題目

けんじょう真実しんじつしん文類もんるい じょ

*禿とくしゃく*親鸞しんらんしゅう

別序

宗義を立す

 ^それおもんみれば、 *しんぎょうぎゃくとくすることは、 *如来にょらい*せんじゃく願心がんしんよりほっ*真心しんしん*開闡かいせんすることは、 だいしょう (*釈尊) *矜哀こうあいぜんぎょうよりけんしょうせり

レバ、獲↢得コトハ信楽↡、発↣起↢如来選択願心↡。開↢闡コトハ真心↡、顕↣彰↢大聖矜哀善巧↡。

邪執を挙ぐ

 ^しかるに*末代まつだい道俗どうぞくこんしゅう*しょう唯心ゆいしんしずみて*じょうしんしょうへん*じょうさん*しんまどひて*金剛こんごう真信しんしんくらし。

末代道俗、近世宗師、沈↢自性唯心↡貶↢浄土真証↡、迷↢定散自心↡昏↢金剛真信↡。

造意を示す

1.承仏祖

 ^ここに禿とくしゃく親鸞しんらん諸仏しょぶつ如来にょらい真説しんせつ*しんじゅんして、 *ろん*しゃくしゅうえつ

愚禿釈親鸞、信↢順諸仏如来真説↡、披↢閲論家・釈家宗義↡。

2.叙造意

^ひろ*さんぎょう光沢こうたくかぶりて、 ことに*一心いっしんもんひらく。 *しばらくもんいたしてつひに明証みょうしょういだす。

↢三経光沢↡、特↢一心華文↡。且↢疑問↡遂↢明証↡。

3.為報恩

^まことに仏恩ぶっとんじんじゅうなるをねんじて、 *人倫じんりん哢言ろうげんぢず。

↢仏恩深重ナルヲ↡、不↠恥↢人倫哢言↡。

4.誡疑謗

^*じょうほうねがしゅ*いきいと庶類しょるい取捨しゅしゃくわふといへども*ほうしょうずることなかれとなり。

↢浄邦徒衆、厭↢穢域↡庶類、雖↠加フト↢取捨↡、莫レト↠生コト↢毀謗

標挙

*しんしんぎょうがん *正定しょうじょうじゅ

題号

けんじょう真実しんじつしん文類もんるい 三

禿とくしゃく親鸞しんらんしゅう

正しく大信を明かす【大信釈】
  解釈
   

【1】 ^つつしんで*往相おうそうこうあんずるに、 *大信だいしんあり。

ルニ↢往相廻向↡、有↢大信↡。

一 Ⅰ
      釈義【嘆徳出願】
        嘆徳

^だい信心しんじんは、 すなはちこれ 1*ちょうせい不死ふし神方しんぽう2*ごんじょうえん妙術みょうじゅつ3*せんじゃくこう直心じきしん4利他りた深広じんこうしんぎょう5*金剛こんごう不壊ふえ真心しんしん6*おうにん*じょうしん7心光しんこうしょう一心いっしん8*希有けうさいしょう大信だいしん9けん難信なんしん*捷径せつけい10*しょうだいはん真因しんいん11極速ごくそくえんにゅう*びゃくどう12*真如しんにょ*一実いちじつ信海しんかいなり。

大信心者、則是長セイ不死之神方、忻浄厭穢之妙術、選択廻向之直心、利他深広之信楽、 剛不壊之真心、易往无人之浄信、心光摂護之一心、希有最勝之大信、世間難信之セチ径、証大涅槃之真因、極速円融之白道、真如一実之信海也。

一 Ⅰ ⅱ a 出願
          (一)正しく出願を明かす

^このしんすなはちこれ*念仏ねんぶつおうじょうがん (第十八願) よりでたり。

心即是出タリ↠於↢念仏往生之願↡。

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)願の異名を挙ぐ

^この大願だいがん*せんじゃく本願ほんがんづく、 また本願ほんがん*三心さんしんがんづく、 またしんしんぎょうがんづく、 また往相おうそう信心しんじんがんづくべきなり

大願↢選択本願↡、亦名↢本願三心之願↡、復名↢至心信楽之願↡、亦可↠名↢往相信心之願↡也。

一 Ⅰ ⅱ a 述義
          (一)信心の難得を明かす

^しかるに*じょうもつぼん*てん*ぐんじょう*じょうみょうじょうじがたきにあらず、 真実しんじつしんぎょうまことにることかたし。 なにをもつてのゆゑに、 いまし如来にょらい*加威かいりきによるがゆゑなり、 ひろ*だいこうちからによるがゆゑなり

常没凡愚、流転群生、无上妙果↠難キニ↠成、真実信楽実↠獲コト。何。乃↢如来加威力↡故ナリ、博↢大悲広↡故ナリ

一 Ⅰ ⅱ a ハ (二)信心の利益を明かす

^たまたまじょうしんば、 このしん*顛倒てんどうせず、 このしん虚偽こぎならず。 ここをもつて極悪ごくあくじんじゅうしゅじょう*だいきょうしん*もろもろのしょうそんじゅうあいるなり。

獲↢浄信、是心不↢顛倒↡、是心不↢虚偽ナラ↡。是極悪深重衆生、得↢大慶喜心↡、獲↢諸聖尊重愛↡也。

一 Ⅰ ⅱ 引文
        経文
          (一)正しく大信を証す
            (Ⅰ)因願
              (ⅰ)¬大経¼

【2】 ^しんしんぎょう本願ほんがん (第十八願)もん、 ¬*だいきょう¼ (上) にのたまはく、

至心信楽本願文、¬大経¼言

^たとひわれぶつたらんに、 *十方じっぽうしゅじょうこころいたしんぎょうしてわがくにうまれんとおもひて、 *ない*じゅうねんせん。 もしうまれざれば、 しょうがくらじと。 ただ*ぎゃく*ほうしょうぼうのぞく」 と。

「設我得タラムニ↠仏、十方衆生、至↠心信楽↠生ムト↢我↡、乃至十念。若↠生、不↠取↢正覚↡。唯除クト↢五逆誹謗正法↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅱ)¬如来会¼

【3】 ^¬*りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にのたまはく、

¬无量寿如来会¼言

^もしわれ*じょうかくしょうとくせんときぶつ*せつのうちのもろもろの*じょうるい、 わがき、 おのれがしょ*善根ぜんごん心々しんしんこうせしむ。 わがくにしょうぜんとがんじて、 ないじゅうねんせん。 もししょうぜずは、 *だいらじと。 ただ*けん悪業あくごうつくしょうぼうおよびもろもろのしょうにんほうせんをばのぞく」 と。

「若我証↢得无上覚↡時、余仏有情類、聞↢我所有善根、心心廻向シム。願↠生ムト↢我↡、乃至十念。若不↠生者、不↠取↢菩提↡。唯除クト↧造↢无間悪業↡、誹↦謗ムヲバ正法及聖人↥。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)成就
            (ⅰ)¬大経¼

【4】 ^本願ほんがんじょうじゅもん、 ¬きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

本願成就文、¬経¼言

^あらゆるしゅじょう、 その*みょうごうきて*信心しんじんかんせんこと、 ない*一念いちねんせん。 *しんこうせしめたまへり。 かのくにしょうぜんとがんぜば、 すなはち*おうじょう*退転たいてんじゅうせん。 ただぎゃくほうしょうぼうとをばのぞ」 と。

諸有アラユル衆生、聞↢其名号↡信心歓喜ムコト、乃至一念。至心回向シメタマヘリ。願ズレ↠生ムト↢彼↡、即得↢往生↡、住↢不退転↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲバ↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)¬如来会¼

【5】 ^¬りょう寿じゅ如来にょらい¼ (下) にのたまはく、 *だい流志るしやく

¬無量寿如来会¼言菩提流支訳

^ほう仏国ぶっこくしょじょうりょう寿じゅ如来にょらいみょうごうきてよく一念いちねんじょうしんおこして*かんせしめ、 しょ善根ぜんごんこうしたまへるを*あいぎょうしてりょう寿じゅこくしょうぜんとがんぜばがんしたがひてみなうまれ、 退転たいてんない*じょうしょうとうだいんと。 *けんしょうぼうほうし、 およびしょうじゃそしらんをばのぞ」 と。

「他方仏国所有情、聞↢无量寿如来名号↡能↢一念浄信↡歓喜シメ、愛↢楽所有善根回向タマヘルヲ↡、願↠生ムト↢无量寿国、随↠願皆生、得ムト↢不退転乃至无上正等菩提↡。クト五无間誹謗正法聖者。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)信の利益を示す
            (Ⅰ)¬大経¼

・教主嘆誉

【6】 ^またのたまはく (大経・下)

又言

^ほうきてよくわすれず、 *うやまおおきによろこばば、 すなはちわが*しんなり。 このゆゑにまさにこころおこすべし」 と。

「聞↠法不↠忘、見ババ、則親友ナリ。是シト↠発↠意。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)¬如来会¼二文

・住不退転

【7】 ^またのたまはく (*如来会・下)

又言

^かくのごときらのるい*だいとくのひとなり。 よく*広大こうだい仏法ぶっぽうもんしょうぜん」 と。

「如↠是大威徳ヒトナリ。能ムト↢広大仏法異門↡。」

・諸尊重愛

【8】 ^またのたまはく (如来会・下)

又言

^如来にょらいどくぶつのみみづからろしめせり。 ただそんましましてよくかいしたまふ。 *てんりゅうしゃおよばざるところなり。 *じょうおのづからみょうごんつ。 もしもろもろのじょうまさに*ぶつして、 ぎょう*げんえ、 *がんのぼつて、 いちぶつどく*えんせん。 ときこう思議しぎえん。 このちゅうげんにおいてめつすとも、 ぶつしょうはよくはかることなけん。

「如来功徳ノミメセリ。唯有シテ↢世尊↡能開示タマフ。天・竜・夜叉所ナリ↠不↠及。二乗↢於名言↡。若有情当作仏、行超↢普賢↡登↢彼岸↡、敷↢ヒラキノブ一仏之功徳↡。時逾↢多劫不思議↡。於↢是中間↡身滅度トモ、仏之勝↢能コト↡。

このゆゑにしんもんおよびもろもろの*ぜんしょうじゅそくして、 かくのごときのじんみょうほうくことをば、 まさにもろもろのしょうそんじゅうあいせらるることをべし。 *にょらいしょう*へんくう所説しょせつごんは、 ただぶつのみさとりたまへり。

具↢足於信・聞及善友之摂受↡、得↠聞コトヲ↢如キノ↠是深妙↡、当↠獲↣重↢愛ラルヽコトヲ聖尊↡。如来勝智徧虚空所説義言唯仏ノミタマヘリ

このゆゑにひろ*しょきて、 わがきょう如実にょじつごんしんずべし。 *人趣にんしゅしんることはなはだかたし。 如来にょらいしゅっもうあふことまたかたし。 *しんおおときまさにいましん。 このゆゑにしゅせんものしょうじんすべし。 かくのごときのみょうほうすでにちょうもんせば、 つねに諸仏しょぶつをしてよろこびをしょうぜしめたてまつるなり」 と。

↢諸智土↡、応↠信↢我教如実↡。人趣之身得コト。如来出世遇コト亦難。信慧多時方。是者応↢精進↡。如キノ↠是妙法已聴聞、常マツルナリト↢諸仏シテ↟喜。」

一 Ⅰ ⅱ b 師釈
          (一)雁門(行信二法を明かす)
            (Ⅰ)¬論註¼

【9】 ^¬*ろんちゅう¼ (下) にいはく、

¬¼曰

^ªかの如来にょらいみなしょうし、 かの如来にょらい*こうみょうそうのごとく、 かの*みょうのごとく、 じつのごとくしゅぎょう相応そうおうせんとおもふがゆゑにº (浄土論) といへり。

「称↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、欲↢如↠実修行相応ムト↡故ニトイヘリ

・衆生称名

^ªしょう如来にょらいみょうº といふは、 いはく*無礙むげこう如来にょらいみなしょうするなり。

称彼如来名イフ者、謂スル↢无光如来↡也。

・法体徳相

^ªにょ如来にょらいこうみょうそうº といふは、 ぶつ*こうみょうはこれ*智慧ちえそうなり。 このこうみょう十方じっぽうかいらすに*しょうあることなし。 よく十方じっぽうしゅじょう*みょう*黒闇こくあんのぞく。 *にちがつ珠光しゅこうのただ室穴しつけつのうちのあんするがごときにはあらざるなり。

如彼如来光明智相トイフ者、仏光明是智相也。此光明照スニ↢十方世界↡无↠有コト↢障↡。能↢十方衆生无明黒闇↡。非↠如キニハ↣日・月・珠光但破ルガ↢室穴↡也。

・名号破満 ・名義

^ªにょみょうよく如実にょじつしゅぎょう相応そうおうº といふは、 かの無礙むげこう如来にょらいみょうごうは、 よくしゅじょう一切いっさいみょうす、 よくしゅじょう一切いっさいがんてたまふ

如彼名義欲如実修行相応トイフ者、彼无光如来名号、能↢衆生一切无明↡、能タマフ↢衆生一切志願↡。

・名号破満 ・不実

^しかるに*称名しょうみょう*憶念おくねんすることあれども、 みょうなほそんして所願しょがんてざるはいかんとならば、 じつのごとくしゅぎょうせざると、 みょう相応そうおうせざるによるがゆゑなり。 いかんが如実にょじつしゅぎょうみょう相応そうおうせざるとする。 いはく、 如来にょらいはこれ*実相じっそうしんなり、 これ*もののためのしんなりとらざるなり。

↢称名憶念コトドモ、无明由↠満↢所願↡者何者イカントナラバ、由↧不ルト↢如実修行↢名義↡不ルニ↦相応↥故也。云何不如実修行名義相応↡。謂ルナリ↠知↢如来是実相ナリ、是為↠物ナリト↡。

・名号破満 ・不実 ・三不信

^また三種さんしゅ相応そうおうあり。 ひとつには*信心しんじんあつ (じゅんおんじゅんなり、 また厚朴こうぼくなり。 ぼくおんぼくなり。 くすりなり。 じゅんなり。 じょうこんかおばせなり。 かみおなじ) からず、 *そんせるがごとし、 もうぜるがごときのゆゑにふたつには信心しんじんいちならず、 けつじょうなきがゆゑに。 つには信心しんじん相続そうぞくせず、 *ねんへだつるがゆゑに。 このさん展転てんでんしてあひじょうず。 信心しんじんあつからざるをもつてのゆゑにけつじょうなし、 けつじょうなきがゆゑにねん相続そうぞくせず。 またねん相続そうぞくせざるがゆゑにけつじょうしんず、 けつじょうしんざるがゆゑにしんあつからざるべし。

又有↢三種不相応↡。一者信心不↠淳カラ 字 常倫反 又音純也 又厚朴也 朴字 音卜也 名也 諄字 至也 誠懇之貌也 同上字↠存セルガキノ↠亡ゼルガ。二者信心不↠一ナラ、无キガ↢決定↡故。三者信心不↢相続↡、余念ヘダツルガ。此三句展転。以↢信心不ルヲ↟淳カラ↢決定↡、无キガ↢決定↡故念不↢相続↡。亦可念不ルガ↢相続↡故不↠得↢決定↡、不ルガ↠得↢決定↡故心不↞淳カラ

・名号破満 ・如実

^これとそうせるを*如実にょじつしゅぎょう相応そうおうづく。

↠此相違ルヲ↢如実修行相応↡。

・以信為要

^このゆゑに論主ろんじゅ (*天親)はじめに ª*一心いっしんº とのたまへり」 と。

論主、ハジメリト↢我一心↡。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)¬讃弥陀偈¼

・一心義相

【10】^¬*さん弥陀みだぶつ¼ にいはく、 *曇鸞どんらんしょうぞうなり

¬讃阿弥陀仏偈¼曰巒和尚造也

^あらゆるもの、 弥陀みだ*徳号とくごうきて、 *信心しんじんかんしてくところをよろこばんこと、 いまし一念いちねんおよぶまでせん。 しんのひとこうしたまへり。 しょうぜんとがんずればみなくことをしむ。 ただぎゃくほうしょうぼうとをばのぞく。 ゆゑにわれちょうらいしておうじょうがん」 と。

アラユルモノ↢阿弥陀徳号↡、信心歓喜ムコト↠所↠聞、乃オヨブマデセム↢一念↡。至心ヒト回向タマヘリ。願レバ↠生ムト皆得シム↠往コト。唯除↢五逆謗正法トヲバ↡。故我頂礼ズト↢往生↡。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)終南(三心即一の義相を明かす)
            (Ⅰ)「定善義」

・本仏摂化

【11】^*こうみょう (善導) の ¬かんぎょう¼ (*定善義) にいはく、

光明寺¬観経義¼云

^ªにょº といふはしゅあり。 ひとつにはしゅじょうこころのごとし、 かの心念しんねんしたがひてみなこれを*すべし。 ふたつには弥陀みだおんこころのごとし、 *げんまどかにらし*六通ろくつうざいにして、 すべきものをそなはして、 一念いちねんのうちにぜんなくなく身心しんしんひとしくおもむき、 *三輪さんりんかいしておのおのやくすることおなじからざるなり」 と。

「言↢如意↡者有↢二種↡。一者如↢衆生↡、随↢彼心念↡皆応↠度↠之。二ニハ↢弥陀之オンコヽロ↡、五眼円六通自在ニシテミソナハシ↢機↠度↡、一念之中↠前无↠後身心等、三輪開悟コト↠同カラ。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)「序分義」

・所化機相

【12】^またいはく (*序分義)

^この*じょく*五苦ごくとう*六道ろくどうつうじてけて、 いまだなきものはあらず。 つねにこれに*逼悩ひつのうす。 もしこのけざるものは、 すなはち*ぼんじゅしょうにあらざるなり」 と。

「此五濁・五苦等↢六道↡受、未↠有↢无↡。常逼↢悩↡。若↠受↢此↡者、即↢凡数↡也。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)「散善義」

・三心義相

【13】^またいはく (*散善義)

又云

^ªとうさんº よりしも ªひっしょうこくº にいたるまでこのかたは、 まさしく*三心さんしんべんじょうして、 もつてしょういんとすることをかす。 すなはちそれふたつあり。 ひとつにはそん*したがひてやくあらわすこと*みつにしてりがたしぶつみづからうてみづからちょうしたまふにあらずは、 さとりるによしなきをかす。 ふたつに如来にょらいかえりてみづからさき三心さんしんかずこたへたまふことをかす。

「従↢何等為三↡下至マデ↢必生彼国↡已来タハ↧弁↢定三心↡以コトヲ↦正因↥。即↢其二↡。一ニハ↧世尊随↠機コト↠益意密ニシテ↠知、非ズハ↢仏タマフニ↡无キヲ↞由↠得ルニ↠解。二↣如来還タマフコトヲ↢前三心之数↡。

・三心義相 ・至誠心

 ^¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 ª一者いっしゃ*じょうしんº。

、一者至誠心。

^ªº とはしんなり、 ªじょうº とはじつなり一切いっさいしゅじょう*しん口意くいごう所修しょしゅ*ぎょう*かならず真実しんじつしんのうちになしたまへるをもちゐんことをかさんとおもふ。

者真ナリ、誠者実ナリ。欲↠明ムト↣一切衆生身口意業所修解行、必モチヰムコトヲ↢真実心タマヘルヲ↡。

^ほか*賢善けんぜんしょうじんそうげんずることをざれ、 うち*虚仮こけいだいて*貪瞋とんじんじゃかんひゃくたんにして*あくしょうめがたし、 こと*蛇蝎じゃかつおなじ。 *三業さんごうおこすといへども、 づけて*雑毒ぞうどくぜんとす、 また虚仮こけぎょうづく、 真実しんじつごうづけざるなり。

↠得↣外コトヲ↢賢善精進之相↡、内↢虚仮↡、貪瞋・邪偽・奸詐百端ニシテ悪性難↠侵、事同↢蛇蝎↡。雖↠起スト↢三業↡名為↢雑毒之善↡、亦名↢虚仮之行↡、不↠名↢真実↡也。

^もしかくのごとき*安心あんじん*ぎょうをなすは、 たとひ身心しんしんれいしてにちじゅうきゅうもときゅうになして*ねんはらふがごとくするものは、 すべて雑毒ぞうどくぜんづく。 この雑毒ぞうどくぎょうしてかのぶつじょうしょうせんとほっするは、 これかならず不可ふかなり。

↢如↠此安心・起行↡者、縦使苦↢励身心↡日夜十二時モトクスルハラフ、衆↢雑毒之善↡。欲↧回↢此雑毒之行↡求↦生ムト浄土↥者、此必不可也。

^なにをもつてのゆゑに、 まさしくかの弥陀みだぶつ*いんちゅうさつぎょうぎょうじたまひしときない*一念いちねんいっ*せつも、 三業さんごう所修しょしゅみなこれ*真実しんじつしんのうちに*なしたまひしに (きょうなり、 ぎょうなり、 じゅうなり、 *ゆうなり) つてなり。 おほよそほどこしたまふところしゅをなす、 またみな真実しんじつなり。

。正テナリ字 以周反 経也 行也 従也 用也阿弥陀仏、因中タマヒシ↢菩薩↡時、乃至一念一刹那、三業所修皆是真実心タマヒシニ↥。凡所↠施タマフ↢趣求↡、亦皆真実ナリ

・三心義相 ・至誠心 ・二種真実

^また*真実しんじつしゅあり。 ひとつには*自利じり真実しんじつふたつには*利他りた真実しんじつなり

又真実↢二種↡者自利真実、二者利他真実ナリ

^*ぜん三業さんごうはかならず真実しんじつしんのうちにてたまへるをもちゐよ。 またもしぜん三業さんごうおこさば、 かならず真実しんじつしんのうちになしたまひしをもちゐて、 *ないみょうあんえらばず、 みな真実しんじつもちゐるがゆゑにじょうしんづく。

不善三業モチヰ↢真実心タマヘルヲ↡。又若↢善三業、必モチヰ↢真実心タマヒシヲ↡、不↠簡↢内外明闇↡、皆モチヰル↢真実↡故↢至誠心↡。

・三心義相 ・深信

 ^ªしゃ*深心じんしんº。 深心じんしんといふは、 すなはちこれ深信じんしんしんなり。 またしゅあり。

二者深心。言↢深心↡者、即是深信之心也。亦有↢二種↡。

・三心義相 ・深信 ・第一深信

^ひとつには、 けつじょうしてふかく、 *しんげんにこれ*罪悪ざいあくしょうぼん*曠劫こうごうよりこのかたつねにもっし、 つねにてんして、 *しゅつえんあることなしとしん

者決定↢自身是罪悪生死凡夫、曠劫ヨリ已来流転、无シト↟有コト↢出離之縁↡。

・三心義相 ・深信 ・第二深信

^ふたつには、 けつじょうしてふかく、 かの弥陀みだぶつ*じゅうはちがんしゅじょう*しょうじゅしてうたがいなくおもんぱかりなく、 かの*願力がんりきじょうじて、 さだめておうじょうしんず。

者決定↧彼阿弥陀仏四十八願摂↢受衆生↡、无↠疑无↠慮、乗↢彼願力↡定↦往生↥。

・三心義相 ・深信 ・第三深信

^またけつじょうしてふかく、 しゃぶつこの ¬*かんぎょう¼ に*三福さんぷく*ぼん*じょうさんぜんきて、 かのぶつ*しょうほうしょうさんして、 ひとをして*ごんせしむとしんず。

又決定↧釈迦仏説↢此¬観経¼三福九品・定散二善↡、証↢讃依正二報↡、使ムト↦人ヲシテ忻慕↥。

・三心義相 ・ 深信 ・第四深信

^またけつじょうして、 ¬*弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう*恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ一切いっさいぼんしょうかんしてけつじょうしてしょうずることを深信じんしんするなり。

又決定深↧信ルナリ¬弥陀経¼中、十方恒沙諸仏、証↢勧一切凡夫↡決定↞生コト

・三心義相 ・深信 ・第五深信

^また深信じんしんするもの、 あおねがはくは一切いっさいぎょうじゃとう一心いっしんにただ*ぶつしんじてしんみょうかえりみず、 けつじょうしてぎょうによりて、 ぶつてしめたまふをばすなはちて、 ぶつぎょうぜしめたまふをばすなはちぎょうず。 ぶつらしめたまふところをばすなはちつ。 これをぶっきょうずいじゅんし、 ぶつずいじゅんすとづく。 これを*仏願ぶつがんずいじゅんすとづく。 これを*しんぶつ弟子でしづく。

又深信、仰クハ一切行者等、一心唯信↢仏語↡不↠顧↢身命↡、決定↠行、仏タマフヲ↠捨、仏タマフヲ↠行。仏タマフ↠去ヲバ。是↧随↢順仏教↡、随↦順スト仏意↥。是↣随↢順スト仏願↡。是↢真仏弟子↡。

・三心義相 ・深信 ・第六深信

^また一切いっさいぎょうじゃ、 ただよくこの ¬きょう¼ (観経) によりてぎょう深信じんしんするは、 かならずしゅじょうあやまらざるなり。 なにをもつてのゆゑに、 ぶつはこれ*満足まんぞくだいにんなるがゆゑに*じつなるがゆゑにぶつのぞきてげんは、 *ぎょういまだたず。 それ*がくにありて、 *正習しょうじゅうしょうありていまだのぞこらざるによつて、 *がんいまだまどかならず。

又一切行者、但能↢此¬経¼↡深↢信、必↠悞↢衆生↡也。何。仏是満足大悲ナルガ、実語ナルガ。除↠仏已還、智行未↠満。在↢其学地↡、由↧有↢正習二障↡未ルニ↞除、果願未↠円ナラ

^これらの*ぼんしょうは、 たとひ諸仏しょぶつきょう*しきりょうすれども、 いまだ*けつりょうすることあたはず。 *平章びょうしょうすることありといへども、 かならずすべからくぶっしょううてじょうとすべきなり。

此等凡聖縦使測↢量ドモ諸仏教意↡未↠能↢決了コト↡。雖↠有リト↢平章コト↡、要↧請↢仏証↡為↞定也。

^もしぶつかなへば、 すなはち*いんして ªにょにょº とのたまふ。 もしぶつかなはざれば、 すなはち ªなんだちが所説しょせつ、 このにょº とのたまふ。 いんせざるは、 すなはち*無記むき無利むりやくおなじ。 ぶついんしたまふは、 すなはちぶつ正教しょうきょうずいじゅんす。 もしぶつしょ言説ごんせつは、 すなはちこれ正教しょうきょうしょう正行しょうぎょうしょうしょうごうしょうなり。

カナヘバ↢仏意↡、即印可↢如是如是↡。若カナ↢仏意、即汝等ナンダチ所説是義不如是↡。不↠印者、即↢无記・无利・无益之語↡。仏印可タマフ、即随↢順仏之正教↡。若所有言説、即是正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ

^もしはもしはしょう、 すべてさつにんてんとうはず、 その是非ぜひさだめんや。 もしぶつ所説しょせつは、 すなはちこれ*了教りょうきょうなり。 さつとうせつは、 ことごとく了教りょうきょうづくるなりるべし。

多若少、衆不↠問↢菩薩・人・天等↡、定メム↢其是非。若所説、即是了教ナリ。菩薩等、尽クル↢不了教↡也、応↠知

^このゆゑにいまときあおいで一切いっさいえんおうじょうにんとうすすむ。 ただぶつ深信じんしんしてせんちゅうぎょうすべし。 さつとう相応そうおうきょう信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし、 まどひをいだいて、 みづからまどひておうじょう大益だいやく廃失はいしつすべからざれと。

時仰↢一切有縁往生人等↡。唯可↧深↢信仏語↡専注奉行↥。不レト↠可↧信↢用菩薩等不相応↡、以↢疑↡、抱↠惑廃↦失往生之大益也。

^しゃ一切いっさいぼんかんして、 この一身いっしんつくして専念せんねん専修せんじゅして、 しゃみょう以後いごさだめてかのくにうまるれば、 すなはち十方じっぽう諸仏しょぶつことごとくみなおなじくめ、 おなじくすすめ、 おなじくしょうしたまふ。 なにをもつてのゆゑに、 *同体どうたいだいなるがゆゑにいちぶつしょは、 すなはちこれ一切いっさいぶつなり。 一切いっさいぶつは、 すなはちこれいちぶつしょなり。

釈迦指↢勧一切凡夫↡、尽↢此一身↡専念専修、捨命已後定ルレ↢彼、即十方諸仏悉皆同、同、同タマフ。何。同体大悲ナルガ。一仏所化是一切仏ナリ。一切仏是一仏所化ナリ

^すなはち ¬弥陀みだきょう¼ のなかにかく、 ªしゃ*極楽ごくらく種々しゅじゅ*しょうごん讃嘆さんだんしたまふ。 また一切いっさいぼんすすめて、 一日いちにち七日しちにち一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんせしめて、 さだめておうじょうしめたまふº と。

¬弥陀経¼中カク、釈迦讃↢嘆タマフ極楽種種荘厳↡。又勧↢一切凡夫↡、一日七日一心専↢念シメテ弥陀名号↡、定シメタマフト↢往生↡。

^次下つぎしももん (小経・意) にのたまはく、 ª十方じっぽうにおのおの*ごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃよくじょくあくあくかいあくしゅじょう悪見あくけんあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかりなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさんしてしゅじょう勧励かんれいせしめて、 しょうねんすればかならずおうじょうさんじたまふº と、 すなはちそのしょうなり。

次下、十方シテ↢恒河砂等諸仏↡、同タマフ↧釈迦能↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪見・悪煩悩・悪邪无信ナル↡、指↢讃弥陀名号↡勧↢励シメテ衆生↡、称念レバ↦往生↥、即証也。

^また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃいちぶつ所説しょせつしんぜざらんを恐畏おそれて、 すなはちともに同心どうしんどうにおのおの*舌相ぜっそういだして、 あまねく*三千さんぜんかいおおひてじょうじつごんきたまはく、 ªなんだちしゅじょう、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょう*せつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくし、 しも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんして、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいなきなりº と。

又十方仏等、恐↢畏 オソレ 衆生ラムヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即同心同時↢舌相、↡徧↢三千世界↡説タマハク↢誠実↡、汝等ナンダチ衆生、皆応↠信↢是釈迦所説・所賛・所証↡。一切凡夫、不↠問↢罪福多少、時節久近↡、但能上尽↢百年↡、下至マデ↢一日七日↡、一心専↢念弥陀名号↡、定コト↢往生↡、必↠疑也

^このゆゑにいちぶつ所説しょせつをば、 すなはち一切いっさいぶつおなじくその*証誠しょうじょうしたまふなり。 これを*にんについてしんつとづくるなり。

一仏所説ヲバ、即一切仏同証↢誠タマフ↡也。此クル↢就↠人↟信也。

^またこ*しょうのなかについてまたしゅあり。 ひとつには、 一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねん*行住ぎょうじゅう坐臥ざがせつごんはず、 念々ねんねんてざるをば、 これを*正定しょうじょうごうづく*かの仏願ぶつがんじゅんずるがゆゑにもし*礼誦らいじゅとうによらば、 すなはちづけて*助業じょごうとす。 このしょうじょぎょうのぞきて以外いげ自余じよ諸善しょぜんは、 ことごとく*ぞうぎょうづく。 すべて*ぞうぎょうづくるなり。 ゆゑに深心じんしんづく。

又就↢此↡復有↢二種↡。一者、一心専↢念弥陀名号↡、行住坐臥、不↠問↢時節久近↡、念念↠捨、是↢正定之業↡、順ルガ↢彼仏願↡故。若↢礼誦等↡、即為↢助業↡。除↢此正助二行↡已外自余、悉↢雑行↡。 クル↢疎雑之行↡也。故↢深心↡。

・三心義相 ・回向発願心

 ^ªさんじゃ*こう発願ほつがんしんº。 またこう発願ほつがんしてしょうずるものは、 *かならずけつじょうして真実しんじつしんのうちにこうしたまへるがんもちゐて*とくしょうおもいをなせ。 このしん深信じんしんせること金剛こんごうのごとくなるによりて、 一切いっさい*けん*がく*べつべつぎょうにんのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして一心いっしんつてしょうじきすすんで、 かのひとくことをざれ。 すなはち進退しんたいしんありて*こうにゃくしょうじて*回顧えこすれば、 *どうちてすなはちおうじょう大益だいやくしっするなり。

三者回向発願心。 又回向発願、必↢決定真実心回向タマヘル↡作↢得生↡。此心深信コト↠若クナルニ↢金剛↡、不↧為↢一切異見・異学・別解・別行人等之↡所↦動乱破壊↥。唯是決定一心正直、不↠得↠聞コトヲ↢彼↡。即↢進退心↡生↢怯弱↡回顧レバ、落↠道↢往生之大益↡也。

・三心義相 ・廻向発願心 ・問

 ^うていはく、 もしぎょうどう*邪雑じゃぞうひとありてきたりてあひ惑乱わくらんして、 あるいは種々しゅじゅなんきて ªおうじょうじº といひ、 あるいはいはん、 ªなんだちしゅじょう曠劫こうごうよりこのかた、 およびこんじょうしん口意くいごうに、 一切いっさいぼんしょううえにおいて、 つぶさに*じゅうあく*ぎゃく*じゅう*謗法ほうぼう*闡提せんだい*かい*けんとうつみつくりていまだ除尽じょじんすることあたはず。 しかるにこれらのつみ*三界さんがい*悪道あくどう*ぞくす。 いかんぞいっしょう修福しゅふく念仏ねんぶつをして、 すなはちかの*無漏むろ*しょうくにりて、 なが*退たいくらいしょうすることをんやº と。

、若↢解行不同邪雑人等↡、来惑乱、或↢種種疑難↡道↠不↠得↢往生↡、或、汝ダチ衆生、曠劫ヨリ已来及以今生身口意業、於↢一切凡聖↡、具↢十悪・五逆・四重・謗法・闡提・破戒・破見等↡、未↠能↢除尽コト↡。然此等之罪繋↢属三界悪道↡。云何一生修福念仏ヲシテ、即↢彼无漏无生之国↡、永↣証↢悟コトヲ不退

・三心義相 ・廻向発願心 ・答

 ^こたへていはく、 諸仏しょぶつ教行きょうぎょうかず*塵沙じんじゃえたり。 さとりくるえんこころしたがひてひとつにあらず。 たとへばけんひとまなこるべくしんずべきがごときは、 みょうのよくあんし、 くうのよくふくみ、 のよく*載養さいようし、 みずのよく*しょうにんし、 のよく*じょうするがごとし。 これらのごときの、 ことごとく*待対たいたいほうづく。 すなはちつべし、 千差せんじゃ万別まんべつなり。 いかにいはんや仏法ぶっぽう思議しぎちから、 あに種々しゅじゅやくなからんや。 ^*したがひて一門いちもんづるは、 すなはちいち煩悩ぼんのうもんづるなり。 したがひて一門いちもんるは、 すなはちいちだつ智慧ちえもんるなり。

、諸仏教行数越タリ↢塵砂↡。稟サトリ機縁、随↠情↠一。譬↢世間人、眼↠見キガ↟信者、如↢明↠闇、空↠有、地載養、水生潤、火成壊↡。如キノ↢此等↡事、悉↢待対之法↡。即↠見、千差万別ナリ。何仏法不思議之力、豈ラム↢種種益↡。随↢一門↡者、即↢一煩悩↡也。随↢一門↡者、即↢一解脱智↡也。

^ここを (じょうなり、 ゆうなり、 なり、 なり、 なり、 そうなり) つてえんしたがひてぎょうおこして、 おのおのだつもとめよ。 なんぢなにをもつてか、 いましえんようぎょうにあらざるをもつて、 われをしょうわくする。 しかるにわが*所愛しょあいはすなはちこれわがえんぎょうなり、 すなはちなんぢがしょにあらず。 なんぢが所愛しょあいはすなはちこれなんぢがえんぎょうなり、 またわれのしょにあらず。 このゆゑにおのおの*しょぎょうしたがひてそのぎょうしゅするは、 かならずだつるなり。

字 定也 用也 彼也 作也 是也 相也↡随↠縁↠行、各↢解脱↡。汝何テカ↠非ルヲ↢有縁之要行↡、障↢惑於我↡。然之所愛是我有縁之行ナリ、即↢汝所求↡。汝之所愛是汝有縁之行ナリ、亦非↢我所求↡。是↢所楽↢其、必↢解脱↡也。

^ぎょうじゃまさにるべし、 もし*まなばんとおもはば、 *ぼんより*しょういたるまで、 ない*ぶっまで、 一切いっさいさわりなし、 みなまなぶことをよ。 もし*ぎょうまなばんとおもはば、 かならずえんほうによれ。 すこしきろうもちゐるに、 おおやくればなりと。

行者当↠知、若ハバ↠学ムト↠解、従↠凡至マデ↠聖、乃至仏果マデ、一切无↠、皆得コト↠学コトヲ也。若↠学ムト↠行、必↢有縁之法↡。少ルニ↢功労↡、多レバ↠益

・三心義相 ・廻向発願心 ・二河喩

 ^また一切いっさいおうじょうにんとうにまうさく、 いまさらにぎょうじゃのためにひとつの譬喩ひゆ (、 さとす)きて、 信心しんじんしゅして、 もつてじゃけんなんふせがん。 なにものかこれや。

又白↢一切往生人等↡、今更↢行者↡説↢一↡、守↢護信心↡、以↢外邪異見之難↡。何者

^たとへばひとありて、 西にしかひてかんとするにひゃくせんならん。 忽然こつねんとして*ちゅうればふたつのかわあり。 ひとつにはこれかわみなみにあり。 ふたつにはこれみずかわきたにあり。 二河にがおのおのひろひゃく、 おのおのふかくしてそこなし、 南北なんぼくほとりなし。 まさしくすいちゅうげんひとつのびゃくどうあり、 ひろ四五しごすんばかりなるべし。 このみちひがしきしより西にしきしいたるに、 またながひゃく、 そのみずろうまじはりぎてみち湿うるおす。 そのえん (ほのお、 けむりあるなり、 ほのお、 けむりなきほのほなり) またきたりてみちく。 すいあひまじはりて、 つねにしてそくすることなけん。

↧有↠人欲スル↢向↠西ムト↡百千之里ナラム。忽然トシテレバ↢二河↡。一ニハ是火河在↠南。二ニハ是水河在↠北。二河各ヒロ百歩、各シテ↠底、南北无↠辺。正水火中間↢一白道↡、可↢闊四五寸バカリナル↡、此道従↢東岸↡至ルニ↢西↡、亦長百歩、其大ナミ小ナミ湿↠道。其焔亦来↠道。水火相ニシテケム↢休息コト↡。

^このひとすでに*空曠くうこうのはるかなるところいたるに、 さらに人物にんもつなし。 おお群賊ぐんぞくあくじゅうありて、 このひと単独たんどくなるをて、 *きおきたりてこのひところさんとす。 おそれてただちにはしりて西にしかふに、 忽然こつねんとしてこのたいて、 すなはちみづから念言ねんごんすらく、 ªこのかわ南北なんぼく*辺畔へんぱんず、 ちゅうげんひとつのびゃくどうる、 きはめてこれ狭少きょうしょうなり。 ふたつのきしあひることちかしといへども、 なにによりてかくべき。 今日こんにちさだめてせんことうたがはず。

人既↢空曠ハルカナル↡、更↢人物↡。多↢群賊・悪獣↡、見↢此単独ナルヲ↡、↠殺ムト↢此↡。怖↠死↠西、忽然トシテ↢此大河↡、即念言ラク、此河、南北不↠見↢辺畔↡、中間↢一白道↡、極是狭少ナリ。二岸相コト↠近シト、何テカ↠行今日 ケフ コト不↠疑

^まさしくいたかえらんとおもへば、 群賊ぐんぞくあくじゅう*漸々ぜんぜんきたむ。 まさしく南北なんぼくはしらんとすれば、 あくじゅうどくちゅうきおきたりてわれにかふ。 まさしく西にしかひてみちたずねてかんとすれば、 またおそらくはこのすい二河にがせんことをº と。 ^ときにあたりて*こうすることまたいふべからず。

↢到ムト↡、群賊・悪獣漸漸。正スレ↢南北ムト↡、悪獣・毒虫競↠我。正スレ↢向↠西↠道ムト↡、復恐クハムコトヲ↢此水火二河↡。当↠時惶怖コト不↢復可↟言

^すなはちみづからねんすらく、 ªわれいまかえらばまたせん、 とどまらばまたせん、 かばまたせん。 一種いっしゅとしてまぬかれざれば、 われ*やすくこのみちたずねてさきかひてかん。 すでにこのみちあり、 かならず可度かどすべしº と。

思念ラク、我今カヘラバ亦死ラバ亦死カバ亦死。一種トシテ↠勉↠死、我ヤス↢此↡向↠前。既↢此道↡、必シト↢可度↡。

^このねんをなすときひがしきしにたちまちにひとすすむるこえく、 ªきみただけつじょうしてこのみちたずねてけ、 かならずなんなけん。 もしとどまらばすなはちせんº と。

↢此↡時、東↢人↡、仁者 キミ 但決定↢此↡行、必ケム↢死難↡。若ラバムト

^また西にしきしうえに、 ひとありて*ばひていはく、 ªなんぢ*一心いっしんしょうねんにしてただちにきた、 われよくなんぢをまもらん。 すべてすいなんせんことをおそれざれº と。

又西↠人喚、汝一心正念ニシテ、我能↠汝。衆レト↠畏↠堕ムコトヲ↢於水火之難↡。

^このひと、 すでにここにつかはし、 かしこにばふをきて、 すなはちみづからまさしく身心しんしんあたりて、 けつじょうしてみちたずねてただちにすすんで、 *こう退心たいしんしょうぜずして

人既フヲ↡、即↢身心↡、決定↠道、不シテ↠生↢疑怯退心↡、

^あるいはくこと一分いちぶんぶんするに、 ひがしきし群賊ぐんぞくばひていはく、 ªきみかえきたれ、 このみち嶮悪けんあくなり、 ぐることをじ。 かならずせんことうたがはず。 われらすべて悪心あくしんあつてあひかふことなしº と。

コト一分二分スルニ、東群賊仁者 キミ 、此道嶮悪ナリ、不↠得↠過コトヲ。必ムコト不↠疑。我等衆シト↢悪心アテコト↡。

^このひとばふこえくといへども、 また回顧かえりみず、 一心いっしんにただちにすすんでみちねんじてけば、 *しゅにすなはち西にしきしいたりて、 ながくもろもろのなんはなる。 *ぜんあひきょうらくすることむことなからんがごとし。 これはこれたと (、 をしへなり) へなり。

人雖↠聞↢喚↡、亦不↢回顧カヘリミ↡、一心↠道、須臾↢西↡、永↢諸難↡。善友相慶楽コトケムガヤムコト。此喩也。

・三心義相 ・廻向発願心 ・合法

 ^つぎたとへをがっせば、 ªひがしきしº といふは、 すなはちこの*しゃ*たくたとふ。

↠喩、言↢東↡者、即↢此娑婆之火宅↡也。

^ª西にしきしº といふは、 すなはち極楽ごくらく宝国ほうこくたとふ。

↢西↡者、即↢極楽宝国↡也。

^ª群賊ぐんぞくあくじゅういつわしたしむº といふは、 すなはちしゅじょう*六根ろっこん*六識ろくしき*六塵ろくじん*おん*だいたと

↢群賊・悪獣 詐イツワリ シタシム↡者、即↢衆生六根・六識・六塵・五陰・四大↡也。

^ªにん*くうきょうさわº といふは、 すなはちつねにあくしたがひてしん*ぜんしきはざるにたとふ。

↢无人空迥↡者、即↧常↢悪友↡不ルニ↞値↢真善知識↡也。

^ªすい二河にがº といふは、 すなはちしゅじょう*貪愛とんないみずのごとし、 *瞋憎しんぞうのごとしとたとふ。

↢水火二河↡者、即↢衆生貪愛↠水、瞋憎シト↟火也。

^ªちゅうげんびゃくどう四五しごすんº といふは、 すなはちしゅじょう貪瞋とんじん煩悩ぼんのうのなかに、 よく*清浄しょうじょうがんおうじょうしんしょうぜしむるにたと いまし貪瞋とんじんこわきによるがゆゑに、 すなはちすいのごとしとたとふ。 善心ぜんしんなるがゆゑに、 びゃくどうのごとしとたとふ。

↢中間白道四五寸↡者、即↢衆生貪瞋煩悩、能シムルニ↢清浄願往生↡也。乃↢貪瞋コハキニ↡故↠如シト↢水火↡。善心微ナルガスクナシ ↠如シト↢白道↡。

^また ªすいつねにみち湿うるおすº とは、 すなはち*愛心あいしんつねにおこりてよく善心ぜんしんぜんするにたとふ。

又水波常湿↠道者、即↣愛心常染↢汚ルニ善心↡也。

^また ªえんつねにみちくº とは、 すなはち*瞋嫌しんけんしんよくどく法財ほうざいくにたとふ。

又火焔常焼↠道者、即↣瞋嫌之心能クニ↢功徳之法財↡也。

^ªひとみちうえいて、 ただちに西にしかふº といふは、 すなはちもろもろの*ぎょうごう*してただちに西方さいほうかふにたとふ。

↧人ユイ↢道↡直フト↞西者、即↧回↢諸行業↡直フニ↦西方↥也。

^ªひがしきしひとこえすすつかはすをきて、 みちたずねてただちに西にしすすむº といふは、 すなはちしゃすでにめっしたまひて、 のちひとたてまつらず、 なほきょうぼうありてたずぬべきにたとふ、 すなはちこれをこえのごとしとたとふるなり。

↧東↢人スヲ↡、尋↠道西ムト↥者、即↧釈迦已タマヒテ人不↠見マツラナホ↢教法↡可キニ↞尋、即↢之シト↟声也。

^ªあるいはくこと一分いちぶんぶんするに群賊ぐんぞくかえすº といふは、 すなはちべつべつぎょう悪見あくけんひと*みだりに*けんをもつてたがひにあひ惑乱わくらんし、 およびみづからつみつくりて退失たいしつすとくにたとふるなり。

↢或コト一分二分スルニ群賊等喚カヘスト↡者、即別解・別行・悪見人等、妄見解ヲモテ惑乱、及↠罪退失↡也。

^ª西にしきしうえひとありてばふº といふは、 すなはち弥陀みだがんたとふ。

↢西↠人喚フト↡者、即↢弥陀願意↡也。

^ªしゅ西にしきしいたりてぜんあひよろこぶº といふは、 すなはちしゅじょうひさしくしょうしずみて、 曠劫こうごうよりりんし、 迷倒めいとうして*みづからまとひて、 だつするによしなし。 あおいでしゃ*発遣はっけんしておしへて西方さいほうかへたまふことをかぶり、 また弥陀みだしん*しょうかんしたまふによつて、 いまそんおんこころしんじゅんすい二河にがかえりみず、 念々ねんねんわするることなく、 かの願力がんりきどうじょうて、 しゃみょう以後いごかのくにしょうずることをて、 ぶつとあひきょうすること、 なんぞきわまらんとたとふるなり。

↧須臾↢西↡善友相ブト↥者、即↧衆生久↢生死↡、曠劫ヨリ、迷倒、无↠由↢解脱ルニ↡、仰↣釈迦発遣オシヘタマフコトヲ↢西方↡、又籍↢弥陀悲心招喚タマフニ↡、今信↢順二尊之オンコヽロ↡、不↠顧↢水火二河↡、念念↠遺コト↢彼願力之道↡、捨命已後得↠生コトヲ↢彼↡、↠仏相慶喜コトムト↥也。

 ^また一切いっさいぎょうじゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざが三業さんごう所修しょしゅちゅうせつふことなく、 つねにこのをなし、 つねにこのそうをなすがゆゑに、 こう発願ほつがんしんづく。

又一切行者、行住坐臥三業所修、无↠問コト↢昼夜時節↡、常↢此↡、常スガ↢此↡故↢廻向発願心↡。

^またこうといふは、 かのくにしょうじをはりて、 かえりてだいおこして、 *しょう*にゅうしてしゅじょう*きょうする、 またこうづくるなり。

又言↢回向↡者、生↢彼↡已、還↢大悲↡、回↢入生死↡教↢化衆生↡、亦名クル↢回向↡也。

・三心義相 ・三心結釈

 ^三心さんしんすでにすれば、 *ぎょうとしてじょうぜざるなし。 *がんぎょうすでにじょうじて、 もししょうぜずは、 このことわりあることなしとなり。 またこの三心さんしん、 また*じょうぜんつうしょうすと、 るべし」 と。

三心既レバ、无↢行トシテ↟成。願行既、若不↠生者、无シト↠有コト↢是コトハリ↡也。又此三心、亦通↢摂スト定善之義↡、応↠知。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)¬般舟讃¼

・釈尊善巧

【14】^またいはく (*般舟讃)

又云

^うやまひて*一切いっさいおうじょうしきとうにまうさく、 おおきにすべからく*ざんすべししゃ如来にょらいはまことにこれ慈悲じひ父母ぶもなり。 種々しゅじゅ*方便ほうべんをして、 われらが*じょう信心しんじんほっせしめたまへり」 と。

「敬↢一切往生知識等↡、大↢慚愧↡。釈迦如来是慈悲父母ナリ。種種方便ヲシテ発↢起シメタマヘリト我等无上信心↡。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)¬礼讃¼

・機受信相

【15】^¬*貞元ていげんしんじょう釈教しゃくきょう目録もくろく¼ かんだいじゅういちにいはく、

¬貞元新定釈教目録¼巻第十一

^¬*しゅうしょきょう礼懴らいさん¼ じょう 大唐だいとう西さいしゅうふく*沙門しゃもん*しょうせんなり。 *貞元ていげんじゅうねんじゅうがつじゅうさんにちちょくじゅんじてへんにゅうす」 と云々うんぬん。 ¬さん¼ のじょうかんは、 しょうしょきょうによりて ¬さん¼ をつくるなかに、 ¬かんぎょう¼ によりて善導ぜんどうの ¬礼懴らいさん¼ (*礼讃)にっちゅうときらいけり。 かんは 「比丘びく善導ぜんどうしゅう」 と云々うんぬん。 かの ¬さん¼ によりて要文ようもんしょうしていはく、

「¬集諸経礼懴儀¼ 大唐西崇福寺沙門智昇撰也。ナズラヘ↢貞元十五年十月廿三日↡勘ルト」云云。¬懴儀¼上巻、智昇依↢諸経↡造↢¬懴儀¼↡中、依↢¬観経¼↡引↢善導¬礼懴¼日中↡。下巻者「比丘善導集記」云云。依↢彼¬懴儀¼↡鈔↢要文↡云

^ふたつには深心じんしんすなはちこれ真実しんじつ信心しんじんなり。 しんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼん善根ぜんごんはくしょうにして三界さんがいてんしてたくでずとしんす。 いま弥陀みだ*ほんぜいがんは、 みょうごうしょうすること*下至げしじっしょうもんとうおよぶまで、 さだめておうじょうしむとしんして、 *一念いちねんいたるにおよぶまでしんあることなし。 ゆゑに深心じんしんづくと。

「二者深心、即是真実信心ナリ。信↧知自身是具↢足セル煩悩↡凡夫、善根薄少ニシテ流↢転三界↡不↞出↢火宅↡。今信↪知弥陀本弘誓願ヲバ、及マデ↧称コト↢名号↡下至十声聞等↥、定シムト↩往生↨、及マデ↠至ルニ↢一念↡無↠有コト↢疑心↡。故↢深心↡。

 ^ªそれかの弥陀みだぶつみょうごうくことをることありて、 *かんして一心いっしんいたせば、 みなまさにかしこにしょうずることをべしº」 と。

↠得コト↠聞コトヲ↢彼弥陀仏名号↡、歓喜セバ↢一↡、皆当シト↠得↠生コト。」

一 Ⅰ ⅱ b ロ (三)横川(大信の利益を明かす)
            (Ⅰ)¬往生要集¼

・領受体徳

【16】^¬*おうじょうようしゅう¼ (上) にいはく、

¬往生要集¼云

^ª*にゅう法界ほっかいぼんº にのたまはく、 ªたとへばひとありて*不可ふかくすりれば、 一切いっさい怨敵おんてきその*便たよりをざるがごとし。 さつ*摩訶まかさつもまたまたかくのごとし。 *だいしん不可ふか法薬ほうやくれば、 一切いっさい煩悩ぼんのうしょ*怨敵おんてきすることあたはざるところなり。 たとへばひとありて*じゅうすい宝珠ほうしゅて、 その*瓔珞ようらくとすれば、 ふかすいちゅうりてもつにゃくせざるがごとし。 だいしんじゅうすい宝珠ほうしゅれば、 *しょうかいりて沈没ちんもつせず。 たとへば金剛こんごうひゃくせん*こうにおいてすいちゅうしょして*らんし、 またへんなきがごとしだいしんもまたまたかくのごとし。 りょうこうにおいてしょうのなか、 もろもろの煩悩ぼんのうごうしょするに、 断滅だんめつすることあたはず、 また損減そんげんなしº」 と。

「入法界品、譬↧有↠人得レバ↢不可壊↡、一切怨敵不ルガ↞得↢其便↡。菩薩摩訶薩亦復如↠是。得レバ↢菩提心不可壊法薬↡、一切煩悩、諸魔怨敵、所ナリ↠不↠能↠壊コト。譬↧有↠人得↢住水宝珠↡、瓔↢珞トスレバ↡、入↢深水中ルガ↦没溺↥。得レバ↢菩提心住水宝珠↡、入↢生死海不↢沈没↡。譬↧金剛↢百千劫↡処↢於水中爛壊亦無キガ↦異変↥。菩提之心亦復如↠是。於↢无量劫↡処ルニ↢生死中諸煩悩↡、不↠能↢断滅コト↡、亦无シト↢損減↡。」

・本仏照護

【17】^またいはく (往生要集・中)

又云

^われまたかの*摂取せっしゅのなかにあれども、 煩悩ぼんのうまなこへてたてまつるにあたはずといへども、 だい*ものうきことなくして、 つねにわがらしたまふ」 と。

「我亦在ドモ↢彼摂取之中↡、煩悩障↠眼↠不↠能↠見マツルニ、大悲无クシテ↠倦コト、常タマフト↢我↡。」

一 Ⅰ

【18】^しかれば、 もしはぎょう、 もしはしんいちとして弥陀みだ如来にょらい清浄しょうじょう願心がんしん*こうじょうじゅしたまふところにあらざることあることなし *いんなくしていんのあるにはあらざるなりと、 るべし。

行若信、无↠有コト↤一事トシテコト↣阿弥陀如来清浄願心之所↢回向成就タマフ↡。非↢无シテ↠因他ニハ↡也、可↠知

料簡
    正明【三一問答
     

【19】^*ふ。 如来にょらい本願ほんがん (第十八願)、 すでに*しん*しんぎょう*よくしょうちかいおこしたまへり。 なにをもつてのゆゑに論主ろんじゅ (*天親) *一心いっしんといふや。

。如来本願、已タマヘリ↢至心・信楽・欲生↡。何論主言↢一心

一 Ⅱ ⅰ
        解釈
          (一) 略釈

 ^こたふ。 どんしゅじょう*りょうやすからしめんがために弥陀みだ如来にょらい三心さんしんおこしたまふといへども、 はん真因しんいんはただ信心しんじんをもつてす。 このゆゑに論主ろんじゅ (天親)さんがっしていちとせるか

。愚鈍衆生、解了為↠令ムガ↠易カラ、弥陀如来雖↠発タマフト↢三心↡、涅槃真因唯以テス↢信心↡。是論主合↠三↠一

一 Ⅱ ⅰ b イ (二) 広釈
            (Ⅰ)字訓に寄せて釈す【字訓釈】
              (ⅰ)

【20】^わたくしに三心さんしんくんうかがふに、 さんすなはちいちなるべし。

フニ↢三心字訓↡、三即↠一ナル

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)
                (a)

^そのこころいかんとなれば、

意何ントナレ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)正釈
                  (イ)出訓

^しん」 といふは、 「」 とはすなはちこれ1しんなり、 2じつなり、 3じょうなり。 「しん」 とはすなはちこれ1しゅなり、 2じつなり。 「しんぎょう」 といふは、 「しん」 とはすなはちこれ1しんなり、 2じつなり、 3じょうなり、 4まんなり、 5ごくなり、 6じょうなり、 7ゆうなり、 8じゅうなり、 9しんなり、 10げんなり、 11せんなり、 12ちゅうなり。 ぎょう」 とはすなはちこれ1よくなり、 2がんなり、 3あいなり、 4えつなり、 5かんなり、 6なり、 7なり、 8きょうなり。 「よくしょう」 といふは、 「よく」 とはすなはちこれ1がんなり、 2ぎょうなり、 3かくなり、 4なり。 「しょう」 とはすなはちこれ1じょうなり、 2 (なり、 なり、 ぎょうなり、 えきなり、 なり、 しょうなり) なり、 3なり、 4こうなり。

↢至心↡者、至者即是真也、実也、誠也。心者即是種也、実也。↢信楽↡者、信者即是真也、実也、誠也、満ミツ也、極也、成也、用ユウ也、重也、審也、ツマビラカナリ験也シルシ 、宣ノブ也、忠也。コヽロザシ 楽者是欲也、願也、愛也ヨミス 、悦也ヨロコブ、歓也、喜也、賀也ガナリ 慶也。言↢欲生↡者、欲者即是願也、楽也、覚也サトル 、知也。生者即是成也、作 字 則羅反 則落反 蔵洛反 為也 起也 行也 役也 始也 生也 也、為也、興也オコス 

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)会訓

^あきらかにんぬ、 しん」 は、 すなはちこれ*真実しんじつじょうしゅしんなるがゆゑに、 *がいまじはることなきなり。 「しんぎょう」 は、 すなはちこれ*真実しんじつじょうまんしんなり、 *ごくじょうゆうじゅうしんなり、 *審験しんげんせんちゅうしんなり、 *欲願よくがん愛悦あいえつしんなり、 *かんきょうしんなるがゆゑに、 がいまじはることなきなり。 「よくしょう」 は、 すなはちこれ*がんぎょうかくしんなり、 *じょうこうしんなり。 *だいこうしんなるがゆゑに、 がいまじはることなきなり。

至心是真実マコト種之心ナルガ、疑蓋オホフコトマジハル也。信楽是真実誠満之心ナリ、極成用重之心ナリ、審アキラカナリシルシ宣忠之心ナリ、欲願愛悦之心ナリ、歓喜慶之心ナルガ、疑蓋无↠雑コト也。欲生是願楽覚知之心ナリ、成作為興之心ナリ。大悲回向之心ナルガ、疑蓋无↠雑コト也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)成一

^いま三心さんしんくんあんずるに、 真実しんじつしんにして虚仮こけまじはることなし、 しょうじきしんにしてじゃまじはることなし。 まことにんぬ、 がい間雑けんぞうなきがゆゑに、 これをしんぎょうづく。 しんぎょうすなはちこれ一心いっしんなり一心いっしんすなはちこれ真実しんじつ信心しんじんなり。 このゆゑに論主ろんじゅ (天親)はじめに 「一心いっしん」 といへるなりと、 るべし。

今按ルニ↢三心↡、オシヘ コヽロトイフ真実シテ虚仮无↠雑コト、正直シテ邪偽无↠雑コト。真、疑蓋无キガ↢間雑↡故、是↢信楽↡。信楽即是一ナリ、一心即是真実信心ナリ。是論主ハジメ↢一心↡也、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)法義に就きて釈す【法義釈】
              (ⅰ)正しく三心即一を明かす
                (a)

【21】^またふ。 くんのごとき論主ろんじゅこころさんをもつていちとせる、 そのしかるべしといへども、 あくしゅじょうのために弥陀みだ如来にょらいすでに三心さんしんがんおこしたまへり。 いかんがねんせんや。

又問。如↢字訓↡、論主意以↠三↠一義、其理雖↠可シト↠然、為↢愚悪衆生↡阿弥陀如来已タマヘリ↢三心↡。云何イカンガ思念

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)
                  (イ)正釈
                    [一]総標

 ^こたふ。 ぶつはかりがたし。

。仏意難↠惻

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二]弁別
                      [Ⅰ]至心を釈す【至心釈】
                        [ⅰ]正明
                          [a]正釈

・表謙遜意

^しかりといへども、 ひそかにこのしんすいするに、

↠然リト、窃オスルニ↢斯↡、

・所為機相

^一切いっさい*ぐんじょうかい *無始むしよりこのかたない今日こんにちこんいたるまで、 *あくぜんにして清浄しょうじょうしんなし、 *虚仮こけてんにして真実しんじつしんなし。

一切群生クラシ、自↢従无始↡已来乃至今日至マデ↢今時↡、ケガラハシケガスソムニシテ↢清浄心↡、虚仮 諂ヘツラフニシテ↢真実心↡。

・法体成就

^ここをもつて如来にょらい 一切いっさいのうしゅじょうかいびんして、 不可ふか思議しぎ*ちょうさい永劫ようごうにおいて、 さつぎょうぎょうじたまひしときさんごう所修しょしゅ一念いちねんいっせつ清浄しょうじょうならざることなし、 真心しんしんならざることなし。 如来にょらい清浄しょうじょう真心しんしんをもつて、 *えんにゅう無礙むげ*不可ふか思議しぎ不可ふかしょう不可ふかせつとくじょうじゅしたまへり。

如来悲↢憫アワレブ一切苦悩衆生海↡、於↢不可思議兆載永劫↡、行タマヒシ↢菩薩↡時、三業所修、一念一刹那↠不コト↢清浄ナラ↡、无↠不コト↢真心ナラ↡。如来以↢清浄真心↡、成↢就タマヘリツク ナルトモ円融无不可思議不可称不可説至徳↡。

・法界回施

^如来にょらいしんをもつて、 しょ一切いっさい煩悩ぼんのう悪業あくごうじゃぐんじょうかい*回施えせしたまへり。

↢如来至心↡、回↢タマヘリホドコス ハヅストモ諸有一切煩悩悪業邪智群生海↡。

・結帰一心

^すなはちこれ利他りた真心しんしんあらわす。 ゆゑにがいまじはることなし

是彰↢利他真心↡。故ボムナフ↠雑コト

・出体

^このしんはすなはちこれ*とく尊号そんごうをその*たいとせるなり。

至心是至徳尊号↢其↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]引文
                            [イ]経文
                              ª一º¬大経¼

【22】^ここをもつて ¬だいきょう¼ (上) にのたまはく、

¬大経¼言

^*欲覚よくかく*瞋覚しんかく*害覚がいかくしょうぜず。 *欲想よくそう*瞋想しんそう*害想がいそうおこさず。 *しきしょうこうほうじゃくせず。 忍力にんりきじょうじゅしてしゅはからず。 *しょうよくそくにして*ぜんなし。 *三昧さんまい常寂じょうじゃくにして智慧ちえ無礙むげなり。 *虚偽こぎ諂曲てんごくしんあることなし。 *げんあいにして、 *こころさきにしてじょうもんす。 ゆうみょうしょうじんにしてがんものうきことなし。 もつぱら*清白しょうびゃくほうもとめて、 もつてぐんじょう恵利えりしき。 *三宝さんぼうぎょうし、 ちょう奉事ぶじしき。 *だいしょうごんをもつてしゅぎょうそくして、 もろもろのしゅじょうをしてどくじょうじゅせしむ」 とのたまへりと。

不↠生↢欲覚・瞋覚・害覚↡。不↠起↢欲想・瞋想・害想↡。不↠著↢色・声・香・味之法↡。忍力成就不↠計↢衆苦↡。少欲知足ニシテ↢染・恚・痴↡。三味常寂ニシテ慧无ナリ。无↠有コト↢虚偽諂曲之心↡。和顔愛語ニシテ、先ニシテ↠意承問。勇猛精進ニシテ志願无↠惓コト。専↢清白之法↡、以恵↢利シキ群生↡。恭↢敬三宝↡、奉↢事シキ師長↡。以↢大荘厳↡具↢足衆行↡、令ムトノタマヘリト↢諸衆生ヲシテ功徳成就↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][イ]ª二º¬如来会¼

【23】^¬りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にのたまはく、

¬无量寿如来会¼言

^ぶつ*なんげたまはく、 ªかの法処ほうしょ比丘びく (*法蔵菩薩)けんざいおう如来にょらい (*世自在王仏) および諸天しょてんにん**ぼん*沙門しゃもん*婆羅ばらもんとうまえにして、 ひろくかくのごときだいぜいおこしき。 みなすでにじょうじゅしたまへり。 けん希有けうにしてこのがんおこし、 すでにじつのごとくあんじゅうす。 種々しゅじゅどくそくして、 とく広大こうだい清浄しょうじょうぶつしょうごんせり。

「仏告タマハク↢阿難↡、彼法処比丘、↢世間自在王如来及諸天・人・魔・梵・沙門・婆羅門等↡、広シキ↢如↠是大弘誓↡。皆已成就タマヘリ。世間希有ニシテ↢是↡已、如↠実安住。種種功徳具足、荘↢厳セリ威徳広大清浄仏土↡。

^かくのごときさつぎょうしゅじゅうせること、 ときりょうしゅ不可ふか思議しぎ無有むう等等とうどうおく*那由他なゆたひゃくせんこうる。 うちにはじめていまだかつて*貪瞋とんじんおよび*よくがいおもいおこさず、 しきしょうこうそくおもいおこさず、 もろもろのしゅじょうにおいて、 つねにあいきょうねがふことなほ親属しんぞくのごとし。

修↢習コト↠是菩薩↡、時経↢於无量无数不可思議无有等等億那由他百千劫↡。内↣曽↢貪瞋及痴、欲・害・恚↡、不↠起↢色・声・香・味・触↡、於↢諸衆生↡、常フコト↢愛↡猶如↢親属↡。

そのしょう調順じょうじゅんにして暴悪ぼうあくあることなし。 もろもろのじょうにおいて、 つねににんこころいだいて*てんせず、 また*だいなし。 *善言ぜんごんしゃくしんして、 もろもろの*びゃくほうもとめしめ、 あまねくぐんじょうのためにゆうみょうにして退たいすることなく、 けんやくせしめ、 大願だいがん円満えんまんしたまへりº」 と。

性、調順ニシテ↠有コト↢暴悪↡。於↢諸有情↡、常↢慈忍↡不↢詐諂↡、亦无↢懈怠↡。善言策進、求シメ↢諸白法↡、普↢群生↡勇猛ニシテ退コト、利↢益シメ世間↡、大願円満タマヘリト。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]師釈
                              ª一º「散善義」

【24】^こうみょうしょう (善導) のいはく (散善義)

光明寺和尚

^この雑毒ぞうどくぎょうして、 かのぶつじょうしょうせんとおもふは、 これかならず不可ふかなり。 なにをもつてのゆゑに、 まさしくかの弥陀みだぶついんちゅうさつぎょうぎょうぜしときない一念いちねんいっせつも、 三業さんごう所修しょしゅみなこれ真実しんじつしんのなかになしたまへるによりてなり。

「欲↧回↢此雑毒之行↡、求↦生ムト浄土、此必不可也。何。正テナリ↧彼阿弥陀仏、因中ゼシ↢菩薩↡時、乃至一念一刹那、三業所修皆是真実心タマヘルニ↥。

^おほよそほどこしたまふところしゅをなす、 またみな真実しんじつなり。 また真実しんじつしゅあり。 ひとつには*自利じり真実しんじつふたつには*利他りた真実しんじつなりと。

所↠施タマフ↢趣求↡、亦皆真実ナリ。又真実↢二種↡。一者自利真実、二者利他真実ナリト

^ぜん三業さんごうをば、 かならず真実しんじつしんのうちにてたまへるをもちゐよ。 またもしぜん三業さんごうおこさば、 かならず真実しんじつしんのうちになしたまへるをもちゐて、 ないみょうあんえらばず、 みな真実しんじつもちゐるがゆゑに、 じょうしんづく」 と。

不善三業ヲバ、必モチヰ↢真実心タマヘルヲ↡。又若↢善三業、必モチヰ↢真実心タマヘルヲ↡、不↠簡↢内外明闇↡、皆モチヰル↢真実↡故、名クト↢至誠心↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅰ][c]結成

【25】^しかれば、 だいしょう (釈尊)*真言しんごんしゅう (善導)しゃく、 まことにんぬ、 このしんすなはちこれ不可ふか思議しぎ不可ふかしょう不可ふかせつ*いちじょうだいがんかい*こうやく*真実しんじつしんなり。 これをしんづく。

大聖真言、宗師釈義、信心則是不可思議不可称不可説一乗大智願海、回向利益他之真実心ナリ。是↢至心↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]追釈
                          [a]先挙
                          [b]

【26】^すでに 「真実しんじつ」 といへり。 真実しんじつといふは、

↢真実↡。言↢真実↡者、

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ][c]
                            [イ]真実の言を釈す
                              ª一º¬涅槃経¼「聖行品」

 ^¬*はんぎょう¼ (聖行品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^*実諦じったい一道いちどう清浄しょうじょうにしてあることなきなり。 *真実しんじつといふはすなはちこれ*如来にょらいなり。 如来にょらいはすなはちこれ真実しんじつなり。 真実しんじつはすなはちこれ*くうなり。 くうはすなはちこれ真実しんじつなり。 真実しんじつはすなはちこれ*ぶっしょうなり。 ぶっしょうはすなはちこれ真実しんじつなり」 と。

実諦者一道清浄ニシテ↠有コト↠二也。言↢真実↡者即是如来ナリ。如来者即是真実ナリ。真実者即是虚空ナリ。虚空者即是真実ナリ。真実者即是仏性ナリ。仏性者即是真実ナリト。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ][c][ロ]内外明暗を釈す

【27】^しゃく (散善義) に 「けんないみょうあん」 といへり。 「ない」 とは、 「ない」 はすなはちこれ*しゅっなり、 「」 はすなはちこれ*けんなり。 「みょうあん」 とは、 「みょう」 はすなはちこれしゅっなり、 「あん」 はすなはちこれけんなり。 また 「みょう」 はすなはち*みょうなり、 「あん」 はすなはち*みょうなり。

↢「不簡内外明闇」↡。内外者、内者即是出世ナリ、外者即是世間ナリ。明闇者、明者即是出世ナリ、闇者即是世間ナリ。又復明者即智明ナリ、闇者即无明也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ][c][ロ]ª一º¬涅槃経¼「聖行品」

 ^¬はんぎょう¼ (聖行品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^あんはすなはちけんなり、 みょうはすなはちしゅっなり。 あんはすなはちみょうなり、 みょうはすなはちみょうなり」 と。

「闇世間ナリ、明出世ナリ。闇无明ナリ、明智明ナリト。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]信楽を釈す【信楽釈】
                        [ⅰ]正釈
                          [a]直釈

【28】^つぎしんぎょうといふは、 すなはちこれ如来にょらい*満足まんぞくだいえんにゅう無礙むげ信心しんじんかいなり。 このゆゑにがい間雑けんぞうあることなし。 ゆゑにしんぎょうづく。

↢信楽↡者、則是如来満足大悲円融无信心海ナリ。是疑蓋无↠有コト↢間雑↡。故↢信楽↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅰ][b]出体

^すなはち利他りたこうしんをもつてしんぎょうたいとするなり

↢利他回向之至心↡為↢信楽↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅰ][c]弁義

・信楽難得

^しかるに無始むしよりこのかた、 一切いっさいぐんじょうかいみょうかいてんし、 *しょりん沈迷ちんめいし、 *しゅりん*ばくせられて、 清浄しょうじょうしんぎょうなし、 *ほうとして真実しんじつしんぎょうなし。 ここをもつてじょうどくぐうしがたく、 さいしょうじょうしんぎゃくとくしがたし。

↢无始↡已来一切群生海、流↢転无明海↡、沈↢ シズミ マドフ 諸有輪↡、繋↢ ツナグ ラレテシバル  衆苦輪↡、无↢清浄信楽↡、法爾トシテ↢真実信楽↡。是无上功徳難↢叵  ガタ   カタシ アフアフ↡、最勝浄信難↢叵  ガタ  獲得↡。

・自力不生

^一切いっさい*ぼんしょう一切いっさいのうちに、 貪愛とんないしんつねによく善心ぜんしんけがし、 瞋憎しんぞうしんつねによく法財ほうざいく。 きゅうきゅうしゅしてねんはらふがごとくすれども、 すべて雑毒ぞうどく*雑修ざっしゅぜんづく。 また虚仮こけてんぎょうづく。 真実しんじつごうづけざるなり。 この虚仮こけ雑毒ぞうどくぜんをもつて*りょうこうみょうしょうぜんとほっする、 これかならず不可ふかなり。

一切凡小、一切時、貪愛之心常↢善心↡、瞋憎之心常↢法財↡。急作急修クスレドモ↠炙フガ↢頭燃↡、衆↢雑毒雑修之善↡。亦名↢虚仮諂偽之行↡。不↠名↢真実↡也。以↢此虚仮雑毒之善↡欲↠生ムト↢无量光明土↡、此必不可也。

・不生所由

^なにをもつてのゆゑに、 まさしく如来にょらいさつぎょうぎょうじたまひしとき三業さんごう所修しょしゅない一念いちねんいっせつも、 がいまじはることなきによりてなり。

テナリ↧如来、行タマヒシ↢菩薩↡時、三業所修、乃至一念一刹那、疑蓋无キニ↞雑コト

・正因

^このしんはすなはち如来にょらいだいしんなるがゆゑに、 かならず*ほう正定しょうじょういんとなる。

心者即如来大悲心ナルガ、必↢報土正定之因↡。

・回施

^如来にょらい のうぐんじょうかいれんして、 無礙むげ広大こうだいじょうしんをもつて*しょかい回施えせしたまへり。 これを利他りた真実しんじつ信心しんじんづく。

如来悲↢憐アワレム苦悩群生海↡、以↢无広大浄信↡回↢施タマヘリアタフ 諸有海↡。是↢利他真実信心↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]引文
                          [a]経文
                            [イ]本経
                              ª一º¬大経¼

【29】^本願ほんがん信心しんじんがん (第十八願) じょうじゅもん、 ¬きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

本願信心願成就文、¬経¼言

^しょしゅじょう、 そのみょうごうきて信心しんじんかんせんことない*一念いちねんせん」 と。

「諸有衆生、聞↢其名号↡信心歓喜ムコト、乃至一念ムト。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª二º¬如来会¼

【30】^またのたまはく (如来会・下)

又言

^ほう仏国ぶっこくしょしゅじょうりょう寿じゅ如来にょらいみょうごうきてよく一念いちねん*じょうしんおこしてかんせん」 と。

「他方仏国所有衆生、聞↢无量寿如来名号↡能↢一念浄信↡歓ムト。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]末経
                              ª一º¬涅槃経¼「師子吼品」

【31】^¬はん¼ (*師子吼品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^善男ぜんなん*だいだいづけて*ぶっしょうとす。 なにをもつてのゆゑに、 だいだいはつねにさつしたがふこと、 かげかたちしたがふがごとし。 一切いっさいしゅじょう、 つひにさだめてまさにだいだいべし。 このゆゑにきて*一切いっさいしゅじょうしつぶっしょうといふなり。 だいだいづけてぶっしょうとす。 ぶっしょうづけて如来にょらいとす。

「善男子、大慈大悲為↢仏性↡。何。大慈大悲コト↢菩薩↡、如↢影フガ↟形。一切衆生畢↠得↢大慈大悲↡、是ヘルナリ↢一切衆生悉有仏性↡。大慈大悲為↢仏性仏性者名為↢如来↡。

^*だいだいしゃづけてぶっしょうとす。 なにをもつてのゆゑに、 さつ*摩訶まかさつは、 もし*じゅう*つるにあたはず、 すなはち*のく多羅たらさんみゃくさんだいることあたはず。 もろもろのしゅじょう、 つひにまさにべきをもつてのゆゑなり。 このゆゑにきて一切いっさいしゅじょうしつぶっしょうといへるなり。 だい大捨だいしゃはすなはちこれぶっしょうなり、 ぶっしょうはすなはちこれ如来にょらいなり。

大喜大捨為↢仏性↡。何。菩薩摩訶薩不↠能↠捨↢二十五有↡、則不↠能↠得コト↢阿耨多羅三藐三菩提↡。以↢諸衆生畢キヲ↟得故ルナリ↢一切衆生悉有仏性↡。大喜大捨者即是仏性ナリ、仏性者即是如来ナリ

^ぶっしょうだい信心しんじんづく。 なにをもつてのゆゑに、 信心しんじんをもつてのゆゑにさつ摩訶まかさつはすなはちよく*だん波羅はらみつない般若はんにゃ波羅はらみつそくせり。 一切いっさいしゅじょうは、 つひにさだめてまさにだい信心しんじんべきをもつてのゆゑに、 このゆゑにきて一切いっさいしゅじょうしつぶっしょうといふなり。 だい信心しんじんはすなはちこれぶっしょうなり、 ぶっしょうはすなはちこれ如来にょらいなり。

仏性者名↢大信心↡。何。以↢信心↡故↧菩薩摩訶薩具↢足檀波羅蜜乃至般若波羅蜜一切衆生キヲ↞得↢大信心↡故、是ヘルナリ↢一切衆生悉有仏性↡。大信心者即是仏性ナリ、仏性者即是如来ナリ

^ぶっしょう*いっ子地しじづく。 なにをもつてのゆゑに、 いっ子地しじ因縁いんねんをもつてのゆゑにさつはすなはち一切いっさいしゅじょうにおいてびょうどうしんたり一切いっさいしゅじょうは、 つひにさだめてまさにいっ子地しじべきがゆゑに、 このゆゑにきて一切いっさいしゅじょうしつぶっしょうといふなり。 いっ子地しじはすなはちこれぶっしょうなり、 ぶっしょうはすなはちこれ如来にょらいなり」 と。

仏性者名↢一子地↡。何。以↢一子地因縁↡故、菩薩↢一切衆生↡得タリ↢平等心↡。一切衆生キガ↠得↢一子地↡故、是ヘルナリ↢一切衆生悉有仏性↡。一子地者即是仏性ナリ、仏性者即是如来ナリト。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]ª二º¬涅槃経¼「迦葉品」二文

【32】^またのたまはく (涅槃経・*迦葉品)

又言

^「あるいはのく多羅たらさんみゃくさんだいくに、 信心しんじんいんとす。 これ*だいいん、 またりょうなりといへども、 もし信心しんじんけば、 すなはちすでに*しょうじんしぬ」 と。

「或↢阿耨多羅三藐三菩提↡、信心為↠因。是菩提因、雖↢復无量ナリト↡、若↢信心↡、則摂尽ヌト。」

【33】^またのたまはく (涅槃経・迦葉品)

^しんにまたしゅあり。 ひとつには*もんよりしょうず、 ふたつには*よりしょうず。 このひと信心しんじんもんよりしてしょうじて、 よりしょうぜず。 このゆゑにづけて*しんそくとす。

「信復有↢二種↡。一ニハ↠聞生、二ニハ↠思生。是信心、従↠聞シテ、不↢従↠思生↡。是為↢信不具足↡。

^またしゅあり。 ひとつには*どうありとしんず、 ふたつには*得者とくしゃしんず。 このひと信心しんじんただどうありとしんじて、 すべて得道とくどうひとありとしんぜざらん。 これをづけてしんそくとす」 と。 以上抄出

復有↢二種↡。一ニハ↠有リト↠道、二ニハ↢得者↡。是信心、唯信↠有リト↠道、都ラム↠信↠有リト↢得道之人↡。是イヘリ↢信不具足↡。」 已上抄出

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]ª三º¬華厳経¼「入法界品」二文

【34】^¬*ごんぎょう¼ (入法界品・晋訳) にのたまはく、

¬華厳経¼言

^*このほうきて信心しんじんかんして、 うたがいなきものは、 すみやかに*じょうどうらん。 もろもろの*如来にょらいひととなり。

「聞↢此↡歓↢喜信心↡、无↠疑者、速↢无上道↡。↢諸如来↡等シトナリ。」

【35】^またのたまはく (華厳経・入法界品・唐訳)

又言

^如来にょらい、 よくなが一切いっさいしゅじょううたがいたしむ。 そのこころ*しょぎょうしたがひて、 あまねくみな満足まんぞくせしむ」 となり。

「如来能タシム↢一切衆生↡。随↢其所楽↡、普皆令ムトナリ↢満足↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]ª四º¬華厳経¼「賢首品」

【36】^またのたまはく (華厳経・*賢首品・唐訳)

又言

^しん*どうもととす、 どくははなり。 一切いっさいのもろもろの善法ぜんぽう*ちょうようす。 *もう断除だんじょして*あいで、 はんじょうどうかいせしむ。

「信為↢道↡、功徳ナリ。長↢養一切善法↡。断↢除疑網↡出↢愛流↡、開↢示シム涅槃无上道↡。

^しんじょくこころなし。 清浄しょうじょうにして*きょうまん滅除めつじょす。 *ぎょうもとなり。 また*法蔵ほうぞう第一だいいちたからとす。 清浄しょうじょうとしてしゅぎょうく。

↢垢濁心↡。清浄ニシテ滅↢除驕慢↡。恭敬ナリ。亦為↢法蔵第一↡。為↢清浄↡受↢衆行↡。

^しんはよく恵施えせしてこころしむことなし。 しんはよくかんして仏法ぶっぽうる。 しんはよく*どくぞうじょうす。 しんはよくかならず*如来にょらいいたる。

恵施オシムコト。信歓喜↢仏法↡。信増↢長智功徳↡。信↢如来地↡。

^しん*諸根しょこんをして浄明じょうみょうならしむ。 信力しんりきけんなればよくすることなし。 しんはよくなが煩悩ぼんのうもとめっす。 しんはよくもつぱらぶつどくかへしむ。

↢諸根ヲシテ浄明利ナラ↡。信力堅固ナレバ↢能コト↡。信↢煩悩↡。信ヘシム↢仏功徳↡。

^しん*きょうがいにおいてしょじゃくなし。 諸難しょなんおんしてなんしむ。 しんはよくしゅみち超出ちょうしゅつし、 *じょうだつどうげんせしむ。

↢境界↡無↢所著↡。遠↢離諸難↡得シム↢无難↡。信超↢出衆魔↡、示↢現シム无上解脱道↡。

^しんどくのためにたねやぶらず。 しんはよくだいじゅ生長しょうちょうす。 しんはよく*さいしょう増益ぞうやくす。 しんはよく一切いっさいぶつげんせしむ。

↢功徳↡不↠壊↠種。信生↢長菩提↡。信増↢益最勝智↡。信示↢現シム一切仏↡。

^このゆゑにぎょうによりてだいく。 しんぎょうさいしょうにしてはなはだることかたし。

↠行↢次第↡。信楽、最勝ニシテ↠得コト

^もしつねに諸仏しょぶつしんすれば、 すなはちよくだいようこうじゅうす。 もしよくだいようこうじゅうすれば、 かのひとぶつ思議しぎしんず。

信↢奉レバ於諸仏↡、則興↢集大供養↡。若興↢集レバ大供養↡、彼人信↢仏不思議↡。

^もしつねに尊法そんぼうしんすれば、 すなはち仏法ぶっぽうくに*厭足えんそくなし。 もし仏法ぶっぽうくに厭足えんそくなければ、 かのひとほう思議しぎしんず。

信↢奉レバ於尊法↡、則↢仏法↡无↢厭足↡。若↢仏法↡无レバ↢厭足↡、彼人信↢法不思議↡。

^もしつねに清浄しょうじょうそうしんすれば、 すなはち信心しんじん退転たいてんせざることを。 もし信心しんじん退転たいてんれば、 かのひと信力しんりきよくうごくことなし。

信↢奉レバ清浄僧↡、則得↣信心不コトヲ↢退転↡。若レバ↢信心不退転↡、彼信力无↢能コト↡。

^もし信力しんりきてよくうごくことなければ、 すなはち諸根しょこん浄明じょうみょうん。 もし諸根しょこん浄明じょうみょうれば、 すなはちぜんしき親近しんごんすることを

↢信力↡无レバ↢能コト↡、則↢諸根浄明利↡。若レバ↢諸根浄明利↡、則得↣親↢近コトヲ善知識↡。

^すなはちぜんしき親近しんごんすることをれば、 すなはちよく広大こうだいぜんしゅじゅうす。 もしよく広大こうだいぜんしゅじゅうすれば、 かのひと*だい因力いんりきじょうじゅす。

レバ↣親↢近コトヲ善知識↡、則修↢集広大↡。若修↢集レバ広大↡、彼人成↢就大因力↡。

^もしひとだい因力いんりきじょうじゅすれば、 すなはち*しゅしょうけつじょう。 もししゅしょうけつじょうれば、 すなはち諸仏しょぶつみためねんせらる。

人成↢就レバ大因力↡、則得↢殊勝決定↡。若レバ↢殊勝決定↡、則ミタメ↢諸仏↡所↢護念↡。

^もし諸仏しょぶつみためねんせらるれば、 すなはちよく*だいしんほっす。 もしよくだいしんほっすれば、 すなはちよくぶつどく勤修ごんしゅせしむ。

ミタメ↢諸仏↡所レバ↢護念↡、則発↢起菩提心↡。若発↢起レバ菩提心↡、則勤↢修シム功徳↡。

^もしよくぶつどく勤修ごんしゅすれば、 すなはちよくうまれて如来にょらいいえにあらん。 もしうまれて如来にょらいいえにあることをれば、 すなはち*ぜんをして*ぎょう方便ほうべんしゅぎょうせん。

勤↢修レバ功徳↡、則↢如来↡。若レバ↣生コトヲ↢如来↡、則ヲシテ修↢行巧方便↡。

^もしぜんをしてぎょう方便ほうべんしゅぎょうすれば、 すなはちしんぎょうしん清浄しょうじょうなることを。 もししんぎょうしん清浄しょうじょうなることをれば、 すなはち*ぞうじょうさいしょうしん

ヲシテ修↢行レバ巧方便↡、則得↢信楽心清浄ナルコトヲ↡。若レバ↢信楽心清浄ナルコトヲ↡、則得↢増上最勝心↡。

^もしぞうじょうさいしょうしんれば、 すなはちつねに*波羅はらみつしゅじゅうせん。 もしつねに波羅はらみつしゅじゅうすれば、 すなはちよく*摩訶まかえんそくせん。

レバ↢増上最勝心↡、則修↢習波羅蜜↡。若修↢習レバ波羅蜜↡、則具↢足摩訶衍↡。

^もしよく摩訶まかえんそくすれば、 すなはちよくほうのごとくぶつようせん。 もしよくほうのごとくぶつようすれば、 すなはちよく念仏ねんぶつしんどうぜず。

具↢足レバ摩訶衍↡、則↠法供↢養↡。若供↢養レバ↡、則念仏心、不↠動

^もしよく念仏ねんぶつの心、 どうぜざれば、 すなはちつねにりょうぶつ*けんせん。 もしつねにりょうぶつけんすれば、 すなはち如来にょらいたい常住じょうじゅうを見ん。

念仏心、不レバ↠動、則覩↢見无量仏↡。若覩↢見レバ无量仏↡、則↢如来体常住↡。

^もし如来にょらいたい常住じょうじゅうれば、 すなはちよくほうながめつなることをらん。 もしよくほうながめつなるをれば、 *弁才べんざいしょうん。

レバ↢如来体常住↡、則↢法不滅ナルコトヲ↡。若レバ↢法不滅ナルコトヲ↡、得↧得↢弁才↡、无障↥。

^もし弁才べんざいしょうれば、 すなはちよくへんほう開演かいえんせん。 もしよくへんほう開演かいえんせば、 すなはちよく*みんしてしゅじょうせん。

レバ弁才无障↡、則開↢演无辺↡。若開↢演无辺↡、則慈愍↢衆生↡。

^もしよくしゅじょうみんすれば、 すなはちけんだいしんん。 もしけんだいしんれば、 すなはちよく甚深じんじんほうあいぎょうせん。

慈↢愍レバ↣衆生↡、則↢堅固大悲心↡。若レバ↢堅固大悲心↡、則愛↢楽甚深↡。

^もしよく甚深じんじんほうあいぎょうすれば、 すなはちよく*有為ういとがしゃせん。 もしよく有為ういとがしゃすれば、 すなはちきょうまんおよび*放逸ほういつはなる。

愛↢楽レバ甚深↡、則捨↢離有為↡。若捨↢離レバ有為↡、則↢驕慢及放逸↡。

^もしきょうまんおよび放逸ほういつはなるれば、 すなはちよく一切いっさいしゅ*けんせん。 もしよく一切いっさいしゅけんすれば、 すなはちしょうしょして*えんなけん」 となり。

ルレバ↢驕慢及放逸↡、則兼↢利一切衆↡。若兼↢利レバ一切衆↡、則↢生死↡无ケムトナリ↢疲厭↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]師釈
                            [イ]¬論註¼二文

【37】^¬ろんちゅう¼ (下) にいはく、

¬¼曰

^ª*如実にょじつしゅぎょう相応そうおうºとづく。 このゆゑに論主ろんじゅ (天親)はじめに ª*一心いっしんº (浄土論) とのたまへり」 と。

「名↢如実修行相応↡。是論主ハジメ↢我一心↡。」

【38】^またいはく (論註・下)

又言

^きょうはじめに ª*にょº としょうすることは、 しんあらわしてのうにゅうとす」 と。

「経コトハ↢如是↡、彰↠信↢能入↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ]欲生を釈す【欲生釈】
                        [ⅰ]正釈
                          [a]略して分斉を示す

【39】^つぎよくしょうといふは、 すなはちこれ如来にょらいしょぐんじょう*しょうかんしたまふのちょくめいなり。

↢欲生↡者、則是如来招↢喚マネキヨブタマフ諸有群生↡之勅命ナリ

・出体

^すなはち真実しんじつしんぎょうをもつてよくしょうたいとするなり。

↢真実信楽↡為↢欲生↡也。

・簡示他力

^まことにこれ*だいしょうぼんしょう*じょうさん*りき*こうにあらず。 ゆゑに*こうづくるなり。

是非↢大小・凡聖、定散自力之回向↡。故クル↢不回向↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅰ][b]広く義旨を顕す

・所為機相

^しかるに*じんかいじょう煩悩ぼんのうかいてんし、 しょうかい*ひょうもつして、 真実しんじつこうしんなし、 清浄しょうじょうこうしんなし。

微塵界有情、流↢転煩悩海↡、↢タヾヨフ生死海↡、无↢真実回向心↡、无↢清浄回向心↡。

・法体成就

^このゆゑに如来にょらい 一切いっさいのうぐんじょうかい*矜哀こうあいして、 さつぎょうぎょうじたまひしとき三業さんごう所修しょしゅない一念いちねんいっせつも、 こうしん*しゅとしてだいしんじょうじゅすることをたまへるがゆゑに、

如来矜↢哀オホキニアワレム一切苦悩群生海↡、行タマヒシ↢菩薩↡時、三業所修、乃至一念一刹那、回向心↠首タマヘルガ↣成↢就コトヲ大悲心↡故

・法界回施

^*利他りた真実しんじつよくしょうしんをもつてしょかい回施えせしたまへり。

↢利他真実欲生心↡廻↢施タマヘリ有海↡。

・結帰一心

^よくしょうすなはちこれこうしんなり。 これすなはちだいしんなるがゆゑに、 がいまじはることなし。

欲生即是廻向心ナリ。斯則大悲心ナルガ疑蓋无↠雑コト

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ]引文
                          [a]経文
                            [イ]¬大経¼

【40】^ここをもつて本願ほんがんよくしょうしんじょうじゅもん、 ¬きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

本願欲生心成就文、¬経¼言

^*しんこうしたまへり。 かのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょう退転たいてんじゅうすと。 ただぎゃくほうしょうぼうとをばのぞく」 と。

「至心廻向タマヘリ。願レバ↠生ムト↢彼↡、即得↢往生↡、住↢不退転↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲ↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][a][ロ]¬如来会¼

【41】^またのたまはく (如来会・下)

又言

^*しょ善根ぜんごんこうしたまへるをあいぎょうしてりょう寿じゅこくしょうぜんとがんずれば、 がんしたがひてみなしょうぜしめ、 退転たいてんないじょうしょうとうだいんと。 けんほうしょうぼうおよびほうしょうじゃのぞく」 と。

愛↢楽所有善根廻向タマヘルヲ↡願↠生ムト↢无量寿国、随↠願皆生シメ、得ムト↢不退転乃至无上正等菩提↡。除クト↢五无間・誹謗正法及謗聖者↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b]師釈
                            [イ]¬論註¼三文

【42】^¬じょうろん¼ (論註・下) にいはく、

¬浄土論¼曰

^ª*いかんがこうしたまへる。 一切いっさいのうしゅじょうてずして、 こころにつねに*がんすらく、 こうしゅとしてだいしんじょうじゅすることをたまへるがゆゑにº (浄土論) とのたまへり。

「云何廻向タマヘル。不シテ↠捨↢一切苦悩衆生↡、心作願ラク、廻向↠首タマヘルガ↣成↢就コトヲ大悲心↡故ニトノタマヘリ

^こうしゅそうあり。 ひとつには*往相おうそうふたつには*還相げんそうなり。

廻向↢二種相↡。一者往相、二者還相ナリ

^往相おうそうとは、 おのれがどくをもつて一切いっさいしゅじょう回施えせしたまひて、 がんしてともにかの弥陀みだ如来にょらい安楽あんらくじょうおうじょうせしめたまふなり。

往相者、以↢己功徳↡廻↢施タマヒテ一切衆生↡、作願往↢生シメタマフナリ阿弥陀如来安楽浄土↡。

^還相げんそうとは、 かのしょうじをはりて、 *しゃ摩他また*毘婆びばしゃ*方便ほうべんりきじょうじゅすることをて、 *しょうちゅうりんにゅうして、 一切いっさいしゅじょうきょうして、 ともに*仏道ぶつどうかえらしめたまふなり。

還相者、生↢彼↡已、得↢奢摩他・毘婆舎那・方便力成就コトヲ↡、廻↢入生死稠林↡、教↢化一切衆生↡、共シメタマフナリ↢仏道↡。

^もしはおう、 もしはげん、 みなしゅじょういてしょうかいせんがためにしたまへり。 このゆゑに ªこうしゅとくじょうじゅだいしんº とのたまへり」 と。

往若還、皆トノタマヘリ↧抜↢衆生↡渡セムガ↦生死海↥。是リト↢廻向為首得成就大悲心故↡。」

【43】^またいはく (論註・下)

又云

^*浄入じょうにゅう願心がんしんとは、 ¬論¼ (浄土論) にいはく、 ªまた*さき観察かんざつしょうごんぶつどくじょうじゅしょうごんぶつどくじょうじゅしょうごんさつどくじょうじゅきつ。 この三種さんしゅじょうじゅ願心がんしんしょうごんしたまへるなりとるべしº といへりと。

「浄入願心者、¬論¼曰、又向↢観察荘厳仏土功徳成就・荘厳仏功徳成就・荘厳菩薩功徳成就↡。此三種成就願心荘厳タマヘルナリトトイヘリト↠知

^ªるべしº とは、 この三種さんしゅしょうごんじょうじゅはもとじゅうはちがんとう清浄しょうじょう願心がんしんしょうごんしたまふところなるによりて、 *いんじょうなるがゆゑにじょうなり*いんなくしていんのあるにはあらざるなりとるべしとなり」 と。

者、応↠知↧此三種荘厳成就↣本四十八願等清浄願心之所ナルニ↢荘厳タマフ↡、因浄ナルガ果浄ナリ、非ルナリト↦无クシテ↠因他ニハ↥也。」

【44】^また ¬ろん¼ (論註・下) にいはく、

又¬論¼曰

^ª*しゅつだいもんとは、 だい慈悲じひをもつて一切いっさいのうしゅじょう観察かんざつして、 *おうしんしめして、 しょうその煩悩ぼんのうはやしのなかににゅうして、 神通じんずう遊戯ゆげ*きょういたる。 *本願ほんがんりきこうをもつてのゆゑに。 これをしゅつだいもんづくº (浄土論) とのたまへり」 と。

「出第五門者、以↢大慈悲↡観↢察一切苦悩衆生↡、示↢応化↡、回↢入生死園、煩悩↡、遊↢戯神通↡至↢教化地↡。以↢本願力回向↡故。是クトノタマヘリト↢出第五門↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]¬義疏¼
                              ª一º出文
                                ªⅠº「散善義」

【45】^こうみょうしょう (善導) のいはく (散善義)

光明寺和尚

^またこう発願ほつがんしてうまるるものは、 かならずけつじょう真実しんじつしんのなかにこうしたまへるがんもちゐてとくしょうおもいをなせ。 このしんふかしんぜること金剛こんごうのごとくなるによつて、 一切いっさいけんがくべつべつぎょうにんのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして一心いっしんつてしょうじきすすんで、 かのひとことばくことをざれ。 すなはち進退しんたいしんありてこうにゃくしょう*回顧えこすれば、 どうちてすなはちおうじょう大益だいやくしっするなり」 と。

「又回向発願ルヽ、必モチヰ↢決定真実心回向タマヘル↡作↢得生↡。此心深コト↠若ナルニ↢金剛↡、不↧為↢一切異見・異学・別解・別行人等之↡所↦動乱破壊↥。唯是決定一心正直、不↠得↠聞コトヲ↢彼↡。即↢進退心↡生↢怯弱↡回顧レバ、落↠道↢往生之大益↡也。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]ª二º釈意
                                ªⅠº総標

【46】^まことにんぬ、 *二河にが譬喩ひゆのなかに

二河譬喩

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]ª二ºªⅡº別釈
                                  ªⅰº白道四五寸を釈す

^びゃくどう四五しごすん」 といふは、 「びゃくどう」 とは、 「びゃく」 のごんこくたいするなり。 びゃく」 はすなはちこれ*せんじゃく摂取せっしゅびゃくごう*往相おうそうこうじょうごうなり こく」 はすなはちこれみょう煩悩ぼんのう黒業こくごうじょうにんてん*雑善ぞうぜんなり。 *どう」 のごんたいせるなり。 どう」 はすなはちこれ本願ほんがん一実いちじつ直道じきどう*だいはつはんじょう*大道だいどうなり。」 はすなはちこれじょう*さんじょう*万善まんぜんしょぎょうしょうなり。四五しごすん」 といふはしゅじょうだいおんたとふるなり。

↢白道四五寸↡者、白道者、白之言↠黒也。白者即是選択摂取之白業、往相回向之浄業也。黒者即是无明煩悩之黒業、二乗・人・天之雑善也。道之言ルナリセバキヒロキ者則是本願一実之直道、大般涅槃、无上之大道也。路者則是二乗・三乗、万善諸行之小路也。言↢四五寸↡者喩↢衆生四大五陰↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅱº清浄願心を釈す
                                    ªaº直釈

^*のうしょう清浄しょうじょう願心がんしん」 といふは金剛こんごう真心しんしんぎゃくとくするなり。 本願ほんがんりきこうだい信心しんじんかいなるがゆゑに、 破壊はえすべからず。 これを金剛こんごうのごとしとたとふるなり。

↢能生清浄願心↡者、獲↢得金剛真心↡也。本願力回向大信心海ナルガ、不↠可↢破壊↡。喩↣之シト↢金剛↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅱºªbº引証
                                      ªイº「玄義分」

【47】^¬かんぎょう¼ (*玄義分) に、

¬観経義¼

^*道俗どうぞく*しゅとう、 おのおの*じょうしんおこせども、 しょうはなはだいとひがたく、 *仏法ぶっぽうまたねがひがたし。 ともに金剛こんごうこころざしおこして、 おう*四流しるちょうだんせよまさしく金剛こんごうしんけて、 *一念いちねん相応そうおうしてのち*はんんひと」 といへり。

↧「道俗時衆等、各ドモ↢无上心↡、生死甚↠厭、仏法復難↠忻。共↢金剛↡、横超↢断セヨ四流↢金剛心↡、相↢応一念↡後、果↢涅槃ヒト。」↥

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅱºªbºªロº「序分義」

【48】^またいはく (*序分義)

又云

^真心しんしん徹到てっとうしてしゃいとひ、 らく*無為むいねがひて、 ながじょうらくすべし。 ただし*無為むいさかい*きょうとしてすなはちかなべからず、 のうしゃ*ちょうねんとしてはなるることをるによしなし。 金剛こんごうこころざしおこすにあらずよりは、 ながしょうもとたんや。 もしまのあた*そんしたがひたてまつらずは、 なんぞよくこのながなげきをまぬかれん」 と。

「真心徹到↢苦娑婆↡、忻↢楽无為↡、永ベシ↢常楽↡。但无為之境、不↠可↢軽カロクトシテシカラシム↡、苦悩娑婆无↠由↢輒タヤスシトシテシカラシムルニ↟離コトヲ。自リハ↠非↠発スニ↢金剛之志↡、永ムヤ↢生死之元↡。若マノアタマツラ↢慈尊↡、何マヌカレムト↢斯キヲ↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅱºªbºªハº「定善義」

【49】^またいはく (*定善義)

又云

^金剛こんごうといふは、 すなはちこれ無漏むろたいなり」 と。

「言↢金剛↡者、即是无漏之体也。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[三]結示
                      [Ⅰ]正結
                        [ⅰ]正しく三心即一を明かす

【50】^まことにんぬ、 しんしんぎょうよくしょう、 そのことばことなりといへども、 そのこころこれひとつなり

至心・信楽・欲生、其↠異リト、其コレナリ

・示由

^なにをもつてのゆゑに、 三心さんしんすでにがいまじはることなし、

。三心已疑蓋无ウタガフコヽロナリコト

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[三][Ⅰ][ⅱ]名号に対弁す

^ゆゑに真実しんじつ一心いっしんなり。 これを金剛こんごう真心しんしんづく。 金剛こんごう真心しんしん、 これを真実しんじつ信心しんじんづく。

真実一心ナリ。是↢金剛真心↡。金剛真心、是↢真実信心↡。

・必具行

^真実しんじつ信心しんじんはかならず*みょうごうす。 みょうごうはかならずしも願力がんりき信心しんじんせざるなり。

真実信心↢名号↡。名号ズシモ↠具↢願力信心↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[三][Ⅱ]引証

^このゆゑに論主ろんじゅ (天親)はじめに 「一心いっしん(*浄土論) とのたまへり。 また 「*にょみょうよく如実にょじつしゅぎょう相応そうおう(浄土論) とのたまへり。

論主、ハジメ↢「我一心」↡。又言↢「如彼名義欲如実修行相応故」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)結嘆【大信嘆徳】
                    [一]上の成一を牒す

【51】^おほよそ大信だいしんかいあんずれば、

↢大信海

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]正嘆

四不十四非

^せん*緇素しそえらばず、 ^男女なんにょろうしょうをいはず^造罪ぞうざいしょうはず、 ^しゅぎょうごんろんぜず、 ^*ぎょうにあらずぜんにあらず^*とんにあらず*ぜんにあらず、 ^*じょうにあらず*さんにあらず、 ^*しょうかんにあらず*邪観じゃかんにあらず、 ^*ねんにあらず*ねんにあらず、 ^*じんじょうにあらず*りんじゅうにあらず、 ^ねんにあらず一念いちねんにあらず、 ^ただこれ不可ふか思議しぎ不可ふかしょう不可ふかせつしんぎょうなり。

不↠簡貴賎ホフシ オトコ↡、不↠謂↢男女老少↡、不↠問↢造罪多少↡、不↠論↢修行久近↡、非↠行↠善、非↠頓↠漸、非↠定↠散、非↢正観↡非↢邪観↡、非↢有念↡非↢无念↡、非↢尋常↡非↢臨終↡、非↢多念↡非↢一念↡、唯是不可思議不可説不可信楽也。

・喩顕

^たとへば*阿伽陀あかだやくのよく一切いっさいどくめっするがごとし。 如来にょらい誓願せいがんくすりはよく*智愚ちぐどくめっするなり。

↣阿伽陀薬ルガ↢一切↡。如来誓願↢智愚↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別して信楽を釈す
                (a)菩提心の義を釈す【菩提心釈
                  (イ)解義
                    [一]対判して宗を示す
                      [Ⅰ]

二双四重

【52】^しかるに*だいしんについてしゅあり。 ひとつにはしゅふたつにはおうなり。

↢菩提心↡有↢二種↡。一者竪、二者横ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]竪を明かす

^またしゅについてまたしゅあり。 ひとつには*しゅちょうふたつには*しゅしゅつなり。 しゅちょうしゅしゅつ*権実ごんじつ*顕密けんみつ*だいしょうきょうかせり。 *りゃくこう迂回うえだいしんりき金剛こんごうしんさつ*大心だいしんなり。

又就↠竪復有↢二種↡。一竪超、二者竪出ナリ。竪超・竪出セリ↢権実・顕密・大小之教↡。歴劫迂廻之菩提心、自力金剛心、菩薩大心也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]横を明かす

^またおうについてまたしゅあり。 ひとつには*おうちょうふたつには*おうしゅつなり。 おうしゅつとは、 *しょうぞう*じょうさんりきのなかのりきだいしんなり。 おうちょうとは、 これすなはち願力がんりきこうしんぎょう、 これを*がんぶつしんといふ。 がんぶつしんすなはちこれおうだいだいしんなり。 これを*おうちょう金剛こんごうしんづくるなり。

亦就↠横復有↢二種↡。一者横超、二者横出ナリ。横出者、正雑・定散、他力中之自力菩提心也。横超者、斯乃願力廻向之信楽、是↢願作仏心↡。願作仏心即是横大菩提心ナリ。是クル↢横超金剛心↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]結成・勧誡

^横竪おうじゅだいしん、 そのことばひとつにしてそのこころことなりといへども、 にゅうしんしょうようとす、 真心しんしん根本こんぽんとす、 邪雑じゃぞうしゃくとす*じょうしつとするなり。

横竪菩提心、其言一シテ心雖↠異リト、入真為↢正要↡、真心為↢根本↡、邪雑為↠アヤマリ、疑情↠失也。

^ごん*じょうせつ*道俗どうぞくふか*しんそく金言きんげんりょうし、 なが*もんそく邪心じゃしんはなるべきなり。

忻求浄刹道俗、深了↢知信不具足之金言↡、永↠離↢聞不具足之邪心↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)引証
                    [一]横超の菩提心を証す
                      [Ⅰ]¬論註¼

【53】^¬ろんちゅう¼ (下) にいはく、

¬¼

^*王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬*りょう寿じゅきょう¼ をあんずるに、 *三輩さんぱいしょうのなかにぎょうれつありといへども、 みな*じょうだいしんほっせざるはなし。 このじょうだいしんは、 すなはちこれ*がんぶつしんなり。 がんぶつしんは、 すなはちこれ*しゅじょうしんなり。 しゅじょうしんは、 すなはちこれしゅじょう摂取せっしゅしてぶつこくしょうぜしむるしんなり。 このゆゑにかの安楽あんらくじょうしょうぜんとがんずるものは、 かならずじょうだいしんほっするなり。

「按ルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、三輩生↣行リト↢優劣↡、莫↠不ルハ↠発↢皆无上菩提之心↡。此无上菩提心、即是願作仏心ナリ。願作仏心、即是度衆生心ナリ。度衆生心、即摂↢取オサメムカエトリタマフトナリ衆生↡生シムル↢有仏国土↡心ナリ。是↠生ムト↢彼安楽浄土↡者、要↢无上菩提心↡也。

もしひとじょうだいしんほっせずして、 ただかのこく受楽じゅらくひまなきをきて、 らくのためのゆゑにしょうぜんとがんぜん、 またまさにおうじょうざるべきなり。 このゆゑにいふこころは、 ªしんじゅうらくもとめず、 一切いっさいしゅじょうかんとおもふがゆゑにº (浄土論) と。

人不シテ↠発↢无上菩提心↡、但聞↢彼国土受楽无キヲヒマ、為↠楽↠生ムト、亦当↠不↠得↢往生↡也。是イフコヽロ、不↠求↢自身住持之楽↡、欲フガ↠抜ムト↢一切衆生↡故ニト

^ªじゅうらくº とは、 いはく、 かの安楽あんらくじょう弥陀みだ如来にょらい本願ほんがんりきのために*じゅうせられて受楽じゅらくひまなきなり。

住持楽者、謂安楽浄土↢阿弥陀如来本願力↡所レテ↢住持↡受楽无↠間也。

^おほよそ ªこうº のみょうしゃくせば、 いはく、 おのれがしょしゅう一切いっさいどくをもつて一切いっさいしゅじょう*施与せよしたまひて、 ともに仏道ぶつどうかへしめたまふなり」 と。

↢廻向名義↡、謂↢己所集一切功徳施↢与タマヒテホドコシアタフ一切衆生↡、共ヘシメタマフナリト↢仏道↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]横超の特絶を示す
                      [Ⅰ]元照¬弥陀経義疏¼三文

1.甚難希有

【54】^*がんじょうりっのいはく (*阿弥陀経義疏)

昭律師

^のなすことあたはざるがゆゑに甚難じんなんなり。 こぞつていまだたてまつらざるがゆゑに希有けうなり」 と。

「他ルガ↠能↠為スコト甚難ナリコゾ↠世未ルガ↠見マツラ希有ナリトイヘリ。」

2.世間難信

【55】^またいはく (阿弥陀経義疏)

又云

^念仏ねんぶつ法門ぼうもん愚智ぐち豪賎ごうせんえらばず、 ごん善悪ぜんあくろんぜず、 ただ*決誓けっせいみょうしんれば、 りんじゅう悪相あくそうなれども、 じゅうねんおうじょうす。 これすなはち*ばく*ぼん*屠沽とこるいせつちょうおつするじょうぶつほうなり。 *けんじん難信なんしんといふべきなり」 と。

「念仏法門不↠簡↢愚智・豪賎↡、不↠論↢久近・善悪↡、唯取レバ↢決誓猛信↡、臨終悪相ナレドモ、十念往生。此乃具縛凡愚、屠沽下類、刹那超越成仏之法ナリ。可↠謂↢世間甚難信↡也。」

3.二難弁成

【56】^またいはく (阿弥陀経義疏)

又云

^このあくにしてしゅぎょうじょうぶつするをなんとするなり。 もろもろのしゅじょうのために、 この法門ほうもんくをふたつのなんとするなり。 さきなんけて、 すなはち諸仏しょぶつ所讃しょさんむなしからざるこころあらわす。 しゅじょうきて信受しんじゅせしめよとなり」 と。

↢此悪世↡修行成仏ルヲ↠難也。為↢諸衆生↡、説クヲ↢此法門↡為↢二↡也。承↢前二難↡、則↢諸仏所讃↠虚カラ↡。使ヨトナリト↢衆生聞信受↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]用欽¬超玄記¼(いま伝わらず)

【57】^*りっしゅう*用欽ようきんのいはく、

律宗用欽

^ほうなんくなかに、 まことにこのほうをもつてぼんてんじてしょうとなすこと、 なほしたなごころかえすがごとくなるをや。 おおきにこれやすかるべきがゆゑに、 おほよそあさしゅじょうおおわくしょうぜん。 すなはち ¬*大本だいほん¼ (大経・下) に ªおうにんº といへり。 ゆゑにんぬ、 難信なんしんなり」 と。

「説↢法↡中、良↢此↡転↠凡コト↠聖、猶クナルヲ↠反スガ↠掌。大コレキガ↠易カル、凡衆生↢疑惑↡。即¬大本¼云↢易往而无人↡。故難信ナリト矣。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅲ]戒度¬聞持記¼

【58】^¬*もん¼ にいはく、

¬聞持記¼云

^「ª愚智ぐちえらばずº といふは、 しょうどんあり。 ª豪賎ごうせんえらばずº といふは、 *ほうごうにゃくあり。 ªごんろんぜずº といふは、 *こう浅深せんじんあり。 ª善悪ぜんあくえらばずº といふは、 ぎょう好醜こうしゅあり。 ª決誓けっせいみょうしんれば、 りんじゅう悪相あくそうなれどもº といふは、 すなはち ¬かんぎょう¼ ぼん中生ちゅうしょうに ªごくしゅいちにともにいたるº といへり。 ªばくぼんº といふは、 *わくまつたくあるがゆゑに。 ª屠沽とこるいせつちょうおつするじょうぶつほうなり。 一切いっさいけんじん難信なんしんといふべきなりº といふは、 はいはく、 せつつかさどる。 はすなはち*醞売うんばい。 かくのごとき悪人あくにん、 ただじゅうねんによりてすなはち*ちょうおう、 あに難信なんしんにあらずや

「不簡愚智トイフハ↢利鈍↡。 不択豪賎トイフハ強弱↡。 不論久近トイフハ↢浅深↡。 不選善悪トイフハ↢好醜↡。 取決誓猛信、臨終悪相トイフハ¬観経¼下品中生地獄衆火、一時イヘリ 具縛凡愚トイフハ二惑全 屠沽下類、刹那超越成仏之法。可謂一切世間甚難信也トイフハツカサド↠殺。沽醞売。如↠此悪人、タダ↢十念↡便得↢超往↡、豈ズヤ↢難信↡。

 ^*弥陀みだ如来にょらい*真実しんじつみょうびょうどうがくなん思議じぎひっきょうだいおうだいあん等等とうどう不可ふか思議しぎこうごうしたてまつるなり」 と。

阿弥陀如来、号マツルナリト↢真実明・平等覚・難思議・畢竟依・大応供・大安慰・无等等・不可思議光↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅳ]宗暁¬楽邦文類¼

【59】^¬*楽邦らくほう文類もんるい¼ の*じょにいはく、

¬楽邦文類¼後序

^じょうしゅするものつねにおおけれども、 そのもんてただちにいたるものいくばくもなし。 じょうろんずるものつねにおおけれども、 そのようてただちにおしふるものあるいはすくし。 かつていまだかず、 *しょうへいをもつてせつをなすことあるもの。 るによりてもつてこれをいふ。

「修↢浄土ケレドモ、得↢其ダヾチイタ↠幾。論↢浄土ケレドモ、得↢其オシフ矣。曽↠聞、有↧以↢自障自蔽↡為コト↞説。因↠得ル ニ↠之

^それしょう*あいにしくなし、 へい*にしくなし。 ただあいしんつひにしょうなからしむるは、 すなはちじょう一門いちもんなり。 いまだはじめて*けんきゃくせず。 弥陀みだ*洪願こうがんつねにおのづからしょうしたまふ。 *必然ひつねんなり」 と。

自障↠愛、自蔽↠若↠疑。但使ルハ↣疑・愛二心ツイ↢障↡、則浄土一門ナリ。未↢始間隔↡。弥陀洪願常摂持タマフ。必然之理也。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)信一念の義を釈す【信一念釈
                  (イ)正しく信一念の義を釈す
                    [一]直釈

【60】^それ真実しんじつしんぎょうあんずるに、 *しんぎょう一念いちねんあり。 一念いちねんとはこれ*しんぎょう開発かいほつこく極促ごくそくあらわし、 *広大こうだいなんきょうしんあらわすなり。

ルニ↢真実信楽↡、信楽↢一念↡。一念者斯顕↢信楽開発時剋之極トシ↡、ウチニアラハス広大難思慶心↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]引文
                      [Ⅰ]経説
                        [ⅰ]¬大経¼

【61】^ここをもつて ¬だいきょう¼ (下) にのたまはく、

¬大経¼言

^あらゆるしゅじょう、 そのみょうごうきて信心しんじんかんせんこと、 *ないいちねんせん。 *しんこうしたまへり。 かのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょう退転たいてんじゅうせん」 と。

諸有アラユル衆生、聞↢其名号↡信心歓喜ムコト、乃至一念セム。至心タマヘリ。願レバ↠生ムト↢彼↡、即得↢往生↡、住ムト↢不退転↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]¬如来会¼

【62】^また (如来会・下)

^ほう仏国ぶっこくしょしゅじょうりょう寿じゅ如来にょらいみょうごうきてよく一念いちねんじょうしんおこしてかんせん」 とのたまへり。

↧「他方仏国所有衆生、聞↢无量寿如来名号↡能↢一念浄信↡歓セムト。」↥

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅲ]¬大経¼

 ^また (大経・下)

^そのぶつ本願ほんがんちからみなきておうじょうせんとおもはん」 とのたまへり。

↣「其本願力、聞↠名ムト↢往生ムト↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅳ]¬如来会¼

 ^また (如来会・下)

^ぶつしょうとくみなく」 とのたまへり。

↣「聞クト↢仏聖徳↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅴ]¬涅槃経¼「迦葉品」

【63】^¬はん¼ (迦葉品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^いかなるをかづけて*もんそくとする。 如来にょらい所説しょせつ*じゅうきょうなり。 ただろくしんじていまだろくしんぜず、 このゆゑにづけてもんそくとす。

「云何↢聞不具足↡。如来所説十二部経ナリ。唯信↢六部↡未↠信↢六部↡、是為↢聞不具足↡。

^またこのろくきょうじゅすといへども、 *読誦どくじゅにあたはずしてのためにせつすればやくするところなけん。 このゆゑにづけてもんそくとす。

↣復受↢持スト六部↡、不シテ↠能↢読誦↡為↠他ルハケム↠所↢利益↡。是為↢聞不具足↡。

^またこのろくきょうけをはりて、 ろんのためのゆゑに、 *しょうのためのゆゑに、 *ようのためのゆゑに、 *しょのためのゆゑに*どくじゅせつせん。 このゆゑにづけてもんそくとす」 とのたまへり。

又復受↢是六部↡已、為↢論議↡故、為↢勝他↡故、為↢利養↡故、為↢諸有↡故、持読誦説。是トノタマヘリ↢聞不具足↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]師釈
                        [ⅰ]「散善義」二文

【64】^こうみょうしょう (善導)^*一心いっしんせんねん(散善義) といひ、 ^また ^専心せんしん専念せんねん(散善義・意) といへり。

光明寺和尚↢「一心専念」↡、又云リト↢「専心専念」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]釈成
                      [Ⅰ]経説を釈す
                        [ⅰ]聞信一念を釈す

【65】^しかるに ¬きょう¼ (大経・下)*もん」 といふは、 しゅじょう*仏願ぶつがんしょう本末ほんまつきてしんあることなし、 これをもんといふなり。 「信心しんじん」 といふは、 すなはち本願ほんがんりきこう信心しんじんなり。 かん」 といふは、 身心しんしん*えつあらわすのかおばせなり。 ない」 といふは、 しょうせっするのことばなり。 一念いちねん」 といふは、 信心しんじんしんなきがゆゑに一念いちねんといふ。 これを一心いっしんづく。 一心いっしんはすなはち清浄しょうじょう*ほう真因しんいんなり。

¬経¼言↠聞者、衆生聞↢仏願生起本末↡無↠有コト↢疑心↡、是↠聞也。言↢信心↡者、則本願力廻向之信心也。言↢歓喜↡者、↢身心悦予之貌也。言↢乃至↡者、↢多少之言也。言↢一念↡者、信心无キガ↢二心↡故↢一念↡。是↢一心↡。一心清浄報土真因也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三][Ⅰ][ⅱ]一心の利益を明かす【現生十益】

^金剛こんごう真心しんしんぎゃくとくすれば、 *おう*しゅ*八難はちなんどうえ、 かならずげんしょう十種じっしゅやく なにものかじゅうとする。

獲↢得金剛真心、横↢五趣八難↡、必獲↢現生十種↡。何者↠十

^ひとつには*みょうしゅ護持ごじやく^ふたつには*とくそくやく^つには転悪てんあくじょうぜんやく^つには諸仏しょぶつ*ねんやく^いつつには諸仏しょぶつしょうさんやく^つには*心光しんこうじょうやく^ななつにはしんかんやく^つには*おん報徳ほうとくやく^ここのつには常行じょうぎょうだいやく^とおには*正定しょうじょうじゅやくなり。

冥衆護持益、二者至徳具足益、三者転悪成善益、四者諸仏護念益、五者諸仏称讃益、六者心光常護益、七者心多歓喜益、八者知恩報徳益、九者常行大悲益、十者入↢正定聚↡益也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三][Ⅱ]師釈を釈す

【66】^しゅう (善導) の 「専念せんねん(散善義) といへるは、 すなはちこれ*いちぎょうなり。 専心せんしん(散善義) といへるは、 すなはちこれ*一心いっしんなり。

宗師ルハ↢専念↡、即是一行ナリ。云ルハ↢専心↡、即是一心也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四]会名
                      [Ⅰ]正明
                        [ⅰ]正会【一念転釈】

^しかれば、 1がんじょうじゅ (第十八願成就文)一念いちねん」 はすなはちこれ*専心せんしんなり。

願成就一念是専心ナリ

2専心せんしんすなはちこれ*深心じんしんなり。

専心是深心ナリ

3深心じんしんすなはちこれ*深信じんしんなり。

深心是深信ナリ

4深信じんしんすなはちこれけん深信じんしんなり。

深信是堅固深信ナリ

5けん深信じんしんすなはちこれ*けつじょうしんなり。

堅固深信是決定心ナリ

6けつじょうしんすなはちこれ*じょうじょうしんなり。

決定心是无上上心ナリ

7じょうじょうしんはすなはちこれ*真心しんしんなり。

无上上心是真心ナリ

8真心しんしんはすなはちこれ*相続そうぞくしんなり。

真心是相続心ナリ

9相続そうぞくしんはすなはちこれ*じゅんしんなり。

相続心是淳心ナリ

10じゅんしんすなはちこれ*憶念おくねんなり。

淳心是憶念ナリ

11憶念おくねんはすなはちこれ真実しんじつ一心いっしんなり。

憶念是真実一心ナリ

12真実しんじつ一心いっしんすなはちこれ*だいきょうしんなり。

真実一心即是大慶喜心ナリ

13だいきょうしんはすなはちこれ*真実しんじつ信心しんじんなり。

大慶喜心是真実信心ナリ

14真実しんじつ信心しんじんはすなはちこれ*金剛こんごうしんなり。

真実信心是金剛心ナリ

15金剛こんごうしんはすなはちこれ*がんぶつしんなり。

金剛心是願作仏心ナリ

16がんぶつしんはすなはちこれ*しゅじょうしんなり。

願作仏心是度衆生心ナリ

17しゅじょうしんはすなはちこれしゅじょう摂取せっしゅして安楽あんらくじょうしょうぜしむるしんなり。

度衆生心是摂↢取衆生↡生シムル↢安楽浄土↡心ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四][Ⅰ][ⅱ]結示

^このしんすなはちこれだいだいしんなり。 このしんすなはちこれだい慈悲じひしんなり。 このしんすなはちこれ*りょうこうみょうによりてしょうずるがゆゑに。

心即是大菩堤心ナリ。是心即是大慈悲心ナリ。是心即是由↢无量光明慧↡生ルガ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四][Ⅱ]嘆徳
                        [ⅰ]正しく菩提心の徳を嘆ず

^*願海がんかいびょうどうなるがゆゑに*発心ほっしんひとし、 発心ほっしんひとしきがゆゑに*どうひとどうひとしきがゆゑにだい慈悲じひひとし、 だい慈悲じひはこれ仏道ぶつどうしょういんなるがゆゑに。

願海平等ナルガ発心等、発心等キガ道等、道等キガ大慈悲等、大慈悲是仏道正因ナルガ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四][Ⅱ][ⅱ]菩提心を要となすことを明かす
                          [a]¬論註¼

【67】^¬ろんちゅう¼ (下) にいはく、

¬¼曰

^かの安楽あんらくじょううまれんとがんずるものは、 かならず*じょうだいしんほっするなり」 とのたまへり。

「願↠生ムト↢彼安楽浄土↡者、要トノタマヘリ発无上菩提心↡也。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四][Ⅱ][ⅲ]生仏不二を詳らかにす
                          [a]¬論註¼

【68】^またいはく (論註・上)

又云

^ª*しんぶつº (観経) とは、 いふこころは、 しんよくぶつするなり。

「是心作仏者、言心イフコヽロ作仏也。

^ª*しんぶつº (観経) とは、 しんのほかにぶつましまさずとなり。 たとへばよりでて、 はなるることをざるなり。 はなれざるをもつてのゆゑに、 すなはちよくく。 のためにかれて、 すなはちとなるがごときなり」 とのたまへり。

是心是仏者、心サズト↠仏也。譬↢火、従↠木出、火不↠得↠離コトヲ↠木↠不ルヲ↠離↠木、則↠木木為↠火レテ、木即ルガ↟火トノタマヘリ。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四][Ⅱ][ⅲ][b]「定善義」

【69】^こうみょう (善導) のいはく (定善義)

光明

^このしんぶつす、 *このしんこれぶつなり、 このしんのほかにぶつましまさず」 (意) とのたまへり。

「是心作仏、是心是仏ナリ、是サズトノタマヘリ↢異仏↡。」

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)結示

【70】^ゆゑにんぬ、 一心いっしんこれを*如実にょじつしゅぎょう相応そうおうづく。 すなはちこれ*正教しょうきょうなり、 これしょうなり、 これ正行しょうぎょうなり、 これしょうなり、 これしょうごうなり、 これしょうなり。

一心是↢如実修行相応↡。即是正教ナリ、是正義ナリ、是正行ナリ、是正解ナリ、是正業ナリ、是正智也。

一 Ⅱ ⅰ b 総結【問答結帰】

【71】^三心さんしんすなはち一心いっしんなり、 一心いっしんすなはち金剛こんごう真心しんしんこたへをはんぬるべしと。

三心即一心ナリ、一心即金剛真心之義、答、可シト↠知

一 Ⅱ 追釈【追釈】
      菩提心の名を釈す

【72】^¬*かん¼ のいちにいはく、

¬止観¼一

^「ª*だいº とは天竺てんじく (印度)ことば、 ここには*どうしょうす。 ª*しっº とは天竺てんじくこえなり、 このほうにはしんといふ。 しんとはすなはち*りょなり」 と。

「菩者天竺、此ニハ↠道。質多者天竺ナリ、此ニハ↠心。心者即慮知也。」

一 Ⅱ ⅱ 正しく大信の利益を明かす
        横超断四流を釈す【横超断四流釈】
          (一)

【73】^おうちょうだん四流しる」 といふは、

↢横超断四流↡者、

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)
            (Ⅰ)横超を釈す
              (ⅰ)釈義

^おうちょうとは、 *おうしゅちょうしゅしゅつたいす、 *ちょう*たい*たいするのことばなり

横超者、横者対↢竪超・竪出↡、超者対↠廻之言ナリ

^しゅちょうとはだいじょう真実しんじつきょうなり。 しゅしゅつとはだいじょう*ごん方便ほうべんきょう*じょう*さんじょう迂回うえきょうなり。 おうちょうとはすなはち*がんじょうじゅ一実いちじつ円満えんまんしんきょう*しんしゅうこれなり。

竪超者大乗真実之教也。竪出者大乗権方便之教、二乗・三乗迂廻之教也。横超者即願成就一実円満之真教、真宗是也。

^またおうしゅつあり、 すなはち*三輩さんぱい*ぼん*じょうさんきょう*化土けど*まん迂回うえぜんなり。

亦復有↢横出↡、即三輩・九品、定散之教、化土・懈慢、迂廻之善也。

*大願だいがん清浄しょうじょう*ほうにはほんかいをいはず*一念いちねんしゅのあひだに、 すみやかに*じょうしょうしんどう超証ちょうしょうす、 ゆゑにおうちょうといふなり。

大願清浄報土ニハ不↠云品位↡、一念須臾アヒダ、速超↢証无上正真道↡、故↢横超↡也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅰ)(ⅱ)引証
              (a)¬大経¼三文

・超発

【74】^¬大本だいほん¼ (大経・上) にのたまはく、

¬大本¼

^じょうしゅしょうがんちょうほつす」 と。

「超↢発スト无上殊勝之願↡。」

・超世

【75】^またのたまはく (大経・上)

^われちょうがんつ。 かならずじょうどういたらんと。 *名声みょうしょう十方じっぽうえて、 きょうして*きこゆるところなくは、 ちかふ、 しょうがくらじ」 と。

「我建↢超世↡。必ムト↢无上道↡。名声超↢十方↡、究竟ナク所↠聞ユル、誓↠成↢正覚↡。」

・超絶

【76】^またのたまはく (大経・下)

^かならず*ちょうぜつしてつることをて、 *あんにょうこくおうじょうして、 おう*悪趣あくしゅり、 悪趣あくしゅねんぢん。 *どうのぼるに窮極ぐうごくなし。 *やすくしてひとなし。 そのくにぎゃくせず、 ねんくところなり」 と。

「必↢超絶スツルコトヲ↡、往↢生安養国↡、横↢五悪趣↡、悪趣自然。昇ルニ↠道↢窮極↡。易↠往シテ↠人。其国不↢逆違↡、自然之所ナリ↠牽。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅰ)(ⅱ)(b)¬大阿弥陀経¼

【77】^¬*だい弥陀みだきょう¼ (下) *けん三蔵さんぞうやく にのたまはく、

¬大阿弥陀経¼

^ちょうぜつしてつることをべし。 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすれば、 おうあくどうりてねん閉塞へいそくす。 どうのぼるにこれきわまりなし。 やすくしてひとあることなし。 そのこくぎゃくせず、 ねんくところなり」 と。

「可↠得↢超絶スツルコトヲ↡。往↢生レバ阿弥陀仏国↡、横↢於五悪道↡自然閉塞。昇ルニ↠道コレ。易クシテ↠往↠有コト↠人。其国土不↢逆違↡、自然之トコロナリト↠牽。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅱ)断四流を釈す
            (ⅰ)釈義

・断

【78】^だんといふは、 *往相おうそう一心いっしんほっするがゆゑに、 *しょうとしてまさにくべきしょうなし。 *しゅとしてまたいたるべきしゅなし。 すでに六趣ろくしゅしょう*いんもうめっす。 ゆゑにすなはちとん*さんしょう断絶だんぜつす。 ゆゑにだんといふなり。

↠断者、発↢起ルガ往相一心↡故、无↢生シテ↠受生↡。无↢趣シテマタ↠到趣↡。已六趣・四生、因亡果滅。故断↢絶三有生死↡。故↠断也。

・四流

^四流しるとはすなはち*暴流ぼるなり。 またしょうろうびょうなり。

四流者則四暴流ナリ。又生老病死也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅱ)(ⅱ)引証
              (a)¬大経¼

【79】^¬大本だいほん¼ (大経・下) にのたまはく、

¬大本¼言

^かならずまさに*仏道ぶつどうりて、 ひろしょうながれをすべし」 と。

カナラシト↧成↢仏道↡、広↦生死↥。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅱ)(ⅱ)(b)¬平等覚経¼

【80】^またのたまはく (*平等覚経・二)

又言

^かならずまさにそんとなりて、 まさに一切いっさいしょうろうせんとすべし」 と。

「会↢世尊↡、将ベシ↠度ムト↢一切生老死↡。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅱ)(ⅱ)(c)¬涅槃経¼「師子吼品」

【81】^¬はん¼ (師子吼品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^「また*はんづけて*しゅうしょとす。 なにをもつてのゆゑに、 *だい暴河ぼがただよふことあたはざるがゆゑに。 なんらをつとする。 ひとつにはよくふたつにはつにはけんつにはみょうなり。 このゆゑにはんづけてしゅうしょとす」 と。

「又涅槃者名為↢洲渚↡。何。四大暴河ルガ↠能↠漂コト。何等ヲカ↠四。一者欲暴、二者有暴、三者見暴、四无明暴ナリ。是涅槃↢洲渚↡。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅱ)(ⅱ)(d)¬般舟讃¼

【82】^こうみょうしょう (善導) のいはく (般舟讃)

光明和尚

^もろもろのぎょうじゃにまうさく、 *ぼんしょうとんじていとはざるべからず。 弥陀みだじょうかるめてねがはざるべからず。 いとへばすなはちしゃながへだつ、 ねがへばすなはちじょうにつねにせり。 へだつればすなはち六道ろくどういんもうじ、 *りんおのづからめっす。 いんすでにもうじてすなはち*かたちとんえぬるをや」 と。

「白↢諸行者↡、凡夫生死不↠可↢貪↟厭。弥陀浄土不↠可↢軽↟忻。厭娑婆永、忻浄土セリ。隔ツレバ六道因亡淪廻之果。因果既ルヲ。」

一 Ⅱ ⅱ b イ (Ⅱ)(ⅱ)(e)¬礼讃¼

【83】^またいはく (礼讃)

又云

^あおねがはくは一切いっさいおうじょうにんとう*よくみづからおのれがのうりょうせよ。 今身こんじんにかのくにしょうぜんとねがはんものは、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざがにかならずすべからくこころはげましおのれにこくして、 ちゅうはいすることなかるべし。 *ひつみょうとして、 かみ*いちぎょうにあるは、 すこしきくるしきに似如たれども、 *前念ぜんねん命終みょうじゅうしてねんにすなはちかのくにしょうじて、 じょう永劫ようごうにつねに*無為むい法楽ほうらくないじょうぶつまでにしょうず。 あにたのしみにあらずや、 るべし」 と。

「仰クハ一切往生人等、善思↢量セヨ↡。今身↠生ムト↢彼↡者、行住坐臥↧励↠心↠己、昼夜↞廃コト。畢命↠期、上在ルハ↢一形↡、似↢如 ニ タレドモキニ↡、前念命終後念↢彼↡、長時永劫↢无為法楽↡。乃至成仏マデニ不↠逕↢生死↡。豈タノシミ、応シト↠知。」

一 Ⅱ ⅱ b 真仏弟子を釈す【真仏弟子釈】
          (一)正しく真仏弟子を釈す
            (Ⅰ)直釈

【84】^*しんぶつ弟子でし」 といふは、 しんごんたいたいするなり弟子でしとはしゃ諸仏しょぶつ弟子でしなり、 金剛こんごうしんぎょうにんなり。 この*しんぎょうによりてかならずだいはん超証ちょうしょうすべきがゆゑに、 しんぶつ弟子でしといふ。

↢真仏弟子↡者、真↠偽↠仮也。弟子者釈迦・諸仏之弟子ナリ、金剛心行人也。由↢斯信行↡必キガ↣超↢証大涅槃↡故、曰↢真仏弟子↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)引文
                (a)総じて諸徳を明かす
                  (イ)経説
                    [一]¬大経¼二文

1.第33願(触光柔軟の願)

【85】^¬大本だいほん¼ (大経・上) にのたまはく、

¬大本¼言

^たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうりょう不可ふか思議しぎ諸仏しょぶつかいしゅじょうるいわがこうみょうかぶりてそのるるもの、 *身心しんしんにゅうなんにして人天にんでんちょうせん。 もししからずは、 しょうがくらじと。

「設我得タラムニ↠仏、十方无量不可思議諸仏世界衆生之類、蒙↢我光明↡触ルヽ↢其、身心柔軟ニシテ超↢過人天↡。若不↠爾者、不↠取↢正覚↡。

2.第34願(聞名得忍の願)

 ^(大経・上) たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうりょう不可ふか思議しぎ諸仏しょぶつかいしゅじょうるい、 わが*みょうきて、 さつ*しょうぼうにんもろもろの*じんそうずは、 しょうがくらじ」 と。

我得タラムニ↠仏、十方无量不可思議諸仏世界衆生之類、聞↢我名字↡、不↠得↢菩薩无生法忍、諸深総持↡者、不↠取↢正覚↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二]¬如来会¼

【86】^¬りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にのたまはく、

¬无量寿如来会¼言

^もしわれじょうぶつせんに、 しゅうへん十方じっぽうりょうへん不可ふか思議しぎとうかいじょうともがらぶつこうかぶりてしょうそくせらるるもの、 身心しんしん安楽あんらくにして人天にんでんちょうせん。 もししからずは、 だいらじ」 と。

「若我成仏ムニ、周徧十方无量无辺不可思議无等界有情之輩、蒙↢仏威光↡所↢照触、身心安楽ニシテ超↢過人天↡。若不↠爾者、不↠取↢菩提↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[三]¬大経¼二文

【87】^また (大経・下)

^ほうきてよくわすれず、 *うやまおおきによろこばば、 すなはちわがしんなり」 とのたまへり。

↢「聞↠法不↠忘、見、則親友ナリト」↡。

【88】^またのたまはく (大経・下)

又言

^それしんありて*安楽あんらくこくしょうぜんとがんずれば、 智慧ちえあきらかにたっし、 どくしゅしょうなることをべし」 と。

「其↢至心↡願↠生ムト↢安楽国、可シト↠得↢智慧明、功徳殊勝ナルコト↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[四]¬如来会¼二文

【89】^また (如来会・下)

^*広大こうだいしょうしゃ」 とのたまへり。

↢「広大勝解者。」↡

【90】^また (如来会・下)

^かくのごときらのるい*だいとくのひと、 よく*広大こうだいもんうまる」 とのたまへり。

↣「如↠是類、大威徳ヒト、能ルト↢広大異門↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[五]¬観経¼

【91】^またのたまはく (観経)

又言

^もし念仏ねんぶつするひとは、 まさにるべし、 このひとはこれにんちゅう*ふん陀利だりなり」 と。

「若念仏ヒト、当↠知、此是人中分陀利華ナリト。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)師釈
                    [一]¬安楽集¼五文

【92】^¬*安楽あんらくしゅう¼ (上) にいはく、

¬安楽集¼云

1.説聴方軌

^*しょだいじょうによりて*せっちょうほうかさば、

「拠↢諸部大乗↡明↢説聴方軌

^¬*大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 ª^説法せっぽうのひとにおいては、 おうおもいをなせ、 ばっおもいをなせ。 所説しょせつほうをば*かんおもいをなせ、 *だいおもいをなせ。 ^それちょうほうのひとは、 *ぞうじょうしょうおもいをなせ、 びょうおもいをなせ。 ^もしよくかくのごとき説者せっしゃちょうしゃは、 みな仏法ぶっぽう紹隆しょうりゅうするにへたり。 つねに仏前ぶつぜんしょうぜんº と。

¬大集経¼云、於テハ↢説法ヒト↡、作↢医王↡、作↢抜苦↡。所説之法ヲバ↢甘露↡、作↢醍醐↡。其聴法ヒトヲバ、作↢増長勝解↡、作↢愈病↡。若↠是説者・聴者、皆堪タリ↣紹↢隆ルニ仏法↡。常ムト↢仏前↡。

2.諸仏現前

^(安楽集・下) ¬はんぎょう¼ によるに、 ªぶつののたまはく、 «もしひとただよくこころいたして、 つねに*念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅすれば、 十方じっぽう諸仏しょぶつつねにこのひとそなはすこと、 げんまえにましますがごとし»º と。

ルニ↢¬涅槃経¼↡、仏、若人但能↠心、常↢念仏三昧、十方諸仏恒スコト↢此↡、如↢現スガ↟前

^このゆゑに ¬はんぎょう¼ にのたまはく、 «ぶつ*しょうさつげたまはく、 «もし善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 つねによくこころいたし、 もつぱら念仏ねんぶつするひとは、 もしは山林せんりんにもあれ、 もしは*聚落じゅらくにもあれ、 もしはひるもしはよる、 もしはもしはに、 諸仏しょぶつそんつねにこのひとなはすことまえげんぜるがごとし。 つねにこのひとのためにしてじゅをなさん»º と。

¬涅槃経¼云、仏告タマハク↢迦葉菩薩↡、若↢善男子・善女人↡、常↠心念仏ヒト、若↢山林ニモ↡、若↢聚落ニモ↡、若昼若夜、若座若、諸仏世尊常スコト↢此↡如↠現ゼガ↢目↡。恒タメ↢此シテムト↢受施↡。

3.知恩報徳

^(安楽集・下) ¬*だい智度ちどろん¼ によるに、 三番さんばんしゃくあり。 ^ª第一だいいちには、 ぶつはこれじょう*法王ほうおうなり、 さつ法臣ほうしんとす。 とうとぶところおもくするところ、 ただぶつそんなり。 このゆゑに、 まさにつねに念仏ねんぶつすべきなり。

ルニ↢¬大智度論¼↡、有↢三番解釈↡。第一ニハ是无上法王ナリ、菩薩為↢法臣↡。所↠尊所↠重スル、唯仏世尊ナリ。是↢当念仏↡也。

^だいに、 もろもろのさつありてみづからいはく、 «われ*曠劫こうごうよりこのかた、 そんわれらが*法身ほっしん*しん*だい慈悲じひしんちょうようしたまふことをかぶることをたりき。 *ぜんじょう*智慧ちえりょう*ぎょうがんぶつによりてじょうずることをたり。 報恩ほうおんのためのゆゑに、 つねにぶつちかづかんことをがんず。 また大臣だいじんの、 おうおんちょうかぶりてつねにそのおうおもふがごとし» と。

第二↢諸菩薩↡ 、我従↢曠劫↡已来タリキ↠蒙コトヲ↣世尊長↢養タマフコトヲ我等法身・智身・大慈悲身↡。禅定・智慧、无量行願、由↠仏タリ↠成コトヲ。為↢報恩↡故↠近カムコトヲ↠仏。亦如↧大臣↢王恩寵↡常フガ↦其↥。

^第三だいさんに、 もろもろのさつありて、 またこのごんをなさく、 «われ*いんにして*あくしきひて、 *にゃ*ほうして悪道あくどうしき。 りょうこうぎょうしゅすといへども、 いまだづることあたはず。 のち*いちにおいて*ぜんしきほとりによりしに、 われをおしへて念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜしむ。 そのときに、 すなはちよくしかしながらもろもろのさわり、 まさに*だつすることをしめたり。 この大益だいやくあるがゆゑに、 がんじてぶつはなれず»º と。

第三↢諸菩薩↡、復作↢是↡、我↢因地↡遇悪知識↡、誹↢謗波若↡堕↢悪道↡。逕↢无量劫↡雖↠修スト↢余行↡、未↠能↠出コト。後↢一時↡依リシニ↢善知識↡、教↠我シム↢念仏三昧↡。其シカシナガラ↣諸障、方得↢解脱ルコト↡。有ルガ↢斯大益↡故↠離↠仏

4.菩提心功用

^(安楽集・上) ¬だいきょう¼ (下) にのたまはく、 ªおほよそじょうおうじょうせんとおもはば、 かならず*ほつだいしんもちゐるをみなもととす。 いかんとなれば、 だいはすなはちこれ*じょう仏道ぶつどうなり。 もし*発心ほっしん*ぶつせんとおもはば、 このしん広大こうだいにして*法界ほうかいしゅうへんせん、 このしんじょうおんにしてらいさいつくす。 このしんあまねくつぶさにじょうさわりはなる。 もしよくひとたび発心ほっしんすれば、 *無始むししょうりんかたぶくº と。

¬大経¼云、凡↣往↢生ムト浄土↡、要トスルヲモチヰル↢発菩提心↡為↠源。云何菩提者乃是无上仏道之名也。若↢発心作仏ムト、此心広大ニシテ周↢徧法界↡、此心長遠ニシテ↢未来際↡。此心普↢二乗↡。若タビ発心レバ、傾クト↢无始生死有輪↡。

5.常行大悲

^(安楽集・下) ¬*だいきょう¼ にのたまはく、 ªいかんがづけてだいとする。 もしもつぱら念仏ねんぶつ相続そうぞくしてえざれば、 その命終みょうじゅうしたがひてさだめて安楽あんらくしょうぜん。 もしよく*展転てんでんしてあひすすめて念仏ねんぶつぎょうぜしむるは、 これらをことごとくだいぎょうずるひとづくº」 と。 以上抄出

¬大悲経¼云、云何↢大悲↡。若念仏相続↠断、随↢其命終↡定↢安楽↡。若展転シムル↢念仏、此等クト↧行↢大悲↡人↥。」 已上

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]¬般舟讃¼

・知恩報徳

【93】^こうみょう(善導) のいはく (般舟讃)

光明師

^ただうらむらくは、 しゅじょううたがふまじきをうたがふことを。 じょう対面たいめんしてあひ*たがはず。 *しょうしょうとをろんずることなかれ。 こころ専心せんしんにして*するとせざるとにあり。

「唯恨ラクハ衆生コトヲマジキヲ↠疑。浄土対面不↢相タガ↡。莫↠論コト↢弥陀不摂↡。意在↢専心ニシテルトルトニ↟廻

^あるいはいはく、 いまより*ぶっいたるまで、 *じょうごうぶつめておんほうぜん。 弥陀みだ*ぜいの力をかぶらずは、 いづれのときいづれのこうにかしゃでんと。

イハケフマデ↢仏果↡、長劫↠仏↢慈恩↡。不↠蒙↢弥陀弘誓↡、ニカムト↢娑婆↡。

^いかんが今日こんにち*宝国ほうこくいたることをせん。 まことにこれ*しゃほんちからなり。 もし*ほんしきすすめにあらずは、 弥陀みだじょういかんしてからん」 と。

↣今日至コトヲ↢宝国↡。実是娑婆本師ナリ。若ズハ↢本師知識↡、弥陀浄土云何イカンシテムト。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[三]¬礼讃¼二文

1.知恩報徳

【94】^またいはく (礼讃)

又云

^*ぶっはなはだもうあひがたし。 ひと*しんあるこかたし。 たまたま希有けうほうくこと、 これまたもつともかたしとす。 *みづからしんじ、 ひとおしへてしんぜしむること、 かたきがなかにうたたまたかたし。 だいひろくあまねくする、 まことに仏恩ぶっとんほうずるになる」 と。

「仏世甚マウア。人有コト↢信慧↡難。遇コト↢希有↡、斯復最為↠難シト↠人シムルコト、難キガマタ。大悲スル、真ルト↠報ルニ↢仏恩↡。」

2.心光摂護

【95】^またいはく (礼讃)

又云ク、

^弥陀みだ身色しんじき金山こんぜんのごとし。 *相好そうごうこうみょう十方じっぽうらす。 ただ念仏ねんぶつするもののみありて*こうしょうかぶる。 まさにるべし、 本願ほんがんもつともこわしとす。 十方じっぽう如来にょらい*みしたべてしょうしたまふ。 もつぱらみょうごうしょうして西方さいほういたる。 かの*だいいたつてみょうほうく。 *じゅうがんぎょうねんあらわる」 と。

「弥陀身色↢金山↡。相好光明↢十方↡。唯有↢念仏モノノミ↡蒙↢光摂↡。当↠知本願最為↠コワシ。十方如来、舒ミシタタマフ。専↢名号↡至↢西方↡。到↢彼華台↡聞↢妙法↡。十地願行、自然ルト。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[四]¬観念法門¼

・心光摂護

【96】^またいはく (*観念法門)

又云

^ただ弥陀みだぶつ専念せんねんするしゅじょうのみありて、 かのぶっしんひかり、 つねにこのひとらして*しょうしててたまはず。 すべて雑業ぞうごうぎょうじゃらしおさむとろんぜず。 これまたこれ*げんしょうねんぞうじょうえんなり」 と。

「但有↧専↢念阿弥陀仏↡衆生ノミ↥、彼仏心光、常↢是↡摂護不↠捨タマハ。総不↠論↣照↢摂ムト雑業行者↡。此亦是現生護念増上縁ナリト。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[五]「序分義」

・心多歓喜

【97】^またいはく (序分義)

又云

^ª*しんかん得忍とくにんº といふは、 これは弥陀みだ仏国ぶっこく清浄しょうじょうこうみょう、 たちまちにまなこまえげんぜん、 なんぞ*やくへん。 このよろこびによるがゆゑに、 すなはち*しょうにんることをかす。 また*にんづく、 また*にんづく、 また*信忍しんにんづく。 これすなはちはるかにだんずるに、 いまだ*とくしょあらわさず、 にんをしてひとしくこころにこのやくねがはしめんとおもふ。 ゆうみょうせんしょうにしてこころんとおもときに、 まさににんさとるべし。 これおおくこれ*十信じっしんのなかのにんなり、 ぎょうじょうにんにはあらざるなり」 と。

「言↢心歓喜得忍↡者、此↧阿弥陀仏国清浄光明、忽ゼム↢眼↡、何タエ↢踊躍↡、因ルガ↢茲↡故コトヲ↢无生之忍亦名↢喜忍↡、亦名↢悟忍↡、亦名↢信忍此乃ルニ、未↠標↢得処↡、欲↠令ムト↣夫人ヲシテ↢心勇猛専精ニシテ↠見ムト、方↠悟フタイノクラヰ此多是十信ナリ、非コトヲ解行已上ニハ。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[六]「散善義」

・諸仏称讃

【98】^またいはく (散善義)

又云

^ªにゃく念仏ねんぶつしゃº よりしも ªしょう諸仏しょぶつº にいたるまでこのかたは、 まさしく念仏ねんぶつ三昧ざんまい*のうちょうぜつして、 まことに*雑善ぞうぜんをしてるいとすることをるにあらざることをあらわす。 すなはちそれにいつつあり。

「従↢若念仏者↡下至マデ↢生諸仏家↡已来タハ↣念仏三昧功能超絶、実コトヲ↢雑善ヲシテルニ↟為コトヲ↢比類↡。即↢其レニ五↡。

^ひとつには、 弥陀みだぶつみな専念せんねんすることをかす。

ニハ↣専↢念コトヲ弥陀仏↡。

^ふたつには、 能念のうねんひとさんすることをかす。

ニハ↣指↢讃コトヲ能念之人↡。

^つには、 もしよく相続そうぞくして念仏ねんぶつするひと、 このひとはなはだ希有けうなりとす、 さらにものとしてもつてこれをたくらぶべきことなきことをかす。 ゆゑに*ふん陀利だりきてたとへとす。 ふん陀利だりといふは、 にんちゅうこうづく、 また希有けうづく、 またにんちゅう上上じょうじょうづく、 またにんちゅうみょうこうづく。 このあひつたへて*さいづくるこれなり。 もし念仏ねんぶつのひとはすなはちこれにんちゅう好人こうにんなり、 にんちゅう*みょうこうにんなり、 にんちゅう上上じょうじょうにんなり、 にんちゅう希有けうにんなり、 にんちゅうさいしょうにんなり。

ニハ↫若相続念仏ヒト、此人甚為↢希有ナリト↡、更キコトヲ↪物トシテキコト↩以ナラ↝之。故↢芬陀利↡為↠喩。言↢分陀利↡者、名↢人中好華↡、亦名↢希有華↡、亦名↢人中上上華↡、亦名↢人中妙好華↡。此華相クル↢蔡華↡是ナリ。若念仏ヒト是人中好人ナリ、人中妙好人ナリ、人中上上人ナリ、人中希有人ナリ、人中最勝人也。

^つには、 弥陀みだの名を専念せんねんすれば、 すなはち*観音かんのん*せいつねにしたがひて*ようしたまふこと、 またしんしきのごとくなることをす。

ニハ↧専↢念弥陀、即観音・勢至常影護タマフコト、亦如クナルコトヲ↦親友知識↥也。

^いつつには、 こんじょうにすでにこのやくかぶれり、 いのちててすなはち諸仏しょぶついえらん、 すなはちじょうこれなり。 かしこにいたりてじょうほうき、 *りゃくようせん。 いんまどかにまんず、 どうじょうあにはるかならんやといふことをかす」 と。

ニハ↧今生レリ↢此↡、捨テヽ↠命↢諸仏之家↡、即浄土是也長時↠法、歴事供養因円カニ果満、道場之座豈ハルカナラムヤトイフコトヲ↥。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)別して勝益を明かす【便同弥勒釈】
                  (イ)王日休¬龍舒浄土門¼

【99】^*おうにっきゅうがいはく (*龍舒浄土文)

王日休

^「われ ¬りょう寿じゅきょう¼ をくに、 ªしゅじょう、 このぶつみょうきて信心しんじんかんせんことない一念いちねんせんもの、 かのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょう退転たいてんじゅうすº と。

「我聞クニ↢¬无量寿経¼↡、衆生聞↢是仏名↡信心歓喜ムコト乃至一念ムモノ、願レバ↠生ムト↢彼↡、即得↢往生↡、住スト↢不退転↡。

^退転たいてんぼんにはこれを*ゆいおっといふ。 ¬*法華ほけきょう¼ にはいはく、 ª*ろくさつ所得しょとく*ほうなりº と。

不退転者梵語ニハ↢之阿惟越致↡。¬法華経ニハ¼謂弥勒菩薩所得報地也

^*一念いちねんおうじょう*便すなわろくおな ぶつむなしからず、 この ¬きょう¼ はまことにおうじょう*けいじゅつだっ*神方しんぼうなり。 みな信受しんじゅすべし」 と。

一念往生、便↢弥勒↡。仏語不↠虚カラ、此¬経¼マコト往生之径術、脱苦之神方ナリ。応シト↢皆信受↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)¬大経¼

【100】^¬だいきょう¼ (下) にのたまはく、

¬大経¼言

^ぶつろくげたまはく、 ªこのかいよりろくじゅうしちおく退たいさつありて、 かのくにおうじょうせん。 一々いちいちさつは、 すでにむかししゅ諸仏しょぶつようせりき、 *いでろくのごとしº」 と。

「仏告タマハク↢弥勒↡、↢此世界↡有↢六十七億不退菩薩↡、往↢生↡。一一菩薩、已ムカシ供↢養セリキ无数諸仏↡、次シト↢弥勒↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)¬如来会¼

【101】^またのたまはく (如来会・下)

又言

^ぶつろくげたまはく、 ªこのぶつのなかにしちじゅうおくさつあり。 かれはりょうおく那由他なゆたひゃくせんぶつみもとにして、 もろもろの善根ぜんごんゑて退転たいてんじょうぜるなり。 まさにかのくにしょうずべしº」 と。

「仏告タマハク↢弥勒↡、此仏土↢七十二億菩薩↡。彼↢无量億那由他百千↡、種↢諸善根↡成ゼルナリ↢不退転↡。当シト↠生↢彼↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ニ)用欽¬超玄記¼(いま伝わらず)

【102】^*りっしゅう用欽ようきんのいはく、

律宗用欽師

^いたれること、 ¬ごん¼ のごくしょう、 ¬ほっ¼ のみょうだんにしかんや。 かつはいまだ*じゅあることをず。 しゅじょういっしょうにみな*のく多羅たらさんみゃくさんだいることは、 まことにいふところの不可ふか思議しぎどくなり」 と。

「至コトシカムヤ↢¬華厳¼極唱、¬法華¼妙談↡。カツ↠見↠有コトヲ↢普授↡。衆生一生皆得コト↢阿耨多羅三藐三菩提↡者、誠↠謂不可思議功徳之利也。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)釈成

【103】^まことにんぬ、 ろくだい*等覚とうがく金剛こんごうしんきわむるがゆゑに、 *りゅうさんあかつき、 まさにじょうかくきわむべし念仏ねんぶつしゅじょう*おうちょう金剛こんごうしんきわむるがゆゑに*りんじゅう一念いちねんゆうべ*だいはつはん超証ちょうしょうす。 ゆゑに*便同べんどうといふなり。

弥勒大士ルガ↢等覚金剛心↡故、竜華三会之暁、当↠極↢无上覚位↡。念仏衆生ルガ↢横超金剛心↡故、臨終一念之夕、超↢証大般涅槃↡。故↢便同↡也。

^しかのみならず*金剛こんごうしんるものは、 すなはち*だいひとしく、 すなはち*しんにんぎゃくとくすべし。 これすなはち*往相おうそうこう*真心しんしん徹到てっとうするがゆゑに、 不可ふか思議しぎ*本誓ほんぜいによるがゆゑなり。

加之シカノミナラズ↢金剛心、則↢韋提↡等、即↣獲↢得喜・悟・信之忍↡。是則往相廻向之真心徹到ルガルガ↢不可思議之本誓↡故也。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅲ)結勧
              (ⅰ)宗暁¬楽邦文類¼二文

1.智覚

【104】^*ぜんしゅう*かく念仏ねんぶつぎょうじゃめていはく (*楽邦文類)

禅宗智覚讃↢念仏行者↡云

^まれなるかな、 仏力ぶつりきなんなれば、 こんもいまだあらず」 と。

「奇ナル哉仏力難思ナレバ、古今↠有。」

2.元照

【105】^*りっしゅうがんじょうのいはく (楽邦文類)

律宗昭師

^ああ、 *きょうかんにあきらかなること、 たれかしゃ (*智顗) にしかんや。 おわりにのぞんで ¬かんぎょう¼ をきょし、 じょうさんじてながきき。 法界ほうかいたっせること、 たれか*じゅんにしかんや。 *しゅすすぶっねんじて、 しょうそうかんじて西にしきき。 ぜんまじはりしょうること、 たれか*こうぎょくかくにしかんや。 みなしゃむすび、 ぶつねんじて、 ともにじょうぼんのぼりき。 *ごうじゅさいある、 たれか*りゅう*らい*りゅうこう*はく楽天らくてんにしかんや。 しかるにみなふでりて、 まことしょして、 かのしょうぜんとがんじき」 と。

嗚呼 アヽ ナルコト↢教観↡、タレシカ↢智者。臨↠終↢¬観経¼↡、讃↢浄土矣。達セルコト↢法界↡、熟↢杜順↡乎。勧↢四衆↡念↢仏陀↡、感↢勝相西キヽ矣。マジワ↠禅コト↠性、熟↢高玉・智覚↡乎。皆結、念↠仏↢上品↡矣。業儒有↠才、熟劉・雷・柳子厚・白楽天↡乎。然↠筆、書↠誠キト↠生ムト↢彼↡矣。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)仮偽を弁釈して反顕す【仮偽弁釈】
            (Ⅰ)仮を弁ず
              (ⅰ)正釈

【106】^*といふは、 すなはちこれしょうどうしょじょうじょうさんなり。

↠仮者、即是聖道諸機、浄土定散機也。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)引文
                (a)¬般舟讃¼

【107】^ゆゑにこうみょう(善導) のいはく (般舟讃)

光明師

^ぶっきょうもんにして*八万はちまんなり。 まさしくしゅじょう*どうなるがためなり」 と。

「仏教多門ニシテ八万四ナリ。正ナリト↢衆生機不同ルガ↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)¬法事讃¼

【108】^またいはく (*法事讃・下)

^方便ほうべん*もんひとしくしてことなることなし」 と。

「方便仮門、等クシテシト↠殊ルコト。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)¬般舟讃¼

【109】^またいはく (般舟讃)

又云

^門々もんもんどうなるをぜんぎょうづく。 まんごうぎょうして*しょうしょうす」 と。

「門門不同ナルヲ↢漸教↡。万劫苦行スト↢无生↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)偽を弁ず
              (ⅰ)正釈

【110】^*といふは、 すなはち*ろくじゅうけん*じゅうしゅじゃどうこれなり。

者、則六十二見・九十五種之邪道是也。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)引文
                (a)¬涅槃経¼「大衆所聞品」

【111】^¬はんぎょう¼ (*大衆所聞品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^そんつねにきたまはく、 ª一切いっさいじゅうしゅならひて、 みな悪道あくどうおもむくº」 と。

「世尊常タマハク、一切マナブ↢九十五種↡、皆趣クト↢悪道↡。」

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)¬法事讃¼

【112】^こうみょう(善導) のいはく (法事讃・下)

光明師

^じゅうしゅみなけがす。 ただぶつ一道いちどうのみひと*しょうげんなり」 と。

「九十五種皆汚↠世。唯仏一道ノミ清閑ナリト。」

一 Ⅱ ⅱ 結嘆

【113】^まことにんぬ、 かなしきかな禿とくらん*愛欲あいよく広海こうかい沈没ちんもつし、 *みょう太山たいせん迷惑めいわくして*じょうじゅかずることをよろこばず、 *しんしょうさとりちかづくことをたのしまざることを、 づべしいたむべしと。

哉愚禿鸞、沈↣没↢愛欲広海↡、迷↣↢名利太山↡、不↠喜↠入コトヲ↢定聚之数↡、不コトヲ↠近クコトヲ↢真証之証↡、可↠恥シト矣。

摂取の義を弁ず【明所被機】
  直弁
    文を引きて広く顕す(¬涅槃経¼)
      総明(「現病品」)
        難化の機を挙ぐ

【114】^*それぶつなんきて、 ¬はんぎょう¼ (*現病品) にのたまはく、

仏説↢難治↡、¬涅槃経¼言

^*しょう三人さんにんあり、 そのやまいしがたし。 ひとつには*ほうだいじょうふたつには*ぎゃくざいつには*一闡提いっせんだいなり。

「迦葉、世↢三人↡、其病難↠治。一ニハ謗大乗、二ニハ五逆罪、三ニハ一闡提ナリ

二 Ⅰ ⅰ a 其の分斉を示す

・法説

^かくのごときのさんびょうのなかにごくじゅうなり。 ことごとく*しょうもん*縁覚えんがく*さつのよくするところにあらず。

キノ↠是三病、世極重ナリ。悉↣声聞・縁覚・菩薩之所↢能↡。

・譬説

^善男ぜんなん*たとへばやまいあればかならずするにすることなからんに、 もし*せんびょう*ずいやくあらんがごとし。 もしせんびょうずいやくなからん、 かくのごときのやまい、 さだめてすべからず。 まさにるべし、 このひとかならずせんことうたがはずと。

善男子、譬↣有レバ↠病必ルニラムニ↠治コト、若ムガ↢瞻病随意医薬↡。若ラム↢瞻病随意医薬↡、如↠是之病、定不↠可↠治。当↠知、是人必セムコト↠疑

・合法

^善男ぜんなん、 この三種さんしゅひとまたまたかくのごとし。 *ぶつさつしたがひてもんをはりて、 すなはちよく*のく多羅たらさんみゃくさんだいしんほっせん。 もししょうもん縁覚えんがくさつありて、 あるいはほうき、 あるいはほうかざるあらん、 それをしてのく多羅たらさんみゃくさんだいしんほっせしむることあたはず」 と。

善男子、是三種人亦復如↠是。従↢仏・菩薩↡得↢聞治↡已、即便↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。若↢声聞・縁覚・菩薩↡、或↢説↠法↟説↠法、不↠能↠令コト↣其ヲシテ↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。」

二 Ⅰ ⅰ 別顕(「梵行品」)
        所化の機相を明かす
          (一)正引

・闍王興逆

【115】^またのたまはく (涅槃経・*梵行品)

又言

^「そのときに、 *王舎おうしゃだいじょう*じゃおうあり。 そのしょう弊悪へいあくにしてよく殺戮せつろくぎょうず。 *くちあく*とん愚痴ぐちしてそのこころじょうなり。 しかるに*眷属けんぞくのためにげん*よくらくとんじゃくするがゆゑに、 *ちちおうつみなきに、 *よこさまぎゃくがいす。

「爾王舎大城阿闍世王アリ。其性弊悪ニシテ↢殺戮↡。具↢口四悪、貪・恚・愚痴↡其心熾盛ナリ↢眷属↡貪↢著ルガ現世五欲↡故、父王无キニツミ↢逆害↡。

・生悔過心

^ちちがいするによりて、 おのれがこころ*ねつしょうず。 こころねつするがゆゑに、 遍体へんたいかさしょうず。 そのかさしゅうにしてごんすべからず。 すなはちみづから念言ねんごんすらく、 ªわれいまこのしんにすでに*ほうけたり、 ごくほうまさにちかづきて、 とおからずとすº と。

↠害ルニ↠父、己↢悔熱↡。 心悔熱ルガ徧体↠瘡。其瘡臭穢ニシテ不↠可↢附近↡。尋念言ラク、我今此タリ↢華報↡、地獄果報将↢近キテ↟遠カラ

・余術不治

^そのときに、 そのはは*だいこう種々しゅじゅくすりをもつてためにこれをる。 そのかさつひにぞうすれども降損ごうそんあることなし。 おうすなはちははにまうさく、 ªかくのごときのかさこころよりしてしょうぜり。 *だいよりおこれるにあらず。 もししゅじょうよくすることありといはば、 このことわりあることなけんº と。

母韋提希后、以↢種種↠之。其瘡遂レドモ↠有コト↢降損↡。王即↠母、如キノ↠是↠心シテゼリ。非↢四大ヨリレルニ↡。若↣衆生有リト↢能コト、无ケム↠有コト↢是コトワリ↡。

・余術不治 1.月称

 ^とき大臣だいじんあり、 づけてがっしょうといふ。 おうのところにおうして、 一面いちめんにありてちてまうしてまうさく、 ª大王だいおうなんがゆゑぞしゅうすいして顔容げんようよろこばざる。 いたむとやせん、 こころいたむとやせんº と。

↢大臣↡、名↢日月称↡。往↢至↡、在↢一面↡立、大王、何愁悴顔容不↠悦、為↢身痛ムト↡、為ムト↢心痛ムト↡。

^おうしんこたへていはまく、 ªわれいま身心しんしんあにいたまざることをんや。 わがちちつみなきによこさまぎゃくがいす。 われしゃしたがひて、 かつてこのきき。 «にんあり、 ごくまぬかれずと。 いはくぎゃくざいなり» と。 われいますでに*りょうへんそうつみあり。 いかんぞ身心しんしんをしていたまざることをん。 またりょうのわが身心しんしんせんものなけんº と。

王答↠臣マク、我今身心豈ムヤ↠不コトヲ↠痛。我父无キニ↠辜横↢逆害↡。我従↢智者↡曽キヽ↢是↡。世↢五人↡、不↠脱↢地獄↡。謂五逆罪ナリ。我今已↢无量无辺阿僧祇罪↡。云何身心シテ↠不コトヲ↠痛。又无ケムト↣良医ムモノ↢我身心↡。

^しん大王だいおうにまうさく、 ªおおきにしゅうすることなかれと。 すなはち*きていはく、 «もしつねにしゅうせば、 うれへつひにぞうじょうせん。 ひとねむりをこのめば、 ねむりすなはちしげおおきがごとし。 いんとんさけたしなむも、 またまたかくのごとし» と。

臣言サク↢大王↡、莫レト↢大愁苦コト↡。即↠偈

愁苦セバ増長
↢人コノメ↠眠眠則キガ
↠婬ムモ↠酒亦復如シト↠是

^おうののたまふところのごとし、 «にんあり、 ごくまぬかれず» とは、 たれかきてこれをて、 きたりておうかたるや。 ごくといふは、 ただちにこれけんおおしゃかく、 おうののたまふところのごとし、 «りょう身心しんしんするものなけん» と。

↢王↟言、世↢五人↡、不トハ↠脱↢地獄↡、誰↠之、来↠王。言↢地獄↡者、直是世間智者説カク、如↢王↟言、世ケム↧良医↢身心↡者↥。

^いまだいあり、 *らんづく。 *一切いっさいけんしてざいて、 さだめてひっきょうじて清浄しょうじょう*ぼんぎょうしゅじゅうして、 つねにりょうへんしゅじょうのために、 じょうはんどう演説えんぜつす。 もろもろの弟子でしのために、 かくのごときのほうけり。 «*黒業こくごうあることなければ、 黒業こくごうほうなし。 *びゃくごうあることなければ、 びゃくごうほうなし。 こくびゃくごうなければ、 こくびゃく*業報ごうほうなし。 *じょうごうおよび*ごうのあることなし» と。 この王舎おうしゃじょうのうちにいます。

今有↢大医↡、名ラン↡。一切知見↢自在↡、定畢竟修↢習清浄梵行↡、常↢无量无辺衆生↡、演↢説无上涅槃之道↡。為↢諸弟子↡、説↢如キノ↠是↡。无レバ↠有コト↢黒業↡、无↢黒業報↡。无レバ↠有コト↢白業↡、无↢白業報↡。无レバ↢黒白業↡、无↢黒白業報↡。无シト↠有コト↢上業及以下業↡。是師今イマ↢王舎城↡。

^やや、 ねがはくは大王だいおう*くつしてかしこにけ。 このをして身心しんしんりょうせしむべしº と。

ヤヽクハ大王、崛駕。可シト↠令↣是ヲシテ療↢治身心↡。

^ときおうこたへていはまく、 ªあきらかによくかくのごときわがつみ滅除めつじょせば、 われまさに帰依きえすべしº と。

マクアキラカ↠是滅↢除セバ↡、我当シト↢帰依↡。

・余術不治 2.蔵徳

 ^またひとりのしんあり、 づけて蔵徳ぞうとくといふ。 またおうのところにきてこのごんをなさく、 ª大王だいおう、 なんがゆゑぞめんみょうしょうすいして、 しん乾燥かんそうし、 おんじょうさいなるや。 なんのくるしむところあつてか、 いたむとやせん、 こころいたむとやせんº と。

復有↢一臣↡、名↢蔵徳↡。復往↢王↢是↡、大王、何貌憔悴屑口乾、音声微細ナルヤアテカ↠苦、為↢身痛ムト↡、為ムト↢心痛ムト↡。

^おうすなはちこたへていはく、 ªわれいま身心しんしんいかんぞいたまざらん。 われもうにして*もくあることなし。 もろもろのあくちかづきて、 これよく*だいだっ悪人あくにんことばしたがひて、 *しょうぼうおうよこさまぎゃくがいす。

王即、我今身心云何ラム↠痛。我之痴盲ニシテ↠有コト目↡。近↢諸悪友コレ↢提婆達多悪人之↡、正法之王↢逆害↡。

^われむかしかつてにんせつせしをきき。 «もし父母ぶもぶつおよび弟子でしにおいて、 ぜんしんしょうじ、 悪業あくごうおこさん。 かくのごときのほう*阿鼻あびごくにあり» と。 このをもつてのゆゑに、 われしんしてだいのうしょうぜしむ。 またりょうりょうることなけんº と。

我昔曽キヽ↢智人偈説↡。

↢父母仏及弟子
↢不善↢悪業↡
キノ↠是果報リト↢阿鼻獄

↢是、令↣我心怖↢大苦悩↡。又ケムト↣良医而見コト↢救療↡。

^大臣だいじんまたいはく、 ªやや、 ねがはくは大王だいおう、 しばらくしゅうすることなかれ。 ほうしゅあり。 ひとつにはしゅっふたつには王法おうぼうなり。 王法おうぼうといふは、 いはく、 そのちちがいして、 すなはちこくおうたるなり。 これぎゃくなりといふといへども、 じつつみあることなけん。 *迦羅羅かららちゅうのかならずはははらやぶりて、 しかしてのち、 いまししょうずるがごとし。 *しょうほうかくのごとし。 ははやぶるといへどもじつにまたつみなし。 *ふく懐妊かいにんとうまたまたかくのごとし。 こくほうほうとしてかくのごとくなるべし。 きょうころすといへども、 じつつみあることなけん。 しゅっほうは、 ないもんころす、 またつみあり。

大臣復言、惟願クハ大王、且↢愁怖コト↡。法↢二種↡。一者出家、二者王法ナリ。王法トイフ者、謂↢其↡、則国土。雖↠云フト↢是逆ナリト↡、実ケム↠有コト↠罪。如↧迦羅羅虫↢母↡、然後乃ズルガ↥。生法如↠是↠破ルト↢母↡実亦无↠罪。騾懐妊等亦復如↠是。治国之法、法トシテ↠如クナル↠是。雖↠殺スト↢父兄↡、実ケム↠有コト↠罪。出家法者、乃至蚊蟻殺、亦有↠罪。

^おうののたまふところのごとし、 «りょう身心しんしんするものなけん» と。 いまだいあり、 *末伽梨まかりしゃ梨子りしづく。 一切いっさいけんしてしゅじょう憐愍れんみんすること、 しゃくのごとし。 すでに煩悩ぼんのうはなれて、 よくしゅじょう三毒さんどく*せんく。 このいま王舎おうしゃだいじょうにいます。

↢王↟言、世ケムト↧良医↢身心↥。今有↢大師↡、名シャ↡。一切知見憐↢愍コト衆生↡、猶↢如赤子↡。已↢煩悩↡、能↢衆生三毒利箭↡。 師今イマ↢王舎大城↡。

^やや、 ねがはくは大王だいおう、 そのところおうして、 おうもし衆罪しゅざいしょうめつせんº と。

惟願クハ大王、往↢至↡、王若衆罪消ムト

^ときおうこたへていはく、 ªあきらかによくかくのごときわがつみ滅除めつじょせば、 われまさに帰依きえすべしº と。

王答、審↠是滅↢除セバ↡、我当シト↢帰依↡。

・余術不治 3.実徳

 ^またひとりのしんあり、 づけて実徳じっとくといふ。 またおうところいたりて、 すなはちきていはく、 ª大王だいおう、 なんがゆゑぞ瓔珞ようらくぎ、 こうべかみ蓬乱ほうらんせる。 ないかくのごときなるや。 これこころいたむとやせん、 いたむとやせんº と。

復有↢一臣↡、名↢実↡。復到↢王↡、即↠偈

大王何↢瓔珞
髪蓬乱セル乃至如クナルヤ↠是

↢是心痛ムト邪↡、為↢身痛ムト邪↡。

^おうすなはちこたへていはく、 ªわれいま身心しんしんあにいたまざることをんや。 わがちち先王せんおうあい*仁惻にんしきして、 ことに*矜念こうねんせり。 じつ*過咎かぐなきに、 きて*そうふ。 そうこたへてまうさく、 «このうまれをはりて、 さだめてまさにちちがいすべし» と。 このくといへども、 なほ*瞻養せんようす。

王即、我今身心豈ムヤ↠不コトヲ↠痛。我父先王、慈愛仁惻シテ矜念。実キニツミ、往↢相師↡。相師答サク、是児生、定シト↠害↠父。雖↠聞クト↢是↡、猶見瞻養

^むかししゃの、 かくのごときのごんをなししをきき。 «もしひとははつうじ、 および*比丘びくけがし、 *そうもつぬすみ、 じょうだいしんおこせるひところし、 およびそのちちころさん。 かくのごときのひとひつじょうしてまさに阿鼻あびごくすべし» と。 われいま身心しんしんあにいたまざることをんやº と。

曽聞キヽ↣智者シヽヲ↢如キノ↠是↡。若人通、及↢比丘尼↡、偸↢僧祇物↡、殺↧発セル↢无上菩提心↡人↥、及↢其↡。如↠是之人必定シト↠堕↢阿鼻地獄↡。我今身心豈ムヤ↠不コトヲ↠痛

^大臣だいじんまたいはく、 ªやや、 ねがはくは大王だいおう、 またしゅうすることなかれ。 一切いっさいしゅじょうみな*ごうあり。 *業縁ごうえんをもつてのゆゑにしばしばしょうく。 もし先王せんおうごうあらしめば、 おういまこれをころさんに、 つひになんのつみかあらん。

大臣復言、惟願クハ大王、マタ↢愁苦コト↡。 一切衆生皆有↢余業↡。以↢業縁↡故数数↢生死↡。若使↣先生↢余業↡、王今殺↠之、竟↢何↡。

^やや、 ねがはくは大王だいおうこころゆたかにしてうれふることなかれ。 なにをもつてのゆゑに、 «もしつねにしゅうすれば、 うれへつひにぞうじょうす。 ひとねむりをこのめば、 ねむりすなはちしげおおきがごとし。 いんとんさけたしなむも、 またまたかくのごとし»º と。 *刪闍さんじゃ毘羅びらてい

惟願クハ大王、ユタカニシテ↠意↠愁コト。何

愁苦レバ増長
↢人コノメ↠眠眠則キガ
↠婬ムモ↠酒亦復如↠是

サンジャセン

・余術不治 4.悉知義

 ^またひとりのしんあり、 しっ知義ちぎづく。 すなはちおうところいたりて、 かくのごときのごんをなさく。

復有↢一臣↡、名↢悉知義↡。即↢王↡、作↢如キノ↠是↡。

^おうすなはちこたへていはまく、 ªわれいま身心しんしんあにいたみなきことをんや。 先王せんおうつみなきに、 よこさまぎゃくがいこうず。 われまたむかししゃきていひしをきき。 «もしちちがいすることあれば、 まさにりょうそうこうにしてだいのうくべし» と。 われいまひさしからずしてかならずごくせん。 またりょうのわがつみりょうすることなけんº と。

王即マク、我今身心豈ムヤ↠无コトヲ↠痛 先王无キニ↠辜、横↢逆害↡。我亦曽キヽ↢智者シヲ↡。若レバ↠害コト↠父、当シト↧於↢无量阿僧祇劫↡受↦大苦悩↥。我今不シテ↠久カラ↢地獄↡。又无ケムト↣良医救↢療コト↡。

^大臣だいじんすなはちまうさく、 ªやや、 ねがはくは大王だいおうしゅう放捨ほうしゃせよ。 おうかずや、 昔者むかしおうありき、 づけて羅摩らまといひき。 そのちちがいしをはりておうぐことをたりき。 跋提ばつだい大王だいおう毘楼びる真王しんおう那睺なごしゃおうていおう舎佉しゃきゃおう月光がっこうみょうおう日光にっこうみょうおうあいおう持多じたにんおう、 かくのごときらのおう、 みなそのちちがいしておうぐことをたりき。 しかるにひとりとしておうごくるものなし。 いま現在げんざい毘瑠璃びるりおう優陀邪うだやおうあくしょうおうおうれんおう、 かくのごときらのおう、 みなそのちちがいせりき。 ことごとくひとりとしておうしゅうのうしょうずるものなし。 ごく餓鬼がき*てんちゅうといふといへども、 たれかるものあるや。

大臣即、惟願クハ大王、放↢捨愁苦↡。王不↠聞昔者 ムカシ ↠王、名↢羅摩↡。害↢其↡已タリキ↠紹コトヲ↢王位↡。跋提大王・毘楼真王・那睺沙王・迦帝迦王・毘舎佉王・月光明王・日光明王・愛王・持多人王、如↠是王、皆害↢其↡得タリキ↠紹コトヲ↢王位↡。然↧一トシテ↢地獄↥。於今 イマ 現在毘瑠璃王・優陀邪王・悪性王・鼠王・蓮華王、如↠是王、皆害セリキ↢其↡。悉↧一トシテズル↢愁悩↥。雖↠言フト↢地獄・餓鬼・天中↡、誰ルヤ↢見者↡。

^大王だいおう、 ただふたつのあり。 ひとつには人道にんどうふたつにはちくしょうなり。 このふたつありといへども、 因縁いんねんしょうにあらず、 因縁いんねんにあらず。 もし因縁いんねんにあらずは、 なにものか善悪ぜんあくあらん。

大王、唯有↢二有↡。一者人道、二者畜生ナリ。雖↠有リト↢是二↡、非↢因縁生↡、非↢因縁死↡。若ズハ↢因縁↡、何者↢善悪↡。

^やや、 ねがはくは大王だいおうしゅういだくことなかれ。 なにをもつてのゆゑに、 «もしつねにしゅうすれば、 うれへつひにぞうじょうす。 ひとねむりをこのめば、 ねむりすなはちしげおおきがごとし。 いんとんさけたしなむも、 またまたかくのごとし»º と。 *阿耆多あぎたしゃきん婆羅ばら

惟願クハ大王、勿↠懐コト↢愁怖↡。何

愁苦レバ増長
↢人コノメ↠眠眠則キガ
↠婬ムモ↠酒亦復如↠是

キムキン

・余術不治 5.吉徳

 ^また大臣だいじんあり、 づけて吉徳きっとくといふ。 ªごくといふは、 なんのありとかせん。 しんまさにこれをくべし。 づく、 ごくづく。 ごくせん、 罪報ざいほうあることなけん。 これをごくづく。 またにんづく、 ごくてんづく。 そのちちがいするをもつてのゆゑに人天にんでんいたらん。 このをもつてのゆゑに、 婆蘇ばそ仙人せんにんとなへていはく、 «ひつじころして人天にんでんらく» と。 これをごくづく。 またみょうづく、 ごくちょうづく。 *せっしょうをもつてのゆゑに寿じゅみょうながきを。 ゆゑにごくづく。 大王だいおうこのゆゑにまさにるべし、 じつごくなけんと。 大王だいおうむぎゑてむぎいねゑていねるがごとし。 ごくころしては、 かえりてごくん。 にん殺害せつがいしては、 かえりてにんべし。

復有↢大臣↡、名↢吉徳↡。 ↢地獄↡者、為↠有トカ↢何義↡。臣当↠説↠之。地者名↠地、獄者名↠破。破↢地獄↡、无ケム↠有コト↢罪報↡。是↢地獄↡。又復地者名↠人、獄者名↠天。以↠害ルヲ↢其↡故↢人天↡。以↢是↡故仙人唱、殺↠羊↢人天↡。是↢地獄↡。又復地者名↠命、獄者名↠長↢殺寿命↢地獄↡。大王、是↠知ケムト↢地獄↡。大王、如↢種↠麦得↠麦、種↠稲ルガ↟稲。殺↢地獄、還↢地獄↡。殺↢害テハ↟人、応↢還得↟人

^大王だいおういままさにしん (吉徳)所説しょせつくに、 じつ殺害せつがいなかるべし。 もし有我うがならばじつにまたがいなし。 もし無我むがならばまたがいするところなけん。 なにをもつてのゆゑに。 もし有我うがならばつねに変易へんやくなし、 常住じょうじゅうをもつてのゆゑに殺害せつがいすべからず。 不破ふは不壊ふえ不繋ふけばくしん不喜ふきはなほくうのごとし。 いかんぞまさに殺害せつがいつみあるべき。 もし無我むがならば諸法しょほうじょうなり。 じょうをもつてのゆゑに念々ねんねんめつす。 念々ねんねんめっするがゆゑに殺者せっしゃしゃみな念々ねんねんめっす。 もし念々ねんねんめっせば、 たれかまさにつみあるべきや。

大王、今当↧聴クニ↢臣所説↡、実カル↦殺害↥。若有我ナラ亦无↠害。若无我ナラ復无ケム↠所↠害。何。若有我ナラ↢変易↡、以↢常住↡故不↠可↢殺害↡。不破不壊、不繋不縛、不瞋不喜虚空↡。云何↠有↢殺害之罪↡。若无我ナラ諸法无常ナリ。以↢无常↡故念念壊滅。念念ルガ殺者・死者皆念念。若念念セバ、誰キヤ↠有↠罪。

^大王だいおうくに、 すなはちつみなきがごとし。 おのるに、 おのまたつみなきがごとし。 かまくさるに、 かまじつつみなきがごとし。 かたなひところすに、 かたなじつひとにあらず、 かたなすでにつみなきがごとし。 ひといかんぞつみあらんや。 どくひところすに、 どくじつひとにあらず、 *毒薬どくやく罪人ざいにんにあらざるがごとし。 いかんぞつみあらんや。 一切いっさい万物まんもつみなまたかくのごとし。 じつ殺害せつがいなけん。 いかんぞつみあらんや。

大王、如↢火焼クニ↠木、火則キガ↟罪。如↢斧斫ルニ↠樹、斧亦无キガ↟罪。如↢鎌刈ルニ↠草、鎌実キガ↟罪。如↢刀殺スニ↠人、刀実↠人、刀既キガ↟罪。人云何アラムヤ。如↣毒殺↠人、毒実↠人、毒薬ルガ罪人↡。云何アラムヤ。一切万物皆亦如↠是。実ケム↢殺害↡。云何ムヤ↠罪。

^やや、 ねがはくは大王だいおうしゅうしょうずることなかれ。 なにをもつてのゆゑに、 «もしつねにしゅうせば、 うれへつひにぞうじょうせん。 ひとねむりをこのめば、 ねむりすなはちしげおおきがごとし。 いんとんさけたしなむも、 またまたかくのごとし» と。 いまだいあり、 *迦羅鳩からく駄迦だか旃延せんえんづくº と。

惟願クハ大王、莫↠生コト↢愁苦↡。何

愁苦レバ増長
↢人コノメ↠眠眠則キガ
↠婬ムモ↠酒亦復如↠是

今有↢大師↡、名セン↡。

・余術不治 6.無所畏

 ^またひとりのしんあり、 しょづく。 ªいまだいあり、 *けんにゃだいづくº と。

復有↢一臣↡、名↢无所↡。今有↢大師↡、名ケンニャケン↡。

・非仏不療 1.耆婆勧

 ^そのときに、 だいあり、 づけて*耆婆ぎばといふ。 おうところおうしてまうしてまうさく、 ª大王だいおう*いづくんぞねむることをんやいなやº と。

大医アリ、名↢耆婆↡。往↢至↡白、大王、得ムヤ↢安コトヲ↡不ヤト

^おうをもつてこたていはまく、 ª耆婆ぎば、 われいまやまいおもし。 しょうぼうおうにおいてあくぎゃくがいおこす。 一切いっさいりょうみょうやくしゅじゅつ*ぜんぎょうせんびょうすることあたはざるところなり。 なにをもつてのゆゑに、 わがちち法王ほうおうほうのごとくくにおさむ、 じつ辜咎つみとがなし。 よこさまぎゃくがいす、 うおくがしょするがごとし。

王以↠偈マク 耆婆、我今病重。於↢正法↡興↢悪逆害↡。一切良医・妙薬・呪術・善巧瞻病ナリ↠不↠能↠治コト。何。我父法王、如↠法↠国、実。横↢逆害↡、如↢魚ルガ↟陸

^われむかしかつてしゃきていひしことをきき。 «*しん口意くいごうもし清浄しょうじょうならずは、 まさにるべし、 このひとかならずごくせん» と。 われまたかくのごとし。 いかんぞまさに安穏あんのんねむることをべきや。 いまわれまたじょうだいなし、 法薬ほうやく演説えんぜつせんに、 わがびょうのぞきてんやº と。

我昔曽キヽ↢智者コトヲ↡。身口意業若↢清浄ナラ↡、当↠知人必ムト↢地獄↡。我亦如↠是。云何↠得↢安穏コトヲ。今我又无↢无上大医↡、演↢説ムニ法薬↡、除テムヤ↢我病苦↡。

^耆婆ぎばこたへていはく、 ªいかないかな、 おうつみをなすといへども、 こころ*じゅうしょうじて*ざんいだけり。

耆婆答、善カナ哉、王雖↠作スト↠罪、心↢重悔ケリ↢慚愧↡。

^大王だいおう諸仏しょぶつそんつねにこのごんきたまはく、 ふたつのびゃくほうあり、 よくしゅじょうたすく。 ひとつにはざんふたつにはなり。 ざんはみづからつみつくらず、 おしへてなさしめず。 ざんはうちにみづからしゅうす、 ほつしてひとかふ。 ざんにんづ、 てんづ。 これをざんづく。 ざんづけてにんとせず、 づけてちくしょうとす。 ざんあるがゆゑに、 すなはちよく父母ぶもちょう*ぎょうす。 ざんあるがゆゑに、 父母ぶもきょうだいまいあることをく。 きかな大王だいおう、 つぶさにざんあり。

大王、諸仏世尊常タマハク↢是↡、有↢二白法↡、能タス↢衆生↡。一ニハ慚、二ニハナリ。慚者不↠作↠罪、愧者不↢教↠他サシメ↡。慚者内羞恥、愧者発露↠人。慚者羞↠人、愧者羞↠天。是↢慚愧↡。无慚愧者不↢名為↟人、名為↢畜生↡。有ルガ↢慚愧↡故恭↢敬父母・師長↡。有ルガ↢慚愧↡故↠有コトヲ↢父母・兄弟・姉妹↡。善哉大王、具↢慚愧↡。

^おうののたまふところのごとし、 «よくするものなけん» と。 大王だいおうまさにるべし、 *迦毘羅かびらじょう*じょうぼんのうしょう*どん*悉達しっだっなづなくしてねん*かくしてのく多羅たらさんみゃくさんだいたまへり。 これぶつ*そんなり。 *金剛こんごうましまして、 よくしゅじょう一切いっさい悪罪あくざいせしむること、 もしあたはずといはば、 このことわりあることなけん。

↢王↟言、无ケム↢能↡。大王当↠知、迦毘羅城飯王子、姓瞿曇氏、ナヅ↢悉達多↡。无クシテ↠師覚↢悟自然タマヘリ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。 是仏世尊ナリ。有シテ↢金剛智↡、能シムルコト↢衆生一切悪罪↡、若↠不↠能、无ケム↠有コト↢是コトワリ↡。

^大王だいおう如来にょらい*ていだいだっあり。 *衆僧しゅそう破壊はえし、 仏身ぶっしんよりいだし、 *れん比丘びくがいす。 さんぎゃくざいつくれり。 如来にょらい、 ために種々しゅじゅ法要ほうようきたまふに、 そのじゅうざいをしてすなはちはくなることをしめたまふ。 このゆゑに如来にょらいだいりょうとす。 ろくにはあらざるなりº と。

大王、如来↢弟提婆達多↡。破↢壊衆僧↡、出↢仏身ヨリ↡、害↢蓮華比丘尼↡。作レリ↢三逆罪↡。如来為タマフニ↢種種法要↡、令タマフ↣其重罪ヲシテ得↢微薄コトヲ↡。是如来為↢大良医↡。非↢六師ニハ↡也

・非仏不療 2.父王勧

^ª*大王だいおういちぎゃくつくれば、 すなはちつぶさにかくのごときの一罪いちざいく。 もしぎゃくざいつくらば、 すなはちばいならん。 ぎゃくつぶさならば、 つみもまたばいならん。 大王だいおういまさだめてんぬ、 おう悪業あくごうかならずまぬかるることをじ。 やや、 ねがはくは大王だいおう、 すみやかにぶつみもともうづべし。 ぶつそんのぞきては、 よくたすくることなけん。 われいまなんぢをあわれむがゆゑに、 あひすすめてみちびくなりº と。

大王、作↢一逆、則便↢如↠是一罪↡。若↢二逆罪↡、則二倍ナラム。五逆具ナラ、罪亦五倍ナラム。大王、今定、王之悪業必↠得↠勉コトヲ。惟願クハ大王、速マウヅベシ↢仏↡。除↢仏世尊↡余、无ケム↢能コト↡。我今愍ムガ↠汝ナリト

^そのときに、 大王だいおう、 このきをはりて、 こころ*怖懼ふくいだけり。 げて戦慄せんりつす。 たいじょうどうしてしょうじゅのごとし。 あおぎてこたへていはく、 ªてんこれたれとかせん、 *色像しきぞうげんぜずしてただこえのみあることはº と。

大王、聞↢是↡已、心↢怖懼↡。挙↠身センオノヽクピョウオソル。五体シム↢芭蕉樹↡。仰↢是誰トカ↡、不↠現↢色像シテ但有コトハ↠声ノミ

^ª大王だいおう、 われはこれなんぢがちちびんしゃなり。 なんぢいままさに耆婆ぎば所説しょせつしたがふべし。 邪見じゃけん六臣ろくしんことばしたがふことなかれº と。

大王、吾是汝父頻婆沙羅ナリ。汝今当↠随↢耆婆所説↡。莫↠随コト↢邪見六臣之↡。

^とききをはりて*悶絶もんぜつびゃくす。 かさぞうぎゃくしてしゅうなること、 さきよりもまされり。 もつて冷薬れいやくをしてり、 かさりょうすといへども、 かさあつかはし。 毒熱どくねつただせどもそんずることなし」 と。 以上略出

悶絶躄地。身瘡増劇臭穢ナルコトマサレ↠前ヨリモ。雖↧以冷薬、治↦療スト↥、瘡アツカワ。毒熱但増ドモシト↠損コト。」 已上略出

二 Ⅰ ⅰ b イ (二)列名

^*大臣だいじんづけてがっしょうといふ*らんづく
 蔵徳ぞうとく*末伽梨まかりしゃ梨子りしづく
 ひとりしんあり、 づけて実徳じっとくといふ*刪闍さんじゃ毘羅びらていづく
 ひとりしんあり、 しっ知義ちぎづく*阿耆多あぎたしゃきん婆羅ばらづく
 大臣だいじんづけて吉徳きっとくといふ*迦羅鳩からく駄迦だか旃延せんえん
 しょ*けんにゃだいづく
 大臣名月称ラン
 シャ
 ↢一臣↡名↢実センセン
 ↢一臣↡名↢悉知義キムキン
 大臣名↢吉徳セン
 センエンケンニャケン

二 Ⅰ ⅰ b 能化の徳相を明かす
          (一)不入涅槃を明かす

【116】^またのたまはく (涅槃経・梵行品)

又言

^「ª善男ぜんなん、 わがいふところのごとし、 じゃおうためはんらず。 かくのごときの*みつ、 なんぢいまだくことあたはず。

「善男子、如↢我↟言、為↢阿闍世王↡不↠入↢涅槃↡。如キノ↠是密義、汝未↠能↠解コト

^なにをもつてのゆゑに、 われ «ため» といふは一切いっさいぼん、 «じゃおう» とはあまねくおよび一切いっさいぎゃくつくるものなり。

我言↠為者一切凡夫、阿闍者普一切造↢五逆↡者ナリ

^また «ため» とはすなはちこれ*いっさい有為ういしゅじょうなり。 われつひに*無為むいしゅじょうのためにしてじゅうせず。 なにをもつてのゆゑに、 それ無為むいしゅじょうにあらざるなり。 «じゃ» とはすなはちこれ煩悩ぼんのうとうそくせるものなり。

又復為者即是一切有為衆生ナリ。我終不↧為↢无為衆生シテ↠世。何无為者非↢衆生↡也。阿闍世者即是具↢足セル煩悩等↡者ナリ

^また «ため» とはすなはちこれ*ぶっしょうざるしゅじょうなり。 もしぶっしょうんものには、 われつひにためにひさしくじゅうせず。 なにをもつてのゆゑに、 ぶっしょうるものはしゅじょうにあらざるなり。 «じゃ» とはすなはちこれ一切いっさいいまだのく多羅たらさんみゃくさんだいしんほっせざるものなり。

又復為者即是不↠見↢仏性↡衆生ナリ。若ムモノニハ↢仏性↡、我終不↢為↠世。何↢仏性↡者↢衆生↡也。阿闍世者即是一切未↠発↢阿耨多羅三藐三菩提心↡者ナリ

^また «ため» とはづけてぶっしょうとす。 «じゃ» はづけてしょうとす、 «» はおんづく。 ぶっしょうしょうぜざるをもつてのゆゑに、 すなはち煩悩ぼんのうあだしょうず。 煩悩ぼんのうあだしょうずるがゆゑに、 ぶっしょうざるなり。 煩悩ぼんのうしょうぜざるをもつてのゆゑに、 すなはちぶっしょうる。 ぶっしょうるをもつてのゆゑに、 すなはち大般だいはつはんあんじゅうすることを。 これをしょうづく。 このゆゑにづけてじゃとす。

又復為者名為↢仏性↡。阿闍者名為↢不生↡、世者名↠怨。以↠不ルヲ↠生↢仏性↡故煩悩怨生。煩悩怨生ルガルナリ↠見↢仏性↡。以↠不ルヲ↠生↢煩悩↡故↢仏性↡。以↠見ルヲ↢仏性↡故得↣安↢住コトヲ大般涅槃↡。是↢不生↡。是為↢阿闍世↡。

^善男ぜんなん、 «じゃ» はしょうづく、 しょうはんづく。 «» はほうづく。 «ため» とは不汚ふわづく。 *八法はっぽうをもつてけがさざるところなるがゆゑにりょうへんそうこうはんらず。 このゆゑにわれ «じゃためりょうおくこうはんらず» とのたまへり。

善男子、阿闍者名↢不生↡、不生者名↢涅槃↡。世↢世法↡。為者名↢不汚↡。以↢世八法↡所ナルガ↠不↠汚无量无辺阿僧祇劫↠入↢涅槃↡。是我言↧為↢阿闍世↡无量億劫↞入↢涅槃↡。

^善男ぜんなん如来にょらいみつ不可ふか思議しぎなり。 仏法ぶっぽう衆僧しゅそうまた不可ふかなり。 さつ摩訶まかさつまた不可ふか思議しぎなり。 ¬だいはんぎょう¼ また不可ふか思議しぎなりº と。

善男子、如来密語不可思議ナリ。仏法衆僧亦不可思議ナリ。菩薩摩訶薩亦不可思議ナリ。¬大涅槃経¼亦不可思議ナリ

二 Ⅰ ⅰ b ロ (二)善巧開化を明かす

・治身 ・放光治身

 ^そのときに、 そんだいどうじゃおうのために*月愛がつあい三昧ざんまいれり三昧さんまいりをはりてだいこうみょうはなつ。 そのひかり清涼しょうりょうにして、 きておうしんらしたまふに、 かさすなはちえぬ。

世尊大悲導師、為↢阿闍世王↡入レリ↢月愛三昧↡。入↢三昧↡已↢大光明↡。其光清涼ニシテ、往タマフニ↢王↡、身瘡即

・治身 ・放光所由

^おう耆婆ぎばにいはまく、 ªかれは*てんちゅうてんなり。 なんの因縁いんねんをもつてこのこうみょうはなちたまふぞやº と。

マク↢耆婆↡、彼天中ナリ。以↢何因縁↡放タマフゾヤト↢斯光明↡。

^ª大王だいおう、 いまこの*瑞相ずいそうは、 およびおうのためにするにあひたり。 まづいはまく、 りょう身心しんしんりょうするものなきがゆゑに、 このひかりはなちてまづおうす。 しかうしてのちこころおよぶº と。

大王、今是瑞相↣似タリスルニ↢及以↡。先マク、世キガ↣良医療↢治ルモノ身心↡故、放↢此↡先↢王↡。然↠心

^おう耆婆ぎばにいはまく、 ª如来にょらいそんまたたてまつらんとおもふをやº と。

マク↢耆婆↡、如来世尊亦見マツラムトフヲ

^耆婆ぎばこたへていはく、 ªたとへば一人いちにんにしてしちあらん。 このしちのなかにいっやまいへば、 父母ぶもこころびょうどうならざるにあらざれども、 しかるにびょうにおいてこころすなはちひとへにおもきがごとし。 大王だいおう如来にょらいもまたしかなり。 もろもろのしゅじょうにおいてびょうどうならざるにあらざれども、 しかるに罪者ざいしゃにおいてこころすなはちひとへにおもし。 放逸ほういつのものにおいてぶつすなはちねんしたまふ。 放逸ほういつのものはこころすなはち放捨ほうしゃす。 なんらをかづけて放逸ほういつのものとすると。 いはく、 *ろくじゅうさつなりと。

耆婆答、譬↧一人シテ↢七子↡七子一子↠病、父母之心非ドモ↠不ルニ↢平等ナラ↡、然↢病子↡心則キガ↥。大王、如来亦爾ナリ。於↢諸衆生↡非ドモ↠不ルニ↢平等ナラ↡、然↢罪者↡心則。於↢放逸↡仏則慈念タマフ。不放逸心則放捨。何等ヲカルト↢不放逸↡。謂六住菩薩ナリト

^大王だいおう諸仏しょぶつそん、 もろもろのしゅじょうにおいて、 *しゅしょうろうしょうちゅうねんひん*せつ日月にちがつ星宿しょうしゅく*ぎょうせん*僮僕どうぼく婢使ひしそなはさず、 ただしゅじょう善心ぜんしんあるものをそなはす。 もし善心ぜんしんあればすなはちねんしたまふ。 大王だいおうまさにるべし、 かくのごときの瑞相ずいそうは、 すなはちこれ如来にょらい月愛がつあい三昧ざんまいりてはなつところのこうみょうなりº と。

大王、諸仏世尊、於↢諸衆生↡、不↠ミソナハ↢種姓・老少中年・貧富・時節・日月星宿・工巧・下賎・僮僕・婢使↡、唯観↧衆生↢善心↡者↥。若レバ↢善心↡則便慈念タマフ。大王当↠知、如キノ↠是瑞相、即是如来入↢月愛三昧↡所↠放光明ナリト

・治身 ・三昧徳名

^おうすなはちうていはまく、 ªなんらをかづけて月愛がつあい三昧ざんまいとするº と。

王即マク、何等ヲカルト↢月愛三昧↡。

^耆婆ぎばこたへていはまく、 ªたとへばつきひかりよく一切いっさい*優鉢羅うはらをしてかいせんみょうならしむるがごとし。 月愛がつあい三昧ざんまいもまたまたかくのごとし。 よくしゅじょうをして善心ぜんしんかいせしむ。 このゆゑにづけて月愛がつあい三昧ざんまいとす。

耆婆答マク、譬↣月光能ルガ↢一切優鉢羅華ヲシテ開敷鮮明ナラ↡。月愛三昧亦復如↠是。能↢衆生ヲシテ善心開敷↡。是為↢月愛三昧↡。

^大王だいおう、 たとへばつきひかりよく一切いっさいみちひとこころかんしょうぜしむるがごとし。 月愛がつあい三昧ざんまいもまたまたかくのごとし。 よくはんどうしゅじゅうせんもののこころかんしょうぜしむ。 このゆゑにまた月愛がつあい三昧ざんまいづく。 諸善しょぜんのなかのおうなり。 かんとす。 一切いっさいしゅじょうあいぎょうするところなり。 このゆゑにまた月愛がつあい三昧ざんまいづくº と。

大王、譬↤月光能ルガ↣一切行↠路之人↢歓喜↡。月愛三昧亦復如↠是。能↧修↢習涅槃道↡者↦歓喜↥。是復名↢月愛三昧↡。 諸善ナリ。為↢甘露味↡。一切衆生之所ナリ↢愛楽↡。是復名クト↢月愛三昧↡。

・治心 ・先明詣仏

 ^そのときに、 ぶつ、 もろもろの大衆だいしゅげてのたまはく、 ª一切いっさいしゅじょうのく多羅たらさんみゃくさんだいちかづく因縁いんねんのためには、 *ぜんさきとするにはしかず。 なにをもつてのゆゑに、 じゃおう、 もし耆婆ぎばことばずいじゅんせずは、 来月らいげつなぬひつじょう命終みょうじゅうして阿鼻あびごくせん。 *このゆゑにちかづきにたり、 ぜんにしくことなしº と。

仏告↢諸大衆↡言、一切衆生為↢阿耨多羅三藐三菩提因縁シカ↠先トスルニハ↢善友↡。何。阿闍世王、不↠随↢順耆婆、来月七日必定命終↢阿鼻獄↡。是キニタリ↠日、莫シクコト↢善友↡。

^じゃおうまた*ぜんにおいてく、 ª*しゃだい*瑠璃るりおうふねじょうじて海辺かいへんりてふ、 しかうしてぬ。 *居迦くか比丘びくしょうじんりて阿鼻あびごくいたれり。 *しゅせっ種々しゅじゅあくつくりしかども、 仏所ぶっしょいたりて衆罪しゅざいしょうめつしぬº と。

阿闍世王復於↢前路↡聞、舎婆提毘瑠璃王、乗↠船↢海辺。瞿伽離比丘、生身↠地レリ↢阿鼻獄↡。須那刹多シカドモ↢種種↡、↢仏所↡衆罪消滅ヌト

^このことばきをはりて、 耆婆ぎばかたりていはまく、 ªわれいまかくのごときの*ふたつのことばくといへども、 なほいまだあきらかならず。 さだめてなんぢきたれり、 耆婆ぎば、 われなんぢとおなじく一象いちぞうらんとおもふ。 たとひわれまさに阿鼻あびごくるべくとも、 ねがはくは、 なんぢそくしてわれをしておととさしめざれ。 なにをもつてのゆゑに、 われむかしかつてきき、 «得道とくどうひとごくらず»º と。

↢是↡已、語↢耆婆↡言マク、吾今雖↠聞クト↢如キノ↠是↡、猶未↠審ナラ。定汝来レリ耆婆、吾欲↠汝同ムト↢一象↡。我当クトモ↠入↢阿鼻地獄↡、冀クハ↠令↢我ヲシテ↡。何。吾昔曽キヽ、得道之人↠入↢地獄↡。

・治心 ・説法治心 1.造罪軽重

^ªいかんぞきてさだめてごくらんといはん。 大王だいおう一切いっさいしゅじょうしょ罪業ざいごうにおほよそしゅあり。 ひとつにはきょうふたつにはじゅうなり。 もしこころくちとにつくるはすなはちづけてきょうとす。 くちこころとにつくるはすなはちづけてじゅうとす。 大王だいおうこころおもひ口にきてになさざれば、 るところのほうきょうなり。 大王だいおう昔日むかしくちころせとちょくせず、 ただあしけずれといへりき。 大王だいおう、 もししんしょくせましかば、 たちどころにおうこうべらまし。 ときにすなはちるとも、 なほつみじ。 いはんやおうちょくせず、 いかんぞつみん。

云何↣定↢地↡。大王、一切衆生所作罪業↢二種↡。一者軽、二者重ナリ。若トニルハ為↠軽。身トニルハ↠重。大王、心↠作、所↠得報、軽ナリ。大王、昔日 ムカシ 不↠勅↠殺、但言ヘリキ↠削レト↠足。大王、若マシカバ↢侍臣↡、タチドコロマシ↢王↡。坐トモ↠得↠罪。況王不↠勅、云何↠罪

^おうもしつみば、 諸仏しょぶつそんもまたつみたまふべし。 なにをもつてのゆゑに。 なんぢがちち先王せんおうびんしゃ、 つねに諸仏しょぶつにおいてもろもろの善根ぜんごんゑたりき。 このゆゑに今日こんにちおうすることをたり。 諸仏しょぶつもしそのようけたまはざらましかば、 すなはちおうたらざらまし。 もしおうたらざらましかば、 なんぢすなはちくにのためにがいしょうずることをざらまし。 もしなんぢちちころしてまさにつみあるべくは、 われら諸仏しょぶつまたつみましますべし。 もし諸仏しょぶつそんつみたまふことなくは、 なんぢひとりいかんぞつみんや。

王若↠罪、諸仏世尊亦応↠得タマフ↠罪。何。汝父先王頻婆沙羅、常↢諸仏↡種タリキ↢諸善根↡。是今日 ケフ タリ↠居コトヲ↢王位↡。諸仏若ラマシカバ↠受タマハ↢其供養↡、則ラマシ↠王。若ラマシカバ↠為↠王、汝則ラマシ↠得↢為↠国コトヲ↟害。若汝殺↠父↠有↠罪、我等諸仏亦応↠有↠罪。若諸仏世尊无↠得タマフコト↠罪、汝独云何而得↠罪

・治心 ・説法治心 2.父王以類

 ^大王だいおうびんしゃむかし悪心あくしんありて、 *毘富羅びふらせんにしてぎょうし、 鹿しししゃりょうしてこうしゅうへんしき。 ことごとくるところなし。 ただひとりの*せん*つうそくせるをる。 をはりてすなはちしん悪心あくしんしょうじき。 «われいまりょうす。 *ざるゆゑんは、 まさしくこのひとちくしてらしむるにる» と。 すなはち左右さうちょくしてこれをころさしむ。

大王、頻婆沙羅ムカシ↢悪心↡、↢毘富羅山↡遊行、射↢猟鹿↡周↢徧曠野↡。悉↠所↠得。唯見↢一五通具足セルヲ↡。見已↢瞋恚悪心↡。我今遊猟所以コノユヘニ不↠得↢正、此人駆↠去。即↢左右↠殺↠之

^そのひとおわりにのぞんでしんしょうず。 悪心あくしんあつて神通じんずう退失たいしつして誓言せいごんをなさく、 «われじつつみなし。 なんぢしんをもつてよこさま*戮害ろくがいす。 われらいにおいて、 またまさにかくのごとくかえつてしんをもつてして、 なんぢをがいべし» と。 ときおうきをはりて、 すなはちしんしょうじて死屍ししようしき。

人臨↠終↢瞋悪心↡。退↢失神通↢誓言↡、我実↠辜。汝以↢心口↡横↢戮害↡。我於↢来世↡、亦当シト↧如↠是↢心口シテ↠汝。時王聞、即↢悔心↡供↢養死屍↡。

^先王せんおうかくのごとくなほかるくることをて、 ごくちず。 いはんやおうしからずして、 まさにごくほうくべけんや。 先王せんおうみづからつくりて、 かえつてみづからこれをく。 いかんぞおうをして殺罪せつざいしめん。 おうのいふところのごとし。 ちちおうつみなくは、 *大王だいおういかんぞ、 とがなきにつみありといはば、 すなはち罪報ざいほうあらん。 悪業あくごうなくはすなはち罪報ざいほうなけん。 なんぢがちち先王せんおう、 もしざいなくは、 いかんぞほうあらん。 びんしゃげんのなかにおいて、 またぜんおよびあくたり。 このゆゑに先王せんおうまたまたじょうなり。 じょうなるをもつてのゆゑにせつもまたじょうなり。 せつじょうならば、 いかんしてかさだめてごくらんといはん。

先王如↠是尚得↢軽コトヲ↡、不↠堕↢地獄↡。況王不↠爾シテケム↣地獄↢果報。先王↠之。云何↣王シテ得↢殺罪↡。如↢王↟言。父王无↠辜、大王云何↢无キニ↠失有リト↟罪、則↢罪報↡。无↢悪業↡ケム↢罪報↡。汝父先王、若↢辜罪↡、云何↠報。頻婆沙羅於↢現世↡、亦得タリ↢善果及以悪果↡。是先王亦復不定ナリ。以↢不定↡故亦不定ナリ。殺不定云何 イカン シテ↣定↢地獄↡。

・治心 ・説法治心 3.造罪心地

 ^大王だいおうしゅじょうきょうわくにおほよそしゅあり。 ひとつには*とんきょうふたつにはやくきょうつには*しゅきょうつには*本業ほんごうえんきょうなり。 大王だいおう、 わが弟子でしのなかに、 このきょうあり。 おおあくつくるといへども、 われつひにこのひとかいぼんせりとせず。 このひとしょ*三悪さんまくいたらず。 もしかえつてしんば、 またぼんといはず。 おうもとくにとんじてこのちちおうぎゃくがいす。 とんきょうこころをもつてためになせり。 いかんぞつみん。 大王だいおうひと*耽酔たんすいしてそのははぎゃくがいせん、 すでに*しょうしをはりてこころこんしょうぜんがごとし。 まさにるべし、 このごうまたほうじ。 おういま貪酔とんすいせり。 本心ほんしんのなせるにあらず。 もし本心ほんしんにあらずは、 いかんぞつみんや。

大王、衆生狂惑↢四種↡。一者貪狂、二者薬狂、三者呪狂、四者本業縁狂ナリ。大王、我弟子↢是四狂↡。雖↢多↟悪、我終不↠記↢是人犯リト↟戒。是所作不↠至↢三悪↡。若↠心、亦不↠言↠犯。王本貪↠国逆↢害↡。貪狂ヲモテタメセリ。云何↠罪。大王、如↧人耽酔逆↢害↡、既醒悟ムガ↦悔恨↥。当↠知業亦↠得↠報王今貪酔。非↢本心セルニ↡。若ズハ↢本心↡、云何ムヤ↠罪

・治心 ・説法治心 4.以譬示殺

 ^大王だいおう、 たとへば*げん*四衢しくどうほとりにして、 種々しゅじゅ男女なんにょぞう瓔珞ようらくぶくげんするがごとし。 愚痴ぐちひとおもうて真実しんじつとす。 有智うちひとしんにあらずとれり。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもへり、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとろしめせり。

大王、譬↧幻師↢四衢道ホトリ↡、幻↦作ルガ種種男女・象・馬・瓔珞・衣服↥。愚痴之人オモフ為↢真実有智之人レリ↠非ズト↠真亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊シメセリズト↟真

^大王だいおう、 たとへば*山谷せんこくひびきのこえのごとし。 愚痴ぐちひとはこれをじつこえおもへり、 有智うちのひとはそれしんにあらずとれり。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもへり、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとろしめせり。

大王、譬↢山谷↡。愚痴之人↢之↡、有智之人レリ↢其非ズト↟真。殺亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊シメセリ↢其非ズト↟真

^大王だいおうひとあだあるが、 いつわきたりてしんするがごとし。 愚痴ぐちひとおもうてまことにしたしむとす、 しゃ*りょうだつしてすなはちそれむなしくいつわれりとらん。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもふ、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとろしめせり。

大王、如↢人ルガ↠怨詐親附ルガ↡。愚痴之人為↢ムト↡、智者了達↢其レリト↡。殺亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊メセリ↢其非ズト↟真

^大王だいおうひとかがみりてみづから面像めんぞうるがごとし。 愚痴ぐちひとおもうてしんおもてとす、 しゃりょうだつしてそれしんにあらずとれり。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもふ、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとろしめせり。

大王、如↣人執↠鏡ルガ↢面像↡。愚痴之人為↢真↡、智者了達レリ↢其非ズト↟真。殺亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊メセリ↢其非ズト↟真

^大王だいおう*ねつときほのおのごとし。 愚痴ぐちひとはこれはこれみずおもはん、 しゃりょうだつしてそれみずにあらずとらん。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもはん、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとろしめせり。

大王、如↢熱↡。愚痴之人↢之↡、智者了達↢其非ズト↟水。殺亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊メセリ↢其非ズト↟真

^大王だいおう*乾闥けんだつじょうのごとし。 愚痴ぐちひとおもうて真実しんじつとす、 しゃりょうだつしてそれしんにあらずとれり。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもへり、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとりょうしたまへり。

大王、如↢乾闥婆城↡。愚痴之人為↢真実↡、智者了達レリ↢其非ズト↟真。殺亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊了↢知タマヘリ其非ズト↟真

^大王だいおうひとゆめのうちによくらくくるがごとし。 愚痴ぐちひとはこれをおもうてじつとす、 しゃりょうだつしてそれしんにあらずとれり。 せつもまたかくのごとし。 ぼんじつおもへり、 諸仏しょぶつそんはそれしんにあらずとろしめせり。

大王、如↣人ルガ↢五欲↡。愚痴之人↠之為↠実、智者了達レリ↢其非ズト↟真。殺亦如↠是。凡夫↠実、諸仏世尊メセリ↢其非ズト↟真

^大王だいおう*殺法せっぽう殺業せつごう殺者せっしゃせっおよびだつ、 われみなこれをさとれり、 すなはちつみあることなけん。 おうせつるといへども、 いかんぞつみあらんや。 大王だいおう、 たとへば人主にんしゅありてさけつかさどれりとれども、 もしそれまざれば、 すなはちまたはざるがごとし。 またるといへどもしょうねんせず。 おうもまたかくのごとし。 またせつるといへども、 いかんぞつみあらんや。

大王、殺法・殺業・殺者・殺果及以解脱、我皆了レリ↠之、則ケム↠有コト↠罪。王雖↠知ルト↠殺、云何ムヤ↠罪。大王、譬↧有↢人主↡知ドモツカサドレリト↠酒モシレバ↠飲亦不ルガ↞酔。雖↢復知ルト↟火不↢焼燃↡。王亦如↠是。雖↢復知ルト↟殺、云何ムヤ↠罪。

^大王だいおう、 もろもろのしゅじょうありて、 づるときにおいて種々しゅじゅつみつくる、 つきづるときにおいてまた劫盗こうとうぎょうぜん。 日月にちがつでざるにすなはちつみつくらず。 日月にちがつによりて、 それつみつくらしむといへども、 しかるにこの日月にちがつじつつみず。 せつもまたかくのごとし。

大王、有↢諸衆生↡、於↢日↡作↢種種↡、於↢月↡復行↢劫盗↡。日月不ルニ↠出不↠作↠罪。雖↧因↢日月↡令ムト↦其↞罪、然日月実不↠得↠罪。殺亦如↠是

・治心 ・説法治心 5.以涅槃譬

 ^大王だいおう、 たとへばはんにあらずにあらずして、 またこれなるがごとし。 せつもまたかくのごとし。 非有ひう非無ひむにしてまたこれなりといへども、 ざんひとはすなはちにあらずとす。 ざんのものはすなはちにあらずとす。 ほうくるもの、 これをづけてとす。

大王、譬↢涅槃有非シテ亦是有ナルガ↡。殺亦如↠是。雖↢非有非无シテ亦是有ナリト↡、慚愧之人為↢非↡。无慚愧為↢非↡。受↢果報、名↠之為↠有

^*空見くうけんひとはすなはちにあらずとす。 *けんひとはすなはちにあらずとす。 *有有ううけんのものはまたづけてとす。 なにをもつてのゆゑに、 有有ううけんのものはほうるがゆゑに。 *無有むうけんのものはすなはちほうなし。 *じょうけんひとはすなはち非有ひうとす。 *じょうけんのものはすなはち非無ひむとす。 *常常じょうじょうけんのものはとすることをず。 なにをもつてのゆゑに、 常常じょうじょうけんのものは悪業あくごうあるがゆゑに、 このゆゑに常常じょうじょうけんのものはとすることをず。

空見之人為↢非↡。有見之人為↢非无有↡。有見亦名為↠有。何有有見ルガ↢果報↡故。无有見↢果報↡。常見之人為↢非有↡。无常見為↢非无↡。常常見不↠得↠為コトヲ↠无。何常常見ルガ↢悪業果↡故、是常常見不↠得↠為コトヲ↠无

^このをもつてのゆゑに、 非有ひう非無ひむなりといへども、 しかもまたこれなり。

↢是↡故↢非有非无シテ亦是有ナリ↡、

・治心 ・随俗説殺

^大王だいおう、 それしゅじょう出入しゅつにゅういきづく。 出入しゅつにゅういきつ、 ゆゑにづけてせつとす。 諸仏しょぶつぞくしたがひて、 またきてせつとすº。

大王、夫衆生者名↢出入↡。断↢出入↡、故為↠殺。諸仏随↠俗、亦説為↠殺

二 Ⅰ ⅰ b 所化の得益を明かす
          (一)闍王の領解を明かす

・領解発心

 ^ªそん、 われけんるに、 *らんよりらんじゅしょうず、 らんより*栴檀せんだんじゅしょうずるをばず。 われいまはじめてらんより栴檀せんだんじゅしょうずるをる。 らんはわがこれなり。 栴檀せんだんじゅはすなはちこれわがこころ*こんしんなり。 こんとは、 われはじめて如来にょらいぎょうせんことをらず、 ほうそうしんぜず、 これをこんづく。 そん、 われもし如来にょらいそんもうあはずは、 まさにりょうそうこうにおいて、 だいごくにありてりょうくべし。 われいまぶつたてまつる。 ここをもつてぶつたまふところのどくたてまつり、 しゅじょう煩悩ぼんのう悪心あくしん破壊はえせしむº と。

世尊、我見ルニ↢世間↡、従↢伊蘭子↡生↢伊蘭樹↡、不↠見↧伊蘭ヨリルヲ↢栴檀樹↥。我今始↧従↢伊蘭子↡生ルヲ↦栴檀樹↥。伊蘭子者我身是也。栴檀樹者即是我心、无根信也。无根者、我初不↠知↣恭↢敬ムコトヲ如来↡、不↠信↢法・僧↡、是↢无根↡。世尊、我若マウア↢如来世尊↡、当↧於↢无量阿僧祇劫↡、在↢大地獄↡受↦无量↥。我今見マツル↠仏↢是↠得功徳、破↢壊シムト衆生煩悩悪心↡。

^ぶつののたまはく、 ª大王だいおういかないかな、 われいまなんぢかならずよくしゅじょう悪心あくしん破壊はえすることをれりº と。

、大王、善哉善哉、我今知レリ↣汝必破↢壊コトヲ衆生悪心↡。

^ªそん、 もしわれあきらかによくしゅじょうのもろもろの悪心あくしん破壊はえせば、 われつねに阿鼻あびごくにありて、 りょうこうのうちにもろもろのしゅじょうのためにのうけしむとも、 もつてとせずº と。

世尊、若我審カニ破↢壊衆生悪心、使トモ↧我常↢阿鼻地獄↡、无量劫↢諸衆生↡受↦苦悩↥、不↢以為↟苦

・所得利益 1.重罪微薄

^そのときに、 *摩伽陀まかだこくりょう人民にんみん、 ことごとくのく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこしき。 かくのごときらのりょう人民にんみん大心だいしんほっするをもつてのゆゑに、 じゃおうしょじゅうざいすなはちはくなることをしむ。 おうおよびにん*こうきゅう采女さいにょことごとくみなおなじくのく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこしき。

摩伽陀国无量人民、悉↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。以↣如↠是无量人民、発ルヲ↢大心↡故阿闍世王所有重罪即シム↢微薄ナルコトヲ↡。王及夫人、後宮采女悉皆同↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。

・所得利益 2.得常住身

^そのときに、 じゃおう耆婆ぎばかたりていはまく、 ª耆婆ぎば、 われいまいまだせずしてすでに*天身てんしんたり。 いのちみじかきをてて長命じょうみょうじょうしんててじょうしんたり。 もろもろのしゅじょうをしてのく多羅たらさんみゃくさんだいしんほっせしむº と。

阿闍世王、語↢耆婆↡言マク、耆婆、我今未ルニ↠死↢天身↡。捨↢短命↡得↢長命↡、捨↢无常タリ↢常身↡。令↣諸衆生ヲシテ↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。

・所得利益 3.諸仏弟子

^*諸仏しょぶつ弟子でし、 このことばをはりて、 すなはち種々しゅじゅ*宝幢ほうどうをもつて、 また*じゅをもつて、 しかうして讃嘆さんだんしてまうさく、

諸仏弟子、説↢是↡已、即↢種種宝幢↡、 復以↢偈↡而讃嘆

・讃嘆

^ª*じつはなはだみょうなり。 *ぜんぎょう句義くぎにおいて、 *甚深じんじんみつぞうなり。 しゅうのためのゆゑに、

実語甚微妙ナリ善巧於↢句義
甚深秘密ナリ↠衆顕↢示

*しょ広博こうはくごんけんす。 しゅうのためのゆゑにりゃくしてかく、 かくのごときのそくして、 よくしゅじょうりょうす。

所有広博↠衆カク
具↢足キノ↠是善能↢衆生

もしもろもろのしゅじょうありて、 このくことをるものは、 もしはしんおよびしん、 さだめてこの仏説ぶっせつらん。

↢諸衆生↡↠聞コトヲ↢是↡者
信及不信↢是仏説

諸仏しょぶつつねに*なんをもつて、 しゅうのためのゆゑに*きたまふ。 粗語そごおよびなん、 みな*第一だいいちせん。

諸仏常軟語ヲモテ↠衆タマフ↠麁
麁語及軟語皆帰↢第一義

このゆゑにわれいま、 そん帰依きえしたてまつる。 如来にょらいみこといちなること、 なほ大海だいかいみずのごとし。

今者 イマ 帰↣依マツル↢世尊↡
如来ミコト一味ナルコトナホ↢大海

これを*第一だいいちたいづく。 ゆゑに*無義むぎみことにして、 如来にょらいいまきたまふところの、 種々しゅじゅりょうほう

↢第一諦无无義ミコトニシテ
如来今所↠説タマフ種種无量

男女なんにょだいしょうきて、 おなじく第一だいいちしめん。 *いんまた無果むかなり。 *しょうまためつなり。

男女大小聞シメム↢第一義
无因亦无果ナリ无生亦无滅ナリ

これをだいはんづく。 くもの*しょけつす。 如来にょらい一切いっさいのために、 つねに父母ぶもとなりたまへり。

↢大涅槃者破↢諸
如来為↢一切タマヘリ↢慈父母

まさにるべし、 もろもろのしゅじょうは、 みなこれ如来にょらいなり。 そんだい慈悲じひは、 しゅうのためにぎょうしゅしたまふこと、

↠知衆生皆是如来ナリ
世尊大慈悲↠衆タマフコト↢苦行

ひと*鬼魅きみくるはされて、 きょうらんしてしょおおきがごとし。 われいまぶつたてまつることをたり。 るところの三業さんごうぜん

↧人クルワサレテ↢鬼魅狂乱↦所為↥
我今得タリ↠見マツルコトヲ↠仏↠得三業

ねがはくはこのどくをもつて、 じょうどうこうせん。 われいまようするところの、 ぶつほうおよび衆僧しゅそう

クハ↢此功徳廻↢向无上道
我今所↢供養仏・法及衆僧

ねがはくはこのどくをもつて、 三宝さんぼうつねににましまさん。 われいままさにべきところの、 種々しゅじゅのもろもろのどく

クハ↢此功徳三宝常サム↠世
我今所↠当↠獲種種功徳

ねがはくはこれをもつて、 しゅじょう*しゅ破壊はえせん。 われあくしきうて、 さんつみぞうせり。

クハ↠此破↢壊衆生四種
我遇↢悪知識造↢作三世

いま仏前ぶつぜんにしてゆ。 ねがはくはのちにまたつくることなからん。 ねがはくはもろもろのしゅじょうひとしくことごとくだいしんほっせしめん。

↢仏前↡悔クハラム↠造コト
クハ衆生等セシ↢菩提心

こころけてつねに、 十方じっぽう一切いっさいぶつねんせん。 またねがはくはもろもろのしゅじょうながくもろもろの煩悩ぼんのうし、

↠心思↢念十方一切仏
復願クハ衆生↢諸煩悩

了々りょうりょうぶっしょうること、 なほ*みょうとくのごとくしてひとしからんº と。

了了コト↢仏性猶↢如 ゴトク シテ妙徳↡等カラムト

二 Ⅰ ⅰ b ハ (二)釈迦の述成を明かす

 ^そのときに、 そんじゃおうめたまはく、 ªいかないかな、 もしひとありてよくだいしんほっせん。 まさにるべし、 このひとはすなはち諸仏しょぶつ大衆だいしゅしょうごんすとす。 大王だいおう、 なんぢむかしすでに*毘婆尸びばしぶつのみもとにして、 はじめてのく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこしき。 これよりこのかた、 わがしゅっいたるまで、 そのちゅうげんにおいていまだかつてまたごくしてけず。 大王だいおうまさにるべし、 だいしん、 いましかくのごときりょうほうあり。 大王だいおうきょうよりおうに、 つねにまさにねんごろにだいしんしゅすべし。 なにをもつてのゆゑに、 この因縁いんねんしたがてまさにりょうあくしょうめつすることをべきがゆゑなりº と。

世尊、讃タマハク↢阿闍世王↡、善カナ哉、若↠人能↢菩提心↡。当↠知為↣荘↢厳スト諸仏大衆↡。大王、汝昔已↢毘婆尸仏ノミモトニ↡、初↢阿耨多羅三藐三菩提心↡。従↠是已来マデ↢我出世↡、於↢其中間↡未↧曽復堕↢地獄↡受↞苦。大王当↠知、菩提之心、乃↢如↠是无量果報↡。大王、従ケフ已往、常↣懃菩提之心↡。何↢是因縁↡当キガ↠得↣消↢滅コトヲ无量↡故ナリ

二 Ⅰ ⅰ b ハ (三)益を得て宮に還る

^そのときに、 じゃおうおよび摩伽陀まかだこく人民にんみんこぞつてよりしてちて、 ぶつめぐること*さんぞうして、 退たいしてみやかえりにき」 と。 以上抄出

阿闍世王及摩伽陀国↢人民↡従↠座シテ、遶コト↠仏三帀シテ、辞退ニキト↠宮。」 已上抄出

二 Ⅰ ⅰ 重明(「迦葉品」)
        興逆の因縁を顕して以て造罪の始末を詳述す

【117】^またのたまはく (涅槃経・迦葉品)

又言

^善男ぜんなん*えつおう*びんしゃ、 そのおうたいづけて善見ぜんけん (阿闍世) といふ。 *ごう因縁いんねんのゆゑにあくぎゃくこころしょうじて、 そのちちがいせんとするに、 しかるに便たよりをず。

「善男子、羅閲祇王頻婆沙羅、其太子名↢善見↡。業因縁↢悪逆↡、ルニ↠害ムト↢其↡、而不↠得↠便

^そのときに、 悪人あくにんだいだっ、 また過去かこごう因縁いんねんによるがゆゑに、 またわがところにおいてぜんこころしょうじて、 われをがいせんとす。 すなはちつうしゅして、 ひさしからずして善見ぜんけんたいとともに*親厚しんこうたることをぎゃくとくせり。

悪人提婆達多、亦因↢過去業因縁↡故復於↢我↡生↢不善↡、↠害ムト↠我。即↢五通↡、不シテ↠久カラ獲↧得↢善見太子↡共タルコトヲ↦親↡。

 ^たいのためのゆゑに、 種々しゅじゅ神通じんずうげんす。 もんにあらざるよりでてもんよりしてりて、 もんよりしてでてもんにあらざるよりしてる。 あるときぞうようなんにょしんげんす。

↢太子↡故現↢作種種神通之事↡。従↠非↠門↠門シテ、従↠門シテルヨリ↠門シテ。或時示↢現象・馬・牛・羊・男之身↡。

^善見ぜんけんたいをはりて、 すなはち愛心あいしんしんきょうしんこころしょうず。 これをほんとするがゆゑに、 種々しゅじゅよう厳設ごんせつしこれをようす。 ^またまうしてまうさく、 ª*だいしょうにん、 われいま*まん陀羅だらんとおもふº と。

善見太子見已、即↢愛心・喜心・敬信之心↡。為ルガ↢是↡故キビシ種種供養之具供↢養↡。又復白、大師聖人、我今欲フト↠見ムト↢曼陀羅華↡。

^ときだいだっ、 すなはちきて*さんじゅうさんてんいたりて、 かの天人てんにんしたがひてこれをしゃくするに、 そのふくくるがゆゑにすべてあたふるものなし。

提婆達多、即便トシテ↢三十三天↡、従↢彼天人求↢索ルニ↡、其福尽ルガ↢与者↡。

^すでにはなず。 このゆいをなさく、 ªまん陀羅だらじゅ*しょなし、 もしみづかららんにまさになんのつみかあるべきº と。 すなはちすすんでらんとするに、 すなはち神通じんずううしなへり。 かえりてしんれば、 王舎おうしゃじょうにあり。 こころざんしょうじ、 また善見ぜんけんたい (阿闍世)ることあたはず。

不↠得↠華。作↢是思惟↡、曼陀羅樹↢我・我所↡、若↠有↢何↡。即ルニ↠取ムト、便ヘリ↢神通。↡還レバ↢己身↡、在↢王舎城↡。心ルニ↢慚愧↡、不↠能↢復見コト↡善見太子

^またこのねんをなさく、 ªわれいままさに如来にょらいみもとおうして大衆だいしゅしゃくすべし。 ぶつもしゆるさば、 われまさにこころしたがひておしへて、 すなはち*しゃほつとう*詔勅しょうちょくすべしº と。

復作↢是↡、我今当↧往↢至如来↡求↦索大衆↥。仏若、我当シト↣随↠意詔↢勅便舎利弗等↡。

^そのときに、 だいだっ、 すなはちわがところきたりてかくのごときのごんをなさく、 ªやや、 ねがはくは如来にょらい、 この大衆だいしゅをもつてわれに*ぞくせよ。 われまさに種々しゅじゅほうきてきょうして、 それをして*調じょうぶくせしむべしº と。 われ*にんにいはく、 ªしゃほつとう*だいちょうもんして信伏しんぶくするところなり。 われなほ大衆だいしゅをもつてぞくせじ。 いはんやなんぢにんつばきらふものをやº と。

提婆達多、便↢我↡作↢如キノ↠是↡、ヤヽクハ如来、以↢此大衆↡付↢嘱於我↡。我当シト↣種種↠法教化、令↢其ヲシテ調トヽノウ シタガフ↡。我言↢痴人↡、舎利弗等、聴↢聞大智↡世ナリ↢信伏↡。我猶↧以↢大衆↡付嘱↥。況汝痴人、食↠唾

^ときだいだっ、 またわがところにおいてますます悪心あくしんしょうじて、 かくのごときのごんをなさく、 ªどん、 なんぢいままた大衆だいしゅ調じょうぶくすといへども、 いきおひまたひさしからじ。 まさにるにめつすべしº と。

提婆達多、復於↢我↡倍↢悪心↡、作↢如キノ↠是↡、瞿曇、汝今雖↣復調↢伏大衆↡、勢亦↠久カラ。当シト↢見ルニ磨滅↡。

^このをなしをはるに、 だいそく六反ろっぺん震動しんどうす。 だいだっ、 すなはちのときたおて、 そのへんよりだい暴風ぼうふういだして、 もろもろのじんきてこれを*ふんす。 だいだっ悪相あくそうをはりて、 またこのごんをなさく、 ªもしわれこのげんにかならず*阿鼻あびごくらば、 *わがあくまさにかくのごときの大悪だいあくむくふべしº と。

↢是↡已、大地即時六反震動。提婆達多、尋チノ↠地↢其辺↡出↢大暴アラキ↡、吹↢諸塵土ケガス↢坌ヌル↡。提婆達多見↢悪相↡已、復作↢是↡、若我此身、現世↢阿鼻地獄↡、我悪当シト↠報↢如キノ↠是大悪↡。

^ときだいだっ、 すなはちちて善見ぜんけんたい (阿闍世)ところおうす。 善見ぜんけんをはりてすなはちしょうにん (提婆達多)はく、 ªなんがゆゑぞ顔容げんようしょうすいしてうれへのいろあるやº と。

提婆達多、尋往↢至善見太子↡。善見見已ハク↢聖人↡、何顔容憔悴↢憂色↡

^だいだっいはく、 ªわれつねにかくのごとし。 なんぢらずやº と。

提婆達多言、我常↠是。汝不↠知

^善見ぜんけんこたへていはく、 ªねがはくはそのこころくべし、 なんの因縁いんねんあつてか、 しかるº と。

善見答ウク↡、何因縁アテカルト

^だいだつのいはく、 ªわれいまなんぢがために、 きはめて親愛しんあいをなす。 *外人がいじんなんぢを*りて、 もつて非理ひりとす。 われこのくに、 あにうれへざることをんやº と。

提婆、我今タメ↠汝↢親愛↡。ガイジンノリ↠汝為↢非理コトハリ↡。我聞↢是↡、豈ムヤト↠不コトヲ↠憂

^善見ぜんけんたいまたこのごんをなさく、 ªくにひといかんぞわれを*にくするº と。

善見太子復作↢是↡、国人云何罵↢辱ルト於我↡。

^だいだつのいはく、 ªくにひとなんぢをりてしょうおんとすº と。

提婆達、国人罵↠汝↢未生怨↡。

^善見ぜんけんまたいはく、 ªなんがゆゑぞわれをづけてしょうおんとする。 たれかこのをなすº と。

善見復言、何↠我↢未生怨↡。誰スト↢此↡。

^だいだつのいはく、 ªなんぢいまだうまれざりしとき一切いっさいそうみなこのごんをなさく、 «このうまれをはりて、 まさにそのちちころすべし» と。 このゆゑにがいじんみなことごとくなんぢをごうしてしょうおんとす。 一切いっさい*ないひと、 なんぢがこころまもるがゆゑに、 いうて善見ぜんけんとす。

提婆達、汝未リシ↠生時、一切相師皆作↢是↡、是児生、当シト↠殺↢其↡。是外人皆悉↠汝為↢未生怨↡。一切内人護ルガ↢汝↡故、謂為↢善見↡。

^だいにん (韋提希) このきをはりて、 すでになんぢをまんとして、 こうろううえよりこれをてしに、 なんぢがひとつのゆびやぶれり。 この因縁いんねんをもつて、 ひとまたなんぢをごうして*婆羅ばら留枝るしとす。 われこれをきをはりてこころしゅうふんしょうじて、 またなんぢにかひてこれをくことあたはずº と。

毘提夫人聞↢是↡已、既ムトシテ↠汝↢高楼上↡棄シニ↢之↟地、壊レリ↢汝↡。以↢是因縁↡、人復号↠汝為↢婆羅オン↡。我聞↠是↢愁憤復不↠能↢向↠汝コト↟之

^だいだっ、 かくのごときらの種々しゅじゅあくをもつて、 おしへてちちころさしむ。 ªもしなんぢがちちせば、 われまたよくどん沙門しゃもんころさんº と。

提婆達多以↢如↠是種種悪事↡、教↠殺↠父。若父死、我亦能ムト↢瞿曇沙門↡。

^善見ぜんけんたい (阿闍世)、 ひとりの大臣だいじんはく、 づけて*ぎょうといふ。 ª大王だいおう、 なんがゆゑぞわがあざなてんとするに、 しょうおんつくるやº と。

善見太子問↢一大臣↡、名↢雨行↡。大王、何ルニ↢我ムト↟字、作ルヤト↢未生怨↡。

^大臣だいじんすなはちためにその本末ほんまつく、 だいだつ所説しょせつのごとくしてなけん。

大臣即↢其本未↡、如クシテ↢提婆達所説↡无ケム↠異。

^善見ぜんけんきをはりて、 すなはち大臣だいじんとともにそのちちおうつて、 これをしろほかぢ、 *しゅつわものをもつて、 しかうしてこれをしゅせしむ。 だいにん (韋提希) このきをはりて、 すなはちおうところいたる。 ときにおうまもりて、 ひとをしてさえぎりてることをゆるさず。 そのときに、 にんしんこころしょうじてすなはちこれを*呵罵かめす。

善見聞、即トモ↢大臣↢其↡閉↢之↡、以↢四種↡而守↢衛シム↡。毘提夫人聞↢是↡已、即↢王↡。時↠王、人ヲシテ不↠聴↠入コトヲ。爾夫人、生↢瞋恚↡便呵↢イマシムノル↡。

^ときにもろもろの守人しゅにん、 すなはちたいぐらく、 ª大王だいおうにんちちおうんとおもふをば、 いぶかし、 ゆるしてんやいなやº と。

守人、即ラク↢太子↡、大王夫人、欲フヲバ↠見ムト↢父↡、不審イブカシテムヤヤト

^善見ぜんけんきをはりてまた*しんけんしょうじて、 すなはちははところきて、 すすんでははかみきて、 かたなきてらんとす。

善見聞復生↢瞋嫌キラフ↡、即↢母↡、前↢母↡、抜↠刀↠斫ムト

^そのときに、 耆婆ぎばまうして大王だいおうにいはく、 ªくにたもつてよりこのかた、 つみきはめておもしといへども、 女人にょにんおよばず。 いはんやしょしょうははをやº と。

耆婆白↢大王↡、タモテヨリ↠国已来罪雖↢極シト↡、不↠及↢女人↡。況所生ヲヤト

^善見ぜんけんたい (阿闍世) このきをはりて、 耆婆ぎばのためのゆゑにすなはち放捨ほうしゃして、 さえぎりて大王だいおうぶく臥具がぐ飲食おんじき湯薬とうやくつ。 七日しちにちぎをはるに、 おういのちすなはちおわりぬと。

善見太子聞↢是↡已、為↢耆婆↡故即便放捨、遮↢大王衣服・臥具・飲食・湯薬↡。過↢七日↡已ルニ、王命便ヌト

^善見ぜんけんたいちちそうをはりて、 まさにしんしょうず。

善見太子、見↢父↡已、方↢悔心↡。

^ぎょう大臣だいじん、 また種々しゅじゅ悪邪あくじゃほうをもつて、 しかうしてためにこれをく。 ª大王だいおう一切いっさいごうぎょうすべてつみあることなし。 なんがゆゑぞ、 いましんしょうずるやº と。

雨行大臣、復以↢種種悪邪之法↡、而↠之。大王、一切業行都↠有コト↠罪。何今者 イマ 而生ヤト↢悔心↡。

^耆婆ぎばまたいはく、 ª大王だいおうまさにるべし、 かくのごときのごう罪業ざいごうじゅうなり。 ひとつにはちちおうころさん、 ふたつには*しゅおんころせり。 かくのごときのつみは、 ぶつのぞきてさらによく除滅じょめつしたまふひとましまさずº と。

耆婆復言、大王当↠知、如キノ↠是業者罪業二重ナリ。一者殺↢父↡、二者殺セリ↢須陀洹↡。如キノ↠是罪者、除↠仏サズト↢能除滅タマフヒト↡。

^善見ぜんけんおういはく、 ª如来にょらい清浄しょうじょうにしてじょくましますことなし。 われら罪人ざいにんいかんしてか、 たてまつることをんº と。

善見王言、如来清浄ニシテ↠有スコト↢穢ケガラハシ濁↡。我等罪人云何シテカ↠見マツルコトヲ

二 Ⅰ ⅰ c 入不入の説意を弁じて上の不入涅槃の意を顕す

 ^善男ぜんなん、 われ*このらんと。 *なんげたまはく、 ªつきぎをはりて、 われまさにはんすべきがゆゑにº と。 善見ぜんけんきをはりて、 すなはちわがところきたれり。 われためにほうきて、 じゅうざいをしてうすきことをしめき、 こんしんしむ。

善男子、我知ムト↢是↡。告ハク↢阿難↡、過↢三月↡已、吾当キガ↢涅槃↡故ニト。善見聞、即レリ↢我↡。我為↠法、重罪ヲシテシメ↠薄キコトヲメタマヘト↢无根↡。

 ^善男ぜんなん、 わがもろもろの弟子でし、 このせつきをはりて、 わがこころさとらざるがゆゑに、 このごんをなさく、 ª如来にょらいさだめてひっきょうはんきたまへりº と。

善男子、我弟子聞↢是↡已、不ルガ↠解↢我↡故↢是↡、如来定タマヘリ↢畢竟涅槃↡。

^善男ぜんなんさつしゅあり。 ひとつには*じつふたつには*みょうなり。 みょうさつ、 われつきあつてまさにはんるべしときて、 みな退心たいしんしょうじてこのごんをなさく、 ªもしそれ如来にょらいじょうにしてじゅうしたまはずは、 われらいかがせん。 こののためのゆゑに、 りょうのうちにだいのうけき。 如来にょらいそんりょうどくじょうじゅそくしたまひて、 なほすることあたはず。 かくのごときの死魔しまをや。 いはんやわれらがともがら、 まさによくすべけんやº と。

善男子、菩薩二種アリ。一者実義、二者仮名ナリ。仮名菩薩、聞↢我三月アテシト↟入↢涅槃↡、皆生↢退心↢是↡、モシ如来无常ニシテ↠住タマハ、我等何。為↢是↡故无量世ケキ↢大苦悩↡。如来世尊成↢就具↣足タマヒテ无量功徳↡、尚不↠能↠壊コト。如キノ↠是死魔ヲヤ。況我等輩当ケム↢能

^善男ぜんなん、 このゆゑに、 われかくのごときのさつのためにして、 このごんをなさく、 ª如来にょらい常住じょうじゅうにして変易へんやくあることなしº と。 わがもろもろの弟子でし、 このせつきをはりて、 わがこころさとらざれば、 さだめていはく、 ª如来にょらいはつひにひっきょうじてはんりたまはずº」 と。 以上抄出

善男子、是我為↢如キノ↠是菩薩シテ↢是↡、如来常住ニシテ↠有コト↢変易↡。我弟子、聞↢是↡已レバ↠解↢我↡、定、如来↣畢竟タマハ↢於涅槃↡。」 已上抄出

二 Ⅰ 結成・勧信

【118】^ここをもつていまだいしょう (釈尊)真説しんせつによるに、 *なんさん*なんさんびょうは、 だいぜいたの*利他りた信海しんかいすれば、 これを*矜哀こうあいしてす、 これを憐憫れんびんしてりょうしたまふたとへばだいみょうやくの、 一切いっさいやまいりょうするがごとし。 *じょく庶類しょるいあくぐんじょう*金剛こんごう不壊ふえ真心しんしんねんすべし。 *本願ほんがんだいみょうやくしゅうすべきなりと、 るべし。

今拠↢大聖真説↡、難化三機、難治三病者、憑↢大悲弘誓↡、帰レバ↢利他信海↡、矜↢オホキニ アハレム↡治、憐↢アハレミ アハレム↡療タマフ。喩↣醍醐妙薬ルガ↢一切↡。濁世モロモロ類、穢悪群生、応↣求↢念金剛不壊真心↡。可↣執トル↢持本願醍醐妙薬↡也、応↠知

料簡
   

【119】^それしょだいじょうによるに、 なんけり。 いま ¬だいきょう¼ には 「*唯除ゆいじょぎゃくほうしょうぼう」 といひ、 ^あるいは 「*唯除ゆいじょぞう*けん悪業あくごうほうしょうぼうぎゅうしょしょうにん(如来会・上) とのたまへり。 ^¬かんぎょう¼ にはぎゃくおうじょうかして謗法ほうぼうかず。 ^¬はんぎょう¼ にはなんやまいとをけり。 これらのしんきょう、 いかんがりょうせんや。

↢諸大乗↡、説↢難化↡。今¬大経ニハ¼言↢「唯除五逆誹謗正法」↡、或↢「唯除造无間悪業誹謗正法及諸聖人」↡。¬観経ニハ¼明↢五逆往生↡不↠説↢謗法↡。¬涅槃経ニハ¼説↢難治↟病。斯等真教、云何思量

二 Ⅱ
      通じて祖文を引く
        文に依る
          (一)七箇の問答有り(¬論註¼)
            (Ⅰ)大観二経の相違を会す

【120】^こたへていはく、 ¬ろんちゅう¼ (上) にいはく、

、¬論¼曰

^うていはく、 ¬りょう寿じゅきょう¼ (下) にのたまはく、 ªおうじょうがんぜんもの、 みなおうじょうしむ。 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞくº (意) と。 ^¬*かんりょう寿じゅきょう¼ に、 ªぎゃくじゅうあくもろもろのぜんせるもの、 またおうじょうº といへり。 このきょう、 いかんが*せんやと。

「問、¬无量寿経¼言、願↢往生、皆得シム↢往生↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲ↡。¬観无量寿経¼言ヘリ↧五逆・十悪具ルモノ↢諸不善↡、亦得↦往生↥。此二経、云何ムヤ

 ^こたへていはく、 いっきょう (大経) にはしゅじゅうざいするをもつてなり。 ひとつにはぎゃくふたつにはほうしょうぼうなり。 このしゅつみをもつてのゆゑに、 このゆゑにおうじょうず。 いっきょう (観経) にはただじゅうあくぎゃくとうつみつくるというて、 しょうぼうほうすといはず。 しょうぼうほうせざるをもつてのゆゑに、 このゆゑにしょうしむと。

、一経ニハテナリ↠具ルヲ↢二種重罪↡。一者五逆、二者誹謗正法ナリ。以↢此二種↡故所以コノユヘニ不↠得↢往生↡。一経但言↠作ルト↢十悪・五逆等↡、不↠言↣誹↢謗スト正法↡。以↠不ルヲ↠謗↢正法↡故、是シムト↠生

 ^うていはく、 たとひ一人いちにんぎゃくざいしてしょうぼうほうせざれば、 ¬きょう¼ (観経)とくしょうゆるす。 また一人いちにんありてただしょうぼうほうして、 ぎゃくもろもろのつみなきものおうじょうがんぜば、 しょうるやいなやと。

、仮使一人↢五逆罪レバ↣誹↢謗正法↡、¬経¼許↢得生↡。復有↢一人↡但誹↢謗正法キモノ↢五逆諸罪↡願↢往生、得ルヤ↠生以不

 ^こたへていはく、 ただしょうぼうほうせしめて、 さらにつみなしといへども、 かならずしょうずることをじ。 なにをもつてこれをいふとならば、 ¬きょう¼ (*大品般若経) にいはく、 ªぎゃく罪人ざいにん阿鼻あびだいごくのなかにして、 つぶさに一劫いっこうじゅうざいく。 ほうしょうぼうひと阿鼻あびだいごくのなかにして、 このこうもしくれば、 またてんじてほう阿鼻あびだいごくのなかにいたる。 かくのごとく展転てんでんしてひゃくせん阿鼻あびだいごくº と。 ぶつづることをせつしたまはず。 ほうしょうぼうつみごくじゅうなるをもつてのゆゑなり。

、但令↣誹↢謗正法↡、雖↣更シト↢余罪↡、必↠得↠生コト。何↠之、¬経¼言、五逆罪人堕↢阿鼻大地獄↡、具↢一劫重罪↡。誹謗正法↢阿鼻大地獄↡、此劫若レバ復転↢他方阿鼻大地獄↡。如↠是展転↢百千阿鼻大地獄↡。仏不↠記タマハ↢得↠出コトヲ時節↡。以↢誹謗正法罪極重ナルヲ↡故ナリ

^またしょうぼうはすなはちこれ仏法ぶっぽうなり。 この愚痴ぐちひと、 すでにほうしょうず、 いづくんぞぶつ*がんしょうするのことわりあらんや。 たとひただかの安楽あんらくしょうぜんことをとんじてしょうがんぜんは、 またみずにあらざるのこおりけむりなきのもとめんがごとし。 あにことわりあらんやと。

又正法者即是仏法ナリ。此愚痴人、既↢誹謗↡、安ムヤ↧願↢生仏土↡之理↥。仮使但貪↣彼コトヲ↢安楽ゼム↠生、亦如↠求メムガ↢非↠水之氷、无↠煙之火↡。豈ムヤ↢得理↡。

 ^うていはく、 なんらのそうか、 これほうしょうぼうなるやと。

、何等、是誹謗正法ナルヤ

 ^こたへていはく、 もしぶつ仏法ぶっぽうさつさつほうといはん。 かくのごときらの*けんをもつて、 もしはこころにみづからさとり、 もしはしたがひてそのこころけてけつじょうするを、 みなほうしょうぼうづくと。

、若↢无仏・无仏法・无菩薩・无菩薩法↡。如↠是ヲモテ、若、若↠他↢其↡決定ルヲ皆名クト↢誹謗正法↡。

 ^うていはく、 かくのごときらのはただこれおのれがなりしゅじょうにおいてなんののうあればか、 ぎゃくじゅうざいえんやと。

、如↠是ハカラフ但是己ナリ。於↢衆生↡有レバカ↢何苦悩↡、踰↢五逆重罪↡

 ^こたへていはく、 もし諸仏しょぶつさつけんしゅっけん*善道ぜんどうきてしゅじょうきょうするひとましまさずは、 あに*じんれいしんあることをらんや。 かくのごときけん一切いっさい善法ぜんぽうみなだんじ、 しゅっけん一切いっさい*げんじょうみなめっしなん。 なんぢただぎゃくざいじゅうたることをりて、 ぎゃく