1305◎六ろく要よう鈔しょう　第だい六ろく　旧きゅう末まつ

二 Ⅱ ⅵ ｃ ロ ○ 私釈

【74】 ◎当とう帖ちょうの中なかにおいて､ 標ひょうあり文もんあり｡ 標ひょうに総別そうべつあり｡

◎於^テ↢当帖^ノ中^ニ↡､有^リ↠標有^リ↠文｡標^ニ有^リ↢総別↡｡

総そう標ひょうといふは､ 初はじめに ▲｢夫ふ拠きょ｣ といふ以下いげ一いち行ぎょう二に字じこれなり｡

言↢総標^ト↡者､初^ニ云^フ↢｢夫拠^ト｣↡以下一行二字是也｡

別べっ標ぴょうといふは､ 諸文しょもんの上かみにおいて題だいするところの経きょう論ろん・解げ釈しゃくの名ななり｡ いまこの別べっ標ぴょう､ 上じょう来らいの諸巻しょかんにみなもつてこれを安あんず｡ 当とう帖ちょうにおいては総そう標ひょうの外ほか､ 流る通ずう以い前ぜんにさらにわたくしの詞ことばなし､ ただ広ひろく諸文しょもんを引用いんようすらくのみ｡ このゆゑに短慮たんりょいよいよ文もん義ぎに迷まよふ｡ ただし荊渓けいけい (釈韱巻一二) のいはく､ ｢文もんの大たい旨しを得えつれば元げん由ゆに暗くらからず｡｣ ^以_上 一々いちいちの文言もんごんくわしく解げするにあたはず､ かつは自じ宗しゅう心しん行ぎょうの大要たいようにあらず､ ただほぼ所引しょいんの*梗概こうがいを推すい知ちして祖意そいを仰あおぐべし｡ その祖意そいとは､ すなはち総そう標ひょうに顕あらわる｡ すなはちこれ ▲｢勘決かんけつ真しん偽ぎ｣ 以下いげ､ その意こころ明あきらかなり｡

言↢別標^ト↡者､於^テ↢諸文^ノ上^ニ↡所^ノ↠題^スル経論解釈^ノ名也｡今此^ノ別標､上来^ノ諸巻^ニ皆以^テ安^ズ↠之^ヲ｡於↢当帖^ニ↡者総標^ノ之外､流通以前^ニ更^ニ無^シ↢私^ノ詞↡､只広^ク引↢用^スラク諸文^ヲ↡而已｡是^ノ故^ニ短慮弥迷^フ↢文義^ニ↡｡但^シ荊渓^ノ云^ク､｢得^ツレバ↢文^ノ大旨^ヲ↡不↠暗^カラ↢元由^ニ↡｡｣ ^已_上 一々^ノ文言不↠能↢委^ク解^スルニ↡､且^ハ非^ズ↢自宗心行^ノ大要^ニ↡､只粗推↢知^シテ所引^ノ梗概^ヲ↡可^シ↠仰^グ↢祖意^ヲ↡｡其^ノ祖意^ト者､乃顕^ハル↢総標^ニ↡｡即是 レ｢勘決真偽｣已下､其^ノ意明也｡

もし仏ぶっ教きょうによれば､ 真しんといひ正しょうといふ｡ もし外げ教きょうによれば邪じゃといひ偽ぎといふ｡ しかるにあるいは外げによりて内ない教きょうを信しんぜず｡ たとひ仏ぶっ教きょうによれどもあたかも真しん宗しゅうを貶へんし､ たとひ真門しんもんに入いれども一いち行ぎょうをもつぱらにせず｡ あるいは諸しょ行ぎょうを加くわへ､ あるいは雑心ざっしんに住じゅうす｡ かくのごときの心しん行ぎょう､ その本心ほんしんを尋たずぬるに仏ぶっ智ち疑ぎ惑わくの迷心めいしんより起おこる｡ たとひ邪じゃ教きょうを離はなるとも化土けど胎たい生しょうの因いんを出いでざるがゆゑに､ 当巻とうかんにこれを明あかしてまさにこれを捨すつべしと勧すすむ｡ これをもつて詮せんとなす｡

若^シ依^レバ↢仏教^ニ↡､云^ヒ↠真^ト云^フ↠正^ト｡若^シ依^レバ↢外教^ニ↡云^ヒ↠邪^ト云^フ↠偽^ト｡而^ニ或^ハ依^テ↠外^ニ不↠信^ゼ↢内教^ヲ↡｡縦^ヒ依^レドモ↢仏教^ニ↡宛^モ貶^シ↢真宗^ヲ↡､縦^ヒ入^レドモ↢真門^ニ↡不↠専^ニセ↢一行^ヲ↡｡或^ハ加^ヘ↢諸行^ヲ↡､或^ハ住^ス↢雑心^ニ↡｡如^ノ↠此^ノ心行､尋^ヌルニ↢其^ノ本心^ヲ↡起^ル↠自^リ↢仏智疑惑^ノ迷心↡｡縦^ヒ離^ルトモ↢邪教^ヲ↡不^ルガ↠出↢化土胎生^ノ因^ヲ↡故^ニ､当巻^ニ明^シテ↠之^ヲ勧^ム↠当^ニ_シト↠捨↠之^ヲ｡以^テ↠此^ヲ為^ス↠詮^ト｡

二 Ⅱ ⅵ ｃ ロ ・『涅槃経』文

【75】 ▲まづ ¬涅ね槃はん¼ の文もん｡ すなはち経名きょうみょうを出いだすはこれ別べっ標ぴょうなり､ 以下いげみな同おなじ｡

先^ヅ¬涅槃^ノ¼文｡即出^スハ↢経名^ヲ↡是 レ別標也､已下皆同｡

▲｢終しゅう不ふ更きょう帰依きえ｣ とらいふは､

言↢｢終不更帰依^ト｣等↡者､

問とふ｡ 天神てんじん地祇じぎは世よの貴たっとぶるところなり､ なんぞこれを誡いましむるや｡

問1306｡天神地祇^ハ世^ノ之所^ナリ↠貴^ブル､何^ゾ誡^ムル↠之^ヲ乎｡

答こたふ｡ 仏ぶっ陀だに帰きするは釈教しゃくきょうの軌き範はん､ 神じん明みょうを崇あがむるは世せ俗ぞくの礼奠らいてん､ 内ない外げ別べつなるゆゑに法はっ度とかくのごとし｡ これすなはち月げっ氏し・晨旦しんたんの風ふう教きょう､ 崇あがむるところの神かみ多おおくは邪神じゃしんなるがゆゑに､ 三宝さんぽうに帰きする者ものこれに事つかふることを得えず｡

答｡帰^スル↢仏陀^ニ↡者釈教^ノ軌範､崇^ムル↢神明^ヲ↡者世俗^ノ礼奠､内外別^ナルガ故^ニ法度如^シ↠此^ノ｡是 レ則月氏･晨旦^ノ風教､所^ノ↠崇^ムル之神多^クハ邪神^ナルガ故^ニ､帰^スル↢三宝^ニ↡者不↠得↠事^コトヲ↠之^ニ｡

ゆゑに ¬倶く舎しゃ¼ (玄奘訳巻一四業品) にいはく､ ｢衆人しゅにん所逼しょひつを恐おそれて多おおく諸仙しょせん・園苑えんおんおよび叢林そうりん・孤こ樹じゅ・制せい多た等とうに帰依きえす｡ この帰依きえ勝すぐれたるにあらず､ この帰依きえ尊とうときにあらず｡ この帰依きえによりてよく衆しゅ苦くを解げ脱だつせず｡｣ ^以_上 聖しょう道どうの修しゅ行ぎょうすでにこの制せいあり､ いはんんや一向いっこう専念せんねんの倫ともがらにおいてをや｡

故^ニ¬倶舎^ニ¼云^ク､｢衆人恐^レテ↢所逼^ヲ↡多^ク帰↢依^ス諸仙･園菀及^ビ叢林･孤樹･制多等^ニ↡｡此^ノ帰依非^ズ↠勝^タルニ､此^ノ帰依非^ズ↠尊^トキニ｡不↧因^テ↢此^ノ帰依^ニ↡能^ク解↦脱^セ衆苦^ヲ↥｡｣ ^已_上 聖道^ノ修行既^ニ有^リ↢此^ノ制↡､況^ヤ於↢一向専念^ノ倫^ニ↡哉｡

このゆゑに善導ぜんどう大だい師し ¬臨りん終じゅう正しょう念ねんの決けつ¼ にいはく､ ｢問とふ｡ 神じん祇ぎ禍か福ふく求ぐ祷とういかん｡ 答こたふ｡ 人にん命みょうの長ちょう短たん生うまれてよりこのかたすでに定さだまれり､ なんぞ鬼き神じんを仮かりてこれを延のべんや｡ 世よの人ひと迷惑めいわくして反かえりてさらに邪じゃを求もとめて衆しゅ生じょうを殺害せつがいし､ 神じん鬼きを祭さい祀ししてただ罪業ざいごうを増まし､ ますます怨おん讎しゅうを結むすびて反かえりて寿じゅを損そんす｡ 大だいい命みょうもし尽つきなば小しょう鬼きいかがせん､ 空むなしくみづから慞しょう惶おうしてかならず済すくふところなし｡ たしかによろしくこれを謹つつしむべし｡｣ ^以_上

是^ノ故^ニ善導大師¬臨終正念^ノ決^ニ¼云^ク､｢問｡神祇禍福求祷如何｡答｡人命^ノ長短生ムマ^レテヨリ下コノカタ已^ニ定^レリ､何^ゾ仮^テ↢鬼神^ヲ↡延^ベン↠之^ヲ耶｡世^ノ人迷惑^シテ反^テ更^ニ求^メテ↠邪^ヲ殺↢害^シ衆生^ヲ↡､祭↢祀^シテ神鬼^ヲ↡但増^シ↢罪業^ヲ↡､倍マスマス結^テ↢怨讎^ヲ↡反^テ損^ス↠寿^ヲ矣｡大命若^シ尽^キナバ小鬼奈何イカヾセン､空^ク自ミ 慞惶^シテ必^ズ無↠所↠済^フ｡切タシカ^ニ宜^ク_シ↠謹^シム↠之^ヲ｡｣ ^已_上

これらみな邪神じゃしんに事つかふるは損そんありて益やくなきことを誡いましむ｡ 権社ごんじゃにおいてはこのかぎりにあらざるか｡ なかんづくわが朝ちょうはこれ神国しんこくなり､ 王おう城じょう鎮守ちんじゅ諸国しょこく擁衛ようえいの諸しょ大だい明みょう神じん､ その本ほん地じを尋たずぬれば往おう古この如来にょらい法身ほっしんの大だい士し､ 異い域いきの邪神じゃしんにあひ同おなじかるべからず｡ 和わ光こうの素意そい､ もと利り物もつにあり｡ かつは宿しゅく世せ値ち遇ぐうの善縁ぜんえんに酬むくひ､ かつは垂すい迹しゃく多た生しょうの調熟ちょうじゅくによりて､ いま正しょう法ぼうに帰きして生しょう死じを出いでんと欲ほっす､ その神恩じんおんを思おもふに忽諸こっしょすべからず｡ しかりといへども一心いっしん一いち行ぎょうをもつぱらにせんと欲ほっするに､ 称しょう念ねんの結縁けちえん､ なほしばらくこれを閣さしおくは一いっ宗しゅうの廃はい立りゅう､ 大だい師しの定じょう判はんなり｡ さらにかの利り生しょう等とうを信しんぜざるにあらず､ ただ専念せんねん・専修せんじゅの儀ぎを守まもる｡ この専念せんねんによりて浄じょう土どに生しょうずれば､ 諸しょ上じょう善人ぜんにんともに一処いっしょに会えすること､ その説せつ明あきらかなるがゆゑに､ 聖しょう衆じゅ倶会くえ疑ぎ惑わくすべからず｡ 一切いっさいの諸仏しょぶつにともに護ご念ねんせらる､ その益やく空むなしからず｡ 別べつに念ねんぜずといへどもその利り益やくを蒙こうぶる｡ ゆゑに弥陀みだを念ねんずればかならず諸仏しょぶつ菩ぼ薩さつの冥みょう護ごを得う､ その垂すい迹しゃくたる天神てんじん地祇じぎ､ また本ほん地じの聖しょう慮りょに違いすべからず､ ゆゑに一心いっしんをもつぱらにしてただ一仏いちぶつを念ねんずる､ これをもつて要ようとなす｡ かの諸神しょしんの本ほん地じ等とうにおいては､ 深ふかく信伏しんぶくを致いたす､ 忽諸こっしょすべからず｡

是等皆誡^シム↧事^フル↢邪神^ニ↡者有^テ↠損無^コトヲ↞益｡於↢権社^ニ↡者非↢此^ノ限^ニ↡歟｡就↠中我^ガ朝^ハ是 レ神国也｡王城鎮守諸国擁衛^ノ諸大明神､尋^ヌレバ↢其^ノ本地^ヲ↡､往古^ノ如来法身^ノ大士､不↠可↣相 ヒ↢同^カル異域^ノ邪神^ニ↡｡和光^ノ素意､本在^リ↢利物^ニ↡｡且^ハ酬^ヒ↢宿世値遇^ノ善縁^ニ↡､且^ハ依^テ↢垂迹多生^ノ調熟^ニ↡､今帰^シテ↢正法^ニ↡欲^ス↠出^ント↢生死^ヲ↡｡思^ニ↢其^ノ神恩^ヲ↡不↠可↢忽緒^ス↡｡雖ヘ↠然^リト欲^スルニ↠専^ニセント↢一心一行^ヲ↡､称念^ノ結縁､猶且^ク閣^クハ↠之^ヲ一宗^ノ＊廃立､大師^ノ定判^ナリ｡更^ニ非^ズ↠不^ルニ↠信^ゼ↢彼^ノ利生等^ヲ↡､只守^ル↢専念･専修^ノ之1307儀^ヲ↡｡依^テ↢此^ノ専念^ニ↡生^ズレ↢浄土^ニ↡者､諸上善人倶^ニ会^コト↢一処^ニ↡､其^ノ説明^ナルガ故^ニ､聖衆倶会不↠可↢疑惑^ス↡｡一切^ノ諸仏^ニ共^ニ所ラ^ル↢護念^セ↡､其^ノ益不ズ↠空^カラ｡雖ヘ↠不ズ^ト↢別^ニ念^ゼ↡蒙^ル↢其^ノ利益^ヲ↡｡故^ニ念^ズレバ↢弥陀^ヲ↡必^ズ得ウ↢諸仏･菩薩^ノ冥護^ヲ↡｡為タ^ル↢其^ノ垂迹↡天神地祇､又不↠可↠違^ス↢本地^ノ聖慮^ニ↡｡故^ニ専^ニシテ↢一心^ヲ↡唯念^ズル↢一仏^ヲ↡､以^テ↠之^ヲ為^ス↠要^ト｡於^テ↢彼^ノ諸神^ノ本地等^ニ↡者､深^ク致^ス↢信伏^ヲ↡､不↠可↢忽緒^ス↡｡

二 Ⅱ ⅵ ｃ ロ ・『般舟経』二文

【76】 ▲次つぎに ¬般舟はんじゅ¼ の文もん｡

次^ニ¬般舟^ノ¼文｡

｢▲優婆うば夷い｣ とは対告たいごうの人ひとを挙あぐ｡ ｢▲聞もん三昧さんまい｣ とは念仏ねんぶつ三昧ざんまい｡ ▲｢帰き命みょう｣ とらはすなはち弥陀みだ界かいの三宝さんぽうなり｡

｢優婆夷^ト｣者挙^グ↢対告^ノ人^ヲ↡｡｢聞三昧^ト｣者念仏三昧｡｢帰命^ト｣等者即弥陀界^ノ之三宝也｡

｢▲鬼き神じん｣ といふは､ いふところの鬼きはこれ邪神じゃじんなり｡ ｢▲不ふ得とく視し吉きち良りょう日にち｣ といふは､ 吉きっ凶きょう・禍か福ふくはもとこれ妄もう情じょうの分別ふんべつなり｡ 仏ぶっ教きょうを学がくせん人ひと心こころを措おくに足たらず､ ゆゑにその義ぎを顕あらわす｡ ただし事ことの情こころを案あんずるに､ たとひ内心ないしんにおいて仏法ぶっぽうを信しんずといへども､ その身みいまだ俗塵ぞくじんを棄すてざるの類たぐい､ 世よに準じゅんじて礼らいを守まもり､ 境きょうに入いりて風ふうを問とふを神じん妙みょうといふべし｡ 内心ないしんにおいては､ 信しん知ちの旨むね､ まつたく動転どうてんに及およぶべからざるものか｡

言↢｢鬼神^ト｣↡者､所^ノ↠言之鬼^ハ是 レ邪神也｡言↢｢不得視吉良日｣↡者､吉凶･禍福^ハ本是 レ妄情^ノ之分別也｡学^セン↢仏教^ヲ↡人不↠足↠措^ニ↠心^ヲ､故^ニ顕^ス↢其^ノ義^ヲ↡｡但^シ案^ズルニ↢事^ノ情^ヲ↡､縦^ヒ於^テ↢内心^ニ↡雖↠信^ズト↢仏法^ヲ↡､其^ノ身未^ダ_ル↠棄↢俗塵^ヲ↡之類､准^ジテ↠世^ニ守^リ↠礼^ヲ､入^テ↠境^ニ問ト^フヲ↠風^ヲ可^シ↠謂↢神妙^ト↡｡於↢内心^ニ↡者､信知^ノ之旨､全^ク不↠可↠及↢動転^ニ↡者歟｡

【77】 ▲次つぎに同おなじき ¬経きょう¼ の文もん｡ その意こころ前さきに同おなじ｡

次^ニ同^キ¬経^ノ¼文｡其^ノ意同^ジ↠前^ニ｡

二 Ⅱ ⅵ ｃ ロ ・『日蔵経』三文

【78】 ▲次つぎに ¬日蔵にちぞう経きょう¼､ 所引しょいんに三さんあり｡

次^ニ¬日蔵経¼､所引^ニ有^リ↠三｡

▲一いちには第八だいはち巻かん ｢魔ま王おう波は旬じゅん星宿しょうしゅく品ぼん｣ の文もん､ 中なかにおいて三さんあり｡

一^ニハ第八巻｢魔王波旬星宿品^ノ｣文､於^テ↠中^ニ有^リ↠三｡

初はじめに ▲｢爾時にじ｣ の下しも ｢已い説せつ竟きょう｣▲ に至いたるまで二に十じゅう八はち行ぎょう余よは､ これ大だい小しょうの星宿しょうしゅくを安あん置ちし､ また時じ節せつを分わかちて衆しゅ生じょうを安穏あんのんすることを明あかす｡

初^ニ｢爾時^ノ｣下至^マデ↢｢已説竟^ニ｣↡廿八行余^ハ､是 レ明^ス↧安↢置^シ大小^ノ星宿^ヲ↡､又分^テ↢時節^ヲ↡安↦穏1308^{スルコトヲ}衆生^ヲ↥｡

次つぎに ▲｢又復うぶ｣ の下しも ｢盧る虱しった｣▲ に至いたるまで一いち十じゅう行ぎょう余よは､ これ四し大だい天王てんのうならびに鬼き神じん等とうを安あん置ちして擁よう護ごせしむることを致いたすことを明あかす｡

次^ニ｢又復^ノ｣下至^マデ↢｢盧虱^ニ｣↡一十行余^ハ､是 レ明^ス↧安↢置^シテ四大天王并^ニ鬼神等^ヲ↡致^コトヲ↞令^コトヲ↢擁護^セ↡｡

後のちに ▲｢次復しぶ｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで三さん行ぎょう余よは未み来らい記きを明あかす｡

後^ニ｢次復^ノ｣下至^マデ↠尽^スニ↢当文^ヲ↡三行余者明^ス↢未来記^ヲ↡｡

【79】 ▲二にには第だい九く巻かん ｢念仏ねんぶつ三昧ざんまい品ぼん｣ 第だい十じゅうの文もん｡

二^ニハ第九巻｢念仏三昧品｣第十^ノ文｡

｢乃ない至し｣ といふにおいて言ことば広博こうはくなるがゆゑに至し要ようにあらざるがゆゑに､ 戴のするに除のぞくところの文もんを勘かんがへ及およばず｡ いま所引しょいん現在げんざいの文もんに就つきてわたくしに分わかちて九くとなす｡

於^テ↠云^ニ↢｢乃至^ト｣↡言広博^ナルガ故^ニ非^ザルガ↢至要^ニ↡故^ニ､不↠及↣勘^ヘ↢戴^ルニ所^ノ↠除^ク之文^ヲ↡｡今就^テ↢所引現在^ノ之文^ニ↡､私^ニ分^テ為^ス↠九^ト｡

一いちに ▲｢爾時にじ｣ 以下いげの八はち字じは､ これ結前けつぜん生しょう後ごを明あかす｡

一^ニ｢爾時｣已下^ノ八字^ハ､是 レ明^ス↢結前生後^ヲ↡｡

二にに ▲｢彼ひ衆しゅ｣ の下しも ｢不ふ能のう得とく須しゅ臾ゆ為い害がい｣ に至いたるまで五ご行ぎょう余よは､ これ魔ま女にょ仏ぶつ世せ尊そんに帰きしてすなはちみづからつぶさに聞もん名みょう・見仏けんぶつ・聞法もんぼうの徳とくを述のぶることを明あかす｡

二^ニ｢彼衆^ノ｣之下至^マデ↢｢不能得須臾為害^ニ｣↡五行余^ハ者､是 レ明^ス↧魔女帰^シテ↢仏世尊^ニ↡即自ミ 具^ニ述^コトヲ↦聞名･見仏･聞法^ノ之徳^ヲ↥｡

三さんに ▲｢如来にょらい｣ の下しも ｢説せつ偈げ言ごん｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ これ同おなじき女にょ仏所ぶっしょに往ゆかんと欲ほっして､ 父ちちのために偈げを説とくことを明あかす｡ 次つぎに ｢▲乃ない至し｣ とは､ すなはち偈げ頌じゅなり｡ 始はじめを略りゃくして終おわりを出いだす｡ いはく ▲｢修学しゅがく｣ の下しも ｢還げん如仏にょぶつ｣ に至いたるまで一いち四句しく偈げ､ これその文もんなり｡

三^ニ｢如来^ノ｣之下至^マデ↢｢説偈言^ニ｣↡一行余者､是 レ明^ス↧同^キ女欲^シテ↠往^ント↢仏所^ニ↡､為^ニ↠父^ノ説^コトヲ↞偈^ヲ｡次^ニ｢乃至^ト｣者､即偈頌也｡略^シテ↠始^ヲ出^ス↠終^ヲ｡謂^ク｢修学^ノ｣下至^マデ↢｢還如仏^ニ｣↡一四句偈､是 レ其^ノ文也｡

四しに ▲｢爾時にじ｣ の下しも ｢菩ぼ提だい心しん｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ これ諸しょ余よの魔ま女にょ眷属けんぞく偈げを聞ききて発心ほっしんすることを明あかす｡

四^ニ｢爾時^ノ｣之下至^マデ↢｢菩提心^ニ｣↡一行余者､是 レ明^ス↢諸余^ノ魔女眷属聞^テ↠偈^ヲ発心^{スルコトヲ}↡｡

五ごに ▲｢是時ぜじ｣ の下しも ｢畏い憂う愁しゅう｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ これ魔ま王おうかの発心ほっしんを見みてたちまちに瞋しん憂うを生しょうずることを明あかす｡

五^ニ｢是時^ノ｣之下至^マデ↢｢畏憂愁^ニ｣↡一行余者､是 レ明^ス↧魔王見^テ↢彼^ノ発心^ヲ↡忽^ニ生^{ズルコトヲ}↦嗔憂^ヲ↥｡

六ろくに ▲｢是時ぜじ｣ の下しも ｢菩ぼ提だい果か｣ に至いたるまで五ご行ぎょう余よは､ もろもろの魔ま女にょために重かさねて偈げを説とくことを明あかす｡ ▲｢若にゃく有う｣ 以下いげ ｢不ふ能のう壊え｣ に至いたるまで七言しちごん八はっ句く､ ▲｢我が等とう｣ 以下いげ一いち四句しく偈げ､ これその文もんなり｡

六^ニ｢是時^ノ｣之下至^マデ↢｢菩提果^ニ｣↡五行余者､明^ス↢諸^ノ魔女為^ニ重^テ説^コトヲ↟偈^ヲ｡｢若有｣以下至^マデ↢｢不能壊^ニ｣↡七言八句､｢我等｣以下一四句偈､是 レ其^ノ文也｡

七しちに ▲｢爾時にじ｣ の下しも ｢坐ざ宮く内ない｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ これ魔ま王おう重かさねて瞋しん怖ふを倍ますことを明あかす｡

七^ニ｢爾時^ノ｣之下至^マデ↢｢坐宮内^ニ｣↡一行余者､是 レ明^ス↣魔王重^テ倍^スコトヲ↢瞋怖^ヲ↡｡

八はちに ▲｢是時ぜじ｣ の下しも ｢四し梵ぼん行ぎょう｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ これ菩ぼ薩さつ仏ぶつの説法せっぽうを聞ききてもろもろの衆しゅ生じょう等とうことごとく断惑だんわく修善しゅぜんの益やくを得うることを明あかす｡

八^ニ｢是時^ノ｣之下至^マデ↢｢四梵行^ニ｣↡一行余者､是 レ明^ス↧菩薩聞^テ↢仏^ノ説法^ヲ↡諸^ノ衆生等尽^ク得1309^コトヲ↦断惑修善之益^ヲ↥｡

九くに▲｢応おう浄じょう｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで五ご行ぎょう余よは､ これ正しょう念ねん観察かんざつの方ほう軌きを明あかし､ また念仏ねんぶつ見仏けんぶつの益やくを説とく｡ この文もんの中なかに ▲｢小しょう念ねん見けん小しょう大念だいねん｣ とらは､ ¬選せん択じゃく集しゅう¼ の中なかにこの経きょう文もんを引ひきてわたくしの詞ことばを加くわへていはく､ ｢▲感かん師し釈しゃくしていはく､ 大念だいねんとは大だい声しょうに念仏ねんぶつするなり､ 小しょう念ねんとは小声しょうしょうに念仏ねんぶつするなり｡ ゆゑに知しんぬ､ 念ねんすなはちこれ唱しょうなり｡｣ ^以_上

九^ニ｢応浄^ノ｣之下至^マデ↠尽^スニ↢当文^ヲ↡五行余者､是 レ明^シ↢正念観察^ノ方軌^ヲ↡､又説^ク↢念仏見仏^ノ益^ヲ↡也｡此^ノ文^ノ之中^ニ､｢小念見小大念^ト｣等者､¬選択集^ノ¼中^ニ引^テ↢此^ノ経文^ヲ↡加^テ↢私^ノ詞^ヲ↡云^ク､｢感師釈^シテ云^ク､大念^ト者大声^ニ念仏^スルナリ､小念^ト者小声^ニ念仏^スルナリ｡故^ニ知^ヌ､念即是 レ唱也｡｣ ^已_上

【80】 ▲三さんには同おなじき第だい十巻じっかん ｢護ご塔とう品ぼん｣ の文もん｡

三^ニハ同^キ第十巻｢護塔品^ノ｣文｡

これ波は旬じゅん偈げを説ときて殃つみを懴さんし､ 仏ぶつの摂しょう受じゅを乞こひて長ながく仏法ぶっぽうに帰きすることを明あかす｡ 文もんを分わかちて五ごとなす｡

是 レ明^ス↧波旬説^テ↠偈^ヲ懴^シ↠殃^ヲ､乞^テ↢仏^ノ摂受^ヲ↡長^ク帰^{スルコトヲ}↦仏法^ニ↥｡分^テ↠文^ヲ為↠五^ト｡

一いちに ▲｢時魔じま｣ の下しも ｢如にょ是ぜ偈げ｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ 魔まおよび衆しゅうともに仏所ぶっしょに至いたりて偈げを説とかんと欲ほっする意こころを明あかす｡

一^ニ｢時魔^ノ｣之下至^マデ↢｢如是偈^ニ｣↡一行余者､明↧魔及^ビ衆共^ニ至^テ↢仏所^ニ↡欲^スル↠説^ント↠偈^ヲ意^ヲ↥｡

二にに ▲｢三さん世ぜ｣ の下しも ｢如来にょらい法ほう｣ に至いたるまで三さん行ぎょう余よは､ 七言しちごん八はっ句くまさしき偈げ頌じゅなり｡

二^ニ｢三世^ノ｣之下至^マデ↢｢如来法^ニ｣↡三行余者､七言八句正^キ偈頌也｡

三さんに ▲｢時魔じま｣ の下しも ｢悲ひ含忍がんにん｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ 魔ま偈げを説ときて後のちわれおよび生しょうのために重かさねて摂しょう受じゅを乞こふ｡

三^ニ｢時魔^ノ｣之下至^マデ↢｢悲含忍^ニ｣↡一行余者､魔説^テ↠偈^ヲ後為^ニ↢我 レ及^ビ生^ノ↡重^テ乞^フ↢摂受^ヲ↡｡

四しに ▲｢仏ぶつ｣ 等とうの四字しじは､ 仏ぶつの印いん可かなり｡

四^ニ｢仏｣等^ノ四字^ハ､仏^ノ印可也｡

五ごに ▲｢時魔じま｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで二に行ぎょう余よは､ これ魔ま王おうおほきに歓かん喜ぎ清浄しょうじょうの心しんを生しょうじて厭足えんそくなきことを結けっす｡

五^ニ｢時魔^ノ｣之下至^マデ↠尽^スニ↢当文^ヲ↡二行余者､是 レ結^ス↧魔王大^ニ生^ジテ↢歓喜清浄^ノ之心^ヲ↡無^コトヲ↦厭足↥也｡

二 Ⅱ ⅵ ｃ ロ ・『月蔵経』八文

【81】 ▲次つぎに ¬月蔵がつぞう経きょう¼､ 所引しょいんに八はちあり｡

次^ニ¬月蔵経¼､所引^ニ有^リ↠八｡

▲一いちには第だい五ご巻かん ｢諸悪しょあく鬼き神じん得とく敬きょう信しん品ぼん｣ 第八だいはちの上じょうの文もん｡ 邪見じゃけんの因縁いんねんを遠おん離りするによりてすみやかに六ろく度どを満まんじ菩ぼ提だいを得うることを明あかす｡ 文もんを分わかちて三さんとなす｡

一^ニハ第五巻｢諸悪鬼神得敬信品｣第八^ノ上^ノ文｡明^ス↧依^テ↣遠↢離^スルニ邪見^ノ因縁^ヲ↡速^ニ満^ジ↢六度^ヲ↡得^コトヲ↦菩提^ヲ↥＊也｡分^テ↠文^ヲ為↠三^ト｡

一いちに ▲｢諸しょ仁者にんしゃ｣ の下しも ｢為い十じゅう｣ といふに至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ まづ邪じゃを離はなるるにその十種じっしゅあることを標ひょうし､ 次つぎに徴ちょう問もんを明あかす｡

一^ニ｢諸仁者^ノ｣下至^マデ↠云^ニ↢｢為十^ト｣↡一行余者､先標^シ↣離^ルヽニ↠邪^ヲ有^コトヲ↢其^ノ十種↡､次^ニ明^ス↢徴問^ヲ↡｡

二にに ▲｢一者いっしゃ｣ 以下いげ ｢生しょう善道ぜんどう｣ に至いたるまで六ろく行ぎょう余よは､ まさしくその数かずを挙あぐ｡

二^ニ｢一者｣以下至^マデ↢｢生善道^ニ｣↡六行余者､正^ク挙^グ↢其^ノ数^ヲ↡｡

三さんに ▲｢以是いぜ｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで四し行ぎょう余よは､ その益やくを明あかす｡

三^ニ｢以是^ノ｣之下至^マデ↠尽^スニ↢当文^ヲ↡四行余1310者､明^ス↢其^ノ益^ヲ↡也｡

【82】 ▲二にには第六だいろっ巻かん同おなじき ｢品ほん｣ の下げの文もん｡ 文もんを分わかちて二にとなす｡

二^ニハ第六巻同^キ｢品^ノ｣下^ノ文｡分^テ↠文^ヲ為^ス↠二^ト｡

初はじめに ▲｢仏ぶつ出しゅつ｣ の下しも ｢常じょう速そく知ち｣ に至いたるまで三さん行ぎょう余よは､ 五ご言ごんの偈げ頌じゅ十じゅう二句にくなり｡ 十じゅう平びょう等どうを説ときてもろもろの智ち者しゃ常つねにすみやかに知しるべきことを明あかす｡

初^ニ｢仏出^ノ｣下至^マデ↢｢常速知^ニ｣↡三行余者､五言^ノ偈頌十二句也｡説^テ↢十平等^ヲ↡明^ス↢諸^ノ智者常^ニ速^ニ可^コトヲ↟知^ル｡

次つぎに ▲｢爾時にじ｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで三さん行ぎょう余よは､ もろもろの悪あく鬼きに対たいしてかの報ほうを得うるの因縁いんねんを明あかすらくのみ｡

次^ニ｢爾時^ノ｣下至^マデ↠尽^スニ↢当文^ヲ↡三行余者､対^シテ↢諸^ノ悪鬼^ニ↡明^スラク↧得^ル↢彼^ノ報^ヲ↡之因縁^ヲ↥耳｡

【83】▲三さんには第だい六巻ろっかん ｢諸しょ天王てんのう護ご持じ品ぼん｣ 第だい九くの文もん｡

三^ニハ第六巻｢諸天王護持品｣第九^ノ之文｡

広ひろく天王てんのう・諸しょ天仙てんせん等とう四し天てん下げを護持ごじ養育よういくする相そうを説とく｡ 文もんを分わかちて二にとなす｡

広^ク説^ク↧天王･諸天仙等護↢持養↣育^スル四天下^ヲ↡相^ヲ↥｡分^テ↠文^ヲ為^ス↠二^ト｡

❶↓一いちに ▲文もんの初はじめより ｢正しょう法ぼう灯とう｣▲ に至いたるまで七しち十じゅう五ご行ぎょうは､ これ世せ尊そん大梵だいぼんの問答もんどうを明あかす｡

一^ニ自↢文^ノ初↡至^マデ↢｢正法灯^ニ｣↡七十五行^ハ､是 レ明^ス↢世尊大梵^ノ問答^ヲ↡｡

❷↓二にに ▲｢爾時にじ仏告ぶつごう月蔵がつぞう｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで五ご丁ちょう余よは､ これ仏ぶつ月蔵がつぞう菩ぼ薩さつに告つげて賢劫げんごうの四し仏ぶつ四し天てん下げをもつて梵ぼん・釈しゃく・四し天てん等とうに付ふ属ぞくする相そうを明あかし､ また世せ尊そん大梵だいぼん問答もんどう以下いげ重々じゅうじゅう所説しょせつの義ぎを明あかす｡

二^ニ｢爾時仏告月蔵^ノ｣下至^マデ↠尽^ニ↢当文^ヲ↡五丁余者､是 レ明^シ↧仏告^テ↢月蔵菩薩^ニ↡賢劫^ノ四仏以^テ↢四天下^ヲ↡付↢属^スル梵･釈･四天等^ニ↡相^ヲ↥､又明^ス↢世尊大梵問答以下重々所説^ノ之義^ヲ↡｡

❶↑初はじめの中なかに三さんあり｡ 初はじめに ▲｢爾時にじ｣ の下しも ｢持じ養育よういく｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ 世せ尊そんの問といなり｡

初^ノ中^ニ有^リ↠＊三｡初^ニ｢爾時｣之下至^マデ↢｢持養育^ニ｣↡一行余者､世尊^ノ問也｡

②↓次つぎに ▲｢時じ娑しゃ婆ば｣ の下しも ｢欲随よくずい喜き｣▲ に至いたるまで六ろく十じゅう四し行ぎょう十じゅう二字にじは､ 梵王ぼんのうの答こたえなり｡

次^ニ｢時娑婆^ノ｣下至^マデ↢｢欲随喜^ニ｣↡六十四行十二字者､梵王^ノ答也｡

③↓後のちに ▲｢仏言ぶつごん｣ の下しも当文とうもんを尽つくすに至いたるまで八はち行ぎょう余よは､ また仏説ぶっせつを明あかす｡

後^ニ｢仏言^ノ｣之下至^マデ↠尽^スニ↢当文^ヲ↡八行余者､又明^ス↢仏説^ヲ↡｡

②↑二にが中なかに六ろくあり｡ 一いちに▲初はじめの十じゅう四字しじは､ まづ梵答ぼんとうを標ひょうす｡

二^ガ中^ニ有^リ↠六｡一^ニ初^ノ十四字^ハ､先^ヅ標^ス↢梵答^ヲ↡｡

二にに ▲｢大徳だいとく｣ 以下いげ ｢瞿陀くだ尼に｣ に至いたるまで五ご行ぎょう余よは､ 兜と率そつ陀だ・他化たけ自じ在ざい・化け楽らく天王てんのう・須しゅ夜摩やま天てん､ これらの空くう居ごの四し大だい天主てんしゅ､ おのおの無む量りょうのわが天てん子しらと､ 次ついでのごとく北東ほくとう南西なんざいの四し大だい洲しゅうを護ご養ようすることを明あかす｡

二^ニ｢大徳｣以下至^マデ↢｢瞿陀尼^ニ｣↡五行余者､明^ス↧兜率陀･他化自在･化楽天王･須夜摩天､此等^ノ空居^ノ四大天主､各与ト↢無量^ノ我^ガ天子等↡､如^ク↠次^ノ護↦養^{スルコトヲ}北東南西^ノ四大洲^ヲ↥也｡

三さんに ▲｢大徳だいとく｣ の下しも ｢西さい瞿陀くだ｣ に至いたるまで五ご行ぎょう余よは､ 毘び沙しゃ門もん ここには多た聞もんといふ・提だい頭頼ずらた ここには持じ国こくといふ・毘楼びる勒叉ろくしゃ ここには増ぞう長じょうといふ・毘楼びる博叉はくしゃ ここには広目こうもくといふ､ この四し天王てんのう､ おのおの眷属けんぞくと前さきの次し第だいのごとく四し洲しゅうを護ご養ようすることを明あかす｡

三^ニ｢大徳^ノ｣之下至^マデ↢｢西1311瞿陀^ニ｣↡五行余者､明^ス↧毘沙門 此^ニハ云↢多聞↡･提頭頼 此^ニハ云↢持国↡･毘楼勒刄 此^ニハ云↢増長↡･毘楼博叉 此^ニハ云↢広目↡､此^ノ四天王､各与↢眷属↡如^ク↢前^ノ次第^ノ↡護↦養^{スルコトヲ}四洲^ヲ↥｡

四しに ▲｢大徳だいとく｣ の下しも ｢瞿陀くだ尼に｣▲ に至いたるまで三さん十じゅう二に行ぎょうは､ これ二に十じゅう八はっ宿しゅくの中なかに所当しょとうの七しち宿しゅく､ 七曜しちようの中なかに所当しょとうの三曜さんよう､ 十じゅう二に辰しんの中なかに所当しょとうの三辰さんしん､ 十じゅう二に天てん童女どうにょの中なかにおのおの三さん､ また前さきの次ついでのごとく四し洲しゅうを護ご養ようすることを明あかす｡ 宿しゅく・曜よう・辰しんの名なみな本文ほんもんに見みえたり｡

四^ニ｢大徳^ノ｣之下至^マデ↢｢瞿陀尼^ニ｣↡三十二行^ハ､是 レ明^ス↧二十八宿^ノ之中^ニ所当^ノ七宿､七曜^ノ之中^ニ所当^ノ三曜､十二辰^ノ中^ニ所当^ノ三辰､十二天童女^ノ中^ニ各三､亦如^ク↢前^ノ次^ノ↡護↦養^{スルコトヲ}四洲^ヲ↥｡宿･曜･辰^ノ名皆見^タリ↢本文^ニ↡｡

この中なかに二に十じゅう八はっ宿しゅくの配当はいとう､ 梵漢ぼんかん異いあり｡ 月げっ氏しの配当はいとうは仏ぶっ経きょうの説せつによる｡ 震旦しんたんの所列しょれつは世せ俗ぞくの説せつか｡

此^ノ中^ニ二十八宿^ノ配当､梵漢有^リ↠異｡月氏^ノ配当^ハ依^ル↢仏経^ノ説^ニ↡｡震旦^ノ所列^ハ世俗^ノ説歟｡

¬弘ぐ決けつ¼ (輔行) の十じゅうにいはく､ ｢¬摩ま蹬とう伽が¼ の中なかのごとし､ また蓮れん華げ実じつ婆羅ばら門もんありて帝たい勝しょう伽かに問とひていはく､ なんぢ星ほしを知しるやいなや｡ 答こたへていはく､ 密要みつようすらなほ知しれり､ いはんやこの小術しょうじゅつをや｡ 広ひろく二に十じゅう八はっ宿しゅくおよび七曜しちよう等とうを説とく｡ しかるに ¬経きょう¼ に四し方ほうの星ほしを列つらぬること､ こことやや異ことなることあり｡ この方ほうには西方さいほうに七ななつ､ 奎けい・婁ろう・胃い・昂ぼう・畢ひつ・觜し・参しん｡ 南方なんぽうに七ななつ､ 井せい・鬼き・柳りゅう・星せい・張ちょう・翼よく・軫しん｡ 東方とうぼうに七ななつ､ 角かく・亢こう・氐てい・房ぼう・心しん・尾び・箕き｡ 北方ほっぽうに七ななつ､ 斗と・牛ぎゅう・女じょ・虚きょ・危き・室しつ・壁へき｡ ¬経きょう¼ に列つらぬるところは､ 西方さいほう昴ぼう星しょうより終おわり柳星りゅうしょうに至いたるまで､ かくのごとくはるかに遷うつれば一方いっぽうにおのおの七ななつ｡ これ地じ七しち異いのゆゑに｡｣ ^以_上

¬弘決^ノ¼十^ニ云^ク､｢如^シ↢¬摩蹬伽^ノ¼中^ノ↡､又有^テ↢蓮華実婆羅門↡問^テ↢帝勝伽^ニ↡言^ク､汝知^ルヤ↠星^ヲ不^ヤ｡答^テ言^ク､密要^スラ猶知^レリ､況^ヤ此^ノ小術^ヲヤ｡広^ク説^ク↢二十八宿及^ビ七曜等^ヲ↡｡然^ニ¬経^ニ¼列^ヌルコト↢四方^ノ星^ヲ↡､与ト↠此有^リ↢稍異^コト↡｡此^ノ方^ニ者西方^ニ七^ツ､奎･婁･胃･昂･畢･觜･参｡南方^ニ七､井･鬼･柳･星･張･翼･軫｡東方^ニ七､角･亢･氐･房･心･尾･箕｡北方^ニ七､斗･牛･女･虚･危･室･壁｡¬経^ニ¼所↠列者､西方従↢昴星↡終^リ至^マデ↢柳星^ニ↡､如^ク↠此^ノ遙^ニ遷^レバ一方^ニ各七^ツ｡是 レ地七異^ノ故^ニ｡｣ ^已_上

¬摩ま蹬とう伽が経きょう¼､ いまの挙あぐるところ ¬日蔵にちぞう¼ の説せつと同おなじ｡ 両りょう説せつを示しめさんがためにいま文もんを出いだす｡

¬摩蹬伽経¼､与ト↢今^ノ所↠挙¬日蔵^ノ¼説↡同｡為^ニ↠示^サンガ↢両説^ヲ↡今出^ス↠文^ヲ也｡

五に ▲｢大徳だいとく｣ の下しも ｢持じ養育よういく｣ に至いたるまで十じゅう二に行ぎょう余よは､ これ別べつにこの閻えん浮ぶ提だい▲十じゅう六ろく大国だいこくにして､ 四し大だい天王てんのうおのおの四し国こくを領りょうして護持ごじ養育よういくすることを明あかす｡

五^ニ｢大徳^ノ｣之下至^マデ↢｢持養育^ニ｣↡十二行余^ハ､是 レ明^ス↧別^ニ於シ^テ↢此^ノ閻浮提十六大国^ニ↡､四大天王各領^シテ↢四国^ヲ↡護持養育^{スルコトヲ}↥｡

六ろくに ▲｢大徳だいとく｣ の下しも ｢欲よく随ずい喜き｣ に至いたるまで八はち行ぎょう余よは､ これ梵王ぼんのう古いにしえを引ひき上かみを結けっして､ 仏ぶつここにしてもろもろの鬼き神じん等とうを分ぶん布ぷ安あん置ちして護持ごじし養育よういくしたまへと請しょうずることを明あかす｡

六^ニ｢大徳^ノ｣之下至^マデ↢｢欲随喜^ニ｣↡八行余者､是 レ明^ス↧梵王引^キ↠古^ヲ結^シテ↠上^ヲ､請1312^{ズルコトヲ}↦仏於シ^テ↠此^ニ分↢布安↣置^シテ諸^ノ鬼神等^ヲ↡護持^シ養育^{シタマヘト}↥｡

③↑三さんが中なかに三さんとなす｡ ▲初はじめの十じゅう字じは､ 仏ぶつの印いん可かを明あかす｡

三^ガ中^ニ為^ス↠三^ト｡初^ノ十字者､明^ス↢仏^ノ印可^ヲ↡｡

次つぎに ▲｢爾時にじ｣ の下しも十じゅう三さん字じは､ 偈げを説とかんと欲ほっすることを明あかす｡

次^ニ｢爾時^ノ｣下十三字者､明^ス↠欲^{スルコトヲ}↠説^ント↠偈^ヲ｡

後のちに ▲｢示じ現げん｣ の下しも七しち行ぎょう一いち字じは､ まさしくこれ五ご言ごん二に十じゅう四句しくその偈げ頌じゅなり｡ 総そうじて上じょう来らい問答もんどうの事じを説とくらくのみ｡

後｢示現^ノ｣下七行一字^ハ､正^ク是五言二十四句其^ノ偈頌也｡総^ジテ説^クラク↢上来問答^ノ事^ヲ↡耳｡

❷↑二にが中なかに二にとなす｡ 初はじめに ▲｢爾時にじ｣ の下しも十じゅう二字にじは､ まづ告ごう命みょうを明あかす｡

二^ガ中^ニ為↠二^ト｡初^ニ｢爾時^ノ｣下十二字者､先^ヅ明^ス↢告命^ヲ↡｡

次つぎに ▲｢了りょう知ち｣ の下しもは､ これ正しょう説せつなり｡ 中なかにおいて七しちあり｡

次^ニ｢了知^ノ｣下^ハ､是 レ正説也｡於^テ↠中^ニ有^リ↠七｡

一いちに▲文もんの初はじめより ｢持じ養育よういく｣▲ に至いたるまで五ご十じゅう行ぎょうは､ これ賢劫げんごうの四し仏ぶつの付ふ嘱ぞくを明あかす｡

一^ニ自↢文^ノ之初↡至^マデ↢｢持養育^ニ｣五十行者､是 レ明^ス↢賢劫^ノ四仏^ノ付嘱^ヲ↡｡

二にに ▲｢爾時にじ世せ尊そん復ぶ問もん｣ の下しも ｢作さ護持ごじ｣▲ に至いたるまで二に十じゅう一いち行ぎょう余よは､ これ世せ尊そん大梵だいぼんの問答もんどうを明あかす｡

二^ニ｢爾時世尊復問^ノ｣之下至^マデ↢｢＊応如是^ニ｣↡廿一行余^ハ､是 レ明^ス↢世尊大梵^ノ問答^ヲ↡｡

▲初はじめの二に行ぎょう余よはこれ世せ尊そんの問とい､

初^ノ二行余^ハ是 レ世尊^ノ問､

｢▲時じ娑しゃ婆ば｣ の下しもは梵王ぼんのうの答こたえなり｡ この答こたえに三さんあり｡ 初はじめに ▲｢過去かこ｣ の下しも ｢作さ護持ごじ｣ に至いたるまで一いち行ぎょう余よは､ まさしく仏問ぶつもんを答こたふ｡

｢時娑婆^ノ｣下^ハ梵王^ノ答也｡此^ノ答^ニ有^リ↠三｡初^ニ｢過去^ノ｣下至^マデ↢｢作護持^ニ｣↡一行余者､正^ク答^フ↢仏問^ヲ↡｡

次つぎに ▲｢而我にが｣ の下しも ｢大衆だいしゅ亦願やくがん容恕ようじょ｣▲ といふに至いたるまで六ろく行ぎょう余よは､ 大梵だいぼん過あやまちを謝しゃす｡

次^ニ｢而我^ノ｣下至^マデ↠云^ニ↢｢大衆亦願容恕^ト｣↡六行余者､大梵謝^ス↠過^ヲ｡

後のちに ▲｢我於がお｣ の下しも十じゅう行ぎょう余よは､ あきらかに梵王ぼんのう過去かこ三仏さんぶつの教勅きょうちょく今仏こんぶつの勅ちょくを蒙こうぶるによるがゆゑに､ 三宝さんぽうの種たねにおいて断絶だんぜつせしめず､ 誓ちかひて悪あく行ぎょうの衆しゅ生じょうを遮しゃ障しょうし行ぎょう法ほうの衆しゅ生じょうを護ご養ようすべきことを述のぶ｡

後^ニ｢我於^ノ｣下十行余者､明^ニ梵王述^ブ↫由^ルガ↠蒙^ルニ↢過去三仏^ノ教勅今仏^ノ勅^ヲ↡故^ニ､於^テ↢三宝^ノ種^ニ↡不↠令^メ↢断絶^セ↡､誓^テ可^コトヲ↪遮↢障^シ悪行^ノ衆生^ヲ↡護↩養^ス行法^ノ衆生^ヲ↨｡

三さんに ▲｢仏言ぶつごん｣ 以下いげの十じゅう三さん字じは､ 仏ぶつの印いん可かを明あかす｡

三^ニ｢仏言｣以下^ノ十三字者､明^ス↢仏^ノ印可^ヲ↡｡

四しに ▲｢爾時にじ仏告ぶつごう百ひゃく億おく｣ の下しも ｢切種さいしゅ智ち｣▲ に至いたるまで二に十じゅう四し行ぎょうは､ これ世せ尊そん大だい梵王ぼんのうに勅ちょくして邪見じゃけんの衆しゅ生じょうを遮しゃ止しし善法ぜんぽうに住じゅうせしめて護ご養ようを致いたさば､ なんぢ六ろく度どを満まんじてすみやかに種しゅ智ちを成じょうずべしと説ときたまふことを明あかす｡

四^ニ｢爾時仏告百億^ノ｣之下至^マデ↢｢切種智^ニ｣↡二十四行^ハ､是 レ明^ス↧世尊勅^シテ↢大梵王^ニ↡説^{タマフコトヲ}↞可^シト↧遮↢止^シ邪見^ノ衆生^ヲ↡令^メテ↠住^セ↢善法^ニ↡致^サ↢護養^ヲ↡者､汝満^ジテ↢六度^ヲ↡速^ニ成^ズ↦種智^ヲ↥｡

五ごに ▲｢時じ娑しゃ婆ば｣ の下しも ｢応おう如にょ是ぜ｣ に至いたるまで四し行ぎょう余よは､ これ大梵だいぼん仏ぶっ勅ちょくを領りょう受じゅし▲世せ尊そん梵言ぼんごんを印いん可かしたまふことを明あかす｡

五^ニ｢時娑婆^ノ｣下至^マデ↢｢応如是^ニ｣↡四行余者､是 レ明^ス↧大梵領↢受^シ仏勅^ヲ↡世尊印↦可^{シタマフコトヲ}梵言^ヲ↥｡

六ろくに ▲｢爾時にじ｣ 以下いげ ｢趣しゅ善道ぜんどう｣ に至いたるまで三さん行ぎょう余よは､ もろもろの菩ぼ薩さつ・諸しょ大だい声しょう聞もんおよび諸衆しょしゅ等とう如来にょらいの徳とくを讃さんずることを明あかす｡

六^ニ｢爾時｣已下至^マデ↢｢趣善道1313^ニ｣↡三行余者､明^ス↣諸^ノ菩薩･諸大声聞及^ビ諸衆等讃^{ズルコトヲ}↢如来^ノ徳^ヲ↡｡

七しちに ▲｢爾時にじ｣ 以下いげ当文とうもんを尽つくすに至いたるまで十じゅう五ご行ぎょう余よは､ これ世せ尊そん重かさねて偈げ頌じゅを説ときて上かみのごときの事じを宣のべたまふことを明あかす｡ 初はじめの十じゅう三さん字じは偈げを説とかんと欲ほっすることを明あかす｡ ▲｢我が告ごう｣ 以下いげはいはゆる五ご言ごん四し十じゅう八はっ句く､ その偈げ頌じゅなり｡

七｢爾時｣已下至^マデ↠尽^ニ↢当文^ヲ↡十五行余^ハ､是 レ明^ス↧世尊重^テ説^テ↢偈頌^ヲ↡宣^{タマフコトヲ}↦如^ノ↠上^ノ事^ヲ↥｡初^ノ十三字^ハ明^ス↠欲^{スルコトヲ}↠説^ント↠偈^ヲ｡｢我告｣以下^ハ所謂五言四十八句､其^ノ偈頌也｡

【84】▲四しには同おなじき第七だいしち巻かん ｢諸しょ魔ま得とく敬きょう信しん品ぼん｣ の文もん｡ ｢乃ない至し｣ の言ことばに任まかせてしばらく分わかちて三さんとなす｡

四^ニハ同第七巻｢諸魔得敬信品^ノ｣之文｡任^テ↢｢乃至^ノ｣言^ニ↡､且^ク分^テ為↠三^ト｡

初はじめに ▲｢爾時にじ｣ の下しも ｢無む所乏しょもう｣ に至いたるまで六ろく行ぎょう余よは､ これ諸しょ魔ま世せ尊そんの前まえにして護ご持じの誓ちかいを発おこすことを明あかす｡

初^ニ｢爾時^ノ｣下至^マデ↢｢无所乏^ニ｣↡六行余者､是 レ明^ス↧諸魔於シ^テ↢世尊^ノ前^ニ↡発^コトヲ↦護持^ノ誓^ヲ↥｡

次つぎに ▲｢於此おし｣ の下しも ｢仏ぶつ正しょう法ぼう｣ に至いたるまで七しち行ぎょう余よは､ これ三仏さんぶつおよびいまの世せ尊そん諸しょ魔まを隆伏ごうぶくし正しょう法ぼうを護持ごじすることを明あかす｡

次^ニ｢於此^ノ｣下至^マデ↢｢仏正法^ニ｣↡七行余者､是 レ明^ス↧三仏及^ビ今^ノ世尊隆↢伏^シ諸魔^ヲ↡護↦持^{スルコトヲ}正法^ヲ↥｡

後のちに ▲｢一切いっさい｣ の下しも二に行ぎょう余よは､ もろもろの天衆てんしゅことごとく護ご法ほう息災そくさいの誓ちかいを発おこすことを明あかすなり｡

後^ニ｢一切^ノ｣下二行余者､明^ス↣諸^ノ天衆咸^ク発^コトヲ↢護法息災^ノ誓^ヲ↡也｡

【85】▲五ごには同おなじき巻かん ｢提だい頭頼ずらた天王てんのう護持ごじ品ぼん｣ の文もん｡

五^ニハ同^キ巻｢提頭頼天王護持品^ノ｣文｡

▲初はじめには仏ぶつ､ 日月にちがつ天てん子しに勅ちょくしてなんぢわが仏法ぶっぽうを護持ごじせば､ まさに得寿とくじゅ除災じょさいの益やくを与あたふべしと説とくことを明あかす｡

初^ニハ明^ス↧仏勅^シテ↢日月天子^ニ↡説^コトヲ↦汝護↢持^セバ我^ガ仏法^ヲ↡者､当 _ベ ^ニ_シト↞与↢得寿除災^ノ之益^ヲ↡｡

▲後のちには百ひゃく億おくの四し天王てんのう等とう､ 同おなじく仏前ぶつぜんにして仏ぶっ勅ちょくを領りょう受じゅすることを明あかす｡

後^ニハ明^ス↧百億^ノ四天王等､同^ク於シ^テ↢仏前^ニ↡領↦受^{スルコトヲ}仏勅^ヲ↥｡

【86】▲六ろくには同おなじき第だい八巻はちかん ｢忍辱にんにく品ぼん｣ の文もん｡ 文もんを分わかちて四しとなす｡

六^ニハ同^キ第八巻｢忍辱品^ノ｣文｡分^テ↠文^ヲ為↠四^ト｡

一いちに▲初はじめの十じゅう字じは､ 仏ぶつ対告たいごうの所言しょごんを印いん可かしたまふことを明あかす｡

一^ニ初^ノ十字者､明^ス↣仏印↢可^{シタマフコトヲ}対告^ノ所言^ヲ↡｡

二にに ▲｢若にゃく有う愛あい｣ の下しも一いち行ぎょう余よは､ これ厭えん苦く・欣ごん楽らくの機き､ 仏道ぶつどうを護持ごじしてまさに福報ふくほうを得うべきことを明あかす｡

二^ニ｢若有愛^ノ｣下一行余者､是 レ明^ス↧厭苦･欣楽之機､護↢持^シテ仏道^ヲ↡当^ニ_コトヲ↞得↢福報^ヲ↡｡

三さんに ▲｢若にゃく有う衆しゅ｣ の下しも一いち行ぎょう余よは､ 出しゅっ家けの者もの涅ね槃はんの印いんを被かぶることを明あかす｡

三^ニ｢若有衆^ノ｣下一行余者､明^ス↣出家^ノ者被^コトヲ↢涅槃^ノ印^ヲ↡｡

四しに ▲｢若にゃく復ぶ出しゅつ｣ の下しも五ご行ぎょう余よは､ 非ひ法ほうをもつて種々しゅじゅの悪あく行ぎょうを致いたす衆しゅ生じょう､ 三宝さんぽうの種しゅを断だんじて地じ獄ごくに堕だすることを明あかす｡

四^ニ｢若復出^ノ｣下五行余者､明^ス↧以^テ↢非法^ヲ↡致^ス↢種々之悪行^ヲ↡衆生､断^ジテ↢三宝^ノ種^ヲ↡堕^{スルコトヲ}↦地獄^ニ↥也｡

【87】▲七しちには同おなじき ｢品ほん｣ の文もん｡ これ天てん・龍りゅう以下いげの雑類ぞうるいみな仏前ぶつぜんにしてわれら出しゅっ家けの人ひとを護まもりて､ もろもろの所須しょしゅを与あたへ悩乱のうらんせしめばよろしく擯罰ひんばつすべしと説ときてのたまふことを明あかすなり｡

七1314^ニハ同｢品^ノ｣之文｡是 レ明^ス↫天･龍以下^ノ雑類皆於シ^テ↢仏前^ニ↡説^テ↪言ノタマフ^コトヲ我等護^テ↢出家^ノ人^ヲ↡､与^ヘ↢諸^ノ所須^ヲ↡令^メバ↢悩乱^セ↡者宜 _ベ ^ク_シト↩擯罰^ス↨也｡

【88】▲八はちにはまた同おなじき ｢品ほん｣ の文もん｡ これまさに占相せんそうの妄もう情じょうを離はなれ､ 修しゅ習じゅうして深ふかく正しょう見けんを信しんずべき義ぎを明あかすらくのみ｡

八^ニハ又同^キ｢品^ノ｣文｡是 レ明^スラク↩当 _ベ ^ニ_キ↧離^レ↢占相^ノ妄情^ヲ↡､修習^シテ深^ク信^ズ↦正見^ヲ↥義^ヲ↨耳ノミ｡

問とふ｡ ¬大だい集じゅう¼ の諸文しょもん､ 上じょう来らいの所用しょようなんの要ようかあるや｡

問｡¬大集^ノ¼諸文､上来^ノ所用有^ル↢何^ノ要^カ↡耶｡

答こたふ｡ 引用いんようの意い趣しゅ､ たやすくもつて測はかりがたし｡ ただし短慮たんりょをもつて愚ぐ推すいを加くわへば､ 世せ尊そんすでに諸天しょてん乃ない至し龍りゅう神じん八はち部ぶに対たいして､ 勅ちょくして四し大だい天てん下げを付ふ嘱ぞくしたまふ｡ かれらの輩ともがら､ また仏前ぶつぜんにして仏ぶっ勅ちょくを領りょう納のうして､ 善人ぜんにんをして念ねん持じ守しゅ護ごせしめて､ もし悩乱のうらんせばたちまちにもつて擯罰ひんばつし､ 造悪ぞうあくの人ひとをして善法ぜんぽうに住じゅうせしめんといふこと等とう､ その義ぎ灼しゃく然ねんなり｡ これをもつてこれを思おもふに､ 諸善しょぜんなほしかなり､ いはんや念仏ねんぶつの人ひとその護ご益やくを蒙こうぶらんこと､ あへて疑うたがふべからず｡ しかればその諸天しょてん等とうに事つかへざる説せつを守まもりてこれを閣さしおき､ 一心いっしんに念仏ねんぶつせば､ おのづからかの諸天しょてん・龍りゅう神じん等とうの護持ごじ養育よういくに預あずからんこと措おきて論ろんぜず｡ よりて専念せんねんを勧すすめて一心いっしんを正ただしくせんがためにこれを引ひかるるか｡ また専念せんねんを背そむきてかの諸天しょてん・龍りゅう神じん等とうに事つかへば､ たとひ念仏ねんぶつを交まじふとも雑修ざっしゅたるによりてその益やく胎たい生しょうたるべきがゆゑに､ その義ぎを示しめさんがために当巻とうかんの中なかにこれを引ひかるるをや｡