無量寿経むりょうじゅきょう優婆うば提舎だいしゃ願生偈がんしょうげ

*婆藪ばそばんさつぞう *こう*だい留支るしやく

後魏 中国南北朝時代の北朝の一。 ほくともいう。 439年、 華北 (中国北部) を統一し、 534年東西に分裂した。

総説分 三念門

相含三念

【1】  そんわれ一心いっしん*尽十方じんじっぽう無礙むげ光如来こうにょらいみょうしたてまつりて

世尊我一心  帰↢命尽十方

 原漢文の底本は京都常楽寺蔵存覚写本。 摂津毫摂寺蔵永享九年刊本、 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本と対校。

*安楽あんらくこくしょうぜんとがん

 無光如来↡   願↠生↢安楽国↡

成上起下

【2】  われ*しゅ多羅たら真実しんじつ徳相どくそうによりて

我依↢修多羅   真実功徳相↡

*がんきて*そうし、 仏教ぶっきょう相応そうおうせん

願偈を説きて総持し 親鸞聖人は 「願偈総持を説きて」 (行文類訓) と読まれた。
総持 ここでは広博な経の文章を総摂そうしょうして短いのなかにおさめたもつという意。

説↢願偈総持↡   与↢仏教↡相応

説願偈総持 返り点は聖教全書まま。 「願偈総持を説きて」。

◎総説分 観察門

1. 国土功徳十七種

【3】  かのかいそうかんずるに、 *三界さんがいどう勝過しょうがせり

観↢彼世界相↡   勝↢過三界道↡

究竟くきょうして*くうのごとく、 広大こうだいにして辺際へんざいなし

究竟如↢虚空↡   広大無↢辺際↡

*正道しょうどうだい慈悲じひ*しゅっ善根ぜんごんよりしょう

正道 平等の大道。 一如いちにょ平等のさとり。
出世の善根 迷いの世間を超え出た煩悩ぼんのうのけがれのない善。

正道大慈悲    出世善根生

浄光明じょうこうみょう満足まんぞくせること、 かがみ*日月輪にちがつりんとのごとし

浄光明満足    如↢鏡日月輪↡

日月輪 太陽と月のこと。

もろもろの珍宝ちんぽうしょうそなへて、 妙荘厳みょうしょうごんそくせり

備↢諸珍宝性↡   具↢足妙荘厳↡

*無垢むく光炎こうえんさかりにして、 明浄みょうじょうにしてけんかがやかす

無垢光炎熾    明浄曜↢世間↡

*宝性ほうしょうどくくさ柔軟にゅうなんにして左右さうめぐれり

宝性功徳の草 いろいろな宝よりできている浄土のしょうごんのやわらかな様子を草に喩える。

宝性功徳草    柔左右旋

(外字) 本願寺蔵版、 大派依用本では 。 以下同。

るるもの*勝楽しょうらくしょうずること、 *せんりんぎたり

勝楽 きよらかですぐれた楽しみ。
迦旃隣陀 梵語カーチリンディカ (kāciln1ika) の音写。 迦栴隣陀とも音写する。 曇鸞どんらん大師は印度にある柔かな草の名としている。

 触者生↢勝楽↡   過↢迦栴隣陀↡

ほう千万種せんまんじゅにして、 せん*弥覆みふせり

宝華千萬種    弥↢覆池流泉↡

ふうよううごかすに、 交錯きょうさくしてひかり*乱転らんでん

乱転 きらきらと輝いていること。

 微風動↢華葉↡   交錯光乱転

殿でん・もろもろの楼閣ろうかくにして、 十方じっぽうること無礙むげなり

宮殿諸楼閣    観↢十方↡無

雑樹ぞうじゅ光色こうしきあり、 *宝欄ほうらんあまねく*にょうせり

圍繞 ひろくめぐらされていること。

 雑樹異光色    宝欄遍囲遶

 毫摂寺本では 。 以下同。

りょうたから交絡きょうらくして、 *もうくうにあまねし

無量宝交絡    羅網遍↢虚空↡

種々しゅじゅすずひびきをおこして、 妙法みょうほうおん

 種種鈴発↠響   宣↢吐妙法音↡

とをあめふらして荘厳しょうごんし、 りょうこうあまねくくん

雨↢華衣荘厳↡   無量香普薫

ぶっ明浄みょうじょうなることのごとく、 *あんみょうのぞ

痴闇冥 愚痴ぐちの闇。

恵明浄日    除↢世痴闇冥↡

 本願寺本では 。 以下同。

*梵声ぼんしょうさとらしむること深遠じんのんにして*微妙みみょうなり。 十方じっぽうきこ

梵声 仏のきよらかな声。
微妙 はかりしれないほど奥深くすばらしいこと。

梵声悟深遠    微妙聞↢十方↡

しょうがく阿弥陀あみだ法王ほうおう、 よく*住持じゅうじしたまへり

正覚阿弥陀    法王善住持

如来にょらい浄華じょうけしゅうは、 しょうがくはなより化生けしょう

如来浄華衆    正覚華化生

仏法ぶっぽうあじはひを愛楽あいぎょうし、 *禅三昧ぜんざんまいじきとなす

禅三昧 →禅定ぜんじょう

愛↢楽仏法味   禅三昧↡為↠食

なが身心しんしんなやみをはなれ、 たのしみをくることつねにしてひまなし

永離↢身心悩↡   受↠楽常無↠間

大乗だいじょう善根ぜんごんさかいは、 ひとしくして*げんなし

譏嫌の名 不快なそしりの名。

大乗善根界    等無↢譏嫌名↡

*女人にょにんおよび根欠こんけつ二乗にじょうしゅしょうぜず

女人および… →補註10

 女人及根欠    二乗種不↠生

しゅじょう*願楽がんぎょうするところ、 一切いっさいよく満足まんぞく

衆生所↢願楽↡   一切能満足

ゆゑにわれかの阿弥陀あみだ仏国ぶっこくしょうぜんとがん

故我願↠生↢彼   阿弥陀仏国↡

2. 仏功徳八種

【4】  *りょう大宝王だいほうおう微妙みみょう*じょうだいあり

無量大宝王 はかりしれない最高にすぐれた宝。 阿弥陀仏を尊んでいう。
浄華台 きよらかなれんでできた仏の台座。

無量大宝王    微妙浄華台

相好そうごうひかり*一尋いちじんにして、 *色像しきぞう群生ぐんじょうえたまへり

一尋 尋は長さの単位。両手を左右に広げた時の長さを一尋とする。 この場合は仏の両手。
色像 すがたかたち。

相好光一尋    色像超↢群生↡

如来にょらい微妙みみょうみこえ梵響ぼんこう十方じっぽうきこ

如来微妙声    梵響聞↢十方↡

*すいふうくうどうじて分別ふんべつなし

地水火風虚空 五大のこと。 →だい

同↢地・水・火・風・ 虚空↡無↢分別↡

てんにん*どうしゅう清浄しょうじょうかいよりしょう

不動 志が堅固で退かないこと。

天人不動衆    清浄智海生

ˆ如来にょらいは〕*しゅせんのうのごとく、 勝妙しょうみょうにしてぎたるものなし

須弥山王 →しゅせん

如↢須弥山王↡   勝妙無↢過者↡

てんにん*丈夫じょうぶしゅう*恭敬くぎょうしてめぐりて瞻仰せんごうしたてまつる

丈夫 すぐれた志をもって精進しょうじんする者。 菩薩のこと。

天人丈夫衆    恭敬遶瞻仰

ぶつ本願力ほんがんりきかんずるに、 ひてむなしくぐるものなし

観↢仏本願力↡   遇無↢空過者↡

よくすみやかにどく大宝海だいほうかい満足まんぞくせしむ

 能令↣速満↢足   功徳大宝海↡

3. 菩薩功徳四種

【5】  安楽国あんらくこく清浄しょうじょうにして、 つねに*無垢むくりんてん

無垢の輪を転ず 煩悩ぼんのうのけがれのない清浄しょうじょう真実の法を説くという意。

安楽国清浄    常転↢無垢輪↡

*ぶつさつしゅ住持じゅうじするがごとし

化仏菩薩 ここでは浄土の聖者たちのこと。

 化仏菩薩日    如↢須弥住持↡

無垢むく荘厳しょうごんひかり一念いちねんおよびいち

無垢荘厳光    一念及一時

あまねく諸仏しゅぶつ*らし、 もろもろの*群生ぐんじょうやく

 普照↢諸仏会↡   利↢益諸群生↡

てんがく妙香みょうこうとうとをあめふらしてよう

雨↢天楽華衣   妙香↡等供養

 返り点は聖教全書まま。 「ひとしく…」

諸仏しょぶつどくさんずるに、 *分別ふんべつしんあることなし

分別の心 わけへだてをする心。

 讃↢諸仏功徳↡   無↠有↢分別心↡

なんらのかいなりとも、 仏法ぶっぽうどくたからなからんには

何等世界無↢   仏法功徳宝↡

われねがはくはみなおうじょうして、 仏法ぶっぽうしめすことぶつのごとくせん

 我願↧皆往生   示↢仏法↡如↞仏

◎総説分 回向門

【6】  われろんつくく。 ねがはくは弥陀みだぶつたてまつり

我作↠論説↠偈   願見↢弥陀仏↡

あまねくもろもろのしゅじょうとともに、 安楽国あんらくこくおうじょうせん

普共↢諸衆生↡   往↢生安楽国↡

【7】無量寿むりょうじゅしゅ多羅たら章句しょうく、 われじゅをもつてそうじてきをはりぬ

無量寿修多羅章句我以↢偈誦↡総説竟。

解義分 願偈大意

観見願生

【8】 ろんじていはく、 このがんはなんのをかかす。 かの安楽あんらくかいかんじて阿弥陀あみだぶつたてまつることをげんす。 かのくにしょうぜんとがんずるがゆゑなり

論曰。此願偈明↢何義↡。示↧現観↢彼安楽世界↡見↢阿弥陀仏↡願↞生↢彼国↡故。

◎解義分 起観生信  五念門

【9】 いかんがかんじ、 いかんが信心しんじんしょうずる。 もしぜんなん善女人ぜんにょにん*念門ねんもんしゅしてぎょう成就じょうじゅしぬれば、 *畢竟ひっきょうじて安楽あんらくこくしょうじて、 かの阿弥陀あみだぶつたてまつることをなんらか念門ねんもん。 一には礼拝門らいはいもん、 二には讃歎門さんだんもん、 三には願門がんもん、 四には観察門かんざつもん、 五には向門こうもんなり

云何観云何生↢信心↡。若善男子・善女人修↢五念門↡行成就畢竟得↧生↢安楽国土↡見↦彼阿弥陀仏↥。何等五念門。一者礼拝門、二者讃歎門、三者作願門、四者観察門、五者廻向門。

1. 礼拝門

いかんが礼拝らいはいする。 身業しんごうをもつて阿弥陀あみだ*如来にょらい*おうしょうへん*礼拝らいはいしたてまつる。 かのくにしょうずるこころ*なすがゆゑなり

礼拝したてまつる 親鸞聖人は 「礼拝したまひき」 (論註加点本訓) と読まれた。
なすが 親鸞聖人は 「なさせんが」 (論註加点本訓) と読まれた。

云何礼拝、身業礼↢拝阿弥陀如来・応・正遍知↡。為↠生↢彼国↡意故。

2. 讃歎門

いかんが讃歎さんだんする。 ごうをもつて*讃歎さんだんしたてまつる。 かの如来にょらいみなしょうするに、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく、 かの*名義みょうぎのごとく、 如実にょじつ修行しゅぎょうして相応そうおうせんとほっするがゆゑなり

讃歎したてまつる 親鸞聖人は 「讃嘆したまひき」 (論註加点本訓) と読まれた。
名義 名号の意義、 いわれ。

云何讃歎、口業讃歎。称↢彼如来名↡如↢彼如来光明智相↡如↢彼名義↡欲↢如↠実修行相応↡故。

3. 作願門

いかんががんする。 *しんにつねにがんし、 一心いっしんにもつぱら畢竟ひっきょうじて安楽あんらくこくおうじょうせんとねんず。 如実にょじつ*しゃ摩他また修行しゅぎょうせんとほっするがゆゑなり

心に…ゆゑなり 親鸞聖人は 「心につねに作願したまへりき。 一心に専念して畢竟じて安楽国土に往生して、 実のごとく奢摩他を修行せんとおもふがゆゑにのたまへり」 (論註加点本訓) と読まれた。

云何作願、心常作願。一心専念↣畢竟往↢生安楽国土↡欲↣如↠実修↢行奢摩他↡故。

4. 観察門

いかんが観察かんざつする。 智慧ちえをもつて*観察かんざつし、 正念しょうねんにかしこをかんず。 如実にょじつ*毘婆びばしゃ修行しゅぎょうせんとほっするがゆゑなり。 かの観察かんざつに三しゅあり。 なんらか三しゅ。 一にはかの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく観察かんざつす。 二には阿弥陀あみだぶつ荘厳しょうごんどく観察かんざつす。 三にはかのしょさつどく荘厳しょうごん観察かんざつ

観察し 親鸞聖人は 「観察したまへりき」 (論註加点本訓) と読まれた。

云何観察、智恵観察。正念↢観彼↡欲↣如↠実修↢行婆舎那↡故。彼観察有↢三種↡。何等三種。一者観↢察彼仏国土荘厳功徳↡、二者観↢察阿弥陀仏荘厳功徳↡、三者観↢察彼諸菩薩功徳荘厳↡。

功徳荘厳 本願寺本では 「荘厳功徳」。

5. 回向門

いかんが*こうする。 一切いっさいのうしゅじょうてずして、 しんにつねにがんし、 こうしゅとなす。 だいしん成就じょうじゅすることを*んとするがゆゑなり

回向する 親鸞聖人は 「回向したまへる」 (信文類訓) と読まれた。
得んとする 親鸞聖人は 「得たまへる」 (論註加点本訓) と読まれた。

云何廻向、不↠捨↢一切苦悩衆生↡心常作願。廻向為↠首得↣成↢就大悲心↡故。

◎解義分 観察体相  観仏国土功徳

【10】いかんがかの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく観察かんざつする。 かの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく不可思議ふかしぎりき成就じょうじゅせるがゆゑなり。 かの摩尼まににょほうしょうのごときにそう相対そうたいほうなるがゆゑなり。 かの仏国ぶっこく荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ観察かんざつすとは十七しゅあり、 るべし。 なんらか十七。 一には荘厳しょうごん*清浄しょうじょうどく成就じょうじゅ、 二には荘厳しょうごん**りょうどく成就じょうじゅ、 三には荘厳しょうごん*しょうどく成就じょうじゅ、 四には荘厳しょうごん*形相ぎょうそうどく成就じょうじゅ、 五には荘厳しょうごん*種々しゅじゅどく成就じょうじゅ、 六には荘厳しょうごん*妙色みょうしきどく成就じょうじゅ、 七には荘厳しょうごん*そくどく成就じょうじゅ、 八には荘厳しょうごん*三種さんしゅどく成就じょうじゅ、 九には荘厳しょうごん*どく成就じょうじゅ、 十には荘厳しょうごん*こうみょうどく成就じょうじゅ、 十一には荘厳しょうごん*妙声みょうしょうどく成就じょうじゅ、 十二には荘厳しょうごん*しゅどく成就じょうじゅ、 十三には荘厳しょうごん*眷属けんぞくどく成就じょうじゅ、 十四には荘厳しょうごん*受用じゅゆうどく成就じょうじゅ、 十五には荘厳しょうごん*諸難しょなんどく成就じょうじゅ、 十六には荘厳しょうごん**大義門だいぎもんどく成就じょうじゅ、 十七には荘厳しょうごん*一切所いっさいしょ満足まんぞくどく成就じょうじゅなり

無量 異本には 「量」 とある。
大義門 ¬論註¼ では、 大乗門の意と解釈する。

云何観↢察彼仏国土荘厳功徳↡。彼仏国土荘厳功徳者、成↢就不可思議力↡故、如↢彼摩尼如意宝性↡相似相対法故。観↢察彼仏国土荘厳功徳成就↡者、有↢十七種↡、応↠知。何等十七。一者荘厳清浄功徳成就、二者荘厳無量功徳成就、三者荘厳性功徳成就、四者荘厳形相功徳成就、五者荘厳種種事功徳成就、六者荘厳妙色功徳成就、七者荘厳触功徳成就、八者荘厳三種功徳成就、九者荘厳雨功徳成就、十者荘厳光明功徳成就、十一者荘厳妙声功徳成就、十二者荘厳主功徳成就、十三者荘厳眷属功徳成就、十四者荘厳受用功徳成就、十五者荘厳無諸難功徳成就、十六者荘厳大義門功徳成就、十七者荘厳一切所求満足功徳成就。

無量 本願寺本では 「量」。 以下同。

1. 清浄功徳

 荘厳しょうごん*清浄しょうじょうどく成就じょうじゅとは、 に 「かん彼世ひせ界相かいそう 勝過しょうか三界道さんがいどう」 といへるがゆゑなり

清浄功徳 浄土は清浄な槃界はんがいであることを明かす。

荘厳清浄功徳成就者、偈言↢「観彼世界相勝過三界道」↡故。

2. 量功徳

荘厳しょうごん*りょうどく成就じょうじゅとは、 に 「究竟くきょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい」 といへるがゆゑなり

無量功徳 浄土はくうのようで辺際のない世界であることを明かす。

荘厳無量功徳成就者、偈言↢「究竟如虚空広大無辺際」↡故。

3. 性功徳

荘厳しょうごん*しょうどく成就じょうじゅとは、 に 「正道しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう」 といへるがゆゑなり

性功徳 浄土は法蔵菩薩の全性ぜんしょうしゅの浄土で、 ほっしょう顕現けんげんの世界であることを明かす。

荘厳性功徳成就者、偈言↢「正道大慈悲出世善根生」↡故。

4. 形相功徳

荘厳しょうごん*形相ぎょうそうどく成就じょうじゅとは、 に 「浄光じょうこうみょう満足まんぞく 如鏡にょきょう日月輪にちがつりん」 といへるがゆゑなり

形相功徳 浄土の形相は日月または鏡のように清浄であることを明かす。

荘厳形相功徳成就者、偈言↢「浄光明満足如鏡日月輪」↡故。

5. 種々事功徳

荘厳しょうごん*種々しゅじゅどく成就じょうじゅとは、 に 「諸珍宝しょちんぽうしょう そく妙荘厳みょうしょうごん」 といへるがゆゑなり

種々事功徳 浄土は一切の万物や種々の珍宝でかざられていることを明かす。

荘厳種種事功徳成就者、偈言↢「備諸珍宝性具足妙荘厳」↡故。

6. 妙色功徳

荘厳しょうごん*妙色みょうしきどく成就じょうじゅとは、 に 「無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん」 といへるがゆゑなり

妙色功徳 浄土のこうみょうと色相が超絶していることを明かす。

荘厳妙色功徳成就者、偈言↢「無垢光炎熾明浄曜世間」↡故。

7. 触功徳

荘厳しょうごん*そくどく成就じょうじゅとは、 に 「宝性ほうしょうどくそう 柔軟にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょう勝楽しょうらく 過迦かか旃隣せんりん」 といへるがゆゑなり

触功徳 浄土の境界は柔軟な徳をそなえていることを明かす。

荘厳触功徳成就者、偈言↢「宝性功徳草柔左右旋触者生勝楽過迦栴隣陀」↡故。

8. 三種功徳

荘厳しょうごん*三種さんしゅどく成就じょうじゅとは、 三しゅあり、 るべし。 なんらか三しゅ。 一にはすい、 二には、 三にはくうなり

三種功徳 浄土にはすいくうの三徳がそなわっていることを明かす。

荘厳三種功徳成就者、有↢三種事↡。応↠知。何等三種。一者水、二者地、三者虚空。

  8-1. 水功徳

荘厳しょうごんすいどく成就じょうじゅとは、 に 「ほう千万種せんまんじゅ 弥覆池流みふちるせん ふうどうよう 交錯きょうさく光乱転こうらんでん」 といへるがゆゑなり

荘厳水功徳成就者、偈言「宝華千萬種弥覆池流泉微風動華葉交錯光乱転」故。

  8-2. 地功徳

荘厳しょうごんどく成就じょうじゅとは、 に 「殿でん諸楼閣しょろうかく 観十方かんじっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらん遍囲繞へんいにょう」 といへるがゆゑなり

荘厳地功徳成就者、偈言「宮殿諸楼閣観十方無雑樹異光色宝欄遍囲遶」故。

 毫摂寺本では

  8-3. 虚空功徳

荘厳しょうごんくうどく成就じょうじゅとは、 に 「無量宝むりょうほう交絡きょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せん妙法音みょうほうおん」 といへるがゆゑなり

荘厳虚空功徳成就者、偈言「無量宝交絡羅網遍虚空種種鈴発響宣吐妙法音」故。

9. 雨功徳

荘厳しょうごん*どく成就じょうじゅとは、 に 「雨華衣うけえ荘厳しょうごん 無量香むりょうこうくん」 といへるがゆゑなり

雨功徳 浄土には無量のものを雨ふらす徳のあることを明かす。

荘厳雨功徳成就者、偈言↢「雨華衣荘厳無量香普薫」↡故。

10. 光明功徳

荘厳しょうごん*こうみょうどく成就じょうじゅとは、 に 「ぶっみょう浄日じょうにち じょ世痴せち闇冥あんみょう」 といへるがゆゑなり

光明功徳 国土の光明は十方を照らして闇を除くはたらきのあることを明かす。

荘厳光明功徳成就者、偈言↢「仏恵明浄日除世痴闇冥」↡故。

11. 妙声功徳

荘厳しょうごん*妙声みょうしょうどく成就じょうじゅとは、 に 「梵声ぼんしょう深遠じんのん 微妙みみょう聞十方もんじっぽう」 といへるがゆゑなり

妙声功徳 浄土には妙音が十方にきこえて、 しゅじょうを開悟させるはたらきのあることを明かす。

荘厳妙声功徳成就者、偈言↢「梵声悟深遠微妙聞十方」↡故。

12. 主功徳

荘厳しょうごん*しゅどく成就じょうじゅとは、 に 「しょうがく阿弥陀あみだ 法王ほうおう善住持ぜんじゅうじ」 といへるがゆゑなり

主功徳 浄土は主仏である阿弥陀仏が住持することを明かす。

荘厳主功徳成就者、偈言↢「正覚阿弥陀法王善住持」↡故。

13. 眷属功徳

荘厳しょうごん*眷属けんぞくどく成就じょうじゅとは、 に 「如来にょらい浄華衆じょうけしゅ しょうがく華化けけしょう」 といへるがゆゑなり

眷属功徳 往生者はしょうがくの華より化生することを明かす。

荘厳眷属功徳成就者、偈言↢「如来浄華衆正覚華化生」↡故。

14. 受用功徳

荘厳しょうごん*受用じゅゆうどく成就じょうじゅとは、 に 「愛楽あいぎょう仏法ぶっぽう 禅三昧ぜんざんまいじき」 といへるがゆゑなり

受用功徳 浄土では百味の飲食を自由に受容することができることを明かす。

荘厳受用功徳成就者、偈言↢「愛楽仏法味禅三昧為食」↡故。

15. 無諸難功徳

荘厳しょうごん*諸難しょなんどく成就じょうじゅとは、 に 「よう身心悩しんしんのう 受楽じゅらくじょうけん」 といへるがゆゑなり

無諸難功徳 浄土には一切の悩みも諸難もないということを明かす。

荘厳無諸難功徳成就者、偈言↢「永離身心悩受楽常無間」↡故。

16. 大義門功徳

荘厳しょうごん*大義門だいぎもんどく成就じょうじゅとは、 に 「大乗だいじょう善根界ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう *女人にょにんぎゅう根欠こんけつ 二乗種にじょうしゅ不生ふしょう」 といへるがゆゑなり。 浄土じょうどほうは二しゅ*げんとがはなれたり、 るべし。 一にはたい、 二にはみょうなり

大義門功徳 浄土は大乗の善根界の国徳をそなえていることを明かす。
女人及根欠二乗種不生 →補註10
譏嫌の過 不快なそしりの過失。

荘厳大義門功徳成就者、偈言↢「大乗善根界等無譏嫌名女人及根欠二乗種不生」↡故。浄土果報離↢二種譏嫌過↡。応↠知。一者体、二者名。

  16-1.

たいに三しゅあり。 一には二乗人にじょうにん、 二には女人にょにん、 三には*諸根しょこん不具ふぐにんなり。 この三のとがなし。 ゆゑにたいげんはなるとづく

体有↢三種↡。一者二乗人、二者女人、三者諸根不具人。無↢此三過↡故、名↠離↢体譏嫌↡。

  16-2.

みょうにまた三しゅあり。 ただ三のたいなきのみにあらず、 ない二乗にじょう女人にょにん諸根しょこん不具ふぐの三しゅみょうかず。 ゆゑにみょうげんはなるとづく。 「とう」 とは平等びょうどう一相いっそうのゆゑなり

名亦有↢三種↡、非↣但無↢三体↡、乃至不↠聞↢二乗・女人・諸根不具三種名↡、故名↠離↢名譏嫌↡。等者平等一相故。

17. 一切所求満足功徳

荘厳しょうごん*一切いっさいしょ満足まんぞくどく成就じょうじゅとは、 に 「しゅじょう所願楽しょがんぎょう 一切いっさい能満足のうまんぞく」 といへるがゆゑなり

一切所求満足功徳 浄土ではしゅじょうの一切の要求が満足されることを明かす。

荘厳一切所求満足功徳成就者、偈言↢「衆生所願楽一切能満足」↡故。

【11】りゃくしてかの阿弥陀あみだ仏国ぶつこくの十七しゅ荘厳しょうごん成就じょうじゅく。 如来にょらいしんやくだいどくりき成就じょうじゅと、 やくどく成就じょうじゅとをげんせんがゆゑなり

略説↢彼阿弥陀仏国土十七種荘厳成就↡。示↢現如来自身利益大功徳力成就利益他功徳成就↡故。

【12】かの無量寿むりょうじゅ仏国ぶつこく荘厳しょうごん*第一だいいちたい妙境界みょうきょうがいそうなり。 *十六および一だいしてけり、 るべし

第一義諦妙境界相 真如しんにょほっしょう (第一義諦) がそのまま国土の妙境の相 (荘厳相しょうごんそう) とあらわれたものであるということ。 →第一だいいちたい
十六句および一句 ¬論註¼ では、 十六句を第二量功徳から第十七一切所求満足功徳まで、 一句を第一清浄しょうじょう功徳と解釈する。

彼無量寿仏国土荘厳、第一義諦妙境界相、十六句及一句次第説。応↠知。

◎解義分 ○観察体相  観仏功徳

【13】いかんがぶつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅかんずる。 ぶつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅかんずとは、 八しゅそうあり、 るべし。 なんらか八しゅ。 一には荘厳しょうごん*どく成就じょうじゅ、 二には荘厳しょうごん*身業しんごうどく成就じょうじゅ、 三には荘厳しょうごん*ごうどく成就じょうじゅ、 四には荘厳しょうごん*心業しんごうどく成就じょうじゅ、 五には荘厳しょうごん*大衆だいしゅどく成就じょうじゅ、 六には荘厳しょうごん*上首じょうしゅどく成就じょうじゅ、 七には荘厳しょうごん*しゅどく成就じょうじゅ、 八には荘厳しょうごん*不虚作ふこさ住持じゅうじどく成就じょうじゅなり

座功徳 如来の座の徳相を明かす。
身業功徳 如来の身相が世に超越していることを明かす。
口業功徳 如来の音声の功徳を明かす。
心業功徳 如来の大慈悲心の功徳を明かす。
大衆功徳 天人大衆は大乗善根ぜんごんの人であることを明かす。
上首功徳 仏は安楽国の上首であることを明かす。
主功徳 仏は浄土の主であることを明かす。
不虚作住持功徳 仏のはたらきは真実にしてすべてのものを保持するものであることを明かす。

云何観↢仏荘厳功徳成就↡。観↢仏荘厳功徳成就↡者、有↢八種相↡。応↠知。何等八種。一者荘厳座功徳成就、二者荘厳身業功徳成就、三者荘厳口業功徳成就、四者荘厳心業功徳成就、五者荘厳大衆功徳成就、六者荘厳上首功徳成就、七者荘厳主功徳成就、八者荘厳不虚作住持功徳成就。

1. 座功徳

 なんとなれば荘厳しょうごん*どく成就じょうじゅとは、 に 「りょう大宝王だいほうおう 微妙みみょうじょうだい」 といへるがゆゑなり

何者荘厳座功徳成就、偈言↢「無量大宝王微妙浄華台」↡故。

2. 身業功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*身業しんごうどく成就じょうじゅとは、 に 「相好光そうごうこう一尋いちじん 色像しきぞうちょう群生ぐんじょう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳身業功徳成就、偈言↢「相好光一尋色像超群生」↡故。

3. 口業功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*ごうどく成就じょうじゅとは、 に 「如来にょらい微妙みみょうしょう 梵響ぼんこう聞十方もんじっぽう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳口業功徳成就、偈言↢「如来微妙声梵響聞十方」↡故。

4. 心業功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*心業しんごうどく成就じょうじゅとは、 に 「どうすいふう くう分別ふんべつ」 といへるがゆゑなり。 「分別ふんべつ」 とは分別ふんべつしんなきがゆゑなり

何者荘厳心業功徳成就、偈言↢「同地水火風虚空無分別」↡故。無分別者無↢分別心↡故。

5. 大衆功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*大衆だいしゅどく成就じょうじゅとは、 に 「天人てんにん動衆どうしゅ 清浄しょうじょう海生かいしょう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳大衆功徳成就、偈言↢「天人不動衆清浄智海生」↡故。

6. 上首功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*上首じょうしゅどく成就じょうじゅとは、 に 「如須にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ」 といへるがゆゑなり

何者荘厳上首功徳成就、偈言↢「如須弥山王勝妙無過者」↡故。

7. 主功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*しゅどく成就じょうじゅとは、 に 「天人てんにん丈夫衆じょうぶしゅ 恭敬くぎょうにょう瞻仰せんごう」 といへるがゆゑなり

何者荘厳主功徳成就、偈言↢「天人丈夫衆恭敬遶瞻仰」↡故。

8. 不虚作住持功徳

なんとなれば荘厳しょうごん*不虚作ふこさ住持じゅうじどく成就じょうじゅとは、 に 「観仏本願力かんぶつほんがんりき ぐうくうしゃ 能令のうりょう速満足そくまんぞく どく大宝海だいほうかい」 といへるがゆゑなり。 すなはちかのぶつたてまつれば、 *未証みしょう浄心じょうしんさつ畢竟ひっきょうじて*平等びょうどう法身ほっしんを証することをて、 *浄心じょうしんさつ*上地じょうじのもろもろのさつ畢竟ひっきょうじておなじく*じゃくめつ平等びょうどうるがゆゑなり

未証浄心の菩薩 十地の階位のうち、 初地以上、 七地以前の未だ平等をさとらない菩薩。 →十地じゅうじさつ
平等法身 諸法のじゃくめつ平等をさとった八地以上の菩薩を指す。 →十地じゅうじ
浄心の菩薩 八地以上の菩薩。 →十地じゅうじ
上地 九地・十地。 →十地じゅうじ
寂滅平等 煩悩ぼんのうを離れ差別のないさとりの境地をいう。 涅槃の訳語。 →はん

何者荘厳不虚作住持功徳成就、偈言↢「観仏本願力遇無空過者能令速満足功徳大宝海」↡故。即見↢彼仏↡未証浄心菩薩畢竟得↠証↢平等法身↡、与↢浄心菩薩↡与↢上地諸菩薩↡畢竟同得↢寂滅平等↡故。

【14】りゃくして八きて、 如来にょらい自利じり利他りたどく荘厳しょうごんだい成就じょうじゅしたまへることをげんす、 るべし

略説↢八句↡示↢現如来自利利他功徳荘厳次第成就↡。応↠知。

◎解義分 ○観察体相  観菩薩功徳

【15】いかんが*さつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ観察かんざつする。 さつ荘厳しょうごんどく成就じょうじゅ観察かんざつすとは、 かのさつかんずるに四しゅ*正修行しょうしゅぎょうどく成就じょうじゅあり、 るべし

菩薩 ここでは浄土の菩薩のこと。
四種の正修行功徳成就 ¬浄土論¼ では、 国土荘厳しょうごん十七種と仏荘厳八種については個々の荘厳の名称が付されているが、 菩薩荘厳四種については名称が付されていない。 なお、 後世に付された名称として第一 「どう而至にし功徳」、 第二 「一念いちねんへん功徳」、 第三 「そうよう功徳」、 第四 「法如仏ほうにょぶつ功徳」 がある。

云何観↢察菩薩荘厳功徳成就↡。観↢察菩薩荘厳功徳成就↡者、観↢彼菩薩↡有↢四種正修行功徳成就↡。応↠知。何者為↠四。

1. 不動而至

何者なにものをか四となす。 一には一ぶつにおいて動揺どうようせずして十方じっぽうへんして、 種々しゅじゅおうして如実にょじつ修行しゅぎょうし、 つねに*ぶつをなす。 に 「安楽国あんらくこく清浄しょうじょう 常転じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち 如須にょしゅ住持じゅうじ」 といへるがゆゑなり。 もろもろのしゅじょう*でいひらくがゆゑなり

淤泥華 泥の中に咲く花。 蓮の花のこと。

一者於↢一仏土↡身不↢動揺↡、而遍↢十方↡種種応化如↠実修行常作↢仏事↡。偈言↢「安楽国清浄常転無垢輪化仏菩薩日如須弥住持」↡故。開↢諸衆生淤泥花↡故。

2. 一念遍至

二にはかの*おうしん一切いっさいときぜんならずならず、 一心いっしん一念いちねん大光明だいこうみょうはなちて、 ことごとくよくあまねく十方じっぽうかいいたりてしゅじょう教化きょうけす。 種々しゅじゅ方便ほうべん修行しゅぎょうし、 なすところ一切いっさいしゅじょう滅除めつじょするがゆゑなり。 に 「無垢むく荘厳しょうごんこう 一念いちねんぎゅういち 普照ふしょう諸仏しょぶつ やくしょ群生ぐんじょう」 といへるがゆゑなり

二者彼応化身、一切時不↠前不↠後、一心一念放↢大光明↡悉能遍至↢十方世界↡教↢化衆生↡。種種方便修行所作滅↢除一切衆生苦↡故。偈言↢「無垢荘厳光一念及一時普照諸仏会利益諸群生」↡故。

3. 無相供養

三にはかれ一切いっさいかいにおいてあますことなく、 諸仏しゅぶつ*大衆だいしゅらしてあますことなく、 広大こうだいりょう諸仏しょぶつ如来にょらいどくよう*恭敬くぎょう讃歎さんだんす。 に 「天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別心ふんべつしん」 といへるがゆゑなり

三者彼於↢一切世界↡無↠余照↢諸仏会↡大衆無↠余広大無量供養恭敬讃↢歎諸仏如来功徳↡。偈言↢「雨天楽華衣妙香等供養讃諸仏功徳無有分別心」↡故。

4. 示法如仏

四にはかれ十方じっぽう一切いっさいかい三宝さんぽうなきところにおいて、 *仏法僧宝ぶっぽうそうぼうどく大海だいかい住持じゅうじ荘厳しょうごんして、 あまねくしめして如実にょじつ修行しゅぎょうさとらしむ。 に 「とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がん皆往生かいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへるがゆゑなり

仏法僧宝 三宝のこと。 →三宝さんぼう

四者彼於↧十方一切世界無↢三宝↡処↥住↢持荘↣厳仏・法・僧宝功徳大海↡、遍示令↠解↢如↠実修行↡。偈言↢「何等世界無仏法功徳宝我願皆往生示仏法如仏」↡故。

◎解義分 浄入願心

【16】またさき荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅ荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅ荘厳しょうごんさつどく成就じょうじゅとを観察かんざつすることをけり。 この三しゅ成就じょうじゅは、 *願心がんしんをもつて荘厳しょうごんせり、 るべし

願心 一切衆生を浄土に生れさせようという法蔵菩薩の願い。

又向説↢観察荘厳仏土功徳成就、荘厳仏功徳成就、荘厳菩薩功徳成就↡。此三種成就願心荘厳。応↠知。

【17】りゃくして*一法いっぽっることをくがゆゑなり。 一法いっぽっといふはいはく、 清浄しょうじょうなり。 清浄しょうじょうといふはいはく、 真実しんじつ智慧ちえ無為むい法身ほっしんなるがゆゑなり。 この清浄しょうじょうに二しゅあり、 るべし。 なんらか二しゅ。 一には器世きせけん清浄しょうじょう、 二にはしゅじょうけん清浄しょうじょうなり

一法句 真如法性のこと。 →真如しんにょほっしょう

略説↠入↢一法句↡故。一法句者謂清浄句。清浄句者謂真実智慧無為法身故。此清浄有↢二種↡。応↠知。何等二種。一者器世間清浄、二者衆生世間清浄。

器世きせけん清浄しょうじょうとは、 さきくがごとき十七しゅ荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅなり。 これを器世きせけん清浄しょうじょうづく

器世間清浄者、如↢向説↡十七種荘厳仏土功徳成就。是名↢器世間清浄↡。

しゅじょうけん清浄しょうじょうとは、 さきくがごとき八しゅ荘厳しょうごんぶつどく成就じょうじゅと四しゅ荘厳しょうごんさつどく成就じょうじゅとなり。 これをしゅじょうけん清浄しょうじょうづく

衆生世間清浄者、如↢向説↡八種荘厳仏功徳成就、四種荘厳菩薩功徳成就、是名↢衆生世間清浄↡。

かくのごとく一法いっぽっに二しゅ清浄しょうじょうせっす、 るべし

如↠是一法句摂↢二種清浄義↡。応↠知。

◎解義分 善巧摂化

【18】かくのごとく*さつは、 *しゃ摩他また*毘婆びばしゃ広略こうりゃく修行しゅぎょうして*柔軟心にゅうなんしん成就じょうじゅし、 如実にょじつ広略こうりゃく諸法しょほうる。 かくのごとくして*ぎょう方便ほうべんこう成就じょうじゅす。 何者なにものさつぎょう方便ほうべんこうさつぎょう方便ほうべんこうとは、 いはく、 ける*礼拝らいはいとうの五しゅ修行しゅぎょうをもつてあつむるところの一切いっさいどく善根ぜんごんは、 しん住持じゅうじらくもとめず、 一切いっさいしゅじょうかんとほっするがゆゑに一切いっさいしゅじょう*摂取せっしゅしてともにおなじくかの安楽あんらく仏国ぶっこくしょうぜんとがんするなり。 これをさつぎょう方便ほうべんこう成就じょうじゅづく

菩薩 往生浄土を願う行者のこと。 以下に出る菩薩の語はいずれもこの意。
柔軟心 物事にとらわれない心。
巧方便回向 しゅじょうの素質・能力にあわせて種々の方法、 手段を巧みに用い、 自己のどくを相手に与えて救うはたらき。
礼拝等の五種の修行 五念門のこと。 →念門ねんもん

如↠是菩薩、奢摩他婆舎那広略修行成↢就柔心↡、如↠実知↢広略諸法↡。如↠是成↢就巧方便廻向↡。何者菩薩巧方便廻向。菩薩巧方便廻向者、謂説礼拝等五種修行所↠集一切功徳善根、不↠求↢自身住持之楽↡、欲↠抜↢一切衆生苦↡故、作↧願摂↢取一切衆生↡共同生↦彼安楽仏国↥。是名↢菩薩巧方便廻向成就↡。

◎解義分 離菩提障

【19】さつかくのごとくよく*こうりて成就じょうじゅすれば、 すなはちよくしゅ提門相だいもんそうほうおんす。 なんらか三しゅ

回向を知りて成就すれば 親鸞聖人は 「回向成就したまへるを知れば」 (証文類訓) と読まれた。

菩薩如↠是善知↢廻向成就↡、即能遠↢離三種菩提門相違法↡。何等三種。

1. 智慧門

一には智慧ちえもんによりてらくもとめず。 しんしん*貪着とんじゃくすることをおんするがゆゑなり

一者依↢智恵門↡不↠求↢自楽↡、遠↣離我心貪↢着自身↡故。

2. 慈悲門

二には慈悲じひもんによりて一切いっさいしゅじょうく。 しゅじょうやすんずることなきしんおんするがゆゑなり

二者依↢慈悲門↡抜↢一切衆生苦↡、遠↢離無安衆生心↡故。

3. 方便門

三には方便門ほうべんもんによりて一切いっさいしゅじょう*憐愍れんみんするしんなり。 しんよう恭敬くぎょうするしんおんするがゆゑなり

憐愍する心なり 親鸞聖人は 「憐愍したまふ心なり」 (証文類訓) と読まれた。 憐愍はいつくしみあわれむこと。

三者依↢方便門↡憐↢愍一切衆生↡、心遠↧離供↢養恭↣敬自身↡心↥故。

これを三しゅ提門相だいもんそうほうおんすとづく

是名↣遠↢離三種菩提門相違法↡。

◎解義分 順菩提門

【20】さつはかくのごとき三しゅ提門相だいもんそうほうおんして、 *しゅ提門だいもん随順ずいじゅんするほう満足まんぞくるがゆゑなり。 なんらか三しゅ

三種の…得るがゆゑなり 親鸞聖人は 「三種の随順菩提門の法満足することを得たまへるがゆゑに」 (証文類訓) と読まれた。

菩薩遠↢離如↠是三種菩提門相違法↡得↢三種随順菩提門法満足↡故。何等三種。

1. 無染清浄心

一にはぜん清浄しょうじょうしんなり。 しんのために諸楽しょらくもとめざるをもつてのゆゑなり

一者無染清浄心、以↠不↧為↢自身↡求↦諸楽↥故。

2. 安清浄心

二にはあん清浄しょうじょうしんなり。 一切いっさいしゅじょうくをもつてのゆゑなり

二者安清浄心、以↠抜↢一切衆生苦↡故。

3. 楽清浄心

三にはらく清浄しょうじょうしんなり。 一切いっさいしゅじょうをしてだいだいしむるをもつてのゆゑなり。 しゅじょう*摂取せっしゅしてかのこくしょうぜしむるをもつてのゆゑなり

三者楽清浄心、以↠令↣一切衆生得↢大菩提↡故。以↧摂↢取衆生↡生↦彼国土↥故。

これを三しゅ提門だいもん随順ずいじゅんするほう満足まんぞくづく、 るべし

是名↢三種随順菩提門法満足↡。応↠知。

◎解義分 名義摂対

【21】さき智慧ちえ慈悲じひ方便ほうべんとの三しゅもん般若はんにゃ摂取せっしゅし、 般若はんにゃ方便ほうべん摂取せっしゅす、 るべし。 さきしんおんしてしん*貪着とんじゃくせざると、 しゅじょうやすんずることなきしんおんすると、 しんよう恭敬くぎょうするしんおんするとをけり。 この三しゅほうだいふるしんおんす、 るべし。 さきぜん清浄しょうじょうしんあん清浄しょうじょうしんらく清浄しょうじょうしんけり。 この三しゅしんは、 一しょりゃくして*妙楽みょうらく勝真しょうしんしん*成就じょうじゅす、 るべし

妙楽勝真心 行者が五念門を行じて得る自利利他円満の真実心で、 浄土の最勝の真実の徳 (妙楽勝真) にかなう提心だいしんのこと。
成就す(し) 親鸞聖人は 「成就したまへり」 (証文類訓) と読まれた。

向説智恵・慈悲・方便三種門摂↢取般若↡。般若摂↢取方便↡。応↠知。向説遠離我心不貪着自身、遠離無安衆生心、遠離供養恭敬自身心、此三種法遠↣離障↢菩提心↡。応↠知。向説無染清浄心安清浄心楽清浄心、此三種心略一処成↢就妙楽勝真心↡。応↠知。

◎解義分 願事成就

【22】かくのごとくさつ智慧ちえしん方便ほうべんしん無障むしょうしん勝真しょうしんしんをもつてよく清浄しょうじょう仏国ぶっこく*しょうず、 るべし。 これをさつ摩訶まかさつ、 五しゅ法門ほうもん随順ずいじゅんし、 しょこころしたがひてざい*成就じょうじゅすとづく。 さき所説しょせつのごとき*身業しんごうごうごうごう方便ほうべんごうは、 法門ほうもん随順ずいじゅんするがゆゑなり

生ず 親鸞聖人は 「生ぜしめたまへり」 (証文類訓) と読まれた。
身業…方便智業 身業はらいはい、 口業は讃嘆さんだん、 意業はがん、 智業は観察かんざつ、 方便智業はこうを指す。

如↠是菩薩智恵心方便心無障心勝真心能生↢清浄仏国土↡。応↠知。是名↧菩薩摩訶薩随↢順五種法門↡所作随↠意自在成就↥。如↢向所↟説身業口業意業智業方便智業随↢順法門↡故。

◎解義分 利行満足  五種の功徳

【23】また五しゅもんありてぜん*しゅどく*成就じょうじゅす、 るべし。 何者なにものか五もん。 一には*近門ごんもん、 二には*だい衆門しゅもん、 三には*宅門たくもん、 四には*屋門おくもん、 五には*園林おんりん遊戯地ゆげじもんなり。 この五しゅもんは、 はじめの四しゅもん*にゅうどく*成就じょうじゅし、 だいもん*しゅつどく*成就じょうじゅ

入・出 入は自利、 出は利他の意。

復有↢五種門↡漸次成↢就五種功徳↡。応↠知。何者五門。一者近門、二者大会衆門、三者宅門、四者屋門、五者園林遊戯地門。此五種門、初四種門成↢就入功徳↡、第五門成↢就出功徳↡。

1. 近門

にゅうだいもんとは、 阿弥陀あみだぶつ礼拝らいはいし、 かのくに*しょうぜんとなすをもつてのゆゑに、 安楽あんらくかいしょうずることを*。 これをにゅうだいもんづく

生ぜんとなすを 親鸞聖人は 「生ぜしめんがためにするを」 (証文類訓) と読まれた。
 親鸞聖人は 「得しむ」 (証文類訓) と読まれた。 本頁十二行・十四行の 「得」 もこれに同じ。

入第一門者、以↧礼↢拝阿弥陀仏↡為↞生↢彼国↡故得↠生↢安楽世界↡、是名↢入第一門↡。

2. 大会衆門

にゅうだいもんとは、 阿弥陀あみだぶつ讃歎さんだんし、 *名義みょうぎ随順ずいじゅんして如来にょらいみな*しょうし、 如来にょらいこうみょうそうによりて修行しゅぎょうするをもつてのゆゑに、 だいしゅかずることを。 これをにゅうだいもんづく

名義 名号の意義、 いわれ。
称し 親鸞聖人は 「称せしめ」 (証文類訓) と読まれた。

入第二門者、以↧讃↢歎阿弥陀仏↡随↢順名義↡称↢如来名↡依↢如来光明智相↡修行↥故得↠入↢大会衆数↡、是名↢入第二門↡。

3. 宅門

にゅうだいもんとは、 *一心いっしん専念せんねんにかしこにしょうぜんとがんし、 しゃ摩他また*寂静じゃくじょう三昧ざんまいぎょうしゅするをもつてのゆゑに、 *れんぞうかいることを。 これをにゅうだいもんづく

一心…修するを 親鸞聖人は 「一心に専念し作願して、 かしこに生じて奢摩他寂静三昧の行を修するを」 (証文類訓) と読まれた。
寂静三昧 禅定ぜんじょうのこと。 奢摩他に同じ。 →しゃ摩他また

入第三門者、以↧一心専念作願生↠彼修↦奢摩他寂静三昧行↥故得↠入↢蓮華蔵世界↡、是名↢入第三門↡。

4. 屋門

にゅうだいもんとは、 *専念せんねんにかのみょう荘厳しょうごん観察かんざつし、 毘婆びばしゃしゅするをもつてのゆゑに、 *かのところいたりて種々しゅじゅ*ほうらく受用じゅゆうすることを。 これをにゅうだいもんづく

専念に…修するを 親鸞聖人は 「かの妙荘厳を専念し観察して、 毘婆舎那を修せしむるを」 (証文類訓) と読まれた。
かの所に…得 親鸞聖人は 「かの所に到ることを得て、 種々の法味の楽を受用せしむ」 (証文類訓) と読まれた。
法味楽 仏法の味わいを楽しむこと。

入第四門者、以↧専↢念観↣察彼妙荘厳↡修↦婆舎那↥故得↠到↢彼所↡受↢用種種法味楽↡、是名↢入第四門↡。

5. 園林遊戯地門

しゅつだいもんとは、 だい慈悲じひをもつて一切いっさいのうしゅじょう観察かんざつして、 おうしんしめして、 しょうその煩悩ぼんのうはやしのなかに*回入えにゅうして遊戯ゆげし、 神通じんずうをもつて*教化きょうけいたる。 本願力ほんがんりきこうをもつてのゆゑなり。 これをしゅつだいもんづく

回入 かえり入ること。

出第五門者、以↢大慈悲↡観↢察一切苦悩衆生↡、示↢応化身↡、廻↢入生死園、煩悩林中↡、遊↢戯神通↡至↢教化地↡。以↢本願力廻向↡故、是名↢出第五門↡。

さつ*にゅうの四しゅもんをもつて自利じりぎょう成就じょうじゅす、 るべし。 さつ*しゅつだいもんこうをもつてやくぎょう成就じょうじゅす、 るべし

入の…成就す 親鸞聖人は 「四種の門に入りて自利の行成就したまへり」 (行文類訓) と読まれた。
出の…成就す 親鸞聖人は 「第五門に出でて回向利益他の行成就したまへり」 (行文類訓) と読まれた。

菩薩入↢四種門↡自利行成就。応↠知。菩薩出↢第五門↡廻向利益他行成就。応↠知。

【24】さつはかくのごとく*もんぎょうしゅして自利じり利他りたす。 すみやかに*のく多羅たら三藐三さんみゃくさんだい成就じょうじゅすることを*るゆゑなり

五門 ¬論註¼ 所引の ¬浄土論¼ では 「五念門」 とある。
得る 親鸞聖人は 「得たまへる」 (行文類訓) と読まれた。

菩薩如↠是修↢五門行↡自利利他速得↣成↢就阿耨多羅三藐三菩提↡故。

【25】無量寿経むりょうじゅきょう優婆うば提舎だいしゃ願生偈がんしょうげりゃくしてしをはりぬ

無量寿修多羅優婆提舎願生偈、略解↠義竟。

無量寿経むりょうじゅきょう優婆うば提舎だいしゃ願生偈がんしょうげ

 

願主がんしゅ比丘びく敬覚きょうかく

筆者ひっしゃ沙門しゃもん泰兼たいけん

南無なも阿弥陀あみだぶつ

この ¬じょうろん¼ の*かた末代まつだいやくのために*恩院おんいんあんす。

形木 版木。
知恩院 京都東山にある浄土宗の総本山。

*永享えいきょうひのとの ねんがつ十八にち

永享九丁巳年 1437年。