1183◎▼*0783選せん択じゃく本願ほんがん念仏ねんぶつ集しゅう

一【標宗】

◎^▼南な無も无 阿あ弥陀みだ仏ぶつ ▲往おう生じょうの之 業ごうには----、 念仏ねんぶつを*先さき本 とな--す。

◎▼南1253無阿弥陀仏 往生之業ニハ 念仏ヲ為ス↠*先ト

二 正文
  ⅰ 教相章【二門章】
    Ⅰ 標章

【1】 ^▼道どう綽しゃく禅ぜん師じ、 聖しょう道どう・浄じょう土どの二に門もんを立たてて、 聖しょう道どうを▼捨すててまさしく浄じょう土どに帰きする文もん。

 ○▼道綽禅師立テテ↢聖道・浄土ノ二門ヲ↡而捨テテ↢聖道ヲ↡正シク帰スル↢浄土ニ↡之文

二 ⅰ Ⅱ 引文
      a 問

 ^謹しんで¬*安楽あんらく集しゅう¼ の上じょうを案ずるににいはく、

◇¬安楽集ノ¼上ニ云ク、

^「▲問とひていはく、 一切いっさい衆しゅ生じょうは--みな仏ぶっ性しょうあり。 遠劫おんごうよりこのかた多た仏ぶつに└値あひたて遇ふまつる┘べし。 なにによりてか、 いまに至いたるまでなほみづから生しょう死じに輪りん廻ねして火か宅たくを出いでざるや。

「◇▼問ヒテ曰ク、一切衆生ハ皆有リ↢仏性↡。遠劫ヨリ以来タ応シ↠値ヒタテマツル↢多仏ニ↡。何ニ因テカ、至ルマデ↠今ニ仍ナホ自ラ輪↢廻シテ生死ニ↡不ルヤ↠出デ↢火宅ヲ↡。

二 ⅰ Ⅱ b 答
        イ 標挙二門

^◆答こたへていはく、 大だい乗じょうの聖教しょうぎょうによらばるに 、 まことに二に種しゅの勝しょう法ぼうを得えて、もつて生しょう死じを排はらはざるによ るりて也。 ここをもつて火か宅たくを出いで ずざる也。 ◆何なに者もの--をか二につとなすする 。 一いちにはいはく聖しょう道どう、 二ににはいはく往おう生じょう浄じょう土どなり。

◇答ヘテ曰ク、▼依ラバ↢大乗ノ聖教ニ↡、良ニ由ル↠不ルニ↧得テ↢二種ノ勝法ヲ↡以テ排ハラハ↦生死ヲ↥。是ヲ以テ不ルナリ↠出デ↢火宅ヲ↡。何者ヲカ為ル↠二ト。一ニハ謂ク聖道、二ニハ謂ク往生浄土ナリ。

二 ⅰ Ⅱ b ロ 正示廃立
          (一)顕示興廃
            (Ⅰ)聖道廃退
              (ⅰ)直示

^◆それの 聖しょう道どうの一種いっしゅは、 今いまの時ときに証しょうしがたし。 ▽一いちには└ もはら ┘大だい聖しょう (*釈尊) を去され--ること遥遠ようおんなるによる。 ▽二にには--理りは--深ふかく解さとりは--微みなるによる。

◇其レ聖道ノ一種ハ今ノ時難シ↠証シ。一ニハ▼由ル↧去レルコト↢大聖ヲ↡遥遠ナルニ↥。二ニハ▼由ル↢理ハ深ク解サトリハ微ナルニ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)引証

^◆このゆゑに ¬*大だい集じゅうの月がつ1184蔵ぞう経きょう¼ に└のたい ま┘はく、 ªわが末法まっぽうの時ときのうち中  の億々おくおくの衆しゅ生じょう、 行ぎょうを起おこし道どうを修しゅせんに、 いまだ一人いちにんとして得うるものあらじº と。

◇是ノ故ニ▼¬大集月蔵経ニ¼云ク、▼我ガ*末法ノ時ノ中ノ億々ノ衆生、▼起シ↠行ヲ修セムニ↠道ヲ、▼未ダト↠有ラ↢一人トシテ得ル者↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)浄土興隆
              (ⅰ)直示

^◆当今とうこんは末法まっぽう、 これ五ご濁じょく悪あく世せなり。 ただ浄じょう土どの一門いちもんのみありて通つう入にゅうすべき路みちなり。

◇▼当今ハ*末法、*是五濁悪世ナリ。▼唯有リテ↢浄土ノ一門ノミ↡可キ↢通入ス↡路ナリ。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^◆このゆゑに ¬大だい経きょう¼ に└のたい ま┘はく、 ªもし衆しゅ生じょうありてたとひ0784一いっ生しょう悪あくを造つくれども└ らむに ┘、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみてむで 、 十じゅう念ねん相続そうぞくしてわが名みょう字じを称しょうせんに、 もし----生しょうぜ生まれ ずといはば、 正しょう覚がくを--取とらじº と。

◇是ノ故ニ▼¬大経ニ¼云ク、若シ有リテ↢衆生↡▼縦令 タトヒ ▼一生造レドモ↠悪ヲ、臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、十念相続シテ称セムニ↢我ガ名字ヲ↡、若シ不トイハバ↠生ゼ者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)重示機法応不
            (Ⅰ)総示

^◆また一切いっさい衆しゅ生じょうは--すべてみづから量はからず。

◇又復一切衆生ハ都テ不↢自ラ量ラ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)別示
              (ⅰ)聖道不堪
                (a)大乗

^◆もし大だい乗じょうによらば、 真如しんにょ実相じっそう・第一だいいち義ぎ空くう、 かつていまだ心しんをに 措おかず。

◇▼若シ拠ラバ↢大乗ニ↡、真如実相・第一義空曽テ未ダ↠*措オカ↠心ヲ。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)小乗

^◆もし小乗しょうじょうを論ろんぜば、 見諦けんたい修道しゅどうに修しゅ入にゅうし、 乃ない至し、 那な含ごん・羅ら漢かん、 五ご下げを断だんじ五ご上じょうを除のぞくこと、 道俗どうぞくを問とふことなく、 いまだその分ぶんにあらず。

◇▼若シ論ゼバ↢小乗ヲ↡、修↢入シ見諦修道ニ↡、乃至那含・羅漢、断ジ↢五下ヲ↡除クコト↢五上ヲ↡、无ク↠問フコト↢道俗ヲ↡、未ダ↠有ラ↢其ノ分↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)世善

^◆たとひ人天にんでんの果か報ほうあれども、 みな五ご戒かい・十じゅう善ぜんのためによくこの報ほうを招まねく。 しかるをも  持じ得とくすたもちう るものは--、 はなはだ希まれなり。

◇▼縦ヒ有レドモ↢人天ノ果報↡、皆為ニ↢五戒・十善ノ↡能ク招ク↢此1254ノ報ヲ↡。然ルヲ持得スル者ハ甚ダ希ナリ。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)機法相応

^◆もし起き悪あく造罪ぞうざいを論ろんぜば、 なんぞ暴あらき--風かぜ*駃とき--雨あめに異ことならん。 ここをもつて諸仏しょぶつの大だい慈じ悲 、 勧すすめて浄じょう土どに帰きせし└めたまむ  ふ┘。 たとひ一いち形ぎょう悪あくを造つくれども、 ただよく意こころを繋かけて専せん精しょうにつねによく念仏ねんぶつせすれば、 一切いっさいの諸しょ障しょう自じ然ねんに消しょう除じょして、 さだめて往おう生じょうすることを得う。

◇若シ論ゼバ↢起悪造罪ヲ↡、何ゾ異ナラム↢暴アラキ風駃トキ雨ニ↡。▼是ヲ以テ諸仏ノ大慈、勧メテ帰セシメタマフ↢浄土ニ↡。▼縦使 タトヒ 一形造レドモ↠悪ヲ、但能ク繋ケテ↠意ヲ専精ニ常ニ能ク念仏セバ、一切ノ諸障自然ニ消除シテ、定メテ得↢往生スルコトヲ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(Ⅲ)結勧

^◆なんぞ└思し量りょうせ└ 思ひ量ら ┘ずしてすべて去ゆく心しん 去るこゝろ なきや」 と--。

◇▼何ゾ不シテ↢思量セ↡都テ無キ↢去ク心↡也ト。」

二 ⅰ Ⅲ 私釈
      a 汎明判教
        イ 総標

 ^わたくしにいはく、 ひそかにはかり└ おもむ ┘みれば、 それ立りっ教きょうの多た少しょう、 宗しゅうに随したがひて1185不ふ同どうなり。

私ニ云ク、窃ニ計ハカリミレバ、夫レ▼立教ノ多少、随ヒテ↠宗ニ不同ナリ。

二 ⅰ Ⅲ a ロ 列他宗判
          (一)有相宗

^しばらく有う相そう宗しゅう (*法相宗) のごときは、 *三さん時じ教きょうを立たてて ˆ釈しゃく尊そんのˇ 一代いちだいの聖教しょうぎょうを判はんず。 いはゆる有う・空くう・中ちゅうこれなり。

▼且ク如キハ↢有相宗ノ↡、立テテ↢三時教ヲ↡而判ズ↢一代ノ聖教ヲ↡。所謂ル有空中是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (二)無相宗

^無む相そう宗しゅう (*三論宗) のごときは、 *二に蔵ぞう教きょうを立たててもつて------一代いちだいの--聖教しょうぎょうを判はんず。 いはゆる菩ぼ薩さつ蔵ぞう・声しょう聞もん蔵ぞうこれなり。

▼如キハ↢無相宗ノ↡、立テテ↢二蔵教ヲ↡以テ判ズ↢一代ノ聖教ヲ↡。所謂ル菩薩蔵・声聞蔵是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (三)華厳宗

^*華け厳ごん宗しゅうのごときは、 *五ご教きょうを立たてて一切いっさいの仏ぶっ教きょうを摂せっす。 いはゆる小乗しょうじょう教きょう・始し教きょう・終教じゅうきょう・頓教とんぎょう・円えん教ぎょうこれなり。

▼如キハ↢華厳宗ノ↡、立テテ↢五教ヲ↡而摂ス↢一切ノ仏教ヲ↡。所謂ル小乗教・始教・終教・頓教・円教是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (四)法華宗

^法ほっ華け宗しゅう (*天台宗) のごときは、 四し教きょう五味ごみを立たててもつて一切いっさいの仏ぶっ教きょうを摂せっす。 「*四し0785教きょう」 といふは、 いはゆる蔵ぞう・通つう・別べつ・円えんこれなり。 「*五味ごみ」 といふは、 いはゆる乳にゅう・酪らく・生しょう・熟じゅく・醍だい醐ごこれなり。

▼如キハ↢法華宗ノ↡、立テテ↢四教五味ヲ↡以テ摂ス↢一切仏教ヲ↡。四教トイフ者、所謂ル蔵・通・別・円是也。五味トイフ者、所謂ル乳・酪・生・熟・醍醐是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (五)真言宗

^*真言しんごん宗しゅうのごときは、 二に教きょうを立たてて一切いっさいを摂せっす。 いはゆる顕けん教ぎょう・密みっ教きょうこれなり。

▼如キハ↢真言宗ノ↡、立テテ↢二教ヲ↡而摂ス↢一切ヲ↡。所謂ル顕教・密教是也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ 挙本宗判
          (一)略明

^いまこの*浄じょう土ど宗しゅうは、 もし道どう綽しゃく禅ぜん師じの意こころによらば、 二に門もんを立たてて一切いっさいを摂せっす。 いはゆる聖しょう道どう門もん--・浄じょう土ど門もんこれなり。

▼今此ノ浄土宗者、若シ依ラバ↢道綽禅師ノ意ニ↡、立テテ↢二門ヲ↡而摂ス↢一切ヲ↡。所謂ル聖道門・浄土門是也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ (二)立宗名【宗名】
            (Ⅰ)問

 ^問とひふ ていはく、 それ宗しゅうの名なを立たつることは、 本もと、 華け厳ごん・天台てんだい等とうの*八はっ宗しゅう・九く宗しゅうにあり。 いまだきかず、浄じょう土どの--家いえにおいてその宗しゅうの名なを立たつることをは 聞きかず------。 しかるをに いま浄じょう土ど宗しゅうと号ごうする、 なん いづれ の証しょう拠こかあるや。

▼問ヒテ曰ク、夫レ立ツルコトハ↢宗ノ名ヲ↡、本在リ↢華厳・天臺等ノ八宗・九宗ニ↡。未ダ↠聞カ↧於テ↢浄土之家ニ↡立ツルコトヲ↦其ノ宗ノ名ヲ↥。然ルヲ今号スル↢浄土宗ト↡、有ル↢何ノ証拠カ↡也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)答

^答こたへていはく、 浄じょう土ど宗しゅうの名な、 その証しょう一ひとつにあらず。 *元がん暁ぎょうの ¬*遊心ゆうしん安楽あんらく道どう¼ にいはく、 「▼浄じょう土ど宗しゅうの意こころ、 本もと▼凡ぼん夫ぶのためなりにし 、 兼かねては聖しょう人にんのためなり」 と。 また*慈じ恩おん (基) の1186 ¬*西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「この一いっ宗しゅうによる」 と。 また*迦か才ざいの ¬*浄じょう土ど論ろん¼ にいはく、 「この一いっ宗しゅうひそかに要よう路ろたり」 と--。 その証しょうかくのごとし。 *疑ぎ端たんに足たらず。

答ヘテ曰ク、▼浄土宗ノ名、其ノ証非ズ↠一ニ。▼元暁ノ¬遊心安楽道ニ¼云ク、「浄土宗ノ意、本▼為ナリ↢凡夫ノ↡、兼ネテハ為ナリト↢聖人ノ↡。」又▼慈恩ノ¬西方要決ニ¼云ク、「依ルト↢此ノ一宗ニ↡。¼又▼迦才ノ¬浄1255土論ニ¼云ク、「此之一宗窃ニ為リト↢要路↡。」其ノ証如シ↠此クノ。不↠足ラ↢疑端ニ↡。

二 ⅰ Ⅲ b 正釈今意【判教】
        イ 総標二門

 ^ただし--諸しょ宗しゅうの立りっ教きょうは、 まさしくいまの意こころにあらず。 しばらく浄じょう土ど宗しゅうにつきて略りゃくして二に門もんを明あかさば、 一いちには↓聖しょう道どう門もん、 二にには↓浄じょう土ど門もんなり。

*但シ諸宗ノ立教ハ、正シク非ズ↢今ノ意ニ↡。且ク就キテ↢浄土宗ニ↡略シテ明サバ↢二門ヲ↡者、一ニ者聖道門、二ニ者浄土門ナリ。

二 ⅰ Ⅲ b ロ 別釈二門
          (一)聖道門
            (Ⅰ)標列

^初はじめのに ↑聖しょう道どう門もんと云は、 これにつきて二にあり。 一いちには↓大だい乗じょう、 二にには↓小乗しょうじょうなり----。

初ノ聖道門ト者、就キテ↠之ニ有リ↠二。一者大乗、二者小乗ナリ。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)釈
              (ⅰ)大乗

^↑大だい乗じょうのなかにつきて*顕密けんみつ・*権実ごんじつ等とうの不ふ同どうありといへども、 いまこの ¬集しゅう¼ (安楽集) の意こころ 、は ◗ただ*顕大けんだいおよび*権大ごんだいを存ぞんず。 かるがゆゑに▼*歴りゃく劫こう迂回うえの行ぎょうに当あたれり。 ▼これに准じゅんじ なぞらへ てこれを思おもふに、 *密大みつだいおよび*実大じつだいを存ぞんずべし。 しかればすなはち、 い0786ま*真言しんごん・*仏心ぶっしん (禅宗)・*天台てんだい・*華け厳ごん・*三論さんろん・*法相ほっそう・*地じ論ろん・*摂しょう論ろん、 これらの八はっ家けの意こころまさしくこれにあり、 知しるべし。

▼就キテ↢大乗ノ中ニ↡雖モ↠有リト↢顕密・権実等ノ不同↡、今此ノ¬集ノ¼意、唯存ズ↢顕大及以 オヨビ 権大ヲ↡。故ニ当レリ↢歴劫迂廻之行ニ↡。准ジテ↠之ニ思フニ↠之ヲ、応シ↠存ズ↢密大及以 オヨビ 実大ヲ↡。然レバ則チ今真言・仏心・天臺・華厳・三論・法相・地論・摂論、此等八家之意正シク在リ↠此ニ也、応シ↠知ル。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)小乗

^次つぎに↑小乗しょうじょうと云は、 すべてこれ小乗しょうじょうの--経きょう・律りつ・論ろんのなかに明あかすところの声しょう聞もん・縁覚えんがく、 *断だん惑わく悪 証しょう理り・*入にっ聖しょう得とく果かの道どうなり。 上かみ大 に准じゅんじ なぞらへ てこれ小  を思おもへば、 また*倶く舎しゃ・*成じょう実じつ・、 諸しょ部ぶの*律りっ宗しゅうを摂せっすべきし のみ----。

▼次ニ小乗ト者、総ジテ是小乗ノ経・律・論之中ニ所ノ↠明ス声聞・縁覚、断惑証理、入聖得果之道也。准ジテ↠上ニ思ヘバ↠之ヲ、亦可シ↠摂ス↢倶舎・成実、諸部ノ律宗ヲ↡而已。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅲ)大意

^おほよそこの聖しょう道どう門もんの大たい意いは、 大だい乗じょうおよび小乗しょうじょうを論ろんぜず。 この娑しゃ婆ば世せ界かいのなかにおいし  て、 四し乗じょうの道どうを修しゅして四し乗じょうの果かを得うる也。 四し乗じょうと云は三さん乗じょうのほかに仏ぶつ乗じょう1187を加くわふへたる也。

▼凡ソ此ノ聖道門ノ大意者、不↠論ゼ↢大乗及以 オヨビ 小乗ヲ↡、於テ↢此ノ娑婆世界之中ニ↡、修シ↢四乗ノ道ヲ↡得ル↢四乗ノ果ヲ↡*也。四乗ト者三乗之外ニ加フ↢仏*乗ヲ↡。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)浄土門
            (Ⅰ)標列

^次つぎに↑往おう生じょう浄じょう土ど門もんと云は、 これにつきて二にあり。 一いちには↓*正まさしく往おう生じょう浄じょう土どを明あかす教きょう也、 二にには↓*傍かたわらに往おう生じょう浄じょう土どを明あかす教きょうなり。

次ニ往生浄土門ト者、就キテ↠此ニ有リ↠二。一ニ者正シク明ス↢往生浄土ヲ↡之教、二ニ者傍ニ明ス↢往生浄土ヲ↡之教ナリ。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)釈
              (ⅰ)正依教【正明往生浄土 浄土三部経】
                (a)正列

^初はじめに↑正まさしく往おう生じょう浄じょう土どを明あかす教きょうといふは、 いはく三さん経ぎょう一論いちろんこれ----なり。 「三さん経ぎょう」 と云は、 一いちには ¬*無む量りょう寿じゅ経きょう¼、 二にには ¬*観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼、 三さんには ¬*阿あ弥陀みだ経きょう¼ なり。 「一論いちろん」 といふは、 *天親てんじんの ¬*往おう生じょう論ろん¼ (浄土論) これなり。 あるいはこの三さん経ぎょうを指さして*浄じょう土どの三さん部ぶ経きょうと号ごうする也。

初ニ正シク明ス↢往生浄土ヲ↡之教トイフ者、*謂ク三経一論是也。三経ト者、一ニハ¬無量寿経¼、二ニハ¬観無量寿経¼、三ニハ¬阿弥陀*経¼也。一論ト者、天親ノ¬往生論¼是也。或イハ指シテ↢此ノ三経ヲ↡号ス↢浄土ノ三部経ト↡也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)引例

 ^問とひていはく、 三さん部ぶ経きょうの名なまたその例れいありや。

問ヒテ曰ク、三部経ノ名亦有リ↢其ノ例↡乎1256。

^答こたへていはく、 三さん部ぶ経きょうの名なその例れい一いちにあらず。

答ヘテ曰ク、▼三部経ノ名其ノ例非ズ↠一ニ。

^一いちには*法ほっ華けの三さん部ぶと云は、 いはく------ ¬*無む量りょう義ぎ経きょう¼・¬*法華ほけ経きょう¼・¬*普ふ賢げん観かん--経きょう¼ これなり。

一ニ*者法華ノ三部、謂ク¬無量義経¼・¬法華経¼・¬普賢観経¼是也。

^二にには*大日だいにちの三さん部ぶ、 いはく ¬*大日だいにち経きょう¼・¬*金剛こんごう頂経ちょうきょう¼・¬*蘇そ悉しっ地じ経きょう¼ これなり。

二ニ者大日ノ三部、謂ク¬大日経¼・¬金剛頂経¼・¬蘇悉地経¼是也。

^三さんには*鎮ちん護ご国こっ家かの三さん部ぶといふは、 いはく------ ¬法華ほけ経きょう¼・¬*仁王にんのう経きょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼ これなり。

三ニ者鎮護国家ノ三部、謂ク¬法華経¼・¬仁王経¼・¬金光明経¼是也。

^四しには弥み勒ろくの三さん部ぶ、 いはく ¬*上生じょうしょう経きょう¼・¬*下げ生しょう経きょう¼・¬*成じょう仏ぶつ経きょう¼ こ0787れなり。

四ニ者弥勒ノ三部、謂ク¬上生経¼・¬下生経¼・¬成仏経¼是也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)結示

^いまはただこれ弥陀みだの三さん部ぶなり。 かるがゆゑに浄じょう土どの三さん部ぶ経きょうと名なづくる也。 まさに知るべし、弥陀みだの三さん部ぶ経と云はこれ浄じょう土どの正しょう依え経きょうなり。

今者唯是弥陀ノ三部ナリ。故ニ名クル↢浄土ノ三部経ト↡也。弥陀ノ三部*者是浄土ノ*正依経也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)傍依教【傍明往生浄土】

 ^次つぎに↑傍かたわらに往おう生じょう浄じょう土どを明あかす教きょうといふは、 ¬*華け厳ごん¼・¬法ほっ華け¼・¬*随ずい求ぐ¼・¬*尊そん勝しょう¼ 等とうのもろもろの往おう生じょう浄じょう土どを明あかす諸しょ経きょうこれなり。 また ¬*起き信論しんろん¼・¬*宝ほう1188性しょう論ろん¼・¬*十住じゅうじゅう毘婆びば沙論しゃろん¼・¬*摂しょう大だい乗じょう論ろん¼ 等とうのもろもろの往おう生じょう浄じょう土どを明あかす諸論しょろんこれなり。

次ニ傍ニ明ス↢往生浄土ヲ↡之教トイフ者、¬華厳¼・¬法華¼・¬随求¼・¬尊勝¼等ノ明ス↢諸ノ往生浄土ヲ↡之諸経是也。又¬起信論¼・¬宝性論¼・¬十住毘婆*娑論¼・¬摂大乗論¼等ノ明ス↢諸ノ往生浄土ヲ↡之諸論是也。

二 ⅰ Ⅲ b ハ 明廃立
          (一)正示集意

 ^おほよそこの ¬集しゅう¼ (安楽集) のなかに聖しょう道どう・浄じょう土どの二に門もんを立たつる意こころは、 聖しょう道どうを捨すてて浄じょう土ど門もんに入いらしめんがためなり。 これにつきて二にの由ゆえあり。 △一いちには大だい聖しょう (釈尊) を去され--ること遥遠ようおんなるに由よる。 △二にには理り深ふかく解さとり微みなるに由よる。

凡ソ此ノ¬集ノ¼中ニ立ツル↢聖道・浄土ノ二門ヲ↡意者、為↠令メムガ↧捨テテ↢聖道ヲ↡入ラ↦浄土門ニ↥也。就キテ↠此ニ有リ↢二ノ由ユヱ↡。一ニハ由ル↧去レルコト↢大聖ヲ↡遥遠ナルニ↥。二ニハ由ル↢理深ク解サトリ微ナルニ↡。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)挙例
            (Ⅰ)総挙

^この宗しゅうのなかに二に門もんを立たつることは、 独ひとり*道どう綽しゃくのみにあらず。 *曇鸞どんらん・天台てんだい (*智顗)・迦か才ざい・*慈じ恩おん (基) 等とうの諸しょ師しみなこの意こころあり。

▼此ノ宗之中ニ立ツルコト↢二門ヲ↡者、独リ非ズ↢道綽ノミニ↡。曇鸞・天臺・迦才・慈恩等ノ諸師皆有リ↢此ノ意↡。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)別挙
              (ⅰ)正挙鸞師
                (a)引文

^しばらく曇鸞どんらん法ほっ師しの ¬*往おう生じょう論ろんの註ちゅう¼ (上) にいはく、 「▲つつしみてんで 龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつの ¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ (易行品) を案あんずるにいはく、 ª菩ぼ薩さつ、 阿毘あび跋ばっ致ちを求もとむるに、 二に種しゅの道どうあり。 一いちには難なん行ぎょう道どう、 二にには易い行ぎょう道どうなりº と--。

*且ク▼曇鸞法師ノ¬往生論ノ*注ニ¼云ク、「謹ミテ案ズルニ↢龍樹菩薩ノ¬十住毘婆*娑ヲ¼↡云ク、菩薩求ムルニ↢阿毘跋致ヲ↡有リ↢二種ノ道↡。一ニ者難行道、二ニ者易行道ナリト。

^◆ª難なん行ぎょう道どうº と云は、 いはく五ご濁じょくの世よに、 無む仏ぶつの時ときにおいし  て阿毘あび跋ばっ致ちを求もとむるを難なんとな--す。 この難なんにすなはち└多おおくの多途 途みち┘あり。 ほぼ五ご三さんをいひふ てもつて義ぎの 意いこゝろを示しめさん。 一いちには外げ道どうの相しょう善ぜん、 菩ぼ薩さつの法ほうを乱みだる。 二にには声しょう聞もんの自利じり、 大だい慈悲じひを障さふ。 三さんには無顧むこの悪人あくにん、 他たの勝しょう徳とくを破はす。 四しには顛倒てんどうの善ぜんの--果か、 よく梵ぼん行ぎょうを壊やぶる。 五ごにはただこれ自じ力りきのみ----にして他た0788力りきのを 持たもま つなし。 かくのごとき等らの事じ、 目めに触ふるる1189にみなこれなり。 たとへば陸ろく路ろよりを  歩ぶ行ぎょうするはれば すなはち苦くるしきがごとし。

難行道ト者、▼*謂ク五濁之世ニ於テ↢無仏ノ時ニ↡、求ムルヲ↢阿毘跋致ヲ↡為ス↠難ト。此ノ難ニ乃チ有リ↢多クノ途↡。粗ボ言ヒテ↢五*三ヲ↡以テ示サム↢義意ヲ↡。▼一ニ者1257外道ノ相善乱ル↢菩薩ノ法ヲ↡。▼二ニ者声聞ノ自利障フ↢大慈悲ヲ↡。▼三ニ者无顧ノ悪人破ス↢他ノ勝徳ヲ↡。▼四ニ者顛倒ノ善果能ク壊ヤブル↢梵行ヲ↡。▼五ニ者唯シ是自力ノミニシテ无シ↢他力ノ持ツ↡。▼如キ↠斯クノ等ノ事、触ルルニ↠目ニ皆是ナリ。譬ヘバ如シ↢陸路ヨリ歩行スルハ則チ苦シキガ↡。

^◆ª易い行ぎょう道どうº と云は、 いはくただ仏ぶつを信しんずる因縁いんねんをもつて浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずれば----、。 仏ぶつの願力がんりきに乗のり乗じ てすなはちかの清浄しょうじょうの土どに往おう生じょうすることを得う。 仏力ぶつりき住じゅう持じして、 すなはち大だい乗じょう正定しょうじょうの聚じゅに入いる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あび跋ばっ致ちなり。 たとへば水すい路ろよりに  船ふねに乗のり乗じ てすなはち楽らくなる└ 楽しき ┘がごとし」 と--。 以上

易行道ト者、謂ク但以テ↢信ズル↠仏ヲ因縁ヲ↡願ズレバ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、乗リテ↢仏ノ願力ニ↡便チ得↣往↢生スルコトヲ彼ノ清浄ノ土ニ↡。仏力住持シテ即チ入ル↢大乗正定之聚ニ↡。正定ハ即チ是阿毘跋致ナリ。譬ヘバ如シト↢水路ヨリ乗リテ↠船ニ則チ楽ナルガ↡。」已上

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)会義

^このなかの----------▼難なん行ぎょう道どうは、 -----------すなはちこれ------------聖しょう道どう門もんなり。 易い行ぎょう道どうと云は、 すなはちこれ浄じょう土ど門もんなり。 難なん行ぎょう・易い行ぎょう、 聖しょう道どう・浄じょう土ど、 その言ことば異ことなりといへども、 その意こころこれ同おなじ。

此ノ中ノ難行道者即チ是聖道門也。易行道者即チ是浄土門也。難行・易行、聖道・浄土、其ノ言雖モ↠異ナリト、其ノ意是同ジ。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)列同二師

^天台てんだい (智顗)・迦か才ざいこれに同おなじ、 知しるべし。

▼天臺・迦才同ジ↠之ニ、応シ↠知ル。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)兼挙慈恩
                (a)引文

^また ¬西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「仰あおぎてひで おもんみれば、 釈しゃ迦か、 *運うんを--啓ひらけて弘ひろく----有う縁えんをひろく益やくす。 教きょう、 *随方ずいほうに闡ひらけて*ならびに*法潤ほうにんに霑うるおふ。 親したしく*聖しょう化けに逢あひてふものは、 道どう、 を ↓三さん乗じょうをに 悟さとりき。 福ふく薄うすく、 因いん疎おろそかなるものを勧すすめて浄じょう土どに帰きせし└めたまむ  ふ<┘。 この業ごうをなすものは、もつぱら弥陀みだを念ねんじ、 一切いっさいの善根ぜんごんを回めぐらしてかの国くにに生しょうず。 弥陀みだの本願ほんがん誓ちかひて娑しゃ婆ばを度どしたまふ。 上かみ現げん生しょう在 の*一いち形ぎょうを尽つくし、 下しも臨りん終じゅうの十じゅう念ねんに至いたるまで、 ともによく決けつ定じょうしてみな往おう生じょうすることを得う」 と--。 以上

又¬西方要決ニ¼云ク、「仰ギテ惟レバ、▼釈迦啓ヒラケテ↠運ヲ弘ク益ス↢有縁ヲ↡。▼教闡ヒラキテ↢随方ニ↡並ニ霑ウルフ↢法潤ニ↡。▼親シク逢ヒテ↢聖化ニ↡、道悟リキ↢三乗ヲ↡。▼福薄ク因疎ナルモノヲ勧メテ帰セシメタマフ↢浄土ニ↡。作ス↢*斯ノ業ヲ↡者ハ専ラ念ジ↢弥陀ヲ↡、一切善根、廻ラシテ生ズ↢彼ノ国ニ↡。弥陀ノ本願誓ヒテ度シタマフ↢娑婆ヲ↡。上尽シ↢現生ノ一形ヲ↡、下至ルマデ↢臨終ノ十念ニ↡、倶ニ能ク決定シテ皆得ト↢往生ヲ↡。」已上

^また同おなじき後ご序じょにいはく、 「それおもんみれば、 生うまれて*像ぞう季きに居こして、 聖しょう (釈尊) を去さることこれ1190はるかに、なり。 道どう、 三さん乗じょうに預あずかりて*契かい悟ごするに方のりなし。 人天にんでんの両りょう位いは躁動そうどうして安やすからず。 智ち0789博ひろく情こころ弘ひろ└きもの くして は┘、 よく久ひさしく処しょするに堪たへたり。 もし識しき痴おろかに行ぎょう浅あさきものは、 おそらくは*幽ゆう途とに溺おぼれんことを。 かならずすべからく跡あとを娑しゃ婆ばに遠とおくして└ ざかり ┘ 心しんこゝろを*浄じょう域いきに栖すましむべし」 と--。 以上

又同ジキ後序ニ云ク、「夫レ以レバ、▼生レテ居シテ↢像季ニ↡、▼去ルコト↠聖ヲ斯遥ニ、▼道預リテ↢三乗ニ↡无シ↠方ノリ↢契悟スルニ↡。▼人天ノ両位ハ躁動シテ不↠安カラ。▼智博ク情弘キモノハ、能ク堪ヘタリ↢久シク処スルニ↡也。若シ識痴ヲロカニ行浅キモノハ、恐クハ溺レム↢幽途ニ↡。▼必ズ須クシト↧遠クシテ↢跡ヲ娑婆ニ↡栖マシム↦心ヲ浄域ニ↥。 已上

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)会義

^このなかのに ↑三さん乗じょうと云はすなはちこれ聖しょう道どう門もんの意こころなり。 浄じょう土どといふはすなはちこれ浄じょう土ど門もんの意こころなり。 三さん乗じょう・浄じょう土ど、 聖しょう道どう・浄じょう土ど、 その名な異ことなりといへども、 その意こころまた同おなじ。

▼此ノ中ノ▼三乗者即チ是聖道門ノ意也。浄土者即チ是浄1258土門ノ意也。▼三乗・*浄土、聖道・浄土、其ノ名雖モ↠異ナリト、其ノ意亦同ジ。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)結勧
            (Ⅰ)正示

^浄じょう土ど宗しゅうの学者がくしゃ、 先まづすべからくこの旨むねを知しるべし。 たとひ先さきよりに  聖しょう道どう門もんを学がくすせ る人ひとなりといへどふと も、 もし浄じょう土ど門もんにおひてその志こころざしあら ば むものは、 すべからく聖しょう道どうを棄すてて浄じょう土どに帰きすべし。

浄土宗ノ学者、先ヅ須クシ↠知ル↢*此ノ*旨ヲ↡。設ヒ雖モ↧先ヨリ学スル↢聖道門ヲ↡人ト↥、*若シ浄土門ニ有ラバ↢其ノ志↡者、須クシ↧棄テテ↢聖道ヲ↡帰ス↦於浄土ニ↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)(Ⅱ)引例

^例れいするに└ せば ┘、 ▼かの曇鸞どんらん法ほっ師しは四し論ろんの講説こうせつを捨すてて*一向いっこうに浄じょう土どに帰きし、 ▼道どう綽しゃく禅ぜん師じは*涅ね槃はんの広業こうごうを閣さしおきてひとへに西方さいほうの行ぎょうを弘ひろめしがごとし。

▼例スルニ如シ↧彼ノ曇鸞法師ハ捨テテ↢四論ノ講説ヲ↡一向ニ帰シ↢浄土ニ↡、道綽禅師ハ閣キテ↢涅槃ノ広業ヲ↡偏ニ弘メシガ↦西方ノ行ヲ↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)(Ⅲ)正結

^上じょう古この賢哲けんてつなほもつてかくのごとし。 末代まつだいの愚魯ぐろむしろこれに遵したがはざらんや。

▼上古ノ賢哲猶以テ如シ↠此クノ。*末代ノ愚*魯寧ロ不ラム↠遵ハ↠之ニ哉。

二 ⅰ Ⅲ c 明血脈【師資相承】
        イ 挙例問今

 ^▼問とひふ ていはく、 聖しょう道どう家けの諸しょ宗しゅうにおのおの*師資しし相そう承じょうあり。 いはくゆる天台てんだい宗しゅうのごときは、 *慧え文もん・南岳なんがく (*慧思)・天台てんだい (*智顗)・*章しょう安あん・*智威ちい・*慧威えい・*玄朗げんろう・*湛然たんねん、 次し第だい相そう承じょうせり。 真言しんごん宗しゅうのごときは、 *大日だいにち如来にょらい・*金剛こんごう薩さっ埵た・*龍りゅう樹じゅ・*龍りゅう智ち・*金こん智ち・*不ふ空くう、 次し第だい相そう承じょうせり。 自余じよの諸しょ宗しゅう、またおのおの相そう承じょうの*血けち脈みゃくあり。

▼問ヒテ曰ク、聖道家ノ諸宗各ノ有リ↢師資相承↡。謂ク如キ↢天臺宗ノ↡者、*慧文・南岳・天臺・章安・智威・*慧威・玄朗・湛然、次第相承セリ。如キ↢真言宗ノ↡者、大日如来・金剛薩埵・龍樹・龍智・金智・不空、次第相承セリ。自余ノ諸*宗又各ノ有リ↢相承ノ血脈↡。

^しかる1191にいまいふところの浄じょう土ど宗しゅうにおひて、師資しし相そう承じょうの血けち脈みゃくの譜ふありや。

而シテ今所ノ↠言フ浄土宗ニ有リ↢師資相承ノ血脈ノ譜↡乎。

二 ⅰ Ⅲ c ロ 順他答今
          (一)総

^答こたへていはく、 聖しょう道どう0790家けの血けち脈みゃくのごとく浄じょう土ど宗しゅうにまた血けち脈みゃくあり。 ただし--浄じょう土どの一いっ宗しゅうにおいて*諸しょ家けまた不ふ同どうなり。 門徒一にあらず。いはゆる廬ろ山ざんの*慧え遠おん法ほっ師し、 *慈じ愍みん三蔵さんぞう、 *道どう綽しゃく・*善導ぜんどう等とうこれなり。

答ヘテ曰ク、如ク↢聖道家ノ血脈ノ↡浄土宗ニ亦有リ↢血脈↡。但シ於テ↢浄土一宗ニ↡諸家*亦不同ナリ。所謂ル廬山ノ*慧遠法師、慈愍三蔵、道綽・善導等是也。

二 ⅰ Ⅲ c ロ (二)別

^いましばらく道どう綽しゃく・善導ぜんどうの一いっ家けによりて、 師資しし相そう承じょうの血けち脈みゃくを論ろんぜば、 これにまた*両りょう説せつあり。 一いちには*菩ぼ提だい流支るし三蔵さんぞう・*慧え寵ちょう法ほっ師し・*道どう場じょう法ほっ師し・*曇鸞どんらん法ほっ師し・*大海だいかい禅ぜん師じ・*法ほう上じょう法ほっ師し。 ▲以い上じょう、 ¬安楽あんらく集しゅう¼ に出いでたり。 二にには菩ぼ提だい流支るし三蔵さんぞう・曇鸞どんらん法ほっ師し・道どう綽しゃく禅ぜん師じ・善導ぜんどう禅ぜん師じ・----------*懐え感かん法ほっ師し・*小しょう康こう法ほっ師し。 以い上じょう、 *唐とう・宋そう両りょう伝でんに出いでたり。

今且ク依リテ↢道綽・善導之一家ニ↡、論ゼバ↢師資相承ノ血脈ヲ↡者、此ニ亦有リ↢両説↡。▼一ニ者菩提流支三蔵・*慧寵法師・道場法師・曇鸞法師・大海禅師・法上法師。已上出デタリ↢¬安楽集ニ¼↡ 二ニ者菩提流支三蔵・曇鸞法師・道綽禅師・善導禅師・懐感法師・*小康法師。已上出デタリ↢唐宋両伝ニ↡

二 ⅱ【二行章】
    Ⅰ 標章

【2】 ^善導ぜんどう和か尚しょう、 正しょう雑ぞう二に行ぎょうを立たてて、 ▼雑ぞう行ぎょうを捨すてて正行しょうぎょうに帰きする文もん。

 1259○▼善導和尚立テテ↢*正雑二行ヲ↡、捨テテ↢雑行ヲ↡帰スル↢正行ニ↡之文

二 ⅱ Ⅱ 挙観経疏
      a 引文
        イ 標列 (正雑二行)

 ^¬*観かん経ぎょうの疏しょ¼ の第だい四し (*散善義) にいはく、

◇¬観経疏ノ¼第四ニ云ク、

^「▲行ぎょうにつきて信しんを立たつといふは、 しかも行ぎょうに二に種しゅあり。 一いちには正行しょうぎょう、 二にには雑ぞう行ぎょうなり----。

「◇▼就キテ↠行ニ立ツトイフ↠信ヲ者、然モ○行ニ有リ↢二種↡。一ニ者正行、二ニ者雑行ナリ。

二 ⅱ Ⅱ a ロ 釈義
          (一)正明
            (Ⅰ)正行
              (ⅰ)五種正行

^◆正行しょうぎょうといふは、 もつぱら*往おう生じょうの経きょうによりて行ぎょうを行ぎょうずるもの、 これを正行しょうぎょうと名なづく。

◇言フ↢正行ト↡者、専ラ依リテ↢往生ノ経ニ↡行ズル↠行ヲ者、是ヲ名ク↢正行ト↡。

^◆└いづれなに の┘ものかこれや。 ▽一心いっしんにもつぱらこの ¬*観かん経ぎょう¼・¬*弥陀みだ経きょう¼・¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ 等とうを読誦どくじゅし、 ▽一心いっしんにもつぱら思し想そうを注とどめてかの国くにの二に報ほう荘しょう厳ごんを観察かんざつし・ 憶念おくねんし、する也。▽もし礼らいせばするにはすなはち1192一心いっしんにもつぱらかの仏ぶつを礼らいし、 ▽もし口く称しょうせば 口に称するには  すなはち一心いっしんにもつぱらかの仏ぶつを称しょうし、 ▽もし讃歎さんだん供く養ようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだん供く養ようす。 これを名なづけて正しょうとな--す。

◇何レノ者カ是也。▼一心ニ専ラ読↢誦シ此ノ¬観経¼・¬弥陀経¼・¬无量寿経¼等ヲ↡、一心ニ専ラ注トドメテ↢思想ヲ↡観↢察シ憶↣念シ彼ノ国ノ二報荘厳ヲ↡、若シ礼セバ即チ一心ニ専ラ礼シ↢彼ノ仏ヲ↡、若シ口称セバ即チ一心ニ専ラ称シ↢彼ノ*仏ヲ↡、若シ讃歎供養セバ即チ一心ニ専ラ讃歎供養ス。是ヲ名ケテ為ス↠正ト。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)正助二業

^◆またこの正しょうのなかにつきて------、 また二に種しゅあり。

◇▼又就キテ↢此ノ正ノ中ニ↡、復有リ↢二種↡。

・正業

^◆一いちには一心いっしんに------もつぱら弥陀みだの名みょう号ごうを念ねんじて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがに時じ節せつの久く近ごんを問とはず念ねん0791々ねんに捨すてざるものを  、 これを正定しょうじょうの業ごうと名なづく。 かの仏ぶつの願がんに順じゅんずるがゆゑに。

◇一ニ者一心ニ専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡、行住坐臥不↠*問ハ↢時節ノ久近ヲ↡念念ニ不ル↠捨テ者、▼是ヲ名ク↢正定之業ト↡。順ズルガ↢彼ノ仏ノ願ニ↡故ニ。

・助業

^◆もし礼誦らいじゅ等とうによるをらば すなはち名なづけて助業じょごうとな--す。

◇▼若シ依ルヲバ↢礼誦等ニ↡即チ名ケテ為ス↢助業ト↡。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)雑行

^◆この正しょう助じょ二に行ぎょうを除のぞきてのほか└ 已外 ┘の自余じよの諸善しょぜんをばことごとく雑ぞう行ぎょうと名なづく。

◇▼除キテノ↢此ノ正助二行ヲ↡已外 ホカ ノ自余ノ諸善ヲバ悉ク名ク↢雑行ト↡。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (二)判得失

^◆もし前さきの正しょう助じょの二に行ぎょうを修しゅすればるは 、 心しんつねに ˆ阿あ弥陀みだ仏ぶつにˇ ▽親近しんごんして--憶念おくねん断たえず、 名なづけて無む間けんとなす する也 。 もし後のちの雑ぞう行ぎょうを行ぎょうずればるは 、 すなはち心しんつねに間断けんだんす。 回え向こうして生しょうずることを得うべしといへども、 衆おおく悉く 疎そ雑ぞうの行ぎょうと名なづくるなり」 と--。

◇若シ修スレバ↢前ノ正助二行ヲ↡、心常ニ親近シテ憶念不↠断エ、名ケテ為ス↢无間ト↡也。若シ行ズレバ↢後ノ雑行ヲ↡、即チ心常ニ間断ス。雖モ↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ、衆ク名クト↢疎雑之行ト↡也。」

二 ⅱ Ⅱ b 私釈
        イ 釈疏文
          (一)総分

 ^わたくしにいはく、 この文もんにつきて二にの意こころあり。 一いちには↓往おう生じょうの行ぎょう相そうを明あかす。 二にには↓二に行ぎょうの*得失とくしつを判はんず。

◇私ニ云ク、就キテ↢此ノ文ニ↡有リ↢二ノ意↡。一ニハ明ス↢往生ノ行相ヲ↡。二ニハ判ズ↢二行ノ得失ヲ↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)明往生行相【往生行相】
              (ⅰ)標列二行

^初はじめに↑往おう生じょうの行ぎょう相そうを明あかすといふは、 善導ぜんどう和か尚しょうの意こころによらば、 往おう生じょうの行ぎょう多おおしといへども大おおきに分わかちて二にとな--す。 一いちには↓正行しょうぎょう、 二にには↓雑ぞう行ぎょうなり----。

◇初ニ明ストイフ↢往生ノ行相ヲ↡者、依ラバ↢善*導和尚ノ意ニ↡、往生ノ行雖モ↠多シト大ニ分チテ為ス↠二ト。一ニハ正行、二ニハ雑行ナリ。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)別明二行
                (a)明正行【五種正行】
                  (イ)標開合

^初はじめのに ↑正行しょうぎょうと云は、 これにつきて↓開かい↓合ごうの二にの--義ぎあり。 初はじめのに 開かいをして五ご種しゅとなしす  、 後のちのには合ごうをして二に種しゅとな--す。

◇初ノ正行ト者、付キテ↠之ニ有リ↢開合ノ二ノ義↡。初ノ開ヲ為シ↢五種ト↡、後ノ合ヲ為ス↢二種ト↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)釈開合
                    [一]開
                      [Ⅰ]開中合

^初はじめのに ↑開かいをして五ご種しゅとな--1193すといふは、 一いちには↓読誦どくじゅ正行しょうぎょう、 二にには↓観察かんざつ正行しょうぎょう、 三さんには↓礼拝らいはい正行しょうぎょう、 四しには↓称名しょうみょう正行しょうぎょう、 五ごには↓讃歎さんだん供く養よう正行しょうぎょうなり。

◇初ノ開ヲ為1260ストイフ↢五種ト↡者、一ニハ読誦正行、二ニハ観察正行、三ニハ礼拝正行、四ニハ称名正行、五ニハ讃嘆供養正行也。

・読誦正行

^第一だいいちのに ↑読誦どくじゅ正行しょうぎょうと云は、 もつぱら ¬観かん経ぎょう¼ 等とうを読誦どくじゅするなり。 すなはち文もん (散善義) にいはく、 「△一心いっしんにもつぱらこの ¬観かん経ぎょう¼・¬弥陀みだ経きょう¼・¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ 等とうを読誦どくじゅする」 といふこれ----------なり。

◇第一ノ読誦正行者、専ラ読↢誦スル¬観経¼等ヲ↡也。即チ文ニ云フ↣「一心ニ専ラ読↢誦スト此ノ¬観経¼・¬弥陀経¼・¬無量寿経¼*等ヲ↡」是也。

・観察正行

^第だい二にに↑観察かんざつ正行しょうぎょうと云は、 もつぱらかの国くにの依え正しょう二に報ほうを観察かんざつするなり。 すなはち文もん (同) に云、 「△一心いっしんにもつぱら--------思し想そうをし 0792注とどめて└ 専注し ┘かの国くにの二に報ほう荘しょう厳ごんを観察かんざつし・ 憶念おくねんする」 といふ------これなり。

◇第二ニ観察正行者、専ラ観↢察スル彼ノ国ノ依正二報ヲ↡也。即チ文ニ云フ↫「一心ニ専ラ注トドメテ↢思想ヲ↡観↩察シ憶↪念スト彼ノ国ノ二報荘厳ヲ↨」是也。

・礼拝正行

^第だい三さんに↑礼拝らいはい正行しょうぎょうと云は、 もつぱら弥陀みだを礼らいするなり。 すなはち文もん (同) に云、 「△もし礼らいせばすなはち一心いっしんにもつぱらかの仏ぶつを礼らいする」 といふ------これなり。

◇第三ニ礼拝正行者、専ラ礼スル↢弥陀ヲ↡也。即チ文ニ云フ↣「若シ礼セバ即チ一心ニ専ラ礼スト↢彼ノ仏ヲ↡」是也。

・称名正行

^第だい四しに↑称名しょうみょう正行しょうぎょうと云は、 もつぱら弥陀みだの名みょう号ごうを称しょうするなり。 すなはち文もん (同) に云、 「△もし口く口に称しょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかの仏ぶつを称しょうする」 といふ------これなり。

◇第四ニ称名正行者、専ラ称スル↢弥陀ノ名号ヲ↡也。即チ文ニ云フ↣「若シ口称セバ即チ一心ニ専ラ称スト↢彼ノ*仏ヲ↡」是也。

・讃嘆供養正行

^第だい五ごに↑讃歎さんだん供く養よう正行しょうぎょうと云は、 もつぱら弥陀みだを讃歎さんだん供く養ようするなり。 すなはち文もん (同) に云、 「△もし讃歎さんだん供く養ようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだん供く養ようす、 これを名なづけて正しょうとな--す」 といふこれなり。

◇第五ニ讃歎供養正行者、専ラ讃↢歎供↣養スル弥陀ヲ↡也。即チ文ニ云フ↢「若シ讃歎供養セバ即チ一心ニ専ラ讃歎供養ス、是ヲ名ケテ為スト↟正ト」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅱ]開中開

^もし讃歎さんだんと供く養ようとを開かいして二にとなさばするには 、 六種ろくしゅの正行しょうぎょうと名なづくべし。

◇若シ開シテ↣讃歎ト与ヲ↢供養↡而為サバ↠二ト者、可シ↠名ク↢六種正行ト↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ]結

^いま合ごうの義ぎによるがゆゑに五ご種しゅといふ。

◇今依ルガ↢合ノ義ニ↡故ニ云フ↢五種ト↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]合
                      [Ⅰ]正明

^次つぎに↑合ごうをして二に種しゅとな--すといふは、 一いちには↓正しょう業ごう、 二にには↓助じょ1194業ごうなり----。

◇次ニ合ヲ為ストイフ↢二種ト↡者、一ニ者正業、二ニ者助業ナリ。

・正業

^初はじめのに ↑正業しょうごうと云は、 上かみの五ご種しゅのなかの第だい四しの称名しょうみょうをもつて正定しょうじょうの業ごうとな--す。 すなはち文もん (散善義) に云、 「△一心いっしんにもつぱら弥陀みだの名みょう号ごうを念ねんじて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが時じ節せつの久く近ごんを問とはず念々ねんねんに捨すてざるもの、 これを正定しょうじょうの業ごうと名なづく。 かの仏ぶつの願がんに順じゅんずるがゆゑに」 といふ----これなり。

◇初ノ正業者、以テ↢上ノ五種之中ノ第四ノ称名ヲ↡為ス↢正定之業ト↡。即チ文ニ云フ↧「一心ニ専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡、行住坐臥不↠問ハ↢時節ノ久近ヲ↡念々ニ不ル↠捨テ者、是ヲ名ク↢正定之業ト↡。順ズルガ↢彼ノ仏ノ願ニ↡故ニト↥」是也。

・助業

^次つぎに↑助業じょごうと云は、 第だい四しの口く称しょうを除のぞきてのほかの読誦どくじゅ等とうの四し種しゅをもつてしかも------助業じょごうとな--す。 すなはち文もん (同) に云、 「△もし礼誦らいじゅ等とうによるをばすなはち名なづけて助業じょごうとなすする 」 といふ------これなり。

◇次ニ助業者、除キテ↢第四ノ口称ヲ↡之外ノ、以テ↢読誦等ノ四種ヲ↡而モ為ス↢助業ト↡。即チ文ニ云フ↧「若シ依ルヲバ↢礼誦等ニ↡即チ名ケテ為スト↦助業ト↥」是1261也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]料簡

 ^問とひふ ていはく、 なんがゆゑぞ五ご種しゅのなかに独ひとり称名しょうみょう念仏ねんぶつをもつて正定しょうじょうの業ごうとなすする や。

◇問ヒテ曰ク、何ガ故ゾ五種之中ニ独リ以テ↢称名念仏ヲ↡為ル↢正定ノ業ト↡乎。

^答こたへていはく、 かの仏ぶつの願がんに順じゅんずるがゆゑ0793に。 意こころはの いはく、 称名しょうみょう念仏ねんぶつはこれかの仏ぶつの*本願ほんがんの行ぎょうなり。 かるがゆゑにこれを修しゅすればるものは、 かの仏ぶつの願がんに乗じょうじてかならず往おう生じょうを得うる也。 その仏ぶつの----本願ほんがんの義ぎ、 ▽下しもに至いたりて知しるべし。

◇答ヘテ曰ク、順ズルガ↢彼ノ仏ノ願ニ↡故ニ。意ハ云ク、称名念仏ハ是彼ノ*仏ノ本願ノ行也。故ニ修スレバ↠之ヲ者、乗ジテ↢彼ノ仏ノ願ニ↡必ズ得ル↢往生ヲ↡也。其ノ*仏ノ本願ノ義、至リテ↠下ニ可シ↠知ル。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)明雑行【五種雑行】
                  (イ)牒文略釈

 ^次つぎに↑雑ぞう行ぎょうと云は、 すなはち文もん (同) に云、 「△この正しょう助じょ二に行ぎょうを除のぞきてのほかの自余じよの諸善しょぜんをことごとく雑ぞう行ぎょうと名なづくる」 といふ------これなり。 意こころはいはく、 雑ぞう行ぎょう無む量りょうなり、 *つぶさに述のぶるに遑いとまあらず。

◇次ニ雑行者、即チ文ニ云フ↧「除キテノ↢此ノ正助二行ヲ↡已外ノ自余ノ諸善ヲバ悉ク名クト↢雑行ト↥」是也。意ハ云ク、雑行無量ナリ、不↠遑イトマアラ↢具ニ述ブルニ↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)広釈
                    [一]標列

^ただし--いましばらく五ご種しゅの正行しょうぎょうにを 翻対ほんたいしてもつて└  、  ┘五ご種しゅの雑ぞう行ぎょうを明あかすべし也  。 一いちには--↓読誦どくじゅ雑ぞう行ぎょう、 二にには--↓観察かんざつ雑ぞう行ぎょう、 三さんに1195は--↓礼拝らいはい雑ぞう行ぎょう、 四しには--↓称名しょうみょう雑ぞう行ぎょう、 五ごには--↓讃歎さんだん供く養よう雑ぞう行ぎょうなり。

◇*但シ且ク翻↢対シテ五種ノ正行ニ↡以テ明スベシ↢五種ノ雑行ヲ↡也。一ニハ読誦雑行、二ニハ観察雑行、三ニハ礼拝雑行、四ニハ称名雑行、五ニハ讃歎供養雑行也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別明

・読誦雑行

^▼第だい一いちに↑読誦どくじゅ雑ぞう行ぎょうといふは、 上かみの ¬観かん経ぎょう¼ 等とうの*往おう生じょう浄じょう土どの経きょうを除のぞきてのほか└ 已外 ┘の大だい小乗しょうじょう顕密けんみつの諸しょ経きょう└においを  て┘受じゅ持じし--読誦どくじゅするをは、ことごとく読誦どくじゅ雑ぞう行ぎょうと名なづく。

◇第一ニ読誦雑行トイフ者、除キテノ↢上ノ¬観経¼等ノ往生浄土ノ経ヲ↡已外ノ、於テ↢大小乗ノ顕密ノ諸経ニ↡受持シ読誦スルヲ悉ク名ク↢読誦雑行ト↡。

・観察雑行

^第だい二にに↑観察かんざつ雑ぞう行ぎょうといふは、 上かみの極楽ごくらくの*依え正しょうを除のぞきてのほかの大小だいしょう、 顕密けんみつ、 *事理じりの観かん行ぎょうを、 み--な--ことごとく観察かんざつ雑ぞう行ぎょうと名なづく。

◇第二ニ観察雑行トイフ者、除キテノ↢上ノ極楽ノ依正ヲ↡已外ノ、大小、顕密、事理ノ観行ヲ*皆悉ク名ク↢観察雑行ト↡。

・礼拝雑行

^第だい三さんに↑礼拝らいはい雑ぞう行ぎょうといふは、 上かみの弥陀みだを礼拝らいはいするを除のぞきての--ほかの一切いっさいの諸しょ余よの----仏ぶつ・菩ぼ薩さつ等とうおよびもろもろの*世せ天てん等とうにおいて礼拝らいはい*恭敬くぎょうするを、 ことごとく礼拝らいはい雑ぞう行ぎょうと名なづく。

◇第三ニ礼拝雑行トイフ者、除キテノ↣上ノ礼↢拝スルヲ弥陀ヲ↡已外ノ、於テ↢一切ノ諸余ノ仏菩薩等*及ビ諸ノ世天等ニ↡礼拝恭敬スルヲ悉ク名ク↢礼拝雑行ト↡。

・称名雑行

^第だい四しに↑称名しょうみょう雑ぞう行ぎょうといふは、 上かみの弥陀みだの名みょう号ごうを称しょうするを除のぞきての--ほかの自余じよの一切いっさいの仏ぶつ・菩ぼ薩さつ等とうおよびもろもろの世せ天てん等とうの名みょう号ごうを称しょうするを、ことごとく称名しょうみょう雑ぞう行ぎょうと名なづく。

◇第四ニ称名雑行トイフ者、除キテノ↣上ノ称スルヲ↢弥陀ノ名号ヲ↡已外ノ、称スルヲ↢自余ノ一切ノ仏菩薩等及ビ諸ノ世天等ノ名号ヲ↡悉ク名ク↢称名雑行ト↡。

・讃嘆供養雑行

^第だい五ごに↑讃歎さんだん供く養よう雑ぞう行ぎょうといふは、 上かみの弥陀みだ仏ぶつを除のぞきてのほか└ 已外 ┘の一切いっさいの諸しょ余よの仏ぶつ・菩ぼ薩さつ等とうお0794よびもろもろの世せ天てん等とうにおいて讃歎さんだん供く養ようするを、ことごとく讃歎さんだん供く養よう雑ぞう行ぎょうと名なづく。

◇第五ニ讃歎供養雑行トイフ者、除キテノ↢上ノ弥陀仏ヲ↡已外ノ、於テ↢一切ノ諸余ノ仏菩薩等及ビ諸ノ世天等ニ↡讃歎供養スルヲ悉ク名ク↢讃歎供養雑行ト↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]摂余

^このほかにまた布施ふせ・持じ戒かい等とうの無む量りょうの行ぎょうあり。 みな*雑ぞう行ぎょうの言ごんことばに摂尽しょうじんすべし。

◇此ノ外亦有リ↢布施・持1262戒等ノ無量之行↡。皆可シ↣摂↢尽ス雑行*之言ニ↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)判二行得失【二行得失】
              (ⅰ)総標牒文

 ^次つぎに↑二に行ぎょうの得失とくしつを判はんぜば、 「△もし前さきの正しょう助じょ二に行ぎょうを修しゅすればるは 、 心しんつねに ˆ阿あ弥陀みだ仏ぶつにˇ 親近しんごんして憶念おくねん断たえず、 ▽名なづけて無む間けんとなす する也 。 もし後のちの雑ぞう行ぎょうを行ぎょうず1196るは、 すなはち▽心しんつねに間断けんだんす。 ▽回え向こうして生しょうず うまる ることを得うべしといへども、 衆おお ことごとく疎そ雑ぞうの行ぎょうと名なづく」 (散善義) と--、 すなはちその文もんなり。

◇次ニ判ゼバ↢二行ノ得失ヲ↡者、「若シ修スレバ↢前ノ正助二行ヲ↡、心常ニ親近シテ憶念不↠断エ、名ケテ為ス↢無間ト↡也。若シ行ズルハ↢後ノ雑行ヲ↡、即チ心常ニ間断ス。雖モ↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ、衆ク名クト↢疎雑之行ト↡」、即チ其ノ文也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)広釈
                (a)標列

^この文もんの----意こころを案あんずるに、 正しょう雑ぞう二に行ぎょうにつきて*五ご番ばんの相対そうたいあり。 一いちには↓親しん疎そ対たい、 二にには--↓近遠ごんおん対たい、 三さんには--↓└有う間けん無む无間有間間けん┘対たい、 四しには--↓└回え向こう不ふ回え 不廻向廻向 向こう┘対たい、 五ごには--↓純じゅん雑ぞう対たいなり。

◇▼*案ズルニ↢此ノ文ノ意ヲ↡、*就キテ↢正雑二行ニ↡有リ↢五番ノ相対↡。一ニハ親疎対、二ニハ近遠対、三ニハ有間無間対、四ニハ廻向不廻向対、五ニハ純雑対也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)親疎対

^第だい一いちに↑親しん疎そ対たいといふは、 先まづ 「親しん」 といふは、 正しょう助じょ二に行ぎょうを修しゅするものは阿あ弥陀みだ仏ぶつにおいてはなはだもつて*親昵しんじつ└となたりす┘。 かるがゆゑに ¬疏しょ¼ (*定善義) の上かみの文もんにいはく、 「▽衆しゅ生じょう行ぎょうを起おこし立て て*心しん--口くくちにつねに仏ぶつを称しょうすれば、 仏ぶつすなはちこれを聞きこしめす。 身みにつねに仏ぶつを礼らい敬きょうすれば、 仏ぶつすなはち心しんに----これを└見みたまふ みそなわす ┘。 心しんにつねに仏ぶつを念ねんずれば、 仏ぶつすなはちこれを└知しりたま しろしめす ふ┘。 衆しゅ生じょう仏ぶつを憶念おくねんすれば、 仏ぶつ衆しゅ生じょうを憶念おくねんしたまふ。 彼此ひしの三業さんごうあひ捨しゃ離りせず。 かるがゆゑに親縁しんえんと名なづくる也」 と--。

◇▼第一ニ親疎対トイフ者、先ヅ親トイフ者、修スル↢正助二行ヲ↡者ハ於テ↢阿弥陀仏ニ↡*甚ダ以テ為ス↢*親昵ト↡。故ニ¬疏ノ¼上ノ文ニ云ク、「衆生起シテ↠行ヲ*心口ニ常ニ称スレバ↠仏ヲ、仏即チ聞シメス↠之ヲ。身ニ常ニ礼↢敬スレバ仏ヲ↡、仏即チ見タマフ↠之ヲ↠心ニ。*心常ニ念ズレバ↠仏ヲ、仏即チ知リタマフ↠之ヲ。衆生憶↢念スレバ仏ヲ↡者、*仏憶↢念シタマフ衆生ヲ↡。彼此ノ三業不↢相捨離セ↡。故ニ名クル↢親縁ト↡也。」

^次つぎに 「疎そ」 といふは雑ぞう行ぎょうなり。 衆しゅ生じょう仏ぶつを称しょうせざれば、 仏ぶつすなはちこれを└聞ききたま きこしめさ は┘ず。 身みに仏ぶつを礼らいせざれば、 仏ぶつすなはちこれを見みたまは みそなはさ  ず。 心しんに仏ぶつを念ねんぜざれば、 仏ぶつ0795すなはちこれを└知しりたま しろしめさ は┘ず。 衆しゅ生じょう仏ぶつを憶念おくねんせざれば、 仏ぶつ衆しゅ生じょうを憶念おくねんしたまはず。 彼此ひしの三業さんごうつねに捨しゃ離りす。 るがゆゑに疎そ行ぎょうと名なづくる也。

◇▼次ニ疎トイフ者雑行也。衆*生不レバ↠称セ↠仏ヲ、仏即チ不↠聞キタマハ↠之ヲ。身ニ不レバ↠礼セ↠仏ヲ、仏即チ不↠見タマハ↠之ヲ。心ニ不レバ↠念ゼ↠仏ヲ、仏即チ不↠知リタマハ↠之ヲ。衆生不レバ↣憶↢念セ仏ヲ↡者、仏不↣憶↢念シタマハ衆生ヲ↡。彼此ノ三業*常ニ捨離ス。故ニ名クル↢疎行ト↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)近遠対

^第だい二にに↑近ごん遠おん対たいといふは、 先まづ 「近ごん」 といふは、 正しょう助じょ二に行ぎょうを修しゅするも1197のは阿あ弥陀みだ仏ぶつにおいてはなはだもつて└隣ちかく近ちかしと隣近なり なす┘。 かるがゆゑに ¬疏しょ¼ (定善義) の上かみの文もんにいはく、 「▽衆しゅ生じょう仏ぶつを見みたてまつらんと└願がんず欣へれ┘ば、 仏ぶつほとけすなはち念ねんに応おうじて現じて目めの前まえに現げん--└在ざいしたままします ふ┘。 かるがゆゑに近縁ごんえんと名なづくる也」 と--。

◇▼第二ニ近遠対トイフ者、先ヅ近トイフ者、修スル↢正助二行ヲ↡者ハ於テ↢阿弥陀仏ニ↡甚ダ*以テ為ス↢隣ク近シト↡。故ニ¬疏ノ¼上ノ文ニ云ク、「衆生願ズレバ↠見ムト↠仏ヲ、仏即チ応ジテ↠念ニ現↢在シタマフ目ノ前ニ↡。故ニ名クル↢近縁ト↡也。」

^次つぎに 「遠おん」 といふは雑ぞう行ぎょうなり。 衆しゅ生じょう仏ぶつを見みたてまつらんと願がんぜ欣は ざれば、 仏ぶつすなはち念ねんに応おうぜず、 目めの前まえに現げんじたまはず。 かるがゆゑに遠おんと名なづくるなり。 ただし△親近しんごんの義ぎこれ一いちに似にたりといへども、 善導ぜんどうの意こころに分わかちて二にとなすすと 。 その旨むね ▽¬疏しょ¼ (同) の文もんに見みえたり。 かるがゆゑにいま引ひき釈しゃくするところなり。

◇次ニ遠トイフ者雑行也。衆生不レバ↠願ゼ↠見ムト↠仏ヲ、仏即チ不↠応ゼ↠念ニ、不↠現ジタマハ↢目ノ前ニ↡。故ニ名クル↠遠ト也。但シ親近ノ義是1263雖モ↠似タリト↠一ニ、善導之意分チテ*而為ス↠二ト。其ノ旨見エタリ↢¬疏ノ¼文ニ↡。故ニ今所↢引キ釈スル↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)無間有間対

^第だい三さんに↑無む間けん有う間けん対たいといふは、 先まづ 「無む間けん」 といふは、 正しょう助じょの--二に行ぎょうを修しゅするものは阿弥陀みだ仏ぶつにおいて憶念おくねん間断けんだんせず。 かるがゆゑに 「△名なづけて無む間けんとな--す」 といふ------これなり。

◇▼第三ニ無間有*間対トイフ者、先ヅ無間トイフ者、修スル↢正助ノ二行ヲ↡者ハ於テ↢*弥陀仏ニ↡憶念不↢間断セ↡。故ニ云フ↣「名ケテ為スト↢無間ト↡」是也。

^次つぎに 「有う間けん」 といふは、 雑ぞう行ぎょうを修しゅするものは阿弥陀みだ仏ぶつにおいて憶念おくねんつねに間断けんだんす。 るがゆゑに 「△心しんにつねに間断けんだんす」 といふこれなり。

◇次ニ有間トイフ者、修スル↢雑行ヲ↡者ハ於テ↢*弥陀仏ニ↡憶念常ニ間断ス。故ニ云フ↢「心常ニ間断スト↡」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)不廻向廻向対

^▼第だい四しに↑不ふ回え向こう回え向こう対たいといふは、 正しょう助じょ二に行ぎょうを修しゅするものは、 たとひ別べつにして回え向こうを用もちゐざれども*自じ然ねんに往おう生じょうの業ごうとなる。 かるがゆゑに ¬疏しょ¼ (*玄義分) の上かみの文もんにいはく、 「▲いまこの ¬観かん経ぎょう¼ のなかに十じっ声しょう仏ぶつを称しょうするはるは 、 すなはち十じゅう願がん十行じゅうぎょうありて------具ぐ足そくせり。 いかんが具ぐ足そくする。 ª南無なもº といふはすなはちこれ帰き命みょう、 またこれ発願ほつがん回え向こう0796の義ぎなり。 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつº とい1198ふはすなはちこれその行ぎょうなり。 この義ぎをもつてのゆゑにかならず往おう生じょうすることを得う」 と--。 以上

◇▼第四ニ*不廻向廻向対トイフ者、修スル↢正助二行ヲ↡者ハ、縦令 タトヒ 別ニ不レドモ↠用ヰ↢廻向ヲ↡自然ニ成ル↢往生ノ業ト↡。故ニ▼¬疏ノ¼上ノ文ニ云ク、「今此ノ¬観経ノ¼中ノ十声称スルハ↠仏ヲ、即チ有リテ↢十願十行↡具足セリ。云何ガ具足スル。▼言フ↢南無ト↡者即チ是帰命、亦是発願廻向之義ナリ。言フ↢阿弥陀仏ト↡者即チ是其ノ行ナリ。以ノ↢斯ノ義ヲ↡故ニ必ズ得ト↢往生ヲ↡。」 已上

^次つぎに 「回え向こう」 といふは、 雑ぞう行ぎょうを修しゅするものは、 かならず回え向こうを用もちゐる時ときに--往おう生じょうの因いんとなる。 もし回え向こうを用もちゐざる時ときに--は往おう生じょうの因いんとならず。 かるがゆゑに 「△回え向こうして生しょうず 生る  ることを得うべしといへども」 といふこれなり。

◇▼次ニ廻向トイフ*者、修スル↢雑行ヲ↡者ハ、必ズ用ヰル↢廻向ヲ↡之時ニ成ル↢往生之因ト↡。若シ不ル↠用ヰ↢廻向ヲ↡之時ニハ不↠成ラ↢往生之因ト↡。故ニ*曰フ↠「雖モト↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)純雑対
                    [一]正釈

^第だい五ごに↑純じゅん雑ぞう対たいといふは、 先まづ 「純じゅん」 といふは、 正しょう助じょ二に行ぎょうを修しゅするもの----は└もつぱ純也 ら┘これ極楽ごくらくの行ぎょうなり。

◇▼第五ニ純雑対トイフ者、先ズ純トイフ者、修スル↢正助二行ヲ↡者ハ純モハラ是極楽之行也。

^次つぎに 「雑ぞう」 といふは、 これもつぱら--------極楽ごくらくの行ぎょうにあらず。 人天にんでんおよび三さん乗じょうに通つうず、 また十方じっぽう浄じょう土どに通つうず。 かるがゆゑに雑ぞうといふ也。

◇次ニ▼雑トイフ者、是純モハラ非ズ↢極楽之行ニ↡。通ズ↢於人天*及ビ三乗ニ↡、亦通ズ↢於十方浄土ニ↡。故ニ云フ↠雑ト也。

^しかれば*西方さいほうの行ぎょう者じゃ、すべからく雑ぞう行ぎょうを捨すてて正行しょうぎょうを修しゅすべしき也。

◇◆然レバ者西方ノ行者須クシ↧捨テテ↢雑行ヲ↡修ス↦正行ヲ↥也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二]料簡
                      [Ⅰ]問

 ^問とひていはく、 この純じゅん雑ぞうの義ぎ、 経論きょうろんのなかにおいてその証しょう拠こありや。

◇問ヒテ曰ク、此ノ純雑ノ義、於テ↢経論ノ中ニ↡有リ↢其ノ証拠↡乎。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ]答
                        [ⅰ]標

^答こたへていはく、 ▼大だい小乗しょうじょうの経きょう・律りつ・論ろんのなかにおいて純じゅん雑ぞうの二に門もんを立たつること------、 その例れい一いちにあらず。

◇答ヘテ曰ク、於テ↢大小乗ノ経・律・論之中ニ↡立ツルコト↢純雑二門ヲ↡、其ノ例非ズ↠一ニ。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]釈
                          [a]内典
                            [イ]正挙
                              ª一º顕教
                                ªⅠº大乗

^◆大だい乗じょうにはすなはち*八蔵はちぞうのなかにおいてしかも------雑蔵ぞうぞうを立たつ。 まさに知しるべし、 七蔵しちぞうはこれ純じゅん、 一蔵いちぞうはこれ雑ぞうなり。

◇大乗ハ即チ於テ↢▼八蔵之中ニ↡而モ立ツ↢雑蔵ヲ↡。当ニシ↠知ル、七蔵ハ是1264純、一蔵ハ是雑ナリ。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡº小乗
                                  ªⅰº経

^◆小乗しょうじょうにはすなはち*四し含ごんのなかにおいて雑含ぞうごんを立たつ。 まさに知しるべし、 三含さんごんはこれ純じゅん、 一含いちごんはこれ雑ぞうなり。

◇小乗ハ即チ於テ↢▼四含之中ニ↡而立ツ↢雑含ヲ↡。当ニシ↠知ル、三含ハ是純、一含ハ是雑ナリ。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡºªⅱº律

^◆律りつにはすなはち*二に十じゅうの--犍けん度どを立たててもつて戒かい行ぎょうを明あかす。 そのなかに前さきの十じゅう九くはこれ純じゅん、 後のちの一いちは雑ぞう犍けん度どなり。

◇律ニハ*則チ立テテ↢二十ノ*揵度ヲ↡以テ明ス↢戒行ヲ↡。其ノ中ニ前ノ十九ハ是純、後ノ*一ハ雑*揵度也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡºªⅲº論

^論ろん (*八犍度論) にはすなは1199ち八はち犍けん度どを立たてて、 諸法しょほうの性しょう相そうを明あかす。 前さきの七しち犍けん度どはこれ純じゅん、 後のちの一いちはこれ雑ぞう犍けん度どなり。

◇論ニハ則チ立テテ↢八*揵度ヲ↡明ス↢諸法ノ性相ヲ↡。前ノ七*揵度ハ是純、後ノ一ハ是雑*揵度也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅢº賢聖集
                                  ªⅰº僧伝

^*賢げん聖じょう集しゅうのなかに、 唐とう・--宋そう両りょう伝でんには--*十じっ科かの法ほうを立たてて高僧こうそうの行ぎょう徳とくを明あかす。 そのなかにの 前さきの九くはこれ純じゅん、 後のちの一いちはこれ雑ぞう科かなり。

◇賢聖集ノ中、唐宋両伝ニハ立テテ↢十科ノ法ヲ↡明ス↢高僧ノ行徳ヲ↡。其ノ中ニ前ノ九ハ是純、後ノ一ハ是雑科也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅢºªⅱº義章

^乃ない至し、 ¬*大だい乗じょう義ぎ章しょう¼ に*五ご聚じゅの法門ほうもんあり0797。 前さきの四し聚じゅはこれ純じゅん、 後のちの一いちはこれ雑聚ぞうじゅなり。

◇乃至¬大乗義章ニ¼有リ↢五聚ノ法門↡。前ノ四聚ハ是純、後ノ一ハ是雑聚也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª二º密教

^また顕けん教ぎょうのみにあらず。 密みっ教きょうのなかに純じゅん雑ぞうの法ほうあり。 いはく------*山さん家げの ¬*仏法ぶっぽうの血けち脈みゃくの譜ふ¼ にいはく、 一いちには*胎蔵たいぞう界かいの曼まん陀羅だらの血けち脈みゃくの譜ふ一首しゅ、 二にには*金剛こんごう界かいの曼まん陀羅だらの血けち脈みゃくの譜ふ一首しゅ、 三さんには*雑ぞう曼まん陀羅だらの血けち脈みゃくの譜ふ一首しゅ。 前さきの二に首しゅはこれ純じゅん、 後のちの一首いっしゅはこれ雑ぞうなり。

◇亦非ズ↢顕教ノミニ↡。密教之中ニ有リ↢純雑ノ法↡。謂ク山家ノ¬仏法ノ血脈ノ譜ニ¼云ク、一ニハ胎蔵界ノ曼陀羅ノ血脈ノ譜一首、二ニハ金剛界ノ曼陀羅ノ血脈ノ譜一首、三ニハ雑曼陀羅ノ血脈ノ譜一首ト。前ノ二首ハ是純、後ノ一首ハ是雑ナリ。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]結示

^純じゅん雑ぞうの義ぎ多おおしといへども、 いま略りゃくして小分しょうぶんを挙あぐるならくのみと。 まさに知しるべし、 純じゅん雑ぞうの義ぎ----、 法ほうに随したがひて不定ふじょうなり。 これによりていま善導ぜんどう和か尚しょうの意こころに、 しばらく浄じょう土どの行ぎょうにおいて純じゅん雑ぞうを論ろんずる--なり----。

◇純雑之義雖モ↠多シト、今略シテ挙グル↢小分ヲ↡而已。当ニシ↠知ル、純雑之義、随ヒテ↠法ニ不定ナリ。因リテ↠茲ニ今善導和尚ノ意、且ク於テ↢浄土ノ行ニ↡論ズル↢純雑ヲ↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]外典

^またこの純じゅん雑ぞうの義ぎ*内典ないてんのみに局かぎらず、 *外げ典てんのなかにその例れいはなはだ多おおし。 繁しげきこと----を恐おそれて出いださず。

◇此ノ純雑ノ義不↠局ラ↢内典ノミニ↡、外典之中ニ其ノ例甚ダ多シ。恐レテ↠繁キコトヲ不↠出サ矣。

二 ⅱ Ⅱ b ロ 決判
          (一)引例讃勧

^ただし--往おう生じょうの行ぎょうにおいて二に行ぎょうを分わかつことは、 善導ぜんどう一いっ師しのみに限かぎらず。

◇但シ於テ↢往生ノ行ニ↡而分ツコト↢二行ヲ↡、不↠限ラ↢善導一師ノミニ↡。

^もし道どう綽しゃく禅ぜん師じの意こころによらば、 往おう生じょうの行ぎょう多おおしといへども束つかねて二にとな--す。 一いち1200にはいはく念仏ねんぶつ往おう生じょう、 二ににはいはく▼万まん行ぎょう往おう生じょうなり。

◇若シ依ラバ↢道綽禅師ノ意ニ↡者、往生ノ行雖モ↠多シト束ネテ而為ス↠二ト。一ニハ謂ク念仏往生、二ニハ謂ク万行往生ナリ。

^もし*懐え感かん禅ぜん師じの意こころ義 によらば、 往おう生じょうの行ぎょう多おおしといへども束つかねて二にとな--す。 一いちにはいはく念仏ねんぶつ往おう生じょう、 二ににはいはく*▼諸しょ行ぎょう往おう生じょうなり----。 恵え心しん (*源信) これに同おなじ。

◇若シ依ラバ↢懐感禅師ノ意ニ↡、往生ノ行雖モ↠多シト束ネテ而為ス↠二ト。一ニハ謂ク念仏往生、二ニハ謂ク諸行往生ナリ。*恵心同ジ↠之ニ

^かくのごときの三さん師し、 おのおの二に行ぎょうを立たてて往おう生じょうの行ぎょうを摂せっす。 はなはだその旨むねを得うえたり。

◇如キノ↠是クノ三師、各ノ立テテ↢二行ヲ↡*摂1265ス↢往生ノ行ヲ↡。甚ダ得↢其ノ旨ヲ↡。

二 ⅱ Ⅱ b ロ (二)斥他師

^*自余じよの諸しょ師しはしからず。 行ぎょう者じゃこれを思おもふべし。

◇自余ノ*諸*師ハ不↠然ラ。行者応シ↠思フ↠之ヲ。

二 ⅱ Ⅲ 挙礼讃
      a 引文
        イ 正判得失
          (一)明専修得

 ^¬*往おう生じょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「▲もしよく上かみのごとく念々ねんねん相続そうぞくして、 畢ひつ命みょう命終る を期ごとなすする ものは、 十じゅうはすなはち十じゅうながら生しょうじず 、 百ひゃくはすなはち百ひゃくながら生しょうず。 なにをもつてのゆゑに。 外げほかの雑縁ぞうえんなくし、正しょう念ねんを0798得うえ る たる がゆゑに。 仏ぶつの本願ほんがんと相応そうおうするがゆゑに。 教きょうに違いせざるがゆゑに。 仏ぶつ語ごに随ずい順じゅんするがゆゑに也 。

○▼¬往生礼讃ニ¼云ク、「若シ能ク如ク↠上ノ念々相続シテ、畢命ヲ為ル↠期ト者ハ、▼十ハ即チ十ナガラ生ジ、百ハ即チ百ナガラ生ズ。▼何ヲ以ノ故ニ。▼無ク↢外ノ雑縁↡得ルガ↢正念ヲ↡故ニ。▼与↢仏ノ本願↡*相応スルガ故ニ。▼不ルガ↠違セ↠教ニ故ニ。▼随↢順スルガ仏語ニ↡故ニ。

二 ⅱ Ⅲ a イ (二)明雑修失

^◆もし専せんを捨すてて雑業ぞうごうを修しゅせんと欲ほっする--------ものは、 百ひゃくのは 時ときに希まれに一いち二にを得えう 、 千せんのは 時ときに希まれに五ご三さん三五 を得う。

◇若シ欲スル↣捨テテ↠専ヲ修セムト↢雑業ヲ↡者ハ、▼百ノ時ニ希ニ得↢一二ヲ↡、千ノ時ニ希ニ得↢五三ヲ↡。

^◆なにをもつてのゆゑに。 雑縁ぞうえん乱動らんどうしてす、 正しょう念ねんを失うしなふ失する による------がゆゑに。 仏ぶつの本願ほんがんと相応そうおうせざるがゆゑに。 教きょうと-----相そう違いする--------がゆゑに。--------- 仏ぶつ語ごに------順じゅんぜざる---------がゆゑに。--------- 係け念ねん相続そうぞくせざるがゆゑに。 憶想おくそう間断けんだんすせ るがゆゑに。 回え願がん慇おん重じゅう真実しんじつならざるがゆゑに。 貪とん・--瞋しん・諸見しょけんの煩悩ぼんのう来きたりて間断けんだんするがゆゑに。 慚ざん愧ぎ・悔過けかの心あることなきがゆゑに也 。

◇何ヲ以ノ故ニ。▼*由ルガ↣雑縁乱動シテ失フニ↢正念ヲ↡故ニ。▼与↢仏ノ本願↡不ルガ↢相応セ↡故ニ。▼与↠教相違スルガ故ニ。▼不ルガ↠順ゼ↢仏語ニ↡故ニ。▼係念不ルガ↢相続セ↡故ニ。▼憶想間断スルガ故ニ。▼廻願不ルガ↢慇重真実ナラ↡故ニ。▼貪瞋諸見ノ煩悩来リテ間断スルガ故ニ。▼無キガ↠有ルコト↢慚愧*悔過↡故ニ。

^▲また相続そうぞくしてかの仏ぶつの--恩おんを報ほうぜんと念おもは ことを念ぜ ざるがゆゑに。 心しんに軽きょう慢まんを生しょうじ└ なし ┘て、 業ごう行ぎょうをなすといへどもつねに名みょう利りと相応そうおうすせ るがゆゑに。 人にん我がおのづから覆おおひふ て同どう行ぎょう善ぜん知ぢ識しきに親しんシタシミ近ごんせチカヅクざるがゆゑに。 楽ねがひ欣ふ て雑縁ぞうえんに近ちかづきて、 往おう生じょうの正行しょうぎょうを自じ障しょう自らのおもさえ、1201障しょう他たする 人のおもさふる がゆゑなりに  。

◇又▼不ルガ↢相続シテ念ハ↟報ゼムト↢彼ノ仏ノ恩ヲ↡故ニ。▼心ニ生ジテ↢軽慢ヲ↡、雖モ↠作スト↢業行ヲ↡常ニ与↢名利↡相応スルガ故ニ。▼人我自ラ覆ヒテ不ルガ↣親↢近セ同行善知識ニ↡故ニ。▼楽ヒテ近ヅキテ↢雑縁ニ↡、自↢障*障↣他スルガ往生ノ正行ヲ↡故ニナリ。

二 ⅱ Ⅲ a ロ 対衆勧励
          (一)就見聞示

^◆なにをもつてのゆゑに。 ▼余よ、 このごろみづから諸方しょほうの道俗どうぞくを見聞けんもんするに、 解げ行ぎょう不ふ同どう└なり、 にして ◗┘専雑せんぞう 異い 異なることあり。 ただ意こころをもつぱらにしてなすものは、 十じゅうはすなはち十じゅうながら生しょうずじ、。 雑ぞうを修しゅして心しんを至いたさざるものは、 千せんがなかに一いちひとりもなし。 この二に行ぎょうの得失とくしつ、 前さきにすでに弁べんずるがごとし。

◇▼何ヲ以ノ故ニ。○餘比日コノゴロ*自ラ見↢聞スルニ諸方ノ道俗ヲ↡、解行不同ナリ、専雑有リ↠異。但使 タダ 専ニシテ↠意ヲ作ス者ハ十ハ即チ十生ス。修シテ↠雑ヲ不ル↠至サ↠心ヲ者ハ▼千ガ中ニ無シ↠一モ。此ノ二行ノ得失、如シ↢前ニ已ニ辨ズルガ↡。

二 ⅱ Ⅲ a ロ (二)正勧励

^◆仰あおぎ願ねがはくは、一切いっさいの往おう生じょう人にん等とう、 よくみづからおのれが--------能のうを----思し量りょうせよ。すでによく 今こんいまの身じんみ にかの国くにに生しょうぜんと願がんぜ ば んものは、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがにかならずすべからく心しんを励はげまし、 おのれを剋こくして昼ちゅう夜やに廃はいす すたる ることなか└るべれ し┘。 畢ひつ命みょう命終る を期ごとなせなせ。。 └まさし上  く┘一いち形ぎょうにありて少しょう苦くに--似如にたれども、 前念ぜんねんに命終みょうじゅうし0799て後ご念ねんにすなはちかの国くにに生しょうじて、 長じょう時じ永劫ようごうにつねに*無為むいの諸しょ法 楽らくを受うくけ、。 乃ない至し成じょう仏ぶつまで生しょう死じを経へず。 あに快こころよきたのしみ にあらずや。 知しるべし」 と--。

◇仰ギ願クハ一切ノ往生人等善ク自ラ思↢量セヨ己ガ能ヲ↡。今身ニ願ゼバ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者、行住坐臥ニ必ズ須クシ↢励シ↠心ヲ剋シテ↠己ヲ昼夜ニ莫カル↟癈スルコト。畢命ヲ為ヨ↠期ト。▼*正シク在リテ↢一形ニ↡似↢如ニタレドモ少苦ニ↡、前念ニ命終シテ後念ニ即チ生ジテ↢彼ノ国ニ↡、長時永劫ニ常ニ受ク↢無為ノ*諸楽ヲ↡。▼乃至成仏マデニ不↠*逕↢生死ヲ↡。豈ニ非ズ↠快キニ哉。応シト↠知ル。」

二 ⅱ Ⅲ b 私釈

 ^わたくしにいはく、 この文もんを見みるにて  、 いよいよすべからく----------雑ぞうを捨すてて専せんを修しゅすべし。 ▼あに百ひゃく即そく百生ひゃくしょうの専修せんじゅ正行しょうぎょうを捨すてて、 堅かたく*千せん中ちゅう無む一いちの雑修ざっしゅ----雑ぞう行ぎょうを執しゅうせんや。 行ぎょう者じゃよくこれを思し量りょうせよ。

1266私ニ云ク、見ルニ↢此ノ文ヲ↡、弥ヨ須クシ↢捨テテ↠雑ヲ修ス↟専ヲ。豈ニ捨テテ↢百即百生ノ専修正行ヲ↡、堅ク執セム↢千中無一ノ雑修雑行ヲ↡乎。行者能ク思↢量セヨ之ヲ↡。

二 ⅲ【▼本願章】
    Ⅰ 標章

【3】 ^◎弥陀みだ如来にょらい、 余よ行ぎょうをもつて往おう生じょうの本願ほんがんとなさず、 ただ念仏ねんぶつをもつて往おう生じょうの本願ほんがんとなしたまへる文もん。

 ▼弥陀如来不↧以テ↢余行ヲ↡為サ↦往生ノ本願ト↥、唯以テ↢念仏ヲ↡為シタマヘル↢往生ノ本願ト↡之文

二 ⅲ Ⅱ 引文
      a 大経

 ^1202¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の上じょうにのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 心しんを至いたし信しん楽ぎょうして、 わが国くにに生しょうぜんと欲ほっして、 ▽乃ない至し▽十じゅう念ねんせんに、 もし生しょうぜずといはば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第十八願) と。

¬無量寿経ノ¼上ニ云ク、「設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、▼十方ノ衆生、▼至シ↠心ヲ信楽シテ、欲シテ↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡、▼乃至十念セムニ、▼若シ不トイハバ↠生ゼ者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 ⅲ Ⅱ b 観念法門

 ^¬*観念かんねん法門ぼうもん¼ に上かみの文もんを引ひきていはく、 「▲もしわれ仏ぶつにならんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが国くにに生しょうぜんと願がんじて、 わが名みょう号ごうを称しょうすること▽下しも▽十じっ声しょうに至いたらんに、 わが願力がんりきに乗のりて、 もし生しょうぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。

¬観念法門ニ¼引キテ↢上ノ文ヲ↡云ク、「若シ我成ラムニ↠仏ニ、十方ノ衆生、願ジテ↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡、▼称スルコト↢我ガ名*号ヲ↡下至ラムニ↢十声ニ↡、▼乗リテ↢我ガ願力ニ↡、若シ不ハ↠生ゼ者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 ⅲ Ⅱ c 往生礼讃

 ^¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ に同おなじき上かみの文もんを引ひきていはく、 「▲ªもしわれ仏ぶつにならんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを称しょうすること▽下しも▽十じっ声しょうに至いたるまで、 もし生しょうぜずは、 正しょう覚がくを取とらじº と。 ▽かの仏ぶついま現げんに*世よにましまして仏ぶつになりたまへり。 まさに知しるべし、 本誓ほんぜい重じゅう願がん虚むなしからず、 衆しゅ生じょう称しょう念ねんすればかならず往おう生じょうすることを得う」 と。

¬往生礼讃ニ¼同ジキ引キテ↢上ノ文ヲ↡云ク、「若シ我成ラムニ↠仏ニ、十方ノ衆生、▼称スルコト↢我ガ名号ヲ↡下至ルマデ↢十声ニ↡、若シ不ハ↠生ゼ者不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。▼彼ノ仏今現ニ在シテ↠世ニ成リタマヘリ↠仏ニ。当ニシ↠知ル、本誓重願不↠虚シカラ、衆生称念スレバ必ズ得ト↢往生スルコトヲ↡。」

二 ⅲ Ⅲ 私釈
      a 挙別願選択相
        イ 対総明別【総別二願】

 ^わたくしにいはく、 一切いっさいの諸仏しょぶつおのおの*総別そうべつ二に種しゅの願がんあり。 「総そう」 といふは四弘しぐ誓ぜい願がんこれなり。 「別べつ」 といふは*釈しゃ迦かの五ご百ひゃくの大願だいがん、 *薬やく師しの十じゅう二にの上じょう願がん等とうのごときこれなり。 いまこの四し十じゅう八はちの願がんはこれ弥陀みだの別願べつがんなり。

私ニ云ク、一切ノ諸仏各ノ有リ↢総別二種之願↡。▼総トイフ者四弘誓願是也。別トイフ者如キ↢釈迦ノ五百ノ大願、薬師ノ十二ノ上願等ノ↡是也。今此ノ四十八願者是弥陀ノ別願也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ 直釈
          (一)発願時処
            (Ⅰ)問

 ^問とひていはく、 弥陀みだ如来にょらい、 いづれの時とき、 いづれの仏ぶつの所みもとにしてかこの願がんを発おこしたまへるや。

問ヒテ曰ク、弥陀如来於テカ↢何レノ時何レノ仏ノ*所ニ↡而発シタマヘル↢此ノ願ヲ↡乎。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (一)(Ⅱ)引経答

^答こたへていはく、 ¬寿じゅ経きょう¼ (*大経・上) にのたまはく、 「^▲仏ぶつ、 *阿あ1203難なんに告つげたまはく、 ª乃往ないおう過去かこ久く遠おん無む量りょう不可ふか思議しぎ無む央数おうしゅ劫こうに、 *定じょう光こう如来にょらい世よに興こう出しゅつしたまひて、 無む量りょうの衆しゅ生じょうを教きょう化けし度ど脱だつして、 みな道どうを得えしめて、 すなはち滅めつ度どを取とりたまへり。 ◆次つぎに如来にょらいまします、 名なづけて光遠こうおんといふ。 乃至 ◆次つぎを処しょ世せと名なづく。 ◆かくのごとき諸仏しょぶつ 五ご十じゅう三さん仏ぶつなり。 みなことごとくすでに過すぎて、

答ヘテ曰1267ク、○¬寿経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、乃往過去久遠無量不可思議無央数劫ニ、*定光如来興↢出シタマヒテ於世ニ↡、教↢化シ度↣脱シテ無量ノ衆生ヲ↡、皆令メテ↠得↠道ヲ、乃チ取リタマヘリ↢滅度ヲ↡。次ニ有ス↢如来↡、名ケテ曰フ↢光遠ト↡。乃至 次ヲ名ク↢処世ト↡。如キノ↠此クノ諸仏 ▼五十三仏也 皆悉ク已ニ過ギテ、

^◆その時ときに次つぎに仏ぶつまします、 *世自せじ在王ざいおう如来にょらいと名なづく。

◇爾ノ時ニ次ニ有ス↠仏、名ク↢世自在王如来ト↡。

^◆時ときに国王こくおうあり。 仏ぶつの説法せっぽうを聞ききて心しんに悦えつ予よを懐いだきて、 尋ついで無む上じょう正しょう真しん道どうの意こころを発おこし、 国くにを棄すて王おうを捐すてて、 行ぎょうじて沙門しゃもんとなる。 号なづけて*法蔵ほうぞうといふ。 高才こうざい勇哲ゆうてつにして世よと超ちょう異いせり。 ◆世自せじ在王ざいおう如来にょらいの所みもとに詣もうでたまふ。 乃至

◇時ニ有リ↢国王↡。聞キテ↢仏ノ説法ヲ↡心ニ懐キテ↢悦予ヲ↡、尋ツギテ発シ↢無上正真道ノ意ヲ↡、▼棄テ↠国ヲ捐テテ↠王ヲ、行ジテ作ル↢沙門ト↡。号ナヅケテ曰フ↢法蔵ト↡。高才勇哲ニシテ与↠世超異セリ。詣デタマフ↢世自在王如来ノ所ニ↡。乃至

^▲ここに世自せじ在王ざいおう仏ぶつ、 すなはち ˆ法蔵ほうぞう比丘びくのˇ ために広ひろく二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの刹せつ土どの人天にんでんの善悪ぜんあく、 国こく土どの粗そ妙みょうを説ときて、 その心願しんがんに応おうじてことごとくこれを現げん与よしたまふ。

◇於テ↠是ニ世自在王仏、即チ為ニ広ク説キテ↢二百一十億ノ諸仏ノ刹土ノ*人天之善悪、国土之麁妙ヲ↡、応ジテ↢其ノ心願ニ↡悉ク現↢与シタマフ之ヲ。

^◆時ときにかの比丘びく、 仏ぶつの所説しょせつの厳ごん浄じょうの国こく土どを聞きき、 みなことごとく覩と見けんして、 ◆超こえて無む上じょう殊しゅ勝しょうの願がんを発おこす。 ◆その心しん寂静じゃくじょうにして、 志こころざし所しょ着じゃくなく、 一切いっさい世せ間けんによく及およぶものなし。 ◆五ご劫こうを具ぐ足そくして荘しょう厳ごん仏国ぶっこくの清浄しょうじょうの行ぎょうを思し惟ゆいし摂取せっしゅしきº と。

◇時ニ彼ノ比丘聞キ↢仏ノ所説ノ厳浄ノ国土ヲ↡、皆悉ク覩見シテ、超エテ発ス↢無上殊勝之願ヲ↡。其ノ心寂静ニシテ、志无ク↢所着↡、一切世間ニ無シ↢能ク及ブ者↡。具↢足シテ五劫ヲ↡思↢惟シ摂↣取シキト荘厳仏国ノ清浄之行ヲ↡。

^◆阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 ªかの仏ぶつの国こく土どの寿じゅ量りょういくばくぞやº と。 ◆仏ぶつののたまはく、 ªその仏ぶつの寿じゅ命みょう四し十じゅう二に劫こうなり。 ◆時ときに法ほう蔵ぞう1204比丘びく▽二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの妙みょう土どの清浄しょうじょうの行ぎょうを摂取せっしゅしきº」 と。 以上

◇阿難白ク↠仏ニ、彼ノ仏ノ国土ノ寿量幾何イクバクゾヤト。仏ノ言ク、其ノ仏ノ寿命四十二劫ナリ。時ニ法蔵比丘摂↢取シキト二百一十億ノ諸仏ノ妙土ノ清浄之行ヲ↡。」 已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (二)明選択義
            (Ⅰ)引異訳経

^¬*大だい阿あ弥陀みだ経きょう¼ (上) にのたまはく、 「▲その仏ぶつ (世自在王仏) すなはち二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの仏ぶつの国こく土ど中ちゅうの諸天しょてん・人民にんみんの善悪ぜんあく、 国こく土どの好醜こうしゅを↓選せん択じゃくす。 ˆ法蔵ほうぞう比丘びくの、ˇ 心しん中ちゅうの所欲しょよくの願がんを選せん択じゃくせんがためなり。

◇▼¬*大阿弥陀経ニ¼云ク、「其ノ仏即チ▼選↢択シ二百一十億ノ仏ノ国土中ノ諸天人民之善悪、国土之好醜ヲ↡、為ナリ↣選↢択セムガ心中ノ所欲ノ願ヲ↡。

^◆楼夷るい亘こう羅ら仏ぶつ ここには世自せじ在王ざいおう仏ぶつといふ。 経きょうを説ときをはりて、 曇どん摩迦まか ここには法蔵ほうぞうといふ。 すなはちその心しんを一いつにして、 すなはち天眼てんげんを得え、 徹てっ視ししてことごとくみづから二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの国こく土どのなかの諸天しょてん・人民にんみんの善悪ぜんあく、 国こく土どの好醜こうしゅを見み、 ◆すなはち心しん中ちゅうの所願しょがんを選せん択じゃくして、 すなはちこの二に十じゅう四しの願がん経きょうを結得けっとくす」 と。 ▲¬*平びょう等覚どうがく経きょう¼ またこれに同おなじ。

◇▼楼夷亘羅仏 此ニハ云フ↢世自在王仏ト↡ 説キ↠経ヲ畢リテ、▼曇摩迦 此ニハ云フ↢法蔵ト↡ 便チ一ニシテ↢其ノ心ヲ↡、即チ得↢天眼1268ヲ↡、徹視シテ悉ク自ラ見↢二百一十億ノ諸仏ノ国土ノ中ノ諸天人民之善悪、国土之好醜ヲ↡、即チ選↢択シテ心中ノ所願ヲ↡、便チ結↢得スト是ノ▼二十四ノ願経ヲ↡。」 ¬平等覚経¼亦*復同ジ↠之ニ

二 ⅲ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)釈選択義【選択摂取】

 ^▽このなか、 「↑選せん択じゃく」 とはすなはちこれ取捨しゅしゃの義ぎなり。 いはく二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの浄じょう土どのなかにおいて、 人天にんでんの悪あくを捨すて人天にんでんの善ぜんを取とり、 国こく土どの醜しゅうを捨すて国こく土どの好こうを取とるなり。 ¬大だい阿あ弥陀みだ経きょう¼ の選せん択じゃくの義ぎかくのごとし。 ¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経・上) の意こころまた選せん択じゃくの義ぎあり。 いはく、 「△二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの妙みょう土どの清浄しょうじょうの行ぎょうを摂取せっしゅす」 といふこれなり。

◇此ノ中選択ト者即チ是取捨ノ義也。謂ク於テ↢二百一十億ノ諸仏ノ浄土ノ中ニ↡、捨テ↢人天之悪ヲ↡取リ↢人天之善ヲ↡、捨テ↢国土之醜ヲ↡取ル↢国土之好ヲ↡也。¬大阿弥陀経ノ¼選択ノ義如シ↠是クノ。¬双*巻経ノ¼意亦有リ↢選択ノ義↡。謂ク云フ↣「摂↢取スト二百一十億ノ諸仏ノ妙土ノ清浄之行ヲ↡」是也。

^*選せん択じゃくと摂取せっしゅとその言ことば異ことなりといへども、 その意こころこれ同おなじ。 しかれば不ふ清浄しょうじょうの行ぎょうを捨すてて、 清浄しょうじょうの行ぎょうを1205取とる。 上かみの天てん・人にんの善悪ぜんあく、 国こく土どの粗そ妙みょう、 その義ぎまたしかなり。 これに准じゅんじて知しるべし。

◇選択ト与↢摂取↡其ノ言雖モ↠異ナリト、其ノ意是同ジ。然レバ者捨テテ↢不清浄ノ行ヲ↡、取ル↢清浄之行ヲ↡也。上ノ天人之善悪、国土之麁妙、其ノ義亦然ナリ。准ジテ↠之ニ応シ↠知ル。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)明選択相
            (Ⅰ)総明諸願相
              (ⅰ)就五願明
                (a)明前四願

^それ四し十じゅう八はち願がんに約やくして、 一往いちおうおのおの選せん択じゃく摂取せっしゅの義ぎを論ろんぜば、

◇夫レ約シテ↢四十八願ニ↡、一往各ノ論ゼバ↢選択摂取之義ヲ↡者、

・第一願

^第だい一いちに▲*無む三さん悪趣まくしゅの願がんは、 覩と見けんするところの二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの土どのなかにおいて、 あるいは三さん悪趣まくしゅある国こく土どあり。 あるいは三さん悪趣まくしゅなき国こく土どあり。 すなはちその三さん悪趣まくしゅある粗そ悪あくの国こく土どを選捨せんしゃして、 その三さん悪趣まくしゅなき善ぜん妙みょうの国こく土どを選取せんしゅす。 ゆゑに選せん択じゃくといふ。

◇第一ニ▼無三悪趣ノ願者、於テ↧*所↢覩見スル↡之二百一十億ノ土ノ中ニ↥、或イハ有リ↧有ル↢三悪趣↡之国土↥。或イハ有リ↧無キ↢三悪趣↡之国土↥。即チ選↧捨シテ其ノ有ル↢三悪*趣↡麁悪ノ国土ヲ↥、選↧取ス其ノ無キ↢三悪*趣↡善妙ノ国土ヲ↥。故ニ云フ↢選択1269ト↡也。

・第二願

^第だい二にに▲*不ふ更きょう悪趣あくしゅの願がんは、 かの諸仏しょぶつの土どのなかにおいて、 あるいはたとひ国くにのなかに三さん悪道まくどうなしといへども、 その国くにの人天にんでん寿いのち終おわりて後のちに、 その国くにより去さりてまた三さん悪趣まくしゅに更かえる土どあり。 あるいは悪道あくどうに更かえらざる土どあり。 すなはちその悪道あくどうに更かえる粗そ悪あくの国こく土どを選捨せんしゃして、 その悪道あくどうに更かえらざる善ぜん妙みょうの国こく土どを選取せんしゅす。 ゆゑに選せん択じゃくといふ。

◇第二ニ▼不更悪趣ノ願者、於テ↢彼ノ諸仏ノ土ノ中ニ↡、或イハ有リ↧縦ヒ雖モ↣国ノ中ニ無シト↢三悪道↡、其ノ国ノ人天寿終リテ之後ニ、従リ↢其ノ国↡去リテ復更カヘル↢三悪趣ニ↡之土↥。或イハ有リ↧不ル↠更ラ↢悪*道ニ↡之土↥。即チ選↧捨シテ其ノ更ル↢悪*道ニ↡麁悪ノ国土ヲ↥、選↧取ス其ノ不ル↠更ラ↢悪*道ニ↡善妙ノ国*土ヲ↥。故ニ云フ↢選択ト↡也。

・第三願

^第だい三さんに▲*悉皆しっかい金色こんじきの願がんは、 かの諸仏しょぶつの土どのなかにおいて、 あるいは一いち土どのなかに*黄おう・白びゃく二に類るいの人天にんでんある国こく土どあり。 あるいはもつぱら黄金おうごん色じきの国こく土どあり。 すなはち黄おう・白びゃく二に類るいの粗そ悪あくの国こく土どを選捨せんしゃして、 黄金おうごん一色いっしきの善ぜん妙みょうの国こく土どを選取せんしゅす。 ゆゑに選せん択じゃくといふ。

◇第三ニ▼悉皆金色ノ願者、於テ↢彼ノ諸仏ノ土ノ中↡、或イハ有リ↧一土之中ニ有ル↢黄白二類ノ人天↡之国土↥。或イハ有リ↢純モハラ黄金色之国土↡。即チ選↢捨シテ黄白二類ノ麁悪ノ国土ヲ↡、選↢取ス黄金一色ノ善妙ノ国土ヲ↡。故ニ云フ↢選択ト↡也。

・第四願

^第だい四しに▲*無有むう好醜こうしゅの願がんは、 かの諸仏しょぶつの土どのなかにおいて、 あるいは人天にんでんの形ぎょう色しき好醜こうしゅ不ふ同どうの国こく土どあり。 あるいは形ぎょう色しき一類いちるいにして好醜こうしゅある1206ことなき国こく土どあり。 すなはち好醜こうしゅ不ふ同どうの粗そ悪あくの国こく土どを選捨せんしゃして、 好醜こうしゅあることなき善ぜん妙みょうの国こく土どを選取せんしゅす。 ゆゑに選せん択じゃくといふ。

◇第四ニ▼無有好醜ノ願者、於テ↢彼ノ諸仏ノ土ノ中↡、或イハ有リ↢人天ノ形色好醜不同之国土↡。或イハ有リ↧形色一類ニシテ無キ↠有ルコト↢好醜↡之国土↥。即チ選↢捨シテ好醜不同ノ麁悪ノ国土ヲ↡、選↧取ス無キ↠有ルコト↢好醜↡善妙ノ国土ヲ↥。故ニ云フ↢選択ト↡也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅰ)(b)明十八願

^乃ない至し、 第だい十じゅう八はちの△*念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がんは、 かの諸仏しょぶつの土どのなかにおいて、 あるいは布施ふせをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは持じ戒かいをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは忍辱にんにくをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは精しょう進じんをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは禅ぜん定じょうをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは般若はんにゃ 第一だいいち義ぎを信しんずる等とうこれなり。 をもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。

◇乃至▼第十八ノ念仏往生ノ願者、於テ↢彼ノ諸*仏ノ土ノ中ニ↡、▼或イハ有リ↧*以テ↢布施ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢持戒ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢忍辱ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢精進ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢禅定ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢般若ヲ↡ 信ズル↢第一義ヲ↡等是也 為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。

^あるいは菩ぼ提だい心しんをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは六念ろくねんをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは持じ経きょうをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは持じ呪しゅをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは起き立りゅう塔像とうぞう、 飯食ぼんじき沙門しゃもんおよび孝きょう養よう父母ぶも、 奉事ぶじ師し長ちょう等とうの種々しゅじゅの行ぎょうをもつておのおの往おう生じょうの行ぎょうとなす国こく土ど等とうあり。 あるいはもつぱらその国くにの仏ぶつの名みなを称しょうして往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。

◇▼或イハ有リ↧以テ↢菩提心ヲ↡為ル↢往生ノ*行ト↡之土↥。▼或イハ有リ↧以テ↢六念ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢持経ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢持呪ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧以テ↢起立塔像、飯食沙門及以 オヨビ 孝養父母、奉事師長等ノ種々之行ヲ↡各ノ為ル↢往生ノ行ト↡之国土等↥。或イハ有リ↧専ラ称シテ↢其ノ国ノ仏ノ名ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。

^かくのごとく一いち行ぎょうをもつて一仏いちぶつの土どに配はいすることは、 これしばらく一往いちおうの義ぎなり。 *再往さいおうこれを論ろんぜば、 その義ぎ不ふ定じょうなり。 あるいは一仏いちぶつの土どのなかに、 多た行ぎょうをもつて往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 あるいは多た仏ぶつの土どのなかに、 一いち行ぎょうをもつて通つうじ1207て往おう生じょうの行ぎょうとなす土どあり。 かくのごとく往おう生じょうの行ぎょう、 種々しゅじゅ不ふ同どうなり。 つぶさに述のぶべからず。

◇如ク↠此クノ以テ↢一行ヲ↡配スルコト↢一仏ノ土ニ↡者、是且ク一往之義也。再往論ゼバ↠之ヲ、其ノ義不1270定ナリ。或イハ有リ↧一仏ノ土ノ中ニ、以テ↢多行ヲ↡為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。或イハ有リ↧多仏ノ土ノ中ニ、以テ↢一行ヲ↡通ジテ為ル↢往生ノ行ト↡之土↥。▼如ク↠是クノ往生ノ行種々不同ナリ。不↠可カラ↢具ニ述ブ↡也。

^すなはちいま前さきの布施ふせ・持じ戒かい、 乃ない至し孝きょう養よう父母ぶも等とうの諸しょ行ぎょうを選捨せんしゃして、 専せん称しょう仏号ぶつごうを選取せんしゅす。 ゆゑに選せん択じゃくといふ。 しばらく五ごの願がんに約やくして略りゃくして選せん択じゃくを論ろんずること、 その義ぎかくのごとし。

◇▼即チ今選↢捨シテ前ノ布施・持戒、乃至孝養父母等ノ諸行ヲ↡、選↢取ス専称仏号ヲ↡。故ニ云フ↢選択ト↡也。且ク約シテ↢五ノ願ニ↡略シテ論ズルコト↢選択ヲ↡、其ノ義如シ↠是クノ。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)挙諸願行

^自余じよの諸願しょがんはこれに准じゅんじて知しるべし。

◇自余ノ諸願ハ准ジテ↠之ニ応シ↠知ル。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)別明生因
              (ⅰ)問

 ^問とひていはく、 あまねく諸願しょがんに約やくして粗そ悪あくを選捨せんしゃし善ぜん妙みょうを選取せんしゅすること、 その理りしかるべし。 なんがゆゑぞ、 第だい十じゅう八はちの願がんに、 一切いっさいの諸しょ行ぎょうを選捨せんしゃして、 ただひとへに念仏ねんぶつ一いち行ぎょうを選取せんしゅして往おう生じょうの本願ほんがんとなしたまふや。

◇▼問ヒテ曰ク、普ク約シテ↢諸願ニ↡選↢捨シ麁悪ヲ↡選↢取スルコト善妙ヲ↡、其ノ理可シ↠然ル。何ガ故ゾ第十八ノ願ニ、選↢捨シテ一切ノ諸行ヲ↡、唯偏ニ選↢取シテ念仏一行ヲ↡為シタマフ↢往生ノ本願ト↡乎。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)答
                (a)標二義

^答こたへていはく、 *聖しょう意い測はかりがたし。 たやすく解げすることあたはず。 しかりといへどもいま試こころみに二にの義ぎをもつてこれを解げせば、 一いちには↓勝しょう劣れつの義ぎ、 二にには↓難なん易いの義ぎなり。

◇答ヘテ曰ク、聖意難シ↠測リ。不↠能ハ↢輒タヤスク解スルコト↡。雖モ↠然リト今試ニ以テ↢二ノ義ヲ↡解セバ↠之ヲ、一ニ者勝劣ノ義、二ニ者難易ノ義ナリ。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)釈二義
                  (イ)【勝劣義】
                    [一]標

^初はじめの↑勝しょう劣れつとは、 念仏ねんぶつはこれ勝しょう、 余よ行ぎょうはこれ劣れつなり。

◇▼初ノ勝劣ト者、念仏ハ是勝、余行ハ是劣ナリ。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]釈

^所以ゆえんはいかんとならば、 名みょう号ごうはこれ万徳まんどくの帰きするところなり。 しかればすなはち弥陀みだ一仏いちぶつのあらゆる四智しち・三身さんしん・十じゅう力りき・四し無畏むい等とうの一切いっさいの*内ない証しょうの功く徳どく、 相好そうごう・光こう明みょう・説法せっぽう・利り生しょう等とうの一切いっさいの*外げ用ゆうの功く徳どく、 みなことごとく阿あ弥陀みだ仏ぶつの名みょう号ごうのなかに摂しょう在ざいせり。 ゆゑに名みょう号ごうの功く徳どくもつとも勝しょうとなす。 余よ行ぎょうはしからず。 お1208のおの一隅いちぐうを守まもる。 ここをもつて劣れつとなす。

◇*所以者何ントナラバ、名*号ハ是万徳之所↠帰スル也。然レバ則チ▼弥陀一仏ノ所有ノ四智・三身・十力・四無畏等ノ一切ノ内証ノ功徳、相好・光明・説法・利生等ノ一切ノ外用ノ功徳、皆悉ク摂↢在セリ阿弥陀*仏ノ名号之中ニ↡。故ニ名号ノ功徳最モ為ル↠勝ト也。余行ハ不↠然ラ。各ノ守ル↢一隅ヲ↡。是ヲ以テ為ル↠劣ト也。

^たとへば世せ間けんの屋舎おくしゃの、 その屋舎おくしゃの名みょう字じのなかには棟とう・*梁りょう・*椽てん・柱ちゅう等とうの一切いっさいの家具けぐを摂せっせり。 棟とう・梁りょう等とうの一々いちいちの名みょう字じのなかには一切いっさいを摂せっすることあたはざるがごとし。 これをもつて知しるべし。

◇譬ヘバ如シ↧世間ノ屋舎ノ、*其ノ屋舎ノ名字之中ニハ摂セリ↢棟ハリ 梁ウツハリ・ 椽タルキ・ 柱ハシラ等ノ一切ノ家具ヲ↡、棟梁等ノ一々ノ名字ノ中ニハ不ルガ↞能ハ↠摂スルコト↢一切ヲ↡。以テ↠之ヲ応シ↠知ル。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]結

^しかればすなはち仏ぶつの名みょう号ごうの功く徳どく、 余よの一切いっさいの功く徳どくに勝すぐれたり。 ゆゑに劣れつを捨すてて勝しょうを取とりてもつて本願ほんがんとなしたまへるか。

◇然レバ則チ仏ノ名号ノ功徳勝レタリ↢余ノ一切ノ功徳ニ↡。故ニ捨テテ↠劣ヲ取リテ↠勝ヲ以テ為シタマヘル↢本願ト↡歟。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【難易義】
                    [一]標

^次つぎに↑難なん易いの義ぎとは、 念仏ねんぶつは修しゅしやすし、 諸しょ行ぎょうは修しゅしがたし。

◇▼次ニ難易ノ義ト者、念仏1271ハ易シ↠修シ、諸行ハ難シ↠修シ。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]引文証
                      [Ⅰ]礼讃

^このゆゑに ¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「▲問とひていはく、 なんがゆゑぞ、 観かんをなさしめずしてただちにもつぱら名みょう字じを称しょうせしむるは、 なんの意こころかあるや。

是ノ故ニ¬往生礼讃ニ¼云ク、「問ヒテ曰ク、何ガ故ゾ不シテ↠令メ↠作サ↠観ヲ直ニ遣ムル↣専ラ称セ↢名字ヲ↡者、有ル↢何ノ意カ↡也。

^◆答こたへていはく、 すなはち衆しゅ生じょう障さわり重おもく、 境きょうは細ほそく心しんは粗あらし。 識しき颺あがり神たましい飛とびて、 観かん成じょう就じゅしがたきによるなり。 ここをもつて大だい聖しょう (釈尊) 悲ひ憐れんして、 ただちにもつぱら名みょう字じを称しょうせよと勧すすめたまふ。 まさしく称名しょうみょうの易やすきによるがゆゑに、 相続そうぞくしてすなはち生しょうず」 と。 以上

答ヘテ曰ク、乃チ由ル↣衆生障重ク、境ハ細ク心ハ麁シ、識颺アガリ神タマシヒ飛ビテ、観難キニ↢成就シ↡也。是ヲ以テ大聖悲憐シテ、直ニ勧メタマフ↣専ラ称セヨト↢名字ヲ↡。正シク由ルガ↢称名ノ易キニ↡故ニ、相続シテ即チ生ズト。」*已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]要集

^また ¬*往おう生じょう要よう集しゅう¼ (下) に、 「▲問とひていはく、 一切いっさいの善業ぜんごうおのおの利り益やくあり、 おのおの往おう生じょうを得う。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんを勧すすむるや。

又¬往生要集ニ¼「問ヒテ曰ク、一切ノ善業各ノ有リ↢利益↡、各ノ得↢往生ヲ↡、何ガ故ゾ唯勧ムルヤ↢念仏一門ヲ↡。

^◆答こたへていはく、 いま念仏ねんぶつを勧すすむることは、 これ余よの種々しゅじゅの妙行みょうぎょうを*遮しゃせんとにはあらず。 ただこれ男女なんにょ・貴き賎せん、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがを*簡えらばず、 時じ1209処しょ諸縁しょえんを論ろんぜず、 これを修しゅするに難かたからず、 乃ない至し、 臨りん終じゅうに往おう生じょうを願がん求ぐするに、 その便びん宜ぎを得えたるは念仏ねんぶつにしかざればなり」 と。 以上

答ヘテ曰ク、今勧ムルコトハ↢念仏ヲ↡、非ズ↣是遮セムトニハ↢余ノ種々ノ妙行ヲ↡。只是男女*貴賎、不↠簡バ↢行住坐臥ヲ↡、不↠論ゼ↢時処諸縁ヲ↡、修スルニ↠之ヲ不↠難カラ、乃至臨終ニ願↢求スルニ往生ヲ↡、得タルハ↢其ノ便宜ヲ↡不レバナリト↠如カ↢念仏ニ↡。」已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]釈其義
                      [Ⅰ]総示

^ゆゑに知しりぬ、 念仏ねんぶつは易やすきがゆゑに一切いっさいに通つうず。 諸しょ行ぎょうは難かたきがゆゑに諸しょ機きに通つうぜず。 しかればすなはち一切いっさい衆しゅ生じょうをして平びょう等どうに往おう生じょうせしめんがために、 難なんを捨すて易いを取とりて、 本願ほんがんとなしたまへるか。

故ニ知リヌ、念仏ハ*易キガ故ニ通ズ↢於一切ニ↡。諸行ハ難キガ故ニ不↠通ゼ↢諸機ニ↡。然レバ則チ為ニ↠令メムガ↢一切衆生ヲシテ平等ニ往生セ↡、捨テ↠難ヲ取リテ↠易ヲ、為シタマヘル↢本願ト↡歟。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]別示

^もしそれ造像ぞうぞう起き塔とうをもつて本願ほんがんとなさば、 貧びん窮ぐ困乏こんぼうの類たぐいはさだめて往おう生じょうの望のぞみを絶たたん。 しかも富貴ふきのものは少すくなく、 貧賎びんせんのものははなはだ多おおし。

若シ夫レ以テ↢造像起塔ヲ↡而為サバ↢本願ト↡*者貧窮困*乏ノ類ハ定メテ絶タム↢往生ノ望ヲ↡。然モ富貴ノ者ハ少ク貧賎ノ者ハ甚ダ多シ。

^もし智慧ちえ高才こうざいをもつて本願ほんがんとなさば、 愚ぐ鈍どん下智げちのものはさだめて往おう生じょうの望のぞみを絶たたん。 しかも智慧ちえのものは少すくなく、 愚痴ぐちのものははなはだ多おおし。

若シ以テ↢智*慧高才ヲ↡而為サバ↢本願ト↡者、愚鈍下智ノ者ハ定メテ絶タム↢往生ノ望ヲ↡。然モ智*慧ノ者ハ少ク愚痴ノ者ハ*甚ダ多シ。

^もし*多た聞もん多た見けんをもつて本願ほんがんとなさば、 少しょう聞もん少しょう見けんの輩ともがらはさだめて往おう生じょうの望のぞみを絶たたん。 しかも多た聞もんのものは少すくなく、 少しょう聞もんのものははなはだ多おおし。

若シ以テ↢多聞多見ヲ↡而為サバ↢本願ト↡者、少聞少見ノ輩ハ定メテ絶タム↢往生ノ望ヲ↡。然モ多聞ノ者ハ少ク少聞ノ者ハ甚ダ多シ。

^もし*持じ戒かい持じ律りつをもつて本願ほんがんとなさば、 破は戒かい無む戒かいの人ひとはさだめて往おう生じょうの望のぞみを絶たたん。 しかも持じ戒かいのものは少すくなく、 破は戒かいのものははなはだ多おおし。

若シ以テ↢持戒持律ヲ↡而為サバ↢本願ト↡者、破戒無戒ノ人ハ定メテ絶タム↢往生ノ望ヲ↡。然モ持戒ノ者ハ少ク破戒ノ者ハ甚ダ多シ。

^自余じよの諸しょ行ぎょうこれに准じゅんじて知しるべし。 まさに知しるべし、 上かみの諸しょ行ぎょう等とうをもつて本願ほんがんとなさば、 往おう生じょうを得うるものは少すくなく、 往おう生じょうせざるものは多おおからん。

自余ノ諸行准ジテ↠之ニ応シ↠知ル。当ニシ↠知ル、以テ↢上ノ諸1272行等ヲ↡而為サバ↢本願ト↡者、得ル↢往生ヲ↡者ハ少ク不ル↢往生セ↡者ハ多カラム。

^▼しかればすなはち弥陀みだ如来にょらい、 法蔵ほうぞう比丘びくの昔むかし平びょう等どうの慈じ1210悲ひに催もよおされて、 あまねく一切いっさいを摂せっせんがために、 造像ぞうぞう起き塔とう等とうの諸しょ行ぎょうをもつて往おう生じょうの本願ほんがんとなしたまはず。 ただ称名しょうみょう念仏ねんぶつ一いち行ぎょうをもつてその本願ほんがんとなしたまへり。

然レバ則チ弥陀如来、法蔵比丘之昔被テ↠催サ↢平等ノ慈悲ニ↡、普ク為ニ↠摂セムガ↢於一切ヲ↡、不↧以テ↢造像起塔等ノ諸行ヲ↡為シタマハ↦往生ノ本願ト↥。唯以テ↢称名念仏一行ヲ↡為シタマヘル↢其ノ本願ト↡也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅲ]引文結示

^ゆゑに*法ほっ照しょう禅ぜん師じの ¬*五会ごえ法ほう事じ讃さん¼ にいはく、

故ニ○▼法照禅師ノ¬五会法事讃ニ¼云 △ク、

^「▼かの仏ぶつの*因いん中ちゅうに弘ぐ誓ぜいを立たてたまへり。 名なを聞ききてわれを念ねんぜばすべて*迎むかへに来きたらん。

◆貧びん窮ぐと富貴ふきとを簡えらばず、 下智げちと高才こうざいとを簡えらばず、

^多た聞もんにして浄じょう戒かいを持たもつを簡えらばず、 破は戒かいにして罪根ざいこんの深ふかきをも簡えらばず。

◆ただ心しんを回えして*多おおく念仏ねんぶつせば、 よく*瓦が礫りゃくをして変へんじて金こがねとなさしめん」 と。 以上

「▼彼ノ仏ノ因中ニ立テタマヘリ↢弘誓ヲ↡聞キテ↠名ヲ念ゼバ↠我ヲ総ジテ迎ヘニ来ラム
不↠簡バ↣貧窮ト将トヲ↢富貴↡不↠簡バ↣下智ト与ヲ↢高才↡
不↠簡バ↣多聞ニシテ持ツヲ↢浄戒ヲ↡不↠簡バ↢破戒ニシテ罪根ノ深キヲモ↡
但使 タダ 廻シテ↠心ヲ多ク念仏セバ能ク令メムト↢瓦礫ヲシテ変ジテ成サ↟金ト」 已*上

二 ⅲ Ⅲ b 決本願成不
        イ 問

 ^問とひていはく、 一切いっさいの菩ぼ薩さつはその願がんを立たつといへども、 あるいは已い成じょう就じゅあり、 また未み成じょう就じゅあり。 いぶかし、 法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの四し十じゅう八はち願がんはすでに成じょう就じゅすとやなさん、 はた未み成じょう就じゅとやなさん。

○▼問ヒテ曰ク、一切ノ菩薩ハ雖モ↠立ツト↢其ノ願ヲ↡、或イハ有リ↢已成就↡、亦有リ↢*未成就↡。未審イブカシ、法蔵菩薩ノ四十八願ハ已ニ為サム↢成就ストヤ↡、将ハタ為サム↢未成就トヤ↡也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ 答【誓願成就】
          (一)総答

^答こたへていはく、 法蔵ほうぞうの誓願せいがん、 一々いちいちに成じょう就じゅす。

◇答ヘテ曰ク、法蔵ノ誓願、一々ニ成就ス。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)別答
            (Ⅰ)明三願成就

・第一願成就

^いかんとならば、 極楽ごくらく界かいのなかにすでに三さん悪趣まくしゅなし。 まさに知しるべし、 これすなはち△無む三さん悪趣まくしゅの願がん (第一願) を成じょう就じゅするなり。 なにをもつてか知しることを得うる。 すなはち願がん成じょう就じゅの文もん (大経・上) に、 「▲また地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく1211生しょう、 諸難しょなんの趣しゅなし」 といふこれなり。

◇何トナラバ者、▼極楽界ノ中ニ既ニ無シ↢三悪趣↡。当ニシ↠知ル、是即チ成↢就スル無三悪趣之願ヲ↡也。*何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。即チ願成就ノ文ニ云フ↣「亦無シト↢地獄・餓鬼・畜生、諸難之趣↡」是也。

・第二願成就

^またかの国くにの人天にんでん寿いのち終おわりて後のちに、 三さん悪趣まくしゅに更かえることなし。 まさに知しるべし、 これすなはち△不ふ更きょう悪趣あくしゅの願がん (第二願) を成じょう就じゅするなり。 なにをもつてか知しることを得うる。 すなはち願がん成じょう就じゅの文もん (大経・下) に、 「▲またかの菩ぼ薩さつ、 乃ない至し成じょう仏ぶつまで悪趣あくしゅに更かえらず」 といふこれなり。

又彼ノ国ノ人天寿終リテ之後ニ、無シ↠更カヘルコト↢三悪趣ニ↡。当ニシ↠知ル、是*即チ成↢就スル不更悪趣之願ヲ↡也。以テカ↠何ヲ得ル↠知ルコトヲ。即チ願成就ノ文ニ云フ↢「又彼ノ菩薩、乃至成仏マデニ不ト↟更ラ↢悪趣ニ↡」是也。

・第二十一願成就

^また極楽ごくらくの人天にんでんすでにもつて一人いちにんとして三さん十じゅう二に相そうを具ぐせずといふことあることなし。 まさに知しるべし、 これすなはち▲*具ぐ三さん十じゅう二に相そうの願がん (第二十一願) を成じょう就じゅするなり。 なにをもつてか知しることを得うる。 すなはち願がん成じょう就じゅの文もん (大経・下) に、 「▲かの国くにに生うまるるものは、 みなことごとく三さん十じゅう二に相そうを具ぐ足そくす」 といふこれなり。

○又極楽ノ人天既ニ以テ無シ↠有ルコト↢一人トシテ不トイフコト↟具セ↢▼三十二相ヲ↡。当ニシ↠知ル、是*即チ成↢就スル具三十二相ノ願ヲ↡也。以テカ↠何ヲ得ル↠知ルコトヲ。即チ願成就ノ文ニ云フ↧「生1273ルル↢彼ノ国ニ↡者ハ、皆悉ク具↦足スト三十二相ヲ↥」是也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)別明生因成就
              (ⅰ)例余推知

^かくのごとく初はじめ無む三さん悪趣まくしゅの願がん (第一願) より終おわり▲*得とく三さん法忍ぼうにんの願がん (第四十八願) に至いたるまで、 一々いちいちの誓願せいがんみなもつて成じょう就じゅす。 第だい十じゅう八はちの念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がん、 あに孤ひとりもつて成じょう就じゅせざらんや。 しかればすなはち念仏ねんぶつの人ひとみなもつて往おう生じょうす。

◇如ク↠是クノ初メ自リ↢無三悪趣ノ願↡終リ至ルマデ↢得三法忍ノ願ニ↡、一一ノ誓願皆以テ成就ス。第十八ノ念仏往生ノ願、豈ニ孤リ以テ不ラム↢成就セ↡乎。然レバ則チ▼念仏之人皆以テ往生ス。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)挙成就文

^なにをもつてか知しることを得うる。 すなはち念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がん成じょう就じゅの文もん (大経・下) に、 「▲*もろもろの衆しゅ生じょうありて、 その名みょう号ごうを聞ききて信心しんじん歓かん喜ぎして、 乃ない至し▽一念いちねん、 心しんを至いたして回え向こうしてかの国くにに生しょうぜんと願がんずれば、 すなはち往おう生じょうを得えて不ふ退転たいてんに住じゅうす」 といふこれなり。

◇◆以テカ↠何ヲ得ル↠知ルコトヲ。即チ念仏*往生ノ願成就ノ文ニ云フ↧「諸ノ有リテ↢衆生↡、聞キテ↢其ノ名号ヲ↡信心歓喜シテ、▼乃至▼一念至シテ↠心ヲ廻向シテ願ズレバ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡、▼即チ得テ↢往生ヲ↡住スト↦不退転ニ↥」是也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)就土況釈

^おほよそ四し十じゅう1212八はち願がん荘しょう厳ごんの浄じょう土どは、 華池けち・宝閣ほうかく、 願力がんりきにあらずといふことなし。 なんぞそのなかにおいて独ひとり念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がんを疑ぎ惑わくすべきや。

◇▼凡ソ四十八願荘厳ノ浄土ハ花池・宝閣無シ↠非ズトイフコト↢願力ニ↡。何ゾ於テ↢其ノ中ニ↡独リ可キ↣疑↢惑ス念仏往生ノ願ヲ↡乎。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)就仏比証

^しかのみならず一々いちいちの願がんの終おわりに、 「もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 といふ。 しかも阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 仏ぶつになりたまひてよりこのかたいまに十劫じっこう、 成じょう仏ぶつの誓ちかいすでにもつて成じょう就じゅせり。 まさに知しるべし、 一々いちいちの願がん*虚こ設せつすべからず。 ゆゑに善導ぜんどういはく (礼讃)、 「△かの仏ぶついま現げんに*世よにましまして仏ぶつになりたまへり。 まさに知しるべし、 本誓ほんぜい重じゅう願がん虚むなしからず、 衆しゅ生じょう称しょう念ねんすればかならず往おう生じょうを得う」 と。 以上

◇加之シカノミナラズ一々ノ願ノ終ニ云フ↢「若シ不ハ↠爾ラ者不ト↟取ラ↢正覚ヲ↡」。而モ阿弥陀仏成リタマヒテヨリ↠仏ニ已来タ於↠今十劫、成仏之誓既ニ以テ成就セリ。当ニシ↠知ル、一々之願不↠可カラ↢虚設ス↡。故ニ善導云ク、「彼ノ仏今現ニ在シテ↠世ニ成リタマヘリ↠仏ニ。当ニシ↠知ル、本誓重願不↠虚シカラ、衆生称念スレバ必ズ得ト↢往生ヲ↡。」已上

二 ⅲ Ⅲ c 釈願文
        イ 正釈
          (一)釈十念
            (Ⅰ)問

 ^問とひていはく、 ¬経きょう¼ (大経・上) には 「△十じゅう念ねん」 といふ、 ˆ善導ぜんどうのˇ 釈しゃくには 「△十じっ声しょう」 といふ。 念ねん・声しょうの義ぎいかん。

◇問ヒテ曰ク、¬経ニハ¼云フ↢「十念ト」↡、釈ニハ云フ↢「十声ト」↡。念声之義如何。

二 ⅲ Ⅲ c イ (一)(Ⅱ)答【念声是一】

^答こたへていはく、 念ねん・声しょうは是これ一いちなり。 なにをもつてか知しることを得うる。 ¬観かん経ぎょう¼ の下げ品ぼん下げ生しょうにのたまはく、 「▲声こえをして絶たえざらしめて、 十じゅう念ねんを具ぐ足そくして、 ª南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつº と称しょうせば、 仏ぶつの名みなを称しょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいて八はち十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞく」 と。 いまこの文もんによるに、 声しょうはこれ念ねんなり、 念ねんはすなはちこれ声しょうなり。 その意こころ明あきらけし。

◇答ヘテ曰ク、念声ハ是一ナリ。何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。¬観経ノ¼下品下生ニ云ク、「令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、具↢足シテ十念ヲ↡、称セバ↢南無阿弥陀仏ト↡、称スルガ↢仏ノ名ヲ↡故ニ、於テ↢念々ノ中ニ↡除クト↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。」今依ルニ↢此ノ文ニ↡、*声ハ是念ナリ、念ハ則チ是声ナリ。其ノ意明ケシ矣。

^しかのみならず ¬*大だい集じゅう月蔵がつぞう経きょう¼ にのたまはく、 「▲大念だいねんは大だい仏ぶつ1213を見み、 小しょう念ねんは小しょう仏ぶつを見みる」 と。 感かん師し (*懐感) の ¬釈しゃく¼ (*群疑論) にいはく、 「▲大念だいねんといふは大だい声しょうに仏ぶつを念ねんじ、 小しょう念ねんといふは小声しょうしょうに仏ぶつを念ねんずるなり」 と。 ゆゑに知しりぬ、 念ねんはすなはちこれ唱しょうなりと。

◇加之シカノミナラズ¬大集月蔵経ニ¼云ク、「大念ハ見↢大仏ヲ↡、小念ハ見ルト↢小仏ヲ↡。」▼感師ノ¬釈ニ¼云1274ク、「大念トイフ者大声ニ念ジ↠仏ヲ、小念トイフ者*小声ニ念ズルナリト↠仏ヲ。」故ニ知リヌ、念ハ即チ是唱也ト。

二 ⅲ Ⅲ c イ (二)釈乃至
            (Ⅰ)問

 ^問とひていはく、 ¬経きょう¼ (大経・上) には 「△乃ない至し」 といひ、 ˆ善導ぜんどうのˇ 釈しゃくには 「△下至げし」 といふ。 その意こころいかん。

◇問ヒテ曰ク、¬経ニハ¼云ヒ↢「乃至ト」↡、釈ニハ云フ↢「下至ト」↡。其ノ意如何ン。

二 ⅲ Ⅲ c イ (二)(Ⅱ)答【乃下合釈】

^答こたへていはく、 ▼乃ない至しと下至げしとその意こころこれ一いちなり。 ¬経きょう¼ に 「乃ない至し」 といふは、 多たより少しょうに向むかふ言ことばなり。 多たといふは上かみ一いち形ぎょうを尽つくすなり。 少しょうといふは下しも十じっ声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるなり。 釈しゃくに 「下至げし」 といふは、 下げとは上じょうに対たいする言ことばなり。 下げとは下しも十じっ声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるなり。 上じょうとは上かみ一いち形ぎょうを尽つくすなり。

◇答ヘテ曰ク、乃至ト与↢下至↡*其ノ意是一ナリ。¬経ニ¼云フ↢「乃至ト」↡者、従リ↠多向フ↠少ニ之言也。▼多トイフ者上尽ス↢一形ヲ↡也。少トイフ者下至ル↢十声・一声等ニ↡也。釈ニ云フ↢「下至ト」↡者、下ト者対スル↠上ニ之言也。下ト者下至ル↢十声・一声等ニ↡也。上ト者上尽ス↢一形ヲ↡也。

^上じょう下げ相対そうたいの文もんその例れい多おおしといへども、 *宿命しゅくみょう通つうの願がん (第五願) にのたまはく (大経・上)、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国くにのうちの人天にんでん宿命しゅくみょうを識しらずして、 下しも百ひゃく千億せんおく那由他なゆた諸劫しょこうの事じを知しらざるに至いたるといはば、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。

◇上下相対之文其ノ例*雖モ↠多シト、宿命通ノ願ニ云ク、「設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国ノ中ノ*人天不シテ↠識ラ↢宿命ヲ↡、下至ルトイハバ↠不ルニ↠知ラ↢百千億那由他諸劫ノ事ヲ↡者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

^かくのごとく*五ご神通じんずうおよび光こう明みょう・寿じゅ命みょう等とうの願がんのなかに、 一々いちいちに 「▲下至げし」 の言ことばを置おく。 これすなはち多たより少しょうに至いたり、 下げをもつて上じょうに対たいする義ぎなり。

◇▼如ク↠是クノ五神通及以 オヨビ 光明・寿命等ノ願ノ中ニ、一々ニ置ク↢「下至」之言ヲ↡。是則チ従リ↠多至リ↠少ニ、以テ↠下ヲ対スル↠上ニ之義也。

^上かみの八種はっしゅの願がんに例れいするに、 いまこの願がんの 「乃ない至し」 はすなはちこれ下至げしなり。 このゆゑにいま善導ぜんどうの引いん釈しゃくするところ1214の 「下至げし」 の言ことば、 その意こころ相そう違いせず。

◇例スルニ↢上ノ八種之願ニ↡、今此ノ願ノ「乃至」者即チ是下至也。是ノ故ニ今善導ノ所ノ↢引釈スル↡「下至」之言、其ノ意不↢相違セ↡。

二 ⅲ Ⅲ c ロ 因定願名

^ただし善導ぜんどうと諸しょ師しとその意こころ不ふ同どうなり。 *諸しょ師しの釈しゃくには別べっして十じゅう念ねん往おう生じょうの願がん (第十八願) といふ。 善導ぜんどう独ひとり総そうじて▼念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がんといへり。

◇但シ善導 △ト与↢諸師↡其ノ意不同ナリ。諸師之釈ニハ別シテ云フ↢十念往*生ノ願ト↡。善導独リ総ジテ云ヘリ↢念仏往*生ノ願ト↡。

^▼諸しょ師しの別べっして十じゅう念ねん往おう生じょうの願がんといふは、 その意こころすなはちあまねからず。 しかる所以ゆえんは、 上かみ一いち形ぎょうを捨すて、 下しも一念いちねんを捨すつるゆゑなり。 善導ぜんどうの総そうじて念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がんといふは、 その意こころすなはちあまねし。 しかる所以ゆえんは、 上かみ一いち形ぎょうを取とり、 下しも一念いちねんを取とるゆゑなり。

◇諸師ノ別シテ*云フ↢十念往生ノ願ト↡者、其ノ意即チ不↠周カラ也。所↢以然ル↡者、上捨テ↢一形ヲ↡、下捨ツル↢一念ヲ↡之故也。善導ノ総ジテ言フ↢念仏往生ノ願ト↡者、其ノ意即チ周シ也。所↢以然ル↡者、上取リ↢一形ヲ↡、下取ル↢一念ヲ↡之故也。

二 ⅳ【三輩章】
    Ⅰ 標章

【4】 ^三輩さんぱい念仏ねんぶつ往おう生じょうの文もん。

 1275▼三輩念仏往生*之文

二 ⅳ Ⅱ 引文
      a 総標

 ^「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª十方じっぽう世せ界かいの諸天しょてん・人民にんみん、 それ心しんを至いたしかの国くにに生しょうぜんと願がんずることあるに、 おほよそ三輩さんぱいあり。

「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、十方世界ノ諸天人民、其レ有ルニ↢至シ↠心ヲ願ズルコト↟生ゼムト↢彼ノ国ニ↡、凡ソ有リ↢三輩↡。

二 ⅳ Ⅱ b 別説
        イ 上輩

^◆その上じょう輩はいは、 ▽家いえを捨すて欲よくを棄すてしかも沙門しゃもんとなりて、 菩ぼ提だい心しんを発おこして▽一向いっこうにもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんじ、 もろもろの功く徳どくを修しゅしてかの国くにに生うまれんと願ねがふ。

其ノ上輩者、▼捨テ↠家ヲ棄テ↠欲ヲ而モ作リテ↢沙門ト↡、発シテ↢菩提心ヲ↡一向ニ専ラ念ジ↢無量寿仏ヲ↡、修シテ↢諸ノ功徳ヲ↡願フ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。

^◆これらの衆しゅ生じょうは、 寿いのち終おわる時ときに臨のぞみて、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつ、 もろもろの大衆だいしゅとその人ひとの前まえに現げんじて、 すなはちかの仏ぶつに随したがひてその国くにに往おう生じょうして、 すなはち七宝しっぽうの華はなのなかにおいて自じ然ねんに化け生しょうして不ふ退転たいてんに住じゅうす。 智慧ちえ勇ゆう猛みょう、 神通じんずう自じ在ざいなり。

此等ノ衆生ハ臨ミテ↢寿終ル時ニ↡、無量寿仏与↢諸ノ大衆↡現ジテ↢其ノ人ノ前ニ↡、即チ随ヒテ↢彼ノ仏ニ↡往↢生シテ其ノ国ニ↡、便チ於テ↢七宝ノ花ノ中ニ↡自然ニ化生シテ住ス↢不退転ニ↡。智*慧勇猛、神通自在ナリ。

^◆このゆゑに阿あ難なん、 それ衆しゅ生じょうありて今こん世ぜにお1215いて無む量りょう寿じゅ仏ぶつを見みたてまつらんと欲おもはば、 無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこし、 功く徳どくを修しゅ行ぎょうしかの国くにに生しょうぜんと願がんずべしº と。

是ノ故ニ阿難、其レ有リテ↢衆生↡欲ハバ↧於↢今世ニ↡見タテマツラムト↦無量寿仏ヲ↥、応シト↧発シ↢無上菩提之心ヲ↡、修↢行シ功徳ヲ↡願ズ↞生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。

二 ⅳ Ⅱ b ロ 中輩

 ^◆仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 ªその中ちゅう輩はいは、 十方じっぽう世せ界かいの諸天しょてん・人民にんみん、 それ心しんを至いたしてかの国くにに生しょうぜんと願がんずることあるに、 行ぎょうじて沙門しゃもんとなることあたはずといへども、 大おおきに功く徳どくを修しゅし、

仏*語リタマハク↢阿難ニ↡、其ノ中輩者、十方世界ノ諸天人民、其レ有ルニ↢至シテ↠心ヲ願ズルコト↟生ゼムト↢彼ノ国ニ↡、雖モ↠不ト↠能ハ↣行ジテ作ルコト↢沙門ト↡、大ニ修シ↢功徳ヲ↡、

^◆まさに無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこして、 ▽一向いっこうにもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんじ、 ◆多た少しょう善ぜんを修しゅし、 斎戒さいかいを奉持ぶじし、 ▽塔像とうぞうを起き立りゅうし、 沙門しゃもんに飯食ぼんじきせしめ、 繒ぞうを懸かけ、 灯とうを燃ともし、 華けを散さんじ、 香こうを焼たき、 これをもつて回え向こうしてかの国くにに生しょうぜんと願がんずべし。

当ニシ↧発シテ↢無上菩提之心ヲ↡、一向ニ専ラ念ジ↢無量寿仏ヲ↡、多少修シ↠善ヲ、▼奉↢持シ斎戒ヲ↡、▼起↢立シ塔像ヲ↡、▼飯↢食セシメ沙門ニ↡、▼懸ケ↠繒ヲ然シ↠灯ヲ、▼散ジ↠華ヲ焼キ↠香ヲ、以テ↠此ヲ廻向シテ願ズ↞生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。

^◆その人ひと終おわりに臨のぞみて、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつその身しんを化け現げんして、 光こう明みょう・相好そうごうつぶさに真仏しんぶつのごとし。 もろもろの大衆だいしゅとその人ひとの前まえに現げんじたまふ。 すなはち化け仏ぶつに随したがひてその国くにに往おう生じょうして、 不ふ退転たいてんに住じゅうす。 功く徳どく・智慧ちえ次ついで上じょう輩はいのもののごとしº と。

其ノ人臨ミテ↠終ニ、無量寿仏化↢現シテ其ノ身ヲ↡、光明相好具ニ如シ↢真仏ノ↡。与↢諸ノ大衆↡現ジタマフ↢其ノ人ノ前ニ↡。即チ随ヒテ↢化仏ニ↡往↢生シテ其ノ国ニ↡、住ス↢不退転ニ↡。功徳智*慧次イデ如シト↢上輩ノ者ノ↡也。

二 ⅳ Ⅱ b ハ 下輩

 ^◆仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªその下げ輩はいは、 十方じっぽう世せ界かいの諸天しょてん・人民にんみん、 それ心しんを至いたしてかの国くにに生しょうぜんと欲ほっすることあるに、 たとひもろもろの功く徳どくをなすことあたはずとも、

仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、其ノ下輩者、十方世界ノ諸天人民、其レ有ルニ↢至シテ↠心ヲ欲スルコト↟生ゼムト↢彼ノ国ニ↡、1276▼仮使 タトヒ 不トモ↠能ハ↠作スコト↢諸ノ功徳ヲ↡、

^◆まさに▽無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこして、 ▽一向いっこうに意こころをもつぱらにして、 乃ない至し十じゅう念ねん無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんじて、 その国くにに生しょうぜんと願がんずべし。 ◆もし深法じんぽうを聞きき歓かん喜ぎ信しん楽ぎょう1216して、 疑ぎ惑わくを生しょうぜず、 乃ない至し▽一念いちねんかの仏ぶつを念ねんじ、 至し誠じょう心しんをもつてその国くにに生しょうぜんと願がんず。

当ニシ↧発シテ↢無上菩提之心ヲ↡、一向ニ専ニシテ↠意ヲ、乃至十念念ジテ↢无量寿仏ヲ↡、願ズ↞生ゼムト↢其ノ国ニ↡。▼若シ聞キ↢深法ヲ↡▼歓喜信楽シテ不↠生ゼ↢疑惑ヲ↡、乃至一念念ジ↢於彼ノ仏ヲ↡、以テ↢至誠心ヲ↡願ズ↠生ゼムト↢其ノ国ニ↡。

^◆この人ひと終おわりに臨のぞみて、 *夢ゆめにかの仏ぶつを見みて、 また往おう生じょうすることを得う。 功く徳どく・智慧ちえ次ついで中ちゅう輩はいのもののごとしº」 (大経・下) と。

此ノ人臨ミテ↠終ニ、夢ニ見テ↢彼ノ仏ヲ↡、亦得↢往生スルコトヲ↡。功徳智*慧次イデ如シト↢中輩ノ者ノ↡也。」

二 ⅳ Ⅲ 私釈
      a 示三輩念仏
        イ 総明
          (一)問

 ^▽わたくしに問とひていはく、 上じょう輩はいの文もんのなかに、 念仏ねんぶつのほかにまた△捨しゃ家け棄き欲よく等とうの余よ行ぎょうあり。 中ちゅう輩はいの文もんのなかに、 また△起き立りゅう塔像とうぞう等とうの余よ行ぎょうあり。 下げ輩はいの文もんのなかに、 また△菩ぼ提だい心しん等とうの余よ行ぎょうあり。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ往おう生じょうといふや。

私ニ問ヒテ曰ク、上輩ノ文ノ中ニ、念仏之外ニ亦有リ↢捨家棄欲等ノ余行↡。中輩ノ文ノ中ニ、亦有リ↢起立塔像等ノ余行↡。下輩ノ文ノ中ニ、亦有リ↢菩提心等ノ余行↡。何ガ故ゾ唯云フ↢念仏往生ト↡乎。

二 ⅳ Ⅲ a イ (二)答

^答こたへていはく、 善導ぜんどう和か尚しょうの ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「▲またこの ¬経きょう¼ (大経) の下げ巻かんの初はじめにのたまはく、 ª仏ぶつ (釈尊)、 一切いっさい衆しゅ生じょうの根こん性じょうの不ふ同どうを説ときたまふに、 上じょう・中ちゅう・下げあり。 その根こん性じょうに随したがひて、 仏ぶつ、 みなもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつの名みなを念ねんぜよと勧すすめたまふ。 その人ひと命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 仏ぶつ (阿弥陀仏)、 聖しょう衆じゅとみづから来きたりて迎こう接しょうしたまひて、 ことごとく往おう生じょうを得えしめたまふº」 と。

答ヘテ曰ク、○善導和尚ノ▼¬観念法門ニ¼云ク、「又此ノ¬経ノ¼下巻ノ初ニ云ク、仏説キタマフニ↢一切衆生ノ▼根性ノ不同ヲ↡、有リ↢上中下↡。随ヒテ↢其ノ根性ニ↡、仏皆勧メタマフ↣専ラ念ゼヨト↢無量寿仏ノ名ヲ↡。其ノ人命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自ラ来リテ迎接シタマヒテ、尽ク得シメタマフト↢往生ヲ↡。」

^この釈しゃくの意こころによるに、 三輩さんぱいともに念仏ねんぶつ往おう生じょうといふ。

◇依ルニ↢此ノ釈ノ意ニ↡、三輩共ニ云フ↢念仏往生ト↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ 別具釈
          (一)問

 ^問とひていはく、 この釈しゃくいまだ前さきの難なんを遮しゃせず。 なんぞ余よ行ぎょうを棄すててただ念仏ねんぶつといふや。

◇問ヒテ曰ク、此ノ釈未ダ↠遮セ↢前ノ難ヲ↡。何ゾ棄テテ↢余行ヲ↡唯云フ↢念仏ト↡乎。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)答
            (Ⅰ)正示三義
              (ⅰ)総標

^答こたへていはく、 ▽これに三さんの意こころあり。 一いちには↓諸しょ行ぎょうを廃はいして念仏ねんぶつに帰きせしめんがためにしかも諸しょ行ぎょうを説とく。 二にには↓念仏ねんぶつを助じょ成じょうせんがために1217しかも諸しょ行ぎょうを説とく。 三さんには↓念仏ねんぶつ・諸しょ行ぎょうの二に門もんに約やくして、 おのおの三品さんぼんを立たてんがためにしかも諸しょ行ぎょうを説とく。

◇答ヘテ曰ク、*此ニ有リ↢三ノ意↡。一ニハ為ニ↧癈シテ↢諸行ヲ↡帰セシメムガ↦於念仏ニ↥而モ説ク↢諸行ヲ↡也。二ニハ為ニ↣助↢成セムガ念仏ヲ↡而モ説ク↢諸行ヲ↡也。三ニハ約シテ↢念仏・諸行ノ二門ニ↡、各ノ為ニ↠立テムガ↢三品ヲ↡而モ説ク↢諸行ヲ↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)別釈
                (a)【廃立】
                  (イ)標

 ^一いちに、 ↑諸しょ行ぎょうを廃はいして念仏ねんぶつに帰きせしめんがためにしかも諸しょ行ぎょうを説とくといふは、

◇▼一ニ為ニ↧廃シテ↢諸行ヲ↡帰セシメムガ↦於念仏ニ↥而モ説クトイフ↢諸行ヲ↡者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)釈
                    [一]引証述義

^善導ぜんどうの ¬観かん経ぎょう疏しょ¼ (散善義) のなかに、 「▲上かみよりこのかた定じょう散さん両りょう門もんの益やくを説とくといへども、 仏ぶつの本願ほんがんに望のぞむるに、 意こころ、 衆しゅ生じょうをして↓一向いっこうにもつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みなを称しょうせしむるにあり」 といふ釈しゃくの意こころに准じゅんじて、 しばらくこれを解げせば、 上じょう輩はいのなかに菩ぼ提だい心しん等とうの余よ行ぎょうを説とくといへども、 上かみの本願ほんがん (第十八願) に望のぞむるに、 意こころただ衆しゅ生じょうをしてもつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みなを称しょうせしむるにあり。

◇▼准ジテ↭*云フ↫善導ノ¬観経疏ノ¼*中ニ、「上ヨリ来コノカタ雖モ↠説クト↢定散両門之益ヲ↡、望ムルニ↢仏ノ本願ニ↡、意在リト↪衆1277生ヲシテ一向ニ専ラ称セシムルニ↩弥陀仏ノ名ヲ↨」之釈ノ意ニ↬、且ク解セバ↠之ヲ者、▼上輩之中ニ雖モ↠説クト↢菩提心等ノ余行ヲ↡、望ムルニ↢上ノ本願ニ↡、意唯在リ↣衆生ヲシテ専ラ称セシムルニ↢弥陀*仏ノ名ヲ↡。

^しかるに本願ほんがんのなかにさらに余よ行ぎょうなし。 三輩さんぱいともに上かみの本願ほんがんによるがゆゑに、 「△一向いっこう専念せんねん無む量りょう寿じゅ仏ぶつ」 (大経・下) といふ。

◇而ルニ本願ノ中ニ更ニ無シ↢余行↡。三*輩共ニ依ルガ↢上ノ本願ニ↡故ニ、云フ↢「一向専念無量寿仏ト」↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]約一向言

^「↑一向いっこう」 は二に向こう・三向さんこう等とうに対たいする言ことばなり。

◇▼「一向」者対スル↢二向三向等ニ↡之言也。

^例れいするに*かの▼五ご竺じく (印度) に三さん寺じあるがごとし。 一いちは一向いっこう大だい乗じょう寺じ、 この寺てらのなかには小乗しょうじょうを学がくすることなし。 二には一向いっこう小乗しょうじょう寺じ、 この寺てらのなかには大だい乗じょうを学がくすることなし。 三さんは大だい小しょう兼けん行ぎょう寺じ、 この寺てらのなかには大だい小しょう兼かね学がくす。 ゆゑに兼けん行ぎょう寺じといふ。 まさに知しるべし、 大だい小しょうの両りょう寺じには一向いっこうの言ことばあり。 兼けん行ぎょうの寺てらには一向いっこうの言ことばなし。

◇▼例スルニ如シ↣彼ノ五竺ニ有ルガ↢*三寺↡。一者一向大乗寺、此ノ寺之中ニハ無シ↠学スルコト↢小乗ヲ↡。二者一向小乗寺、此ノ寺之中ニハ無シ↠学スルコト↢大乗ヲ↡。三者大小兼*行寺、此ノ寺之中ニハ大小兼ネ学ス。故ニ云フ↢兼*行寺ト↡。当ニシ↠知ル、大小ノ両寺ニハ有リ↢一向ノ言↡。兼行之寺ニハ無シ↢一向ノ言↡。

^いまこの ¬経きょう¼ (大経・下1218) のなかの一向いっこうもまたしかなり。 もし念仏ねんぶつのほかにまた余よ行ぎょうを加くわへば、 すなはち一向いっこうにあらず。 もし寺てらに准じゅんぜば兼けん行ぎょうといふべし。 すでに一向いっこうといふ、 余よを兼かねざること明あきらけし。

◇▼今此ノ¬経ノ¼中ノ一向モ亦然ナリ。若シ念仏ノ外ニ亦加ヘバ↢余行ヲ↡、即チ非ズ↢一向ニ↡。若シ准ゼバ↠寺ニ者可シ↠云フ↢兼行ト↡。既ニ云フ↢一向ト↡、不ルコト↠兼ネ↠余ヲ明ケシ矣。

^すでに先さきに余よ行ぎょうを説とくといへども、 後のちに 「一向いっこう専念せんねん」 といふ。 あきらかに知しりぬ、 諸しょ行ぎょうを廃はいしてただ念仏ねんぶつを用もちゐるがゆゑに一向いっこうといふ。 もししからずは一向いっこうの言ことばもつとももつて*消けしがたきか。

◇既ニ先ニ雖モ↠説クト↢余行ヲ↡、後ニ云フ↢一向専念ト↡。明ニ知リヌ、癈シテ↢諸行ヲ↡唯用ヰルガ↢念仏ヲ↡故ニ云フ↢一向ト↡。若シ不ハ↠*爾ラ者一向之言最モ以テ叵キ↠消シ歟。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)【助正】
                  (イ)標

 ^二にに、 ↑念仏ねんぶつを助じょ成じょうせんがためにこの諸しょ行ぎょうを説とくとは、 これにまた二にの意こころあり。 一いちには↓*同類どうるいの善根ぜんごんをもつて念仏ねんぶつを助じょ成じょうす。 二にには↓*異い類るいの善根ぜんごんをもつて念仏ねんぶつを助じょ成じょうす。

◇▼二ニ為ニ↣助↢成セムガ念仏ヲ↡説クト↢此ノ諸行ヲ↡者、此ニ亦有リ↢二ノ意↡。一ニハ以テ↢同類ノ善根ヲ↡助↢成ス念仏ヲ↡。二ニハ以テ↢異類ノ善根ヲ↡助↢成ス念仏ヲ↡。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)釈
                    [一]明同類

^初はじめに↑同類どうるいの助じょ成じょうとは、 善導ぜんどう和か尚しょうの ¬観かん経ぎょうの疏しょ¼ (散善義) のなかに、 △五ご種しゅの助じょ行ぎょうを挙あげて念仏ねんぶつ一いち行ぎょうを助じょ成じょうすこれなり。 つぶさに上かみの正しょう雑ぞう二に行ぎょうのなかに説とくがごとし。

○初ニ同類ノ助成ト者、善導和尚ノ¬観経ノ疏ノ¼中ニ、挙ゲテ↢五種ノ助行ヲ↡助↢成ス念仏一行ヲ↡是也。具ニ如シ↢上ノ正雑二行之中ニ説クガ↡。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明異類

^次つぎに↑異い類るいの助じょ成じょうとは、

○*次ニ異類ノ助成ト者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ]上輩

^先まづ上じょう輩はいにつきて正しょう助じょを論ろんぜば、 「△一向いっこうにもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんず」 (大経・下) とはこれ正行しょうぎょうなり、 またこれ*所助しょじょなり。 △「家いえを捨すて欲よくを棄すて沙門しゃもんとなりて、 菩ぼ提だい心しんを発おこす」 (大経・下) 等とうはこれ助じょ行ぎょうなり、 またこれ*能助のうじょなり。

先ヅ就キテ↢上輩ニ↡而論ゼバ↢正助ヲ↡者、「一向ニ専ラ念ズト↢無量寿仏ヲ↡」者是正行也、亦1278是所助也。「▼捨テ↠家ヲ棄テ↠欲ヲ而作リテ↢沙門ト↡、発ス↢菩提心ヲ」等者是助行也、亦是能助也。

^いはく△往おう生じょうの業ごうには念仏ねんぶつを本ほんとなす。 ゆゑに一向いっこうに念仏ねんぶつを修しゅせんがために、 「家いえを捨すて欲よく1219を棄すて沙門しゃもんとなりて、 また菩ぼ提だい心しんを発おこす」 (大経・下) 等とうなり。 就中なかんずく出しゅっ家け・発心ほっしん等とうは、 しばらく*初しょ出しゅつおよび*初発しょほつを指さす。 念仏ねんぶつはこれ*長じょう時じ不ふ退たいの行ぎょう、 むしろ念仏ねんぶつを妨ぼう礙げすべけんや。

謂ク往生之業ニハ念仏ヲ為ス↠本ト。故ニ為ニ↣一向ニ修セムガ↢念仏ヲ↡、捨テ↠家ヲ棄テ↠欲ヲ而作リテ↢沙門ト↡、又発ス↢菩提心ヲ↡等也。就中ナカンヅク出家発心等者、且ク指ス↢初出及以 オヨビ 初発ヲ↡。念仏ハ是長時不退之行、寧ロ容ベケム↣妨↢ス念仏ヲ↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]中輩

^中ちゅう輩はいのなかに、 また△起き立りゅう塔像とうぞう・懸繒げんぞう・燃灯ねんとう・散さん華げ・焼しょう香こう等とうの諸しょ行ぎょうあり。 これすなはち念仏ねんぶつの助じょ成じょうなり。 その旨むね ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ (中) に見みえたり。 いはく助念じょねん方法ほうほうのなかの▲方処ほうしょ供具くぐ等とうこれなり。

中輩之中ニ、亦有リ↢起立塔像・懸繒・燃灯・散花・焼香等ノ諸行↡。是則チ念仏ノ助成也。其ノ旨見エタリ↢¬往生要集ニ¼↡。謂ク助念方法ノ中ノ方処供具等是也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]下輩

^下げ輩はいのなかに、 また△発心ほっしんあり、 また念仏ねんぶつあり。 助じょ正しょうの義ぎ前さきに准じゅんじて知しるべし。

下輩之中ニ、亦有リ↢発心↡、亦有リ↢念仏↡。助*正之義准ジテ↠前ニ可シ↠知ル。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)【傍正】
                  (イ)標

 ^三さんに、 ↑念仏ねんぶつ・諸しょ行ぎょうに約やくして、 おのおの三品さんぼんを立たてんがためにしかも諸しょ行ぎょうを説とくといふは、

○▼三ニ約シテ↢念仏・諸行ニ↡、各ノ為ニ↠立テムガ↢三品ヲ↡而モ説クトイフハ↢諸行ヲ↡者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)釈
                    [一]念仏三品

^先まづ念仏ねんぶつに約やくして三品さんぼんを立たつとは、 いはくこの三輩さんぱいのなかに、 通つうじてみな 「△一向いっこう専念せんねん無む量りょう寿じゅ仏ぶつ」 (大経・下) といふ。 これすなはち念仏ねんぶつ門もんに約やくしてその三品さんぼんを立たつ。 ゆゑに ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ (下) の念仏ねんぶつ証しょう拠こ門もんにいはく、 「▲¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) の三輩さんぱいの業ごう、 浅深せんじんありといへども、 しかも通つうじてみな ª一向いっこう専念せんねん無む量りょう寿じゅ仏ぶつº といふ」 と。 感かん師し (懐感) これに同おなじ。

先ヅ約シテ↢念仏ニ↡立ツト↢三品ヲ↡者、謂ク此ノ三輩ノ中ニ、通ジテ皆云フ↢「一向専念無量寿仏ト」↡。是則チ約シテ↢念仏門ニ↡立ツル↢其ノ三品ヲ↡也。故ニ¬往生要集ノ¼念仏証拠門ニ云ク、「¬双巻経ノ¼三輩之業、雖モ↠有リト↢浅深↡、然モ通ジテ皆云フト↢一向専念無量寿仏ト↡。」 感師同ジ↠*之ニ

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)[二]諸行三品

^次つぎに諸しょ行ぎょう門もんに約やくして三品さんぼんを立たつとは、 いはくこの三輩さんぱいのなかに通つうじてみな菩ぼ提だい心しん等とうの諸しょ行ぎょうあり。 これすなはち諸しょ行ぎょうに約やくしてその三品さんぼんを立たつ。 ゆゑに ¬往おう生じょう1220要よう集しゅう¼ (下) の諸しょ行ぎょう往おう生じょう門もんにいはく、 「▲¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) の三輩さんぱいまたこれを出いでず」 と。 以上

次ニ約シテ↢諸行門ニ↡立ツト↢三品ヲ↡者、▼謂ク此ノ三輩ノ中ニ通ジテ皆有リ↢菩提心等ノ諸行↡。是則チ約シテ↢諸行ニ↡立ツル↢其ノ三品ヲ↡也。故ニ¬往生要集ノ¼諸行往生門ニ云ク、「¬双巻経ノ¼三輩亦不ト↠出デ↠此ヲ。」 已上

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)結示

 ^おほよそかくのごときの三さん義ぎ不ふ同どうありといへども、 ともにこれ一向いっこう念仏ねんぶつのための所以ゆえんなり。

凡ソ如キノ↠此クノ三義雖モ↠有リト↢不同↡、共ニ是所↣以為ノ↢一向念仏ノ↡也。

^初はじめの義ぎはすなはちこれ廃はい立りゅうのために説とく。 いはく▼諸しょ行ぎょうは廃はいせんがために説とく、 念仏ねんぶつは立りゅうせんがために説とく。 次つぎの義ぎはすなはちこれ助じょ正しょうのために説とく。 いはく念仏ねんぶつの正しょう業ごうを助たすけんがために諸しょ行ぎょうの助業じょごうを説とく。 後のちの義ぎはすなはちこれ傍ぼう正しょうのために説とく。 いはく念仏ねんぶつ・諸しょ行ぎょうの二に門もんを説とくといへども、 念仏ねんぶつをもつて正しょうとなし、 諸しょ行ぎょうをもつて傍ぼうとなす。

初ノ義ハ即チ是為ニ↢癈立ノ↡而説ク。謂ク諸1279行ハ為ニ↠癈セムガ而説ク、念仏ハ為ニ↠立テムガ而説ク。次ノ義ハ即チ是為ニ↢助正ノ↡而説ク。謂ク為ニ↠助ケムガ↢念仏之正業ヲ↡而説ク↢諸行之助業ヲ↡。後ノ義ハ即チ是為ニ↢傍正ノ↡而説ク。謂ク雖モ↠説クト↢念仏・諸行ノ二門ヲ↡、以テ↢念仏ヲ↡而為シ↠正ト、以テ↢諸行ヲ↡而為ス↠傍ト。

^ゆゑに三輩さんぱい通つうじてみな念仏ねんぶつといふ。

故ニ云フ↢三輩通ジテ皆念仏ト↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)決判

^ただしこれらの三さん義ぎは*殿最でんさい知しりがたし。 請こふ、 もろもろの学者がくしゃ、 取捨しゅしゃ心こころにあり。 いまもし善導ぜんどうによらば、 初はじめ (廃立) をもつて正しょうとなすのみ。

但シ▼此等ノ三義ハ殿最難シ↠知リ。請フ、諸ノ学者、取捨在リ↠心ニ。今若シ▼依ラバ↢善導ニ↡、以テ↠初ヲ為ス↠正ト耳。

二 ⅳ Ⅲ b 示二経旨同【輩品開合】
        イ 問

 ^問とひていはく、 三輩さんぱいの業ごうみな念仏ねんぶつといふ。 その義ぎしかるべし。 ただし ¬観かん経ぎょう¼ の九く品ぼんと ¬寿じゅ経きょう¼ (大経) の三輩さんぱいと、 本もとこれ*開合かいごうの異いなり。 もししからば、 なんぞ ¬寿じゅ経きょう¼ の三輩さんぱいのなかにはみな念仏ねんぶつといひ、 ¬観かん経ぎょう¼ の九く品ぼんに至いたりて上じょう・中ちゅうの二に品ほんには念仏ねんぶつを説とかず、 下げ品ぼんに至いたりてはじめて念仏ねんぶつを説と1221くや。

問ヒテ曰ク、▼三輩之業皆云フ↢念仏ト↡。其ノ義可シ↠然ル。但シ¬観経ノ¼九品ト与↢¬寿経ノ¼三輩↡、本是開合ノ異也。若シ爾ラバ者、何ゾ¬寿経ノ¼三輩之中ニハ皆云ヒ↢念仏ト↡、至リテ↢¬観経ノ¼九品ニ↡上中ノ二品ニハ不↠説カ↢念仏ヲ↡、至リテ↢下品ニ↡始テ説ク↢念仏ヲ↡也。

二 ⅳ Ⅲ b ロ 答
          (一)標

^答こたへていはく、 これに二にの義ぎあり。

答ヘテ曰ク、此ニ有リ↢二ノ義↡。

二 ⅳ Ⅲ b ロ (二)釈
            (Ⅰ)縦答

^一いちには*問端もんたんにいふがごとく、 ¬双巻そうかん¼ (大経) の三輩さんぱいと ¬観かん経ぎょう¼ の九く品ぼんとは開合かいごうの異いならば、 これをもつて知しるべし、 九く品ぼんのなかにみな念仏ねんぶつあるべし。 いかんが知しることを得うる。 三輩さんぱいのなかにみな念仏ねんぶつあり。 九く品ぼんのなかなんぞ念仏ねんぶつなからんや。

一ニハ如ク↢*問端ニ云フガ↡、¬双巻ノ¼三輩ト¬観経ノ¼九品トハ開合ノ異ナラバ者、以テ↠此ヲ応シ↠知ル、九品之中ニ皆可シ↠有ル↢念仏↡。云何ガ得ル↠知ルコトヲ。三輩之中ニ皆有リ↢念仏↡。九品之中盍ゾ無カラム↢念仏↡乎。

^ゆゑに ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ (下) にいはく、 「▲問とふ。 念仏ねんぶつの行ぎょう、 九く品ぼんのなかにおいてこれいづれの品ほんの摂しょうぞや。 ◆答こたふ。 ▽もし説せつのごとく行ぎょうぜば、 理り上上じょうじょうに当あたれり。 かくのごとく▽その勝しょう劣れつに随したがひて九く品ぼんを分わかつべし。 しかるに ¬経きょう¼ (観経) に説とくところの九く品ぼんの行ぎょう業ごうはこれ一端いったんを示しめす。 理り実じつに無む量りょうなり」 と。 以上 ゆゑに知しりぬ、 念仏ねんぶつまた九く品ぼんに通つうずべしといふことを。

故ニ¬往生要集ニ¼云ク、「問フ。念仏之行於テ↢九品ノ中ニ↡是何レノ品ノ摂ゾヤ。答フ。▼若シ如ク↠説ノ行ゼバ、理当レリ↢上々ニ↡。如ク↠是クノ随ヒテ↢其ノ勝劣ニ↡応シ↠分ツ↢九品ヲ↡。然ルニ¬経ニ¼所ノ↠説ク九品ノ行業ハ是示ス↢一端ヲ↡。理実ニ無量ナリト。」 已*上 故ニ知リヌ、念仏亦可シトイフコトヲ↠通ズ↢九品ニ↡。

二 ⅳ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)奪答

^二にには ¬観かん経ぎょう¼ の意こころ、 初はじめ広ひろく定じょう散さんの行ぎょうを説ときて、 あまねく*衆しゅ機きに逗とうず。 後のちには定じょう散さん二に善ぜんを廃はいして、 念仏ねんぶつ一いち行ぎょうに帰きす。 いはゆる 「▲汝好にょこう持じ是語ぜご」 等とうの文もんこれなり。 その義ぎ▽下しもにつぶさに述のぶるがごとし。 ゆゑに知しりぬ、 九く品ぼんの行ぎょうはただ念仏ねんぶつにありといふことを。

二ニハ¬観経¼之意初メ広ク説キテ↢定散之行ヲ↡、普ク逗ズ↢衆機ニ↡。後ニハ癈シテ↢定散二善ヲ↡、帰ス↢念仏一行ニ↡。所謂ル「汝好持是語」等之文是也。其ノ義如シ↢下ニ具1280ニ述ブルガ↡。故ニ知リヌ、九品之行ハ唯在リトイフコトヲ↢念仏ニ↡矣。

二 ⅴ【利益章】
    Ⅰ 標章

【5】 ^念仏ねんぶつ利り益やくの文もん。

 ○念仏利益之文

二 ⅴ Ⅱ 引文
      a 大経

 ^1222¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の下げにのたまはく、 「▲仏ぶつ、 弥み勒ろくに語かたりたまはく、 ªそれかの仏ぶつの名みょう号ごうを聞きくことを得うることありて、 歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくし、 乃ない至し↓一念いちねんせん。 まさに知しるべし、 この人ひとは↓大だい利りを得うとなす。 すなはちこれ▽↓無む上じょうの功く徳どくを具ぐ足そくすº」 と。

◇▼¬無量寿経ノ¼下ニ云ク、「▼仏語リタマハク↢弥勒ニ↡、其レ有リテ↠得ルコト↠聞クコトヲ↢▼彼ノ仏ノ名号ヲ↡、▼歓喜踊躍シ、▼乃至一念セム。当ニシ↠知ル、此ノ人ハ▼為ス↠得ト↢▼大利ヲ↡。則チ是具↢足スト▼無上ノ功徳ヲ↡。」

二 ⅴ Ⅱ b 礼讃

 ^善導ぜんどうの ¬礼讃らいさん¼ にいはく、

◇善導ノ▼¬礼讃ニ¼云ク、

^「▲それかの弥陀みだ仏ぶつの名みょう号ごうを聞きくことを得うることありて、

歓かん喜ぎして一念いちねんを至いたすもの、 みなまさにかしこに生しょうずることを得うべし」 と。

「其レ有リテ↠得ルコト↠聞クコトヲ↢彼ノ弥陀仏ノ名号ヲ↡
歓喜シテ至スモノ↢▼一念ヲ↡▼皆当ニシト↠得↠生ズルコトヲ↠彼ニ」

二 ⅴ Ⅲ 私釈
      a 独讃所以
        イ 問

 ^わたくしに問とひていはく、 上かみの三輩さんぱいの文もんに准じゅんずるに、 念仏ねんぶつのほかに菩ぼ提だい心しん等とうの功く徳どくを挙あぐ。 なんぞかれらの功く徳どくを歎ほめずして、 ただ独ひとり念仏ねんぶつの功く徳どくを讃ほむるや。

私ニ問ヒテ曰ク、▼准ズルニ↢上ノ三輩ノ文ニ↡、念仏之外ニ挙グ↢菩提心*等ノ功徳ヲ↡。何ゾ不シテ↠歎メ↢彼等ノ功徳ヲ↡、唯独リ讃ムル↢念仏ノ功徳ヲ↡乎。

二 ⅴ Ⅲ a ロ 答

^答こたへていはく、 聖しょう意い測はかりがたし。 さだめて深ふかき意こころあらんか。 しばらく善導ぜんどうの一いち意いによりてしかもこれをいはば、 原もとそれ仏ぶつ意いはまさしくただちにただ念仏ねんぶつの行ぎょうを説とかんと欲ほっすといへども、 機きに随したがひて一往いちおう菩ぼ提だい心しん等とうの諸しょ行ぎょうを説ときて、 三輩さんぱいの浅深せんじん不ふ同どうを分別ふんべつす。

答ヘテ曰ク、聖意難シ↠測リ。定メテ有ラムカ↢深キ意↡。且ク依リテ↢善導ノ一意ニ↡而モ謂ハバ↠之ヲ者、原モト夫レ仏意ハ正シク直ニ雖モ↠欲スト↠説カムト↢唯シ念仏之*行ヲ↡、随ヒテ↠機ニ一往説キテ↢菩提心等ノ諸行ヲ↡、分↢別ス三輩ノ浅深不同ヲ↡。

^しかるをいま諸しょ行ぎょうにおいてはすでに捨すてて歎ほめたまはず。 置おきて論ろんずべからざるものなり。 ただ念仏ねんぶつの一いち行ぎょうにつきてすでに選えらびて讃歎さんだんす。 思おもひて分別ふんべつすべきものなり。

然ルヲ今於テ↢諸行ニ↡者既ニ捨テテ而不↠歎メタマハ。置キテ而不ル↠可カラ↠論ズ者也。唯就キテ↢念仏ノ一行ニ↡既ニ選ビテ而讃歎ス。思ヒテ而容ベキ↢分別ス↡者也。

二 ⅴ Ⅲ b 明念仏三輩
        イ 標列

^もし念仏ねんぶつに約やくして三輩さんぱいを分別ふんべつせば、 これに二にの意こころあり。 一いちには観念かんねんの↓浅深せんじんに随したがひて1223これを分別ふんべつす。 二にには念仏ねんぶつの↓多た少しょうをもつてこれを分別ふんべつす。

▼若シ約シテ↢念仏ニ↡分↢別セバ三輩ヲ↡、此ニ有リ↢二ノ意↡。一ニハ随ヒテ↢観念ノ浅深ニ↡而分↢別ス之ヲ↡。二ニハ以テ↢念仏ノ多少ヲ↡而分↢別ス之ヲ↡。

二 ⅴ Ⅲ b ロ 随釈
          (一)約観念浅深

^↑浅深せんじんは上かみに引ひくところのごとし。 「△もし説せつのごとく行ぎょうぜば、 理り上上じょうじょうに当あたれり」 (往生要集・下) と、 これなり。

▼浅深者如シ↢上ニ所ノ↟*引ク。「若シ如ク↠説ノ行ゼバ、理当レリト↢上上ニ↡」是也。

二 ⅴ Ⅲ b ロ (二)約口称多少

^次つぎに↑多た少しょうは、 下げ輩はいの文もんのなかにすでに十じゅう念ねん乃ない至し一念いちねんの数かずあり。 上じょう・中ちゅうの両りょう輩はいはこれに准じゅんじて随したがひて増ぞうすべし。 ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「▲日別にちべつに念仏ねんぶつ一いち万遍まんべん、 またすべからく時ときによりて浄じょう土どの荘しょう厳ごんを礼讃らいさんすべし。 はなはだ精しょう進じんすべし。 あるいは三万さんまん・六万ろくまん・十じゅう万まんを得うるものは、 みなこれ上じょう品ぼん上生じょうしょうの人ひとなり」 と。

▼次ニ多少者、下輩ノ文ノ中ニ既ニ有リ↢十念乃至一念ノ数↡。上中1281ノ両輩ハ准ジテ↠此ニ随ヒテ増スベシ。¬観念法門ニ¼云ク、「▼日別ニ念*仏一万*遍、亦須クシ↣依リテ↠時ニ礼↢讃ス浄土ノ荘*厳ヲ↡。太ハナハダ須シ↢精進ス↡。或イハ得ル↢三万・六万・十万ヲ↡者ハ、皆是上品上生ノ人ナリト。」

^まさに知しるべし、 三万さんまん以い上じょうはこれ上じょう品ぼん上生じょうしょうの業ごう、 三万さんまん以去いこは上じょう品ぼん以下いげの業ごうなり。 すでに念数ねんじゅの多た少しょうに随したがひて*品ほん位いを分別ふんべつすることこれ明あきらけし。

▼当ニシ↠知ル、三万已上ハ是上品上生ノ業、三万已*去ハ上品已下ノ業ナリ。既ニ随ヒテ↢念数ノ多少ニ↡分↢別スルコト品位ヲ↡是明ケシ矣。

二 ⅴ Ⅲ c 就文示
        イ 釈経文
          (一)一念

^いまこの 「↑一念いちねん」 といふは、 これ上かみの念仏ねんぶつの願がん成じょう就じゅ (第十八願成就文) のなかにいふところの△一念いちねんと下げ輩はいのなかに明あかすところの△一念いちねんとを指さす。 願がん成じょう就じゅの文もんのなかに一念いちねんといふといへども、 いまだ功く徳どくの大だい利りを説とかず。 また下げ輩はいの文もんのなかに一念いちねんといふといへども、 また功く徳どくの大だい利りを説とかず。 この ˆ流る通分ずうぶんのˇ 一念いちねんに至いたりて、 説ときて大だい利りとなし、 歎ほめて無む上じょうとなす。 まさに知しるべし、 これ上かみの一念いちねんを指さす。

今此ノ言フ↢「一念ト」↡者、▼是指ス↣上ノ念仏ノ願成就之中ニ所ノ↠言フ一念ト与ヲ↢下輩之中ニ所ノ↠明ス一念↡也。願成就ノ文ノ中ニ雖モ↠云フト↢一念ト↡、*未ダ↠説カ↢功徳ノ大利ヲ↡。又下輩ノ文ノ中ニ雖モ↠云フト↢一念ト↡、亦不↠説カ↢功徳ノ大利ヲ↡。至リテ↢此ノ一念ニ↡、説キテ為シ↢大利ト↡、歎メテ為ス↢無上ト↡。当ニシ↠知ル、是指ス↢上ノ一念ヲ↡也。

二 ⅴ Ⅲ c イ (二)大利【大利無上】

^この 「↑大だい利り」 とはこれ小しょう利りに対たいする言ことばなり。 しかればすなはち菩ぼ提だい心しん等とうの諸しょ行ぎょう1224をもつて小しょう利りとなし、 乃ない至し一念いちねんをもつて大だい利りとなす。

此ノ▼大利ト者是対スル↢小利ニ↡之言也。然レバ則チ以テ↢菩提心等ノ諸行ヲ↡而為シ↢小利ト↡、以テ↢乃至一念ヲ↡而為ル↢大利ト↡也。

二 ⅴ Ⅲ c イ (三)無上

^また 「↑無む上じょうの功く徳どく」 とはこれ有う上じょうに対たいする言ことばなり。 余よ行ぎょうをもつて有う上じょうとなし、 念仏ねんぶつをもつて無む上じょうとなす。

又▼「無上ノ功徳ト」者是対スル↢有上ニ↡之言也。以テ↢余行ヲ↡而為シ↢有上ト↡、以テ↢念仏ヲ↡而為ル↢無上ト↡也。

^すでに一念いちねんをもつて一いち無む上じょうとなす。 まさに知しるべし、 十じゅう念ねんをもつて十じゅう無む上じょうとなし、 また百ひゃく念ねんをもつて百ひゃく無む上じょうとなし、 また千念せんねんをもつて千せん無む上じょうとなす。 かくのごとく*展転てんでんして少しょうより多たに至いたる。 念仏ねんぶつ恒沙ごうじゃなれば、 無む上じょうの功く徳どくまた恒沙ごうじゃなるべし。 かくのごとく知しるべし。

○▼既ニ以テ↢一念ヲ↡為ス↢一無上ト↡。当ニシ↠*知ル、以テ↢十念ヲ↡為シ↢十無上ト↡、又以テ↢百念ヲ↡為シ↢百無上ト↡、又以テ↢千念ヲ↡為ス↢千無上ト↡。如ク↠是クノ展転シテ従リ↠少至ル↠多ニ。念仏恒沙ナレバ無上ノ功徳復応シ↢恒沙ナル↡。如ク↠是クノ応シ↠知ル。

二 ⅴ Ⅲ c ロ 結勧

^しかればもろもろの往おう生じょうを願がん求ぐせん人ひと、 なんぞ無む上じょう大だい利りの念仏ねんぶつを廃はいして、 あながちに有う上じょう小しょう利りの余よ行ぎょうを修しゅせんや。

然レバ*者▼諸ノ願↢求セム往生ヲ↡之人、何ゾ癈シテ↢無上大利ノ念仏ヲ↡、強チニ修セム↢有上小利ノ余行ヲ↡乎。

二 ⅵ 特留念仏章【特留章】
    Ⅰ 標章

【6】 ^*末法まっぽう万年まんねんの後のちに余よ行ぎょうことごとく滅めっし、 ↓特ことに念仏ねんぶつを留とどめたまふ文もん。

 ○▼末法万年ノ後ニ余行悉ク滅シ、特ニ留メタマフ↢念仏ヲ↡*之文

二 ⅵ Ⅱ 引文

 ^¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の下げ巻かんにのたまはく、 「▲当来とうらいの世よに▽経きょう道どう滅尽めつじんせんに、 ▽われ慈悲じひをもつて哀愍あいみんして、 ↓特ことにこの経きょうを留とどめて▽止し住じゅうすること百ひゃく歳さいならしめん。 それ衆しゅ生じょうありてこの経きょうに値あふもの、 意こころの所願しょがんに随したがひてみな得とく度どすべし」 と。

◇▼¬無1282量寿経ノ¼下巻ニ云ク、「▼当来之世ニ▼経道滅尽セムニ、▼我以テ↢慈悲ヲ↡哀愍シテ、▼特ニ留メテ↢此ノ経ヲ↡▼止住スルコト百歳ナラシメム。▼其レ有リテ↢衆生↡▼値ハム↢*此ノ経ニ↡者、▼随ヒテ↢意ノ所願ニ↡皆可シト↢得度ス↡。」

二 ⅵ Ⅲ 私釈
      a 釈特留念仏義
        イ 特留文意
          (一)問

 ^わたくしに問とひていはく、 ¬経きょう¼ (大経・下) にただ 「↑特どく留る此し経きょう止し住じゅう百ひゃく歳さい」 といひて、 まつたくいまだ 「特どく留る念仏ねんぶつ止し住じゅう百ひゃく歳さい」 といはず。 しかるにいま1225なんぞ 「↑特どく留る念仏ねんぶつ」 といふや。

私ニ問ヒテ曰ク、¬経ニ¼唯云ヒテ↢「特留此経止住百歳ト」↡、*全ク*未ダ↠云ハ↢「特留念仏止住百歳ト」↡。然ルニ今何ゾ云フ↢「特留念*仏ト」哉。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)答
            (Ⅰ)直釈

^答こたへていはく、 この経きょうの*詮せんずるところまつたく念仏ねんぶつにあり。 その旨むね△前さきに見みえたり。 再ふたたび出いだすにあたはず。 善導ぜんどう・懐え感かん・恵え心しん (源信) 等とうの意こころまたかくのごとし。 しかればすなはちこの経きょうの 「止し住じゅう」 は、 すなはち念仏ねんぶつの止し住じゅうなり。

答ヘテ曰ク、▼此ノ経ノ所↠詮ズル全ク在リ↢念仏ニ↡。其ノ旨見ヘタリ↠前ニ。不↠能ハ↢再ビ出スニ↡。善導・懐感・*恵心等ノ意亦復如シ↠是クノ。然レバ則チ▼此ノ経ノ「止住ト」者、即チ念仏ノ止住也。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)(Ⅱ)挙由

^しかる所以ゆえんは、 この経きょうに菩ぼ提だい心しんの言ことばありといへども、 いまだ菩ぼ提だい心しんの*行ぎょう相そうを説とかず。 また持じ戒かいの言ことばありといへども、 いまだ持じ戒かいの行ぎょう相そうを説とかず。 しかるに菩ぼ提だい心しんの行ぎょう相そうを説とくことは広ひろく ¬*菩ぼ提だい心しん経ぎょう¼ 等とうにあり。 かの経きょう先さきに滅めっしなば、 菩ぼ提だい心しんの行ぎょうなにによりてかこれを修しゅせん。 また持じ戒かいの行ぎょう相そうを説とくことは広ひろく*大だい小しょうの戒律かいりつにあり。 かの戒律かいりつ先さきに滅めっしなば、 持じ戒かいの行ぎょうなにによりてかこれを修しゅせん。 自余じよの諸しょ行ぎょうこれに准じゅんじて知しるべし。

所↢以然ル↡者、此ノ経ニ雖モ↠有リト↢菩提心之言↡、未ダ↠説カ↢菩提心之行相ヲ↡。又雖モ↠有リト↢持戒之言↡、未ダ↠説カ↢持戒之行相ヲ↡。▼而ルニ説クコト↢菩提心ノ行相ヲ↡*者広ク在リ↢¬菩提心経¼等ニ↡。彼ノ経先ニ滅シナバ、菩提心之行何ニ因リテカ修セム↠之ヲ。▼又説クコト↢持戒ノ行相ヲ↡者広ク在リ↢大小ノ戒律ニ↡。彼ノ戒律先ニ滅シナバ、持戒之行何ニ因リテカ修セム↠之ヲ。自余ノ諸行准ジテ↠之ニ応シ↠知ル。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)(Ⅲ)引証

^ゆゑに善導ぜんどう和か尚しょうの ¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ にこの文もんを釈しゃくしていはく、

○▼故ニ善導和尚ノ¬往生礼讃ニ¼釈シテ↢此ノ文ヲ↡云ク、

「▲万年まんねんに三宝さんぼう滅めっしなば、 この ¬経きょう¼ (大経) 住じゅうすること百ひゃく年ねんあらん。
その時ときに聞ききて一念いちねんせん、 みなまさにかしこに生しょうずることを得うべし」 と。

「万年ニ三宝滅シナバ此ノ¬経¼住スルコト百年アラム
▼爾ノ時ニ聞キテ一念セム▼皆当ニシト↠得↠生ズルコトヲ↠彼ニ」

二 ⅵ Ⅲ a ロ 教行住滅
          (一)標列

 ^またこの文もんを釈しゃくするに略りゃくして四しの意こころあり。 一いちには↓*聖しょう道どう・浄じょう土ど二に教きょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ご、 二にには↓十方じっぽう・西方さいほう二に教きょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ご、 三さんには↓兜と率そつ・西方さいほう二に教きょうの住じゅう滅めつ1226の前ぜん後ご、 四しには↓念仏ねんぶつ・諸しょ行ぎょう二に行ぎょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ごなり。

◇又▼釈スルニ↢此ノ文ヲ↡略シテ有リ↢四ノ意↡。一ニ者聖道・浄土二教ノ住滅ノ前後、二ニ者十方・西方二教ノ住滅ノ前後、三ニ者兜率・西方二教ノ住滅ノ前後、四ニ者念仏・諸行二行ノ住滅ノ前後也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)随釈
            (Ⅰ)聖道浄土相対

^一いちに↑聖しょう道どう・浄じょう土ど二に教きょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ごといふは、 いはく聖しょう道どう門もんの諸しょ経きょうは先さきに滅めっす、 ゆゑに 「△経きょう道どう滅尽めつじん」 といふ。 浄じょう土ど門もんのこの経きょうは特ひとり留とどまる、 ゆゑに 「△止し住じゅう百ひゃく歳さい」 といふ。 まさに知しるべし、 聖しょう道どうは機き縁えん浅薄せんぱくにして、 浄じょう土どは機き縁えん深厚じんこうなりといふことを。

◇▼一ニ聖*道・浄土二教ノ住滅ノ前後トイフ者、謂ク聖道門ノ諸経ハ先ニ滅ス、故ニ云1283フ↢「経道滅尽ト」↡。浄土門ノ此ノ経ハ特ヒトリ留マル、故ニ云フ↢「止住百歳ト」↡也。当ニシ↠知ル、聖道ハ機縁浅薄ニシテ、浄土ハ機縁深厚也トイフコトヲ。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)十方西方相対

^二にに↑十方じっぽう・西方さいほう二に教きょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ごといふは、 いはく*十方じっぽう浄じょう土ど往おう生じょうの諸しょ教きょう先さきに滅めっす、 ゆゑに 「△経きょう道どう滅尽めつじん」 といふ。 西方さいほう浄じょう土ど往おう生じょうはこの経きょう特ひとり留とどまる、 ゆゑに 「△止し住じゅう百ひゃく歳さい」 といふ。 まさに知しるべし、 十方じっぽう浄じょう土どは機き縁えん浅薄せんぱくにして、 西方さいほう浄じょう土どは機き縁えん深厚じんこうなり。

◇▼二ニ十方・西方二教ノ住滅ノ前後トイフ者、謂ク十方浄土ノ往生ハ諸教先ニ滅ス、故ニ云フ↢「経道滅尽ト」↡。西方浄土往生ハ此ノ経特リ留マル、故ニ云フ↢「止住百歳ト」↡也。当ニシ↠知ル、十方浄土ハ機縁浅薄ニシテ、西方浄土ハ機縁深厚也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅲ)兜率西方相対

^三さんに↑兜と率そつ・西方さいほう二に教きょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ごといふは、 いはく ¬*上生じょうしょう¼・¬*心しん地じ¼ 等とうの上生じょうしょう兜と率そつの諸しょ教きょうは先さきに滅めっす、 ゆゑに 「△経きょう道どう滅尽めつじん」 といふ。 往おう生じょう西方さいほうのこの経きょう特ひとり留とどまる、 ゆゑに 「△止し住じゅう百ひゃく歳さい」 といふ。 まさに知しるべし、 兜と率そつは近ちかしといへども縁えん浅あさく、 極楽ごくらくは遠とおしといへども縁えん深ふかし。

◇▼三ニ兜率・西方二教ノ住滅ノ前後トイフ者、謂ク¬上生¼・¬心地¼等ノ上生兜率ノ諸教ハ先ニ滅ス、故ニ云フ↢「経道滅尽ト」↡。往生西方ノ此ノ経特リ留マル、故ニ云フ↢「止住百歳ト」↡也。当ニシ↠知ル、兜率ハ雖モ↠近シト縁浅ク、極楽ハ雖モ↠遠シト縁深シ也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅳ)念仏諸行相対

^四しに↑念仏ねんぶつ・諸しょ行ぎょう二に行ぎょうの住じゅう滅めつの前ぜん後ごといふは、 諸しょ行ぎょう往おう生じょうの諸しょ教きょうは先さきに滅めっす、 ゆゑに 「△経きょう道どう滅尽めつじん」 といふ。 念仏ねんぶつ往おう生じょうはこの経きょう特ひとり留とどまる、 ゆゑに 「△止し住じゅう百ひゃく歳さい」 といふ。 まさに知しるべし、 諸しょ行ぎょう往おう生じょうは機き縁えんもつとも浅あさく、 念仏ねんぶつ往おう生じょうは機き縁えんはなはだ深ふかし。

◇▼四ニ念仏・諸行二行ノ住滅ノ前後トイフ*者、諸行往生ノ諸教ハ先ニ滅ス、故ニ云フ↢「経道滅尽ト」↡。念仏往生ハ此ノ経特リ留マル、故ニ云フ↢「止住百歳ト」↡也。当ニシ↠知ル、諸行往生ハ機縁最モ浅ク、念仏往生ハ機縁甚ダ深シ也。

^しかのみならず、 諸しょ行ぎょう往おう生じょうは縁えん1227少すくなく、 念仏ねんぶつ往おう生じょうは縁えん多おおし。 また諸しょ行ぎょう往おう生じょうは近ちかく末法まっぽう万年まんねんの時ときを局かぎる。 念仏ねんぶつ往おう生じょうは遠とおく法滅ほうめつ百ひゃく歳さいの代よに霑うるふ。

◇加之シカノミナラズ、諸行往生ハ縁少ク、念仏往生ハ縁多シ。又諸行往生ハ近ク局ル↢末法万年之時ヲ↡。念仏往生ハ遠ク霑ウルフ↢法滅百歳之代ニ↡也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ 明釈尊悲懐
          (一)問

 ^▽問とひていはく、 すでに 「△われ慈悲じひをもつて哀愍あいみんして、 特ことにこの経きょうを留とどめて止し住じゅうすること百ひゃく歳さいならん」 (大経・下) といふ。 もししからば釈しゃく尊そん、 慈悲じひをもつてしかも経教きょうきょうを留とどめたまはんに、 いづれの経きょういづれの教きょうか、 しかも留とどまらざらんや。 しかるをなんぞ余よ経きょうを留とどめずして、 ただこの経きょうを留とどめたまふや。

◇問ヒテ曰ク、既ニ云フ↧「我以テ↢慈悲ヲ↡哀愍シテ、特ニ留メテ↢此ノ経ヲ↡止住スルコト百歳ナラムト」↥。若シ爾ラバ者釈尊以テ↢慈悲ヲ↡而モ留メタマハムニ↢経教ヲ↡、*何レノ経何レノ教カ、而モ不ラム↠留マラ也。而ルヲ何ゾ不シテ↠留メ↢余経ヲ↡、唯留メタマフ↢此ノ経ヲ↡乎。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)答
            (Ⅰ)総

^答こたへていはく、 たとひいづれの経きょうを留とどむといへども、 別べっして一いっ経きょうを指ささば、 またこの難なんを避さらじ。 ただ特ことにこの経きょうを留とどむる、 その深ふかき意こころあるか。

◇答ヘテ曰ク、縦ヒ雖モ↠留ムト↢何レノ経ヲ↡、別シテ指サバ↢一経ヲ↡者、亦不↠避ラ↢此ノ難ヲ↡。但1284シ特ニ留ムル↢此ノ経ヲ↡、有ル↢其ノ深キ意↡歟。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)別
              (ⅰ)正述

^もし善導ぜんどう和か尚しょうの意こころによらば、 この経きょうのなかにすでに弥陀みだ如来にょらいの▼念仏ねんぶつ往おう生じょうの本願ほんがん (第十八願) を説とけり。 釈しゃ迦か、 慈悲じひをもつて念仏ねんぶつを留とどめんがために、 殊ことにこの経きょうを留とどめたまふ。 余よ経きょうのなかにはいまだ弥陀みだ如来にょらいの念仏ねんぶつ往おう生じょうの本願ほんがんを説とかず。 ゆゑに釈しゃく尊そん、 慈悲じひをもつてこれを留とどめたまはず。

◇若シ依ラバ↢善導和尚ノ意ニ↡者、此ノ経之中ニ已ニ説ケリ↢弥陀如来ノ念仏往生ノ本願ヲ↡。釈迦慈悲ヲモテ為ニ↠留メムガ↢念仏ヲ↡、殊ニ留メタマフ↢此ノ経ヲ↡。余経之中ニハ未ダ↠説カ↢弥陀如来ノ念仏往生ノ本願ヲ↡。故ニ釈尊慈悲ヲ以テ*而不↠留メタマハ↠之ヲ也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)通伏疑

^おほよそ四し十じゅう八はち願がんみな本願ほんがんなりといへども、 殊ことに念仏ねんぶつをもつて往おう生じょうの*規のりとなす。 ゆゑに善導ぜんどう釈しゃくしていはく (*法事讃・上)、

◇凡ソ四十八願皆雖モ↢本願ナリト↡、殊ニ以テ↢念仏ヲ↡為ス↢往生ノ規ト↡。故ニ▼善導釈シテ云ク、

^「▲弘ぐ誓ぜい、 門もん多おおくして四し十じゅう八はちなれども、 ひとへに念仏ねんぶつを標あらわしてもつとも親した1228しとなす。

人ひとよく仏ぶつ (阿弥陀仏) を念ねんずれば、 仏ぶつ還かえりて念ねんじたまふ。 専心せんしんに仏ぶつを想おもへば、 仏ぶつ、 人ひとを知しりたまふ」 と。 以上

「弘誓多クシテ↠門四十八ナレドモ偏ニ標アラハシテ↢念仏ヲ↡最モ為ス↠親シト
人能ク念ズレバ↠仏ヲ仏還リテ念ジタマフ専心ニ想ヘバ↠仏ヲ仏知リタマフト↠人ヲ」 已上

 ^ゆゑに知しりぬ、 四し十じゅう八はち願がんのなかに、 すでに念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がん (第十八願) をもつて▼本願ほんがん中ちゅうの王おうとなすといふことを。

◇故ニ知リヌ、四十八願之中ニ、既ニ以テ↢念仏往生之願ヲ↡而為ストイフコトヲ↢本願中之王ト↡也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)結示
                (a)正結

^ここをもつて釈しゃ迦かの慈悲じひ、 特ことにこの経きょうをもつて止し住じゅうすること百ひゃく歳さいするなり。

◇是ヲ以テ釈*迦ノ慈悲、特ニ以テ↢此ノ経ヲ↡止住スルコト百歳スル也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)引例

^例れいするに、 かの ¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ のなかに、 定じょう散さんの行ぎょうを付ふ属ぞくせずして、 ▽ただ孤ひとり念仏ねんぶつの行ぎょうを付ふ属ぞくしたまふがごとし。 これすなはちかの仏願ぶつがんに順じゅんずるがゆゑに、 念仏ねんぶつ一いち行ぎょうを付ふ属ぞくす。

◇▼例スルニ如シ↧彼ノ¬*観無量寿経ノ¼中ニ、不シテ↣付↢属セ定散之行ヲ↡、唯*孤リ付↦属シタマフガ念仏之行ヲ↥。是即チ順ズルガ↢彼ノ仏願ニ↡之故ニ、付↢属スル念仏一行ヲ↡也。

二 ⅵ Ⅲ b 益布三時

 ^問とひていはく、 百ひゃく歳さいのあひだ念仏ねんぶつを留とどむべきこと、 その理りしかるべし。 この念仏ねんぶつの行ぎょうは、 ただ*かの時機じきに被こうむらしむとやなさん、 はた*正しょう像末ぞうまつの機きに通つうずとやなさん。

◇問ヒテ曰ク、百歳之間可キコト↠留メム↢念仏ヲ↡、其ノ理可シ↠然ル。此ノ念仏ノ行ハ、唯為サム↠被ラシムトヤ↢彼ノ時機ニ↡、将ハタ為サム↠通ズトヤ↢於正像*末之機ニ↡也。

^答こたへていはく、 広ひろく正しょう像ぞう末法まっぽうに通つうずべし。 後のちを挙あげて今いまを勧すすむ。 その義ぎ知しるべし。

◇答ヘテ曰ク、▼広ク可シ↠通ズ↢於正像末法ニ↡。挙ゲテ↠後ヲ勧ム↠今ヲ。其ノ義応シ↠知ル。

二 ⅶ ▽光明摂取章【摂取章】
    Ⅰ 標章

【7】 ^弥陀みだの光こう明みょう余よ行ぎょうのものを照てらさず、 ただ念仏ねんぶつの行ぎょう者じゃを*摂取せっしゅする文もん。

 ○弥陀ノ光明不↠照サ↢余行ノ者ヲ↡、唯摂↢取スル念仏ノ行者ヲ↡*之文

二 ⅶ Ⅱ 引文
      a 観経

 ^¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつに八万はちまん四し千せんの相そうあり。 一々いちいちの相そうに八はち1229万まん四し千せんの随ずい形ぎょう好こうあり。 一々いちいちの好こうに八万はちまん四し千せんの光こう明みょうあり。 一々いちいちの光こう明みょうあまねく十方じっぽう世せ界かいの念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを照てらし、 摂取せっしゅして捨すてたまはず」 と。

◇▼¬観無量寿経ニ¼云ク、「▼無量寿仏ニ有リ↢八万四千ノ相↡。▼一々ノ*相ニ有リ↢八万四千ノ随形好↡。▼一々ノ*好ニ有リ↢八万四千ノ光明↡。▼一々ノ光明遍ク照シ↢十方世界ノ▼念仏ノ衆1285生ヲ↡、摂取シテ不ト↠捨テタマハ。」

二 ⅶ Ⅱ b 定善義
        イ 分文釈義

 ^同どう経きょうの ¬疏しょ¼ (定善義) にいはく、 「▲ª無む量りょう寿じゅ仏ぶつº より下しも ª摂取せっしゅ不ふ捨しゃº に至いたるまでよりこのかたは、 まさしく身しんの別相べっそうを観かんずるに、 光ひかり有う縁えんを益やくすることを明あかす。 すなはちその五ごあり。 ◆一いちには相そうの多た少しょうを明あかし、 ◆二にには好こうの多た少しょうを明あかし、 ◆三さんには光ひかりの多た少しょうを明あかし、 ◆四しには光ひかりの照てらす遠近おんごんを明あかし、 ◆五ごには光ひかりの及およぶところの処ところ、 ひとへに摂しょう益やくを蒙こうむることを明あかす。

▼同ジキ経ノ¬疏ニ¼云ク、「▼従リ↢無量寿仏↡下至ルマデヨリ↢摂取不捨ニ↡已来タハ、正シク明ス↧観ズルニ↢身ノ別相ヲ↡、光益スルコトヲ↦有縁ヲ↥。即チ有リ↢其ノ五↡。一ニハ▼明シ↢相ノ多少ヲ↡、二ニハ▼明シ↢好ノ多少ヲ↡、三ニハ▼明シ↢光ノ多少ヲ↡、四ニハ▼明シ↢光ノ照ス遠近ヲ↡、五ニハ▼明ス↣光ノ所ノ↠及ブ処、偏ニ蒙ルコトヲ↢摂益ヲ↡。

二 ⅶ Ⅱ b ロ 料簡
          (一)問

^◆問とひていはく、 つぶさに衆しゅ行ぎょうを修しゅしてただよく回え向こうすれば、 みな往おう生じょうを得う。 なにをもつてか仏ぶつの光ひかりあまねく照てらすにただ念仏ねんぶつ者しゃを摂せっする、 なんの意こころかあるや。

問ヒテ曰ク、備ニ修シテ↢衆行ヲ↡但能ク廻向スレバ、皆得↢往生ヲ↡。何ヲ以テカ仏ノ光普ク照スニ唯摂スル↢念仏者ヲ↡、有ル↢何ノ意カ↡也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)答
            (Ⅰ)約三縁

^答こたへていはく、 これに▽三さん義ぎあり。

答ヘテ曰ク、此ニ有リ↢三義↡。

・親縁

^◆一いちには親縁しんえんを明あかす。 △衆しゅ生じょう、 行ぎょうを起おこして口くちにつねに仏ぶつを称しょうすれば、 仏ぶつすなはちこれを聞ききたまふ。 身みにつねに仏ぶつを礼らい敬きょうすれば、 仏ぶつすなはちこれを見みたまふ。 心しんにつねに仏ぶつを念ねんずれば、 仏ぶつすなはちこれを知しりたまふ。 衆しゅ生じょう仏ぶつを憶念おくねんすれば、 仏ぶつまた衆しゅ生じょうを憶念おくねんしたまふ。 彼此ひしの三業さんごうあひ捨しゃ離りせず。 ゆゑに親縁しんえんと名なづく。

一ニハ明ス↢▼親縁ヲ↡。衆生起シテ↠行ヲ口ニ常ニ称スレバ↠仏ヲ、仏即チ聞キタマフ↠之ヲ。身ニ常ニ礼↢敬スレバ仏↡ヲ、*仏即チ見タマフ↠之ヲ。心ニ常ニ念ズレバ↠仏ヲ、仏即チ知リタマフ↠之ヲ。衆生憶↢念スレバ仏ヲ↡者、仏亦憶↢念シタマフ衆生ヲ↡。▼彼此ノ三業不↢相捨離セ↡。故ニ名クル↢親縁ト↡也。

・近縁

^◆二にには近縁ごんえんを明あかす。 △衆しゅ生じょう仏ぶつを見みんと願がんずれば、 仏ぶつすなはち念ねんに応おうじて現げんじて目めの前まえにまします。 ゆゑに近縁ごんえんと名なづく。

二ニハ明ス↢▼近縁ヲ↡。衆生願ズレバ↠見ムト↠仏ヲ、仏即チ応ジテ↠念ニ現ジテ在ス↢目ノ前ニ↡。故ニ名クル↢近縁ト↡也。

・増上縁

^◆三さんには増ぞう上じょう縁えんを明あかす。 衆しゅ1230生じょう称しょう念ねんすれば、 すなはち多た劫こうの罪つみを除のぞきて、 命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 仏ぶつ、 聖しょう衆じゅとみづから来きたりて迎こう接しょうしたまふ。 もろもろの邪業じゃごう繋けよく礙さふるものなし。 ゆゑに増ぞう上じょう縁えんと名なづく。

三ニハ明ス↢▼増上縁ヲ↡。衆生称念スレバ、即チ除キテ↢多劫ノ罪ヲ↡、命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自ラ来リテ迎接シタマフ。諸ノ邪業繋无シ↢能ク礙フル者↡。故ニ名クル↢増上縁ト↡也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)比況証成

^◆自余じよの衆しゅ行ぎょうはこれ善ぜんと名なづくといへども、 もし念仏ねんぶつに比くらぶれば、 まつたく比ひ校きょうにあらず。 このゆゑに、 諸しょ経きょうのなかに処々しょしょに広ひろく念仏ねんぶつの功く能のうを讃ほむ。

○▽自余ノ衆*行ハ雖モ↠名クト↢是善ト↡、若シ比ブレバ↢念仏ニ↡者、全ク非ズ↢比挍ニ↡也。▼是ノ故ニ、諸経ノ中ニ処々ニ広ク讃ム↢念仏ノ功能ヲ↡。

^◆¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の四し十じゅう八はち願がんのなかのごときは、 ただもつぱら弥陀みだの名みょう号ごうを念ねんじて生しょうずることを得うと明あかす。

◇如キハ↢¬无量寿経ノ¼四十八願ノ中ノ↡、▼唯明ス↧専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡得ト↞生ズルコトヲ。

^◆また ¬弥陀みだ経きょう¼ のなかのごときは、 一日いちにち七日しちにちもつぱら弥陀みだの名みょう号ごうを念ねんじて生しょうずることを得うと。 また十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの虚むなしからずと証誠しょうじょうしたまふ。

◇又如キハ↢¬弥陀経ノ¼中ノ↡、▼一日七日専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡得ト↠生ズルコトヲ。▼又十方恒沙ノ諸仏ノ証↢*誠シタマフ不ト↟虚シカラ也。

^◆またこの ¬経きょう¼ (観経) の定じょう散さんの文もんのなかには、 ただもつぱら名みょう号ごうを念ねんじて生しょうずることを得うと標あらわせり。

◇又此ノ¬経ノ¼▼定散ノ文ノ中ニハ、▼唯標アラハセリ↧専ラ念ジテ↢名号ヲ↡得ト↞生ズルコトヲ。

^◆この例れい一いちにあらず。

◇▼此ノ*例非ズ↠一ニ也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)総結

^◆広ひろく念仏ねんぶつ三昧ざんまいを顕あらわしをはりぬ」 と。

◇広ク顕シ↢念仏1286三昧ヲ↡*竟リヌト。」

二 ⅶ Ⅱ c 観念法門

 ^¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「▲また前さきのごときの身相しんそう等とうの光ひかり一々いちいちあまねく十方じっぽう世せ界かいを照てらすに、 ただもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんずる衆しゅ生じょうのみありて、 かの仏ぶつの心光しんこうつねにこの人ひとを照てらして、 摂しょう護ごして捨すてたまはず。 すべて余よの雑業ぞうごうの行ぎょう者じゃを照摂しょうしょうすることをば論ろんぜず」 と。

▼¬観念法門ニ¼云ク、「又▼如キノ↠前ノ身相等ノ光一々遍ク照スニ↢十方世界ヲ↡、但有リテ↧専ラ念ズル↢阿弥陀仏ヲ↡衆生ノミ↥、▼彼ノ仏ノ心光常ニ照シテ↢是ノ人ヲ↡、摂護シテ不↠捨テタマハ。▼総テ不ト↠論ゼ↣照↢摂スルコトヲバ余ノ雑業ノ行者ヲ↡。」

二 ⅶ Ⅲ 私釈
      a 問

 ^わたくしに問とひていはく、 仏ぶつの光こう明みょうただ念仏ねんぶつ者しゃを照てらして、 余よ行ぎょうのものを1231照てらさざるはなんの意こころかあるや。

私ニ問ヒテ曰ク、仏ノ光明唯照シテ↢念仏者ヲ↡、不ルハ↠照サ↢余行ノ者ヲ↡、有ル↢何ノ意カ↡乎。

二 ⅶ Ⅲ b 答
        イ 標

^答こたへていはく、 解げするに二にの義ぎあり。

答ヘテ曰ク、解スルニ有リ↢二ノ義↡。

二 ⅶ Ⅲ b ロ 釈
          (一)就義解
            (Ⅰ)約三縁

^一いちには親縁しんえん等とうの三さんの義ぎ、 △文もんのごとし。

一ニ者親縁等ノ三ノ義、如シ↠文ノ。

二 ⅶ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)約本願
              (ⅰ)正明

^二にには本願ほんがんの義ぎ、 いはく余よ行ぎょうは本願ほんがんにあらざるがゆゑに、 これを照摂しょうしょうしたまはず。 念仏ねんぶつはこれ本願ほんがんのゆゑに、 これを照摂しょうしょうしたまふ。

二ニ者本願ノ義、謂ク余行ハ非ザルガ↢本願ニ↡故ニ、不↣照↢摂シタマハ之ヲ↡。念仏ハ是本願ノ故ニ、照↢摂シタマフ之ヲ↡。

二 ⅶ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^ゆゑに善導ぜんどう和か尚しょうの ¬*六ろく時じ礼讃らいさん¼ にいはく、

○故ニ善導和尚ノ▼¬六時礼讃ニ¼云ク、

^「▲弥陀みだの身色しんじきは金山こんぜんのごとし。 相好そうごうの光こう明みょうは十方じっぽうを照てらす。

ただ仏ぶつを念ねんずるのみありて*光こう接しょうを蒙こうむる。 まさに知しるべし、 本願ほんがんもつとも強こわしとなす」 と。 以上

「弥陀ノ身色ハ如シ↢金山ノ↡相好ノ光明ハ照ス↢十方ヲ↡
▼唯有リテ↠念ズルノミ↠仏ヲ蒙ル↢光*接ヲ↡▼当ニシ↠知ル、本願最モ為スト↠強コハシト」 已上

二 ⅶ Ⅲ b ロ (二)就文解
            (Ⅰ)牒文

 ^また引ひくところの文もん (定善義) のなかに、 「△自余じよ衆善しゅぜん雖すい名みょう是ぜ善ぜん若にゃく比ひ念仏ねんぶつ者しゃ↓全ぜん非ひ比ひ校きょう也や」 といふは、

又▼所ノ↠*引ク文ノ中ニ、言フ↢「自余衆善雖名是善若比念仏者全非比挍也ト」者、

二 ⅶ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)随釈

^意こころのいはく、 これ浄じょう土ど門もんの諸しょ行ぎょうに約やくして比ひ論ろんするところなり。 念仏ねんぶつはこれすでに△二に百ひゃく一いち十じゅう億おくのなかに選取せんしゅするところの*妙行みょうぎょうなり。 諸しょ行ぎょうはこれすでに二に百ひゃく一いち十じゅう億おくのなかに選捨せんしゃするところの*粗そ行ぎょうなり。 ゆゑに 「↑全ぜん非ひ比ひ校きょう也や」 といふ。 また念仏ねんぶつはこれ*本願ほんがんの行ぎょうなり。 諸しょ行ぎょうはこれ本願ほんがんにあらず。 ゆゑに 「全ぜん非ひ比ひ校きょう也や」 といふ。

◆意ノ云ク、是約シテ↢浄土門ノ諸行ニ↡而所↢比論スル↡也。念仏ハ是既ニ二百一十億ノ中ニ所ノ↢選取スル↡妙行也。諸行ハ是既ニ二百一十億ノ中ニ所ノ↢選捨スル↡麁行也。故ニ云フ↢「全非比挍也ト」↡。又念仏ハ是本願ノ行ナリ。諸行ハ是非ズ↢本願ニ↡。故ニ云フ↢「全非比挍也ト」↡。

二 ⅷ【三心章】
    Ⅰ 標章

【8】 0800^念仏ねんぶつの行ぎょう者じゃかならず三心さんしんを具ぐ足そくすべき文もん。

 ○念仏ノ行者▼必ズ可キ↣具↢足ス三心ヲ↡之文 △

二 ⅷ Ⅱ 引文
      a 観経

 ^1232¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲もし衆しゅ生じょうありてかの国くにに生しょうぜうまれ んと願がんずるねがはむ ものは、 三種さんしゅの心しんを発おこして即便すなわち往おう生じょう└しなす ん┘。 ◆なんらをか三さんとなすする 。 一いちには至し誠じょう心しん、 二にには深心じんしん、 三さんには回え向こう発願ほつがん心しんなり。 三心さんしんを具ぐすればかならずかの国くにに生しょうず」 と--。

▼¬観1287無量寿経ニ¼云ク、「▼若シ有リテ↢衆生↡▼願ズル↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者ハ、▼発シテ↢三種ノ心ヲ↡即便チ往生シナム。何等ヲカ為ル↠三ト。▼一ニ者至誠心、二ニ者深心、三ニ者廻向発願心ナリ。▽具スレバ↢三心ヲ↡者必ズ生ズト↢彼ノ*国ニ↡。」

二 ⅷ Ⅱ b 疏文
        イ 別釈三心
          (一)至誠心
            (Ⅰ)標

 ^同どう同じき経きょうの ¬疏しょ¼ (散善義) にいはく、 「^▲¬経きょう¼----- (観経) にのたまはく、------------- ª一いちには至し誠じょう心しんº と--。

同ジキ経ノ¬疏ニ¼云ク、「▼¬経ニ¼云ク、一ニ者至誠心ト。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)釈義
              (ⅰ)出字訓

^◆ª至しº は真しんなり。 ª誠じょうº は実じつなり。

至者真ナリ。誠者実ナリ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)広釈
                (a)初約弘願
                  (イ)約機受相
                    [一]正示真実

^◆一切いっさい衆しゅ生じょうの身しん口意くい業ごう└修しゅすると所修 ころ┘の解げ行ぎょう、 *かならず真実しんじつ心しんのうちになすなしたまへるをべきもちゐることを明あかさんと欲ほっす おもふ 。

▼欲ス↠明サムト↣一切衆生ノ身口意業ニ所ノ↠修スル解行、必ズ須クキコトヲ↢真実心ノ中ニ作ス↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]誡虚仮
                      [Ⅰ]正誡

^▽外ほかには賢善けんぜん精しょう進じんの相そうを現げんじずることをえざれ、 内うちに虚仮こけを懐いだくこと ければなり を--得えざれ------。 ◆貪瞋とんじん・邪じゃ偽ぎ・奸かん詐さ百ひゃく端たんにして悪あく性しょう侵おかしやめ がたし。、 事じ、 蛇蝎じゃかつに同おなじ。 三業さんごうを起おこすといへども名なづけて雑毒ぞうどくの善ぜんとな--す。、 また虚仮こけの行ぎょうと名なづく。、 真実しんじつの業ごうと名なづけず。

不レ↠得↧外ニ現ジ↢賢善精進之相ヲ↡、内ニ懐クコトヲ↦虚仮ヲ↥。▼貪瞋・邪偽・奸詐*百端ニシテ悪性難シ↠侵シ。事同ジ↢蛇蝎ニ↡。雖モ↠起スト↢三業ヲ↡名ケテ為ス↢雑毒之善ト↡。亦名ク↢虚仮之行ト↡。不↠名ケ↢真実ノ業ト↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二][Ⅱ]示過失

^◆もしかくのごときく 安心あんじん・起き行ぎょうをなせさ ば、 たとひ身心しんしんを苦く励れいして、 --日にち夜や十じゅう二に時じに急きゅうに*走はしり もとめ 急きゅうになして、 --頭ず燃ねんを救はらふがごとくすとも、 す0801べて雑毒ぞうどくの善ぜんと名なづく。 この雑毒ぞうどくの行ぎょうを回めぐら廻  して、 --かの仏ぶつの浄じょう土どに└生しょうずること求生せ を求もとめ┘んと 欲ほっせば おもはむものは、 これかならず不可ふかなり。

▼若シ作セバ↢如キ↠此クノ安心・起行ヲ↡者、縦使 タトヒ 苦↢励シテ身心ヲ↡、日夜十二時急ニ走リ急ニ作シテ、如クストモ↠灸フガ↢頭燃ヲ↡者、衆テ名ク↢雑毒之善ト↡。欲セバ↧廻シテ↢此ノ雑毒之行ヲ↡、求メムト↞生ズルコトヲ↢彼ノ仏ノ浄土ニ↡者、此必ズ不可也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)顕示所由

^◆なにをもつてのゆゑぞに 。 まさしくかの阿あ弥陀みだ仏ぶつの因いん中ちゅうに菩ぼ薩さつの行ぎょうを行ぎょうじたまひし時ときに--、 乃ない至し一念いちねん一いち刹せつ那なも、 三業さんごうに修しゅするところ、 みなこれ真実しんじつ心しんのうち中  になした1233まひしによりてなり。 *おほよそ 施為せい・ 施したまふところ趣しゅ求ぐする をなす ところ------、 またみな真実しんじつな└るべり し┘。

▼何ヲ以ノ故ゾ。正シク由テナリ↧彼ノ阿弥陀仏ノ因中ニ行ジタマヒシ↢菩薩ノ行ヲ↡時ニ、乃至一念一刹那モ、三業ニ所↠修スル、皆是真実心ノ中ニ作シタマヒシニ↥。▼凡ソ所↢施為・趣求スル↡、亦皆真実ナルベシ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)約二利
                  (イ)標列

^◆また真実しんじつに二に種しゅあり。 一いちには自利じりの真実しんじつ、 二にには利他りたの真実しんじつなり。

▼又真実ニ有リ↢二種↡。一ニ者自利ノ真実、二ニ者利他ノ真実ナリ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)随釈
                    [一]明自利真実
                      [Ⅰ]標数

^◆自利じりの真実しんじつといふは、 また二に種しゅあり。

▼言フ↢自利ノ真実ト↡者、復有リ↢二種↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]釈
                        [ⅰ]明厭離真実

^◆一いちには真実しんじつ心しんのうちに、 自他じたの諸悪しょあくおよび穢え国こく等とうを制捨せいしゃして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがに一切いっさいの--菩ぼ薩さつの諸悪しょあくを制捨せいしゃするに同おなじく、 われもまたかくのごとくならんと想おもふなり--------。 ◆二にには真実しんじつ心しんのうちに、 自他じたの凡ぼん聖しょう等とうの善ぜんを勤修ごんしゅして、するにおなじからむとおもふ。

▼一ニ者真実心ノ中ニ、制↢捨シテ自他ノ諸悪及ビ穢国等ヲ↡、行住坐臥ニ想フ↧同ジク↣一切ノ菩薩ノ制↢捨スルニ諸悪ヲ↡、我モ亦如クナラムト↞是ノ也。◆二ニ者真実心ノ中ニ、勤↢修シテ自他ノ凡聖等ノ善 △ヲ↡、

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]明欣求真実

・口業

^◆真実しんじつ心しんの└うちに中の 、 ┘口く業ごう└をもつに、 て┘かの阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび依え正しょう二に報ほうを讃歎さんだんし、 また真実しんじつ心しんの└うちに中の 、 ┘口く業ごう└をもつに、 て┘三界さんがい・--六道ろくどう等とうの自他じたの依え正しょう二に報ほうの苦く悪あくの事じを毀き厭えんし、 また一切いっさい衆しゅ生じょうの三業さんごう所しょ為いの善ぜんを讃歎さんだんすせむ。 もし善業ぜんごうにあら└ざるをずは ば┘└つつしみ敬うてしかもて┘これを遠とおざかれ、 また随ずい喜きせざれ。

◆真実心1288ノ中ニ、口業ヲモテ讃↢歎シ彼ノ阿弥陀仏及ビ依正二報ヲ↡、◆又真実心ノ中ニ、口業ヲモテ毀↢厭シ三界・六道等ノ自他ノ依正二報ノ苦悪之事ヲ↡、◆亦讃↢歎ス一切衆生ノ三業所為ノ善ヲ↡。*非ザルヲバ↢善業ニ↡者敬而ツツシミテ遠ザカレ↠之ヲ、亦不レ↢随喜セ↡也。

・身業

^◆また真実しんじつ心しんのうちに、 └ の ┘身業しんごう└をもつに、 て┘合掌がっしょう礼らい敬きょうして、 四事しじ等とうをもつてかの阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび依え正しょう二に報ほうを供く養ようすし、。 また真実しんじつ心しんの└うちに中の 、 ┘身業しんごう└をもつに、 て┘この生しょう死じ三界さんがい等とうの自他じたの依え正しょう二に報ほうを軽きょう慢まんし厭捨えんしゃし、

◆又真実心ノ中ニ、身業ヲモテ合掌礼敬シ、四事等ヲモテ供↢養ス彼ノ阿弥陀仏及ビ依正二報ヲ↡。◆又真実心ノ中ニ、身業ヲモテ軽↢慢シ厭↣捨シ此ノ生死三界等ノ自他ノ依正二報ヲ↡、

・意業

^◆また真実しんじつ心しんの└うちに中の 、 ┘意い業ごう└をもつに、 て┘かの阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび依え正しょう二に報ほうを思し想そうし観察かんざつし憶念おくねんして0802、 目前もくぜん目のまへに現げんずるがごとくにし、 また真実しんじつ心しんのうちに、 └ の ┘意い業ごう└をもつに、 て┘この生しょう死じ三界さんがい等とうの自他じたの依え正しょう二に報ほうを軽きょう賎せんし厭捨えんしゃし、せよ。

◆又真実心ノ中ニ、意業ヲモテ思↢想シ観↣察シ憶↤念シテ彼ノ阿弥陀仏及ビ依正二報ヲ↡、如クニシ↠現ズルガ↢目前ニ↡、◆又真実心ノ中ニ、意業ヲモテ軽↢賎シ厭↣捨シ此ノ生死三界等ノ自他ノ依正二報ヲ↡、

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明利他真実

^◆*不ふ善ぜんの三業さんごうをば、かならずすべからく----------真実しんじつ心しんのうちに捨すつてたまへるをもちゐべし。 *またもし----善ぜんの三業さんごうを起おこさ ば んものは、 かならず1234すべからく----------真実しんじつ心しんのうちになすべし。したまへるをもちゐて、◆内ない外げ明みょう闇あんを簡えらばず、 みなすべからく----------真実しんじつ└なるをもべしちゐるが。 ┘ゆゑに、至し誠じょう心しんと名なづく。

◆不善ノ三業ヲバ必ズ須クシ↢真実心ノ中ニ捨ツ↡。又若シ起サバ↢善ノ三業ヲ↡者、必ズ須クシ↢真実心ノ中ニ作ス↡。不↠簡バ↢内外明*闇ヲ↡、皆須クシ↢真実ナル↡。故ニ名ク↢至誠心ト↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)深心
            (Ⅰ)牒文

 ^◆ª二にには深心じんしんº となり。

◆*二ニ者深心ト。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)随釈
              (ⅰ)釈名
              (ⅱ)正釈
                (a)標数

^◆ª深心じんしんº といふはすなはちこれ深信じんしんの心しんなり。 また二に種しゅあり。

◆言フ↢深心ト↡者即チ是深信之心也。◆亦有リ↢二種↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)釈
                  (イ)明機深信

^◆一いちには決けつ定じょうして深ふかく、 自じ身しんは現げんにこれ罪悪ざいあく生しょう死じの凡ぼん夫ぶ也、 曠劫こうごうよりこのかたつねに没もっしつねに流る転てんして、 出しゅつ離りの縁えんあることなしと信しんず。

◆一ニ者決定シテ深ク、信ズ↢自身ハ現ニ是▼罪悪生死ノ凡夫、曠劫ヨリ已来タ常ニ没シ常ニ流転シテ、无シト↟有ルコト↢出離之縁↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)明法深信
                    [一]正明

^◆二にには決けつ定じょうして深ふかく、 かの阿あ弥陀みだ仏ぶつの--、 四し十じゅう八はち願がんをもつて衆しゅ生じょうを摂しょう受じゅし└たまふて こと┘、 疑うたがいなく慮おもんぱかりなくかの願力がんりきに乗のり乗じ てさだめて往おう生じょうを得うと信しんず。

◆二ニ*者決定シテ深ク、信ズ↧彼ノ阿弥陀仏ノ、四十八願ヲモテ摂↢受シタマフコト衆生ヲ↡、▼无ク↠疑ヒ无ク↠*慮リ乗リテ↢彼ノ願力ニ↡定メテ得ト↦往生ヲ↥。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]広示信相
                      [Ⅰ]深信仏説

^◆また決けつ定じょうして深ふかく、 釈しゃ迦か仏ぶつの--この ¬観かん経ぎょう¼ の三福さんぷく・九く品ぼん・の 定じょう散さん二に善ぜんを説ときて、 かの仏ぶつの依え正しょう二に報ほうを証しょう讃さんして、 人ひとをして欣ごん慕ぼせしめたまふをと 信しんず。

◆又決定シテ深ク、信ズ↧釈迦仏ノ説キテ↢此ノ¬観経ノ¼三福・九品・定散二善ヲ↡、証↢讃シテ彼ノ仏ノ依正二報ヲ↡、使メタマフヲ↦人ヲシテ欣慕セ↥。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]深信仏証

^◆また決けつ定じょうして深ふかく、 ¬弥陀みだ経きょう¼ のなかに、 └ の ┘十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ、 証して一切いっさい凡ぼん夫ぶを証しょう---└勧かんしたますゝめて ふ┘、 決けつ定じょうして生しょうずむまる ることを得うと信しんず。

▼又決定シテ深ク、信ズ↧¬弥陀経ノ¼中ニ、十方恒沙ノ諸仏証↢勧シタマフ一切凡夫ヲ↡、決定シテ得ト↞生ズルコトヲ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]重成前義
                        [ⅰ]随順三仏

^◆また 深信じんしん ふかく信ず といふは、 仰あおぎいで願ねがはくは、 一切いっさいの行ぎょう者じゃ等とう、 一心いっしんにただ----仏ぶつ語ごを信しんじ 唯信し て身命しんみょうを顧かえりみず、 決けつ定じょうして*より行ぎょうじて、 仏ぶつの捨すてしめたまふをばすなはち捨すて、 仏ぶつの行ぎょうぜしめたまふをばすなはち行ぎょうじ、 仏ぶつの0803去さらしめたまふ処ところをばすなはち去さる。 これを仏ぶっ教きょうに随ずい順じゅんし、 仏ぶつ意いに随ずい順じゅんすと名なづけく。、 これを仏願ぶつがんに随ずい順じゅんすと名なづく。 これを真しんの仏ぶつ弟子でしと名なづく。

◆又深信ト者、仰ギ願クハ一切1289ノ行者*等、一心ニ▼唯信ジテ↢仏語ヲ↡不↠顧ミ↢身命ヲ↡決定シテ依リ行ジテ、仏ノ遣メタマフヲ↠捨テ*者即チ捨テ、仏ノ遣メタマフヲ↠行ゼ者即チ行ジ、仏ノ遣メタマフ↠去ラ処ヲバ即チ去ル。是ヲ名ケ↧随↢順シ仏教ニ↡*随↦順スト仏意ニ↥、是ヲ名ク↣随↢順スト仏願ニ↡。是ヲ名ク↢真ノ仏弟子ト↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]審観経信相
                          [a]略示

^◆また一切いっさいの行ぎょう者じゃ、ただよくこの ¬経きょう¼ (観経) によりて1235深信じんしんして ふかく信じ  行ぎょうずるものは、 かならず衆しゅ生じょうを誤あやまた じざるなり。

▼*又一切ノ行者但能ク依リテ↢此ノ¬経ニ¼↡深信シテ行ズル者ハ、必ズ不↠悞タ↢衆生ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b]広明
                            [イ]総明因果満未満

^◆なにをもつてのゆゑに。 仏ぶつはこれ満足まんぞく大だい悲ひの人にんなるがゆゑに。 実じつ語ごのなるがゆゑに。 ◆仏ぶつを除のぞきてより----└このか已還 た┘は、智ち行ぎょういまだ満みたずして----、。 その学がく地じにありて--、 正習しょうじゅうの二に障しょうありていまだ除のぞかず、 果か願がんいまだ円まどかならざるによりてなり、。

▼何ヲ以ノ故ニ。▼仏ハ是満足大悲ノ人ナルガ故ニ。▼実語ノ故ニ。▼除キテヨリ↠仏ヲ已還コノカタハ智行未ダシテ↠満タ、▼在リテ↢其ノ学地ニ↡、▼由テ↧有リテ↢正習二障↡未ダ↠除カ、▼果願未ダルニ↞円カナラ、

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]別示因人了不了

^◆これらの凡ぼん聖しょうはたとひ諸仏しょぶつの教きょう意いを測しき量りょうすれども、 いまだよく決けつ了りょうすることあたはず。 平章びょうしょうする----こと----ありといへども、 かならずすべからく仏ぶつの--証しょうを請しょうじて定じょうとなすす  べ しきなり。 もし仏ぶつの--意みこころに称かなへば、すなはち印いん可かして、 --ª如にょ是ぜ如にょ是ぜº とのたまふ。 もし仏ぶつの--意みこころに可かなはざれば、 すなはち ª└なんぢら なんだちが の┘所説しょせつ、 --この義ぎ 不ふかくの 如にょごとく 是ぜならずº とのたまふ。ひて、

此等ノ凡聖ハ縦使 タトヒ 測↢量スレドモ諸仏ノ教意ヲ↡、未ダ↠能ハ↢決了スルコト↡。雖モ↠有リト↢平章スルコト↡、要ズ須クシ↧請ジテ↢仏ノ証ヲ↡為ス↞定ト也。若シ称カナヘバ↢仏ノ意ニ↡即チ印可シテ、言フ↢如是如是ト↡。若シ不レバ↠可カナハ↢仏ノ意ニ↡者、即チ言フ↢汝等ノ所説、是ノ義不如是ト↡。

^◆印いんしたまはざるはれば 、 すなはち無記むき・無利むり・無む益やくの語ごに同おなじ。 仏ぶつの印いん可かしたまふは、 すなはち仏ぶつの正教しょうきょうに随ずい順じゅんするなり。

不ル↠印シタマハ者、即チ同ジ↢无記・无利・无益之語ニ↡。仏ノ印可シタマフ者、即チ随↢順スルナリ仏之正教ニ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ハ]示仏説了義

^◆もし仏ぶつの└あらゆ 諸有の る┘言説ごんせつは、 すなはちこれ正教しょうきょう・正しょう義ぎ・正行しょうぎょう・正しょう解げ・正しょう業ごう・正しょう智ちなり。 ◆もしは多た、 もしは少しょう、 └もろもろ おほく  の┘菩ぼ薩さつ・人にん・--天てん等とうを問とはず、 その是非ぜひを定さだ むめむや。

若シ仏ノ所有ノ言説ハ、即チ是正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ。若シハ多若シハ少、衆ノ不↠問ハ↢菩薩・人・天等ヲ↡定ム↢其ノ是非ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ニ]決判

^◆もし仏ぶつの所説しょせつは、 --すなはちこれ了教りょうきょうなり。、 菩ぼ薩さつ等とうの説せつは、 --ことごとく不ふ了教りょうきょうと名なづくるなり、 知しるべし。

若シ仏ノ所説ハ、即チ是了教ナリ。菩薩等ノ説ハ、尽ク名ク↢不了教ト↡也、応シ↠知ル。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][c]勧誡行者

^◆このゆゑにい0804まの時とき、 仰あおぎていで 一切いっさいの有う縁えんの往おう生じょう人にん等とうに勧すすむ。 ただ深ふかく仏ぶつ語ごを信しんじて専せん注ちゅう奉ぶ行ぎょうすべし。 菩ぼ薩さつ等とうの不ふ相応そうおうの教きょうを信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし、 惑まどわくひ--を抱いだきて、 みづから迷まよひ迷ふ て、 --往おう生じょうの大益だいやくを廃はい1236失しつすべからずざるなり。

是ノ故ニ今ノ時、仰ギテ勧ム↢一切ノ有縁ノ往生人等ニ↡。唯可シ↧深ク信ジテ↢仏語ヲ↡専注奉行ス↥。不↠可カラ↧信↢用シテ菩薩等ノ不相応ノ教ヲ↡、以テ為シ↢疑礙ヲ↡、抱↠惑自ラ迷シテ、癈↦失ス往生之大益ヲ↥也 △。▼

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]建立信相
                      [Ⅰ]略明

^◆また深心じんしんは-- ª深信じんしんなり ふかく信ず  º といふは、 決けつ定じょうして自じ心しんを建こん立りゅうして、 教きょうに順じゅんじて修しゅ行ぎょうして--、 永ながく疑ぎ錯さくを除のぞきて、 ▽一切いっさいの別べつ解げ・別べつ行ぎょう・異い学がく・異い見けん・異い執しゅうのために、 退失たいしつし--傾きょう動どうせられざるなり。

▼又深心ハ深信ナリト者、決定シテ建↢立シテ自心ヲ↡、順ジテ↠教ニ修行シテ、永ク除キテ↢疑錯ヲ↡、不ル↧為ニ↢一切ノ別解・別行・異学・異見・異執ノ↡之、所レ↦退失シ傾動セ↥。也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]広明
                        [ⅰ]就人立信
                          [a]問

^◆問とひふ ていはく、 凡ぼん夫ぶは智ち浅あさく、 惑わく障しょう処ところ深ふかし。 もし解げ行ぎょう 不ふ同どうの おなじからざらむ人ひとにの 、 多おおく経きょう論ろんを引ひきて--来きたりてあひ 妨ぼう このむで難なんし、 ----証しょうして、ª一切いっさいの罪ざい障しょうの凡ぼん夫ぶ往おう生じょうすることを得えずº といふに逢あはんにば  、 いかんがかの難なんを対たい治じして、 信心しんじんを成じょう就じゅして--、 決けつ定じょうして直じきたゞちに進すすみてむで 、 怯退こうたいを生しょうぜざらんや。

▼問ヒテ曰1290ク、凡夫ハ智浅ク惑障処深シ。若シ逢ハムニ↧解行不同ノ人ニ、多ク引キテ↢経*論ヲ↡来リテ相*妨ゲテ難シ証シテ云フニ↦一切ノ罪障ノ凡夫不ト↞得↢往生ヲ↡者、云何ガ対↢治シテ彼ノ難ヲ↡、成↢就シテ信心ヲ↡、決定シテ直ニ進ミテ、不ラム↠生ゼ↢*怯退ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b]答
                            [イ]正明
                              ª一º第一重
                                ªⅠº牒難標不受

^◆答こたへていはく、 もし人ひとありて、多おおく経きょう論ろんの証しょうを引ひきて、 ª生しょうぜむまれ ずº といはば、 行ぎょう者じゃすなはち--------報こたへていへ、 ªなんぢ、 経きょう論ろんをもつて来きたり証しょうして «生しょうぜむまれ ず» といふといへども、 わが意こころしむ のごときは決けつ定じょうしてなんぢが破はを受うけずじ 。

答ヘテ曰ク、若シ有リテ↠人多ク引キテ↢経論ノ証ヲ↡、云ハバ↠不ト↠生ゼ者、行者即チ報ヘテ云ヘ、仁者 ナンヂ 雖モ↧将モテ↢経論ヲ↡来リ証シテ噵イフト↞不ト↠生ゼ、如キ↢我ガ意ノ↡者決定シテ不↠受ケ↢汝ガ破ヲ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡº広述道理
                                  ªⅰº標己正信

^◆なにをもつてのゆゑに。 しかもわれまた、 これかの└もろも諸 ろの┘経きょう論ろんを信しんぜざるにはあらず。 ことごとくみな仰信ごうしんすあふいで信ず。

何ヲ以ノ故ニ。然モ我亦不ズ↢是不ルニハ↟信ゼ↢彼ノ諸ノ経論ヲ↡。尽ク皆仰信ス。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡºªⅱº二門経論不同

^◆しかるにを ◗仏ぶつほとけかの経きょうを説ときたまふ時ときは--、 処しょところ別べつに、 時じとき別べつに、 対たい機き別べつに、 利り益やく別べつなり。 またかの経きょうを説ときたまふひし時ときは--、 すなはち ¬観かん経ぎょう¼・¬弥陀みだ経きょう¼ 等とうを説と└きたまく  ふ┘時ときにあらず。 しかるにも  仏ぶつの説せっ教きょうは、 機きに備ととのひてそなえし 時ときまた0805不ふ同どうなり。

然ルニ▼仏説キタマフ↢彼ノ経ヲ↡時ハ、▼処別ニ、時*別ニ、対機別ニ、利益別ナリ。又説キタマフ↢彼ノ経ヲ↡時ハ、即チ非ズ↧説キタマフ↢¬観経¼・¬弥陀経¼等ヲ↡時ニ↥。然ルニ仏ノ説教ハ、備トトノヒテ↠機ニ時亦不同ナリ。

^◆かれはすなはち通つうじて人にん・--天てん・菩ぼ薩さつの解げ行ぎょうを説とく。 いまの¬観かん経ぎょう¼ の定じょう散さん二に善ぜんを説とくは、 ただ韋い提だいおよび仏ぶつの--滅めつ後ごの五ご濁じょく・五苦ごく等らとうの一切いっさいの凡ぼん夫ぶのために、 証しょうして «生しょうずるこ1237とを得う» とのたまふ。

彼即チ通ジテ説ク↢人・天・菩薩之解行ヲ↡。今説クハ↢¬観経ノ¼定散二善ヲ↡、唯為ニ↢韋提及ビ仏ノ滅後ノ五濁・五苦等ノ一切凡夫ノ↡、証シテ言フ↠得ト↠生ズルコトヲ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡºªⅲº釈成

^◆この因縁いんねんのために、 われいま一心いっしんにこの仏ぶっ教きょうによりて決けつ定じょうして奉行ぶぎょうす。 たとひ└なんぢなむだちら┘百ひゃく千万億せんまんおくあ--りて---- «生しょうぜむまれ ず» といふとも、 ただわが往おう生じょうの信心しんじんを増ぞう長じょうし成じょう就じゅせんº と--。

為ニ↢此ノ因縁ノ↡、我今一心ニ依リテ↢此ノ仏教ニ↡決定シテ奉行ス。縦使 タトヒ 汝等百千万億アリテ噵フトモ↠不ト↠生ゼ者、唯増↢長シ成↣就セムト我ガ往生ノ信心ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二º第二重
                                ªⅠº標起

^◆また行ぎょう者じゃさらに向むかひて説ときていへ。 ª└なんきみぢ┘よく聴きけ。 われいまなんぢがためにまた さらに 決けつ定じょうの信相しんそうを説とかん。

▼又行者更ニ向ヒテ説キテ言ヘ。仁者 ナンヂ 善ク聴ケ。我今為ニ↠汝ガ更ニ説カム↢決定ノ信相ヲ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡº釈
                                  ªⅰº仮設難破

^◆たとひ地じ前ぜんの菩ぼ薩さつ・羅ら漢かん・辟びゃく支し仏ぶつ等とう、 もしは一いち、 もしは多た、 乃ない至し、 --十方じっぽうに遍満へんまんして、 みな経きょう論ろんの証しょうを引ひきて «生しょうぜず» といはば、

縦使 タトヒ 地前ノ菩薩・羅漢・辟支*仏等、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ▼十方ニ↡、皆引キテ↢経論ノ証ヲ↡言ハバ↠不ト↠生ゼ者、

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡºªⅱº標不受

^◆われまたいまだ一念いちねんの疑ぎ心しんを起おこさじ。 ただわが清浄しょうじょうの信心しんじんを増ぞう長じょうし成じょう就じゅせん。

我亦未ダ↠起サ↢一念ノ疑心ヲ↡。唯増↢長シ成↣就セム我ガ清浄ノ信心ヲ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡºªⅲº釈所由

^◆なにをもつてのゆゑに。 仏ぶつ語ごは決けつ定じょう成じょう就じゅの了りょう義ぎにして、 一切いっさいのために破壊はえせられざるによるがゆゑにº と--。

何ヲ以ノ故ニ。由ガ↫仏語ハ決定成就ノ了義ニシテ、不ルニ↪為ニ↢一切ノ↡所レ↩破壊セ↨故ニト。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三º第三重
                                ªⅠº標

^◆また行ぎょう者じゃよく聴きけ。

▼又行者善ク聴ケ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡº釈
                                  ªⅰº仮設難破

^◆たとひ初しょ地じ以い上じょう十じゅう地じ以い来らい、 もしは一いち、 もしは多た、 乃ない至し、 --十方じっぽうに遍満へんまんして、 異口いく同音どうおんにみないはく------、 ª釈しゃ迦か仏ぶつ、 弥陀みだを指し讃さんし、 三界さんがい・--六道ろくどうを毀呰きしして--、 衆しゅ生じょうを勧励かんれいして、 «専心せんしんに念仏ねんぶつしせしめ、 および余よの善ぜんを修しゅして、 この一身いっしんを畢おへ おはり て後のちに必ひつ定じょうしてかの国くにに生しょうずうまる » といふははば 、 これはかならず虚こ妄もうなり、 依え信しんすより信ず べからずº となり。

縦使 タトヒ 初地已上十地已来、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方1291ニ↡、異口同音ニ皆云ク、釈迦仏指↢讃シ弥陀ヲ↡、毀↢呰シテ三界・六道ヲ↡、勧↢励シ衆生ヲ↡、専心ニ念仏シ、及ビ修シテ↢余善ヲ↡、畢ヘテ↢此ノ一身ヲ↡後ニ必定シテ生ズトイフ↢彼ノ国ニ↡者、此ハ必ズ虚妄ナリ、不ト↠可カラ↢依信ス↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡºªⅱº標不受

^◆われこれらの所説しょせつを聞きくといへどふと も、 また一念いちねんの疑ぎ心しんを生しょうぜ└ずしじ。て、┘ ただわがわれ 決けつ定じょう0806して上上じょうじょうの信心しんじんを増ぞう長じょうし成じょう就じゅせん。

我雖モ↠聞クト↢此等ノ所説ヲ↡、亦不シテ↠生ゼ↢一念ノ疑心ヲ↡、唯増↢長シ成↣就セム我ガ決定シテ上々ノ信心ヲ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡºªⅲº釈所由

^◆なにをもつてのゆゑに。 すなはち仏ぶつ語ごは真実しんじつの--決けつ了りょうの義ぎなるによるがゆゑに。 仏ぶつはこれ実じっ知ち・実じつ1238解げ・実見じっけん・実じっ証しょうにして、 これ疑ぎ惑わくの心しん中ちゅうの語ごみことにあらざるがゆゑに。 また一切いっさいの菩ぼ薩さつの異い見けん・異解いげのために破壊はえせられず。 もし実じつにこれ菩ぼ薩さつならば、衆おおく すべて 仏ぶっ教きょうに違たがはじ。

何ヲ以ノ故ニ。乃チ由ルガ↢仏語ハ真実ノ決了ノ義ナルニ↡故ニ。仏ハ是実知・実解・実見・実証ニシテ、非ザルガ↢是疑惑ノ心中ノ語ニ↡故ニ。又不↧為ニ↢一切ノ菩薩ノ異見・異解ノ↡之所レ↦破壊セ↥。若シ実ニ是菩薩ナラバ者衆ク不↠違ハ↢仏教ニ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四º第四重
                                ªⅠº標

^◆またこの事じを置おけく 。 行ぎょう者じゃまさに知しるべし。

▼又置ケ↢此ノ事ヲ↡。行者当ニシ↠知ル。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡº釈
                                  ªⅰº仮設難破

^◆たとひ化け仏ぶつ・報仏ほうぶつ、 もしは一いち、 もしは多た、 乃ない至し、 --十方じっぽうに遍満へんまんして、 おのおの光ひかりを輝かがやかして、 舌したみしたを吐はきて、 あまねく--------十方じっぽうにあまねく覆おおひふ て、 一々いちいちに説ときてのたまはく----------、 ª釈しゃ迦かの所説しょせつにを あひ讃ほめて、 一切いっさいの凡ぼん夫ぶを勧発かんぽつして、 «専心せんしんに念仏ねんぶつし、 および余よ善ぜんを修しゅして、 回え願がんしてかの浄じょう土どに生しょうずむまる ることを得う» といふは、 こ--れは----これ虚こ妄もうなり、 さだめてこの事じことなしきなりº といふとも。、

縦使 タトヒ 化仏・報仏、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方ニ↡、各*各*輝カシ↠光ヲ、吐キテ↠舌ヲ遍ク覆ヒテ↢十方ニ↡、一々ニ説キテ言ク、釈迦ノ所説ニ相讃メ、勧↢発シテ一切ノ凡夫ヲ↡、専心ニ念仏シ、及ビ修シテ↢余善ヲ↡、廻願シテ得トイフ↠生ズルコトヲ↢*彼ノ浄土ニ↡者、此ハ是虚妄ナリ、定メテ无シト↢此ノ事↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅱº標不受

^◆われこれらの諸仏しょぶつの所説しょせつを聞きくといへどふと も、 畢ひっ竟きょうじて一念いちねんの疑ぎ退たいの心しんこゝろを起おこして、 かの仏国ぶっこくに生しょうずうまる ることを得え ずと ざらむことを畏おそれじとなり。

我雖モ↠聞クト↢此等ノ諸仏ノ所説ヲ↡、▼畢竟ジテ不↧起シテ↢一念ノ疑退之心ヲ↡、畏レ↞不ト↠得↠*生ズルコトヲ↢彼ノ仏国ニ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲº釈所由
                                    ªaº約通門
                                      ªイº諸仏等同

^◆なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつは一切いっさい仏ぶつなり。 └あらゆ 諸有の る┘知ち見けん・解げ行ぎょう・証しょう悟ご・果位かい・大だい悲ひ、 等同とうどうにして少すこしきの 差別しゃべつなし。

▼何ヲ以ノ故ニ。一仏ハ一切仏ナリ。所有ノ知見・解行・証悟・果位・大悲、等同ニシテ无シ↢少シキノ差別↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªaºªロº引例

^◆このゆゑに一仏いちぶつの制せいしたまふところは、 すなはち一切いっさいの仏ぶつ同おなじく制せいしたまふ。 前仏ぜんぶつの殺せっ生しょう・十じゅう悪あく等とうの罪つみを制断せいだんしたまふがごとく、 畢ひっ竟きょうじて犯ぼんせず行ぎょうぜざるず  は、 すなはち十じゅう善ぜん・十行じゅうぎょうと名なづけ--------、 六ろく度どの義ぎに随ずい順じゅんすとなづく。 もし後ご仏ぶつありましまして世よ0807に出いでんにて  、 あに前さきの十じゅう善ぜんを改あらためて十じゅう悪あくを行ぎょうぜしむべけんや。

是ノ故ニ一仏ノ所ハ↠制シタマフ、即チ一切ノ仏同ジク制シタマフ。▼如↣似 ゴト ク前仏ノ制↢断シタマフガ殺生・十悪等ノ罪ヲ↡、畢竟ジテ不↠犯セ不ル↠行ゼ者、即チ名ケ↢十善・十行ト↡、随↢順ス六度之義ニ↡。若シ有リテ↢後仏↡出デムニ↠世ニ、豈ニ可ケム↧改メテ↢前ノ十善ヲ↡令ム↞行ゼ↢十悪ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªaºªハº結示

^◆この道どう理りをもつて推験すいげんするおしてかむがふるに、 あきらかに知しりぬ。 諸仏しょぶつの言ごん行ぎょうはあひ違い失しつせず。

以テ↢此ノ道理ヲ↡推験スルニ、明ニ知リヌ、諸仏ノ言行ハ不↢相違失セ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbº約別門
                                      ªイº正明

^◆たとひ釈しゃ迦か1239一切いっさいの凡ぼん夫ぶを指さし おしえ 勧すすめて、 ªこの一身いっしんを尽つくして専念せんねんし専修せんじゅして、 命いのちを捨すておはて以後のちに--さだめてかの国くにに生しょうずむまる º といふは、 すなはち十方じっぽうの諸仏しょぶつもことごとくみな同おなじく讃ほめ讃じ 、 同おなじく勧すすめ、 同おなじく証しょうしたまふ。 なにをもつてのゆゑに。 同体どうたいの大だい悲ひのゆゑに。 一仏いちぶつの所しょ化けは、 すなはちこれ----一切いっさいの--仏ぶつの化けなり。 一切いっさいの--仏ぶつの化けは、 すなはちこれ一仏いちぶつの所しょ化けなり。

縦令 タトヒ 釈迦指シ↢勧シテ一切1292ノ凡夫ヲ↡、尽シテ↢此ノ一身ヲ↡専念専修シテ、捨テテ↠命ヲ已後ニ定メテ生ズトイフ↢彼ノ国ニ↡者、即チ十方ノ諸仏悉ク皆同ジク讃メ同ジク勧メ同ジク証シタマフ。何ヲ以ノ故ニ。同体ノ大悲ノ故ニ。一仏ノ所化ハ即チ是一切ノ仏ノ化ナリ。一切ノ仏ノ化ハ即チ是一仏ノ所化ナリ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªロº引証
                                        ˆ一ˇ同讃

^◆すなはち ¬弥陀みだ経きょう¼ のなかに説と└きたまか  は┘く、 釈しゃ迦か極楽ごくらくの種々しゅじゅの荘しょう厳ごんを讃歎さんだんし、 ◆また一切いっさいの凡ぼん夫ぶを勧すすめて、 ª一日いちにち七日しちにち、 一心いっしんにもつぱら--------弥陀みだの名みょう号ごうを念ねんじ 専念し て、 さだめて往おう生じょうすることを└得えしめたう  まふ┘º と--。

▼即チ¬弥陀経ノ¼中ニ説カク、釈迦讃↢歎シ極楽ノ種々ノ荘厳ヲ↡、又勧メテ↢一切凡夫ヲ↡、一日七日一心ニ専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡、定メテ得シメタマフト↢往生ヲ↡。

^◆次下つぎしもの文もん (小経) に└のたい ま┘はく、 ª十方じっぽうにおのおの恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつましまして、 同おなじく釈しゃ迦かを讃ほめて、 よく五ご濁じょく悪あく時じ、 悪あく世せ界かい、 悪あく衆しゅ生じょう、 悪あく煩悩ぼんのう、 悪邪あくじゃ、 無む信しんの盛さかりなる時ときにおいて、 弥陀みだの名みょう号ごうを指し讃さんして、 衆しゅ生じょうを勧励かんれいし すすめはげまし て、 «称しょう念ねんすればかならず往おう生じょうすることを得う»º と。 いふこと、すなはちその証しょうなり。

次下ノ文ニ云ク、十方ニ各ノ有シテ↢恒*河沙等ノ諸仏↡、同ジク讃メテ↢釈迦ヲ↡、能ク於テ↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・*悪煩悩・*悪邪・无信ノ盛ナル時ニ↡、指↢讃シテ弥陀ノ名号ヲ↡勧↢励シテ衆生ヲ↡、称念スレバ必ズ得ト↢往生ヲ↡。即チ其ノ証也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªロºˆ二ˇ同証

^◆また十方じっぽうの仏ぶつ等とう、 衆しゅ生じょうの釈しゃ迦か一仏いちぶつの所説しょせつを信しんぜざるらむことを恐畏くいして、 すなはちともに同心どうしん同どう時じにおのおの舌相ぜっそうを出いだして、 あまねく三千さんぜん世せ界かいに覆おおひて、 誠じょう実じつの言ごんを説ときたまふ。 ª└なんぢなむだちら┘衆しゅ0808生じょう、 みなこの釈しゃ迦かの所説しょせつ・所讃しょさん・所しょ証しょうを信しんずべし。 一切いっさいの凡ぼん夫ぶ、 罪福ざいふくの多た少しょう、 時じ節せつの久く近ごんを問とはず、 ただよく上かみ百ひゃく年ねんを尽つくして--、 下しも一日いちにち七日しちにちに至いたるまで、 一心いっしんにもつぱら--------弥み陀だ1240の名みょう号ごうを念ねんず 専念す れば、 さだめて往おう生じょうを得うること、 かならず疑うたがいなしきなりº と--。

又十方ノ仏等、恐↢畏シテ衆生ノ不ラムコトヲ↟信ゼ↢釈迦一仏ノ所説ヲ↡、即チ共ニ同心同時ニ各ノ出シテ↢舌相ヲ↡、遍ク覆ヒテ↢三千世界ニ↡、説キタマフ↢誠実ノ言ヲ↡。汝等ナムダチ衆生、皆応シ↠信ズ↢是ノ釈迦ノ所説・所讃・所証ヲ↡。一切ノ凡夫、不↠問ハ↢罪福ノ多少、時節ノ久近ヲ↡、但能ク上尽シテ↢百年ヲ↡、下至ルマデ↢一日七日ニ↡一心ニ専ラ念ズレバ↢弥陀ノ名号ヲ↡、定メテ得ルコト↢往生ヲ↡、必ズ无シト↠疑也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªハº結示

^◆このゆゑに一仏いちぶつの所説しょせつは、 すなはち一切いっさいの仏ぶつ同おなじくその事じを証誠しょうじょうしたまふなり。

是ノ故ニ一仏ノ所説ハ、即チ一切ノ仏同ジク証↢誠シタマフ其ノ事ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][ロ]結文

^◆これを*人にんに就つきて信しんを立たつと名なづく。

▼此ヲ名クル↢就キテ↠人ニ立ツト↟信ヲ也。▼

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]就行立信

^◆次つぎに行ぎょうに就つきて信しんを立たつといふは、 しかるにも  行ぎょうに二に種しゅあり。 一いちには正行しょうぎょう、 二にには雑ぞう行ぎょうなりといへり。 云々うんぬん。------ 前さきの二に行ぎょうのなかに引ひくところのごとし。 繁しげきを恐おそれて載のせず。 見みるむ 人ひと、 意こころを得えよ こゝろうべし  。

▼次ニ就キテ↠行ニ立ツト↠信ヲ者、然ルニ行ニ有リ↢二種↡。一ニ者正行、二ニ者雑行ナリ。云々。如シ↢▼前ノ二行之中ニ所ノ↟引ク。恐レテ↠*繁キヲ不↠載セ。見ム人得ヨ↠意ヲ

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)回向発願心
            (Ⅰ)牒文

 ^▲三さんには ª回え向こう発願ほつがん心しんº と--。

▼三ニ者廻向発願心ト。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)随釈
              (ⅰ)約要門

^◆ª回え向こう発願ほつがん心しんº といふは、 過去かこおよび今こん生じょうの身しん口意くい業ごうに修しゅするところの世せ・--出しゅっ世せの善根ぜんごん、 および他たの一切いっさいの--凡ぼん聖しょうの身しん口意くい業ごうに修しゅするところの世せ・--出しゅっ世せの善根ぜんごんを随ずい喜きして、 この自他じたの所修しょしゅの善根ぜんごんをもつて、 ことごとくみな真実しんじつの└深信じんしんの心しん ふかき信心 ┘のうちに回え向こうして、 かの国くにに生しょうぜんと願がんず。 るがゆゑに回え向こう発願ほつがん心しんと名なづく。

▼言フ↢廻向発願心ト↡者、過去及以 オヨビ 今生ノ身口意業ニ所ノ↠修スル世・出世ノ善根、及ビ随↢喜シテ他ノ一切ノ凡聖ノ身口意業ニ所ノ↠修スル世・出世ノ善1293根ヲ↡、以テ↢此ノ自他ノ所修ノ善根ヲ↡、悉ク皆真実ノ深信ノ心ノ中ニ廻向シテ、願ズ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。故ニ名クル↢廻向発願心ト↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)約弘願
                (a)約往相
                  (イ)広明
                    [一]出体

^◆また*回え向こう発願ほつがんして生ずといふは、 *かならずすべからく決けつ定じょうの真実しんじつ心しんのうちに回え向こうして、 願じて得とく生しょうの想おもいを願がん--作さすなす べし。

▼又廻向発*願ト者、必ズ須クシ↣決定ノ真実心ノ中ニ廻向シテ、願↢作ス得生ノ想ヲ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]功徳

^◆この心しん深ふかく信しんずること、なほし金剛こんごうのごとくして、 一切いっさいの異い見けん・異い学がく・別べつ解げ・別べつ行ぎょうの人にんひと等とうら のために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれ決けつ定じょうして一心いっしんに捉とりて、 正しょう直じきに進すすみて、 かの人ひとの語ごことばを聞ききて、 すなはち進退しんたいすることありて、 心しんに怯こう弱にゃくを生しょうじて、 回顧えこして道どうに0809落おちて、 すなはち往おう生じょうの大益だいやくを失うしなふことを得えざれとなり。

▼此ノ心深ク信ズルコト由ナホシ若ク↢金剛ノ↡、不↧為ニ↢一切ノ異見・異学・別解・別行ノ人等ノ↡之所レ↦動乱破壊セ↥。唯是決定シテ一心ニ*捉リテ、正直ニ進ミテ、不レ↠得↧聞キテ↢彼ノ人ノ語ヲ↡、即チ有リテ↢進退↡、心ニ生ジテ↢怯弱ヲ↡、廻顧シテ落チテ↠道ニ、即チ失スルコトヲ↦往生之大益ヲ↥也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三]料簡
                      [Ⅰ]問

^◆問とひふ ていはく、 もし解げ行ぎょう不ふ同どうの邪雑じゃぞうの人にんひと等とうら ありて、 来きたりてあ1241ひ惑乱わくらんして、 あるいは種々しゅじゅの疑ぎ難なんを説ときて、 ª往おう生じょうすることを得えずº といひ、 あるいはいはん、 ª└なんぢなむだちら┘衆しゅ生じょう、 曠劫こうごうよりこのかたおよび------今こん生じょうの身しん口意くい業ごうに、 一切いっさいの凡ぼん聖しょうの身しんみ の上うえにおいてつぶさに十じゅう悪あく・五ご逆ぎゃく・四し重じゅう・謗法ほうぼう・闡提せんだい・破は戒かい・破は見けん等とうの罪つみを造つくりて、 いまだ除尽じょじんすることあたはず。 しかもるにこれらの罪つみは三界さんがいの--悪道あくどうに繋け属ぞくすせり。 いかんぞ一いっ生しょうの修福しゅふく念仏ねんぶつ└をもに つ┘て、 すなはちかの無漏むろ無む生しょうの国くにに入まいい りて、 永ながく不ふ退たいの位くらいを証しょう悟ごすることを得えんやº と--。

▼*問ヒテ曰ク、若シ有リテ↢解行不同ノ邪雑ノ人等↡来リテ相惑乱シテ、*説キテ↢種々ノ疑難ヲ↡、噵ヒ↠不ト↠得↢往生ヲ↡、或イハ云ハム、汝等ナムダチ衆生、曠劫ヨリ已来タ及以 オヨビ 今生ノ身口意業ニ、於テ↢一切ノ凡聖ノ身ノ上ニ↡具ニ造リテ↢▼十悪・▼五逆・▼四重・▼謗法・▼闡提・▼破戒・▼破見等ノ罪ヲ↡、未ダ↠能ハ↢除尽スルコト↡。然モ此等之罪ハ繋↢属ス三界ノ悪道ニ↡。云何ゾ一生ノ修福念仏ヲモテ、即チ入マヰリテ↢彼ノ无漏无生之国ニ↡、永ク得ム↣証↢悟スルコトヲ不退ノ位ヲ↡也ト。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ]答
                        [ⅰ]法説
                          [a]総標

^◆答こたへていはく、 諸仏しょぶつの教行きょうぎょう、 数かず塵沙じんじゃに越こえたり。 稟識ほんじきの機き縁えん、 情こころに随したがひて一いちにあらず。

答ヘテ曰ク、諸仏ノ教行、数越エタリ↢塵沙ニ↡。稟識ノ機縁随ヒテ↠情ニ非ズ↠一ニ。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][b]引例比況

^◆たとへば世せ間けんの人ひとの眼まなこに見みつべく信しんじつべきがごときは、 明みょうはの よく闇あんを破はし、 空くうはの よく有うを含がんす ふくみ 、 地じはの よく載養さいようすし 、 水みずはの よく生しょう潤にんすし 、 火ひはの よく成じょう壊えするがごとし。 かく これら のごとき等ら--の事じ、 ことごとく待対たいたいの法ほうと名なづく。 すなはち目めに見みつる べし。 千差せんじゃ万別まんべつなり。 いかにいはんや、仏法ぶっぽうの--不ふ思議しぎの力ちから、 あに種々しゅじゅの益やくなからんや。

譬ヘバ如キ↢世間ノ人ノ眼ニ可ク↠見ツ可キガ↟信ズ者、如シ↢明ハ能ク破シ↠闇ヲ、空ハ能ク含ス↠有ヲ、地ハ能ク載養ス、水ハ能ク生潤ス、火ハ能ク成壊スルガ↡。如キ↠此クノ等ノ事悉ク名ク↢待対之法ト↡。即チ*目ニ可シ↠見ツ。千差万別ナリ。▼何ニ況ヤ仏法ノ不思議之力豈ニ无カラム↢種々ノ益↡也。

^◆随したがひふ て一いちの--門もんよりを  出いづ└といふれば は┘、 すなはち一いちの--煩悩ぼんのうの門もんよりを  出いづるなり。 随したがひふ て一いちの--門もんよりに  入い└るといればふは┘、 すなはち一いちの--解げ脱だつ智慧ちえの門もんよりに  入いるなり。 ◆これがために縁えんに随したがひて--行ぎょうを起おこして、 おのおの解げ脱だつを求もとむ。

▼随ヒテ出ヅトイフ↢一ノ門ヨリ↡者、即チ出ヅル↢一ノ煩悩ノ門ヨリ↡也。随ヒテ入ルトイフ↢一ノ門ヨリ↡者、即チ入ル↢一ノ解脱智*慧ノ門ヨリ↡也。為ニ↠此ガ随ヒテ↠縁ニ起シテ↠行ヲ、各ノ求ム↢解脱ヲ↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][c]遮偏見難

^◆な0810んぢ、 なにをもつてかすなはち有う縁えんの要ににあらざる要よう--行ぎょうをもつてわれを障しょう惑わくする。 しかもるにわが愛あいするところは、 すなはちこれわが1242有う縁えんの行ぎょうなり。 すなはちなんぢが所しょ求ぐもとむるところにあらず。 なんぢが愛あいするところは、 すなはちこれなんぢが有う縁えんの行ぎょうなり。 またわが所しょ求ぐもとむるところにあらず。 このゆゑにおのおの所しょ楽ぎょうに随したがひふ て、しかもその行ぎょうを修しゅすればるものは、 かならず疾とく解げ脱だつを得うるなり。

汝何ヲ以テカ乃1294チ将モテ↧非ザル↢有縁ニ↡之要行ヲ↥障↢惑スル於我ヲ↡。然モ我ガ之所ハ↠愛スル即チ是我ガ有縁之行ナリ。即チ非ズ↢汝ガ所求ニ↡。汝ガ之所ハ↠愛スル、即チ是汝ガ有縁之行ナリ。亦非ズ↢我ガ所求ニ↡。是ノ*故ニ随ヒテ↢所楽ニ↡而修スレバ↢其ノ行ヲ↡者、必ズ疾ク得ル↢解脱ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][d]約解行分別

^◆行ぎょう者じゃまさに知しるべし。 もし解げを学がくせ まなば んと欲おもはば、 凡ぼんより聖しょうに至いた└るまり で┘、 乃ない至し仏ぶっ果かまで、 一切いっさい無礙むげに さはりなく みな└学がくする まなぶ ┘ことを得えようるなり。 もし行ぎょうを学がくせ まなば んと欲おもはば、 かならず有う縁えんの法ほうによれ。りて、 少すこしき功く労ろうを用もちゐるに多おおく益やくを得うるなり。

行者当ニシ↠知ル。▼若シ欲ハバ↠学セムト↠解ヲ、従リ↠凡至ルマデ↠聖ニ、乃至仏果マデ、一切无礙ニ皆得ヨ↠学スルコトヲ*也。若シ欲ハバ↠学セムト↠行ヲ者必ズ藉レ↢有縁之法ニ↡。▼少シキ用ヰルニ↢功労ヲ↡多ク得ル↠益ヲ也 △。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ]譬説
                          [a]用譬意許

 ^◆また一切いっさいの往おう生じょう人にん等とうにまうす。さく、 いまさらに行ぎょう者じゃのために一いちの譬ひ-- 喩ゆたとえを説ときて、 信心しんじんを守しゅ護ごして、 もつて外げ邪じゃ異い見けんの難なんを防ふせがん。 何なんのなに 者ものかこれや。

▼又白ス↢一切ノ往生人等ニ↡。今更ニ為ニ↢行者ノ↡説キテ↢一ノ譬喩ヲ↡、▼守↢護シテ信心ヲ↡、以テ防ガム↢外邪異見之難ヲ↡。何ノ者カ是也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ][b]正宗
                            [イ]譬文

^◆たとへば、 人ひとありて西にしに向むかひふ て百ひゃく千せんの--里りを行ゆかんと欲ほっすす  るに、 忽然こつねんとして中ちゅう路ろに二にの河かわあり。 一いちにはこれ火ひの河かわ、 南みなみにあり。 二ににはこれ水みずの河かわ、 北きたにあり。 二にの河がおのおの闊ひろさ百ひゃく歩ぶ、 おのおの深ふかさくして底そこも--なくし 、 南北なんぼくに辺ほとりなし。

譬ヘバ如シ↧有リテ↠人欲スルニ↣向ヒテ↠西ニ行カムト↢百千之里ヲ↡、忽然トシテ中*路ニ有リ↢二ノ河↡。一ハ是火ノ河在リ↠南ニ。二ハ是水ノ河在リ↠北ニ。二河*各ノ闊ヒロサ百歩、各ノ深サ无ク↠底モ、南北无シ↠辺。

^◆まさしく水すい火かの中ちゅう間げんに一いちの白びゃく道どうあり。 闊ひろさ四し、五ご寸すんばかりなるべし。 この道みちだう、東ひがしの岸きしより西にしの岸きしに至いたるまで、 また長ながさ百ひゃく歩ぶ、 その水みずの波は浪ろう、交きょう過かし まじわりすぎ て道みちだうを湿うるおす。 その火ひの炎ほのお、ま0811た来きたりて道みちを焼やく。 水すい火かあひ交まじはりてつねに休く息そくすることなし。

正シク水火ノ中間ニ有リ↢一ノ白*道↡。可シ↢闊ヒロサ四五寸許バカリナル↡。此ノ道従リ↢東ノ岸↡至ルマデ↢西ノ岸ニ↡、亦長サ百歩、其ノ水ノ波浪交過シテ湿ス↠道ヲ。其ノ火ノ燄亦来リテ焼ク↠道ヲ。水火相交リテ常ニ无シ↢休息スルコト↡。

^◆この人ひとすでに空曠くうこうのはるかなる処ところに至いたるに、 さらに人物にんもつな し くして。、 多おおく群賊ぐんぞく・悪あく獣じゅうのみあり。 この人ひとの単独たんどくなるを見みて1243、 競きおひ----来きたりて殺ころさんと欲ほっすす  。 この人ひと死しを怖おそれて直じきに走はしりて、西にしに向むかふに--、。 ◆忽然こつねんとしてこの大たいの河がを見みるて、。 すなはちみづから念言ねんごんすらく、 ªこの河かわ南北なんぼくに辺畔へんぱんを見みず。 中ちゅう間げんに一いちの白びゃく道どうを見みる。 きはめてこれ狭少きょうしょうなり。 二ふたつの岸きしあひ去さること近ちかしといへども、 なにによりてか行ゆくべき。 今日こんにち----さだ----めて----死しするせむ こと疑うたがはず。

此ノ人既ニ至ルニ↢空曠ノ迥ナル処ニ↡、更ニ无シ↢人物↡。多ク有リ↢群賊・悪獣ノミ↡。見テ↢此ノ人ノ単独ナルヲ↡、競ヒ来リテ欲ス↠殺サムト。此ノ人怖レテ↠死ヲ直ニ走リテ向フニ↠西ニ、*忽然トシテ見ル↢此ノ大河ヲ↡。即チ自ラ念言スラク、此ノ河南北ニ不↠見↢辺畔ヲ↡。中間ニ見ル↢*一ノ白道ヲ↡。極テ是狭少ナリ。二ノ岸相去ルコト雖モ↠近シト、何ニ由テカ可キ↠行ク。今日定メテ死スルコト不↠疑ハ。

^◆まさしく到いたり回かえらんと欲ほっすす  れば、 群賊ぐんぞく・悪あく獣じゅう漸々ぜんぜんやうやくに来きたり逼せむ。 まさしく南北なんぼくに避さり走はしらんと欲ほっすす  れば、 悪あく獣じゅう・毒どく虫ちゅう競きおひ来きたりてわれに向むかふ。 まさしく西にしに向むかひて道みちだうを尋たずねて去さらんと欲ほっすす  れば、 またおそらくはこの水すい火かの二河にがに堕だする おちむ  ことをº と--。 時ときに当あたりて惶こう怖ふすることまたいふべからず。

正シク欲スレバ↢到リ廻カヘラムト↡、群賊・悪獣漸々ニ来リ逼ム。正シク欲スレバ↢南北ニ避リ走ラムト↡、悪獣・毒*虫競ヒ来リテ向フ↠我ニ。正シク欲スレバ↢向ヒテ↠西ニ尋ネテ↠道ヲ而去ラムト↡、復恐クハ堕チラムコトヲト↢此ノ水1295火ノ二河ニ↡。当リテ↠時ニ惶怖スルコト不↢復可カラ↟言フ。

^◆すなはちみづから思し念ねんすらく、 ªわれいま回かえるともまた死しなんし、 。 住じゅうすともまた死しなんし、 。 去さるともまた死しなせ ん。 一種いっしゅとして死しを勉まぬかれじざれば。、 われ----*むしろこの道みちだうを尋たずねて前さきに向むかひて去さらん。 すでにこの道みちあり。 かならず度わたるべしº と--。

即チ自ラ思念スラク、我今廻カヘルトモ亦死ナム、住ストモ*亦死ナム、去ルトモ亦死ナム。一種トシテ不↠*勉マヌカレ↠死ヲ者。我寧ロ尋ネテ↢此ノ道ヲ↡向ヒテ↠前ニ而去ラム。既ニ有リ↢此ノ道↡。必ズ応↢可ベシト度ル↡。

^◆この念ねんおもひをなすさむ時ときに、 東ひがしの岸きしにたちまちに人ひとの勧すすむる声こえを聞きく。 ªなんぢ└ きみ ┘、 ただ決けつ定じょうしてこの道みちを尋たずねて行ゆけ。 かならず死しの難なんなからん るべし 。 もし住じゅう0812せばすなはち死ししなんº と--。

作ス↢此ノ念ヲ↡時ニ、東ノ岸ニ忽ニ聞ク↢人ノ勧ムル声ヲ↡。仁者 ナンヂ 但決定シテ尋ネテ↢此ノ道ヲ↡行ケ。必ズ无ケム↢死ノ難↡。若シ住セバ即チ死ナムト。

^◆また西にしの岸きしの上うえに人ひとありて、 喚よばひていはく、 ªなんぢ一心いっしんに正しょう念ねんにて直じきに来きたれ。 われよくなんぢを護まもらん。 すべて ことごとく 水すい火かの難なんに堕だする おちむ  ことを畏おそれざれº と--。

又西ノ岸ノ上ニ有リテ↠人、喚ヒテ言ク、汝一心ニ正念ニ直ニ来レ。我能ク護ラム↠汝ヲ。衆テ不レト↠畏レ↠堕チムコトヲ↢於水火之難ニ↡。

^◆この人ひとすでにこ1244こに遣やりつかはし、 かしこに喚よばふを聞ききて、 すなはちみづからまさしく身心しんしんに当あたりて、 決けつ定じょうして、道みちを尋たずねて直じきたゞち に進すすみてむで 疑ぎ怯こう退心たいしんを生しょうぜず なさゞれ  。

此ノ人既ニ聞キテ↢此ニ遣リ彼ニ喚フヲ↡、即チ自ラ正シク当リテ↢身心ニ↡、決定シテ尋ネテ↠道ヲ直ニ進ミテ不↠生ゼ↢疑怯退心ヲ↡。

^◆あるいは行ゆくこと一分いちぶん二に分ぶんするに、 東ひがしの岸きしに群賊ぐんぞく等ら喚よばひていはく、 ªなんぢ└ きみ ┘回かえり来きたれ。 この道みちは嶮悪けんあくにして過すぐることを得えじ。 かならず死しするなむ こと疑うたがはず。 われら、すべて もろもろの 悪心あくしんをもつてあひ向むかふことなしº と。 この人ひと喚よばふ声こえを聞きくといへども、 また回顧えこせかへりみ ず。 一心いっしんに直じきたゞちに進すすみて------道みちを念ねんじて行ゆくにけば 、 ◆須しゅ臾ゆにすなはち西にしの岸きしに到いたりて、 永ながく諸難しょなんを離はなれて、 善ぜん友ぬと--あひ見みて慶きょう楽らくすること已やむことなきがごとし。

或イハ行クコト一分二分ルニ、▼東ノ岸ニ群賊等喚ヒテ言ク、仁者 ナンヂ 廻カヘリ来レ。此ノ道嶮悪ニシテ不↠得↠過グルコトヲ。必ズ死セムコト不↠疑ハ。我等衆テ无シト↢悪心ヲモテ相向フコト↡。此ノ人雖モ↠聞クト↢喚フ声ヲ↡亦不↢廻顧セ↡。一心ニ直ニ進ミテ念ジテ↠道ヲ而行クニ、須臾ニ即チ到リテ↢西ノ岸ニ↡、永ク離レテ↢諸難ヲ↡、善友ト相見テ慶楽无キガ↞已ムコト。

^◆これはこれ喩たとへなり。

此ハ是喩也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ][b][ロ]合文

 ^◆次つぎに喩たとへを合がっせば、 ◆ª東ひがしの岸きしº といふは、 すなはちこの娑しゃ婆ば世界の火か宅たくに喩たとふるなり。

次ニ合セバ↠喩ヲ者、言フ↢東ノ岸ト↡者、即チ喩フル↢此ノ娑婆之火宅ニ↡也。

^◆ª西にしの岸きしº といふは、 すなはち極楽ごくらくの宝国ほうこくに喩たとふる也。

言フ↢西ノ岸ト↡者、即チ喩フル↢極*楽ノ宝国ニ↡也。

^◆ª群賊ぐんぞく・悪あく獣じゅう詐いつわり親したしむº といふは、 すなはち衆しゅ生じょうの六根ろっこん・六識ろくしき・六塵ろくじん・五ご陰おん・四し大だいに喩たとふるなり。

言フ↢群賊・悪獣詐リ親シムト↡者、即チ喩フル↢衆生ノ▼六根・▼六識・▼六塵・▼五陰・▼四大ニ↡也。

^◆ª└人ひとな无人き┘空くう迥きょうの沢さわº といふは、 すなはちつねに悪あく友うに随したがひて真しんの善ぜん知ぢ識しきに値あはざるに喩たとふるなり。

言フ↢无キ↠人空迥ノ沢ト↡者、即チ喩フル↧常ニ随ヒテ↢悪友ニ↡不ルニ↞値ハ↢真ノ善知識ニ↡也。

^◆ª水すい火かの二河にがº といふは、 すなはち衆しゅ生じょうの貪愛とんないは水みずの0813ごとし、 瞋憎しんぞうは火ひのごとしとくなるに喩たとふるなり。

言フ↢水火ノ二河ト↡者、即チ喩フル↢衆生ノ貪愛ハ如シ↠水ノ、瞋*増ハ如シト↟火ノ也。

^◆ª中ちゅう間げんの白びゃく道どう四、五しご寸すんなる----º といふは、 すなはち衆しゅ生じょうの貪瞋とんじん煩悩ぼんのうのなかに、 よく清浄しょうじょうの願がん往おう生じょうの心しんをの 生しょうずるに喩たとふるなり。 すなはち貪瞋とんじん強こわきによる1245がゆゑに、 すなはち水すい火かのごとしと喩たとふ。 善心ぜんしんは微みなるがゆゑに、 白びゃく道どうのごとしと喩たとふる也。

▼言フ↢中間ノ白道四五寸ナルト↡者、即チ喩フル↢衆生ノ貪瞋煩悩ノ中ニ能ク生ズルニ↢清浄ノ願往生ノ*心ヲ↡也。乃チ由ルガ↢貪瞋強キハキニ↡故ニ即チ喩フ↠如シト↢水火ノ↡。善心ハ微ナルガ故ニ喩フ↠如シト↢白道ノ↡。

^◆また ª水すい波はつねに道みちを湿うるおすº といふは、 すなはち愛心あいしんつねに起おこりて、 よく善心ぜんしんを染ぜん汚わするに喩たとふるなり。

又水波常ニ湿ストイフ↠道1296ヲ者、即チ喩フル↣愛心常ニ起リテ能ク染↢汚スルニ善心ヲ↡也。

^◆また ª火か炎えんつねに道みちを焼やくº といふは、 すなはち瞋嫌しんけんの心しんよく功く徳どくの法財ほうざいを焼やくに喩たとふるなり。

又火燄常ニ焼クトイフ↠道ヲ者、即チ喩フル↣瞋嫌之心能ク焼クニ↢功徳之法財ヲ↡也。

^◆ª人ひとの--道みちだふの上うえを行ゆきて直じきたゞちに西にしに向むかふº といふは、 すなはちもろもろの行ぎょう業ごうを回えして、直じきに西方さいほうに向むかふに喩たとふるなり。

言フ↧人ノ行キテ↢道ノ上ヲ↡直ニ向フト↞西ニ者、即チ喩フル↧廻シテ↢諸ノ行業ヲ↡直ニ向フニ↦西方ニ↥也。

^◆ª東ひがしの岸きしに人ひとの声こえのあて勧すすめ遣やるつかはすを聞ききて、 道みちを尋たずねて 直じき たちまちに西にしに進すすむº といふは、 すなはち釈しゃ迦かは--すでに滅めっして、 後のちの人ひと見みたてまつら└ざれどず  も┘、 なほ教きょう法ぼうのみありて尋たずぬべきに喩たとふるなり。 すなはちこそ れを声こえのごとしと喩たとふるなり。

言フ↧東ノ岸ニ聞キテ↢人ノ声ノ勧メ遣ルヲ↡尋ネテ↠道ヲ直ニ西ニ進ムト↥者、即チ喩フ↧釈迦ハ已ニ*滅シテ後ノ人不レドモ↠見タテマツラ、由ナホ有リテ↢教法↡可キニ↞尋ヌ。即チ喩フル↢之ヲ如シト↟声ノ也。

^◆ªあるいは行ゆくこと一分いちぶん二に分ぶんするに群賊ぐんぞく等ら喚よび回かえすº といふは、 すなはち別べつ解げ・別べつ行ぎょう・悪見あくけんの人にんひと等とうら の、 *妄みだりに見けん解げ└を説とし き┘てたがひにあひ惑乱わくらんし、 およびみづから罪つみを造つくりて退失たいしつす ると説くに喩たとふるなり。

▼言フ↢或イハ行クコト一分二分スルニ▼群賊等喚ビ廻カヘスト↡者、即チ喩フル↧別解・別行・*悪見人等ノ、妄ニ説キテ↢見解ヲ↡迭タガヒニ相惑乱シ、及ビ自ラ造リテ↠罪ヲ退失スルニ↥也。

^◆ª西にしの岸きしの上うえに人ひとありて喚よばふº といふは、 すなはち弥陀みだの願がん意いに喩たとふるなり。

言フ↢西ノ岸ノ上ニ有リテ↠人喚フト↡者、即チ喩フル↢弥陀ノ願意ニ↡也。

^◆ª須しゅ臾ゆに西にしの岸きしに到いたりて善ぜん友ぬあひ見みて喜よろこぶº といふは0814、 すなはち衆しゅ生じょう久ひさしく生しょう死じに沈しずみて、 曠劫こうごうにより輪りん廻ねし、 迷倒めいとうしてみづから纏まつわりまとふ て、 解げ脱だつするに由よしなきにたとふるなり、。 仰あおぎていで 釈しゃ迦かの--発遣はっけんして、 さして西方さいほうに└指し向こうしたまむかへしむる ふ┘ことを蒙こうむり、 また弥陀みだの悲ひ心しんをもつて招喚しょうかんしたまふによりてる。 、 いま二に尊そん (釈尊・阿弥陀仏) の意 みこころ おむこゝろに信しん順じゅんして、 水すい1246火かの二河にがを顧かえりみず、 念々ねんねんに遺わするることなく、かれ。 かの願力がんりきの道どうに乗のり乗じ て、 命いのちを捨すてをはりて後のちに、 かの国くにに生しょうずることを得えて、うるにたとふ。 仏ぶつとあひ見まみえみ  て慶きょう喜きすること、なんぞ極きわまらんやと--喩たとふる------な--り--。

言フ↧須臾ニ到リテ↢西ノ岸ニ↡善友相見テ喜ブト↥者、即チ喩フル↧衆生久シク沈ミテ↢生死ニ↡、曠劫ニ*淪廻シ、迷*倒シテ自ラ纏ヒテ、无キニ↠由↢解脱スルニ↡、仰ギテ蒙リ↣釈迦ノ発遣シテ指↢向シタマフコトヲ西方ニ↡、又藉リテ↢弥陀ノ悲心ヲモテ招喚シタマフニ↡、今信↢順シテ二尊之意ニ↡、不↠顧ミ↢水火ノ二河ヲ↡、念々ニ无ク↠遺ワスルルコト、乗リテ↢彼ノ願力之道ニ↡、捨テ↠命ヲ已リテ後ニ得テ↠生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡、与↠仏相見マミエテ慶喜何ゾ極ラムト↥也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)結名義

 ^◆また一切いっさいの行ぎょう者じゃ、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがの三業さんごうに修しゅするところ、 昼ちゅう夜や時じ節せつを問とふことなく、 つねにこの解げさとりをなし、つねにこの想おもいをなす。かるががゆゑに、 --回え向こう発願ほつがん心しんと名なづく。

▼又一切ノ行者、行住坐臥三業ニ所↠修スル、无ク↠問フコト↢昼夜時節ヲ↡、常ニ作シ↢此ノ解ヲ↡常ニ*作スガ↢此ノ想ヲ↡故ニ、名ク↢廻向発願心ト↡。▼

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)約還相

^◆また ª回え向こうº といふは、 かの国くにに生しょうじをはりて、 還かえりて大だい悲ひを起おこして、 生しょう死じに回え入にゅうして衆しゅ生じょうを教きょう化けするを└ 、 ┘また回え向こう└名なづなりく┘。

▼又言フ↢廻向ト↡者、生ジ↢彼ノ国ニ↡已リテ、還リテ起シテ↢大悲ヲ↡、廻↢入シテ生死ニ↡教↢化スルヲ衆生ヲ↡亦*名クル↢廻向ト↡也。▼

二 ⅷ Ⅱ b ロ 結三心示功能
          (一)因果具成

 ^◆三心さんしんすでに具ぐ足すれば、 行ぎょうとして成じょうぜずといふことなし。 願がん行ぎょうすでに成じょうじて、 もし生しょうぜず は といはゞ、 この処ことわりあることなからけ  ん。

▼三心既ニ具スレバ、无シ↢行トシテ不トイフコト↟成ゼ。願行既ニ成ジテ若シ不ハ↠生ゼ者、无ケム↠有ルコト↢是ノ処コトワリ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b ロ (二)通摂定善

^◆またこの三心さんしんは、また通つうじて定じょう善ぜんの義ぎにを 摂せっす、 と 知しるべし」 と--。

▼又此ノ三心ハ亦通ジテ摂ス↢定善之義ニ↡、応シト↠知ル。」

二 ⅷ Ⅱ c 礼讃
        イ 問

 ^¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「▲問とひふ ていはく、 いま人ひとを勧すすめて往おう生じょうせしめんと欲おもはば、 いまだ知しらず、 いかんが安心あんじん・起き行ぎょうして└ ・ ┘└業ごうを作業な┘してか--、 さだめてかの└国こく土どくに┘に往おう生じょうすることを得えんうる や。

▼¬往1297生礼讃ニ¼云ク、「問ヒテ曰ク、今欲ハバ↢勧メテ↠人ヲ往生セシメムト↡者、未ダ↠知ラ、若為 イカン ガ▼安心・▼起行シテ▼作シテカ↠業ヲ、定メテ得ム↣往↢生スルコトヲ*彼ノ国土ニ↡也。

二 ⅷ Ⅱ c ロ 答

^◆答こたへていはく、 かならずかの浄じょう---国こくの--土どに└往おう生じょう生ぜ せ┘んと欲おもはば、 ¬観かん経ぎょう¼ のに 説せつ0815の 説くが ごときは、 三心さんしんを具ぐすればかならず往おう生じょうを得う。 なんら└ なに ┘をか三さんとなすする 。

答ヘテ曰ク、必ズ○欲ハバ↣*往↢生セムト*浄国ノ土ニ↡者、如キ↢¬観経ノ¼説ノ↡者、具スレバ↢三心ヲ↡*者必ズ得↢往生ヲ↡。何等ヲカ為ル↠三ト。

^◆一いちには至し誠じょう心しん、 いはゆる身業しんごう└をもつに  て┘かの仏ぶつを礼拝らいはいし、 口く業ごう└をもつに  1247て┘かの仏ぶつを讃歎さんだん称しょう揚ようし、 意い業ごう└をもつに  て┘かの仏ぶつを専念せんねんし観察かんざつする也。 *おほよそ三業さんごうを起おこすに、 かならずすべからく----------真実しんじつ└なるべしをもちゐるが。 ┘ゆゑに至し誠じょう心しんと名なづく。

◇一ニ者至誠心、所謂ル身業ヲモテ礼↢拝シ彼ノ仏ヲ↡、口業ヲモテ讃↢歎称↣揚シ彼ノ仏ヲ↡、意業ヲモテ専↢念観↣察ス彼ノ仏ヲ↡。凡ソ起スニ↢三業ヲ↡必ズ須クシ↢真実ナル↡。故ニ名ク↢至誠心ト↡。

^◆二にには深心じんしん、 すなはちこれ真実しんじつの信心しんじん└をもつ なり。て、┘ 自じ身しんはこれ煩悩ぼんのうを具ぐ足そくせる凡ぼん夫ぶ、 善根ぜんごん薄はく少しょうにして三界さんがいに流る転てんして、いまだ火か宅たくを出いでずと信しん知ちしす。、 いま弥陀みだの本ほん弘ぐ誓ぜい願がんは、 名みょう号ごうを称しょうすること下しも十じっ声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるに及およぶまで、さだめて往おう生じょうを得うと信しん知ちして、 乃ない至し一念いちねんも疑ぎ心しんあることなし。 かるがゆゑに深心じんしんと名なづく。

◇二ニ者深心、即チ是真実ノ信心ヲモテ、▼信↧知シ*自身ハ是具↢足セル煩悩ヲ↡凡夫、善根薄少ニシテ流↢転シテ三界ニ↡不ト↞出デ↢火宅ヲ↡、今信↪知シテ弥陀ノ本弘誓願、及ブマデ↧称スルコト↢名号ヲ↡下至ルニ↦十声一声等ニ↥定メテ得ト↩往生ヲ↨、乃至一念モ無シ↠有ルコト↢疑心↡。故ニ名ク↢深心ト↡。

^◆三さんには回え向こう発願ほつがん心しん、 所しょ作さの一切いっさいの善根ぜんごんことごとくみな廻して往おう生じょう にせむと回え--願がんすず 。 かるがゆゑに回え向こう発願ほつがん心しんと名なづく。

◇三ニ者廻向発願心、所作ノ一切ノ善根悉ク皆廻願ス↢往生ニ↡。故ニ*名ク↢廻向発願心ト↡。

^◆この三心さんしんを具ぐ└すれしてば┘、 かならず└生しょうずる往生 こと┘を得う、うるなり。 *もし一心いっしん少かけぬれば、 すなはち生しょうずうまる ることを得えず。 ¬観かん経ぎょう¼ につぶさに説とくがごとし、 知しるべし」 と--。

◇具スレバ↢此ノ三心ヲ↡必ズ得ル↠*生ズルコトヲ也、▽若シ少カケヌレバ↢一心↡即チ不↠得↠生ズルコトヲ。如シ↢¬観経ニ¼具ニ説クガ↡。応シト↠*知ル。」

二 ⅷ Ⅲ 私釈
      a 総釈

 ^わたくしにいはく、 引ひくところの三心さんしんといふは、これ行ぎょう者じゃの*至し要ようなり。 所以ゆえんは--いかんぞ。となれば、 ¬経きょう¼ (観経) にはすなはち、 「△具ぐ三心さんしん者しゃ必ひつ生しょう彼ひ国こく」 といふ。 あきらかにけし、知しりぬ、 三さん心を具ぐ└すれしてば┘かならず生しょうずむまる ることを得うべしと。 ¬釈しゃく¼ (礼讃) にはすなはち、 「△若少にゃくしょう一心いっしん即そく不ふ得とく生しょう」 といふ。 あ0816きらかに知しりぬ、 一いち心も--少かけぬればこれさらに不可ふかなりと。 これによりて極楽ごくらくに生うまれ生ぜ んと欲おもはん人ひとは--、 まつたく三心さんしんを具ぐ足そくすべしき也。

私ニ云ク、○所ノ↠引ク三心者是行者ノ至要也。所以者何ンゾ、¬経ニハ¼則チ、云フ↢「具三心者必生彼国ト」↡。明ニ*知リヌ、具スレバ↠三ヲ必ズ応シ↠得↠生ズルコトヲ。¬釈ニハ¼則チ云フ↢「若少一心即不得生ト」↡。明ニ知リヌ、一モ少カケヌレバ是更ニ不可ナリ。因リテ↠茲ニ欲ハム↠生ゼムト↢極楽ニ↡之人ハ全ク可シ↣具↢足ス三心ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅲ b 別釈
        イ 至誠心
          (一)総指

^そのなかに 「至し誠じょう心しん」 といふはこれ真実しんじつの心しんなり。 そ1248の相そう、 かの文もん (散善義) のごとし。

◇其ノ中ニ「至誠心ト」者是真実ノ心也。其ノ相如シ↢彼ノ文ノ↡。

二 ⅷ Ⅲ b イ (二)別示【内外相翻】

^ただし-- 「△外ほかに賢善けんぜん精しょう進じんの相そうを現げんじずることをえざれ、 ↓内うちに虚仮こけを懐いだくければなり」 といふは--------、 外げは内ないに対たいする辞ことばなり。 いはく外げ相そうと内心ないしんと不ふ調じょうのとゝのはらざる意こころなり。 すなはちこれ外げほかは智ち、 内ないうちは愚ぐなり。 賢けんといふ------は愚ぐに対たいする言ことばなり。 いはく外げほかはこれ賢けんにして、 内ないうちはすなはち愚ぐなり。 善ぜんは、 悪あくに対たいする辞ことばなり。 いはく外げほかはこれ善ぜんにして、 内ないうちはすなはち悪あくなり。 精しょう進じんは懈け怠だいに対たいする言ことばなり。 いはく外げほかには精しょう進じんの相そうを示しめし、 内ないうちにはすなはち懈け怠だい のをいだく心しんをなり懐いだく----。 もしそれ*外げを 翻ほんじ ひるがへして内ないに蓄たくわへば、 まことに*出しゅつ要ように備そなふえつべし。

◇但シ「外ニ現ジ↢賢善精進ノ相ヲ↡、内ニ懐クトイフ↢虚仮ヲ↡」者、外者対スル↠内ニ之辞也。謂ク外相ト与↢内心↡不調之意1298ナリ。即チ是外ハ智、内ハ愚也。賢トイフ者対スル↠愚ニ之*言也。謂ク外ハ是賢、内ハ即チ愚也。善者対スル↠悪ニ之辞也。謂ク外ハ是善、内ハ即チ*悪ナリ。精進者対スル↢懈怠ニ↡之*言也。謂ク外ニハ示シ↢精進ノ相ヲ↡、内ニハ即チ懐ク↢懈怠ノ心ヲ↡也。若シ夫レ翻ジテ↠外ヲ蓄ヘバ↠内ニ者、祇マコトニ応シ↠備フ↢出要ニ↡。

^「↑内うちに虚仮こけを懐いだく」 と等らといふは、 内ないは外げに対たいする辞ことばなり。 いはく内心ないしんと外げ相そうと不ふ調じょうの意こころなり。 すなはちこれ内ないは 虚こ むなしく、 外げは実じつまことたるものなり。 虚こといふは実じつに対たいする言ことばなり。 いはく内ないは虚こ、 外げは実じつなるものなり。 仮けといふは真しんに対たいする辞ことばなり。 いはく内ないは仮けにして、 外げは真しんなり。 もしそれ*内ないを 翻ほんじ ひるがへして外そとに播ほどこさば、 また出しゅつ要ように足たりぬべし。

◇「内ニ懐クト↢虚仮ヲ↡」*等トハ、内者対スル↠外ニ之辞也。謂ク内心ト与↢外相↡不調之意ナリ。即チ是内ハ虚、外ハ実也。虚者対スル↠実ニ之*言也。*謂ク内ハ虚、外ハ実ナル者也。仮者対スル↠真ニ之辞也。謂ク内ハ仮、外ハ真也。若シ夫レ翻ジテ↠内ヲ播ホドコサバ↠外ニ者、亦可シ↠足リヌ↢出要ニ↡。

二 ⅷ Ⅲ b ロ 深心【信疑決判】

^次つぎに 「深心じんしん」 といふは、 いはく深信じんしんの心しんなり。 まさに知しるべし、 ▼*生しょう死じの家いえには疑うたがい0817をもつて 所しょ止し とゞまるところとなしす  、 ▼涅ね槃はんの城みやこには信しんをもつて能のう入にゅうとな--す。 かるがに、いま二に種しゅの信心しんじんを建こん立りゅうして、 九く品ぼんの--往おう生じょうを決けつ定じょうするものなり。

◇次ニ「深心ト」者、謂ク深信之*心ナリ。▼当ニシ↠知ル、▼生死之家ニハ以テ↠疑ヲ為シ↢所止ト↡、▼涅槃之城ミヤコニハ以テ↠信ヲ為ス↢能入ト↡。故ニ今建↢立シテ二種ノ信心ヲ↡、決↢定スル九品ノ往生ヲ↡者也。

^またこのなかに 「△一切いっさいの別べつ解げ・別べつ行ぎょう・異い学がく・異い見けん」 等とうといふは、 これ聖しょう道どう門もんの解げ・行ぎょう・学がく・見けんを指さす也。 その余よ1249はすなはちこれ浄じょう土ど門もんの意こころなり。 文もんにありて見みるべし。 あきらかに知しりぬ、 善導ぜんどうの意こころまたこの二に門もんを出いでず。

◇又此ノ中ニ言フ↢「一切ノ別解・別行・異学・異見等ト」↡者、是指ス↢聖道門ノ解行学見ヲ↡也。其ノ余ハ即チ是浄土門ノ意ナリ。在リテ↠文ニ可シ↠見ル。▼明ニ知リヌ、善導之意亦不ル↠出デ↢此ノ二門ヲ↡也。

二 ⅷ Ⅲ b ハ 廻向発願心

^回え向こう発願ほつがん心しんの義ぎ、 別べつの釈しゃくを俟まつべからず。 行ぎょう者じゃこれを------知しるべし。

◇廻向発願心之義、不↠可カラ↠俟ツ↢別ノ釈ヲ↡。行者応シ↠知ル↠之ヲ。

二 ⅷ Ⅲ c 料簡通局

^この三心さんしんは、総そうじすべ てこれをいへは ば、 もろもろの行ぎょう法ほうに通つうず。 別べっしてこれをいへは ば、 往おう生じょうの行ぎょうにあり。 いま通つうを挙あげて別べつを摂せっす。 意こころすなはちあまねし。 行ぎょう者じゃよく用心ようじんして、 あへて*忽諸こっしょせしむることなかれ。

◇▼此ノ三心者▼総ジテ而言ヘバ↠之ヲ、通ズ↢諸ノ行法ニ↡。▼別シテ而言ヘバ↠之ヲ、在リ↢往生ノ行ニ↡。▼今挙ゲテ↠通ヲ摂ス↠別ヲ。意即チ周シ矣。▼行者能ク用心シテ、敢テ勿レ↠令ムコト↢忽*諸 △セ↡。

二 ⅸ【四修章】
    Ⅰ 標章

【9】 ^念仏ねんぶつの行ぎょう者じゃ四し修しゅの法ほうを行ぎょう用ゆうようすべき文もん。

 念仏ノ行者可キ↣行↢用ス四修ノ法ヲ↡之文

二 ⅸ Ⅱ 引文
      a 礼讃
        イ 標

 ^善導ぜんどうの-- ¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「▲またすゝめて▽四し修しゅの法ほうを勧かん--行ぎょうすぜしむ。 何者なにもの なむら をか四しとなすする 。

善1299導ノ▼¬往生礼讃ニ¼云ク、「又勧↢行ス四修ノ法ヲ↡。何者ヲカ為ル↠四ト。

二 ⅸ Ⅱ a ロ 釈

^◆一いちには恭く敬ぎょう修しゅ。 いはゆるかの仏ぶつおよびかの一切いっさいの聖しょう衆じゅ等とうを恭く敬ぎょう礼拝らいはいす。 かるがゆゑに恭く敬ぎょう修しゅと名なづく。 畢ひついのち命みょうおはるを期ごとな--して誓ちかひて中ちゅう止しせざるれ 、 すなはちこれ長じょう時じ修しゅなり。

一ニ者恭敬修。所謂ル恭↢敬礼↣拝ス彼ノ仏*及ビ一切ノ聖衆等ヲ↡。故ニ名ク↢恭敬修ト↡。畢ルヲ↠命為シテ↠期ト▽誓ヒテ不ル↢中止セ↡、即チ是長時修ナリ。

^◆二にには無余むよ修しゅ。 いはゆるもつぱらかの仏ぶつの名みなを称しょうして--専念せんねんし------専想せんそうし------、 --もつぱら--------かの仏ぶつおよび一切いっさいの--聖しょう衆じゅ等とうを専念・専想・ 礼讃らいさん 専礼・専讃して、 余よ業ごうを雑まじへず。 かるがゆゑに0818無余むよ修しゅと名なづく。 畢ひついのち命みょうおはるを期ごとな--して誓ちかひて中ちゅう止しせざるれ 、 すなはちこれ長じょう時じ修しゅなり。

*二ニ者無余修。▼所謂ル専ラ称シテ↢彼ノ仏ノ名ヲ↡専念シ専想シ、専ラ礼↢*讃シテ彼ノ仏及ビ一切ノ聖衆等ヲ↡、不↠雑ヘ↢余業ヲ↡。故ニ名ク↢無余修ト↡。畢命ヲ為シテ↠期ト▽誓ヒテ不ル↢中止セ↡、即チ是長時修ナリ。

^◆三さんには無む間けん修しゅ。 いはゆる相続そうぞくして恭く敬ぎょうし礼拝らいはいし、 称名しょうみょうし讃歎さんだんし、 憶念おくねんし観察かんざつし、 回え向こう発願ほつがんし、 心々しんしんに--1250相続そうぞくして余よ業ごうをもつて来きたし間まじへず。 かるがゆゑに無む間けん修しゅと名なづく。 また貪瞋とんじん煩悩ぼんのうをもつて来きたし間まじへず。 犯ぼんせすんる に随したがひふて、 随したがひて懴さんせよ。 念ねんを隔へだて時ときを隔へだて日ひを隔へだてずして。、 つねに清浄しょうじょうならしめよ。 また無む間けん修しゅと名なづく。 畢ひつ命みょうを期ごとな--して誓ちかひて中ちゅう止しせざるれ 、 すなはち--------これ長じょう時じ修しゅなり」 と--。

*三ニ者無間修。▼所謂ル相続シテ恭敬礼拝シ、称名讃歎シ、憶念観察シ、廻向発願シ、心々ニ相続シテ▼不↧以テ↢余業ヲ↡来シ間ヘ↥。故ニ名ク↢無間修ト↡。又▼不↧以テ↢貪瞋煩悩ヲ↡来シ間マジヘ↥。随ヒ↠犯セムニ、随ヒテ懴セヨ。*不↢隔テ↠念ヲ隔テ↠時ヲ隔テ↟日ヲ。常ニ使メヨ↢清浄ナラ↡。亦名ク↢無間修ト↡。畢命ヲ為シテ↠期ト▽誓ヒテ不ル↢中止セ↡、即チ是長時修ナリト。」

二 ⅸ Ⅱ b 西方要決
        イ 標

 ^¬西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「ただ四し修しゅを修しゅしてもつて正しょう業ごうとな--す。

▼¬西方要決ニ¼云ク、「但修シテ↢四修ヲ↡以テ為ス↢正業ト↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ 釈
          (一)長時修

^一いちには長じょう時じ修しゅ。 ▲*初しょ発心ほっしんより└すなは乃至 ち┘菩ぼ提だいに至いたる------まで、 つねに*浄じょう因いんをなしてつひに退転たいてんすることなし。

一ニ者長時修。従リ↢初発*心↡乃チ至↢菩提マデ↢、恒ニ作シテ↢浄因ヲ↡終ニ無シ↢退転↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (二)恭敬修

^二にには▼恭く敬ぎょう修しゅ。 これにまた五ごあり。

▼二ニ者恭敬修。此ニ復有リ↠五。

^▼一いちには有う縁えんの聖しょう人にんを敬うやまふ。 いはく▲行住ぎょうじゅう坐臥ざが、 に 西方さいほうを背そむかず、 *涕てい唾だ便べん痢り、 西方さいほうに向むかはず。

◆一ニハ敬フ↢▼有縁ノ聖人ヲ↡。謂ク行住坐臥不↠背カ↢西方ヲ↡、涕唾便痢、不↠向ハ↢西方ニ↡也。

^◆二にには有う縁えんの*像ぞう教きょうを敬うやまふ。 いはく西方さいほうの弥陀みだの*像変ぞうへんを造つくるなり。 広ひろく作つくることあたはずは、 ただ一仏いちぶつ二に菩ぼ薩さつ (阿弥陀仏・観音・勢至) を作つくること----また----得えたり------。また教きょうをうといふは ¬弥陀みだ経きょう¼ 等とうを五ご色しきの袋ふくろに盛いれて、 みづから読よみ他たをにも教おしへよ。 この経きょうと像ぞうをと 室しつのなか中  に安あん置ちして、 六ろく時じに*礼懴らいさんし、 華けはな香こうをもつて供く養ようし、 ことに尊そん重じゅうをなせ。

◆二ニ*者敬フ↢有縁ノ像教ヲ↡。謂ク造ル↢西方ノ弥陀ノ像変ヲ↡。不ハ↠能ハ↢広ク作ルコト↡、但作ルコト↢一仏二菩薩ヲ↡亦得タリ。教ト者¬弥陀経¼等ヲ五色ノ袋ニ盛イレテ、自ラ読ミ教ヘヨ↠他ヲ。*此之経像ヲ安↢置シテ*室ノ中ニ↡、六時ニ礼懴シ、*花香ヲモテ供養シ、特ニ生ナセ↢尊重ヲ↡。

^◆三さんには有う縁えんの善ぜん知ぢ識しきを敬うやまふ。 いはく浄じょう土どの教きょうを宣のぶ0819るべむ ものは、 もしは千せん由ゆ旬じゅん・十じゅう由ゆ旬じゅんよりこのかたは、 ならびにすべからく敬重きょうじゅうし親近しんごんし供く養ようすべし。 *別学べつがくのものにはおば 総そうじすべ て敬きょう心しんを起おこせ。 おのれと同どうおな ぜ じからざるをば、 ただ深ふかく└敬うやまふこ うやまひ と┘を知しれ。 もし軽きょう慢まんを生しょうぜ  なさ  ば、 罪つみを得うる1251こと窮きわまりなし。 かるがゆゑにすべからくすべて敬うやまふべし。 すなはち行ぎょう障しょうさわりをば除のぞくべし。

◆三ニ*者敬フ↢▼有縁ノ善知識ヲ↡。謂ク宣ブル↢浄土ノ教ヲ↡者ハ、若シハ千由旬*十由旬1300ヨリ已来タ、並ニ須クシ↢敬重シ親近シ供養ス↡。別学之者ニハ総ジテ起セ↢敬心ヲ↡。与↠己不ルヲバ↠同ゼ但シ知レ↢深ク敬フコトヲ↡也。若シ生ゼバ↢軽慢ヲ↡、得ルコト↠罪ヲ无シ↠窮リ。故ニ須クシ↢総テ敬フ↡。即チ除ク↢行障ヲ↡。

^◆四しには同縁どうえんの伴ともを敬うやまふ。 いはく同おなじく業ごうを修しゅするものなり----。、 みづからは障さわり重おもくしてしといへども、 独どくひとり業ごうは成じょうぜずと--いへども--------、。 かならず良よき--朋ともによりてまさによく行ぎょうをなせば、 危あやうきを扶たすけ 厄やくもろさを救すくふひ、。 助力じょりきし ちからをたすけてあひ資たすけて--、 同伴どうはんの善縁ぜんえん深ふかくあひ保ほ重じゅうすべし。

◆四ニ*者敬フ↢▼同縁ノ伴ヲ↡。謂ク同ジク修スル↠業ヲ者ナリ。自ラ雖モ↢障重クシテ独業不ト↟成ゼ、要ズ藉リテ↢良キ朋ニ↡方ニ能ク作セバ↠行ヲ、扶ケ↠危キヲ救フ↠*厄ヲ。助力シ相資タスケテ、同伴ノ善縁深ク相保重ス。

^五ごには三宝さんぼうを敬うやまふ。 *同体どうたい・*別相べっそうならびに深ふかく敬うやまふべし。 つぶさに録しるすことあたはず。 浅あさき行ぎょう者じゃの浅行のものゝために、*└依え修しゅすることを果はたさざるはたしてより修せざらむや ためなり┘。 住じゅう持じの三宝さんぼうといふは、 いまの浅識せんしきのために 大だい おほきに因縁いんねんをなす。 いまほぼ*料りょう簡けんすべし----。

◆五ニ*者敬フ↢▼三宝ヲ↡。▼同体・▼別相並ニ合ベシ↢深ク敬フ↡。不↠能ハ↢具ニ録スコト↡。▼為ナリ↢浅キ行者ノ不ル↟果サ↢依修スルコトヲ↡。▼住持ノ三宝ト者、▼与ニ↢今ノ浅識ノ↡作ス↢大因縁ヲ↡。今粗ボ料簡スベシ。

^仏宝ぶっぽうといふは、 いはく*檀だんにを 雕えり、 *└綺かんばたに いろへ ┘繍ぬひ、 *素そ質しつ金こん容よう、 玉たまを鏤ちりばめ、 * 繒ぞう かむばたに図うつし、 石いしに磨すり みがき 、 土つちにを 削けずるり、。 この霊像れいぞうことに尊そん承じょうすべし。 しばらく形かたちを└観みたて観ずまつ┘れば、 罪つみ消きえて福ふくを増ます。 もし少しょう慢まんを└生しょうず なせ れ┘ば、 悪あくを長じょうじ└ まし ┘善ぜんを亡もうず 亡ぼす 。 ただし尊容そんようを想おもふに、 まさに真仏しんぶつを見み つ たてまつるべし。

言フ↢仏*宝ト↡者、謂ク▼雕ヱリ↠檀ニ、▼繍ヌヒ↠綺カンバタニ、素質金容、▼鏤チリバメ↠玉ヲ、▼図ウツシ↠*繒ニ、▼磨リ↠石ニ、▼削ル↠土ニ。此之霊像特ニ可シ↢尊承ス↡。蹔爾シバラク観タテマツレバ↠形ヲ、罪消エテ増ス↠福ヲ。若シ生ズレバ↢少慢ヲ↡、長ジ↠悪ヲ善ヲ亡ズ。但シ想フニ↢尊容ヲ↡当ニシ↠見ツ↢真仏ヲ↡。

^法宝ほうぼうといふは、 三さん乗じょうの教きょう旨し、 *法界ほうかいの所しょ流るなり。 名みょう句くの 所詮しょせん 詮ずるところ、 よ0820く*解げ縁えんを生しょうず さとりを生ずる縁なり 。 かるがゆゑにすべからく珍ちん仰ぎょうすべし。 もつて慧えを発おこす 発する 基もといなり。 尊そん経ぎょうを抄しょう写しゃしてつねに浄じょう室しつに安やすあんん--ぜよ。 箱篋はこさうけうに盛いれ貯たくわへて、 ならびに厳ごん敬きょうすべし。 読誦どくじゅの時ときは、 身手しんしゅ身も手も清しょう潔けつなれせよ 。

言フ↢法宝ト↡者、▼三乗ノ教旨、法界ノ所流ナリ。▼名句ノ所詮能ク生ズ↢解縁ヲ↡。故ニ須クシ↢珍仰ス↡。以テ発ス↠*恵ヲ基ナリ。*抄↢写シテ尊経ヲ↡恒ニ安ンゼヨ↢浄室ニ↡。箱篋 ハコ ニ盛イレ貯ヘテ、並ニ*令ベシ↢厳敬ス↡。読誦之時ハ身手清潔ナレ。

^僧宝そうぼうといふは、 聖しょう僧そう・菩ぼ薩さつ・破は戒かいの流ともがらなり。 ------等とう、心しんに敬うやまひを起おこせ。して、 慢想まんそうを生しょうずることなかれ。

言フ↢僧宝ト↡者、▼聖僧・▼菩薩・▼破戒之流トモガラナリ。等心ニ起セ↠敬ヲ。勿レ↠生ズルコト↢慢想ヲ↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (三)無間修

^三さんには無む間けん修しゅ。 ▲いはくつねに念仏ねんぶつし仏を念じ て往おう生じょうの心しんをなすなり。 一いっ1252切さいの時じにおいて心しんにつねに想おもひ巧たくめ。

▼三ニ者無間修。謂ク常ニ念仏シテ作ス↢往生ノ心ヲ↡。於テ↢一切時ニ↡心ニ恒ニ想ヒ巧メ。

^◆たとへば人ひとありて他たに抄掠しょうりょうせられて、 身み下げ賎せんとなりてつぶさに艱辛かんしんを受うけんに└  く  ┘、。 たちまちに父母ぶもを思おもひて国くにに走はしり帰かえ└ることをらむとす欲ほっす┘。 行装ぎょうしょういまだ弁べんぜず。 なほ他たの--郷きょうにありて、 日にち夜やに思し惟ゆいして、 └苦く忍しのぶるくるしきことに堪たへたえしのばずず┘。 時ときとしてしばらくも捨すてて耶や嬢じょうを念ねんぜざる おもはずといふ ことなきがし。 、 計はかりごとをなすことすでに成じょうじて、 すなはち帰かえりて達たっすることを得えて、 父母ぶもに親近しんごんしてほしいき ままに歓かん娯ごするせむ がごとし。

譬ヘバ若シ↧有リテ↠人被レ↢他ニ抄掠セ↡、身為リテ↢下賎ト↡備ニ受ケムニ↢艱辛ヲ↡、忽ニ思ヒテ↢父母ヲ↡欲ス↣走リ↢帰ラムコトヲ国ニ↡、行装未ダ↠*辨ゼ、由ナホ在リテ↢他ノ郷ニ↡、日夜ニ思惟シテ、苦不↠堪ヘ↠忍ブルニ、无キガ↢時トシテ蹔クモ捨テテ不ルコト↟念ゼ↢耶嬢ヲ↡、為スコト↠計ヲ既ニ成ジテ、便チ帰リテ得テ↠達スルコトヲ、親↢近シテ父母ニ↡縦任ホシキママニ歓娯スルガ↥。

^◆行ぎょう者じゃもまたしかなり。 往因おういんの煩悩ぼんのうによて、 善心ぜんしんを壊え乱らんし、 福ふく智ちの珍財ちんざいならびにみな散失さんしつしてす。 、 久ひさしく生しょう死じに流ながれ めぐり て、 制せい└するしてに┘自由じゆならず。 つねに魔ま王おうのために僕ぼく使しとなりて、 六道ろくどうに駆馳くちして、 身心しんしんを苦く切せつす。

行者モ亦*爾ナリ。往因ノ煩悩*壊↢乱1301シ善心ヲ↡、福智ノ珍*財並ニ皆散失シテ、久シク流レテ↢生死ニ↡、制スルニ不↢自由ナラ↡。恒ニ与ニ↢魔王ノ↡而作リテ↢僕使ト↡、駆↢馳シ六道ニ↡苦↢切ス身心ヲ↡。

^◆いま善縁ぜんえんに遇あひて、 たちまちに弥陀みだの慈父じぶ、 の 弘ぐ願がんに違たがはず群ぐん生じょうを済抜さいばつ└したまする ふ┘ことを聞ききて、 日にち夜やに驚きょう忙もうしおどろきいそぎて、 心しんを発おこして往ゆかんと願ねがふ願ず 。 このゆゑに精しょう勤ごん0821して---- 倦うま ものうからずして、 まさに仏恩ぶっとんを念ねんずべし。 *報ほうじ尽つくする を期ごとな--して、 心しんにつねに計はかり念おもふべし。

今遇ヒテ↢善縁ニ↡、忽ニ聞キテ↧弥陀ノ慈父不↠違ハ↢弘願ニ↡済↦抜シタマフコトヲ群生ヲ↥、日夜ニ驚忙シテ、発シテ↠心ヲ願フ↠往カムト。所以コノユヱニ精懃シテ不シテ↠倦マ、当ニシ↠念ズ↢仏恩ヲ↡。報ジ尽スヲ為シテ↠期ト心恒ニ計リ念フベシ。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (四)無余修

^四しには無余むよ修しゅ。 いはく▲もつぱら極楽ごくらくを求もとめて弥陀みだを礼念らいねん└するなせよ り┘。 ただし--諸しょ余よの業ごう行ぎょう雑ぞう起きせしめざれ。 所しょ作さの業ごう、 日別にちべつにすべからく念仏ねんぶつ・誦じゅ経きょうを修しゅすべし。 余課よかを留とどめざるならくのみ」 と。

四ニ者无余修。謂ク専ラ求メテ↢極楽ヲ↡礼↢念スルナリ弥陀ヲ↡。但シ▼諸余ノ業行不レ↠令メ↢雑起セ↡。所作之業、日別ニ須クシ↠修ス↢念仏誦経ヲ↡。不レ↠留メ↢余課ヲ↡耳ト。」

二 ⅸ Ⅲ 私釈
      a 厭煩

 ^わたくしにいはく、 四し修しゅの文もんを見みつる べし。 繁しげきを恐おそれて解げせず。

私ニ云ク、四修之文可シ↠見ツ。恐レテ↠繁ヲ而不↠解セ。

二 ⅸ Ⅲ b 釈要義
        イ 難

^ただし-- 前ぜんさきの文もん1253のなかに、 すでに△四し修しゅといひて、 ただ三修さんしゅのみ----あり。 もしはその文もんを脱だっせぬけ るか、 もしはその意こころあるか。

但シ前文ノ中ニ、既ニ云ヒテ↢四修ト↡、唯有リ↢三修ノミ↡。若シハ脱セルカ↢其ノ文ヲ↡、若シハ有ルカ↢其ノ意↡也。

二 ⅸ Ⅲ b ロ 通

^さらに 脱文だつもん 文をぬけるにはあらず。 その深ふかき意こころ└を有ゆうするあり なり┘。 なにをもつてか知しることを得うるえむ 。 四し修しゅといふは、 一いちには長じょう時じ修しゅ、 二にには慇おん重じゅう修しゅ、 三さんには無余むよ修しゅ、 四しには無む間けん修しゅなり。 しかるに--------初はじめの長じょう時じをもつて、 ただこれ後のちの三修さんしゅに通用つうゆうするなり。

更ニ非ズ↢脱文ニ↡。有スル↢*其ノ深キ意ヲ↡也。*何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。四修ト者、一ニハ長時修、二ニハ▼慇重修、三ニハ無余修、四ニハ無間修也。而ルニ以テ↢初ノ長時ヲ↡、只是通↢用ス後ノ三修ニ↡也。

^いはく慇おん重じゅうもし退たいせば、 慇おん重じゅうの行ぎょうすなはち成じょうずべからず。 無余むよもし退たいせば、 無余むよの行ぎょうすなはち成じょうずべからず。 無む間けんもし退たいせば、 無む間けんの修しゅ行すなはち成じょうずべからず。 この三修さんしゅの行ぎょうを成じょう就じゅせしめんがために、 みな長じょう時じをもつて三修さんしゅに属ぞくして、 通つうじて修しゅせしむるところなり。

謂ク慇重若シ退セバ、慇重之行即チ不↠可カラ↠成ズ。無余若シ退セバ、無余之行即チ不↠可カラ↠成ズ。無間若シ退セバ、無間之*修即チ不↠可カラ↠成ズ。為ニ↠使メムガ↣成↢就セ此ノ三修ノ行ヲ↡、皆以テ↢長時ヲ↡属シテ↢於三修ニ↡、所↠令ムル↢通ジテ修セ↡也。

^かるがゆゑに三修さんしゅの下しもしたにみな結けっしていはく、 「△畢ひつ命みょう為期いご誓せい不ふ中ちゅう止し」といへり。 即そく すなわち是ぜこれ長じょう時じ修しゅ」- (礼讃) といふ------これなり。 例れいするに└ せば ┘かの精しょう進じんの*余よの五度ごどに通つうずるがごときし ならくのみと。

故ニ三修之下ニ皆結シテ、云フ↢「畢命為期誓不中止即是長時修ト」↡是也。▼例スルニ如シ↣彼ノ精進ノ通ズルガ↢於余ノ五度ニ↡而已。

二 ⅹ 化仏讃嘆章【化讃章】
    Ⅰ 標章

【10】0822^弥陀みだの化け仏ぶつ来迎らいこうして、 *聞もん経きょうの善ぜんを讃歎さんだんせずして、 ただ念仏ねんぶつの行ぎょうを讃歎さんだん└したまする ふ┘文もん。

 弥陀ノ化仏来迎シテ、不シテ↣讃↢歎セ聞経之善ヲ↡、唯讃↢歎シタマフ念仏之行ヲ↡*之文

二 ⅹ Ⅱ 引文
      a 観経

 ^¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲あるいは衆しゅ生じょうありてもろもろの悪業あくごうを作つくりて、 方等ほうどう経きょう典てんを誹ひ謗ほうせずといへども、 かくのごときの愚ぐ人にん、 多おおく衆悪しゅあくを造つくりて慚ざん愧ぎあ1254ることなし。

¬観1302無量寿経ニ¼云ク、「▼或イハ有リテ↢衆生↡▼作リ↢衆ノ悪業ヲ↡、雖モ↠不ト↣誹↢謗セ▼方等経典ヲ↡、如キノ↠此クノ愚人、多ク造リテ↢衆悪ヲ↡無シ↠有ルコト↢慚愧↡。

^◆命いのち終おわらんと欲ほっすす  る時とき、 善ぜん知ぢ識しきの--、 ために大だい乗じょうの--十じゅう二に部ぶ経きょうの首題しゅだいの名みょう字じを讃ほむるに遇あはん。 かくのごときの諸しょ経きょうの名なを聞きくことをもつてのゆゑに、 千劫せんごうの極ごく重じゅうの悪業あくごうを除じょ却きゃくす。 智ち者しゃまた教おしへて、 掌たなごころを合あわせ手てを叉あざへて ª南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつº と称しょう└せしす む┘。 仏ぶつの名みなを称しょうするがゆゑに、 五ご十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。

命欲スル↠終ラムト時、遇ハム↣善知識ノ為ニ讃ムルニ↢大乗ノ▼十二部経ノ▼首題ノ名字ヲ↡。以ノ↠聞クヲ↢如キノ↠是クノ諸経ノ名ヲ↡故ニ、除↢却ス千劫ノ極重ノ悪業ヲ↡。智者復教ヘテ、合セ↠掌ヲ叉アザヘテ↠手ヲ称セシム↢南無阿弥陀仏ト↡。称スルガ↢仏ノ名ヲ↡故ニ除ク↢五十億劫ノ生死之罪ヲ↡。

^◆その時ときかの仏ぶつ、 すなはち化け仏ぶつ・化け観かん世ぜ音おん・化け大勢だいせい至しを遣つかはして、 行ぎょう者じゃの前まえに至いたらしめて、 ˆ化け仏ぶつ等とうのˇ 讃ほめて└のたい ま┘はく、 ª善ぜん男なん子し、 ▽なんぢ仏ぶつの名みょうを称しょうするがゆゑに└もろも諸 ろの┘罪つみ消しょう滅めつすれば、 われ来きたりてなんぢを迎むかふº」 と。

爾ノ時彼ノ仏、即チ遣シテ↢化仏・化観世音・化大勢至ヲ↡、至ラシメ↢行者ノ前ニ↡、讃メテ言ク、善男子、汝称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ諸ノ罪消滅スレバ、我来リテ迎フト↠*汝ヲ。」

二 ⅹ Ⅱ b 散善義

 ^ 同どう同じき経きょうの ¬疏しょ¼ (散善義) にいはく、 「▲└聞きくと所聞ころ┘の化け讃さん、 ただ称しょう仏ぶつの功こうを述のべて、 ªわれ来きたりてなんぢを迎むかふº といひて、 聞もん経きょうの事じを論ろんぜず。

同ジキ経ノ¬疏ニ¼云ク、「所ノ↠聞ク化讃、但述ベテ↢称仏之功ヲ↡、我来リテ迎フト↠汝ヲ、不↠論ゼ↢聞経之事ヲ↡。

^◆しかるにも  仏ぶつの願がん意いにを 望のぞむればには 、 ただ励すすめて正しょう念ねんにして名みなを称しょうせしむ。└ するに ┘、 往おう生じょうの義ぎ、 疾ときこと雑散ぞうさんの業ごうに同おなじからず。  こ かくのごときの ¬経きょう¼ (観経) および諸しょ部ぶのなかのに ごとき------、 処々しょしょに広ひろく歎たんじて、 勧すすめて└名みなを 称名称しょう┘せしむるを。、 まさに要益ようやくとなすするなり、 知しるべし」 と。

▼然ルニ望ムレバ↢仏ノ願意ニ↡者、唯*励ススメテ正念ニ称セシム↠名ヲ。往生ノ義、疾キコト不↠同ジカラ↢▼雑散之業ニ↡。▼如キ↢此ノ¬経¼及ビ諸部ノ中ノ↡、処々ニ広ク歎ジテ勧メテ令ム↠称セ↠名ヲ。将ニ為ル↢要益ト↡也、応シト↠知ル。」

二 ⅹ Ⅲ 私釈
      a 釈讃嘆有無

 ^0823わたくしにいはく、 聞もん経きょうの善ぜんはこれ本願ほんがんにあらず。 *雑業ぞうごうのなるがゆゑに化け仏ぶつ└讃ほめた讃ぜまは┘ず。 念仏ねんぶつの行ぎょうはこれ本願ほんがん正しょう業ごうのなるがゆゑに、 化け仏ぶつ讃歎さんだんしたまふ。

私ニ云ク、聞経之善是非ズ↢本願ニ↡。雑業ノ故ニ化仏不↠讃メタマハ。念仏之行ハ是本願正業ノ故ニ、化仏讃歎シタマフ。

二 ⅹ Ⅲ b 約滅罪多少

^しかのみならず、 聞もん経きょうと念仏ねんぶつとは--滅罪めつざいの多た少しょう不ふ同どうなり。 ¬観かん経ぎょうの疏しょ¼ (散善義) にいは1255く、 「▲問とひふ ていはく、 なんがゆゑぞ、 経きょうを聞きくこと十じゅう二に部ぶなるにするには 、 ただ罪つみを除のぞくこと千劫せんごう、 仏ぶつを称しょうすること一いっ声しょうするには、 すなはち罪つみを除のぞくこと五ご百ひゃく万劫まんごうなるは、 なんの意こころぞや。

加之シカノミナラズ聞経ト与ハ↢念仏↡滅罪ノ多少不同也。¬観経疏ニ¼云ク、「問ヒテ曰ク、何ガ故ゾ聞クコト↠経ヲ十二部ナルニ、但除クコト↠罪ヲ千劫、称スルコト↠仏ヲ一声スルニハ、即チ除クコト↠罪ヲ五百万劫ナル者、何ノ意ゾ也。

^◆答こたへていはく、 造罪ぞうざいの人ひと障さわり重おもくして、 加くわふは るに死苦しく来きたり逼せむるをもつてす--。、しばしば善人ぜんにん多た経きょうを説とくといへども、 餐受さんじゅの心しんこゝろ浮ふ散さんす。 心しんこゝろ散さんずるによるがゆゑに、 罪つみを除のぞくことやや軽かろし。 また仏ぶつ名みょうはこれ一いちなれり。ば、 すなはちよく散さんを摂せっしてもつて心しんを住じゅうせしむ。 また教おしへて正しょう念ねんにして名みなを称しょうせしむ。 心しん重おもきによるがゆゑに、 すなはちよく罪つみを除のぞくこと多た劫こうなり」 と--。

答ヘテ曰ク、造罪之人障重クシテ、加フルニ以テス↢死苦来リ逼ムルヲ↡。善人雖モ↠説クト↢多経ヲ↡、餐受之心浮散ス。由ルガ↢心散ズルニ↡故ニ、除クコト↠罪ヲ稍ヤヤ軽シ。又仏名ハ是一ナレバ、即チ能1303ク摂シテ↠散ヲ以テ住セシム↠心ヲ。復教ヘテ令ム↢正念ニ称セ↟名ヲ。由ルガ↢心重キニ↡故ニ、即チ能ク除クコト↠罪ヲ多劫也ト。」

二 ⅺ 約対讃嘆章【讃嘆念仏章】
    Ⅰ 標章

【11】^▼*雑善ぞうぜんに約対やくたいして念仏ねんぶつを讃歎さんだんする文もん。

 ○約↢対シテ雑善ニ↡讃↢歎スル念仏ヲ↡之文

二 ⅺ Ⅱ 引文
      ⅰ 観経

 ^¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲もし仏ぶつを念ねんずるぜむ ものは、 まさに知しるべし、 この人ひとはすなはち--------これ人にん中ちゅうの分ふん陀利だり華けなり。 観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつ・大勢だいせい至し菩ぼ薩さつ、 その勝しょう友うとなる。りて、 まさに道どう場じょうに坐ざして諸仏しょぶつの家いえに生うまる生ず べし」 と--。

◇¬観無量寿経ニ¼云ク、「○▼若シ念ゼム↠仏ヲ者、当ニシ↠知ル、此ノ人ハ*即チ▼是人中ノ分陀利華ナリ。▼観世音菩薩・大勢至菩薩為ル↢其ノ勝友ト↡。▼当ニシト↧坐シテ↢道場ニ↡生ル↦諸仏ノ*家ニ↥。」

二 ⅺ Ⅱ ⅱ 散善義

^ 同どう同じき経きょうの ¬疏しょ¼ (散善義) にいはく、 「▲ª若にゃく念仏ねんぶつ者しゃº といふより下しも、ª生しょう諸仏しょぶつ家けº に至いたるまでより--------このかたは0824、 まさしく▼念仏ねんぶつ三昧ざんまいの功く能のう超ちょう絶ぜつして、 ▽実じつまことに雑善ぞうぜんのを 比ひ類るいとなすする ことを得うるにあらざる1256ことを顕あらわす。 すなはちそのれに五ごあり。

◇同ジキ経ノ¬疏ニ¼云ク、「▼従リ↢若念仏者トイフ↡下至ルマデヨリ↢生諸仏家ニ↡已来タハ、正シク顕ス↣念仏三昧ノ功能超絶シテ、▼実ニ非ザルコトヲ↢雑善ノ得ルニ↟為ルコトヲ↢比類ト↡。即チ有リ↢其ノ五↡。

^◆一いちにはもつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みょうを念ねんずることを明あかしす。、 ◆二にには能念のうねんの人ひとを讃ほむ讃ず ることを明あかしす。、 ◆三さんにはもしよく相続そうぞくして念仏ねんぶつすればるものは、 この人ひとはなはだ希有けうとなし、なりとす。  さらに物ものとしてもつて------これに方ならぶべきことなきことを明あかす。 ゆゑに分ふん陀利だりを引ひきて喩たとへとな--す。

◇▼一ニハ明シ↣専ラ念ズルコトヲ↢弥陀仏名ヲ↡、▼二ニハ*明シ↠讃ムルコトヲ↢能念之人ヲ↡、三ニハ明ス↫若シ能ク相続シテ念仏スレバ者、*斯ノ人甚ダ為シ↢希有ト↡、更ニ無キコトヲ↪物トシテ可キコト↩以テ方ナラブ↝之ニ。故ニ引キテ↢分陀利ヲ↡為ス↠喩ト。

^◆ª分ふん陀利だりº といふは、 人にん中ちゅうの好こう華けと名なづけく 、 また希有けう華けと名なづけく 、 また人にん中ちゅうの上上じょうじょう華けと名なづけく 、 また人にん中ちゅうの妙みょう好こう華けと名なづく。 この華はな相伝そうでんして蔡さい華けと名なづく。 この↓念仏ねんぶつのものするひと は、 すなはちこれ人にん中ちゅうの好人こうにんなり、 ↓人にん中ちゅうの妙みょう好人こうにんなり、 ↓人にん中ちゅうの上上じょうじょう人にんなり、 ↓人にん中ちゅうの希有けう人にんなり、 ↓人にん中ちゅうの最さい勝しょう人にんなり。

◇言フ↢▼分陀利ト↡者、名ケ↢人中ノ好花ト↡、亦名ケ↢希有花ト↡、亦名ケ↢*人中ノ上々花ト↡、亦名ク↢人中ノ妙好花ト↡。此ノ花相伝シテ名ク↢蔡花ト↡。*是ノ念仏ノ者ハ、即チ是人中ノ好人ナリ、人*中ノ妙好人ナリ、人中ノ上々人ナリ、人中ノ希有人ナリ、人中ノ最勝人也。▼

^◆四しにはもつぱら--------弥陀みだの名みなを念ねんず 専念す れば、 すなはち観音かんのん・勢せい至しつねに随したがひふ て影よう護ごしたまふこと、 また親しん友ぬ知ち識しきのごとくなることを明あかす。 ◆五ごには今こん生じょうにすでにこの益やくを蒙こうむりて、 命いのちを捨すてて、 すなはち諸仏しょぶつの家いえに入いることを明あかす。 すなはち浄じょう土どこれなり。 かしこに到いたりて長じょう時じに法ほうを聞ききて歴りゃく事じし--供く養ようすし、。 └因いん円まどかに果か 因円果満す 満まんず┘。 道どう場じょうの座ざ、 あに賖おそかはるかならんや」 と--。

◇▼四ニハ明ス↧専ラ念ズレバ↢弥陀ノ名ヲ↡者、即チ観音・勢至常ニ随ヒテ影護シタマフコト、亦如クナルコトヲ↦親友知識ノ↥也。▼五ニハ明ス↧今生ニ既ニ蒙リテ↢*此ノ益ヲ↡、捨テテ↠命ヲ即チ入ルコトヲ↦諸仏之家ニ↥。即チ浄土是也。▼到リ↠彼ニ長時ニ聞キテ↠法ヲ歴事シ供養ス。因円カニ果満ズ。▼道場之座、豈ニ*賖ヲソカラムヤト↥。」

二 ⅺ Ⅲ 私釈
      a 釈約対雑善
        イ 問

 ^わたくしに問とひふ ていはく、 ¬経きょう¼ (観経) には--、 「△もし仏ぶつを念ねんずるもの、 まさに知しるべし、 この人にん」 と等とうら といふのたまふ は、 ただ念仏ねんぶつ者しゃに約やくしてしかもこれを讃歎さんだんす。 釈しゃくの家いえ (善導)、なんの意こころありてか、 「△実じつに雑善ぞうぜんのを 比ひ類るい0825となすする ことを--得うるにあら1257ず」 (散善義) といひふ て、 雑善ぞうぜんに相対そうたいして独ひとり念仏ねんぶつを歎ほむ嘆ず るや。

◇私ニ問ヒテ曰ク、¬経ニハ¼云フハ↢「若シ念ゼム↠仏ヲ者、当ニシ↠知ル、此ノ人」等ト↡、唯約シテ↢念仏者ニ↡而讃↢歎ス之1304ヲ↡。釈ノ家有リテカ↢何ノ意↡、云ヒテ↣「実ニ非ズト↢雑善ノ得ルニ↟為ルコトヲ↢比類ト↡」、相↢対シテ雑善ニ↡独リ歎ムル↢念仏ヲ↡乎。

二 ⅺ Ⅲ a ロ 答

^答こたへていはく、 文もんのなかに隠かくれたりといへども、 義ぎの 意いこゝろこれ明あきらけし かなり 。 知しる所以ゆえんは、 ▼この ¬経きょう¼ (観経)にすでに定じょう散さんの諸善しょぜんならびに念仏ねんぶつの行ぎょうを説ときて、 しかもそのなかにおいて孤ひとり念仏ねんぶつを標ひょうして分ふん陀利だりに喩たとふ。 雑善ぞうぜんに待たいするにあらずは、 いかんがよく念仏ねんぶつの功こうの、 余よ善ぜん諸しょ行ぎょうに超こえたることを顕あらわさん。

◇答ヘテ曰ク、文ノ中ニ雖モ↠隠レタリト、義意是明ケシ。所↢以知ル↡者、此ノ¬経¼既ニ説キテ↢定散ノ諸善并ニ念仏ノ行ヲ↡而於テ↢其ノ中ニ↡*孤リ標シテ↢念仏ヲ↡喩フ↢*芬陀利ニ↡。非ズハ↠待スルニ↢雑善ニ↡云何ガ能ク顕サム↣念仏ノ功ノ超エタルコトヲ↢余善諸行ニ↡。

二 ⅺ Ⅲ b 釈讃嘆念仏
        イ 正示
          (一)【五種嘉誉】

^◆しかればすなはち、「↑念仏ねんぶつ者しゃはすなはちこれ人にん中ちゅうの好人こうにん」 といふは、 これ----悪あくに待たいしてしかも美ほむるところなり。 「↑人にん中ちゅうの妙みょう好人こうにん」 といふは、 これ粗そ悪あくに待たいしてしかも称しょうするところなり。 「↑人にん中ちゅうの上上じょうじょう人にん」 といふは、 これ下下げげに待たいして讃ほむるところなり。 「↑人にん中ちゅうの希有けう人にん」 といふは、 これ常じょう有うに待たいしてしかも歎ほむるところなり。 「↑人にん中ちゅうの最さい勝しょう人にん」 といふは、 これ最劣さいれつに待たいしてしかも褒ほむるところなり。

◇然レバ則チ「念仏者ハ即チ是人中ノ好人ト」者、是待シテ↠悪ニ而所↠美ホムル也。言フ↢「人中ノ妙好人ト」↡者、是待シテ↢麁悪ニ↡而所↠称スル也。言フ↢「人中ノ上々人ト」↡者、是待シテ↢下々ニ↡而所↠讃ムル也。言フ↢「人中ノ希有人ト」↡者、是待シテ↢常有ニ↡而所↠歎ムル也。言フ↢「人中ノ最勝人ト」↡者、是待シテ↢最劣ニ↡而所↠褒ムル也。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)料簡
            (Ⅰ)示通九品
              (ⅰ)問

 ^問とひふ ていはく、 すでに念仏ねんぶつをもつて上上じょうじょうと名なづけば くるは 、 なんがゆゑぞ、 上上じょうじょう品ぼんのなかに説とかずして下下げげ品ぼんに至いたりてしかも念仏ねんぶつを説とくや。

◇▼問ヒテ曰ク、既ニ以テ↢念仏ヲ↡名ケバ↢上上ト↡*者、*何ガ故ゾ不シテ↠説カ↢上々品ノ中ニ↡至リテ↢下々品ニ↡而説ク↢念仏ヲ↡乎。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)答
                (a)正宗

^答こたへていはく、 あに前さきにいはずや。 念仏ねんぶつの行ぎょうは広ひろく九く品ぼんに亘わたるとは。、 すなはち前さきに引ひくところの ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ (下) にいはく、 「△その勝しょう劣れつに随したがひて九く品ぼんを分わかつべし」 といふへるこれなり。

◇▼答ヘテ曰ク、豈ニ前ニ不ヤ↠云ハ、念仏之行ハ広ク亙ルト↢九品ニ↡。即チ前ニ所ノ↠引ク¬往生要集ニ¼云フ↧「随ヒテ↢其ノ勝劣ニ↡応シト↞分ツ↢九品ヲ↡」是也。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)示功徳超絶
                  (イ)正釈

^しかのみならず下げ品ぼん下げ生しょうはこれ五ご逆ぎゃく重じゅう罪ざいの人ひとなり。 しかるにも  よく1258逆ぎゃく罪ざいを除滅じょめつすること、 余よ行ぎょうの堪た0826へざるところなり。 ただ念仏ねんぶつの力ちからのみありて、 よく重じゅう罪ざいを滅めっするに堪たへたり。 かるがゆゑに▼*極悪ごくあく最さい下げの人ひとのために極善ごくぜん最さい上じょうの法ほうを説とくところなり。

◇加之シカノミナラズ下品下生ハ是五逆重罪之人也。而ルニ能ク除↢滅スルコト逆罪ヲ↡、所ナリ↠不ル↠堪ヘ↢余行ノ↡。唯有リテ↢念仏之力ノミ↡、能ク堪ヘタリ↠滅スルニ↢於重罪ヲ↡。故ニ▼為ニ↢極悪最下之人ノ↡*所ナリ↠説ク↢極善最上之法ヲ↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)引例
                    [一]約顕教
                      [Ⅰ]正引

^◆例れいするに、 かの*無む明みょう淵源えんげんの病やまいには、 *中ちゅう道どう腑ふ臓ぞうの薬くすりにあらずはすなはち治じすることあたはざるがごとし。

◇▼例スルニ如シ↧彼ノ無明淵源之病ハ、非ズハ↢中道府蔵之薬ニ↡即チ不ルガ↞能ハ↠治スルコト。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]会釈

^◆いまこの五ご逆ぎゃくは重病じゅうびょうの淵源えんげんなり。 またこの念仏ねんぶつは霊薬れいやくの腑ふ臓ぞうなり。 この薬くすりにあらずは、 なんぞこの病やまいを治じせん。

◇今此ノ五逆ハ重病ノ淵源ナリ。亦此ノ念仏ハ霊薬ノ府蔵ナリ。非ズハ↢此ノ薬ニ↡者、何ゾ治セム↢此ノ病ヲ↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]約密教
                      [Ⅰ]正引

^かるがゆゑに*弘法こうぼう大だい師しの ¬*二に教きょう論ろん¼ に、 ¬*六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょう¼ を引ひきていはく、 「第だい三さんにの 法宝ほうぼうといふは、 いはゆる過去かこの無む量りょうの諸仏しょぶつの所説しょせつの正しょう法ぼう、 およびわがいまの所説しょせつなり。 いはゆる八万はちまん四し千せんのもろもろの*妙みょう法ほう蘊うん縵 なり----。、

◇故ニ弘法大師ノ▼¬二教論ニ¼引キテ↢¬六波羅蜜経1305ヲ¼↡云ク、「▼第三ニ法宝トイフ者、所謂ル過去無量ノ諸仏所説ノ正法、及ビ我ガ今ノ所説ナリ。所謂ル八万四千ノ諸ノ妙法*蘊ナリ。

^乃ない至し、 --有う縁えんの衆しゅ生じょうを調じょう伏ぶくし--純熟じゅんじゅくして、 *阿あ難なん陀だ等とうの諸大しょだい弟子でしをして------、 一ひとたび耳みみに聞ききてみなことごとく憶おく持じせしむ。 るを摂せっして五ご分ぶんとな--す。 一いちには*素そた纜らん、 二にには*毘奈びな耶や、 三さんには*阿毘あび達だつ磨ま、 四しには*般若はんにゃ波羅はら蜜みっ多た、 五ごには*陀羅だら尼に門もんなり----。

◇乃至調↢伏シ純↣熟シテ有縁ノ衆生ヲ↡而令ム↧阿難陀等ノ諸大弟子ヲシテ、一タビ聞キテ↢於耳ニ↡皆悉ク憶持セ↥。摂シテ為ス↢五分ト↡。▼一ニハ素*纜、二ニハ毘奈耶、三ニハ阿毘達磨、四ニハ▼般若波羅蜜多、五ニハ▼陀羅尼門ナリ。

^この*五ご種しゅの蔵ぞう は をもて有う情じょうを教きょう化けして するに 、 度どすべきところに随したがひふ て、 しかもためにこれを説とく。 もしかの有う情じょう、 ねがふて山林せんりんに処しょ└せんし と┘楽ねがひて------、 つねに*閑げん寂じゃくに居こして*静じょう慮りょを修しゅ└するもせむ の┘には、 しかもかれのが ために素そた纜蔵らんぞうを説とく。

◇此ノ五種ノ蔵ハ教↢化シテ有情ヲ↡、随ヒテ↠所ニ↠応キ↠度ス而為ニ説ク↠之ヲ。若シ彼ノ有情楽ヒテ↠処セムト↢山林ニ↡、常ニ居シテ↢*閑寂ニ↡▼修セム↢静慮ヲ↡者ニハ、而モ為ニ↠彼ノ説ク↢素*纜蔵ヲ↡。

^もしかの有う情じょう、 ねがふて*威儀いぎを楽ねがひ----習ならひ、 正しょう法ぼうを護持ごじして--、 一いち味み和わ合ごうして久く住じゅうすることを得えし1259└めんにむ。 は、┘ しかもかれのが ために毘奈びな耶や蔵ぞうを説とく。

◇若シ彼ノ有情楽ヒ↢▼習ヒ威儀ヲ↡、護↢持シテ正法ヲ↡、▼一味和合シテ令メムニハ↠得↢久住スルコトヲ↡、而モ為ニ↠彼ノ説ク↢毘奈耶蔵ヲ↡。

^もしかの有う情じょう、 ねがふて0827正しょう法ぼうを楽ねがひて------説とき、 *性しょう相そうを分別ふんべつし、 *循じゅん環かん研けん覈かくして甚深じんじんを究く竟きょう└せんにす。 は、┘ しかもかれのが ために阿毘あび達だつ磨ま蔵ぞうを説とく。

◇若シ彼ノ有情楽ヒテ↢説キ正法ヲ↡、▼分↢別シ性相ヲ↡、循環研覈シテ究↢竟セムニハ甚深ヲ↡、而モ為ニ↠彼ノ説ク↢阿毘達磨蔵ヲ↡。

^もしかの有う情じょう、 ねがひて大だい乗じょう真実しんじつの智慧ちえを楽ねがひ----習ならひて--、 *我が法ほう執着しゅうじゃくの分別ふんべつを離はな└れんにる。 は、┘ しかもかれのが ために般若はんにゃ波羅はら蜜みっ多た蔵ぞうを説とく。

◇若シ彼ノ有情楽ヒ↢習シテ大乗真実ノ智*慧ヲ↡、▼離レムニハ↢於我法執著ノ分別ヲ↡、而モ為ニ↠彼ノ説ク↢般若波羅*蜜多蔵ヲ↡。

^もしかの有う情じょう、 *契かい経きょう・と *調じょう伏ぶく・と *対法たいほう・と *般若はんにゃとを受じゅ持じすることあたはず、。 あるいはまた有う情じょう、 もろもろの悪業あくごうを造つくらん--------。、 *四し重じゅう・*八はち重じゅう・*↓五無ごむ間罪けんざい・*謗ほう方等ほうどう経きょう・*一闡いっせん提だい等とうの種々しゅじゅの重じゅう罪ざいを しつくりて消しょう滅めつすることを得えしめむ。、 すみやかに解げ脱だつして、 頓とくに 涅ね槃はんを悟さと└らしめんる。 には、┘ しかも------かれのが ためにもろもろの陀羅だら尼に蔵ぞうを説とく。

◇若シ彼ノ有情不↠能ハ↣受↢持スルコト契経・調伏・対法・般若ヲ↡、或イハ復有情造ラム↢諸ノ悪業ヲ↡。四重・八重・五無間罪・謗方等経・一闡提等ノ種々ノ重罪ヲシテ使メ↠得↢銷滅スルコトヲ↡*速ニ解脱シ、頓トク悟ラシメムニハ↢涅槃ヲ↡、而モ為ニ↠彼ノ説ク↢諸ノ陀羅尼蔵ヲ↡。▼

^この五ご蔵ぞうは、 たとへば*乳にゅう・酪らく・生しょう蘇そ・熟じゅく蘇そ-------および妙みょう醍だい醐ごのごとし。 契かい経きょうは乳にゅうのごとくし 、 調じょう伏ぶくは酪らくのごとくし 、 対法たいほうの教きょうはかの生しょう蘇そのごとくし 、 大だい乗じょう般若はんにゃはなほ----熟じゅく蘇そのごとくし 、 *総そう持じ門もんといふはたとへば醍だい醐ごのごとし。

◇▼此ノ*五蔵ハ、譬ヘバ如シ↢乳・酪・生*蘇・*熟*蘇及ビ妙醍醐ノ↡。契経ハ如ク↠乳ノ、調伏ハ如ク↠酪ノ、対法教者如ク↢彼ノ生*蘇ノ↡、大乗般若シハ猶如ク↢熟*蘇ノ↡、総持門者譬ヘバ如シ↢醍醐ノ↡。

^醍だい醐ごの味あじはひ、乳にゅう・酪らく・蘇そのなかに微み妙みょう第一だいいちなり。 よく諸しょ病びょうを除のぞきてく。 、 もろもろの有う情じょうをして身心しんしん安楽あんらくならしむ。 総そう持じ門もんといふは契かい経きょう等とうのなかにもつとも第一だいいちとな--す。 よく重じゅう罪ざいを除のぞきく。、 もろもろの衆しゅ生じょうをして生しょう死じを解げ脱だつして、 すみやかに涅ね槃はん安楽あんらくの法身ほっしんを証しょうせしむ」 と--。 以上

◇醍醐之味1306乳・酪・*蘇ノ中ニ微妙第一ナリ。能ク除キテ↢諸病ヲ↡、令ム↢諸ノ有情ヲシテ身心安楽ナラ↡。総持門者契経等ノ中ニ最モ為ス↢第一ト↡。能ク除キ↢重罪ヲ↡、令ムト↧諸ノ衆生ヲシテ解↢脱シテ生死ヲ↡速ニ証セ↦涅槃安楽法身ヲ↥。▼」 已上

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]会釈

^このなかの、 ↑五無ごむ間けん罪ざいといふはこれ五ご逆ぎゃく罪ざいなり。 すなは1260ち醍だい醐ごの妙みょう薬やくにあらずは、 五無ごむ間けんの病やまいはなはだ療りょうしがたしとな--す。 念仏ねんぶつもまたしかなり。 往おう生じょうの教きょうのなかには▼念仏ねんぶつ三昧ざんまいはこれ総そう持じのごとくし 、 また0828醍だい醐ごのごとし。 もし念仏ねんぶつ三昧ざんまいの醍だい醐ごの薬くすりにあらずは、 五ご逆ぎゃく深じん重じゅうの病やまいははなはだ治じしがたしとな--す、 知しるべし。

◇*此ノ中、五無間罪者是五逆罪也。即チ非ズハ↢醍醐之妙薬ニ↡者、五無間ノ病甚ダ為ス↠難シト↠療シ。念仏モ亦然ナリ。往生ノ教ノ中ニ念仏三昧ハ是如ク↢総持ノ↡、亦如シ↢醍醐ノ↡。▼若シ非ズハ↢念仏三昧ノ醍醐之薬ニ↡者、五逆深重ノ病ハ甚ダ為ス↠難シト↠治シ、応シ↠知ル。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)明滅罪遍
              (ⅰ)問

 ^問とひふ ていはく、 もししからば下げ品ぼん上生じょうしょうはこれ十じゅう悪あく軽きょう罪ざいの人ひとなり。 なんがの ゆゑぞ念仏ねんぶつを説とくや。

◇問ヒテ曰ク、若シ爾ラバ者下品上生ハ是十悪軽罪之人*也。何ガ故ゾ説ク↢*念仏ヲ↡乎。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)答

^答こたへていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいは重じゅう罪ざいなほ滅めっす。 いかに------いはんや軽きょう罪ざいをや。 余よ行ぎょうはしからず。 あるいは軽きょうを滅めっして重じゅうを滅めっせざるあり。 あるいは一いちを消けしてしかも二にを消けさざるあり。 念仏ねんぶつはしからず。 軽重きょうじゅう兼かね滅めっす、 一切いっさいあまねく治じす。 ▼たとへば*阿あ伽陀かだ薬やくのあまねく一切いっさいの病やまいを治じするがごとし。 かるがゆゑに念仏ねんぶつをもつて*王おう三昧ざんまいとな--す。

◇答ヘテ曰ク、念仏三昧ハ重罪尚滅ス。何ニ況ヤ軽罪ヲ哉。余行ハ不↠然ラ。▼或イハ有リ↢滅シテ↠軽ヲ而不ル↟滅セ↠重ヲ。▼或イハ有リ↢消テ↠一ヲ而不ル↟消サ↠二ヲ。念仏ハ不↠然ラ。軽重兼ネ滅ス、一切遍ク治ス。譬ヘバ如シ↣阿伽陀薬ノ遍ク治スルガ↢一切ノ病ヲ↡。故ニ以テ↢念仏ヲ↡為ス↢王三昧ト↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅲ)明九品一往

^おほよそ九く品ぼんの配当はいとうはこれ一往いちおうの義ぎなり。 *五ご逆ぎゃくの回え心しん、上上じょうじょうに通つうず。 *読誦どくじゅの妙行みょうぎょう、また----下下げげに通つうず。 十じゅう悪あくの軽きょう罪ざい、 破は戒かいの次し罪ざい、おのおの上じょう下げに通つうじず。、 解げ第一だいいち義ぎ 第一義をさとり 、 発ほつ菩ぼ提だい心しん 菩提心をおこす 、また上じょう下げに通つうず。 一法いっぽうにおのおの九く品ぼんあり。 もし品ほんに約やくせば、 すなはち九九くく八はち十じゅう一いち品ぼんなり。

◇凡ソ▼九品ノ配当ハ是一往ノ義ナリ。▼五逆ノ廻心通ズ↢於上々ニ↡。▼読誦ノ妙行亦通ズ↢下々ニ↡。▼十悪ノ軽罪、破戒ノ次罪各ノ通ジ↢上下ニ↡、▼解第一義、発菩提心亦通ズ↢上下ニ↡。▼一法ニ各ノ有リ↢九品↡。若シ約セバ↠品ニ即チ九々八十一品也。

^しかのみならず迦か才ざい (浄土論) のいはく、 「衆しゅ生じょう、 行ぎょうを起おこすにすでに千殊せんじゅあり。 往おう生じょうして土どを見みることに  また万別まんべつあり」 と--。 一いち往おう--の文もんを見みて*封ふう執しゅう1261を起おこすことなかれ。

◇加之シカノミナラズ▼迦才ノ云ク、「▼衆生起スニ↠行ヲ既ニ有リ↢千殊↡。往生シテ見ルコト↠土ヲ亦有リト↢万*別↡。」見テ↢一往ノ文ヲ↡莫レ↠起スコト↢封執ヲ↡。▼

二 ⅺ Ⅲ b ロ 結示

^そのなかに念仏ねんぶつはこれすなはち-------- 勝しょう すぐれたる行ぎょうなり。 かるがゆゑに分ふん陀利だりを引ひきて、 もつて------その喩譬たとえとな--す。 喩の意こころ知しるべし。

◇▼其ノ中ニ念仏ハ是即チ勝行ナリ。▼故ニ引キテ↢*芬陀利ヲ↡、以テ為ス↢其ノ喩譬 タトヘ ト↡。意応シ↠知 △ル。

二 ⅺ Ⅲ c 明念仏勝益
        イ 明種々益

^しかのみならず念仏ねんぶつの行ぎょう者じゃをば、 観音かんのん・勢せい至し、 影かげと形かたちとのごとくしばらくも捨しゃ離り せ したまはず。 余よ行ぎょうはしからず。 ま0829た念仏ねんぶつ者しゃは、 命いのちを捨すてをはりて後のち決けつ定じょうして極楽ごくらく世せ界かいに往おう生じょうす。 余よ行ぎょうは不ふ定じょうなり。

◇加之シカノミナラズ▼念仏行1307者ヲバ観音・勢至、如ク↢影ト与ノ↟形暫クモ不↢捨離セ↡。余行ハ不↠爾ラ。又念仏者ハ、捨テ↠命ヲ已リテ後決定シテ往↢生ス極楽世界ニ↡。余行ハ不定ナリ。

 ^おほよそ*五ご種しゅの嘉誉かよを流ながし、 二に尊そん (観音・勢至) の影よう護ごを蒙こうむる、 これはこれ*現益げんやくなり。 また浄じょう土どに往おう生じょうして--、 乃ない至し、 仏ぶつになる、 これはこれ*当益とうやくなり。

◇凡ソ▼流シ↢五種ノ嘉*誉ヲ↡、▼蒙ル↢二尊ノ影護ヲ↡、▼*此ハ是現益也。亦▼往↢生シテ浄土ニ↡、乃至成ル↠仏ニ、此ハ是当益也。

二 ⅺ Ⅲ c ロ 明始終両益【始終両益】

^また道どう綽しゃく禅ぜん師じ、念仏ねんぶつの一いち行ぎょうにおいて始し終じゅうの両りょう益やくを立た つ てたまへり。 ¬安楽あんらく集しゅう¼ (下) にいはく、 「▲ª念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうをば摂取せっしゅして捨すて└たまは ざれば ず┘、 寿いのち尽つきてかならず生しょうずº (観経) と--。 これを始し益やくと名なづく。

◇又道綽禅師於テ↢念仏ノ一行ニ↡立ツ↢始終ノ両益ヲ↡。▼¬安楽集ニ¼云ク、「念仏ノ衆生ヲ摂取シテ不↠捨テタマハ、寿尽キテ必ズ生ズト。此ヲ名ク↢始益ト↡。

^◆終じゅう益やくといふは、 ¬*観音かんのん授じゅ記き経きょう¼ によるに、 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 世よに住じゅうするしたまふこと長じょう久くにして、 兆ちょう載さい永劫ようごうにまた滅めつ度どしたまふことあり。 般はつ涅ね槃はんの時とき、 ただ観音かんのん・勢せい至しありましまして、 安楽あんらくにを 住じゅう持じし、 十方じっぽうを接しょう引いん す したまふ。 その仏ぶつの滅めつ度どまた住じゅう世せと時じ節せつ等同とうどうなりらむ。 しかるにも  かの国くにの衆しゅ生じょうは--、 一切いっさい、 の 仏ぶつを覩と見けんするものあることなし。

◇言フ↢終益ト↡者、▼依ルニ↢¬観音授記*経ニ¼↡、阿弥陀仏住スルコト↠世ニ長久ニシテ、兆載永劫ニ亦有リ↢滅度シタマフコト↡。般涅槃ノ時、唯有リテ↢観音・勢至↡、住↢持シ安楽ニ↡、接↢引ス十方ヲ↡。其ノ仏ノ滅度亦与↢住世↡時節等同ナリ。然ルニ彼ノ国ノ衆生ハ、一切無シ↠有ルコト↧*覩↢見スル仏ヲ↡者↥。

^◆ただ一向いっこうにもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうすせ るもののみありて、 つねに弥陀みだは--現げんにましまして滅めっしたまはずと見み1262るº と--。 これはすなはちこれその終じゅう益やくなり」 と--。 以上

◇唯有リテ↧▼一向ニ専ラ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡往生スル者ノミ↥、常ニ見ルト↢弥陀ハ現ニ在シテ不ト↟滅シタマハ。此ハ即チ是其ノ終益也ト。」 已上

二 ⅺ Ⅲ c ハ 結上来諸益

^まさに知しるべし。 念仏ねんぶつはかくのごとき等らの現当げんとう二世にせ、 の 始し終じゅうの--両りょう益やくあり、 知しるべしと。

当ニシ↠知ル。念仏ハ有リ↢如キ↠此クノ等ノ現当二世、始終ノ両益↡、応シ↠知ル。

二 ⅻ ▽付属念仏章【念仏付属章】
    Ⅰ 標章

【12】0830^△釈しゃく尊そん、定じょう散さんの諸しょ行ぎょうを付ふ属ぞくせずして、 ただ念仏ねんぶつをもつて阿あ難なんに付ふ属ぞくしたまふえる文もん。

 ○釈尊不↣付↢属セ定散ノ諸行ヲ↡、唯以テ↢念仏ヲ↡付↢属シタマフ阿難ニ↡*之文

二 ⅻ Ⅱ 引文
      a 観経

 ^¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲↓仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªなんぢよくこの語ごを持たもて。 この語ごを持たもてといふは、 すなはちこれ無む量りょう寿じゅ仏ぶつの名みなを持たもてとなりº」 と--。

◇¬観無量寿経ニ¼云ク、「▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、汝好ク持テ↢是ノ語ヲ↡。▼持テト↢是ノ語ヲ↡者、即チ是持テトナリト↢無量*寿仏ノ*名ヲ↡。」

二 ⅻ Ⅱ b 散善義

 ^同どう同じ経きょうの ¬疏しょ¼ (散善義) にいはく、 「▲ª↑仏告ぶつごう阿あ難なん汝好にょこう持じ是語ぜごº といふより以下いげは、 まさしく弥陀みだの名みょう号ごうを付ふ属ぞくして、 ▽遐か代だいに流る通ずうすることを明あかす。 ▽└上かみよりこの 上来に  かた┘定じょう散さん両りょう門もんの益やくを説とくといへども、 ▽仏ぶつの本願ほんがんにを 望のぞむるにまむには 、 意こころ、 衆しゅ生じょうをして一向いっこうにもつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みなを称しょう└せしするむ┘るにあり」 と。

◇同ジキ経ノ▼¬疏ニ¼云ク、「従リ↢仏告阿難汝好持是語トイフ↡已下ハ、▽正シク明ス↧付↢属シテ弥陀ノ名号1308ヲ↡流↦通スルコトヲ於遐代ニ↥。上ヨリ来タ雖モ↠▼説クト↢定散両門之益ヲ↡、▼望ムルニ↢仏ノ本願ニ↡、意在リト↣衆生ヲシテ▼一向ニ専ラ称セシムルニ↢弥陀仏ノ*名ヲ↡。」

二 ⅻ Ⅲ 私釈
      a 総標二行

 ^わたくしにいはく、 ¬疏しょ¼ (散善義) の文もんを案あんずるに二に行ぎょうあり。 一いちには↓定じょう散さん、 二にには↓念仏ねんぶつなり----。

▼私ニ云ク、案ズルニ↢¬疏ノ¼文ヲ↡有リ↢二行↡。一ニハ定散、二ニハ念仏ナリ。

二 ⅻ Ⅲ b 別釈
        イ 定散
          (一)標列

^初はじめに↑定じょう散さんといふはまた分わかちて二にとな--す。 一いちには--↓定じょう善ぜん、 二にには--↓散善さんぜんなり----。

初ニ言フ↢定散ト↡者、又分チテ為ス↠二ト。一ニハ定善、二ニハ散善ナリ。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)正釈
            (Ⅰ)【定善】
              (ⅰ)列名

^初はじめにの ↑定じょう善ぜんにつきて、 そのれ 十じゅう三さんあり。 一いちには*日想にっそう観かん、 二にには*水想すいそう観かん、 三さんには*地じ想観そうかん、 四しには*宝樹ほうじゅ観かん、 五ごには*宝ほう池ち観かん、 六ろくには*宝ほう楼ろう閣かく1263観かん、 七しちには*華座けざ観かん、 八はちには*像想ぞうそう観かん、 九くに0831は*阿あ弥陀みだ仏観ぶつかん、 十じゅうには*観音かんのん観かん、 十じゅう一いちには*勢せい至し観かん、 十じゅう二にには*普ふ往おう生じょう観かん、 十じゅう三さんには*雑想ざっそう観かんなり。 つぶさには経きょう ¬経¼ 説せつのに説くがごとし。

初ニ▼付キテ↢定善ニ↡、有リ↢其ノ十三↡。一ニ者日想観、二ニ者水想観、三ニ者地想観、四ニ者宝樹観、五ニ者宝池観、六ニ者宝楼閣観、七ニ者花座観、八ニ者像想観、九ニ者阿弥陀仏観、十ニ者観音観、十一ニ者勢至観、十二ニ者普往生観、十三ニ者雑想観ナリ。具ニ如シ↢経説ノ↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)明益

^▼たとひ余よの行ぎょうなしといへども、 あるいは一いち、 あるいは多た、 その 所堪しょかん たえたるところに随したがひふ て十じゅう三さん観がんを修しゅして往おう生じょうを得うべし。 その旨むね ¬経きょう¼ (観経) に見みえたり。 あへて*疑ぎ慮りょすることなかれ。

縦ヒ雖モ↠無シト↢余行↡、或イハ一或イハ多、▼随ヒテ↢其ノ所堪ニ↡修シテ↢十三観ヲ↡可シ↠得↢往生ヲ↡。其ノ旨見エタリ↢¬経ニ¼↡。敢テ莫レ↢疑慮スルコト↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)【散善】
              (ⅰ)標列

 ^次つぎに↑散善さんぜんにつきて二にあり。 一いちには↓三福さんぷく、 二にには↓九く品ぼんなり----。

次ニ付キテ↢散善ニ↡有リ↠二。一ニ者三福、二ニ者九品ナリ。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)三福
                  (イ)挙経文

^初はじめのに ↑三福さんぷくといふは、 ¬経きょう¼ (観経) にのたまはく、 「▲一いちには▽↓孝きょう養よう父母ぶも、 ▽↓奉事ぶじ師し長ちょう、 ▽↓慈じ心しん不ふ殺せつ、 修しゅ十じゅう善業ぜんごう。 ◆二にには↓受じゅ持じ三さん帰き、 ▽↓具ぐ足そく衆戒しゅかい、 ↓不ふ犯ぼん威儀いぎ。 ◆三さんには▽↓発ほつ菩ぼ提だい心しん、 ▽↓深信じんしん因いん果が、 ▽↓読誦どくじゅ大だい乗じょう、 ↓勧進かんじん行ぎょう者じゃなり」 と--。 以上経文

▼初ノ▼三福ト者、¬経ニ¼曰ク、「▼一ニ者孝養父母、奉事師長、慈心不殺、修十善業。▼二ニ者受持三帰、具足衆戒、不犯威儀。▼三ニ者発菩提心、深信因果、読誦大乗、勧進行者ナリト。」 已上経文

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)随釈
                    [一]世福

・教養父母

^「↑孝きょう養よう父母ぶも」 といふは、 これにつきて二にあり。 一いちには世せ間けんの孝きょう養よう、 二にには出しゅっ世せの孝きょう養ようなり。 世せ間けんの孝きょう養ようといふは ¬*孝こう経きょう¼ 等とうの説せつのごとし。 出しゅっ世せの孝きょう養ようといふは*律りつの中ちゅうの*生しょう縁えん奉事ぶじの法ほうのごとし。

「孝養父母ト」者、付キテ↠之ニ有リ↠二。一ニハ世間ノ孝養、二ニハ出世ノ孝養也。▼世間ノ孝養ト者如シ↢¬孝経¼等ノ説ノ↡。▼出世ノ孝養ト者如シ↢律中ノ生縁*奉*事ノ法ノ↡。

・奉事師長

^「↑奉事ぶじ師し長ちょう」 といふは、 これにつきてまた二にあり。 一いちには世せ間けんの師し長ちょう、 二にには出しゅっ世せの師し長ちょうなり。 世せ間けんの師しといふは仁じん・義ぎ・礼れい・智ち・信しん等とうを教おしふる師しなり。 出しゅっ世せの師しといふは聖しょう道どう・浄じょう土どの二に門もん等とうを教おしふる師しなり。 たとひ余よ行ぎょうなしといへども、 孝きょう養よう・奉事ぶじをもつて往おう生じょうの業ごうとなすする なり。

「奉事師長ト」者、付キテ↠之ニ又有リ↠二。一ニハ世間ノ師長、二ニハ出世ノ師長也。世間ノ師ト者▼教フル↢仁1309・義・礼・智・信等ヲ↡師也。出世ノ師ト者▼教フル↢聖道・浄土ノ二門等ヲ↡師也。▼縦ヒ雖モ↠無シト↢余行↡、以テ↢孝養・奉事ヲ↡為ル↢往生ノ業ト↡也。

・慈心不殺修十善業

^「↑慈じ心しん不ふ殺せつ、 --修しゅ十じゅう善業ぜんごう」 といふは1264、 これにつきて二にの義ぎあり。

「慈心不殺修十善業ト」者、就キテ↠此ニ有リ↢二義↡。

^一いちには、初はじめのに 「慈じ心しん不ふ殺せつ」 といふは、 これ---…四無しむ量りょう心しんのなかの初はじめの慈じ無む量りょうなり。 すなはち初はじめの一いちを挙あげて後のちの三さんを摂せっするなり。 たとひ余よ行ぎょうなしといへども、 …---四無しむ量りょう心しんをもつて0832往おう生じょうの業ごうとなすするなり。 次つぎに 「修しゅ十じゅう善業ぜんごう」 といふは、 一いちはに 不ふ殺せっ生しょう、 二には--不ふ偸盗ちゅうとう、 三さんはに 不ふ邪婬じゃいん、 四しはに 不ふ妄もう語ご、 五ごはに 不ふ綺語きご、 六ろくはに 不ふ悪あっ口く、 七しちはに 不ふ両りょう舌ぜつ、 八はちはに 不ふ貪とん、 九くはに 不ふ瞋しん、 十じゅうはに 不ふ邪見じゃけんなり。

一ニ者初ノ▼慈心不殺ト者、是四無量心ノ中ノ初ノ慈無量也。即チ挙ゲテ↢初ノ一ヲ↡摂スル↢後ノ三ヲ↡也。▼縦ヒ雖モ↠無シト↢余行↡、以テ↢四無量心ヲ↡為ル↢往生ノ業ト↡也。次ニ▼修十善業ト者、一ハ不殺生、二ハ不偸盗、三*者不邪婬、四ハ不妄語、五ハ不綺語、六ハ不悪口、七ハ不両舌、八ハ不貪、九ハ不瞋、十ハ不邪見也。

^二にには 「慈じ心しん不ふ殺せつ」、 「修しゅ十じゅう善業ぜんごう」 の二句にくを合がっして一いっ句くと└なすとす。  は、┘ いはく初はじめの 「慈じ心しん不ふ殺せつ」 といふは、 これ四無しむ量りょうのなかの慈じ無む量りょうにはあらず。 これ十じゅう善ぜんの初はじめの不ふ殺せつを指さす。 かるがゆゑに知しりぬ、 まさしくこれ十じゅう善ぜんの一いっ句くなり。 たとひ余よ行ぎょうなしといへども、 十じゅう善業ぜんごうをもつて往おう生じょうの業ごうとなすするなり。

二ニ者合シテ↢慈心不殺修十善業ノ二句ヲ↡而為ストハ↢一句ト↡、謂ク初ノ慈心不殺者、*是非ズ↢四無量之中ノ慈無量ニハ↡。是指ス↢十善之初ノ不殺ヲ↡。故ニ知リヌ、正シク是十善之一句也。縦ヒ雖モ↠無シト↢余行↡、以テ↢十善業ヲ↡為ル↢往生ノ業ト↡也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]戒福

・受持三帰

^「↑受じゅ持じ三さん帰き」 といふは帰依仏法ぶっぽう僧そうに--帰依きえする--------なり。 これにつきて二にあり。 一いちは大だい乗じょうの三さん帰き、 二には小乗しょうじょうの三さん帰きなり。

「受持三帰ト」者、帰↢*依スル仏法僧ニ↡也。就キテ↠此ニ有リ↠二。一者大乗ノ三帰、二者小乗ノ三帰也。

・具足衆戒

^「↑具ぐ足そく*衆戒しゅかい」 といふは、 これにまた二にあり。 一いちは大だい乗じょう戒かい、 二には小乗しょうじょう戒かいなり。

「具足衆戒ト」者、*此ニ有リ↠二。一者大乗戒、二者小乗戒也。

・不犯威儀

^「↑不ふ犯ぼん威儀いぎ」 といふは、 これにまた二にあり。 一いちは大だい乗じょう、 に いはく八万はちまんあり。 二には小乗しょうじょう、 に いはく三千さんぜんあり。

「不犯威儀ト」者、此ニ亦有リ↠二。一者大乗、謂ク*有リ↢八万↡。二者小乗、謂ク有リ↢三千↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[三]行福

・発菩提心

^「↑発ほつ菩ぼ提だい心しん」 といふは、 諸しょ師しの意こころ不ふ同どうなり。

「発菩提心ト」者、諸師ノ意不同也。

^*天台てんだいにはすなはち*四し教きょうの菩ぼ提だい心しんあり。 いはく蔵ぞう・通つう・別べつ・円えんこれなり。 つぶさには-- ¬*止し観かん¼ のに 説せつの 説くが ごとし。

▼天臺ニハ即チ有リ↢四教ノ菩提心↡。謂ク蔵・通・別・円是也。▼具ニハ如シ↢¬止観ノ¼説ノ↡。

^*真言しんごんにはすなはち三種さんしゅの菩ぼ提だい心しんあり1265。 いはく*行ぎょう願がん・*勝しょう義ぎ・*三さん摩地まじこれなり。 つぶさには-- ¬*菩ぼ提だい心論しんろん¼ のに 説せつの 説くが ごとし。

▼真言ニハ即チ有リ↢三種ノ菩提心↡。謂ク行願・勝義・三摩地是也。▼具ニハ如シ↢¬菩提心論ノ¼説ノ↡。

^*華け厳ごんには--また菩ぼ提だい心しんあり。 かの ¬*菩ぼ提だい心しん義ぎ¼ および ¬*遊心ゆうしん安楽あんらく道どう¼ 等とうの説せつのごとし。

華厳1310ニハ亦有リ↢菩提心↡。如シ↢彼ノ¬菩提心義¼及ビ¬遊心安楽道¼等ノ説ノ↡。

^*三論さんろん・*法相ほっそうにおのおの菩ぼ提だい心しんあり。 つぶさには--かの宗しゅうの章しょう疏しょ等とうの説せつのごとし。

三論・法相ニ各ノ有リ↢菩提心↡。具ニハ如シ↢彼ノ宗ノ章疏等ノ説ノ↡。

^ま0833た善導ぜんどうの所しょ釈しゃくの菩ぼ提だい心しんあり。 つぶさには-- ▲¬疏しょ¼ (観経疏) に述のぶるがごとし。

▼又有リ↢善導ノ所釈ノ菩提心↡。具ニハ如シ↢¬疏ニ¼述ブルガ↡。

^「発ほつ菩ぼ提だい心しん」 、 その言ことば一いちなりといへども、 おのおのその宗しゅうに随したがひてその義ぎ不ふ同どうなり。 しかればすなはち 「菩ぼ提だい心しん」 の一いっ句く、 --広ひろく諸しょ経きょうに亘わたり、 あまねく顕密けんみつを該かねたり。 *意気いき博遠はくおんにして*詮測せんしき沖ちゅう邈ばくなり。 願ねがはくは、もろもろの行ぎょう者じゃ、 一いちを執しゅうして万まんを遮しゃすることなかれ。 もろもろの往おう生じょうを求もとむる人ひと、 おのおのすべからく自じ宗しゅうの菩ぼ提だい心しんを発おこすべし。 たとひ余よ行ぎょうなしといへども、 菩ぼ提だい心しんをもつて往おう生じょうの業ごうとなす する也 。

発菩提心、其ノ言雖モ↠一ナリト、各ノ随ヒテ↢其ノ宗ニ↡其ノ義不同ナリ。然レバ則チ菩提心之一句、広ク亙リ↢諸経ニ↡、遍ク該カネタリ↢顕密ヲ↡。▼意気博遠ニシテ詮測沖邈ナリ。願クハ諸ノ行者、莫レ↢執シテ↠一ヲ遮スルコト↟万ヲ。諸ノ求メム↢往生ヲ↡之人各ノ須クシ↠発ス↢自宗之菩提心ヲ↡。縦ヒ雖モ↠無シト↢余行↡、以テ↢菩提心ヲ↡為ル↢往生ノ業ト↡也。

・深信因果

^「↑深信じんしん因いん果が」 といふは、 これにつきて二にあり。 一いちには世せ間けんの因いん果が、 二にには出しゅっ世せの因いん果がなり。 世せ間けんの因いん果がといふは、 すなはち六道ろくどうの因いん果がなり。 ¬*正しょう法ぼう念ねん経ぎょう¼ のに 説せつの 説くが ごとし。 出しゅっ世せの因いん果がといふは、 すなはち*四し聖しょうの因いん果がなり。 もろもろの大だい小乗しょうじょう経きょうのに 説せつの 説くが ごとし。 もしこの因いん果がの二に法ほうをもつてあまねく諸しょ経きょうを摂せっせ おさめ ば、 諸しょ家け不ふ同どうなり。

「深信因果ト」者、付キテ↠之ニ有リ↠二。一者世間ノ因果、二*者出世ノ因果ナリ。▼世間ノ因果者即チ六道ノ因果也。如シ↢¬正法念経ノ¼説ノ↡。▼出世ノ因果者即チ四聖ノ因果也。如シ↢諸ノ大小乗経ノ説ノ↡。若シ以テ↢此ノ因果二法ヲ↡遍ク摂セバ↢諸経ヲ↡者、諸家不同ナリ。

^しばらく*天台てんだいによらば、 いはく ¬華け厳ごん¼ には仏ぶつ・菩ぼ薩さつの二に種しゅの因いん果がを説ときく 、 「阿あ含ごん」 には1266声しょう聞もん・縁覚えんがくの二に乗じょうの因いん果がを説ときく 、 方等ほうどうの諸しょ経きょうには*四し乗じょうの因いん果がを説とく。、 「般若はんにゃ」 の諸しょ経きょうには通つう・別べつ・円えんの因いん果がを説ときく 、 ¬法ほっ華け¼ には仏因ぶついん仏ぶっ果かを説ときく 、 ¬涅ね槃はん¼ にはまた四し乗じょうの因いん果がを説とく也。

且ク依ラバ↢天臺ニ↡、謂ク華厳者説キ↢仏・菩薩二種ノ因果ヲ↡、阿含者説キ↢声聞・縁覚ノ二乗ノ因果ヲ↡、方等ノ諸経者説ク↢四乗ノ因果ヲ↡也。般若ノ諸経者説キ↢通・別・円ノ因果ヲ↡、法華者説キ↢仏因仏果ヲ↡、涅槃者又説ク↢四乗ノ因果ヲ↡也。

^しかればすなはち、 「深信じんしん因いん果が」 の言ことば、 --あまねく一代いちだいを└該かね羅つらね 該羅するな た┘り。 もろもろの往おう生じょうを求もとむる人ひと、 たとひ余よ行ぎょうなしと0834いへども、 深信じんしん因いん果がをもつて往おう生じょうの業ごうとな--すべし。

然レバ則チ深信因果之言、遍普 アマネ ク該カネ↢羅ツラネタリ於一代ヲ↡矣。諸ノ求メム↢往生ヲ↡之人縦ヒ雖モ↠無シト↢余行↡、以テ↢深信因果ヲ↡可シ↠為ス↢往生ノ業ト↡。

・読誦大乗

^「↑読誦どくじゅ大だい乗じょう」 といふは、 分わかちて二にと---…なす。 一いちは↓読誦どくじゅ、 二には↓大だい乗じょうなり。

「読誦大乗ト」者、分チテ而為ス↠二ト。一者読誦、二者大乗ナリ。

^「↑読誦どくじゅ」 とは、 …---すなはちこれ*五ご種しゅ法ほっ師しのなかに、 *転読てんどく・*諷ふ誦じゅの二師にしを挙あげてぐ  、 受じゅ持じ等とうの三さん師しを顕あらわすなり。 もし*十種じっしゅの法ほう行ぎょうに約やくせば、 すなはちこれ*披ひ読どく・諷ふ誦じゅの二に種しゅの法ほう行ぎょうを挙あげて、 書写しょしゃ・供く養よう等とうの八種はっしゅの法ほう行ぎょうを顕あらわすなり。

読誦ト者▼即チ是五種法師之中挙ゲテ↢転1311読・諷誦ノ二師ヲ↡、顕ス↢*受持等ノ三師ヲ↡。▼若シ約セバ↢十種法行ニ↡者、*即チ是挙ゲテ↢披読・諷誦ノ二種ノ法行ヲ↡、顕ス↢*書写・供養等ノ八種法行ヲ↡也。

^「↑大だい乗じょう」 と--は、 小乗しょうじょうを簡えらぶ言ことばなり。 別べっしてに  一いっ経きょうを指さすにはあらず。 通つうじて一切いっさいの諸しょ大だい乗じょう経きょう---を指さすなり。 いはく一切いっさいといふは、 仏ぶつ意い広ひろく一代いちだいの所説しょせつの諸しょ大だい乗じょう経きょうを指さす。 しかもるを一代いちだいの所説しょせつにおいて、 *已い結けつ集じゅうの経きょうあり。、 未み結けつ集じゅうの経きょうあり。 また---…已い結けつ集じゅうの経きょうにおいて、 あるいは…---竜りゅう宮ぐに隠かくれて、*人間にんげんに流布るふせざる経きょうあり。、 あるいは天竺てんじく (印度) に留とどまりて、 いまだ漢かん地じ (中国) に来到らいとうせざる経きょうあり。

大*乗ト者簡ブ↢小乗ヲ↡之言也。別シテ非ズ↠指スニ↢一経ヲ↡。通ジテ*指ス↢一切ノ諸大乗経ヲ↡。謂ク一切ト者、仏意広ク指ス↢一代所説ノ諸大乗経ヲ↡。▼而モ於テ↢一代ノ所説ニ↡、有リ↢已結集ノ経↡、有リ↢未結集ノ経↡。又於テ↢已結集ノ経ニ↡、或イハ有リ↧隠レテ↢竜宮ニ↡不ル↣流↢布セ人間ニ↡之経↥。或イハ*有リ↧留マリテ↢天竺ニ↡未ダル↣来↢到セ漢地ニ↡之経↥。

^しかるにを いま翻訳ほんやく将しょう来らいの経きょうにつきてこれを論ろんぜずれば、 ¬*貞元ていげんの--入にゅう蔵ぞうの録ろく¼ のなかに、 ¬大だい般若はんにゃ経きょう¼ 六ろっ百ぴゃく巻かんより始はじめて ¬法ほう1267常住じょうじゅう経きょう¼ に終おわるまで、 顕密けんみつの大だい乗じょう経きょうすべて六ろっ百ぴゃく三さん十じゅう七しち部ぶ二に千せん八はっ百ぴゃく八はち十じゅう三さん巻かんなり。 みなすべからく 「読誦どくじゅ大だい乗じょう」 の一いっ句くに摂せっすべし。

而ルニ今▼就キテ↢翻訳将来之経ニ↡而論ゼバ↠之ヲ者、¬▼貞元ノ入蔵ノ録ノ¼中ニ、始メテ↠自リ↢¬大般若経¼六百巻↡終ルマデ↢于¬法常住経ニ¼↡、顕密ノ大乗経総ジテ六百三十七部二千八百八十三巻也。皆須クシ↠摂ス↢読誦大乗之一句ニ↡。

^▼願ねがはくは、西方さいほうの行ぎょう者じゃ、 おのおのその*意い楽ぎょうに随したがひて、 あるいは ¬法ほっ華け¼ を読誦どくじゅしてもつて往おう生じょうの業ごうとな--し、 あるいは ¬華け厳ごん¼ を読誦どくじゅしてもつて往おう生じょうの業ごうとな--し、 あるいは ¬*遮しゃ那な¼・¬*教きょう王おう¼ および諸尊しょそんの--法ほう等とうを受じゅ持じし・ 読誦どくじゅしてもつて------往おう生じょうの業ごうとな--し、 あるいは 「般若はんにゃ」・方等ほうどうおよび ¬涅ね槃はん経ぎょう---¼ 等とうを解げ説せつし、 ・  書写しょしゃ0835してもつて往おう生じょうの業ごうとなせす  。 ▼これすなはち浄じょう土ど宗しゅうの ¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の意こころなり。

願クハ西方ノ行者、各ノ随ヒテ↢其ノ意楽ニ↡、或イハ読↢誦シテ法華ヲ↡以テ為シ↢往生ノ業ト↡、或イハ読↢誦シテ華厳ヲ↡以テ為シ↢往生ノ業ト↡、▼或イハ受↢持シ読↣誦シテ遮那・教王及以 オヨビ 諸尊ノ法等ヲ↡以テ為シ↢往生ノ業ト↡、或イハ解↢説シ書↣写シテ般若・方等及以 オヨビ 涅槃経等ヲ↡以テ為ヨ↢往生ノ業ト↡。是則チ浄土宗ノ¬観無量寿経ノ¼意也。

 ^問とひふ ていはく、 顕密けんみつの旨むね異ことなり、 なんぞ顕けんのなかに密みつを摂せっするや。

▼問ヒテ曰ク、顕密ノ旨異ナリ、何ゾ顕ノ中ニ摂スル↠密ヲ乎。

^答こたへていはく、 これは顕密けんみつの旨むねを摂せっせんす  といふにはあらず。 ¬貞元ていげん入にゅう蔵ぞうの録ろく¼ のなかに、 同おなじくこれを編あみしてしかも大だい乗じょう経きょうの限かぎりに入い るれたり。 かるがゆゑに 「読誦どくじゅ大だい乗じょう」 の一いっ句くに摂せっするなり------。

答ヘテ曰ク、*此ハ▼非ズ↠云フニハ↠摂セムト↢顕密之旨ヲ↡。¬貞元入蔵録ノ¼中ニ、同ジク*編ミテ↠之ヲ而入ル↢大乗経ノ限ニ↡。故ニ摂スル↢読誦大乗ノ一句ニ↡也。

 ^▼問とひふ ていはく、 *爾に前ぜんの経きょうのなかになんぞ ¬法ほっ華け¼ を摂せっするや。

▼問ヒテ曰ク、爾前ノ経ノ中ニ何ゾ摂スル↢¬法華ヲ¼↡*乎。

^▼答こたへていはく、 いまいふところの 「摂せつ」 といふは、 *権ごん・--実じつ・偏へん・--円えん等とうの義ぎを論ろんずるにはあらず。 「読誦どくじゅ大だい乗じょう」 の言ことば、 あまねく前ぜん後ごの大だい乗じょうの諸しょ経きょうに通つうず。 前ぜんといふは ¬観かん経ぎょう¼ 以い前ぜんの諸しょ大だい乗じょう経きょうこれなり。 後ごといふは*王おう宮ぐ以後いごの諸しょ大だい乗じょう経きょうこれなり。 ただ1268大だい乗じょうといひて権実ごんじつを選えらぶことなし。 しかればすなはち、まさしく ¬華け厳ごん¼・方等ほうどう・「般若はんにゃ」・¬法ほっ華け¼・¬涅ね槃はん¼ 等とうの諸しょ大だい乗じょう経きょうに当あたれり。

▼答ヘテ曰ク、今所1312ノ↠言フ摂ト者、▼非ズ↠論ズルニハ↢権・実・偏・円等ノ義ヲ↡。読誦大乗之言普ク通ズ↢前後ノ大乗諸経ニ↡。前ト者¬観経¼已前ノ諸大乗経是也。後ト者王宮已後ノ諸大乗経是也。唯シ云ヒテ↢大*乗ト↡無シ↠選ブコト↢権実ヲ↡。然レバ則チ正シク当レリ↢華厳・方等・般若・法華・涅槃等ノ諸大乗経ニ↡也。

・勧進行者

^「↑*勧進かんじん行ぎょう者じゃ」 といふは、 いはく定じょう散さん諸善しょぜんおよび念仏ねんぶつ三昧ざんまい等とうを勧進かんじんするなり。

「勧進行*者トハ」、謂ク勧↢進スル定散諸善及ビ念仏三昧等ヲ↡也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)九品
                  (イ)標

 ^次つぎに↑九く品ぼんといふは、 前さきの*三福さんぷくを開かいして九く品ぼんの業ごうとな--す。

次ニ▼九品ト者▼開シテ↢前ノ三福ヲ↡為ス↢九品ノ業ト↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)別明摂属
                    [一]明上三品

・上品上生

^いはく上じょう品ぼん上生じょうしょうのなかに 「▲慈じ心しん不ふ殺せつ」 といふは、 すなはち上かみの世せ福ふくのなかの△第だい三さんの句くに当あたるれり。 次つぎに 「▲具ぐ諸しょ戒かい行ぎょう」 といふは、 すなはち上かみの戒福かいふくのなかの第だい二にの句くの 「△具ぐ足そく衆戒しゅかい」 に当あたるれり。 次つぎに 「▲読誦どくじゅ大だい乗じょう」 といふは、 すなはち--------上かみの行ぎょう福ふくのなかの第だい三さんの句くの 「△読誦どくじゅ大だい乗じょう」 に当あたるれり。 次つぎに 「▲*修しゅ0836行ぎょう六念ろくねん」 といふは、 すなはち上かみの第だい三さんの福ふくのなかの△第だい三さんの句くの意こころなり。

謂ク▼上品上生ノ中ニ*言フ↢「慈心不殺ト」↡者、即チ当ル↢上ノ世福ノ中ノ第三之*句ニ↡。▼次ニ「具諸戒行ト」者、即チ当ル↢上ノ戒福ノ中ノ第二之句ノ「具足衆戒ニ」↡。▼次ニ「読誦大乗ト」者、即チ当ル↢上ノ行福ノ中ノ第*三ノ句ノ「読誦大乗ニ」↡。▼次ニ「修行六念ト」者、即チ上ノ第三ノ福ノ中ノ第三ノ句之意也。

・上品中生

^上じょう品ぼん中生ちゅうしょうのなかに 「▲善ぜん解義げぎ趣しゅ」 等とう--といふは、 すなはちこれ上かみの第三だいさんの福ふくのなかの△第だい二に・△第だい三さんの意こころなり。

▼上品中生ノ中ニ言フ↢「善解義趣」等ト↡者、即チ是上ノ第三福ノ中ノ第二・第三ノ意也。

・上品下生

^上じょう品ぼん下げ生しょうのなかに 「▲深信じんしん因いん果が・*発ほつ道心どうしん」 等とうといふは、 すなはちこれ上かみの第だい三さんの福ふくの△第一だいいち・△第だい二にの意こころなり。

▼上品下生ノ中ニ言フ↢「深信因果・発道心」等ト↡者、即チ是上ノ第三ノ福ノ第一・第二ノ意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明中三品

・中品上生

^中ちゅう品ぼん上生じょうしょうのなかに 「▲受じゅ持じ五ご戒かい」 等とう--といふは、 すなはち上かみの第だい二にの福ふくのなかの△第だい二にの句くの意こころなり。

▼中品上生ノ中ニ言フ↢「受持五戒」等ト↡者、即チ上ノ第二ノ福ノ中ノ第二ノ句ノ意也。

・中品中生

^中ちゅう品ぼん中生ちゅうしょうのなかに 「▲或わく一日いちにち一いち夜や受じゅ持じ八はっ戒斎かいさい」 等とうといふは、 また同おなじく------上かみの△第だい二にの福ふくの意こころにおなじきなり。

▼中品中生ノ中ニ言フ↢「或一日一夜受持八戒斎」等ト↡者、又同ジク*上ノ第二ノ福之意也。

・中品下生

^中ちゅう品ぼん下げ生しょうのなかに 「▲孝きょう養よう父母ぶも行ぎょう世せ仁にん慈じ」 等とうといふは、 すなはち上かみの初はじめの福ふくの△第一だいいち・△第だい1269二にの句くの意こころなり。

▼中品下生ノ中ニ言フ↢「孝養父母・行世仁慈」等ト↡者、即チ上ノ初ノ福ノ第一・第二ノ句ノ意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]明下三品

・下品上生

^下げ品ぼん上生じょうしょうといふは、 これ▲十じゅう悪あくの罪人ざいにんなり。 臨りん終じゅうの一念いちねんに罪つみ滅めっして生しょうずうまる ることを得う。

下品上生者是十悪ノ罪人也。臨終ノ一念ニ罪滅シテ得↠生1313ズルコトヲ。

・下品中生

^下げ品ぼん中生ちゅうしょうといふは、 これ▲破は戒かいの罪人ざいにんなり。 臨りん終じゅうに仏ぶつの依え正しょうの功く徳どくを聞ききて、 罪つみ滅めっして生しょうずうまる ることを得う。

下品中生者是破戒ノ罪人也。臨終ニ聞キテ↢仏ノ依正ノ功徳ヲ↡、罪滅シテ得↠生ズルコトヲ。

・下品下生

^下げ品ぼん下げ生しょうといふは、 これ▲五ご逆ぎゃくの罪人ざいにんなり。 臨りん終じゅうのに 十じゅう念ねんにして罪つみ滅めっして生しょうずうまる ることを得う。

下品下生者是五逆ノ罪人也。臨終ノ十念ニ罪滅シテ得↠生ズルコトヲ。

・下三品

^この三品さんぼんは、 尋じん常じょうの時ときただ悪業あくごうをのみ造つくりて往おう生じょうを求もとめずといへども、 臨りん終じゅうの時ときはじめて善ぜん知ぢ識しきに遇あひてすなはち往おう生じょうを得う。 もし上かみの三福さんぷくに准じゅんぜば、 △第三だいさんの福ふくの大だい乗じょうの意こころなり。

▼此之三品ハ、尋常之時唯*造リテ↢悪業ヲ↡雖モ↠不ト↠求メ↢往生ヲ↡、臨終之時始テ遇ヒテ↢善知識ニ↡即チ得↢往生ヲ↡。若シ准ゼバ↢上ノ三福ニ↡者、第三福ノ大乗ノ意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (三)総結

^定じょう善ぜん・散善さんぜん、大概たいがいかくのごとし。 文もん (散善義) に、 すなはち 「△上かみよりこのかた定じょう散さん両りょう門もんの益やくを説とくといへども」 といふこれなり。

定善・散善大概如シ↠此クノ。文ニ即チ云フ↢「上ヨリ来コノカタ雖モト↟説クト↢定散両門之益ヲ↡」是也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ【念仏】
          (一)正指其体

 ^次つぎ0837に↑念仏ねんぶつといふは、 もつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みなを称しょうするこれなり。 念仏ねんぶつの義ぎ*常つねのごとし。

▼次ニ念仏ト者、専ラ称スル↢弥陀仏ノ名ヲ↡是也。念仏ノ義如シ↠常ノ。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)釈疏意
            (Ⅰ)正明

^しかるにも  いま、 「△正明しょうみょう付ふ属ぞく弥陀みだ名みょう号ごう流る通ずう於お遐か代だい」 (散善義) といふは、 おほよそこの ¬経きょう¼ (観経) のなかに、 すでに広ひろく定じょう散さんの諸しょ行ぎょうを説とくといへども、 すなはち定じょう散さんをもつて阿あ難なんに付ふ属ぞく し せずして後世ごせに流る通ずうせしめず。 ただ念仏ねんぶつ三昧ざんまいの一いち行ぎょうをもつてすなはち阿あ難なんに付ふ属ぞくし遐か代だいに流る通ずうせしむ。

而ルニ今言フ↢「正明付属弥陀名号流通於遐代ト」↡者、凡ソ*此ノ¬経ノ¼中ニ既ニ広ク雖モ↠説クト↢定散ノ諸行ヲ↡、即チ以テ↢定散ヲ↡不↠令メ↧付↢属シ阿難ニ↡流↦通セ後世ニ↥。唯以テ↢念仏三昧ノ一行ヲ↡即チ使ム↧付↢属シ阿難ニ↡流↦通セ遐代ニ↥也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)料簡
              (ⅰ)付属有無
                (a)問

 ^問とひふ ていはく、 なんのが ゆゑぞ、定じょう散さんの諸しょ行ぎょうをもつて付ふ属ぞく流る通ずうせざるや。

問ヒテ曰ク、何ノ故ゾ以テ↢定散ノ諸行ヲ↡而不ル↢付属流通セ↡乎。

^もしそれ業ごうの浅深せんじんによりて嫌きらひて付ふ属ぞくせずは、 *三さん福ぷくの業ごうのなかに浅せんあり深じんあり。 そ1270の浅業せんごうといふは孝きょう養よう父母ぶも・奉事ぶじ師し長ちょうなり。 その深業じんごうといふは具ぐ足そく衆戒しゅかい・発ほつ菩ぼ提だい心しん・深信じんしん因いん果が・読誦どくじゅ大だい乗じょうなり。 すべからく浅業せんごうを捨すてて、 --深業じんごうを付ふ属ぞくすべし。

若シ夫レ依リテ↢業ノ浅深ニ↡嫌ヒテ不ハ↢付属セ↡、三福業ノ中ニ有リ↠浅有リ↠深。其ノ浅業者孝養父母・奉事師長也。其ノ深業者具足衆戒・発菩提心・深信因*果・読誦大乗也。須クシ↧捨テテ↢浅業ヲ↡付↦属ス深業ヲ↥。

^もし観かんの浅深せんじんによりて嫌きらひて付ふ属ぞくせずは、 十じゅう三さん観がんのなかに浅せんあり深じんあり。 その浅観せんかんといふは*日想にっそう・*水想すいそうこれなり。 その----深観じんかんといふは、 --*地じ観かんより始はじめて*雑想ざっそうに終おわるまで、 すべて十じゅう一いっ観かんこれなり。 すべからく浅観せんかんを捨すてて、 --深観じんかんを付ふ属ぞくすべし。

若シ依リテ↢観ノ浅深ニ↡嫌ヒテ不ハ↢付属セ↡、十三観ノ中ニ有リ↠浅有リ↠深。其ノ浅観トイフ者日想・水想是也。其ノ深観トイフ者始メテ↠自リ↢地観↡終ルマデ↢于雑*想ニ↡、総テ十一観是也。須クシ↧捨テテ↢浅観ヲ↡付↢属ス深観ヲ↡。

^就中なかんずくに、第だい九く観かん--は、 --これ----*阿あ弥陀みだ仏観ぶつかんなり。 すなはちこれ観仏かんぶつ三昧ざんまいなり。 すべからく十じゅう二に観かんを捨すてて、 --観仏かんぶつ三昧ざんまいを付ふ属ぞくすべ しきなり。 就中なかんずくに、同どう同じ疏しょの 「玄げん義ぎ分ぶん」 のなかにいはく、 「▲この経きょうは観仏かんぶつ三昧ざんまいを宗しゅうとなしす  、 または--念仏ねんぶつ三昧ざんまいを宗しゅうとな--す」 と--。 すでに0838二に行ぎょうをもつて一いっ経きょうの宗しゅうとな--す。 なんぞ観仏かんぶつ三昧ざんまいを廃はいして念仏ねんぶつ三昧ざんまいを付ふ属ぞくするや。

就中ナカンヅク第九*観ハ是阿弥陀仏観也。即チ是観仏1314三昧也。須クシ↧捨テテ↢十二観ヲ↡付↦属ス観仏三昧ヲ↥也。就中ナカンヅクニ同ジキ¬疏ノ¼玄義分ノ中ニ云ク、「*此ノ経ハ観仏三昧ヲ為シ↠宗ト、亦ハ念仏三昧ヲ為スト↠宗ト。」既ニ以テ↢二行ヲ↡為ス↢一経ノ宗ト↡。何ゾ癈シテ↢観仏三昧ヲ↡而付↢属スル念仏三昧ヲ↡*之哉。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)答

^答こたへていはく、 「△↓仏ぶつの本願ほんがんにを 望のぞむるにまむには 、 意こころ、 --衆しゅ生じょうをして↓一向いっこうにもつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みなを称しょう└せしす む┘るにあり」 (散善義) といふ。 定じょう散さんの諸しょ行ぎょうは本願ほんがんにあらず。 ざるが ゆゑにこれを付ふ属ぞくせず。 またそのなかにおいて、 観仏かんぶつ三昧ざんまいは殊しゅ勝しょうの行ぎょうなりといへども、 仏ぶつの本願ほんがんにあらず。 かるがゆゑにこれを付ふ属ぞくせず。 念仏ねんぶつ---…三昧ざんまいはこれ仏ぶつの本願ほんがんなるがゆゑに、 もつてこれを付ふ属ぞくす。…----

答ヘテ曰ク、云フ↫「望ムルニ↢仏ノ本願ニ↡、意在リト↪衆生ヲシテ一向ニ専ラ称セシムルニ↩弥陀仏ノ名ヲ↨。」定散ノ諸行ハ非ズ↢本願ニ↡。故ニ不↣付↢属セ之ヲ↡。亦於テ↢其ノ中ニ↡、観仏三昧ハ雖モ↢殊勝ノ行ト↡、非ズ↢仏ノ本願ニ↡。故ニ不↢付属セ↡。念仏三昧ハ是仏ノ本願ナルガ故ニ、以テ付↢属ス之ヲ↡。

^「↑仏ぶつの本願ほんがんにを 望のぞむ」 といふは、 ¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) の四し十じゅう八はち願がんのなかの△第だい十じゅう八はち1271の願がんを指さすなり。

言フ↠「望ムト↢仏ノ本願ニ↡」者、指ス↢¬双巻経ノ¼四十八願ノ中ノ第十八ノ願ヲ↡也。

^「↑一向いっこう専せん称しょう」 といふは、 同どう同じ経きょうの三輩さんぱいのなかの 「△一向いっこう専念せんねん」 を指さすなり。 本願ほんがんの義ぎ、 つぶさに△前さきに弁べんずるがごとし。

言フ↢「一向専称ト」↡者、指ス↢同キ¬経ノ¼三輩之中ノ「一向専念ヲ」↡也。本願之義具ニ如シ↢前ニ*辨ズルガ↡。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)明廃立義
                (a)正明
                  (イ)問

 ^問とひふ ていはく、 もししからば、 なんがゆゑぞ└ただぢきち┘に本願ほんがんの念仏ねんぶつの行ぎょうを説とかずして、 煩わずらはしく本願ほんがんにあらざる定じょう散さん諸善しょぜんを説とくや。

問ヒテ*曰ク、若シ爾ラバ者、何ガ故ゾ直ニ不↠説カ↢本願ノ念仏ノ行ヲ↡、煩シク説ク↧非ザル↢本願ニ↡定散諸善ヲ↥乎。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)答

^答こたへていはく、 本願ほんがんの念仏ねんぶつの行ぎょうは、- ¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) のなかに委くわしくすでにこれを説とく。きたまへるがゆゑに、かさねて説とかざるずならくのみ。

答ヘテ*曰ク、本願念仏ノ行ハ、¬双巻経ノ¼中ニ委ク既ニ説ク↠之ヲ。故ニ重ネテ不ル↠説カ耳。

^また定じょう散さんを説とくことは、 念仏ねんぶつの余よ善ぜんに超ちょう過かしたせ  ることを顕あらわさんがためなり。 もし定じょう散さんなくは、 なんぞ念仏ねんぶつのことに秀ひいでたることを顕あらわさんや--。 例れい└するせばに┘ ¬法ほっ華け¼ の*三説さんせつの上うえ----に秀ひいでたるがごとし。 上にもし三説さんせつなくは、 なんぞ ¬法ほっ華け¼の第一だいいちなることを顕あらわさん。 かるがゆゑにいま定じょう散さんは廃はい└せんの が┘ために説ときく 、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいは立りゅう└せんの が┘ためにしかも説とく。

▼又説クコトハ↢定散ヲ↡、為ナリ↠顕サムガ↣念仏ノ超↢過シタルコトヲ余善ニ↡。若シ無クハ↢定散↡、何ゾ顕サムヤ↢念仏ノ特ニ秀デタルコトヲ↡。▼例スルニ如シ↣¬法華ノ¼秀デタルガ↢三説ノ上ニ↡。若シ無クハ↢三説↡、何ゾ顕サム↢¬法華¼第一ヲ↡。故ニ今定散ハ為ニ↠癈セムガ而説キ、念仏三昧ハ為ニ↠立セムガ而説ク。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)嘆益翻顕
                  (イ)総嘆

^ただし定じょう散さんの諸善しょぜんみなもつて0839測はかりがたし。

▼但シ定散ノ諸善皆用テ難シ↠測リ。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)別示
                    [一]定善
                      [Ⅰ]挙益

^おほよそ定じょう善ぜんと--は、 それ----*依え正しょうの観かん、 鏡かがみを懸かけてしかも照しょう臨りんす。 往おう生じょうの願がん、 *掌たなごころを指さしてしかも速疾そくしつなり。 あるいは一観いっかんの力ちから、 よく多た劫こうの*罪ざいけんを 祛さしりぞく。 あるいは*具ぐ憶おくの功こう、 つひに三昧さんまいの*勝しょう利りを得う。 しかればすなはち、往おう生じょうを求もとむる人ひと、 よろしく*定じょう観かんを修しゅ行ぎょうすべし。

凡ソ定善ト者、夫レ▼依正之観懸ケテ↠鏡ヲ而照臨ス。▼往生之願指シテ↠掌ヲ而速疾ナリ。▼或イハ一観之力能ク*祛サク↢多劫之罪ヲ↡。▼或イハ具憶*之功終ニ得↢三昧之1315勝利ヲ↡。然レバ則チ求メム↢往生ヲ↡之人宜クシ↣修↢行ス定観ヲ↡。

^就中なかんずくに、第だい九くの真身しんしん観かんは、 --これ観仏かんぶつ三昧ざんまいの法ほうなり。 行ぎょうもし成じょう就じゅせすれば、 すなはち弥陀みだの身しんを見みたてまつる。 弥陀みだを見みたて1272まつるがゆゑに、 諸仏しょぶつを見みたてまつることを得う。 諸仏しょぶつを見みたてまつるがゆゑに、 現前げんぜんに*└記きを授さず 授記せ け┘らる。 この観かんの利り益やくもつとも甚深じんじんなり。

就中ナカンヅクニ第九ノ真身観ハ是観仏三昧之法也。行若シ成就セバ者、即チ見タテマツル↢弥陀ノ身ヲ↡。見タテマツルガ↢弥陀ヲ↡故ニ得↠見タテマツルコトヲ↢諸仏ヲ↡。見タテマツルガ↢諸仏ヲ↡故ニ現前ニ授ケラル記ヲ。*此ノ観ノ利益最モ甚深也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]明付属相

^しかるをに いま ¬観かん経ぎょう¼ の*流る通ずう分ぶんに至いたりて、 釈しゃ迦か如来にょらい、 阿あ難なんに*告ごう命みょうして往おう生じょうの*要法ようぼうを付ふ属ぞく・流る通ずうせしむる└ちなみによりてに┘、 観仏かんぶつの法ほうを嫌きらひてなほ阿あ難なんに付ふ属ぞくせず、 念仏ねんぶつの法ほうを選えらびてすなはちもつて阿あ難なんに付ふ属ぞく└したます  ふ┘。 観仏かんぶつ三昧ざんまいの法ほう、 なほもつて付ふ属ぞく└したませ  は┘ず。 いかにいはんや、日想にっそう・水想すいそう等とうの観かんにおいてをや。 しかればすなはち、十じゅう三さんの定じょう観かんは、 --みなもつて付ふ属ぞくせざるところの行ぎょうなり。

然ルヲ今至リテ↢¬観経ノ¼流通分ニ↡、釈迦如来告↢命シテ阿難ニ↡因ニ↠使ムル↤付↢属流↣通セ往生ノ要法ヲ↡、嫌ヒテ↢観仏ノ法ヲ↡尚不↣付↢属セ阿難ニ↡、*選ビテ↢念仏ノ法ヲ↡即チ以テ付↢属シタマフ阿難ニ↡。観仏三昧之法、尚以テ不↢付属シタマハ↡。何ニ況ヤ於テヲ↢日想・水想等ノ観ニ↡乎。然レバ則チ十三定観ハ、皆以テ所↠不ル↢付属セ↡之行也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅲ]誡世人失

^しかるに世よの--人ひと、 もし観仏かんぶつ等とうを楽ねがひて念仏ねんぶつを修しゅせざるず  は、 これ----遠とおくは弥陀みだの本願ほんがんを乖そむ└くのみにもき  あらず┘、 またこれ近ちかくは釈しゃく尊そんの付ふ属ぞくに違たがふ 違する にあらずや。 行ぎょう者じゃよろしく*商量しょうりょうすべし。

▼然ルニ世ノ人若シ楽ヒテ↢観仏等ヲ↡不ルハ↠修セ↢念仏ヲ↡、是遠ク非ズ↠乖クノミニモ↢弥陀ノ本願ヲ↡、亦是近クハ違フ↢釈尊ノ付属ニ↡。行者宜クシ↢商量ス↡。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]散善
                      [Ⅰ]出所貴行

 ^次つぎに散善さんぜんのなかに、 大だい小しょうの持じ戒かいの行ぎょうあり。 世よみなおもへらく、 持じ戒かいの行ぎょう者じゃはこれ*└真しん0840要ように入い入真の要 る┘なり。 破は戒かいのものは往おう生じょうすべからずと--。

▼次ニ散善ノ中ニ、有リ↢大小持戒ノ行↡。世皆以為 オモヘ ラク、持戒ノ行者ハ是入ル↢真要ニ↡也。破戒之者ハ不ト↠可カラ↢往生ス↡。

^また菩ぼ提だい心しんの行ぎょうあり。 人ひとみなおもへらは  く、 菩ぼ提だい心しんはこれ浄じょう土どの綱要こうようなり。 もし菩ぼ提だい心しんなくは、 すなはち往おう生じょうすべからずと--。

又有リ↢菩提心ノ行↡。人皆以為 オモヘ ラク、菩提心ハ是浄土ノ綱要ナリ。若シ無クハ↢菩提心↡者即チ不ト↠可カラ↢往生ス↡。

^また*解げ第一だいいち義ぎの行ぎょうあり。 これはこれ*理り観かんなり。 人ひとまたおもへらは  く、 理りはこれ仏ぶつの源みなもとなり。 理りを離はなれては仏ぶつ土どを求もとむべか1273らず。 もし理り観かんなくは、 往おう生じょうすべからずと--。

又有リ↢解第一義ノ行↡。此ハ是理観*也。人亦以為 オモヘ ラク、理ハ是仏ノ源ナリ。離レテ↠理ヲ不↠可カラ↠求ム↢仏土ヲ↡。若シ無クハ↢理観↡者不ト↠可カラ↢往生ス↡。

^また読誦どくじゅ大だい乗じょうの行ぎょうあり。 人ひとみなおもへ└ いふな ┘らく、 大だい乗じょう経きょう---を読誦どくじゅしてすなはち--------往おう生じょうすべし。 もし読誦どくじゅの行ぎょうなくは、 往おう生じょうすべからずと--。

又有リ↢読誦大乗ノ行↡。人皆以為 オモヘ ラク、読↢誦シテ大乗経ヲ↡即チ可シ↢往生ス↡。若シ無クハ↢読誦ノ行↡*者不ト↠可カラ↢往生ス↡。

^これにつきて二にあり。 一いちに--は持じ経きょう、 二にに--は持じ呪しゅなり。 持じ経きょうといふは、 「般若はんにゃ」・¬法ほっ華け¼ 等とうの諸しょ大だい乗じょう経きょうを持じする└ たもつ ┘なり。 持じ呪しゅといふは*随ずい求ぐ・*尊そん勝しょう・*光こう明みょう・*阿あ弥陀みだ等とうのもろもろの*神呪じんじゅを持じする└ たもつ ┘なり。

就キテ↠此ニ有リ↠二。一ニ者持経、二ニ者持呪ナリ。持経ト者持スル↢般若・法華等ノ諸大乗経ヲ↡也。持呪ト者持1316スル↢随求・尊勝・光明・阿弥陀等ノ諸ノ神呪ヲ↡也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]誡世人失

^おほよそ*散善さんぜんの十じゅう一人いちにん、 みな貴とうとぶ たふとし といへども、 そのなかにおいてこの*四箇しかの行ぎょうは--、 当とう世せの人ひとことに欲ほっよくするところの行ぎょうなり。 これらの行ぎょうをもつてほとほと念仏ねんぶつを抑おさふ。

凡ソ散善ノ十一人皆雖モ↠貴ブト而於テ↢其ノ中ニ↡*此ノ四箇ノ行ハ、当世之人殊ニ所↠欲スル之行也。▼以テ↢此等ノ行ヲ↡殆ホトホト抑フ↢念仏ヲ↡。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)重示廃立

^つらつら経きょうの意こころを尋たずぬれば、 この諸しょ行ぎょうをもつて付ふ属ぞく・流る通ずうせず。 ただ念仏ねんぶつの一いち行ぎょうをもつて、 すなはち後世ごせに付ふ属ぞく・流る通ずうせしむ。 知しるべし、 釈しゃく尊そんの諸しょ行ぎょうを付ふ属ぞく しせさせたまはざる所以ゆえんは、 すなはちこれ弥陀みだの本願ほんがんにあらざるがゆゑなり。 また念仏ねんぶつを付ふ属ぞくする所以ゆえんは、 すなはちこれ弥陀みだの本願ほんがんのゆゑなり。

◆倩ツラツラ尋ヌレバ↢経ノ意ヲ↡者、不↧以テ↢此ノ諸行ヲ↡付属流通セ↥。唯以テ↢念仏ノ一行ヲ↡即チ使ム↤付↢属流↣通セ後世ニ↡。応シ↠知ル、▼釈尊ノ所↤以不ル↣付↢属シタマハ諸行ヲ↡者、即チ是非ザル↢弥陀ノ本願ニ↡之故也。亦所↣以付↢属スル念仏ヲ↡者、即チ是弥陀ノ本願之故也。

^いままた善導ぜんどう和か尚しょう、 諸しょ行ぎょうを廃はいして念仏ねんぶつに帰きする所以ゆえんは、 すなはち弥陀みだの本ほん0841願がんたる上うえに、 またこれ釈しゃく尊そんの--付ふ属ぞくの行ぎょうなり。

*今又善導和尚、所↧以癈シテ↢諸行ヲ↡帰スル↦念仏ニ↥者、即チ為ル↢弥陀ノ本願↡之上、亦是釈尊ノ付属之行也。

^かるがゆゑに知しりぬ、 諸しょ行ぎょうは機きにあらず、時ときを失しっすせり。 念仏ねんぶつ往おう生じょうは機きに当あたりて、 時じを得えたり。 感応かんおうあに*唐捐とうえんせ むなしから んや。

故ニ知リヌ、諸行ハ非ズ↠機ニ失ス↠時ヲ。念仏往生ハ当リ↠機ニ得タリ↠時ヲ。感応豈ニ唐捐セム哉。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(d)結帰仏意【随自随他】

^まさに知しるべし、 *随ずい他たの前まえにはしばらく定じょう散さんの門もんを開ひらくといへども、 *随ずい自じの後のち1274には還かえりて定じょう散さんの門もんを▼閉とづ。 一ひとたび開ひらきて以後のち永ながく閉とぢざるは、 ただこれ念仏ねんぶつの一門いちもんなり。 弥陀みだの本願ほんがん、 釈しゃく尊そんの付ふ属ぞく、 意こころこれにあり。 行ぎょう者じゃ知しるべし。

当ニシ↠知ル、随他之前ニハ蹔ク雖モ↠開クト↢定散ノ門ヲ↡、*随自之後ニハ還リテ閉ヅ↢定散ノ門ヲ↡。一タビ開キテ以後永ク不ル↠閉ヂ者、唯是念仏ノ一門ナリ。弥陀ノ本願、釈尊ノ付属、意在リ↠*此ニ矣。行者応シ↠知ル。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (三)流通遐代

^またこのなかに 「△遐か代だい」 といふは、 ¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) の意こころによらば、 △遠とおく末法まっぽう万年まんねんの後のちの--百ひゃく歳さいの時ときを指さすなり。 これすなはち遐とお遠 き--を挙あげて邇ちか近 き--を摂せっするなり。 しかれば、 法滅ほうめつの後のちなほもつてしかなり。 いかにいはんや末法まっぽうをや。 末法まっぽうすでにしかり。 いかに------いはんや正しょう法ぼう・像法ぞうぼうをや。

亦此ノ中ニ「遐代ト」者、依ラバ↢¬双*巻経ノ¼意ニ↡、遠ク指ス↢末法万年之後ノ百歳之時ヲ↡也。是則チ挙ゲテ↠遐トホキヲ摂スル↠邇チカキヲ也。然レバ者、法滅之後猶以テ然也。何ニ況ヤ末法ヲ哉。末法已ニ然リ。何ニ況ヤ正法・像法ヲ哉。

^かるがゆゑに知しりぬ、 念仏ねんぶつ往おう生じょうの道みちは正しょう像末ぞうまつの三さん時じ、 および*法滅ほうめつ百ひゃく歳さいの時ときに通つうずといふことを。

故ニ知リヌ、念仏往生ノ道ハ通ズ↢正像末之三時、及ビ法滅百歳之時ニ↡焉。

二 ⅼ 念仏多善根章【多善根章】
    Ⅰ 標釈

【13】^念仏ねんぶつをもつて多た善根ぜんごんとな--し、 雑善ぞうぜんをもつて少しょう善根ぜんごんとなすする 文もん。

 ○以テ↢念仏ヲ↡為シ↢多善根ト↡、以テ↢雑善ヲ↡為ル↢少善根ト↡之文

二 ⅼ Ⅱ 引文
      a 弥陀経

 ^¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ にのたまはく、 「▲少しょう善根ぜんごん福徳ふくとくの因縁いんねんをもつて、 かの国くにに生しょうずることを得うべからず。

◇▼¬阿1317弥陀経ニ¼云ク、「▼不↠可カラ↧以テ↢少善根福徳ノ因縁ヲ↡得↞生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡。

^◆舎しゃ利り弗ほつ、 もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんありて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを説とくを聞ききて、 名みょう号ごうを執しゅう持じして、 もしは一日いちにち、 もしは二に日にち、 もしは三日さんにち、 もしは四し日にち、 もしは五ご日にち、 もし0842は六日ろくにちにち、 もしは七日しちにち、 心しんを一いつにして乱みだらずは、 ◆その人ひと命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつもろもろの聖しょう衆じゅと現げんじて、 その前まえにましまさんす  。 この人ひと*終じゅう時じおはらむ時に心しん顛倒てんどうせずして、 すなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつの極楽ごくらく国こく土どに└往おう生じょう生ず す┘ることを得う」 と--1275。

◇舎利弗、若シ有リテ↢善男子・善女人↡、聞キテ↠説クヲ↢阿弥陀仏ヲ↡、▼執↢持シテ名号ヲ↡、若シハ一日、若シハ二日、若シハ三日、若シハ四日、若シハ五日、若シハ六日、若シハ七日、▼一ニシテ↠心ヲ不ハ↠乱ラ、其ノ人臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、阿弥陀仏与↢諸ノ聖衆↡現ジテ、在サム↢其ノ前ニ↡。是ノ人終時ニ心不シテ↢顛倒セ↡、即チ得ト↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏ノ極楽国土ニ↡。」

二 ⅼ Ⅱ b 法事讃

 ^善導ぜんどうこの文もんを釈しゃくしていはく (法事讃・下)、

◇▼善導釈シテ↢此ノ文ヲ↡云ク、

^「▲極楽ごくらくは無為むい涅ね槃はんの界さかいにはなり 、 └縁えんに随したが随縁の ふ┘雑善ぞうぜんはおそらくは生しょうじがたし。
かるがゆゑに如来にょらい (釈尊)、 要法ようぼうを選えらびてむで 、 教おしへて弥陀みだを念ねんぜしむ└るこ。 と┘ 専せんもはらにしてまた 専せんもはらならしむにせよと 。

「◇▼極楽無為涅槃ノ界ニハ▼随フ↠縁ニ雑善ハ恐クハ難シ↠生ジ
故ニ使ム↧如来選ビテ↢▼要法ヲ↡教ヘテ念ゼシムルコト↢弥陀ヲ↡▼専ニシテ復専ナラ↥

^◆七日しちにち七しち夜や、 心しんに無む間けんなれ ひまなかれ  。 長じょう時じに行ぎょうを起おこすもますますみなしかなり。
└終おわりに臨のぞ 臨終に みて┘聖しょう衆じゅ、 華はなを持もちて現げん└じたまず  ふ┘。 身心しんしん踊ゆ躍やくして金蓮こんれんに坐ざす。

◇七日七夜心無間ナレ長時ニ起スモ↠行ヲ倍ス皆然ナリ
臨ミテ↠終ニ聖衆持チテ↠花ヲ現ジタマフ身心踊躍シテ坐ス↢金蓮ニ↡

^◆坐ざする時ときにすなはち無む生しょう忍にんを得う。 一念いちねんに迎むかへ将いて----仏前ぶつぜんにまさに至いたる。
法侶ほうりょ衣ころもをもつて、競きおひ来きたりて着きす。 不ふ退たいを証得しょうとくして三賢さんげんに入いる」 と。

▼坐スル時ニ即チ得↢無生忍ヲ↡一念ニ迎ヘ将ヰテ至ル↢仏前ニ↡
法侶将モテ↠衣ヲ競ヒ来リテ著ス▼証↢得シテ不退ヲ↡入ルト↢三賢ニ↡」

二 ⅼ Ⅲ 私釈
      a 釈雑善難生

 ^わたくしにいはく、 「△少しょう善根ぜんごん福徳ふくとくの因縁いんねんをもつて、 かの国くにに生しょうずることを得うべからず」 といふは、 諸しょ余よの雑ぞう行ぎょうはかの国くにに生しょうじむまれ がたし。 かるがゆゑに 「△随縁ずいえん雑善ぞうぜん恐く難なん生しょう」 といふ。

私ニ云ク、「不トイフ↠可カラ↧以テ↢少善根福徳ノ因縁ヲ↡得↞生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡」者、諸余ノ雑行者難シ↠生ジ↢彼ノ国ニ↡。故ニ云フ↢「随縁雑善恐難生ト。」

二 ⅼ Ⅲ b 釈多少義

^少しょう善根ぜんごんといふは多た善根ぜんごんに対たいする言ことばなり。 しかればすなはち、雑善ぞうぜんはこれ少しょう善根ぜんごんなり、 念仏ねんぶつはこれ多た善根ぜんごんなり。

「少善根ト」者対スル↢多善根ニ↡之言也。然レバ則チ雑善ハ是少善根也、念仏ハ是多善根也。

^かるがゆゑに*龍りゅう舒じょの-- ¬*浄じょう土ど文もん¼ にいはく、 「*襄じょう陽ようの石いしに ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ を刻えれり。 すなはち隋ずいの陳仁ちんじん稜りょうが書かけ書け るところのなり。字じ画かく、 --*清婉せいえんにして、人ひと多おおく慕ねがひ玩もてあそぶ。 ª一心いっしん不ふ乱らん0843ºといふより下しもに1276いはく、 ª*専せん持じ名みょう号ごう以い称名しょうみょう故こ諸罪しょざい消しょう滅めつ即そく是ぜ多た善根ぜんごん福徳ふくとく因縁いんねんº といふ----。 *今こん世ぜのいまの世につ伝本でんぽんたわる本にこの二に十じゅう一いち字じを脱だっせぬけ り」 と--。 以上

故ニ▼龍舒ノ¬浄土文ニ¼云ク、「▼襄陽ノ石ニ刻エレリ↢¬阿弥陀経ヲ¼↡。乃チ隋ノ陳仁稜ガ所ノ↠書ケル字画、清婉ニシテ人多ク慕ヒ玩ス。▼自リ↢一心不乱↡而下ニ、云フ↢専▼持名号以称名故諸罪消滅即是▼多善根1318▼福徳因縁ト↡。▼今世ノ伝本ニ脱セリト↢此ノ二十一字ヲ↡。」*已上

二 ⅼ Ⅲ c 兼示余意

^ただ多た少しょうの義ぎあるのみにあらず。 また大だい小しょうの義ぎありといへり。 いはく------雑善ぞうぜんはこれ小しょう善根ぜんごんなり、 念仏ねんぶつはこれ大だい善根ぜんごんなり。 また勝しょう劣れつの義ぎあり。 いはく雑善ぞうぜんはこれ劣れつの--善根ぜんごんなり、 念仏ねんぶつはこれ勝しょうの--善根ぜんごんなり。 その義ぎ知しるべし。

非ズ↣啻有ノミニ↢多少ノ義↡。亦有リ↢大小ノ義↡。謂ク雑善ハ是小善根也、念仏ハ是大善根也。亦有リ↢勝劣ノ義↡。謂ク雑善ハ是劣ノ善根也、念仏ハ是勝ノ善根也。其ノ義応シ↠知ル。

二 ⅽ ▽諸仏証誠章【証誠章】
    Ⅰ 標章

【14】^六方ろっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ余よ行ぎょうを*証誠しょうじょうせず、 ただ念仏ねんぶつを証誠しょうじょうしたまふえる文もん。

 六方恒沙ノ諸仏不↣証↢誠セ余行ヲ↡、唯証↢誠シタマフ念仏ヲ↡之文

二 ⅽ Ⅱ 引文
      a 観念法門

 ^善導ぜんどうの-- ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「▲また ¬弥陀みだ経きょう¼ にのたまふへるがごとし。 ª六方ろっぽうにおのおの恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつましまして、 みな 舌したみしたを舒のべてあまねく三千さんぜん世せ界かいに覆おおひて、 誠じょう実じつの言ごんを説ときたまふ。 «もしは仏ぶつ (釈尊) の在ざい世せにもあれ、 もしは仏ぶつの滅めつ後ごにもあれ、 一切いっさいの造罪ぞうざいの凡ぼん夫ぶ、 ただ心しんを回えして阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて、 ねがふて浄じょう土どに生しょうぜんず。 と願がんじて、 ----------上かみ百ひゃく年ねんを尽つくし、 下しも七日しちにち・一日いちにち、 十じっ声しょう・三さん声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるまで、 命いのち終おわらんと欲ほっすす  る時とき、 仏ぶつ、 聖しょう衆じゅとみづから来きたりて迎こう接しょうしたまひ------て、 すなはち往おう生じょうを得う»º と--。

善導ノ¬観念法門ニ¼云ク、「又▼如シ↢¬弥陀経ニ¼云フガ↡。▼六方ニ各ノ有シテ↢恒河沙等ノ諸仏↡、皆舒ベテ↠舌ヲ遍ク覆ヒテ↢三千世界ニ↡、説キタマフ↢誠実ノ言ヲ↡。▼若シハ仏ノ在世ニモアレ、若シハ仏ノ滅後ニモアレ、一切ノ造罪ノ凡夫、但廻シテ↠心ヲ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡、願ジテ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、▼上尽シ↢百年ヲ↡下至ルマデ↢七日一日▼十声三声一声等ニ↡、命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自ラ来リテ迎接シタマヒテ、即チ得ト↢往生ヲ↡。

^◆上かみのごとき六方ろっぽう等とうの仏ぶつ、 舌したみしたを舒のべて、 さだめて凡ぼん夫ぶのために証しょうをなしたまふ、 罪つみ滅めっして生しょうずることを得うと。 もしこの証しょうによりて生しょうずるこ1277とを得えず はといはば、 六方ろっぽうの諸仏しょぶつの舒のべたまへる 舌したみした、 一ひとたび 口くちみくちより出いでて以後のち、 つひに 口くちみくちに還かえり入いらず0844して、 自じ然ねんに壊え爛らんせん」 と。

如キ↠上ノ六方等ノ仏舒ベテ↠舌ヲ、定メテ為ニ↢凡夫ノ↡作シタマフ↠証ヲ、罪滅シテ得ト↠生ズルコトヲ。若シ不ハ↧依リテ↢*此ノ証ニ↡得↞生ズルコトヲ者、六方諸仏ノ舒ベタマヘル舌、▼一タビ出デテ↠口ヨリ已後終ニ不シテ↣還リ↢入ラ口ニ↡、自然ニ壊爛セムト。」

二 ⅽ Ⅱ b 往生礼讃

 ^同おなじく ¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ に ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ を引ひきていはく、 「▲東方とうぼうの--恒ごう河が沙しゃのごとき--------等らとうの諸仏しょぶつ、 南西なんざい---…北方ほっぽうおよび上じょう下げ一々いちいちの方ほうの恒ごう河が沙しゃのごとき等らの諸仏しょぶつ、 …---おのおの本国ほんごくにして、 その舌相ぜっそうを出いだして、 あまねく三千さんぜん大千だいせん世せ界かいに覆おおひふ て、 誠じょう実じつの 言ごんみことを説ときたまふ。 ª└なんぢなんだちら┘衆しゅ生じょう、 みなこの一切いっさいの諸仏しょぶつの 所しょ護ご念ねん護念したまふところの経ぎょうを信しんずべしº と--。

同ジク▼¬往生礼讃ニ¼引キテ↢¬阿弥陀経ヲ¼↡云ク、「東方ノ如キ↢恒河沙ノ↡等ノ諸仏、南西北方及ビ上下一々ノ方ノ如キ↢恒河沙ノ↡等ノ諸仏、各ノ於テ↢本国ニ↡、出シテ↢其ノ舌相ヲ↡遍ク覆ヒテ↢三千大千世界ニ↡、説キタマフ↢誠実ノ言ヲ↡。汝等衆生、皆応シト↠信ズ↢是ノ一切諸仏ノ所護念経ヲ↡。

^◆いかんが護ご念ねんと名なづくる。 もし衆しゅ生じょうありて阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょう念ねん└するこして と┘、 もしは一日いちにちおよび七日しちにち、 下しも十じっ声しょう乃ない至し一いっ声しょう、 一念いちねん等とうに至いたるまで、 かならず往おう生じょうすることを得う。 └この事じを証しょう かるが 誠じょうする┘がゆゑに護ご念ねん経ぎょうと名なづく」 と--。

云何ガ名クル↢護念ト↡。若シ有リテ↢衆生↡称↢念スルコト阿弥陀仏ヲ↡、若シハ*一日及ビ*七日、下至ルマデ↢十声乃至1319一声一念等ニ↡、必ズ得↢往生ヲ↡。証↢誠スルガ此ノ事ヲ↡故ニ名クト↢護念経ト↡。」

二 ⅽ Ⅱ c 重引礼讃

 ^またいはく (礼讃)、

又云ク、

^「▲六方ろっぽうの如来にょらい 舌したみしたを舒のべて、 もつぱら名みょう号ごうを称しょうして西方さいほうに至いたることを証しょうしたまふ。
かしこに到いたりて華はな開ひらけて、 妙みょう法ほうを聞きくにきて 、 十じゅう地じの--願がん行ぎょう自じ然ねんに彰あらわる」 と。

「六方ノ如来舒ベテ↠舌ヲ証シタマフ↧専ラ称シテ↢名号ヲ↡至ルコトヲ↦西方ニ↥
到リテ↠彼ニ花開ケテ聞クニ↢妙法ヲ↡十地ノ願行自然ニ彰ルト」

二 ⅽ Ⅱ d 散善義

 ^同おなじく ¬観かん経ぎょうの疏しょ¼ (散善義) に ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ を引ひきていはく、 「▲また十方じっぽうの仏ぶつ等とう、 衆しゅ生じょうの釈しゃ迦か一仏いちぶつの所説しょせつを信しんぜざるらむことを恐畏くいして、 すなはちともに同心どうしん同どう時じ1278に、 おのおの舌相ぜっそうを出いだしてあまねく三千さんぜん世せ界かいに覆おおひふ て、 誠じょう実じつの 言ごんみことを説とき└たまて、ふ。┘ ª└なんぢなんだちら┘衆しゅ生じょう、 みなこの釈しゃ迦かの所説しょせつ・所讃しょさん・所しょ証しょうを信しんずべし。 一切いっさいの凡ぼん夫ぶ、 の 罪福ざいふくの多た少しょう、 時じ節せつの久く近ごんを問とはず、 ただよく上かみ百ひゃく年ねんを尽つくし、 下しも一日いちにち七日しちにちに至いたるま0845で、 一心いっしんにもつぱら弥陀みだの名みょう号ごうを念ねんずれば、 さだめて往おう生じょうすることを得う└るこ。 と┘かならず疑うたがいなしき也º」 と--。

同ジク▼¬観経疏ニ¼引キテ↢¬阿弥陀経ヲ¼↡云ク、「又十方ノ仏等、恐↢畏シテ衆生ノ不ラムコトヲ↟信ゼ↢釈迦一仏ノ所説ヲ↡、即チ共ニ同心同時ニ、各ノ出シテ↢舌相ヲ↡遍ク覆ヒテ↢三千世界ニ↡、説キタマフ↢誠実ノ言ヲ↡。汝等衆生、皆応シ↠信ズ↢是ノ釈迦ノ所説・所讃・所証ヲ↡。一切ノ凡夫、不↠問ハ↢罪福ノ多少、時節ノ久近ヲ↡、但能ク上尽シ↢百年ヲ↡下至ルマデ↢一日七日ニ↡、一心ニ専ラ念ズレバ↢弥陀ノ名号ヲ↡、定メテ得ルコト↢往生ヲ↡必ズ無シト↠疑也。」

二 ⅽ Ⅱ e 法事讃

 ^同おなじく ¬法ほう事じ讃さん¼ (下) にいはく、

同ジク▼¬法事讃ニ¼云ク、

^「▲心々しんしんに念仏ねんぶつし仏を念じ て疑うたがいを└生しょうずなす る┘ことなかれ。、 六方ろっぽうの--如来にょらいの証虚むなしからずと証しょうし-------たまふ------。
三業さんごう専心せんしんにして雑乱ぞうらんせざれば--、 百宝ひゃっぽうの蓮れん華げ、 --時ときに応おうじて見みゆえむ」 と--。

「心々ニ念仏シテ莫レ↠生ズルコト↠疑ヲ六方ノ如来証シタマフ↢不ト↠虚シカラ
三業専心ニシテ*不レバ↢雑乱セ↡百宝ノ蓮華応ジテ↠時ニ見ユト」

二 ⅽ Ⅱ f 五会讃

 ^法ほっ照しょう禅ぜん師じの ¬*浄じょう土ど五会ごえ法ほう事じ讃さん¼ にいはく、

法照禅師ノ¬浄土五会法事讃ニ¼云ク、

^「▼万まん行ぎょうのなかに急きゅう要ようとな--す。、 迅速じんそくなること浄じょう土ど門もんに過すぎたるはなし。
ただ*本ほん師し金こん口くの説せつのみにあらず。、 十方じっぽうの--諸仏しょぶつともに伝つたへ証しょうしたまふ」 と。

「▼万行之中▼為ス↢急*用ト↡迅速ナルコト無シ↠過ギタルハ↢浄土門ニ↡
不ズ↢但▼本師金口ノ説ノミニ↡▼十方ノ諸仏共ニ伝ヘ証シタマフト」

二 ⅽ Ⅲ 私釈
      a 明証局念仏
        イ 問

 ^わたくしに問とひふ ていはく、 なんがゆゑぞ、六方ろっぽうの諸仏しょぶつの--証誠しょうじょうして、 ただ念仏ねんぶつの--一いち行ぎょうに局かぎるや。

私ニ問ヒテ曰ク、何ガ故ゾ六方ノ諸仏ノ証誠、唯局ル↢念仏ノ一行ニ↡乎。

二 ⅽ Ⅲ a ロ 答

^答こたへていはく、 もし善導ぜんどうの意こころによらば、 念仏ねんぶつはこれ弥陀みだの本願ほんがんなり、 るが ゆゑにこれを証誠しょうじょうす。 余よ行ぎょうはしからず、。 かるがゆゑにこれなし。

答ヘテ曰ク、若シ依ラバ↢善導ノ意ニ↡、念仏ハ是弥陀ノ本願也、故ニ証↢誠ス之ヲ↡。余行ハ不↠爾ラ、故ニ無シ↠之也。

二 ⅽ Ⅲ b 明偏在小経
        イ 問

 ^1279問とひふ ていはく、 もし本願ほんがんによりて念仏ねんぶつを証誠しょうじょう せ したまはば、 ¬双巻そうかん経¼ (大経)・¬観かん経ぎょう¼ 等とうに念仏ねんぶつを説と く きたまふ時とき、 なんぞ証誠しょうじょう せ したまはざるや。

問ヒテ曰ク、若1320シ依リテ↢本願ニ↡証↢誠セバ念仏ヲ↡者、¬双巻¼・¬*観経¼等ニ説ク↢念仏ヲ↡之時、何ゾ不ル↢証誠セ↡乎。

二 ⅽ Ⅲ a ロ 答

^答こたへていはく、 解げするに二にの義ぎあり。

答ヘテ曰ク、解スルニ有リ↢二義↡。

^一いちに解げしていはく、 ¬双巻そうかん¼・¬観かん経ぎょう¼ 等とうのなかに本願ほんがんの念仏ねんぶつを説と く きたまふといへども、 兼かねて余よ行ぎょうを明あかす。 ゆゑに証誠しょうじょう せ したまはず。 この ¬経きょう¼ (小経) └のなかは  に┘一向いっこうにもつぱら念仏ねんぶつを0846説と く きたまふ。 かるがゆゑにこれを証誠しょうじょうす。

一ニ解シテ云ク、¬双巻¼・¬観経¼等ノ中ニ雖モ↠説クト↢本願念仏ヲ↡、*兼ネテ明ス↢余行ヲ↡。故ニ不↢証誠セ↡。*此ノ¬経ノ¼*中ニ一向ニ純モハラ説ク↢念仏ヲ↡。故ニ証↢誠ス*之ヲ↡。

^二にに解げしていはく、 かの---- ¬双巻そうかん経¼ 等とうのなかに証誠しょうじょうの言ことばみことなしといへども、 この ¬経きょう¼ にすでに証誠しょうじょうあり。 これに例れいしてかれを思おもふに、 かれらの経きょうの中ちゅう (大経・観経) において説と く きたまふところの念仏ねんぶつに、 また証誠しょうじょうの義ぎ----あるべし。 文もんはこの ¬経きょう¼ にありといへども、 義ぎは*かの経きょうに通つうず。

二ニ解シテ云ク、彼ノ¬双巻¼等ノ中ニ雖モ↠無シト↢証誠之言↡、*此ノ¬経ニ¼已ニ有リ↢証誠↡。例シテ↠此ニ思フニ↠彼ヲ、於テ↢彼等ノ¬経¼中ニ↡所ノ↠説ク念仏亦応シ↠有ル↢証誠之義↡。文雖モ↠在リト↢此ノ¬経ニ¼↡、義通ズ↢於彼ノ¬経ニ¼↡。

^▼かるがゆゑに天台てんだい (智顗) の ¬*十じゅう疑ぎ論ろん¼ にいはく、 「また ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼・¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼・¬*鼓く音おん声じょう陀羅尼だらに経きょう¼ 等とうにのたまはく、 ª釈しゃ迦か仏ぶつ、 この経きょうを説ときたまふ時ときひし に、 十方じっぽう世せ界かいにおのおの恒ごう河が沙しゃの諸仏しょぶつましまして、 そのれ 舌相ぜっそうを舒のべてあまねく三千さんぜん大千だいせん世せ界かいに覆おおひふ て、 «一切いっさい衆しゅ生じょうの阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて仏ぶつの本願ほんがん大だい悲ひ願力がんりきに乗の乗ずるがゆゑに、 決けつ定じょうして極楽ごくらく世せ界かいに生しょうずることを得う» と証誠しょうじょうしたまふº」 と。

故ニ▼天臺ノ¬十疑論ニ¼云ク、「又¬阿弥陀経¼・¬大無量寿経¼・¬鼓音声陀羅尼経¼等ニ云ク、釈迦仏説キタマフ↠*経ヲ時ニ、有シテ↢十方世界ニ各ノ恒河沙ノ諸仏↡、舒ベテ↢其ノ舌相ヲ↡遍ク覆ヒテ↢三千*大千世界ニ↡、証↧誠シタマフト一切衆生ノ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡乗ルガ↢仏ノ本願大悲願力ニ↡故ニ、決定シテ得ト↞生ズルコトヲ↢極楽世*界ニ↡。」

二 ⅾ 諸仏護念章【護念章】
    Ⅰ 標章

【128015】^六方ろっぽうの諸仏しょぶつ、 念仏ねんぶつの行ぎょう者じゃを*護ご念ねんしたまふ文もん。

 ○六方諸仏護↢*念シタマフ念仏行者ヲ↡*之文

二 ⅾ Ⅱ 引文
      a 観念法門

 ^¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「▲また ¬弥陀みだ経きょう¼ に 説とく きたまふしがごとし。 ªもし男なん子し・女人にょにんありて、 七日しちにち七しち夜やおよび一いっ生しょうを尽つくして、 一心いっしんにもつぱら--------阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじ 専念し て往おう生じょうを└願がんずれば ねがふもの ┘、 この人ひとは--つねに六方ろっぽう恒ごう河が沙しゃ等とうの仏ぶつ、 ともに来きたりて護ご念ねんしたまふことを得う。 かるがゆゑに護ご念ねん経ぎょうと名なづくº と--。 護ご念ねん経の意こころは、 またもろもろの悪あく鬼き神じんをして便たよりを得えしめず、 また横おう病びょう、 横おう死し、 横おうに厄難やくなんあることなくし。、 一切いっさいの災さい障しょう自じ0847然ねんに消しょう散さんしぬす  。 不ふ至し心しん 心をいたさざるをば除のぞく」 と。

◇▼¬観念法門ニ¼云ク、「又如シ↢¬弥陀経ニ¼説クガ↡。若シ有リテ↢*男子・女人↡、七日七夜及ビ尽シテ↢一生ヲ↡、一心ニ専ラ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡願ズレバ↢往生ヲ↡者、此ノ人ハ常ニ得↢六方恒河沙等ノ仏共ニ来リテ護念シタマフコトヲ↡。故ニ名クト↢護念経ト↡。▼護念ノ意者、亦不↠令メ↢諸ノ悪鬼神ヲシテ得↟便ヲ、亦无ク↣横病横死、横ニ有ルコト↢厄難↡、一切ノ災障自然ニ消散シヌ。除クト↢不至*心ヲバ↡。」

二 ⅾ Ⅱ b 往生礼讃

 ^¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「▲ªもし仏ぶつを称しょうして往おう生じょうするものは、 つねに六方ろっぽう恒沙ごうじゃ等とうの諸仏しょぶつのために護ご念ねんせらる。 かるがゆゑに護ご念ねん経ぎょうと名なづくº (小経) と--。 ◆いますでにこの増ぞう上じょうの誓願せいがんあり、 憑たのむべし。 もろもろの仏ぶっ子し等とう、 なんぞ意こころを励はげまさざらんや」 と--。

¬往1321生礼讃ニ¼云ク、「▼若シ称シテ↠仏ヲ往生スル者ハ、▼常ニ為ニ↢六方恒沙等ノ諸仏ノ↡之所ル↢護念セ↡。故ニ名クト↢護念経ト↡。今既ニ有リ↢*斯ノ増上ノ誓願↡、可シ↠憑ム。諸ノ仏子等、何ゾ不ラム↠励サ↠意ヲ*者也ト。」

二 ⅾ Ⅲ 私釈
      a 問

 ^わたくしに問とひふ ていはく、 ただ六方ろっぽうの如来にょらいのみましまして、行ぎょう者じゃを護ご念ねんしたまふはいかんぞ。

私ニ問ヒテ曰ク、唯有シテ↢六方ノ如来ノミ↡護↢念シタマフハ行者ヲ↡如何ゾ。

二 ⅾ Ⅲ b 答
        イ 自釈

^答こたへていはく、 六方ろっぽうの如来にょらいのみには--限かぎらず。 弥陀みだ・観音かんのん等とうまた来きたりて護ご念ねんしたまふ。

答ヘテ曰ク、不↠限ラ↢六方ノ如来ノミニハ↡。弥陀・観音等亦来リテ護念シタマフ。

二 ⅾ Ⅲ b ロ 引証
          (一) 往生礼讃

^かるがゆゑに ¬往おう生じょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「▲¬十じゅう往おう生じょう経きょう¼ にのたまはく、 ªもし衆しゅ生じょうありて阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうを└願がんずれ ねがは ┘ば、 か1281の仏ぶつすなはち二に十じゅう五ごの菩ぼ薩さつを遣つかはして、 行ぎょう者じゃを擁よう護ごし└たまて、ふ。┘ もしは行ぎょう、 もしは坐ざ、 もしは住じゅう、 もしは臥が、 もしは昼ちゅう、 もしは夜や、 一切いっさいの時とき、 一切いっさいの処ところに、 悪鬼・悪神あくじんをしてその便たよりを得えしめずº と--。

○故ニ▼¬往生礼讃ニ¼云ク、「¬十往生経ニ¼云ク、若シ有リテ↢衆生↡念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡願ズレバ↢往生ヲ↡者、▼彼ノ仏即チ遣シテ↢二十五ノ菩薩ヲ↡、擁↢護シタマフ行者ヲ↡。若シハ行若シハ坐、若シハ住若シハ臥、若シハ*昼若シハ夜、一切ノ時一切ノ処ニ、不ト↠令メ↢*悪神ヲシテ得↢其ノ便ヲ↡也。

^◆また ¬観かん経ぎょう¼ にのたまふがごとし。 ªもし阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょう・--礼らい・--念ねんして、 かの国くにに往おう生じょうせんと願がんずれ ねがは  ば、 かの仏ぶつすなはち無む数しゅの化け仏ぶつ、 無む数しゅの化け観音かんのん・勢せい至し菩ぼ薩さつを遣つかはして、 行ぎょう者じゃを護ご念ねんしたまふº と--。 また前さきの二に十じゅう五ごの菩ぼ薩さつ等とうと、百重ひゃくじゅう千せん重じゅう行ぎょう者じゃを囲い繞にょうして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがを問とはず、 一切いっさいの時じ処しょに--、 もしは昼ひる、 もしは夜よる、 つねに行ぎょう者じゃを離はなれたまは------ず。

◇▼又如シ↢¬観経ニ¼云フガ↡。若シ称↢礼↣念シテ阿弥陀仏ヲ↡、願ズレバ↣往↢生セムト彼ノ国ニ↡者、彼ノ仏即チ遣シテ↢無数ノ化仏、無数ノ化観音・勢至菩薩ヲ↡護↢念シタマフト行者ヲ↡。復▼与↢前ノ二十五ノ菩薩等↡百重千重囲↢繞シテ行者ヲ↡、不↠問ハ↢行住坐臥ヲ↡、一切ノ時処ニ、若シハ昼若シハ夜、常ニ不↠離レタマハ↢行者ヲ↡。

^◆いますでにこの勝しょう益やくあり。、 憑たのむべし。 願ねがはくは、も0848ろもろの行ぎょう者じゃ、 *おのおのすべからく至し心しんに心をいたして└往ゆくこ往生 と┘を求もとむべし」 と--。

◇今既ニ有リ↢斯ノ勝益↡。可シ↠憑ム。願クハ諸ノ行者、各ノ須クシ↢至心ニ求ム↟*往クコトヲ。」

二 ⅾ Ⅲ b ロ (二) 観念法門

^また ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「▲また ¬観かん経ぎょう¼ の下しもの文もんのごとし。 ªもし人ひとありて、 心しんを至いたしてつねに阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを念ねんずれば、 観音かんのん・勢せい至しつねに行ぎょう人にんのために勝しょう友う知ち識しきとなりて随逐ずいちく影よう護ごしたまふº」 と--。

又▼¬観念法門ニ¼云ク、「又如シ↢▼¬観経ノ¼下ノ文ノ↡。若シ有リテ↠人、至シテ↠心ヲ常ニ*念ズレバ↢阿弥陀仏及ビ二菩薩ヲ↡、観音・勢至、常ニ与ニ↢行人ノ↡作リテ↢勝友・知識ト↡随逐影護シタマフト。」

^またいはく (観念法門)、 「▲また ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ の ª*行品ぎょうぼんº のなかに説ときてのたまふへるがごとし。 ◆ª仏ぶつののたまはく、 «もし人ひともつぱらこの念ねん阿弥陀みだ仏ぶつ三昧ざんまいを行ぎょうずれば、 つねに一切いっさいの諸天しょてんおよび四し天てん大王だいおう・竜りゅう神じん八はち部ぶの随逐ずいちく影よう護ごをう、。 └愛あい楽ぎょう相見そうけんを得え あひみむことを愛楽し ┘て、 永ながくもろ1282もろの悪あく鬼き神じん、 災さい障しょう・厄難やくなんをもて、 横よこさまわう に悩乱のうらんを加くわふ加す ることなし»º と--。 つぶさには-- ª*護持ごじ品ぼんº のなかに説とくけるがごとし」 と--。

又云ク、「又如シ↢¬般舟三昧経ノ¼行品ノ中ニ説キテ云フガ↡。仏ノ言ク、若シ人専ラ行ズレバ↢此ノ念弥陀仏三昧ヲ↡者、常ニ得テ↢▼一切ノ諸天及ビ▼四天大王・竜神▼八部ノ随逐影護、愛楽相見ヲ↡、永1322ク無シト↣諸ノ悪鬼神、災障・厄難、横ニ加フルコト↢悩乱ヲ↡。具ニハ如シト↢護持品ノ中ニ説クガ↡。」

^またいはく (観念法門)、 「▲三昧さんまい道どう場じょうに入いるを除のぞきては、 日別にちべつに弥陀みだ仏ぶつを念ねんずること一万いちまんして、 命いのちを--畢おふは るまで相続そうぞくすれば、 すなはち弥陀みだの加か念ねんを蒙こうむりて罪ざい障しょうを除のぞくことを得う。 また仏ぶつ、 聖しょう衆じゅとつねに来きたりて護ご念ねん└したまする ふ┘ことを蒙こうむる。 すでに護ご念ねんを蒙こうむりぬれば、 すなはち 延年えんねん転寿てんじゅ 年をのべ命を転ずることを得」 と。

又云ク、「▼除キテハ↠入ルヲ↢三昧道場ニ↡、日別ニ念ズルコト↢弥陀仏ヲ↡一万、畢ヘルマデ↠命ヲ相続スレバ者即チ蒙リテ↢弥陀ノ加念ヲ↡得↠除クコトヲ↢罪障ヲ↡。又蒙ル↧仏与↢聖衆↡常ニ来リテ護念シタマフコトヲ↥。既ニ蒙リヌレバ↢護念ヲ↡、即チ得ト↢延年転寿ヲ↡。」

二 ⅿ【慇懃付属章】
    Ⅰ 標章

【16】^釈しゃ迦か如来にょらい、 弥陀みだの名みょう号ごうをもつて*慇懃おんごんに舎しゃ利り弗ほつ等とう--に付ふ属ぞく└したまする ふ┘文もん。

 ○釈迦如来以テ↢弥陀ノ名号ヲ↡慇懃ニ▼付↢属シタマフ舎利弗等ニ↡*之文

二 ⅿ Ⅱ 引文
      a 弥陀経

 ^¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ にのたまはく、 「▲仏ぶつこの経きょうを説ときたまふこと已おわりて、 舎しゃ利り弗ほつおよびもろもろの比丘びく、 一切いっさい世せ間けんの天てん・人にん・阿あ修しゅ羅ら等とう、 仏ぶつの所説しょせつを聞ききて、 歓かん喜ぎし信受しんじゅして、 礼らい0849をなしてしかも去さりにき」 と--。

◇¬阿弥陀経ニ¼云ク、「仏説キタマフコト↢此ノ経ヲ↡已リテ、舎利弗及ビ諸ノ比丘、一切世間ノ天・人・阿修羅等、聞キテ↢仏ノ所説ヲ↡、歓喜シ信受シテ、作シテ↠礼ヲ而去リニキト。」

二 ⅿ Ⅱ b 法事讃

 ^善導ぜんどうの-- ¬法ほう事じ讃さん¼ (下) に、 この文もんを釈しゃくしていはく、

◇善導ノ▼¬法事讃ニ¼釈シテ↢此ノ文ヲ↡云ク、

^「▲世せ尊そんの└法ほうを説ときたま 説法の ふこと、 ┘時ときまさに了おわりなんとして、 慇懃おんごんねむごろに弥陀みだの名みなを付ふ属ぞくしたまふ。
五ご濁じょく増ぞうの時ときには疑ぎ謗ほうのもの多おおく、 道俗どうぞくあひ嫌きらひて聞きくことを用もちゐず。

「◇▼世尊説キタマフコト↠法ヲ時将ニテ↠了リナムト▼慇懃ニ付↢属シタマフ弥陀ノ名ヲ↡
▼五濁増ノ時ハ多ク↢疑謗↡道俗相嫌ヒテ不↠用ヰ↠聞クコトヲ

^◆修しゅ1283行ぎょうすることもの あるを見みては瞋毒しんどくを起おこしてす。 、 方便ほうべんして破壊はえして、 競きおひて怨あだを生しょうず なす  。
かくのごとき生しょう盲もう闡提せんだいの輩ともがらは--、 頓とん教ぎょうを毀き滅めつして永ながく沈淪ちんりんす。

◇見テハ↠有ルヲ↢修行スルコト↡起シテ↢瞋毒ヲ↡方便シテ破壊シテ競ヒテ生ズ↠怨ヲ
▼如キ↠此クノ生盲闡提ノ輩ハ▼毀↢滅シテ頓教ヲ↡永ク沈淪ス

^◆大だい地じ微み塵じん劫ごうを超ちょう過かすとも、 いまだ三さん途ずの身みを離はなるることを得うべからず。
大衆だいしゅ同心どうしんにみな、 あらゆる破は法ほうの罪ざいつみの因縁いんねんを懴さん悔げせよ」 と--。

◇▼超↢過ストモ大地微塵劫ヲ↡未ダ↠可カラ↠得↠離ルルコトヲ↢三途ノ身ヲ↡
▼大衆同心ニ皆懴↢悔セヨト所有ノ破法罪ノ因縁ヲ↡」

二 ⅿ Ⅲ 私釈
      a 総標

 ^わたくしにいはく、 ▼おほよそ三さん経ぎょうの意こころを案あんずるに、 諸しょ行ぎょうのなかに念仏ねんぶつを選せん択じゃくして、もつて*旨帰しきとなすせり 。

私ニ云ク、凡ソ案ズルニ↢三経ノ意ヲ↡、*諸行之中ニ選↢択シテ念仏ヲ↡以為ス↢旨帰ト↡。

二 ⅿ Ⅲ b 別明【八選択】
        イ 大経

^▼先まづ ¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) のなかに三さんの選せん択じゃくあり。 一いちには↓選せん択じゃく本願ほんがん、 二にには↓選せん択じゃく讃歎さんだん、 三さんには↓選せん択じゃく留る教きょうなり----。

▼先ヅ¬双巻経ノ¼中ニ有リ↢三ノ選択↡。一ニハ選択本願、二ニハ選択讃歎、三ニハ選択留教ナリ。

・選択本願

^一いちに↑▼選せん択じゃく本願ほんがんといふは、 念仏ねんぶつはこれ法蔵ほうぞう比丘びく、 二に百ひゃく一いち十じゅう億おくのなかにおいて選せん択じゃくするしたまふところの往おう生じょうの行ぎょうなり。 細くわしき旨むね△上かみに見みえたり。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓本願ほんがんといふ。

一ニ選択本願トイフ者、念仏ハ是法蔵比丘、於テ↢二百一十億之中ニ↡所ノ↢選択スル↡往生之行也1323。細クハシキ旨見エタリ↠上ニ。故ニ云フ↢選択本願ト↡也。

・選択讃嘆

^二にに↑選せん択じゃく讃歎さんだんといふは、 △上かみのに 三輩さんぱいのなかに菩ぼ提だい心しん等とうの余よ行ぎょうを挙あぐといへども、 釈しゃ迦かすなはち余よ行ぎょうを讃歎さんだんせず、 ただ念仏ねんぶつにおいて讃歎さんだんしたまひ------て、 「△無む上じょうの功く徳どく」 (大経・下意) とのたまふへり。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓讃さん0850歎だんといふ也。

二ニ選択讃歎トイフ者、上ノ三輩ノ中ニ雖モ↠挙グト↢菩提心等ノ余行ヲ↡、釈迦即チ不↣讃↢歎セ余行ヲ↡、唯於テ↢念仏ニ↡而讃歎シタマヒテ*云フ↢「無上ノ功徳ト」↡。故ニ云フ↢選択讃歎ト↡也。

・選択留教

^三さんに▼↑選せん択じゃく留る教きょうといふは、 また△上かみに余よ行ぎょう・諸善しょぜんを挙あぐといへども、 釈しゃ迦か選せん択じゃくしてただ念仏ねんぶつの一法いっぽうを留とどめたまふへり。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓留る教きょうといふ。

三ニ選択留教トイフ者、又上ニ雖モ↠挙グト↢余行諸善ヲ↡、釈迦選択シテ唯留メタマフ↢念仏ノ一法ヲ↡。故ニ云フ↢選択留教ト↡也。

二 ⅿ Ⅲ b ロ 観経

^▼次つぎに ¬観かん経ぎょう¼ のなかにまた三さんの選せん1284択じゃくあり。 一いちには↓選せん択じゃく摂取せっしゅ、 二にには↓選せん択じゃく化け讃さん、 三さんには↓選せん択じゃく付ふ属ぞくなり。

▼次ニ¬観経ノ¼中ニ又有リ↢三ノ選択↡。一ニハ選択摂取、二ニハ選択化讃、三ニハ選択付属ナリ。

・選択摂取

^一いちに↑▼選せん択じゃく摂取せっしゅといふは、 △¬観かん経ぎょう¼ のなかに定じょう散さんの諸しょ行ぎょうを説とく あかす といへども、 弥陀みだの光こう明みょうただ念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを照てらして、 摂取せっしゅして捨すてたまはず。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓摂取せっしゅといふなり。

一ニ選択摂取トイフ者、¬観経¼之中ニ雖モ↠*説クト↢定散ノ諸行ヲ↡、弥陀ノ光明唯照シテ↢念仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。故ニ云フ↢選択摂取ト↡也。

・選択化讃

^二にに↑選せん択じゃく化け讃さんといふは、 △下げ品ぼん上生じょうしょうの人ひと、 聞もん経きょう・と 称しょう仏ぶつとの二に行ぎょうありといへども、 弥陀みだの化け仏ぶつ、 念仏ねんぶつを選せん択じゃくして、 「△汝称にょしょう仏ぶつ名みょう故こ諸罪しょざい消しょう滅めつ我が来迎らいこう汝にょ」 (観経) とのたまふへり。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓化け讃さんといふなり。

二ニ選択化讃トイフ者、下品上生ノ人、雖モ↠有リト↢聞経・称仏ノ二行↡、弥陀ノ化仏選↢択シテ念仏ヲ↡云フ↢「汝称仏名故諸罪消滅我来迎汝ト」↡。故ニ云フ↢選択化讃ト↡也。

・選択付属

^三さんに↑▼選せん択じゃく付ふ属ぞくといふは、 また△定じょう散さんの諸しょ行ぎょうを明あかすといへども、 ただ独ひとり念仏ねんぶつの一いち行ぎょうを付ふ属ぞく す したまへり。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓付ふ属ぞくといふなり。

三ニ選択付属トイフ者、又雖モ↠明スト↢定散ノ諸行ヲ↡、唯独リ付↢属ス念仏ノ一行ヲ↡。故ニ云フ↢選択付属ト↡也。

二 ⅿ Ⅲ b ハ 弥陀経

^▼次つぎに ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ のなかに一いちの選せん択じゃくあり。 いはゆる選せん択じゃく証誠しょうじょうなり。

▼次ニ¬阿弥陀経ノ¼中ニ有リ↢一ノ選*択↡。所謂ル選択証誠也。

・選択証誠

^すでに諸しょ経きょうのなかにおいて多おおく往おう生じょうの諸しょ行ぎょうを説とくといへども、 △六方ろっぽうの諸仏しょぶつかの諸しょ行ぎょうにおいてしかも証誠しょうじょうせず、 この ¬経きょう¼ (小経) のなかに至いたりて念仏ねんぶつ往おう生じょうを説ときたまふときに、 六方ろっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ、 おのおの 舌したみしたを舒のべて大千だいせんに覆おおひて、 └実じつの語ごと証誠しょうじょう 誠実のみことを説き  し┘て、しかもこれを証誠しょうじょうしたまふ。 かるがゆ0851ゑに選せん択じゃく↓証誠しょうじょうといふなり。

已ニ於テ↢諸経ノ中ニ↡多ク雖モ↠説クト↢往生之諸行ヲ↡、六方ノ諸仏於テ↢彼ノ諸行ニ↡而不↢証誠セ↡、至リテ↢此ノ¬経ノ¼中ニ↡説キタマフトキニ↢念仏往生ヲ↡、六方恒沙ノ諸仏、各ノ*舒ベテ↠舌ヲ覆ヒテ↢大千ニ↡、*証↢誠シテ実ノ語ト↡而証↢誠シタマフ之ヲ↡。故ニ*云フ↢選択証誠ト↡也。

二 ⅿ Ⅲ b ニ 般舟経

^しかのみならず ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ のなかにまた一いちの選せん択じゃくあり。 いはゆる選せん択じゃく我が名みょうなり。

▼加之シカノミナラズ¬般舟三昧経ノ¼中ニ又有リ↢一ノ選択↡。所謂ル選択我名也。

・選択我名

^弥陀みだの└みづから説とき自説にのたまはく て┘、 「▲わが国くにに来生らいしょうせんと欲おもは ば むものは、 つねにわが名なを念ねんじて、 休く息そくせしむることなかれ」 (意) とのたまへ1285り----------。 かるがゆゑに選せん択じゃく↓我が名みょうといふなり。

弥陀自1324ラ説キテ、言リ↧「欲ハバ↣来↢生セムト我ガ国ニ↡者、常ニ念ジテ↢我ガ名ヲ↡、莫レト↞令ムルコト↢休息セ↡。」*故ニ云フ↢選択我名ト↡也。

二 ⅿ Ⅲ c 結上

^↑本願ほんがん・と ↑摂取せっしゅ・と ↑我が名みょう・と ↑化け讃さんと、 この四しはこれ弥陀みだの選せん択じゃくなり。 ↑讃歎さんだん・と ↑留る教きょう・と ↑付ふ属ぞくと、 この三さんはこれ釈しゃ迦かの選せん択じゃくなり。 ↑証誠しょうじょうは六方ろっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの選せん択じゃくなり。 しかればすなはち、釈しゃ迦か・弥陀みだおよび十方じっぽうのおのおのの--恒沙ごうじゃ等とうの諸仏しょぶつ、 同心どうしんに念仏ねんぶつの一いち行ぎょうを選せん択じゃくしたまふへり。 余よ行ぎょうはしからず。 かるがゆゑに知しりぬ、 ▼三さん経ぎょうともに念仏ねんぶつを選えらび 選択し て、もつて*宗しゅう致ちとなすすならくのみ。

▼本願・摂取・我名・化讃、此之四者是弥陀ノ選択也。讃歎・留教・付属、*此之三者是釈迦ノ選択也。証誠者六方恒沙ノ諸仏之選択也。然レバ則チ釈迦・弥陀及ビ十方ノ各ノ恒沙等ノ諸仏、同心ニ選↢択シタマフ念仏ノ一行ヲ↡。余行ハ不↠爾ラ。故ニ知リヌ、三経共ニ選ビテ↢念仏ヲ↡以テ為ス↢宗致ト↡耳。

三 総結綱要【総結】
  ⅰ 正述綱要【三選之文】

【17】^*はかりみれば、 ▼それすみやかに----------生しょう死じを離はなれんと欲おもはば、 二に種しゅ--の勝しょう法ぼうのなかに、 しばらく聖しょう道どう門もんを▼閣さしおきて選えらびて浄じょう土ど門もんに入い└るべれ し┘。 浄じょう土ど門もんに入いらんと欲おもはば、 正しょう雑ぞう二に行ぎょうのなかに、 しばらくもろもろの雑ぞう行ぎょうを▼抛なげすてて選えらびて正行しょうぎょうに帰きすべし。 正行しょうぎょうを修しゅせんと欲おもはば、 正しょう助じょ二に業ごうのなかに、 なほ助業じょごうを傍かたわらにして選えらびて*正定しょうじょうをもつぱらにすべし。

▼計也ハカリミレバ、▼夫レ▼速ニ欲ハバ↠離レムト↢生死ヲ↡、二種ノ勝法ノ中ニ、且ク閣キテ↢聖道門ヲ↡選ビテ入ルベシ↢浄土門ニ↡。▼*欲ハバ↠入ラムト↢浄土門ニ↡、正雑二行ノ中ニ、且ク抛チテ↢諸ノ雑行ヲ↡選ビテ応シ↠帰ス↢正行ニ↡。欲ハバ↠修セムト↢於正行ヲ↡、正助二業ノ中ニ、猶シ傍ニシテ↢於助業ヲ↡選ビテ応シ↠専ニス↢*正定ヲ↡。

^◆正定しょうじょうの業ごうといふは、 すなはちこれ仏ぶつの名みょうみな を称しょうするなり。 名みなを称しょうすれば、 かならず生しょうずることを得う。 仏ぶつの本願ほんがんによるがゆゑなりに  。

◆正定之業ト者即チ是称スルナリ↢仏名ヲ↡。称スレバ↠名ヲ必ズ得↠生ズルコトヲ。依ルガ↢仏ノ本願ニ↡故ナリ。▼

三 ⅱ 別依善導【後述】
    Ⅰ 簡他師
      a 簡他宗人師
        イ 問

【18】^問とひふ ていは0852く、 *華け厳ごん・天台てんだい・真言しんごん・禅門ぜんもん・三論さんろん・法相ほっそうの諸しょ師し、 おのおの浄じょう1286土ど法門ほうもんの章しょう疏しょを造つくるれり。 なんぞかれらの師しによらずして、 ただ善導ぜんどう一師しを用もちゐるや。

*問ヒテ曰ク、華厳・天臺・真言・禅門・三論・法相ノ諸師、各ノ造ル↢浄土法門ノ章疏ヲ↡。何ゾ不シテ↠依ラ↢彼等ノ師ニ↡唯1325用ヰル↢善導一師ヲ↡乎。

三 ⅱ Ⅰ a ロ 答

^答こたへていはく、 ▼かれらの諸しょ師しおのおの--------みな浄じょう土どの章しょう疏しょを造つくるれりといへども、しかも浄じょう土どをもつて宗しゅうむね となさせ  ず、 ただ聖しょう道どうをもつてその宗しゅうとな--す。 かるがゆゑにかれらの諸しょ師しによら ずざる也。 善導ぜんどう和か尚しょうは偏ひとえに浄じょう土どをもつてしかも宗しゅうむね とな--して、 聖しょう道どうをもつて宗しゅうとなさせ  ず。 かるがゆゑに偏ひとえに善導ぜんどう一いっ師しに依よるなり。

答ヘテ曰ク、彼等ノ諸師各ノ皆雖モ↠造ルト↢浄土ノ章疏ヲ↡而不↧以テ↢浄土ヲ↡為サ↞宗ト、唯以テ↢聖道ヲ↡而為ス↢其ノ宗ト↡。故ニ不ル↠依ラ↢彼等ノ諸師ニ↡也。善導和尚ハ偏ニ以テ↢浄土ヲ↡而為シテ↠宗ト而不↧以テ↢聖道ヲ↡為サ↞宗ト。故ニ▼偏ニ依ル↢善導一師ニ↡也。

三 ⅱ Ⅰ b 簡自宗人師
        イ 約三昧発得
          (一)問

 ^問とひふ ていはく、 浄じょう土どの祖師そしその数かずまた多おおし。 いはく弘ぐ法ほう寺じの*迦か才ざい、 *慈じ愍みん三蔵さんぞう等とうこれなり。 なんぞかれらの諸しょ師しによらずして、 ただ善導ぜんどう一師しを用もちゐるや。

問ヒテ曰ク、浄土ノ祖師其ノ数又多シ。謂ク弘法寺ノ迦才、慈愍三蔵等是也。何ゾ不シテ↠依ラ↢彼等ノ諸師ニ↡唯用ヰル↢善導一師ヲ↡哉。

三 ⅱ Ⅰ b イ (二)答

^答こたへていはく、 これらの諸しょ師し浄じょう土どを宗しゅうむね とすといへども、 いまだ三昧さんまいを発おこさ発せ ず。 善導ぜんどう和か尚しょうはこれ*三昧さんまい発得ほっとくの人ひとなり。 *道どうにおいてすでにその証しょうあり。 かるがゆゑにしばらくこれを用もちゐるなり。

答ヘテ曰ク、此等ノ諸師雖モ↠宗トスト↢浄土ヲ↡、未ダ↠発サ↢三昧ヲ↡。善導和尚ハ是三昧発得之人也。於テ↠道ニ既ニ有リ↢其ノ証↡。故ニ且ク用ヰル↠之ヲ。

三 ⅱ Ⅰ b ロ 約師弟
          (一)問

 ^問とひふ ていはく、 もし三昧さんまい発得ほっとくによらば、 *懐え感かん禅ぜん師じはまたこれ三昧さんまい発得ほっとくの人ひとなり。 なんぞこれを用もちゐざるや。

問ヒテ曰ク、若シ依ラバ↢三昧発得ニ↡者、懐感禅師ハ亦是三昧発得之人也。何ゾ不ル↠用ヰ↠之ヲ。

三 ⅱ Ⅰ b ロ (二)答

^答こたへていはく、 善導ぜんどうはこれ師しなり。、 懐え感かんはこれ弟子でしなり。 かるがゆゑに師しによりて弟子でしによら ずざる也。 いはんや師資ししの釈しゃく、 その相そう違いはなはだ多おおし。 かるがゆゑにこれを用もちゐず。

答ヘテ曰ク、善導ハ是師也。懐感ハ是弟子也。故ニ依リテ↠師ニ不ル↠依ラ↢弟子ニ↡也。況ヤ師資之釈、其ノ相違甚ダ多シ。故ニ不↠用ヰ↠之ヲ。

三 ⅱ Ⅰ b ハ 重約三昧発得
          (一)問

 ^問とひふ ていはく、 もし師しによりて弟子でしによらずは、 道どう綽しゃく禅ぜん師じはこれ善導ぜんどう和か尚しょう1287の師しなり。 そもそもまた浄じょう0853土どの祖師そしなり。 なんぞこれを用もちゐざるや。

問ヒテ曰ク、若シ依リテ↠師ニ不ハ↠依ラ↢弟子ニ↡者、道綽禅師者是善導和尚之師也。抑モ又浄土ノ祖師也。何ゾ不ルヤ↠用ヰ↠之ヲ。

三 ⅱ Ⅰ b ハ (二)答

^答こたへていはく、 道どう綽しゃく禅ぜん師じはこれ師しなりといへども、 いまだ三昧さんまいを 発おこさ 発したまはず。 かるがゆゑにみづから往おう生じょうの得とく否ふを知しらずして、 善導ぜんどうに問とひていはく、 「道どう綽しゃく念仏ねんぶつして往おう生じょうを得うべし└ えてむ ┘や否いなや」 と。 導どう (善導)、一いっ茎きょうの蓮れん華げを*弁べんぜしめて、 これを仏前ぶつぜんに置おきて、 「*行ぎょう道どう七日しちにちせんに華はな└萎しぼみ悴かし 萎悴せ け┘ずは、 すなはち往おう生じょうを得えんてむ」 と--。 これによりて七日しちにち、 華はな--*果か然ねんとして華はな--萎い黄おうせ 萎みきばま ず。

答ヘテ曰ク、*道綽禅師者是雖モ↠師ナリト、未ダ↠発サ↢三昧ヲ↡。故ニ自ラ不シテ↠知ラ↢往生ノ得否ヲ↡、▲問ヒテ↢善導ニ↡曰ク、道綽念仏シテ得ベシヤ↢往生ヲ↡否ヤト。導令メテ↠*辨ゼ↢一茎ノ蓮華ヲ↡、置キテ↢之ヲ仏前ニ↡、行道七日セムニ*花不ハ↢萎ミ悴セ↡、即チ得ムト↢往生ヲ↡。依リテ↠之ニ七日、*花果然トシテ花不↢萎黄セ↡。

^綽しゃく (道綽)、その----*深詣じんけいを------歎たんずることはなはだし。 ちなみに--------まうでゝ請によりて、└定じょうに入い入定し り┘て観ずべし、まさに------生しょうずることを得うべしや否いなやをと 観かんずる------ことを------請こふ----。 導どう (善導) すなはち└定じょうに入い入定し り┘て、 須しゅ臾ゆに報こたへ報じ ていはく、 「師し、 ----まさに三さんの罪つみを懴さん└すべしして 。 ┘まさに往おう生じょうすべしと。 一いちに--は師し、 嘗むかし、 --仏ぶつの尊像そんぞうを安やすあんん--じて、 簷牖のきまど ひさし の下もとに在おきて、 みづからは*深じんき房ぼうに処しょせり。 二にに--は出しゅっ家けの人にんを*駆使くしし・ 策しゃく役やくす。 三さんに--は*屋おく宇うを営造ようぞうして虫むしの命いのちを損そん傷しょうす。 師し、 よろしく十方じっぽうの仏前ぶつぜんにおいし  て第一だいいちの罪つみを懴さんし、 四し方ほうの僧そうの前まえにおいし  て第だい二にの罪つみを懴さんし、 一切いっさい衆しゅ生じょうの前まえにおいし  て第だい三さんの罪つみを懴さんすべし」 と。

◆綽歎ズ↢其ノ深詣ヲ↡。因ニ請フ↣入リテ↠定ニ観ゼムコトヲ↢当ニシヤ↠得↠生ヲ否ヤヲ↡。導即チ入リテ↠定ニ、須臾ニ報ヘテ曰ク、師当ニシ↠懴ス↢三ノ罪ヲ↡。方ニ可シ↢往生ス↡。一ニ者師嘗ムカシ安ンジテ↢仏ノ尊像ヲ↡、在キテ↢*簷牖ノ下ニ↡、自ラハ処セリ↢深房ニ↡。二ニ者駆↢使シ策↣役ス出家人ヲ↡。三ニ者営↢造シテ屋宇ヲ↡損↢傷ス虫ノ命ヲ↡。師宜クシト↧於テ↢十方ノ仏前ニ↡懴シ↢第一ノ罪ヲ↡、於テ↢四方ノ僧ノ前ニ↡懴シ↢第二ノ罪ヲ↡、於テ↢一切衆生ノ前ニ↡懴ス↦第三ノ罪ヲ↥。

^綽しゃく公こう----- (道綽) 静しずかに往むかしの咎とがを思おもひてふに 、 「みな虚むなしからず」 といふ。 ここに心しんを洗あらひ、 悔け謝しゃしをはりて、 導どう (善導) に見まみゆ みえて 。 --すなはちいはく、 「師しの罪つみ滅めっしたりぬと 。 後のちにまさに白びゃくしろ き 光こうひかりありて照しょう燭そくすべ1288し。 これ師しの往おう生じょうの相そうなり」 と。 以い上じょう、 ¬*新しん修しゅう往おう生じょう伝でん¼。

◆綽公静カニ思ヒテ↢往ムカシノ咎ヲ↡、皆曰フ↠不ト↠虚シカラ。於テ↠是ニ洗ヒ↠心ヲ、悔謝シ訖リテ而見マミユ↠導ニ。即チ曰ク、師ノ罪滅シタリ矣。後ニ当ニシ↧有リテ↢白光↡照1326燭ス↥。是師ノ往生之相也ト。已上¬新修往生伝¼

三 ⅱ Ⅱ 嘆徳

 ^ここに知しりぬ。 善導ぜんどう和か尚しょうは行ぎょう、 三昧さんまいを発おこほちし、 力つとめ ちから 、 師しの位くらいに堪たへたり0854。 解げ行ぎょう、 凡ぼんにあら└ざるこず、 と┘まさにこれ暁あきらけし。 いはんや、また時ときの人ひとの諺ことわざにいはく、 「仏法ぶっぽう└東とう行ぎょうし 東にゆい ┘てよりこのかた、 いまだ禅ぜん師じ (善導) のごとくき の盛じょう徳とくあるは└  に  ┘あらず。 絶倫ぜつりんの誉ほまれ、 得えて称しょうすべからざるものか」 と--。

爰ニ知リヌ。善導和尚者行、発シ↢三昧ヲ↡、力ツトメ*堪ヘタリ↢師ノ位ニ↡。解行非ザルコト↠凡ニ*将ニ是暁アキラケシ矣。況ヤ又▼時ノ人ノ諺ニ曰ク、仏法東行シテヨリ已来タ、未ダ↠有ラ↢禅師ノゴトクノ盛徳アルハ↡矣。▼絶倫之誉不ル↠可カラ↢得テ而称ス↡者歟ト。

^しかのみならず ¬観かん経ぎょう¼ の文もん--疏しょを*条じょう録ろくするせし *刻きざみに--、 すこぶる*霊瑞れいずいを感かんず。じて、 しばしば*聖しょう化けに預あずかる。 すでに聖しょうの冥みょう加がを蒙こうむりて、 しかも ¬経きょう¼ (観経) の*科か文もんを造つくる。 世よを--挙こぞりてしかも 「*証定しょうじょうの疏しょ」 と称しょうす。 人ひとこれを貴とうとぶこと仏ぶっの経きょうの--法ほうのごとくすし  。

加之シカノミナラズ条↢録スル¬観経ノ¼文疏ヲ↡之刻ニ、頗ル感ズ↢霊瑞ヲ↡。屡シバシバ預カル↢聖化ニ↡。既ニ蒙リテ↢聖ノ冥加ヲ↡、然モ造ル↢¬経ノ¼科文ヲ↡。挙コゾリテ↠世ヲ而称ス↢証定ノ疏ト↡。人貴ブコト↠之ヲ如クス↢仏経ノ法ノ↡。

三 ⅱ Ⅲ 引疏文

^すなはちかの疏しょの第だい四し巻かん (散善義) の*奥おくにいはく、 「▲敬うやまひて一切いっさいの有う縁えんの知ち識しき等とうにまうす。さく、 余よ (善導) は--すでにこれ生しょう死じの凡ぼん夫ぶなり。 智慧ちえ浅短せんたんなり。 しかも仏ぶっ教きょうは幽ゆう微みなり。 あへてたやすく異解いげを生しょうぜず。 つひにすなはち心しんを標ひょうし願がんを結むすびて、 霊験れいげんを└請こひ求もと 請求し め┘て、 まさに 造心ぞうしんす こころをいたすべし。 尽じん虚こ空くう遍へん法界ほうかいの--一切いっさいの--三宝さんぼう、 釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつ・阿あ弥陀みだ仏ぶつ・観音かんのん・勢せい至し、 かの土どの└もろも諸 ろの┘菩ぼ薩さつ大海だいかい衆しゅおよび一切いっさいの--荘しょう厳ごん相そう等とうに南無なもし帰き命みょうしたてまつる。

即チ彼ノ¬疏ノ¼第四巻ノ奥ニ云ク、「敬ヒテ白ス↢一切有縁ノ知識等ニ↡。餘ハ既ニ是生死ノ凡夫ナリ。智*慧浅短ナリ。然モ仏教ハ幽微ナリ。不↣敢テ輒タヤスク生ゼ↢異解ヲ↡。遂ニ*即チ標シ↠心ヲ結ビテ↠願ヲ、請ヒ↢求シテ霊験ヲ↡、方ニ可シ↢造心ス↡。南↢無シ帰↣命シタテマツル*尽虚空遍法界ノ一切ノ三宝、釈迦牟尼仏・*阿弥陀仏・観音・勢至、彼ノ*土ノ諸ノ菩薩大海衆及ビ一切ノ荘厳相等ニ↡。

^◆某それがし、 いまこの ¬観かん経ぎょう¼ にの 要よう義ぎを出いだして、 古こ今こんを楷かい定じょうせんと欲ほっす おもふ 。 もし三さん世ぜの諸仏しょぶつ・釈しゃ迦か仏ぶつ1289・阿あ弥陀みだ仏ぶつ等とうの大だい悲ひの--願がんの ◗意い おむこゝろに称かなはば、 願ねがはくは夢ゆめのうちにおいて、 上かみのごときの所願しょがんのごとき--------の一切いっさいの境きょう界がいの--諸相しょそうを見みることを得えん。 仏像ぶつぞうの前まえにおいし  て└願がんを結むす 結願し び┘て--、 已おわりて日別にちべつに ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ 三遍さんべんを誦じゅし、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ三さん万遍まんべんを念ねんじ、 └心しんを至いたして願がん0855を至心発願して、 発おこす。┘

某今欲ス↧出シテ↢此ノ¬観経ニ¼要義ヲ↡、*楷↦定セムト古今ヲ↥。若シ称カナハバ↢三世ノ諸仏・釈迦仏・阿弥陀仏等ノ大悲ノ願意ニ↡者、願クハ於テ↢夢ノ中ニ↡、得ム↠見ルコトヲ↧如キノ↢上ノ所願ノ↡一切ノ境界ノ諸相ヲ↥。於テ↢仏像ノ前ニ↡結ビテ↠願ヲ、已リテ日別ニ誦シ↢¬阿弥陀経¼三遍ヲ↡、念ジ↢阿弥陀仏三万遍ヲ↡、至シテ↠心ヲ発ス↠願ヲ。

^◆すなはち--------当とう夜やにおいて西方さいほうの空くう中ちゅうを見みるに、 上かみのごときの諸相しょそうの--境きょう界がいことごとくみな顕現けんげんす。 雑色ざっしきの宝山ほうせん百重ひゃくじゅう千せん重じゅうにして、 種々しゅじゅの光こう明みょうあて、 下しも、 地じを照てらす。 地じ、 金色こんじきのごとし。 なかに諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつましまして、 あるいは坐ざし、 あるいは立りゅうし、 あるいは語ごし、 あるいは黙もくし、 あるいは身手しんしゅを動うごかし、 あるいは住じゅうして動どうぜざるものあり。 すでにこの相そうを見みて、 合がっ掌しょうして└立りゅうし立ち て┘観みることやや久ひさしくして、 すなはち覚さめぬ。 覚さめをはりて欣ごん喜きするに勝たへず。

即チ於テ↢当夜ニ↡見ルニ↢西方ノ空中ヲ↡、如キノ↠上ノ諸相ノ境界悉ク皆顕現ス。雑色ノ宝山百重千重シテ、種々ノ光明、下照ス↢於地ヲ↡。*地如シ↢金色ノ↡。中ニ有シテ↢諸仏菩薩↡、或イハ坐シ、或イハ立シ、或イハ語シ、或イハ黙シ、或イハ動シ↢身1327手ヲ↡、或イハ住シテ不ル↠動ゼ者アリ。既ニ見テ↢此ノ相ヲ↡、合掌シテ立シテ観ルコト量ヤヤ久シクシテ、乃チ覚メヌ。覚メ已リテ不↠勝タヘ↢欣喜ニ↡。

^◆すなはち ˆ観かん経ぎょうのˇ *義ぎ門もんを条じょう録ろくす。 これより以後のち、 毎まい夜やの夢むゆめの中ちゅううち につねに------一ひとりの僧そうありて、 来きたりて*玄げん義ぎのを 指授す。 科か文もんを指し授じゅ------すること--------すでに了おわりて、 さらにまた見みえず。

於*即チ条↢録ス義門ヲ↡。自リ↠*此已後、▼毎夜夢中ニ常ニ有リテ↢一ノ僧↡而来リテ指↢授スルコト玄義ノ科文ヲ↡既ニ了リテ、更ニ不↢復見エ↡。

^◆後のちの時ときに本ほんを脱だっしぬき をはりぬ。 またさらに心しんを至いたしてかならず--------七日しちにちを要期ごして、 日別にちべつに ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ 十遍じっぺんを誦じゅし、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ三さん万遍まんべんを念ねんじず。、 初しょ夜や・後夜ごやに、 かの仏ぶつの国こく土どの荘しょう厳ごん等とうの相そうを観想かんそうして、 誠じょう心しんに帰き命みょうし て たてまつることもつぱら上かみの法ほうのごとくすし  。

後ノ時ニ脱シ↠本ヲ竟已リヌ。復更ニ至シテ↠心ヲ要ズ期シテ↢七日ヲ↡、*日別ニ誦シ↢¬阿弥陀経¼十遍ヲ↡、念ジ↢阿弥陀仏三万遍ヲ↡、初夜・後夜ニ観↢想シテ彼ノ仏ノ国土ノ荘厳等ノ相ヲ↡、誠心ニ帰命シテ一ラ如クス↢上ノ法ノ↡。

^◆当とう夜やにすなはちみらく、*三さん具ぐの磑輪がいりんの--道どうみちの辺ほとりに1290独ひとり転てんずるを見みる--------。 たちまちに一人いちにんありて、 白しろき駱らく駝だに乗のり乗じ て前まえに来きたりて、 見まみみ えて勧すすむらく。、 ª師し、 まさに*ゆめゆめ決けつ定じょうして往おう生じょうすべし。 退転たいてんをなすことなかれ。 この界さかいかい は穢え悪あくにして苦く多おおしおほくくるし。 労いたわしく貪とん楽ぎょうせざれº と--。 答こたへていは まふさ く、 ª大おおきに賢者けんじゃの好心こうしんの視誨じげを蒙こうむり0856ぬ。 某それがし、 畢ひつ命みょうを期ごとな--して、 あへて懈け慢まんの 心しんこゝろを生しょうぜずじ º と。 云々

当夜ニ即チ見ル↢▼三具ノ磑輪ノ道ノ辺ニ独リ転ズルヲ↡。▼忽ニ有リテ↢一人↡、乗リテ↢白キ駱駝ニ↡来リテ↠前ニ、見エテ勧ム。師当ニシ↢努力ユメユメ決定シテ往生ス↡。莫レ↠作スコト↢退転ヲ↡。此ノ界ハ穢悪ニシテ多シ↠苦。不レト↢労イタハシク貪楽セ↡。答ヘテ言ク、大ニ蒙リヌ↢賢者ノ好心ノ視誨ヲ↡。某畢命ヲ為シテ↠期ト、不ト↣敢テ生ゼ↢於懈慢之心ヲ↡。云云

^◆第だい二にの--夜よに見みらく、 --------阿あ弥陀みだ仏ぶつのを みたてまつるに身しんは--真金しんこんの色いろにして、 七宝しっぽう樹じゅの--下もとの金こん蓮れん華げの上うえにましまして坐ざしたまへり。 十僧じっそう囲い繞にょうして、 また----おのおの一いちの宝樹ほうじゅの下もとに坐ざせり。 仏樹ぶつじゅの上うえにはすなはち天てん衣えありて、 挂かかり繞めぐれ まつえ り。 面おもてを正ただしくし西にしに向むかへふ て、 合がっ掌しょうして坐ざして観かんずみる 。

第二ノ夜ニ見ラク、阿弥陀仏ノ身ハ真金ノ色ニシテ、在シテ↢七宝樹ノ下ノ金蓮華ノ上ニ↡坐シタマヘリ。十僧囲繞シテ、亦各ノ坐セリ↢一ノ宝樹ノ下ニ↡。仏樹ノ上ニ乃チ有リテ↢天衣↡、挂カカリ繞レリ。正シクシ↠面ヲ向ヒテ↠西ニ、合掌シテ坐シテ観ズ。

^◆第だい三さんの--夜よに見みらく、 両ふたつの幢杆はたぼこどうかんあり。大おおきに高たかく顕あらわれて、 幡はたかゝりて五ご色しきをなり懸かけたり--------。 道どう路ろ縦じゅう横おうにして、 人ひと観みること礙さわりなし。

第三ノ夜ニ見ラク、両ノ幢ハタ*杆ボコ大ニ高ク顕レテ、幡懸ケタリ↢五色ヲ↡。道路*蹤横ニ、人観ルコト无シ↠礙。

^◆すでにこの相そうを得えをはりて、 すなはち休く止し息 して七日しちにちに至いたらず。

既ニ得↢此ノ相ヲ↡已リテ、即便チ休止シテ不↠至ラ↢七日ニ↡。

^◆上じょう来らい└あらゆ 諸有の る┘霊相れいそうは、 本心ほんしん、 物もののためにしてす、 己こ身しんのためにせず。 すでにこの相そうを蒙こうむれり。 あへて隠蔵おんぞうせず。 *つつしみてもつて義ぎをのべあらはす後ごに申のべ----呈あらわして-------、 末代まつだいに聞きこえられん。 願ねがはくは、含霊がんれいをしてこれを聞きかしめて信しんを生しょうぜしむめむ。 有う識しきの覩みるものをして西にしに帰きせよむ 。

▼上来所有ノ霊相者、本心、為ニシテ↠物ノ不↠為ニセ↢己身ノ↡。既ニ蒙レリ↢*此ノ相ヲ↡。不↢敢テ隠蔵セ↡。謹ミテ以テ申ベ↢呈シテ義後ニ↡被レム↠聞エ↢於末代ニ↡。願クハ使メテ↢含霊ヲシテ聞カ↟之ヲ生ゼシム↠*信ヲ。有識ノ覩ム者西ニ帰セヨ↡。

^◆この功く徳どくをもつて衆しゅ生じょうに回施えせしてす。 、 ことごとく菩ぼ提だい心しんを発おこして、 慈じ心しんをもつてあひ向むかひ、 仏眼ぶつげんをもつてあ1291ひ看みんて、。 菩ぼ提だい のまでに眷属けんぞくとして真しんの善ぜん知ぢ識しきとならん。 同おなじく浄じょう国こくに帰きしてともに仏道ぶつどうを成じょうぜ なら  ん。

以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻↢施シテ衆生ニ↡、悉ク発シテ↢菩提心ヲ↡、慈心ヲモテ相向ヒ、仏眼ヲモテ相看1328ム。菩提ノ眷属トシテ作ラム↢真ノ善知識ト↡。同ジク帰シテ↢浄国ニ↡共ニ成ゼム↢仏道ヲ↡。

^◆この義ぎすでに証しょうを請こひて定さだめをはりぬ。 一いっ句く一いち字じ加か減げんすべからず。 ▽写うつさんと欲おもは ばむもの、 もつぱら経きょう法ぼうのごとくすべし。 知しるべし」 と--。 以上

此ノ義已ニ請ヒテ↠証ヲ定メ竟リヌ。一句一字不↠可カラ↢加減ス↡。欲ハバ↠写サムト者、一ラ如クスベシ↢経法ノ↡。応シト↠知ル。」 已上

三 ⅲ 今集興由
    Ⅰ 依疏開宗
      a 嘆入法

 ^静しず0857かにおもんひ みれば、 善導ぜんどうの ¬観かん経ぎょうの疏しょ¼ はこれ*西方さいほうの指し南なん、 *行ぎょう者じゃの目足もくそくなり。 しかればすなはち西方さいほうの行ぎょう人にん、 かならずすべからく珍ちん敬ぎょうすべし。 就中なかんずくに、 毎まい夜やにの 夢ゆめのうちに僧そうありて、 玄げん義ぎを指し授じゅすせり。 僧そうといふはおそらくはこれ弥陀みだの応現おうげんなり。 しかればいふべし、 この ¬疏しょ¼ はこれ*弥陀みだの伝説でんせつなりと--。 いかにいはんや、 大唐だいとうに└あひ伝つた 相伝し へ┘ていはく、 「善導ぜんどうはこれ弥陀みだの化け身しんなり」 と--。

▼静ニ以レバ、善導ノ¬観経ノ疏¼者、*是▼西方ノ指南、▼行者ノ目足也。然レバ則チ西方ノ行人必ズ須クシ↢珍敬ス↡矣。就中ナカンヅクニ、毎夜ニ夢ノ中ニ有リテ↠僧、指↢授ス玄義ヲ↡。僧ト者恐クハ是*弥陀ノ応現ナリ。爾レバ者可シ↠*謂フ、此ノ¬*疏¼*者是*弥陀ノ*伝説ナリト。*何ニ況ヤ大唐ニ相伝シテ云ク、「善導ハ是弥陀ノ化身也ト」。

^しかれら ばいふべし、 またこの文もんはこれ弥陀みだの直説じきせつなり。 すでにいへり、「△写うつさんと欲おもは ば むものは、 もつぱら経きょう法ぼうのごとくせよ すべし 」 (散善義) といふ----、。 この言ことばこと 誠まことなるかなや。 ▼仰あおぎて*本ほん地じを討たずぬれば、 四し十じゅう八はち願がんの法王ほうおう (阿弥陀仏) なり。 十劫じっこう正しょう覚がくの唱となへ、 念仏ねんぶつに憑たのみあり。 俯ふして*垂すい迹じゃくを訪とぶらへば、 専修せんじゅ念仏ねんぶつの導どう師し (善導) なり。 *三昧さんまい正しょう受じゅの 語ごみこと、 往おう生じょうに疑うたがいなし。 *本ほん迹じゃく異ことなりといへども、化け道どうこれ一いちなり。

爾レバ者可シ↠謂フ、又此ノ文ハ是弥陀ノ直説ナリ。既ニ云フ↣「欲ハバ↠写サムト者、一ラ如クセヨト↢経法ノ↡。」*此ノ言誠ナルカナ乎。仰ギテ討タヅヌレバ↢本地ヲ↡者、四十八願之法王也。十劫正覚之唱、有リ↠憑ミ↢于念仏ニ↡。俯シテ訪ヘバ↢垂迹ヲ↡者、専修念仏之導師也。三昧正受之語、無シ↠疑↢于往生ニ↡。本迹雖モ↠異ナリト化導是一也。▼

三 ⅲ Ⅰ b 正明開宗【撰述因縁】

 ^1292ここに*貧道ひんどう (源空)、 昔むかしこの典てん (観経疏) を披ひ閲えつして、 ほぼ*素意そいを識しるさとれり。 立たちどころに余よ行ぎょうを舎とどめてここに念仏ねんぶつに帰きす。 それよりこのかた今日こんにちに至いたるまで、 *自じ行ぎょう化他けたただ念仏ねんぶつを*縡こととす。 しかるあひだ、希まれに*津しんみちを問とふものには、 示しめすに*西方さいほうの通津つうしんをもつてしす 、 たまたま行ぎょうを尋たずぬるものには、 誨おしふるに念仏ねんぶつの別べつ行ぎょうをもつてす。 これを信しんずるものは多おおく、 信しんぜざるものは尠すくなし。

▼於テ↠是ニ貧道、昔披↢閲シテ茲ノ典ヲ↡、粗ボ識ル↢素意ヲ↡。立タチドコロニ舎トドメテ↢余行ヲ↡云ココニ帰ス↢念仏ニ↡。▼自リ↠其已来タ至ルマデ↢于今日ニ↡、自行化他唯縡コトトス↢念仏ヲ↡。然ル間希ニ問フ↠津ヲ者ニハ、示スニ以テシ↢西方ノ通津ヲ↡、適マ尋ヌル↠行ヲ者ニハ、誨ヲシフルニ以テス↢念仏ノ別行ヲ↡。信ズル↠之ヲ者ハ多ク不ル↠信ゼ者ハ尠シ。

三 ⅲ Ⅰ c 機教相応

^まさに------知しるべし。 ▼浄じょう土どの教きょう、 時機じきを叩たた0858きてしかも行ぎょう運うんに当あたれりる也。 念仏ねんぶつの行ぎょう、 *水月すいがつを感かんじてしかも昇しょう降こうを得えたりる也。

当ニシ↠知ル。▼浄土之教、叩キテ↢時機ヲ↡而当レリ↢行運ニ↡也。▼念仏之行、感ジテ↢水月ヲ↡而得タリ↢昇降ヲ↡也。▼

三 ⅲ Ⅱ 依命集記
      a 明応命

^しかるにいま、図はからざるに *仰おおせ 兼実博陸の高命を蒙こうむるれり。 辞じ謝しゃするに地ところなし。 よりていま*なまじひに念仏ねんぶつの要文ようもんを集あつめて、 あまつさへ念仏ねんぶつの要よう義ぎを述のぶ 述せり 。 ただ*命めい旨しを顧かえりみて*不ふ敏びんを顧かえりみず。 これすなはち*無む慚ざん無愧むぎのはなはだしきなり。

▼而ルニ今▼不ルニ↠図ラ蒙ル↠仰ヲ。辞謝スルニ無シ↠地トコロ。仍リテ今▼憖ナマジヒニ集メテ↢念仏ノ要文ヲ↡、▼剰アマツサヘ述ブ↢念仏ノ要義ヲ↡。▼唯シ顧ミテ↢命旨ヲ↡不↠顧ミ↢不敏ヲ↡。是1329即チ無慚無愧之甚シキ也。

三 ⅲ Ⅱ b 禁他見

^庶幾こいねがはくは、一ひとたび*高覧こうらんを経へて後のちに--、 壁かべの底そこに埋うずみて、 窓まどの前まえに遺のこすことなかれ。 おそらくは破は法ほうの人ひとをして、 悪道あくどうに堕だせしめざらんが--ためなり。

庶幾コヒネガハクハ一タビ経テ↢高覧ヲ↡之後ニ、埋ミテ↢于壁ノ底ニ↡、莫レ↠遺スコト↢窓ノ前ニ↡。▼恐クハ為↠不ラムガ↠令メ↣破法之人ヲシテ*堕セ↢於悪道ニ↡也。

選せん択じゃく本願ほんがん念仏ねんぶつ集しゅう

 

1293*元げん久きゅう元年がんねん十じゅう一いち月がつ二に十じゅう八はち日にち書写しょしゃしをはりぬ。
願ねがはくはこの功く徳どくをもつて、 一仏いちぶつ土どに往おう生じょうせんのみ。

元久元年十一月廿八日書写了 願以此功徳往生一仏土而已

  *元久げんきゅう元年がんねん十じゅう二に月がつ二に十じゅう七日しちにち

元久元年十二月廿七日

源 空 (花押)

源空 (花押)

 

3
延書の底本は奈良県当麻寺奥院蔵元久元年写本(往生院本)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 なお、 宗祖延書本 (底本は上巻:大谷大学蔵禿庵文庫室町時代初期書写本、 下巻:高田派専修寺蔵正安四年顕智上人書写本) と対校し、 相違を下に細字で示した。 --は延書にない語句。
本願章~摂取章には、 宗祖¬選択集延書¼を欠く。
選択本願念仏集 「行文類」 引用箇所や ¬本山蔵版本¼ では、 題号の下に 「源空集」 の撰号がある。
先 宗要、 肝要、 かなめの意。 ¬往生院本(漢文底本◎)¼ ¬廬ろ山ざん寺じ本(対抗本Ⓐ)¼ 等は 「先」 となっているが、 親鸞聖人への伝授本は 「本」 となっていた。 「本」 は根本最要の意で、 「先」 と同意。
駃 異本には 「駛」 とある。
疑端に足らず 疑う余地がない。
顕大 大乗の中の顕教。
権大 大乗の中の権教。
歴劫迂回の行 ながい間かかって回り道をして、 さとりをひらく行法。
密大 大乗の中の密教。
実大 大乗の中の実教。
正しく往生… 聖しょう道門どうもんを捨てて、 ただ往生浄土の法門のみをまさしく説く教。
傍らに往生… 聖道門を説く中に、 その方便法として、 かたわらに往生の行法が説かれている教。
浄土の三部経 浄じょう土ど三さん部ぶ経きょうの呼称は法然ほうねん上人に始まる。
法華の三部 ¬無む量りょう義ぎ経きょう¼ を ¬法ほ華け経きょう¼ の開経とし、 ¬普ふ賢げん観経かんぎょう¼ (¬観普賢経¼) を結経とする。
大日の三部 密教でよりどころとする三部の経典。
鎮護国家の三部 当時、 国家安泰を祈るための経典として、 この三部が採用されていた。
運を啓けて 運は好機が至ること。 機縁が熟して釈尊が世に出られたことを示す。
随方に闡けて あらゆるところに広まって。
法潤に霑ふ 法のめぐみをほどこす。
契悟するに方なし さとりに至る方法がない。
涅槃の広業 ¬涅槃経¼ を講ずるという広大な事業。
諸家また不同なり… 中国浄土教を廬ろ山ざん流、 慈じ愍みん流、 道どう綽しゃく・善導ぜんどう流の三流に分けたもの。 法然ほうねん上人独自の見解である。
両説 法然上人が用いられたのは後者である。
唐宋両伝 道宣どうせん撰の ¬続高僧伝¼ と賛寧さんねい撰の ¬宋高僧伝¼ のこと。 両伝によって六師をあげたのは、 法然聖人の選択によるものである。 浄土宗の相承をいう場合は、 この六師から菩ぼ提だい流る志しを除いて五祖とすることが多い。
往生の経…行ずる 「往生の経」 は浄土三部経を指す。 「往生経の行によりて行ずる」 と読む異本もある。
本願の行 衆しゅ生じょう往生の正定しょうじょう業ごうとして、 本願に選び定められた行。
つぶさに… くわしく述べることはできない。
往生浄土の経 浄土三部経。
事理 事は具体的な差別の事相、 理は普遍的な平等の理性を指す。
世天 梵天ぼんてん・帝たい釈しゃく天てんなどの天の神々のこと。
雑行の言に摂尽すべし 雑行という言葉の中に含みおさめることができる。
心 諸本にはこの字なし。
自然に往生の業となる 称名念仏は本願によって往生行と選定されているので、 衆しゅ生じょうが往生のために回え向こうする必要は全くなく、 称名すればそのままで往生の業因となる。
八蔵 仏の説法を八種に分類したもの。 胎たい化け蔵ぞう・中ちゅう陰蔵いんぞう・摩訶まか衍えん方等ほうどう蔵ぞう・戒律蔵・十住じゅうじゅう菩ぼ薩さつ蔵ぞう・金剛こんごう蔵ぞう・仏蔵・雑蔵ぞうぞう。 ¬菩ぼ薩さつ処胎しょたい経きょう¼ に見える説。
四含 ¬長じょう阿あ含ごん経ぎょう¼ ¬中ちゅう阿あ含ごん経ぎょう¼ ¬増一ぞういつ阿あ含ごん経ぎょう¼ ¬雑ぞう阿あ含ごん経ぎょう¼ のこと。 →阿あ含ごん経ぎょう
二十の犍度 犍度は章のこと。 教団の生活・儀式などに関する規定を二十章に分類整理したもの。 ¬四し分律ぶんりつ¼ に説く。
賢聖集 諸種の ¬高僧伝¼ を指していう。
十科の法 訳経・解義げぎ・習しゅう禅ぜん・明みょう律りつ・護法・観通・遺ゆい身しん・読誦どくじゅ・興福・雑科。
五聚の法門 教聚・義聚・染聚ぜんじゅ・浄聚・雑聚ぞうじゅ。
山家 天台てんだい宗しゅうのこと。
胎蔵界の曼陀羅 大日だいにち如来の慈悲のはたらきを図示したもの。 ¬大日経¼ にもとづく。 →曼まん荼羅だら
金剛界の曼陀羅 大日如来の智慧ちえのはたらきを図示したもの。 ¬金剛こんごう頂経ちょうきょう¼ にもとづく。 →曼まん荼羅だら
雑曼陀羅 大日如来以外の諸尊を中尊とする曼まん荼羅だら。
自余の諸師 浄じょう影よう寺じ慧え遠おん (523-592)、 天台てんだい大師智顗ちぎ (538-597)、 嘉か祥じょう大師吉蔵きちぞう (549-623) などを指す。
無為の諸楽 無為むい涅ね槃はんのさまざまな楽しみ。
世 ¬選択集¼ 延書のべがき本 (暦りゃく応おう四年本転写本、 存覚ぞんかく上人相伝本) には 「世」 の字を欠く。
総別二種の願 すべての仏に共通する誓願 (総願) とそれぞれの仏菩薩の独自の誓願 (別願)。
釈迦の五百の大願 ¬悲華ひけ経きょう¼ に見える。
薬師の十二の上願 ¬薬師本願経¼ に見える。
選択と… 「選択」 (取捨の義) と 「摂取」 は本来、 同義であるが、 後者は 「捨」 の義がかくれているので、 通常は取捨の両意に通ずる 「選択」 の語が用いられている。
黄白二類 黄色人と白色人。
梁 棟をささえる横木。 はり。
椽 家の棟から軒に掛け渡して屋根をうけている横木。 たるき。
遮 排すること。
簡ばず 区別しない。
多聞多見 仏の教えを多く見聞して学問があること。
持戒持律 戒律かいりつを堅くたもつこと。
迎へに来らん 親鸞聖人は 「迎え来かえらしめん」 (行文類訓) と読まれた。
多く念仏 親鸞聖人は 「多念仏」 (唯信鈔文意) とも読まれ、 勝れた徳をもつ念仏の意とされた。
もろもろの…回向して 親鸞聖人は 「あらゆる衆生、 その名号を聞きて信心歓喜せんこと、 乃至一念せん。 至心に回向したまへり」 (信文類訓) と読まれた。
大集月蔵経 以下の引文は実際には ¬大集だいじっ経きょう¼ 「日蔵にちぞう分ぶん」 にある。
宿命通の願 国土の人天がすべて宿命通 (過去の境界を知る智慧ちえ) を得るようにと誓われた願。
五神通…寿命等の願 四十八願の中の第五 (宿命しゅくみょう通つうの願)、 第六 (天てん眼げん通つうの願)、 第七 (天てん耳に通つうの願)、 第八 (他た心通しんつうの願)、 第九 (神じん足そく通つうの願)、 第十二 (光こう明みょう無量の願)、 第十三 (寿命無量の願)、 第十四 (声しょう聞もん無量の願) を指す。
諸師の釈 智ち光こう (八世紀の人) は 「諸縁信楽十念往生題」 (無量寿経論釈) とし、 源信げんしん和か尚しょうの師、 良りょう源げん (912-985) は 「聞名信楽十念定生願」 (極楽浄土九品往生義) としている。
夢に ¬延応版本¼ (右訓)、 ¬本山蔵版本¼ 等では 「夢のごとくに」 と読む。
かの五竺に… 伝でん教ぎょう大師最さい澄ちょう (766または767-822) の ¬山さん家け学がく生しょう式しき¼ ¬顕戒けんかい論ろん¼ に見える説。
消し 「消す」 は消釈すること。 解釈すること。
同類の善根 正定しょうじょう業ごうと同じ種類の善根。 五ご正行しょうぎょう (読どく誦じゅ・観察かんざつ・礼拝らいはい・称名・讃さん嘆だん供く養よう) のうち前三後一の助業じょごうを指していう。
異類の善根 前三後一以外のさまざまな善根で、 称名念仏を修するための助けとなる行。
所助 (異類の善根によって) 助けられる行。
能助 (称名念仏を) よく助けるところの行。
初出 在家からはじめて出家すること。
初発 はじめて菩ぼ提だい心しんをおこすこと。
長時不退の行 ながく退転しないで修する行。
開合の異 詳しく説きひらいたのと、 合せ説いたのとの相違。
衆機に逗ず 多くの機類に対応する。 「逗」 は目標に合うように与えるの意。
末法万年の後 行と証が欠けて教えのみがのこる末法の時代が一万年続いた後は、 その教えすらもない法ほう滅めつの時に入るという。 →三さん時じ
詮ずるところ 説きあらわすところ。
大小の戒律 大乗および小乗の戒律。 ¬瓔珞ようらく経きょう¼ の三さん聚じゅ浄じょう戒かい、 ¬梵網ぼんもう経きょう¼ の十重じゅうじゅう四し十じゅう八はち軽きょう戒かいなどを大乗戒とし、 ¬四し分律ぶんりつ¼ ¬五分律¼ ¬十じゅう誦律じゅりつ¼ などの律蔵に説かれる戒律を小乗戒という。
聖道浄土二教 →聖しょう道門どうもん、 浄じょう土ど門もん
十方浄土往生の諸教 ¬十方じっぽう随願ずいがん往おう生じょう経きょう¼ 等の教説を指す。
心地 ¬大だい乗じょう本ほん生じょう心しん地じ観かん経ぎょう¼ を指す。 →心しん地じ観かん経ぎょう
規 規範。 法則。
かの時機 法滅ほうめつの時代の機類。
摂取 摂せっ取しゅ不ふ捨しゃの意。
光接 異本には 「光摂」 とある。
かならず…得ざれ 親鸞聖人は 「かならず真実心のうちになしたまへるを須もちゐんことを明かさんと欲おもふ。 外に賢善精進の相を現ずることを得ざれ、 内に虚仮を懐いて」 (信文類訓) と読まれた。
走り 親鸞聖人は 「走もとめ」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…真実なるべし 親鸞聖人は 「おほよそ施したまふところ趣求をなす、 またみな真実なり」 (信文類訓) と読まれた。
不善の…捨つべし 親鸞聖人は 「不善の三業はかならず真実心のうちに捨てたまへるを須もちゐよ」 (信文類訓) と読まれた。
またもし善の…名づく 親鸞聖人は 「またもし善の三業を起さば、 かならず真実心のうちになしたまへるを須もちゐて、 内外明暗を簡ばず、 みな真実を須ゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (信文類訓) と読まれた。
より行じて 「依行」 を親鸞聖人は 「行によりて」 (信文類訓) と読まれた。
人 ここでは勧める人、 釈迦・諸仏を指す。 一説には四重の破人 (念仏の教えを否定する四種の人) を指すという。
回向発願 異本には 「回向発願願生」 また 「回向発願生」 などとある。
かならず…願作すべし 親鸞聖人は 「かならず決定して真実心のうちに回向したまへる願を須もちゐて得生の想をなせ」 (信文類訓) と読まれた。
むしろ 原漢文は 「寧」 の字。 親鸞聖人は 「やすく」 (信文類訓) と読まれた。
妄りに…喩ふ 親鸞聖人は 「妄りに見解をもってたがひにあひ惑乱し、 およびみづから罪を造りて退失すと説くに喩ふるなり」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…名づく 親鸞聖人は 「おほよそ三業を起すに、 かならず真実を須もちゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (化身土文類訓) と読まれた。
もし一心… 親鸞聖人は ¬唯信鈔文意¼ では、 この文の 「一心」 を三心即一心の一心 (真実信心) と解釈されている。
外を翻じて内に蓄へば 外にあらわす賢善精進のすがたを内にも蓄えて、 心も賢善精進になるならばという意。 賢者は賢者のままに救われるということ。
内を翻じて外に播さば 愚悪なる内の心をあらわして、 外のすがたも愚悪になるならばという意。 愚者は愚者のままに救われるということ。
生死の家には… 生死輪りん廻ねの家にとどまるのは本願を疑うからであり、 さとりの城に入るのは本願を信ずるがゆえである。
檀 白びゃく檀だん・栴檀せんだんなどの香木。
綺 綾絹あやぎぬ。 斜線模様を織り込んだ絹織物。
素質金容 素質は生地きじのままの像。 金容は金箔をほどこした像。
繒 織りをつめて細かく織った絹の生地。
法界の所流 法の根源より流れ出たものがら。
報じ尽す 仏恩に報謝するの意。 ¬西方要決¼ の原意は 「報の尽くる」 で、 現在のこの身 (報) が尽きるまでということ。
余の五度 六度 (六ろっ波羅ぱら蜜みつ) のうち精しょう進じん以外の五種の行ぎょう業ごう。
/ruby>識しきのこと。
極悪最下の人 →補註3
無明淵源の病 無明という迷いの根源を、 最も根源的な病に喩えたもの。
中道腑臓の薬 仏法の肝要であるところの中道の教えを、 内臓の重病をなおす妙薬に喩えたもの。
妙法蘊 蘊は積集しゃくじゅうの意。 すばらしい法のあつまり。
般若波羅蜜多 真実の智慧ちえの完成を説く諸種の大乗の教え。
五種の蔵 釈尊一代の教えを五種に分けたもの。 五蔵という。
循環研覈 問答を繰り返して研究を深めてゆくこと。
我法執着 我が執しゅうと法ほう執しゅう。
契経 素そた纜らんの漢訳。
調伏 毘奈耶びなやの漢訳。
対法 阿毘あび達だつ磨まの漢訳。
般若 般若はんにゃ波羅はら蜜みっ多た蔵のこと。
八重 殺せっ生しょう・偸ちゅう盗とう・淫いん・妄もう語ごの四重禁に、 女子として慎むべき摩ま触そく・八はち事じ・覆ふく尼に・随ずい挙こ苾蒭びっしゅを加えたもの。 尼の八棄戒 (八はち波羅はら夷い罪ざい)。
謗方等経 大乗の経典を誹謗すること。
乳酪… →五味ごみ
総持門 真言しんごん密みっ教きょうのこと。
五逆の回心上上に通ず 下下品に説かれている五逆の回心はまた上上品に通じる。
読誦の… 上上品に説かれている読誦大乗の妙行もまた下下品に通じる。
宝楼閣観 →宝楼ほうろう観かん
阿弥陀仏観 →真身しんしん観かん
普往生観 →普ふ観かん
孝経等の… ¬孝経¼ ¬論語¼ 等の儒教典籍に説かれている、 親に仕える法。
律 ¬四し分律ぶんりつ¼ とする説がある。
生縁奉事の法 生れる縁となった父母に仕える法。
衆戒 ¬瓔珞ようらく経きょう¼ の三聚さんじゅ浄じょう戒かい、 ¬梵網ぼんもう経きょう¼ の十重じゅうじゅう四し十じゅう八はち軽戒きょうかいなどを大乗戒とし、 ¬四し分律ぶんりつ¼ ¬五分律¼ ¬十誦じゅうじゅ律りつ¼ などの律蔵に説かれる戒律を小乗戒という。
行願 他を解げ脱だつさせようとする慈悲の心。
勝義 自らがさとりを得ようとする大智の心。
三摩地 梵語サマーディ (samādhi) の音写。 定じょう、 等とう持じと漢訳する。 心を生しょう仏ぶつ一いち如にょの境地に専注すること。
意気博遠 意味するところが広く深いこと。
詮測沖邈 おしはかろうとしても、 あまりに茫漠ぼうばく (広大でとりとめがない) としていて把握しがたいこと。
四聖 声しょう聞もん・縁覚えんがく・菩薩・仏。 四し乗じょうのこと。
天台によらば 天台宗の五時の教判によるならばの意。 五時は仏一代の説法を華け厳ごん時じ・鹿苑ろくおん時じ (阿あ含ごん経ぎょう)・方等ほうどう時じ (維ゆい摩ま経ぎょう・勝しょう鬘まん経ぎょう等)・般若はんにゃ時じ・法ほっ華け涅ね槃はん時じの五つに分類したもの。
十種法行 経典を伝授するための十種の方法。 書写・供く養よう・施他・諦たい聴ちょう・披読・受持・開演・諷ふ誦じゅ・思惟・修習しゅじゅうの十。
簡ぶ 区別すること。
已結集 経典としてすでに編集されていること。 →結けつ集じゅう
貞元の入蔵の録 →貞元ていげん釈教しゃくきょう録ろく
遮那 ¬大日だいにち経きょう¼ のこと。
教王 ¬金剛こんごう頂経ちょうきょう¼ のこと。
爾前の経 ¬法華ほけ経きょう¼ が説かれる以前の教典。
権実偏円 権は一時的な方便として仮に説かれた教え、 実は仏意にかなった究極的な真実の教え、 偏は一辺にかたよった教え、 円は完全円満な教え。 いずれも天台てんだい宗の一代仏教に対する見方である。
王宮 王舎おうしゃ城じょうの宮殿で説かれた ¬観経¼ のこと。
三福を開して… 三福は散さん善ぜんの行体 (行のものがら) を示したものであり、 九品はその行ぎょう業ごうを修する機 (人) を功く徳どくの深浅・罪の軽重にしたがって分類したものであるから、 三福を開くと九品往生の行業となる。
修行六念 六念ろくねんの行を修習すること。
発道心 菩ぼ提だい心しん (道心) をおこすこと。
常のごとし いつも説いているとおりである。
三福業 福業をもたらす三種の行為。 →三福さんぷく
日想 →日想にっそう観かん
水想 →水想すいそう観かん
地観 →地じ想観そうかんの略。
雑想 →雑想ざっそう観かん
阿弥陀仏観 →真身しんしん観かん
三説 已い説せつ・今説こんせつ・当説とうせつの三。 已説は ¬法華ほけ経きょう¼ 以前に説かれた経、 今説は ¬法華経¼ と同じ座で説かれた ¬無む量りょう義ぎ経きょう¼、 当説は ¬法華経¼ 以後に説かれた ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ を指す。
依正の観 依報・正報の観法。 定じょう善ぜん十三観のうち日観にっかんより華座けざ観かんまでが依報の観、 像観ぞうかんより雑想ざっそう観かんまでが正報の観である。 →依え正しょう二に報ほう
具憶の功 ¬観経¼ に説かれる定善十三種の観法を、 具つぶさに憶念することによって得られる功く徳どく。
真要に入る 諸本では 「入真の要」 (さとりの世界に入るための肝要なもの) とも読む。
光明 光明真言しんごんのこと。 ¬光こう明みょう真言しんごん経ぎょう¼ に説かれる大日だいにち如来の真言。
阿弥陀 阿弥陀仏の真言。 ¬無む量りょう寿じゅ儀軌ぎき¼ などに出るものは阿弥陀大呪と呼ばれ、 真言宗三陀羅尼の一となっている。
散善の十一人 散善の行ぎょう業ごうが十一種あることをさしていう。 その十一種とは、 世せ福ふく四種 (孝きょう養よう父母ぶも・奉事師ぶじし長ちょう・慈じ心しん不ふ殺せつ・修しゅ十じゅう善業ぜんごう)、 戒福かいふく三種 (受じゅ持じ三さん帰き・具ぐ足そく衆戒しゅかい・不ふ犯ぼん威儀いぎ)、 行ぎょう福ふく四種 (発ほつ菩ぼ提だい心しん・深信じんしん因いん果が・読誦どくじゅ大だい乗じょう・勧進かんじん行ぎょう者じゃ) である。
四箇の行 持じ戒かい・発ほつ菩ぼ提心だいしん・解げ第一だいいち義ぎ・読誦どくじゅ大だい乗じょうの四種の行為。
襄陽の… →襄じょう陽よう石せっ経きょう
専持名号… 「もつぱら名号を持たもつ。 称名をもつてのゆゑに諸罪消滅す。 すなはちこれ多善根福徳の因縁なり。
今世の伝本 現在、 世に流布している後秦こうしんの鳩摩羅くまら什じゅう訳 ¬阿弥陀経¼ の経本。
本師金口の説 釈尊の直じき説せつ。
かの経 ¬大経¼ ¬観経¼ のこと。
おのおの…求むべし 親鸞聖人は 「おのおの至心を須もちゐて往を求めよ」 (行文類訓) と読まれた。
行品 引用に直接、 該当する文は 「行品」 に見出せない。 「擁護品」 の文の取意か。
護持品 「擁護品」 のこと。
はかりみれば… →三選さんせんの文もん
正定 ¬往生院本¼ にはこの二字を欠く。 諸本によって補う。
華厳天台… 華厳では ¬遊ゆう心しん安楽あんらく道どう¼ (伝元がん暁ぎょう)、 天台では ¬観経疏¼ (伝智顗ちぎ)、 真言しんごんでは ¬阿あ弥陀みだ経きょう儀規ぎき¼ (不ふ空くう)、 禅門ぜんもんでは ¬万善まんぜん同どう帰き集しゅう¼ (智ち覚かく)、 三論さんろんでは ¬大経疏¼ ¬観経疏¼ (嘉か祥じょう)、 法相ほっそうでは ¬西方さいほう要決ようけつ¼ (伝慈じ恩おん) 等がある。
道において… 道は行ぎょう道どうの意。 行徳の如実であることが証明されていること。
弁ぜしめて 切り分けて。
駆使し策役す つかいまわす。
証定の疏 善導ぜんどう大師の ¬観経疏¼ は、 阿弥陀仏が指授し、 阿弥陀仏の意とするところと同一であると証明された注釈書であるから、 証定の疏 (証によって定められた疏) という。
奥 末尾。
義門 ¬観経¼ の法義を明らかに領解するための教義の分類のこと。
玄義の科文 奥深い教義についての科文、 科段のこと。 また 「玄義・科文」 と読んで、 「玄義分」 と 「文義分」 (序分義・定善義・散善義) のこととする説もある。
三具の磑輪 三つの石臼。 釈尊の転てん法輪ぽうりんの相 (三転法輪)、 定じょう散さん・念仏・来迎らいこうの三、 弥陀の身しん口意くいの三業、 至し誠じょう心しん・深信じんしん・回え向こう発願心ほつがんしんの三心などに当てる説がある。
つつしみて… (上の霊相のことは) 謹んで ¬観経疏¼ の末尾に書き添えて、 末代の者にまで聞かせたい。
西方の指南 西方浄土へ教え導くもの。
行者の目足 往生浄土を願う者の目や足となるほど重要なもの。
弥陀の伝説 阿弥陀仏が直接に伝え説かれた教え。
三昧正受の語 三昧を発得された善導ぜんどう大師のことば。
本迹 法然ほうねん上人は阿弥陀仏を本地とし、 善導大師をその垂迹とみられている。
素意 善導ぜんどう大師の本意。
縡とす つとめとする。
津を問ふ 津は渡し場のこと。 生しょう死じの苦海をわたる渡し場をたずねること。
西方の通津 西方浄土に通入する教えが生死海の渡し場であること。
水月を感じて… 水は昇らずして月をうつし、 月は降りることなく水にうつるということ。 水を凡心に、 月を仏心に喩えて、 凡心と仏心が念仏の行によって相応し一体となることを示す。
仰せ 法然上人に帰依きえしていた藤原ふじわらの兼実かねざね (1149-1207) の要請。
なまじひに やむをえず。
命旨 (藤原兼実の) 命。
不敏 愚鈍の身。 法然上人が自らをへりくだっていう。
高覧を経て後 (本書を) 御覧になったのちは。
元久…源空 (花押)  この奥書は、 後世に書き加えられたもの。
底本は◎奈良県当麻寺奥院蔵元久元年写本(往生院本)。 Ⓐ京都府盧山寺蔵鎌倉時代書写本、 Ⓑ京都府法然院蔵延応元年刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(上巻)、本派本願寺蔵建長三年刊本(下巻)、 Ⓓ大谷大学蔵鎌倉時代書写本、 Ⓔ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
先→ⒹⒺ本(Ⓓ草本と右傍註記)
末→ⒸⒺ未
是→Ⓔ[現]是
措→◎惜
但 ⒶⒷⒹになし
也 Ⓔになし
乗→Ⓐ乗[也]
謂 Ⓔになし
経→Ⓓ経[是]
者 Ⓓになし
者 Ⓐになし
正 Ⓓになし
娑→ⒷⒸⒹⒺ沙
且→Ⓒ具
注→Ⓔ註
謂→Ⓔ謂[於]
三→Ⓐ分
斯→Ⓔ此
浄土 Ⓓになし
此→Ⓓ其
旨→Ⓐ証
若→ⒷⒸⒺ若[於]
末→Ⓒ未
魯 Ⓓ迷イと右傍註記
慧→Ⓓ恵
宗→Ⓐ家
亦→Ⓐ又
小→Ⓔ少
正→Ⓓ聖
仏→Ⓓ仏[名]
問→Ⓔ間
導→◎噵
等 Ⓐになし
仏→Ⓓ仏[名]
仏 Ⓓになし
仏 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
但→ⒶⒷⒸⒹⒺ但[今]
皆 Ⓑになし
及 Ⓓになし
之 Ⓔになし
案→Ⓓ安
就→Ⓐ付(就と右傍註記)
甚 Ⓔになし
親 Ⓓ結イと右傍註記
心 ⒷⒹⒺになし
心 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
仏→Ⓔ仏[亦]
生→Ⓔ生[口]
常→Ⓔ常[相]
以 Ⓔになし
而 Ⓓになし
間→Ⓒ聞
弥→Ⓔ[阿]弥
弥→ⒷⒺ[阿]弥
不廻向→Ⓓ廻向不
者→Ⓓ者[是雑行也翻不廻向謂是者]
曰→ⒷⒺ云
及→ⒶⒷⒸⒹⒺ及[以]
則→ⒷⒸⒺ即
揵→ⒷⒸⒺ犍
一→ⒷⒸⒺ一[是]
恵→Ⓔ慧
摂往生行 Ⓐになし
諸師不然行者応思之 Ⓐになし
師→◎行
相→Ⓔ[得]相
由→Ⓔ[乃]由
悔過→Ⓔ懴悔心
障 Ⓓになし
自 Ⓓになし
正→ⒸⒺ上
諸→Ⓔ法
逕→Ⓔ経
号→ⒶⒷⒸⒹⒺ字
所→Ⓔ所[而]
定→Ⓔ錠
人天→Ⓔ天人
大→ⒶⒷⒸⒹⒺ[又]大
復 Ⓐになし
巻→◎Ⓓ観
所 Ⓓになし
趣→Ⓐ道
道→Ⓐ趣
土 Ⓐになし
仏→Ⓐ仏[国]
以 Ⓓになし
行 Ⓓになし
所 Ⓐ念仏勝と左傍註記
号→ⒶⒷⒸⒺ号[者]
仏→Ⓓ仏[之]
其屋舎 ⒷⒺになし
已上 Ⓐになし
貴→Ⓓ遣
易…云 △ Ⓐになし
者→Ⓔ則
乏→ⒷⒺ乏[之]
甚 Ⓓになし
上→Ⓐ上[已上]
未→Ⓔ末
何以→Ⓐ以何
即→Ⓓ則
往生 Ⓐになし
声→ⒶⒷⒸⒹⒺ声[即]
小…導 △ Ⓐになし
其→Ⓒ甚
雖→ⒷⒸⒹⒺ惟
人天→Ⓓ天人
生→Ⓐ生[之]
云→Ⓐ言
之 Ⓐになし
語→Ⓒ告
此→Ⓔ斯
云 Ⓔになし
中→Ⓔ中[云]
仏 ⒷⒸⒺになし
輩→Ⓐ輩[即]
三→ⒷⒺ三[種]
行→Ⓓ学
爾→ⒷⒸⒺ然
次異類助成者 ⒶⒷⒸⒹになし
正→Ⓑ成
之→Ⓓ心
問端云→Ⓐ云問端
上→Ⓐ上[文]
等→Ⓐ等[諸]
行→Ⓔ行[而]
引→Ⓓ説
仏 Ⓐになし
遍→Ⓐ遍[仏]
厳→Ⓔ厳[事]
去→ⒷⒸⒺ去[是]
未→Ⓔ末
知 ⒶⒸⒹになし
者→Ⓔ則
之 Ⓐになし
此→Ⓒ比→Ⓔ斯
全 ◎になし
未→ⒶⒷⒸⒹⒺ不
仏→Ⓐ仏[之]
恵→Ⓔ慧
者 Ⓓになし
道→Ⓓ導
者→Ⓔ者[謂]
何経 Ⓓになし
而 Ⓓになし
迦→Ⓐ尊
観→Ⓐ観[無]
孤→Ⓒ狐
末→ⒷⒺ末[法]
之 Ⓐになし
相→ⒷⒹⒺ相[各]
好→ⒷⒺ好[復]
仏 Ⓐになし
行→Ⓐ善
誠→ⒶⒸ成
例…文 △ Ⓐになし
竟→Ⓓ竟[已上]
接→Ⓔ摂
引→Ⓒ別
国→ⒶⒸ国[已上]
百…善 △ Ⓐになし
非→ⒷⒸⒹⒺ[若]非
闇→ⒷⒸ暗
二者→Ⓐ者二
者 Ⓐになし
慮→Ⓐ虚
等 Ⓐになし
者 Ⓓになし
随 Ⓐになし
又…也 △ Ⓐになし
論→Ⓐ論[証]
妨→◎好 妨バウ→ⒶⒸⒹ好
怯→Ⓒ悟
別 Ⓐになし
仏 ⒷⒸⒺになし
各 Ⓐになし
輝→Ⓐ耀
彼 Ⓐになし
生 Ⓐになし
河 ⒶⒷⒸになし
悪→Ⓐ悪[見]→Ⓔ悪[見悪]
悪 Ⓐになし
繁→Ⓒ繋
願→ⒶⒺ願[願生]→ⒷⒸ願[生]
捉→ⒷⒸⒹⒺ投
問…也 △ Ⓐになし
説→ⒷⒸⒹⒺ[或]説
目→Ⓓ自
故→ⒷⒸⒹⒺ故[各]
也 Ⓓになし
路→ⒶⒺ路[見]
各 Ⓐになし
道→Ⓓ噵
忽…畔18字 ◎になし
一 Ⓐになし
虫→Ⓓ虫[親]
亦 Ⓓになし
勉→Ⓔ免
楽→Ⓐ楽[之]
増→ⒶⒺ憎
心 Ⓐになし
滅→Ⓓ滅[已滅]
悪→Ⓐ異
淪→ⒷⒸⒺ輪
倒→ⒷⒸ到
作此想 Ⓐになし
名 ◎になし
彼→Ⓔ浄
往 Ⓔになし
浄→Ⓔ彼
者 ⒶⒷⒸⒺになし
自 ◎ⒶⒸになし
名 Ⓓになし
生→Ⓓ[往]生
知→Ⓐ知[已上]
知→Ⓓ知[三]
言→Ⓔ辞
悪→ⒶⒷⒸⒹⒺ悪[也]
言→ⒷⒺ辞
等→ⒶⒷⒸⒹⒺ等[者]
謂…諸 △ Ⓑは写補
心→Ⓐ心[也]
諸→ⒷⒺ緒
及→ⒶⒷⒸⒹⒺ及[彼]
二→ⒶⒹ三
讃→Ⓔ[専]讃
三→ⒶⒸ四
不→Ⓔ不[令]
心→Ⓐ意
者 Ⓔになし
室→Ⓐ守
花香→ⒷⒸⒺ香華
者 Ⓔになし
十由旬 Ⓐになし
者 ⒶⒺになし
厄→Ⓑ危
者 Ⓔになし
宝→Ⓐ法
繒→Ⓐ絵
恵→ⒷⒸⒺ慧
抄→ⒷⒸⒺ鈔
令→ⒶⒷⒸⒹⒺ合
辨→ⒷⒸ辦
爾→Ⓔ然
壊→Ⓐ懐
財→Ⓓ宝
其→Ⓓ其[甚]
何以→Ⓐ以何
修→ⒷⒸⒺ行
之 Ⓐになし
汝→Ⓐ汝[文]
励→ⒶⒷⒸⒹⒺ勧
即 ⒷⒺになし
家→Ⓐ家[已上]
明→Ⓔ明[指]
人中 Ⓐになし
是→ⒷⒺ是[若]
中 Ⓐになし
賖→Ⓐ賖[已上]
孤→Ⓔ独
芬→Ⓔ分
者→Ⓐ者[等云々]
何…知 △ Ⓐになし
所→ⒷⒸⒺ而
蘊→◎ⒷⒸⒹ蘰 ◎蘊聚也蔵也と上欄註記
→ⒷⒹⒺ咀
閑→Ⓔ間
蜜→◎察
速→Ⓓ速[得]→Ⓔ速[疾]
五→Ⓔ五[法]
蘇→ⒷⒸⒺ酥
熟 ◎Ⓓになし
蘇 ◎Ⓓになし→ⒷⒸⒺ酥
也 ⒷⒸⒺになし
念 Ⓓになし
別→Ⓔ別[也]
誉→Ⓐ誉[下而所讃也言人中希有人者是待常有而所歎也言人中最勝人者是待最劣而所褒也]
経→ⒶⒺ経[云]
覩→Ⓒ観
之 Ⓐになし
寿 Ⓐになし
名→Ⓐ名[文]
名→Ⓐ名[文]
奉◎養(奉と右傍註記)
事→ⒷⒺ仕
者 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
是→Ⓔ此
依 Ⓓになし
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ此[亦]
有 Ⓓになし
者 Ⓐになし
受→Ⓐ[余]受
即是→Ⓐ是即
書→Ⓐ[余]書
乗 ◎になし
指→ⒷⒺ於
有 Ⓓになし
編→Ⓓ綸
乎→Ⓐ也
乗→Ⓔ乗[而]
者→ⒶⒷⒸⒹⒺ者[者]
言 Ⓓになし
句→Ⓐ句[慈心不殺也]
三→Ⓐ三[之]
上 Ⓓになし
造 Ⓓになし
果 Ⓓになし
想→ⒶⒷⒸⒹⒺ想[観]
観→Ⓐ観[者]
之 Ⓔになし
辨→ⒷⒸ弁
曰 Ⓐになし
祛→Ⓔ袪
之 Ⓓになし
選→Ⓔ[而]選
也 Ⓐになし
者 Ⓐになし
今→Ⓐ之
随自之後還閉定散門 ◎になし
巻→Ⓓ観
已上→Ⓐ文
一→Ⓔ七
七→Ⓔ一
不→ⒷⒺ無
用→ⒶⒷⒸⒹⒺ要
観 Ⓓになし
兼→Ⓔ[而]兼
中 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
之 Ⓓ也
経→ⒷⒸⒺ[此]経
大千 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
界→Ⓐ界[文]
念 ◎になし
之 Ⓐになし
男→Ⓓ[善]男
心→Ⓐ心[此是亦現生護念増上縁]
斯→Ⓔ此
者→Ⓔ去
昼→Ⓑ尽
悪→ⒷⒸ悪[鬼]→Ⓔ悪[鬼悪]
往→Ⓓ往[生]
念…至13字→◎「念レバ↢阿弥陀仏及二菩薩観音勢至ヲ↡」
之 Ⓐになし
諸行之中 Ⓐになし
云→ⒶⒺ云[当知一念]
説→ⒶⒷⒸⒹⒺ明
択 Ⓓになし
舒→Ⓐ舒[斎]
証→ⒶⒷⒸⒹⒺ説
云 Ⓓになし
故 Ⓓになし
欲入浄土門 Ⓓになし
正定 ◎Ⓓになし
問→Ⓐ[私]問
道→Ⓓ噵
辨→ⒷⒸ弁
花 ⒷⒺになし
花 ⒷⒹⒺになし
簷→Ⓔ檐
堪→Ⓐ導
将→Ⓐ倫
即→Ⓓ即[即]
尽→Ⓑ尽[十方]
阿 Ⓓになし
土→Ⓓ等
楷→Ⓓ階
地 Ⓐになし
即 Ⓓになし
日 Ⓓになし
杆→Ⓔ杆[極]
蹤→ⒷⒸⒹⒺ縦
信→Ⓓ信[者]
是 Ⓑになし
弥陀 Ⓓ釋迦と右傍註記
謂→Ⓓ謂[又]
疏→Ⓓ文(疏イと右傍註記)
者 ⒷⒸⒹⒺになし
伝→Ⓓ直(傳イと右傍註記)
何…説27字 Ⓓになし
堕 ⒶⒺ随