0100◎無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ註ちゅう 巻かん下げ

 

二 Ⅱ 解義分を釈す【解義分】
    ⅰ 科節

【44】 ◎^▲↓論ろんじて↓曰いはく。

◎0487†論ジテ0383*曰ク。

 ^これはこれ*解義げぎ分ぶんなり。 この分ぶんのなかに、 義ぎに十重じゅうじゅうあり。 一いちには↓*願がん偈げ大たい意い、 二にには↓*起き観かん生しょう信しん、 三さんには↓*観かん行ぎょう体相たいそう、 四しには↓*浄入じょうにゅう願心がんしん、 五ごには↓*善ぜん巧ぎょう摂せっ化け、 六ろくには↓*離り菩ぼ提だい障しょう、 七しちには↓*順じゅん菩ぼ提だい門もん、 八はちには↓*名みょう義ぎ摂対せったい、 九くには↓*願がん事じ成じょう就じゅ、 十じゅうには↓*利り行ぎょう満足まんぞくなり。

此ハ是 レ解義分ナリ。此ノ分ノ中ニ、義ニ有リ↢十重↡。一ニ者願偈大意、二ニ者起観生信、三ニ者観行体相、四ニ者浄入願心、五ニ者善巧摂化、六ニ者▼離菩提障、七ニ者順菩提門、八ニ者名義摂対、九ニ者願事成就、十ニ者利行満足ナリ。

二 Ⅱ ⅱ 文釈
      a 標語を釈す

^「↑論ろん」 とは*議ぎなり。 いふこころは偈げの所以ゆえんを議ぎするなり。 「↑曰わつ」 とは詞ことばなり。 下しもの諸しょ句くを指さす。 これは偈げを議ぎ釈しゃくする詞ことばなり。 ゆゑに 「論ろんじて曰いはく」 といふ。

「論ト」者ハ議也。言イフココロハ議スル↢偈ノ所以 ユヘ ヲ↡也。「曰ト」者ハ詞コトバ也。指ス↢下ノ諸句ヲ↡。是 レハ議↢釈スル偈ヲ↡詞コトバ也。故ニ言イフ↢「論ジテ曰クト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b 正章を釈す
        イ【願偈大意章】

【45】^↑願がん偈げ大たい意いとは、

願偈大意ト者ハ、

^▲この願がん偈げはなんの義ぎをか明あかす。 かの安楽あんらく世せ界かいを観かんじて阿あ弥陀みだ如来にょらいを見みたてまつることを示じ現げんす。 かの国くにに生しょうぜんと願がんずるがゆゑなり。

此ノ願偈ハ明ス↢何ノ義ヲカ↡。†示↧現ス観ジテ↢彼ノ安楽世界ヲ↡見タテマツルコトヲ↦阿弥陀如来ヲ↥。願ズルガ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡故 ヘナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ【起観生信章】
          (一)章を標し科を分つ

【46】^↑起き観かん生しょう信しんとは、 この分ぶんのなかにまた二に重じゅうあり。 一いちには↓*五ご念力ねんりきを示しめす。 二にに0101は↓*五ご念門ねんもんを出いだす。

起観生信ト者ハ、此ノ分ノ中ニ又有リ↢二重↡。一ニ者示ス↢五念力ヲ↡。二ニ者出ス↢五念門ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)文を出し義を釈す
            (Ⅰ)五念力を示す

【47】^↑五ご念力ねんりきを示しめすとは、

示スト↢五0488念力0384ヲ↡者ハ、

^▲いかんが観かんじ、 いかんが信心しんじんを生しょうずる。 もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにん、 五ご念門ねんもんを修しゅして行ぎょう成じょう就じゅしぬれば、 *畢ひっ竟きょうじて安楽あんらく国こく土どに生しょうじて、 かの阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつることを得う。

云何ガ観ジ云何ガ生ズル↢信心ヲ↡。若シ善男子・善女人修シテ↢五念門ヲ↡行成就シヌレバ、畢竟ジテ得トナリ↧生ジテ↢安楽国土ニ↡、見タテマツルコトヲ↦彼ノ阿弥陀仏ヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)五念門を出す
              (ⅰ)科目を牒し論文を出す

【48】^↑五ご念ねん↓門もんを出いだすとは、

出スト↢五念門ヲ↡者、

^▲なんらか五ご念ねん門もん。 一いちには↓礼拝らいはい門もん、 二にには↓讃嘆さんだん門もん、 三さんには↓作さ願がん門もん、 四しには↓観察かんざつ門もん、 五ごには↓回え向こう門もんなり。

何等ラカ五念門。一ニ者礼拝門、二ニ者讃嘆門、三ニ者作願門、四ニ者観察門、五ニ*者廻向門ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)論文を釈す
                (a)総釈

 ^「↑門もん」 とは入出にゅうしゅつの義ぎなり。 人ひと、 門もんを得うればすなはち入出にゅうしゅつ*無礙むげなるがごとし。 前さきの四し念ねんはこれ安楽あんらく浄じょう土どに入いる門もんなり。 後のちの一念いちねんはこれ慈悲じひ教きょう化けに出いづる門もんなり。

「門ト」者ハ入出ノ義也。如シ↢人得レバ↠門ヲ則チ入出无ナルガ↡。前ノ四念ハ是レ入ル↢安楽浄土ニ↡門ナリ。後ノ一念ハ是 レ出ヅル↢慈悲教化ニ↡門ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)随釈
                  (イ)礼拝を釈す
                    [一]行相
                      [Ⅰ]論文

【49】 ^▲いかんが↑礼拝らいはいする。 身業しんごうをもつて阿あ弥陀みだ↓如来にょらい・↓*応おう・↓正しょう遍へん知ちを*礼拝らいはいしたてまつる。

云何ガナルカ礼拝スル。身業ヲモテヲシテ礼↢拝シタテマツルシタマヒキ 阿弥陀如来・応・正遍知ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]総釈

 ^諸仏しょぶつ如来にょらいに、 徳とく無む量りょうあり。 徳とく無む量りょうなるがゆゑに*徳号とくごうまた無む量りょうなり。 もしつぶさに談だんぜんと欲ほっせば、 紙し筆ひつに載のすることあたはず。 ここをもつて諸しょ経きょうに、 あるい0102は*十名じゅうみょうを挙あげ、 あるいは三号さんごうを騰あげたり。 けだし*至し宗しゅうを存ぞんずるのみ。 あにここに尽つくさんや。 ^いふところの三号さんごうは、 すなはちこれ如来にょらいと応おうと正しょう遍へん知ちなり。

諸仏†如来ニ徳有アリ↢无量↡。徳无量ナルガ故ニ徳号亦无量ナリ。若シ欲セバ↢具ニ談ゼムト↡紙筆モニ不↠能ハ↠載スルコト也。是ヲ以テ諸経ニ、或イハ挙ゲグ↢十名ヲ↡、或イハ騰アゲタリ↢三号ヲ↡。蓋シ存ズル↢至宗ヲ↡而已ナラクノミト。豈ニ†此ニ尽サム耶ヤ。所ノ↠言フ三号ハ、即チ此 レ如来ト応ト・正遍知也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]如来を釈す

^「↑如来にょらい」 とは、 *法相ほっそうのごとく解さとり、 法相ほっそうのごとく説とき、 諸仏しょぶつの*安穏あんのん道どうより来きたるがごとく、 この仏ぶつもまたかくのごとく来きたりて、 また*後有ごうのなかに去さらず。 ゆゑに如来にょらいと名なづく。

「如来ト」者ハ、如ク↢法相ノ↡解サトリ、如ク↢法相ノ↡説キ、如ク↢諸仏ノ安*穏道ヨリ来ルガ↡、此ノ仏モ亦如ク↠是クノ来リテ、更マタ不ズ↠去ラ↢後有ノ中ニ↡。故ニ名ク↢如来ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅲ]応を釈す

^「↑応おう」 とは応おう供ぐなり。 仏ぶつは*結けっ使し除尽じょじんして一切いっさいの智慧ちえを得えて、 応まさに一切いっさいの天てん地ちの衆しゅ生じょうの供く養ようを受うくべきがゆゑに応おうといふなり。

「応ト」者ハ応供也。仏ハ結使除尽シテ得テ↢一切ノ智*恵ヲ↡、†応ニキガ↠受ク↢一切ノ天地ノ衆生ノ供養ヲ↡故ニ曰イフ↠応ト也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅳ]正遍知を釈す

^「↑正しょう遍へん知ち」 とは、 一切いっさい諸法しょほうは実じつに不壊ふえの相そうにして不ふ増ぞう不ふ減げんなりと知しる。 いかんが不壊ふえなる。 *心しん行ぎょう処滅しょめつし、 *言ごん語ごの道どう過すぎたり。 諸法しょほうは涅ね槃はんの相そうのごとくにして不ふ動どうなり。 ゆゑに正しょう遍へん知ちと名なづく。

「正0489遍知0385ト」者ハ、知ル↢一切諸法ハ実ニ不壊ノ相ニシテ不増不減ナリト↡。云何ガ不壊ナル。心行処滅シテ、†言語ノ道*過ギタリ。諸法ハ†如クニシテ↢涅槃ノ相ノ↡不動ナリ。故ニ名ク↢正遍知ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅴ]別号を釈す

^無礙むげ光こうの義ぎは、 ▲前さきの偈げのなかに解げするがごとし。

无光ノ義ハ、如シ↢前ノ偈ノ中ニ解スルガ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]弁意
                      [Ⅰ]論文

【50】 ^▲かの国くにに生しょうずる意こころを*なすがゆゑなり。

為ナスガサセムガ↧生ズルゼム↢彼ノ国ニ↡意ヲ↥故ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]註釈

 ^なんがゆゑぞこれをいふとなれば、 菩ぼ薩さつの法ほうは、 つねに昼ひる三さん時じ・夜よる三さん時じをもつて十方じっぽう一切いっさい諸仏しょぶつを礼らいす。 かならずしも願がん生しょうの意こころあるにあらず。 いまつねに願がん生しょうの意こころをなすべきがゆゑに、 阿あ弥陀みだ如来にょらいを礼らいしたてまつるなり。

何ガ故ゾニカ言フトナレバ↠此ヲ、菩薩之法ハ、常ニ以テ↢昼ヒル三時夜 ル三時ヲ↡礼ス↢十方一切諸仏ヲ↡。†不ズ↣必ズシモ有ルニ↢願生ノ意↡。今応キガ↣常ニ作ス↢願生ノ意ヲ↡故ニ、礼シタテマツルシタテマツレト↢阿弥陀如来ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)讃嘆を釈す
                    [一]総示
                      [Ⅰ]論文

【51】 ^▲いかんが↑↓讃さん↓嘆だんする。 ↓口く業ごうをもつて*讃嘆さんだんしたてまつる。

云何ガナルカ讃嘆スル。口業ヲモテヲシテ讃嘆シタテマツルシタマヒキ 。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]註釈

 ^「↑讃さん」 とは讃揚さんようなり。 「↑嘆たん」 とは歌か嘆たんなり。 讃嘆さんだんは口くちにあらざれば宣のべず。 ゆ0103ゑに 「↑口く業ごう」 といふなり。

▼「讃ト」者ハ讃揚也。「嘆ト」者ハ歌嘆也。讃嘆ハ非ザレバ↠口ニ不ズ↠宣ベ。故ニ曰イフ↢「口業ト」↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別顕
                      [Ⅰ]論文

【52】 ^▲↓*かの如来にょらいの名みなを称しょうするに、 ↓かの如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうのごとく、 ↓かの名みょう義ぎのごとく、 如実にょじつに修しゅ行ぎょうして相応そうおうせんと欲ほっするがゆゑなり。

称スルニシ  ↢彼ノ如来ノ名ヲ↡、如ク↢彼ノ如来ノ光明智相ノ↡、如ク↢彼ノ名義ノ↡、欲スルガ↢†如実ニ修行シテ相応セムト↡故ナリト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]称名を釈す

 ^◆「↑かの如来にょらいの名みなを称しょうす」 とは、 いはく、 ▼無礙むげ光こう如来にょらいの名みなを称しょうするなり。

「称スト↢彼ノ如来ノ名ヲ↡」者ハ、謂ク称スルセヨト↢无光如来ノ名ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]光明を釈す

^◆「↑かの如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうのごとく」 とは、 仏ぶつの光こう明みょうはこれ智慧ちえの相そうなり。 ▼この光こう明みょうは十方じっぽう世せ界かいを照てらしたまふに*障しょう礙げあることなし。 ▼よく十方じっぽう衆しゅ生じょうの無む明みょうの黒闇こくあんを除のぞくこと、 日にち・月がつ・珠光しゅこうのただ空穴くうけつのなかの闇あんをのみ破はするがごときにはあらず。

「如クト↢彼ノ如来ノ光明智相ノ↡」者ハ、仏ノ光明ハ是 レ智*恵ノ相也。此ノ光明ハ照シタマフニ↢十方世界ヲ↡无シ↠有ルコト↢障↡。能ク除クコト↢十方衆生ノ无明ノ黒闇ヲ↡、非ズ ザル↠如キニハ↣日月珠光ノ但破スルガ↢空穴ノ中ノ闇ヲノミ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ]相応を釈す
                          [a]所相応を標す【名号破満】

^▼「↑かの名みょう義ぎのごとく、 ↓如実にょじつに修しゅ行ぎょうして相応そうおうせんと欲ほっす」 とは、 ▼かの無礙むげ光こう如来にょらいの名みょう号ごうは、 よく衆しゅ生じょうの一切いっさいの無む明みょうを破はし、 よく衆しゅ生じょうの一切いっさいの*志し願がんを満みてたまふ。

「▼如ク↢彼ノ名義ノ↡、欲スト↢如実ニ修行シテ相応セムト↡」者ハ、彼ノ无光如来ノ名号ハ、能ク破シ↢衆生ノ一切ノ无明ヲ↡、能ク満ミテタマフ↢衆生0386ノ一0490切ノ志願ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]能相応を弁ず
                            イ不相応を簡ぶ
                              ª一º不相応行を標す

^◆しかるに名みなを称しょうし憶念おくねんすれども、 無む明みょうなほありて所願しょがんを満みてざるものあり。 ▼なんとなれば、 如実にょじつに修しゅ行ぎょうせず、 ▼名みょう義ぎと相応そうおうせざるによるがゆゑなり。

然ルニ†有リ↧称シ↠名ヲ憶念スレドモ而无明由ナホ†在リテ而不ル↠満テ↢所願ヲ↡者↥。何トナレバ*者由ルガ↧不ルト↢如実ニ修行セ↡、与ト↢名義↡不ルニ↦相応セ↥故 ヘ也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]イª二º不相応心を弁ず
                                ªⅠº聞不具足に約す

^◆いかんが如実にょじつに修しゅ行ぎょうせず、 名みょう義ぎと相応そうおうせざるとなすとならば、 いはく、 如来にょらいはこれ*実相じっそう身しんなり、 これ*為い物身もつしんなりと知しらざればなり。

云何ガ為ストナラバルトナラバ↧不ルト↢如実ニ修行セ↡、与ト↢名義↡不ルト↦相応セ↥、謂ク不レバナリルナリ ↠知ラ↢如来ハ是 レ実相ノ身ナリ、是†為物身ナリト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]イª二ºªⅡº信不具足に約す【三不知三不信】

^◆また*三種さんしゅの不ふ相応そうおうあり。 ▼一いちには信心しんじん淳あつからず、 *存ぞんずるがごとく亡もうずるがごときゆゑなり。 ▼二にには信心しんじん一いちならず、 決けつ定じょうなきがゆゑなり。 ▼三さんには信心しんじん相続そうぞくせず、 余よ念ねん間へだつるがゆゑなり。

又有リ↢三種ノ不相応↡。▼一ニ者ハ信心不ズ↠淳カラ、▼若ゴトクシ↠存ズルガ若キノ↠亡ズルガ故ナリニ 。二ニ者信心不ズ↠一ナラ、无キガ↢決定↡故ナリニ 。三ニ者信*心不ズ↢相続セ↡、▼余念間 ダツルガ故ナリ。

^▼この三さん句く展てん0104転でんしてあひ成じょうず。 信心しんじん淳あつからざるをもつてのゆゑに決けつ定じょうなし。 ▼決けつ定じょうなきがゆゑに念ねん相続そうぞくせず。 また念ねん相続そうぞくせざるがゆゑに決けつ定じょうの信しんを得えず。 ▼決けつ定じょうの信しんを得えざるがゆゑに心しん淳あつからざるべし。

◆此ノ三句展転シテ相 ヒ成ズ。以テノ↢信心不ルヲ↟淳カラ故ニ无シ↢決定↡。无キガ↢決定↡故ニ念不ズ↢相続セ↡。亦可シ↧念不ルガ↢相続セ↡故ニ不ズ↠得↢決定ノ信ヲ↡、不ルガ↠得↢決定ノ信ヲ↡故ニ心不ル↞淳カラ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]ロ能相応を明す

^▼これと相そう違いせるを ▼「↑如実にょじつに修しゅ行ぎょうし相応そうおうす」 と名なづく。

与ト↠此 レ相違セルヲ名ク↢「如実ニ修行シ相応スト」↡。

^◆このゆゑに論主ろんじゅ (*天親)、 「▲我が一心いっしん」 と建言こんごんす。

是ノ故ニ論主†建↢言ス「我一心ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][c]問答料簡【名法相即】
                            イ問

 ^▼問とひていはく、 名なをば法ほうの指ゆびとなす。 指ゆびをもつて*月つきを指さすがごとし。 もし仏ぶつの名みょう号ごうを称しょうするにすなはち願がんを満みつることを得うといはば、 月つきを指さす指ゆび、 よく闇あんを破はすべし。 もし月つきを指さす指ゆび、 闇あんを破はすることあたはずは、 仏ぶつの名みょう号ごうを称しょうすとも、 またなんぞよく願がんを満みてんや。

問ヒテ曰ク、名ヲバ為ス↢法ノ指ト↡。*如シ↢指ヲモテヲシテ指オシスガフルガ↟*日ヲ。若シ称スルニ↢仏ノ名号ヲ↡*便チ†得トイハバ↠満ツルコトヲ↠願ヲ者、指スフル↠*日ヲ之指ユビ、応シ↢能ク破ス↟闇ヲ。若シ指オシスフル↠*日ヲ之指ユビ、不ズハ↠能ハ↠破スルコト↠闇ヲ、称ストモ↢仏ノ名号ヲ↡、亦何ゾ能ク満テムタム↠願ヲ耶。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][c]ロ答

^◆答こたへていはく、 諸法しょほう万差まんじゃなり。 一概いちがいすべからず。 ↓*名なの法ほうに即そくするあり。 ↓名なの法ほうに異いするあり。

答ヘテ曰ク、諸法万差ナリ。不ズ↠可カラ↢一概ガイス↡。有リ↢名ノ即スル↟法ニ。有リ↢名ノ異スル↟法ニ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][c]ロª一º名の法に即する

^◆↑名なの法ほうに即そくするとは、 諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつの名みょう号ごう、 般若はんにゃ波羅はら蜜みつ、 および陀羅尼だらにの章しょう句く、 *禁呪きんじゅの音おん辞じ等とうこれなり。

名ノ即スルト↠法ニ者ハ、諸仏菩薩ノ名号、般若波羅蜜、及ビ陀羅尼ノ章句、禁*呪ノ音辞等是也。

^◆禁腫きんじゅの辞ことばに、 「*日にっ出しゅつ東方とうぼう乍さ赤しゃく乍さ黄おう」 等とうの句くをいふがごとし。 たとひ*酉亥ゆうがいに禁きんを行ぎょうじて、 日にっ出しゅつに関あずからざれども、 腫しゅ、 差いゆることを得う。

†如シ↣禁腫キムシユノ辞コトバニ云フガ↢日出東方乍赤乍黄等ノ句ヲ↡。仮使 タトヒ 酉亥イウガイニ行ジテ↠禁ヲ、不レドモ↠関アヅカラ↢日出ニ↡而腫得ウ↠差イユルコトヲ。

^また師いくさに行ゆくに陣じんに対むかひてただ一ひとたびも切せっ歯しのなかに 「*臨りん兵ぴょう闘者とうしゃ皆かい陣列じんれつ前ぜん行ぎょう」 と誦じゅするがごとし。 この九く字じを誦じゅするに*五ご兵ひょうの中あたらざるところなり。 ¬*抱朴ほうぼく子し¼ これを*要道ようどうといふものなり。

亦如シ↣行ユクニ↠師イクサニ対 カヒテ↠陣ニ但*一タビモ切ノ歯ノ中ニ誦スルガ↢臨兵闘者皆陣列在前行ト↡。誦スルニ↢此ノ九字ヲ↡五兵之所ナリ↠不ル↠中アタラ。¬抱朴ハウボク子シ¼謂イフ↢之ヲ要道ト↡者也。

^▼また転筋こむらがえりを苦くるしむもの、 木瓜ぼけをもつて火ひに対あてこれを*熨のすにすなはち愈い0105えぬ。 また人ひとありて、 ただ木瓜ぼけの名なを呼よぶにまた愈いえぬ。 わが身みにその効しるしを得うるなり。

又苦クルシムニ↢転筋コブラガヘリヲ↡者、以テ↢木*瓜ヲ↡対テ↠火ニ*慰ノスニ↠之ヲ則チ愈イ0387エヌ。復0491有リテ↠人但呼ヨブニ↢木*瓜ノ名ヲ↡亦愈エヌ。吾ワガ身ミニ得ル↢其ノ効シルシヲ↡也。

^かくのごとき*近ごん事じは世せ間けんにともに知しれり。 いはんや不可ふか思議しぎの境きょう界がいなるものをや。 *滅除めつじょ薬やくを鼓つづみに塗ぬる喩たとへ、 またこれ一いち事じなり。 この喩たとへはすでに▲前さきに彰あらわすゆゑにかさねて引ひかず。

如キ↠斯クノ近事ハ世間ニ共ニ知レリ。況ヤ不可思議ノ境界ナル者 ノヲ乎ヤ。滅除薬ヲ塗ル↠鼓ニ之喩 ヘ、復是 レ一事ナリ。此ノ喩ハ已ニ彰アラハス†↢於前ニ↡故ニ不ズ↢重テ*引カ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ][c]ロª二º名の法に異する

^▼↑名なの法ほうに異いするありとは、 指ゆびの月つきを指さすがごとき等らの名ななり。

有リトイフ↢名ノ異スル↟*法ニ者ハ、†如キ↢指ノ指スガ↟*日ヲ等ノ名也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)作願を釈す
                    [一]論文

【53】 ^▲いかんが↑作さ願がんする。 *心しんにつねに願がんを作なし、 一心いっしんにもつぱら畢ひっ竟きょうじて安楽あんらく国こく土どに往おう生じょうせんと念ねんず。 ↓如実にょじつに↓奢しゃ摩他またを修しゅ行ぎょうせんと欲ほっするがゆゑなり。

云何ガ作願スル。心ニ常ニ†作シ↠願ヲ、一心ニ†専ラ念ズ↣畢竟ジテ往↢生セムト安楽国土ニ↡。欲スルガフガ ↣†如実ニ修↢行セムト奢摩他ヲ↡故 ヘナリニノタマヘリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]註釈
                      [Ⅰ]総釈

 ^「↑奢しゃ摩他また」 を訳やくして 「止し」 といふ。 「止し」 とは、 心しんを一処しょに止とどめて悪あくをなさず。

訳シテ↢「奢摩他ヲ」↡曰フ↠止ト。止ト者ハ止メテ↢心ヲ一処ニ↡不ル↠作サ↠悪ヲ也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]別弁
                        [ⅰ]漢語の浮漫を弁ず

^この訳やく名みょうはすなはち大たい意いに乖そむかざれども、 義ぎにおいていまだ満みたず。 なにをもつてこれをいふとならば、 *心しんを鼻び端たんに止とどむるがごときをもまた名なづけて止しとなす。 *不ふ浄じょう観かんの貪とんを止とどめ、 *慈悲じひ観かんの瞋しんを止とどめ、 *因縁いんねん観かんの痴ちを止とどむ。 かくのごとき等らをもまた名なづけて止しとなす。 人ひとのまさに行ゆかんとして行ゆかざるがごときをもまた名なづけて止しとなせばなり。

此ノ訳名ハ乃チ不レドモ↠乖ソムカ↢大意ニ↡、於テ↠義ニ未ズ ダ↠満タ。何ヲ以テ言フトナラバ↠之ヲ、如キヲモ↠止ムルガ↢心ヲ鼻端ニ↡亦名ケテ為ス↠止ト。不浄観ノ止メ↠貪ヲ、慈悲観ノ止メ↠瞋ヲ、因縁観ノ止ム↠痴ヲ。如キ↠是クノ等ヲモ亦名ケテ為ス↠止ト。†如キヲモ↢人ノ将シ ニテ↠行カムト不ルガ↟行カ亦名ケテ為セバナリス   ↠止ト。

^ここに知しりぬ、 止しの語ことばは*浮ふ漫まんにしてまさしく奢しゃ摩他またの名なを得えずと。 ▽*椿ちん・柘しゃ・楡ゆ・柳りゅうのごときをみな木きと名なづくといへども、 も0106しただ木きといふときは、 いづくんぞ楡ゆ・柳りゅうを得えんや。

是ニ知リヌ止ノ語コトバハ浮漫ニシテ不ト↣正シク得↢奢摩他ノ*名ヲ↡也。如キヲ↢椿柘楡ニレ柳ノ↡雖モ↢皆名クト↟木ト、若シ但云イフトキハ↠木ト安イヅクンゾ得ム↢楡柳ヲ↡耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]今論の止義を明す

^「奢しゃ摩他また」 を止しといふは*含ふくみて三さんの義ぎあり。

奢摩他ヲ云フ↠止ト者ハ*合ベシ↠有ル↢三ノ義↡。

^一いちには一心いっしんにもつぱら阿あ弥陀みだ如来にょらいを念ねんじてかの土どに生しょうぜんと願がんずれば、 この如来にょらいの名みょう号ごうおよびかの国こく土どの名みょう号ごう、 よく一切いっさいの悪あくを止とどむ。

一ニ者一心ニ専ラ念ジテ↢阿弥陀如来ヲ↡願ズレバ↠生ゼムト↢彼ノ土ニ↡、此ノ如来ノ名号及ビ彼ノ国土ノ名号能ク止ム↢一切ノ悪ヲ↡。

^二ににはかの安楽あんらく土どは三界さんがいの道どうに過すぎたり。 もし人ひとまたかの国くにに生しょうずれば、 自じ然ねんに身しん口意くいの悪あくを止とどむ。

二ニ者彼ノ安楽土ハ過ギタリ↢三界ノ道ニ↡。若シ人亦生ズレバジヌレバ↢彼ノ国ニ↡、自然ニ止ム↢身口意ノ悪ヲ↡。

^三さんには阿あ弥陀みだ如来にょらいの正しょう覚がく住じゅう持じの力ちから、 自じ然ねんに声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつを求もとむる心しんを止とどむ。

三ニ者阿弥陀如来ノ正覚住持ノ力ヲシテ、自然ニ止ム↧求ムル↢声聞・辟支仏ヲ↡心ヲ↥。

^この三さん種しゅの止しは如来にょらいの如実にょじつの功く徳どくより生しょうず。 このゆゑに 「↑如実にょじつに奢しゃ摩他またを修しゅ行ぎょうせんと欲ほっするがゆゑなり」 といへり。

此ノ三種ノ止ハ従ヨリ↢如来ノ如実ノ功徳↡生ズ。是ノ故ニ言ノタマヘリト↢「欲↣如実修↢行奢摩他↡故ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)観察を釈す
                    [一]能観を明す
                      [Ⅰ]論文

【54】 ^▲いかんが↑観察かんざつする。 智慧ちえをもつて*観察かんざつし、 正しょう念ねんにかしこを観かんず。 ↓如実にょじつに↓毘婆びば舎しゃ那なを修しゅ行ぎょうせんと欲ほっするがゆゑなり。

0492云何0388ガ観察スル。智*恵ヲモテヲシテ観察シタマヘリキ、正念ニ観†ズ↠彼ヲ。欲スルガフガ ↣†如実ニ修↢行セムト毘婆舎那ヲ↡故ナリト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]総じて漢語の浮漫を明す

 ^「↑毘婆びば舎しゃ那な」 を訳やくして 「観かん」 といふ。 ただ汎ひろく観かんといふには、 義ぎまたいまだ満みたず。 なにをもつてこれをいふとならば、 身しんの無む常じょう・苦く・空くう・無我むが・*九く想そう等とうを観かんずるがごときをも、 みな名なづけて観かんとなせばなり。 また△上かみの木きの名なの椿ちん・柘しゃを得えざるがごとし。

訳シテ↢「毘婆舎那ヲ」↡曰フ↠観ト。但汎ヒロク言フニハ↠観ト、義亦未ズ ダ↠満タ。何ヲ以テ言フトナラバ↠之ヲ、如キヲモ↠観ズルガ↢身ノ无常・苦・空・无我・九*想等ヲ↡、皆名ケテ為†セバナリ↠観ト。亦†如シ↢上ノ木ノ名ノ不ルガ↟得↢椿柘ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅱ][ⅱ]別して今論の観義を顕す

^「毘婆びば舎しゃ那な」 を観かんといふはまた二にの義ぎあり。

毘婆舎那ヲ云フ↠観ト者亦有リ↢二ノ義↡。

^一いちには、 ここにありて想そうをなして▽かの三種さんしゅの荘しょう厳ごん功く徳どくを観かんずれば、 この功く徳どく如実にょじつなるがゆゑに、 修しゅ行ぎょうするものもまた如実にょじつの功く徳どくを得う。 如実にょじつの功く徳どくとは、 決けつ定じょうしてかの土どに0107生しょうずることを得うるなり。

一ニ者在リテ↠此ココニ作シテ↠想ヲ観ズレバ↢彼ノ三種ノ荘厳功徳ヲ↡、此ノ功徳如実ナルガ故ニ修行†スル者モ亦得ウ↢如実ノ功徳ヲ↡。*如実ノ功徳ト者ハ、決定シテ得ルナリ↠生ズルコトヲ↢彼ノ土ニ↡。

^二にには、 またかの浄じょう土どに生しょうずることを得うれば、 すなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつり、 *未み証しょう浄じょう心しんの菩ぼ薩さつ、 畢ひっ竟きょうじて*平びょう等どう法身ほっしんを証しょうすることを得う。 *浄じょう心しんの菩ぼ薩さつと*上じょう地じの菩ぼ薩さつと、 畢ひっ竟きょうじて同おなじく*寂じゃく滅めつ平びょう等どうを得うるなり。

二ニ者亦得レバ↠生ズルコトヲ↢彼ノ浄土ニ↡、即チ見†タテマツリ↢阿弥陀仏ヲ↡、未証浄心ノ菩薩、畢竟ジテ†得↠証スルコトヲ↢平等法身ヲ↡。与ト↢浄心ノ菩薩↡与ト↢上地ノ菩薩↡畢竟ジテ同ジク得ウルナリ↢寂滅平等ヲ↡。

^このゆゑに 「↑如実にょじつに毘婆びば奢しゃ那なを修しゅ行ぎょうせんと欲ほっするがゆゑなり」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「欲↣如実修↢行毘婆奢那↡故ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]所観を出す
                      [Ⅰ]論文

【55】 ^▲かの↓観かん↓察ざつに三さん種しゅあり。 なんらか三さん種しゅ。 一いちにはかの仏国ぶっこく土どの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつす。 二にには阿あ弥陀みだ仏ぶつの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつす。 三さんにはかの諸しょ菩ぼ薩さつの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつす。

彼ノ観察ニ有リ↢三種↡。何等ラカ三種。一ニ者観↢察ス彼ノ仏国土ノ荘厳功徳ヲ↡。二ニ者観↢察ス阿弥陀仏ノ荘厳功徳ヲ↡。三ニ者観↢察ス彼ノ諸菩薩ノ荘厳功徳ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]註釈

 ^心しんにその事じを縁えんずるを 「↑観かん」 といふ。 *観心かんじん分ぶん明みょうなるを 「↑察さつ」 といふ。

心ニ縁ズルヲ↢其ノ事ヲ↡曰イフ↢「観ト」↡、観心分明†ナルヲ曰イフ↢「察ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)回向を釈す
                    [一]論文

【56】 ^▲いかんが↑*回え向こうする。 一切いっさい苦く悩のうの衆しゅ生じょうを捨すてずして、 心しんにつねに願がんを作なし、 ↓回え向こうを首しゅとなす。 大だい悲ひ心しんを成じょう就じゅすることを*得えんとするがゆゑなり。

▼云何ガ廻向スル。不ズシテ↠捨テ↢一切苦悩ノ衆生ヲ↡、心ニ常ニ作↠願シ、廻向ヲ†為ス↠首ト。得エムトスルガタマヘルガ↣成↢就スルコトヲ大悲心ヲ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二]註釈
                      [Ⅰ]標列【往還回向】

 ^▼「回え向こう」 に二に種しゅの相そうあり。 一いちには↓往相おうそう、 二にには↓還相げんそうなり。

▼「廻向ニ」有リ↢二種ノ相↡。一ニ者往相、*二ニ者還相ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ]随釈
                        [ⅰ]往相

^▼「↑往相おうそう」 とは、 おのが功く徳どくをもつて*一切いっさい衆しゅ生じょうに回施えせして、 ともにかの阿あ弥陀みだ如来にょらいの安楽あんらく浄じょう土どに往おう生じょうせんと作さ願がんするなり。

◆往相ト者、以テ↢己 レガ功徳ヲ↡廻↢施シテ一切衆0493生ニ↡、0389†作↣願スルナリ共ニ往↢生セムト彼ノ阿弥陀如来ノ安楽浄土ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]還相

^▼「↑還相げんそう」 とは、 かの土どに生しょうじをはりて、 奢しゃ摩他また・毘婆びば舎しゃ那なを得え、 方便ほうべん力りき成じょう就じゅすれば、 生しょう死じの*稠ちゅう林りんに回え入にゅうして一切いっさい衆しゅ生じょうを教きょう化けして、 ともに仏道ぶつどうに*向むかふなり。

◆還相ト者、生ジ↢彼ノ土ニ↡已リテ、†得↢奢摩他・毘*婆舎那ヲ↡、方便力成就スレバ、廻↢入シテ生死ノ稠林ニ↡教↢化シテ一切衆生ヲ↡、共ニ向ムカフナリヘシムルナリ↢仏道ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅲ]結示

^◆もしは往おう、 もしは還げん、 みな衆しゅ生じょうを抜ぬきて生しょう死じ海かいを渡どせん0108がためなり。 このゆゑに 「↑回え向こうを首しゅとなす。 大だい悲ひ心しんを成じょう就じゅすることを得えんとするがゆゑなり」 といへり。

◆若シハ往若シハ還、皆為 メナリ↧抜キテ↢衆生ヲ↡渡セムガ↦生死海ヲ↥。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「廻向為↠首*得↣成↢就大悲心↡故ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ ハ【観察体相章】
          (一)章を標し科を分つ

【57】^↑*観察かんざつ体相たいそうとは、 この分ぶんのなかに二にの体たいあり。 一いちには↓*器き体たい、 二にには↓*衆しゅ生じょう体たいなり。

観察体相ト者ハ、此ノ分ノ中ニ有リ↢二ノ体↡。一ニ者器体、二ニ者衆生体ナリ。

^↑器きの分ぶんのなかにまた三さん重じゅうあり。 一いちには↓国こく土どの*体相たいそう。 二にには↓自利じり利他りたを示じ現げんす。 三さんには↓第一だいいち義ぎ諦たいに入いるなり。

器ノ分ノ中ニ又有リ↢三*重↡。一ニ者国土ノ体相。二ニ者示↢現ス自利利他ヲ↡。三ニ者入ルナリ↢*第一義諦ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)文を出し義を釈す
            (Ⅰ)器体
              (ⅰ)国土体相
                (a)科目を標す

【58】^↑国こく土どの体相たいそうとは、

国土ノ体相ト者、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)正しく文を釈す
                  (イ)総嘆
                    [一]論文

^▲いかんがかの仏国ぶっこく土どの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつする。 かの仏国ぶっこく土どの荘しょう厳ごん功く徳どくは↓不可ふか思議しぎ力りきを成じょう就じゅせるがゆゑなり。 ↓かの摩尼まに如にょ意い宝ほうの性しょうのごときに↓相そう似じ相対そうたいの法ほうなるがゆゑなり。

云何ガ観↢察スル彼ノ仏国土ノ荘厳功徳ヲ↡。▼彼ノ仏国土ノ荘厳功徳者成↢就セルガ不可思議力ヲ↡故ナリニ 。†如キニ↢彼ノ摩尼如意宝ノ性ノ↡相似ジ相対ノ法ナルガ故ナリニ 。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二]註釈
                      [Ⅰ]釈法

 ^▼「↑不可ふか思議しぎ力りき」 とは、 総そうじてかの仏国ぶっこく土どの十じゅう七しち種しゅの荘しょう厳ごん功く徳どく力りきの、 思議しぎすることを得うべからざるを指さすなり。 諸しょ経きょうに統すべてのたまはく、 *五ご種しゅの不可ふか思議しぎあり。 一いちには衆しゅ生じょう多た少しょう不可ふか思議しぎ、 二にには業力ごうりき不可ふか思議しぎ、 三さんには竜りゅう力りき不可ふか思議しぎ、 四しには禅ぜん定じょう力りき不可ふか思議しぎ、 ▼五ごには仏法ぶっぽう力りき不可ふか思議しぎなり。

「不可思議力ト」者、総ジテ指ス↢彼ノ仏国土ノ十七種ノ荘厳功徳力ノ不ルヲ↟可カラ↠得ウ↢思議スルコトヲ↡也。▼諸経ニ†統スベテ言ノタマハク、有リ↢五種ノ不*可思議↡。一ニ者衆生多少不可思議、二ニ者業力不可思議、三ニ者竜力不可思議、四ニ者禅定力不可思議、五ニ者仏法力不可思議ナリ。

^▼このなかの仏ぶつ土ど不可ふか思議しぎに二に種しゅの力りきあり。 ▼一いちには業力ごうりき、 いはく、 法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの出しゅっ世せの善根ぜんごん、 大願だいがん業力ごうりきの所しょ成じょうなり。 ▼二にには正しょう覚がくの*阿あ弥陀みだ法王ほうおう善ぜん住じゅう持じ力りきの所しょ摂しょうなり。 この不可ふか思議しぎは下しもの↓十じゅう七しち種しゅ0109のごとし。 一々いちいちの相そうみな不可ふか思議しぎなり。 文もんに至いたりてまさに釈しゃくすべし。

此ノ中ノ仏土不可思議ニ有リ↢二種ノ力↡。一ニ者業力、謂ク法蔵菩薩ノ出世ノ善根ト、大願業力トノ所成ナリ。二ニ者正覚ノ阿弥陀法王善住持力0494ノニ†所0390摂ナリ。此ノ不可思議ハ如シ↢下ノ十七種ノ↡。一一ノ相皆不可思議ナリ。至リテ↠文ニ当ニシ↠釈ス。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]釈譬
                        [ⅰ]如彼摩尼を釈す

^「↑かの摩尼まに如にょ意い宝ほうの性しょうのごときに相そう似じ相対そうたい」 といふは、 かの摩尼まに如にょ意い宝ほうの性しょうを借かりて、 安楽あんらく仏ぶつ土どの不可ふか思議しぎの性しょうを示しめすなり。

†「如キニ↢彼ノ摩尼如意宝ノ性ノ↡相似相対トイフ」者、借リテ↢彼ノ摩尼如意宝ノ性ヲ↡、示ス↢安楽仏土ノ不*可思議ノ性ヲ↡也。

^諸仏しょぶつ*入にゅう涅ね槃はんの時とき、 方便ほうべん力りきをもつて*砕身さいしんの舎しゃ利りを留とどめてもつて衆しゅ生じょうを福ふくす。 衆しゅ生じょうの福ふく尽つきぬれば、 この舎しゃ利り変へんじて摩尼まに如にょ意い宝珠ほうしゅとなる。 この珠しゅは多おおく大海だいかいのなかにあり。 大だい竜りゅう王おう、 もつて首くびの飾かざりとなせり。

諸仏入涅槃ノ時、以テ↢方便力ヲ↡留メテ↢砕身ノ舎利ヲ↡以テ†福ス↢衆生ヲ↡。衆生ノ福尽キヌレバ此ノ舎利変ジテ為ナル↢摩尼如意宝珠ト↡。此ノ珠ハ多ク在リ↢大海ノ中ニ↡。大竜王以テ為セリ↢首ノ飾カザリト↡。

^もし転輪てんりん聖じょう王おう世よに出いづるときは、 慈悲じひ方便ほうべんをもつてよくこの珠しゅを得えて、 閻えん浮ぶ提だいにおいて*大だい饒にょう益やくをなす。 もし衣え服ぶく・飲食おんじき・灯とう明みょう・楽がく具ぐ、 意こころの所欲しょよくに随したがひて種々しゅじゅの物ものを須もちゐる時ときに、 王おうすなはち*潔斎けっさいして、 珠しゅを長じょう竿かんの頭はしに置おきて願がんを発おこしていはく、 「もしわれ実じつにこれ転輪てんりん王のうならば、 願ねがはくは宝珠ほうしゅ、 かくのごとき物ものを雨あめふらして、 もしは一いち里りに遍へんし、 もしは十じゅう里り、 もしは百ひゃく里りに、 わが心願しんがんに随したがへ」 と。

若シ転輪聖王出ヅルトキハ↠世ニ、以テ↢慈悲方便ヲ↡能ク得テ↢此ノ珠ヲ↡、於テ↢閻浮提ニ↡作ス↢大饒益ヲ↡。若シ須モチヰルベキ↧衣服・飲食・灯明・楽具、随ヒテ↢意ノ所欲ニ↡種種ノ物ヲ↥時ニ、王便スナハチ潔*斎シテ、†置キテ↢珠ヲ於長*竿カンサヲノ頭ハシニ↡発シテ↠願ヲ言クハ、若シ我実ニ是転輪王ナラバ者、願クハ宝珠、†雨ラシテ↢如キ↠此クノ*之物ヲ↡、若シハ遍シ↢一里ニ↡、若シハ十里、若シハ百里ニ、随ヘト↢我ガ心願ニ↡。

^その時ときにすなはち、 虚こ空くうのなかにおいて種々しゅじゅの物ものを雨あめふらして、 みな*所須しょしゅに称かなひて天てん下げの一切いっさいの人にんの願がんを満足まんぞくせしむ。 この宝ほう性しょうの力ちからをもつてのゆゑなり。

爾ノ時ニ即便チ於テ↢虚空ノ中ニ↡†雨ラシテ↢種種ノ物ヲ↡、皆称カナヒテ↢所*須ニ↡満↢足セシムス  天下ノ一切ノ人ノ願ヲ↡。以テノ↢此ノ宝性ノ力ヲ↡故ナリ。

^かの安楽あんらく仏ぶつ土どもまたかくのごとし。 安楽あんらくの性しょう、 種々しゅじゅに成じょう就じゅせるをもつてのゆゑなり。

彼ノ安楽仏土モ亦如シ↠是クノ。以テノ↢安楽ノ性種種ニ成就セルヲ↡故ナリニ 。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]相似相対を釈す

^「↑相そう似じ相対そうたい」 とは、 かの宝珠ほうしゅの力ちから、 衣え食じきを求もとむるには、 よく衣え食じき等とうの物ものを雨あめふらして求もとむるものの意こころに称かなふ。 これ求もとめざるにはあらず。 かの仏ぶつ土どはす0110なはちしからず。 性しょう満足まんぞくし成じょう就じゅせるがゆゑに、 乏ぼう少しょうするところなし。 かの性しょうを片取へんしゅして喩たとへとなす。 ゆゑに相そう似じ相対そうたいといへり。

「相似相対ト」者ハ、彼ノ宝珠ノ力 ラ求ムルニ↢衣食ヲ↡者ハ、能ク†雨ラシテ↢衣食等ノ物ヲ↡称カナフ↢求ムル者ノ意ニ↡。非ズ↢是 レ不ルニハ↟求メ。彼ノ仏土ハ則チ不↠然ラ。性満足シ成就セルガ故ニ、无シ↠所↢乏少スル↡。†片↢取シテ*彼ノ性ヲ↡為ス↠喩ト。故ニ言ノタマヘリフ ↢相似相対ト↡。

^またかの宝ほうは、 ただよく衆しゅ生じょうに衣え食じき等とうの願がんを与あたふるも、 衆しゅ生じょうに*無む上じょう道どうの願がんを与あたふることあたはず。 またかの宝ほうは、 ただよく衆しゅ生じょうに一身いっしんの願がんを与あたふるも、 衆しゅ生じょうに*無む量りょう身しんの願がんを与あたふることあたはず。 かくのごとき等らの無む量りょうの差別しゃべつあるがゆゑに相そう似じといへり。

又彼ノ宝ハ但能ク与フルモ↢衆生ニノ衣食等ノ願ヲ↡、不ズ↠能ハ↠与フルコト↢衆生ニ无上道ノ願ヲ↡。又彼ノ宝ハ但能ク与フルモ↢衆生ニノ一身ノ願ヲ↡、不ズ↠能ハ↠与フルコト↢衆生ニ无量身ノ願ヲ↡。有ルガ↢如キ↠是クノ等ノ无量ノ差別↡故ニ言ヘリト↢相似ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)挙章【器世間】
                    [一]論文

【59】 ^▲かの仏国ぶっこく土どの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観察かんざつすとは↑十じゅう七しち種しゅあり。 知しるべし。 なんらか十じゅう七しち。

0495観↢察0391ストイフ彼ノ仏国土ノ荘厳功徳成就ヲ↡者ハ、有リ↢十七種↡。応シ↠知ル。何等ラカ十七。

^一いちには↓荘しょう厳ごん清浄しょうじょう功く徳どく成じょう就じゅ、 二にには↓荘しょう厳ごん*量りょう功く徳どく成じょう就じゅ、 三さんには↓荘しょう厳ごん性しょう功く徳どく成じょう就じゅ、 四しには↓荘しょう厳ごん形ぎょう相そう功く徳どく成じょう就じゅ、 五ごには↓荘しょう厳ごん種々しゅじゅ事じ功く徳どく成じょう就じゅ、 六ろくには↓荘しょう厳ごん妙みょう色しき功く徳どく成じょう就じゅ、

一ニ者荘厳清浄功徳成就、二ニ者荘厳量功徳成就、三ニ者荘厳性功徳成就、四ニ者荘厳形相功徳成就、五ニ者荘厳種種事功徳成就、六ニ者荘厳妙色功徳成就、

^七しちには↓荘しょう厳ごん触そく功く徳どく成じょう就じゅ、 八はちには↓荘しょう厳ごん三種さんしゅ功く徳どく成じょう就じゅ、 九くには↓荘しょう厳ごん雨う功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅうには↓荘しょう厳ごん光こう明みょう功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅう一いち↓には荘しょう厳ごん妙声みょうしょう功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅう二にには↓荘しょう厳ごん主しゅ功く徳どく成じょう就じゅ、

七ニ者荘厳触功徳成就、八ニ者荘厳三種功徳成就、九ニ者荘厳雨功徳成就、十ニ者荘厳光明功徳成就、十一ニ者荘厳*妙声功徳成就、十二ニ者荘厳主功徳成就、

^十じゅう三さんには↓荘しょう厳ごん眷属けんぞく功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅう四しには↓荘しょう厳ごん受用じゅゆう功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅう五ごには↓荘しょう厳ごん無む諸難しょなん功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅう六ろくには↓荘しょう厳ごん大だい義ぎ門もん功く徳どく成じょう就じゅ、 十じゅう七しちには↓荘しょう厳ごん一切いっさい所しょ求ぐ満足まんぞく功く徳どく成じょう就じゅなり。

十三ニ者荘厳眷属功徳成就、十四ニ者荘厳受用功徳成就、十五ニ者荘厳无*諸難功徳成就、十六ニ者荘厳大義門功徳成就、十七ニ者荘厳一切所求*満足功徳成就ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]註釈

 ^先まづ*章しょう門もんを挙あげ、 次つぎに続つづきて*提てい釈しゃくす。

先ヅ挙アゲ↢章門ヲ↡、次ニ†続キテ提釈ス。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)提釈
                    [一]清浄功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【011160】 ^▲↑荘しょう厳ごん清浄しょうじょう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「観かん彼ひ世せ界かい相そう 勝しょう過か三界さんがい道どう」 といへるがゆゑなり。

▼荘厳清浄功徳成就ト者ハ、偈ニ言ノタマヘルガ↢「観彼世界相勝過三界道ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[一][Ⅱ]註釈

 ^▲これいかんが不ふ思議しぎなる。 ▼凡ぼん夫ぶ人にんありて煩悩ぼんのう成じょう就じゅするもまたかの浄じょう土どに生しょうずることを得うれば、 三界さんがいの*繋け業ごう、 畢ひっ竟きょうじて牽ひかず。 すなはちこれ▼煩悩ぼんのうを断だんぜずして*涅ね槃はん分ぶんを得う。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

◆此 レ云何ガ*不思議ハカルナルヤ。†有リテ↢凡夫人↡煩悩成就スルモ亦得レバ↠生ズルコトヲ↢彼ノ浄土ニ↡、三*界ノ繋業、畢竟ジテ不↠牽ヒケンカ。*則チ*是▼不シテ↠断ゼ↢煩悩ヲ↡得ウ↢涅槃分ヲ↡。焉イヅクンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二]量功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【61】 ^▲↑荘しょう厳ごん量りょう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「究く竟きょう如にょ虚こ空くう 広大こうだい無む辺際へんざい」 といへるがゆゑなり。

荘厳量功徳成就ト者ハ、偈ニ言ヘルガ↢「究竟如虚空広大无辺際ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]広狭無礙を明す

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 かの国くにの人天にんでん、 もし意こころに宮く殿でん・*楼閣ろうかく、 もしは広ひろさ一いち由ゆ旬じゅん、 もしは百ひゃく由ゆ旬じゅん、 もしは千せん由ゆ旬じゅん、 ˆその数かずˇ 千間せんげん、 万間まんげんならんと欲ほっすれば、 心しんに随したがひて成じょうずるところなり。 人ひとおのおのかくのごとし。

此 レ0496云何0392ガ不思議ナルヤ。彼ノ国ノ人天、若シ意ニ欲スレバヘバ ↢宮殿楼閣、若シハ広サ一由旬、若シハ百由旬、若シハ千由旬、千間万間ナラムト↡、随ヒテ↠心ニ所ナリ↠成ズル。人各ノ如シ↠此クノ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]受用無尽を示す

^また十方じっぽう世せ界かいの衆しゅ生じょう、 往おう生じょうを願がんずれば、 もしはすでに生うまれ、 もしはいま生うまれ、 もしはまさに生うまるべし。 一いち時じ一日いちにちのあひだをも*算数さんじゅするに、 その多た少しょうを知しることあたはざるところなり。 しかもかの世せ界かいつねに虚こ空くうのごとし。 *迫迮はくさくの相そうなし。

又十方世界ノ衆生願ズレバ↢往生ヲ↡者、若シハ已ニ生レ、若シハ今生レ、若シハ†当ニシ生ル。一時一日之*項アヒダヲモ、算数ノ所ナリ↠不ル↠能ハ↠知ルコト↢其ノ多少ヲ↡。▼而モルヲ彼ノ世界常ニ若ゴトシ↢虚空ノ↡。无シ↢ 迫ヒツセマリ 迮サクセマルノ相↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅲ]志願広大を顕す

^かしこのなかの衆しゅ生じょう、 かくのごとき量りょうのなかに住じゅうして、 志し願がん広大こうだいにしてまた虚こ空くうのごとくして限げん量りょうあることなからん。 かの国こく土どの量りょう、 よく衆しゅ生じょうの*心しん行ぎょうの量りょうを成じょうず。 なんぞ思議しぎすべきや0112。

◆彼ノ中ノ衆生、住シテ↢如キノ↠此クノ量ノ中ニ↡、志願広大ニシテ亦如クシテ↢虚空ノ↡无ナカラムケム ↠有ルコト↢限量↡。彼ノ国土ノ量、能ク成ズ↢衆生ノ心行ノ量ヲ↡。何ゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[三]性功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【62】 ^▲↑荘しょう厳ごん性しょう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「正しょう道どう大だい慈悲じひ 出しゅっ世せ善根ぜんごん生しょう」 といへるがゆゑなり。

荘厳性功徳成就ト者、偈ニ言 タマヘルガ↢「正道大慈悲出世善根生ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[三][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 たとへば*迦羅から求羅くら虫ちゅうの、 その形かたち微み小しょうなれども、 もし大風だいふうを得うれば身みは大山だいせんのごとし。 風かぜの大だい小しょうに随したがひておのが身相しんそうとなすがごとし。

此 レ云何ガ*不思議ナル。譬ヘバ如シ↧迦羅求羅虫ノ其ノ形 チ微小ナレドモ、若シ得レバツレバ↢大風ヲ↡身ハ如シ↢大山ノ↡、随ヒテ↢風ノ大小ニ↡為ナスガ↦己 レガ身相トヲ↥。

^安楽あんらくに生しょうずる衆しゅ生じょうもまたかくのごとし。 かの*正しょう道どうの世せ界かいに生しょうずれば、 すなはち*出しゅっ世せの善根ぜんごんを成じょう就じゅして正定しょうじょう聚じゅに入いること、 またかの風かぜの、 身みにあらずして身みなるがごとし。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

生ズル↢安楽ニ↡衆生モ亦復如シ↠是クノ。生ズレバ↢彼ノ正道ノ世界ニ↡、即チ成↢就シテ出世ノ善根ヲ↡入ルコト↢正定聚ニ↡、亦如シ↢彼ノ風ノ非ズシテ↠身ニ而身ナルガ↡。焉イヅ ンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[四]形相功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【63】 ^▲↑荘しょう厳ごん形ぎょう相そう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「浄じょう光こう明みょう満足まんぞく 如にょ鏡きょう日月にちがつ輪りん」 といへるがゆゑなり。

荘厳形相功徳成就ト者、偈ニ*曰ヘルガ↢「浄光明満足如鏡日月輪ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[四][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 それ忍辱にんにくは*端たん正じょうを得う。 わが心しんの*影響ようこうなり。 一ひとたびかしこに生しょうずることを得うれば、 *瞋しん・忍にんの殊ことなりなし。 人天にんでんの*色像しきぞうは平びょう等どう妙みょう絶ぜつなり。 けだし浄じょう光こうの力ちからなり。 かの光ひかりは心しん行ぎょうにあらずして心しん行ぎょうの事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此 レ云何ガ不思議ナル。夫 レ忍辱ハ得ウ↢端正ヲ↡。我ガ心ノ影*嚮也。一 トタビ得レバツレバ↠生ズルコトヲ↠彼 コニ、无シ↢瞋忍之殊ナリ↡。人天ノ色像ハ平等妙絶ナリ。蓋シ浄光之力*也。彼ノ光ハ非ズシテ↢心行ニ↡而為ス↢心行之事ヲ↡。焉ンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[五]種々事功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【64】 ^▲↑荘しょう厳ごん種々しゅじゅ事じ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「備び諸しょ珍宝ちんぽう性しょう 具ぐ足そく妙みょう荘しょう厳ごん」 といへる0113がゆゑなり。

荘厳種種事功徳成就ト者、偈ニ*曰ヘルガ↢「備諸珍宝性具足妙荘厳ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[五][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 かの種々しゅじゅの事じ、 あるいは一宝いっぽう・十宝じっぽう・百ひゃく千種せんじゅ宝ほう、 心しんに随したがひ意こころに称かなひて具ぐ足そくせざるはなし。 もしなからしめんと欲ほっすれば、 *儵しゅく焉えんとして*化け没もつす。 心しんに自じ在ざいを得うること神通じんずうに踰こえたることあり。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此0497云何0393ガ不思議ナル。彼ノ種種ノ事、或イハ一宝、十宝、百千種宝、随 ガヒ↠心ニ称カナヒテ↠意ニ无シ↠不ルハ↢具足セ↡。若シ†欲スレバ↠令メムト↠无カラ、儵焉トシテ化没ス。心ニ得ルコト↢自在ヲ↡有リ↠踰コエタルコト↢神通ニ↡。安イヅクンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六]妙色功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【65】 ^▲↑荘しょう厳ごん妙みょう色しき功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「無垢むく光炎こうえん熾し 明浄みょうじょう曜よう世せ間けん」 といへるがゆゑなり。

荘厳妙色功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「无垢光炎熾明浄曜世間ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 その光ひかり、 *事じを曜かがやかすにすなはち表ひょう裏りを*映徹ようてつす。 その光ひかり、 心しんを曜かがやかすにすなはちつひに無む明みょうを尽つくす。 光ひかり、 *仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此 レ云何ガゾ不思議ナル。其ノ光曜カスニ↠事ヲ則チ映↢徹ス表裏ヲ↡。其ノ光曜カスニ↠心ヲ則チ終ツイニ尽ス↢无明ヲ↡。光為ナス↢仏事ヲ↡。焉ンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[七]触功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【66】 ^▲↑荘しょう厳ごん触そく功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「宝ほう性しょう功く徳どく草そう 柔にゅう軟なん左右さう旋せん 触者そくしゃ生しょう勝しょう楽らく 過か迦か旃隣せんりん陀だ」 といへるがゆゑなり。

荘厳触功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「宝性功徳草柔軟左右旋触者生勝楽過迦旃隣陀ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[七][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]正釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 それ宝たからの例れいは堅強けんごうなり。 しかるにこれは柔にゅう軟なんなり。 *触そくの楽らくは着じゃくすべし。 しかるにこれは*道どうを増ます。 事じは↓愛あい作さに同おなじ。 なんぞ思議しぎすべきや。

此 レ云何ガゾ不思議ナル。夫 レ宝ノ例ハ堅強ケンガウ†ナリ。而ルニ此ハ柔軟ナリ。触ノ楽ハ†応シ↠著ス。而ルニ此ハ増ス↠道ヲ。†事ハ同ジ↢愛作ニ↡。何イカンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[七][Ⅱ][ⅱ]追釈

^▼菩ぼ薩さつあり、 ↑愛あい作さと字なづく。 形ぎょう容よう端たん正じょうにして人ひとの*染ぜん着じゃくを生しょうず。 ¬経きょう¼ (*大宝積0114経・意) にのたまはく、 「これに染ぜんするものは、 あるいは天てん上じょうに生しょうじ、 あるいは菩ぼ提だい心しんを発おこす」 と。

有リ↢菩薩↡、字ナヅク↢愛作ト↡。形容端正ニシテ生ズ↢人ノ染著ヲ↡。¬経ニ¼言ノタマハク、「†染スル↠之ニ者ハ、或イハ生ジ↢天上ニ↡、或イハ発スト↢菩提心ヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八]三種功徳を釈す
                      [Ⅰ]標列
                        [ⅰ]論文

【67】 ^▲↑荘しょう厳ごん三種さんしゅ功く徳どく成じょう就じゅとは、 三さん種しゅの事じあり。 知しるべし。 なんらか三さん種しゅ。 一いちには↓水すい、 二にには↓地じ、 三さんには↓虚こ空くうなり。

荘厳三種功徳成就ト者ハ、有リ↢三種ノ事↡。応シ↠知ル。何等ラカ三種。一ニ者水、二ニ者地、三ニ者虚空ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅰ][ⅱ]註釈

 ^この三種さんしゅ并あわせていふ所以ゆえんは、 同類どうるいなるをもつてのゆゑなり。 なにをもつてかこれをいふとなれば、 一いちには六大ろくだいの類たぐいなり。 いはゆる虚こ空くうと識しきと地じと水すいと火かと風ふうとなり。 二にには*無む分別ふんべつの類たぐいなり。 いはゆる地じ・水すい・火か・風ふう・虚こ空くうなり。

此ノ三種所↢以 ユヘ 并セテベテ言フ↡者ハ、以テノ↢同類ナルヲ↡故也。何ヲ以テカ言イフトナレバ↠之ヲ、一ニ者六大ノ類ナリ。†所謂ル虚空ト識ト地ト水ト火ト風トナリ。二ニ者无分別ノ類ナリ。†所謂ル地・水・火・風・虚空ナリ。

^ただ三類さんるいといふは、 識しきの一大いちだいは衆しゅ生じょう世せ間けんに属ぞくするがゆゑに、 火かの一大いちだいはかしこのなかになきがゆゑに、 風ふうありといへども風ふうは見みるべからざるがゆゑに、 住じゅう処しょなきがゆゑなり。 ここをもつて六大ろくだい・*五ご類るいのなかに、 ありて荘しょう厳ごんすべきを取とりて、 三さん種しゅ并あわせてこれをいふ。

但言フ↢三類ト↡者ハ0498、識ノ0394一大ハ属スルガ↢衆生世間ニ↡故ニ、火ノ一大ハ彼ノ中ニ无キガ故ニ、雖モ↠有リト↠風風ハ不ルガ↠可カラ↠見ル故ニ、无キガ↢住処↡故ナリニ 。是ヲ以テ六大五類ノ中ニ、†取リテ↣*有リテ而可キヲ↢荘厳ス↡、三種并セテシテ言フト↠之ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ]随釈
                        [ⅰ]水功徳
                          [a]論文

【68】 ^▲↑荘しょう厳ごん水すい功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「宝ほう華け千万せんまん種じゅ 弥覆みふ池流ちる泉せん 微み風ふう動どう華け葉よう 交きょう錯さく光こう乱転らんでん」 といへるがゆゑなり。

荘厳水功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「宝花千万種弥覆池流泉微風動花葉*交*錯光乱転ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅰ][b]註釈
                            イ正釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 かの浄じょう土どの人天にんでんは*水穀すいこくの身みにあらず。 なんぞ水みずを須もちゐるや。 清浄しょうじょう成じょう就じゅして洗せん濯じょくを須もちゐず。 またなんぞ水みずを用もちゐるや。 かしこのな0115かには*四時しじなし。 つねに*調適じょうちゃくにして熱ねつに煩わずらはず。 またなんぞ水みずを須もちゐるや。 須もちゐずして有うなることは、 まさに所以ゆえあるべし。

此云何ガ不思議ナル。彼ノ浄土ノ人天ハ非ズ↢水穀コクノ身ニ↡。何ゾ須モチヰル↠水ヲ耶ヤ。清浄成就シテ不ズ↠須モチヰ↢洗濯ヲ↡。復何ゾ用ヰル↠水ヲ耶ヤ。彼ノ中 チニハ无シ↢四時↡。常ニ調適ニシテ不ズ↠煩 ラハ↠熱ニヲ。*復何ゾ須ヰル↠水ヲ耶ヤ。不ズシテ↠須 チヰ而有ナルコトハ、†当ニシ↠有ル↢所以↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅰ][b]ロ引経

^¬経きょう¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲かのもろもろの菩ぼ薩さつおよび声しょう聞もん、 もし宝ほう池ちに入いりて、 意こころに水みずをして足あしを没ひたさしめんと欲ほっすれば、 水みずすなはち足あしを没ひたす。 膝ひざに至いたらしめんと欲ほっすれば、 水みずすなはち膝ひざに至いたる。 腰こしに至いたらしめんと欲ほっすれば、 水みずすなはち腰こしに至いたる。 頚くびに至いたらしめんと欲ほっすれば、 水みずすなはち頚くびに至いたる。 身みに潅そそがしめんと欲ほっすれば、 自じ然ねんに身みに潅そそぐ。 還復げんぶくせしめんと欲ほっすれば、 水みずすなはち還復げんぶくす。

¬経ニ¼言ク、「彼ノ諸ノ菩薩及ビ声*聞、若シ入リテ↢宝池ニ↡、意ニ欲スレバヘバ ↠令メムト↢水ヲシテ没ヒタサ↟足ヲ、水即チ没ヒタス↠足ヲ。欲スレバヘバ ↠令メムト↠至ラ↠膝ニ、水即チ至ル↠膝ニ。欲スレバ↠令メムト↠至ラ↠*腰ニ、水即チ至ル↠腰ニ。欲スレバ↠令メムト↠至ラ↠頚ニ、*水即チ至ル↠頚ニ。欲スレバ↠令メムト↠潅ガ↠身ニ、自然ニ潅グ↠身ニ。欲スレバ↠令メムト↢還復セ↡、水*輒スナハチ還復ス。

^◆調じょう和わ冷りょう煖なんにして自じ然ねんに意こころに随したがひて、 ^*神じんを開ひらき体たいを悦よろこばしむ。 心しん垢くを蕩除とうじょし、 ◆清明しょうみょう澄ちょう潔けつにして浄きよきこと形かたちなきがごとし。 ˆ池ち底ていのˇ 宝沙ほうしゃ映徹ようてつして深ふかきをも照てらさざることなし。

調和冷煖ニシテ自然ニ随ヒテ↠意ニ、開キ↠神ヲ悦バシム↠体ヲ。蕩↢除シ心垢ヲ↡、清明澄潔ニシテ浄キヨキコト若ゴトシ↠无キガ↠形 チ。宝沙サ映徹シテ无シ↢深キヲモ不ルコト↟照 ラサ。

^◆微み瀾らん回流えるしてうたたあひ潅かん注ちゅうす。 安あん詳じょうとしてやうやく逝ゆきて、 遅おそからず疾はやからず。

微*灡廻流シテ転ウタタ相 ヒ潅注ジユス。安*詳トシテ徐ヤウヤク逝ユキテ、不ズ↠遅カラ不ズ↠疾カラ。

^◆波なみは無む量りょう自じ然ねんの妙声みょうしょうを揚あぐ。 その所応しょおうに随したがひて聞きかざるものなし。 あるいは仏ぶつの声みこえを聞きき、 あるいは法ほうの声こえを聞きき、 あるいは僧そうの声こえを聞きき、 あるいは寂静じゃくじょうの声こえ、 空くう・無我むがの声こえ、 大だい慈悲じひの声こえ、 波羅はら蜜みつの声こえを聞きき、 あるいは十じゅう力りき・無畏むい・不共ふぐ法ほうの声こえ、 諸通しょつう慧えの声こえ、 無む所しょ作さの声こえ、 不起ふき滅めつの声こえ、 無む生しょう忍にんの声こえ、 乃ない至し、 甘かん露ろ潅かん頂じょう、 もろもろの妙みょう法ほうの声こえを聞きく。 かくのごとき等らの声こえは、 その所聞しょもんに称かなひ0116て歓かん喜ぎ無む量りょうなり。

波ハ†揚グ↢无量自然ノ妙声ヲ↡。随ヒテ↢其ノ所応ニ↡莫シ↢不ル↠聞カ者 ノ↡。或イハ聞キキ↢仏ノ声ミコヱヲ↡、或イハ聞キキ↢法ノ声ヲ↡、或イハ聞キキ↢僧ノ声ヲ↡、或イハ聞キキ↢寂静ノ声、空无我ノ声、大慈悲ノ声、波羅蜜ノ声ヲ↡、或イハ聞ク↢十力・无畏・不共法ノ声、諸通*恵ノ声、无所作ノ声、不起滅ノ声、无生忍ノ声、乃至甘露潅頂、衆ノ妙0499法ノ0395声ヲ↡。如キ↠是クノ等ラノ声ハ称カナヒテ↢其ノ所聞ニ↡歓喜无量ナリ。

^◆ˆ聞きくひとはˇ 清浄しょうじょう・離り欲よく・寂じゃく滅めつ・真実しんじつの義ぎに随ずい順じゅんし、 三宝さんぼう・ˆ十じゅうˇ 力りき・無む所しょ畏い・不共ふぐの法ほうに随ずい順じゅんす。 通つう慧えの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もんの所しょ行ぎょうの道どうに随ずい順じゅんす。

随↢順シ清浄・離欲・寂滅・真実之義ニ↡、随↢順ス三宝・力・无所畏・不共之法ニ↡。随↢順ス通*慧ノ菩薩・声聞ノ所行之道ニ↡。

^◆三さん塗ず苦く難なんの名なあることなし。 ただ自じ然ねん快け楽らくの音おんのみあり。 このゆゑにその国くにを名なづけて安楽あんらくといふ」 と。

无シ↠有ルコト↢三塗苦難之名↡。但有リ↢自然快楽之音ノミ↡。是ノ故ニ其ノ国ヲ名ケテ曰フト↢安楽ト↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅰ][b]ハ結示

^この水みず、 仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此ノ水為ス↢仏事ヲ↡。安イヅクンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅱ]地功徳
                          [a]論文

【69】 ^▲↑荘しょう厳ごん地じ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「宮く殿でん諸しょ楼閣ろうかく 観かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ異い光色こうしき 宝欄ほうらん遍へん囲い繞にょう」 といへるがゆゑなり。

荘厳地功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「宮殿諸楼閣観十方无雑樹異光色宝*蘭遍囲遶ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅱ][b]註釈
                            イ正釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 かの種々しゅじゅの事じ、 あるいは一宝いっぽう・十宝じっぽう・百ひゃっ宝ぽう・無む量りょう宝ほう、 心しんに随したがひ意こころに称かなひて荘しょう厳ごん具ぐ足そくせり。 この荘しょう厳ごんの事じは、 浄明じょうみょう鏡きょうのごとく、 十方じっぽう国こく土どの浄じょう穢えの諸相しょそう、 *善悪ぜんあくの業縁ごうえん、 一切いっさいことごとく現げんず。 かしこのなかの人天にんでん、 この事じを見みるがゆゑに、 *探湯たんとう不ふ及ぎゅうの情じょう自じ然ねんに成じょう就じゅす。

此 レ云何ガ不思議ナル。彼ノ種種ノ*事、或イハ一宝、十宝、百宝、无量宝、随ヒ↠心ニ称カナヒテ↠意ニ†荘厳具足セリ。此ノ荘厳ノ事ハ如ク↢浄明鏡ノ↡、十方国土ノ浄穢ノ諸相、善悪ノ業縁、一切悉ク†現ズ。彼ノ中ノ人天、見ルガ↢斯ノ事ヲ↡故ニ*探*湯†不及之情コヽロ自然ニ成就ス。

^またもろもろの大だい菩ぼ薩さつ、 法ほっ性しょう等とうを照てらす宝たからをもつて冠かんとなせば、 この宝冠ほうかんのなかにみな諸仏しょぶつを見みたてまつり、 また一切いっさい諸法しょほうの性しょうを了りょう達だつするがごとし。

亦如シ↪諸ノ大菩薩†以テ↧照ス↢法性等ヲ↡宝ヲ↥為セバレバ↠冠ト、此ノ宝冠ノ中ニ皆見タテマツリ↢諸仏ヲ↡、又了↩達スルガ一切諸法之性ヲ↨。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅱ][b]ロ引例

^また仏ぶつ、 ¬*法華ほけ経きょう¼ を説ときたまひし時とき、 眉み間けんの光ひかりを放はなちて東方とうぼう万まん八千はっせん土どを照てらすにみな金色こんじきのごとく、 *阿鼻あび獄ごくより上かみは*有う頂ちょうに至いたるまで、 もろもろの世せ界かいのなかの六道ろくどうの衆しゅ生じょうの生しょう死じの趣おもむくところ、 善悪ぜんあくの業縁ごうえん、 受報じゅほうの好醜こうしゅ、 ここにことごとく見みるがごとし。 けだしこ0117の類たぐいなり。

又如シ↧仏説キタマヒシ↢¬法華経ヲ¼↡時、放チテ↢眉間ノ光ヲ↡照スニ↢†于東方万八千土ヲ↡皆如クシ↢金色ノ↡、従ヨリ↢阿鼻獄↡上カミハ至ルマデ↢有頂ニ↡、諸ノ世界ノ中ノ六道ノ衆生ノ生死ノ†所↠趣ク、善悪ノ業縁、受報ノ好醜、†於テ↠此ニ悉ク見ルガ↥。蓋シ斯ノ類也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅱ][b]ハ結示

^この*影かげ、 仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此ノ影為ナス↢仏事ヲ↡。安 クンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅲ]虚空功徳
                          [a]論文

【70】 ^▲↑荘しょう厳ごん虚こ空くう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「無む量りょう宝ほう交きょう絡らく 羅ら網もう遍へん虚こ空くう 種種しゅじゅ鈴りょう発響ほっこう 宣せん吐と妙みょう法音ほうおん」 といへるがゆゑなり。

荘厳虚空功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「无量宝交絡羅網遍虚空種種鈴発0500*嚮0396宣吐妙法音ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅲ][b]註釈
                            イ引経

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 ¬経きょう¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲無む量りょうの宝網ほうもう、 仏ぶつ土どに弥覆みふし、 みな金こん縷る、 真珠しんじゅ、 百ひゃく千せんの雑宝ざっぽうの奇き妙みょう珍ちん異いなるをもつて荘しょう厳ごんし校きょう飾じきして、 四し面めんに周しゅう帀そうせり。 垂たるるに宝ほう鈴りょうをもつてす。 光色こうしき晃耀こうようしてことごとくきはめて厳麗ごんらいなり。

此云何ガゾ不思議ナルヤ。¬経ニ¼言ク、「无量ノ宝網、弥↢覆シ仏土ニ↡、皆以テ↢金縷、真珠、百千ノ雑宝ノ奇妙珍異ナルヲ↡荘厳シ挍飾シテ、周↢帀セリ四面ニ↡。垂タルルニ以テス↢宝鈴ヲ↡。光色晃耀シテ尽ク極テ厳麗ナリ。

^◆自じ然ねんの徳風とくふうやうやく起おこりて微み動どうす。 その風かぜ、 調じょう和わにして寒さむからず暑あつからず。 温おん涼りょう柔にゅう軟なんにして遅おそからず疾はやからず。 ◆もろもろの羅ら網もうおよびもろもろの宝樹ほうじゅを吹ふきて、 無む量りょうの微み妙みょうの法音ほうおんを演発えんぽつし、 万種まんじゅの温おん雅げの徳香とくこうを流布るふす。 それ聞かぐことあるものは、 塵労じんろうの垢く習じゅう自じ然ねんに起おこらず。 ◆風かぜその身みに触ふるるにみな快け楽らくを得う」 と。

自然ノ徳風徐ヤウヤク起リテ微動ス。其ノ風調和ニシテ不↠寒カラ不↠暑カラ。温涼柔軟ニシテ不↠遅カラ不↠疾カラ。吹キテ↢諸ノ羅網及ビ衆ノ宝樹ヲ↡、演↢発シス无量ノ微妙ノ法音ヲ↡、流↢布ス万種ノ 温オンアタタカニ雅ゲヤワラカノ徳香ヲ↡。其レ有ル↠聞カグコト者 ノハ、塵労ノ垢*習自然ニ不ズ↠起ラ。風触ルルニ↢其ノ身ニ↡皆得トナリ↢*快楽ヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[八][Ⅱ][ⅲ][b]ロ結示

^この声こえ、 仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此ノ声為ナス↢仏事ヲ↡。焉 クンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[九]雨功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【71】 ^▲↑荘しょう厳ごん雨う功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「雨う華衣けえ荘しょう厳ごん 無む量りょう香こう普ふ薫くん」 といへるがゆゑなり。

荘厳雨功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「雨花衣荘厳无量香普*勲ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[九][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]引経

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 ¬経きょう¼ (大経・上) にのたまはく、 「▲風かぜ吹ふきて華はなを散ちらしてあまねく仏ぶつ土どに満みつ。 色いろの次し第だいに随したがひて雑乱ぞうらんせず。 柔にゅう軟なん光沢こうたくにして馨きょう香こう0118芬烈ふんれつなり。 足あしその上うえを履ふむに蹈ふみ下くだること四し寸すん、 足あしを挙あげをはるに随したがひて、 還復げんぶくすること故もとのごとし。 ◆華はな用もちゐること已訖おわりぬれば、 地じはすなはち開裂かいれつして、 *次ついでをもつて化け没もつし、 清浄しょうじょうにして遺のこりなし。 その時じ節せつに随したがひて、 風かぜ吹ふきて華はなを散さんずること、 かくのごとく六反ろっぺんす。

此云何ガ不思議ナル。¬経ニ¼言ク、「風吹キテ散ラシテ↠花ヲ遍ク満ツ↢仏土ニ↡。随 ガヒテ↢色ノ次第ニ↡而不ズ↢雑乱セ↡。柔軟光沢ニシテ馨香芬烈ナリセリ。足履フムニ↢其ノ上ヲ↡†蹈ミ下ルコト四寸、随ヒテ↢挙ゲ↠足ヲ已ルニ↡、還復スルコト如シ↠故モトノ。花用ヰルコト已訖 オハ リヌレバ、地ハ輒スナハチ開裂シテ、以テ↠次デヲ化没シス、清浄ニシテ无シ↠遺ノコリ。随ヒテ↢其ノ時節ニ↡、風吹キテ散ズルコト↠花ヲ、如ク↠是クノ六*反ス。

^◆また衆宝しゅぼうの蓮れん華げ、 世せ界かいに周しゅう遍へんせり。 一々いちいちの宝ほう華けに百ひゃく千億せんおくの*葉ようあり。 その葉ようの光こう明みょう、 無む量りょう種しゅの色いろなり。 青あおき色いろには青あおき光ひかり、 白しろき色いろには白しろき光ひかり、 玄げん・黄おう・朱しゅ・紫しの光色こうしきもまたしかなり。 煒い燁よう煥爛かんらんとして日月にちがつよりも明曜みょうようなり。

又衆宝ノ蓮花、周↢*遍セリ世界ニ↡。一一ノ宝花ニ百千億ノ葉アリ。其ノ*葉ノ光明、无量種ノ色ナリ。青キ色ニハ青キ光、白キ色ニハ白キ光、玄黄朱紫ノ光色モ亦然ナリ。*煒ヰカガヤク燁エフ煥クワン爛ミダルトシテ明↢曜ナリ日月ヨリモ↡。

^◆一々いちいちの華はなのなかより三さん十じゅう六ろっ百ぴゃく千億せんおくの光ひかりを出いだす。 一々いちいちの光ひかりのなかより三さん十じゅう六ろっ百ぴゃく千億せんおくの仏ぶつを出いだす。 身みの色いろは紫し金こんにして相好そうごうは殊特しゅどくなり。 一々いちいちの諸仏しょぶつまた百ひゃく千せんの光こう明みょうを放はなちて、 あまねく十方じっぽうのために微み妙みょうの法ほうを説とく。 かくのごとき諸仏しょぶつ、 おのおの無む量りょうの衆しゅ生じょうを仏ぶつの正しょう道どうに安あん立りゅうせしめたまふ」 と。

一一ノ花ノ中ヨリ出ス↢三十六百千億ノ光ヲ↡。一一ノ光ノ中ヨリ出ス↢三十六百千億0501ノ仏0397ヲ↡。身ノ色ハ紫金ニシテ相好ハ殊特ナリ。一一ノ諸仏又放チテ↢百千ノ光明ヲ↡、普ク為 メニ↢十方ノ↡説ク↢微妙ノ法ヲ↡。如キ↠是クノ諸仏、各各ニ†安↢立セシメタマフト无量ノ衆生ヲ於仏ノ正道ニ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[九][Ⅱ][ⅱ]結示

^華はな、 仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

花為ス↢仏事ヲ↡。安 クンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[十]光明功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【72】 ^▲↑荘しょう厳ごん光こう明みょう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「仏ぶっ慧て明浄みょうじょう日にち 除じょ世痴せち闇あん冥みょう」 といへるがゆゑなり。

荘厳光明功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「仏*恵明浄日除世痴闇冥ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[十][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 かの土どの光こう明みょうは、 如来にょらいの智慧ちえの報ほうより起おこれり。 これに触ふるれば、 無む明みょうの黒闇こくあんつひにかならず消しょう除じょす。 光こう明みょうは慧えにあらずしてよく慧え0119の用ゆうをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此云何ガゾ不思議ナル。彼ノ土ノ光明ハ、従ヨリ↢如来ノ智*恵ノ報↡起レリ。触ルレバ↠之ニ者、无明ノ黒闇終ニ必ズ消除ス。光明ハ非ズシテ↠*慧ニ能ク為ナス↢*恵ノ用ヲ↡。焉ンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[一十 ]妙声功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【73】 ^▲↑荘しょう厳ごん妙声みょうしょう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「梵ぼん声しょう悟ご深遠じんのん 微み妙みょう聞もん十方じっぽう」 といへるがゆゑなり。

荘厳妙声功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「梵声悟深遠微妙聞十方ト」↡故ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[一十 ][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]引経

 ^◆これいかんが不ふ思議しぎなる。 *経きょうにのたまはく、 「▲もし人ひと、 ただかの国こく土どの清浄しょうじょう安楽あんらくなるを聞ききて、 *剋念こくねんして生しょうぜんと願がんずれば、 また往おう生じょうを得えて、 すなはち正定しょうじょう聚じゅに入いる」 と。

此 レ云何ガゾ不思議ナルヤ。▼¬経ニ¼言ク、「若シ人但聞キテ↢彼ノ国土ノ清浄安楽ナルヲ↡、剋念シテ願ズレバゼンモノト↠生ゼムト、亦得テルモノトハ↢往生ヲ↡、*則チ入ルト↢正定聚ニ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[一十 ][Ⅱ][ⅱ]結示

^◆これはこれ国こく土どの名みょう字じ、 仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

◆此ハ是国土ノ名字為ナス↢仏事ヲ↡。安イヅクンゾ可キヤト↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二十 ]主功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【74】 ^▲↑荘しょう厳ごん主しゅ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「正しょう覚がく阿あ弥陀みだ 法王ほうおう善ぜん住じゅう持じ」 といへるがゆゑなり。

荘厳主功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「正覚阿弥陀法王善住持ト」↡故ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二十 ][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]正釈

 ^◆これいかんが不ふ思議しぎなる。 正しょう覚がくの阿あ弥陀みだ不ふ思議しぎにまします。 かの安楽あんらく浄じょう土どは、 正しょう覚がくの阿あ弥陀みだの善力ぜんりきのために*↓住じゅう↓持じせられたり。 いかんが思議しぎすることを得うべきや。

此 レ云何ガ不思議ナルヤ。正覚ノ阿弥陀*不思議ニマシマス。彼ノ安楽浄土ハ、為ニ↢正覚ノ阿弥陀ノ善力ノ↡住持セラレタリ。云何ガ可キ↠得↢思議スルコトヲ↡耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二十 ][Ⅱ][ⅱ]追釈

^◆「↑住じゅう」 は不異ふい不ふ滅めつに名なづく。 ▼「↑持じ」 は不ふ散さん不ふ失しつに名なづく。 *不ふ朽きゅう薬やくをもつて種しゅ子しに塗ぬりて、 水みずに在おくに*瀾みだれず。 火ひに在おくに燋こがれず。 因縁いんねんを得えてすなはち生しょうずるがごとし。 なにをもつてのゆゑに。 不ふ朽きゅう薬やくの力ちからなるがゆゑなり。

「住ハ」名ク↢不異不滅ニ↡。「持ハ」名ク↢不散不失ニ↡。如シ↧以テ↢不朽キウ薬ヲ↡塗ヌリテ↢種子ニ↡、在オクニ↠*水ニ不ズ↠*瀾タダレ、在オクニ↠火ニ不ズ↠燋コガレ、得テ↢因縁ヲ↡*即チ生ズルガ↥。何ヲ以テノ故ニ。不朽薬ノ力 ラナルガ故 ヘナリ。

^◆もし人ひと、 一ひとたび安楽あんらく浄じょう土どに生しょうずれば、 後のちの時ときに、 意こころに三界さんがいに生しょうじて衆しゅ生じょうを教きょう化けせんと願がんじ0120て、 浄じょう土どの命いのちを捨すてて、 願がんに随したがひて生しょうずることを得えて、 三界さんがい*雑ざっ生しょうの火ひのなかに生しょうずといへども、 *無む上じょう菩ぼ提だいの*種しゅ子しは畢ひっ竟きょうじて朽くちず。 なにをもつてのゆゑに。 正しょう覚がくの阿あ弥陀みだの*善ぜん住じゅう持じを経ふるをもつてのゆゑなり。

若シ人一タビ生ズレバ↢安楽浄土ニ↡、後ノ時ニ意ニ願ジテ↧生ジテ↢三界ニ↡教↦化セムト*衆生ヲ↥、捨テテ↢浄土0502ノ命0398ヲ↡、随ヒテ↠願ニ得テ↠生ズルコトヲ、雖モ↠生ズト↢三界雑*生ノ火ノ中ニ↡、无上菩提ノ種子ハ畢竟ジテ不ズ↠朽チ。何ヲ以テノ故ニ。以テノ↠逕フルヲ↢正覚ノ阿弥陀ノ善ク住持ヲ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[三十 ]眷属功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【75】 ^▲↑荘しょう厳ごん眷属けんぞく功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「如来にょらい浄じょう華け衆しゅ 正しょう覚がく華け化け生しょう」 といへるがゆゑなり。

荘厳眷属功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「如来浄花衆正覚花化生ト」↡故ニ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[三十 ][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]三界雑生を明す

 ^◆これいかんが不ふ思議しぎなる。 おほよそこれ雑ざっ生しょうの世せ界かいには、 *もしは胎たい、 もしは卵らん、 もしは湿しつ、 もしは化け、 眷属けんぞくそこばくなり。 苦く楽らく*万品まんぼんなり。 *雑業ぞうごうをもつてのゆゑなり。

此 レ云何ガゾ不思議ナルヤ。▼凡ソ是雑生ノ世界ニハ、若シハ胎、若シハ卵ラン、若シハ湿シフ、若シハ化、眷属若ソコ*干バクナリ。苦楽万品ナリ。以テノ↢雑業ヲ↡故ナリニ 。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[二十 ][Ⅱ][ⅱ]浄土化生を顕す

^▼かの安楽あんらく国こく土どはこれ阿あ弥陀みだ如来にょらい*正しょう覚がく浄じょう華けの化け生しょうするところにあらざるはなし。 ▼同どう一いつに念仏ねんぶつして別べつの道みちなきがゆゑなり。 ▼遠とおく通つうずるにそれ*四し海かいのうちみな兄きょう弟だいたり。 ˆ浄じょう土どのˇ 眷属けんぞく無む量りょうなり。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

彼ノ安楽国土ハ莫シ↠非ザルコト↣是阿弥陀如来正覚浄花之所ニ↢化生スル↡。▼同一ニ念仏シテ▼无キガ↢別ノ道↡故ナリニ 。▼遠ク通ズルニ夫 レ四海之内皆†為リ↢兄弟↡也。眷属无量ナリ。焉イヅクンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[四十 ]受用功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【76】 ^▲↑荘しょう厳ごん受用じゅゆう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「愛あい楽ぎょう仏法ぶっぽう味み 禅ぜん三昧ざんまい為い食じき」 といへるがゆゑなり。

荘厳受用功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「愛楽仏法味禅三昧為食ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[四十 ][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 食じきせずして命いのちを資たすく。 けだし資たすくるところ以ゆえあるなり。 あにこれ如来にょらい、 本願ほんがんを満みてたまへるにあらずや。 仏願ぶつがんに乗じょうずるをわが命いのちとなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此云何ガ不思議ナル。不シテ↠食セ而資ク↠命ヲ。蓋シ†所↠資クル有ル↠以ユヱ也。豈ニ*不ズ↣是 レ如来満テタマヘルニ↢本願ヲ↡乎ヤ。乗ズルヲ↢仏願ニ↡為ス↢我ガ命ト↡。焉ンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[五十 ]無諸難功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【012177】 ^▲↑荘しょう厳ごん無む諸難しょなん功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「永よう離り身心しんしん悩のう 受楽じゅらく常じょう無む間けん」 といへるがゆゑなり。

荘厳無諸難功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「永離身心悩受楽常无間ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[五十 ][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 *経きょうにのたまはく、 「身しんを*苦器くきとなし、 心しんを*悩端のうたんとなす」 と。 しかるにかしこに身しんあり心しんありて、 楽らくを受うくること間ひまなし。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此云何ガ不思議ナルヤ。¬経ニ¼言ク、「身ヲハ為シス↢*苦器ト↡、心ヲハ為スト↢悩端ト↡」。而ルニ彼カレニ有リ↠身有リテ↠心*而テ受クルコト↠楽ヲ无シ↠間ヒマ。安 クンゾ可ベキヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六十 ]大義門功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文
                        [ⅰ]牒偈

【78】 ^▲↑荘しょう厳ごん大だい義ぎ門もん功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「大だい乗じょう善根ぜんごん界かい ↓等とう無む譏き嫌げん名みょう *女人にょにん及ぎゅう根欠こんけつ ▼二に乗じょう種しゅ不ふ生しょう」 といへるがゆゑなり。

荘厳大義門功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「大乗善根界等无譏嫌名女人及0503根欠0399二乗種不生ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六十 ][Ⅰ][ⅱ]釈義
                          [a]総じて二過を標す

^▲浄じょう土どの果か報ほうは二に種しゅの*譏過きかを離はなれたり、 知しるべし。 一いちには↓体たい、 二にには↓名みょうなり。

浄土ノ果報ハ離レタリ↢二種ノ譏*過ヲ↡、応シ↠知ル。一ニ者体、二ニ者名ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六十 ][Ⅰ][ⅱ][b]別して二過を明す
                            イ体

^▲↑体たいに三さん種しゅあり。 一いちには二に乗じょう人にん、 二にには女人にょにん、 三さんには諸根しょこん不具ふぐ人にんなり。 この三さんの過とがなし。 ゆゑに体たいの*譏き嫌げんを離はなると名なづく。

体ニ有リ↢三種↡。一ニ者二乗人、二ニ者女人、三ニ者諸根不具人ナリ。無シ↢此ノ三ノ過トガ↡。故ニ名ク↠†離ルト↢体ノ譏嫌ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六十 ][Ⅰ][ⅱ][b]ロ名

^▲↑名みょうにまた三さん種しゅあり。 ただ三さんの体たいなきのみにあらず、 乃ない至し二に乗じょうと女人にょにんと諸根しょこん不具ふぐの三さん種しゅの名みょうを聞きかず。 ゆゑに名みょうの譏き嫌げんを離はなると名なづく。

名ニ亦†三種アリ。非ズ↣但無キノミニ↢三ノ体↡、乃至不ズ↠聞キカ↢二乗ト女人ト諸根不具ノ三種ノ名ヲ↡。故ニ名ク↠†離ルト↢名ノ譏嫌ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六十 ][Ⅰ][ⅱ][c]等の一字を釈す

^▲「↑等とう」 とは平びょう等どう一相いっそうのゆゑなり。

等ト者ハ平等一相ノ故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[六十 ][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 それ*諸天しょてんの器うつわをともにすれども、 飯ぼんに随福ずいふくの色いろあり。 ▼*足あしの指ゆび、 地じを按あんずるにすなはち金こん礫りゃくの旨むねを詳つまびらかにす。 しかるに▼往おう生じょうを願がんずるもの、 *本もとはすなはち三三さんざんの品ほんなれども、 いまは一いち二にの殊ことなりなし。 ▼また*淄し0122・澠じょうの一いち味みなるがごとし。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此云何ガ不思議ナルヤ。夫 レ諸天ノ†共ニスレドモ↠器ヲ飯ニ有リ↢随福之色↡。足ノ指ユビ†按ズルニ↠地ヲ乃チ詳カニス↢金礫之旨ヲ↡。而ルニ願ズル↢往生ヲ↡者 ノ、▼本ハ則チ三三之品ナレドモ、今ハ无シ↢一二之殊ナリ↡。亦如シ↢*淄シ*澠ジヨウノ *食陵ノ反 一味ナルガ↡。焉ンゾ可ベキヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[七十 ]一切所求満足功徳を釈す
                      [Ⅰ]論文

【79】 ^▲↑荘しょう厳ごん一切いっさい所しょ求ぐ満足まんぞく功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「衆しゅ生じょう所願しょがん楽ぎょう 一切いっさい能のう満足まんぞく」 といへるがゆゑなり。

▼荘厳一切所求満足功徳成就ト者、偈ニ言ヘルガ↢「衆生所願楽一切能満足ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)[七十 ][Ⅱ]註釈

 ^これいかんが不ふ思議しぎなる。 かの国くにの人天にんでん、 もし他た方ほう世せ界かいの無む量りょうの*仏刹ぶっせつに往ゆきて諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつを供く養ようせんと欲願よくがんせんに、 *所須しょしゅの供く養ようの具ぐに及およぶまで、 願がんに称かなはざるはなからん。 またかしこの寿じゅ命みょうを捨すてて余よ国こくに向むかひて、 生しょうじて*修短しゅたん自じ在ざいならんと欲ほっせんに、 願がんに随したがひてみな得う。 いまだ*自じ在ざいの位くらいに階かなはずして、 自じ在ざいの用ゆうに同おなじからん。 いづくんぞ思議しぎすべきや。

此云何ガ不思議ナル。彼ノ国ノ人天、若シ欲↧願セムニ往キテ↢他方世界ノ无量ノ仏刹ニ↡供↦養セムト諸仏菩薩ヲ↥、†及ブマデ↢所須ノ供養之具ニ↡、无ナカラムケム ↠不ルコト↠称カナハ↠願ニ。又欲セムニハム ↧捨テテ↢彼ノ寿命ヲ↡向ヒテ↢余国ニ↡、生ジテ修*短自在ナラムト↥、随ヒテ↠願ニ皆得ウ。未ズ ダシテ↠階カナハ↢自在之位ニ↡而同ジカラム↢自在之用ニ↡。焉ンゾ可キヤ↢思議ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)【示現二利】
                (a)科目を牒す

【80】^▼↑自利じり利他りたを示じ現げんすとは、

示↢現ストイフ自利利他ヲ↡者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)論文を出す

^▲↓略りゃくしてかの阿あ弥陀みだ仏国ぶっこく土どの十じゅう七しち種しゅ荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを説とく。 如来にょらいの自じ身しん利り益やく大だい功く徳どく力りき成じょう就じゅと、 利り益やく他た功く徳どく成じょう就じゅとを示じ現げんせんがゆゑなり。

略シテ説†ク↢彼ノ阿弥陀仏国土ノ十七種荘厳功徳成就ヲ↡。示↢現セムガスルガ如来ノ自身利0504益大0400功徳力成就ト利益他功徳成就トヲ↡故ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)文句を釈す

 ^◆「↑略りゃく」 といふは、 かの浄じょう土どの功く徳どくは無む量りょうにして、 ただ十じゅう七しち種しゅのみにあらざることを彰あらわすなり。 それ▼須しゅ弥みの芥子けしに入いり、 毛もう孔くの大海だいかいを納おさむ。 あに山海せんかいの*神じんならんや。 毛もう芥けの力ちからならんや。 *能神のうじんのひとの神じんなるのみ。 このゆゑに十じゅう七しち種しゅは利他りたといふといへども、 自利じりの義ぎ*炳然へいねんたり、 知しるべし。

言フ↠「略ト」者ハ、彰アラハス↣彼ノ浄土ノ功徳ハ无量ニシテ非ザルコトヲ↢唯タダ十七種ノミニ↡也。夫 レ†須弥之入リレ↢芥子ニ↡、†毛孔之納オサム↢大海ヲ↡。豈ニ山海之神ナラム乎ヤ。毛芥之力ナラム乎ヤ。能神ノ者ヒトノ神ナル之耳ナラクノミ。是ノ故ニ十七種ハ雖モ↠曰フト↢利他ト↡、自利之義炳ヘイ然ゼンアキラカナリタリナリ、可シト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)【入第一義諦】
                (a)科目

【012381】^↑入にゅう第一だいいち義ぎ諦たいとは、

入第一義諦ト者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)論文

^▲かの無む量りょう寿じゅ仏国ぶつこく土どの荘しょう厳ごんは↓第一だいいち義ぎ諦たい↓妙みょう境きょう界がい相そうなり。 十じゅう六ろっ句く↓および一いっ句く次し第だいして説とけり、 知しるべし。

彼ノ無量寿仏国土ノ荘厳ハ第一義諦妙境界相ナリ。十六句及ビ一*句次第シテニ 説ケリキツ、応ベシト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)註釈
                  (イ)第一義諦を釈す

 ^「↑第一だいいち義ぎ諦たい」 とは仏ぶつ (阿弥陀仏) の*因縁いんねん法ほうなり。 この 「諦たい」 はこれ*境きょうの義ぎなり。 このゆゑに荘しょう厳ごん等とうの*十じゅう六ろっ句くを称しょうして 「↑妙みょう境きょう界がい相そう」 となす。 この義ぎ、 ▽入にゅう一法いっぽっ句くの文もんに至いたりてまさにさらに解げ釈しゃくすべし。

「第一義諦ト」者ハ仏ノ因縁法也。此ノ諦ハ是 レ境ノ義ナリ。是ノ故ニ荘厳等ノ十六句ヲ称シテ為ス↢「妙境界相ト」↡。此ノ義至リテ↢入*一法句ノ文ニ↡当ニシ↢更ニ解釈ス↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)総別次第
                    [一]略して文意を解す

^「↑および一いっ句く次し第だい」 とは、 いはく、 *器き浄じょう等とうを観かんずるなり。 *総別そうべつの十じゅう七しち句くは観かん行ぎょうの次し第だいなり。

「及ビ一*句次第ト」者、謂ク観ズルナリ↢器浄等ヲ↡。総別ノ十七句ハ観行ノ次第也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二]広く起次を弁ず
                      [Ⅰ]釈疑
                        [ⅰ]疑を出す

^いかんが次つぎを起おこす。 ^*建こん章しょうに 「▲帰き命みょう無礙むげ光こう如来にょらい◆願がん生しょう安楽あんらく国こく」 といへり。 ^▼このなかに疑うたがいあり。 疑うたがひていはく、 ^「生しょう」 は有うの本もと、 *衆累しゅるいの元もとたり。 生しょうを棄すてて生しょうを願がんず、 生しょうなんぞ尽つくべきと。

云何ガ起ス↠次ヲ。†建章ニ言ノタマヘリフ ↢「帰命无光如来願生安楽国ト」↡。此ノ中ニ有リ↠疑。▼疑ヒテ言クフコヽロハ、生ハ為タリ↢有ノ本、衆累之元モト↡。棄ステテ↠生ヲ願ズ↠生ヲ、生何ゾ可キトキヤ↠尽ク。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]疑を釈す
                          [a]総句に依りて正しく疑を釈す
                            イ標

^この疑うたがいを釈しゃくせんがために、 このゆゑにかの浄じょう土どの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観かんず。

◆為ニ↠釈セムガ↢此ノ疑ヲ↡、是ノ故ニ観ズ↢彼ノ浄土ノ荘厳功徳成就ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][a]ロ釈
                              ª一º総示【生即無生】

^▼かの浄じょう土どはこれ阿あ弥陀みだ如来にょらいの清浄しょうじょう本願ほんがんの▽*無む生しょうの生しょうなり。 三さん有ぬ虚こ妄もうの生しょうのごときにはあらざることを明あかすなり。

◆†明ス↢▼彼ノ浄土ハ是阿弥陀如来ノ清浄本願ノ无生之生ナリ、非ザルコトヲ↟如キニハ↢三有虚妄ノ生ノ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][a]ロª二º別釈
                                ªⅠº正しく生の理を明す

^◆なにをもつてこれをいふとならば、 それ法ほっ性しょうは清浄しょうじょうにして畢ひっ竟きょう無む生しょうなり。 生しょうといふはこれ得とく生しょうのひとの情こころなるのみ。 生しょうまことに無む生しょうなれば、 生しょうなんぞ尽つくるところあらん。

◆何ヲ以テ言イフトナラバ↠之ヲ、夫 レ法性ハ清浄ニシテ畢竟无生ナリ。言フ↠生ト者ハ是得生ノ者ヒト之情ココロナル耳 クノミト。生苟マコトニ无生ナレナリバ、生何0505ゾ所 ロ0401アラム↠尽クル。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][a]ロª二ºªⅡº彼の偏執を斥す

^かの生しょうを尽つくさば、 上かみは*無為むい能のう為いの身しんを失しっし、 下しもは*三空さんくう不ふ空くうの痼やまい 廃はいなり。 病やまいなり にえ 酔すいなり ひなん。 *根敗こんぱい永ながく0124亡もうじて、 号さけび*三千さんぜんを振ふるはす。 *無む反へん無む復ぶくここにおいて恥はじを招まねく。

尽サバ↢夫 レノ生ヲ↡者、上ハ失シ↢无為能為之身ヲ↡、下ハヱヒナム↢ 酔ナリ亡善ノ反 三空不空之痼ヤマヒニ↡ 癈也病也工路ノ反。根敗*永ク*亡ジテ号サケビ振フルハスフ ↢三千ヲ↡。无反ヘン无復フク於シ↠斯ココニ招マネク↠恥ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][a]ロª二ºªⅢº今の生を結示す

^*かの生しょうの理りを体たいする、 これを浄じょう土どといふ。 ^浄じょう土どの宅たくはいはゆる十じゅう七しち句くこれなり。

†体スル↢夫ノ生ノ理ヲ↡、謂イフ↢之ヲ浄*土ト↡。浄*土之宅ハ†所謂ル十七句是也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]諸句に就いて起次を弁ず〔観行次第〕
                            イ総じて総別次第を弁ず

^十じゅう七しち句くのなかに、 総別そうべつ二にとなす。 ▲初はじめの句くはこれ*総相そうそうなり。 いはゆるこれ清浄しょうじょう仏ぶつ土どは、 三界さんがいの道どうに過すぎたり。 かしこの、 三界さんがいに過すぐるにいかなる相そうかある。 下しもの十じゅう六ろく種しゅの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅの相そうこれなり。

十七句ノ中ニ、総別為ス↠二ト。初ノ句ハ是総相ナリ。†所謂ル是清浄仏土ハ、過ギタリトイヘリ↢三界ノ道ニ↡。彼ノ過グルニグルトイフニ↢三界ニ↡有ルト↢何ナル相カ↡。下ノ十六種ノ荘厳功徳成就ノ相是也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロ諸句の起次を弁ず

^一いちには▲量りょう、 究く竟きょうして虚こ空くうのごとし。 広大こうだいにして辺際へんざいなきがゆゑなり。

一ニ者量、究竟シテ如シ↢虚空ノ↡。広*大ニシテ无キガ↢辺際↡故ナリニ 。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª一º量→性

^すでに量りょうを知しりぬ。 この量りょうなにをもつてか本ほんとなす。 このゆゑに▲性しょうを観かんず。 性しょうはこれ本ほんの義ぎなり。 かの浄じょう土どは正しょう道どうの大だい慈悲じひ、 出しゅっ世せの善根ぜんごんより生しょうぜり。

既ニ知リヌ↠量ヲ。此ノ量以テカ↠何ヲ為スル↠本ト。是ノ故ニ観ズゼヨ↠性ヲ。性ハ是本ノ義ナリ。彼ノ浄土ハ従ヨリ↢正道ノ大慈悲出世ノ善根↡生ゼリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª二º性→形相

^すでに出しゅっ世せ善根ぜんごんといへり。 この善根ぜんごんはなんらの相そうをか生しょうぜる。 このゆゑに次つぎに荘しょう厳ごん▲形ぎょう相そうを観かんず。

既ニ言ヘリ↢出世善根ト↡。此ノ善根ハ生ゼル↢何等ノ相ヲカ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢荘厳形相ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª三º形相→種々事

^すでに形ぎょう相そうを知しりぬ。 よろしく形ぎょう相そうはなんらの体たいなるかを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲種々しゅじゅの事じを観かんず。

既ニ知リヌ↢形相ヲ↡。宜シクシ↠知ル↢形相ハ何等ノ体ナルヲカト   ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢種種ノ事ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª四º種々事→妙色

^すでに種々しゅじゅの事じを知しりぬ。 よろしく種々しゅじゅの事じの妙みょう色しきを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲妙みょう色しきを観かんず。

既ニ知リヌ↢種種ノ事ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↢種種ノ事ノ妙色ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢妙色ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª五º妙色→触

^すでに妙みょう色しきを知しりぬ。 この色しきいかなる触そくかある。 このゆゑに次つぎに▲触そくを観かんず。

既ニ知シリヌ↢妙色ヲ↡。此ノ色有ル↢†何ナル触カ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↠触ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª六º触→三種

^すでに身しんの触そくを知しりぬ。 眼触げんそくを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲水すい・地じ・虚こ空くうの荘しょう厳ごんの三さん事じを観かんず。

既ニ知リヌ↢身ノ触ヲ↡。応シ↠知ル↢眼触ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢水・地・虚空ノ荘厳ノ三事ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª七º三種→雨

^すでに眼触げんそくを知しりぬ。 鼻び触そくを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲衣え・華けの香薫こうくんを観かんず。

既ニ知リヌ↢眼触ヲ↡。応シ↠知ル↢鼻触ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢†衣花ノ香薫ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª八º雨→光明

^すでに眼げん・鼻び等とうの触そくを知しりぬ。 すべからく染ぜんを離はなるることを知しるべし0125。 このゆゑに次つぎに▲仏ぶっ慧てのあきらかに照てらすを観かんず。

既ニ知リヌ↢眼鼻等ノ触ヲ↡。須クシ↠知ル↠離ルルコトヲ↠染ヲ。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢仏*恵ノ明カニ照スヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª九º光明→妙声

^すでに慧え光こうの浄じょう力りきを知しりぬ。 よろしく声名しょうみょうの遠近おんごんを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲梵ぼん声しょうの遠とおく聞きこゆることを観かんず。

既ニ知リヌ↢*恵光ノ浄力ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↢声名ノ遠近ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢梵声ノ遠ク聞ユルコトヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª十º妙声→主

^すでに声名しょうみょうを知しりぬ。 よろしくたれをか増ぞう上じょうとなすといふことを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲主しゅを観かんず。

既ニ知リヌ↢声名ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↣誰ヲカ為ストイフコトヲルコトヲ   ↢増上ト↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↠主ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª一十 º主→眷属

^すでに主しゅあるを知しりぬ。 たれをか主しゅの眷属けんぞくとなす。 このゆゑに次つぎに▲眷属けんぞくを観かんず。

既ニ知リヌ↠有ルヲ↠主。誰ヲカ為スルト↢主ノ眷属ト↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢眷属ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª二十 º眷属→受用

^すでに眷属けんぞくを知しりぬ。 よろしくこの眷属けんぞくはいかんが受用じゅゆうするといふことを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲受用じゅゆうを観かんず。

既ニ知リヌ↢眷属ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↢此ノ眷属ハ若為 イカン ガ受用スルトイフコトヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢受用ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª三十 º受用→無諸難

^すでに受用じゅゆうを知しりぬ。 よろしくこの受用じゅゆうの有う難なん無む難なんを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲無む諸難しょなんを観かんず。

既0506ニ知リヌ↢受用0402ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↢此ノ受用ノ有難无難ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢无諸難ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª四十 º無諸難→大義門

^すでに無む諸難しょなんを知しりぬ。 なんの義ぎをもつてのゆゑに諸難しょなんなき。 このゆゑに次つぎに▲大だい義ぎ門もんを観かんず。

既ニ知リヌ↢无諸難ヲ↡。以テノ↢何ノ義ヲ↡故ニ无キ↢諸難↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢大義門ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロª五十 º大義門→所求満足

^すでに大だい義ぎ門もんを知しりぬ。 よろしく大だい義ぎ門もんの満まん不ふ満まんを知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲所しょ求ぐ満足まんぞくを観かんず。

既ニ知リヌ↢大義門ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↢大義門ノ満不満ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢所求満足ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[二][Ⅱ]生信

^また次つぎに、 この十じゅう七しち句くはただ疑うたがいを釈しゃくするにあらず。 この十じゅう七しち種しゅの荘しょう厳ごん成じょう就じゅを観かんずれば、 よく▼真実しんじつの浄じょう信しんを生しょうじて、 必ひつ定じょうしてかの安楽あんらく仏ぶつ土どに生しょうずることを得う。

復次ニ此ノ十七句ハ非ズ↢但釈スルニ↟疑ヲ。観ズレバ↢此ノ十七種ノ荘厳成就ヲ↡、能ク生ジテ↢真実ノ浄信ヲ↡、必定シテ得ウトナリ↠生ズルコトヲ↢彼ノ安楽仏*土ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[三]問答して料簡す
                      [Ⅰ]問〔実生願生〕

【82】^▼問とひていはく、 上かみに、 △生しょうは無む生しょうなりと知しるといふは、 まさにこれ*上じょう品ぼん生しょうのものなるべし。 もし下下げげ品ぼんの人にんの、 十じゅう念ねんに乗じょうじて往おう生じょうするは、 あに実じつの生しょうを取とるにあらずや。 ◆ただ実じつの生しょうを取とらば、 すなはち二に執しゅうに堕だしなん。 一いちには、 お0126そらくは往おう生じょうを得えざらん。 二にには、 おそらくはさらに生しょうずとも*惑まどひを生しょうぜん。

問ヒテ曰ク、上ニ言フハ↠知ルト↢生ハ无生ナリト↡、当ニシ↢是上品生ノ者 ノナル↡。若シ下下品ノ人ノ乗ジテ↢十念ニ↡往生スルハ、豈ニ非ズ↠取ルニ↢実ノ生ヲ↡耶ヤ。但取ラバルハ↢実ノ生ヲ↡、即チ堕シナム↢二執ニ↡。一ニハ恐クハ不ラムコトヲ↠得エ↢往生ヲ↡。二ニハ恐クハ更ニ†生ズトモ生ゼム↠*惑ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[三][Ⅱ]答
                        [ⅰ]能生の因に就いて論ず

^答こたふ。 ▼たとへば*浄じょう摩尼まに珠しゅを、 これを濁じょく水すいに置おけば、 水みずすなはち清浄しょうじょうなるがごとし。 ▼もし人ひと、 無む量りょう生しょう死じの罪ざい濁じょくにありといへども、 かの阿あ弥陀みだ如来にょらいの至し極ごく無む生しょう清浄しょうじょうの宝珠ほうしゅの名みょう号ごうを聞ききて、 これを濁じょく心しんに投なぐれば、 念々ねんねんのうちに罪つみ滅めっして心しん浄きよまり、 すなはち往おう生じょうを得う。

答フ。譬ヘバ如シ↧浄摩尼*殊ヲ置ケバ↢之ヲ濁水ニ↡水即チ清浄ナルガ↥。若シ人雖モ↠有リト↢无量生*死ノ罪濁ニ↡、▼聞キテ↢彼ノ阿弥陀如来ノ至極无生清浄ノ宝珠ノ名*号ヲ↡、投グレバ↢之ヲ濁心ニ↡、念念之中ニ罪滅シテ心浄マリクシテ、即チ得ウ↢往生ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]所生の土に約して語る

^◆またこれ摩尼まに珠しゅを玄黄げんおうの幣きぬをもつて裹つつみて、 これを水みずに投なぐれば、 水みずすなはち玄黄げんおうにしてもつぱら物ものの色いろのごとくなり。 かの清浄しょうじょう仏ぶつ土どに阿あ弥陀みだ如来にょらい無む上じょうの宝珠ほうしゅまします。 無む量りょうの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅの帛きぬをもつて裹つつみて、 これを往おう生じょうするところのひとの心水しんすいに投なぐれば、 あに*生しょう見けんを転てんじて*無む生しょうの智ちとなすことあたはざらんや。

又*是摩尼珠ヲ以テ↢玄クロク黄ノキナリ幣キヌヲ↡裹ツツミテ、投グレバ↢之ヲ†於水ニ↡、水即チ玄黄ニシテ一モハラ†如クナリ↢物ノ色ノ↡。彼ノ清浄仏土ニ有 シマス↢阿弥陀如来无上ノ宝*珠↡。以テ↢无量ノ荘厳功徳成就ノ帛ヲ↡裹ツツミテ、投グレバ↧之ヲ†於所ノ↢往生スル↡者ノ心水ニ↥、豈ニ不ラム↠能ハ↧転ジテ↢生見ヲ↡為スコトルコト↦无生ノ智ト↥乎ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)(ロ)[三][Ⅱ][ⅲ]能所生に通じて談ず【氷上燃火】

^▼また氷こおりの上うえに火ひを燃たくに、 火ひ猛たけければすなはち氷こおり解とく。 氷こおり解とくればすなはち火ひ滅めっするがごとし。 かの下げ品ぼんの人にん、 法ほっ性しょう無む生しょうを知しらずといへども、 ただ仏ぶつ名みょうを称しょうする力ちからをもつて往おう生じょうの意こころをなして、 かの土どに生しょうぜんと願がんずるに、 かの土どはこれ無む生しょうの界さかいなれば、 見けん生しょうの火ひ、 自じ然ねんに滅めっするなり。

又如シ↢氷コホリノ上ニ燃クニ↠火ヲ、火猛タケケレバ則チ氷解トク、氷 リ解ケレバ則チ火滅スルガ↡。彼ノ下品ノ人、雖モ↠不ズト↠知ラ↢法性无生ヲ↡、但以テ↧称スル↢仏名ヲ↡力ヲ↥作シテ↢往生ノ意ヲ↡、願ズルニ↠生ゼムト↢彼ノ土ニ↡、彼ノ土ハ是无生ノ界ナレバ、見生之火、自然ニ而滅スルナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)衆生体【衆生世間】
              (ⅰ)分科

【83】^↑衆しゅ生じょう体たいとは、 この分ぶんのなかに二に重じゅうあり。 一いちには↓観仏かんぶつ、 二にには↓観かん菩ぼ薩さつなり。

衆0507生体0403ト者ハ、此ノ分ノ中ニ有リ↢二重↡。一ニ者観仏、二ニ者観菩薩ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)正釈
                (a)観仏【仏】
                  (イ)科目

【84】^↑観仏かんぶつとは、

観仏トイフ者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)正文
                    [一]仏徳体相
                      [Ⅰ]標数
                        [ⅰ]論文

^0127▲いかんが仏ぶつの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観かんずる。 仏ぶつの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観かんずとは、 八種はっしゅあり、 知しるべし。

云何ガ観ズル↢仏ノ荘厳功徳成就ヲ↡。観ズト↢仏ノ荘厳功徳成就ヲ↡者、有リ↢八*種↡、応シト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅰ][ⅱ]註釈

 ^▲この観かんの義ぎはすでに前さきの偈げに彰あらわせり。

此ノ観ノ義ハ已ニ彰アラワセリ↢前ノ偈ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅱ]列門

【85】 ^▲なんらか八種はっしゅ。 一いちには↓荘しょう厳ごん座ざ功く徳どく成じょう就じゅ、 二にには↓荘しょう厳ごん身業しんごう功く徳どく成じょう就じゅ、 三さんには↓荘しょう厳ごん口く業ごう功く徳どく成じょう就じゅ、 四しには↓荘しょう厳ごん心業しんごう功く徳どく成じょう就じゅ、 五ごには↓荘しょう厳ごん*衆しゅ功く徳どく成じょう就じゅ、 六ろくには↓荘しょう厳ごん上じょう首しゅ功く徳どく成じょう就じゅ、 七しちには↓荘しょう厳ごん主しゅ功く徳どく成じょう就じゅ、 八はちには↓荘しょう厳ごん不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅなり。

何等ラカ八種。一ニ者荘厳座功徳成就、二ニ者荘厳身業功徳成就、三ニ者荘厳口業功徳成就、四ニ者荘厳心業功徳成就、五ニ者荘厳衆功徳成就、六ニ者荘厳上首功徳成就、七ニ者荘厳主功徳成就、八ニ者荘厳不虚作住持功徳成就ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ]提釈
                        [ⅰ]座功徳
                          [a]論文

【86】 ^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん座ざ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「無む量りょう大だい宝王ほうおう 微み妙みょう浄じょう華け台だい」 といへるがゆゑなり。

†何トナレバ者荘厳座功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「無量大宝王微妙浄花台ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅰ][b]註釈

 ^もし座ざを観かんぜんと欲ほっせば、 まさに ▲¬*観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ によるべし。

若シ欲セバハゞ↠観ゼムト↠座ヲ、当ニシ↠*依ル↢¬観无量寿経ニ¼↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅱ]身業功徳
                          [a]論文

【87】 ^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん↓身業しんごう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「相好そうごう光こう一尋いちじん 色像しきぞう超ちょう群ぐん生じょう」 といへるがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳身業功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「相好光一尋色像超*群生ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅱ][b]註釈

 ^もし仏身ぶっしんを観かんぜんと欲ほっせば、 まさに ▲¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ によるべし。

若シ欲セバハゞ↠観ゼムト↢仏身ヲ↡、当ニシ↠依ル↢¬観无量寿経ニ¼↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅲ]口業功徳

^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん↓口く業ごう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「如来にょらい微み妙みょう声しょう 梵響ぼんこう聞もん十方じっぽう」 といへるがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳口業功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「如来微妙声梵*響聞十方ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ]心業功徳
                          [a]論文

^0128▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん↓心業しんごう功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「同どう地じ水すい火か風ふう 虚こ空くう無む分別ふんべつ」 といへるがゆゑなり。 ^「無む分別ふんべつ」 とは分別ふんべつの心しんなきがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳心業功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「同地水火風虚空无分別ト」↡故ナリニト。无分別ト者ハ無キガ↢分別ノ心↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]註釈
                            イ総じて三業の利益を明す
                              ª一º総示

 ^▼*凡ぼん夫ぶの衆しゅ生じょうは身しん口意くいの三業さんごうに罪つみを造つくるをもつて、 三界さんがいに輪転りんでんして窮きわまり已やむことあることなからん。 このゆゑに諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつは、 身しん口意くいの三業さんごうを荘しょう厳ごんして、 もつて衆しゅ生じょうの*虚こ誑おうの三業さんごうを治じするなり。

凡0508夫ノ0404衆生ハ身口意ノ三業†ニ*以テ↠造ルヲ↠罪ヲ、輪↢転シテ三界ニ↡无カラムケム ↠有ルコト↢*窮 マリ已ヤムコト↡。是ノ故ニ諸仏菩薩ハ、荘↢厳シテ身口意ノ三業ヲ↡用テ治スル↢衆生ノ虚誑ノ三業ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]イª二º別釈
                                ªⅠº身業

^いかんがもつて治じす。 ^↑衆しゅ生じょうは*身見しんけんをもつてのゆゑに三さん塗ずの身しん・卑ひ賎せんの身しん・醜しゅう陋るの身しん・八難はちなんの身しん・流る転てんの身しんを受うく。

云何ガ用テ†治ス。▼衆生ハ以テノ↢身見ヲ↡故ニ受ク↢三塗ノ身・卑賎ノ身・醜陋ノ身・八難ノ身・流転ノ身ヲ↡。

^かくのごとき等らの衆しゅ生じょう、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの相好そうごう光こう明みょうの身しんを見みたてまつれば、 上かみのごとき種々しゅじゅの身業しんごうの*繋け縛ばく、 みな解げ脱だつを得えて、 如来にょらいの家いえに入いりて畢ひっ竟きょうじて平びょう等どうの身業しんごうを得う。

◆如キ↠是クノ等ラノ衆生、見タテマツレバ↢阿弥陀如来ノ相好光明ノ身ヲ↡者、如キノ↠上ノ種種ノ身業ノ繋縛、皆得ウテ↢解脱ヲ↡、入リテ↢如来ノ家ニ↡畢竟ジテ得ウ↢平等ノ身業ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]イª二ºªⅡº口業

^↑衆しゅ生じょうは憍きょう慢まんをもつてのゆゑに、 正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうし、 *賢げん聖じょうを*毀呰きしし、 尊そん長ちょう 尊そんは君くん・父ふ・師しなり。 長ちょうは有う徳とくの人にんおよび兄きょう党とうなり を*捐えん庳ぴす。

▼衆生ハ以テノ↢憍慢ヲ↡故ニ、誹↢謗シ正法ヲ↡、毀↢呰シ賢聖ヲ↡、*捐↢*庳ス尊長ヲ↡ 尊者君父師也長者有徳之人及ビ兄党也。

^かくのごとき人ひと、 抜舌ばつぜつの苦く・瘖おん瘂あの苦く・*言ごん教きょう不ふ行ぎょうの苦く・*無む名みょう聞もんの苦くを受うくべし。 かくのごとき等らの種々しゅじゅの諸しょ苦くの衆しゅ生じょう、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの*至し徳とくの名みょう号ごう、 説法せっぽうの音おん声じょうを聞きけば、 上かみのごとき種々しゅじゅの口く業ごうの繋け縛ばく、 みな解げ脱だつを得えて、 如来にょらいの家いえに入いりて畢ひっ竟きょうじて平びょう等どうの口く業ごうを得う。

◆如キ↠是クノ之人、応シ↠受ク↢抜舌ノ苦・瘖瘂ノ苦・言教不行ノ苦・无名聞ノ苦ヲ↡。如キ↠是クノ等ラノ種種ノ諸苦ノ衆生、聞ケバ↢阿弥陀如来ノ至徳ノ名号説法ノ音声ヲ↡、如キノ↠上ノ種種ノ口業ノ繋縛、皆得テ↢解脱ヲ↡、入リテ↢如来ノ家ニ↡畢竟ジテ得ウ↢平等ノ口業ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]イª二ºªⅢº意業

^↑衆しゅ生じょうは邪見じゃけんをもつてのゆゑに、 心しんに分別ふんべつを生しょうず。 もしは有う、 もしは無む、 もしは非ひ、 もしは是ぜ、 もしは好こう、 もしは醜しゅう、 もしは善ぜん、 もしは悪あく、 もしは彼ひ、 もし0129は此し、 かくのごとき等らの種々しゅじゅの分別ふんべつあり。 分別ふんべつをもつてのゆゑに長ながく三さん有ぬに淪しずみて、 種々しゅじゅの分別ふんべつの苦く・取捨しゅしゃの苦くを受うけて、 長ながく*大だい夜やに寝いねて、 出いづる期ごあることなし。

▼衆生ハ以テノ↢邪見ヲ↡故ニ心ニ生ズ↢分別ヲ↡。若シハ有若シハ无、若シハ非若シハ是、若シハ好若シハ醜、若シハ善若シハ悪、若シハ彼若シハ此、有リ↢如キ↠是クノ等ノ種種ノ分別↡。以テノ↢分別ヲ↡故ニ長ク淪ミテ↢三有ニ↡、受ケテ↢種種ノ分別ノ苦・取捨ノ苦ヲ↡、長ク寝イネテ↢大夜ニ↡、无シ↠有ルコト↢出ヅル期↡。

^この衆しゅ生じょう、 もしは阿あ弥陀みだ如来にょらいの平びょう等どうの光こう照しょうに遇あひ、 もしは阿あ弥陀みだ如来にょらいの平びょう等どうの意い業ごうを聞きけば、 これらの衆しゅ生じょう、 上かみのごとき種々しゅじゅの意い業ごうの繋け縛ばく、 みな解げ脱だつを得えて、 如来にょらいの家いえに入いりて畢ひっ竟きょうじて平びょう等どうの意い業ごうを得うるなり。

◆*是ノ衆生若シハ遇マウアヒ↢阿弥陀如来ノ平等ノ光照ニ↡、若シハ聞ケバ↢阿弥陀如来ノ平等ノ意業ヲ↡、是 レ等ラノ衆生如キノ↠上ノ種種ノ意業ノ繋縛、皆得テ↢解脱ヲ↡、入リテ↢如来ノ家ニ↡畢竟ジテ得ルナリ↢平等ノ意業ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]ロ別して心業の無知を弁ず
                              ª一º初に仏の無知を明す
                                ªⅠº問

 ^問とひていはく、 心しんはこれ覚かく知ちの相そうなり。 いかんが地じ・水すい・火か・風ふうに同おなじく分別ふんべつなきことを得うべきや。

問ヒテ曰ク、心ハ是覚知ノ相ナリ。云何ガゾ可キ↠得ウ↧同ジク↢地・水・火・風ニ↡无キコトヲ↦分別↥耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]ロª一ºªⅡº答

^答こたへていはく、 心しんは知ちの相そうなりといへども、 *実相じっそうに入いればすなはち無知むちなり。

答ヘテ曰ク、心ハ雖モ↢知ノ相ナリト↡、入レバ↢実相ニ↡則チ无知也。

^たとへば蛇じゃの性しょうは曲まがれりといへども、 竹たけの筒つつに入いるればすなはち直なおきがごとし。 また人ひとの身みの、 もしは針はりの刺さし、 もしは蜂はちの螫さすにはすなはち覚かく知ちあり。 もしは*石いしの蛭ひるの噉はみ、 もしは*甘刀かんとうの割さくにすなはち覚かく知ちなきがごとし。

譬ヘバ如シ↧蛇ノ性0509ハ雖0405モ↠曲レリト、入ルレバ↢竹ノ筒ニ↡則チ直ナホキガ↥。又如シ↧人ノ身ノ、若シハ針ノ刺サシ、若シハ蜂ノ螫スニハ 式*亦ノ反 則チ有リ↢覚知↡、若シハ石ノ蛭ヒルノ 之一ノ反 噉ハミ、若シハ甘刀ノ割サクニ則チ无キガ↦覚知↥。

^かくのごとき等らの*有知うち・無知むちは因縁いんねんにあり。 もし因縁いんねんにあればすなはち知ちにあらず、 無知むちにあらず。

如キ↠是クノ等ノ有知・无知ハ在リ↢†于因縁ニ↡。若シ†在レバ↢因縁ニ↡則チ非ズ↠知ニ非ザル↢无知ニ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]ロª二º無知而知を明す
                                ªⅠº問

 ^問とひていはく、 心しん、 実相じっそうに入いれば無知むちならしむべし。 いかんが一切いっさい種しゅ智ちあることを得うるや。

問ヒテ曰ク、心入レバ↢実相ニ↡可シ↠令ム↢†无知ナラ↡。云何ガ得ルム↠有ルコトヲ↢一切種智↡耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]ロª二ºªⅡº答

^答こたへていはく、 凡心ぼんしんは有知うちなれば、 すなはち知しらざるところあり。 *聖しょう心しんは無知むちなるがゆゑに知しらざるところなし。 無知むちにして知しる知ちなればすな0130はち無知むちなり。

答ヘテ曰ク、凡心ハ†有知ナレバ則チ有リ↠所 ロ↠不ル↠知ラナラ。聖心ハ无知ナルガ故ニ无シ↠所 ロ↠不ル↠知ラ。无知ニシテ而†知ル知ナレバ、即チ无知也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]ロª三º無知を明す
                                ªⅠº問

 ^問とひていはく、 すでに無知むちなるがゆゑに知しらざるところなしといふ。 もし知しらざるところなければ、 あにこれ種々しゅじゅの法ほうを知しるにあらずや。 すでに種々しゅじゅの法ほうを知しれば、 またいかんが分別ふんべつするところなしといふや。

問ヒテ曰ク、既ニ†言フ↢无知ナルガ故ニ无シト↟所↠不ル↠知ラ。*若シ无ケレバ↠所↠不ル↠知ラ者、豈ニ不ズ↣是知ルニ↢種種ノ法ヲ↡耶ヤ。既ニ知レバ↢種種之法ヲ↡、復云何ガゾ言フ↠无シト↠所↢分別スル↡耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅳ][b]ロª三ºªⅡº答

^答こたへていはく、 諸法しょほうの種々しゅじゅの相そうはみな*幻げん化けのごとし。 しかるに幻げん化けの象ぞう・馬め、 長ながき頚くび・鼻はな・手て・足あしの異ことなることなきにあらざれども、 智ち者しゃこれを観みて、 あにさだめて象ぞう・馬め、 これを分別ふんべつすることありといはんや。

答ヘテ曰ク、諸法ノ種種ノ相ハ皆如シ↢幻化ノ↡。然ルニ幻化ノ*像・馬、非ザレドモ↠无キニ↢長キ頚クビ・鼻・手*足ノ異ナルコト↡而、智者観テルニ↠之ヲ、豈ニ言ハム↤定メテ有リト↣*像・馬分↢別スルコト之ヲ↡耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅴ]大衆功徳

【88】 ^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん大衆だいしゅ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「天人てんにん不ふ動どう衆しゅ 清浄しょうじょう智ち海かい生しょう」 といへるがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳大衆功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「天人不動衆清浄智海生ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅵ]上首功徳

^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん上じょう首しゅ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「如にょ須しゅ弥み山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むか者しゃ」 といへるがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳上首功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「如須弥山王勝妙无過者ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅶ]主功徳

^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん主しゅ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「天人てんにん丈じょう夫ぶ衆しゅ 恭く敬ぎょう繞にょう瞻仰せんごう」 といへるがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳主功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「天人丈夫衆恭敬繞瞻仰ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ]不虚作住持功徳
                          [a]正説を釈す
                            イ論文

【89】 ^▲なんとなれば↑荘しょう厳ごん↓不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅとは、 偈げに 「観かん仏ぶつ本願ほんがん力りき 遇ぐう無む空くう過か者しゃ 能のう令りょう速そく満足まんぞく 功く徳どく大だい宝海ほうかい」 といへるがゆゑなり。

何トナレバ者荘厳不虚作住持功徳成就トハ、偈ニ言ヘルガ↢「観仏本願力遇无空過者能令速満足功徳大宝海ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][a]ロ註釈
                              ª一º総示

 ^0131◆「↑不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく↓成じょう就じゅ」 とは、 けだしこれ阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん力りきなり。

「不虚作住持功徳成就ト」者ハ、蓋シ是阿弥陀如来ノ本願力也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][a]ロª二º別釈
                                ªⅠº虚作を挙げて反顕す

^◆いままさに略りゃくして虚作こさの相そうの住じゅう持じすることあたはざるを示しめして、 もつてかの↓不ふ虚作こさ住じゅう持じの義ぎを顕あらわすべし。 ^*人ひと、 餐さんを輟とど 止しなり めて士しを養やしなふに、 あるいはきん、 舟ふねのなかに起おこり、 金こがねを積つみて庫くらに盈みてれども、 餓死がしを免まぬかれざることあり。 かくのごとき事じ、 目めに触ふるるにみなこれなり。 得うれども得うるとなすにあらず、 あれどもあるを守まもるにあらず。 みな虚こ妄もうの業ごうの作さなるによりて住じゅう持じすることあたはず。

今†当ニシ↧略シテ示シテ↢虚0510作之0406相ノ不ルヲ↟能ハ↢住持スルコト↡、用テ顕ス↦彼ノ不虚作住持之義ヲ↥。人†有リ↧輟トドメテ↠ 止也貞劣ノ反 餐ヲ養ヤシナフニイ ↠士ヲ、或イハ起リ↢舟ノ中ニ↡、積ミテ↠金ヲ盈ミテレドモ↠庫ニ而不ルコト↞免 カレ↢餓死ヲ↡。如キ↠斯クノ之事触ルルニ↠目ニ皆是ナリ。得レドモテ  非ズ↠作スニ↠得ルトルヲ、在レドモリテ †非ズ↠守ルニ↠在ルヲ。皆†由リテ↢虚妄ノ業ノ作ナルニ↡不ル↠能ハ↢住持スルコト↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][a]ロª二ºªⅡº正しく不虚作を釈す

^▼いふところの 「↑不ふ虚作こさ住じゅう持じ」 とは、 本もと法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの四し十じゅう八はち願がんと、 今日こんにちの阿あ弥陀みだ如来にょらいの*自じ在ざい神力じんりきとによるなり。 *願がんもつて力りきを成じょうず、 力りきもつて願がんに就つく。 ▼願がん*徒と然ねんならず、 力りき*虚こ設せつならず。 力りき・願がんあひ符かなひて畢ひっ竟きょうじて差たがはざるがゆゑに 「↑成じょう就じゅ」 といふ。

所ノ↠言フ不虚作住持ト者ハ、依ルナリ↢本 ト法蔵菩薩ノ四十八願ト、今日ノ阿弥陀如来ノ自*在神力トニ↡。願以テ成ズ↠力ヲ、力以テ就ク↠願ニ。願不ズ↢*徒ト然ゼンナラ↡、力不ズ↢虚設ナラ↡。力願相*苻カナヒテ畢竟ジテ不ルガ↠差タガハ故ニ曰フ↢成就ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]追釈を解す
                            イ論文

【90】 ^▲すなはちかの仏ぶつを見みたてまつれば、 ↓未み証しょう浄じょう心しんの菩ぼ薩さつ、 畢ひっ竟きょうじて↓平びょう等どう法身ほっしんを証しょうすることを得えて、 浄じょう心しんの菩ぼ薩さつと上じょう地じのもろもろの菩ぼ薩さつと↓畢ひっ竟きょうじて同おなじく↓寂じゃく滅めつ平びょう等どうを得うるがゆゑなり。

▼即チ見タテマツレバソナハセバ↢彼ノ仏ヲ↡、未証浄心ノ菩薩畢竟ジテ†得テ↠証スルコトヲ↢平等法身ヲ↡、与ト↢浄心ノ菩薩↡与ト↢上地ノ諸ノ菩薩↡畢竟ジテ同ジク得ルガシムルガ↢寂滅平等ヲ↡故 ヘナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロ註釈
                              ª一º所得の人法を顕す
                                ªⅠº人法相成を示す

 ^◆「↑平びょう等どう法身ほっしん」 とは、 *八はち地じ以い上じょうの*法ほっ性しょう生しょう身じんの菩ぼ薩さつなり。 ▼「↑寂じゃく滅めつ平びょう等どう」 とは、 すなはちこの法身ほっしんの菩ぼ薩さつの所しょ証しょうの寂じゃく滅めつ平びょう等どうの法ほうなり。 この寂じゃく滅めつ平びょう等どうの法ほうを得うる0132をもつてのゆゑに名なづけて平びょう等どう法身ほっしんとなす。 平びょう等どう法身ほっしんの菩ぼ薩さつの所得しょとくなるをもつてのゆゑに名なづけて寂じゃく滅めつ平びょう等どうの法ほうとなすなり。

「平等法身ト」者ハ、八地已上ノ法性生身ノ菩薩也。「寂滅平等ト」者ハ、即チ此ノ法身ノ菩薩ノ所証ノ寂滅平等之法也。以テノ↠得ルヲ↢此ノ寂滅平等ノ法ヲ↡故ニ名ケテ為ス↢平等法身ト↡。以テノ↢平等法身ノ菩薩ノ所得ナルヲ↡故ニ名ケテ為ス↢寂滅平等ノ法ト↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª一ºªⅡº所得の三昧を明す

^◆この菩ぼ薩さつ、 *報ほう生しょう三昧ざんまいを得えて、 三昧さんまいの*神力じんりきをもつて、 よく一処いっしょにして一念いちねん一いち時じに十方じっぽう世せ界かいに遍へんして、 種々しゅじゅに一切いっさい諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつの*大だい会え衆しゅ海かいを供く養ようし、 よく無む量りょう世せ界かいの*仏法ぶっぽう僧そうなき処ところにおいて、 種々しゅじゅに示じ現げんし、 種々しゅじゅに一切いっさい衆しゅ生じょうを教きょう化けし*度ど脱だつして、 つねに仏ぶつ事じをなせども、 初はじめより往来おうらいの想おもい、 供く養ようの想おもい、 度ど脱だつの想おもいなし。

此ノ菩薩得テ↢報生三昧ヲ↡、以テ↢三昧ノ神力ヲ↡、能ク一処ニシテ一念一時ニ遍シテ↢十方世界ニ↡、種種ニ供↢養シ一切諸仏及ビ諸仏ノ大会衆海ヲ↡、能ク於テ↧无量世界ノ†无キ↢仏法僧↡処ニ↥、種種ニ示現シ、種種ニ教↢化シ度↣脱シテ一切衆生ヲ↡、常ニ作セドモ↢仏事ヲ↡、初ヨリ无シ↢往来ノ想・供養ノ想・度脱ノ想↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª一ºªⅢº人法不二を結す

^◆このゆゑに、 この身しんを名なづけて平びょう等どう法身ほっしんとなし、 この法ほうを名なづけて寂じゃく滅めつ平びょう等どうの法ほうとなすなり。

是ノ故ニ此ノ身ヲ名ケテ為シス↢平等法身ト↡、此ノ法ヲ名ケテ為スル↢寂滅平等ノ法ト↡*也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª二º能得の分位を弁ず

^◆「↑未み証しょう浄じょう心しんの菩ぼ薩さつ」 とは、 初しょ地じ以い上じょう七しち地い以い還げんのもろもろの菩ぼ薩さつなり。 この菩ぼ薩さつまたよく身しんを現げんじて、 もしは百ひゃく、 もしは千せん、 もしは万まん、 もしは億おく、 もしは百ひゃく千万せんまん億おくの無む仏ぶつの国こく土どに仏ぶつ事じを施作せさすれども、 かならず*作さ心しんを須もちゐて三昧さんまいに入いる。 すなはちよく作さ心しんせざるにはあらず。 作さ心しんをもつてのゆゑに名なづけて未み得とく浄じょう心しんとなす。

「未証浄心ノ菩薩0511ト」者ハ0407、初地已上七地已還ノ諸ノ菩薩也。此ノ菩薩亦能ク現ジテ↠身ヲ、若シハ百若シハ千、若シハ万若シハ億、若シハ百千万億ノ无仏ノ国土ニ施↢作スレドモ仏事ヲ↡、要ズ*須モチヰテ↢作心ヲ↡入ル↢三昧ニ↡。乃チ能ク非ズ↠不ルニハ↢作心セ↡。以テノ↢作*心ヲ↡故ニ名ケテ為ス↢未得浄心ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三º畢竟同得を釈す
                                ªⅠº正釈
                                  ªⅰº見仏の益を明す

^◆この菩ぼ薩さつ、 願がんじて安楽あんらく浄じょう土どに生しょうずれば、 すなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつる。 阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつる時とき、 *上じょう地じのもろもろの菩ぼ薩さつと畢ひっ竟きょうじて身しん等ひとしく法ほう等ひとし。

此ノ菩薩、†願ジテ生ズレバ↢安楽浄土ニ↡即チ見タテマツル↢阿弥陀仏ヲ↡。見タテマツル↢阿弥陀仏ヲ↡時、与ト↢上地ノ諸ノ菩薩↡畢竟ジテ身等シク法等ヒトシ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅠºªⅱº願生の例を引く

^◆*龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ、 *婆藪ばそ槃ばん頭ず菩ぼ薩さつ (天親) の輩ともがら、 かしこに生しょうぜんと願がんずるは、 まさにこれがためなるべきのみ。

龍樹菩薩・婆藪槃頭菩薩ノ輩 ラ、願ズル↠生ゼムト↠彼ニ者ハ、当ニキシ↠為 メナル↠此ガ耳ト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡº問答
                                  ªⅰº問

 ^0133◆問とひていはく、 ¬*十じゅう地じ経きょう¼ を案あんずるに、 菩ぼ薩さつの*進趣しんしゅ階かい級きゅう、 やうやく無む量りょうの功く勲くんありて多おおくの劫数こうしゅを経へ、 しかして後のちにすなはちこれを得う。 いかんが阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつる時とき、 畢ひっ竟きょうじて上じょう地じのもろもろの菩ぼ薩さつと身しん等ひとしく法ほう等ひとしきや。

問ヒテ曰ク、案ズルニ↢¬十地経ヲ¼↡、菩薩ノ進趣階*級、漸ク有リテ↢无量ノ功勲↡†逕↢多クノ劫数ヲ↡、然 カフシテ後ニ乃チイマシ得↠此ヲ。云何ガ見タテマツル↢阿弥陀仏ヲ↡時、畢竟ジテ与ト↢上地ノ諸ノ菩薩↡身等シク法等シキ耶ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱº答
                                    ªaº畢竟等に約して縦答す
                                      ªイº所難を会す

^◆答こたへていはく、 「↑畢ひっ竟きょう」 とはいまだ即等そくとうといふにはあらず。 畢ひっ竟きょうじてこの等ひとしきことを失うしなはざるがゆゑに 「等とう」 といふのみ。

答ヘテ*曰ク、畢竟ト者ハ未ダズル↠言イフニハ↢即等ト↡也。畢竟ジテ不ルガ↠失ハ↢此ノ等シキコトヲ↡故ニ言イフ↠等ト耳ナラクノミト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªaºªロº余疑を通ず
                                        ˆ一ˇ問

 ^◆問とひていはく、 もし即等そくとうにあらずは、 またなんぞ菩ぼ薩さつといふことを待またん。 ただ初しょ地じに登のぼれば、 もつてやうやく増進ぞうしんして、 自じ然ねんにまさに仏ぶつと等ひとしかるべし。 なんぞ上じょう地じの菩ぼ薩さつと等ひとしといふことを仮からん。

問ヒテ曰ク、若シ†不ズハ↢即等ニ↡、復†何ゾ待タム↠言フコトヲ↢菩薩ト↡。但登レバ↢初地ニ↡、以テ漸ク増進シテ、自然ニ当ニシ↢与ト↠仏等シカル↡。何ゾ†仮ラム↠言フコトヲ↧与ト↢上*地ノ菩薩↡等ヒトシト↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ二ˇ答

^◆答こたへていはく、 *菩ぼ薩さつ、 七しち地じのうちにおいて*大だい寂じゃく滅めつを得うれば、 上かみに諸仏しょぶつの求もとむべきを見みず、 下しもに衆しゅ生じょうの度どすべきを見みず。 仏道ぶつどうを捨すてて*実際じっさいを証しょうせんと欲ほっす。 その時ときに、 もし十方じっぽう諸仏しょぶつの神力じんりきの*加か勧かんを得えずは、 すなはち滅めつ度どして二に乗じょうと異ことなることなからん。 菩ぼ薩さつもし安楽あんらくに往おう生じょうして阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつれば、 すなはちこの難なんなし。 このゆゑにすべからく 「畢ひっ竟きょうじて平びょう等どうなり」 といふべし。

答ヘテ曰ク、菩薩於シ↢七地ノ中ニ↡得レバ↢大寂滅ヲ↡、上ニ不ズ↠見↢諸仏ノ可キヲ↟求ム、下ニ不ズ↠見ミ↢衆生ノ可キヲ↟度ス。欲ス↧捨テテ↢仏道ヲ↡証セムト↦於実際ヲ↥。爾ノ時ニ若シ不ズハ↠得エ↢十方諸仏ノ神力ノヲシテ加勧ヲ↡、即便チ滅度シテ与ト↢二乗↡无ナカラムケム ↠異ルコト。菩薩若シ往↢生シテ安楽ニ↡見タテマツレバ↢阿弥陀仏ヲ↡、即チ无シ↢此ノ難↡。是ノ故ニ須クシ↠言イフ↢畢竟ジテ平等ナリト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªbº即等に就きて奪答す
                                      ªイº願力を明す
                                        ˆ一ˇ願文

^◆また次つぎに ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上) のなかに、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん (第二十二願) にのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 他た方ほう仏ぶつ土どのもろもろの菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが国くにに来らい生しょうせば、 究く竟きょうしてかならず一いっ生しょう補ふ処しょに至いたら0134ん。 その本願ほんがんの自じ在ざいに化けせんとするところありて、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 弘ぐ誓ぜいの鎧よろいを被きて徳本とくほんを積しゃく累るいし、 一切いっさいを度ど脱だつし、 諸仏しょぶつの国くにに遊あそびて菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅし、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ如来にょらいを供く養ようし、 恒沙ごうじゃ無む量りょうの衆しゅ生じょうを開かい化けして、 無む上じょう正しょう真しんの道どうに立りゅうせしめんをば除のぞく。 ▲*常じょう倫りん諸しょ地じの行ぎょうを超出しょうちゅつし、 現前げんぜんに*普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。

復次ニ¬无量寿経ノ¼中ニ、阿弥陀如来ノ本願ニ言ノタマハク、「設ヒ我得ムニタラムニ↠仏ヲ、他方仏土ノ諸ノ菩薩衆、来↢生セバ我ガ国ニ↡、究竟シテ必ズ至ラム↢一生補処ニ↡。除ク↧其ノ本願0408ノ自在0512ニシテ所アリテノ  ↠化セントスル、為ノ↢衆生ノ↡故ニ、被キテ↢弘誓ノ鎧ヲ↡積↢累シ徳本ヲ↡、度↢脱シテ一切ヲ↡、遊ビテ↢諸仏ノ国ニ↡修シ↢菩薩ノ行ヲ↡、供↢養シ十方ノ諸仏如来ヲ↡、開↢化シテ恒沙无量ノ衆生ヲ↡、使シメムヲバ↞立セ↢无上正真之道ニ↡。†超↢出シ常倫諸地之行ヲ↡、現前ニ修↢習セム普賢之徳ヲ↡。若シ不ズハ↠爾ラ者不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªbºªイºˆ二ˇ不共

^◆この経きょうを案あんじてかの国くにの菩ぼ薩さつを推すいするに、 あるいは一いち地じより一いち地じに至いたらざるべし。

案ジテ↢此ノ経ヲ↡推スルニ↢彼ノ国ノ菩薩ヲ↡、或イハ可シ↠不ル↧従ヨリ↢一地↡至ラ↦一地ニ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªbºªロº権実を弁ず
                                        ˆ一ˇ権実を分別す

^◆十じゅう地じの階かい次じといふは、 これ釈しゃ迦か如来にょらいの、 閻えん浮ぶ提だいにおける一いちの*応おう化げ道どうなるのみ。 他た方ほうの浄じょう土どはなんぞかならずしもかくのごとくならん。 五ご種しゅの不ふ思議しぎのなかに仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。

言イフ↢十地ノ階次ト↡者ハ、是釈迦如来ノ†於ケル↢閻浮提ニ↡一ノ応化道ナル耳ナラクノミ。他方ノ浄土ハ何ゾ必ズシモ如クナラム↠此クノ。五種ノ不思議ノ中ニ仏法最モ不可思議ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªbºªロºˆ二ˇ漸に執して頓を疑ふを斥す
                                          ˆⅠˇ法

^◆もし菩ぼ薩さつかならず一いち地じより一いち地じに至いたりて超ちょう越おつの理りなしといはば、 いまだあへて詳つまびらかならず。

若シ言イハバ↧菩薩必ズ従ヨリ↢一地↡至リテ↢一地ニ↡无シト↦超越之理↥、未ダル↢敢テ詳カナラ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªbºªロºˆ二ˇˆⅡˇ譬

^▼たとへば樹きあり、 名なづけて*好堅こうけんといふ。 この樹き、 地じに生しょうずるに*百ひゃく囲いすなはち具ぐせり。 一日いちにちに長ちょうずること高たかさ百丈ひゃくじょうなるがごとし。 日々にちにちにかくのごとし。 百ひゃく歳さいの高たかさを計はかるに、 あに*修しゅ松しょうに類るいせんや。 松まつの生長しょうちょうするを見みるに、 日ひに寸すんを過すぎず。 かの好堅こうけんを聞ききて、 なんぞよく即日そくにちを疑うたがはざらん。

譬ヘバ如シ↧有リ↠樹キ、名ケテ曰フ↢好堅ト↡、是ノ樹キ†地ニ生ズルコト百*囲乃チ†具セリ、一日ニ†長ズルコト高サ百丈ナルガ↥。日日ニ如シ↠此クノ。計ルニ↢百歳之*高サヲ↡、豈ニ類セム↢修シユ松シヨウニ↡耶ヤ。見ルニ↢松ノ生長スルヲ↡、日ニ不ズ↠過ギ↠寸ヲ。聞キテ↢彼ノ好堅ヲ↡、何ゾ能ク不ラム↠疑ハ↢即日ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ][ⅷ][b]ロª三ºªⅡºªⅱºªbºªハº権に執すを斥す

^◆人ひとありて、 釈しゃ迦か如来にょらいの*羅ら漢かんを一いっ聴ちょうに証しょうし、 *無む生しょうを終朝しゅうちょうに制せいするを聞ききて、 これ*接しょう誘ゆうの言ごんなり、 *称しょう実じつの説せつにあらずといひて、 この論ろん事じを聞ききてまたまさに信しんぜざるべし。 それ*非ひ0135常じょうの言ことばは常じょう人にんの耳みみに入いらず。 これをしからずと謂おもふは、 またそれ*宜むべなり。

有リテ↠人聞キテ↧釈迦如来ノ証シ↢羅漢ヲ†於一聴ニ↡、制スルヲ↦无生ヲ†於*終朝ニ↥、謂ヒテ↣是 レ接誘之言ミコトナリ、非ズト↢称実之説ニ↡、聞キテ↢此ノ論事ヲ↡亦当ニシ↠不ル↠信ゼ。夫 レ非常之言ハ不ズ↠入ラ↢常人之耳ニ↡。謂オモフハ↢之ヲ不ズト↟然ラ、亦其 レ†宜ウベ也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]示現二利
                      [Ⅰ]論文

【91】 ^▲略りゃくして八はっ句くを説ときて、 如来にょらいの自利じり利他りたの功く徳どく荘しょう厳ごん、 次し第だいに成じょう就じゅしたまへることを示じ現げんす、 知しるべし。

略シテ説キテ↢八句ヲ↡、示↢現スト如来ノ自利利他ノ功徳荘厳、次第ニ成就シタマヘルコトヲ↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]註釈
                        [ⅰ]依正の次第を明す

 ^◆これはいかんが次し第だいする。 前さきの十じゅう七しち句くは、 これ荘しょう厳ごん国こく土ど功く徳どく成じょう就じゅなり。 すでに国こく土どの相そうを知しりぬ。 国こく土どの主しゅを知しるべし。 このゆゑに次つぎに仏ぶつの荘しょう厳ごん功く徳どくを観かんず。

此ハ云何ガ次第スルナル。前ノ十七句ハ是荘厳国土功徳成就ナリ。既ニ知リヌ↢国土ノ相ヲ↡。応シ↠知ル↢国土之主ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢仏ノ荘厳功徳ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]八句の生起を弁ず

^◆かの仏ぶついかんが荘しょう厳ごんし、 いづれの処ところにおいてか坐ざしたまふ。 このゆゑに先まづ▲座ざを観かんず。

彼ノ仏若為 イカン ガ荘厳シセル、於テカ↢何ノ処ニ↡坐シタマフ。是ノ故ニ先0513ヅ観0409ズゼヨ↠座ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a]座→身業

^◆すでに座ざを知しりをはりぬ。 よろしく座ざの主しゅを知しるべし。 このゆゑに次つぎに仏ぶつの荘しょう厳ごん▲身業しんごうを観かんず。

既ニ知リ↠座ヲ已リヌ。宜シクシ ↠知ル↢座ノ主ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢仏ノ荘*厳身業ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]身業→口業

^◆すでに身業しんごうを知しりぬ。 いかなる声名しょうみょうかましますと知しるべき。 このゆゑに次つぎに仏ぶつの荘しょう厳ごん▲口く業ごうを観かんず。

既ニ知リヌ↢身業ヲ↡。応キ↠知ル↠有マシマスト↢何ナルノ 声名カ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢仏ノ荘厳口業ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][c]口業→意業

^◆すでに名みょう聞もんを知しりぬ。 よろしく得とく名みょうの所以ゆえんを知しるべし。 このゆゑに次つぎに荘しょう厳ごん▲心業しんごうを観かんず。

既ニ知リヌ↢名聞ヲ↡。宜シクシ ↠知ル↢得名ノ所以 ユヘ ヲ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢荘厳心業ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][d]意業→大衆

^◆すでに三業さんごう具ぐ足そくして人天にんでんの大だい師したるべきことを知しりぬ。 *化けを受うくるに堪たへたるひとはこれたれぞ。 このゆゑに次つぎに▲大衆だいしゅの功く徳どくを観かんず。

既ニ†知リヌ↢三業具足シテ応キコトヲ↟為ル↢人天ノ大師↡。堪ヘタル↠受クルニ↠化ヲ者ハ是誰ゾ↡。是ノ故ニ次ニ観ズゼヨ↢大衆ノ功徳ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][e]大衆→上首

^◆すでに大衆だいしゅに無む量りょうの功く徳どくあることを知しりぬ。 よろしく上首じょうしゅはたれぞと知しるべし。 このゆゑに次つぎに▲上じょう首しゅを観かんず。 上じょう首しゅはこれ仏ぶつ (阿弥陀仏) なり。

既ニ知リヌ↣大衆ニ有ルコトヲ↢无量ノ功徳↡。宜シクシ ↠知ル↢上首者ハ誰ゾト↡。是ノ故ニ次ニ観ズ↢上首ヲ↡。上首ハ是仏ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][f]上首→主

^◆すでに上じょう首しゅを知しりぬ。 *長ちょう幼ように同どうずることを恐おそる。 このゆゑに次つぎに▲主しゅを観かんず。

既ニ知リヌ↢上首ヲ↡。†恐ル↠同ズルコトヲジキコトヲ↢長チヤウ*幼ヤウニ↡。是ノ故ニ次ニ観ズ↠主ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][g]主→不虚作住持

^◆すでにこの主しゅを知しりぬ。 主しゅにいかなる*増ぞう上じょうかまします。 こ0136のゆゑに次つぎに荘しょう厳ごん▲不ふ虚作こさ住じゅう持じを観かんず。 ^八はっ句くの次し第だい成じょうじをはりぬ。

既ニ知リヌ↢是ノ主ヲ↡。主ニ有マシマスト↢何ナル増上カ↡。是ノ故ニ次ニ観ズ↢荘厳不虚作住持ヲ↡。八句ノ次第†成ジ已リヌ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)観菩薩【菩薩】
                  (イ)標章

【92】^▼↑菩ぼ薩さつを観かんずとは、

観ズト↢菩薩ヲ↡者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)正釈
                    [一]総標
                      [Ⅰ]論文

^▲いかんが菩ぼ薩さつの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観察かんざつする。 菩ぼ薩さつの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観察かんざつすとは、 かの菩ぼ薩さつを観かんずるに四し種しゅの↓正しょう修しゅ行ぎょう功く徳どく成じょう就じゅあり、 知しるべし。

云何ガ観↢察スル菩薩ノ荘厳功徳成就ヲ↡。観↢察スト菩薩ノ荘厳功徳成就ヲ↡者ハ、観ズルニ↢彼ノ菩薩ヲ↡有リト↢四種ノ正修行功徳成就↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]註釈

 ^▼真如しんにょはこれ諸法しょほうの正しょう体たいなり。 *如にょを体たいして行ぎょうずれば、 すなはちこれ不ふ行ぎょうなり。 不ふ行ぎょうにして行ぎょうずるを如実にょじつ修しゅ行ぎょうと名なづく。 ▼体たいはただ一如いちにょなれども、 義ぎをもつて分わかちて四しとなす。 このゆゑに四しの行ぎょう、 一いちの↑正しょうをもつてこれを統すぶ。

真如ハ是諸法ノ正体ナリ。体↠如ニシテ而行ズレバ、則チ是不行ナリ。不行ニシテ而行ズルヲ名ク↢如実修行ト↡。体ハ唯一如ナレドモ而義ヲモテヲシテ分チテ為ス↠四ト。是ノ故ニ四ノ行†以テ↢一ノ正ヲ↡†統ブ↠之ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別釈
                      [Ⅰ]不動而至
                        [ⅰ]論文

【93】 ^▲何者なにものをか四しとなす。 一いちには一いち仏ぶつ土どにおいて▽身み動揺どうようせずして十方じっぽうに遍へんして、 種々しゅじゅに応おう化げして如実にょじつに修しゅ行ぎょうし、 つねに仏ぶつ事じをなす。 ^偈げに 「安楽あんらく国こく清浄しょうじょう ↓常じょう転てん↓無垢むく輪りん 化け仏ぶつ菩ぼ薩さつ↓日にち ↓如にょ須しゅ弥み住じゅう持じ」 といへるがゆゑなり。 ^もろもろの衆しゅ生じょうの、 ↓*淤お泥でい華けを開ひらくがゆゑなり。

何者 ノヲカ為スル↠四ト。一ニ者於シ↢一仏土ニ↡身不ズシテ↢動揺セ↡而遍シテ↢十方ニ↡、種種ニ応化シテ†如実ニ修行シテ、常ニ作ス↢仏事ヲ↡。偈ニ言ノタマヘルガ↢「安楽国清浄、常転无垢輪、化仏菩薩日、如須弥住持ト」↡故ナリニト。開クガ↢諸ノ衆生ノ淤オ泥デイ花ヲ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]註釈
                          [a]句義を釈す

 ^◆八はち地じ以い上じょうの菩ぼ薩さつは*つねに三昧さんまいにありて、 三昧さんまい力りきをもつて、 身みは本処ほんしょを動どうぜずして、 よくあまねく十方じっぽうに至いたりて諸仏しょぶつを供く養ようし、 衆しゅ生じょうを教きょう化けす。

八0514地已0410上ノ菩薩ハ常ニ在リテ↢三昧ニ↡、以テ↢三昧力ヲ↡、身ハ不ズシテ↠動ゼ↢本処ヲ↡而能ク遍ク至リテ↢十方ニ↡供↢養シ諸仏ヲ↡、教↢化ス衆生ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]文意を解す
                            イ第二句を釈す

^◆「↑*無垢むく輪りん」 とは*仏ぶつ地じの功く徳どくなり。 仏ぶつ地じの功く徳どくは、 *習じっ気け煩悩ぼんのうの垢くなければなり。 仏ぶつ (阿弥陀仏)、 もろもろの菩ぼ薩さつのために、 つねにこの*法輪ほうりんを転てんず。 諸大しょだい菩ぼ薩さつもまたよくこの法ほう輪りん0137をもつて一切いっさいを開導かいどうすること、 暫ざん時じも休く息そくすることなし。 ゆゑに 「↑常じょう転てん」 といふ。

「无垢輪トイフ」者ハ、仏地ノ功徳也。仏地ノ功徳ハ无ナケレバナリ↢習気煩悩ノ垢↡。仏為 メニ↢諸ノ菩薩ノ↡、常ニ転ズ↢此ノ法輪ヲ↡。諸大菩薩モ亦能ク以テ↢此ノ法輪ヲ↡開↢導スルコト一切ヲ↡、无シ↢蹔時モ休息スルコト↡。故ニ言イフ↢「常転ト」↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ロ三四句を釈す

^◆法身ほっしんは日ひのごとくして、 応おう化げ身しんの光ひかりもろもろの世せ界かいに遍へんするなり。 「↑日ひ」 といふにはいまだもつて不ふ動どうを明あかすに足たらざれば、 また 「↑如にょ須しゅ弥み住じゅう持じ」 といへるなり。

法身ハ如クシテ↠日ノ而応化身ノ光 リ遍スル↢諸ノ世界ニ↡也。言イフニハ↠「日ト」†未ダレバ↠足ラ↣以テ明スニ↢不動ヲ↡、復言ヘル↢「如須弥住持ト」↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]ハ淤泥華を釈す

^▼「↑淤お泥でい華け」 といふは、 ¬経きょう¼ (*維摩経) に、 「高原こうげんの陸ろく地じには蓮れん華げを生しょうぜず。 *卑ひ湿しゅうの淤お泥でいにすなはち蓮れん華げを生しょうず」 とのたまへり。 ▼これは凡ぼん夫ぶ、 煩悩ぼんのうの泥どろのなかにありて、 菩ぼ薩さつのために開導かいどうせられて、 よく仏ぶつの正しょう覚がくの華はなを生しょうずるに喩たとふ。 まことにそれ三宝さんぼうを紹隆しょうりゅうしてつねに絶たえざらしむ。

「淤オ泥デイ花トイフ」者ハ、¬経ニ¼言ヘリ↧「高原ノ陸地ニハ不ズ↠生ゼ↢蓮花ヲ↡、卑湿ノ淤オ泥デイニ乃チ生ズト↦蓮花ヲ↥」。此ハ喩フ↧凡夫在リテ↢煩悩ノ泥ノ中ニ↡、為ニ↢菩薩ノ↡開導セラレテ、能ク生ズルニ↦仏ノ正覚ノ花ヲ↥。諒マコトニ夫 レ紹ツグ↢*隆リウタツシテ三宝ヲ↡常ニ使シムト↠不ラ↠絶タエ。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]一念遍至
                        [ⅰ]論文

【94】 ^▲二ににはかの応おう化げ身しん、 一切いっさいの時ときに前ぜんならず後ごならず、 一心いっしん一念いちねんに大だい光こう明みょうを放はなちて、 ことごとくよくあまねく十方じっぽう世せ界かいに至いたりて衆しゅ生じょうを教きょう化けす。 種々しゅじゅに方便ほうべんし修しゅ行ぎょうし、 なすところ一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを滅除めつじょするがゆゑなり。 ^偈げに 「無垢むく荘しょう厳ごん光こう 一念いちねん及ぎゅう一いち時じ 普ふ照しょう諸仏しょぶつ会え 利り益やく諸しょ群ぐん生じょう」 といへるがゆゑなり。

二ニ者彼ノ応化身、一切ノ時ニ不ズ↠前ナラ不ズ↠後ナラ、一心一念ニ放チテ↢大光明ヲ↡、悉ク能ク遍ク至リテ↢十方世界ニ↡教↢化ス衆生ヲ↡。種種ニ方便シ修行シテ、†所↠作ス滅↢除スルガ一切衆生ノ苦ヲ↡故ナリニ 。偈ニ言ヘルガ↢「无垢荘厳光、一念及一時、普照諸仏会、利益諸*群生ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]註釈

 ^△上かみに不ふ動どうにして至いたるといふは、 あるいは至いたること前ぜん後ごあるべし。 このゆゑにまた一念いちねん一いち時じにして前ぜん後ごなしといへるなり。

上ニ言フハ↢不動ニシテ而至ルト↡、容ベシ↣或イハ至ルコト有ル↢前後↡。是ノ故ニ復言ヘル↣一念一時ニシテ无シト↢前後↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]無相供養
                        [ⅰ]論文

【95】 ^▲三さんにはかれ一切いっさい世せ界かいにおいて↓余あますことなく、 諸仏しょぶつの会えの大衆だいしゅを照てらして0138余あますことなく、 広大こうだい無む量りょうに諸仏しょぶつ如来にょらいの功く徳どくを供く養ようし恭く敬ぎょうし讃嘆さんだんす。 ^偈げに 「雨う天楽てんがく華衣けえ 妙みょう香等こうとう供く養よう 讃さん諸仏しょぶつ功く徳どく 無有むう分別ふんべつ心しん」 といへるがゆゑなり。

三ニ者彼 レ於テ↢一切世界ニ↡无ク↠余スコト、†照シテ↢諸仏ノ会ノ大衆ヲ↡无ク↠余スコト、広大无量ニシテ供↢養シ恭↣敬シ讃↤嘆ス諸仏如来ノ功徳ヲ↡。偈ニ言ヘルガ↢「雨天楽花衣、妙香等供養、讃諸仏功徳、无有分別心ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]註釈

 ^◆「↑余あますことなく」 とは、 あまねく一切いっさい世せ界かいの一切いっさい諸仏しょぶつの大だい会えに至いたりて、 一いち世せ界かいにも一いち仏ぶつ会えにも至いたらざることあることなきを明あかすなり。

「†无0515クト↠余0411スコト」者ハ、†明ス↧遍ク至リテ↢一切世界ノ一切諸仏ノ大会ニ↡、无キヲ↞有ルコト↢一世界ニモ一仏会ニモ不ルコト↟至ラ也。

^◆肇じょう公こう (*僧肇) のいはく (註維摩経)、 「*法身ほっしんは像かたちなくして殊しゅ形ぎょう並ならび応おうじ、 *至し韻いんは言ことばなくして*玄籍げんせき弥ひろく布しけり。 *冥みょう権ごん謀はかりごとなくして、 動どうじて事じと会かなふ」 と。 ^けだしこの意こころなり。

肇公デウコウノ言ク、「法身ハ无クシテ↠像カタチ而†殊形†並ビ応ジ、至韻ハ无クシテ↠言而玄籍弥ヒロク布ケリ。冥権无クシテ↠謀ハカリゴト而動ジテ与ト↠事会フトス 」。蓋シ斯ノ意也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅳ]示法如仏
                        [ⅰ]論文

【96】 ^▲四しにはかれ十方じっぽう一切いっさい世せ界かいの三宝さんぼうなき処ところにおいて、 仏法ぶっぽう僧宝そうぼうの功く徳どくの大海だいかいを住じゅう持じし荘しょう厳ごんして、 あまねく示しめして如実にょじつの修しゅ行ぎょうを解さとらしむ。 ^偈げに 「何が等とう世せ界かい無む 仏法ぶっぽう功く徳どく宝ほう 我が願がん皆かい往おう生じょう 示じ仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへるがゆゑなり。

四ニ者彼 レ於テ↧十方一切世界ノ†无キ↢三宝↡処ニ↥、住↢持シ荘↣厳シテ仏法僧宝ノ功徳ノ大海ヲ↡、遍ク示シテ令ム↠解サトラ↢如実ノ修行ヲ↡。偈ニ言ヘルガ↢「何等世界无、仏法功徳宝、我願皆往生、示仏法如仏ト」↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅳ][ⅱ]註釈

 ^◆上かみの三さん句くは遍へん至しといふといへども、 みなこれ有う仏ぶつの国こく土どなり。 もしこの句くなくは、 すなはちこれ法身ほっしん、 法ほうならざるところあらん。 上じょう善ぜん、 善ぜんならざるところあらん。 ^*観かん行ぎょうの体相たいそう竟おわりぬ。

上ノ三句ハ雖モ↠言フト↢遍至ト↡、皆是有仏ノ国土ナリ。若シ无クハ↢此ノ句↡、便チ是法身、有ラム↠†所↠不ル↠法ナラ。上善有ラム↠†所↠不ル↠善ナラ。観行ノ体相竟リヌ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ【浄入願心章】
          (一)起下

【97】^◆以下いげはこれ解義げぎのなかの第だい四し重じゅうを名なづけて↑浄入じょうにゅう願心がんしんとなす。

已下ハ是解義ノ中ノ第四重ヲ名ケテ為ス↢浄入願心ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)標章

^▼浄入じょうにゅう願心がんしんと0139は、

浄入願心トイフ者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)正釈
            (Ⅰ)願心荘厳を釈す
              (ⅰ)論文

^▲また向さきに荘しょう厳ごん仏ぶつ土ど功く徳どく成じょう就じゅと荘しょう厳ごん仏ぶつ功く徳どく成じょう就じゅと荘しょう厳ごん菩ぼ薩さつ功く徳どく成じょう就じゅとを観察かんざつすることを説とけり。 この三さん種しゅの成じょう就じゅは、 願心がんしんをもつて荘しょう厳ごんせり、 ↓知しるべし。

又向サキニ†説ケリ↣観↢察スルコトヲ荘厳仏土功徳成就ト荘厳仏功徳成就ト荘厳菩薩功徳成就トヲ↡。此ノ三種ノ成就ハ願心ヲモテヲシテ荘厳セリト、応シト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅰ)(ⅱ)註釈

 ^◆「↑知しるべし」 とは、 この三さん種しゅの荘しょう厳ごん成じょう就じゅは、 本もと四し十じゅう八はち願がん等とうの清浄しょうじょう願心がんしんの荘しょう厳ごんしたまへるところなるによりて、 ▼*因いん浄じょうなるがゆゑに果か浄じょうなり。 ▼*無む因いんと他た因いんの有うにはあらざるを知しるべしとなり。

「応シト↠知トイフル」者ハ、応シト↠知ル↧此ノ三種ノ荘厳成就ハ、由リテ↣本モト四十八願等ノ清浄願心之ノ所ナルニ↢荘厳シタマヘルシタマフ ↡、因浄ナルガ故ニ果浄ナリ、†非ザルヲ↦无因ト他因ノ有ニハ↥也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)広略相入を釈す
              (ⅰ)略門を明す
                (a)総じて一句を標す
                  (イ)論文

【98】 ^▲略りゃくして↓一法いっぽっ句くに入いることを説とくがゆゑなり。

†略シテ説クガ↠入ルコトヲ↢一法句ニ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)註釈
                    [一]総標

 ^◆上かみの国こく土どの荘しょう厳ごん十じゅう七しち句くと、 如来にょらいの荘しょう厳ごん八はっ句くと、 菩ぼ薩さつの荘しょう厳ごん四句しくとを広こうとなす。 一法いっぽっ句くに入いるを略りゃくとなす。

上0516ノ国0412土ノ荘厳十七句ト、如来ノ荘厳八句ト、菩薩ノ荘厳四句トヲ為ス↠広ト。†入ルヲ↢一法句ニ↡為スルナリ↠略ト。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]別釈

^▼なんがゆゑぞ*広こう略りゃく相そう入にゅうを示じ現げんするとなれば、 ▼諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつに二に種しゅの法身ほっしんまします。 一いちには*法ほっ性しょう法身ほっしん、 二にには*方便ほうべん法身ほっしんなり。 法ほっ性しょう法身ほっしんによりて方便ほうべん法身ほっしんを生しょうず。 方便ほうべん法身ほっしんによりて法ほっ性しょう法身ほっしんを出いだす。 この二にの法身ほっしんは異いにして分わかつべからず。 一いちにして同どうずべからず。 このゆゑに広こう略りゃく相そう入にゅうして、 統すぶるに法ほうの名なをもつてす。

何ガノ故ゾニカ示↢現スルトナレバシタマフトナレバ広略相入ヲ↡、諸仏菩薩ニ有マシマス↢二種ノ法身↡。一ニ者法性法身、二ニ者方便法身ナリ。由リテ↢法性法身ニ↡生ズ↢方便法身ヲ↡。由リテ↢方便法身ニ↡出ス↢法性法身ヲ↡。此ノ二ノ法身ハ異ニシテ而不ズ↠可カラ↠分ツ。一ニシテ而不ズ↠可カラ↠同ズ。是ノ故ニ広略相入シテ、†統ブルニ以テス↢法ノ名ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[三]結示

^▼菩ぼ薩さつもし広こう略りゃく相そう入にゅうを知しらざれば、 すなはち自利じり利他りたすることあたはざればなり。

菩薩若シ不レバハ ↠知ラ↢広略相入ヲ↡、則チ不ジレバナリ↠能ハ↢自利利他スルコトニ   ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)転釈して体を顕す
                  (イ)論文

【014099】 ^▲↑一法いっぽっ句くといふはいはく、 ↓清浄しょうじょう句くなり。 清浄しょうじょう句くといふはいはく、 ↓真実しんじつ智慧ちえ↓無為むい法身ほっしんなるがゆゑなり。

一法句トイフ者ハ、謂ク清浄句ナリ。清浄句トイフ者ハ、謂ク真実ノ智*恵无為法身ナルガ故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)註釈
                    [一]三句の相入を略示す

 ^◆↓この*三さん句くは*展転てんでんして相そう入にゅうす。 なんの義ぎによりてか、 これを名なづけて法ほうとなす。 清浄しょうじょうをもつてのゆゑなり。 なんの義ぎによりてか、 名なづけて清浄しょうじょうとなす。 真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんなるをもつてのゆゑなり。

此ノ三句ハ展転シテ相入ス。依リテカ↢何ノナル義ニ↡、名ケテ↠之ヲ為スル↠法ト。以テノ↢清浄ヲ↡故ナリニ 。依リテカ↢何ノナル義ニ↡、*名ケテ為スル↢清浄ト↡。以テノ↢真実ノ智*恵无為法身ナルヲ↡故ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]第三の一句を広釈す
                      [Ⅰ]即空に約す
                        [ⅰ]真実智慧を釈す

^▼「↑真実しんじつ智慧ちえ」 とは、 実相じっそうの智慧ちえなり。 実相じっそうは無む相そうなるがゆゑに、 *真しん智ちは↓無知むちなり。

「真実智*恵トイフ」者ハ、実相ノ智*恵也。実相ハ无相ナルガノ  故ニ、真智ハ无知也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]無為法身を釈す

^▼「↑無為むい法身ほっしん」 とは法ほっ性しょう身しんなり。 ▼法ほっ性しょうは寂じゃく滅めつなるがゆゑに、 法身ほっしんは↓無む相そうなり。

「无為法身トイフ」者ハ、法性身也。法性ハ寂滅ナルガ故ニ、法身ハ无相也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]不空に約す
                        [ⅰ]法身

^◆↑無む相そうのゆゑによく相そうならざるはなし。 このゆゑに相好そうごう荘しょう厳ごんはすなはち法身ほっしんなり。

无相ノ故ニ能ク无シ↠不ザルコト↠相ナラ。是ノ故ニ相好荘厳ハ即チ法身也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]真智

^◆↑無知むちのゆゑによく知しらざるはなし。 このゆゑに一切いっさい種しゅ智ちはすなはち真実しんじつの智慧ちえなり。

无知ノ故ニ能ク无シ↠不ルコト↠知ラ。是ノ故ニ一切種*智ハ即チ真実ノ智*恵也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]中道に約す
                        [ⅰ]二辺を離るを明す
                          [a]真智

^◆真実しんじつをもつて智慧ちえに目なづくることは、 智慧ちえは作さにあらず、 非作ひさにあらざることを明あかすなり。

以テ↢真実ヲ↡而*目ナヅクルコトハ↢智*恵ニ↡、明ス↣智*恵ハ非ズ↠作ニ非ザルコトヲ↢非作ニ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅰ][b]法身

^◆無為むいをもつて法身ほっしんを標あらわすことは、 法身ほっしんは色しきにあらず、 非ひ色しきにあらざることを明あかすなり。

以テ↢无為ヲ↡而標アラハスコトハ↢法身ヲ↡、明ス↣法身ハ非ズ↠色ニ非ザルコトヲ↢非色ニ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]中に着せざるを明す

^◆非ひを非ひするは、 あに非ひを非ひするのよく是ぜならんや。 けだし非ひを無なみする、 これを是ぜといふ。 みづから是ぜにして待たいすることなきも、 また是ぜにあらず。 是ぜにあらず、 非ひにあらず、 *百ひゃっ非ぴの喩たとへざるところなり。

†非スル↢于非ヲ↡者ハ、豈ニ†非スル↠非ヲ之ノ能ク是ナラム乎ヤ。蓋シ†无ナミスル↠非ヲ之ヲ曰フ↠是ト也。自ミ ラ是ニシテ†无キモ↠待スルコト復非ザル↠是ニ也。非ズ↠是ニ、非ズ↠非ニ、百非之所ナリ↠不ル↠*喩ヘ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]二三の相入を結示す

^◆このゆゑに清浄しょうじょう句くといふ。 「↑清浄しょうじょう句く」 とは、 真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんをいふなり。

是ノ故ニ言イフ↢「清浄句ト」↡。*清浄句ト者ハ、†謂フ↢真実智*恵无為法身ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)広門を明す
                (a)標数
                  (イ)論文〔二種清浄〕

【0141100】 ^▲この清浄しょうじょうに二に種しゅあり、 ↓知しるべし。

0517此ノ0413清浄ニ有リト↢二種↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)註釈

 ^◆↑上かみの転てん入にゅう句くのなか、 一法いっぽうに通つうじて清浄しょうじょうに入いり、 清浄しょうじょうに通つうじて法身ほっしんに入いる。 いままさに清浄しょうじょうを別わかちて二に種しゅを出いださんとするがゆゑに、 ことさらに、 「↑知しるべし」 といふ。

上ノ転入句ノ中ニ、通ジテ↢一法ニ↡入リル↢清浄ニ↡、通ジテ↢清浄ニ↡入ル↢法身ニ↡。今将ス ニルガ↧別ワカチテ↢清浄ヲ↡出デムトダサムト↦二種ヲ↥故ニ、*故ラニ†言フ↠「応シト↠知ル」。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)列釈
                  (イ)論文
                    [一]標列

【101】 ^▲なんらか二に種しゅ。 一いちには↓器き世せ間けん清浄しょうじょう、 二にには↓衆しゅ生じょう世せ間けん清浄しょうじょうなり。

何等ラカ二種。一ニ者器世間清浄、二ニ者衆生世間清浄ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]器世間清浄

^▲↑器き世せ間けん清浄しょうじょうとは、 向さきに説とくがごとき十じゅう七しち種しゅの荘しょう厳ごん仏ぶつ土ど功く徳どく成じょう就じゅなり。 これを器き世せ間けん清浄しょうじょうと名なづく。

器世間清浄ト者ハ、*如キ↢向サキニ†説クガ↡十七種ノ荘厳仏土功徳成就ナリ。是ヲ名ク↢器世間清浄ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]衆生世間清浄

^▲↑衆しゅ生じょう世せ間けん清浄しょうじょうとは、 向さきに説とくがごとき八はっ種しゅの荘しょう厳ごん仏ぶつ功く徳どく成じょう就じゅと四し種しゅの荘しょう厳ごん菩ぼ薩さつ功く徳どく成じょう就じゅとなり。 これを衆しゅ生じょう世せ間けん清浄しょうじょうと名なづく。

*衆生世間清浄ト者ハ、如キ↢向サキニ説クガ↡八種ノ荘厳仏功徳成就ト四種ノ荘厳菩薩功徳成就トナリ。是ヲ名ク↢衆生世間清浄ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[四]摂二種

^▲かくのごとく一法いっぽっ句くに二に種しゅの↓清浄しょうじょうを摂せっす、 ↓知しるべし。

如ク↠是クノ一法*句ニ摂スト↢二種ノ清*浄ヲ↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)註釈
                    [一]直釈
                      [Ⅰ]依止の一異を弁ず

 ^◆それ衆しゅ生じょうを*別報べっぽうの体たいとなし、 国こく土どを*共報ぐうほうの用ゆうとなす。 体たい・用ゆう一いちにあらず。 ゆゑに 「↑知しるべし」 といふ。 しかるに諸法しょほうは心しんをもつて成じょうず。 余よの境きょう界がいなし。 衆しゅ生じょうおよび器き、 また異いなることを得えず、 一いちなることを得えず。 一いちならざればすなはち義ぎをもつて分わかつ。 異いならざれば同おなじく 「↑清浄しょうじょう」 なり。

夫 レ衆生ヲハ為シス↢別報之体ト↡、国土ヲハ為ス↢共*報之用ト↡。体*用†不ズ↠一ニ。所以ニ「応シトイフ↠知ル」。然ルニ諸法ハ心ヲモテヲシテ†成ズ。无シ↢余ノ境界↡。衆生及ビ器、復不ズ↠得↠異ナルコトヲ、不↠*得↠一ナルコトヲ。不レバルハ↠一ナラ則チ義ヲモテヲシテ分ツ。不レバルハ↠異ナラ同ジク清浄ナレバナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]二浄の相成を明す

^◆「器き」 とは用ゆうなり。 いはく、 かの浄じょう土どは、 これかの清浄しょうじょうの衆しゅ生じょうの受用じゅゆうするところなるがゆゑに名なづけ0142て器きとなす。 浄じょう食じきに不ふ浄じょうの器きを用もちゐれば、 器き不ふ浄じょうなるをもつてのゆゑに食じきまた不ふ浄じょうなり。 不ふ浄じょうの食じきに浄じょう器きを用もちゐれば、 食じき不ふ浄じょうなるがゆゑに器きまた不ふ浄じょうなるがごとし。 かならず二にともに潔きよくしてすなはち浄じょうと称しょうすることを得う。 ここをもつて一いちの清浄しょうじょうの名なにかならず二に種しゅを摂せっするなり。

「器ト」者ハ用也。謂ク彼ノ浄土ハ、是彼ノ清浄ノ衆生之所ナルガ↢受用スル↡故ニ名ケテ為ス↠器ト。如シ↧浄食ニ用ヰレバ↢不浄ノ器ヲ↡、以テノ↢器不浄ナルヲ↡故ニ食亦不浄ナリ、不浄ノ食ニ用ヰレバ↢浄器ヲ↡、食不浄ナルガ故ニ器亦不浄ナルガ↥。要ズ二ツ倶ニ潔クシテ乃チ得ウ↠称スルコトヲ↠浄ト。是ヲ以テ一ノツ清浄ノ名ニ必ズ摂スルナリスト  ↢二種ヲ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]問答
                      [Ⅰ]問

 ^◆問とひていはく、 衆しゅ生じょう清浄しょうじょうといふは、 すなはちこれ仏ぶつ (阿弥陀仏) と ˆ浄じょう土どのˇ 菩ぼ薩さつとなり。 かのもろもろの人天にんでんも、 この清浄しょうじょうの数かずに入いることを得うやいなや。

問ヒテ曰ク、言イフハ↢衆生清浄ト↡、則チ是仏ト与トナリ↢菩薩↡。彼ノ諸ノ人天モ、得ウルヤ↠入ルコトヲ↢此ノ清浄ノ数ニ↡不ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]答

^◆答こたへていはく、 清浄しょうじょうと名なづくることを得うれども、 実じつの清浄しょうじょうにあらず。

答ヘテ曰ク、得レドモルハ ↠名クルコトヲ↢清浄ト↡、非ズ↢実ノ清浄ニ↡。

^◆たとへば出しゅっ家けの聖しょう人にんは、 煩悩ぼんのうの賊ぞくを殺ころすをもつてのゆゑに名なづけて比丘びくとなし、 凡ぼん夫ぶの出しゅっ家けのものの、 持じ戒かい・破は戒かいもみな比丘びくと名なづくるがごとし。

譬ヘバ如シ↧出家ノ聖人ハ以テノ↠殺スヲ↢煩悩ノ賊ヲ↡故ニ名ケテ為シス↢比丘ト↡、凡0518夫ノ0414出家ノ者ノ、*持戒・破戒モ皆名クルガ↦比丘ト↥。

^◆また*潅かん頂じょう王おう子じの初しょ生しょうの時ときに、 三さん十じゅう二に相そうを具ぐしてすなはち*七宝しっぽうの属ぞくするところとなる。 いまだ転輪てんりん王のうの事じをなすことあたはずといへども、 また転輪てんりん王のうと名なづくるがごとし。 それかならず転輪てんりん王のうとなるべきをもつてのゆゑなり。

又如シ↧潅頂王子ノ初生之時ニ、具シテ↢三十二相ヲ↡即チ†為ル↢七宝ノ所ト↟属スル、雖モ↠未ズ ダト↠能ハ↠為スコト↢転輪王ノ事ヲ↡、亦名クルガ↦転輪王ト↥。以テノ↣其 レ必ズ為ルベキヲ↢転輪王ト↡故ナリ。

^◆かのもろもろの人天にんでんも、 またかくのごとし。 みな大だい乗じょう*正定しょうじょうの聚じゅに入いりて、 畢ひっ竟きょうじてまさに清浄しょうじょう法身ほっしんを得うべし。 まさに得うべきをもつてのゆゑに清浄しょうじょうと名なづくることを得うるなり。

彼ノ諸ノ人天モ、亦復如シ↠是クノ。皆入リテ↢大乗正定之聚ニ↡、畢竟ジテ当ニシ↠得ウ↢清浄法身ヲ↡。以テノ↠当ベ ニキヲ↠得ウ故ニ得ルナリト↠名クルコトヲ↢清浄ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ【善巧摂化章】
          (一)標章

【102】^◆↑善ぜん巧ぎょう摂せっ化けとは、

善巧摂化ト者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)釈文
            (Ⅰ)自利の成就を明す
              (ⅰ)柔軟心を釈す
                (a)論文

^0143▲かくのごとく菩ぼ薩さつは、 奢しゃ摩他またと毘婆びば舎しゃ那なを広こう略りゃくに修しゅ行ぎょうして↓柔にゅう軟なん心しんを成じょう就じゅす。

如ク↠是クノ菩薩ハ、奢摩他ト毘婆舎那ヲ広略ニ修行シテ成↢就スト柔軟心ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)註釈

 ^◆「↑柔にゅう軟なん心しん」 とは、 いはく、 広こう略りゃくの止し観かん、 あひ順じゅんじ修しゅ行ぎょうして*不二ふにの心しんを成じょうずるなり。 たとへば水みずをもつて影かげを取とるに、 清しょうと静じょうとあひ資たすけて成じょう就じゅするがごとし。

「柔軟心ト」者ハ、謂ク広略ノ止観、相順ジシ修行シテ成ズルゼル↢不二ノ心ヲ↡也。譬ヘバ*如シ↢水ヲモテ取ルニ↠影ヲ清ト静ト相 ヒ資タスケテ而成就スルガ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅰ)(ⅱ)如実知を釈す
                (a)論文

【103】 ^▲↓如実にょじつに広こう略りゃくの諸法しょほうを知しる。

†如実ニ知ルト↢広略ノ諸法ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)註釈

 ^◆「↑如実にょじつに知しる」 とは、 実相じっそうのごとくに知しるなり。 広こうのなかの二に十じゅう九く句く、 略りゃくのなかの一いっ句く、 ▼実相じっそうにあらざるはなし。

「†如実ニ知ルト」者ハ、如クニ↢実相ノ↡而知ル也。広ノ中ノ廿九句、略ノ中ノ一句、莫シキ↠非ザルコト↢実相ニ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)利他の行相を顕す〔巧方便回向〕
              (ⅰ)標
                (a)論文

【104】 ^▲↓かくのごとくして↓巧ぎょう方便ほうべん回え向こうを成じょう就じゅす。

如クシテ↠是クノ成↢就ス巧方便廻向ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)註釈

 ^◆「↑かくのごとく」 とは、 前ぜん後ごの広こう略りゃくみな実相じっそうなるがごとくとなり。 ▼実相じっそうを知しるをもつてのゆゑに、 すなはち三界さんがいの衆しゅ生じょうの虚こ妄もうの相そうを知しるなり。 衆しゅ生じょうの虚こ妄もうなるを知しれば、 すなはち真実しんじつの慈悲じひを生しょうずるなり。 真実しんじつの法身ほっしんを知しれば、 すなはち真実しんじつの帰依きえを起おこすなり。 ▽慈悲じひと▽帰依きえと、 ▽巧ぎょう方便ほうべんとは下しもにあり。

「如クトイフ↠是クノ」者ハ、如クト↢前後ノ広略皆実相ナルガ↡也。以テノ↠*知ルヲ↢実相ヲ↡故ニ、則チ知ル↢三界ノ衆生ノ虚妄ノ相ヲ↡也。知レバル ↢衆生ノ虚妄ナルヲ↡、則チ生ズル↢真実ノ慈悲ヲ↡也。知レバリヌレバ↢真実ノ法身ヲ↡、則チ起ス↢真実ノ帰依ヲ↡也。慈悲ト之与トノ↢帰依↡、巧*方便トハ在リ↠下ニ。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)釈
                (a)論文

【105】 ^▲何者なにものか菩ぼ薩さつの↑巧ぎょう方便ほうべん回え向こう。 菩ぼ薩さつの↓巧ぎょう方便ほうべん↓回え向こうとは、 いはく、 説とける礼拝らいはい等とうの五ご種しゅの修しゅ行ぎょうをもつて、 集あつむるところの一切いっさいの功く徳どく善根ぜんごんは、 ↓自じ身しん住じゅう持じの楽らくを求もとめず、 一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬかんと欲ほっするがゆゑに、 一切いっさい衆しゅ生じょう0144を摂取せっしゅして、 ともに同おなじくかの安楽あんらく仏国ぶつこくに生しょうぜんと作さ願がんするなり。 これを菩ぼ薩さつの巧ぎょう方便ほうべん回え向こう成じょう就じゅと名なづく。

0519何 ニ者0415カ菩薩ノ巧方便廻向ト。菩薩ノ巧方便廻向トイフ者、謂ク説ケル礼拝等ノ五種ノ修行ヲモテヲシテ、所ノ↠集アツムル一切ノ功徳善根ハヲシテ、不ズ↠求メ↢自身ノ住持之ノ楽ヲ↡、欲スルガフガ ↠抜カムト↢一切衆生ノ苦ヲ↡故ニ、作↧願スルナリセリ  摂↢取シテ一切衆生ヲ↡共ニ同ジク生ゼムト↦彼ノ安楽仏国ニ↥。是ヲ名クト↢菩薩ノ巧方便廻向成就ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)註釈
                  (イ)菩提心を明す【菩提心釈】
                    [一]経を引きて正明す

 ^▼王舎おうしゃ城じょう所説しょせつの ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (下) を案あんずるに、 三輩さんぱい生しょうのなかに、 行ぎょうに優う劣れつありといへども、 みな*無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこさざるはなし。 ▼この無む上じょう菩ぼ提心だいしんとは、 すなはちこれ△願がん作さ仏心ぶつしんなり。 ▼願がん作さ仏心ぶつしんとは、 すなはちこれ△度ど衆しゅ生じょう心しんなり。 ▼度ど衆しゅ生じょう心しんとは、 すなはち△衆しゅ生じょうを摂取せっしゅして有う仏ぶつの国こく土どに生しょうぜしむる心しんなり。 このゆゑに▼かの安楽あんらく浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずるものは、 かならず無む上じょう菩ぼ提心だいしんを発おこすなり。

案ズルニ↢王舎城所説ノ¬无量寿経ヲ¼↡、▼三輩生ノ中ニ、雖モ↣行ニ有リト↢優劣↡、莫シ↠不ルハ↣皆発サセ↢无上菩提之心ヲ↡。此ノ无上菩提心トハトイフハ、即チ是願作仏心ナリ。*願作仏心トハ即チ是 レ度衆生心ナリ。度衆生心トハ、即チ*摂↢取シテ衆生ヲ↡生ゼシムル↢有仏ノ国土ニ↡心ナリ。是ノ故ニ願ズル↠生ゼムト↢彼ノ安楽浄土ニ↡†者ハ、要ズ発スル↢无上菩提心ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]論を挙げて貼合す

^◆もし人ひと、 無む上じょう菩ぼ提心だいしんを発おこさずして、 ただかの国こく土どの楽らくを受うくること間ひまなきを聞ききて、 楽らくのためのゆゑに生しょうずることを願がんずるは、 またまさに往おう生じょうを得えざるべし。 このゆゑに、 「↑自じ身しん↓住じゅう持じの楽らくを求もとめず、 一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬかんと欲ほっするがゆゑに」 といへり。

若シ人不ズシテ↠発サ↢无上菩提心ヲ↡、但聞キテ↢彼ノ国土ノ受クルコト↠楽ヲ无キヲ↟間ヒマ、為ノ↠楽ノ故ニ願ズルハ↠生ズルコトヲ、亦当ニシキ↠不ル↠得↢往生ヲ↡也。是ノ故ニ†言ヘリ↧「不ズ↠求メ↢自身住持之楽ヲ↡、欲スルガ↠抜カムト↢一切衆生ノ苦ヲ↡故ニト」↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)本論の文を釈す
                    [一]住持楽を釈す

^◆「↑住じゅう持じの楽らく」 とは、 いはく、 かの安楽あんらく浄じょう土どは阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん力りきのために住じゅう持じせられて、 楽らくを受うくること間ひまなし。

「住持ノ楽トイフ」者ハ、謂ク彼ノ安楽浄土ハ為ニ↢阿弥陀如来ノ本願力ノ↡之所レテ↢住持セ↡、受クルコト↠楽ヲ无シキ↠間ヒマ也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]回向義を釈す

^◆おほよそ 「↑回え向こう」 の名みょう義ぎを釈しゃくせば、 いはく、 おのが集あつむるところの一切いっさいの功く徳どくをもつて一切いっさい衆しゅ生じょうに*施与せよして、 ともに仏道ぶつどうに向むかふなり。

*凡ソ釈セバ↢廻向ノ名義ヲ↡、謂ク以テ↢己 レガ†所ノ↠集ムル一切ノ功徳ヲ↡施↢与シテ一切衆生ニ↡、共ニ向フナリ↢仏道ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]巧方便を釈す
                      [Ⅰ]通途に約す

^◆「↑巧ぎょう↓方便ほうべん」 とは、 いはく、 菩ぼ薩さつ願がんずらく、 おのが智慧ちえの火ひをもつて一切いっさい衆しゅ生じょうの煩悩ぼんのうの草木そうもくを焼やかんに、 もし一いち衆しゅ生じょうとして成じょう仏ぶつせざる0145ことあらば、 われ作さ仏ぶつせじと。 しかるに、 かの衆しゅ生じょういまだことごとく成じょう仏ぶつせざるに、 菩ぼ薩さつすでにみづから成じょう仏ぶつす。

「巧*方便ト」者ハ、謂ク菩薩願ズラク、以テ↢己 レガ智*恵ノ火ヲ↡焼ヤカムニ↢一切衆生ノ煩悩ノ草木ヲ↡、若シ†有ラバ↣一衆生トシテ不ルコト↢成仏セ↡、我†不ト↢作仏セ↡。而ルニ*彼ノ衆生†未ダルニ↢尽ク成仏セ↡、菩薩已ニ自ミヅカララモ成仏スセムト。

^◆たとへば*火かてんをして一切いっさいの草木そうもくを摘つみて焼やきて尽つくさしめんと欲ほっするに、 草木そうもくいまだ尽つきざるに、 火かてんすでに尽つくるがごとし。 その身みを後あとにして、 しかも身み先さきだつをもつてのゆゑに巧ぎょう方便ほうべんと名なづく。

譬ヘバ如シ↩火クワ*テムヲシテ 聴念ノ反 欲スルニフ  ↧摘ツミテ↢ 聴*歴ノ反 一切ノ草木ヲ↡焼キテ令0520↦シ使メムト0416尽ツクサ↥、草木未ダルニ↠尽ツキ、火*テム已ニ尽ツクルガキムガ↨。▼以テノ↧†後ニシテ↢其ノ身ヲ↡而モ身ヲ先サキダツヲトスルヲ↥故ニ名ク↢*巧方便ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]別途に約す

^▼このなかに 「↑方便ほうべん」 といふは、 いはく、 一切いっさい衆しゅ生じょうを摂取せっしゅして、 ともに同おなじくかの安楽あんらく仏国ぶつこくに生しょうぜんと作さ願がんす。 かの仏国ぶっこくはすなはちこれ畢ひっ竟きょう成じょう仏ぶつの道どう路ろ、 無む上じょうの方便ほうべんなり。

◆此ノ中ニ言フ↢方便ト↡者ハ、謂ク作↧願ス摂↢取シテ一切衆生ヲ↡、共ニ同ジク生ゼムト↦彼ノ安楽仏国ニ↥。彼ノ仏国ハ即チ是畢竟成仏ノ道路、无上ノ方便也。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ【離菩提障章】
          (一)標章

【106】^▼↑*障しょう菩ぼ提だい門もんとは、

障菩提門トイフ者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)釈文
            (Ⅰ)総標

^▲菩ぼ薩さつかくのごとくよく回え向こうを知しりて成じょう就じゅすれば、 三種さんしゅの菩ぼ提だい門もん相そう違いの法ほうを遠おん離りす。 なんらか三種さんしゅ。

菩薩如ク↠是クノ善ク†知リテ↢廻向ヲ↡成*就スレバ、遠↢離スベシ三種ノ菩提門相違ノ法ヲ↡。何等ラカ三種。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)智慧門
                (a)論文

^▲一いちには▽↓智ち↓慧え門もんによりて自じ楽らくを求もとめず。 ▽我が心しんの自じ身しんに貪とん着じゃくすることを遠おん離りするがゆゑなり。

一ニ者依リテ↢智*恵門ニ↡不ズ↠求メ↢自楽ヲ↡。遠↣離スルガ†我心ヲモテ貪↢着スルコトヲ自身ニ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)註釈

 ^◆*進すすむを知しりて退しりぞくを守まもるを 「↑智ち」 といふ。 空くう・無我むがを知しるを 「↑慧え」 といふ。 智ちによるがゆゑに自じ楽らくを求もとめず。 慧えによるがゆゑに、 我が心しんの自じ身しんに貪とん着じゃくすることを遠おん離りす。

知リテ↠進ムヲ守ルヲ↠退クヲ曰イフ↠「智ト」。知ルヲ↢空・无我ヲ↡曰イフ↠「*恵ト」。依ルガ↠智ニ故ニ不ズ↠求メ↢自楽ヲ↡。依ルガ↠*恵ニ故ニ遠↣離ス†我心ヲモテ貪↢着スルコトヲ自身ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅱ)慈悲門
                (a)論文

【107】 ^▲二にには▽↓慈じ↓悲ひ門もんによりて一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬく。 ▽衆しゅ生じょうを安やすんずることなき心しん0146を遠おん離りするがゆゑなり。

二ニ者依リテ↢慈悲門ニ↡抜ク↢一切衆生ノ苦ヲ↡。遠↧離スルガ†无キ↠安ズルコト↢衆生ヲ↡心ヲ↥故ナリニ 。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)註釈

 ^◆苦くを抜ぬくを 「↑慈じ」 といふ。 楽らくを与あたふるを 「↑悲ひ」 といふ。 慈じによるがゆゑに一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬく。 悲ひによるがゆゑに衆しゅ生じょうを安やすんずることなき心しんを遠おん離りす。

抜クヲ↠苦ヲ曰イフ↠「慈ト」。与フルヲ↠楽ヲ曰フ↠「悲ト」。依ルガ↠慈ニ故ニ抜ク↢一切衆生ノ苦ヲ↡。依ルガ↠悲ニ故ニ遠↧離ス†无キ↠安ズルコト↢衆生ヲ↡心ヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅲ)方便門
                (a)論文

【108】 ^▲三さんには▽↓方ほう↓便べん門もんによりて一切いっさい衆しゅ生じょうを憐愍れんみんする心しんなり。 ▽自じ身しんを供く養ようし恭く敬ぎょうする心しんを遠おん離りするがゆゑなり。

三ニ者依リテ↢方便門ニ↡†憐↢愍スル一切衆生ヲ↡心ナリ。遠↧離スルガセルガ供↢養シ恭↣敬スル自身ヲ↡心ヲ↥故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)註釈

 ^◆*正しょう直じきを 「↑方ほう」 といふ。 *外己げこを 「↑便べん」 といふ。 正しょう直じきによるがゆゑに一切いっさい衆しゅ生じょうを憐愍れんみんする心しんを生しょうず。 外己げこによるがゆゑに自じ身しんを供く養ようし恭く敬ぎょうする心しんを遠おん離りす。

正直ヲ曰イフ↠「方ト」。*外己コヲ曰イフ↠「便ト」。依ルガ↢正直ニ↡故ニ生ズ↧憐↢愍スル一切衆生ヲ↡心ヲ↥。依ルガ↢外己コニ↡故ニ遠↧離ス供↢養シ恭↣敬スル自身ヲ↡心ヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅲ)結示

^▲これを三さん種しゅの菩ぼ提だい門もん相そう違いの法ほうを遠おん離りすと名なづく。

0521是ヲ0417名ク↣遠↢離スト三種ノ菩提門相違ノ法ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト【順菩提門章】
          (一)標章

【109】^▼↑順じゅん菩ぼ提だい門もんとは、

順菩提門トイフ者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)釈文
            (Ⅰ)総標

^▲菩ぼ薩さつはかくのごとき三さん種しゅの菩ぼ提だい門もん相そう違いの法ほうを遠おん離りして、 三さん種しゅの菩ぼ提だい門もんに随ずい順じゅんする法ほうの満足まんぞくを得うるがゆゑなり。 なんらか三さん種しゅ。

菩薩ハ遠↢離シテ如キ↠是クノ三種ノ菩提門相違ノ法ヲ↡、得ルガ↧三種ノ†随↢順スル菩提門ニ↡法ノ満足スルコトヲ↥故ナリニ 。何等カ三種。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)無染清浄心
                (a)論文

^▲一いちには▽↓無む染ぜん清浄しょうじょう心しんなり。 自じ身しんのために諸楽しょらくを求もとめざるをもつてのゆゑなり。

一ニ者无染清浄心ナリ。以テノ↠不ルヲ↧為ニ↢自身ノ↡求メ↦諸楽ヲ↥故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)註釈

 ^◆菩ぼ提だいはこれ無む染ぜん清浄しょうじょうの処ところなり。 もし身みのために楽らくを求もとむれば、 すなはち菩ぼ提だいに違いせり。 このゆゑに 「↑無む染ぜん清浄しょうじょう心しん」 は、 これ菩ぼ提だい門もんに順じゅんずるなり。

菩提ハ是无染清浄ノ処ナリ。若シ為ニ↠身ノ求ムレバ↠楽ヲ、即チ違セリス ↢菩提ニ↡。是ノ故ニ「无染清浄心ハ」是†順ズルナリ↢菩提門ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)安清浄心
                (a)論文

【110】 ^▲二にには▽安あん清浄しょうじょう心しんなり。 ↓一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬくをもつてのゆゑなり。

二ニ者安清浄心ナリ。以テノ↠抜クヲ↢一切衆生ノ苦ヲ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)註釈

 ^0147◆菩ぼ提だいはこれ一切いっさい衆しゅ生じょうを安穏あんのんにする清浄しょうじょう処しょなり。 もし心しんをなして、 一切いっさい衆しゅ生じょうを抜ぬきて生しょう死じの苦くを離はなれしめざれば、 すなはち菩ぼ提だいに違いせり。 このゆゑに 「↑一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬく」 は、 これ菩ぼ提だい門もんに順じゅんずるなり。

菩提ハ是安↢穏ニスル一切衆生ヲ↡清浄処ナリ。若シ不レバハ ↧作シテ↠心ヲ抜キテ↢一切衆生ヲ↡離レシメ↦生死ノ苦ヲ↥、即便チ違セリス ↢菩提ニ↡。是ノ故ニ「抜クハ↢一切衆生ノ苦ヲ↡」是†順ズルナリ↢菩提門ニ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)楽清浄心
                (a)論文

【111】 ^▲三さんには▽楽らく清浄しょうじょう心しんなり。 一切いっさい衆しゅ生じょうをして大だい菩ぼ提だいを得えしむるをもつてのゆゑなり。 ↓衆しゅ生じょうを摂取せっしゅしてかの国こく土どに生しょうぜしむるをもつてのゆゑなり。

三ニ者楽清浄心ナリ。以テノ↠令ムルヲ↣一切衆生ヲシテ得エ↢大菩提ヲ↡故ナリニ 。以テノ↧摂↢取シテ衆生ヲ↡生ゼシムルヲ↦彼ノ国土ニ↥故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)註釈

 ^◆菩ぼ提だいはこれ*畢ひっ竟きょう常じょう楽らくの処ところなり。 もし一切いっさい衆しゅ生じょうをして畢ひっ竟きょう常じょう楽らくを得えしめざれば、 すなはち菩ぼ提だいに違いせり。 この畢ひっ竟きょう常じょう楽らくはなにによりてか得うる。 大だい乗じょう門もんによる。 大だい乗じょう門もんといふは、 いはく、 かの安楽あんらく仏ぶつ国こく土どこれなり。 このゆゑにまた 「↑衆しゅ生じょうを摂取せっしゅしてかの国こく土どに生しょうぜしむるをもつてのゆゑなり」 といへり。

菩提ハ是畢竟常楽ノ処ナリ。若シ不レバハ ↠令メ↣一切衆生ヲシテ得エ↢畢竟常楽ヲ↡、則チ違セリス ↢菩提ニ↡。此ノ畢竟常楽ハ依リテカ↠何ニ而得ル。依ル↢大乗門ニ↡。大乗門トイフ者ハ、謂ク彼ノ安楽仏*国土是也。是ノ故ニ又†言ヘリ↩「以テノ↧摂↢取シテ衆生ヲ↡生ゼシムルヲ↦彼ノ国土ニ↥故ナリト」↨。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)結示

^▲これを三さん種しゅの菩ぼ提だい門もんに随ずい順じゅんする法ほうの満足まんぞくと名なづく、 知しるべし。

0522是ヲ名0418クト↧三種ノ†随↢順スル菩提門ニ↡法ノ満足スト↥、応シト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b チ【名義摂対章】
          (一)標章

【112】^◆↑名みょう義ぎ摂対せったいとは、

名義摂対トイフ者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)釈文
            (Ⅰ)権実相摂を明す
              (ⅰ)論文

^▲向さきに説とく△智慧ちえと△慈悲じひと△方便ほうべんとの三さん種しゅの門もんは、 ↓般若はんにゃを摂取せっしゅし、 般若はんにゃは↓方便ほうべんを摂取せっしゅす、 ↓知しるべし。

向サキニ説ク智*恵ト慈悲ト方便トノ三種ノ門ハヲシテ摂↢取シス般若ヲ↡、般若ハ摂↢取スト方便ヲ↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)(Ⅰ)(ⅱ)註釈
                (a)二智を釈す

 ^◆「↑般若はんにゃ」 といふは、 *如にょに達たっする慧えの名ななり。 「↑方便ほうべん」 といふは、 *権ごんに通つうずる智ちの称しょうなり。 如にょに達たっすればすなはち*心しん行ぎょう寂じゃく滅めつなり。 権ごんに通つうずればすなはちつぶ0148さに衆しゅ機きを*省かえりみる。 機きを省かえりみる智ち、 つぶさに応おうじてしかも*無知むちなり。 寂じゃく滅めつの慧え、 また無知むちにしてつぶさに省かえりみる。

「般若トイフ」者ハ、達スル↠如ニ之*恵ノ名ナリ。「方便トイフ」者ハ、通ズル↠権ニ之智ノ称ナリ。達スレバ↠如ニ則チ心行寂滅ナリ。通ズレバ↠権ニ則チ備ニ†省ミル↢衆機ヲニ↡。†省ミル↠機ヲニ之智、備ニ†応ジテ而モ无知ナリ。寂滅之*恵、亦无知ニシテ而備ツブサニ†省ミル。

^◆しかればすなはち智慧ちえと方便ほうべんとあひ縁えんじて動どうじ、 あひ縁えんじて静じょうなり。 動どうの静じょうを失しっせざることは智慧ちえの功こうなり。 静じょうの動どうを廃はいせざることは方便ほうべんの力ちからなり。 このゆゑに智慧ちえと慈悲じひと方便ほうべんとは般若はんにゃを摂取せっしゅし、 般若はんにゃは方便ほうべんを摂取せっしゅす。

然レバ則チ智恵ト方便ト相 ヒ縁ジテ而動ジ、相縁ジテ而静ナリ。動ノ不ルコトハ↠失セ↠静ヲ智恵之功也。静ノ不ルコトハ↠癈セ↠動ヲ方便之力也。是ノ故ニ智恵ト慈悲ト方便トハ摂↢取シス般若ヲ↡、般若ハ摂↢取ス方便ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)応知を釈す

^◆「↑知しるべし」 といふは、 いはく、 ▽智慧ちえと▽方便ほうべんとはこれ菩ぼ薩さつの父母ぶもなり。 もし智慧ちえと方便ほうべんとによらずは、 菩ぼ薩さつの法ほう、 すなはち成じょう就じゅせずと知しるべしとなり。 なにをもつてのゆゑに。 もし智慧ちえなくして衆しゅ生じょうのためにする時ときは、 すなはち顛倒てんどうに堕だす。 もし方便ほうべんなくして法ほっ性しょうを観かんずる時ときは、 すなはち実際じっさいを証しょうす。 このゆゑに 「知しるべし」 といふ。

「†応シトイフ↠知ル」者ハ、謂ク応シトナリ↠知ル↧智恵ト方便トハ是菩薩ノ父母ナリ、若シ不ハ↠依ラ↢智恵ト方便トニ↡、菩薩ノ法則チ不ズト↦成就セ↥。何ヲ以テノ故ニ。若シ无クシテ↢智恵↡為 メニスル↢衆生ノ↡時ハ、則チ堕ス↢顛倒ニ↡。若シ无クシテ↢方便↡観ズル↢法性ヲ↡時ハ、則チ証ス↢実際ヲ↡。是ノ故ニ「†応シトイフ↠知ル」。

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)(Ⅱ)違順相対を示す
              (ⅰ)無障心を明す
                (a)論文

【113】 ^▲向さきに△我が心しんを遠おん離りして自じ身しんに貪とん着じゃくせざると、 △衆しゅ生じょうを安やすんずることなき心しんを遠おん離りすると、 △自じ身しんを供く養ようし恭く敬ぎょうする心しんを遠おん離りするとを説とけり。 この三さん種しゅの法ほうは▽菩ぼ提だいを障さふる心しんを遠おん離りす、 ↓知しるべし。

向サキニ†説ケリ↪遠↢離シテ我心ヲ↡不ルト↠貪↢着セ自身ニ↡、遠↧離スルト无キ↠安ズルコト↢衆生ヲ↡心ヲ↥、遠↩離スルトヲ供↢養シ恭↣敬スル自身ヲ↡心ヲ↨。此ノ三種ノ法ハ†遠↧離ス障フル↢菩提ヲ↡心ヲ↥、応シト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)註釈

 ^◆諸法しょほうにおのおの障しょう礙げの相そうあり。 風ふうはよく静じょうを障さへ、 土どはよく水すいを障さへ、 湿しつはよく火かを障さふるがごとし。 五ご悪あく・十じゅう悪あくは人天にんでんを障さふ。 四し顛倒てんどうは声しょう聞もんの果かを障さふ。 このなかの三さん種しゅの不ふ遠おん離りは、 菩ぼ提だいを障さふる心しんなり。

諸法ニ各ノ有リ↢障ノ相↡。如シ↢風ハ能ク障サヘ↠静ヲ、土ハ能ク障ヘフ↠水ヲ、湿ハ能ク障フルガ↟火ヲ。五*悪・十悪ハ障フ↢人天ヲ↡。四顛倒ハ障サフ↢声聞ノ果ヲ↡。此ノ中ノ†三種ノ不遠離ハ、障フル↢菩*提ヲ↡心ナリ。

^◆「↑知しるべし」 といふは、 もし0149障さふることなきことを得えんと欲ほっせば、 まさにこの三さん種しゅの障しょう礙げを遠おん離りすべしとなり。

「†応シトイフ↠知ル」者ハ、若シ欲0523セバハゞ↠得エ0419ムト↠无キコトヲ↠障フルコト、当ニシトキ ↣遠↢離ス此ノ三種ノ障ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)(Ⅱ)(ⅱ)勝真心を明す
                (a)論文

【114】 ^▲向さきに△無む染ぜん清浄しょうじょう心しん、 △安あん清浄しょうじょう心しん、 △楽らく清浄しょうじょう心しんを説とけり。 この三さん種しゅの心しんは、 一処いっしょに略りゃくして▽↓妙みょう↓楽らく↓勝しょう↓真しん心しんを成じょう就じゅす、 知しるべし。

向サキニ説ケリキツ↢无染清浄心・安清浄心・楽清浄心ヲ↡。此ノ三種ノ心ハ略シテ↢一処ニシテ↡成↢就スルナリ妙楽勝真心ヲ↡、応シト↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b チ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)註釈

 ^◆楽らくに三さん種しゅあり。 一いちには外げ楽らく、 いはく五ご識しき所しょ生しょうの楽らくなり。 二にには内楽ないらく、 いはく*初禅しょぜん・二に禅ぜん・三禅さんぜんの意い識しき所しょ生しょうの楽らくなり。 三さんには*法楽ほうがく楽らく、 いはく智慧ちえ所しょ生しょうの楽らくなり。

▼楽ニ有リ↢三種↡。一ニ者外楽、謂ク五識所生ノ楽ナリ。二ニ者内楽、謂ク初禅・二禅・三禅ノ意識所生ノ楽ナリ。三ニ者法楽 五角ノ反 楽 魯各ノ反、謂ク智*恵所生ノ楽ナリ。

^◆この智慧ちえ所しょ生しょうの↑楽らくは、 仏ぶつ (阿弥陀仏) の功く徳どくを愛あいするより起おこれり。 これ我が心しんを遠おん離りすると、 無む安あん衆しゅ生じょう心しんを遠おん離りすると、 自じ供く養よう心しんを遠おん離りするとなり。 この三さん種しゅの心しん、 清浄しょうじょうにして増進ぞうしんするを、 略りゃくして妙みょう楽らく勝しょう真しん心しんとなす。

◆此ノ智恵所生ノ楽ハ、従ヨリ↠愛スル↢仏ノ功徳ヲ↡起レリ。†是遠↢離スルト我心ヲ↡、遠↢離スルト无安衆生心ヲ↡、遠↢離スルトナリ自供養心ヲ↡。是ノ三種ノ心ハ、清浄ニシテ増進スルヲスレバ略シテ為ス↢妙楽勝真心ト↡。

^◆「↑妙みょう」 の言ごんは、 それ好こうなり。 この楽らくは仏ぶつを縁えんじて生しょうずるをもつてのゆゑなり。 「↑勝しょう」 の言ごんは、 三界さんがいのなかの楽らくに勝出しょうしゅつせり。 「↑真しん」 の言ごんは、 ▼虚偽こぎならず顛倒てんどうせず。

「妙ノ」言ハ、其 レ好ナリ。以テノ↢此ノ楽ハ縁ジテ↠仏ヲ生ズルヲ↡故ナリニ 。「勝ノ」言ハ、勝↢出セリ三界ノ中ノ楽ニ↡。「真ノ」言ハ、▼不ズ↢虚偽ナラ↡不ルナリト↢顛倒セ↡。

二 Ⅱ ⅱ b リ【願事成就章】
          (一)標章

【115】^◆↑願がん事じ成じょう就じゅとは、

願事成就トイフ者ハ、

二 Ⅱ ⅱ b リ (二)釈文
            (Ⅰ)一心の成就を明す
              (ⅰ)論文

^▲かくのごとく菩ぼ薩さつは△智慧ちえ心しん・△方便ほうべん心しん・△無む障しょう心しん・△勝しょう真しん心しんをもつて、 よく清浄しょうじょうの仏国ぶっこく土どに生しょうず、 ↓知しるべし。

如ク↠是クノ菩薩ハ智恵心・方便心・无障心・勝真心ヲモテヲシテ、能ク生ズト↢清浄ノ仏国土ニ↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b リ (二)(Ⅰ)(ⅱ)註釈

 ^◆「↑知しるべし」 といふは、 いはく、 この四し種しゅの清浄しょうじょう功く徳どくをもつて、 よくかの清しょう0150浄じょう仏国ぶっこく土どに生しょうずることを得う。 これ他た縁えんをもつて生しょうずるにはあらずと知しるべしとなり。

「†応シトイフ↠知ル」者ハ、謂ク応シト↠知ル↧此ノ四種ノ清浄功徳ヲモテハ  、能ク得シム↠生ズルコトヲ↢彼ノ清浄仏国土ニ↡、非ズト↦是 レ他縁ヲモテヲシテ†而生ズルニハ↥也。

二 Ⅱ ⅱ b リ (二)(Ⅱ)五行の成就を明す
              (ⅰ)論文

【116】 ^▲これを菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつ、 五ご種しゅの法門ほうもんに随ずい順じゅんし、 所しょ作さ↓意こころに随したがひて自じ在ざいに成じょう就じゅすと名なづく。 向さきの所説しょせつのごとき↓身業しんごう・↓口く業ごう・↓意い業ごう・↓智ち業ごう・↓方便ほうべん智ち業ごうは、 法門ほうもんに随ずい順じゅんするがゆゑなり。

是ヲ名ク↧菩薩摩訶薩ノ†随↢順シ五種ノ法門ニ↡、所作随ヒテ↠意ニ自在ニ成就ストセリト↥。如キ↢向サキノ所0524説ノ↡身0420業・口業・意業・智業・方便智業ハ、†随↢順スルガ法*門ニ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b リ (二)(Ⅱ)(ⅱ)註釈

 ^◆「↑意こころに随したがひて自じ在ざいに」 とは、 この五ご種しゅの功く徳どく力りきをもつて、 よく清浄しょうじょう仏ぶつ土どに*生しょうずれば*出しゅつ没もつ自じ在ざいなるをいふなり。 「↑身しん業ごう」 とは礼拝らいはいなり。 「↑口く業ごう」 とは讃嘆さんだんなり。 「↑意い業ごう」 とは作さ願がんなり。 「↑智ち業ごう」 とは観察かんざつなり。 「↑方便ほうべん智ち業ごう」 とは回え向こうなり。 この五ご種しゅの業ごう和わ合ごうすれば、 すなはちこれ往おう生じょう浄じょう土どの法門ほうもんに随ずい順じゅんして自じ在ざいの業ごう*成じょう就じゅするをいふなり。

「†随ヒテ↠意ニ自在ニト」者ハ、†言フ↧此ノ五種ノ功徳力ヲモテヲシテ、能ク生ズレバジテ↢清浄仏土ニ↡出没自在ナルヲ↥也。「身業ト」者ハ礼拝也。「口業ト」者讃嘆也。「意業ト」者作願也。「智業ト」者観察也。「方便智業ト」者廻向也。†言フナリ↧此ノ五種ノ業和合スレバ、則チ是随↢順シテ往生浄土ノ法門ニ↡自在ノ業成就スルヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ【利行満足章】
          (一)標章

【117】^◆↑利り行ぎょう満足まんぞくとは、

利行満足トイフ者、

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)釈文
            (Ⅰ)正釈論文
              (ⅰ)五門の入出を明す
                (a)標数

^▲また五ご種しゅの門もんありて、 漸ぜん次じに五ご種しゅの功く徳どくを成じょう就じゅす、 知しるべし。

▼復有リテ↢五種ノ門↡漸次ニ成↢就スト五種ノ功徳ヲ↡、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)列目
                  (イ)論門

^▲何者なにものか五ご門もん。 一いちには近門ごんもん、 二にには大だい会え衆しゅ門もん、 三さんには宅門たくもん、 四しには屋門おくもん、 五ごには園林おんりん遊戯ゆげ地じ門もんなり。

何者 ノカ五門。一ニ者近門、二ニ者大会衆門、三ニ者宅門、四ニ者屋門、五ニ者園林遊戯地門ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)註釈

 ^◆この五ご種しゅは、 *入出にゅうしゅつの次し第だいの相そうを*示じ現げんす。

此ノ五種ハ示↢現スシタマフナリ入出ノ次第ノ相ヲ↡。

^◆入にゅう相そうのなかに、 初はじめに浄じょう土どに至いたるは0151、 これ近ごんの相そうなり。 いはく、 大だい乗じょう正定しょうじょう聚じゅに入いりて、 阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいに近ちかづくなり。 浄じょう土どに入いりをはれば、 すなはち如来にょらい (阿弥陀仏) の大だい会え衆しゅの数かずに入いるなり。 衆しゅの数かずに入いりをはれば、 まさに修しゅ行ぎょう安心あんじんの宅たくに至いたるべし。 宅たくに入いりをはれば、 まさに修しゅ行ぎょう所しょ居ごの*屋おく宇うに至いたるべし。 修しゅ行ぎょう成じょう就じゅしをはれば、 まさに*教きょう化け地じに至いたるべし。 教きょう化け地じはすなはちこれ菩ぼ薩さつの*自娯じご楽らくの地じなり。

入相ノ中ニ、初ニ至ルハ↢浄土ニ↡、是近ノ相ナリ。謂ク入リテル ↢大乗正定聚ニ↡、近ヅクナリ↢阿耨多羅三藐三菩提ニ↡。入リ↢浄土ニ↡已レバ、便チ入ルナリ↢如来ノ大会衆ノ数ニ↡。入リ↢衆ノ数ニ↡已レバリテ、当ニシ↠至ル↢修行安心之宅ニ↡。入リ↠宅ニ已レバ、当ニシ↠至ル↢修行所居ノ*屋オク*ウニ↡ 尤挙ノ反。修行成就シ已レバリテ、当ニシ↠至ル↢教化地ニ↡。教化地ハ即チ是菩薩ノ自娯楽ノ地ナリ。

^◆このゆゑに出しゅつ門もんを園林おんりん遊戯ゆげ地じ門もんと称しょうす。

是ノ故ニ出門ヲ称スト↢園林遊戯地門ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)総判
                  (イ)論文

【118】 ^▲この五ご種しゅの門もんは、 初はじめの四し種しゅの門もんは入にゅうの功く徳どくを成じょう就じゅし、 第だい五ご門もんは出しゅつの功く徳どくを成じょう就じゅす。

此ノ五種ノ門ハ、初ノ四種ノ門ハ成↢就シス入ノ功徳ヲ↡、第五門ハ成↢就スセルナリ出ノ功徳ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)(ロ)註釈

 ^◆この入出にゅうしゅつの功く徳どくは、 何者なにものかこれや。 ◆釈しゃくしていはく、

此0525ノ入0421出ノ功徳ハ、何 ニ者 ノカ是 レヤ。†釈シテ言ク、

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)別釈
                  (イ)近門
                    [一]論文

^▲入にゅう第一だいいち門もんとは、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを礼拝らいはいし、 かの国くにに生しょうぜんとなすをもつてのゆゑに、 安楽あんらく世せ界かいに生しょうずることを得う。 これを入にゅう第一だいいち門もんと名なづく。

入第一門ト者ハ、以テノ↧礼↢拝シ阿弥陀仏ヲ↡、為スヲルヲ↞生ゼムト↢彼ノ国ニ↡故ニ、得ウ↠生ズルコトヲ↢安楽世界ニ↡。是ヲ名ク↢入第一門ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(イ)[二]註釈

 ^◆仏ぶつを礼らいして仏国ぶっこくに生しょうぜんと願がんず。 これ初はじめの功く徳どくの相そうなり。

礼シテ↠仏ヲ願ズ↠生ゼムト↢*仏国ニ↡。是ハ初ノ功徳ノ相ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ロ)大会衆門
                    [一]論文

【119】 ^▲入にゅう第だい二に門もんとは、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを讃嘆さんだんし、 名みょう義ぎに随ずい順じゅんして如来にょらいの名みなを称しょうし、 如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうによりて修しゅ行ぎょうするをもつてのゆゑに、 大だい会え衆しゅの数かずに入いることを得う。 これを入にゅう第だい二に門もんと名なづく。

▼入第二門ト者ハ、以テノ↧讃↢嘆シタテマツリテ阿弥陀仏ヲ↡、随↢順シテ名義ニ↡称シ↢如来ノ名ヲ↡、依リテ↢如来ノ光明*智相ニ↡修行スルヲ↥故ニ、得ウ↠入ルコトヲ↢大会衆ノ数ニ↡。是ヲ名ク↢入第二門ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ロ)[二]註釈

 ^0152◆如来にょらいの名みょう義ぎによりて讃嘆さんだんす。 これ第だい二にの功く徳どく相そうなり。

◆依リテ↢如来ノ名義ニ↡讃嘆スル。是 レ第二ノ功徳相ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ハ)宅門
                    [一]論文

【120】^▲入にゅう第三だいさん門もんとは、 一心いっしん専念せんねんにかの国くにに生しょうぜんと作さ願がんし、 奢しゃ摩他また寂静じゃくじょう三昧ざんまいの行ぎょうを修しゅするをもつてのゆゑに、 蓮れん華げ蔵ぞう世せ界かいに入いることを得う。 これを入にゅう第三だいさん門もんと名なづく。

◆入第三門ト者、以テノ↧†一心専念ニ†作↣願シ生ゼムト↢彼ノ*国ニ↡、修スルヲ↦奢摩他寂静三昧ノ行ヲ↥故ニ、得ウ↠入ルコトヲ↢蓮花蔵世界ニ↡。是ヲ名ク↢入第三門ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ハ)[二]註釈

 ^◆寂静じゃくじょう止しを修しゅせんがためのゆゑに、 一心いっしんにかの国くにに生しょうぜんと願がんず。 これ第三だいさんの功く徳どく相そうなり。

◆為ノ↠修セムガ↢寂静止ヲ↡故ニ、一心ニ願ズ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。是 レ第三ノ功徳相ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ニ)屋門
                    [一]論文

【121】^▲入にゅう第だい四し門もんとは、 専念せんねんにかの妙みょう荘しょう厳ごんを観察かんざつし、 毘婆びば舎しゃ那なを修しゅするをもつてのゆゑに、 かの処ところに到いたりて↓種々しゅじゅの法ほう味み楽らくを受用じゅゆうすることを得う。 これを入にゅう第だい四し門もんと名なづく。

入第四門ト者、以テノ↧†専念ニ観↢察シ彼ノ妙荘厳ヲ↡、修スルヲ↦*毘婆舎那ヲ↥故ニ、†得↧到リテ↢彼ノ処ニ↡*受↦用スルコトヲ種種ノ法味楽ヲ↥。是ヲ名ク↢入第四門ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ニ)[二]註釈

 ^◆「↑種々しゅじゅの法ほう味み楽らく」 とは、 毘婆びば舎しゃ那なのなかに、 ▼*観仏かんぶつ国こく土ど清浄しょうじょう味み・*摂しょう受じゅ衆しゅ生じょう大だい乗じょう味み・*畢ひっ竟きょう住じゅう持じ不ふ虚作こさ味み・*類るい事起じき行ぎょう願取がんしゅ仏ぶつ土ど味みあり。 かくのごとき等らの無む量りょうの荘しょう厳ごん仏道ぶつどうの味みあるがゆゑに 「種々しゅじゅ」 といふ。 これ第だい四しの門もんの功く徳どく相そうなり。

「種種ノ法味楽トイフ」者ハ、毘婆舎那ノ中ニ、有リ↢観仏国土清浄味・摂受衆生大乗味・畢竟住持不虚作味・類事起行願取仏土味↡。有ルガ↢如キ↠是クノ等ラノ无量ノ荘0422厳0526仏道ノ味↡故ニ言イフ↢「種種ト」↡。是ハ第四ノ*門ノ功徳相ナリ。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ホ)園林遊戯地門
                    [一]論文

【122】 ^▲出しゅつ第だい五ご門もんとは、 大だい慈悲じひをもつて一切いっさい苦く悩のうの衆しゅ生じょうを観察かんざつして、 ↓応おう化げ身しんを示しめして、 生しょう死じの園その、 煩悩ぼんのうの林はやしのなかに回え入にゅうして↓遊戯ゆげし、 神通じんずうもつて教きょう化け地じに至いたる。 ↓本願ほんがん力りきの回え向こうをもつてのゆゑなり。 これを出しゅつ第だい五ご門もんと名なづ0153く。

▼出第五門トイフ者ハ、以テ↢大慈悲ヲ↡観↢察シテ一切苦悩ノ衆生ヲ↡、示シテ↢応化身ヲ↡、廻↢入シテ生死ノ園ソノ、煩悩ノ林ノ中ニ↡†遊戯シ、神通モテ至ル↢教化地ニ↡。以テノ↢本願力ノ廻向ヲ↡故ナリニ 。是ヲ名ク↢出第五門ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ホ)[二]註釈
                      [Ⅰ]示身を釈す

 ^◆「↑応おう化げ身しんを示しめして」 とは、 *¬法華ほけ経きょう¼ の普ふ門もん示じ現げんの類たぐいのごとし。

「▼†示シテト↢応化身ヲ↡」者ハ、如シ↢¬法花経ノ¼普門示現之類ノ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ホ)[二][Ⅱ]遊戯を釈す

^◆「↑遊戯ゆげ」 に二にの義ぎあり。 一いちには自じ在ざいの義ぎなり。 菩ぼ薩さつ、 衆しゅ生じょうを度どすることは、 たとへば獅子ししの鹿しかを搏うつがごとく、 なすところ難かたからざること遊戯ゆげするがごとし。 二にには*度無どむ所しょ度どの義ぎなり。 菩ぼ薩さつ、 衆しゅ生じょうを観かんずるに畢ひっ竟きょうじて所しょ有うなし。 無む量りょうの衆しゅ生じょうを度どすといへども、 実じつに一いち衆しゅ生じょうとして滅めつ度どを得うるものなし。 衆しゅ生じょうを度どするを示しめすこと遊戯ゆげするがごとし。

◆遊戯ニ有リ↢二ノ義↡。一ニ者自在ノ義ナリ。菩薩度スルコトハ↢衆生ヲ↡、譬ヘバ†如ク↢*師子ノ搏ウツガ↟鹿ヲ、所↠為ス不ルコト↠難カラ如↢似 ゴト シ遊戯スルガノ  ↡。二ニ者度无所度ドノ義ナリ。菩薩†観ズルニ↢衆生ヲ↡畢竟ジテ无シ↢所有↡。雖モ↠度スト↢无量ノ衆生ヲ↡*而実ニ无シ↧一衆生トシテ得ル↢滅度ヲ↡者 ノ↥。示スコト†↠度スルヲ↢衆生ヲ↡如↢似 ゴト シ遊戯スルガノ  ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)(ホ)[二][Ⅲ]願力を釈す

^▼「↑本願ほんがん力りき」 といふは、 大だい菩ぼ薩さつ、 法身ほっしんのなかにおいて、 つねに三昧さんまいにましまして、 種々しゅじゅの身しん、 種々しゅじゅの神通じんずう、 種々しゅじゅの説法せっぽうを*現げんずることを示しめす。 みな本願ほんがん力りきをもつて起おこせり。 たとへば阿あ修しゅ羅らの琴きんの鼓こするものなしといへども、 音いん曲ぎょく自じ然ねんなるがごとし。 これを教きょう化け地じの第だい五ごの功く徳どく相そうと名なづく。

言イフ↢「本願力ト」↡者ハ、示ス↧大菩薩於シ↢法身ノ中ニ↡、常ニ在シテ↢三昧ニ↡而現ズルコトヲ↦種種ノ身・種種ノ神通・種種ノ説法ヲ↥。皆以テ↢本願力ヲ↡起セリスナリ。譬ヘバ如シ↧阿修羅ノ琴ノ雖モ↠无シト↢鼓コスル者 ノ↡而音イム曲ギヨク自然ナルガ↥。是ヲ名ク↢教化地ノ第五ノ功徳相ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)行成得果を顕す
                (a)二利行成を結す
                  (イ)自利成就を結す
                    [一]論文

【123】 ^▲菩ぼ薩さつは入にゅうの四し種しゅの門もんをもつて自利じりの行ぎょう↓成じょう就じゅす、 ↓知しるべし。

▼菩薩ハ入ノ四種ノ門ヲモテヲシテ自利ノ行成就スト、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(イ)[二]註釈

 ^◆「↑成じょう就じゅ」 とは、 いはく、 自利じり満足まんぞくなり。 「↑知しるべし」 といふは、 いはく、 自利じりによるがゆゑにすなはちよく利他りたす。 これ自利じりすることあたはずしてよく利他りたするにあらずと知しるべしとなり。

「成就ト」者ハ、謂ク自利満足也。「†応シトイフ↠知ル」*者ハ、謂ク応シト↠知ル↧由ルガ↢自利ニ↡故ニ*則チ能ク利他ス、非ズト↦是 レ不ズシテ↠能ハ↢自利スルコトニ   ↡而能ク利他スルニ↥也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)利他成就を結す
                    [一]論文

【124】 ^▲菩ぼ薩さつは出しゅつの第だい五ご門もんの回え向こうをもつて利り益やく他たの行ぎょう↓成じょう就じゅす、 ↓知しるべし。

菩薩ハ出ノ第五門ノ廻向ヲモテ利益他ノ行成就スシタマヘリト、応シ↠知ル。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]註釈

 ^0154▼「↑成じょう就じゅ」 とは、 いはく、 回え向こうの因いんをもつて教きょう化け地じの果かを証しょうす。 ▼もしは因いん、 もしは果か、 一いち事じとして利他りたすることあたはざることあることなし。 「↑知しるべし」 といふは、 いはく、 利他りたによるがゆゑにすなはちよく自利じりす。 これ利他りたすることあたはずしてよく自利じりするにはあらずと知しるべしとなり。

「成0527就ト0423」者ハ、謂ク以テ↢廻向ノ因ヲ↡証ス↢教化地ノ果ヲ↡。▼若シハ因若シハ果、无シトナリ↠有ルコト↢一事トシテ不ルコト↟能ハ↢利他†スル↡。「†応シトイフ↠知ル」者ハ、謂ク応シト↠知ル↧由ルガ↢利他ニ↡故ニ*則チ能ク自利ス、非ズト↦是 レ不ズシテ↠能ハ↢利他スルコトニ   ↡而能ク自利スルニハ↥也。▼

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)速得菩提を明す
                  (イ)論文

【125】 ^▲菩ぼ薩さつはかくのごとく*五ご念門ねんもんの行ぎょうを修しゅして自利じり利他りたす。 ↓速すみやかに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成じょう就じゅすることを得うるがゆゑなり。

▲菩薩ハ如ク↠是クノ修シテ↢五*念門ノ行ヲ↡自利利他†ス。速ニ得ルガタマヘルガ↣成↢就スルコトヲシタマヘルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡故ナリニト。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)註釈
                    [一]総釈

 ^◆仏ぶつの所得しょとくの法ほうを名なづけて↓阿あ↓耨のく多羅たら↓三さん藐みゃく↓三さん↓菩ぼ提だいとなす。 この菩ぼ提だいを得うるをもつてのゆゑに名なづけて仏ぶつとなす。 いま 「↑速すみやかに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを得う」 といふは、 これ早はやく作さ仏ぶつすることを*得うるなり。

仏ノ所得ノ法ヲ名ケテ為ス↢阿耨多羅三藐三菩提ト↡。以テノ↠得ルヲ↢此ノ菩*提ヲ↡故ニ名ケテ為スト↠仏ト。今言イフハ↣「†速ニ得ルト↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡」、是 レ得ウル↢早ハヤク†作仏スルコトヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別釈
                      [Ⅰ]略解

^◆「↑阿あ」 は無むに名なづく、 「↑耨のく多羅たら」 は上じょうに名なづく、 「↑三さん藐みゃく」 は正しょうに名なづく、 「↑三さん」 は遍へんに名なづく、 「↑菩ぼ提だい」 は道どうに名なづく。 統すべてこれを訳やくして、 名なづけて 「↓無む上じょう↓正しょう↓遍へん↓道どう」 となす。

阿ハ名ク↠无ニ、耨多羅ハ名ク↠上ニ、三藐ハ名ク↠正ニ、三ハ名ク↠遍ニ、菩提ハ名ク↠道ニ。†統ベテ而訳シテ↠之ヲ、名ケテ為ス↢无上正遍道ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]広釈
                        [ⅰ]無上を釈す

^◆「↑無む上じょう」 とは、 いふこころは、 この道どうは、 *理りを窮きわめ性しょうを尽つくしてさらに過すぎたるひとなし。 なにをもつてかこれをいふとなれば、 「正しょう」 をもつてのゆゑなり。

无上ト者ハ、言イフココロハ此ノ道ハ窮メ↠理ヲ尽シテ↠性ヲ更ニ无シ↢過ギタル者ヒト↡。何ヲ以テカ言イフトナレバ↠之ヲ、以テノ↠正ヲ故ナリニ 。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]正を釈す

^◆「↑正しょう」 とは聖しょう智ちなり。 法相ほっそうのごとくして知しるがゆゑに称しょうして正しょう智ちとなす。 法ほっ性しょう無む相そうのゆゑに聖しょう智ちは無知むちなり。

正ト者ハ聖智也。如クシテ↢法相ノ↡而知ルガ故ニ称シテ為ス↢正*智ト↡。法性无相ノ故ニ聖智ハ无知也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ]遍を釈す

^◆「↑遍へん」 に二に種しゅあり。 一いちには*聖しょう心しんあまねく一切いっさいの法ほうを知しろしめす。 二に0155には法身ほっしんあまねく法界ほうかいに満みつ。 もしは身しん、 もしは心しん、 遍へんせざるはなし。

遍ニ有リ↢二種↡。一ニ者聖心遍ク知シロシメス↢一切ノ法ヲ↡。二ニ者法身遍ク満ツ↢法界ニ↡。若シハ身若シハ心、无シキ↠不ザルコト↠遍セ也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅳ]道を釈す

^◆「↑道どう」 とは無礙むげ道どうなり。 ¬経きょう¼ (*華厳経・意) にのたまはく、 「*十方じっぽうの無礙むげ人にん、 一道いちどうより生しょう死じを出いづ」 と。 「一道いちどう」 とは一いち無礙むげ道どうなり。 「無礙むげ」 とは、 いはく、 ▼生しょう死じすなはちこれ涅ね槃はんと知しるなり。 かくのごとき等らの*入にゅう不二ふにの法門ほうもんは、 無礙むげの相そうなり。

道ト者ハ无道也。¬経ニ¼言ノタマハク、「十方ノ无人、ノ一道ヨリ出ヅトイヘリ↢生死ヲ↡¼。一道ト者ハ一无道也。无ト者ハ、謂ク知シルナリ↢生死即チ是涅槃ト↡。如キ↠是クノ*等ラノ入不二ノ法門ハ、无ノ相也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)問答料簡
              (ⅰ)問

【126】^▼問とひていはく、 なんの因縁いんねんありてか 「↑速すみやかに阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成じょう就じゅすることを得う」 といへる。

▼問ヒテ曰ク、有リテカ↢何ノ因縁↡言ノタマヘルフヤ↤「†速ニ得ト↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)答
                (a)略答
                  (イ)論文を引きて直ちに答ふ

^▼答こたへていはく、 ¬論ろん¼ (浄土論) に 「▲五ご門もんの行ぎょうを修しゅして、 *自利じり利他りた成じょう就じゅするをもつてのゆゑなり」 といへり。

◆答0528ヘテ曰0424ク、¬論ニ¼†言ヘリ↧「修シテ↢五門ノ行ヲ↡、以テノ↢自利利他成就スルヲ↡故ナリト」↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)摂末帰本に約す【覈求其本】

^▼しかるに*覈まことに其その本もとを求もとむるに、 阿あ弥陀みだ如来にょらいを*増ぞう上じょう縁えんとなす。

◆然ルニ覈マコトニ求ムルニ↢其ノ本ヲ↡、阿弥陀如来ヲ為ス↢増上縁ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)以本奪末に約す【他利利他】

^▼*他利たりと利他りたと、 談だんずるに*左右さうあり。 もし仏ぶつよりしていはば、 よろしく利他りたといふべし。 ▼衆しゅ生じょうよりしていはば、 よろしく他利たりといふべし。 ▼いままさに仏力ぶつりきを談だんぜんとす。 このゆゑに 「利他りた」 をもつてこれをいふ。 まさにこの意こころを知しるべし。

◆他利之ト与ト↢利他↡談ズルニ有リ↢左右↡。若シ†自リシテ↠仏而言イハバ、宜シクシ ↠言イフ↢利他ト↡。†自リシテ↢衆生↡而言ハバ、宜シクシ ↠言イフ↢他利ト↡。今将ス ニ↠談ゼムト↢仏力ヲ↡。是ノ故ニ以テ↢「*利他ヲ」↡言イフ↠之ヲ。当ニシ↠知ル↢†此ノ意ヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)広く如来願力を明す
                    [一]総明

^▼おほよそこれかの浄じょう土どに生しょうずると、 およびかの菩ぼ薩さつ・人にん・天てんの所しょ起きの諸しょ行ぎょうとは、 みな阿あ弥陀みだ如来にょらいの本願ほんがん力りきによるがゆゑなり。 なにをもつてこれをいふとなれば、 もし仏力ぶつりきにあらずは、 四し十じゅう八はち願がんすなはちこれ*徒と設せつならん。

◆凡ソ是 レ生ズルト↢彼ノ浄土ニ↡、及ビ彼ノ菩*薩人天ノ所起ノ諸行トハ、皆縁ルガ↢阿弥陀如来ノ本願力ニ↡故 ヘナリ。何ヲ以テ言フトナレバ↠之ヲ、若シ非ズハ↢仏力ニ↡、四十八願便チ是 レ徒設ナラム。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]別顕
                      [Ⅰ]総標【三願的証】

^◆*いま的あきらかに三願さんがんを取とりて、 もつて義ぎの意こころを証しょうせん。

今†的アキラカニ取リテ↢三願ヲ↡、用テ証セム↢義ノ意ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]別釈
                        [ⅰ]第十八願
                          [a]引願

^◆願がん0156 (第十八願) にのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 心しんを至いたして信しん楽ぎょうしてわが国くにに生しょうぜんと欲ほっして、 すなはち十じゅう念ねんに至いたるまでせん。 もし生しょうずることを得えずは、 正しょう覚がくを取とらじ。 ただ五ご逆ぎゃくと誹ひ謗ほう正しょう法ぼうとを除のぞく」 と。

願ニ言ノタマハク、「設ヒ我 レ得エムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、至シテ↠心ヲ信楽シテ欲シテフテ↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡、†乃チ至ルマデセム↢十念ニ↡。若シ不ズハ↠得エ↠生ズルコトヲ者、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡。唯除クト↢五逆ト誹謗正法トヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅰ][b]結証

^◆仏ぶつ願力がんりきによるがゆゑに十じゅう念ねんの念仏ねんぶつをもつてすなはち往おう生じょうを得う。 往おう生じょうを得うるがゆゑに、 すなはち三界さんがい輪転りんでんの事じを勉まぬかる。 輪転りんでんなきがゆゑに、 ゆゑに速すみやかなることを得うる一いちの証しょうなり。

縁ルガ↢エントスルガ仏願力ニヲ↡故ニ†十念ノ念仏ヲモテ便チ得ム↢往生ヲ↡。得ルガ↢往生ヲ↡故ニ、即チ*勉マヌカル↢三界輪転之事ヲ↡。无キガ↢輪転↡故ニ、所以コノユヘニ得ウル↠速ナルコトヲ一ノ証也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]第十一願
                          [a]引願

^◆願がん (第十一願) にのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 国くにのうちの人天にんでん、 正定しょうじょう聚じゅに住じゅうしてかならず滅めつ度どに至いたらずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。

願ニ言ノタマハク、「設ヒ我得ムニ↠仏ヲ、国ノ中ノ人天、不ズハ↧住シテ↢正定聚ニ↡必ズ至ラ↦滅度ニ↥者、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]結証

^◆仏ぶつ願力がんりきによるがゆゑに正定しょうじょう聚じゅに住じゅうす。 正定しょうじょう聚じゅに住じゅうするがゆゑに、 かならず滅めつ度どに至いたりて、 もろもろの*回え伏ぶくの難なんなし。 ゆゑに速すみやかなることを得うる二にの証しょうなり。

縁ルガ↢仏願力ニ↡故ニ住ス↢正定*聚ニ↡。住スルガ↢正定聚ニ↡故ニ、必ズ至リテ↢滅度ニ↡、无シ↢諸ノ廻伏之難↡。所以コノユヘニ得ウル↠速ナルコトヲ二ノ証也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ]第二十二願
                          [a]引願

^◆願がん (第二十二願) にのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 他た方ほう仏ぶつ土どのもろもろの菩ぼ薩衆さつしゅ、 わが国くにに来らい生しょうせば、 究く竟きょうしてかならず一いっ生しょう補ふ処しょに至いたらん。 その本願ほんがんの自じ在ざいに化けするところありて、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 弘ぐ誓ぜいの鎧よろいを被きて徳本とくほんを積しゃく累るいし、 一切いっさいを度ど脱だつし、 諸仏しょぶつの国くにに遊あそびて菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅし、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ如来にょらいを供く養ようし、 恒沙ごうじゃ無む量りょうの衆しゅ生じょうを開かい化けして、 無む上じょう正しょう真しんの道どうを立りゅうせしめんをば除のぞく。 *常じょう倫りん諸しょ地じの行ぎょうを超出ちょうしゅつし、 現前げんぜんに普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取と0157らじ」 と。

願ニ言ノタマハク、「設ヒ我得ムニ↠仏ヲ、他方仏土ノ諸ノ菩薩衆、*来↢生セバシテ我ガ国ニ↡、究竟シテ必ズ至ラム↢一生補処ニ↡。除ク↧其ノ本願ノ自在ニ所 ロアリテ↠化セムトスル、為ノ↢衆生ノ↡故ニ、被キテ↢弘誓ノ鎧ガイヲ↡積↢累シ徳本ヲ↡、度↢脱シテ一切ヲ↡、遊ビテ↢諸仏ノ国ニ↡修シ↢菩薩ノ行ヲ↡、供↢養シ十方ノ諸仏如来ヲ↡、開↢化シテ恒沙无量ノ衆生ヲ↡、使シメムヲバ↞立リフセ↢无上正真之道ニヲ↡。†超↢出シ常倫0529諸地0425之行ヲ↡、現前ニ修↢習セム普賢之徳ヲ↡。若シ不ズハ↠爾ラ者、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡」。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅲ][b]結証

^◆仏ぶつ願力がんりきによるがゆゑに、 常じょう倫りん諸しょ地じの行ぎょうを超出ちょうしゅつし、 現前げんぜんに普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん。 常じょう倫りん諸しょ地じの行ぎょうを超出ちょうしゅつするをもつてのゆゑに、 ゆゑに速すみやかなることを得うる三さんの証しょうなり。

縁ルガ↢仏願力ニ↡故ニ、†超↢出シ常倫諸地之行ヲ↡、現前ニ修↢習セム普賢之徳ヲ↡。以テノ↣†超↢出スルヲ常倫諸地ノ行ヲ↡故ニ、所以コノユヘニ得ル↠速ナルコトヲ三ノ証也。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]結示

^▼これをもつて推すいするに、 他た力りきを増ぞう上じょう縁えんとなす。 しからざることを得えんや。

以テ↠斯ヲ而推スルニ、他力ヲ為ス↢増上縁ト↡。得ム↠不ルコトヲ↠然ラ乎ヤ。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)二力の不同を略弁す【自力他力】
                    [一]総標

 ^◆まさにまた例れいを引ひきて、 自じ力りき・他た力りきの相そうを示しめすべし。

当ニシ↣復引キテ↠例ヲ示ス↢自力他*力ノ相ヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別釈
                      [Ⅰ]自力を明す

^▼人ひとの三さん塗ずを畏おそるるがゆゑに禁戒きんかいを受じゅ持じす。 禁戒きんかいを受じゅ持じするがゆゑによく禅ぜん定じょうを修しゅす。 禅ぜん定じょうをもつてのゆゑに神通じんずうを修しゅ習じゅうす。 神通じんずうをもつてのゆゑによく四し天てん下げに遊あそぶがごとし。 かくのごとき等らを名なづけて自じ力りきとなす。

†如シ↧人ノ畏ルルガ↢三塗ヲ↡故ニ受↢持ス禁戒ヲ↡、受↢持スルガ禁戒ヲ↡故ニ能ク修ス↢禅定ヲ↡、以テノ↢禅定ヲ↡故ニ修↢習ス神通ヲ↡、以テノ↢神通ヲ↡故ニ能ク遊ブガ↦四天下ニ↥。如キ↠是クノ等ラヲ名ケテ為ス↢自力ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]他力を明す

^▼また劣れっ夫ぷの*驢ろに跨またがりて上のぼらざれども、 転輪てんりん王のうの行みゆきに従したがひぬれば、 すなはち虚こ空くうに乗じょうじて四し天てん下げに遊あそぶに、 障しょう礙げするところなきがごとし。 かくのごとき等らを名なづけて他た力りきとなす。

▼又如シ↧劣夫ノ跨マタガリテ↠*驢ニ*不ザレドモ↠上ノボラ、*従シタガヒヌレバ↢転輪王ノ*行ニ↡、便チ乗ジテ↢虚空ニ↡遊ブニブコト↢四天下ニ↡、无キガ↞所 ロ↢障スル↡。如キ↠是クノ等ラヲ名ケテ為ス↢他力ト↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヌ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]勧誡

^▼*愚おろかなるかな、 後のちの学者がくしゃ、 他た力りきの乗じょうずべきことを聞ききて、 まさに信心しんじんを生しょうずべし。 みづから*局きょく分ぶんすることなかれ。

*愚オロカナル哉カナ、後之ノ学者、聞キテ↢他力ノ可キコトヲ↟乗ズ、当ニシ↠生ズ↢信心ヲ↡。勿レト↢自ミヅカラ局キヨク分ブンハバカルコトスルコト↡也。▼

二 Ⅱ ⅱ c 結文を釈す【総結釈】
        イ 論文

【127】 ^▲無む量りょう寿じゅ修しゅ多羅たら優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ、 略りゃくして義ぎを解げしをはりぬ。

無量寿修多羅*憂*婆提舎願*生偈、略シテ解シ↠↓義ヲ竟リヌ。

二 Ⅱ ⅱ c ロ 註釈

 ^▼経きょうの始はじめに 「如にょ是ぜ」 と称しょうするは、 信しんを*能のう入にゅうとなすことを彰あらわす。 末すえに 「奉ぶ行ぎょう」 といふは、 *服膺ぶくようの事じ已おわることを表あらわす。 ¬論ろん¼ (浄土論) の初はじめに 「*帰き礼らい」 するは、 宗しゅう0158旨しに由よしあることを明あかす。 終おわりに 「↑義ぎ竟きょう」 といふは、 所詮しょせんの理り畢おわることを示しめす。 *述じゅつ・作さくの人ひと殊ことなれども、 ここにおいて例れいを成じょうず。

経ノ始ニ称スルハ↢如是ト↡、†彰ス↣信ヲ為スコトヲ↢能入ト↡。末ニ言フコトハ↢奉行ト↡、†表ス↢服ブク膺ヰヨウノ事已ルコトヲ↡。¬論ノ¼初ニ帰*礼スルコトハ、明ス↢宗旨ニ有ルコトヲ↟由ユヘ。終 リニ云イフハ↢義竟ト↡、†示ス↢所詮ノ理畢ルコトヲ↡。述作ノ人ヒト殊ナレドモニ   、於テ↠茲ニ成ズト↠例ヲ。

無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ註ちゅう 巻かん下げ

 

*釈しゃくの曇鸞どんらん法ほっ師しは、 并へい州しゅうの汶水ぶんすい県けんの人ひとなり。 魏ぎの末すえ高斉こうせいの初はじめ、 なほ神じん智ち高遠こうえんにして三国さんごくにありて知ち聞もんせらる。 ほがらかに衆しゅ経きょうに暁あきらかにして、 ひとり人外じんがいに出いでたり。 梁りょう国こくの天てん子し蕭王そうおう、 つねに北きたに向むかひて曇鸞どんらん菩ぼ薩さつと礼らいしたてまつる。 ¬往おう生じょう論ろん¼ を注ちゅう解げして裁たちて両りょう巻かんとなす。 事じ、 釈しゃくの迦か才ざいの三巻さんかんの ¬浄じょう土ど論ろん¼ に出いでたるなり。

▲釈ノ曇鸞法師者、并州ノ汶水県ノ人也。▼魏ノ末スヱ高斉セイ之ノ初、猶ナホ在テ↢神智高遠ヱンニシテ三国ニ↡知聞セラル。洞ホガラカニ暁 キラカニシテ↢衆経ニ↡、独ヒトリ出タリ↢人外ニ↡。梁国ノ天子蕭サウ王、恒ニ*向テ↠北ニ礼ツル↢曇鸞菩薩ト↡。注↢解シテ往生論ヲ↡裁テ成ス↢両巻ト↡。事出タル↢釈ノ迦才ノ三巻ノ浄土論ニ↡也。

  建けん長ちょう八歳はっさい丙ひのえ辰たつ七月しちがつ二に十じゅう五ご日にち 愚ぐ禿とく親鸞しんらん 八十四歳 加か点てん了おわりぬ

 *建長八歳丙辰七月廿五日 愚禿親鸞 八十四歳 加点了

 

延書の底本は本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。
解義分 ¬浄土論¼ の長じょう行ごう の部分。
議 すじ道を通して説き明かすこと。 順序だてて解釈していくこと。
五念力 五ご念ねん門もんのはたらきのことで、 信を生ぜしめるはたらきのあることをいう。
礼拝したてまつる 親鸞聖人は 「礼拝したまひき」 (加点本訓) と読まれた。
十名 如来にょらい十じゅう号ごうのこと。
心行処滅し 心の行処の止滅。 心で思いわけることができないという意。
言語の道過ぎたり 言葉で言い表すことができない。
なすが 親鸞聖人は 「なさせんが」 (加点本訓) と読まれた。
讃嘆したてまつる 親鸞聖人は 「讃嘆したまひき」 (加点本訓) と読まれた。
かの如来の名を… →補註5
志願 往生し成仏しようとする願い。
三種の不相応あり… →補註7
存ずるがごとく… ときには有り、 ときには無くなる。 半信半疑の状態をいう。 →若にゃく存ぞん若にゃく亡もう
月 底本には 「日」 とあるが、 異本およびこの譬喩ひゆの典拠となっている ¬大だい智度ちど論ろん¼ 巻九等の文では、 「月」 となっているのでこれを改めた。 以下、 同じ。
名の法に即するあり 名と名によって示されるもの (法) のはたらきとが一体であるという意。
禁呪の音辞 悪やわざわいをとどめるための呪文。
日出東方… 中国に古くから伝わる呪文の一種と考えられる。
酉亥に… 酉亥は午後五時頃から午後十一時頃までのこと。 日の出とは関係のないこの時刻に 「日出…」 の呪文をとなえても、 腫物がひくという意。
臨兵闘者… ¬抱朴ほうぼく子し¼ に出る呪文。
熨す 上から下へじわじわとおさえていく。
心に…ゆゑなり 親鸞聖人は 「心につねに作願したまへりき。 一心に専念して畢竟じて安楽国土に往生して、 実の如く奢摩他を修行せんと欲おもふがゆゑにのたまへり」 (加点本訓) と読まれた。
心を鼻端に止むる 出入の息を数えて心の散乱をとどめるという数息観しゅそくかんのこと。 五停心観ごじょうしんかんの一。
不浄観 身や三界さんがいの不浄を観じて貪欲を離れる観法。 五停心観の一。
慈悲観 すべての衆しゅ生じょうを観じて慈悲のおもいを生じ、 いかりをとどめる観法。 五停心観の一。
因縁観 すべての事物がみな因縁によって生じるという道理を観じて、 愚かさをとどめる観法。 五停心観の一。
椿柘楡柳 つばき・やまぐわ・にれ・やなぎ。
含 異本には 「今」 とある。
観察し 親鸞聖人は 「観察したまへりき」 (加点本訓) と読まれた。
観心分明 観ずるこころが明らかな状態。
回向する 親鸞聖人は 「回向したまへる」 (信文類訓) と読まれた。
得んとする 親鸞聖人は 「得たまへる」 (加点本訓) と読まれた。
一切…作願するなり 親鸞聖人は 「一切衆生に回施したまひて、 作願してともにかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せしめたまふなり」 (信文類訓) と読まれた。
向かふなり 親鸞聖人は 「向かへしむるなり」 (加点本訓)、 「向かえらしめたまふなり」 (信文類訓) などと読まれた。
器体 器世間の体相。 ここでは浄土の荘厳のこと。 →二に種しゅ世せ間けん
衆生体 衆生世間の体相。 ここでは仏および菩薩の荘厳のこと。 →二に種しゅ世せ間けん
体相 体はものがらの意。 観の対境となる荘厳相のこと。
五種の不可思議 →五不思ごふし議ぎ
阿弥陀法王善住持力 阿弥陀仏の浄土をよくささえたもつはたらき。
砕身の舎利 仏の分骨を指していう。 →舎しゃ利り
大饒益 大きな利り益やく。
所須に称ひて 必要に応じて。
無上道の願 この上ないさとりを求め願う心。 菩ぼ提だい心しんのこと。
無量身の願 我身だけでなく、 一切の衆しゅ生じょうを済度して浄土に往生させようと願う心。
量 ¬浄土論¼ (底本) には 「無量」 とある。
章門 前に掲げた十七種の浄土の荘しょう厳ごんの分類を指す。
出世の善根 迷いの世間を超え出た煩悩ぼんのうのけがれのない善。
瞋忍 瞋しん恚に (いかり) と忍辱にんにく (たえしのぶ)。
触の楽 接触による快楽。
道を増す 仏道に向かう心を増進させる。
無分別の類 分別の意識のないもの。
五類 地じ・水すい・火か・風ふう・空くう。 五大ともいう。
水穀の身 水を飲み穀物を食べて生きる身。
善悪の業縁 善悪の行為によって、 苦楽の果報を得ること。
探湯不及の情 悪をさけ善を求めるこころ。 悪を見れば熱湯に手を入れてすぐひっこめるようにこれをさけ、 善を見れば及ばずとも求めたいと思うこと。 もと ¬論語¼ 季氏きし篇へんに出る。
影 極楽の荘しょう厳ごんにうつしだされる十方世界のすがた。
馨香芬烈 香気をつよく放っていること。
次いでをもつて… 順序正しく華が消え去り。
葉 はなびら。
経 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬大だい阿弥陀あみだ経きょう¼ ¬平びょう等覚どうがく経きょう¼ 等の取意の文。
剋念…往生を得て 親鸞聖人は 「剋念して生ぜんと願ぜんものと、 また往生を得るものとは」 (加点本訓) と読まれ、 現生げんしょう正定聚しょうじょうじゅの意を示された。
不朽薬 ものを朽ちさせない薬。
瀾れず くさらない。
善住持 浄土をよくささえたもつはたらき。
もしは胎… →四生ししょう
経 引用は ¬法ほっ句く譬喩ひゆ経きょう¼ ¬出しゅつ曜よう経きょう¼ 等の取意の文。
苦器 苦しみの容器。
悩端 悩みのはじめ、 糸口。
女人及根欠二乗種不生 →補註10
譏過 ¬浄土論¼ (底本) には 「譏嫌過」 とある。
諸天の器を… 六欲天等の天界では、 同じ器に同じ食物を盛っても、 食するものの福徳の因縁いんねんによって色が変化するという。 もと ¬維ゆい摩ま経ぎょう¼ に出る。
足の指… 不浄な心をもつものには瓦が礫れきにしか見えない世界も、 仏眼ぶつげんをもって見れば黄金の世界であることを、 釈尊が足の指で地をおさえて見せられたこと。 もと ¬維ゆい摩ま経ぎょう¼ に出る。
本は… →本則ほんそく三三さんざんの品ほん
所須の供養の具 供養に必要な品。
自在の位 菩ぼ薩さつの十じゅう地じの位のうち八地以上の位をいう。
能神のひと 神通じんずう力りきをもつ人。 阿弥陀仏のこと。
境 境は対境の意。 智慧ちえによって観知される対象のこと。
十六句 第一の荘しょう厳ごん清浄しょうじょう功徳をのぞく荘厳量功徳などの十六の荘厳をいう。
器浄 国土荘厳の清浄。
総別 国土荘厳十七種のうち、 第一の荘厳清浄功徳を総とし、 他の十六を別という。
建章 「願生偈」 の発端の章。
無為能為の身 無為むいにして能よく為なす身。 空理に達してしかも利他を行ずる仏身。
三空不空の痼 空、 無相、 無願 (三空) の空理にとらわれることは、 真の空ではないこと (不空) をいう。 真空しんくう妙有みょううを知らない小乗を批判したもの。
根敗 大乗の無上のさとりを求める心がすたれることを、 草木の根がくさることに喩えていうもの。
三千 三千さんぜん大千だいせん世せ界かいの略。
無反無復… 思いかえしてふたたび大乗のさとりをもとめる心をおこすことがないこと。 ¬註ちゅう維ゆい摩ま経ぎょう¼ に 「凡ぼん夫ぶに反復の名あり、 二乗に根敗の恥あり」 などとあるのによるか。
かの生の理を体する 無生の生の道理を体得する境界が浄土であるという意。
総相 全体に通ずる普遍的な性質。
上品生 ¬観経¼ に説かれる九品往生のうち、上品上生、上品中生、上品下生のものをいう。 →九く品ぼん
惑ひ 実体的な消しょう滅めつがあるという惑い。
浄摩尼珠 摩尼まに宝珠ほうしゅのこと。
生見 実の生ありとする生にとらわれる心。
無生の智 不生ふしょう不ふ滅めつの理をさとる智慧ちえのこと。 →無む生しょう
衆 ¬浄土論¼ (底本) には 「大衆」 とある。
凡夫の衆生は… →補註6
身見 自己を実体視する誤った見解。
言教不行の苦 自己の主張が、 他人に受けいれられない苦。
無名聞の苦 名声があがらない苦。
実相に入れば… 無相の実相じっそうにかなう心は無む分別ふんべつ智ち (無知) である。
石の蛭 山蛭やまひる。
甘刀 よく切れる刀。 利刀。
有知無知 知覚があるかないか。
聖心 聖者の心。 凡心 (凡ぼん夫ぶの心) に対す。
幻化 幻術によってあらわしだされたもの。 まぼろし。
人餐を輟めて… 人が自らの食事を節約して士を養っても、舟の中でそのものに殺されるという血なまぐさいできごとが起るということ。 もと ¬呉ご越えつ春秋しゅんじゅう¼ ¬魯ろ子し春秋しゅんじゅう¼ に出る 「慶けい忌きの故事」 を引いたもの。 は 釁きん (血ぬる) の俗字。
自在神力 自由自在の不思議な力。
願もつて… 因いん位にの願は果上の力を成就し、 かつ果上の力は因位の願のままにはたらくという意。
八地 菩薩の階位の第八地。 →十じゅう地じ
上地 ここでは八地以上の菩薩のこと。 →十じゅう地じ、 菩ぼ薩さつ
菩薩七地の… 菩ぼ薩さつの陥る七しち地じ沈空ちんくうの難なんをいう。
大寂滅 一切の法は本来空くう寂じゃくであるという空理。
常倫…修習せん 「常倫諸地の行」 とは、 常なみの菩薩が漸次に経過する十じゅう地じのそれぞれの修行のこと。 親鸞聖人は 「常倫に超出し、 諸地の行現前し、 普賢の徳を修習せん」 (加点本訓) と読まれた。
百囲 囲は長さの単位。 一囲は両手を広げてひと囲みの長さ。 なお、 異本には 「囲」 の字を 「歳」 とするものもある。
羅漢を一聴に証し 一度の説法で阿羅漢果あらかんかを得させたことをいう。 ¬大智度論¼ に出る。
無生を終朝に制する 終朝は夜明けから朝食までの間のこと。 朝のあいだに無む生しょう法忍ぼうにんに至らせる。
宜なり しかたのないことである。
化 阿弥陀仏の教化。
長幼に同ずることを恐る 長幼は年長者と年少者の順序。 阿弥陀仏と聖者の関係は、 長幼の序というようなものでないことを注意したもの。
如を体して… 真如しんにょの本体のままに行ずるので、 すでにみずから行ずるというとらわれの意識を離れた行である。
つねに三昧にあり 自じ然ねんに禅定ぜんじょうが得られること。 常住三昧、 報生ほうしょう三昧ざんまいに同じ。
卑湿の淤泥 湿ったどろ。
法身は… 無相の法身は一定のかたちにとらわれず、 あらゆる形をあらわしてすべてに応じてという意。
玄籍弥く布けり 玄籍は幽玄な書籍の意で、 ここでは仏教の経典のこと。 仏の教説が広く行きわたること。
冥権謀なくして… 冥権は仏・菩薩のはかりしれない権 (てだて)。 はからいをせずとも、 すべてにかなうはたらきをするということ。
観行の体相 観察かんざつの対象となる浄土、 仏および菩薩の荘厳相しょうごんそうを明かす。
無因と…あらざる 浄土は清浄しょうじょう願心によって成就したのだから無因ではなく、 願心以外に因はないから、 他因の有でもない。 願心荘厳の正縁起しょうえんぎの世界であることをあらわす。 なお親鸞聖人は 「因なくして他の因のあるにはあらず」 (加点本訓) と読まれた。
三句 一いっ法ぽっ句くと清浄しょうじょう句くと真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんを指す。
真智は無知なり 真智は実じっ智ち、 如実智ともいい、 無む分ふん別べっ智ちのこと。 すべてのものの本質ありのままが平等で不二であることをさとる智。 無知とは、 すべて因いん縁ねんによって生じたものは実体がなく空くうであるから、 対象的に知るということもないという意。
百非の喩へざるところ 言語で表現することができないということ。 相対的に論じられないという意。
正定の聚 →正定しょうじょう聚じゅ
不二の心 広(有)略(空くう) 不二の実相をさとる智慧ちえ。 それはまた観ぜられる対象 (境) の徳すなわち実相じっそうと、 観ずる心とが境智不二となった心でもある。
施与…向かふなり 親鸞聖人は 「施与したまひて、ともに仏道に向かへしめたまふなり」 (信文類訓) と読まれた。
進むを知りて退くを守る →知ち進しん守しゅ退たい
畢竟常楽の処 究極的な常住安楽の境地。
省みる 省察する。 知る。
初禅二禅三禅 色界しきかいの四し禅ぜん天てんのうちの初めの三。 この禅ぜん定じょうに入る時にはこころに楽を生ずるが、 第四禅天になると不苦不楽であるという。
生ずれば 親鸞聖人は 「生ぜしめて」 (証文類訓) と読まれた。
出没自在 衆しゅ生じょうを救うために、 自由自在に十方世界へあらわれることができるということ。 また自利利他が自在であるということ。
成就するをいふなり 親鸞聖人は 「成就したまへりとのたまへりと」 (証文類訓) と読まれた。
入出 入とは浄土に入ること。 出とは衆生を救うために他方世界に出ること。 入は自利じり、 出は利他りたにあたる。
示現す 親鸞聖人は 「示現したまふなり」 (加点本訓)、 「示現せしむ」 (証文類訓) などと読まれた。
自娯楽の地 衆生の教化をみずからの楽しみとする地位。
観仏国土清浄味 法ほっ性しょうにかなった浄土の清浄な徳 (清浄しょうじょう功く徳どく) を観ずる法味。
摂受衆生大乗味 衆しゅ生じょうをおさめとって大乗のさとりを得させる徳 (大だい義ぎ門もん功く徳どく) を観ずる法味。
畢竟住持不虚作味 浄土に生まれた者が仏の虚こ妄もうならざる力用りきゆうによって安らかに保持されている徳 (不ふ虚作こさ住じゅう持じ功く徳どく) を観ずる法味。
類事起行願取仏土味 諸仏を供く養ようし、 衆生を化度けどし、 無仏の世界に三宝さんぼうをひろめる菩薩の徳 (菩ぼ薩さつ四し種しゅ功く徳どく) を観ずる法味。
法華経の普門示現 ¬法ほ華け経きょう¼ 「普門品ふもんぼん」 に観音菩薩が衆しゅ生じょうの諸難を救い、 諸願を満たすに、 三十三身等の種々の形を現して説法されるとある教説を指す。
度無所度 大菩薩は、 衆生が本来空であることをさとるから、 衆生を済さい度どしても済度しているというとらわれの思いが全くないということ。
現ずる 親鸞聖人は 「現じたまふ」 (行文類訓) と読まれた。
五念門 ¬浄土論¼ (底本) には 「五門」 とある。
得る 親鸞聖人は 「得たまへる」 (行文類訓) と読まれた。
得る 親鸞聖人は 「得たまへる」 (行文類訓) と読まれた。
理を窮め性を尽して 自じ然ねんの理法や人間の本性を知りつくすこと。 もと ¬易経えききょう¼ の説せつ卦かに出る。 ここでは真しん如にょ法ほっ性しょうの理をきわめ尽すという意。
法相のごとくして 存在のありのままのすがたにかなって。
十方の無礙人 十方世界の諸仏を指していう。
自利…ゆゑなり 親鸞聖人は 「もって自利利他成就したまへるがゆゑに」 (行文類訓) と読まれた。
覈に… 以下は古来、 「覈かく求ぐ其ご本ほん釈じゃく」 と呼ばれ、 他力の本義を示すものとして重要視される。
他利と利他 如来の救済を衆しゅ生じょうからいえば他 (仏) が利すといい、 仏からいえば他 (衆生) を利すという。 ここでは仏の方から語るので利他というと釈したのである。
左右 相違。 区別。
いま的らかに… 「三願さんがん的てき証しょうの文」 といわれる。 第十八・十一・二十二願をあげて、 衆生の往生成仏の因も果も他力によるものであることを示す。
常倫…修習せん 親鸞聖人は 「常倫に超出し、 諸地の行現前し、 普賢の徳を修習せん」 (行文類訓) と読まれた。
驢 ろば。
愚かなるかな 異本には 「遇かな (まうあへるかな・さいはひなるかな)」 とある。
能入 信によってこそ仏法に入ることができるという意。
服膺の事已ることを表す 仏説を信受しおえたという意。
帰礼 帰き命みょう礼拝らいはい。
述作の… 経を述べる人と論を作った人はことなるが、 巻首と巻末の形式が相応じているということを示す例である。
底本は◎本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 大きな相違を†、小違および加は緑茶・減は灰で示したˇ。 Ⓐ高野山寶壽院蔵鎌倉時代書写本(上巻)、 Ⓑ大阪府金剛寺蔵保延四年書写本(下巻)、 Ⓒ山口県常満寺蔵室町時代刊本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
論ジテ曰ク。→○論曰ハ、
曰→Ⓓ曰[已下]
示↧現ス…見タテマツルコトヲ↦…↥。願ズルガ↠…→○示↧現スルガ…見タテマツリ↢…↡、願ズルコトヲ↞…
者 ◎Ⓒになし
如来ニ徳→○如来ノ徳ニ
此ニ→○此 レ
穏→ⒷⒸ隠
恵→Ⓒ慧 ○恵を慧と上書訂記
恵→Ⓒ慧
応ニキガ↠受ク…故ニ→○応ゼリ↠受クルニ…。故ニ
言語ノ道過ギタリ→○言語道過セリ
過→Ⓑ慮
如クシテ↢涅槃ノ相ノ↡不動ナリ→○如シ↢涅槃ノ相ノ不動ナル↡
不ズ↣必ズシモ有ルニ↢…↡→○不ズ↣必有ラ↢…↡
如実ニ→○如ク↠実ノ
有リ↧…憶念スレドモ而…者↥。→○有レ↢…憶念スルコト↡而ドモ…者、
在リテ而→○在ゾン而ジテ
者→Ⓑ也
為物→○為ノ↠物ノ
心 Ⓑになし
建↢言ス→○建ハジメニ言ノタマヘリ↢
如指 Ⓑになし
日→Ⓓ月
便→Ⓑ使
得トイハバ…者→○得ル…者ハ
如シ↣…云フガ↢…句ヲ↡。→○如シ↢…云ガ↡、…句ナリ。
呪→Ⓑ死(呪歟と右傍註記)
一→Ⓑ切
瓜→Ⓑ叢
慰→ⒸⒹ熨
引 Ⓑになし
法→Ⓑ法[異]
↢於前ニ↡→○↠於↠前
如キ↢…指スガ↟日ヲ等ノ名→○如キ↢…指フル↠日ヲ等ラノ名ノ↡
作シ↠願ヲ→○作願シタマヘリキ
専ラ念ズ↣…往↢生セムト…↡。→○専念シテ…往↢生シテ…↡、
如キヲモ↢人ノ…不ルガ↟→○如人ノ…不ルオモ↠
名 Ⓑになし
合→Ⓓ今
→Ⓒ慧 ○恵を慧と上書訂記
ズ…。→○ズルコトハ…、
想→Ⓓ相
セバナリ→○ス
如シ↢…名ノ不ルガ↟…→○如キ↢…名ノ↡不ル↠…
スル者モ→○スレ者バ
如実功徳 Ⓑになし
タテマツリ…、→○タテマツル…。
得↠証スルコトヲ↢…→○得↢証ス…
ナルヲ→○ナル、
為ス↠…。→○為シテ↠…、
二→Ⓒ一
作↣願スルナリ…往↢生セムト…↡→○作願シテ…往↢生セシメムトナリ…↡
得↢…毘婆舎那ヲ↡、…成就スレバ→○得テ↢…毘婆舎那…成就スルコトヲ↡
婆→Ⓑ鉢
得 ◎Ⓒになし ○右傍補記
重→Ⓑ種
如キニ↢…性ノ↡…法ナルガ→○如キノ↢…性ノ…法ナルガ↡
第 Ⓑになし
統ベテ→○統ジテスベテ
可 Ⓑになし
所摂ナリ→○所ラレタリ↠摂セ
「如キニ↢…性ノ↡…相対トイフ」者→○「如キト↢…性ノ…相対ノ↡」者イフハ
福ス↢衆生ヲ↡→○福トス↢衆生ノ↡
斎→Ⓒ
置キテ↢…於…ニ↡→○置キテ↣…於ニ↢…↡
竿→Ⓑ于
雨ラシテ→○雨フリテ
之→Ⓑ如此
須→Ⓑ願
片↢取シテ…↡→○片カタハラニ取リテ↢…↡
彼 Ⓑになし
妙 Ⓑになし
諸→Ⓑ借
満足 Ⓑになし
不→Ⓑ不[可]
続キテ提釈ス→○続ゾクツグ提テイシテササグ 釈ス
有リテ↢…人↡…成就スルモ→○有リテ↢…人ノ…成就セル↡
界 Ⓑになし
則→Ⓒ即
是 Ⓑになし
項→Ⓓ頃
当ニシ生ル→○当ニ生レム
曰→ⒷⒹ言 ○曰を言と上書訂記
嚮→Ⓒ響
也 Ⓑになし
欲スレバ↠令メムト↠无カラ、儵焉トシテ化没ス。→○欲ヘバ↠令メムト↠无カラ↢儵焉タチマチニ化没↡、
有→Ⓑ有[為]
ナリ。而ルニ→○ナレ而ドモ
応シ…。而ルニ→○応ベケレ…而ドモ
事ハ→○事コト
染スル…者ハ→○染スレ…者バ
所謂ル→○所ユ↠ル謂イハ
取リテ↣有リテ而可キヲ↢荘厳ス↡→○取リ↠有ヲ而テ可シ↢荘厳ス↡
当ニシ↠有ル↢所以↡→○当ニキ↠有ル所以 ユヘ ナリ
交→◎災
錯→Ⓑ飾
復 Ⓑになし
聞→Ⓒ聞[衆]
腰→Ⓑ膝
水即至頚 Ⓑになし
輒→◎Ⓒ転
灡→Ⓓ瀾
詳→Ⓓ祥
揚グ↢无量自然ノ妙声ヲ↡。→○揚アガリテ无量ナリ。自然ノ妙声
慧→○ⒷⒹ恵
蘭→ⒸⒹ欄
事 Ⓑになし
荘厳具足セリ。此ノ荘厳ノ事ハ→○荘厳シ↢具足セリ↣此ノ荘厳ノ事ヲ↡。
現ズ。彼ノ中ノ人天、→○現ズ↢彼ノ中ノ人天ヲ↡。
探湯 ○探湯を称揚と右傍註記
湯→Ⓑ陽
不及→○不↠及
以テ↧照ス↢法性等ヲ↡宝ヲ↥→○以テ照シテ↢法性等ノ宝ヲ↡
↢于東方万八千土ヲ↡→○↠于ヲ↢東方万八千土↡
所↠趣ク→○所趣
於テ↠此ニ→○於ニ↠此コヽ
嚮→ⒸⒹ響 ○嚮を響と下欄註記
習→Ⓑ皆
快→◎Ⓒ决
勲→Ⓓ薫
蹈ミ下ルコト→○蹈クボミ下イルコト
蹈→Ⓓ陥
反→Ⓓ返
遍→ⒷⒹ満
葉→ⒸⒹ華
煒燁→Ⓓ暐曄
慧→ⒷⒹ恵
安↢立セシメタマフト…於仏ノ正道ニ↡→○安↣立セシメタマフ…於ニ↢仏ノ正道↡
則→Ⓑ則[則] ○則を即と上欄訂記
水→Ⓓ外
瀾→Ⓑ灡
即→ⒷⒹ則
衆→Ⓒ界
生→Ⓓ生[水]
干→◎Ⓒ于
為リ↢兄弟↡→○為スル↢兄弟ト↡
所↠資クル→○所資
苦→Ⓑ共
過 ○過を嫌と上書訂記
↠離ルト↢体ノ譏嫌ヲ↡→○↢離体譏嫌ト↡
↠離ルト↢名ノ譏嫌ヲ↡→○↢離名譏嫌ト↡
三種アリ→○有リ↢三種↡ 有は上欄補記
共ニスレドモ↠器ヲ→○共器ニハ
而 Ⓑになし
按ズルニ↠地ヲ→○按アンジテ↠地ニ
按→Ⓑ案→Ⓓ安
溜→Ⓑ謂 Ⓓ水と左傍註記
澠 Ⓓ水名と左傍註記
及ブマデ↢…ニ↡→○及ビ…
食→◎Ⓒ食[石]
短→Ⓑ掟
ク…。→○キテ…、
須弥之→○須弥ヲ之ヲ
毛孔之→○毛孔ニ之ヲ
句 Ⓑになし
建→○建ハジメノ
一 ◎ⒷⒸになし
明ス↢…非ザルコトヲ↟…也→○明アキラケシ…非ル…也
永→Ⓒ身
亡→Ⓑ已
体スル↢夫ノ生ノ理ヲ↡→○体夫レ生ズ↠理ヨリ
何ナル→○何 ヅレノ
衣花ノ香薫ヲ→○衣花香ノ薫ヲ
土→Ⓑ生
大 Ⓑになし
土→Ⓑ刹
生ズトモ生ゼム↠惑ヲ→○生ゼムヲヤ↢生ノ惑マドヒヲ↡ 或を惑と上書訂記
惑→◎Ⓒ或
殊→ⒷⒹ珠 ○殊を珠と上書訂記
号 ○號を号と上書訂記
死→Ⓓ死[之]
是→Ⓑ如浄 ○是とあるを抹消し如浄と右傍補記
(是…)如クナリ↢…↡→○(如シ↧…)如クナルガ↦…↥
於水ニ↡→○於ニ↟水
珠→Ⓒ殊
(投↧)…於所ノ↢往生スル↡者ノ心水ニ↥→○(投↣)…於ニ↢所往生ノ者ヒトノ心水↡
種→Ⓓ種[相]
何トナレバ者→○何 ニ者 ノカ
依→Ⓑ作
群→Ⓑ郡
響→Ⓐ嚮
ニ以テ↠造ルヲ↠…→○ヲシテ以造リテ↠…
以 Ⓑになし
↢于因縁ニ↡→○↠于ニ↢因縁↡
窮→Ⓑ家
治ス。衆生ハ→○治ストイフハ↢衆生ヲ↡
捐→◎ⒷⒸ指→○捐ケンキラヒ
庳→Ⓑ片→○片ペンキラフ
是→Ⓑ是[諸]
亦→◎Ⓒ欠
在レバ↢因縁ニ↡→○在ルハ↢因縁↡
↢无知ナラ↡→○↠无カラ↠知
有知ナレバ→○有レバ↠知
若 Ⓑになし
知ル知ナレバ、即チ无知也→○知ナリ、知即无知ナリ也
言フ↢…无シト↟所↠不ル↠知ラ。若シ无ケレバ↠所↠不ル↠知ラ者→○言イハ↧…无シ↢所トシテ不ルコト↟知ラ、若无シト↦所トシテ不ルコト↞知ラ者バ
像→Ⓓ象
足→Ⓑ之
当ニシ↧…顕ス↦…義ヲ↥→○当ニ…顕ス↢…義ヲ↡
有リ↧…起リ↢…↡、…不ルコト↞…→○有リ↣…ツミ↢起オコスコト…↡、…不ズ↠…
非ズ…。→○非ザルコト…、
由リテ↢…業ノ作ナルニ↡不ル↠…也→○由リテ↢…業ヲシテ作シテ不ルニ↟…也
在→Ⓑ然
徒然 左Ⓑイタヅラ シカラシム
苻→Ⓓ符
得テ↠証スルコトヲ↢→○得↢証シテ
无キ→○无マシマサヌ
也 Ⓑになし
須 Ⓑになし
心→Ⓑ心[為]
願ジテ生ズレバ→○願ジテ↠生ゼムト
級 Ⓑになし
逕…、→○逕フ…。
曰→ⒷⒹ曰[言] ○言と右傍補記
不ズハ↢即等ニ→○不ハ↢即チ等シカラ↡
何ゾ待タム↠言フコトヲ→○何ヲ待マチテカ言フ
地→Ⓑ地[諸]
仮ラム↠言フコトヲ→○仮 リニ言ハムヤ
超↢出シ常倫諸地之行ヲ↡、現前ニ→○超↢出シ常倫ニ↡諸地之行現前シ、
於ケル→○於シテ
地ニ生ズルコト→○地ヨリ生ジテ
囲→ⒷⒹ歳 ○囲を歳ナラムと左傍訂記
具セリ、→○具ニ
長ズルコト→○長タケノ
高→ⒷⒹ長 ○高を長タケヲと右傍訂記
↢…於一聴ニ↡→○↣…於ニ↢一聴↡
↧…↦…於終朝ニ↥→○↫…↪…於ニ↩終朝↨
宜ウベ→○宜ヨロベ シカルキ
知リヌ↢…具足シテ応キコトヲ↟為ル↢人天ノ大師↡。堪ヘタル↠受クルニ↠化ヲ者ハ是誰ゾ↡→○知リヌ↢…具足セルコトヲ↡、応シト↢為人天ノ大師トシテ堪タエタル↠受クルニ↠化ヲ者ヒトハ是レ誰 レナル↡
恐ル↠→○恐クハ
成ジ已リヌ→○成ゼル也ナリト 已を也と上書訂記
以テ↢一ノ正ヲ↡→○以テ↠一正シク
統ブ→○統カヌ
終→Ⓑ洛
厳→Ⓑ厳[身業已知]
幼→Ⓑ幻
未ダレバ足ラ↣以テ明スニ↢不動ヲ↡→○未 ズ ダ足ラ、以テ↢明カニシテ不動ナルヲ↡
隆→◎際
所↠作ス→○所作ニ
照シテ↢諸仏ノ会ノ大衆ヲ↡→○照ス↢諸仏ノ会ヲ↡。大衆
群→◎ⒶⒷⒸ郡
无クト↠余スコト→○无余トイフ
明ス↧…无キヲ↞…→○明ニ…无キ↠…
殊形→○殊コトニス↠形ヲ、
並ビ応ジ、至韻ハ→○並ナラビニ↢応ズ↢至韻ヰンニ↡。
无キ↢三宝↡→○无三宝ノ
↠所↠不ル↠法ナラ→○↢所トシテ不ルコト↟法ナラ
↠所↠不ル↠善ナラ→○↢所トシテ不ルコト↟善ナラ
説ケリ↣観↢察スルコトヲ…ヲ↡→○説トキツ↢観察…ヲ↡
非ザルヲ↦无因ト他因ノ有ニハ↥→○非ザルナリト↦无クシテ↠因他ノ因ノ有ルニハ↥
略シテ説クガ↠入コトヲ→○略説シテ入ルガ
入ルヲ↢一法句ニ↡→○入一法句ヲ
統ブルニ→○統ツウズルニ
名→Ⓑ名[之]
智→Ⓑ知
目→Ⓑ自
非スル↢于非ヲ↡→○非↠于ニ↠非
非スル↠非ヲ→○非非
无ナミスル↠非ヲ→○无キ↠非
无キモ↠待スルコト→○无シ↠待マツコト
喩→Ⓑ兪
清浄句 Ⓑになし
謂フ↢…法身ヲ↡→○謂ク…法身
故 Ⓑになし
言フ↠→○言イフコヽロハ
如 ◎○ⒷⒸになし
(如キ↢…)説クガ↡十七種ノ荘厳仏土功徳成就ナリ→○…説キツ↢十七種ノ荘厳ト仏土功徳成就ヲ↡
説→◎設 上書訂記
衆生世間清浄者 Ⓑになし
句 Ⓑになし
浄→Ⓓ浄[義]
報→◎Ⓒ法
用 Ⓑになし
不ズ…。所以ニ→○不ザル…所以ヲ
得一不 Ⓑになし
成ズ。无シ↢余ノ境界↡→○成ズ↢无余ノ境界ヲ↡
持戒破戒皆→Ⓑ亦
為ル↢七宝ノ所ト↟属スル→○為 メニ↢七宝ノ↡所ラル↠属セ
如→ⒷⒹ如[以]
如実ニ知ルト→○如実知トイフ
知 Ⓑになし
方 Ⓑになし
願作仏心 Ⓑになし
○是 右傍補記
者ハ→○者ハ
言ヘリ↧…欲スルガ↠…故ニト↥→○言フガ↧…欲フト↞…故ニト
凡→Ⓑ凡[夫]
所ノ↠集ムル→○所集ノ
有ラバ↣…不ルコト↢成仏セ↡→○有ラバ↢…不ルコト↟成ラ↠仏ニ
不ト↢作仏セ↡→○不ト↠作ラ↠仏ニ
方 Ⓑになし
彼 ⒷⒹになし
未ダルニ↢尽ク成仏セ↡、→○未 ズ ダ↠尽ツキ、成仏セバ
→◎ⒷⒸ擿
歴→Ⓑ摩
後ニシテ…而モ→○後ニ…而シテ
巧 Ⓑになし
知リテ↢廻向ヲ↡成就スレバ→○知リテ↢廻向成就ヲ↡
我心ヲモテ→○我ガ心
↧无キ↠安ズルコト↢衆生ヲ↡心ヲ↥→○↢无安衆生心ヲ↡
就→Ⓓ就[即能] ○即能と右傍補記
憐愍スル…心ナリ。→○憐愍シテ…、心
↧…随↢順スル菩提門ニ↡法ノ…↥→○↢…随順菩提門ノ法…↡
外 左Ⓓホカニス
順ズルナリ↢菩提門ニ↡→○順ズル↢菩提ニ↡門ナリ
順ズルナリ↢菩提門ニ↡→○順菩提門ナリ
国土 Ⓑになし
言ヘリ↩「…故ナリト」↨→○言ク「…故ニト」
随↢順ズル菩提門ニ↡法ノ→○随順菩提門ノ法
恵→Ⓒ慧
省ミル→○省ハブク
応ジテ而モ→○応而ジテ
応シトイフ↠知ル→○応知トイフ
応シトイフ↠知ル→○応知トイフト
説ケリ↪遠↢離シテ我心ヲ↡不ルト↠貪↢着セ自身ニ↡、遠↧離スルト无キ↠安ズルコト↢衆生ヲ↡心ヲ↥、遠↩離スルトヲ供↢養シ恭↣敬スル自身ヲ↡心ヲ↨→○説キツ↢遠離我心不貪着自身、遠離无安衆生心、遠離供養恭敬自身心ヲ↡
遠↧離ス障フル↢菩提ヲ↡心ヲ↥→○遠↢離スルナリ障菩提心ヲ↡
悪→Ⓑ累→Ⓓ黒
三種ノ不遠離ハ、…心ナリ→○三種ハ不ズ↧遠↦離セ…心ヲ↥
提→Ⓑ薩
恵 Ⓑになし
而→→Ⓑ而[能]
是遠↢離スルト我心ヲ↡、遠↢離スルト无安衆生心ヲ↡、遠↢離スルトナリ自供養心ヲ↡→○是ハ遠離我心、遠離无安衆生心、遠離自供養心ナリ
↧…随↢順シ五種ノ法門ニ↡…↥→○↢…随順五種ノ法門…↡
随↢順スルガ法門ニ↡→○随順ノ法門ナルガ
門 Ⓑになし
随ヒテ↠意ニ自在ニト→○随意自在トイフ
言フ↧…自在ナルヲ↥→○言フコヽロハ…自在ナル
言フナリ↧…成就スルヲ↥→○言フコヽロハ…成就セルナリ
屋 Ⓑになし
→◎Ⓒ寓
釈シテ言ク、入第一門ト→○釈ニ言イフ↢入第一門ト↡
仏→Ⓑ彼
一心専念ニ→○一心ニ専念シ
作↣願シ生ゼムト↢…↡→○作願シテ生ジテ↢…↡
智 Ⓑになし
国 Ⓑになし
専念ニ観↢察シ…↡→○専↢念シ観↣察シテ…↡
毘→◎略
得↧到リテ…受↦用スルコトヲ…↥→○得テ↠到ルコトヲ…受↢用ス…↡
受 Ⓑになし
門 ○抹消 ⒷⒹになし
遊戯シ、神通モテ→○遊↢戯シ神通ニ↡、
示シテト↢応化身ヲ↡→○示応化身トイフ
如ク↢…搏ウツガ↟…所↠為ス不ルコト↠難カラ→○如シ↢…搏ウツニ↠…所為不ルガ↟難ハヾカラ、
師→Ⓓ獅
而 Ⓑになし
観ズルニ↢衆生ヲ↡…无シ↢所有↡。→○観ジテ↣衆生ハ…无シト↢所有↡、
↠度スルヲ↢衆生ヲ↡→○↢度衆生ヲ↡
者謂応知 Ⓑになし
則→Ⓑ有
ス。→○シテ、
↣速ニ得ルト↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡→○↢速得阿耨多羅三藐三菩提ト↡
↢…作仏スルコトヲ↡→○↢…作ルコトヲ↟仏ト
統ベテ而→○統カネ而テ
念 Ⓑになし
提→Ⓑ提[是]
智→Ⓒ知
等→Ⓑ等[二]
↤速ニ得ト↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡→○↢速得成就阿耨多羅三藐三菩提ト↡
言ヘリ↧…ト↡→○言ハク、…
自リシテ↠仏而→○自オノヅカラ仏ヲ而シテ
自リシテ↢衆生↡而→○自オノヅカラ衆生ヲ而シテ
↢此ノ意ヲ↡→○、此ノ意
利他→Ⓑ他利
薩→Ⓑ提
的アキラカニ→○的ヒトシク
乃チ至ルマデセム↢十念ニ↡→○乃至十念セム
十念ノ念仏ヲモテ→○十念ス。念仏スレバ
勉→Ⓓ免
聚 Ⓑになし
来生→Ⓑ生来
超↢出シ常倫諸地之行ヲ↡、現前ニ→○超↢出シ常倫ニ↡諸地之行現前シ、
↣超↢出スルヲ常倫諸地ノ行ヲ↡→○↧超↢出シ常倫ニ↡諸地ノ行ヲ↥
如シ↧人ノ…遊ブガ↦…↥→○如人ノ…遊ブ↢…↡
力 Ⓑになし
驢→◎Ⓒ
不→Ⓑ不[不]
従→Ⓒ徒
行→○行アルキ
愚→ⒷⒹ遇
憂→ⒷⒹ優
婆→Ⓑ波
彰ス↣信ヲ為スコトヲ↢…↡→○彰アラハシテ↠信ヲ為ス↢…↡
表ス↢…事已ルコトヲ↡→○表シ↢…事ヲ↡已リヌ
生 ◎ⒷⒸになし
礼→Ⓑ水
示ス↢…理畢ルコトヲ↡→○示シ↢…理ヲ↡畢リヌ
以下、 宗祖真筆の跋文。 漢文の底本◎にない。 ○による。 書き下しは有国。
向 ○右傍補記