安楽あんらくしゅう かんじょう

しゃく*どうしゃくせん

総標【総説】

【1】 ^この ¬安楽あんらくしゅう¼ いちのうちに、 そうじてじゅう大門だいもんあり。 みなきょうろんきて証明しょうみょうして、 しんすすくことをもとめしむ。

¬安楽集¼一部之内、総↢十二大門↡。皆引↢経論↡証明、勧↠信シム↠往コトヲ

別釈
  【第一大門】
   

【2】 ^いま第一だいいち大門だいもんのうちにつきて、 もんおおしといへども、 りゃくしてもんつくりて*りょうけんし、 しかるのちもんいたらん。

今先↢第一大門↡、文義雖オホシ、略↢九門↡料簡、然イタラ↠文

二 Ⅰ
      教興所由

^第一だいいち*きょうこうしょかして、 *ときやくこうむらしめてすすめて*じょうせしむ。

第一シテ↢教興所由↡、約↠時シメ↠機シム↢浄土↡。

二 Ⅰ ⅱ 説聴方軌

^だい*しょだいじょうによりて*せっちょうほうあらわす。

第二↢諸部大乗↡顕↢説聴方軌↡。

二 Ⅰ ⅱ 発心久近

^第三だいさん*だいじょう*聖教しょうぎょうによりて、 もろもろの*しゅじょう*発心ほっしんごん*ぶつしょうかして、 *時会じえちょうしゅをしてつとはげみて発心ほっしんせしめんとほっす。

第三↢大乗聖教↡、明↢諸衆生発心久近、供仏多小↡、欲↠使メムト↢時会聴衆ヲシテツト発心↡。

二 Ⅰ ⅱ 宗旨不同

^だいしょきょう*しゅうどうべんず。

第四↢諸経宗旨不同↡。

二 Ⅰ ⅱ 諸経得名

^だいしょきょうとくみょうおのおのことなることをかす。 ¬*はん¼・「*般若はんにゃきょうとうのごときはほうにつきてとなす。 おのづからたとへにつくことあり、 あるいはにつくことあり、 またときにつき、 ところにつくことあり。 このれいいちにあらず。 いまこの ¬*かんぎょう¼ は人法にんぼうにつきてとなす。 「ぶつ」 はこれにん、 「せつかん無量寿むりょうじゅ」 はこれほうなり。

第五↢諸経得名各コトヲ↡。如キハ↢¬涅槃¼・¬般若経¼等↡就↠法↠名。自コト↠喩、或↠就コト↠事、亦有↢就↠時コト↟処。此例非↠一。今此¬観経¼就↢人法↡為↠名。「仏」是人名、「説観无量寿」是法也。

二 Ⅰ ⅱ 説人差別

^第六だいろく説人せつにん差別しゃべつりょうけんす。 しょきょうせつしゅぎず。 いちにはぶつせつには*しょう弟子でしせつさんには*諸天しょてんせつには*神仙しんせんせつには*へんせつなり。 この ¬かんぎょう¼ は、 しゅせつのなか、 そんせつなり。

第六料↢簡説人差別↡。諸経起説不↠過↢五種↡。一者仏自説、二者聖弟子説、三者諸天説、四者神仙説、五者変化ナリ。此¬観経¼者、五種中、世尊自説ナリ

二 Ⅰ ⅱ 三身三土

^第七だいしちりゃくして*しんおうしんかし、 ならびにしんおう二土にどべんず。

第七↢真・応二身、并↢真・応二土↡。

二 Ⅰ ⅱ 凡聖通往

^第八だいはち弥陀みだじょうこくくらいじょうね、 *ぼんしょうつうじてくことをあらわす。

第八↧弥陀浄国↢上下↡、凡聖通コトヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ 三界摂不

^だい弥陀みだじょうこく*三界さんがいしょうしょうとをかす。

第九↣弥陀浄国三界↢不摂↡也。

二 Ⅰ
      【教興所由】
        〔約時被機〕

【3】 ^第一だいいち大門だいもんのなか、 *きょうこうしょかして、 ときやくこうむらしめてすすめてじょうせしむとは、

第一大門中、明↢教興所由↡、約↠時シメテ↠機シムト↢浄土↡者、

二 Ⅰ ⅲ a
          (一)総示
            (Ⅰ)述意

もしきょう*時機じき*おもむけば、 しゅしやすくさとりやすし。 もしきょうときそむけば、 しゅしがたくりがたし。

教赴ケバ↢時機↡、易↠修↠悟。若、難↠修↠入

二 Ⅰ ⅲ a ロ (一)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)正法念経

^このゆゑに *¬*しょうぼうねんぎょう¼ にのたまはく、

ぎょうじゃ一心いっしんどうもとむるとき、 つねにまさにとき方便ほうべんとを観察かんざつすべし。

もしときず、 方便ほうべんなくは、 これをづけてしつとなしづけず。

¬正法念経¼云

「行者一心↠道↣観↢察方便トヲ
不↠得↠時、无クハ↢方便↡↠失不↠名↠利

なんとなれ 

もし湿うるおへるりてもつてもとめんに、 べからず、 ときにあらざるがゆゑな 

もしかわきたるたきぎりてもつてもとめんに、 べからず、 なきがゆゑなり」  

トナレバ

モシ↢湿ヘル↡以メムニ↠火火不↠可↠得、非ルガ↠時ナリ
↢乾タル↡以メムニ火不↠可↠得、无キガ↠智故ナリト

二 Ⅰ ⅲ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)大集経1〔五箇五百年〕

^このゆゑに ¬*だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶつめつのち第一だいいちひゃくねんには、 わがもろもろの弟子でし*まなぶことけんなることをん。 だいひゃくねんには、 *じょうまなぶことけんなることをん。 第三だいさんひゃくねんには、 *もん*読誦どくじゅまなぶことけんなることをん。 だいひゃくねんには、 とうぞうりゅうふくしゅ*さんすることけんなることをん。 だいひゃくねんには、 *びゃくほう隠滞おんたいしておお*じょうじゅあらん。 すこしき*善法ぜんぽうありてけんなることをん」 と。

¬大集月蔵経¼云、「仏滅度第一五百年ニハ、我弟子学コト堅固ナルコトヲ↡。第二五百年ニハ、学コト↠定↢堅固ナルコトヲ↡。第三五百年ニハ、学コト↢多聞・読誦↡得↢堅固ナルコトヲ↡。第四五百年ニハ、造↢立塔寺↡修↠福懴悔コト↢堅固ナルコトヲ↡。第五五百年ニハ、白法隠滞諍訟↡。微↢善法↡得ムト↢堅固ナルコトヲ↡。」

二 Ⅰ ⅲ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)大集経2

^またかの ¬きょう¼ (大集経・意) にのたまはく、 「諸仏しょぶつでたまふに、 しゅほうありてしゅじょうしたまふ。 なんらをかとなす。 いちにはくち*じゅうきょうく。 すなはちこれ*ほうをもつてしゅじょうしたまふ。 には諸仏しょぶつ如来にょらいにはりょう*こうみょう*相好そうごうまします。 一切いっさいしゅじょうただよくしんけて観察かんざつすれば、 やくざるはなし。 これすなはち*身業しんごうをもつてしゅじょうしたまふ。 さんにはりょう徳用とくゆう*神通じんずう道力どうりき種々しゅじゅへんまします。 すなはちこれ神通じんずうりきをもつてしゅじょうしたまふ。 には諸仏しょぶつ如来にょらいにはりょう*みょうごうまします。 もしは*そう、 もしは*べつなり。 それしゅじょうありてしんけてしょうねんすれば、 さわりのぞやくて、 みな仏前ぶつぜんしょうぜざるはなし。 すなはちこれみょうごうをもつてしゅじょうしたまふ」 と。

又彼¬経¼云、「諸仏タマフニ↠世↢四種法↡度タマフ↢衆生↡。何等ヲカ↠四。一者口↢十二部経↡。即是法施ヲモテタマフ↢衆生↡。二者諸仏如来ニハ↢无量光明・相好↡。一切衆生但能↠心観察レバ、無↠不ルハ↠獲↠益。是即身業ヲモテタマフ↢衆生↡。三者有↢无量用・神通道力・種種変化↡。即是神通力ヲモテタマフ↢衆生↡。四者諸仏如来ニハ↢无量名号↡。若総若ナリ。其↢衆生↡繋↠心称念レバ、莫↠不ルハ↣除↠障↠益皆生↢仏前↡。即是名号ヲモテタマフト↢衆生↡。」

二 Ⅰ ⅲ a ロ (一)(Ⅲ)結示
              (ⅰ)正しく上文を結す

^いまのときしゅじょうはかるに、 すなはちぶつりたまひてのちだいひゃくねんあたれり。 まさしくこれさんふくしゅし、 ぶつみょうごうしょうすべきときなり。 もし一念いちねん*弥陀みだぶつしょうすれば、 すなはちよくはちじゅう億劫おくこう*しょうつみじょきゃくす。 一念いちねんすでにしかなり。 いはんやじょうねんしゅせんをや。 すなはちこれつねにさんするひとなり。

ルニ↢今衆生↡、即レリ↢仏去タマヒテ↠世第四五百年↡。正是懴悔↠福、応↠称↢仏名号ナリ。若一念称レバ↢阿弥陀仏↡、即除↢却八十億劫生死之罪↡。一念既ナリ。況ムヲヤ↢常念↡。即是恒懴悔人也。

二 Ⅰ ⅲ a ロ (一)(Ⅲ)(ⅱ)其の兼正を論ず

^またもししょう (*釈尊)ることちかければ、 すなはちさきのものじょうしゅしゅするはこれそのしょうがくなり、 のちのものはこれけんなり。 もししょうることすでにとおければ、 すなはちのちのものみなしょうするはこれしょうにして、 さきのものはこれけんなり。 なんのこころぞしかるとならば、 まことにしゅじょうしょうること遥遠ようおんにして、 *機解きげせん暗鈍あんどんなるによるがゆゑなり。

又若コト↠聖レバ者修↠定正学ナリ、後是兼ナリモシコト↠聖レバ、則者称ルハ↠名是正ニシテ、前是兼ナリ。何ルトナラバ者、マコトルガ↢衆生去コト↠聖遥遠ニシテ、機解浮浅暗鈍ナルニ↡故也。

二 Ⅰ ⅲ a ロ (二)正しく今教興を明す
            (Ⅰ)先づ本経の興起を明す

^ここをもつて*だいだい、 みづからおよびまつ*じょくしゅじょう*りんこうにしていたづらにつうしょうくるを*哀愍あいみんするがゆゑに、 よくかりにえんひて*しゅつかいす。 しかればだいしょう (釈尊) 弘慈ぐじをもつてすすめて*極楽ごくらくせしむ。

韋提大士、自為及 オヨビ 哀↣愍ルガ末世五濁衆生輪廻多劫ニシテルヲ↢痛焼↡故、能↢苦↡諮↢開↡。然大聖弘慈ヲモテシム↢極楽↡。

二 Ⅰ ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)次に今集の教興を叙す

^もし*ここにおいて*進趣しんしゅせんとほっせば、 *しょうかなひがたし。 ただじょう一門いちもんのみありて、 *じょうをもつてねがひてしゅにゅうすべし。 もし*衆典しゅてんひらたずねんとほっせば、 すすむるところいよいよおおし。 つひにもつて*真言しんごんあつめてたすけて*往益おうやくしゅせしむ。 なんとなれば、 さきしょうずるものはのちみちびき、 のちかんものはさきとぶらひ、 連続れんぞくぐうにしてねがはくは休止くしせざらしめんとほっす。 へん*しょうかいつくさんがためのゆゑなり。

セバ↢於↠斯ムト↡、勝果難↠階。唯有↢浄土一門ノミ↡、可↢以↠情趣入↡。若セバムト衆典↡、勧処弥。遂↢集真言↡助シム↢往益↡。何トナレバ者欲↠使メムト↣前↠後、後カム↠前、連続无窮ニシテクハ休止↡。為↠尽サムガ↢无辺生死海↡故ナリ

二 Ⅰ ⅲ 【説聴方軌】
        標章

【4】 ^だいしょだいじょうによりてせっちょうほうかすとは、 なかにろくあり。

第二↢諸部大乗↡明スト↢説聴方軌↡者、於↠中有↠六。

二 Ⅰ ⅲ b 引釈
          (一)先づ方軌を示す
            (Ⅰ)正しく方軌を示す

1. 大集経

^だいいち¬*大集だいじっきょう¼ (意) にのたまはく、 「説法せっぽうのものにおいてはおうおもいをなし、 ばっおもいをなせ。 くところのほうには*かんおもいをなし、 *だいおもいをなせ。 それほうくものは*ぞうじょうしょうおもいをなし、 びょうおもいをなせ。 もしよくかくのごとくくもの、 くものは、 みな仏法ぶっぽう紹隆しょうりゅうするにへたり、 つねに仏前ぶつぜんしょうず」 と。

第一¬大集経¼云、「於テハ↢説法↡作↢医王↡、作↢抜苦↡。所↠説之法ニハ↢甘露↡、作↢醍醐↡。其↠法↢増長勝解↡、作↢愈病↡。若↠是者聴、皆堪タリ↣紹↢隆ルニ仏法↡、常ズト↢仏前↡。」

2. 大智度論 一

 ^だいに ¬*だい智度ちどろん¼ にいはく、

くものは*たんして*渇飲かつおんのごとくせよ。 一心いっしん*語議ごぎのなかにり、

ほうきてやくしん悲喜ひきす。 かくのごときひとにためにくべし」 と。

第二¬大智度¼云

「聴端視クセヨ↢渇飲↢於語議
↠法踊躍悲喜↠是之人シト↢為↡。」

二 Ⅰ ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)其の益を挙げて示す

3. 大智度論 二

 ^だいさんにかの ¬ろん¼ (大智度論・意) にまたいはく、 「しゅひとありて、 ふくることりょうへんなり。 なんらをかとなす。 いちにはこのみてほうひとにはこのみてほうひとなり。 このゆゑに*なんぶつにまうしてまうさく、 ª*しゃほつ*目連もくれんにをもつてかるところの*智慧ちえ*神通じんずう*しょう弟子でしのなかにおいてもつともしゅしょうなりとなすº と。 ぶつなんげたまはく、 ªこのにんは、 *いんちゅうときにおいて、 *ほう因縁いんねんのためにせんかたしとせず。 このゆゑに今日こんにちもつともしゅしょうなりとなすº」 と。

第三¬¼又云、「有↢二種人↡、得コト↠福无量无辺ナリ。何等ヲカ↠二。一コノミ人、二者楽↠法ナリ。是阿難白↠仏、舎利弗・目連何テカ↠得慧・神通、於↢聖弟子↡最↢殊勝ナリト↡。仏告タマハク↢阿難↡、此之二人↢因中↡、為↢法因縁↡千里不↠難シトセ。是今日最スト↢殊勝ナリト↡。」

二 Ⅰ ⅲ b ロ (二)宿因に約して明す
            (Ⅰ)宿善の有無を明す

4. 大経(下) 一

 ^だいに ¬*りょう寿じゅだいきょう¼ (下) にのたまはく、

もしひと*善本ぜんぽんなければ、 このきょうくことをず。

清浄しょうじょう*かいたもてるもの、 すなはち*しょうぼうくことを」 と。

第四¬無量寿大経¼云

「若人无レバ↢善本↡不↠得↠コトヲ↢此
清浄タモテ↠戒↠聞コトヲ↢正法↡」

5. 大経(下) 二

 ^だいにのたまはく (大経・下意)

曽更むかしそんたてまつるもの、 すなはちよくこのしんず。

おく如来にょらい*奉事ぶじして、 このみてかくのごとききょうく」 と。

第五

曽更 ムカシ マツルモノ↢世尊↢此
奉↢事如来コノミクト↢如↠是↡」

二 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)双て其の善悪を示す

6. 平等覚経

 ^だいろくに ¬*りょう清浄しょうじょうがくきょう¼ (四・意) にのたまはく、 「ぜんなんぜん女人にょにんじょう法門ほうもんくをきて、 しん悲喜ひきしょうじて為竪いよだちてづるがごとくなるものは、 まさにるべし、 このひと*過去かこ宿命しゅくみょうにすでに*仏道ぶつどうをなせるなり。 もしまたひとありてじょう法門ほうもんひらくをきて、 すべてしんしょうぜざるものは、 まさにるべし、 このひとははじめて*さん悪道まくどうよりきたりて、 *おういまだきず。 これがために*信向しんこうなきのみ。 われく、 ªこのひとはいまだ*だつべからずº」 と。

¬無量清浄覚経¼云、「善男子・善女人、聞↠説クヲ↢浄土法門↡、心↢悲喜↡身イヨダチクナル↢抜ルガ↡者、当↠知、此過去宿命セル↢仏↡也。若復有↠人聞↠開クヲ↢浄土法門↡、都↠信者、当↠知、此↢三悪道↡来、殃咎未↠尽。為↠此↢信向↡耳。我説、此↠可↠得↢解脱↡也。」

^このゆゑに ¬りょう寿じゅだいきょう¼ (下) にのたまはく、

*憍慢きょうまん*へい*だいとは、 もつてこのほうしんずることかたし」 と。

¬無量寿大経¼云

「憍慢懈怠トハシト↣以コト↢此↡。」

二 Ⅰ ⅲ 【発心久近】
        標章

【5】 ^だいさんだいじょう聖教しょうぎょうによりて、 しゅじょう発心ほっしんごんぶつしょうかすとは、

第三↢大乗聖教↡、明スト↢衆生発心久近、供仏多少↡者、

二 Ⅰ ⅲ c 正釈
          (一)引経

^¬はんぎょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「ぶつ*しょうさつげたまはく、

↢¬涅槃経¼云フガ↡。「仏告タマハク↢迦葉菩薩↡、

^ªもししゅじょうありて、 *れんはんごうしゃとう諸仏しょぶつみもとにおいて*だいしんおこせば、 しかしてのちにすなはちよくあくのなかにおいて、 このだいじょうきょうてんきてほうしょうぜず。

↢衆生↡、於熙連半恒河沙等諸仏↢菩提心↡、然シテ↢悪世↡聞↢是大乗経典↡不↠生↢誹謗↡。

^もしいち*ごうしゃとうぶつみもとにおいてだいしんおこすことあれば、 しかしてのちにすなはちよくあくのなかにおいてきょうきてほうおこさず、 ふか*あいぎょうしょうず。

↧於↢一恒河沙等↡発コト↦菩提心↥、然シテ↢悪世↡聞↠経不↠起↢誹謗↡、深↢愛楽↡。

^もしごうしゃとうぶつみもとにおいてだいしんおこすことあれば、 しかしてのちにすなはちよくあくのなかにおいてこのほうほうぜず、 *しょうしんぎょうじゅ読誦どくじゅ

↧於↢二恒河沙等↡発コト↦菩提心↥、然シテ↢悪世↡不↠謗↢是↡、正解信楽受持読誦

^もしさんごうしゃとうぶつみもとにおいてだいしんおこすことあれば、 しかしてのちにすなはちよくあくのなかにおいてこのほうほうぜず、 きょうかん書写しょしゃし、 ひとのためにくといへども、 いまだじんさとらずº」 と。

↧於↢三恒河沙等↡発コト↦菩提心↥、然シテ↢悪世↡不↠↢是↡、書↢写経巻↡、雖↢為↠人クト↡、未↠解↢深義↡。」

二 Ⅰ ⅲ c ロ (二)釈成
            (Ⅰ)正述

^なにをもつてのゆゑにかくのごとき教量きょうりょうもちゐるとならば、 今日こんにち坐下ざげにしてきょうくものは、 むかしすでに発心ほっしんしてぶつようせることをあらわさんがためなり。 まただいじょうきょうりき不可ふか思議しぎなることをあらわす。

ルトナラバ↢如↠此教量↡者、為↠彰ムガ↣今日座下ニシテ↠経ムカシ発心供↢養コトヲ多仏↡也。又顕↢大乗経之威力不可思議ナルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)引証

^このゆゑに ¬きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「もししゅじょうありてこのきょうてんけば、 おくひゃく千劫せんごうにも悪道あくどうせず。 なにをもつてのゆゑに。 このみょうきょうてん流布るふするところのところ、 まさにるべし、 そのはすなはちこれ金剛こんごうなり。 このなかの諸人しょにんまた金剛こんごうのごとし」 と。

¬経¼云、「若↢衆生↡聞↢是経典↡、億百千劫ニモ不↠堕↢悪道↡。何。是妙経典↢流布↡処、当↠知、其是金剛ナリ。是諸人亦如シト↢金剛↡。」

二 Ⅰ ⅲ c ロ (二)(Ⅲ)

^ゆゑにりぬ、 きょうきてしんしょうずるものはみな不可ふか思議しぎやくるなり。

↠経↠信皆獲↢不可思議利益↡也。

二 Ⅰ ⅲ 【宗旨不同】
        標章

【6】 ^だいつぎしょきょうしゅうどうべんずとは、

第四ズト↢諸経宗旨不同↡者、

二 Ⅰ ⅲ d 正釈
          (一)諸経の列を挙ぐ

^もし ¬はんぎょう¼ によらば*ぶっしょうしゅうとなす。 もし ¬*ゆいぎょう¼ によらば*不可ふか思議しぎだつしゅうとなす。 もし 「*般若はんにゃきょう」 によらば*くうしゅうとなす。 もし ¬大集だいじっきょう¼ によらば*陀羅尼だらにしゅうとなす。

↢¬涅槃経¼↡仏性↠宗。若↢¬維摩経¼↡不可思議解脱↠宗。若↢¬般若経¼↡↠宗。若↢¬大集経¼↡陀羅尼↠宗

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)今経の宗を定む
            (Ⅰ)正しく今宗を定む

^いまこの ¬かんぎょう¼ は*観仏かんぶつ三昧ざんまいをもつてしゅうとなす。 もし所観しょかんろんずれば*しょうほうぎず。 しも諸観しょかんによりてべんずるところのごとし。

今此¬観経¼以↢観仏三昧↡為↠宗。若レバ↢所観↡不↠過↢依正二報↡。如↧下↢諸観↡所↞弁

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)他経に寄せて顕す
              (ⅰ)其の文を出す
                (a)

^もし ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ (意) によらばのたまはく、 「^ぶつ*ちちおうげたまはく、 ª諸仏しょぶつ*しゅっ三種さんしゅやくあり。

↢¬観仏三昧経¼↡云、「仏告タマハク↢父↡、諸仏出世↢三種益↡。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)
                  (イ)口業化

^いちにはくちじゅうきょうきたまふ。 ほうやくなり。 よくしゅじょう*みょうあんしょうのぞき、 智慧ちえまなこひらきて諸仏しょぶつみまえしょうじてはや*じょうだいしむ。

者口タマフ↢十二部経↡。法施利益ナリ。能↢衆生無明暗障↡、開↢智↡生↢諸仏↡早シム↢無上菩提↡。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)身業化

^には諸仏しょぶつ如来にょらい身相しんそうこうみょうりょうみょうこうまします。 もししゅじょうありてしょうねん観察かんざつれば、 もしは*総相そうそう、 もしは*別相べっそう仏身ぶっしん現在げんざい過去かこふことなく、 みなよくしゅじょう*じゅう*ぎゃく除滅じょめつしてなが*さんそむき、 こころ*しょぎょうしたがひてつねにじょうしょうじ、 すなはち*じょうぶついたる。

者諸仏如来↢身相光明、无量妙好↡。若↢衆生↡称念観察レバ、若総相、若別相、无コト↢仏身現在・過去↡、皆能除↢滅衆生四重・五逆↡永↢三途↡、随↢意所楽↡常↢浄土↡、乃↢成仏↡。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)念仏三昧
                    [一]法説

^さんにはちちおうすすめて*念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜしめたまふº と。

者令タマフト↧勧↢父↡行↦念仏三昧↥。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)[二]喩顕
                      [Ⅰ]

^ちちおうぶつにまうさく、 ª*ぶつとく*真如しんにょ*実相じっそう*第一だいいちくうなり。 なにによりてか弟子でしをしてこれをぎょうぜしめざるº と。

王白↠仏、仏地果徳、真如実相第一義空ナリ。何テカ↠遣↢弟子ヲシテ↟之

^ぶつちちおうげたまはく、 ª諸仏しょぶつとくにはりょうじんみょうきょうがい神通じんずうだつまします。 これ*ぼんしょぎょうきょうがいにあらざるがゆゑに、 ちちおうすすめて念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜしめたてまつるº と。

仏告タマハク↢父↡、諸仏果徳ニハ↢无量深妙境界・神通・解脱↡。非ルガ↢是凡夫所行境界↡故、勧↢父↡行シメタテマツルト↢念仏三昧↡。

^ちちおうぶつにまうさく、 ª*念仏ねんぶつこうそのかたちいかんº と。

王白↠仏、念仏之功其状云何

^ぶつちちおうげたまはく、 ª*らんりんほうじゅうじゅんなるに、 いっ*牛頭ごず栴檀せんだんあり。 こんありといへども、 なほいまだつちでず。 そのらんりんはただくさくしてこうばしきことなし。 もしその華菓けからふことあれば、 きょうおこしてす。 のちとき栴檀せんだんこんやうやく生長しょうちょうしてわづかにじゅとならんとほっするに、 こう昌盛しょうじょうにしてつひによくこのはやし改変がいへんして、 あまねくみなこうならしむ。 しゅじょうるものみな*希有けうしんしょうずるがごとしº と。

仏告タマハク↢父↡、如シト↧伊蘭林方四十由旬ナルニ、有↢一科牛頭栴檀↡↠有リト↢根牙↡、猶未↠土伊蘭林唯臭クシテ↠香キコトクラフコト↢其花菓↡、発↠狂而死栴檀漸漸ヤウヤク生長ルニ↠成ムト↠樹、香気昌盛ニシテ改↢変↡、普皆香美ナラシム衆生見者皆生ルガ↦希有↥。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]合法
                        [ⅰ]世尊自合

^ぶつちちおうげたまはく、 ª一切いっさいしゅじょうしょうのなかにありて念仏ねんぶつしんもまたかくのごとし。 ただよくねんけてまざれば、 さだめて仏前ぶつぜんしょうず。 ひとたび*おうじょうれば、 すなはちよく一切いっさい諸悪しょあく改変がいへんしてだい慈悲じひじょうずること、 かの香樹こうじゅらんりんあらたむるがごとしº」 と。

仏告タマハク↢父↡、一切衆生在↢生死↡念仏之心亦復如↠是。但能↠念レバ↠止、定↢仏前↡。一タビレバ↢往生↡、即改↢変一切諸悪↡成コト↢大慈悲↡、如シト↣彼香樹ルガ↢伊蘭林↡。」

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]集主重釈

^いふところの 「らんりん」 とは、 しゅじょうのうちの*三毒さんどく*さんしょうへんじゅうざいたとふ。 「栴檀せんだん」 といふは、 しゅじょう念仏ねんぶつしんたとふ。 「わづかにじゅとならんとほっす」 とは、 いはく、 一切いっさいしゅじょうただよくねんみてえざれば、 *業道ごうどうじょうべんするなりと。

↠言「伊蘭林」者、喩↢衆生三毒・三障、无辺重罪↡。言↢「栴檀」↡者、喩↢衆生念仏之心↡。「纔スト↠成ムト↠樹」者、謂一切衆生但能↠念レバ↠断、業道成辨也。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)問答を設く
                (a)

 ^ひていはく、 一切いっさいしゅじょう念仏ねんぶつこうはかりてまた一切いっさいおうじてるべし。 なにによりてか一念いちねんちからよく一切いっさいしょしょうつこと、 いち香樹こうじゅじゅうじゅんらんりんあらためてことごとくこうならしむるがごとくなるや。

、計↢一切衆生念仏之功↡亦一切↡可↠知。何テカ一念之力能コト↢一切諸障↡、如クナル↧一香樹↢四十由旬伊蘭林↡悉使ルガ↦香美ナラ↥也。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)
                  (イ)略答

^こたへていはく、 *しょだいじょうによりて念仏ねんぶつ三昧ざんまい*のう不可ふか思議しぎなることをあらわさん。

、依↢諸部大乗↡顕↢念仏三昧功能不可思議ナルコトヲ↡也。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)広引
                    [一]獅絃断余譬

^なんとなれば、 ¬*ごんぎょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「^たとへばひとありて獅子ししすじもちゐて、 もつてことげんとなして、 おんじょうひとたびそうするに、 一切いっさいげんことごとくみなだんするがごとし。 もしひとだいしんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 一切いっさい煩悩ぼんのう一切いっさいしょしょうことごとくみな断滅だんめつす。

トナレバ者如↢¬花厳経¼云フガ↡。「譬↧有↠人用↢師子↡、以↢琴↡、音声一タビルニ、一切絃悉皆断壊ルガ↥。若人菩提心レバ↢念仏三昧↡者、一切煩悩、一切諸障悉皆断滅

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]獅乳消余譬

^またひとありてよう驢馬ろめ一切いっさいのもろもろのちちしぼりていっのなかにくに、 もし獅子ししちち一渧いったいちてこれをぐるに、 ただちにぎてはばかりなし。 一切いっさいしょにゅうことごとくみな破壊はえして、 へんじてしょうすいとなるがごとし。 もしひとただよくだいしんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 一切いっさいあくしょしょうただちにぎてはばかりなし」 と。

亦如↧有↠人搆↢取牛・羊・驢馬、一切↡置クニ↢一器↡、若↢師子乳一渧↡投ルニ↠之、直ハバカリ一切諸乳悉皆破壊、変ルガ↦清水↥。若人但能菩提心レバ↢念仏三昧↡者、一切悪魔・諸障直シト↠難。」

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]翳薬隠遊譬

^またかの ¬きょう¼ (華厳経・意) にのたまはく、 「^たとへばひとありて*翳身えいしんやくちて処々しょしょぎょうするに、 一切いっさいにんこのひとざるがごとし。 もしよくだいしんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 一切いっさい悪神あくじん一切いっさいしょしょうこのひとず。 所詣しょげいところしたがひてよく*しゃしょうすることなし。

又彼¬経¼云、「譬↧有↠人持↢翳身薬↡処処遊行ルニ、一切余人不ルガ↞見↢是↡。若菩提心レバ↢念仏三昧↡者、一切悪神・一切諸障不↠見↢是↡。随↢所詣↡无↢能遮障コト↡也。

二 Ⅰ ⅲ d ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)結示

^なんがゆゑぞよくしかるとならば、 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいはすなはちこれ一切いっさい*三昧さんまいのなかのおうなるがゆゑなり」 と。

ルトナラバ、此念仏三昧是一切三昧ナルガ故也。」

二 Ⅰ ⅲ 【三身三土】
        標章

【7】 ^第七だいしちりゃくして*三身さんしん*さんかすとは、

第七ストハ↢三身三土↡、

二 Ⅰ ⅲ e 正釈
          (一)正しく宗義を立つ〔報身報土〕

^ひていはく、 いま現在げんざい弥陀みだぶつはこれいづれのしんぞ、 極楽ごくらくくにはこれいづれのぞ。

、今現在阿弥陀仏是何、極楽之国是何

^こたへていはく、 現在げんざい弥陀みだはこれ*報仏ほうぶつ極楽ごくらくほうしょうごんこくはこれ*ほうなり

、現在弥陀是報仏、極楽宝荘厳国報土ナリ

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)旧解を破会す
            (Ⅰ)正しく謬解を破す
              (ⅰ)牒古略破

^しかるに*きゅうあひつたへて、 みな弥陀みだぶつはこれ*しんもまたこれ*化土けどなりといへり。 これを大失だいしつとなす。

古旧、皆云↢阿弥陀仏是化身、土亦是化ナリト↡。此↢大失↡也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)反質而難

^もししからば、 *穢土えどもまたしんしょじょうもまたしんしょならば、 いぶかし、 如来にょらい*報身ほうじんはさらにいづれのによるや。

者、穢土亦化身所居、浄土亦化身所居ナラバ者、未審イブカシ、如来報身↢何↡也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)経を引きて証成す
                (a)略引して義を定む

^いま ¬*だいじょうどうしょうきょう¼ によりてほうじょうべんじょうせば、 ¬きょう¼ (同・意) にのたまはく、 「じょうのなかにぶつとなりたまへるはことごとくこれ報身ほうじんなり、 穢土えどのなかにぶつとなりたまへるはことごとくこれしんなり」 と。

今依↢¬大乗同性経¼↡辨↢定セバ報化・浄穢↡者、¬経¼云、「浄土タマヘル↠仏者、悉是報身ナリ、穢土タマヘル↠仏者、悉是化身ンリト。」

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)広引して理を申ぶ
                  (イ)

^かの ¬きょう¼ (大乗同性経・意) にのたまはく、 「弥陀みだ如来にょらいれんかい星王しょうおう如来にょらいりゅうしゅ如来にょらい宝徳ほうとく如来にょらいとうのもろもろの如来にょらい清浄しょうじょう*仏刹ぶっせつにしてげん*どうたまへるもの、 まさにどうたまふべきもの、 かくのごとき一切いっさいはみなこれ報身ほうじんぶつなり。

¬経¼云、「阿弥陀如来・蓮花開敷星王如来・竜主如来・宝徳如来等如来、清浄仏刹ニシテタマヘル↠道者、当↠得タマフ↠道者、如↠是一切皆是報身仏也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)

^何者なにもの如来にょらいしん。 なほ今日こんにち踊歩ゆぶ如来にょらい魔恐怖まくふ如来にょらいのごとき、 かくのごとき一切いっさい如来にょらいの、 *じょくのなかにしてげんぶつとなりたまへるもの、 まさにぶつとなりたまふべきもののごとし。 *そつよりくだり、 ない一切いっさい*しょうぼう一切いっさい*像法ぞうぼう一切いっさい*末法まっぽう*じゅうす。 かくのごとき化事けじみなこれしんぶつなり。

何者如来化身。ナホ↢今日歩如来・魔恐怖如来↡、如↠是一切、穢濁世ニシテ↢現タマヘル↠仏者、当↠成タマフ↠仏↡。従↢兜率↡下、乃至住↢持一切正法・一切像法・一切末法↡。如↠是化事皆是化身仏也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)

^何者なにもの如来にょらい*法身ほっしん如来にょらいしん法身ほっしんとは、 しきなくぎょうなく、 げんなくじゃくなく、 るべからず、 言説ごんせつなく、 じゅうしょなく、 しょうなくめつなし。 これをしん法身ほっしんづく」 と。

何者如来法身。如来真法身者、无↠色无↠形、无↠現无↠著、不↠可↠見、无↢言説↡、无↢住処↡、无↠生无↠滅。是クト↢真法身↡也。」

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)広く妨難を通ず
              (ⅰ)授記経難
                (a)〔報身隠没相〕

 ^ひていはく、 如来にょらい報身ほうじん*常住じょうじゅうなり。 いかんぞ ¬*観音かんのんじゅきょう¼ (意) に、 「弥陀みだぶつ*にゅうはんのちかんおんさつ*いで仏処ぶっしょす」 とのたまふや。

、如来報身常住ナリ。云何¬観音授記経¼云↣「阿弥陀仏入涅槃後、観世音菩薩次スト↢仏処↡」也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)
                  (イ)略示

^こたへていはく、 これはこれ報身ほうじん*隠没おんもつそうげんす。 *めつにはあらず。

、此是報身、示↢現隠没↡。非↢滅度ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)広明
                    [一]経を引きて証と為す

^かの ¬きょう¼ (観音授記経・意) にのたまはく、 「弥陀みだぶつにゅうはんのち、 また深厚じんこう善根ぜんごんしゅじょうありて、 かえりてることもとのごとし」 と。 すなはちそのしょうなり。

¬経¼、「阿弥陀仏入涅槃後、復有↢深厚善根衆生↡、還コトシト↠故。」即証也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]論を引きて経と合す

^また ¬*ほうしょうろん¼ (意) にいはく、

報身ほうじんしゅそうまします。 *説法せっぽうとおよび*けんと、

*諸業しょごうそくせざると、 および*そく隠没おんもつと、

*実体じったいげんするとなり」 と。

すなはちそのしょうなり。

又¬宝性論¼云

「報身↢五種相↡説法可見
諸業ルト↢休息休息隠没
示↢現ルトナリト不実体↡。」

証也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)上の反質に就いて難ず
                (a)

 ^ひていはく、 *しゃ如来にょらい報身ほうじんほうはいづれのほうにかましますや。

、釈迦如来報身・報土↢何ニカ↡也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ¬はんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「西方さいほうここをることじゅうごうしゃぶつかいあり、 づけて*しょうといふ。 かののあらゆるしょうごんまた西方さいほう極楽ごくらくかいのごとし。 ひとしくしてことなることあることなし。 われかのにおいてしゅつげんす。 しゅじょうせんがためのゆゑに、 きたりてこの*しゃこくにあり。 ただわれのみこのづるにあらず、 一切いっさい如来にょらいもまたかくのごとし」 と。 すなはちそのしょうなり。

、¬涅槃経¼云、「西方去コト↠此四十二恒河沙仏土↢世界↡、名↢无勝↡。彼所有荘厳亦如↢西方極楽世界↡。等クシテ↠有コト↠異コト。我於↢彼↡出↢現於世↡。為↠化ムガ↢衆生↡故、来↢此娑婆国土↡。但非↣我ノミルニ↢此↡、一切如来亦復如シト↠是。」即証也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)鼓音経難
                (a)

 ^ひていはく、 ¬*おんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「弥陀みだぶつ父母ぶもあり」 と。 あきらかにりぬ、 これ報仏ほうぶつほうにあらずや。

、¬鼓音経¼云、「阿弥陀仏リト↢父母↡。」明↢是報仏・報土↡也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)
                  (イ)正通

^こたへていはく、 なんぢはただきてきょうむねきわたずねずしてこのうたがいいたす。 これを*毫毛ごうもうあやまりてこれをせんしっすといふべし。 しかれども弥陀みだぶつまた三身さんしんそなへたまへり。 極楽ごくらくしゅつげんしたまふはすなはちこれ報身ほうじんなり。 いま父母ぶもありといふは、 これ穢土えどのなかにげんしたまへるしん父母ぶもなり。 またしゃ如来にょらいじょうのなかにしてその報仏ほうぶつじょうじ、 このほう応来おうらいして父母ぶもありとしめしてその*ぶつじょうじたまふがごとし。 弥陀みだぶつもまたかくのごとし。

ナンヂ但聞↠名シテ↣究↢尋↢此↡。可↠謂↧錯↢之毫毛↡失スト↦之千里↥。然ドモ阿弥陀仏亦具タマヘリ↢三身↡。極楽出現タマフ者即是報身ナリ。今言↠有リト↢父母↡者、是穢土示現タマヘル化身父母也。亦如↧釈迦如来、浄土ニシテ↢其報仏↡、応↢来↡示↠有リト↢父母↡成タマフガ↦其化仏↥。阿弥陀仏亦復如↠是

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(ロ)引証

^また ¬*音声おんじょうきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「そのとき弥陀みだぶつ*しょうもんしゅともなり。 くに*しょうたいなづく。 しょうおうしょじゅうなり。 そのしろ*じゅうこうじゅうせんじゅんなり。 弥陀みだぶつちちはこれ*転輪てんりんじょうおうなり。 おうがつじょうづけ、 ははしゅみょうみょうげんづく。 おうしょうづけ、 *ぶっがつみょうづけ、 *だいだっじゃくづけ、 *きゅう弟子でし無垢むくしょうづく」 と。

又如↢¬鼓音声経¼云フガ↡。「爾時阿弥陀仏、与↢声聞衆↡倶ナリ。国↢清泰↡。聖王所住ナリ。其縦広十千由旬ナリ。阿弥陀仏是転輪聖王ナリ。王↢月上↡、母↢殊勝妙顔↡。魔王↢无勝↡、仏子↢月明↡、提婆達多↡、給侍弟子クト↢无垢称↡。」

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(ハ)結示

^またじょうらいくところはならびにこれしんそうなり。 もしこれじょうならば、 あに*輪王りんのうおよびしろ女人にょにんとうあらんや。 これすなはちもん*炳然へいねんなり、 なんぞ分別ふんべつたんや。 みなよくたずきわめずして、 まよひてしゅうしょうぜしむることをいたす。

又上来↠引是化身之相ナリ。若是浄土ナラバ、豈↢輪王及城・女人等↡也。此即文義炳然ナリムヤ↢分別↡。皆不シテ↢善↡、致↠使コトヲ↢迷↠名↟執也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)隠顕を以て成壊の難を例す
                (a)

 ^ひていはく、 もし報身ほうじん隠没おんもつそくそうましまさば、 またじょう*じょうあるべきや。

、若報身↢隠没休息相↡者、亦可キヤ↣浄土↢成壊事↡。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)(b)
                  (イ)略示

^こたへていはく、 かくのごときなんは、 いにしえよりいまにいたりてまたつうじがたし。 しかりといへども、 いまあへてきょうきてしょうとなさん。 またるべし。 たとへば仏身ぶっしん常住じょうじゅうなれども、 しゅじょう*はんありとるがごとし。 じょうもまたしかなり。 たいじょうにあらざれども、 しゅじょう所見しょけんしたがひてじょうありあり。

、如↠斯難者、自イニシヘリテ↠今義亦難↠通。雖↠然今敢↠経↠証。義亦可↠知。譬↢仏身常住ナレドモ、衆生見↟有↢涅槃↡。浄土亦爾ナリ。体レドモ↢成壊↡、随↢衆生所見↡有↠成有↠壊。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)引証
                    [一]

^¬ごんぎょう¼ にのたまふがごとし。   

「なほ*どう種々しゅじゅりょうしきるがごとく、

しゅじょう*しんぎょうしたがひて、 *仏刹ぶっせつることもまたしかなり」 と。

如↢¬華厳経¼云↡。

ナホ↠見導師種種无量
↢衆生心行コトモ↢仏刹↡亦然ナリト

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]

^このゆゑに ¬*じょうろん¼ にいはく、

*一質いちぜつじょうぜざるがゆゑに、 じょう*ようあり。

*ぜつじょうぜざるがゆゑに、 *もとさぐればすなはちみょういちなり。

*ぜつじょうぜざるがゆゑに、 えんすればすなはち*まんぎょうなり」 と。

¬浄土¼云

「一質不ルガ↠成浄穢有↢虧盈↡
異質不ルガ↠成レバ冥一ナリ
无質不ルガ↠成縁起レバ万形ナリト

二 Ⅰ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ハ)結釈

^ゆゑにりぬ、 もし*ほっしょうじょうによらばすなはち清濁しょうじょくろんぜず、 もし*ほうだいによらばすなはちじょうなきにあらず。

↢法性浄土↡則不↠論↢清濁↡、若↢報化大悲↡則↠无キニ↢浄穢↡也。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (三)因みに汎く報化を明す
            (Ⅰ)正しく不同を明す

^またひろぶつかしてかんどうたいするに、 その三種さんしゅ差別しゃべつあり。

又汎シテ↢仏土↡対ルニ↢機感不同↡、有↢其三種差別↡。

二 Ⅰ ⅲ e ロ (三)(Ⅰ)(ⅰ)従真垂報

^いちには*しんよりほうるるをづけてほうとなす。 なほ日光にっこう*てんらすがごとし。 法身ほっしんのごとく、 ほうひかりのごとし。

者従↠真垂ルヲ↠報↢報土↡。猶如↣日光スガ↢四天下↡。法身↠日、報化↠光

二 Ⅰ ⅲ e ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)無而忽有

^には*無而むにこつなる、 これをづけてとなす。

者无而忽有ナル、名↠之↠化

^すなはち ¬*分律ぶんりつ¼ (意) にのたまふがごとし。 「*じょうこう如来にょらいだいじょうして、 抜提ばつだいじょうとあひちかくして、 ともに親婚しんこんをなして往来おうらいす。 のちとき忽然こつねんして焼却しょうきゃくす。 もろもろのしゅじょうをしてこの*じょうしめて、 えんしょうじて仏道ぶつどうこうせしめざるはなし」 と。

↢¬四分律¼云フガ↡。「定光如来化↢提婆城↡、与↢抜提城↡相クシテ、共↢親婚↡往来。後忽然↠火。令↣諸衆生ヲシテ覩↢此無常↡、莫シト↠不ルハ↣生↠厭帰↢向シメ仏道↡也。」

^このゆゑに ¬きょう¼ (維摩経・意) にのたまはく、

あるいは*こうきて、 てんみな*洞然どうねんたるをげん

しゅじょう*じょうそうあるものをして、 あきらかにじょうらしめ、

あるいは貧乏びんぼうすくはんがために、 げん*じんそうてて、

えんしたがひてひろ開導かいどうして、 だいしんおこさしむ」 と。

¬経¼云

「或↢劫火天地皆洞然タルヲ
衆生ルモノヲシテ↢常想↡カニ↠知↢无常
↠済ムガ↢貧乏↢无尽蔵
↠縁開導ムト↠発↢菩提心↡」

二 Ⅰ ⅲ e ロ (三)(Ⅰ)(ⅲ)隠穢顕浄

^さんにはかくじょうあらわす。 ¬ゆいぎょう¼ (意) のごとし。 「ぶつあしゆびをもつてあんじたまふに、 *三千さんぜんせつごんじょうならざるはなし」 と。

者隠↠穢↠浄。如↢¬維摩経¼↡。「仏以↢足↡按タマフニ↠地、三刹土莫シト↠不ルハ↢厳浄ナラ↡。」

二 Ⅰ ⅲ e ロ (三)(Ⅱ)宗義に結帰す

^いまこのりょう寿じゅこくは、 すなはちこれしんよりほうるるくになり。 なにをもつてかることをる。 ¬観音かんのんじゅきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「らい観音かんのんじょうぶつして弥陀みだぶつところかわりたまふ」 と。 ゆゑにりぬ、 これほうなり。

今此无量寿国、即是従↠真垂↠報国也。何↠知コトヲ。依ルニ↢¬観音授記経¼↡云、「未来観音成仏タマフト↢阿弥陀仏↡。」故是報也。

二 Ⅰ ⅲ 【凡聖通往】
        標章

【8】 ^第八だいはち弥陀みだじょうこくくらいじょうね、 ぼんしょうつうじてくことをかすとは、

第八スト↧弥陀浄国位該↢上下↡、凡聖通コトヲ↥者、

二 Ⅰ ⅲ f 正釈
          (一)略述
            (Ⅰ)前を牒し双べ明す

^いまこのりょう寿じゅこくはこれその*ほうじょうなり。 仏願ぶつがんによるがゆゑにすなはちじょう該通がいつうして、 ぼんぜんをして*ならびにおうじょうしむることをいたす。 かみぬるによるがゆゑに、 *天親てんじん*りゅうじゅおよびじょうさつまたみなしょうず。

今此无量寿国是其浄土ナリ。由↢仏願↡故該↢通上下↡、致↠令コトヲ↣凡夫之善ヲシテ得↢往生↡。由↠該ルニ↠上、天親・龍樹及上地菩薩亦皆生也。

二 Ⅰ ⅲ f ロ (一)(Ⅱ)偏に該上を証す

^このゆゑに ¬*だいきょう¼ (下・意) にのたまはく、 「ろくさつぶつひたてまつる。 ªいまだらず、 このさかいにいくばくの*退たいさつありてか、 かのくにしょうずることをるº と。 ぶつのたまはく、 ªこのしゃかいろくじゅうしちおく退たいさつありて、 みなまさにおうじょうすべしº」 と。 もしひろかんとほっせば、 ほうもみなしかなり。

¬大経¼云、「弥勒菩薩問マツル↠仏。未↠知、此テカ↢幾許不退菩薩↡得ルト↠生コトヲ↢彼↡。仏言、此娑婆世界↢六十七億不退菩薩↡、皆当シト↢往生↡。」若セバ↢広ムト↡、余方皆爾ナリ

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)広釈
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 弥陀みだじょうこくすでにくらいじょうね、 ぼんしょうふことなくみなつうじてくといはば、 いまだらず、 ただ*そうしゅしてしょうずることをや、 はたぼん*そうもまたしょうずることをや。

、弥陀浄国既ハバ↧位該↢上下↡、无コト↢凡聖↡皆通クト↥者、未↠知、唯修↢无相↡得↠生コトヲ為当 ハタ 凡夫亦得↠生コトヲ也。

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)有相の得生を明す
                (a)正釈

^こたへていはく、 ぼんあさくしておおそうによりてもとむるに、 けっしておうじょうしかるに*しょうぜんちからなるをもつて、 ただ*そうしょうじてただほうぶつる。

、凡夫智浅クシテルニ、決得↢往生↡。然↢相善力微ナルヲ↡、但生↢相土↡唯覩報化↡也。

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)引証

^このゆゑに ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ の 「さつほんぎょうぼん(意) にのたまはく、 「^*文殊もんじゅ師利しりぶつにまうしてまうさく、 ªまさにるべし、 われ過去かこりょう劫数こうしゅぼんたりしときおもふに、 かのぶつましましき、 ほうとくじょうおう如来にょらいづく。 かのぶつでたまひしとき、 いまとことなることなし。 かのぶつまたたけ*じょうろくこんじきにして*さんじょうほうきたまふこと*しゃもんのごとし。

¬観仏三昧経¼「菩薩本行品」云、「文殊師利白↠仏、当↠知、我念フニ↧過去無量劫数リシ↢凡夫↡時↥、彼シキ↠仏、名↢宝威徳上王如来↡。彼仏出タマヒシ時、与↠今无↠異コト。彼仏亦長丈六、身紫金色ニシテタマフコト↢三乗↡如↢釈迦文↡。

そのときかのくにだいちょうじゃあり、 一切いっさいづく。 ちょうじゃあり、 づけてかいといふ。 たいにありしときははきょうしんをもつてのゆゑにあらかじめそののために*さん帰依きえく。 すでにしょうじをはりてとし八歳はっさいいたるに、 父母ぶもぶついえしょうじてようしたてまつる。 どうぶつたてまつりて、 ぶつのためにらいをなす。 ぶつうやましんおもくして、 しばらくもてず。 ひとたびぶつたてまつるがゆゑに、 すなはちひゃく万億まんおく*那由他なゆた*こうしょうつみじょきゃくすることを。 これより以後いごつねにじょうしょうじてすなはちひゃくおく那由他なゆたごうしゃぶつぐうしたてまつることをたり。 このもろもろのそんまた相好そうごうをもつてしゅじょう*だつしたまふ。

時彼↢大長者↡、名↢一切↡。長者↠子、名↢戒護↡。子在リシ↢母胎↡時、母以↢敬信↡故↢其↡受↢三帰依↡。子既年至ルニ↢八歳↡、父母請↢仏於家↡供養マツル。童子見マツリテ↠仏、為↠仏↠礼。敬↠仏心重クシテ、目不↢暫↡。一タビマツルガ↠仏得↣除↢却コトヲ百万億那由他劫生死之罪↡。従↠是以後常↢浄土↡即タリ↣値↢遇マツルコトヲ百億那由他恒河沙↡。是世尊亦以↢相好↡度↢脱タマフ衆生↡。

そのときどう一々いちいちしたしくつかへて、 あひだにむなしくくることなし。 礼拝らいはいようがっしょうしてぶつたてまつる。 因縁いんねんりきをもつてのゆゑに、 またひゃくまん*そうぶつぐうしたてまつることを。 かの諸仏しょぶつとうもまた*色身しきしん相好そうごうをもつてしゅじょう*化度けどしたまふ。 これより以後いごすなはちひゃく千億せんおく念仏ねんぶつ三昧ざんまいもん、 またそう*陀羅尼だらにもんたり。 すでにこれををはりて、 諸仏しょぶつ現前げんぜんしてすなはちためにそうほうきたまふ。 *しゅのあひだに*しゅりょうごん三昧ざんまい

時童子一一、間↢空コト↡。礼拝供養合掌マツル↠仏↢因縁力↡故、復得↣値↢遇マツルコトヲ百万阿僧祇↡。彼諸仏等亦以↢色身相好↡化↢度タマフ衆生↡。従↠是以後即得↢百千億念仏三昧門↡、復得タリ↢阿僧祇陀羅尼門↡。既得↠此、諸仏現前タマフ↢无相↡。須臾之間得↢首楞厳三昧↡。

ときにかのどうたださんけてひとたびぶつらいするがゆゑに、 あきらかに仏身ぶっしんかんじてしんえんなし。 この因縁いんねんによりてしゅぶつふ。 いかにいはんやねんけてそくゆいしてぶつ色身しきしんかんぜんをや。 ときにかのどうあに異人ことひとならんや。 これわがなりº と。

童子但受↢三帰↡一タビルガ↠仏、諦ジテ↢仏身↡心↢疲厭↡。由リテ↢此因縁↡値↢无数↡。何↠念具足思惟ムヲヤ↢仏色身↡。時童子豈異人ナラム乎。是我身也

^そのときそん文殊もんじゅめてのたまはく、 ªきかなきかな、 なんぢひとたびぶつらいするをもつてのゆゑに、 しゅ諸仏しょぶつふことをたり。 いかにいはんやらいのわがもろもろの弟子でし、 ねんごろにぶつかんずるもの、 ねんごろにぶつねんずるものをやº と。

時世尊讃↢文殊↡言、善哉善哉、汝以↢一タビルヲ↟仏、得タリ↠値コトヲ↢无数諸仏↡。何未来弟子、懃ズル↠仏者、懃ズル↠仏ヲヤト

^ぶつ*なんちょくしたまはく、 ªなんぢ文殊もんじゅ師利しりたもちて、 あまねく大衆だいしゅおよびらいしゅじょうげよ。 もしはよくぶつらいするもの、 もしはよくぶつねんずるもの、 もしはよくぶつかんずるものは、 まさにるべし、 このひと文殊もんじゅ師利しりひとしくしてことなることあることなし。 捨身しゃしんして、 他世たせに、 文殊もんじゅ師利しりとうのもろもろのさつ、 その*じょうとなるº」 と。

仏勅タマフ↢阿難↡、汝持↢文殊師利↡、↢大衆及未来世衆生↡。若↠仏者、若↠仏者、若↠仏者、当↠知、此与↢文殊師利↡等クシテコト↠異コト。捨身他世、文殊師利等菩薩為ルト↢其和上↡。」

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)結成

^このもんをもつてしょうす。 ゆゑにりぬ、 じょうそう該通がいつうせり、 おうじょうすることあやまらず。

↢此↡証。故浄土該↢通セリ↡、往生コト不↠謬

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)無相の得生を明す
                (a)正釈

^もし*そうねんたいとなすとりて、 しかも*えんのなかにくことをもとむるものは、 おおくは*じょうはいしょうなるべし。

↢无相離念スト↟体、而↠往コトヲ、多クハ↢上輩ナル↡也。

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)引証

^このゆゑに天親てんじんさつの ¬ろん¼ (*論註・下意) にいはく、 「もしよく*じゅうしゅしょうごん清浄しょうじょうかんずれば、 すなはちりゃくして*一法いっぽっる。 一法いっぽっとはいはく、 *清浄しょうじょうなり。 清浄しょうじょうとはすなはちこれ智慧ちえ*無為むい法身ほっしんなるがゆゑなり。

天親菩薩¬論¼云、「若レバ↢二十九種荘厳清浄↡、即↢一法句↡。一法句者謂清浄句ナリ。清浄句者即是智恵无為法身ナルガナリ

なんがゆゑぞすべからく*こうりゃくそうにゅうすべきとならば、 ただ諸仏しょぶつさつしゅ法身ほっしんまします。 いちには*ほっしょう法身ほっしんには*方便ほうべん法身ほっしんなり。 ほっしょう法身ほっしんによるがゆゑに方便ほうべん法身ほっしんしょうず。 方便ほうべん法身ほっしんによるがゆゑにほっしょう法身ほっしんけんしゅつす。 このしゅ法身ほっしんにしてわかつべからず。 いちにしてどうずべからず。 このゆゑにこうりゃくそうにゅうす。

キトナラバ↢広略相入↡者、但諸仏・菩薩↢二種法身↡。一者法性法身、二者方便法身ナリ。由ルガ↢法性法身↢方便法身↡。由ルガ↢方便法身↡故顕↢出法性法身↡。此二種法身ニシテ而不↠可↠分。一ニシテ而不↠可↠同。是広略相入

さつもしこうりゃくそうにゅうらざれば、 すなはち*自利じり利他りたすることあたはざるなり。 無為むい法身ほっしんとはすなはちほっしょうしんなり。 ほっしょうじゃくめつなるがゆゑに、 すなはち法身ほっしんそうなり。 法身ほっしんそうなるがゆゑに、 すなはちよくそうならざるはなし。 このゆゑに相好そうごうしょうごんすなはちこれ法身ほっしんなり。 法身ほっしん*無知むちなるがゆゑに、 すなはちよくらざるはなし。 このゆゑに*一切いっさいしゅはすなはちこれ真実しんじつ智慧ちえなり。

菩薩若レバ↠知↢広略相入↡、則ルナリ↠能↢自利利他コト↡。无為法身者即法性身也。法性寂滅ナルガ、即法身无相也。法身无ナルガ、則↠不ルハ↠相ナラ。是相好荘厳即是法身也。法身无知ナルガ、則↠不ルハ↠知。是一切種智是真実智恵也。

えんにつきて*総別そうべつ二句にくかんずることをるといへども、 実相じっそうにあらざるはなし。 実相じっそうるをもつてのゆゑに、 すなはち*三界さんがいしゅじょうもうそうる。 三界さんがいしゅじょうもうるをもつてのゆゑに、 すなはち真実しんじつ慈悲じひおこす。 真実しんじつ慈悲じひるをもつてのゆゑに、 すなはち真実しんじつ帰依きえおこす」 と。

ルト↣就↠縁ズルコトヲ↢総別二句↡、莫↠非ルハ↢実相↡也。以↠知ルヲ↢実相↡故、即↢三界衆生虚妄↡也。以↠知ルヲ↢三界衆生虚妄↡故、即↢真実慈悲↡也。以↠知ルヲ↢真実慈悲↡故、即スト↢真実帰依↡也。」

二 Ⅰ ⅲ f ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結成

^いまのぎょうじゃ*緇素しそふことなく、 ただよくしょうしょうりて*たいせざるものは、 おおじょうはいしょう*落在らくざいすべし。

今之行者无↠問コト↢緇素↡、但能↢生・无生↡不↠違↢二諦↡者、多↣落↢在上輩↡也。

二 Ⅰ ⅲ 【三界摂不】
        標章

【9】 ^だい弥陀みだじょうこく三界さんがいしょうしょうとをかすとは、

第九ストハ↣弥陀浄国三界↢不摂↡、

二 Ⅰ ⅲ g 正釈
          (一)

^ひていはく、 安楽あんらくこく三界さんがいのなかにおいて、 いづれのかいしょしょうぞ。

、安楽国土↢三界↡、何所摂

二 Ⅰ ⅲ g ロ (二)
            (Ⅰ)浄穢相対して摂不を弁ず
              (ⅰ)相対

^こたへていはく、 じょうしょうみょうにしてたい*けんでたり。 この三界さんがいはすなはちこれしょうぼん闇宅あんたくなり。 またらくすこしきことにし、 *修短しゅたんことなることありといへども、 すべてこれをかんずるに*有漏うろ*じょうしんにあらざるはなし。 *ぶくそうじょうしてじゅんかんさいなり。 *ざっしょう触受そくじゅ*とうながかかはる。 かつはいんかつは虚偽こぎそうじゅうせり。 ふかいとふべし。

、浄土勝妙ニシテ体出タリ↢世間↡。此三界者乃是生死凡夫之闇宅ナリ。雖↢復苦楽少ニシ修短有↟異コト統如 スベテ ルニ↠之↠非ルハ↢有漏之長津↡。倚伏相乗循環無際ナリ。雑生触受、四倒長カカハ。且因且果、虚偽相。深↠厭也。

二 Ⅰ ⅲ g ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)結示

^このゆゑにじょう三界さんがいしょうにあらず。

浄土↢三界↡。

二 Ⅰ ⅲ g ロ (二)(Ⅱ)正しく浄土に就いて不摂を明す
              (ⅰ)居処に約して明す

^また ¬智度ちどろん¼ (意) によるにいはく、 「じょうほうよくなきがゆゑに*欲界よくかいにあらず、 地居じこのゆゑに*色界しきかいにあらず、 ぎょうしきあるがゆゑに*色界しきかいにあらず、 地居じこといふといへども精勝しょうしょうみょうぜつなり」 と。

又依ルニ↢¬智度論¼↡云、「浄土果報キガ↠欲故↢欲界↡、地居↢色界↡、有ルガ↢形色↡故↢无色界↡、雖↠言フト↢地居↡精勝妙絶。ナリト

二 Ⅰ ⅲ g ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)総じて二種世間に約して明す

^このゆゑに天親てんじんの ¬ろん¼ (*浄土論) にいはく、

かのかいそうかんずるに、 三界さんがいどうしょうせり。

きょうしてくうのごとく、 広大こうだいにして辺際へんざいなし」 と。

天親¬論¼云

「観ルニ↢彼世界勝↢過三界
究竟↢虚空広大ニシテシト↢辺際↡」

二 Ⅰ ⅲ g ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)別して噐界清浄に約して明す

^このゆゑに ¬だいきょうさん¼ にいはく (*讃阿弥陀仏偈)

みょう広大こうだいにして*数限しゅげんゆ。 ねん*七宝しっぽうをもつてごうじょうするところなり。

ぶつ*本願ほんがんりきより*しょうごんおこる。 *清浄しょうじょうだいしょうじゅ*稽首けいしゅしたてまつる。

かい*光耀こうようすることたえにして殊絶しゅぜつす。 *ちゃくえつ晏安えんあんとして*四時しじなし。

自利じり利他りたちから円満えんまんしたまふ。 *方便ほうべんぎょうしょうごんみょうしたてまつる」 と。

¬大経¼云

「妙土広大ニシテ↢数限自然七宝ヲモテナリ↢合成
本願力ヨリ荘厳稽↢首マツル清浄大摂受
世界光耀コトニシテ殊絶適悦晏安トシテ↢四時↡
自利利他力円満タマフ帰↢命マツルト方便巧荘厳↡」

【第二大門】
    標列

【10】^だい大門だいもんのなかに三番さんばんりょうけんあり。 だいいち*ほつだいしんかし、 だい*けん*じゃしゅうし、 だいさんひろ問答もんどうほどこして、 じょう*しゃくす。

第二大門↢三番料簡↡。第一↢発菩提心↡、第二↢異見邪執↡、第三↢問答↡、釈↢去疑情↡。

二 Ⅱ
      発菩提心【菩提心義】
        標列

【11】^はじめのほつだいしんにつきて、 うちにばんあり。 いちにはだいしん*ゆういだし、 には*だいみょうたいいだし、 さんには発心ほっしんことなることあることをあらわし、 には問答もんどうしゃくす。

↢初発菩提心↡、内↢四番↡。一ニハ↢菩提心功用↡、二ニハ↢菩提名体↡、三ニハ↢発心有コトヲ↟異コト、四ニハ問答解釈

二 Ⅱ ⅱ a 随釈
          (一)菩提心功用
            (Ⅰ)経証

 ^だいいちだいしんゆういだすとは、 *¬だいきょう¼ にのたまはく、 「おほよそじょうおうじょうせんとほっせば、 かならずすべからくだいしんおこすをみなもととなすべし」 と。

第一スト↢菩提心功用↡者、¬大経¼云、「凡↣往↢生ムト浄土↡、要シト↧発スヲ↢菩提心↡為。」

二 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)正嘆
              (ⅰ)名徳を示す

^いかんとなれば、 「だい」 といふはすなはちこれ*じょう仏道ぶつどうなり。

云何トナレバ菩提トイフ者乃是无上仏道之名也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)功能を明す

^もししんおこぶつらんとほっすれば、 このしん広大こうだいにして*法界ほうかいへんしゅうせり。 このしんきょうしてひとしきことくうのごとし。 このしんじょうおんにしてらいさいつくす。 このしんあまねくつぶさに*じょうさわりはなる。

↢発↠心ムト↟仏者、此心広大ニシテ遍↢周法界↡。此心究竟キコト↢虚空↡。此心長遠ニシテ↢未来際↡。此心普↢二乗↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)力用を明す
                (a)法説

^もしよくひとたびこのしんおこせば、 無始むししょう*りんかたむく。 あらゆる*どくだい*こうすれば、 みなよくとお*ぶっいたるまで失滅しつめつあることなし。

タビセバ↢此↡、傾↢无始生死↡。所有功徳廻↢向レバ菩提↡、皆能マデ↢仏果↡无↠有コト↢失滅↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)(b)喩説

^たとへばはな*じょうすれば風日ふうにちにもしぼまず、 みず*りょうすれば*かんにもくることなきがごとし。

↧寄レバ↢花五浄↡風日ニモ不↠萎、附レバ↢水霊河↡世ニモキガコト

二 Ⅱ ⅱ a ロ (二)菩提名体
            (Ⅰ)標列

 ^だいだいみょうたいいだすとは、 しかるにだい三種さんしゅあり。 いちには法身ほっしんだいには報身ほうじんだいさんにはしんだいなり。

第二スト↢菩提名体↡者、然菩提↢三種↡。一者法身菩提、二者報身菩提、三者化身菩提也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)法身菩提

^*法身ほっしんだいといふは、 いはゆる真如しんにょ実相じっそう*第一だいいちくうなり。 *しょう清浄しょうじょうにして、 たい*ぜんなし。 **天真てんしんでて*しゅじょうらざるをづけて法身ほっしんとなす。 仏道ぶつどう体本たいほんづけてだいといふ。

↢法身菩提↡者、所謂真如実相第一義空ナリ。自性清浄ニシテ体无↢穢染↡。理出↢天真↡不ルヲ↠仮↢修成↡名↢法身↡。仏道体本↢菩提↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)報身菩提

^*報身ほうじんだいといふは、 つぶさにまんぎょうしゅしてよく報仏ほうぶつかんず。 いんむくゆるをもつてづけて報身ほうじんといふ。 *円通えんずう無礙むげなるをづけてだいといふ。

↢報身菩提↡者、備↢万行↡能↢報仏之果↡。以↢果ルヲ↟因↢報身↡。円通无礙ナルヲ↢菩提↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)化身菩提

^*しんだいといふは、 いはく、 ほうより*ゆうおこして、 よく*まんおもむくをづけてしんとなす。 *益物やくもつ円通えんずうするをづけてだいといふ。

↢化身菩提↡者、謂↠報起↠用、能クヲ↢万機↡名↢化身↡。益物円通ルヲ↢菩提↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)発心有異
            (Ⅰ)先づ常途に約して釈す
              (ⅰ)

 ^だいさん発心ほっしんことなることあることをあらわすとは、 いまいはく、 ぎょうじゃいんしゅしんおこすにその三種さんしゅせり。

第三スト↢発心コトヲ↟異コト者、今謂行者修↠因スニ↠心↢其三種↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)
                (a)

^いちには、 かならずすべからく有無うむもとよりこのかたしょう清浄しょうじょうなりと識達しきだつすべし。

者要↣識↢達有无従↠本已来自性清浄ナリト↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)(b)

^には、 まんぎょう縁修えんしゅす。 八万はちまんせんしょ*波羅はらみつもんとうなり。

者縁↢修万行↡。八万四千諸波羅蜜門等ナリ

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)(c)

^さんには、 だい慈悲じひほんとなしてつねに*うんせんとするをかいとなす。

者大慈悲↠本ルヲ↢運度ムト↠懐

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅲ)

^この三因さんいんはよくだいだい相応そうおうす。 ゆゑにほつだいしんづく。

此之三因与↢大菩提↡相応。故↢発菩提心↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)正しく随自に約して明す
              (ⅰ)引証

^また ¬じょうろん¼ (論註・下意) によるにいはく、 「いまほつだいしんといふは、 まさしくこれ*がんぶつしんなり。 がんぶつしんとは、 すなはちこれ*しゅじょうしんなり。 しゅじょうしんとは、 すなはちしゅじょう*摂取せっしゅしてぶつこくしょうぜしむるしんなり。

又拠ルニ↢¬浄土論¼↡云、「今言↢発菩提心↡者正是願作仏心ナリ。願作仏心者即是度衆生心ナリ。度衆生心者即摂↢取衆生↡生シムル↢有仏国土↡心ナリ

二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)結勧

^いますでにじょうしょうぜんとがんず。 ゆゑにづすべからくだいしんおこすべし」 と。

今既↠生ムト↢浄土↡。故シト↠発↢菩提心↡也。」

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)問答解釈
            (Ⅰ)

 ^だい問答もんどうしゃくすとは、

問答解釈スト者、

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)
              (ⅰ)先づ常途に就きて問答す
                (a)

^ひていはく、 もしつぶさにまんぎょうしゅしてよくだいかんじょうぶつといはば、 なんがゆゑぞ ¬*諸法しょほうぎょうきょう¼ に、

「もしひとだいもとめば、 すなはちだいあることなし。

このひとだいとおざかること、 なほてんとのごとし」

とのたまへるや。  

、若↢万行↡能↢菩提↡得トイハバ↢成仏↡者、何¬諸法无行経¼云ルヤ

「若人求↢菩提↠有コト↢菩提
人遠カルコト↢菩提猶如シト↦天↞地」

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅰ)(b)
                  (イ)先づ来難の経旨を解す
                    [一]正明

^こたへていはく、 だいしょうたいは、 もとむるに*そうなり。 いまそうをなしてもとむ。 じつあたらず。 ゆゑにひととおざかるとづく。

、菩提正体、理ルニ无相ナリ。今作↠相。不↠当↢理実↡。故人遠カルト↡也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二]引証

^このゆゑに*きょうにのたまはく、 「だいしんをもつてべからず、 しんをもつてべからず」 と。

¬経¼言、菩提者不↠可↢以↠心得↡、不↠可↢以↠身得↡也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)今二諦に順ずる修を明す
                    [一]正明

^いまいはく、 ぎょうじゃしゅぎょうしてきてもとむるをるといへども、 *了々りょうりょうたいもとむることなきことをしきして、 なほ*みょうせず。 このゆゑにつぶさにまんぎょうしゅす。 ゆゑによくかんず。

今謂、行者雖↠知ルト↢修行ルヲ↡、了了識↢理体无キコトヲ↟求コトナホ不↠壊↢仮名↡。是↢万行↡。故也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]引証
                      [Ⅰ]論所偈

^このゆゑに *¬だい智度ちどろん¼ にいはく、

「もしひと*般若はんにゃるも、 これすなはちばくせられたりとなす。

もし般若はんにゃざるも、 これまたばくせられたりとなす。

もしひと般若はんにゃるも、 これすなはち*だつとなす。

もし般若はんにゃざるも、 これまただつとなす」 と。

¬大智度論¼云

「若人見ルモ↢般若是則↠被タリト↠縛
ルモ↠見↢般若是亦為↠被タリト↠縛
人見ルモ↢般若是則↢解脱
ルモ↠見↢般若是亦為スト↢解脱↡」

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]論主自解

^*りゅうじゅさつしゃくにいはく、 「このなかに*四句しくはなれざるを*ばくとなし、 四句しくはなるるを*となす」 と。

龍樹菩薩、是ルヲ↠離↢四句↡者為↠縛、離ルヲ↢四句↡者為スト↠解

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)結して二諦に準ずるを明す

^いまだいさとるに、 ただよくかくのごとくしゅぎょうすれば、 すなはちこれぎょうにしてぎょうなり。 ぎょうにしてぎょうなれば、 たい大道だいどうせず。

サトル↢菩提↡但能↠此修行レバ、即是不行ニシテ而行ナリ。不行ニシテ而行ナレバ者、不↠違↢二諦大道理↡也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)正しく随自に約して解釈す
                (a)引証
                  (イ)

^また天親てんじんの ¬じょうろん¼ (論註・下意) によるにいはく、 「おほよそ発心ほっしんしてじょうだいせんとほっせば、 その二義にぎあり。

又依ルニ↢天親¬浄土論¼↡云、「凡↣発心ムト↢无上菩提↡者、有二義↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)

^いちには、 づすべからく三種さんしゅだいもんそうするほうはなるべし。 には、 すべからく三種さんしゅだいもんじゅんずるほうるべし。

者先↠離↧三種与↢菩提門↡相違↥。二者須↠知↧三種↢菩提門↡法↥。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)
                    [一]本論に依りて違門を明す
                      [Ⅰ]智慧門

^なんらをかさんとなす。 いちには智慧ちえもんによりてらくもとめず。 しんをもつてしん*とんじゃくすることをおんするがゆゑなり。

何等ヲカ↠三。一者依↢智慧門↡不↠求↢自楽↡。遠↣離ルガヲモテ貪↢着コトヲ自身↡故ナリ

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[一][Ⅱ]慈悲門

^には慈悲じひもんによりて一切いっさいしゅじょうく。 しゅじょうやすんずることなきしんおんするがゆゑなり。

者依↢慈悲門↡抜↢一切衆生↡。遠↧離ルガ↠安コト↢衆生↡心↥故ナリ

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[一][Ⅲ]方便門

^さんには方便ほうべんもんによりて一切いっさいしゅじょう憐愍れんみんするしんなり。 しん*ぎょうようするしんおんするがゆゑなり。

者依↢方便門↡憐↢愍一切衆生↡心ナリ。遠↧離ルガ恭↢敬供↣養自身↡心↥故ナリ

^これを三種さんしゅだいもんそうほうおんすとづく。

↣遠↢離スト三種菩提門相違↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[二]本末を合引して順門を明す
                      [Ⅰ]結前生後

^だいもんじゅんずるとは、 さつはかくのごとき三種さんしゅだいもんそうほうおんして、 すなはち三種さんしゅだいもんずいじゅんするほう。 なんらをかさんとなす。

ルト↢菩提門↡者、菩薩遠↢離↠是三種菩提門相違↡、得↧三種随↢順菩提門↡法↥。何等ヲカ↠三

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[二][Ⅱ]出三種門
                        [ⅰ]無染清浄心

^いちにはぜん清浄しょうじょうしんなり。 しんのために諸楽しょらくもとめざるがゆゑなり。 だいはこれぜん清浄しょうじょうところなり。 もししんのためにらくもとむれば、 すなはちだいもんせり。 このゆゑにぜん清浄しょうじょうしんはこだいもんじゅんずるなり。

者无染清浄心ナリ。不ルガ↧為↢自身↡求↦諸楽↥故ナリ。菩提是无染清浄ナリ。若↢自身↡求レバ↠楽、即↢菩提門↡。是无染清浄心是順ルナリ↢菩提門↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]安清浄心

^にはあん清浄しょうじょうしんなり。 一切いっさいしゅじょうかんがためのゆゑなり。 だい一切いっさいしゅじょう安穏あんのんにする清浄しょうじょうしょなり。 もししんをなして、 一切いっさいしゅじょうきてしょうはなれしめざれば、 すなはちだいす。 このゆゑに一切いっさいしゅじょうくはこれだいもんじゅんずるなり。

者安清浄心ナリ。為↠抜ムガ↢一切衆生↡故ナリ。菩提安↢ニスル一切衆生↡清浄処ナリ。若レバ↧作↠心↢一切衆生↡離シメ↦生死↥、即便↢菩提↡。是クハ↢一切衆生↡是順ルナリ↢菩提門↡。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[二][Ⅱ][ⅲ]楽清浄心

^さんにはらく清浄しょうじょう心なり。 一切いっさいしゅじょうをしてだいだいしめんとほっするがゆゑなり。 しゅじょう摂取せっしゅしてかのこくしょうぜしむるがゆゑなり。 だいはこれ*ひっきょうじょうらくところなり。 もし一切いっさいしゅじょうをしてひっきょうじょうらくしめざれば、 すなはちだいもんす。 このひっきょうじょうらくはなにによりてかる。 かならずだいもんによる。 だいもんといふは、 いはく、 かの安楽あんらく仏国ぶっこくこれなり。

者楽清浄心ナリ。欲ルガ↠令メムト↣一切衆生ヲシテ得↢大菩提↡故ナリ。摂↢取衆生↡生シムルガ↢彼国土↡故ナリ。菩提是畢竟常楽ナリ。若レバ↠令↣一切衆生ヲシテ得↢畢竟常楽↡者、則↢菩提門↡。此畢竟常楽テカ↠何而得。要↢大義門↡。大義門トイフ者、謂安楽仏国是也。

二 Ⅱ ⅱ a ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)結勧

^ゆゑに一心いっしんせんしてかのくにしょうぜんとがんぜしむ。 はや*じょうだいせしめんとほっすればなり」 と。

↢一心専至↟生ムト↢彼↡。欲レバ使メムト↣早↢无上菩提↡也。」

二 Ⅱ ⅱ 【破異見邪執】
       

【12】^だいけんじゃしゅうすることをかすとは、 なかにつきてそのばんあり。

第二スト↠破コトヲ↢異見邪執↡者、就↠中↢其番↡。

二 Ⅱ ⅱ b

だいいちにはだいじょうそうもうするけんへんじゅうす。 だいにはさつ*愛見あいけんだい*つうす。 だいさんにはしんほうなしとけいするをす。 だいには*こくしょうぜんとがんじて、 じょうおうじょうせんとがんぜざるをす。 だいにはもしじょうしょうずれば、 おおよろこびてらくじゃくすといふをす。 第六だいろくにはじょうしょうぜんともとむるはなり、 これ*しょうじょうなりといふをす。 第七だいしちには*そつしょうぜんともとめて、 じょうせざれとすすむるをす。 第八だいはちにはもし十方じっぽうじょうしょうぜんともとめんよりは、 西にしするにしかずといふをつうす。 だいには*べつ時意じいりょうけんす。

第一ニハ↧妄↢計ルヲ大乗无相↡異見偏執↥。第二ニハ会↢通菩薩愛見大悲↡。第三ニハ↠繋ルヲ↢心外シト↟法。第四ニハ↧願↠生ムト↢穢国↡、不ルヲ↞願↣往↢生ムト浄土↡。第五ニハ↧若レバ↢浄土↡、多ストイフヲ↞楽。第六ニハ↧求ルハ↠生ムト↢浄土↡非ナリ、是小乗ンリトイフヲ↥。第七ニハ↧求↠生ムト↢兜率↡、勧ルヲ↞不レト↠帰↢浄土↡。第八ニハ会↧通メムヨリハ↠生ムト↢十方浄土↡、不トイフヲ↞如↠帰ルニ↠西。第九ニハ料↢簡別時之意↡。

二 Ⅱ ⅱ b 正釈
          (一)破無相妄執
            (Ⅰ)

【13】^だいいちだいじょうそうもうしゅうすとは、 なかにつきてあり。 いちには*そうしょうなり。 後代こうだい学者がくしゃをしてあきらかに是非ぜひりてじゃしょうかはしめんとほっす。 だいにはひろ*じょうにつきてしょうあらわしてこれをす。

第一スト↢大乗无相妄執↡者、就↠中↠二。一ニハ総生起ナリ。欲↠令メムト↧後代学者ヲシテ↢是非↡去↞正。第二ニハ↢繋↡顕↠正↠之

^いちそうしょうとは、 しかるにだいじょう深蔵じんぞう*みょう塵沙じんしゃなり。 このゆゑに ¬はんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「いちみょうりょうあり、 いちりょうあり」 と。 かならずすべからくあまねく*衆典しゅてんつまびらかにして、 まさに*部旨ぶしあきらむべし。 小乗しょうじょう俗書ぞくしょとのもんあんじておわるがごときにあらず。 なんのこころかすべからくしかるべき。 ただ*じょう幽廓ゆうかくにしてきょうろん*隠顕おんけんす。 ぼんじょうをして種々しゅじゅ*だくせしむることをいたす。 おそらくは*てん刁々ちょうちょうわたりて、 *ひゃくもうへんじゅう雑乱ぞうらん無知むちにしておうじょう*ぼうすることを。 いましばらく少状しょうじょうげて一々いちいちこれをせん。

総生起者、然大乗深蔵名義塵沙ナリ。是¬涅槃経¼云、「一名无量アリ、一義无量アリト。」要↧遍ニシテ↢衆典↡、方アキラ↦部旨↥。非↠如キニ↢小乗俗書トノ↠文ルガ↟義。何↠然。但浄土幽廓ニシテ経論隠顕。致↠令コトヲ↢凡情ヲシテ種々図度↡。恐諂語刁刁↡、百盲偏執雑乱无知ニシテ妨↢礙コトヲ往生↡。今且↢少状↡一一破↠之

 ^だいいちだいじょうそうもうするをすとは、

第一スト↣妄↢計ルヲ大乗无相↡者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)内の妄計無相を破す
                (a)

^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「だいじょうそうなり、 彼此ひしねんずることなかれ。 もしじょうしょうぜんとがんずれば、 すなはちこれ*取相しゅそうなり、 *うたたばくす。 なにをもつてかこれをもとむる」 と。

、或↠人言、大乗无相ナリ、勿↠念コト↢彼此↡。若レバ↠生ムト↢浄土↡、便是取相ナリ、転↠縛。何↠之

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)
                  (イ)正答

^こたへていはく、 かくのごとき*けいはまさにおもふにしからず。 なんとなれば、 一切いっさい諸仏しょぶつ説法せっぽうはかならずえんす。 いちにはほっしょうじつによる。 にはすべからくそのたいじゅんずべし。 かれは、 だいじょうねんなり、 ただほっしょうによるとけいして、 しかも*えんそしみす。 すなはちこれたいじゅんぜず。 かくのごときけんは、 *滅空めっくうしょしゅうす。

、如↠此計者将フニ不↠然。何トナレバ者一切諸仏説法↢二縁↡。一ニハ↢法性実理↡。二ニハ↠順↢其二諦↡。彼シテ↣大乗无念ナリ、但依ルト↢法性↡、然ナミ縁求↡。即是不↠順↢二諦↡。如↠此見者、堕↢滅空所収↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)経証
                    [一]無上依経

^このゆゑに ¬*じょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶつなんげたまはく、 ª一切いっさいしゅじょうもし*けんおこすこと*しゅせんのごとくならんも、 われおそれざるところなり。 なにをもつてのゆゑに。 このひとはいまだすなはちしゅつずといへども、 つねに*いんせず、 ほううしなはざるがゆゑなり。 もし*空見くうけんおこすこと芥子けしのごとくなるも、 われすなはちゆるさず。 なにをもつてのゆゑに。 このけんいんやぶうしなひておお悪道あくどうす。 らいしょうじょかならずわがそむくº」 と。

¬無上依経¼云、「仏告タマハク↢阿難↡、一切衆生若コト↢我見↡如クナラムモ↢須弥山↡、我所ナリ↠不↠懼。何。此↣即得↢出離↡、常不↠壊↢因果↡、不ルガ↢果報↡故ナリ。若コト↢空見↡如クナルモ↢芥子↡、我即不↠。何。此見者破↢喪因果↡多↢悪道↡。未来生処必クト↢我↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]維摩経1

^いまぎょうじゃすすむ。 *しょうなりといへども、 しかもたいどうえんなきにあらざれば、 一切いっさいおうじょう。 このゆゑに ¬ゆいぎょう¼ (意) にのたまはく、

諸仏しょぶつくにとおよびしゅじょうとは、 くうなりとかんずといへども、

しかもつねにじょうしゅして、 もろもろの*ぐんじょうきょうす」 と。

今勧↢行者↡。理雖↢无生ナリト↡、然二諦道理非レバ↠无キニ↢縁求↡、一切得↢往生↡也。是¬維摩経¼云

「雖↠観ズト↧諸仏↢衆生↡空ナリト
↢浄土教↢化スト群生↡」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]維摩経2

^またかの ¬きょう¼ (維摩経) にのたまはく、 「*無作むさぎょうずといへども*受身じゅしんげんず。 これさつぎょうなり。 *無起むきぎょうずといへども、 一切いっさいぜんぎょうおこす。 これさつぎょうなり」 と。 これそのしんしょうなり。

又彼¬経¼云、「雖↠行ズト↢无作↡而現↢受身↡。是菩薩ナリ。雖↠行ズト↢无起↡而起↢一切善行↡。是菩薩ナリト。」是其真証也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)外の不護戒相を破す
                (a)

 ^ひていはく、 いまけんひとありて、 だいじょう*そうぎょうじてまた彼此ひしぞんぜず、 まつたく戒相かいそうまもらず。 このいかん。

今世間↠人、行↢大乗无相↡亦不↠↢彼此↡、全不↠護↢戒相↡。是事云何

二 Ⅱ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 かくのごときけいがいをなすことますますはなはだし。 なんとなれば、 ¬*だい方等ほうどうきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「ぶつ*優婆うばそくのためにかいせいす。 ª寡婦かふ処女しょにょいえ*しゅ藍染らんぜんおうじゅくいたることをざれ、 ことごとく往来おうらいすることをざれº と。 なんぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 なんらのひとのためにか、 かくのごときかいせいしたまふº と。 ぶつなんげたまはく、 ªぎょうじゃに二しゅあり。 いちには*ざいにんぎょうには*しゅっにんぎょうなり。 しゅっにんには、 われかみせいせず。 ざいにんには、 われいまこれをせいす。 なにをもつてのゆゑに。 一切いっさいしゅじょうはことごとくこれわがなり。 ぶつはこれ一切いっさいしゅじょう父母ぶもなり。 *遮制しゃせい約勒やくろくすれば、 はやけんでてはんるがゆゑなりº」 と。

、如↠此計者為コト↠害マスマスダシ。何トナレバ者如↢¬大方等経¼云フガ↡。「仏為↢優婆塞↡制↠戒。不↠得↠至コトヲ↢寡婦・処女家、沽酒家・藍染家・押油家・熟皮家↡、悉レト↠得↢往来コトヲ↡。阿難↠仏、世尊、為ニカ↢何等↡制タマフ↢如↠斯↡。仏告タマハク↢阿難↡、行↢二種↡。一者在世人行、二者出世人ナリ出世人者吾不↠制↢上↡。在世人者吾今制↠之。何。一切衆生是吾ナリ。仏是一切衆生父母ナリ遮制約勒レバ、早↢世間↡得ルガ↢涅槃↡故ナリト。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)会通愛見大悲
            (Ⅰ)

【14】^だいさつ愛見あいけんだいつうすとは、

第二会↢通スト菩薩愛見大悲↡者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^ひていはく、 だいじょう聖教しょうぎょうによるに、 「さつもろもろのしゅじょうにおいて、 もし愛見あいけんだいおこさばすなはちしゃすべし」 と。 いましゅじょうすすめてともにじょうしょうぜしむるは、 あに*愛染あいぜん取相しゅそうにあらずや。 いかんぞその*塵累じんるいまぬかれんや。

、依ルニ↢大乗聖教↡、菩薩於↢諸衆生↡、若↢愛見大悲↡即シト↢捨離↡。今勧↢衆生↡共シムルハ↢浄土↡、豈ズヤ↢愛染取相↡。若為 イカン ↢其塵累↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)悲智双行に約して会す
                  (イ)二種目を列す

^こたへていはく、 さつぎょうほうゆうあり。 なんとなれば、 いちには*くう般若はんにゃさとる。 には*だいす。

、菩薩行法功用↠二。何トナレバ者一ニハ↢空恵般若↡。二ニハ↢大悲↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)其の功用を明す

^いちにはくう般若はんにゃしゅするちからをもつてのゆゑに、 *六道ろくどうしょうるといへども、 *塵染じんぜんのためにつながれず。 にはだいをもつてしゅじょうねんずるがゆゑにはんじゅうせず。

ニハ↧修↢空般若↡力↥故、雖↠入ルト↢六道生死↡、不↧為↢塵染↡所↞繋。二ニハ↢大悲↡念ルガ↢衆生↡故不↠住↢涅槃↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)二諦に約して解す

^さつたいしょすといへども、 つねによくみょう*有無うむて、 取捨しゅしゃ*ちゅう大道だいどうせず。

菩薩雖↠処スト↢二諦↡、常↢有无↡、取捨得↠中不↠違↢大道理↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)引証

^このゆゑに ¬ゆいぎょう¼ にのたまはく、 「たとへばひとありてくうにおいてしゃぞうりゅうせんとほっせば、 こころしたがひてさわりなきも、 もしくうにおいてはつひにじょうずることあたはざるがごとし。 さつもまたかくのごとし。 *しゅじょうじょうじゅせんとほっするがためのゆゑに仏国ぶっこくらんとがんず。 仏国ぶっこくらんとがんずるは、 くうにおいてするにはあらず」 と。

¬維摩経¼云、「譬↩有↠人欲↧於↢空地↡造↦立ムト宮舎↥、随↠意キモ↠礙、若テハ↢虚空↡終ルガ↝能↠成コト。菩薩亦如↠是。為↠欲ルガ↣成↢就ムト衆生↡故↠取ムト↢仏国↡。願↠取ムト↢仏国↡者非ズト↠於テスルニハ↠空也。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)破繋心外無法
            (Ⅰ)

【15】^だいさんしんほうなしとけいするをすとは、

第三スト↠繋ルヲ↢心外シト↟法者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)(Ⅱ)
              (ⅰ)先づ二科を列す

^なかにつきてあり。 いちにはじょうし、 には問答もんどうしゃくす。

↠中↠二。一ニハ↢計情↡、二ニハ問答解釈

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)(Ⅱ)(ⅱ)次に問答して明す
                (a)繋情を破す
                  (イ)

 ^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「*所観しょかん浄境じょうきょう内心ないしん約就やくじゅすればじょうずうす。 しんきよければすなはちなり。 しんほうなし。 なんぞ西にしるをもちゐんや」 と。

、或↠人言、所観浄境約↢就レバ内心↡浄土融。心浄ケレバナリ。心外↠法。何ムヤ↢西ルヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 ただほっしょうじょうは、 *ゆうしょし、 たい*偏局へんごくなし。 これすなはち*しょうしょうにして、 *じょうのみるにへたり。

、但法性浄土、理処↢虚融↡、体无↢偏局↡。此乃无生之生ニシテ、上士ノミタリ↠入ルニ

^このゆゑに ¬*無字むじほうきょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぜんなんまた一法いっぽうあり、 これぶつさとるところなり。 いはゆる諸法しょほう不去ふこらいいんえんしょうめつ無思むし不思ふしぞうげんなり。 ぶつ*羅睺羅らごらげてのたまはく、 ªなんぢいまわがこの所説しょせつしょうぼうじゅするやいなやº と。 そのとき十方じっぽうおくさつありて、 すなはちぶつにまうしてまうさく、 ªわれらみなよくこの法門ほうもんして、 まさにしゅじょうのためにずうしてえざらしむべしº と。 そんこたへてのたまはく、 ªこれをぜんなんとうすなはちりょうけんだいたんすとなす。 かのひとすなはち*だん弁才べんざい、 よく清浄しょうじょうなる諸仏しょぶつかい命終みょうじゅうときにすなはちげん弥陀みだぶつ、 もろもろのしょうじゅとそのひとまえじゅうしたまふをたてまつることをおうじょうº」 と。

¬无字宝篋経¼云、「善男子、復有↢一法↡、是仏ナリ↠覚。所謂諸法不去不来・无因无縁・无生无滅・无思无不思・无増无減ナリ。仏告羅睺羅↡言、汝今受↢持ルヤ所説正法義↡不ヤト。爾時十方↢九億菩薩↡、即↠仏、我等皆能↢此法門↡、当シト↧為↢衆生↡流通ラシム↞絶。世尊答、是善男子等則↣両肩荷↢担スト↡。彼人即得↢不断弁才↡、得↢善清浄ナル諸仏世界↡。命終之時↫現マツルコトヲ↪阿弥陀仏与↢諸聖衆↡住タマフヲ↩其↨得↢往生↡也。」

^おのづからちゅうはいあり。 いまだ*そうすることあたはざれども、 かならず*信仏しんぶつ因縁いんねんによりてじょうしょうぜんともとむ。 かのくにいたるといへども、 かえりて*そうす。

↢中・下之輩↡。未ドモ↠能↠破コト↠相、要↢信仏因縁↡求↠生ムト↢浄土↡。雖↠至ルト↢彼↡、還↢相土↡。

^またいはく、 もし*えんせっしてほんしたがへば、 すなはちこれしんほうなし。 もしたいわかちてかさば、 じょうはこれしんほうなることをさまたぐることなし。

又云、若↠縁↠本、即是心外↠法。若チテ↢二諦↡明↠義、浄土↠妨コト↢是心外ナルコトヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)問答解釈
                  (イ)

 ^問答もんどう解釈げしゃくすとは、

問答解釈ストハ

^ひていはく、 さきに 「しょうしょうはただじょうのみよくる、 ちゅうへず」 といふは、 はたただちにひとをもつてほうやくしてかくのごときはんをなすや、 はたまた聖教しょうぎょうありてきたしょうすや。

、向↢无生之生唯上士ノミ、中・下↟堪者、為当 ハタ ↠人↠法スヤ↢如↠此↡、為当 ハタ 亦有↢聖教↡来スヤ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)
                    [一]引証

^こたへていはく、 ¬*智度ちどろん¼ (意) によるにいはく、 「*しんぽっさつ*機解きげなんにゃくにして発心ほっしんすといふといへども、 おおじょうしょうぜんとがんず。 なんのこころぞしかるとならば、 たとへばようのもし父母ぶも恩養おんようちかづかざれば、 あるいはあなじゃとうなんあり、 あるいはちちともしくしてす。 かならず父母ぶもせん養育よういくするをりて、 まさにちょうだいしてよくごうじょうけいすべきがごとし。 さつもまたしかなり。 もしよくだいしんおこして、 おおじょうしょうぜんとがんずれば、 諸仏しょぶつ親近しんごんしたてまつりて法身ほっしんぞうじょうし、 まさによくさつごうこうじょう十方じっぽう*済運さいうんす。 このやくのためのゆゑにおおしょうぜんとがんず」 と。

、依ルニ↢¬智度論¼↡云、「新発意菩薩機解軟弱ニシテ↠言フト↢発心スト↡、多↠生ムト↢浄土↡。何ルトナラバ者、譬↫嬰児レバ↠近ヅカ↢父母恩養↡、或↠坑↠井火蛇等アリ、或クシテ↠乳而死、要↢父母摩洗養育ルヲ↡、方キガ↪長大紹↩継家業↨。菩薩亦爾ナリ。若↢菩提心↡、多レバ↠生ムト↢浄土↡、親↢近マツリテ諸仏↡増↢長法身↡、匡↢菩薩家業↡十方済運。為↢斯↡故ズト↠生ムト也。」

^またかの ¬ろん¼ (大智度論・意) にいはく、 「たとへばちょうかくいまだならざるをば、 めてたかけしむべからず。 づすべからくはやしによりてじゅつたはしむべし。 はねちからありてまさにはやしそらあそぶべきがごとし。 しんぽっさつもまたしかなり。 づすべからくがんじょうじて仏前ぶつぜんしょうずることをもとめ、 法身ほっしん成長じょうちょうしてかんしたがひてやくおもむくべし。

又彼¬論¼云、「譬↧鳥子翅翮未ルヲバ↠成、不↠可↣逼↢高↢依↠林シム↟樹羽成↠力方キガ↦捨↠林↞空。新発意菩薩亦爾ナリ。先↧乗↠願↠生コトヲ↢仏前↡、法身成長↠感↞益

^またなんぶつにまうしてまうさく、 ªこの*そう波羅はらみつは、 いづれのところにありてかきたまふº と。 ぶつのたまはく、 ªかくのごとき法門ほうもんは、 *阿毘あびばっのなかにありてく。 なにをもつてのゆゑに。 しんぽっさつありてこのそう波羅はら蜜門みつもんかば、 あらゆる清浄しょうじょう*善根ぜんごんことごとくまさに滅没めつもつすべしº」 と。

又阿難白↠仏、此无相波羅蜜、在テカ↢何↡説タマフ仏言、如↠此法門、在↢阿毘跋致地↡説。何。有↢新発意菩薩↡聞↢此无相波羅蜜門↡、所有清浄善根悉シト↢滅没↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]

^またただかのくにいたりぬれば、 すなはち一切いっさいおわりぬ。 なにをもつてかこの深浅じんせんあらそはんや。

又来 マタ 但至ヌレバ↢彼↡、即一切事畢。何テカハム↢此深浅↡也。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)破穢土願生
            (Ⅰ)

【16】^だい穢土えどしょうぜんとがんじて、 じょうしょうぜんとがんぜざるをすとは、

第四スト↧願↠生ムト↢穢土↡、不ルヲ↞願↠生ムト↢浄土↡者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「こくしょうじてしゅじょう*きょうせんとがんじてじょうおうじょうすることをがんぜず」 と。 このいかん。

、或↠人言、願↧生↢穢↡教↦化ムト衆生↥不↠願↣往↢生コトヲ浄土↡。是事云何

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)正しく機差を簡示す
                  (イ)穢に処すに堪ふ機を明す

^こたへていはく、 これひとにまたいちともがらあり。 何者なにものぞ。 もし退たいして以去いこなれば、 雑悪ぞうあくしゅじょうせんがためのゆゑに、 よくぜんしょすれどもぜんせず、 あくへどもへんぜず。 *おうみずれども、 みず湿うるおすことあたはざるがごとし。 かくのごとき人等にんとうよくしょしてくにへたり。

、此亦有↢一徒↡。何者。若身居↢不退↡已去ナレバ、為↠化ムガ↢雑悪衆生↡故、能レドモ↠染不↠染、逢ドモ↠悪不↠変。如↢鵝鴨ドモ↠水、水ルガ↟能↠湿コト。如↠此人等堪ヘタリ↢能↠穢クニ↟苦

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)須く浄を願ずべき機を明す
                    [一]正明

^もしこれじつぼんならば、 ただおそらくはぎょういまだたず、 はばすなはちへんじ、 かれをすくはんとほっせばあひともにもっなん。 にわとりめてみずらしむるがごとし。 あによく湿うるおはざらんや。

是実凡夫ナラバ者、唯恐自行未↠立、逢↠苦、欲↠済ムト↠彼者、相与倶 トモ ナム如↢似 ゴト ↠鶏シムルガ↟水。豈ムヤ↠湿

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]引証
                      [Ⅰ]仏意不許

^このゆゑに ¬智度ちどろん¼ (意) にいはく、 「もしぼん発心ほっしんしてすなはち穢土えどにありてしゅじょう抜済ばっさいせんとがんずるをば、 *しょうゆるしたまはず」 と。

¬智度論¼云、「若凡夫発心ルヲバ↧在↢穢土↡抜↦済ムト衆生↥者、聖意不↠許。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]論主喩釈
                        [ⅰ]

^なんのこころぞしかるとならば、 りゅうじゅさつしゃくしていはく (大智度論・意)、 「たとへばじゅうこおりに、 もし一人いちにんありていっしょう熱湯ねっとうをもつてこれをとうずれば、 *とうすこしきげんずるに似如たれども、 もしよるあけいたれば、 すなはちのものよりもたかきがごとし。

ルトナラバ者、龍樹菩薩釈、「譬↧四十里モシ↢一人↡以↢一升熱湯↡投レバ↠之、当時似↢タレドモルニ↡、若↠夜↠明、乃キガ↦於余ヨリモ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]

^ぼんここにありて発心ほっしんしてすくふも、 またかくのごとし。 *貪瞋とんじんきょうがい*じゅんおおきをもつてのゆゑに、 みづから煩悩ぼんのうおこして、 かえりて悪道あくどうするがゆゑなり」 と。

凡夫在↠此発心フモ↠苦、亦復如↠是。以↢貪瞋境界違順多キヲ↡故、自↢煩悩↡、返ルガ悪道↡故也。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)破浄土着楽
            (Ⅰ)

【17】^だいもしじょうしょうずれば、 おおよろこびてらくじゃくすといふをすとは、

第五スト↧若レバ↢浄土↡、多トイフヲ↞楽者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「じょうのなかにはただらくのみありて、 おおよろこびてらくじゃくして修道しゅどう妨廃ぼうはいす。 なんぞおうじょうがんずるをもちゐんや」 と。

、或↠人言、浄土之中ニハ唯有↢楽事ノミ↡、多↠楽妨↢癈修道↡。何ヰム↠願ルヲ↢往生↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)道理破

^こたへていはく、 すでにじょうといふ、 しゅあることなし。 もしらくじゃくすといはば、 すなはちこれ*貪愛とんない煩悩ぼんのうなり。 なんぞづけてじょうとなさん。

、既↢浄土↡、无↠有コト↢衆穢↡。若↠著スト、便是貪愛煩悩ナリ。何サム↠浄

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(b)経証
                  (イ)身業無礙

^このゆゑに ¬だいきょう¼ (下・意) にのたまはく、 「かのくに人天にんでんは、 往来おうらいしんこころくるところなし」 と。

¬大経¼云、「彼人天、往来進止、情シト↠所↠繋。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)其の本源を示す

^またじゅうはちがんにのたまはく (大経・上意)、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいして、 もし想念そうねんおこして*とんせば、 しょうがくらじ」 (第十願) と。

又四十八願、「十方人天来↢至↡、若想念↡貪↢計セバ↡者、不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)意業平等

^¬だいきょう¼ (下・意) にまたのたまはく、 「かのくに人天にんでん*ちゃくまくするところなし」 と。

¬大経¼又云、「彼人天无シト↠所↢適莫↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結破

^なんぞじゃくらくあらんや。

↢著楽之理↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (六)破求生浄土非
            (Ⅰ)

【18】^第六だいろくじょうしょうぜんともとむるはなり、 これ小乗しょうじょうなりといふをすとは、

第六スト↧求ルハ↠生ムト↢浄土↡非ナリ、是小乗ナリトイフヲ↥、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (六)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「じょうしょうぜんともとむるはすなはちこれ小乗しょうじょうなり。 なんぞこれをしゅするをもちゐんや」 と。

、或↠人言、求ルハ↠生ムト↢浄土↡便是小乗ナリ。何ヰムヤ↠修ルヲ↠之

二 Ⅱ ⅱ b ハ (六)(Ⅱ)(ⅱ)

^こたへていはく、 これまたしからず。 なにをもつてのゆゑに。 ただ小乗しょうじょうきょうには一向いっこうじょうしょうずることをかさざるがゆゑなり。

、此亦不↠然。何。但小乗之教ニハ一向ルガ↠明↠生コトヲ↢浄土↡故也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)会通兜率願生
            (Ⅰ)

【19】^第七だいしちそつしょうぜんとがんずることと、 じょうするをすすむることとをつうすとは、

第七会↧通ストコトト↠生ムト↢兜率↡、勧コトトヲ↞帰ルヲ↢浄土↡者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「そつしょうぜんとがんじて、 *西にしすることをがんぜず」 と。 このいかん。

、或↠人言、願↠生ムト↢兜率↡、不↠願↠帰コトヲ↠西。是事云何

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)略答

^こたへていはく、 このるいせず。 しょうぶんおなじきにたれども、 たいによればおおきにべつなり。 そのしゅあり。

、此義不↠類。少分レドモ↠同キニ↠体ナリ↢其四種↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)広明
                  (イ)先づ兜率の劣を出す
                    [一]火宅退所の劣

^なんとなれば、 いちには*ろくそん、 その天衆てんしゅのために*退たい*法輪ほうりんてんず。 ほうきてしんしょうずるものはやくづけて信同しんどうとなす。 らくじゃくしてしんなきもの、 そのかずいちにあらず。 またそつしょうずといへども、 くらいこれ*退処たいしょなり。 このゆゑに ¬きょう¼ (*法華経) にのたまはく、 「三界さんがいやすきことなし、 なほ*たくのごとし」 と。

トナレバ者一ニハ弥勒世尊、為天衆↡転↢不退法輪↡。聞↠法↠信獲↠益。名↢信同↡。著↠楽↠信者、其数非↠一又来 マタ ズト↢兜率↡、位是退処ナリ。是¬経¼云、「三界↠安キコト、猶如シト↢火宅↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]寿命限り有るの劣

^にはそつおうじょうしてまさに寿じゅみょうること千歳せんざいなり。 命終みょうじゅうのち*退落たいらくまぬかれず。

ニハ往↢生兜率コト↢寿↡四千歳ナリ。命終之後不↠免↢退落↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]境唯欲を増すの劣

^さんにはそつてんじょうにはすいちょう樹林じゅりん*みょうあいなることありといへども、 ただ諸天しょてんしょうらくのためにえんたり。 *よくしたがひて*しょうどうたすけず。

ニハ兜率天上ニハ↠有↢水・鳥・樹林和鳴哀雅ナルコト↡、但↢諸天生楽↡為↠縁。順↢於五欲↡不↠資↢聖道↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)西方の勝を反顕す
                    [一]

^もし弥陀みだじょうこくかはば、 ひとたびしょうずることをるものはことごとくこれ*阿毘あびばっなり。 さらに*退人たいにんのそれとぞうするものなし。 またくらいはこれ*無漏むろにして、 三界さんがいしゅっしてまたりんせず。

↢弥陀浄国↡、一タビ↠生コトヲ是阿毘跋致ナリ。更↢退人与↠其雑居ルモノ↡。又復位是无漏ニシテ出↢過三界↡不↢復輪廻↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]寿命

^その寿じゅみょうろんずれば、 すなはちぶつ (阿弥陀仏)ひとし。 *算数さんじゅのよくるところにあらず。

レバ↢其寿命↡即与↠仏。非↢算数ルトコロニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]

^それすいちょう樹林じゅりんありてみなよくほうき、 ひとをして悟解ごげして*しょうしょうせしむ。

↢水・鳥・樹林↡皆能↠法、令↣人ヲシテ悟解証↢会无生↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[四]経証

^には ¬だいきょう¼ によりて、 しばらく一種いっしゅ音楽おんがくをもつて*きょうせば、 ¬きょうさん¼ にいはく (讃阿弥陀仏偈)

帝王たいおうより*六天ろくてんいたるまで、 音楽おんがくうたたみょうにしてはちじゅうあり。

*展転てんでんしてさきすぐるること億万おくまんばい宝樹ほうじゅこえうるわしきことばいしてまたしかなり。

またねんたえなるがくあり。 法音ほうおんしょうにして*心神しんじんよろこばしめ、

*哀婉あいえんりょうにして十方じっぽうゆ。 このゆゑに*清浄しょうじょうくん稽首けいしゅしたてまつる」 と。

ニハ↢¬大経¼↡、且↢一種音楽↡比挍者、¬経¼言

「従↢世帝王↡至マデ↢六天音楽転ニシテ↢八重↡
展転コト↠前億万倍宝樹キコト亦然ナリ
復有↢自然ナル伎楽↡法音清和ニシテバシメ↢心神
哀婉雅ニシテ↢十方稽↢首マツルト清浄勲↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)校量願生十方
            (Ⅰ)

【20】^第八だいはち十方じっぽうじょうしょうぜんとがんぜんよりは、 西方さいほうするにしかずといふを*校量きょうりょうすとは、

第八挍↧量ストムヨリハ↠生ムト↢十方浄土↡、不トイフヲ↞如↠帰ルニ↢西方↡者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^ひていはく、 あるいはひとありていはく、 「十方じっぽうじょうこくしょうぜんとがんじて、 西方さいほうせんとがんぜず」 と。 このいかん。

、或↠人言、願↠生ムト↢十方浄国↡、不↠願↠帰ムト↢西↡。是義云何

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)略答

^こたへていはく、 このるいせず。 なかにさんあり。

、此義不↠類。於↠中↠三。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)広く三意を以て有縁を明す
                  (イ)偏指専志に約して明す
                    [一]正明

^なんとなれば、 いちには十方じっぽう仏国ぶっこくじょうとなすにはあらず。 しかるにきょうひろければすなはちしんくらく、 きょうせまければすなはちこころもつぱらなり。

トナレバ者一ニハ十方仏国↠為スニハ↢不浄↡。然境寛ケレバ心昧、境狭ケレバ意専ラナリ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]引証

^このゆゑに ¬*十方じっぽう随願ずいがんおうじょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「こうさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん十方じっぽうぶつみなごんじょうなりとなす、 なんがゆゑぞしょきょうのなかにひとへに西方さいほう弥陀みだこくたんじておうじょうすすめたまふº と。 ぶつこうさつげたまはく、 ª一切いっさいしゅじょうじょくらんのものはおおく、 しょうねんのものはすくなし。 しゅじょうをしてせんあることをあらしめんとほっす。 このゆゑにかのくに*讃歎さんだんすること*べつとなすのみ。 もしよくがんによりてしゅぎょうすれば、 やくざるはなしº」 と。

¬十方随願往生経¼云、「普広菩薩白↠仏、世尊、十方仏土皆為↢厳浄ナリト↡、何諸経↢西方阿弥陀国↡勧タマフ↢往生↡也。仏告タマハク↢普広菩薩↡、一切衆生濁乱、正念。欲↠令メムト↢衆生ヲシテ専志有↟在コトヲ。是讃↢歎コト↡為↢別異↡耳。若↠願修行レバ、莫シト↠不ルハ↠獲↠益。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)初門易入に約す
                    [一]正明

^には十方じっぽうじょうみなこれじょうにして深浅じんせんりがたしといへども、 弥陀みだじょうこくはすなはちこれ*じょう初門しょもんなり。

ニハ十方浄土雖↢皆是浄ニシテ而深浅難シト↟知、弥陀浄国是浄土之初門ナリ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]引証

^なにをもつてかることをる。 ¬ごんぎょう¼ (意) によるにのたまはく、 「しゃかい一劫いっこう極楽ごくらくかい一日いちにちいちあたる。 極楽ごくらくかい一劫いっこう袈裟けさどうかい一日いちにちいちあたる。 かくのごとくれつあひのぞむるに、 すなはちじゅう*そうあり」 と。

↠知コトヲ。依ルニ↢¬花厳経¼↡云、「娑婆世界一劫↢極楽世界一日一夜↡。極楽世界一劫↢袈娑幢世界一日一夜↡。如↠是優劣相望ルニ、乃リト↢十阿僧祇↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]結示

^ゆゑにりぬ、 じょう初門しょもんとなすなり。 このゆゑに諸仏しょぶつひとへにすすめたまふ。 ほう仏国ぶっこくはすべてかくのごとく丁寧ていねいならず。 このゆゑにしんともがらおおおうじょうがんず。

スナリ↢浄土初門↡。是諸仏偏タマフ也。余方仏国不↢如↠此丁寧ナラ↡。是有信之徒↢往↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)終処相接に約して示す
                    [一]上を承けて下を起す

^さんには弥陀みだじょうこくはすでにこれじょう初門しょもんなり。 しゃかいはすなはち*穢土えど末処まっしょなり。

ニハ弥陀浄国是浄土初門ナリ。娑婆世界穢土末処ナリ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]先づ始処を知らしむ

^なにをもつてかることをる。 ¬*しょうぼうねんぎょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「ここより東北とうほくいちかいあり、 づけて斯訶しかといふ。 でんにただ三角さんかく沙石しゃせきのみあり。 一年いちねんたびあめふる。 いち湿しゅうにんすることすんぎず。 そのしゅじょう、 ただ*菓子かしじきじゅころもとなし、 しょうもとむるにず、 もとむるにず。 またいちかいあり。 一切いっさいろうきんじゅうない*蛇蝎じゃかつことごとくみなはねありてぎょうす。 ふものあひらふ。 善悪ぜんあく*えらばず」 と。 ^これあに穢土えどしょづけざらんや。

↠知コトヲ。如↢¬正法念経¼云フガ↡。「従↠此東北↢一世界↡、名↢斯訶↡。土田唯有↢三角沙石ノミ↡。一年タビ。一雨湿潤コト不↠過↢五寸↡。其衆生、唯食菓子↡樹皮↠衣、求ルニ↠生不↠得、求ルニ↠死不↠得。復有↢一世界↡。一切虎狼・禽獣乃至蛇蝎悉皆有↠翅飛行。逢者相。不↠簡↢善悪↡。」此豈ラムヤ↠名↢穢土始処↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[三]始を推して終処を知る

^しかるにしゃ*ほうはすなはち*げんじょうたぐいおなじくす。 ただこれすなはちこれ穢土えどしゅうしょなり。

娑婆依報与↢賢聖↡同クスタグヒ。唯此乃是穢土終処ナリ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[四]有縁の意に結帰す

^安楽あんらくかいはすでにこれじょう初門しょもんなり。 すなはちこのほう*きょういであひせっせり。 おうじょうはなはだ便べんなり。 なんぞかざらんや。

安楽世界是浄土初門ナリ。即与↢此方↡境次ギテ。往生甚便ナリ。何ラム↠去也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)料簡別時意
            (Ⅰ)

【21】^だいに ¬*しょうろん¼ とこの ¬きょう¼ (観経)そうするによりて、 べつ時意じいりょうけんとは、

第九↧¬摂論¼与↢此¬経¼↡相違ルニ↥、料↢簡スト別時意↡者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)
              (ⅰ)論主の指説を挙ぐ

^いま ¬かんぎょう¼ (意) のなかに、 ぶつ、 「*ぼんしょうひとげんじゅうざいつくるも、 命終みょうじゅうときのぞみて*ぜんしきひて*じゅうねんじょうじゅしてすなはちおうじょう」 ときたまふ。 ¬しょうろん¼ にいふによるに、 「ぶつべつ時意じいなり」 といふ。

今¬観経¼中、仏説タマフ↧下品人現ルモ↢重罪↡、臨↢命終↡遇↢善知識↡十念成就↦往生↥。依ルニ↢¬摂論¼云フニ↡、↢仏別時意ナリト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅱ)謬解を牒して破す
                (a)謬解を牒す
                  (イ)自解

^またらい*通論つうろんいえおおくこのもんはんじていはく、 「*りんじゅうじゅうねんはただおうじょういんとなることをるも、 いまだすなはちしょうずることをず。

又古来通論之家多↢此↡云、臨終十念但得ルモ↠作コトヲ↢往生↡、未↢即得↟生コトヲ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)論証

^なにをもつてかることをるとならば、 ¬ろん¼ (摂大乗論釈・意) にいはく、 ªいち金銭こんせんをもつてせん金銭こんせん貿あがなるは、 一日いちにちにすなはちるにはあらざるがごとしº と。 ゆゑにりぬ、 じゅうねんじょうじゅは、 ただいんとなることをるも、 いまだすなはちしょうずることをず。 ゆゑにべつ時意じいづく」 と。

ルトナラナバ↠知コトヲ、¬論¼云、「如シト↧以↢一金銭貿アガナ↢得ルハ金銭↡、非ルガ↦一日ルニハ↥。」故十念成就者、但得ルモ↠作コトヲ↠因↢即得↟生コトヲ。故クト↢別時意↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正しく破斥す
                  (イ)正破

^かくのごときはまさにいまだしからずとなす。

↠此解者将↠未↠然

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)破由

^なんとなれば、 おほよそさつの、 ろんつくりてきょうしゃくすることは、 みなとおぶつたすけて*聖情しょうじょうかいせんとほっしてなり。 もし論文ろんもんきょうすることあらば、 このことわりあることなからん。

トナレバ者凡菩薩↠論コトハ↠経、皆欲テナリ↧遠↢仏意↡契↦会ムト聖情↥。若↢論文コト↟経者、无ラム↠有コト↢是コトワリ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅲ)正義を会通す
                (a)先づ常途の説に簡ぶ

^いまべつ時意じいせば、 いはく、 ぶつ*じょう説法せっぽうはみな先因せんいん後果ごかかす。 *しゅ炳然へいねんなり。

今解セバ↢別時意↡者、謂常途説法↢先因後果↡。理数炳然ナリ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅲ)(b)正しく今経の説を述ぶ
                  (イ)随他の顕説を明す

^いまこの ¬きょう¼ (観経) のなかには、 ただいっしょうつみつくりて、 命終みょうじゅうときのぞみてじゅうねんじょうじゅしてすなはちおうじょうきて、 過去かこいんいんろんぜざるは、 ただこれそん*当来とうらい造悪ぞうあくともがら*いんじょうして、 そのりんじゅうあくぜんし、 ねんじょうじておうじょうせしめんとなり。 ここをもつてその*宿しゅくいんかくす。 これはこれそんはじめをかくしておわりをあらわし、 いんもっしてだんずるをづけてべつ時意じいとなす。

今此¬経¼中ニハ、但説↧一生造↠罪↢命終↡十念成就↦往生↥、不↠論↢過去有因无因↡者、直是世尊引↢接当来造悪之徒↡、令メムトナリ↢其臨終↠悪↠善、乗↠念往生↡。是↢其宿因↡。此是世尊隠↠始↠終、没↠因ルヲ↠果↢別時意↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(ロ)随自の隠説を明す

^なにをもつてかただじゅうねんじょうじゅするは、 みな過去かこいんありとることをる。 ¬はんぎょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「もしひと過去かこにすでにかつてはんごうしゃ諸仏しょぶつようし、 またすでに発心ほっしんし、 しかうしてよくあくのなかにおいてだいじょう経教きょうきょうくをけば、 ただよくそしらざるのみ、 いまだこうあらず。 もしすでにいちごうしゃ諸仏しょぶつようし、 およびすでに発心ほっしんして、 しかるのちだいじょう経教きょうきょうけば、 ただそしらざるのみにあらず、 またあいぎょうくわふ」 と。 ^このしょきょうをもつて*来験らいげんするに、 あきらかにりぬ、 じゅうねんじょうじゅするものはみないんありてむなしからず。 もしかの過去かこいんなきものは、 ぜんしきにすらなほ逢遇ふべからず、 いかにいはんやじゅうねんしてじょうじゅすべけんや。

↠知コトヲ但使 タダ 十念成就ルハ、皆有↢過因↡。如↢¬涅槃経¼云フガ↡。「若人過去供↢養半恒河沙諸仏↡、復スデ発心、而シテ↢悪世↡聞↠説クヲ↢大乗経教↡、但能ルノミ↠謗、未↠有↢余功↡。若供↢養一恒河沙諸仏↡、及発心、然↢大乗経教↡、非↢直不ルノミニ↟謗、復フト↢愛楽↡。」以↢此諸経↡来験ルニ、明十念成皆有↢過因↡不↠虚カラ。若過去↠因者、善知識ニスラ尚不↠可↢逢↡、何十念而可ケム↢成就↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(ハ)顕説論と合すを明す

^¬ろん¼ (摂大乗論釈) に、 「いち金銭こんせんをもつてせん金銭こんせん貿あがなるは一日いちにちにすなはちるにはあらず」 といふは、 もし*ぶつによれば、 しゅじょうをしておお善因ぜんいんみてすなはちねんじょうじておうじょうせしめんとほっす。 もし論主ろんじゅ (*無着)のぞむればいんづるにじょうず、 またたがふことなし。

¬論¼云↧、「以↢一金銭貿↢得ルハ金銭↡非ズト↦一日ルニハ↥」者、若↢仏意↡、欲↠令メムト↧衆生ヲシテ↢善因便↠念往生↥。若レバ↢論主トヅルニ過因↡、理亦无タガフコト

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)(Ⅱ)(ⅲ)(c)経論の相扶くを結す

^もしこのをなさば、 すなはちかみぶっきょうしたがひ、 しもろんこころはん。 すなはちこれきょうろんあひたすけておうじょうみちつうず。 まわくすることなかれ。

↢此↡、即↢仏経↡、下↢論↡。即是経論相往生路通。无↢復疑惑コト↡也。

二 Ⅱ ⅱ 【広施問答】
       

【22】^だいさんひろ問答もんどうほどこして、 じょう*しゃくすることをかすとは、

第三スト↧広↢問答↡、釈↦去コトヲ疑情↥者、

二 Ⅱ ⅱ c 挙義本

^自下じげは ¬だい智度ちどろん¼ につきてひろ問答もんどうほどこす。

自下↢¬大智度論¼↡広↢問答↡。

二 Ⅱ ⅱ c 正問答
          (一)第一問答〔繋業之義〕
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 ただ一切いっさいしゅじょう*曠大こうだいこうよりこのかた、 つぶさに有漏うろごうつくりて三界さんがい*ぞくせり。 いかんが三界さんがい*ごうだんぜずして、 ただしばらく、 弥陀みだぶつねんじてすなはちおうじょうて、 すなはち三界さんがいづるといはば、 このごうまたいかんせんとほっする。

、但一切衆生従↢曠大劫↡コノカタ、備↢有漏之業↡繋↢属三界↡。云何シテ↠断↢三界繋業↡、直爾少時 シバラク ↢阿弥陀仏↡即↢往生↡、便ルトイハバ↢三界↡者、此繋業之義復欲↢云何セムト↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^こたへていはく、 しゅしゃくあり。 いちにはほうにつきてきたす。 にはたとへをりてもつてあらわす。

、有↢二種解釈↡。一ニハ↠法。二ニハ↠喩

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)就法

^ほうにつくといふは、 諸仏しょぶつ如来にょらい*思議しぎ*だいじょうこう*とうりんさいじょうしょうまします。 思議しぎりきとは、 よくしょうをもつてとなし、 をもつてしょうとなす。 ごんをもつておんとなし、 おんをもつてごんとなす。 きょうをもつてじゅうとなし、 じゅうをもつてきょうとなす。 かくのごときありてりょうへん不可ふか思議しぎなり。

↠就クト↠法者、諸仏如来↢不思議智・大乗広智・无等无倫最上勝智↡。不思議智者、能↠少↠多、以↠多↠少。以↠近↠遠、以↠遠↠近。以↠軽↠重、以↠重↠軽。有↢如↠是智↡无量无辺不可思議ナリ

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)明喩
                  (イ)標数

^自下じげだい七番しちばんあり。 ならびにたとへをりてもつてあらわす。

自下第二↢七番↡。並↠喩

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)挙喩
                    [一]小火燓薪譬

^だいいちにはたとへばひゃっひゃくねんたきぎあつめてむことたか千刃せんじんならんに、 まめばかりのをもつてくに、 半日はんにちにすなはちくるがごとし。 あにひゃくねんたきぎ半日はんにちきずといふことをべけんや。

第一ニハ↢百夫、百年聚↠薪コトナラムニ、豆許ヲモテクニ、半日便ルガ↡。豈ケム↠得↠言コトヲ↢百年之薪半日↟尽也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]癖者乗船譬

^だいにはたとへば癖者へきしゃふねさいすれば、 風帆ふうはんいきおひによりて一日いちにちせんいたるがごとし。 あに癖者へきしゃいかんぞ一日いちにちせんいたらんといふことをべけんや。

第二ニハ↧癖者寄↢載レバ↡、↢風帆↡一日ルガ↦於千里↥。豈ケム↠得↠言コトヲ↣癖者云何一日ムト↢千里↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]貧人卒富譬

^だいさんにはまたせん貧人びんにんいち*瑞物ずいもつて、 もつておうみつぐに、 おうるところをよろこびてもろもろの重賞じゅうしょうくわふれば、 しばらくのあひだに富貴ふきのぞみをつるがごとし。 あにしゅじゅうねんつかへてつぶさに辛勤しんごんつくせども、 じょうなほたっせずしてかえるものあるをもつて、 かの富貴ふきをいひてこのなしといふことをべけんや。

第三ニハ亦如↧下賎貧人獲↢一瑞物↡而以グニ↠王、王慶↠所↠得レバ↢諸↡、斯須シバラクアヒダ富貴盈ルガ↞望。豈ケム↠得↠言コトヲ↪以↧数十年仕ドモ↢辛懃↡、上尚不シテ↠達而帰アルヲ↥、↢彼富貴↡无シト↩此事↨也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[四]劣夫遊空譬

^だいにはなほれっしんちからをもつて*あがりてのぼらざれども、 もし輪王りんのうみゆきしたがへば、 すなはちくうじょうじてとうざいなるがごとし。 あにれっちからをもつてかならずくうのぼることあたはずといふことをべけんや。

第四ニハ猶如↧劣夫以↢己身↡擲↠驢ドモ↠上、若↢輪王↡、便↢虚空↡飛騰自在ナルガ↥。豈ケム得↧以↢劣夫之力コトヲ↞能↠昇コト↢虚空↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[五]童子断索譬

^だいにはまたじゅうさくせんせいせざれども、 どうけんふるへば*しゅくとしてりょうぶんするがごとし。 あにどうちからさくつことあたはずといふことをべけんや。

第五ニハ又如↢十囲之索千夫ドモ、童子フルヘ↠剣儵爾トシテ両分ルガ↡。豈ケム↠得↠言コトヲ↢童子之力不↟能↠断コト↠索也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[六]犀活死魚譬

^第六だいろくにはまた*ちんちょうみずれば*魚蚌ぎょほうここにたおれてみなし、 *犀角さいかくでいるればせるものかえりてくるがごとし。 あに生命しょうみょうひとたびゆれば、 くべからずといふことをべけんや。

第六ニハ又如鴆鳥入レバ↠水魚蚌斯タフレ皆死、犀角触ルレバ↠泥セル者還ルガ↡。豈ケム↠得↠言コトヲ生命一タビユレバ、不↟可カラ↠生也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[七]鵠蘇子安譬

^第七だいしちにはまた*黄鵠こうこくあんあん」 とぶに、 かえりてくるがごとし。 あにふん千齢せんれいけっしてよみがえるるべきことなしといふことをべけんや。

第七ニハ亦如↧黄鵠喚ブニ↢子安子安↡、子還クルガ↥。豈ケム↠得↠言コトヲ↢墳下千齢決シト↟可キコト↠甦也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結責
                  (イ)方便多途を示す

^一切いっさい万法まんぽうはみな*りき*りき*しょうしょうありて、 千開せんかい万閉まんぺいりょうへんなり。

一切万法皆有↢自力・他力、自摂・他摂↡、千開万閉无量无辺ナリ

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(c)(ロ)正しく情疑を遮す

^なんぢあに*有礙うげしきをもつて、 かの*無礙むげほううたがふことをんや。

汝豈↧以↢有礙之識↡、疑コト↦彼无礙之法↥乎。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(c)(ハ)結責を覆述す

^また*思議しぎのなかに、 仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。 なんぢ三界さんがいごうをもつておもしとなし、 かのしょう念仏ねんぶつうたがひてかろしとなして、 安楽あんらくこくおうじょうして正定しょうじょうじゅることをずといふはこのしからず。

又五不思議、仏法最不可思議ナリ。汝以↢三界繋業↡為↠重シト、疑↢彼少時念仏↡為↠軽シト、不トイフ↠得↧往↢生安楽国↡入コトヲ↦正定聚↥者是事不↠然

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)第二問答〔業道如秤〕
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 *だいじょうきょうにのたまはく、 「*業道ごうどうはかりのごとし、 おもところく」 と。 いかんがしゅじょう*いちぎょうよりこのかた、 あるいはひゃくねん、 あるいはじゅうねん、 すなはち今日こんにちいたるまで、 あくとしてつくらざるはなし。 いかんがりんじゅうぜんしきひてじゅうねん相続そうぞくしてすなはちおうじょうん。 もししからば、 *先牽せんけん」 のなにをもつてかしんる。

、大乗経、「業道、重処先クト。」云何衆生一形ヨリ已来、或百年、或十年、乃マデ↢今日↡、无↢悪トシテルハ↟造。云何臨終↢善知識↡十念↢往生↡。若者、先牽之義何↠信

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)牒難

^こたへていはく、 なんぢいちぎょう悪業あくごうおもしとなして、 ぼんひとじゅうねんぜんをもつて、 もつてかろしとなすといはば、

、汝謂↧一形悪業↠重シト、以↢下品十念之善↡、以スト↞軽シト者、

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)正破
                (a)義門を標す

^いままさにをもつてきょうじゅう校量きょうりょうせん。 まさしくしんり、 えんり、 けつじょうり、 せつごんしょうにはらざることをかす。

今当↠義挍↢量軽重之義↡者。正↧在↠心、在↠縁、在↢決定↡、不コトヲ↞在↢時節久近多少ニハ↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)随釈
                  (イ)在心
                    [一]法挍

^いかんが 「しんる」 とは、 いはく、 かのひとつみつくときは、 みづから*もう顛倒てんどうしん*依止えじしてしょうず。 このじゅうねんは、 ぜんしきの、 *方便ほうべんあんして*実相じっそうほうかしむるによりてしょうず。 いちじついち、 あにあひくらぶることをんや。

云何トハ↠心、謂人造↠罪、自依↢止虚妄顛倒↡生。此十念者、依↣善知識、方便安慰シムルニ↢実相↡生。一実一虚、豈↢相コトヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]喩責

^なんとなれば、 たとへば千歳せんざい闇室あんしつひかりもししばらくもいたれば、 すなはちみょうろうなるがごとし。 やみあにしつにあること千歳せんざいなるをもつて、 らずといふことをべけんや。

トナレバ者譬↢千歳闇室光若、即便明朗ナルガ↡。闇豈ケム↠得↠コトヲコト↠室千歳ナルヲモテ而不↟去也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]経を引きて合す

^このゆゑに ¬*遺日ゆいにち摩尼まにほうきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶつしょうさつげたまはく、 ªしゅじょうまた数千しゅせん億万おくまんごう*愛欲あいよくのなかにありて、 つみのためにおおはるといへども、 もしぶっきょうきてひとたびぜんねんずれば、 つみすなはちしょうじんすº」 と。 これをしんるとづく。

¬遺日摩尼宝経¼云、「仏告タマハク↢迦葉菩薩↡、衆生雖↧復数千巨億万劫在↢愛欲↡、為↠罪↞覆、若↢仏経↡一タビレバ↠善、罪即消尽スト也。」是↠在ルト↠心

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)在縁
                    [一]法挍

^にはいかんが 「えんる」 とは、 いはく、 かのひとつみつくときは、 みづから妄想もうぞう依止えじし、 煩悩ぼんのうほうしゅじょうによりてしょうず。 いまこのじゅうねんは、 じょう*信心しんじん依止えじし、 弥陀みだ如来にょらい真実しんじつ清浄しょうじょうりょうどくみょうごうによりてしょうず。

ニハ云何ルト↠縁者、謂人造↠罪、自依↢止↡、依↢煩悩果報衆生↡生。今此十念者、依↢止无上信心↡、依↢阿弥陀如来真実清浄无量功徳名号↡生

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]喩責

^たとへばひとありてどくこうむるに、 あたるところ、 すじとおほねやぶる。 もし*滅除めつじょやくつづみこえけば、 すなはちどくのぞこるがごとし。 あにかのふかどくはげしくしてつづみおんじょうけども、 どくることあたはずといふことをべけんや。 これをえんるとづく。

↧有↠人被ルニ↢毒↡、所↠アタ↠筋↠骨↢滅除薬↡、即箭出毒除ルガ↥。豈ケム↠得↠言コトヲ↧彼箭深ハゲシクシテドモ↢鼓音声↡、不↞能↢抜↠箭コト↟毒也。是↠在ルト↠縁

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)在決定
                    [一]正しく随自門に約す

^さんにはいかんが 「けつじょうる」 とは、 かのひとつみつくときは、 みづから*有後うごしん*けんしん依止えじしてしょうず。 いまこのじゅうねん無後むごしんけんしん依止えじしておこる。 これをけつじょうとなす。

ニハ云何ルト↢決定↡者、彼人造↠罪、自依↢止後心・有間心↡生。今此十念者、依↢止後心・无間心↡起。是↢決定↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]因みに論を引きて随他門を明す
                      [Ⅰ]

^また ¬智度ちどろん¼ (意) にいはく、 「一切いっさいしゅじょうりんじゅうとき*刀風とうふうかたちき、 死苦しくきたむるに、 だい怖畏ふいしょうず。 このゆゑにぜんしきひてだいゆうみょうおこして、 心々しんしん相続そうぞくしてじゅうねんすれば、 すなはちこれぞうじょう善根ぜんごんなるをもつてすなはちおうじょう

又¬智度論¼云、「一切衆生臨終之時、刀風解↠形、死苦来ルニ、生↢大怖畏↡。是↢善知識↡発↢大勇猛↡、心心相続十念レバ、即是増上善根ナルヲモテ便得↢往生↡。」

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]

^またひとありててきたいしてじんやぶるに、 いちぎょうちからいちにことごとくもちゐるがごとし。 そのじゅうねんぜんもまたかくのごとし。

又「↢有↠人対↠敵ルニ↠陣、一形之力一時ルガ↡。其十念之善亦如シト↠是也。」

二 Ⅱ ⅱ c ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅲ]反顕

^またもしひとりんじゅうとき一念いちねん*邪見じゃけんぞうじょう悪心あくしんしょうずれば、 すなはちよく三界さんがいふくかたむけてすなはち悪道あくどうる」 と。

又「若人臨終時、生レバ↢一念邪見、増上悪心↡、即↢三界之福↡即ルト↢悪道↡也。」

二 Ⅱ ⅱ c ハ (三)第三問答〔十念相続〕
            (Ⅰ)前を領して問を起す

 ^ひていはく、 すでにおわりになんなんとするにじゅうねんぜんよくいっしょう悪業あくごうかたむけてじょうしょうずることをといはば、 いまだらず、 いくばくのときをかじゅうねんとなすや。

、既ナンナムトスルニ↠終十念之善能↢一生悪業↡得↞生コトヲ↢浄土↡者、未↠知、幾ヲカ↢十念↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (三)(Ⅱ)
              (ⅰ)時節の念を明す

^こたへていはく、 きょうきてのたまふがごとし。 ひゃくいちしょうめついち*せつじょうず。 ろくじゅうせつ、 もつて一念いちねんとなす。 これきょうろんによりてひろねんす。

、如↢経フガ↡。百一生滅、成↢一刹那↡。六十刹那、以スト↢一念↡。此依↢経論↡汎↠念也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (三)(Ⅱ)(ⅱ)傍に観念の念を明す

^いまのときねんするにこのせつらず。 ただ弥陀みだぶつの、 もしは*総相そうそう、 もしは*別相べっそう憶念おくねんして、 所縁しょえんしたがひてかんじ、 じゅうねんるに、 念想ねんそう*間雑けんぞうすることなし。 これをじゅうねんづく。

ルニ↠念不↠取↢此時節↡。但憶↢念阿弥陀仏総相若別相↡、随↢所縁↡観、逕ルニ↢於十念↡、无↢他念想間雑コト↡。是↢十念↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (三)(Ⅱ)(ⅲ)正しく下品の十念を明す
                (a)正明

^またじゅうねん相続そうぞくといふは、 これしょうじゃいちかずなるのみ。 ただよくねんおもいらして他事たじえんぜざれば、 *業道ごうどうをしてじょうべんせしめてすなはちみぬ。 もちゐざれ。 またいまだわずらはしくこれが*しゅせず。

又云↢十念相続↡者、是聖者数之名ナル耳。但能↠念シテ↠思レバ↠縁↢他事↡、使↢業道ヲシテ成辨↡便↠用。亦未↣労ハシク↢之頭数↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (三)(Ⅱ)(ⅲ)(b)料簡

^またいはく、 もしぎょうひとねんおおくこれによるべし、 もしぎょうひとねんかずするもまたし。 これまた聖教しょうぎょうによるなり。

又云、若久行↠依↠此、若始行念者記ルモ↠数亦好。此亦依ルナリ↢聖教↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (四)第四問答〔計念相状〕
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 いますすめによりて念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜんとほっす。 いまだらず、 ねんそうじょうはなににかたる。

又問、今欲↣依↠勧ムト↢念仏三昧↡。未↠知、計念相状ニカタル

二 Ⅱ ⅱ c ハ (四)(Ⅱ)
              (ⅰ)喩説

^こたへていはく、 たとへばひとありて*空曠くうこうのはるかなるところにおいて、 怨賊おんぞくかたなゆうふるひてただちにきたりてころさんとほっするにぐうす。 このひとただちにはしるに、 いちかわわたらんとするをる。 いまだかわいたるにおよばざるに、 すなはちこのねんをなす。 「われかわきしいたらば、 ころもぎてわたるとやせん、 ころもうかぶとやせん。 もしころもぎてわたらば、 ただおそらくはいとまなからん。 もしころもうかばば、 またおそらくは*しゅりょうまったくしがたからん」 と。 そのとき、 ただ一心いっしんかわわた方便ほうべんをなすことのみありて、 心想しんそう*間雑けんぞうすることなきがごとし。

、譬↧有↠人於↢空曠ナル↡、値↢遇怨賊↠刀↠勇ルニムトタダチルニ、視↠度ムトスルヲ↢一ルニ↠及↠到ルニ↠河、即↢此我至↢河↡、為↢脱↠衣ルトヤ↡、為↢著↠衣ブトヤ↠衣ラバ、唯恐ラム↠暇↠衣、復畏首領難カラム↠全クシ時但有↣一心コトノミ↢渡↠河方便↡、无キガ↦余心想間雑コト↥。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (四)(Ⅱ)(ⅱ)合法

^ぎょうじゃもまたしかなり。 弥陀みだぶつねんずるとき、 またかのひとわたることのみをねんじて、 念々ねんねんあひいで心想しんそう間雑けんぞうすることなきがごとし。 あるいはぶつ法身ほっしんねんじ、 あるいはぶつ*神力じんりきねんじ、 あるいはぶつ智慧ちえねんじ、 あるいはぶつ*毫相ごうそうねんじ、 あるいはぶつ相好そうごうねんじ、 あるいはぶつ*本願ほんがんねんず。 みなしょうすることもまたしかなり。 ただよくせん相続そうぞくしてえざれば、 さだめて仏前ぶつぜんしょうず。

行者亦爾ナリ。念↢阿弥陀仏↡時、亦如↣彼↠渡コトノミヲ、念念相次キガ↢余心想間雑コト↡。或↢仏法身↡、或神力↡、或↢仏智慧↡、或↢仏毫相↡、或↢仏相好↡、或↢仏本願↡。称コトモ↠名亦爾ナリ。但能専至相続レバ↠断、定↢仏前↡。

勧励

^いま後代こうだい学者がくしゃすすむ。 もしそのたいせんとほっせば、 ただ念々ねんねん*不可ふかとくなりとるはすなはちこれ*智慧ちえもんにして、 よく*ねん相続そうぞくしてえざるはすなはちこれ*どくもんなり。

今勧↢後代学者↡。若↠会ムト↢其二諦↡、但知ルハ↢念念不可得ナリト↡即是智恵門ニシテ而能繋念相続ルハ↠断是功徳門ナリ

経証

^このゆゑに ¬きょう¼ (維摩経・意) にのたまはく、 「さつ*摩訶まかさつつねにどく智慧ちえをもつて、 もつてそのしんしゅす」 と。 もしがくのものは、 いまだ*そうすることあたはず、 ただよくそうによりてせんせば、 おうじょうせざるはなし。 うたがふべからず。

¬経¼云、「菩薩摩訶薩恒↢功徳・智慧↡、以スト↢其↡。」若始学↠能↠破コト↠相、但能↠相専至スレ↠不ルハ↢往生↡。不↠須カラ↠疑也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (五)第五問答〔臨終修念〕
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 ¬りょう寿じゅだいきょう¼ (上) にのたまはく、 「十方じっぽうしゅじょうしんいたしんぎょうして、 わがくにしょうぜんとほっして、 すなはちじゅうねんいたるまでせん。 もししょうぜずは、 しょうがくらじ」 (第十八願) と。 いまにんありて、 この聖教しょうぎょうきて現在げんざいいちぎょうまつたくこころをなさず、 りんじゅうときしてまさに修念しゅねんせんとほっす。 このいかん。

又問、¬无量寿大経¼云、「十方衆生、至↠心信楽、欲↠生ムト↢我↡乃十念セム。若不↠生者不↠取↢正覚↡。」今有↢世人↡、聞↢此聖教↡現在一形全不↠作↠意、擬↢臨終↡方↢修念ムト↡。是事云何

二 Ⅱ ⅱ c ハ (五)(Ⅱ)
              (ⅰ)業成を習に籍りて示し預修を勧む
                (a)心識の散乱を挙げて勧む

^こたへていはく、 このるいせず。 なんとなれば、 きょうじゅうねん相続そうぞくとのたまふは、 かたからざるに似若たり。 しかれどももろもろのぼんしん野馬やめのごとく、 しき猿猴えんこうよりもはげ*六塵ろくじんちょうして、 なんぞかつて*じょうそくせん。 おのおのすべからくよろしく信心しんじんおこして、 あらかじめみづから*剋念こくねんし、 積習しゃくじゅうして*しょうじょうじ、 善根ぜんごんをしてけんならしむべし。

、此事不↠類。何トナレバ者経フハ↢十念相続↡、似↢若タリルニ↟難カラ。然ドモ凡夫↢野馬↡、識↢猨猴ヨリモ↡。馳↢騁六塵↡、何停息。各↧宜↢信心↡、預剋念、使↦積習↠性、善根ヲシテ堅固ナラ↥也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(b)仏語

^ぶつ大王だいおうげたまふがごとし。 「ひとぜんぎょうめば、 するとき悪念あくねんなし。 じゅさきよりかたむけるはたおるるに、 かならずまがれるにしたがふがごとし」 (大智度論・意) と。

↣仏告タマフガ↢大王↡。人積↢善行↡、死ルトキ↢悪念↡。如シト↢樹ヨリケルハルニフガ↟曲レルニ也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (五)(Ⅱ)(ⅰ)(c)死苦の来逼を挙げて勧む

^もし刀風とうふうひとたびいたれば、 ひゃっあつまる。 もしならいさきよりあらずは、 ねんなんぞべんずべけんや。 おのおのよろしくどう*さんあらかじめ*言要ごんようむすび、 命終みょうじゅうときのぞみてたがひにあひかいぎょうして、 ために弥陀みだみょうごうしょうして安楽あんらくこくしょうぜんとがんじ、 声々しょうしょうあひいでじゅうねんじょうぜしむべし。

刀風一タビレバ、百苦アツマ↠身。若習先ヨリ↠在、懐念何ケムヤ↠辨。各↧同志三五預↢言要↡、臨↢命終タガヒ開暁、為↢弥陀名号↡願↠生ムト↢安楽国↡、声声相次使↞成↢十念↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (五)(Ⅱ)(ⅱ)勝益を挙げて預修を結勧す

^たとへば*蝋印ろういんをもつてでいいんするに、 いんこわれてもんじょうずるがごとし。 ここにいのちゆるときは、 すなはちこれ安楽あんら、 くこくしょうずるときなり。 ひとたび正定しょうじょうじゅれば、 さらになんのうれふるところかあらん。 おのおのよろしくこのだいはかるべし。 なんぞあらかじめ剋念こくねんせざらんや。

臘印ヲモテルニ↠泥、印壊文成ルガ↡。此命断、即是生↢安楽国↡時ナリ。一タビ↢正定聚↡、更カアラム↠憂。各↠量↢此大利↡。何ラム↢預剋念↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (六)第六問答〔無生之生〕
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 もろもろの*だいじょうきょうろんにみな、 「一切いっさいしゅじょう*ひっきょうしょうにしてなほくうのごとし」 といへり。 いかんぞ天親てんじんりゅうじゅさつみなおうじょうがんずるや。

又問、諸大乗経論皆言↣「一切衆生畢竟无生ニシテ猶若シト↢虚空↡。」云何天親・龍樹菩薩皆願↢往生↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (六)(Ⅱ)
              (ⅰ)標列

^こたへていはく、 「しゅじょうひっきょうしょうにしてくうのごとし」 といふは、 しゅあり。

、言↣衆生畢竟无生ニシテシト↢虚空↡者、有↢二種義↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (六)(Ⅱ)(ⅱ)正釈
                (a)妄想生

^いちにはぼんにん所見しょけんのごときは、 じつしゅじょうじつしょうとうなり。 もしさつによらば、 おうじょうひっきょうじてくうのごとく*かくのごとし。

者如キハ↢凡夫人所見↡、実衆生実生死等ナリ。若↢菩薩↡、往生畢竟↢虚空↡如↢兎角↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (六)(Ⅱ)(ⅱ)(b)因縁生

^にはいま 「しょう」 といふはこれ因縁いんねんしょうなり。 因縁いんねんしょうなるがゆゑにすなはちこれ*みょうしょうなり。 みょうしょうなるがゆゑにすなはちこれしょうなり。 大道だいどうせず。 ぼんじつしゅじょうじつしょうありとふがごときにはあらず。

者今言↠生者是因縁生ナリ。因縁生ナルガ是仮名ナリ。仮名ナルガ是无生ナリ。不↠違↢大道理↡也。非↠如キニハ↢凡夫フガ↟有↢実衆生実生死↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (七)第七問答〔生何可尽〕
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 それしょうほんたり、 すなはちこれ*衆累しゅるいもとなり。 もしこのりてしょうしょうもとめば、 のがるるあるべし。 いますでにじょうしょうずることをすすむ。 すなはちこれしょうててしょうもとむ。 しょうなんぞくべけんや。

又問、夫↢有本↡、乃是衆累之元ナリ。若↢此↡捨↠生↢无生↡者、可↠有↢脱期↡。今既↠生コトヲ↢浄土↡。即是棄↠生↠生。生何ケムヤ↠尽

二 Ⅱ ⅱ c ハ (七)(Ⅱ)

^こたへていはく、 しかるにかのじょうは、 すなはちこれ弥陀みだ如来にょらい清浄しょうじょう本願ほんがんしょうしょうなり。 *さんしゅじょう*愛染あいぜんもう執着しゅうじゃくしょうのごときにはあらず。 なにをもつてのゆゑに。 それほっしょう清浄しょうじょうにしてひっきょうしょうなればなり。 しかるにしょうといふはとくしょうのもののこころなるのみと。

、然浄土、乃是阿弥陀如来清浄本願无生之生ナリ。非↠如キニハ↢三有衆生愛染虚妄執著↡也。何。夫法性清浄ニシテ畢竟无生ナレバナリ。而↠生者得生者之情ナル耳。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (八)第八問答〔実生願生〕
            (Ⅰ)
              (ⅰ)前を踏みて難を起す

 ^またひていはく、 かみにいふところのごとく、 しょうしょうなりとるは、 まさに*じょうぼんしょうのものなるべし。 もししからば*ぼんしょうひとじゅうねんじょうじておうじょうするは、 あにじつしょうるにあらずや。

又問、如↢上↟言、知ルハ↢生无生ナリト↡、当↢上品生ナル↡。若下品生↢十念↡往生者、豈↠取ルニ↢実↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (八)(Ⅰ)(ⅱ)二疑の難を出す

^もしじつしょうならば、 すなはち二疑にぎす。 いちにはおそらくはおうじょうず。 にはいはく、 この*しょうぜんしょうのためにいんとなることあたはず。

ナラバ者、即↢二疑↡。一ニハ不↠得↢往生↡。二ニハ、此相善不↠能↧与↢无生↡為コト↞因也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (八)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^こたへていはく、 しゃくするに三番さんばんあり。

、釈ルニ↢三番↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)喩答
                (a)浄摩尼珠

^いちにはたとへば*じょう摩尼まにしゅ、 これをじょくすいけば、 たまりきをもつてみずすなはち澄清ちょうしょうなるがごとし。 もしひとりょうしょうざいじょくありといへども、 もし弥陀みだ如来にょらいごくしょう清浄しょうじょう宝珠ほうしゅみょうごうきてこれをじょくしんとうずれば、 念々ねんねんのうちにつみめっしんきよくして即便すなわちおうじょうす。

ニハ↧浄摩尼珠、置↢之濁水↡、以↢珠↡水即澄清ナルガ↥。若人雖↠有↢无量生死罪濁↡、若↢阿弥陀如来至極无生清浄宝珠名号↡投レバ↢之濁心↡、念念之中罪滅心浄クシテ即便往生

二 Ⅱ ⅱ c ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(b)玄黄帛譬

^にはじょう摩尼まにしゅ玄黄げんおうはくをもつてつつみてこれをみずとうずれば、 みずすなはち玄黄げんおうにしてもつぱらものいろのごとくなるがごとし。 かの清浄しょうじょうぶつに、 弥陀みだ如来にょらいじょう宝珠ほうしゅみょうごうまします。 りょうどくじょうじゅはくをもつてつつみてこれをおうじょうするところのものの心水しんすいのうちにとうずるに、 あにしょうてんじて*しょうとなすことあたはざらんや。

ニハ↧浄摩尼珠↢玄黄ツツミレバ↢之於水↡、水即玄黄ニシテクナルガ↦物↥。彼清浄仏土、有↢阿弥陀如来无上宝珠名号↡。以↢无量功徳成就ルニ↧之↢往生↡者心水之中↥、豈ラム↠能↣転↠生コト↢无生↡乎。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (八)(Ⅱ)(ⅱ)(c)氷上燃火

^さんにはまた*こおりうえくに、 たけければすなはちこおりく、 こおりくればすなはちめっするがごとし。 かのぼんおうじょうひとほっしょうしょうらずといへども、 ただぶつみょうしょうするちからをもつておうじょうこころをなし、 かのしょうぜんとがんじて、 すでにしょうさかいいたときけんしょうねんめっす。

ニハ亦如↢氷タク↠火、火猛ケレバ、氷液レバ火滅ルガ↡。彼下品往生↠不↠知↢法性无生↡、但↧称↢仏名↡力↥作↢往生↡、願↠生ムト↢彼↡、既↢无生↡時見生之火自然而滅也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (九)第九問答〔浄穢仮名人〕
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 なんのによるがゆゑにおうじょうくや。

又問、依↢何↡故↢往生↡也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (九)(Ⅱ)

^こたへていはく、 このけん*みょうにんのなかにおいて、 もろもろのぎょうもんしゅすれば、 前念ぜんねんねんのためにいんとなる。 穢土えどみょうにんじょうみょうにんけつじょうしていちなることをず、 けつじょうしてなることをず。 前心ぜんしんしんもまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もしけつじょうしていちならばすなはちいんなからん。 もしけつじょうしてならばすなはち相続そうぞくにあらず。 このをもつてのゆゑに、 横竪おうじゅべつなりといへども、 じゅういちぎょうじゃなり。

、於↢此仮名人↡、修レバ↢諸行門↡、前念↢後念↡作↠因。穢土仮名人浄土仮名人不↠得↢決定ナルコトヲ↡、不↠得↢決定コトヲ↡。前心後亦如↠是。何。若決定ナラバラム↢因果↡。若決定ナラバ↢相続↡。以↢是↡故横竪雖↠別ナリト、始終是一行者也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (十)第十問答〔名法即非〕
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 もしひとただよくぶつみょうごうとなへてよくもろもろのさわりのぞかば、 もししからば、 たとへばひとありてゆびをもつてつきすがごとし。 このゆびよくやみすべきや。

又問、若人但能↢仏名号↡能カバ↢諸↡者、若↢有↠人以↠指スガ↟月。此指応↢能↟闇也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (十)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^こたへていはく、 諸法しょほう万差まんじゃなり。 一概いちがいすべからず。 なんとなれば、 おのづから*ほうそくするあり、 おのづからほうするあり。

、諸法万差ナリ。不↠可↢一概↡。トナレバ者自↢名スル↟法、自↢名スル↟法

二 Ⅱ ⅱ c ハ (十)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)名の法に即す

^ほうそくするありとは、 諸仏しょぶつさつみょうごう*禁呪きんじゅおん*しゅ多羅たらしょうとうのごときこれなり。 ^禁呪きんじゅことばに、 「*にっしゅつ東方とうぼうしゃくおう」 といはんに、 たとひ*酉亥ゆうがいきんぎょうずるも、 わずらへるものまたゆるがごとし。

リト↢名スル↟法者、如↢諸仏・菩薩名号、禁呪音辞、修多羅章句等↡是也。如↧禁呪ムニ↢「日出東方乍赤乍黄ナリト」↡、仮令酉亥ルモ↠禁、患者亦愈ルガ↥。

^またひとありていぬ所噛しょこうこうむらんに、 とらほねあぶりてこれをせば、 わずらへるものすなはちゆ。 あるいはときほねなければ、 よくたなごころひろげてこれをり、 くちのなかにびて 「らいらい」 といはんに、 わずらへるものまたゆるがごとし。

又如↧有↠人被ムニ↢狗所噛↡、炙↢虎ノセ↠之、患者即、或レバ↠骨、好ヒロゲ↠掌↠之、口ムニ↢「虎来虎来」↡、患者亦愈ルガ↥。

^あるいはまたひとありて脚転筋こむらがえりわずらはんに、 木瓜ぼけえだあぶりてこれをせば、 わずらへるものすなはちゆ。 あるいは木瓜ぼけなければ、 あぶりてこれをりて、 くちに 「木瓜ぼけ木瓜ぼけ」 とべば、 わずらへるものまたゆ。 わがにそのしるしたり。 なにをもつてのゆゑに。 ほうそくするをもつてのゆゑなり。

復有↠人患ムニ↢脚転↡、炙↢木瓜↠之、患者即。或レバ↢木瓜↡、炙↠手↠之、口↢「木瓜木瓜」↡、患者亦愈。吾↢其シルシ↡也。何。以↢名スルヲ↟法ナリ

二 Ⅱ ⅱ c ハ (十)(Ⅱ)(ⅱ)(b)名の法に異す

^ほうするありとは、 ゆびをもつてつきすがごときこれなり。

リト↢名スル↟法者、如↢以↠指スガ是也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (士)第十一問答【三不三信】
            (Ⅰ)

 ^またひていはく、 もしひとただ弥陀みだみょうごうしょうねんすれば、 よく十方じっぽうしゅじょうみょう黒闇こくあんのぞきておうじょうといはば、 しかるにしゅじょうありてしょう憶念おくねんすれども、 みょうなほありて所願しょがんてざるはなんのこころぞ。

又問、若人但称↢念レバ弥陀名号↡、能↢十方衆生无明黒闇↡得トイハバ↢往生↡者、↢衆生↡称↠名憶念ドモ而无明猶在↠満↢所願↡者何

二 Ⅱ ⅱ c ハ (士)(Ⅱ)
              (ⅰ)略示

^こたへていはく、 如実にょじつしゅぎょうせず、 *みょう相応そうおうせざるによるがゆゑなり。

、由↧不↢如実修行↡、与↢名義↡不ルニ↦相応↥故也。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (士)(Ⅱ)(ⅱ)広明
                (a)二身に約して明す

^所以ゆえんはいかん。 いはく、 如来にょらいはこれ*実相じっそうしん、 これもつしんなりとらず。

所以者何。謂不↠知↢如来是実相身、是為物身ナリト↡。

二 Ⅱ ⅱ c ハ (士)(Ⅱ)(ⅱ)(b)三信に約して示す
                  (イ)先づ不相応を明す

^*また三種さんしゅ相応そうおうあり。 いちには信心しんじんあつからず、 ぞんぜるがごとくもうぜるがごとくなるがゆゑなり。 には信心しんじんいちならず、 いはく、 けつじょうなきがゆゑなり。 さんには信心しんじん相続そうぞくせず、 いはく、 ねんへだつるがゆゑなり。 たがひにあひ収摂しゅうしょうす。

復有↢三種不相応↡。一ニハ者信心不↠淳カラ、若↠存ルガクナルガ↠亡ルガナリ。二者信心不↠一ナラ、謂キガ↢決定↡故ナリ。三者信心不↢相続↡、謂余念間ルガナリ。迭収摂

二 Ⅱ ⅱ c ハ (士)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)相応を述べて反顕す

^もしよく相続そうぞくすればすなはちこれ*一心いっしんなり。 ただよく一心いっしんなれば、 すなはちこれじゅんしんなり。 この三心さんしんしてもししょうぜずといはば、 このことわりあることなからん。

相続レバ是一心ナリ。但能一心ナレバ、即是淳ナリ。具↢此三心↡若トイハバ↠生者、无ラム↠有コト↢是コトワリ↡。

【第三大門】
    標列

【23】^第三だいさん大門だいもんのなかにばんりょうけんあり。 だいいちには*なんぎょうどう*ぎょうどうべんず。 だいにはこうだいしょうどうかす。 だいさんには無始むしこうよりこのかた、 この*三界さんがいどうしょして、 *善悪ぜんあくごうじょうじてらくりょうほうけ、 りんぐうにしてしょうくることしゅなることをかす。 だいには聖教しょうぎょうをもつて*証成しょうじょうして、 後代こうだいすすしんしょうくことをもとめしむ。

第三大門↢四番料簡↡。第一ニハ↢難行道・易行道↡。第二ニハ↢時劫小不同↡。第三ニハ↧従↢无始世劫↡已来、処↢此三界五道↡、乗↢善悪二業↡受↢苦楽両報↡、輪廻无窮ニシテコト↠生无数ナルコトヲ↥。第四ニハ↢聖教↡証成、勧↢後代↠信シム↠往コトヲ

二 Ⅲ
      【難易二道】
        標列

【24】^だいいちなんぎょうどうぎょうどうべんずとは、 なかにあり。 いちにはしゅどういだし、 には問答もんどうしゃくす。

第一ズト↢難行道・易行道↡者、於↠二。一ニハ↢二種↡、二ニハ問答解釈

二 Ⅲ ⅱ a 正釈
          (一)述意

^ (道綽) すでにみづからかいして、 じつおもふにおそれをいだけり。 あおぎておもんみれば、 だいしょう (釈尊) *三車さんしゃをもつてしょうし、 しばらく羊鹿ようろくうん*かりいこいにしていまだたっせず。 ぶつじゃしゅうじょうだいふと*したまふ。 たとひのちこうするも、 なほ迂回うえづく。 もしただちに*大車だいしゃあがるも、 またこれいちなり。 ただおそらくはげん*退たいして*嶮径けんけいはるかにとおきことを。 とくいまだたず。 しょうしんすべきことかたし。

餘既↢火界↡、実フニ↠怖。仰レバ、大聖三車ヲモテ招慰、且羊鹿之運イコヒニシテ↠達。仏訶タマフ邪執フト↢上求菩提↡。縦廻向ルモナホ↢迂廻↡。若タダチルモ↢大車↡、亦是一途ナリ。只恐シテ↢退位↡嶮径遥キコトヲ。自徳未↠立。難↠可キコト↢昇進↡。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (二)論を引きて正しく二道を弁ず
            (Ⅰ)二道を標す

^このゆゑに*りゅうじゅさついはく、 「*阿毘あびばっもとむるにしゅみちあり。 いちには難行なんぎょうどうにはぎょうどうなり。

龍樹菩薩云、「求↢阿毘跋致↡有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道ナリ

二 Ⅲ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)正しく二道を弁ず
              (ⅰ)難行道を明す

^ªなんぎょうどうº といふは、 いはく、 *じょくぶつときにありて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはち多途たずあり。 りゃくしてぶるにあり。 なんとなれば、 いちには*どう*しょうぜん*さつほうみだる。 には*しょうもん自利じりにしてだい慈悲じひふ。 さんには*無顧むこ悪人あくにんしょうとくやぶる。 にはあらゆる*人天にんでん顛倒てんどうぜんは、 ひと*ぼんぎょうこぼつ。 にはただ*りきのみありて*りきたもつなし。 かくのごときるるにみなこれなり。 たとへばろくぎょうはすなはちくるしきがごとし。 ゆゑになんぎょうどうといふ。

↢難行道↡者、謂↢五濁之世於无仏↡求ルニ↢阿毘跋致↡為↠難。此↢多途↡。略ルニ↠五。何トナレバ者一者外道相善↢菩薩↡。二者声聞自利ニシテ↢大慈悲↡。三者無悪人↢他勝徳↡。四者所有人天顛倒善果コボ↢人梵行↡。五者唯有↢自力ノミ↡无↢他力↡。如↠斯事、触ルニ↠目皆是ナリ。譬↢陸路歩行キガ↡。故↢難行道↡。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)易行道を明す

^ªぎょうどうº といふは、 いはく、 *信仏しんぶつ因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんじて、 しんおことくて、 もろもろのぎょうごうしゅすれば、 *仏願ぶつがんりきのゆゑに即便すなわちおうじょうす。 *仏力ぶつりきじゅうするをもつてすなはちだいじょう正定しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうじゅとはすなはちこれ阿毘あびばっ退たいくらいなり。 たとへばすいふねじょうずればすなはちたのしきがごとし。 ゆゑにぎょうどうづく」 と。

↢易行道↡者、謂信仏因縁↡願↠生ムト↢浄土↡、起↠心↠徳、修レバ↢諸行業↡、仏願力即便往生。以↢仏力住持ルヲ↡即↢大乗正定↡。正定聚者即是阿毘跋致不退位也。譬↢水路ズレバ↠船キガ↡。故クト↢易行道↡也。」

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)問答解釈
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 だいはこれいちなり。 修因しゅいんまた不二ふになるべし。 なんがゆゑぞ、 ここにありていんしゅしてぶっかふをづけてなんぎょうとなし、 じょうおうじょうしてだいだいするをすなはちぎょうどうづくるや。

、菩是一ナリ。修因亦応↢不二ナル↡。何↠此↠因フヲ↢仏↡名↢難行↡、往↢生浄土↡期ルヲ↢大菩提↡乃↢易行道↡也。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)
              (ⅰ)二力を列す

^こたへていはく、 もろもろのだいじょうきょうべんずるところの一切いっさいぎょうほうに、 みなりきりき*しょうしょうあり。

、諸大乗経↠弁一切行法、皆有↢自力・他力、自摂・他摂↡。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)譬説
                  (イ)自力

^何者なにものりきたとへばひとありてしょう怖畏ふいして、 発心ほっしん*しゅっしてじょうしゅし、 *つうおこしててんあそぶがごときをづけてりきとなす。

何者自力。譬キヲ↧有↠人怖↢畏生死↡、発心出家↠定、発↠通ブガ↦四天下↥名↢自力↡。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)他力

^何者なにものりきれっありてしんちからまかせて*あがりてのぼらざれども、 もし輪王りんのうしたがへばすなはちくうじょうじててんあそぶがごとし。 すなはち輪王りんのうりきのゆゑにりきづく。

何者他力。如↧有↢劣夫↡マカセ↢己身アガリ↠驢ドモ↠上、若↢輪王↡即便↠空ブガ↦四天下↥。即輪王威力↢他力↡。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)合法
                  (イ)自力

^しゅじょうもまたしかなり。 ここにありて*しんおこぎょうじょうしょうぜんとがんずるは、 これはこれりきなり

衆生亦爾ナリ。在↠此↠心↠行ルハ↠生ムト↢浄土↡、此是自力ナリ

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)他力
                    [一]正合

^命終みょうじゅうときのぞみて、 弥陀みだ如来にょらい*光台こうだいこうしょうして、 つひにおうじょうるをすなはちりきとなす。

↢命終↡、阿弥陀如来光台迎接、遂ルヲ↢往生↡即↢他力↡。

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]引証

^ゆゑに ¬だいきょう¼ (上・意) にのたまはく、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにしょうぜんとほっするものはみな弥陀みだ如来にょらい*大願だいがん業力ごうりきをもつて*ぞうじょうえんとなさざるはなし」 と。

¬大経¼云、「十方人天欲↠生ムト↢我↡者レトルハ↧皆以↢阿弥陀如来大願業力↡為↦増上↥也。」

二 Ⅲ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]反顕

^もしかくのごとくならずは、 じゅうはちがんすなはちこれ*せつならん。

↠如クナラ↠是、四十八願便是徒設ナラム

二 Ⅲ ⅱ a ロ (四)結勧

^後学こうがくのものにかたる。 すでにりきじょうずべきあり。 みづからおのがぶんかぎり、 いたづらにたくにあることをざれ。

↢後学↡。既↢他力↟乗。不↠得↧自↢己↡、徒コトヲ↦火宅↥也。

二 Ⅲ ⅱ 【劫之大小】
       

【25】^だいこうだいしょうかすとは、

第二スト↢劫之大小↡者、

二 Ⅲ ⅱ b
          (一)標列

^¬智度ちどろん¼ (意) にいふがごとし。 「こう三種さんしゅあり。 いはくいちにはしょうにはちゅうさんにはだいなり。

↢¬智度論¼云フガ↡。「劫↢三種↡。謂ニハ小、二ニハ中、三ニハナリ

二 Ⅲ ⅱ b ロ (二)正釈
            (Ⅰ)芥子劫

^ほうじゅうのごときしろあり、 *こうもまたしかなり。 なかに芥子けしてて、 長寿ちょうじゅ諸天しょてんありて三年さんねんいちり、 すなはち芥子けしくるにいたるをいちしょうこうづく。 あるいははちじゅうしろあり、 こうもまたしかなり。 芥子けしをなかにてて、 さきのごとくつくすをいちちゅうこうづく。 あるいはひゃくじゅうしろあり、 こうもまたしかなり。 芥子けしをなかにててつくすこと、 もつぱらさきせつおなじきをまさに大劫だいこうづく。

↢方四十里↡城アリ、高下亦然ナリ。満↢中芥子↡、有↢長寿諸天↡三年↠一、乃ルヲ↢芥子尽ルニ↡名↢一小劫↡。或八十里アリ、高下亦然ナリ。芥子↠中、如↠前スヲ↢一中劫↡。或百二十里アリ、高下亦然ナリ。芥子↠中コト、一キヲ↢前↡方↢大劫↡。

二 Ⅲ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)磐石劫

^あるいははちじゅういしあり、 こうもまたしかなり。 いちちょう寿じゅ諸天しょてんありて、 三年さんねんてんをもつてひとたびはらふ。 てんおも*三銖さんじゅなり。 はらふことをなすことまず、 このいしすなはちくるをづけてちゅうこうとなす。 そのしょうせき大石だいせきさきちゅうこうるいす、 るべし」 と。 わずらはしくつぶさにべず。

八十里アリ、高下亦然ナリ。有長寿諸天↡、三年↢天衣↡一タビ。天衣三銖ナリコト↠払コトヲ不↠已、此石乃ルヲ↢中劫↡。其小石・大石類↢前中劫↡、可シト↠知。」不↢労ハシク↡。

二 Ⅲ ⅱ 【輪廻無窮】
        正明
          (一)総標

【26】^第三だいさんもんのなかにばんあり。

第三門↢五番↡。

二 Ⅲ ⅱ c イ (二)
            (Ⅰ)〔受身無数〕

^だいいち無始むしこうよりこのかたここにありて、 りんぐうにしてくることしゅなることをかすとは、

第一スト↢无始劫↡来↠此、輪廻无窮ニシテコト↠身无数ナルコトヲ↥者、

二 Ⅲ ⅱ c イ (二)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)正しく受身無数を明す

^¬智度ちどろん¼ (意) にいふがごとし。 「にんちゅうにありて、 あるいはちょうしておうしょうじ、 おうして李家りけしょうず。 かくのごとく*えんだいさかいつくして、 あるいはかさねてしょうじ、 あるいは異家いけしょうず。

↢¬智度論¼云フガ↡。「在↢於人中↡、或張家王家、王家李家。如↠是↢閻浮提↡、或、或異家

あるいは*なんえんだいして*西さい拘耶尼くやにしょうず。 えんだいのごとくさんてんもまたかくのごとし。

南閻浮提西拘耶尼。如↢閻浮提↡余三天下亦如↠是

てんして*天王てんのうてんしょうずることもまたかくのごとし。 あるいは天王てんのうてんして*とうてんしょうず。 とうてんして*じょうてんしょうずることもまたかくのごとし。

四天下コトモ↢四天王天↡亦如↠是。或四天王天忉利天。忉利天コトモ↢余上四天↡亦如↠是

*色界しきかい*じゅうはちじゅうてんあり、 *色界しきかい*じゅうてんあり。 ここにしてかしこにしょうず。 一々いちいちにみなあまねきことまたかくのごとし。

十八重天アリ、无色界↢四重天↡。此↠彼。一一キコト亦如↠是

あるいは色界しきかいして*阿鼻あびごくしょうず。 阿鼻あびごくのなかにして*きょうごくしょうず。 きょうごくのなかにして*ちくしょうのなかにしょうず。 ちくしょうのなかにして*餓鬼がきどうのなかにしょうず。 餓鬼がきどうのなかにしてあるいは*人天にんでんのなかにしょうず。

色界↢阿鼻地獄↡。阿鼻地獄↢余軽繋地獄↡。軽繋地獄↢畜生↡。畜生↢餓鬼道↡。餓鬼道↢人天↡。

かくのごとく*六道ろくどうりんしてらくほうけ、 しょうきわまりなし。 *たいしょうすでにしかなり。 *さんしょうもまたかくのごとし」 と。

↠是輪↢廻六道↡受↢苦楽二報↡、生死无↠窮。胎生既ナリ。余三生亦如シト↠是。」

二 Ⅲ ⅱ c イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)引証
                (a)昇沈無常の相を示す

^このゆゑに ¬しょうぼうねんぎょう¼ (意)のたまはく、 「さつしょうしてもろもろの天衆てんしゅげていはく、

ªおほよそひとこのひゃくせんしょうて、 らくじゃく*放逸ほういつにしてどうしゅせず。

*往福おうふくやうやくおわき、 かえりて*さんしてしゅくることをさとらずº」 と。

¬正法念経¼云、「菩薩化生↢諸天衆↡云

人経↢此百千生↠楽放逸ニシテ不↠↠道
↠覚↧往福ヤウヤ↢三塗↡受コトヲ↦衆苦↥」

二 Ⅲ ⅱ c イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)上下可厭の相を示す

^このゆゑに ¬はんぎょう¼ にのたまはく、

「このあつまるところなり。 一切いっさいみなじょうなり。

*扼縛やくばく癰瘡ようそうとう根本こんぽんにして、 *義利ぎりあることなし。

かみ諸天しょてんいたるまで、 みなまたかくのごとし」 と。

¬涅槃経¼云

「此ナリ↠集一切皆不浄ナリ
扼縛癰瘡等根本ニシテ、无コト↢義利↡
上至マデ↢諸天皆亦復如シト↠是

二 Ⅲ ⅱ c イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)正しく不放逸を勧む

^このゆゑにまたかの ¬きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「すすめて放逸ほういつしゅせしむ。 なにをもつてのゆゑに。 それ放逸ほういつはこれ衆悪しゅあくもとなり。 放逸ほういつはすなはちこれ衆善しゅぜんみなもとなり。 日月にちがつこうしょみょうのなかにさいなるがごとし。 放逸ほういつほうもまたかくのごとし。 もろもろの善法ぜんぽうにおいてはさいとなしじょうとなす。 またしゅ山王せんのうの、 もろもろのやまのなかにおいてさいとなしじょうとなすがごとし。 放逸ほういつほうもまたかくのごとし。 もろもろの善法ぜんぽうのなかにおいてさいとなしじょうとなす。 なにをもつてのゆゑに。 一切いっさい悪法あくほう放逸ほういつよりしょうず。 一切いっさい善法ぜんぽう放逸ほういつもととなす」 と。

又彼¬経¼云、「勧シム↢不放逸↡。何。夫放逸者是衆悪之本ナリ。不放逸者乃是衆善之ナリ。如↢日月光諸明ナルガ↡。不放逸亦復如↠是。於テハ↢諸善法↡為↠最↠上。亦如↧須弥山王↢諸↡為↠最スガ↞上。不放逸亦復如↠是。於↢諸善法↡為↠最↠上。何。一切悪法↢放逸↡而生。一切善法不放逸スト↠本。」

二 Ⅲ ⅱ c 問答
          (一)一劫受身の多少を明す〔身数無際〕
            (Ⅰ)

 ^だいひていはく、 無始むしこうよりこのかた六道ろくどうりんして*さいなりといふといへども、 いまだらず、 一劫いっこうのうちにいくばくの身数しんしゅくるをてんといふや。

第二、雖フト↢无始劫ヨリ六道輪廻无際ナリト↡而未↠知、一劫之中ルヲ↢幾身数↡而言フヤ↢流転↡。

二 Ⅲ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)引経
                (a)涅槃経1

^こたへていはく、 ¬はんぎょう¼ (意)きたまふがごとし。 「*三千さんぜん大千だいせんかい草木そうもくりて、 りてすん*ちゅうとなして、 もつて一劫いっこうのうちにくるところの父母ぶもしゅかぞへんに、 なほおのづからきず」 と。

、如↢¬涅槃経¼説タマフガ↡。「取↢三千大千世界草木↡、截↢四寸↡、以ムニ↢一劫之中↠受父母頭数↡、猶↠澌。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)涅槃経2

^あるいはのたまはく (涅槃経・意)、 「一劫いっこうのうちにむところのははちちだい海水かいすいよりもおおし」 と。

、「一劫之中↠飲シト↢於四大海水ヨリモ↡。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(c)涅槃経3

^あるいはのたまはく (涅槃経・意)、 「一劫いっこうのうちにむところの身骨しんこつ*毘富羅びふらせんのごとし」 と。

、「一劫之中↠積身骨シト↢毘富羅山↡。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)結勧

^かくのごとく*遠劫おんごうよりこのかた、 いたづらにしょうくること今日こんにちいたりて、 なほぼんとなる。 なんぞかつてりょうしてしょうたんしてまざらんや。

↠是遠劫ヨリ已来、徒コト↢生死↡至↢於今日↡、猶作↢凡夫之身↡。何思量傷歎ラムヤ↠已

二 Ⅲ ⅱ c ロ (二)聖教を引きて証す〔経文来証〕
            (Ⅰ)

 ^だいさんにまたひていはく、 すでに*曠大こうだいごうよりこのかたくることをしゅといふは、 はたただちにそうじてきて、 ひとをしてえんしょうぜしむるや、 はたまたきょうもんありてきたしょうするや。

第三又問、既↢曠大劫ヨリコト↠身无数↡者、為当 ハタ 直爾 タダチ 、令ルヤ↢人ヲシテ↟厭為当 ハタ 亦有↢経文↡ルヤ

二 Ⅲ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)正答

^こたへていはく、 みなこれ聖教しょうぎょうみょうもんあり。

、皆是聖教明文アリ

二 Ⅲ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)引経
                (a)法華経1

^なんとなれば、 ¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「過去かこ不可ふかせつおん大劫だいこうぶつしゅっまします。 *大通だいつうしょう如来にょらいごうしたまふ。 じゅうろくおうあり。 おのおのほうのぼりてしゅじょうきょうす。 一々いちいちおうおのおのろっぴゃくまんおく那由他なゆたごうしゃしゅじょうきょうせり」 と。 そのぶつめつよりこのかた、 ごくおんなり。 なほかぞるべからず。

トナレバ者如↢¬法花経¼云フガ↡。「過去不可説久遠大劫↢仏出世↡。号タマフ↢大通智勝如来↡。有↢十六王子↡。各↢法座教↢化衆生↡。一一王子各各教↢化リト六百万億那由他恒河沙衆生↡。」其滅度ヨリ已来、至極久遠ナリ。猶不↠可↢数↡。

二 Ⅲ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)法華経2

^なんとなれば、 ¬きょう¼ (法華経・意) にのたまはく、 「そうじて三千さんぜん大千だいせんかいだいりて、 りてもつてすみとなす。 ぶつのたまはく、 ªこのひとせんこくぎてすなはち一点いってんくださん。 おおきさ*じんのごとし。 かくのごとく*展転てんでんして、 しゅすみつくすº と。 ぶつのたまはく、 ªこのひとるところのこく、 もしてんずるとてんぜざると、 ことごとくくだきてちりとなし、 一塵いちじん一劫いっこうとするに、 かのぶつめつよりこのかた、 またこのかずぎたりº と。 今日こんにちしゅじょうは、 すなはちこれかのときじゅうろくおう座下ざげにして、 かつてきょうぼうけたり」 と。

トナレバ者¬経¼云、「総↢三千大千世界大地↡、磨↠墨。仏言、是人過↢千国土↡乃サム↢一点↡。大キサ↢微塵↡。如↠是展転、尽スト↢地種↡。仏言、是↠経国土、若ルトルト↠点、尽クダキ↠塵、一塵一劫トスルニ、彼滅度ヨリ已来、復過タリ↢是↡。今日衆生是彼十六王子座下ニシテ、曽タリト教法↡。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)法華経3

^このゆゑに ¬きょう¼ (法華経) にのたまはく、 「このほん因縁いんねんをもつて、 ために ¬法華ほけきょう¼ をきたまふ」 と。

¬経¼云、「以↢是本因縁↡、為タマフト↢¬法花経¼↡。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(d)涅槃経

^¬はんぎょう¼ (意) にまたのたまはく、 「いちはこれおういちはこれ貧人びんにん、 かくのごときにんたがひにあひ往反おうへんす」 と。 「おう」 といふは今日こんにちしゃ如来にょらい、 すなはちこれかのときだいじゅうろくおうなり。 「貧人びんにん」 といふは今日こんにちしゅじょうとうこれなり。

¬涅槃経¼復云、「一是王子、一是貧人、如↠是二人互往反。言↢王子↡者今日釈迦如来、乃是彼第十六王子也。言↢貧人↡者今日衆生等是ナリ。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (三)悪趣受身偏に多し〔流転悪道〕
            (Ⅰ)

 ^だいひていはく、 これらのしゅじょうはすでにてんこうなりといふ。 しかるに三界さんがいのなかには、 いづれのしゅにかくることおおしとなす。

第四、此等衆生↢流転多劫ナリト↡。然三界之中ニハ、何ニカコト↠身↠多シト

二 Ⅲ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)
              (ⅰ)正答

^こたへていはく、 てんすといふといへども、 しかもさん悪道まくどうのなかにおいてくることひとへおおし。

、雖↠言フト↢流転スト↡、然↢三悪道↡受コト↠身

二 Ⅲ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)引経

^¬きょう¼ (*十住断結経・意)きてのたまふがごとし。 「くうのなかにおいて方円ほうえん*はっちゅうはかりて、 より*しききょうてんいたる。 このりょうないにおいてあらゆるけんしゅじょうは、 すなはち三千さんぜん大千だいせんかい人天にんでんよりもおおし」 と。 ゆゑにりぬ、 悪道あくどうおおし。

↢¬経¼説フガ↡。「於↢虚空↡量↢取方円八肘↡、従↠地至↢於色究竟天↡。於↢此量内↡所有可見衆生、即シト↢於三千大千世界人天之身ヨリモ↡。」故悪道

二 Ⅲ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅲ)由説

^なんがゆゑぞかくのごとしとならば、 ただ悪法あくほうおこしやすく、 善心ぜんしんしょうじがたきがゆゑなり。 いまのときただ現在げんざいしゅじょうるに、 もしれば、 ただ放逸ほういつかいこととす。 てんのなかにはすなはちまたらくじゃくするものおおし。

ナラバ↠此但悪法↠起、善心キガ↠生故也。今時但看ルニ↢現在衆生↡、若レバ↢富貴↡、唯事トス↢放逸破↡。天ニハ復著↠楽者多

二 Ⅲ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅳ)引証
                (a)五苦章句経

^このゆゑに ¬きょう¼ (*五苦章句経・意) にのたまはく、 「しゅじょうひとしくこれてんしてつねにさん悪道まくどうつねいえとなす。 人天にんでんにはしばらくきたりてすなはちる。 づけて客舎かくしゃとなすがゆゑなり」 と。

¬経¼云、「衆生是流転三悪道↢常↡。人天ニハ。名スガ↢客舎↡故也。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅳ)(b)大荘厳論

^¬*だいしょうごんろん¼ (意) によるに、 「一切いっさいしゅじょうすすむ、 つねにすべからく*ねん現前げんぜんすべし」 と。

ルニ↢¬大荘厳論¼↡、「勧↢一切衆生↡、常シト↢繋念現前↡。」

(同) にいはく、

じょうねんにしてげんなきときは、 *だいにしてしょうじんせず。

もろもろの*事務じむ貪営とんようして、 **かい*ぜんとをしゅせず。

のためにまれんとするにのぞみて、 まさにいてぜんしゅすることをもとむ。

¬偈¼云

「盛年ニシテ↠患時懈怠ニシテ不↢精進
貪↢営事務不↠修↢施トヲ
↢為↠死ムトスルニ↟呑↠修コトヲ↠善

しゃ観察かんざつして、 よくおもい除断じょだんすべし。

*しょうごんじゅうしんのものは、 *しゅうこんなし。

しんすでにせんなれば、 錯乱さくらんねんあることなし。

「智者↣観察除↢断五欲
精懃習心終時↢悔恨↡
心意既専至レバ↠有コト↢錯乱念↡

しゃはねんごろにしんとうずれば、 りんじゅうこころさんぜず。

じゅうしんせんならざれば、 りんじゅうにかならず散乱さんらんす。

しんもし散乱さんらんするときは、 うま調じょうするに*がいもちゐるがごとくせよ。

もしそれ闘戦とうせんときには、 せんしてただちにかず」 と。

智者レバ↠心臨終意不↠散
レバ↢習心専至ナラ臨終散乱
心若散乱クセヨ↢調ルニ↠馬ルガ↠磑
闘戦ニハ廻旋↢直↡」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)二門出離の難易を弁ず〔聖浄二門〕
            (Ⅰ)

 ^だいにまたひていはく、 一切いっさいしゅじょうみな*ぶっしょうあり。 *遠劫おんごうよりこのかたぶつひたてまつるべし。 なにによりてかいまにいたるまで、 なほみづからしょうりんしてたくでざる。

第五又問、一切衆生皆有↢仏性↡。遠劫ヨリ以来↠値↢多仏↡。何テカマデ↠今ナホ輪↢廻生死↡不↠出火宅↡。

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)
              (ⅰ)総じて輪回の相を示す

^こたへていはく、 *だいじょう聖教しょうぎょうによるに、 まことにしゅ*しょうぼうて、 もつてしょう*はらはざるによる。 ここをもつてたくでず。

、依ルニ↢大乗聖教↡、良↠不ルニ↧得↢二種勝法↡、以↦生死↥。是不↠出↢火宅↡。

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)二門を弁ず
                (a)

^何者なにものをかとなす。 いちにはいはくしょうどうにはいはくおうじょうじょうなり。

何者ヲカ↠二。一ニハ聖道、二ニハ往生浄土ナリ

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)
                  (イ)時に約して難易を判ず
                    [一]聖道の難証を明す
                      [Ⅰ]由を示す

^そのしょうどう一種いっしゅは、 いまときしょうしがたし。 いちにはだいしょう (釈尊)ること遥遠ようおんなるによる。 には*ふかさとりなるによる。

聖道一種、今時難↠証。一ニハコト↢大聖↡遥遠ナルニ↥。二ニハ↢理ナルニ↡。

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ]引証

^このゆゑに ¬*だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ (意) にのたまはく、 「わが*末法まっぽうときのうちに、 億々おくおくしゅじょうぎょうおこどうしゅすれども、 いまだ一人いちにんとしてるものあらず」 と。

¬大集月蔵経¼云、「我末法、億億衆生起↠行レドモ↠道↠有↢一人トシテ者↡。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]浄土の易往を明す
                      [Ⅰ]時教相応を明す

^当今とうこん末法まっぽうにして、 げんにこれじょくあくなり。 ただじょう一門いちもんのみありて、 つうにゅうすべきみちなり。

当今末法ニシテ、現是五濁悪世ナリ。唯有↢浄土一門ノミ↡、可↢通入↡路ナリ

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]引証

^このゆゑに *¬だいきょう¼ にのたまはく、 「もししゅじょうありて、 たとひいっしょうあくつくれども、 命終みょうじゅうときのぞみて、 じゅうねん相続そうぞくしてわがみょうしょうせんに、 もししょうぜずはしょうがくらじ」 と。

¬大経¼云、「若↢衆生↡、縦令一生造ドモ↠悪↢命終↡、十念相続ムニ↢我名字↡、若↠生者不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)機に約して堪不を揀ぶ
                    [一]警して知量せしむ

^また一切いっさいしゅじょうすべてみづからはからず。

復一切衆生都不↢自↡。

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]正しく堪不を明す
                      [Ⅰ]不堪五乗を明す

^もしだいじょうによらば、 真如しんにょ実相じっそう第一だいいちくう、 かつていまだしんかず。 もし小乗しょうじょうろんぜば、 *見諦けんたい修道しゅどうしゅにゅうし、 すなはち*ごんかんいたるまで、 *五下ごげだん*じょうのぞくこと、 *道俗どうぞくふことなく、 いまだそのぶんにあらず。 たとひ人天にんでんほうあれども、 みな*かい*じゅうぜんのためによくこのほうまねく。 しかるにたもるものは、 はなはだまれなり。

↢大乗↡、真如実相第一義空曽↢措↢心。若↢小乗↡、修↢入見諦修道↡、乃マデ↢那含・羅漢↡、断↢五下↡除コト↢五上↡、无↠問コト↢道俗↡、未↠有↢其↡。ドモ↢人天果報↡、皆為↢五戒・十善↡能↢此↡。然ナリ

二 Ⅲ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]浄教機に応ずを明す

^もしあく造罪ぞうざいろんぜば、 なんぞ暴風ぼうふう駛雨しうことならんや。 ここをもつて諸仏しょぶつだいすすめてじょうせしめたまふ。 たとひいちぎょうあくつくれども、 ただよくこころけてせんしょうにつねによく念仏ねんぶつすれば、 一切いっさいしょしょうねんしょうじょして、 さだめておうじょうなんぞりょうせずしてすべてしんなきや。

↢起悪造罪↡、何ラムヤ↢暴風↡。是諸仏大慈勧シメタマフ↢浄土↡。縦使一形造ドモ↠悪、但能↠意専精念仏レバ、一切諸障自然消除、定得↢往生↡。何シテ↢思量↡都↢去心↡也。

二 Ⅲ ⅱ 【引証勧信】
       

【27】^自下じげだい聖教しょうぎょうきて証成しょうじょうして、 しんすすしょうもとめしむとは、

自下第四↢聖教↡証成↠信シムト↠生者、

二 Ⅲ ⅱ d
          (一)引証
            (Ⅰ)観仏三昧経

^¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「そのときのなかに財首ざいしゅさつありて、 ぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 われ過去かこりょうこうおもときに、 ぶつましましてでたまへり。 またしゃ牟尼むにぶつづく。 かのぶつめついちおうあり、 づけて金幢こんどうといふ。 きょうまん邪見じゃけんにしてしょうぼうしんぜず。

ルニ↢¬観仏三昧経¼↡云、「爾↢財首菩薩↡、白↠仏、世尊、我念↢過去无量劫↡時、有シテ↠仏出タマヘリ↠世。亦名↢釈迦牟尼仏↡。彼滅後↢一王子↡、名↢金幢↡。憍慢邪見ニシテ不↠信↢正法↡。

*しき比丘びくあり、 じょうざいづく。 おうげていはく、 «ぶつぞうあり、 きはめてあいなりとなす。 しばらくとうりて、 ぶつぎょうぞうたてまつるべし» と。 ときにかのおうぜんしたがひてとうりてぞうたてまつる。 ぞう相好そうごうて、 比丘びくにまうさく、 «仏像ぶつぞうすら端厳たんごんなることなほかくのごとし、 いはんやぶつ真身しんしんをや» と。

↢知識比丘↡、名↢定自在↡。告↢王子↡言、世↢仏像↡、極↢可愛ナリト↡。可シト↠塔マツル↢仏形像↡。時王子従↢善友↡入↠塔マツル↠像。見↢像相好↡、白↢言比丘↡、仏像スラ端厳ナルコト猶尚 ナホ ↠此、況真身ヲヤト

比丘びくげていはく、 «おう、 いま仏像ぶつぞうらいすることあたはずは、 まさに "南無なもぶつ" としょうすべし» と。 かえりて、 ねんけてとうのなかのぞうねんずるに、 すなはち*後夜ごやゆめ仏像ぶつぞうて、 しんおおきにかんして邪見じゃけんしゃし、 三宝さんぽう帰依きえす。

比丘告、王子、今見↢仏像↡不↠能↠礼コト者、当↠称↢南無仏↡。還↠宮↠念ルニ↢塔↡、即↢後夜↡夢↢仏像↡、心大歓喜捨↢離邪見↡、帰↢依三宝↡。

寿じゅみょうおわるにしたがひて、 さきとうりてぶつしょうするどくによりて、 すなはちひゃくおく那由他なゆたぶつぐうすることを諸仏しょぶつみもとにおいてつねにねんごろにしょうじんして、 つねに甚深じんじん念仏ねんぶつ三昧ざんまいたり。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいちからのゆゑに、 諸仏しょぶつ現前げんぜんしてみなじゅあたふ。

↢寿命終ルニ↡、由↢前↠塔↠仏功徳↡、即得↣値↢遇コトヲ九百億那由他↡、於↢諸仏↡常精進、恒↢甚深念仏三昧↡。念仏三昧、諸仏現前皆与↢授記↡。

これよりこのかたひゃくまんそうこう悪道あくどうせず。 ない今日こんにちしゅりょうごん三昧ざんまいぎゃくとくせり。 そのときおうとは、 いまわれ財首ざいしゅこれなりº と。 そのときちゅうにすなはち十方じっぽうのもろもろの*だいさつあり、 そのかずりょうなり。 おのおの*本縁ほんえんくに、 みな念仏ねんぶつによりてたり。

↠是以来百万阿僧祇劫不↠堕↢悪道↡。乃至今日獲↢得首楞厳三昧↡。爾王子者、今我財首是也。爾時会中↢十方大菩薩↡、其数無量ナリ。各クニ↢本縁↡、皆依↢念仏↡得タリ

ぶつなんげたまはく、 ªこの観仏かんぶつ三昧ざんまいは、 これ一切いっさいしゅじょう犯罪ぼんざいのもののくすりなり、 かいのもののまもりなり、 失道しつどうのもののみちびきなり、 *もうみょうのもののまなこなり、 愚痴ぐちのもののなり、 黒闇こくあんのもののともしびなり、 煩悩ぼんのうぞくのなかのだいゆうみょうしょうなり、 諸仏しょぶつそん遊戯ゆげしたまふところのしゅりょうごんとうしょだい三昧ざんまいのはじめて出生しゅっしょうするところなりº と。

仏告タマハク↢阿難↡、此観仏三昧是一切衆生犯罪ナリ、破戒ナリ、失道ナリ盲冥ナリ、愚痴ナリ、黒闇ナリ、煩悩大勇猛将ナリ、諸仏世尊之所↢遊戯タマフ↡首楞厳等諸大三昧出生ナリ

ぶつなんげたまはく、 ªなんぢいまよくたもちて、 つつしみて忘失もうしつすることなかれ。 らい現在げんざいさん諸仏しょぶつ、 みなかくのごとき念仏ねんぶつ三昧ざんまいきたまふ。 われと十方じっぽう諸仏しょぶつおよび*賢劫げんごう千仏せんぶつとは、 *しょ発心ほっしんよりみな念仏ねんぶつ三昧ざんまいちからによるがゆゑに*一切いっさいしゅたりº」 と。

仏告タマハク↢阿難↡、汝今善、慎忘失コト↡。過去・未来・現在三世諸仏、皆説タマフ↢如↠是念仏三昧↡。我↢十方諸仏及賢劫千仏↡、従↢初発心↡皆因ルガ↢念仏三昧↡故タリト↢一切種智↡。」

二 Ⅲ ⅱ d ロ (一)(Ⅱ)目連所問経

^また ¬*目連もくれん所問しょもんぎょう¼ のごとし。 ぶつ目連もくれんげたまはく、 ªたとへば万川ばんせん長流ちょうりゅううかべる草木そうもくありて、 まえうしろかえりみず、 うしろまえかえりみず、 すべて大海だいかいするがごとし。 けんもまたしかなり。 ごうらくざいなることありといへども、 ことごとくしょうろうびょうまぬかるることをず。 ただぶっきょうしんぜざるによりて、 後世ごせひととなれども、 さらにはなはだ*こんぎゃくして、 *千仏せんぶつこくしょうずることをることあたはず。 このゆゑにわれく、 «りょう寿じゅ仏国ぶっこくきやすくりやすし。 しかるにひとしゅぎょうしておうじょうすることあたはず、 かへりて*じゅうしゅ邪道じゃどうつかふ» と。 われこのひときて*げんにんづけ、 *無耳むににんº」 と。

又如↢¬目連所問経¼↡。「仏告タマハク↢目連↡、譬↧万川長流↢浮ベル木↡、前不↠顧↠後、後不↠顧↠前、都ルガ↦大海↥。世間亦爾ナリ。雖↠有↢豪貴・富楽自在ナルコト↡、悉不↠得↠コトヲ↢生・老・病・死↡。只由↠不ルニ↠信↢仏経↡、後世レドモ↠人、更困劇、不↠能↠得コト↠生コトヲ↢千仏国土↡。是我説、无量寿仏国↠往↠取。而人不↠能↢修行往生コト↡、フト九十五種邪道↡。我説↢是↡名↢无眼人↡、名クト↢无耳人↡。」

二 Ⅲ ⅱ d ロ (二)勧信

^経教きょうきょうすでにしかなり。 なんぞなんててぎょうどうによらざらんや。

経教既ナリ。何ラム↣捨↠難↢易行道矣。

安楽あんらくしゅう かんじょう

 

諸部の大乗 諸種の大乗の経論。
供仏 仏をようすること。
時会の聴衆 現在この会座に参集している人々。
聖弟子 しゃほつ等の仏弟子。
諸天 梵天ぼんてん帝釈天たいしゃくてん等の護法の善神。
神仙 仏法に帰依きえした仙人。
変化 変化身のこと。 仏・菩薩がすがたを変えて仮に現れたもの。
真応 真は報身ほうじん、 応は応身おうじんのこと。
三界の摂と不摂 迷いの境界であるところの三界さんがいにおさまるか、 おさまらないか。
教興の所由を… →補註4
赴けば 合致すればの意。
正法念経に… 引用の文は ¬正法念経¼ にはない。 摩羅まらじゅう訳 ¬ぜん三昧ざんまいきょう¼ の取意の文。
諍訟 争いごと。
総・別 総は如来にょらいの十号を指し、 別は阿弥陀如来ややく如来等の個々の名号を指す。
機解 しゅじょうの理解するところ。
韋提大士 大士は菩薩の意。 道綽どうしゃくぜんだいごんの菩薩とする。
出路を諮開す (迷いの世界を) しゅつする道を尋ねる。
ここ 此土しどしゃ世界。
進趣 (さとりに向かって) 修行し進むこと。
勝果 すぐれたさとりの果報。
 凡情。 ぼんの心情。
衆典 数多くの経典。
増長勝解の想 仏法を領解りょうげし、 味わうすぐれた心が成長してゆくこと。
端視 ひたすらに心を傾けること。
渇飲 のどのかわいた人が水を求めるような思い。
語議 言葉の深い意味内容。
聖弟子 仏弟子のこと。
因中の時 (阿羅あらかんの) さとりを得るための修行をしている時期。
法の因縁 仏法を聞く機会。
過去宿命 過去世の境界。
殃咎 罪や過ち。
信向 信じ帰依きえすること。
熙連半恒河沙 熙連河の砂の数の意。 熙連河は中インドにある河。 釈尊はその西側の沙羅さらりんにゅうめつされた。 恒河 (ガンジス河) より小さいので、 ここでは半恒河という。
不可思議解脱 思惟を超えたさとりの境界。
空慧 一切のものには実体がないというくうの道理をさとる智慧ちえ
父の王 釈尊の父、 浄飯じょうぼんのう
総相 仏身の全体のすがた。
別相 仏身の一部分のすがた。 総相に対す。
仏地の果徳 仏のさとられた徳。
希有の心 不思議なおもい。
業道成弁 ごうじょうべんのこと。
諸部の大乗 諸種の大乗経典。
遮障 さまたげること。
古旧あひ伝へて… じょうようおん天台てんだい大師智顗ちぎなどの説を指す。
穢濁世 五濁ごじょく悪世のこと。
次いで仏処を補す 次に仏の位をおぎなう。 →一生いっしょうしょ
説法 大乗の通説では法身ほっしんに説法はないが、 報身ほうじんにはそれがある。
可見 しゅじょうの観見の対象となるということ。 法身はしき無形むぎょうで不可見であるが、 報身は相好そうごうこうみょうをそなえているので可見である。
諸業の休息せざる 衆生救済のさまざまなはたらきが決してやまないという意。
休息隠没 衆生の機によっては姿をかくすこともあるという意。
不実体を示現する 不実体は応身おうじんのこと。 報身は応身を示現する本体であるという意。
毫毛に… 毫毛 (細い毛) ほどの小さな誤りから千里にもおよぶ大きな誤りを招くという意。
仏子・給侍の弟子 釈尊に照らし合わせていえば、 仏子は羅睺羅らごらにあたり、 給侍の弟子はなんにあたる。
炳然 あきらかであること。
成壊 消滅しょうめつに同じ。
導師 仏のこと。
一質・異質・無質 ここでの質は本体の意。
虧盈 虧は欠ける、 盈は満ちるの意。
原を… 本源をたずねれば一つに融合するという意。
万形 種々雑多な形となってあらわれるという意。
 法身ほっしんのこと。
無而忽有 無であってたちまち現れるという意。
洞然 すべて燃えつきるさま。
常想 無常であるものを常住と見誤る見解。
無尽蔵 尽きることのない財宝をおさめる蔵。
三千の刹土 三千さんぜん大千だいせんかいのこと。
相土 有相の浄土。 すがたかたちのある浄土。 これに対して、 法性の浄土はしきぎょうである。
釈迦文 釈迦牟尼に同じ。 →釈迦しゃか牟尼むにぶつ
陀羅尼門 陀羅尼は梵語ダーラニー (dhāraṇī) の音写。 そうのうなどと漢訳する。 種々の善法を保持し、 悪法をおこさせない力のこと。 門は法門、 教えのこと。
縁のなかに… 浄土の具体的なしょうごんそうを心に認めて往生を願う者。
上輩の生 三輩さんぱいのうちの上輩の往生。
二十九種の荘厳清浄 天親てんじん菩薩の ¬浄土論¼ に説かれる国土十七種・仏八種・菩薩四種の二十九種の清浄しょうじょうなる荘厳相。
総別 いっぽっを総とし、 二十九種のしょうごん清浄しょうじょうを別という。
落在 おさめるの意。
修短 長短。 ここでは寿命の長短のこと。
長津 長い渡し場。
雑生の触受 雑多な生を経て、 さまざまな苦にふれ、 その苦を受けること。
数限を超ゆ 数量による限定を超えている。
適悦晏安 よろこびに満たされ、 おだやかに安らいでいるさま。
大経にのたまはく… ここでは ¬大経¼ 三輩さんぱい段の意を ¬論註¼ (下) の文によって示されている。
無上仏道 この上ない仏のさとり。
有輪 有は三有さんぬ (三界) のこと。 迷いの世界である三界さんがいを回転してきわまるところのない車輪に喩えていう。
五浄 浄居じょうごてんのこと。 しきかい十八天の最上に位置するしき究竟くきょうてん善見ぜんけんてん善現ぜんげんてんねつてんぼんてんを五浄居天という。
霊河 竜のすむ河。
世旱 世のひでり。
自性 本来の性。
穢染 煩悩ぼんのうのけがれ。
天真 真如のこと。 →真如しんにょ
修成を仮らざる 修行によって成じたものではないという意。
円通無礙 まどかなさとりに通達して、 なにものにもさまたげられないこと。
 (しゅじょうやくする) はたらき。
万機に趣く すべてのこん (素質能力) に対応する。
益物円通する 物は衆生の意。 衆生を利益することが自由自在であること。
波羅蜜門 →ろっ波羅ぱらみつ
運度 衆生をさとりの世界に導きわたすこと。
経にのたまはく… 引用の文は ¬維摩経ゆいまぎょう¼ ¬大集だいじつきょう¼ の両経にみられる。
仮名 因縁いんねんによって仮に生じた現象世界のありさま。
大智度論にいはく… 引用は ¬略論りゃくろん安楽あんらくじょう¼ に引く ¬だい智度ちどろん¼ (龍樹りゅうじゅ菩薩造) 取意の文。
龍樹菩薩の釈にいはく  引用は ¬略論りゃくろん安楽あんらくじょう¼ に引く ¬だい智度ちどろん¼ (龍樹りゅうじゅ菩薩造) 取意の文。
四句 四句分別のこと。 存在に関する四種の考察。 「有・無・または有または無・有にあらず無にあらず」 をいう。
 だつのこと。
畢竟常楽の処 究極的な常住安楽の境地。
愛見の大悲 愛着の心からおこす慈悲。
総生起 九番の異見邪執を破する由縁。
繋情 誤った見解。
名義塵沙 名 (名称) と義 (名にあらわされる意味) が無量であること。
衆典 数多くの経典。
部旨 真意。
浄土 ここでは往生浄土の教えの意。
隠顕 意味が文の表面に顕れていたり、 隠れていたりすること。
図度 推量すること。
諂語刁々 諂語はいつわりの言葉。 刁々はふらふらと動揺するさま。
百盲偏執 →補註10
妨礙 さまたげること。
取相 彼此ひし差別の相にとらわれること。
 見解。 考え。
縁求 因縁いんねんしょうの立場で往生浄土を願い求めること。
滅空の所収 一切のものには実体がないというくうの道理を偏ってとらえてしまうこと。
無作を行ず 一切諸法は本来くうであり、 はたらきはないと観ずること。
受身を現ず 衆生済度のために生死の身を受けること。
無起を行ず 一切諸法は本来空であり、 生起することがないと観ずること。
無相を行じ 一切諸法に差別の相をみないこと。
沽酒家… 沽酒家は酒の販売を職業とする者。 藍染家は染物を職業とする者。 押油家は製油を職業とする者。 熟皮家は皮革加工を職業とする者。 →補註8
在世人 在俗の人。
遮制約勒 悪をさえぎりとどめるべく誡めること。
愛染取相 分別にとらわれた愛着の心。
塵累 煩悩ぼんのう (塵) に束縛された迷いの境界。
空慧般若 一切のものには実体がないというくうの道理をさとるはんにゃ智慧ちえ
塵染 煩悩 (塵) に染っていること。
 中道。 両極端を離れた正しいありかた。
衆生を成就せん 衆生にさとりを得させる。
所観の浄境は… 観察かんざつの対象である浄土の環境は、 心におさまっているので浄土とこころは一つにとけあっている。
虚融に処し しき無形むぎょうであらゆる限定を超えているという意。
偏局なし 法界ほうかいに周遍していて、 十方のうちの一方にかたよるようなことがないという意。
上士 すぐれた聖者。
不断弁才 他人によって断ち切られることのない弁舌の才能。
 そうの見。 すがたかたちにとらわれた見解。
相土 有相の浄土。 すがたかたちのある浄土。 これに対して、 ほっしょうの浄土は無色無形である。
縁を摂して… 因縁いんねんしょう差別の立場 (俗諦ぞくたい) をおさめて、 根本の立場 (真諦しんたい) についていえばという意。 →真俗しんぞくたい
機解 こん (素質能力) と智慧ちえのこと。
無相の波羅蜜 差別の相を離れて修する行。 →ろっ波羅ぱらみつ
阿毘跋致地 阿毘あび跋致ばっち (退たいてん) の地位に入った者。
鵝鴨 がちょうとあひる。 ともに水鳥。
聖意 仏のみこころ。
当時 当座。 その時。
違順 心にかなったり、 かなわなかったりすること。
西 西方の阿弥陀仏の浄土。
弥勒世尊 →ろくさつ
退処 悪趣あくしゅへの退転があるところ。 西方浄土が三界さんがいを超越するのに対し、 そつはなお三界のうちであるので、 退転がある。
退落 (悪趣あくしゅへ) 転落すること。
和鳴哀雅 音声が調和していて、 情趣とみやびやかさがあるということ。
聖道 仏道。 さとりへの道。
退人 (悪趣へ) 転落してしまう人。
心神 神識じんしき。 こころ。
哀婉雅亮 深い情趣をたたえて、 しなやかに響きわたり、 優雅・明澄であること。
別異 相違。
浄土の初門 あらゆる浄土の最初の入り口。
穢土の末処 穢土のおわり尽きるところ。
菓子 果実。
蛇蝎 へびやさそり。
簡ばず 区別しない。
賢聖 さとりの位にある人。
下品生 →ぼん
通論の家 じゃくの ¬しょうだいじょうろん¼ にもとづく摂論しょうろん学派のこと。
聖情に契会せん 仏のおぼしめしにかなうこと。
常途 通常。
理数炳然 道理があきらかであること。
引接 仏道に誘い導くこと。
来験 証明すること。
仏意 仏のおぼしめし。
曠大劫 久しくはるかな昔。
繋属 つなぎとめること。
瑞物 宝物。
 ろば。
儵爾 たちまち。
鴆鳥 中国に伝えられる毒鳥の名。 毒蛇を食べるといい、 その羽根を酒に浸すと毒酒になるという。
魚蚌 魚貝類。 蚌は、 どぶ貝、 またははまぐり。
犀角 さいのつの。
黄鵠… ¬れつでん¼ に出る故事。 子安 (仙人の名) にたすけられた鶴 (黄鵠) が、 子安の死後、 三年間その墓の上でかれを思って鳴きつづけ、 鶴は死んだが子安は蘇って千年の寿命を保ったという。
自摂他摂 自摂は自力によってたもつこと、 他摂は他力によってたもつこと。
有礙の識 煩悩にさまたげられた心。
無礙の法 なにものにもさまたげられない法。
五の不思議 →不思議ふしぎ
大乗経 ¬論註¼ では業道経とする。
業道 善悪の業によって苦楽の果報を得るという道理。 →補註6
先牽の義 業は重い方が先に報いがあらわれるという道理。
虚妄顛倒の… 真実の理にそむいた誤った心をよりどころとして。
方便安慰 いろいろてだてをして教え、 心を安らかにすること。
実相の法 名号には仏のさとられた諸法実相の徳が含まれているので、 仏の名号のことを実相という。
有後心 まだ後があると思うゆっくりした心。
有間心 他のさまざまな想いがまじって、 専一でない心。
総相 仏身の全体のすがた。
別相 仏身の一部分のすがた。 総相に対す。
業道をして成弁せしめて ごうじょうべんのこと。
頭数 念仏の回数の意。
空曠のはるかなる処 何もなくて、 どこまでも広がっている場所。
首領全くしがたからん 命を全うすることができないであろう。 ここではおぼれ死ぬであろうの意。
不可得 固定的な実体はないということ。
智慧門 真俗しんぞくたいのうちのしんたい
繋念 係念、 懸念とも書く。 想いをかけること。
功徳門 真俗しんぞくたいのうちのぞくたい
 具体的なすがたかたち。
停息 とどまって休息すること。
剋念 心をはげまして努力すること。
 (善なる) 性質。
三五 三人でも五人でも。
言要を結び 約束し。
蝋印を… 蝋印を熱い泥土におすと蝋印は壊れるが文字は残る。
大乗経論 ¬維摩経ゆいまぎょう¼ ¬だい智度ちどろん¼ 等の経論のこと。
畢竟無生 本来、 消滅しょうめつ変化のないこと。
衆累 さまざまなわずらい。
愛染虚妄 うそいつわりでとらわれの心。
上品生 ¬観経¼ に説かれるぼん往生のうち、 上品上生、 上品中生、 上品下生のものをいう。
下品生 →ぼん
浄摩尼珠 摩尼まに宝珠ほうしゅのこと。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 わざわいを去る徳をもつともいう。
無生の智 不生ふしょうめつの理をさとる智慧ちえのこと。 →しょう
名の法に即するあり 名と名によって示されるもの (法) のはたらきとが一体であるという意。
禁呪の音辞 悪やわざわいをとどめるための呪文。
日出東方… 中国に古くから伝わる呪文の一種と考えられる。
酉亥に… 酉亥は午後五時頃から午後十一時頃までのこと。 日の出とは関係のないこの時刻に 「日出…」 の呪文をとなえても、 腫物がひくという意。
また三種の不相応あり… →補註7
三界五道 迷いの世界。 →三界さんがい悪趣あくしゅ
善悪二業に…無数なる →補註6
権の息… 仮の休息であって、 真のさとりには到達していない。
訶し 誡めるの意。
大車 だいびゃくしゃ。 大乗の法を喩えたもの。
退位 仏道より退転する可能性のある位。
嶮径 修行のけわしい道。
龍樹菩薩いはく… 引用は ¬易行品¼ の意にもとづく ¬論註¼ (上) の文。
菩薩の法 自利利他の行。
人天の顛倒の善果 人間・天上界に生れる果報は、 善果といっても迷いの境界の中であるので顛倒という。
仏力住持する 仏の本願力が支えたもつという意。
自摂他摂 自摂は自力によってたもつこと。 他摂は他力によってたもつこと。
 ろば。
光台迎接して 光輝くれんの台座に迎えとられて。
徒設 いたずらに設けられたもの。
高下 高さの意。
三銖 銖は重さの単位。 一銖は一両の二十四分の一。 周代の一銖は約 0.67 グラム。
西拘耶尼 しゅせんの西にあるといわれる大陸。 拘耶尼は瞿陀尼ともいう。 →だいしゅう
上四天 欲界よくかいの最上層にある四つの天。 →夜摩やまてんそつてん化楽けらくてん他化たけざいてん
十八重天 ¬だい智度ちどろん¼ 等の大乗の説では、 色界しきかいに十八の天があるという。
四重天 くうへんしょてんしきへんしょてんしょしょてんそうそうしょてんの四。
軽繋地獄 八大地獄に付属する小地獄 (眷属けんぞく地獄・別処) のこと。
胎生・余の三生 →しょう
往福 過去の福徳の善根ぜんごん
扼縛癰瘡 扼・縛はしばりつけるの意、 癰・瘡ははれものの意で、 ここではこれらを煩悩ぼんのうに喩える。
義利 やく
無際 きわまりない。
 計算用の器具。
毘富羅山 毘富羅は梵語ヴィプラ (Vipula) の音写。 広と漢訳する。 中インドの王舎おうしゃじょうの東北にある山の名。
遠劫 遠く久しい昔。
曠大劫 久しくはるかな昔。
大通智勝如来 ¬法華ほけきょう¼ 「化城けじょうぼん」 に出る過去仏。 三千塵点じんでんごうの昔に出世し、 八千劫の間 ¬法華経¼ を説いたという。
八肘 肘は長さの単位。 一肘は人間のひじの長さ。 一尺八寸。
繋念現前 思いをかけて忘れないようにすること。
事務を貪営して 俗事をいとなみ。
施・戒・禅 布施ふせかいぜんじょうのこと。
 馬をつなぎとめる石臼。
遠劫 遠く久しい昔。
大乗の聖教によるに… →補註4
排はざる 排除しない。
理は深く解は微なる 教理は深遠であるのに、 しゅじょうの理解する能力はとぼしい。
大経にのたまはく… 道綽どうしゃくぜんが ¬大経¼ の第十八願の文意と ¬観経¼ 下下げげぼんの文意とを合せられた本願取意の文。
見諦修道 しょうもんじょうの修道階位である見道けんどう (見諦)・しゅどうがくどうの三道のうちの前二のこと。 見道はたいの道理を明瞭に観察かんざつする段階、 修道はさらにそれを繰り返して修習してゆく段階をいう。
那含羅漢 声聞乗の修道階位である四果しかのうちの阿那あなごん阿羅あらかんのこと。
五下 三界さんがいのうち最下のよくかいしゅじょうをつなぎとどめる五種の煩悩ぼんのう貪欲とんよくしん身見しんけん戒取かいしゅをいう。
五上 三界のうち色界しきかい色界しきかいに衆生をつなぎとどめる五種の煩悩。 みょうきょうまん掉挙じょうこ色染しきぜん色染しきぜんをいう。
後夜 夜の終り。 夜明けに近いころ。 →ろく
本縁 過去世の因縁いんねん
盲冥のもの みょう煩悩ぼんのうしゅじょう。 →補註10
初発心 はじめてだいしんをおこすこと。
困劇 悩み苦しむこと。
千仏の国土 数多くの仏が出現する国土。
九十五種の邪道 →九十五くじゅうごしゅどう
無眼人・無耳人 →補註10
底本は◎高野山寶壽院蔵鎌倉時代刊本(上巻)/龍谷大学蔵(写字台旧蔵)寛元三年刊本(下巻)。 Ⓐ高野山寶壽院蔵天永三年書写本、 Ⓑ龍谷大学蔵正平二年書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 全部校訂 →Ⓒ
 Ⓐと左傍註記
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→ⒷⒸ
→Ⓐ
堅固→◎Ⓑ固堅
→Ⓐ
諍訟 左Ⓒアラソヒウタフ
→Ⓐ(と右傍註記)
→ⒷⒸ時[者]
→Ⓐ又[近来]
→Ⓐ
 Ⓐになし
大士 Ⓐになし
→◎
仮遇→Ⓐ厭離
→Ⓒ路[豁] Ⓑと右傍註記
→ⒷⒸ
→Ⓑ
 Ⓐになし
→Ⓐ尋[求]
→Ⓐ仿→Ⓒ
休止→Ⓐ依止
 Ⓑ初巻と右傍註記
 Ⓑ十一巻メニと右傍註記
无量 Ⓐになし
法人→Ⓐ人法
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ曹逕
→Ⓐ
→Ⓐ六[者]
→Ⓐ
→Ⓐ道[因縁]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
熈連 Ⓐになし
乃能能乃
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓑ者[世]
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓑと左傍註記
一切 Ⓐになし
又彼経→Ⓐ彼経又
報[仏]
 Ⓐになし
→Ⓐ鬒王→ⒷⒸ主[王]
 Ⓐと左傍註記
→Ⓒ歩[健]
→Ⓐ来[如]
 Ⓐになし
→◎→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
但非→Ⓐ非但
→Ⓐ母[若有父母]
 Ⓐ汝也と左傍註記
→Ⓐ致[有](得也専也と左傍註記)
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓒ寂[意]
→Ⓐ(徒也と左傍註記)
→Ⓐ待[須也]
 Ⓐ猶也と左傍註記
→Ⓐ
 Ⓐ安法師浄土論也と左傍註記
 Ⓐ群疑論中引此と左傍註記
 Ⓐ文中作玄字と左傍註記
→Ⓒ
→Ⓒ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐと上欄註記
→Ⓐ往[生]
→Ⓐ
智浅→Ⓐ浅智
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐ是也と左傍註記
8字 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
(習也と左傍註記)
 Ⓐ重也と左傍註記
→Ⓐ
 Ⓐ作也と左傍註記
→Ⓐ功徳
出菩提心功用 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 左→Ⓐカルヽ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ為[情]
→Ⓐ四[明]
 Ⓐになし
求无→Ⓐ無求
 Ⓐになし Ⓑと左傍註記
→Ⓐ
→Ⓒ Ⓑモトメテと上欄註記
 Ⓐになし
→Ⓐ心[不]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓒ
使→Ⓐ便
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐ故也と左傍註記
→Ⓐ調
刁刁→◎Ⓐ刀刀→Ⓑ刀力
→Ⓐ増[偏]→Ⓒ増[漏] Ⓑと左傍註記
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
今世間→Ⓐ世今聞
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ(通歟と右傍註記)
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ方[便]
 Ⓐ正也補也と左傍註記
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ八[大]
人天→Ⓐ天人
→Ⓐ
適莫 Ⓐ喜也 憂と左傍註記
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ命[三]
→Ⓐ
→◎Ⓑ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし Ⓑと下欄註記
修行→Ⓐ
→Ⓐ当[知]
→Ⓐ(娑歟と右傍註記) Ⓑ
 Ⓐになし
→Ⓒ即[是]
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ未[得]
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓑと左傍註記
 Ⓐになし
 Ⓐ重也と左傍註記
→Ⓐ
貿→Ⓐ
便→Ⓐ使
 Ⓐ便也と左傍註記
→Ⓑ→Ⓒ Ⓐ許也と左傍註記
→Ⓒ過[去]
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ不[動]
力者→Ⓐ者力
→Ⓐ𧂐
→Ⓒ
加諸 Ⓐ多也 給也と左傍註記
→Ⓐ(裳六と右傍註記)
斯須 Ⓐ須臾也と左傍註記
→Ⓒ
→Ⓒ上[下] Ⓐになし
 Ⓐ直也と左傍註記
→Ⓒ得[言]
 Ⓒになし
→Ⓐ(必歟と右傍註記)
 Ⓐ裁也断也と左傍註記
儵爾 Ⓐ成也別也と左傍註記
→Ⓐ
 Ⓐ毒鳥也と左傍註記
→Ⓐ(生歟と右傍註記)→Ⓒ
 Ⓒになし Ⓑと左傍註記
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓒになし
→Ⓒ言[闇]
→Ⓑ在[闇]
→Ⓐ想[心]
衆生 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ有々
 Ⓐになし
→Ⓑ
不用 Ⓐになし
→ⒶⒸ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ(至也と左傍註記)
 Ⓑと左傍註記
→Ⓒ
大利→Ⓐ利大
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ三[者]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓑと下欄にあり
 Ⓑになし
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓐ
→◎ⒶⒷ Ⓑと左傍註記
 Ⓑと右傍註記
 Ⓐ亦也と左傍註記
 Ⓐになし
→ⒶⒸ
 Ⓐになし
生信→Ⓐ信生
→◎Ⓑ→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→ⒶⒷⒸ
→Ⓐ
→Ⓐ信[解]
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓒ
→Ⓐ不[生]
→Ⓐ縁[故]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐ衣也と左傍註記
→Ⓑ
→ⒶⒸ[如]四
 Ⓐになし
→Ⓒ界[有]
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓒになし
→Ⓐ
 Ⓑと右傍註記
 Ⓐになし
 Ⓐ用也と左傍註記
不已→Ⓐ已不
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→◎ⒶⒷ→Ⓒ
教法→Ⓐ法教
 Ⓐになし
→Ⓑ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→ⒶⒷ
→◎
→Ⓐ
→Ⓐ(思也と左傍註記)
→Ⓐ
→◎Ⓒ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→◎ⒶⒷ
現在 Ⓐになし
→Ⓑ
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし