けんじょう真実しんじつしん文類もんるい じょ

禿とくしゃく親鸞しんらんしゅう

別序  立正意

 それおもんみれば、 *しんぎょうぎゃくとくすることは、 *如来にょらいせんじゃく願心がんしんよりほっす。 真心しんしん*開闡かいせんすることは、 だいしょう (釈尊) *矜哀こうあいぜんぎょうよりけんしょうせり

如来選択の願心 阿弥陀仏がいんにおいて一切の自力の行信を選び捨て、 他力の行信を選び取り、 万人を平等に救おうと誓願せいがんした大慈大悲心のこと。
開闡 ひらきあらわすこと。
矜哀の善巧 深いあわれみの心による善巧方便。 →ほう便べん

夫以、獲↢得信楽↡、発↣起自↢如来選択願心↡。開↢闡真心↡、顕↣彰従↢大聖矜哀善巧↡。

○別序  挙邪執

 しかるに*末代まつだい道俗どうぞくこんしゅう*しょう唯心ゆいしんしずみて*じょうしんしょうへんす、 *じょうさん*しんまよひて*金剛こんごう真信しんしんくら

末代の道俗 末法まっぽうの時代の出家と在家の者。
自性唯心 万有はその本性についていえば、 ただ心の変現にほかならないもので、 自己の心以外に何ものもないとするしょうどうもんの考え。 この立場より自己の心性を指してただちに弥陀といい、 この心を浄土であると主張する。
自心 自力の心。
金剛の真信 如来こうの信心のこと。 →金剛こんごうしん

然末代道俗、近世宗師、沈↢自性唯心↡貶↢浄土真証↡、迷↢定散自心↡昏↢金剛真信↡。

○別序  示造意

1.承仏祖

 ここに*禿とくしゃく親鸞しんらん諸仏しょぶつ如来にょらい真説しんせつしんじゅんして、 *ろん*しゃくしゅうえつ

論家 りゅうじゅ菩薩・天親てんじん菩薩を指す。
釈家 曇鸞どんらんだいどうしゃくぜん善導ぜんどう大師・源信げんしんしょう法然ほうねん上人を指す。

爰愚禿釈親鸞、信↢順諸仏如来真説↡、披↢閲論家・釈家宗義↡、

2.叙造意

ひろ*さんぎょう光沢こうたくかぶりて、 ことに*一心いっしんもんひらく。 *しばらくもんいたしてつひに明証みょうしょういだ

三経の光沢 ¬大経¼ ¬観経¼ ¬小経¼ の輝かしい恩恵。
一心の華文 一心の信心を説いた名文。 天親菩薩の ¬浄土論¼ を指す。
しばらく疑問を… 下に三一問答を設けたことをいう。

広蒙↢三経灮沢↡、特開↢一心華文↡、且至↢疑問↡遂出↢朙証↡。

3.為報恩

まことに仏恩ぶっとんじんじゅうなるをねんじて、 *人倫じんりん哢言ろうげんぢず

人倫の哢言 人々のあざけり。

誠念↢仏恩深重↡不↠恥↢人倫哢言↡。

4.誡疑謗

*じょうほうねがしゅ*いきいと庶類しょるい取捨しゅしゃくわふといへども*ほうしょうずることなかれとなり

浄邦 阿弥陀仏の浄土のこと。
穢域 穢土えどのこと。
毀謗 そしること。

忻↢浄邦↡徒衆、厭↢穢域↡庶類、雖↠加↢取捨↡、莫↠生↢毀謗↡矣。

標挙

しんしんぎょうがん *正定しょうじょうじゅ

 

けんじょう真実しんじつ文類もんるい 三

禿とくしゃく親鸞しんらんしゅう

大信釈  直釈(嘆徳出願)

1.総標

【1】 つつしんで*往相おうそうこうあんずるに、 *大信だいしんあり

謹按↢往相廻向↡、有↢大信↡。

2.嘆徳(十二嘆名)

だい信心しんじんはすなはちこれ*ちょうせい不死ふし神方しんぽう*ごんじょうえん妙術みょうじゅつ*せんじゃくこう直心じきしん*利他りた深広じんこう*しんぎょう*金剛こんごう不壊ふえ真心しんしんおうにんじょうしん心光しんこうしょう一心いっしん希有けうさいしょう大信だいしんけん難信なんしん*捷径せつけい*しょうだいはん真因しんいん極速ごくそくえんにゅう*びゃくどう真如しんにょ一実いちじつ信海しんかいなり

長生不死の神方 しょうを超えたしょうめつの命を得る不可思議な方法。
欣浄厭穢の妙術 浄土をねがい穢土えどを厭う道理にかなうすぐれた方法。
選択回向の直心 阿弥陀仏が選び取り回向した真如しんにょにかなった心。
金剛不壊の真心 金剛のように堅く、 破壊されることのない信心。
捷径 近道。
証大涅槃の真因 この上ないさとりを開く真実の因種 (たね)。
白道 「散善義」 の二河喩にもとづく語。 →二河にが比喩ひゆ

大信心者、則是長生不死之神方、忻浄厭穢之妙術、選択廻向之直心、利他深広之信楽、金剛不壊之真心。易往无人之浄信、心灮摂護之一心、希有最勝之大信、世間難信之捷径、証大涅槃之真因、極速円融之白道、真如一実之信海也。

3.出願

このしんすなはちこれ*念仏ねんぶつおうじょうがん (第十八願) よりでたり。 この大願だいがん*せんじゃく本願ほんがんづく、 また本願ほんがん*三心さんしんがんづく、 またしんしんぎょうがんづく、 また往相おうそう信心しんじんがんづくべきなり

斯心即是出↠於↢念仏往生之願↡。斯大願名↢選択本願↡、亦名↢本願三心之願↡、復名↢至心信楽之願↡、亦可↠名↢往相信心之願↡也。

4.述義

しかるに*じょうもつぼんてんぐんじょう*じょうみょうじょうじがたきにあらず、 真実しんじつしんぎょうまことにることかたし。 なにをもつてのゆゑに、 いまし如来にょらい*加威かいりきによるがゆゑなり、 ひろ*だいこうちからによるがゆゑなり。 たまたまじょうしんば、 このしん顛倒てんどうせず、 このしん虚偽こぎならず。 ここをもつて極悪ごくあくじんじゅうしゅじょうだいきょうしん*もろもろのしょうそんじゅうあいるなり

常没の凡愚 つねに迷いの世界に沈んでいるぼん
無上妙果 この上なくすぐれた証果。 仏のさとりのこと。
加威力 仏がしゅじょうに加える不可思議な救済力。
大悲広慧の力 広大な慈悲と智慧ちえの力。
もろもろの聖尊 ここでは諸仏のこと。

然常没凡愚、流転群生、无上妙果不↠難↠成、真実信楽実難↠獲。何以故、乃由↢如来加威力↡故、博因↢大悲広慧力↡故。遇獲↢浄信↡者、是心不↢顛倒↡、是心不↢虚偽↡。是以極悪深重衆生、得↢大慶喜心↡、獲↢諸聖尊重愛↡也。

○大信釈  引文  経説

1.因願  大経

【2】 しんしんぎょう本願ほんがん (第十八願) もん、 ¬*だいきょう¼ (上) にのたまはく、 「たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょうしんいたしんぎょうしてわがくにうまれんとおもひて、 ないじゅうねんせん。 もしうまれざればしょうがくらじと。 ただ*ぎゃく*ほうしょうぼうのぞく」 と

誹謗正法 仏の正しい教法をそしり、 その真実性を否定すること。

至心信楽本願文、¬大経¼言。「設我得↠仏、十方衆生、至↠心信楽欲↠生↢我国↡、乃至十念、若不↠生者不↠取↢正覚↡。唯除↢五逆誹謗正法↡。」

1.因願  如来会

【3】 ¬*りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にのたまはく、 「もしわれ*じょうかくしょうとくせんとき、 ぶつ*せつのうちのもろもろのじょうるい、 わがき、 おのれがしょ善根ぜんごん心々しんしんこうせしむ。 わがくにしょうぜんとがんじて、 ないじゅうねんせん。 もししょうぜずは*だいらじと。 ただ*けん悪業あくごうつくり、 しょうぼうおよびもろもろのしょうにんほうせんをばのぞく」 と

無上覚 この上ない仏のさとり。
 梵語クシェートラ (kşetra) の音写。 国土・世界の意。
無間の悪業 無間地獄 (阿鼻地獄) にちる悪しき業で、 ぎゃくざいをいう。

¬无量寿如来会¼言。「若我証↢得无上覚↡時、余仏刹中諸有情類、聞↢我名↡、已所有善根心心廻向、願↠生↢我国↡乃至十念、若不↠生者不↠取↢菩提↡。唯除↧造↢无間悪業↡、誹↦謗正法及諸聖人↥。」

2.成就文  大経

【4】 本願ほんがんじょうじゅもん、 ¬きょう¼ (*大経・下) にのたまはく、 「あらゆるしゅじょう、 そのみょうごうきて信心しんじんかんせんこと、 ない*一念いちねんせん。 *しんこうせしめたまへり。 かのくにしょうぜんとがんぜば、 すなはちおうじょう*退転たいてんじゅうせん。 ただぎゃくほうしょうぼうとをばのぞく」 と

一念 →一念いちねん
至心に回向せしめたまへり 通常は 「至心に回向して」 と読む。 親鸞聖人は如来回向の義をあらわすために、 このように読みかえた。

本願成就文、¬経¼言。「諸有衆生、聞↢其名号↡信心歓喜、乃至一念、至心回向。願↠生↢彼国↡、即得↢往生↡住↢不退転↡。唯除↢五逆誹謗正法↡。」

2.成就文  如来会

【5】 ¬*りょう寿じゅ如来にょらい会¼ (下) にのたまはく、 *だい流志るしやくほう仏国ぶっこくしょじょうりょう寿じゅ如来にょらいみょうごうきてよく一念いちねんじょうしんおこして*かんせしめ、 しょ善根ぜんごんこうしたまへるをあいぎょうして、 りょう寿じゅこくしょうぜんとがんぜば、 がんしたがひてみなうまれ、 退転たいてんない*じょうしょうとうだいんと。 けんしょうぼうほうし、 およびしょうじゃそしらんをばのぞく」 と

歓喜…愛楽して 通常は 「歡喜愛楽し、 所有の善根回向して」 と読む。 親鸞聖人は如来回向の義をあらわすために、 このように読みかえた。
無上正等菩提 のく多羅たらさんみゃくさんだいのこと。

¬无量寿如来会¼言。菩提流支訳 「他方仏国所有有情、聞↢无量寿如来名号↡、能発↢一念浄信↡歓喜、愛↢楽所有善根回向↡、願↠生↢无量寿国↡者、随↠願皆生、得↢不退転乃至无上正等菩提↡。除↧五无間誹↢謗正法↡及謗聖者↥。」

3.信益  大経(教主嘆誉)

【6】 またのたまはく (*大経・下)、 「ほうきてよくわすれず、 *うやまおおきによろこばば、 すなはちわがしんなり。 このゆゑにまさにこころおこすべし」 と

見て…慶ばば 見は聞見のこと。 名号のいわれを聞きひらき、 信を得て法を敬い深く心によろこべば。

又言。「聞↠法能不↠忘、 見敬得大慶、 則我善親友。 是故当↠発↠意。」

3.信益  如来会(住不退転)

【7】 またのたまはく (*如来会・下)、 「かくのごときらのるい*とくのひとなり。 よく*広大こうだい仏法ぶっぽうもんしょうぜん」 と

大威徳のひと 仏のすぐれた徳を与えられている人。
広大仏法の異門 広大無辺な仏法の徳を実現し、 比類のない特異な法門を成就したところ。 安楽浄土のこと。

又言。「如↠是等類、大威徳者、能生↢広大仏法異門↡。」

3.信益  如来会(諸尊重愛)

【8】 またのたまはく (*同・下)、 「如来にょらいどくぶつのみみづからろしめせり。 ただそんましましてよくかいしたまふ。 *てんりゅうしゃおよばざるところなり。 じょうおのづからみょうごんつ。 もしもろもろのじょうまさにぶつして、 ぎょう*げんえ、 がんのぼつて、 いちぶつどく*えんせん。 ときこう思議しぎえん。 このちゅうげんにおいてめつすとも、 ぶつしょうはよくはかることなけん。 このゆゑにしんもんおよびもろもろの*ぜんしょうじゅそくして、 かくのごときのじんみょうほうくことをば、 まさにもろもろのしょうそんじゅうあいせらるることをべし。 *如来にょらいしょう*へんくう所説しょせつごんは、 ただぶつのみさとりたまへり。 このゆゑにひろ*しょきて、 わがきょう如実にょじつごんしんずべし。 *人趣にんしゅしんることはなはだかたし。 如来にょらいしゅっふことまたかたし。 *しんおおときまさにいましん。 このゆゑにしゅせんものしょうじんすべし。 かくのごときのみょうほうすでにちょうもんせば、 つねに諸仏しょぶつをしてよろこびをしょうぜしめたてまつるなり」 と

天竜夜叉 はちじんのうちの代表的なもの。
敷演 ひろく説きのべること。
善友の摂受 ぜんしきの教導。
如来の…義言は 通常は 「如来の勝智は、 虚空にあまねし、 所説の義言は…」 と読む。
遍虚空 虚空に限りなく広がっていること。
諸智土 阿弥陀仏の真実ほう。 高麗版大蔵経等は 「諸智士」 となっている。 この場合は諸菩薩を意味する。
人趣 人間世界のこと。
信慧 信心の智慧ちえ

又言。「如来功徳仏自知、 唯有↢世尊↡能開示、 天・竜・夜叉所↠不↠及。 二乗自絶↢於名言↡。 若諸有情当作仏、 行超↢普賢↡登↢彼岸↡、 敷↢演一仏之功徳↡、 時逾↢多劫不思議↡。 於↢是中間↡身滅度、 仏之勝慧莫↢能量↡、 是故具↢足於信聞 及諸善友之摂受↡、 得↠聞↢如↠是深妙法↡、 当↠獲↣重↢愛諸聖尊↡。 如来勝智徧虚空 所説義言唯仏悟、 是故博聞↢諸智土↡、 応↠信↢我教如実言↡。 人趣之身得甚難、 如来出世遇亦難、 信慧多時方乃獲、 是故修者応↢精進↡。 如是妙法已聴聞、 常令↢諸仏而生↟喜。」

○大信釈 2 引文  師釈

1.曇鸞(二文)  論註

【9】 ¬*ろんちゅう¼ (下) にいはく、 「ªかの如来にょらいみなしょうし、 かの如来にょらい*こうみょうそうのごとく、 かの*みょうのごとく、 じつのごとくしゅぎょう相応そうおうせんとおもふがゆゑにº (浄土論) といへり

光明智相 光明の本質は智慧であり、 智慧のすがたは光明であることをいったもの。 智慧を本質とする光明が、 十方を照らしてしゅじょうの迷いを除く。
名義 みょうごうの実義、 いわれ。

¬論註¼曰。「称↢彼如来名↡、如↢彼如来光朙智相↡、如↢彼名義↡、欲↢如↠実修行相応↡故。

1.曇鸞 一 論註 衆生称名

ªしょう如来にょらいみょうº といふは、 いはく*無礙むげこう如来にょらいみなしょうするなり

称彼如来名者、謂称↢无礙光如来名↡也。

1.曇鸞 一 論註 法体徳相

ªにょ如来にょらいこうみょうそうº といふは、 ぶつ*こうみょうはこれ*智慧ちえそうなり。 このこうみょう十方じっぽうかいらすにしょうあることなし。 よく十方じっぽうしゅじょう*みょう*黒闇をのぞく。 *にちがつ珠光しゅこうのただ室穴しつけつのうちのあんするがごときにはあらざるなり

黒闇 迷いの闇。 無明にねざす迷いの状態をくらやみに譬える。
日月珠光 日光、 月光、 たまの光のこと。

如彼如来光朙智相者、仏光朙是智慧相也。此光朙照↢十方世界↡无↠有↢鄣↡、能除↢十方衆生无朙黒闇↡。非↠如↧日月珠灮但破↦室穴中闇↞也。

1.曇鸞 一 論註 名号破満 名義

ªにょみょう如実にょじつしゅぎょう相応そうおうº といふは、 かの無礙むげこう如来にょらいみょうごうは、 よくしゅじょう一切いっさいみょうす、 よくしゅじょう一切いっさいがんてたまふ

如彼名義欲如実修行相応者、彼无灮如来名号、能破↢衆生一切无朙↡、能満↢衆生一切志願↡。

1.曇鸞 一 論註 ・ 名号破満 不実

しかるに称名しょうみょう憶念おくねんすることあれども、 みょうなほそんして所願しょがんてざるはいかんとならば、 じつのごとくしゅぎょうせざると、 みょう相応そうおうせざるによるがゆゑなり。 いかんが如実にょじつしゅぎょうみょう相応そうおうせざるとする。 いはく、 如来にょらいはこれ*実相じっそうしんなり、 これ*もののためのしんなりとらざるなり

実相の身 真如しんにょ実相をさとった仏の自利円満の徳をいう。
物のための身 もつしん。 物とはしゅじょうの意で、 衆生を救済する仏の利他円満の徳をいう。

然有↢称名憶念↡而、无朙由存而不↠満↢所願↡者何者、由↧不↢如↠実修行↡、与↢名義↡不↦相応↥故也。云何為↧不如↠実修行、与↢名義↡不↦相応↥、謂不↠知↢如来是実相身是為↠物身↡。

1.曇鸞 一 論註 ・ 名号破満 ・ 不実 三不信

また三種さんしゅ相応そうおうあり。 ひとつには信心しんじんあつ (じゅんおんじゅんなり、 また厚朴こうぼくなり。 ぼくおんぼくなり。 くすりなり。 じゅんなり。 じょうこんかおばせなり。 かみおなじ) からず、 *そんせるがごとし、 もうぜるがごときのゆゑに。 ふたつには信心しんじんいちならず、 けつじょうなきがゆゑに。 つには信心しんじん相続そうぞくせず、 *ねんへだつるがゆゑに。 このさん展転てんでんしてあひじょうず。 信心しんじんあつからざるをもつてのゆゑにけつじょうなし。 けつじょうなきがゆゑにねん相続そうぞくせず。 またねん相続そうぞくせざるがゆゑにけつじょうしんず、 けつじょうしんざるがゆゑにしんあつからざるべし

存せるがごとし… ¬高僧和讃¼ (48) の左訓には、 「若存若亡」 を釈して 「あるときはさもとおもふ、 あるときはかなふまじとおもふなり」 (文明本) 「あるときには往生してんずとおもひ、 あるときには往生えせじと思ふ」 (異本) とある。
余念間つる… 疑いがまじって信心が断絶するという意。

又有↢三種不相応↡。一者信心不↠淳、淳字常倫反又音純也又厚朴也 朴字音卜也薬名也 諄字至也誠懇之也同上字 若↠存若↠亡故。二者信心不↠一、无↢決定↡故。三者信心不↢相続↡、余念間故。此三句展転相成。以↢信心不↟淳故无↢決定↡、无↢決定↡故念不↢相続↡。亦可↧念不↢相続↡故不↠得↢決定信↡、不↠得↢決定信↡故心不↞淳。

1.曇鸞 一 論註 名号破満 如実

これとそうせるを如実にょじつしゅぎょう相応そうおうづく

与↠此相違名↢如実修行相応↡。

1.曇鸞 一 論註  以信為要

このゆゑに論主ろんじゅ (天親)はじめに ª一心いっしんº とのたまへり」 と

是故論主建言↢我一心↡。」

1.曇鸞  讃弥陀偈(一心義相)

【10】¬*さん弥陀みだぶつ¼ にいはく、 *曇鸞どんらんしょうぞうなりあらゆるもの、 弥陀みだ徳号とくごうきて、 *信心しんじんかんしてくところをよろこばんこと、 いまし一念いちねんにおよぶまでせん。 しんのひとこうしたまへり。 しょうぜんとがんずればみなくことをしむ。 ただぎゃくほうしょうぼうとをばのぞく。 ゆゑにわれちょうらいしておうじょうがんず」 と

信心歓喜して…願ずれば 通常は 「信心歓喜して聞くところを慶び、 すなはち一念に曁ぶまで心を至すもの、 回向して生ぜんと願ずれば」 と読む。 親鸞聖人は如来回向の義をあらわすために、 原文の 「至心者」 を阿弥陀仏とし、 このように読みかえた。

¬讃阿弥陀仏偈¼曰。曇巒和尚造也 「諸聞↢阿弥陀徳号↡ 信心歓喜慶↠所↠聞、 乃曁↢一念↡、至心者 回向、願↠生皆得↠往。 唯除↢五逆謗正法↡。 故我頂願↢往生↡。」

2.善導(五文)  定善義(本仏摂化)

【11】こうみょう (善導) の ¬かんぎょう¼ (*定善義) にいはく、 「にょといふはしゅあり。 ひとつにはしゅじょうこころのごとし、 かの心念しんねんしたがひてみなこれを*すべし。 ふたつには弥陀みだおんこころのごとし、 *げんまどかにらし*六通ろくつうざいにして、 すべきものをそなはして、 一念いちねんのうちにぜんなくなく身心しんしんひとしくおもむき、 *三輪さんりんかいしておのおのやくすることおなじからざるなり」 と

度す さいする。 迷いの世界 (此岸) のしゅじょうをさとりの世界 (彼岸) にわたすこと。
六通 ろく神通じんずうのこと。

光朙寺¬観経義¼云。「言↢如意↡者、有↢二種↡。一者如↢衆生意↡。随↢彼心念↡皆応↠度↠之。二如↢弥陀之意↡。五眼円照、六通自在、観↢機可↠度者↡、一念之中无↠前无↠後、身心等赴、三輪開悟、各益不↠同也。」

2.善導  序分義(所化機相)

【12】またいはく (*序分義)、 「この*じょく*五苦ごくとう*六道ろくどうつうじてけて、 いまだなきものはあらず。 つねにこれに*逼悩ひつのうす。 もしこのけざるものは、 すなはち*ぼんじゅしょうにあらざるなり」 と

逼悩 められ悩むこと。
凡数の摂 ぼんの仲間。

又云。「此五濁五苦等、通↢六道↡受、未↠有↢无者↡、常逼↢悩之↡。若不↠受↢此苦↡者、即非↢凡数摂↡也。」

2.善導  散善義(三心義相)

【13】またいはく (*散善義)、 「ªとうさんº よりしも ªひっしょうこくº にいたるまでこのかたは、 まさしく*三心さんしんべんじょうして、 もつてしょういんとすることをかす。 すなはちそれふたつあり。 ひとつにはそん*したがひてやくあらわすことみつにしてりがたし、 ぶつみづからうてみづからちょうしたまふにあらずは、 さとりるによしなきをかす。 ふたつに如来にょらいかえりてみづからさき三心さんしんかずこたへたまふことをかす

又云。「従↢何等為三↡下至↢必生彼国↡已来、正朙↧弁↢定三心↡以為↦正因↥。即有↢其二↡。一朙↧世尊随↠機顕↠益、意蜜難↠知、非↢仏自問自徴↡无↞由↠得↠解。二朙↢如来還自答↢前三心之数↡。

2.善導 三 散善義(三心義相) 至誠心

 ¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 ª一者いっしゃ*じょうしんº。 ªº とはしんなり、 ªじょうº とはじつなり。 一切いっさいしゅじょう*しん口意くいごう所修しょしゅ*ぎょう*かならず真実しんじつしんのうちになしたまへるをもちゐんことをかさんとおもふ。 ほか*賢善けんぜんしょうじんそうげんずることをざれ、 うち虚仮こけいだいて、 *貪瞋とんじんじゃかんひゃくたんにしてあくしょうめがたし、 こと*蛇蝎じゃかつおなじ。 *三業さんごうおこすといへども、 づけて雑毒ぞうどくぜんとす、 また虚仮こけぎょうづく、 真実しんじつごうづけざるなり。 もしかくのごとき*安心あんじん*ぎょうをなすは、 たとひ身心しんしんれいしてにちじゅうきゅうもときゅうになして*ねんはらふがごとくするものは、 すべて雑毒ぞうどくぜんづく。 この雑毒ぞうどくぎょうしてかのぶつじょうしょうせんとほっするは、 これかならず不可ふかなり。 なにをもつてのゆゑに、 まさしくかの弥陀みだぶつ*いんちゅうさつぎょうぎょうじたまひしときない一念いちねんいっせつも、 三業さんごう所修しょしゅみなこれ真実しんじつしんのうちに*なしたまひしに (きょうなり、 ぎょうなり、 じゅうなり、 ゆうなり) つてなり。 おほよそほどこしたまふところしゅをなす、 またみな真実しんじつなり

解行 知解と修行。 宗義をりょうし行を実践すること。
かならず…懐いて 通常は 「かならずすべからく真実心のうちになすべきことを明かさんと欲す。 外に賢善精進の相を現じ、 内に虚仮を懐くことを得ざれ」 と読む。
貪瞋邪偽奸詐百端 むさぼり、 いかり、 よこしまな心、 いつわりの心、 人をあざむく心が数限りなく起ること。
蛇蝎 へび、 さそり。
因中に いんの時。 法蔵ほうぞう菩薩であった時。
なしたまひ…みな真実なり 通常は 「なしたまひ、 おほよそ施為・趣求したまふところ、 またみな真実なるによりてなり」 と読む。 「施為」 は利他、 「趣求」 は自利の意。 親鸞聖人は、 如来こうの真実をもちい (受領し) て、 浄土を趣求 (願生) するという意に転じた。

経云。一者至誠心。至者真、誠者実、欲↠朙↢一切衆生身口意業所修解行、必須↢真実心中作↡。不↠得↣外現↢賢善精進之相↡、内懐↢虚仮↡、貪瞋邪偽、姧詐百端、悪性難↠侵、事同↢蛇蝎↡。雖↠起↢三業↡名為↢雑毒之善↡、亦名↢虚仮之行↡、不↠名↢真実業↡也。若作↢如↠此安心起行↡者、縦使苦↢励身心↡、日夜十二時、急走急作如↠炙↢頭燃↡者、衆名↢雑毒之善↡。欲↧回↢此雑毒之行↡、求↦生彼仏浄土↥者、此必不可也。何以故、正由↧ 由字 以周反経也行也従也用也 彼阿弥陀仏因中行↢菩薩行↡時、乃至一念一刹那、三業所修皆是真実心中作↥。凡所↠施為↢趣求↡、亦皆真実。

2.善導 三 散善義(三心義相) 至誠心 二種真実

また*真実しんじつしゅあり。 ひとつには*自利じり真実しんじつふたつには*利他りた真実しんじつなり。 *ぜん三業さんごうはかならず真実しんじつしんのうちにてたまへるをもちゐよ。 またもしぜん三業さんごうおこさば、 かならず真実しんじつしんのうちになしたまひしをもちゐて、 *ないみょうあんえらばず、 みな真実しんじつもちゐるがゆゑにじょうしんづく

自利真実・利他真実 通常は真実心をもって自利利他することであるが、 親鸞聖人は自利を自力、 利他を他力の意味に転じた。
不善の三業は…名づく 通常は 「不善の三業は、 かならず真実心のうちに捨つべし。 またもし善の三業を起こさば、 かならずすべからく真実心のうちになすべし。 内外明暗を簡ばず、 みなすべからく真実なるべし。 ゆゑに至誠心と名づく」 と読む。 親鸞聖人は如来回向の義をあらわすために 「須」 の字を 「もちゐ」 と読んだ。
内外明闇 「散善義」 の当分は内心と外相、 智明と愚闇。 親鸞聖人は内・明は出世 (しょうじゃ)、 外・闇は世間 (ぼん)、 また明は智明 (智者)、 闇は無明 (愚者) の意とする。

又真実有↢二種↡。一者自利真実、二者利他真実。不善三業、必須↢真実心中捨↡。又若起↢善三業↡者、必須↢真実心中作↡、不↠簡↢内外朙闇↡、皆須↢真実↡故、名↢至誠心↡。

2.善導 三 散善義(三心義相) 深信

 ªしゃ*深心じんしんº。 深心じんしんといふは、 すなはちこれ深信じんしんしんなり。 またしゅあり

二者深心。言↢深心↡者、即是深信之心也。亦有↢二種↡。

2.善導 三 散善義(三心義相) ・ 深信 第一深信

ひとつには、 けつじょうしてふかく、 *しんげんにこれ罪悪ざいあくしょうぼん曠劫こうごうよりこのかたつねにもっし、 つねにてんして、 *しゅつえんあることなしとしん

自身は… →補註3
出離の縁 迷いの境界を離れる手がかり。

一者、決定深信↢自身現是罪悪生死凡夫、曠劫已来、常没常流転、无↟有↢出離之縁↡。

2.善導 三 散善義(三心義相) ・ 深信 第二深信

ふたつには、 けつじょうしてふかく、 かの弥陀みだぶつ*じゅうはちがんしゅじょう*しょうじゅして、 うたがいなくおもんぱかりなく、 かの願力がんりきじょうじて、 さだめておうじょうしん

二者、決定深信↧彼阿弥陀仏四十八願、摂↢受衆生↡、无↠疑无↠慮乗↢彼願力↡、定得↦往生↥。

2.善導 三 散善義(三心義相) ・ 深信 第三深信

またけつじょうしてふかく、 しゃぶつこの ¬*かんぎょう¼ に*三福さんぷく*ぼん*じょうさんぜんきて、 かのぶつ*しょうほうしょうさんして、 ひとをして*ごんせしむとしん

欣慕 ねがいしたうこと。

又決定深信↧釈迦仏説↢此観経三福九品・定散二善↡、証↢讃彼仏依正二報↡、使↦人忻慕↥。

2.善導 三 散善義(三心義相) ・ 深信 第四深信

またけつじょうして、 ¬*弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ一切いっさいぼんしょうかんしてけつじょうしてしょうずることを深信じんしんするなり

又決定深↧信弥陀経中、十方恒沙諸仏、証↢勧一切凡夫↡決定得↞生。

2.善導 三 散善義(三心義相) ・ 深信 第五深信

また深信じんしんするもの、 あおねがはくは一切いっさいぎょうじゃとう一心いっしんにただぶつしんじてしんみょうかえりみず、 けつじょうしてぎょうによりて、 ぶつてしめたまふをばすなはちて、 ぶつぎょうぜしめたまふをばすなはちぎょうず。 ぶつらしめたまふところをばすなはちつ。 これをぶっきょうずいじゅんし、 ぶつずいじゅんすとづく。 これを仏願ぶつがんずいじゅんすとづく。 これをしんぶつ弟子でしづく

又深信者、仰願一切行者等、一心唯信↢仏語↡不↠顧↢身命↡、決定依↠行、仏遣↠捨者即捨、仏遣↠行者即行、仏遣↠去処即去。是名↧随↢順仏教↡、随↦順仏意↥、是名↣随↢順仏願↡、是名↢真仏弟子↡。

2.善導 三 散善義(三心義相) ・ 深信 第六深信

また一切いっさいぎょうじゃ、 ただよくこの ¬きょう¼ (*観経) によりてぎょう深信じんしんするは、 かならずしゅじょうあやまらざるなり。 なにをもつてのゆゑに、 ぶつはこれ満足まんぞくだいにんなるがゆゑに、 *じつなるがゆゑに。 ぶつのぞきてげんは、 *ぎょういまだたず。 それ*がくにありて、 *正習しょうじゅうしょうありていまだのぞこらざるによつて、 *がんいまだまどかならず。 これらの*ぼんしょうは、 たとひ諸仏しょぶつきょうしきりょうすれども、 いまだ*けつりょうすることあたはず。 *平章びょうしょうすることありといへども、 かならずすべからくぶっしょううてじょうとすべきなり。 もしぶつかなへば、 すなはち*いんして ªにょにょº とのたまふ。 もしぶつかなはざれば、 すなはち ªなんだちが所説しょせつこのにょº とのたまふ。 いんせざるはすなはち*無記むき無利むりやくおなじ。 ぶついんしたまふは、 すなはちぶつ正教しょうきょうずいじゅんす。 もしぶつしょ言説ごんせつは、 すなはちこれ正教しょうきょうしょう正行しょうぎょうしょうしょうごうしょうなり。 もしはもしはしょう、 すべてさつにんてんとうはず、 その是非ぜひさだめんや。 もしぶつ所説しょせつは、 すなはちこれ*了教りょうきょうなり。 さつとうせつは、 ことごとく了教りょうきょうづくるなり、 るべし。 このゆゑにいまときあおいで一切いっさいえんおうじょうにんとうすすむ。 ただぶつ深信じんしんしてせんちゅうぎょうすべし。 さつとう相応そうおうきょう信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし、 まどひをいだいて、 みづからまどひておうじょう大益だいやく廃失はいしつすべからざれと

実語 真実の言葉。
智行 智慧ちえ (ろっ波羅ぱらみつの第六) と行 (六波羅蜜の前五)。
学地 まだ学ぶべきことの残っている修行中の地位。 これに対し、 さとりに至って学ぶべきもののない地位を無学地という。
正習の二障 しょう使じっの二つの障り。 正使とは煩悩ぼんのうの体のこと。 習気は煩悩の体が断ぜられてもなお習慣となって残る煩悩のはたらきのこと。
果願 仏果 (仏のさとり) を求める願。
決了 真実をはっきりと了解して不確かなことが少しもないこと。
平章 道理を正しく明らかにすること。
無記 →無記むき
了教 了義教のこと。 真実を完全に説きあらわした教え。

又一切行者、但能依↢此経↡深↢信行↡者、必不↠悞↢衆生↡也。何以故、仏是満足大悲人故、実語故。除↠仏已還、智行未↠満、在↢其学地↡、由↧有↢正習二鄣↡未↞除、果願未↠円。此等凡聖縦使測↢量諸仏教意↡未↠能↢決了↡、雖↠有↢平章↡、要須↧請↢仏証↡為↞定也。若称↢仏意↡、即印可言↢如是如是↡。若不↠可↢仏意↡者、即言↢汝等所説是義不如是↡。不↠印者、即同↢无記・无利・无益之語↡。仏印可者、即随↢順仏之正教↡。若仏所有言説、即是正教・正義・正行・正解・正業・正智。若多若少、衆不↠問↢菩薩・人・天等↡、定↢其是非↡也。若仏所説、即是了教、菩薩等説尽名↢不了教↡也。応↠知。是故、今時仰勧↢一切有縁往生人等↡。唯可↧深↢信仏語↡専注奉行↥、不↠可↧信↢用菩薩等不相応教↡、以為↢疑礙↡、抱↠惑自迷廃↦失往生之大益↥。

しゃ一切いっさいぼんかんして、 この一身いっしんつくして専念せんねん専修せんじゅして、 しゃみょう以後いごさだめてかのくにうまるれば、 すなはち十方じっぽう諸仏しょぶつことごとくみなおなじくめ、 おなじくすすめ、 おなじくしょうしたまふ。 なにをもつてのゆゑに、 *同体どうたいだいなるがゆゑに。 いちぶつしょは、 すなはちこれ一切いっさいぶつなり。 一切いっさいぶつは、 すなはちこれいちぶつしょなり

同体の大悲 同じ真如しんにょのさとりからおこった大悲ということ。

釈迦指↢勧一切凡夫↡、尽↢此一身↡専念専修、捨命已後定生↢彼国↡者、即十方諸仏、悉皆同讃同勧同証。何以故、同軆大悲故。一仏所化即是一切仏化、一切仏化即是一仏所化。

すなはち ¬*弥陀みだきょう¼ のなかにかく、 ªしゃ極楽ごくらく種々しゅじゅしょうごん讃嘆さんだんしたまふ。 また一切いっさいぼんすすめて、 一日いちにち七日しちにち一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんせしめて、 さだめておうじょうしめたまふº と。 次下つぎしももんにのたまはく、 ª十方じっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃよく*じょく あくあくかいあくしゅじょう悪見あくけんあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかりなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさんしてしゅじょう勧励かんれいせしめて、 しょうねんすればかならずおうじょうさんじたまふº と、 すなはちそのしょうなり。 また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃいちぶつ所説しょせつしんぜざらんを恐畏おそれて、 すなはちともに同心どうしんどうにおのおの*舌相ぜっそういだして、 あまねく*三千さんぜんかいおおひてじょうじつごんきたまはく、 ªなんだちしゅじょう、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょう*せつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくし、 しも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんして、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいなきなりº と

舌相を出して 仏の舌は広く長いのでこうじょう舌相 (三十二相の一) といわれる。 仏が舌を出すのは教説が真実であることを証明するという意味を持つ。
時節の久近 時間の長短。
 釈迦・諸仏を指す。 一説には四重の破人 (念仏の教えを否定する四種の人。 ¬愚禿鈔¼ 526頁 「四信」 の細註参照) を指すという。

即弥陀経中説、釈迦讃↢嘆極楽種種荘厳↡。又勧↢一切凡夫↡、一日七日一心専↢念弥陀名号↡、定得↢往生↡。次下文云、十方各有↢恒河砂等諸仏↡、同讃↧釈迦能於↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪見・悪煩悩・悪邪・无信盛時↡、指↢讃弥陀名号↡、勧↢励衆生↡称念必得↦往生↥、即其証也。又十方仏等、恐↢畏衆生不↟信↢釈迦一仏所説↡、即共同心同時、各出↢舌相↡徧覆↢三千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、皆応↠信↢是釈迦所説・所賛・所証↡、一切凡夫不↠問↢罪福多少時節久近↡、但能上尽↢百年↡下至↢一日七日↡、一心専↢念弥陀名号↡、定得↢往生↡必无↠疑也。

このゆゑにいちぶつ所説しょせつをば、 すなはち一切いっさいぶつおなじくその*証誠しょうじょうしたまふなり。 これを*にんについてしんつとづくるなり

是故一仏所説、即一切仏同証↢誠其事↡也。此名↢就↠人立↟信也。

またこの*しょうのなかについてまたしゅあり。 ひとつには、 一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんして、 *行住ぎょうじゅう座臥ざがせつごんはず、 念々ねんねんてざるをば、 これを*正定しょうじょうごうづく、 *かの仏願ぶつがんじゅんずるがゆゑに。 もし*礼誦らいじゅとうによらば、 すなはちづけて*助業じょごうとす。 このしょうじょぎょうのぞきて以外いげ自余じよ諸善しょぜんは、 ことごとく*ぞうぎょうづく。 すべて*ぞうぎょうづくるなり。 ゆゑに深心じんしんづく

 正行しょうぎょう❷のこと。
かの仏願 第十八願のこと。
礼誦等 正行しょうぎょうのうちの称名以外いげぎょうごう読誦どくじゅかんざつ礼拝らいはい讃嘆さんだんようの四をいう。
疎雑の行 阿弥陀仏と疎遠な自力をまじえた行。

又就↢此正中↡、復有↢二種↡。一者、一心専↢念弥陀名号↡、行住座臥、不↠問↢時節久近↡、念念不↠捨者、是名↢正定之業↡、順↢彼仏願↡故。若依↢誦等↡、即名為↢助業↡。除↢此正助二行↡已外自余諸善、悉名↢雑行↡、衆名↢疎雑之行↡也、故名↢深心↡。

2.善導 三 散善義(三心義相) 回向発願心

 ªさんじゃこう発願ほつがんしんº。 またこう発願ほつがんしてしょうずるものは、 *かならずけつじょうして真実しんじつ心のうちにこうしたまへるがんもちゐて*とくしょうおもいをなせ。 このしん深信じんしんせること金剛こんごうのごとくなるによりて、 一切いっさい*けんがく*べつべつぎょうにんのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして、 一心いっしんつてしょうじきすすんで、 かのひとくことをざれ。 すなはち進退しんたいしんありて*こうにゃくしょうじて*回顧えこすれば、 *