無量寿経むりょうじゅきょう優婆うば提舎だいしゃ願生偈がんしょうげちゅう かん

 

解義分

【44】 ろんじてはく

論曰。

 原漢文 (真宗聖教全書) の底本は本派本願寺蔵建長八年宗祖加点本。 本派本願寺蔵鎌倉時代刊本、 宗教大学蔵嘉永年間刊本、 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本と対校。

 これはこれ*解義げぎぶんなり。 このぶんのなかに、 に十じゅうあり。 一には*がんたい、 二には*かん生信しょうしん、 三には*観行かんぎょう体相たいそう、 四には*浄入じょうにゅう願心がんしん、 五には*ぜんぎょうせっ、 六には*だいしょう、 七には*じゅんだいもん、 八には*名義みょうぎ摂対せったい、 九には*がん成就じょうじゅ、 十には*利行りぎょう満足まんぞくなり

解義分 ¬浄土論¼ の長行じょうごう (散文) の部分。
願偈大意 「願生偈」 の大意をあらわす。
起観生信 観察かんざつによって信を生ずる。 ここでは五念門について略説する。 →ねんもん
観行体相 観察の対象となる浄土、 仏および菩薩の荘厳相を明かす。 観察体相ともいう。 →荘厳しょうごん
浄入願心 浄土の荘厳のすべては、 法蔵菩薩の清浄しょうじょう願心におさまることを示す。
善巧摂化 菩薩のたくみな利他の救済活動をあらわす。
離菩提障 三種の菩提の障害を除く心を説く。
順菩提門 三種の菩提の門に随順ずいじゅんする心を説く。
名義摂対 善巧摂化・離菩提障・順菩提門に明かすところの名目みょうもくを摂めて対比する。
願事成就 浄土願生の事業の成就について明かす。
利行満足 自利と利他の行が満足していることを明かす。 →自利じり利他りた

此是解義分。此分中義有↢十重↡。一者願偈大意、二者起観生信、三者観行躰相、四者浄入願心、五者善巧摂化、六者離菩提鄣、七者順菩提門、八者名義摂対、九者願事成就、十者利行満足。

ろん」 とは*なり。 いふこころは所以ゆえんするなり

 すじ道を通して説き明かすこと。 順序だてて解釈していくこと。

「論」者議也。言議↢偈所以↡也。

わつ」 とはことばなり。 しもしょす。 これは議釈ぎしゃくすることばなり。 ゆゑに 「ろんじてはく」 といふ

「曰」者詞也。指↢下諸句↡、是議↢釈偈↡詞也。故言↢「論曰」↡。

◎解義分 願偈大意章

【45】がんたいとは、

このがんはなんのをかかす。 かの*安楽あんらくかいかんじて*阿弥陀あみだ如来にょらいたてまつることをげんす。 かのくにしょうぜんとがんずるがゆゑなり

願偈大意者、

此願偈明↢何義↡、示↧現観↢彼安楽世界↡、見↢阿弥陀如来↡、願↞生↢彼国↡故。

示現AB願生c 返り点は聖教全書まま。 「A、 B、 cに生ぜんと願ずることを示現する」

◎解義分 起観生信章

【46】かん生信しょうしんとは、 このぶんのなかにまた二じゅうあり。 一には*念力ねんりきしめす。 二には*念門ねんもんいだ

五念力 五念門のはたらきのことで、 信を生ぜしめるはたらきのあることをいう。 →ねんもん

起観生信者、此分中又有↢二重↡。一者示↢五念力↡、二者出↢五念門↡。

◎解義分 ○起観生信章  五念力

【47】念力ねんりきしめすとは、

いかんがかんじ、 いかんが信心しんじんしょうずる。 もし善男ぜんなん善女人ぜんにょにん念門ねんもんしゅしてぎょう成就じょうじゅしぬれば、 *畢竟ひっきょうじて安楽あんらくこくしょうじて、 かの阿弥陀あみだぶつたてまつることを

示↢五念力↡者、

云何観云何生↢信心↡。若善男子・善女人、修↢五念門↡行成就、畢竟得↧生↢安楽国土↡見↦彼阿弥陀仏↥。

◎解義分 ○起観生信章  五念門

【48】念門ねんもんいだすとは、

なんらかねんもん。 一には礼拝らいはいもん、 二には讃嘆さんだんもん、 三にはがんもん、 四には観察かんざつもん、 五にはこうもんなり

出↢五念門↡者、

何等五念門。一者拝門、二者讃嘆門、三者作願門、四者観察門、五迴向門。

 諸本では 「者」 の字あり。

 「もん」 とは入出にゅうしゅつなり。 ひともんればすなはち入出にゅうしゅつ*無礙むげなるがごとし。 さきの四ねんはこれ安楽あんらくじょうもんなり。 のちの一ねんはこれ慈悲じひ教化きょうけづるもんなり

「門」者入出義也、如↢人得↠門則入出无↡。前四念是入↢安楽浄土↡門、後一念是出↢慈悲教化↡門。

◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 1. 礼拝門

【49】 いかんが*礼拝らいはいする。 *身業しんごうをもつて阿弥陀あみだ*如来にょらい*おう*しょうへん*礼拝らいはいしたてまつる

礼拝したてまつる 親鸞聖人は 「礼拝したまひき」 (加点本訓) と読まれた。

云何拝、身業↢拝阿弥陀如来応正遍知↡。

 諸仏しょぶつ如来にょらいに、 とくりょうあり。 とくりょうなるがゆゑに*徳号とくごうまたりょうなり。 もしつぶさにだんぜんとほっせば、 ひつすることあたはず。 ここをもつて諸経しょきょうに、 あるいは*みょうげ、 あるいは三ごうげたり。 けだし*至宗ししゅうぞんずるのみ。 あにここにつくさんや。 いふところの三ごうは、 すなはちこれ如来にょらいおうしょうへんなり

徳号 どくのみ名。
十名 如来の十号のこと。 →如来にょらい
至宗 きわめて主要なもの。

諸仏如来徳有↢无量↡、徳无量故徳號亦无量。若欲↢具談↡、紙筆不↠能↠載也。是以諸経、或挙↢十名↡、或騰↢三號↡、盖存↢至宗↡而已、豈此尽耶。所↠言三號、即此如来・応・正遍知也。

如来にょらい」 とは、 *法相ほっそうのごとくさとり、 法相ほっそうのごとくき、 諸仏しょぶつ*安穏道あんのんどうよりきたるがごとく、 このぶつもまたかくのごとくきたりて、 また*後有ごうのなかにらず。 ゆゑに如来にょらいづく

法相 一切の事物の真実のすがた。 ありのままのすがた。 真如しんにょほっしょうの理。 →真如しんにょ
安穏道 安穏は涅槃の異名。 涅槃の境界。 →はん
後有 有は迷いの生のこと。 後の世における迷いの生存。 →

「如来」者、如↢法相↡解、如↢法相↡説、如↢諸仏安穏道来↡、此仏亦如↠是、来更不↠去↢後有中↡、故名↢如来↡。

 読点位置は聖教全書まま。

おう」 とは*おうなり。 ぶつ*けっ使除尽じょじんして一切いっさい智慧ちえて、 まさ一切いっさいてん衆生しゅじょうようくべきがゆゑにおうといふなり

「応」者応供也。仏結使除尽得↢一切智慧↡、応↠受↢一切天地衆生供養↡、故曰↠応也。

 諸本では 。 「慧」 と 「恵」 は諸本それぞれに用法が一貫していない。 以下同。

しょうへん」 とは、 一切いっさい諸法しょほうじつ不壊ふえそうにしてぞうげんなりとる。 いかんが不壊ふえなる。 *心行しんぎょう処滅しょめつし、 *ごんどうぎたり。 諸法しょほう*はんそうのごとくにしてどうなり。 ゆゑにしょうへんづく。 無礙むげこうは、 さきのなかにするがごとし

心行処滅し 心の行処の止滅。 心で思いわけることができないという意。
言語の道過ぎたり 言葉で言い表すことができない。

「正遍知」者、知↢一切諸法実不壊相、不増不減↡。云何不壊、心行処滅言語道過、諸法如↢涅槃相不動↡。故名↢正遍知↡。无光義如↢前偈中解↡。

如…不動 返り点は聖教全書まま。 「…の不動なる如し」

【50】 かのくにしょうずるこころ*なすがゆゑなり

なすが 親鸞聖人は 「なさせんが」 (加点本訓) と読まれた。

為↧生↢彼国↡意↥故。

 なんがゆゑぞこれをいふとなれば、 さつほうは、 つねに*ひるよるをもつて十方じっぽう一切いっさい諸仏しょぶつらいす。 かならずしも願生がんしょうこころあるにあらず。 いまつねに願生がんしょうこころをなすべきがゆゑに、 阿弥陀あみだ如来にょらいらいしたてまつるなり

何故言↠此、菩薩之法常以↢昼三時夜三時↡↢十方一切諸仏↡、不↣必有↢願生意↡。今応↣常作↢願生意↡故、↢阿弥陀如来↡也。

◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 2. 讃嘆門

【51】 いかんが*さんだんする。 *ごうをもつて*讃嘆さんだんしたてまつる

讃嘆したてまつる 親鸞聖人は 「讃嘆したまひき」 (加点本訓) と読まれた。

云何讃嘆、口業讃嘆。

 さん」 とは讃揚さんようなり。 「たん」 とはたんなり。 讃嘆さんだんくちにあらざればべず。 ゆゑに 「ごう」 といふなり

「讃」者讃揚也。「嘆」者歌嘆也。讃嘆非↠口不↠宣、故曰↢「口業」↡也。

【52】 *かの如来にょらいみなしょうするに、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく、 かの*名義みょうぎのごとく、 如実にょじつ修行しゅぎょうして相応そうおうせんとほっするがゆゑなり

かの如来の名を… →補註5
名義 名号の意義、 いわれ。

称↢彼如来名↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、欲↢如↠実修行相応↡故。

 かの如来にょらいみなしょうす」 とは、 いはく、 無礙むげこう如来にょらいみなしょうするなり

「称彼如来名」者、謂称↢无光如来名↡也。

かの如来にょらいこうみょうそうのごとく」 とは、 ぶつこうみょうはこれ智慧ちえそうなり。 このこうみょう十方じっぽうかいらしたまふに*障礙しょうげあることなし。 よく十方じっぽう衆生しゅじょうみょう黒闇こくあんのぞくこと、 にちがつ珠光しゅこうのただ空穴くうけつのなかのあんをのみするがごときにはあらず

「如彼如来光明智相」者、仏光明是智慧相也。此光明照↢十方世界↡无↠有↢鄣↡、能除↢十方衆生无明黒闇↡、非↠如↣日・月・珠光但破↢室穴中闇↡也。

 他本では

名号破満

かの名義みょうぎのごとく、 如実にょじつ修行しゅぎょうして相応そうおうせんとほっす」 とは、 かの無礙むげこう如来にょらいみょうごうは、 よく衆生しゅじょう一切いっさいみょうし、 よく衆生しゅじょう一切いっさい*がんてたまふ

志願 往生し成仏しようとする願い。

「如彼名義欲如実修行相応」者、彼无光如来名號、能破↢衆生一切无明↡、能満↢衆生一切志願↡。

 略字 (新字) は聖教全書まま。 以下同。 (原漢文中での 「号」 には旧字 「號」 の文字コードを使用)

しかるにみなしょう*憶念おくねんすれども、 *みょうなほありて所願しょがんてざるものあり。 なんとなれば、 如実にょじつ修行しゅぎょうせず、 名義みょうぎ相応そうおうせざるによるがゆゑなり。 いかんが如実にょじつ修行しゅぎょうせず、 名義みょうぎ相応そうおうせざるとなすとならば、 いはく、 如来にょらいはこれ*実相身じっそうしんなり、 これ*物身もつしんなりとらざればなり

実相身 実相 (真如しんにょ) をさとり、 自利の徳をそなえた仏身。 →補註1
為物身 物は衆生しゅじょうの意。 衆生を救う利他の徳をそなえた仏身。 →補註1

然有↢称↠名憶念↡而、无明由存而不↠満↢所願↡者、何者、由↧不↢如実修行↡、与↢名義↡不↦相応↥故也。云何為↧不↢如実修行↡与↢名義↡不↦相応↥、謂不↠知↢如来是実相身、是為↠物身↡。

 他本では

三不知三不信

また*しゅ相応そうおうあり。 一には信心しんじんあつからず、 *ぞんずるがごとくもうずるがごときゆゑなり。 二には信心しんじん一ならず、 けつじょうなきがゆゑなり。 三には信心しんじん相続そうぞくせず、 ねんへだつるがゆゑなり。 この三展転てんでんしてあひじょうず。 信心しんじんあつからざるをもつてのゆゑにけつじょうなし。 けつじょうなきがゆゑにねん相続そうぞくせず。 またねん相続そうぞくせざるがゆゑにけつじょうしんず。 けつじょうしんざるがゆゑにしんあつからざるべし

三種の不相応あり… →補註7
存ずるがごとく… ときには有り、 ときには無くなる。 半信半疑の状態をいう。

又有↢三種不相応↡。一者信心不↠淳、若↠存若↠亡故。二者信心不↠一、无↢決定↡故。三者信心不↢相続↡、余念間故。此三句展転相成、以↢信心不↟淳故无↢決定↡、无↢決定↡故念不↢相続↡、亦可↧念不↢相続↡故不↠得↢決定信↡、不↠得↢決定信↡故心不↞淳。

これとそうせるを 如実にょじつ修行しゅぎょう相応そうおうす」 とづく。 このゆゑに論主ろんじゅ (天親)、 「一心いっしん」 と建言こんごん

与↠此相違名↢如実修行相応↡。是故論主建言↢「我一心」↡。

建言… 返り点は聖教全書まま。 「はじめに…とのたまへり」

名法相即

 ひていはく、 をばほうゆびとなす。 ゆびをもつて*つきすがごとし。 もしぶつみょうごうしょうするにすなはちがんつることをといはば、 つきゆび、 よくあんすべし。 もしつきゆびあんすることあたはずは、 ぶつみょうごうしょうすとも、 またなんぞよくがんてんや

 底本には 「日」 とあるが、 異本およびこの譬喩ひゆの典拠となっている ¬だい智度ちどろん¼ 巻九等の文では、 「月」 となっているのでこれを改めた。 以下、 同じ。

問曰。名為↢法指↡、如↢指指↟日、若称↢仏名號↡便得↠満↠願者、指↠日之指応↢能破↟闇。若指↠日之指不↠能↠破↠闇、称↢仏名號↡亦何能満↠願耶。

 嘉永年間刊本・本願時本・大派依用本では 「月」。 以下同。

こたへていはく、 諸法しょほう万差まんじゃなり。 一概いちがいすべからず。 *ほうそくするあり。 ほうするあり

名の法に即するあり 名と名によって示されるもの (法) のはたらきとが一体であるという意。

答曰。諸法萬差、不↠可↢一概↡。有↢名即↟法、有↢名異↟法。

 略字は聖教全書まま。 (原漢文中での 「万」 には旧字 「萬」 の文字コード使用。) 以下同。

ほうそくするとは、 諸仏しょぶつさつ*みょうごう*般若はんにゃ波羅はらみつ、 および*陀羅尼だらに章句しょうく*禁呪きんじゅおんとうこれなり。 禁腫きんじゅことばに、 「*日出にっしゅつ東方とうぼう乍赤さしゃくおうとうをいふがごとし。 たとひ*酉亥ゆうがいきんぎょうじて、 日出にっしゅつあずからざれども、 しゅゆることを。 またいくさくにじんむかひてただ一たびもせっのなかに 「*臨兵りんぴょう闘者とうしゃ皆陣列かいじんれつ前行ぜんぎょう」 とじゅするがごとし。 この九じゅするに*ひょうあたらざるところなり。 ¬*抱朴ほうぼく¼ これを*要道ようどうといふものなり。 また転筋こむらがえりくるしむもの、 木瓜ぼけをもつててこれを*すにすなはちえぬ。 またひとありて、 ただ木瓜ぼけぶにまたえぬ。 わがにそのしるしるなり。 かくのごとき*ごんけんにともにれり。 いはんや不可思議ふかしぎ境界きょうがいなるものをや。 *滅除薬めつじょやくつづみたとへ、 またこれ一なり。 このたとへはすでにさきあらわすゆゑにかさねてかず

禁呪の音辞 悪やわざわいをとどめるための呪文。
日出東方… 中国に古くから伝わる呪文の一種と考えられる。
酉亥に… 酉亥は午後五時頃から午後十一時頃までのこと。 日の出とは関係のないこの時刻に 「日出…」 の呪文をとなえても、 腫物がひくという意。
臨兵闘者… ¬抱朴ほうぼく¼ に出る呪文。
五兵 五種の武器。 きゅうしゅぼうげきの五。
要道 大切な教え。
熨す 上から下へじわじわとおさえていく。
近事 身近なできごと。 手近な例。
滅除薬を鼓に塗る喩へ ¬しゅ楞厳経りょうごんぎょう¼ に出る喩え。 人が毒矢をうけても滅除薬を塗った鼓の音を聞けば、 矢は抜け毒も除かれるというもの。

名即↠法者諸仏・菩薩名號・般若波羅蜜、及陀羅尼章句・禁咒・音辞等是也。如↢禁腫辞云↡、「日出東方乍赤乍黄」等句。仮使酉亥行↠禁不↠関↢日出↡而、腫得↠差。亦如↣行↠師対↠陣、但一切歯中誦↢「臨兵闘者皆陣列前行」↡。誦↢此九字↡、五兵之所↠不↠中。抱朴子、謂↢之要道↡者也。又苦↢転筋↡者、以↢木瓜↡対↠火慰↠之則愈。復有↠人、但呼↢木瓜名↡亦愈、吾身得↢其効↡也。如↠斯近事世間共知、況不可思議境界者乎。滅除薬塗↠皷之喩、復是一事。此喩已彰↠於↠前、故不↢重引↡。

禁呪音辞 区切りの中黒は聖教全書まま。
 本願寺本・大派依用本では

ほうするありとは、 ゆびつきすがごときなり

有↢名異↟法者、如↢指指↠日等名↡也。

◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 3. 作願門

【53】 いかんが*がんする。 *しんにつねにがんし、 一心いっしんにもつぱら畢竟ひっきょうじて安楽あんらくこくおうじょうせんとねんず。 如実にょじつ*しゃ摩他また修行しゅぎょうせんとほっするがゆゑなり

心に…ゆゑなり 親鸞聖人は 「心につねに作願したまへりき。 一心に専念して畢竟じて安楽国土に往生して、 実の如く奢摩他を修行せんとおもふがゆゑにのたまへり」 (加点本訓) と読まれた。

云何作願、心常作願、一心専念畢竟往↢生安楽国土↡、欲↣如↠実修↢行奢摩他↡故。

心… 返り点は聖教全書まま。 書き下し文 「心」 の註に符合。

 「しゃ摩他また」 をやくして 「」 といふ。 「」 とは、 しんを一しょとどめてあくをなさず。 この訳名やくみょうはすなはちたいそむかざれども、 においていまだたず。 なにをもつてこれをいふとならば、 *しんたんとどむるがごときをもまたづけてとなす。 *不浄観ふじょうかんとんとどめ、 *慈悲じひかんしんとどめ、 *因縁いんねんかんとどむ。 かくのごときをもまたづけてとなす。 ひとのまさにかんとしてかざるがごときをもまたづけてとなせばなり。 ここにりぬ、 ことば*まんにしてまさしくしゃ摩他またずと。 *椿ちんしゃりょうのごときをみなづくといへども、 もしただといふときは、 いづくんぞりょうんや

心を鼻端に止むる 出入の息を数えて心の散乱をとどめるという数息観しゅそくかんのこと。 五停心観ごじょうしんかんの一。
不浄観 身や三界さんがいの不浄を観じて貪欲を離れる観法。 五停心観の一。
慈悲観 すべての衆生しゅじょうを観じて慈悲のおもいを生じ、 いかりをとどめる観法。 五停心観の一。
因縁観 すべての事物がみな因縁によって生じるという道理を観じて、 愚かさをとどめる観法。 五停心観の一。
浮漫 漠然としていて確かでないこと。
椿柘楡柳 つばき・やまぐわ・にれ・やなぎ。

訳↢「奢摩他」↡曰↠止、止者止↢心一処↡不↠作↠悪也。此訳名乃不↠乖↢大意↡於↠義未↠満、何以言↠之、如↠止↢心鼻端↡亦名為↠止。不浄観止↠貪、慈悲観止↠瞋、因縁観止↠痴、如↠是等亦名為↠止。如人将↠行、不↠行、亦名為↠止。是知止語浮漫不↣正得↢奢摩他名↡也。如↢椿・柘・楡・柳↡雖↢皆名↟木、若但云↠木安得↢楡・柳↡耶。

しゃ摩他また」 をといふは*ふくみて三のあり。 一には一心いっしんにもつぱら阿弥陀あみだ如来にょらいねんじてかのしょうぜんとがんずれば、 この如来にょらいみょうごうおよびかのこくみょうごう、 よく一切いっさいあくとどむ。 二にはかの安楽あんらく三界さんがいどうぎたり。 もしひとまたかのくにしょうずれば、 ねんしん口意くいあくとどむ。 三には阿弥陀あみだ如来にょらい*しょうがく住持じゅうじちからねん*しょうもん*辟支びゃくしぶつもとむるしんとど

 異本には 「今」 とある。

奢摩他云↠止者、合↠有↢三義↡。一者一心専念↢阿弥陀如来↡願↠生↢彼土↡、此如来名號及彼国土名號、能止↢一切悪↡。二者彼安楽土過↢三界道↡、若人亦生↢彼国↡自然止↢身口意悪↡。三者阿弥陀如来正覚住持力、自然止↧求↢声聞・辟支仏↡心↥。

 聖教全書まま。 「(三の義有る) べし」。 嘉永年間刊本・本願寺本・大派依用本では 「今」。

この三しゅ如来にょらい如実にょじつどくよりしょうず。 このゆゑに 「如実にょじつしゃ摩他また修行しゅぎょうせんとほっするがゆゑなり」 といへり

此三種止、従↢如来如実功徳↡生、是故言↢「欲如実修行奢摩他故」↡。

◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 4. 観察門

【54】 いかんが*観察かんざつする。 智慧ちえをもつて*観察かんざつし、 正念しょうねんにかしこをかんず。 如実にょじつ*毘婆びばしゃ修行しゅぎょうせんとほっするがゆゑなり

観察し 親鸞聖人は 「観察したまへりき」 (加点本訓) と読まれた。

云何観察、智慧観察、正念観↠彼欲↣如↠実修↢行婆舎那↡故。

 「毘婆びばしゃ」 をやくして 「かん」 といふ。 ただひろかんといふには、 またいまだたず。 なにをもつてこれをいふとならば、 しん*無常むじょう**くう*無我むが*そうとうかんずるがごときをも、 みなづけてかんとなせばなり。 またかみ椿ちんしゃざるがごとし

九想 人の屍相についての九通りの観想。 九相ともいう。 ちょう青瘀しょうお血塗けつず膿爛のうらんかんさんこつしょうの九種をいう。

訳↢「婆舎那」↡曰↠観、但汎言↠観、義亦未↠満。何以言↠之、如↠観↢身无常・苦・空・无我・九想等↡、皆名為↠観、亦如↢上木名↡不↠得↢椿・柘↡也。

毘婆びばしゃ」 をかんといふはまた二のあり。 一には、 ここにありてそうをなしてかの三しゅ荘厳しょうごんどくかんずれば、 このどく如実にょじつなるがゆゑに、 修行しゅぎょうするものもまた如実にょじつどく如実にょじつどくとは、 けつじょうしてかのしょうずることをるなり。 二には、 またかのじょうしょうずることをれば、 すなはち阿弥陀あみだぶつたてまつり、 *未証みしょう浄心じょうしんさつ畢竟ひっきょうじて*平等びょうどう法身ほっしんしょうすることを*浄心じょうしんさつ*上地じょうじさつと、 畢竟ひっきょうじておなじく*じゃくめつ平等びょうどうるなり

未証浄心の菩薩 十地の階位のうち、 しょ以上、 七地以前の未だ平等をさとらない菩薩。 →十地じゅうじさつ
平等法身 諸法のじゃくめつ平等をさとった八地以上の菩薩を指す。 →十地じゅうじ
浄心の菩薩 八地以上の菩薩。 →十地じゅうじ
上地の菩薩 九地・十地の菩薩。 →十地じゅうじ
寂滅平等 煩悩ぼんのうを離れ差別のないさとりの境地をいう。 涅槃の訳語。 →はん

婆舎那云↠観者、亦有↢二義↡。一者在↠此作↠想観↢彼三種荘厳功徳↡、此功徳如実故、修行者亦得↢如実功徳↡。如実功徳者、決定得↠生↢彼土↡。二者亦得↠生↢彼浄土↡、即見↢阿弥陀仏↡。未証浄心菩薩、畢竟得↢証平等法身↡。与↢浄心菩薩↡与↢上地菩薩↡、畢竟同得↢寂滅平等↡、

このゆゑに 「如実にょじつ毘婆びばしゃ修行しゅぎょうせんとほっするがゆゑなり」 といへり

是故言↢「欲如実修行婆奢那故」↡。

【55】 かのかんざつに三しゅあり。 なんらか三しゅ。 一にはかの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく観察かんざつす。 二には阿弥陀あみだぶつ荘厳しょうごんどく観察かんざつす。 三にはかのしょさつ荘厳しょうごんどく観察かんざつ

彼観察有↢三種↡。何等三種。一者観↢察彼仏国土荘厳功徳↡、二者観↢察阿弥陀仏荘厳功徳↡、三者観↢察彼諸菩薩荘厳功徳↡。

 しんにそのえんずるを 「かん」 といふ。 *観心かんじん分明ぶんみょうなるを 「さつ」 といふ

観心分明 観ずるこころが明らかな状態。

心縁↢其事↡曰↢「観」↡、観心分明曰↢「察」↡。

◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 5. 回向門

【56】 いかんが**こうする。 一切いっさいのうしゅじょうてずして、 しんにつねにがんし、 こうしゅとなす。 だいしん成就じょうじゅすることを*んとするがゆゑなり

回向する 親鸞聖人は 「回向したまへる」 (信文類訓) と読まれた。
得んとする 親鸞聖人は 「得たまへる」 (加点本訓) と読まれた。

云何迴向、不↠捨↢一切苦悩衆生↡、心常作願、迴向為↠首得↣成↢就大悲心↡故。

往還回向

 こう」 に二しゅそうあり。 一には*往相おうそう、 二には*還相げんそうなり

迴向有↢二種相↡。一者往相、二者還相。

・ 往還回向 ・ 往相

往相おうそう」 とは、 おのがどくをもつて*一切いっさいしゅじょう回施えせして、 ともにかの阿弥陀あみだ如来にょらい安楽あんらくじょうおうじょうせんとがんするなり

一切…作願するなり 親鸞聖人は 「一切衆生に回施したまひて、 作願してともにかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せしめたまふなり」 (信文類訓) と読まれた。

往相者、以↢己功徳↡迴↢施一切衆生↡、作願共往↢生彼阿弥陀如来安楽浄土↡。

迴施… 返り点は聖教全書まま。 書き下し文 「一切…」 の註に符合。

・ 往還回向 ・ 還相

還相げんそう」 とは、 かのしょうじをはりて、 しゃ摩他また毘婆びばしゃ方便力ほうべんりき成就じょうじゅすれば、 しょう*稠林ちゅうりん回入えにゅうして一切いっさいしゅじょう教化きょうけして、 ともに仏道ぶつどう*かふなり

稠林 深くしげった林。 迷いの世界を深い林に喩えていう。
向かふなり 親鸞聖人は 「向かへしむるなり」 (加点本訓)、 「かえらしめたまふなり」 (信文類訓) などと読まれた。

還相者、生↢彼土↡已、得↢奢摩他婆舎那方便力成就↡、迴↢入生死稠林↡、教↢化一切衆生↡、共向↢仏道↡。

もしはおう、 もしはげん、 みなしゅじょうきて生死海しょうじかいせんがためなり。 このゆゑに 「こうしゅとなす。 だいしん成就じょうじゅすることをんとするがゆゑなり」 といへり

若往若還、皆為↧抜↢衆生↡渡↦生死海↥。是故言↢「迴向為首得成就大悲心故」↡。

◎解義分 観察体相章

【57】*観察かんざつ体相たいそうとは、 このぶんのなかに二のたいあり。 一には*たい、 二には*しゅじょうたいなり

観察体相 観察の対象となる浄土、 仏および菩薩のしょう厳相ごんそうを明かす。
器体 器世間の体相。 ここでは浄土の荘厳のこと。 →しゅけん
衆生体 衆生世間の体相。 ここでは仏および菩薩の荘厳のこと。 →しゅけん

観察躰相者、此分中有↢二躰↡。一者器躰、二者衆生躰。

◎解義分 ○観察体相章  器世間

ぶんのなかにまた三じゅうあり。 一にはこく*体相たいそう。 二には*自利じり*利他りたげんす。 三には*第一だいいちたいるなり

体相 体はものがらの意。 観の対境となる荘厳相のこと。

器分中又有↢三重↡。一者国土躰相、二者示↢現自利利他↡、三者入↢第一義諦↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間  国土体相

【58】こく体相たいそうとは、

いかんがかの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく観察かんざつする。 かの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく不可思議ふかしぎりき成就じょうじゅせるがゆゑなり。 かの*摩尼まににょほうしょうのごときにそう相対そうたいほうなるがゆゑなり

摩尼如意宝 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写。 摩尼宝珠に同じ。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 わざわいを去る徳をもつともいう。

国土躰相者、

云何観↢察彼仏国土荘厳功徳↡。彼仏国土荘厳功徳者、成↢就不可思議力↡故。如↢彼摩尼如意寳性相似相対法↡故。

如ab 返り点は聖教全書まま。 「aのbなるがごとき」

 不可思議ふかしぎりき」 とは、 そうじてかの仏国ぶっこくの十七しゅ荘厳しょうごんどくりきの、 思議しぎすることをべからざるをすなり。 諸経しょきょうべてのたまはく、 *しゅ不可思議ふかしぎあり。 一にはしゅじょう多少たしょう不可思議ふかしぎ、 二には業力ごうりき不可思議ふかしぎ、 三には竜力りゅうりき不可思議ふかしぎ、 四には禅定力ぜんじょうりき不可思議ふかしぎ、 五には仏法力ぶっぽうりき不可思議ふかしぎなり。 このなかのぶつ不可思議ふかしぎに二しゅりきあり。 一には業力ごうりき、 いはく、 *法蔵ほうぞうさつしゅっ善根ぜんごん*大願だいがん業力ごうりき所成しょじょうなり。 二にはしょうがく*阿弥陀あみだ法王ほうおう善住持ぜんじゅうじりき所摂しょしょうなり。 この不可思議ふかしぎしもの十七しゅのごとし。 一々のそうみな不可思議ふかしぎなり。 もんいたりてまさにしゃくすべし

五種の不可思議 →五不思ごふし
阿弥陀法王善住持力 阿弥陀仏の浄土をよくささえたもつはたらき。

「不可思議力」者、惣指↢彼仏国土十七種荘厳功徳力不↟可↠得↢思議↡也。諸経統言。有↢五種不可思議↡。一者衆生多少不可思議、二者業力不可思議、三者竜力不可思議、四者禅定力不可思議、五者仏法力不可思議。此中仏土不可思議有↢二種力↡。一者業力、謂法蔵菩薩出世善根、大願業力所成。二者正覚阿弥陀法王善住持力所↠摂。此不可思議如↢下十七種↡、一一相皆不可思議。至↠文当↠釈。

かの摩尼まににょほうしょうのごときにそう相対そうたい」 といふは、 かの摩尼まににょほうしょうりて、 安楽あんらくぶつ不可思議ふかしぎしょうしめすなり。 諸仏しょぶつ*にゅうはんとき方便力ほうべんりきをもつて*砕身さいしんしゃとどめてもつてしゅじょうふくす。 しゅじょうふくきぬれば、 このしゃへんじて摩尼まににょ宝珠ほうしゅとなる。 このしゅおお大海だいかいのなかにあり。 大竜王だいりゅうおう、 もつてくびかざりとなせり。 もし*転輪聖王てんりんじょうおうづるときは、 慈悲じひ方便ほうべんをもつてよくこのしゅて、 *えんだいにおいて*大饒益だいにょうやくをなす。 もしぶく飲食おんじき灯明とうみょうがくこころ所欲しょよくしたがひて種々しゅじゅものもちゐるときに、 おうすなはち*潔斎けっさいして、 しゅ長竿じょうかんはしきてがんおこしていはく、 「もしわれじつにこれ転輪王てんりんのうならば、 ねがはくは宝珠ほうしゅ、 かくのごときものあめふらして、 もしは一へんし、 もしは十、 もしは百に、 わが心願しんがんしたがへ」 と。 そのときにすなはち、 くうのなかにおいて種々しゅじゅものあめふらして、 みな*所須しょしゅかなひててん一切いっさいにんがん満足まんぞくせしむ。 この宝性ほうしょうちからをもつてのゆゑなり。 かの安楽あんらくぶつもまたかくのごとし。 安楽あんらくしょう種々しゅじゅ成就じょうじゅせるをもつてのゆゑなり

砕身の舎利 舎利は梵語シャリーラ (śarīra) の音写。 仏の分骨を指していう。
大饒益 大きなやく
潔斎 身心をつつしみきよめること。
所須に称ひて 必要に応じて。

「如↢彼摩尼如意寳性、相似相対↡」者、借↢彼摩尼如意寳性↡、示↢安楽仏土不可思議性↡也。諸仏入涅槃時、以↢方便力↡、畱↢砕身舎利↡、以福↢衆生↡。衆生福尽、此舎利変為↢摩尼如意寳珠↡。此珠多在↢大海中↡、大竜王以為↢首餝↡。若転輪聖王出↠世、以↢慈悲方便↡能得↢此珠↡、於↢閻浮提↡作↢大饒益↡。若須↧衣服・飲食・灯明・楽具、随↢意所欲↡種種物↥時、王便潔斎、置↣珠於↢長竿頭↡、発↠願言。若我実是転輪王者、願寳珠雨↢如↠此之物↡、若遍↢一里↡、若十里、若百里、随↢我心願↡。爾時即便於↢虚空中↡、雨↢種種物↡、皆称↢所須↡満↢足天下一切人願↡。以↢此寳性力↡故、彼安楽仏土亦如↠是、以↢安楽性種種成就↡故。

そう相対そうたい」 とは、 かの宝珠ほうしゅちからじきもとむるには、 よくじきとうものあめふらしてもとむるもののこころかなふ。 これもとめざるにはあらず。 かのぶつはすなはちしからず。 しょう満足まんぞく成就じょうじゅせるがゆゑに、 乏少ぼうしょうするところなし。 かのしょう片取へんしゅしてたとへとなす。 ゆゑにそう相対そうたいといへり。 またかのほうは、 ただよくしゅじょうじきとうがんあたふるも、 しゅじょう*無上道むじょうどうがんあたふることあたはず。 またかのほうは、 ただよくしゅじょうに一しんがんあたふるも、 しゅじょう*りょうしんがんあたふることあたはず。 かくのごときりょう差別しゃべつあるがゆゑにそうといへり

無上道の願 この上ないさとりを求め願う心。 菩提心のこと。 →だいしん
無量身の願 我身だけでなく、 一切のしゅじょうを済度して浄土に往生させようと願う心。

「相似相対」者、彼寳珠力、求↢衣食↡者、能雨↢衣食等物↡称↢求者意↡、非↢是不↟求。彼仏土則不↠然、性満足成就故无↠所↢乏少↡。片取↢彼性↡為↠喩、故言↢相似相対↡。又彼寳、但能与↢衆生衣食等願↡、不↠能↠与↢衆生无上道願↡。又彼寳但能与↢衆生一身願↡、不↠能↠与↢衆生无量身願↡。有↢如↠是等无量差別↡故言↢相似↡。

国土荘厳十七種

【59】 かの仏こく荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ観察かんざつすとは十七しゅあり。 るべし。 なんらか十七。 一には荘厳しょうごん清浄しょうじょうどく成就じょうじゅ、 二には荘厳しょうごん*りょうどく成就じょうじゅ、 三には荘厳しょうごんしょうどく成就じょうじゅ、 四には荘厳しょうごん形相ぎょうそうどく成就じょうじゅ、 五には荘厳しょうごん種々しゅじゅどく成就じょうじゅ、 六には荘厳しょうごん妙色みょうしきどく成就じょうじゅ、 七には荘厳しょうごんそくどく成就じょうじゅ、 八には荘厳しょうごん三種さんしゅどく成就じょうじゅ、 九には荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ、 十には荘厳しょうごんこうみょうどく成就じょうじゅ、 十一には荘厳しょうごん妙声みょうしょうどく成就じょうじゅ、 十二には荘厳しょうごんしゅどく成就じょうじゅ、 十三には荘厳しょうごん眷属けんぞくどく成就じょうじゅ、 十四には荘厳しょうごん受用じゅゆうどく成就じょうじゅ、 十五には荘厳しょうごん諸難しょなんどく成就じょうじゅ、 十六には荘厳しょうごんだいもんどく成就じょうじゅ、 十七には荘厳しょうごん一切いっさいしょ満足まんぞくどく成就じょうじゅなり。

 ¬浄土論¼ (底本) には 「無量」 とある。

観↢察彼仏国土荘厳功徳成就↡者、有↢十七種↡、応↠知。何等十七。一者荘厳清浄功徳成就、二者荘厳量功徳成就、三者荘厳性功徳成就、四者荘厳形相功徳成就、五者荘厳種種事功徳成就、六者荘厳妙色功徳成就、七者荘厳触功徳成就、八者荘厳三種功徳成就、九者荘厳雨功徳成就、十者荘厳光明功徳成就、十一者荘厳妙声功徳成就、十二者荘厳主功徳成就、十三者荘厳眷属功徳成就、十四者荘厳受用功徳成就、十五者荘厳无諸難功徳成就、十六者荘厳大義門功徳成就、十七者荘厳一切所求満足功徳成就。

 *章門しょうもんげ、 つぎつづきて*提釈ていしゃく

章門 前に掲げた十七種の浄土の荘厳しょうごんの分類を指す。
提釈 要をとって略して解釈すること。

先挙↢章門↡、次続提釈。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 1. 清浄功徳

【60】 荘厳しょうごん清浄しょうじょうどく成就じょうじゅとは、 に 「かんかいそう 勝過しょうか三界さんがいどう」 といへるがゆゑなり

荘厳清浄功徳成就者、偈言↢観彼世界相勝過三界道↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 ぼんにんありて煩悩ぼんのう成就じょうじゅするもまたかのじょうしょうずることをれば、 三界さんがい*ごう*畢竟ひっきょうじてかず。 すなはちこれ煩悩ぼんのうだんぜずして*はんぶん。 いづくんぞ思議しぎすべきや

涅槃分 涅槃の分斉ぶんざい。 さとりの境界のこと。 また涅槃の因分とする説もある。

此云何不思議、有↢凡夫人煩悩成就↡亦得↠生↢彼浄土↡、三界繋業畢竟不↠牽、則是不↠断↢煩悩↡得↢涅槃分↡、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 2. 量功徳

【61】 荘厳しょうごん*りょうどく成就じょうじゅとは、 に 「究竟くきょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい」 といへるがゆゑなり

荘厳量功徳成就者、偈言↢究竟如虚空広大无辺際↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 かのくに人天にんでん、 もしこころ殿でん*楼閣ろうかく、 もしはひろさ一由旬ゆじゅん、 もしはひゃく由旬ゆじゅん、 もしはせん由旬ゆじゅん、〔そのかず千間せんげん万間まんげんならんとほっすれば、 しんしたがひてじょうずるところなり。 ひとおのおのかくのごとし

此云何不思議、彼国人天若意欲↢宮殿・楼閣、若広一由旬、若百由旬、若千由旬、千間万間↡、随↠心所↠成。人各如↠此。

また十方じっぽうかいしゅじょうおうじょうがんずれば、 もしはすでにうまれ、 もしはいまうまれ、 もしはまさにうまるべし。 一にちのあひだをも*算数さんじゅするに、 その多少たしょうることあたはざるところなり。 しかもかのかいつねにくうのごとし。 *迫迮はくさくそうなし。 かしこのなかのしゅじょう、 かくのごときりょうのなかにじゅうして、 がん広大こうだいにしてまたくうのごとくして限量げんりょうあることなからん。 かのこくりょう、 よくしゅじょう*心行しんぎょうりょうじょうず。 なんぞ思議しぎすべきや

迫迮 迫も迮も狭いという意。

又十方世界衆生、願↢往生↡者、若已生、若今生、若当生。一時一日之頃、算数所↠不↠能↠知↢其多少↡。而彼世界常若↢虚空↡、无↢迫迮相↡。彼中衆生、住↢如↠此量中↡、志願広大、亦如↢虚空↡、无↠有↢限量↡。彼国土量、能成↢衆生心行量↡、何可↢思議↡。

 宗祖加点本、 鎌倉時代刊本では 。 聖教全書では他書によって訂正されている。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 3. 性功徳

【62】 荘厳しょうごんしょうどく成就じょうじゅとは、 に 「正道しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう」 といへるがゆゑなり

荘厳性功徳成就者、偈言↢正道大慈悲出世善根生↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 たとへば*迦羅求羅からくらちゅうの、 そのかたち微小みしょうなれども、 もし大風だいふうれば大山だいせんのごとし。 かぜ大小だいしょうしたがひておのが身相しんそうとなすがごとし。 安楽あんらくしょうずるしゅじょうもまたかくのごとし。 かの*正道しょうどうかいしょうずれば、 すなはち*しゅっ善根ぜんごん成就じょうじゅして*正定聚しょうじょうじゅること、 またかのかぜの、 にあらずしてなるがごとし。 いづくんぞ思議しぎすべきや

迦羅求羅虫 身は小さいが風を得ると大きくなり、 すべてをのみこむという虫。 ¬だい智度ちどろん¼ に出る。
正道 平等の大道。 一如いちにょ平等のさとり。
出世の善根 迷いの世間を超え出た煩悩ぼんのうのけがれのない善。

此云何不思議、譬如↧迦羅求羅虫其形微小、若得↢大風↡身如↢大山↡、随↢風大小↡為↦己身相↥。生↢安楽↡衆生亦復如↠是、生↢彼正道世界↡、即成↢就出世善根↡入↢正定聚↡、亦如↢彼風非↠身而身↡、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 4. 形相功徳

【63】 荘厳しょうごん形相ぎょうそうどく成就じょうじゅとは、 に 「浄光明じょうこうみょう満足まんぞく にょきょう日月輪にちがつりん」 といへるがゆゑなり

荘厳形相功徳成就者、偈言↢浄光明満足如鏡日月輪↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 それ*忍辱にんにく*端正たんじょう。 わがしん*影響ようこうなり。 一たびかしこにしょうずることをれば、 *しんにんことなりなし。 人天にんでん*色像しきぞう平等びょうどう妙絶みょうぜつなり。 けだし浄光じょうこうちからなり。 かのひかり*心行しんぎょうにあらずして心行しんぎょうをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

影響 うつりあらわれたすがた。
瞋忍 瞋恚 (いかり) と忍辱 (たえしのぶ)。 →しん忍辱にんにく
色像 容姿。 すがたかたち。

此云何不思議、夫忍辱得↢端正↡、我心影嚮也。一得↠生↠彼无↢瞋忍之殊↡、人天色像平等妙絶、蓋浄光之力也。彼光非↢心行↡而為↢心行之事↡、焉可↢思議↡。

 聖教全書まま。 註なし。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 5. 種々事功徳

【64】 荘厳しょうごん種々しゅじゅどく成就じょうじゅとは、 に 「諸珍宝しょちんぽうしょう そくみょう荘厳しょうごん」 といへるがゆゑなり

荘厳種種事功徳成就者、偈言↢備諸珍寳性具足妙荘厳↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 かの種々しゅじゅ、 あるいは一ぽう・十ぽう百千種ひゃくせんじゅほうしんしたがこころかなひてそくせざるはなし。 もしなからしめんとほっすれば、 *儵焉しゅくえんとして*もつす。 しんざいること*神通じんずうえたることあり。 いづくんぞ思議しぎすべきや

儵焉 たちまち。 ただちに。
化没 消え去ること。

此云何不思議、彼種種事、或一寳・十寳・百千種寳、随↠心称↠意无↠不↢具足↡、若欲↠令↠无↢儵焉化没↡、心得↢自在↡有↠踰↢神通↡、安可↢思議↡。

令无儵焉化没 返り点は聖教全書まま。 「儵焉たちまちに化没无ら令(めむと)」

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 6. 妙色功徳

【65】 荘厳しょうごん妙色みょうしきどく成就じょうじゅとは、 に 「無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん」 といへるがゆゑなり

荘厳妙色功徳成就者、偈言↢无垢光炎熾明浄曜世間↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 そのひかり*かがやかすにすなはち表裏ひょうり*映徹ようてつす。 そのひかりしんかがやかすにすなはちつひにみょうつくす。 ひかり*ぶつをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

 事物。

此云何不思議、其光曜↠事則暎↢徹表裏↡、其光曜↠心則終尽↢无明↡、光為↢仏事↡、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 7. 触功徳

【66】 荘厳しょうごんそくどく成就じょうじゅとは、 に 「宝性ほうしょうどくそう 柔軟にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょう勝楽しょうらく 過迦かか旃隣せんりん」 といへるがゆゑなり

荘厳触功徳成就者、偈言↢寳性功徳草柔左右旋触者生勝楽過迦旃隣陀↡故。

 他本では 。 なお、 ¬浄土論¼ の原漢文は 「」。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 それたかられい堅強けんごうなり。 しかるにこれは柔軟にゅうなんなり。 *そくらくじゃくすべし。 しかるにこれは*どうす。 あいおなじ。 なんぞ思議しぎすべきや

触の楽 接触による快楽。
道を増す 仏道に向かう心を増進させる。

此云何不思議、夫寳例堅強而此柔軟、触楽応↠著而此増↠道、事同↢愛作↡、何可↢思議↡。

さつあり、 あいなづく。 *形容ぎょうよう端正たんじょうにしてひと*染着ぜんじゃくしょうず。 ¬きょう¼ (宝積経・意) にのたまはく、 「これにぜんするものは、 あるいは天上てんじょうしょうじ、 あるいは*だいしんおこす」 と

形容端正 すがたかたちがうるわしいこと。
染着 執着のこと。 心が対象に染みついて離れないこと。

有↢菩薩↡字↢愛作↡、形容端正生↢人染著↡。¬経¼言。「染↠之者或生↢天上↡或発↢菩提心↡。」

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8. 三種功徳

【67】 荘厳しょうごん三種さんしゅどく成就じょうじゅとは、 三しゅあり。 るべし。 なんらか三しゅ。 一にはすい、 二には、 三にはくうなり

荘厳三種功徳成就者、有↢三種事↡。応↠知、何等三種。一者水、二者地、三者虚空。

 この三しゅあわせていふ所以ゆえんは、 同類どうるいなるをもつてのゆゑなり。 なにをもつてかこれをいふとなれば、 一には六だいたぐいなり。 いはゆるくうしきすいふうとなり。 二には*分別ふんべつたぐいなり。 いはゆるすいふうくうなり。 ただ三るいといふは、 しきの一だい*しゅじょうけんぞくするがゆゑに、 の一だいはかしこのなかになきがゆゑに、 ふうありといへどもふうるべからざるがゆゑに、 住処じゅうしょなきがゆゑなり。 ここをもつて六だい*るいのなかに、 ありて荘厳しょうごんすべきをりて、 三しゅあわせてこれをいふ

無分別の類 分別の意識のないもの。
五類 すいふうくう。 五大ともいう。

此三種所↢以并言↡者、以↢同類↡故也。何以言↠之、一者六大類、所↠謂虚空・識・地・水・火・風。二者无分別類、所↠謂地・水・火・風・虚空。但言↢三類↡者、識一大属↢衆生世間↡故、火一大彼中无故、雖↠有↠風風不↠可↠見故、无↢住処↡故、是以六大五類中取↠有而可↢荘厳↡、三種并言↠之。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8-1. 水功徳

【68】 荘厳しょうごんすいどく成就じょうじゅとは、 に 「ほう千万種せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん ふうどうよう 交錯きょうさく光乱転こうらんでん」 といへるがゆゑなり

荘厳水功徳成就者、偈言↢寳花千万種弥覆池流泉微風動花葉交錯光亂転↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 かのじょう人天にんでん*水穀すいこくにあらず。 なんぞみずもちゐるや。 清浄しょうじょう成就じょうじゅして洗濯せんじょくもちゐず。 またなんぞみずもちゐるや。 かしこのなかには*なし。 つねに*調適じょうちゃくにしてねつわずらはず。 またなんぞみずもちゐるや。 もちゐずしてなることは、 まさに所以ゆえんあるべし

水穀の身 水を飲み穀物を食べて生きる身。
四時 春夏秋冬の四季。
調適 気候がととのって適当であること。

此云何不思議、彼浄土人天非↢水身↡、何須↠水耶。清浄成就不↠須↢洗濯↡、復何用↠水耶。彼中无↢四時↡、常調適不↠煩↠熱、復何須↠水耶。不↠須而有当↠有所以。

 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本では

¬きょう¼ (大経・上) にのたまはく、 「かのもろもろのさつおよびしょうもん、 もしほうりて、 こころみずをしてあしひたさしめんとほっすれば、 みずすなはちあしひたす。 ひざいたらしめんとほっすれば、 みずすなはちひざいたる。 こしいたらしめんとほっすれば、 みずすなはちこしいたる。 くびいたらしめんとほっすれば、 みずすなはちくびいたる。 そそがしめんとほっすれば、 ねんそそぐ。 還復げんぶくせしめんとほっすれば、 みずすなはち還復げんぶくす。 *調和じょうわ冷煖りょうなんにしてねんこころしたがひて、 *じんひらたいよろこばしむ。 *しん*蕩除とうじょし、 清明しょうみょう*澄潔ちょうけつにしてきよきことかたちなきがごとし。〔ていの〕宝沙ほうしゃ映徹ようてつしてふかきをもらさざることなし。 *らん回流えるしてうたたあひ*潅注かんちゅうす。 *安詳あんじょうとして*やうやくきて、 おそからずはやからず。 なみりょうねん妙声みょうしょうぐ。 その*所応しょおうしたがひてかざるものなし。 あるいはぶつこえき、 あるいはほうこえき、 あるいはそうこえき、 あるいは*寂静じゃくじょうこえ*くう*無我むがこえだい慈悲じひこえ*波羅はらみつこえき、 あるいは*十力じゅうりき*無畏むい*不共ふぐほうこえ*諸通しょつうこえしょこえ不起ふきめつこえ*無生忍むしょうにんこえない*かん潅頂かんじょう、 もろもろの妙法みょうほうこえく。 かくのごときこえは、 その所聞しょもんかなひてかんりょうなり。〔くひとは〕清浄しょうじょうよくじゃくめつ真実しんじつ随順ずいじゅんし、 三ぼう・ˆ十〕りきしょ*不共ふぐほう随順ずいじゅんす。 つうさつしょうもん所行しょぎょうどう随順ずいじゅんす。 なんあることなし。 ただねんらくおんのみあり。 このゆゑにそのくにづけて安楽あんらくといふ」 と

調和冷煖 冷たさと暖かさがよく調和していること。
心垢 煩悩ぼんのうのけがれ。
蕩除 洗いのぞくこと。
澄潔 すみわたってきよらかなさま。
微瀾回流 微瀾はさざ波のこと。 さざ波がめぐり流れること。
灌注 そそぐこと。
安詳 ゆったりと静かなさま。
所応 おもいのぞむところ。
寂静の声 さとりの法を説く声。
諸通慧の声 さまざまなじんずう智慧ちえを説く声。
甘露灌頂 十地の菩薩のこと。 仏が甘露の法水をその菩薩の頂にそそぐことからいう。 →十地じゅうじさつ
不共の法 十八不共法のこと。 →十八じゅうはち不共ふぐほう

¬経¼言。「彼諸菩薩及声聞、若入↢寳池↡、意欲↠令↢水没↟足水即没↠足、欲↠令↠至↠膝水即至↠膝、欲↠令↠至↠腰水即至↠腰、欲↠令↠至↠頚水即至↠頚、欲↠令↠潅↠身自然潅↠身、欲↠令↢還復↡水輒還復。調和冷煖、自然随↠意開↠神悦↠躰、蕩↢除心垢↡、清明澄潔浄若↠无↠形。寳沙暎徹无↢深不↟照、微瀾迴流転相潅注。安詳徐逝不↠遅不↠疾、波揚无量。自然妙声、随↢其所応↡莫↢不↠聞者↡。或聞↢仏声↡、或聞↢法声↡、或聞↢僧声↡、或聞↢寂静声・空无我声・大慈悲声・波羅蜜声↡、或聞↢十力・无畏・不共法声・諸通恵声・无所作声・不起滅声・无生忍声、乃至甘露・潅頂、衆妙法声↡。如↠是等声、称↢其所聞↡歓喜无量。随↢順清浄・離欲・寂滅・真実之義↡、随↢順三寳・力・无所畏・不共之法↡、随↢順通慧菩薩・声聞所行之道↡。无↠有↢三塗苦難之名↡、但有↢自然快楽之音↡、是故其国名曰↢安楽↡。」

このみず*ぶつをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

此水為↢仏事↡、安可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8-2. 地功徳

【69】 荘厳しょうごんどく成就じょうじゅとは、 に 「殿でん諸楼閣しょろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらん遍囲繞へんいにょう」 といへるがゆゑなり

荘厳地功徳成就者、偈言↢宮殿諸楼閣観十方无雑樹異光色寳蘭遍囲遶↡故。

 寛永年間刊本・本願寺本・大派依用本では

 これいかんが不思議ふしぎなる。 かの種々しゅじゅ、 あるいは一ぽう・十ぽう百宝ひゃっぽうりょうほうしんしたがこころかなひて荘厳しょうごんそくせり。 この荘厳しょうごんは、 浄明鏡じょうみょうきょうのごとく、 十方じっぽうこく浄穢じょうえ諸相しょそう*善悪ぜんあく業縁ごうえん一切いっさいことごとくげんず。 かしこのなかの人天にんでん、 このるがゆゑに、 *探湯たんとう不及ふぎゅうじょうねん成就じょうじゅす。 またもろもろのだいさつほっしょうとうらすたからをもつてかんとなせば、 この宝冠ほうかんのなかにみな諸仏しょぶつたてまつり、 また一切いっさい諸法しょほうしょう了達りょうだつするがごとし

善悪の業縁 善悪の行為によって、 苦楽の果報を得ること。
探湯不及の情 悪をさけ善を求めるこころ。 悪を見れば熱湯に手を入れてすぐひっこめるようにこれをさけ、 善を見れば及ばずとも求めたいと思うこと。 もと ¬論語¼ 季氏きしへんに出る。

此云何不思議、彼種種事、或一寳・十寳・百寳・无量寳、随↠心称↠意荘↢厳具↣足此荘厳事↡。如↢浄明鏡↡十方国土浄穢諸相、善悪業縁、一切悉現↢彼中人天↡。見↢斯事↡故称揚不↠及之情自然成就。亦如↧諸大菩薩、以照↢法性等寳↡為↠冠、此寳冠中皆見↢諸仏↡、又了↦達一切諸法之性↥。

此荘厳事 句点・返り点は聖教全書まま。
人天 句点・返り点は聖教全書まま。
称揚 他本では 「探湯」。
以照ab 句点・返り点は聖教全書まま。 「以てaのbを照らして」

またぶつ、 ¬法華ほけきょう¼ をきたまひしときけんひかりはなちて東方とうぼうまんせんらすにみな金色こんじきのごとく、 *阿鼻あびごくよりかみ*有頂うちょういたるまで、 もろもろのかいのなかの*六道ろくどうしゅじょうしょうおもむくところ、 善悪ぜんあく業縁ごうえん受報じゅほう好醜こうしゅ、 ここにことごとくるがごとし。 けだしこのたぐいなり

又如↧仏説↢¬法華経¼↡時、放↢眉間光↡、照↠于↢東方万八千土↡、皆如↢金色↡、従↢阿鼻獄↡上至↢有頂↡、諸世界中六道衆生生死所趣、善悪業縁、受報好醜、於↠此悉見↥。蓋斯類也。

この*かげぶつをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

 極楽の荘厳しょうごんにうつしだされる十方世界のすがた。

此影為↢仏事↡、安可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8-3. 虚空功徳

【70】 荘厳しょうごんくうどく成就じょうじゅとは、 に 「りょうほう交絡きょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん」 といへるがゆゑなり

荘厳虚空功徳成就者、偈言↢无量寳交絡羅網遍虚空種種鈴発響宣吐妙法音↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 ¬きょう¼ (大経・上) にのたまはく、 「りょう*宝網ほうもうぶつ*弥覆みふし、 みな*こん真珠しんじゅ百千ひゃくせん雑宝ざっぽう奇妙きみょうちんなるをもつて荘厳しょうごん*校飾きょうじきして、 四めん*周帀しゅうそうせり。 るるに宝鈴ほうりょうをもつてす。 光色こうしき*晃耀こうようしてことごとくきはめて厳麗ごんらいなり。 ねん徳風とくふう*やうやくおこりてどうす。 そのかぜ調和じょうわにしてさむからずあつからず。 温涼おんりょう柔軟にゅうなんにしておそからずはやからず。 もろもろの*もうおよびもろもろの宝樹ほうじゅきて、 りょう*微妙みみょう法音ほうおん演発えんぽつし、 万種まんじゅ*おん徳香とくこう流布るふす。 それぐことあるものは、 *塵労じんろう垢習くじゅうねんおこらず。 かぜそのるるにみならく」 と

宝網 宝珠をつらねた飾りあみ。
金縷 金の糸。
校飾 宝をまじえて飾りたてること。
周帀 めぐっていること。
晃耀して 盛んに輝いて。
微妙 はかりしれないほど奥深くすばらしいこと。
温雅 おだやかで上品なこと。
塵労の垢習 塵労は煩悩ぼんのう、 垢習はそのじっ (潜在的余力、 なごり) をいう。 煩悩のけがれのなごり。

此云何不思議、¬経¼言。「无量寳網弥↢覆仏土↡、皆以↢金縷・真珠百千雑寳、奇妙珍異↡荘厳挍餝周↢匝四面↡、垂以↢寳鈴↡、光色晃耀尽極厳麗。自然徳風徐起微動、其風調和不↠寒不↠暑、温涼柔軟不↠遅不↠疾、吹↢諸羅網及衆寳樹↡演↢発无量微妙法音↡、流↢布万種温雅徳香↡。其有↠聞者、塵労垢習自然不↠起、風触↢其身↡皆得↢快楽↡。」

 聖教全書まま。 註なし。

このこえぶつをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

此声為↢仏事↡、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 9. 雨功徳

【71】 荘厳しょうごんどく成就じょうじゅとは、 に 「雨華衣うけえ荘厳しょうごん りょうこうくん」 といへるがゆゑなり

荘厳雨功徳成就者、偈言↢雨花衣荘厳无量香普勲↡故。

 寛永年間刊本、 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本では

 これいかんが不思議ふしぎなる。 ¬きょう¼ (大経・上) にのたまはく、 「かぜきてはならしてあまねくぶつつ。 いろだいしたがひて雑乱ぞうらんせず。 柔軟にゅうなん光沢こうたくにして*馨香きょうこう芬烈ふんれつなり。 あしそのうえむにくだること四すんあしげをはるにしたがひて、 還復げんぶくすることもとのごとし。 はなもちゐること已訖おわりぬれば、 はすなはち開裂かいれつして、 *いでをもつてもつし、 清浄しょうじょうにしてのこりなし。 そのせつしたがひて、 かぜきてはなさんずること、 かくのごとく六ぺんす。 また衆宝しゅほうれんかい周遍しゅうへんせり。 一々のほう百千億ひゃくせんおく*ようあり。 そのようこうみょうりょうしゅいろなり。 あおいろにはあおひかりしろいろにはしろひかりげんおうしゅ光色こうしきもまたしかなり。 *よう煥爛かんらんとして日月にちがつよりも明曜みょうようなり。 一々のはなのなかより三十六百千億ぴゃくせんおくひかりいだす。 一々のひかりのなかより三十六百千億ぴゃくせんおくぶついだす。 いろこんにして相好そうごう殊特しゅどくなり。 一々の諸仏しょぶつまた百千ひゃくせんこうみょうはなちて、 あまねく十方じっぽうのために*微妙みみょうほうく。 かくのごとき諸仏しょぶつ、 おのおのりょうしゅじょうぶつ*正道しょうどう安立あんりゅうせしめたまふ」 と

馨香芬烈 香気をつよく放っていること。
次いでをもつて… 順序正しく華が消え去り。
 はなびら。
煒燁煥爛 さかんにかがやいているさま。
微妙 奥深くすばらしいこと。
正道 平等の大道。 一如いちにょ平等のさとり。

此云何不思議、¬経¼言。「風吹散↠花遍満↢仏土↡、随↢色次第↡而不↢雑亂↡、柔軟光沢馨香芬烈。足履↢其上↡、蹈下四寸随↢挙↠足已↡還復如↠故、花用已訖地輙開裂以↠次化没、清浄无↠遺、随↢其時節↡風吹散↠花如↠是六反。又衆寳蓮花周↢遍世界↡、一一寳花百千億葉、其葉光明无量種色、青色青光、白色白光、玄・黄・朱・紫光色亦然、煒燁煥爛明↢曜日月↡。一一花中出↢三十六百千億光↡、一一光中出↢三十六百千億仏↡。身色紫金相好殊特、一一諸仏又放↢百千光明↡、普為↢十方↡説↢微妙法↡。如↠是諸仏各各安↣立无量衆生於↢仏正道↡。」

はな*ぶつをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

花為↢仏事↡、安可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 10. 光明功徳

【72】 荘厳しょうごんこうみょうどく成就じょうじゅとは、 に 「ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう」 といへるがゆゑなり

荘厳光明功徳成就者、偈言↢仏恵明浄日除世痴闇冥↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 かのこうみょうは、 如来にょらい智慧ちえほうよりおこれり。 これにるれば、 みょう黒闇こくあんつひにかならず消除しょうじょす。 こうみょうにあらずしてよくゆうをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

此云何不思議、彼土光明従↢如来智慧報↡起。触↠之者无明黒闇終必消除、光明非↠慧能為↢慧用↡、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 11. 妙声功徳

【73】 荘厳しょうごん妙声みょうしょうどく成就じょうじゅとは、 に 「梵声ぼんしょう深遠じんのん 微妙みみょうもん十方じっぽう」 といへるがゆゑなり

荘厳妙声功徳成就者、偈言↢梵声悟深遠微妙聞十方↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 *きょうにのたまはく、 「もしひと、 ただかのこく清浄しょうじょう安楽あんらくなるをきて、 *剋念こくねんしてしょうぜんとがんずれば、 またおうじょうて、 すなはち*正定聚しょうじょうじゅる」 と

 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬平等覚びょうどうがくきょう¼ ¬大阿弥陀経¼ 等の取意の文。
剋念…往生を得て 親鸞聖人は 「剋念して生ぜんと願ぜんものと、 また往生を得るものとは」 (加点本訓) と読まれ、 現生げんしょう正定聚しょうじょうじゅの意を示された。

此云何不思議、¬経¼言。「若人但聞↢彼国土清浄安楽↡尅念願↠生、亦得↢往生↡即入↢正定聚↡。

 聖教全書まま。 註なし。
 他書では 「則」。

これはこれこく名字みょうじぶつをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

此是国土名字為↢仏事↡、安可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 12. 主功徳

【74】 荘厳しょうごんしゅどく成就じょうじゅとは、 に 「しょうがく阿弥陀あみだ 法王ほうおう善住持ぜんじゅうじ」 といへるがゆゑなり

荘厳主功徳成就者、偈言↢正覚阿弥陀法王善住持↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 しょうがく阿弥陀あみだ不思議ふしぎにまします。 かの安楽あんらくじょうは、 しょうがく阿弥陀あみだ善力ぜんりきのために*じゅうせられたり。 いかんが思議しぎすることをべきや

此云何不思議、正覚阿弥陀不思議、彼安楽浄土為↢正覚阿弥陀善力↡住持、云何可↠得↢思議↡耶。

じゅう」 は不異不ふいふめつづく。 「」 はさんしつづく。 *不朽薬ふきゅうやくをもつてしゅりて、 みずくに*みだれず。 くにこがれず。 因縁いんねんてすなはちしょうずるがごとし。 なにをもつてのゆゑに。 不朽薬ふきゅうやくちからなるがゆゑなり。 もしひと、 一たび安楽あんらくじょうしょうずれば、 のちときに、 こころ三界さんがいしょうじてしゅじょう教化きょうけせんとがんじて、 じょういのちてて、 がんしたがひてしょうずることをて、 三界さんがい*雑生ざっしょうのなかにしょうずといへども、 *無上むじょうだいしゅ*畢竟ひっきょうじてちず。 なにをもつてのゆゑに。 しょうがく阿弥陀あみだ*善住持ぜんじゅうじるをもつてのゆゑなり

不朽薬 ものを朽ちさせない薬。
瀾れず くさらない。
雑生 さまざまな迷いの行為によって、 さまざまな生れ方をしている境界。
善住持 浄土をよくささえたもつはたらき。

「住」名↢不異不滅↡、「持」名↢不散不失↡。如↧以↢不朽薬↡塗↢種子↡在↠水不↠瀾在↠火不↠燋、得↢因縁↡即生↥。何以故、不朽薬力故。若人一生↢安楽浄土↡、後時意願↧生↢三界↡教↦化衆生↥、捨↢浄土命↡随↠願得↠生雖↠生↢三界雑生火中↡、无上菩提種子、畢竟不↠朽。何以故、以↠逕↢正覚阿弥陀善住持↡故。

 宗祖加点本、 鎌倉時代刊本を除く他書では 「則」。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 13. 眷属功徳

【75】 荘厳しょうごん眷属けんぞくどく成就じょうじゅとは、 に 「如来にょらい浄華衆じょうけしゅ しょうがく化生けしょう」 といへるがゆゑなり

荘厳眷属功徳成就者、偈言↢如来浄花衆正覚花化生↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 おほよそこれ雑生ざっしょうかいには、 *もしはたい、 もしはらん、 もしは湿しつ、 もしは*眷属けんぞくそこばくなり。 らく*万品まんぼんなり。 *雑業ぞうごうをもつてのゆゑなり。 かの安楽あんらくこくはこれ阿弥陀あみだ如来にょらいしょうがく浄華じょうけ*化生けしょうするところにあらざるはなし。 同一どういつ念仏ねんぶつしてべつみちなきがゆゑなり。 とおつうずるにそれ*かいのうちみな兄弟きょうだいたり。〔じょうの〕眷属けんぞくりょうなり。 いづくんぞ思議しぎすべきや

もしは胎… →四生ししょう
万品 さまざまなありさま。 千差万別。
雑業 さまざまな迷いの行為。

此云何不思議、凡是雑生世界、若胎若卵、若湿若化、眷属若干。苦楽万品、以↢雑業↡故。彼安楽国土莫↠非↣是阿弥陀如来正覚浄花之所↢化生↡。同一念仏无↢別道↡故、遠通夫四海之内皆為↢兄弟↡也。眷属无量、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 14. 受用功徳

【76】 荘厳しょうごん受用じゅゆうどく成就じょうじゅとは、 に 「愛楽あいぎょう仏法ぶっぽう 禅三昧ぜんざんまいじき」 といへるがゆゑなり

荘厳受用功徳成就者、偈言↢愛楽仏法味禅三昧為食↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 じきせずしていのちたすく。 けだしたすくるところゆえあるなり。 あにこれ如来にょらい*本願ほんがんてたまへるにあらずや。 仏願ぶつがんじょうずるをわがいのちとなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや

此云何不思議、不↠食而資↠命、蓋所資有↠以也。豈不↣是如来満↢本願↡乎、乗↢仏願↡為↢我命↡、焉可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 15. 無諸難功徳

【77】 荘厳しょうごん諸難しょなんどく成就じょうじゅとは、 に 「よう身心悩しんしんのう 受楽じゅらくじょうけん」 といへるがゆゑなり

荘厳無諸難功徳成就者、偈言↢永離身心悩受楽常无間↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 *きょうにのたまはく、 「しん*苦器くきとなし、 しん*悩端のうたんとなす」 と。 しかるにかしこにしんありしんありて、 らくくることひまなし。 いづくんぞ思議しぎすべきや

 引用は ¬ほっ譬喩ひゆきょう¼ ¬出曜経しゅつようきょう¼ 等の取意の文。
苦器 苦しみの容器。
悩端 悩みのはじめ、 糸口。

此云何不思議、¬経¼言。身為↢苦器↡、心為↢悩端↡。而彼有↠身有↠心而受↠楽无↠間、安可↢思議↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 16. 大義門功徳

【78】 荘厳しょうごんだいもんどく成就じょうじゅとは、 に 「大乗だいじょう善根界ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう *女人にょにんぎゅう根欠こんけつ 二乗にじょうしゅ不生ふしょう」 といへるがゆゑなり

女人及根欠二乗種不生 →補註10

荘厳大義門功徳成就者、偈言↢大乗善根界等无譏嫌名女人及根欠二乗種不生↡故。

じょうほうは二しゅ*譏過きかはなれたり、 るべし。 一にはたい、 二にはみょうなり。

譏過 ¬浄土論¼ (底本) には 「譏嫌過」 とある。

浄土果報離↢二種譏嫌↡、応↠知。一者躰、二者名。

 宗祖加点本を除く他書では 「過」。

たいに三しゅあり。 一には二乗人にじょうにん、 二には女人にょにん、 三には諸根しょこん不具ふぐにんなり。 この三のとがなし。 ゆゑにたい*げんはなるとづく

譏嫌 そしりきらうこと。

躰有↢三種↡。一者二乗人、二者女人、三者諸根不具人。無↢此三過↡、故名↢離躰譏嫌↡。

みょうにまた三しゅあり。 ただ三のたいなきのみにあらず、 ない二乗にじょう女人にょにん諸根しょこん不具ふぐの三しゅみょうかず。 ゆゑに名のげんはなるとづく。 「とう」 とは平等びょうどう一相いっそうのゆゑなり

名亦有↢三種↡、非↣但無↢三躰↡、乃至不↠聞↢二乗女人諸根不具三種名↡、故名↢離名譏嫌↡。等者平等一相故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 それ*諸天しょてんうつわをともにすれども、 ぼん随福ずいふくいろあり。 *あしゆびあんずるにすなはち金礫こんりゃくむねつまびらかにす。 しかるにおうじょうがんずるもの、 もとはすなはち*三三のほんなれども、 いまは一二のことなりなし。 また*じょうの一なるがごとし。 いづくんぞ思議しぎすべきや

諸天の器を… 六欲天等の天界では、 同じ器に同じ食物を盛っても、 食するものの福徳の因縁いんねんによって色が変化するという。 もと ¬ゆいぎょう¼ に出る。
足の指… 不浄な心をもつものにはれきにしか見えない世界も、 仏眼ぶつげんをもって見れば黄金の世界であることを、 釈尊が足の指で地をおさえて見せられたこと。 もと ¬維摩経¼ に出る。
三三の品 九品のこと。 →ぼん

此云何不可思議、夫諸天共器飯有↢随福之色↡、足指按↠地乃詳↢金礫之旨↡。而願↢往生↡者、本則三三之品、今无↢一二之殊↡、亦如↢溜澠陵反一味↡、焉可↢思議↡。

 他書では脱落。
 他書では
 他書では脱落。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 17. 一切所求満足功徳

【79】 荘厳しょうごん一切いっさいしょ満足まんぞくどく成就じょうじゅとは、 に 「しゅじょう所願楽しょがんぎょう 一切いっさい能満足のうまんぞく」 といへるがゆゑなり

荘厳一切所求満足功徳成就者、偈言↢衆生所願楽一切能満足↡故。

 これいかんが不思議ふしぎなる。 かのくに人天にんでん、 もしほうかいりょう*仏刹ぶっせつきて諸仏しょぶつさつようせんと欲願よくがんせんに、 *所須しょしゅようおよぶまで、 がんかなはざるはなからん。 またかしこの寿命じゅみょうててこくかひて、 しょうじて*修短しゅたんざいならんとほっせんに、 がんしたがひてみな。 いまだ*ざいくらいかなはずして、 ざいゆうおなじからん。 いづくんぞ思議しぎすべきや

所須の供養の具 供養に必要な品。
修短 長短。 ここでは寿命の長短のこと。
自在の位 菩薩の十地の位のうち八地以上の位をいう。 →十地じゅうじさつ

此云何不思議、彼国人天若欲↧願往↢他方世界无量仏刹↡供↦養諸仏・菩薩↥、及所須供養之具无↠不↠称↠願。又欲↧捨↢彼寿命↡向↢余国↡生偱短自在↥、随↠願皆得。未↠階↢自在之位↡而同↢自在之用↡、焉可↢思議↡。

及a 返り点は聖教全書まま。 「及びa」
 鎌倉時代刊本では 、 他の校訂本では

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間  示現二利

【80】自利じり利他りたげんすとは、

りゃくしてかの阿弥陀あみだ仏国ぶっこくの十七しゅ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅく。 如来にょらいしんやくだいどくりき成就じょうじゅと、 やくどく成就じょうじゅとをげんせんがゆゑなり

示↢現自利利他↡者、

略説↢彼阿弥陀仏国土十七種荘厳功徳成就↡、示↢現如来自身利益大功徳力成就、利益他功徳成就↡故。

 りゃく」 といふは、 かのじょうどくりょうにして、 ただ十七しゅのみにあらざることをあらわすなり。 それしゅ芥子けしり、 もう大海だいかいおさむ。 あに山海せんかい*じんならんや。 もうちからならんや。 能神のうじんのひとのじんなるのみ。 このゆゑに十七しゅ利他りたといふといへども、 自利じり*炳然へいねんたり、 るべし

 不思議な力。
炳然 明らかであること。

言↠「略」者、彰↣彼浄土功徳无量非↢唯十七種↡也。夫須弥之入↢芥子↡毛孔之納↢大海↡、豈山海之神乎、毛芥之力乎、能神者神之耳。是故十七種雖↠曰↢利他↡、自利之義炳然、可↠知。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間  入第一義諦

【81】にゅう第一だいいちたいとは、

かの無量寿むりょうじゅこく荘厳しょうごん*第一だいいちたいみょう境界きょうがいそうなり。 十六および一だいしてけり、 るべし

入第一義諦者、

彼無量寿仏国土荘厳第一義諦妙境界相十六句及一句、次第説、応↠知。

 「第一だいいちたい」 とは*ぶつ (阿弥陀仏)因縁法いんねんほうなり。 この 「たい」 はこれ*きょうなり。 このゆゑに荘厳しょうごんとう*十六しょうして 「みょう境界きょうがいそう」 となす。 このにゅう一法いっぽっもんいたりてまさにさらに解釈げしゃくすべし

仏の因縁法 阿弥陀仏の願と行の因縁によって、 真如しんにょにかなって成就されたさとりの境界。
 境は対境の意。 智慧ちえによって観知される対象のこと。
十六句 第一の荘厳しょうごん清浄しょうじょう功徳をのぞく荘厳量功徳などの十六の荘厳をいう。

「第一義諦」者、仏因縁法也。此諦是境義、是故荘厳等十六句称為↢「妙境界相」↡。此義至↢入法句文↡当↢更解釈↡。

法句 他本では 「一法句」。

および一だい」 とは、 いはく、 *器浄きじょうとうかんずるなり。 *総別そうべつの十七観行かんぎょうだいなり。 いかんがつぎおこす。 *建章こんしょうに 「みょう無礙むげこう如来にょらい願生がんしょう安楽国あんらくこく」 といへり

器浄 国土荘厳の清浄。
総別 国土荘厳十七種のうち、 第一の荘厳清浄功徳を総とし、 他の十六を別という。
建章 「願生偈」 の発端の章。

「及一句次第」者、謂観↢器浄等↡。惣別十七句、観行次第也。云何起↠次、建章言↢「帰命无光如来願生安楽国」↡。

生何可尽

このなかにうたがいあり。 うたがひていはく、 「しょう」 はもと*衆累しゅるいもとたり。 しょうててしょうがんず、 しょうなんぞくべきと。 このうたがいしゃくせんがために、 このゆゑにかのじょう荘厳しょうごんどく成就じょうじゅかん

衆累 さまざまなわずらい。

此中有↠疑、疑言生為↢有本衆累之元↡、棄↠生願↠生、生何可↠尽。為↠釈↢此疑↡、是故観↢彼浄土荘厳功徳成就↡。

生即無生

かのじょうはこれ阿弥陀あみだ如来にょらい清浄しょうじょう本願ほんがん*しょうしょうなり。 *さんもうしょうのごときにはあらざることをかすなり。 なにをもつてこれをいふとならば、 それほっしょう清浄しょうじょうにして畢竟ひっきょうしょうなり。 しょうといふはこれ得生とくしょうのひとのこころなるのみ。 しょうまことにしょうなれば、 しょうなんぞくるところあらん。 かのしょうつくさば、 かみ*無為むいのうしんしっし、 しも*三空さんくうくうやまい はいなり。 やまいなり すいなり ひなん。 *根敗こんぱいながもうじて、 さけ*三千さんぜんふるはす。 *へんぶくここにおいてはじまねく。 *かのしょうたいする、 これをじょうといふ。 じょうたくはいはゆる十七これなり

無為能為の身 無為にしてす身。 空理に達してしかも利他を行ずる仏身。 →無為むい
三空不空の痼 空、 無相、 無願 (三空) の空理にとらわれることは、 真の空ではないこと (不空) をいう。 真空しんくう妙有みょううを知らない小乗を批判したもの。
根敗 大乗の無上のさとりを求める心がすたれることを、 草木の根がくさることに喩えていうもの。
三千 三千大千世界の略。 →三千さんぜん大千だいせんかい
無反無復… 思いかえしてふたたび大乗のさとりをもとめる心をおこすことがないこと。 ¬ちゅうゆいぎょう¼ に 「ぼんに反復の名あり、 二乗に根敗の恥あり」 などとあるのによるか。
かの生の理を体する 無生の生の道理を体得する境界が浄土であるという意。

明、彼浄土是阿弥陀如来清浄本願无生之生、非↠如↢三有虚妄生↡也。何以言↠之、夫法性清浄畢竟无生、言↠生者是得生者之情耳。生苟无生、生何所↠尽、尽↢夫生↡者上失↢无為・能為之身↡、下↢亡善反三空・不空之痼↡。癈也病也工路反根敗永亡↢振三千↡、无反无復於↠斯招↠恥。躰夫生↠理、謂↢之浄土↡、浄土之宅所↠謂十七句是也。

明… 読点、 返り点は聖教全書まま。 「明らけし、 …」
号振a 返り点は聖教全書まま。 「aをさけふるう」
躰夫生理 返り点は聖教全書まま。 「体それ理より生ず」

観行次第

十七のなかに、 総別そうべつ二となす。 はじめのはこれ*総相そうそうなり。 いはゆるこれ清浄しょうじょうぶつは、 三界さんがいどうぎたり。 かしこの、 三界さんがいぐるにいかなるそうかある。 しもの十六しゅ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅそうこれなり

総相 全体に通ずる普遍的な性質。

十七句中惣別為↠二。初句是惣相、所↠謂是清浄仏土、過↢三界道↡。彼過↢三界↡有↢何相↡、下十六種荘厳功徳成就相是也。

一にはりょう究竟くきょうしてくうのごとし。 広大こうだいにして辺際へんざいなきがゆゑなり

一者量究竟如↢虚空↡、広大无↢辺際↡故。

すでにりょうりぬ。 このりょうなにをもつてかほんとなす。 このゆゑにしょうかん

既知↠量、此量以↠何為↠本、是故観↠性。

しょうはこれほんなり。 かのじょう*正道しょうどうだい慈悲じひ*しゅっ善根ぜんごんよりしょうぜり。 すでにしゅっ善根ぜんごんといへり。 この善根ぜんごんはなんらのそうをかしょうぜる。 このゆゑにつぎ荘厳しょうごん形相ぎょうそうかん

正道 平等の大道。 一如いちにょ平等のさとり。
出世の善根 迷いの世間を超え出た煩悩ぼんのうのけがれのない善。

性是本義、彼浄土従↢正道大慈悲出世善根↡生、既言↢出世善根↡、此善根生↢何等相↡、是故次観↢荘厳形相↡。

すでに形相ぎょうそうりぬ。 よろしく形相ぎょうそうはなんらのたいなるかをるべし。 このゆゑにつぎ種々しゅじゅかん

既知↢形相↡、宜↠知↢形相何等躰↡、是故次観↢種種事↡。

すでに種々しゅじゅりぬ。 よろしく種々しゅじゅ妙色みょうしきるべし。 このゆゑにつぎ妙色みょうしきかん

既知↢種種事↡、宜↠知↢種種事妙色↡、是故次観↢妙色↡。

すでに妙色みょうしきりぬ。 このしきいかなるそくかある。 このゆゑにつぎそくかん

既知↢妙色↡、此色有↢何触↡、是故次観↠触。

すでにしんそくりぬ。 眼触げんそくるべし。 このゆゑにつぎすいくう荘厳しょうごんの三かん

既知↢身触↡、応↠知↢眼触↡、是故次観↢水・地・虚空荘厳三事↡。

すでに眼触げんそくりぬ。 そくるべし。 このゆゑにつぎ香薫こうくんかん

既知↢眼触↡、応↠知↢鼻触↡、是故次観↢衣・花・香薫↡。

すでにげんとうそくりぬ。 すべからくぜんはなるることをるべし。 このゆゑにつぎ*ぶっのあきらかにらすをかん

仏慧 仏の智慧ちえ

既知↢眼・鼻等触↡、須↠知↠離↠染、是故次観↢仏恵明照↡。

すでにこう浄力じょうりきりぬ。 よろしく声名しょうみょう遠近おんごんるべし。 このゆゑにつぎ*梵声ぼんしょうとおきこゆることをかん

梵声 仏のきよらかな声。

既知↢恵光浄力↡、宜↠知↢声名遠近↡、是故次観↢梵声遠聞↡。

すでに声名しょうみょうりぬ。 よろしくたれをか増上ぞうじょうとなすといふことをるべし。 このゆゑにつぎしゅかん

既知↢声名↡、宜↠知↣誰為↢増上↡。是故次観↠主。

すでにしゅあるをりぬ。 たれをかしゅ眷属けんぞくとなす。 このゆゑにつぎ眷属けんぞくかん

既知↠有↠主、誰為↢主眷属↡、是故次観↢眷属↡。

すでに眷属けんぞくりぬ。 よろしくこの眷属けんぞくはいかんが受用じゅゆうするといふことをるべし。 このゆゑにつぎ受用じゅゆうかん

既知↢眷属↡、宜↠知↢此眷属若為受用↡、是故次観↢受用↡。

すでに受用じゅゆうりぬ。 よろしくこの受用じゅゆうなんなんるべし。 このゆゑにつぎ諸難しょなんかん

既知↢受用↡、宜↠知↢此受用有難・无難↡、是故次観↢无諸難↡。

すでに諸難しょなんりぬ。 なんのをもつてのゆゑに諸難しょなんなき。 このゆゑにつぎだいもんかん

既知↢无諸難↡、以↢何義↡故无↢諸難↡、是故次観↢大義門↡。

すでにだいもんりぬ。 よろしくだいもんまんまんるべし。 このゆゑにつぎしょ満足まんぞくかん

既知↢大義門↡、宜↠知↢大義門満・不満↡、是故次観↢所求満足↡。

またつぎに、 この十七はただうたがいしゃくするにあらず。 この十七しゅ荘厳しょうごん成就じょうじゅかんずれば、 よく真実しんじつ浄信じょうしんしょうじて、 必定ひつじょうしてかの安楽あんらくぶつしょうずることを

復次此十七句非↢但釈↟疑、観↢此十七種荘厳成就↡、能生↢真実浄信↡、必定得↠生↢彼安楽仏土↡。

実生願生

【82】ひていはく、 かみに、 しょうしょうなりとるといふは、 まさにこれ*上品生じょうぼんしょうのものなるべし。 もし下下げげぼんにんの、 十ねんじょうじておうじょうするは、 あにじつしょうるにあらずや。 ただじつしょうらば、 すなはち二しゅうしなん。 一には、 おそらくはおうじょうざらん。 二には、 おそらくはさらにしょうずとも*まどひをしょうぜん

上品生 ¬観経¼ に説かれる九品往生のうち、上品上生、上品中生、上品下生のものをいう。 →ぼん
惑ひ 実体的な消滅しょうめつがあるという惑い。

問曰。上言↠知↢生无生↡、当↢是上品生者↡。若下下品人乗↢十念↡往生、豈非↠取↢実生↡耶。但取↢実生↡即堕↢二執↡。一恐不↠得↢往生↡、二恐更生↢生惑↡。

こたふ。 たとへば*じょう摩尼まにしゅを、 これを濁水じょくすいけば、 みずすなはち清浄しょうじょうなるがごとし。 もしひとりょうしょう罪濁ざいじょくにありといへども、 かの阿弥陀あみだ如来にょらいごくしょう清浄しょうじょう宝珠ほうしゅみょうごうきて、 これを濁心じょくしんぐれば、 念々ねんねんのうちにつみめっしてしんきよまり、 すなはちおうじょう

浄摩尼珠 摩尼まに宝珠ほうしゅのこと。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 わざわいを去る徳をもつともいう。

答。譬如↧浄摩尼珠置↢之濁水↡水即清浄↥。若人雖↠有↢无量生死罪濁↡、聞↢彼阿弥陀如来至極无生清浄寳珠名號↡投↢之濁心↡、念念之中罪滅心浄即得↢往生↡。

またこれ摩尼まにしゅ玄黄げんおうきぬをもつてつつみて、 これをみずぐれば、 みずすなはち玄黄げんおうにしてもつぱらものいろのごとくなり。 かの清浄しょうじょうぶつ阿弥陀あみだ如来にょらい無上むじょう宝珠ほうしゅまします。 りょう荘厳しょうごんどく成就じょうじゅきぬをもつてつつみて、 これをおうじょうするところのひとの心水しんすいぐれば、 あに*生見しょうけんてんじて*しょうとなすことあたはざらんや

生見 実の生ありとする生にとらわれる心。
無生の智 不生ふしょうめつの理をさとる智慧ちえのこと。 →しょう

如↧浄摩尼珠以↢玄黄幣↡投↢之於↟水、水即玄黄一如↦物色↥。彼清浄仏土有↢阿弥陀如来无上寳珠↡、以↢无量荘厳功徳成就帛↡投↣之於↢所往生者心水↡、豈不↠能↧転↢生見↡為↦无生智↥乎。

如… 他本では 「是」。 また次の 「浄」 を欠く。 「…が如し」

氷上燃火

またこおりうえくに、 たけければすなはちこおりく。 こおりくればすなはちめっするがごとし。 かのぼんにんほっしょうしょうらずといへども、 ただ仏名ぶつみょうしょうするちからをもつておうじょうこころをなして、 かのしょうぜんとがんずるに、 かのはこれしょうさかいなれば、 見生けんしょうねんめっするなり

又如↢氷上燃↠火、火猛則氷解、氷解則火滅↡。彼下品人、雖↠不↠知↢法性无生↡、但以↧称↢仏名↡力↥作↢往生意↡願↠生↢彼土↡、彼土是无生界、見生之火自然而滅。

◎解義分 ○観察体相章  衆生世間

【83】*しゅじょうたいとは、 このぶんのなかに二じゅうあり。 一には観仏かんぶつ、 二にはかんさつなり

衆生体 衆生世間の体相。 →二種世間にしゅせけん

衆生躰者、此分中有↢二重↡。一者観仏、二者観菩薩。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 

【84】観仏とは、

いかんが仏の荘厳しょうごんどく成就じょうじゅかんずる。 ぶつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅかんずとは、 八しゅあり、 るべし

観仏者、

云何観↢仏荘厳功徳成就↡、観仏荘厳功徳成就者、有↢八種↡、応↠知。

 このかんはすでにさきあらわせり

此観義已彰↢前偈↡。

仏荘厳八種

【85】 なんらか八しゅ。 一には荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ、 二には荘厳しょうごん身業しんごうどく成就じょうじゅ、 三には荘厳しょうごんごうどく成就じょうじゅ、 四には荘厳しょうごん心業しんごうどく成就じょうじゅ、 五には荘厳しょうごん*しゅどく成就じょうじゅ、 六には荘厳しょうごん上首じょうしゅどく成就じょうじゅ、 七には荘厳しょうごんしゅどく成就じょうじゅ、 八には荘厳しょうごん不虚作ふこさ住持じゅうじどく成就じょうじゅなり

 ¬浄土論¼ (底本) には 「大衆」 とある。

何等八種。一者荘厳座功徳成就、二者荘厳身業功徳成就、三者荘厳口業功徳成就、四者荘厳心業功徳成就、五者荘厳衆功徳成就、六者荘厳上首功徳成就、七者荘厳主功徳成就、八者荘厳不虚作住持功徳成就。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 1. 座功徳

【86】 なんとなれば荘厳しょうごんどく成就じょうじゅとは、 に 「りょう大宝王だいほうおう 微妙みみょうじょうだい」 といへるがゆゑなり

何者荘厳座功徳成就、偈言↢無量大寳王微妙浄花台↡故。

 もしかんぜんとほっせば、 まさに¬かん無量寿むりょうじゅきょう¼ によるべし

若欲↠観↠座当↠依↢¬観无量寿経¼↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 2. 身業功徳

【87】 なんとなれば荘厳しょうごん身業しんごうどく成就じょうじゅとは、 に 「相好光そうごうこうじん 色像しきぞうちょう群生ぐんじょう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳身業功徳成就。偈言↢相好光一尋色像超群生↡故。

 もし仏身ぶっしんかんぜんとほっせば、 まさに¬かん無量寿むりょうじゅ経¼ によるべし

若欲↠観↢仏身↡当↠依↢¬観无量寿経¼↡。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 3. 口業功徳

なんとなれば荘厳しょうごんごうどく成就じょうじゅとは、 に 「如来にょらい微妙みみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳口業功徳成就、偈言↢如来微妙声梵響聞十方↡故。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 4. 心業功徳

なんとなれば荘厳しょうごん心業しんごうどく成就じょうじゅとは、 に 「どうすいふう くう分別ふんべつ」 といへるがゆゑなり。 「分別ふんべつ」 とは分別ふんべつしんなきがゆゑなり

何者荘厳心業功徳成就、偈言↢同地・水・火・風・虚空无分別↡故。无分別者无↢分別心↡故。

諸仏三業荘厳

*ぼんしゅじょうしん口意くい*ごうつみつくるをもつて、 三界さんがい輪転りんでんしてきわまりむことあることなからん。 このゆゑに諸仏しょぶつさつは、 しん口意くいの三ごう荘厳しょうごんして、 もつてしゅじょう*おうの三ごうするなり

凡夫の衆生は… 補註6
虚誑 うそ、 いつわり。

凡夫衆生、身口意三業、以造↠罪、輪↢転三界↡无↠有↢窮已↡。是故諸仏・菩薩、荘↢厳身口意三業↡用治↢衆生虚誑三業↡也。

身業荘厳

いかんがもつてす。 しゅじょう*身見しんけんをもつてのゆゑに*しんせんしん醜陋しゅうるしん*なんしん*てんしんく。 かくのごときしゅじょう阿弥陀あみだ如来にょらい相好そうごうこうみょうしんたてまつれば、 かみのごとき種々しゅじゅ身業しんごう*ばく、 みなだつて、 如来にょらいいえりて*畢竟ひっきょうじて平等びょうどう身業しんごう

身見 自己を実体視する誤った見解。
流転の身 迷いの世界をめぐりつづける身。
繋縛 つながれ、しばりとどめられること。

云何用治↢衆生↡、以↢身見↡故受↢三塗身・卑賤身・醜陋身・八難身・流転身↡。如↠是等衆生見↢阿弥陀如来相好光明身↡者、如↠上種種身業繋縛皆得↢解脱↡、入↢如来家↡畢竟得↢平等身業↡。

治衆生 返り点・読点は聖教全書まま。 「衆生を治す」

口業荘厳

しゅじょう*憍慢きょうまんをもつてのゆゑに、 *しょうぼうほうし、 *賢聖げんじょう*毀呰きしし、 尊長そんちょう そんくんなり。 ちょうとくにんおよび兄党きょうとうなり*えんす。 かくのごときひと抜舌ばつぜつおん*言教ごんきょう不行ふぎょう*無名聞むみょうもんくべし。 かくのごとき種々しゅじゅしょしゅじょう阿弥陀あみだ如来にょらい*とくみょうごう説法せっぽう音声おんじょうけば、 かみのごとき種々しゅじゅごうばく、 みなだつて、 如来にょらいいえりて畢竟ひっきょうじて平等びょうどうごう

捐庳 うとんじ、 いやしめること。
言教不行の苦 自己の主張が、 他人に受けいれられない苦。
無名聞の苦 名声があがらない苦。
至徳 最上のどく

衆生以↢驕慢↡故誹↢謗正法↡毀↢呰賢聖↡捐↢片尊長↡。尊者君父師也長者有徳之人及兄党也如↠是之人、応↠受↢抜舌苦・瘖瘂苦・言教不行苦・无名聞苦↡。如↠是等種種諸苦衆生、聞↢阿弥陀如来至徳名號説法音声↡、如↠上種種口業繋縛皆得↢解脱↡、入↢如来家↡、畢竟得↢平等口業↡。

捐片 鎌倉時代刊本では 「指庳」、 寛永年間刊本・本願寺本・大派依用本では 「捐庳」。

意業荘厳

しゅじょう*邪見じゃけんをもつてのゆゑに、 しん分別ふんべつしょうず。 もしは、 もしは、 もしは、 もしは、 もしはこう、 もしはしゅう、 もしはぜん、 もしはあく、 もしは、 もしは、 かくのごとき種々しゅじゅ分別ふんべつあり。 分別ふんべつをもつてのゆゑにながさんしずみて、 種々しゅじゅ分別ふんべつ取捨しゅしゃけて、 なが*だいねて、 づるあることなし。 このしゅじょう、 もしは阿弥陀あみだ如来にょらい平等びょうどう光照こうしょうひ、 もしは阿弥陀あみだ如来にょらい平等びょうどうごうけば、 これらのしゅじょうかみのごとき種々しゅじゅごうばく、 みなだつて、 如来にょらいいえりて畢竟ひっきょうじて平等びょうどうごうるなり

大夜 みょうの長い夜。 迷いの世界を、 いつまでも夜が明けないことに喩えていうもの。

衆生以↢邪見↡故心生↢分別↡。若有若无、若非若是、若好若醜、若善若悪、若彼若此、有↢如↠是等種種分別↡。以↢分別↡故長淪↢三有↡、受↢種種分別苦・取捨苦↡、長寝↢大夜↡无↠有↢出期↡。是衆生若遇↢阿弥陀如来平等光照↡、若聞↢阿弥陀如来平等意業↡、是等衆生如↠上種種意業繋縛皆得↢解脱↡入↢如来家↡畢竟得↢平等意業↡。

無分別

 ひていはく、 しんはこれかくそうなり。 いかんがすいふうおなじく分別ふんべつなきことをべきや

問曰。心是覚知相、云何可↠得↧同↢地・水・火・風↡无↦分別↥耶。

こたへていはく、 しんそうなりといへども、 *実相じっそうればすなはち無知むちなり。 たとへばじゃしょうまがれりといへども、 たけつつればすなはちなおきがごとし。 またひとの、 もしははりし、 もしははちすにはすなはちかくあり。 もしは*いしひるみ、 もしは*甘刀かんとうくにすなはちかくなきがごとし。 かくのごとき*有知うち無知むち*因縁いんねんにあり。 もし因縁いんねんにあればすなはちにあらず、 無知むちにあらず

実相に入れば… 無相の実相にかなう心は分別ふんべつ (無知) である。
石の蛭 山蛭やまひる
甘刀 よく切れる刀。 利刀。
有知無知 知覚があるかないか。

答曰。心雖↢知相↡入↢実相↡則无知也。譬如↧虵性雖↠曲入↢竹筒↡則直↥。又如↧人身若針刺若蜂螫式缺則有↢覚知↡、若石蛭之一噉若甘刀割則无↦覚知↥。如↠是等有知・无知在↠于↢因縁↡、若在↢因縁↡則非↠知非↢无知↡也。

 聖教全書まま。 註なし。

一切種知

 ひていはく、 しん実相じっそうれば無知むちならしむべし。 いかんが*一切いっさいしゅあることをるや

問曰。心入↢実相↡可↠令↠无↠知、云何得↠有↢一切種智↡耶。

こたへていはく、 凡心ぼんしん有知うちなれば、 すなはちらざるところあり。 *聖心しょうしん無知むちなるがゆゑにらざるところなし。 無知むちにしてなればすなはち無知むちなり

聖心 聖者の心。 凡心 (ぼんの心) に対す。

答曰。凡心有↠知則有↠所↠不↠知、聖心无知故无↠所↠不↠知。无知而知、知即无知也。

 ひていはく、 すでに無知むちなるがゆゑにらざるところなしといふ。 もしらざるところなければ、 あにこれ種々しゅじゅほうるにあらずや。 すでに種々しゅじゅほうれば、 またいかんが分別ふんべつするところなしといふや

問曰。既言↧无知故无↢所不↟知、若无↦所不↞知者、豈不↣是知↢種種法↡耶。既知↢種種之法↡復云何言↠无↠所↢分別↡耶。

こたへていはく、 諸法しょほう種々しゅじゅそうはみな*げんのごとし。 しかるにげんぞうながくびはなあしことなることなきにあらざれども、 しゃこれをて、 あにさだめてぞう、 これを分別ふんべつすることありといはんや

幻化 幻術によってあらわしだされたもの。 まぼろし。

答曰。諸法種種相、皆如↢幻化↡。然幻化象・馬、非↠无↢長頚・鼻・手・足異↡而、智者観↠之豈言↤定有↣像・馬分↢別之↡耶。

 宗祖加点本を含め、 対校諸本では 「像」。 聖教全書では修正されている。 以下同。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 5. 大衆功徳

【88】 なんとなれば荘厳しょうごん大衆だいしゅどく成就じょうじゅとは、 に 「天人てんにんどうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳大衆功徳成就、偈言↢天人不動衆清浄智海生↡故。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 6. 上首功徳

なんとなれば荘厳しょうごん上首じょうしゅどく成就じょうじゅとは、 に 「如須にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ」 といへるがゆゑなり

何者荘厳上首功徳成就、偈言↢如須弥山王勝妙无過者↡故。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 7. 主功徳

なんとなれば荘厳しょうごんしゅどく成就じょうじゅとは、 に 「天人てんにん丈夫衆じょうぶしゅ 恭敬くぎょうにょう瞻仰せんごう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳主功徳成就、偈言↢天人丈夫衆恭敬繞瞻仰↡故。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 8. 不虚作住持功徳

【89】 なんとなれば荘厳しょうごん不虚作ふこさ住持じゅうじどく成就じょうじゅとは、 に 「かんぶつ本願力ほんがんりき ぐうくうしゃ 能令速のうりょうそく満足まんぞく どく大宝海だいほうかい」 といへるがゆゑなり

何者荘厳不虚作住持功徳成就、偈言↢観仏本願力遇无空過者能令速満足功徳大寳海↡故。

 不虚作ふこさ住持じゅうじどく成就じょうじゅ」 とは、 けだしこれ阿弥陀あみだ如来にょらい*本願力ほんがんりきなり。 いままさにりゃくして虚作こさそう住持じゅうじすることあたはざるをしめして、 もつてかの不虚作ふこさ住持じゅうじあらわすべし。 *ひとさんとど なり めてやしなふに、 あるいはきんふねのなかにおこり、 こがねみてくらてれども、 餓死がしまぬかれざることあり。 かくのごときるるにみなこれなり。 れどもるとなすにあらず、 あれどもあるをまもるにあらず。 みなもうごうなるによりて住持じゅうじすることあたはず

人餐を輟めて… 人が自らの食事を節約して士を養っても、舟の中でそのものに殺されるという血なまぐさいできごとが起るということ。 もと ¬えつ春秋しゅんじゅう¼ ¬春秋しゅんじゅう¼ に出る 「けいの故事」 を引いたもの。 きん (血ぬる) の俗字。

「不虚作住持功徳成就」者、盖是阿弥陀如来本願力也。今当略示↢虚作之相不↟能↢住持↡、用顕↢彼不虚作住持之義↡。人有↧輟↢止也貞劣反餐↡養↠士、或↦起舟中↥、積↠金盈↠庫而不↠免↢餓死↡。如↠斯之事、触↠目皆是。得非↠作↠得、在非↠守↠在皆由↢虚妄業作不↟能↢住持↡也。

 本願寺本では 、 大派依用本では

いふところの 「不虚作ふこさ住持じゅうじ」 とは、 もと*法蔵ほうぞうさつの四十八がんと、 今日こんにち阿弥陀あみだ如来にょらい*ざい神力じんりきとによるなり。 がんもつてりきじょうず、 りきもつてがんく。 がん*ねんならず、 りき*せつならず。 りきがんあひかなひて畢竟ひっきょうじてたがはざるがゆゑに 「成就じょうじゅ」 といふ

自在神力 自由自在の不思議な力。
徒然ならず いたずらごとではない。
虚設ならず むなしくもうけたものではない。

所↠言不虚作住持者、依↢本法蔵菩薩四十八願、今日阿弥陀如来自在神力↡。願以成↠力、力以就↠願。願不↢徒然↡、力不↢虚設↡、力願相苻畢竟不↠差故曰↢成就↡。

【90】 すなはちかのぶつたてまつれば、 未証みしょう浄心じょうしんさつ畢竟ひっきょうじて平等びょうどう法身ほっしんしょうすることをて、 *浄心じょうしんさつ*じょうのもろもろのさつ畢竟ひっきょうじておなじく*じゃくめつ*平等びょうどうるがゆゑなり

浄心の菩薩 八地以上の菩薩。 →十地じゅうじ
上地 九地・十地。 →十地じゅうじ

即見↢彼仏↡未証浄心菩薩畢竟得↢証平等法身↡、与↢浄心菩薩↡与↢上地諸菩薩↡畢竟同得↢寂滅平等↡故。

 平等びょうどう法身ほっしん」 とは、 *以上いじょう*ほっしょう生身しょうしんさつなり。 「じゃくめつ平等びょうどう」 とは、 すなはちこの*法身ほっしんさつ所証しょしょうじゃくめつ平等びょうどうほうなり。 このじゃくめつ平等びょうどうほうるをもつてのゆゑにづけて平等びょうどう法身ほっしんとなす。 平等びょうどう法身ほっしんさつ所得しょとくなるをもつてのゆゑにづけてじゃくめつ平等びょうどうほうとなすなり。 このさつ*報生ほうしょう三昧ざんまいて、 三昧さんまい*神力じんりきをもつて、 よく一しょにして一ねん十方じっぽうかいへんして、 種々しゅじゅ一切いっさい諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつ*だいしゅかいようし、 よくりょうかい*仏法僧ぶっぽうそうなきところにおいて、 種々しゅじゅげんし、 種々しゅじゅ一切いっさいしゅじょう教化きょうけ*だつして、 つねに*ぶつをなせども、 はじめより往来おうらいおもいようおもいだつおもいなし。 このゆゑに、 このしんづけて平等びょうどう法身ほっしんとなし、 このほうづけてじゃくめつ平等びょうどうほうとなすなり

八地 菩薩の階位の第八地。 →十地じゅうじ
法性生身の菩薩 法性を証得し三界さんがいしょうの身を離れているが、 しゅじょうの教化のために生死の身をたもつ菩薩。 →ほっしょう
報生三昧 八地以上の菩薩が果報としてねんに得るじゃくじょうの境地。 この三昧に入れば、 誓願にむくいておのずから種々の身を現してしゅじょうを救い、 仏をようする。
大会衆海 仏の説法の会座に集まっている多くの人々を海に喩えていう。

「平等法身」者、八地已上法性生身菩薩也。「寂滅平等」者、即此法身菩薩所証寂滅平等之法也。以↠得↢此寂滅平等法↡故、名為↢平等法身↡。以↢平等法身菩薩所得↡故、名為↢寂滅平等法↡也。此菩薩得↢報生三昧↡、以↢三昧神力↡、能一処、一念一時遍↢十方世界↡、種種供↢養一切諸仏及諸仏大会衆海↡、能於↧无量世界无↢仏・法・僧↡処↥種種示現種種教↢化度↣脱一切衆生↡常作↢仏事↡、初无↢往来想・供養想・度脱想↡。是故此身名為↢平等法身↡、此法名為↢寂滅平等法↡也。

未証みしょう浄心じょうしんさつ」 とは、 *しょ以上いじょうげんのもろもろのさつなり。 このさつまたよくしんげんじて、 もしはひゃく、 もしはせん、 もしはまん、 もしはおく、 もしはひゃく千万億せんまんおくぶつこくぶつ施作せさすれども、 かならず*しんもちゐて三昧さんまいる。 すなはちよくしんせざるにはあらず。 しんをもつてのゆゑにづけてとく浄心じょうしんとなす。 このさつがんじて安楽あんらくじょうしょうずれば、 すなはち阿弥陀あみだぶつたてまつる。 阿弥陀あみだぶつたてまつるとき*上地じょうじのもろもろのさつ畢竟ひっきょうじてしんひとしくほうひとし。 龍樹りゅうじゅさつ婆藪ばそばんさつ (天親)ともがら、 かしこにしょうぜんとがんずるは、 まさにこれがためなるべきのみ

作心 意識して何事かをしようとする分別ふんべつの心。
上地 ここでは八地以上の菩薩のこと。 →十地じゅうじさつ

「未証浄心菩薩」者、初地已上七地已還諸菩薩也。此菩薩亦能現↠身、若百若千、若萬若億、若百千萬億无仏国土施↢作仏事↡。要須↢作心↡入↢三昧↡、乃能非↠不↢作心↡。以↢作心↡故名為↢未得浄心↡。此菩薩願↠生↢安楽浄土↡即見↢阿弥陀仏↡、見↢阿弥陀仏↡時、与↢上地諸菩薩↡畢竟身等法等。龍樹菩薩・婆藪槃頭菩薩輩、願↠生↠彼者、当↠為↠此耳。

 ひていはく、 ¬*十地経じゅうじきょう¼ をあんずるに、 さつ*進趣しんしゅ階級かいきゅう、 やうやくりょうくんありておおくの劫数こうしゅ、 しかしてのちにすなはちこれを。 いかんが阿弥陀あみだぶつたてまつるとき畢竟ひっきょうじて上地じょうじのもろもろのさつしんひとしくほうひとしきや

進趣階級 菩薩の階位が進むこと。

問曰。案↢¬十地経¼↡、菩薩進趣階級漸有↢无量功勲↡逕↢多劫数↡、然後乃得↠此。云何見↢阿弥陀仏↡時、畢竟与↢上地諸菩薩↡身等法等耶。

こたへていはく、 「畢竟ひっきょう」 とはいまだ即等そくとうといふにはあらず。 畢竟ひっきょうじてこのひとしきことをうしなはざるがゆゑに 「とう」 といふのみ

答曰。言↢畢竟↡者未↠言↢即等↡也、畢竟不↠失↢此等↡故言↠等耳。

 ひていはく、 もし即等そくとうにあらずは、 またなんぞさつといふことをたん。 ただしょのぼれば、 もつてやうやく増進ぞうしんして、 ねんにまさにぶつひとしかるべし。 なんぞ上地じょうじさつひとしといふことをらん

問曰。若不↢即等↡、復何待言↢菩薩↡。但登↢初地↡以漸増進自然当↢与↠仏等↡、何仮言↧与↢上地菩薩↡等↥。

こたへていはく、 *さつ、 七のうちにおいて大寂滅だいじゃくめつれば、 かみ諸仏しょぶつもとむべきをず、 しもしゅじょうすべきをず。 仏道ぶつどうてて*実際じっさいしょうせんとほっす。 そのときに、 もし十方じっぽう諸仏しょぶつ神力じんりき*かんずは、 すなはちめつして*二乗にじょうことなることなからん。 さつもし安楽あんらくおうじょうして阿弥陀あみだぶつたてまつれば、 すなはちこのなんなし。 このゆゑにすべからく 「畢竟ひっきょうじて平等びょうどうなり」 といふべし

菩薩七地の… 菩薩の陥る七地沈空ちんくうの難をいう。 →じゅうさつ
実際 真実の際限の意ではんの異名。 ここでは、 しょうもんじょうの究極目的であるところの身心ともに滅する無余涅むよねはんのこと。
加勧 諸仏が神力を加えて菩薩をすすめはげますこと。

答曰。菩薩於↢七地中↡得↢大寂滅↡、上不↠見↢諸仏可↟求、下不↠見↢衆生可↟度、欲↧捨↢仏道↡証↞於↢実際↡。爾時若不↠得↢十方諸仏神力加勧↡、即便滅度与↢二乗↡无↠異。菩薩若往↢生安楽↡見↢阿弥陀仏↡即无↢此難↡、是故須↠言↢畢竟平等↡。

またつぎに ¬無量寿むりょうじゅきょう¼ (上) のなかに、 阿弥陀あみだ如来にょらい本願ほんがん (第二十二願) にのたまはく、 「たとひわれぶつんに、 ほうぶつのもろもろのさつしゅ、 わがくに来生らいしょうせば、 究竟くきょうしてかならず*一生いっしょうしょいたらん。 その本願ほんがんざいせんとするところありて、 しゅじょうのためのゆゑに、 ぜいよろい*徳本とくほん積累しゃくるいし、 一切いっさいだつし、 諸仏しょぶつくにあそびてさつぎょうしゅし、 十方じっぽう諸仏しょぶつ如来にょらいようし、 恒沙ごうじゃりょうしゅじょうかいして、 *無上むじょう正真しょうしんどうりゅうせしめんをばのぞく。 *常倫じょうりんしょぎょう超出しょうちゅつし、 現前げんぜんげんとく修習しゅじゅうせん。 もししからずは、 しょうがくらじ」 と

徳本を積累し 善根ぜんごんどくを積みかさね。
無上正真の道 この上ない仏のさとり。 →のく多羅たらさんみゃくさんだい
常倫…修習せん 「常倫諸地の行」 とは、 常なみの菩薩が漸次に経過する十地じゅうじのそれぞれの修行のこと。 親鸞聖人は 「常倫に超出し、 諸地の行現前し、 普賢の徳を修習せん」 (加点本訓) と読まれた。

復次¬无量寿経¼中、阿弥陀如来本願言。「設我得↠仏、他方仏土諸菩薩衆、来↢生我国↡、究竟必至↢一生補処↡。除↧其本願自在、所↠化為↢衆生↡故、被↢弘誓鎧↡積↢累徳本↡、度↢脱一切↡、遊↢諸仏国↡修↢菩薩行↡供↢養十方諸仏如来↡、開↢化恒沙无量衆生↡使↞立↢无上正真之道↡。超↢出常倫↡諸地之行現前修↢習普賢之徳↡。若不↠爾者不↠取↢正覚↡。」

このきょうあんじてかのくにさつすいするに、 あるいは一より一いたらざるべし。 十かいといふは、 これしゃ如来にょらいの、 えんだいにおける一の*おうどうなるのみ。 ほうじょうはなんぞかならずしもかくのごとくならん。 *しゅ不思議ふしぎのなかに仏法ぶっぽうもつとも不可思議ふかしぎなり。 もしさつかならず一より一いたりて超越ちょうおつなしといはば、 いまだあへてつまびらかならず

応化道 しゅじょう済度のてだてとして、 仏が示す化導の方法。 →応化おうげ

案↢此経↡推↢彼国菩薩↡、或可↠不↧従↢一地↡至↦一地↥。言↢十地階次↡者是釈迦如来於↢閻浮提↡一応化道耳。他方浄土何必如↠此。五種不思議中仏法不可思議。若言↧菩薩必従↢一地↡至↢一地↡无↦超越之理↥、未↢敢詳↡也。

たとへばあり、 づけて*好堅こうけんといふ。 このしょうずるに*百囲ひゃくいすなはちせり。 一にちちょうずることたか百丈ひゃくじょうなるがごとし。 日々にちにちにかくのごとし。 百歳ひゃくさいたかさをはかるに、 あに*修松しゅしょうるいせんや。 まつ生長しょうちょうするをるに、 すんぎず。 かの好堅こうけんきて、 なんぞよく即日そくにちうたがはざらん。 ひとありて、 しゃ如来にょらい*かんを一ちょうしょうし、 *しょう終朝しゅうちょうせいするをきて、 これ*接誘しょうゆうごんなり、 *称実しょうじつせつにあらずといひて、 このろんきてまたまさにしんぜざるべし。 それ*非常ひじょうことば常人じょうにんみみらず。 これをしからずとおもふは、 またそれ*むべなり

好堅 一日に百丈ずつ成長するという樹の名。 もと ¬大智度論だいちどろん¼ に出る。
百囲 囲は長さの単位。 一囲は両手を広げてひと囲みの長さ。 なお、 異本には 「囲」 の字を 「歳」 とするものもある。
修松 長い松の木。
羅漢を一聴に証し 一度の説法で阿羅漢果あらかんかを得させたことをいう。 ¬大智度論¼ に出る。
無生を終朝に制する 終朝は夜明けから朝食までの間のこと。 朝のあいだにしょう法忍ぼうにんに至らせる。
接誘 誘い引き入れる方便のこと。
称実 事実のまま。 実際。
非常の言 通常でない言葉。
宜なり しかたのないことである。

譬如↧有↠樹名曰↢好堅↡、是樹地生百歳、乃具一日長高百丈↥。日日如↠此、計↢百歳之長↡、豈類↢脩松↡耶。見↢松生長↡日不↠過↠寸、聞↢彼好堅↡何能不↠疑↢即日↡。有↠人聞↫釈迦如来証↣羅漢於↢一聴↡制↪无生於↩終朝↨、謂↣是接誘之言、非↢称実之説↡、聞↢此論事↡亦当↠不↠信。夫非常之言、不↠入↢常人之耳↡、謂↢之不↟然、亦其宜也。

 鎌倉時代刊本では 「囲」。
 鎌倉時代刊本では 「高」。

如来功徳結成

【91】 りゃくして八きて、 如来にょらい自利じり利他りたどく荘厳しょうごんだい成就じょうじゅしたまへることをげんす、 るべし

略説↢八句↡示↢現如来自利利他功徳荘厳次第成就↡、応↠知。

観行次第

 これはいかんがだいする。 さきの十七は、 これ荘厳しょうごんこくどく成就じょうじゅなり。 すでにこくそうりぬ。 こくしゅるべし。 このゆゑにつぎぶつ荘厳しょうごんどくかん

此云何次第、前十七句是荘厳国土功徳成就。既知↢国土相↡、応↠知↢国土之主↡。是故次観↢仏荘厳功徳↡。

かのぶついかんが荘厳しょうごんし、 いづれのところにおいてかしたまふ。 このゆゑにかん

彼仏若為荘厳、於↢何処↡坐。是故先観↠座。

すでにりをはりぬ。 よろしくしゅるべし。 このゆゑにつぎぶつ荘厳しょうごん身業しんごうかん

既知↠座已、宜↠知↢座主↡。是故次観↢仏荘厳身業↡。

すでに身業しんごうりぬ。 いかなる声名しょうみょうかましますとるべき。 このゆゑにつぎぶつ荘厳しょうごんごうかん

既知↢身業↡、応↠知↠有↢何声名↡。是故次観↢仏荘厳口業↡。

すでに名聞みょうもんりぬ。 よろしく得名とくみょう所以ゆえんるべし。 このゆゑにつぎ荘厳しょうごん心業しんごうかん

既知↢名聞↡、宜↠知↢得名所以↡。是故次観↢荘厳心業↡。

すでに三ごうそくして人天にんでんだいたるべきことをりぬ。 *くるにへたるひとはこれたれぞ。 このゆゑにつぎ大衆だいしゅどくかん

 阿弥陀仏の教化。

既知↢三業具足↡、応↢為人天大師堪↠受↠化者是誰↡。是故次観↢大衆功徳↡。

すでに大衆だいしゅりょうどくあることをりぬ。 よろしく上首じょうしゅはたれぞとるべし。 このゆゑにつぎ上首じょうしゅかんず。 上首じょうしゅはこれぶつ (阿弥陀仏) なり

既知↣大衆有↢无量功徳↡、宜↠知↢上首者誰↡。是故次観↢上首↡。上首是仏。

すでに上首じょうしゅりぬ。 *長幼ちょうようどうずることをおそる。 このゆゑにつぎしゅかん

長幼に同ずることを恐る 長幼は年長者と年少者の順序。 阿弥陀仏と聖者の関係は、 長幼の序というようなものでないことを注意したもの。

既知↢上首↡、恐同↢長幼↡。是故次観↠主。

すでにこのしゅりぬ。 しゅにいかなる*増上ぞうじょうかまします。 このゆゑにつぎ荘厳しょうごん不虚作ふこさ住持じゅうじかん

増上 すぐれたはたらき。

既知↢是主↡、主有↢何増上↡。是故次観↢荘厳不虚作住持↡、

だいじょうじをはりぬ

八句次第成也。

 他書ではすべて 「已」。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間  菩薩

【92】さつかんずとは、

いかんがさつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ観察かんざつする。 さつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ観察かんざつすとは、 かのさつかんずるに*しゅ正修行しょうしゅぎょうどく成就じょうじゅあり、 るべし

四種の正修行功徳成就 てんじん菩薩の ¬浄土論¼ では、 国土荘厳しょうごん十七種と仏荘厳八種については個々の荘厳の名称が付されているが、菩薩荘厳四種については名称が付されていない。 なお、 後世に付された名称として第一 「どう而至にし功徳」、 第二 「一念いちねんへん功徳」、 第三 「そうよう功徳」、 第四 「ほう如仏にょぶつ功徳」 がある。

観↢菩薩↡者、

云何観↢察菩薩荘厳功徳成就↡。観↢察菩薩荘厳功徳成就↡者、観↢彼菩薩↡有↢四種正修行功徳成就↡、応↠知。

 *真如しんにょはこれ諸法しょほう正体しょうたいなり。 *にょたいしてぎょうずれば、 すなはちこれ不行ふぎょうなり。 不行ふぎょうにしてぎょうずるを如実にょじつ修行しゅぎょうづく。 たいはただ*一如いちにょなれども、 をもつてわかちて四となす。 このゆゑに四のぎょう、 一のしょうをもつてこれを

如を体して… 真如しんにょの本体のままに行ずるので、 すでにみずから行ずるというとらわれの意識を離れた行である。

真如是諸法正躰。躰如而行則是不行。不行而行名↢如実修行↡。躰唯一如而義分為↠四。是故四行以↠一正統↠之。

体如 返り点は聖教全書まま。 「体如にして」

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 1. 不動而至

【93】 何者なにものをか四となす。 一には一ぶつにおいて動揺どうようせずして十方じっぽうへんして、 種々しゅじゅ*おうして如実にょじつ修行しゅぎょうし、 つねに*ぶつをなす。 に 「安楽国あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち 如須にょしゅ住持じゅうじ」 といへるがゆゑなり。 もろもろのしゅじょうの、 *でいひらくがゆゑなり

淤泥華 泥の中に咲く花。 蓮の花のこと。

何者為↠四。一者於↢一仏土↡身不↢動揺↡、而遍↢十方↡種種応化如↠実修行常作↢仏事↡。偈言↢安楽国清浄常転无垢輪化仏菩薩日如須弥住持↡故。開↢諸衆生淤泥花↡故。

 *以上いじょうさつ*つねに三昧さんまいにありて、 三昧力さんまいりきをもつて、 本処ほんしょどうぜずして、 よくあまねく十方じっぽういたりて諸仏しょぶつようし、 しゅじょう教化きょうけ

八地 菩薩の十地の階位の第八位。 →十地じゅうじ
つねに三昧にあり ねん禅定ぜんじょうが得られること。 常住三昧、 報生ほうしょう三昧ざんまいに同じ。

八地已上菩薩常在↢三昧↡。以↢三昧力↡身不↠動↢本処↡而能遍至↢十方↡供↢養諸仏↡教↢化衆生↡。

*無垢むくりん」 とは*ぶつどくなり。 ぶつどくは、 *じっ煩悩ぼんのうなければなり。 ぶつ (阿弥陀仏)、 もろもろのさつのために、 つねにこの*法輪ほうりんてんず。 諸大しょだいさつもまたよくこの法輪ほうりんをもつて一切いっさい開導かいどうすること、 ざんそくすることなし。 ゆゑに 「常転じょうてん」 といふ。 法身ほっしんのごとくして、 *おうしんひかりもろもろのかいへんするなり。 「」 といふにはいまだもつてどうかすにらざれば、 また 「如須にょしゅ住持じゅうじ」 といへるなり

無垢輪 煩悩ぼんのうのけがれのない清浄しょうじょう真実の説法。
仏地 仏の境界。
習気煩悩 煩悩と煩悩の潜在的余力、 なごり。

「无垢輪」者、仏地功徳也。仏地功徳无↢習気煩悩垢↡。仏為↢諸菩薩↡常転↢此法輪↡、諸大菩薩亦能以↢此法輪↡開↢導一切↡无↢蹔時休息↡、故言↢常転↡。法身如↠日而応化身光遍↢諸世界↡也。言↠日未↠足、以↢明不動↡復言↢如須弥住持↡也。

でい」 といふは、 ¬きょう¼ (維摩経) に、 「高原こうげんろくにはれんしょうぜず。 *湿しつでいにすなはちれんしょうず」 とのたまへり。 これはぼん煩悩ぼんのうどろのなかにありて、 さつのために開導かいどうせられて、 よくぶつしょうがくはなしょうずるにたとふ。 まことにそれ三宝さんぼう紹隆しょうりゅうしてつねにえざらしむ

卑湿の淤泥 湿ったどろ。

「淤泥花」者、¬経¼言↧「高原陸地不↠生↢蓮花↡卑湿淤埿乃生↦蓮花↥。」此喩↧凡夫在↢煩悩埿中↡為↢菩薩↡開導能生↦仏正覚花↥。諒夫紹↢隆三寳↡常使↠不↠絶。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 2. 一念遍至

【94】 二にはかのおうしん一切いっさいときぜんならずならず、 一しんねん大光明だいこうみょうはなちて、 ことごとくよくあまねく十方じっぽうかいいたりてしゅじょう教化きょうけす。 種々しゅじゅ方便ほうべん修行しゅぎょうし、 なすところ一切いっさいしゅじょう滅除めつじょするがゆゑなり。 に 「無垢むく荘厳しょうごんこう 一ねんぎゅう しょう諸仏しょぶつ やく諸群生しょぐんじょう」 といへるがゆゑなり

二者彼応化身一切時不↠前不↠後。一心一念放↢大光明↡悉能遍至↢十方世界↡教↢化衆生↡。種種方便修行所作滅↢除一切衆生苦↡故。偈言↢无垢荘厳光一念及一時普照諸仏会利益諸群生↡故。

 かみどうにしていたるといふは、 あるいはいたることぜんあるべし。 このゆゑにまた一ねんにしてぜんなしといへるなり

上言↢不動而至↡容↣或至有↢前後↡。是故復言↢一念一時无↢前後↡也。

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 3. 無相供養

【95】 三にはかれ一切いっさいかいにおいてあますことなく、 諸仏しょぶつ大衆だいしゅらしてあますことなく、 広大こうだいりょう諸仏しょぶつ如来にょらいどくよう*恭敬くぎょう讃嘆さんだんす。 に 「天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別ふんべつしん」 といへるがゆゑなり

三者彼於↢一切世界↡无↠余照↢諸仏会↡。大衆无↠余広大无量供↢養恭↣敬讃↤嘆諸仏如来功徳↡。偈言↢雨天楽花衣妙香等供養讃諸仏功徳无有分別心↡故。

 あますことなく」 とは、 あまねく一切いっさいかい*一切いっさい諸仏しょぶつだいいたりて、 一かいにも一ぶつにもいたらざることあることなきをかすなり。 *肇公じょうこう (僧肇) のいはく (註維摩経)、 「*法身ほっしんかたちなくして殊形しゅぎょうならおうじ、 *いんことばなくして*玄籍げんせきひろけり。 *冥権みょうごんはかりごとなくして、 どうじてかなふ」 と。 けだしこのこころなり

一切諸仏の大会 あらゆる仏たちの説法の会座。
法身は… 無相の法身は一定のかたちにとらわれず、 あらゆる形をあらわしてすべてに応じてという意。
至韻 すぐれた音声。 仏の説法の声。
玄籍弥く布けり 玄籍は幽玄な書籍の意で、 ここでは仏教の経典のこと。 仏の教説が広く行きわたること。
冥権謀なくして… 冥権は仏・菩薩のはかりしれない権 (てだて)。 はからいをせずとも、 すべてにかなうはたらきをするということ。

「无余」者明遍至↢一切世界一切諸仏大会↡无↠有↢一世界一仏会不↟至也。肇公言。「法身无↠像而殊↠形、並応↢至韻↡、无↠言而玄籍弥布。冥権无↠謀而動与↠事会。」盖斯意也。

明… 返り点は聖教全書まま。 「明かに…」
殊形 返り点・読点は聖教全書まま。 「形をことにす」
並応至韻 返り点・読点は聖教全書まま。 「並びに至韻に応ず」

◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 4. 示法如仏

【96】 四にはかれ十方じっぽう一切いっさいかい三宝さんぼうなきところにおいて、 仏法僧宝ぶっぽうそうぼうどく大海だいかい住持じゅうじ荘厳しょうごんして、 あまねくしめして如実にょじつ修行しゅぎょうさとらしむ。 に 「とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへるがゆゑなり

四者彼於↢十方一切世界无三寳処↡住↢持荘↣厳仏・法・僧寳功徳大海↡遍示令↠解↢如実修行↡。偈言↢何等世界无仏法功徳寳我願皆往生示仏法如仏↡故。

 かみの三へんといふといへども、 みなこれぶつこくなり。 もしこのなくは、 すなはちこれ法身ほっしんほうならざるところあらん。 上善じょうぜんぜんならざるところあらん

上三句雖↠言↢遍至↡皆是有仏国土。若无↢此句↡便是法身有↢所不↟法、上善有↢所不↟善。

*観行かんぎょう体相たいそうおわりぬ

観行の体相 観察かんざつの対象となる浄土、 仏および菩薩の荘厳相しょうごんそうを明かす。

観行躰相竟。

◎解義分 浄入願心章

【97】以下いげはこれ解義げぎのなかのだいじゅうづけて*浄入じょうにゅう願心がんしんとなす。 浄入じょうにゅう願心がんしんとは、

浄入願心 浄土の荘厳のすべては、 法蔵菩薩の清浄しょうじょう願心におさまることを示す。

またさき荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅ荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅ荘厳しょうごんさつどく成就じょうじゅとを観察かんざつすることをけり。 この三しゅ成就じょうじゅは、 願心がんしんをもつて荘厳しょうごんせり、 るべし

已下是解義中第四重名為↢浄入願心↡。浄入願心者、

又向説↢観察荘厳仏土功徳成就、荘厳仏功徳成就、荘厳菩薩功徳成就↡。此三種成就、願心荘厳、応↠知。

願心荘厳

 るべし」 とは、 この三しゅ荘厳しょうごん成就じょうじゅは、 もと四十八がんとう清浄しょうじょう願心がんしん荘厳しょうごんしたまへるところなるによりて、 いんじょうなるがゆゑにじょうなり。 *いんいんにはあらざるをるべしとなり

無因と…あらざる 浄土は清浄しょうじょう願心によって成就したのだから無因ではなく、 願心以外に因はないから、 他因の有でもない。 願心荘厳の正縁起しょうえんぎの世界であることをあらわす。 なお親鸞聖人は 「因なくして他の因のあるにはあらざるなり」 (加点本訓) と読まれた。

「応知」者、応↠知↧此三種荘厳成就由↣本四十八願等清浄願心之所↢荘厳↡、因浄故果浄、非↦无↠因他因有↥也。

入一法句

【98】 りゃくして*ぽっることをくがゆゑなり

一法句 真如法性のこと。 →真如しんにょほっしょう

略説入↢一法句↡故。

広略相入 二種法身

 かみこく荘厳しょうごん十七と、 如来にょらい荘厳しょうごんと、 さつ荘厳しょうごんとをこうとなす。 一ぽっるをりゃくとなす。 なんがゆゑぞ*広略こうりゃく相入そうにゅうげんするとなれば、 諸仏しょぶつさつに二しゅ法身ほっしんまします。 一には*ほっしょう法身ほっしん、 二には*方便ほうべん法身ほっしんなり。 ほっしょう法身ほっしんによりて方便ほうべん法身ほっしんしょうず。 方便ほうべん法身ほっしんによりてほっしょう法身ほっしんいだす。 この二の法身ほっしんにしてわかつべからず。 いちにしてどうずべからず。 このゆゑに広略こうりゃく相入そうにゅうして、 ぶるにほうをもつてす。 さつもし広略こうりゃく相入そうにゅうらざれば、 すなはち自利じり利他りたすることあたはざればなり

広略相入 広は浄土の二十九種荘厳、 略は一法句を指す。 真如法性の略から浄土荘厳の広が生起し、 また浄土荘厳の広により一法句の徳をあらわす。 広略が相互に摂入しょうにゅうするありさまを広略相入という。

上国土荘厳十七句、如来荘厳八句、菩薩荘厳四句為↠広。入一法句為↠畧。何故示↢現広畧相入↡、諸仏・菩薩有↢二種法身↡。一者法性法身、二者方便法身。由↢法性法身↡生↢方便法身↡、由↢方便法身↡出↢法性法身↡。此二法身異而不↠可↠分、一而不↠可↠同。是故広畧相入、統以↢法名↡。菩薩若不↠知↢広畧相入↡則不↠能↢自利利他↡。

三句相入

【99】 一法いっぽっといふはいはく、 清浄しょうじょうなり。 清浄しょうじょうといふはいはく、 真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんなるがゆゑなり

一法句者謂清浄句。清浄句者謂真実智慧无為法身故。

無為法身

 この**展転てんでんして相入そうにゅうす。 なんのによりてか、 これをづけてほうとなす。 清浄しょうじょうをもつてのゆゑなり。 なんのによりてか、 づけて清浄しょうじょうとなす。 真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんなるをもつてのゆゑなり

三句 いっぽっ清浄しょうじょう真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんを指す。

此三句展転相入。依↢何義↡名↠之為↠法、以↢清浄↡故。依↢何義↡名為↢清浄↡、以↢真実智慧无為法身↡故。

真実しんじつ智慧ちえ」 とは、 実相じっそう智慧ちえなり。 実相じっそうは無そうなるがゆゑに、 *しん無知むちなり

真智は無知なり 真智は、 すべてのものが本来、 無差別平等であることをさとる智慧ちえ。 無知とは、 すべていんねんによって生じたものは実体がなくくうであるから、 対象的に知るということもないという意。

「真実智慧」者、実相智恵也。実相无相故、真智无知也。

無為むい法身ほっしん」 とはほっしょうしんなり。 ほっしょうじゃくめつなるがゆゑに、 法身ほっしんそうなり。 そうのゆゑによくそうならざるはなし

「无為法身」者、法性身也、法性寂滅故、法身无相也。无相故能无↠不↠相。

このゆゑに相好そうごう荘厳しょうごんはすなはち法身ほっしんなり。 無知むちのゆゑによくらざるはなし。 このゆゑに*一切いっさいしゅはすなはち真実しんじつ智慧ちえなり。 真実しんじつをもつて智慧ちえなづくることは、 智慧ちえにあらず、 非作ひさにあらざることをかすなり。 無為むいをもつて法身ほっしんあらわすことは、 法身ほっしんしきにあらず、 しきにあらざることをかすなり。 するは、 あにするのよくならんや。 けだしみする、 これをといふ。 みづからにしてたいすることなきも、 またにあらず。 にあらず、 にあらず、 *百非ひゃっぴたとへざるところなり。 このゆゑに清浄しょうじょうといふ

百非の喩へざるところ 言語で表現することができないということ。 相対的に論じられないという意。

是故相好荘厳即法身也。无知故能无↠不↠知。是故一切種智即真実智慧也。以↢真実↡而目↢智恵↡、明↣智恵非↠作非↢非作↡也。以↢无為↡而標↢法身↡、明↣法身非↠色非↢非色↡也。非↠于↠非者豈非非之能是乎。盖无↠非之曰↠是也。自是无↠待復非↠是也。非↠是非↠非、百非之所↠不↠喩。是故言↢清浄句↡。

清浄しょうじょう」 とは、 真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんをいふなり

「清浄句」者、謂真実智恵无為法身也。

【100】 この清浄しょうじょうに二しゅあり、 るべし

此清浄有↢二種↡、応↠知。

 *かみ転入てんにゅうのなか、 一ぽうつうじて清浄しょうじょうり、 清浄しょうじょうつうじて法身ほっしんる。 いままさに清浄しょうじょうわかちて二しゅいださんとするがゆゑに、 ことさらに、 「るべし」 といふ

上の転入句 上の ¬浄土論¼ の文の展転てんでん相入そうにゅうする三句 (いっぽっ清浄しょうじょうしんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしん) のこと。

上転入句中、通↢一法↡入↢清浄↡、通↢清浄↡入↢法身↡。今将↧別↢清浄↡出↦二種↥故。故言応↠知。

【101】 なんらか二しゅ。 一には*けん清浄しょうじょう、 二には*しゅじょうけん清浄しょうじょうなり

何等二種。一者器世間清浄、二者衆生世間清浄。

けん清浄しょうじょうとは、 さきくがごとき十七しゅ荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅなり。 これをけん清浄しょうじょうづく

器世間清浄者、向説↢十七種荘厳仏土功徳成就↡。是名↢器世間清浄↡。

 嘉永年間刊本・本願寺本・大派依用本には 「如」 の字あり。

しゅじょうけん清浄しょうじょうとは、 さきくがごとき八しゅ荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅと四しゅ荘厳しょうごんさつどく成就じょうじゅとなり。 これをしゅじょうけん清浄しょうじょうづく

衆生世間清浄者、如↢向説↡八種荘厳仏功徳成就、四種荘厳菩薩功徳成就、是名↢衆生世間清浄↡。

かくのごとく一法いっぽっに二しゅ清浄しょうじょうせっす、 るべし

如↠是一法句摂↢二種清浄↡、応↠知。

 それしゅじょう*別報べっぽうたいとなし、 こく*共報ぐうほうゆうとなす。 たいゆう一にあらず。 ゆゑに 「るべし」 といふ。 しかるに諸法しょほうしんをもつてじょうず。 境界きょうがいなし。 しゅじょうおよび、 またなることをず、 一なることをず。 一ならざればすなはちをもつてわかつ。 ならざればおなじく 「清浄しょうじょう」 なり

別報の体 各別の果報。 人人各別に報われているしょうぼうの果体をいう。
共報の用 共通の果報。 自他ともに共用する果報をいう。

夫衆生為↢別報之躰↡、国土為↢共報之用↡。躰用不↠一所以応↠知。然諸法心成↢无余境界↡。衆生及器、復不↠得↠異不↠得↠一。不↠一則義分。不↠異同清浄。

心成无余境界 返り点は聖教全書まま。 「心をして無余の境界を成ず」

」 とはゆうなり。 いはく、 かのじょうは、 これかの清浄しょうじょうしゅじょう受用じゅゆうするところなるがゆゑにづけてとなす。 浄食じょうじき不浄ふじょうもちゐれば、 不浄ふじょうなるをもつてのゆゑにじきまた不浄ふじょうなり。 不浄ふじょうじき浄器じょうきもちゐれば、 じき不浄ふじょうなるがゆゑにまた不浄ふじょうなるがごとし。 かならず二ともにきよくしてすなはちじょうしょうすることを。 ここをもつて一の清浄しょうじょうにかならず二しゅせっするなり

器者用也。謂彼浄土是彼清浄衆生之所↢受用↡故名為↠器。如↧浄食用↢不浄器↡以↢器不浄↡故食亦不浄、不浄食用↢浄器↡食不浄故器亦不浄↥。要二倶潔乃得↠称↠浄。是以一清浄名必摂↢二種。

 ひていはく、 しゅじょう清浄しょうじょうといふは、 すなはちこれぶつ (阿弥陀仏) と〔じょうの〕さつとなり。 かのもろもろの人天にんでんも、 この清浄しょうじょうかずることをやいなや

問曰。言↢衆生清浄↡則是仏与↢菩薩↡。彼諸人天得↠入↢此清浄数↡不。

こたへていはく、 清浄しょうじょうづくることをれども、 じつ清浄しょうじょうにあらず。 たとへば出家しゅっけしょうにんは、 煩悩ぼんのうぞくころすをもつてのゆゑにづけて*比丘びくとなし、 ぼん出家しゅっけのものの、 かいかいもみな比丘びくづくるがごとし。 また*潅頂かんじょうおう初生しょしょうときに、 *三十二そうしてすなはち*ぽうぞくするところとなる。 いまだ転輪王てんりんのうをなすことあたはずといへども、 また転輪王てんりんのうづくるがごとし。 それかならず転輪王てんりんのうとなるべきをもつてのゆゑなり。 かのもろもろの人天にんでんも、 またかくのごとし。 みな大乗だいじょう*正定しょうじょうじゅりて、 *畢竟ひっきょうじてまさに清浄しょうじょう法身ほっしんべし。 まさにべきをもつてのゆゑに清浄しょうじょうづくることをるなり

灌頂王子 転輪王てんりんのうの王子。 王子はやがて灌頂の式を受けて、 転輪王の位に昇ることに定まっているからこの名がある。
七宝 転輪王の七宝のこと。 輪宝・象宝・馬宝・珠宝・主蔵宝 (大臣)・玉女宝・主兵臣宝 (将軍) の七。

答曰。得↠名↢清浄↡非↢実清浄↡。譬如↧出家聖人以↠殺↢煩悩賊↡故名為↢比丘↡、凡夫出家者持戒・破戒皆名↦比丘↥。又如↧潅頂王子初生之時、具↢三十二相↡即為↢七寳↡所↠属、雖↠未↠能↠為↢転輪王事↡亦名↦転輪王↥。以↣其必為↢転輪王↡故。彼諸人天、亦復如↠是。皆入↢大乗正定之聚↡、畢竟当↠得↢清浄法身↡。以↠当↠得故得↠名↢清浄↡。

◎解義分 善巧摂化章

【102】*ぜんぎょうせっとは、

善巧摂化 菩薩のたくみな利他の救済活動をあらわす。

かくのごとくさつは、 *しゃ摩他また*毘婆びばしゃ広略こうりゃく修行しゅぎょうして柔軟にゅうなんしん成就じょうじゅ

善巧摂化者、

如↠是菩薩、奢摩他婆舎那、広略修行、成↢就柔心↡。

 他本では

 柔軟にゅうなんしん」 とは、 いはく、 広略こうりゃく*かん、 あひじゅん修行しゅぎょうして*不二ふにしんじょうずるなり。 たとへばみずをもつてかげるに、 しょうじょうとあひたすけて成就じょうじゅするがごとし

不二の心 広 (有) 略 (くう) 不二の実相をさとる智慧ちえをいう。 それはまた観ぜられる対象である実相じっそうと、 観ずる心とが不二となった状態でもある。

「柔心」者、謂広略止観相順修行成↢不二心↡也。譬如↢以↠水取↠影清静相資而成就↡也。

如実知

【103】 如実にょじつ広略こうりゃく諸法しょほう

如↠実知↢広略諸法↡。

 如実にょじつる」 とは、 *実相じっそうのごとくにるなり。 こうのなかの二十九りゃくのなかの一実相じっそうにあらざるはなし

「如実知」者、如↢実相↡而知也。広中廿九句、略中一句、莫↠非↢実相↡也。

巧方便回向

【104】 かくのごとくして*ぎょう方便ほうべんこう成就じょうじゅ

巧方便回向 仏・菩薩が、 しゅじょうの素質・能力にあわせて種々の方法、 手段を巧みに用い、 自己のどくを相手に与えて救うはたらき。

如↠是成↢就巧方便迴向↡。

 「かくのごとく」 とは、 ぜん広略こうりゃくみな実相じっそうなるがごとくとなり。 実相じっそうるをもつてのゆゑに、 すなはち三界さんがいしゅじょうもうそうるなり。 しゅじょうもうなるをれば、 すなはち真実しんじつ*慈悲じひしょうずるなり。 真実しんじつ法身ほっしんれば、 すなはち真実しんじつ*帰依きえおこすなり。 慈悲じひ帰依きえと、 ぎょう方便ほうべんとはしもにあり

「如是」者如↢前後広略皆実相↡也。以↠知↢実相↡故則知↢三界衆生虚妄相↡也。知↢衆生虚妄↡則生↢真実慈悲↡也。知↢真実法身↡則起↢真実帰依↡也。慈悲之与↢帰依↡巧方便在↠下。

慈悲之与帰依巧方便 聖教全書の読みでは 「慈悲帰依との巧方便」。

【105】 何者なにものさつぎょう方便ほうべんこうさつぎょう方便ほうべんこうとは、 いはく、 ける*礼拝らいはいとうの五しゅ修行しゅぎょうをもつて、 あつむるところの一切いっさい*どく*善根ぜんごんは、 しん住持じゅうじらくもとめず、 一切いっさいしゅじょうかんとほっするがゆゑに、 一切いっさいしゅじょう*摂取せっしゅして、 ともにおなじくかの安楽あんらく仏国ぶつこくしょうぜんとがんするなり。 これをさつぎょう方便ほうべんこう成就じょうじゅづく

礼拝等の五種の修行 五念門のこと。 →ねんもん

何者菩薩巧方便迴向。菩薩巧方便迴向者、謂説拝等五種修行、所↠集一切功徳善根、不↠求↢自身住持之楽↡、欲↠抜↢一切衆生苦↡故、作↧願摂↢取一切衆生↡共同生↦彼安楽仏国↥。是名↢菩薩巧方便迴向成就↡。

菩提心釈

 王舎城おうしゃじょう所説しょせつの ¬無量寿むりょうじゅきょう¼ (下)あんずるに、 ぱいしょうのなかに、 ぎょうれつありといへども、 みな*無上むじょうだいしんおこさざるはなし。 この無上むじょう提心だいしんとは、 すなはちこれがん仏心ぶつしんなり。 がん仏心ぶつしんとは、 すなはちこれしゅじょうしんなり。 しゅじょうしんとは、 すなはちしゅじょう摂取せっしゅしてぶつこくしょうぜしむるしんなり。 このゆゑにかの安楽あんらくじょうしょうぜんとがんずるものは、 かならず無上むじょう提心だいしんおこすなり。 もしひと無上むじょう提心だいしんおこさずして、 ただかのこくらくくることひまなきをきて、 らくのためのゆゑにしょうずることをがんずるは、 またまさにおうじょうざるべし。 このゆゑに、 「しん住持じゅうじらくもとめず、 一切いっさいしゅじょうかんとほっするがゆゑに」 といへり

案↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、三輩生中雖↣行有↢優劣↡、莫↠不↣皆発↢无上菩提之心↡。此无上菩提心、即是願作仏心。願作仏心即是度衆生心。度衆生心即是摂↢取衆生↡生↢有仏国土↡心。是故願↠生↢彼安楽浄土↡者、要発↢无上菩提心↡也。若人不↠発↢无上菩提心↡、但聞↢彼国土受↠楽无↟間、為↠楽故願↠生亦当↠不↠得↢往生↡也。是故言↧不↠求↢自身住持之楽↡欲↞抜↢一切衆生苦↡故。

 宗祖加点本以外では脱落。

住持じゅうじらく」 とは、 いはく、 かの安楽あんらくじょう阿弥陀あみだ如来にょらい本願力ほんがんりきのために住持じゅうじせられて、 らくくることひまなし

「住持楽」者、謂彼安楽浄土、為↢阿弥陀如来本願力之↡所↢住持↡受楽无↠間也。

おほよそ 「こう」 の名義みょうぎしゃくせば、 いはく、 おのがあつむるところの一切いっさいどくをもつて一切いっさいしゅじょう*施与せよして、 ともに仏道ぶつどうかふなり

施与…向かふなり 親鸞聖人は 「施与したまひて、ともに仏道に向かへしめたまふなり」 (信文類訓) と読まれた。

凡釈↢迴向名義↡、謂以↢己所集一切功徳↡施↢与一切衆生↡共向↢仏道↡。

ぎょう方便ほうべん」 とは、 いはく、 さつがんずらく、 おのが智慧ちえをもつて一切いっさいしゅじょう煩悩ぼんのう草木そうもくかんに、 もし一しゅじょうとして成仏じょうぶつせざることあらば、 われぶつせじと。 しかるに、 かのしゅじょういまだことごとく成仏じょうぶつせざるに、 さつすでにみづから成仏じょうぶつす。 たとへば*てんをして一切いっさい草木そうもくみてきてつくさしめんとほっするに、 草木そうもくいまだきざるに、 てんすでにくるがごとし。 そのあとにして、 しかもさきだつをもつてのゆゑにぎょう方便ほうべんづく

火 木の火ばし。

「巧方便」者、謂菩薩願、以↢己智慧火↡焼↢一切衆生煩悩草木↡。若有↢一衆生不↟成↠仏、我不↠作↠仏。而彼衆生未↠尽、成仏菩薩已自成仏、譬如↩火聴念欲↧摘↢聴歴一切草木↡焼令↦使尽↥、草木未↠尽火擿已尽↨、以↧後↢其身↡而身先↥故名↢巧方便↡。

未尽成仏 返り点は聖教全書まま。 「(衆生) 未だ尽きず、 成仏せば…」
 宗祖加点本・鎌倉時代刊本を除く他本では

このなかに 「方便ほうべん」 といふは、 いはく、 一切いっさいしゅじょう摂取せっしゅして、 ともにおなじくかの安楽あんらく仏国ぶつこくしょうぜんとがんす。 かの仏国ぶっこくはすなはちこれ畢竟ひっきょう成仏じょうぶつどう無上むじょう方便ほうべんなり

此中言↢方便↡者、謂作↧願摂↢取一切衆生↡共同生↦彼安楽仏国↥、彼仏国即是畢竟成仏道路、无上方便也。

◎解義分 障菩提門章

【106】*しょうだいもんとは、

障菩提門 前出の箇所 (56頁) では 「離菩提障」 とある。 三種の菩提の障害を除く心を説く。

さつかくのごとくよく*こうりて成就じょうじゅすれば、 三しゅだいもんそうほうおんす。 なんらか三しゅ

回向を知りて成就すれば 親鸞聖人は 「回向成就したまへるを知れば」 (証文類訓) と読まれた。

鄣菩提門者、

菩薩如↠是善知↢迴向成就↡即能遠↢離三種菩提門相違法↡。何等三種。

即能 鎌倉時代刊本では欠く。

1. 智慧門  (遠離我心貪着自身)

一にはもんによりてらくもとめず。 しんしん*貪着とんじゃくすることをおんするがゆゑなり

一者依↢智恵門↡不↠求↢自楽↡、遠↣離我心貪↢着自身↡故。

 *すすむをりて退しりぞくをまもるを 「」 といふ。 くう無我むがるを 「」 といふ。 によるがゆゑにらくもとめず。 によるがゆゑに、 しんしん貪着とんじゃくすることをおん

進むを知りて退くを守る 進んでしゅじょうを済度することを知り、 小乗の自利主義に退かないように身を守る。

知↠進守↠退曰↢「智」↡、知↢空无我↡曰↢「慧」↡。依↠智故不↠求↢自楽↡、依↠恵故遠↣離我心貪↢着自身↡。

2. 慈悲門  (遠離無安衆生心)

【107】 二にはもんによりて一切いっさいしゅじょうく。 しゅじょうやすんずることなきしんおんするがゆゑなり

二者依↢慈悲門↡抜↢一切衆生苦↡、遠↢離无安衆生心↡故。

 くを 「」 といふ。 らくあたふるを 「」 といふ。 によるがゆゑに一切いっさいしゅじょうく。 によるがゆゑにしゅじょうやすんずることなきしんおん

抜↠苦曰↢「慈」↡、与↠楽曰↢「悲」↡。依↠慈故抜↢一切衆生苦↡、依↠悲故遠↢離无安衆生心↡也。

 他書では欠く。

3. 方便門  (遠離供養恭敬自身心)

【108】 三にはほう便べんもんによりて一切いっさいしゅじょう*憐愍れんみんするしんなり。 しんよう恭敬くぎょうするしんおんするがゆゑなり

憐愍する心なり 親鸞聖人は 「憐愍したまふ心なり」 (証文類訓) と読まれた。 憐愍はいつくしみあわれむこと。

三者依↢方便門↡憐↢愍一切衆生↡、心遠↧離供↢養恭↣敬自身↡心↥故。

 *正直しょうじきを 「ほう」 といふ。 *外己げこを 「便べん」 といふ。 正直しょうじきによるがゆゑに一切いっさいしゅじょう憐愍れんみんするしんしょうず。 外己げこによるがゆゑにしんよう恭敬くぎょうするしんおん

正直 かたよりなく平等なこと。
外己 己を外にすること。 相手の立場に立つこと。

正直曰↢「方」↡、外己曰↢「便」↡。依↢正直↡故生↧憐↢愍一切衆生↡心↥、依↢外己↡故遠↧離供↢養恭↣敬自身↡心↥。

これを三しゅだいもんそうほうおんすとづく

是名↣遠↢離三種菩提門相違法↡。

◎解義分 順菩提門章

【109】*じゅんだいもんとは、

順菩提門 三種の菩提の門に随順ずいじゅんする心を説く。

さつはかくのごとき三しゅだいもんそうほうおんして、 *しゅだいもん随順ずいじゅんするほう満足まんぞくるがゆゑなり。 なんらか三しゅ

三種の…得るがゆゑなり 親鸞聖人は 「三種の随順菩提門の法満足することを得たまへるがゆゑに」 (証文類訓) と読まれた。

順菩提門者、

菩薩遠↢離如↠是三種菩提門相違法↡得↢三種随順菩提門法満足↡故。何等三種。

1. 無染清浄心

一にはぜん清浄しょうじょうしんなり。 しんのために諸楽しょらくもとめざるをもつてのゆゑなり

一者无染清浄心。以↠不↧為↢自身↡求↦諸楽↥故。

 だいはこれぜん清浄しょうじょうところなり。 もしのためにらくもとむれば、 すなはちだいせり。 このゆゑに 「ぜん清浄しょうじょうしん」 は、 これだいもんじゅんずるなり

菩提是无染清浄処。若為↠身求↠楽即違↢菩提↡。是故无染清浄心是順↢菩提↡門。

2. 安清浄心

【110】 二にはあん清浄しょうじょうしんなり。 一切いっさいしゅじょうくをもつてのゆゑなり

二者安清浄心。以↠抜↢一切衆生苦↡故。

 だいはこれ一切いっさいしゅじょう安穏あんのんにする清浄しょうじょうしょなり。 もししんをなして、 一切いっさいしゅじょうきてしょうはなれしめざれば、 すなはちだいせり。 このゆゑに 「一切いっさいしゅじょうく」 は、 これだいもんじゅんずるなり

菩提是安↢穏一切衆生↡清浄処。若不↧作↠心抜↢一切衆生↡離↦生死苦↥即便違↢菩提↡。是故抜↢一切衆生苦↡是順菩提門。

3. 楽清浄心

【111】 三にはらく清浄しょうじょうしんなり。 一切いっさいしゅじょうをしてだいだいしむるをもつてのゆゑなり。 しゅじょう*摂取せっしゅしてかのこくしょうぜしむるをもつてのゆゑなり

三者楽清浄心。以↠令↧一切衆生得↦大菩提↥故、以↧摂↢取衆生↡生↦彼国土↥故。

 だいはこれ*畢竟ひっきょう常楽じょうらくところなり。 もし一切いっさいしゅじょうをして畢竟ひっきょう常楽じょうらくしめざれば、 すなはちだいせり。 この畢竟ひっきょう常楽じょうらくはなにによりてかる。 大乗だいじょうもんによる。 大乗だいじょうもんといふは、 いはく、 かの安楽あんらくぶつこくこれなり。 このゆゑにまた 「しゅじょう摂取せっしゅしてかのこくしょうぜしむるをもつてのゆゑなり」 といへり

畢竟常楽の処 究極的な常住安楽の境地。

菩提是畢竟常楽処。若不↠令↣一切衆生得↢畢竟常楽↡則違↢菩提↡。此畢竟常楽依↠何而得、依↢大乗門↡、大乗門者、謂彼安楽仏国土是也。是故又言、以↧摂↢取衆生↡生↦彼国土↥故。

これを三しゅだいもん随順ずいじゅんするほう満足まんぞくづく、 るべし

是名↢三種随順菩提門法満足↡、応↠知。

◎解義分 名義摂対章

【112】*名義みょうぎ摂対せったいとは

名義摂対 名は名称、 義は名にあらわされる意味。 しょうだいもん (だいしょう) に説いた智慧ちえ、 慈悲、 方便の名を、 般若はんにゃ、 方便の二義におさめ、 三種のおんしん無障心むしょうしんに摂め、 順菩提門の三清浄心しょうじょうしん妙楽みょうらく勝真しょうしんしんに摂めること。

名義摂対者、

1. 智慧心・方便心

さき智慧ちえ慈悲じひ方便ほうべんとの三しゅもんは、 般若はんにゃ摂取せっしゅし、 般若はんにゃ方便ほうべん摂取せっしゅす、 るべし

向説智恵慈悲方便三種門摂↢取般若↡、般若摂↢取方便↡、応↠知。

 般若はんにゃ」 といふは、 *にょたっするなり。 「方便ほうべん」 といふは、 *ごんつうずるしょうなり。 にょたっすればすなはち*心行しんぎょうじゃくめつなり。 ごんつうずればすなはちつぶさにしゅ*かえりみる。 かえりみる、 つぶさにおうじてしかも*無知むちなり。 じゃくめつ、 また無知むちにしてつぶさにかえりみる。 しかればすなはち智慧ちえ方便ほうべんとあひえんじてどうじ、 あひえんじてせいなり。 どうせいしっせざることは智慧ちえこうなり。 せいどうはいせざることは方便ほうべんちからなり。 このゆゑに智慧ちえ慈悲じひ方便ほうべんとは般若はんにゃ*摂取せっしゅし、 般若はんにゃ方便ほうべん摂取せっしゅ

 一如いちにょ、 真如のこと。 →真如しんにょ
 仮のもの。 一時的なてだてとして設けたもの。 実に対する。
省みる 省察する。 知る。
無知 思慮分別をはなれた分別ふんべつのこと。

「般若」者、達↠如之恵名。「方便」者、通↠権之智称。達↠如則心行寂滅。通↠権則備省↢衆機↡。省↠機之智備応而无知。寂滅之恵、亦无知而備省。然則智恵方便相縁而動、相縁而静。動不↠失↠静智恵之功也、静不↠癈↠動方便之力也。是故智恵慈悲方便摂↢取般若↡、般若摂↢取方便↡。

 宗祖加点本・鎌倉時代刊本では

るべし」 といふは、 いはく、 智慧ちえ方便ほうべんとはこれさつ父母ぶもなり。 もし智慧ちえ方便ほうべんとによらずは、 さつほう、 すなはち成就じょうじゅせずとるべしとなり。 なにをもつてのゆゑに。 もし智慧ちえなくしてしゅじょうのためにするときは、 すなはち顛倒てんどうす。 もし方便ほうべんなくしてほっしょうかんずるときは、 すなはち*実際じっさいしょうす。 このゆゑに 「るべし」 といふ

実際 真実の際限の意ではんの異名。 ここでは、 しょうもんじょうの究極目的であるところの身心ともに滅する無余涅むよねはんのこと。

「応知」者、謂応↠知↧智恵方便是菩薩父母、若不↠依↢智恵方便↡、菩薩法則不↦成就↥。何以故、若无↢智恵↡為↢衆生↡時則堕↢顛倒↡。若无↢方便↡観↢法性↡時、則証↢実際↡、是故応知。

2. 無障心

【113】 さきしんおんしてしん*貪着とんじゃくせざると、 しゅじょうやすんずることなきしんおんすると、 しんよう*恭敬くぎょうするしんおんするとをけり。 この三しゅほうだいふるしんおんす、 るべし

向説↢遠離我心不貪着自身・遠離无安衆生心・遠離供養恭敬自身心↡。此三種法遠↢離鄣菩提心↡、応↠知。

 諸法しょほうにおのおの*障礙しょうげそうあり。 ふうはよくじょうへ、 はよくすいへ、 湿しつはよくふるがごとし。 *あく*十悪じゅうあく人天にんでんふ。 *顛倒てんどうしょうもんふ。 このなかの三しゅおんは、 だいふるしんなり。 「るべし」 といふは、 もしふることなきことをんとほっせば、 まさにこの三しゅ障礙しょうげおんすべしとなり

諸法各有↢鄣相↡、如↢風能鄣↠静、土能鄣↠水、湿能鄣↟火。五悪・十悪鄣↢人天↡、四顛倒鄣↢声聞果↡。此中三種、不↧遠↦離鄣↢菩提↡心↥。「応知」者、若欲↠得↠无↠鄣、当↣遠↢離此三種鄣↡也。

3. 妙楽勝真心

【114】 さきぜん清浄しょうじょうしんあん清浄しょうじょうしんらく清浄しょうじょうしんけり。 この三しゅしんは、 一しょりゃくして*妙楽みょうらく勝真しょうしんしん*成就じょうじゅす、 るべし

妙楽勝真心 行者が五念門を行じて得る自利利他円満の真実心で、 浄土の最勝の真実の徳 (妙徳勝真) にかなうだいしんのこと。
成就す 親鸞聖人は 「成就したまへり」 (証文類訓) と読まれた。

向説↢无染清浄心・安清浄心・楽清浄心↡。此三種心略一処成↢就妙楽勝真心↡、応↠知。

 らくに三しゅあり。 一にはらく、 いはく*しき所生しょしょうらくなり。 二には内楽ないらく、 いはく*初禅しょぜん・二ぜん・三ぜんしき所生しょしょうらくなり。 三には*法楽楽ほうがくらく、 いはく智慧ちえ所生しょしょうらくなり。 この智慧ちえ所生しょしょうらくは、 ぶつ (阿弥陀仏)どくあいするよりおこれり。 これしんおんすると、 あんしゅじょうしんおんすると、 ようしんおんするとなり。 この三しゅしん清浄しょうじょうにして増進ぞうしんするを、 りゃくして妙楽みょうらく勝真しょうしんしんとなす。 「みょう」 のごんは、 それこうなり。 このらくぶつえんじてしょうずるをもつてのゆゑなり。 「しょう」 のごんは、 三界さんがいのなかのらく勝出しょうしゅつせり。 「しん」 のごんは、 虚偽こぎならず顛倒てんどうせず

初禅二禅三禅 色界の四禅天のうちの初めの三をいう。 この禅定ぜんじょうに入る時にはこころに楽を生ずるという。 →色界しきかいぜん
法楽楽 法楽は法味楽の意で、 仏法を味わい楽しむこと。

楽有↢三種↡。一者外楽、謂五識所生楽。二者内楽、謂初禅・二禅・三禅意識所生楽。三者法楽五角楽、魯各謂智恵所生楽。此智恵所生楽従↠愛↢仏功徳↡起。是遠離我心・遠離无安衆生心・遠離自供養心。是三種心清浄増進畧為↢妙楽勝真心↡。「妙」言其好、以↢此楽縁↠仏生↡故。「勝」言勝↢出三界中楽↡。「真」言不↢虚偽↡不↢顛倒↡。

◎解義分 願事成就章

【115】*がん成就じょうじゅとは、

願事成就者、

かくのごとくさつ智慧ちえしん方便ほうべんしん無障むしょうしん勝真しょうしんしんをもつて、 よく清浄しょうじょう仏国ぶっこく*しょうず、 るべし

願事成就 浄土願生の業事の成就について明かす。
生ず 親鸞聖人は 「生ぜしめたまへり」 (証文類訓) と読まれた。

如↠是菩薩智恵心・方便心・无鄣心・勝真心能生↢清浄仏国土↡、応↠知。

 るべし」 といふは、 いはく、 この四しゅ清浄しょうじょうどくをもつて、 よくかの清浄しょうじょう仏国ぶっこく