号ごうす。 このもろもろの現在げんざいの仏ぶつ、 みなかれに従したがつて願がんを発おこせり。

過去无数劫ニ有ス↠仏 号ス↢海徳ト↡
是ノ諸ノ現在ノ仏皆従シタガテ↠彼 レニ発セリ↠願ヲ

^◆寿じゅ命みょう量はかりあることなし。 光こう明みょう照てらして極きわまりなし。 国こく土どはなはだ清浄しょうじょうなり。 名みなを聞ききてさだめて仏ぶつにならんº と。 乃至

寿命无シ↠有ルコト↠量光明照シテ无シ↠極 リ
国土甚ダ清浄ナリ聞キテ↠名ヲ定メテ作ラムト↠仏0024ニ 乃至

2.弥陀易行 ・百七仏章(与門)

 ^▲問とうていはく、 ただこの十じゅう仏ぶつの名みょう号ごうを聞ききて執しゅう持じして心こころに在おけば、 すなはち阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを退たいせざることを得う。 また余よ仏ぶつ・余よ菩ぼ薩さつの名みなましまして、 阿あ惟ゆい越おっ致ちに至いたることを得うとやせんと。

問ウテ曰ク、但聞キテ↢是ノ十仏ノ名号ヲ↡執持シテ在オケバ↠心ニ、便チ得エ↠不ルコトヲ↠退セ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。為セムト↧更マタ有 マシテ↢余仏・余菩薩ノ名↡、得ウト↠至ルコトヲ↢阿惟越致ニ↡邪ヤ↥。

 ^◆答こたへていはく、 ª阿あ弥陀みだ等とうの仏ぶつおよび諸しょ大だい菩ぼ薩さつ、 名みなを称しょうし一心いっしんに念ねんずれば、 また不ふ退転たいてんを得うることかくのごとしº と。

答ヘテ曰ク、

▼阿弥陀等ノ仏及ビ諸大菩薩
▼称シ↠名ヲ一心ニ念ズレバ亦得ルコト↢不退転ヲ↡ 如シ↠是クノ

^◆阿あ弥陀みだ等とうの諸仏しょぶつ、 また恭く敬ぎょう礼拝らいはいし、 そ0153の名みょう号ごうを称しょうすべし。

阿弥陀等ノ諸仏、亦応シ↣恭敬礼拝シ称ス↢其ノ名号ヲ↡。

2.弥陀易行 ・弥陀章(奪門)

^◆*いままさにつぶさに無む量りょう寿じゅ仏ぶつを説とくべし。 ^*世せ自じ在ざい王おう仏ぶつ 乃ない至しその余よの仏ぶつまします ◆この諸仏しょぶつ世せ尊そん、 現在げんざい十方じっぽうの清浄しょうじょう世せ界かいに、 みな名みなを称しょうし◆阿あ弥陀みだ仏ぶつの本願ほんがんを憶念おくねんすることかくのごとし。 ª^もし人ひとわれを念ねんじ名なを称しょうしておのづから帰きすれば、 すなはち必ひつ定じょうに入いりて阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得う、 ^◆このゆゑにつねに憶念おくねんすべしº と。

今当ニシ↣具ニ説ク↢无量寿仏ヲ↡。▼世自在王仏 乃至有ス↢其ノ余仏↡ 是ノ諸仏世尊、現在十方ノ清浄世界ニ、皆称シ↠名ヲ憶↢念スルコト▼阿弥陀仏ノ本願ヲ↡如シ↠是クノ。▼若シ人念ジ↠我ヲ▼称シテ↠名ヲ自オノヅカラ帰スレバ、即チ入リテ↢必定ニ↡得ウ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、是ノ故ニ常ニ応シト↢憶念ス↡。

3.偈讃 ・無量光明慧

^◆偈げをもつて称しょう讃さんせん。

以テ↠偈ヲ称讃セム。

^◆ª無む量りょう光こう明みょう慧え、 身みは*真金しんこんの山やまのごとし。 われいま身しん口意くいをして、 合がっ掌しょうし稽首けいしゅし礼らいしたてまつると。 乃至

▼无量光明慧身ハ如シ↢真金ノ山ノ↡
我今身口意ヲシテ合掌シ稽首シ礼シタテマツルト 乃至

3.偈讃 ・即時入必定

^▲人ひとよくこの仏ぶつの無む量りょう力りき功く徳どくを念ねんずれば、 即そくの時ときに必ひつ定じょうに入いる。 このゆゑにわれつねに念ねんじたてまつる。 乃至

▼人能ク念ズレバ↢是ノ仏ノ无量力功徳ヲ↡
▽即ノ時ニ入ル↢必定ニ↡是ノ故ニ我常ニ念ジタテマツル 乃至

3.偈讃 ・帰命本願力

^▲もし人ひと仏ぶつにならんと願がんじて、 心こころに阿あ弥陀みだを念ねんじたてまつれば、 時ときに応おうじてために身みを現げんじたまはん。 このゆゑにわれ、

若シ人願ジテ↠作ラムト↠仏ニ心ニ念ジタテマツレバ↢阿弥陀ヲ↡
応ジテ↠時ニ為ニ現ジタマハム↠身ヲ是ノ故ニ我帰↢*命ス

^◆かの仏ぶつの本願ほんがん力りきを帰き命みょうす。 十方じっぽうのもろもろの菩ぼ薩さつも、 来きたりて供く養ようし法ほうを聴きく。 このゆゑにわれ稽首けいしゅしたてまつると。 乃至

彼ノ仏ノ本願力ヲ↡十方ノ諸ノ菩薩モ
来リテ供養シ聴キク↠法ヲ是ノ故ニ我 レ稽首シタテマツルト 乃至

3.偈讃 ・信心清浄華開

^▲もし人ひと善根ぜんごんを種うゑて疑うたがへば、 すなはち華はな開ひらけず。 信心しんじん清浄しょうじょうなるものは、 華はな開ひらけてすなはち仏ぶつを見みたてまつる。

若シ人種ウエテ↢善根ヲ↡疑ヘバ則チ華不ズ↠開ケ
信心清浄ナル者 ノハ華開ケテ則チ見タテマツル↠仏ヲ

^◆十方じっぽう現在げんざいの仏ぶつ、 種々しゅじゅの因縁いんねんをもつて、 かの仏ぶつの功く徳どくを嘆たんじたまふ。 われいま帰き命みょうし礼らいしたてまつると。 乃至

十方現在ノ仏以テ↢種種ノ因縁ヲ↡
嘆ジタマフ↢彼ノ仏ノ功徳ヲ↡我今帰命シ礼シタテマツルト 乃至

3.偈讃 ・乗船度海

^▲かの八道はちどうの船ふねに乗じょうじて、 よく難なん度ど海かいを度どす。 みづから度どし、 またかれを度どせん。 われ自じ在ざい人にんを礼らいしたてまつる。

乗ジテ↢彼ノ八道ノ船ニ↡能ク度ス↢難度海ヲ↡
自ミ ラ度シ亦度セム↠彼 レヲ我礼シタテマツル↢自在人ヲ↡

^◆諸仏しょぶつ無む量りょう劫こうにその功く0154徳どくを讃揚さんようせんに、 なほ尽つくすことあたはじ。 清浄しょうじょう人にんを帰き命みょうしたてまつる。

0025諸仏无量劫ニ讃↢*揚ヤウアグセムニ其ノ功徳ヲ↡
猶尚 ナホ 不ジ↠能ハ↠尽スコト帰↢命シタテマツル清浄人ヲ↡

^◆われいままたかくのごとし。 無む量りょうの徳とくを称しょう讃さんす。 この福ふくの因縁いんねんをもつて、 願ねがはくは仏ぶつ、 つねにわれを念ねんじたまへº」 と。 抄出

我今亦如シ↠是クノ称↢*讃ス无量ノ徳ヲ↡
以テ↢是ノ福ノ因縁ヲ↡願クハ仏常ニ念ジタマヘト↠我ヲ」 抄出

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)北天引意(¬浄土論¼三文)
                (a)成上起下の偈

【16】^¬*浄じょう土ど論ろん¼ にいはく、

▼¬*浄土論ニ¼曰ク、

・如実修行

^「▲われ*修しゅ多羅たら真実しんじつ功く徳どく相そうによりて、 *願がん偈げ総そう持じを説ときて仏ぶっ教きょうと相応そうおうせりと。

「▼我依リテ↢修多羅真実功徳相ニ↡
説キテ↢願偈*総持ヲ↡与ト↢仏教↡相応セリト

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)不虚作住持功徳の偈

・速満宝海

^▲仏ぶつの本願ほんがん力りきを*観かんずるに、 *遇もうおうて空むなしく過すぐるものなし。 よくすみやかに功く徳どくの大だい宝海ほうかいを満足まんぞくせしむ」 と。

▼観ズルニ↢仏ノ本願力ヲ↡遇 アテ无シ↢空シク過スグル者 ノ↡
能ク令ムト↣速スミヤカニ満↢足セ功徳ノ大宝海ヲ↡」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)利行満足章の終文

【17】^またいはく (浄土論)、

▼又曰ク、

・自利利他

^「▲菩ぼ薩さつは*四し種しゅの門もんに入いりて自利じりの行ぎょう成じょう就じゅし*たまへりと、 知しるべし。 ◆菩ぼ薩さつは*第だい五ご門もんに出いでて*回え向こう利り益やく他たの行ぎょう成じょう就じゅしたまへりと、 知しるべし。

「▼菩薩ハ入リテ↢四種ノ門ニ↡自利ノ行成就シタマヘリト、応シ↠知ル。菩薩ハ出デテ↢第五門ニ↡回向利益他ノ行成就シタマヘリト、応シ↠知ル。

^◆菩ぼ薩さつはかくのごとく五ご門もんの行ぎょうを修しゅして自利じり利他りたしてすみやかに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成じょう就じゅすることを得えたまへるがゆゑに」 と。 抄出

菩薩ハ如ク↠是クノ修シテ↢五門ノ行ヲ↡自利利他シテ速ニ得タマヘルガ↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡故ニト。」 抄出

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)雁門引意(¬論註¼四文)
                (a)序題興由

【18】^¬*論ろんの註ちゅう¼ (上) にいはく、

▼¬*論ノ註チユニ¼曰ク、

・二祖一致 ・龍樹論判

^「▲つつしんで龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつの ¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ を案あんずるにいはく、 ª菩ぼ薩さつ、 阿毘あび跋ばっ致ちを求もとむるに二に種しゅの道どうあり。 一ひとつには難なん行ぎょう道どう、 二ふたつには易い行ぎょう道どうなり。

「謹ツ シテ案ズルニ↢龍樹菩薩ノ¬十住毘婆沙ヲ¼↡云ク、菩薩求ムルニ↢阿毘跋致ヲ↡有リ↢二種ノ道↡。一ニ者ハ難行道、二ニ者ハ易行道ナリ。

・二祖一致 ・龍樹論判 ・難行道(五難)

^◆難なん行ぎょう道どうとは、 いはく、 五ご濁じょくの世よ、 無む仏ぶつの時ときにおいて、 阿毘あび跋ばっ致ちを求もとむるを難なんとす。 この難なんにいまし多おおくの途みちあり。 ほぼ五ご三さんをいひてもつて義ぎの意こころを示しめさん。 ^一ひとつには外げ道どうの相しょう善ぜんは菩ぼ薩さつの法ほうを乱みだる。 二ふた0155つには声しょう聞もんは自利じりにして大だい慈悲じひを障さふ。 三みつには無顧むこの悪人あくにん、 他たの勝しょう徳とくを破はす。 四よつには顛倒てんどうの善ぜん果かよく梵ぼん行ぎょうを壊えす。 五いつつにはただこれ自じ力りきにして他た力りきの持たもつなし。 ^これらのごときの事じ、 目めに触ふるるにみなこれなり。 たとへば陸ろく路ろの歩ぶ行ぎょうはすなはち苦くるしきがごとし。

難行道ト者ハ、謂ク於テ↢▼五濁之世▼无仏ノ時ニ↡、求ムルヲ↢阿毘跋致ヲ↡為ス↠難ト。此ノ難ニ乃シ有リ↢多クノ*途ミチ↡。粗ホヾ言イフテ↢▼五三ヲ↡以テ示シメサム↢義ノ意ヲ↡。一ニ者ハ▼外道ノ相シヤウ *修醤反 善ハ乱ミダル↢菩薩ノ法ヲ↡。二ニ者▼声聞ハ自利ニシテ障サフ↢大慈悲ヲ↡。三ニ者▼無*顧コノカヘリミル悪人破ス↢他ノ勝徳ヲ↡。四ニ者▼顛テン倒ノ善果能ク壊エス↢梵行ヲ↡。五ニ者▼唯是自力ニシテ无シ↢他力ノ持ツ↡。如キノ↢斯レ等ラノ↡事、触フルヽニ↠目ニ皆是ナリ。譬ヘバ如シ↢陸路ノ歩ブ行ハ則チ苦シキガ↡。

・二祖一致 ・龍樹論判 ・易行道

^◆易い行ぎょう道どうとは、 いはく、 ただ信仏しんぶつの因縁いんねんをもつて浄じょう土どに生しょうぜんと願がんず。 仏願ぶつがん力りきに乗じょうじてすなはちかの清浄しょうじょうの土どに往おう生じょうを得えしむ。 仏力ぶつりき住じゅう持じしてすなはち大だい乗じょう正定しょうじょうの聚じゅに入いる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あび跋ばっ致ちなり。 たとへば水すい路ろに船ふねに乗じょうじてすなはち楽たのしきがごとしº と。

▼易行道ト者、謂ク但以テ↢信仏ノ因縁ヲ↡願ズ↠生ゼムト↢浄土ニ↡。乗ジテ↢仏願力ニ↡便チ得エシム↣往↢生ヲ彼ノ清浄ノ土ニ↡。仏力住持シテ即チ▽入ル↢大乗正0026定之聚ニ↡。正定ハ即チ是阿毘跋致ナリ。譬ヘバ如シト↢水路ニ乗ジテ↠船ニ則チ楽シキガ↡。

・二祖一致 ・本論分斉

^◆この ¬無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ¼ は、 けだし上じょう衍えんの極ごく致ち、 不ふ退たいの風航ふうこうなるものなり。

此ノ¬无量寿経優ウ婆提舎ハ¼、▼蓋ケダシ上衍エン反 *衍字カン反 口且反楽也 之極*致チムネ、不退之▼風*航カウ反ナル *航カウ反字フナワタシ ホナリ 者 ノ也。

・二祖一致 ・随順仏教

^◆ª無む量りょう寿じゅº はこれ安楽あんらく浄じょう土どの如来にょらいの別号べつごうなり。 釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつ、 王舎おうしゃ城じょうおよび舎しゃ衛え国こくにましまして、 大衆だいしゅのなかにして無む量りょう寿じゅ仏ぶつの荘しょう厳ごん功く徳どくを説ときたまふ。 すなはち仏ぶつの名みょう号ごうをもつて経きょうの体たいとす。

▼无量寿ハ是安楽浄土ノ如来ノ別号ナリ。釈迦牟尼仏、▼在マシマシテ↢王舎城及ビ舎衛国ニ↡、於シテ↢大衆之中ニ↡説キタマフ↢无量寿仏ノ荘厳功徳ヲ↡。即チ以テ↢仏ノ名号ヲ↡為ス↢経ノ体ト↡。

^◆後のちの聖しょう者じゃ婆藪ばそ槃ばん頭ず菩ぼ薩さつ (天親)、 如来にょらい大だい悲ひの教きょうを服膺ぶくようして、 経きょうに傍そへて願がん生しょうの偈げを作つくれり」 と。 以上

後ノ聖者婆バ藪ソ槃バ頭ヅ菩薩、*服ブク↢シタガイ*膺ヰヨウモチヰルシテ 一升反 如来大悲之教ヲ↡、傍ソエテ↠経ニ作レリト↢願生ノ偈ヲ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)建章偈註

【19】^またいはく (論註・上)、

又云ク、

・易行修相

^「▲また所願しょがん軽かろからず。 もし如来にょらい威い神じんを加かせずは、 まさになにをもつてか達たっせん。 神力じんりきを乞こつ加かす。 このゆゑに仰あおいで告つげたまへり。

「▼又所願不ズ↠軽カラ。若シ如来不ズハ↠*加セクワウ↢威神ヲ↡、将ニ何ヲ以テカ*達セムサトル 。*乞コチコウ↢加ス神力ヲ↡。所以コノユヘニ仰イデ告ツゲタマヘリ。

・易行修相 ・我一心

^◆ª我が一心いっしんº とは天親てんじん菩ぼ薩さつの自じ督とく (督とくの字じ、 勧かんなり、 率そつなり、 正しょうなり) の詞ことば0156なり。 ◆いふこころは無礙むげ光こう如にょ来らいを念ねんじて安楽あんらくに生しょうぜんと願がんず。 *心々しんしん相続そうぞくして他た想そう間雑けんぞうすることなし。 乃至

我一心ト者ハ天親菩薩ノ自*トク反 ▼*督トク反字アキラカナリ 勧也 率ヒク也 正也 俗作 之詞 バナリ。言イフココロハ念ジテ↢无光如来ヲ↡願ズ↠生ゼムト↢安楽ニ↡。心心相続シテ无シ↢*他想間雑スルコト↡。 ▼乃至

・仏教相応

^▲ª帰き命みょう尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらいº とは、 ª帰き命みょうº はすなはちこれ礼拝らいはい門もんなり、 ª尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらいº はすなはちこれ讃嘆さんだん門もんなり。

*帰命尽十方无光如来ト者ハ、帰*命ハ即チ是礼拝門ナリ。尽十方无光如来ハ即チ是讃嘆門ナリ。

・仏教相応 ・礼拝門

^◆なにをもつてか知しらん、 帰き命みょうはこれ礼拝らいはいなりとは。

何ヲ以テカ知ラム帰命ハ是レ礼拝ナリトハ。

^◆龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの讃さんを造つくれるなかに、 あるいは ª稽首けいしゅ礼らいº といひ、 あるいは ª我が帰き命みょうº といひ、 あるいは ª帰き命みょう礼らいº といへり。 この ¬論ろん¼ (浄土論) の長じょう行ごうのなかにまた ª五ご念ねん門もんを修しゅすº といへり。 五ご念ねん門もんのなかに礼拝らいはいはこれ一ひとつなり。 天親てんじん菩ぼ薩さつすでに往おう生じょうを願がんず、 あに礼らいせざるべけんや。 ゆゑに知しんぬ、 帰き命みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなりと。

龍樹菩薩造レル↢阿弥陀如来ノ讃ヲ↡中ニ、或イハ言ヒ↢稽首礼ト↡、或イハ言ヒ↢我帰命ト↡、或イハ言ヘリ↢帰命礼ト↡。此ノ¬論ノ¼長行ノ中ニ亦言ヘリ↠修スト↢五念門ヲ↡。五念門ノ中ニ礼拝ハ是レ一ナリ。天親菩薩*既スデキ ニ願ズ↢往生ヲ↡、豈アニ容ベケムヤ↠不ル↠礼セ。故ニ知ンヌ帰命ハ即チ是礼拝ナリト。

^◆しかるに礼拝らいはいはただこれ恭く敬ぎょうにして、 かならずしも帰き命みょうならず。 帰き命みょうはこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつて推すいするに、 帰き命みょうは重じゅうとす。 偈げは己こ心しんを申のぶ、 よろしく帰き命みょう (命みょうの字じ、 ▽使しなり、 教きょうなり、 道どうなり、 信しんなり、 計けいなり、 召しょうなり) といふべし。 ¬論ろん¼ に偈義げぎを解げするに、 汎ひろく礼拝らいはいを談だんず。 *彼此ひしあひ成じょうず、 義ぎにおいていよいよ顕あらわれたり。

然ルニ礼拝ハ但是恭*敬ニシテ、不ズ↢必ズシモ帰命ナラ↡。帰命ハ是礼拝ナリ。若シ以テ↠此ヲ*推スイヲススルニ、帰命ハ為ス↠重ト。偈ハ申ノシンブ↢己コオノレ心ヲ↡、宜ヨロシベ クシ↠言イフ↢帰命ト↡ *命字 眉ミマユ病反 使也 教也 道也 信也 計也 召也。¬論ニ¼解ゲスルニ↢偈義ヲ↡、汎ヒロハンク談ダンズ↢礼拝ヲ↡。彼此相成ズ、於テ↠義ニ弥イヨイヨ0027*顕レタリ。

・仏教相応 ・讃嘆門

^◆なにをもつてか知しらん、 ª尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらいº はこれ讃嘆さんだん門もんなりとは。

何ヲ以テカ知ラム尽十方无光如来ハ是レ賛嘆門ナリトハ。

^◆下しもの長じょう行ごうのなかにいはく、 ª^いかんが讃嘆さんだんする。 いはく、 かの如来にょらいの名みなを称しょう (▼称しょうの字じ、 軽重きょうじゅうを知しるなり。 ¬*説文せつもん¼ にいはく、 銓せんなり、 是ぜなり、 等とう0157なり、 俗ぞくに秤はかりに作つくる、 斤きん両りょうを正ただすをいふなり) す。 かの如来にょらいの光こう明みょう智ち相そう*のごとく、 かの名みょう義ぎのごとく、 実じつのごとく修しゅ行ぎょうし相応そうおうせんと欲おもふがゆゑにº と。 乃至

下ノ長行ガ ノ中ニ言ハク、云何ガ讃嘆スル。謂ク称ス↢ *称字 処陵リヨウノ反 知ル↢軽重ヲ↡也 ¬説文¼曰*銓ハカリ也 是コレ也 等也 *俗ハ作ル↠秤ハカリニ 云正↢*斤ハカリ両↡也 *昌シヤウ孕ヨウノ反 昌陵リヨウノ反 彼ノ如来ノ名ヲ↡。如ク↢彼ノ如来ノ光明智相ノ↡、如ク↢彼ノ名義ノ↡、欲フガ↢如ク↠実ノ修行シ相応セムト↡故ニト。 ▼乃至

^▲天親てんじん、 いま ª尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらいº とのたまへり。 すなはちこれかの如来にょらいの名みなによりて、 かの如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうのごとく讃嘆さんだんするがゆゑに、 知しんぬ、 この句くはこれ讃嘆さんだん門もんなりとは。

天親今言ノタマヘリ↢尽十方无光如来ト↡。即チ是依リテ↢彼ノ如来ノ名ニ↡、如ク↢彼ノ如来ノ光明智相ノ↡讃嘆スルガ故ニ知ンヌ、此ノ句ハ是賛嘆門ナリトハ。

・仏教相応 ・作願門

^◆ª願がん生しょう安楽あんらく国こくº とは、 この一いっ句くはこれ作さ願がん門もんなり、 天親てんじん菩ぼ薩さつ帰き命みょうの意こころなり。 乃至

願生安楽国ト者ハ、此ノ一句ハ是作願門ナリ、天親菩薩帰命之意也。 ▼乃至

・仏教相応 ・願生問答

 ^▲問とうていはく、 大だい乗じょう経きょう論ろんのなかに、 処々しょしょに ª衆しゅ生じょう畢ひっ竟きょう無む生しょうにして虚こ空くうのごとしº と説ときたまへり。 いかんぞ天親てんじん菩ぼ薩さつ ª願がん生しょうº とのたまふやと。

▼問ウテ曰ク、大乗経論ノ中ニ、処処ニ*説キタマヘリ↣衆生畢竟无生ニシテ如シト↢虚空ノ↡。云何ゾ天親菩薩言フ↢願生ト↡邪ヤト。

 ^◆答こたへていはく、 ª衆しゅ生じょう無む生しょうにして虚こ空くうのごとしº と説とくに二に種しゅあり。

答ヘテ曰ク、説クニ↣衆生无生ニシテ如シト↢虚空ノ↡有リ↢二種↡。

^◆一ひとつには、 凡ぼん夫ぶの実じつの衆しゅ生じょうと謂おもふところのごとく、 凡ぼん夫ぶの所見しょけんの実じつの生しょう死じのごとし。 この所見しょけんの事じ、 畢ひっ竟きょうじて*所有あらゆることなけん、 亀き毛もうのごとし、 虚こ空くうのごとしと。

一ニ者如ク↢凡夫ノ所ノ↟謂オモフ↢実ノ衆生ト↡、如シ↢凡夫ノ所見ノ実ノ生死ノ↡。此ノ所見ノ事、*畢ヲワル竟ジテ无ケム↠所ユルコト↠有アラ、如シ↢亀クヰ毛ノ↡、如シト↢虚空ノ↡。

^◆二ふたつには、 いはく、 *諸法しょほうは因縁いんねん生しょうのゆゑに、 すなはちこれ不ふ生しょうにして、 所有あらゆることなきこと虚こ空くうのごとしと。 ^天親てんじん菩ぼ薩さつ、 願がん生しょうするところはこれ因縁いんねんの義ぎなり。 因縁いんねんの義ぎなるがゆゑに仮かりに生しょうと名なづく。 凡ぼん夫ぶの実じつの衆しゅ生じょう、 実じつの生しょう死じありと謂おもふがごときにはあらざるなりと。

二ニ者謂ク諸法ハ因縁生ノ故ニ、即チ是不生ニシテ、无キコト↠所↠有如シト↢虚空ノ↡。天親菩薩所↢願生スル↡者ハ是因縁ノ義ナリ。因縁ノ義ナルガ故ニ*仮カリケ ニ名ク↠生ト。非ザル↠如キニハ↢凡夫ノ謂フガ↟有リト↢実ノ衆生実ノ生死↡也ト。

・仏教相応 ・往生問答

 ^0158◆問とうていはく、 なんの義ぎによりて往おう生じょうと説とくぞやと。

▼問ウテ曰ク、依リテ↢何ノ義ニ↡説クゾヤト↢往生ト↡。

 ^◆答こたへていはく、 この間けんの仮け名みょうの人にんのなかにおいて五ご念ねん門もんを修しゅせしむ。 *前念ぜんねんと後ご念ねんと因いんとなる。 穢土えどの仮け名みょうの人にん、 浄じょう土どの仮け名みょうの人にん、 決けつ定じょうして一いちを得えず、 決けつ定じょうして異いを得えず。 前心ぜんしん・後ご心しんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もし一いちならばすなはち因いん果がなけん、 もし異いならばすなはち相続そうぞくにあらず。 この義ぎ*一いち異いを観かんずる門もんなり、 論ろんのなかに委い曲きょくなり。

答ヘテ曰ク、於テ↢此ノ間ノ仮名ノ人ノ中ニ↡修セシム↢五念門ヲ↡。前念ト与ト↢後念↡作ナル↠因ト。穢土ノ仮名ノ人、浄土ノ仮名ノ人、不ズ↠得↢決定シテ一ヲ↡、不ズ↠得↢決定シテ異ヲ↡。前心・後心亦如シ↠是クノ。何ヲ以テノ故ニ。若シ一ナラバ則チ无ケム↢因果↡、若シ異ナラバ則チ非ズ↢相続ニ↡。▼是ノ義観ズル↢一異ヲ↡門ナリ、▼論ノ中ニ*委ヰクワシ*曲ナリ。

^◆第一だいいち行ぎょうの三念さんねん門もんを釈しゃくしをはんぬと。 乃至

釈シ↢第一行ゴウノ三念門ヲ↡竟ンヌト。 ▼乃至

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)成上起下偈註

・依

 ^▲ª^我が依え修しゅ多羅たら 真実しんじつ功く徳どく相そう 説せつ願がん偈げ総そう持じ 与よ仏ぶっ教きょう相応そうおうº とのたまへりと。 乃至

我依修多羅真実功徳相説願0028偈総持与仏教相応トノタマヘリト。 ▼乃至

^▲いづれのところにか依よる、 なんのゆゑにか依よる、 いかんが依よると。 いづれのところにか依よるとならば、 修しゅ多羅たらに依よるなり。 なんのゆゑにか依よるとならば、 如来にょらいすなはち真実しんじつ功く徳どくの相そうなるをもつてのゆゑに。 いかんが依よるとならば、 五ご念ねん門もんを修しゅして相応そうおうせるがゆゑにと。 乃至

▼何レノ所ニカ依ル、何ノ故ニカ依ル、云何ガ依ルト。何・所・依・者ハ、依ルナリ↢修多羅ニ↡。何・故・依・者ハ、以テノ↢如来即チ真実功徳ノ相ナルヲ↡故ニ。*云何・依・者ハ、修シテ↢五念門ヲ↡相応セルガ故ニト。 乃至

・修多羅

^▲ª修しゅ多羅たらº は十じゅう二部にぶ経きょうのなかの直説じきせつのものを修しゅ多羅たらと名なづく。 いはく、 四し阿あ含ごん・三蔵さんぞう等とうのほかの大だい乗じょうの諸しょ経きょうをまた修しゅ多羅たらと名なづく。 このなかに ª依え修しゅ多羅たらº といふは、 これ三蔵さんぞうのほかの大だい乗じょう修しゅ多羅たらなり、 阿あ含ごん等とうの経きょうにはあらざるなり。

修多羅者ハ▼十二部経ノ中ノ直説ノ者 ノヲ名ク↢修多羅ト↡。謂ク*四阿*含フウム・三蔵等ノ外 カノ大乗ノ諸経ヲ亦名ク↢修多羅ト↡。此ノ中ニ言イフ↢依修多羅ト↡者ハ、是三蔵ノ外ノ大乗修多羅ナリ、非ザル↢阿含等ノ経ニハ↡也。

・真実功徳

^◆ª真実しんじつ功く徳どく相そうº とは、 二に種しゅの功く徳どくあり。 一ひとつには有漏うろの心しんより生しょうじて法ほっ性しょうに順じゅんぜず。 いはゆる凡ぼん夫ぶ、 人天にんでんの諸善しょぜん、 人にん0159天でんの果か報ほう、 もしは因いん、 もしは果か、 みなこれ顛倒てんどうす、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑに不ふ実じつの功く徳どくと名なづく。

▼真実功徳相ト者ハ有リ↢二種ノ功徳↡。一ニ者従リ↢有漏ノ心↡生ジテ不ズ↠順ゼ↢法性ニ↡。所↠謂ハ凡夫、人天ノ諸善、人天ノ果報、若シハ因若シハ果、皆是顛倒ス、皆是虚*偽グヰナリイツワル 。是ノ故ニ名ク↢不実ノ功徳ト↡。

^◆二ふたつには菩ぼ薩さつの智慧ちえ清浄しょうじょうの業ごうより起おこりて仏ぶつ事じを荘しょう厳ごんす。 法ほっ性しょうによりて清浄しょうじょうの相そうに入いれり。 この法ほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず、 真実しんじつの功く徳どくと名なづく。 いかんが顛倒てんどうせざる。 法ほっ性しょうにより*二に諦たいに順じゅんずるがゆゑに。 いかんが虚偽こぎならざる。 衆しゅ生じょうを摂せっして畢ひっ竟きょう浄じょうに入いるるがゆゑなり。

二ニ者従リ↢菩薩ノ智慧清浄ノ業↡起リテ荘↢厳ス仏事ヲ↡。依リテ↢法性ニ↡入レリ↢清浄ノ相ニ↡。是ノ法不ズ↢顛倒セ↡、不ズ↢虚偽ナラ↡、名ク↢真実ノ功徳ト↡。云何ガ不ル↢顛倒セ↡。依リ↢法性ニ↡順ズルガ↢二諦ニ↡故ニ。云何ガ不ル↢虚偽ナラ↡。摂シテ↢衆生ヲ↡入ルガ↢畢竟浄ニ↡故ナリ。

・総持

^◆ª説せつ願がん偈げ総そう持じ与よ仏ぶっ教きょう相応そうおうº とは、 ª持じº は不ふ散さん不ふ失しつに名なづく、 ª総そうº は少しょうをもつて多たを摂せっするに名なづく。 乃至 ª願がんº は欲よく楽ぎょう往おう生じょうに名なづく。 乃至 ª与よ仏ぶっ教きょう相応そうおうº とは、 たとへば函蓋かんがい相そう称しょうするがごとしと。 乃至

説願偈総持与仏教相応ト者ハ、持ハ名ク↢不散不*失ニ↡、総ハ名ク↢以テ↠少ヲ摂スルニ↟多ヲ。 ▼乃至 願ハ名ク↢欲楽往生ニ↡。 ▼乃至 与仏教相応ト者ハ、譬タトヘバ如シト↢函カン*蓋相称スルガ↡也。 ▼乃至

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(d)起観生信章

・他力回向

 (論註・下) ^▲ªいかんが回え向こうする。 一切いっさい苦く悩のうの衆しゅ生じょうを捨すてずして、 心こころにつねに*作さ願がんすらく、 回え向こうを首しゅとして大だい悲ひ心しんを成じょう就じゅすることを*得えたまへるがゆゑにº とのたまへり。

▼云何ガ廻向スル。不ズシテ↠捨テ↢一切苦悩ノ衆生ヲ↡、心ニ常ニ作願スラク、廻向ヲ為シテ↠首ト得タマヘルガ↣成↢就スルコトヲ大悲心ヲ↡故 ヘニトノタマヘリ。

^◆回え向こうに二に種しゅの相そうあり。 一ひとつには往相おうそう、 二ふたつには還相げんそうなり。 ◆往相おうそうとは、 おのれが功く徳どくをもつて一切いっさい衆しゅ生じょうに回施えせして、 *作さ願がんしてともに阿あ弥陀みだ如来にょらいの安楽あんらく浄じょう土どに往おう生じょうせしめたまへるなり」 と。 抄出

▼廻向ニ有リ↢二種ノ相↡。一ニ者往相、二ニ者還相ナリ。往相ト者ハ、以テ↢己 レガ功徳ヲ↡廻↢施シテ一切衆生ニ↡、作願シテ共ニ往↢生セシメタマヘルナリト阿弥陀如来ノ安楽浄土ニ↡。」*抄出

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)西河引意(¬安楽集¼四文)
                (a)正しく念仏三昧の徳を明かす
                  (イ)第一大門中宗旨不同

・念仏功能

【20】^¬*安楽あんらく集しゅう¼ (上) にいはく、

▼¬*安0029楽集ニ¼云ク、

^「¬*観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ にいはく、 ª^▲*父ちちの王おうを勧すすめて念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうぜしめたまふ。

「¬観仏三昧経ニ¼云ク、▼令メタマフ↧勧メテ↢父ノ王ヲ↡行ゼ↦念仏三昧ヲ↥。

^◆父ちちの王おう、 仏ぶつにまうさく、 «仏ぶつ地じの果か徳とく、 真しん0160如にょ実相じっそう第一だいいち義ぎ空くう、 なにによりてか弟子でしをしてこれを行ぎょうぜしめざる» と。

父ノ王白サク↠仏ニ、仏地ノ果徳、真如実相第一義空、何ニ因リテカ不ルト↠*遣シケンメ↢弟子ヲシテ行ゼ↟之ヲ。

^◆仏ぶつ、 父ちちの王おうに告つげたまはく、 «諸仏しょぶつの果か徳とく、 無む量りょう深じん妙みょうの境きょう界がい、 神通じんずう解げ脱だつまします。 これ凡ぼん夫ぶの所しょ行ぎょうの境きょう界がいにあらざるがゆゑに、 父ちちの王おうを勧すすめて念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうぜしめたてまつる» と。

仏告ゲタマハク↢父ノ王ニ、諸仏ノ果徳、有マシマス↢无量深妙ノ境界、神通解脱↡。非ザルガ↢是レ凡夫ノ所行ノ境界ニ↡故ニ勧メテ↢父ノ王ヲ↡行ゼシメタテマツルト↢念仏三昧ヲ↡。

^◆父ちちの王おう、 仏ぶつにまうさく、 «念仏ねんぶつの功こう、 その状かたちいかんぞ» と。

父ノ王白ク↠仏ニ、念仏之功、其ノ状カタチ云何ゾト。

^◆仏ぶつ、 父ちちの王おうに告つげたまはく、 «伊い蘭らん林りんの方ほう四し十じゅう由ゆ旬じゅんならんに、 一いっ科かの牛頭ごず栴檀せんだんあり。 根こん芽げありといへどもなほいまだ土つちを出いでざるに、 その伊い蘭らん林りんただ臭くさくして香こうばしきことなし。 もしその華菓けかを*噉だんすることあらば、 狂きょうを発ほっして死しせん。 後のちの時ときに栴檀せんだんの根こん芽げやうやく生長しょうちょうして、 わづかに樹きにならんとす。 香こう気け昌盛しょうじょうにして、 つひによくこの林はやしを改変かいへんしてあまねくみな香こう美みならしむ。 衆しゅ生じょう見みるものみな希有けうの心しんを生しょうぜんがごとし» と。

仏告ゲタマハク↢*父ノ王ニ↡、如シト↧伊*蘭ランワル林キ ノ方四十由旬ナラムニ、有リ↢一科クワノ牛頭栴檀↡、雖モ↠有リト↢*根芽ゲクキ↡猶未ダ ルニ↠出デ↠土ヲ、其ノ伊蘭林唯*臭クサシユクシテ無シ↠香バシキキコト、若シ有ラバ↠*噉ダンスルコトナムル クラフ ↢其ノ華菓ヲ↡、発↠*狂ヲクルウ而シテ死セム、後ノ時ニ栴檀ノ*根芽漸漸ク生長シテ、纔ワヅカニ欲ス↠成ラムト↠樹キニ、香気昌シヤウ*盛ニシテ、遂ツイニ能ク*改カイ↢アラタム変シテ此ノ林ヲ↡普ク皆香*美ミナラシム、衆生見ル者 ノ皆生ゼムガ↦希有ノ心ヲ↥。

^◆仏ぶつ、 父ちちの王おうに告つげたまはく、 «一切いっさい衆しゅ生じょう、 生しょう死じのなかにありて念仏ねんぶつの心しんもまたかくのごとし。 ただよく念ねんを繋かけて止やまざれば、 さだめて仏前ぶつぜんに生しょうぜん。 一ひとたび往おう生じょうを得うれば、 すなはちよく一切いっさいの諸悪しょあくを改変かいへんして大だい慈悲じひを成じょうぜんこと、 かの香樹こうじゅの伊い蘭らん林りんを改あらたむるがごとし»º と。

仏告ゲタマハク↢父ノ王ニ↡、一切衆生、在リテ↢生死ノ中ニ↡念仏之心モ亦復 マタ 如シ↠是クノ。但能ク繋ケテ↠念ヲ不レバ↠止ヤマ、定メテ生ゼム↢仏前ニ↡。一タビ得ウレバ↢往生ヲ↡、即チ能ク改↢変シテ一切ノ諸悪ヲ↡成ゼムコト↢大慈悲ヲ↡、如シト↣彼ノ香樹ノ改ムルガ↢伊蘭林ヲ↡。

^◆いふところの ª伊い蘭らん林りんº とは、 衆しゅ生じょうの身みの内うちの三毒さんどく・三さん障しょう、 無む辺へんの重じゅう罪ざいに喩たとふ。 ª栴檀せんだんº といふは、 衆しゅ生じょうの念仏ねんぶつの心しんに喩たとふ。 ªわづかに樹きと0161ならんとすº といふは、 いはく、 一切いっさい衆しゅ生じょうただよく念ねんを積つみて断たえざれば業道ごうどう成じょう弁べんするなり。

所ノ↠言イフ伊蘭林ト者ハ、喩フ↢衆生ノ身ノ内ノ三*毒・三障无辺ノ重罪ニ↡。言フ↢栴檀ト↡者ハ、喩フ↢衆生ノ念仏之心ニ↡。纔ワヅカニ欲ストイフ↠成ラムト↠樹キト者ハ、謂ク一切衆生但能ク積ツミテ↠念ヲ不レバ↠断ヘ業道成*弁スル也。

 ^◆問とうていはく、 一いち衆しゅ生じょうの念仏ねんぶつの功こうを計はかりてまた一切いっさいを知しるべし。 なにによりてか一念いちねんの功く力りきよく一切いっさいの諸しょ障しょうを断だんずること、 一ひとつの香樹こうじゅの、 四し十じゅう由ゆ旬じゅんの伊い蘭らん林りんを改あらためて、 ことごとく香こう美みならしむるがごとくならんやと。

問ウテ曰ク、*計ケシテハカリテ↢*一衆生ノ念仏之功ヲ↡亦応シ↢一切ヲ知ル↡。何ニ因リテカ一念之功力能ク断ズルコト↢一切ノ諸障ヲ↡、如クナラム↧一ノ香樹ノ改アラタメテ↢四十由旬ノ伊蘭林ヲ↡、悉ク使ムルガ↦香美ナラ↥也ヤト。

 ^◆答こたへていはく、 諸しょ部ぶの大だい乗じょうによりて念仏ねんぶつ三昧ざんまいの功く能のうの不可ふか思議しぎなるを顕あらわさんとなり。

答ヘテ曰ク、依リテ↢諸*部ノ大乗ニ↡顕サムト↢念仏三昧ノ功能ノ不可思議ナルヲ↡也。

^◆いかんとならば ¬*華け厳ごん経ぎょう¼ にいふがごとし。 ª^たとへば人ひとありて、 獅子ししの筋すじを用もちゐて、 もつて琴ことの絃おとせんに、 音おん声じょう一ひとたび奏そうするに一切いっさいの余よの絃おことごとくみな断だん壊えするがごとし。 もし人ひと菩ぼ提だい心しんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうずれば、 一切いっさいの煩悩ぼんのう、 一切いっさいの諸しょ障しょう、 ことごとくみな断滅だんめつすと。

何者イカントナラバ如0030シ↢¬*華厳経ニ¼云フガ↡。譬ヘバ如シ↧有リテ↠人、用モテ↢師子ノ筋スヂヲ↡以テ為セムニ↢琴コトノ絃ヲト↡、音声一タビ奏ソウスルニ一切ノ余ノ絃悉ク皆断壊スルガ↥。若シ人菩提心ノ中ニ行ズレ↢念仏三昧ヲ↡者バ、一切ノ煩悩、一切ノ諸障、悉ク皆断滅スト。

^◆また人ひとありて、 牛ご・羊よう・驢馬ろめ一切いっさいのもろもろの乳ちちを*搆しぼり取とりて一いっ器きのなかに置おかんに、 もし獅子ししの乳ちち一渧いったいをもつてこれを投なぐるに、 ただちに過すぎて難はばかりなし、 一切いっさいの諸しょ乳にゅうことごとくみな破壊はえして変へんじて清しょう水すいとなるがごとし。 もし人ひとただよく菩ぼ提だい心しんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうずれば、 一切いっさいの悪あく魔ま諸しょ障しょうただちに過すぐるに難はばかりなしº と。

亦如シ↧有リテ↠人搆シボシ↢取リテ*牛・羊・*驢ロ馬一切ノ諸ノ乳ヲ↡置ヲカムニ↢一器ノ中ニ↡、若シ*将モテマサニ↢師子ノ乳一渧ヲ↡*投トウルニナグルニ↠之ヲ、直ニ過スギテ无シ↠難ハヾカリ、一切ノ諸乳悉ク皆破壊シテヤブル 変ジテ為ナルガ↦清水ト↥。若シ人但能ク菩提心ノ中ニ行ズレ↢念仏三昧ヲ↡者バ、一切ノ悪魔諸障直ニ過スグルニ无シ↠難ハヾカリ。

^◆またかの ¬経きょう¼ (華厳経) にいはく、 ª^たとへば人ひとありて、 翳身えいしん薬やくをもつて処々しょしょに0162遊ゆ行ぎょうするに、 一切いっさいの余よ行ぎょうこの人ひとを見みざるがごとし。 もしよく菩ぼ提だい心しんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを行ぎょうずれば、 一切いっさいの悪神あくじん、 一切いっさいの諸しょ障しょう、 この人ひとを見みず、 もろもろの処々しょしょに随したがひてよく遮しゃ障しょうすることなきなり。

又彼ノ¬経ニ¼云ク、譬ヘバ如シ↧有リテ↠人持モテ↢*翳エイカクス身薬ヲ↡処処ニ*遊行スルニ、一切ノ余行不ルガ↞見↢是ノ人ヲ↡。若シ能ク菩提心ノ中ニ行ズレ↢念仏三昧ヲ↡者バ、一切ノ悪神、一切ノ諸障、不↠見↢是ノ人ヲ↡、随ヒテ↢諸ノ処処ニ↡无キ↢能ク*遮シヤサイギル障スルコト↡也。

^◆なんがゆゑぞとならば、 よくこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを念ねんずるは、 すなはちこれ一切いっさい三昧さんまいのなかの王おうなるがゆゑなりº」 と。

何ガ故ゾトナラバ能ク念ズルハ↢此ノ念仏三昧ヲ↡、即チ是一切三昧ノ中ノ王ナルガ故 ヘ也ト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)(a)(ロ)第四大門中第三問答解釈

【21】^またいはく (安楽集・下)、

▼*又云ク、

・諸障皆除

^「▲¬摩訶まか衍えん¼ のなかに説ときていふがごとし。 ª^諸しょ余よの三昧さんまいは三昧さんまいならざるにはあらず。

「如シ↢¬▼摩訶衍カン反エン反ノ¼中ニ説キテ云フガ↡。諸余ノ三昧ハ非ズ↠不ルニハ↢三昧ナラ↡。

^◆なにをもつてのゆゑに、 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく貪とんを除のぞいて瞋しん痴ちを除のぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく瞋しんを除のぞいて痴ち貪とんを除のぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく痴ちを除のぞいて瞋しんを除のぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく現在げんざいの障さわりを除のぞいて過去かこ・未み来らいの一切いっさい諸しょ障しょうを除のぞくことあたはず。

何ヲ以テノ故ニ。或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除イテ↠貪ヲ不↠能ハ↠除クコト↢瞋痴チヲ↡。或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除イテ↠瞋ヲ不↠能ハ↠除クコト↢痴貪ヲ↡。或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除イテ↠痴ヲ不↠能ハ↠除クコト↠瞋ヲ。或イハ有リ↢三昧↡、但能ク除イテ↢現在ノ障ヲ↡不↠能ハ↠除クコト↢過去・未来ノ一切諸障ヲ↡。

^◆もしよくつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいを修しゅすれば、 現在げんざい・過去かこ・未み来らいの一切いっさい諸しょ障しょうを問とふことなくみな除のぞくなりº」 と。

若シ能ク常ニ修スレバ↢念仏三昧ヲ↡、无ク↠問フコト↢現在・過去・未来ノ一切諸障ヲ↡皆除ク*也ト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)(a)(ハ)第五大門中修道延促

【22】^またいはく (安楽集・下)、

▼*又云ク、

・具足功徳

^「▲¬大だい経きょうの讃さん¼ (*讃弥陀偈) にいはく、

「¬大経ノ¼賛ニ云ク、

^◆ªもし阿あ弥陀みだの徳号とくごうを聞ききて歓かん喜ぎ讃仰さんごうし、 心しん帰依きえすれば、 下しも一念いちねんに至いたるまで大だい利りを得う。 すなはち功く徳どくの宝ほうを具ぐ足そくすとす。

若シ聞キテ↢阿弥陀ノ徳号ガウヲ↡歓喜賛仰シ *心帰依スレバ
下 モ至ルマデ↢一念0031ニ↡得↢大利ヲ↡則チ為ス↣具↢足スト功徳ノ宝ヲ↡

^◆たとひ大千だいせん世せ界かいに満みてらん火ひをも、 またただちに過すぎて仏ぶつの名みなを聞きくべし。 阿あ弥陀みだを聞きかばまた退たいせず。 このゆゑに心しんを0163至いたして稽首けいしゅし礼らいしたてまつるº」 と。

設ヒ満テラム↢大千世界ニ↡火ヲモ亦応シ↣直ニ過ギテ聞ク↢仏ノ名ヲ↡
聞カバ↢阿弥陀ヲ↡不ズ↢復退セ↡是ノ故ニ至シテ↠心ヲ稽ケ首シウシ礼シタテマツルト」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)(b)易行を結勧す(第三大門中第四引教勧信)

【23】^またいはく (安楽集・上)、

▼又*云ク、

・証誠勧信

^「▲また ¬*目連もくれん所問しょもん経ぎょう¼ のごとし。 ª^仏ぶつ、 目連もくれんに告つげたまはく、 «たとへば万川ばんせん長流ちょうりゅうに草木そうもくありて、 前まえは後うしろを顧かえりみず、 後うしろは前まえを顧かえりみず、 すべて大海だいかいに会えするがごとし。 世せ間けんもまたしかなり。 豪ごう貴き富ふ楽らく自じ在ざいなることありといへども、 ことごとく生しょう老ろう病びょう死しを勉まぬかるることを得えず。 ただ仏ぶっ経きょうを信しんぜざるによりて、 後世ごせに人ひととなつて、 さらにはなはだ困こん劇ぎゃくして千せん仏ぶつの国こく土どに生しょうずることを得うることあたはず。

「又如シ↢¬*目連所問経ノ¼↡。仏告ゲタマハク↢目連ニ↡、譬ヘバ如シ↧万*川長流ニ有リテ↢草木↡、前ハ不↠顧カヘリミ↠後ヲ、後ハ不↠顧↠前ヲ、都スベテ会スルガ↦大海ニ↥。世間モ亦爾ナリ。雖モ↠有リト↢豪貴富フ楽自在ナルコト↡、悉ク不ズ↠得↠勉マヌカルヽコトヲ↢生老病死ヲ↡。只由リテ↠不ルニ↠信ゼ↢仏経ヲ↡、後世ニ為ナテ↠人ト、更サラニ甚ダ困コン*劇ギヤクハゲシシテ不↠能ハ↠得ルコト↠生ズルコトヲ↢千仏ノ国土ニ↡。

^◆このゆゑにわれ説とかく、 "無む量りょう寿じゅ仏国ぶっこくは往ゆき易やすく取とり易やすくして、 人ひと、 修しゅ行ぎょうして往おう生じょうすることあたはず、 かへつて九く十じゅう五ご種しゅの邪道じゃどうに事つかふ" と。 われこの人ひとを説ときて眼まなこなき人ひとと名なづく、 耳みみなき人ひとと名なづく»º と。

是ノ故ニ我説トカク、无量寿仏国ハ易ク↠往キ易ク↠取リ而シテ人不ズ↠能ハ↢修行シテ往生スルコト↡、反カヘテ事ツカフト↢九十五種ノ邪道ニ↡。我説キテ↢是ノ人ヲ↡▼名ク↢无キ↠眼人ト↡、名クト↢无キ↠耳人ト↡。

^◆経教きょうきょうすでにしかなり。 なんぞ難なんを捨すてて易い行ぎょう道どうによらざらん」 と。 以上

経教既スデニ爾ナリ。何ゾ不ラムト↣捨テヽ↠難ヲ依ラ↢易行道ニ↡矣。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)終南引意
                (a)正しく宗師を挙ぐ
                  (イ)引文
                    [一]¬礼讃¼五文

1.前序(一行三昧) ・称名易行 ・不簡機類

【24】^*光こう明みょう寺じの和か尚しょう (*善導) のいはく (*礼讃)、

▼*光明寺ノ和尚ノ云ク、

^「▲また ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃ¼ にいふがごとし。 ª^一いち行ぎょう三昧ざんまいを明あかさんと欲おもふ。 ただ勧すすめて、 独ひとり空閑くうげんに処しょしてもろもろの乱らん意いを捨すてて、 心こころを一仏いちぶつに係かけて相そう貌みょうを観かんぜず、 もつぱら名みょう字じを称しょうすれば、 すなはち念ねんのなかにおいて、 かの阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび一切いっさいの仏ぶつ等とうを見みるこ0164とを得うº といへり。

「*又如シ↢¬文殊般若ニ¼云フガ↡。欲フ↠明サムト↢一行三昧ヲ↡。唯勧メテ、▼独リ処シテ↢空*閑ニ↡シヅカナリ捨テテ↢諸ノ乱意ヲ↡、係カケテ↢心ヲ一仏ニ↡不ズ↠観ゼ↢相*貌メウカタチヲ↡、専ラ称スレバ↢名字ヲ↡、即チ於テ↢念ノ中ニ↡得ウトイヘリ↠見ルコトヲ↢彼ノ阿弥陀仏及ビ一切ノ仏等ヲ↡。

 ^◆問とうていはく、 なんがゆゑぞ観かんをなさしめずして、 ただちにもつぱら名みょう字じを称しょうせしむるは、 なんの意こころかあるやと。

▼問ウテ曰ク、何ガ故ゾ不ズシテ↠令メ↠作サ↠観ヲ、直ニ遣シケンムル↣専ラ称セ↢名字ヲ↡者ハ、有ル↢何ノ意カ↡也ヤト。

 ^◆答こたへていはく、 いまし衆しゅ生じょう障さわり重おもくして、 境きょうは細さいなり、 心しんは粗そなり。 識しき颺あがり、 神じん飛とびて、 観かん成じょう就じゅしがたきによりてなり。 ここをもつて大だい聖しょう (釈尊) 悲ひ憐れんして、 ただちに勧すすめてもつぱら名みょう字じを称しょうせしむ。 まさしく称名しょうみょう易やすきに由よ (由ゆの字じ、 行ぎょうなり、 経きょうなり、 従じゅうなり、 用ゆうなり) るがゆゑに、 相続そうぞくしてすなはち生しょうずと。

▼答ヘテ曰ク、乃シ由リテ↣衆生障リ重クシテ、境ハ*細サイナリコマカニ 心ハ*麁ソアラシナリ、*識シキタマシイ颺アガリ神ジン飛ブテ、観難キニ↢成就シ↡也。是ヲ以テ大聖悲*憐レンシテアワレム 、直ニ勧メテ専ラ称セシム↢名字ヲ↡。▼正シク由ルガ↢ *由字 以周反 行也 経也 従ジユヨル也 用也 称名易キニ↡故ニ、相続シテ即チ生ズト。

1.前序(一行三昧) ・称名易行 ・不問多少

 ^◆問とうていはく、 すでにもつぱら一いち仏ぶつを称しょうせしむるに、 なんがゆゑぞ境きょう現げんずることすなはち多おおき。 これあに邪じゃ正しょうあひ交まじはり、 一いっ多た雑現ぞうげんするにあらずやと。

▼問ウテ曰ク、既ニ遣シムルニ↣専ラ称セ↢一仏ヲ↡、何ガ故ゾ*境サカイ現ズルコト即チ多キ。此 レ豈 ニ非ズ↢邪正相 ヒ交マジハリ、一多雑0032現スルニ↡也ヤト。

 ^◆答こたへていはく、 仏ぶつと仏ぶつと斉ひとしく証しょうして形かたち二にの別べつなし。 たとひ一いちを念ねんじて多たを見みること、 なんの大だい道どう理りにか乖そむかんや。

答ヘテ曰ク、▼仏ト仏ト*斉ヒトシクナル フタヽビ証シテ形无シ↢二ノ別↡。縦使 タトヒ 念ジテ↠一ヲ見ルコト↠多ヲ、乖ソムカム↢何ノ大道理ニカ↡也ヤ。

^◆また ¬観かん経ぎょう¼ にいふがごとし。 ^勧すすめて座ざ観かん礼念らいねん等とうを行ぎょうぜしむ。 みなすべからく面おもてを西方さいほうに向むかふは最さい勝しょうなるべし。 樹きの先さきより傾かたぶけるが倒たおるるに、 かならず曲まがれるに随したがふがごとし。 ゆゑにかならず事ことの礙さわりありて西方さいほうに向むかふに及およばずは、 ただ西にしに向むかふ想おもいをなす、 また得えたりと。

▼又如シ¬観経ニ¼云フガ↡。行ゼシム↢勧メテ座観礼念等ヲ↡。▼皆須スベカラクシ↧面ヲ向フ↢西方ニ↡者ハ最勝ナル↥。如シ↢樹キノ先ヨリ傾カタブケルガ倒タフルヽニ必ズ随フガ↟曲マガレルニ。故ニ必ズ有リテ↢事ノサワリ↡不ズ↠及バ↠向フニ↢西方ニ↡者ハ、但作ス↢向フ↠西ニ想ヲ↡、亦得タリト。

1.前序(一行三昧) ・称名易行 ・別願因縁

 ^◆問とうていはく、 一切いっさい諸仏しょぶつ、 三身さんしんおなじく証しょうし、 悲智ひち*果か円えんにしてまた無二むになるべし0165。 方ほうに随したがひて一いち仏ぶつを礼念らいねんし課か称しょうせんに、 また生しょうずることを得うべし。 なんがゆゑぞひとへに西方さいほうを嘆たんじてもつぱら礼念らいねん等とうを勧すすむる、 なんの義ぎかあるやと。

▼*問ウテ曰ク、一切諸仏、三身同ジク証シ、悲智果円ニシテ亦※応シ↢无二ナル↡。随ヒテ↠方ニ礼↢念シ課クワ↣オホセ称セムニ一仏ヲ↡、亦応シ↠得↠生ズルコトヲ。何ガ故ゾ偏ニ嘆ジテ↢西方ヲ↡勧ムル↢専ラ礼念等ヲ↡、有ル↢何ノ義カ↡也ヤト。

 ^◆答こたへていはく、 諸仏しょぶつの所しょ証しょうは平びょう等どうにしてこれ一いちなれども、 もし願がん行ぎょうをもつて来きたし取おさむるに因縁いんねんなきにあらず。

▼答ヘテ曰ク、諸仏ノ所証ハ平等ニシテ是一ナレドモ、▼若シ以テ↢願行ヲ↡来 タシ*取ルニ非ズ↠无キニ↢因縁↡。

^◆しかるに弥陀みだ世せ尊そん、 もと深じん重じゅうの誓願せいがんを発おこして、 ▽光こう明みょう・名みょう号ごうをもつて十方じっぽうを摂せっ化けしたまふ。 ただ信心しんじんをして求ぐ念ねんせしむれば、 上かみ一いち形ぎょうを尽つくし、 下しも十じっ声しょう一いっ声しょう等とうに至いたるまで、 仏願ぶつがん力りきをもつて往おう生じょうを得え易やすし。 このゆゑに釈しゃ迦かおよび諸仏しょぶつ、 勧すすめて西方さいほうに向むかふるを別べつ異いとすならくのみ。 またこれ余よ仏ぶつを称しょう念ねんして障さわりを除のぞき、 罪つみを滅めっすることあたはざるにはあらざるなりと、 知しるべし。

然ルニ弥陀世尊、▼本 ト発シテ↢深重ノ誓願ヲ↡、▼以テ↢光明・名号ヲ↡摂↢化シタマフ十方ヲ↡。▼但使ムレバ↢▼信心ヲシテ求念セ↡、▼上 ミ尽シ↢一形ヲ↡、下至ルマデ↢十声一声等ニ↡、以テ↢▼仏願力ヲ↡▼易シ↠得↢往生ヲ↡。是ノ故ニ釈迦及以 オヨビ 諸仏、勧メテ向ウルヲ↢西方ニ↡為ス↢別異ト↡耳ナラクノミト。▼亦非ザル↧是レ称↢念シテ余仏ヲ↡不ルニハ↞能ハ↢除キ↠障ヲ滅スルコト↟罪ヲ也ト、応シ↠知ル。

1.前序(一行三昧) ・専修勝徳

^◆もしよく上かみのごとく念々ねんねん相続そうぞくして、 畢ひつ命みょうを期ごとするものは、 *十じっ即そく十じっ生しょう、 百ひゃく即そく百ひゃく生しょうなり。 なにをもつてのゆゑに、 外げの雑ぞう縁えんなし、 *正しょう念ねんを得えたるがゆゑに、 仏ぶつの本願ほんがんと相応そうおうすることを得うるがゆゑに、 教きょうに違いせざるがゆゑに、 仏ぶつ語ごに随ずい順じゅんするがゆゑなり」 と。 以上

▼若シ能ク▼如ク↠上ノ▼念念相続シテ▼畢命ヲ為スル↠期ト者 ノハ、▼十即十生、百即百生ナリ。何ヲ以テノ故ニ。▼無シ↢外ノ雑縁↡得タルガ↢正念ヲ↡故ニ、▼与ト↢仏ノ本願↡得ルガ↢相応スルコトヲ↡故ニ、▼不ルガ↠違セ↠教ニ故ニ、▼随↢順スルガ仏語ニ↡故 ヘナリト。」 已上

2.日没讃(摂取不捨)

【25】^またいはく (礼讃)、

▼又*云ク、

^「▲ただ念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを観みそなはして、 摂取せっしゅして捨すてざるがゆゑに、 阿あ弥陀みだと名なづく」 と。 以上

「唯観ミソナハシテ↢念*仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不ザルガ↠捨テ故ニ、*名クト↢阿弥陀ト↡。」 已上

3.初夜讃(名号摂化)

【26】^またいはく (礼讃)、

▼又云ク、

^「▲弥陀みだの智ち願がん海かいは、 深広じんこうにして涯底がいたいなし。 名みなを0166聞ききて往おう生じょうせんと欲おもへば、 みなことごとくかの国くにに到いたる。

「▼弥陀ノ智願海ハ深広ニシテ无シ↢*涯ガイ底テイ↡
聞キテ↠名ヲ欲ヘバ↢往生セムト↡皆悉ク到ルト↢彼ノ国ニ↡

^▲たとひ大千だいせんに満みてらん火ひにも、 ただちに過すぎて仏ぶつの名みなを聞きけ。 名みなを聞ききて歓かん喜ぎし讃さんずれば、 みなまさにかしこに生しょうずることを得うべし。

▼設ヒ満テラム↢大千ニ↡火ニモ直ニ過ギテ聞ケ↢仏ノ名ヲ↡
聞キテ↠名ヲ歓喜シ讃ズレバ皆当ニシ↠得ウ↠生ズルコトヲ↠彼 コニ

^▲万年まんねんに三宝さんぼう滅めっせんに、 この経きょう住じゅうすること百ひゃく年ねんせん。 その時とき聞ききて一念いちねんせん。 みなまさにかしこに生しょうずることを得うべし」 と。 抄要

万年ニ三宝滅セムニ此ノ経住0033スルコト百年セム
爾ノ時聞キテ一念セム皆当ニシト↠得↠生ズルコトヲ↠彼ニ」 抄要

4.後序(求願往生)

【27】^またいはく (礼讃)、

▼又云ク、

^「▲現げんにこれ生しょう死じの凡ぼん夫ぶ、 罪ざい障しょう深じん重じゅうにして六道ろくどうに輪りん廻ねせり。 苦くるしみいふべからず。 いま善ぜん知ぢ識しきに遇あひて弥陀みだ本願ほんがんの名みょう号ごうを聞きくことを得えたり。 一心いっしんに称しょう念ねんして往おう生じょうを求ぐ願がんせよ。 願ねがはくは仏ぶつの慈悲じひ、 本ほん弘ぐ誓ぜい願がんを捨すてたまはざれば、 弟子でしを*摂しょう受じゅしたまへり」 と。 以上

「現ニ是生死ノ凡夫、罪障深重ニシテ輪↢回セリ六道ニ↡。苦シミ不↠可カラ↠言フ。今遇ヒテ↢善知識ニ↡得タリ↠聞クコトヲ↢弥陀本願ノ名号ヲ↡。一心ニ称念シテ求↢願セヨト往生ヲ↡。願クハ仏ノ慈悲、不レバ↠捨テタマハ↢本弘誓願ヲ↡、摂↢受シタマフベシト弟子ヲ↡。」 已上

5.後序(四種増上縁)

【28】^またいはく (礼讃)、

▲又云ク、

^「▲問とうていはく、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょう念ねんし礼観らいかんして、 現げん世ぜにいかなる功く徳どく利り益やくかあるやと。

「▼問ウテ曰ク、称↢念シ礼↣観シテ阿弥陀仏ヲ↡、現世ニ有ルヤト↢何ナル功徳利益カ↡。

5.後序(四種増上縁) ・滅罪縁

 ^◆答こたへていはく、 もし阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょうすること一いっ声しょうするに、 すなはちよく八はち十じゅう億おく劫こうの生しょう死じの重じゅう罪ざいを除滅じょめつす。 礼念らいねん以下いげもまたかくのごとし。

答ヘテ曰ク、若シ称スルコト↢阿弥陀仏ヲ↡一声スルニ、即チ能ク除↢滅ス八十億劫ノ生死ノ重罪ヲ↡。礼念已下モ亦如シ↠是クノ。

5.後序(四種増上縁) ・護念縁 一

^▼¬*十じゅう往おう生じょう経きょう¼ にいはく、 ª^もし衆しゅ生じょうありて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうを願がんずれば、 かの仏ぶつすなはち二に十じゅう五ご菩ぼ薩さつを遣つかはして、 行ぎょう者じゃを擁よう護ごして、 もしは行ぎょうもしは座ざ、 もしは住じゅうもし0167は臥が、 もしは昼ちゅうもしは夜や、 一切いっさい時じ・一切いっさい処しょに、 悪あく鬼き・悪神あくじんをしてその便たよりを得えしめざるなりº と。

▼¬十往生経ニ¼云ク、若シ有リテ↢衆生↡、念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡願ズレ↢往生ヲ↡者バ、彼ノ仏即チ遣ツカハシテ↢二十五菩薩ヲ↡擁オウ↢護シテ行者ヲ↡、若シハ行若シハ座、若シハ住若シハ臥、若シハ昼若シハ夜、一切時・一切処ニ、不ル↠令メ↣悪鬼・悪神ヲシテ得↢其ノ便ヲ↡也ト。

5.後序(四種増上縁) ・護念縁 二

^◆また ¬観かん経ぎょう¼ にいふがごとし。 ª^もし阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょうし礼念らいねんしてかの国くにに往おう生じょうせんと願ねがへば、 かの仏ぶつすなはち無む数しゅの化け仏ぶつ、 無む数しゅの化け観音かんのん・勢せい至し菩ぼ薩さつを遣つかはして、 行ぎょう者じゃを護ご念ねんしたまふ。 また前さきの二に十じゅう五ご菩ぼ薩さつ等とうと百重ひゃくじゅう千せん重じゅう行ぎょう者じゃを囲い繞にょうして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが、 一切いっさい時じ処しょ、 もしは昼ちゅうもしは夜やを問とはず、 つねに行ぎょう者じゃを離はなれたまはずº と。

▼又如シ↢¬観経ニ¼云フガ↡。若シ称シ↢礼↣念シテ阿弥陀仏ヲ↡願ヘ↣往↢生セムト彼ノ国ニ↡者バ、彼ノ仏即チ遣シテ↢无数ノ化仏、无数ノ化観音・勢至菩薩ヲ↡、護↢念シタマフ行者ヲ↡。復与ト↢前ノ二十五菩薩等↡百重千重囲↢繞シテ行者ヲ↡、不ズ↠問ハ↢行住坐臥、一切時処、若シハ昼若シハ夜ヲ↡、常ニ不ズト↠離レタマハ↢行者ヲ↡。

^◆いますでにこの勝しょう益やくまします。 憑たのむべし。 願ねがはくはもろもろの行ぎょう者じゃ、 おのおの*至し心しんを須もちゐて往ゆくことを求もとめよ。

今既ニ有マシマス↢斯ノ勝益↡。可シ↠憑タノヘウム。願クハ諸ノ行者、各ノ※須モチヰテ↢至心ヲ↡求メヨ↠往ズルコトヲ。

5.後序(四種増上縁) ・摂生縁

^◆また ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にいふがごとし。 ª^もしわれ成じょう仏ぶつせんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを称しょうせん。 下しも十じっ声しょうに至いたるまで、 もし生うまれずは、 正しょう覚がくを取とらじº と。

▼又如シ↢¬无量寿経ニ¼云フガ↡。若シ我成仏セムニ、十方ノ衆生、▼称セム↢我名号ヲ↡。下至ルマデ↢十声ニ↡、若シ不ズ↠生レ者ハ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。

^◆かの仏ぶついま現げんにましまして成じょう仏ぶつしたまへり。 まさに知しるべし、 本誓ほんぜい重じゅう願がん虚むなしからず、 衆しゅ生じょう称しょう念ねんすればかならず往おう生じょうを得うと。

彼ノ仏今現ニ在マシマシテ成仏シタマヘリ。当ニシ↠知ル、本誓重願不ズ↠虚シカラ、衆0034生称念スレバ必ズ得ウト↢往生ヲ↡。

5.後序(四種増上縁) ・証生縁

^◆また ¬弥陀みだ経きょう¼ にいふがごとし。 ª^«もし衆しゅ生じょうありて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを説とくを聞ききて、 すなはち名みょう号ごうを執しゅう持じすべし。 もしは一日いちにち、 もしは二に日にち、 乃ない至し七日しちにち、 一心いっしんに仏ぶつを称しょうして乱みだれざれ。 命いのち終おわらんとする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 もろもろの聖しょう衆じゅと現げんじてその前まえにましまさん。 この人ひと終おわらん時とき、 心しん顛倒てんどうせず、 すなはちかの国くにに往おう生じょうすることを得えん» と。 ^仏ぶつ、 舎しゃ利り0168弗ほつに告つげたまはく、 «われこの利りを見みるがゆゑにこの言ごんを説とく。 もし衆しゅ生じょうありて、 この説せつを聞きかんものは、 まさに願がんを発おこし、 かの国くにに生しょうぜんと願がんずべし»º と。

▼又如シ¬弥陀経ニ¼云フガ↡。若シ有リテ↢衆生↡、聞キテ↠説クヲ↢阿弥陀仏ヲ↡、即チ応シ↣執↢持ス名号ヲ↡。若シハ一日若シハ二日乃至七日、一心ニ称シテ↠仏ヲ不レ↠乱レ。命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏与ト↢諸ノ聖衆↡現ジテ在マシマサム↢其ノ前ニ↡。此ノ人終ラム時 キ、心不ズ↢顛倒セ↡、即チ得ムト↣往↢生スルコトヲ彼ノ国ニ↡。仏告ゲタマハク↢舎利弗ニ↡、我見ルガ↢是ノ利ヲ↡故ニ説ク↢是ノ言ヲ↡。若シ有リテ↢衆生↡聞カム↢是ノ説ヲ↡者 ノハ、応シト↢当ニ発シ↠願ヲ願ズ↟生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。

^◆次下つぎしもに説ときていはく、 ª^東方とうぼうの如にょ恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつ、 南西なんざい北方ほっぽうおよび上じょう下げ一々いちいちの方ほうに恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつのごとき、 おのおの本国ほんごくにしてその舌相ぜっそうを出いだして、 あまねく三千さんぜん大千だいせん世せ界かいに覆おおひて誠じょう実じつの言ごんを説ときたまはく、 «なんだち衆しゅ生じょう、 みなこの一切いっさい諸仏しょぶつの護ご念ねんしたまふところの経きょうを信しんずべし» と。

次下ニ説キテ云ク、東方如恒河沙等ノ諸仏、南西北方及ビ上下一一ノ方ニ如キ↢恒河沙等ノ諸仏ノ↡、各ノ於シテ↢本国ニ↡出シテ↢其ノ舌相ヲ↡、徧ク覆ヒテ↢三千大千世界ニ↡説キタマハク↢誠実ノ言ヲ↡、汝等ナンダチ衆生、皆応シト↠信ズ↧是ノ一切諸仏ノ所ノ↢護念シタマフ↡経ヲ↥。

^◆いかんが «護ご念ねん» と名なづくると。 もし衆しゅ生じょうありて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょう念ねんせんこと、 もしは七日しちにち、 一日いちにち、 下至げし▽一いっ声しょう、 乃ない至し十じっ声しょう一念いちねん等とうに及およぶまで、 かならず往おう生じょうを得うと。 この事じを証誠しょうじょうせるがゆゑに護ご念ねん経ぎょうと名なづくº と。

▼云何 イカン ガ名クルト↢護*念ト↡。若シ有リテ↢衆生↡、称↢念セムコト阿弥陀仏ヲ↡、若シハ七日、及ブマデ↢一日下至一声乃至十声一念等ニ↡、必ズ得ト↢往生ヲ↡。証↢成セルガ此ノ事ヲ↡故ニ名クト↢護念経ト↡。

^◆次下つぎしもの文もんにいはく、 ª^もし仏ぶつを称しょうして往おう生じょうするものは、 つねに六方ろっぽう恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつのために護ご念ねんせらる。 ゆゑに護ご念ねん経ぎょうと名なづくº と。

▼次下ノ文ニ云ク、若シ称シテ↠仏ヲ往生スル者 ノハ、常ニ為ニ↢六方恒河沙等ノ諸仏之↡所ル↢護念セ↡。故ニ名クト↢護念経ト↡。

^◆いますでにこの増ぞう上じょうの誓願せいがんいます、 憑たのむべし。 もろもろの仏ぶっ子し等とう、 なんぞ意こころを励はげまして去ゆかざらんや」 と。

今既ニ有イマス↢此ノ増上ノ誓願↡、可シ↠憑タノム。諸ノ仏子等、何ゾ不ラム↢励ハゲマシテ↠意ヲ*去サラユ カ↡也ヤト。」

*智ち昇しょう法ほっ師しの ¬*集しゅう諸しょ経きょう礼懴らいさん儀ぎ¼ の下げ巻かんは善導ぜんどう和か尚しょうの ¬礼讃らいさん¼ なり。 これによる。

智昇法師ノ¬集諸経*礼懴儀ノ¼下巻者善導和尚ノ¬礼懴¼也。依ル↠之ニ。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(イ)[二]「玄義分」二文

【29】^またいはく (*玄義分)、

▼又云ク、

1.弘願釈(全託法体)

^「▲弘ぐ願がんといふは ¬大だい経きょう¼ の説せつのごとし。 一切いっさい善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶ、 生しょうずることを得うるは、 みな阿あ弥陀みだ仏ぶつの大願だいがん業力ごうりきに乗じょう (乗じょうの字じ0169、 駕がなり、 勝しょうなり、 登とうなり、 守しゅなり、 覆ふくなり) じて増ぞう上じょう縁えんとせざるはなし」 と。

「言フ↢▼弘願ト↡者ハ如シ↢¬大経ノ¼説ノ↡。一切善悪ノ凡夫得ル↠生ズルコトヲ者ハ、莫ナキ↠不ルハ↧皆乗ジテ↢ *乗字 食陵反 *又宝証反 *駕ガノル也 勝也 登トウ也ノボル  守也マモル  *覆フク也オヽフ  阿弥陀仏ノ▼大願業力ニ↡為セ↦▼増上縁ト↥也ト。」

2.六字釈(願行具足)

【30】^またいはく (玄義分)、

又云ク、

^「▲南無なもといふは、 すなはちこれ帰き命みょうなり、 またこれ▽発願ほつがん回え向こうの義ぎなり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつといふは、 すなはちこれその行ぎょうなり。 この義ぎをもつてのゆゑにかならず往おう生じょうを得う」 と。

「▼言フ↢南无ト↡者ハ、即チ是帰命ナリ、亦是発願回向之義ナリ。言フ↢阿弥陀仏ト↡者ハ、▽即0035チ是其ノ行ナリ。以テノ↢斯ノ義ヲ↡故ニ▽必ズ得ウト↢往生ヲ↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(イ)[三]¬観念法門¼二文

【31】^またいはく (*観念法門)、

▼又云ク、

1.摂生増上縁

^「▲摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんといふは、 ◆¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の四し十じゅう八はち願がんのなかに説とくがごとし。 ª仏ぶつののたまはく、 «もしわれ成じょう仏ぶつせんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが国くにに生しょうぜんと願がんじて、 わが名みょう字じを称しょうすること、 下しも十じっ声しょうに至いたるまで、 わが願力がんりきに乗じょうじて、 もし生うまれずは正しょう覚がくを取とらじ»º と。 これすなはちこれ往おう生じょうを願がんずる行ぎょう人にん、 命いのち終おわらんとする時とき、 願力がんりき摂せっして往おう生じょうを得えしむ。 ゆゑに摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんと名なづく」 と。

「*言フ↢摂生増上縁ト↡者、如シ↢¬无量寿経ノ¼四十八願ノ中ニ説クガ↡。仏ノ言ハク、若シ我成仏セムニ、十方ノ衆生、願ジテ↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡、称スルコト↢我ガ名字ヲ↡、下 モ至ルマデ↢十声ニ↡、乗ジテ↢我ガ願力ニ↡、若シ不ズ↠生レ者ハ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。此レ即チ是願ズル↢往生ヲ↡行*人、命欲スル↠終ラムト時、願力摂シテ得エシム↢往生ヲ↡。故ニ*名クト↢摂生増上縁ト↡。」

2.証生増上縁

【32】^またいはく (観念法門)、

又云ク、

^「▲善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶ、 回え心しんし起き行ぎょうして、 ことごとく往おう生じょうを得えしめんと欲ほっす。 これまたこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり」 と。 以上

「欲ス↠使シメムト↣善悪ノ凡夫、回*心シ起行シテ、尽ク得エ↢往生ヲ↡。此コレ亦是証生増上縁ナリト。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(イ)[四]¬般舟讃¼

【33】^またいはく (*般舟讃)、

▼*又云ク、

・念仏真宗

^「▲門々もんもん不ふ同どうにして*八万はちまん四しなり。 無む明みょうと果かと業因ごういんとを滅めっせんための利り剣けんは、 すなはちこれ弥陀みだの号みななり。 一いっ声しょう称しょう念ねんするに罪つみみな除のぞこると。

「▼門門不同ニシテ▼八万四ナリ為ノ↠滅セム↢▼无明ト果ト業因トヲ↡
*利剣ハ 即チ是弥陀ノ号ミナナリ一声称念スルニ罪皆除コルト

^▲微み塵じんの故こ業ごうと*随ずい智ちと滅めっす。 覚おしへざるに真如しんにょの門もんに転てん入にゅうす。

▼微塵ノ故業ト随智ト滅ス▼不ルニ↠覚オシヘ ▼*覚字 教音 転↢入ス真如ノ門ニ↡

^▲娑しゃ0170婆ば長じょう劫ごうの難なんを免まぬかるることを得うることは、 ことに知ち識しき釈しゃ迦かの恩おんを蒙かぶれり。 種々しゅじゅの*思し量りょう巧ぎょう方便ほうべんをもつて、 選えらびて弥陀みだ弘ぐ誓ぜいの門もんを得えしめたまへり」 と。 以上抄要

得ルコトハ↠免ルルコトヲ↢娑婆長劫ノ難ヲ↡特コトニ蒙レリ↢知識釈迦ノ恩ヲ↡
種種ノ思量巧方便ヲモテ選ビテ得エシメタマヘリト↢弥陀弘誓ノ門ヲ↡」 已上抄要

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ロ)解釈【六字釈】

【34】^しかれば、 △「南無なも」 の言ごんは帰き命みょうなり。 「帰き」 の言ごんは、 至しなり、 また*帰き説えつなり、 説せつの字じは、 悦えつの音こえなり。 また*帰き説さいなり、 説せつの字じは、 税さいの音こえなり。 悦えつ税さい二ふたつの音こえは告つぐるなり、 述のぶるなり、 人ひとの意こころを宣せん述じゅつするなり。 「命みょう」 の言ごんは、 △業ごうなり、 招しょう引いんなり、 使しなり、 教きょうなり、 道どうなり、 信しんなり、 計はからうなり、 召めすなり。 ここをもつて 「帰き命みょう」 は*本願ほんがん招しょう喚かんの勅ちょく命めいなり。

▼爾レ者バ▼南无之言ハ帰命ナリ。▼帰ノ言ハ 至也 又*帰説エチ也ヨリタノムナリ、説セチノ字ハ 悦エチヨロコブノ音ナリ 又帰説サイ也ヨリカヽルナリ、説ノ字ハ 税サイノ音ナリ 悦エチ税サイ二ノ音ハ告ツグル也 述ノブル也 *宣↢ノブル*述ル人ノ意ヲ↡也 ▼命ノ言ハ 業也 *招マネキ メス 引ヒク也 使也 教也 道也 信也 計ハカラフ也 召メス也 是ヲ以テ帰命者ハ本願*招マネク 喚ヨバウ之 勅オホセ命也。

^「△発願ほつがん回え向こう」 といふは、 如来にょらいすでに発願ほつがんして衆しゅ生じょうの行ぎょうを回施えせしたまふの心しんなり。

言フ↢発願回向ト↡者ハ、如来已ニ発願シテ回↢施シタマフ衆生ノ行ヲ↡之心也。

^「△即そく是ぜ其ご行ぎょう」 といふは、 すなはち*選せん択じゃく本願ほんがんこれなり。

言フ↢即是其0036行ト↡者ハ、即チ選択本願是也。

^「△必得ひっとく往おう生じょう」 といふは、 不ふ退たいの位くらいに至いたることを獲うることを彰あらわすなり。 ¬経きょう¼ (大経) には 「▲即得そくとく」 といへり、 釈しゃく (易行品) には 「▲必ひつ定じょう」 といへり。 「即そく」 の言ごんは願力がんりきを聞きくによりて▲報ほう土どの真因しんいん決けつ定じょうする*時じ剋こくの極促ごくそくを*光闡こうせんするなり。 「必ひつ」 の言ごんは 審つまびらかなり、 然しからしむるなり、 分わかち極きわむるなり、 金剛こんごう心しん成じょう就じゅの貌かおばせなり。

言フ↢必得往生ト↡者、彰アラハス↠獲ウルコトヲ↠至ルコトヲ↢不退ノ位ニ↡也。¬経ニハ¼言ヘリ↢「即得ト」↡、釈ニハ云ヘリ↢「必定ト」↡。即ノ言ハ由リテ↠聞クニ↢願力ヲ↡光↢闡セル報土ノ真因決定スル時*剋キワム之*極促ソクヲ↡也。▼必ノ言ハ *審ツマビラカ アキラカ 也 然シカラシムル也 *分極也 金剛心成就之貌カヲバセ也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(b)衝州を引く
                  (イ)法照¬五会法事讃¼八文

・長行 1.序分(念仏最勝)

【35】^¬*浄じょう土ど五会ごえ念仏ねんぶつ略りゃく法ほう事じ儀ぎ讃さん¼ にいはく、

▼¬浄土五会念仏略法事儀讃ニ¼云ク、

^「それ如来にょらい、 教きょうを設もうけたまふに、 *広こう略りゃく、 根こんに随したがふ。 つひに実相じっそうに帰きせしめんとなり。 真しんの無む生しょうを得えんものに0171は、 たれかよくこれを与あたへんや。 しかるに念仏ねんぶつ三昧ざんまいは、 これ真しんの無む上じょう深じん妙みょうの門もんなり。 弥陀みだ法王ほうおう四し十じゅう八はち願がんの名みょう号ごうをもつて、 *焉ここに仏ほとけ、 願力がんりきを事こととして衆しゅ生じょうを度どしたまふ。 乃至

「▼夫レ如来設マウケタマフニ↠教ヲ、広略リヤク随フ↠根ニ。終ニ帰セシメムトナリ↠乎ニ↢実相↡。得ム↢真ノ无生ヲ↡者 ノニハ、熟タレカ能ク与アタヘム↢於此ヲ↡哉ヤ。然ルニ▼念仏三昧ハ、是真ノ无上深妙ノ▼門ナリ矣。以テ↢弥陀法王四十八願ノ名号ヲ↡、▼焉コヽニ仏ホトケ事トシテ↢願力ヲ↡度シタマフ↢衆生ヲ↡。 ▼乃至

・長行 2.五会念仏釈(極成其義)

^如来にょらいつねに三昧さんまい海かいのなかにして、 *網綿もうめんの手てを挙あげたまひて、 *父ちちの王おうにいうてのたまはく、 ª^王おういま座ざ禅ぜんしてただまさに念仏ねんぶつすべし。 *あに離り念ねんに同どうじて無む念ねんを求もとめんや。 生しょうを離はなれて無む生しょうを求もとめんや。 相好そうごうを離はなれて法身ほっしんを求もとめんや。 文もんを離はなれて解げ脱だつを求もとめんやº と。 乃至

▼如来常ニ於テ↢三昧海ノ中ニ↡、挙アゲタマヘルヲ↢細クハシ*綿メンヲ↡乎ヤ。謂ウテ↢父ノ王ニ↡曰ク、王今座禅シテ但当ニ シト↢念仏ス↡。豈アニ同ジテ↢離リ念ニ↡求メムヤ↠乎ヲ↢无念↡。離レテ↠生ヲ求メム↢於无生ヲ↡乎ヤ。離レテ↢相好ヲ↡求メムヤ↠乎ヲ↢法身↡。離レテ↠文ヲ求メムヤト↢解脱ヲ↡。 乃至

・長行 3.荘厳文(易修易証)

^それ大おおいなるかな、 至理しりの真法しんぽう、 一如いちにょにして物ものを化けし、 人ひとを利りす。 弘ぐ誓ぜい各別かくべつなるがゆゑに、 わが釈しゃ迦か、 *濁じょく世せに応おう生しょうし、 阿あ弥陀みだ、 浄じょう土どに出しゅつ現げんしたまふ。 方ほうは穢え浄じょう両りょう殊しゅなりといへども利り益やく斉一さいいちなり。 もし修しゅし易やすく証しょうし易やすきは、 まことにただ浄じょう土どの教きょう門もんなり。 しかるにかの西方さいほうは殊しゅ妙みょうにしてその国こく土どに比ならびがたし。 また厳かざるに百ひゃっ宝ぽうの蓮はちすをもつてす。 九く品ぼんに敷ひらいてもつて人ひとを収おさむること、 それ仏ぶつの名みょう号ごうなりと。 乃至

▼爾 レ大ナル哉カナ、至*理ノコトワリ真法、一如ニシテ化シ↠物ヲ利ス↠人ヲ。弘誓各別ナルガ故ニ、我ガ釈迦応↢生シ於濁世ニ↡、阿弥陀出↢現シタマフ於浄土ニ↡。方ハ雖モ↢穢浄両*殊シユコトナリナリト↡利益*斉サイヒトシ一ナリ。若シ易ク↠修シ易キハ↠証シ、真 トニ唯浄土ノ教門ナリ。然ルニ彼ノ西方ハ殊妙ニシテ難シ↠比ナラビ↢其ノ国土ニ↡。也マタ厳カザルニ以テス↢百宝ノ蓮ヲ↡。敷ヒライテ↢九品ニ↡以テ収ヲサムルコト↠人ヲ、其ソレ仏ノ名号也ト。 乃至

・偈頌 1.浄土楽讃(念仏最勝)

 ^¬*称しょう讃さん浄じょう土ど経きょう¼ による。 釈しゃく*法ほっ照しょう

▼依ル↢¬称讃浄土経ニ¼↡。 釈法照セウ

^ª如来にょらいの尊号そんごうは、 はなはだ分ぶん明みょうなり。 十方じっぽう世せ界かいにあまねく流る行ぎょうせしむ。 ただ名みなを称しょうするのみありて、 みな往ゆくことを得う。 観音かんのん・勢せい至しおのづから来きたり迎むかへたまふ。

▼如来ノ尊号ハ甚ダ分明ナリ▼十方世界ニ普ク流行セシム
0037▼但有リテ↠称スルノミ↠名ヲ皆得ウ↠往クコトヲ▼観音・勢至*自オノヅカラ*来リ迎ヘタマフ

^弥陀みだの本願ほんがんことに超ちょう殊しゅせり。 慈悲じひ方便ほうべんして凡ぼん夫ぶを引ひく。 一切いっさい衆しゅ生じょうみな*度ど脱だつす。 名みなを称しょうすれば、 すなはち罪つみ消しょう除じょす0172ることを得う。

◆弥陀ノ本願特コトニ起タツ ヲコス 殊シユスグレセリ慈悲方便シテ引ク↢凡夫ヲ↡
一切衆生皆度脱ス称スレバ↠名ヲ即チ得ウ↢罪 ミ消除スルコトヲ↡

^凡ぼん夫ぶもし西方さいほうに到いたることを得うれば、 曠劫こうごう塵沙じんじゃの罪つみ消しょう亡もうす。 六ろく神通じんずうを具ぐし自じ在ざいを得う。 永ながく老ろう病びょうを除のぞき無む常じょうを離はなるº。

◆凡夫若シ得レバ↠到ルコトヲ↢西方ニ↡曠劫塵沙ノ罪消亡ス ホロブ
具シ↢六神通ヲ↡得ウ↢自在ヲ↡永ク除キ↢老病ヲ↡離ル↢无常ヲ↡

・偈頌 2.正法楽讃(決真宗義)

 ^¬*仏ぶつ本ほん行ぎょう経きょう¼ による。 法ほっ照しょう

▼依ル↢¬仏本行経ニ¼↡。 法照

^ªなにものをかこれを名なづけて*正しょう法ぼうとする。 もし*道どう理りによらばこれ*真しん宗しゅうなり。 好悪こうあく今いまの時ときすべからく*決けっ択ちゃくすべし。 一々いちいちに子し細さい*朦もう朧りょうすることなかれ。 正しょう法ぼうよく世せ間けんを超出ちょうしゅつす。

▼何者 ノヲカ名ケテ↠之ヲ為スル↢正法ト↡若シ箇ヨラバ↢道理ニ↡是真マコト宗ムネナリ
好悪今ノ時須スベカラ ベ  クシ↢決択チヤクエラブス一一ニ子細莫ナカレ↢朦モウクラシ朧リヨウコモルスルコト↡
▼正法*能ク超↢出ス世間ヲ↡

^持じ戒かい・座ざ禅ぜんを正しょう法ぼうと名なづく。 ▼念仏ねんぶつ成じょう仏ぶつはこれ真しん宗しゅうなり。 仏言ぶつごんを取とらざるをば外げ道どうと名なづく。 因いん果がを*撥はつ無むする見けんを*空くうとす。 正しょう法ぼうよく世せ間けんを超出ちょうしゅつす。

◆持戒・座禅ヲ名ク↢正法ト↡▼念仏成仏ハ是 レ真宗ナリ
不ルヲバ↠取ラ↢仏言ヲ↡名ク↢外道ト↡撥ハチスツ↢無ブスル因果ヲ↡*見ヲ為ス↠空ト
正法能ク超↢出ス世*間ヲ↡

^禅ぜん・律りついかんぞこれ正しょう法ぼうならん。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいこれ真しん宗しゅうなり。 性しょうを見み、 心しんを了さとるはすなはちこれ仏ぶつなり。 いかんが道どう理り相応そうおうせざらんº。 略抄

◆禅ゼン・律リチ如何 イカン ゾ是正法ナラム念仏三昧是真宗ナリ
見ミ↠性ヲ了ルハ↠心ヲ便チ是仏ナリ如何 イカン ガ道理不ラム↢相応セ↡ 略抄

・偈頌 3.西方楽讃(西方易証)

 ^¬*阿あ弥陀みだ経きょう¼ による。

▼依ル↢¬阿弥陀経ニ¼↡。

^ª西方さいほうは道どうに進すすむこと娑しゃ婆ばに勝すぐれたり。 五ご欲よくおよび邪じゃ魔まなきによつてなり。 成じょう仏ぶつにもろもろの善業ぜんごうを*労いたわしくせず。 華け台だいに端たん座ざして弥陀みだを念ねんじたてまつる。

0038◆西方ハ進ムコト↠道ニ勝レタリ↢娑婆ニ↡縁テナリ↠无キニ↢五欲及ビ邪魔↡
成仏ニ不ズ↠労イタハシクセ↢諸ノ善業ヲ↡華台ニ端ウルワシ座シテ念ジタテマツル↢弥陀ヲ↡

^五ご濁じょくの修しゅ行ぎょうは多おおく退転たいてんす。 念仏ねんぶつして西方さいほうに往ゆくにはしかず。 かしこに到いたれば自じ然ねんに正しょう覚がくを成なる。 苦く界かいに還来かえりて*津しん梁りょうとならん。

◆五濁ノ修行ハ多ク退転ス不ズ↠如シカ↣念仏シテ往クニハ↢西方ニ↡
到レバ↠彼ニ自然ニ成ル↢正覚ヲ↡還↢来 カヘ リテ苦界ニ↡作ナラム↢津シン ツ 梁リヤウヤナ ト↡

^▲万まん行ぎょうのなかに急きゅう要ようとす。 迅速じんそくなること浄じょう土ど門もんに過すぎたるはなし。 ただ本ほん師し金こん口くの説せつのみにあらず。 十方じっぽう諸仏しょぶつともに伝つたへ証しょうしたまふ。

◆万行之中ニ為↢急キウ要イソガハシト↡迅ジントシ速ソクナルコトスミヤカ也 无シ↠過ギタルハ↢浄土門ニ↡
不アラズ↢但本師金口ノ説ノミニ↡十方諸仏共ニ伝ヘ証シタマフ

^この界かいに一人いちにん、 仏ぶつの名みなを念ねん0173ずれば、 西方さいほうにすなはち一ひとつの蓮はちすありて生しょうず。 ただ一いっ生しょうつねにして不ふ退たいならしむれば、 一ひとつの華はなこの間けんに還かえり到いたつて迎むかへたまふとº。 略抄

◆此ノ界ニ一人念ズレバ↢仏ノ名ミナヲ↡西方ニ便チ有リテ↢一ノ蓮↡生ズ
但シ使ムレバ↢一生常ニシテ不退ナラ↡*一ノ華還カヘリ↢到イタテ此間ニ↡迎ヘタマフト 略抄

・偈頌 4.般舟三昧楽讃(勧発)

 ^¬*般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ による。 *慈じ愍みん和か尚しょう

▼依ル↢¬般舟三昧経ニ¼↡。 慈愍和尚

^ª今日こんにち道どう場じょうの諸衆しょしゅ等とう、 恒沙ごうじゃ曠劫こうごうよりすべて経へ来かえれり。 この人身にんじんを度はかるに値ち遇ぐうしがたし。 たとへば優う曇どん華げのはじめて開ひらくがごとし。

◆今日道場ノ諸衆*等恒沙曠劫ヨリ総スベテ経ヘ来カヘレリ
度ハカルニ↢此ノ人身ヲ↡難シ↢値チ遇グシ↡喩ヘバ若ゴトシ↢優曇華ノ始ハジメテ開クガ↡

^まさしくまれに浄じょう土どの教きょうを聞きくに値もうあへり。 まさしく念仏ねんぶつの法門ほうもんの開ひらけるに値もうあへり。 まさしく弥陀みだの弘ぐ誓ぜいの*喚よばひたまふに値もうあへり。 まさしく大衆だいしゅの信心しんじんありて回えするに値もうあへり。

◆正シク値 アヘリ↣希 レニ聞クニ↢浄土ノ教ヲ↡正シク値マウアヘリ↢念仏ノ法門ノ開ヒラケルニ↡
正シク値マウアヘリ↢弥陀ノ弘誓ノ喚ヨバクワンイタマフニ↡正シク値ヘリ↢大衆ノ信心シテ*回スルニ↡

^まさしく今日こんにち経きょうによりて讃さんずるに値もうあへり。 まさしく契ちぎりを*上じょう華け台だいに結むすぶに値もうあへり。 まさしく道どう場じょうに魔事まじなきに値もうあへり。 まさしく無む病びょうにしてすべてよく来かえれるに値もうあへり。

◆正シク値ヘリ↢今日依リテ↠経ニ賛ズルニ↡正シク値ヘリ↠結ムスブニ↢契チギリヲ上華台ニ↡
0039正シク値 アヘリ↣道場ニ无キニ↢魔事↡正シク値ヘリ↢无病ニシテ総 ベテ能ク来 ヘレルニ↡

^まさしく七日しちにちの功こう成じょう就じゅするに値もうあへり。 四し十じゅう八はち願がんかならずあひ携たずさふ。 あまねく道どう場じょうの同どう行ぎょうのひとを勧すすむ。 *ゆめゆめ回え心しんして*帰去来いざいなん。

◆正シク値ヘリ↢七日ノ功成就スルニ↡四十八願要カナラズ相 ヒ携タヅサフセイ ケイ
普ク勧ム↢道場ノ同行ノ者ヒトヲ↡努力ユメユメ回心シテ帰去来 イザイナム

^借問とふ。 *家か郷きょうはいづれの処ところにかある。 極楽ごくらくの池いけのうち七宝しっぽうの台うてななり。 ▲かの仏ぶつの因いん中ちゅうに弘ぐ誓ぜいを立たてたまへり。 名みなを聞ききてわれを念ねんぜばすべて迎むかへ来かえらしめん。

◆借問トフカル  家カ郷ハ何ノ処ニカ在アル極楽ノ池ノ中七宝ノ台 テナナリ
▼彼ノ仏ノ因中ニ立テタマヘリ↢弘誓ヲ↡▼聞キテ↠名ミ ヲ念ゼバ↠我ヲ▼総スベテ*迎ヘ来 ヘラシメム

^◆貧びん窮ぐと富貴ふきとを簡えらばず、 下智げちと高才こうざいとを簡えらばず、 多た聞もんと浄じょう戒かいを持たもてるとを簡えらばず、 破は戒かいと罪根ざいこんの深ふかきとを簡えらばず。

▼不↠簡エラバ↣貧窮ト将マサニ↢富貴トヲ↡▼不↠簡バ↣下智ト与トヲ↢高才↡
▼不↠簡バ↣多聞ト持テルトヲ↢浄戒ヲ↡▼不↠簡バ↢破戒ト罪根深キトヲ↡

^◆ただ回え心しんして多おおく念仏ねんぶつせしむれば、 よく瓦が礫りゃくをして変へんじて金こがねと成なさんがごとくせしむ。 語ことばを現前げんぜんの大衆だいしゅ等とう0174に寄よす。 同縁どうえん去さらんひとはやくあひ尋たずねん。

▼但使ムレバ↢回心シテ多ク念仏セ↡▼能ク令シム↢瓦礫ヲシテ変ジテ成サムガゴトクセ↟金ト
寄ヨス↢語コトバヲ現前ノ大衆等ニ↡同縁去スツラム者ヒト早ク相 ヒ尋タヅネム

^借問とふ。 いづれの処ところをあひ尋たずねてか去ゆかんと。 報こたへていはく、 弥陀みだ浄じょう土どのうちへ。 借問とふ。 なにによりてかかしこに生しょうずることを得えん。 報こたへていはく、 念仏ねんぶつおのづから功こうを成じょうず。

◆借問トフ相 ヒ↢尋タヅネテカ何ノ処ヲ↡去ユカムト報コタヘテ道イハク弥陀浄土ノ中ウチヘ
借問トフ何ニ縁リテカ得エム↠生ズルコトヲ↠彼 コニ報コタヘテ道イハク念仏自オノヅカラ成ズ↠功ヲ

^借問とふ。 今こん生じょうの罪ざい障しょう多おおし、 いかんぞ浄じょう土どにあへてあひ容いらんや。 報こたへていはく、 名みなを称しょうすれば罪つみ消しょう滅めつす、 たとへば明みょう灯とうの闇あん中ちゅうに入いるがごとし。

◆借問トフ今生ノ多シ↢罪障↡如何 イカン ゾ浄土ニ肯アヘテ相 ヒ容イラムヤ
報ヘテ道ク称スレバ↠名ヲ罪 ミ消滅ス喩ヘバ若ゴトシ↣明灯トウノ入ルガ↢闇中ニ↡

^借問とふ。 凡ぼん夫ぶ生しょうずることを得うやいなや、 いかんぞ一念いちねんに闇あん中ちゅうあきらかならんや。 報こたへていはく、 疑うたがいを除のぞきて多おおく念仏ねんぶつすれば、 弥陀みだ決けつ定じょうしておのづから親近しんごんしたまふº と。 抄要

◆借問トフ凡夫得ウヤ↠生ズルコトヲ否イナヤ如何 イカン ゾ一念ニ闇中明アキラカナラムヤ
0040報ヘテ道ク除キテ↠疑ヲ多ク念仏スレバ弥陀決定シテ自オノヅカラ親シン近ゴンシタマフト 抄要

・偈頌 5.観経楽讃(追釈勝易)

 ^¬*新しん無む量りょう寿じゅ観かん経ぎょう¼ による。 法ほっ照しょう

▼依ル↢¬新无量寿観経ニ¼↡。 法照

^ª十じゅう悪あく・五ご逆ぎゃく至いたれる愚ぐ人にん、 永劫ようごうに沈淪ちんりんして*久く塵じんにあり。 一念いちねん弥陀みだの号みなを称しょう得とくして、 かしこに至いたれば、 還かえりて法ほっ性しょう身しんに同どうずº」 と。 以上

◆十悪・五逆至レル愚人永劫ニ*沈淪シテ在リ↢久塵ニ↡
一念称↢得シテ弥陀ノ号ヲ↡至レバ↠彼ニ還リテ同ズト↢法性身ニ↡」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ロ)憬興¬述文賛¼十文

1.二種因果

【36】^*憬きょう興ごう師しのいはく (*述文賛)、

▼憬キヤウ興ゴウ師ノ云ク、

^「*如来にょらいの広説こうせつに二ふたつあり。 初はじめには広ひろく如来にょらい浄じょう土どの因いん果が、 すなはち*所しょ行ぎょう・所しょ成じょうを説ときたまへり。 後のちには広ひろく衆しゅ生じょう往おう生じょうの因いん果が、 すなはち*所しょ摂しょう・所益しょやくを顕あらわしたまへるなり」 と。

「▼如来ノ広説ニ有リ↠二。初メニハ広ク説キタマヘリ↢▼如来浄*土ノ因果、即チ所行・所成ヲ↡也。後ニハ広ク顕シタマヘル↢▼衆生往生ノ因果、即チ所摂・所益ヲ↡也ト。」

2.弥陀因果

【37】^*またいはく、

又*云ク、

^「¬*悲華ひけ経きょう¼ の ª諸しょ菩ぼ薩さつ本ほん授じゅ記き品ぼんº にいはく、 ª^その時ときに、 *宝蔵ほうぞう如来にょらい、 *転輪てんりん王のうを讃ほめていはく、 «善よいかな善よいかな、 乃至 大王だいおう、 なんぢ西さい方ほう0175を見みるに百ひゃく千せん万まん億おくの仏ぶつ土どを過すぎて世せ界かいあり、 尊善そんぜん無垢むくと名なづく。 かの界かいに仏ぶつまします、 尊音そんのん王おう如来にょらいと名なづく。 乃至

「▼¬悲華経ノ¼諸菩薩本授ジユ記品ニ云ク、爾ノ時ニ宝蔵如来、讃メテ↢転輪王ヲ↡言ハク、善イ哉善イ哉、 乃至 大王、汝見ルニ↢西方ヲ↡過ギテ↢百千万億ノ仏土ヲ↡有リ↢世界↡、名ク↢尊善无垢ト↡。彼ノ界ニ有マシマス↠仏、名ク↢尊音王如来ト↡。 乃至

^いま現在げんざいにもろもろの菩ぼ薩さつのために正しょう法ぼうを説とく。 乃至 純じゅん一いつ大だい乗じょう清浄しょうじょうにして雑まじはることなし。 そのなかの衆しゅ生じょう、 等一とういつに化け生しょうす。 また女人にょにんおよびその名みょう字じなし。 かの仏ぶつ世せ界かいの所しょ有うの功く徳どく、 清浄しょうじょうの荘しょう厳ごんなり。 ことごとく大王だいおうの所願しょがんのごとくして異いなけん。 乃至 いまなんぢが字あざなをあらためて無む量りょう清浄しょうじょうとす»º と。 以上

今現在ニ為ニ↢諸ノ菩薩ノ↡説ク↢於正法ヲ↡。 乃至 純ジユン一大乗清浄ニシテ无シ↠雑マジワルコト。其ノ中ノ衆生、等一ニ化生ス。亦无シ↢女人及ビ其ノ名字↡。彼ノ仏世界ノ所有ノ功徳、清浄ノ荘厳ナリ。悉ク如クシテ↢大王ノ所願ノ↡无ケム↠異。 乃至 今改アラタメテ↢汝ガ字 ナヲ↡為スト↢无量清浄ト↡。 已上

 ^¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にいはく、 ª^▲広ひろくかくのごとき大だい弘ぐ誓ぜい願がんを発おこして、 みなすでに成じょう就じゅしたまへり。 世せ間けんに希有けうなり。 ◆この願がんを発おこしをはりて、 実じつのごとく安あん住じゅうして種々しゅじゅの功く徳どく具ぐ足そくして、 威い徳とく広大こうだい清浄しょうじょうの仏ぶつ土どを荘しょう厳ごんしたまへりº」 と。 以上

▼¬无量寿如来会ニ¼云ク、広ク発シテ↢如キ↠是クノ大弘誓願ヲ↡、皆已ニ成就シタマヘリ。世間ニ希有ナリ。発シ↢是ノ願ヲ↡已リテ、如ク↠実ノ安住シテ種種ノ功徳具足シテ、荘↢厳シタマヘリト威徳広大清浄ノ仏土ヲ↡。」 已上

3.回施功徳

【38】^またいはく (述文賛)、

▼又0041*云ク、

^「*福ふく智ちの二に厳ごん成じょう就じゅしたまへるがゆゑに、 *つぶさに等ひとしく衆しゅ生じょうに行ぎょうを施ほどこしたまへるなり。 おのれが所修しょしゅをもつて、 衆しゅ生じょうを利りしたまふがゆゑに、 功く徳どく成じょうぜしめたまへり」 と。

「福智ノ二厳カザリ成就シタマヘルガ故ニ、備ニツブサニ施シタマヘル↢等ヒトシク衆生ニ行ヲ↡也。以テ↢己オノレガ所修ヲ↡利シタマフガ↢衆生ヲ↡故ニ、令シメタマヘリト↢功徳成ゼ↡。」

4.宿因聞法

【39】^またいはく (述文賛)、

▼又云ク、

^「久く遠おんの因いんによりて、 仏ぶつに値もうあひ、 法ほうを聞ききて慶きょう喜きすべきがゆゑに」 と。

「籍ヨジヤクリテ↢久遠ノ因ニ↡、値マウアヒ↠仏ニ聞キテ↠法ヲ可キガ↢慶喜ス↡故 ヘニト。」

5.正勧往生

【017640】^またいはく (述文賛)、

又云ク、

^「人にん聖しょうに、 国くに妙たえなり。 たれか力ちからを尽つくさざらん。 善ぜんをなして生しょうを願がんぜよ、 *善ぜんによりてすでに成じょうじたまへる、 おのづから果かを獲えざらんや。 ゆゑに自じ然ねんといふ。 貴き賎せんを簡えらばず、 みな往おう生じょうを得えしむ。 ゆゑに ª▲著ちょ無む上じょう下げº といふ」 と。

「▼人聖ニ、国妙 ヘナリ。誰タレカ不ラム↠尽サ↠力ヲ。作シテ↠善ヲ願ゼヨ↠生ヲ、▼因リテ↠善ニ既 デニ成ジタマヘル、不ラムヤ↢自オノヅカラ獲エ↟果ヲ。故ニ云フ↢自然ト↡。▼不ズ↠簡バ↢貴 賎ヲトフトクイヤシ↡、皆得エシム↢往生ヲ↡。故ニ云フト↢著无上下ト↡。」

6.傷嘆重勧

【41】^またいはく (述文賛)、

▼又云ク、

^「ª▲易い往おう而に無む人にん 其ご国こく不ふ逆ぎゃく違い 自じ然ねん之し所牽しょけんº と。 ^因いんを修しゅすればすなはち往ゆく、 修しゅすることなければ生しょうずること尠すくなし。 因いんを修しゅして来らい生しょうするに、 つひに違い逆ぎゃくせず。 すなはち易い往おうなり」 と。

「▼易往而无人其国不逆違自然之所牽ケンヒクト。▼修スレバ↠因ヲ即チ往ク、▼无ケレバ↠修スルコト生ズルコト尠スクナシ。▼修シテ↠因ヲ来生スルニ、終ニ不ズ↢違逆セ↡。即チ易往也ト。」

7.願力釈

【42】^またいはく (述文賛)、

▼又云ク、

^「ª▲本願ほんがん力りき故こº といふは、 すなはち*往ゆくこと誓願せいがんの力ちからなり。 ª▲満足まんぞく願がん故こº といふは、 願がんとして欠かくることなきがゆゑに。 ª▲明了みょうりょう願がん故こº といふは、 これを求もとむるに虚むなしからざるがゆゑに。 ª▲堅けん固ご願がん故こº といふは、 縁えんとして壊やぶることあたはざるがゆゑに。 ª▲究く竟きょう願がん故こº といふは、 かならず果はたし遂とぐるがゆゑに」 と。

「本願力ノ故コトイフハ、 ▼即チ往クコト誓願之力ナリ。 満足願故トイフハ、 ▼願トシテ无キガ↠欠カクルコト故ニ。 明了願故トイフハ、 ▼求ムルニ↠之ヲ不ルガ↠虚シカラ故ニ。 堅固願故トイフハ、 ▼縁トシテ不ザルガ↠能ハ↠壊ヤブルコト故ニ。 究竟願故トイフハ、 ▼必ズ果ハタシ遂トグルガ故ニト。」

8.勝聖共生釈

【43】^またいはく (述文賛)、

▼又云ク、

^「総そうじてこれをいはば、 *凡ぼん小しょうをして欲よく往おう生じょうの意こころを増まさしめんと欲おもふがゆゑに、 すべからくかの土どの勝すぐれたることを顕あらわすべし」 と。

「▼総而 スベ テ言ハヾ↠之ヲ、欲フガ↠令メムト↣凡小ヲシテ増マスヽムサ↢欲往生之意ヲ↡故ニ、須ク シト↠顕ス↢彼ノ土ノ勝レタルコトヲ↡。」

9.此土修行釈

【44】^またいはく (述文賛)、

▼又云ク、

^「すでに ª▲*この土どにして菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅすº とのたまへり。 すなはち知しんぬ、 *無む諍じょう王おうこの方ほうにましますことを。 *宝海ほうかいもまたしかなり」 と。

「既ニ言 マヘリ↧於シテ↢此ノ土ニ↡修スト↦菩薩ノ行ヲ↥。即チ知ヌ、▼无諍王在 マスコトヲ↢於此ノ方ニ↡。▼宝海モ亦然ナリト。」

10.聞名不退

【017745】^またいはく (述文賛)、

▼又云ク、

^「仏ぶつの威い徳とく広大こうだいを聞きくがゆゑに、 不ふ退転たいてんを得うるなり」 と。 以上

「聞クガ↢仏ノ威徳広大ヲ↡故ニ、得ル↢不退転ヲ↡也ト。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ハ)宗暁¬楽邦文類¼

・易行捷径

【46】^¬*楽邦らくほう文類もんるい¼ にいはく、

▼¬楽 ク邦ハウ文ブン類ニ¼云ク、

^「総官そうかんの*張ちょう掄りんいはく、 ª^仏号ぶつごうはなはだ持たもち易やすし、 浄じょう土どはなはだ往ゆき易やすし。 *八万はちまん四し千せんの法門ほうもん、 この*捷径せつけいにしくなし。 ただよく*清しょう晨じん俛仰めんごうの暇いとまを輟やめて、 つひに永劫ようごう不壊ふえの資たすけをなすべし。 これすなはち力ちからを用もちゐることは、 はなはだ微びにして、 功こうを収おさむることいまし尽つくることあることなけん。 衆しゅ生じょうまたなんの苦くるしみあればか、 みづから棄すててせざらんや。

「▼総ソウ官ノ張掄リン反云ク、仏号甚ダ易シ↠持チ、浄土甚ダ易シ↠往キ。八万四千ノ法0042門、無シ↠如シク↢是コノ之▼捷セフ トキ *径ケイニスヽチ↡。但能ク輟ヤメテ↢清晨ジムアシタ ▼俛メンノケフス仰之暇イトマヲ↡、遂ツイニ可シ↠為ナス↢永劫不壊ヤブル之ノ資タスケヲ↡。是 レ則チ用ヰルコトハ↠力ヲ甚ダ微ビニ而シテ、収オサムルコト↠功ヲ乃シ无ケム↠有ルコト↠尽クルコト。衆生亦何ノ苦クルシミアレバカ、自ミヅカララ棄ステ而テ不ラム↠為セ乎ヤ。

^ああ、 夢む幻げんにして真しんにあらず。 *寿じゅ夭ようにして保たもちがたし。 呼こ吸きゅうのあひだにすなはちこれ来らい生しょうなり。 一ひとたび人身にんじんを失うしなひつれば万劫まんごうにも復ふくせず。 この時とき悟さとらずは、 仏ぶつもし衆しゅ生じょうをいかがしたまはん。 願ねがはくは、 深ふかく無む常じょうを念ねんじて、 いたづらに後悔こうかいを貽のこすことなかれと。 浄じょう楽らくの居士こじ張ちょう掄りん縁えんを勧すすむº」 と。 以上

噫アヽ夢ユメ幻グヱンニシテマボロシ  非ズ↠真ニ。寿夭エウモロシニシテ難シ↠保タモチ。▼*呼コ吸キウ之頃アイダニクヰヤウ即チ是来生ナリ。一タビ失ウシナヒツレバ↢人身ヲ↡万劫ニモ不ズ↠復カヘルセ。此ノ時 キ不ズハ↠悟サトラ、仏如モシ衆生ヲ何イカガシタマハム。願クハ深ク念ジテ↢於无常ヲ↡、勿ナカレト↣徒イタヅラニ貽ノコスコト↢於後悔ヲ↡。浄楽ノ*居士 オトコ也 ヰルヒト張掄勧スヽムト↠縁ヲ。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ニ)慶文

・念仏勝徳

【47】^*台たい教きょう (天台) の祖師そし、 山陰さんいん *慶文けいぶん法ほっ師し のいはく、

▼臺タイ教ノ祖師山陰インノ 慶文法師 云ク、

^「まことに仏ぶつ名みょうは*真応しんおうの身しんよりして建こん立りゅうせるがゆゑに、 慈悲じひ海かいよりして建こん立りゅうせるがゆゑに、 誓願せいがん海かいよりして建こん立りゅうせるがゆゑに、 智慧ちえ海かいよりして建こん立りゅうせるがゆゑに、 法門ほうもん海かいよりして建こん立りゅうせるによるがゆゑに、 もしただもつぱら一いち仏ぶつの名みょう号ごうを称しょうするは、 す0178なはちこれつぶさに諸仏しょぶつの名みょう号ごうを称しょうするなり。 功く徳どく無む量りょうなればよく罪ざい障しょうを滅めっす。 よく浄じょう土どに生しょうず。 なんぞかならず疑うたがいを生しょうぜんや」 と。 以上

「良マコトニ由ルガ↧仏名ハ従リ↢真応ノ身↡而シテ建立セルガ故ニ、従リ↢慈悲海↡而シテ建立セルガ故ニ、従リ↢誓願海↡而シテ建立セルガ故ニ、従リ↢智慧海↡而シテ建立セルガ故ニ、従リ↢法門海↡而シテ建立セルニ↥故ニ、若シ但専ラ称スルハ↢一仏ノ名号ヲ↡、則チ是具ニ称スルナリ↢諸仏ノ名号ヲ↡。功徳无量ナレバ能ク滅ス↢罪障ヲ↡。能ク生ズ↢浄土ニ↡。何ゾ必ズ生ゼム↠疑ヲ乎ヤト。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ホ)元照¬観経義疏¼¬阿弥陀経義疏¼計七文

1.信心正因

【48】^律りっ宗しゅうの祖師そし、 *元がん照じょうのいはく (*観経義疏)、

▼律宗ノ祖師*元照ノ云ク、

^「いはんやわが仏ほとけ大だい慈じ、 浄じょう土どを開かい示じして慇懃おんごんにあまねく*諸しょ大だい乗じょうを勧嘱かんぞくしたまへり。 目めに見み、 耳みみに聞ききてことに疑ぎ謗ほうを生しょうじて、 みづから甘あまく沈ちん溺にゃくして*超昇ちょうしょうを慕ねがはず。 如来にょらい説ときて*憐憫れんびんすべきもののためにしたまへり。 まことにこの法ほうの特ひとり*常じょう途ずに異ことなることを知しらざるによりてなり。

「況イハンヤ我ガ仏 ケ大慈、開↢示シテ浄土ヲ↡慇オン懃ゴンニ勧↢スヽメ 嘱ツゲテシタマヘリ徧ク諸大乗ヲ↡。目ニ見ミ耳ニ聞キテ特コトニ生ジテ↢疑謗ヲ↡、自ミヅカラ甘アマク沈溺ニヤクオボルシテ不ズ↠慕ネガハ↢超昇ヲ↡。如来説キテ為ニシタマヘリ↧可キ↢憐レンアワレミ 憫ビンスアワレム↡者 ノノ↥。良マコトニ由リテナリ↠不ルニ↠知ラ↣此ノ法ノ特ヒトリコトニ異ナルコトヲ↢常途ミチニ↡。

^賢けん愚ぐを択えらばず、 *緇素しそを簡えらばず、 修しゅ行ぎょうの久く近ごんを論ろんぜず、 造罪ぞうざいの重軽じゅうきょうを問とはず、 ただ決けつ定じょうの信心しんじんすなはちこれ往おう生じょうの因種いんしゅならしむ」 と。 以上

不↠択エラバ↢賢カシコシ愚ヲ↡、不↠簡バ↢緇シソウナリ 素ソヲ↡オトコナリ、不↠論ゼ↢修行ノ久近ヲ↡、不ズ↠問ハ↢造罪ノ重軽ヲ↡、但令シムト↢決定ノ信心即チ是 レ往生ノ因種ナラ↡。 已上

2.此法無魔

【49】^またいはく (観経義疏)、

▼又云ク、

^「いま浄じょう土どの諸経しょきょうにならびに魔まをいはず。 すなはち知しんぬ、 この法ほうに魔まなきことあきらけしと。 山陰さんいんの*慶文けいぶん法ほっ師しの ª*正しょう信しん法門ほうもんº にこれを弁べんずること、 はなはだ詳つまびらかなり。 いまためにつぶさにかの問といを引ひきていはく、

「▼今浄土ノ諸経ニ並ナラビニ不ズ↠言ハ↠魔ヲ。即チ知ヌ此ノ法ニ無キコト↠魔明ケシト矣。山陰ノ慶文法0043師ノ▼正信法門ニ*弁ワキマウズルコト↠之ヲ甚ダ詳ツマビラカナリ。今為ニ具ニ※引キテ↢彼ノ問ヲ↡曰ク

^ªあるいは人ひとありていはく、 «臨りん終じゅうに仏ぶつ・菩ぼ薩さつの光ひかりを放はなち、 台うてなを持じしたまへるを見みたてまつり、 天楽てんがく異い香きょう来迎らいこう往おう生じょうす。 ならびにこれ魔事まじなり» と。 この説せついかんぞや。

▼或イハ有リテ↠人云ク、臨終ニ見タテマツリ↢仏・菩薩ノ放チ↠光ヲ、持シタマヘルヲ↟台ヲ、天楽異香*来迎往生ス。並ニ是魔事ナリト。此ノ説如何ゾヤ。

^答こたへていはく、 ¬*首しゅ楞りょう厳ごん¼ によりて三昧さんまいを修しゅ習じゅうすることあり。 あるいは*陰おん魔まを発動ほつどうす。 ¬*摩訶まか衍えん論ろん¼ によりて三昧さんまいを修しゅ習じゅうすることあり0179、 あるいは*外魔げま (天てん魔まをいふなり) を発動ほつどうす。 ¬*止し観かん論ろん¼ によりて三昧さんまいを修しゅ習じゅうすることあり、 あるいは*時魅じみを発動ほつどうす。

答ヘテ曰ク、▼有リ↧依リテ↢¬首楞厳ニ¼↡修↦習ジウスルコト三昧ヲ↥、或イハ発↢動ス陰魔ヲ↡。有リ↧依リテ↢¬▼摩訶衍論ニ¼↡修↦習スルコト三昧ヲ↥、或イハ発↢動ス外魔ヲ↡。謂フ↢天魔ヲ↡也 有リ↧依リテ↢¬▼止観論ニ¼↡修↦習スルコト三昧ヲ↥、或イハ発↢動ス▼時魅ミガクヰヲ↡。

^これらならびにこれ禅ぜん定じょうを修しゅする人ひと、 その自じ力りきに約やくしてまづ魔ま種しゅあり、 さだめて撃ぎゃく発ほつを被かぶるがゆゑにこの事じを現げんず。 もしよくあきらかに識しりておのおの対たい治じを用もちゐれば、 すなはちよく除遣じょけんせしむ。 もし*聖しょうの解さとりをなせば、 みな魔ま障しょうを被かぶるなりと。 上かみにこの方ほうの入にゅう道どうを明あかす、 すなはち魔事まじを発ほっす。

此等ラ並ニ是修スル↢禅定ヲ↡人、約ヤクヨルシテ↢其ノ自力ニ↡先ヅ有リ↢魔種↡、被カブルガ↢定メテ撃ギヤク ウツ 発ヲ↡故ニ現ズ↢此ノ事ヲ↡。儻モシ能ク明カニ識シリテ各ノ用ヰレバ↢対治ヲ↡、即チ能ク除ノゾク 遣ケンツカハスセシム。若シ作セバ↢聖ノ解サトリヲ↡、皆被カブルナリト↢魔障ヲ↡。上ニ明ス↢此ノ方ノ入道ヲ↡則チ発ス↢魔事ヲ↡。

^いま所修しょしゅの念仏ねんぶつ三昧ざんまいに約やくするに、 いまし仏力ぶつりきを憑たのむ。 帝王たいおうに近ちかづけばあへて干犯おかすものなきがごとし。 けだし阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 大だい慈悲じひ力りき・大だい誓願せいがん力りき・大だい智慧ちえ力りき・大だい三昧さんまい力りき・大だい威い神じん力りき・*大だい摧邪さいじゃ力りき・*大だい降ごう魔ま力りき・*天眼てんげん遠見おんけん力りき・*天てん耳に遥聞ようもん力りき・*他た心しん徹鑑てっかん力りき・光こう明みょう遍へん照じょう摂取せっしゅ衆しゅ生じょう力りきましますによりてなり。

今約ヤクツクスルニ↢所修ノ念仏三昧ニ↡、乃シ憑タノム↢仏力ヲ↡。如シ↧近ヅケバ↢帝王ニ↡無キガ↦敢アエテ干犯 ヲカ スモノ↥。蓋ケダシ由リテナリ↣阿弥陀仏有マシマスニ↢大慈悲力・大誓願力・大智慧力・大三昧力・大威神力・大摧サイクダク邪力・大降魔力・天眼遠オン見力・天耳遥エウ聞力・他心徹テチトヲリ 鑑カンカガム力・光明徧照摂取衆生力↡。

^かくのごときらの不可ふか思議しぎ功く徳どくの力ちからまします。 あに念仏ねんぶつの人ひとを護持ごじして、 臨りん終じゅうの時ときに至いたるまで障しょう礙げなからしむることあたはざらんや。

有マシマス↢如キ↠是クノ等ラノ不可思議功徳之力↡。豈アニ不ラム↠能ハ↧護↢持シテ念仏之人ヲ↡、至ルマデ↢臨終ノ時ニ↡令ムルコト↞無カラ↢障ゲサワル↡邪ヤ。

^もし護持ごじをなさずは、 すなはち慈悲じひ力りきなんぞましまさん。 もし魔ま障しょうを除のぞくことあたはずは、 智慧ちえ力りき・三昧さんまい力りき・威い神じん力りき・摧邪さいじゃ力りき・降ごう魔ま力りき、 またなんぞましまさんや。 もし鑑察かんざつすることあたはずして、 魔ま、 障さわりをなすことを被かぶらば、 天眼てんげん遠見おんけん力りき・天てん耳に遥聞ようもん力りき・他た心しん徹鑑てっかん力りき、 またなんぞましまさんや。

若シ不ズ↠為ナサ↢護持ヲ↡者ハ、則チ慈悲力何ゾ在マシマサム。若シ不ズ↠能ハ↠除クコト↢魔障ヲ↡者ハ、智慧力・三昧力・威神力・摧邪力・降魔力、復何ゾ在 マサム*邪ヤ。若シ不ズシテ↠能ハ↢鑑カンカヾム 察ザチカヾムスルコト↡、被カブラ↢魔為ナスコトヲ↟障ヲ者バ、天眼遠見力・天耳遥聞力・他心徹鑑力、復何ゾ在 マサム邪ヤ。

^¬経きょう¼ (観経) にいはく、 «^▲阿あ弥陀みだ仏ぶつ0180の相好そうごうの光こう明みょうあまねく十方じっぽう世せ界かいを照てらす。 念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうをば摂取せっしゅして捨すてたまはず» (意) と。 ^もし念仏ねんぶつして臨りん終じゅうに魔ま障しょうを被かぶるといはば、 光こう明みょう遍へん照じょう摂取せっしゅ衆しゅ生じょう力りき、 またなんぞましまさんや。 いはんや念仏ねんぶつの人ひとの臨りん終じゅうの感相かんそう、 衆しゅ経きょうより出いでたり。 みなこれ仏ぶつの言みことなり。 なんぞ貶へんして魔ま境きょうとすることを得えんや。 いまために邪じゃ疑ぎを決けっ破ぱす。 まさに正しょう信しんを生しょうずべしº」 と。 以上彼文

¬経ニ¼云ク、阿弥陀仏ノ相好ノ光明徧ク照ス↢十方世界ヲ↡。念仏ノ衆生ヲバ摂取シテ不ズト↠捨テタマハ。若シ謂ハ↣念仏シテ臨0044終ニ被ブルト↢魔障ヲ↡者バ、光明徧照摂取*衆生力、復何ゾ在サム邪ヤ。況イハンヤ念仏ノ人ノ臨終ノ感カムカヾム相、出デタリ↠自リ↢衆経↡。皆是仏ノ言ミコトナリ。何ゾ得ム↣貶ヘンオトシムシテ為スルコトヲ↢魔境サカイト↡乎ヤ。今為ニ決↢破ス邪疑ヲ↡。当ニシト↠生ズ↢正信ヲ↡。」 已上彼文

3.法体円成

【50】^また 元がん照じょう律りっ師しの ¬*弥陀みだ経きょう義ぎ¼ の文もん いはく、

▼又 *元*昭律師ノ¬弥陀経義ノ¼文 云ク、

^「*一いち乗じょうの極ごく唱しょう、 *終しゅう帰きをことごとく*楽邦らくほうを指さす。 万まん行ぎょうの円修えんしゅ、 最さい勝しょうを独ひとり*果か号ごうに推ゆずる。 まことにもつて因いんより願がんを建たつ。 志こころざしを秉とり行ぎょうを窮きわめ、 *塵点じんでん劫ごうを歴へて*済衆さいしゅの仁にんを懐いだけり。 ▼*芥子けしの地じも*捨身しゃしんの処ところにあらざることなし。 *悲智ひち六ろく度ど摂せっ化けしてもつて遺のこすことなし。 *内ない外げの両りょう財ざい、 求もとむるに随したごうてかならず応おうず。 機きと縁えんと熟じゅくし、 行ぎょう満まんじ功こうなり、 一いち時じに円まどかに三身さんしんを証しょうす。 万徳まんどくすべて*四字しじに彰あらわる」 と。 以上

「▼一乗ノ極唱シヤウトナフ、終*帰ヲ▼咸コトゴトク指ス↠於ヲ↢楽邦ハウクニ↡。万行ノ円修、最勝ヲ独リ推ユヅル↠於ニ↢果号↡。良 トニ以テ従リ↠因建タツ↠願ヲ。秉トリ↠志ヲ*躬キワメ↠行ヲ、歴ヘテ↢塵ヂン点デンシルス劫ヲ↡懐イダケリ↢済サイタスク衆之仁ヲアワレミ↡。無シ↣芥ケミ 子シノ地モ非ザルコト↢捨身之処ニ↡。悲智六度摂化シテ以テ無シ↠遺ノコスコト。▼内外ノ両財随シタガフ↠求ムルニ而テ必ズ応ズ。▼機ト与ト↠縁エン熟ジユクシ、行満ジ功成リ、一時ニ円カニ証ス↢於三身ヲ↡。万徳総スベテ彰アラハルト↢於四字ニ↡。」 已上

4.至徳具徳

【51】^またいはく (阿弥陀経義疏)、

▼又云ク、

^「いはんやわが弥陀みだは名なをもつて*物ものを接せっしたまふ。 ここをもつて耳みみに聞きき口くちに誦じゅするに、 無む辺へんの聖しょう徳とく、 *識心しきしんに*攬らん入にゅうす。 永ながく仏種ぶっしゅとなりて頓とんに億おく劫こうの重じゅう罪ざいを除のぞき、 無む上じょう菩ぼ提だいを獲証ぎゃくしょうす。 まことに知しんぬ、 少しょう善根ぜんごんにあらず、 これ多た功く徳どくなり」 と。 以上

「▼況イハンヤ我ガ弥陀ハ以テ↠名ヲ接シタマフ↠物ヲ。是 コヲ以テ耳ニ聞キキ口ニ誦ヨムスルニ、无辺ノ聖徳攬ラン↢ トル ミルトモ入ス識心ニ↡。永ク為ナリテ↢仏種ト↡頓ニ トシ ニワカニ除キ↢億劫ノ重罪ヲ↡、獲ギヤク ウル ↢証カナウス无上菩提ヲ↡。信 トニ知ヌ非ズ↢少善根ニ↡、是多功徳也ト。」 已上

5.臨終勝益

【018152】^またいはく (阿弥陀経義疏)、

▼又云ク、

^「正しょう念ねんのなかに、 凡人ぼんにんの臨りん終じゅうは*識神しきじん主あるじなし。 善悪ぜんあくの業種ごうしゅ発現ほつげんせざることなし。 あるいは悪念あくねんを起おこし、 あるいは邪見じゃけんを起おこし、 あるいは*繋け恋れんを生しょうじ、 あるいは猖狂しょうきょう悪相あくそうを発ほっせん。 もつぱらみな顛倒てんどうの因いんと名なづくるにあらずや。 前さきに仏ぶつを誦じゅして罪つみ滅めっし、 障さわり除のぞこり、 浄じょう業ごう内うちに薫くんじ、 慈じ光こう外ほかに摂せっして、 苦くを脱まぬかれ楽らくを得うること一いっ刹せつ那なのあひだなり。 *下しもの文もんに生しょうを勧すすむ、 その利りここにあり」 と。 以上

「▼正念ノ中ニ、凡人ノ臨終ハ、識神无シ↠主 ジ。善悪ノ業種無シ↠不ルコト↢発現セ↡。或イハ起シ↢悪念ヲ↡、或イハ起シ↢邪見ヲ↡、或イハ生ジ↢繋 ケ ツナグ 恋レンヲ↡、シタウ コウトモ或イハ発セム↢猖シヤウ狂クワウクルウ悪相ヲ↡。非ズヤ↣一モハラ皆 ナ名クルニ↢顛倒ノ因ト↡。前ニ誦ジユシテ↠仏ヲ罪滅シ障 リ除コリ、浄業内ニ熏ジ、慈光外ニ摂シテ、脱 ヌカレ↠苦ヲ得ルコト↠楽ヲ一刹那ノ間ナリ。▼下ノ文ニ勧ム↠生ヲ、其ノ利在リト↠此ニ。」 已上

6.古釈勧信

【53】^(元照観経義疏)

^「*慈じ雲うん法ほっ師し 天竺てんじく寺じの遵じゅん式しき のいはく、 ª^ただ安あん養にょうの浄じょう業ごう*捷真せっしんなり、 修しゅすべし。 もし四し衆しゅありて、 またすみやかに無む明みょうを破はし、 永ながく五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あく重軽じゅうきょう等とうの罪つみを滅めっせんと欲おもはば、 まさにこの法ほうを修しゅすべし。 *大だい小しょうの戒体かいたい、 遠とおくまた清浄しょうじょうなることを得えしめ、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいを得えしめ、 菩ぼ薩さつの諸しょ波羅はら蜜みつを成じょう就じゅせんと欲おもはば、 まさにこの法ほうを学がくすべし。

「▼慈0045雲法師ノ *天竺寺ノ遵式 云ク、唯安養ノ浄業捷セチトシ真ナリ、可シ↠修ス。若シ有リテ↢四衆↡、欲ハヾ↧復 タ速 ヤカニ破シ↢无明ヲ↡、永ク滅セムト↦五逆・十悪重軽等ノ罪ヲ↥、当ベ ニシ↠修ス↢此ノ法ヲ↡。欲ハヾ↧得エシメ↢大小ノ戒体、遠ク復清浄ナルコトヲ↡、得エシメ↢念仏三昧ヲ↡、成↦ 就セムトツク ナルトモ菩薩ノ諸波羅蜜ヲ↥、当ニシ↠学ス↢此ノ法ヲ↡。

^*臨りん終じゅうにもろもろの怖畏ふいを離はなれしめ、 身心しんしん安あん快けにして衆しゅ聖しょう現前げんぜんし、 授手じゅしゅ接しょう引いんせらるることを得え、 はじめて*塵労じんろうを離はなれてすなはち不ふ退たいに至いたり、 長じょう劫ごうを歴へず、 すなはち無む生しょうを得えんと欲おもはば、 まさにこの法ほう等とうを学がくすべしº と。 ^*古こ賢けんの法ほう語ごによく従したがふことなからんや。

欲ハヾ↪※得エ↧臨終ニ離レシメ↢諸ノ怖フオソレ 畏イオソルヲ↡、身心安快ニシテ衆聖現前シ、授サヅケ手接引セラルルコトヲ↥、初メテ離レテ↢塵労ヲイタワシ↡便チ至リ↢不退ニ↡、不ズ↠歴ヘ↢長劫ヲ↡、即チ得ムト↩无生ヲ↨、当ニシト↠学ス↢此ノ法等ヲ↡。古賢ノカシコシ法語ニ能ク無カラム↠従シタガフコト乎ヤ。

^以い上じょう五ご門もん、 綱要こうようを略標りゃくひょうす。 自余じよは尽つくさず、 くはしく釈しゃく文もんにあり。

▼已上五門、略↢標ヘウスアラハス綱カウツナ要ヲ↡。自余ハ不ズ↠尽ツクサ、▼委クワシク在リ↢釈文ニ↡。

^¬*開元かいげんの0182蔵録ぞうろく¼ を案あんずるに、 この ¬経きょう¼ におほよそ両りょう訳やくあり。 前本ぜんぽんはすでに亡もうじぬ。 いまの本ほんはすなはち*畺良きょうりょう耶や舎しゃの訳やくなり。 ¬*僧伝そうでん¼ にいはく、 ª畺良きょうりょう耶や舎しゃはここには時じ称しょうといふ。*宋そうの元げん嘉かの初はじめに、 *京きょう邑おうに建はじめたり。 *文帝ぶんていのときº」 と。

按ズルニ↢¬開元グヱンノ蔵録ヲシルス¼↡、▼此ノ¬経ニ¼凡ソ有リ↢両訳ヤク↡。前本ハ已ニ亡ジヌ。今ノ本ハ乃チ畺キヤウ良*邪舎ノ訳ナリ。¬僧伝ニ¼云ク、畺良*邪舎ハ此コヽニハ云フ↢時称ト↡。▼宋ソウノ元嘉ノ初メニ▼建ハジメタリ↢于京キヤウ邑オウムラニ↡。▼文帝ノトキト。」

7.結嘆 ・遵式

【54】^*慈じ雲うん 遵じゅん式しきなり の讃さんにいはく、

▼慈雲ノ *遵式也 讃ニ云ク、

^「*了りょう義ぎのなかの了りょう義ぎなり。 *円頓えんどんのなかの円頓えんどんなり」 と。 以上

「了義ノ中ノ了義ナリ円頓ノ中ノ円頓ナリト」 已上

7.結嘆 ・元照

【55】^大だい智ち 元がん照じょう律りっ師しなり 唱となへていはく (元照観経義疏)、

▼*大智 *元照律師也 唱トナヘテ云ク、

^「*円頓えんどん一いち乗じょうなり。 純じゅん一いつにして雑ぞうなし」 と。 以上

「円頓一乗ナリ純モハラ一ニシテ無シト↠*雑ザウ」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ヘ)戒度¬観経義疏正観記¼

・仏名万徳

【56】^律りっ宗しゅうの*戒かい度ど 元がん照じょうの弟子でしなり のいはく (*正観記)、

▼律宗ノ*戒度ノ *元照之弟子也 云ク、

^「仏ぶつ名みょうはすなはちこれ劫こうを積つんで*薫修くんじゅし、 その万徳まんどくを攬とる、 すべて四字しじに彰あらわる。 このゆゑにこれを称しょうするに益やくを獲うること、 浅あさきにあらず」 と。 以上

▼「仏名ハ乃チ是 レ積ツンデ↠劫ヲ薫修シ、攬トル↢其ノ万徳ヲ↡、総 ベテ彰ル↢四字ニ↡。是ノ故ニ称スルニ↠之ヲ獲ウルコト↠益ヲ非ズト↠浅アサキニ。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ト)用欽二文

1.功徳具足

【57】^*律りっ宗しゅうの*用欽ようきん 元がん照じょうの弟子でしなり のいはく、

▼律宗ノ用欽ヨウキムノ *元照之弟子也 云ク、

^「いまもしわが心しん口くをもつて一いち仏ぶつの嘉か号ごうを称しょう念ねんすれば、 すなはち因いんより果かに至いたるまで、 無む量りょうの功く徳どく具ぐ足そくせざることなし」 と。 以上

「今若シ以テ↢我ガ心口ヲ↡称↢念スレバ一仏ノ嘉ヨキ号ヲ↡、則チ従リ↠因至ルマデ↠果ニ、无量ノ功徳无シト↠不ルコト↢具足セ↡。」 已上

2.不思議功徳

【58】^またいはく、

又0046云ク、

^「一切いっさい諸仏しょぶつ、 *微み塵じん劫ごうを歴へて実相じっそうを了りょう悟ごして、 *一切いっさいを得えざるがゆゑに、 *無む相そうの大願だいがんを発おこして、 *修しゅするに妙行みょうぎょうに住じゅうすることなし。 証しょうするに菩ぼ0183提だいを得うることなし。 住じゅうするに国こく土どを荘しょう厳ごんするにあらず。 現げんずるに神通じんずうの神通じんずうなきがゆゑに、 *舌相ぜっそうを大千だいせんにあまねくして無む説せつの説せつを示しめす。 ゆゑにこの経きょうを勧信かんしんせしむ。 あに心こころに思おもひ、 口くちに議はかるべけんや。

「一切諸仏、歴テ↢微塵劫ヲ↡了↢悟シテ実相ヲ↡、不ルガ↠得エ↢一切ヲ↡故ニ、発シテ↢无相ノ大願ヲ↡、修スルニ无シ↠住スルコト↢妙行ニ↡。証スルニ无シ↠得ルコト↢菩提ヲ↡。住スルニ非ズ↣荘↢厳スルニ国土ヲ↡。現ズルニ無キガ↢神通之神通↡故ニ、舌相ヲ徧アマネクシテ↢於大千ニ↡示シメス↢无説之説ヲ↡。故ニ勧↢信セシム是ノ経ヲ↡。豈アニ容ベケム↢心ニ思ヒ口ニ議ハカル↡邪ヤ。

^わたくしにいはく、 諸仏しょぶつの不ふ思議しぎの功く徳どく、 須しゅ臾ゆに弥陀みだの*二に報ほう荘しょう厳ごんに収おさむ。 *持じ名みょうの行ぎょう法ほうはかの諸仏しょぶつのなかに、 またすべからく弥陀みだを収おさむべきなり」 と。 以上

私ワタクシニ謂ク諸仏ノ不思議ノ功徳、須臾ニ*収オサム↢弥陀ノ二報荘厳ニ↡。持名ノ行法ハ彼ノ諸仏ノ中ニ、亦須ベ クキ↠*収ム↢於弥陀ヲ↡也ト。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(チ)嘉祥¬観経義疏¼

・無量功徳

【59】^三論さんろんの祖師そし、 *嘉か祥じょうのいはく (*観経義疏)、

▼三論ノ祖師嘉祥ジヤウノ云ク、

^「問とふ。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいはなにによりてか、 よくかくのごとき多た罪ざいを滅めっすることを得うるやと。 ^解げしていはく、 仏ぶつに無む量りょうの功く徳どくいます。 仏ぶつの無む量りょうの功く徳どくを念ねんずるがゆゑに、 無む量りょうの罪つみを滅めっすることを得えしむ」 と。 以上

「問フ。念仏三昧ハ何ニ因リテカ、能ク得ル↠滅スルコトヲ↢如キ↠此クノ多罪ヲ↡邪ヤト。解ゲシテサトス 云ク、仏ニ有イマス↢无量ノ功徳↡。念ズルガ↢仏ノ无量ノ功徳ヲ↡故ニ、得エシムト↠滅スルコトヲ↢无量ノ罪ヲ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(リ)法位¬大経義疏¼

・称名称徳

【60】^法相ほっそうの祖師そし、 *法ほう位いのいはく (*大経義疏)、

▼法相ノ祖師法位ノ云ク、

^「諸仏しょぶつはみな徳とくを名なに施ほどこす。 名なを称しょうするはすなはち徳とくを称しょうするなり。 徳とくよく罪つみを滅めっし福ふくを生しょうず。 名なもまたかくのごとし。 もし仏ぶつ名みょうを信しんずれば、 よく善ぜんを生しょうじ悪あくを滅めっすること決けつ定じょうして疑うたがいなし。 称名しょうみょう往おう生じょうこれなんの惑まどひかあらんや」 と。 以上

「▼諸仏ハ皆徳ヲ施 スホドコス↠名ニ。称スルハ↠名ヲ即チ称スルナリ↠徳ヲ。徳能ク滅シ↠罪ヲ生ズ↠福ヲ。名モ亦如シ↠是クノ。若シ信ズレバ↢仏名ヲ↡、能ク生ジ↠善ヲ滅スルコト↠悪ヲ決定シテ無シ↠疑 ヒ。称名往生此有ラムヤト↢何ノ惑マドヒカ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ヌ)飛錫¬念仏三昧宝王論¼

・三昧王

【61】^禅ぜん宗しゅうの*飛ひ錫しゃくのいはく (*念仏三昧宝王論)、

▼禅宗ノ飛錫シヤクノ云ク、

^「念仏ねんぶつ三昧ざんまいの善ぜん、 これ最さい上じょうなり。 万まん行ぎょうの元首げんしゅなるがゆゑに、 三昧さんまい王おうといふ」 と。 以上

「念仏三昧ノ善、之コレ最上ナリ。万行ノ元ハジメ 首カウベナルガ故ニ、曰フト↢三昧王ト↡焉。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅵ)横川引意(¬往生要集¼四文)
                (a)念仏証拠門

1.衆機斉入

【018462】^¬*往おう生じょう要よう集しゅう¼ (下) にいはく、

▼¬往生要集ニ¼云ク、

^「▲¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経・下) の三輩さんぱいの業ごう、 浅深せんじんありといへども、 しかるに通つうじてみな ª一向いっこう専念せんねん無む量りょう寿じゅ仏ぶつº といへり。

「¬双サウ巻経ノ¼三輩パイトモガラ之業、雖モ↠有リト↢浅深↡、然ルニ通ジテ皆云ヘリ↢一向専念无量寿仏ト↡。

^◆三みつに四し十じゅう八はち願がんのなかに、 念仏ねんぶつ門もんにおいて別べっして一ひとつの願がんを発おこしてのたまはく、 ª乃ない至し十じゅう念ねん 若にゃく不ふ生しょう者じゃ 不ふ取しゅ正しょう覚がくº と。

三ニ四十八願ノ中ニ、於テ↢念仏門ニ↡別シテ発シテ↢一ノ願ヲ↡云ハク、乃至十念若0047不生者不取正覚ト。

^◆四よつに ¬観かん経ぎょう¼ には ª極ごく重じゅうの悪人あくにん他たの方便ほうべんなし。 ただ弥陀みだを称しょうして極楽ごくらくに生しょうずることを得うº」 と。 以上

四ニ¬観経ニハ¼極重ノ悪人无シ↢他ノ方便↡。唯称シテ↢弥陀ヲ↡得ウト↠生ズルコトヲ↢極楽ニ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅵ)(b)正修念仏門

2-1.六種功徳

【63】^またいはく (往生要集・上)、

▼又云ク、

^「▲¬*心しん地じ観かん経ぎょう¼ の六種ろくしゅの功く徳どくによるべし。 一ひとつには無む上じょう大だい功く徳どく田でん、 二ふたつには無む上じょう大だい恩徳おんどく、 三みつには無む足そく・二に足そくおよび多た足そく衆しゅ生じょうのなかの尊そんなり。 四よつにはきはめて値ち遇ぐうしがたきこと、 優う曇どん華げのごとし。 五いつつには独ひとり三千さんぜん大千だいせん界かいに出いでたまふ。 六むつには世せ・出しゅっ世せ間けんの*功く徳どく円満えんまんせり。 義ぎつぶさにかくのごときらの六種ろくしゅの功く徳どくによる。 つねによく一切いっさい衆しゅ生じょうを利り益やくしたまふ」 と。 以上

「応シ↠依ル↢¬心地観経ノ¼↡六種ノ功徳ニ↡。一ニハ无上大功徳田、二ニハ无上大恩徳、三ニハ无足タル・二足及以 オヨビ 多*足ノ衆生ノ中ノ尊ナリ。四ニハ極テ難キコト↢値チアフ遇グシ↡如シ↢優曇華ノ↡。五ニハ独リ出デタマフ↢三千大千界ニ↡。六ニハ世・出世間ノ功徳円満セリ。義依ル↢具ツブサニ如キ↠此クノ等ラノ六種ノ功徳ニ↡。常ニ能ク利↢益シタマフト一切衆生ヲ↡。」 已上

2-2.六応念

【64】^この六種ろくしゅの功く徳どくによりて信しん和か尚しょう (*源信) のいはく (往生要集・上)、

依リテ↢此ノ六種ノ功徳ニ↡、信和尚ノ云ク、

^「▲一ひとつには念ねんずべし、 *一いっ称しょう南無なも仏ぶつ皆かい已い成じょう仏道ぶつどうのゆゑに、 われ無む上じょう功く徳どく田でんを帰き命みょうし礼らいしたてまつる。

「一ニハ応シ↠念ズ、一称南无仏皆已成仏道ノ故ニ我 レ帰↢命シ礼シタテマツル↣无上功徳田ヲ↡。

^◆二ふたつには念ねんずべし、 慈じ眼げんをもつて衆しゅ生じょうを視みそなはすこと、 平びょう等どうにして一いっ子しのごとし。 ゆゑにわれ極ごく大だい慈悲じひ母もを帰き命みょうし礼らいしたてまつる。

二ニハ応シ↠念ズ、慈眼ヲモテ視ミソナハスコト↢衆生ヲ↡、平等ニシテ如シ↢一子ノ↡。故ニ我 レ帰↢命シ礼シタテマツル↣極大慈悲母ヲ↡。

^◆三みつには念ねん0185ずべし、 十方じっぽうの諸しょ大だい士じ、 弥陀みだ尊そんを恭く敬ぎょうしたてまつるがゆゑに、 われ*無む上じょう両りょう足ぞく尊そんを帰き命みょうし礼らいしたてまつる。

三ニハ応シ↠念ズ、十方ノ諸大士恭↢敬シタテマツルガ弥陀尊ヲ↡故ユヘニ我 レ帰↢命シ礼シタテマツル↣无上両足尊ヲ↡。

^◆四よつには念ねんずべし、 一ひとたび仏ぶつ名みょうを聞きくことを得うること、 優う曇どん華げよりも過すぎたり。 ゆゑにわれ*極難ごくなん値ち遇ぐう者しゃを帰き命みょうし礼らいしたてまつる。

四ニハ応シ↠念ズ、一タビ得ルコト↠聞クコトヲ↢仏名ヲ↡、過ギタリ↠於ヨリモ↢優曇華↡。故ニ我 レ帰↢命シ礼シタテマツル↣極難値遇者ヲ↡。

^◆五いつつには念ねんずべし、 一いっ百ぴゃく倶く胝てい界かいには二に尊そん並ならんで出いでたまはず。 ゆゑにわれ希有けう大法だいほう王ほうを帰き命みょうし礼らいしたてまつる。

五ニハ応シ↠念ズ、一百倶胝テイ界ニハ二尊不ズ↢並ナラビヤウンデ出デタマハ↡。故ニ我帰↢命シ礼シタテマツル↣希有大法王ヲ↡。

^◆六むつには念ねんずべし、 仏法ぶっぽう衆徳しゅとく海かいは三さん世ぜ同おなじく一体いったいなり。 ゆゑにわれ*円えん融にゅう万徳まんどく尊そんを帰き命みょうし礼らいしたてまつる」 と。 以上

六ニハ応シ↠念ズ、仏法衆徳海ハ三世同ジク一体ナリ。故ニ我 レ帰↢命シ礼シタテマツルト↣円融ユ万徳尊ヲ↡。」 已上

3.一念大利

【65】^またいはく (往生要集・上)、

▼又云ク、

^「▲波利はり質しっ多た樹じゅの華はな、 一日いちにち衣ころもに薫くんずるに、 瞻蔔せんぶく華げ・波師迦はしか華げ、 千歳せんざい薫くんずといへども、 及およぶことあたはざるところなり」 と。 以上

「▼波利質シチ多樹ノ華 ナ、一日薫ズルニ↠衣ニ、瞻センミル*蔔華・波師迦華、雖モ↢千歳薫ズト↡、所0048ナリト↠不ル↠能ハ↠及ブコト。」 已上

4.悪機得生

【66】^またいはく (往生要集・下)、

▼又云ク、

^「▲一斤いっこんの石せき汁じゅう、 よく千斤せんごんの銅あかがねを変へんじて金こがねとなす。

「如シト↧一斤コンノ▼石汁ジフ、能ク変ジテ↢千斤ノ銅アカガネヲ↡為ナス↠金ト、

^▲雪山せっせんに草くさあり、 名なづけて忍辱にんにくとす。 牛うしもし食じきすればすなはち醍だい醐ごを得う。

雪山ニ有リ↠草、名ケテ為ス↢▼忍辱ト↡、牛 シ若シ食スレ者バ即チ得ウ↢醍ダイ醐ゴヲ↡、

^▲尸利しり沙しゃ昴星ぼうせいを見みればすなはち菓か実じつを出いだすがごとし」 と。 以上

▼*月利沙見レバ↢昴バウ星セイヲ↡則チ出スガ↦菓ハナ実ヲ↥。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)吉水引意(¬選択集¼二文)
                (a)正しく集文を引く

1.念仏為本

【67】^¬*選せん択じゃく本願ほんがん念仏ねんぶつ集しゅう¼ *源空げんくう集しゅう にいはく、

▼¬選択本願念仏集ニ¼ 源空集 云ク、

^「▲南無なも阿あ弥陀みだ仏 往おう生じょうの業ごうは念仏ねんぶつを本ほんとす」 と。

「▼南无阿弥陀仏 往生之業ハ念仏ヲ為スト↠本ト」

2.三選之文

【68】^またいはく (選択集)、

▼又云ク、

^「▲それすみやかに生しょう死じを離はなれんと欲おもはば、 二に種しゅ0186の勝しょう法ぼうのなかに、 しばらく聖しょう道どう門もんを閣さしおきて、 選えらんで浄じょう土ど門もんに入いれ。 浄じょう土ど門もんに入いらんと欲おもはば、 正しょう雑ぞう二に行ぎょうのなかに、 しばらくもろもろの雑ぞう行ぎょうを抛なげうちて、 選えらんで正行しょうぎょうに帰きすべし。 正行しょうぎょうを修しゅせんと欲おもはば、 正しょう助じょ二に業ごうのなかに、 なほ助業じょごうを傍かたわらにして、 選えらんで正定しょうじょうをもつぱらにすべし。

「夫 レ速カニ欲ハヾ↠離レムト↢生死ヲ↡、二種ノ勝法ノ中ニ且シバラク閣サシオキテ↢聖道門ヲ↡、選デ入レ↢浄土門ニ↡。欲ハヾ↠入ラムト↢浄土門ニ↡、正雑二行ノ中ニ且ク抛ナゲウチテ↢諸ノ雑行ヲ↡、選デ応シ↠帰ス↢正行ニ↡。欲ハヾ↠修セムト↢於正行ヲ↡、正助二業ノ中ニ猶ナホ傍カタワラニシテ↢於助業ヲ↡、選デ応シ↠専ラニス↢正定ヲ↡。

^◆正定しょうじょうの業ごうとはすなはちこれ仏ぶつの名みなを称しょうするなり。 称名しょうみょうはかならず生しょうずることを得う。 仏ぶつの本願ほんがんによるがゆゑに」 と。 以上

正定之業ト者ハ即チ是称スルナリ↢仏ノ名ヲ↡。称名ハ必ズ得ウ↠生ズルコトヲ。依ルガ↢仏ノ本願ニ↡故ニト。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)(b)略釈

【69】^▼あきらかに知しんぬ、 これ*凡ぼん聖しょう自じ力りきの行ぎょうにあらず。 ゆゑに不ふ回え向こうの行ぎょうと名なづくるなり。

▼明カニ知ヌ▼是非ズ↢凡聖自力之行ニ↡。故ニ名クル↢不回向之行ト↡也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)(c)勧帰
                  (イ)正勧

・念仏成仏釈

^*大だい小しょうの聖しょう人にん・重軽じゅうきょうの悪人あくにん、 みな同おなじく斉ひとしく選せん択じゃくの大だい宝海ほうかいに帰きして念仏ねんぶつ成じょう仏ぶつすべし。

大小ノ聖人・重軽ノ悪人、皆 ナ同ジク斉ヒトシク応シ↧帰シテ↢選択ノ大宝海ニ↡念仏成仏ス↥。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)(c)(ロ)引証(¬論註¼)

・同一念仏

【70】^ここをもつて ¬論ろんの註ちゅう¼ (下) にいはく、

▼是ヲ以テ¬論ノ註ニ¼曰ク、

^「▲かの安楽あんらく国こく土どは、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの正しょう覚がく浄じょう華けの化け生しょうするところにあらざることなし。 同一どういつに念仏ねんぶつして別べつの道みちなきがゆゑに」 とのたまへり。 以上

「彼ノ安楽国土ハ、▼莫ナシ↠非ザルコト↣阿弥陀如来ノ▼正覚浄華之所ニ↢化生スル↡。▼同一ニ念仏シテ▼无キガ↢別ノ道↡故ニトノタマヘリ。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)釈成
              (ⅰ)行信の利益を明かす【行信利益】

1.正説

【71】^しかれば、 ▼真実しんじつの行ぎょう信しんを獲うれば、 心こころに歓かん喜ぎ多おおきがゆゑに、 これを歓かん喜ぎ地じと名なづく。 △これを初しょ果かに喩たとふることは、 初しょ果かの聖しょう者じゃ、 なほ睡眠すいめんし懶らん堕だなれども二に十じゅう九く有うに至いたらず。 いかにいはんや▼十方じっぽう群ぐん生じょう海かい、 △この行ぎょう信しんに0187帰き命みょうすれば摂取せっしゅして捨すてたまはず。 ゆゑに阿あ弥陀みだ仏ぶつと名なづけたてまつると。 これを↓他た力りきといふ。

爾レ者バ▼獲ウレ↢真実ノ行信ヲ↡者バ、心ニ多キガ↢歓喜↡故ニ是ヲ名ク↢歓喜地ト↡。是ヲ喩フルコト↢初果ニ↡者ハ、初果ノ聖者、尚ナホ睡眠シ懶ラ 堕ダナレドモ不ズ↠至ラ↢二十九有ニ↡。何 カニ況 ハンヤ十方群生海、帰↢命スレ斯0049ノ行信ニ↡者バ摂取シテ不↠捨テタマハ。故ニ名ケタテマツルト↢阿弥陀仏ト↡。是ヲ曰フ↢他力ト↡。

2.引証

^◆ここをもつて龍りゅう樹じゅ大だい士じは 「▲*即そく時じ入にゅう必ひつ定じょう」 (易行品) といへり。 曇鸞どんらん大だい師しは 「▲*入にゅう正定しょうじょう聚じゅ之し数じゅ」 (論註・上) といへり。 仰あおいでこれを憑たのむべし。 もつぱらこれを行ぎょうずべきなり。

是ヲ以テ龍樹大士ハ曰ヘリ↢「▼即時入必定ト」↡。曇*鸞大師ハ云ヘリ↢「▼入正定聚之数ト」↡。仰イデ可シ↠憑タノム↠斯ヲ。専ラ可キ↠行ズ↠斯ヲ也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)行信の交際を弁ず【両重因縁】

1.正釈

【72】^▼まことに知しんぬ、 ▼*徳号とくごうの慈父じぶましまさずは*能のう生しょうの因いん闕かけなん。 光こう明みょうの悲母ひもましまさずは*所しょ生しょうの縁えん乖そむきなん。 能所のうじょの因縁いんねん和わ合ごうすべしといへども、 信心しんじんの*業識ごっしきにあらずは光こう明みょう土どに到いたることなし。 ▼真実しんじつ信しんの業識ごっしき、 これすなはち内因ないいんとす。 光こう明みょう・名みょうの父母ぶも、 これすなはち外げ縁えんとす。 内ない外げの因縁いんねん和わ合ごうして報ほう土どの真身しんしんを得とく証しょうす。

良 トニ知ヌ无マシマサズハ↢徳号ノ慈父↡能生ノ因闕カクヱチケナム。无マシマサズハ↢光明ノ悲母↡所生ノ縁乖ソムキナム。能所ノ因縁雖モ↠可シト↢和合ス↡、非ズハ↢信心ノ業識ニ↡无シ↠到ルコト↢光明土ニ↡。▼真実信ノ業識、斯 レ則チ為ス↢内因ト↡。光明・名ノ父母、斯則チ為↢外縁ト↡。内外ノ因縁和合シテ得↢証ス報土ノ真身ヲ↡。

2.引証

^ゆゑに宗しゅう師し (善導) は、 「△光こう明みょう・名みょう号ごうをもつて十方じっぽうを摂せっ化けしたまふ、 ただ信心しんじんをして求ぐ念ねんせしむ」 (礼讃) とのたまへり。 ^また 「△念仏ねんぶつ成じょう仏ぶつこれ真しん宗しゅう」 (*五会法事讃) といへり。 ^また 「▲真しん宗しゅう遇あひがたし」 (*散善義) といへるをや、 ^知しるべしと。

故ニ宗師ハ言ヘリ↧「以テ↢光明・名号ヲ↡摂↢化シタマフ十方ヲ↡、但使ムト↦信心ヲシテ求念セ↥ト。」又云ヘリ↢「念仏成仏是真宗ト」↡、又云ヘルヲ↢「真宗叵ガタシト↟遇ヒ」也ヤ、可シト↠知ル。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)行信一念を明かす【行一念釈】
                (a)総標

【73】^おほよそ往相おうそう回え向こうの行ぎょう信しんについて、 行ぎょうにすなはち一念いちねんあり、 また信しんに一念いちねんあり。

凡ソ就イテ↢往相回向ノ行信ニ↡、▼行ニ則チ有リ↢一念↡、亦信ニ有リ↢一念↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)別釈
                  (イ)正しく一念を釈す
                    [一]正釈
                      [Ⅰ]直釈

^▼行ぎょうの一念いちねんといふは、 いはく、 称名しょうみょうの遍数へんじゅについて選せん択じゃく易い行ぎょうの至し極ごくを顕開けんかいす。

言フ↢行之一念ト↡者ハ、謂 ワク就テ↢称名ノ徧数ニ↡顕↢開ス選択易行ノ至極ヲ↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ]出文
                        [ⅰ]正出
                          [a]¬大経¼

【018874】^ゆゑに ¬*大本だいほん¼ (大経・下) にのたまはく、

▼故ニ¬大本ニ¼言ク、

^「▲仏ぶつ弥み勒ろくに語かたりたまはく、 ªそれかの仏ぶつの名みょう号ごうを聞きくことを得えて、 歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくして↓乃ない至し↓一念いちねんせんことあらん。 まさに知しるべし、 この人ひとは↓大だい利りを得うとす。 すなはちこれ↓無む上じょうの功く徳どくを具ぐ足そくするなりº」 と。 以上

「仏語リタマハク↢弥勒ニ↡、其 レ有ラム↧得テ↠聞クコトヲ↢彼ノ仏ノ名号ヲ↡、▼歓喜踊躍シテ乃至一念セムコト↥。当ニシ↠知ル、此ノ人ハ為ス↠得ト↢大利ヲ↡。則チ是具↢足スルナリト无上ノ功徳ヲ↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][b]~[d](終南)

【75】^光こう明みょう寺じの和か尚しょう (善導) は 「▲↓下至げし一念いちねん」 (散善義・意) といへり。 また 「▲一いっ声しょう一念いちねん」 (礼讃) といへり。 また 「▲↓専心せんしん↓専念せんねん」 (散善義・意) といへり。 以上

光明寺ノ和尚ハ云ヘリ↢「下至一念ト」↡。又云ヘリ↢「一声一念ト」↡。又云ヘリ↢「専心専念ト」↡。 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][e]¬集諸経礼懴儀¼

【76】^智ち昇しょう師しの ¬*集しゅう諸しょ経きょう礼懴らいさん儀ぎ¼ の下げ巻かんにいはく、

▼智0050昇師ノ¬集諸経礼懴儀ノ¼下巻ニ云ク、

^「▲深心じんしんはすなはちこれ真実しんじつの信心しんじんなり。 自じ身しんはこれ煩悩ぼんのうを具ぐ足そくせる凡ぼん夫ぶ、 善根ぜんごん薄はく少しょうにして三界さんがいに流る転てんして火か宅たくを出いでずと信しん知ちす。 いま弥陀みだの本ほん弘ぐ誓ぜい願がんは、 名みょう号ごうを称しょうすること*下至げし十じっ声しょう聞もん等とうに及およぶまで、 さだめて往おう生じょうを得えしむと信しん知ちして、 一念いちねんに至いたるに及およぶまで疑ぎ心しんあることなし。 ゆゑに深心じんしんと名なづく」 と。 以上

「深心ハ即チ是真実ノ信心ナリ。信↧知ス自身ハ是具↢足セル煩悩ヲ↡凡夫、▼善根薄少ニシテ流↢転シテ三界ニ↡不ズト↞出デ↢火宅ヲ↡。今 マ信↪知シテ弥陀ノ本弘誓願ハ、▼及オヨブマデ↧称スルコト↢名号ヲ↡下至▼十*声*聞等ニ↥、定メテ得シムト↩往生ヲ↨、及ブマデ↠至ルニ↢一念ニ↡无シ↠有ルコト↢疑心↡。故ニ名クト↢深心ト↡。」 已上

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]解釈
                          [a]乃至を釈す

【77】^▲¬経きょう¼ (大経) に 「↑乃ない至し」 といひ、 釈しゃく (散善義) に 「↑下至げし」 といへり。 乃ない下げその言ことば異ことなりといへども、 その意こころこれ一ひとつなり。 ^また▼乃ない至しとは*一いっ多た包容ほうようの言ことばなり。

▼経ニ言ヒ↢「乃至ト」↡、釈ニ曰ヘリ↢「下至ト」↡。乃下其ノ言 バ雖モ↠異ナリト、其ノ意惟コレ一也。復乃至ト者ハ一多包ハウカヌ容ヨウイルヽ之言コトバナリ。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]大利無上を釈す

^「↑大だい利り」 といふは小しょう利りに対たいせるの言ことばなり。 「↑無む上じょう」 といふは有う上じょうに対たいせるの言ことばなり。 まことに知しんぬ、 大だい利り無む上じょうは一いち乗じょう真実しんじつの利り益やく0189なり。 小しょう利り有う上じょうはすなはちこれ八万はちまん四し千せんの仮け門もんなり。

言フ↢大利ト↡者ハ対セル↢小利ニ↡之言 バナリ。言フ↢无上ト↡者ハ対セル↢有上ニ↡之言也。信マコトニ知ヌ大利无上者ハ一乗真実之利益也。小利有上者ハ則チ是八万四千ノ仮カリニ門也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][c]一念を釈す

^▼釈しゃく (散善義) に 「↑専心せんしん」 といへるはすなはち一心いっしんなり、 二に心しんなきことを形あらわすなり。 「↑専念せんねん」 といへるはすなはち一いち行ぎょうなり、 二に行ぎょうなきことを形あらわすなり。

釈ニ云ヘル↢▼専心ト↡者ハ即チ一心ナリ、形アラハス↠无キコトヲ↢二心↡也。云ヘル↢専念ト↡者ハ即チ一行ナリ、形ハス↠无キコトヲ↢二行↡也。

^▼いま弥み勒ろく付ふ属ぞくの 「↑一念いちねん」 はすなはちこれ一いっ声しょうなり。 一いっ声しょうすなはちこれ一念いちねんなり。 一念いちねんすなはちこれ一いち行ぎょうなり。 一いち行ぎょうすなはちこれ正行しょうぎょうなり。 正行しょうぎょうすなはちこれ正しょう業ごうなり。 正しょう業ごうすなはちこれ正しょう念ねんなり。 正しょう念ねんすなはちこれ念仏ねんぶつなり。 すなはちこれ南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつなり。

◆今弥勒付嘱之一念ハ即チ是一声ナリ。一声即チ是一念ナリ。一念即チ是一行ナリ。一行即チ是正行ナリ。正行即チ是正業ナリ。正業即チ是正念ナリ。正念即チ是念仏ナリ。則チ是南无阿弥陀仏也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[二]結嘆

【78】^しかれば、 大だい悲ひの願船がんせんに乗じょうじて光こう明みょうの広海こうかいに浮うかびぬれば、 至し徳とくの風かぜ静しずかに衆しゅ禍かの波なみ転てんず。 すなはち無む明みょうの闇あんを破はし、 すみやかに無む量りょう光こう明みょう土どに到いたりて大だい般はつ涅ね槃はんを証しょうす、 普ふ賢げんの徳とくに遵したがふなり、 知しるべしと。

爾レ者バ乗ジテ↢大悲ノ願船ニ↡浮ウカビヌレバ↢光明ノ広海ニ↡、至徳ノ風静シヅカニ衆禍クワノワザワイ波 ミ転ズ。即チ破シ↢无明ノ闇ヲ↡、速 ヤカニ到リテ↢无量光明土ニ↡証ス↢大般涅槃ヲ↡、遵シタガジユンフ↢普賢之徳ニ↡也、可シト↠知ル。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(ロ)因みに十念を釈す

【79】^¬安楽あんらく集しゅう¼ (上) にいはく、

▼¬安楽集ニ¼云ク、

^「▲十じゅう念ねん相続そうぞくとは、 これ*聖しょう者じゃの一ひとつの数かずの名なならくのみ。 すなはちよく念ねんを積つみ、 思おもいを凝こらして他事たじを縁えんぜざれば、 業道ごうどう成じょう弁べんせしめてすなはち罷やみぬ。 また*労いたわしくこれが頭ず数しゅを記きせざれと。 ◆またいはく、 もし久く行ぎょうの人ひとの念ねんは、 多おおくこれによるべし。 もし始し行ぎょうの人ひとの念ねんは、 数かずを記きする、 また好よし。 これまた聖教しょうぎょうによるなり」 と。 以上

「十念相続ト者ハ、是聖者ノ一ノ数 ズ之名耳ナラクノミ。即チ能ク積ツミ↠念ヲ、凝コラシテ↠思ヲ不0051レバ↠縁ゼ↢他事ヲ↡、使メテ↢業道成*弁セスナハチ↡便スナハチ罷ヤミヌ。亦不レト↣労イタハシク記セ↢之ヲ頭ハシ数ヲ↡也。▼又*云ク、若シ久行ノ人ノ念ハ、多ク応シ↠依ル↠此ニ。若シ始シハジメ行ノ人ノ念者ハ、記スル↠数ヲ亦好ヨシ。此亦依ルナリト↢聖教ニ↡。」 已上▼

一 Ⅰ ⅱ b ロ 結示

【019080】^これすなはち真実しんじつの行ぎょうを顕あらわす明証みょうしょうなり。

▼斯乃チ顕ス↢真実ノ行ヲ↡明証ナリ。

一 Ⅰ ⅱ c 結嘆

^▼まことに知しんぬ、 選せん択じゃく摂取せっしゅの本願ほんがん、 超ちょう世せ希有けうの勝行しょうぎょう、 *円えん融にゅう真しん妙みょうの正しょう法ぼう、 至し極ごく無礙むげの大だい行ぎょうなり、 知しるべしと。

誠マコトニ知ヌ選択摂取之本願、超世希有之勝行、円融真妙之正法、至極无之大行也、可シト↠知ル。

一 Ⅱ 要義を追釈する【追釈】
    ⅰ 他力を釈す【他力釈】
      a 正標

【81】^↑他た力りきといふは如来にょらいの本願ほんがん力りきなり。

▼言フ↢他力ト↡者ハ如来ノ本願力也。

一 Ⅱ ⅰ b 引証
        イ ¬論註¼利行満足章
          (一) 略明

・標示本願力

【82】^¬論¼ (論註・下) にいはく、

▼¬論ニ¼曰ク、

^「▲本願ほんがん力りきといふは、 *大だい菩ぼ薩さつ、 法身ほっしんのなかにして、 つねに三昧さんまいにましまして、 種々しゅじゅの身しん、 種々しゅじゅの神通じんずう、 種々しゅじゅの説法せっぽうを現げんじたまふことを示しめす。 みな本願ほんがん力りきより起おこるをもつてなり。 たとへば、 阿あ修しゅ羅らの琴きんの鼓こするものなしといへども、 しかも音いん曲ぎょく自じ然ねんなるがごとし。 これを教きょう化け地じの*第だい五ごの功く徳どく相そうと名なづく。 乃至

「言フ↢▼本願力ト↡者ハ、示 メス↧大菩薩於シテ↢法身ノ中ニ↡、常ニ在 マシテ↢三昧ニ↡而テ現ジタマフコトヲ↦種種ノ身、種種ノ神通、種種ノ説法ヲ↥。皆以テナリ↢本願力ヨリ起ルヲ↡。譬ヘバ如シ↧阿修羅ノ琴ノ雖モ↠无シト↢鼓コウツスル者 ノ↡、而モ*音曲自然ナルガ↥。是ヲ名ク↢教化地ノ第五ノ功徳相ト↡。 乃至

一 Ⅱ ⅰ b イ (二) 広釈
            (Ⅰ) 仏の修成を弁ず

・法体成就 ・二利満足 ・入

 ^◆ª菩ぼ薩さつは*四し種しゅの門もんに入いりて、 自利じりの行ぎょう成じょう就じゅしたまへりと、 知しるべしº と。 ◆ª成じょう就じゅº とは、 いはく自利じり満足まんぞくせるなり。 ª応おう知ちº といふは、 いはく自利じりによるがゆゑにすなはちよく利他りたす。 これ自利じりにあたはずしてよく利他りたするにはあらざるなりと知しるべし。

菩薩ハ入リテ↢四種ノ門ニ↡自利ノ行成就シタマヘリト、応シト↠知ル。成就ト者ハ、謂ク自利満足セル也。応知トイフ者ハ、謂ク応シ↠知ル↩由ルガ↢自利ニ↡故ニ則チ能ク利他ス、非ザル↧是 レ不ズ↠能ハ↢自利ニ↡而シテ能ク利他スルニハ↥也ト↨。

・法体成就 ・二利満足 ・出

 ^◆ª菩ぼ薩さつは*第だい五ご門もんに出いでて回え向こう利り益やく他たの行ぎょう成じょう就じゅしたまへりと、 知しるべしº と。 ◆ª成じょう就じゅº とは、 いはく回え向こうの因いんをもつて教きょう化け地じの果かを証しょうす。 もしは因いん、 もしは果か0191、 一いち事じとして利他りたにあたはざることあることなきなり。 ª応おう知ちº といふは、 いはく利他りたによるがゆゑにすなはちよく自利じりす、 これ利他りたにあたはずしてよく自利じりするにはあらざるなりと知しるべし。

▼菩薩ハ出デテ↢第五門ニ↡廻向利益他ノ行成就シタマヘリト、応シト↠知ル。成就ト者ハ、謂ク以テ↢回向ノ因ヲ↡証ス↢教化地ノ果ヲ↡。若シハ因若シハ果、无キ↠有ルコト↢一事トシテ不ルコト↟能ハ↢利他ニ↡也。応知トイフ者ハ、謂ク応シ↠知ル↧由ルガ↢利他ニ↡故ニ則チ能ク自利ス、非ザルナリト↦是不ズ↠能ハ↢利他ニ↡而シテ能ク自利スルニハ↥也。

・法体成就 ・成就菩提

 ^◆ª菩ぼ薩さつはかくのごとき五ご門もんの行ぎょうを修しゅして、 自利じり利他りたして、 すみやかに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成じょう就じゅすることを得えたまへるがゆゑにº と。 ◆仏ぶつの所得しょとくの法ほうを、 名なづけて阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいとす。 この菩ぼ提だいを得えたまへるをもつてのゆゑに、 名なづけて仏ぶつとす。 いま ª速得そくとく阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいº といへるは、 これはやく仏ぶつになることを得えたまへるなり。

菩薩ハ如キ↠是クノ修シテ↢五門ノ行ヲ↡、自利利他シテ、速ニ得タマヘルガ↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡故ニト。仏ノ所得ノ法ヲ、名ケテ為ス↢阿耨多羅三藐三菩提ト↡。以テノ↠得タマヘルヲ↢此0052ノ菩提ヲ↡故ニ、名ケテ為↠仏ト。今言ヘルハ↢速得阿耨多羅三藐三菩提ト↡、是得タマヘル↢早ク作ルコトヲ↟仏ニ也。

^◆ª阿あº をば無むに名なづく、 ª耨のく多羅たらº をば上じょうに名なづく、 ª三さん藐みゃくº をば正しょうに名なづく、 ª三さんº をば遍へんに名なづく、 ª菩ぼ提だいº をば道どうに名なづく、 統かねてこれを訳やくして、 名なづけて ª無む上じょう正しょう遍へん道どうº とす。

阿ヲバ名ク↠无ニ、耨多羅ヲバ名ク↠上ニ、三藐ヲバ名ク↠正ニ、三ヲバ名ク↠徧ニアマネシ、菩提ヲバ名ク↠道ニ、カネ而テ訳ヤクシテ↠之ヲ、名ケテ為ス↢无上正徧道ト↡。

^◆ª無む上じょうº は、 いふこころは、 この道どう、 理りを窮きわめ、 性しょうを尽つくすこと、 さらに過すぎたるひとなけん。 なにをもつてかこれをいはば、 ª正しょうº をもつてのゆゑに。

无上者ハ、言イフココロハ此ノ道、窮キワメ↠理ヲ尽スコト↠性ヲ、更ニ无ケム↢過ギタル者ヒト↡。何ヲ以テカ言ハヾ↠之ヲ、以テノ↠正ヲ故ニ。

^◆ª正しょうº は聖しょう智ちなり。 法相ほっそうのごとくして知しるがゆゑに、 称しょうして正しょう智ちとす。 法ほっ性しょうは相そうなきゆゑに聖しょう智ち無知むちなり。

正者聖智也。如ク↢法相ノ↡而シテ知ルガ故ニ、称シテ為ス↢正智ト↡。法性ハ无キ↠相故ニ、※聖智无知也。

^◆ª遍へんº に二に種しゅあり。 一ひとつには聖しょう心しん、 あまねく一切いっさいの法ほうを知しろしめす。 二ふたつには法身ほっしん、 あまねく法界ほうかいに満みてり。 もしは身み、 もしは心こころ、 遍へんせざることなき0192なり。

徧ニ有リ↢二種↡。一ニ者ハ聖心、徧ク知シロシメス↢一切ノ法ヲ↡。二ニ者ハ法身、徧ク満テリ↢法界ニ↡。若シハ身若シハ心、无キ↠不ルコト↠徧セ也。

^◆ª道どうº は無礙むげ道どうなり。 ¬経きょう¼ (*華厳経) にいはく、 ª十方じっぽうの無礙むげ人にん、 一道いちどうより生しょう死じを出いでたまへりº と。 ª一道いちどうº は一いち無礙むげ道どうなり。 ª無礙むげº は、 いはく、 生しょう死じすなはちこれ涅ね槃はんなりと知しるなり。 かくのごときらの入にゅう不二ふにの法門ほうもんは無礙むげの相そうなり。

道者无道也。▼¬経ニ¼言ク、十方ノ无人、一道ヨリ出デタマヘリト↢生死ヲ↡。一道者ハ、一无道也。无者ハ、謂ク知ルナリ↢生死即チ是涅槃ナリト↡。如キ↠是クノ等ノ入不二ノ法門ハ无ノ相也。

・往還因果 ・問

 ^◆問とうていはく、 なんの因縁いんねんありてか ª速得そくとく成じょう就じゅ阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいº といへるやと。

▼問ヒテ曰ク、有リテカ↢何ノ因縁↡言ヘルヤト↢速得成就阿耨多羅三藐三菩提ト↡。

・往還因果 ・答 ・引論

 ^◆答こたへていはく、 ¬論ろん¼ (浄土論) に ª五ご門もんの行ぎょうを修しゅしてもつて自利じり利他りた成じょう就じゅしたまへるがゆゑにº といへり。

答ヘテ曰ク、¬論ニ¼言ヘリ↧修シテ↢▼五門ノ行ヲ↡以テ自利利*他成就シタマヘルガ故ニト↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ) 本願力を釈す

・往還因果 ・答 ・略標

^◆しかるに覈まことに其その本もとを求もとむれば、 阿あ弥陀みだ如来にょらいを増ぞう上じょう縁えんとするなり。

▼然ルニ覈マコトニ求ムレバ↢其ノ本ヲ↡、阿弥陀如来ヲ為スルナリ↢増上縁ト↡。

・往還因果 ・答 ・弁名

^◆他利たりと利他りたと、 談だんずるに左右さうあり。 もし仏ぶつよりしていはば、 よろしく利他りたといふべし。 衆しゅ生じょうよりしていはば、 よろしく他利たりといふべし。 いままさに仏力ぶつりきを談だんぜんとす、 このゆゑに利他りたをもつてこれをいふ。 まさに知しるべし、 この意こころなり。

※他利ト↠之ヲ与ト↢利他↡、談ズルニ有リ↢左右↡。若シ自オノヅカラ仏ヲ而シテ言ハヾ、宜ヨロベ シクシ ↠言フ↢利他ト↡。自オノヅカラ衆生ヲ而シテ言ハヾ、宜ベ シクシ ↠言フ↢他利ト↡。今将ニス  ↠談ゼムト↢仏力ヲ↡、是ノ故ニ以テ↢利他ヲ↡言フ↠之ヲ。当ニシ↠知ル、此ノ意也。

・往還因果 ・答 ・反顕

^◆おほよそこれかの浄じょう土どに生しょうずると、 およびかの菩ぼ薩さつ・人にん・天てんの起おこすところの諸しょ行ぎょうは、 みな阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん力りきによるがゆゑに。 なにをもつてこれをいはば、 もし仏力ぶつりきにあらずは、 四し十じゅう八はち願がんすなはちこれいたづらに設もうけたまへらん。

凡ソ是レ生ズルト↢彼ノ浄土ニ↡、及ビ彼ノ菩薩・人・天ノ所↠起ノ諸行ハ、皆縁ヨルガ↢阿弥陀如来ノ本願力ニ↡故ニ。何ヲ以テ言ハヾ↠之ヲ、若シ非ズハ↢仏力ニ↡、四十八願便チ是徒イタヅラニ設マウケタマヘラム。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証)

^◆いま的ひとしく三願さんがんを取とりて、 もつて義ぎの意こころを証しょうせん。

今的ヒトシク取リテ↢三願ヲ↡、用テ証セム↢義ノ意ヲ↡。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証) ・第十八願

 ^0193◆願 (第十八願) にのたまはく、 ªたとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 心こころを至いたし信しん楽ぎょうしてわが国くにに生しょうぜんと欲おもうて、 乃ない至し十じゅう念ねんせん。 もし生うまれずは、 正しょう覚がくを取とらじと。 ただ五ご逆ぎゃくと誹ひ謗ほう正しょう法ぼうとをば除のぞくº と。

▼*願ニ言ク、設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、至シ↠心ヲ信楽シテ欲フテ↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡、乃至十0053念セム。若シ不ズ↠生レ者ハ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。唯除クト↢五逆ト誹謗正法トヲバ↡。

^◆仏願ぶつがん力りきによるがゆゑに十じゅう念ねん念仏ねんぶつしてすなはち往おう生じょうを得う。 往おう生じょうを得うるがゆゑに、 すなはち三界さんがい輪転りんでんの事じを勉まぬかる。 輪転りんでんなきがゆゑに、 このゆゑに速すみやかなることを得うる一ひとつの証しょうなり。

縁ルガ↢仏願力ニ↡故ニ十念念仏シテ便チ得ウ↢往生ヲ↡。得ルガ↢往生ヲ↡故ニ即チ勉マヌカル↢三界輪転之事ヲ↡。无キガ↢輪転↡故ニ、所以コノユヘニ得ル↠速ナルコトヲ一ノ証也。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証) ・第十一願

 ^◆願 (第十一願) にのたまはく、 ªたとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国くにのうちの人天にんでん、 定じょう聚じゅに住じゅうし、 かならず滅めつ度どに至いたらずは、 正しょう覚がくを取とらじº と。

▼*願ニ言ク、設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国ノ中ウチノ人天、不ズ↧住シ↢定聚ニ↡必ズ至ラ↦滅度ニ↥者ハ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。

^◆仏願ぶつがん力りきによるがゆゑに正定しょうじょう聚じゅに住じゅうせん。 正定しょうじょう聚じゅに住じゅうせるがゆゑにかならず滅めつ度どに至いたらん。 もろもろの回え伏ぶくの難なんなし、 このゆゑに速すみやかなることを得うる二ふたつの証しょうなり。

縁ルガ↢仏願力ニ↡故ニ住セム↢正定聚ニ↡。住セルガ↢正定聚ニ↡故ニ必ズ至ラム↢滅度ニ↡。无シ↢諸ノ回カヘル 伏ブクシタガフ之難↡、所以コノユヘニ得ル↠速ナルコトヲ二ノ証也。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証) ・第二十二願

 ^◆願 (第二十二願) にのたまはく、 ªたとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう仏ぶつ土どのもろもろの菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが国くにに来らい生しょうして、 究く竟きょうしてかならず一いっ生しょう補ふ処しょに至いたらしめん。 その本願ほんがんの自じ在ざいの所しょ化け、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 弘ぐ誓ぜいの鎧よろいを被きて、 徳本とくほんを積しゃく累るいし、 一切いっさいを度ど脱だつして、 諸仏しょぶつの国くにに遊あそび、 菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅして、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ如来にょらいを供く養ようし、 恒沙ごうじゃ無む量りょうの衆しゅ生じょうを開かい化けして無む上じょう正しょう真しんの道どうを立りゅうせしめんをば除のぞく。 *常じょう倫りんに超出ちょうしゅつし、 諸しょ地じの行ぎょう現前げんぜんし、 普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん。 もししからず0194は、 正しょう覚がくを取とらじº と。

▼*願ニ言ク、設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方仏土ノ諸ノ菩薩衆、来↢生シテ我ガ国ニ↡、究竟シテ必ズ至ラシメム↢一生補処ニ↡。除ク↧其ノ本願ノ自在ノ所化、為ノ↢衆生ノ↡故ニ、被キテ↢弘誓ノ鎧ガイヨロイヲ↡、積↢累シ徳本ヲ↡、度↢脱シテ一切ヲ↡、遊ビ↢諸仏ノ国ニ↡、修シテ↢菩薩ノ行ヲ↡、供↢養シ十方ノ諸仏如来ヲ↡、開↢化シテ恒砂无量ノ衆生ヲ↡使メムヲバ↞立セ↢无上正真之道ヲ↡。超↢出シ常倫ニ↡、諸地之行現前シ、修↢習セム普賢之徳ヲ↡。若シ不ズ↠爾ラ者ハ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。

^◆仏願ぶつがん力りきによるがゆゑに、 常じょう倫りんに超出ちょうしゅつし、 諸しょ地じの行ぎょう現前げんぜんし、 普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん。 常じょう倫りんに超出ちょうしゅつし、 諸しょ地じの行ぎょう現前げんぜんするをもつてのゆゑに、 このゆゑに速すみやかなることを得うる三みつの証しょうなり。

縁ルガ↢仏願力ニ↡故ニ超↢出シ常倫ニトモガラ↡、諸地之行現前シ、修↢習セム普賢之徳ヲ↡。以テノ↧超↢出シ常倫ニ↡、諸地之行現前スルヲ↥故ニ、所以コノユヘニ得ル↠速ナルコトヲ三ノ証也。

・往還因果 ・答 ・結成

^◆これをもつて他た力りきを推すいするに増ぞう上じょう縁えんとす。 しからざることを得えんやと。

以テ↠斯ヲ而推スルニオシテオモフ↢他力ヲ↡為ス↢増上縁ト↡。得ム↠不ルコトヲ↠然ラ乎ヤ。

・往還因果 ・答 ・例示

 ^◆まさにまた例れいを引ひきて自じ力りき・他た力りきの相そうを示しめすべし。 ◆人ひと、 三さん塗ずを畏おそるるがゆゑに禁戒きんかいを受じゅ持じす。 禁戒きんかいを受じゅ持じするがゆゑによく禅ぜん定じょうを修しゅす。 禅ぜん定じょうを修しゅすをもつてのゆゑに神通じんずうを修しゅ習じゅうす。 神通じんずうをもつてのゆゑによく四し天てん下げに遊あそぶがごとし。 かくのごときらを名なづけて自じ力りきとす。

当ニシ↣復引キテ↠例レイヲ示シメス↢自力・他力ノ相ヲ↡。如シ↧人畏オソルルガ↢三塗ヲ↡故ニ受↢持ス禁キムイマシメ戒ヲ↡、受↢持スルガ禁戒ヲ↡故ニ能ク修ス↢禅定ヲ↡、以テノ↠修スヲ↢禅定ヲ↡故ニ修↢習ジフス神通ヲ↡、*以テノ↢神通ヲ↡故ニ能ク遊ブガ↦四天下ニ↥。如キ↠是クノ等ラヲ名ケテ為ス↢自力ト↡。

^◆また劣れっ夫ぷの驢ろに跨またがつて上のぼらざれども、 転輪てんりん王のうの行ゆくに従したがへば、 すなはち虚こ空くうに乗じょうじて四し天てん下げに遊あそぶに障しょう礙げするところなきがごとし。 かくのごときらを名なづけて他た力りきとす。

又如シ↧劣レチオトル夫ノ跨マタガ クワ テ↠驢ロニ不レドモ↠上ノボラ、従シタガヘバ↢転輪王ノ行クニ↡、便チ乗ジテ↢虚空ニ↡遊ブニ↢四天下ニ↡无キガ↞所 ロ↢障スル↡。如キ↠是クノ等ラヲ名0054ケテ為ス↢他力ト↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三) 結勧

^◆愚おろかなるかな後のちの学者がくしゃ、 他た力りきの乗じょうずべきを聞ききてまさに信心しんじんを生しょうずべし。 みづから局きょく分ぶん (局きょくの字じ、 せばし、 ちかし、 かぎる) することなかれ」 と。 以上

愚ナル哉カナ後之学者、聞キテ↢他力ノ可キヲ↟乗ズ当ニシ↠生ズ↢信心ヲ↡。勿レト↢自ミヅカラ局キヨク *局字 古玉反 セバシ チカシ カギル 分スルコト↡也。」 已上

一 Ⅱ ⅰ b ロ 元照¬観経義疏¼

【83】^元がん照じょう律りっ師しのいはく (観経義疏)、

▼元照律師ノ云ク、

^「あるいは*この方ほうにして惑わくを破はし真しんを証しょうすれば、 すなはち自じ力りきを運はこぶがゆゑに、 *大だい小しょうの諸しょ経きょうに談だんず。 あるいは他た方ほうに往ゆきて法ほうを聞きき道どうを悟さとるは、 すべからく他た力りきを憑たのむべきがゆゑに、 往おう生じょう浄じょう土ど0195を説とく。 彼此ひし異ことなりといへども方便ほうべんにあらざることなし。 自じ心しんを悟さとらしめんとなり」 と。 以上

「或イハ於シテ↢此ノ方ニ↡破シ↠惑ヲ証スレバ↠真ヲ、則チ運ハコブガ↢自力ヲ↡故ニ、談ズ↢大小ノ諸経ニ↡。或イハ往キテ↢他方ニ↡聞キキ↠法ヲ悟ルハ↠道ヲ、須ベ クキガ↠憑タノム↢他力ヲ↡故ニ、説ク↢往生浄土ヲ↡。彼此雖モ↠異ナリト莫シ↠非ザルコト↢方便ニ↡。令メムトナリト↠悟ラ↢自心ヲ↡。」 已上

一 Ⅱ ⅱ 一乗海を釈す【一乗海釈】
      a 正釈
        イ 牒標

【84】^▼「↓一いち乗じょう↓海かい」 といふは、

▼言フ↢一乗海ト↡者ハ、

一 Ⅱ ⅱ a ロ 釈義
          (一)一乗を釈す
            (Ⅰ)直釈
              (ⅰ)異名を会合す

^「↑一いち乗じょう」 は大だい乗じょうなり。 大だい乗じょうは*仏ぶつ乗じょうなり。

一乗者ハ大乗ナリ。大乗者ハ仏乗ナリ。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)一乗の力を釈す

^一いち乗じょうを得うるは阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得うるなり。 阿あ耨のく菩ぼ提だいはすなはちこれ涅ね槃はん界がいなり。 涅ね槃はん界がいはすなはちこれ*究く竟きょう法身ほっしんなり。 究く竟きょう法身ほっしんを得うるはすなはち一いち乗じょうを究く竟きょうするなり。 *異いの如来にょらいましまさず、 異いの法身ほっしんましまさず。 如来にょらいはすなはち法身ほっしんなり。 一いち乗じょうを究く竟きょうするはすなはちこれ*無む辺へん不ふ断だんなり。

得ル↢一乗ヲ↡者ハ得ルナリ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。阿耨菩提者ハ即チ是涅槃界ナリ。涅槃界者ハ即チ是究竟法身ナリ。得ル↢究竟法身ヲ↡者ハ則チ究↢竟スルナリ一乗ヲ↡。※无マシマサズ↢異コト如来↡、无マシマサズ↢異コト法身↡。如来ハ即チ法身ナリ。究↢竟スル一乗ヲ↡者ハ即チ是无辺不断ナリ。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅲ)対弁・出体

^大だい乗じょうは二に乗じょう・三さん乗じょうあることなし。 二に乗じょう・三さん乗じょうは一いち乗じょうに入いらしめんとなり。 一いち乗じょうはすなはち第一だいいち義ぎ乗じょうなり。 ただこれ*誓願せいがん一仏いちぶつ乗じょうなり。

大乗ハ无シ↠有ルコト↢二乗・三乗↡。二乗・三乗者ハ入ラシメムトナリ↢於一乗ニ↡。一乗者ハ即チ第一義乗ナリ。唯是誓願一仏乗也。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)引文
              (ⅰ)正引
                (a)¬涅槃経¼四文

1.聖行品

【85】^¬*涅ね槃はん経ぎょう¼ (*聖行品) にのたまはく、

▼¬涅槃経ニ¼*言ク、

^「善男ぜんなん子し、 *実諦じったいは名なづけて大だい乗じょうといふ。 大だい乗じょうにあらざるは実諦じったいと名なづけず。 善男ぜんなん子し、 実諦じったいはこれ仏ぶつの所説しょせつなり。 魔まの所説しょせつにあらず。 もしこれ魔ま説せつは仏説ぶっせつにあらざれば、 実諦じったいと名なづけず。 善男ぜんなん子し、 ▼実諦じったいは一道いちどう清浄しょうじょうにして二ふたつあることなし」 と。 以上

「善男子、実諦者ハ名ケテ曰フ↢大乗ト↡。非ザル↢大乗ニ↡者ハ不ズ↠名ケ↢実諦ト↡。善男子、実諦者ハ是仏ノ所説ナリ。非ズ↢魔ノ所説ニ↡。若シ是魔説ハ非ザレバ↢仏説ニ↡不ズ↠名ケ↢実諦ト↡。善男子、▼実諦者ハ▼一道清ニシテ浄ニシテ无シト↠有ルコト↠二也。」 *已上

2.徳王品

【86】^またのたまはく、 (涅槃経・*徳王品)

又言ク、

^「いかんが菩ぼ薩さつ、 一実いちじつに信しん順じゅんする。 菩ぼ薩さつは一切いっさい衆しゅ生じょうをしてみな一道いちどうに帰きせしむと了りょう知ちするなり。 一道いちどうはいはく大だい乗じょうなり0196。 諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつ、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 これを分わかちて三みつとす。 このゆゑに菩ぼ薩さつ、 *不ふ逆ぎゃくに信しん順じゅんす」 と。 以上

「云何 ンガ菩薩信↢順スル▼一実ニ↡。菩薩ハ了↣知スルナリ一切衆生ヲシテ皆帰セシムト↢一道0055ニ↡。一道者ハ謂ク大乗也。諸仏・菩薩為ノ↢衆生ノ↡故ニ、分チテ↠之ヲ為ス↠三ト。是ノ故ニ菩薩信↢順スト不逆ニ↡。」 已上

3.師子吼品(畢竟)

【87】^またのたまはく (涅槃経・*師子吼品)、

又言ク、

^「善男ぜんなん子し、 畢ひっ竟きょうに二に種しゅあり。 一ひとつには*荘しょう厳ごん畢ひっ竟きょう、 二ふたつには*究く竟きょう畢ひっ竟きょうなり。 一ひとつには*世せ間けん畢ひっ竟きょう、 二ふたつには*出しゅっ世せ畢ひっ竟きょうなり。 荘しょう厳ごん畢ひっ竟きょうは六ろっ波羅ぱら蜜みつなり。 究く竟きょう畢ひっ竟きょうは一切いっさい衆しゅ生じょう得うるところの一いち乗じょうなり。

「善男子、畢竟ニ有リ↢二種↡。一ニ者ハ荘厳畢竟、二ニ者究竟畢竟ナリ。一ニ者ハ世間畢竟、二ニ者出世畢竟ナリ。荘厳畢竟者ハ六波羅蜜ナリ。究竟畢竟者ハ一切衆生所ノ↠得ル▼一乗ナリ。

^一いち乗じょうは名なづけて仏ぶっ性しょうとす。 この義ぎをもつてのゆゑに、 われ一切いっさい衆しゅ生じょう悉しつ有う仏ぶっ性しょうと説とくなり。 一切いっさい衆しゅ生じょうことごとく一いち乗じょうあり。 無む明みょう覆おおへるをもつてのゆゑに、 見みることを得うることあたはず」 と。 以上

一乗者ハ名ケテ為ス↢仏性ト↡。以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ我説クナリ↢一切衆生悉有仏性ト↡。一切衆生悉ク有リ↢一乗↡。以テノ↢无明覆ヘルヲ↡故ニ不ズト↠能ハ↠得ルコト↠見ルコトヲ。」 已上

4.師子吼品(一非)

【88】^またのたまはく (涅槃経・獅子吼品)、

又言ハク、

^「いかんが一いちとする。 一切いっさい衆しゅ生じょうことごとく一いち乗じょうなるがゆゑに。 いかんが非ひ一いちなる。 三さん乗じょうを説とくがゆゑに。 いかんが非ひ一いち・非非ひひ一いちなる。 *無む数しゅの法ほうなるがゆゑなり」 と。 以上

「云何ガ為スル↠一ト。一切衆生悉ク一乗ナルガ故ニ。云何 イカン ガ非一ナル。説クガ↢三乗ヲ↡故ニ。云何 ンガ非一・非非一ナル。无数ノ法ナルガ故 ヘナリト。」 已上

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)¬華厳経¼

【89】^¬*華け厳ごん経ぎょう¼ (*明難品・晋訳) にのたまはく、

▼¬華厳経ニ¼言ク、

^「*文殊もんじゅの法ほうはつねにしかなり。 *法王ほうおうはただ一法いっぽうなり。 一切いっさいの無礙むげ人にん、 一道いちどうより生しょう死じを出いでたまへり。

「文殊ノ法ハ常ニ爾シカナリ法王ハ唯一法ナリ
一切ノ无人一道ヨリ出デタマヘリ↢生死ヲ↡

^一切いっさい諸仏しょぶつの身しん、 ただこれ一いち法身ほっしんなり。 一心いっしん一いち智慧ちえなり。 *力りき・無畏むいもまたしかなり」 と。 以上

一切諸仏ノ身唯是一法身ナリ
一心一智慧ナリ力・无畏モ亦然ナリト」 已上

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)示意

【90】^しかれば、 これらの覚かく悟ごは、 みなもつて安あん養にょう*浄じょう刹せつの大だい利り、 仏願ぶつがん難なん0197思じの至し徳とくなり。

▼爾レ者バ斯 レ等ラノ覚悟サトリハ、皆以テ安養浄刹之大利、仏願難思之至徳也。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (二)海を釈す

【91】^▼「↑海かい」 といふは、 久く遠おんよりこのかた、 凡ぼん聖しょう所修しょしゅの*雑修ざっしゅ雑善ぞうぜんの川水せんすいを転てんじ、 逆ぎゃく謗ほう闡提せんだい恒沙ごうじゃ無む明みょうの海水かいすいを転てんじて、 本願ほんがん大だい悲ひ智慧ちえ真実しんじつ恒沙ごうじゃ万徳まんどくの大だい宝海ほうかい水すいとなる。 これを海うみのごときに喩たとふるなり。 まことに知しんぬ、 *経きょうに説ときて 「▲煩悩ぼんのうの氷こおり解とけて功く徳どくの水みずとなる」 とのたまへるがごとし。 以上

言フ↠海ト者ハ、従ヨリ↢久遠↡已来コノカタ転ジ↢凡聖所修ノ雑修雑善ノ川水ヲ↡、転ジテ↢逆謗闡提恒沙无明ノ海水ヲ↡、成ル↢本願大悲智慧真実恒沙万徳ノ大宝海水ト↡。喩フル↢之ヲ如キニ↟海ノ也。良 トニ知ヌ如シ↤経ニ説キテ言ヘルガ↣「煩悩ノ氷 リ解トケテ成ルト↢功徳ノ水ト↡。」 已上

 ^願海がんかいは二に乗じょう雑善ぞうぜんの*中ちゅう下げの屍し骸がいを宿やどさず。 いかにいはんや人天にんでんの虚仮こけ邪じゃ偽ぎの善業ぜんごう、 雑毒ぞうどく雑心ざっしんの屍し骸がいを宿やどさんや。

願海者ハ▼不ズ↠宿ヤド0056サ↢二乗雑善ノ中下ノ屍骸カバネヲ↡。何ニ況ヤ宿サム↢人天ノ虚仮邪偽ノイツワル善業、雑毒雑心ノ屍骸ヲ↡乎ヤ。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)引証
            (Ⅰ)¬大経¼

【92】^ゆゑに ¬大本だいほん¼ (大経・下) にのたまはく、

▼故ニ¬大本ニ¼言ク、

^「▲声しょう聞もんあるいは菩ぼ薩さつ、 よく聖しょう心しんを究きわむることなし。 たとへば生うまれてより盲めしひたるものの、 行ゆいて人ひとを開導かいどうせんと欲おもはんがごとし。

「▼声聞或イハ▼菩薩莫シ↣能ク究ムルコト↢聖心ヲ↡
▼譬ヘバ如シ↤従ヨリ↠生ムマレテ盲メシヒタルモノヽ欲ハムガ↣*行ユイテ開↢導セムト人ヲ↡

^如来にょらいの智慧ちえ海かいは、 深広じんこうにして涯底がいたいなし。 二に乗じょうの測はかるところにあらず。 ただ仏ぶつのみ独ひとりあきらかに了さとりたまへり」 と。 以上

如来ノ智慧海ハ深広ニシテ无シ↢涯底↡
▼二乗ノ非ズ↠所ニ↠惻ハカル唯仏ノミ独リ明カニ了リタマヘリト」 已上

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)¬論註¼二文

1.不虚作住持功徳

【93】^¬浄じょう土ど論ろん¼ (論註・下) にいはく、

▼¬浄土論ニ¼曰ク、

^「▲ªなにものか荘しょう厳ごん不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅ、 偈げに、 «^仏ぶつの本願ほんがん力りきを観かんずるに、 遇もうおうて空むなしく過すぐるものなし。 よくすみやかに功く徳どくの大だい宝海ほうかいを満足まんぞくせしむ» といへるがゆゑにº とのたまへり。

「何 ニ者 ノカ荘厳不虚作住持功徳成就、偈ニ言ヘリ↧観ズルニ↢仏ノ本願力ヲ↡、遇ヒテ无シ↢空シク過グル者↡、能ク令ムトイヘルガ↣速ニ満↢足セ功徳ノ大宝海ヲ↡故ニト↥。

 ^◆ª不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅº とは、 けだしこれ阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん力りきなり。 ◆いままさ0198に略りゃくして虚作こさの相そうの住じゅう持じにあたはざるを示しめして、 もつてかの不ふ虚作こさ住じゅう持じの義ぎを顕あらわす。 乃至

不虚作住持功徳成就ト者ハ、蓋ケダシ是 レ阿弥陀如来ノ本願力也。今当ニ略シテ示シテ↢虚*空之相ノ不ルヲ↟能ハ↢住持ニ↡、用テ顕ス↢彼ノ不虚作住持之義ヲ↡。 乃至

^▲いふところの不ふ虚作こさ住じゅう持じは、 もと法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの四し十じゅう八はち願がんと、 今日こんにち阿あ弥陀みだ如来にょらいの自じ在ざい神力じんりきとによる。 願がんもつて力りきを成じょうず、 力りきもつて願がんに就つく。 願がん徒と然ねんならず、 力りき虚こ設せつならず。 力願りきがんあひ符かのうて、 畢ひっ竟きょうじて差たがはず。 ゆゑに成じょう就じゅといふ」 と。

所ノ↠言イフ不虚作住持者ハ、依ル↢本 ト法蔵菩薩ノ四十八願ト、今日阿弥陀如来ノ自在神力トニ↡。願以テ成ズ↠力ヲ、力以テ就ク↠願ニ。願不ズ↢徒イタヅラ 然ナラシカラシム↡、力不ズ↢虚設マウクナラ↡。力願相 イ府カナフテ畢竟ジテ不ズ↠差タガハ。故ニ曰イフト↢成就ト↡。」

2.大衆功徳

【94】^またいはく (論註・上)、

▼又曰ク、

^「▲ª海かいº とは、 いふこころは、 仏ぶつの一切いっさい種しゅ智ち深広じんこうにして涯きしなし、 二に乗じょう雑善ぞうぜんの中ちゅう下げの屍し骸がいを宿やどさず、 これを海うみのごとしと喩たとふ。 このゆゑに、 ª^天人てんにん不ふ動どう衆しゅ 清浄しょうじょう智ち海かい生しょうº (浄土論) といへり。

「▼海ト者ハ、言イフココロハ仏ノ一切種智深広ニシテ无シ↠涯キシ、▼不ズ↠宿ヤドサ↢二乗雑善ノ▼中下ノ▼屍骸ヲ↡、喩ルカ↢之ヲ如シト↟海ノ。是ノ故ニ言ヘリ↢天人不動衆清浄智海生ト↡。

^◆ª不ふ動どうº とは、 いふこころは、 かの天てん・人にん、 *大だい乗じょう根こんを成じょう就じゅして傾きょう動どうすべからざるなり」 と。 以上

不動ト者ハ、言イフココロハ彼ノ天・人、成↢就シテ大乗根ヲ↡不ル↠可カラ↢傾動ス↡也ト。」 已上

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅲ)「玄義分」

【95】^光こう明みょう師し (善導) のいはく (玄義分)、

▼光明師ノ云ク、

^「▲われ菩ぼ薩さつ蔵ぞう頓とん教ぎょうと一いち乗じょう海かいとによる」 と。

「我依ルト↢▼菩薩蔵▼頓教ト▼一乗海トニ↡」

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅳ)「般舟讃」

【96】^またいはく (般舟讃)、

▼又0057云ク、

^「▲¬瓔珞ようらく経きょう¼ のなかには漸ぜん教ぎょうを説とけり。 万劫まんごうに功こうを修しゅして不ふ退たいを証しょうす。 ◆¬観かん経ぎょう¼・¬弥陀みだ経きょう¼ 等とうの説せつは、 すなはちこれ頓とん教ぎょうなり、 菩ぼ提だい蔵ぞうなり」 と。 以上

「▼¬瓔珞経ノ¼中ニハ説ケリ↢漸教ヲ↡万劫ニ修シテ↠功ヲ▼証ス↢不退ヲ↡
¬観経¼・¬弥陀経¼等ノ説ハ即チ是頓教ナリ ▼菩提蔵ナリト」 已上

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅴ)¬楽邦文類¼

【019997】^¬楽邦らくほう文類もんるい¼ にいはく、

▼¬楽邦文類ニ¼云ク、

^「*宗暁しゅうぎょう禅ぜん師じのいはく、 ª*還丹かんたんの一いち粒りゅうは鉄くろがねを変へんじて金こがねと成なす。 真しん理りの一言いちごんは悪業あくごうを転てんじて善業ぜんごうと成なすº」 と。 以上

「▼宗釈禅師ノ云ク、▼クワン反丹タンノ一粒リフハ変ジテ↠鉄ヲ成ス↠金ト。▼真理ノ一言ハ転ジテ↢悪業ヲ↡成スト↢善業ト↡。」 已上

一 Ⅱ ⅱ b 対顕【二経二機対】
        イ 教に約す
          (一)対論して勝を顕す

【98】^しかるに教きょうについて念仏ねんぶつ諸善しょぜん比ひ挍きょう対論たいろんするに、 ▼1難なん易い対たい、 2頓漸とんぜん対たい、 3横竪おうじゅ対たい、 *4超渉ちょうしょう対たい、 5順逆じゅんぎゃく対たい、 6大だい小しょう対たい、 7多た少しょう対たい、 8勝しょう劣れつ対たい、 9親しん疎そ対たい、 10近遠ごんおん対たい、

▼然ルニ就テ↠教ニ念仏諸善比校ケウタクラブ対論スルニ、▼有リ↢難易対ムカフ、頓タチマチ 漸ヤウヤク対、横竪ジユタヽサマ対、超渉セウヤウヤク対、順逆サカサマ対、大小対、多少対、勝劣オトル対、親疎ソウトキ対、近遠対、

11深浅じんせん対たい、 12強ごう弱にゃく対たい、 13重軽じゅうきょう対たい、 14広こう狭きょう対たい、 15純じゅん雑ぞう対たい、 *16径きょう迂う対たい、 *17捷しょう遅ち対たい、 *18通別つうべつ対たい、 19不ふ退たい退たい対たい、 *20直弁じきべん因いん明みょう対たい、

深浅アサキ対、強ガウコハク 弱ヨハシ対、重軽カロシ対、広狭ケウセバシ対、純モハラ雑対、径スヽナリ 迂ウメグル対、捷セフトシ 遅チオソシ対、通カヨウ 別ワカツ対、不退退シリゾク対、直マサシク*弁ワキマウ 因チナミ明対、

21名みょう号ごう定じょう散さん対たい、 *22理り尽じん非ひ理り尽じん対たい、 *23勧かん無む勧かん対たい、 24無む間けん間けん対たい、 25断だん不ふ断だん対たい、 26相続そうぞく不ふ続ぞく対たい、 *27無む上じょう有う上じょう対たい、 28上じょう上じょう下げ下げ対たい、 *29思し不ふ思議しぎ対たい、 *30因いん行ぎょう果か徳とく対たい、

名号定散対、理コトハリ 尽ツクス非理尽対、勧スヽム無勧対、無間ヒマ間対、断タツ不断対、相続ツク不続対、无上有上対、上上下下対、思不思議対、因行果徳対、

*31自じ説せつ他た説せつ対たい、 *32回え不ふ回え向こう対たい、 33護ご不護ふご対たい、 34証しょう不ふ証しょう対たい、 35讃さん不ふ讃さん対たい、 36付ふ嘱ぞく不ふ嘱ぞく対たい、 *37了りょう不ふ了教りょうきょう対たい、 *38機き堪かん不ふ堪かん対たい、 39選せん不ふ選せん対たい、 40真しん仮け対たい、

自説他説*対、*回不回向対、護マモル不護対、証不証対、讃不讃対、付ツク嘱*不嘱対、了不了教対、機ハタモノ 堪タヘタリ不堪対、選不選対、真仮カリナリ対、

41仏滅ぶつめつ不ふ滅めつ対たい、 *42法滅ほうめつ利り不利ふり対たい、 43自じ力りき他た力りき対たい、 *44有う願がん無む願がん対たい、 45摂しょう不ふ摂しょう対たい、 *46入定にゅうじょう聚じゅ不ふ入にゅう対たい、 *47報ほう化け対たいあり。 ^この義ぎかくのごとし。

仏滅不滅対、法*滅利不利対、自力他力対、有願無願対、摂不摂対、入定聚不入対、報化対↡。斯ノ義如シ↠斯クノ。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)一乗に帰結す

^しかるに本願ほんがん一いち乗じょう海かいを案あんずるに、 円えん融にゅう満足まんぞく極速ごくそく無礙むげ*絶対ぜったい不二ふにの教きょうなり。

然ルニ按ズルニ↢本願一乗海ヲ↡、円融トホル満足タル極速トシ无絶ゼチ対不二之教也。

一 Ⅱ ⅱ b ロ 機に約す
          (一)対論して勝を顕す

【99】^また機きについて対論たいろんするに、 ▼1信しん疑ぎ対たい、 *2善悪ぜんあく対たい、 3正しょう邪じゃ対たい、 4是非ぜひ対たい、 5実じっ虚こ対たい、 6真しん偽ぎ対たい、 7浄じょう穢え対たい、 8利り鈍どん対たい、 9*奢促しゃそく対たい、 10豪賎ごうせん対たい、 *11明みょう闇あん対たいあり。 ^この義ぎかくのごとし。

亦0058就テ↠機ニ対論スルニ、▼有リ↢信疑対、善悪対、正邪対、是非対、実虚対、真偽グヰイツワル対、浄穢対、利トシ 鈍ニブシ対、奢オソシ促トシ対、豪賎対、明闇対↡。斯ノ義如シ↠斯クノ。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)一乗に帰結す

^しかるに一いち乗じょう海かいの機きを案あんずるに、 金剛こんごうの信心しんじんは絶対ぜったい不ふ二に0200の機きなり、 知しるべし。

然ルニ按ズルニ↢一乗海之機ヲ↡、金剛ノ信心ハ絶対不二之機也。可シ↠知ル。

一 Ⅱ ⅱ c 嘆徳【一乗嘆徳】
        イ 略明
          (一)正明

【100】^敬うやまつて一切いっさい往おう生じょう人にん等とうにまうさく、 弘ぐ誓ぜい一いち乗じょう海かいは、 無礙むげ無む辺へん最さい勝しょう深じん妙みょう不可ふか説せつ不可ふか称しょう不可ふか思議しぎの至し徳とくを成じょう就じゅしたまへり。

敬テ白マフサク↢一切往生人等ニ↡、弘誓一乗海者ハ、成↢就シタマヘリ无无辺最モトモ勝深妙不可説不可称不可思議ノ至徳ヲ↡。

一 Ⅱ ⅱ c イ (二)所由

^なにをもつてのゆゑに、 誓願せいがん不可ふか思議しぎなるがゆゑに。

何ヲ以テノ故ニ。誓願不可思議ナルガ故ニ。

一 Ⅱ ⅱ c ロ 広嘆

1悲ひ願がんはたとへば太たい虚こ空くうのごとし、 もろもろの妙みょう功く徳どく広こう無む辺へんなるがゆゑに。

▼悲願ハ喩ヘバ如シ↢太虚空ノ↡、諸ノ妙功徳広无辺ナルガ故ニ。

▲2なほ大車だいしゃのごとし、 あまねくよくもろもろの凡ぼん聖しょうを運載うんさいするがゆゑに。

猶ナホ如シ↢大車ノ↡、普ク能ク運↢ハコブ載ノルスルガ諸ノ凡聖ヲ↡故ニ。

▲3なほ妙みょう蓮れん華げのごとし、 一切いっさい世せ間けんの法ほうに染ぜんせられざるがゆゑに。

猶如シ↢妙蓮華ノ↡、不ルガ↠染ソムセラレ↢一切世間ノ法ニ↡故ニ。

▲4*善見ぜんけん薬王やくおうのごとし、 よく一切いっさい煩悩ぼんのうの病やまいを破はするがゆゑに。

如シ↢善見薬王ノ↡、能ク破スルガ↢一切煩悩ノ病ヲ↡故ニ。

5なほ利り剣けんのごとし、 よく一切いっさい憍きょう慢まんの鎧よろいを断たつがゆゑに。

猶如シ↢利剣ノ↡、能ク断タツガ↢一切驕慢ノ鎧ガイカブトヲ↡故ニ。

6*勇ゆう将しょう幢どうのごとし、 よく一切いっさいのもろもろの魔ま軍ぐんを伏ぶくするがゆゑに。

如シ↢勇タケシ将幢ノ↡ハタボコ、能ク伏スルガシタガフ ↢一切ノ諸ノ魔軍ヲ↡故ニ。

7なほ利鋸りこのごとし、 よく一切いっさい無む明みょうの樹きを截きるがゆゑに。

猶如シ↢利鋸コノノコギリ↡、能ク截キルガ↢一切无明ノ樹ヲ↡故ニ。

8なほ利斧りふのごとし、 よく一切いっさい諸しょ苦くの枝えだを伐きるがゆゑに。

猶如シ↢利斧フオノノ↡、能ク伐キルガ↢一切諸苦ノ枝ヲ↡故ニ。

9善ぜん知ぢ識しきのごとし、 一切いっさい生しょう死じの縛ばくを解とくがゆゑに。

如シ↢善知識ノ↡、解トクガ↢一切生死ノ縛バクシバルヲ↡故ニ。

10なほ導どう師しのごとし、 よく凡ぼん夫ぶ*出しゅつ要ようの道どうを知しらしむるがゆゑに。

猶如シ↢導師ノ↡、善ク令ムルガ↠知ラ↢凡夫出要ノ道ヲ↡故ニ。

11なほ涌ゆ泉せんのごとし、 智慧ちえの水みずを出いだして窮ぐ尽じんすることなきがゆゑに。

猶如シ↢涌ユワク 泉イヅミノ↡、出シテ↢智慧ノ水ヲ↡无キガ↢窮キワメ尽スルコト↡故ニ。

12なほ蓮れん華げのごとし、 一切いっさいのもろもろの罪ざい垢くに染ぜんせられざるがゆゑに。

猶如シ↢蓮華ノ↡、不ルガ↠染ゼンセラレ↢一切ノ諸ノ罪垢アカニ↡故ニ。

13なほ疾風しっぷうのごとし、 よく一切いっさい諸しょ障しょうの霧きりを散さんずるがゆゑに。

猶如シ↢疾トキ風ノ↡、能ク散ズルガ↢一切諸障ノ霧キリヲ↡故ニ。

14なほ好蜜こうみつのごとし、 一切いっさい功く徳どくの味あじは0201ひを円満えんまんせるがゆゑに。

猶如シ↢好蜜ノ↡、円↢満セルガ一切功徳ノ味ヲ↡故ニ。

15なほ正しょう道どうのごとし、 もろもろの群ぐん生じょうをして智ち城じょうに入いらしむるがゆゑに。

猶如シ↢正道ノ↡、令ムルガ↣諸ノ群生ヲシテ入ラ↢智城ミヤコニ↡故ニ。

16なほ磁じ石しゃくのごとし、 本願ほんがんの因いんを吸すふがゆゑに。

猶如シ↢磁石ノ↡、吸スフガ↢本願ノ因ヲ↡故ニ。

17閻えん浮ぶ檀だん金ごんのごとし、 一切いっさい有為ういの善ぜんを映奪ようだつするがゆゑに。

如シ↢閻浮檀金ノ↡、映エイ↢カヾヤキ 奪ダツウバフスルガ一切有為ノ善ヲ↡故ニ。

18なほ*伏蔵ぶくぞうのごとし、 よく一切いっさい諸仏しょぶつの法ほうを摂せっするがゆゑに。

猶如シ↢伏蔵ノ↡、能ク摂スルガ↢一切諸仏ノ法ヲ↡故0059ニ。

19なほ大だい地じのごとし、 三さん世ぜ十方じっぽう一切いっさい如来にょらい出生しゅっしょうするがゆゑに。

猶如シ↢大地ノ↡、三世十方一切如来出生スルガ故ニ。

20日輪にちりんの光ひかりのごとし、 一切いっさい凡ぼん愚ぐの痴ち闇あんを破はして信しん楽ぎょうを出生しゅっしょうするがゆゑに。

如シ↢日輪ノ光ノ↡、破シテ↢一切凡愚ノ痴チ闇オロカナリヲ↡出↢生スルガ信楽ヲ↡故ニ。

21なほ君王くんのうのごとし、 一切いっさい上乗じょうじょう人にんに勝出しょうしゅつせるがゆゑに。

猶如シ↢君王ノ↡、勝↢出セルガ一切上乗人ニ↡故ニ。

22なほ厳げん父ぷのごとし、 一切いっさいもろもろの凡ぼん聖しょうを訓導くんどうするがゆゑに。

猶如シ↢厳ゲムキビシ父ノ↡、訓クンオシヘ↢導スルガミチビク 一切諸ノ凡聖ヲ↡故ニ。

23なほ悲母ひものごとし、 一切いっさい凡ぼん聖しょうの報ほう土ど真実しんじつの因いんを長生じょうしょうするがゆゑに。

猶ナホ如シ↢悲母ノ↡、長↢生スルガ一切凡聖ノ報土真実ノ因ヲ↡故ニ。

24なほ乳にゅう母ものごとし、 一切いっさい善悪ぜんあくの往おう生じょう人にんを養育よういくし守しゅ護ごしたまふがゆゑに。

猶如シ↢乳母ノ↡、養↢育イクシ守↣護シタマフガ一切善悪ノ往生人ヲ↡故ニ。

25なほ大だい地じのごとし、 よく一切いっさいの往おう生じょうを持たもつがゆゑに。

猶如シ↢大地ノ↡、能ク持ツガ↢一切ノ往生ヲ↡故ニ。

26なほ大水だいすいのごとし、 よく一切いっさい煩悩ぼんのうの垢あかを滌すすぐがゆゑに。

猶如シ↢大水ノ↡、能ク滌ソヽグガ↢一切煩悩ノ垢アカヲ↡故ニ。

27なほ大だい火かのごとし、 よく一切いっさい諸見しょけんの薪たきぎを焼やくがゆゑに。

猶如シ↢大火ノ↡、能ク焼クガ↢一切諸見ノ薪タキヾヲ↡故ニ。

28なほ大風だいふうのごとし、 あまねく世せ間けんに行ぎょうぜしめて礙さふるところなきがゆゑに。

猶如シ↢大風ノ↡、普ク行ゼシメテ↢世間ニ↡无キガ↠所↠フル故ニ。

一 Ⅱ ⅱ c ハ 結勧

^よく三さん有ぬ繋け縛ばくの城しろを出いだして、 よく二に十じゅう五ご有うの門もんを閉とづ。 よく真実しんじつ報ほう土どを得えしめ、 よく邪じゃ正しょうの道どう路ろを弁べんず。 よく愚痴ぐち海かいを竭かわかして、 よく願海がんかいに流る入にゅうせしむ。 一切いっさい智ち船せんに乗じょうぜしめて、 もろもろの群ぐん生じょう海かい0202に浮うかぶ。 福ふく智ち蔵ぞうを円満えんまんし、 方便ほうべん蔵ぞうを開顕かいけんせしむ。 まことに奉持ぶじすべし、 ことに頂ちょう戴だいすべきなり。

能ク出シテ↢三有繋ツナギ 縛シバルノ城ヲ↡、能ク閉ヅ↢二十五有ノ門ヲ↡。能ク得エシメ↢真実ノ報土ヲ↡、能ク弁ズ↢ワキマフ邪正ノ道路ヲ↡。能ク竭カワカ ガチ シテ↢愚痴海ヲ↡、能ク流↢入セシム願海ニ↡。乗ゼシメテ↢一切智船ニ↡、浮ウカブ↢諸ノ群生海ニ↡。円↢満シ福智蔵ヲ↡、開↢顕セシム方便蔵ヲ↡。良ニ可シ↢奉持ス↡ウケタマハル、特コトニヒトリ可キ↢頂イタヾキ 戴ダイスイタヾク↡也。

二 偈頌
  Ⅰ 序説【偈前序説】
    ⅰ 経意を述ぶ
      a 総標

【101】^おほよそ誓願せいがんについて真実しんじつの行ぎょう信しんあり、 また▽方便ほうべんの行ぎょう信しんあり。

凡ソ就テ↢誓願ニ↡有リ↢真実ノ行信↡、亦有リ↢方便ノ行信↡。

二 Ⅰ ⅰ b 別明
        イ 正明

^その真実しんじつの行ぎょうの願がんは、 ▲諸仏しょぶつ称名しょうみょうの願がん (第十七願) なり。 その真実しんじつの信しんの願がんは、 ▲至し心しん信しん楽ぎょうの願がん (第十八願) なり。 これすなはち選せん択じゃく本願ほんがんの行ぎょう信しんなり。 その機きはすなはち一切いっさい善悪ぜんあく大だい小しょう凡ぼん愚ぐなり。 往おう生じょうはすなはち難なん思議じぎ往おう生じょうなり。 仏ぶつ土どはすなはち報仏ほうぶつ・報ほう土どなり。

其ノ真実ノ行ノ願者、諸仏称名ノ願ナリ。其ノ真実ノ信ノ願者ハ、至心信楽ノ願ナリ。斯 レ乃チ選択本願*之行信也。其 ノ機者ハ則チ一切善悪大小凡愚也。往生者ハ則チ難思議ハカラフ往生也。仏土者ハ則チ報仏・報土也。

二 Ⅰ ⅰ b ロ 結示

^▽これすなはち誓願せいがん不可ふか思議しぎ一実いちじつ真如しんにょ海かいなり。 ¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の▲宗しゅう致ち、 他た力りき真しん宗しゅうの正しょう意いなり。

斯 レ乃チ誓願不可思議一実真如海ナリ。¬大无量寿経¼之宗致チムネ、他力真宗之正意也。▼

二 Ⅰ ⅱ 釈文を引く

 ^▼ここをもつて知ち恩おん報徳ほうとくのために宗しゅう師し (曇鸞) の釈しゃく (論註・上) を披ひらきたるにのたまはく、 「^▲それ菩ぼ薩さつは仏ぶつに帰きす。 孝こう子しの父母ぶもに帰きし、 忠ちゅう臣しんの君后くんこうに帰きして、 動どう静じょうおのれにあらず、 出しゅつ没もつかならず由ゆえあるがごとし。 恩おんを知しりて徳とくを報ほうず、 理りよろしくまづ啓けいすべし。 △また所願しょがん軽かろからず、 もし如来にょらい、 威い神じんを加かしたまはずは、 まさになにをもつてか達たっせんとする。 神力じんりきを乞こつ加かす、 このゆゑに仰あおいで告つぐ」 とのたまへり。 以上

是0060ヲ以テ為ニ↢知恩メグム報徳ノ↡▼披ヒラキタルニ↢宗師ノ釈ヲ↡言ク、「夫 レ菩薩ハ帰ス↠仏ニ。如シ↧孝子之帰シ↢父母ニ↡、忠コヽロ臣ザシ之帰シテ↢ヨリタノム君后コウニ↡、動 静シヅカナリ非ズ↠己オノレニ、出没必ズ由ヨシアルガ↥。知リテ↠恩ヲ報ズ↠徳ヲ、理宜ヨロベ シクシ ↢先ヅ啓ケイスヒラク↡。又所願不ズ↠軽カラ、若シ如来不ズハ↠加カシタマハ↢威神ヲ↡、将 サス ニル↢何ヲ以テカ達サトルセムト↡。乞コウ↢加クワウス神力ヲ↡、所以コノユヘニ仰デ告グトノタマヘリ。」 已上

二 Ⅰ ⅲ 造意を明かす

 ^▼しかれば、 大だい聖しょう (釈尊) の*真言しんごんに帰きし、 *大たい祖その解げ釈しゃくに閲えっして、 ▼仏恩ぶっとんの深じん0203遠のんなるを信しん知ちして、 「正しょう信しん念仏ねんぶつ偈げ」 を作つくりていはく、

▼爾レ者バ帰シ↢大聖ノ真言ニ↡、閲エチミルシテ↢大祖ノオホヂ解釈ニ↡、信↢知シテ仏恩ノ深遠ナルヲ↡、作リテ↢「▼正信念仏偈ヲ」↡曰ク、

二 Ⅱ 正讃【正信偈】

1.総讃

【102】 ^▼無む量りょう寿じゅ如来にょらいに帰き命みょうし、 不可ふか思議しぎ光こうに南無なもしたてまつる。

▼帰↢命シ无量寿如来ニ↡▼南↢无シタテマツル不可思議光ニ↡

2.依経段 a.弥陀章 ・因願

^▲法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの因いん位にのとき、 ▲世せ自じ在ざい王おう仏ぶつの所みもとにましまして、

▼法蔵菩薩ノ因位ノ時在シテ↢世自在王仏ノ所ミモトニ↡

^▲諸仏しょぶつの浄じょう土どの因いん、 ▲国こく土ど人天にんでんの善悪ぜんあくを覩と見けんして、

覩↢見シテ諸仏ノ浄土ノ因国土人天之善悪ヲ↡

^▲無む上じょう殊しゅ勝しょうの願がんを建こん立りゅうし、 希有けうの大だい弘ぐ誓ぜいを超ちょう発ほつせり。

▼建↢立ハジメナスシ无上殊勝ノ願ヲ↡超↢発セリ希有ノ大弘誓ヲ↡

^▲五ご劫こうこれを思し惟ゆいして*摂しょう受じゅす。 ▲重かさねて誓ちかふらくは、 名声みょうしょう十方じっぽうに聞きこえんと。

▼五劫思↢惟シテ之ヲ↡摂受ス▼重ネテ誓チカフラクハ名声聞キコエムト↢十方ニ↡

2.依経段 a.弥陀章 ・果成

^▲あまねく▼無む量りょう・▼無む辺へん光こう、 ▼無礙むげ・▼無む対たい・▼光炎こうえん王のう、

▼普ク放チテ↢无量・无辺光无・无対・光炎王

^▼清浄しょうじょう・▼歓かん喜ぎ・▼智慧ちえ光こう、 ▼不ふ断だん・▼難なん思じ・▼無む称しょう光こう、

清浄・歓喜・智慧光不断・難思・无称光

^▼超ちょう日にち月光がっこうを放はなちて*塵刹じんせつを照てらす。 ▲一切いっさいの群ぐん生じょう、 光こう照しょうを蒙かぶる。

超日月光ヲ↡照ス↢▼塵チリヂン刹クニヲ↡▼一切ノ群ムラガル生蒙ル↢光照ヲ↡

^▲本願ほんがんの名みょう号ごうは正定しょうじょうの業ごうなり。 ▲至し心しん信しん楽ぎょうの願がん (第十八願) を因いんとす。

▼本願ノ*名号ハ正定ノ業ナリ▼至心信楽ノ願ヲ為ス↠因ト

^▲*等覚とうがくを成なり大だい涅ね槃はんを証しょうすることは、 ▲必ひっ至し滅めつ度どの願がん (第十一願) 成じょう就じゅなり。

0061▼成リ↢等覚ヲ↡証スルコトハ↢大涅槃ヲ↡必至滅度ノ願成就ナリ

2.依経段 b.釈迦章 ・出世本懐

^▲如来にょらい、 世よに興こう出しゅつしたまふゆゑは、 ただ弥陀みだの本願ほんがん海かいを説とかんとなり。

◆*如来所↣以 ユヘ ハ興↢オコス出シタマフ世ニ↡▼唯説カムトナリ↢*弥陀ノ本願海ヲ↡

^▲五ご濁じょく悪あく時じの群ぐん生じょう海かい、 ▲如来にょらい如実にょじつの言みことを信しんずべし。

▼五濁悪時ノ群生海応シ↠信ズ↢*如来如実ノ言ヲ↡

2.依経段 b.釈迦章 ・一念大利

^▲よく*一念いちねん喜き愛あいの心しんを発ほっすれば、 ▲煩悩ぼんのうを断だんぜずして涅ね槃はんを得うるなり。

▼能ク発スレバ↢一念喜愛ノ心ヲ↡▼不ズシテ↠断ゼ↢煩悩ヲ↡得ウルナリ↢涅槃ヲ↡

^▲凡ぼん聖しょう・逆ぎゃく謗ほう斉ひとしく*回え入にゅうすれば、 ▲衆水しゅすい海うみに入いりて一いち味みなるがごとし。

▼凡聖・逆謗斉ヒトシク*回入スレバ如シ↢衆水入リテ↠海ニ一味ナルガ↡

2.依経段 b.釈迦章 ・光摂益

^0204▲摂取せっしゅの心光しんこう、 つねに照しょう護ごしたまふ。 ▲すでによく無む明みょうの闇あんを破はすといへども、

▼摂取ノ心光常ニ照護シタマフ▼已 デニ能ク雖モ↠破スト↢无明ノ闇ヲ↡

^▲貪愛とんない・瞋憎しんぞうの雲うん霧む、 つねに*真実しんじつ信心しんじんの天てんに覆おおへり。

▼貪愛・瞋憎之雲霧キリ常ニ覆ヘリ↢真実信心ノ天ニ↡

^▲たとへば日光にっこうの雲うん霧むに覆おおはるれども、 雲うん霧むの下したあきらかにして闇やみなきがごとし。

▼譬ヘバ如シ↧日*光ノ覆オホハルレドモ↢雲霧ニ↡雲霧之下シタ明ニシテ无キガ↞闇 キ

2.依経段 b.釈迦章 ・信心勝利

^▲信しんを獲えて見みて敬うやまひ大おおきに慶きょう喜きすれば、 ▲すなはち*横おうに*五ご悪趣あくしゅを超ちょう截ぜつす。

◆獲↠信*見敬大慶*人▼即チ横ニ超↢截ゼチキルス▼五悪ノ趣ヲ↡

^▲一切いっさい善悪ぜんあくの*凡ぼん夫ぶ人にん、 如来にょらいの弘ぐ誓ぜい願がんを聞信もんしんすれば、

▼一切善悪ノ凡夫人聞↢信スレバ如来ノ弘誓願ヲ↡

^▲仏ぶつ、 *広大こうだい勝しょう解げのひととのたまへり。 ▲この人ひとを分ふん陀利だり華けと名なづく。

仏言ヘリ↢広大勝解ノ者 トト↡是ノ人ヲ名ク↢分陀利華ト↡

2.依経段 b.釈迦章 ・慈悲教誡

^▲弥陀みだ仏ぶつの本願ほんがん念仏ねんぶつは、 邪見じゃけん・憍きょう慢まんの悪あく衆しゅ生じょう、

▼弥陀仏ノ本願念仏ハ▼邪見・驕オゴル 慢ノアナドル悪衆生

^▲*信しん楽ぎょう受じゅ持じすることはなはだもつて難かたし。 ▲難なんのなかの難なんこれに過すぎたるはなし。

▼信楽▼受持スルコト甚ダ以テ難シ▼難ノ中之難无シ↠過ギタルハ↠斯ニ▼

3.依釈段 a.総嘆

^▼印いん度ど西天さいてんの論ろん家げ、 中ちゅう夏か (中国)・日域じちいき (日本) の高僧こうそう、

▼印イン度西天之論家中夏カ・日域サカイ之高僧

^▼大だい聖しょう (釈尊) *興こう世せの正しょう意いを顕あらわし、 如来にょらいの本誓ほんぜい、 機きに応おうぜることを明あかす。

0062▼顕シ↢大聖興世ノ正意ヲ↡▼明ス↢如来ノ本誓応ゼルコトヲ↟機ニ

3.依釈段 b.七祖 ・龍樹

^▲釈しゃ迦か如来にょらい、 *楞りょう伽が山せんにして、 衆しゅうのために告ごう命みょうしたまはく、

▼釈迦如来楞伽山ニシテ為ニ↠衆ノ告命オホセシタマハク南天竺ニ

^▼南なん天竺てんじく (南印度) に*龍りゅう樹じゅ大だい士じ世に出いでて、 ことごとくよく*有無うむの見けんを*摧さい破はせ0205ん。

龍樹大士出デテ↢於世ニ↡悉ク能ク摧↢クダク破セム有無ノ見ヲ↡

^▼大だい乗じょう無む上じょうの法ほうを宣説せんぜつし、 歓かん喜ぎ地じを証しょうして安楽あんらくに生しょうぜんと。

宣ノブ↢説シ▼大乗无上ノ法ヲ↡証シテ↢歓喜地ヲ↡生ゼムト↢安楽ニ↡

^▲難なん行ぎょうの陸ろく路ろ、 苦くるしきことを顕けん示じして、 ▲易い行ぎょうの水道すいどう、 楽たのしきことを信しん楽ぎょうせしむ。

▼顕↢示シテ難行ノ陸路苦シキコトヲ↡信↢楽セシム易行ノ水道楽シキコトヲ↡

^▲弥陀みだ仏ぶつの本願ほんがんを憶念おくねんすれば、 ▼自じ然ねんに即そくの時とき必ひつ定じょうに入いる。

▼憶↢念スレバ弥陀仏ノ本願ヲ↡自然ニ即ノ時トキ入ル↢必定ニ↡

^▼ただよくつねに如来にょらいの号みなを称しょうして、 ▼大だい悲ひ弘ぐ誓ぜいの恩おんを報ほうずべしといへり。

▼唯能ク常ニ称シテ↢如来ノ号ミナヲ↡応シトイヘリ↠報ズ↢大悲弘誓ノ恩ヲ↡

3.依釈段 b.七祖 ・天親

^▲*天親てんじん菩ぼ薩さつ ¬論¼ (*浄土論) を造つくりて説とかく、 ▲無礙むげ光こう如来にょらいに帰き命みょうしたてまつる。

▼天親菩薩造リテ↠¬論ヲ¼説トカク帰↢命シタテマツル无光如来ニ↡

^▲修しゅ多羅たらによりて真実しんじつを顕あらわして、 ▼横おう超ちょうの大だい誓願せいがんを光闡こうせんす。

▼依リテ↢修多羅ニ↡顕シテ↢真実ヲ↡光↢闡スヒラク▼横超ノ大誓願ヲ↡

^▲広ひろく本願ほんがん力りきの回え向こうによりて、 ▲群ぐん生じょうを度どせんがために一心いっしんを彰あらわす。

広ク由リテ↢本願力ノ回向ニ↡▼為ニ↠度セムガ↢群生ヲ↡▼彰アラハス↢一心ヲ↡

^▲功く徳どく大だい宝海ほうかいに帰き入にゅうすれば、 ▲かならず*大だい会え衆しゅの数かずに入いることを獲う。

▼帰↢入スレバ功徳大宝海ニ↡▼必ズ獲ウ↠入ルコトヲ↢大会衆ノ数ニ↡

^▲蓮れん華げ蔵ぞう世せ界かいに至いたることを得うれば、 ▲すなはち真如しんにょ法ほっ性しょうの身しんを証しょうせしむと。

▼得ウレバ↠至ルコトヲ↢蓮華蔵世界ニ↡▼即チ証セシムト↢真如法性ノ身ヲ↡

^▲煩悩ぼんのうの林はやしに遊あそんで神通じんずうを現げんじ、 生しょう死じの園そのに入いりて応おう化げを示しめすといへり。

▼遊デ↢煩悩ノ林ニ↡現ジ↢神通ヲ↡入リテ↢生死ノ園オンソノニ↡示ストイヘリ↢応化ヲ↡

3.依釈段 b.七祖 ・曇鸞

^▲*本ほん師し*曇鸞どんらんは、 *梁りょうの天てん子し、 つねに鸞らん (曇鸞) の処ところに向むかひて菩ぼ薩さつと礼らいしたてまつる。

▼本師曇鸞ハ▼梁ノ天子常ニ向フテ↢鸞ノ処ニ↡菩薩ト礼シタテマツル

^▼*三蔵さんぞう流支るし、 *浄教じょうきょうを授さずけしかば、 仙せん経ぎょうを焚ぼん焼じょうして楽邦らくほうに帰きしたまひき。

0063▼三蔵流支授サヅケシカバ↢浄教ヲ↡焚ボムヤク↢焼シテ仙経ヲ↡帰シタマヒキ↢楽邦ニ↡

^0206▲天親てんじん菩ぼ薩さつの ¬論ろん¼ (浄土論) を註ちゅう解げして、 ▼報ほう土どの因いん果が誓願せいがんに顕あらわす。

▼天親菩薩ノ¬▼論ヲ¼註チユツウ シルス解シテ報土ノ因果顕ス↢誓願ニ↡

^▲往還おうげんの回え向こうは他た力りきによる。 ▲正定しょうじょうの因いんはただ信心しんじんなり。

▼往還ノカヘル回向ハ由ル↢他力ニ↡正定之*因インハ唯信心ナリ

^▲惑染わくぜんの凡ぼん夫ぶ、 ▼信心しんじん発ほっすれば、 ▲生しょう死じすなはち涅ね槃はんなりと証しょう知ちせしむ。

▼惑染ノ凡夫信心発スレバ証↢知セシム生死即チ*涅槃ナリト↡

^▲かならず無む量りょう光こう明みょう土どに至いたれば、 ▲*諸しょ有うの衆しゅ生じょうみなあまねく化けすといへり。

▼必ズ至レバ↢无量光明土ニ↡諸有ノ衆生皆普ク化ストイヘリ

3.依釈段 b.七祖 ・道綽

^▲*道どう綽しゃく、 *聖しょう道どうの証しょうしがたきことを決けっして、 ▲ただ*浄じょう土どの通つう入にゅうすべきことを明あかす。

▼道綽決シテサダム ↢聖道ノ難キコトヲ↟証シ唯明ス↣浄土ノ可ベキコトヲ↢通入ス↡

^▲万善まんぜんの自じ力りき、 勤修ごんしゅを貶へんす。 ▲円満えんまんの徳号とくごう、 専せん称しょうを勧すすむ。

▼万善ノ自力貶ヘンス↢オトシム勤修ヲ↡▼円満ノ徳号勧ム↢専称ヲ↡

^▲三さん不ぷ三信さんしんの誨おしえ慇懃おんごんにして、 ▲*像末ぞうまつ・法滅ほうめつ同おなじく悲ひ引いんす。

▼三不三信ノ誨オシヘ慇オムネムゴロ懃ニシテ像末・法滅同ジク悲カナシミ引ス

^▼一いっ生しょう悪あくを造つくれども、 弘ぐ誓ぜいに値もうあひぬれば、 安あん養にょう界かいに至いたりて妙みょう果かを証しょうせしむといへり。

▼一生造レドモ↠悪ヲ値マウアヒヌレバ↢弘誓ニ↡至リテ↢安養界ニ↡証セシムトイヘリ↢妙果ヲ↡

3.依釈段 b.七祖 ・善導

^▲*善導ぜんどう独ひとり仏ぶつの正しょう意いをあきらかにせり。 ▲定じょう散さんと逆ぎゃく悪あくとを*矜哀こうあいして、

▼善導独リ明ナリ↢仏ノ正意ヲ↡▼矜コウ↣オホキニ哀シテ定散ト与トヲ↢逆悪↡

^▲*光こう明みょう・名みょう号ごう因縁いんねんを顕あらわす。 ▲本願ほんがんの大だい智ち海かいに開かい入にゅうすれば、

▼光明・名号顕ス↢因縁ネンヲ↡▼開↢入スレバ本願ノ大智海ニ↡

^▲行ぎょう者じゃまさしく金剛こんごう心しんを受うけしめ、 ▼慶きょう喜きの一念いちねん相応そうおうして後のち、

▼行者正シク受ケシメ↢金剛心ヲ↡▼慶喜ノ一念相応シテ後 チ

^▲*韋い提だいと等ひとしく三忍さんにんを獲え、 ▲すなはち法ほっ性しょうの常じょう楽らくを証しょうせしむといへり。

▼与ト↢韋提↡等ヒトシク獲エ↢▼三忍ヲ↡▼即チ証セシムトイヘリ↢法性之常楽ヲ↡

3.依釈段 b.七祖 ・源信

^▲*源信げんしん広ひろく一代いちだいの教きょうを開ひらきて、 ▲ひとへに安あん養にょうに帰きして一切いっさいを勧すすむ。

▼源信広ク開キテ↢一代ノ教ヲ↡偏 エニ帰シテ↢安養ニ↡勧ム↢一切ヲ↡

^0207▲*専雑せんぞうの執しゅう心しん、 浅深せんじんを判はんじて、 報ほう化け二土にどまさしく弁べん立りゅうせり。

0064▼専雑ノ執心判ハンジテ↢浅深ヲ↡報化二土正シク*弁ワキマヘ立セリ

^▲極ごく重じゅうの悪人あくにんはただ仏ぶつを称しょうすべし。 ▲われまたかの摂取せっしゅのなかにあれども、

▼極重ノ悪人ハ唯称スベシ↠仏ヲ▼我亦在レドモ↢彼ノ摂取ノ中ニ↡

^▲煩悩ぼんのう、 眼まなこを*障さへて見みたてまつらずといへども、 大だい悲ひ、 *倦ものうきことなくしてつねにわれを照てらしたまふといへり。

煩悩障ヘテ↠眼ヲ雖モ↠不ズト↠見タテマツラ大悲无ナク↠倦モノウキコト常ニ照シタマフトイヘリ↠我ヲ

3.依釈段 b.七祖 ・源空

^▼本ほん師し*源空げんくうは、 仏ぶっ教きょうにあきらかにして、 善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶ人にんを憐愍れんみんせしむ。

▼本師源空ハ明カニシテ↢仏教ニ↡憐レン↢愍 アワレム セシム善悪ノ凡夫人ヲ↡

^▼真しん宗しゅうの教証きょうしょう、 *片へん州しゅうに興おこす。 選せん択じゃく本願ほんがん、 悪あく世せに弘ひろむ。

▼真宗ノ教証興スオコス↢片州ニ↡選択本願弘ヒロム↢悪世ニ↡

^▲生しょう死じ輪転りんでんの家いえに還来かえることは、 決けっするに*疑ぎ情じょうをもつて*所しょ止しとす。

▼還↢来 カヘル コトハ生死輪転ノ家ニ↡決スルニ以テ↢疑情ヲ↡為ス↢所止ト↡

^▲すみやかに寂静じゃくじょう無為むいの楽みやこに入いることは、 かならず信心しんじんをもつて*能のう入にゅうとすといへり。

速 ヤカニ入ルコトハ↢寂静无為ノ楽ミヤコニ↡必ズ以テ↢信心ヲ↡為ストイヘリ↢能入ト↡

3.依釈段 c.結勧

^▼弘ぐ経きょうの*大だい士じ・*宗しゅう師し等とう、 無む辺へんの極ごく濁じょく悪あくを*拯じょう済さいしたまふ。

▼弘経ノ大士・宗師等拯ジヨウ↢済シタマフ无辺ノ極濁悪ヲ↡

^▼道俗どうぞく*時じ衆しゅともに同心どうしんに、 ただこの高僧こうそうの説せつを信しんずべしと。

道俗時衆共ニ同心ニ唯可ベシト↠信ズ↢斯ノ高僧ノ*説ヲ↡

 ^六ろく十じゅう行ぎょうすでに畢おわりぬ。       一いっ百ぴゃく二に十じっ句くなり。

 六十行ゴウ已ニ畢リヌ 一百二十句ナリ

顕けん0208浄じょう土ど真実しんじつ行ぎょう文類もんるい 二

 

延書の底本は本派本願寺蔵善如上人書写本。
浄土真実の行… 諸仏讃嘆の名みょう号ごうが往生浄土の真実の行であり、 その名号が選せん択じゃく本願 (第十八願) の 「乃至十念」 の称名となってあらわれているということを示す。 →補註10
浄土 真跡本では右傍に補記されている。 真仏上人書写本にはない。
本願 真跡本では右傍に補記されている。 真仏上人書写本には 「選択本願之行」 全体がない。
回向 →補註12
もろもろの善法を… 名みょう号ごう大行にはあらゆる善根ぜんごん功く徳どくがおさまっているということを示す。
極速円満す きわめて速やかに往生の因が満足する。 名号大行のはたらきがすぐれていることを示す。
真如一実の… 名号大行は真如にかなった法であることを示す。 →真如しんにょ、 一実いちじつ
称揚・咨嗟 讃嘆の意で、 ほめたたえること。
聞ゆるところなくは 聞えないところがあるならという意。
功徳の宝 阿弥陀仏の名みょう号ごうのこと。
まさに無上菩提の因を証すべし 「この誓願せいがんが私 (法ほう蔵ぞう菩薩) の無上菩提の因となることを証明したまえ」 あるいは 「衆生を無上菩提に至らせるための因を成就するであろう」 という意か。 ただし経の原文では 「無上菩提を証する日に当たりて」 と読む。
上願 すぐれた願。 四十八願のこと。
十力無等尊 仏のこと。 十種の力をそなえたこの上なく等い者の意。 →十じゅう力りき
心…安楽ならしめんと 通常は 「心あるいはつねに施を行じ、 広く貧窮を済すくひ、 もろもろの苦を免れしめ、 世間を利益し、 安楽ならしむるに堪へずは…」 と読む。
常行…施せん 行を修めることができないものに (真実の功く徳どくを) 回施えせしようという意。 底本の訓点では 「常行の施に堪たへざらんものに」 と読む。
諸仏 ¬開元かいげん録ろく¼ 巻三に示された経名にはこの二字がある。 ¬浄土和讃¼ (六十) の異本左訓には、 ¬諸仏阿弥陀…¼ の経名を釈して 「弥陀を諸仏とまうす。 過度人道 (経) のこころなり」 とある。
悪のために… 仏教をそしるためや名みょう聞もん利り養ようのために名みょう号ごうの法を聞くという意か。 あるいは 「悪をなして」 と読み、 悪をなしたことが縁となって名号を聞くという説もある。
阿闍世王太子 阿あ闍じゃ世せ王の太子、 和休わくとする説と、 阿闍世王自身のこととする説とがある。
この法 阿弥陀仏の本願を指す。
信慧… 信心の智慧ちえを得ることはむずかしい。
精進 「このみすすむるなり」 (左訓)
見て…慶ばば 見は聞見のこと。 名みょう号ごうのいわれを聞きひらき、 信を得て法を敬い深く心によろこべば。
大施品 引用の文は 「大施品」 になく 「諸しょ菩ぼ薩さつ本ほん授じゅ記き品ぼん」 にある。
一切の志願 往生成仏の願を根本とする一切の願。
満てたまふ 「たまふ」 は尊敬の意。 無明を破し、 志願を満たすのは、 阿弥陀仏の力によることをあらわす。
転じて休息と名づく 通常は 「転とは休息に名づく」 と読む。
見諦所断の法 無漏むろ智ちをもって四し諦たいの道理をみる時に断ちきられる煩悩ぼんのう。
一分…歓喜せん 通常は 「一分の毛をもつて大海の水の二三渧のごときを分ち取るがごとし。 苦のすでに滅するは大海の水のごとし。 余のいまだ滅せざるものは二三渧のごときなれば心大いに歓喜す」 と読む。 「渧」 はしずくの意。 親鸞聖人は 「信心の行者は煩悩ぼんのう具足の身であって、 滅した苦しみは、 大海の水の二三滴ほどでしかないが、 それでもなお歓喜する」 という意に転じ、 原文を読み改めた。
天竜… 八はち部ぶ鬼き神じんのうちの四種。
この菩薩所有の… 信心の行者のもつ滅すべき罪苦は、 大海の水のごとくであるが、 本願力によって転ぜられるのであるから、 行者にとっては二三の水渧に等しいという意であろう。
つねに諸仏…行なり 通常は 「つねに諸仏および諸仏の大法と、 必定と稀有の行とを念ず」 と読む。
四十不共法 仏のみに具そなわっている四十種のすぐれた特質。
念必定のもろもろの菩薩 他力信心の行者のこと。 通常は 「必定のもろもろの菩薩を念ず」 と読む。
大人法 菩薩の自利利他の法、 あるいは仏のさとりの法の意か。
無礙解脱 無礙道 (無間道) と解脱道。 前者は煩悩ぼんのうを断ずる位、 後者は煩悩を断じ終って無為むいを得る位。
聞見…殊勝と名づく 通常は 「聞見するところありてかならず受けて疑なきに名づく。 増上とは殊勝に名づく」 と読む。
骨体に徹入する 骨身にまでしみとおる。
利事 衆生を利り益やくすること。
慈に三種あり 衆生縁・法縁・無縁の三種の慈悲を指す。 →三縁さんえん
恭敬 つつしみ敬う心。 ここでは他力の信心のこと。
十方諸仏 「易行品」 の原文では、 東方無憂世界の善徳仏をはじめとする十方十仏。 親鸞聖人はそのうち西方善世界の無量明仏のみをここに示している。
いま…かくのごとし 通常は 「いままさにつぶさに説くべし。 無量寿仏・世自在王仏…この諸仏世尊、 現に十方の清浄世界にまします。 みな名を称し憶念おくねんすべし。 阿弥陀仏の本願はかくのごとし」 と読む。 親鸞聖人は 「諸仏はすべて阿弥陀仏の名みょう号ごうを称揚讃嘆する」 という意に転じ、 原文を読み改めた。
真金の山 須しゅ弥み山せんのこと。
修多羅 親鸞聖人は ¬銘文¼ で 「浄土三部経」 のこととする。
願偈総持を説きて 願偈は ¬浄土論¼ の 「願生偈」 のこと。 総持は親鸞聖人の解釈では 「無礙むげ光こうの智慧ちえ」 (¬銘文¼) の意。 阿弥陀仏の智慧を 「願生偈」 として説くということ。
観ずる ¬一多証文¼ に 「観は願力をこころにうかべみると申す。 またしるといふこころなり」 とある。
遇うて あいたてまつりて。 「遇ふ」 について ¬一多証文¼ に 「まうあふと申すは、 本願力を信ずるなり」 とある。
四種の門 五ご念ねん門もんの中の礼らい拝はい・讃嘆さんだん・作さ願がん・観察かんざつの前四門。
たまへり ¬浄土論¼ の当分は願生行者の自利利他行の成就であるが、 親鸞聖人は法蔵ほうぞう菩薩の自利利他行の成就に転意し、 「たまへり」 と敬語を付した。
第五門 五ご念ねん門もんの第五、 回え向こう門もんのこと。
回向利益他 衆しゅ生じょうに功く徳どくを施して利益を与えること。
心々相続して… 一心帰命の信が持続して他の思い (自力疑心) がまじらないという意。
彼此…顕れたり 偈げ頌じゅで 「帰命」 といい、 長じょう行ごうで 「礼拝」 ということによって、 帰命には礼拝の意が含まれ、 如実の礼拝は帰命からあらわれるという信心と礼拝の関係がいよいよ明らかとなる。
説文 ¬説文せつもん解かい字じ¼ のこと。 後ご漢かんの許慎きょしんの撰。 中国最古の部首別字書。
のごとく 「…にかなって」 「…のままに」 の意味。
所有なけん 通常は 「所しょ有うなし」 と読む。
諸法は…虚空のごとし すべての現象は固有の実体を持つ事物の集合としてあるのではなく、 関係によって仮に生じたものにほかならないから、 不生であり、 虚こ空くうのようなものである。 →五ご薀うん
前念と後念と因となる 通常は 「前念は後念のために因となる」 と読む。
一異を…論のなかに 通常は 「一異の門を観ずる論のなかに」 と読む。 「一異の門を観ずる論」 とは、 龍りゅう樹じゅ菩薩の ¬中論¼、 あるいは ¬因縁いんねん心論しんろん¼ の異訳 ¬十じゅう二に因縁いんねん論ろん¼ を指すか。
二諦 真諦しんたいと俗諦ぞくたい。 ここでは浄土の種々の荘しょう厳ごん相そうが有色有形のものであることを俗諦といい、 しかもその荘厳相が真如しんにょ法ほっ性しょうの理にかなって無相であることを真諦という。
作願 衆しゅ生じょう救済を願うこと。
首として 第一にして。 中心にして。
得たまへるがゆゑに 通常は 「得んとするがゆゑに」 と読む。 ここでは阿弥陀仏の回え向こうに転意している。
作願して…たまへるなり 通常は 「ともにかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せんと作願するなり」 と読む。
父の王 釈尊の父、 浄じょう飯ぼん王のう。
噉する 口にする。 食べる。
搆り 底本には 「搆し」 とある。
十即十生百即百生 十人は十人ながら、 百人は百人ながらみな往生するという意。
正念 ここでは信心のこと。
摂受したまへり 大谷派本願寺蔵本 (坂東本) では 「摂受したまはんと」 とあったのを 「摂受したまふべし」 と改めている。
勝益 すぐれた利り益やく。
至心…求めよ 「阿弥陀仏の真実をもちいて」 を意味する読み方。 通常は 「すべからく心を至して往くことを求むべし」 と読む。
八万四 八万四千 (多数の意) の法門。 仏の説いた教法全体のことであるが、 親鸞聖人は 「仮門 (本願の法以外の自力方便の教え)」 の意とする。
随智と滅す 随智は自力の智慧ちえの意か。 通常は 「智に随したがひて滅す」 と読む。
思量巧方便 思慮たくみなてだて。
帰説 「たよりのむといふ」 (右訓) 「よりたのむなり」 (左訓)
帰説 「よりかかるなり」 (左訓)
選択本願 選せん択じゃく本願ほんがんの行。 名みょう号ごうが 「乃ない至し十じゅう念ねん」 の称名しょうみょうとなってあらわれているということを示す。
時剋の極促 時間のきわまり。 聞信の一念に往生浄土の因が定まることをいう。
広略根に随ふ 広く詳しく説くか簡略に説くかは、 教えを受ける者の素質能力にしたがう。
焉に…事として ¬五会ごえ法ほう事じ讃さん¼ の原文には 「仏事を為し、 願力、 …」 とある。
父の王 釈尊の父、 浄じょう飯ぼん王のう。
あに離念に… 念を離れて無む念ねんを求めることがどうしてできるであろうか。
空 空見くうけんのこと。
労しくせず つとめる必要がない。
喚ばひ 「よばふ」 は呼びつづけるの意。
上華台 すぐれた蓮れん華げの台座 (うてな)。
帰去来 さあ帰ろう。 陶とう淵えん明めい (365-427) の 「帰き去きょ来らい辞のじ」 の中の言葉。 故郷に帰る決意を述べたものであるが、 ここでは浄土に生れたいという意をあらわす。
久塵にあり ながく煩悩ぼんのうの塵にまみれていること。
如来の広説… ¬大経¼ の大綱を示す。
所行所成 法蔵ほうぞう菩薩の願行とその成就のありさま。
所摂所益 阿弥陀仏が衆しゅ生じょうを救いとり、 利り益やくするありさま。
またいはく… 以下の ¬悲華ひけ経きょう¼ と ¬如来にょらい会え¼ の文は ¬述じゅつ文賛もんさん¼ にはない。 おそらく【44】【45】の意を明確にするためにあげたのであろう。
転輪王 阿弥陀仏の因いん位にの無む諍じょう念王ねんおうのこと。
福智の二厳 福方便と智方便。 ¬述文賛¼ の原文では、 ¬大経¼ 法蔵ほうぞう修行の 「三宝さんぼうを恭く敬ぎょうす」 を福方便、 「師長に奉事す」 を智方便とする。
つぶさに…たまへるなり 通常は 「施等のもろもろの聖行を備ふ」 (¬述文賛¼ の原文では、 「生」 は 「聖」 の字) と読む。 ここでは如来回え向こうの意をあらわすために読み改めた。
善によりて…たまへる 通常は 「因の善すでに成ずれば」 と読む。 ここでは如来の徳をあらわすために読み改めた。
往くこと… 原文の 「往誓願」 は通常 「往むかしの誓願」 と読む。 ここでは往生は本願力によることをあらわす。
この土 娑しゃ婆ば世界を指す。
無諍王 無む諍じょう念王ねんおうのこと。
宝海 宝海ほうかい梵ぼん志じのこと。
清晨俛仰の暇を輟めて 明け方のわずかの時間をさいて。
台教の祖師山陰のいはく… 引用の出典不明。 山陰は会かい稽けい山ざんの北 (現在の中国浙江せっこう省紹しょう興こう) の地域。 ここでは慶文けいぶん法ほっ師しの称。
真応の身 報身ほうじんのこと。 真を法・報の二身、 応を応身とする説もある。
諸大乗 いろいろな大乗経典。
憐憫すべき…したまへり 通常は 「憐憫すべきものとなす」 と読む。
正信法門 慶文の ¬浄土文¼ の中の一篇。
首楞厳 ¬首しゅ楞りょう厳ごん経ぎょう¼ のこと。
摩訶衍論 ¬大だい乗じょう起き信しん論ろん¼ のこと。
時魅 →時魅じみ鬼き。
聖の解 みずから聖しょう者じゃになったと思うこと。
大摧邪力 邪悪を打ちくだく大いなる力。
大降魔力 魔を降伏ごうぶくさせる大いなる力。
天眼遠見力 遠くをみとおす天眼通の力。 →六ろく神通じんずう
天耳遥聞力 遠くの声を聞きわける天耳通の力。 →六ろく神通じんずう
他心徹鑑力 すべての者の心を知りぬく他心通の力。 →六ろく神通じんずう
一乗の極唱 一乗教の至極の説法。
済衆の仁 衆しゅ生じょうを救済しようとする慈悲の心。
芥子の地 けしの粒ほどの小さな場所。
悲智六度 布施ふせ・持じ戒かい・忍にん辱にく・精しょう進じん・禅ぜん定じょう・智慧ちえの六度 (六ろっ波羅ぱら蜜みつ) の中、 前五は慈悲の行、 後一は智慧の行で、 六度は悲智に統とう摂しょうされる。
内外の両財 布施をする財宝を内財と外財に分けたもの。 内財とはみずからの身心をいい、 外財とは物質的な財宝をいう。
四字 阿弥陀仏の四字。
識心 衆生の心。
下の文 ¬小経¼ の 「われこの利を見るがゆゑに、 この言を説く。 もし衆しゅ生じょうありて、 この説を聞かんものは、 まさに発願ほつがんしてかの国土に生るべし」 という文を指す。
大小の戒体 大乗戒や小乗戒の戒体かいたい。
臨終…得 Ⓐでは 「臨終に得、 もろもろの怖畏を離れしめ、 身心衆聖現前し授手接引せらるることを安快にして」 と返点されている。
古賢の法語 古賢は慈じ雲うんを指す。 以下は元がん照じょうの語。
宋の元嘉 424-453。 劉りゅう宋そうの三代、 文帝ぶんていの年代。
京邑に建めたり 元照の ¬観経義疏¼ の原文では 「建」 は 「達」 となっている。 都みやこに来たという意。
慈雲の讃にいはく… 引用は ¬楽邦らくほう文類もんるい¼ 巻四所収の慈雲 「往生浄土決疑門」、 元がん照じょう ¬観経義疏¼ 所引の慈雲同書の文等によるか。
律宗の用欽のいはく… 【57】【58】の引用は用欽の ¬阿あ弥陀みだ経きょう疏しょ超ちょう玄げん記き¼ の文ともいわれるが、同書は現存しない。
一切を得ざるがゆゑに 一切を固定的な実体として認識しないがために。 あらゆる執着を離れた立場であることを示す。
無相の大願 実体的なすがたはないということをさとって発された願。
修するに…神通なき 通常は 「無住の妙行を修し、 無得の菩提を証し、 非荘厳の国土に住し、 無神通の神通を現ず」 と読む。
舌相を大千にあまねくして 諸仏が舌を出して、 あまねく三千大千世界をおおい、 念仏の教えが真実であることを証明したことをいう。
持名の行法 名みょう号ごうをたもつ行ぎょう業ごう。 称名のこと。
三千大千界 三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのこと。
世出世間の功徳 世間の功徳 (世俗の倫理的な善) と出世間の功徳 (さとりの世界の功徳)。
功徳…による ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ の現行本は 「功徳円満して、 一切の義の依たり。 かくのごとき等の六種功徳を具して」 となっている。
一称南無仏… 「一ひとたび南無仏と称するに、 みなすでに仏道を成ぜり」 ¬法華ほけ経きょう¼ 「方便品」 の文。
無上両足尊 人の中にあってこの上なく尊い方の意。 阿弥陀仏のこと。
極難値遇者 遇うことがきわめてむずかしい方の意。 阿弥陀仏のこと。
円融万徳尊 完全自在であらゆる徳を具そなえた尊い方の意。 阿弥陀仏のこと。
石汁 錬金術に用いる薬の名。
昴星 スバルのこと。
大小の聖人 大乗の聖者と小乗の聖者。
即時入必定 「即の時に必定に入る」。 信心を獲ぎゃく得とくすると同時に、 必ず仏になることに定まったくらいに入ること。
入正定聚之数 「正定聚の数に入る」 ¬論註¼ の原文には 「入大乗正定之聚」 とある。
能生の因・所生の縁 父母を能生と所生に分けたのは、 父は生ませる側 (子種を下す下種)、 母は生ませられる側 (子種をたもち育てる持種) であるという俗説によっている。 また因と縁に分けたのは、 名みょう号ごうは正定しょうじょうの業因ごういんとなり、 光こう明みょうは摂せっ取しゅの外縁となるからである。 ただし光明と名号は別なものではなく、 しばらく因と縁に配当しただけである。
下至十声聞等 高田派専修寺蔵宗祖加点 ¬礼讃らいさん¼ には 「下至十声一声等」 とある。 親鸞聖人は 「聞」 の語を示すために ¬礼讃¼ を直接引用せず、 ¬礼懴らいさん儀ぎ¼ を引用したのであろう。
一多包容の言 一念も他念も包みいれるという意味をあらわす言葉。
聖者 仏のこと。
労しく わずらわしく。
円融真妙の正法 万物一如いちにょという完全にして最高の真理にかなった行法。
大菩薩 ¬論註¼ の当分は、 浄土に往生した菩薩のことであるが、 親鸞聖人は法蔵ほうぞう菩薩のこととみなすから、 以下の引文は 「現じたまふ」 「成就したまへり」 等と、 敬語を付している。
第五の功徳相 五功徳門の第五、 園林おんりん遊戯ゆげ地じ門もんのこと。
四種の門 五ご念ねん門もんの中の礼らい拝はい・讃嘆さんだん・作さ願がん・観察かんざつの前四門。
第五門 五ご念ねん門もんの第五、 回え向こう門もんのこと。
常倫に…現前し 通常は 「常倫諸地の行を超出し、 現前に」 と読む。 常倫はつねなみ、 普通一般の意。
この方 娑しゃ婆ば世界。
底本では 「異なること如来にましまさず、 異なること法身にましまさず」 と訓点されている。
究竟法身 無む色しき無む形ぎょうの法ほっ性しょう真如しんにょそのもの。 法性法身のこと。 →補註1。
無辺不断 空間と時間を超越すること。
誓願一仏乗 阿弥陀仏の誓願によって成就された南無阿弥陀仏は、 生きとし生けるものを平等に成仏せしめる絶対唯一の教法であるという意。
実諦 究極的な真実。 真如しんにょ実相じっそうのこと。
不逆に信順す 通常の訓点では 「信順して逆はず」 と読む。 親鸞聖人の訓点によると 「不逆」 は 「一実」 の意。
荘厳畢竟 仏果 (仏のさとり) を得るための因行である六ろっ波羅ぱら蜜みつのこと。
究竟畢竟 因果をこえた究極的な真理そのものである仏ぶっ性しょうをいう。
世間畢竟・出世畢竟 世間畢竟は荘厳畢竟、 出世畢竟は究竟畢竟を指すという説、 また世間畢竟・出世畢竟は荘厳畢竟を二種に開いたものとする説がある。
無数の法 一とか三といった数であらわせない絶対の法門のことで、 一乗の本質をいう。
文殊の法はつねにしかなり 文殊の法は念仏の教えを指す。 念仏は智慧ちえの法であるから、 智慧を象徴する菩薩である文殊の法としたものか。 通常は 「文殊よ、 法はつねにしかなり」 と読む。
力無畏 十じゅう力りきと四し無む所しょ畏いのこと。
雑修雑善 自力心で修するさまざまな善。
経 経名不明。 ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ の文によるものか。
中下の屍骸 中は縁覚えんがく乗、 下は声しょう聞もん乗。 縁覚・声聞は利他の心を持たない小乗の根性 (性質) だからこれを死骸に喩える。 ただし次の引文では声聞と菩薩を二乗とする。 この場合は果仏に対する因人を指す。
荘厳不虚作住持功徳成就 仏荘厳八種の第八荘厳。 阿弥陀仏の願力は虚こ妄もうなものではなく、 衆しゅ生じょうを完全に救いとげるものであるということを示す。
大乗根 大乗の根性。 大乗にふさわしい素質。
菩提蔵 仏のさとりに至る道を説く教え。 菩ぼ薩さつ蔵ぞうに同じ。
還丹 錬金術に用いる薬の名。
超渉対 念仏は迷いをとびこえる (超) が、 諸善は歩いて渡る (渉) ようなものである。
径迂対 念仏はさとりを得る近道 (径) であるが、 諸善はまわり道 (迂) である。
通別対 念仏は特別のすぐれた法であるが、 諸善は通常の法である。
捷遅対 念仏ははやく成仏できる法であるが、 諸善はおそい法である。
無上有上対 念仏の利り益やくはこの上ないが、 諸善の利益は限りがある。
了不了教対 念仏は完全な教えであるが、 諸善は不十分な教えである。
直弁因明対 念仏は往生の要行として直ちに説かれたものであるが、 諸善は自力の機に応じて因みに明かされた法である。
思不思議対 念仏は衆しゅ生じょうの思議がおよばない尊い法であるが、 諸善は思いはかることのできる法である。
有願無願対 念仏は本願の行であるが、 諸善は本願の行ではない。
理尽非理尽対 念仏は道理を尽すが、 諸善は道理を尽さない。
勧無勧対 念仏は諸仏が勧めるが、 諸善は勧めない。
因行果徳対 念仏は阿弥陀仏の果上の徳がおさまる果分の行であるが、 諸善は仏になるために積む因分の行である。
自説他説対 念仏は阿弥陀仏がみずから往生行として説いたものであるが、 諸善はそうでない。 ¬愚禿鈔¼ では 「自説不説対」 として出る。
入定聚不入対 念仏はこの世で正定しょうじょう聚じゅの位に入る法であるが、 諸善はそうではない。
回不回向対 念仏は衆しゅ生じょうから回向する行ではないが (不回向)、 諸善は衆生から回向する行である (回向)。
機堪不堪対 念仏は衆生の根こん機き (素質能力) に適するが、 諸善は適しない。
法滅利不利対 念仏は法滅 (三宝さんぼう滅尽めつじん) の時代にも利り益やくがあるが、 諸善は利益がない。 ¬愚禿鈔¼ と対応して法滅不滅対 (念仏は滅しないが、 諸善は滅する) 利不利対 (念仏は利益があるが、 諸善は利益がない) の二対のこととする説もある。
報化対 念仏は真実報ほう土どに往生する法であるが、 諸善は方便化土けどに往生する法である。
絶対不二 絶対は比較すべきものがないという意。 不二は唯一無二の意。
奢促対 念仏の行者はすみやかに (促) さとりに至るが、 諸善の行者はおそい (奢)。
善悪対 念仏の行者は本願を信じるから善であるが、 諸善の人はこれを疑うから悪である。
明闇対 念仏の行者は智明であるが、 諸善の行者は無明の闇である。
勇将幢 帝たい釈しゃく天てんが魔と戦うときの幢はたぼこ。
出要の道 生しょう死じを出しゅつ離りするためのかなめの道。
大祖の解釈 七しち高僧こうそうの論釈。 前の文をうけ、 曇鸞どんらん大だい師しの ¬論註¼ を指すという説もある。
広大勝解のひと →広大こうだい勝しょう解げ者しゃ
大会衆の数に… 浄土で阿弥陀仏が説法する時の集会を広大会と名づけ、 それに参列し聞法もんぼうする大衆だいしゅを大会集という。 ここでは信心の行者が、 現生において正しょう定じょう聚じゅに入り、 阿弥陀仏の眷属けんぞくとなることをいう。
本師 本宗の祖師。
梁の天子 南朝梁の武帝 (464-549) のこと。 名は蕭しょう衍えん。 仏教を深く信奉した。
三蔵流支 →菩ぼ提だい流支るし
浄教を… ¬続ぞく高僧こうそう伝でん¼ 巻六では ¬観経¼ を授けたとするが、 諸説があって定かではない。
聖道・浄土 →聖しょう道どう門もん、 浄じょう土ど門もん
像末法滅… 像法ぞうぼう・末法まっぽう・法滅ほうめつ (三宝さんぼう滅尽めつじん) の時代を通じて、 本願の名みょう号ごうは人々を救いつづけるという意。
光明名号… 名号は衆しゅ生じょうに与えられて信心の因となり、 光明はこの人を照らしまもる縁となるという救済のありさまをいう。
専雑の… 専修せんじゅの者は本願を執とりたもつ信心が深く決けつ定じょうしているから報ほう土どに往生するが、 雑修ざっしゅの者は信心が浅く不決定であるから化土けどにしか往生できないと弁立 (解き明かすこと) されたという意。
障へて さえぎって。
倦きことなく 飽きることなく。 ここでは見捨てることなくという意。
大士 龍りゅう樹じゅ菩薩・天親てんじん菩薩を指す。
宗師 曇鸞どんらん大だい師し・道どう綽しゃく禅ぜん師じ・善導ぜんどう大師・源信げんしん和か尚しょう・法然ほうねん上人を指す。
底本は◎真宗大谷派蔵親鸞聖人真筆本。 Ⓐ本派本願寺蔵鎌倉時代写本、 Ⓑ高田派専修寺蔵真仏上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵存如上人授与本、 Ⓓ本派本願寺蔵版本 と対校。
咨嗟 左ⒶⒷホムルナリ
第十七願 ◎Ⓐ上欄註記(◎別筆) ⒷⒸⒹになし
設 Ⓐ諸仏咨嗟之願と右傍註記
咨嗟 左◎ホムルナリⒷ―
究竟 左ⒶⒷキワメキワム
靡 左ⒶⒷナビク
施 左ⒶⒷホドコシ アタフ
无 Ⓐ成就行と左傍にあり
証字諸応反験也 ◎Ⓐ上欄註記(但しⒶは前頁に同様の註記及び証字の註記あり) Ⓑになし
済→Ⓑ斉
不ラムモノ↠堪タヘ↢常行ニ↡施セム→ⒶⒷⒸ不ラムモノニ↠堪タヘ↢常行ノ施ニ↡
倫 左ⒶⒷトモガラ
薩 Ⓐ成就行と左傍にあり
楼 左ⒶⒷロウ
大…云12字 ◎上欄註記(別筆) ⒷⒸになし
字 左Ⓐシテ
蜎 左◎ムクメクⒷムクメキ
飛 右ⒶⒷヒ反
蠕 左◎ムクメク
動 左Ⓐウゴク
无 Ⓐ成就行と左傍にあり
経 ◎上欄補記
動 左Ⓑムクメク
悪 左Ⓐマク反
央 左ⒶⒷナカバ
養 左Ⓐス
会 左ⒶⒷアウ
刹 左Ⓐクニ反Ⓑクニ
決 左ⒶⒷサダメ
間→Ⓒ国
驕慢 左ⒶⒷオゴリアナドル
蔽 左ⒶⒷボムナウナリ
懈怠 左ⒶⒷオコタリオコタル
聴聞 左ⒶⒷ
親原→Ⓒ親厚
当 左Ⓑベシト
将 左Ⓑ―
可…土14字→Ⓑ可シ↧到リテ↢安楽国之世界ニ↡至ル↦无量光明土ニ↥
曇無讖→Ⓒ曇無纖
曇 Ⓐ成就行と左傍にあり
訳 左ⒶⒷツタヘタマフトナリ
壊 左ⒶⒷヱ反
已上 Ⓑになし
十 Ⓐ成就行と左傍にあり
過 左ⒶⒷトガ
咎 左ⒶⒷトガ
休息 左ⒶⒷヤメヤム
堅牢 左ⒶⒷカタクカタシ
諦 左ⒶⒷアキラカナリ
懶 左ⒶミダレガワシⒷミダレガハシ
苦 Ⓑ若歟と上欄註記
転 左ⒶⒷウツル
滋味 左◎コキアヂワイⒷシゲシ コキ アヂワイ
法→Ⓑ海(法と上欄註記)
閡 左◎サワルⒶサカリⒷサワリ
壊 左◎ヤブル
乱 左◎ミダル
閡 左ⒶⒷサワル
人→ⒶⒷⒹ又
得 左Ⓑエテハ
当 左Ⓑベシ
貴 左ⒶⒷタントシ
儀→Ⓑ議(儀イと上欄註記)
云→Ⓑ言
何 左Ⓑゾ
籌量 左◎ハカラフⒷハカラウコヽロナリ
徹 左ⒶトヲリⒷトオリ
懃 左ⒶネンゴロⒷネムゴロ
阿惟越致 左ⒶフタイノクラヰナリⒷ―
当 左Ⓐベシ
明 Ⓐ「ケシイ本」と左傍註記
命 左Ⓐシタテマハ
揚 左◎アグⒷ―
讃 左Ⓐシ
浄 Ⓐ成就行と左傍にあり
総 左◎スベテⒷ―
論 Ⓐ成就行と左傍にあり
途 左◎ヅⒷ―
修醤→◎Ⓐ循醤→Ⓑ修将酉修 左Ⓐシウ
顧 左◎カヘリミル
衍字口且反楽也 ◎ⒶⒷ上欄註記(但しⒶは前頁にもあり)
衍字 Ⓒになし 衍 左Ⓑエン
致 左◎ムネⒷ―
航 左Ⓐナル反 フネノホナリⒷフネノホナリ
航字 左◎フナワタシⒶフナワタシ ホナリ ◎Ⓐ上欄註記(但しⒶは前頁にもあり) ⒷⒸになし
服 左◎シタガイⒷ―
膺 左◎モチヰル
加 右Ⓑシタマハ 左◎クワウ
達 左◎サトル
乞 左◎コウ
→Ⓒ督
督…11字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし
督字→Ⓒ冬毒反 左◎アキラカナリ
他想間雑 左ⒶⒷヨノオモヒヘダテマジズ
帰 Ⓑ□命事と右上に張紙
命 Ⓐ命字眉ミ病反使也教也道也信也計也召也と上欄註記
既 左◎キⒷ―
敬 左Ⓑウヤマフ
推 左◎ヲスⒶⒷオス
命…也17字 ◎上欄註記 ⒶⒷになし
命字 Ⓒになし
顕 左ⒶⒷアラワル
「称…反」32字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし
称字 Ⓒになし
銓→Ⓒ詮
俗→Ⓐ俗[也]
斤→Ⓒ力 Ⓐ秤イ本と下に註記 
昌孕反昌陵反 Ⓒになし
説 右ⒶキタマヘリⒷク
畢 左◎ヲワルⒶオハルⒷ―
仮 左◎ケⒷ―
委 左◎クワシ Ⓑクワシク
曲 左ⒶⒷキヨク
云 左Ⓐウン
四 ◎上欄補記
含 左◎フクム
偽 左◎イツワル
失 左ⒶⒷウシナフ
蓋 ◎蓋と上欄訂記 左Ⓑフタ
抄→Ⓑ[已上]抄
安 Ⓐ成就行と左傍にあり
遣 左◎ケンⒶⒷケン反
父王 ◎上欄補記
蘭林 左◎ワル キⒷ―
根 左ⒶⒷネ
臭 左◎シユⒷ―
噉 左◎ナムル クラウⒶナムル クラフ
狂 左◎クルウⒶクルフⒷクルフナリ
根芽 左ⒶⒷネ クキ
盛 左ⒶⒷサカリナル
改 左◎アラタムⒷアラタムル
美 左ⒶⒷヨシ
毒 左ⒶⒷニガシ
弁→Ⓑ辨
計 左◎ハカリテⒶハカリテ反Ⓑケシテ反
一→Ⓒ一[切] Ⓑ切と上欄補記
部 Ⓐ「障イマ字歟」と下欄註記し、 さらに「イ本」と左傍註記
華 成就行と左傍にあり
牛羊 左ⒶⒷウシ ヒツジ
驢馬 左ⒶⒷウサギムマ
将 左◎マサニⒷ―
投 右◎トウ ニⒶイルヽニ トウ反 ニ 左◎ナグルニⒶナグルⒷ―
翳 左◎カクス
遊行 左ⒶⒷアソビアルク
遮障 左◎サイギルⒶサイギル反 サヘ反 サワル反Ⓑサヘ サワル
又 ◎上に一字抹消あり
也→Ⓑ也[已上]
又 ◎上に一字抹消あり
心 左Ⓑニ
云→Ⓑ曰
目 Ⓐ成就行と左傍にあり
川 Ⓑ「カ」と左傍にあり
劇 左◎ハゲシⒷ―
光明寺和尚云 ◎右傍補記
又如 ◎上欄補記
閑 左◎シヅカナリⒶシヅカ
貌 左◎カタチⒷ―
細 左◎コマカニ
麁 左◎アラシ
識 左◎タマシイⒶタマシヰ
憐 左アワレムⒶアワレミⒷアハレム
「由…也」13字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし
由字 Ⓒになし
境 左◎サカイⒷ―
斉 左◎ナル フタヽビ
問→Ⓐ間
応シ↢无二ナル↡→Ⓐ応シ↢无ル二ナルナラビ ↡→Ⓑ応シ↠无ル↠二ナラビ→Ⓒ応シ↠无ル↠二ナルナラビ
取 Ⓒ收イと左傍註記
云→Ⓑ言
仏 ◎上欄補記
名 右Ⓑナヅケタテマツル
涯 左Ⓑキシ
憑 左ヘウ
須モチヰテ↢至心ヲ↡求メヨ↠往ヲ→Ⓑ須スベカラクシ↣至テ↠心ヲ↢求ム↠往コトヲ↡
念→ⒷⒸ念[経]
去 左◎ユカⒷユカ反
礼 Ⓑになし
乗…也19字 Ⓑになし
乗字 Ⓒになし
又宝証反 Ⓒになし
駕 左Ⓐ―
覆 左Ⓐオオフ
言 ◎上欄補記
人…33段末要 ◎別筆
名 ◎上欄補記
心→Ⓑ向(心イと上欄註記)
又云ク Ⓒ「二字イ無」と左傍註記
利剣 左ⒶトキツルギⒷトキツクキ
覚字教音 Ⓑになし
覚字 Ⓑになし
巧 左ⒶⒷタクミナリ
要 Ⓒ出イと左傍註記
帰説 右Ⓐタヨリノムトイフ
宣述 左Ⓐセンジュツスルナリ
述 左Ⓑノブル
招引 左Ⓐセウイン
招喚 左Ⓑマネキヨビタマフ
剋 左Ⓑキムルナリ
極促 左Ⓑキワメテトキナリ
審 左ⒶⒷアキラカナリ
分極 左ⒶⒷワカチキワムル
綿 Ⓒ連-と左傍註記
理 左◎コトワリⒶコトハリ
殊 左◎コトナリⒶコトハリ
斉→Ⓐ斎
自 Ⓑ「ミヅカライ」と左傍註記
来迎 Ⓑ十七願来迎と上欄に張紙
能 ◎右傍註記
見 Ⓑ「ヲイ」と左傍註記
間 Ⓑ「ニイ」と左傍註記
一→Ⓒ「此」
等 Ⓒ「生イと右傍註記
回 Ⓒ「廻イと左傍註記
迎来 Ⓑ十八願来迎と上欄に張紙
沈淪 左ⒶⒷシヅム シヅム
土 Ⓒ因本疏有此字と左傍註記
云→Ⓑ言
云→Ⓑ言
径 ◎挳を径と上書訂記
呼吸 左ⒶⒷイヅルイキ イルイキ
復 左Ⓑカヘラズ
徒 左ト Ⓐ-
居士 右◎オトコ也Ⓐコ反ジ反 オトコナリⒷ― 左◎ⒶヰルヒトⒷオトコ
元照 Ⓒ観経義疏と左傍註記
憐憫 左アワレミアワレム Ⓑアハレミアハレム
特 左コトニ Ⓑ-
途 左ミチ
賢 左カシコシ Ⓑ-
緇素 クロク ソウナリ シロシ オトコナリ
弁→Ⓒ辨
引テ↢彼ノ問ヲ↡→Ⓑ引テ↠彼ヲ問→ⒷⒸ引テ↠彼ヲ問ク
来迎 Ⓑ臨終来迎と上欄に張紙
約 左ツク Ⓑ-
摧 左クダク
徹 左トヲリ
鑑 左カヾム Ⓑヾミ カヾム
 左サワル
摧 左Ⓑクダク
邪 Ⓑ耶歟と左傍註記
衆生→Ⓑ不捨
元…文9字 ◎左傍註記 Ⓑになし Ⓐ上欄註記 Ⓒ「云」の下に割註
昭→Ⓒ照
帰 Ⓑ「シテ歟」と左傍註記
躬→Ⓒ窮
不 ◎上欄補記
繋 左ツナグ
恋 左シタウ コウトモ Ⓑシタウ反コヒ
狂 左クルウ Ⓐクルフ
天竺寺遵式 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
得…引19字 Ⓐ得↢臨終ニ↡離シメ↢諸ノ怖畏ヲ↡、身心安↢快ニシテ衆聖現前シ、授手接引ラルルコトヲ↡
邪→Ⓒ耶 
遵式也 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
大智 Ⓑ元照律師イと左傍註記
元照律師也 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
雑 Ⓐ「スルコト イマノ本云」と左傍註記
戒度 Ⓑ元照之弟子イと左傍註記
元照之弟子也 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
元照之弟子也 ◎上欄註記 ⒶⒷⒹになし Ⓒ「云」の下に割註
収 ◎Ⓐと上欄註記
収 ◎と上欄註記
足→Ⓑ即(「足イと右傍註記)
蔔→Ⓒ匐
月→Ⓒ尸
鸞→巒
声→Ⓑ声[一声]
聞 ⒷⒸになし
弁→Ⓒ辨
云→Ⓑ言
音 Ⓑ「オム歟」と左傍註記
聖智无知也→Ⓑ聖智ヲ无キ↠知コト也
他→Ⓑ多(他歟と上欄註記)
他利ト↠之ヲ→Ⓑ他利ト之→Ⓒ他↢利ト之ヲ↡
願 Ⓒ第十八願と右傍註記
願 Ⓒ十一願と右傍註記
願 Ⓐ廿二と上欄註記 Ⓒ二十二願と右傍註記
以神通 Ⓑになし
局…ル14字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ古玉反と割註
无マシマサズ↢異コト如来↡、无マシマサズ↢異コト法身↡→Ⓑ无 マサズ↠異コト↢如来ニ↡、无 マサズ↠異コト↢法身ニ↡
言→Ⓑ云
已上 Ⓑになし
行 Ⓑ「ユクテ歟」と左傍註記
空→Ⓒ作
弁→Ⓒ辨
対 Ⓑ下に装入符号あり、 回不歟と右傍註記
回不 Ⓑになし
不→Ⓒ不[付]
滅→Ⓒ滅[不滅]
之 Ⓑになし
名号 ◎浄土を名号と上書訂記
如来 ◎釈迦を如来と上書訂記
弥陀本願 ◎本願一乗を弥陀本願と上書訂記
如来 ◎釈迦を如来と上書訂記
回→Ⓑ向
光 ◎月を光と上書訂記→Ⓒ月
見敬 ◎大慶を見敬と上書訂記
人 ⒶⒷⒸⒹ喜
因 ◎業を因と上書訂記
涅槃 Ⓒ菩提と右傍註記
弁 Ⓒ辨
説 Ⓒ談イと左傍註記