*せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう

【標宗】

^*南無なも弥陀みだぶつ *おうじょう*ごうには、 *念仏ねんぶつ*さきとなす。

南無阿弥陀仏 往生之業ニハ 念仏

正文
  教相章【二門章】
    標章

【1】 ^どうしゃくぜん*しょうどう*じょうもんてて、 しょうどうててまさしくじょうするもん

 道綽禅師立テテ↢聖道・浄土二門↡而捨テテ↢聖道↡正スル↢浄土↡之文

二 ⅰ 引文
     

 ^¬*安楽あんらくしゅう¼ のじょうにいはく、

¬安楽集¼上

^ひていはく、 一切いっさい*しゅじょうはみな*ぶっしょうあり。 *遠劫おんごうよりこのかたぶつひたてまつるべし。 なにによりてか、 いまにいたるまでなほみづから*しょう*りんして*たくでざるや。

「問、一切衆生皆有↢仏性↡。遠劫ヨリ以来↠値マツル↢多仏↡。何テカ、至マデ↠今ナホ輪↢廻生死↡不ルヤ↠出↢火宅↡。

二 ⅰ Ⅱ
        標挙二門

^こたへていはく、 だいじょう聖教しょうぎょうによらば、 まことにしゅしょうぼうてもつてしょう*はらはざるによる。 ここをもつてたくでず。 何者なにものをかとなす。 いちにはいはくしょうどうにはいはくおうじょうじょうなり。

、依↢大乗聖教↡、良↠不ルニ↧得↢二種勝法↡以ハラ↦生死↥。是ルナリ↠出↢火宅↡。何者ヲカ↠二。一ニハ聖道、二ニハ往生浄土ナリ

二 ⅰ Ⅱ b 正示廃立
          (一)顕示興廃
            (Ⅰ)聖道廃退
              (ⅰ)直示

^それしょうどう一種いっしゅは、 いまときしょうしがたし。 いちにはだいしょう (*釈尊)れること遥遠ようおんなるによる。 には*ふかさとりなるによる。

聖道一種時難↠証。一ニハ↧去レルコト↢大聖↡遥遠ナルニ↥。二ニハ↢理サトリナルニ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)引証

^このゆゑに ¬*だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ にのたまはく、 ªわが*末法まっぽうときのうちの億々おくおくしゅじょうぎょうおこどうしゅせんに、 いまだ一人いちにんとしてるものあらじº と。

¬大集月蔵経¼云、我末法億々衆生、起↠行ムニ↠道、未↠有↢一人トシテ者↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)浄土興隆
              (ⅰ)直示

^当今とうこん末法まっぽう、 これ*じょくあくなり。 ただじょう一門いちもんのみありてつうにゅうすべきみちなり。

当今末法、是五濁悪世ナリ。唯有↢浄土一門ノミ↡可↢通入↡路ナリ

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^このゆゑに *¬だいきょう¼ にのたまはく、 ªもししゅじょうありてたとひいっしょうあくつくれども、 命終みょうじゅうときのぞみて、 *じゅうねん相続そうぞくしてわがみょうしょうせんに、 もししょうぜずといはば、 しょうがくらじº と。

¬大経¼云、若↢衆生↡縦令一生造ドモ↠悪、臨↢命終↡、十念相続ムニ↢我名字↡、若トイハバ↠生者不↠取↢正覚↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)重示機法応不
            (Ⅰ)総示

^また一切いっさいしゅじょうはすべてみづからはからず。

又復一切衆生不↢自↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)別示
              (ⅰ)聖道不堪
                (a)大乗
                (b)小乗
                (c)世善

^もしだいじょうによらば、 *真如しんにょ*実相じっそう*第一だいいちくう、 かつていまだしんかず。 もし小乗しょうじょうろんぜば、 *見諦けんたい修道しゅどうしゅにゅうし、 ない*ごんかん*五下ごげだん*じょうのぞくこと、 道俗どうぞくふことなく、 いまだそのぶんあらず。 たとひ人天にんでんほうあれども、 みな*かい*じゅうぜんのためによくこのほうまねく。 しかるをとくするものは、 はなはだまれなり。

↢大乗↡、真如実相・第一義空曽↠心。若↢小乗↡、修↢入見諦修道↡、乃至那含・羅漢、断↢五下↡除コト↢五上↡、无↠問コト↢道俗↡、未↠有↢其分↡。縦ドモ↢人天果報↡、皆為↢五戒・十善↡能↡。然ルヲ持得ナリ

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)機法相応

^もしあく造罪ぞうざいろんぜば、 なんぞあらかぜ*あめことならん。 ここをもつて諸仏しょぶつだいすすめてじょうせしめたまふ。 たとひいちぎょうあくつくれども、 ただよくこころけてせんしょうにつねによく念仏ねんぶつせば、 一切いっさいしょしょうねんしょうじょして、 さだめておうじょうすることを

↢起悪造罪↡、何ナラムアラ↡。是諸仏大慈、勧シメタマフ↢浄土↡。縦使一形造ドモ↠悪、但能↠意専精念仏セバ、一切諸障自然消除、定得↢往生コトヲ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(Ⅲ)結勧

^なんぞりょうせずしてすべてしんなきや」 と。

シテ↢思量↡都↢去心↡也。」

二 ⅰ 私釈
      汎明判教
        総標

 ^わたくしにいはく、 ひそかにはかりみれば、 それりっきょうしょうしゅうしたがどうなり。

、窃ハカリミレバ、夫立教多少、随↠宗不同ナリ

二 ⅰ Ⅲ a 列他宗判
          (一)有相宗

^しばらくそうしゅう (*法相宗) のごときは、 *さんきょうてて ˆしゃくそんのˇ 一代いちだい聖教しょうぎょうはんず。 いはゆる*くうちゅうこれなり。

キハ↢有相宗↡、立テテ↢三時教↡而判↢一代聖教↡。所謂有空中是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (二)無相宗

^そうしゅう (*三論宗) のごときは、 *ぞうきょうててもつて一代いちだい聖教しょうぎょうはんず。 いはゆる*さつぞう*しょうもんぞうこれなり。

キハ↢無相宗↡、立テテ↢二蔵教↡以↢一代聖教↡。所謂菩薩蔵・声聞蔵是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (三)華厳宗

^*ごんしゅうのごときは、 きょうてて一切いっさいぶっきょうせっす。 いはゆる*小乗しょうじょうきょう*きょう*終教じゅうきょう*頓教とんぎょう*えんぎょうこれなり。

キハ↢華厳宗↡、立テテ↢五教↡而摂↢一切仏教↡。所謂小乗教・始教・終教・頓教・円教是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (四)法華宗

^ほっしゅう (*天台宗) のごときは、 きょう五味ごみててもつて一切いっさいぶっきょうせっす。 「きょう」 といふは、 いはゆる*ぞうつうべつえんこれなり。 「五味ごみ」 といふは、 いはゆる*にゅうらくしょうじゅくだいこれなり。

キハ↢法華宗↡、立テテ↢四教五味↡以↢一切仏教↡。四教トイフ者、所謂蔵・通・別・円是也。五味トイフ者、所謂乳・酪・生・熟・醍醐是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (五)真言宗

^*真言しんごんしゅうのごときは、 きょうてて一切いっさいせっす。 いはゆる*けんぎょう*みっきょうこれなり。

キハ↢真言宗↡、立テテ↢二教↡而摂↢一切↡。所謂顕教・密教是也。

二 ⅰ Ⅲ a 挙本宗判
          (一)略明

^いまこの*じょうしゅうは、 もしどうしゃくぜんこころによらば、 もんてて一切いっさいせっす。 いはゆる*しょうどうもん*じょうもんこれなり。

今此浄土宗者、若↢道綽禅師↡、立テテ↢二門↡而摂↢一切↡。所謂聖道門・浄土門是也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ (二)立宗名【宗名】
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 それしゅうつることは、 もとごん天台てんだいとう*はっしゅうしゅうにあり。 いまだじょういえにおいてそのしゅうつることをかず。 しかるをいまじょうしゅうごうする、 なんのしょうかあるや。

、夫コトハ↢宗↡、本在↢華厳・天臺等八宗・九宗↡。未↠聞↧於↢浄土之家↡立コトヲ↦其↥。然ルヲ今号↢浄土宗↡、有↢何証拠↡也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)

^こたへていはく、 じょうしゅう、 そのしょういちにあらず。 *がんぎょうの ¬*遊心ゆうしん安楽あんらくどう¼ にいはく、 「じょうしゅうこころもとぼんのためなり、 ねてはしょうにんのためなり」 と。 また*おん (窺基) の ¬*西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「このいっしゅうによる」 と。 また*ざいの ¬*じょうろん¼ にいはく、 「このいっしゅうひそかにようたり」 と。 そのしょうかくのごとし。 *たんらず。

、浄土宗名、其証非↠一。元暁¬遊心安楽道¼云、「浄土宗意、本為ナリ↢凡夫↡、兼テハナリト↢聖人↡。」又慈恩¬西方要決¼云、「依ルト↢此一宗↡。¼又迦才¬浄土論¼云、「此之一宗窃リト↢要路↡。」其証如↠此。不↠足↢疑端↡。

二 ⅰ Ⅲ 正釈今意【判教】
        総標二門

 ^ただししょしゅうりっきょうは、 まさしくいまのこころにあらず。 しばらくじょうしゅうにつきてりゃくしてもんかさば、 いちにはしょうどうもんにはじょうもんなり。

諸宗立教、正↢今↡。且↢浄土宗↡略↢二門↡者、一者聖道門、二者浄土門ナリ

二 ⅰ Ⅲ b 別釈二門
          (一)聖道門
            (Ⅰ)標列

^はじめのしょうどうもんとは、 これにつきてあり。 いちだいじょう小乗しょうじょうなり。

聖道門者、就↠之↠二。一者大乗、二者小乗ナリ

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)大乗

^だいじょうのなかにつきて*顕密けんみつ*権実ごんじつとうどうありといへども、 いまこの ¬しゅう¼ (安楽集)こころ、 ただ*顕大けんだいおよび*権大ごんだいぞんず。 ゆゑに*りゃくこう迂回うえぎょうあたれり。 これにじゅんじてこれをおもふに、 *密大みつだいおよび*実大じつだいぞんずべし。 しかればすなはち、 いま*真言しんごん*仏心ぶっしん (禅宗)*天台てんだい*ごん*三論さんろん*法相ほっそう*ろん*しょうろん、 これらはっこころまさしくこれにあり、 るべし。

↢大乗↡雖↠有リト↢顕密・権実等不同↡、今此¬集¼意、唯存↢顕大及以権大↡。故レリ↢歴劫迂廻之行↡。准↠之フニ↠之、応↠存↢密大及以実大↡。然今真言・仏心・天臺・華厳・三論・法相・地論・摂論、此等八家之意正↠此也、応↠知

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)小乗

^つぎ小乗しょうじょうとは、 すべてこれ小乗しょうじょう*きょう*りつ*ろんのなかにかすところの*しょうもん*縁覚えんがく*断惑だんわくしょう*にっしょうとくどうなりかみじゅんじてこれをおもへば、 また*しゃ*じょうじつしょ*りっしゅうせっすべきのみ。

小乗者、総是小乗経・律・論之中↠明声聞・縁覚、断惑証理、入聖得果之道也。准↠上↠之、亦可↠摂↢倶舎・成実、諸部律宗↡而已。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅲ)大意

^おほよそこのしょうどうもんたいは、 だいじょうおよび小乗しょうじょうろんぜず。 この*しゃかいのなかにおいて、 *じょうどうしゅじょうじょうとはさんじょうのほかにぶつじょうくわふ。

聖道門大意者、不↠論↢大乗及以小乗↢此娑婆世界之中↡、修↢四乗↡得↢四乗也。四乗者三乗之外↢仏↡。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)浄土門
            (Ⅰ)標列

^つぎおうじょうじょうもんとは、 これにつきてあり。 いちには*まさしくおうじょうじょうかすきょうには*かたわらにおうじょうじょうかすきょうなり。

往生浄土門者、就↠此↠二。一者正↢往生浄土↡之教、二者傍↢往生浄土↡之教ナリ

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)正依教【正明往生浄土 浄土三部経】
                (a)正列

^はじめにまさしくおうじょうじょうかすきょうといふは、 いはく*さんぎょう一論いちろんこれなり。 「さんぎょう」 とは、 いちには ¬*りょう寿じゅきょう¼ 、 には ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ 、 さんには ¬*弥陀みだきょう¼ なり。 「一論いちろん」 とは、 *天親てんじんの ¬*おうじょうろん¼ (浄土論) これなり。 あるいはこのさんぎょうして*じょうさんきょうごうす。

↢往生浄土↡之教トイフ者、三経一論是也。三経者、一ニハ¬無量寿経¼、二ニハ¬観無量寿経¼、三ニハ¬阿弥陀経¼也。一論者、天親¬往生論¼是也。或↢此三経↡号↢浄土三部経↡也

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)引例

 ^ひていはく、 さんきょうまたそのれいありや。

、三部経名亦有↢其例↡乎。

^こたへていはく、 さんきょうそのれいいちにあらず。

、三部経名其↠一

いちには*ほっさん、 いはく ¬*りょうきょう¼・¬*法華ほけきょう¼・¬*賢観げんかんきょう¼ これなり。

者法華三部、謂¬無量義経¼・¬法華経¼・¬普賢観経¼是也。

には*大日だいにちさん、 いはく ¬*大日だいにちきょう¼・¬*金剛こんごう頂経ちょうきょう¼・¬*しっきょう¼ これなり。

者大日三部、謂¬大日経¼・¬金剛頂経¼・¬蘇悉地経¼是也。

さんには*ちんこっさん、 いはく ¬法華ほけきょう¼・¬*仁王にんのうきょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼ これなり。

者鎮護国家三部、謂¬法華経¼・¬仁王経¼・¬金光明経¼是也。

には*ろくさん、 いはく ¬*上生じょうしょうきょう¼・¬*しょうきょう¼・¬*じょうぶつきょう¼ これなり。

者弥勒三部、謂¬上生経¼・¬下生経¼・¬成仏経¼是也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)結示

^いまはただこれ弥陀みださんなり。 ゆゑにじょうさんきょうづく。 弥陀みださんはこれじょうしょうきょうなり。

今者唯是弥陀三部ナリ。故↢浄土三部経↡也。弥陀三部者是浄土正依経也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)傍依教【傍明往生浄土】

 ^つぎかたわらにおうじょうじょうかすきょうといふは、 ¬*ごん¼・¬ほっ¼・¬*ずい¼・¬*そんしょう¼ とうのもろもろのおうじょうじょうかすしょきょうこれなり。 また ¬*信論しんろん¼・¬*ほうしょうろん¼・¬*十住じゅうじゅう毘婆びば沙論しゃろん¼・¬*しょうだいじょうろん¼ とうのもろもろのおうじょうじょうかす諸論しょろんこれなり。

↢往生浄土↡之教トイフ者、¬華厳¼・¬法華¼・¬随求¼・¬尊勝¼等↢諸往生浄土↡之諸経是也。又¬起信論¼・¬宝性論¼・¬十住毘婆娑論¼・¬摂大乗論¼等↢諸往生浄土↡之諸論是也。

二 ⅰ Ⅲ b 明廃立
          (一)正示集意

 ^おほよそこの ¬しゅう¼ (安楽集) のなかにしょうどうじょうもんつるこころは、 しょうどうててじょうもんらしめんがためなり。 これにつきてゆえあり。 いちにはだいしょう (釈尊)れること遥遠ようおんなるにる。 にはふかさとりなるにる。

¬集¼中ツル↢聖道・浄土二門↡意者、為↠令メムガ↧捨テテ↢聖道↡入↦浄土門↥也。就↠此↢二ユヱ↡。一ニハ↧去レルコト↢大聖↡遥遠ナルニ↥。二ニハ↢理深サトリナルニ↡。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)挙例
            (Ⅰ)総挙

^このしゅうのなかにもんつることは、 ひと*どうしゃくのみにあらず。 *曇鸞どんらん天台てんだい (*智顗)*ざい*おん (窺基) とうしょみなこのこころあり。

宗之中コト↢二門↡者、独↢道綽ノミニ↡。曇鸞・天臺・迦才・慈恩等諸師皆有↢此意↡。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)別挙
              (ⅰ)正挙鸞師
                (a)引文

^しばらく曇鸞どんらんほっの ¬*おうじょうろんちゅう¼ (上) にいはく、 「つつしみてりゅうじゅさつの ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品)あんずるにいはく、 ªさつ*阿毘あびばっもとむるに、 しゅどうあり。 いちにはなんぎょうどうにはぎょうどうなりº と。

曇鸞法師¬往生論¼云、「謹ミテルニ↢龍樹菩薩¬十住毘婆¼↡云、菩薩求ルニ↢阿毘跋致↡有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道ナリト

ªなんぎょうどうº とは、 いはく*じょく*ぶつときにおいて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはちおおくのみちあり。 ほぼ*さんをいひてもつて義意ぎいしめさん。 いちには*どう*しょうぜん*さつほうみだる。 にはしょうもん自利じりだい慈悲じひふ。 さんには*無顧むこ悪人あくにんしょうとくす。 には*顛倒てんどうぜん、 よく*ぼんぎょうやぶる。 にはただこれ*りきのみにして*りきたもつなし。 かくのごときるにみなこれなり。 たとへばろくよりぎょうするはすなはちくるしきがごとし。

難行道者、五濁之世↢無仏↡、求ルヲ↢阿毘跋致↡為↠難。此↢多クノ途↡。粗↢五↡以↢義意↡。一者外道相善乱↢菩薩↡。二者声聞自利障↢大慈悲↡。三者无顧悪人破↢他勝徳↡。四者顛倒善果能ヤブ↢梵行↡。五者唯是自力ノミニシテ↢他力↡。如↠斯事、触ルルニ↠目皆是ナリ。譬↢陸路ヨリ歩行スルハキガ↡。

ªぎょうどうº とは、 いはくただぶつしんずる因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんずれば、 ぶつ*願力がんりきりてすなはちかの清浄しょうじょうおうじょうすることを*仏力ぶつりきじゅうして、 すなはちだいじょう*正定しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすいよりふねりてすなはちらくなるがごとし」 と。

易行道者、謂但以↢信↠仏因縁↡願レバ↠生ムト↢浄土↡、乗↢仏願力↡便得↣往↢生コトヲ清浄↡。仏力住持↢大乗正定之聚↡。正定是阿毘跋致ナリ。譬シト↢水路ヨリ↠船ナルガ↡。」已上

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)会義

^このなかのなんぎょうどうは、 すなはちこれしょうどうもんなり。 ぎょうどうは、 すなはちこれじょうもんなり。 なんぎょうぎょうしょうどうじょう、 そのことばことなりといへども、 そのこころこれおなじ。

難行道者即是聖道門也。易行道者即是浄土門也。難行・易行、聖道・浄土、其言雖↠異リト、其意是同

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)列同二師

^天台てんだい (智顗)ざいこれにおなじ、 るべし。

天臺・迦才同↠之、応↠知

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)兼挙慈恩
                (a)引文

^また ¬西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「あおぎておもんみれば、 しゃ*うんひらけてひろえんやくす。 きょう*随方ずいほうひらけて*ならびに*法潤ほうにんうるおふ。 したしく*しょうひて、 どうさんじょうさとりき。 ふくうすく、 いんおろそかなるものをすすめてじょうせしめたまふ。 このごうをなすものはもつぱら弥陀みだねんじ、 一切いっさい*善根ぜんごんめぐらしてかのくにしょうず。 弥陀みだ本願ほんがんちかひてしゃしたまふ。 かみげんしょう*いちぎょうつくし、 しもりんじゅうじゅうねんいたるまで、 ともによくけつじょうしてみなおうじょう」 と。

又¬西方要決¼云、「仰レバ、釈迦ヒラケ↠運↢有縁↡。教ヒラ↢随方↡並ウル↢法潤↡。親↢聖化↡、道悟↢三乗↡。福薄因疎ナルモノヲシメタマフ↢浄土↡。作↡者↢弥陀↡、一切善根、廻ラシテ↢彼↡。弥陀本願誓タマフ↢娑婆↡。上尽↢現生一形↡、下至マデ↢臨終十念↡、倶決定皆得↢往生↡。」已上

^またおなじきじょにいはく、 「それおもんみれば、 うまれて*ぞうして、 しょう (釈尊)ることこれはるかに、 どうさんじょうあずかりて*かいするにほうなし。 人天にんでんりょう躁動そうどうしてやすからず。 ひろこころひろきものは、 よくひさしくしょするにへたり。 もししきおろかにぎょうあさきものは、 おそらくは*ゆうおぼれん。 かならずすべからくあとしゃとおくしてしん*じょういきましむべし」 と。

又同後序、「夫レバ、生↢像季↡、去コト↠聖斯遥、道預リテ↢三乗↡无ノリ↢契悟ルニ↡。人天両位躁動不↠安カラ。智博情弘キモノハ、能タリ↢久ルニ↡也。若ヲロカ行浅キモノハ、恐クハ↢幽途↡。必シト↧遠クシテ↢跡娑婆↡栖シム↦心浄域↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)会義

^このなかのさんじょうはすなはちこれしょうどうもんこころなり。 じょうはすなはちこれじょうもんこころなり。 さんじょうじょうしょうどうじょう、 そのことなりといへども、 そのこころまたおなじ。

三乗者即是聖道門意也。浄土者即浄土門意也。三乗・浄土、聖道・浄土、其名雖↠異リト、其意亦同

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)結勧
            (Ⅰ)正示

^じょうしゅう学者がくしゃづすべからくこのむねるべし。 たとひさきよりしょうどうもんがくするひとといへども、 もしじょうもんにそのこころざしあらば、 すべからくしょうどうててじょうすべし。

浄土宗学者、先↠知↡。設↧先ヨリ↢聖道門↡人↥、浄土門↢其志↡者、須↧棄テテ↢聖道↡帰↦於浄土↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)(Ⅱ)引例

^れいするに、 かの曇鸞どんらんほっ*ろん講説こうせつてて*一向いっこうじょうし、 どうしゃくぜん*はん広業こうごうさしおきてひとへに西方さいほうぎょうひろめしがごとし。

ルニ↧彼曇鸞法師テテ↢四論講説↡一向↢浄土↡、道綽禅師↢涅槃広業↡偏メシガ↦西方↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)(Ⅲ)正結

^じょう賢哲けんてつなほもつてかくのごとし。 末代まつだい愚魯ぐろむしろこれにしたがはざらんや。

上古賢哲猶以↠此末代魯寧ラム↠遵↠之哉。

二 ⅰ Ⅲ 明血脈【師資相承】
        挙例問今

 ^ひていはく、 しょうどうしょしゅうおのおの*師資ししそうじょうあり。 いはく天台てんだいしゅうのごときは、 *もん南岳なんがく (*慧思)天台てんだい (*智顗)*しょうあん*智威ちい*慧威えい*玄朗げんろう*湛然たんねんだいそうじょうせり。 真言しんごんしゅうのごときは、 *大日だいにち如来にょらい*金剛こんごうさっ*りゅうじゅ*りゅう*こん*くうだいそうじょうせり。 自余じよしょしゅうまたおのおのそうじょう*けちみゃくあり。 しかるにいまいふところのじょうしゅう*師資ししそうじょうけちみゃくありや。

、聖道家諸宗各↢師資相承↡。謂↢天臺宗↡者、慧文・南岳・天臺・章安・智威・慧威・玄朗・湛然、次第相承セリ。如↢真言宗↡者、大日如来・金剛薩埵・龍樹・龍智・金智・不空、次第相承セリ。自余宗又各↢相承血脈↡。而シテ今所↠言浄土宗↢師資相承血脈譜↡乎。

二 ⅰ Ⅲ c 順他答今
          (一)

^こたへていはく、 しょうどうけちみゃくのごとくじょうしゅうにまたけちみゃくあり。 ただしじょういっしゅうにおいて*しょまたどうなり。 いはゆるざん*おんほっ*みん三蔵さんぞう*どうしゃく*善導ぜんどうとうこれなり

、如↢聖道家血脈↡浄土宗亦有↢血脈↡。但↢浄土一宗↡諸家亦不同ナリ。所謂廬山慧遠法師、慈愍三蔵、道綽・善導等是也。

二 ⅰ Ⅲ c ロ (二)

^いましばらくどうしゃく善導ぜんどういっによりて、 師資ししそうじょうけちみゃくろんぜば、 これにまた*りょうせつあり。 いちには*だい流支るし三蔵さんぞう*ちょうほっ*どうじょうほっ*曇鸞どんらんほっ*大海だいかいぜん*ほうじょうほっじょう、 ¬安楽あんらくしゅう¼ にでたり。 にはだい流支るし三蔵さんぞう曇鸞どんらんほっどうしゃくぜん善導ぜんどうぜん*かんほっ*しょうこうほっじょう*とうそうりょうでんでたり。

今且↢道綽・善導之一家↡、論↢師資相承血脈↡者、此亦有↢両説↡。一者菩提流支三蔵・慧寵法師・道場法師・曇鸞法師・大海禅師・法上法師。已上出タリ↢¬安楽集¼↡者菩提流支三蔵・曇鸞法師・道綽禅師・善導禅師・懐感法師・小康法師。已上出タリ↢唐宋両伝

【二行章】
    標章

【2】 ^善導ぜんどうしょう*しょうぞうぎょうてて、 ぞうぎょうてて正行しょうぎょうするもん

 善導和尚立テテ正雑二行↡、捨テテ↢雑行↡帰スル↢正行↡之文

二 ⅱ 挙観経疏
      引文
        標列

 ^¬*かんぎょうしょ¼ のだい (*散善義) にいはく、

¬観経疏¼第四

^ぎょうにつきてしんつといふは、 しかもぎょうしゅあり。 いちには*正行しょうぎょうには*ぞうぎょうなり。

「就↠行ツトイフ↠信者、然↢二種↡。一者正行、二者雑行ナリ

二 ⅱ Ⅱ a 釈義
          (一)正明
            (Ⅰ)正行
              (ⅰ)五種正行

^正行しょうぎょうといふは、 もつぱら*おうじょうきょうによりてぎょうぎょうずるもの、 これを正行しょうぎょうづく。 いづれのものかこれや。 一心いっしんにもつぱらこの ¬*かんぎょう¼・¬*弥陀みだきょう¼・¬りょう寿じゅきょう¼ とう*読誦どくじゅし、 一心いっしんにもつぱらそうとどめてかのくに*ほうしょうごん*観察かんざつ憶念おくねんし、 もしらいせばすなは一心いっしんにもつぱらかのぶつ*らいし、 もし*しょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうし、 もし*讃歎さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだんようす。 これをづけてしょうとなす。

↢正行↡者、専↢往生↡行↠行者、是↢正行↡。何レノ是也。一心読↢誦¬観経¼・¬弥陀経¼・¬无量寿経¼等↡、一心トドメ↢思想↡観↢察憶↣念二報荘厳↡、若一心↢彼↡、若口称一心↢彼↡、若讃歎供養一心讃歎供養。是↠正

二 ⅱ Ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)正助二業

^またこのしょうのなかにつきて、 またしゅあり。

又就↢此↡、復有↢二種↡。

・正業

^いちには一心いっしんにもつぱら弥陀みだ*みょうごうねんじて、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざが*せつごんはず念々ねんねんてざるもの、 これを*正定しょうじょうごうづく。 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに。

者一心↢弥陀名号↡、行住坐臥不↠↢時節久近↡念念↠捨者、是↢正定之業↡。順ルガ↢彼↡故

・助業

^もし*礼誦らいじゅとうによるをすなはちづけて*助業じょごうとなす。

ルヲ↢礼誦等↡即↢助業↡。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)雑行

^この*しょうじょぎょうのぞきてのほかの自余じよ諸善しょぜんをことごとくぞうぎょうづく。

テノ↢此正助二行已外 ホカ 自余諸善↢雑行↡。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (二)判得失

^もしさきしょうじょぎょうしゅすれば、 しんつねに ˆ弥陀みだぶつにˇ 親近しんごんして憶念おくねんえず、 づけて*けんとなす。 もしのちぞうぎょうぎょうずれば、 すなはちしんつねに*間断けんだんす。 *こうしてしょうずることをべしといへども、 おおざつぎょうづく」 と。

レバ↢前正助二行↡、心常親近憶念不↠断、名↢无間↡也。若レバ↢後雑行↡、即心常間断。雖↠可シト↢廻向得↟生コトヲ、衆クト↢疎雑之行↡也。」

二 ⅱ Ⅱ 私釈
        釈疏文
          (一)総分

 ^わたくしにいはく、 このもんにつきてこころあり。 いちにはおうじょうぎょうそうかす。 にはぎょう*得失とくしつはんず。

、就↢此↡有↢二意↡。一ニハ↢往生行相↡。二ニハ↢二行得失↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)明往生行相【往生行相】
              (ⅰ)標列二行

^はじめにおうじょうぎょうそうかすといふは、 善導ぜんどうしょうこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもおおきにわかちてとなす。 いちには正行しょうぎょうにはぞうぎょうなり。

ストイフ↢往生行相↡者、依↢善導和尚↡、往生行雖↠多シトチテ↠二。一ニハ正行、二ニハ雑行ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)別明二行
                (a)明正行【五種正行】
                  (イ)標開合

^はじめの正行しょうぎょうとは、 これにつきてかいごうあり。 はじめのかいしゅとなし、 のちごうしゅとなす。

正行者、付↠之↢開合義↡。初↢五種↡、後↢二種↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)釈開合
                    [一]
                      [Ⅰ]開中合

^はじめのかいしゅなすといふは、 いちには読誦どくじゅ正行しょうぎょうには観察かんざつ正行しょうぎょうさんには礼拝らいはい正行しょうぎょうには称名しょうみょう正行しょうぎょうには讃歎さんだんよう正行しょうぎょうなり。

トイフ↢五種↡者、一ニハ読誦正行、二ニハ観察正行、三ニハ礼拝正行、四ニハ称名正行、五ニハ讃嘆供養正行也。

・読誦正行

^第一だいいち読誦どくじゅ正行しょうぎょうは、 もつぱら ¬かんぎょう¼ とう読誦どくじゅするなり。 すなはちもん (散善義) に、 「一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬りょう寿じゅきょう¼ とう読誦どくじゅす」 といふこれなり。

第一読誦正行者、専読↢誦¬観経¼等↡也。即↣「一心読↢誦スト¬観経¼・¬弥陀経¼・¬無量寿経¼↡」是也。

・観察正行

^だい観察かんざつ正行しょうぎょうは、 もつぱらかのくにしょうほう観察かんざつするなり。 すなはちもん (同) に、 「一心いっしんにもつぱらそうとどめてかのくに*ほうしょうごん観察かんざつ憶念おくねんす」 といふこれなり。

第二観察正行者、専観↢察依正二報↡也。即↫「一心トドメ↢思想↡観↩察憶↪念スト二報荘厳↨」是也。

・礼拝正行

^だいさん礼拝らいはい正行しょうぎょうは、 もつぱら弥陀みだらいするなり。 すなはちもん (同) に、 「もしらいせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつらいす」 といふこれなり。

第三礼拝正行者、専↢弥陀↡也。即↣「若一心スト↢彼↡」是也。

・称名正行

^だい称名しょうみょう正行しょうぎょうは、 もつぱら弥陀みだみょうごうしょうするなり。 すなはちもん (同) に、 「もししょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうす」 といふこれなり。

第四称名正行者、専↢弥陀名号↡也。即↣「若口称一心スト↢彼↡」是也。

・讃嘆供養正行

^だい讃歎さんだんよう正行しょうぎょうは、 もつぱら弥陀みだ讃歎さんだんようするなり。 すなはちもん (同) に、 「もし讃歎さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだんようす、 これをづけてしょうとなす」 といふこれなり。

第五讃歎供養正行者、専讃↢歎供↣養弥陀↡也。即↢「若讃歎供養一心讃歎供養、是↟正」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅱ]開中開

^もし讃歎さんだんようとをかいしてとなさば、 六種ろくしゅ正行しょうぎょうづくべし。

↣讃歎↢供養↡而為↠二者、可↠名↢六種正行↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ]

^いまごうによるがゆゑにしゅといふ。

今依ルガ↢合↡故↢五種↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]正明

^つぎごうしゅとなすといふは、 いちには正業しょうごうには助業じょごうなり。

トイフ↢二種↡者、一者正業、二者助業ナリ

・正業

^はじめの正業しょうごうは、 かみしゅのなかのだい称名しょうみょうをもつて正定しょうじょうごうとなす。 すなはちもん (散善義) に、 「一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが*せつごんはず念々ねんねんてざるもの、 これを正定しょうじょうごうづく。 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに」 といふこれなり。

正業者、以↢上五種之中第四称名↡為↢正定之業↡。即↧「一心ジテ↢弥陀名号↡、行住坐臥不↠問↢時節久近↡念々↠捨者、是↢正定之業↡。順ルガ↢彼↡故ニト↥」是也。

・助業

^つぎ助業じょごうは、 だいしょうのぞきてのほかの読誦どくじゅとうしゅをもつてしかも助業じょごうとなす。 すなはちもん (同) に、 「もし礼誦らいじゅとうによるをすなはちづけて助業じょごうとなす」 といふこれなり。

助業者、除キテ↢第四口称↡之外、以↢読誦等四種↡而↢助業↡。即↧「若ルヲ↢礼誦等↡即↦助業↥」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]料簡

 ^ひていはく、 なんがゆゑぞしゅのなかにひと*称名しょうみょう念仏ねんぶつをもつて正定しょうじょうごうとなすや。

、何五種之中↢称名念仏↡為↢正定↡乎。

^こたへていはく、 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに。 こころはいはく、 称名しょうみょう念仏ねんぶつはこれかのぶつ*本願ほんがんぎょうなり。 ゆゑにこれをしゅすれば、 かのぶつがんじょうじてかならずおうじょう そのぶつ本願ほんがん*しもいたりてるべし。

、順ルガ↢彼↡故。意、称名念仏是彼本願行也。故レバ↠之者、乗↢彼↡必↢往生↡也。其本願義、至↠下↠知

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)明雑行【五種雑行】
                  (イ)牒文略釈

 ^つぎぞうぎょうは、 すなはちもん (同) に、 「このしょうじょぎょうのぞきてのほかの自余じよ諸善しょぜんをことごとくぞうぎょうづく」 といふこれなり。 こころはいはく、 ぞうぎょうりょうなり、 *つぶさにぶるにいとまあらず。

雑行者、即↧「除テノ↢此正助二行↡已外自余諸善クト↢雑行↥」是也。意、雑行無量ナリ、不↠イトマアラ↢具ルニ↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)広釈
                    [一]標列

^ただしばらくしゅ正行しょうぎょう翻対ほんたいしてもつてしゅぞうぎょうかすべし。 いちには読誦どくじゅぞうぎょうには観察かんざつぞうぎょうさんには礼拝らいはいぞうぎょうには称名しょうみょうぞうぎょうには讃歎さんだんようぞうぎょうなり。

翻↢対五種正行↡以ベシ↢五種雑行↡也。一ニハ読誦雑行、二ニハ観察雑行、三ニハ礼拝雑行、四ニハ称名雑行、五ニハ讃歎供養雑行也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別明

・読誦雑行

^だいいち読誦どくじゅぞうぎょうといふは、 かみの ¬かんぎょう¼ とう*おうじょうじょうきょうのぞきてのほかのだい小乗しょうじょう顕密けんみつしょきょうにおいてじゅ読誦どくじゅするをことごとく読誦どくじゅぞうぎょうづく。

第一読誦雑行トイフ者、除テノ↢上¬観経¼等往生浄土↡已外、於↢大小乗顕密諸経↡受持読誦ルヲ↢読誦雑行↡。

・観察雑行

^だい観察かんざつぞうぎょうといふは、 かみ*極楽ごくらく*しょうのぞきてのほかの大小だいしょう顕密けんみつ*事理じり観行かんぎょうをみなことごとく観察かんざつぞうぎょうづく。

第二観察雑行トイフ者、除テノ↢上極楽依正↡已外、大小、顕密、事理観行皆悉↢観察雑行↡。

・礼拝雑行

^だいさん礼拝らいはいぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだ礼拝らいはいするをのぞきてのほかの一切いっさいしょぶつさつとうおよびもろもろの*てんとうにおいて礼拝らいはい*恭敬くぎょうするをことごとく礼拝らいはいぞうぎょうづく。

第三礼拝雑行トイフ者、除テノ↣上礼↢拝ルヲ弥陀↡已外、於↢一切諸余仏菩薩等世天等↡礼拝恭敬ルヲ↢礼拝雑行↡。

・称名雑行

^だい称名しょうみょうぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだみょうごうしょうするをのぞきてのほかの自余じよ一切いっさいぶつさつとうおよびもろもろのてんとうみょうごうしょうするをことごとく称名しょうみょうぞうぎょうづく。

第四称名雑行トイフ者、除テノ↣上ルヲ↢弥陀名号↡已外、称ルヲ↢自余一切仏菩薩等及世天等名号↡悉↢称名雑行↡。

・讃嘆供養雑行

^だい讃歎さんだんようぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだぶつのぞきてのほかの一切いっさいしょぶつさつとうおよびもろもろのてんとうにおいて讃歎さんだんようするをことごとく讃歎さんだんようぞうぎょうづく。

第五讃歎供養雑行トイフ者、除テノ↢上弥陀仏↡已外、於↢一切諸余仏菩薩等及世天等↡讃歎供養ルヲ↢讃歎供養雑行↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]摂余

^このほかまた*布施ふせ*かいとうりょうぎょうあり。 みな*ぞうぎょうごん摂尽しょうじんすべし。

外亦有↢布施・持戒等無量之行↡。皆可↣摂↢尽雑行之言↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)判二行得失【二行得失】
              (ⅰ)総標牒文

 ^つぎぎょう*得失とくしつはんぜば、 「もしさきしょうじょぎょうしゅすれば、 しんつねに ˆ弥陀みだぶつにˇ 親近しんごんして憶念おくねんえず、 づけてけんとなす。 もしのちぞうぎょうぎょうずるは、 すなはちしんつねに*間断けんだんす。 こうしてしょうずることをべしといへども、 おおぞうぎょうづく」 (散善義) と、 すなはちそのもんなり。

↢二行得失↡者、「若レバ↢前正助二行↡、心常親近憶念不↠断、名↢無間↡也。若ルハ↢後雑行↡、即心常間断。雖↠可シト↢廻向得↟生コトヲ、衆クト↢疎雑之行↡」、即文也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)広釈
                (a)標列

^このもんこころあんずるに、 しょうぞうぎょうにつきて*ばん相対そうたいあり。 いちにはしんたいには近遠ごんおんたいさんにはけんけんたいにはこうこうたいにはじゅんぞうたいなり。

ルニ↢此↡、↢正雑二行↡有↢五番相対↡。一ニハ親疎対、二ニハ近遠対、三ニハ有間無間対、四ニハ廻向不廻向対、五ニハ純雑対也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)親疎対

^だいいちしんたいといふは、 づ 「しん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものは弥陀みだぶつにおいてはなはだもつて*親昵しんじつとなす。 ゆゑに ¬しょ¼ (*定善義)かみもんにいはく、 「しゅじょうぎょうおこして*しんにつねにぶつしょうすれば、 ぶつすなはちこれをきこしめす。 につねにぶつ*らいきょうすれば、 ぶつすなはちしんにこれをたまふ。 しんつねにぶつねんずれば、 ぶつすなはちこれをりたまふ。 しゅじょうぶつ憶念おくねんすれば、 ぶつしゅじょう憶念おくねんしたまふ。 *彼此ひし*三業さんごうあひしゃせず。 ゆゑに親縁しんえんづく」 と。 つぎに 「」 といふはぞうぎょうなり。 しゅじょうぶつしょうせざれば、 ぶつすなはちこれをきたまはず。 ぶつらいせざれば、 ぶつすなはちこれをたまはず。 しんぶつねんぜざれば、 ぶつすなはちこれをりたまはず。 しゅじょうぶつ憶念おくねんせざれば、 ぶつしゅじょう憶念おくねんしたまはず。 彼此ひし三業さんごうつねにしゃす。 ゆゑにぎょうづく。

第一親疎対トイフ者、先トイフ者、修↢正助二行↡者↢阿弥陀仏親昵↡。故¬疏¼上、「衆生起↠行心口レバ↠仏、仏即シメス↠之。身礼↢敬レバ↡、仏即タマフ↠之↠心心常レバ↠仏、仏即タマフ↠之。衆生憶↢念レバ↡者、仏憶↢念タマフ衆生↡。彼此三業不↢相捨離↡。故↢親縁↡也。」次トイフ者雑行也。衆生不レバ↠称↠仏、仏即不↠聞タマハ↠之。身レバ↠礼↠仏、仏即不↠見タマハ↠之。心レバ↠念↠仏、仏即不↠知タマハ↠之。衆生不レバ↣憶↢念↡者、仏不↣憶↢念タマハ衆生↡。彼此三業捨離。故↢疎行↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)近遠対

^だいごんおんたいといふは、 づ 「ごん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものは弥陀みだぶつにおいてはなはだもつてちかちかしとなす。 ゆゑに ¬しょ¼ (定善義)かみもんにいはく、 「しゅじょうぶつんとがんずれば、 ぶつすなはちねんおうじてまえ現在げんざいしたまふ。 ゆゑに近縁ごんえんづく」 と。 つぎに 「おん」 といふはぞうぎょうなり。 しゅじょうぶつんとがんぜざれば、 ぶつすなはちねんおうぜず、 まえげんじたまはず。 ゆゑにおんづく。 ただし親近しんごんこれいちたりといへども、 善導ぜんどうこころわかちてとなす。 そのむね ¬しょ¼ (同)もんえたり。 ゆゑにいましゃくするところなり。

第二近遠対トイフ者、先トイフ者、修↢正助二行↡者↢阿弥陀仏↡甚↢隣↡。故¬疏¼上、「衆生願レバ↠見ムト↠仏、仏即↠念現↢在タマフ↡。故↢近縁↡也。」次トイフ者雑行也。衆生不レバ↠願↠見ムト↠仏、仏即不↠応↠念、不↠現タマハ↢目↡。故↠遠也。但親近是雖↠似タリト↠一、善導之意分チテ而為↠二。其旨見エタリ↢¬疏¼文↡。故今所↢引↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)無間有間対

^だいさんけんけんたいといふは、 づ 「けん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものは弥陀みだぶつにおいて憶念おくねん間断けんだんせず。 ゆゑに 「づけてけんとなす」 といふこれなり。 つぎに 「けん」 といふは、 ぞうぎょうしゅするものは弥陀みだぶつにおいて憶念おくねんつねに間断けんだんす。 ゆゑに 「しんつねに間断けんだんす」 といふこれなり。

第三無間有間対トイフ者、先無間トイフ者、修↢正助二行↡者弥陀仏↡憶念不↢間断↡。故↣「名↢無間↡」是也。次有間トイフ者、修↢雑行↡者弥陀仏↡憶念常間断。故↢「心常間断スト↡」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)不廻向廻向対

^だいこうこうたいといふは、 しょうじょぎょうしゅするものは、 たとひべつこうもちゐざれども*ねんおうじょうごうとなる。 ゆゑに ¬しょ¼ (*玄義分)かみもんにいはく、 「いまこの ¬かんぎょう¼ のなかの*じっしょうぶつしょうするは、 すなはちじゅうがん十行じゅうぎょうありてそくせり。 いかんがそくする。 ª*南無なもº といふはすなはちこれ*みょう、 またこれ*発願ほつがんこうなり。 ª*弥陀みだぶつº といふはすなはちこれそのぎょうなり。 このをもつてのゆゑにかならずおうじょう」 と。 つぎに 「こう」 といふは、 ぞうぎょうしゅするものは、 かならずこうもちゐるときおうじょういんとなる。 もしこうもちゐざるときにはおうじょういんとならず。 ゆゑに 「こうしてしょうずることをべしといへども」 といふこれなり。

第四不廻向廻向対トイフ者、修↢正助二行↡者、縦令ドモ↠用↢廻向↡自然↢往生↡。故¬疏¼上、「今此¬観経¼中十声称ルハ↠仏、即↢十願十行↡具足セリ。云何具足。言↢南無↡者即是帰命、亦是発願廻向之義ナリ。言↢阿弥陀仏↡者即是其ナリ。以↢斯↡故↢往生↡。」 廻向トイフ者、修↢雑行↡者、必↢廻向↡之時↢往生之因↡。若↠用↢廻向↡之時ニハ不↠成↢往生之因↡。故↠「雖モト↠可シト↢廻向得↟生コトヲ」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)純雑対
                    [一]正釈

^だいじゅんぞうたいといふは、 づ 「じゅん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものはもつぱらこれ極楽ごくらくぎょうなり。 つぎに 「ぞう」 といふは、 これもつぱら極楽ごくらくぎょうにあらず。 人天にんでんおよびさんじょうつうず、 また十方じっぽうじょうつうず。 ゆゑにぞうといふ。 ^しかれば*西方さいほうぎょうじゃすべからくぞうぎょうてて正行しょうぎょうしゅすべし。

第五純雑対トイフ者、先トイフ者、修↢正助二行↡者モハ是極楽之行也。次トイフ者、是モハ↢極楽之行↡。通↢於人天三乗↡、亦通↢於十方浄土↡。故↠雑也。然レバ者西方行者須↧捨テテ↢雑行↡修↦正行↥也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二]料簡
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 このじゅんぞう経論きょうろんのなかにおいてそのしょうありや。

、此純雑義、於↢経論↡有↢其証拠↡乎。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ]
                        [ⅰ]

^こたへていはく、 だい小乗しょうじょうきょうりつろんのなかにおいてじゅんぞうもんつること、 そのれいいちにあらず。

、於↢大小乗経・律・論之中↡立コト↢純雑二門↡、其例非↠一

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]
                          [a]内典
                            [イ]正挙
                              ª一º顕教
                                ªⅠº大乗

^だいじょうはすなはち*八蔵はちぞうのなかにおいてしかも雑蔵ぞうぞうつ。 まさにるべし、 七蔵しちぞうはこれじゅん一蔵いちぞうはこれぞうなり。

大乗↢八蔵之中↡而↢雑蔵↡。当↠知、七蔵是純、一蔵是雑ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡº小乗
                                  ªⅰº

^小乗しょうじょうはすなはち*ごんのなかにおいて雑含ぞうごんつ。 まさにるべし、 三含さんごんはこれじゅん一含いちごんはこれぞうなり。

小乗↢四含之中↡而立↢雑含↡。当↠知、三含是純、一含是雑ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡºªⅱº

^りつにはすなはち*じゅうけんててもつてかいぎょうかす。 そのなかにさきじゅうはこれじゅんのちいちぞうけんなり。

ニハテテ↢二十揵度↡以↢戒行↡。其十九是純、後揵度也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡºªⅲº

^ろん (*八犍度論) にはすなはちはちけんてて諸法しょほうしょうそうかす。 さきしちけんはこれじゅんのちいちはこれぞうけんなり。

ニハテテ↢八揵度↡明↢諸法性相↡。前揵度是純、後是雑揵度也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅢº賢聖集
                                  ªⅰº僧伝

^*げんじょうしゅうのなか、 とうそうりょうでんには*じっほうてて高僧こうそうぎょうとくかす。 そのなかにさきはこれじゅんのちいちはこれぞうなり。

賢聖集中、唐宋両伝ニハテテ↢十科↡明↢高僧行徳↡。其是純、後是雑科也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅢºªⅱº義章

^ない、 ¬*だいじょうしょう¼ に*じゅ法門ほうもんあり。 さきじゅはこれじゅんのちいちはこれ雑聚ぞうじゅなり。

乃至¬大乗義章¼有↢五聚法門↡。前四聚是純、後是雑聚也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª二º密教

^またけんぎょうのみにあらず。 みっきょうのなかにじゅんぞうほうあり。 いはく*さんの ¬*仏法ぶっぽうけちみゃく¼ にいはく、 いちには*胎蔵たいぞうかいまん陀羅だらけちみゃくしゅには*金剛こんごうかいまん陀羅だらけちみゃくしゅさんには*ぞうまん陀羅だらけちみゃくしゅさきしゅはこれじゅんのち一首いっしゅはこれぞうなり。

亦非↢顕教ノミニ↡。密教之中↢純雑法↡。謂山家¬仏法血脈¼云、一ニハ胎蔵界曼陀羅血脈譜一首、二ニハ金剛界曼陀羅血脈譜一首、三ニハ雑曼陀羅血脈譜一首。前二首是純、後一首是雑ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a](ロ)結示

^じゅんぞうおおしといへども、 いまりゃくして小分しょうぶんぐるのみ。 まさにるべし、 じゅんぞうほうしたがひて不定ふじょうなり。 これによりていま善導ぜんどうしょうこころ、 しばらくじょうぎょうにおいてじゅんぞうろんずるなり。

純雑之義雖↠多シト、今略↢小分↡而已。当↠知、純雑之義、随↠法不定ナリ。因↠茲今善導和尚意、且↢浄土↡論ズル↢純雑↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ](b)外典

^このじゅんぞう*内典ないてんのみにかぎらず、 *てんのなかにそのれいはなはだおおし。 しげきことをおそれていださず。

純雑義不↠局↢内典ノミニ↡、外典之中例甚。恐↠繁キコトヲ不↠出矣。

二 ⅱ Ⅱ b 決判
          (一)引例讃勧

^ただしおうじょうぎょうにおいてぎょうわかつこと、 善導ぜんどういっのみにかぎらず。 もしどうしゃくぜんこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもつかねてとなす。 いちにはいはく*念仏ねんぶつおうじょうにはいはくまんぎょうおうじょうなり。 もし*かんぜんこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもつかねてとなす。 いちにはいはく念仏ねんぶつおうじょうにはいはく*しょぎょうおうじょうなり。 しん (*源信) これにおなじ。 かくのごときのさん、 おのおのぎょうてておうじょうぎょうせっす。 はなはだそのむね

↢往生↡而分ツコト↢二行↡、不↠限↢善導一師ノミニ↡。若↢道綽禅師↡者、往生行雖↠多シトネテ而為↠二。一ニハ念仏往生、二ニハ万行往生ナリ。若↢懐感禅師↡、往生行雖↠多シトネテ而為↠二。一ニハ念仏往生、二ニハ諸行往生ナリ恵心同↠之キノ↠是三師、各テテ↢二行↢往生↡。甚得↢其↡。

二 ⅱ Ⅱ b ロ (二)斥他師

^*自余じよしょはしからず。 ぎょうじゃこれをおもふべし。

自余不↠然。行者応↠思↠之

二 ⅱ 挙礼讃
      引文
        正判得失
          (一)明専修得

 ^¬*おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくして、 *ひつみょうとなすものは、 じゅうはすなはちじゅうながらしょうじ、 ひゃくはすなはちひゃくながらしょうず。 なにをもつてのゆゑに。 *雑縁ぞうえんなくしょうねんるがゆゑに。 ぶつ*本願ほんがん相応そうおうするがゆゑに。 きょうせざるがゆゑに。 ぶつずいじゅんするがゆゑに。

¬往生礼讃¼云、「若↠上念々相続、畢命↠期、十ナガラ、百ナガラ。何。無↢外雑縁↡得ルガ↢正念↡故。与↢仏本願↡相応ルガ。不ルガ↠違↠教。随↢順ルガ仏語↡故

二 ⅱ Ⅲ a イ (二)明雑修失

^もし*せんてて*雑業ぞうごうしゅせんとほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれさんなにをもつてのゆゑに。 雑縁ぞうえん乱動らんどうしてしょうねんうしなふによるがゆゑに。 ぶつ本願ほんがん相応そうおうせざるがゆゑに。 きょうそうするがゆゑに。 ぶつじゅんぜざるがゆゑに。 *ねん相続そうぞくせざるがゆゑに。 *憶想おくそう間断けんだんするがゆゑに。 *がん*おんじゅう真実しんじつならざるがゆゑに。 *とん*しん諸見しょけん煩悩ぼんのうきたりて間断けんだんするがゆゑに。 *ざん*悔過けかあることなきがゆゑに。

↣捨テテ↠専ムト↢雑業↡者、百得↢一二↡、千得↢五三↡。何ルガ↣雑縁乱動シテフニ↢正念↡故。与↢仏本願↡不ルガ↢相応↡故。与↠教相違ルガ。不ルガ↠順↢仏語↡故。係念不ルガ↢相続↡故。憶想間断ルガ。廻願不ルガ↢慇重真実ナラ↡故。貪瞋諸見煩悩来間断ルガ。無キガ↠有コト↢慚愧悔過↡故

また相続そうぞくしてかのぶつおんほうぜんとおもはざるがゆゑに。 しん*きょうまんしょうじて、 ごうぎょうをなすといへどもつねに*みょう相応そうおうするがゆゑに。 *にんおのづからおおひて*どうぎょう*ぜんしき親近しんごんせざるがゆゑに。 ねがひて雑縁ぞうえんちかづきて、 おうじょう正行しょうぎょう*しょうしょうするがゆゑなり。

又不ルガ↢相続↟報ムト↢彼↡故。心ジテ↢軽慢↡、雖↠作スト↢業行↡常与↢名利↡相応ルガ。人我自ルガ↣親↢近同行善知識↡故。楽キテ↢雑縁↡、自↢障障↣他ルガ往生正行↡故ナリ

二 ⅱ Ⅲ a 対衆勧励
          (一)就見聞示

^なにをもつてのゆゑに。 、 このごろみづから諸方しょほう道俗どうぞく見聞けんもんするに、 *ぎょうどうなり、 *専雑せんぞうあり。 ただこころをもつぱらにしてなすものは、 じゅうはすなはちじゅうしょうず。 ぞうしゅしてしんいたさざるものは、 せんがなかにいちもなし。 このぎょう得失とくしつさきにすでにべんずるがごとし。

。餘比日コノゴロ見↢聞ルニ諸方道俗↡、解行不同ナリ、専雑有↠異。但使 タダ ニシテ↠意十生。修↠雑↠至↠心↠一。此二行得失、如↢前ルガ↡。

二 ⅱ Ⅲ a ロ (二)正勧励

^あおねがはくは一切いっさいおうじょうにんとう、 よくみづからおのれがのうりょうせよ。 今身こんじんにかのくにしょうぜんとがんぜば、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがにかならずすべからくしんはげまし、 おのれをこくしてちゅうはいすることなかるべし。 ひつみょうとなせ。 まさしくいちぎょうにありてしょう似如たれども、 前念ぜんねん命終みょうじゅうしてねんにすなはちかのくにしょうじて、 じょう永劫ようごうにつねに*無為むい諸楽しょらくく。 ないじょうぶつまでしょうず。 あにこころよきにあらずや。 るべし」 と。

クハ一切往生人等善思↢量↡。今身ゼバ↠生ムト↢彼↡者、行住坐臥↢励↠心↠己昼夜カル↟癈コト。畢命↠期↢一形似↢如タレドモ少苦↡、前念命終シテ後念↢彼↡、長時永劫↢無為諸楽↡。乃至成仏マデ不↠逕↢生死↡。豈↠快キニ哉。応シト↠知。」

二 ⅱ Ⅲ 私釈

 ^わたくしにいはく、 このもんるに、 いよいよすべからくぞうててせんしゅすべし。 あにひゃくそく百生ひゃくしょう専修せんじゅ正行しょうぎょうてて、 かた*せんちゅういち雑修ざっしゅぞうぎょうしゅうせんや。 ぎょうじゃよくこれをりょうせよ。

、見ルニ↢此↡、弥↢捨テテ↠雑↟専。豈テテ↢百即百生専修正行↡、堅↢千中無一雑修雑行↡乎。行者能思↢量↡。

【本願章】
    標章

【3】 ^弥陀みだ如来にょらいぎょうをもつておうじょう本願ほんがんとなさず、 ただ念仏ねんぶつをもつておうじょう本願ほんがんとなしたまへるもん

 弥陀如来不↧以↢余行↡為↦往生本願↥、唯以↢念仏↡為タマヘル↢往生本願↡之文

二 ⅲ 引文
      大経

 ^¬りょう寿じゅきょう¼ のじょうにのたまはく、 「たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょうしんいたしんぎょうして、 わがくにしょうぜんとほっして、 ないじゅうねんせんに、 もししょうぜずといはば、 しょうがくらじ」 (第十八願) と。

¬無量寿経¼上、「設我得タラムニ↠仏、十方衆生、至↠心信楽、欲↠生ムト↢我↡、乃至十念ムニ、若トイハバ↠生者、不↠取↢正覚↡。」

二 ⅲ Ⅱ 観念法門

 ^¬*観念かんねん法門ぼうもん¼ にかみもんきていはく、 「もしわれぶつにならんに、 十方じっぽうしゅじょう、 わがくにしょうぜんとがんじて、 わがみょうごうしょうすることしもじっしょういたらんに、 わが願力がんりきりて、 もししょうぜずは、 しょうがくらじ」 と。

¬観念法門¼引↢上↡云、「若我成ラムニ↠仏、十方衆生、願↠生ムト↢我↡、称コト↢我↡下至ムニ↢十声↡、乗↢我願力↡、若↠生者不↠取↢正覚↡。」

二 ⅲ Ⅱ 往生礼讃

 ^¬おうじょう礼讃らいさん¼ におなじきかみもんきていはく、 「ªもしわれぶつにならんに、 十方じっぽうしゅじょう、 わがみょうごうしょうすることしもじっしょういたるまで、 もししょうぜずは、 しょうがくらじº と。 かのぶついまげん*にましましてぶつになりたまへり。 まさにるべし、 本誓ほんぜい*じゅうがんむなしからず、 しゅじょうしょうねんすればかならずおうじょうすることを」 と。

¬往生礼讃¼同↢上↡云、「若我成ラムニ↠仏、十方衆生、称コト↢我名号↡下至マデ↢十声↡、若↠生者不↠取↢正覚↡。彼仏今現シテ↠世タマヘリ↠仏。当↠知、本誓重願不↠虚カラ、衆生称念レバ↢往生コトヲ↡。」

二 ⅲ 私釈
      挙別願選択相
        対総明別【総別二願】

 ^わたくしにいはく、 一切いっさい諸仏しょぶつおのおの*総別そうべつしゅがんあり。 「そう」 といふは*四弘しぐぜいがんこれなり。 「べつ」 といふは*しゃひゃく大願だいがん*やくじゅうじょうがんとうのごときこれなり。 いまこのじゅうはちがんはこれ弥陀みだ別願べつがんなり。

、一切諸仏各有↢総別二種之願↡。総トイフ者四弘誓願是也。別トイフ者如↢釈迦五百大願、薬師十二上願等↡是也。今此四十八願者是弥陀別願也。

二 ⅲ Ⅲ a 直釈
          (一)発願時処
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 弥陀みだ如来にょらい、 いづれのとき、 いづれのぶつみもとにしてかこのがんおこしたまへるや。

、弥陀如来於テカ↢何レノ時何レノ↡而発タマヘル↢此↡乎。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (一)(Ⅱ)引経答

^こたへていはく、 ¬寿じゅきょう¼ (*大経・上) にのたまはく、 「^ぶつ*なんげたまはく、 ª乃往ないおう過去かこおんりょう不可ふか思議しぎ*央数おうしゅこうに、 *じょうこう如来にょらいこうしゅつしたまひて、 りょうしゅじょう*きょう*だつして、 みなどうしめて、 すなはち*めつりたまへり。 つぎ如来にょらいまします、 づけて光遠こうおんといふ。  つぎしょづく。 かくのごとき諸仏しょぶつ じゅうさんぶつなり。 みなことごとくすでにぎて、

、¬寿経¼云、「仏告タマハク↢阿難↡、乃往過去久遠無量不可思議無央数劫定光如来興↢出タマヒテ於世↡、教↢化度↣脱無量衆生↡、皆令↠得↠道、乃タマヘリ↢滅度↡。次↢如来↡、名↢光遠↡。↢処世↡。如↠此諸仏 五十三仏也 皆悉

^そのときつぎぶつまします、 *世自せじ在王ざいおう如来にょらいづく。

↠仏、名↢世自在王如来↡。

^とき国王こくおうあり。 ぶつ説法せっぽうきてしん*えついだきて、 いで*じょうしょうしんどうこころおこし、 くにおうてて、 ぎょうじて*沙門しゃもんとなる。 なづけて*法蔵ほうぞうといふ。 *高才こうざい勇哲ゆうてつにして*ちょうせり。 世自せじ在王ざいおう如来にょらいみもともうでたまふ。

↢国王↡。聞↢仏説法↡心↢悦予↡、ギテ↢無上正真道↡、棄↠国テテ↠王、行↢沙門↡。ナヅケ↢法蔵↡。高才勇哲ニシテ与↠世超異セリ。詣タマフ↢世自在王如来↡。

^ここに世自せじ在王ざいおうぶつ、 すなはち ˆ法蔵ほうぞう比丘びくのˇ ためにひろひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつ*せつ人天にんでん善悪ぜんあくこく*みょうきて、 その心願しんがんおうじてことごとくこれをげんしたまふ。

世自在王仏、即↢二百一十億諸仏刹土人天之善悪、国土之麁妙↡、応↢其心願↡悉現↢与タマフ

^ときにかの比丘びくぶつ所説しょせつごんじょうこくき、 みなことごとく*けんして、 えてじょうしゅしょうがんおこす。 そのしん寂静じゃくじょうにして、 こころざししょじゃくなく、 一切いっさいけんによくおよぶものなし。 *こうそくしてしょうごん仏国ぶっこく清浄しょうじょうぎょうゆい*摂取せっしゅしきº と。

比丘聞↢仏所説厳浄国土↡、皆悉覩見、超↢無上殊勝之願↡。其心寂静ニシテ、志无↢所着↡、一切世間↢能者↡。具↢足五劫↡思↢惟摂↣取シキト荘厳仏国清浄之行↡。

^なんぶつにまうさく、 ªかのぶつこく寿じゅりょういくばくぞやº と。 ぶつののたまはく、 ªそのぶつ寿じゅみょうじゅうこうなり。 ときほうぞう比丘びくひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつみょう清浄しょうじょうぎょう摂取せっしゅしきº」 と。

阿難白↠仏、彼国土寿量幾何イクバクゾヤト。仏、其寿命四十二劫ナリ。時法蔵比丘摂↢取キト二百一十億諸仏妙土清浄之行↡。」

二 ⅲ Ⅲ a ロ (二)明選択義
            (Ⅰ)引異訳経

^¬*だい弥陀みだきょう¼ (上) にのたまはく、 「そのぶつ (世自在王仏) すなはちひゃくいちじゅうおくぶつこくちゅう諸天しょてん人民にんみん善悪ぜんあくこく好醜こうしゅせんじゃくす。 ˆ法蔵ほうぞう比丘びくの、ˇ しんちゅう所欲しょよくがんせんじゃくせんがためなり。 楼夷るいこうぶつ ここには世自せじ在王ざいおうぶつといふ。 きょうきをはりて、 どん摩迦まか ここには法蔵ほうぞうといふ。 すなはちそのしんいつにして、 すなはち天眼てんげんてっしてことごとくみづからひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつこくのなかの諸天しょてん人民にんみん善悪ぜんあくこく好醜こうしゅすなはちしんちゅう所願しょがんせんじゃくして、 すなはちこのじゅうがんきょう結得けっとくす」 と。 ¬*びょう等覚どうがくきょう¼ またこれにおなじ。

¬大阿弥陀経¼云、「其仏即選↢択二百一十億国土中諸天人民之善悪、国土之好醜ナリ↣選↢択ムガ心中所欲↡。楼夷亘羅仏 ニハ↢世自在王仏↠経、曇摩迦 ニハ↢法蔵 便ニシテ↢其↡、即得↢天眼↡、徹視見↢二百一十億諸仏国土諸天人民之善悪、国土之好醜↡、即選↢択心中所願↡、便結↢得スト二十四願経↡。」 ¬平等覚経¼亦復同↠之

二 ⅲ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)釈選択義【選択摂取】

 ^このなか、 *せんじゃく」 とはすなはちこれ取捨しゅしゃなり。 いはくひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつじょうのなかにおいて、 人天にんでんあく人天にんでんぜんり、 こくしゅうこくこうるなり。 ¬だい弥陀みだきょう¼ のせんじゃくかくのごとし。 ¬*双巻そうかんぎょう¼ (大経・上)こころまたせんじゃくあり。 いはく、 「ひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつみょう清浄しょうじょうぎょう摂取せっしゅす」 といふこれなり。 *せんじゃく摂取せっしゅとそのことばことなりといへども、 そのこころこれおなじ。 しかれば清浄しょうじょうぎょうてて、 清浄しょうじょうぎょうる。 かみてんにん善悪ぜんあくこく*みょう、 そのまたしかなり。 これにじゅんじてるべし。

中選択者即是取捨義也。謂↢二百一十億諸仏浄土↡、捨↢人天之悪↡取↢人天之善↡、捨↢国土之醜↡取↢国土之好↡也。¬大阿弥陀経¼選択義如↠是。¬双巻経¼意亦有↢選択義↡。謂↣「摂↢取スト二百一十億諸仏妙土清浄之行↡」是也。選択与↢摂取↡其言雖↠異リト、其意是同。然レバ者捨テテ↢不清浄↡、取↢清浄之行↡也。上天人之善悪、国土之麁妙、其義亦然ナリ。准↠之↠知

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)明選択相
            (Ⅰ)総明諸願相
              (ⅰ)就五願明
                (a)明前四願

^それじゅうはちがんやくして、 一往いちおうおのおのせんじゃく摂取せっしゅろんぜば、

↢四十八願↡、一往各↢選択摂取之義↡者、

・第一願

^だいいち*さん悪趣まくしゅがんは、 *けんするところのひゃくいちじゅうおくのなかにおいて、 あるいは*さん悪趣まくしゅあるこくあり。 あるいはさん悪趣まくしゅなきこくあり。 すなはちそのさん悪趣まくしゅあるあくこく選捨せんしゃして、 そのさん悪趣まくしゅなきぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第一無三悪趣願者、於所↢覩見↡之二百一十億↥、或↧有↢三悪趣↡之国土↥。或↧無↢三悪趣↡之国土↥。即選↧捨↢三悪趣↡麁悪国土↥、選↧取↢三悪趣↡善妙国土↥。故↢選↡也。

・第二願

^だい*きょう悪趣あくしゅがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいはたとひくにのなかに*さん悪道まくどうなしといへども、 そのくに人天にんでん寿いのちおわりてのちに、 そのくによりりてまたさん悪趣まくしゅかえあり。 あるいは悪道あくどうかえらざるあり。 すなはちその悪道あくどうかえあくこく選捨せんしゃして、 その悪道あくどうかえらざるぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第二不更悪趣願者、於↢彼諸仏↡、或↧縦↣国シト↢三悪道↡、其人天寿終之後、従↢其国↡去カヘ↢三悪趣↡之土↥。或↧不↠更↢悪↡之土↥。即選↧捨↢悪↡麁悪国土↥、選↧取↠更↢悪↡善妙↥。故↢選択↡也。

・第三願

^だいさん*悉皆しっかい金色こんじきがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいはいちのなかに*おうびゃくるい人天にんでんあるこくあり。 あるいはもつぱら黄金おうごんじきこくあり。 すなはちおうびゃくるいあくこく選捨せんしゃして、 黄金おうごん一色いっしきぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第三悉皆金色願者、於↢彼諸仏中↡、或↧一土之中↢黄白二類人天↡之国土↥。或モハ黄金色之国土↡。即選↢捨黄白二類麁悪国土↡、選↢取黄金一色善妙国土↡。故↢選択↡也。

・第四願

^だい*無有むう好醜こうしゅがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいは人天にんでんぎょうしき好醜こうしゅどうこくあり。 あるいはぎょうしき一類いちるいにして好醜こうしゅることなきこくあり。 すなはち好醜こうしゅどうあくこく選捨せんしゃして、 好醜こうしゅあることなきぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第四無有好醜願者、於↢彼諸仏中↡、或↢人天形色好醜不同之国土↡。或↧形色一類ニシテ↠有コト↢好醜↡之国土↥。即選↢捨好醜不同麁悪国土↡、選↧取↠有コト↢好醜↡善妙国土↥。故↢選択↡也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅰ)(b)明十八願

^ないだいじゅうはち*念仏ねんぶつおうじょうがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいは*布施ふせをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*かいをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*忍辱にんにくをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*しょうじんをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*ぜんじょうをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*般若はんにゃ *第一だいいちしんずるとうこれなり。 をもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*だいしんをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*六念ろくねんをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*きょうをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*じゅをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは*りゅう塔像とうぞう*飯食ぼんじき沙門しゃもんおよび*きょうよう父母ぶも*奉事ぶじちょうとう種々しゅじゅぎょうをもつておのおのおうじょうぎょうとなすこくとうあり。 あるいはもつぱらそのくにぶつみなしょうしておうじょうぎょうとなすあり。

乃至第十八念仏往生願者、於↢彼↡、或↢布施↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢持戒↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢忍辱↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢精進↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢禅定↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢般若↢第一義↡等是也↢往生↡之土↥。或↧以↢菩提心↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢六念↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢持経↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢持呪↡為↢往生↡之土↥。或↧以↢起立塔像、飯食沙門及以孝養父母、奉事師長等種々之行↡各↢往生↡之国土等↥。或↧専↢其↡為↢往生↡之土↥。

^かくのごとくいちぎょうをもつて一仏いちぶつはいすることは、 これしばらく*一往いちおうなり。 *再往さいおうこれをろんぜば、 そのじょうなり。 あるいは一仏いちぶつのなかに、 ぎょうをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはぶつのなかに、 いちぎょうをもつてつうじておうじょうぎょうとなすあり。 かくのごとくおうじょうぎょう種々しゅじゅどうなり。 つぶさにぶべからず。

↠此↢一行↡配コト↢一仏↡者、是且一往之義也。再往論↠之、其不定ナリ。或↧一仏、以↢多行↡為↢往生↡之土↥。或↧多仏、以↢一行↡通↢往生↡之土↥。如↠是往生行種々不同ナリ。不↠可↢具↡也。

^すなはちいまさき布施ふせかいないきょうよう父母ぶもとうしょぎょう選捨せんしゃして、 せんしょう仏号ぶつごう選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。 しばらくがんやくしてりゃくしてせんじゃくろんずること、 そのかくのごとし。

今選↢捨布施・持戒、乃至孝養父母等諸行↡、選↢取専称仏号↡。故↢選択↡也。且↢五↡略コト↢選択↡、其義如↠是

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)挙諸願行

^自余じよ諸願しょがんはこれにじゅんじてるべし。

自余諸願↠之↠知

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)別明生因
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 あまねく諸願しょがんやくしてあく選捨せんしゃぜんみょう選取せんしゅすること、 そのしかるべし。 なんがゆゑぞ、 だいじゅうはちがんに、 一切いっさいしょぎょう選捨せんしゃして、 ただひとへに念仏ねんぶついちぎょう選取せんしゅしておうじょう本願ほんがんとなしたまふや。

、普↢諸願↡選↢捨麁悪↡選↢取コト善妙↡、其理可↠然。何第十八、選↢捨一切諸行↡、唯偏選↢取念仏一行↡為タマフ↢往生本願↡乎。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)標二義

^こたへていはく、 *しょうはかりがたし。 たやすくすることあたはず。 しかりといへどもいまこころみにをもつてこれをせば、 いちにはしょうれつにはなんなり

、聖意難↠測。不↠能タヤスコト↡。雖↠然リト今試↢二↡解↠之、一者勝劣義、二者難易ナリ

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)釈二義
                  (イ)【勝劣義】
                    [一]

^はじめのしょうれつとは、 念仏ねんぶつはこれしょうぎょうはこれれつなり。

勝劣者、念仏是勝、余行是劣ナリ

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]

^所以ゆえんはいかんとならば、 みょうごうはこれ*万徳まんどくするところなり。 しかればすなはち弥陀みだ一仏いちぶつのあらゆる*四智しち*三身さんしん*じゅうりき*無畏むいとう一切いっさい*ないしょうどく*相好そうごう*こうみょう説法せっぽう*しょうとう一切いっさい*ゆうどく、 みなことごとく弥陀みだぶつみょうごうのなかにしょうざいせり。 ゆゑにみょうごうどくもつともしょうとなす。 ぎょうはしからず。 おのおの一隅いちぐうまもる。 ここをもつてれつとなす。 たとへばけん屋舎おくしゃの、 その屋舎おくしゃみょうのなかにはとう*りょう*てんちゅうとう一切いっさい家具けぐせっせり。 とうりょうとう一々いちいちみょうのなかには一切いっさいせっすることあたはざるがごとし。 これをもつてるべし。

所以者何ントナラバ、名是万徳之所↠帰スル也。然弥陀一仏所有四智・三身・十力・四無畏等一切内証功徳、相好・光明・説法・利生等一切外用功徳、皆悉摂↢在セリ阿弥陀名号之中↡。故名号功徳最↠勝也。余行不↠然。各↢一隅↡。是↠劣也。譬↧世間屋舎屋舎名字之中ニハセリ↢棟ハリウツハリ タルキ ハシラ一切家具棟梁等一々名字ニハルガ↞能↠摂コト↢一切↡。以↠之↠知

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]

^しかればすなはちぶつみょうごうどく一切いっさいどくすぐれたり。 ゆゑにれつててしょうりてもつて本願ほんがんとなしたまへるか。

名号功徳勝レタリ↢余一切功徳↡。故テテ↠劣↠勝タマヘル↢本願↡歟。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【難易義】
                    [一]

^つぎなんとは、 念仏ねんぶつしゅしやすし、 しょぎょうしゅしがたし。

難易者、念↠修、諸行↠修

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]引文証
                      [Ⅰ]礼讃

^このゆゑに ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「ひていはく、 なんがゆゑぞ、 かんをなさしめずしてただちにもつぱらみょうしょうせしむるは、 なんのこころかあるや。 こたへていはく、 すなはちしゅじょうさわりおもく、 *きょうほそしんあらし。 *しきあがたましいびて、 かんじょうじゅしがたきによるなり。 ここをもつてだいしょう (釈尊) れんして、 ただちにもつぱらみょうしょうせよとすすめたまふ。 まさしく称名しょうみょうやすきによるがゆゑに、 相続そうぞくしてすなはちしょうず」 と。

¬往生礼讃¼云、「問、何シテ↠令↠作↠観ムル↣専↢名字↡者、有↢何↡也。答、乃↣衆生障重、境アガリタマシヒ、観難キニ↢成就↡也。是大聖悲憐、直タマフ↣専ヨト↢名字↡。正ルガ↢称名キニ↡故、相続ズト。」已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]要集

^また ¬*おうじょうようしゅう¼ (下) に、 「ひていはく、 一切いっさい善業ぜんごうおのおのやくあり、 おのおのおうじょう。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや。 こたへていはく、 いま念仏ねんぶつすすむることは、 これ種々しゅじゅ妙行みょうぎょう*しゃせんとにはあらず。 ただこれ男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざが*えらばず、 *しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんたるは念仏ねんぶつにしかざればなり」 と。

又¬往生要集¼「問、一切善業各↢利益↡、各得↢往生唯勧ルヤ↢念仏一門↡。答、今勧コトハ↢念仏↡、非↣是遮ムトニハ↢余種々妙行↡。只是男女貴賎、不↠簡↢行住坐臥↡、不↠論↢時処諸縁↡、修ルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求ルニ往生↡、得タルハ↢其便宜↡不レバナリト↠如↢念仏↡。」已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]釈其義
                      [Ⅰ]総示

^ゆゑにりぬ、 念仏ねんぶつやすきがゆゑに一切いっさいつうず。 しょぎょうかたきがゆゑにしょつうぜず。 しかればすなはち一切いっさいしゅじょうをしてびょうどうおうじょうせしめんがために、 なんりて、 本願ほんがんとなしたまへるか。

、念仏キガ↢於一切↡。諸行キガ不↠通↢諸機↡。然↠令メムガ↢一切衆生ヲシテ平等往生↡、捨↠難↠易、為タマヘル↢本願↡歟。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]別示

^もしそれ*造像ぞうぞうとうをもつて本願ほんがんとなさば、 *びん困乏こんぼうたぐいはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかも富貴ふきのものはすくなく、 貧賎びんせんのものははなはだおおし。 もし智慧ちえ高才こうざいをもつて本願ほんがんとなさば、 *どん下智げちのものはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかも智慧ちえのものはすくなく、 愚痴ぐちのものははなはだおおし。 もし*もんけんをもつて本願ほんがんとなさば、 しょうもんしょうけんともがらはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかももんのものはすくなく、 しょうもんのものははなはだおおし。 もし*かいりつをもつて本願ほんがんとなさば、 かいかいひとはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかもかいのものはすくなく、 かいのものははなはだおおし。 自余じよしょぎょうこれにじゅんじてるべし。 まさにるべし、 かみしょぎょうとうをもつて本願ほんがんとなさば、 おうじょうるものはすくなく、 おうじょうせざるものはおおからん。

↢造像起塔↡而為↢本願者貧窮困タム↢往生↡。然富貴貧賎。若↢智慧高才↡而為↢本願↡者、愚鈍下智タム↢往生↡。然愚痴。若↢多聞多見↡而為↢本願↡者、少聞少見タム↢往生↡。然多聞少聞。若↢持戒持律↡而為↢本願↡者、破戒無戒タム↢往生↡。然持戒破戒。自余諸行准↠之↠知。当↠知、以↢上諸行等↡而為↢本願↡者、得↢往生↡者↢往生↡者カラム

しかればすなはち弥陀みだ如来にょらい法蔵ほうぞう比丘びくむかしびょうどう慈悲じひもよおされて、 あまねく一切いっさいせっせんがために、 造像ぞうぞうとうとうしょぎょうをもつておうじょう本願ほんがんとなしたまはず。 ただ称名しょうみょう念仏ねんぶついちぎょうをもつてその本願ほんがんとなしたまへり。

弥陀如来、法蔵比丘之昔被↠催↢平等慈悲↡、普↠摂セムガ↢於一切↡、不↧以↢造像起塔等諸行↡為タマハ↦往生本願↥。唯以↢称名念仏一行↡為タマヘ↢其本願↡也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅲ]引文結示

^ゆゑに*ほっしょうぜんの ¬*五会ごえほうさん¼ にいはく、

かのぶつ*いんちゅう*ぜいてたまへり。 きてわれをねんぜばすべて*むかへにきたらん。

びん富貴ふきとをえらばず、 下智げち高才こうざいとをえらばず、

もんにしてじょうかいたもつをえらばず、 かいにして罪根ざいこんふかきをもえらばず。

ただしんして*おお念仏ねんぶつせば、 よく*りゃくをしてへんじてこがねとなさしめん」 と。

法照禅師¬五会法事讃¼

「彼因中タマヘリ↢弘誓↠名↠我ヘニラム
不↠簡↣貧窮↢富貴↡不↠簡↣下智↢高才↡
不↠簡↣多聞ニシテツヲ↢浄戒不↠簡↢破戒ニシテ罪根キヲモ
但使 タダ ↠心念仏セバメムト↢瓦礫ヲシテ↟金

二 ⅲ Ⅲ 決本願成不
       

 ^ひていはく、 一切いっさいさつはそのがんつといへども、 あるいはじょうじゅあり、 またじょうじゅあり。 いぶかし、 法蔵ほうぞうさつじゅうはちがんはすでにじょうじゅすとやなさん、 はたじょうじゅとやなさん。

、一切菩薩↠立ツト↢其↡、或↢已成就↡、亦有未成就↡。未審イブカシ、法蔵菩薩四十八願↢成就ストヤ↡、ハタ↢未成就トヤ↡也。

二 ⅲ Ⅲ b 答【誓願成就】
          (一)総答

^こたへていはく、 法蔵ほうぞう誓願せいがん一々いちいちじょうじゅす。

、法蔵誓願、一々成就

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)別答
            (Ⅰ)明三願成就

・第一願成就

^いかんとならば、 極楽ごくらくかいのなかにすでにさん悪趣まくしゅなし。 まさにるべし、 これすなはちさん悪趣まくしゅがん (第一願)じょうじゅするなり。 なにをもつてかることをる。 すなはちがんじょうじゅもん (大経・上) に、 「また*ごく*餓鬼がき*ちくしょう諸難しょなんしゅなし」 といふこれなり。

トナラバ者、極楽界↢三悪趣↡。当↠知、是即成↢就無三悪趣之願↡也。テカ↠知コトヲ。即願成就↣「亦無シト↢地獄・餓鬼・畜生、諸難之趣↡」是也。

・第二願成就

^またかのくに人天にんでん寿いのちおわりてのちに、 さん悪趣まくしゅかえることなし。 まさにるべし、 これすなはちきょう悪趣あくしゅがん (第二願)じょうじゅするなり。 なにをもつてかることをる。 すなはちがんじょうじゅもん (大経・下) に、 「またかのさつないじょうぶつまで悪趣あくしゅかえらず」 といふこれなり。

又彼人天寿終之後、無カヘルコト↢三悪趣↡。当↠知、是成↢就不更悪趣之願↡也。以テカ↠何↠知コトヲ。即願成就↢「又彼菩薩、乃至成仏マデ↟更↢悪趣↡」是也。

・第二十一願成就

^また極楽ごくらく人天にんでんすでにもつて一人いちにんとして*さんじゅうそうせずといふことあることなし。 まさにるべし、 これすなはち*さんじゅうそうがん (第二十一願)じょうじゅするなり。 なにをもつてかることをる。 すなはちがんじょうじゅもん (大経・下) に、 「かのくにうまるるものは、 みなことごとくさんじゅうそうそくす」 といふこれなり。

又極楽人天既↠有コト↢一人トシテトイフコト↟具↢三十二相↡。当↠知、是成↢就具三十二相↡也。以テカ↠何↠知コトヲ。即願成就「生ルル↢彼↡者、皆悉具↦足スト三十二相↥」是也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)別明生因成就
              (ⅰ)例余推知

^かくのごとくはじさん悪趣まくしゅがん (第一願) よりおわ*とくさん法忍ぼうにんがん (第四十八願)いたるまで、 一々いちいち誓願せいがんみなもつてじょうじゅす。 だいじゅうはち念仏ねんぶつおうじょうがん、 あにひとりもつてじょうじゅせざらんや。 しかればすなはち念仏ねんぶつひとみなもつておうじょうす。

↠是↢無三悪趣願↡終マデ↢得三法忍↡、一一誓願皆以成就。第十八念仏往生願、豈ラム↢成就↡乎。然念仏之人皆以往生

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)挙成就文

^なにをもつてかることをる。 すなはち念仏ねんぶつおうじょうがんじょうじゅもん (大経・下) に、 「*もろもろのしゅじょうありて、 そのみょうごうきて信心しんじんかんして、 ない一念いちねんしんいたしてこうしてかのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょう退転たいてんじゅうす」 といふこれなり。

テカ↠何↠知コトヲ。即念仏往生願成就↧「諸↢衆生↡、聞↢其名号↡信心歓喜、乃至一念至↠心廻向レバ↠生ムト↢彼↡、即↢往生↡住スト↦不退転↥」是也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)就土況釈

^おほよそじゅうはちがんしょうごんじょうは、 華池けち宝閣ほうかく願力がんりきにあらずといふことなし。 なんぞそのなかにおいてひと念仏ねんぶつおうじょうがんわくすべきや。

四十八願荘厳浄土花池・宝閣無↠非ズトイフコト↢願力↡。何↢其↡独↣疑↢惑念仏往生↡乎。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)就仏比証

^しかのみならず一々いちいちがんおわりに、 「もししからずは、 しょうがくらじ」 といふ。 しかも弥陀みだぶつぶつになりたまひてよりこのかたいまに十劫じっこうじょうぶつちかいすでにもつてじょうじゅせり。 まさにるべし、 一々いちいちがん*せつすべからず。 ゆゑに善導ぜんどういはく (礼讃)、 「かのぶついまげん*にましましてぶつになりたまへり。 まさにるべし、 本誓ほんぜい*じゅうがんむなしからず、 しゅじょうしょうねんすればかならずおうじょう」 と。

加之シカノミナラズ一々↢「若↠爾者不↟取↢正覚↡」。而阿弥陀仏成タマヒテヨリ↠仏已来於↠今十劫、成仏之誓既成就セリ。当↠知、一々之願不↠可↢虚設↡。故善導云、「彼仏今現シテ↠世タマヘリ↠仏。当↠知、本誓重願不↠虚カラ、衆生称念レバ↢往生↡。」已上

二 ⅲ Ⅲ 釈願文
        正釈
          (一)釈十念
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 ¬きょう¼ (大経・上) には 「じゅうねん」 といふ、 ˆ善導ぜんどうのˇ *しゃくには 「じっしょう」 といふ。 ねんしょういかん。

、¬経ニハ¼云↢「十念」↡、釈ニハ↢「十声」↡。念声之義如何

二 ⅲ Ⅲ c イ (一)(Ⅱ)答【念声是一】

^こたへていはく、 *ねんしょうこれいちなり。 なにをもつてかることをる。 ¬かんぎょう¼ のぼんしょうにのたまはく、 「こえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくして、 ª南無なも弥陀みだぶつº としょうせば、 ぶつみなしょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいてはちじゅう億劫おくこうしょうつみのぞく」 と。 いまこのもんによるに、 しょうはこれねんなり、 ねんはすなはちこれしょうなり。 そのこころあきらけし。

、念声是一ナリ。何テカ↠知コトヲ。¬観経¼下品下生、「令↢声ヲシテ↟絶、具↢足十念↡、称セバ↢南無阿弥陀仏↡、称ルガ↢仏↡故、於↢念々↡除クト↢八十億劫生死之罪↡。」今依ルニ↢此↡、是念ナリ、念是声ナリ。其意明ケシ矣。

^しかのみならず ¬*だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ にのたまはく、 「大念だいねんだいぶつしょうねんしょうぶつる」 と。 かん (*懐感) の ¬しゃく¼ (*群疑論) にいはく、 「大念だいねんといふはだいしょうぶつねんじ、 しょうねんといふは小声しょうしょうぶつねんずるなり」 と。 ゆゑにりぬ、 ねんはすなはちこれしょうなりと。

加之シカノミナラズ¬大集月蔵経¼云、「大念見↢大仏↡、小念ルト↢小仏↡。」感師¬釈¼、「大念トイフ者大声↠仏、小念トイフ小声ルナリト↠仏。」故、念是唱也

二 ⅲ Ⅲ c イ (二)釈乃至
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 ¬きょう¼ (大経・上) には 「ない」 といひ、 ˆ善導ぜんどうのˇ しゃくには 「下至げし」 といふ。 そのこころいかん。

、¬経ニハ¼云↢「乃至」↡、釈ニハ↢「下至」↡。其意如何

二 ⅲ Ⅲ c イ (二)(Ⅱ)答【乃下合釈】

^こたへていはく、 ない下至げしとそのこころこれいちなり。 ¬きょう¼ に 「ない」 といふは、 よりしょうかふことばなり。 といふはかみいちぎょうつくすなり。 しょうといふはしもじっしょういっしょうとういたるなり。 しゃくに 「下至げし」 といふは、 とはじょうたいすることばなり。 とはしもじっしょういっしょうとういたるなり。 じょうとはかみいちぎょうつくすなり。

、乃至与↢下至↡意是一ナリ。¬経¼云↢「乃至」↡者、従↠多向↠少之言也。多トイフ者上尽↢一形↡也。少トイフ者下至↢十声・一声等↡也。釈↢「下至」↡者、下者対↠上之言也。下者下至↢十声・一声等↡也。上者上尽↢一形↡也。

^じょう相対そうたいもんそのれいおおしといへども、 *宿命しゅくみょうつうがん (第五願) にのたまはく (大経・上)、 「たとひわれぶつたらんに、 くにのうちの人天にんでん宿命しゅくみょうらずして、 しもひゃく千億せんおく那由他なゆた諸劫しょこうらざるにいたるといはば、 しょうがくらじ」 と。 かくのごとく*神通じんずうおよびこうみょう寿じゅみょうとうがんのなかに、 一々いちいちに 「下至げし」 のことばく。 これすなはちよりしょういたり、 をもつてじょうたいするなり。

上下相対之文其↠多シト、宿命通、「設我得タラムニ↠仏、国人天不シテ↠識↢宿命↡、下至ルトイハバ↠不ルニ↠知↢百千億那由他諸劫↡者、不↠取↢正覚↡。」如↠是五神通及以光明・寿命等、一々↢「下至」之言↡。是則↠多至↠少、以↠下↠上之義也。

^かみ八種はっしゅがんれいするに、 いまこのがんの 「ない」 はすなはちこれ下至げしなり。 このゆゑにいま善導ぜんどういんしゃくするところの 「下至げし」 のことば、 そのこころそうせず。

ルニ↢上八種之願↡、今此「乃至」者即是下至也。是今善導↢引釈↡「下至」之言、其意不↢相違↡。

二 ⅲ Ⅲ c 因定願名

^ただし善導ぜんどうしょとそのこころどうなり。 *しょしゃくにはべっしてじゅうねんおうじょうがん (第十八願) といふ。 善導ぜんどうひとそうじて念仏ねんぶつおうじょうがんといへり。 しょべっしてじゅうねんおうじょうがんといふは、 そのこころすなはちあまねからず。 しかる所以ゆえんは、 かみいちぎょうて、 しも一念いちねんつるゆゑなり。 善導ぜんどうそうじて念仏ねんぶつおうじょうがんといふは、 そのこころすなはちあまねし。 しかる所以ゆえんは、 かみいちぎょうり、 しも一念いちねんるゆゑなり。

与↢諸師↡其意不同ナリ。諸師之釈ニハ↢十念往↡。善導独↢念仏往↡。諸師↢十念往生↡者、其意即不↠周カラ也。所↢以然↡者、上捨↢一形↡、下捨ツル↢一念↡之故也。善導↢念仏往生↡者、其意即也。所↢以然↡者、上取↢一形↡、下取↢一念↡之故也。

【三輩章】
    標章

【4】 ^*三輩さんぱい念仏ねんぶつおうじょうもん

 三輩念仏往生之文

二 ⅳ 引文
      総標

 ^ぶつなんげたまはく、 ª十方じっぽうかい諸天しょてん人民にんみん、 それしんいたしかのくにしょうぜんとがんずることあるに、 おほよそ三輩さんぱいあり。

「仏告タマハク↢阿難↡、十方世界諸天人民、其ルニ↢至↠心コト↟生ムト↢彼↡、凡↢三輩↡。

二 ⅳ Ⅱ 別説
        上輩

^そのじょうはいは、 いえよくてしかも沙門しゃもんとなりて、 だいしんおこして*一向いっこうにもつぱら*りょう寿じゅぶつねんじ、 もろもろのどくしゅしてかのくにうまれんとねがふ。 これらのしゅじょうは、 寿いのちおわときのぞみて、 りょう寿じゅぶつ、 もろもろの大衆だいしゅとそのひとまえげんじて、 すなはちかのぶつしたがひてそのくにおうじょうして、 すなはち*七宝しっぽうはなのなかにおいてねん*しょうして*退転たいてんじゅうす。 智慧ちえゆうみょう神通じんずうざいなり。

上輩者、捨↠家↠欲↢沙門↡、発↢菩提心↡一向↢無量寿仏↡、修↢諸功徳↡願↠生ムト↢彼↡。此等衆生↢寿終↡、無量寿仏与↢諸大衆↡現↢其↡、即↢彼↡往↢生↡、便↢七宝↡自然化生↢不退転↡。智慧勇猛、神通自在ナリ

^このゆゑになん、 それしゅじょうありてこんおいてりょう寿じゅぶつたてまつらんとおもはば、 *じょうだいしんおこし、 どくしゅぎょうしかのくにしょうぜんとがんずべしº と。

阿難、其↢衆生↡欲↧於↢今世↡見マツラムト↦無量寿仏↥、応シト↧発↢無上菩提之心↡、修↢行功徳↡願↞生ムト↢彼↡。

二 ⅳ Ⅱ b 中輩

 ^ぶつなんかたりたまはく、 ªそのちゅうはいは、 十方じっぽうかい諸天しょてん人民にんみん、 それしんいたしてかのくにしょうぜんとがんずることあるに、 ぎょうじて沙門しゃもんとなることあたはずといへども、 おおきにどくしゅし、 まさにじょうだいしんおこして、 一向いっこうにもつぱらりょう寿じゅぶつねんじ、 しょうぜんしゅし、 *斎戒さいかい奉持ぶじし、 *塔像とうぞうりゅうし、 沙門しゃもん飯食ぼんじきせしめ、 *ぞうけ、 とうともし、 さんじ、 こうき、 これをもつてこうしてかのくにしょうぜんとがんずべし。 そのひとおわりにのぞみて、 りょう寿じゅぶつそのしんげんして、 *こうみょう*相好そうごうつぶさに真仏しんぶつのごとし。 もろもろの大衆だいしゅとそのひとまえげんじたまふ。 すなはちぶつしたがひてそのくにおうじょうして、 退転たいてんじゅうす。 どく智慧ちえいでじょうはいのもののごとしº と。

タマハク↢阿難↡、其中輩者、十方世界諸天人民、其ルニ↢至シテ↠心コト↟生ムト↢彼↡、雖↠不↠能↣行ジテコト↢沙門↡、大↢功徳↡、当↧発↢無上菩提之心↡、一向↢無量寿仏↡、多少修↠善、奉↢持斎戒↡、起↢立塔像↡、飯↢食シメ沙門↡、懸↠繒↠灯、散↠華↠香、以↠此廻向↞生ムト↢彼↡。其人臨↠終、無量寿仏化↢現↡、光明相好具↢真仏↡。与↢諸大衆↡現タマフ↢其↡。即↢化仏↡往↢生↡、住↢不退転↡。功徳智慧次イデシト↢上輩↡也。

二 ⅳ Ⅱ b 下輩

 ^ぶつなんげたまはく、 ªそのはいは、 十方じっぽうかい諸天しょてん人民にんみん、 それしんいたしてかのくにしょうぜんとほっすることあるに、 たとひもろもろのどくをなすことあたはずとも、 まさにじょうだいしんおこして、 一向いっこうこころをもつぱらにして、 ないじゅうねんりょう寿じゅぶつねんじて、 そのくにしょうぜんとがんずべし。 もし深法じんぽうかんしんぎょうして、 わくしょうぜず、 ない一念いちねんかのぶつねんじ、 じょうしんをもつてそのくにしょうぜんとがんず。 このひとおわりにのぞみて、 *ゆめにかのぶつて、 またおうじょうすることをどく智慧ちえいでちゅうはいのもののごとしº」 (大経・下) と。

仏告タマハク↢阿難↡、其下輩者、十方世界諸天人民、其ルニ↢至シテ↠心コト↟生ムト↢彼↡、仮使トモ↠能↠作コト↢諸功徳↡、当↧発↢無上菩提之心↡、一向ニシテ↠意、乃至十念念↢无量寿仏↡、願↞生ムト↢其↡。若↢深法↡歓喜信楽不↠生↢疑惑↡、乃至一念念↢於彼↡、以↢至誠心↡願↠生ムト↢其↡。此人臨↠終、夢↢彼↡、亦得↢往生コトヲ↡。功徳智慧次イデシト↢中輩↡也。」

二 ⅳ 私釈
      示三輩念仏
        総明
          (一)

 ^わたくしにひていはく、 じょうはいもんのなかに、 念仏ねんぶつのほかにまたしゃよくとうぎょうありちゅうはいもんのなかに、 また*りゅう塔像とうぞうとうぎょうあり。 はいもんのなかに、 まただいしんとうぎょうあり。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつおうじょうといふや。

、上輩、念仏之外亦有↢捨家棄欲等余行↡。中輩、亦有↢起立塔像等余行↡。下輩、亦有↢菩提心等余行↡。何唯云↢念仏往生↡乎。

二 ⅳ Ⅲ a イ (二)

^こたへていはく、 善導ぜんどうしょうの ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「またこの ¬きょう¼ (大経)かんはじめにのたまはく、 ªぶつ (釈尊)一切いっさいしゅじょう*こんじょうどうきたまふに、 *じょうちゅうあり。 そのこんじょうしたがひて、 ぶつ、 みなもつぱらりょう寿じゅぶつみなねんぜよとすすめたまふ。 そのひといのちおわらんとほっするときぶつ (阿弥陀仏)しょうじゅとみづからきたりて*こうしょうしたまひて、 ことごとくおうじょうしめたまふº」 と。 このしゃくこころによるに、 三輩さんぱいともに念仏ねんぶつおうじょうといふ。

、善導和尚¬観念法門¼云、「又此¬経¼下巻、仏説タマフニ↢一切衆生根性不同↡、有↢上中下↡。随↢其根性↡、仏皆勧タマフ↣専ゼヨト↢無量寿仏↡。其人命欲↠終ムト時、仏与↢聖衆↡自迎接タマヒテ、尽シメタマフト↢往生↡。」依ルニ↢此↡、三輩共↢念仏往生↡也。

二 ⅳ Ⅲ a 別具釈
          (一)

 ^ひていはく、 このしゃくいまださきなんしゃせず。 なんぞぎょうててただ念仏ねんぶつといふや。

、此釈未↠遮↢前↡。何テテ↢余行↡唯云↢念仏↡乎。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)
            (Ⅰ)正示三義
              (ⅰ)総標

^こたへていはく、 これにさんこころあり。 いちにはしょぎょうはいして念仏ねんぶつせしめんがためにしかもしょぎょうく。 には念仏ねんぶつじょじょうせんがためにしかもしょぎょうく。 さんには念仏ねんぶつしょぎょうもんやくして、 おのおの三品さんぼんてんがためにしかもしょぎょうく。

↢三意↡。一ニハ↧癈↢諸行↡帰シメムガ↦於念仏↥而↢諸行↡也。二ニハ↣助↢成ムガ念仏↡而↢諸行↡也。三ニハ↢念仏・諸行二門↡、各↠立ムガ↢三品↡而↢諸行↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)別釈
                (a)【廃立】
                  (イ)

 ^いちに、 しょぎょうはいして念仏ねんぶつせしめんがためにしかもしょぎょうくといふは、

↧廃↢諸行↡帰シメムガ↦於念仏↥而クトイフ↢諸行↡者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)
                    [一]引証述義

^善導ぜんどうの ¬かんぎょうしょ¼ (散善義) のなかに、 「かみよりこのかた*じょうさんりょうもんやくくといへども、 *ぶつ本願ほんがんのぞむるに、 こころしゅじょうをして*一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり」 といふしゃくこころじゅんじて、 しばらくこれをせば、 じょうはいのなかにだいしんとうぎょうくといへども、 かみ本願ほんがん (第十八願)のぞむるに、 こころただしゅじょうをしてもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり。 しかるに本願ほんがんのなかにさらにぎょうなし。 三輩さんぱいともにかみ本願ほんがんによるがゆゑに、 「*一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつ(大経・下) といふ。

ジテ↫善導¬観経疏¼、「上ヨリコノカ↠説クト↢定散両門之益↡、望ルニ↢仏本願↡、意在リト衆生ヲシテ一向シムルニ↩弥陀仏↨」之釈↬、且セバ↠之者、上輩之中↠説クト↢菩提心等余行↡、望ルニ↢上本願↡、意唯在↣衆生ヲシテシムルニ↢弥陀↡。而ルニ本願↢余行↡。三輩共ルガ↢上本願↡故、云↢「一向専念無量寿仏」↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]約一向言

^一向いっこう」 はこう三向さんこうとうたいすることばなり。

「一向」者対↢二向三向等↡之言也。

^れいするに*かのじく (印度)さんあるがごとし。 いち一向いっこうだいじょう、 このてらのなかには小乗しょうじょうがくすることなし。 一向いっこう小乗しょうじょう、 このてらのなかにはだいじょうがくすることなし。 さんだいしょうけんぎょう、 このてらのなかにはだいしょうがくす。 ゆゑにけんぎょうといふ。 まさにるべし、 だいしょうりょうには一向いっこうことばあり。 けんぎょうてらには一向いっこうことばなし。

ルニ↣彼五竺ルガ三寺↡。一者一向大乗寺、此寺之中ニハ↠学コト↢小乗↡。二者一向小乗寺、此寺之中ニハ↠学コト↢大乗↡。三者大小兼行寺、此寺之中ニハ大小兼。故↢兼行寺↡。当↠知、大小両寺ニハ↢一向言↡。兼行之寺ニハ↢一向言↡。

^いまこの ¬きょう¼ (大経・下) のなかの一向いっこうもまたしかなり。 もし念仏ねんぶつのほかにまたぎょうくわへば、 すなはち一向いっこうにあらず。 もしてらじゅんぜばけんぎょうといふべし。 すでに一向いっこうといふ、 ねざることあきらけし。 すでにさきぎょうくといへども、 のちに 「一向いっこう専念せんねん」 といふ。 あきらかにりぬ、 しょぎょうはいしてただ念仏ねんぶつもちゐるがゆゑに一向いっこうといふ。 もししからずは一向いっこうことばもつとももつて*しがたきか。

今此¬経¼中一向亦然ナリ。若念仏亦加ヘバ↢余行↡、即↢一向↡。若ゼバ↠寺者可↠云↢兼行↡。既↢一向↡、不コト↠兼↠余ケシ矣。既↠説クト↢余行↡、後↢一向専念↡。明、癈↢諸行↡唯用ルガ↢念仏↡故↢一向↡。若者一向之言最↠消歟。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)【助正】
                  (イ)

 ^に、 念仏ねんぶつじょじょうせんがためにこのしょぎょうくとは、 これにまたこころあり。 いちには*同類どうるい善根ぜんごんをもつて念仏ねんぶつじょじょうす。 には*るい善根ぜんごんをもつて念仏ねんぶつじょじょうす。

↣助↢成ムガ念仏↡説クト↢此諸行↡者、此亦有↢二意↡。一ニハ↢同類善根↡助↢成念仏↡。二ニハ↢異類善根↡助↢成念仏↡。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)
                    [一]明同類

^はじめに同類どうるいじょじょうとは、 善導ぜんどうしょうの ¬かんぎょうしょ¼ (散善義) のなかに、 しゅじょぎょうげて念仏ねんぶついちぎょうじょじょうすこれなり。 つぶさに*かみしょうぞうぎょうのなかにくがごとし。

同類助成者、善導和尚¬観経¼中、挙↢五種助行↡助↢成念仏一行↡是也。具↢上正雑二行之中クガ↡。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明異類

^つぎるいじょじょうとは、

異類助成者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ]上輩

^じょうはいにつきてしょうじょろんぜば、 「一向いっこうにもつぱらりょう寿じゅぶつねんず」 (大経・下) とはこれ正行しょうぎょうなり、 またこれ*所助しょじょなり。 いえよく沙門しゃもんとなりて、 だいしんおこす」 (大経・下) とうはこれじょぎょうなり、 またこれ*能助のうじょなり。 いはくおうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす。 ゆゑに一向いっこう念仏ねんぶつしゅせんがために、 「いえよく沙門しゃもんとなりて、 まただいしんおこす」 (大経・下) とうなり。 就中なかんずくしゅっ発心ほっしんとうは、 しばらく*しょしゅつおよび*初発しょほつす。 念仏ねんぶつはこれ*じょう退たいぎょう、 むしろ念仏ねんぶつ*ぼうすべけんや。

↢上輩↡而論↢正助↡者、「一向ズト↢無量寿仏↡」者是正行也、亦是所助也。「捨↠家↠欲而作↢沙門↡、発↢菩提心」等者是助行也、亦是能助也。謂往生之業ニハ念仏↠本。故↣一向ムガ↢念仏↡、捨↠家↠欲而作↢沙門↡、又発↢菩提心↡等也。就中ナカンヅク出家発心等者、且↢初出及以初発↡。念仏是長時不退之行、寧ベケ↣妨↢念仏↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]中輩

^ちゅうはいのなかに、 またりゅう塔像とうぞう*懸繒げんぞう燃灯ねんとうさん*しょうこうとうしょぎょうあり。 これすなはち念仏ねんぶつじょじょうなり。 そのむね ¬おうじょうようしゅう¼ (中)えたり。 いはく*助念じょねん方法ほうほうのなかの*方処ほうしょ供具くぐとうこれなり。

中輩之中、亦有↢起立塔像・懸繒・燃灯・散花・焼香等諸行↡。是則念仏助成也。其旨見エタリ↢¬往生要集¼↡。謂助念方法方処供具等是也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]下輩

^はいのなかに、 また発心ほっしんあり、 また念仏ねんぶつあり。 じょしょうさきじゅんじてるべし。

下輩之中、亦有↢発心↡、亦有↢念仏↡。助正之義准↠前↠知

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)【傍正】
                  (イ)

 ^さんに、 念仏ねんぶつしょぎょうやくして、 おのおの三品さんぼんてんがためにしかもしょぎょうくといふは、

↢念仏・諸行↡、各↠立ムガ↢三品↡而クトイフハ↢諸行↡者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)
                    [一]念仏三品

^念仏ねんぶつやくして三品さんぼんつとは、 いはくこの三輩さんぱいのなかに、 つうじてみな 「一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつ(大経・下) といふ。 これすなはち念仏ねんぶつもんやくしてその三品さんぼんつ。 ゆゑに ¬おうじょうようしゅう¼ (下)*念仏ねんぶつしょうもんにいはく、 「¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかもつうじてみな ª一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつº といふ」 と。 かん (懐感) これにおなじ。

↢念仏↡立ツト↢三品↡者、謂三輩、通皆云↢「一向専念無量寿仏」↡。是則↢念仏門↡立↢其三品↡也。故¬往生要集¼念仏証拠門、「¬双巻経¼三輩之業、雖↠有リト↢浅深↡、然ジテ皆云フト↢一向専念無量寿仏↡。」 感師同

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)[二]諸行三品

^つぎしょぎょうもんやくして三品さんぼんつとは、 いはくこの三輩さんぱいのなかにつうじてみなだいしんとうしょぎょうあり。 これすなはちしょぎょうやくしてその三品さんぼんつ。 ゆゑに ¬おうじょうようしゅう¼ (下)*しょぎょうおうじょうもんにいはく、 「¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)三輩さんぱいまたこれをでず」 と。

↢諸行門↡立ツト↢三品↡者、謂三輩ジテ皆有↢菩提心等諸行↡。是則↢諸行↡立↢其三品↡也。故¬往生要集¼諸行往生門、「¬双巻経¼三輩亦不↠出↠此。」

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)結示

 ^おほよそかくのごときのさんどうありといへども、 ともにこれ一向いっこう念仏ねんぶつのための所以ゆえんなり。 はじめのはすなはちこれはいりゅうのためにく。 いはくしょぎょうはいせんがためにく、 念仏ねんぶつりゅうせんがためにく。 つぎはすなはちこれじょしょうのためにく。 いはく念仏ねんぶつしょうごうたすけんがためにしょぎょう助業じょごうく。 のちはすなはちこれぼうしょうのためにく。 いはく念仏ねんぶつしょぎょうもんくといへども、 念仏ねんぶつをもつてしょうとなし、 しょぎょうをもつてぼうとなす。 ゆゑに三輩さんぱいつうじてみな念仏ねんぶつといふ。

キノ↠此三義雖↠有リト↢不同↡、共是所↣以為↢一向念仏↡也。初是為↢癈立↡而説。謂諸行↠癈ムガ而説、念仏↠立ムガ而説。次是為↢助正↡而説。謂↠助ムガ↢念仏之正業↡而説↢諸行之助業↡。後是為↢傍正↡而説。謂↠説クト↢念仏・諸行二門↡、以↢念仏↡而為↠正、以↢諸行↡而為↠傍。故↢三輩通皆念仏↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)決判

^ただしこれらのさん*殿最でんさいりがたし。 ふ、 もろもろの学者がくしゃ取捨しゅしゃこころにあり。 いまもし善導ぜんどうによらば、 はじ(廃立) をもつてしょうとなすのみ。

此等三義殿最難↠知。請、諸学者、取捨在↠心。今若↢善導↡、以↠初↠正耳。

二 ⅳ Ⅲ 示二経旨同【輩品開合】
       

 ^ひていはく、 三輩さんぱいごうみな念仏ねんぶつといふ。 そのしかるべし。 ただし ¬かんぎょう¼ のぼんと ¬寿じゅきょう¼ (大経)三輩さんぱいと、 もとこれ*開合かいごうなり。 もししからば、 なんぞ ¬寿じゅきょう¼ の三輩さんぱいのなかにはみな念仏ねんぶつといひ、 ¬かんぎょう¼ のぼんいたりてじょうちゅうほんには念仏ねんぶつかず、 ぼんいたりてはじめて念仏ねんぶつくや。

、三輩之業皆云↢念仏↡。其義可↠然。但¬観経¼九品与↢¬寿経¼三輩↡、本是開合異也。若ラバ者、何¬寿経¼三輩之中ニハ皆云↢念仏↡、至↢¬観経¼九品↡上中二品ニハ不↠説↢念仏↡、至↢下品↡始↢念仏↡也。

二 ⅳ Ⅲ b
          (一)

^こたへていはく、 これにあり。

、此↢二義↡。

二 ⅳ Ⅲ b ロ (二)
            (Ⅰ)縦答

^いちには*問端もんたんにいふがごとく、 ¬双巻そうかん¼ (大経)三輩さんぱいと ¬かんぎょう¼ のぼんとは開合かいごうならば、 これをもつてるべし、 ぼんのなかにみな念仏ねんぶつあるべし。 いかんがることをる。 三輩さんぱいのなかにみな念仏ねんぶつあり。 ぼんのなかなんぞ念仏ねんぶつなからんや。

ニハ問端フガ↡、¬双巻¼三輩¬観経¼九品トハ開合ナラバ者、以↠此↠知、九品之中皆可↠有↢念仏↡。云何↠知コトヲ。三輩之中皆有↢念仏↡。九品之中盍ラム↢念仏↡乎。

ゆゑに ¬おうじょうようしゅう¼ (下) にいはく、 「ふ。 念仏ねんぶつぎょうぼんのなかにおいてこれいづれのほんしょうぞや。 こたふ。 もしせつのごとくぎょうぜば、 *上上じょうじょうあたれり。 かくのごとくそのしょうれつしたがひてぼんわかつべし。 しかるに ¬きょう¼ (観経)くところのぼんぎょうごうはこれ一端いったんしめす。 じつりょうなり」 と。 ゆゑにりぬ、 念仏ねんぶつまたぼんつうずべしといふことを。

¬往生要集¼云、「問。念仏之行於↢九品↡是何レノゾヤ。答。若↠説ゼバ、理当レリ↢上々↡。如↠是↢其勝劣↡応↠分↢九品↡。然¬経¼所↠説九品行業是示↢一端↡。理実無量ナリト。」 、念仏亦可シトイフコトヲ↠通↢九品↡。

二 ⅳ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)奪答

^には ¬かんぎょう¼ のこころはじひろじょうさんぎょうきて、 あまねく*しゅとうず。 のちにはじょうさんぜんはいして、 念仏ねんぶついちぎょうす。 いはゆる *汝好にょこう是語ぜごとうもんこれなり。 その*しもにつぶさにぶるがごとし。 ゆゑにりぬ、 ぼんぎょうはただ念仏ねんぶつにありといふことを。

ニハ¬観経¼之意初↢定散之行↡、普↢衆機↡。後ニハ↢定散二善↡、帰↢念仏一行↡。所謂「汝好持是語」等之文是也。其義如↢下ルガ↡。故、九品之行唯在リトイフコトヲ↢念仏↡矣。

【利益章】
    標章

【5】 ^念仏ねんぶつやくもん

 念仏利益之文

二 ⅴ 引文
      大経

 ^¬りょう寿じゅきょう¼ のにのたまはく、 「ぶつろくかたりたまはく、 ªそれかのぶつみょうごうくことをることありて、 *かんやくし、 ない一念いちねんせん。 まさにるべし、 このひとだいとなす。 すなはちこれじょうどくそくすº」 と。

¬無量寿経¼下、「仏語タマハク↢弥勒↡、其↠得コト↠聞コトヲ↢彼名号↡、歓喜踊躍、乃至一念。当↠知、此↠得↢大利↡。則是具↢足スト無上功徳↡。」

二 ⅴ Ⅱ 礼讃

 ^善導ぜんどうの ¬礼讃らいさん¼ にいはく、

それかの弥陀みだぶつみょうごうくことをることありて、

かんして一念いちねんいたすもの、 みなまさにかしこにしょうずることをべし」 と。

善導¬礼讃¼云

「其↠得コト↠聞コトヲ↢彼弥陀仏名号
歓喜スモノ↢一念皆当シト↠得↠生コトヲ↠彼

二 ⅴ 私釈
      独讃所以
       

 ^わたくしにひていはく、 かみ三輩さんぱいもんじゅんずるに、 念仏ねんぶつのほかにだいしんとうどくぐ。 なんぞかれらのどくめずして、 ただひと念仏ねんぶつどくむるや。

、准ルニ↢上三輩↡、念仏之外↢菩提心功徳↡。何シテ↠歎↢彼等功徳↡、唯独ムル↢念仏功徳↡乎。

二 ⅴ Ⅲ a

^こたへていはく、 *しょうはかりがたし。 さだめてふかこころあらんか。 しばらく善導ぜんどういちによりてしかもこれをいはば、 もとそれぶつはまさしくただちにただ念仏ねんぶつぎょうかんとほっすといへども、 したがひて一往いちおうだいしんとうしょぎょうきて、 三輩さんぱい浅深せんじんどう分別ふんべつす。 しかるをいましょぎょうにおいてはすでにててめたまはず。 きてろんずべからざるものなり。 ただ念仏ねんぶついちぎょうにつきてすでにえらびて讃歎さんだんす。 おもひて分別ふんべつすべきものなり。

、聖意難↠測。定ムカ↢深意↡。且↢善導一意↡而↠之者、モト仏意↠欲スト↠説ムト↢唯念仏之↡、随↠機一往説↢菩提心等諸行↡、分↢別三輩浅深不同↡。然ルヲ今於↢諸行↡者既テテ而不↠歎タマハ。置而不↠可↠論者也。唯就↢念仏一行↡既而讃歎。思↢分別↡者也。

二 ⅴ Ⅲ 明念仏三輩
        標列

^もし念仏ねんぶつやくして三輩さんぱい分別ふんべつせば、 これにこころあり。 いちには観念かんねん浅深せんじんしたがてこれを分別ふんべつす。 には念仏ねんぶつしょうをもつてこれを分別ふんべつす。

↢念仏↡分↢別三輩↡、此↢二意↡。一ニハ↢観念浅深↡而分↢別↡。二ニハ↢念仏多少↡而分↢別↡。

二 ⅴ Ⅲ b 随釈
          (一)約観念浅深

^浅深せんじんかみくところのごとし。 「もしせつのごとくぎょうぜば、 *上上じょうじょうあたれり」 (往生要集・下) と、 これなり。

浅深者如↢上。「若↠説ゼバ、理当レリト↢上上↡」是也。

二 ⅴ Ⅲ b ロ (二)約口称多少

^つぎしょうは、 はいもんのなかにすでにじゅうねんない一念いちねんかずあり。 じょうちゅうりょうはいはこれにじゅんじてしたがひてぞうすべし。 ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「*日別にちべつ念仏ねんぶついち万遍まんべん、 またすべからくときによりてじょうしょうごん*礼讃らいさんすべし。 はなはだしょうじんすべし。 あるいは三万さんまん六万ろくまんじゅうまんるものは、 みなこれじょうぼん上生じょうしょうひとなり」 と。 まさにるべし、 三万さんまんじょうはこれじょうぼん上生じょうしょうごう三万さんまん以去いこじょうぼん以下いげごうなり。 すでに念数ねんじゅしょうしたがひて*ほん分別ふんべつすることこれあきらけし。

多少者、下輩↢十念乃至一念数↡。上両輩↠此ベシ。¬観念法門¼云、「日別仏一万遍、亦須↣依↠時礼↢讃浄土↡。ハナハ↢精進↡。或↢三万・六万・十万↡者、皆是上品上生ナリト。」当↠知、三万已上是上品上生業、三万已上品已下ナリ。既↢念数多少↡分↢別コト品位↡是明ケシ矣。

二 ⅴ Ⅲ 就文示
        釈経文
          (一)一念

^いまこの 「一念いちねん」 といふは、 これかみ念仏ねんぶつがんじょうじゅ (第十八願成就文) のなかにいふところの一念いちねんはいのなかにかすところの一念いちねんとをす。 がんじょうじゅもんのなかに一念いちねんといふといへども、 いまだどくだいかず。 またはいもんのなかに一念いちねんといふといへども、 またどくだいかず。 この ˆ通分ずうぶんのˇ 一念いちねんいたりて、 きてだいとなし、 めてじょうとなす。 まさにるべし、 これかみ一念いちねんす。

今此↢「一念」↡者、是指↣上念仏願成就之中↠言一念↢下輩之中↠明一念↡也。願成就↠云フト↢一念↡、↠説↢功徳大利↡。又下輩↠云フト↢一念↡、亦不↠説↢功徳大利↡。至↢此一念↡、説↢大利↡、歎メテ↢無上↡。当↠知、是指↢上一念↡也。

二 ⅴ Ⅲ c イ (二)大利【大利無上】

^この 「だい」 とはこれしょうたいすることばなり。 しかればすなはちだいしんとうしょぎょうをもつてしょうとなし、 ない一念いちねんをもつてだいとなす。

大利者是対↢小利↡之言也。然↢菩提心等諸行↡而為↢小利↡、以↢乃至一念↡而為↢大利↡也。

二 ⅴ Ⅲ c イ (三)無上

^また じょうどく」 とはこれじょうたいすることばなり。 ぎょうをもつてじょうとなし、 念仏ねんぶつをもつてじょうとなす。 すでに一念いちねんをもつていちじょうとなす。 まさにるべし、 じゅうねんをもつてじゅうじょうとなし、 またひゃくねんをもつてひゃくじょうとなし、 また千念せんねんをもつてせんじょうとなす。 かくのごとく*展転てんでんしてしょうよりいたる。 念仏ねんぶつ恒沙ごうじゃなれば、 じょうどくまた恒沙ごうじゃなるべし。 かくのごとくるべし。

又「無上功徳」者是対↢有上↡之言也。以↢余行↡而為↢有上↡、以↢念仏↡而為↢無上↡也。既↢一念↡為↢一無上↡。当、以↢十念↡為↢十無上↡、又以↢百念↡為↢百無上↡、又以↢千念↡為↢千無上↡。如↠是展転↠少至↠多。念仏恒沙ナレバ無上功徳復応↢恒沙ナル↡。如↠是↠知

二 ⅴ Ⅲ c 結勧

^しかればもろもろのおうじょうがんせんひとなんぞ*じょうだい念仏ねんぶつはいして、 あながちにじょうしょうぎょうしゅせんや

者諸願↢求往生↡之人、何↢無上大利念仏↡、強チニ↢有上小利余行↡乎。

特留念仏章【特留章】
    標章

【6】 ^*末法まっぽう万年まんねんのちぎょうことごとくめっし、 こと念仏ねんぶつとどめたまふもん

 末法万年余行悉、特タマフ↢念仏之文

二 ⅵ 引文

 ^¬りょう寿じゅきょう¼ のかんにのたまはく、 「*当来とうらい*きょうどう滅尽めつじんせんに、 われ慈悲じひをもつて*哀愍あいみんして、 ことにこのきょうとどめてじゅうすることひゃくさいならしめん。 それしゅじょうありてこのきょうふもの、 こころ所願しょがんしたがひてみな*とくすべし」 と。

¬無量寿経¼下巻、「当来之世経道滅尽ムニ、我以↢慈悲↡哀愍、特↢此↡止住コト百歳ナラシメム。其↢衆生↡値↡者、随↢意所願↡皆可シト↢得度↡。」

二 ⅵ 私釈
      釈特留念仏義
        特留文意
          (一)

 ^わたくしにひていはく、 ¬きょう¼ (大経・下) にただ 「どくきょうじゅうひゃくさい」 といひて、 まつたくいまだ 「どく念仏ねんぶつじゅうひゃくさい」 といはず。 しかるにいまなんぞ 「どく念仏ねんぶつ」 といふや。

、¬経¼唯云↢「特留此経止住百歳」↡、↠云↢「特留念仏止住百歳」↡。然今何↢「特留念」哉。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)
            (Ⅰ)直釈

^こたへていはく、 このきょう*せんずるところまつたく念仏ねんぶつにあり。 そのむねさきえたり。 ふたたいだすにあたはず。 善導ぜんどうかんしん (源信) とうこころまたかくのごとし。 しかればすなはちこのきょうの 「じゅう」 は、 すなはち念仏ねんぶつじゅうなり。

、此所↠詮↢念仏↡。其旨見ヘタリ↠前。不↠能↢再スニ↡。善導・懐感・恵心等意亦復如↠是。然「止住」者、即念仏止住也。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)(Ⅱ)挙由

^しかる所以ゆえんは、 このきょう*だいしんことばありといへども、 いまだだいしん*ぎょうそうかず。 また*かいことばありといへども、 いまだかいぎょうそうかず。 しかるにだいしんぎょうそうくことはひろく ¬*だいしんぎょう¼ とうにあり。 かのきょうさきめっしなば、 だいしんぎょうなにによりてかこれをしゅせん。 またかいぎょうそうくことはひろ*だいしょう戒律かいりつにあり。 かの戒律かいりつさきめっしなば、 かいぎょうなにによりてかこれをしゅせん。 自余じよしょぎょうこれにじゅんじてるべし。

所↢以然↡者、此↠有リト↢菩提心之言↡、未↠説↢菩提心之行相↡。又雖↠有リト↢持戒之言↡、未↠説↢持戒之行相↡。而ルニコト↢菩提心行相者広↢¬菩提心経¼等↡。彼経先ナバ、菩提心之行何テカ↠之。又説コト↢持戒行相↡者広↢大小戒律↡。彼戒律先ナバ、持戒之行何テカ↠之。自余諸行准↠之↠知

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)(Ⅲ)引証

^ゆゑに善導ぜんどうしょうの ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にこのもんしゃくしていはく、

万年まんねん*三宝さんぼうめっしなば、 この ¬きょう¼ (大経) じゅうすることひゃくねんあらん。 そのとききて一念いちねんせん、 みなまさにかしこにしょうずることをべし」 と。

善導和尚¬往生礼讃¼釈↢此↡云、「万年三宝滅ナバ、此¬経¼住コト百年アラム。爾一念セム、皆当シト↠得↠生コトヲ↠彼。」

二 ⅵ Ⅲ a 教行住滅
          (一)標列

 ^またこのもんしゃくするにりゃくしてこころあり。 いちには*しょうどうじょうきょうじゅうめつぜんには十方じっぽう西方さいほうきょうじゅうめつぜんさんには*そつ西方さいほうきょうじゅうめつぜんには念仏ねんぶつしょぎょうぎょうじゅうめつぜんなり。

又釈ルニ↢此↡略↢四意↡。一者聖道・浄土二教住滅前後、二者十方・西方二教住滅前後、三者兜率・西方二教住滅前後、四者念仏・諸行二行住滅前後也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)随釈
            (Ⅰ)聖道浄土相対

^いちしょうどうじょうきょうじゅうめつぜんといふは、 いはくしょうどうもんしょきょうさきめっす、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 じょうもんのこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 しょうどうえん浅薄せんぱくにして、 じょうえん深厚じんこうなりといふことを。

道・浄土二教住滅前後トイフ者、謂聖道門諸経、故↢「経道滅尽」↡。浄土門ヒト、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、聖道機縁浅薄ニシテ、浄土機縁深厚也トイフコトヲ

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)十方西方相対

^十方じっぽう西方さいほうきょうじゅうめつぜんといふは、 いはく*十方じっぽうじょうおうじょうしょきょうさきめっす、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 西方さいほうじょうおうじょうはこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 十方じっぽうじょうえん浅薄せんぱくにして、 西方さいほうじょうえん深厚じんこうなり。

十方・西方二教住滅前後トイフ者、謂十方浄土往生諸教先、故↢「経道滅尽」↡。西方浄土往生経特、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、十方浄土機縁浅薄ニシテ、西方浄土機縁深厚也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅲ)兜率西方相対

^さんそつ西方さいほうきょうじゅうめつぜんといふは、 いはく ¬*上生じょうしょう¼・¬*しん¼ とう上生じょうしょうそつしょきょうさきめっ、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 おうじょう西方さいほうのこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 そつちかしといへどもえんあさく、 極楽ごくらくとおしといへどもえんふかし。

兜率・西方二教住滅前後トイフ者、謂¬上生¼・¬心地¼等上生兜率諸教、故↢「経道滅尽」↡。往生西方経特留、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、兜率↠近シト縁浅、極楽↠遠シト縁深也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅳ)念仏諸行相対

^念仏ねんぶつしょぎょうぎょうじゅうめつぜんといふは、 しょぎょうおうじょうしょきょうさきめっす、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 念仏ねんぶつおうじょうはこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 しょぎょうおうじょうえんもつともあさく、 念仏ねんぶつおうじょうえんはなはだふかし。 しかのみならず、 しょぎょうおうじょうえんすくなく、 念仏ねんぶつおうじょうえんおおし。 またしょぎょうおうじょうちか末法まっぽう万年まんねんときかぎる。 念仏ねんぶつおうじょうとお法滅ほうめつひゃくさいうるふ。

念仏・諸行二行住滅前後トイフ者、諸行往生諸教、故↢「経道滅尽」↡。念仏往生経特、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、諸行往生機縁最、念仏往生機縁甚也。加之シカノミナラズ、諸行往生縁少、念仏往生縁多。又諸行往生↢末法万年之時↡。念仏往生ウル↢法滅百歳之代↡也。

二 ⅵ Ⅲ a 明釈尊悲懐
          (一)

 ^ひていはく、 すでに 「われ慈悲じひをもつて哀愍あいみんして、 とくにこのきょうとどめてじゅうすることひゃくさいならん」 (大経・下) といふ。 もししからばしゃくそん慈悲じひをもつてしかも経教きょうきょうとどめたまはんに、 いづれのきょういづれのきょうか、 しかもとどまらざらんや。 しかるをなんぞきょうとどめずして、 ただこのきょうとどめたまふや。

、既↧「我以↢慈悲↡哀愍、特↢此↡止住コト百歳ナラムト」↥。若ラバ者釈尊以↢慈悲↡而タマハムニ↢経教↡、レノ経何レノ、而ラム↠留也。而ルヲシテ↠留↢余経↡、唯留タマフ↢此↡乎。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)
            (Ⅰ)

^こたへていはく、 たとひいづれのきょうとどむといへども、 べっしていっきょうさば、 またこのなんらじ。 ただとくにこのきょうとどむる、 そのふかこころあるか。

、縦↠留ムト↢何レノ↡、別サバ↢一経↡者、亦不↠避↢此↡。↢此↡、有↢其意↡歟。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)正述

^もし善導ぜんどうしょうこころによらば、 このきょうのなかにすでに弥陀みだ如来にょらい念仏ねんぶつおうじょう本願ほんがん (第十八願)けり。 しゃ慈悲じひをもつて念仏ねんぶつとどめんがために、 ことにこのきょうとどめたまふ。 きょうのなかにはいまだ弥陀みだ如来にょらい念仏ねんぶつおうじょう本願ほんがんかず。 ゆゑにしゃくそん慈悲じひをもつてこれをとどめたまはず。

↢善導和尚↡者、此経之中↢弥陀如来念仏往生本願↡。釈迦慈悲ヲモテ↠留ムガ↢念仏↡、殊タマフ↢此↡。余経之中ニハ↠説↢弥陀如来念仏往生本願↡。故釈尊慈悲而不↠留タマハ↠之也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)通伏疑

^おほよそじゅうはちがんみな本願ほんがんなりといへども、 こと念仏ねんぶつをもつておうじょう*のりとなす。 ゆゑに善導ぜんどうしゃくしていはく (*法事讃・上)

ぜいもんおおくして*じゅうはちなれども、 ひとへに念仏ねんぶつあらわしてもつともしたしとなす。

ひとよくぶつ (阿弥陀仏)ねんずれば、 ぶつかえりてねんじたまふ。 専心せんしんぶつおもへば、 ぶつひとりたまふ」 と。

四十八願皆雖↢本願ナリト↡、殊↢念仏↡為↢往生↡。故善導釈

「弘誓多クシテ↠門四十八ナレドモアラハシ↢念仏↡最↠親シト
人能レバ↠仏仏還タマフ専心ヘバ↠仏仏知タマフト↠人

 ^ゆゑにりぬ、 じゅうはちがんのなかに、 すでに念仏ねんぶつおうじょうがん (第十八願) をもつて本願ほんがんちゅうおうとなすといふことを

、四十八願之中、既↢念仏往生之願↡而為トイフコトヲ↢本願中之王↡也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)結示
                (a)正結

^ここをもつてしゃ慈悲じひことにこのきょうをもつてじゅうすることひゃくさいするなり。

慈悲、特↢此↡止住コト百歳スル也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)引例

^れいするに、 かの ¬かんりょう寿じゅきょう¼ のなかに、 じょうさんぎょうぞくせずして、 ただひと念仏ねんぶつぎょうぞくしたまふがごとし。 これすなはちかの仏願ぶつがんじゅんずるがゆゑに、 念仏ねんぶついちぎょうぞくす。

スルニ↧彼¬観無量寿経¼中、不シテ↣付↢属定散之行↡、唯付↦属タマフガ念仏之行↥。是即ルガ↢彼仏願↡之故、付↢属念仏一行↡也。

二 ⅵ Ⅲ 益布三時

 ^ひていはく、 ひゃくさいのあひだ念仏ねんぶつとどむべきこと、 そのしかるべし。 この念仏ねんぶつぎょうは、 ただ*かの時機じきこうむらしむとやなさん、 はた*しょう像末ぞうまつつうずとやなさん。

、百歳之間可キコト↠留↢念仏↡、其理可↠然。此念仏、唯為↠被シムトヤ↢彼時機↡、ハタ↠通ズトヤ↢於正像末之機↡也。

^こたへていはく、 ひろしょうぞう末法まっぽうつうずべし。 のちげていますすむ。 そのるべし。

、広↠通↢於正像末法↡。挙↠後↠今。其義応↠知

光明摂取章【摂取章】
    標章

【7】 ^弥陀みだこうみょうぎょうのものをらさず、 ただ念仏ねんぶつぎょうじゃ*摂取せっしゅするもん

 弥陀光明不↠照↢余行↡、唯摂↢取念仏行者之文

二 ⅶ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「りょう寿じゅぶつ八万はちまんせん*そうあり。 一々いちいちそう八万はちまんせん*ずいぎょうこうあり。 一々いちいちこう八万はちまんせんこうみょうあり。 一々いちいちこうみょうあまねく十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらし、 *摂取せっしゅしててたまはず」 と。

¬観無量寿経¼云、「無量寿仏↢八万四千相↡。一々↢八万四千随形好↡。一々↢八万四千光明↡。一々光明遍↢十方世界念仏衆生↡、摂取↠捨タマハ。」

二 ⅶ Ⅱ 定善義
        分文釈義

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (定善義) にいはく、 「ªりょう寿じゅぶつº よりしも ª摂取せっしゅしゃº にいたるまでよりこのかたは、 まさしくしん*別相べっそうかんずるに、 ひかり*えんやくすることをかす。 すなはちそのあり。 いちにはそうしょうかし、 には*こうしょうかし、 さんにはひかりしょうかし、 にはひかりらす遠近おんごんかし、 にはひかりおよぶところのところ、 ひとへに*しょうやくこうむることをかす。

ジキ¬疏¼云、「従↢無量寿仏↡下至マデヨリ↢摂取不捨↡已来タハ、正↧観ズルニ↢身別相↡、光益コトヲ↦有縁↥。即↢其五↡。一ニハ↢相多少↡、二ニハ↢好多少↡、三ニハ↢光多少↡、四ニハ↢光遠近↡、五ニハ↣光↠及処、偏コトヲ↢摂益↡。

二 ⅶ Ⅱ b 料簡
          (一)

^ひていはく、 つぶさにしゅぎょうしゅしてただよくこうすれば、 みなおうじょう。 なにをもつてかぶつひかりあまねくらすにただ念仏ねんぶつしゃせっする、 なんのこころかあるや。

、備↢衆行↡但能廻向レバ、皆得↢往生↡。何テカ光普スニ唯摂スル↢念仏者↡、有↢何↡也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)
            (Ⅰ)約三縁

^こたへていはく、 これにさんあり。

、此↢三義↡。

・親縁

^いちには*親縁しんえんかす。 しゅじょうぎょうおこしてくちにつねにぶつしょうすれば、 ぶつすなはちこれをきたまふ。 につねにぶつ*らいきょうすれば、 ぶつすなはちこれをたまふ。 しんにつねにぶつねんずれば、 ぶつすなはちこれをりたまふ。 しゅじょうぶつ憶念おくねんすれば、 ぶつまたしゅじょう憶念おくねんしたまふ。 *彼此ひし三業さんごうあひしゃせず。 ゆゑに親縁しんえんづく。

ニハ↢親縁↡。衆生起↠行レバ↠仏、仏即タマフ↠之。身礼↢敬レバ仏↡仏即タマフ↠之。心レバ↠仏、仏即タマフ↠之。衆生憶↢念レバ↡者、仏亦憶↢念タマフ衆生↡。彼此三業不↢相捨離↡。故↢親縁↡也。

・近縁

^には*近縁ごんえんかす。 しゅじょうぶつんとがんずれば、 ぶつすなはちねんおうじてげんじてまえにまします。 ゆゑに近縁ごんえんづく。

ニハ↢近縁↡。衆生願レバ↠見ムト↠仏、仏即↠念↢目↡。故↢近縁↡也。

・増上縁

^さんには*ぞうじょうえんかす。 しゅじょうしょうねんすれば、 すなはちこうつみのぞきて、 いのちおわらんとほっするときぶつしょうじゅとみづからきたりてこうしょうしたまふ。 *もろもろの邪業じゃごうよくふるものなし。 ゆゑにぞうじょうえんづく。

ニハ↢増上縁↡。衆生称念レバ、即↢多劫↡、命欲↠終ムト時、仏与↢聖衆↡自迎接タマフ。諸邪業繋无↢能フル者↡。故↢増上縁↡也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)比況証成

^自余じよしゅぎょうはこれぜんづくといへども、 もし念仏ねんぶつくらぶれば、 まつたく*きょうにあらず。 このゆゑに、 しょきょうのなかに処々しょしょひろ念仏ねんぶつ*のうむ。 ¬りょう寿じゅきょう¼ のじゅうはちがんのなかのごときは、 ただもつぱら弥陀みだみょうごうねんじてしょうずることをかす。 また ¬弥陀みだきょう¼ のなかのごときは、 一日いちにち七日しちにちもつぱら弥陀みだみょうごうねんじてしょうずることをと。 また十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつむなしからずと*証誠しょうじょうしたまふ。 またこの ¬きょう¼ (観経)じょうさんもんのなかには、 ただもつぱらみょうごうねんじてしょうずることをあらわせり。 このれいいちにあらず。

自余↠名クト↢是善↡、若レバ↢念仏↡者、全↢比挍↡也。是、諸経処々↢念仏功能↡。如キハ↢¬无量寿経¼四十八願↡、唯明↧専↢弥陀名号↡得↞生コトヲ。又如キハ↢¬弥陀経¼中↡、一日七日専↢弥陀名号↡得↠生コトヲ。又十方恒沙諸仏証↢タマフ↟虚カラ也。又此¬経¼定散ニハ、唯アラハセリ↧専↢名号↡得↞生コトヲ。此例非↠一也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)総結

^ひろ念仏ねんぶつ三昧ざんまいあらわしをはりぬ」 と。

↢念仏三昧ヌト。」

二 ⅶ Ⅱ 観念法門

 ^¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「またさきのごときの身相しんそうとうひかり一々いちいちあまねく十方じっぽうかいらすに、 ただもつぱら弥陀みだぶつねんずるしゅじょうのみありて、 かのぶつ心光しんこうつねにこのひとらして、 *しょうしててたまはず。 すべて*雑業ぞうごうぎょうじゃ照摂しょうしょうすることをばろんぜず」 と。

¬観念法門¼云、「又如キノ↠前身相等光一々遍スニ↢十方世界↡、但有↧専↢阿弥陀仏↡衆生ノミ↥、彼心光常↢是↡、摂護不↠捨タマハ。総↠論↣照↢摂コトヲバ雑業行者↡。」

二 ⅶ 私釈
     

 ^わたくしにひていはく、 ぶつこうみょうただ念仏ねんぶつしゃらして、 ぎょうのものらさざるはなんのこころかあるや。

、仏光明唯照↢念仏者↡、不ルハ↠照↢余行↡、有↢何↡乎。

二 ⅶ Ⅲ
       

^こたへていはく、 するにあり。

、解ルニ↢二義↡。

二 ⅶ Ⅲ b
          (一)就義解
            (Ⅰ)約三縁

^いちには親縁しんえんとうさんもんのごとし。

者親縁等義、如↠文

二 ⅶ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)約本願
              (ⅰ)正明

^には本願ほんがん、 いはくぎょう本願ほんがんにあらざるがゆゑに、 これを照摂しょうしょうしたまはず。 念仏ねんぶつはこれ本願ほんがんのゆゑに、 これを照摂しょうしょうしたまふ。

者本願義、謂余行ルガ↢本願↡故、不↣照↢摂タマハ↡。念仏是本願、照↢摂タマフ↡。

二 ⅶ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^ゆゑに善導ぜんどうしょうの ¬*ろく礼讃らいさん¼ にいはく、

弥陀みだ身色しんじき金山こんぜんのごとし。 相好そうごうこうみょう十方じっぽうらす。

ただぶつねんずるのみありて*こうしょうこうむる。 まさにるべし、 本願ほんがんもつともこわしとなす」 と。

善導和尚¬六時礼讃¼云

「弥陀身色↢金山相好光明↢十方
唯有↠念ルノミ↠仏↢光↠知、本願最コハシト

二 ⅶ Ⅲ b ロ (二)就文解
            (Ⅰ)牒文

 ^またくところのもん (定善義) のなかに、 「*自余じよ衆善しゅぜんすいみょうぜんにゃく念仏ねんぶつしゃぜんきょう」 といふは、

又所、言↢「自余衆善雖名是善若比念仏者全非比挍也」者、

二 ⅶ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)随釈

^こころのいはく、 これじょうもんしょぎょうやくしてろんするところなり。 念仏ねんぶつはこれすでに*ひゃくいちじゅうおくのなかに選取せんしゅするところの*妙行みょうぎょうなり。 しょぎょうはこれすでにひゃくいちじゅうおくのなかに選捨せんしゃするところの*ぎょうなり。 ゆゑに 「*ぜんきょう」 といふ。 また念仏ねんぶつはこれ*本願ほんがんぎょうなり。 しょぎょうはこれ本願ほんがんにあらず。 ゆゑに 「ぜんきょう」 といふ。

、是約↢浄土門諸行↡而所↢比論↡也。念仏是既二百一十億↢選取↡妙行也。諸行是既二百一十億↢選捨↡麁行也。故↢「全非比挍也」↡。又念仏是本願ナリ。諸行是非↢本願↡。故↢「全非比挍也」↡。

【三心章】
    標章

【8】 ^念仏ねんぶつぎょうじゃかならず三心さんしんそくすべきもん

 念仏行者必↣具↢足三心↡之

二 ⅷ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「もししゅじょうありてかのくにしょうぜんとがんずるものは、 三種さんしゅしんおこして即便すなわちおうじょうしなん。 なんらをかさんとなす。 いちには*じょうしんには*深心じんしんさんには*こう発願ほつがんしんなり。 三心さんしんすればかならずかのくにしょうず」 と。

¬観無量寿経¼云、「若↢衆生↡願ズル↠生ムト↢彼↡者、発↢三種↡即便往生シナム。何等ヲカ↠三。一者至誠心、二者深心、三者廻向発願心ナリ。具レバ↢三心↡者必ズト↢彼↡。」

二 ⅷ Ⅱ 疏文
        別釈三心
          (一)至誠心
            (Ⅰ)

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「^¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 ªいちにはじょうしんº と。

ジキ¬疏¼云、「¬経¼云、一者至誠心

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)釈義
              (ⅰ)出字訓

^ªº はしんなり。 ªじょうº はじつなり。

至者真ナリ。誠者実ナリ

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)広釈
                (a)初約弘願
                  (イ)約機受相
                    [一]正示真実

^一切いっさいしゅじょう*しん口意くいごうしゅするところの*ぎょう*かならず真実しんじつしんのうちになすべきことをかさんとほっす。

↠明ムト↣一切衆生身口意業↠修解行、必キコトヲ↢真実心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]誡虚仮
                      [Ⅰ]正誡

^ほか賢善けんぜんしょうじんそうげんじ、 うち虚仮こけいだくことをざれ。 *貪瞋とんじんじゃかんひゃくたんにしてあくしょうおかしがたし。 *蛇蝎じゃかつおなじ。 三業さんごうおこすといへどもづけて*雑毒ぞうどくぜんとなす。 また虚仮こけぎょうづく。 真実しんじつごうづけず。

↠得↧外↢賢善精進之相↡、内コトヲ↦虚仮↥。貪瞋・邪偽・奸詐百端ニシテ悪性難↠侵。事同↢蛇蝎↡。雖↠起スト↢三業↡名↢雑毒之善↡。亦名↢虚仮之行↡。不↠名↢真実↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二][Ⅱ]示過失

^もしかくのごとき*安心あんじん*ぎょうをなせば、 たとひ身心しんしんれいして、 *にちじゅうきゅう*はしきゅうになして、 *ねんはらふがごとくすとも、 すべて雑毒ぞうどくぜんづく。 この雑毒ぞうどくぎょうめぐらして、 かのぶつじょうしょうずることをもとめんとほっせば、 これかならず不可ふかなり。

↢如↠此安心・起行↡者、縦使苦↢励身心↡、日夜十二時急、如クストモ↠灸フガ↢頭燃↡者、衆↢雑毒之善↡。欲↧廻↢此雑毒之行↡、求メムト↞生コトヲ↢彼浄土↡者、此必不可也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)顕示所由

^なにをもつてのゆゑぞ。 まさしくかの弥陀みだぶつ*いんちゅうさつぎょうぎょうじたまひしときに、 ない一念いちねんいちせつも、 三業さんごうしゅするところ、 みなこれ真実しんじつしんのうちになしたまひしによりてなり。 *おほよそ*施為せいしゅするところ、 またみな真実しんじつなるべし。

。正テナリ↧彼阿弥陀仏因中タマヒシ↢菩薩↡時、乃至一念一刹那、三業所↠修スル、皆是真実心タマヒシニ↥。凡所↢施為・趣求スル↡、亦皆真実ナルベシ

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)約二利
                  (イ)標列

^また真実しんじつしゅあり。 いちには*自利じり真実しんじつには利他りた真実しんじつなり。

又真実↢二種↡。一者自利真実、二者利他真実ナリ

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)随釈
                    [一]明自利真実
                      [Ⅰ]標数

^自利じり真実しんじつといふは、 またしゅあり。

↢自利真実↡者、復有↢二種↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]明厭離真実

^いちには真実しんじつしんのうちに、 自他じた諸悪しょあくおよび*こくとう*制捨せいしゃして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが一切いっさいさつ諸悪しょあく制捨せいしゃするにおなじく、 われもまたかくのごとくならんとおもふなり。 には真実しんじつしんのうちに、 自他じたぼんしょうとうぜん勤修ごんしゅして、

者真実心、制↢捨自他諸悪及穢国等↡、行住坐臥↧同↣一切菩薩制↢捨ルニ諸悪↡、我亦如クナラムト↞是也。二者真実心、勤↢修自他凡聖等↡、

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]明欣求真実

・口業

^真実しんじつしんのうちに、 ごうをもつてかの弥陀みだぶつおよび*しょうほう讃歎さんだんし、 また真実しんじつしんのうちに、 ごうをもつて*三界さんがい*六道ろくどうとう自他じた*しょうほうあく*えんし、 また一切いっさいしゅじょう三業さんごうしょぜん讃歎さんだんす。 善業ぜんごうにあらざるをばつつしみてこれをとおざかれ、 また*ずいせざれ。

真実、口業ヲモテ讃↢歎阿弥陀仏及依正二報↡、又真実心、口業ヲモテ毀↢厭三界・六道等自他依正二報苦悪之事↡、亦讃↢歎一切衆生三業所為↡。ルヲバ↢善業↡者敬而ツツシミカレ↠之、亦不↢随喜↡也。

・身業

^また真実しんじつしんのうちに、 身業しんごうをもつて合掌がっしょうらいきょうし、 *四事しじとうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうようす。 また真実しんじつしんのうちに、 身業しんごうをもつてこのしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうまん厭捨えんしゃし、

又真実心、身業ヲモテ合掌礼敬、四事等ヲモテ供↢養阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心、身業ヲモテ軽↢慢厭↣捨生死三界等自他依正二報↡、

・意業

^また真実しんじつしんのうちに、 ごうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうそう観察かんざつ憶念おくねんして、 目前もくぜんげんずるがごとくにし、 また真実しんじつしんのうちに、 ごうをもつてこのしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうををきょうせん厭捨えんしゃし、

又真実心、意業ヲモテ思↢想観↣察憶↤念阿弥陀仏及依正二報↡、如クニシ↠現ズルガ↢目前↡、又真実心、意業ヲモテ軽↢賎厭↣捨生死三界等自他依正二報↡、

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明利他真実

^*ぜん三業さんごうをばかならずすべからく真実しんじつしんのうちにつべし。 *またもしぜん三業さんごうおこさば、 かならずすべからく真実しんじつしんのうちになすべし。 *ないみょうあんえらばず、 みなすべからく真実しんじつなるべし。 ゆゑにじょうしんづく。

不善三業ヲバ↢真実心↡。又若↢善三業↡者、必↢真実心↡。不↠簡↢内外明↡、皆須↢真実ナル↡。故↢至誠心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)深心
            (Ⅰ)牒文

 ^ªには深心じんしんº と。

者深心。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)随釈
              (ⅰ)釈名
              (ⅱ)正釈
                (a)標数

^ª深心じんしんº といふはすなはちこれ深信じんしんしんなり。 またしゅあり。

↢深心↡者即是深信之心也。亦有↢二種↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)
                  (イ)明機深信

^いちにはけつじょうしてふかく、 しんげんにこれ*罪悪ざいあくしょうぼん*曠劫こうごうよりこのかたつねにもっしつねにてんして、 *しゅつえんあることなしとしんず。

者決定、信↢自身是罪悪生死凡夫、曠劫ヨリ已来流転、无シト↟有コト↢出離之縁↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)明法深信
                    [一]正明

^にはけつじょうしてふかく、 かの弥陀みだぶつの、 じゅうはちがんをもつてしゅじょうしょうじゅしたまふこと、 うたがいなくおもんぱかりなくかの願力がんりきりてさだめておうじょうしんず。

者決定、信↧彼阿弥陀仏、四十八願ヲモテ摂↢受タマフコト衆生↡、无↠疑↢彼願力↡定↦往生↥。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]広示信相
                      [Ⅰ]深信仏説

^またけつじょうしてふかく、 しゃぶつのこの ¬かんぎょう¼ の*三福さんぷく*ぼん*じょうさんぜんきて、 かのぶつしょうほうしょうさんして、 ひとをしてごんせしめたまふをしんず。

又決定、信↧釈迦仏↢此¬観経¼三福・九品・定散二善↡、証↢讃依正二報↡、使タマフヲ↦人ヲシテ欣慕↥。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]深信仏証

^またけつじょうしてふかく、 ¬弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ一切いっさいぼんしょうかんしたまふ、 けつじょうしてしょうずることをしんず。

又決定、信↧¬弥陀経¼中、十方恒沙諸仏証↢勧タマフ一切凡夫↡、決定↞生コトヲ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]重成前義
                        [ⅰ]随順三仏

^また深信じんしんとは、 あおねがはくは、 一切いっさいぎょうじゃとう一心いっしんにただぶつしんじて身命しんみょうかえりみず、 けつじょうして*よりぎょうじて、 ぶつてしめたまふをばすなはちて、 ぶつぎょうぜしめたまふをばすなはちぎょうじ、 ぶつらしめたまふところをばすなはちる。 これをぶっきょうずいじゅんし、 ぶつずいじゅんすとづけ、 これを仏願ぶつがんずいじゅんすとづく。 これをしんぶつ弟子でしづく。

又深信者、仰クハ行者等、一心唯信↢仏語↡不↠顧↢身命↡決定ジテ、仏タマフヲ↠捨者即、仏タマフヲ↠行者即、仏タマフ↠去ヲバ。是↧随↢順仏教随↦順スト仏意↥、是↣随↢順スト仏願↡。是↢真仏弟子↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]審観経信相
                          [a]略示

^また一切いっさいぎょうじゃただよくこの ¬きょう¼ (観経) により深信じんしんしてぎょうずるものは、 かならずしゅじょうあやまたじ。

又一切行者但能↢此¬経¼↡深信、必不↠悞↢衆生↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b]広明
                            [イ]総明因果満未満

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつはこれ満足まんぞくだいにんなるがゆゑに。 *じつのゆゑに。 ぶつのぞきてよりこのかたは*ぎょういまだたずして、 その*がくにありて、 *正習しょうじゅうしょうありていまだのぞかず、 *がんいまだまどかならざるによりて、

。仏是満足大悲ナルガ。実語。除テヨリ↠仏已還コノカタ智行未シテ↠満、在↢其学地↡、由↧有↢正習二障↡未↠除、果願未ルニ↞円カナラ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]別示因人了不了

^これらのぼんしょうはたとひ諸仏しょぶつきょう*しきりょうすれども、 いまだけつりょうすることあたはず。 *平章びょうしょうすることありといへども、 かならずすべからくぶつしょうしょうじてじょうとなすべし。 もしぶつみこころかなへばすなはち*いんして、 ª*にょにょº とのたまふ。 もしぶつみこころかなはざれば、 すなはち ªなんぢらの所説しょせつ、 このにょº とのたまふ。 いんしたまはざるは、 すなはち*無記むき無利むりやくおなじ。 ぶついんしたまふは、 すなはちぶつ正教しょうきょうずいじゅんす。

此等凡聖縦使測↢量レドモ諸仏教意↡、未↠能↢決了コト↡。雖↠有↢平章コト↡、要↧請ジテ↢仏↡為↞定也。若カナヘ↢仏↡即印可、言↢如是如是↡。若レバカナ↢仏↡者、即↢汝等所説、是義不如是↡。不↠印タマハ者、即↢无記・无利・无益之語↡。仏印可タマフ者、即随↢順ルナリ仏之正教↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ハ]示仏説了義

^もしぶつのあらゆる言説ごんせつは、 すなはちこれ正教しょうきょうしょう正行しょうぎょうしょうしょうごうしょうなり。 もしは、 もしはしょう、 もろもろのさつにんてんとうはず、 その是非ぜひさだむ。

所有言説、即是正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ。若多若少、衆不↠問↢菩薩・人・天等↡定↢其是非↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ニ]決判

^もしぶつ所説しょせつは、 すなはちこれ*了教りょうきょうなり。 さつとうせつは、 ことごとく了教りょうきょうづく、 るべし。

所説、即是了教ナリ。菩薩等、尽↢不了教↡也、応↠知

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][c]勧誡行者

^このゆゑにいまのときあおぎて一切いっさいえんおうじょうにんとうすすむ。 ただふかぶつしんじて*せんちゅうぎょうすべし。 さつとう*相応そうおうきょう信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし、 まどひをいだきてみづからまよひて、 おうじょう大益だいやく廃失はいしつすべからず。

時、仰↢一切有縁往生人等↡。唯可↧深↢仏語↡専注奉行↥。不↠可↧信↢用菩薩等不相応↡、以↢疑礙↡、抱惑自シテ、癈↦失往生之大益

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]建立信相
                      [Ⅰ]略明

^また深心じんしんは ª深信じんしんなりº とは、 けつじょうしてしんこんりゅうして、 きょうじゅんじてしゅぎょうして、 ながさくのぞきて、 一切いっさい*べつべつぎょう*がくけんしゅうのために、 退失たいしつ*きょうどうせられざるなり。

又深心深信ナリト者、決定建↢立自心↡、順↠教修行、永↢疑錯↡、不↧為↢一切別解・別行・異学・異見・異執↡之、所↦退失傾動↥。也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]広明
                        [ⅰ]就人立信
                          [a]

^ひていはく、 ぼんあさく、 *わくしょうところふかし。 もし*ぎょうどうひとに、 おおきょうろんきてきたりてあひ妨難ぼうなんし、 しょうして ª一切いっさいざいしょうぼんおうじょうずº といふにはんに、 いかんがかのなん*たいして、 信心しんじんじょうじゅして、 けつじょうしてじきすすみて、 *怯退こうたいしょうぜざらんや。

、凡夫智浅惑障処深。若ムニ↧解行不同、多↢経↡来ゲテシテフニ↦一切罪障凡夫不↞得↢往生↡者、云何対↢治↡、成↢就信心↡、決定、不ラム↠生怯退↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b]
                            [イ]正明
                              ª一º第一重
                                ªⅠº牒難標不受

^こたへていはく、 もしひとありておおきょうろんしょうきて、 ªしょうぜずº といはば、 ぎょうじゃすなはちこたへていへ、 ªなんぢ、 きょうろんをもつてきたしょうして «しょうぜず» といふといへども、 わがこころのごときはけつじょうしてなんぢがけず。

、若↠人多↢経論↡、云↠不↠生者、行者即仁者 ナンヂ ↢経論↡来イフ↞不↠生、如↢我↡者決定不↠受↢汝↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡº広述道理
                                  ªⅰº標己正信

^なにをもつてのゆゑに。 しかもわれまた、 これかのもろもろのきょうろんしんぜざるにはあらず。 ことごとくみな仰信ごうしんす。

。然我亦不↢是不ルニハ↟信↢彼経論↡。尽皆仰信

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡºªⅱº二門経論不同

^しかるにぶつかのきょうきたまふときは、 *処別しょべつに、 べつに、 *たいべつに、 やくべつなり。 またかのきょうきたまふときは、 すなはち ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼ とうきたまふときにあらず。 しかるにぶつせっきょうは、 *ととのひてときまたどうなり。 かれすなはちつうじてにんてんさつぎょうく。 いま ¬かんぎょう¼ のじょうさんぜんくは、 ただだいおよびぶつめつ*じょく*五苦ごく一切いっさいぼんのために、 しょうして «しょうずることを» とのたまふ。

仏説タマフ↢彼↡時、処別、時、対機別、利益別ナリ。又説タマフ↢彼↡時、即↧説タマフ↢¬観経¼・¬弥陀経¼等↡時↥。然説教トトノヒ↠機時亦不同ナリ。彼即↢人・天・菩薩之解行↡。今説クハ↢¬観経¼定散二善↡、唯為↢韋提及滅後五濁・五苦等一切凡夫↡、証↠得↠生コトヲ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡºªⅲº釈成

^この因縁いんねんのために、 われいま一心いっしんにこのぶっきょうによりてけつじょうして奉行ぶぎょうす。 たとひなんぢらひゃく千万億せんまんおくありて «しょうぜず» といふとも、 ただわがおうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせんº と。

↢此因縁↡、我今一心↢此仏教↡決定奉行。縦使汝等百千万億アリテトモ↠不↠生者、唯増↢長成↣就ムト往生信心↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二º第二重
                                ªⅠº標起

^またぎょうじゃさらにかひてきていへ。 ªなんぢよくけ。 われいまなんぢがためにまたけつじょう信相しんそうかん。

又行者更仁者 ナンヂ 。我今為↠汝↢決定信相↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡº
                                  ªⅰº仮設難破

^たとひ*ぜんさつ*かん*びゃくぶつとう、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう*遍満へんまんして、 みなきょうろんしょうきて «しょうぜず» といはば、

縦使地前菩薩・羅漢・辟支仏等、若一若多、乃至遍↢満十方↡、皆引↢経論↡言↠不↠生者、

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡºªⅱº標不受

^われまたいまだ一念いちねんしんおこさじ。 ただわが清浄しょうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん。

我亦未↠起↢一念疑心↡。唯増↢長成↣就清浄信心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡºªⅲº釈所由

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつけつじょうじょうじゅりょうにして、 一切いっさいのために破壊はえせられざるによるがゆゑにº と。

。由↫仏語決定成就了義ニシテ、不ルニ↪為↢一切↡所↩破壊↨故ニト

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三º第三重
                                ªⅠº

^またぎょうじゃよくけ。

又行者善

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡº
                                  ªⅰº仮設難破

^たとひ*しょじょうじゅうらい、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 異口いく同音どうおんにみないはく、 ªしゃぶつ弥陀みださんし、 三界さんがい六道ろくどう*毀呰きしして、 しゅじょう勧励かんれいし、 «専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅして、 この一身いっしんへてのちひつじょうしてかのくにしょうず» といふは、 これはかならずもうなり、 しんすべからずº と。

縦使初地已上十地已来、若一若多、乃至遍↢満↡、異口同音皆云、釈迦仏指↢讃弥陀↡、毀↢呰三界・六道↡、勧↢励衆生↡、専心念仏、及↢余善↡、畢↢此一身↡後必定ズトイフ↢彼↡者、此虚妄ナリ、不↠可↢依信↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡºªⅱº標不受

^われこれらの所説しょせつくといへども、 また一念いちねんしんしょうぜずして、 ただわがけつじょうして上上じょうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん。

我雖↠聞クト↢此等所説↡、亦不シテ↠生↢一念疑心↡、唯増↢長成↣就決定上々信心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡºªⅲº釈所由

^なにをもつてのゆゑに。 すなはちぶつ真実しんじつ*けつりょうなるによるがゆゑに。 ぶつはこれじっじつ実見じっけんじっしょうにして、 これわくしんちゅうにあらざるがゆゑに。 また一切いっさいさつけん異解いげのために破壊はえせられず。 もしじつにこれさつならばおおぶっきょうたがはじ。

。乃ルガ↢仏語真実決了ナルニ↡故。仏是実知・実解・実見・実証ニシテ、非ルガ↢是疑惑心中↡故。又不↧為↢一切菩薩異見・異解↡之所↦破壊↥。若是菩薩ナラバ者衆不↠違↢仏教↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四º第四重
                                ªⅠº

^またこのけ。 ぎょうじゃまさにるべし。

又置↢此↡。行者当↠知

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡº
                                  ªⅰº仮設難破

^たとひ*ぶつ*報仏ほうぶつ、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう*遍満へんまんして、 おのおのひかりかがやかし、 したきて、 あまねく十方じっぽうおおひて、 一々いちいちきてのたまはく、 ªしゃ所説しょせつにあひめ、 一切いっさいぼん勧発かんぽつして、 «専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅして、 *がんしてかのじょうしょうずることを» といふは、 これはこれもうなり、 さだめてこのなしº と。

縦使化仏・報仏、若一若多、乃至遍↢満十方↡、各カシ↠光、吐↠舌↢十方↡、一々、釈迦所説、勧↢発一切凡夫↡、専心念仏、及↢余善↡、廻願トイフ↠生コトヲ浄土↡者、此是虚妄ナリ、定シト↢此事↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅱº標不受

^われこれらの諸仏しょぶつ所説しょせつくといへども、 *ひっきょうじて一念いちねん退たいしんおこして、 かの仏国ぶっこくしょうずることをずとおそれじ。

我雖↠聞クト↢此等諸仏所説↡、畢竟不↧起↢一念疑退之心↡、畏↞不↠得↠コトヲ↢彼仏国↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲº釈所由
                                    ªaº約通門
                                      ªイº諸仏等同

^なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつ一切いっさいぶつなり。 あらゆるけんぎょうしょう果位かいだい等同とうどうにしてすこしき差別しゃべつなし。

。一仏一切仏ナリ。所有知見・解行・証悟・果位・大悲、等同ニシテ↢少シキ差別↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªaºªロº引例

^このゆゑに一仏いちぶつせいしたまふところは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくせいしたまふ。 前仏ぜんぶつせっしょうじゅうあくとうつみ制断せいだんしたまふがごとく、 ひっきょうじてぼんせずぎょうぜざるは、 すなはち*じゅうぜん*十行じゅうぎょうづけ、 ろくずいじゅんす。 もしぶつありてでんに、 あにさきじゅうぜんあらためてじゅうあくぎょうぜしむべけんや。

一仏↠制タマフ、即一切仏同タマフ如↣似 ゴト 前仏制↢断タマフガ殺生・十悪等↡、畢竟不↠犯↠行者、即↢十善・十行↡、随↢順六度之義↡。若↢後仏↡出ムニ↠世、豈ケム↧改↢前十善↡令↞行↢十悪↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªaºªハº結示

^このどうをもつて*推験すいけんするに、 あきらかにりぬ。 諸仏しょぶつごんぎょうはあひしつせず。

↢此道理↡推験ルニ、明、諸仏言行不↢相違失↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbº約別門
                                      ªイº正明

^たとひしゃ一切いっさいぼんすすめて、 ªこの一身いっしんつくして専念せんねん専修せんじゅして、 いのちてて以後のちにさだめてかのくにしょうずº といふは、 すなはち十方じっぽう諸仏しょぶつことごとくみなおなじくめ、 おなじくすすめ、 おなじくしょうしたまふ。 なにをもつてのゆゑに。 *同体どうたいだいのゆゑに。 一仏いちぶつ*しょは、 すなはちこれ一切いっさいぶつなり。 一切いっさいぶつは、 すなはちこれ一仏いちぶつしょなり。

縦令釈迦指↢勧凡夫↡、尽↢此一身↡専念専修、捨テテ↠命已後ズトイフ↢彼↡者、即十方諸仏悉皆同タマフ。何。同体大悲。一仏所化是一切ナリ。一切是一仏所化ナリ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªロº引証
                                        ˆ一ˇ同讃

^すなはち ¬弥陀みだきょう¼ のなかにきたまはく、 しゃ極楽ごくらく種々しゅじゅしょうごん讃歎さんだんし、 また一切いっさいぼんすすめて、 ª一日いちにち七日しちにち一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 さだめておうじょうしめたまふº と。 次下つぎしももん (小経) にのたまはく、 ª十方じっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃめて、 よくじょくあくあくかいあくしゅじょうあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかりなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさんして、 しゅじょう勧励かんれいして、 «しょうねんすればかならずおうじょう»º と。 すなはちそのしょうなり。

¬弥陀経¼中、釈迦讃↢歎極楽種々荘厳↡、又勧↢一切凡夫↡、一日七日一心↢弥陀名号↡、定シメタマフト↢往生↡。次下、十方シテ↢恒河沙等諸仏↡、同メテ↢釈迦↡、能↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪煩悩・悪邪・无信ナル↡、指↢讃弥陀名号↡勧↢励衆生↡、称念レバ↢往生↡。即証也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªロºˆ二ˇ同証

^また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃ一仏いちぶつ所説しょせつしんぜざることを恐畏くいして、 すなはちともに同心どうしんどうにおのおの*舌相ぜっそういだして、 あまねく*三千さんぜんかいおおひて、 じょうじつごんきたまふ。 ªなんぢらしゅじょう、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょう*せつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくして、 しも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしんにもつぱらみょうごうねんずれば、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいなしº と。

又十方仏等、恐↢畏衆生ラムコトヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即同心同時↢舌相↡、遍↢三千世界↡、説タマフ↢誠実↡。汝等ナムダチ衆生、皆応↠信↢是釈迦所説・所讃・所証↡。一切凡夫、不↠問↢罪福多少、時節久近↡、但能上尽↢百年↡、下至マデ↢一日七日↡一心レバ↢弥陀名号↡、定コト↢往生↡、必シト↠疑也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªハº結示

^このゆゑに一仏いちぶつ所説しょせつは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくその証誠しょうじょうしたまふ。

一仏所説、即一切仏同証↢誠タマフ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][ロ]結文

^これを*にんきてしんつとづく。

↢就↠人ツト↟信也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]就行立信

^つぎぎょうきてしんつとは、 しかるにぎょうしゅあり。 いちには正行しょうぎょうにはぞうぎょうなり。 云々うんぬん*さきぎょうのなかにくところのごとし。 しげきをおそれてせず。 ひとこころよ。

↠行ツト↠信者、然↢二種↡。一者正行、二者雑行ナリ云々。如↢前二行之中↟引。恐不↠載。見人得↠意

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)回向発願心
            (Ⅰ)牒文

 ^さんには ªこう発願ほつがんしんº と。

者廻向発願心

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)随釈
              (ⅰ)約要門

^ªこう発願ほつがんしんº といふは、 過去かこおよびこんじょうしん口意くいごうしゅするところの*しゅっ善根ぜんごん、 および一切いっさい*ぼんしょうしん口意くいごうしゅするところのしゅっ善根ぜんごん*ずいして、 この自他じた所修しょしゅ善根ぜんごんをもつて、 ことごとくみな真実しんじつ深信じんしんしんのうちにこうして、 かのくにしょうぜんとがんず。 ゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

↢廻向発願心↡者、過去及以今生身口意業↠修世・出世善根、及随↢喜一切凡聖身口意業↠修世・出世善根↡、以↢此自他所修善根↡、悉皆真実深信廻向、願↠生ムト↢彼↡。故↢廻向発願心↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)約弘願
                (a)約往相
                  (イ)広明
                    [一]出体

^また*こう発願ほつがんとは、 *かならずすべからくけつじょう真実しんじつしんのうちにこうして、 *得生とくしょうおもいがんすべし。

又廻向発者、必↣決定真実心廻向、願↢作得生↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]功徳

^このしんふかしんずることなほ金剛こんごうのごとく、 一切いっさいけんがくべつべつぎょうにんとうのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして一心いっしんりて、 しょうじきすすみて、 かのひときて、 すなはち進退しんたいありて、 しん*こうにゃくしょうじて、 *回顧えこして*どうちて、 すなはちおうじょう大益だいやくうしなふことをざれ。

心深コトナホ↢金剛↡、不↧為↢一切異見・異学・別解・別行人等↡之所↦動乱破壊↥。唯是決定一心、正直、不↠得↧聞↢彼↡、即↢進退↡、心↢怯弱↡、廻顧↠道、即コトヲ↦往生之大益↥也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三]料簡
                      [Ⅰ]

^ひていはく、 もし*ぎょうどう邪雑じゃぞうにんとうありて、 きたりてあひ惑乱わくらんして、 種々しゅじゅなんきて、 ªおうじょうずº といひ、 あるいはいはん、 ªなんぢらしゅじょう曠劫こうごうよりこのかたおよびこんじょうしん口意くいごうに、 一切いっさいぼんしょうしんうえにおいてつぶさに*じゅうあく*ぎゃく*じゅう*謗法ほうぼう*闡提せんだいかいけんとうつみつくりて、 いまだ除尽じょじんすることあたはず。 しかもこれらのつみ三界さんがい悪道あくどう*ぞくす。 いかんぞいっしょう修福しゅふく念仏ねんぶつをもつて、 すなはちかの*無漏むろ*しょうくにまいりて、 なが*退たいくらいしょうすることをんやº と。

、若↢解行不同邪雑人等↡来惑乱↢種々疑難↡、噵↠不↠得↢往生↡、或汝等ナムダチ衆生、曠劫ヨリ已来及以今生身口意業、於↢一切凡聖↡具↢十悪・五逆・四重・謗法・闡提・破戒・破見等↡、未↠能↢除尽コト↡。然此等之罪繋↢属三界悪道↡。云何一生修福念仏ヲモテ、即マヰリ↢彼无漏无生之国↡、永↣証↢悟コトヲ不退↡也

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ]
                        [ⅰ]法説
                          [a]総標

^こたへていはく、 諸仏しょぶつ教行きょうぎょうかず塵沙じんじゃえたり。 *稟識ほんじきえんこころしたがひていちにあらず。

、諸仏教行、数越タリ↢塵沙↡。稟識機縁随↠情↠一

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][b]引例比況

^たとへばけんひとまなこつべくしんじつべきがごときは、 みょうはよくあんし、 くうはよくがんす、 はよく*載養さいようす、 みずはよく*しょうにんす、 はよく*じょうするがごとし。 かくのごとき、 ことごとく*待対たいたいほうづく。 すなはちつべし。 千差せんじゃ万別まんべつなり。 いかにいはんや仏法ぶっぽう思議しぎちから、 あに種々しゅじゅやくなからんや。 したがひていちもんよりづといふは、 すなはちいち煩悩ぼんのうもんよりづるなり。 したがひていちもんよりるといふは、 すなはちいちだつ智慧ちえもんよりるなり。 これがためにえんしたがひてぎょうおこして、 おのおのだつもとむ。

↢世間↠見キガ↟信者、如↢明↠闇、空↠有、地載養、水生潤、火成壊ルガ↡。如↠此事悉↢待対之法↡。即↠見。千差万別ナリ。何仏法不思議之力豈ラム↢種々益↡也。随ヅトイフ↢一ヨリ↡者、即ヅル↢一煩悩ヨリ↡也。随ルトイフ↢一ヨリ↡者、即↢一解脱智ヨリ↡也。為↠此↠縁↠行、各↢解脱↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][c]遮偏見難

^なんぢ、 なにをもつてかすなはちえんにあらざるようぎょうをもつてわれをしょうわくする。 しかもわがあいするところは、 すなはちこれわ*えんぎょうなり。 すなはちなんぢがしょにあらず。 なんぢがあいするところは、 すなはちこれなんぢがえんぎょうなり。 またわがしょにあらず。 このゆゑに*しょぎょうしたがひてそのぎょうしゅすれば、 かならずだつ

汝何テカ↧非↢有縁↡之要行↥障↢惑於我↡。然之所↠愛是我有縁之行ナリ。即↢汝所求↡。汝之所↠愛、即是汝有縁之行ナリ。亦非↢我所求↡。是↢所楽↡而修レバ↢其↡者、必↢解脱↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][d]約解行分別

^ぎょうじゃまさにるべし。 もし*がくせんとおもはば、 *ぼんより*しょういたるまで、 ないぶっまで、 一切いっさい*無礙むげにみながくすることをよ。 もしぎょうがくせんとおもはば、 かならずえんほうによれ。 すこしきろうもちゐるにおおやく

行者当↠知。若↠学ムト↠解、従↠凡至マデ↠聖、乃至仏果マデ、一切无礙皆得↠学コトヲ也。若↠学ムト↠行者必↢有縁之法↡。少シキルニ↢功労↡多↠益

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ]譬説
                          [a]用譬意許

 ^また一切いっさいおうじょうにんとうにまうす。 いまさらにぎょうじゃのためにいち譬喩ひゆきて、 信心しんじんしゅして、 もつてじゃけんなんふせがん。

又白↢一切往生人等↡。今更↢行者↡説↢一譬喩↡、守↢護信心↡、以↢外邪異見之難↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ][b]正宗
                            [イ]譬文

^なんものかこれや。 たとへば、 ひとありて西にしかひてひゃくせんさとかんとほっするに、 忽然こつねんとして*ちゅうかわあり。 いちはこれかわみなみにあり。 はこれみずかわきたにあり。 二河にがおのおのひろひゃく、 おのおのふかそこもなく、 南北なんぼくほとりなし。 まさしくすいちゅうげんいちびゃくどうあり。 ひろすんばかりなるべし。 このみちひがしきしより西にしきしいたるまで、 またながひゃく、 そのみずろうきょうしてみち湿うるおす。 そのほのおまたきたりてみちく。 すいあひまじはりてつねにそくすることなし。

是也。譬↧有↠人欲ルニ↣向↠西ムト↢百千之里↡、忽然トシテ↢二河↡。一是火河在↠南。二是水河在↠北。二河ヒロ百歩、各↠底、南北无↠辺。正水火中間↢一道↡。可ヒロ四五寸バカリナル↡。此道従↢東岸↡至マデ↢西↡、亦長百歩、其波浪交過湿↠道。其燄亦来↠道。水火相↢休息コト↡。

^このひとすでに*空曠くうこうのはるかなるところいたるに、 さらに人物にんもつなし。 おお群賊ぐんぞくあくじゅうのみあり。 このひと単独たんどくなるをて、 きおきたりてころさんとほっす。 このひとおそれてじきはしりて西にしかふに、 忽然こつねんとしてこのたいる。 すなはちみづから念言ねんごんすらく、 ªこのかわ南北なんぼく*辺畔へんぱんず。 ちゅうげんいちびゃくどうる。 きはめてこれ狭少きょうしょうなり。 きしあひることちかしといへども、 なにによりてかくべき。 今日こんにちさだめてすることうたがはず。

人既ルニ↢空曠ナル↡、更↢人物↡。多↢群賊・悪獣ノミ↡。見↢此単独ナルヲ↡、競↠殺ムト。此人怖↠死フニ↠西忽然トシテ↢此大河↡。即念言スラク、此河南北不↠見↢辺畔↡。中間白道↡。極是狭少ナリ。二岸相コト↠近シト、何テカ↠行。今日定コト不↠疑

^まさしくいたかえらんとほっすれば、 群賊ぐんぞくあくじゅう*漸々ぜんぜんきたむ。 まさしく南北なんぼくはしらんとほっすれば、 あくじゅうどくちゅうきおきたりてわれにかふ。 まさしく西にしかひてみちたずねてらんとほっすれば、 またおそらくはこのすい二河にがすることをº と。 ときあたりて*こうすることまたいふべからず。

レバ↢到カヘラムト↡、群賊・悪獣漸々。正レバ↢南北ムト↡、悪獣・毒虫競↠我。正レバ↢向↠西↠道而去ムト↡、復恐チラムコトヲト↢此水火二河↡。当↠時惶怖コト不↢復可↟言

^すなはちみづからねんすらく、 ªわれいまかえるともまたなん。 じゅうすともまたなん。 るともまたなん。 一種いっしゅとしてまぬかれじ。 われ*むしろこのみちたずねてさきかひてらん。 すでにこのみちあり。 かならずわたるべしº と。

思念スラク、我今カヘルトモ亦死トモ亦死トモ亦死。一種トシテ不↠マヌカ↠死者。我寧↢此↡向↠前而去。既↢此道↡。必応↢可シト↡。

^このねんをなすときに、 ひがしきしにたちまちにひとすすむるこえく。 ªなんぢ、 ただけつじょうしてこのみちたずねてけ。 かならずなんなからん。 もしじゅうせばすなはちなんº と。 また西にしきしうえひとありて、 ばひていはく、 ªなんぢ一心いっしんしょうねんじききたれ。 われよくなんぢをまもらん。 すべてすいなんすることをおそれざれº と。

↢此↡時、東↢人↡。仁者 ナンヂ 但決定↢此↡行。必↢死難↡。若セバムト。又西↠人、喚ヒテ、汝一心正念。我能↠汝。衆レト↠畏↠堕ナムコトヲ↢於水火之難↡。

^このひとすでにここにり、 かしこにばふをきて、 すなはちみづからまさしく身心しんしんあたりて、 けつじょうしてみちたずねてじきすすみて*こう退心たいしんしょうぜず。

人既↢此フヲ↡、即↢身心↡、決定↠道不↠生↢疑怯退心↡。

^あるいはくこと一分いちぶんぶんするに、 ひがしきし群賊ぐんぞくばひていはく、 ªなんぢかえきたれ。 このみち嶮悪けんあくにしてぐることをじ。 かならずすることうたがはず。 われらすべて悪心あくしんをもつてあひかふことなしº と。 このひとばふこえくといへども、 また*回顧えこせず。 一心いっしんじきすすみてみちねんじてくに、 *しゅにすなはち西にしきしいたりて、 なが諸難しょなんはなれて、 ぜんとあひきょうらくむことなきがごとし。

コト一分二分ルニ、東群賊等喚ヒテ仁者 ナンヂ カヘ。此道嶮悪ニシテ不↠得↠過コトヲ。必セムコト不↠疑。我等衆シト↢悪心ヲモテコト↡。此人雖↠聞クト↢喚↡亦不↢廻顧↡。一心↠道而行クニ、須臾↢西↡、永↢諸難↡、善友慶楽无キガ↞已ムコト

^これはこれたとへなり。

是喩也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ][b][ロ]合文

 ^つぎたとへをがっせば、 ªひがしきしº といふは、 すなはちこのしゃたくたとふ。

セバ↠喩者、言↢東↡者、即↢此娑婆之火宅↡也。

^ª西にしきしº といふは、 すなはち極楽ごくらく宝国ほうこくたとふ。

↢西↡者、即↢極宝国↡也。

^ª群賊ぐんぞくあくじゅういつわしたしむº といふは、 すなはちしゅじょう*六根ろっこん*六識ろくしき*六塵ろくじん*おん*だいたとふ。

↢群賊・悪獣詐ムト↡者、即↢衆生六根・六識・六塵・五陰・四大↡也。

^ªひとなき*くうきょうさわº といふは、 すなはちつねにあくしたがひてしんぜんしきはざるにたとふ。

↢无↠人空迥↡者、即↧常↢悪友↡不ルニ↞値↢真善知識↡也。

^ªすい二河にがº といふは、 すなはちしゅじょう*貪愛とんないみずのごとし、 *瞋憎しんぞうのごとしとたとふるなり。

↢水火二河↡者、即フル↢衆生貪愛↠水、瞋シト↟火也。

^ªちゅうげんびゃくどう四五しごすんなるº といふは、 すなはちしゅじょう貪瞋とんじん煩悩ぼんのうのなかに、 よく清浄しょうじょうがんおうじょうしんしょうずるにたとふ。 すなはち貪瞋とんじんこわきによるがゆゑに、 すなはちすいのごとしとたとふ。 善心ぜんしん*なるがゆゑに、 びゃくどうのごとしとたとふ。

↢中間白道四五寸ナルト↡者、即↢衆生貪瞋煩悩ルニ↢清浄願往生↡也。乃ルガ↢貪瞋キハキニ↡故↠如シト↢水火↡。善心ナルガ↠如シト↢白道↡。

^また ªすいつねにみち湿うるおすº といふは、 すなはち*愛心あいしんつねにおこりて、 よく善心ぜんしんぜんするにたとふ。

又水波常湿ストイフ者、即↣愛心常染↢汚ルニ善心↡也。

^また ªえんつねにみちくº といふは、 すなはち*瞋嫌しんけんしんよくどく法財ほうざいくにたとふ。

又火燄常クトイフ↠道者、即↣瞋嫌之心能クニ↢功徳之法財↡也。

^ªひとみちうえきてじき西にしかふº といふは、 すなはちもろもろのぎょうごうしてじき西方さいほうかふにたとふ。

↧人↢道↡直フト↞西者、即↧廻↢諸行業↡直フニ↦西方↥也。

^ªひがしきしひとこえすするをきて、 みちたずねてじき西にしすすむº といふは、 すなはちしゃはすでにめっして、 のちひとたてまつらざれども、 なほきょうぼうありてたずぬべきにたとふ。 すなはちこれをこえのごとしとたとふるなり。

↧東↢人ルヲ↡尋↠道西ムト↥者、即↧釈迦人不ドモ↠見マツラナホ↢教法↡可キニ↞尋。即フル↢之シト↟声也。

^ªあるいはくこと一分いちぶんぶんするに群賊ぐんぞくかえすº といふは、 すなはちべつべつぎょう悪見あくけんにんとうの、 *みだりに*けんきてたがひにあひ惑乱わくらんし、 およびみづからつみつくりて退失たいしつするにたとふ。

↢或コト一分二分スルニ群賊等喚カヘス↡者、即↧別解・別行・悪見人等、妄↢見解タガヒ惑乱、及↠罪退失ルニ↥也。

^ª西にしきしうえひとありてばふº といふは、 すなはち弥陀みだがんたとふ。

↢西↠人喚フト↡者、即↢弥陀願意↡也。

^ªしゅ西にしきしいたりてぜんあひよろこぶº といふは、 すなはちしゅじょうひさしくしょうしずみて、 曠劫こうごうりんし、 迷倒めいとうして*みづからまつわりて、 だつするによしなきに、 あおぎてしゃ*発遣はっけんして西方さいほうこうしたまふことをこうむり、 また弥陀みだしんをもつて*招喚しょうかんしたまふによりて、 いまそん (釈尊・阿弥陀仏)みこころしんじゅんして、 すい二河にがかえりみず、 念々ねんねんわするることなく、 かの願力がんりきどうりて、 いのちてをはりてのちにかのくにしょうずることをて、 ぶつとあひまみえてきょうなんぞきわまらんとたとふるなり。

↧須臾↢西↡善友相ブト↥者、即フル↧衆生久↢生死↡、曠劫淪廻、迷、无キニ↠由↢解脱ルニ↡、仰↣釈迦発遣指↢向タマフコトヲ西方↡、又藉↢弥陀悲心ヲモテ招喚タマフニ↡、今信↢順二尊之意↡、不↠顧↢水火二河↡、念々ワスルコト、乗↢彼願力之道↡、捨↠命↠生コトヲ↢彼↡、与↠仏相マミエ慶喜何ムト↥也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)結名義

 ^また一切いっさいぎょうじゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざが三業さんごうしゅするところ、 ちゅうせつふことなく、 つねにこのをなしつねにこのおもいをなすがゆゑに、 こう発願ほつがんしんづく。

又一切行者、行住坐臥三業所↠修、无↠問コト↢昼夜時節↡、常↢此↡常スガ↢此↡故、名↢廻向発願心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)約還相

^また ªこうº といふは、 かのくにしょうじをはりて、 かえりてだいおこして、 *しょうにゅうしてしゅじょうきょうするをまたこうづく。

又言↢廻向↡者、生↢彼↡已、還↢大悲↡、廻↢入生死↡教↢化ルヲ衆生↡亦↢廻向↡也。

二 ⅷ Ⅱ b 結三心示功能
          (一)因果具成

 ^三心さんしんすでにすれば、 ぎょうとしてじょうぜずといふことなし。 がんぎょうすでにじょうじて、 もししょうぜずは、 このことわりあることなからん。

三心既レバ、无↢行トシテトイフコト↟成。願行既↠生者、无↠有コト↢是コトワリ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b ロ (二)通摂定善

^またこの三心さんしんはまたつうじて*じょうぜんせっす、 るべし」 と。

又此三心亦通↢定善之義↡、応シト↠知。」

二 ⅷ Ⅱ 礼讃
       

 ^¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「ひていはく、 いまひとすすめておうじょうせしめんとおもはば、 いまだらず、 いかんが安心あんじんぎょうしてごうをなしてか、 さだめてかのこくおうじょうすることをんや。

¬往生礼讃¼云、「問、今欲↢勧↠人往生シメムト↡者、未↠知若為 イカン 安心・起行テカ↠業、定↣往↢生コトヲ国土↡也。

二 ⅷ Ⅱ c

^こたへていはく、 かならずじょうこくおうじょうせんとおもはば、 ¬かんぎょう¼ のせつのごときは、 三心さんしんすればかならずおうじょう。 なんらをかさんとなす。

、必往↢生ムト浄国↡者、如↢¬観経¼説↡者、具レバ↢三心者必得↢往生↡。何等ヲカ↠三

^いちにはじょうしん、 いはゆる身業しんごうをもつてかのぶつ礼拝らいはいし、 ごうをもつてかのぶつ*讃歎さんだんしょうようし、 ごうをもつてかのぶつ専念せんねん観察かんざつす。 *おほよそ三業さんごうおこすに、 かならずすべからく真実しんじつなるべし。 ゆゑにじょうしんづく。

者至誠心、所謂身業ヲモテ礼↢拝↡、口業ヲモテ讃↢歎称↣揚↡、意業ヲモテ専↢念観↣察↡。凡スニ↢三業↡必↢真実ナル↡。故↢至誠心↡。

^には深心じんしん、 すなはちこれ真実しんじつ信心しんじんをもつて、 しんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼん善根ぜんごんはくしょうにして三界さんがいてんしてたくでずとしんし、 いま弥陀みだ*ほんぜいがんみょうごうしょうすることしもじっしょういっしょうとういたるにおよぶまでさだめておうじょうしんして、 ない一念いちねんしんあることなし。 ゆゑに深心じんしんづく。

者深心、即是真実信心ヲモテ、信↧知自身是具↢足セル煩悩↡凡夫、善根薄少ニシテ流↢転三界↡不↞出↢火宅↡、今信↪知弥陀本弘誓願、及マデ↧称コト↢名号↡下至ルニ↦十声一声等↥定↩往生↨、乃至一念↠有コト↢疑心↡。故↢深心↡。

^さんにはこう発願ほつがんしんしょ一切いっさい善根ぜんごんことごとくみなおうじょうがんす。 ゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

者廻向発願心、所作一切善根悉皆廻願↢往生↡。故↢廻向発願心↡。

^この三心さんしんすれば、 かならずしょうずることをもし一心いっしんけぬれば、 すなはちしょうずることをず。 ¬かんぎょう¼ につぶさにくがごとし、 るべし」 と。

レバ↢此三心↡必コトヲ也、若カケヌレバ↢一心↡即不↠得↠生コトヲ。如↢¬観経¼具クガ↡。応シト。」

二 ⅷ 私釈
      総釈

 ^わたくしにいはく、 くところの三心さんしんはこれぎょうじゃ*ようなり。 所以ゆえんはいかんぞ。 ¬きょう¼ (観経) にはすなはち、 「*三心さんしんしゃひつしょうこく」 といふ。 あきらかにりぬ、 さんすればかならずしょうずることをべし。 ¬しゃく¼ (礼讃) にはすなはち、 「*若少にゃくしょう一心いっしんそくとくしょう」 といふ。 あきらかにりぬ、 いちけぬればこれさらに不可ふかなり。 これによりて極楽ごくらくうまれんとおもはんひとは、 まつたく三心さんしんそくすべし。。

、所↠引三心者是行者至要也。所以者何ンゾ¬経ニハ¼則、云↢「具三心者必生彼国」↡。明、具レバ↠三↠得↠生コトヲ。¬釈ニハ¼則↢「若少一心即不得生」↡。明、一カケヌレバ是更不可ナリ。因↠茲↠生ムト↢極楽↡之人↣具↢足三心↡也。

二 ⅷ Ⅲ 別釈
        至誠心
          (一)総指

^そのなかに 「じょうしん」 とはこれ真実しんじつしんなり。 そのそう、 かのもん (散善義) のごとし。

「至誠心」者是真実心也。其相如↢彼↡。

二 ⅷ Ⅲ b イ (二)別示【内外相翻】

^ただし 「ほか賢善けんぜんしょうじんそうげんじ、 うち虚仮こけいだく」 といふは、 ないたいすることばなり。 いはくそう内心ないしん調じょうこころなり。 すなはちこれないなり。 けんといふはたいすることばなり。 いはくはこれけんないはすなはちなり。 ぜんあくたいすることばなり。 いはくはこれぜんないはすなはちあくなり。 しょうじん*だいたいすることばなり。 いはくにはしょうじんそうしめし、 ないにはすなはちだいしんいだく。 もしそれ*ほんじてないたくわへば、 まことに*しゅつようそなふべし。

「外↢賢善精進↡、内クトイフ↢虚仮↡」者、外者対↠内之辞也。謂外相与↢内心↡不調之ナリ。即是外智、内愚也。賢トイフ者対↠愚言也。謂是賢、内愚也。善者対↠悪之辞也。謂是善、内ナリ。精進者対↢懈怠↡之言也。謂ニハ↢精進↡、内ニハ↢懈怠↡也。若↠外↠内者、マコト↠備↢出要↡。

^うち虚仮こけいだく」 ととは、 ないたいすることばなり。 いはく内心ないしんそう調じょうこころなり。 すなはちこれないじつなり。 じつたいすることばなり。 いはくないじつなるものなり。 しんたいすることばなり。 いはくないしんなり。 もしそれ*ないほんじてそとほどこさば、 またしゅつようりぬべし。

「内クト↢虚仮↡」、内者対↠外之辞也。謂内心与↢外相↡不調之意ナリ。即是内虚、外実也。虚者対↠実言也。虚、外ナル者也。仮者対↠真之辞也。謂仮、外真也。若↠内ホドコサバ↠外者、亦可↠足↢出要↡。

二 ⅷ Ⅲ b 深心【信疑決判】

^つぎに 「深心じんしん」 とは、 いはく深信じんしんしんなり。 まさにるべし、 *しょういえにはうたがいをもつてしょとなし、 *はんみやこにはしんをもつてのうにゅうとなす ゆゑにいましゅ信心しんじんこんりゅうして、 ぼんおうじょうけつじょうするものなり。 またこのなかに 一切いっさいべつべつぎょうがくけんとうといふは、 これしょうどうもんぎょうがくけん。 そのはすなはちこれじょうもんこころなり。 もんにありてるべし。 あきらかにりぬ、 善導ぜんどうこころまたこのもんでず。

「深心」者、謂深信之ナリ。当↠知、生死之家ニハ↠疑↢所止↡、涅槃之ミヤコニハ↠信↢能入↡。故今建↢立二種信心↡、決↢定九品往生↡者也。又此↢「一切別解・別行・異学・異見等↡者、是指↢聖道門解行学見↡也。其是浄土門ナリ。在↠文↠見。明、善導之意亦不↠出↢此二門↡也。

二 ⅷ Ⅲ b 廻向発願心

^こう発願ほつがんしんべつしゃくつべからず。 ぎょうじゃこれをるべし。

廻向発願心之義、不↠可↠俟↢別↡。行者応↠知↠之

二 ⅷ Ⅲ 料簡通局

^この三心さんしんそうじてこれをいへば、 もろもろのぎょうほうつうず。 べっしてこれをいへば、 おうじょうぎょうにあり。 いまつうげてべつせっす。 こころすなはちあまねし。 ぎょうじゃよく用心ようじんして、 あへて*忽諸こつしょせしむることなかれ。

三心者総而言↠之、通↢諸行法↡。別而言↠之、在↢往生↡。今挙↠通↠別。意即矣。行者能用心、敢↠令コト↢忽↡。

【四修章】
    標章

【9】 ^念仏ねんぶつぎょうじゃしゅほうぎょうゆうすべきもん

 念仏行者可↣行↢用四修↡之文

二 ⅸ 引文
      礼讃
       

 ^善導ぜんどうの ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「また*しゅほうかんぎょうす。 何者なにものをかとなす。

善導¬往生礼讃¼云、「又勧↢行四修↡。何者ヲカ↠四

二 ⅸ Ⅱ a

^いちにはぎょうしゅ。 いはゆるかのぶつおよび一切いっさいしょうじゅとうぎょう礼拝らいはいす。 ゆゑにぎょうしゅづく。 ひつみょうとなしてちかひてちゅうせざる、 すなはちこれじょうしゅなり。

者恭敬修。所謂恭↢敬礼↣拝一切聖衆等↡。故↢恭敬修↡。畢ルヲ命為↠期↢中止↡、即是長時修ナリ

には無余むよしゅ。 いはゆるもつぱらかのぶつみなしょうして専念せんねん専想せんそうし、 もつぱらかのぶつおよび一切いっさいしょうじゅとう*礼讃らいさんして、 *ごうまじへず。 ゆゑに無余むよしゅづく。 ひつみょうとなしてちかひてちゅうせざる、 すなはちこれじょうしゅなり。

者無余修。所謂↢彼↡専念専想、専礼↢仏及一切聖衆等↡、不↠雑↢余業↡。故↢無余修↡。畢命↠期↢中止↡、即是長時修ナリ

さんにはけんしゅ。 いはゆる相続そうぞくしてぎょう礼拝らいはいし、 称名しょうみょう讃歎さんだんし、 憶念おくねん観察かんざつし、 こう発願ほつがんし、 心々しんしん相続そうぞくしてごうをもつてきたまじへず。 ゆゑにけんしゅづく。 また*貪瞋とんじん煩悩ぼんのうをもつてきたまじへず。 ぼんせんにしたがひ、 したがひてさんせよ。 ねんへだときへだへだてず。 つねに清浄しょうじょうならしめよ。 またけんしゅづく。 ひつみょうとなしてちかひてちゅうせざる、 すなはちこれじょうしゅなり」 と。

者無間修。所謂相続恭敬礼拝、称名讃歎、憶念観察、廻向発願、心々相続不↧以↢余業↡来↥。故↢無間修↡。又不↧以↢貪瞋煩悩↡来マジ↥。随↠犯ムニ、随セヨ不↢隔↠念↠時↟日。常使↢清浄ナラ↡。亦名↢無間修↡。畢命↠期↢中止↡、即是長時修ナリト。」

二 ⅸ Ⅱ 西方要決
       

 ^¬西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「ただしゅしゅしてもつてしょうごうとなす。

¬西方要決¼云、「但修↢四修↡以↢正業↡。

二 ⅸ Ⅱ b
          (一)長時修

^いちにはじょうしゅ*しょ発心ほっしんよりすなはちだいいたるまで、 つねに*じょういんをなしてつひに退転たいてんなし。

者長時修。従↢初発心↡乃菩提マデ、恒↢浄因↡終↢退転↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (二)恭敬修

^にはぎょうしゅ。 これにまたあり。

者恭敬修。此復有↠五。

^いちにはえんしょうにんうやまふ。 いはく行住ぎょうじゅう坐臥ざが西方さいほうそむかず、 *てい便べん西方さいほうかはず。

ニハ↢有縁聖人↡。謂行住坐臥不↠背↢西方↡、涕唾便痢、不↠向↢西方↡也。

^にはえん*ぞうきょううやまふ。 いはく西方さいほう弥陀みだ*像変ぞうへんつくる。 ひろつくることあたはずは、 ただ一仏いちぶつさつ (阿弥陀仏・観音・勢至)つくることまたたり。 きょうとは ¬弥陀みだきょう¼ とうしきふくろれて、 みづからおしへよ。 このきょうぞうしつのなかにあんして、 ろく*礼懴らいさんし、 こうをもつてようし、 ことにそんじゅうをなせ。

者敬↢有縁像教↡。謂↢西方弥陀像変↡。不↠能↢広コト↡、但作コト↢一仏二菩薩↡亦得タリ。教者¬弥陀経¼等五色イレ、自↠他此之経像安↢置↡、六時礼懴花香ヲモテ供養、特↢尊重↡。

^さんにはえんぜんしきうやまふ。 いはくじょうきょうぶるものは、 もしはせんじゅんじゅうじゅんよりこのかた、 ならびにすべからく敬重きょうじゅう親近しんごんようすべし。 *別学べつがくのものにはそうじてきょうしんおこせ。 おのれとどうぜざるをば、 ただふかうやまふことをれ。 もしきょうまんしょうぜば、 つみることきわまりなし。 ゆゑにすべからくすべてうやまふべし。 すなはち行障ぎょうしょうのぞく。

者敬↢有縁善知識↡。謂ブル↢浄土↡者、若千由旬十由ヨリ已来、並↢敬重親近供養↡。別学之者ニハ↢敬心↡。与↠己不ルヲバ↠同↢深コトヲ↡也。若↢軽慢↡、得コト↠罪↠窮。故↢総↡。即↢行障↡。

^には同縁どうえんともうやまふ。 いはくおなじくごうしゅするものなり。 みづからさわりおもくして独業どくごうじょうぜずといへども、 かならずともによりてまさによくぎょうをなせば、 あやうきをたすやくすくふ。 助力じょりきしあひたすけて、 同伴どうはん善縁ぜんえんふかくあひじゅうす。

者敬↢同縁↡。謂↠業ナリ。自↢障重クシテ独業不↟成、要↢良↡方↠行、扶↠危キヲ。助力タスケ、同伴善縁深保重

^には三宝さんぼううやまふ。 *同体どうたい別相べっそうならびにふかうやまふべし。 つぶさにしるすことあたはず。 あさぎょうじゃ*しゅすることをはたさざるためなり。 じゅう三宝さんぼうとは、 いまの浅識せんしきのためにだい因縁いんねんをなす。 いまほぼ*りょうけんすべし。 仏宝ぶっぽうといふは、 いはく*だんり、 *かんばたひ、 *しつ金容こんようたまちりばめ、 *ぞううつし、 いしり、 つちけずる。 この霊像れいぞうことにそんじょうすべし。 しばらくかたちたてまつれば、 つみえてふくす。 もししょうまんしょうずれば、 あくじょうぜんもうず。 ただし尊容そんようおもふに、 まさに真仏しんぶつつべし。 法宝ほうぼうといふは、 さんじょうきょう*法界ほうかいしょなり。 みょう所詮しょせん、 よく*えんしょうず。 ゆゑにすべからくちんぎょうすべし。 もつておこもといなり。 そんぎょうしょうしゃしてつねにじょうしつやすんぜよ。 箱篋はこたくわへて、 ならびにごんきょうすべし。 読誦どくじゅときは、 身手しんしゅしょうけつなれ。 僧宝そうぼうといふは、 しょうそうさつかいともがらなり。 等心とうしんうやまひをおこせ。 慢想まんそうしょうずることなかれ。

者敬↢三宝↡。同体・別相並↢深↡。不↠能↢具コト↡。為ナリ↢浅行者↟果↢依修コトヲ↡。住持三宝者、与↢今浅識↡作↢大因縁↡。今粗料簡ベシ。言↢仏↡者、謂↠檀カンバタ、素質金容、チリバ↠玉ウツ、磨↠石、削↠土。此之霊像特↢尊承↡。蹔爾シバラクマツレバ↠形、罪消↠福。若レバ↢少慢↡、長↠悪。但フニ↢尊容↡当↠見↢真仏↡。言↢法宝↡者、三乗教旨、法界所流ナリ。名句所詮能↢解縁↡。故↢珍仰↡。以ナリ抄↢写尊経↡恒ンゼヨ↢浄室↡。箱篋 ハコ 、並↢厳敬↡。読誦之時身手清潔ナレ。言↢僧宝↡者、聖僧・菩薩・破戒之トモガラナリ。等心↠敬。勿↠生コト↢慢想↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (三)無間修

^さんにはけんしゅいはくつねに念仏ねんぶつしておうじょうしんをなす。 一切いっさいにおいてしんにつねにおもたくめ。

者無間修。謂念仏↢往生↡。於↢一切時↡心

たとへばひとありて*抄掠しょうりょうせられ、 せんとなりてつぶさに*艱辛かんしんけんに、 たちまちに父母ぶもおもひてくにはしかえることをほっす。 *行装ぎょうしょういまだべんぜず。 なほきょうにありて、 にちゆいして、 しのぶるにへず。 ときとしてしばらくもてて*じょうねんぜざることなきが、 はかりごとをなすことすでにじょうじて、 すなはちかえりてたっすることをて、 父母ぶも親近しんごんしてほしいままにかんするがごとし。

↧有↠人被↢他抄掠↡、身為↢下賎↡備ムニ↢艱辛↡、忽↢父母↡欲↣走↢帰コトヲ↡、行装未ナホ↢他↡、日夜思惟、苦不↠堪↠忍ルニキガ↢時トシテクモテテコト↟念↢耶嬢↡、為コト↠計、便↠達コトヲ、親↢近父母縦任ホシキママ歓娯ルガ↥。

ぎょうじゃもまたしかなり。 往因おういん煩悩ぼんのう善心ぜんしんらんし、 *ふく珍財ちんざいならびにみな散失さんしつして、 ひさしくしょうながれて、 せいするに自由じゆならず。 つねにおうのために*ぼく使となりて、 六道ろくどう駆馳くちし、 身心しんしんせつす。 いま善縁ぜんえんひて、 たちまちに弥陀みだ慈父じぶ*がんたがはず*ぐんじょう*済抜さいばつしたまふことをきて、 にち*きょうもうして、 しんおこしてかんとねがふ。 このゆゑに*しょうごんしてまずして、 まさに仏恩ぶっとんねんずべし。 *ほうつくすをとなして、 しんつねにはかおもふべし。

行者ナリ。往因煩悩壊↢善心↡、福智財並皆散失、久↢生死↡、制ルニ不↢自由ナラ↡。恒↢魔王↡而作↢僕使↡、駆↢馳六道↡苦↢切身心↡。今遇↢善縁↡、忽↧弥陀慈父不↠違↢弘願↡済↦抜タマフコトヲ群生↥、日夜驚忙、発↠心↠往ムト所以コノユヱ精懃シテ↠倦、当↠念↢仏恩↡。報スヲ↠期心恒ベシ

二 ⅸ Ⅱ b ロ (四)無余修

^には無余むよしゅ。 いはくもつぱら極楽ごくらくもとめて弥陀みだ礼念らいねんするなり。 ただししょごうぎょうぞうせしめざれ。 しょごう*日別にちべつにすべからく念仏ねんぶつ*じゅきょうしゅすべし。 *余課よかとどめざるのみ」 と。

者无余修。謂↢極楽↡礼↢念ナリ弥陀↡。但諸余業行不↠令↢雑起↡。所作之業、日別↠修↢念仏誦経↡。不↠留↢余課↡耳。」

二 ⅸ 私釈
      厭煩

 ^わたくしにいはく、 しゅもんつべし。 しげきをおそれてせず。

、四修之文可↠見。恐↠繁而不↠解

二 ⅸ Ⅲ 釈要義
       

^ただしぜんもんのなかに、 すでにしゅといひて、 ただ三修さんしゅのみあり。 もしはそのもんだっせるか、 もしはそのこころあるか。

前文、既↢四修↡、唯有↢三修ノミ↡。若セルカ↢其↡、若ルカ↢其意↡也。

二 ⅸ Ⅲ b

^さらに脱文だつもんにあらず。 そのふかこころゆうするなり。 なにをもつてかることをる。 しゅとは、 いちにはじょうしゅには*おんじゅうしゅさんには無余むよしゅにはけんしゅなり。 しかるにはじめのじょうをもつて、 ただこれのち三修さんしゅ通用つうゆうす。 いはくおんじゅうもし退たいせば、 おんじゅうぎょうすなはちじょうずべからず。 *無余むよもし退たいせば、 無余むよぎょうすなはちじょうずべからず。 けんもし退たいせば、 けんしゅすなはちじょうずべからず。 この三修さんしゅぎょうじょうじゅせしめんがために、 みなじょうをもつて三修さんしゅぞくして、 つうじてしゅせしむるところなり。 ゆゑに三修さんしゅしもにみなけっして、 「*ひつみょう為期いごせいちゅうそくじょうしゅ(礼讃) といふこれなり。 れいするにかのしょうじん*五度ごどつうずるがごときのみ。

↢脱文↡。有スル↡也。テカ↠知コトヲ。四修者、一ニハ長時修、二ニハ慇重修、三ニハ無余修、四ニハ無間修也。而ルニ↢初長時↡、只是通↢用三修↡也。謂慇重若退、慇重之行即不↠可↠成。無余若退、無余之行即不↠可↠成。無間若退、無間之修即不↠可↠成。為↠使メムガ↣成↢就三修↡、皆以↢長時↡属↢於三修↡、所↠令↢通↡也。故三修之下皆結、云↢「畢命為期誓不中止即是長時修」↡是也。例スルニ↣彼精進ルガ↢於余五度↡而已。

化仏讃嘆章【化讃章】
    標章

【10】^弥陀みだぶつ来迎らいこうして、 *もんきょうぜん讃歎さんだんせずして、 ただ念仏ねんぶつぎょう讃歎さんだんしたまふもん

 弥陀化仏来迎、不シテ↣讃↢歎聞経之善↡、唯讃↢歎タマフ念仏之行之文

二 ⅹ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「あるいはしゅじょうありてもろもろの悪業あくごうつくり、 *方等ほうどうきょうてんほうせずといへども、 かくのごときのにんおお衆悪しゅあくつくりてざんあることなし。 いのちおわらんとほっするときぜんしきの、 ためにだいじょう*じゅうきょう*首題しゅだいみょうむるにはん。 かくのごときのしょきょうくをもつてのゆゑに、 千劫せんごうごくじゅう悪業あくごうじょきゃくす。 *しゃまたおしへて、 *たなごころあわあざへて ª*南無なも弥陀みだぶつº としょうせしむ。 ぶつみなしょうするがゆゑに、 じゅう億劫おくこうしょうつみのぞく。

¬観無量寿経¼云、「或↢衆生↡作↢衆悪業↡、雖↠不↣誹↢謗方等経典↡、如キノ↠此愚人、多↢衆悪↡無↠有コト↢慚愧↡。命欲↠終ムト時、遇↣善知識ルニ↢大乗十二部経首題名字↡。以↠聞クヲ↢如キノ↠是諸経↡故、除↢却千劫極重悪業↡。智者復教、合↠掌アザヘ↠手シム↢南無阿弥陀仏↡。称ルガ↢仏↡故↢五十億劫生死之罪↡。

^そのときかのぶつ、 すなはちぶつかんおん大勢だいせいつかはして、 ぎょうじゃまえいたらしめ、 ˆぶつとうのˇ めてのたまはく、 ªぜんなんなんぢぶつみょうしょうするがゆゑにもろもろのつみしょうめつすれば、 われきたりてなんぢをむかふº」 と。

時彼仏、即↢化仏・化観世音・化大勢至↡、至シメ↢行者↡、讃メテ、善男子、汝称ルガ↢仏名↡故罪消滅レバ、我来フト。」

二 ⅹ Ⅱ 散善義

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「くところの*さん、 ただしょうぶつこうべて、 ªわれきたりてなんぢをむかふº と、 *もんきょうろんぜず。 しかるにぶつがんのぞむれば、 ただすすめてしょうねんみなしょうせしむ。 おうじょうきこと*雑散ぞうさんごうおなじからず。 この ¬きょう¼ (観経) および*しょのなかのごとき、 処々しょしょひろたんじて、 すすめてみなしょうせしむ。 まさに*要益ようやくとなす、 るべし」 と。

ジキ¬疏¼云、「所↠聞化讃、但述↢称仏之功↡、我来フト↠汝、不↠論↢聞経之事↡。然レバ↢仏願意↡者、唯ススメ正念シム↠名。往生義、疾キコト不↠同カラ↢雑散之業↡。如↢此¬経¼及諸部↡、処々↠称↠名。将↢要益↡也、応シト↠知。」

二 ⅹ 私釈
      釈讃嘆有無

 ^わたくしにいはく、 もんきょうぜんこれ本願ほんがんにあらず。 *雑業ぞうごうのゆゑにぶつめたまはず。 念仏ねんぶつぎょうはこれ本願ほんがんしょうごうのゆゑに、 ぶつ讃歎さんだんしたまふ。

、聞経之善是非↢本願↡。雑業化仏不↠讃タマハ。念仏之行是本願正業、化仏讃歎タマフ

二 ⅹ Ⅲ 約滅罪多少

^しかのみならず、 もんきょう念仏ねんぶつとは滅罪めつざいしょうどうなり。 ¬かんぎょうしょ¼ (散善義) にいはく、 「ひていはく、 なんがゆゑぞ、 きょうくこと*じゅうなるに、 ただつみのぞくこと千劫せんごうぶつしょうすることいっしょうするには、 すなはちつみのぞくことひゃく万劫まんごうなるは、 なんのこころぞや。 こたへていはく、 造罪ぞうざいひとさわりおもくして、 くわふるに死苦しくきたむるをもつてす。 *善人ぜんにんきょうくといへども、 *餐受さんじゅしんさんす。 しんさんずるによるがゆゑに、 つみのぞくことややかろし。 またぶつみょうはこれいちなれば、 すなはちよくさんせっしてもつてしんじゅうせしむ。 またおしへてしょうねんみなしょうせしむ。 *しんおもきによるがゆゑに、 すなはちよくつみのぞくことこうなり」 と。

加之シカノミナラズ聞経↢念仏↡滅罪多少不同也。¬観経疏¼云、「問、何コト↠経十二部ナルニ、但除コト↠罪千劫、称コト↠仏一声スルニハ、即コト↠罪五百万劫ナル者、何也。答、造罪之人障重クシテ、加ルニテス↢死苦来ルヲ↡。善人雖↠説クト↢多経↡、餐受之心浮散。由ルガ↢心散ズルニ↡故、除コト↠罪ヤヤ。又仏名是一ナレバ、即↠散シム↠心。復教↢正念↟名。由ルガ↢心重キニ↡故、即コト↠罪多劫也。」

約対讃嘆章【讃嘆念仏章】
    標章

【11】^*雑善ぞうぜん約対やくたいして念仏ねんぶつ讃歎さんだんするもん

 約↢対雑善↡讃↢歎念仏↡之文

二 ⅺ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「もしぶつねんずるもの、 まさにるべし、 このひとはすなはちこれにんちゅう*ふん陀利だりなり。 かんおんさつ大勢だいせいさつ、 その*しょうとなる。 まさにどうじょうして*諸仏しょぶついえうまるべし」 と。

¬観無量寿経¼云、「若ゼム↠仏者、当↠知、此是人中分陀利華ナリ。観世音菩薩・大勢至菩薩為↢其勝友↡。当シト↧坐↢道場↡生↦諸仏↥。」

二 ⅺ Ⅱ 散善義

^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「ªにゃく念仏ねんぶつしゃº といふよりしも ªしょう諸仏しょぶつº にいたるまでよりこのかたは、 まさしく念仏ねんぶつ三昧ざんまい*のうちょうぜつして、 じつ雑善ぞうぜんるいとなすことをるにあらざることをあらわす。 すなはちそのあり。 いちにはもつぱら弥陀みだぶつみょうねんずることをかし、 には能念のうねんひとむることをかし、 さんにはもしよく相続そうぞくして念仏ねんぶつすれば、 このひとはなはだ*希有けうとなし、 さらにものとしてもつてこれにならぶべきことなきことをかす。 ゆゑに*ふん陀利だりきてたとへとなす。

ジキ¬疏¼云、「従↢若念仏者トイフ↡下至マデヨリ↢生諸仏家↡已来タハ、正↣念仏三昧功能超絶、実コトヲ↢雑善ルニ↟為コトヲ↢比類↡。即↢其五↡。一ニハ↣専コト↢弥陀仏名↡、二ニハ↠讃ムルコトヲ↢能念之人↡、三ニハ↫若相続念仏レバ者、人甚↢希有↡、更キコトヲ↪物トシテキコト↩以ナラ↝之。故↢分陀利↡為↠喩

^ªふん陀利だりº といふは、 にんちゅうこうづけ、 また希有けうづけ、 またにんちゅう上上じょうじょうづけ、 またにんちゅうみょうこうづく。 このはな相伝そうでんして*さいづく。 この念仏ねんぶつのものは、 すなはちこれにんちゅう好人こうにんなり、 にんちゅう*みょう好人こうにんなり、 にんちゅう上上じょうじょうにんなり、 にんちゅう希有けうにんなり、 にんちゅうさいしょうにんなり。

↢分陀利↡者、名↢人中好花↡、亦名↢希有花↡、亦名人中上々花↡、亦名↢人中妙好花↡。此花相伝↢蔡花↡。念仏、即是人中好人ナリ、人妙好人ナリ、人中上々人ナリ、人中希有人ナリ、人中最勝人也。

^にはもつぱら弥陀みだみなねんずれば、 すなはち観音かんのんせいつねにしたがひて*ようしたまふこと、 またしん*しきのごとくなることをかす。 にはこんじょうにすでにこのやくこうむりて、 いのちててすなはち*諸仏しょぶついえることをかす。 すなはちじょうこれなり。 かしこにいたじょうほうきて*りゃくようす。 *いんまどかにまんず。 どうじょう、 あにおそからんや」 と。

ニハ↧専レバ↢弥陀↡者、即観音・勢至常影護タマフコト、亦如クナルコトヲ↦親友知識↥也。五ニハ↧今生↡、捨テテ↠命コトヲ↦諸仏之家↥。即浄土是也。到↠彼長時↠法歴事供養。因円カニ果満。道場之座、豈ヲソカラムヤト↥。」

二 ⅺ 私釈
      釈約対雑善
       

 ^わたくしにひていはく、 ¬きょう¼ (観経) には、 「もしぶつねんずるもの、 まさにるべし、 このにんとうといふは、 ただ念仏ねんぶつしゃやくしてこれを讃歎さんだんす。 しゃくいえ (善導) なんのこころありてか、 「じつ雑善ぞうぜんるいとなすことをるにあらず」 (散善義) といひて、 雑善ぞうぜん相対そうたいしてひと念仏ねんぶつむるや。

、¬経ニハ¼云フハ↢「若ゼム↠仏者、当↠知、此人」等↡、唯約↢念仏者↡而讃↢歎↡。釈家有テカ↢何意↡、云ヒテ↣「実ズト↢雑善ルニ↟為コトヲ↢比類↡」、相↢対雑善↡独ムル↢念仏↡乎。

二 ⅺ Ⅲ a

^こたへていはく、 もんのなかにかくれたりといへども、 義意ぎいこれあきらけし。 所以ゆえんは、 この ¬きょう¼ (観経) すでに*じょうさん諸善しょぜんならびに念仏ねんぶつぎょうきて、 そのなかにおいてひと念仏ねんぶつひょうしてふん陀利だりたとふ。 雑善ぞうぜんたいするにあらずは、 いかんがよく念仏ねんぶつこうぜんしょぎょうえたることをあらわさん。

、文↠隠タリト、義意是明ケシ。所↢以知↡者、此¬経¼既↢定散諸善并念仏↡而於↢其↢念仏↡喩芬陀利↡。非ズハ↠待スルニ↢雑善↡云何↣念仏タルコトヲ↢余善諸行↡。

二 ⅺ Ⅲ 釈讃嘆念仏
        正示
          (一)【五種嘉誉】

^しかればすなはち 「念仏ねんぶつしゃはすなはちこれにんちゅう好人こうにん」 とは、 これあくたいしてむるところなり。 「にんちゅうみょう好人こうにん」 といふは、 これあくたいしてしょうするところなり。 「にんちゅう上上じょうじょうにん」 といふは、 これ下下げげたいしてむるところなり。 「にんちゅう希有けうにん」 といふは、 これじょうたいしてむるところなり。 「にんちゅうさいしょうにん」 といふは、 これ最劣さいれつたいしてむるところなり。

レバ「念仏者是人中好人」者、是待シテ↠悪而所↠ホム也。言↢「人中妙好人」↡者、是待シテ↢麁悪↡而所↠称也。言↢「人中上々人」↡者、是待シテ↢下々↡而所↠讃ムル也。言↢「人中希有人」↡者、是待シテ↢常有↡而所↠歎ムル也。言↢「人中最勝人」↡者、是待スル↢最劣↡而所↠褒ムル也。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)料簡
            (Ⅰ)示通九品
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 すでに念仏ねんぶつをもつて上上じょうじょうづけば、 なんがゆゑぞ、 上上じょうじょうぼんのなかにかずして下下げげぼんいたりて念仏ねんぶつくや。

、既↢念仏↡名ケバ↢上上者、シテ↠説↢上々品↡至↢下々品↡而説↢念仏↡乎。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)
                (a)正宗

^こたへていはく、 あにさきにいはずや。 念仏ねんぶつぎょうひろぼんわたると。 すなはちさきくところの ¬おうじょうようしゅう¼ (下) に、 「そのしょうれつしたがひてぼんわかつべし」 といふこれなり。

、豈↠云念仏之行ルト↢九品↡。即↠引¬往生要集¼云↧「随↢其勝劣↡応シト↞分↢九品↡」是也。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)示功徳超絶
                  (イ)正釈

^しかのみならずぼんしょうはこれぎゃくじゅうざいひとなり。 しかるによぎゃくざい除滅じょめつすること、 ぎょうへざるところなり。 ただ念仏ねんぶつちからのみありて、 よくじゅうざいめっするにへたり。 ゆゑに*極悪ごくあくさいひとのために極善ごくぜんさいじょうほうくところなり。

加之シカノミナラズ下品下生是五逆重罪之人也。而ルニ除↢滅コト逆罪↡、所ナリ↠不↠堪↢余行↡。唯有↢念仏之力ノミ↡、能タリ↠滅ルニ↢於重罪↡。故↢極悪最下之人ナリ↠説↢極善最上之法↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)引例
                    [一]約顕教
                      [Ⅰ]正引

^れいするに、 かの*みょう淵源えんげんやまいは、 *ちゅうどうぞうくすりにあらずはすなはちすることあたはざるがごとし。

スルニ↧彼無明淵源之病、非ズハ↢中道府蔵之薬↡即ルガ↞能↠治コト

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]会釈

^いまこのぎゃく重病じゅうびょう淵源えんげんなり。 またこの念仏ねんぶつ霊薬れいやくぞうなり。 このくすりにあらずは、 なんぞこのやまいせん。

今此五逆重病淵源ナリ。亦此念仏霊薬府蔵ナリ。非ズハ↢此↡者、何↢此↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]約密教
                      [Ⅰ]正引

^ゆゑに*弘法こうぼうだいの ¬*きょうろん¼ に、 ¬*ろっ波羅ぱらみつきょう¼ をきていはく、 「だいさん法宝ほうぼうといふは、 いはゆる過去かこりょう諸仏しょぶつ所説しょせつしょうぼう、 およびわがいまの所説しょせつなり。 いはゆる八万はちまんせんのもろもろの*みょう法蘊ほううんなり。 ないえんしゅじょう*調じょうぶく純熟じゅんじゅくして、 *なんとう諸大しょだい弟子でしをして、 ひとたびみみきてみなことごとく*おくせしむ。 せっしてぶんとなす。 いちには*素そたらんには*毘奈びなさんには*阿毘あびだつには*般若はんにゃ波羅はらみっには*陀羅だらもんなり。

弘法大師¬二教論¼引↢¬六波羅蜜¼↡云、「第三法宝トイフ者、所謂過去無量諸仏所説正法、及所説ナリ。所謂八万四千妙法ナリ。乃至調↢伏純↣熟有縁衆生↡而令↧阿難陀等諸大弟子ヲシテ、一タビ↢於耳↡皆悉憶持↥。摂↢五分↡。一ニハ纜、二ニハ毘奈耶、三ニハ阿毘達磨、四ニハ般若波羅蜜多、五ニハ陀羅尼門ナリ

この*しゅぞうじょうきょうして、 すべきところにしたがひて、 ためにこれをく。 もしかのじょう山林せんりんしょせんとねがひて、 つねにげんじゃくして*じょうりょしゅするものには、 しかもかれのために素そた纜蔵らんぞうく。

五種教↢化有情↡、随↠所↠応↠度而為↠之。若有情楽↠処ムト↢山林↡、常閑寂↡修セム↢静慮↡者ニハ、而↠彼↢素纜蔵↡。

もしかのじょう*威儀いぎねがならひ、 しょうぼう護持ごじして、 いちごうしてじゅうすることをしめんには、 しかもかれのために毘奈びなぞうく。

有情楽↢習威儀↡、護↢持正法↡、一味和合メムニハ↠得↢久住コトヲ↡、而↠彼↢毘奈耶蔵↡。

もしかのじょうしょうぼうねがひてき、 *しょうそう分別ふんべつし、 *じゅんかん研覈けんかくして甚深じんじんきょうせんには、 しかもかれのために阿毘あびだつぞうく。

有情楽ヒテ↢説正法↡、分↢別性相↡、循環研覈究↢竟ムニハ甚深↡、而↠彼↢阿毘達磨蔵↡。

もしかのじょうだいじょう真実しんじつ智慧ちえねがならひて、 *ほう執着しゅうじゃく分別ふんべつはなれんには、 しかもかれのために般若はんにゃ波羅はらみっぞうく。

有情楽↢習大乗真実↡、離ムニハ↢於我法執著分別↡、而↠彼↢般若波羅蜜多蔵↡。

もしかのじょう*かいきょう*調じょうぶく*対法たいほう*般若はんにゃじゅすることあたはず、 あるいはまたじょう、 もろもろの悪業あくごうつくらん。 *じゅう*はちじゅう*五無ごむ間罪けんざい*ほう方等ほうどうきょう*一闡いっせんだいとう種々しゅじゅじゅうざいをしてしょうめつすることをしめ、 すみやかにだつし、 はんさとらしめんには、 しかもかれのためにもろもろの陀羅だらぞうく。

有情不↠能↣受↢持コト契経・調伏・対法・般若↡、或復有情造↢諸悪業↡。四重・八重・五無間罪・謗方等経・一闡提等種々重罪ヲシテ使↠得↢銷滅コトヲ解脱シメムニハ↢涅槃↡、而↠彼↢諸陀羅尼蔵↡。

このぞうは、 たとへば*にゅうらくしょうじゅくおよびみょうだいのごとし。 かいきょうにゅうのごとく、 調じょうぶくらくのごとく、 対法たいほうきょうはかのしょうのごとく、 だいじょう般若はんにゃはなほじゅくのごとく、 *そうもんはたとへばだいのごとし。 だいあじはひにゅうらくのなかにみょう第一だいいちなり。 よくしょびょうのぞきて、 もろもろのじょうをして身心しんしん安楽あんらくならしむ。 そうもんかいきょうとうのなかにもつとも第一だいいちとなす。 よくじゅうざいのぞき、 もろもろのしゅじょうをしてしょうだつしてすみやかにはん安楽あんらく法身ほっしんしょうせしむ」 と。

五蔵、譬↢乳・酪・生蘇・蘇及妙醍醐↡。契経↠乳、調伏↠酪、対法教者如↢彼↡、大乗般若猶如↢熟↡、総持門者譬↢醍醐↡。醍醐之味乳・酪・微妙第一ナリ。能↢諸病↡、令↢諸有情ヲシテ身心安楽ナラ↡。総持門者契経等↢第一↡。能↢重罪↡、令ムト↧諸衆生ヲシテ解↢脱生死↡速↦涅槃安楽法身↥。」

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]会釈

^このなか、 五無ごむけんざいはこれぎゃくざいなり。 すなはちだいみょうやくにあらずは、 五無ごむけんやまいはなはだりょうしがたしとなす。 念仏ねんぶつもまたしかなり。 おうじょうきょうのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいはこれそうのごとく、 まただいのごとし。 もし念仏ねんぶつ三昧ざんまいだいくすりにあらずは、 ぎゃくじんじゅうやまいははなはだしがたしとなす、 るべし。

中、五無間罪者是五逆罪也。即ズハ↢醍醐之妙薬↡者、五無間病甚↠難シト↠療。念仏亦然ナリ。往生念仏三昧是如↢総持↡、亦如↢醍醐↡。若ズハ↢念仏三昧醍醐之薬↡者、五逆深重↠難シト↠治、応↠知

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)明滅罪遍
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 もししからばぼん上生じょうしょうはこれじゅうあくきょうざいひとなり。 なんがゆゑぞ念仏ねんぶつくや。

、若ラバ者下品上生是十悪軽罪之人也。何念仏↡乎。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)

^こたへていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいじゅうざいなほめっす。 いかにいはんやきょうざいをや。 ぎょうはしからず。 あるいはきょうめっしてじゅうめっせざるあり。 あるいはいちしてさざるあり。 念仏ねんぶつはしからず。 軽重きょうじゅうめっす、 一切いっさいあまねくす。 たとへば*伽陀かだやくのあまねく一切いっさいやまいするがごとし。 ゆゑに念仏ねんぶつをもつて*おう三昧ざんまいとなす

、念仏三昧重罪尚滅。何軽罪哉。余行不↠然。或↢滅↠軽而不↟滅↠重。或↢消↠一而不↟消↠二。念仏不↠然。軽重兼、一切遍。譬↣阿伽陀薬ルガ↢一切↡。故↢念仏↡為↢王三昧↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅲ)明九品一往

^おほよそぼん配当はいとうはこれ*一往いちおうなり。 *ぎゃくしん上上じょうじょうつうず。 *読誦どくじゅ妙行みょうぎょうまた下下げげつうず。 じゅうあくきょうざいかいざいおのおのじょうつうじ、 第一だいいちほつだいしんまたじょうつうず。 一法いっぽうにおのおのぼんあり。 もしほんやくせば、 すなはち九九くくはちじゅういちぼんなり。

九品配当是一往ナリ。五逆廻心通↢於上々↡。読誦妙行亦通↢下々↡。十悪軽罪、破戒次罪各↢上下↡、解第一義、発菩提心亦通↢上下↡。一法↢九品↡。若↠品九々八十一品也。

^しかのみならず*ざい (浄土論) のいはく、 「しゅじょうぎょうおこすにすでに*千殊せんじゅあり。 おうじょうしてることまた万別まんべつあり」 と。 一往いちおうもん*ふうしゅうおこすことなかれ。

加之シカノミナラズ迦才、「衆生起スニ↠行↢千殊↡。往生コト↠土亦有リト↢万別↡。」見↢一往↡莫↠起コト↢封執↡。

二 ⅺ Ⅲ b 結示

^そのなかに念仏ねんぶつはこれすなはち勝行しょうぎょうなり。 ゆゑに*ふん陀利だりきて、 もつてその喩譬たとえとなす。 こころるべし。

念仏是即勝行ナリ。故芬陀利↡、以↢其喩譬 タトヘ ↡。意応

二 ⅺ Ⅲ 明念仏勝益
        明種々益

^しかのみならず念仏ねんぶつぎょうじゃをば、 観音かんのんせいかげかたちとのごとくしばらくもしゃせず。 ぎょうはしからず。 また念仏ねんぶつしゃは、 いのちてをはりてのちけつじょうして極楽ごくらくかいおうじょうす。 ぎょうじょうなり。

加之シカノミナラズ念仏行者ヲバ観音・勢至、如↢影↟形暫クモ不↢捨離↡。余行不↠爾。又念仏者、捨↠命後決定往↢生極楽世界↡。余行不定ナリ

 ^おほよそ*しゅ嘉誉かよながし、 そん (観音・勢至)ようこうむ、 これはこれ*現益げんやくなり。 またじょうおうじょうして、 ないぶつになる、 これはこれ*当益とうやくなり。

↢五種↡、蒙↢二尊影護↡、是現益也。亦往↢生浄土↡、乃至成↠仏、此是当益也。

二 ⅺ Ⅲ c 明始終両益【始終両益】

^またどうしゃくぜん念仏ねんぶついちぎょうにおいてじゅうりょうやくつ。 ¬安楽あんらくしゅう¼ (下) にいはく、 「ª念仏ねんぶつしゅじょう摂取せっしゅしててたまはず、 寿いのちきてかならずしょうずº (観経) と。 これを*やくづく。 *じゅうやくといふは、 ¬*観音かんのんじゅきょう¼ によるに、 ª弥陀みだぶつじゅうすることじょうにして、 *ちょうさい永劫ようごうにまためつしたまふことあり。 *はつはんとき、 ただ観音かんのんせいありて、 *安楽あんらくじゅうし、 *十方じっぽうしょういんす。 そのぶつめつまたじゅうせつ等同とうどうなり。 しかるにかのくにしゅじょうは、 一切いっさいぶつ*けんするものあることなし。 ただ*一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつねんじておうじょうするもののみありて、 つねに弥陀みだげんにましましてめっしたまはずとるº と。 これはすなはちこれそのじゅうやくなり」 と。

又道綽禅師於↢念仏一行↡立↢始終両益↡。¬安楽集¼云、「念仏衆生摂取不↠捨タマハ、寿尽。此↢始益↡。言↢終益↡者、依ルニ↢¬観音授記¼↡、阿弥陀仏住コト↠世長久ニシテ、兆載永劫亦有↢滅度タマフコト↡。般涅槃時、唯有↢観音・勢至↡、住↢持安楽↡、接↢引十方↡。其滅度亦与↢住世↡時節等同ナリ。然衆生、一切無↠有コト覩↢見スル↡者↥。唯有↧一向↢阿弥陀仏↡往生ノミ↥、常ルト↢弥陀シテ↟滅タマハ。此是其終益也。」

二 ⅺ Ⅲ c 結上来諸益

^まさにるべし。 念仏ねんぶつはかくのごとき現当げんとう二世にせ*じゅうりょうやくあり、 るべし。

↠知。念仏↢如↠此現当二世、始終両益↡、応↠知

付属念仏章【念仏付属章】
    標章

【12】^しゃくそん*じょうさんしょぎょうぞくせず、 ただ念仏ねんぶつをもつてなんぞくしたまふもん

 釈尊不↣付↢属定散諸行↡、唯以↢念仏↡付↢属タマフ阿難之文

二 ⅻ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「ぶつなんげたまはく、 ªなんぢよくこのたもて。 このたもてとは、 すなはちこれりょう寿じゅぶつみなたもてとなりº」 と。

¬観無量寿経¼云、「仏告タマハク↢阿難↡、汝好↢是↡。持テト↢是↡者、即是持テトナリト↢無量寿仏↡。」

二 ⅻ Ⅱ 散善義

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「ª*仏告ぶつごうなん汝好にょこう是語ぜごº といふより以下いげは、 まさしく弥陀みだみょうごうぞくして、 *だいずうすることをかす。 かみよりこのかたじょうさんりょうもんやくくといへども、 ぶつ本願ほんがんのぞむるに、 こころしゅじょうをして一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり」 と。

ジキ¬疏¼云、「従↢仏告阿難汝好持是語トイフ↡已下、正↧付↢属弥陀↡流↦通コトヲ於遐代↥。上ヨリ↠説クト↢定散両門之益↡、望ルニ↢仏本願↡、意在リト↣衆生ヲシテ一向シムルニ↢弥陀仏↡。」

二 ⅻ 私釈
      総標二行

 ^わたくしにいはく、 ¬しょ¼ (散善義)もんあんずるにぎょうあり。 いちにはじょうさんには念仏ねんぶつなり。

、案ルニ↢¬疏¼文↡有↢二行↡。一ニハ定散、二ニハ念仏ナリ

二 ⅻ Ⅲ 別釈
        定散
          (一)標列

^はじめにじょうさんといふはまたわかちてとなす。 いちにはじょうぜんには散善さんぜんなり。

↢定散↡者、又分チテ↠二。一ニハ定善、二ニハ散善ナリ

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)正釈
            (Ⅰ)【定善】
              (ⅰ)列名

^はじめにじょうぜんにつきて、 そのじゅうさんあり。 いちには*日想にっそうかんには*水想すいそうかんさんには*想観そうかんには*宝樹ほうじゅかんには*ほうかんろくには*ほうろうかくかんしちには*華座けざかんはちには*像想ぞうそうかんには*弥陀みだ仏観ぶつかんじゅうには*観音かんのんかんじゅういちには*せいかんじゅうには*おうじょうかんじゅうさんには*雑想ざっそうかんなり。 つぶさにきょうせつのごとし。

↢定善↡、有↢其十三↡。一者日想観、二者水想観、三者地想観、四者宝樹観、五者宝池観、六者宝楼閣観、七者花座観、八者像想観、九者阿弥陀仏観、十者観音観、十一者勢至観、十二者普往生観、十三者雑想観ナリ。具↢経説↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)明益

^たとひぎょうなしといへども、 あるいはいち、 あるいは、 その所堪しょかんしたがひてじゅうさんがんしゅしておうじょうべし。 そのむね ¬きょう¼ (観経)えたり。 あへて*りょすることなかれ。

↠無シト↢余行↡、或一或多、随↢其所堪↡修↢十三観↡可↠得↢往生↡。其旨見エタリ↢¬経¼↡。敢↢疑慮コト↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)【散善】
              (ⅰ)標列

 ^つぎ散善さんぜんにつきてあり。 いちには三福さんぷくにはぼんなり。

↢散善↡有↠二。一者三福、二者九品ナリ

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)三福
                  (イ)挙経文

^はじめの三福さんぷくとは、 ¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 「いちにはきょうよう父母ぶも奉事ぶじちょうしんせつしゅじゅう善業ぜんごうにはじゅさんそく衆戒しゅかいぼん威儀いぎさんにはほつだいしん深信じんしんいん読誦どくじゅだいじょう勧進かんじんぎょうじゃなり」 と。 以上経文

三福者、¬経¼曰、「一者孝養父母、奉事師長、慈心不殺、修十善業。二者受持三帰、具足衆戒、不犯威儀。三者発菩提心、深信因果、読誦大乗、勧進行者ナリト。」 已上経文

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)随釈
                    [一]世福

・教養父母

^きょうよう父母ぶも」 とは、 これにつきてあり。 いちにはけんきょうようにはしゅっきょうようなり。 けんきょうようとは ¬*こうきょう¼ とうせつのごとし。 しゅっきょうようとは*りつちゅう*しょうえん奉事ぶじほうのごとし。

「孝養父母」者、付↠之↠二。一ニハ世間孝養、二ニハ出世孝養也。世間孝養者如↢¬孝経¼等↡。出世孝養者如↢律中生縁↡。

・奉事師長

^奉事ぶじちょう」 とは、 これにつきてまたあり。 いちにはけんちょうにはしゅっちょうなり。 けんとはじんれいしんとうおしふるなり。 しゅっとはしょうどうじょうもんとうおしふるなり。 たとひぎょうなしといへども、 きょうよう奉事ぶじをもつておうじょうごうとなすなり。

「奉事師長」者、付↠之又有↠二。一ニハ世間師長、二ニハ出世師長也。世間者教フル仁・義・礼・智・信等↡師也。出世者教フル↢聖道・浄土二門等↡師也。縦↠無シト↢余行↡、以↢孝養・奉事↡為↢往生↡也。

・慈心不殺修十善業

^しんせつしゅ善業ぜんごう」 とは、 これにつきて二義にぎあり。

「慈心不殺修十善業」者、就↠此↢二義↡。

^いちにははじめの 「しんせつ」 とは、 これ*四無しむりょうしんのなかのはじめのりょうなり。 すなはちはじめのいちげてのちさんせっするなり。 たとひぎょうなしといへども、 四無しむりょうしんをもつておうじょうごうとなす。 つぎに 「しゅじゅう善業ぜんごう」 とは、 いちせっしょう偸盗ちゅうとうさん邪婬じゃいんもう綺語きごろくあっしちりょうぜつはちとんしんじゅう邪見じゃけんなり。

者初慈心不殺者、是四無量心慈無量也。即↢初↡摂↢後↡也。縦↠無シト↢余行↡、以↢四無量心↡為↢往生↡也。次修十善業者、一不殺生、二不偸盗、三者不邪婬、四不妄語、五不綺語、六不悪口、七不両舌、八不貪、九不瞋、十不邪見也。

^には 「しんせつしゅじゅう善業ぜんごう」 の二句にくがっしていっとなすとは、 いはくはじめの 「しんせつ」 は、 これ四無しむりょうのなかのりょうにはあらず。 これじゅうぜんはじめのせつす。 ゆゑにりぬ、 まさしくこれじゅうぜんいっなり。 たとひぎょうなしといへども、 じゅう善業ぜんごうをもつておうじょうごうとなす。

者合↢慈心不殺修十善業二句↡而為トハ↢一句↡、謂慈心不殺者、是非↢四無量之中慈無量ニハ↡。是指↢十善之初不殺↡。故、正是十善之一句也。縦↠無シト↢余行↡、以↢十善業↡為↢往生↡也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]戒福

・受持三帰

^じゅさん」 とは仏法ぶっぽうそう帰依きえするなり。 これにつきてあり。 いちだいじょうさん小乗しょうじょうさんなり。

「受持三帰」者、帰↢仏法僧↡也。就↠此↠二。一者大乗三帰、二者小乗三帰也。

・具足衆戒

^そく*衆戒しゅかい」 とは、 これにあり。 いちだいじょうかい小乗しょうじょうかいなり。

「具足衆戒」者、↠二。一者大乗戒、二者小乗戒也。

・不犯威儀

^ぼん威儀いぎ」 とは、 これにまたあり。 いちだいじょう、 いはく八万はちまんあり。 小乗しょうじょう、 いはく三千さんぜんあり。

「不犯威儀」者、此亦有↠二。一者大乗、謂↢八万↡。二者小乗、謂↢三千↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[三]行福

・発菩提心

^ほつだいしん」 とは、 しょこころどうなり。

「発菩提心」者、諸師意不同也。

^*天台てんだいにはすなはちきょうだいしんあり。 いはく*ぞうつうべつえんこれなり。 つぶさには ¬*かん¼ のせつのごとし。 *真言しんごんにはすなはち三種さんしゅだいしんり。 いはく*ぎょうがん*しょう*さん摩地まじこれなり。 つぶさには ¬*だい心論しんろん¼ のせつのごとし。 *ごんにはまただいしんあり。 かの ¬*だいしん¼ および ¬*遊心ゆうしん安楽あんらくどう¼ とうせつのごとし。 *三論さんろん*法相ほっそうにおのおのだいしんあり。 つぶさにはかのしゅうしょうしょとうせつのごとし。 また善導ぜんどうしょしゃくだいしんあり。 つぶさには ¬しょ¼ (観経疏)ぶるがごとし。

天臺ニハ↢四教菩提心↡。謂蔵・通・別・円是也。具ニハ↢¬止観¼説↡。真言ニハ↢三種菩提心↡。謂行願・勝義・三摩地是也。具ニハ↢¬菩提心論¼説↡。華ニハ亦有↢菩提心↡。如↢彼¬菩提心義¼及¬遊心安楽道¼等↡。三論・法相↢菩提心↡。具ニハ↢彼章疏等↡。又有↢善導所釈菩提心↡。具ニハ↢¬疏¼述ルガ↡。

^ほつだいしん」 、 そのことばいちなりといへども、 おのおのそのしゅうしたがひてそのどうなり。 しかればすなはち 「だいしん」 のいっひろしょきょうわたり、 あまねく*顕密けんみつねたり。 *意気いき博遠はくおんにして*詮測せんしきちゅうばくなり。 ねがはくはもろもろのぎょうじゃいちしゅうしてまんしゃすることなかれ。 もろもろのおうじょうもとむるひと、 おのおのすべからくしゅうだいしんおこすべし。 たとひぎょうなしといへども、 だいしんをもつておうじょうごうとなす。

発菩提心、其言雖↠一ナリト、各↢其↡其義不同ナリ。然菩提心之一句、広↢諸経↡、遍カネタリ↢顕密↡。意気博遠ニシテ詮測沖邈ナリ。願クハ行者、莫↢執↠一コト↟万。諸メム↢往生↡之人各↠発↢自宗之菩提心↡。縦↠無シト↢余行↡、以↢菩提心↡為↢往生↡也。

・深信因果

^深信じんしんいん」 とは、 これにつきてあり。 いちけんいんしゅっいんなり。 けんいんは、 すなはち六道ろくどういんなり。 ¬*しょうぼうねんぎょう¼ のせつのごとし。 しゅっいんは、 すなはち*しょういんなり。 もろもろのだい小乗しょうじょうきょうせつのごとし。 もしこのいんほうをもつてあまねくしょきょうせっせば、 しょどうなり。

「深信因果」者、付↠之↠二。一者世間因果、二者出世因果ナリ。世間因果者即六道因果也。如↢¬正法念経¼説↡。出世因果者即四聖因果也。如↢諸大小乗経↡。若↢此因果二法↡遍セバ↢諸経↡者、諸家不同ナリ

しばらく*天台てんだいによらば、 いはく ¬ごん¼ はぶつさつしゅいんき、 「ごんしょうもん縁覚えんがくじょういんき、 方等ほうどうしょきょう*じょういんく。 「般若はんにゃ」 のしょきょうつうべつえんいんき、 ¬ほっ¼ は仏因ぶついんぶっき、 ¬はん¼ はまたじょういんく。 しかればすなはち 「深信じんしんいん」 のことば、 あまねく一代いちだいつらねたり。 もろもろのおうじょうもとむるひと、 たとひぎょうなしといへども、 深信じんしんいんをもつておうじょうごうとなすべし。

↢天臺↡、謂華厳者説↢仏・菩薩二種因果↡、阿含者説↢声聞・縁覚二乗因果↡、方等諸経者説↢四乗因果↡也。般若諸経者説↢通・別・円因果↡、法華者説↢仏因仏果↡、涅槃者又説↢四乗因果↡也。然深信因果之言、遍普 アマネ ツラネタリ於一代↡矣。諸メム↢往生↡之人縦↠無シト↢余行↡、以↢深信因果↡可↠為↢往生↡。

・読誦大乗

^読誦どくじゅだいじょう」 とは、 わかちてとなす。 いち読誦どくじゅだいじょうなり。

「読誦大乗」者、分チテ而為↠二。一者読誦、二者大乗ナリ

^読誦どくじゅ」 とは、 すなはちこれ*しゅほっのなか、 *転読てんどく*じゅ二師にしげて、 じゅとうさんあらわす。 もし*十種じっしゅほうぎょうやくせば、 すなはちこれ*どくじゅしゅほうぎょうげて、 書写しょしゃようとう八種はっしゅほうぎょうあらわすなり。

読誦者即是五種法師之中挙転読・諷誦二師↡、顕受持等三師↡。若↢十種法行↡者、是挙↢披読・諷誦二種法行↡、顕書写・供養等八種法行↡也。

^だいじょう」 とは、 小乗しょうじょう*えらことばなり。 べっしていっきょうすにあらず。 つうじて一切いっさいしょだいじょうきょうす。 いはく一切いっさいとは、 ぶつひろ一代いちだい所説しょせつしょだいじょうきょうす。 しかも一代いちだい所説しょせつにおいて、 *けつじゅうきょうあり。 けつじゅうきょうあり。 またけつじゅうきょうにおいて、 あるいはりゅうかくれて*人間にんげん流布るふせざるきょうあり。 あるいは天竺てんじく (印度)とどまりて、 いまだかん (中国)来到らいとうせざるきょうあり。

者簡↢小乗↡之言也。別↠指スニ↢一経↡。通↢一切諸大乗経↡。謂一切者、仏意広↢一代所説諸大乗経↡。而↢一代所説↡、有↢已結集経↡↢未結集経↡。又於↢已結集↡、或↧隠↢竜宮↡不↣流↢布人間↡之経↥。或↧留マリテ↢天竺↡未↣来↢到漢地↡之経↥。

しかるにいま翻訳ほんやくしょうらいきょうにつきてこれをろんぜば、 ¬*貞元ていげんにゅうぞうろく¼ のなかに、 ¬だい般若はんにゃきょう¼ ろっぴゃくかんよりはじめて ¬ほう常住じょうじゅうきょう¼ におわるまで、 *顕密けんみつだいじょうきょうすべてろっぴゃくさんじゅうしちせんはっぴゃくはちじゅうさんかんなり。 みなすべからく 「読誦どくじゅだいじょう」 のいっせっすべし。

ルニ今就↢翻訳将来之経↡而論↠之者、¬貞元入蔵¼中、始↠自↢¬大般若経¼六百巻↡終マデ↢于¬法常住経¼↡、顕密大乗経総六百三十七部二千八百八十三巻也。皆須↠摂↢読誦大乗之一句↡。

^ねがはくは*西方さいほうぎょうじゃ、 おのおのその*ぎょうしたがひて、 あるいは ¬ほっ¼ を読誦どくじゅしてもつておうじょうごうとなし、 あるいは ¬ごん¼ を読誦どくじゅしてもつておうじょうごうとなし、 あるいは ¬*しゃ¼・¬*きょうおう¼ および諸尊しょそんほうとうじゅ読誦どくじゅしてもつておうじょうごうとなし、 あるいは 「般若はんにゃ」・方等ほうどうおよび ¬はんぎょう¼ とうせつし、 書写しょしゃしてもつておうじょうごうとなせ。 これすなはちじょうしゅうの ¬かんりょう寿じゅきょう¼ のこころなり。

クハ西方行者、各↢其意楽↡、或読↢誦法華↡以↢往生↡、或読↢誦華厳↡以↢往生↡、或受↢持読↣誦遮那。教王及以諸尊法等↡以↢往生↡、或解↢説書↣写般若・方等及以涅槃経等↡以↢往生↡。是則浄土宗¬観無量寿経¼意也。

 ^ひていはく、 顕密けんみつむねことなり、 なんぞけんのなかにみつせっするや。

、顕密旨異ナリ、何↠密乎。

^こたへていはく、 これは顕密けんみつむねせっせんといふにはあらず。 ¬貞元ていげんにゅうぞうろく¼ のなかに、 おなじくこれをみてだいじょうきょうかぎりにる。 ゆゑに 「読誦どくじゅだいじょう」 のいっせっするなり。

↠云フニハ↠摂セムト↢顕密之旨↡。¬貞元入蔵録¼中、同↠之而入↢大乗経↡。故スル↢読誦大乗一句↡也。

 ^ひていはく、 *ぜんきょうのなかになんぞ ¬ほっ¼ をせっするや。

、爾前スル↢¬法華¼↡乎。

^こたへていはく、 いまいふところの 「せつ」 とは、 *ごんじつへんえんとうろんずるにはあらず。 「読誦どくじゅだいじょう」 のことば、 あまねくぜんだいじょうしょきょうつうず。 ぜんとは ¬かんぎょう¼ ぜんしょだいじょうきょうこれなり。 とは*おう以後いごしょだいじょうきょうこれなり。 ただいじょうといひて*権実ごんじつえらぶことなし。 しかればすなはちまさしく ¬ごん¼・方等ほうどう・「般若はんにゃ」・¬ほっ¼・¬はん¼ とうしょだいじょうきょうあたれり。

、今↠言者、非↠論ルニハ↢権・実・偏・円等↡。読誦大乗之言普↢前後大乗諸経↡。前者¬観経¼已前諸大乗経是也。後者王宮已後諸大乗経是也。唯↢大↡無↠選コト↢権実↡。然レリ↢華厳・方等・般若・法華・涅槃等諸大乗経↡也。

・勧進行者

^*勧進かんじんぎょうじゃ」 とは、 いはくじょうさん諸善しょぜんおよび念仏ねんぶつ三昧ざんまいとう勧進かんじんするなり。

「勧進行トハ」、謂勧↢進定散諸善及念仏三昧等↡也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)九品
                  (イ)

 ^つぎぼんとは、 さき*三福さんぷくかいしてぼんごうとなす。

九品者開シテ↢前三福↡為↢九品↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)別明摂属
                    [一]明上三品

・上品上生

^いはくじょうぼん上生じょうしょうのなかに 「しんせつ」 といふは、 すなはちかみふくのなかのだいさんあたる。 つぎに 「しょかいぎょう」 とは、 すなはちかみ戒福かいふくのなかのだいの 「そく衆戒しゅかい」 にあたる。 つぎに 「読誦どくじゅだいじょう」 とは、 すなはちかみぎょうふくのなかのだいさんの 「読誦どくじゅだいじょう」 にあたる。 つぎに 「*しゅぎょう六念ろくねん」 とは、 すなはちかみだいさんふくのなかのだいさんこころなり。

上品上生↢「慈心不殺」↡者、即↢上世福第三之↡。次「具諸戒行」者、即↢上戒福第二之句「具足衆戒」↡。次「読誦大乗」者、即↢上行福「読誦大乗」↡。次「修行六念」者、即第三第三句之意也。

・上品中生

^じょうぼん中生ちゅうしょうのなかに 「ぜん解義げぎしゅとうといふは、 すなはちこれかみだい三福さんぷくのなかのだいだいさんこころなり。

上品中生↢「善解義趣」等↡者、即是上第三福第二・第三意也。

・上品下生

^じょうぼんしょうのなかに 「深信じんしんいん*ほつ道心どうしんとうといふは、 すなはちこれかみだいさんふく第一だいいちだいこころなり。

上品下生↢「深信因果・発道心」等↡者、即是上第三第一・第二意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明中三品

・中品上生

^ちゅうぼん上生じょうしょうのなかに 「じゅかいとうといふは、 すなはちかみだいふくのなかのだいこころなり。

中品上生↢「受持五戒」等↡者、即第二第二意也。

・中品中生

^ちゅうぼん中生ちゅうしょうのなかに 「わく一日いちにちいちじゅはっ戒斎かいさいとうといふは、 またおなじくかみだいふくこころなり。

中品中生↢「或一日一夜受持八戒斎」等↡者、又同第二福之意也。

・中品下生

^ちゅうぼんしょうのなかに 「*きょうよう父母ぶもぎょうにんとうといふは、 すなはちかみはじめのふく第一だいいちだいこころなり。

中品下生↢「孝養父母・行世仁慈」等↡者、即第一・第二意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]明下三品

・下品上生

^ぼん上生じょうしょうは、 これ*じゅうあく罪人ざいにんなり。 りんじゅう一念いちねんつみめっしてしょうずることを

下品上生者是十悪罪人也。臨終一念罪滅得↠コトヲ

・下品中生

^ぼん中生ちゅうしょうは、 これかい罪人ざいにんなり。 りんじゅうぶつ*しょうどくきて、 つみめっしてしょうずることを

下品中生者是破戒罪人也。臨終↢仏依正功徳↡、罪滅得↠生コトヲ

・下品下生

^ぼんしょうは、 これ*ぎゃく罪人ざいにんなり。 りんじゅうじゅうねんつみめっしてしょうずることを

下品下生者是五逆罪人也。臨終十念罪滅得↠生コトヲ

・下三品

^この三品さんぼんは、 *じんじょうときただ悪業あくごうつくりておうじょうもとめずといへども、 りんじゅうときはじめてぜんしきひてすなはちおうじょう。 もしかみ三福さんぷくじゅんぜば、 だい三福さんぷくだいじょうこころなり。

此之三品、尋常之時唯↢悪業↡雖↠不↠求↢往生↡、臨終之時始↢善知識↡即得↢往生↡。若↢上三福↡者、第三福大乗意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (三)総結

^じょうぜん散善さんぜん大概たいがいかくのごとし。 もん (散善義) に、 すなはち 「かみよりこのかた*じょうさんりょうもんやくくといへども」 といふこれなり。

定善・散善大概如↠此。文↢「上ヨリモト↟説クト↢定散両門之益↡」是也。

二 ⅻ Ⅲ b 【念仏】
          (一)正指其体

 ^つぎ念仏ねんぶつとは、 もつぱら弥陀みだぶつみなしょうするこれなり。 念仏ねんぶつ*つねのごとし。

念仏者、専↢弥陀仏↡是也。念仏義如↠常

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)釈疏意
            (Ⅰ)正明

^しかるにいま、 「*正明しょうみょうぞく弥陀みだみょうごうずうだい(散善義) といふは、 おほよそこの ¬きょう¼ (観経) のなかに、 すでにひろじょう