無量寿経優婆提舎願生偈註 巻下
◎解義分
【44】 ▲↓論じて↓曰はく。
◎論曰。
◎ 原漢文 (真宗聖教全書) の底本は本派本願寺蔵建長八年宗祖加点本。 本派本願寺蔵鎌倉時代刊本、 宗教大学蔵嘉永年間刊本、 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本と対校。
これはこれ*解義分なり。 この分のなかに、 義に十重あり。 一には*願偈大意、 二には*起観生信、 三には*観行体相、 四には*浄入願心、 五には*善巧摂化、 六には*離菩提障、 七には*順菩提門、 八には*名義摂対、 九には*願事成就、 十には*利行満足なり。
解義分 ¬浄土論¼ の長行 (散文) の部分。
願偈大意 「願生偈」 の大意をあらわす。
起観生信 観察によって信を生ずる。 ここでは五念門について略説する。 →
五念門
観行体相 観察の対象となる浄土、 仏および菩薩の荘厳相を明かす。 観察体相ともいう。 →
荘厳
浄入願心 浄土の荘厳のすべては、 法蔵菩薩の清浄願心におさまることを示す。
善巧摂化 菩薩のたくみな利他の救済活動をあらわす。
離菩提障 三種の菩提の障害を除く心を説く。
順菩提門 三種の菩提の門に随順する心を説く。
名義摂対 善巧摂化・離菩提障・順菩提門に明かすところの名目を摂めて対比する。
願事成就 浄土願生の事業の成就について明かす。
此是解義分。此分中義有↢十重↡。一者願偈大意、二者起観生信、三者観行躰相、四者浄入願心、五者善巧摂化、六者離菩提鄣、七者順菩提門、八者名義摂対、九者願事成就、十者利行満足。
「↑論」 とは*議なり。 いふこころは偈の所以を議するなり。
議 すじ道を通して説き明かすこと。 順序だてて解釈していくこと。
「論」者議也。言議↢偈所以↡也。
「↑曰」 とは詞なり。 下の諸句を指す。 これは偈を議釈する詞なり。 ゆゑに 「論じて曰はく」 といふ。
「曰」者詞也。指↢下諸句↡、是議↢釈偈↡詞也。故言↢「論曰」↡。
◎解義分 ○願偈大意章
【45】願偈大意とは、
▲この願偈はなんの義をか明かす。 かの*安楽世界を観じて*阿弥陀如来を見たてまつることを示現す。 かの国に生ぜんと願ずるがゆゑなり。
願偈大意者、
此願偈明↢何義↡、*示↧現観↢彼安楽世界↡、見↢阿弥陀如来↡、願↞生↢彼国↡故。
示現AB願生c 返り点は聖教全書まま。 「A、 B、 cに生ぜんと願ずることを示現する」
◎解義分 ○起観生信章
【46】起観生信とは、 この分のなかにまた二重あり。 一には*五念力を示す。 二には*五念門を出す。
五念力 五念門のはたらきのことで、 信を生ぜしめるはたらきのあることをいう。 →
五念門
起観生信者、此分中又有↢二重↡。一者示↢五念力↡、二者出↢五念門↡。
◎解義分 ○起観生信章 1 五念力
【47】五念力を示すとは、
▲いかんが観じ、 いかんが信心を生ずる。 もし善男子・善女人、 五念門を修して行成就しぬれば、 *畢竟じて安楽国土に生じて、 かの阿弥陀仏を見たてまつることを得。
示↢五念力↡者、
云何観云何生↢信心↡。若善男子・善女人、修↢五念門↡行成就、畢竟得↧生↢安楽国土↡見↦彼阿弥陀仏↥。
◎解義分 ○起観生信章 2 五念門
【48】五念門を出すとは、
▲なんらか五念↓門。 一には礼拝門、 二には讃嘆門、 三には作願門、 四には観察門、 五には回向門なり。
出↢五念門↡者、
何等五念門。一者拝門、二者讃嘆門、三者作願門、四者観察門、五*迴向門。
◇ 諸本では 「者」 の字あり。
「↑門」 とは入出の義なり。 人、 門を得ればすなはち入出*無礙なるがごとし。 前の四念はこれ安楽浄土に入る門なり。 後の一念はこれ慈悲教化に出づる門なり。
「門」者入出義也、如↢人得↠門則入出无↡。前四念是入↢安楽浄土↡門、後一念是出↢慈悲教化↡門。
◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 1. 礼拝門
【49】 ▲いかんが*礼拝する。 *身業をもつて阿弥陀↓*如来・↓*応・↓*正遍知を*礼拝したてまつる。
礼拝したてまつる 親鸞聖人は 「礼拝したまひき」 (加点本訓) と読まれた。
云何拝、身業↢拝阿弥陀如来応正遍知↡。
諸仏如来に、 徳無量あり。 徳無量なるがゆゑに*徳号また無量なり。 もしつぶさに談ぜんと欲せば、 紙筆に載することあたはず。 ここをもつて諸経に、 あるいは*十名を挙げ、 あるいは三号を騰げたり。 けだし*至宗を存ずるのみ。 あにここに尽さんや。 いふところの三号は、 すなはちこれ如来と応と正遍知なり。
徳号 功徳のみ名。
至宗 きわめて主要なもの。
諸仏如来徳有↢无量↡、徳无量故徳號亦无量。若欲↢具談↡、紙筆不↠能↠載也。是以諸経、或挙↢十名↡、或騰↢三號↡、盖存↢至宗↡而已、豈此尽耶。所↠言三號、即此如来・応・正遍知也。
「↑如来」 とは、 *法相のごとく解り、 法相のごとく説き、 諸仏の*安穏道より来るがごとく、 この仏もまたかくのごとく来りて、 また*後有のなかに去らず。 ゆゑに如来と名づく。
法相 一切の事物の真実のすがた。 ありのままのすがた。
真如法性の理。 →
真如
安穏道 安穏は涅槃の異名。 涅槃の境界。 →
涅槃
後有 有は迷いの生のこと。 後の世における迷いの生存。 →
有
「如来」者、如↢法相↡解、如↢法相↡説、如↢諸仏安穏道来↡、此仏亦如↠是、*来更不↠去↢後有中↡、故名↢如来↡。
来 読点位置は聖教全書まま。
「↑応」 とは*応供なり。 仏は*結使除尽して一切の智慧を得て、 応に一切の天地の衆生の供養を受くべきがゆゑに応といふなり。
「応」者応供也。仏結使除尽得↢一切智*慧↡、応↠受↢一切天地衆生供養↡、故曰↠応也。
慧 諸本では 恵。 「慧」 と 「恵」 は諸本それぞれに用法が一貫していない。 以下同。
「↑正遍知」 とは、 一切諸法は実に不壊の相にして不増不減なりと知る。 いかんが不壊なる。 *心行処滅し、 *言語の道過ぎたり。 諸法は*涅槃の相のごとくにして不動なり。 ゆゑに正遍知と名づく。 無礙光の義は、 ▲前の偈のなかに解するがごとし。
心行処滅し 心の行処の止滅。 心で思いわけることができないという意。
言語の道過ぎたり 言葉で言い表すことができない。
「正遍知」者、知↢一切諸法実不壊相、不増不減↡。云何不壊、心行処滅言語道過、諸法*如↢涅槃相不動↡。故名↢正遍知↡。无光義如↢前偈中解↡。
如…不動 返り点は聖教全書まま。 「…の不動なる如し」
【50】 ▲かの国に生ずる意を*なすがゆゑなり。
なすが 親鸞聖人は 「なさせんが」 (加点本訓) と読まれた。
為↧生↢彼国↡意↥故。
なんがゆゑぞこれをいふとなれば、 菩薩の法は、 つねに*昼三時・夜三時をもつて十方一切諸仏を礼す。 かならずしも願生の意あるにあらず。 いまつねに願生の意をなすべきがゆゑに、 阿弥陀如来を礼したてまつるなり。
何故言↠此、菩薩之法常以↢昼三時夜三時↡↢十方一切諸仏↡、不↣必有↢願生意↡。今応↣常作↢願生意↡故、↢阿弥陀如来↡也。
◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 2. 讃嘆門
【51】 ▲いかんが*↓讃↓嘆する。 *口業をもつて*讃嘆したてまつる。
讃嘆したてまつる 親鸞聖人は 「讃嘆したまひき」 (加点本訓) と読まれた。
云何讃嘆、口業讃嘆。
▼「↑讃」 とは讃揚なり。 「↑嘆」 とは歌嘆なり。 讃嘆は口にあらざれば宣べず。 ゆゑに 「口業」 といふなり。
「讃」者讃揚也。「嘆」者歌嘆也。讃嘆非↠口不↠宣、故曰↢「口業」↡也。
【52】 ▲↓*かの如来の名を称するに、 ↓かの如来の光明智相のごとく、 ↓かの*名義のごとく、 如実に修行して相応せんと欲するがゆゑなり。
名義 名号の意義、 いわれ。
称↢彼如来名↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、欲↢如↠実修行相応↡故。
▼「↑かの如来の名を称す」 とは、 いはく、 ▼無礙光如来の名を称するなり。
「称彼如来名」者、謂称↢无光如来名↡也。
▼「↑かの如来の光明智相のごとく」 とは、 仏の光明はこれ智慧の相なり。 ▼この光明は十方世界を照らしたまふに*障礙あることなし。 よく十方衆生の無明の黒闇を除くこと、 日・月・珠光のただ空穴のなかの闇をのみ破するがごときにはあらず。
「如彼如来光明智相」者、仏光明是智慧相也。此光明照↢十方世界↡无↠有↢鄣↡、能除↢十方衆生无明黒闇↡、非↠如↣日・月・珠光但破↢*室穴中闇↡也。
室 他本では 空。
・ 名号破満
▼「↑かの名義のごとく、 如実に修行して相応せんと欲す」 とは、 ▼かの無礙光如来の名号は、 よく衆生の一切の無明を破し、 よく衆生の一切の*志願を満てたまふ。
志願 往生し成仏しようとする願い。
「如彼名義欲如実修行相応」者、彼无光如来名*號、能破↢衆生一切无明↡、能満↢衆生一切志願↡。
号 略字 (新字) は聖教全書まま。 以下同。 (原漢文中での 「号」 には旧字 「號」 の文字コードを使用)
▼しかるに名を称し*憶念すれども、 *無明なほありて所願を満てざるものあり。 ▼なんとなれば、 如実に修行せず、 ▼名義と相応せざるによるがゆゑなり。 いかんが如実に修行せず、 名義と相応せざるとなすとならば、 いはく、 如来はこれ*実相身なり、 これ*為物身なりと知らざればなり。
実相身 実相 (
真如) をさとり、 自利の徳をそなえた仏身。 →
補註1
為物身 物は
衆生の意。 衆生を救う利他の徳をそなえた仏身。 →
補註1
然有↢称↠名憶念↡而、无明由*存而不↠満↢所願↡者、何者、由↧不↢如実修行↡、与↢名義↡不↦相応↥故也。云何為↧不↢如実修行↡与↢名義↡不↦相応↥、謂不↠知↢如来是実相身、是為↠物身↡。
存 他本では 在。
・ 三不知三不信
▼また*三種の不相応あり。 ▼一には信心淳からず、 *存ずるがごとく亡ずるがごときゆゑなり。 ▼二には信心一ならず、 決定なきがゆゑなり。 ▼三には信心相続せず、 余念間つるがゆゑなり。 ▼この三句展転してあひ成ず。 信心淳からざるをもつてのゆゑに決定なし。 ▼決定なきがゆゑに念相続せず。 また念相続せざるがゆゑに決定の信を得ず。 ▼決定の信を得ざるがゆゑに心淳からざるべし。
存ずるがごとく… ときには有り、 ときには無くなる。 半信半疑の状態をいう。
又有↢三種不相応↡。一者信心不↠淳、若↠存若↠亡故。二者信心不↠一、无↢決定↡故。三者信心不↢相続↡、余念間故。此三句展転相成、以↢信心不↟淳故无↢決定↡、无↢決定↡故念不↢相続↡、亦可↧念不↢相続↡故不↠得↢決定信↡、不↠得↢決定信↡故心不↞淳。
▼これと相違せるを ▼「如実に修行し相応す」 と名づく。 ▼このゆゑに論主 (天親)、 「▲我一心」 と建言す。
与↠此相違名↢如実修行相応↡。是故論主*建言↢「我一心」↡。
建言… 返り点は聖教全書まま。 「建に…とのたまへり」
・ 名法相即
▼問ひていはく、 名をば法の指となす。 指をもつて*月を指すがごとし。 もし仏の名号を称するにすなはち願を満つることを得といはば、 月を指す指、 よく闇を破すべし。 もし月を指す指、 闇を破することあたはずは、 仏の名号を称すとも、 またなんぞよく願を満てんや。
月 底本には 「日」 とあるが、 異本およびこの譬喩の典拠となっている ¬大智度論¼ 巻九等の文では、 「月」 となっているのでこれを改めた。 以下、 同じ。
問曰。名為↢法指↡、如↢指指↟*日、若称↢仏名號↡便得↠満↠願者、指↠日之指応↢能破↟闇。若指↠日之指不↠能↠破↠闇、称↢仏名號↡亦何能満↠願耶。
日 嘉永年間刊本・本願時本・大派依用本では 「月」。 以下同。
答へていはく、 諸法万差なり。 一概すべからず。 *名の法に即するあり。 名の法に異するあり。
名の法に即するあり 名と名によって示されるもの (法) のはたらきとが一体であるという意。
答曰。諸法*萬差、不↠可↢一概↡。有↢名即↟法、有↢名異↟法。
万 略字は聖教全書まま。 (原漢文中での 「万」 には旧字 「萬」 の文字コード使用。) 以下同。
名の法に即するとは、 諸仏・菩薩の*名号、 *般若波羅蜜、 および*陀羅尼の章句、 *禁呪の音辞等これなり。 ▼禁腫の辞に、 「*日出東方乍赤乍黄」 等の句をいふがごとし。 たとひ*酉亥に禁を行じて、 日出に関らざれども、 腫、 差ゆることを得。 また師に行くに陣に対ひてただ一たびも切歯のなかに 「*臨兵闘者皆陣列前行」 と誦するがごとし。 この九字を誦するに*五兵の中らざるところなり。 ¬*抱朴子¼ これを*要道といふものなり。 ▼また転筋を苦しむもの、 木瓜をもつて火に対てこれを*熨すにすなはち愈えぬ。 また人ありて、 ただ木瓜の名を呼ぶにまた愈えぬ。 わが身にその効を得るなり。 かくのごとき*近事は世間にともに知れり。 いはんや不可思議の境界なるものをや。 *滅除薬を鼓に塗る喩へ、 またこれ一事なり。 この喩へはすでに▲前に彰すゆゑにかさねて引かず。
禁呪の音辞 悪やわざわいをとどめるための呪文。
日出東方… 中国に古くから伝わる呪文の一種と考えられる。
酉亥に… 酉亥は午後五時頃から午後十一時頃までのこと。 日の出とは関係のないこの時刻に 「日出…」 の呪文をとなえても、 腫物がひくという意。
臨兵闘者… ¬抱朴子¼ に出る呪文。
五兵 五種の武器。 弓・殳・矛・戈・戟の五。
要道 大切な教え。
熨す 上から下へじわじわとおさえていく。
近事 身近なできごと。 手近な例。
滅除薬を鼓に塗る喩へ ¬首楞厳経¼ に出る喩え。 人が毒矢をうけても滅除薬を塗った鼓の音を聞けば、 矢は抜け毒も除かれるというもの。
名即↠法者諸仏・菩薩名號・般若波羅蜜、及陀羅尼章句・*禁咒・音辞等是也。如↢禁腫辞云↡、「日出東方乍赤乍黄」等句。仮使酉亥行↠禁不↠関↢日出↡而、腫得↠差。亦如↣行↠師対↠陣、但一切歯中誦↢「臨兵闘者皆陣列前行」↡。誦↢此九字↡、五兵之所↠不↠中。抱朴子、謂↢之要道↡者也。又苦↢転筋↡者、以↢木瓜↡対↠火*慰↠之則愈。復有↠人、但呼↢木瓜名↡亦愈、吾身得↢其効↡也。如↠斯近事世間共知、況不可思議境界者乎。滅除薬塗↠皷之喩、復是一事。此喩已彰↠於↠前、故不↢重引↡。
禁呪音辞 区切りの中黒は聖教全書まま。
慰 本願寺本・大派依用本では 熨。
名の法に異するありとは、 指の月を指すがごとき等の名なり。
有↢名異↟法者、如↢指指↠日等名↡也。
◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 3. 作願門
【53】 ▲いかんが*作願する。 *心につねに願を作し、 一心にもつぱら畢竟じて安楽国土に往生せんと念ず。 如実に↓*奢摩他を修行せんと欲するがゆゑなり。
心に…ゆゑなり 親鸞聖人は 「心につねに作願したまへりき。 一心に専念して畢竟じて安楽国土に往生して、 実の如く奢摩他を修行せんと欲ふがゆゑにのたまへり」 (加点本訓) と読まれた。
云何作願、*心常作願、一心専念畢竟往↢生安楽国土↡、欲↣如↠実修↢行奢摩他↡故。
心… 返り点は聖教全書まま。 書き下し文 「心」 の註に符合。
「↑奢摩他」 を訳して 「止」 といふ。 「止」 とは、 心を一処に止めて悪をなさず。 この訳名はすなはち大意に乖かざれども、 義においていまだ満たず。 なにをもつてこれをいふとならば、 *心を鼻端に止むるがごときをもまた名づけて止となす。 *不浄観の貪を止め、 *慈悲観の瞋を止め、 *因縁観の痴を止む。 かくのごとき等をもまた名づけて止となす。 人のまさに行かんとして行かざるがごときをもまた名づけて止となせばなり。 ここに知りぬ、 止の語は*浮漫にしてまさしく奢摩他の名を得ずと。 *椿・柘・楡・柳のごときをみな木と名づくといへども、 もしただ木といふときは、 いづくんぞ楡・柳を得んや。
心を鼻端に止むる 出入の息を数えて心の散乱をとどめるという数息観のこと。 五停心観の一。
不浄観 身や三界の不浄を観じて貪欲を離れる観法。 五停心観の一。
慈悲観 すべての衆生を観じて慈悲のおもいを生じ、 いかりをとどめる観法。 五停心観の一。
因縁観 すべての事物がみな因縁によって生じるという道理を観じて、 愚かさをとどめる観法。 五停心観の一。
浮漫 漠然としていて確かでないこと。
椿柘楡柳 つばき・やまぐわ・にれ・やなぎ。
訳↢「奢摩他」↡曰↠止、止者止↢心一処↡不↠作↠悪也。此訳名乃不↠乖↢大意↡於↠義未↠満、何以言↠之、如↠止↢心鼻端↡亦名為↠止。不浄観止↠貪、慈悲観止↠瞋、因縁観止↠痴、如↠是等亦名為↠止。如人将↠行、不↠行、亦名為↠止。是知止語浮漫不↣正得↢奢摩他名↡也。如↢椿・柘・楡・柳↡雖↢皆名↟木、若但云↠木安得↢楡・柳↡耶。
「奢摩他」 を止といふは*含みて三の義あり。 一には一心にもつぱら阿弥陀如来を念じてかの土に生ぜんと願ずれば、 この如来の名号およびかの国土の名号、 よく一切の悪を止む。 二にはかの安楽土は三界の道に過ぎたり。 もし人またかの国に生ずれば、 自然に身口意の悪を止む。 三には阿弥陀如来の*正覚住持の力、 自然に*声聞・*辟支仏を求むる心を止む。
含 異本には 「今」 とある。
奢摩他云↠止者、*合↠有↢三義↡。一者一心専念↢阿弥陀如来↡願↠生↢彼土↡、此如来名號及彼国土名號、能止↢一切悪↡。二者彼安楽土過↢三界道↡、若人亦生↢彼国↡自然止↢身口意悪↡。三者阿弥陀如来正覚住持力、自然止↧求↢声聞・辟支仏↡心↥。
合 聖教全書まま。 「(三の義有る) べし」。 嘉永年間刊本・本願寺本・大派依用本では 「今」。
この三種の止は如来の如実の功徳より生ず。 このゆゑに 「如実に奢摩他を修行せんと欲するがゆゑなり」 といへり。
此三種止、従↢如来如実功徳↡生、是故言↢「欲如実修行奢摩他故」↡。
◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 4. 観察門
【54】 ▲いかんが*観察する。 智慧をもつて*観察し、 正念にかしこを観ず。 如実に↓*毘婆舎那を修行せんと欲するがゆゑなり。
観察し 親鸞聖人は 「観察したまへりき」 (加点本訓) と読まれた。
云何観察、智慧観察、正念観↠彼欲↣如↠実修↢行婆舎那↡故。
「↑毘婆舎那」 を訳して 「観」 といふ。 ただ汎く観といふには、 義またいまだ満たず。 なにをもつてこれをいふとならば、 身の*無常・*苦・*空・*無我・*九想等を観ずるがごときをも、 みな名づけて観となせばなり。 また上の木の名の椿・柘を得ざるがごとし。
九想 人の屍相についての九通りの観想。 九相ともいう。 張・青瘀・壊・血塗・膿爛・噉・散・骨・焼の九種をいう。
訳↢「婆舎那」↡曰↠観、但汎言↠観、義亦未↠満。何以言↠之、如↠観↢身无常・苦・空・无我・九想等↡、皆名為↠観、亦如↢上木名↡不↠得↢椿・柘↡也。
「毘婆舎那」 を観といふはまた二の義あり。 一には、 ここにありて想をなしてかの三種の荘厳功徳を観ずれば、 この功徳如実なるがゆゑに、 修行するものもまた如実の功徳を得。 如実の功徳とは、 決定してかの土に生ずることを得るなり。 二には、 またかの浄土に生ずることを得れば、 すなはち阿弥陀仏を見たてまつり、 *未証浄心の菩薩、 畢竟じて*平等法身を証することを得。 *浄心の菩薩と*上地の菩薩と、 畢竟じて同じく*寂滅平等を得るなり。
未証浄心の菩薩 十地の階位のうち、
初地以上、 七地以前の未だ平等をさとらない菩薩。 →
十地、
菩薩
平等法身 諸法の
寂滅平等をさとった八地以上の菩薩を指す。 →
十地
寂滅平等 煩悩を離れ差別のないさとりの境地をいう。 涅槃の訳語。 →
涅槃
婆舎那云↠観者、亦有↢二義↡。一者在↠此作↠想観↢彼三種荘厳功徳↡、此功徳如実故、修行者亦得↢如実功徳↡。如実功徳者、決定得↠生↢彼土↡。二者亦得↠生↢彼浄土↡、即見↢阿弥陀仏↡。未証浄心菩薩、畢竟得↢証平等法身↡。与↢浄心菩薩↡与↢上地菩薩↡、畢竟同得↢寂滅平等↡、
このゆゑに 「如実に毘婆奢那を修行せんと欲するがゆゑなり」 といへり。
是故言↢「欲如実修行婆奢那故」↡。
【55】 ▲かの観察に三種あり。 なんらか三種。 一にはかの仏国土の荘厳功徳を観察す。 二には阿弥陀仏の荘厳功徳を観察す。 三にはかの諸菩薩の荘厳功徳を観察す。
彼観察有↢三種↡。何等三種。一者観↢察彼仏国土荘厳功徳↡、二者観↢察阿弥陀仏荘厳功徳↡、三者観↢察彼諸菩薩荘厳功徳↡。
心にその事を縁ずるを 「観」 といふ。 *観心分明なるを 「察」 といふ。
観心分明 観ずるこころが明らかな状態。
心縁↢其事↡曰↢「観」↡、観心分明曰↢「察」↡。
◎解義分 ○起観生信章 2 五念門 5. 回向門
【56】 ▲いかんが*↓*回向する。 一切苦悩の衆生を捨てずして、 心につねに願を作し、 ↓回向を首となす。 大悲心を成就することを*得んとするがゆゑなり。
回向する 親鸞聖人は 「回向したまへる」 (信文類訓) と読まれた。
得んとする 親鸞聖人は 「得たまへる」 (加点本訓) と読まれた。
云何迴向、不↠捨↢一切苦悩衆生↡、心常作願、迴向為↠首得↣成↢就大悲心↡故。
・ 往還回向
▼「↑回向」 に二種の相あり。 一には↓*往相、 二には↓*還相なり。
迴向有↢二種相↡。一者往相、二者還相。
・ 往還回向 ・ 往相
▼「↑往相」 とは、 おのが功徳をもつて*一切衆生に回施して、 ともにかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せんと作願するなり。
一切…作願するなり 親鸞聖人は 「一切衆生に回施したまひて、 作願してともにかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せしめたまふなり」 (信文類訓) と読まれた。
往相者、以↢己功徳↡*迴↢施一切衆生↡、作願共往↢生彼阿弥陀如来安楽浄土↡。
迴施… 返り点は聖教全書まま。 書き下し文 「一切…」 の註に符合。
・ 往還回向 ・ 還相
▼「↑還相」 とは、 かの土に生じをはりて、 奢摩他・毘婆舎那を得、 方便力成就すれば、 生死の*稠林に回入して一切衆生を教化して、 ともに仏道に*向かふなり。
稠林 深くしげった林。 迷いの世界を深い林に喩えていう。
向かふなり 親鸞聖人は 「向かへしむるなり」 (加点本訓)、 「向らしめたまふなり」 (信文類訓) などと読まれた。
還相者、生↢彼土↡已、得↢奢摩他婆舎那方便力成就↡、迴↢入生死稠林↡、教↢化一切衆生↡、共向↢仏道↡。
▼もしは往、 もしは還、 みな衆生を抜きて生死海を渡せんがためなり。 このゆゑに 「↑回向を首となす。 大悲心を成就することを得んとするがゆゑなり」 といへり。
若往若還、皆為↧抜↢衆生↡渡↦生死海↥。是故言↢「迴向為首得成就大悲心故」↡。
◎解義分 ○観察体相章
【57】*観察体相とは、 この分のなかに二の体あり。 一には*器体、 二には*衆生体なり。
観察体相 観察の対象となる浄土、 仏および菩薩の荘厳相を明かす。
観察躰相者、此分中有↢二躰↡。一者器躰、二者衆生躰。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間
器の分のなかにまた三重あり。 一には国土の*体相。 二には*自利*利他を示現す。 三には*第一義諦に入るなり。
体相 体はものがらの意。 観の対境となる荘厳相のこと。
器分中又有↢三重↡。一者国土躰相、二者示↢現自利利他↡、三者入↢第一義諦↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相
【58】国土の体相とは、
▲いかんがかの仏国土の荘厳功徳を観察する。 ▼かの仏国土の荘厳功徳は↓不可思議力を成就せるがゆゑなり。 ↓かの*摩尼如意宝の性のごときに↓相似相対の法なるがゆゑなり。
摩尼如意宝 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写。 摩尼宝珠に同じ。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 禍を去る徳をもつともいう。
国土躰相者、
云何観↢察彼仏国土荘厳功徳↡。彼仏国土荘厳功徳者、成↢就不可思議力↡故。*如↢彼摩尼如意寳性相似相対法↡故。
如ab 返り点は聖教全書まま。 「aのbなるがごとき」
▼「↑不可思議力」 とは、 総じてかの仏国土の十七種の荘厳功徳力の、 思議することを得べからざるを指すなり。 ▼諸経に統べてのたまはく、 *五種の不可思議あり。 一には衆生多少不可思議、 二には業力不可思議、 三には竜力不可思議、 四には禅定力不可思議、 五には仏法力不可思議なり。 ▼このなかの仏土不可思議に二種の力あり。 一には業力、 いはく、 *法蔵菩薩の出世の善根、 *大願業力の所成なり。 二には正覚の*阿弥陀法王善住持力の所摂なり。 この不可思議は下の十七種のごとし。 一々の相みな不可思議なり。 文に至りてまさに釈すべし。
阿弥陀法王善住持力 阿弥陀仏の浄土をよくささえたもつはたらき。
「不可思議力」者、惣指↢彼仏国土十七種荘厳功徳力不↟可↠得↢思議↡也。諸経統言。有↢五種不可思議↡。一者衆生多少不可思議、二者業力不可思議、三者竜力不可思議、四者禅定力不可思議、五者仏法力不可思議。此中仏土不可思議有↢二種力↡。一者業力、謂法蔵菩薩出世善根、大願業力所成。二者正覚阿弥陀法王善住持力所↠摂。此不可思議如↢下十七種↡、一一相皆不可思議。至↠文当↠釈。
「↑かの摩尼如意宝の性のごときに相似相対」 といふは、 かの摩尼如意宝の性を借りて、 安楽仏土の不可思議の性を示すなり。 諸仏*入涅槃の時、 方便力をもつて*砕身の舎利を留めてもつて衆生を福す。 衆生の福尽きぬれば、 この舎利変じて摩尼如意宝珠となる。 この珠は多く大海のなかにあり。 大竜王、 もつて首の飾りとなせり。 もし*転輪聖王世に出づるときは、 慈悲方便をもつてよくこの珠を得て、 *閻浮提において*大饒益をなす。 もし衣服・飲食・灯明・楽具、 意の所欲に随ひて種々の物を須ゐる時に、 王すなはち*潔斎して、 珠を長竿の頭に置きて願を発していはく、 「もしわれ実にこれ転輪王ならば、 願はくは宝珠、 かくのごとき物を雨らして、 もしは一里に遍し、 もしは十里、 もしは百里に、 わが心願に随へ」 と。 その時にすなはち、 虚空のなかにおいて種々の物を雨らして、 みな*所須に称ひて天下の一切の人の願を満足せしむ。 この宝性の力をもつてのゆゑなり。 かの安楽仏土もまたかくのごとし。 安楽の性、 種々に成就せるをもつてのゆゑなり。
砕身の舎利 舎利は梵語シャリーラ (śarīra) の音写。 仏の分骨を指していう。
大饒益 大きな利益。
潔斎 身心をつつしみきよめること。
所須に称ひて 必要に応じて。
「如↢彼摩尼如意寳性、相似相対↡」者、借↢彼摩尼如意寳性↡、示↢安楽仏土不可思議性↡也。諸仏入涅槃時、以↢方便力↡、畱↢砕身舎利↡、以福↢衆生↡。衆生福尽、此舎利変為↢摩尼如意寳珠↡。此珠多在↢大海中↡、大竜王以為↢首餝↡。若転輪聖王出↠世、以↢慈悲方便↡能得↢此珠↡、於↢閻浮提↡作↢大饒益↡。若須↧衣服・飲食・灯明・楽具、随↢意所欲↡種種物↥時、王便潔斎、置↣珠於↢長竿頭↡、発↠願言。若我実是転輪王者、願寳珠雨↢如↠此之物↡、若遍↢一里↡、若十里、若百里、随↢我心願↡。爾時即便於↢虚空中↡、雨↢種種物↡、皆称↢所須↡満↢足天下一切人願↡。以↢此寳性力↡故、彼安楽仏土亦如↠是、以↢安楽性種種成就↡故。
「↑相似相対」 とは、 かの宝珠の力、 衣食を求むるには、 よく衣食等の物を雨らして求むるものの意に称ふ。 これ求めざるにはあらず。 かの仏土はすなはちしからず。 性満足し成就せるがゆゑに、 乏少するところなし。 かの性を片取して喩へとなす。 ゆゑに相似相対といへり。 またかの宝は、 ただよく衆生に衣食等の願を与ふるも、 衆生に*無上道の願を与ふることあたはず。 またかの宝は、 ただよく衆生に一身の願を与ふるも、 衆生に*無量身の願を与ふることあたはず。 かくのごとき等の無量の差別あるがゆゑに相似といへり。
無量身の願 我身だけでなく、 一切の衆生を済度して浄土に往生させようと願う心。
「相似相対」者、彼寳珠力、求↢衣食↡者、能雨↢衣食等物↡称↢求者意↡、非↢是不↟求。彼仏土則不↠然、性満足成就故无↠所↢乏少↡。片取↢彼性↡為↠喩、故言↢相似相対↡。又彼寳、但能与↢衆生衣食等願↡、不↠能↠与↢衆生无上道願↡。又彼寳但能与↢衆生一身願↡、不↠能↠与↢衆生无量身願↡。有↢如↠是等无量差別↡故言↢相似↡。
・ 国土荘厳十七種
【59】 ▲かの仏国土の荘厳功徳成就を観察すとは十七種あり。 知るべし。 なんらか十七。 一には荘厳清浄功徳成就、 二には荘厳*量功徳成就、 三には荘厳性功徳成就、 四には荘厳形相功徳成就、 五には荘厳種々事功徳成就、 六には荘厳妙色功徳成就、 七には荘厳触功徳成就、 八には荘厳三種功徳成就、 九には荘厳雨功徳成就、 十には荘厳光明功徳成就、 十一には荘厳妙声功徳成就、 十二には荘厳主功徳成就、 十三には荘厳眷属功徳成就、 十四には荘厳受用功徳成就、 十五には荘厳無諸難功徳成就、 十六には荘厳大義門功徳成就、 十七には荘厳一切所求満足功徳成就なり。
量 ¬浄土論¼ (底本) には 「無量」 とある。
観↢察彼仏国土荘厳功徳成就↡者、有↢十七種↡、応↠知。何等十七。一者荘厳清浄功徳成就、二者荘厳量功徳成就、三者荘厳性功徳成就、四者荘厳形相功徳成就、五者荘厳種種事功徳成就、六者荘厳妙色功徳成就、七者荘厳触功徳成就、八者荘厳三種功徳成就、九者荘厳雨功徳成就、十者荘厳光明功徳成就、十一者荘厳妙声功徳成就、十二者荘厳主功徳成就、十三者荘厳眷属功徳成就、十四者荘厳受用功徳成就、十五者荘厳无諸難功徳成就、十六者荘厳大義門功徳成就、十七者荘厳一切所求満足功徳成就。
先づ*章門を挙げ、 次に続きて*提釈す。
章門 前に掲げた十七種の浄土の荘厳の分類を指す。
提釈 要をとって略して解釈すること。
先挙↢章門↡、次続提釈。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 1. 清浄功徳
【60】 ▲荘厳清浄功徳成就とは、 偈に 「観彼世界相 勝過三界道」 といへるがゆゑなり。
荘厳清浄功徳成就者、偈言↢観彼世界相勝過三界道↡故。
▼これいかんが不思議なる。 凡夫人ありて煩悩成就するもまたかの浄土に生ずることを得れば、 三界の*繋業、 *畢竟じて牽かず。 すなはちこれ▼煩悩を断ぜずして*涅槃分を得。 いづくんぞ思議すべきや。
涅槃分 涅槃の分斉。 さとりの境界のこと。 また涅槃の因分とする説もある。
此云何不思議、有↢凡夫人煩悩成就↡亦得↠生↢彼浄土↡、三界繋業畢竟不↠牽、則是不↠断↢煩悩↡得↢涅槃分↡、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 2. 量功徳
【61】 ▲荘厳*量功徳成就とは、 偈に 「究竟如虚空 広大無辺際」 といへるがゆゑなり。
荘厳量功徳成就者、偈言↢究竟如虚空広大无辺際↡故。
これいかんが不思議なる。 かの国の人天、 もし意に宮殿・*楼閣、 もしは広さ一由旬、 もしは百由旬、 もしは千由旬、〔その数〕千間、 万間ならんと欲すれば、 心に随ひて成ずるところなり。 人おのおのかくのごとし。
此云何不思議、彼国人天若意欲↢宮殿・楼閣、若広一由旬、若百由旬、若千由旬、千間万間↡、随↠心所↠成。人各如↠此。
また十方世界の衆生、 往生を願ずれば、 もしはすでに生れ、 もしはいま生れ、 もしはまさに生るべし。 一時一日のあひだをも*算数するに、 その多少を知ることあたはざるところなり。 ▼しかもかの世界つねに虚空のごとし。 *迫迮の相なし。 かしこのなかの衆生、 かくのごとき量のなかに住して、 志願広大にしてまた虚空のごとくして限量あることなからん。 かの国土の量、 よく衆生の*心行の量を成ず。 なんぞ思議すべきや。
迫迮 迫も迮も狭いという意。
又十方世界衆生、願↢往生↡者、若已生、若今生、若当生。一時一日之*頃、算数所↠不↠能↠知↢其多少↡。而彼世界常若↢虚空↡、无↢迫迮相↡。彼中衆生、住↢如↠此量中↡、志願広大、亦如↢虚空↡、无↠有↢限量↡。彼国土量、能成↢衆生心行量↡、何可↢思議↡。
頃 宗祖加点本、 鎌倉時代刊本では 項。 聖教全書では他書によって訂正されている。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 3. 性功徳
【62】 ▲荘厳性功徳成就とは、 偈に 「正道大慈悲 出世善根生」 といへるがゆゑなり。
荘厳性功徳成就者、偈言↢正道大慈悲出世善根生↡故。
これいかんが不思議なる。 たとへば*迦羅求羅虫の、 その形微小なれども、 もし大風を得れば身は大山のごとし。 風の大小に随ひておのが身相となすがごとし。 安楽に生ずる衆生もまたかくのごとし。 かの*正道の世界に生ずれば、 すなはち*出世の善根を成就して*正定聚に入ること、 またかの風の、 身にあらずして身なるがごとし。 いづくんぞ思議すべきや。
迦羅求羅虫 身は小さいが風を得ると大きくなり、 すべてをのみこむという虫。 ¬大智度論¼ に出る。
正道 平等の大道。 一如平等のさとり。
出世の善根 迷いの世間を超え出た煩悩のけがれのない善。
此云何不思議、譬如↧迦羅求羅虫其形微小、若得↢大風↡身如↢大山↡、随↢風大小↡為↦己身相↥。生↢安楽↡衆生亦復如↠是、生↢彼正道世界↡、即成↢就出世善根↡入↢正定聚↡、亦如↢彼風非↠身而身↡、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 4. 形相功徳
【63】 ▲荘厳形相功徳成就とは、 偈に 「浄光明満足 如鏡日月輪」 といへるがゆゑなり。
荘厳形相功徳成就者、偈言↢浄光明満足如鏡日月輪↡故。
これいかんが不思議なる。 それ*忍辱は*端正を得。 わが心の*影響なり。 一たびかしこに生ずることを得れば、 *瞋・忍の殊なりなし。 人天の*色像は平等妙絶なり。 けだし浄光の力なり。 かの光は*心行にあらずして心行の事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
影響 うつりあらわれたすがた。
色像 容姿。 すがたかたち。
此云何不思議、夫忍辱得↢端正↡、我心影*嚮也。一得↠生↠彼无↢瞋忍之殊↡、人天色像平等妙絶、蓋浄光之力也。彼光非↢心行↡而為↢心行之事↡、焉可↢思議↡。
嚮 聖教全書まま。 註なし。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 5. 種々事功徳
【64】 ▲荘厳種々事功徳成就とは、 偈に 「備諸珍宝性 具足妙荘厳」 といへるがゆゑなり。
荘厳種種事功徳成就者、偈言↢備諸珍寳性具足妙荘厳↡故。
これいかんが不思議なる。 かの種々の事、 あるいは一宝・十宝・百千種宝、 心に随ひ意に称ひて具足せざるはなし。 もしなからしめんと欲すれば、 *儵焉として*化没す。 心に自在を得ること*神通に踰えたることあり。 いづくんぞ思議すべきや。
儵焉 たちまち。 ただちに。
化没 消え去ること。
此云何不思議、彼種種事、或一寳・十寳・百千種寳、随↠心称↠意无↠不↢具足↡、若欲↠*令↠无↢儵焉化没↡、心得↢自在↡有↠踰↢神通↡、安可↢思議↡。
令无儵焉化没 返り点は聖教全書まま。 「儵焉に化没无ら令(めむと)」
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 6. 妙色功徳
【65】 ▲荘厳妙色功徳成就とは、 偈に 「無垢光炎熾 明浄曜世間」 といへるがゆゑなり。
荘厳妙色功徳成就者、偈言↢无垢光炎熾明浄曜世間↡故。
これいかんが不思議なる。 その光、 *事を曜かすにすなはち表裏を*映徹す。 その光、 心を曜かすにすなはちつひに無明を尽す。 光、 *仏事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
事 事物。
此云何不思議、其光曜↠事則暎↢徹表裏↡、其光曜↠心則終尽↢无明↡、光為↢仏事↡、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 7. 触功徳
【66】 ▲荘厳触功徳成就とは、 偈に 「宝性功徳草 柔軟左右旋 触者生勝楽 過迦旃隣陀」 といへるがゆゑなり。
荘厳触功徳成就者、偈言↢寳性功徳草柔*左右旋触者生勝楽過迦旃隣陀↡故。
他本では 軟。 なお、 ¬浄土論¼ の原漢文は 「」。
これいかんが不思議なる。 それ宝の例は堅強なり。 しかるにこれは柔軟なり。 *触の楽は着すべし。 しかるにこれは*道を増す。 事は↓愛作に同じ。 なんぞ思議すべきや。
触の楽 接触による快楽。
道を増す 仏道に向かう心を増進させる。
此云何不思議、夫寳例堅強而此柔軟、触楽応↠著而此増↠道、事同↢愛作↡、何可↢思議↡。
菩薩あり、 ↑愛作と字く。 *形容端正にして人の*染着を生ず。 ¬経¼ (宝積経・意) にのたまはく、 「これに染するものは、 あるいは天上に生じ、 あるいは*菩提心を発す」 と。
形容端正 すがたかたちがうるわしいこと。
染着 執着のこと。 心が対象に染みついて離れないこと。
有↢菩薩↡字↢愛作↡、形容端正生↢人染著↡。¬経¼言。「染↠之者或生↢天上↡或発↢菩提心↡。」
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8. 三種功徳
【67】 ▲荘厳三種功徳成就とは、 三種の事あり。 知るべし。 なんらか三種。 一には水、 二には地、 三には虚空なり。
荘厳三種功徳成就者、有↢三種事↡。応↠知、何等三種。一者水、二者地、三者虚空。
この三種せていふ所以は、 同類なるをもつてのゆゑなり。 なにをもつてかこれをいふとなれば、 一には六大の類なり。 いはゆる虚空と識と地と水と火と風となり。 二には*無分別の類なり。 いはゆる地・水・火・風・虚空なり。 ただ三類といふは、 識の一大は*衆生世間に属するがゆゑに、 火の一大はかしこのなかになきがゆゑに、 風ありといへども風は見るべからざるがゆゑに、 住処なきがゆゑなり。 ここをもつて六大・*五類のなかに、 ありて荘厳すべきを取りて、 三種せてこれをいふ。
無分別の類 分別の意識のないもの。
五類 地・水・火・風・空。 五大ともいう。
此三種所↢以并言↡者、以↢同類↡故也。何以言↠之、一者六大類、所↠謂虚空・識・地・水・火・風。二者无分別類、所↠謂地・水・火・風・虚空。但言↢三類↡者、識一大属↢衆生世間↡故、火一大彼中无故、雖↠有↠風風不↠可↠見故、无↢住処↡故、是以六大五類中取↠有而可↢荘厳↡、三種并言↠之。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8-1. 水功徳
【68】 ▲荘厳水功徳成就とは、 偈に 「宝華千万種 弥覆池流泉 微風動華葉 交錯光乱転」 といへるがゆゑなり。
荘厳水功徳成就者、偈言↢寳花千万種弥覆池流泉微風動花葉交錯光亂転↡故。
これいかんが不思議なる。 かの浄土の人天は*水穀の身にあらず。 なんぞ水を須ゐるや。 清浄成就して洗濯を須ゐず。 またなんぞ水を用ゐるや。 かしこのなかには*四時なし。 つねに*調適にして熱に煩はず。 またなんぞ水を須ゐるや。 須ゐずして有なることは、 まさに所以あるべし。
水穀の身 水を飲み穀物を食べて生きる身。
四時 春夏秋冬の四季。
調適 気候がととのって適当であること。
此云何不思議、彼浄土人天非↢水*身↡、何須↠水耶。清浄成就不↠須↢洗濯↡、復何用↠水耶。彼中无↢四時↡、常調適不↠煩↠熱、復何須↠水耶。不↠須而有当↠有所以。
本派本願寺蔵版、 大派依用十行本では穀。
¬経¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲かのもろもろの菩薩および声聞、 もし宝池に入りて、 意に水をして足を没さしめんと欲すれば、 水すなはち足を没す。 膝に至らしめんと欲すれば、 水すなはち膝に至る。 腰に至らしめんと欲すれば、 水すなはち腰に至る。 頚に至らしめんと欲すれば、 水すなはち頚に至る。 身に潅がしめんと欲すれば、 自然に身に潅ぐ。 還復せしめんと欲すれば、 水すなはち還復す。 *調和冷煖にして自然に意に随ひて、 *神を開き体を悦ばしむ。 *心垢を*蕩除し、 清明*澄潔にして浄きこと形なきがごとし。〔池底の〕宝沙映徹して深きをも照らさざることなし。 *微瀾回流してうたたあひ*潅注す。 *安詳として*やうやく逝きて、 遅からず疾からず。 ▲波は無量自然の妙声を揚ぐ。 その*所応に随ひて聞かざるものなし。 あるいは仏の声を聞き、 あるいは法の声を聞き、 あるいは僧の声を聞き、 あるいは*寂静の声、 *空・*無我の声、 大慈悲の声、 *波羅蜜の声を聞き、 あるいは*十力・*無畏・*不共法の声、 *諸通慧の声、 無所作の声、 不起滅の声、 *無生忍の声、 乃至、 *甘露潅頂、 もろもろの妙法の声を聞く。 かくのごとき等の声は、 その所聞に称ひて歓喜無量なり。〔聞くひとは〕清浄・離欲・寂滅・真実の義に随順し、 三宝・ˆ十〕力・無所畏・*不共の法に随順す。 通慧の菩薩・声聞の所行の道に随順す。 ▲三塗苦難の名あることなし。 ただ自然快楽の音のみあり。 このゆゑにその国を名づけて安楽といふ」 と。
調和冷煖 冷たさと暖かさがよく調和していること。
心垢 煩悩のけがれ。
蕩除 洗いのぞくこと。
澄潔 すみわたってきよらかなさま。
微瀾回流 微瀾はさざ波のこと。 さざ波がめぐり流れること。
灌注 そそぐこと。
安詳 ゆったりと静かなさま。
所応 おもいのぞむところ。
寂静の声 さとりの法を説く声。
諸通慧の声 さまざまな神通智慧を説く声。
甘露灌頂 十地の菩薩のこと。 仏が甘露の法水をその菩薩の頂に
灌ぐことからいう。 →
十地、
菩薩
¬経¼言。「彼諸菩薩及声聞、若入↢寳池↡、意欲↠令↢水没↟足水即没↠足、欲↠令↠至↠膝水即至↠膝、欲↠令↠至↠腰水即至↠腰、欲↠令↠至↠頚水即至↠頚、欲↠令↠潅↠身自然潅↠身、欲↠令↢還復↡水輒還復。調和冷煖、自然随↠意開↠神悦↠躰、蕩↢除心垢↡、清明澄潔浄若↠无↠形。寳沙暎徹无↢深不↟照、微瀾迴流転相潅注。安詳徐逝不↠遅不↠疾、波揚无量。自然妙声、随↢其所応↡莫↢不↠聞者↡。或聞↢仏声↡、或聞↢法声↡、或聞↢僧声↡、或聞↢寂静声・空无我声・大慈悲声・波羅蜜声↡、或聞↢十力・无畏・不共法声・諸通恵声・无所作声・不起滅声・无生忍声、乃至甘露・潅頂、衆妙法声↡。如↠是等声、称↢其所聞↡歓喜无量。随↢順清浄・離欲・寂滅・真実之義↡、随↢順三寳・力・无所畏・不共之法↡、随↢順通慧菩薩・声聞所行之道↡。无↠有↢三塗苦難之名↡、但有↢自然快楽之音↡、是故其国名曰↢安楽↡。」
この水、 *仏事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
此水為↢仏事↡、安可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8-2. 地功徳
【69】 ▲荘厳地功徳成就とは、 偈に 「宮殿諸楼閣 観十方無礙 雑樹異光色 宝欄遍囲繞」 といへるがゆゑなり。
荘厳地功徳成就者、偈言↢宮殿諸楼閣観十方无雑樹異光色寳*蘭遍囲遶↡故。
蘭 寛永年間刊本・本願寺本・大派依用本では 欄。
これいかんが不思議なる。 かの種々の事、 あるいは一宝・十宝・百宝・無量宝、 心に随ひ意に称ひて荘厳具足せり。 この荘厳の事は、 浄明鏡のごとく、 十方国土の浄穢の諸相、 *善悪の業縁、 一切ことごとく現ず。 かしこのなかの人天、 この事を見るがゆゑに、 *探湯不及の情自然に成就す。 またもろもろの大菩薩、 法性等を照らす宝をもつて冠となせば、 この宝冠のなかにみな諸仏を見たてまつり、 また一切諸法の性を了達するがごとし。
善悪の業縁 善悪の行為によって、 苦楽の果報を得ること。
探湯不及の情 悪をさけ善を求めるこころ。 悪を見れば熱湯に手を入れてすぐひっこめるようにこれをさけ、 善を見れば及ばずとも求めたいと思うこと。 もと ¬論語¼ 季氏篇に出る。
此云何不思議、彼種種事、或一寳・十寳・百寳・无量寳、随↠心称↠意荘↢厳具↣足*此荘厳事↡。如↢浄明鏡↡十方国土浄穢諸相、善悪業縁、一切悉現↢彼中*人天↡。見↢斯事↡故*称揚不↠及之情自然成就。亦如↧諸大菩薩、*以照↢法性等寳↡為↠冠、此寳冠中皆見↢諸仏↡、又了↦達一切諸法之性↥。
此荘厳事 句点・返り点は聖教全書まま。
人天 句点・返り点は聖教全書まま。
称揚 他本では 「探湯」。
以照ab 句点・返り点は聖教全書まま。 「以てaのbを照らして」
また仏、 ¬法華経¼ を説きたまひし時、 眉間の光を放ちて東方万八千土を照らすにみな金色のごとく、 *阿鼻獄より上は*有頂に至るまで、 もろもろの世界のなかの*六道の衆生の生死の趣くところ、 善悪の業縁、 受報の好醜、 ここにことごとく見るがごとし。 けだしこの類なり。
又如↧仏説↢¬法華経¼↡時、放↢眉間光↡、照↠于↢東方万八千土↡、皆如↢金色↡、従↢阿鼻獄↡上至↢有頂↡、諸世界中六道衆生生死所趣、善悪業縁、受報好醜、於↠此悉見↥。蓋斯類也。
この*影、 仏事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
影 極楽の荘厳にうつしだされる十方世界のすがた。
此影為↢仏事↡、安可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 8-3. 虚空功徳
【70】 ▲荘厳虚空功徳成就とは、 偈に 「無量宝交絡 羅網遍虚空 種種鈴発響 宣吐妙法音」 といへるがゆゑなり。
荘厳虚空功徳成就者、偈言↢无量寳交絡羅網遍虚空種種鈴発響宣吐妙法音↡故。
これいかんが不思議なる。 ¬経¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲無量の*宝網、 仏土に*弥覆し、 みな*金縷、 真珠、 百千の雑宝の奇妙珍異なるをもつて荘厳し*校飾して、 四面に*周帀せり。 垂るるに宝鈴をもつてす。 光色*晃耀してことごとくきはめて厳麗なり。 自然の徳風*やうやく起りて微動す。 その風、 調和にして寒からず暑からず。 温涼柔軟にして遅からず疾からず。 もろもろの*羅網およびもろもろの宝樹を吹きて、 無量の*微妙の法音を演発し、 万種の*温雅の徳香を流布す。 ▲それ聞ぐことあるものは、 *塵労の垢習自然に起らず。 風その身に触るるにみな快楽を得」 と。
宝網 宝珠をつらねた飾りあみ。
金縷 金の糸。
校飾 宝をまじえて飾りたてること。
周帀 めぐっていること。
晃耀して 盛んに輝いて。
微妙 はかりしれないほど奥深くすばらしいこと。
温雅 おだやかで上品なこと。
塵労の垢習 塵労は煩悩、 垢習はその習気 (潜在的余力、 なごり) をいう。 煩悩のけがれのなごり。
此云何不思議、¬経¼言。「无量寳網弥↢覆仏土↡、皆以↢金縷・真珠百千雑寳、奇妙珍異↡荘厳挍餝周↢*匝四面↡、垂以↢寳鈴↡、光色晃耀尽極厳麗。自然徳風徐起微動、其風調和不↠寒不↠暑、温涼柔軟不↠遅不↠疾、吹↢諸羅網及衆寳樹↡演↢発无量微妙法音↡、流↢布万種温雅徳香↡。其有↠聞者、塵労垢習自然不↠起、風触↢其身↡皆得↢快楽↡。」
匝 聖教全書まま。 註なし。
この声、 仏事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
此声為↢仏事↡、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 9. 雨功徳
【71】 ▲荘厳雨功徳成就とは、 偈に 「雨華衣荘厳 無量香普薫」 といへるがゆゑなり。
荘厳雨功徳成就者、偈言↢雨花衣荘厳无量香普*勲↡故。
勲 寛永年間刊本、 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本では 薫。
これいかんが不思議なる。 ¬経¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲風吹きて華を散らしてあまねく仏土に満つ。 色の次第に随ひて雑乱せず。 柔軟光沢にして*馨香芬烈なり。 足その上を履むに蹈み下ること四寸、 足を挙げをはるに随ひて、 還復すること故のごとし。 華用ゐること已訖りぬれば、 地はすなはち開裂して、 *次いでをもつて化没し、 清浄にして遺りなし。 その時節に随ひて、 風吹きて華を散ずること、 かくのごとく六反す。 ▲また衆宝の蓮華、 世界に周遍せり。 一々の宝華に百千億の*葉あり。 その葉の光明、 無量種の色なり。 青き色には青き光、 白き色には白き光、 玄・黄・朱・紫の光色もまたしかなり。 *煒燁煥爛として日月よりも明曜なり。 一々の華のなかより三十六百千億の光を出す。 一々の光のなかより三十六百千億の仏を出す。 身の色は紫金にして相好は殊特なり。 一々の諸仏また百千の光明を放ちて、 あまねく十方のために*微妙の法を説く。 かくのごとき諸仏、 おのおの無量の衆生を仏の*正道に安立せしめたまふ」 と。
馨香芬烈 香気をつよく放っていること。
次いでをもつて… 順序正しく華が消え去り。
葉 はなびら。
煒燁煥爛 さかんにかがやいているさま。
微妙 奥深くすばらしいこと。
正道 平等の大道。 一如平等のさとり。
此云何不思議、¬経¼言。「風吹散↠花遍満↢仏土↡、随↢色次第↡而不↢雑亂↡、柔軟光沢馨香芬烈。足履↢其上↡、蹈下四寸随↢挙↠足已↡還復如↠故、花用已訖地輙開裂以↠次化没、清浄无↠遺、随↢其時節↡風吹散↠花如↠是六反。又衆寳蓮花周↢遍世界↡、一一寳花百千億葉、其葉光明无量種色、青色青光、白色白光、玄・黄・朱・紫光色亦然、煒燁煥爛明↢曜日月↡。一一花中出↢三十六百千億光↡、一一光中出↢三十六百千億仏↡。身色紫金相好殊特、一一諸仏又放↢百千光明↡、普為↢十方↡説↢微妙法↡。如↠是諸仏各各安↣立无量衆生於↢仏正道↡。」
華、 *仏事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
花為↢仏事↡、安可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 10. 光明功徳
【72】 ▲荘厳光明功徳成就とは、 偈に 「仏慧明浄日 除世痴闇冥」 といへるがゆゑなり。
荘厳光明功徳成就者、偈言↢仏恵明浄日除世痴闇冥↡故。
これいかんが不思議なる。 かの土の光明は、 如来の智慧の報より起れり。 これに触るれば、 無明の黒闇つひにかならず消除す。 光明は慧にあらずしてよく慧の用をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
此云何不思議、彼土光明従↢如来智慧報↡起。触↠之者无明黒闇終必消除、光明非↠慧能為↢慧用↡、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 11. 妙声功徳
【73】 ▲荘厳妙声功徳成就とは、 偈に 「梵声悟深遠 微妙聞十方」 といへるがゆゑなり。
荘厳妙声功徳成就者、偈言↢梵声悟深遠微妙聞十方↡故。
▼これいかんが不思議なる。 ▼*経にのたまはく、 「▲もし人、 ただかの国土の清浄安楽なるを聞きて、 *剋念して生ぜんと願ずれば、 また往生を得て、 すなはち*正定聚に入る」 と。
経 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬平等覚経¼ ¬大阿弥陀経¼ 等の取意の文。
剋念…往生を得て 親鸞聖人は 「剋念して生ぜんと願ぜんものと、 また往生を得るものとは」 (加点本訓) と読まれ、 現生正定聚の意を示された。
此云何不思議、¬経¼言。「若人但聞↢彼国土清浄安楽↡*尅念願↠生、亦得↢往生↡*即入↢正定聚↡。
尅 聖教全書まま。 註なし。
即 他書では 「則」。
▼これはこれ国土の名字、 仏事をなす。 いづくんぞ思議すべきや。
此是国土名字為↢仏事↡、安可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 12. 主功徳
【74】 ▲荘厳主功徳成就とは、 偈に 「正覚阿弥陀 法王善住持」 といへるがゆゑなり。
荘厳主功徳成就者、偈言↢正覚阿弥陀法王善住持↡故。
▲これいかんが不思議なる。 正覚の阿弥陀不思議にまします。 かの安楽浄土は、 正覚の阿弥陀の善力のために*住持せられたり。 いかんが思議することを得べきや。
此云何不思議、正覚阿弥陀不思議、彼安楽浄土為↢正覚阿弥陀善力↡住持、云何可↠得↢思議↡耶。
▲「住」 は不異不滅に名づく。 「持」 は不散不失に名づく。 *不朽薬をもつて種子に塗りて、 水に在くに*瀾れず。 火に在くに燋れず。 因縁を得てすなはち生ずるがごとし。 なにをもつてのゆゑに。 不朽薬の力なるがゆゑなり。 もし人、 一たび安楽浄土に生ずれば、 後の時に、 意に三界に生じて衆生を教化せんと願じて、 浄土の命を捨てて、 願に随ひて生ずることを得て、 三界*雑生の火のなかに生ずといへども、 *無上菩提の種子は*畢竟じて朽ちず。 なにをもつてのゆゑに。 正覚の阿弥陀の*善住持を経るをもつてのゆゑなり。
不朽薬 ものを朽ちさせない薬。
瀾れず くさらない。
雑生 さまざまな迷いの行為によって、 さまざまな生れ方をしている境界。
善住持 浄土をよくささえたもつはたらき。
「住」名↢不異不滅↡、「持」名↢不散不失↡。如↧以↢不朽薬↡塗↢種子↡在↠水不↠瀾在↠火不↠燋、得↢因縁↡*即生↥。何以故、不朽薬力故。若人一生↢安楽浄土↡、後時意願↧生↢三界↡教↦化衆生↥、捨↢浄土命↡随↠願得↠生雖↠生↢三界雑生火中↡、无上菩提種子、畢竟不↠朽。何以故、以↠逕↢正覚阿弥陀善住持↡故。
即 宗祖加点本、 鎌倉時代刊本を除く他書では 「則」。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 13. 眷属功徳
【75】 ▲荘厳眷属功徳成就とは、 偈に 「如来浄華衆 正覚華化生」 といへるがゆゑなり。
荘厳眷属功徳成就者、偈言↢如来浄花衆正覚花化生↡故。
▲これいかんが不思議なる。 ▼おほよそこれ雑生の世界には、 *もしは胎、 もしは卵、 もしは湿、 もしは化、 *眷属そこばくなり。 苦楽*万品なり。 *雑業をもつてのゆゑなり。 ▼かの安楽国土はこれ阿弥陀如来正覚浄華の*化生するところにあらざるはなし。 ▼同一に念仏して別の道なきがゆゑなり。 ▼遠く通ずるにそれ*四海のうちみな兄弟たり。〔浄土の〕眷属無量なり。 いづくんぞ思議すべきや。
万品 さまざまなありさま。 千差万別。
雑業 さまざまな迷いの行為。
此云何不思議、凡是雑生世界、若胎若卵、若湿若化、眷属若干。苦楽万品、以↢雑業↡故。彼安楽国土莫↠非↣是阿弥陀如来正覚浄花之所↢化生↡。同一念仏无↢別道↡故、遠通夫四海之内皆為↢兄弟↡也。眷属无量、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 14. 受用功徳
【76】 ▲荘厳受用功徳成就とは、 偈に 「愛楽仏法味 禅三昧為食」 といへるがゆゑなり。
荘厳受用功徳成就者、偈言↢愛楽仏法味禅三昧為食↡故。
これいかんが不思議なる。 食せずして命を資く。 けだし資くるところ以あるなり。 あにこれ如来、 *本願を満てたまへるにあらずや。 仏願に乗ずるをわが命となす。 いづくんぞ思議すべきや。
此云何不思議、不↠食而資↠命、蓋所資有↠以也。豈不↣是如来満↢本願↡乎、乗↢仏願↡為↢我命↡、焉可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 15. 無諸難功徳
【77】 ▲荘厳無諸難功徳成就とは、 偈に 「永離身心悩 受楽常無間」 といへるがゆゑなり。
荘厳無諸難功徳成就者、偈言↢永離身心悩受楽常无間↡故。
これいかんが不思議なる。 *経にのたまはく、 「身を*苦器となし、 心を*悩端となす」 と。 しかるにかしこに身あり心ありて、 楽を受くること間なし。 いづくんぞ思議すべきや。
経 引用は ¬法句譬喩経¼ ¬出曜経¼ 等の取意の文。
苦器 苦しみの容器。
悩端 悩みのはじめ、 糸口。
此云何不思議、¬経¼言。身為↢苦器↡、心為↢悩端↡。而彼有↠身有↠心而受↠楽无↠間、安可↢思議↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 16. 大義門功徳
【78】 ▲荘厳大義門功徳成就とは、 偈に 「大乗善根界 等無譏嫌名 *女人及根欠 ▼二乗種不生」 といへるがゆゑなり。
荘厳大義門功徳成就者、偈言↢大乗善根界等无譏嫌名女人及根欠二乗種不生↡故。
▲浄土の果報は二種の*譏過を離れたり、 知るべし。 一には体、 二には名なり。
譏過 ¬浄土論¼ (底本) には 「譏嫌過」 とある。
浄土果報離↢二種譏*嫌↡、応↠知。一者躰、二者名。
嫌 宗祖加点本を除く他書では 「過」。
・ 体
▲体に三種あり。 一には二乗人、 二には女人、 三には諸根不具人なり。 この三の過なし。 ゆゑに体の*譏嫌を離ると名づく。
譏嫌 そしりきらうこと。
躰有↢三種↡。一者二乗人、二者女人、三者諸根不具人。無↢此三過↡、故名↢離躰譏嫌↡。
・ 名
▲名にまた三種あり。 ただ三の体なきのみにあらず、 乃至二乗と女人と諸根不具の三種の名を聞かず。 ゆゑに名の譏嫌を離ると名づく。 「等」 とは平等一相のゆゑなり。
名亦有↢三種↡、非↣但無↢三躰↡、乃至不↠聞↢二乗女人諸根不具三種名↡、故名↢離名譏嫌↡。等者平等一相故。
これいかんが不思議なる。 それ*諸天の器をともにすれども、 飯に随福の色あり。 ▼*足の指、 地を按ずるにすなはち金礫の旨を詳らかにす。 しかるに▼往生を願ずるもの、 本はすなはち*三三の品なれども、 いまは一二の殊なりなし。 ▼また*淄・澠の一味なるがごとし。 いづくんぞ思議すべきや。
諸天の器を… 六欲天等の天界では、 同じ器に同じ食物を盛っても、 食するものの福徳の因縁によって色が変化するという。 もと ¬維摩経¼ に出る。
足の指… 不浄な心をもつものには瓦礫にしか見えない世界も、 仏眼をもって見れば黄金の世界であることを、 釈尊が足の指で地をおさえて見せられたこと。 もと ¬維摩経¼ に出る。
此云何不*可思議、夫諸天共器飯有↢随福之色↡、足指按↠地乃詳↢金礫之旨↡。而願↢往生↡者、本則三三之品、今无↢一二之殊↡、亦如↢*溜澠食*石陵反一味↡、焉可↢思議↡。
可 他書では脱落。
溜 他書では 淄。
石 他書では脱落。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 1 国土体相 17. 一切所求満足功徳
【79】 ▲荘厳一切所求満足功徳成就とは、 偈に 「衆生所願楽 一切能満足」 といへるがゆゑなり。
荘厳一切所求満足功徳成就者、偈言↢衆生所願楽一切能満足↡故。
これいかんが不思議なる。 かの国の人天、 もし他方世界の無量の*仏刹に往きて諸仏・菩薩を供養せんと欲願せんに、 *所須の供養の具に及ぶまで、 願に称はざるはなからん。 またかしこの寿命を捨てて余国に向かひて、 生じて*修短自在ならんと欲せんに、 願に随ひてみな得。 いまだ*自在の位に階はずして、 自在の用に同じからん。 いづくんぞ思議すべきや。
所須の供養の具 供養に必要な品。
修短 長短。 ここでは寿命の長短のこと。
此云何不思議、彼国人天若欲↧願往↢他方世界无量仏刹↡供↦養諸仏・菩薩↥、*及所須供養之具无↠不↠称↠願。又欲↧捨↢彼寿命↡向↢余国↡生*偱短自在↥、随↠願皆得。未↠階↢自在之位↡而同↢自在之用↡、焉可↢思議↡。
及a 返り点は聖教全書まま。 「及びa」
偱 鎌倉時代刊本では 修、 他の校訂本では 脩。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 2 示現二利
【80】▼自利利他を示現すとは、
▲↓略してかの阿弥陀仏国土の十七種荘厳功徳成就を説く。 如来の自身利益大功徳力成就と、 利益他功徳成就とを示現せんがゆゑなり。
示↢現自利利他↡者、
略説↢彼阿弥陀仏国土十七種荘厳功徳成就↡、示↢現如来自身利益大功徳力成就、利益他功徳成就↡故。
▼「↑略」 といふは、 かの浄土の功徳は無量にして、 ただ十七種のみにあらざることを彰すなり。 それ須弥の芥子に入り、 毛孔の大海を納む。 あに山海の*神ならんや。 毛芥の力ならんや。 能神のひとの神なるのみ。 このゆゑに十七種は利他といふといへども、 自利の義*炳然たり、 知るべし。
神 不思議な力。
炳然 明らかであること。
言↠「略」者、彰↣彼浄土功徳无量非↢唯十七種↡也。夫須弥之入↢芥子↡毛孔之納↢大海↡、豈山海之神乎、毛芥之力乎、能神者神之耳。是故十七種雖↠曰↢利他↡、自利之義炳然、可↠知。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅰ 器世間 3 入第一義諦
【81】入第一義諦とは、
▲かの無量寿仏国土の荘厳は↓*第一義諦↓妙境界相なり。 十六句↓および一句次第して説けり、 知るべし。
入第一義諦者、
彼無量寿仏国土荘厳第一義諦妙境界相十六句及一句、次第説、応↠知。
「↑第一義諦」 とは*仏 (阿弥陀仏) の因縁法なり。 この 「諦」 はこれ*境の義なり。 このゆゑに荘厳等の*十六句を称して 「↑妙境界相」 となす。 この義、 ▽入一法句の文に至りてまさにさらに解釈すべし。
仏の因縁法 阿弥陀仏の願と行の因縁によって、 真如にかなって成就されたさとりの境界。
境 境は対境の意。 智慧によって観知される対象のこと。
十六句 第一の荘厳清浄功徳をのぞく荘厳量功徳などの十六の荘厳をいう。
「第一義諦」者、仏因縁法也。此諦是境義、是故荘厳等十六句称為↢「妙境界相」↡。此義至↢入*法句文↡当↢更解釈↡。
法句 他本では 「一法句」。
「↑および一句次第」 とは、 いはく、 *器浄等を観ずるなり。 *総別の十七句は観行の次第なり。 いかんが次を起す。 *建章に 「▲帰命無礙光如来願生安楽国」 といへり。
器浄 国土荘厳の清浄。
総別 国土荘厳十七種のうち、 第一の荘厳清浄功徳を総とし、 他の十六を別という。
建章 「願生偈」 の発端の章。
「及一句次第」者、謂観↢器浄等↡。惣別十七句、観行次第也。云何起↠次、建章言↢「帰命无光如来願生安楽国」↡。
・ 生何可尽
▼このなかに疑あり。 疑ひていはく、 「生」 は有の本、 *衆累の元たり。 生を棄てて生を願ず、 生なんぞ尽くべきと。 この疑を釈せんがために、 このゆゑにかの浄土の荘厳功徳成就を観ず。
衆累 さまざまなわずらい。
此中有↠疑、疑言生為↢有本衆累之元↡、棄↠生願↠生、生何可↠尽。為↠釈↢此疑↡、是故観↢彼浄土荘厳功徳成就↡。
・ 生即無生
▼かの浄土はこれ阿弥陀如来の清浄本願の*無生の生なり。 *三有虚妄の生のごときにはあらざることを明かすなり。 なにをもつてこれをいふとならば、 それ法性は清浄にして畢竟無生なり。 生といふはこれ得生のひとの情なるのみ。 生まことに無生なれば、 生なんぞ尽くるところあらん。 かの生を尽さば、 上は*無為能為の身を失し、 下は*三空不空の痼 廃なり。 病なり に 酔なり ひなん。 *根敗永く亡じて、 号び*三千を振はす。 *無反無復ここにおいて恥を招く。 *かの生の理を体する、 これを浄土といふ。 浄土の宅はいはゆる十七句これなり。
無為能為の身 無為にして
能く
為す身。 空理に達してしかも利他を行ずる仏身。 →
無為
三空不空の痼 空、 無相、 無願 (三空) の空理にとらわれることは、 真の空ではないこと (不空) をいう。 真空妙有を知らない小乗を批判したもの。
根敗 大乗の無上のさとりを求める心がすたれることを、 草木の根がくさることに喩えていうもの。
無反無復… 思いかえしてふたたび大乗のさとりをもとめる心をおこすことがないこと。 ¬註維摩経¼ に 「凡夫に反復の名あり、 二乗に根敗の恥あり」 などとあるのによるか。
かの生の理を体する 無生の生の道理を体得する境界が浄土であるという意。
*明、彼浄土是阿弥陀如来清浄本願无生之生、非↠如↢三有虚妄生↡也。何以言↠之、夫法性清浄畢竟无生、言↠生者是得生者之情耳。生苟无生、生何所↠尽、尽↢夫生↡者上失↢无為・能為之身↡、下↢酔亡善反三空・不空之痼↡。癈也病也工路反根敗永亡*↢振三千↡、无反无復於↠斯招↠恥。*躰夫生↠理、謂↢之浄土↡、浄土之宅所↠謂十七句是也。
明… 読点、 返り点は聖教全書まま。 「明らけし、 …」
号振a 返り点は聖教全書まま。 「aを号み振う」
躰夫生理 返り点は聖教全書まま。 「体それ理より生ず」
・ 観行次第
十七句のなかに、 総別二となす。 初めの句はこれ*総相なり。 いはゆるこれ清浄仏土は、 三界の道に過ぎたり。 かしこの、 三界に過ぐるにいかなる相かある。 下の十六種の荘厳功徳成就の相これなり。
総相 全体に通ずる普遍的な性質。
十七句中惣別為↠二。初句是惣相、所↠謂是清浄仏土、過↢三界道↡。彼過↢三界↡有↢何相↡、下十六種荘厳功徳成就相是也。
一には量、 究竟して虚空のごとし。 広大にして辺際なきがゆゑなり。
一者量究竟如↢虚空↡、広大无↢辺際↡故。
すでに量を知りぬ。 この量なにをもつてか本となす。 このゆゑに性を観ず。
既知↠量、此量以↠何為↠本、是故観↠性。
性はこれ本の義なり。 かの浄土は*正道の大慈悲、 *出世の善根より生ぜり。 すでに出世善根といへり。 この善根はなんらの相をか生ぜる。 このゆゑに次に荘厳形相を観ず。
正道 平等の大道。 一如平等のさとり。
出世の善根 迷いの世間を超え出た煩悩のけがれのない善。
性是本義、彼浄土従↢正道大慈悲出世善根↡生、既言↢出世善根↡、此善根生↢何等相↡、是故次観↢荘厳形相↡。
すでに形相を知りぬ。 よろしく形相はなんらの体なるかを知るべし。 このゆゑに次に種々の事を観ず。
既知↢形相↡、宜↠知↢形相何等躰↡、是故次観↢種種事↡。
すでに種々の事を知りぬ。 よろしく種々の事の妙色を知るべし。 このゆゑに次に妙色を観ず。
既知↢種種事↡、宜↠知↢種種事妙色↡、是故次観↢妙色↡。
すでに妙色を知りぬ。 この色いかなる触かある。 このゆゑに次に触を観ず。
既知↢妙色↡、此色有↢何触↡、是故次観↠触。
すでに身の触を知りぬ。 眼触を知るべし。 このゆゑに次に水・地・虚空の荘厳の三事を観ず。
既知↢身触↡、応↠知↢眼触↡、是故次観↢水・地・虚空荘厳三事↡。
すでに眼触を知りぬ。 鼻触を知るべし。 このゆゑに次に衣・華の香薫を観ず。
既知↢眼触↡、応↠知↢鼻触↡、是故次観↢衣・花・香薫↡。
すでに眼・鼻等の触を知りぬ。 すべからく染を離るることを知るべし。 このゆゑに次に*仏慧のあきらかに照らすを観ず。
仏慧 仏の智慧。
既知↢眼・鼻等触↡、須↠知↠離↠染、是故次観↢仏恵明照↡。
すでに慧光の浄力を知りぬ。 よろしく声名の遠近を知るべし。 このゆゑに次に*梵声の遠く聞ゆることを観ず。
梵声 仏のきよらかな声。
既知↢恵光浄力↡、宜↠知↢声名遠近↡、是故次観↢梵声遠聞↡。
すでに声名を知りぬ。 よろしくたれをか増上となすといふことを知るべし。 このゆゑに次に主を観ず。
既知↢声名↡、宜↠知↣誰為↢増上↡。是故次観↠主。
すでに主あるを知りぬ。 たれをか主の眷属となす。 このゆゑに次に眷属を観ず。
既知↠有↠主、誰為↢主眷属↡、是故次観↢眷属↡。
すでに眷属を知りぬ。 よろしくこの眷属はいかんが受用するといふことを知るべし。 このゆゑに次に受用を観ず。
既知↢眷属↡、宜↠知↢此眷属若為受用↡、是故次観↢受用↡。
すでに受用を知りぬ。 よろしくこの受用の有難無難を知るべし。 このゆゑに次に無諸難を観ず。
既知↢受用↡、宜↠知↢此受用有難・无難↡、是故次観↢无諸難↡。
すでに無諸難を知りぬ。 なんの義をもつてのゆゑに諸難なき。 このゆゑに次に大義門を観ず。
既知↢无諸難↡、以↢何義↡故无↢諸難↡、是故次観↢大義門↡。
すでに大義門を知りぬ。 よろしく大義門の満不満を知るべし。 このゆゑに次に所求満足を観ず。
既知↢大義門↡、宜↠知↢大義門満・不満↡、是故次観↢所求満足↡。
また次に、 この十七句はただ疑を釈するにあらず。 この十七種の荘厳成就を観ずれば、 よく真実の浄信を生じて、 必定してかの安楽仏土に生ずることを得。
復次此十七句非↢但釈↟疑、観↢此十七種荘厳成就↡、能生↢真実浄信↡、必定得↠生↢彼安楽仏土↡。
・ 実生願生
【82】▼問ひていはく、 上に、 生は無生なりと知るといふは、 まさにこれ*上品生のものなるべし。 もし下下品の人の、 十念に乗じて往生するは、 あに実の生を取るにあらずや。 ただ実の生を取らば、 すなはち二執に堕しなん。 一には、 おそらくは往生を得ざらん。 二には、 おそらくはさらに生ずとも*惑ひを生ぜん。
上品生 ¬観経¼ に説かれる九品往生のうち、上品上生、上品中生、上品下生のものをいう。 →
九品
惑ひ 実体的な消滅があるという惑い。
問曰。上言↠知↢生无生↡、当↢是上品生者↡。若下下品人乗↢十念↡往生、豈非↠取↢実生↡耶。但取↢実生↡即堕↢二執↡。一恐不↠得↢往生↡、二恐更生↢生惑↡。
答ふ。 ▼たとへば*浄摩尼珠を、 これを濁水に置けば、 水すなはち清浄なるがごとし。 もし人、 無量生死の罪濁にありといへども、 ▼かの阿弥陀如来の至極無生清浄の宝珠の名号を聞きて、 これを濁心に投ぐれば、 念々のうちに罪滅して心浄まり、 すなはち往生を得。
浄摩尼珠 摩尼宝珠のこと。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 禍を去る徳をもつともいう。
答。譬如↧浄摩尼珠置↢之濁水↡水即清浄↥。若人雖↠有↢无量生死罪濁↡、聞↢彼阿弥陀如来至極无生清浄寳珠名號↡投↢之濁心↡、念念之中罪滅心浄即得↢往生↡。
▼またこれ摩尼珠を玄黄の幣をもつて裹みて、 これを水に投ぐれば、 水すなはち玄黄にしてもつぱら物の色のごとくなり。 かの清浄仏土に阿弥陀如来無上の宝珠まします。 無量の荘厳功徳成就の帛をもつて裹みて、 これを往生するところのひとの心水に投ぐれば、 あに*生見を転じて*無生の智となすことあたはざらんや。
生見 実の生ありとする生にとらわれる心。
無生の智 不生不滅の理をさとる
智慧のこと。 →
無生
又*如↧浄摩尼珠以↢玄黄幣↡投↢之於↟水、水即玄黄一如↦物色↥。彼清浄仏土有↢阿弥陀如来无上寳珠↡、以↢无量荘厳功徳成就帛↡投↣之於↢所往生者心水↡、豈不↠能↧転↢生見↡為↦无生智↥乎。
如… 他本では 「是」。 また次の 「浄」 を欠く。 「…が如し」
・ 氷上燃火
▼また氷の上に火を燃くに、 火猛ければすなはち氷解く。 氷解くればすなはち火滅するがごとし。 かの下品の人、 法性無生を知らずといへども、 ただ仏名を称する力をもつて往生の意をなして、 かの土に生ぜんと願ずるに、 かの土はこれ無生の界なれば、 見生の火、 自然に滅するなり。
又如↢氷上燃↠火、火猛則氷解、氷解則火滅↡。彼下品人、雖↠不↠知↢法性无生↡、但以↧称↢仏名↡力↥作↢往生意↡願↠生↢彼土↡、彼土是无生界、見生之火自然而滅。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間
【83】*衆生体とは、 この分のなかに二重あり。 一には観仏、 二には観菩薩なり。
衆生躰者、此分中有↢二重↡。一者観仏、二者観菩薩。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏
【84】観仏とは、
▲いかんが仏の荘厳功徳成就を観ずる。 仏の荘厳功徳成就を観ずとは、 八種あり、 知るべし。
観仏者、
云何観↢仏荘厳功徳成就↡、観仏荘厳功徳成就者、有↢八種↡、応↠知。
この観の義はすでに前の偈に彰せり。
此観義已彰↢前偈↡。
・ 仏荘厳八種
【85】 ▲なんらか八種。 一には荘厳座功徳成就、 二には荘厳身業功徳成就、 三には荘厳口業功徳成就、 四には荘厳心業功徳成就、 五には荘厳*衆功徳成就、 六には荘厳上首功徳成就、 七には荘厳主功徳成就、 八には荘厳不虚作住持功徳成就なり。
衆 ¬浄土論¼ (底本) には 「大衆」 とある。
何等八種。一者荘厳座功徳成就、二者荘厳身業功徳成就、三者荘厳口業功徳成就、四者荘厳心業功徳成就、五者荘厳衆功徳成就、六者荘厳上首功徳成就、七者荘厳主功徳成就、八者荘厳不虚作住持功徳成就。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 1. 座功徳
【86】 ▲なんとなれば荘厳座功徳成就とは、 偈に 「無量大宝王 微妙浄華台」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳座功徳成就、偈言↢無量大寳王微妙浄花台↡故。
もし座を観ぜんと欲せば、 まさに▲¬観無量寿経¼ によるべし。
若欲↠観↠座当↠依↢¬観无量寿経¼↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 2. 身業功徳
【87】 ▲なんとなれば荘厳身業功徳成就とは、 偈に 「相好光一尋 色像超群生」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳身業功徳成就。偈言↢相好光一尋色像超群生↡故。
もし仏身を観ぜんと欲せば、 まさに▲¬観無量寿経¼ によるべし。
若欲↠観↢仏身↡当↠依↢¬観无量寿経¼↡。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 3. 口業功徳
▲なんとなれば荘厳口業功徳成就とは、 偈に 「如来微妙声 梵響聞十方」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳口業功徳成就、偈言↢如来微妙声梵響聞十方↡故。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 4. 心業功徳
▲なんとなれば荘厳心業功徳成就とは、 偈に 「同地水火風 虚空無分別」 といへるがゆゑなり。 「無分別」 とは分別の心なきがゆゑなり。
何者荘厳心業功徳成就、偈言↢同地・水・火・風・虚空无分別↡故。无分別者无↢分別心↡故。
・ 諸仏三業荘厳
▼*凡夫の衆生は身口意の*三業に罪を造るをもつて、 三界に輪転して窮まり巳むことあることなからん。 このゆゑに諸仏・菩薩は、 身口意の三業を荘厳して、 もつて衆生の*虚誑の三業を治するなり。
虚誑 うそ、 いつわり。
凡夫衆生、身口意三業、以造↠罪、輪↢転三界↡无↠有↢窮已↡。是故諸仏・菩薩、荘↢厳身口意三業↡用治↢衆生虚誑三業↡也。
・ 身業荘厳
いかんがもつて治す。 ▼衆生は*身見をもつてのゆゑに*三塗の身・卑賤の身・醜陋の身・*八難の身・*流転の身を受く。 かくのごとき等の衆生、 阿弥陀如来の相好光明の身を見たてまつれば、 上のごとき種々の身業の*繋縛、 みな解脱を得て、 如来の家に入りて*畢竟じて平等の身業を得。
身見 自己を実体視する誤った見解。
流転の身 迷いの世界をめぐりつづける身。
繋縛 つながれ、しばりとどめられること。
云何用*治↢衆生↡、以↢身見↡故受↢三塗身・卑賤身・醜陋身・八難身・流転身↡。如↠是等衆生見↢阿弥陀如来相好光明身↡者、如↠上種種身業繋縛皆得↢解脱↡、入↢如来家↡畢竟得↢平等身業↡。
治衆生 返り点・読点は聖教全書まま。 「衆生を治す」
・ 口業荘厳
▼衆生は*憍慢をもつてのゆゑに、 *正法を誹謗し、 *賢聖を*毀呰し、 尊長 尊は君・父・師なり。 長は有徳の人および兄党なり を*捐庳す。 かくのごとき人、 抜舌の苦・瘖瘂の苦・*言教不行の苦・*無名聞の苦を受くべし。 かくのごとき等の種々の諸苦の衆生、 阿弥陀如来の*至徳の名号、 説法の音声を聞けば、 上のごとき種々の口業の繋縛、 みな解脱を得て、 如来の家に入りて畢竟じて平等の口業を得。
捐庳 うとんじ、 いやしめること。
言教不行の苦 自己の主張が、 他人に受けいれられない苦。
無名聞の苦 名声があがらない苦。
至徳 最上の功徳。
衆生以↢驕慢↡故誹↢謗正法↡毀↢呰賢聖↡*捐↢片尊長↡。尊者君父師也長者有徳之人及兄党也如↠是之人、応↠受↢抜舌苦・瘖瘂苦・言教不行苦・无名聞苦↡。如↠是等種種諸苦衆生、聞↢阿弥陀如来至徳名號説法音声↡、如↠上種種口業繋縛皆得↢解脱↡、入↢如来家↡、畢竟得↢平等口業↡。
捐片 鎌倉時代刊本では 「指庳」、 寛永年間刊本・本願寺本・大派依用本では 「捐庳」。
・ 意業荘厳
▼衆生は*邪見をもつてのゆゑに、 心に分別を生ず。 もしは有、 もしは無、 もしは非、 もしは是、 もしは好、 もしは醜、 もしは善、 もしは悪、 もしは彼、 もしは此、 かくのごとき等の種々の分別あり。 分別をもつてのゆゑに長く三有に淪みて、 種々の分別の苦・取捨の苦を受けて、 長く*大夜に寝ねて、 出づる期あることなし。 この衆生、 もしは阿弥陀如来の平等の光照に遇ひ、 もしは阿弥陀如来の平等の意業を聞けば、 これらの衆生、 上のごとき種々の意業の繋縛、 みな解脱を得て、 如来の家に入りて畢竟じて平等の意業を得るなり。
大夜 無明の長い夜。 迷いの世界を、 いつまでも夜が明けないことに喩えていうもの。
衆生以↢邪見↡故心生↢分別↡。若有若无、若非若是、若好若醜、若善若悪、若彼若此、有↢如↠是等種種分別↡。以↢分別↡故長淪↢三有↡、受↢種種分別苦・取捨苦↡、長寝↢大夜↡无↠有↢出期↡。是衆生若遇↢阿弥陀如来平等光照↡、若聞↢阿弥陀如来平等意業↡、是等衆生如↠上種種意業繋縛皆得↢解脱↡入↢如来家↡畢竟得↢平等意業↡。
・ 無分別
問ひていはく、 心はこれ覚知の相なり。 いかんが地・水・火・風に同じく分別なきことを得べきや。
問曰。心是覚知相、云何可↠得↧同↢地・水・火・風↡无↦分別↥耶。
答へていはく、 心は知の相なりといへども、 *実相に入ればすなはち無知なり。 たとへば蛇の性は曲れりといへども、 竹の筒に入ればすなはち直きがごとし。 また人の身の、 もしは針の刺し、 もしは蜂の螫すにはすなはち覚知あり。 もしは*石の蛭の噉み、 もしは*甘刀の割くにすなはち覚知なきがごとし。 かくのごとき等の*有知・無知は*因縁にあり。 もし因縁にあればすなはち知にあらず、 無知にあらず。
実相に入れば… 無相の実相にかなう心は無分別智 (無知) である。
石の蛭 山蛭。
甘刀 よく切れる刀。 利刀。
有知無知 知覚があるかないか。
答曰。心雖↢知相↡入↢実相↡則无知也。譬如↧*虵性雖↠曲入↢竹筒↡則直↥。又如↧人身若針刺若蜂螫式缺反則有↢覚知↡、若石蛭之一反噉若甘刀割則无↦覚知↥。如↠是等有知・无知在↠于↢因縁↡、若在↢因縁↡則非↠知非↢无知↡也。
虵 聖教全書まま。 註なし。
・ 一切種知
問ひていはく、 心、 実相に入れば無知ならしむべし。 いかんが*一切種智あることを得るや。
問曰。心入↢実相↡可↠令↠无↠知、云何得↠有↢一切種智↡耶。
答へていはく、 凡心は有知なれば、 すなはち知らざるところあり。 *聖心は無知なるがゆゑに知らざるところなし。 無知にして知る知なればすなはち無知なり。
聖心 聖者の心。 凡心 (凡夫の心) に対す。
答曰。凡心有↠知則有↠所↠不↠知、聖心无知故无↠所↠不↠知。无知而知、知即无知也。
問ひていはく、 すでに無知なるがゆゑに知らざるところなしといふ。 もし知らざるところなければ、 あにこれ種々の法を知るにあらずや。 すでに種々の法を知れば、 またいかんが分別するところなしといふや。
問曰。既言↧无知故无↢所不↟知、若无↦所不↞知者、豈不↣是知↢種種法↡耶。既知↢種種之法↡復云何言↠无↠所↢分別↡耶。
答へていはく、 諸法の種々の相はみな*幻化のごとし。 しかるに幻化の象・馬、 長き頚・鼻・手・足の異なることなきにあらざれども、 智者これを観て、 あにさだめて象・馬、 これを分別することありといはんや。
幻化 幻術によってあらわしだされたもの。 まぼろし。
答曰。諸法種種相、皆如↢幻化↡。然幻化*象・馬、非↠无↢長頚・鼻・手・足異↡而、智者観↠之豈言↤定有↣像・馬分↢別之↡耶。
象 宗祖加点本を含め、 対校諸本では 「像」。 聖教全書では修正されている。 以下同。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 5. 大衆功徳
【88】 ▲なんとなれば荘厳大衆功徳成就とは、 偈に 「天人不動衆 清浄智海生」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳大衆功徳成就、偈言↢天人不動衆清浄智海生↡故。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 6. 上首功徳
▲なんとなれば荘厳上首功徳成就とは、 偈に 「如須弥山王 勝妙無過者」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳上首功徳成就、偈言↢如須弥山王勝妙无過者↡故。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 7. 主功徳
▲なんとなれば荘厳主功徳成就とは、 偈に 「天人丈夫衆 恭敬繞瞻仰」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳主功徳成就、偈言↢天人丈夫衆恭敬繞瞻仰↡故。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 1 仏 8. 不虚作住持功徳
【89】 ▲なんとなれば荘厳↓不虚作住持功徳成就とは、 偈に 「観仏本願力 遇無空過者 能令速満足 功徳大宝海」 といへるがゆゑなり。
何者荘厳不虚作住持功徳成就、偈言↢観仏本願力遇无空過者能令速満足功徳大寳海↡故。
▼「↑不虚作住持功徳成就」 とは、 けだしこれ阿弥陀如来の*本願力なり。 いままさに略して虚作の相の住持することあたはざるを示して、 もつてかの不虚作住持の義を顕すべし。 *人、 餐を輟 止なり めて士を養ふに、 あるいは、 舟のなかに起り、 金を積みて庫に盈てれども、 餓死を免れざることあり。 かくのごとき事、 目に触るるにみなこれなり。 得れども得るとなすにあらず、 あれどもあるを守るにあらず。 みな虚妄の業の作なるによりて住持することあたはず。
人餐を輟めて… 人が自らの食事を節約して士を養っても、舟の中でそのものに殺されるという血なまぐさいできごとが起るということ。 もと ¬呉越春秋¼ ¬魯子春秋¼ に出る 「慶忌の故事」 を引いたもの。 は 釁 (血ぬる) の俗字。
「不虚作住持功徳成就」者、盖是阿弥陀如来本願力也。今当略示↢虚作之相不↟能↢住持↡、用顕↢彼不虚作住持之義↡。人有↧輟↢止也貞劣反餐↡養↠士、或*↦起舟中↥、積↠金盈↠庫而不↠免↢餓死↡。如↠斯之事、触↠目皆是。得非↠作↠得、在非↠守↠在皆由↢虚妄業作不↟能↢住持↡也。
本願寺本では 、 大派依用本では 畳。
▼いふところの 「不虚作住持」 とは、 本*法蔵菩薩の四十八願と、 今日の阿弥陀如来の*自在神力とによるなり。 願もつて力を成ず、 力もつて願に就く。 願*徒然ならず、 力*虚設ならず。 力・願あひ符ひて畢竟じて差はざるがゆゑに 「成就」 といふ。
自在神力 自由自在の不思議な力。
徒然ならず いたずらごとではない。
虚設ならず むなしくもうけたものではない。
所↠言不虚作住持者、依↢本法蔵菩薩四十八願、今日阿弥陀如来自在神力↡。願以成↠力、力以就↠願。願不↢徒然↡、力不↢虚設↡、力願相苻畢竟不↠差故曰↢成就↡。
【90】 ▲すなはちかの仏を見たてまつれば、 ↓未証浄心の菩薩、 畢竟じて↓平等法身を証することを得て、 *浄心の菩薩と*上地のもろもろの菩薩と畢竟じて同じく↓*寂滅*平等を得るがゆゑなり。
即見↢彼仏↡未証浄心菩薩畢竟得↢証平等法身↡、与↢浄心菩薩↡与↢上地諸菩薩↡畢竟同得↢寂滅平等↡故。
▼「↑平等法身」 とは、 *八地以上の*法性生身の菩薩なり。 「↑寂滅平等」 とは、 すなはちこの*法身の菩薩の所証の寂滅平等の法なり。 この寂滅平等の法を得るをもつてのゆゑに名づけて平等法身となす。 平等法身の菩薩の所得なるをもつてのゆゑに名づけて寂滅平等の法となすなり。 この菩薩、 *報生三昧を得て、 三昧の*神力をもつて、 よく一処にして一念一時に十方世界に遍して、 種々に一切諸仏および諸仏の*大会衆海を供養し、 よく無量世界の*仏法僧なき処において、 種々に示現し、 種々に一切衆生を教化し*度脱して、 つねに*仏事をなせども、 初めより往来の想、 供養の想、 度脱の想なし。 このゆゑに、 この身を名づけて平等法身となし、 この法を名づけて寂滅平等の法となすなり。
法性生身の菩薩 法性を証得し
三界生死の身を離れているが、
衆生の教化のために生死の身をたもつ菩薩。 →
法性
報生三昧 八地以上の菩薩が果報として自然に得る寂静の境地。 この三昧に入れば、 誓願にむくいておのずから種々の身を現して衆生を救い、 仏を供養する。
大会衆海 仏の説法の会座に集まっている多くの人々を海に喩えていう。
「平等法身」者、八地已上法性生身菩薩也。「寂滅平等」者、即此法身菩薩所証寂滅平等之法也。以↠得↢此寂滅平等法↡故、名為↢平等法身↡。以↢平等法身菩薩所得↡故、名為↢寂滅平等法↡也。此菩薩得↢報生三昧↡、以↢三昧神力↡、能一処、一念一時遍↢十方世界↡、種種供↢養一切諸仏及諸仏大会衆海↡、能於↧无量世界无↢仏・法・僧↡処↥種種示現種種教↢化度↣脱一切衆生↡常作↢仏事↡、初无↢往来想・供養想・度脱想↡。是故此身名為↢平等法身↡、此法名為↢寂滅平等法↡也。
▼「↑未証浄心の菩薩」 とは、 *初地以上七地以還のもろもろの菩薩なり。 この菩薩またよく身を現じて、 もしは百、 もしは千、 もしは万、 もしは億、 もしは百千万億の無仏の国土に仏事を施作すれども、 かならず*作心を須ゐて三昧に入る。 すなはちよく作心せざるにはあらず。 作心をもつてのゆゑに名づけて未得浄心となす。 この菩薩、 願じて安楽浄土に生ずれば、 すなはち阿弥陀仏を見たてまつる。 阿弥陀仏を見たてまつる時、 *上地のもろもろの菩薩と畢竟じて身等しく法等し。 龍樹菩薩、 婆藪槃頭菩薩 (天親) の輩、 かしこに生ぜんと願ずるは、 まさにこれがためなるべきのみ。
作心 意識して何事かをしようとする分別の心。
「未証浄心菩薩」者、初地已上七地已還諸菩薩也。此菩薩亦能現↠身、若百若千、若萬若億、若百千萬億无仏国土施↢作仏事↡。要須↢作心↡入↢三昧↡、乃能非↠不↢作心↡。以↢作心↡故名為↢未得浄心↡。此菩薩願↠生↢安楽浄土↡即見↢阿弥陀仏↡、見↢阿弥陀仏↡時、与↢上地諸菩薩↡畢竟身等法等。龍樹菩薩・婆藪槃頭菩薩輩、願↠生↠彼者、当↠為↠此耳。
▼問ひていはく、 ¬*十地経¼ を案ずるに、 菩薩の*進趣階級、 やうやく無量の功勲ありて多くの劫数を経、 しかして後にすなはちこれを得。 いかんが阿弥陀仏を見たてまつる時、 畢竟じて上地のもろもろの菩薩と身等しく法等しきや。
進趣階級 菩薩の階位が進むこと。
問曰。案↢¬十地経¼↡、菩薩進趣階級漸有↢无量功勲↡逕↢多劫数↡、然後乃得↠此。云何見↢阿弥陀仏↡時、畢竟与↢上地諸菩薩↡身等法等耶。
▼答へていはく、 「畢竟」 とはいまだ即等といふにはあらず。 畢竟じてこの等しきことを失はざるがゆゑに 「等」 といふのみ。
答曰。言↢畢竟↡者未↠言↢即等↡也、畢竟不↠失↢此等↡故言↠等耳。
▼問ひていはく、 もし即等にあらずは、 またなんぞ菩薩といふことを待たん。 ただ初地に登れば、 もつてやうやく増進して、 自然にまさに仏と等しかるべし。 なんぞ上地の菩薩と等しといふことを仮らん。
問曰。若不↢即等↡、復何待言↢菩薩↡。但登↢初地↡以漸増進自然当↢与↠仏等↡、何仮言↧与↢上地菩薩↡等↥。
▼答へていはく、 *菩薩、 七地のうちにおいて大寂滅を得れば、 上に諸仏の求むべきを見ず、 下に衆生の度すべきを見ず。 仏道を捨てて*実際を証せんと欲す。 その時に、 もし十方諸仏の神力の*加勧を得ずは、 すなはち滅度して*二乗と異なることなからん。 菩薩もし安楽に往生して阿弥陀仏を見たてまつれば、 すなはちこの難なし。 このゆゑにすべからく 「畢竟じて平等なり」 といふべし。
実際 真実の際限の意で涅槃の異名。 ここでは、 声聞乗の究極目的であるところの身心ともに滅する無余涅槃のこと。
加勧 諸仏が神力を加えて菩薩をすすめはげますこと。
答曰。菩薩於↢七地中↡得↢大寂滅↡、上不↠見↢諸仏可↟求、下不↠見↢衆生可↟度、欲↧捨↢仏道↡証↞於↢実際↡。爾時若不↠得↢十方諸仏神力加勧↡、即便滅度与↢二乗↡无↠異。菩薩若往↢生安楽↡見↢阿弥陀仏↡即无↢此難↡、是故須↠言↢畢竟平等↡。
▼また次に ¬無量寿経¼ (上) のなかに、 阿弥陀如来の本願 (第二十二願) にのたまはく、 「▲たとひわれ仏を得んに、 他方仏土のもろもろの菩薩衆、 わが国に来生せば、 究竟してかならず*一生補処に至らん。 その本願の自在に化せんとするところありて、 衆生のためのゆゑに、 弘誓の鎧を被て*徳本を積累し、 一切を度脱し、 諸仏の国に遊びて菩薩の行を修し、 十方の諸仏如来を供養し、 恒沙無量の衆生を開化して、 *無上正真の道に立せしめんをば除く。 *常倫諸地の行を超出し、 現前に普賢の徳を修習せん。 もししからずは、 正覚を取らじ」 と。
徳本を積累し 善根功徳を積みかさね。
常倫…修習せん 「常倫諸地の行」 とは、 常なみの菩薩が漸次に経過する十地のそれぞれの修行のこと。 親鸞聖人は 「常倫に超出し、 諸地の行現前し、 普賢の徳を修習せん」 (加点本訓) と読まれた。
復次¬无量寿経¼中、阿弥陀如来本願言。「設我得↠仏、他方仏土諸菩薩衆、来↢生我国↡、究竟必至↢一生補処↡。除↧其本願自在、所↠化為↢衆生↡故、被↢弘誓鎧↡積↢累徳本↡、度↢脱一切↡、遊↢諸仏国↡修↢菩薩行↡供↢養十方諸仏如来↡、開↢化恒沙无量衆生↡使↞立↢无上正真之道↡。超↢出常倫↡諸地之行現前修↢習普賢之徳↡。若不↠爾者不↠取↢正覚↡。」
▼この経を案じてかの国の菩薩を推するに、 あるいは一地より一地に至らざるべし。 十地の階次といふは、 これ釈迦如来の、 閻浮提における一の*応化道なるのみ。 他方の浄土はなんぞかならずしもかくのごとくならん。 *五種の不思議のなかに仏法もつとも不可思議なり。 もし菩薩かならず一地より一地に至りて超越の理なしといはば、 いまだあへて詳らかならず。
応化道 衆生済度のてだてとして、 仏が示す化導の方法。 →
応化
案↢此経↡推↢彼国菩薩↡、或可↠不↧従↢一地↡至↦一地↥。言↢十地階次↡者是釈迦如来於↢閻浮提↡一応化道耳。他方浄土何必如↠此。五種不思議中仏法不可思議。若言↧菩薩必従↢一地↡至↢一地↡无↦超越之理↥、未↢敢詳↡也。
▼たとへば樹あり、 名づけて*好堅といふ。 この樹、 地に生ずるに*百囲すなはち具せり。 一日に長ずること高さ百丈なるがごとし。 日々にかくのごとし。 百歳の高さを計るに、 あに*修松に類せんや。 松の生長するを見るに、 日に寸を過ぎず。 かの好堅を聞きて、 なんぞよく即日を疑はざらん。 人ありて、 釈迦如来の*羅漢を一聴に証し、 *無生を終朝に制するを聞きて、 これ*接誘の言なり、 *称実の説にあらずといひて、 この論事を聞きてまたまさに信ぜざるべし。 それ*非常の言は常人の耳に入らず。 これをしからずと謂ふは、 またそれ*宜なり。
好堅 一日に百丈ずつ成長するという樹の名。 もと ¬大智度論¼ に出る。
百囲 囲は長さの単位。 一囲は両手を広げてひと囲みの長さ。 なお、 異本には 「囲」 の字を 「歳」 とするものもある。
修松 長い松の木。
羅漢を一聴に証し 一度の説法で阿羅漢果を得させたことをいう。 ¬大智度論¼ に出る。
無生を終朝に制する 終朝は夜明けから朝食までの間のこと。 朝のあいだに無生法忍に至らせる。
接誘 誘い引き入れる方便のこと。
称実 事実のまま。 実際。
非常の言 通常でない言葉。
宜なり しかたのないことである。
譬如↧有↠樹名曰↢好堅↡、是樹地生百*歳、乃具一日長高百丈↥。日日如↠此、計↢百歳之*長↡、豈類↢脩松↡耶。見↢松生長↡日不↠過↠寸、聞↢彼好堅↡何能不↠疑↢即日↡。有↠人聞↫釈迦如来証↣羅漢於↢一聴↡制↪无生於↩終朝↨、謂↣是接誘之言、非↢称実之説↡、聞↢此論事↡亦当↠不↠信。夫非常之言、不↠入↢常人之耳↡、謂↢之不↟然、亦其宜也。
歳 鎌倉時代刊本では 「囲」。
長 鎌倉時代刊本では 「高」。
・ 如来功徳結成
【91】 ▲略して八句を説きて、 如来の自利利他の功徳荘厳、 次第に成就したまへることを示現す、 知るべし。
略説↢八句↡示↢現如来自利利他功徳荘厳次第成就↡、応↠知。
・ 観行次第
▼これはいかんが次第する。 前の十七句は、 これ荘厳国土功徳成就なり。 すでに国土の相を知りぬ。 国土の主を知るべし。 このゆゑに次に仏の荘厳功徳を観ず。
此云何次第、前十七句是荘厳国土功徳成就。既知↢国土相↡、応↠知↢国土之主↡。是故次観↢仏荘厳功徳↡。
▼かの仏いかんが荘厳し、 いづれの処においてか坐したまふ。 このゆゑに先づ座を観ず。
彼仏若為荘厳、於↢何処↡坐。是故先観↠座。
▼すでに座を知りをはりぬ。 よろしく座の主を知るべし。 このゆゑに次に仏の荘厳身業を観ず。
既知↠座已、宜↠知↢座主↡。是故次観↢仏荘厳身業↡。
▼すでに身業を知りぬ。 いかなる声名かましますと知るべき。 このゆゑに次に仏の荘厳口業を観ず。
既知↢身業↡、応↠知↠有↢何声名↡。是故次観↢仏荘厳口業↡。
▼すでに名聞を知りぬ。 よろしく得名の所以を知るべし。 このゆゑに次に荘厳心業を観ず。
既知↢名聞↡、宜↠知↢得名所以↡。是故次観↢荘厳心業↡。
▼すでに三業具足して人天の大師たるべきことを知りぬ。 *化を受くるに堪へたるひとはこれたれぞ。 このゆゑに次に大衆の功徳を観ず。
化 阿弥陀仏の教化。
既知↢三業具足↡、応↢為人天大師堪↠受↠化者是誰↡。是故次観↢大衆功徳↡。
▼すでに大衆に無量の功徳あることを知りぬ。 よろしく上首はたれぞと知るべし。 このゆゑに次に上首を観ず。 上首はこれ仏 (阿弥陀仏) なり。
既知↣大衆有↢无量功徳↡、宜↠知↢上首者誰↡。是故次観↢上首↡。上首是仏。
▼すでに上首を知りぬ。 *長幼に同ずることを恐る。 このゆゑに次に主を観ず。
長幼に同ずることを恐る 長幼は年長者と年少者の順序。 阿弥陀仏と聖者の関係は、 長幼の序というようなものでないことを注意したもの。
既知↢上首↡、恐同↢長幼↡。是故次観↠主。
▼すでにこの主を知りぬ。 主にいかなる*増上かまします。 このゆゑに次に荘厳不虚作住持を観ず。
増上 すぐれたはたらき。
既知↢是主↡、主有↢何増上↡。是故次観↢荘厳不虚作住持↡、
▼八句の次第成じをはりぬ。
八句次第成*也。
也 他書ではすべて 「已」。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩
【92】▼菩薩を観ずとは、
▲いかんが菩薩の荘厳功徳成就を観察する。 菩薩の荘厳功徳成就を観察すとは、 かの菩薩を観ずるに*四種の正修行功徳成就あり、 知るべし。
四種の正修行功徳成就 天親菩薩の ¬浄土論¼ では、 国土荘厳十七種と仏荘厳八種については個々の荘厳の名称が付されているが、菩薩荘厳四種については名称が付されていない。 なお、 後世に付された名称として第一 「不動而至功徳」、 第二 「一念遍至功徳」、 第三 「無相供養功徳」、 第四 「示法如仏功徳」 がある。
観↢菩薩↡者、
云何観↢察菩薩荘厳功徳成就↡。観↢察菩薩荘厳功徳成就↡者、観↢彼菩薩↡有↢四種正修行功徳成就↡、応↠知。
▼*真如はこれ諸法の正体なり。 *如を体して行ずれば、 すなはちこれ不行なり。 不行にして行ずるを如実修行と名づく。 体はただ*一如なれども、 義をもつて分ちて四となす。 このゆゑに四の行、 一の正をもつてこれを統ぶ。
如を体して… 真如の本体のままに行ずるので、 すでにみずから行ずるというとらわれの意識を離れた行である。
真如是諸法正躰。*躰如而行則是不行。不行而行名↢如実修行↡。躰唯一如而義分為↠四。是故四行以↠一正統↠之。
体如 返り点は聖教全書まま。 「体如にして」
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 1. 不動而至
【93】 ▲何者をか四となす。 一には一仏土において▽身動揺せずして十方に遍して、 種々に*応化して如実に修行し、 つねに*仏事をなす。 偈に 「安楽国清浄 常転↓無垢輪 化仏菩薩日 如須弥住持」 といへるがゆゑなり。 もろもろの衆生の、 ↓*淤泥華を開くがゆゑなり。
淤泥華 泥の中に咲く花。 蓮の花のこと。
何者為↠四。一者於↢一仏土↡身不↢動揺↡、而遍↢十方↡種種応化如↠実修行常作↢仏事↡。偈言↢安楽国清浄常転无垢輪化仏菩薩日如須弥住持↡故。開↢諸衆生淤泥花↡故。
▼*八地以上の菩薩は*つねに三昧にありて、 三昧力をもつて、 身は本処を動ぜずして、 よくあまねく十方に至りて諸仏を供養し、 衆生を教化す。
つねに三昧にあり 自然に禅定が得られること。 常住三昧、 報生三昧に同じ。
八地已上菩薩常在↢三昧↡。以↢三昧力↡身不↠動↢本処↡而能遍至↢十方↡供↢養諸仏↡教↢化衆生↡。
▼「↑*無垢輪」 とは*仏地の功徳なり。 仏地の功徳は、 *習気煩悩の垢なければなり。 仏 (阿弥陀仏)、 もろもろの菩薩のために、 つねにこの*法輪を転ず。 諸大菩薩もまたよくこの法輪をもつて一切を開導すること、 暫時も休息することなし。 ゆゑに 「常転」 といふ。 法身は日のごとくして、 *応化身の光もろもろの世界に遍するなり。 「日」 といふにはいまだもつて不動を明かすに足らざれば、 また 「如須弥住持」 といへるなり。
無垢輪 煩悩のけがれのない清浄真実の説法。
仏地 仏の境界。
習気煩悩 煩悩と煩悩の潜在的余力、 なごり。
「无垢輪」者、仏地功徳也。仏地功徳无↢習気煩悩垢↡。仏為↢諸菩薩↡常転↢此法輪↡、諸大菩薩亦能以↢此法輪↡開↢導一切↡无↢蹔時休息↡、故言↢常転↡。法身如↠日而応化身光遍↢諸世界↡也。言↠日未↠足、以↢明不動↡復言↢如須弥住持↡也。
▼「↑淤泥華」 といふは、 ¬経¼ (維摩経) に、 「高原の陸地には蓮華を生ぜず。 *卑湿の淤泥にすなはち蓮華を生ず」 とのたまへり。 ▼これは凡夫、 煩悩の泥のなかにありて、 菩薩のために開導せられて、 よく仏の正覚の華を生ずるに喩ふ。 まことにそれ三宝を紹隆してつねに絶えざらしむ。
卑湿の淤泥 湿ったどろ。
「淤泥花」者、¬経¼言↧「高原陸地不↠生↢蓮花↡卑湿淤埿乃生↦蓮花↥。」此喩↧凡夫在↢煩悩埿中↡為↢菩薩↡開導能生↦仏正覚花↥。諒夫紹↢隆三寳↡常使↠不↠絶。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 2. 一念遍至
【94】 ▲二にはかの応化身、 一切の時に前ならず後ならず、 一心一念に大光明を放ちて、 ことごとくよくあまねく十方世界に至りて衆生を教化す。 種々に方便し修行し、 なすところ一切衆生の苦を滅除するがゆゑなり。 偈に 「無垢荘厳光 一念及一時 普照諸仏会 利益諸群生」 といへるがゆゑなり。
二者彼応化身一切時不↠前不↠後。一心一念放↢大光明↡悉能遍至↢十方世界↡教↢化衆生↡。種種方便修行所作滅↢除一切衆生苦↡故。偈言↢无垢荘厳光一念及一時普照諸仏会利益諸群生↡故。
△上に不動にして至るといふは、 あるいは至ること前後あるべし。 このゆゑにまた一念一時にして前後なしといへるなり。
上言↢不動而至↡容↣或至有↢前後↡。是故復言↢一念一時无↢前後↡也。
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 3. 無相供養
【95】 ▲三にはかれ一切世界において余すことなく、 諸仏の会の大衆を照らして余すことなく、 広大無量に諸仏如来の功徳を供養し*恭敬し讃嘆す。 偈に 「雨天楽華衣 妙香等供養 讃諸仏功徳 無有分別心」 といへるがゆゑなり。
三者彼於↢一切世界↡无↠余照↢諸仏会↡。大衆无↠余広大无量供↢養恭↣敬讃↤嘆諸仏如来功徳↡。偈言↢雨天楽花衣妙香等供養讃諸仏功徳无有分別心↡故。
▼「余すことなく」 とは、 あまねく一切世界の*一切諸仏の大会に至りて、 一世界にも一仏会にも至らざることあることなきを明かすなり。 *肇公 (僧肇) のいはく (註維摩経)、 「*法身は像なくして殊形並び応じ、 *至韻は言なくして*玄籍弥く布けり。 *冥権謀なくして、 動じて事と会ふ」 と。 けだしこの意なり。
一切諸仏の大会 あらゆる仏たちの説法の会座。
法身は… 無相の法身は一定のかたちにとらわれず、 あらゆる形をあらわしてすべてに応じてという意。
至韻 すぐれた音声。 仏の説法の声。
玄籍弥く布けり 玄籍は幽玄な書籍の意で、 ここでは仏教の経典のこと。 仏の教説が広く行きわたること。
冥権謀なくして… 冥権は仏・菩薩のはかりしれない権 (てだて)。 はからいをせずとも、 すべてにかなうはたらきをするということ。
「无余」者*明遍至↢一切世界一切諸仏大会↡无↠有↢一世界一仏会不↟至也。肇公言。「法身无↠像而*殊↠形、*並応↢至韻↡、无↠言而玄籍弥布。冥権无↠謀而動与↠事会。」盖斯意也。
明… 返り点は聖教全書まま。 「明かに…」
殊形 返り点・読点は聖教全書まま。 「形を殊にす」
並応至韻 返り点・読点は聖教全書まま。 「並びに至韻に応ず」
◎解義分 ○観察体相章 Ⅱ 衆生世間 2 菩薩 4. 示法如仏
【96】 ▲四にはかれ十方一切世界の三宝なき処において、 仏法僧宝の功徳の大海を住持し荘厳して、 あまねく示して如実の修行を解らしむ。 偈に 「何等世界無 仏法功徳宝 我願皆往生 示仏法如仏」 といへるがゆゑなり。
四者彼於↢十方一切世界无三寳処↡住↢持荘↣厳仏・法・僧寳功徳大海↡遍示令↠解↢如実修行↡。偈言↢何等世界无仏法功徳寳我願皆往生示仏法如仏↡故。
▼上の三句は遍至といふといへども、 みなこれ有仏の国土なり。 もしこの句なくは、 すなはちこれ法身、 法ならざるところあらん。 上善、 善ならざるところあらん。
上三句雖↠言↢遍至↡皆是有仏国土。若无↢此句↡便是法身有↢所不↟法、上善有↢所不↟善。
▼*観行の体相竟りぬ。
観行の体相 観察の対象となる浄土、 仏および菩薩の荘厳相を明かす。
観行躰相竟。
◎解義分 ○浄入願心章
【97】▼以下はこれ解義のなかの第四重を名づけて*浄入願心となす。 ▼浄入願心とは、
浄入願心 浄土の荘厳のすべては、 法蔵菩薩の清浄願心におさまることを示す。
▲また向に荘厳仏土功徳成就と荘厳仏功徳成就と荘厳菩薩功徳成就とを観察することを説けり。 この三種の成就は、 願心をもつて荘厳せり、 知るべし。
已下是解義中第四重名為↢浄入願心↡。浄入願心者、
又向説↢観察荘厳仏土功徳成就、荘厳仏功徳成就、荘厳菩薩功徳成就↡。此三種成就、願心荘厳、応↠知。
・ 願心荘厳
▼「知るべし」 とは、 この三種の荘厳成就は、 本四十八願等の清浄願心の荘厳したまへるところなるによりて、 因浄なるがゆゑに果浄なり。 *無因と他因の有にはあらざるを知るべしとなり。
無因と…あらざる 浄土は清浄願心によって成就したのだから無因ではなく、 願心以外に因はないから、 他因の有でもない。 願心荘厳の正縁起の世界であることをあらわす。 なお親鸞聖人は 「因なくして他の因のあるにはあらざるなり」 (加点本訓) と読まれた。
「応知」者、応↠知↧此三種荘厳成就由↣本四十八願等清浄願心之所↢荘厳↡、因浄故果浄、非↦无↠因他因有↥也。
・ 入一法句
【98】 ▲略して*一法句に入ることを説くがゆゑなり。
略説入↢一法句↡故。
・ 広略相入 二種法身
▼上の国土の荘厳十七句と、 如来の荘厳八句と、 菩薩の荘厳四句とを広となす。 一法句に入るを略となす。 なんがゆゑぞ*広略相入を示現するとなれば、 諸仏・菩薩に二種の法身まします。 一には*法性法身、 二には*方便法身なり。 法性法身によりて方便法身を生ず。 方便法身によりて法性法身を出す。 この二の法身は異にして分つべからず。 一にして同ずべからず。 このゆゑに広略相入して、 統ぶるに法の名をもつてす。 菩薩もし広略相入を知らざれば、 すなはち自利利他することあたはざればなり。
広略相入 広は浄土の二十九種荘厳、 略は一法句を指す。 真如法性の略から浄土荘厳の広が生起し、 また浄土荘厳の広により一法句の徳をあらわす。 広略が相互に摂入するありさまを広略相入という。
上国土荘厳十七句、如来荘厳八句、菩薩荘厳四句為↠広。入一法句為↠畧。何故示↢現広畧相入↡、諸仏・菩薩有↢二種法身↡。一者法性法身、二者方便法身。由↢法性法身↡生↢方便法身↡、由↢方便法身↡出↢法性法身↡。此二法身異而不↠可↠分、一而不↠可↠同。是故広畧相入、統以↢法名↡。菩薩若不↠知↢広畧相入↡則不↠能↢自利利他↡。
・ 三句相入
【99】 ▲一法句といふはいはく、 ↓清浄句なり。 清浄句といふはいはく、 ↓真実智慧↓無為法身なるがゆゑなり。
一法句者謂清浄句。清浄句者謂真実智慧无為法身故。
・ 無為法身
▼この*三句は*展転して相入す。 なんの義によりてか、 これを名づけて法となす。 清浄をもつてのゆゑなり。 なんの義によりてか、 名づけて清浄となす。 真実智慧無為法身なるをもつてのゆゑなり。
三句 一法句と清浄句と真実智慧無為法身を指す。
此三句展転相入。依↢何義↡名↠之為↠法、以↢清浄↡故。依↢何義↡名為↢清浄↡、以↢真実智慧无為法身↡故。
▼「↑真実智慧」 とは、 実相の智慧なり。 実相は無相なるがゆゑに、 *真智は無知なり。
真智は無知なり 真智は、 すべてのものが本来、 無差別平等であることをさとる智慧。 無知とは、 すべて因縁によって生じたものは実体がなく空であるから、 対象的に知るということもないという意。
「真実智慧」者、実相智恵也。実相无相故、真智无知也。
▼「↑無為法身」 とは法性身なり。 法性は寂滅なるがゆゑに、 法身は無相なり。 無相のゆゑによく相ならざるはなし。
「无為法身」者、法性身也、法性寂滅故、法身无相也。无相故能无↠不↠相。
▼このゆゑに相好荘厳はすなはち法身なり。 無知のゆゑによく知らざるはなし。 このゆゑに*一切種智はすなはち真実の智慧なり。 真実をもつて智慧に目くることは、 智慧は作にあらず、 非作にあらざることを明かすなり。 無為をもつて法身を標すことは、 法身は色にあらず、 非色にあらざることを明かすなり。 非を非するは、 あに非を非するのよく是ならんや。 けだし非を無みする、 これを是といふ。 みづから是にして待することなきも、 また是にあらず。 是にあらず、 非にあらず、 *百非の喩へざるところなり。 このゆゑに清浄句といふ。
百非の喩へざるところ 言語で表現することができないということ。 相対的に論じられないという意。
是故相好荘厳即法身也。无知故能无↠不↠知。是故一切種智即真実智慧也。以↢真実↡而目↢智恵↡、明↣智恵非↠作非↢非作↡也。以↢无為↡而標↢法身↡、明↣法身非↠色非↢非色↡也。非↠于↠非者豈非非之能是乎。盖无↠非之曰↠是也。自是无↠待復非↠是也。非↠是非↠非、百非之所↠不↠喩。是故言↢清浄句↡。
▼「↑清浄句」 とは、 真実智慧無為法身をいふなり。
「清浄句」者、謂真実智恵无為法身也。
【100】 ▲この清浄に二種あり、 知るべし。
此清浄有↢二種↡、応↠知。
▼*上の転入句のなか、 一法に通じて清浄に入り、 清浄に通じて法身に入る。 いままさに清浄を別ちて二種を出さんとするがゆゑに、 ことさらに、 「知るべし」 といふ。
上の転入句 上の ¬浄土論¼ の文の展転相入する三句 (一法句・清浄句・真実智慧無為法身) のこと。
上転入句中、通↢一法↡入↢清浄↡、通↢清浄↡入↢法身↡。今将↧別↢清浄↡出↦二種↥故。故言応↠知。
【101】 ▲なんらか二種。 一には*器世間清浄、 二には*衆生世間清浄なり。
何等二種。一者器世間清浄、二者衆生世間清浄。
▲器世間清浄とは、 向に説くがごとき十七種の荘厳仏土功徳成就なり。 これを器世間清浄と名づく。
器世間清浄者、*向説↢十七種荘厳仏土功徳成就↡。是名↢器世間清浄↡。
◇ 嘉永年間刊本・本願寺本・大派依用本には 「如」 の字あり。
▲衆生世間清浄とは、 向に説くがごとき八種の荘厳仏功徳成就と四種の荘厳菩薩功徳成就となり。 これを衆生世間清浄と名づく。
衆生世間清浄者、如↢向説↡八種荘厳仏功徳成就、四種荘厳菩薩功徳成就、是名↢衆生世間清浄↡。
▲かくのごとく一法句に二種の清浄を摂す、 知るべし。
如↠是一法句摂↢二種清浄↡、応↠知。
▼それ衆生を*別報の体となし、 国土を*共報の用となす。 体・用一にあらず。 ゆゑに 「知るべし」 といふ。 しかるに諸法は心をもつて成ず。 余の境界なし。 衆生および器、 また異なることを得ず、 一なることを得ず。 一ならざればすなはち義をもつて分つ。 異ならざれば同じく 「清浄」 なり。
別報の体 各別の果報。 人人各別に報われている正報の果体をいう。
共報の用 共通の果報。 自他ともに共用する果報をいう。
夫衆生為↢別報之躰↡、国土為↢共報之用↡。躰用不↠一所以応↠知。然諸法*心成↢无余境界↡。衆生及器、復不↠得↠異不↠得↠一。不↠一則義分。不↠異同清浄。
心成无余境界 返り点は聖教全書まま。 「心をして無余の境界を成ず」
▼「器」 とは用なり。 いはく、 かの浄土は、 これかの清浄の衆生の受用するところなるがゆゑに名づけて器となす。 浄食に不浄の器を用ゐれば、 器不浄なるをもつてのゆゑに食また不浄なり。 不浄の食に浄器を用ゐれば、 食不浄なるがゆゑに器また不浄なるがごとし。 かならず二ともに潔くしてすなはち浄と称することを得。 ここをもつて一の清浄の名にかならず二種を摂するなり。
器者用也。謂彼浄土是彼清浄衆生之所↢受用↡故名為↠器。如↧浄食用↢不浄器↡以↢器不浄↡故食亦不浄、不浄食用↢浄器↡食不浄故器亦不浄↥。要二倶潔乃得↠称↠浄。是以一清浄名必摂↢二種。
▼問ひていはく、 衆生清浄といふは、 すなはちこれ仏 (阿弥陀仏) と〔浄土の〕菩薩となり。 かのもろもろの人天も、 この清浄の数に入ることを得やいなや。
問曰。言↢衆生清浄↡則是仏与↢菩薩↡。彼諸人天得↠入↢此清浄数↡不。
▼答へていはく、 清浄と名づくることを得れども、 実の清浄にあらず。 たとへば出家の聖人は、 煩悩の賊を殺すをもつてのゆゑに名づけて*比丘となし、 凡夫の出家のものの、 持戒・破戒もみな比丘と名づくるがごとし。 また*潅頂王子の初生の時に、 *三十二相を具してすなはち*七宝の属するところとなる。 いまだ転輪王の事をなすことあたはずといへども、 また転輪王と名づくるがごとし。 それかならず転輪王となるべきをもつてのゆゑなり。 かのもろもろの人天も、 またかくのごとし。 みな大乗*正定の聚に入りて、 *畢竟じてまさに清浄法身を得べし。 まさに得べきをもつてのゆゑに清浄と名づくることを得るなり。
灌頂王子 転輪王の王子。 王子はやがて灌頂の式を受けて、 転輪王の位に昇ることに定まっているからこの名がある。
七宝 転輪王の七宝のこと。 輪宝・象宝・馬宝・珠宝・主蔵宝 (大臣)・玉女宝・主兵臣宝 (将軍) の七。
答曰。得↠名↢清浄↡非↢実清浄↡。譬如↧出家聖人以↠殺↢煩悩賊↡故名為↢比丘↡、凡夫出家者持戒・破戒皆名↦比丘↥。又如↧潅頂王子初生之時、具↢三十二相↡即為↢七寳↡所↠属、雖↠未↠能↠為↢転輪王事↡亦名↦転輪王↥。以↣其必為↢転輪王↡故。彼諸人天、亦復如↠是。皆入↢大乗正定之聚↡、畢竟当↠得↢清浄法身↡。以↠当↠得故得↠名↢清浄↡。
◎解義分 ○善巧摂化章
【102】▼*善巧摂化とは、
善巧摂化 菩薩のたくみな利他の救済活動をあらわす。
▲かくのごとく菩薩は、 *奢摩他と*毘婆舎那を広略に修行して↓柔軟心を成就す。
善巧摂化者、
如↠是菩薩、奢摩他婆舎那、広略修行、成↢就柔*心↡。
他本では 輭。
▼「↑柔軟心」 とは、 いはく、 広略の*止観、 あひ順じ修行して*不二の心を成ずるなり。 たとへば水をもつて影を取るに、 清と静とあひ資けて成就するがごとし。
不二の心 広 (有) 略 (空) 不二の実相をさとる智慧をいう。 それはまた観ぜられる対象である実相と、 観ずる心とが不二となった状態でもある。
「柔心」者、謂広略止観相順修行成↢不二心↡也。譬如↢以↠水取↠影清静相資而成就↡也。
・ 如実知
【103】 ▲如実に広略の諸法を知る。
如↠実知↢広略諸法↡。
▼「如実に知る」 とは、 *実相のごとくに知るなり。 広のなかの二十九句、 略のなかの一句、 実相にあらざるはなし。
「如実知」者、如↢実相↡而知也。広中廿九句、略中一句、莫↠非↢実相↡也。
・ 巧方便回向
【104】 ▲かくのごとくして*巧方便回向を成就す。
巧方便回向 仏・菩薩が、 衆生の素質・能力にあわせて種々の方法、 手段を巧みに用い、 自己の功徳を相手に与えて救うはたらき。
如↠是成↢就巧方便迴向↡。
▼「かくのごとく」 とは、 前後の広略みな実相なるがごとくとなり。 ▼実相を知るをもつてのゆゑに、 すなはち三界の衆生の虚妄の相を知るなり。 衆生の虚妄なるを知れば、 すなはち真実の*慈悲を生ずるなり。 真実の法身を知れば、 すなはち真実の*帰依を起すなり。 慈悲と帰依と、 巧方便とは▽下にあり。
「如是」者如↢前後広略皆実相↡也。以↠知↢実相↡故則知↢三界衆生虚妄相↡也。知↢衆生虚妄↡則生↢真実慈悲↡也。知↢真実法身↡則起↢真実帰依↡也。*慈悲之与↢帰依↡巧方便在↠下。
慈悲之与帰依巧方便 聖教全書の読みでは 「慈悲之帰依との巧方便」。
【105】 ▲何者か菩薩の巧方便回向。 菩薩の↓巧方便↓回向とは、 いはく、 説ける*礼拝等の五種の修行をもつて、 集むるところの一切の*功徳*善根は、 ↓自身↓住持の楽を求めず、 一切衆生の苦を抜かんと欲するがゆゑに、 一切衆生を*摂取して、 ともに同じくかの安楽仏国に生ぜんと作願するなり。 これを菩薩の巧方便回向成就と名づく。
何者菩薩巧方便迴向。菩薩巧方便迴向者、謂説拝等五種修行、所↠集一切功徳善根、不↠求↢自身住持之楽↡、欲↠抜↢一切衆生苦↡故、作↧願摂↢取一切衆生↡共同生↦彼安楽仏国↥。是名↢菩薩巧方便迴向成就↡。
・ 菩提心釈
▼王舎城所説の ¬無量寿経¼ (下) を案ずるに、 ▼三輩生のなかに、 行に優劣ありといへども、 みな*無上菩提の心を発さざるはなし。 ▼この無上菩提心とは、 すなはちこれ願作仏心なり。 ▼願作仏心とは、 すなはちこれ度衆生心なり。 度衆生心とは、 すなはち衆生を摂取して有仏の国土に生ぜしむる心なり。 このゆゑに▼かの安楽浄土に生ぜんと願ずるものは、 かならず無上菩提心を発すなり。 もし人、 無上菩提心を発さずして、 ただかの国土の楽を受くること間なきを聞きて、 楽のためのゆゑに生ずることを願ずるは、 またまさに往生を得ざるべし。 このゆゑに、 「↑自身住持の楽を求めず、 一切衆生の苦を抜かんと欲するがゆゑに」 といへり。
案↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、三輩生中雖↣行有↢優劣↡、莫↠不↣皆発↢无上菩提之心↡。此无上菩提心、即是願作仏心。願作仏心即是度衆生心。度衆生心即*是摂↢取衆生↡生↢有仏国土↡心。是故願↠生↢彼安楽浄土↡者、要発↢无上菩提心↡也。若人不↠発↢无上菩提心↡、但聞↢彼国土受↠楽无↟間、為↠楽故願↠生亦当↠不↠得↢往生↡也。是故言↧不↠求↢自身住持之楽↡欲↞抜↢一切衆生苦↡故。
是 宗祖加点本以外では脱落。
▼「↑住持の楽」 とは、 いはく、 かの安楽浄土は阿弥陀如来の本願力のために住持せられて、 楽を受くること間なし。
「住持楽」者、謂彼安楽浄土、為↢阿弥陀如来本願力之↡所↢住持↡受楽无↠間也。
▼おほよそ 「↑回向」 の名義を釈せば、 いはく、 おのが集むるところの一切の功徳をもつて一切衆生に*施与して、 ともに仏道に向かふなり。
施与…向かふなり 親鸞聖人は 「施与したまひて、ともに仏道に向かへしめたまふなり」 (信文類訓) と読まれた。
凡釈↢迴向名義↡、謂以↢己所集一切功徳↡施↢与一切衆生↡共向↢仏道↡。
▼「↑巧方便」 とは、 いはく、 菩薩願ずらく、 おのが智慧の火をもつて一切衆生の煩悩の草木を焼かんに、 もし一衆生として成仏せざることあらば、 われ作仏せじと。 しかるに、 かの衆生いまだことごとく成仏せざるに、 菩薩すでにみづから成仏す。 たとへば*火をして一切の草木を摘みて焼きて尽さしめんと欲するに、 草木いまだ尽きざるに、 火すでに尽くるがごとし。 ▼その身を後にして、 しかも身先だつをもつてのゆゑに巧方便と名づく。
火 木の火ばし。
「巧方便」者、謂菩薩願、以↢己智慧火↡焼↢一切衆生煩悩草木↡。若有↢一衆生不↟成↠仏、我不↠作↠仏。而彼衆生*未↠尽、成仏菩薩已自成仏、譬如↩火*擿聴念反欲↧摘↢聴歴反一切草木↡焼令↦使尽↥、草木未↠尽火擿已尽↨、以↧後↢其身↡而身先↥故名↢巧方便↡。
未尽成仏 返り点は聖教全書まま。 「(衆生) 未だ尽きず、 成仏せば…」
擿 宗祖加点本・鎌倉時代刊本を除く他本では 。
▼このなかに 「方便」 といふは、 いはく、 一切衆生を摂取して、 ともに同じくかの安楽仏国に生ぜんと作願す。 かの仏国はすなはちこれ畢竟成仏の道路、 無上の方便なり。
此中言↢方便↡者、謂作↧願摂↢取一切衆生↡共同生↦彼安楽仏国↥、彼仏国即是畢竟成仏道路、无上方便也。
◎解義分 ○障菩提門章
【106】▼*障菩提門とは、
障菩提門 前出の箇所 (56頁) では 「離菩提障」 とある。 三種の菩提の障害を除く心を説く。
▲菩薩かくのごとくよく*回向を知りて成就すれば、 三種の菩提門相違の法を遠離す。 なんらか三種。
回向を知りて成就すれば 親鸞聖人は 「回向成就したまへるを知れば」 (証文類訓) と読まれた。
鄣菩提門者、
菩薩如↠是善知↢迴向成就↡*即能遠↢離三種菩提門相違法↡。何等三種。
即能 鎌倉時代刊本では欠く。
1. 智慧門 (遠離我心貪着自身)
▲一には智慧門によりて自楽を求めず。 我心の自身に*貪着することを遠離するがゆゑなり。
一者依↢智恵門↡不↠求↢自楽↡、遠↣離我心貪↢着自身↡故。
▼*進むを知りて退くを守るを 「智」 といふ。 空・無我を知るを 「慧」 といふ。 智によるがゆゑに自楽を求めず。 慧によるがゆゑに、 我心の自身に貪着することを遠離す。
進むを知りて退くを守る 進んで衆生を済度することを知り、 小乗の自利主義に退かないように身を守る。
知↠進守↠退曰↢「智」↡、知↢空无我↡曰↢「慧」↡。依↠智故不↠求↢自楽↡、依↠恵故遠↣離我心貪↢着自身↡。
2. 慈悲門 (遠離無安衆生心)
【107】 ▲二には慈悲門によりて一切衆生の苦を抜く。 衆生を安んずることなき心を遠離するがゆゑなり。
二者依↢慈悲門↡抜↢一切衆生苦↡、遠↢離无安衆生心↡故。
▼苦を抜くを 「慈」 といふ。 楽を与ふるを 「悲」 といふ。 慈によるがゆゑに一切衆生の苦を抜く。 悲によるがゆゑに衆生を安んずることなき心を遠離す。
抜↠苦曰↢「慈」↡、与↠楽曰↢「悲」↡。依↠慈故抜↢一切衆生苦↡、依↠悲故遠↢離无安衆生心↡*也。
也 他書では欠く。
3. 方便門 (遠離供養恭敬自身心)
【108】 ▲三には方便門によりて一切衆生を*憐愍する心なり。 自身を供養し恭敬する心を遠離するがゆゑなり。
憐愍する心なり 親鸞聖人は 「憐愍したまふ心なり」 (証文類訓) と読まれた。 憐愍はいつくしみあわれむこと。
三者依↢方便門↡憐↢愍一切衆生↡、心遠↧離供↢養恭↣敬自身↡心↥故。
▼*正直を 「方」 といふ。 *外己を 「便」 といふ。 正直によるがゆゑに一切衆生を憐愍する心を生ず。 外己によるがゆゑに自身を供養し恭敬する心を遠離す。
正直 偏りなく平等なこと。
外己 己を外にすること。 相手の立場に立つこと。
正直曰↢「方」↡、外己曰↢「便」↡。依↢正直↡故生↧憐↢愍一切衆生↡心↥、依↢外己↡故遠↧離供↢養恭↣敬自身↡心↥。
▲これを三種の菩提門相違の法を遠離すと名づく。
是名↣遠↢離三種菩提門相違法↡。
◎解義分 ○順菩提門章
【109】▼*順菩提門とは、
順菩提門 三種の菩提の門に随順する心を説く。
▲菩薩はかくのごとき三種の菩提門相違の法を遠離して、 *三種の菩提門に随順する法の満足を得るがゆゑなり。 なんらか三種。
三種の…得るがゆゑなり 親鸞聖人は 「三種の随順菩提門の法満足することを得たまへるがゆゑに」 (証文類訓) と読まれた。
順菩提門者、
菩薩遠↢離如↠是三種菩提門相違法↡得↢三種随順菩提門法満足↡故。何等三種。
1. 無染清浄心
▲一には無染清浄心なり。 自身のために諸楽を求めざるをもつてのゆゑなり。
一者无染清浄心。以↠不↧為↢自身↡求↦諸楽↥故。
▼菩提はこれ無染清浄の処なり。 もし身のために楽を求むれば、 すなはち菩提に違せり。 このゆゑに 「無染清浄心」 は、 これ菩提門に順ずるなり。
菩提是无染清浄処。若為↠身求↠楽即違↢菩提↡。是故无染清浄心是順↢菩提↡門。
2. 安清浄心
【110】 ▲二には安清浄心なり。 一切衆生の苦を抜くをもつてのゆゑなり。
二者安清浄心。以↠抜↢一切衆生苦↡故。
▼菩提はこれ一切衆生を安穏にする清浄処なり。 もし心をなして、 一切衆生を抜きて生死の苦を離れしめざれば、 すなはち菩提に違せり。 このゆゑに 「一切衆生の苦を抜く」 は、 これ菩提門に順ずるなり。
菩提是安↢穏一切衆生↡清浄処。若不↧作↠心抜↢一切衆生↡離↦生死苦↥即便違↢菩提↡。是故抜↢一切衆生苦↡是順菩提門。
3. 楽清浄心
【111】 ▲三には楽清浄心なり。 一切衆生をして大菩提を得しむるをもつてのゆゑなり。 衆生を*摂取してかの国土に生ぜしむるをもつてのゆゑなり。
三者楽清浄心。以↠令↧一切衆生得↦大菩提↥故、以↧摂↢取衆生↡生↦彼国土↥故。
▼菩提はこれ*畢竟常楽の処なり。 もし一切衆生をして畢竟常楽を得しめざれば、 すなはち菩提に違せり。 この畢竟常楽はなにによりてか得る。 大乗門による。 大乗門といふは、 いはく、 かの安楽仏国土これなり。 このゆゑにまた 「衆生を摂取してかの国土に生ぜしむるをもつてのゆゑなり」 といへり。
畢竟常楽の処 究極的な常住安楽の境地。
菩提是畢竟常楽処。若不↠令↣一切衆生得↢畢竟常楽↡則違↢菩提↡。此畢竟常楽依↠何而得、依↢大乗門↡、大乗門者、謂彼安楽仏国土是也。是故又言、以↧摂↢取衆生↡生↦彼国土↥故。
▲これを三種の菩提門に随順する法の満足と名づく、 知るべし。
是名↢三種随順菩提門法満足↡、応↠知。
◎解義分 ○名義摂対章
【112】▼*名義摂対とは、
名義摂対 名は名称、 義は名にあらわされる意味。 障菩提門 (離菩提障) に説いた智慧、 慈悲、 方便の名を、 般若、 方便の二義に摂め、 三種の遠離心を無障心に摂め、 順菩提門の三清浄心を妙楽勝真心に摂めること。
名義摂対者、
1. 智慧心・方便心
▲向に説く△智慧と△慈悲と△方便との三種の門は、 ↓般若を摂取し、 般若は↓方便を摂取す、 知るべし。
向説智恵慈悲方便三種門摂↢取般若↡、般若摂↢取方便↡、応↠知。
▼「↑般若」 といふは、 *如に達する慧の名なり。 「↑方便」 といふは、 *権に通ずる智の称なり。 如に達すればすなはち*心行寂滅なり。 権に通ずればすなはちつぶさに衆機を*省みる。 機を省みる智、 つぶさに応じてしかも*無知なり。 寂滅の慧、 また無知にしてつぶさに省みる。 しかればすなはち智慧と方便とあひ縁じて動じ、 あひ縁じて静なり。 動の静を失せざることは智慧の功なり。 静の動を廃せざることは方便の力なり。 このゆゑに智慧と慈悲と方便とは般若を*摂取し、 般若は方便を摂取す。
権 仮のもの。 一時的なてだてとして設けたもの。 実に対する。
省みる 省察する。 知る。
無知 思慮分別をはなれた無分別智のこと。
「般若」者、達↠如之恵名。「方便」者、通↠権之智称。達↠如則心行寂滅。通↠権則備省↢衆機↡。省↠機之智備応而无知。寂滅之恵、亦无知而備省。然則智恵方便相縁而動、相縁而静。動不↠失↠静智恵之功也、静不↠*癈↠動方便之力也。是故智恵慈悲方便摂↢取般若↡、般若摂↢取方便↡。
廃 宗祖加点本・鎌倉時代刊本では 癈。
▼「知るべし」 といふは、 いはく、 智慧と方便とはこれ菩薩の父母なり。 もし智慧と方便とによらずは、 菩薩の法、 すなはち成就せずと知るべしとなり。 なにをもつてのゆゑに。 もし智慧なくして衆生のためにする時は、 すなはち顛倒に堕す。 もし方便なくして法性を観ずる時は、 すなはち*実際を証す。 このゆゑに 「知るべし」 といふ。
実際 真実の際限の意で涅槃の異名。 ここでは、 声聞乗の究極目的であるところの身心ともに滅する無余涅槃のこと。
「応知」者、謂応↠知↧智恵方便是菩薩父母、若不↠依↢智恵方便↡、菩薩法則不↦成就↥。何以故、若无↢智恵↡為↢衆生↡時則堕↢顛倒↡。若无↢方便↡観↢法性↡時、則証↢実際↡、是故応知。
2. 無障心
【113】 ▲向に△我心を遠離して自身に*貪着せざると、 △衆生を安んずることなき心を遠離すると、 △自身を供養し*恭敬する心を遠離するとを説けり。 この三種の法は菩提を障ふる心を遠離す、 知るべし。
向説↢遠離我心不貪着自身・遠離无安衆生心・遠離供養恭敬自身心↡。此三種法遠↢離鄣菩提心↡、応↠知。
▼諸法におのおの*障礙の相あり。 風はよく静を障へ、 土はよく水を障へ、 湿はよく火を障ふるがごとし。 *五悪・*十悪は人天を障ふ。 *四顛倒は声聞の果を障ふ。 このなかの三種の不遠離は、 菩提を障ふる心なり。 「知るべし」 といふは、 もし障ふることなきことを得んと欲せば、 まさにこの三種の障礙を遠離すべしとなり。
諸法各有↢鄣相↡、如↢風能鄣↠静、土能鄣↠水、湿能鄣↟火。五悪・十悪鄣↢人天↡、四顛倒鄣↢声聞果↡。此中三種、不↧遠↦離鄣↢菩提↡心↥。「応知」者、若欲↠得↠无↠鄣、当↣遠↢離此三種鄣↡也。
3. 妙楽勝真心
【114】 ▲向に△無染清浄心、 △安清浄心、 △楽清浄心を説けり。 この三種の心は、 一処に略して*妙楽勝真心を*成就す、 知るべし。
妙楽勝真心 行者が五念門を行じて得る自利利他円満の真実心で、 浄土の最勝の真実の徳 (妙徳勝真) にかなう菩提心のこと。
成就す 親鸞聖人は 「成就したまへり」 (証文類訓) と読まれた。
向説↢无染清浄心・安清浄心・楽清浄心↡。此三種心略一処成↢就妙楽勝真心↡、応↠知。
▼楽に三種あり。 一には外楽、 いはく*五識所生の楽なり。 二には内楽、 いはく*初禅・二禅・三禅の意識所生の楽なり。 三には*法楽楽、 いはく智慧所生の楽なり。 この智慧所生の楽は、 仏 (阿弥陀仏) の功徳を愛するより起れり。 これ我心を遠離すると、 無安衆生心を遠離すると、 自供養心を遠離するとなり。 この三種の心、 清浄にして増進するを、 略して妙楽勝真心となす。 「妙」 の言は、 それ好なり。 この楽は仏を縁じて生ずるをもつてのゆゑなり。 「勝」 の言は、 三界のなかの楽に勝出せり。 「真」 の言は、 虚偽ならず顛倒せず。
初禅二禅三禅 色界の四禅天のうちの初めの三をいう。 この
禅定に入る時にはこころに楽を生ずるという。 →
色界、
四禅
法楽楽 法楽は法味楽の意で、 仏法を味わい楽しむこと。
楽有↢三種↡。一者外楽、謂五識所生楽。二者内楽、謂初禅・二禅・三禅意識所生楽。三者法楽五角反楽、魯各反謂智恵所生楽。此智恵所生楽従↠愛↢仏功徳↡起。是遠離我心・遠離无安衆生心・遠離自供養心。是三種心清浄増進畧為↢妙楽勝真心↡。「妙」言其好、以↢此楽縁↠仏生↡故。「勝」言勝↢出三界中楽↡。「真」言不↢虚偽↡不↢顛倒↡。
◎解義分 ○願事成就章
【115】▼*願事成就とは、
願事成就者、
▲かくのごとく菩薩は△智慧心・△方便心・△無障心・△勝真心をもつて、 よく清浄の仏国土に*生ず、 知るべし。
願事成就 浄土願生の業事の成就について明かす。
生ず 親鸞聖人は 「生ぜしめたまへり」 (証文類訓) と読まれた。
如↠是菩薩智恵心・方便心・无鄣心・勝真心能生↢清浄仏国土↡、応↠知。
▼「知るべし」 といふは、 いはく、 この四種の清浄功徳をもつて、 よくかの清浄仏国