*選択せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう

選択本願念仏集 「行文類」 引用箇所や ¬本山蔵版本¼ では、 題号の下に 「源空集」 の撰号がある。

標宗

南無阿弥陀なもあみだぶつ おうじょうごうには、 念仏ねんぶつ*さきとなす

 宗要、 肝要、 かなめの意。 ¬往生院本¼ ¬ざん本¼ 等は 「先」 となっているが、 親鸞聖人への伝授本は 「本」 となっていた。 「本」 は根本最要の意で、 「先」 と同意。

南無阿弥陀仏 往生之業念仏為↠

 原漢文の底本は本派本願寺蔵版。 盧山寺蔵草本、 往生院蔵元久元年写本、 法然院蔵延応元年刊本、 龍谷大学蔵吉野時代刊本、 大派依用十行本と対校されている。
 他本では 「先」。

二門章

【1】 道綽どうしゃくぜん*しょうどう*じょうの二もんてて、 しょうどうててまさしくじょうするもん

 道綽禅師、立↢聖道・浄土二門↡、而捨↢聖道↡正帰↢浄土↡之文

◎二門章 引文

1.安楽集

 ¬*安楽あんらくしゅう¼ のじょうにいはく

¬安楽集¼上云。

ひていはく、 一切いっさいしゅじょうはみな*仏性ぶっしょうあり。 *遠劫おんごうよりこのかたぶつひたてまつるべし。 なにによりてか、 いまにいたるまでなほみづから*しょう*りんして*たくでざるや

遠劫 遠く久しい昔。

「問曰。一切衆生皆有↢仏性↡、遠劫以来応↠値↢多仏↡。何因至↠今、仍自輪↢迴生死↡不↠出↢火宅↡。

こたへていはく、 大乗だいじょう聖教しょうぎょうによらば、 まことに二しゅ勝法しょうぼうてもつてしょう*はらはざるによる。 ここをもつてたくでず。 何者なにものをか二となす。 一にはいはくしょうどう、 二にはいはくおうじょうじょうなり。 それしょうどうの一しゅは、 いまときしょうしがたし。 一には大聖だいしょう (釈尊)れること遙遠ようおんなるによる。 二には*ふかさとりなるによる

排はざる 排除しない。
理は深く解は微なる 教理は深遠であるのに、 しゅじょうの理解する能力はとぼしい。

答曰。依↢大乗聖教↡、良由↠不↧得↢二種勝法↡以排↦生死↥。是以不↠出↢火宅↡。何者為↠二。一謂聖道、二謂往生浄土。其聖道一種今時難↠証。一由↧去↢大聖↡遥遠↥、二由↢理解微↡。

このゆゑに ¬*大集だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ にのたまはく、 ªわが*末法まっぽうときのうちの億々おくおくしゅじょうぎょうおこどうしゅせんに、 いまだ一にんとしてるものあらじº と。 当今とうこん末法まっぽう、 これ*じょくあくなり。 ただじょうの一もんのみありて通入つうにゅうすべきみちなり

是故大集月蔵経云。我末法時中億億衆生、起↠行修↠道、未↠有↢一人得者↡。当今末法現是五濁悪世、唯有↢浄土一門↡、可↢通入↡路。

 他本では欠く。

このゆゑに*¬だいきょう¼ にのたまはく、 ªもししゅじょうありてたとひ一しょうあくつくれども、 命終みょうじゅうときのぞみて、 十ねん相続そうぞくしてわが名字みょうじしょうせんに、 もししょうぜずといはば、 しょうがくらじº と

大経にのたまはく… 道綽どうしゃくぜんが ¬大経¼ の第十八願の文意と ¬観経¼ 下下げげぼんの文意とを合せられた本願取意の文。

是故大経云。若有↢衆生↡、縦令一生造↠悪、臨↢命終時↡、十念相続、称↢我名字↡、若不↠生者、不↠取↢正覚↡。

また一切いっさいしゅじょうはすべてみづからはからず。 もし大乗だいじょうによらば、 *真如しんにょ*実相じっそう*だいくう、 かつていまだしんかず。 もし小乗しょうじょうろんぜば、 *見諦けんたい修道しゅどう修入しゅにゅうし、 ない*ごん*かん*だん*じょうのぞくこと、 道俗どうぞくふことなく、 いまだそのぶんあらず。 たとひ人天にんでんほうあれども、 みな*かい*ぜんのためによくこのほうまねく。 しかるをとくするものは、 はなはだまれなり。 もしあく造罪ぞうざいろんぜば、 なんぞあらかぜ*あめことならん。 ここをもつて諸仏しょぶつだいすすめてじょうせしめたまふ。 たとひ一ぎょうあくつくれども、 ただよくこころけて専精せんしょうにつねによく念仏ねんぶつせば、 一切いっさい諸障しょしょうねん消除しょうじょして、 さだめておうじょうすることを。 なんぞ思量しりょうせずしてすべてしんなきや」 と

大経にのたまはく… 道綽どうしゃくぜんが ¬大経¼ の第十八願の文意と ¬観経¼ 下下げげぼんの文意とを合せられた本願取意の文。
見諦修道 声聞乗しょうもんじょうの修道階位である見道けんどう (見諦けんたい)・しゅどう学道がくどうの三道のうちの前二のこと。 見道はたいの道理を明瞭に観察かんざつする段階、 修道はさらにそれを繰り返して修習してゆく段階をいう。
那含羅漢 阿那あなごん阿羅あらかんのこと。 →四果しか
五下 三界さんがいのうち最下のよくかいしゅじょうをつなぎとどめる五種の煩悩ぼんのう貪欲とんよくしん身見しんけん戒取かいしゅをいう。
五上 三界のうち色界しきかい色界しきかいに衆生をつなぎとどめる五種の煩悩。 みょうきょうまん掉挙じょうこ色染しきぜん色染しきぜんをいう。
 異本には 「駛」 とある。

又復一切衆生、都不↢自量↡。若拠↢大乗↡、真如実相第一義空、曾未↠措↠心。若論↢小乗↡、修↢入見諦修道↡、乃至那含・羅漢、断↢五下↡除↢五上↡、無↠問↢道俗↡、未↠有↢其分↡。縦有↢人天果報↡、皆為↢五戒・十善↡、能招↢此報↡。然持得者甚希。若論↢起悪造罪↡、何異↢暴風駃雨↡。是以諸仏大慈、勧帰↢浄土↡。縦使一形造↠悪、但能繋↠意、専精常能念仏、一切諸障自然消除、定得↢往生↡。何不↢思量↡、都無↢去心↡也。」

◎二門章 私釈

 わたくしにいはく、 ひそかにはかりみれば、 それ立教りっきょう多少たしょうしゅうしたがひてどうなり

私云。窃計、夫立教多少、随↠宗不同。

しばらくそうしゅう (*法相宗) のごときは、 三きょうてて〔釈尊しゃくそんの〕一だい聖教しょうぎょうはんず。 いはゆる*くうちゅうこれなり

有空中 有は 「ごんぎょう」、 空は 「般若はんにゃきょう」、 中は ¬ごんぎょう¼ ¬解深げじん密教みっきょう¼ の教説。

且如↢有相宗↡、立↢三時教↡而判↢一代聖教↡。所謂有・空・中是也。

そうしゅう (*三論宗) のごときは、 二ぞうきょうててもつて一だい聖教しょうぎょうはんず。 いはゆる*さつぞう*しょうもんぞうこれなり

如↢無相宗↡、立↢二蔵教↡以判↢一代聖教↡。所謂菩薩蔵・声聞蔵是也。

*ごんしゅうのごときは、 五きょうてて一切いっさい仏教ぶっきょうせっす。 いはゆる*小乗教しょうじょうきょう*始教しきょう*終教じゅうきょう*頓教とんぎょう*円教えんぎょうこれなり

始教 大乗初門の教え。
終教 大乗終極の教え。
円教 完全円満な究極の教え。

如↢華厳宗↡、立↢五教↡而摂↢一切仏教↡。所謂小乗教・始教・終教・頓教・円教是也。

ほっしゅう (*天台宗) のごときは、 四きょうててもつて一切いっさい仏教ぶっきょうせっす。 「四きょう」 といふは、 いはゆる*ぞうつうべつえんこれなり。 「五」 といふは、 いはゆる*にゅうらくしょうじゅくだいこれなり

蔵通別円 天台てんだい宗の教判にいうほうの四教。 蔵は三蔵教 (小乗の教え)、 通は通教 (しょうもん縁覚えんがく・菩薩に通ずる大乗初門の教え)、 別は別教 (菩薩だけに説かれた教え。 くうちゅうの三諦が各別であるような法門)、 円は円教 (完全円満な三諦さんたいえんにゅうの法門)。
乳酪生熟醍醐 →五味ごみ

如↢法華宗↡、立↢四教・五味↡以摂↢一切仏教↡。四教者、所謂蔵・通・別・円是也。五味者、所謂乳・酪・生・熟・醍醐是也。

*真言しんごんしゅうのごときは、 二きょうてて一切いっさいせっす。 いはゆる*顕教けんぎょう*密教みっきょうこれなり

如↢真言宗↡、立↢二教↡而摂↢一切↡。所謂顕教・密教是也。

いまこの*じょうしゅうは、 もし道綽どうしゃくぜんこころによらば、 二もんてて一切いっさいせっす。 いはゆる*しょうどうもん*じょうもんこれなり

今此浄土宗者、若依↢道綽禅師意↡、立↢二門↡而摂↢一切↡。所謂聖道門・浄土門是也。

宗名

 ひていはく、 それしゅうつることは、 もとごん天台てんだいとう*しゅう・九しゅうにあり。 いまだじょういえにおいてそのしゅうつることをかず。 しかるをいまじょうしゅうごうする、 なんの証拠しょうこかあるや

八宗九宗 三論さんろん成実じょうじつほっそうしゃごんりつの南都六宗に、 天台てんだい真言しんごんの平安二宗を加えて八宗といい、 さらに禅宗ぜんしゅうを加えて九宗とする。

問曰。夫立↢宗名↡、本在↢華厳・天台等八宗・九宗↡。未↠聞↧於↢浄土之家↡立↦其宗名↥。然今号↢浄土宗↡、有↢何証拠↡也。

こたへていはく、 じょうしゅう、 そのしょう一にあらず。 *元暁がんぎょうの ¬*遊心ゆうしん安楽あんらくどう¼ にいはく、 「じょうしゅうこころもとぼんのためなり、 ねてはしょうにんのためなり」 と。 また*おん (窺基) の ¬*西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「この一しゅうによる」 と。 また*ざいの ¬*じょうろん¼ にいはく、 「この一しゅうひそかにようたり」 と。 そのしょうかくのごとし。 *たんらず

疑端に足らず 疑う余地がない。

答曰。浄土宗名、其証非↠一。元暁¬遊心安楽道¼云。「浄土宗意、本為↢凡夫↡、兼為↢聖人↡。」又慈恩¬西方要決¼云。「依↢此一宗↡。¼又迦才¬浄土論¼云。「此之一宗、窃為↢要路↡。」其証如↠此。不↠足↢疑端↡。

判教

 ただし諸宗しょしゅう立教りっきょうは、 まさしくいまのこころにあらず。 しばらく浄土宗じょうどしゅうにつきてりゃくして二もんかさば、 一にはしょうどうもん、 二にはじょうもんなり

但諸宗立教、正非↢今意↡。且就↢浄土宗↡、略明↢二門↡者、一者聖道門、二者浄土門。

・ 判教 聖道門

はじめのしょうどうもんとは、 これにつきて二あり。 一は大乗だいじょう、 二は小乗しょうじょうなり

且就↢浄土宗↡、略明↢二門↡者、一者聖道門、二者浄土門。 初聖道門者、就↠之有↠二。一者大乗、二者小乗。

大乗だいじょうのなかにつきて*顕密けんみつ*権実ごんじつとうどうありといへども、 いまこの ¬しゅう¼ (*安楽集)こころ、 ただ*顕大けんだいおよび*権大ごんだいぞんず。 ゆゑに*歴劫りゃくこう迂回うえぎょうあたれり。 これにじゅんじてこれをおもふに、 *密大みつだいおよび*実大じつだいぞんずべし。 しかればすなはち、 いま*真言しんごん*仏心ぶっしん (禅宗)*天台てんだい*ごん*三論さんろん*法相ほっそう*ろん*摂論しょうろん、 これら八こころまさしくこれにあり、 るべし

権実 権大乗 (一時的に方便として仮に説かれた大乗教) と実大乗 (仏意にかなった真実の大乗教)。
顕大 大乗の中の顕教。
権大 大乗の中の権教。
歴劫迂回の行 ながい間かかって回り道をして、 さとりをひらく行法。
密大 大乗の中の密教。
実大 大乗の中の実教。

就↢大乗中↡、雖↠有↢顕密・権実等不同↡、今此集意、唯存↢顕大及以権大↡。故当↢歴劫迂迴之行↡。准↠之思↠之、応↠存↢密大及以実大↡。然則今真言・仏心・天台・華厳・三論・法相・地論・摂論、此等八家之意、正在↠此也。応↠知。

つぎ小乗しょうじょうとは、 すべてこれ小乗しょうじょう*きょう*りつ*ろんのなかにかすところの*しょうもん*縁覚えんがく*断惑だんわく証理しょうり*入聖にっしょうとくどうなり。 かみじゅんじてこれをおもへば、 また*しゃ*成実じょうじつしょ*律宗りっしゅうせっすべきのみ

断惑証理 煩悩ぼんのうを断ち切ってさとりを開くこと。
入聖得果 聖者の位に入って、 証果を得ること。

次小乗者、総是小乗経律論之中所↠明声聞・縁覚断惑証理、入聖得果之道也。准↠上思↠之、亦可↠摂↢倶舎・成実、諸部律宗↡而已。

おほよそこのしょうどうもんたいは、 大乗だいじょうおよび小乗しょうじょうろんぜず。 この*しゃかいのなかにおいて、 *じょうどうしゅし四じょう。 四じょうとは三じょうのほかに仏乗ぶつじょうくわ

凡此聖道門大意者、不↠論↢大乗及以小乗↡。於↢此娑婆世界之中↡、修↢四乗道↡、得↢四乗果↡。四乗者、三乗之外加↢仏乗↡。

◇ 他本には 「也」 の字あり。

・ 判教 浄土門

つぎおうじょうじょうもんとは、 これにつきて二あり。 一には*まさしくおうじょうじょうかすきょう、 二には*かたわらにおうじょうじょうかすきょうなり

正しく往生… 聖道門しょうどうもんを捨てて、 ただ往生浄土の法門のみをまさしく説く教。
傍らに往生… 聖道門を説く中に、 その方便法として、 かたわらに往生の行法が説かれている教。

次往生浄土門者、就↠此有↠二。一者正明↢往生浄土↡之教、二者傍明↢往生浄土↡之教。

・ 判教 ・ 浄土門 正明往生浄土 (所依経論)

はじめにまさしくおうじょうじょうかすきょうといふは、 いはく三ぎょうろんこれなり。 「三ぎょう」 とは、 一には ¬*無量寿むりょうじゅきょう¼ 、 二には ¬*かん無量寿むりょうじゅきょう¼ 、 三には ¬*阿弥陀あみだきょう¼ なり。 「一ろん」 とは、 *天親てんじんの ¬*おうじょうろん¼ (浄土論) これなり。 あるいはこの三ぎょうして*じょうの三きょうごう

浄土の三部経 浄土三部経の呼称は法然ほうねん上人に始まる。

初正明↢往生浄土↡之教者、三経一論是也。三経者、一¬無量寿経¼二¬観無量寿経¼三¬阿弥陀経¼也。一論者、天親¬往生論¼是也。或指↢此三経↡、号↢浄土三部経↡也。

◇ 他本には 「謂」 の字あり。

 ひていはく、 三きょうまたそのれいありや

問曰。三部経名、亦有↢其例↡乎。

こたへていはく、 三きょうそのれい一にあらず。 一には*ほっの三、 いはく ¬*りょうきょう¼・¬*法華ほけきょう¼・¬*賢観げんかんきょう¼ これなり。 二には*大日だいにちの三、 いはく ¬*大日だいにちきょう¼・¬*金剛こんごう頂経ちょうきょう¼・¬*しつきょう¼ これなり。 三には*ちんこっの三、 いはく ¬法華ほけきょう¼・¬*仁王にんのうきょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼ これなり。 四には*ろくの三、 いはく ¬*上生じょうしょうきょう¼・¬*しょうきょう¼・¬*成仏じょうぶつきょう¼ これなり

法華の三部 ¬りょうきょう¼ を ¬法華ほけきょう¼ の開経とし、 ¬げん観経かんぎょう¼ (¬観普賢経¼) を結経とする。
大日の三部 密教でよりどころとする三部の経典。
鎮護国家の三部 当時、 国家安泰を祈るための経典として、 この三部が採用されていた。

答曰。三部経名、其例非↠一。一者法華三部、謂¬無量義経¼・¬法華経¼・¬暜賢観経¼是也。二者大日三部、謂¬大日経¼・¬金剛頂経¼・¬蘇悉地経¼是也。三者鎮護国家三部、謂¬法華経¼・¬仁王経¼・¬金光明経¼是也。四者弥勒三部、謂¬上生経¼・¬下生経¼・¬成仏経¼是也。

いまはただこれ弥陀みだの三なり。 ゆゑにじょうの三きょうづく。 弥陀みだの三はこれじょう正依しょうえきょうなり

今者唯是弥陀三部。故名↢浄土三部経↡也。弥陀三部者、是浄土正依経也。

・ 判教 ・ 浄土門 傍明往生浄土

 つぎかたわらにおうじょうじょうかすきょうといふは、 ¬ごん¼・¬ほっ¼・¬*ずい¼・¬*尊勝そんしょう¼ とうのもろもろのおうじょうじょうかす諸経しょきょうこれなり。 また ¬*信論しんろん¼・¬*宝性論ほうしょうろん¼・¬*じゅう毘婆びば沙論しゃろん¼・¬*摂大乗しょうだいじょうろん¼ とうのもろもろのおうじょうじょうかす諸論しょろんこれなり

次傍明↢往生浄土↡之教者、¬華厳¼・¬法華¼・¬随求¼・¬尊勝¼等、明↢諸往生浄土↡之諸経是也。又¬起信論¼・¬宝性論¼・¬十住婆沙論¼・¬摂大乗論¼等、明↢諸往生浄土↡之諸論是也。

・ 判教 立二門意

 おほよそこの ¬しゅう¼ (*安楽集) のなかにしょうどうじょうの二もんつるこころは、 しょうどうててじょうもんらしめんがためなり。 これにつきて二のゆえあり。 一には大聖だいしょう (釈尊)れること遙遠ようおんなるにる。 二にはふかさとりなるに

凡此¬集¼中、立↢聖道・浄土二門↡意者、為↠令↧捨↢聖道↡入↦浄土門↥也。就↠此有↢二由↡。一由↧去↢大聖↡遥遠↥、二由↢理解微↡。

このしゅうのなかに二もんつることは、 ひと*道綽どうしゃくのみにあらず。 *曇鸞どんらん*天台てんだい (智顗)*ざい*おん (窺基) とうしょみなこのこころあり

此宗之中立↢二門↡者、独非↢道綽↡、曇鸞・天台・迦才・慈恩等諸師、皆有↢此意↡。

・ 判教 ・ 立二門意 論註

しばらく曇鸞どんらんほっの ¬*往生論おうじょうろんちゅう¼ (上) にいはく、 「つつしみて龍樹りゅうじゅさつの ¬十じゅう毘婆びばしゃ¼ (*易行品)あんずるにいはく、 ªさつ*阿毘あびばっを求むるに、 二しゅどうあり。 一には難行なんぎょうどう、 二にはぎょうどうなりº と。 ª難行なんぎょうどうº とは、 いはく*じょく*ぶつときにおいて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはちおおくのみちあり。 ほぼ*五三をいひてもつて義意ぎいしめさん。 一には*どう*相善しょうぜん*さつほうみだる。 二には*しょうもん自利じりだい慈悲じひふ。 三には無顧むこ悪人あくにん勝徳しょうとくす。 四には*顛倒てんどうぜん、 よく*梵行ぼんぎょうやぶる。 五にはただこれりきのみにしてりきたもつなし。 かくのごときるるにみなこれなり。 たとへばろくより歩行ぶぎょうするはすなはちくるしきがごとし。 ªぎょうどうº とは、 いはくただぶつしんずる因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんずれば、 ぶつ願力がんりきりてすなはちかの清浄しょうじょうおうじょうすることを*仏力ぶつりき住持じゅうじして、 すなはち大乗だいじょう*正定しょうじょうじゅに入る。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすいよりふねりてすなはちらくなるがごとし」 と

無仏の時 すでに釈尊がにゅうめつされて仏がおられない時代。
五三 少々。 若干。
菩薩の法 自利利他の行。
顛倒の善の果 六道のうちの人天に生れる善い果報。 善果であっても迷いの境界であるので顛倒の語を付す。
仏力住持して 仏の本願力が支えたもってという意。
正定の聚 →正定聚しょうじょうじゅ

且曇鸞法師¬往生論註¼云。「謹案↢龍樹菩薩十住婆沙↡云、菩薩求↢阿跋致↡、有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道。難行道者、謂於↢五濁之世、於無仏時↡、求↢阿跋致↡為↠難。此難乃有↢多途↡。粗言↢五三↡以示↢義意↡。一者外道相善乱↢菩薩法↡、二者声聞自利障↢大慈悲↡、三者無顧悪人破↢他勝徳↡、四者顛倒善果能壊↢梵行↡、五者唯是自力無↢他力持↡。如↢斯等↡事触↠目皆是。譬如↢陸路歩行則苦↡。易行道者、謂但以↢信仏因縁↡願↠生↢浄土↡。乗↢仏願力↡便得↣往↢生彼清浄土↡。仏力住持即入↢大乗正定之聚↡。正定即是阿毘跋致。譬如↢水路乗↠船則楽↡。」已上

このなかの難行なんぎょうどうは、 すなはちこれしょうどうもんなり。 ぎょうどうは、 すなはちこれじょうもんなり。 難行なんぎょうぎょうしょうどうじょう、 そのことばことなりといへども、 そのこころこれおなじ。 天台てんだい (智顗)ざいこれにおなじ、 るべし

此中難行道者、即是聖道門也。易行道者、即是浄土門也。難行・易行、聖道・浄土、其言雖↠異其意是同。天台・迦才同↠之。応↠知。

・ 判教 ・ 立二門意 西方要決

また ¬*西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「あおぎておもんみれば、 しゃ*うんひらけてひろえんやくす。 きょう*随方ずいほうひらけて*ならびに*法潤ほうにんうるおふ。 したしく*聖化しょうけひて、 どう、 三じょうさとりき。 ふくうすく、 いんおろそかなるものをすすめてじょうせしめたまふ。 このごうをなすものはもつぱら弥陀みだねんじ、 一切いっさい善根ぜんごんめぐらしてかのくにしょうず。 弥陀みだ本願ほんがんちかひてしゃしたまふ。 かみ現生げんしょう*ぎょうつくし、 しも臨終りんじゅうの十ねんいたるまで、 ともによくけつじょうしてみなおうじょう」 と

運を啓けて 運は好機が至ること。 機縁が熟して釈尊が世に出られたことを示す。
随方に闡けて あらゆるところに広まって。
法潤に霑ふ 法のめぐみをほどこす。
聖化 釈尊の教化。

又¬西方要決¼云。「仰惟、釈迦啓↠運弘益↢有縁↡、教闡↢随方↡並霑↢法潤↡。親逢↢聖化↡、道悟↢三乗↡。福薄因疎、勧帰↢浄土↡。作↢此業↡者、専念↢弥陀↡、一切善根、廻生↢彼国↡。弥陀本願、誓度↢娑婆↡。上尽↢現生一形↡、下至↢臨終十念↡、倶能決定皆得↢往生↡。」已上

またおなじきじょにいはく、 「それおもんみれば、 うまれて*ぞうして、 しょう (釈尊)ることこれはるかに、 どう、 三じょうあずかりて*かいするにほうなし。 人天にんでん両位りょうい躁動そうどうしてやすからず。 ひろこころひろきものは、 よくひさしくしょするにへたり。 もししきおろかにぎょうあさきものは、 おそらくは*ゆうおぼれん。 かならずすべからくあとしゃとおくしてしん*浄域じょういきましむべし」 と

像季 像法の末。 →像法ぞうぼう
契悟するに方なし さとりに至る方法がない。
幽途 暗く蒙昧な地獄・畜生ちくしょうの三途。 →さん
浄域 浄土。

又同後序云。「夫以、生居↢像季↡、去↠聖斯遥。道預↢三乗↡、無↠方↢契悟↡。人天両位、躁動不↠安。智博情弘、能堪↢久処↡也。若識痴行浅、恐溺↢幽途↡必。須↧遠↢跡娑婆↡、栖↦心浄域↥。已上

このなかの三じょうはすなはちこれしょうどうもんこころなり。 じょうはすなはちこれじょうもんこころなり。 三じょうじょうしょうどうじょう、 そのことなりといへども、 そのこころまたおなじ。 浄土宗じょうどしゅう学者がくしゃづすべからくこのむねるべし

此中三乗者、即是聖道門意也。浄土者、即是浄土門意也。三乗・浄土、聖道・浄土、其名雖↠異、其意亦同。浄土宗学者、先須↠知↢此旨↡。

たとひさきよりしょうどうもんがくするひとといへども、 もしじょうもんにそのこころざしあらば、 すべからくしょうどうててじょうすべし。 れいするに、 かの曇鸞どんらんほっ*ろん講説こうせつてて*一向いっこうじょうし、 道綽どうしゃくぜん*はん広業こうごうさしおきてひとへに西方さいほうぎょうひろめしがごとし。 上古じょうこ賢哲けんてつなほもつてかくのごとし。 末代まつだい愚魯ぐろむしろこれにしたがはざらんや

涅槃の広業 ¬涅槃経¼ を講ずるという広大な事業。

設雖↧先学↢聖道門↡人↥、若於↢浄土門↡有↢其志↡者、須↧弃↢聖道↡帰↦於浄土↥。例如↧彼曇鸞法師捨↢四論講説↡一向帰↢浄土↡、道綽禅師閣↢涅槃広業↡偏弘↦西方行↥。上古賢哲、猶以如↠此。末代愚魯、寧不↠遵↠之哉。

・ 判教 師資相承

 ひていはく、 しょうどう諸宗しょしゅうおのおの*師資しし相承そうじょうあり。 いはく天台てんだいしゅうのごときは、 *もん*南岳なんがく (慧思)*天台てんだい (智顗)*章安しょうあん*智威ちい*慧威えい*玄朗げんろう*湛然たんねんだい相承そうじょうせり。 真言しんごんしゅうのごときは、 *大日だいにち如来にょらい*金剛こんごうさっ*龍樹りゅうじゅ*龍智りゅうち*こん*くうだい相承そうじょうせり。 自余じよ諸宗しょしゅうまたおのおの相承そうじょう*血脈けつみゃくあり。 しかるにいまいふところの浄土宗じょうどしゅう師資しし相承そうじょう血脈けつみゃくありや

師資相承 師から弟子へと法脈が伝えられていくこと。
血脈 法脈が正しく継承されることを、 親の血が子に伝わることに喩えていう。

問曰。聖道家諸宗、各有↢師資相承↡。謂如↢天台宗↡者、慧文・南岳・天台・章安・智威・慧威・玄朗・湛然、次第相承。如↢真言宗↡者、大日如来・金剛薩埵・龍樹・龍智・金智・不空、次第相承。自余諸宗、又各有↢相承血脈↡。而今所↠言浄土宗、有↢師資相承血脈譜↡乎。

こたへていはく、 しょうどう血脈けつみゃくのごとく浄土宗じょうどしゅうにまた血脈けつみゃくあり。 ただしじょうしゅうにおいて*しょまたどうなり。 いはゆるざん*おんほっ*みん三蔵さんぞう*道綽どうしゃく*善導ぜんどうとうこれなり。 いましばらく道綽どうしゃく善導ぜんどうの一によりて、 師資しし相承そうじょう血脈けつみゃくろんぜば、 これにまた*両説りょうせつあり。 一には*だい流支るし三蔵さんぞう*慧寵えちょうほっ*道場どうじょうほっ*曇鸞どんらんほっ*大海だいかいぜん*法上ほうじょうほっ以上いじょう、 ¬*安楽あんらくしゅう¼ にでたり。 二にはだい流支るし三蔵さんぞう曇鸞どんらんほっ道綽どうしゃくぜん善導ぜんどうぜん*かんほっ*小康しょうこうほっ 以上いじょう*とうそう両伝りょうでんでたり。

諸家また不同なり… 中国浄土教をざん流、 みん流、 道綽どうしゃく善導ぜんどう流の三流に分けたもの。 法然ほうねん上人独自の見解である。
両説 法然上人が用いられたのは後者である。
唐宋両伝 道宣どうせん撰の ¬続高僧伝¼ と賛寧さんねい撰の ¬宋高僧伝¼ のこと。 両伝によって六師をあげたのは、 法然聖人の選択によるものである。 浄土宗の相承をいう場合は、 この六師からだいを除いて五祖とすることが多い。

答曰。如↢聖道家血脈↡、浄土宗亦有↢血脈↡。但於↢浄土一宗↡、諸家亦不同。所謂廬山慧遠法師・慈愍三蔵・道綽・善導等是也。今且依↢道綽・善導之一家↡、論↢師資相承血脈↡者。此亦有↢両説↡、一者菩提流支三蔵・慧寵法師・道場法師・曇鸞法師・大海禅師・法上法師。已上出↢¬安楽集¼↡ 二者菩提流支三蔵・曇鸞法師・道綽禅師・善導禅師・懐感法師・小康法師。已上出↢¬唐¼¬宋¼両伝↡

二行章

【2】 善導ぜんどう和尚かしょう正雑しょうぞうぎょうてて、 雑行ぞうぎょうてて正行しょうぎょうするもん

 善導和尚、立↢正雑二行↡、捨↢雑行↡帰↢正行↡之文

◎二行章 引文

1.観経疏

 ¬*観経疏かんぎょうしょ¼ のだい(*散善義) にいはく

¬観経疏¼第四云。

ぎょうにつきてしんつといふは、 しかもぎょうに二しゅあり。 一には*正行しょうぎょう、 二には*雑行ぞうぎょうなり

「就↠行立↠信者、然行有↢二種↡。一者正行、二者雑行。

正行しょうぎょうといふは、 もつぱら*おうじょうきょうによりてぎょうぎょうずるもの、 これを正行しょうぎょうづく。 いづれのものかこれや。 一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬無量寿むりょうじゅきょう¼ とう*読誦どくじゅし、 一心いっしんにもつぱらそうとどめてかのくに*ほう荘厳しょうごん*観察かんざつ憶念おくねんし、 もしらいせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつ*らいし、 もし口称くしょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつ*しょうし、 もし讃歎さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら*讃歎さんだんようす。 これをづけてしょうとなす

往生の経…行ずる 「往生の経」 は浄土三部経を指す。 「往生経の行によりて行ずる」 と読む異本もある。
二報荘厳 依正二報の荘厳相。 →しょう二報にほう

言↢正行↡者、専依↢往生経行↡行者、是名↢正行↡。何者是也。一心専読↢誦此観経・弥陀経・無量寿経等↡、一心専↢注思↣想観↤察憶↯念彼国二報荘厳↡、若礼即一心専礼↢彼仏↡、若口称即一心専称↢彼仏↡、若讃歎供養即一心専讃歎供養、是名為↠正。

またこのしょうのなかにつきて、 また二しゅあり

又就↢此正中↡、復有↢二種↡。

一には一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざが*せつごんはず念々ねんねんてざるもの、 これを*正定しょうじょうごうづく。 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに

時節の久近 時間の長短。

一者一心専↢念弥陀名号↡、行住坐臥、不↠問↢時節久近↡、念念不↠捨者、是名↢正定之業↡、順↢彼仏願↡故。

もし*礼誦らいじゅとうによるをすなはちづけて*助業じょごうとなす

礼誦等 正行しょうぎょうのうちの称名以外の行業ぎょうごう読誦どくじゅ観察かんざつ礼拝らいはい讃嘆さんだんようの助業をいう。 →助業じょごう

若依↢礼誦等↡、即名為↢助業↡。

この正助しょうじょぎょうのぞきてのほかの自余じよ諸善しょぜんをことごとく*雑行ぞうぎょうづく。 もしさき正助しょうじょぎょうしゅすれば、 しんつねに〔弥陀みだぶつに〕親近しんごんして憶念おくねんえず、 づけてけんとなす。 もしのち雑行ぞうぎょうぎょうずれば、 すなはちしんつねに*間断けんだんす。 *こうしてしょうずることをべしといへども、 おおざつぎょうづく」 と

間断 とだえること。

除↢此正助二行↡已外自余諸善悉名↢雑行↡。若修↢前正助二行↡、心常親近憶念不↠断、名為↢無間↡也。若行↢後雑行↡即心常間断、雖↠可↢迴向得↟生、衆名↢疎雑之行↡也。」

◎二行章 私釈

 わたくしにいはく、 このもんにつきて二のこころあり。 一にはおうじょう行相ぎょうそうかす。 二には二ぎょう*得失とくしつはん

得失 すぐれた点と劣った点。

私云。就↢此文↡有↢二意↡。一明↢往生行相↡、二判↢二行得失↡。

往生行相

はじめにおうじょう行相ぎょうそうかすといふは、 善導ぜんどう和尚かしょうこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもおおきにわかちて二となす。 一には正行しょうぎょう、 二には雑行ぞうぎょうなり

初明↢往生行相↡者、依↢善導和尚意↡、往生行雖↠多、大分為↠二。一正行、二雑行。

・ 往生行相 正行

はじめの正行しょうぎょうとは、 これにつきて開合かいごうの二のあり。 はじめのかいを五しゅとなし、 のちごうを二しゅとなす

初正行者、付↠之有↢開合二義↡。初開為↢五種↡、後合為↢二種↡。

・ 往生行相 ・ 正行 開 (五種正行)

はじめのかいを五しゅとなすといふは、 一には読誦どくじゅ正行しょうぎょう、 二には観察かんざつ正行しょうぎょう、 三には礼拝らいはい正行しょうぎょう、 四には称名しょうみょう正行しょうぎょう、 五には讃歎さんだんよう正行しょうぎょうなり

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 開 1.読誦正行

だい一の読誦どくじゅ正行しょうぎょうは、 もつぱら ¬かんぎょう¼ とう読誦どくじゅするなり。 すなはちもん (散善義) に、 「一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬無量寿むりょうじゅきょう¼ とう読誦どくじゅす」 といふこれなり

第一読誦正行者、専読↢誦¬観経¼等↡也。即文云↣「一心専読↢誦此観経・弥陀経・無量寿経等↡」是也。

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 開 2.観察正行

だい二に観察かんざつ正行しょうぎょうは、 もつぱらかのくにしょうほう観察かんざつするなり。 すなはちもん (同) に、 「一心いっしんにもつぱらそうとどめてかのくに*ほう荘厳しょうごん観察かんざつ憶念おくねんす」 といふこれなり

二報荘厳 依正二報の荘厳。 →しょう二報にほう

第二観察正行者、専観↢察彼国依正二報↡也。即文云↰「一心専↢注思↣想観↤察憶↯念彼国二報荘厳↡」是也。

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 開 3.礼拝正行

だい三に礼拝らいはい正行しょうぎょうは、 もつぱら弥陀みだらいするなり。 すなはちもん (同) に、 「もしらいせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつらいす」 といふこれなり

第三礼拝正行者、専礼↢弥陀↡也。即文云↣「若礼即一心専礼↢彼仏↡¼是也。

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 開 4.称名正行

だい四に称名しょうみょう正行しょうぎょうは、 もつぱら弥陀みだみょうごうしょうするなり。 すなはちもん (同) に、 「もし口称くしょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうす」 といふこれなり

第四称名正行者、専称↢弥陀名号↡也。即文云↣「若口称即一心専称↢彼仏↡」是也。

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 開 5.讃嘆供養正行

だい五に讃歎さんだんよう正行しょうぎょうは、 もつぱら弥陀みだ讃歎さんだんようするなり。 すなはちもん (同) に、 「もし讃歎さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだんようす、 これをづけてしょうとなす」 といふこれなり。 もし讃歎さんだんようとをかいして二となさば、 六しゅ正行しょうぎょうづくべし。 いまごうによるがゆゑに五しゅといふ

第五讃歎供養正行者、専讃↢歎供↣養弥陀↡也。即文云↢「若讃歎供養、即一心専讃歎供養、是名為↟正」是也。若開↣讃歎与↢供養↡、而為↠二者、可↠名↢六種正行↡也。今依↢合義↡故云↢五種↡。

・ 往生行相 ・ 正行 

つぎごうを二しゅとなすといふは、 一には正業しょうごう、 二には助業じょごうなり

次合為↢二種↡者、一者正業、二者助業。

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 合 1.正業

はじめの正業しょうごうは、 かみの五しゅのなかのだい四の称名しょうみょうをもつて正定しょうじょうごうとなす。 すなはちもん (散善義) に、 「一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざが*せつごんはず念々ねんねんてざるもの、 これを正定しょうじょうごうづく。 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに」 といふこれなり

時節の久近 時間の長短。

初正業者、以↢上五種之中第四称名↡、為↢正定之業↡。即文云↧「一心専↢念弥陀名号↡、行住坐臥不↠問↢時節久近↡、念念不↠捨者、是名↢正定之業↡。順↢彼仏願↡故↥」是也。

・ 往生行相 ・ 正行 ・ 合 2.助業

つぎ助業じょごうは、 だい四の口称くしょうのぞきてのほかの読誦どくじゅとうの四しゅをもつてしかも助業じょごうとなす。 すなはちもん (同) に、 「もし礼誦らいじゅとうによるをすなはちづけて助業じょごうとなす」 といふこれなり

次助業者、除↢第四口称↡之外、以↢読誦等四種↡、而為↢助業↡。即文云↧「若依↢礼誦等↡、即名為↦助業↥」是也。

 ひていはく、 なんがゆゑぞ五しゅのなかにひと称名しょうみょう念仏ねんぶつをもつて正定しょうじょうごうとなすや

問曰。何故五種之中、独以↢称名念仏↡為↢正定業↡乎。

こたへていはく、 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに。 こころはいはく、 称名しょうみょう念仏ねんぶつはこれかのぶつ*本願ほんがんぎょうなり。 ゆゑにこれをしゅすれば、 かのぶつがんじょうじてかならずおうじょう。 そのぶつ本願ほんがん*しもいたりてるべし

本願の行 しゅじょう往生の正定業として、 本願に選び定められた行。 →正定しょうじょうごう
 次章の本願章を指す。

答曰。順↢彼仏願↡故。意云、称名念仏是彼仏本願行也。故修↠之者、乗↢彼仏願↡、必得↢往生↡也。其本願義、至↠下可↠知。

 往生院本では 「其仏」。

・ 往生行相 雑行

 つぎ雑行ぞうぎょうは、 すなはちもん (同) に、 「この正助しょうじょぎょうのぞきてのほかの自余じよ諸善しょぜんをことごとく雑行ぞうぎょうづく」 といふこれなり。 こころはいはく、 雑行ぞうぎょうりょうなり、 *つぶさにぶるにいとまあらず。 ただしばらく五しゅ正行しょうぎょう翻対ほんたいしてもつて五しゅ雑行ぞうぎょうかすべし。 一には読誦どくじゅ雑行ぞうぎょう、 二には観察かんざつ雑行ぞうぎょう、 三には礼拝らいはい雑行ぞうぎょう、 四には称名しょうみょう雑行ぞうぎょう、 五には讃歎さんだんよう雑行ぞうぎょうなり

つぶさに… くわしく述べることはできない。

次雑行者、即文云↧「除↢此正助二行↡已外、自余諸善、悉名↢雑行↥」是也。意云。雑行無量、不↠遑↢具述↡。但今且、翻↢対五種正行↡、以明↢五種雑行↡也。一読誦雑行、二観察雑行、三礼拝雑行、四称名雑行、五讃歎供養雑行也。

 往生院本では欠く。

・ 往生行相 ・ 雑行 1.読誦雑行

だい一に読誦どくじゅ雑行ぞうぎょうといふは、 かみの ¬かんぎょう¼ とう*おうじょうじょうきょうのぞきてのほかのだい小乗しょうじょう*顕密けんみつ諸経しょきょうにおいてじゅ読誦どくじゅするをことごとく読誦どくじゅ雑行ぞうぎょうづく

往生浄土の経 浄土三部経。

第一読誦雑行者、除↢上¬観経¼等往生浄土経↡已外、於↢大小乗顕密諸経↡、受持読誦、悉名↢読誦雑行↡。

・ 往生行相 ・ 雑行 2.観察雑行

だい二に観察かんざつ雑行ぞうぎょうといふは、 かみ極楽ごくらく*しょうのぞきてのほかの大小だいしょう顕密けんみつ*事理じり観行かんぎょうをみなことごとく観察かんざつ雑行ぞうぎょうづく

事理 事は具体的な差別の事相、 理は普遍的な平等の理性を指す。

第二観察雑行者、除↢上極楽依正↡已外、大小・顕密・事理観行、皆悉名↢観察雑行↡。

・ 往生行相 ・ 雑行 3.礼拝雑行

だい三に礼拝らいはい雑行ぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだ礼拝らいはいするをのぞきてのほかの一切いっさいしょぶつさつとうおよびもろもろの*てんとうにおいて礼拝らいはい*恭敬くぎょうするをことごとく礼拝らいはい雑行ぞうぎょうづく

世天 梵天・帝釈天などの天の神々のこと。 →梵天ぼんてん帝釈たいしゃく

第三礼拝雑行者、除↣上礼↢拝弥陀↡已外、於↢一切諸余仏・菩薩等、及諸世天等↡、礼拝恭敬、悉名↢礼拝雑行↡。

・ 往生行相 ・ 雑行 4.称名雑行

だい四に称名しょうみょう雑行ぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだみょうごうしょうするをのぞきてのほかの自余じよ一切いっさいぶつさつとうおよびもろもろのてんとうみょうごうしょうするをことごとく称名しょうみょう雑行ぞうぎょうづく

第四称名雑行者、除↣上称↢弥陀名号↡已外、称↢自余一切仏・菩薩等、及諸世天等名号↡、悉名↢称名雑行↡。

・ 往生行相 ・ 雑行 5.讃嘆供養雑行

だい五に讃歎さんだんよう雑行ぞうぎょうといふは、 かみ