0297◎観かん経ぎょう▼玄げん義ぎ分ぶん 巻かん第一だいいち

沙門しゃもん*善導ぜんどう集しゅう記き

一 説偈勧帰【帰三宝偈】
  Ⅰ 総標

【1】 ◎^先ま0433づ大衆だいしゅを勧すすめて願がんを発おこして三宝さんぽうに帰きせしむ。

 0655◎▲先マヅ勧ススメテム ↢大衆ヲ↡発シテ↠願ヲ帰セシムシ  ↢三宝ニ↡

一 Ⅱ 説偈
    ⅰ 勧他

^▼*道俗どうぞくの時じ衆しゅ等とう、 おのおの*無む上じょう心しんを発おこせ。

道俗ノ時衆等各ノ発セドモ↢無上ノ心ヲ↡

^生しょう死じはなはだ厭いとひがたく、 仏法ぶっぽうまた欣ねがひがたし。

生死甚ダ難ク↠厭イトヒ仏法復難シ↠欣ヒ

^ともに*金剛こんごうの志こころざしを発おこして、 ▼横よこさまに*四流しるを超ちょう断だんすべし。

▼共トモニ発シテ↢金剛ノ志 ザシヲ↡▼横ニ超↢断スベシシ  四流ヲ↡

^弥陀みだ界かいに入いらんと願がんじて、 帰依きえし合がっ掌しょうし礼らいしたてまつれ。

▼†願ジテ↠入ラムト↢弥陀ノ界ニ↡帰依シ合掌シテ礼シタテマツレ

一 Ⅱ ⅱ 自帰
      a 帰敬

^世せ尊そん、 われ一心いっしんに*尽じん十方じっぽうの

世尊我†一心ニ帰↧命シタテマツリシ上ル   尽十方ノ

^法ほっ性しょう真如しんにょ海かいと、 *報ほう化け等とうの諸仏しょぶつと、

法性真如海ト報化等ノ諸仏ト

^一々いちいちの菩ぼ薩さつ身しんと、 眷属けんぞく等とうの無む量りょうなると、

一一ノ菩薩ノ身ト眷属等ノ無量ナルト

^*荘しょう厳ごんおよび変へん化げと、 *十じゅう地じと三賢さんげん海かいと、

荘厳及ビ変化ト十地ト三賢海トノ

^*時じ劫こうの満まんと未み満まんと、 *智ち行ぎょうの円えんと未み円えんと、

時劫ノ満ト未満ト智行ノ円ト未円ト

^*正しょう使じの尽じんと未み尽じんと、 *習じっ気けの亡もうと未み亡もうと、

正使ノ尽ト未尽ト習ジフ気ケノ亡マウト未亡ト

^0298*功く用ゆうと無む功く用ゆうと、 *証しょう智ちと未み証しょう智ちと、

功用ユウト無功用ト証智ト未証智ト

^▼*妙みょう覚がくおよび*等覚とうがくの、 ▼まさしく金剛こんごう心しんを受うけ、

妙覚ト及ビ等覚ノト†正シク受ケ↢金剛心ヲ↡

^▼*相応そうおうする一念いちねんの後のち、 *果か徳とく涅ね槃はんのものに帰き命みょうしたてまつる。

相応スル一念ノ後ノ果徳涅槃ノ者ニ↥

一 Ⅱ ⅱ b 乞加

^われらことごとく*三仏さんぶつ菩ぼ提だいの尊そんに帰き命みょうしたてまつる。

我等ラ咸コトゴトク帰↢命シタテマツル三仏菩提ノ尊ニ↡

^無礙むげの神通じんずう力りきをもつて、 冥みょうに加かして願ねがはくは*摂しょう受じゅしたまへ。

無礙ゲノ神通力ヲモテ冥ミヤウニ加シテ願クハ摂受シタマヘ

^われらことごとく三さん乗じょう等とうの*賢げん聖じょうの、 仏ぶつの大だい悲ひ心しんを学がくして、

我等ラ咸ク帰↧命シタテマツル三乗等ノ賢聖ノ

^長じょう時じに退たいすることなきものに帰き命みょうしたてまつる。

学シテ↢仏ノ大悲心ヲ↡長時ニ無ナキ↠退タイスルコト者ニ↥

^請こひ願ねがはくははるかに*加備かびしたまへ。 念々ねんねんに諸仏しょぶつを見みたてまつらん。

請コヒ願クハ遥ハルカニ加備カビシタマヘシテ  念念ニ見タテマツラムシメ玉   ↢諸仏ヲ↡

一 Ⅱ ⅲ 述意
      a 嘆自信法義

^わ0434れら愚痴ぐちの身しん、 *曠劫こうごうよりこのかた流る転てんして、

0656我等愚痴グチノ身曠劫ヨリ来コノカタ流転シテ

^いま釈しゃ迦か仏ぶつの末法まっぽうの遺ゆい跡しゃくたる

今逢アヘリ↢釈迦仏ノ末法之ノ遺ユイ跡セキタル

^弥陀みだの本ほん誓願ぜいがん、 極楽ごくらくの*要門ようもんに逢あへり。

弥陀ノ本誓願極楽之要門ニ↡

^▼定じょう散さん等ひとしく回え向こうして、 すみやかに*無む生しょうの身しんを証しょうせん。

▼定散等シク廻向シテ▼速 カニ証セム↢無生ノ身ヲ↡

一 Ⅱ ⅲ b 標能弘心願

^▼われ▼菩ぼ薩さつ蔵ぞう頓とん教ぎょう、 一いち乗じょう海かいによりて、

我 レ依リテ↢▼菩薩蔵▼頓トム教一乗海ニ↡

^偈げを説ときて三宝さんぼうに帰きして、 仏心ぶっしんと相応そうおうせん。

説キテ↠偈ヲ帰シテス ↢三宝ニ↡与ト↢仏心↡相応セムセリ

^十方じっぽう恒沙ごうじゃの仏ぶつ、 六通ろくつうをもつてわれを照しょう知ちしたまへ。

十方恒沙ノ仏六通ヲモテ照↢知シタマヘ我ヲ↡

^0299いま二に尊そん (釈尊・阿弥陀仏) の教きょうに乗じょうじて、 広ひろく浄じょう土どの門もんを開ひらく。

今乗ジテ↢二尊ノ教ニ↡広ク開ク↢浄土ノ門ヲ↡

一 Ⅱ ⅳ 廻願

^願ねがはくはこの功く徳どくをもつて、 平びょう等どうに一切いっさいに施ほどこし、

願クハ以テ↢此ノ功徳ヲ↡平等ニ†施シ↢一切ニ↡

^同おなじく菩ぼ提だい心しんを発おこして、 安楽あんらく国こくに往おう生じょうせん。

同ジク発シテ↢菩提心ヲ↡往↢生セム安楽国ニ↡

二 文前玄義
  Ⅰ 標列【七門料簡】

【2】 ^この ¬*観かん経ぎょう¼ 一いち部ぶのうちに、 先まづ七門しちもんを作つくりて*料りょう簡けんし、 しかして後のちに文もんによりて義ぎを釈しゃくせん。

▲此ノ¬観経¼一部之内ニ、先ヅ作 クリテ↢七門ヲ↡料レウ簡シセム、。然シテ後 チニ依リテ↠文ニ釈セムスベシ↠義ヲ。

^第一だいいちに↓先まづ序題じょだいを標ひょうす。 第だい二にに↓次つぎにその名なを釈しゃくす。 第三だいさんに文もんによりて義ぎを釈しゃくし、 ↓ならびに*宗しゅう旨しの不ふ同どう、 *教きょうの大だい小しょうを弁べんず。 第だい四しにまさしく↓説人せつにんの差別しゃべつを顕あらわす。 第だい五ごに↓定じょう散さん二に善ぜん、 通別つうべつに異ことなることあることを料りょう簡けんす。 第六だいろくに↓経きょう論ろんの相そう違いを和会わえするに、 広ひろく問答もんどうを施ほどこして疑ぎ情じょうを*釈しゃく去こす。 第七だいしちに↓*韋い提だいの、 仏ぶつの正しょう説せつを聞ききて益やくを得うる分斉ぶんざいを料りょう簡けんす。

▲第一ニハ先ヅ標ヘウスシ↢序ジヨ題ダイヲ↡。、第二ニ次ニ釈スシ↢其ノ名ヲ↡。、第三ニ依リテ↠文ニ釈シ↠義ヲ、并ナラビニ弁ベムズ↢宗旨ノ不同、教之大小ヲ↡。第四ニ正マサシク顕 ハス↢説人ノ差別ヲ↡。第五ニ料↢簡ス定散ノ二善、通別ニ有ルコトヲ↟異イナルコト。第六ニ和ワ↢会ヱスルニシテ 経論ノ相違ヰヲ↡、広ク施シテ↢問答ヲ↡釈↢去コス疑ギ情ジヤウヲ↡。第七ニ料↧簡ス韋提ノ聞キキテ↢仏ノ正説ヲ↡得ル↠益ヲ分斉ザイヲ↥。

二 Ⅱ 牒釈
    ⅰ【序題門】
      a 牒標

【3】 ^第一だいいちに↑先まづ序題じょだいを標ひょうすとは、

▲第一ニ先ヅ標ヘウスト↢序題ジヨダイヲ↡者ハ、

二 Ⅱ ⅰ b 正釈
        イ 総明出世利益
          (一)先明出世由
            (Ⅰ)性海平等

^▼ひそかにおもんみれば、 真如しんにょ広大こうだいにして五ご乗じょうもその辺ほとりを測はからず。 法ほっ性しょう深高じんこうにして十じっ聖しょうもその際きわを窮きわむることなし。 真如しんにょの体たい量りょう、 量性りょうしょう、 *蠢々しゅんしゅんの心しんを出いでず。 法ほっ性しょう無む辺へんなり。 辺体へんたいすなはちもとよりこのかた動どうぜず。 *無む塵じんの法界ほうかいは*凡ぼん聖しょう斉ひとしく円まどかに、 *両りょう垢くの如々にょにょすなはちあまねく*含識がんしきを該かね、 恒沙ごうじゃの功く徳どく*寂じゃく用ゆう湛然たんねんなり。

~窃ヒソカニ以オモンミレバ、▼真如広大ニシテナリ 、五乗モ不ズ↠測ハカラ↢其ソノ辺ヲ↡。法性深高ニシテナリ 、十聖モ莫ナシ↠窮キワムルコト↢其ノ際キワヲ↡。▼真如之体量、ハ量ノ性ナリ、不ズ↠出デ↢ 蠢ムクメキ 蠢ムクメク之ノ心ヲ↡、†法性無辺ナリ。辺体則チ元モトヨリ来コノカタ不ズ↠動ドウゼ。無*塵ヂンノ法界ハ凡聖斉ヒトシク円マドカニ、両垢クノ如如則チ普ク該カネタリ↢於含ガム識ヲ↡、。恒沙ノ功徳寂ジヤク用ユウ湛タン然ナリ。

二 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)垢障覆深

^ただ垢く障しょう覆おおふこと深ふかきをもつて、 *浄じょう体たい顕けん照しょうするに由よしなし。

~▼但タダ以テ↢▼垢ク障ノ覆オホフコト深キヲ↡、浄体無シ↠由ヨシ↢顕照スルニ↡。

二 Ⅱ ⅰ b イ (二)正示出世益

^ゆゑに ˆ釈しゃく尊そんはˇ 大だい悲ひをもつて*西さい化けを隠かくし、 驚おどろきて火か宅たくの0300門もんに入いり、 甘かん露ろを灑そそぎて*群萌ぐんもうを潤うるおし、 *智炬ちこを輝かがやかせばすなはち*重じゅう昏こんを永よう夜やより朗ほがらかならしむ。 *三檀さんだん等ひとしく備そな0435はり、 四し摂しょうをもつて斉ひとしく収おさめて、 長じょう劫ごうの苦く因いんを開かい示じし、 *永よう生しょうの楽らく果かに悟ご入にゅうせしむ。

~故ニ†使ム↧▼大悲ヲモテ隠カクシテ↢於西化ヲ↡、驚オドロキヤウキテ入リ↢火宅之門ニ↡、▼灑ソソギテ↢甘露ヲ↡潤ウルオシ↢於群萌マウヲ↡、輝カセバカシテ↢智炬コヲ↡トモシビ則チ朗ホガラカナラ↦重昏コムクラキヲ於永ヰヤウ夜ヨリ↥。三檀ダン等ヒトシク備ソナ0657ハリヘ 、四摂ヲモテ斉ヒトシク収メテム 、。開↢示ジシテ長劫之苦ク因インヲ↡、悟ゴ↢入セシム永生之楽果ニ↡。

二 Ⅱ ⅰ b ロ 別明二門教益
          (一)明化前教益
            (Ⅰ)随類開化

【4】 ^*群迷ぐんめいの性しょうの隔へだたり、 *楽ぎょう欲よくの不ふ同どうをいはず。 *一実いちじつの機きなしといへども、 等ひとしく五ご乗じょうの用ゆうあれば、 慈じ雲うんを三界さんがいに布しき、 法ほう雨うを大だい悲ひより注そそがしむることを致いたす。 等ひとしく*塵労じんろうを洽うるおすに、 あまねく未み聞もんの益やくを沾うるおさざるはなし。 菩ぼ提だいの種しゅ子しこれによりてもつて心しんを抽ぬき、 正しょう覚がくの芽め念々ねんねんにこれによりて増ぞう長じょうす。

~不ズ↠謂イハ↢群迷グンメイノ†性ノ隔リ、楽欲ゲウヨクノ不同ヲ↡。雖モ↠無シト↢一実之ノ機キ↡、等シク有レバ↢五乗之ノ用↡、致イタス↠使シムルコトヲ↧布シキ↢慈ジ雲ウンヲ†於三界ニ↡、注ソソガ↦†法雨ヲ於大悲ヨリ↥。莫ナシ↠不ルハト云コト↧等シク洽ウルオスニシテ↢塵労ヲ↡普ク沾ウルオサ↦未ミ聞之ノ益ヲ↥。菩提ノ種子藉ヨリテ↠此コレニ以テ抽ヌキテ↠心ヲ、正覚之ノ芽ゲ念念ニ因ヨリテ↠茲コレニ増ゾウ長ス。

二 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅱ)随宜得益

^▼心しんによりて勝行しょうぎょうを起おこすに、 門もん八万はちまん四し千せんに余あまれり。 *漸頓ぜんとんすなはちおのおの所しょ宜ぎに称かなふをもつて、 縁えんに随したがふもの、 すなはちみな解げ脱だつを蒙こうむる。

~依リテ↠心ニ起オコスニ↢於勝行ヲ↡、門余アマレリ↢八万四千ニ↡。漸頓ゼントム則チ各オノオノ称カナフヲモテヘリ  ↢所宜ギニ↡、。▼随フ↠縁ニ者ハ、則チ皆 ナ蒙カウブル↢解脱ヲ↡。

二 Ⅱ ⅰ b ロ (二)明今経利益【要弘二門】
            (Ⅰ)正明
              (ⅰ)明教興因縁
                (a)教興因

【5】 ^しかるに衆しゅ生じょう障さわり重おもくして、 悟さとりを取とるもの明あきらめがたし。 教きょう益やく多た門もんなるべしといへども、 *凡惑ぼんわく*遍攬へんらんするに由よしなし。

~▼然ルニ衆生障サワリ重クシテ、取トル↠悟サトリヲ之者 ノ難ガタシ↠明 ラメ。雖 ドモ↠可ベシト↢教益多タ門ナル↡、凡惑ボンワク無シ↠由ヨシ↢†遍攬スルニ↡。

二 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)教興縁

^たまたま韋い提だい、 請しょうを致いたして、 「▲われいま安楽あんらくに往おう生じょうせんと楽ぎょう欲よくす。 ◆ただ願ねがはくは如来にょらい、 われに思し惟ゆいを教おしへたまへ、 われに正しょう受じゅを教おしへたまへ」 といふによりて、

~遇タマタマ因ヨリテ↧韋ヰ提致イタシテ↠請ヲ、我 レ今イマ楽↣欲スルニ往↢生セムト安楽ニ↡、唯タヾシ願クハ如来、教ヘタマヘ↢我ニ思惟ヲ↡、教ヘタマヘトイフニ↦我ニ正受ヲ↥、

二 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)明一部教義

^▼しかも娑しゃ婆ばの化け主しゅ (釈尊) はその請しょうによるがゆゑにすなはち広ひろく浄じょう土どの↓要門ようもんを開ひらき、 安楽あんらくの能人のうにん (阿弥陀仏) は▼*別べっ意ちの↓弘ぐ願がんを顕けん彰しょうしたまふ。

~然モルニ娑婆ノ化主ハ因ヨルガ↢其ノ請ニ↡故ニ即チ広ク開キ↢浄土之ノ要門ヲ↡、安楽ノ能人ハ顕↢彰シヤウシタマフ別ベチ意イ之ノ弘願ヲ↡。

1.要門

^▼その↑要門ようもんとはすなはちこの ¬*観かん経ぎょう¼ の定じょう散さん二に門もんこれなり。 ▼「定じょう0301」 はすなはち*慮おもんぱかりを息やめてもつて心しんを凝こらす。 「散さん」 はすなはち悪あくを廃はいしてもつて善ぜんを修しゅす。 この二に行ぎょうを*回えして往おう生じょうを求ぐ願がんす。

~▼其ノ要門ト者ハ即チ此コノ¬観経ノ¼定散二門是コレ也ナリ。▼定ハ即チ▼†息メテ↠†慮リヲ以テ凝コラス↠心ヲ。散ハ即チ▼廃ハイシテ↠悪ヲ以テ修ス↠善ヲ。廻ヱシテ↢斯コノ二行ヲ↡求グ↢願スル往生ヲ↡也ナリ。

2.弘願

^▼↑弘ぐ願がんといふは ¬*大だい経きょう¼ (上・意) に説ときたまふがごとし。 「▲一切いっさい善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶ生しょうずることを得うるものは、 ▲みな阿あ弥陀みだ仏ぶつの大願だいがん業力ごうりきに乗じょうじて増ぞう上じょう縁えんとなさざるはなし」 と。

~▼言イフ↢弘願ト↡者ハ如シキハ↢¬大経ニ¼説キタマフガ↡。、「▼一切▼善悪ノ凡夫得ル↠生ズルコトヲ者 ノハ、莫シト↠不ザルハルコト↧皆 ナ乗ジヨウジテ↢阿弥陀仏ノ大願業力ニ↡†為サ↦増上縁ト↥也。」

二 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)顕密意所在

^▼また仏ぶつの*密みつ意い弘ぐ深じんなり、 教きょう門もん暁あきらめがたし。 三賢さんげん・十じっ聖しょうも測はかりて闚うかがふところにあらず。 いはんやわれ*信しん外げの軽きょう毛もうなり、 あへて旨し趣しゅを知しらんや。

~又仏ノ密ミチ意イ弘グ深ナリニシテ、教門ニテハ難シ↠†暁メ。三賢・十聖モ弗アラズ↢測ハカリテ所トコロニ↟闚ウカガフ。況イハンヤ我 レ信外ノ軽キヤウ毛モウナリ、敢アヘテ知シラムヤ↢旨シ趣シユヲ↡。

^◆仰あおぎておもんみれば、 釈しゃ迦かはこの方ほうより*発遣はっけんし、 弥陀みだはすなはちかの国くにより来迎らいこうしたまふ。 かしこに喚よばひここに遣つかはす、 あに去ゆかざるべけんや。

~仰アオギテ惟オモンミレバ、▼釈迦ハ此ノ方ヨリニシテ発遣ケンシ、弥陀ハ即チ彼ノ国ヨリ来迎シタマフス   。彼 コニハ喚ヨバヒ此ココニ†遣ハス、豈アニ容ベケム↠不ル↠去ユカ也ヤ。

二 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅱ)結勧

^◆ただ勤心ごんしんに法ほうを奉うけて、 *畢ひつ命みょうを期ごとなして、 ▼この穢え身しんを捨すてて▼すなはちかの法ほっ性しょうの▼常じょう楽らくを証しょうすべし。

~唯タダ可シ↧勤心ネムゴロニ†奉ウケテ↠法ヲ、畢ヒツ命ヲ為シテ↠期ゴト、▼捨ステテ↢此ノ穢ヱ身ヲ↡▼即チ証ス↦彼ノ▼法性之ノ常楽ヲ↥。

二 Ⅱ ⅰ c 総結

^これすなはち略りゃくして序じょ0436題だいを標ひょうしをはりぬ。

~此 レ即チ略リヤクシテ標ヘウシ↢序題ジヨダイヲ↡竟リヌ。

二 Ⅱ ⅱ【釈名門】
      a 牒標

【6】 ^第だい二にに↑次つぎに名なを釈しゃくすとは、

▲第0658二ニ次ニ釈†スト↠名ナヲ者、

二 Ⅱ ⅱ b 釈義
        イ 標挙

^¬経きょう¼ に「↓仏ぶっ↓説せつ↓無む量りょう寿じゅ↓観かん↓経ぎょう↓一巻いっかん」 とのたまへり。

~¬経ニ¼†言ヘリ↢「仏説無量寿観経一巻ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ 正釈
          (一)釈仏字

^「↑仏ぶつ」 といふはすなはちこれ*西国さいこく (印度) の正しょう音おんなり。 この土ど (中国) には 「覚かく」 と名なづく。 ↓自じ覚かく・↓覚かく他た・↓覚かく行ぎょう窮満ぐうまん、 これを名なづけて仏ぶつとなす。

~言フ↢「仏ト」↡者ハ乃チ是 レ西国ノ正音オンナリ。此ノニハ*土ニハ名ク↠覚ト。自ジ覚・覚他タ・覚行窮グ満、ヲ名ケテ↠之ヲ為ス↠仏ト。

^「↑自じ覚かく」 といふは凡ぼん夫ぶに*簡けん異いす。 これ声しょう聞もんは狭きょう劣れつにして、 ただよく自利じりのみありて、 闕かけて利他りたの大だい悲ひなきによるがゆゑなり。

~言イフ↢自ジ覚ト↡者ハ簡ケン↢異イス凡夫ニ↡。此 レ由ヨルガ↣▼声聞ハ狭劣ケウレツニシテ、唯タダ能ヨク自利ジリノミアリテニシテ  、闕カキテ無ナキニ↢利他ノ大悲↡故ナリニ 。

^「↑覚かく他た」 といふは二に乗じょうに簡けん異いす。 これ菩ぼ0302薩さつは智ちあるがゆゑによく自利じりし、 悲ひあるがゆゑによく利他りたし、 つねによく*悲智ひち双そう行ぎょうして有無うむに着じゃくせざるによる。

~言フ↢覚他ト↡者ハ簡↢異ス二乗ニ↡。此 レハ由ルリテ↢菩薩ハ有アルガ↠智故ニ能ク自利ジリシ、有ルガ↠悲故ニ能ヨク利他シス、常ニ能ク悲智ヒチ†双行シテ不ザルニ↟著ヂヤクセ↢有無ウムニ↡也ナリ。

^「↑覚かく行ぎょう窮満ぐうまん」 といふは菩ぼ薩さつに簡けん異いす。 これ如来にょらいは智ち行ぎょうすでに窮きわまり、 *時じ劫こうすでに満みちて、 *三さん位いを出しゅっ過かせるによるがゆゑに、 名なづけて仏ぶつとなす。

~言フ↢覚行窮満ト↡者ハ簡↢異ス菩薩ニ↡。此 レハ由ヨルガ↣如来ハ智行已スデニ窮キハマリ、時劫已ニ満チテ、出↢過セルニ三位ヰヲ↡故ニ、名ケテ為ス↠仏ト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)釈説字

^「↑説せつ」 といふは口く音おんに陳ちん唱しょうす。 ゆゑに名なづけて説せつとなす。 また如来にょらい、 機きに対たいして法ほうを説ときたまふこと多た種しゅ不ふ同どうなり。 漸頓ぜんとんよろしきに随したがひ、 *隠おん彰しょう異ことなることあり。 あるいは六根ろっこん通つうじて説ときたまふ。 相好そうごうもまたしかなり。 念ねんに応おうじ、 縁えんに随したがひてみな証しょう益やくを蒙こうむる。

~言フ↢「説ト」↡者ハ口ク音オンニ陳チン唱シヤウス。故ニ名ケテ為ス↠説ト。又如来対タイシテ↠機ニ説キタマフコト↠法ヲ多種不同ナリ。漸頓ゼムトム随ヒテ↠宜ヨロシキニ、隠オン彰シヤウ有リ↠異ナルコト。或イハ六根通ジテ説キタマフ。相好モ亦然シカナリ。応ジ↠念ニ、随ヒテ↠縁ニ皆 ナ蒙カブル↢証益ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (三)釈無量寿
            (Ⅰ)梵漢対釈

【7】 ^▼「↑無む量りょう寿じゅ」 といふは、 すなはちこれこの地じ (中国) の漢音かんおんなり。 「南な無も阿あ弥み陀だ仏ぶつ」 といふは、 またこれ西国さいこく (印度) の正しょう音おんなり。 また 「南な」 はこれ帰き、 「無も」 はこれ命みょう、 「阿あ」 はこれ無む、 「弥み」 はこれ量りょう、 「陀だ」 はこれ寿じゅ、 「仏ぶつ」 はこれ覚かくなり。 ゆゑに 「帰き命みょう無む量りょう寿じゅ覚かく」 といふ。 これすなはち*梵ぼん漢かん相対そうたいするに、 その義ぎかくのごとし。

~言フ↢「無量寿ト」↡者ハ、乃チ是 レ此コノ地ヂノ漢音カンオンナリ。言フ↢南無阿弥陀仏ト↡者ハ、又是 レ西国ノ正音ナリ。又南ト者ハ是 レ帰、無モト者ハ是 レ命、阿ト者ハ是無モ、弥ト者ハ是 レ量、陀ト者ハ是寿、仏ト者ハ是覚ナリ。故ニ言フ↢帰命無量寿覚ト↡。此コレ乃チ梵ボント漢カント相対タイスルニシテ 、其ノ義如シ↠此クノ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (三)(Ⅱ)約人法釈

^いま ▼「無む量りょう寿じゅ」 といふはこれ法ほう、 「覚かく」 とはこれ人にんなり。 ↓人法にんぼう並ならべ彰あらわす、 ゆゑに阿あ弥陀みだ仏ぶつと名なづく。

~今言フ↢▼無量寿ト↡者ハ是法、覚ト者ハ是人ナリ。人ニン・法並ナラベテ彰アラハス、故ニ名ク↢阿弥陀仏ト↡。△

二 Ⅱ ⅱ b ロ (三)(Ⅲ)約観境釈

【8】 ^◆また↑人法にんぼうといふはこれ所観しょかんの境きょうなり。 すなはちその二にあり。 一いちには↓依え報ほう、 二にには↓正しょう報ぼうなり。

又言フ↢人法ト↡者ハ是 レ所観之ノ境キヤウナリ。即チ有リ↢其ノ二ツ↡。一ニ者ハ依報、二ニ者ハ正報ナリ。

・依報

^↑依え報ほうのなかにつきてすなはちその三さんあり。

就ツキテ↢依報ノ中ニ↡即チ有リ↢其ノ三↡。

・依報 ・地下荘厳

^一いちには地下じげの荘しょう厳ごん、 す0303なはち一切いっさいの*宝幢ほうどう光こう明みょうのたがひにあひ*映発ようほつする等とうこれなり。

一ニ者ハ地下ノ荘厳、即チ一切ノ宝幢光明ノ互タガヒニ相 ヒ映発エイホチスル等是コレナリ。

・依報 ・地下荘厳

^二にには0437地じ上じょうの荘しょう厳ごん、 すなはち一切いっさいの宝ほう地じ・池ち林りん・宝楼ほうろう・宮く閣かく等とうこれなり。

二ニ者ハ地上ノ荘厳、即チ一切ノ宝地ヂ池チ林リン・宝楼ロウ・*宮閣カク等是ナリ。

・依報 ・地下荘厳

^三さんには虚こ空くうの荘しょう厳ごん、 すなはち一切いっさいの変へん化げの宝ほう宮く・*華け網もう・宝雲ほううん・*化け鳥ちょう・風光ふうこうの動発どうほつせる声しょう楽がく等とうこれなり。

三ニ者虚空ノ荘厳、即チ一切0659ノ変化ノ宝宮・華網クヱマウ・宝雲ウン・化鳥・風光ノ動ドウ発セルスル声楽ガク等トウ是コレナリ。

^前さきのごとく三種さんしゅの差別しゃべつありといへども、 みなこれ弥陀みだ浄じょう国こくの無漏むろ真実しんじつの*勝しょう相そうなり。 これすなはち総そうじて依え報ほうの荘しょう厳ごんを結けつ成じょうす。

如ク↠前サキノ雖モ↠有リト↢三種ノ差別↡、皆 ナ是 レ弥陀浄国ノ無漏ロ真実之ノ勝相ナリ。此 レ即チ総ソウジテ結↢成スル依報ノ荘厳ヲ↡也。

・依報 ・通別

^また依え報ほうといふは、 ▲日観にっかんより下しも▲華座けざ観かんに至いたるこのかたは、 総そうじて依え報ほうを明あかす。 この依え報ほうのなかにつきてすなはち↓通つうあり↓別べつあり。

又言フ↢依報ト↡者ハ、従ヨリ↢日観↡下シモ至ル↢華座ザ観ニ↡已来タハ、総ジテ明ス↢依報ヲ↡。就ツキテ↢此ノ依報ノ中ニ↡即チ有リ↠通有リ↠別。

・別依報

^↑別べつといふは、 ▲華座けざの一観いっかんはこれその別べつ依えなり、 ただ弥陀みだ仏ぶつに属ぞくす。

言フ↠別ト者ハ、華座ノ一観ハ是 レ其ノ別ベチ依エナリ、唯タダ属ゾクス↢弥陀仏ニ↡也。

・通依報

^余よの*上かみの六観ろっかんはこれその↑通つう依えなり、 すなはち法界ほうかいの凡ぼん聖しょうに属ぞくす。 ただ生しょうずることを得うれば、 ともに同おなじく受用じゅゆうす。 ゆゑに通つうといふ。

余ヨノ上ノ六観ハ是コレ其ノ通ツウ依エナリ、即チ属ス↢法界之ノ凡聖ニ↡。†但使 タダ 得レバ↠生ズルコトヲ者、共トモニ同ジク受用ス。故ニ言フ↠通ト也。

^またこの六ろくのなかにつきてすなはち↓真しんあり↓仮けあり。

又就キテ↢此ノ六ノツガ中ニ↡、即チ有リ↠真有リ↠仮。

・仮依報

^↑仮けといふはすなはち▲日想にっそう・▲水想すいそう・▲氷ひょう想そう等とう、 これその仮依けえなり。 これこの界かい中ちゅうの相そう似じ可か見けんの境きょう相そうなるによるがゆゑなり。

言フ↠仮ト者ハ、即チ日想・水想・氷ヘウ想等†、是其ノ仮依ナリ。由ヨルガ↢是 レ此コノ界ノ中ノ相似ジ可カ見ノ境相ナルニ↡故ナリニ 。

・真依報

^↑真しん依えといふは、 すなはち▲瑠璃るり地じより下しも▲宝楼ほうろう観かんに至いたるこのかたは、 これその真しん依えなり。 これかの国くにの真実しんじつ無漏むろの可か見けんの境きょう相そうなるによるがゆゑなり。

言フ↢真依ト↡者ハ、即チ従リ↢瑠璃ルリ地ヂ↡下 モ至ル↢宝楼観ニ↡†已来タハ、是其ノ真依ナリ。由ルガ↢是 レ彼ノ国ノ真実無漏ムロノ可カ見ケンノ境相ナルニ↡故ナリニ 。

・正報

^二にには↑正しょう報ぼうのなかにつきてまたその二にあり。

二ニハ就ツキテ↢正報ノ中ニ↡亦有リ↢其ノ二↡。

・正報 ・主

^一いちには▲主しゅ荘しょう厳ごん、 すなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつこれなり。

一ニ者ハ主シユ荘厳、即チ阿弥陀仏是コレナリ。

・正報 ・聖衆

^二にには▲聖しょう衆じゅ荘しょう厳ごん、 すなはち現げんにかしこにある衆しゅうおよび十方じっぽう法界ほうかい同どう生しょうのものこれ0304なり。

二ニ者ハ聖衆荘厳、即チ現ニ在ル↠彼 コニ衆及ビ十方法界ノ同生ノ者 ノ是ナリ。

・正報 ・通別

^またこの正しょう報ぼうのなかにつきてまた↓通つうあり↓別べつあり。

又就キテ↢此ノ正報ノ中ニ↡亦有リ↠通有リ↠別。

・別正報

^↑別べつといふはすなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつこれなり。 すなはちこの別べつのなかにまた↓真しんあり↓仮けあり。

言フ↠別ト者ハ即チ阿弥陀仏是也ナリ。即チ此ノ別ノ中ニ亦有リ↠真有リ↠仮。

・仮正報

^↑仮け正しょう報ぼうといふはすなはち第八だいはちの▲像観ぞうかんこれなり。 ▲観音かんのん・勢せい至し等とうもまたかくのごとし。 これ衆しゅ生じょう障さわり重おもく*染惑ぜんわく処ところ深ふかきによりて、 仏ぶつ (釈尊)、 たちまちに*真容しんようを想おもはんに、 顕現けんげんするに由よしなきことを恐おそれたまふがゆゑに、 *真像しんぞうを仮け立りゅうしてもつて*心想しんそうを住とどめしめ、 かの仏ぶつに同どうじてもつて境きょうを証しょうせしめたまふ。 ゆゑに仮け0438正しょう報ぼうといふ。

言フ↢仮ケ正報ト↡者ハ即チ第八ノ像観是也ナリ。観音・勢至等モ亦如シ↠是クノ。此 レ由ヨリテ↢衆生障サワリ重ク染惑ゼンワク処トコロ深フカキニ↡、仏恐オソレタマフガ↧乍タチマチニ想ハムニ↢真容ヲ↡、無キコトヲ↞由ヨシ↢顕現スルニ↡故ニ、使メタマフム   ↧仮ケ↢立リツシテ真像ザウヲ↡以テ†住メシメ↢心想ヲ↡、同ジテ↢彼ノ仏ニ↡以テ証セ↞境ヲ。故ニ言フ↢仮ケ正報ト↡也 リ。

・真正報

^↑真しん正しょう報ぼうといふはすなはち第だい九くの▲真身しんしん観かんこれなり。 これ前さきの仮け正しょうによりて、 やうやくもつて乱想らんそうを息やめて、 心眼しんげん開ひらくることを得えて、 ほぼかの方ほうの清浄しょうじょう二に報ほう、 種々しゅじゅの荘しょう厳ごんを見みて、 もつて*昏惑こんわくを除のぞく。 障さわりを除のぞくによるがゆゑに、 かの真実しんじつの境きょう相そうを見みることを得う。

言フ↢真正報ト↡者ハ即チ第九ノ真身観是也 リ。此 レ由リテ↢前サキノ仮正ニ↡、漸ヤウヤク以テ息ヤメテ↢於乱ラム0660想ヲ↡、心眼得エテ↠開クルコトヲ、粗ホボ見テ↢彼ノ方ノ清浄ノ二報、種種ノ荘厳ヲ↡、以テ除ノゾク↢昏惑コムワクヲ↡。由ヨルガ↠除ノゾクニ↠障サワリヲ故ニ、得ル↠見ルコトヲ↢彼ノ真実之ノ境相ヲ↡也。

・通正報

^↑通つう正しょう報ぼうといふはすなはち▲観音かんのん聖しょう衆じゅ等とう以下いげこれなり。

言フ↢通正報ト↡者ハ即チ観音・聖衆等已下是也ナリ。

^向さきよりこのかたいふところの通別つうべつ・真しん仮けは、 まさしく依え正しょう二報ほうを明あかす。

向サキヨリ来コノカタ所ノ↠言イフ通別・真仮トイフ者ハ、正シク明ス↢依正二報ヲ↡也ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (四)釈観字

【9】 ^「↑観かん」 といふは照しょうなり。 つねに浄じょう信心しんじんの手てをもつて、 もつて智慧ちえの輝ひかりを持たもち、 かの弥陀みだの*正しょう依え等とうの事じを照てらす。

▲言フ↢「観ト」↡者ハ照セウ也 リ。常ニ以テ↢浄信心ノ手テヲ↡、以テ持タモチテ↢智慧之ノ輝ヒカリヲ↡、照テラスナリ↢彼ノ弥陀ノ正依等ノ事ジヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (五)釈経字

^「↑経きょう」 といふは*経たてなり。 経たてよく*緯ぬきを持たもちて*疋ひつ丈じょうを成じょうずることを得えて、 その丈じょう用ゆうあり。

~言フ↢「経ト」↡者ハ経タテ也 リ。経タテ能ヨク持タモチテ↠緯ヌキヲ得テ↠成ズルコトヲ↢*疋ヒチヒキ丈ヂヤウヲ↡、有リ↢其ノ丈ヂヤウ用ヰウ↡。、

^経きょうよく法ほうを持たもちて*理事りじ相応そうおうし、 定じょう散さん機きに随したがひて義ぎ*零落れいらくせず。 よく*修趣しゅしゅのものをして、 かならず教行きょうぎょうの縁因えんいんによ0305りて、 願がんに乗じょうじて往おう生じょうしてかの*無為むいの法楽ほうらくを証しょうせしむ。 すでにかの国くにに生しょうじぬれば、 さらに畏おそるるところなし。 長じょう時じに行ぎょうを起おこして、 果か、 菩ぼ提だいを極きわむ。 法身ほっしん常住じょうじゅうなること、 たとへば虚こ空くうのごとし。 よくこの益やくを招まねく。 ゆゑにいひて経きょうとなす。

~経能ク持チテ↠法ヲ理事リジ相応シ、▼定散随ヒテ↠機ニ義ヲシテ不ズ↢零レイ落ラクオチセ↡。能ク†令ム↧修趣之者ヲシテ、必ズ藉リテ↢教行之縁因インニ↡、乗ジテ↠願ニ往生シテ証セ↦彼ノ無為之法楽ラクヲ↥。既スデニ生ジヌレバ↢彼ノ国ニ↡、更サラニ無ナシ↠所 ロ↠畏オソルル。長時ニ起オコシテ↠行ヲ、果極キハム↢菩提ヲ↡。▼法身常住ナルコトニシテ 比タトヘバ若ゴトシ↢虚空ノ↡。能ク招クガ↢此コノ益ヲ↡。故ニ曰イヒテ為ス↠経ト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (六)釈一巻

^「↑一巻いっかん」 といふは、 この ¬観かん経ぎょう¼ 一いち部ぶは*両りょう会えの正しょう説せつなりといふといへども、 総そうじてこの一いちを成じょうず。 ゆゑに一巻いっかんと名なづく。

~言イフ↢「一巻ト」↡者ハ、此ノ¬観経¼一部ハ雖イエドモ↠言イフト↢両会ヱノ正説ナリト↡、†総ジテ成ズ↢斯コノ一ヲ↡。故ニ名ク↢一巻ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ 総結

^ゆゑに 「仏説ぶっせつ無む量りょう寿じゅ観かん経ぎょう一巻いっかん」 といふ。

~故ニ言イフ↢「仏説無量寿観経一巻ト」↡。△

二 Ⅱ ⅱ c 結示

^これすなはちその名みょう義ぎを釈しゃくしをはりぬ。

此 レ即チ釈シスルコト↢其ノ名ミヤウ義ギヲ↡竟リヌ。

二 Ⅱ ⅲ【宗教門】
      a 牒標

【10】^三さんに▲↑↓宗しゅう旨しの不ふ同どう、 ↓教きょうの大だい小しょうを弁べん釈しゃくすとは、

▲三ニ弁↢釈†スト宗シユ旨シノ不同、教之ノ大小ヲ↡者、

二 Ⅱ ⅲ b 正釈
        イ 宗旨不同
          (一)挙他経例

^↑▲¬*維ゆい摩ま経ぎょう¼ のごときは*不ふ思議しぎ解げ脱だつをもつて宗しゅうとなし、 ▲¬*大品だいぼん経ぎょう¼ のごときは*空くう慧えをもつて宗しゅうとなす。 この例れい一いちにあらず。

~如キハ↢¬維ユイ摩マ経ノ¼↡以テ↢不思議解脱ヲ↡為シ↠宗ト、如キハ↢¬大品経ノ¼↡以テ↢空慧ヲ↡為ス↠宗ト。此ノ例レイ非ズ↠一ニ。

二 Ⅱ ⅲ b イ (二)正明今経【念観両宗】

^▲いまこの ¬観かん経ぎょう¼ はすなはち観仏かんぶつ三昧ざんまいをもつて宗しゅうとなし、 また念仏ねんぶつ三昧ざんまいをもつて宗しゅうとなす。 一心いっしんに*回え願がんして浄じょう土どに往おう生じょうするを*体たいとなす。

~今▼此ノ¬観経ハ¼即チ以テ↢観仏三昧ヲ↡為シ↠宗ト、亦以テ↢念仏三昧ヲ↡為ス↠宗ト。*一心ニ廻願シテ往↢生スルヲ浄土ニ↡為ス↠体タイト。

二 Ⅱ ⅲ b ロ 教大小

【11】^◆↑教きょうの大だい小しょうといふは0439、

~言イフ↢教之ノ大小ト↡者、

^◆問とひていはく、 この ¬経きょう¼ は*二に蔵ぞうのなかにはいづれの蔵ぞうの摂しょうなる。 *二に教きょうのなかにはいづれの教きょうの収しゅうなる。

~問ヒテ曰ク、此ノ¬経ハ¼二蔵之ノ中ニハ何 レノ蔵†ノ摂ナル。二教之ノ中ニハ何 レノ教†ノ収ナル。

^◆答こたへていはく、 いまこの ¬観かん経ぎょう¼ は菩ぼ薩さつ蔵ぞうの収しゅうなり。 頓とん教ぎょうの摂しょうなり。

~答ヘテ曰ク、今此ノ¬観経0661ハ¼菩薩ノ蔵†ノ収ナリ。頓トム教ノ摂セフナリ。

二 Ⅱ ⅳ【説人門】
      a 牒標

【12】^四しに▲↑説人せつにんの差別しゃべつを弁べんずとは、

▲四ニ弁†ズト↢説人ノ差別ヲ↡者、

二 Ⅱ ⅳ b 正釈
        イ 挙他経例

^◆おほよそ諸しょ経きょうの起き説せつ五ご種しゅを過すぎず。 一いちには仏ぶつの説せつ、 二にには*聖しょう弟子でしの説せつ、 三さんには*天仙てんせんの説せつ、 四しには鬼き神じんの説せつ、 五ごには変へん化げの説せつ0306なり。

~凡ソ諸経ノ起キ説不ズ↠過スギ↢五種ヲ↡。一ニ者仏ノ説、二ニ者聖弟子ノ説、三ニ者天仙ノ説、四ニ者鬼神ノ説、五ニ者変化ノ説ナリ。

二 Ⅱ ⅳ b ロ 正明今経

^いまこの ¬観かん経ぎょう¼ はこれ仏ぶつの自じ説せつなり。

~▼今此ノ¬観経ハ¼是仏ノ自説ナリ。

二 Ⅱ ⅳ b ハ 処・対告

 ^問とひていはく、 仏ぶついづれの処ところにかましまして説とき、 何なん人ぴとのためにか説ときたまへる。

~▼問ヒテ曰ク、仏在マシマシテ↢何 レノ処ニカ↡説トキ、為ニカ↢何イヅレノ人ノ↡説キタマヘル。

^答こたへていはく、 仏ぶつ*王おう宮ぐにましまして、 韋い提だい等とうのために説ときたまへり。

~答ヘテ曰ク、仏在シテ↢王宮ニ↡、為ニ↢韋提等ノ↡説トキタマヘリキタマヘルナリ。

二 Ⅱ ⅴ【定散門】
      a 牒標

【13】^五ごに↑*定じょう散さん両りょう門もんを料りょう簡けんするにすなはちその六ろくあり。

▲五ニ料レウ↢簡スルニ定散両門ヲ↡即チ有リ↢其ノ六↡。

二 Ⅱ ⅴ b 正釈
        イ 条録義門

^一いちには*能のう請しょうのひとを明あかす、 すなはちこれ韋い提だいなり。 二にには*所しょ請しょうのひとを明あかす、 すなはちこれ世せ尊そんなり。 三さんには能説のうせつのひとを明あかす、 すなはちこれ如来にょらいなり。 四しには所説しょせつを明あかす、 すなはちこれ定じょう散さん二に善ぜん十じゅう六ろく観門かんもんなり。 五ごには*能のう為いを明あかす、 すなはちこれ如来にょらいなり。 六ろくには*所しょ為いを明あかす、 すなはち韋い提だい等とうこれなり。

~一ニハ明スシ↢能請ノ者ヒトヲ↡、即チ是 レ韋提ナリ。二ニハ明ス↢所シヨ請ノ者ヲ↡、即チ是世尊ナリ。三ニハ明ス↢能説ノ者ヲ↡、即チ是如来ナリ。四ニハ明ス↢所説ヲ↡、即チ是定散ノ二善十六観門ナリ。五ニハ明ス↢能為ヰヲ↡、即チ是如来ナリ。六ニハ明ス↢所為ヲ↡、即チ韋提等是也 リ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ 料簡意義
          (一)顕所立
            (Ⅰ)弁定所立

【14】^問とひていはく、 定じょう散さん二に善ぜんはたれの*致ち請しょうによる。

~問ヒテ曰ク、定散ノ二善ハ因ヨル↢誰タレノカ致チ請ニ↡。

^答こたへていはく、 定じょう善ぜんの一門いちもんは韋い提だいの致ち請しょうにして、 *散善さんぜんの一門いちもんはこれ仏ぶつの自じ説せつなり。

~答ヘテ曰ク、定善ノ一門ハ韋提ノ†致請ニシテ、散善ノ一門ハ是仏ノ自説ナリ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)料簡所由
              (ⅰ)問

 ^問とひていはく、 いぶかし、 定じょう散さん二に善ぜんは↓出いでていづれの文もんにかある。 いますでに教きょう備そなはりて虚むなしからず、 ↓いづれの機きか受うくることを得うる。

~問ヒテ曰ク、未審イブカシ、定散ノ二善ハ†出デテ在ル↢何イヅレノ文モンニカ↡。今既スデニ教備ソナハリテ不ズ↠虚シカラ、何 レノ機キカ得ル↠受ウクルコトヲ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)答
                (a)標挙

^答こたへていはく、 解げするに二義にぎあり。

~答ヘテ曰ク、解ゲスルニ有リ↢二義↡。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正答
                  (イ)明何機得受

^一いちには謗法ほうぼうと無む信しんと、 八難はちなんおよび*非ひ人にん、 これらは受うけず。 これすなはち*朽く林りん・▲碩石せきせき、 生しょう潤にんの期ごあるべからず。 これらの衆しゅ生じょうはかならず受じゅ化けの義ぎなし。 これを除のぞきて以外いげは、 一心いっしんに信しん楽ぎょうして往おう生じょうを求ぐ願がんすれば、 上かみ*一いち形ぎょうを尽つく0307し下しも十じゅう念ねんを収おさむ。 仏ぶつの願力がんりきに乗じょうじてみな往ゆかざるはなし。 これすなはち上かみの↑いづれの機きか受うくることを得うるの義ぎを答こたへをはりぬ。

~一ニ者ハ▼謗法†ト与↢無信↡、八難ナム及ビ非人、此 レ等ハ不ズ↠受ウケ也。斯コレ乃チ朽キウ林リン・碩石セキセキ不ズ↠可カラ↠有ル↢生潤ニンウルヲウ之ノ期ゴ↡。此等ノ衆生ハ必ズ無ナシ↢受化之ノ義↡。除ノゾキテ↠斯コレヲ已外 ホカ ハ、一心ニ信楽シテ求グ↢願スレバスルニ往生ヲ↡、上尽シ↢一形ヲ↡下 モ収オサム↢十念ヲ↡。乗ジテ↢仏ノ願力ニ↡莫シ↠不ルハト云コト↢皆 ナ往ユカ↡。此 レ即チ答ヘ↢†上ノ何ノ機カ得ルノ↠受クルコトヲ義ヲ↡竟リヌ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)明出在何文
                    [一]牒
                    [二]正釈
                      [Ⅰ]通別

^二にには↑出いでていづれの文もんにかあるとはすなはち↓*通つうあり↓*別べつあり。

~二ニハ出イデテ在ルト↢何 レノ文モンニカ↡者ハ即チ有リ↠通有リ↠別。

・通

^「↑通つう」 といふはすなはち三さん義ぎ0440の不ふ同どうあり。

~言フ↠通ト者ハ即チ有リ↢三ノ義ノ不同↡。

^なんとなれば、 一いちには 「韋い提だい白びゃく仏ぶつ▲唯願ゆいがん↓為我いが広説こうせつ無憂むう悩処のうしょ」 よりは、 すなはちこれ韋い提だい、 心しんを標ひょうしてみづからために通つうじて所しょ求ぐを請こふ。

~†何トナレバ者一ニハ従ヨリ↢「韋提白仏唯願為我広説無憂ムウ悩処ナウシヨ」ト云↡者ハ、即チ是韋提0662標ヘウシテ↠心ヲ自ラ為ニ通ジテ請フズ↢所求グヲ↡。

^二にには 「▲唯願ゆいがん仏日ぶつにち▽教きょう我が観かん於お清浄しょうじょう業処ごっしょ」 よりは、 すなはちこれ韋い提だいみづからために通つうじて*去こ行ぎょうを請こふ。

~二ニハ従リ↢「唯願仏日教我観於清浄業処」ト云↡者ハ、即チ是韋提自ラ為ニ通ジテ請フズ↢去行ヲ↡。

^三さんには 「▲世せ尊そん光台こうだい現国げんこく」 よりは、 すなはちこれ前さきの通つう請しょうの 「↑為我いが広説こうせつ」 の言ごんに酬むくゆ。

~三ニハ従リハ↢「世尊光台ダイ現国」ト云↡、即チ是†酬ムクユ↢前サキノ通請ノ「為ヰ我広説」之ノ言コトバニヲ↡。

^三さん義ぎの不ふ同どうありといへども、 前さきの通つうを答こたへをはりぬ。

~雖 ドモ↠有リト↢三義ノ不同↡、答ヘ↢前ノ通ヲ↡竟リヌ。

・別

^「↑別べつ」 といふはすなはち二に義ぎあり。

~言フ↠別ト者ハ則チ有リ↢二ノ義↡。

^一いちには 「韋い提だい白びゃく仏ぶつ▲我が今こん楽生ぎょうしょう極楽ごくらく世せ界かい弥陀みだ仏所ぶつしょ」 よりは、 すなはちこれ韋い提だいみづからために別べつして所しょ求ぐを選えらぶ。

~一ニハ従リ↢「韋提白仏我今楽ゲフ生極楽世界弥陀仏所」ト云↡者ハ、即チ是韋提自ラ為ニ別シテ選エラブ↢所求グヲ↡。

^二にには 「▲唯願ゆいがん▽教きょう我が思し惟ゆい教きょう我が正しょう受じゅ」 よりは、 すなはちこれ韋い提だいみづからために*別べつ行ぎょうを修しゅせんと請こふ。

~二ニハ従リ↢「唯願教我思惟教我正受」ト云↡者ハ、即チ是韋提自ラ為ニ請フズ↠修シユセムト↢別行ヲ↡。

^二義にぎの不ふ同どうありといへども、 上かみの別べつを答こたへをはりぬ。

~雖 ドモ↠有リト↢二義ノ不同↡、答ヘ↢上 ミノ別ヲ↡竟リヌ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]定散
                        [ⅰ]標示

 ^これより以下いげは、 次つぎに定じょう散さん両りょう門もんの義ぎを答こたふ。

~従リ↠此 レ已下イゲハ、次ニ答フ↢定散両門之ノ義ヲ↡。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]正明
                          [a]定定散文処

 ^問とひていはく、 いかなるをか定じょう善ぜんと名なづけ、 いかなるをか散善さんぜんと名なづくる。

~問ヒテ曰ク、云何 イカ ナルヲカ名ケ↢定善ト↡、云何ナルヲカ名クルヤ↢散善ト↡。

^答こたへていはく、 日観にっかんより下しも十じゅう三観さんがんに至いたるこのかたを名なづけて定じょう善ぜんとなし、 三さん福ぷく0308・九く品ぼんを名なづけて散善さんぜんとなす。

~答ヘテ曰ク、従リ↢日観↡下 モ至ルマデ↢十三観ニ↡已来コノカタヲ名ケテ為シス↢定善ト↡、三福九品ヲ名ケテ為ス↢散善ト↡。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]明定散差別

 ^問とひていはく、 定じょう善ぜんのなかになんの差別しゃべつかある、 出いでていづれの文もんにかある。

~問ヒテ曰ク、定善之ノ中ニ有ル↢何イヅレノ差シヤ別カ↡、出イデテ在ルヤ↢何 レノ文ニカ↡。

^答こたへていはく、 いづれの文もんにか出いづるといふは、 ¬経きょう¼ (観経) に 「△↓教きょう我が思し惟ゆい↓教きょう我が正しょう受じゅ」 とのたまへり、 すなはちこれその文もんなり。 差別しゃべつといふはすなはち二義にぎあり。 一いちにはいはく↓思し惟ゆい、 二ににはいはく↓正しょう受じゅなり。

~答ヘテ曰ク、†出ヅルトイフ↢何ノ文ニカ↡者、¬経ニ¼言ヘリヘル↢「教我思惟教我正受ト」↡、即チ是其ノ文ナリ。言イフ↢差別ト↡者ハ即チ有リ↢二義↡。一ニハ謂イハク思惟、二ニハ謂ク正受ナリ。

・思惟

^「↑思し惟ゆい」 といふはすなはちこれ観かんの*前ぜん方便ほうべんなり。 かの国くにの依え正しょう二に報ほう総別そうべつの相そうを思し想そうす。 すなはち地じ観かんの文もん (観経) のなかに説ときて、 「▲かくのごとく想おもふものを名なづけてほぼ極楽ごくらく国こく土どを見みるとなす」 とのたまへり。 すなはち上かみの 「↑教きょう我が思し惟ゆい」 の一いっ句くに合がっす。

~言フ↢思惟ト↡者ハ即チ是観ノ前サキノ方便ナリ。思↢想スル彼ノ国ノ依正二報総別ノ相ヲ↡也。即チ地観ノ文ノ中ニ説キテ言ヘリ↤「如ク↠此クノ想フ者ヲ名ケテ為スト↣粗ボ見ルト↢極楽国土ヲト↡。」即チ合ガス↢上ノ「教我思惟ノ」一句ニ↡。

・正受

^「↑正しょう受じゅ」 といふは、 *想心そうしんすべて息やみ、 *縁慮えんりょ並ならび亡もうじて、 三昧さんまい相応そうおうするを名なづけて正しょう受じゅとなす。 すなはち地じ観かんの文もんのなかに説ときて、 「▲もし三昧さんまいを得うれば、 かの国こく0441地じを見みること*了々りょうりょう分ぶん明みょうなり」 とのたまへり。 すなはち上かみの 「↑教きょう我が正しょう受じゅ」 の一いっ句くに合がっす。

~言フ↢正受ト↡者ハ、想心都スベテ息ミシ、縁慮エンリヨ並ナラビ亡マウジテ、三昧ト相応スルヲ名ケテ為ス↢正受ト↡。即チ地ヂ観ノ文ノ中ニ説キテク 、言ヘリフ ↧「若シ得レバ↢三昧ヲ↡、見ルコト↢彼ノ国地ヲ↡了了分明ナリト」↥。即チ合ス↢上ノ「教我正受ノ」一句ニ↡。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(c)総結

^定じょう散さんに二義にぎの不ふ同どうありといへども、 総そうじて上かみの問といを答こたへをはりぬ。

~定散ニ雖 ドモ↠有リト↢二義ノ不同↡、総ソウジテ答ヘ↢上ノ問モンヲ↡竟0663リヌ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (二)破異解
            (Ⅰ)標示

【15】^また向さきよりこのかたの解げは諸しょ師しと不ふ同どうなり。

~又向サキヨリ来コノカタノ解ゲ者ハ与ト↢諸師↡†不同ナリ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (二)(Ⅱ)正明
              (ⅰ)挙所被

^*諸しょ師しは思し惟ゆいの一いっ句くをもつて、 もつて三福さんぷく・九く品ぼんに合がっして、 もつて散善さんぜんとなし、 正しょう受じゅの一いっ句く、 もつて通つうじて十じゅう六観ろっかんに合がっして、 もつて定じょう善ぜんとなす。

~諸師シハ†将テ↢思惟ノ一句ヲ↡、用モテ合シテ↢三福九品ニ↡、以テ為シ↢散善ト↡、正受ノ一句、ヲ用モテ通ツウジテ合シテ↢十六観ニ↡、以テ為ス↢定善ト↡。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)述能破
                (a)総非

^かくのごとき解げはまさに謂おもふにしからず。

~如キノ↠斯カクノ†解者将マサニ謂オモフニ不ズ↠然シカラ。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正破
                  (イ)引証

^な0309んとなれば、 ¬*華け厳ごん経ぎょう¼ (意) に、 「思し惟ゆい正しょう受じゅとはただこれ三昧さんまいの異い名みょうなり」 と説ときたまふがごときは、 この地じ観かんの文もんと同おなじ。 この文もんをもつて証しょうす、 あに散善さんぜんに通つうずることを得えんや。

~何イカントナレバ者†如キハ↣¬華厳経ニ¼説キタマフガ↢「思惟正受ト者但是三昧之異名ナリト」↡、与ト↢此ノ地観ノ文↡同ジ。以テ↢斯コノ文ヲ↡証スルニ、豈アニ得ムヤ↠通ズルコトヲ↢於散善ニ↡。

二 Ⅱ ⅴ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)立理

^また向さきよりこのかた、 韋い提だい上かみには請こひて、 ただ 「△教きょう我が観かん於お清浄しょうじょう業処ごっしょ」 といひ、 次下つぎしもにはまた請こひて 「△教きょう我が思し惟ゆい正しょう受じゅ」 といへり。 二に請しょうありといへども、 ただこれ定じょう善ぜんなり。

~又†向サキヨリ来コノカタ韋提、上ニハ請ヒテズルニ但タダ言イヒ↢「教我観於清浄業処ト」↡、次下ニハ又請ヒテズルニ言ヘリフ ↢「教我思惟正受ト」↡。雖 ドモ↠有リト↢二請↡、唯タダ是定善ナリ。

^また散善さんぜんの文もんはすべて請こへる処ところなし。 ただこれ仏ぶつの自じ開かいなり。 次下つぎしもの*散善さんぜん縁えんのなかに説ときて、 「▲亦やく令りょう未み来らい世せ一切いっさい凡ぼん夫ぶ」 といへる以下いげはすなはちこれその文もんなり。

~又散善之ノ文ハ都スベテ無シ↢請ヘル処 ロ↡。但タダ是仏ノ†自開ナリ。次下ノ散善縁ノ中ニ説キテ云イヘル↢「亦ヤク令未来世一切凡夫ト」↡已下ハ即チ是其ノ文ナリ。

二 Ⅱ ⅵ【和会門】
      a牒標

【16】^六ろくに↑経きょう論ろんの相そう違いを和会わえするに、 広ひろく問答もんどうを施ほどこして疑ぎ情じょうを*釈しゃく去こすとは、

▲六ニ和↢会スルニシ  経論ノ相違ヰヲ↡、広ク施ホドコシテ↢問答ヲ↡釈↢去†スト疑情ヲ↡者、

二 Ⅱ ⅵ b 正釈
        イ 標列

^この門もんのなかにつきてすなはちその六ろくあり。 一いちには↓先まづもろもろの法ほっ師しにつきて九く品ぼんの義ぎを解げす。 二にには↓すなはち*道どう理りをもつて来きたしてこれを破はす。 三さんには↓かさねて九く品ぼんを挙あげて*返対ほんたいしてこれを破はす。 四しには↓文もんを出いだし来きたして、 さだめて凡ぼん夫ぶのためにして聖しょう人にんのためにせずといふことを証しょうす。 五ごには↓*別べつ時じの意こころを*会え通つうす。 六ろくには↓*二に乗じょう種しゅ不ふ生しょうの義ぎを会え通つうす。

~就ツキテ↢此ノ門ノ中ニ↡即チ有リ↢其ノ六ツ↡。一ニハ先マヅ就ツキテ↢諸ノ法師シニ↡解ス↢九品之ノ義ヲ↡。二ニハ即チ以テ↢道理ヲ↡来キタシテ破ハス↠之ヲ。三ニハ重テ挙アゲテ↢九品ヲ↡返対ヘンタイシテ破ハス↠之ヲ。四ニハ出シテ↠文ヲ来キタシテ、†証ス↧定メテ為ニシテ↢凡夫ノ↡不ズトイフコトヲ↞為ニセ↢聖人ノ↡。五ニハ会ヱ↢通ツウス別時之意イヲ↡。六ニハ会↢通ス二乗種不生之ノ義ヲ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ 随釈
          (一)【諸師解】

【17】^初はじめに↑*諸しょ師しの解げといふは、

~初ハジメニ言フ↢諸師ノ解ゲト↡者ハ

・上品上生

^先まづ上じょう輩はいの三人さんにんを挙あぐ。 ▽上じょうが上じょうといふは、 これ*四地しじより*七しち地じに至いたるこのかたの菩ぼ薩さつなり。 なんがゆゑぞ知しることを得うる。 かし0310こに到いたりて▲すなはち無む生しょう忍にんを得うるによるがゆゑなり。

~先ヅ挙アグ↢上輩ノ三人ヲ↡。言フ↢上ガ上ト↡者ハ、是四地ヨリ至ル↢七地ニ↡已来タノ菩薩ナリ。何ナンガ故ゾ得ル↠知シルコトヲ。由ヨルガリテノ↣到イタリテ↠彼ニ即チ得ルニ↢無生忍ヲ↡故ユヘナリ。

・上品中生

^▽上じょうが中ちゅうとは、 これ*初しょ地じより四地しじに至いたるこのかた0442の菩ぼ薩さつなり。 なんがゆゑぞ知しることを得うる。 かしこに到いたりて▲一いち小しょう劫こうを経へて無む生しょう忍にんを得うるによるがゆゑなり。

上ガ中ト者ハ、是 レ初シヨ地ヂヨリ至ル↢四地ニ↡已来タノ菩薩ナリ。何ガ故ゾ得ル↠知ルコトヲ。由†ルガ↧到リテ↠彼ニ経ヘテ↢一小劫ヲ↡得ルニ↦無生忍ヲ↥故ナリ。

・上品下生

^▽上じょうが下げとは、 これ*種しゅ性しょう以い上じょうより初しょ地じに至いたるこのかたの菩ぼ薩さつなり。 なんがゆゑぞ知しることを得うる。 かしこに到いたりて▲三さん小しょう劫こうを経へてはじめて初しょ地じに入いるによるがゆゑなり。

上ガ下ト者ハ、是 レ種性以イ上ジヤウ0664ヨリ至ル↢初地ニ↡已来タノ菩薩ナリ。何ガ故ゾ得ル↠知ルコトヲ。由ルガ↧到リテ↠彼ニ経ヘテ↢三小劫ヲ↡始ハジメテ入ルニ↦初地ニ↥故ナリ。

^この三品さんぼんの人ひとはみなこれ大だい乗じょうの聖しょう人にんの生しょうずる位くらいなり。

~此ノ三品ノ人ハ皆是大乗ノ聖人ノ生ズルルヽ位クラヰナリ。

・中品上生

^次つぎに中ちゅう輩はいの三人さんにんを挙あげば、 諸しょ師しのいはく、 ▽中ちゅうが上じょうとはこれ*三さん果かの人ひとなり。 なにをもつてか知しることを得うる。 かしこに到いたりて▲すなはち羅ら漢かんを得うるによるがゆゑなり。

~次ニ挙アゲバ↢中輩ノ三人ヲ↡者、諸師ノ云ク、中ガ上トハ是三果クワノ人ナリ。何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。由ルガ↣到リテ↠彼ニ即チ得ルニ↢羅漢カンヲ↡故ナリ。

・中品中生

^▽中ちゅうが中ちゅうとはこれ*内凡ないぼんなり。 なにをもつてか知しることを得うる。 かしこに到いたりて▲須しゅ陀だ洹おんを得うるによるがゆゑなり。

中ガ中ト者ハ是 レ内ナイ凡ナリ。何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。由ルガ↣到リテ↠彼ニ得ルニ↢須陀洹オンヲ↡故ナリ。

・中品下生

^▽中ちゅうが下げとはこれ世せ善ぜんの凡ぼん夫ぶにして、 苦くを厭いとひて生しょうずることを求もとむ。 なにをもつてか知しることを得うる。 かしこに到いたりて▲一いち小しょう劫こうを経へて羅ら漢かん果かを得うるによるがゆゑなり。

中ガ下ト者ハ是 レ世セ善ゼンノ凡夫ニシテ、厭イトヒテ↠苦クヲ求モトムルナリ↠生ズルコトヲ。何ヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。由ルガ↧到リテ↠彼ニ経ヘテ↢一小劫ヲ↡得ルニ↦羅漢果ヲ↥故ナリ。

^この三品さんぼんはただこれ小乗しょうじょうの聖しょう人にん等とうなり。

~†此之三品ハ唯タダ是 レ小乗ノ聖人等也。

・下輩

^▽下げ輩はいの三人さんにんはこれ*大だい乗じょう始し学がくの凡ぼん夫ぶなり。 過とがの軽重きょうじゅうに随したがひて分わかちて三品さんぼんとなす。 ともに同おなじく一いち位いにして往おう生じょうを求ぐ願がんすとは、 いまだかならずしもしからず、 知しるべし。

~下輩ハイノ三人者ハ是 レ大乗始シ学ノ凡夫ナリ。随ヒテ↢過トガノ軽重ニ↡分ワカチテ為ス↢三品ト↡。共トモニ同ジク一位ニシテ求↢願スト往生ヲ↡者ハ、未ズ ダ↢必ズシモ然ラ↡也。可ベシ↠知シル。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (二)【道理破】

【18】^第だい二にに↑すなはち道どう理りをもつて来きたし破はすとは、

~第二ニ即チ以テ↢道理リヲ↡来シテ破†スト者、

・初地-七地 (上品中生・上品上生)

^上かみに 「△初しょ地じより七しち地じに至いたるこ0311のかたの菩ぼ薩さつ」 といはば、 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ (意) に説ときたまふがごとく、

~上ニ言†ハバ↧「初地ヨリ至ル↢七地ニ↡已来タノ菩薩ト」↥者、如クキハ↢¬華厳経ニ¼説キタマフガクガ   ↡、

^「▽初しょ地じ以い上じょう七しち地じ以い来らいは、 すなはちこれ*法ほっ性しょう生しょう身じん・*変易へんやく生しょう身じんなり。 これらはかつて*分段ぶんだんの苦くなし。 その功く用ゆうを論ろんずれば、 すでに二に大だい阿あ僧そう祇ぎ劫こうを経へて、 ならべて*福ふく・智ちを修しゅし、 *人法にんぼう両ふたつながら空くうず、 ならびにこれ不可ふか思議しぎなり。 神通じんずう自じ在ざいにして*転変てんぺん無む方ほうなり。 身みは報ほう土どに居こしてつねに報仏ほうぶつの説法せっぽうを聞きき、 十方じっぽうを*悲化ひけして須しゅ臾ゆに遍満へんまんす」 と。

~「初地已上七地已来ハ、即チ是法性生身・変易ヘンヤクイ 生身ナリ。斯コレ等ラハ曽カツテ無ナシ↢分段ブンダン之ノ苦ク↡。論ロンズレバ↢其ノ功用ヲ↡、已ニ経ヘテタリ↢二大阿僧祇劫ヲ↡、。双ナラベテ修シ↢福・智ヲ↡、人法†両ナガラ空ズ、並ナラビニ是不可思議ナリ。神通自在ニシテ転テン変無方ナリ。身ハ居コシテ↢報土ニ↡常ニ聞キキ↢報仏ノ説法ヲ↡、悲↢化シテ十方ヲ↡須シユ臾ユニ遍ヘン満スト。

^さらに何事なにごとを憂うれへてかすなはち韋い提だいのそれがために仏ぶつに請しょうずるによりて安楽あんらく国こくに生しょうずることを求もとめんや。 この文もんをもつて証しょうするに、 諸しょ師しの所説しょせつあに錯あやまりにあらずや。 上かみの二にを答こたへをはりぬ。

~更サラニ憂ウレヘテカ↢何ナンノ事ジヲ↡乃チ†藉リテ↢韋提ノ為ニ↠其ガ請ズルニ↟仏ニ求モトメムヤ↠生ズルコトヲ↢安楽国ニ↡也。以テ↢斯ノ文ヲ↡証スルニ、諸師ノ所説豈アニ非ズヤ↠錯アヤマリニ也。答ヘ↢上ノ二ヲ↡竟リヌ。

・種性-初地 (上品下生)

^上じょうが下げとは、 上かみに 「△種しゅ性しょうより初しょ0443地じに至いたるこのかた」 といふは、 いまだかならずしもしからず。

~上ガ下ト者ハ、上ニ言フ↧「従リ↢種性↡†至ル↢初地ニ↡已来タト」↥者ハ、未ズ ダ↢必ズシモ然ラ↡也。

^*経きょうに説ときたまふがごとく、 「これらの菩ぼ薩さつを名なづけて不ふ退たいとなす。 身みは生しょう死じに居こして、 生しょう死じのために染ぜんせられず。 ▲*鵝が鴨おうの水みずにあるに、 水みず湿うるおすことあたはざるがごとし」 と。

~▼如クキハ↢¬経ニ¼説キタマフガ↡、「此 レ等ラノ菩薩ヲ名ケテ為ス↢不退ト↡。身ミハ居シテスレドモ↢生死0665ニ↡、不ズ↧為ニ↢生死ノ↡所ラレ↞染ゼンセ。如シト↢鵝ガ鴨カウカモノ在ルニレドモ↠水ニ、水ミヅ不ザルガ↟能ハ↠湿ウルヲスコト。」

^¬*大品だいぼん経ぎょう¼ に説ときたまふがごとし。 「この位くらいのなかの菩ぼ薩さつは、 二に種しゅの真しんの善ぜん知ぢ識しきの守しゅ護ごを得うるによるがゆゑに不ふ退たいなり。 なんとなれば、 一いちにはこれ十方じっぽうの諸仏しょぶつ、 二ににはこれ十方じっぽうの諸しょ大だい菩ぼ薩さつ、 つねに三業さんごうをもつてほかに加かしてもろもろの善法ぜんぽうにおいて退失たいしつあることなし。 ゆゑに不ふ退たいの位くらいと名なづく。

~如シキハ↢¬大品経ニ¼説キタマフガ↡。、「此ノ位ノ中ノ菩薩ハ、由ヨルガ↠得ルニ↢二種ノ真ノ善知識ノ守シユ護ゴヲ↡故ニ不退ト云ナリ。何イカントナレバ者一ニハ是 レ十方ノ諸仏、二ニハ是 レ十方ノ諸大菩薩、常ニ以テ↢三業ヲ↡外ニ加カシテ於オイテ↢諸ノ善法ニ↡無ナシ↠有ルコト↢退失タイシツ↡。故ニ名ク↢不退ノ位ト↡也。

^これらの菩ぼ薩さつもまた0312よく*八相はっそう成じょう道どうして衆しゅ生じょうを教きょう化けす。 その功く行ぎょうを論ろんずれば、 すでに一いち大だい阿あ僧そう祇ぎ劫こうを経へて、 ならべて福ふく・智ち等とうを修しゅす」 と。

~此等ノ菩薩モハ亦能ク八相成道シテ教↢化ス衆生ヲ↡。論ズレバ↢其ノ功行ヲ↡、已ニ経ヘテ↢一大阿僧祇劫ヲ↡、双ナラベテ修スト↢福・智等ヲ↡。」

^すでにこの勝しょう徳とくあり。 さらに何事なにごとを憂うれへてかすなはち韋い提だいの請しょうによりて生しょうずることを求もとめんや。 この文もんをもつて証しょうす。 ゆゑに知しりぬ、 諸しょ師しの所判しょはん還かえりて錯あやまりとなる。 これ上じょう輩はいを責せめをはりぬ。

~既ニ有リ↢斯ノ勝徳↡。更 ラニ憂ウレヘテカ↢何ナンノ事ジヲ↡乃イマチシ藉リテ↢韋提ノ請ニ↡求メム↠生ズルコトヲ也ヤ。以テ↢斯コノ文ヲ↡証ス。故ニ知シリヌ、諸師ノ†所判還カヘリテ成ナル↠錯アヤマリト也。此ノ責セメ↢上輩ヲ↡竟リヌ。

・三果 (中品上生)

^次つぎに中ちゅう輩はいの三人さんにんを責せめば、 諸しょ師しのいはく、 「△中ちゅうが上じょうとはこれ三さん果かのひとなり」 と。 しかるにこれらの人ひとは三さん塗ず永ながく絶たえ、 四し趣しゅ生しょうぜず。 現在げんざいに*罪業ざいごうを造つくるといへども、 必ひつ定じょうして*来報らいほうを招まねかず。 仏ぶつ説ときて、 「この四果しかの人ひとは、 われと同おなじく解げ脱だつの床ゆかに坐ざす」 とのたまふがごとし。

~次ニ責セメバ↢中輩ノ三人ヲ↡者、諸師ノ云ク、「中ガ上トハ是 レ三果ノ者ヒトナリト。」然ルニモ此等ラ之ノ人ハ三塗ヅウ永ナガク絶タエテ、四趣ニ不ズ↠生ゼ。現在ニ雖モ↠造ツクルト↢罪業ヲ↡、必ヒチ定シテ不ズ↠招マネカ↢来報ホウヲ↡。†如シ↤仏説キテ、言フガ↣此ノ四果ノ人ハ与ト↠我 レ同ジク坐ザストシテ↢解脱ノ床ユカニ↡。、

^すでにこの功く力りきあり。 さらにまたなにを憂うれへてかすなはち韋い提だいの請しょうによりて*生しょう路ろを求もとめんや。

~既ニ有リ↢斯ノ功力↡。更サラニ復†何ヲ憂ヘテカ乃チ藉ヨリテ↢韋提ノ請ニ↡求メムヤ↢生路ロヲ↡。

・大悲於苦者

^しかるに*諸仏しょぶつの大だい悲ひは苦くあるひとにおいてす、 心しんひとへに*常じょう没もつの衆しゅ生じょうを愍念みんねんしたまふ。 ここをもつて勧すすめて浄じょう土どに帰きせしむ。 また水みずに溺おぼれたる人ひとのごときは、 すみやかにすべからくひとへに救すくふべし、 岸がん上じょうのひと、 なんぞ済すくふを用もちゐるをなさん。 この文もんをもつて証しょうす。 ゆゑに知しりぬ、 諸しょ師しの所判しょはんの義ぎ、 前さきの錯あやまりに同おなじ。

~然ルニ▼諸仏ノ大悲ハ於オイテス↢苦クアル者 ノニ↡、心偏ヒトヘニ愍ミム↢念シタマフ常没モチノ衆生ヲ↡。是ヲ以テ勧ススメテ帰セシム↢浄土ニ↡。亦如キハ↢溺オボレタル↠水ミヅニ之人ノ↡、急カニ須スベカラベ  クシ↢偏ヒトヘニ救スクフ↡、岸ガン上之ノ者ヲバ、†何ゾ用ヰルヲ↠済フヲ為サム。†以テ↢斯ノ文ヲ↡証ス。故ニ知シリヌ、諸師ノ†所判、義同ジ↢前サキノ錯アヤマリニ↡也。

^以下いげ知しるべし。

~以下イゲ可ベシ↠知シル。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (三)【返対破】

【19】^第三だいさんに↑かさねて九く品ぼんを挙あげて返対ほんたいして破はすとは、

~第三ニ重カサネテ挙アゲテ↢九品ヲ↡†返対シテ破スト者ハ、

・上品上生

^諸しょ師しのいふ、 「△上じょう品ぼん上生じょうしょうの人ひとは、 これ四地しじより七しち地じに至いたるこ0444のかたの菩ぼ薩さつなり」 とならば、

諸師ノ云フク、「上品上生ノ人ハ、是 レ四地ヂヨリ至ル↢七地ニ↡已来タノ菩薩†ナリトナラバ」者、

^なんがゆゑ0313ぞ、 ¬観かん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「▲三種さんしゅの衆しゅ生じょうまさに往おう生じょうを得うべし。 ◆何者なにものをか三さんとなす。 一いちにはただよく戒かいを持たもち慈じを修しゅす。 二にには戒かいを持たもち慈じを修しゅすることあたはざれども、 ただよく大だい乗じょうを読誦どくじゅす。 三さんには戒かいを持たもち経きょうを読よむことあたはざれども、 ただよく*仏法ぶっぽう僧そう等とうを念ねんず。

何ナンガ故ゾ¬観経ニ¼†云ク、「三種ノ衆生当ベ ニシ↠得ウ↢往生スルコトヲ↡。何者ナンラヲカ為スル↠三ト。▼一ニ者ハ但タダ能ヨク持タモチ↠戒ヲ修ス↠慈ジヲ。二ニ者不レドモ↠能ハ↢持チ↠戒ヲ修スルコト↟慈ジヲ、但タダ能ク読ドク↢誦ジユス大乗ヲ↡。三ニ者不レドモ↠能ハ↢持チ↠戒ヲ読ヨ0666ムコト↟経ヲ、唯タダ能ク念ズ↢仏法僧等トフヲ↡。

^◆この三人さんにんおのおのおのが業ごうをもつて専せん精しょうに意こころを励はげまして、 一日いちにち一いち夜や、 乃ない至し七日しちにち七しち夜や相続そうぞくして断だんぜず、 おのおの所しょ作さの業ごうを回えして往おう生じょうを求ぐ願がんす。 ◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつ大衆だいしゅと光ひかりを放はなち手みてを授さずけて、 ◆*弾だん指しのあひだのごとくにすなはちかの国くにに生しょうず」 と。

◆此コノ之三人各ノ以テ↢己オノレガ業ゴフヲ↡専セン精シヤウニ励ハゲマシテ↠意ヲ、一日一夜乃至七日七夜相続シテ不ズ↠断ダンゼ、各ノ廻メグラシテ↢所作之ノ業ヲ↡求↢願スレバ往生ヲ↡。、命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏及ビ与ト↢化仏・菩薩・大衆↡放ハナチ↠光ヒカリヲ授サヅケテ↠手ヲ、如クニキニ↢弾ダン指シノ頃アヒダノ↡即チ生ズト↢彼ノ国ニ↡。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 まさしくこれ仏ぶつ世よを去さりたまひて後のちの大だい乗じょう極善ごくぜんの上じょう品ぼんの凡ぼん夫ぶ、 ▼日数にっしゅ少すくなしといへども、 業ごうをなす時ときは猛はげし、 なんぞ判はんじて*上聖じょうしょうに同どうずることを得えんや。

以テ↢此ノ文ヲ↡証スルニ、正マサシク▼是 レ仏去リタマヒテ↠世ヲ後ノ、大乗極善ノ上品ノ凡夫ナリ、。日数ニチシユ雖モ↠少スクナシト、†作ス↠業ヲ時ハ猛ハゲシ、何ナンゾ得エム↣判ハンジテ同ズルコトヲ↢上聖ニ↡也ヤ。

^しかるに四地しじより七しち地じ以い来らいの菩ぼ薩さつは、 その功く用ゆうを論ろんずるに不可ふか思議しぎなり。 あに一日いちにち七日しちにちの善ぜんによりて、 *華け台だいに授手じゅしゅ迎こう接しょうせられて往おう生じょうせんや。

然ルニ四地ヨリ七地已来ノ菩薩ハ、論ロンズルニ↢其ノ功用ヲ↡不可思議ナリ。豈アニ藉ヨリテ↢一日七日之善ニ↡、華台ニ†授手迎接セラレテ往生セム也ヤ。

^これすなはち上じょうが上じょうを返対ほんたいしをはりぬ。

此 レ即チ返ヘン↢対タイシ上ガ上ヲ↡竟リヌ。

・上品中生

^次つぎに上じょうが中ちゅうを対たいせば、 諸しょ師しのいふ、 「△これ初しょ地じより四地しじ以い来らいの菩ぼ薩さつなり」 とならば、

次ニ対†セバ↢上ガ*中ヲ↡者、諸師ノ云フク、「是 レ初シヨ地ヂヨリ四地已来ノ菩薩†ナリトナラバ」者、

^なんがゆゑぞ、 ¬観かん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「▲必かならずしも大だい乗じょうを受じゅ持じせず」 と。 いかんが 「不ふ必ひつ」 と名なづくる。 あるいは読よみ読よまず、 ゆゑに不ふ必ひつと名なづく。 ただ▲*善ぜん解げといひていまだその行ぎょうを論ろん0314ぜず。

何ナンガ故ゾ¬観経ニ¼†云ク、「不ト↣必ズシモ受↢持セ大乗ヲ↡。」云何イカナルヲガカ名クル↢「不必ト」↡。或イハ読ヨミ不ズ↠読ヨマ、故ニ名ク↢「不必ト」↡。但タダ言イヒテ↢善ゼン解ゲト↡未ズ ダ↠論ロンゼ↢其ノ行ヲ↡。

^またのたまはく (観経・意)、 「▲深ふかく因いん果がを信しんじ大だい乗じょうを謗そしらず、 この善根ぜんごんをもつて回えして往おう生じょうを願がんず。 ◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつ大衆だいしゅと◆一いち時じに手みてを授さずけてすなはちかの国くにに生しょうず」 と。

又言イハク、「深ク信シンジ↢因イン果ヲ↡不ズ↠謗ラゼ↢大乗ヲ↡、以テ↢此ノ善根ヲ↡†廻シテ願ズ↢往生ヲ↡。命 チ欲スル↠終ラムト時トキ、阿弥陀仏及ビ与ト↢化仏・菩薩・大衆↡一時ニ授ケテ↠手ヲ即チ生ズト↢彼ノ国ニ↡。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 またこれ仏ぶつ世よを去さりたまひて後のちの大だい乗じょうの凡ぼん夫ぶ、 ▼行ぎょう業ごうやや弱よわくして*終じゅう時じの迎候こうこうに異ことなることあらしむることを致いたす。

以テ↢此ノ文ヲ↡証スルニ、亦是 レ仏去サリタマヒテ↠世ヲ後ノ大乗ノ凡夫ナリ、。行業稍ヤヤ弱ヨハクシテ致イタス↠使シムルコトヲ↢†終時ノ迎候カウコウニ有アラ↟異イナルコト。

^しかるに初しょ地じより四地しじ以い来らいの菩ぼ薩さつは、 その功く用ゆうを論ろんずるに、 △¬華け厳ごん経ぎょう¼ に説ときたまふがごとし。 すなはちこれ不可ふか思し0445議ぎなり。 あに韋い提だいの請しょうを致いたすによりて、 まさに往おう生じょうを得えんや。

然ルニ初地ヨリ四地已来ノ菩薩ハ、論ロンズルニ↢其ノ功用ヲ↡、如シキハ↢¬華厳経ニ¼説トキタマフガクガ   ↡。、乃チ是 レ不フ可思議ナリ。豈アニ藉ヨリテ↢韋提ノ致スニ↟請ヲ、方マサニ得エム↢往生スルコトヲ↡也。

^上じょうが中ちゅうを返対ほんたいしをはりぬ。

返ヘン↢対タイシ上ガ中ヲ↡竟リヌ。

・上品下生

^次つぎに上じょうが下げを対たいせば、 諸しょ師しのいふ、 「△これ種しゅ性しょう以い上じょう初しょ地じに至いたるこのかたの菩ぼ薩さつなり」 とならば、

次ニ対†セバ↢上ガ下ヲ↡者、諸師ノ云フク、「是 レ種性以上ヨリ至ル↢初地ニ↡已来タノ菩薩†ナリトナラバ」者、

^なんがゆゑぞ、 ¬観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 「▲亦また因いん果がを信しんず」 と。 いかんが 「亦信やくしん」 なる。 あるいは信しんじ信しんぜず、 ゆゑに名なづけて亦やくとなす。

何ガ故ゾ¬観経ニ¼†云ク、「亦信ズト↢因果ヲ↡。」云何イカナルヲガカ「亦信ナルトイフ。」或イハ信シンジ不ズ↠信0667ゼ、故ニ名ケテ為ス↠亦ヤクト。

^またのたまはく (観経)、 「▲大だい乗じょうを謗そしらず、 ただ無む上じょう道心どうしんを発おこす」 と。 ただこの一いっ句く、 もつて正しょう業ごうとなす。 さらに余よ善ぜんなし。 「▲この一いち行ぎょうを回えして往おう生じょうを求ぐ願がんす。 ◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつ大衆だいしゅと一いち時じに手みてを授さずけて◆すなはち往おう生じょうを得う」 (観経・意) と。

又言ク、「不ズ↠謗ラゼ↢大乗ヲ↡、但タダ発スト↢無上道心ヲ↡。」唯タダ此ノ一句、ヲ以テ為スシテ↢正業ゴフト↡。、更サラニ無シ↢余ヨ善ゼン↡。「廻 ラシテ↢斯ノ一行ヲ↡求↢願スルニ往生ヲ↡。、命 チ欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏及ビ与ト↢化仏・菩薩・大衆↡一時ニ授ケテ↠手ヲ即チ得ウト↢往生スルコトヲ↡。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 ただこれ仏ぶつ世よを去さりたまひて後のちの一切いっさいの*大だい乗じょう心しんを発おこせる衆しゅ生じょう、 ▼行ぎょう業ごう強つよからずして*去時こじの迎こう候こう0315に異ことなることあらしむることを致いたす。

以テ↢斯ノ文ヲ↡証スルニ、唯タダ是 レ仏去サリタマヒテ↠世ヲ後ノ一切ノ発セル↢大乗心ヲ↡衆生ナリ、。行業不ズシテ↠強コハカラ致イタス↠使シムルコトヲ↢去時コジノ迎候カウコウニ有アラ↟異ナルコト。

^もしこの位くらいのなかの菩ぼ薩さつの力勢りきせいを論ろんぜば、 十方じっぽう浄じょう土どに意こころに随したがひて往おう生じょうす。 あに韋い提だいそれがために仏ぶつに請しょうじて、 勧すすめて西方さいほう極楽国ごくらくこくに生しょうぜしむるによらんや。

若モシ論ゼバズレバ↢此ノ位ノ中ノ菩薩ノ力勢リキセイヲ↡、十方浄土ニ随ヒテ↠意ニ往生ス。豈アニ†藉ラム↣韋提為ニ↠其ソレガ請ジテ↠仏ニヲ、勧ススメテ生ゼシムルニ↢西方極楽国ニ↡也ヤ。

^上じょうが下げを返対ほんたいしをはりぬ。

返ヘン↢対タイシ上ガ下ヲ↡竟リヌ。

^すなはちこの三品さんぼんは去時こじに異ことなることあり。 いかんが異ことなる。 上じょうが上じょうの去時こじは、 仏ぶつ、 ▲無む数しゅの化け仏ぶつと一いち時じに手みてを授さずく。 上じょうが中ちゅうの去時こじは、 仏ぶつ、 ▲千せんの化け仏ぶつと一いち時じに手みてを授さずく。 上じょうが下げの去時こじは、 仏ぶつ、 ▲五ご百ひゃくの化け仏ぶつと一いち時じに手みてを授さずく。 ただこれ業ごうに強ごう弱にゃくありて、 この差別しゃべつあらしむることを致いたすのみ。

即チ此ノ三品ハ†去時ニ有リ↠異ナルコト。云何 イカン ガ異イナル。上ガ上ノハ†去時ハ、仏与ト↢無ム数シユノ化仏↡一時ニ授クケ玉フ↠手ヲ。上ガ中ノ†去時ハ、仏与ト↢千ノ化仏↡一時ニ授クケ玉フ↠手ヲ。上ガ下ノ†去時ハニ、仏与ト↢五百ノ化仏↡一時ニ授クケ玉フ↠手ヲ。直タヾチニ是 レ業ゴフニ有リテ↢強ガウ弱ニヤク↡、致ス↠使シムルコトヲ↠有ラ↢斯コノ差別↡耳マクノミ。

・中品上生

^次つぎに中ちゅう輩はいの三人さんにんを対たいせば、 諸しょ師しのいふ、 「△中ちゅうが上じょうとはこれ小乗しょうじょうの三さん果かのひとなり」 とならば、

次ニ対タイ†セバ↢中輩ノ三人ヲ↡者、諸師ノ云フク、「中ガ上トハ是小乗ノ三果ノ者ヒトナリトナラバ、」

^なんがゆゑぞ、 ¬観かん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「▲もし衆しゅ生じょうありて、 五ご戒かい・八戒はっかいを受じゅ持じし、 もろもろの戒かいを修行しゅぎょうして五ご逆ぎゃくを造つくらず、 もろもろの過か患げんなからんに、 ◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 比丘びく聖しょう衆じゅと光ひかりを放はなち法ほうを説ときて、 来きたりてその前まえに現げんじたまふ。 ◆この人ひと見みをはりてすなはち往おう生じょうを得う」 と。

何ナンガ故ゾ¬観経ニ¼云ク、「若シ有リテ↢衆生↡、受↢持シ五戒・八戒ヲ↡、修↢行シテ諸ノ戒ヲ↡不ズ↠造ラ↢五逆ヲ↡、無ナカラムニ↢衆モロモロノ過クワ患グヱン↡、。命 チ欲スル↠終ラムト時 キ、阿弥陀仏与ト↢比丘聖衆↡放チテ↠光ヲ説トキテ↠法ヲ、来リテ現ジタマフ↢其ノ前ニ↡。此ノ人見ミ已オハリテ即チ得ト↢往生ヲ↡。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 またこれ仏ぶつ世よを去さりたまひて後のちの小乗しょうじょう戒かいを持たもてる凡ぼん夫ぶなり。 なん0446ぞ*小聖しょうしょうならんや。

以テ↢此ノ文ヲ↡証スルニ、亦是 レ仏去リタマヒテ↠世ヲ後ノ持テル↢小乗戒ヲ↡凡夫ナリ。何ナンゾ小聖ナラム也ヤ。

・中品中生

^中ちゅうが中ちゅうといふは、 諸しょ師しのいふ、 「△*見道けんどう以い前ぜんの内凡ないぼんなり」 とならば、

中ガ中†トイフ者、諸師ノ云フク、「見道已イ前ゼンノ内凡ナイボン†ナリトナラバ」者、

^なんがゆゑぞ、 ¬観かん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「▲一日いちにち一夜やの戒かいを受じゅ持じして、 ◆回えして往おう生じょうを願がんず。 ◆命いのち0316終おわらんと欲ほっする時とき、 仏ぶつを見みたてまつりてすなはち往おう生じょうを得う」 と。

何ナンガ故ゾ¬観経ニ¼云ク、「受↢持シテ一日一夜ノ戒ヲ↡、†廻シテ願ズ↢往生ヲ↡。命 チ欲スル↠終ラムト時、見タテマツリテ↠仏ヲ即チ得ト↢往生ヲ↡。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 あにこれ内凡ないぼんの人ひとといふことを得えんや。 ただこれ仏ぶつ世よを去さりたまひて後のちの無む善ぜんの凡ぼん夫ぶ、 命いのち延のぶること日にち夜や、 *小しょう縁えんのその*小しょう戒かいを授さずくるに逢遇あひて、 回えして往おう生じょうを願がんず。 仏ぶつの願力がんりきをもつてすなはち生しょうずることを得う。

以テ↢此ノ文ヲ↡証スルニ、豈アニ得エム↠言イフコトヲ↢是 レ内凡ナイボンノ人ナリト↡也ヤ。但タダ0668是 レ仏去リタマヒテ↠世ヲ後ノ無善ノ凡夫ナリ、。命 チ延ノブルコト日夜、†逢↣遇アヒテ小縁ノ授サヅクルニ↢其ノ小戒ヲ↡、†廻シテ願ズ↢往生ヲ↡。以テ↢仏ノ願力ヲ↡即チ得ル↠生ズルコトヲ也。

・此経為凡

^もし小聖しょうしょうを論ろんぜば、 去さることまた妨さまたげなし。 ▼ただこの ¬観かん経ぎょう¼ は、 ▽仏ぶつ、 凡ぼんのために説ときたまへり、 聖しょうのためにせず。

若シ論ロンゼバ↢小聖ヲ↡、去ルコトニ 亦マタ無シ↠妨サマタゲ。但タダシ此ノ¬観経ハ¼仏為ニ↠凡ノ説キタマヘリキタマフ 、†不↠于タメニセ↠聖ノ也。

・中品下生

^中ちゅうが下げといふは、 諸しょ師しのいふ、 「△小乗しょうじょうの内凡ないぼん以い前ぜんの世せ俗ぞくの凡ぼん夫ぶ、 ただ*世せ福ふくを修しゅして出しゅつ離りを求もとむ」 とならば、

中ガ下トイフ者ハ、諸師ノ云フク、「小乗ノ内凡已イ前ゼンノ世セ俗ゾクノ凡夫、唯タダ修シテ↢世福ヲ↡求モトムト†ナラバ↢出離ヲ↡」者、

^なんがゆゑぞ、 ¬観かん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「▲もし衆しゅ生じょうありて、 父母ぶもに孝きょう養ようし、 世よの仁にん慈じを行ぎょうぜんに、 ◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 善ぜん知ぢ識しきの、 ためにかの仏ぶつの国こく土どの楽らく事じ、 四し十じゅう八はち願がん等とうを説とくに遇あふ。 ◆この人ひと聞ききをはりてすなはちかの国くにに生しょうず」 と。

何ナンガ故ゾ¬観経ニ¼云ク、「若シ有リテ↢衆生↡、孝↢養シ父母ニ↡、行ゼムニ↢世ノ仁ニン慈ジヲ↡、†命欲スル↠終ラムト時、遇アフハム↣善知識ノ、為ニ説クニ↢彼ノ仏ノ国土ノ楽事ジ、四十八願等ヲ↡。此ノ人聞キキ已リテ即チ生ズトゼムト↢彼ノ国ニ↡。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 ただこれ仏法ぶっぽうに遇あはざる人ひと、 孝きょう養ようを行ぎょうずといへども、 またいまだ心しんに出しゅつ離りを希求けぐすることあらず。 ただこれ臨りん終じゅうに善ぜんの勧すすめて往おう生じょうせしむるに遇あふ。 この人ひと勧すすめによりて回え心しんしてすなはち往おう生じょうを得う。

以テ↢此ノ文ヲ↡証スルニ、但タダ是不ル↠遇アハ↢仏法ニ↡†之人、雖モ↠行ズト↢孝養ヲ↡、亦マタ未ズ ダ↠有ラ↣心ニ希ケ↢求グスルコト出離ヲ↡。直タヾチニruby>是 レ臨終ニ遇アフ↣善ノ勧ススメテ令シムルニ↢往生セ↡。此ノ人因ヨリテ↠勧ススメニ†廻心シテ即チ得ウ↢往生スルコトヲ↡。

^またこの人ひと世よにありて自じ然ねんに孝きょうを行ぎょうず、 また出しゅつ離りのためのゆゑに孝きょう道どうを行ぎょうぜず。

又此ノ人在リテ↠世ニ自然ニ行ズ↠孝ケフヲ、亦不ズ↧為 メノ↢出離ノ↡故ニ行ゼ↦孝ケウ道ヲ↥也。

・下輩

^次つぎに下げ輩はいの三人さんにんを対たいせば、 諸しょ師しのいふ、 「△これらの人ひとはすなはちこれ大だい乗じょう始し学がくの凡ぼん夫ぶなり。 過とがの軽きょう0317重じゅうに随したがひて分わかちて三品さんぼんとなす。 いまだ*道どう位いにあらず。 *階降かいごうを弁わかちがたし」 とは、

次ニ対セ↢下輩ノ三人ヲ↡者バ、諸師ノ云フク、「此等ラ之ノ人ハ乃チ是 レ大乗始シ学ノ凡夫ナリ。随ヒテ↢過トガノ軽重ニ↡分ワカチテ為ス↢三品ト↡。未ズ ダ↠有ラ↢道位ヰニ↡。難シト↠†弁ワカチ↢階カイクライ降ガウヲ↡」者ハ、

^まさに謂おもふにしからず。 なんとなれば、 この三品さんぼんの人ひと、 仏法ぶっぽう・世せ俗ぞくの二に種しゅの善根ぜんごんあることなし。 ただ悪あくを作つくることを知しるのみ。

将マサニ謂オモフニ不ズ↠然ラ。†何トナレバ者此ノ三品ノ人ハ無シ↠有ルコト↢仏法ト・世俗トノ二種ノ善根↡。唯タダ知ルノミレリ ↠作ルコトヲスコトヲ↠悪ヲ。

・下品上生

^なにをもつてか知しることを得うる。 下げが上じょうの文もんに説とくがごとし。 「▲ただ五ご逆ぎゃくと謗法ほうぼうとを作つくらず、 自余じよの諸悪しょあくはことごとくみなつぶさに造つくりて、 慚ざん愧ぎすなはち一念いちねんに至いたるまでもあることなし。

何ナニヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。如シ↢下ガ上ノ文ニ説クガ↡。「但シ不ズ↠作ラ↢五逆ト謗法トヲ↡、自ジ余ヨノ諸悪ハ悉ク皆 ナ具ツブサニ造ツクリテ、無シ↠有ルコト↣†慚ザン愧グヰ乃チ至ルマデモ↢一念ニ↡。

^◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 善ぜん0447知ぢ識しきの、 ために大だい乗じょうを説とき、 教おしへて仏ぶつを称しょうせしむるに遇あひて一いっ声しょうす。 ◆その時とき阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 すなはち化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつを遣つかはしてこの人ひとを来迎らいこうし、 すなはち往おう生じょうを得えしめたまふ」 (観経・意) と。

命欲スル↠終ラムト時、†遇アヒテ↧善知識ノ、為ニ説キテ↢大乗ヲ↡、教ヘテ令シムルニ↞称セ↠仏ヲ一声ス。爾ノ時ニ阿弥陀仏、即チ遣ツカハシテ↢化仏・菩薩ヲ↡来↢迎シテ此ノ人ヲ↡、即チ得シメタマフトシム    ↢往生ヲ↡。」

^ただかくのごとき悪人あくにん目めに触ふるるにみなこれなり。 もし*善縁ぜんえんに遇あへば、 すなはち往おう生じょうを得う。 もし善ぜんに遇あはざれば、 さだめて三さん塗ずに入いりていまだ出いづべからず。

但タダ如キノ↠此クノ悪人触フルルニ↠目メニ皆 ナ是 レナリ。若シ遇ヘバ↢善縁ニ↡、即チ得ウ↢往生ヲ↡。若シ不レバハ ↠遇アハ↠善ニ、定メテ入イリテ↢三塗ニ↡†未ダ↠可0669カラ↠出イヅ也。

・下品中生

^下げが中ちゅうとは、 「▲この人ひと先さきに仏ぶつの戒かいを受うく。 受うけをはりて持たもたずしてすなはち毀破きはす。 また*常住じょうじゅう僧そう物もつ・*現前げんぜん僧そう物もつを偸ぬすみ、 *不ふ浄じょう説法せっぽうして、 乃ない至し、 一念いちねん慚ざん愧ぎの心しんあることなし。

下ガ中ト者ハ、「此ノ人先サキニ受クケ↢仏ノ戒ヲ↡。、受ケ已 ハリテ不ズシテ↠持タセ即便チ毀クヰソシリ 破ハヤブルス。又偸ヌスミ↢常住僧ノ物・現前僧ノ物ヲ↡、不浄ニ説法シテ、乃至無シ↠有ルコト↢一念慚ザン愧グヰ之ノ心↡。

^◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 地じ獄ごくの猛みょう火か一いち時じにともに至いたりて、 現げんじてその前まえにあり。 火ひを見みる時ときに当あたりて、 すなはち善ぜん知ぢ識しきの、 ためにかの仏ぶっ国こく土どの功く徳どくを説ときて、 勧すすめて往おう生じょうせしむるに遇あふ。 ◆この人ひと聞ききをはりてすなはち仏ぶつを見みたてまつり、 *化け0318に随したがひて往おう生じょうす」 (観経・意) と。

命欲スル↠終ラムト時、地獄ノ猛火一時ニ倶トモニ至リテ、現ジテ在アリ↢其ノ前 ヘニ↡。当アタリテ↢見ミル↠火ヒヲ時ニ↡、即チ遇アフハム↧善知識ノ、為ニ説トキテ↢彼ノ仏ノ国土ノ功徳ヲ↡、勧メテ令シムルニ↦往生セ↥。此ノ人聞キキ已リテ即便チ見タテマツリテ    ↠仏ヲ、随ヒテ↠化ニ往生スト。」

^初はじめ善ぜんに遇あはざれば獄ごく火か来迎らいこうし、 後のちに善ぜんに逢あふがゆゑに化け仏ぶつ来迎らいこうす。 これすなはちみなこれ弥陀みだ願力がんりきのゆゑなり。

初ハジメ不ザレバ↠遇アハ↠善ニ獄ゴク火来迎シス、後ニ逢アフガ↠善ニ故ニ化仏来迎ス。斯 レ乃チ皆 ナ是 レ弥陀ノ願力ノ故 ヘ也ナリ。

・下品下生

^下げが下げとは、 「▲これらの衆しゅ生じょう不ふ善業ぜんごうたる五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あくを作つくり、 もろもろの不ふ善ぜんを具ぐす。 この人ひと悪業あくごうをもつてのゆゑに、 さだめて地じ獄ごくに堕だして多た劫こう窮きわまりなからん。

下ガ下ト者ハ、「此 レ等ラノ衆生作リテ↢不善業ゴフタル五逆・十悪ヲ↡、具グス↢諸ノ不善ヲ↡。此ノ人以テノ↢悪業ヲ↡故ニ、定メテ堕シテ↢地獄ニ↡多劫無カラムルベシ↠窮キハマリ。

^◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 善ぜん知ぢ識しきの、 教おしへて阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょうせしめ、 勧すすめて往おう生じょうせしむるに遇あふ。 この人ひと教おしえによりて仏ぶつを称しょうし、 ◆念ねんに乗じょうじてすなはち生しょうず」 (観経・意) と。

†命欲スル↠終ラムト時、遇アフ↧善知識ノ教ヘテ称セシメ↢阿弥陀仏ヲ↡、勧メテ令シムルニ↦往生セ↥。此ノ人依リテ↠教ニ称シス↠仏ヲ、乗ジテ↠念ニ†即チ生ズト。」

^この人ひともし善ぜんに遇あはずは、 必ひつ定じょうして*下げ沈ちんすべし。 終おわりに善ぜんに遇あふによりて*七宝しっぽう来迎らいこうす。

此ノ人若シ不ズハ↠遇アハ↠善ニ、必ヒツ定シテ下ゲ沈チンスベシ。由ヨリテ↢終オハリニ遇アフニ↟善ニ七宝ノ来迎ス。

・五濁凡夫

^またこの ¬観かん経ぎょう¼ の定じょう善ぜんおよび三輩さんぱい上じょう下げの文もんの意こころを看みるに、 総そうじてこれ仏ぶつ世よを去さりたまひて後のちの五ご濁じょくの凡ぼん夫ぶなり。 ただ縁えんに遇あふに異ことなることあるをもつて、 九く品ぼんをして差別しゃべつせしむることを致いたす。

~又看ミルニ↢此ノ¬観経ノ¼定善及ビ三輩上下ノ文ノ意ヲ↡、総ソウジテ是 レ仏去リタマヒテ↠世ヲ後ノ五濁ノ凡夫ナリ。但タダシ以テ↢遇アフニ↠縁ニ有ルヲ↟異ナルコト、致ス↠令シムルコトヲ↢九品ヲシテ差別セアラ↡。

^なんとなれば、 上じょう品ぼんの三人さんにんはこれ*大だいに遇あへる凡ぼん夫ぶ、 中ちゅう品ぼんの三人さんにんはこれ*小しょうに遇あへる凡ぼん夫ぶ、 下げ品ぼんの三人さんにんはこれ悪あくに遇あへる凡ぼん夫ぶなり。 悪業あくごうをもつてのゆゑなり。 終おわりに臨のぞみて善ぜんによりて、 仏ぶつの願力がんりきに乗じょうじてすなはち往おう生じょうを得う。 かしこに到いたりて華はな開ひら0448けてまさにはじめて*発心ほっしんす。 なんぞこれ始し学がく大だい乗じょうの人ひとといふことを得えんや。 もしこの見けんをなさば、 みづから失しっし他たを誤あやまりて害がいをなすことこれはなはだし。

~†何トナレバ者上品ノ三人ハ是†遇ヘル↠大ニ凡夫、中品ノ三人ハ是†遇ヘル↠小ニ凡夫、下品ノ三人ハ是▼†遇ヘル↠悪ニ凡夫ナリ。以テノ↢悪業ヲ↡故ナリニ 。臨ノゾミテ↠終オハリニ藉ヨリテ↠善ニ、乗ジテ↢仏ノ願力ニ↡乃チ得ウ↢往生スルコトヲ↡。到イタリテ↠彼 シコニ華ハナ開ケテ方マサニ始ハジメテ発心ス。何ナンゾ得ムヤ↠言イフコトヲ↢是始学大乗ノ人ト↡也ト。若シ作ナサバ↢此ノ見ヲ↡、自ラ失シチシ悞アヤマリテタム↠他タヲ為イタスコト↠害ガイヲ茲コレ甚ハナハダシ。

^いまもつて一々いちいちに文もんを出いだし顕けん証しょうし0319て、 いまの時ときの善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶをして同おなじく九く品ぼんに沾うるおはしめんと欲ほっす。 信しんを生しょうじて疑うたがいなければ、 仏ぶつの願力がんりきに乗じょうじてことごとく生しょうずることを得う。

~今以テ一一ニ出シ↠文ヲ顕証シテセム、。欲ス↠使シメムト↣今ノ時ノ善悪ノ凡夫ヲシテ同ジク沾ウルヲハサ↢九品ニ↡。生ジテ↠信ヲ無ナケレバ↠疑 ヒ、乗ジテ↢仏ノ願力ニ↡悉ク得ウ↠生ズルコトヲ也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (四)【出文顕証】

【20】^第だい四しに↑文もんを出いだして顕けん証しょうすとは、

~第0670四ニ出シテ↠文ヲ顕証スト†者、

^問とひていはく、 上じょう来らい返対ほんたいの義ぎ、 いかんが知しることを得うる。 「△世せ尊そんさだめて凡ぼん夫ぶのためにして聖しょう人にんのためにせず」 といふは、 いぶかし、 ただ*人にん情じょうをもつて準なぞらへ義ぎするや、 はたまた聖教しょうぎょうありて来きたし証しょうするや。

~問ヒテ曰ク、上来返対ヘンタイ之ノ義ギ、云何 イカン ガ得ル↠知ルコトヲ。「世尊定メテ為ニシテ↢凡夫ノ↡不トイフ↠為ニセ↢聖人ノ↡」者未審イブカシ、直タヾチニ以テ↢人情ジヤウココロヲ↡†準ナゾラヘ義スルヤ、為当 ハタ 亦マタ有リテ↢聖教↡来キタシ証スルヤ。

^答こたへていはく、 衆しゅ生じょうは*垢く重おもくして智慧ちえ浅近せんごんなり。 *聖しょう意いは弘ぐ深じんなり。 ▲あにいづくんぞみづからほしいままにせんや。 いま一々いちいちにことごとく仏説ぶっせつを取とりて、 もつて明証みょうしょうとなさん。 この証しょうのなかにつきてすなはちその十じっ句くあり。

~答ヘテ*曰ク、衆生ハ垢重クシテニシテ智慧浅近センゴンナリ。聖意ハ弘グ深ナリ。豈アニ寧ムシンゾロ 自ラ†輒ホシイママニセムヤ。今者 イマ 一一ニ悉ク取トリテ↢仏説ヲ↡、以テ為セサムム ↢明証ト↡。就ツキテ↢此ノ証ノ中ニ↡即チ有リ↢其ソノ十句ク↡。

・散善顕行縁文

^なんとなれば、 第一だいいちには ¬観かん経ぎょう¼ にのたまふがごとし。 「仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ª▲われいまなんぢがために広ひろくもろもろの譬たとへを説とかん。 ◆また未み来らい世せの一切いっさい凡ぼん夫ぶの浄じょう業ごうを修しゅせんと欲ほっするものをして、 西方さいほう極楽ごくらく国こく土どに生しょうずることを得えしめんº」 とはこれその一いちの証しょうなり。

~†何トナレバ者第一ニハ如シ↢¬観経ニ¼云フガ↡。「仏告ゲタマハク↢韋提ニ↡、我 レ今為ニ↠汝ガ広ク説カム↢衆モロモロノ譬タトヒヲ↡。亦令シメムト↧未来世ノ一切ノ凡夫ノ欲オモスルハム↠修セムト↢浄業ヲ↡者モノヲシテ、得エ↞生ズルコトヲ↢西方極楽国土ニ↡」†者、是 レ其ノ一ノ証也ナリ。

・定善示観縁文 一

^二にには 「▲如来にょらいいま未み来らい世せの一切いっさい衆しゅ生じょうの煩悩ぼんのうの賊ぞくのために害がいせらるるもののために清浄しょうじょうの業ごうを説とく」 とのたまふは、 これその二にの証しょうなり。

~二ニハ言フ↪「如来今者 イマ ハ為ニ↧未来世ノ一切衆生ノ為ニ↢煩悩ノ賊ゾクノ↡之所ラルルレム↠害ガイセ者 ノノ↥説トクト↩清浄ノ業ヲ↨」者ハ、是 レ其ノ二ノ証也ナリ。

・定善示観縁文 二

^三さんには 「▲如来にょらいいま韋い提だい希けおよび未み来らい世せの一切いっさい衆しゅ生じょうを教おしへて西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいを観かんぜしめん」 とのたまふは、 これその三さんの証しょうなり。

~三ニハ†言フ↧「如来今者 イマ 教ヘテ↢韋提希及ビ未来世ノ一切衆生ヲ↡観ゼシメムト↦於西方極楽世界ヲ↥」者ハ、是 レ其ノ三ノ証也。

・定善示観縁文 三

^四しには 「▲韋い提だい、 仏ぶつ0320にまうさく、 ªわれいま仏力ぶつりきによるがゆゑにかの国こく土どを見みる。 ◆もし仏滅ぶつめつ後ごのもろもろの衆しゅ生じょう等とうは、 濁じょく悪あく不ふ善ぜんにして五苦ごくに逼せめられん、 いかんがまさにかの仏ぶつの国こく土どを見みたてまつるべきº」 とのたまふは、 これその四しの証しょうなり。

~四ニハ言フ↧「韋提白サク↠仏ニ、我 レ今因ヨルガ↢仏力ニ↡故ニ見ルツ↢彼ノ国土ヲ↡。、若シ仏滅後ノ諸ノ衆生等ハノ、濁ヂヨク悪不善ニシテ五苦クニ†所レム↠逼メ、云何ガシテ当ベ ニキト↞見タテマツル↢彼ノ仏ノ国土ヲ↡」者ハ、是 レ其ノ四ノ証也。

・日観文

^五ごには日観にっかんの初はじめにのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ªなんぢおよび衆しゅ生じょう、 念ねんをもつぱらにせよº」 といふより以下いげ、 すなはち 「一切いっさい0449衆しゅ生じょう*生しょう盲もうにあらざるよりは有う目もくの徒ともがら日ひを見みよ▲」 といふに至いたるこのかたは、 これその五ごの証しょうなり。

~五ニハ如シ↢日観ノ初ニ云フガ↡。「仏告ゲタマハク↢韋提ニ↡、汝 ヂ及ビ衆生専モハラニセヨトイフヨリ↠念ヲ」已下、†乃チ至ル↧「一切衆生自リハ↠非ザル↢生盲ニ↡有目之徒見ヨトイフニ↞日ヲ」已来タ者、是其ノ五ノ証也。

・地観文

^六ろくには地じ観かんのなかに説ときてのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªなんぢ、 仏ぶつ語ごを持たもち、 未み来らい世せの一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを脱のがれんと欲ほっするもののために、 この観かん地じの法ほうを説とけº」 といふは、 これその六ろくの証しょうなり。

~六ニハ如シ↢地観ノ中ニ説キテ言フガ↡。「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、汝ナンヂ持チテ↢仏語ヲ↡、為ニ↢未来世ノ一切衆生ノ欲スルハム↠脱ヌカレムト↠苦クヲ者 ノノ↡、説ト†ケトイフ↢是ノ観地ノ法ヲ↡」者、是 レ其ノ六ノ証也。

・華座観文 一

^七しちには華座けざ観かんのなかに説ときてのたまふがごとし。 「▲韋い提だい、 仏ぶつにまうさく、 ªわれ仏力ぶつりきによりて阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつ (観音・勢至) を見みたてまつることを得えたり、 ◆未み来らいの衆しゅ生じょうはいかんが見みたてまつることを得えんº」 といふは、 これその七しちの証しょうなり。

~七ニハ如シ↢華座観ノ中ニ†説キテ言フガ↡。「韋提白サク↠仏ニ、我因リテ↢仏力ニ↡得タリ↠見0671タテマツルコトヲ↢阿弥陀仏及ビ二菩薩ヲ↡、未来ノ衆生ハ云何ガ得ムトイフ↠見タテマツルコトヲ」者ハ、是 レ其ノ七ノ証也。

・華座観文 二

^八はちには次つぎ下しもに、 請しょうに答こたふるなかに説ときてのたまはく、 「▲仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ªなんぢおよび衆しゅ生じょう、 かの仏ぶつを観かんぜんと欲ほっするもの、 まさに想念そうねんを起おこすべしº」 といふは、 これその八はちの証しょうなり。

~八ニハ†次下ニ、答フル↠請ヲニ中ニ説トキテ言ク、「仏告ゲタマハク↢韋提ニ↡、汝 ヂ及ビ衆生欲スルハム↠観ゼムト↢彼ノ仏ヲ↡者 ノ、当ベ ニシトイフ↠起オコス↢想念ヲ↡」者ハ、是 レ其ノ八ノ証也。

・像観文

^九くには像観ぞうかんのなかに説ときてのたまふがごとし。 「仏ぶつ0321、 韋い提だいに告つげたまはく、 ª▲諸仏しょぶつ如来にょらいは一切いっさい衆しゅ生じょうの心想しんそうのうちに入いりたまふ。 ◆このゆゑになんぢら心しんに仏ぶつ (阿弥陀仏) を想おもふ時ときº」 といふは、 これその九くの証しょうなり。

~九ニハ如シク↢像ザウ観ノ中ニ説キテ言イフガ↡、「仏告ゲタマハク↢韋提ニ↡、諸仏如来ハ入リタマフ↢一切衆生ノ心想ノ中ニ↡。是ノ故ニ汝等 ナンヂ 心ニ想オモフハム↠仏ヲ時トキトイフ」者ハ、是 レ其ノ九ノ証也。

・九品段文意

^十じゅうには九く品ぼんのなかに一々いちいちに説ときて、 「▲もろもろの衆しゅ生じょうのためにす」 といふがごときは、 これその十じゅうの証しょうなり。

~十ニハ†如キ↢九品之中ニ一一ニ説キテ言フガ↟「為ニスト↢諸ノ衆生ノ↡」者、是 レ其ノ十ノ証也。

^上じょう来らい十じっ句くの不ふ同どうありといへども、 如来にょらい (釈尊) この*十じゅう六観ろっかんの法ほうを説ときたまふは、 ただ常じょう没もつの衆しゅ生じょうのためにして、 *大だい小しょうの聖しょうのためにせずといふことを証明しょうみょうす。 この文もんをもつて証しょうするに、 あにこれ謬あやまりならんや。

~上来ニ雖モ↠有リト↢十句ノ不同↡、証↧明スル如来説キタマフコトハ↢此ノ十六観ノ法ヲ↡、但タダ為ニシテ↢常没モチノ衆生ノ↡、†不トイフコトヲ↞于タメニセ↢大小ノ聖ノ↡也。以テ↢斯ノ文ヲ↡証スルニ、豈アニ是 レ謬アヤマリナラム哉ヤ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)【別時意会通】
            (Ⅰ)牒標
            (Ⅱ)正釈
              (ⅰ)正会別時
                (a)標挙

【21】^第だい五ごに↑▲別べつ時意じいを会え通つうすといふはすなはちその二にあり。

~第五ニ会↢通ス†トイフ別時意ヲ↡者即チ有リ↢其ノ二ツ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)正明
                  (イ)釈成仏別時
                    [一]釈論文

^一いちには ¬論ろん¼ (*摂大乗論・意) にいはく、 「▽人ひと、 ↓*多た宝ほう仏ぶつを念ねんずれば、 すなはち無む上じょう↓菩ぼ提だいにおいて↓退たい堕だせざることを得うるがごとし」 とは、

~一ニハ¬論ニ¼云ク、「†如シト↧人念ズレバ↢多宝仏ヲ↡、即チ於オイテ↢無上菩提ニ↡得ルガ↞不ルコトヲ↢退堕セ↡」者、

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二]釈義意
                      [Ⅰ]正明別時意

^おほよそ 「↑菩ぼ提だい」 といふはすなはちこれ仏ぶっ果かの名ななり、 またこれ正しょう報ぼうなり。 道どう理りとして成じょう仏ぶつの法ほうは、 かならずすべからく万まん行ぎょう円まどかに備そなへてまさにすなはち*剋こく成じょうすべし。 あに念仏ねんぶつの一いち行ぎょうをもつてせんや。 すなはち成じょうずることを望のぞまば、 この処ことわりあることなからん。 いまだ証しょうせずといふといへども、 万まん行ぎょうのなかにこれその一いち行ぎょうなり。

~凡オホヨソ言イフハ↢菩提ト↡乃チ是 レ仏果之ノ名ナナリ、亦マタ是 レ正報ナリ。道理トシテ成仏之ノ法ハ、要カナラズ須スベカラクシ↢万行円カニ備ヘテスレバ方マサニ乃チ剋コク成ジヤウス↡。豈アニ将テセムヤ↢念仏ノ一行ヲ↡。、即チ望†マバ↠成ズルコトヲ者、無カラムケム ↠有ルコト↢是ノ処コトワリ↡。雖モ↠言イフト↠†未ダト↠証セ、万行之ノ中ニノ是 レ其ノ一行ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]明念仏一行

^なにをもつてか知しることを得うる。 ¬華け0450厳ごん経ぎょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。 「▲*功く徳どく雲うん比丘びく、 *善財ぜんざいに語かたりていは0322く、 ªわれ仏法ぶっぽう三昧ざんまい海かいのなかにおいて、 ただ一いち行ぎょうを知しれり。 いはゆる念仏ねんぶつ三昧ざんまいなりº」 と。

~何ナニヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。如シ↢¬華厳経ニ¼説キタマフガ↡。「功徳雲ウン比丘語カタリテ↢善財ニ↡言ク、我 レ於シテ↢仏法三昧海ノ中ニ↡、唯タダ知シレリ↢一行ヲ↡。†所謂ル念仏三昧ナリト。」

^この文もんをもつて証しょうするに、 あに一いち行ぎょうにあらずや。

~以テ↢此ノ文ヲ↡証スルニ、豈アニ非ズヤ↢一行ニ↡也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ]釈不退堕義

^これ一いち行ぎょうなりといへども、 生しょう死じのなかにおいてすなはち成じょう仏ぶつに至いたるまで永ながく退没たいもつせず。 ゆゑに 「↑不堕ふだ」 と名なづく。

~雖モ↢是 レ一行ナリト↡、於オイテ↢生死ノ中ニ↡乃チ至ルマデ↢成仏ニ↡マデ永ナガク不ズ↢退没モチセ↡。故ニ名ク↢不堕フダト↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[三]釈違文

 ^問とひていはく、 もししからば、 ¬*法華ほけ経きょう¼ にのたまはく、 「一ひとたび ↓ª南無なも仏ぶつº と称しょうすれば、 みな↓すでに仏道ぶつどうを成じょうず」 と。 また成じょう仏ぶつしをはるべし。 この二に文もんなんの差別しゃべつかある。

~問ヒテ曰ク、若シ†爾ラバ者¬法華経ニ¼云ク、「一タビ称0672スレバセシ ↢南無仏ト↡、皆ミナ已スデニ成ズト↢仏道ヲ↡。」亦マタ応ベシ↢成仏シ竟オハルレル↡也。此ノ之二文有ル↢何ナンノ差別カ↡。

^答こたへていはく、 ¬論ろん¼ (摂大乗論) のなかの↑称しょう仏ぶつは、 ただみづから仏ぶっ果かを成じょうぜんと欲ほっす。 ¬経きょう¼ (法華経) のなかの↑称仏しょうぶつは、 九く十じゅう五ご種しゅの外げ道どうに*簡けん異いせんがためなり。 しかるに外げ道どうのなかにはすべて称仏しょうぶつの人ひとなし。 ただ仏ぶつを称しょうすること一いっ口くすれば、 すなはち仏道ぶつどうのなかにありて摂せっす。 ゆゑに 「↑已い竟きょう」 といふと。

~答ヘテ曰ク、¬論ノ¼中ノニ†称仏ハ、唯タダ欲ス↣自ラ成ナゼムトラムト↢仏果ヲ↡。¬経ノ¼中ノニ†称仏ハ、為 メナリ↣簡ケン↢異イセムガ九十五種ノ外道ニ↡。然ルニ外道之ノ中ニハ都スベテ無シ↢称仏之ノ人↡。但使 タダシ 称スルコト↠仏ヲ一口モスレバ、即チ在アリテ↢仏道ノ中ニ↡摂ス。故ニ言フト↢已イ竟キヤウト↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)会往生別時
                    [一]挙論文

【22】^二にには ¬論ろん¼ (摂大乗論・意) のなかに説ときていはく、 「▽人ひとありてただ↓*発願ほつがんするによりて安楽あんらく土どに生しょうずるがごとし」 と、

~二ニハ¬論ノ¼中ニ説トキテ云ク、「如シト↧人アリテ唯タダ由ヨリテ↢†発願スルニ↡生ズルガ↦安楽土ニ↥」†者、

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]会義意
                      [Ⅰ]破邪執
                        [ⅰ]正破
                          [a]先挙邪計

^久ひさしきよりこのかた、 *通論つうろんの家いえ、 論ろんの意こころを会えせずして、 錯あやまりて下げ品ぼん下げ生しょうの十じっ声しょうの称しょう仏ぶつを引ひきて、 これと相そう似じせしめて、 いまだすなはち生しょうずることを得えずといふ。 ▲一いち金銭こんせん千せんを成じょうずることを0323得うるは、 多た日にちにしてすなはち得う。 一日いちにちにすなはち千せんを成じょうずることを得うるにはあらざるがごとし。

~久シキヨリクヨリ来コノカタ、通論ツウロン之ノ家イヱ不ズシテ↠会ヱセ↢論ノ意ココロヲ↡、錯アヤマリテ引キテ↢下品下生ノ十声ノ称仏ヲ↡、与ト↠此 レ†相似セシメテ、未ズ ダトイフ↢即チ得↟生ズルコトヲ。†如シ↣一金銭ノ得ル↠成ズルコトヲ↠千ヲ者、多日ニシテ乃チ得ウ、非ザルガ↢一日ニ即チ得ルニハ↟†成ズルコトヲ↠千ヲ。

^十じっ声しょうの称しょう仏ぶつもまたかくのごとし。 ただ*遠おん生しょうのために因いんとなる。 このゆゑにいまだすなはち生しょうずることを得えず。 仏ぶつただ*当来とうらいの凡ぼん夫ぶのために悪あくを捨すて仏ぶつを称しょうせしめんと欲ほっして、 *誑言おうごんして生しょうずとのたまふ、 実じつにはいまだ生しょうずることを得えず、 名なづけて別べつ時意じいとなすといはば、

~十声ノ称仏モ亦復 マタ 如シ↠是クノ。但タダ与タメニ↢遠オン生ノ↡作ナル↠因イント。是ノ故ニ未ズ ダ↢即チ得エ↟生ズルコトヲ。噵イハバフ ↧仏直タヾチニ為ニ↢当来ノ凡夫ノ↡欲ホシテ↠令シメムト↢捨テテ↠悪ヲ称セ↟仏ヲ、誑ワウタハブレ言ゴンシテスレバ噵ノタマフ↠生ズトルト、実マコトニハ†未ダ↠得↠生ズルコトヲ、名ケテ作ナストルト↦別時意イト↥者ハ、

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]引証破斥
                            イ正引

^なんがゆゑぞ、 ¬*阿あ弥陀みだ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「▲仏ぶつ、 *舎しゃ利り弗ほつに告つげたまはく、 ªもし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんありて阿あ弥陀みだ仏ぶつを説とくを聞きかば、 すなはち名みょう号ごうを執しゅう持じすべし。 ↓一日いちにち乃ない至し七日しちにち一心いっしんに生しょうぜんと願がんずれば、 ◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 もろもろの聖しょう衆じゅと*迎こう接しょうして、 往おう生じょうせしめたまふº」 と。

~何ナンガ故ゾ¬阿弥陀経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢舎利弗ニ↡、若シ有リテ↢善男子・善女人↡聞キカバ↠説クヲ↢阿弥陀仏ヲ↡、即チ応ベシ↣執シフ↢持ヂス名号ヲ↡。一日乃至七日一心ニ願ズレバ↠生ゼムトレムト、命 チ欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏与ト↢諸ノ聖衆↡迎接セウシテシ玉ヘバ往生セシメタマフトス      。」

^次下つぎしもに (小経・意)、 「▲十方じっぽうにおのおの恒ごう河が沙しゃ等とうのごとき諸仏しょぶつ、 おのおの広こう長じょうの舌相ぜっそうを出いだ0451してあまねく三千さんぜん大千だいせん世せ界かいに覆おおひて、 誠じょう実じつの言ごんを説ときたまふ。 ªなんぢら衆しゅ生じょうみな、 この一切いっさい諸仏しょぶつの↓護ご念ねんしたまふところの経きょうを信しんずべしº」 と。

~次下シモニ、「▼十方ニ各ノ如キノ↢恒河沙等ノ↡諸仏、各ノ出シテ↢広長ノ舌相ヲ↡遍ク覆オホヒテ↢三千大千世界ニ↡、説トキタマフク   ↢誠実ノ言ヲ↡。汝等衆生皆 ナ、応ベシト↠信ズ↧是 レノ一切諸仏ノ所 ロノ↢護念シタマフ↡経ヲ↥。」

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]ロ釈成

^「↑護ご念ねん」 といふは、 すなはちこれ上かみの文もんの↑一日いちにち乃ない至し七日しちにち仏ぶつの名みなを称しょうするなり。

~言イフ↢護念ト↡者、即チ是 レ上ノ文ノ一日乃至七日†称スル↢仏之名ヲ↡也ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]ハ結破

^いますでにこの聖教しょうぎょうありてもつて明証みょうしょうとなす。 いぶかし、 今こん時じの一切いっさいの行ぎょう者じゃ、 知しらずなんの意こころぞ、 *凡ぼん小しょうの論ろんにすなはち信受しんじゅを加くわへ、 諸仏しょぶつの*誠じょう言ごんを返かえりてまさに*妄もう語ごせんとする。 苦くるしきかな、 なんぞ劇はげしくよくかく0324のごとき*不ふ忍にんの言ごんを出いだす。

~今既スデニ有リテ↢斯コノ聖教↡以テ為ス↢明証ト↡。未審イブカシ、今ノ時ノ一切ノ行者不ズ↠知シラ何ナニノ意ココロゾ、*凡小之ノ論0673ニハ乃チ加クハヘテ↢信受ヲ↡、諸仏ノ誠言ヲバ返カヘリテ†将マサニル↢妄マウ語セムト↡。苦クルシキ哉カナ、奈ナンゾ劇ハゲシク能ク出ス↢如キノ↠此クノ不忍之ノ言ヲ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]勧誡

^しかりといへども、 ▼仰あおぎ願ねがはくは一切いっさいの往おう生じょうせんと欲ほっする*知ち識しき等とう、 ▼よくみづから思し量りょうせよ。 むしろ今こん世ぜの錯あやまりを傷やぶりて仏ぶつ語ごを信しんぜよ。 *菩ぼ薩さつの論ろんを執しゅうして、 もつて指し南なんとなすべからず。 もしこの執しゅうによらば、 すなはちこれみづから失しっし他たを誤あやまらん。

~雖モ↠然リト、仰ギヒデ願クハ一切ノ欲スル↢往生セムト↡知識等、善ヨク自ラ思シ量セヨ。寧ムシロ傷ヤブリテ↢今世ノ錯アヤマリヲ↡信ゼヨズベシ↢仏語ヲ↡。不ズ↠可ベカラ↧執シフシテ↢菩薩ノ論ロンヲ↡、以テ為ス↦指シ南ナント↥。若シ依ラバ↢此ノ執シフニ↡者バ、即チ是 レ自ラ失シチシ†悞ラム↠他タヲ也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]立正義
                        [ⅰ]弁論意

 ^問とひていはく、 いかんが行ぎょうを起おこし、 しかも往おう生じょうを得えずといふ。

~問ヒテ曰ク、云何 イカン ガ起†セルヲ↠行ヲ、而モ言イフヤ↠不ズト↠得エ↢往生ヲ↡。

^答こたへていはく、 もし往おう生じょうせんと欲ほっせば、 かならずすべからく行ぎょう願がん具ぐ足そくすべし。 まさに生しょうずることを得うべし。 いまこの ¬論ろん¼ (摂大乗論) のなかには、 ただ 「↑発願ほつがん」 といひて、 行ぎょうありと論ろんぜず。

~答ヘテ曰ク、若シ欲セバハ ↢往生セムト↡者バ、要カナラズ†須スベカラクシ↢行願具足ス↡。方マサニ可ベシ↠得ウ↠生ズルコトヲ。今此ノ¬論ノ¼中ニハ、但タダ言イヒテ↢発願ト↡、不ズ↠論ゼ↠有リトルコトヲ↠行。

 ^問とひていはく、 なんがゆゑぞ論ろんぜざる。

~問ヒテ曰ク、何ナンガ故ゾ不ザル↠論ゼ。

^答こたへていはく、 すなはち一念いちねんに至いたるまでかつていまだ心しんを措おかず。 このゆゑに論ろんぜず。

~答ヘテ曰ク、乃チ至ルマデ↢一念ニ↡モ 曽カツテ未ズ ダ↠措オカ↠心ヲ。是ノ故ニ不ズ↠論ゼ。

 ^問とひていはく、 願がん行ぎょうの義ぎになんの差別しゃべつかある。

~問ヒテ曰ク、願行之ノ義ニ有ル↢何イヅレノ差別カ↡。

^答こたへていはく、 経きょうのなかに説ときたまふがごとし。 ▼ただその行ぎょうのみあるは、 行ぎょうすなはち孤こにしてまた至いたるところなし。 ただその願がんのみあるは、 願がんすなはち虚むなしくしてまた至いたるところなし。 かならずすべからく願がん行ぎょうあひ扶たすけて所しょ為いみな剋こくすべしと。

~答ヘテ曰ク、如シキ↢経ノ中ニ説キタマフガ↡。、但有ルハ↢其ノ行ノミ↡、行即チ孤コムナシニシテ亦無シ↠所 ロ↠至ル。但有ルハ↢其ノ願ノミ↡、願即チ虚コシクシテニシテ 亦無シ↠所 ロ↠至ル。要カナラズ†須クシト↢願行相 ヒ扶タスケテ所シヨ為ヰ皆 ナ剋コクス↡。

^このゆゑにいまこの ¬論ろん¼ (摂大乗論) のなかには、 ただ 「発願ほつがん」 といひて、 行ぎょうありと論ろんぜず。 このゆゑに0325いまだすなはち生しょうずることを得えず。 遠おん生しょうのために因いんとなるといふは、 その義ぎ実じつなり。

是ノ故ニ今此ノ¬論ノ¼中ニハ、直ヂキニ言ヒテ↢発願ト↡、不ズ↠論ゼ↠有リトルコトヲ↠行。是ノ故ニ未ズ ダ↢即チ得エ↟生ズルコトヲ、与タメニ↢遠オン生ノ↡作ナル†トイフ↠因イント者、其ノ義実也ナリ。

 ^問とひていはく、 願がんの意こころいかんぞ、 すなはち生しょうぜずといふ。

~問ヒテ曰ク、願ノ意云何 イカン ゾガ乃チ言イフヤ↠不ズト↠生ゼレ。

^答こたへていはく、 他たの説ときて、 「西方さいほうは快け楽らく不可ふか思議しぎなり」 といふを聞ききて、 すなはち願がんをなしていはく、 「われもまた願ねがはくは生しょうぜん」 と。 この語ごをいひをはりてさらに相続そうぞくせず。 ゆゑに願がんと名なづく。

~答ヘテ曰ク、聞キキテ↣他タノ説トキテ、言イフヲ↢西方ハノ快楽不可思議ナリト↡、即チ作ナシテ↠願ヲ言ク、我 レモ亦願クハ生ゼムト。噵イヒ↢此ノ語ゴヲ↡已 ハリテ更サラニ不ズ↢相続ゾクセ↡。故ニ名ク↠願ト也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]弁経意【六字釈】

^▼いまこの ¬観かん経ぎょう¼ のなかの十じっ声しょうの称しょう仏ぶつは、 すなはち十じゅう願がん十じゅう行ぎょうあ0452りて具ぐ足そくす。 いかんが具ぐ足そくする。 ▼「南無なも」 といふはすなはちこれ帰き命みょうなり、 またこれ発願ほつがん回え向こうの義ぎなり。 ▼「阿あ弥陀みだ仏ぶつ」 といふはすなはちこれその行ぎょうなり。 この義ぎをもつてのゆゑにかならず往おう生じょうを得う。

~今此ノ¬観経ノ¼中ノ十声ノ称仏ハ、即チ†有リテ↢十願・十行↡具足ス。云何ガ具足スル。▼言イフ↢南無ト↡者ハ即チ是 レ帰命ナリ、亦マタ是 レ発願廻向之ノ義ナリ。言フ↢▼阿弥陀仏ト↡者ハ、即チ是其ノ行ナリ。以テノ↢斯コノ義ヲ↡故ニ必ズ得ウ↢往生スルコトヲ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅱ)重弁分斉
                (a)弁依正差別

【23】^また ¬論ろん¼ (摂大乗論) のなかに 「△多た宝ほう仏ぶつを称しょうしてために仏ぶっ果かを求もとむる」 とは、 すなはちこれ正しょう報ぼうにして、 下しもに 「△ただ発願ほつがんして浄じょう土どに生しょうぜんと求もとむる」 とは、 すなはちこれ依え報ほうなり。 一いちは正しょう、 一いちは依え、 あに相そう似じすることを得えんや。

~†又来 マタ ¬論ノ¼中ニ「称シテスルハ↢多タ宝仏ヲ↡†為ニ求ムルトハ↢仏果ヲ↡」、即チ是正報ニシテナリ 、下シモニ「唯タダ†発願シテ求ムルトハ↠生ゼムト↢浄土ニ↡」、即チ是依報ナリ。一ハ正、一ハ依、豈アニ0674得エムヤ↢相サウ似ジスルコトヲ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(b)明二種別時

^しかるに正しょう報ぼうは期ごしがたし。 一いち行ぎょう*精しょうなりといへどもいまだ*剋こくせず。 依え報ほうは求もとめやすけれども、 一願いちがんの心しんをもつてはいまだ入いらざる所ところなり。

~然ルニ▼正報ハ難シ↠期ゴシ。一行雖モ↠精セイナリト未ズ ダ↠剋コクキザスセ。依報ハ易ヤスケレドモシ   ↠求メ、†所ナリ↧以テハ↢一願之心ヲ↡未ダル↞入ラ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(c)示浄土易往
                  (イ)約譬明

^しかりといへども、 たとへば*辺方へんぽう化けに投とうずるはすなはち易やすく、 主しゅとなることはすなはち難かたきがご0326とし。 今こん時じの往おう生じょうを願がんずるものは、 *ならびにこれ一切いっさい化けに投とうずる衆しゅ生じょうなり。 あに易やすきにあらずや。

~雖モ↠然リト、譬タトヘバ如シ↢辺方ヘンバウニ投ト ズルハコト↠化ヲニ即チ易ヤスク、為ナルコトハ↠主シユト即チ難カタキガ↡。今ノ時ノ願ズルフ ↢往生ヲ↡者 ノハ、並ナラビニ是 レ一切投トウズル↠化ヲニ衆生ナリ。豈アニ非ズヤ↠易キニ也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(c)(ロ)顕願力

^ただよく上かみ一いち形ぎょうを尽つくし下しも十じゅう念ねんに至いたるまで、 仏ぶつの願力がんりきをもつてみな往ゆかざるはなし。 ゆゑに易いと名なづく。

~但能ク上 ミ尽シ↢一形ヲ↡下シモ至ルマデ↢十念ニ↡、以テ↢仏ノ願力ヲ↡莫ナシ↠不ルハト云コト↢皆 ナ往ユカ↡。故ニ名ク↠易イト也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (五)(Ⅲ)結成

^これすなはち言ごんをもつて義ぎを定さだむべからず。 取とりて信しんずるもの、 疑うたがいを懐いだけばなり。 かならず聖教しょうぎょうを引ひきて来きたし明あかし、 これを聞きくものをしてまさによく惑まどひを遣やらしめんと欲ほっす。

~斯コレ乃チ不ズ↠可カラ↢以テ↠言コトバヲ定サダム↟義ヲ。†取リテ信ズル之者 ノノ、懐イダケバナリク   ↠疑 ヒヲ。要ズ引ヒキテ↢聖教ヲ↡*来キタシ明シラム、欲ス↠使シメムト↢†聞ク↠之ヲ者ヲシテ方マサニ能ク遣ヤブラ↟惑マヨヒヲ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)【二乗種不生】
            (Ⅰ)牒標

【24】^第六だいろくに▲↑二に乗じょう種しゅ不ふ生しょうの義ぎを会え通つうすとは、

~▼第六ニ会↢通スト二乗種不生ノ義ヲ↡者ハ、

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)立義
                (a)明報仏報土
                  (イ)正明報義
                    [一]問

^▲*問とひていはく、 弥陀みだの浄じょう国こくははたこれ*報ほうなりやこれ*化けなりや。

~問ヒテ曰ク、弥陀ミダノ浄国ハ為当 ハタ 是 レ報ナリヤトヤセム是 レ化ナリトセム也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二]答
                      [Ⅰ]直答【是報非化】

^◆答こたへていはく、 これ報ほうにして化けにあらず。

~答ヘテ曰ク、是 レ報ニシテ非ズ↠化ニ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ]引証
                        [ⅰ]同性経

^◆いかんが知しることを得うる。 ¬*大だい乗じょう同どう性しょう経きょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。 「▲西方さいほう安楽あんらくの阿あ弥陀みだ仏ぶつはこれ報仏ほうぶつ・報ほう土どなり」 と。

~云何ガ得ル↠知ルコトヲ。如シ↢¬大乗同性経ニ¼説キタマフガ↡。「西方安楽ノ阿弥陀仏ハ是報仏報土ナリト↡。」

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]大経
                          [a]正引

^◆また ¬*無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上・意) にのたまはく、 「▼*法蔵ほうぞう比丘びく、 *世せ饒にょう王おう仏ぶつの所みもとにましまして菩ぼ薩さつの道どうを行ぎょうじたまひし時とき、 四し十じゅう八はち願がんを発おこしたまへり。 *一々いちいちの願がんにのたまはく、 ª▲もしわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを称しょうしてわが国くにに生しょうぜんと願がんぜんに、 下しも十じゅう念ねんに至いたるまで、 もし生しょうぜずは、 正しょう覚がくを取とらじº」 と。

~又¬無量寿経ニ¼云ク、「法蔵比丘在シテ↢世饒王仏ノ所ミモトニ↡行ジタマヒシ↢菩薩ノ道ヲ↡時、発シタマヘリキ   ↢四十八願ヲ↡。▼†一一ノ願ニ言ク、▼若シ我 レ得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生称シテ↢我ガ名号ヲ↡願ゼムニジテ ↠生ゼムトレムト↢我ガ国ニ↡、下至ルマデリテ↢十念ニ↡、若シ不ズハ↠生ゼレ者ハ不ジト云ヘリ↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]釈成

^◆いますでに成じょう仏ぶつしたまへり。 すなはちこれ*酬しゅう因いんの身しんなり。

~◆今既スデニ†成仏シタマヘリ。▼即チ是 レ酬因シユイン之ノ身也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ]観経
                          [a]正引

^◆また ¬観かん経ぎょう¼ (意) のなかの*上じょう輩はいの三人さんにん、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 みな 「▲阿あ弥陀みだ仏ぶつおよ0453び化け仏ぶつと↓与ともにこの人ひとを来迎らいこうす」 とのたまへり。

~又¬観経ノ¼中ノ上輩ノ三人、臨ノゾミテ↢命終ノ時ニ↡、皆言ヘリフ ↧「阿弥陀仏及ビ†与ニ↢化仏ト↡来↦迎ストシ玉ヘリト此ノ人ヲ↥。」

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]釈成
                            イ正釈成

^◆しかるに報ほう身じん0327、 化けを兼かねてともに来きたりて手みてを授さずく。 ゆゑに名なづけて 「↑与よ」 となす。 この文もんをもつて証しょうす。 ゆゑに知しりぬ、 これ報ほうなり。

~然ルニ▼報身兼カネテ↠化ヲ共トモニ来キタリテ授サヅク↠手ヲ。故ニ名ケテ為ス↠与ヨト。以テ↢此ノ文ヲ↡証ス。故ニ知リヌ、是 レ報ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]ロ遮伏疑
                              ª一º釈報応名
                                ªⅠº名異

^◆しかるに*報ほう・応おうの二に身しんは*眼目げんもくの異い名みょうなり。 *前さきには 「報ほう」 を翻ほんじて応おうとなし、 後のちには 「応おう」 を翻ほんじて報ほうとなす。

~然ルニ報・応ノ二身者ハ眼目之ノ異イ名ミヤウナリ。前サキニハ翻ヒルガヘジテシテ↠報ヲ作ナシ↠応ト、後ニハ翻ヒルガヘジテシテ↠応ヲ作ス↠報ト。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]ロª一ºªⅡº義同

^◆おほよそ報ほうといふは*因いん行ぎょう虚むなしからず、 さだめて来らい果かを招まねく。 果かをもつて因いんに応おうず、 ゆゑに名なづけて報ほうとなす。 また*三さん大僧だいそう祇ぎの所修しょしゅの万まん行ぎょう、 必ひつ定じょうして応おうじて菩ぼ提だいを得う。 いますでに道どう成じょうぜり、 すなはちこれ応身おうじんなり。

~凡ソ言イフ↠報ト者ハ因イン行不ズシテ↠虚ムナシカラ、定メテ招マネク↢来果ヲ↡。†以テ↠果ヲ応ズ↠因ニ、故ニ名ケテ為ス↠報ト。又三大僧ソウ祇ギノ所修シヨシユノ万0675行、必ヒチ定シテ†応ジテ得↢菩提ヲ↡。今既スデニ道成ゼリズ 、即チ是 レ応身ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]ロª二º定三身体

^◆これすなはち*過か・現げんの諸仏しょぶつに三身さんしんを弁べん立りゅうす。 これを除のぞきて以外いげさらに別べつの体たいなし。 たとひ*無む窮ぐうの八相はっそう・名みょう号ごう*塵沙じんじゃなるも、 体たいを剋こくして論ろんずれば、 すべて化けに帰きして摂せっす。

~斯コレ乃チ過クワ・現ノ諸仏ニ弁ベン↢立リウスルナリ三身ヲ↡。除ノゾキテ↠斯コレヲ已外ニ更ニ無シ↢別ノ体タイ↡。縦使 タトヒ 無ム窮グウノ八相・名号塵沙ジンジヤナルモナレドモ、剋コクシテ↠体タイヲ而論ロンズレバ、衆コトゴトテク帰クヰシテ↠化ニ摂セフス。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]ハ結所立

^◆いまかの弥陀みだは現げんにこれ報ほうなり。

~今彼ノ弥陀ハ現ニ是 レ報也ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)会釈違文
                    [一]問

 ^◆問とひていはく、 すでに報ほうといはば、 報身ほうじんは常住じょうじゅうにして永ながく生しょう滅めつなし。 なんがゆゑぞ、 ¬*観音かんのん授じゅ記き経きょう¼ (意) に、 「▲阿あ弥み陀だ仏ぶつまた*入にゅう涅ね槃はんの時ときあり」 と説ときたまふ。 この一いち義ぎいかんが通つう釈しゃくせん。

~問ヒテ曰ク、既ニ言ハバフ ↠報ト者ハ、報身ハ常住ニシテ永ナガク無シ↢生滅↡。何ナンガ故ゾ¬観音授記経ニ¼説キタマフクニ  ↣「阿弥陀仏ニ亦マタ有リト↢入涅槃ネチハンノ時↡。、」此之一義若為 イカン ガ通ツウ釈シヤクセムヤ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]答
                      [Ⅰ]仰推仏境

^◆答こたへていはく、 入にゅう・不ふ入にゅうの義ぎはただこれ諸仏しょぶつの境きょう界がいなり。 なほ三さん乗じょう浅せん智ちの闚うかがふところにあらず、 あにいはんや*小しょう凡ぼんたやすくよく知しらんや。

~答ヘテ曰ク、入・不入ノ義ギ者ハ唯タダ是 レ諸仏ノ境界ナリ。尚ナホシ非ズ↢三乗ノ浅智ノ所 ロニ↟闚ウカガフ、豈アニ況イハムヤ小凡輒タヤスク能ク知ラムヤ也。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]引証答釈
                        [ⅰ]標証

^◆しかりといへども、 かならず知しらんと欲ほっせば、 あへて仏ぶっ経きょうを引ひきてもつて明証みょうしょうとなさん。

~雖モ↠然リト必ズ欲セバハ ↠知シラムト者バ、敢アヘテ引ヒキテ↢仏経ヲ↡以テ為サムム ↢明証ト↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]正引
                          [a]明如化
                            イ明諸法如化

^◆なんとなれば、 ¬大品だいぼん経ぎょう¼ の 「*涅ね槃はん非化ひけ品ぼん」 (意) の0328なかに説ときてのたまふがごとし。

~†何トナレバ者如シ↢▼¬大品経ノ¼「涅槃非化品ノ」中ニ説トキテ云フガ↡。

^「◆仏ぶつ、 *須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 ªなんぢが意こころにおいていかん。 もし*化け人にんありて化け人にんをなす、 この化けすこぶる実じつ事じにして、 空くうならざるものありやいなやº と。

~「仏告ゲタマハク↢須シユ菩提ニ↡、於オイテ↢汝 ヂガ意ココロニ↡云何 イカン ゾ。若シ有リテ↢化人↡作ナス↢化人ヲ↡、是ノ化頗スコブル†有リヤ↢実事ニシテ不ル↠空ナラ者↡不ヤト。

^◆須しゅ菩ぼ提だいまうさく、 ªいななり、 世せ尊そんº と。

~須菩提ノ言ク、不イナ也ヤ、世尊ト。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 ª*色しきすなはちこれ化けなり。 *受じゅ・想そう・行ぎょう・識しきすなはちこれ化けなり。 乃ない至し*一切いっさい種しゅ智ちすなはちこれ化けなりº と。

~仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、色シキ即チ是 レ化ナリ。受ジユ・想・行・識モ即チ是化ナリ。乃至一切種智即チ是 レ化ナリト。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a]ロ約出世間明

^◆須しゅ菩ぼ提だい、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 もし世せ間けんの法ほうこれ化けなり、 出しゅっ世せ間けんの法ほうもまたこれ化けならば、 いはゆる四し念処ねんじょ・四し正しょう勤ごん・四し如にょ意い足そく・五ご根こん・五ご力りき・七しち覚分かくぶん・八はっ聖しょう道どう分ぶん0454・三さん解げ脱だつ門もん・仏ぶつの十じゅう力りき・四し無む所しょ畏い・四無しむ礙智げち・十じゅう八はち不共ふぐ法ほう、 ならびに諸法しょほうの果かおよび賢げん聖じょう人にん、 いはゆる須しゅ陀だ洹おん・斯陀しだ含ごん・阿那あな含ごん・阿羅あら漢かん・辟びゃく支し仏ぶつ・菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつ・諸仏しょぶつ世せ尊そん、 この法ほうまたこれ化けなりやいなやº と。

~須菩提白シテ↠仏ニ言ク、世尊、若シ世間ノ法是 レ化ナリナラバ、出世間ノ法モ亦マタ是 レ化ナラバナリト、、所謂 イハユ ル四念処ジヨ・四正勤ゴム・四如意イ足ソク・五根コン・五力・七覚分カクブン・八聖道分ブン・三解脱門・仏ノ十*力・四無所畏ヰ・四無礙ゲ智・十八不共フグ法、并ナラビニ諸法ノ果クワ及ビ賢聖人、所謂 イハユ ル須陀洹オム・斯シ陀含ゴン・阿那含・阿羅漢・辟支仏・菩薩摩訶薩・諸仏世尊、是ノ法亦マタ是 レ化ナリヤ不イナヤト。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 ª一切いっさいの法ほうみなこれ化けなり。 この法ほうのなかにおいて声しょう聞もん法ぼうの*変へん化げあり、 辟びゃく支し仏法ぶっぽうの変へん化げあり、 菩ぼ薩さつ法ほうの変へん化げあり、 諸しょ仏法ぶっぽうの変へん化げあり、 煩悩ぼんのう法ほうの変へん化げあり、 業ごう因縁いんねん法ほうの変へん化げあり。 この因縁いんねんをもつてのゆゑに、 須しゅ菩ぼ提だい、 一切いっさいの法ほうはみなこれ化けなりº と。

~仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、一切ノ法ハ皆是 レ化ナリ。於テ↢是ノ法ノ中ニ↡有リ↢声聞法ノ変ヘン化↡、有リ↢辟支仏0676法ノ変化↡、有リ↢菩薩法ノ変化↡、有リ↢諸仏法ノ変化↡。有リ↢煩悩法ノ変化↡、有リ↢業ゴフ因イン*縁エンノ法ノ変化↡。以テノ↢是ノ因縁ヲ↡故ニ、須菩提、一切ノ法ハ皆是 レ化ナリト。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a]ハ約無為法明

^◆須しゅ菩ぼ提だい、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 このもろもろの*煩悩ぼんのう断だんの、 いはゆる須しゅ陀だ洹おん果か・斯陀しだ含ごん果か・阿那あな含ごん果か・阿羅あら漢かん果か、 辟びゃく支し仏道ぶつどうの、 もろもろの煩ぼん0329悩のうの*習じゅうを断だんぜるも、 みなこれ変へん化げなりやいなやº と。

~須菩提白シテ↠仏ニ言ク、世尊、是ノ諸ノ煩悩断ダンノ、所謂 イハユ ル須陀洹オン果クワ・斯シ陀含ゴム果クワ・阿那含果・阿羅漢果、辟支仏道ノ断ダンゼルモ↢諸ノ煩悩ノト習ジフヲト↡、皆是 レ変化ナリヤ不イナヤト。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 ªもし法ほうの生しょう滅めつの相そうあるは、 みなこれ変へん化げなりº と。

~仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、若シ有ル↢法ノ生滅ノ相↡者ハ、皆是 レ変化ナリト。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]示非化

^◆須しゅ菩ぼ提だいまうさく、 ª世せ尊そん、 なんらの法ほうか変へん化げにあらざるº と。

~須菩提ノ言ク、世尊、何ナン等ラノ法カ非ザルト↢変化ニ↡。

^◆仏ぶつのたまはく、 ªもし法ほうの無む生しょう無む滅めつなる、 これ変へん化げにあらずº と。

~仏ノ言ク、若シ法ノ無生無滅ナル、是 レ非ズト↢変化ニ↡。

^◆須しゅ菩ぼ提だいまうさく、 ªなんらかこれ不ふ生しょう不ふ滅めつにして変へん化げにあらざるº と。

~須菩提ノ言ク、何ナン等ラカ是 レ不フ生不滅ニシテ非ザルト↢変化ニ↡。

^◆仏ぶつのたまはく、 ª*誑相おうそうなき涅ね槃はん、 この法ほうのみ変へん化げにあらずº と。

~仏ノ言ク、無ナキ↢誑ワウクルウ相サウ↡涅槃ネチハンナリ、是ノ法ノミ非ズト↢変化ニ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][c]弁異説

^◆ª世せ尊そん、 仏ぶつのみづから説ときたまふがごときは、 諸法しょほうは平びょう等どうにして声しょう聞もんの作さにあらず、 辟びゃく支し仏ぶつの作さにあらず、 諸しょ菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつの作さにあらず、 諸仏しょぶつの作さにあらず。 有う仏ぶつ無む仏ぶつ、 諸法しょほうの*性しょうはつねに空くうなり。 性しょう空くうすなはちこれ涅ね槃はんなり。 いかんが涅ね槃はんの一法いっぽうのみ化けのごとくにあらざるº と。

~世尊、如キハ↢仏ノ自ラ説キタマフガ↡、諸法ハ平等ニシテ非ズ↢声聞ノ作サニ↡、非ズ↢辟支仏ノ作サニ↡、非ズ↢諸菩薩摩訶薩ノ作ニ↡、非ズ↢諸仏ノ作ニ↡。有仏無仏、諸法ノ性ハ常ニ空ナリ。性空ハ即チ是 レ涅槃ナリ。云何ガゾ涅槃ノ一法ノミ非アラザルトヤ↠如ゴトクニハ↠化ノ。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 ªかくのごとしかくのごとし。 諸法しょほうは平びょう等どうにして声しょう聞もんの所しょ作さにあらず。 乃ない至し性しょう空くうすなはちこれ涅ね槃はんなり。 もし*新発しんぽっ意ちの菩ぼ薩さつ、 この一切いっさいの法ほうはみな畢ひっ竟きょうじて性しょう空くうなり、 乃ない至し涅ね槃はんもまたみな化けのごとしと聞きかば、 心しんすなはち驚きょう怖ふ0455せん。 この新発しんぽっ意ちの菩ぼ薩さつのために、 ことさらに生しょう滅めつのものは化けのごとく、 不ふ生しょう不ふ滅めつのものは化けのごとくにはあらずと分別ふんべつするなりº」 と。

~仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、如シ↠是クノ如シ↠是クノ。諸法ハ平等ニシテ非ズ↢声聞ノ所シヨ作サニ↡。乃至性空即チ是 レ涅槃ナリ。若シ新シン発ポチ意イノ菩薩†聞カバ↢是ノ一切ノ法ハ皆 ナ畢竟ジテ性空ナリ、乃至涅槃モ亦皆 ナ如ゴトシト↟化ノ者、心則チ驚キヤウオドロキ怖フオソルセムシナム。 †為ニ↢是ノ新シン発意イノ菩薩ノ↡、故ラニ†分↢別スルナリト生滅ノ者ハ如ク↠化ノ、不生不滅ノ者ハ不ズト↟如クニハ↠化ノ耶。」

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ]結顕

^◆いますでにこの聖教しょうぎょうをもつてあきらかに知しりぬ、 弥陀みだはさだめてこれ報ほうなることを。 たとひ後のちに涅ね槃はんに入い0330るとも、 その義ぎ妨さまたげなし。 もろもろの*有智うちのもの知しるべし。

~今イマ既スデニ以テ↢斯コノ聖教ヲ↡験アキラカニ知リヌ、弥陀ハ定メテ是 レ報ナルコトヲナリト云 也ナリ。縦使 タトヒ 後ノチニ入ルトモ↢涅槃ニ↡、其ノ義無シ↠妨サマタゲ。諸ノ有智ノ者 ノ応ベシ↠知ルリヌ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(b)明凡夫往生
                  (イ)問

【25】^▼問とひていはく、 かの仏ぶつおよび土どすでに報ほうといはば、 *報法ほうほうは高こう妙みょうにして、 小聖しょうしょうすら階かなひがたし。 垢く障しょうの凡ぼん夫ぶいかんが入いることを得えん。

~問ヒテ曰ク、彼ノ仏及ビ土ド既スデニ言イハバフ ↠報ト者ハ、報法ハ高妙ニシテ、小聖スラハ 難ガタシ↠階カナヒ。垢ク障シヤウノ凡夫云何ガゾ得エム↠入イルコトヲ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)答

^▼答こたへていはく、 もし衆しゅ生じょうの垢く障しょうを論ろんぜば、 実じつに欣趣ごんしゅしがたし。 ▼まさしく仏願ぶつがんに託たくしてもつて強縁ごうえんとなすによりて、 五ご乗じょうをして斉ひとしく入いらしむることを致いたす。

~答ヘテ曰ク、若シ論ロンゼバズレバ↢衆生0677ノ垢障ヲ↡、実ニ難ガタシ↢欣趣ゴムシユシ↡。▼正シク†由ヨリテ↧託タクシテ↢仏願ニ↡以テ作スニ↦強縁ト↥、致イタス↠使シムルコトヲ↢五乗ヲシテ斉ヒトシク入イラ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)釈難
                (a)問

 ^問とひていはく、 もし凡ぼん夫ぶ・小聖しょうしょう生しょうずることを得うといはば、 なんがゆゑぞ、 天親てんじんの ¬*浄じょう土ど論ろん¼ に、 「▲*女人にょにんおよび根欠こんけつ、 二に乗じょうの↓種しゅ生しょうぜず」 といへる。 いまかの国くにのなかに現げんに二に乗じょうあり。 かくのごとき*論ろん教きょう、 いかんが*消釈しょうしゃくせん。

~問ヒテ曰ク、若シ言ハバフ ↢凡夫・小聖得ウト↟生ズルコトヲ者ハ、何ナンガ故ゾ天親ノ¬浄土論ニ¼、†云ヘル↢「女人ト及ビ根コン欠クヱチ、二乗ノ種不ト↟生ゼ。」今彼ノ国ノ中ニ現ニ有リ↢二乗↡。如キノ↠斯カクノ論教、若為 イカン ガゾ消セウ釈シヤクセム。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)答
                  (イ)正会論文不生
                    [一]明二乗不生
                      [Ⅰ]呵問標証
                        [ⅰ]呵問

^答こたへていはく、 なんぢただその文もんを誦じゅして理りを闚うかがはず、 いはんや加くわふるに*封拙ふうせつ懐え迷めいをもつてすれば、 *啓けい悟ごするに由よしなし。

~答ヘテ曰ク、子ナンヂ但タダ誦ジユシテ↢其ノ文ヲ↡不ズ↠闚ウカガハ↠理ヲ、況イハンヤ加フルニスルニ†以テスレバ↢封拙懐迷ヲ↡、無シ↠由ヨシ↢啓ケイ悟ゴスルニサトリテ ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅰ][ⅱ]標証

^いま仏ぶっ教きょうを引ひきてもつて明証みょうしょうとなして、 なんぢが疑ぎ情じょうを却しりぞけん。 なんとなれば、 すなはち ¬観かん経ぎょう¼ の下げ輩はいの三人さんにんこれなり。

~今引ヒキテ↢仏教ヲ↡以テ為シテ↢明証ト↡、却サケム↢汝ナンヂガ疑ギ情ジヤウヲ↡。†何トナレバ者即チ¬観経ノ¼下輩ノ三人是 レ也ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ]引証料簡
                        [ⅰ]引証直答

^↓なにをもつてか知しることを得うる。 下げ品ぼん上生じょうしょうにのたまふがごとし。 「▲あるいは衆しゅ生じょうありて、 多おおく悪法あくほうを造つくりて慚ざん愧ぎあることなし。 かくのごとき愚ぐ人にん◆命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 善ぜん知ぢ識しきの、 ために大だい乗じょうを説とき、 教おしへて阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょうせしむるに遇あふ。

~何ナニヲ以モテカ得ル↠知ルコトヲ。如シキ↢下品上生ニ云フガ↡。、「或イハ有リテ↢衆生↡、多ク造リテ↢悪法ヲ↡無シ↠有ルコト↢慚愧↡。如キノ↠此クノ愚人†命欲スル↠終ラムト時、遇アフハム↧善知識ノ、為ニ説トキ↢大乗ヲ↡、教ヘテ令ムルニ↞称セ↢阿弥陀仏ヲ↡。

^◆仏ぶつを称しょうする時ときに当あたりて化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつ現げんじてその前まえにまします。 金光こんこう・*華け蓋がい迎むか0331へてかの土どに還かえる。 ▲華け開かい以後いご、 観音かんのん、 ↓ために大だい乗じょうを説ときたまふ。 ◆この人ひと聞ききをはりてすなはち無む上じょう道どう↓心しんを発おこす」 (観経・意) と。

~当アタリテ↢称スル↠仏ヲ時ニ↡化仏・菩薩現ジテ在マシマスシテ↢其ノ前 ヘニ↡。、金光・華蓋クヱダイ迎ムカヘテ還カヘル↢彼ノ土ニ↡。華開†已後、観音、為ニ説†キタマフ↢大乗ヲ↡。此ノ人聞キキ已リテ即チ発スト↢無上道心ヲ↡。」

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]料簡義意
                          [a]問

 ^問とひていはく、 ↑種しゅと↑心しんとなんの差別しゃべつかある。

~問ヒテ曰ク、種シユト之与ト↠心有アルヤ↢何 レ ノ差シヤ別カ↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]答
                            イ総答

^答こたへていはく、 ただ便べんを取とりていふのみ、 義ぎは差別しゃべつなし。

~答ヘテ*曰ク、†但以 タダ 取リテ↠便タヨリヲ而言フノミ、義ハ無シ↢差別↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]ロ別釈
                              ª一º約上品明

^華はな開ひらくる時ときに当あたりて、 この人ひと身しん器き清浄しょうじょうにして、 まさしく法ほうを聞きくに堪たへたり。 また*大だい小しょうを*簡えらばず、 ただ聞きくことを得うればすなはち信しんを生しょうず。

~当アタリテ↢華開クル之時ニ↡、此ノ人身器キ清浄ニシテ、正シク堪タヘタリ↠聞キクニ↠法ヲ。亦不ズ↠簡バ↢大小ヲ↡、†但使得レバ↠聞キクコトヲ即便チ生ズ↠信ヲ。

^ここをもつて観音かんのん、 ために小しょうを説とかず、 先ま0456づ↑ために大だいを説ときたまふ。 大だいを聞ききて歓かん喜ぎしてすなはち無む上じょう道心どうしんを発おこす。 すなはち大だい乗じょうの種しゅ生しょうずと名なづけ、 また大だい乗じょうの心しん生しょうずと名なづく。

~是ヲ以テ観音不ズシテ↢為ニ説トカ↟小セウヲ、先ヅ為ニ説キタマフニ↠大ヲ。聞キテ↠大ヲ歓喜シテ即チ発ス↢無上道心ヲ↡。即チ名ケ↢大乗ノ種生ズト↡、亦名ク↢大乗ノ心生ズト↡。

^また華はな開ひらくる時ときに当あたりて、 観音かんのん、 先まづために小乗しょうじょうを説ときたまはば、 小しょうを聞ききて信しんを生しょうぜん。 すなはち二に乗じょうの種しゅ生しょうずと名なづけ、 また二に乗じょうの心しん生しょうずと名なづけん。

~又当リテ↢華ノ開クル時ニ↡、観音先ヅ為ニ説キタマハバキ下ヘ  ↢小乗ヲ↡者バ、聞キテ↠小ヲ生ゼムズルヲ↠信ヲ。、即チ名ケ↢二乗ノ種生ズト↡、亦名ケムク ↢二乗ノ心生ズト↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]ロª二º例下二品

^この品ほん (下品上生) すでにしかなり、 *下しもの二にもまたしかなり。

~此ノ品既スデニ爾ナリリ 、下シモノ二モツ亦然シカナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]ロª三º結成道理

^この三品さんぼんの人ひとはともにかしこにありて発心ほっしんす。 まさしく大だいを聞きくによりてすなはち大だい乗じょうの種しゅ生しょうず。 小しょうを聞きかざるによるがゆゑに、 ゆゑに二に乗じょうの種しゅ生しょうぜず。

~此ノ三品ノ人ハ*倶トモニ在アリテ↠彼 コニ発心スシテ。、正シク由ヨリテ↠聞クニ↠大ヲ即チ大乗ノ種生ズ。由ヨルガ↠不ザルニ↠聞カ↠小ヲ故ニ、所以ニ二乗ノ種不ズ↠生0678ゼ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]ハ結示

^おほよそ種しゅといふはすなはちこれその心しんなり。

~凡ソ言イフ↠種ト者ハ即チ是 レ其ノ心也ナリ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅲ]総結不生

^上じょう来らい二に乗じょう種しゅ不ふ生しょうの義ぎを解げしをはりぬ。

~上来ニ解ゲシ↢二乗種不生ノ義ヲ↡竟リヌ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二]例女人根欠

^女人にょにんおよび根欠こんけつの義ぎはかしこになきがゆゑに、 知しるべし。

~女人及ビ根欠クヱチノ義者ハ彼カシコニ無ナキガ故ニ、可ベシ↠知ルリヌ。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)就小機往生会

^↓また十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 小乗しょうじょうの戒かい行ぎょうを修しゅして往おう生じょうを願がんずるもの、 一ひとりも*妨ぼう礙げなくこ0332とごとく往おう生じょうを得う。 ただかしこに到いたりて先まづ*小しょう果かを証しょうす。 証しょうしをはりてすなはち転てんじて*大だいに向むかふ。 一ひとたび転てんじて大だいに向むかひて以去いこ、 さらに退たいして二に乗じょうの心しんを生しょうぜず。 ゆゑに二に乗じょう種しゅ不ふ生しょうと名なづく。

~又十方ノ衆生修シテ↢小乗ノ戒行ヲ↡†願ズル↢往生ヲ↡者 ノ、一ヒトリモ無ナク↢妨バウ礙ゲ↡悉コトゴトク得ウ↢往生ヲ↡。但到イタリテ↠彼 コニ先ヅ証スシ↢小果ヲ↡。、証シ已 ハリテ即チ転テンジテ向ムカフ↠大ニ。一タビ転ジテ向ムカヒテ↠大ニ以去イコ、更ニ†不↣退タイシテ生ゼ↢二乗之ノ心ヲ↡。故ニ名ク↢二乗種不生ト↡。

二 Ⅱ ⅵ b ロ (六)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)結成二義差別

^↑*前さきの解げは不ふ定じょうの始はじめに就つき、 ↑*後のちの解げは小しょう果かの終おわりに就つく、 知しるべし。

~前サキノ解ゲハ就ツキ↢不フ定之ノ始ハジメニ↡、後ノチノ解ゲハ就ツク↢小果之ノ終オハリニ↡也ナリ、応ベシ↠知シル。

二 Ⅱ ⅶ【得益門】
      a 牒標

【26】^第七だいしちに↑韋い提だい、 仏ぶつの正しょう説せつを聞ききて*益やくを得うる分斉ぶんざいを料りょう簡けんすとは、

▲第七ニ料レウ↧簡スト韋提聞キテ↢仏ノ正説ヲ↡†得ル↠益ヲ分斉ブンザイヲ↥†者、

二 Ⅱ ⅶ b 正釈
        イ 定得処
          (一)問

^問とひていはく、 韋い提だいすでに*忍にんを得うといふ。 いぶかし、 いづれの時ときにか忍にんを得えたる、 出いでていづれの文もんにかある。

~問ヒテ曰ク、韋提既スデニ言フヘリ↠得タリト↠忍ヲ。未審イブカシ、何イヅレノ時ニカ得タル↠忍ヲ、出デテ在ルヤ↢何 レノ文ニカ↡。

二 Ⅱ ⅶ b イ (二)答
            (Ⅰ)正答
              (ⅰ)直答

^答こたへていはく、 韋い提だいの得忍とくにんは、 出いでて*第七だいしち観かんの初はじめにあり。

~答ヘテ曰ク、韋提ノ得忍ハ、出デテ在リ↢第七観ノ初ハジメニ↡。

二 Ⅱ ⅶ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)出文

^¬経きょう¼ (観経・意) にのたまはく、 「▲仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ª仏ぶつまさになんぢがために苦く悩のうを除のぞく法ほうを分別ふんべつし解げ説せつすべしº と。 ▲この語ごを説ときたまふ時とき、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつ空くう中ちゅうに住立じゅうりゅうしたまふ。 観音かんのん・勢せい至し左右さうに侍じ立りゅうしたまへり。 ▲時ときに韋い提だい、 時ときに応おうじて見みたてまつることを得えて、 接足せっそく作さ礼らいし◆歓かん喜ぎ讃歎さんだんしてすなはち無む生しょう法忍ぼうにんを得う」 と。

~¬経ニ¼云ク、「仏告ゲタマハク↢韋提ニ↡、仏当ベ ニシト↫為ニ↠汝 ヂガ分↩別シ解↪説ス除ノゾク↢苦悩ヲ↡法ヲ↨。説キタマフ↢是ノ語ヲ↡時、無ム量寿仏住ヂユ↢立シタマフ玉ヘリ空ノ中ニ↡。観音・勢至侍ジ↢立リウシタマヘリセリ   左右ニ↡。時ニ韋ヰ提応オウジテ↠時ニ得エテ↠見タテマツルコトヲ、接足セウソク作礼シ歓喜讃歎シテ即チ得ウト云ヘリ↢無生法忍ヲ↡。」

二 Ⅱ ⅶ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)証定

^なにをもつてか知しることを得うる。 下しもの*利り益やく分ぶんのなかに説ときてのたまふがごとし。 「▲仏身ぶっしんおよび二菩ぼ薩さつ (観音・勢至) を見みたてまつることを得えて、 心しんに歓かん喜ぎを生しょうじ、 未曽有みぞうなりと歎たんず。 廓然かくねんとして大だい悟ごして無む生しょう忍にんを得う」 (観経) と。

~何ナニヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。如シ↢下シモノ利益分ノ中ニ説キテ言フガ↡。「得テ↠見タテマツルコトヲ↢仏身及ビ二菩薩ヲ↡、心ニ生ジテ↢歓喜ヲ↡、歎ズジテ↢未ミ曽ゾウ有ウナリト↡。、廓クワク然ネムトシテ†大悟シテ得ウト↢無生忍ヲ↡。」

二 Ⅱ ⅶ b イ (二)(Ⅱ) 簡非

^これ▲光こう0457台だいのなかに国くにを見みし時とき得えたるにはあらず。

~非ズ↢是 レ光台ダイノ中ニ見ミシ↠国ヲ時ニ得タルニハルニ  ↡也。

二 Ⅱ ⅶ b ロ 会余文
          (一)問

 ^0333問とひていはく、 上かみの文もんのなかに説ときてのたまはく (観経)、 「▲かの国こく土どの極妙ごくみょうの楽らく事じを見みれば、 心しん歓かん喜ぎするがゆゑに、 時ときに応おうじてすなはち無む生しょう法忍ぼうにんを得う」 と。 この一義ぎいかんが通釈つうしゃくせん。

~問ヒテ曰ク、上ノ文ノ中ニ説キテ言ク、「見レバテ ↢彼ノ国土ノ極妙ノ楽事ジヲ↡心歓喜スルガ故ニ、応オウジテ↠時ニ即チ得ト↢無生法忍ヲ↡。」此コ之ノ一義云何 イカン ガ通釈セム。

二 Ⅱ ⅶ b ロ (二)答
            (Ⅰ)総答

^答こたへていはく、 かくのごとき義ぎは、 ただこれ世せ尊そん、 ▲前さきの別請べっしょうに酬むくいて、 利り益やくを挙こ勧かんしたまへる方便ほうべんの由ゆ序じょなり。

~答ヘテ曰ク、†如キ↠此クノ義者、但タダ是 レ世尊†酬ムクヒテ↢前サキノ別ベチ請シヤウニ↡、†挙↢勧シタマヘル利益ヲ↡▼方便之ノ由ユ序ジヨナリ。

二 Ⅱ ⅶ b ロ (二)(Ⅱ)別釈

^なにをもつてか知しることを得うる。 次下つぎしもの文もんのなかに説ときてのたまはく (観経)、 「▲諸仏しょぶつ如来にょらいに異いの方便ほうべんましまして、 なんぢをして見みることを得えしめたまふ」 と。

~何ナニヲ以テカ得ル↠知ルコトヲ。次下シモ0679ノ文ノ中ニ説キテ言ク、「諸仏如来ニハ有マシマシテ↢異ノ方便↡、令シメタマフト↢汝ナンヂヲシテ得エセ↟見ルコトヲ。」

^次下つぎしもの日想にっそう・水想すいそう・氷ひょう想そうよりすなはち十じゅう三観さんがんに至いたるこのかたをことごとく異いの方便ほうべんと名なづく。 衆しゅ生じょうをしてこの*観門かんもんにおいて一々いちいちに成じょうずることを得えて、 かの妙みょう事じを見みて心しん歓かん喜ぎするがゆゑに、 すなはち*無む生しょうを得えしめんと欲ほっす。

~次下ノ▼日想・水想・氷ヘウ想†ヨリ乃チ至ル↢十三観ニ↡已来タヲ尽コトゴトク名ク↢異イノ方便ト↡也。欲ホス↠使シメムト↧衆生ヲシテ於テ↢此ノ観門ニ↡一一ニ得エテ↠成ズルコトヲ見テ↢彼ノ妙事ジヲ↡心ニ歓喜スルガ故ニ、即チ得エ↦無生ヲ↥。

二 Ⅱ ⅶ b ロ (二)(Ⅲ)結成

^これすなはちただこれ如来にょらい末代まつだいを慈じ哀あいして、 挙こ勧かんして修しゅすることを励はげまし、 積しゃく学がくのものをして遺のこりなく、 *聖しょう力りき冥みょうに加かして*現益げんやくあらしめんと欲ほっするがゆゑなり。

~斯コレ乃チ直ヂキニ是 レ如来慈ジ↢哀アイシテ末代マチダイヲ↡、挙コ勧クワンシテ励ハゲマシ↠修スルコトヲセムコトヲ、†欲スルガ↠令メムト↢積シヤク学ガク之者ヲシテ無ク↠遺リ、聖力冥ミヤウニ加カシテ現益アラ↡故也ユヘナリ。

二 Ⅲ【結証】

【27】^証しょうしていはく、 *掌たなごころに機糸きしを握にぎること*十じゅう有ゆう三さん結けつ、 条々じょうじょう理りに順じゅんじて、 もつて玄門げんもんに応おうじをはりぬ。 この義ぎ周おわりて▼三みたび前さきの証しょうを呈あらわすものなり。

▲証シテ*曰イハク、掌タナゴコロニ握ニギト ルコトルコト↢機キハタ絲シベキヲ↡十有イウ三結ケツ、条条デウデウトシテ順ジユンジテ↠理リニ、以テ応オウジ↢玄グヱン門ニ↡†訖リヌ。此ノ義†周ヲハリテ三ミタビ呈アラハス↢前サキノ証ヲ↡者矣。

 ^上じょう来らい七段しちだんの不ふ同どうありといへども、 総そうじてこれ*文もん前ぜんの玄げん義ぎなり。 経きょう論ろんの相そう違い妨難ぼうなんを料りょう簡けんするに、 一々いちいちに教きょうを引ひきて証明しょうみょうす。 信しんずるものをして疑うたがいなく、 求もとむる0334ものをして滞とどこおりなからしめんと欲ほっす、 知しるべし。

~上来雖モ↠有リト↢七段ダンノ不同↡、総ソウジテ是 レ文ノ前ノ玄グヱン義ギナリ。料レウ↢簡スルニシ  経論ノ相違ヰ妨難バウナンヲ↡、一一ニ引ヒキテ↠教ヲ証明ス。欲ホス↠使シメムト↢†信ズル者ヲシテ無ク↠疑 ヒ、†求ムル者ヲシテ無カラ↟滞トドコオリ、応ベシ↠知シル。

観かん経ぎょう玄げん義ぎ分ぶん 巻かん第一だいいち

 

延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。
道俗の時衆 現在、 道場に参集している出家・在家の人々。
無上心を発せ 無上心は菩ぼ提心だいしんのこと。 親鸞聖人はこれを自力の菩提心の意とし、 「無上の心を発せども」 (信文類訓) と読まれた。
金剛の志 菩ぼ提だい心しんのこと。 親鸞聖人は他力の菩提心の意とみなされた。 →金剛こんごう心しん
荘厳および変化 荘厳身 (報身) および変化身 (化身) の菩薩。
十地と三賢海 →十聖じっしょう、 三さん賢げん
時劫 (菩薩としての修行の) 時間。
功用と無功用 修行するうえで、 努力を要する者と、 要しない者。
証智と未証智 真如しんにょの理をさとった者と、 さとらない者。
相応 ここでは真如にかなうという意。
果徳涅槃のもの 仏果の徳である涅槃を得た者。
三仏菩提の尊 法身ほっしん・報ほう身じん・化け身しんの三身。 または弥陀・釈迦・諸仏を指す。
教の大小 ¬観経¼ が大乘教か小乗教か。
両垢の如々 有垢うく真如しんにょと無む垢く真如しんにょのこと。 煩悩によって覆おおわれている真如とそうでない真如。
寂用湛然 すぐれたはたらきが常に満ちあふれているという意。
浄体 清浄しょうじょうな真如の本体。
西化を隠し 釈尊はその本国であるところの西方無む勝しょう世界の教化をさしおいてという意。
塵労 煩悩ぼんのうの異名。 ここでは煩悩にけがれた衆生のこと。
慮りを… →息慮そくりょ凝ぎょう心しん
畢命を期となして 命が終る時を限りとして。
時劫 (菩薩としての修行の) 時間。
隠彰 隠顕おんけんに同じ。 文の表にあらわれた意 (彰) と、 文の裏にかくれた意 (隠)。 善導ぜんどう大師の隠顕 (隠彰) はともに真実の説意で、 親鸞聖人が 「化身土文類」 でいわれるような真仮 (真実・方便) を分別する意味ではない。
上の六観 日観にっかん・水観・地じ観かん・宝樹観・宝池観・宝楼ほうろう観かんを指す。
正依 正報と依報。 →依え正しょう二に報ほう
経・緯 たて糸とよこ糸。
理事相応 教 (事) と教に説かれた法義 (理) とがあい離れないこと。
無為の法楽 無為涅ね槃はんのさとりの楽しみ。
両会の正説 仏が王舎おうしゃ城じょう宮ぐで阿あ難なんと韋い提だい希けのために説法した王おう宮ぐ会えと、 阿難が耆ぎ闍崛山しゃくっせんの大衆のために王宮会での仏の説法を再説した耆ぎ闍しゃ会え。
体 ここでは観仏三昧および念仏三昧の体 (本質) という意。
二教 漸ぜん教ぎょうと頓とん教ぎょう。
王宮 王舎おうしゃ城じょうの宮殿。
能為 教化を行った人。
所為 教化を受けた人。
散善の… →自じ開かい散善さんぜん
朽林碩石… 雨を得ても朽くちた林は芽を出すことがなく、 大きな石は中まで潤うことがないという意。
通 一般的な諸仏の国土。
別 特別な阿弥陀仏の国土。
去行 仏国土に生れるための行。
別行 阿弥陀仏の浄土に往生するための特別な行。
縁慮 観ずる対象をとらえようと思いはかる心。
了々分明 はっきりとあきらかな。
諸師は… 諸師とは浄じょう影よう寺じ慧え遠おん、 天台てんだい大師智顗ちぎ、 嘉祥かじょう大師吉蔵きちぞう等であるが、 ここではおもに慧遠の ¬観経義疏¼ に見える説を指す。
散善縁 序分じょぶんの散善さんぜん顕行けんぎょう縁えん。
道理を… 筋道を立てて論破する。
返対して… 経の文をあげて論破する。
別時の意 →別べつ時意じい
二乗種不生 天親てんじん菩薩の ¬浄土論¼ に出る語。 元来は声しょう聞もん・縁覚えんがくの二乗の種 (種類) は浄土に往生しないという意。 善導ぜんどう大師はこれを往生人には二乗の心が生じないという意とされた。
諸師の解 具体的には浄影じょうよう寺じ慧え遠おん (523-592) の ¬観経義疏¼ の説を指す。
四地・七地 →十じゅう地じ
種性 ここでは菩ぼ薩さつの五十二位のうちの十住じゅうじゅうの位のこと。 →種しゅ性しょう
大乗始学の凡夫 十信じっしん位いの凡夫。 浄じょう影よう寺じ慧え遠おん (523-529) は十住以上を菩薩、 十信以下を凡夫とする。 →菩ぼ薩さつ
分段の苦 六道に輪りん廻ねする凡ぼん夫ぶが受ける苦しみ。
人法… 人空にんくう・法空ほうくうの二つをともにさとるという意。
転変無方 自由自在にすがたを変えて現れるという意。
経に説きたまふがごとく… 引用は ¬大智度論だいちどろん¼ の取意の文。 ここでは論の文を経の文として引用している。
鵝鴨 がちょうとあひる。 ともに水鳥。
大品経に説きたまふ… 引用は ¬大品だいぼん般若経はんにゃきょう¼ の処々の文を合集したもの。
生路 往生浄土の路。
諸仏の大悲は… →補註3
仏法僧等を念ず 六念ろくねんのこと。
上聖 上位の聖者。
善解 (大乗経典の意を) よく理解すること。
終時の迎候 臨終の際の来らい迎こうのありさま。
善縁 善ぜん知ぢ識しきの縁。
不浄説法 自己の名誉や利益のために教法を説くこと。
七宝来迎す 七宝の蓮台に迎えとられて往生する。 →来迎らいこう
大 大乗の縁。
小 小乗の縁。
人情 個人的な考え。
生盲 →補註10
大小の聖 大だい乗じょうと小乗しょうじょうの聖者。
多宝仏 東方宝浄ほうじょう世界の過去仏のこと。 その誓願により、 入にゅう滅めつ後は宝塔中の全身舎しゃ利りとなり、 ¬法ほ華け経きょう¼ の説かれるところに出現して、 同経の教えを讃嘆さんだんするという。 ¬法華経¼ 「見宝塔品」 などに説かれる。
功徳雲比丘 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ 「入にゅう法界品ほっかいぼん」 に説かれる五十三人の善ぜん知ぢ識しきの第二。
通論の家 摂しょう論ろん宗しゅうのこと。
不忍の言 聞くに耐えないような言葉。
知識 ここでは同どう行ぎょう、 法友の意。
菩薩の論 ¬摂大乗論しょうだいじょうろん¼ 等の論書。
精 精勤。 つとめはげむこと。
剋せず (正しょう報ぼうであるところの仏果は) 成就しない。
辺方化に… 僻地の者が帰順して国王の支配下に入ることはたやすいが、 国王となるのはむずかしい。
問ひていはく… →補註1、 2
報 →報ほう土ど
一々の願に… 善導大師は四十八願のすべてに第十八願の意を認める。
上輩の三人 九く品ぼんのうちの上品上生・上品中生・上品下生のこと。
報応の二身 →報身ほうじん、 応身おうじん
眼目の異名 同一物の異なった名称の意。
前には… ¬摂しょう大だい乗じょう論ろん¼ の真諦しんだい訳 (前訳) で三身中第二身を応身と訳しているのを、 達だつ摩ま笈ぎゅう多た訳 (後訳) では報身と訳したことを指すものか。
三大僧祇 三大さんだい阿あ僧そう祇ぎ劫こうの略。
無窮の八相 十方世界にくまなく八相成道のすがたを示現するという意。 →八相はっそう
小凡 愚かな凡ぼん夫ぶ。
涅槃非化品 現行の ¬大だい品ぼん般若はんにゃ経きょう¼ では 「如化品」 とある。
色・受想行識 →五ご薀うん
煩悩断 煩悩を断ずること。
習 習じっ気けのこと。
有智のもの 了りょう解げする智慧ちえをもったもの。
報法 報仏・報土のものがら。
女人および… →補註10
論教 天親てんじん菩薩の ¬浄土論¼ と ¬観経¼。
封拙懐迷 つたない考えに固執して迷いをいだくこと。
啓悟 明らかに理解すること。
簡ばず 区別しない。
下の二 下品中生・下品下生を指す。
大 大だい乗じょうのこと。
前の解 下輩についての解釈。
後の解 中輩についての解釈。
益 無生法忍の利り益やくを指す。
忍 無む生しょう法忍ぼうにんのこと。
第七観 華座けざ観かんのこと。
利益分 ¬観経¼ の得益分とくやくぶんのこと。
廓然 からりと迷いがはれたさま。
観門 観察かんざつの法門。 定じょう善ぜん観かんのこと。
現益 現在に無生法忍の利り益やくを受けること。
掌に機糸を握る ¬観経¼ の全体にわたるということをいったもの。
十有三結 序題じょだい門もん・釈名しゃくみょう門もん・宗教門・説人せつにん門もん・定じょう散さん門もん・和わ会え門もん・得益とくやく門もんの七門と第六門の諸しょ師解しげ・道どう理り破は・返対ほんたい破は・出しゅつ文もん顕けん証しょう・別べつ時意じい会え通つう・二に乗じょう種しゅ不ふ生しょうの六項を合わせて十三とする。
三たび前の証 「散善義」 末尾に示される三度の霊証。
文前の玄義 経文の解釈に至る以前の奥義。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 大きな相違は†、 小異および加を緑茶・減を灰で示したˇ。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
塵→Ⓒ尽
宮→Ⓒ官
疋→Ⓒ匹
一→Ⓒ下
中→Ⓒ帀
曰→Ⓒ口
凡→Ⓒ几
来→Ⓑ求
力→Ⓐ方
縁→Ⓐ経
曰→Ⓐ口
倶→Ⓐ与
曰→Ⓐ日
願ジテ↠入ラムト↢…↡→○願↢入シテ…↡
一心ニ→○一ニシテ↠心ヲ
正シク受ケ↢金剛心ヲ↡→○正受金剛身
施シ→○施セセム
シ、→○セム。
法性無辺ナリ。辺体→○法性ノ無辺ナルハ辺ノ体ナリ。
使ム↧大悲ヲモテ…朗カナラ↦…永夜ヨリ↥→○使大悲…朗カニス↢…永夜ニ↡
性ノ隔リ→○性隔カクキヤク
↢…於三界ニ↡→○↣…於ニ↢三界↡
↧…↦法雨ヲ於大悲ヨリ↥→○↫…↪法雨ウ於ヲ↩大悲↨
遍攬スルニ↡→○遍ク攬トルニ
慮リ→○慮オモヒ
息メテ→○息トヾメテ
為サ→○為セ
暁メ→○暁サトリ
遣ハス→○遣ヤル
奉ウケテ↠法ヲ→○奉ツカヘテ↠法ニ
スト…者→○セ…者バ
言ヘリ↢…ト↡。言フ↢「仏ト」↡者→○言ハク、…ト言イハ、「仏」者ハ、
○土 「イ本」と右傍註記し、 云と左傍註記
双行シテ→○双ナラビ行ジテ
但使 タダ 得レバ↠生ズルコトヲ者、共ニ同ジク受用ス→○但タヾ使シ ム↢得ル↠生ウマルヽコトヲ者ヲシテ…受用ジユヨウセ↡
、是…仮依ナリ。→○是ナリ。…仮依ケエトイハ、
已来タハ、是→○已イ来是ナリ。
住メシメ↢…ヲ↡→○住ヂユセシメ↢…ニ↡
令ム↧修趣之者ヲシテ…証セ↦…↥→○令シムル↢修趣シユシユセ↡之者 ノハ…証ス↢…↡
総ジテ→○総スベテ
スト…者→○セ…者バ
ノ摂ナル。→○ニカ摂セフシ、
ノ収ナル→○ニカ収オサムル
ノ収ナリ→○ニ収オサム
ズト…者→○ゼ…者バ
致請ニシテ→○致ス↠請ヲ
出デテ在ル↢→○出↢在セル
ト与↢無信↡→○与ト無信
上ノ何ノ機カ得ルノ↠受クルコトヲ→○上ニ何機カキ得受ノ
何トナレバ者→○何者ナニモノゾ、
酬ムクユ→○酬コタフ
出ヅルトイフハ↢何ノ文ニカ↡者→○出シユツ何ガ文ト者イハ
不同ナリ→○不ズ↠同カラ
将テ↢…↡、→○将マサニ…
解者ハ→○解ゲ者シヤハ
如キハ↣…説キタマフガ↢「…ナリト」↡、→○如シ↢…説キタマフガ↡。「…ナリ」↡、
向サキヨリ来コノカタ→○向来 サキ ヨリ
自開ナリ→○自ラ開カイシタマヘリ
スト…者→○セ…者バ
、証ス↧…↞…→○証ス。…↠…
此之→○此 レ之ノ
スト者→○セ者バ
ハバ…者→○フ…者ハ
両ナガラ空ズ→○両空
藉リテ↢韋提ノ…請ズルニ↟仏ニ→○藉ヨテ↢韋提ニ↡…請ジテ↠仏ヲ
↧「…至ル↢…↡已来タト」↥→○↧「…至ルト↦…↥」已来
乃チ→○乃イマシ
所判→○所 ロ↠判ハンズル
如シ↤仏説キテ、言フガ↣→○如キハ↢仏説ト言フガ↡、
何ヲ憂ヘテカ→○何ナンノ憂ウレヘアテカ
何ゾ用ヰルヲ↠済フヲ為サム→○何ナニニ用ヨテカ済スクウコトヲ為セム
以テ↢斯ノ文ヲ↡証ス。→○以テノ↢斯ノ文証ヲ↡
所判、義→○所 ロノ↠判ハンズル義、
返対シテ破スト→○返カヘテ対タイ破ハスト
ナリトナラバ者→○ナリト者イハ
云ク、…。→○云イヘル↢…↡。
作ス↠業ヲ時ハ猛ハゲシ→○作業ゴフ時トキ猛ハゲシ
授手迎接セラレテ往生セム→○授サヅク↠手ヲ迎接カウセウシテ往生セシメム
ナリトナラバ者→○者ハ
云ク、「不ト↣必ズシモ受↢持セ大乗ヲ↡」→○云イフ↢「不フ必ヒチ受持大乗ト」↡
廻シテ願ズ↢…↡。→○廻↢願スルニ…↡、
終時ノ→○終オハル時トキ
セバ…者→○スト…者ハ
云ク、「亦信ズト↢因果ヲ↡。」→○云フ↢「亦信ヤクシン因イン果ト」↡。
藉ラム↣韋提…生ゼシムルニ↢…↡→○藉ヨテ↢韋提ニ↡…生ゼシメム↢…↡
去時→○去サル時トキ
セバ…者→○セ…者バ
トイフ者→○ト者イハ
トイフ…者→○ト…者イハ
ナリトナラバ者→○ト者イハ
廻シテ願ズ↢…↡。→○廻↢願スルニ…↡、
逢遇アヒテ→○逢アヒ遇アヒテ
廻シテ願ズ↢…↡→○廻↢願ス…↡
不↠于タメニセ↠聖ノ→○不ザル↠于ニハアラ↠聖ノタメ
ナラバ…者→○…者イ ハ
命欲スル↠終ラムト→○命欲終ノ
之人→○之 レ人ナリ
廻心シテ→○廻ヱシテ↠心ヲ
弁ワカチ→○弁ワキマヘ
何トナレバ者→○何者イカントナラバ
慚愧乃チ至ルマデモ↢一念ニ↡→○慚ザン↢愧グヰ乃至一念モ↡
遇ヒテ↧…令ムルニ↞称セ↠仏ヲ一声ス→○遇アフ↧…令シムルニ↦称スルコト↠仏ヲ一声セ↥
未ダ…也→○未ザ ダルモノ…也
即チ生ズト→○即生ス
遇ヘル↠大ニ→○遇グ大ノ
遇ヘル↠小ニ→○遇グ小ノ
遇ヘル↠悪ニ→○遇悪ノ
者→○者イ ハ
準ナゾラヘ義スルヤ→○準ジユンズルニ↠義ニ
輒ホシイママニ→○輒タヤスク
者→○者イフハ
言フ↧「…今者 イマ 教ヘテ↢ヲ↡観ゼシメムト↦…↥」→○言フ↤「…今者ハ教玉ヘト↣ヲシテ観クワンゼンコトヲ↢…↡」
所レム↠逼メ→○所レタラム↠逼セメラ
乃チ至ル↧「一切衆生自リハ↠非ザル↢生盲ニ↡有目之徒見ヨトイフニ↞…→○乃至「一切衆生自ヨリハ↠非アラズ↢生盲ニ↡有アラム↠目メ之徒トモガラ見ミヨト云ヨリ↠…
ケトイフ…者→○クト…者イハ
如シ↢…説キテ言フガ↡。「…、…得タリ…、…云何ガ得ムトイフ↠…→○如シ↢…説クガ↡。言フ↧「…、…得エツ…、…云何シテカ得ウベキト↞…
次下ニ、→○次ニ下ノ
如キ↢…説キテ言フガ↟「為ニスト…」者→○如シ↢…説クガ↡。言イフ↠「為 メト…」者ハ
不トイフコトヲ↞于タメニセ↢…聖ノ↡→○不アラザルコトヲ↞于ニ↢聖ノタメ↡
如シト↧人念ズレバ↢多宝仏ヲ↡…得ルガ↞…者→○如 トキ↣人ノ念ズルガ↢多宝仏ヲ↡…得ウト↠…者イハ
マバ…者→○マン…者ハ
↠未ダト↠証セ→○↢未ミ証ト↡
所謂ル→○所ユル↠謂イハ
爾ラバ者→○爾シカラ者バ
称仏ハ→○称スルハ↠仏ヲ
称仏ハ→○称スル↠仏ヲ
↢発願スルニ↡→○↠発スニ↠願ヲ
相似セシメテ→○相 ヒ似ニタレバ
如シ↣一金銭ノ得ル↠成ズルコトヲ↠千ヲ者、…非ザルガ↢…↡→○如キ↢一ツノ金銭コンセンヲ得ウルガ↟成コトヲ↠千ト者ハ、…非ズ↢…↡
成ズルコトヲ↠千ヲ→○成ナスコトヲ↠千ト
未ズ ダ→○未ダルヲ
称スル↢仏之名ヲ↡→○称仏之ノ名ナ
将ス ニル↢妄語セムト↡→○将マサニ妄マウ語トスル
悞ラム…也→○悞アヤマムテ…也
セルヲ…、而モ→○シテ…而
須ベ クシ↢行願具足ス↡→○須スベカラク行願具足ス
須ベ クシト↢…剋ス↡→○須 ラク…剋コクス
有リテ↢十願・十行↡具足ス→○有リ↢十願・十行具足セルコト↡
又来 マタ ¬論ノ¼→○又来ライ¬論ロンノ¼
為ニ求ムルハ↢…↡→○為タメナリ↠求モトメムガ↢…↡
発願シテ→○発シテ↠願ヲ
所ナリ↧以テハ↢一願之心ヲ↡未ダル↞入ラ→○所以コノユヘニ一願之ノ心ノミ↡未ズ ダ↠入ラ
取リテ信ズル→○取トル↠信ヲ
聞ク↠之ヲ→○聞キカム之
一一ノ願ニ→○一一ニ願ジテ
成仏シタマヘリ→○成ナリ玉ヘリ↠仏ニ
与ニ↢化仏ト→○与ト↢化仏
以テ↠果ヲ応ズ↠因ニ、故ニ→○以テノ↢果クワ応ズルヲ↟因ニ故ニ、
応ジテ得↢…↡→○応ベシ得ウ↢…↡
何トナレバ者→○何者イカントナラバ
有リヤ↢実事ニシテ不ル↠空ナラ者↡不ヤト→○有リテ↢実事ジ↡不アラズヤ↢空ナル者 ノニ↡不イナヤ
聞カバ↢…如シト↟…者→○聞キキテ…如ゴトシト↠…者イハヾ
為ニ↢…↡、故ラニ→○為 メノ↢…↡故ニ
分↢別スルナリト生滅ノ者ハ如ク↠化ノ、不生不滅ノ者ハ不ズト↟如クニハ↠化ノ耶→○分別スルナリ、生滅スル者 ノハ如シ↠化ノ、不生不滅ノ者 ノハ不ズト↠如ゴトクナラ↠化ノ耶ヤ
由リテ↧…作スニ↦強縁ト↥→○由ヨリテ↠…作スルニ↢強縁ガウエント↡
云ヘル↢…不ト↟生ゼ→○云ク…不生トイヘリ
以テスレバ↢封拙懐迷ヲ↡→○以テ↢封カクフ拙トガセツヲ↡懐イダヒテ↠迷マヨヒヲ
何トナレバ者→○何ト者ナレバ
已後→○已 ハリテ後
キタマフ…。→○キ玉フニ…、
但以 タダ →○但タヾ以テ
但使得レバ→○但使シムレバ↠得エセ
願ズル↢往生ヲ↡→○願クハ往生スル
不ズ…。故ニ→○不ザルガ…故ニ
得ル↠益ヲ→○得益スル
大悟シテ→○大ニ悟サトリテ
如キ↠此クノ義者→○如キノ↢此ノ義ノ↡者 ノハ
酬ムクヒテ↢…ニ↡→○酬コタエテ↢…ヲ↡
挙↢勧シタマヘル…↡→○挙アゲテ勧スヽムル↢…↡
ヨリ乃チ至ル↢十三観ニ↡已来タヲ→○乃至十三観ヨリ已イ来ライハ
欲スルガ↠令メムト↢…之者ヲシテ無ク↠遺リ、…現益アラ↡→○欲ホス↠令シメムト↢…セン之者モノヲ無ナカラ↟遺ノコ、…現益スルガ
訖リヌ。此ノ義→○訖オハリヌソフルコト↢此ノ義ヲ↡。
周ヲハリテ→○周アマネク
信ズル者→○信者ジヤ
求ムル者→○求グ者シヤ