0154

▼標挙

0336▼*光こう明みょう無む量りょうの願がん

 ▼寿じゅ命みょう無む量りょうの願がん

 

▼題号

0337◎顕けん浄じょう土ど真しん仏ぶつ土ど文類もんるい 五

愚ぐ禿とく釈しゃく*親鸞しんらん集しゅう

 (太字は 「略文類」 と重なる表現を示す。)

一 正釈【真仏土釈】
  Ⅰ 直明【仏土出願】
    ⅰ 仏土を明かす

【1】 ◎^つつしんで真しん仏ぶつ土どを案あんずれば、 ▽仏ぶつはすなはちこれ▲不可ふか思議しぎ光こう如来にょらいなり、 ▽土どはまたこれ▲無む量りょう光こう明みょう土どなり。

◎▼謹0155デ按ズレ↢真仏土ヲ↡者バ、仏者ハ則チ是▼不可思議光如来ナリ、土者ハ亦是▼无量光明土也。

一 Ⅰ ⅱ 法義を示す

^しかればすなはち、 大だい悲ひの誓願せいがんに*酬しゅう報ほうするがゆゑに、 真しんの報ほう仏ぶつ土どといふなり。

然レバ則チ酬シユ↢コタフ報スルガ大悲ノ誓願ニ↡故ニ、曰フナリ↢真ノ報仏土ト↡。

一 Ⅰ ⅲ 因願を指す

^すでにして願がんいます、 すなはち光こう明みょう・寿じゅ命みょうの願がん (第十二・十三願) これなり。

既 デニ而シテ有イマス↠願、即チ光明・寿命之願是也。

一 Ⅱ 引文
    ⅰ 経説
      a 本経
        イ 正依
          (一)因願
            (Ⅰ)¬大経¼二文

・第十二願

【2】 ^¬*大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

▼¬大経ニ¼言ク、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 光こう明みょうよく限げん量りょうありて、 下しも百ひゃく千せん億おく那由他なゆたの諸仏しょぶつの国くにを照てらさざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。

「*設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、光明有リテ↢能ク限量↡、下 モ至ラ↠▼不ルニ↠照サ↢百千億那由他ノ諸仏ノ国ヲ↡者バ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

・第十三願

【3】 ^また願がん (第十三願) にのたまはく (大経・上)、

▼又願ニ言ク、

^▲「たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 寿じゅ命みょうよく限げん量りょうありて、 下しも百ひゃく千せん億おく那由他なゆたの劫こうに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。

「*設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、寿命有リテ↢能ク限量↡、▼下 モ至ラ↢百千億那由他ノ劫ニ↡者バ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

一 Ⅱ ⅰ a イ (二)成就
            (Ⅰ)¬大経¼

・第十二願

【4】 ^願がん (第十二・十三願) 成じょう就じゅの文もんにのたまはく (大経・上)、

▼*願成就ノ文ニ言ク、

「^▲仏ぶつ、 *阿あ難なんに告つげたまはく、 ª無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん光こう明みょう、 最尊さいそん第一だいいちにして、 諸仏しょぶつの光こう明みょうの及およぶことあ0338たはざるところなり。 乃至

「▼*仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、无量寿仏ノ威神光明、▼最尊第一ニシテ、諸仏ノ光明ノ所ナリ↠不ル↠能ハ↠及ブコト。 ▼乃至

^▲このゆゑに無む量りょう寿じゅ仏ぶつをば無む量りょう光仏こうぶつ・▽無む辺へん光仏こうぶつ・無礙むげ光こう仏ぶつ・無む対たい光仏こうぶつ・炎王えんのう光仏こうぶつ・清浄しょうじょう光仏こうぶつ・歓かん喜ぎ光仏こうぶつ・智慧ちえ光仏こうぶつ・不ふ断だん光仏こうぶつ・難なん思じ光仏こうぶつ・無む称しょう光仏こうぶつ・超ちょう日月にちがっ光仏こうぶつと号ごうす。

▼是ノ故ニ无量寿仏ハ号ス↢无量光仏・无辺光仏・无光仏・无対光仏・炎王光仏・清浄光仏・歓喜光仏・智慧光仏・不断光仏・難思光仏・无称光仏・超日月光仏ト↡。

^◆それ衆しゅ生じょうありて、 この光ひかりに遇もうあふものは、 三さん垢く消しょう滅めつし、 身しん意い柔にゅう軟なんなり。 歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくし善心ぜんしん生しょうず。 ◆もし三さん塗ず勤ごん苦くの処ところにありて、 この光こう明みょうを見みれば、 みな休く息そくを得えてまた苦く悩のうなけん。 寿いのち終おへての後のち、 みな解げ脱だつを蒙かぶる。

*其 レ有リテ↢衆生↡、遇マウアフ↢斯 ノ光ニ↡者 ノハ、▼三垢消滅シ身0156意柔軟ナリ。歓喜踊躍シ善心生ズ焉エン。コヽニ▼若シ在リテ↢三塗懃苦之処ニ↡、見レバ↢此ノ光明ヲ↡、皆得テ↢休息ヤミヤムヲ↡無ケム↢復苦悩↡。▼寿 チ終ヘテ之後、皆蒙ル↢▼解脱ヲ↡。▼

^◆無む量りょう寿じゅ仏ぶつの光こう明みょう顕赫けんかくにして、 十方じっぽう諸仏しょぶつの国こく土どを照しょう耀ようして聞きこえざることなし。 ◆ただわれいまその光こう明みょうを称しょうするのみにあらず、 一切いっさいの諸仏しょぶつ・声しょう聞もん・縁覚えんがく・もろもろの菩ぼ薩さつ衆しゅ、 ことごとくともに嘆たん誉よすること、 またまたかくのごとし。

▼无量寿仏ノ光明顕赫カヾヤクニシテ、照↢耀シテカヾヤク 十方諸仏ノ国土ヲ↡莫シ↠不ルコト↠聞ヘ焉。不ズ↣但我 レ今 マ称スルノミニ↢其ノ光明ヲ↡、一切ノ諸仏・声聞・縁覚・諸ノ菩薩衆、咸コトゴトク共ニ嘆誉ホメホムスルコト、亦復如シ↠是クノ。

^◆もし衆しゅ生じょうありて、 その光こう明みょうの威い神じん功く徳どくを聞ききて、 日にち夜やに称しょう説せつし、 心こころを至いたして断たえざれば、 意こころの所願しょがんに随したがひて、 その国くにに生しょうずることを得えて、 もろもろの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もん大衆だいしゅのために、 ともにその功く徳どくを嘆たん誉よし称しょうせられん。 ◆それしかうして後のち、 仏道ぶつどうを得うる時ときに至いたりて、 あまねく十方じっぽうの諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつのために、 その光こう明みょうを嘆たんぜられんこと、 またいまのごときならんº と。

▼若シ有リテ↢衆生↡、聞キテ↢其ノ光明ノ威神功徳ヲ↡、日夜ニ▼称説シ、至シテ↠心ヲ不レバ↠断ヘ、▼随ヒテ↢意ノ所願ニ↡、得テ↠生ズルコトヲ↢其ノ国ニ↡、為ニ↢諸ノ菩薩・声聞大衆ノ↡、所ラレム↤共ニ嘆↢誉シ称セ↣其ノ功徳ヲ↡。▼至リテ↧其 レ然シテ後 チ得ル↢仏道ヲ↡時ニ↥、普ク為ニ↢十方ノ諸仏・菩薩ノ↡、嘆ゼラレムコト↢其ノ光明ヲ↡、亦如キナラムト↠今ノ也。

^◆仏ぶつののたまはく、 ªわれ無む量りょう寿じゅ仏ぶつの光こう明みょう威い神じん、 巍々ぎぎ殊しゅ妙みょうなるを説とかんに、 昼ちゅう夜や一劫いっこうすともなほいまだ尽つくすことあたはじº と。

▼仏ノ言ハク、我 レ説カムニ↢无量寿仏ノ光明威神、巍ヨシ巍殊スグレ妙ナルヲ↡、昼夜一劫ストモ尚ナホ未ジ ダト↠能ハ↠尽スコト。▼

・第十三願

 ^0339◆仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 ª無む量りょう寿じゅ仏ぶつは、 寿じゅ命みょう長じょう久くにして勝しょう計げすべからず。 なんぢむしろ知しらんや。 ◆たとひ十方じっぽう世せ界かいの無む量りょうの衆しゅ生じょう、 みな人身にんじんを得えて、 ことごとく声しょう聞もん・縁覚えんがくを成じょう就じゅせしめて、 すべてともに集しゅう会えして、 思おもいをもつぱらにし心こころを一ひとつにして、 その智ち力りきを竭つくして、 百ひゃく千せん万劫まんごうにおいてことごとくともに推算すいさんして、 その寿じゅ命みょうの長じょう遠おんの数かずを計かぞへんに、 窮ぐ尽じんしてその限極げんごくを知しることあたはじº」 と。 抄出

▼*仏語リタマハク↢阿難ニ↡、▼无量寿仏ハ、寿命長久ニシテ不↠可カラ↢勝計ス↡。汝 ヂ寧ロ知ラム乎ヤ。▼仮使十方世界ノ无量ノ衆生、皆得テ↢人身ヲ↡、悉ク令メテ↣成↢就セ声聞・縁覚ヲ↡、都スベテ共ニ集会シテ、禅モハラニシ↠思ヲ一ニシテ↠心ヲ竭ツクシテ↢其ノ智力ヲ↡、於テ↢百千万劫ニ↡悉ク共ニ推オシテ算サンシテカゾフ 、計カゾエムニ↢其ノ寿命ノ長遠之数ヲ↡、不ジト↠能ハ↣窮キワメ尽シテツクス 知ルコト↢其ノ限カギリ極ヲ↡。」 抄出

一 Ⅱ ⅰ a ロ 異訳
          (一)¬如来会¼(不可思議光の名を出す)

【5】 ^¬*無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にのたまはく、

▼¬*无量寿如来会ニ¼言ク、

^「▲阿あ難なん、 この義ぎをもつてのゆゑに、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつにまた異い名みょうまします。 いはく、 *無む量りょう光こう・無む辺へん光こう・無む着じゃく光こう・無礙むげ光こう・光こう照しょう王おう・端厳たんごん光こう・愛あい光こう・喜き光こう・可か観かん光こう・不可ふか思議しぎ光こう・無む等とう光こう・不可ふか称しょう量りょう光こう・*暎蔽えいへい日光にっこう・暎蔽えいへい月光がっこう・*掩奪あんだつ日月にちがっ光こうなり。 ◆かの光こう明みょう清浄しょうじょう広大こうだいにして、 あまねく衆しゅ生じょうをして身心しんしん悦楽えつらくせしむ。 ◆また一切いっさい余よの*仏刹ぶっせつのうちの*天てん・竜りゅう・夜や叉しゃ・阿あ修しゅ羅ら等とうみな歓悦かんえつを得えしむ」 と。 以上

「阿難、以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ无量寿仏ニ復有マシマス↢異名↡。謂ク无量光・无辺光・无 著ツク クルフトモ光・无光・光照王・端タンナホシ厳光・愛光・喜光・可ユルス観光・▼不可思議光・无等・不可称量光・映蔽日光・映エイオヽウ 蔽ヘイオヽウ月光・掩アンオヽウ 奪ダチウバウ日月光ナリ。彼之0157光明清浄広大ニシテ、普アマネク令ム↢衆生ヲシテ身心悦エチ楽ヨロコブ セ↡。復令ムト↣一切余ノ仏刹クニノ中ノ天・竜・夜叉・阿修羅等皆得エ↢歓クワン悦エチヲ↡。」 已上

一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)¬平等覚経¼(無量光明土の名を出す)

【6】 ^¬*無む量りょう清浄しょうじょう平びょう等どう覚がく経きょう¼ (二) *帛延はくえんの訳やく にのたまはく、

▼¬*无量清浄平等覚経ニ¼ *帛延ノ訳 言ク、

^「▲速疾そくしつに超こえて、 すなはち安楽あんらく国こくの世せ界かいに到いたるべし。 △無む量りょう光こう明みょう土どに至いたりて、 無む数しゅの仏ぶつを供く養ようす」 と。 以上

「速疾ニ超エテ 便チ可シ↠到ル↢安楽国之世界ニ↡
至リテ↢▼无量光明土ニ↡供↢養スト於无数ノ仏ヲ↡」 已上

一 Ⅱ ⅰ a ロ (三)¬大阿弥陀経¼(諸仏に超過するの義を説く)

【03407】 ^¬*仏説ぶっせつ*諸仏しょぶつ阿あ弥陀みだ三さん耶や三仏さんぶつ薩楼さる仏ぶつ檀だん過度かど人道にんどう経きょう¼ (上) *支し謙けんの訳やく にのたまはく、

▼¬仏説諸仏阿弥陀三那三仏薩楼仏檀過度人道経ニ¼ 友ウ謙ケンノ訳 言ク、

^「▲仏ぶつののたまはく、 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうは最尊さいそん第一だいいちにして比ならびなし。 諸仏しょぶつの光こう明みょうみな及およばざるところなり。 ◆八方はっぽう上じょう下げ無む央おう数しゅの諸仏しょぶつのなかに、 仏ぶつの頂中ちょうちゅうの光こう明みょう、 七しち丈じょうを照てらすあり。 仏ぶつの頂中ちょうちゅうの光こう明みょう、 一いち里りを照てらすあり。 乃至 ◆仏ぶつの頂中ちょうちゅうの光こう明みょう、 二に百ひゃく万まん仏国ぶっこくを照てらすありº と。

「仏ノ言ハク、阿弥陀仏ノ光明ハ最尊第一ニシテ无シ↠比 ラビ。諸仏ノ光明皆所↠不ル↠及バ也。八方上下无央アウナカバ数ノ▼諸仏ノ中ニ、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢七*丈ヲ↡。有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢一里ヲ↡。 乃至 有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二百万仏国ヲ↡。

^◆仏ぶつののたまはく、 ªもろもろの八方はっぽう上じょう下げ無む央おう数しゅの仏ぶつの頂中ちょうちゅうの光こう明みょうの炎えん照しょうするところ、 みなかくのごとくなり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつの頂中ちょうちゅうの光こう明みょうの炎えん照しょうするところ、 千万せんまん仏国ぶっこくなり。 ◆諸仏しょぶつの光こう明みょうの照てらすところに近遠ごんおんあるゆゑはいかんとなれば、 もとそれ*前ぜん世せの宿命しゅくみょうに、 *道どうを求もとめて菩ぼ薩さつたりし時とき、 所願しょがん功く徳どくおのおのおのづから大だい小しょうあり。 それしかうして後のち、 仏ぶつになる時ときに至いたりて、 おのおのみづからこれを得えたり。

仏ノ言ハク、諸ノ八方上下无央数ノ仏ノ頂中ノ光明ノ所↢炎カヾヤカシ照スル↡、皆如ク↠是クノ也。阿弥陀仏ノ頂中ノ光明ノ所↢炎照スル↡、千万仏国ナリ。所↣以 ユヘ 諸仏ノ光明ノ所ニ↠照ス有ル↢近遠↡者ハ何ントナラバ本 ト其 レ前世ノ宿シウ命ニ求メテ↠道ヲ為タリシニ↢菩薩↡時、照スニ↢所願ヲ↡功徳各ノ自オノヅカラ有リ↢大小↡。至リテ↢其 レ然シカウシテ後 チ作ル↠仏ニ時ニ↡、各ノ自ミヅカラ得タリ↠之ヲ。

^◆このゆゑに光こう明みょううたた同等どうとうならざらしむ。 諸仏しょぶつの威い神じん同等どうとうなるならくのみと。 *自じ在ざいの意こころの所欲しょよく、 作為さいしてあらかじめ計はからず。 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうの照てらすところ最大さいだいなり。 諸仏しょぶつの光こう明みょうみな及およぶことあたはざるところなりº と。

是ノ故ニ令ム↣光明転ウタタ不ザラ↢同等ナラ↡。諸仏ノ威神同等ナル耳ナラクノミト。自在ノ意ノ所欲、作為シテ不ズ↢予アラカジメ計ハカラ↡。阿弥陀仏ノ光明ノ所↠照ス最大ナリ。諸仏ノ光明皆所↠不ル↠能ハ↠及ブコト也ト。

^◆仏ぶつ、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうの極善ごくぜんなることを*称しょう誉よしたまふ。 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうは極善ごくぜんにして、 善ぜんのなかの明みょう好こうなり。 それ快こころよきこと比ならびなし、 *絶殊ぜっしゅ無む極ごくなり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうは清しょう潔けつにして*瑕か0341穢えなく欠減けつげんなきなり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうは殊好しゅこうなること、 日月にちがつの明みょうよりも勝すぐれたること百ひゃく千せん億おく万まん倍ばいなり。 諸仏しょぶつの光こう明みょうのなかの極ごく明みょうなり、 光こう明みょうのなかの極好ごくこうなり、 光こう明みょうのなかの極ごく雄傑おうけつなり、 光こう明みょうのなかの快け善ぜんなり、 ▽諸仏しょぶつのなかの王おうなり、 光こう明みょうのなかの極尊ごくそんなり、 光こう明みょうのなかの最さい明みょう無む極ごくなり。

仏称↢誉ホムシタマフ阿弥陀仏ノ光明ノ極善ナルコトヲ↡。阿弥陀仏ノ光明ハ極善ニシテ、善ノ中ノ明好ナリ。其 レ快 ヨキコト无シ↠比 ラビ、絶タエ殊无スグル 極也。阿弥0158陀仏ノ光明ハ清潔ケチニシテアザヤカナリ イサギヨシ无シ↢瑕カキズ 穢↡ケガラハシ无キ↢欠クヱチカクル咸ゲン↡オトル也。阿弥陀仏ノ光明ハ殊好ナルコト、勝レタルコト↠於ヨリモ↢日月之明↡百千億万倍マスナリ。諸仏ノ光明ノ中之極明也、光明ノ中之極好也、光明ノ中之極雄オウスグレ傑ケチ也スグル 、光明ノ中之快クヱ善也、諸仏ノ中之王也、光明ノ中之極尊也、光明ノ中之最明无極也。

^◆もろもろの無む数しゅ天てん下げの*幽ゆう冥みょうの処ところを炎えん照しょうするに、 みなつねに大だい明みょうなり。 諸しょ有うの人民にんみん、 *蜎けん飛ぴ*蠕動ねんどうの類たぐい、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうを見みざることなきなり。 見みたてまつるもの、 慈じ心しん歓かん喜ぎせざるものなけん。

炎↢ホノオ カヾヤキ照スルニ諸ノ无数天下ノ幽エウカソカニ冥之クラシ 処ヲ↡、皆常ニ大明ナリ。諸有ノ人民、蜎ケンムクメキ飛 蠕ネムムクメク動之類、莫キ↠不ルコト↠見↢阿弥陀仏ノ光明ヲ↡也。見タテマツル者 ノ莫ケム↧不ル↢慈心歓喜セ↡者 ノ↥。

^◆世せ間けん諸しょ有うの*婬いん泆いつ・*瞋しん怒ぬ・愚痴ぐちのもの、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうを見みたてまつりて、 善ぜんをなさざるはなきなり。 もろもろの*泥ない梨り・*きん狩しゅ・*辟茘へきれい、 *考こう掠りょう勤ごん苦くの処ところにありて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうを見みたてまつれば、 至いたりてみな休止くしして、 また治ちすることを得えざれども、 死しして後のち、 憂苦うくを解げ脱だつすることを得えざるものはなきなり。

世間諸有ノ婬イン泆イチ・ヨクナリ瞋怒ヌ・イカル愚 痴ノオロカナリ者 ノ、見タテマツリテ↢阿弥陀仏ノ光明ヲ↡、莫キ↠不ルハ↠作サ↠善ヲ也。諸ノ在リテ↢泥デイガクヰ梨リナリ・キム狩シユ・トリケダモノナリ チウシヤウナリ辟ヘキ茘レイ、考カウ掠リヤウ勤ツトム苦之処ニ↡、見タテマツレバ↢阿弥陀仏ノ光明ヲ↡、至リテ皆休ヤミ止シテヤンデ 不レドモ↠得エ↢復治スルコトヲ↡、死シテ後莫キ↧不ル↠得↣解↢脱スルコトヲマヌカル ヌグトモ憂苦ヲ↡者 ノハ↥也。

^◆阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうと名みなとは、 八方はっぽう上じょう下げ無む窮ぐう無む極ごく無む央おう数しゅの諸仏しょぶつの国くにに聞きかしめたまふ。 諸天しょてん・人民にんみん、 聞もん知ちせざることなし。 聞もん知ちせんもの、 *度ど脱だつせざるはなきなりº と。

阿弥陀仏ノ光明ト名ミナトハ、聞キカシメタマフ↢八方上下无窮キワメ无極无央数ノ諸仏ノ国ニ↡。諸天・人民莫シ↠不ルハ↢聞知セ↡。聞知セム者 ノ、莫キ↠不ルハ↢度脱ヌグセ↡也ト。

^◆仏ぶつののたまはく、 ª独ひとりわれ、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうを称しょう誉よするのみにあらざるなり。 八方はっぽう上じょう下げ無む央おう数しゅの仏ぶつ・*辟びゃく支し仏ぶつ・菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かん、 称しょう誉よするところみなかくのごとしº と。

仏ノ言ハク、不ル↣独リ我 レ称ホメ↢誉ホムセ阿弥陀仏ノ光明ヲ↡也。八方上下无央数ノ仏・辟ヒガム支仏・菩薩・阿羅漢、所 ロ↢称誉スル↡皆如シト↠是クノ。

^◆仏ぶつののたまはく、 ªそれ人民にんみん、 善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんありて阿あ0342弥陀みだ仏ぶつの声みなを聞ききて、 光こう明みょうを称しょう誉よして、 朝ちょう暮ぼにつねにその*光好こうごうを称しょう誉よして、 心こころを至いたして断絶だんぜつせざれば、 心こころの所願しょがんにありて、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすº」 と。 以上

仏ノ言ハク、其 レ有リテ↢人民、善男子・善女人↡聞キテ↢阿弥陀仏ノ声ミナヲ↡、称↢誉ヨシテ光明ヲ↡、朝暮ニ常ニ称↢誉シテ其ノ光好ヲ↡、至シテ↠心ヲ不レバ↢断絶セ↡、在リテ↢心ノ所願ニ↡、往↢生スト阿弥陀仏国ニ↡。」已上

一 Ⅱ ⅰ b 末経
        イ ¬不空羂索神変真言行¼(報土の義を顕す)

【8】 ^¬*不ふ空くう羂けん索じゃく神変じんぺん真言しんごん経ぎょう¼ にのたまはく、

▼¬*不空羂索神変真言経ニ¼言ク、

^「なんぢ*当とう生しょうの処ところは、 これ阿あ弥陀みだ仏ぶつの清浄しょうじょう報ほう土どなり。 蓮れん華げより化け生しょうして、 つねに諸仏しょぶつを見みたてまつる。 もろもろの*法忍ほうにんを証しょうせん。 寿じゅ命みょう無む量りょう百ひゃく千せん劫数こうしゅならん。 ただちに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいに至いたる、 また退転たいてんせず。 われつねに*祐ゆう護ごす」 と。 以上

「汝当生ノ処ハ、是阿弥陀仏ノ清浄報土ナリ。蓮0159華ヨリ化生シテ、常ニ見タテマツル↢諸仏ヲ↡。証セム↢諸ノ法忍ヲ↡。寿命无量百千劫数ナラム。直ニ至ル↢阿耨多羅三藐三菩提ニ↡、不ズ↢復 タ退転セ↡。我常ニ祐イウタスケ護ストタスク 。」 已上

一 Ⅱ ⅰ b ロ ¬涅槃経¼(真報土は即ち涅槃界なることを顕し往生する者は悉く性を見ることを示す)
          (一)「四相品」

【9】 ^¬*涅ね槃はん経ぎょう¼ (*四相品) にのたまはく、

▼¬*涅槃経ニ¼言ク、

^「ªまた解げ脱だつは名なづけて*虚無こむといふ。 虚無こむはすなはちこれ解げ脱だつなり、 解げ脱だつはすなはちこれ如来にょらいなり、 如来にょらいはすなはちこれ虚無こむなり、 *非作ひさの所しょ作さなり。 乃至

「又解サトリ脱者ハサトル 名ケテ曰フ↢虚无ト↡。虚无ハ即チ是解脱ナリ、解脱ハ即チ是如来ナリ、如来ハ即チ是虚无ナリ。非作ノ所作ナリ。 乃至

^真しん解げ脱だつは不ふ生しょう不ふ滅めつなり、 このゆゑに解げ脱だつはすなはちこれ如来にょらいなり。 如来にょらいまたしかなり。 不ふ生しょう不ふ滅めつ、 不ふ老ろう不死ふし、 不破ふは不壊ふえにして*有為ういの法ほうにあらず。 この義ぎをもつてのゆゑに、 名なづけて如来にょらい入にゅう大だい涅ね槃はんといふ。 乃至

真解脱者ハ不生不滅ナリ、是ノ故ニ解脱ハ即チ是如来ナリ。如来亦爾ナリ。不生不滅、不老不*死、不破ヤブレ不壊ヤブルニシテ、非ズ↢有為ノ法ニ↡。以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ名ケテ曰フ↢如来入大涅槃ト↡。 乃至

^また解げ脱だつは*無む上じょう上じょうと名なづく。 乃至 ▼無む上じょう上じょうはすなはち真しん解げ脱だつなり、 真しん解げ脱だつはすなはちこれ如来にょらいなり。 乃至

▼又解脱者ハ名ク↢无上上ト↡。 乃至 无上上者ハ即チ真解脱ナリ、真解脱者ハ即チ是如来ナリ。 乃至

^もし阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成じょうずることを得えをはりて、 *無む愛あい無疑むぎなり。 無む愛あい無疑むぎはすなはち真しん解げ脱だつなり、 真しん解げ脱だつはすなはちこれ如来にょらいなり。 乃至

若シ得エ↠成ルコトヲ↢於阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡已リテ、无愛ヨミス无疑ナリ。无愛无疑ハ即チ真解脱ナリ、真解脱者ハ即チ是如来ナリ。 乃至

^▼如来にょらいはすなはちこれ涅ね槃はんなり、 涅ね槃はんはすなはちこれ0343無む尽じんなり、 無む尽じんはすなはちこれ仏ぶっ性しょうなり、 仏ぶっ性しょうはすなはちこれ*決けつ定じょうなり、 決けつ定じょうはすなはちこれ阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいなりº と。

如来者ハ即チ是涅槃ナリ、涅槃者ハ即チ是无尽ナリ、无尽ツクル者ハ即チ是仏性ナリ、仏性者ハ即チ是決定ナリ、決定者ハ即チ是阿耨多羅三藐三菩提ナリト。

 ^*迦か葉しょう菩ぼ薩さつ、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 もし涅ね槃はんと仏ぶっ性しょうと決けつ定じょうと如来にょらいと、 これ*一いち義ぎ名みょうならば、 いかんぞ説ときて三さん帰依きえありとのたまへるやº と。

迦葉菩薩白シテ↠仏ニ言サク、世尊、若シ涅槃ト仏性ト決定ト如来ト、是一義名ナラバ、云何ゾ説キテ言 タマヘルヤト↠有リト↢三帰依↡。

^仏ぶつ、 迦か葉しょうに告つげたまはく、 ª善男ぜんなん子し、 一切いっさい衆しゅ生じょう、 生しょう死じを*怖畏ふいするがゆゑに三さん帰きを求もとむ。 三さん帰きをもつてのゆゑに、 すなはち仏ぶっ性しょうと決けつ定じょうと涅ね槃はんとを知しるなり。 善男ぜんなん子し、 法ほうの↓*名みょう一いち義ぎ異いなるあり、 法ほうの↓*名みょう義ぎ倶異ぐいなるあり。

仏告ゲタマハク↢*迦葉ニ↡、善男子、一切衆生怖オソレ↢畏ヰオソルスルガ生死ヲ↡故ニ求ム↢三帰ヲ↡。以テノ↢三帰ヲ↡故ニ則チ知ルナリト↢仏性ト決定ト涅槃トヲ↡。善男子、有リ↢法ノ▼名一義異ナル↡、有リ↢法ノ▼名義倶異ナル↡。

^↑名みょう一いち義ぎ異いとは、 *仏ぶつの常じょう、 *法ほうの常じょう、 *比丘びく僧そうの常じょうなり。 涅ね槃はん・虚こ空くうみなまたこれ常じょうなり。 これを名みょう一いち義ぎ異いと名なづく。

名一義異ト者、仏ト常法ト常比丘僧トハ常ナリ。涅槃・虚空皆 ナ亦是 レ常ナリ。是ヲ名ク↢名一義異ト↡。

^↑名みょう義ぎ倶異ぐいとは、 仏ぶつを名なづけて*覚かくとす、 法ほうを*不ふ覚かくと名なづく、 僧そうを和わ合ごうと名なづく、 涅ね槃はんを解げ脱だつと名なづく、 虚こ空くうを*非ひ善ぜんと名なづく、 また無礙むげと名なづく。 これを名みょう義ぎ倶異ぐいとす。 善男ぜんなん子し、 三さん帰依きえとはまたまたかくのごとしº」 と。 略出

名義倶異ト者ハ、仏ヲ名0160ケテ為ス↠覚ト、法ヲ名ク↢不覚ト↡、僧ヲ名ク↢和合ト↡、涅槃ヲ名ク↢解脱ト↡、虚空ヲ名ク↢非善ト↡、亦名ク↢无ト↡。是ヲ為ス↢名義倶異ト↡。善男子、三帰依ト者ハ亦復如シト↠是クノ。」 *略出

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)「四依品」

【10】^またのたまはく (涅槃経・*四依品)、

又言ハク、

^「光こう明みょうは*不ふ羸劣るいれつに名なづく。 不ふ羸劣るいれつとは名なづけて如来にょらいといふ。 また光こう明みょうは名なづけて智慧ちえとす」 と。 以上

「光明者ハ名ク↢不 羸ルイオトロヘ劣レチニ↡オトロフ。不羸劣ト者ハ名ケテ曰フ↢如来ト↡。又光明者ハ名ケテ為スト↢智慧ト↡。」 已上

一 Ⅱ ⅰ b ロ (三)「聖行品」

【11】^またのたまはく (涅槃経・*聖行品)、

又言ハク、

^「善男ぜんなん子し、 一切いっさい有為ういはみなこれ無む常じょうなり。 虚こ空くうは無為むいなり、 このゆゑに常じょうとす。 仏ぶっ性しょうは無為むいなり、 このゆゑに常じょうとす。 虚こ空くう0344はすなはちこれ仏ぶっ性しょうなり、 仏ぶっ性しょうはすなはちこれ如来にょらいなり、 如来にょらいはすなはちこれ無為むいなり、 無為むいはすなはちこれ常じょうなり、 常じょうはすなはちこれ法ほうなり、 法ほうはすなはちこれ僧そうなり、 僧そうはすなはち無為むいなり、 無為むいはすなはちこれ常じょうなり」 と。 乃至

「▼善男子、一切有為ハ皆是无常ナリ。虚空ハ无為ナリ、是ノ故ニ為ス↠常ト。仏性ハ无為ナリ、是ノ故ニ為ス↠常ト。虚空者ハ即チ是仏性ナリ、仏性者ハ即チ是如来ナリ、如来者ハ即チ是无為ナリ、无為者ハ即チ是常ナリ、常者ハ即チ是法ナリ、法者即チ是僧ナリ、僧ハ即チ无為ナリ、无為者ハ即チ是常ナリト。 乃至

 ^「善男ぜんなん子し、 たとへば牛うしより*乳にゅうを出いだす、 乳にゅうより酪らくを出いだす、 酪らくより生しょう蘇そを出いだす、 生しょう蘇そより熟じゅく蘇そを出いだす、 熟じゅく蘇そより醍だい醐ごを出いだす。 醍だい醐ご最さい上じょうなり。 もし服ぶくすることあるものは、 衆しゅ病びょうみな除のぞこる。 所しょ有うのもろもろの薬くすり、 ことごとくそのなかに入いるがごとし。

▼善男子、▼譬ヘバ如シ↧従リ↠牛出ス↠乳ヲ、従リ↠乳出ス↠酪ヲ、従リ↠酪出ス↢生蘇ヲ↡ヨミガヘル、従リ↢生蘇↡出ス↢熟蘇ヲ↡、従リ↢熟蘇↡出ス↢醍醐ヲ↡、醍醐最上ナリ、若シ有ル↠服スルコト者 ノハ、衆病皆除コル、所有アラユルノ諸ノ薬 リ、悉ク入ルガ↦其ノ中ニ↥。

^善男ぜんなん子し、 仏ぶつもまたかくのごとし。 仏ぶつより十じゅう二に部ぶ経きょうを出いだす、 十じゅう二に部ぶ経きょうより修しゅ多羅たらを出いだす、 修しゅ多羅たらより方ほう等どう経きょうを出いだす、 方等ほうどう経きょうより般若はんにゃ波羅はら蜜みつを出いだす、 般若はんにゃ波羅はら蜜みつより大だい涅ね槃はんを出いだす。 なほし醍だい醐ごのごとし。 醍だい醐ごといふは仏ぶっ性しょうに喩たとふ、 仏ぶっ性しょうはすなはちこれ如来にょらいなり。 善男ぜんなん子し、 かくのごときの義ぎのゆゑに、 説ときて ª如来にょらい所しょ有うの功く徳どく、 無む量りょう無む辺へん*不ふ可か称しょう計げº とのたまへり」 と。 抄出

◆善男子、▼仏モ亦如シ↠是クノ。従リ↠仏出ス↢十二部経ヲ↡、従リ↢十二部経↡出ス↢修多羅ヲ↡、従リ↢修多羅↡出ス↢方等経ヲ↡、従リ↢方等経↡出ス↢般若波羅蜜ヲ↡、従リ↢般若波羅蜜↡出ス↢大涅槃ヲ↡。猶シ如シ↢醍醐ノ↡。言フ↢醍醐ト↡者ハ喩フ↢於▼仏性ニ↡、仏性者ハ即チ是如来ナリ。善男子、如キノ↠是クノ義ノ故ニ説キテ言ヘリト↢如来所有ノ功徳、无量无辺不可称計ト↡。」 抄出

一 Ⅱ ⅰ b ロ (四)「梵行品」

【12】^またのたまはく (涅槃経・*梵行品)、

又言ク、

^「善男ぜんなん子し、 道どうに二に種しゅあり。 一ひとつには常じょう、 二ふたつには無む常じょうなり。 菩ぼ提だいの相そうにまた二に種しゅあり。 一ひとつには常じょう、 二ふたつには無む常じょうなり。 涅ね槃はんもまたしかなり。 外げ道どうの道どうを名なづけて無む常じょうとす、 内道ないどうの道どうはこれを名なづけて常じょうとす。 声しょう聞もん・縁覚えんがく所しょ有うの菩ぼ提だいを名なづけて無む常じょうとす、 菩ぼ薩さつ・諸仏しょぶつの所しょ0345有うの菩ぼ提だい、 これを名なづけて常じょうとす。 外げの解げ脱だつは名なづけて無む常じょうとす、 内ないの解げ脱だつはこれを名なづけて常じょうとすと。

「▼善男子、道ニ有リ↢二種↡。一ニ者ハ常、二ニ者ハ无常ナリ。菩薩之相ニ亦有0161リ↢二種↡。一ニ者常、二ニ者无常ナリ。涅槃モ亦爾ナリ。外道ノ道ヲ名ケテ為ス↢无常ト↡、内道ノ道者ハ名ケテ↠之ヲ為ス↠常ト。声聞・縁覚所有ノ菩提ヲ名ケテ為ス↢无常ト↡、菩薩・諸仏ノ所有ノ菩提、名ケテ↠之ヲ為ス↠常ト。外ノ解脱者名ケテ為ス↢无常ト↡、内ノ解脱者ハ名ケテ↠之ヲ為スト↠常ト。

^善男ぜんなん子し、 道どうと菩ぼ提だいおよび涅ね槃はんと、 ことごとく名なづけて常じょうとす。 一切いっさい衆しゅ生じょうは、 つねに無む量りょうの煩悩ぼんのうのために覆おおはれて慧え眼げんなきがゆゑに、 見みることを得うることあたはず。 しかしてもろもろの衆しゅ生じょう、 見みんと欲おもふがために*戒かい・定じょう・慧えを修しゅす。 修しゅ行ぎょうをもつてのゆゑに、 道どうと菩ぼ提だいとおよび涅ね槃はんとを見みる。 これを*菩ぼ薩さつの得道とくどう菩ぼ提だい涅ね槃はんと名なづく。 道どうの*性しょう相そう、 実じつに不ふ生しょう滅めつなり。 この義ぎをもつてのゆゑに捉そく持じすべからず。 乃至

◆善男子、道ト与ト↢菩提及以 オヨビ 涅槃↡、悉ク名ケテ為ス↠常ト。一切衆生ハ、常ニ為ニ↢无量ノ煩悩ノ↡所レテ↠覆オホハ无キガ↢慧眼↡故ニ不ズ↠能ハ↠得ルコト↠見ルコトヲ。而シテ、諸ノ衆生、為ニ↠欲フガ↠見ムト↠修ヲ↢戒・定・慧ヲ↡、以テノ↢修行ヲ↡故ニ見ル↢道ト菩提ト及以 オヨビ 涅槃トヲ↡。是ヲ名ク↢菩薩ノ得道菩提涅槃ト↡。道之性相、実ニ不生滅ナリ。以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ不ズ↠可カラ↢投トウトル持ス↡。 乃至

^*道どうは色像しきぞうなしといへども見みつべし、 *称量しょうりょうして知しんぬべし、 しかるに実じつに*用ゆうありと。 乃至 衆しゅ生じょうの心しんのごときは、 これ色しきにあらず、 長ちょうにあらず短たんにあらず、 粗そにあらず細さいにあらず、 縛ばくにあらず解げにあらず、 見けんにあらずといへども、 法ほうとしてまたこれ有うなり」 と。 抄出

◆道者ハ雖モ↠无シト↢色*像↡可シ↠見ツ、称量シテ可シ↠知ヌ、而ルニ実ニ有リト↠用ユフ。 乃至 如キハ↢衆生ノ心ノ↡、雖モ↧非ズ↢是 レ色ニ↡、非ズ↠長ニ非ズ↠短ニ、非ズ↠麁ニアラシ非ズ↠細ニ、コマカナリ非ズ↠縛ニシバル非ズ↠解ニ、非ズト↞見ニ、法而トシテ亦是有ナリト。」 抄出

一 Ⅱ ⅰ b ロ (五)「徳王品」三文

【13】^またのたまはく (涅槃経・*徳王品)、

又言ク、

^「善男ぜんなん子し、 *大楽だいらくあるがゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。 涅ね槃はんは*無む楽らくなり。 *四し楽らくをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。 なんらをか四よつとする。

「善男子、▼有ルガ↢大楽↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。涅槃ハ无楽ナリ。以テノ↢四楽ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。何等ヲカ為スル↠四ト。

・断受楽

^一ひとつには*諸楽しょらくを断だんずるがゆゑに。 楽らくを断だんぜざるは、 すなはち名なづけて苦くとす。 もし苦くあらば大楽だいらくと名なづけず。 楽らくを断だんずるをもつてのゆゑに、 すなはち苦くあることなけん。 無苦むく無む楽らくをいまし大楽だいらくと名なづく。 涅ね槃はんの性しょうは無苦むく無む0346楽らくなり。 このゆゑに涅ね槃はんを名なづけて大楽だいらくとす。 この義ぎをもつてのゆゑに、 大だい涅ね槃はんと名なづく。

一ニ者断ズルガ↢諸楽ヲ↡故ニ。不ル↠断ゼ↠楽ヲ者ハ則チ名ケテ為ス↠苦ト。若シ有ラ↠苦者バ不ズ↠名ケ↢大楽ト↡。以テノ↠断ズルヲ↠楽ヲ故ニ則チ无ケム↠有ルコト↠苦。无苦无楽ヲ乃シ名ク↢大楽ト↡。涅槃之性ハ无苦无楽ナリ。是ノ故ニ涅槃ヲ名ケテ為ス↢大楽ト↡。以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。

^また次つぎに善男ぜんなん子し、 楽らくに二に種しゅあり、 一ひとつには凡ぼん夫ぶ、 二ふたつには諸仏しょぶつなり。 凡ぼん夫ぶの楽らくは無む常じょう*敗はい壊えなり、 このゆゑに無む楽らくなり。 諸仏しょぶつは常じょう楽らくなり、 *変易へんやくあることなきがゆゑに大楽だいらくと名なづく。

復次ニ善男子、楽ニ有リ↢二種↡、一ニ者凡夫、二ニ者諸仏ナリ。凡夫*之楽ハ无常敗ハイヤブレ壊ナリヤブル 、是ノ故ニ无楽ナリ。諸仏ハ常楽ナリ、无キガ↠有ルコト↢変易↡故ニ名ク↢大楽ト↡。

^また次つぎに善男ぜんなん子し、 三種さんしゅの*受じゅあり。 一ひとつには苦く受じゅ、 二ふたつには楽受らくじゅ、 三みつには不苦ふく不ふ楽らく受じゅなり。 不苦ふく不ふ楽らくこれまた苦くとす。 涅ね槃はんも不苦ふく不ふ楽らくに同おなじといへども、 しかるに大楽だいらくと名なづく。 大楽だいらくをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。

復次ニ善男子、有リ↢三種ノ受↡。一ニ者苦受、二ニ者0162楽受、三ニ者不苦不楽受ナリウクル 。不苦不楽是亦為ス↠苦ト。涅槃モ雖モ↠同ジト↢不苦不楽ニ↡、然ルニ名ク↢大楽ト↡。以テノ↢大楽ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。

・寂静楽

^二ふたつには*大だい寂静じゃくじょうのゆゑに名なづけて大楽だいらくとす。 涅ね槃はんの性しょうこれ大だい寂静じゃくじょうなり。 なにをもつてのゆゑに、 一切いっさい*憒かい鬧にょうの法ほうを遠おん離りせるゆゑに。 大だい寂じゃくをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。

二ニ者大寂静ノ故ニ名ケテ為ス↢大楽ト↡。涅槃之性是大寂静ナリ。何ヲ以テノ故ニ。遠↢離セル一切憒クワイイツワル ワロキコトナリ 鬧ネウイツノワル法ヲ↡故ニ。以テノ↢大寂ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。

・覚知楽

^三みつには*一切いっさい智ちのゆゑに名なづけて大楽だいらくとす。 一切いっさい智ちにあらざるをば大楽だいらくと名なづけず。 諸仏しょぶつ如来にょらいは、 一切いっさい智ちのゆゑに名なづけて大楽だいらくとす。 大楽だいらくをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。

三ニ者一切智ノ故ニ名ケテ為ス↢大楽ト↡。非ザルヲバ↢一切智ニ↡不ズ↠名ケ↢大楽ト↡。諸仏如来ハ、一切智ノ故ニ名ケテ為ス↢大楽ト↡。以テノ↢大楽ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。

・不壊楽

^四よつには身しん不壊ふえのゆゑに名なづけて大楽だいらくとす。 身しんもし壊えすべきは、 すなはち楽らくと名なづけず。 如来にょらいの身しんは金剛こんごうにして壊えなし。 煩悩ぼんのうの身しん、 無む常じょうの身しんにあらざるがゆゑに大楽だいらくと名なづく。 大楽だいらくをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく」 と。 以上

四ニ者身不壊ノ故ニ名ケテ為↢大楽ト↡。身若シ可キハ↠壊ス則チ不ズ↠名ケ↠楽ト。如来之身ハ金剛ニシテ无シ↠壊。非ズ↢煩悩ノ身、无常之身ニ↡故ニ名ク↢大楽ト↡。以テノ↢大楽ヲ↡故ニ名クト↢大涅槃ト↡。」 已上

【14】^またのたまはく (涅槃経・徳王品)、

又言ク、

^「不可ふか称量しょうりょう不可ふか思議しぎなるがゆゑに、 名な0347づけて大般だいはつ涅ね槃はんとすることを得う。 純浄じゅんじょうをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。 いかんが純浄じゅんじょうなる。 浄じょうに四し種しゅあり。 なんらをか四よつとする。

「不可称量不可思議ナルガ故ニ得ウ↣名ケテ為ルコトヲ↢大般涅槃ト↡。▼以テノ↢純ジユンモハラ浄ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。云何ガ純浄ナル。浄ニ有リ↢四種↡。何等ヲカ為スル↠四ト。

^一ひとつには二に十じゅう五ご有うを名なづけて不ふ浄じょうとす。 よく永ながく断だんずるがゆゑに、 名なづけて浄じょうとすることを得う。 浄じょうはすなはち涅ね槃はんなり。 *かくのごときの涅ね槃はん、 また有うにしてこれ涅ね槃はんと名なづくることを得う。 実じつにこれ有うにあらず。 諸仏しょぶつ如来にょらい、 世せ俗ぞくに随したがふがゆゑに涅ね槃はん有うなりと説ときたまへり。

一ニ者二十五有ヲ名ケテ為ス↢不浄ト↡。能ク永ク断ズルガ故ニ得ウ↢名ケテ為ルコトヲ↟浄ト。浄ハ即チ涅槃ナリ。如キノ↠是クノ涅槃、亦得ウ↠名クルコトヲ↢有ニ而シテ是 レ涅槃ト↡。実ニ非ズ↢是 レ有ニ↡。諸仏如来、随フガ↢世俗ニ↡故ニ説キタマヘリ↢涅槃有ナリト↡。

^たとへば世せ人にんの、 父ちちにあらざるを父ちちといひ、 母ははにあらざるを母ははといふ、 実じつに父母ぶもにあらずして父母ぶもといふがごとし。 涅ね槃はんもまたしかなり。 世せ俗ぞくに随したがふがゆゑに、 *説ときて諸仏しょぶつ有うにして大だい涅ね槃はんなりとのたまへり。

譬ヘバ如シ↧世人ノ非ルヲ↠父ニ言ヒ↠父ト、非ザルヲ↠母ニ言フ↠母ト、実ニ非ズ↢父母ニ↡而シテ言フガ↦父母ト↥。涅槃モ亦爾ナリ。随フガ↢世俗ニ↡故ニ説キテ言ヘリ↢諸仏有ニシテ大涅槃ナリト↡。

^二ふたつには*業ごう清浄しょうじょうのゆゑに。 一切いっさい凡ぼん夫ぶの業ごうは、 不ふ清浄しょうじょうのゆゑに涅ね槃はんなし。 諸仏しょぶつ如来にょらいは業ごう清浄しょうじょうのゆゑに、 ゆゑに大だい浄じょうと名なづく。 大だい浄じょうをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。

二ニ者業清浄ノ故ニ。一切凡夫ノ業ハ、不清浄ノ故ニ无シ↢涅槃↡。諸仏如来ハ業清浄ノ故ニ、故ニ名ク↢大浄ト↡。以テノ↢大浄ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。

^三みつには身しん清浄しょうじょうのゆゑに。 身しんもし無む常じょうなるをすなはち不ふ浄じょうと名なづく。 如来にょらいの身しんは常じょうなるがゆゑに大だい浄じょうと名なづく。 大だい浄じょうをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。

三ニ者身清浄ノ故ニ。身若シ无常0163ナルヲ則チ名ク↢不浄ト↡。如来ノ身ハ常ナルガ故ニ名ク↢大浄ト↡。以テノ↢大浄ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。

^四よつには心しん清浄しょうじょうのゆゑに。 心もし有漏うろなるを名なづけて不ふ浄じょうといふ。 仏心ぶっしんは無漏むろなるがゆゑに大だい浄じょうと名なづく。 大だい浄じょうをもつてのゆゑに大だい涅ね槃はんと名なづく。 善男ぜんなん子し、 *これを善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんと名なづく」 と。 抄出

四ニ者心清浄ノ故ニ。心若シ有漏ナルヲモラス  名ケテ曰フ↢不浄ト↡。仏心ハ无漏ナルガ故ニ名ク↢大浄ト↡。以テノ↢大浄ヲ↡故ニ名ク↢大涅槃ト↡。善男子、是ヲ名クト↢善男子・善女人ト↡。」 抄出

【034815】^またのたまはく (涅槃経・徳王品)、

又言ク、

^「善男ぜんなん子し、 諸仏しょぶつ如来にょらいは煩悩ぼんのう起おこらず、 これを涅ね槃はんと名なづく。 所しょ有うの智慧ちえ、 法ほうにおいて無礙むげなり、 これを如来にょらいとす。 如来にょらいはこれ凡ぼん夫ぶ・声しょう聞もん・縁覚えんがく・菩ぼ薩さつにあらず、 これを仏ぶっ性しょうと名なづく。 如来にょらいは身心しんしん智慧ちえ、 無む量りょう無む辺へん阿あ僧そう祇ぎの土どに遍満へんまんしたまふに、 障しょう礙げするところなし、 これを虚こ空くうと名なづく。 如来にょらいは常住じょうじゅうにして変易へんやくあることなければ、 名なづけて実相じっそうといふ。 この義ぎをもつてのゆゑに、 如来にょらいは実じつに*畢ひっ竟きょう涅ね槃はんにあらざる、 *これを菩ぼ薩さつと名なづく」 と。 以上

「善男子、諸仏如来ハ煩悩不ズ↠起ラ、是ヲ名ク↢涅槃ト↡。所有ノ智慧於テ↠法ニ无ナリ、是ヲ為ス↢如来ト↡。如来ハ非ズ↢是凡夫・声聞・縁覚・菩薩ニ↡、是ヲ名ク↢仏性ト↡。如来ハ身心智慧、徧↢満シタマフニ无量无辺阿僧祇ノマコト土ニ↡、无シ↠所↢障スル↡、是ヲ名ク↢虚空ト↡。如来ハ常住ニシテ无ケレバ↠有ルコト↢変易↡、名ケテ曰フ↢実相ト↡。以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ如来ハ実ニ不ザル↢畢竟涅槃ニ↡、是ヲ名クト↢菩薩ト↡。」 已上

一 Ⅱ ⅰ b ロ (六)「迦葉品」二文

【16】^またのたまはく (涅槃経・*迦葉品)、

又言ク、

^「迦か葉しょう菩ぼ薩さつまうさく、 ª世せ尊そん、 仏ぶっ性しょうは常じょうなり、 なほ虚こ空くうのごとし、 なんがゆゑぞ如来にょらい説ときて未み来らいとのたまふやと。 如来にょらい、 もし一闡いっせん提だいの輩ともがら、 善法ぜんぼうなしとのたまはば、 一闡いっせん提だいの輩ともがらそれ同学どうがく・同どう師し・父母ぶも・親族しんぞく・妻さい子しにおいて、 あにまさに*愛念あいねんの心しんを生しょうぜざるべきや。 もしそれ生しょうぜば、 これ善ぜんにあらずやº と。

「迦葉菩薩言ハク、世尊、仏性者ハ常ナリ、猶 ホ如シ↢虚空ノ↡、何ガ故ゾ如来説キテ言フヤト↢未来ト↡。如来若シ言ハ↣一闡セン提ノ輩ヤカラ无シト↢善法↡者バ、一闡提ノ輩、於テ↢其 レ同学・同師・父母・親族・ヤカラ妻メ 子ニ↡、豈 ニ当ニキ↠不ル↠生ゼ↢愛念ノ心ヲ↡邪ヤ。如モシ其 レ生ゼ者バ、非ズ↢是 レ善ニ↡乎ヤト。

^仏ぶつののたまはく、 ª善よいかな善よいかな、 善男ぜんなん子し、 快こころよくこの問といを発ほっせり。 仏ぶっ性しょうはなほ虚こ空くうのごとし、 過去かこにあらず、 未み来らいにあらず、 現在げんざいにあらず。 一切いっさい衆しゅ生じょうに三種さんしゅの身しんあり、 いはゆる過去かこ・未み来らい・現在げんざいなり。 ▽衆しゅ生じょう、 未み来らいに荘しょう厳ごん清浄しょうじょうの身しんを具ぐ足そくして、 仏ぶっ性しょうを見みることを得えん。 こ0349のゆゑにわれ仏ぶっ性しょう未み来らいといへり。

仏ノ言ク、善イ哉善イ哉、善男子、快コヽロヨク発セリ↢斯ノ問ヲ↡。仏性者猶ナホ如シ↢虚空ノ↡、非ズ↢過去ニ↡、非ズ↢未来ニ↡、非ズ↢現在ニ↡。一切衆生ニ有リ↢三種ノ身↡、所ル↠謂ハ過去・未来・現在ナリ。衆生、未来ニ具↢足シ荘厳清浄之身ヲ↡而テ得ム↠見ルコトヲ↢仏性ヲ↡。是ノ故ニ我言ヘリト↢仏性未来ト↡。

^善男ぜんなん子し、 あるいは衆しゅ生じょうのために、 ある時ときは因いんを説ときて果かとす、 ある時ときは果かを説ときて因いんとす。 このゆゑに経きょうのなかに*命みょうを説ときて食じきとす、 *色しきを見みて触そくと名なづく。 未み来らいの身しん浄じょうなるがゆゑに仏ぶっ性しょうと説とくº と。

善男子、或イハ為ニ↢衆生ノ↡、或0164時ハ説キテ↠因ヲ為ス↠果ト、或時ハ説キテ↠果ヲ為ス↠因ト。是ノ故ニ経ノ中ニ説キテ↠命ヲ為ス↠食ト、見テ↠色ヲ名ク↠触ソクトフルヽ。未来ノ身浄ナルガ故ニ説クト↢仏性ト↡。

^ª世せ尊そん、 仏ぶつの所説しょせつの義ぎのごとし。 かくのごときのもの、 なんがゆゑぞ説ときて一切いっさい衆しゅ生じょう悉しつ有う仏ぶっ性しょうとのたまへるやº と。

世尊、如シ↢仏ノ所説ノ義ノ↡。如キノ↠是クノ者 ノ、何ガ故ゾ説キテ言 マヘルヤト↢一切衆生悉有仏性ト↡。

^ª善男ぜんなん子し、 衆しゅ生じょうの仏ぶっ性しょうは現在げんざいに無むなりといへども、 無むといふべからず。 虚こ空くうのごとし。 性しょうは無むなりといへども、 現在げんざいに無むといふことを得えず。 一切いっさい衆しゅ生じょうまた無む常じょうなりといへども、 しかもこれ仏ぶっ性しょうは常住じょうじゅうにして変へんなし。

善男子、衆生ノ仏性ハ雖モ↢現在ニ无ナリト↡、不↠可カラ↠言フ↠无ト。如シ↢虚空ノ↡。性ハ雖モ↠无ナリト、現在ニ不ズ↠得エ↠言フコトヲ↠无ト。一切衆生雖モ↢復无常ナリト↡、而モ是 レ仏性ハ常住ニシテ无シ↠変。

^このゆゑにわれこの経きょうのなかにおいて、 «*衆しゅ生じょうの仏ぶっ性しょうは非ひ内ない非外ひげにして、 なほ虚こ空くうのごとし» と説とく。 非ひ内ない非外ひげにして、 それ虚こ空くうのごとくして有うなり。 内ない外げは虚こ空くうなれども、 名なづけて一いちとし、 常じょうとせず。 また一切いっさい処しょ有うといふことを得えず。 虚こ空くうはまた非ひ内ない非外ひげなりといへども、 しかれどももろもろの衆しゅ生じょうことごとくみなこれあり。 衆しゅ生じょうの仏ぶっ性しょうもまたまたかくのごとし。

是ノ故ニ我 レ於テ↢此ノ経ノ中ニ↡、説キタマフ↣衆生ノ仏性ハ非内非外ニシテ、猶 ホ如シト↢虚空ノ↡。非内非外ニシテ、如クシテ↢其 レ虚空ノ↡有ナリ。内外者虚空ナレドモ、不↢名ケテ為シ↠一ト為セ↟常ト。亦不ズ↠得エ↠言フコトヲ↢一切処有ト↡。虚空ハ雖モ↢復非内非外ナリト↡、而レドモ諸ノ衆生悉ク皆有リ↠之コレ。衆生ノ仏性モ亦復如シ↠是クノ。

^なんぢいふところの一闡いっせん提だいの輩ともがらのごとし、 もし身業しんごう・口く業ごう・意い業ごう・取業しゅごう・求ぐ業ごう・施せ業ごう・解げ業ごう、 かくのごときらの業ごうあれども、 ことごとくこれ邪業じゃごうなり。 なにをもつてのゆゑに、 因いん果がを求もとめざるがゆゑなり。 善男ぜんなん子し、 *訶梨かり勒ろくの果か0350、 根こん・茎きょう・枝し・葉よう・華け・実じつ、 ことごとく苦にがきがごとし。 一闡いっせん提だいの業ごうもまたまたかくのごとしº」 と。 以上

如シ↢汝所ノ↠言フ一闡提ノ輩ノ↡、若シ有レドモ↢身業・口業・意業・取業・求業・後業・解業、如キ↠是クノ等ラノ業↡、悉ク是邪業ナリ。何ヲ以テノ故ニ。不ルガ↠求メ↢因果ヲ↡故ナリト。善男子、如シ↢訶梨勒ノ果、根・茎・枝・葉・華・実悉ク苦ニガキガ↡。一闡提ノ業モ亦復如シト↠是クノ。」 已上

【17】^またのたまはく (涅槃経・迦葉品)、

又言ハク、

^「ª善男ぜんなん子し、 如来にょらいは*知ち諸根しょこん力りきを具ぐ足そくしたまへり。 このゆゑによく衆しゅ生じょうの上じょう・中ちゅう・下げの根こんを解さとり分別ふんべつして、 よくこの人ひとを知しろしめして下げを転てんじて中ちゅうとなす、 よくこの人ひとを知しろしめして中ちゅうを転てんじて上じょうとなす、 よくこの人ひとを知しろしめして上じょうを転てんじて中ちゅうとなす、 よくこの人ひとを知しろしめして中ちゅうを転てんじて下げとなす。

「善男子、如来ハ具↢足シタマヘリ知諸根力ヲ↡。是ノ故ニ善ク解リ↢分↣別シテ衆生ノ上・中・下ノ根ヲ↡、能ク知 シメシテ↢是ノ人ヲ↡転ジテ↠下ヲ作ス↠中ト、能ク知シテ↢是ノ人ヲ↡転ジテ↠中ヲ作ス↠上ト、能ク知シテ↢是ノ人ヲ↡転ジテ↠上ヲ作ス↠中ト、能ク知シテ↢是ノ人ヲ↡転ジテ↠中ヲ作ス↠下ト。

^このゆゑにまさに知しるべし、 衆しゅ生じょうの*根こん性じょうに決けつ定じょうあることなし。 定じょうなきをもつてのゆゑに、 あるいは善根ぜんごんを断だんず、 断だんじをはりて還かえりて生しょうず。 もしもろもろの衆しゅ生じょうの根こん性じょう定じょうならば、 つひに先さきに断だんじて、 断だんじをはりてまた生しょうぜざらん。 また一闡いっせん提だいの輩ともがら、 地じ獄ごくに堕だして寿じゅ命みょう一劫いっこうなりと説とくべからず。 善男ぜんなん子し、 このゆゑに如来にょらい、 一切いっさいの法ほうは*定じょう相そうあることなしと説ときたまへりº と。

是ノ故ニ当ニシ↠知ル衆生ノ根性ニ无シ↠有ルコト↢決定↡。以テノ↠无キヲ↠定故ニ或イハ断ズ↢善根ヲ↡、断ジ已リテ還リテ生ズ。若シ諸ノ衆生ノ根性定ナラ者バ、終ニ不ラム↢先 キニ断ジテ断ジ已リテ復 タ0165生ゼ↡。亦不ズト↠応カラ↠説ク↧一闡提ノ輩 ラ、*堕シテ↢於地獄ニ↡寿命一劫ナリト↥。善男子、是ノ故ニ如来説キタマヘリト↢一切ノ法ハ无シト↟有ルコト↢定相↡。

^迦か葉しょう菩ぼ薩さつ、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 如来にょらいは知ち諸根しょこん力りきを具ぐ足そくして、 さだめて*善ぜん星しょうまさに善根ぜんごんを断だんずべしと知しろしめさん。 なんの因縁いんねんをもつてその出しゅっ家けを聴ゆるしたまふº と。

▼迦葉菩薩白シテ↠仏ニ言ク、世尊、如来ハ具↢足シテ知諸根力ヲ↡、定メテ知 シメサム↢善星当ニシト↠断ズ↢善根ヲ↡。以テ↢何ノ因縁ヲ↡聴シタマフト↢其ノ出家ヲ↡。

^仏ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなん子し、 われ往おう昔じゃくの初そのかみにおいて出しゅっ家けの時とき、 わが弟おとうと*難なん陀だ、 従弟いとこ*阿あ難なん・*提だい婆ば達だっ多た、 子こ*羅ら睺羅ごら、 かくのご0351ときらの輩ともがら、 みなことごとくわれに随したがひて家いえを出いで道どうを修しゅしき。 われもし善ぜん星しょうが出しゅっ家けを聴ゆるさずは、 その人ひと次つぎにまさに王おう位いを紹つぐことを得うべし。 その力ちから自じ在ざいにして、 まさに仏法ぶっぽうを壊えすべし。 この因縁いんねんをもつて、 われすなはちその出しゅっ家け修道しゅどうを聴ゆるす。

◆仏ノ言ノタマハク、善男子、我 レ於テ↢往昔ジヤクムカシノ初ソノカミニ↡出家ノ時 キ、吾ガ弟難陀、従シタガフ↢弟阿難・提婆達多、子羅睺羅ニ↡、如キ↠是クノ等ノ輩トモガラ、皆悉ク随ヒテ↠我ニ出テ↠家ヲ修シキ↠道ヲ。我 レ若シ不ズハ↠聴ユルサ↢善星ガ出家ヲ↡、其ノ人次ニ当ニシ↠得ウ↠紹ツグコトヲ↢王位ヲ↡。其ノ力自在ニシテ、当ニシ↠壊ス↢仏法ヲ↡。以テ↢是ノ因縁ヲ↡、我 レ便チ聴ス↢其ノ出テ↠家ヲ修スルコトヲ↠道ヲ↡。

^善男ぜんなん子し、 善ぜん星しょう比丘びくもし出しゅっ家けせずは、 また善根ぜんごんを断だんぜん。 無む量りょう世せにおいてすべて利り益やくなけん。 いま出しゅっ家けしをはりて善根ぜんごんを断だんずといへども、 よく戒かいを受じゅ持じして*耆ぎ旧きゅう・長宿ちょうしゅく・有う徳とくの人ひとを供く養ようし*恭く敬ぎょうせん、 初禅しょぜん乃ない至し四し禅ぜんを修しゅ習じゅうせん。 これを善因ぜんいんと名なづく。 かくのごときの善因ぜんいん、 よく善法ぜんぽうを生うむ。 善法ぜんぽうすでに生しょうぜば、 よく道どうを修しゅ習じゅうせん。 すでに道どうを修しゅ習じゅうせば、 まさに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得うべし。 このゆゑにわれ善ぜん星しょうが出しゅっ家けを聴ゆるせり。

◆善男子、善星比丘若シ不ズハ↢出家セ↡、亦断ゼム↢善根ヲ↡。於テ↢无量世ニ↡都テ无ケム↢利益↡。今出家シ已リテ雖モ↠断ズト↢善根ヲ↡、能ク受↢持シテ戒ヲ↡供↢養シ恭↣敬セム耆ギ旧キウ・長宿・有徳之人ヲ↡、修↢習セム初禅乃至四禅ヲ↡。是ヲ名ク↢善因ト↡。如キノ↠是クノ善因、能ク生ム↢善法ヲ↡。善法既ニ生ゼバ、能ク修↢習セム道ヲ↡。既ニ修↢習セバ道ヲ↡、当ニシ↠得ウ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。是ノ故ニ我 レ聴ス↢善星ガ出家ヲ↡。

^善男ぜんなん子し、 もしわれ善ぜん星しょう比丘びくが出しゅっ家けを聴ゆるし戒かいを受うけしめずは、 すなはちわれを称しょうして如来にょらい具ぐ足そく十じゅう力りきとすることを得えざらんと。 乃至 善男ぜんなん子し、 如来にょらいよく衆しゅ生じょうのかくのごとき上じょう・中ちゅう・下げの根こんと知しろしめす。 このゆゑに仏ぶつは具ぐ知ち根力こんりきと称しょうせしむº と。

◆善男子、若シ我 レ不ズハ↧聴シ↢善星比丘ガ出家ヲ↡受ケシメ↞戒ヲ、則チ不ラムト↠得エ↣称シテ↠我ヲ為スルコトヲ↢如来具足十力ト↡。 乃至 善男子、如来善ク知 シメス↢衆生ノ如キ↠*是クノ上・中・下ノ根ト↡。是ノ故ニ称セシムト↢仏ハ具知根力ト↡。

^迦か葉しょう菩ぼ薩さつ、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 如来にょらいはこの知ち根力こんりきを具ぐ足そくしたまへり。 このゆゑによく一切いっさい衆しゅ生じょう上じょう・中ちゅう・下げの根こん、 利り鈍どんの差別しゃべつを知しろしめして、 *人に随したがひ、 意こころに随したがひ、 時ときに随したがふがゆゑに、 如来にょらい知ち諸根しょこん力りきと名なづけたてまつると。 乃至 あるいは説とき0352て犯ぼん四し重じゅう禁きん、 作さ五ご逆ぎゃく罪ざい、 一闡いっせん提だい等とう、 みな仏ぶっ性しょうありといふことありº と。 乃至

◆迦葉菩薩白シテ↠仏ニ言ク、世尊、如来ハ具↢足シタマヘリ是ノ知根力ヲ↡。是ノ故ニ能ク知 シメシテ↢一切衆生上・中・下ノ根、利鈍ノ差別ヲ↡、随ヒ↠人ニ随ヒ↠意ニ随フガ↠時ニ故ニ名ケタテマツルト↢如来知諸根力ト↡。 乃至 或イハ有アリト↤説キテ言フコト↣犯四重禁、作0166五逆罪、一闡提等、皆 ナ有リト↢仏性↡。 乃至

 ^ª如来にょらい世せ尊そん、 国こく土どのためのゆゑに、 時じ節せつのためのゆゑに、 *他語たごのためのゆゑに、 人ひとのためのゆゑに、 *衆根しゅこんのためのゆゑに、 一法いっぽうのなかにおいて二に種しゅの説せつをなす。 一いち名みょうの法ほうにおいて無む量りょうの名なを説とく、 一いち義ぎのなかにおいて無む量りょうの名なを説とく、 無む量りょうの義ぎにおいて無む量りょうの名なを説とく。

如来世尊、為ノ↢国土ノ↡故ニ、為ノ↢時節ノ↡故ニ、為ノ↢他語ノ↡故ニ、為ノ↠人ノ故ニ、為ノ↢衆根ノ↡故ニ、於テ↢一法ノ中ニ↡作ス↢二種ノ説ヲ↡。於テ↢一名ノ法ニ↡説ク↢无量ノ名ヲ↡、於テ↢一義ノ中ニ↡説ク↢无量ノ名ヲ↡、於テ↢无量ノ義ニ↡説ク↢无量ノ名ヲ↡。

^いかんが一いち名みょうに無む量りょうの名なを説とくや。 なほし涅ね槃はんのごとし。

云何ガ一名ニ説クヤ↢无量ノ名ヲ↡。猶シ如シ↢涅槃ノ↡。

^また涅ね槃はんと名なづく、 また無む生しょうと名なづく、 また*無む出しゅつと名なづく、 また無作むさと名なづく、 また無為むいと名なづく、 また帰依きえと名なづく、 また窟宅くったくと名なづく、 また解げ脱だつと名なづく、 また光こう明みょうと名なづく、 また灯とう明みょうと名なづく、 また彼ひ岸がんと名なづく、 また無畏むいと名なづく、 また*無む退たいと名なづく、 また安処あんしょと名なづく、 また寂静じゃくじょうと名なづく、 また無む相そうと名なづく、 また無二むにと名なづく、 また一いち行ぎょうと名なづく、 また清涼しょうりょうと名なづく、 また無む闇あんと名なづく、 また無礙むげと名なづく、 また無む諍じょうと名なづく、 また無む濁じょくと名なづく、 また広大こうだいと名なづく、 また甘かん露ろと名なづく、 また吉きっ祥しょうと名なづく。 これを一いち名みょうに無む量りょうの名なを作つくると名なづく。

亦名ク↢涅槃ト↡、亦名ク↢无生ト↡、亦名ク↢无出ト↡、亦名ク↢无作ト↡、亦名ク↢无為ト↡、亦名ク↢帰タノム ヨルトモ依ト↡、亦名ク↢窟クツアナ宅ト↡、亦名ク↢解脱ト↡、亦名ク↢光明ト↡、亦名ク↢灯明ト↡、亦名ク↢彼岸ト↡、亦名ク↢无畏イトオソレ↡、亦名ク↢无退トシリゾク↡、亦名ク↢安処ト↡、亦名ク↢寂シヅカニ 静ト↡シヅカナリ、亦名ク↢无相ト↡、亦名ク↢无二ト↡、亦名ク↢一行ト↡、亦名ク↢清涼リヤウスヾシト↡、亦名ク↢无闇アムヤミト↡、亦名ク↢无トサハル↡、亦名ク↢无静ト↡、亦名ク↢无濁ト↡、亦名ク↢広大ト↡、亦名ク↢甘露ト↡、亦名ク↢吉祥アキラト↡。カナリ*是ヲ名ク↣一名ニ作ツクルト↢无量ノ名ヲ↡。

^いかんが一いち義ぎに無む量りょうの名なを説とくや。 なほし帝たい釈しゃくのごとし。 乃至

云何ガ一義ニ説クヤ↢无量ノ名ヲ↡。猶シ如シ↢帝釈ノ↡。 乃至

^いかんが無む量りょうの義ぎにおいて無む量りょうの名なを説とくやと。 仏ぶつ・如来にょらいの名みなのごとし。

云何ガ於テ↢无量ノ義ニ↡説クヤト↢无量ノ名ヲ↡。如シ↢仏・如来ノ名ミナノ↡。

^如来にょらいの義ぎ異い名みょう異いとす、 また阿羅あら呵かと名なづく、 義ぎ異い名みょう0353異いなり。 また三さん藐みゃく三さん仏ぶっ陀だと名なづく、 義ぎ異い名みょう異いなり。

為ス↢如来ノ義異名異ト↡、亦名ク↢阿羅呵カト↡、義異名異ナリ。亦名ク↢三藐三仏陀ト↡、義異名異ナリ。

^また船せん師しと名なづく、 また導どう師しと名なづく、 また正しょう覚がくと名なづく、 また明行みょうぎょう足そくと名なづく、 また*大だい師し子し王おうと名なづく、 また沙門しゃもんと名なづく、 また婆羅ばら門もんと名なづく、 また寂静じゃくじょうと名なづく、 また施せ主しゅと名なづく、 また到とう彼ひ岸がんと名なづく、 また*大だい医い王おうと名なづく、 また*大象だいぞう王おうと名なづく、 また*大だい竜りゅう王おうと名なづく、 また*施せ眼げんと名なづく、 また*大だい力りき士しと名なづく、 また大だい無畏むいと名なづく、 また*宝聚ほうじゅと名なづく、 また*商しょう主しゅと名なづく、 また得とく解げ脱だつと名なづく、 また大だい丈じょう夫ぶと名なづく、 また天人てんにん師しと名なづく、 また*大だい分ふん陀利だりと名なづく、 また*独どく無む等侶とうりょと名なづく、 また大だい福田ふくでんと名なづく、 また大だい智ち海かいと名なづく、 また無む相そうと名なづく、 また*具ぐ足そく八はっ智ちと名なづく。

亦名ク↢船フネ師ト↡、亦名ク↢導師ト↡、亦名ク↢正覚ト↡、亦名ク↢明行足ト↡、亦名ク↢大師子王ト↡、亦名ク↢沙門ト↡、亦名ク↢婆羅門ト↡、亦名ク↢寂静ト↡、亦名ク↢施主ホドコスト↡、亦名ク↢到彼岸ト↡、亦名ク↢大医王ト↡、亦名ク↢大象王ト↡、亦名ク↢大竜王ト↡、亦名ク↢施眼ト↡、亦名ク↢大力士ト↡、亦名ク↢大无畏ト↡、亦名ク↢宝聚トトッモガラ↡、亦名ク↢商シヤウ主アキナイ ト↡、亦名ク↢得解脱ト↡、亦名ク↢大丈夫ト↡、亦名ク↢天人師ト↡、亦名ク↢大分陀利ト↡、亦0167名ク↢独ヒトリ无等侶リヨトトモガラ↡、亦名ク↢大福田ト↡、亦名ク↢大智サトル海ト↡、亦名ク↢无相ト↡、亦名ク↢具足八智ト↡。

^かくのごとき一切いっさい、 義ぎ異い名みょう異いなり。 善男ぜんなん子し、 これを無む量りょう義ぎのなかに無む量りょうの名なを説とくと名なづく。

如キ↠是クノ一切、義異名異ナリト。善男子、是ヲ名ク↣无量義ノ中ニ説クト↢无量ノ名ヲ↡。

^また一いち義ぎに無む量りょうの名なを説とくことあり。 いはゆる*陰おんのごとし。

復有リ↣一義ニ説クコト↢无量ノ名ヲ↡。所ル↠謂ハ如シ↠陰ノ。

^また名なづけて陰おんとす、 また顛倒てんどうと名なづく、 また名なづけて*諦たいとす、 また名なづけて四し念ねん処じょとす、 また四し食じきと名なづく、 また四し識しき住じゅう処しょと名なづく、 また名なづけて有うとす、 また名なづけて道どうとす、 また名なづけて*時じとす、 また名なづけて*衆しゅ生じょうとす、 また名なづけて*世せとす、 また第一だいいち義ぎと名なづく、 また三修さんしゅと名なづく、 いはく身しん・戒かい・心しんなり。 また因いん果がと名なづく、 また煩悩ぼんのうと名なづく、 また0354解げ脱だつと名なづく、 また十じゅう二に因縁いんねんと名なづく、 また*声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつと名なづく、 仏ぶつをまた地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく生しょう・人にん・天てんと名なづく、 また過去かこ・現在げんざい・未み来らいと名なづく。 これを一いち義ぎに無む量りょうの名なを説とくと名なづく。

亦名ケテ為ス↠陰ト、亦名ク↢顛タフレ倒トタフル↡、亦名ケテ為ス↠諦タイト、アキラカナリ亦名ケテ為ス↢四念処ト↡、亦名ク↢四食ト↡、亦名ク↢四識シル住処ト↡、亦名ケテ為ス↠有ト、亦名ケテ為ス↠道ト、亦名ケテ為ス↠時ト、亦名ケテ為ス↢衆生ト↡、亦名ケテ為ス↠世ト、亦名ク↢第一義ト↡、亦名ク↢三修トツクロウ↡、謂ク身・戒・イマシム心ナリ。亦名ク↢因果ト↡、亦名ク↢煩悩ト↡、亦名ク↢解脱ト↡、亦名ク↢十二因縁ト↡、亦名ク↢声聞・辟支アヤマル 仏ト↡、仏ヲ亦名ク↢地獄・餓鬼・畜生・人・天ト↡、亦名ク↢過去・現在・未来ト↡。是ヲ名ク↣一義ニ説クト↢无量ノ名ヲ↡。

^善男ぜんなん子し、 如来にょらい世せ尊そん、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 広こうのなかに略りゃくを説とく、 略りゃくのなかに広こうを説とく。 第一だいいち義ぎ諦たいを説ときて世せ諦たいとす、 世せ諦たいの法ほうを説ときて第一だいいち義ぎ諦たいとすº」 と。 略出

善男子、如来世尊、為ノ↢衆生ノ↡故ニ広ノ中ニ説ク↠略ヲ、略ノ中ニ説ク↠広ヲ。第一義 諦ヲアキラカナリ説キテ為ス↢世諦ト↡、説キテ↢世諦ノ法ヲ↡為スト↢第一義諦ト↡。」*略出

一 Ⅱ ⅰ b ロ (七)「梵行品」

【18】^またのたまはく (涅槃経・梵行品)、

*又言ハク、

^「迦か葉しょうまたまうさく、 ª世せ尊そん、 第一だいいち義ぎ諦たいをまた名なづけて道どうとす、 また菩ぼ提だいと名なづく、 また涅ね槃はんと名なづくº」 と。 乃至

「▼迦葉復言ク、世尊、第一義諦ヲ亦名ケテ為↠道ト、亦名ク↢菩提ト↡、亦名クト↢涅槃ト↡。」 乃至

一 Ⅱ ⅰ b ロ (八)「迦葉品」二文

【19】^またのたまはく (涅槃経・迦葉品)、

又言ク、

^「善男ぜんなん子し、 われ経きょうのなかに如来にょらいの身しんを説とくに、 おほよそ二に種しゅあり。 一ひとつには↓生しょう身じん、 二ふたつには↓法身ほっしんなり。

「善男子、※我 レ以経ノ中ニ説クニ↢如来ノ身ヲ↡、凡ソ有リ↢二種↡。一ニ者生身、二ニ者法身ナリ。

^↑生しょう身じんといふは、 すなはちこれ方便ほうべん応おう化げの身しんなり。 かくのごときの身しんは、 これ生しょう老ろう病びょう死し、 長ちょう短たん黒こく白びゃく、 是此ぜし是彼ぜひ、 *是ぜ学がく無む学がくといふことを得うべし。 わがもろもろの弟子でし、 この説せつを聞ききをはりて、 わが意こころを解さとらざれば、 唱となへていはく、 ª如来にょらいさだめて仏身ぶっしんはこれ有為ういの法ほうなりと説とかんº と。

言フ↢生身ト↡者ハ、即チ是方便応化之身ナリ。如キノ↠是クノ身者ハ、可シ↠得ウ↠言フコトヲ↢是 レ生老病死、長短黒白、是此是彼、是学无学ト↡。我ワガ諸ノ弟子、聞キ↢是ノ説ヲ↡已リテ不レバ↠解 ト0168ラ↢我ガ意ヲ↡、唱 ナヘテサカリ 言ク、如来定メテ説カムト↢仏身ハ是 レ有為ノ法ナリト↡。

^↑法身ほっしんはすなはちこれ*常じょう楽らく我が浄じょうなり。 永ながく*一切いっさい生しょう老ろう病びょう死し、 非ひ白びゃく非ひ黒こく、 非ひ長ちょう非ひ短たん、 非此ひし非彼ひひ、 非ひ学がく非ひ無む学がくを離はなれたまへれば、 もし仏ぶつの出しゅっ世せおよび不ふ出しゅっ世せに、 つねに動どうぜずして変易へんやくあることなけん。 善ぜん男なん0355子し、 わがもろもろの弟子でし、 この説せつを聞ききをはりて、 わが意こころを解さとらざれば、 唱となへていはく、 ª如来にょらいさだめて仏身ぶっしんはこれ無為むいの法ほうなりと説ときたまへりº」 と。

法身ハ即チ是常楽我浄ナリ。永ク離レタマヘレバ↢一切生老病死、非白非黒、非長非短、非此非彼、非学非无学ヲ↡、若シ仏ノ出世及ビ不出世ニ、常ニ不ズシテ↠動ゼ无ケム↠有ルコト↢変易↡。善男子、我ガ諸ノ弟子、聞キ↢是ノ説ヲ↡已リテ不レバ↠解ラ↢我ガ意ヲ↡、唱ヘテ言ク、如来定メテ説キタマヘリト↢仏身ハ是 レ无為ノ法ナリト↡。」

【20】^またのたまはく (涅槃経・迦葉品)、

又言ク、

^「わが所説しょせつの十じゅう二に部ぶ経きょうのごとし、 あるいは↓随ずい自意じい説せつ、 あるいは↓随ずい他意たい説せつ、 あるいは↓随ずい自他じた意い説せつなり。乃至

「如シ↢我ガ所説ノ十二部経ノ↡、或イハ随自意説、或イハ随他意説、或イハ随自他意説ナリ。 乃至

^善男ぜんなん子し、 わが所説しょせつのごとき、 *十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつ少すこしき仏ぶっ性しょうを見みる、 これを↑随ずい他意たい説せつと名なづく。 なにをもつてのゆゑに*少しょう見けんと名なづくるや。 十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつは*首しゅ楞りょう厳ごん等とうの三昧さんまい、 *三千さんぜんの法門ほうもんを得えたり。 このゆゑに了々りょうりょうとしてみづから阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得うべきことを知しるも、 一切いっさい衆しゅ生じょうさだめて阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得えんことを見みず。 このゆゑに▽われ十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつ、 少しょう分ぶん仏ぶっ性しょうを見みると説とくなり。

善男子、如キ↢我ガ所説ノ↡、十住ノ菩薩少シキ見ル↢仏性ヲ↡、是ヲ名ク↢随他意説ト↡。何ヲ以テノ故ニ名クルヤト↢少見ト↡。十住ノ菩薩ハ得タリ↢首楞厳等ノ三昧、三千ノ法門ヲ↡。是ノ故ニ声聞自ミヅカラ知テ↠当ニクトモ↠得ウ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、不ズ↠見ミ↣一切衆生定メテ得ムコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。是ノ故ニ▼我説クナリ↣十住ノ菩薩、少分見ルト↢仏性ヲ↡。

^善男ぜんなん子し、 つねに一切いっさい衆しゅ生じょう悉しつ有う仏ぶっ性しょうと宣説せんぜつする、 これを↑随ずい自意じい説せつと名なづく。 一切いっさい衆しゅ生じょう不ふ断だん不ふ滅めつにして、 乃ない至し阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得うる、 これを随ずい自意じい説せつと名なづく。 一切いっさい衆しゅ生じょうはことごとく仏ぶっ性しょうあれども、 煩悩ぼんのう覆おおへるがゆゑに見みることを得うることあたはずと。

善男子、*常ニ宣センノブ↢説スル一切衆生悉有仏性ト↡、是ヲ名ク↢随自意説ト↡。一切衆生不断不滅ニシテ、乃至得ル↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、是ヲ名ク↢随自意説ト↡。▼一切衆生ハ悉ク有レドモ↢仏性↡、煩悩覆オヽエルガ故ニ不ズト↠能ハ↠得ルコト↠見ルコトヲ。

^わが説せつかくのごとし、 なんぢが説せつまたしかなりと。 これを↑随ずい自他じた意い説せつと名なづく。 善男ぜんなん子し、 如来にょらいあるときは一法いっぽうのためのゆゑに無む量りょうの法ほうを説とく」 と。 抄出

我ガ説如シ↠是クノ、汝ガ説亦爾ナリト。是ヲ名ク↢随自他意説ト↡。善男子、如来或時ハ為ノ↢一法ノ↡故ニ説クト↢无量ノ法ヲ↡。」 抄出

一 Ⅱ ⅰ b ロ (九)「獅子吼品」

【21】^またのたまはく (涅槃経・*師子吼品)、

又言ク、

^「ª一切いっさい覚かく者しゃを名なづけて仏ぶっ性しょうとす。 十じゅう住じゅう0356の菩ぼ薩さつは名なづけて一切いっさい覚かくとすることを得えざるがゆゑに、 このゆゑに見みるといへども明了みょうりょうならず。 善男ぜんなん子し、 見けんに二に種しゅあり。 一ひとつには眼見げんけん、 二ふたつには聞見もんけんなり。

「▼一切覚者ヲ名ケテ為ス↢仏性ト↡。十住ノ菩薩ハ不ルガ↠得エ↣名ケテ為スルコトヲ↢一切0169覚ト↡故ニ是ノ故ニ雖モ↠見ルト而不ズ↢明了ナラ↡。善男子、見ニ有リ↢二種↡。一ニ者眼見、二ニ者聞見ナリ。

^諸仏しょぶつ世せ尊そんは眼まなこに仏ぶっ性しょうを見みそなはす、 掌たなごころのうちにおいて*阿摩あま勒ろく菓かを観かんずるがごとし。 十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつ、 仏ぶっ性しょうを聞見もんけんすれども、 ことさらに了々りょうりょうならず。 十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつ、 ただよくみづからさだめて阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得うることを知しりて、 一切いっさい衆しゅ生じょうはことごとく仏ぶっ性しょうありと知しることあたはず。

◆諸仏世尊ハ眼ニ見ミソナワス↢仏性ヲ↡、如シ↧於テ↢掌ノ中ウチニ↡観ズルガ↦阿摩勒菓ヲ↥。十住ノ菩薩、聞↢見スレドモ仏性ヲ↡、故コトサラニ不ズ↢了了ナラ↡。十住ノ菩薩、唯能ク自ラ知シリ↣定メテ得ルコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡而テ不ズ↠能ハ↠知ルコト↣一切衆生ハ悉ク有リト↢仏性↡。

^善男ぜんなん子し、 また眼見げんけんあり。 *諸仏しょぶつ如来にょらいなり。 十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつは、 仏ぶっ性しょうを眼見げんけんし、 また聞見もんけんすることあり。 一切いっさい衆しゅ生じょう、 乃ない至し*九地くじまでに、 仏ぶっ性しょうを聞見もんけんす。 菩ぼ薩さつ、 もし一切いっさい衆しゅ生じょうことごとく仏ぶっ性しょうありと聞きけども、 心こころに信しんを生しょうぜざれば、 聞見もんけんと名なづけずº と。 乃至

◆善男子、復有リ↢眼見↡。諸仏如来ナリ。十住ノ菩薩ハ、眼↢見シ仏性ヲ↡、復有リ↢聞見スルコト↡。一切衆生、乃至九地マデニ、聞↢見ス仏性ヲ↡。菩薩若シ聞キケドモ↣一切衆生悉ク有リト↢仏性↡、心ニ不レバ↠生ゼ↠信ヲ、不ズト↠名ケ↢聞見ト↡。 乃至

^*師子しし吼く菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつまうさく、 ª世せ尊そん、 一切いっさい衆しゅ生じょうは如来にょらいの心相しんそうを知しることを得うることあたはず。 まさにいかんが観かんじて知しることを得うべきやº と。

◆師子吼菩薩摩訶薩言サク、世尊、一切衆生ハ不ズ↠能ハ↠得ルコト↠知ルコトヲ↢如来ノ心相ヲ↡。当ベ ニシ↢云何ガ観ジ而テ得↟知ルコトヲ邪ヤト。

^ª善男ぜんなん子し、 一切いっさい衆しゅ生じょうは実じつに如来にょらいの心相しんそうを知しることあたはず。 もし観察かんざつして知しることを得えんと欲おもはば、 二ふたつの因縁いんねんあり。 一ひとつには眼見げんけん、 二ふたつには聞見もんけんなり。

◆善男子、一切衆生ハ実ニ不ズ↠能ハ↠知ルコト↢如来ノ心相ヲ↡。若シ欲オモハ↢観察シ而テ得ムト↟知ルコトヲ者バ、有リ↢二ノ因縁↡。一ニ者眼見、二ニ者聞見ナリ。

^もし如来にょらい、 所しょ有うの身業しんごうを見みたてまつらんは、 まさに知しるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり。 これを眼見げんけんと名なづく。 もし如来にょらい所しょ有うの口く業ごうを観かんぜん、 まさに知しるべし、 これすな0357はち如来にょらいとするなり。 これを聞見もんけんと名なづく。

◆若シ見ミタテマツラムハ↢如来所有ノ身業ヲ↡、当ニシ↠知ル是 レ則チ為スル↢如来ト↡也。是ヲ名ク↢眼見ト↡。若シ観ゼム↢如来所有ノ口業ヲ↡、当ニシ↠知ル是則チ為ル↢如来ト↡也。是ヲ名ク↢聞見ト↡。

^もし*色しき貌みょうを見みたてまつること、 一切いっさい衆しゅ生じょうのともに等ひとしきものなけん、 まさに知しるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり。 これを眼見げんけんと名なづく。 もし音おん声じょう微み妙みょう最さい勝しょうなるを聞きかん、 衆しゅ生じょう所しょ有うの音おん声じょうには同おなじからじ、 まさに知しるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり。 これを聞見もんけんと名なづく。

◆若シ見タテマツルコト↢色貌ヲ↡、一切衆生ノ无ナケム↢与トモニ等ヒトシキ者 ノ↡、当ニシ↠知ル是則チ為ル↢如来ト↡也。是ヲ名ク↢眼見ト↡。若シ聞キカム↢音声微妙最勝ナルヲ↡、不ジ↠同ジカラ↢衆生所有ノ音声ニハ↡、当ニシ↠知ル是則チ為ル↢如来ト↡也。是ヲ名ク↢聞見ト↡。

^もし如来にょらい所しょ作さの神通じんずうを見みたてまつらんに、 衆しゅ生じょうのためとやせん、 利り養ようのためとやせん。 もし衆しゅ生じょうのためにして利り養ようのためにせず、 まさに知しるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり。 これを眼見げんけんと名なづく。 もし如来にょらいを観かんずるに、 他た心しん智ちをもつて衆しゅ生じょうを観みそなはす時とき、 利り養ようのために説とき、 衆しゅ生じょうのために説とかん。 もし衆しゅ生じょうのためにして利り養ようのためにせざらん、 まさに知しるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり。 これを聞見もんけんと名なづくº」 と。 略出

◆若シ見ミタテマツラムニ↢如来所作ノ神通ヲ↡、為セム↠為 メトヤ↢衆生ノ↡、為セム↠為 メトヤ↢利養ノ↡。若シ為 メニシテ↢衆生ノ↡不ズ↠為ニセ↢利養ノ↡、当ニシ↠知ル是則チ為ル↢如来ト↡也。是ヲ名ク↢眼見ト↡。若シ観ズルニ↢如来ヲ↡、以テ↢他心智ヲ↡観ミソナハス↢衆生ヲ↡時、為0170ニ↢利養ノ↡説トキ、為ニ↢衆生ノ↡説トカム。若シ為ニシテ↢衆生ノ↡不ラム↠為ニセ↢利養ノ↡、当ニシ↠知ル是則チ為ル↢如来ト↡也。是ヲ名クト↢聞見ト↡。」 略出

一 Ⅱ ⅱ 師釈
      a 北天(¬浄土論¼)

【22】^¬*浄じょう土ど論ろん¼ にいはく、

▼¬*浄土論ニ¼曰ク、

^「▲世せ尊そん、 われ一心いっしんに尽じん十方じっぽうの無礙むげ光こう如来にょらいに帰き命みょうしたてまつりて、 ◆安楽あんらく国こくに生しょうぜんと願がんず。

「▼世尊 我 レ一心ニ▽帰↢命シマツリテ尽十方ノ
无光如来ニ↡願ズ↠生ゼムト↢安楽国ニ↡

^▲かの世せ界かいの相そうを観かんずるに、 三界さんがいの道どうに勝しょう過がせり。 ◆究く竟きょうして虚こ空くうのごとし、 広大こうだいにして辺際へんざいなし」 とのたまへり。 以上

▼観ズルニ↢彼ノ世界ノ相ヲ↡勝↢過セリ三界ノ道ニ↡
▼究竟シテ如シ↢虚空ノ↡広大ニシテ无シトノタマヘリ↢辺際↡」 已上

一 Ⅱ ⅱ b 雁門(¬論註¼六文、¬讃弥陀偈¼、計七文)
        イ 真土を証す
          (一)清浄功徳釈文

【23】^¬註ちゅう論ろん¼ (*論註・下) にいはく、

▼¬*註論ニ¼曰ク、

^「▲ª荘しょう厳ごん清浄しょうじょう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに、 «^観かん彼ぴ世せ界かい相そう 勝しょう過が三界さんがい道どう» といへるがゆゑにº (浄土論) と。

「荘厳清浄功徳成就ト者ハ、偈ニ言ノタマヘリ↢観彼世界相勝過三界道故ト↡ト。

^◆これいかん0358が不ふ思議しぎなるや。 凡ぼん夫ぶ人にん、 煩悩ぼんのう成じょう就じゅせるありて、 またかの浄じょう土どに生しょうずることを得うるに、 三界さんがいの繋け業ごう畢ひっ竟きょうじて牽ひかず。 すなはちこれ煩悩ぼんのうを断だんぜずして涅ね槃はん分ぶんを得う。 いづくんぞ思議しぎすべきや」 と。

此 レ云何ガ不思議ナルヤ。有リテ↢凡夫人煩悩成就セル↡、亦得ルニ↠生ズルコトヲ↢彼ノ浄土ニ↡、三界ノ繋業畢竟ジテ不ズ↠牽ケンカ。則チ是不ズシテ↠断ゼ↢煩悩ヲ↡得ウ↢涅槃分ヲ↡。焉イヅクンゾ可キヤト↢思議ス↡。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)性功徳釈文

【24】^またいはく (論註・上)、

▼又*云ク、

^「▲ª*正しょう道どうの大だい慈悲じひは、 出しゅっ世せの善根ぜんごんより生しょうずº (浄土論) とのたまへり。

「正道ノ大慈悲ハ、出世ノ善根ヨリ生ズトノタマヘリ。

^◆この二句にくは、 荘しょう厳ごん性しょう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。 乃至

此ノ二句ハ、名ク↢荘厳性功徳成就ト↡。 乃至

^▲性しょうはこれ本ほんの義ぎなり。 いふこころは、 これ浄じょう土どは法ほっ性しょうに随ずい順じゅんして法本ほうほんに乖そむかず。 事こと、 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ の宝王ほうおう如来にょらいの性しょう起きの義ぎに同おなじ。

▼性ハ是本ノ義ナリ。言イフコヽロハ此コレ浄土ハ▼随↢順シテ法性ニ↡不ズ↠乖ソムカ↢法本ニ↡。▼事、同ジ↢¬華厳経ノ¼▼宝王如来ノ▼性起ノ義ニ↡。

^◆またいふこころは、 積習しゃくじゅうして性しょうを成じょうず。 *法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつを指さす、 もろもろの波羅はら蜜みつを集あつめて積習しゃくじゅうして成じょうぜるところなり。

▼又言イフコヽロハ、積ツム習シテナラウ 成ズ↠性ヲ。指ユビス↢法蔵菩薩ヲ↡、集メテ↢諸ノ*波羅蜜ヲ↡積習シテ所ナリ↠成ゼル。

^◆また性しょうといふは、 これ聖しょう種しゅ性しょうなり。 序はじめに法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ、 世せ自じ在ざい王おう仏ぶつの所みもとにして無む生しょう忍にんを悟さとる。 そのときの位くらいを聖しょう種しゅ性しょうと名なづく。 この性しょうのなかにおいて四し十じゅう八はちの大願だいがんを発おこして、 この土どを修しゅ起きしたまへり。 すなはち安楽あんらく浄じょう土どといふ。 これかの因いんの所得しょとくなり。 果かのなかに因いんを説とく、 ゆゑに名なづけて性しょうとす。

▼亦言フ↠性ト者ハ是▼聖種性ナリ。序ハジメニ法蔵菩薩、於シテ↢世自在王仏ノ所ミモトニ↡悟ル↢无生忍ヲ↡。爾ノ時ノ位ヲ名ク↢聖種性ト↡。於テ↢是ノ性ノ中ニ↡発シテ↢四十八ノ大願ヲ↡、修↢起シタマヘリ此ノ土ヲ↡。即チ曰フ↢安楽浄土ト↡。是 レ彼ノ因ノ所得ナリ。果ノ中ニ説ク↠因ヲ、故ニ名ケテ為ス↠性ト。

^◆また性しょうといふは、 これ必然ひつねんの義ぎなり、 不ふ改がいの義ぎなり。 海うみの性しょう、 一いち味みにして衆しゅ流りゅう入いるものかならず一いち味みとなつて、 海うみの味あじはひ、 かれに随したがひて改あらたまらざるがごとしとなり。

▼又言フ↠性ト者ハ是必然ノ義ナリ、不 改ガイノアラタマル義ナリ。如シト↧海ノ性、一味ニシテ衆流入ル者 ノ必ズ為ナテ↢一味ト↡、海ノ味不ルガ↦随ヒテ↠彼ニ改 タマラ↥也。

^◆また人身にんじんの性しょう不ふ浄じょうなるがゆゑに、 種々しゅじゅの妙みょう好色こうしき・香こう・美味みみ、 身みに入い0359りぬれば、 みな不ふ浄じょうとなるがごとし。 安楽あんらく浄じょう土どはもろもろの往おう生じょうのひと、 不ふ浄じょうの色しきなし、 不ふ浄じょうの心しんなし、 畢ひっ竟きょうじてみな清浄しょうじょう平びょう等どう無為むい法身ほっしんを得えしむ。 安楽あんらく国こく土ど清浄しょうじょうの性しょう、 成じょう就じゅしたまへるをもつてのゆゑなり。

▼又如0171シ↣人身ノ性不浄ナルガ故ニ、種種ノ妙好色・香・美ミヨシ味ミ、入リヌレバ↠身ニ皆為ナルガ↢不浄ト↡。▼安楽浄土ハ*諸ノ往生ノ者ヒト无シ↢不浄ノ色↡、无シ↢不浄ノ心↡、畢竟ジテ皆得エシム↢清浄平等无為法身ヲ↡。以テノ↢安楽国土清浄ノ性成就シタマヘルヲ↡故ナリ。

^◆ª正しょう道どうの大だい慈悲じひは、 出しゅっ世せの善根ぜんごんより生しょうずº といふは、 平びょう等どうの大道だいどうなり。 平びょう等どうの道どうを名なづけて正しょう道どうとするゆゑは、 平びょう等どうはこれ諸法しょほうの体相たいそうなり。 諸法しょほう平びょう等どうなるをもつてのゆゑに発心ほっしん等ひとし、 発心ほっしん等ひとしきがゆゑに道どう等ひとし、 道どう等ひとしきがゆゑに大だい慈悲じひ等ひとし。 大だい慈悲じひはこれ仏道ぶつどうの正しょう因いんなるがゆゑに、 ª正しょう道どう大だい慈悲じひº とのたまへり。

正道ノ大道大慈悲ハ出世ノ善根ヨリ生ズトイフ者ハ、平等ノ大道也。▼平等ノ道ヲ所↣以 ユヘ 名ケテ為スル↢正道ト↡者ハ、▼平等ハ是諸法ノ体相ナリ。▼以テノ↢諸法平等ナルヲ↡故ニ発心等ヒトシ、▼発心等シキガ故ニ道等ヒトシ、▼道等シキガ故ニ大慈悲等ヒトシ。大慈悲ハ是仏道ノ正因ナルガ故ニ言ノタマヘリ↢正道大慈悲ト↡。

^◆慈悲じひに三縁さんえんあり。 一ひとつには衆しゅ生じょう縁えん、 これ小しょう悲ひなり。 二ふたつには法縁ほうえん、 これ中ちゅう悲ひなり。 三みつには無む縁えん、 これ大だい悲ひなり。 大だい悲ひはすなはちこれ出しゅっ世せの善ぜんなり。 安楽あんらく浄じょう土どはこの大だい悲ひより生しょうぜるがゆゑなればなり。 ゆゑにこの大だい悲ひをいひて浄じょう土どの根こんとす。 ゆゑに ª出しゅっ世せ善根ぜんごん生しょうº といふなり」 と。

▼慈悲ニ有リ↢三縁↡。一ニ者衆生縁、是小悲ナリ。二ニ者*法縁、是中悲ナリ。三ニ者无縁、是大悲ナリ。大悲ハ即チ是出世ノ善也。▼安楽浄土ハ従リ↢此ノ大悲↡生ゼルガ故 ヘナレバナリ。故ニ謂ウテ↢此ノ大悲ヲ↡為ス↢浄土之根ト↡。故ニ曰フナリト↢出世善根生ト↡。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (三)大義門功徳釈文

【25】^またいはく (論註・上)、

▼又云ク、

^「▲問とうていはく、 法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの本願ほんがん (第十四願)、 および龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつの所讃しょさん (易行品) を尋たずぬるに、 みなかの国くにに声しょう聞もん衆しゅ多たなるをもつて奇きとするに似にたり。 これなんの義ぎかあるやと。

「問ウテ曰ク、尋タヅヌルニ↢法蔵菩薩ノ本願力、及ビ龍樹菩薩ノ所讃ヲ↡、皆似ニタリ↧以テ↢彼ノ国ニ声聞衆多ナルヲ↡為スルニ↞奇キヨシト。此 レ有ルヤト↢何ノ義カ↡。

^◆答こたへていはく、 声しょう聞もんは実際じっさいをもつて証しょうとす。 計はかるにさらによく仏道ぶつどうの根こん芽げを生しょうずべからず。 しかる0360を仏ぶつ、 本願ほんがんの不可ふか思議しぎの神力じんりきをもつて、 摂せっしてかしこに生しょうぜしむるに、 かならずまさにまた神力じんりきをもつて、 それをして無む上じょう道心どうしんを生しょうぜしむべし。

答ヘテ曰ク、声聞ハ以テ↢実際キワヲ↡為ス↠証ト。計ルニ不ズ↠応カラ↣更 ラニ能ク生ズ↢仏道ノ根芽ゲクキヲ↡。而ルヲ仏以テ↢本願ノ不可思議ノ神力ヲ↡、摂シテ令ムルニ↠生ゼ↠彼 コニ、必ズ当ニシ↧復以テ↢神力ヲ↡、生ゼシム↦其ヲシテ无上道心ヲ↥。

^◆たとへば鴆ちん鳥ちょう、 水みずに入いれば魚蜯ぎょぼうことごとく死しす、 犀さい牛ぎゅうこれに触ふるれば死しするものみな活よみがえるがごとし。 かくのごとき生しょうずべからずして生しょうぜしむ、 このゆゑに奇きとすべし。 しかるに↓五ご不ふ思議しぎのなかに、 仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。 仏ぶつよく声しょう聞もんをしてまた無む上じょう道心どうしんを生しょうぜしめたまふ。 まことに不可ふか思議しぎの至いたりなり」 と。

譬ヘバ如シ↢▼鴆チム鳥テウ入レバ↠水ニ▼魚蚌カイ咸 トク死ス、犀牛触フルレバ↠之ニ死スル者 ノ皆活ヨミガヘルガ↡。如キ↠此クノ不ズ↠応カラ↠生ズ而シテ生ゼシム、所以コノユヘニ可シ↠奇トス。然ルニ▼五不思議ノ中ニ、仏法最モ不可思議ナリ。仏能ク使メタマフ↣声聞ヲシテ復生ゼ↢无上道心ヲ↡。真 トニ不可思議之至也ト。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (四)成就不可思議力釈文

【26】^またいはく (論註・下)、

▼又0172云ク、

^「▲ª不可ふか思議しぎ力りきº とは、 すべてかの仏ぶっ国こく土どの*十じゅう七しち種しゅ荘しょう厳ごん功く徳どく力りき不可ふか得とく思議しぎなることを指さすなり。 諸しょ経きょうに説ときてのたまはく、 ↑五ご種しゅの不可ふか思議しぎあり。 一ひとつには衆しゅ生じょう多た少しょう不可ふか思議しぎ、 二ふたつには業力ごうりき不可ふか思議しぎ、 三みつには竜りゅう力りき不可ふか思議しぎ、 四よつには禅ぜん定じょう力りき不可ふか思議しぎ、 五いつつには仏法ぶっぽう力りき不可ふか思議しぎなり。

「不可思議力ト者ハ、総スベテ指ス↢彼ノ仏国土ノ十七種荘厳功徳力不可得思議ナルコトヲ↡也。諸経ニ説キテ*言ク、有リ↢五種ノ不可思議↡。一ニ者衆生多少不可思議、二ニ者業力不可思議、三ニ者竜力不可思議、四ニ者禅定力不可思議、五ニ者仏法力不可思議ナリ。

^◆このなかに仏ぶつ土ど不可ふか思議しぎに二に種しゅの力ちからあり。 一ひとつには業力ごうりき、 いはく法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの出しゅっ世せの善根ぜんごんと大願だいがん業力ごうりきの所しょ成じょうなり。 二ふたつには正しょう覚がくの阿あ弥陀みだ法王ほうおうのよく住じゅう持じ力りきをして摂せっしたまふところなり」 と。

此ノ中ニ仏土不可思議ニ有リ↢二種ノ力↡。一ニ者業力、謂ク法蔵菩薩ノ出世ノ善根ト大願業力ノ所成ナリ。二ニ者正覚ノ阿弥陀法王ノ善ク住持力ヲシテ所ナリト↠摂シタマフ。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (五)示現自利利他釈文

【27】^またいはく (論註・下)、

▼又ク云、

^「▲自利じり利他りたを示じ現げんすといふは、 ª^略りゃくしてかの阿あ弥陀みだ仏ぶつの国こく土どの十じゅう七しち種しゅの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを説ときつ、 如来にょらいの自じ身しん利り益やく大だい功く徳どく力りき0361成じょう就じゅと利り益やく他た功く徳どく成じょう就じゅとを示じ現げんしたまへるがゆゑにº (浄土論) とのたまへり。

「示↢現ストイフ自利利他ヲ↡者ハ、略シテ説キツ↢彼ノ阿弥陀仏ノ国土ノ十七種ノ荘厳功徳成就ヲ↡、示↢現シタマヘルガ如来ノ自身利益大功徳力成就ト利益他功徳成就トヲ↡故ニトノタマヘリ。

^◆ª略りゃくº といふは、 かの浄じょう土どの功く徳どく無む量りょうにして、 ただ十じゅう七しち種しゅのみにあらざることを彰あらわすなり。 それ須しゅ弥みを芥子けしに入いれ、 毛もう孔くに大海だいかいを納おさむ、 あに山海さんかいの神じんならんや、 毛もう芥けの力ちからならんや、 能神のうじんのひとの神じんならくのみ」 と。

言フ↠略ト者ハ、彰アラハス↣彼ノ浄土ノ功徳无量ニシテ、非ザルコトヲ↢唯十七種ノミニ↡也。夫 レ▼須弥ヲ之ヲ入レ↢芥子ニ↡、毛孔ニ之ヲ納ム↢大海ヲ↡、▼豈 ニ山海之神ナラム乎ヤ、毛芥之力ナラム乎ヤ、能神ノ者ヒトノ神之耳ナラクノミト。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ 真仏を証す
          (一)不虚作住持功徳釈文

【28】^またいはく (論註・下)、

▼又云ク、

^「▲ªなにものか荘しょう厳ごん不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅ、 ¬偈げ¼ に、 «^仏ぶつの本願ほんがん力りきを観かんずるに、 遇もうおうて空むなしく過すぐるものなし。 よくすみやかに功く徳どく大だい宝海ほうかいを満足まんぞくせしむ» といへるがゆゑにº (浄土論) と。

「▼何 ニ者 ノカ荘厳不虚作住持功徳成就、偈ニ言ノタマヘリ↧観ズルニ↢仏ノ本願力ヲ↡、遇マウアヒテ无シ↢空シク過グル者 ノ↡、能ク令ムルガ↣速 カニ満↢足セ功徳大宝海ヲ↡故ニト↥ト。

^◆ª不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅº とは、 けだしこれ阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん力りきなり。 乃至

▼不虚作住持功徳成就ト者ハ、蓋ケダシ是阿弥陀如来ノ本願力也。 ▼乃至

^▲いふところの ª不ふ虚作こさ住じゅう持じº は、 本もと法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの四し十じゅう八はち願がんと、 今日こんにちの阿あ弥陀みだ如来にょらいの自じ在ざい神力じんりきとによりてなり。 願がんもつて力りきを成じょうず、 力りきもつて願がんに就つく。 願がん徒と然ねんならず、 力りき虚こ設せつならず。 力願りきがんあひ符かのうて、 畢ひっ竟きょうじて差たがはず。 ゆゑに成じょう就じゅといふ」 と。 抄出

所ノ↠言フ不虚作住持者ハ、依リテナリ↢本 ト法蔵菩薩ノ四十八願ト、今日ノ阿弥陀如来ノ自在神力トニ↡。▼願以テ成ズ↠力ヲ、力以テ就ク↠願ニ。願不ズ0173↢徒然ナラ↡、力不ズ↢虚設ナラ↡。力願相アヒ府カナフテ、畢竟ジテ不ズ↠差タガハ。故ニ曰フト↢成就ト↡。」 抄出

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)¬讃弥陀偈¼

【29】^¬*讃さん阿あ弥陀みだ仏ぶつ偈げ¼ にいはく、 *曇鸞どんらん和か尚しょうの造ぞう

▼¬*讃阿弥陀仏偈ニ¼曰ク、 曇鸞和尚ノ造

^「▲南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ *釈しゃくして ¬無む量りょう寿じゅ傍ぼう経きょう¼ と名なづく、 ▼讃ほめたてまつりてまた安あん養にょうといふ。

▼南无阿弥陀仏 ▼釈シテ名ク↢¬无量寿▼傍経ト¼↡、奉タテマツリテ↠賛メ▼亦曰フ↢安養ト↡。

^▲成じょう仏ぶつよりこのかた十劫じっこうを歴へたまへり。 寿じゅ命みょうまさに量はかりあることなけん。
法身ほっしんの光輪こうりん、 法界ほうかいに遍へんして、 世せの盲もう冥みょうを照てらす、 ゆゑに頂ちょう礼らいしたてまつる。

▼成仏ヨリ已来タ歴ヘタマヘリ↢十劫ヲ↡寿命方将 マサ ニ无ケム↠有ルコト↠量リ
▼法身ノ光輪徧シテ↢法界ニ↡照ス↢世ノ盲冥ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル

^◆智慧ちえの光こう明みょう量はかるべ0362からず、 ゆゑに仏ぶつをまた▽無む量りょう光こうと号ごうす。
有う量りょうの諸相しょそう光こう暁きょうを蒙かぶる、 このゆゑに真実しんじつ明みょうを稽首けいしゅしたてまつる。

▼智慧ノ光明不ズ↠可カラ↠量ル故ニ仏ヲ又号ス↢无量光ト↡
有量ノ諸相蒙ル↢光暁ヲ↡是ノ故ニ稽↢首シタテマツル真実明ヲ↡

^◆解げ脱だつの光輪こうりん限斉げんさいなし、 ゆゑに仏ぶつをまた▽無む辺へん光こうと号ごうす。
光触こうそくを蒙かぶるもの有無うむを離はなる、 このゆゑに平びょう等覚どうがくを稽首けいしゅしたてまつる。

▼解脱ノ光輪无シ↢限カギル斉↡ヒトシ故ニ仏ヲ又号ス↢无辺光ト↡
蒙ル↢光触ヲフルヽ↡者 ノ▼離ル↢有無ヲ↡是ノ故ニ稽↢首シタテマツル平等覚ヲ↡

^◆光ひかり、 雲くものごとくにして無礙むげなること虚こ空くうのごとし、 ゆゑに仏ぶつをまた▽無礙むげ光こうと号ごうす。
一切いっさいの有礙うげ光沢こうたくを蒙かぶる、 このゆゑに難なん思議じぎを頂ちょう礼らいしたてまつる。

光雲ノゴトクニシテ无ナルコト如シ↢虚空ノ↡故ニ仏ヲ又号ス↢无光ト↡
一切ノ有ゲ蒙ル↢光沢ヲ↡是ノ故ニ頂↢礼シタテマツル難思議ヲ↡

^◆清浄しょうじょうの光こう明みょう対たいあることなし、 ゆゑに仏ぶつをまた▽無む対たい光こうと号ごうす。
この光ひかりに遇もうあふものは業ごう繋け除のぞこる、 このゆゑに畢ひっ竟きょう依えを稽首けいしゅしたてまつる。

清浄ノ光明无シ↠有ルコト↠対故ニ仏ヲ又号ス↢无対光ト↡
遇マウアフ↢斯ノ光ニ↡者 ノハ業繋除コル是ノ故ニ稽↢首シタテマツル畢竟依ヲ↡

^◆仏光ぶっこう照しょう耀ようして最さい第一だいいちなり、 ゆゑに仏ぶつをまた▽光炎こうえん王おうと号ごうす。
三さん塗ずの黒闇こくあん光啓こうけいを蒙かぶる、 このゆゑに大だい応おう供ぐを頂ちょう礼らいしたてまつる。

仏光照耀シテ最第一ナリ故ニ仏ヲ又号ス↢光炎王ト↡
三塗ミチノ黒闇蒙ル↢光啓ケイヲヒラク↡是ノ故ニ頂↢礼シタテマツル大応供ヲ↡

^◆道どう光こう明みょう朗ろうにして、 色しき超ちょう絶ぜつしたまへり。 ゆゑに仏ぶつをまた▽清浄しょうじょう光こうと号ごうす。
一ひとたび光こう照しょうを蒙かぶるに罪ざい垢く除のぞこり、 みな解げ脱だつを得えしむ、 ゆゑに頂ちょう礼らいしたてまつる。

道光明朗ニシテホガラカナリ色超絶シタマヘリ故ニ仏ヲ又号ス↢清浄光ト↡
*一タビ蒙 ブルニ↢光*照ヲ↡罪垢アカ除コル皆得エシム↢解脱ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル

^◆慈じ光こうはるかに被かぶらしめ安楽あんらくを施ほどこす、 ゆゑに仏ぶつをまた▽歓かん喜ぎ光こうと号ごうす。
光ひかりの至いたるところの処ところに法ほう喜きを得えしむ、 大だい安あん慰にを稽首けいしゅし頂ちょう礼らいしたてまつる。

慈光遐ハルカニ被カブラシメ施ス↢安楽ヲ↡故ニ仏ヲ又号ス↢歓喜光ト↡
光ノ所ノ↠至ル処ニ得エシム↢法喜ヲ↡稽↢首シ頂↣礼シタテマツル大安慰ヲ↡

^◆仏光ぶっこうよく無む明みょうの闇あんを破はす、 ゆゑに仏ぶつをまた▽智慧ちえ光こうと号ごうす。
一切いっさい諸仏しょぶつ・三さん乗じょう衆しゅことごとくともに嘆たん誉よす、 ゆゑに稽首けいしゅしたてまつる。

仏光能ク破ス↢无明ノ闇ヲ↡故ニ仏ヲ又号ス↢智慧光ト↡
一切諸仏・三乗衆咸ク共ニ嘆誉ホムス故ニ稽首シタテマツル

^◆光こう明みょう一切いっさいの時ときにあまねく照てらす、 ゆゑに仏ぶつをまた▽不ふ断だん光こうと号ごうす。
聞光もんこう力りきのゆゑに、 心しん断たえず0363してみな往おう生じょうを得えしむ、 ゆゑに頂ちょう礼らいしたてまつる。

光明一切ノ時ニ普ク照ス故ニ仏ヲ又号ス↢不断光ト↡
▼聞光力ノ故ニ心不ズシテ↠断ヘ皆得エシム↢往生ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル

^◆その光ひかり、 仏ぶつを除のぞきてはよく測はかることなけん、 ゆゑに仏ぶつをまた▽難なん思じ光こうと号ごうす。
十方じっぽう諸仏しょぶつ往おう生じょうを嘆たんじ、 その功く徳どくを称しょうせしむ、 ゆゑに稽首けいしゅしたてまつる。

▼其ノ光除キテハ↠仏ヲ莫ケム↢能ク*惻ハカルコト↡故ニ仏ヲ又号ス↢難思光ト↡
十方諸仏嘆ジ↢往生ヲ↡称セシム↢其ノ功0174徳ヲ↡故ニ稽首シタテマツル

^◆神光じんこうは相そうを離はなれたること名なづくべからず、 ゆゑに仏ぶつをまた▽無む称しょう光こうと号ごうす。
光ひかりによりて成じょう仏ぶつしたまふ、 光ひかり赫然かくねんたり、 諸仏しょぶつの嘆たんじたまふところなり、 ゆゑに頂ちょう礼らいしたてまつる。

神光ハ離レタルコト↠相ヲ不↠可カラ↠名ナヅク故ニ仏ヲ又号ス↢无称光ト↡
因リテ↠光ニ成仏シタマフ光 リ 赫カクカヾヤク然ナリ諸仏ノ所ナリ↠嘆ホムジタマフ故ニ頂礼シタテマツル

^◆光こう明みょう照しょう曜ようして日月にちがつに過すぎたり、 ゆゑに仏ぶつを▽超ちょう日月にちがっ光こうと号ごうす。
釈しゃ迦か仏ぶつ嘆たんじたまふことなほ尽つきず、 ゆゑにわれ無む等等とうどうを稽首けいしゅしたてまつると。 乃至

光明照曜シテ過ギタリ↢日月ニ↡故ニ仏ヲ号ス↢超日月光ト↡
釈迦仏嘆ジタマフコト尚 ホ不ズ↠尽キ故ニ我稽↢首シタテマツルト无等等ヲ↡ ▼乃至

 ^▲本ほん師し龍りゅう樹じゅ摩訶まか薩さつ、形かたちを像ぞう始しに誕たんじて、 頽綱たいこう (頽たいの字じ、 崩たおるるなり、 破はなり、 落おつるなり、 纏まつわるるなり) を理ことわる。
邪扇じゃせんを関閉かんぺいして正しょう轍てつ (轍てつの字じ、 通かようなり、 車くるまなり、 跡あとなり) を開ひらく。 これ閻えん浮ぶ提だいの一切いっさいの眼まなこなり。

▼本師龍樹摩訶薩   誕タムウムズ↢形像ヲ↡始ハジメテ▼理コトワル↢*頽タイ綱カウツナヲ↡
関クワン↢閉ペイシテフサグ ▼邪扇センヲアフギ↡▼開ク↢正*轍テチヲ↡是閻浮提ノ一切ノ眼 コナリ

^*尊そん語ごを伏ぶく承しょうして歓かん喜ぎ地じにして、 阿あ弥陀みだに帰きして安楽あんらくに生しょうぜしむ。

▼伏↢シタガイ承シヨウシテウケタマハル▼尊語ヲ↡歓喜地ニシテ帰シテ↢阿弥陀ニ↡生ゼシム↢安楽ニ↡

^▲われ無始むしより三界さんがいに循めぐりて、 虚こ妄もう輪りんのために回え転てんせらる。
一念いちねん一いち時じに造つくるところの業ごう、 足あし六道ろくどうに繋つながれ三さん塗ずに滞とどまる。

▼我従リ↢无始↡循メグリテ↢三界ニ↡為ニ↢虚妄ミダル輪ノ↡所ラル↢回転セ↡
一念一時ニ所ノ↠造ル業足繋ツナガレ↢六道ニ↡滞トヾマル↢三塗ニ↡

^やや、 願ねがはくは慈じ光こう、 われを護ご念ねんして、 われをして菩ぼ提だい心しんを失しっせざらしめたまへ。

▼唯ヤヽ願クハ慈光護↢念シテ我ヲ↡令メタマヘ↢我ヲシテ不ラ↟失セウシナフ↢菩提心ヲ↡

^◆われ仏ぶっ恵て功く徳どくの音こえを讃さんず。 願ねがはくは十方じっぽうのもろもろの有う縁えんに聞きかしめて、
安楽あんらくに往おう生じょうを得えんと欲おもはんもの、 あまねくみな意こころのごとくして障しょう礙げなからしめん。

▼我讃ズ↢仏恵功徳ノ音ヲ↡願クハ聞キカシメテ↢十方ノ諸ノ有縁ニ↡
欲オモハム↠得ムト↣往↢生ヲ安楽ニ↡者 ノ普ク皆如クシテ↠意ノ无カラシメム↢障↡

^◆あらゆ0364る功く徳どく、 もしは大だい小しょう一切いっさいに回施えせして、 ともに往おう生じょうせしめん。
不可ふか思議しぎ光こうに南無なもし、 一心いっしんに帰き命みょうし稽首けいしゅし礼らいしたてまつる。

所ル↠有ラ功徳若シハ大小回↢施シテ一切ニ↡共ニ往生セシメム
▼南↢无シ▼不可思議光ニ↡一心ニ帰ヨル命シオホセ稽イタス首シカウベ礼シタテマツル

^◆十方じっぽう三さん世ぜの無む量りょう慧え、 同おなじく一如いちにょに乗じょうじて正しょう覚がくと号ごうす。
二智にち円満えんまんして道どう平びょう等どうなり。 摂せっ化けすること縁えんに随したがふ、 まことに*そこばくならん。

▼十方三世ノ无量慧同ジク乗ジテ↢一如ニ↡号ス↢正覚ト↡
二智円満シテ道平等ナリ摂化スルコト随フ↠縁ニ故マコトニコトサラニ若干ソコバクナラム

^◆われ阿あ弥陀みだの浄じょう土どに帰きするは、 すなはちこれ諸仏しょぶつの国くにに帰き命みょうするなり。
われ一心いっしんをもつて一仏いちぶつを讃さんず、 願ねがはくは十方じっぽう無礙むげ人にんに遍へんせん。

▼我帰スルハ↢阿弥陀ノ浄土ニ↡即チ是帰↢命スルナリ諸仏ノ国ヲ↡
我以テ↢一心ヲ↡賛ズ↢一仏ヲ↡願クハ徧セム↢十方无人ニ↡

^◆かくのごとき十方じっぽう無む量りょう仏ぶつ、 ことごとくおのおの心こころを至いたして頭ず面めんに礼らいしたてまつるなり」 と。 以上抄出

▼如キ↠是クノ十方无量仏咸ク各ノ至シテ↠心ヲ頭面ニ礼シタテマツルナリト」 已上抄出

一 Ⅱ ⅱ c 終南(¬観経疏¼三文、¬法事讃¼三文、計六文)
        イ 報身土を証す
          (一)「玄義分」

【30】^光こう明みょう寺じの和か尚しょう (*善導) いはく (*玄義分)、

▼*光明寺ノ和尚云ク、

^「▲問とうていはく、 弥陀みだの浄じょう国こくは、 はたこれ報ほうなりや、 これ化けなりとやせんと。

「▼問ウテ曰ク、▼弥陀ノ浄国ハ為セム↢当ハタ是報ナルヤ、是化ナリト↡也ヤト。

^◆答こたへていはく、 これ報ほうにして化けにあらず。

答ヘテ曰ク、是報ニシテ非ズ↠化ニ。

^◆いかんが知しることを得うる。 ¬*大だい乗じょう同どう性しょう経きょう¼ に説とくがごとし。 ª^西方さいほうの安楽あんらく阿あ弥陀みだ仏ぶつは、 これ報仏ほうぶつ報ほう土どなりº (意) と。

云何ガ得ル↠知ルコトヲ。▼如シ↢¬大乗▼同性経ニ¼説クガ↡。西方ノ安楽阿弥陀仏ハ、是報仏・報土0175ナリト。

^◆また ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上) にのたまはく、 ª^法蔵ほうぞう比丘びく、 世せ饒にょう王おう仏ぶつの所みもとにましまして、 菩ぼ薩さつの道どうを行ぎょうじたまひし時とき、 四し十じゅう八はち願がんを発おこして、 一々いちいちの願がんにのたまはく、 «^もしわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを称しょうして、 わが国くにに生しょうぜんと願がんぜん。 下しも十じゅう念ねんに至いたるまで、 もし生しょうぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ»º と。

▼*又¬无量寿経ニ¼云ク、▼法蔵比丘在リテ↢世饒王仏ノ所ミモトニ↡、行ジタマヒシ↢菩薩ノ道ヲ↡時、発シテ↢四十八願ヲ↡、▼一一ノ願ニ言ハク、若シ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、▼称シテ↢我ガ名号ヲ↡、願ゼム↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡。下至ルマデ↢十*念ニ↡、若シ不ズ↠生ゼ者ハ、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。

^◆いますでに成じょう仏ぶつしたまへり0365、 すなはちこれ酬しゅう因いんの身しんなり。

▼今 マ既 デニ成仏シタマヘリ、即チ是▼酬シユコタウ因之身也。

^◆また ¬観かん経ぎょう¼ のなかに、 上じょう輩はいの三人さんにん、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞんで、 みな ª阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび化け仏ぶつと与ともに、 この人ひとを来迎らいこうすº (意) とのたまへり。 ◆しかるに報身ほうじん、 化けを兼かねてともに来きたりて手みてを授さずくと。 ゆゑに名なづけて ª与よº とす。 この文もん証しょうをもつてのゆゑに、 知しんぬ、 これ報ほうなりと。

▼又¬観経ノ¼中ニ、上輩ノ三人臨デ↢命終ノ時ニ↡、皆言ヘリ↧阿弥陀仏及ビ与トモニ↢化仏ト↡、来↦迎スト此ノ人ヲ↥。▼然ルニ報身兼カネテ↠化ヲ共ニ来リテ授 ヅクト↠手ミテヲ。故ニ名ケテ為ス↠与ト。以テノ↢此ノ文証ヲ↡故ニ知ヌ、是報ナリト。

 ^◆しかるに報応ほうおう二に身しんとは、 眼目げんもくの異い名みょうなり。 前さきには報ほうを翻ほんじて応おうとなす、 後のちには応おうを翻ほんじて報ほうとなす。 ◆おほよそ報ほうといふは、 因いん行ぎょう虚むなしからず、 さだめて来らい果かを招まねく、 果かをもつて因いんに応おうず、 ゆゑに名なづけて報ほうとす。 また三大さんだい僧そう祇ぎの所修しょしゅの万まん行ぎょう、 必ひつ定じょうして菩ぼ提だいを得うべし。 いますでに道どう、 成じょうぜり、 すなはちこれ応身おうじんなり。

▼然ルニ報応二身ト者ハ、眼目之異名ナリ。▼前ニハ翻ホンジテヒルガヘス↠報ヲ▼作ナル↠応ト、後ニハ翻ジテ↠応ヲ作ナル↠報ト。▼凡ソ言フ↠報ト者ハ、因行不ズ↠虚シカラ、定メテ招マネセウク↢来果ヲ↡、以テ↠果ヲ応ズ↠因ニ、故ニ名ケテ為ス↠報ト。▼又三大僧祇ノ所修ノ万行、必定シテ応シ↠得ウ↢菩提ヲ↡。今既スデニ道成ゼリ、即チ是応身ナリ。

^◆これすなはち過か現げんの諸仏しょぶつ、 三身さんしんを弁べん立りゅうす。 これを除のぞきて以外いげはさらに別べつの体たいましまさず。 たとひ無む窮ぐうの八相はっそう、 名みょう号ごう塵沙じんじゃなりとも、 体たいに剋こくして論ろんぜば、 すべて化けに帰きして摂せっす。 ◆いまかの弥陀みだ、 現げんにこれ報ほうなりと。

斯 レ乃チ▼過現ノ諸仏、*弁↢立ス三身ヲ↡。除キテ↠斯ヲ已外ハ更 ラニ无マシマサズ↢別ノ体↡。縦使 タトヒ ▼无窮ノキワマリ八相、名号塵沙ナリトモ、剋コクシテ↠エテ トキトモ体ニ而シテ論ゼバ、衆スベテ帰シテ↠化ニ摂ス。▼今彼ノ弥陀、現ニ是報也ト。

 ^◆問とうていはく、 すでに報ほうといふは、 報身ほうじん常住じょうじゅうにして永ながく生しょう滅めつなし。 なんがゆゑぞ ¬*観音かんのん授じゅ記き経きょう¼ に説とかく、 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつまた入にゅう涅ね槃はんの時ときありº と。 この一いち義ぎいかんが通つう釈しゃくせんやと。

▼問ウテ曰ク、▼既ニ言フ↠報ト者ハ、報身常住ニシテ永ク无シ↢生滅↡。何ガ故 ヘゾ¬*観音授記経ニ¼説トカク、阿弥陀仏亦有リト↢入涅槃ノ時↡。此之一義若為 イカン ガ通釈セムヤト。

 ^◆答こたへていはく、 入にゅう・不ふ入にゅうの義ぎは、 ただこれ諸仏しょぶつの境きょう界がいなり。 なほ三さん乗じょう浅せん智ちの0366闚うかがふところにあらず。 あにいはんや、 小しょう凡ぼんたやすくよく知しらんや。

▼答ヘテ曰ク、入・不入ノ義者ハ、▼唯是諸仏ノ境サカイ界ナリサカイ 。尚ナホ非ズ↢三乗浅智ノ所ニ↟闚ウカガフ。豈 ニ況イハンヤ▼小凡輒タヤスク能ク知ラム也ヤ。

^◆しかりといへども、 かならず知しらんと欲おもはば、 あへて仏ぶっ経きょうを引ひきてもつて明証みょうしょうとせん。

▼雖モ↠然リト▼必ズ欲オモハ↠知ラムト者バ、敢アヘテ引キテ↢仏経ヲ↡以テ為セム↢明証ト↡。

^◆いかんとならば ¬*大品だいぼん経ぎょう¼ の ª涅ね槃はん非化ひけ品ぼんº のなかに説ときていふがごとし。

▼何者イカントナラバ*如シ↢¬大品経ノ¼涅槃▼非化品ノ中ニ説キテ云フガ↡。

^ª◆仏ぶつ、 *須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 «なんぢが意こころにおいていかん。 もし化け人にんありて化け人にんをなす。 この化けすこぶる実じつ事じありやいなや。 空むなしきものなりやいなや» と。

▼仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、於テ↢汝ガ意ニ↡云何 イカン 。若シ有リテ↢化人↡作ナス↢化人ヲ↡、是ノ化頗スコブル有リヤ↢実事↡不イナヤ、空シキ者 ノナリヤ0176不ヤト。

^◆須しゅ菩ぼ提だいのまうさく、 «いななり、 世せ尊そん» と。

▼須菩提ノ言サク、不イナ也ヤ、世尊ト。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 «色しきすなはちこれ化けなり、 受じゅ・想そう・行ぎょう・識しきすなはちこれ化けなり、 乃ない至し一切いっさい種しゅ智ちすなはちこれ化けなり» と。

▼仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、色即チ是化ナリ、受・想・行・識即チ是化ナリ、乃至一切種智即チ是化ナリト。

^◆須しゅ菩ぼ提だい、 仏ぶつにまうしてまうさく、 «世せ尊そん、 もし世せ間けんの法ほうこれ化けなりや、 出しゅっ世せ間けんの法ほうまたこれ化けなりや。 いはゆる四し念ねん処じょ・四し正しょう勤ごん・四し如にょ意い足そく・五ご根こん・五ご力りき・七覚しちかく分ぶん・八はっ聖しょう道どう分ぶん・三さん解げ脱だつ門もん、 仏ぶつの十じゅう力りき・四し無む所しょ畏い・四し無礙むげ智ち・十じゅう八はち不共ふぐ法ほう、 ならびに諸法しょほうの果かおよび賢げん聖じょう人にん、 いはゆる須しゅ陀だ洹おん・斯陀しだ含ごん・阿那あな含ごん・阿羅あら漢かん・辟びゃく支し仏ぶつ・菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつ・諸仏しょぶつ世せ尊そん、 この法ほうまたこれ化けなりやいなや» と。

▼須菩提白シテ↠仏ニ言ク、世尊、若シ世間ノ法是化ナリヤ、出世間ノ法亦是化ナリヤト。所ユル↠謂イハ▼四念処・▼四正勤・ツトム▼四如意足タル・▼五根・▼五力・▼七覚分・▼八*聖道分・▼三解脱*門、▼仏十力・▼四无所畏ヰ・オソル▼四无智・▼十八不共法、并ニ▼諸法ノ果及ビ賢カシコシ聖人、所ユル↠謂イハ須陀洹・斯シ陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏・菩薩摩訶薩・諸仏▼世尊、是ノ法亦是化ナリヤ不イナヤト。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 «一切いっさいの法ほうはみなこれ化けなり。 この法ほうのなかにおいて、 声しょう聞もんの法ほうの変へん化げあり、 辟びゃく支し仏ぶつの法ほうの変へん化げあり、 菩ぼ薩さつの法ほうの変へん化げあり、 諸仏しょぶつの法ほうの変へん化げあり、 煩悩ぼんのうの法ほうの変へん化げあり、 業ごう因縁いんねんの法ほうの変へん化げ0367あり。 この因縁いんねんをもつてのゆゑに、 須しゅ菩ぼ提だい、 一切いっさいの法ほうみなこれ化けなり» とのたまへり。

▼仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、一切ノ法ハ皆是化ナリ。於テ↢是ノ法ノ中ニ↡、有リ↢▼声聞ノ法ノ変化↡、有リ↢▼辟支仏ノ法ノ変化↡、有リ↢▼菩薩ノ法ノ変化↡、有リ↢▼諸仏ノ法ノ変化↡、有リ↢▼煩悩ノ法ノ変化↡、有リ↢▼業因縁ノ法ノ変化↡。以テノ↢是ノ因縁ヲ↡故ニ、須菩提、一切ノ法皆是化ナリトノタマヘリ。

^◆須しゅ菩ぼ提だい、 仏ぶつにまうしてまうさく、 «世せ尊そん、 このもろもろの煩悩ぼんのう断だんは、 いはゆる須しゅ陀だ洹おん果か・斯陀しだ含ごん果か・阿那あな含ごん果か・阿羅あら漢かん果か・辟びゃく支し仏道ぶつどうは、 もろもろの煩悩ぼんのうの習じゅうを断だんず。 みなこれ変へん化げなりやいなや» と。

▼須菩提白シテ↠仏ニ言サク、世尊、是ノ諸ノ煩悩断ハ、所ユル↠謂イハ須陀洹オン果・斯陀含果・阿那含果・阿羅漢果・辟支仏道ハ、断ズ↢諸ノ煩悩ノ習ジフヲナラウ↡。皆是変化ナリヤ不ヤト。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 «もし法ほうの生しょう滅めつの相そうあるは、 みなこれ変へん化げなり» とのたまへり。

▼仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、若シ有ル↢法ノ生滅ノ相↡者ハ、皆是変化ナリトノタマヘリ。

^◆須しゅ菩ぼ提だいまうさく、 «世せ尊そん、 なんらの法ほうか変へん化げにあらざる» と。

▼須菩提言サク、世尊、何等ノ法カ非 ラザルト↢変化ニ↡。

^◆仏ぶつののたまはく、 «もし法ほうの無む生しょう無む滅めつなる、 これ変へん化げにあらず» と。

▼仏ノ言ハク、若シ法ノ无生无滅ナル、是非ズト↢変化ニ↡。

^◆須しゅ菩ぼ提だいまうさく、 «なんらかこれ不ふ生しょう不ふ滅めつにして変へん化げにあらざる» と。

▼須菩提言サク、何等ラカ是不生不滅ニシテ非ザルト↢変化ニ↡。

^◆仏ぶつののたまはく、 «誑相おうそうなき涅ね槃はん、 この法ほう変へん化げにあらず» と。

▼仏ノ言ハク、▼无キ↢誑クルウ相↡涅槃、是ノ法非ズト↢変化ニ↡。

^◆«世せ尊そん、 仏ぶつみづから説ときたまふがごとき、 諸法しょほう平びょう等どうにして声しょう聞もんの作さにあらず、 辟びゃく支し仏ぶつの作さにあらず、 もろもろの菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつの作さにあらず、 諸仏しょぶつの作さにあらず。 有う仏ぶつ・無む仏ぶつ、 諸法しょほうの性しょうつねに空くうなり。 性しょう空くうなる、 すなはちこれ涅ね槃はんなり。 *いかなるか涅ね槃はんの一法いっぽう、 化けのごとくにあらざる» と。

▼世尊、如キ↢仏自ミヅカラ説キタマフガ↡、▼諸法平等ニシテ非ズ↢声聞ノ作ニ↡、非ズ↢辟支仏ノ作ニ↡、非ズ↢諸ノ菩薩摩訶薩ノ作ニ↡、非ズ↢諸仏ノ作ニ↡。▼有0177仏・无仏、諸法ノ性常ニ空ナリ。▼性空ナル即チ是涅槃ナリ。云何カ涅槃ノ一法、非ザルト↠如クニ↠化ノ。

^◆仏ぶつ、 須しゅ菩ぼ提だいに告つげたまはく、 «かくのごとし、 かくのごとし。 諸法しょほうは平びょう等どうにして声しょう聞もんの所しょ作さにあらず、 乃ない至し性しょう空くうなればすなはちこれ涅ね槃はんなり。 もし新しん発ぽっ意ちの菩ぼ薩さつ、 この一切いっさいの法ほうみな畢ひっ竟きょうじて性しょう空くうなり、 乃ない至し涅ね槃はんもまたみな化けのごとし0368と聞きかば、 心すなはち驚きょう怖ふしなん。 この新しん発ぽっ意ちの菩ぼ薩さつのために、 ことさらに生しょう滅めつのものは化けのごとし、 不ふ生しょう不ふ滅めつのものは化けのごときにあらざるを分別ふんべつするをや»º と。

▼仏告ゲタマハク↢須菩提ニ↡、▼如シ↠是クノ如シ↠是クノ。諸法ハ平等ニシテ▼非ズ↢声聞ノ所作ニ↡、乃至▼性空ナレバ即チ是涅槃ナリ。▼若シ新発意ノ菩薩、聞カ↢是ノ一切ノ法皆畢竟ジテ性空ナリ、乃至涅槃モ亦皆如シト↟化ノ者バ、心則チ驚キヤウオドロキ怖フオドロクシナム。為ニ↢是 レ新発意ノ菩薩ノ↡、故コトサラニ※分↢別スルヲ生滅ノ者 ノハ如シ↠化ノ、不生不滅ノ者 ノハ不アラザルヲト↟如クニ↠化ノ邪ヤト。

^◆いますでにこの聖教しょうぎょうをもつて、 あきらかに知しんぬ、 弥陀みだはさだめてこれ報ほうなり。 たとひ後のちに涅ね槃はんに入いらん、 その義ぎ妨さまたげなけん。 もろもろの有智うちのもの、 知しるべしと。

▼今既ニ▼以テ↢斯ノ聖教ヲ↡、験アキラカニ知ヌ、弥陀ハ定メテ是報也。▼縦使 タトヒ 後ニ入ラム↢涅槃ニ↡、其ノ義▼无ケム↠妨サマタゲバウ。▼諸ノ有智ノ者 ノ、応シト↠知ル。

 ^◆問とうていはく、 かの仏ぶつおよび土ど、 すでに報ほうといはば、 報法ほうほう高こう妙みょうにして小聖しょうしょう階かなひがたし。 垢く障しょうの凡ぼん夫ぶ、 いかんが入いることを得えんやと。

▼問ウテ曰ク、彼ノ仏及ビ土、既ニ言ハ↠報ト者バ、報法▼高妙ニシテ▼小聖難シ↠階カナヒ。垢障ノ凡夫、云何ガ得ムヤ↠入ルコトヲ。

^◆答こたへていはく、 もし衆しゅ生じょうの垢く障しょうを論ろんぜば、 実じつに欣趣ごんしゅしがたし。 まさしく仏願ぶつがんに託たくするによりて、 もつて強縁ごうえんとなりて、 五ご乗じょう斉ひとしく入いらしむることを致いたす」 と。

▼答ヘテ曰ク、▼若シ論ゼバ↢衆生ノ垢障ヲ↡、実ニ難シ↢忻ネガヒ趣シ↡オモムキ。▼正シク由リテ↠託タクスルニ↢仏願ニ↡、以テ作リテ↢強縁ト↡、致 タスト↠使ムルコトヲ↢五乗▼斉ヒトシク入ラ↡。」

一 Ⅱ ⅱ c イ (二)「序分義」

【31】^またいはく (*序分義)、

▼又云ク、

^「▲ª我が今こん楽生ぎょうしょう弥陀みだº より以下いげは、 まさしく夫ぶ人にん (*韋提希) 別べっして所しょ求ぐを選えらぶことを明あかす。

「従リ↢我今楽生弥陀↡已下ハ、正シク明ス↣夫人別シテ選ブコトヲ↢所求ヲ↡。

^◆これは弥陀みだの本国ほんごく、 四し十じゅう八はち願がんなることを明あかす。 ◆願々がんがんみな増ぞう上じょうの勝しょう因いんを発ほっせり、 因いんによりて勝行しょうぎょうを起おこせり、 行ぎょうによりて勝しょう果かを感かんず、 果かによりて勝しょう報ほうを感かん成じょうせり、 報ほうによりて極楽ごくらくを感かん成じょうせり、 楽らくによりて悲化ひけを顕通けんつうす、 悲化ひけによりて智慧ちえの門もんを顕開けんかいせり。

▼此ハ明ス↢弥陀ノ▼本国、▼四十八願ナルコトヲ↡。願願皆発セリ↢増上ノ▼勝因ヲ↡、依リテ↠因ニ起セリ↢於勝行ヲ↡、依リテ↠行ニ感カムズ↢於勝果ヲ↡、依リテ↠果ニ感↢成セリ勝報ヲ↡、依リテ↠報ニ感↢成セリ極楽ヲ↡、▼依リテ↠楽ニ顕↢通ス▼悲化ヲ↡、依リテ↢於悲化ニ↡顕↢開セリ▼智慧之門ヲ↡。

^◆しかるに悲ひ心しん無む尽じんにして、 智ちまた無む窮ぐうなり。 悲智ひち双ならべ行ぎょうじて、 すなはち広ひろく甘かん露ろ0369を開ひらけり。 これによりて法潤ほうにんあまねく群ぐん生じょうを摂せっしたまふなり。

然ルニ悲心无尽ニシテ、智亦无窮ナリ。悲智双ナラベ行ジテ、即チ▼広ク開ケリ↢▼甘露ヲ↡。因ヨリテ↠茲コレニ▼法潤ニンウルオウ普ク摂シタマフ↢群生ヲ↡也。

^◆諸しょ余よの経きょう典でんに勧すすむるところ弥ひろく多おおし。 衆しゅ聖しょう、 心こころを斉ひとしくして、 みな同おなじく指し讃さんしたまふ。

▼諸余ノ経典ニ▼勧ムル処弥ヒロク多シ。▼衆聖斉ヒトシクシテ↠心ヲ、皆同ジク指オシフ讃シタマフ。

^◆この因縁いんねんありて、 如来にょらいひそかに夫ぶ人にん (韋提希) を遣つかはして、 別べっして選えらばしめたまふことを致いたすなり」 と。

▼有リテ↢此ノ因縁↡、▼致ス↠使シメタマフコトヲ↧如来密ヒソカニ遣ツカハシテ↢夫人ヲ↡、別シテ選バ↥也ト。」

一 Ⅱ ⅱ c ロ 報身土の真義を明かす
          (一)「定善義」

【32】^またいはく (*定善義)、

▼又0178云ク、

^「▲西方さいほう寂静じゃくじょう無為むいの楽みやこは、 畢ひっ竟きょう逍しょう遥ようして有無うむを離はなれたり。
大だい悲ひ、 心こころに薫くんじて法界ほうかいに遊あそぶ。 *分身ぶんしんして物ものを利りすること等ひとしくして殊ことなることなし。

「西方寂静无為ノ楽ミヤコハ畢竟逍遥シテ離レタリ↢有无ヲ↡
大悲薫ジテ↠心ニ遊ブ↢法界ニ↡分身シテ利スルコト↠物ヲ等シクシテ无シ↠殊コトナルコト

^▲帰去来いざいなん、 魔ま郷きょうには停とどまるべからず。
曠劫こうごうよりこのかた六道ろくどうに流る転てんして、 ことごとくみな経へたり。
^到いたる処ところに余よの楽たのしみなし。 ただ愁しゅう歎たんの声こえを聞きく。
この生平しょうびょうを畢おへて後のち、 かの涅ね槃はんの城みやこに入いらん」 と。

▼帰去来 イザイナム 魔郷ニハ不ズ↠可カラ↠停トヾマル
曠劫ヨリ来タ流↢転シテ六道ニ↡尽コトゴトク皆逕タリ
到ル処ニ无シ↢余ノ楽↡唯聞ク↢*愁嘆ノ声ヲ↡
畢ヘテ↢此ノ生平ヲ↡後入ラムト↢彼ノ涅槃ノ城ニ↡」

一 Ⅱ ⅱ c ロ (二)¬法事讃¼三文

【33】^またいはく (*法事讃・下)、

▼又云ク、

^「▲極楽ごくらくは無為むい涅ね槃はんの界かいなり。 随縁ずいえんの雑善ぞうぜんおそらくは生しょうじがたし。 ゆゑに如来にょらい (釈尊) 要法ようぼうを選えらびて、 教おしへて弥陀みだを念ねんぜしめてもつぱらにしてまたもつぱらならしめたまへり」 と。

「▼極楽ハ无為▼涅槃ノ界ナリ▼随縁ノ雑善▼恐オソラクハ難シ↠生ジ
▼故ニ使シメタマヘリト↧如来選ビテ↢▼要法ヲ↡▼教ヘテ念ゼシメテ↢弥陀ヲ↡▼専ニシテ復専 ラナラ↥」

【34】^またいはく (法事讃・下)、

▼又云ク、

^「▲仏ぶつに従したがひて逍しょう遥ようして自じ然ねんに帰きす。 自じ然ねんはすなはちこれ弥陀みだの国くになり。 無漏むろ無む生しょう還かえりてすなはち真しんなり。 行ぎょう来らい進しん止しにつねに仏ぶつに随したがひて、 無為むい法ほっ性しょう身しんを証しょう得とくす」 と。

「従シタガヒテ↠仏ニ逍遥シテ▼帰ス↢自然ニ↡
自然ハ即チ是弥陀ノ国ナリ▼无漏▼无生還リテ即チ真ナリ
行来進止ニ常ニ随ヒテ↠仏ニ証↢得スト无為法性身ヲ↡」

【037035】^またいはく (法事讃・下)、

▼又云ク、

^「▲弥陀みだの妙みょう果かをば、 号ごうして無む上じょう涅ね槃はんといふ」 と。 以上抄出

「▼弥陀ノ妙果ヲバ、号ゴウシテ曰フト↢无上涅槃ト↡。」 已上抄出

一 Ⅱ ⅱ d憬興(¬述文賛¼)

【36】^*憬きょう興ごう師しのいはく (*述文賛)、

▼憬キヤウ ケイ 興師ノ云ク、

^「△無む量りょう光こう仏ぶつ ▼算数さんじゅにあらざるがゆゑに。

「▼无量光仏 非ルガ↢算数ニ↡故ニ。

^△無む辺へん光こう仏ぶつ ▼縁えんとして照てらさざることなきがゆゑに。

无辺光仏 无キガ↢縁トシテ不ルコト↟照サ故ニ。

^△無礙むげ光こう仏ぶつ ▼*人法にんぼうとしてよく障さふることあることなきがゆゑに。

无光仏 无キガ↠有ルコト↢人法ト而シテ能ク障フルコト↡故ニ。

^△無む対たい光こう仏ぶつ ▼もろもろの菩ぼ薩さつの及およぶところにあらざるがゆゑに。

无対光仏 非ルガ↢諸ノ菩薩之所ニ↟及ブ故ニ。

^△光炎こうえん王のう仏ぶつ ▼光こう明みょう自じ在ざいにしてさらに上じょうとなすことなきがゆゑに。

光炎王仏 光明自在ニシテ更サラニ无キガ↠為スコト↠上ト故ニ。

^△清浄しょうじょう光こう仏ぶつ ▼無む貪とんの善根ぜんごんよりして現げんずるがゆゑに、 また衆しゅ生じょうの貪とん濁じょくの心こころを除のぞくなり。 貪とん濁じょくの心こころなきがゆゑに清浄しょうじょうといふ。

清浄光仏 従リ↢无貪ノ善根↡而シテ現ズルガ故ニ、亦除ク↢衆生ノ貪濁ジヨク之心ヲ↡也。无キガ↢貪濁之心↡故ニ云フ↢清浄ト↡。

^△歓かん喜ぎ光こう仏ぶつ ▼無む瞋しんの善根ぜんごんよりして生しょうずるがゆゑに、 よく衆しゅ生じょうの瞋しん恚に盛じょう心しんを除のぞくがゆゑに。

歓喜光仏 従リ↢无瞋シンノ善根↡而シテ生ズルガ故ニ、能ク除クガ↢衆生ノ瞋恚盛心ヲ↡故ニ。

^△智慧ちえ光こう仏ぶつ ▼無痴むちの善根ぜんごんの心しんより起おこれり。 また衆しゅ生じょうの*無む明みょう品心ぼんしんを除のぞくがゆゑに。

智慧光仏 従リ↢无痴ノ善根ノ心↡起レバ、復 タ除クガ↢衆生ノ无明品心ヲ↡故ニ。

^△不ふ断だん光こう仏ぶつ ▼仏ぶつの常じょう光こうつねに照しょう益やくをなすがゆゑに。

不断光仏 仏之常光恒ツネニ為スガ↢照益ヲ↡故ニ。

^△難なん思じ光こう仏ぶつ もろもろの二に乗じょうの*測度しきたくするところにあらざるがゆゑに。

難思光仏 非ザルガ↣諸ノ二乗ノ所ニ↢惻度タクスル↡故ニ。

^△無む称しょう光こう仏ぶつ また*余よ乗じょう等とう説とくこと堪たふるところにあらざるがゆゑに。

无称光仏 亦非ザルガ↢余乗等所ニ↟堪タフル↠説クコト故ニ。

^△超ちょう日月にちがっ光こう仏ぶつ *日ひ応おうじてつねに照てらすこと周あまねからず、 娑しゃ婆ば一耀いちようの光ひかりなるがゆゑに。

超日月光仏 ※日ハ応ジテ恒ツネニ照スコト不ズ↠周アマネカラ、娑婆一耀カヾヤク之光ナルガ故ニ。

^みなこれ光触こうそくを身みに蒙かぶるものは▲*身心しんしん柔にゅう軟なんの願がん (第三十三願) の致いたすところなり」 と。 以上抄要

▼皆是蒙カブル↢光触ヲ身ニ↡者ハ身心柔軟ノ願之所↠致ス也ト。 已上*抄要

一 Ⅲ 結成【真仏土結釈】
    ⅰ 正しく所明を結す

【37】^しかれば、 如来にょらいの真説しんせつ、 宗しゅう師しの釈しゃく義ぎ、 あきらかに知しんぬ、 安あん養にょう*浄じょう0371刹せつは真しんの報ほう土どなることを顕あらわす。

0179▼爾レ者バ如来ノ真説、宗師ノ釈義、明ニ知ヌ顕ス↢安養浄刹ハ真ノ報土ナルコトヲ↡。

一 Ⅲ ⅱ 対弁して徳を顕す

^*惑染わくぜんの衆しゅ生じょう、 ここにして*性しょうを見みることあたはず、 煩悩ぼんのうに覆おおはるるがゆゑに。 ¬経きょう¼ (涅槃経・迦葉品) には、 「△われ十住じゅうじゅうの菩ぼ薩さつ、 少しょう分ぶん仏ぶっ性しょうを見みると説とく」 とのたまへり。 ゆゑに知しんぬ、 安楽あんらく仏国ぶっこくに到いたれば、 すなはちかならず仏ぶっ性しょうを顕あらわす。 本願ほんがん力りきの回え向こうによるがゆゑに。 また ¬経きょう¼ (涅槃経・迦葉品) には 「△衆しゅ生じょう未み来らいに清浄しょうじょうの身しんを具ぐ足そくし荘しょう厳ごんして、 仏ぶっ性しょうを見みることを得う」 とのたまへり。

▼惑染ノ衆生於シテ↠此コヽニ不ズ↠能ハ↠見ルコト↠性ヲ、所ルルガ↠覆ハ↢煩悩ニ↡故ニ。▼¬経ニハ¼言ヘリ↤「我 レ説クト↣十住ノ菩薩、少分見ルト↢仏性ヲ↡。」故ニ知ヌ到レバ↢安楽仏国ニ↡、即チ必ズ顕ス↢仏性ヲ↡。由ルガ↢本願力ノ回向ニ↡故ニ。亦¬経ニハ¼言ヘリ↧「衆生未来ニ具↢足シテ荘↣厳シ清浄之身ヲ↡而シテ得ウト↞見ルコトヲ↢仏性ヲ↡。」

一 Ⅲ ⅲ 引文・勧進
      a 馬鳴¬起信論¼

【38】^¬*起き信しん論ろん¼ にいはく、

▼¬*起信論ニ¼曰ク、

^「ªもし説とくといへども、 *能説のうせつのありて説とくべきもなく、 また能念のうねんの念ねんずべきもなしと知しるを、 名なづけて随ずい順じゅんとす。 もし念ねんを離はなるるを名なづけて得とく入にゅうとすº と。

「若シ知ルヲ↪雖モ↠説クト無ク↧有リテ↢能説ノ↡可キモ↞説ク、亦无シト↩能念ノ可キモ↝念ズ、名ケテ為ス↢随順ト↡。若シ離ハナルヽヲ↢於念ヲ↡名ケテ為ス↢得入ト↡。

^得とく入にゅうとは*真如しんにょ三昧ざんまいなり。 いかにいはんや、 無む念ねんの位くらいは妙みょう覚がくにあり、 *けだしもつて了りょう心しんは初しょ生しょうの相そうなり。 しかも初相しょそうを知しるといふは、 いはゆる無む念ねんは菩ぼ薩さつ十じゅう地じの知しるところにあらず。 しかるに今いまの人ひと、 なほいまだ十信じっしんに階かなはず、 すなはち*馬め鳴みょう大だい士じによらざらんや。 ª説せつより無む説せつに入いり、 念ねんより無む念ねんに入いるº とのたまへり」 と。 略抄

得入ト者真如三昧也。況乎イカニイハンヤ无念之位ハ在リ↠於ニ↢妙覚↡、蓋ケダシ以テ了心ハ初生之相也。而 カモ言フ↠知ルト↢初相ヲ↡者ハ、所ル↠謂ハ无念ハ非ズ↢菩薩十地ノ所ニ↟知ル。而ルニ今之人、尚ナホ未ズ ダ↠階カナハ↢十信ニ↡、即チ不ラムヤ↠依ラ↢馬メ鳴ミヤウ大士ニ↡。従ヨリ↠説入リ↢无説ニ↡、従ヨリ↠▼念入ルトノタマヘリト↢於▼无念ニ↡。」 略抄▼

二 対弁【真仮対弁】
  Ⅰ 真仮を対弁す
    ⅰ 先づ報の義を明かす

【39】^それ報ほうを案あんずれば、 如来にょらいの*願海がんかいによりて果か成じょうの土どを酬しゅう報ほうせり。 ゆゑに報ほうといふなり。

▼夫 レ按ズレ↠報ヲ者バ、由リテ↢如来ノ願海ニ↡酬↢コタウ報セリ果成ノ土ヲ↡。故ニ曰フ↠報ト也。

二 Ⅰ ⅱ 正しく真仮を弁ず

^しかるに願海がんかいについて真しんあり仮けあり。 ここをもつてまた0372仏ぶつ土どについて真しんあり仮けあり。

然ルニ就ツイテ↢願海ニ↡有リ↠真有リ↠仮。カリナリ是ヲ以テ復就テ↢仏土ニ↡有リ↠真有リ↠仮。

 ^選せん択じゃく本願ほんがんの正しょう因いんによりて、 真しん仏ぶつ土どを成じょう就じゅせり。

由リテ↢選択本願之正因ニ↡、成↢就セリ真仏土ヲ↡。

^真仏しんぶつといふは、 ¬大だい経きょう¼ (上) には 「△無む辺へん光仏こうぶつ・無礙むげ光こう仏ぶつ」 とのたまへり、 また 「△諸仏しょぶつ中ちゅうの王おうなり、 光こう明みょう中ちゅうの極尊ごくそんなり」 (大阿弥陀経・上) とのたまへり。 以上 ^¬論ろん¼ (浄土論) には 「△帰き命みょう尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらい」 といへり。

言フ↢真仏ト↡者ハ、¬大経ニハ¼言ヘリ↢「无辺光仏・无光仏ト」↡、又言ヘリ↢「諸仏中之王也、*光明中之極尊也ト」↡。 已上 ¬論ニハ¼曰ヘル↢「帰命尽十方无光如0180来ト」↡也。

^真しん土どといふは、 ¬大だい経きょう¼ には 「△無む量りょう光こう明みょう土ど」 (平等覚経・二) とのたまへり、 あるいは 「▲*諸しょ智ち土ど」 (*如来会・下) とのたまへり。 以上 ^¬論ろん¼ (浄土論) には 「△究く竟きょうして虚こ空くうのごとし、 広大こうだいにして辺際へんざいなし」 といふなり。

言フ↢真土ト↡者ハ、¬大経ニハ¼言ヘリ↢「▼无量光明土ト」↡。或イハ言ヘリ↢「諸智土ト」↡。 已上 ¬論ニハ¼曰フ↧「究竟ジテ如シ↢虚空ノ↡、広大ニシテ无シト↦辺際キワ↥」也。

^往おう生じょうといふは、 ¬大だい経きょう¼ (上) には 「▲皆かい受じゅ自じ然ねん虚無こむ之し身しん無む極ごく之し体たい」 とのたまへり。 以上 ^¬論ろん¼ (浄土論) には 「▲如来にょらい浄じょう華け衆しゅ 正しょう覚がく華け化け生しょう」 といへり。 また 「▲同一どういつ念仏ねんぶつ無む別道べつどう故こ」 (論註・下) といへり。 以上 ^また 「▲難なん思議じぎ往おう生じょう」 (法事讃・上) といへるこれなり。

言フ↢往生ト↡者ハ、¬大経ニハ¼言ヘリ↢「皆受自然虚无之身无極之体ト」↡。 已上 ¬論ニハ¼曰ヘリ↢「如来浄華衆正覚華化生ト」↡。又ハ云ヘリ↧「同一念仏シテ无別ノ道故ト」↥。 已上 又云ヘル↢「難思議ハカリ往生ト」↡是也。

 ^仮けの仏ぶつ土どとは、 *下しもにありて知しるべし。

仮ケ之ノ仏土ト者ハ、在リテ↠下ニ応シ↠知ル。

^すでにもつて真しん仮けみなこれ大だい悲ひの願海がんかいに酬しゅう報ほうせり。 ゆゑに知しんぬ、 報ほう仏ぶつ土どなりといふことを。 まことに仮けの仏ぶつ土どの業因ごういん千差せんじゃなれば、 土どもまた千差せんじゃなるべし。 これを方便ほうべん化け身しん・化土けどと0373名なづく。

既 デニ以テ真仮皆是 レ酬↢報セリ大悲ノ願海ニ↡。故ニ知ヌ報仏土也ナリトイフコトヲ。▼良マコトニ仮ノ仏土ノ業因千差シナワイナレバ、土モ復応シ↢千差タガフナル↡。是ヲ名ク↢方便化身・化土ト↡。

二 Ⅱ 一篇の製意を述ぶ

^真しん仮けを知しらざるによりて、 如来にょらい広大こうだいの*恩徳おんどくを迷失めいしつす。 ^これによりて、 いま真仏しんぶつ・真しん土どを顕あらわす。 これすなはち真しん宗しゅうの正しょう意いなり。 *経きょう家け・*論ろん家げの正しょう説せつ、 浄じょう土ど*宗しゅう師しの解義げぎ、 仰あおいで敬きょう信しんすべし。 ことに奉持ぶじすべきなり。 知しるべしとなり。

由リテ↠不ルニ↠知ラ↢真仮ヲ↡、迷メイ↢マドヒ失ス如来広大ノ恩徳ヲ↡。因リテ↠茲 レニ今顕ス↢真仏・真土ヲ↡。斯 レ乃チ真宗之正意也。経家・論家之正説、浄土宗師之解義、仰イデ可シ↢敬信ス↡、特コトニ可キ↢奉ウケタマハリ持ス↡也。可シトナリ↠知ル。

顕けん浄じょう土ど真しん仏ぶつ土ど文類もんるい 五

 

延書の底本は本派本願寺蔵善如上人書写本。
光明無量の願… →補註1
無量光…掩奪日月光 阿弥陀仏の異名である十五光。 ¬大教¼ に説かれる十二光に対応している。
暎蔽日光・暎蔽月光 日光・月光を照らしておおいかくすという意。
掩奪日月光 日月の光をおおいかくしてうばうという意。
天竜夜叉阿修羅等 仏教を護持する八部衆のうち、 代表的なものをあげる。 →八はち部ぶ鬼き神じん
諸仏 ¬開元かいげん録ろく¼ 巻三に示された経名にはこの二字がある。 ¬浄土和讃¼ (六〇) の異本左訓には、 ¬諸仏阿弥陀…¼ の経名を釈して 「弥陀を諸仏とまうす。 過度人道 (経) のこころなり」 とある。
前世の宿命 過去世の境涯。
自在の意の所欲 諸仏それぞれの心のままの願。
絶殊無極 すぐれて極まりないこと。
法忍 忍は認可決けつ定じょうの意で、 真理をはっきりと確かめて受け入れること。
非作の所作 人間の分別を離れ、 あるがままにおのずとなされたはたらき。
決定 絶対究極の安定。
名一義異 言葉は同じであっても、 その意味が異なること。
名義倶異 言葉もその意味もともに異なること。
仏の常 仏は常住じょうじゅうで、 生しょう滅めつ変化しないという意。
法の常 真理は永遠であるという意。
比丘僧の常 教団が永続するという意。
覚 覚者の意。
不覚 真理はさとるものではなく、 さとられるものであるので不覚という。
非善 善悪という相対的なものを超えているという意。
不羸劣 疲れず衰えないという意で、 阿弥陀仏の徳をあらわす。
乳・酪・生蘇・熟蘇・醍醐 五ご味みのこと。 牛乳より最上の美味である醍醐をつくる精製の順序。 ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ では醍醐味は涅槃に比定される。 天台てんだい宗しゅうでは五味を順に五時に配当し、 教判として用いる。
不可称計 思いはかることができないという意。
菩薩の得道菩提涅槃と名づく 菩薩が道と菩提と涅槃とを得るという意。
道は色像…知んぬべし 通常は 「道は色像の見るべく、 称量して知るべきなしといへども」 と読む。
四楽 断受楽、 寂静じゃくじょう楽、 覚知楽、 不壊楽の四をいう。
諸楽 世間のさまざまな楽。
かくのごときの涅槃…有にあらず 通常は 「かくのごとく涅槃もまた有と名づくることを得れども、 しかもこの涅槃は実にこれ有にあらず」 と読む。
説きて諸仏…とのたまへり 通常は 「説きて諸仏に大涅槃有りといふ」 と読む。
業清浄 仏のはたらきには少しも煩悩ぼんのうがまじらないから清浄であること。
これを善男子… ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ の原文には 「これを善男子善女人かくのごとく大涅槃経を修業して初分の功く徳どくを具足し成就すと名づく」 とあるが、 語を省略することによって、 大涅槃を得るものを善男子、 善女人と名づくというように転意したのである。
畢竟涅槃にあらざる 如来は絶えず生しょう死じの迷いの世界で活動するから、 涅槃にとどまらないという意。
これを菩薩と名づく ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ の原文には 「これを菩薩、 大涅槃微妙の経典を修して、 第七功く徳どくを具足し成就すと名づく」 とあるが、 語を省略することによって、 従果降因の還相げんそうの徳をあらわそうとしたのであろう。
愛念の心 愛する心。
命を説きて食とす 食することによって生命を維持するから、 食が因、 生命は果であるが、 「食物が生命」 と語るように果の生命を因の食といいあらわす。
色を見て触と名づく 色 (物質) は触 (根・境・識の三者の接触によって感覚や知覚の認識作用が生ずること) によって存在を認められるから、 触が因で色が果であるが、 物質を 「触れるもの」 と語るように果の色を因の触といいあらわす。
衆生の仏性…常とせず 通常は 「衆生の仏性は非内非外にして、 なほし虚空の非内非外なるがごとしと説く。 もしそれ虚空に内外あらば、 虚空を名づけて一とし、 常とせず」 と読む。
知諸根力 衆しゅ生じょうの能力や性質の優劣を知る力。 根こん上じょう下げ智ち力りきともいう。 十じゅう力りきの一。
定相 常住じょうじゅう不ふ変へんの相。
耆旧長宿 経験を積み、 徳望の高い先輩、 長老。
人に随ひ…たてまつると この文は ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ の原文では、【17】の末尾の 「世諦の法を説きて第一義諦とす」 から百三十七字 (原漢文の字数) をへだてた後にある。
他語のため 教えを受ける人の使用している言葉に応じるため。
衆根のため 教えを受ける人々各自の性質や能力に応じるため。
無出 再び迷いの世界に出ることがないこと。
無退 再び迷いの世界に退転しないこと。
大師子王 百獣を畏伏させる獅子のような方。
大医王 すべての煩悩ぼんのうの病をなおす医師のような方。
大象王 群獣を圧する威力をもつ象のような方。
大竜王 神変不思議の威徳をもつ竜のような方。
施眼 衆しゅ生じょうに智慧ちえの眼を施す方。
大力士 すぐれた力をもつ力士のような方。
宝聚 功く徳どくの宝を集めた方。
商主 人々を安穏に目的地に導く隊商の長のような方。
大分陀利 大いなる白びゃく蓮れん華げのような方。 →分ふん陀利だり華け
独無等侶 世に並ぶものがないほど尊い方。
具足八智 八はっ智ちをそなえている方。
陰 五陰のこと。 新訳では五ご薀うんという。
諦 有漏うろ (煩悩ぼんのうのある状態) の五陰は苦諦・集諦に関わり、 無漏むろ (煩悩のない状態) の五陰は道諦に関わることよりいう。 →四し諦たい
時 五陰には時間的変化があるからこのようにいう。
衆生 衆生は五陰が仮に和合したものであることよりいう。
世 現象のすがたはすべて五陰が仮に和合したものであることよりいう。
声聞辟支仏と名づく仏をまた 通常は 「声聞・辟支仏・仏と名づく、 また」 と読む。 迷悟不二・悉しつ有う仏ぶっ性しょうの意を強調するために、 本文のように読み改めたのであろう。
是学無学 なお学ぶべき余地を残す有学と、 もはや学ぶべきことのない無学。
一切生老病死…離れたまへれば 通常は 「一切生老病死を離れ、 非白非黒…」 と読む。
十住の菩薩 第十じゅう地じ (法雲地) の菩薩のこと。 ¬涅ね槃はん経ぎょう¼ では菩薩の修行の階位を五十位に分け、 第四十一位より五十位までを十住とする。 この十住は ¬瓔珞ようらく経きょう¼ 五十二位説の十地にあたる。 →菩ぼ薩さつ
少見 実際に見たところが少ないこと。
首楞厳経等の三昧 首楞厳は梵語シューランガマ (śūraṃgama) の音写で、 健ごん相そう・健ごん行ぎょうなどと漢訳する。 勇ゆう猛みょうで堅固な三昧 (深い精神統一の境地) の名。
三千の法門 一切の法門という意。
諸仏如来なり…聞見することあり 通常は 「諸仏如来と十住の菩薩は仏性を眼見す。 また聞見あり…」 と読む。
九地 十じゅう地じ (十住) の中の第九地 (善ぜん慧え地じ) のことであろう。 →菩ぼ薩さつ
正道…生ず 通常は 「(浄土は) 正道の大慈悲、 出世の善根より生ず」 と読む。 正道は平等の大道、 一如いちにょ平等のさとりのこと。
法蔵菩薩…ところなり 通常は 「法蔵菩薩、 諸波羅蜜を集めて積習して成ぜるところを指す」 と読む。 →法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ
魚蜯 魚介類。 蜯は、 どぶ貝、 またははまぐり。
十七種荘厳 三厳さんごん二に十じゅう九く種しゅ荘しょう厳ごんのうちの国土十七種荘厳。
釈して…安養といふ 通常は 「釈して無量寿と名づく。 経に傍そへて奉讃す。 また安養ともいふ」 と読む。 ¬讃弥陀偈¼ を経典と同等とみて、 本文のように読み改めたのであろう。
尊語を伏承して 釈尊のお言葉をうけたまわって。
そこばく 相当の数量。
いかなるか…あらざる 通常は 「いかんが涅槃の一法のみ化のごとくにあらざる」 と読む。
人法 人は有う情じょう (感情や意識を有するもの。 衆生)、 法は非情 (感情や意識のないもの。 草木・山河・大地など) を指す。
無明品心 一切衆生の愚痴ぐち無む明みょうの品類に属する心。
日応じて…ゆゑに ¬述じゅつ文もん賛さん¼ の原文は 「日夜恒に照らすこと、 娑婆二曜の輝きに同じからざるゆゑに」 となっている。 二曜とは太陽と月のこと。
性 仏ぶっ性しょうのこと。
起信論にいはく… 飛ひ錫しゃくの ¬念仏ねんぶつ三昧ざんまい宝王ほうおう論ろん¼ よりの引用。 「もし…得入とす」 が ¬起き信しん論ろん¼ の文で、 「得入とは…」 以下は、 その文に対する飛錫の解説。
能説の…知るを 原文には 「亦」 (また) の上に 「雖念」 (念ずといへども) の字があり、 「能説可説あることなく、 念ずといへども、 また能念可念なしと知るを」 と読む。
けだし…無念は 通常は 「けだし心の初生の相を了するをもってなり。 しかも初相を知るといふは、 いわゆる無念なり」 と読む。 初生の相は、 無始むし無む明みょうの初起、 忽然こつねんとして無明が起り、 真しん如にょが妄想へ初めて動きだした相をいう。 無念は、 妄想分別を離れ、 真如になりきることをいう。
諸智土 阿弥陀仏の真実しんじつ報ほう土ど。 高麗こうらい版大蔵経等は 「諸智士」 となっている。 この場合は諸菩薩を意味する。
下 次の 「仮身土巻」 のこと。
底本は◎真宗大谷派蔵親鸞聖人真筆本。 Ⓐ本派本願寺蔵鎌倉時代写本、 Ⓑ高田派専修寺蔵真仏上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵存如上人授与本、 Ⓓ本派本願寺蔵版本 と対校。
設 Ⓐ「十二光明无量之願」と右傍註記
設 Ⓐ「十三寿命无量之願」と右傍註記
願 Ⓐ「光明无量之願成就文土」と左傍にあり
仏 Ⓑ「十二願成就」と右傍註記
其 Ⓑ「三十三願成就」と左傍註記
仏 Ⓑ「十三願成就」と右傍註記
无 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
无 Ⓐ「願成就土」と左傍にあり
帛延訳 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑに無し
丈→Ⓑ尺
不 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
涅 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
死 ◎「生」を「死」と上書訂記
迦→Ⓑ加
略→Ⓑ抄
像→Ⓐ僧(「像歟」と下欄註記)
之 Ⓑに無し
堕→Ⓒ随
是→Ⓒ来(「是」と右傍に貼紙)
是 ◎「亦」を「是」と上欄訂記
略→Ⓑ抄
「又…至」26字 ◎上欄に貼紙
我レ以経ノ中ニ説クニ↢如来ノ身ヲ↡→Ⓑ我レ以テ↢経ノ中 カニ説ヲ↡如来身ニ
常→ⒸⒹ[我]常
浄 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
註 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
云→Ⓑ言
波→Ⓑ婆
諸 Ⓑに無し
法縁 ◎右傍註記→Ⓐ有縁 Ⓑ「或本ニアルイ本ナルベシ」と右下註記
言 Ⓐ「成就土」と左下にあり
「讃…経」25字 ◎に無し 讃 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
一 Ⓑに無し
照→Ⓐ照[耀]
惻→Ⓒ測
頽 ◎頽字崩也破也落也纏也と上欄註記
轍 ◎轍字直刹反通也車也跡也と上欄註記
光 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
又 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
念 ◎「声」を「念」と上書訂記
弁→Ⓒ辨
観 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
如 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
聖→Ⓑ正
門→Ⓑ聞
分…邪16字→Ⓑ分↢別スル生滅ヲ↡者 ノハ如シ↠化ノ、不生不滅ノ者 ノハ不アラザルヲ↠如キニ↠化ノ邪ヤ
愁嘆 ◎「或本生死也」と上欄註記→ⒶⒷⒹ生死
日…故13字→Ⓒ日ニツ応ガ↢恒ニ照コト不ズ↠周アマネカラ娑婆一耀之カヾヤク光 リニ↡故ニ
抄要→Ⓑ抄出→Ⓒ要要
起 Ⓐ「成就土」と左傍にあり
光 Ⓑ「光明中之王也」と上欄註記