0047りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょうちゅう かんじょう

*婆藪ばそばんさつぞう *曇鸞どんらんほっちゅう

釈名【浄土論大綱】
  分斉を判ず【本論分斉】
    龍樹の判教を述ぶ
      標列

【1】 ^つつしみて*龍樹りゅうじゅさつの ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品・意)あんずるに、 いはく、 ^さつ阿毘あびばっもとむるに、 しゅどうあり。 いちにはなんぎょうどうにはぎょうどうなり」 と。

0449[ミテ]0345[ズルニ]↢龍樹菩薩¬十住毘婆沙¼↡云、「菩薩求[ムル]ニ↢阿毘跋致↡有[リ]↢二種道↡。一[ニ]者難行道、二[ニ]者易行道ナリ[ト]

一 Ⅰ ⅰ 随釈
        難行道

^なんぎょうどう」 とは、 いはく、 じょく*ぶつときにおいて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはち多途たずあり。 ほぼ*さんをいひて、 もつてこころしめさん。 ^いちにはどう*しょうぜん*さつほうみだる。 ^にはしょうもん自利じりにしてだい慈悲じひふ。 ^さんには無顧むこ悪人あくにんしょうとくやぶる。 ^には*顛倒てんどうぜんはよく*ぼんぎょうこぼつ。 ^にはただこれりきにしてりきたもつなし。 ^かくのごときるるにみなこれなり。 たとへばろくぎょうはすなはちくるしきがごとし。

難行道[ト]、謂↣五濁之世↢无仏時↡求[ム]ルヲ↢阿毘跋致↡為↠難。此↢多途↡。粗[ボ][ヒ]テ↢五三↡、以サム↢義↡。一[ニ]者外道[ノ]シヤウ [ノ]↢菩薩↡。二[ニ]者声聞自利ニシテ↢大慈悲↡。三[ニ]无顧悪人↢他勝徳↡。四[ニ]者顛倒善果[ハ]コボ↢梵行↡。五[ニ]者唯是自力ニシテ↢他力↡。如ク[ノ]事、ルヽニ↠目皆是ナリ。譬[ヘ]バ↢陸路歩行[チ]シキガ↡。

一 Ⅰ ⅰ b 易行道

^ぎょうどう」 とは、 いはく、 ただ*信仏しんぶつ因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんずれば、 仏願ぶつがんりきじょうじて、 すなはちかの清浄しょうじょうおうじょう*仏力ぶつりきじゅうして、 すなはちだいじょう*しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすい0048ふねじょうずればすなはちたのしきがごとし。

易行道[ト]、謂但以[テ]↢信仏因縁↡願ズ[レバ]↠生[ゼム]ト↢浄土↡、乗ジテ↢仏願力↡、便↣往↢生[スルコト]ヲ清浄↡、仏力住持シテ、即↢大乗正定之聚↡。正定是阿毘跋致ナリ。譬[ヘ]バシ[ト]↢水路ズレバ↠船[シキ]ガ↡」。

一 Ⅰ 正しく今論の分斉を断ず

^この ¬りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃ¼ (*浄土論) は、 けだし*じょうえんごく*退たい風航ふうこうなるものなり。

¬无量寿経波提舎¼蓋エンカン之極致、不退之カウナルフネノホナリ也。

正しく題名を解す
    義意を弁ず【興起体製】
      所依の宗体を顕す

【2】 ^りょう寿じゅ」 はこれ安楽あんらくじょう如来にょらい別号べつごうなり。 *しゃ牟尼むにぶつ*王舎おうしゃじょうおよび*しゃこくにましまして、 大衆だいしゅのなかにおいてりょう寿仏じゅぶつしょうごんどくきたまへり。 すなはちぶつ (*阿弥陀仏)みょうごうをもつて*きょうたいとなす。

无量寿」是安楽浄土如来ナリ釈迦牟尼仏マシマシテ↢王舎城及[ビ]舎衛国↡、0450↢大0346衆之中↡説キタマヘリ↢无量寿仏荘厳功徳↡。即[チ]↢仏名号↡為↢経

一 Ⅱ ⅰ 能依の体製を弁ず
        総弁

^のちしょうじゃ婆藪ばそばんさつ (*天親)如来にょらい*だいきょう*服膺ぶくようしてきょうへてがんしょうつくれり。 またじょうごうつくりてかさねてしゃくす。

聖者バン菩薩、服↢膺シテ 一升[ノ] 如来大悲之教ヘテ↠経レリ↢願生↡。復造[リ]テ↢長行↡重

一 Ⅱ ⅰ b 別示
          (一)優婆提舎を釈して総じて一部の体製を顕す
            (Ⅰ)梵名を標す

^*ぼんに 「優婆うば提舎だいしゃ」 といふは、 このけん (中国)正名しょうみょうあひやくせるなし。 もしは*一隅いちぐうげてづけてろんとなすべし。 正名しょうみょうやくせることなき所以ゆえんは、 このけんもとぶつましまさざるをもつてのゆゑなり。 このけんしょのごときは、 *こうにつきて 「けい」 としょうす。 にん制作せいさくみなづけて 「」 となす。 *こくこったぐい*各別かくべつ体例たいれいなり。

フハ↢「優婆提舎」↡此↢正名セル↡。若シ[ハ][ゲ]テ↢一↡可↢名[ケ]テ↟論所↣以 ユヘ ↢正名訳セルコト、以[テ]ノ↢此マシマサザルヲ↟仏ナリ。如キハ↢此[ノ]↡、↢孔子↠経。余人制作セイサク[ケ]テ↠子。国史・国紀之タグヒ各別体例ナリ

^しかるにぶつ所説しょせつじゅう二部にぶきょうのなかにろんきょうあり、 「優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 もしまたぶつのもろもろの弟子でしぶつ経教きょうきょうしてぶつ相応そうおうすれば、 ぶつまたゆるして 「優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑなり。

ルニ所説[ノ]十二部経↢論議経↡、名↢優波提舎↡。若復仏弟子解[シ]テ↢仏経教↢仏義↡相応スレバ者、仏亦許シテ↢優波提舎↡。以[テ]ノ↠入[ル]ヲ↢仏法↡故ナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅱ)訳名を弁ず

^このけんろんといふは、 ただこれろんのみ。 あにまさしくかのやくすることをんや。 また女人にょにんを、 においてははしょうし、 あににおいて0049いもうとといふがごとし。 かくのごとき、 みなしたがひてべつなり。 もしただおんなをもつてひろまいだんずるに、 すなはち*おんな大体だいたいしっせざれども、 あにそんふくまんや。 ここにいふところのろんもまたかくのごとし。

フ[ハ]↠論而已。豈↣正シクスルコトヲ↢彼。又如↢女人↠子↠母、於↠兄[フ]ガ↟妹。如↠是[ク]ノ事、皆随[ヒ]テ↠義名別ナリ。若[シ]但以↢女↡汎ズ[ルニ]↢母妹↡、乃[チ]レドモ↠失↢女之大体↡、豈[マ]ム↢尊卑之義↠云[モ]亦復如↠是[ク]ノ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅲ)題の意を結す

^ここをもつて いんなり りて*梵音ぼんのんぞんじて優婆うば提舎だいしゃといふ。

ナホ [ナリ][ノ]ジテ↢梵音↡曰↢優波提舎↡。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)二分の大意を弁じて別して偈総題を為すを審す
            (Ⅰ)大段

【3】 ^この ¬ろん¼ (浄土論)じゅうにおほよそじゅうあり。 いちにはこれ総説そうせつぶんにはこれ解義げぎぶんなり。

¬論¼始終↢二重↡。一ニハ是総説分、二ニハ是解義分ナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅱ)文処を指す

^総説そうせつぶんとは、 さきごんくるまでこれなり。 解義げぎぶんとは、 「ろんじてはく」 以下いげじょうごうくるまでこれなり。

総説分[ト]五言[ノ]偈尽[ク]ルマデナリ解義分[ト]「論曰」已下長行尽[ク]ルマデナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅲ)所以を弁ず

^じゅうとなす所以ゆえん二義にぎあり。 はもつてきょうじゅす。 そうしょうせんがためのゆゑなり。 ろんはもつてしゃくす。 解義げぎのためのゆゑなり。

所↣以 ユヘ ↢二重↡者有↢二義↡。偈↠経。為↢総摂セムガ↡故ナリ。論↠偈。為↢解義ナリ

一 Ⅱ 文相を解す
      題号を釈す【題号】

【4】 ^りょう寿じゅ」 とはりょう寿じゅ如来にょらいをいふ。 寿じゅみょうじょうおんにしてりょうすべからず。 「きょう」 とはじょうなり。 いふこころは安楽あんらくこくぶつおよびさつ清浄しょうじょうしょうごんどくこく清浄しょうじょうしょうごんどくとは、 よくしゅじょうのために*だいにょうやくをなす。 つねにおこなはるべきがゆゑにづけてきょうといふ。 「優婆うば提舎だいしゃ」 はこれぶつろんきょうなり。

「無量寿」[ト]者、↢无量寿如来↡。寿命長遠ニシテ↠可[カ]ラ↢思量[ス]↡也。「経[ト]」者常也。フココロハ0347安楽0451国土仏及[ビ]菩薩[ノ]清浄荘厳功徳国土[ノ]清浄荘厳功徳[トハ]、能タメ↢衆生↡作↢大饒益↡。可キガ↣常ハル↢于世↡故[ケ]テ↠経。「波提舎論議経ナリ

^がん」 はこれ*よくぎょうなり。 「しょう」 は天親てんじんさつ、 かの安楽あんらくじょう如来にょらいじょうのなかにしょうぜんとがんずるしょうなり。 ゆゑにがんしょうといふ。 「」 はこれしゅごん0050をもつてりゃくしてぶっきょうじゅするがゆゑにづけてとなす。

「願欲楽ナリ。「生」天親菩薩ズル↠生ゼムト↢彼安楽浄土如来浄花↡生ナリ。故↢願生↡。「偈」是句数義、以[テ]↢五言↡略シテスルガ↢仏経↡故[ケ]テ↠偈

一 Ⅱ ⅱ 撰号を釈す

^婆藪ばそ」 をやくして 「てん」 といふ。 「ばん」 をやくして 「しん」 といふ。 このひと*天親てんじんなづく。 *は ¬*法蔵ほうぞうきょう¼ にあり。

シテ↢「婆」↡云↠天。訳シテ↢「槃頭」↡言↠親。此ナヅ↢天親↡。事[ハ]↢¬付法蔵経¼↡。

^さつ」 とは、 もしつぶさに梵音ぼんのんぞんぜば 「*だいさっ」 といふべし。 「だい」 は、 これ仏道ぶつどうなり。 「さっ」 は、 あるいはしゅじょうといひ、 あるいは勇健ゆうごんといふ。 仏道ぶつどうもとむるしゅじょう*ゆうみょうごんあるがゆゑにだいさっづく。 いまたださつといふは訳者やくしゃ (*菩提流支)りゃくせるのみ。 「ぞう」 はまたさくなり。 ^ひとによりてほうおもんずることをねがふがゆゑに某造ぼうぞうといふ。

「菩薩[ト]、若ゼバ↢梵音↡応↠云↢菩提薩埵↡。菩提仏道ナリ。薩埵↢衆生↡、或↢勇↡。求[ム]ル↢仏道↡衆生有ルガ↢勇猛健志↡故↢菩提薩埵↡。今但言[フハ]↢菩薩↡訳者セル耳。「造」亦作也。ネガフガ↢因↠人[ズルコトヲ]↟法某造↡。

^このゆゑに 「りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょう婆藪ばそばんさつぞう」 といへり。 ¬ろん¼ (浄土論)みょうもくしをはりぬ。

ヘリ↢「无量寿経優波提舎願生偈婆数槃頭菩薩造」↡。解↢¬論¼名目↡竟[リ]ヌ

釈文
  総説分を釈す【総説分】
    章を分つ

【5】 ^のなかをわかちて念門ねんもんとなす。 しもじょうごうしゃくするところのごとし。

[チ]テ↢五念門↡。如↢下長行↟釈スル

・三念門

^第一だいいちぎょう四句しくにあひふくみて三念さんねんもんあり。 かみさんはこれ礼拝らいはい讃嘆さんだんもんなり。 しもいっはこれがんもんなり。

第一行四句[ミ]テ↢三念門↡。上三句是礼拝・讃嘆門ナリ。下一句是作願門ナリ

・成上起下

^だいぎょう論主ろんじゅ (天親) みづから、 「われぶっきょう (浄土三部経) によりて ¬ろん¼ をつくりてぶっきょう相応そうおうす、 ぶくするところ*しゅうある」 ことをぶ。 なんがゆゑぞいふとならば、 これ優婆うば提舎だいしゃじょうぜんがためのゆゑなり。 またこれかみ三門さんもんじょうじてしももんおこす。 ゆゑにこれにいでけり。

第二行論主[ラ][リ]テ↢仏経↡造[リ]テ↠¬論¼↢仏教↡相応↠服スルルコトヲ↞宗。何[フ]トナラバ↠成ゼム[ガ]↢優波提舎ナリ。亦是成ジテ↢上三門↡起↢下二門↡。所以[]テ↠之[ニ]ケリ

・観察門

^だいさんぎょう0051じゅういちぎょうくるまで、 これ観察かんざつもんなり。

[リ]↢第三行↡尽[クル]マデ↢廿一行↡観察門ナリ

・回向門

^まついちぎょうはこれこうもんなり。 しょうもんわかちをはりぬ。

末後一行廻向門ナリ。分↢偈章門↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 文を釈す
      随釈して法を顕す
        三念門を相含む
          (一)牒偈

【6】  ^そん一心いっしん みょう尽十方じんじっぽう 無礙むげこう如来にょらい がんしょう安楽国あんらくこく

04520348 一心シ[タテマツリ]テ尽十方 无光如来[ゼム]ト安楽国

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)釈義
            (Ⅰ)第一句を解す
              (ⅰ)世尊を釈す
                (a)名義

 ^そん」 とは諸仏しょぶつ通号つうごうなり。 ろんずればすなはちとしてたっせざるはなし。 だんかたればすなはちじっあまりなし。 *だんそくしてよくけんし、 のためにそんじゅうせらるるゆゑにそんといふ。

世尊[ト]諸仏ナリ。論ズレバ↠智[チ]トシテ↠不[ル]コト↠達[セ]。語レバ↠断[チ]習気无↠余[リ]。智断具足シテ↢世間↡、為↠世尊重[セ]ラルヽ↢世尊↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)通別

^ここにいふこころは、 しゃ如来にょらいしたてまつるなり。 なにをもつてかることをとなれば、 しもに 「我依がえしゅ多羅たら」 といへばなり。 天親てんじんさつしゃ如来にょらい像法ぞうぼうのなかにありてしゃ如来にょらい経教きょうきょうじゅんず。 ゆゑにしょうぜんとがんず。 しょうぜんとがんずるにしゅうあり。 ゆゑにこのごんしゃしたてまつるとるなり。 もしこのこころおもふに、 あまねく諸仏しょぶつぐることまたきらふことなし。

シタテマツル[ナリ]↢釈迦如来↡。何テカトナレバ↠知[ルコトヲ]、下[ヘ]バナリ↢「我依修多羅」↡。天親菩薩リテ↢釈迦如来像法之中↡、順↢釈迦如来経教↡。所以↠生[ゼム]トズルニ↠生ゼムト↠宗。故ルナリ↣此シタテマツルト↢于釈迦↡。若オモフニ↢此↡、遍[グル]コト↢諸仏↡亦復↠嫌[フ]コト

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)告意

^それさつぶつすることは、 こう父母ぶもし、 ちゅうしん君后くんこうして、 *どうじょうおのれにあらず、 *しゅつもつかならずゆえあるがごとし。 *おんりてとくほうず、 よろしく*けいすべし。 ^また所願しょがんかろからず。 もし如来にょらいじんしたまはずは、 まさになにをもつてかたっせんとする。 *神力じんりきすることをふ。 ゆゑにあおぎてぐるなり。

菩薩ス[ルコトハ]↠仏、如↧孝子↢父母↡、忠臣之帰シテ↢君后↡、動静非、出没必アルガ↥。知リテ↠恩↠徳、理宜シクシ ↢先↡。又所願↠軽[カ]ラ如来↠加シタマハ↢威神↡、将↢何テカセムト↡。↠加[スル]コトヲ↢神力↡。所以[ギ]テ[グル]ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)我一心を釈す
                (a)総釈【論主自督】

^一心いっしん」 とは、 天親てんじんさつ*とくことばなり。

「我一心[ト]天親菩薩[ノ]トク之詞ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)一心

^いふここ0052ろは、 無礙むげこう如来にょらいねんじて安楽あんらくしょうぜんとがんず。 心々しんしん相続そうぞくしておもい*間雑けんぞうすることなしとなり。

フココロハ↢无光如来↠生ゼムト↢安楽↡。心心相続シテ[シ]トナリ↢他間雑スルコト↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)

 ^ひていはく、 仏法ぶっぽうのなかにはなし。 このなかになにをもつてかしょうする。 ^こたへていはく、 「」 といふにさん根本こんぽんあり。 いちにはこれ*邪見じゃけんにはこれ*だいさんにはこれ*流布るふなり。 いま 「」 といふは、 天親てんじんさつ自指じしことばにして、 流布るふもちゐる。 邪見じゃけんだいとにはあらず。

[ヒテ][ク]、仏法ニハ↠我。此[テ]カスル↠我。答[ヘテ][ク]フニ↠我[リ]↢三根本↡。一[ニ]ハ是邪見語、二[ニ]ハ是自大語、三[ニ]ハ是流布語ナリ。今言[フ]↠我天親菩薩[ノ]自指之言ニシテ、用[ヰル]↢流布語↡。非↢邪見自大トニ[ハ]↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)第二三句を解す
              (ⅰ)総示

 ^みょうじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 とは、 「みょう」 はすなはちこれ礼拝らいはいもんなり。 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はすなはちこれ讃嘆さんだんもんなり。

「帰命尽十方无光如来[ト]、帰命[チ]是礼拝門ナリ。尽十方无光如来[チ]是讃嘆門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)【礼拝門】

^なにをもつてか 「みょう」 はこれ礼拝らいはいなりとるとなれば、 りゅうじゅさつの、 弥陀みだ如来にょらいさん (易行品)つくれるなかに、 あるいは 「稽首けいしゅらい」 といひ、 あるいは 「みょう」 といひ、 あるいは 「みょうらい」 といへり。 この ¬ろん¼ (浄土論)じょうごうのなかにまた 「念門ねんもんしゅす」 といへり。 念門ねんもんのなかに礼拝らいはいはこれはじめなり。 天親てんじんさつすでにおうじょうがんず。 あにらいせざるべけんや。 ゆゑにりぬ、 みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなり。

[テ]カ[ル]トナレバ↢帰命是礼拝ナリト↡、龍樹菩薩レル↢阿弥陀如来↡中0453、或0349[イハ]↢「稽首礼」↡、或[イハ][ヒ]↢「我帰命」↡、或[イハ]ヘリ↢「帰命礼[ト]」↡。此[ノ]¬論¼長行亦言[ヘリ]↠「修[ス]ト↢五念門↡」。五念門礼拝[ハ]是一ナリ。天親菩薩既↢往生↡。豈ケムヤ↠不[ル]↠礼[セ]。故[リ]ヌ帰命[チ]是礼拝ナリ[]

^しかるに礼拝らいはいはただこれ*ぎょうにして、 かならずしもみょうにあらず。 みょうはかならずこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつてすいせば、 みょうおもしとなす。 *しんぶ。 よろ0053しくみょうといふべし。 ろんす。 ひろ礼拝らいはいだんず。 *彼此ひしあひじょうじてにおいていよいよあらわれたり。

[ル]ニ礼拝但是恭敬ニシテ、不↢必ズ[シモ]帰命↡。帰命[ズ]是礼拝ナリ。若[シ]↠此セバ、帰命[ス]↠重[シ]ト。偈↢己心↡。宜シクシ ↠言↢帰命↡。論↢偈↡。汎↢礼拝↡。彼此ジテ、於↠義イヨイヨハレタリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)【讃嘆門】
                  (イ)正証

 ^なにをもつてか 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はこれ讃嘆さんだんもんなりとるとならば、 しもじょうごうのなかに、 「いかんが讃嘆さんだんもん。 いはく、 かの如来にょらいみなしょうするに、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく、 かの*みょうのごとく、 如実にょじつしゅぎょうして相応そうおうせんとほっするがゆゑなり」 といへり。

[テ]カルトナラバ↢尽十方无光如来[ハ]是讃嘆門ナリト↡、下長行ヘリ↧「云何讃嘆門イハスルニ↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、スルガ如実修行シ[テ]相応セムト↡故ナリト」↥。

^*しゃこく所説しょせつの ¬りょう寿じゅきょう¼ (*小経) によらば、 ぶつ弥陀みだ如来にょらいみょうごうしたまはく、 「なんがゆゑぞ弥陀みだごうする。 かのぶつこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふにしょうするところなし。 このゆゑに弥陀みだごうす。 またかのぶつ寿じゅみょうおよびその人民にんみんも、 りょうへんそうなり。 ゆゑに弥陀みだづく」 と。

ラバ↢舎衛国所説¬无量寿経¼↡、仏解シタマハク↢阿弥陀如来[ノ]名号↡、「何[ス]ル↢阿弥陀↡。彼光明无量ニシテ、照↢十方国↡无↠所↢障[スル]↡。是↢阿弥陀↡。又彼寿命及人民、无量无辺阿僧祇ナリ。故クト↢阿弥陀↡」。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)料簡
                    [一]

 ^ひていはく、 もし無礙むげこう如来にょらいこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふに障礙しょうげするところなしといはば、 このけんしゅじょう、 なにをもつてか光照こうしょうこうむらざる。 ひかりらさざるところあらば、 あにあるにあらずや。

[ヒテ][ク]、若[シ][ハバ]↧无光如来光明无量ニシテ、照[シタ]マフニ↢十方国土↡无[シ]ト↞所↢障[スル]、此衆生何[テ]カ↠蒙↢光照↡。[ノ]ラバ↠所↠不[ル]↠照[サ]、豈↠有[ルニ]↠

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]正しく所疑を答ふ

^こたへていはく、 しゅじょうぞくす。 ひかりにはあらず。 ^たとへば日光にっこうてんにあまねけれども、 *盲者もうじゃざるがごとし。 日光にっこうのあまねからざるにはあらず。 また*密雲みつうんおおきにそそ0054 かんなり げども、 *頑石がんせきうるおはざるがごとし。 あめうるお しゅなり さざるにはあらず。

[ヘテ][ク]、↢衆生↡。非[ズ]↢光ニハ↡也。譬[ヘバ]↧日光[ハ]アマネケレ↢四天下ドモ盲者[ハ]ルガ↞見。非↢日光ルニハ↟周[カラ]也。亦如↢密雲オホキソヽ [ナリ]之句[ノ] ドモ頑石[ノ]ルガウルオ。非[ザ]ル↢雨ルニハウルオ [ナリ][ノ] 也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]重ねて二蔵を弁ず

 ^もし一仏いちぶつ三千さんぜん大千だいせんかいしゅりょうすといはば、 これしょうもんろんのなかのせつなり。 もし諸仏しょぶつあまねく十方じっぽうりょうへんかいりょうすといはば、 これだいじょうろんのなかのせつなり。

[シ]ハバ↣一仏主↢領スト三千大千世界↡、0454聞論0350ナリ。若ハバ↣諸仏遍[スト]↢十方无量无辺世界↡、是大乗論ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)結成

^天親てんじんさつ、 いま、 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 といふは、 すなはちこれかの如来にょらいみなにより、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく讃嘆さんだんするなり。 ゆゑにりぬ、 このはこれ讃嘆さんだんもんなり。

天親菩薩、今フハ↢「尽十方无光如来」↡、即[チ]是依↢彼如来[ニ]↡、如↢彼如来光明智相↡讃嘆スルナリ。故[リ]ヌ是讃嘆門ナリ[]

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)第四句を解す
              (ⅰ)正釈【作願門】

 ^がんしょう安楽あんらくこく」 とは、 このいっはこれがんもんなり。 天親てんじんさつみょうこころなり。 それ 安楽あんらく」 のは、 つぶさにした観察かんざつもんのなかにあり。

「願生安楽国[ト]、此一句是作願門ナリ。天親菩薩帰命之意也。安楽↢下観察門↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)問答【願生問答】
                (a)生の義を料簡す
                  (イ)

 ^ひていはく、 *だいじょうきょうろんのなかに、 処々しょしょに 「しゅじょう*ひっきょうしょうにしてくうのごとし」 とけり。 いかんが天親てんじんさつがんしょう」 といふや。

[ヒテ][ク]、大乗経論、処処ケリ↣衆生畢竟无生ニシテ[シ]ト↢虚空↡。云何天親菩薩↢願生

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 「しゅじょうしょうにしてくうのごとし」 とくにしゅあり。

[ヘテ][ク]、説クニ↣衆生[ハ]无生ニシテ[シト]↢虚空↡有↢二種↡。

^いちには、 ぼんおもふところのごときじつしゅじょうぼんるところのごときじつしょうは、 この所見しょけんひっきょうじてしょなきこと、 *もうのごとく、 くうのごとし。

[ニ]↢凡夫↟謂衆生、↢凡夫↟見生死、此所見事畢竟ジテキコト所有↡如↢亀毛↡、如↢虚空

^には、 いはく、 諸法しょほう因縁いんねんしょうのゆゑにすなはちこれしょうなり。 しょなきことくうのごとし。 天親てんじんさつ0055がんずるところのしょうは、 これ因縁いんねんなり。 因縁いんねんのゆゑにかりしょうづく。 ぼんの、 じつしゅじょうじつしょうありとおもふがごときにはあらず。

。二[ニ]者謂諸法因縁生[チ]是不生ナリ。无キコト所有↡如↢虚空↡。天親菩薩↠願ズル因縁ナリ。因縁↠生。非[ザ]ル↠如キニハ↢凡夫フガ↟有[リ]ト↢実衆生実生死↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)往の義を料簡す
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんのによりてかおうじょうく。

[ヒテ][ク]、依[リ]テカ↢何↡説↢往生↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 このけん*みょうにんのなかにおいて念門ねんもんしゅするに、 前念ぜんねんねんのためにいんとなる。 穢土えどみょうにんじょうみょうにんと、 けつじょうしていちなるをず、 けつじょうしてなるをず。 前心ぜんしんしんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もしいちならばすなはちいんなく、 もしならばすなはち相続そうぞくにあらざればなり。 この*いちもんかんずるろんのなかに*きょくなり。

[ヘテ][ク]、於↢此仮名人↡修スルニ↢五念門↡、前念[ハ]↢後念↠因。穢土仮名人浄土仮名人[ト]↠得↢決定シテ[ナル]ヲ不↠得↢決定シテ[ナル]ヲ↡。前心後心亦如↠是[ク]ノ。何[テ]ノ。若ナラバ[チ]↢因果↡、若ナラバ[チ]ザレバナリ↢相続↡。是ズ[ル]↢一異↡論委曲ナリ

^だいぎょうさん念門ねんもんしゃくしをはりぬ。

↢第一行三念門↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ ⅱ a 所服有宗を述ぶ【成上起下偈】
          (一)出科

【7】 ^つぎは 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 またかみじょうじてしもおこなり

波提舎↡、又成ジテ↠上[ヲ]↠下ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (二)牒偈

^我依がえしゅ多羅たら 真実しんじつどくそう せつがんそう ぶっきょう相応そうおう

0455 0351[リ]テ修多羅[ノ] 真実功徳[キ]テ願偈総持仏教相応セム

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)釈義
            (Ⅰ)総じて科意を明す
              (ⅰ)名を成ずるを顕す

 ^このいちぎょう、 いかんが 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 いかんが*かみ三門さんもんじょう*しももんおこす。 に 「我依がえしゅ多羅たら ぶっきょう相応そうおう」 といふ。 「しゅ多羅たら」 はこれぶっきょうなり。 われぶっきょうろんじて、 きょう相応そうおうす。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑに優婆うば提舎だいしゃづく。 じょうじをはりぬ。

一行云何 イカン ↢優波提舎↡、云何[ガ]↢上三門↡起↢下二門↡。偈↢「我依修多羅、与仏教相応」↡。「修多羅仏経ナリジテ↢仏経↡、↠経相応[テ]ノ↠入ルヲ↢仏法憂波提舎↡。名成[リ]ヌ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)成上起下を審にす

^かみ三門さんもんじょうじてしももんおこすとは、 いづれのところにかり、 なんのゆゑにかり、 いかんがる。 ^いづれの0056ところにかるとは、 しゅ多羅たらる。 なんのゆゑにかるとは、 如来にょらいはすなはち真実しんじつどくそうなるをもつてのゆゑなり。 いかんがるとは、 念門ねんもんしゅして相応そうおうするがゆゑなり。 かみじょうしもおこしをはりぬ。

ジテ↢上三門↡起ス[トハ]↢下二門↡、何[レ]ノニカ、何ニカ、云何レノニカ[ルト]、依↢修多羅↡。ニカルト者、以[テ]ノ↢如来[チ]真実功徳ナルヲ↡故ナリ云何ルト者、修シテ↢五念門↡相応スルガナリ。成↠上[ヲ]↠下[リ]ヌ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)別して文句を解す
              (ⅰ)第一句を釈す

^しゅ多羅たら」 とは、 じゅうきょうのなかの直説じきせつのものをしゅ多羅たらづく。 いはく、 *四阿しあごん三蔵さんぞうとう三蔵さんぞうのほかのだいじょう諸経しょきょうもまたしゅ多羅たらづく。 このなかに 「しゅ多羅たら」 といふは、 これ三蔵さんぞうのほかのだいじょうしゅ多羅たらなり。 ごんとうきょうにはあらず。

修多羅[ト]、十二部経直説↢修多羅↡。謂四阿含・三蔵等ナリ三蔵大乗諸経亦名↢修多羅↡。此↢「依修多羅」↡三蔵大乗修多羅ナリ。非↢阿含等ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)第二句を釈す【真実功徳釈】
                (a)不実功徳

^真実しんじつどくそう」 とは、 しゅどくあり。 いちには有漏うろしんよりしょうじてほっしょうじゅんぜず。 いはゆるぼん人天にんでん諸善しょぜん人天にんでんほう、 もしはいんもしは、 みなこれ顛倒てんどう、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑにじつどくづく。

「真実功徳[ト]、有↢二種功徳↡。一[ニ][リ]↢有漏心↡生ジテ↠順↢法性↡。所謂凡夫人天諸善、人天果報、若[シ]ハ因若[シ]ハ果、皆是顛倒、皆是虚偽ナリ。是↢不実功徳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)真実功徳

^にはさつ智慧ちえ清浄しょうじょうごうよりおこりて*ぶつしょうごんす。 ほっしょうによりて清浄しょうじょうそうる。 このほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず。 づけて真実しんじつどくとなす。 いかんが顛倒てんどうせざる。 ほっしょうによりてたいじゅんずるがゆゑなり。 いかんが虚偽こぎならざる。 しゅじょうせっして*ひっきょうじょうらしむるがゆゑなり。

[ニ]者従[リ]↢菩薩[ノ]恵清浄業↡起リテ荘↢厳仏事↡。依[リ]テ↢法性↡入↢清浄↡。是↢顛倒↡、↢虚偽ナラ↡。名[ケ]テ↢真実功徳↡。云何[ガ]↢顛倒↡。依[リ]テ↢法性[ニ]↡順ズルガ↢二諦↡故ナリ。云何[ガ]↢虚偽ナラ↡。摂シテ↢衆生↡入[ラ]シムルガ↢畢竟浄[ニ]↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅲ)後の二句を釈す

^せつがんそう ぶっきょう相応そうおう」 とは、 「」 はさんしつづく。 「そう」 はしょうをもつてせっするにづく。 」 のごんごんしゅなり。 がん」 はおうじょう*よくぎょうするにづく。 せつ」 はいはく、 もろもろのろんくなり。 そうじて0057これをいふに、 がんしょうするところのきて、 ぶっきょう*そうし、 ぶっきょう相応そうおうするなり。 相応そうおう」 とは、 たとへば*かんがいとあひかなへるがごとし。

「説願偈総持、与仏教相応[ト]、持↢不散不失↡。総↢以↠少[ヲ]スルニ↟多。偈五言句数ナリ。願[ク]↣欲0352↢楽スルニ0456↡。説クナリ↢諸↡。総フニ↠之、説[キ]テ↧所↢願生スル↡偈↥、総↢持仏経↡、↢仏教↡相応[スル]ナリ。相応[ト]、譬[ヘ]バ↢函カナヘルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a 【観察門】
          (一)【器世間】
            (Ⅰ)正説
              (ⅰ)【清浄功徳】
                (a)牒偈

【8】  ^かんかいそう しょう三界さんがいどう

[ズル]ニ世界セリ三界

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)釈義
                  (イ)総じて章を分つ
                    [一]総じて観察を標す

 ^これより以下いげは、 これだい観察かんざつもんなり。

ヨリ已下第四観察門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二]正しく章門を分つ
                      [Ⅰ]総じて依正を分つ

^このもんのなかをわかちてべつとなす。 いちにはけんしょうごんじょうじゅ観察かんざつす。 にはしゅじょうけんしょうごんじょうじゅ観察かんざつす。

[チ]テ↢二[ト]↡。一[ニ]者観↢察器世間荘厳成就↡。二[ニ]者観↢察衆生世間荘厳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]別して国徳を指す
                        [ⅰ]総じて文処を別つ

^このより以下いげがんしょう弥陀みだ仏国ぶつこく」 にいたるまでは、 これけんしょうごんじょうじゅかんずるなり。 けんかんずるなかに、 またわかちてじゅうしちべつとなす。 もんいたりてまさになづくべし。

ヨリ已下、至ルマデハ↢「願生彼阿弥陀仏国」↡ズルナリ↢器世間荘厳成就↡。観ズル↢器世↡中、復分[チ]テ↢十七↡。至[リ]テ↠文ナヅ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別して句名を標す

^このはすなはちこれ第一だいいちなり。 づけて観察かんざつしょうごん清浄しょうじょうどくじょうじゅとなす。

二句[チ]第一ナリ。名[ケ]テ↢観察荘厳清浄功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)別して今偈を釈す
                    [一]下釈に対す

^この清浄しょうじょうはこれ*総相そうそうなり。

清浄総相ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]本を尋ねて釈す
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごん清浄しょうじょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいそなはすに、 これ虚偽こぎそう、 これ*輪転りんでんそう、 これ*ぐうそうにして、 *しゃっかく かがまりぶるむしなりじゅんかんするがごとく、 *蚕繭さんけん さんなりばくするがごとし。 あはれなるかなしゅじょう、 この三界さんがいしば むすびてけず られて、 顛倒てんどうじょうなり。

所↣以 ユヘ シタマヘル↢此[ノ]荘厳清浄功徳ソナハスニ↢三界↡是虚偽相、是輪転相、无窮ニシテ、如シヤク [ノ] クワク[ノ] カヾマリブルムシナリ一郭[ノ] クワンスルガ↡、サムカイコ才含反 ケンマユ 蚕衣[ナリ]公殄[ノ] 自縛スルガ↡。アハレナルカナ衆生シバラレテ[ビテ]不↠解[ケ][ノ]三界↡、顛倒・不浄ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^しゅじょう不虚偽ふこぎところ輪転りんでんところ不無ふむぐうところきて、 ひっきょう安楽あんらくだい清浄しょうじょうしょしめんとおぼしめす。 このゆゑにこの清浄しょうじょうしょうごんどくおこしたまへり。

オボシメスキテ↢衆生於不虚偽処、於不輪転処、於不无窮↡、シメムト↦畢竟安楽大清浄処↥。是シタマヘリ↢此清浄荘厳功徳↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 この清浄しょうじょう破壊はえすべからず、 ぜんすべから0058ず。 三界さんがいの、 これぜんそう、 これ破壊はえそうなるがごときにはあらず。

成就[ト]フココロハ清浄↠可[カラ]↢破壊↡、↠可[カ]ラ↢汚染↡。非[ザ]ル↠如キニハ↢三界汚染、是破壊ナルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]成就
                      [Ⅰ]初句を釈す

^かん」 とは観察かんざつなり。 「」 とはかの安楽あんらくこくなり。 「かいそう」 とはかの安楽あんらくかい清浄しょうじょうそうなり。 そのそうべつしもにあり。

「観[ト]観察也。「彼[ト]安楽国也。「世界相[ト]安楽世界清浄相也。其相別↠下

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]後句を釈す
                        [ⅰ]道を釈す

^しょう三界さんがいどう」 の 「どう」 とはつうなり。 かくのごときいんをもつて、 かくのごとき。 かくのごときをもつて、 かくのごときいんむくゆ。 いんつうじていたる。 つうじていんむくゆ。 ゆゑにづけてどうとなす。

「勝過三界[ノ]」、道[ト]通也。以↢如↠此[クノ]0353↡、0457↢如↠此[クノ]↡。以[テ]↢如↠此[クノ][ヲ]↡、ムク↢如↠此[クノ]↡。通ジテ↠因↠果。通ジテ↠果[ニ]ムク↠因[ニ][ケ]テ↠道

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]三界を釈す

^三界さんがい」 とは、 いちにはこれ欲界よくかい、 いはゆる六欲ろくよくてんてんにんちくしょう餓鬼がきごくとうこれなり。 にはこれ色界しきかい、 いはゆる初禅しょぜんぜん三禅さんぜんぜん天等てんとうこれなり。 さんにはこれ色界しきかい、 いはゆる空処くうしょ識処しきしょしょしょそう非非ひひ想処そうしょ天等てんとうこれなり。

三界[ト]、一ニハ欲界、所謂六欲天・四天下人・畜生・餓鬼・地獄等是也。二ニハ是色界、所謂初禅・二禅・三禅・四禅天等是也。三[ニ]ハ是无色界、所謂空処・識処・无所有処・非想非非想処天等是也。

^この三界さんがいはけだしこれしょうぼんてん闇宅あんたくなり。 またらくすこしきことなり、 *修短しゅたんしばらくことなりといへども、 べてこれをかんずるに有漏うろにあらざるはなし。 *ぶくあひじょうじ、 じゅんかんさいなり。 *ざっしょう触受そくじゅし、 *とうながかかはる。 かつはいん、 かつは虚偽こぎあひおそふ。

三界ケダ生死凡夫[ノ]流転之闇宅ナリ。雖[モ]↢復苦楽スコナリ修短シウタン↡、ベテ而観ズルニ↠之↠非[ザ]ルコト↢有漏↡。ヨリフス相乗シウクワン无際ナリ。雑生触受、四倒長カヽハツハツハ果、虚偽オソシフ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅲ]勝過の相を明す

^安楽あんらくはこれさつ (*法蔵)慈悲じひ*しょうかんしょう如来にょらい (阿弥陀仏)神力じんりき本願ほんがん所建しょこんなり。 *たいらん湿しつしょう、 これによりて*たかおさめ、 *ごうながつな、 これよりながつ。 *続括ぞくかつはかりごとすすめをたずしてゆみく。 *労謙ろうけんぜんじょう*げんひとしくしてとくおな0059くす。 ^しょう三界さんがい」 とは、 そもそもこれ近言ごんごんなり。

安楽菩薩慈悲・正観之由生、如来神力本願之所コンナリ。胎卵湿生縁[リ]テタカヲサイフ、業繋ツナ[リ]↠此永ゾクツイデクワチクヽルハカリゴトシテ↠弓。労イタハルケム善譲ユヅルヒトシク↢普賢シテジクス↠徳。勝セリ三界是近言ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)【量功徳】
                (a)牒偈

【9】  ^きょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい

究竟シテ[ク]虚空 広大ニシテ辺際

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんりょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳量功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)本願
                    [一]正しく本願を明す
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごんりょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいそなはすに陜小きょうしょうにして* はいじょうおかなり けい やま絶坎ぜっかんなり *はい つちかさぬるなり。 いちにはいはくなり しょ しょのごときもの、 しょきゅうなり なり。 あるいは*かん迫迮はくさくし、 あるいは*でん逼隘ひつあい ろうなり す。 あるいは志求しぐするにみちつづまり、 あるいはせんへだ そくなりふ。 あるいは*国界こくかいぶんせり。 かくのごとき種々しゅじゅ*きゅうあり。

モト所↣以 ユヘ シタマヘル↢此荘厳量功徳ソナハスニ↢三界戸甲[ノ][ニシテ][ノ]ナリ式垂[ノ] [ノ]絶坎[ナリ][ノ] [ヌルコト]↠土[ヲ]一日[ニシテ][ハルナリ]父才[ノ] ナリ [キ][ノ]者陼[ナリ]之与[ノ]。或[イ]ハ宮観[ノ] 子格[ノ]、或[イ]ハ土田逼隘 [ナリ]。或[イ]ハ志求[スルニ]ミチツヾマ、或[イ]ハ山河ヘダ [ナリ][ノ] 。或[イハ]国界分セリ。有↢如↠此[ク]ノ種種キフ事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑにさつ、 このしょうごんりょうどくがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくくうのごとく広大こうだいにしてさいならん」 と。

菩薩オコシタマヘリ↢此荘厳量功徳↡。願[ク]ハ国土如0458↢虚空0354↡広大[ニシテ]无際ナラムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]因みに偈句を釈す

^くうのごとく」 とは、 いふこころは、 らいしょうのものおおしといへども、 なほなきがごとくならんとなり。 「広大こうだいにしてさいならん」 とは、 かみの 「にょくう」 のじょうず。 なんがゆゑぞ 「にょくう」 といふ。 広大こうだいにしてさいなるをもつてのゆゑなり。

クト↢虚空↡」フココロハ来生ウトオホシトナホゴトクナラムト↠无[キ]ガ也。「広大ニシテ无際ナラムト、成↧上虚空↥。何トイフ虚空。以[テ]ノ↢広大ニシテ无際ナルヲ↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)成就
                    [一]正釈

^じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 十方じっぽうしゅじょうおうじょうするもの、 もしはすでにしょうじ、 もしはいまにしょうじ、 もしはまさにしょうぜん。 りょうへんなりといへどもひっきょうじてつねにくうのごとく、 広大こうだいにしてさいにして、 つひにときなからん。 このゆゑに0060きょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい」 といへり。

成就[ト]フココロハ十方衆生往生セム、若[シ]ハ、若[シ]ハ、若[シ]ハ↢无量无辺ナリト↡畢竟ジテ↢虚空↡、広大ニシテ无際ニシテ、終[カ]ラムトキ↡。是ノタマヘリ↢「究竟如虚空、広大无辺際」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]問答

 ^ひていはく、 ゆいのごときは、 *ほうじょう苞容ほうようしてあまりあり。 なんぞかならず国界こくかい*無貲むしなるをすなはち広大こうだいしょうする。

[ヒテ][ク]、如キハ↢維摩↡、ホウヂヤウ苞容シテ↠余。何国界无ナルヲ [ノ] スル↢広大↡。

^こたへていはく、 いふところの広大こうだいは、 かならずしも*けい じっなり えん さんじっなり をもつてたとへとなすにあらず。 ただくうのごとしといふ。 またなんぞほうじょうわずらはさんや。 またほうじょう苞容ほうようするところはきょうにありてこうなり。 まこと じつなりほうろんずるに、 あにこうにありてこうなるにしかんや。

[ヘテ][ク]、所↠言[フ]広大↧必[ズシモ]五十畝[ナリ]下圭[ノ] 三十畝[ナリ]遠一万[ノ][ス]ニ↞喩。但言↠如[シ]ト↠空。亦何ワズラハサムヤ↢方↡。又方丈之スル↡在ナリマコト [ナリ]下革[ノ]ズルニ↢果報↡、豈カム↢在↠広ナルニ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)【性功徳】
                (a)牒偈

【10】 ^しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう

正道大慈悲 出世善根ヨリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんしょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳性功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 愛欲あいよくをもつてのゆゑにすなはち欲界よくかいあり。 *攀厭へんえんぜんじょうをもつてのゆゑにすなはちしき色界しきかいあり。 この三界さんがいはみなこれ有漏うろなり。 邪道じゃどうしょしょうなり。 ながだいねてでんとねがふをることなし。

モトオコシタマヘル↢此荘厳↡。ソナハスニ国土↡、以[テ]ノ↢愛欲↡故↢欲界↡。以[テ]ノ攀厭禅定↡故[リ]↢色・无色界↡。此三界有漏ナリ。邪道所生ナリ。長ネテ↢大夢↠知[ル]コトフヲ↠出デムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 *じょうしょう見道けんどうをもつて清浄しょうじょうおこして三界さんがいいださん」 と。

オコシタマヘリ↢大悲心↡。願[ク]ハ成仏セムニ、以↢无上正見道オコシテ↢清浄サムト↢于三界↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)句名を釈す
                    [一]性本義

^しょう」 はこれほんなり。 いふこころは、 このじょうほっしょうずいじゅんして法本ほうほんそむかず。 ¬*ごんぎょう¼ の*宝王ほうおう如来にょらいしょう0061おなじ。

ナリフココロハ浄土随↢順シテ法性↢法本↡。事同↢¬花厳経¼宝王如来性起↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[二]積習性

^またいふこころは、 積習しゃくじゅうしてしょうじょうず。 *法蔵ほうぞうさつしょ波羅はらみつあつめて積習しゃくじゅうしてじょうずるところをす。

フココロハ積習シテ↠性↧法蔵菩薩アツメテ↢諸波羅蜜↡積習シテ↞成ズル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[三]聖種性

^また 「しょう」 といふは、 これしょうしゅしょうなり。 はじ法蔵ほうぞうさつ*世自せじ在王ざいおうぶつみもとにおいて、 しょう法忍ぼうにんさとりたまへり。 そのときくらいしょうしゅしょうづく。 このしょうのなかにおいてじゅうはち大願だいがんおこしてこの*しゅせり。 すなはち安楽あんらくじょうといふ。 これかのいん所得しょとくなり。 のなかにいんく。 ゆゑにづけてしょうとなす。

亦言[フ]↠性[ト]聖種性ナリハジ法蔵菩0459↢世0355自在王仏ミモト↡、悟[リタマ]ヘリ↢无生法忍↡。爾↢聖種性↡。↢是↡発シテ↢八大願↡修↢起セリ↡。即↢安楽浄土↡。所得ナリ。果↠因。故[ケ]テ↠性

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[四]必然不改

^またいふこころは、 「しょう」 はこれ必然ひつねんなり、 がいなり。 うみしょういちにして、 しゅればかならずいちとなりて、 うみあじはひ、 かれにしたがひてあらたまらざるがごとし。

フココロハ必然ナリ、不改ナリ。如[シ]↧海一味ニシテ、衆流[ズ]リテ↢一味↡海味不[ルガ]↦随[ヒ]テ↠彼[ラ]↥也。

^またひとしょうじょうなるがゆゑに、 種々しゅじゅみょうこうしきこう美味みみればみなじょうとなるがごとし。 安楽あんらくじょうはもろもろのおうじょうするもの、 じょう*しきなく、 じょうしんなし。 ひっきょうじてみな*清浄しょうじょうびょうどう無為むい法身ほっしんることは、 安楽あんらくこく清浄しょうじょうしょうじょうじゅせるをもつてのゆゑなり。

又如↣人[ハ]不浄ナルガ、種種妙好色・香・美味入レバ↠身皆為ルガ↢不浄↡。安楽浄土往生スル、无↢不浄色↡、无↢不浄心↡。畢竟ジテ皆得[ル]コトハ↢清浄平等无為法身↡、以[テ]ノ↢安楽国土清浄性成就セルヲ↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)成就
                    [一]初句を釈す

^しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう」 とは、 びょうどう大道だいどうなり。 びょうどうどうづけてしょうどうとなす所以ゆえんは、 びょうどうはこれ諸法しょほう*体相たいそうなり。 諸法しょほうびょうどうなるをもつてのゆゑに*発心ほっしんひとし。 発心ほっしんひとしきがゆゑにどうひとし。 どうひとしきがゆゑにだい慈悲じひひとし。 だい慈悲じひはこれ仏道ぶつどうしょういんなるがゆゑに 「しょうどうだい慈悲じひ」 といへり。

「正道[ノ]大慈悲、出世[ノ]善根[ヨリ][ズ][ト]、平等大道也。平等所↣以 ユヘ [ケ]テ↢正道、平等諸法体相ナリ。以[テ]ノ↢諸法平等ナルヲ↡故発心ヒト。発心等[シ]キガ道等。道等[シ]キガ大慈悲等。大慈悲是仏道正因ナルガ[ヘリ]↢「正道大慈悲」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)[二]後句を釈す

^0062三縁さんえんあり。 いちにはしゅじょうえん、 これしょうなり。 には法縁ほうえん、 これちゅうなり。 さんにはえん、 これだいなり。 だいはすなはちしゅっぜんなり。 安楽あんらくじょうはこのだいよりしょうぜるがゆゑなり。 ゆゑにこのだいをいひてじょうこんとなす。 ゆゑに 「しゅっ善根ぜんごんしょう」 といへり。

慈悲↢三縁↡。一[ニ]衆生縁、小悲[ナリ]。二[ニ]者法縁、是中悲ナリ。三[ニ]者无縁、是大悲ナリ。大悲[チ]出世善也。安楽浄土[リ]↢此大悲↡生ゼルガナリ。故[ヒ]テ↢此大悲↢浄土之根[ト]↡。故ヘリ↢「出世善根生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)【形相功徳】
                (a)牒偈

【11】 ^じょうこうみょう満足まんぞく にょきょう日月にちがつりん

浄光明[ノ]満足[スル]コト日月輪トノ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんぎょうそうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳形相功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごんどくおこしたまへる所以ゆえんは、 *いきくをそなはすに、 ひかり*三方さんぽうにあまねからず。 *ていりょうたくにあるにあきらかなること*じゅうじんたず。

所↣以 ユヘ シタマヘル↢此荘厳功徳、見[ソナハス]ニ↣日0460[ク]ヲ↢四域↡、アマネカラ↢三方↡。庭燎テイレウ 力小[ノ]ルニ↠宅カナルコト↠満↢十ジン↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑにじょうこうみょうたさんとがんおこしたまへり。

[テ]ノ↠是シタマヘリ↧満[タサ]ムト↢浄0356光明↡願↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ハ)成就

^日月にちがつ光輪こうりんの、 たい満足まんぞくせるがごとく、 かの安楽あんらくじょうもまた広大こうだいにしてほとりなしといへども、 清浄しょうじょうこうみょうじゅうそくせざるはなからん。 ゆゑに 「じょうこうみょう満足まんぞく 如鏡にょきょう日月にちがつりん」 といへり。

↣日月光輪満↢足セルガ自体↡、彼安楽浄土[モ]↢復広大ニシテシト↟辺、清浄光明カラム↠不コト↢充塞↡。故[ヘリ]↢「浄光明満足、如鏡日月輪」↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)【種々事功徳】
                (a)牒偈

【12】 ^しょ珍宝ちんぽうしょう そくみょうしょうごん

[ヘ]テ珍宝セリ妙荘厳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん種々しゅじゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳種種事功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 でいをもつてかざりとなし、 木石ぼくせきをもつて*かんとなす。 あるいはこがねたまちりばむもがんたず。 あるいはいとなみてひゃくせん0063そなふれば、 つぶさにしんく。

オコシタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。ソナハスニ↢有国土↡、以↢泥土↡為↢宮↡、以↢木石↡為↢花観↡。或[イ]ハ↠金チリバム[モ]↠玉意願。或[イ]ハイトナミテソナフレバ↢百千↡具↢辛苦↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑにだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 かならず珍宝ちんぽうそくし、 厳麗ごんらいねんにして*有余うよにあひわすれ、 おのづから仏道ぶつどうしめん」 と。

[テ]ノ↠此オコシタマヘリ↢大悲心↡。願[ク]ハ成仏セムニ、必使メムト↧珍宝具足、厳麗自然ニ[シテ]アヒワス於有余↡、自得↦於仏道↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ハ)成就

^このしょうごん、 たとひ*首羯しゅかつたくみみょうぜつしょうすとも、 おもいおもいつくすとも、 あによくりてうつさんや。

荘厳事、縦使 タトヒ 毘首羯磨タクミストモ↢妙絶↡、↠思ツクストモ↠想、豈[リ]テウツサムヤ

^しょう」 とはほんなり。 のうしょうすでにきよし、 しょしょういづくんぞじょうん。 ゆゑに ¬きょう¼ (*維摩経) にのたまはく、 「そのしんきよきにしたがひてすなはちぶつきよし」 と。 このゆゑに 「しょ珍宝ちんぽうしょう そくみょうしょうごん」 といへり。

「性[ト]義也。能生既、所生イヅクン↢不浄↡。故¬経¼ノタマハ、「随[ヒ]テ↢其心浄キニ↡則[チ]仏土浄シ[ト]」。是ヘリ↢「備諸珍宝性、具足妙荘厳」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)【妙色功徳】
                (a)牒偈

【13】 ^無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん

无垢光炎サカリニシテ 明浄ニシテ[カ]ス↢世間[ヲ]

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんみょうしきどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳妙色功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 れつどうなり。 どうなるをもつてのゆゑに*こうもつてあらわる。 こうすでにあらわるれば、 是非ぜひもつておこる。 是非ぜひすでにおこれば、 ながさんしず もつなり む。

シタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。見[ソナ]ハスニ↢有[ル]国土↡、優劣不同ナリ。以[テ]ノ↢不同ナルヲ↡故高下以アラハ。高下既アラハルレバ、是非以[テ]オコ。是非既レバ、長シヅ0461[ナリ][ノ] 三有↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいしんおこしてびょうどうがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこく光炎こうえんじょうにして第一だいいち無比むひならん。 人天にんでん金色こんじきよくうばふものあるがごとくならじ」 と。

シテ↢大悲心オコシタマヘリ↢平等↡。願[ク]ハ国土光炎熾盛ニシテ第一无比ナラム[ト]0357↠如クナラ↣人天金色能[ル]ガウバモノ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)成就
                    [一]総じて釈す
                      [Ⅰ]光を顕す

^いかんがあひうばふ。 明鏡みょうきょうのごときを金辺こんぺんけばすなはちげんぜず。

若為 イカン アヒウバ。如キヲ↢明鏡ケバ↢金辺↡則[チ]↠現

^今日こんにちちゅうこがねぶつ (釈尊)ざいこがねするにすな0064はちげんぜず。

今日時中スルニ↢仏在時↡則[チ]↠現

^ぶつ (釈尊)ざいこがね*えん浮那ぶなごんするにすなはちげんぜず。

在時スルニ↢閻浮那金↡則[チ]↠現

^えん浮那ぶなごん大海だいかいのなかの転輪てんりんのうどうちゅう*金沙こんしゃするにすなはちげんぜず。

閻浮那金[スル]ニ↢大海転輪王道中金沙↡則[チ]↠現

^転輪てんりんのうどうちゅう金沙こんしゃ*金山こんぜんするにすなはちげんぜず。

転輪王道中金沙[スル]ニ↢金山↡則[チ]↠現

^金山こんぜんしゅせんこがねするにすなはちげんぜず。

金山[スル]ニ↢須弥山↡則[チ]不↠現[ゼ]

^しゅせんこがね*さんじゅうさんてん*瓔珞ようらくこがねするにすなはちげんぜず。

須弥山[スル]ニ↢三十三天瓔珞↡則[チ]↠現[ゼ]

^さんじゅうさんてん瓔珞ようらくこがね*えんてんこがねするにすなはちげんぜず。

三十三天瓔珞[スル]ニ↢炎摩天↡則[チ]↠現[ゼ]

^えんてんこがね*そつてんこがねするにすなはちげんぜず。

炎摩天[スル]ニ↢兜率陀天↡則[チ]↠現

^そつてんこがね*化自けじ在天ざいてんこがねするにすなはちげんぜず。

兜率陀天[スル]ニ↢化自在天↡則[チ]↠現[ゼ]

^化自けじ在天ざいてんこがね*他化たけ在天ざいてんこがねするにすなはちげんぜず。

化自在天[スル]ニ↢他化自在天↡則[チ]不↠現

^他化たけ在天ざいてんこがね安楽あんらくこくちゅうこうみょうするにすなはちげんぜず。

他化自在天スルニ↢安楽国中光明↡則[チ]↠現

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[一][Ⅱ]無垢を顕す

^所以ゆえんはいかんとなれば、 かの金光こんこう*ごうよりしょうずることをつがゆゑなり。 清浄しょうじょうにしてじょうじゅせざるはなきゆゑなり。 安楽あんらくじょうはこれしょうにんさつじょうごうしょなり。 弥陀みだ如来にょらい法王ほうおうしょりょうなり。 弥陀みだ如来にょらい*ぞうじょうえんとなしたまふがゆゑなり。 このゆゑに 「無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん」 といへり。

所以 ユヘ イカントナレバ、彼金光ツガ↧従[リ]↢垢業↡生[ズル]コトヲ↥故ナリ。清浄ニシテ↠不コト↢成就↡故ナリ。安楽浄土无生忍菩薩浄業所起ナリ。阿弥陀如来法王所領ナリ。阿弥陀如来↢増上縁↡故ナリ。是ヘリ↢「无垢光炎熾、明浄曜世間」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]別して後句を釈す

^ようけん」 とはしゅけんかがやかすなり。

「曜世間[ト][カ]ス↢二種世間↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)触功徳
                (a)牒偈

【14】 ^ほうしょうどくそう にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょうしょうらく 旃隣せんりん

宝性功徳[ノ]草 柔軟ニシテ左右メグレリ ルヽ ズルコト勝楽[ギ]タリ迦旃隣陀

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この四句しくしょうごんそくどくじょうじゅづく。

[ノ]四句↢荘厳触功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへ0065る。 あるこくそなはすに、 こんぎょくほうじゅうすといへどもぶくとなすことをず。 明鏡みょうきょう珍翫ちんがんすれども*敷具ふぐによろしきことなし。 これによりてよろこばしむれども、 *便たよりならず。 しんげんじょうあにじゅんせざらんや。

オコシタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。見[ソナハス]ニ↢有国土↡、雖0462↢重スト金玉スコトヲ↢衣服↡。珍↢翫スレドモ明鏡↡无ヨロシキコト↢於敷具↡。斯[リ]テヨロコバシムレドモ↢於目0358便タヨリナラ↢於身↡也。身眼二情豈ラムホコジユンタテ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこく人天にんでん*ろくじょう*すいにゅうして、 つひに*えつろうらしめん」 と。

ジテノタマハ使メムト↧我国土人天[ノ]六情シテ↢於水乳↡、[ツヒ][ニ]越之労↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ハ)成就

^ゆゑに七宝しっぽうにゅうなんにしてよろこばしめ便たよりなるなり。

所以七宝柔軟ニシテバシ[メ]便 ヨリナルナリ↠身

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)文義を釈す
                    [一]迦旃隣陀を釈す

^旃隣せんりん」 とは、 天竺てんじく (印度)にゅうなんそうなり。 これにるればよく*楽受らくじゅしょうず。 ゆゑにもつてたとへとなす。

「迦旃隣陀」者、天竺柔軟草名也。触[ル]レ↠之↢楽受↡。故↠喩

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[二]草を勘ふ

^ちゅうしゃ (曇鸞) のいはく、 このけんせきそうもくはおのおのじょうたいあり。 訳者やくしゃ (菩提流支) なにによりてか、 かのたからなづけてくさとなすや。 まさにその*ふう くさかぜかたちなり ねんえい くさめぐかたちなり びょう ほそくさびょうといふ なるをもつてのゆゑに、 くさをもつてこれになづくるのみ。 もし*参訳さんやくせばまさにべつみちあるべし。

註者ハク、此土石草木[ノ]↢定体↡。訳者何[リ]テカナヅケテ↢彼↠草。当テノ↢其草得[ル]↠風[ヲ][カタチ][ナリ]父虫[ノ] ヱイ [ノ][ル][ナリ]一煢[ノ] ベウ[ナル]ヲ[キ][ヲ][フ]↠[ト]亡小[ノ]、以↠草ナヅ[ル]↠之[ヲ]ノミ参訳セバ↢別ミチ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[三]生勝楽を釈す

^しょうしょうらく」 とは、 旃隣せんりんるれば*ぜんじゃくらくしょうず。 かの軟宝なんぽうるればほうらくしょうず。 二事にじあひはるかなり。 しょうにあらずはいかん。 ^このゆゑに 「ほうしょうどくそう にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょうしょうらく 旃隣せんりん」 といへり。

「生[ズ]勝楽[ヲ][ト]、触[ル]レバ↢迦旃隣陀↡生↢染着↡。触[ル]レバ↢彼軟宝↡生↢法喜↡。二事ハルカナリ。非[ズ]ハ↠勝如何。是ヘリ↢「宝性功徳草、柔軟左右旋、触者生勝楽、過迦旃隣陀」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)【三種功徳】
                (a)水徳【水功徳】
                  (イ)牒偈

【15】 ^ほう千万せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん 風動ふうどうよう きょうさくこう乱転らんでん

宝華千万種ニシテセリ池・流・泉 微風動スニ華葉 ケウシテ乱転

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^0066この四句しくしょうごんすいどくじょうじゅづく。

[ノ]四句↢荘厳水功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはうんにゃく かわみずおおきなるなみ、 これをうんにゃくといふ 洪涛こうとう うみなみがる して*まつひとおどろかす。 あるいは*ぎょう こおりなが *きょうとう こおりてあひ して、 *しゅく せま し、 とく つねしっいだく。 さき安悦あんえつこころなし。 うしろに恐値くちおもんぱかりあり。

オコシタマヘル↢此[ノ]↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、或[イ]ハ澐溺 ナル↢之[ヲ]澐溺[ノ] 洪涛コウタウシテ アガ大牢[ノ] アワマチアワカス↠人。或[イ]ハギヨウコホル 上支[ノ] 古甲[ノ] タウシテ [リテ]相著[ク]大甲[ノ]子六 ↠ ↠常他則[ノ]サキ↢安悦之情↡。ウシロオソルアフオモンパカリ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 あらゆるせんしょう いけなり 殿でんとあひかな、 ¬きょう¼ (*大経・上) ちゅうづ。 種々しゅじゅほうきてみずかざりとなり、 ふうやうやくあおぎて*映発ようほつするに*じょあり、 *じんひらたいよろこばしめて、 いちとしてならずといふことなからん」 と。

菩薩見ソナハシ↠此オコシタマヘリ↢大悲心↡。願[ク]ハ成仏セムニ、所有流・泉・池・セウ [ナリ]之小[ノ] ↢宮殿↡カナ 事出[ズ]↢¬経¼中[ニ] 種種宝花キテ↢水[ノ]↡、微風ヤウヤ[ギ]テ映発スルニ↠序、ヒラ↠神バシメテ↠体カラムト↢一トシテトイフコト↟可ナラ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「ほう千万せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん 風動ふうどうよう きょうさくこう乱転らんでん」 といへり。

ヘリ↢「宝花千万0463種、弥覆池流泉、微風動花葉、交錯光乱転」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)地徳【地功徳】
                  (イ)牒偈

【16】 ^殿でんしょ楼閣ろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらんへんにょう

0359殿諸楼閣ニシテ ルコト十方无ナリ 雑樹光色アリ蘭遍囲繞セリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごんどくじょうじゅづく。

[ノ]四句↢荘厳地功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 *嶕嶢しょうぎょう たかかたちなり しゅん こうなり れいにしてぼくみねよこたはり、 *岝峉さくがく 岝峉さくがくやまひとしからず けい ふか山谷せんこくまたはせんしょうかたちなり りん ふかくしてかぎりなし にしてしょう わるくさかたちなり *ぼう みちくさおおくしてくべからず たに0067てり。 *茫々ぼうぼうたる滄海そうかい*絶目ぜつもくせんたり。 *々らんらんたる広沢こうたく*しょうところたり。

オコシタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、セウ [キ][ナリ]才消[ノ] ゲウタカク牛消[ノ] シユンサカシ [ナリ][ノ] レイニシテ枯木横タハリサクヤマノカホ 山不↠斉[シカラ]才白[ノ] ガクヤマノカホ 岝峉五百[ノ] ケイ [キ]山谷亦[ハ][ノ][ナリ][ノ] リンニシテ [クシテ][シ][カギリ]力人[ノ] セウ [キ][クサ][ノ][カタチ][ナリ][ノ] バウ [ニ][クシテ][クサ]不↠可[カラ]↠行[ク][ノ] テリタニ茫茫バウバウタル滄海、絶目ゼチモクセン↡。ランランタル広沢、无蹤所↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくたいらかにしてたなごころのごとく、 殿でん楼閣ろうかくかがみのごとくして、 十方じっぽうおさめんにあきらかにしてぞくするところなく、 またぞくせざるにあらざらん。 宝樹ほうじゅ宝欄ほうらんたがひに映飾ようじきとならん」 と。

菩薩見[ソ]ナハシテ↠此オコシタマヘリ↢大悲↡。願[ク]ハ[ガ]国土地平カニシテ↠掌、宮殿楼閣[ハ]カヾミノゴトクシテ、納メムニ↢十方↡、アキラカニシテスル、亦非[ザ]ラム↠不ルニ↠属。宝樹・宝ランラムト↢映飾↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「殿でんしょ楼閣ろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらんへんにょう」 といへり。

ヘリ↢「宮殿諸楼閣、観十方无、雑樹異光色、宝蘭遍囲繞」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)虚空【虚空功徳】
                  (イ)牒偈

【17】 ^りょうほうきょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん

无量宝交絡シテ 羅網遍虚空 種種鈴発[シ]テヒヾキ 妙法

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごんくうどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳虚空功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 えんうんじん*たいへいしょうし、 *震烈しんれつしん あめこえなり かく 大雨おおあめなり うえよりしてつ。 *しょうさい てんなり げつ まがれるにじ青赤あおあかあるいは白色しろいろおんなり つねにそらよりきたりて、 りょひゃくたんにしてこれがためにいよだつ。

シタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、煙雲塵霧ヘイシヤウ太虚↡、震烈[ノ][ナリ]士林[ノ] 大雨[ナリ]下郭[ノ] ↠上シテ。不シヤウサイ [ノ][ナリ]葬才[ノ] [レル]虹、青赤或[イハ]白色[ノ]陰気[ナリ]五結[ノ] ツネ[リ]↠空来[リ]テリユ百端ニシテ↠之[イ]ヨダ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくには*宝網ほうもう*きょうらくして、 *くうへんし、 りょうたく 大鈴おおすずなり *宮商きゅうしょうりて道法どうほうべん。 これをいとふことなく、 どうおもひてとくあらわさん」 と。

菩薩見[ソナ]ハシテ↠此オコシタマヘリ↢大悲心↡。願[ク]ハ国土ニハ宝網交絡シテ、羅[ハ]↢虚空↡、リヤウチヤク 大鈴[ナリ]大各[ノ] キウシヤウ[リ]テベム↢道法↡。↠之↠厭フコトオモヒテ↠道アラハサムト↠徳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「りょうほうきょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん」 といへり。

ヘリ↢「无量宝交絡、羅網遍虚空、種種鈴発嚮、宣吐妙0464法音」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)【雨功徳】
                (a)牒偈

006818】 ^華衣けえしょうごん りょうこうくん

0360ラシテトヲ荘厳 无量香普

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳雨功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 服飾ぶくじきをもつてき、 *所尊しょそんえんしょうせんとほっす。 あるいはこうみょうほうをもつて、 もちゐてぎょうひょうせんとほっす。 しかも*ごうまずしくかんうすきものはこのはたさず。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、↧以服飾ブクジキ↠地延↦請[セ]ムト所尊↥。或[イ]ハ↧以↢香花名宝↡、用[ヰ]テセムト↦恭敬↥。而シク感薄キモノハ↠果

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくにはつねにこのものあめふらしてしゅじょうこころてん」 と。

シタマヘリ↢大↡。願[ク]ハ国土ニハラシテ↢此↡満タサムト↢衆生↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)成就
                    [一]雨を勘ふ

^なんがゆゑぞあめをもつてことばをなすとならば、 おそらくは*取者しゅしゃのいはん。 「もしつねにとをあめふらさば、 またくうふさぐべし。 なにによりてかさまたげざらん」 と。 このゆゑにあめをもつてたとへとなす。 あめときかなひぬれば、 すなはち*洪滔こうとう みずちておおうれひなし。 安楽あんらくほう、 あに*るいじょうものあらんや。

[ガ]↠雨ストナラバ、恐ラクハ取者ハム。若ラサバ↢花[ト][ト]ヲ↡、亦フサ虚空[リ]テカラムトサマタ。是↠雨↠喩。雨カナヒヌレバ↠時、則洪滔カウタウ [シ]他高[ノ] ウレ↡。安楽報豈[ラム]↢累情之物↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)[二]経証

^*きょうにのたまはく、 「にちろくほうあめふほうあめふる。 宝質ほうしつにゅうなんにしてそのうえむにすなはちくだることすんあしぐるときしたがひて還復げんぶくすることもとのごとし。 もちゐることおわりぬれば、 ほうることみずあなるがごとし」 と。

ハク、「日夜六時↢宝衣↡雨↢宝華↡。宝質柔軟ニシテムニ↡則ルコト四寸、随[ヒ]テ↢挙グ[ル]↠足[ヲ]↡還復スルコトモト。用ヰルコトオハリヌレバ[ル]コト↢宝地↡如シ[ト]↢水ルガアナ」。

^このゆゑに 「華衣けえしょうごん りょうこうくん」 といへり。

ヘリ↢「雨花衣荘厳、无量香普薫」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)【光明功徳】
                (a)牒偈

【19】 ^ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう

恵明浄ナルコトノゴトク痴闇冥

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^0069この二句にくしょうごんこうみょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳光明功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 また*項背こうはい*日光にっこうありといへども愚痴ぐちのためにくらまさる。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、雖↢復項ハイ日光アリト↡而為↢愚痴クラマサ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくのあらゆるこうみょう、 よくあんのぞきてぶつ智慧ちえり、 *無記むきをなさざらしめん」 と。

ジテノタマハク使メムト↧我国土所有光明、能[キ]テ↢痴闇↡入↢仏↡、不↢无記之事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)成就
                    [一]除世闇冥

^またいはく、 安楽あんらくこくこうみょう如来にょらい智慧ちえほうよりおこるがゆゑに、 よくあんみょうのぞく。

亦云、安楽国土光明↢如来0465報↡起ルガ、能ク[ト]↢世闇冥↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)[二]経証

^¬きょう¼ (維摩経) にのたまはく、 「あるいはぶつあり。 こうみょうをもつてぶつをなす」 と。 すなはちこれはこれなり。

¬経¼ノタマハク、「或[イ]ハ↢仏土↡。以↢光明ス[ト]↢仏事↡」。即0361[チ]此也。

^このゆゑに 「ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう」 といへり。

ノタマヘリ↢「仏恵明浄日、除世痴闇冥」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)【妙声功徳】
                (a)牒偈

【20】 ^ぼんしょう深遠じんのん みょうもん十方じっぽう

梵声悟ラシムルコト深遠ニシテ 微妙ナリキコ十方

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん妙声みょうしょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳妙声功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 善法ぜんぼうありといへども名声みょうしょうとおからず。 名声みょうしょうありてとおしといへどもまた*みょうならず。 名声みょうしょうありてみょうおんなれども、 また*ものさとらしむることあたはず。

仏本何シタマヘル↢此↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、雖↠有[リ]ト↢善法↡而名声トオカラ。有[リ]テ↢名声↡雖↠遠[シ]ト↢微妙ナラ↡。有[リ]テ↢名声↡妙遠ナレドモ↠能サトラシムルコト↠物

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにこのしょうごんおこしたまへり。

シタマヘリ↢此荘厳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)成就
                    [一]梵を釈す

^天竺てんじくこく (印度) には浄行じょうぎょうしょうして 「ぼんぎょう」 となす。 *みょうしょうして 「梵言ぼんごん」 となす。 かのくにには梵天ぼんてんじゅうすれば、 おおく 「ぼん」 をもつてさんをなす。 またいはく、 *ちゅうごくほうぼん0070てんつうずるがゆゑなり。

天竺国ニハシテ↢浄行↡為↢梵行↡。称シテ↢妙コトバ↡為↢梵言↡。彼ニ[ハ]貴↢重スレバ梵天↡、多↠梵↠讃。亦言[ク]、中国ハフ↢梵天↡通ズルガナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[二]声を釈す

^しょう」 とはみょうなり。 みょうはいはく、 安楽あんらくなり。

「声[ト]名也。名安楽土ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[三]経証

^*きょうにのたまはく、 「もしひとただ安楽あんらくじょうきておうじょう欲願よくがんするに、 またがんのごとくなることを」 と。 これはものさとらしむるしょうなり。

ノタマハク、「若人但聞[キ]テ↢安楽浄土之名↡欲↢願スルニ往生↡、亦↠如クナルコトヲ↠願」。サトラシムル↠物之証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[四]論証

^¬釈論しゃくろん¼ (*大智度論・意) にいはく、 「かくのごときじょう三界さんがいしょしょうにあらず。 なにをもつてこれをいふとならば、 よくなきがゆゑに欲界よくかいにあらず。 *地居じこなるがゆゑに色界しきかいにあらず。 しきあるがゆゑに色界しきかいにあらざればなり。 けだしさつ*別業べつごういたすところのみ」 と。

¬釈論¼言ハク、「如[キ]↠斯[ク]ノ浄土↢三界所摂↡。何フトナラバ↠之、无キガ↠欲故↢欲界↡。地居ナルガ↢色界↡。有ルガ↠色故ザレバナリ↢无色界↡。ケダ菩薩別業イタノミ」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[五]微妙を釈す

^でてしかうしてなるを でて」 とは、 いはく、 さんづるなり。 「しかうしてなる」 とはいはく、 じょうなり といふ。 よくかいせしむるをみょう みょうこうなり。 をもつて、 よくものさとらしむるゆゑにみょうしょう といふ。

[デ]テ↠有[シ]テナルヲ↠微[ト][ト]、謂ヅルナリ↢三↡。而[シ]テ[ト]、謂浄土有也 開悟セシムルヲ↠妙好也。以↠名ラシムル↠物↠妙

^このゆゑに 「ぼんしょう深遠じんのん みょうもん十方じっぽう」 といへり。

ヘリ↢「梵声悟深遠、微妙聞十方」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)【主功徳】
                (a)牒偈

【21】 ^しょうがく弥陀みだ 法王ほうおうぜんじゅう

正覚阿弥陀 法王善住持シタマヘリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんしゅどくじょうじゅづく。

二句[ク]↢荘厳主功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 せつきみとなれば、 すなはち*そつあひだんす。 *宝輪ほうりん殿でんとど うまとど まればすなはち*いきうれひなし。 これをかぜなびくにたとふ。 あにもとなからんや。

仏本何シタマヘル↢此[ノ]↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、羅刹為0466レバ↠君[チ]率土相噉。宝輪トヾマレバ[トド][メル]↠馬[ヲ]長句[ノ] 殿[チ]イキウレヒ。譬↢之ナビクニ↡。豈[カ]ラム↠本

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくにはつねに0071法王ほうおうましまして、 法王ほうおう善力ぜんりきじゅうせられん」 と。

0362シタマヘリ↠願。願[ク]ハ国土ニハシテ↢法王↡、法王善力レム[ト]↢住持↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ハ)成就

^じゅう」 とは、 *黄鵠こうこくあんたもてば、 千齢せんれいかへりておこり、 ぎょねんすれば、 *がく なつみずありてふゆみずなきをがくといふせざるがごとし。

「住持[ト]クワウコクタモテバ↢子安↡、千レイカヘ[リ]テオコ、魚母念↢持スレバ↡、ルガ↞壊[セ]夏有[リ]テ↠水冬无[キ]ヲ↠水曰↠[ト][ノ]

^安楽あんらくこくˆ弥陀みだぶつのˇ しょうがくのためによくそのくにせらる。 あにしょうがくにあらざることあらんや。

安楽国↢正覚↡善セラル↢其↡。豈[ラ]ム↠非[ザ]ルコト↢正覚[ニ]

^このゆゑに 「しょうがく弥陀みだ 法王ほうおうぜんじゅう」 といへり。

ヘリ↢「正覚阿弥陀、法王善住持」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)【眷属功徳】
                (a)牒偈

【22】 ^如来にょらいじょうしゅ しょうがくしょう

如来浄華 正覚ヨリ化生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん眷属けんぞくどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳眷属功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいは*胞血ほうけつをもつてしんとなす。 あるいはふん尿にょうをもつてしょうもととなす。 あるいは*かいきょくたかほとりよりさいきょういだす。 あるいは*しゅふくより*卓犖たくらくさいいだす。 *しょうこれによりていだき、 *じょくこれによりてこおりいだく。

仏本何オコシタマヘル↢此↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、或[イ]ハハウクヱチ↡為↢身器↡。或[イ]ハフンネウ↡為↢生モト↡。或[イ]ハクワイコクホトリヨリセイソネムクヰヤウ クルフ 之子[ヲ]↡。或[イ]ハシユフクヨリタクラクスグレタルコト零角[ノ]サイ↡。ソシリ セウソシル才召[ノ][リ]テ↠之イダ↠火ハヂジヨクハヅ リテイダ↠氷

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^ゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくにはことごとく如来にょらいじょうのなかよりしょうじて、 眷属けんぞくびょうどうにして*だつみちなからしめん」 と。

所以ジテノタマハク、使メム[ト]↧我国土ニハ↢如来浄花中↡生ジテ、眷属平等ニシテ与奪无[カ]ラ↞路。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「如来にょらいじょうしゅ しょうがくしょう」 といへり。

ヘリ↢「如来浄花衆正覚花化生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)【受用功徳】
                (a)牒偈

【23】 ^あいぎょう仏法ぶっぽう ぜん三昧ざんまいじき

仏法 禅三昧

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん受用じゅゆうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳受用功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへ0072る。 あるこくそなはすに、 あるいはさぐりてらんやぶり、 *もう じきちたるかたちなり にょう ほうなり、 おおそなえとなす。 あるいは*すなけてこしぶくろすをあひなぐさむるほうとなす。 ああ、 しょじつ痛心つうしんすべし。

オコシタマヘル↢此↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、或[イ]ハサグリテヤブ↠卵、為モウアヂワイ[リ]↠食[ヲ][チタル][カタチ][ナリ]亡公[ノ] ネウユタカ 飽也多[シ]人消[ノ]ソナヘ↡。或[イ]ハケテ↠沙ス[ヲ]コシブクロムルホウ↡。0467諸子実↢痛心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこく仏法ぶっぽうをもつて、 ぜんじょうをもつて、 三昧さんまいをもつてじきとなして、 ながじきわずらひをたん」 と。

オコシタマヘリ↢大悲↡。願[ク]ハ国土、以↢仏法↡、以↢禅定↡、以↢三昧0363↡為シテ↠食、永タム[ト]↢他食之ワヅライ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)成就
                    [一]初句を釈す

^あいぎょう仏法ぶっぽう」 とは、 日月にちがつとうみょうぶつ、 ¬*法華ほけきょう¼ をきしにろくじゅうしょうこうなり。 時会じえちょうしゃまた一処いっしょしてろくじゅうしょうこうなるもじきのあひだのごとしとおもふ。 一人いちにんとしてもしはしん、 もしはしんをして*けんしょうずることあることなきがごとし。

「愛仏法[ト]↧日月灯明仏説キシニ↢¬法華経¼↡六十小劫ナリ時会聴者亦坐シテ↢一処↡六十小劫ナルモオモ↠如シト↢食[ノ][アヒダ]キガ↞有[ル]コト↣一人トシテ[シ]ハ身、若[シ]ハシテズルコト↢懈惓[ヲ]↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)[二]後句を釈す

^ぜんじょうをもつてじきとなす」 とは、 いはく、 もろもろのだいさつはつねに三昧さんまいにありてじきなし。 「三昧さんまい」 とは、 かのもろもろの人天にんでん、 もしじきもちゐるとき*ひゃくこうれつしてまえにあり。 いろはなかおりをぎ、 *ちゃくえつけてねん飽足ほうそくす。 訖已おわりぬればしてり、 もしもちゐるにはまたげんず。 その、 ¬きょう¼ (大経・上) にあり。

「以↢禅定↡為スト↠食、謂大菩薩[リ]テ↢三昧[ニ]↡无↢他食↡也。「三昧[ト]、彼人天、若モチヰル↠食トキ、百味嘉餚羅列シテ↠前。眼↠色、鼻↠香[ケ]テ↢適悦↡自然飽足訖已 ヲハ リヌレバシテ、若モチヰルニハ復現。其事在↠¬経¼。

^このゆゑに 「あいぎょう仏法ぶっぽう ぜん三昧ざんまいじき」 といへり。

ヘリ↢「愛楽仏法味、禅三昧為食」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)無諸難功徳
                (a)牒偈

【24】 ^ようしんしんのう 受楽じゅらくじょうけん

[レ]身心[クル]コト[ミ]ヲニ[シテ]ヒマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん諸難しょなんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳无諸難功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたま0073へる。 あるこくそなはすに、 あるいはあしたには*こんちょうよろこびて、 ゆうべには*えつおののく。 あるいはいとけなくしては*蓬藜ほうれいてられ、 ちょうじては*ほうじょうつらぬ。 あるいは*めいしてづることをいひ、 てつしてかえることをもよおす。 かくのごとき種々しゅじゅ*だつあり。

仏本何オコシタマヘル↢此↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、或[イ]ハニハアヅカ[リ]コンテウ↡、夕ニハオノヽオノ オチマサカリ↡。或[イ]ハイトケナクシテハテラレ↢蓬藜↡、チヤウジテハツラ↢方丈↡。或[イ]ハラシテアシノフヱシテシテ↠還ルコトヲ。有↢如↠是[クノ]種種ダツ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこく安楽あんらく相続そうぞくしてひっきょうじてひまなからしめん」 と。

ジテノタマハク使メ[ム]ト↢我国土安楽相続シテ畢竟ジテ[カ]ラヒマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ハ)成就

^身悩しんのう」 とはかつ寒熱かんねつ殺害せつがいとうなり。 「心悩しんのう」 とは是非ぜひ得失とくしつ三毒さんどくとうなり。

「身悩[ト]飢渇・寒熱・殺害等也。「心悩[ト]」者是非・得失・三毒等也。

^このゆゑに 「よう身心悩しんしんのう 受楽じゅらくじょうけん」 といへり。

ヘリ↢「永離身心悩、受楽常无間」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)【大義門功徳】
                (a)牒偈

【25】 ^だいじょう善根ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう *女人にょにんぎゅう根欠こんけつ じょうしゅしょう

大乗善根サカイ[ハ][シ]クシテ譏嫌 女人及[ビ]根欠 二乗

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)釈義
                  (イ)正釈
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごんだいもんどくじょうじゅづく。 もん」 とはだいつうずるもんなり。 「だい」 とはだいじょう*所以ゆえんなりひとしろいたりてもんれば、 すなはちるがごとし。 もしひと安楽あんらくしょうずることをれば、 これすなはちだいじょうじょうじゅするもんなり。

0468四句↢荘厳大義門功徳成就↡。門[ト]ズル↢大義↡之門也。大義[ト]大乗0364所以 ユヘ 也。如↢人イタリテ↠城レバ↠門[チ]ルガ↡。若人得↠生[ズルコト]ヲ↢安楽[チ]成↢就スル大乗↡之門也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 ぶつ如来にょらいげんじょうとうしゅうましますといへども、 くにじょくせるによるがゆゑに、 *いちわかちてさんく。 あるいは*まゆひらくをもつてあざけりをいたし、 あるいは*指語しごによりてそしりをまねく。

仏本何シタマヘル↢此↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、雖スト↢仏如来賢聖等衆↡、由[ル]ガセルニ、分[チ]テ↠一↠三。或[イ]ハ↠拓クヲ聴各[ノ]アザケリ、或[イ]ハ[リ]テ↢指語マネソシリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくをしてみなこれだいじょういちびょうどういちならしめん。 *根敗こんぱいしゅひっきょうじてしょうぜじ、 女人にょにん*残欠ざんけつみょうまたたん」 と0074

ジテノタマハク使メム↢我国土ヲシテ皆是大乗一味平等一味ナラ↡。根パイヤブル種子畢竟ジテ↠生、女人残欠名字亦タムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[三]成就

^このゆゑに 「だいじょう善根ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう 女人にょにんぎゅう根欠こんけつ じょうしゅしょう」 といへり。

ヘリ↢「大乗善根界、等无譏嫌名、女人及根欠、二乗種不生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)問答
                    [一]声聞の有無を料簡す
                      [Ⅰ]
                        [ⅰ]証1

 ^ひていはく、 *王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬りょう寿じゅきょう¼ (上・意)あんずるに、 法蔵ほうぞうさつじゅうはちがんのなかにのたまはく、 「たとひわれぶつんに、 くにのうちのしょうもん、 よくりょうしてそのかずることあらば、 しょうがくらじ」 (第十四願) と。 これしょうもんあるいちしょうなり。

[ヒテ][ク]、案ズルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、法蔵菩薩[ノ]四十八願ノタマハク、「設[ヒ]我得[ム]ニ↠仏[ヲ]、国ウチ声聞ラバ↣能計量シテルコト↢其↡者、↠取↢正覚↡」。↢声聞↡一証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅱ]証2

^また ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品) のなかにりゅうじゅさつ弥陀みださんつくりていはく、 「三界さんがいごく超出ちょうしゅつして、 れんようのごとし。 しょうもんしゅりょうなり。 このゆゑに稽首けいしゅらいしたてまつる」 と。 これしょうもんあるしょうなり。

又¬十住毘婆沙¼中龍樹菩薩造[リ]テ↢阿弥陀[ヲ]↡云、「超↢出シテ三界↡、↢蓮花葉↡。声聞衆无量ナリ。是稽首シタテマツルト」。↢声聞↡二証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅲ]証3

^また ¬摩訶まか衍論えんろん¼ (大智度論・意) のなかにいはく、 「ぶつ種々しゅじゅどうなり。 あるいはぶつあり、 もつぱらにこれしょうもんそうなり。 あるいはぶつあり、 もつぱらにこれさつそうなり。 あるいはぶつあり、 さつしょうもんしてそうとなす。 弥陀みだ安楽あんらくこくとうのごときはこれなり」 と。 これしょうもんあるさんしょうなり。

又¬摩訶衍論¼中、「仏土種種不同ナリ。或[イ]ハ↢仏土↡、モハラ声聞僧ナリ。或[イ]ハ↢仏土↡、モハラ是菩薩僧ナリ。或[イ]ハ↢仏土↡、菩薩・声聞会シテ↠僧。如キハ↢阿弥陀安楽国等↡是也[ト]」。是有↢声聞↡三証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅳ]正しく難ず

^しょきょうのなかに安楽あんらくこくくところありて、 おおしょうもんありとのたまひてしょうもんなしとのたまはず。 しょうもんはすなはちこれじょういちなり。 ¬ろん¼ (浄土論) に 「ないじょうみょう」 といへり。 これいかんが*する。

諸経リテ↧説↢安楽国↡処↥、多ヒテ↠有[リ]ト↢声聞↡↠言↠无シト↢声聞↡。声聞[チ]是二乗之一ナリ。¬論¼ヘリ↣「乃至无[シ]ト二乗0469」。云何 イカン [セ]ム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]浄土には生ぜざるを成ず
                          [a]正答

^こたへていはく、 をもつてこれをすいするに、 安楽あんらくじょうにはじょう0075あるべからず。 なにをもつてこれをいふとならば、 それやまいあるにはすなはちくすりあり。 *しゅつねなり。

[ヘテ][ク]、以↠理スルニ↠之、安楽浄土ニハカラ↠有↢二乗↡。[ヲ]0365フトナラバ↠之ルニハ↠病則[チ]↠薬。シユ之常也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅰ][b]引証

^¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまはく、 「しゃ牟尼むに如来にょらいじょくでたまへるをもつてのゆゑに、 いちわかちてさんとなす」 と。 じょうすでにじょくにあらず。 さんじょうなきことあきらかなり。

¬法花経¼ノタマハク、「釈迦牟尼如来以[テ]ノ↠出[デタマヘル]ヲ↢五濁[ノ]↡故[チ]テ↠一ス[ト]↠三」。浄土既↢五濁↡。无キコト↢三乗↡アキラカナリ矣。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]他方の来生を明す
                          [a]総じて経論の説は所由あるを明す
                            [イ]二乗浄土に生ずべき道理を立つ

^¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろのしょうもん、 このひといづこにおいてかだつん。 ただもうはなるるをづけてだつとなす。 このひとじつにいまだ一切いっさいだつず。 いまだ*じょうどうざるをもつてのゆゑなり」 と。 あきらかにこのすいするに、 阿羅あらかんすでにいまだ一切いっさいだつず。 かならずしょうずることあるべし。 このひとかえりて三界さんがいしょうぜず。 三界さんがいのほかに、 じょうのぞきてまた*しょうじょなし。 ここをもつてただじょうしょうずべし。

¬法花経¼ノタマハク、「諸声聞、是人於テ[カ]↠何而得↢解脱↡。但離[ル]ルヲ↢虚妄↡名[ケ]テ↢解脱↡。是人実↢一切解脱↡。以[テ]ノ↠未ルヲ↠得↢无上道↡故ナリ[ト]」。アキラカスルニ↢此↡、阿羅漢既↢一切解脱↡。必↠有[ル]↠生[ズルコト]。此カヘリテ↠生↢三界↡。三界、除[キ]テ↢浄土マタ↢生処↡。是タヾ↢於浄土↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]旧名を存するものなるを明す

^しょうもん」 といふがごときは、 これほうしょうもんらいしょうせるを、 もとによるがゆゑにしょうしてしょうもんとなす。 *天帝てんたいしゃくにんちゅううまるるとき*きょう尸迦しかせいとせり。 のち天主てんしゅとなるといへども、 ぶつ (釈尊)ひとをしてそのらいらしめんとおぼして、 たいしゃくかたらひたまふとき、 なほきょう尸迦しかしょうするがごとし。 それこのたぐいなり。

↠言フガ↢声聞他方声聞来生セルヲルガ↢本[ノ]↡故シテ↢声聞↡。如↧天帝釈ルヽ↢人中↡時、姓トセリ↢憍尸迦ルト↢天主↡、仏オボシテ使メムト↣人ヲシテ↢其由来↡、↢帝釈↡カタラヒタマフ時、ナホスルガ↦憍尸迦↥。其類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別して今論の二乗不生の文を会す
                            [イ]正しく論意を弁ず

^またこの ¬ろん¼ (浄土論) にはただ 「じょうしゅしょう」 といへり。 いはく安楽あんらくこくじょうしゅしょうぜずとなり。 またなんぞじょうらいしょうさまたげんや。

又此[ノ]¬論ニハ¼但ヘリ↢「二乗種不。謂安楽国トナリ↠生↢二乗種子↡。亦何サマタゲム↢二乗来生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b][ロ]喩に約して重ねて示す

^たとへば*橘栽きっさい*江北こうほくしょう0076ぜざれども、 *らく*菓肆かしにまたきつありとるがごとし。 またおう*壟西ろうせいわたらざれども、 *ちょう*こうにまたおうありといふ。 このもの、 ただそのたねわたらずといふ。 かしこにしょうもんのあることまたかくのごとし。 かくのごときをなさば、 経論きょうろんすなはちしぬ。

[ヘ]バ↧橘レドモ↠生↢江北↡、河洛菓肆亦見ルガ↞有[リ]ト↠橘。又↧鸚鵡レドモ↠渡リヨウ西↡、テウグヰチヤウ亦有[リ]ト↦鸚鵡↥。此物但↢其タネ。彼[ル]コト↢声聞↡亦如↠是[ク]ノ。作サバ↢如↠是[ク]ノ↡、経論則シヌ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二]離名譏嫌を料簡す
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 はもつてまねく。 あればすなはちあり。 安楽あんらくこくにはすでに*じょう女人にょにん根欠こんけつなし。 またなんぞまたこのさんなしといふべけんや。

[ヒテ][ク]、名マネ↠事。有レバ↠事乃[チ]↠名。安楽国ニハ↢二乗・女人・根欠之事↡。亦何ヰム↢復言↟无[シ]ト↢此名↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]

^こたへていはく、 軟心なんしんさつのはなはだしくはゆうみょうならざるを、 そしりてしょうもんといふがごとし。 ひと*諂曲てんごくなると、 あるいはまた*儜弱にょうにゃくなるを、 そしりて女人にょにんといふがごとし。 またまなこあきらかなりといへどもらざるを、 そしりて盲人もうにんといふがごとし。 またみみくといへどもきてさとらざるを、 そしりて聾人ろうにんといふがごとし。 またしたものいふといへども*訥口とつこう蹇吃けんきつなるを、 そしりてにんといふがごとし。

[ヘテ][ク]、如軟心菩薩[ノ]ルヲ↢甚シクハ勇猛ナラ↡、ソシリテフガ↦声0470↥。如↣人諂曲テムゴクナルト、或[イ]ハネイヨハシニヤクヨハシナルヲソシリテ[フ]ガ↢女↡。又如マナコ↠明[カ]ナリト而不ルヲ↠事ソシリテ0366[フ]ガ↢盲人↡。又如↣耳雖クト而聴[キ]テ↠義ルヲ↠解ソシリテフガ聾人↡。又如シタモノイフトトンコトヾモリコウナルヲソシリテ[フ]ガ人↡。

^かくのごときありて、 こんそくせりといへども*げんあり。 このゆゑにすべからく 「ないなし」 といふべし。 じょうにはかくのごとき*だつなきことあきらかなり。

[リ]テ↢如↠是[クノ]↡、根雖[モ]↢具足セリト↡而有↢譏嫌之名↡。是↠言↢乃至无[シ]ト↟名。明カナリ↣浄土ニハキコト↢如↠是[クノ]与奪之名↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三]声聞の名有るを料簡す
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 法蔵ほうぞうさつ本願ほんがん (第十四願)、 およびりゅうじゅさつ所讃しょさん (易行品)0077たずぬるに、 みなかのくにしょうもんしゅなるをもつて*となすにたり。 これなんのかある。

[ヒテ][ク]、尋ヌルニ↢法蔵菩薩本願及[ビ]龍樹菩薩所讃↡、皆タリ↧以↢彼声聞衆多ナルヲスニ↢何↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]
                        [ⅰ]

^こたへていはく、 しょうもん*実際じっさいをもつてしょうとなす。 はかるにさらによく仏道ぶつどうこんしょうずべからず。 しかるにぶつ本願ほんがん不可ふか思議しぎ神力じんりきをもつて、 せっしてかしこにしょうぜしめ、 かならずまさにまた神力じんりきをもつてその*じょう道心どうしんしょうずべし。

[ヘテ][ク]、声聞↢実際↡為↠証ハカルニ↠応[カ]ラ↣更↢仏道↡。而[ルニ]仏以↢本願不可思議神力↡、摂シテ↠生、必[ズ]↧復以↢神力↡生↦其无上道心↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(16)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]

^たとへば*ちんちょうみずれば*魚蚌ぎょぼうことごとくし、 *さいぎゅうこれにるればせるものみなよみがえるがごとし。 かくのごとくしょうずべからずしてしょうず。 ゆゑにとすべし。 しかるに不思議ふしぎのなかに、 仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。 ぶつよくしょうもんをしてまたじょう道心どうしんしょうぜしむ。 まことに不可ふか思議しぎいたりなり。

[ヘバ]チム[レ]バ↠水ギヨホフハマグリ犀牛サイギウ[ル]レバ↠之セルヨミガヘルガ↡。如↠此[ク]ノシテ↠応カラ↠生[ズ]而生所以↠奇トス。然[ル]ニ五不思議、仏法最[モ]不可思議ナリ。仏能使↣声聞ヲシテ復生↢无上道心↡。真不可思議之至[リ]也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)【一切所求満足功徳】
                (a)牒偈

【26】 ^しゅじょうしょがんぎょう 一切いっさいのう満足まんぞく

衆生願楽スル 一切能満足

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん一切いっさいしょ満足まんぞくどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳一切所求満足功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはたかくらいおもくして、 *潜処せんしょするによしなし。 あるいはひとぼんしょういやしくして、 でんとねがふにみちなし。 あるいは*修短しゅたんごうつながれて、 せいすることおのれにあらず。 *私陀しだ仙人せんにんのごときたぐいなり。 かくのごときの、 *業風ごうふうのためにかれてざいざることあり

仏本何シタマヘル↢此[ノ]↡。見[ソナハ]スニ↢有国土↡、或[イ]ハ位重クシテセンカハルスルニヨシ。或[イ]ハイヤシクシテネガフニ↠出[デム]ト↠路。或[イ]ハシユナガシタンガレテ↠業セイスルコト。如↢阿私陀仙人也。有↧如[キ]↠是[クノ]、為↢業風[ル]コト↞得↢自在0471↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくをしておのおのしょかなひて、 じょうがん満足まんぞくせしめ0078ん」 と。

ジテハク、使メムト↧我国土[ヲシテ][ノ]カナヒテ↢所求↡満↦足情願↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「しゅじょうしょがんぎょう 一切いっさいのう満足まんぞく」 といへり。

ヘリ↢「衆生所願楽0367、一切能満足」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)結成
              (ⅰ)牒偈

【27】 ^是故ぜこがんしょう 弥陀みだ仏国ぶつこく

[ゼム]ト 阿弥陀仏国

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)釈義

 ^この二句にくかみじゅうしちしゅしょうごんこくじょうじゅ観察かんざつするは、 がんしょうする所以ゆえんなることをけつじょうす。 ^けん清浄しょうじょうしゃくすること、 これかみおわりぬ。

二句結↧成観↢察スルハ十七種荘厳国土成就↡所↦以ナルコトヲ願生スル↥。釈[スル]コト↢器世間清浄↡、オハリヌ于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)【衆生世間】
            (Ⅰ)分章
              (ⅰ)正しく章を分つ

【28】^つぎしゅじょうけん清浄しょうじょうかんず。 このもんのなかをわかちてべつとなす。 いちには弥陀みだ如来にょらいしょうごんどく観察かんざつす。 にはかのもろもろのさつしょうごんどく観察かんざつす。 如来にょらいしょうごんどく観察かんざつするなかに八種はっしゅあり。 もんいたりてまさになづくべし。

[ズ]↢衆生世間清浄↡。此[チ]テ↢二↡。一観↢察阿弥陀如来荘厳功徳↡。二[ニ]観↢察菩薩荘厳功徳↡。観↢察スル如来荘厳功徳↡中↢八種↡。至[リ]テナヅ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)名義を料簡す【衆生名義】
                (a)

 ^ひていはく、 *あるろんひろしゅじょう*みょうするに、 それさん輪転りんでんしてしゅしょうくるをもつてのゆゑにしゅじょうづくと。 いまぶつさつづけてしゅじょうとなす。 このいかん。

[ヒテ][ク]論師、ヒロスルニ↢衆生名義↡、以テ[ノ]輪↢転シテ三有↡受[ク]ルヲ↦衆多生死↥故ク[ト]↢衆生↡。今名[ケ]テ↢仏・菩薩↢衆生↡。是義云何

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (*涅槃経・意) にのたまはく、 「一法いっぽうりょうあり、 いちみょうりょうあり」 と。 しゅしょうくるをもつてのゆゑにづけてしゅじょうとなすがごときは、 これはこれ小乗しょうじょう三界さんがいのなかのしゅじょうみょうしゃくするなり。 だいじょうしゅじょうみょうにはあらず。

[ヘテ][ク]、¬経¼言ハク、「一法↢无量名↡、一名リ[ト]↢无量義↡」。如↧以[テ]ノ↠受[ク]ルヲ↢衆多生死↡故[ケ]テスガ↦衆生、此小乗家[スル]ナリ↢三界衆生名義↡。非↢大乗家衆生名義ニハ↡也。

^だいじょうにいふところのしゅじょうとは、 ¬*ぞうげんぎょう¼ にのたまふがごとし。 「しゅじょうといふはすなはちこれしょうめつなり」 と。 なにをもつてのゆゑに。 もししょうあらばしょうじを0079はりてまたしょうじ、 *ぐうとがあるがゆゑに、 しょうにしてしょうずるとがあるがゆゑなり。 このゆゑにしょうなり。 もししょうあらばめつあるべし。 すでにしょうなし。 なんぞめつあることをん。 このゆゑにしょうめつはこれしゅじょうなり。

大乗家↠言衆生[ト]、如↢¬不増不減経¼言フガ↡。「↢衆生[チ]是不生不滅ナリ[ト]」。何[テ]ノ。若[ラ]バ↠生生[リ]テ復生、有ルガ↢无窮トガ↡故、有ルガ↢不生シテ[ズル]トガ↡故ナリ。是无生ナリ。若ラバ↠生可↠有↠滅。既↠生。何↠有ルコトヲ↠滅。是无生无滅0472ナリ

^¬きょう¼ (維摩経・意) のなかに、 「*受陰じゅおん通達つうだつするにくうにしてしょなし。 これなり」 とのたまふがごとし。 これそのたぐいなり。

↧¬経¼中フガ↦「五受陰、通達スルニニシテ↠所有↡ナリト」↥。類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)如来荘厳【仏】
                (a)正釈
                  (イ)【座功徳】
                    [一]牒偈

【29】 ^りょうだい宝王ほうおう みょうじょうだい

0368无量大宝王[ノ] 微妙浄花台アリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳座功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんしたまへる。 あるさつそなはすに、 *まつしんにおいて、 くさきてしてのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじたまふ。 人天にんでんるもの、 ぞうじょうしんぞうじょうぎょうぞうじょう*あいぎょうぞうじょうしゅぎょうしょうぜず。

仏本何荘↢厳シタマヘル↡。見[ソナハ]スニ↢有菩薩↡、於末後↡、↠草シテジタマフ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。人天[ノ]↠生↢増上信・増上恭敬・増上愛楽・増上修行↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするときりょうだい宝王ほうおうみょうじょうだいをして、 もつてぶつとなさしめん」 と。

ジテハク成仏セムトキ使メムト↣无量大宝王[ノ]微妙浄花台ヲシテ、以[テ]↢仏↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅲ]成就

^りょう」 とは、 ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまふがごとし。 「七宝しっぽううえ大宝だいほうれんおうあり。 れん一々いちいち*ようひゃっぽうしきをなす。 八万はちまんせん*みゃくあり。 なほてんのごとし。 みゃく八万はちまんせんひかりあり。

「无量[ト]↢¬観无量寿経¼言フガ↡。「七宝↢大宝蓮花王坐↡。蓮花一一葉、作↢百宝色↡。有↢八万四千脈↡。猶如↢天↡。脈[リ]↢八万四千光↡。

^ようちいさきものはじゅうこうひゃくじゅうじゅんなり。 かくのごとき八万はちまんせんようあり。 一々いちいちようのあひだにひゃくおく*摩尼まに珠王しゅおうあり、 もつ0080映飾ようじきとなす。 一々いちいち摩尼まには、 せんこうみょうはなつ。 そのひかりがいのごとし。 七宝しっぽうごうじょうしてあまねくうえおおふ。

花葉チヒサ縦広二百五十由旬ナリ。如↠是[クノ]↢八万四千エフ↡。一一↢百億摩尼珠王↡、以↢映飾↡。一一摩尼[ハ]、放↢千光明↡。其[ハ]↠蓋。七宝合成シテオホ↢地↡。

^しゃ迦毘かびりょうほう、 もつてそのだいとなす。 このれんだい八万はちまん金剛こんごうけんしゅくほうぼん摩尼まにほうみょう真珠しんじゅもう、 もつて厳飾ごんじきとなす。

釈迦毘楞伽宝、以↢其↡。此蓮花台八万金剛・ケンシク迦宝・梵摩尼宝・妙真珠網、以厳飾↡。

^そのだいうえにおいて、 ねんにして*ちゅう宝幢ほうどうあり。 一々いちいち宝幢ほうどうは、 八万はちまん千億せんおくしゅせんのごとし。 どううえ宝幔ほうまんは、 夜摩やまてんのごとし。 ひゃくおくみょう宝珠ほうしゅあり、 もつて映飾ようじきとなす。

↢其↡、自然シテ↢四柱宝幢↡。一一宝幢[ハ]、如↢八万四千億須弥山↡。幢宝幔[ハ]、如↢夜摩天宮↡。有↢五百億微妙宝珠↡、以[テ]↢映飾↡。

^一々の宝珠ほうしゅ八万はちまんせんひかりあり。 一々いちいちひかり八万はちまんせんしゅ金色こんじきをなす。 一々の金光こんこう安楽あんらくほうへんす。 処々しょしょへんしておのおのそうをなす。 あるいは金剛こんごうだいとなり、 あるいは真珠しんじゅもうとなり、 あるいはざっうんとなる。 十方じっぽうめんにおいてこころしたがひて変現へんげんし、 ぶつ化作けさす」 と。

一一宝珠↢八0473万四千光↡。一一光作↢八万四千異種金色↡。一一金光遍↢安楽宝土↡。処処変化シテ[ノ]↢異相↡。或[イ]ハ↢金剛台↡、或[イ]ハ↢真珠網↡、或[イ]ハ↢雑花↡。於0369↢十方面[ニ]↡随[ヒ]テ↠意変現化↢作スト仏事↡」。

^かくのごときしゅりょうしゅっせり。 このゆゑに 「りょうだい宝王ほうおう みょうじょうだい」 といへり。

[キ]↠是[クノ]事、出↢過セリ数量↡。是ヘリ↢「无量大宝王、微妙浄花台」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)【身業功徳】
                    [一]牒偈

【30】 ^相好そうごうこういちじん 色像しきぞうちょうぐんじょう

相好光一尋ニシテ 色像超エタマヘリ群生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]正釈
                        [ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん身業しんごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳身業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]本願
                          [a]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞかくのごとき身業しんごうしょうごんしたまへる。 ある仏身ぶっしんそなはすに、 いちじょうこうみょうけたり。 ひと身光しんこうにおいてはなはだしくはちょうぜつせず。 転輪てんりんのうそうのごとし。 そもそもまたおおきに*だいだっおなじ。 *げんずるところ唯一ゆいいつなれば、 *じゃおうをして、 ここをもつてらん0081いだかしむることをいたす。 *刪闍さんじゃとうあへて*蟷螂とうろうのごとくするも、 あるいはかくのごときたぐいなり。

仏本何荘↢厳シタマヘル[キ]↠此[クノ]身業↡。見[ソナハ]スニ↢有仏身↡、受[ケ]タリ↢一丈光明↡。於↢人身光↢甚シクハ超絶↡。如↢転輪王↡。ソモソモ亦大キニ提婆達多↡。所↠ズルナレバイタ↠令ムルコトヲ↢阿闍世王ヲシテ↠茲イダ↟乱サンジヤアヘ[ク]ス[ルモ]↢蟷蜋↡、或[イ]ハ↠此[クノ]類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]摂取の願

^このゆゑにかくのごとき身業しんごうしょうごんしたまへり。

荘↢厳シタマヘリ↠此[ク]ノ身業↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]成就
                          [a]詁訓

^このけん (中国)*くんあんずるに、 ろくしゃくじんといふ。

ズルニ↢此クンヲシヘ↡、六尺↠尋

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]経証

^¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまへるがごとし。 「弥陀みだ如来にょらいしんたかろくじゅう万億まんおく那由他なゆたごうしゃじゅんなり。 ぶつ円光えんこうひゃくおく三千さんぜん大千だいせんかいのごとし」 と。

[シ]↢¬観无量寿経¼ノタマヘルガ↡。「阿弥陀如来タカ六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。仏円光シト↢百億三千大千世界↡」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][c]尋を勘ふ

^訳者やくしゃ (菩提流支)じんをもつてしていへり。 なんぞそれくらきや。 *しゃけんひとじゅうおうちょうたん*えらばず、 ことごとくよこさまりょうひじべてじんとなすといへり。 もし訳者やくしゃ、 あるいはこのたぐいりてもちゐて、 弥陀みだ如来にょらいの、 ひじべたまふにじゅんじてごんをなす。 ゆゑに一尋いちじんしょうせば、 円光えんこうまたさしわたしろくじゅう万億まんおく那由他なゆたごうしゃじゅんなるべし。

訳者以↠尋シテヘリ。何クラ 禾代[ノ] 。里舎人、↠簡↢縦横長↡、咸ヘリ↧横ベテ両手↡為スト↞尋。若訳者或[イ]ハ[リテ]↢此↡用[ヰ]テジテ↢阿弥陀如来ベタマフニ↟臂↠言。故↢一尋、円光亦サシワタシ六十万億那由他恒河沙由旬ナル↡。

^このゆゑに 「相好そうごうこう一尋いちじん 色像しきぞうちょうぐんじょう」 といへり。

ヘリ↢「相好光一尋、色像超群生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]問答【法界身義】
                        [ⅰ]

 ^ひていはく、 ¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「諸仏しょぶつ如来にょらいはこれほうかいしんなり。 一切いっさいしゅじょう心想しんそうのうちにる。 このゆゑに、 なんぢらしんぶつおもとき、 このしんすなはちこれさんじゅうそうはちじゅうずいぎょうこうなり。 このしんぶつす。 このしんこれぶつなり。 *諸仏しょぶつしょうへんかい心想しんそうよりしょうず」 と。 このいかん。

[ヒテ]0474[ク]、¬観无量寿経¼ノタマハク、「諸仏如来法界身ナリ。入↢一切衆生心想↡。汝等心↠仏時、是心即[チ]是三十二相・八十随形好ナリ。是心作仏。是ナリ。諸0370仏正遍知海[リ]↢心想↡生ズ[ト]」。是義云何[ン]

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]
                          [a]是法界身を釈す
                            [イ]名を釈す

^こたへていはく、 「しん」 を*集成しゅうじょうづく。 「かい」 を*べつづく。

[ヘテ][ク]、身↢集成↡。界↢事別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]例を引く

^眼界げんかいのごときは*こんしきくうみょう作意さい0082因縁いんねんによりてしょうずるをづけて眼界げんかいとなす。 これ*げんただみづからおのがえんぎょうじてえんぎょうぜず。 べつなるをもつてのゆゑなり。 とうかいもまたかくのごとし。

キハ↢眼界リテ↢根・色・空・明・作意因縁↡生[ズル]ヲ[ケ]テ↢眼界↡。是眼但ミヅカジテ↠行↢他縁↡。以[テ]ノ↢事別ナルヲ↡故ナリ。耳鼻等亦如↠是[ク]ノ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ハ]正しく釈す

^諸仏しょぶつ如来にょらいはこれ法界ほうかいしんなり」 といふは、 法界ほうかい」 はこれしゅじょう心法しんぽうなり。 しんよくけんしゅっけん一切いっさい諸法しょほうしょうずるをもつてのゆゑに、 しんづけて法界ほうかいとなす法界ほうかいよくもろもろの如来にょらい相好そうごうしんしょうず。 また色等しきとうのよく眼識げんしきしょうずるがごとし。 このゆゑに仏身ぶっしん法界ほうかいしんづく。 このしんえんぎょうぜず。 このゆゑに 「一切いっさいしゅじょう心想しんそうのうちにる」 となり。

↢諸仏如来[ハ]是法界身[ナリ]ト、法界衆生心法也。以[テ]ノ↣心能ズルヲ↢世間・出世間一切諸法↡故、名[ケ]テ↠心↢法界↡。法界能↢諸如来相好↡。亦如↣色等ズルガ↢眼識↡。是仏身↢法界身↡。是↠行↢他↡。是[ル]トナリ↢一切衆生[ノ]心想↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]心相即相を釈す

^しんぶつおもとき、 このしんすなはちこれさんじゅうそうはちじゅうずいぎょうこうなり」 といふは、 しゅじょうしんぶつおもときあたりて、 仏身ぶっしん相好そうごうしゅじょうしんちゅう顕現けんげんするなり。 たとへばみずきよければすなはち*色像しきぞうげんず、 みずぞういちならずならざるがごとし。 ゆゑにぶつ相好そうごうしんすなはちこれ心想しんそうとのたまへるなり。

↠仏時、是心即[チ]是三十二相・八十随形好[ナリ]トイフリテ↢衆生↠仏[ヲ]↡、仏身[ノ]相好顕↢現スル衆生心中↡也。譬[ヘ]バ↢水清ケレバ[チ]色像現、水之与↠像↠一ナラルガ↟異[ナラ]。故ヘル↢仏相好身即[チ]是心想↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][c]是心作仏を釈す

^このしんぶつ」 といふは、 しんよくぶつつくるといふなり。

心作仏ストイフ、言[フ]↢心能ルト↟仏也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][d]是心是仏を釈す

^このしんこれぶつ」 といふは、 しんのほかにぶつましまさず。 たとへばよりでて、 はなるることをず。 はなれざるをもつてのゆゑにすなはちよくく。 のためにかれて、 すなはちとなるがごとし。

心是仏トイフ、心マシマヾル↠仏也。譬[ヘバ]↢火[リ]↠木出デヽ、火不↠得↠離[ルルコトヲ]↠木[テ]ノ↠不ルヲ↠離↠木[チ]↠火カレテ、木即[チ]ルガ↟火也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][e]正遍知海を釈す

^諸仏しょぶつしょうへんかい心想しんそうよりしょうず」 といふは、 「しょうへん」 とは0083しんしょう法界ほうかいのごとくにしてるなり。 法界ほうかいそうなるがゆゑに諸仏しょぶつ*無知むちなり。 無知むちをもつてのゆゑにらざるはなし。 無知むちにしてるはこれしょうへんなり。 この深広じんこうにしてしきりょうすべからず。 ゆゑにうみたとふ。

諸仏正遍知海[リ]↢心想↡生ズトイフ、正遍知[ト]真正[ク]ニ↢法界シテ也。法界无相ナルガ諸仏[ハ]无知也。以[テ]ノ↢无知↡故↠不コト↠知0475[ラ]也。无知シテ正遍知也。知深広ニシテ不↠可[カラ]↢測量↡。故[フ]↠海也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)口業功徳
                    [一]牒偈

【31】 ^如来にょらいみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう

如来微妙キコ十方

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんごうどくじょうじゅづく。

0371二句↢荘厳口業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 みなとうとからざるにる。 どうひと*じょう くるま して、 *どんしょうしょうするがごとし。 *どうじょうずるみこえはただ梵天ぼんてんとおる。

仏本何シタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。ソナハスニ↢有如来↡名↠不ルニ↠尊カラ。如↣外道シテ[ス]↠車[ヲ][ノ]スルガ↢瞿曇姓↡。成ズル↠道日、声唯徹↢梵天↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 妙声みょうしょうはるかにきて、 くものをして*にんさとらしめん」 と。

ジテノタマハク使メムト成仏セムニ、妙声ハルカキテヲシテ↟忍

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「如来にょらいみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう」 といへり。

ヘリ↢「如来微妙声、梵嚮聞十方」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)【心業功徳】
                    [一]牒偈

【32】 ^どうすいふう くう分別ふんべつ

ジテ地・水・火・風・ 虚空分別

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん心業しんごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳心業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 ほうくに、 *これはこく、 これはびゃく、 これはこくびゃくほうちゅうほうじょうほう上上じょうじょうほうとのたまふ。 かくのごときりょう差別しゃべつしなあり。 分別ふんべつあるにたり。

仏本何オコシタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有如来↡、説クニ↠法↢此黒此[ハ]白、此不黒・不白、下法・中法・上法・上上法↡。有↢如[キ]↠是[クノ]无量差[ノ]シナ↡。タリ↠有ルニ↢分別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつ0084んに、 荷負かぶするに軽重きょうじゅうしゅなきがごとく、 すい潤長じゅんちょうするに*しょう 悪草あくそう かつ 瑞草ずいそうなりなきがごとく、 じょう*じゅするにほうしゅうべつなきがごとく、 ふうほつするにめんしゃなきがごとく、 くう苞受ほうじゅするに開塞かいそくおもいなきがごとくならしめん」 と。

ジテハク使メムト↫我成仏セムニ↣地荷負スルニキガ↢軽重之シユ↡、如↣水潤長スルニキガセウ 悪草 クワチ 瑞草[ナリ] 之異↡、如↣火スルニキガ↢芳臭之別↡、如↣風起発スルニキガ↢眠悟之差↡、如クナラ↪空苞受スルニキガ↩開塞之オモヒ↨。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅲ]成就

^これをうちて、 ものほかやすんず。 *むなしくきてちてかえり、 ここにおいてむ。

コレ于内↡、物於外↡。虚シクキテチテ↠是于息

^このゆゑに 「どうすいふう くう分別ふんべつ」 といへり。

ヘリ↢「同地水火風、虚空无分別」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)【大衆功徳】
                    [一]牒偈

【33】 ^天人てんにんどうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう

天人不動衆 清浄智海ヨリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんしゅどくじょうじゅづく。

0476二句↢荘厳衆功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 説法せっぽうりんのあらゆる大衆だいしゅ、 もろもろの*こんしょうよく種々しゅじゅどうなり。 ぶつ智慧ちえにおいて、 もしは退しりぞきもしはもっす。 ひとしからざるをもつてのゆゑに、 しゅう純浄じゅんじょうならず。

仏本何オコシタマヘル↢此荘厳↡。ソナハスニ↢有如来↡、説法輪下所有大衆、諸根・性・欲[ハ]種種不同ナリ。於↢仏↡、若[シ]ハ退[シ]ハ[ス]。以[テ]ノ↠不0372ルヲヒトシカラ、衆不↢純浄ナラ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^ゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 あらゆるてんにんみな如来にょらい智慧ちえ清浄しょうじょうかいよりしょうぜん」 と。

所以オコシタマヘリ↠願。願[ク]ハ成仏セムニ、所有天人皆↢如来恵清浄海↡生ゼム[ト]

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ]成就
                        [ⅰ]海を釈す

^かい」 とは、 ぶつ一切いっさいしゅ深広じんこうにしてかぎりなく、 じょう雑善ぞうぜん*ちゅう宿やどさざることをいひて、 これをうみのごとしとたとふ。 このゆゑに 「天人てんにん動衆どうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう」 といへり。

「海[ト]ヒテ↢仏一切種智[ハ]深広ニシテカギリ、不ルコトヲ↟宿↢二乗雑善中下↡、タトコレシト↟海。是ヘリ↢「天人不動衆、清浄智海生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ][ⅱ]不動を釈す

^どう」 とは、 かのてんにんだいじょうこんじょうじゅしてきょうどうすべからざるをいふなり。

「不動[ト]↧彼天人成↢就シテ大乗[ノ]ルヲ↞可[カ]ラ↢傾動↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)【上主功徳】
                    [一]牒偈

008534】 ^にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ

須弥山王 勝妙ニシテギタル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんじょうしゅどくじょうじゅづく。

二句[ク]↢荘厳上首功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 しゅうのなかにあるいは*ごうりょうのものあり。 だいだっ流比たぐいのごとし。 あるいは国王こくおうぶつならおさめて、 はなはだぶつゆずることをらざるあり。 あるいはぶつしょうじて*えんをもつて廃忘はいもうすることあり。 かくのごときじょうしゅちからじょうじゅせざるにたるあり。

仏本何シタマヘル↢此↡。[ソナハ]スニ↢有如来↡、衆[イ]ハ↢強梁[ノ]↡。如↢提婆達多流比 タグヒ ↡。或[イ]ハ↢国↠仏並[ビ][メ]テ↟知ハナハユズルコト↟仏。或[イ]ハ↧請ジテ↠仏↢他縁↡廃忘スルコト↥。↤如↠是[クノ][ノ]タル↣上首ルニ↢成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われぶつとなるときねがはくは一切いっさい大衆だいしゅ、 よくしんしょうじて、 あへてわれとひとしきことなく、 ただひとり法王ほうおうとしてさらに俗王ぞくおうなからん」 と。

ジテハクラム↠仏時、願[ク]ハ一切[ノ]大衆、↢能ジテ↠心↠我等シキコト↡、唯ヒトリ法王トシテカラムト↢俗王↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ」 といへり。

ヘリ↢「如須弥山王、勝妙无過者」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)【主功徳】
                    [一]牒偈

【35】 ^天人てんにんじょうしゅ ぎょうにょう瞻仰せんごう

天人丈夫衆 恭敬シテメグリテ瞻仰シタテマツル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんしゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳主功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつ如来にょらいそなはすに、 大衆だいしゅありといへども、 しゅうのなかにまたはなはだぎょうせざるあり。 いち比丘びくしゃ牟尼むにぶつに、 「もしわがためにじゅうなんせずは、 われまさにさらにどうがくすべし」 とかたりしがごとし。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有仏如来↡、雖0477↠有[リ]ト↢大衆↡衆亦有↠不↢甚恭敬↡。↱一比丘語リシガ↫釈迦牟尼仏↠我[ガ]↢十四↡、シト↪更↩余道↨。

^また*居迦離こかり*しゃほつほうじて、 *ぶつたびかたりたまひしにたびけざりしがごとし。

亦如↧居迦離謗ジテ↢舎利弗↡、仏三タビリタマヒシニ而三0373[タ]ビリシガ↞受[ケ]

^またもろ0086もろのどうやから、 かりに仏衆ぶつしゅりてつねにぶつとがうかがもとめしがごとし。

又如↧諸外道、仮↢仏衆ウカヾ↦求メシガトガ↥。

^また*だい六天ろくてん、 つねにぶつみもとにおいてもろもろのなんをなししがごとし。 かくのごとき種々しゅじゅぎょうせざるそうあり。

又如↧第六天魔、常↢仏[ノ]シヽガ↦諸留難↥。有↧如[キ]↠是[クノ]種種↢恭敬[セ]↡相↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 てんにん大衆だいしゅぎょうしてむことなからしめん」 と。

ジテハク、使メム[ト]成仏セムニ天人大衆恭敬シテ[カ]ラムコト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅲ]成就

^ただ 「てんにん」 といふ所以ゆえんは、 じょうには女人にょにんおよびはちじんなきがゆゑなり。 このゆゑに 「天人てんにんじょうしゅ ぎょうにょう瞻仰せんごう」 といへり。

所↣以但↢天人[ト]、浄土ニハキ[ガ]↢女人及[ビ]八部鬼神↡ユヘ也。是ヘリ↢「天人丈夫衆、恭敬遶瞻仰」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)【不虚作住持功徳】
                    [一]牒偈

【36】 ^観仏かんぶつ本願ほんがんりき ぐうくうしゃ のうりょうそく満足まんぞく どくだい宝海ほうかい

ズルニ本願力 マウアヒテシク[グ]ル 功徳大宝海

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この四句しくしょうごん虚作こさじゅうどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳不虚作住持功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 ただしょうもんをもつてそうとなし、 仏道ぶつどうもとむるものなし。 あるいはぶつへども、 さんまぬかれざるあり。 *ぜんしょうだいだっ居迦離こかりとうこれなり。 またひとぶつ (釈尊)みょうごうきてじょう道心どうしんおこせども、 あく因縁いんねんひて、 退たいしてしょうもんびゃくぶつるものあり。 かくのごときくうのもの、 退没たいもつのものあり。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有如来↡、但以↢声聞↡為↠僧、无↧求[ム]ル↢仏道↥。或[イ]ハ↠仏ドモマヌカ↢三塗↡。善星・提婆達多・居迦離等是也。又人聞[キ]テ↢仏↡発セドモ↢无上道心↡遇[ヒ]テ↢悪因縁↡、退シテ↢声聞・辟支仏地アリ。有↢如↠是[ク]ノ空過退没↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするとき、 われにぐうするものをして、 みな速疾そくしつ*じょう大宝だいほう満足まんぞくせしめん」 と。

ジテハク、使メムト成仏セム時、値↢遇セム↡者[ヲシテ]ソクシチ満↦足无上大宝↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「観仏かんぶつ本願ほんがんりき ぐうくうしゃ のうりょうそく満足まんぞく どくだい宝海ほうかい」 といへり。 ^じゅう0087」 のかみのごとし。

ヘリ↢「観仏本願力、遇无空過者、能令速満足、功徳大宝海」↡。住持↠上

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)総結

^ぶつしょうごん八種はっしゅどくかんずること、 これかみおわりぬ。

ズルコト↢仏荘厳八種功徳↡、訖[リ]ヌ于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)菩薩荘厳【菩薩】
                (a)標目
                  (イ)正標

【37】^つぎ安楽あんらくこくのもろもろのだいさつしゅしょうごんどくじょうじゅかんず。

0478↢安楽国[ノ]大菩薩四種荘厳功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)問答
                    [一]

 ^ひていはく、 如来にょらい (阿弥陀仏)しょうごんどくかんずるに、 なんのけっしょうせるところありてか、 また ˆじょうのˇ さつどくかんずることをもちゐるや。

[ヒテ][ク]、観ズルニ↢如来荘厳功徳↡、何アリテカ↢闕少セル↡、復ヰル↠観ズルコトヲ↢菩薩功徳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]主伴具足を審かにす

^こたへていはく、 明君めいくんましますときにはすなはち賢臣けんしんあるがごとし。 *ぎょうしゅん無為むいしょうせしは、 これそのたぐいなり。 もしただ如来にょらい法王ほうおうましませども、 だいさつ法臣ほうしんなからしめば、 どう*翼讃よくさんするにおいてあにつといふにらんや。 またたきぎみてすくなきときには、 すなはちおおきならざるがごとし。

[ヘテ][ク]、如↧有ストキニハ明君メイクン↡則[ル]ガ↦賢臣↥。尭0374舜之称セシ[ハ]↢无為↡、比也。若使メバ↧但マシマ↢如来法王↡ドモ[カラ]↦大菩薩法臣↥、於ヨク↢讃スルニ↡豈ラムヤ↠云フニ↠満ツト。亦タキヾ𧂐ミテスクナキトキニハ[チ]火不ルガ↟大キナラ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]仏徳の広大を成ず

^*きょうにのたまふがごとし。 「弥陀みだ仏国ぶつこくりょうへんのもろもろのだいさつあり。 かんおん大勢だいせいとうのごときは、 みなまさにいっしょうほうにおいて*いで仏処ぶっしょすべし」 と。 もしひとみなしょうして憶念おくねんするもの、 帰依きえするもの、 観察かんざつするものは、 ¬法華ほけきょう¼ の 「*門品もんぼん」 にくがごとく、 がんとしてたざることなし。 ^しかるにさつどくあいぎょうすることは、 うみの、 ながれみて*そくじょうなきがごとし。

↢¬経¼言フガ↡。「阿弥陀仏国↢无量无辺[ノ][ノ]大菩薩↡。如キ[ハ]↢観世音・大勢至等↡、皆当シ[ト]↧一生↢他方↡次ギテ↦仏処↥」。若[シ]人称シテ↠名憶念スル、帰依スル、観察スル[ハ]、如↢¬法花経¼「普門品」説[クガ]↡、无↢願ルコト↟満[タ]。然[ル]ニ菩薩愛↢楽[スル]コトハ功徳↡、如↣海ミテ↠流キガ止足情↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅲ]功徳を愛楽す

^またしゃ牟尼むに如来にょらいいち*目闇もくあん比丘びく (*阿楼駄)うれへてまうすをきこしめすがごとし。 「たれかどくあいするも0088の、 わがためにはりつなげ」 と。 そのとき如来にょらいぜんじょうよりちて、 そのところ来到らいとうしてかたりてのたまはく、 「われ福徳ふくとくあいす」 と。 つひにそれがためにはりつなぎたまふ。 そのとき*しつみょう比丘びくそらぶつみこえきて、 きょうこもごもあつまりてぶつにまうしてまうさく、 「そんそんどくはなほいまだたずや」 と。 ぶつこたへてのたまはく、 「わがどく円満えんまんせり。 またもとむべきところなし。 ただわがこのどくよりしょうず。 どく恩分おんぶんるがゆゑに、 このゆゑにあいすといふ」 と。

亦如↣釈迦牟尼如来キコシメスガ↢一目闇[ノ]比丘ウレヘテマフスヲ↡。スルモノ↢功徳↡、↠我ツナゲト↠針。爾如来従[リ]↢禅定↡[チ]テ、来↢到シテカタリテハクス[ト]↢福徳↡。遂↠其ツナギタマフ↠針。爾失明[ノ]比丘、[キ]テソラ仏語ミコヱ↡、驚喜コモゴモアツマリテシテ↠仏サク、世尊、世尊功徳ナホ↠満。仏コタヘテハク、我功徳円満セリ。无モトムベキ↡。但我[リ]↢功徳↡生。知ルガ↢功徳恩分↡故、是フ[ト]↠愛スト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅳ]結答

^ふところのごとく、 ぶつ (阿弥陀仏)どくかんずるに、 じつがんとしてたざるはなし。 またしょさつどくかんずる所以ゆえんは、 かみのごとく種々しゅじゅあるがゆゑなるのみ。

↠所↠問ズルニ↢仏功徳↡、実↢願トシテルハ所↣以 ユヘ ズル諸菩薩功徳、有ルガ↢如↠上種種義↡[ナル]耳。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正釈
                  (イ)【不動而至功徳】
                    [一]牒偈

【38】 ^安楽あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち にょしゅじゅう

安楽国清浄ニシテ无垢 化仏菩薩日 如須弥住持スルガ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつそなはすに、 ただこれ*しょうさつのみにして十方じっぽうかいにおいてひろぶつをなすことあたはず。 あるいはただしょうもんにんてんのみにしてするところ狭小きょうしょうなり。

0479本何シタマヘル↢此荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有仏土↡、但小菩薩ノミ[ニ]シテ↠能↧於[テ]↢十方世界↡広スコト↦仏事↥。或[イ]ハ但声聞人天ノミニシテ↠利スル狭小ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがくにのうちにはりょうだいさつしゅありて、 本処ほんしょどうぜずしてあまねく十方じっぽういたりて種々しゅじゅおうして、 如実にょじつしゅぎょうしてつねにぶつをなさん0089」 と。

シタマヘリ↠願。願[ク]ハ[ガ]ニハ[リ]テ↢无量0375菩薩衆↡、シテ↠動↢本処↡遍[リ]テ↢十方↡種種応化シテ如実修行シテサム[ト]↢仏事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]成就
                        [ⅰ]譬1

^たとへば、 てんじょうにありて、 *かげひゃくせんげんずるがごとし。 あにきたらんや、 あにきたらざらんや。

[ヘ]バ↧日[ノ][リ]テ↢天上↡而カゲ[ハ]ズルガハクセン↥。日豈ラム、豈ラム↠来

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]譬2

^¬*大集だいじっきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「たとへば、 ひとありてよく*堤塘ていとうして、 その*しょはかりてみずはなときおよびて、 心力しんりきくわへざるがごとし。 さつもまたかくのごとし。 一切いっさい諸仏しょぶつおよびしゅじょうようすべく、 きょうすべき種々しゅじゅ堤塘ていとうすれば、 三昧さんまいるにおよびて身心しんしんどうぜざれども、 如実にょじつしゅぎょうしてつねにぶつをなす」 と。

↢¬大集経¼ノタマフガ↡。「譬[ヘ]バ↧有[リ]テ↠人シテ堤塘テイタウ↡、ハカリテ↢其所宜↡及[ビ]テ↢放↠水[ヲ]↡、不ルガクワ↢心力↡。菩薩亦如↠是[ク]ノ。先スレバ↧一切諸仏及[ビ]衆生[ノ]↢供養↢教化↡種種堤塘↥、及[ビ]テ↠入[ル]ニ↢三昧↡身心不レドモ↠動[ゼ]如実修行シテス[ト]↢仏事↡。」

^如実にょじつしゅぎょうす」 とは、 つねにしゅぎょうすといへども、 *じつしゅぎょうするところなし。

如実[ニ]修行[スト]、雖↢常修行スト↡実↢修行[スル]↡也。

^このゆゑに 「安楽あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち 如須にょしゅじゅう」 といへり。

ヘリ↢「安楽国清浄、常転无垢輪、化仏菩薩日、如須弥住持」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【一念遍至功徳】
                    [一]牒偈

【39】 ^無垢むくしょうごんこう 一念いちねんぎゅういち しょう諸仏しょぶつ やくしょぐんじょう

无垢荘厳光 一念及[ビ]一時[ク]諸仏群生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらい眷属けんぞくそなはすに、 ほうりょう諸仏しょぶつようせんとほっし、 あるいはりょうしゅじょうきょうせんとほっするに、 ここにもっしてかしこにづ。 みなみさきにしてきたあとにす。 一念いちねんいちをもつてひかりはなちてあまねくらし、 あまねく十方じっぽうかいいたりてしゅじょうきょうすることあたはず。 しゅつもつぜんそうあるがゆゑなり。

仏本何[ガ]シタマヘル↢此[ノ]荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有如来眷属↡、↣供↢養セムト他方无量諸仏↡、或[イ]ハスルニ↣教↢化セムト无量衆生↡、此シテニシ[テ]↠南ニス↠北不↠能↧以↢一念一時↡放[チ]テ↠光、遍[リ]テ↢十方世界↡教↦化スルコト衆生↥。有[ル]ガ↢出没前後相↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがぶつのもろもろのだいさつ一念いちねんときのあひだにおいて、 あまねく十方じっぽういた0090種々しゅじゅぶつをなさん」 と。

シタマヘリ↠願。願[ク]ハ仏土[ノ]大菩薩、於↢一念アヒダ↡、遍[リ]テ↢十方↡作サムト↢種種仏事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「無垢むくしょうごんこう 一念いちねんぎゅういち 普照ふしょう諸仏しょぶつ やくしょぐんじょう」 といへり。

ヘリ↢「无垢荘0480厳光、一念及一時、普照諸仏会、利益諸群生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]問答
                        [ⅰ]

 ^ひていはく、 かみしょうに、 動揺どうようせずしてあまねく十方じっぽういたるといふ。 どうにしていたる、 あにこれいちにあらずや。 これといかんが差別しゃべつする。

[ヒテ][ク]、上↧身[ハ]↢動揺[セ]シテ[ル]ト↦十方↥。不動ニシテ而至、豈↢是一時若為 イカン 差別スル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]

^こたへていはく、 かみにはただどうにしていたるといへども、 あるいはぜんあるべし。 ここにはぜん無後むごといふ。 これ差別しゃべつとなす。 またこれかみどうじょうずるなり。 もしいちならずはすなはちこれ往来おうらいなり。 もし往来おうらいあらばすなはちどうにあらず。 このゆゑにかみどうじょうぜんためのゆゑに、 すべからくいちかんずべし。

[ヘテ][ク]、上ニハ但言ヘドモ↢不動シテルト↡、或[イ]ハ↠有↢前後↡。此ニハ↢无前无後↡。↢差別↡。亦是成0376[ズル]ナリ↢上不動↡。若↢一時ナラ↡則[チ]往来ナリ。若[ラ]バ↢往来↡則[チ]↢不動↡。是↠成ゼム↢上不動↡故、須↠観↢一時↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)【無相供養功徳】
                    [一]牒偈

【40】 ^天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別ふんべつしん

[ラシ]テ 妙香等供養[ズ]ルニ諸仏功徳[ル]コト分別

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつそなはすに、 さつにんてん*しゅひろからず、 あまねく十方じっぽうぐうかいいたりて諸仏しょぶつ如来にょらい大衆だいしゅようすることあたはず。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見[ソナハ]スニ↢有仏土↡、菩薩人天、志趣↠広[カ]ラ↠能↧遍[リ]テ↢十方无窮世界↡供↦養スルコト諸仏如来大衆↥。

^あるいはおのがじょくなるをもつて、 あへて浄郷じょうきょう向詣こうげいせず。 あるいはするところの清浄しょうじょうなるをもつて穢土えど*はくす。

[イ]ハ[ノ]穢濁ナルヲ↣敢向↢詣浄郷↡。或[イ]ハ↠居スル清浄ナルヲ↡鄙イヤシ↢薄穢土↡。

^かくのごとき種々しゅじゅ*きょくぶんをもつて、 諸仏しょぶつ如来にょらいみもとにおいてしゅうへんようして広大こうだい0091善根ぜんごんほっすることあたはず。

↢如↠此[ク]ノ種種キヨクカギル↡、於↢諸仏如来↠能↣周遍供養シテ発↢起スルコト広大善根↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするときねがはくはわがこく一切いっさいさつしょうもんてんにん大衆だいしゅ、 あまねく十方じっぽう*一切いっさい諸仏しょぶつだい処所しょしょいたりて、 てんがくてんてんてんこうあめふらして、 *巧妙きょうみょうべんをもつて諸仏しょぶつどくよう讃嘆さんだんせん」 と。

ジテハク成仏セム時、願[ク]ハ[ガ]国土一切菩薩・声聞・天・人大衆、遍[リ]テ↢十方一切諸仏[ノ]大会処所↡、ラシテ↢天楽・天花・天衣・天↡、以↢巧妙[ノ]↡供↢養讃↣嘆セム[ト]諸仏功徳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]成就

^穢土えど如来にょらい*だい謙忍けんにんたんずといへども、 ぶつぞうそうあることをず。 じょう如来にょらいりょうしょうごんたんずといへども、 ぶつ清浄しょうじょうそうあることをず。 なにをもつてのゆゑに。 諸法しょほうひとしきをもつてのゆゑに、 もろもろの如来にょらいひとし。 このゆゑに諸仏しょぶつ如来にょらいづけて*等覚とうがくとなす。

↠嘆[ズ]ト↢穢土如来大慈謙忍↡、不↠見↣仏土[ル]コトヲ↢雑穢相↡。雖↠嘆[ズ]ト↢浄土如来无量荘厳↡、不↠見↣仏土[ル]コトヲ↢清浄相↡。何[テ]ノ。以[テ]ノ↢諸法等シキヲ↡故如来等。是諸仏如来[ケ]テ↢等覚0481↡。

^もしぶつにおいてれつしんおこさば、 たとひ如来にょらいようすれども、 ほうようにはあらず。

[シ]↢仏土↡起[サ]バ↢優劣↡、仮使 タトヒ 供↢養スレドモ如来↡、↢法供養ニ[ハ]↡也。

^このゆゑに 「天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別心ふんべつしん」 といへり。

ヘリ↢「雨天楽花衣、妙香等供養、讃諸仏功徳、无有分別心」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)【示法如仏功徳】
                    [一]牒偈

【41】 ^とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ

世界ナリトモカラムニハ 仏法功徳 [ク]ハ皆往生シテ[ス]コト仏法[ヲ]クセム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 ある軟心なんしんさつそなはすに、 ただぶつこくしゅぎょうねがひて慈悲じひ堅牢けんろうしんなし。

0377本何[ガ]シタマヘル↢此↡。見[ソナハ]スニ↢有軟心菩薩↡、但楽ヒテ↢有仏国土修行↡无↢慈悲堅牢心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつするとき、 わがさつはみな慈悲じひゆうみょうけんがんありて、 よく清浄しょうじょうて、 ほう仏法僧ぶっぽうそうなきところいたりて、 仏法僧ぶっぽうそうほうじゅう0092しょうごんしてしめすこと、 ぶつのましますがごとくし、 *仏種ぶっしゅをして処々しょしょえざらしめん」 と。

シタマヘリ↠願。願[ク]ハ我成仏セム時、我菩薩皆慈悲勇猛堅固志願アリテ↢清浄↡、至[リ]テ↧他方↢仏法僧↡処↥、住↢持荘↣厳シテ仏法僧[ノ]↡示[ス]コトクシマシマスガ↠仏使メムト↢仏種ヲシテ処処

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへり。

ヘリ↢「何等世界无、仏法功徳宝、我願皆往生、示仏法如仏」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結示

^さつしゅしょうごんどくじょうじゅかんずること、 これかみおわりぬ。

[ズル]コト↢菩薩四種荘厳功徳成就↡、訖[リ]ヌ↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a 【回向門】
          (一)科目

【42】^つぎしも四句しくはこれこうもんなり。

四句廻廻向門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ニ (二)牒偈

我作がさ論説ろんせつ 願見がんけん弥陀みだぶつ 普共ふぐしょしゅじょう おうじょう安楽あんらくこく

我作リ[テ][ク]ハ[タテ]マツリ弥陀仏衆生セム安楽国

二 Ⅰ ⅱ a ニ (三)釈義

 ^この四句しくはこれ論主ろんじゅ (天親)こうもんなり。 「こう」 とは、 おのがどくしてあまねくしゅじょうほどこして、 ともに弥陀みだ如来にょらいたてまつり、 安楽あんらくこくしょうぜんとなり。

四句是論主廻向門ナリ。廻向[ト]シテ功徳↡普シテ↢衆生↡、共[タテ]マツリ↢阿弥陀如来↡生[ゼム]トナリ↢安楽国↡。

二 Ⅰ ⅱ 問答して機を彰す【八番問答
        論文を標す

^りょう寿じゅしゅ多羅たらしょう、 われじゅをもつてそうじてきをはりぬ。

无量寿修多羅章句、↢偈↡総[ジ]テ[リ]ヌ

二 Ⅰ ⅱ b 正問答
          (一)経を引き総じて悪人正機を立つ〔第一問答〕
            (Ⅰ)

【43】^*ひていはく、 天親てんじんさつこうしょうのなかに、 「普共ふぐしょしゅじょう おうじょう安楽あんらくこく」 といへるは、 これはなんらのしゅじょうとともにとすや。

[ヒテ][ク]、天親菩薩[ノ]廻向ヘルハ↢「普共諸衆生、往生安楽国」↡、此↠共[ニ]ト↢何0482衆生

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)大経

^こたへていはく、 王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬*りょう寿じゅきょう¼ (下)あんずるに、 「ぶつなんげたまはく、 ª十方じっぽうごうしゃ諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともにりょう寿じゅぶつじんどく不可ふか思議しぎなるをしょうたんしたまふ。 しょしゅじょう、 そのみょうごうきて信心しんじんかんし、 *すなはち一念いちねんいたるまでしんいたしてこうして、 かのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょうて、 退転たいてんじゅう0093せん。 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞº」 と。

[ヘテ][ク]、案ズルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、「仏告ゲタマハク↢阿難↡、十方恒河沙諸仏如来、皆共[ニ]称↢嘆シタマフ无量寿仏威神功徳不可思議ナルヲ↡。諸有衆生、聞[キ]テ名号↡信心歓喜ルマデ↢一念シテ↠心廻向シテ、願ズレバ↠生[ゼム]ト↢彼↡即[チ][テ]↢往0378↡、住セム↢不退転↡。唯除クト↢五逆誹謗正法[ト]ヲ↡」。

^これをあんじていふに、 一切いっさい*どうぼんにん、 みなおうじょうん。

アン↠此フニ、一切[ノ]道凡夫人、皆↢往生↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)観経

^また ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ のごときはぼんおうじょうあり。 「下下げげぼんしょうとは、 あるいはしゅじょうありて、 善業ぜんごうたるぎゃくじゅうあくつくり、 もろもろのぜんせん。 かくのごときにん悪業あくごうをもつてのゆゑに悪道あくどうして、 こう経歴きょうりゃくしてくることきわまりなかるべし。

又如[キハ]↢¬観无量寿経¼↡有↢九品往生↡。「下下品[ト]、或[イ]ハ[リ]テ↢衆生↡、ツク↢不善業タル五逆・十悪↡、具セム↢諸不善↡。如[キ]↠此[ク]ノ愚人、以[テ]ノ↢悪業↡故↧堕[シ]テ↢悪道逕↢歴シテ多劫↡受[ク]ルコト↠苦[カ]ル↞窮

^かくのごときにん命終みょうじゅうときのぞみて、 ぜんしき種々しゅじゅあんして、 ためにみょうほうおしへて念仏ねんぶつせしむるにはん。 かのひとめられて念仏ねんぶつするにいとまあらず。 ぜんげていはく、 ªなんぢもしねんずることあたはずはりょう寿じゅぶつしょうすべしº と。

[キ]↠此[ク]ノ愚人、臨[ミ]テ命終↡、ハム↧善知識、種種安慰シテ、為↢妙法↡教ヘテムルニ↦念仏↥。人苦メラレテイトマアラ↢念仏[スル]ニ↡。善友告[ゲ]テハク[ハ]↠能[ハ]↠念ズルコトシ[ト]シヨウ↢无量寿仏↡。

^かくのごとくしんいたしてこえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくして ª南無なもりょう寿じゅぶつº としょうせん。 ぶつみなしょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいてはちじゅう億劫おくこうしょうつみのぞき、

↠是[ク]ノシテ↠心メテ↢声ヲシテ↟絶、具↢足シテ十念↡称セム↢南无无量寿仏↡。称[スルガ]↢仏ミナ[ヲ]↡故、於↢念念↡除↢八十億劫生死之罪↡、

^命終みょうじゅうのちこんれんのなほ日輪にちりんのごとくしてそのひとまえじゅうするを一念いちねんのあひだのごとくにすなはち極楽ごくらくかいおうじょうん。

命終之後見↧金蓮猶如↢クシテ日輪↡住ルヲ↦其↥、如[ク]ニ↢一念アヒダ↡即[チ]↣往↢生[スルコト]ヲ極楽世界↡。

^れんのなかにおいてじゅう大劫だいこうてて、 れんまさにひらけん。 まさにこれをもつてぎゃくつみつぐのふべし。

↢蓮↡満テヽ↢十二大劫↡、蓮華方ケム↣以↠此ツグノ↢五逆[ノ][ヲ]↡也

^かんおん大勢だいせいだいおんじょうをもつてそれがためにひろ諸法しょほう実相じっそうつみ除滅じょめつするほうかん。 きをはりてかんして、 ときおうじてすなはちだいしんおこさん。 これをぼん0094しょうのものとづく」 と。

観世音・大勢至、以↢大悲音声↡為↠其カム↧諸法実相、除↢スル↡法↥。[リ]テ歓喜シテ、応ジテ↠時[チ]サム↢菩提之心↡。是ク[ト]↢下品下生↡」。

^このきょうをもつてしょうするに、 あきらかにりぬ、 ぼんぼんただしょうぼうほうせざれば、 ぶつしんずる因縁いんねんをもつてみなおうじょうと。

↢此↡証スルニ、明[カ]ニ[リ]ヌ下品凡夫但令 タダ レバ↣誹↢謗[セ]正法↡、信[ズル]↠仏[ヲ]因縁ヲモテ皆得↢往0483↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)異を会し別して逆罪得生を成ず
            (Ⅰ)二経の相違を会す【逆謗除取
              (ⅰ)二罪具欠を弁ず〔第二問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 ¬りょう寿じゅきょう¼ (下・意) にのたまはく、 「おうじょうがんずるものみなおうじょう。 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞく」 と。 ¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぎゃくじゅうあくもろもろのぜんするもまたおうじょう」 と。 このきょう、 いかんがする。

[ヒテ][ク]、¬无量寿経¼ノタマハク、「願[ズル]↢往生皆得↢往生↡。唯除ク[ト]↢五逆誹謗正法トヲ↡」。¬観无量寿経¼ノタマハク、「五逆・十悪スルモ↢諸不善↡亦↢往生↡」。此二経、云何スル

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)

^こたへていはく、 いっきょう (大経) にはしゅじゅうざいするをもつてなり。 いちにはぎゃくにはほうしょうぼうなり。 このしゅつみをもつてのゆゑに、 ゆゑにおうじょうず。 いっきょう (観経) にはただじゅうあくぎゃくとうつみつくるとのたまひて、 しょうぼうほうすとのたまはず。 しょうぼうほうぜざるをもつてのゆゑに、 このゆゑにしょうずることを

[ヘテ][ク]、一経ニハテナリ↠具スルヲ↢二種重罪↡。一[ニ]者五逆、二[ニ]者誹謗正0379ナリ。以[テ]ノ↢此二種↡故所以↢往生↡。一経[ニ]ハ但言[ヒ]テ↠作ルト↢十悪・五逆等↡、↠言↣誹↢謗スト正法↡。以[テ]ノ↠不ルヲ↠謗↢正法↡故、是得↠生[ズルコト]ヲ

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)但謗不生を明す
                (a)謗罪極重を明す〔第三問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 たとひ一人いちにんありて、 ぎゃくざいすれどもしょうぼうほうせざれば、 ¬きょう¼ (観経)しょうずることをゆるす。 また一人いちにんありて、 ただしょうぼうほうしてぎゃく諸罪しょざいなし。 おうじょうがんぜばしょうずることをやいなや。

[ヒテ][ク]仮使 タトヒ 一人アリテ、具スレドモ↢五逆罪↡而不レバ↣誹↢謗正法↡、¬経¼ユル↠得↠生[ズルコト]ヲ。復有[リ]テ↢一人↡、但誹↢謗正法[シ]↢五逆諸罪↡。願↢往生[ヲ]↠生[ズルコト]ヲ以不 イナ 

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 ただしょうぼうほうせしめば、 さらにつみなしといへども、 かならずしょうずることをず。

[ヘテ][ク]但令 タダ 誹↢謗シテ正法↡、雖↣更[シ]ト↢余罪↡、必[ズ]不↠↠生[ズルコト]ヲ

^なにをもつてこれをいふとならば、 ¬きょう¼ (*大品経・意) にのたまはく、 「0095ぎゃく罪人ざいにん阿鼻あびだいごくのなかにしてつぶさに一劫いっこうじゅうざいく。 しょうぼうほうするひと阿鼻あびだいごくのなかにして、 このこうもしきぬれば、 またてんじてほう阿鼻あびだいごくのなかにいたる。 かくのごとく*展転てんでんしてひゃくせん阿鼻あびだいごく」 と。 ぶつ (釈尊)づることをせつしるしたまはず。 ほうしょうぼうつみきはめておもきをもつてのゆゑなり。

[フ]トナラバ↠之、¬経¼言ハク、「五逆罪人、堕[シ]テ↢阿鼻大地獄↡具↢一劫重罪↡。誹↢謗スル正法[ヲ]↡人[シ]テ↢阿鼻大地獄↡、此劫若キヌレバ復転ジテ↢他方阿鼻大地獄↡。如↠是[クノ]展転シテ↢百千阿鼻大地獄↡」。仏↠記シタマハ↢得↠出[ヅル]コトヲ時節↡。以[テ]ノ↢誹謗正法罪極[キ]ヲ↡故ナリ

^またしょうぼうはすなはちこれ仏法ぶっぽうなり。 この愚痴ぐちにんすでにほうしょうず。 いづくんぞぶつしょうぜんとがんずるあらんや。 たとひただかの安楽あんらくむさぼりてしょうぜんとがんずるは、 またみずにあらざるこおりけむりなきもとむるがごとし。 あにることあらんや。

又正法[チ]是仏法ナリ此愚痴人既↢誹謗↡。イヅクンゾ[ラ]ムヤ↧願ズル↠生[ゼム]ト↢仏土↡之理↥。仮使 タトヒ リテ↢彼安楽↡而ズル↠生ゼムト者、亦如↠求ムルガ↢非[ザル]↠水コホリ、无↠煙之火↡。豈[ラ]ムヤ↠得ルコト↠理

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)謗法行相を審にす〔第四問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんらのそうかこれしょうぼうほうする。

[ヒテ][ク]、何[カ]是誹↢謗スル正法↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 もしぶつなく、 ぶつほうなし、 さつなく、 さつほうなしといはん。 かくのごときけん、 もしはしんにみづからし、 もしはしたがひてけ、 そのしんけつじょうするをみなしょうぼうほうすとづく。

[ヘテ][ク]、若[シ]ハム↠仏无↢仏法↡、无[ク]↢菩薩↡无[シ]ト↦菩薩法↥。如↠是[クノ]見、若[シ]ハミヅカ、若[シ]ハヒテ↠他、其0484決定スルヲ皆名誹↢謗スト正法↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)罪重所因を顕す〔第五問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 かくのごときけいはただこれおのがなり。 しゅじょうにおいてなんののうありてかぎゃくじゅうざいえたるや。

[ヒテ][ク]、如[キ]↠是[クノ]ナリ。於↢衆生↡有[リ]テカ↢何苦悩↡エタル於五逆重罪

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)

^こたへていはく、 もし諸仏しょぶつさつの、 けんしゅっけん善道ぜんどうきてしゅじょうきょうするものなくは、 あに*じんれい0096しんあることをらんや。 かくのごときけん一切いっさい善法ぜんぼうみなだんじ、 しゅっけん一切いっさい*げんじょうみなめっしなん。 なんぢただぎゃくざいじゅうたることをりて、 ぎゃくざいしょうぼうなきよりしょうずることをらず。 このゆゑにしょうぼうほうずるひと、 そのつみもつともおもし。

[ヘテ][ク]、若[シ]クハ↧諸仏・菩薩[ノ][キ]テ↢世間・出世間善道↡教↢化スル衆生↡者↥、豈[ラ]ム↠有[ル]コトヲ↢仁・義・礼・智・信↡。如↠是[ク]ノ世間一切善法皆断、出0380世間一切賢聖皆滅シナム。汝但↢五逆ルコトヲ↟重↠知↧五逆罪↠无↢正法↡生ズルコトヲ↥。是ズル↢正法↡人、其オモ

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)五逆得生を成立す【十念往生】〔第六問答〕
              (ⅰ)正しく得生を成ず
                (a)
                  (イ)先牽を難ず

 ^ひていはく、 *業道ごうどうきょうにのたまはく、 「*業道ごうどうはかりのごとし。 おもきものく」 と。

[ヒテ][ク]、¬業道経¼ノタマハク、「業道ハカリ。重モノクト」。

^¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「ひとありてぎゃくじゅうあくつくりもろもろのぜんせらん。 悪道あくどうしてこう経歴きょうりゃくしてりょうくべし。 命終みょうじゅうときのぞみて、 ぜんしきおしえひて、 ª南無なもりょう寿じゅぶつº としょうせん。 かくのごとくしんいたしてこえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくしてすなはち安楽あんらくじょうおうじょうすることを。 すなはちだいじょう正定しょうじょうじゅりて、 ひっきょうじて退たいせず。 さんのもろもろのながへだつ」 と。

↢¬観无量寿経¼ノタマフガ↡。「有[リ]テ↠人造↢五逆・十悪↡具セラム↢諸不善↡。応↧堕シテ↢悪道逕↢歴シテ多劫↡受↦无量↥。臨[ミ]テ↢命終↡、遇[ヒ]テ↢善知識↡称セム↢南无无量寿仏↡。如↠是[ク]ノシテ↠心[メ]テ↢声ヲシテ↟絶、具↢足シテ十念↡便得↣往↢生スルコトヲ安楽浄土↡。即[チ][リ]テ↢大乗正定之聚↡、畢竟ジテ↠退↢三苦↡永ヘダツト。」

^*く」 のにおいていかんぞ。

之義、於↠理如何 イカン

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)繋業を難ず

^また*曠劫こうごうよりこのかた、 つぶさにもろもろのぎょうつくりて、 有漏うろほう三界さんがい*ぞくせり。 ただじゅうねん弥陀みだぶつねんじたてまつるをもつてすなはち三界さんがいづ。 *ごうまたいかんせんとほっする。

又曠劫ヨリ已来 コノカ ツブサ[リ]テ↢諸↡、有漏之法繋↢属セリ三界↡。但以↣十念念[ジタテ]マツルヲ↢阿弥陀仏↡便↢三界↡。繋業之義復スル↢云何セムト↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)答【三在釈義】
                  (イ)

^こたへていはく、 なんぢぎゃくじゅうあくごうとうじゅうとなし、 下下げげぼんにんじゅうねんをもつてきょうとなして、 つみのためにかれて0097ごくして三界さんがいざいすべしといはば、 いままさにをもつて*校量きょうりょうすべし。 軽重きょうじゅうしんり、 えんり、 けつじょうりて、 せつごんしょうにはらず。

[ヘテ][ク]、汝ハバ↫五逆・十悪繋業等↠重、以↢下下品十念↡為シテ↠軽、応シト↪為↠罪↠牽[シ]テ↢地獄[ニ]↡繋↩在三界↨者、今↢以↠義↡。軽重之義↠心、在↠縁、在リ[テ]↢決定↡、不↠在↢時節久近多少ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)
                    [一]在心

^いかんが 「しんる」。 かの造罪ぞうざいにんはみづから*もう顛倒てんどうけん依止えじしてしょうず。 このじゅうねんぜんしき*方便ほうべんあんによりて*実相じっそうほうきてしょうず。 いちじつなり、 いちなり。 あにあひくらぶることをんや。

云何[ガ]↠心。彼造罪ミヅカ依↢止シテ虚妄顛倒↡生。此十念者リテ↢善知識[ノ]方便安0485↡聞キテ↢実相↡生。一ナリナリ。豈ムヤブルコトヲ↡。

^たとへば千歳せんざい闇室あんしつに、 ひかりもししばらくいたらば、 すなはちみょうろうなるがごとし。 やみ、 あにしつにあること千歳せんざいにしてらじといふことをんや。

[ヘ]バ↢千歳闇室[ラ]バ即便[チ]ナルガ↡。闇豈↠言フコトヲ↢在[ルコト]↠室千歳シテ↟去

^これをしんりとづく。

↠在リト↠心

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]在縁

^いかんが 「えんる」。 かの造罪ぞうざいにんはみづから妄想もうぞうしん依止えじし、 煩悩ぼんのうもうほうしゅじょうによりてしょうず。 このじゅうねんじょう信心しんじん依止えじして、 弥陀みだ如来にょらい方便ほうべんしょうごん真実しんじつ清浄しょうじょうりょうどくみょうごうによりてしょうず。

云何[ガ]↠縁。彼造罪ミヅカ依↢止妄想↡、依[リ]テ↢煩悩虚妄果報衆生↡生。此十念依↢止0381シ[テ]无上信心↡、依[リ]テ↢阿弥陀如来方便荘厳真実清浄无量功徳名号↡生

^たとへばひとありてどくこうむりて、 あたるところすじほねやぶるに、 滅除めつじょやくつづみけば、 すなはちどくのぞこるがごとし。

[ヘバ]↧有[リ]テ↠人カブリテ↢毒↡、所↠アタスヂヤブルニ↠骨、聞ケバ↢滅除薬ツヾミ↡、即[チ]ノゾコルガ↥。

^¬*しゅりょうごんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「たとへばくすりあり、 づけて滅除めつじょといふ。 もし闘戦とうせんときもちゐてもつてつづみるに、 つづみこえけばどくのぞこるがごとし。 さつ摩訶まかさつまたかくのごとし。 *しゅりょうごん三昧ざんまいじゅうしてそのけば、 三毒さんどくねんづ」 と。

¬首楞厳経¼ノタマハク、「譬[ヘバ]↧有[リ]↠薬、名[ケ]テ↢滅除闘戦ヰテルニ↠鼓、聞↢鼓[デ]毒除[コ]ル[ガ]↥。菩薩摩訶薩亦復如↠是[ク]ノ。住[シテ]↢首楞厳三昧[ニ]↡聞↢其[ノ]、三毒之自然ヅト。」

^あにかのふかどくはげしくして、 つづみおんじょうくとも、 どく0098ることあたはずといふことをべけんや。 これをえんりとづく。

ケム↠言[フ]コトヲ↧彼ハゲシクシテ、聞クトモ↢鼓音声↞能↠箭[ル]コト↟毒。是↠在リト↠縁

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]在決定

^いかんが 「けつじょうる」。 かの造罪ぞうあくにん*有後うごしん*間心けんしん依止えじしてしょうず。 このじゅうねん無後むごしん間心けんしん依止えじしてしょうず。 これをけつじょうづく。

云何[ガ]↢決定↡。彼造罪[ノ]依↢止シテ有後心・有間心↡生。此十念依↢止シテ无後心・无間心↡生。是↢決定↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)

^さん校量きょうりょうするにじゅうねんおもし。 おもきものきてよくさんづ。 *両経りょうきょういちなるのみ。

校↢量スルニ↡、十念。重キテ↢三有↡。両経[ハ]一義ナル耳。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)念相を料簡す【十念釈義1】〔第七問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 いくばくのときをかづけて一念いちねんとなす。

[ヒテ][ク]イクバクヲカ[ケ]テ↢一念↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ひゃくいちしょうめついちせつづく。 ろくじゅうせつづけて一念いちねんとなす。 このなかにねんといふはこのせつらず。 ただ弥陀みだぶつ憶念おくねんするをいふ。 もしは*総相そうそう、 もしは*別相べっそう所観しょかんえんしたがひて、 しんそうなくしてじゅうねん相続そうぞくするをづけてじゅうねんとなす。 ただみょうごうしょうするもまたかくのごとし。

[ヘテ][ク]、百一生滅↢一刹那↡。六十刹那[ケ]テ↢一念↡。此[フ]↠念[ト]不↠取↢此時節↡也。但↣憶↢念スルヲ阿弥陀仏↡。若[シ]ハ総相若[シ]ハ別相、随[ヒ]テ↢所観↡、心[ク]シテ↢他想↡十念相続スルヲ[ケ]テ↢十念↡。但称[スル]モ↢名号↡亦復如↠是[ク]ノ

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)十数を料簡す【十念釈義2】〔第八問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 しんもしえんせば、 これをせっしてかえらしめてねんしょうりぬべし。 ただしょうるともまた*けんにはあらず。 もしこんらしおもいそそげば、 またなにによりてかねんしょうすることをべき。

[ヒテ][ク]、心若他縁セバ、摂[シ]テ↠之[メ]テ↠還↠知[リ]ヌ↢念之多少↡。但知[ル]トモ↢多少↡復非↢无間ニハ↡。若[シ]↠心ゲバ↠想、復依[リ]テカ↠何↠得↠記スルコトヲ↢念之多少↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)〔業事成弁〕

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (観経) に 「じゅうねん」 とのたまへるは、 *ごうじょうべんかすのみ。 かならずしも*しゅることをもちゐず。 「*けい春秋しゅんじゅうらず」 といふがごとし。 このむにあに*朱陽しゅようせつらんや。 るものこれをいふのみ。

[ヘテ][ク]、¬経¼ヘル↢「十念」↡、明↢業事0486耳。↢必[ズシ]モモチ↟知[ル]コトヲ↢頭数↡也。如フガ↢蟪蛄↢春秋↡。伊[ノ]虫豈ラム朱陽之節↡乎。↠之耳。

^*じゅうねんごうじょうとは、 これまた*じんつうずる0099ものこれをいふのみ。 ただねん相続そうぞくして他事たじえんぜざればすなはちみぬ。 またなんぞねんしゅるをもちゐることをらんや。 もしかならずすべからくるべくはまた方便ほうべんあり。 かならずすべからく*じゅすべし。 これを*筆点ひってんだいすることをざれ。

十念業成、是亦通ズル↠神↠之耳。但↠念相続シテレバ↠縁[ゼ]↢他事↡便[チ]ミヌ。復何ラム↠須ヰルコトヲ↠知ルヲ↢念之頭数↡也。若[シ][ズ]クハ↠知亦有↢方便0382↡。必↢口授[ス]↡。不↠得↠[スル]コトヲ↢之筆点↡。

りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょうちゅう かんじょう

 

延書の底本は本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。
顛倒の善果 人間・天上界に生れる果報。 迷いの中の善果であるので顛倒てんどうという。
仏力住持して 仏の本願力が支えたもってという意。
不退の風航 風航はかけ船のこと。 不退の位に向かって順風を得た船。 退転することなくかならず仏にならしめる教法を船に喩えたもの。
 浄土の三部経を指す。
一隅を挙げて 一部分の意味によって。
国史国紀 国史は国王の命などによって公的に記された国の歴史書。 国紀は私人によって私的に記された国の歴史書。
各別の体例 それぞれちがった体裁である。
女の大体… 女性の一般的性質はあらわしているけれども。
梵音を存じて 梵語 (サンスクリット) を音写してという意。
大饒益 大きなやく
梵音を存ぜば 梵語 (サンスクリット) を音写すればという意。
 もとづくところ。 本源。 帰趣。
智断 とく断徳だんとく
恩を知りて徳を報ず →おん報徳ほうとく
邪見語 我を実体視し、 それにとらわれるよこしまな見解を表す言葉。 →邪見じゃけん
自大語 自分が他よりすぐれていると思う慢心を表す言葉。
流布語 世間一般に使われる言葉。 日常語。
彼此 長行じょうごうとこのじゅのこと。
盲者 →補註10
密雲 深くたれこめた雨雲。
頑石 固い石。
大乗経論 ¬ゆいぎょう¼ ¬だい智度ちどろん¼ 等の経論のこと。
仮名人 仮名とは実体のないものに仮につけた名という意で、 人といっても五蘊ごうん (おん) が因縁いんねんによって仮に和合したものであるから仮名人という。
一異の門を観ずる論 龍樹りゅうじゅ菩薩の ¬中論ちゅうろん¼ 等のこと。
上の三門 ねんもんの中のらいはい讃嘆さんだんがんの三門。
下の二門 ねんもんの中のかんざつこうの二門。
四阿含三蔵 四阿しあごんなどの小乗の教えのこと。 三蔵さんぞうとは経・律・論のことで、 仏教経典の総称。 原始仏教の経典のことであるが、 大乗経典の成立以後は小乗とその経典の呼称となった。
畢竟浄 完全に煩悩ぼんのうを浄化した究極のさとりの境地。
総持 ここでは広博な経の文意を総摂そうしょうして短いのなかにおさめたもつという意。
総相 器世間の十七種だけでなく二十九種しょうごんのすべてにわたるすがた。
雑生触受 雑多な生を経て、 さまざまな苦にふれ、 その苦を受けること。
正観の由生 正しくものをみる智慧ちえより生ずるところ。
胎卵湿の生 しょうのうちの胎生たいしょう卵生らんしょう湿生しっしょう
高く揖め 高は遠の意で、 揖はあいさつをすること。 礼をして遠くへ去りはなれて。
続括の権… 続括はつづけて矢を射ること。 権は権術ごんじゅつの意。 菩薩が退転もせず、 諸仏の勧めもまたずに利他行をなすことを、 名人の連続して射る矢が、 次々と前の矢を支えていっておちることがないのに喩える。
労謙善譲 功労があってもみずから誇らず、 へりくだること。
陪陼 小さな山やなかのような丘。
宮観迫迮 宮殿や楼観ろうかんが狭い範囲にたてこんでいること。
土田逼隘 土地や田が狭くせせこましいこと。
国界分部せり 国境でへだてられている。
挙急 あわただしく、 うろたえること。
方丈に… 方丈は一丈四方の部屋のこと。 ここでは維摩がこの狭い部屋に三万二千人の座を設けておさめ入れたという ¬ゆいぎょう¼ の説を出したもの。
無貲 はかりしれないこと。 限りがないこと。
畦畹 田畑や土地の広さをあらわす単位。
攀厭禅定 下位を厭い、 上位の天上界にのぼることをめざして禅定ぜんじょうを修すること。 ぼんどうの観法。
無上の正見道 最高の真実を見る智慧ちえ。 →のく多羅たらさんみゃくさんだい
宝王如来の性起の義 ¬ごんぎょう¼ 「宝王如来性起品」 に、 如来のしん口意くいのはたらきはすべてほっしょうの顕現にほかならないと説いていること。 仏果はほっしょうの理に順じて起ったものであるということ。 →性起
 すがた。 身体。
発心 法蔵菩薩のおこされた願心。
四域 しゅせんの四方にあるだいしゅうのこと。
三方にあまねからず 日は須弥山の回りをめぐっているので、一方を照らせば他の三方を照らさない。
十仞 仞は長さの単位。 一仞は両手を左右に広げたときの長さ。
有余にあひ忘れ 充分すぎるほどあるので、あることさえ忘れて。
高下 上下の意。
閻浮那金 えん檀金だんごんのこと。
金沙 転輪王てんりんのうが世に出るときは海の水が減じ、 底に金の道ができるとされる。 ここではこの道の金砂のこと。
金山 しゅせんの周囲をかこむ七重の山脈。 七金山しちこんぜん
便りならず 不便である。
六情 六根ろっこんに同じ。
水乳 よく調和し融合することを水と乳がよく融和することに喩えていう。
楚越 ¬荘子そうじ¼ に出る故事。 楚の国と越の国は隣接していたが、 たがいに利害が対立し、 争いがたえなかったという。 ここでは、 六根が同じ体にあっても必ずしも調和がとれていないことに喩える。
楽受 受は感覚のこと。 身心をこころよくさせる感覚。
然 草が風になびくさま。
参訳 翻訳に参加すること。
滓沫 滓はにごった泥水、 沫はしぶきやあわのこと。
凝凘 氷塊が流れること。 流氷。
 流氷がはりつめること。 結氷。
蹙架しを懐く 蹙架は迫りきて自由をうばうこと。 を懐くとは、 平常の心を失わせるという意。
 一定の順序。
嶕嶢峻嶺 山やみねがひときわ高くけわしいさま。 嶕嶢の註 「高き貌なり」 は底本では嶕の字註として付されてある。
岝峉嶙 山に高低があり、谷やがけが深いさま。
 底本には 「茀」 とある。
絶目の川 一時に視界に入ってこないほどの広い水の流れ。
々 は草が風になびくさま。 荒れはてて淋しいようす。
震烈 天地をふるわすような大雨。
不祥の烖霓 不吉な天火や虹。
 →もう
宮商 きゅうしょうかくの五音 (五種の音階) を略していったもの。 →いん七声しちせい
所尊を延請せんと欲す 人々に尊ばれる仏を招こうと請い願うこと。
業貧しく感薄きもの 善業が少なく、 よい結果を招きがたい者。
取者 文字にとらわれる者。
洪滔 大水。 洪水。
 ¬大経¼ ¬小経¼ の取意の文。
日光 仏・菩薩の頭頂から放たれるこうみょう
中国 ここではインドを世界の中心地とみて中国と呼んでいる。
 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬だい阿弥陀あみだきょう¼ ¬びょう等覚どうがくきょう¼ 等の取意の文。
地居 地の上にあること。 色界しきかいは空中にあるが、 極楽は七宝の大地の上にある。
別業 特別な行業ぎょうごう。 とくにすぐれたいんの行い。
率土 王の率いる国土。 ここではその民のこと。
宝輪殿に… 宝輪は転輪てんりんじょうおうの乗る車。 転輪聖王が車を宮殿に駐め、そこにいて国を治めると、 世は平和におさまるということ。
四域 ここは四方の意。
黄鵠… ¬れつでん¼ に出る故事。 子安にたすけられた鶴 (黄鵠) が、 子安の死後、 三年間その墓の上でかれを思って鳴きつづけ、 鶴は死んだが子安は蘇って千年の寿命を保ったという。 ここでは、 鶴が命の恩人である子安を思う心の強さを住持に喩えたもの。
 冬になると枯れる泉。
槐棘の… 槐棘はえんじゅといばらの木で、 中国の官位である三公と九卿きゅうけい (三槐九棘) のこと。 朝廷に仕える身分を指す。 →補註8
譏誚これによりて… 人のそしりをうけて、 全身があつくなるような恥ずかしい思いをすること。
恥辱これによりて… はずかしめられて、 氷を抱くように冷汗をかくこと。
沙を懸けて帒を指すを… 砂を入れた袋を壁にかけ、 その中に食ありと教えて、 空腹をしのぐ一時の慰めとするという喩え。
百味の嘉餚 種々さまざまな美食。
袞寵 袞は天子の礼服、 転じて天子のこと。 天子の恩寵。
斧鉞 おのとまさかり。 刑罰の道具をあらわす。 転じて重刑のこと。
蓬藜 よもぎとあかざ。 あれはてた草むら、 または貧しい家の意。
方丈を列ぬ 一丈四方にごちそうを並べるほど豪華な食事ができる身分になる。
鳴笳して… 笳はあしぶえのこと。 麻絰は喪服のこと。 出発するときは笳を吹いてにぎやかであったが、 喪服を着てかえることになってしまったという意。
女人及根欠二乗種不生 →補註10
所以 いわれ。 本旨。
一を分ちて三と説く 一乗いちじょうの法を分けてさんじょうの法を説くということ。
眉を… 女性が眉をひらいて媚態びたいを呈し、あざけりを受けるという意。
指語に… 指語は指の動作で語ること。 →補註10
根敗の種子 芽の出ない、 腐敗した種子。 ここでは仏果を証すべき因 (種子) のないしょうもん縁覚えんがくじょうを喩えていう。
残欠 根欠に同じ。
会する 会通すること。 一見矛盾したように見える記述を道理に照らしあわせて、 趣意の一貫したものとして説明すること。
生処 生まれるべきところ。
天帝釈 たいしゃくてんのこと。
憍尸迦 梵語カウシカ (kauśika) の音写。 帝釈天のもとの姓。
橘栽 たちばな、 またはみかんの類 (柑橘類) の総称。
江北 江蘇こうそ省北部の地。 広義で長江 (揚子江) より北の地域。
河洛 黄河と洛水にはさまれた流域。 具体的には洛陽らくようの都。
菓肆 肆は店の意。 くだものを売る店のこと。
壟西 隴山ろうざんの西、隴西郡の地。 現在の甘粛かんしゅく省隴西。
趙魏 戦国七雄の趙国と魏国。 現在の河北かほく省南部、 さん西せい省の南部と北部、 河南かなん省の北部一帯をいう。
架桁 鳥かごのとまり木。
二乗女人根欠の事なし →補註10
訥口蹇吃 口ごもってなめらかでないこと。
与奪の名… 与はほめること、 奪はそしり、 しりぞけること。 ここでは浄土にはそしりの名さえないという意。
 すぐれていること。
修短業に繋がれて 寿命の長短がそれぞれの業報として決定しているという意。
ある論師 小乗の論師を指す。
名義 名の意味。
無窮の過 無限にくりかえして論証が成立しない過失。
五受陰 おんに同じ。
末後の身 菩薩が成仏する直前の身。 迷いの尽きる最後の身。
 はなびら。
 はなびらのすじ。
梵摩尼宝 梵は清浄しょうじょうの意、 きよらかな摩尼宝珠 (如意宝珠) のこと。
妙真珠網 すぐれた真珠をちりばめた飾りあみ。
四柱の宝幢 れんだいの四方にある宝でできた柱。
夜摩天宮 夜摩天にある宮殿。
雑華雲 種々の色をした花で飾られた雲。
減ずるところ唯一なれば 仏身の三十二相より、 ただ一相を欠いただけということ。 だいだっは一般には、 白毫相びゃくごうそう千輻輪相せんぷくりんそうの二相を欠くとされる。 またこれにより 「減ずるところ唯二」 とする異本もある。
蟷螂 かまきりのこと。 ¬荘子そうじ¼ に、 かまきりが車輪に向かっていく喩えがある。
簡ばず 区別しない。
諸仏正遍知海 正しく完全に真理をさとったあらゆる仏陀たちの意。
根色空明作意 眼という器官 (根)、 対象の事物 (色)、 空間 (空)、 明り (明)、 見ようという意思 (意) のこと。
眼ただ… 眼はただしききょう (もの、 すがた、 かたち) という対象 (所縁) を見るだけで、 声を聞く、 香を嗅ぐなどということはない。 ここにいう 「行ず」 は心が対象を認識するはたらきのこと。
して は車をおしかえすこと。 ここでは転じて軽んずる、 けなしおとしめるという意。
瞿曇 ここではどうが釈尊を軽んじていういい方。
道を成ずる… 釈尊成道の時、 その名声は色界しきかい初禅しょぜんてんにとどいたにすぎなかったという意。
 しょう法忍ぼうにんのこと。
これは黒これは白 黒は悪法・悪業、 白は善法・善業の意。
莦 悪い草と善い草。
 異本には 「熟」 とある。
虚しく往きて実ちて帰り 何ももたずに出かけて、 満ちたりて帰り。 ここでは、 心を虚しくして仏に向かえば、 仏のどくが満ち入るという意。
 異本には 「大衆」 とある。 →大衆だいしゅどく
根性欲 人々の素質 (こん)、 習性、 望み。
中下の死尸 しょうもん縁覚えんがくじょうのこと。 声聞乗を下乗、 縁覚乗を中乗、 菩薩乗を上乗という。 このうちの声聞 (下)・縁覚 (中) の二乗は、 最高のさとりを求める意志がなく、 仏になれないので、 死尸 (死骸の意) という。
強梁のもの 自然の理にさからうような強さ、 不自然な強さのもの。 梁は屋根をささえる横木であるが、 梁ばかりが強いと柱をこわし、 全体を破壊してしまうことからいう。
他縁をもつて廃忘する 他のことに気をとられすっかり忘れてしまう。
仏三たび語りたまひしに  仏は居迦離が舎利弗を謗るのを三度いさめられるが、 居迦離はいずれもききいれなかったために、 ついに地獄に堕ちたという。
第六天の魔 三界さんがいのうちよくかいの最高天である他化たけざいてんの王のこと。 仏道修行にはげむものを誘惑するので魔といわれる。
無上大宝 この上ないさとりのどくのことを宝に喩えていう。
堯舜の無為と称せしは 堯・舜は中国の伝説上の王の名。 それぞれ、 すぐれた臣下を持ちみずから何事もしないで天下を泰平におさめたとされることから無為といい、 中国における政事の理想とされる。
 引用は ¬大経¼ の上巻、 下巻および ¬小経¼ からの取意の文。
次いで仏処に補す 次に仏の位をおぎなう。 →一生いっしょうしょ
止足の情 満ち足りた気持ち。
目闇の比丘 →補註10
失明の比丘 →補註10
y>無礙むげの二利行ができないから小菩薩という。
 水面にうつった太陽のすがた。
所宜を量りて ちょうどよい時をはかって。
実に修行… 修行したことに少しのとらわれもないということ。
一切諸仏の大会 あらゆる仏たちの説法の会座。
巧妙の弁辞 たくみな弁才。 理解・表現の能力が自由自在であること。
大慈謙忍 しゅじょう救済のために、 忍んで身をへりくだること。
問ひていはく… →補註3
すなはち…回向して 親鸞聖人は 「乃至一念せん。 至心に回向せしめたまへり」 (信文類訓) と読まれた。
外道凡夫人 異本には 「外凡夫人」 とある。 凡夫の位を内・外にわけたとき、 じゅうじゅう十行じゅうぎょうじゅうこう三賢さんげん位の賢者を内凡ないぼんというのに対し、 十信じっしん以下の善悪の凡夫をぼんという。 また五逆ほうぼう以外の凡夫人のこととする説もある。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。 五常ごじょうのこと。
先づ牽くの義 義は重い方が先に報いがあらわれるという道理。
虚妄顛倒の見に依止して 真実の理にそむいた誤った見解をよりどころにして。
方便安慰 いろいろてだてをして教え、 心を安らかにすること。
実相の法 名号には仏のさとられた諸法しょほう実相じっそうの徳が含まれているので、 仏の名号のことを実相という。
両経 ¬観経¼ と業を説く教典のこと。
無間 相続すること。
頭数 念仏の回数の意。
蟪蛄 夏のおわりに鳴く蝉。
朱陽の節 夏の季節。
神に通ずるもの 神通力じんずうりきを持つ仏のこと。
筆点に題する 筆で書き記す。
底本は◎本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ高野山寶壽院蔵鎌倉時代書写本(上巻)、 Ⓑ大阪府金剛寺蔵保延四年書写本(下巻)、 Ⓒ山口県常満寺蔵室町時代刊本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
○「第一序分」と右傍註記
 Ⓐになし
→○イマシ
サム→○
→Ⓓ
无顧悪人→○↠顧コト↠悪
→○
コボ→○ヤブ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ
 ○「衍字[口且反 学也]と下欄註記
 左Ⓓムネ
風航 左Ⓓホカケブネ
○「第二正宗分三 一大意」と右傍註記
 ○と上欄訂記
→○
→ⒶⒹ
服膺 左Ⓓシタガヒ ヨハキ モチヰ
。梵フハ↢「優婆提舎」↡→○↢梵言↡。「優婆提舎
体例ナリ。然ルニ→○体例シカナリ
→○
 Ⓐと右傍註記
 Ⓐになし(と右傍註記)
→Ⓓ ○と上書訂記し、 さらにと左傍註記
相応スレバ→○相応
ナリ→○
→○
 ○「或本義字也」と上欄註記
而已→○而已ナラクノミ
レドモ→○
→○
 ○「仍字 ジヨ承反」と左傍註記
↠経。為↢総摂セムガ↡故ナリ→○↢誦経ルガ↢総摂↡故
↠偈。為↢解義→○↢釈偈ルガ↢解義[ト]
↢无量寿如来↡。→○フコヽロハ无量寿如来
→○
ハル↢于世→○行↠于↠世
ズルノ↠生ゼムト↢彼安楽浄土如来浄花↡生ナリ→○↠生[ゼム]ト↢彼安楽浄土↡、如来浄花ズルガ
 Ⓐになし
→○
→Ⓓ
→○ナラクノミ
→◎ⒶⒸ ○
○「三入文二 一総説分即上巻也」と右傍註記
→○
→Ⓐ(と上欄註記)
所以→○所以コノユヘ
ギテ→○
従第三行 Ⓐになし(従第三行と右傍註記)
→Ⓓ
→◎ ○と上書訂記し、 さらにと下欄註記
 Ⓐと上欄註記
 Ⓐ註云と上欄註記
→○
レバ→○[ル]ハ
→○
リテ→○イマシテ
ズルニ↠生ゼムト→○願生
ルナリ↣此シタテマツルト↢于釈迦→○シタテマツルナリ[ニ]↢釈迦↡
帰于 ○皈于帰於と上欄訂記
→○ケム
↧…アルガ↥。リテ↠恩↠徳→○↧…ルガ↠恩ズルニ↞徳
→○
→Ⓐと上欄註記
 左Ⓓサトル
 左Ⓐアキラム ○「督字 アキラカナリ勤也率也正也」と上欄註記
タテマツリ
↠…。→○[ズル]コト↠…、
何以→Ⓐ以何
自指之言ニシテ→○ミヅカラフル↠之コトバナリ
→○[ザ]ル…也
然礼拝 Ⓐになし(然禮拝と右傍註記)
ニシテ→○ナリ
セバ、帰命→○セバ↢帰命↡、
 Ⓒになし
ヘリ↧「…故ナリト」↥。→○、「…故トナリ。」
スルニ→○
スルガ→○フガ
如実→○↠実
スニ→○[シ]タマフニ
→○[シタテ]マツル
クト→○[ケタテ]マツル
→○ラムヤ
→○
→○
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→ⒶⒹ
→◎Ⓐ
→Ⓐ(と右傍註記)
ハバ→○フハ
フハ→○ タマフハ
→○
○上書訂記
→○
→○
→○ タマ
↢凡夫↟謂→○↢凡夫ユルイハ
↢凡夫↟見生死→○キハ↢凡夫↠見生死
所有→○[ユル][コト][アラ]
[タメ]↢後念→○↢後念↡
→Ⓓ亦[復]
→○ケム
ザレバナリ→○
→○
→○
→ⒸⒹ
↠下ナリ→○↢下
セム→○スト
→○シテ
ナリ→○ニト
→ⒶⒹ故[得] ○ 上欄補記
→○得↠名コトヲ
憂波→Ⓓ優婆
レノニカルト→○何所依
ニカルト→○何故依
云何ルト→○云何依
ナリ→○
→○[ス]コト
→○
 Ⓐになし
→Ⓓ ○と下欄訂記
所謂→○ユルイハ
ズルガ→○ゼルガ
ナリ→○ニト
→Ⓐ
右○「ノ」を「カナヘルガ」と上書訂記
 右○「ノ」を「ヲ」と上書訂記
ソナハスニ↢三界↡…衆生シバラレテ↢此三界↡、顛倒・不浄ナリ→○ソナハシテ↧三界…衆生マツワルヽヲ↦此三界、顛倒不浄↥、
シタマヘル→○シタマフ
シタマヘリ→○シタマフ
尺音蠖 左Ⓐヲギムシ
→Ⓓ
→◎ⒶⒸ
↢…自縛スルガ→○クナリ↢…ミヅカラマツワ
キテ↢衆生於不虚偽処、於不輪転処、於不无窮→○↣衆生↢不虚偽処↡、↢不輪転処、於↢不无窮処↡
→○
ナリ
ナルガ→○
→Ⓐ道[者]
→○シム
→○
 Ⓐになし
 左Ⓐタノム カヽル ヨル
 左Ⓐヤスム カヽル イコフ
シク→○シキ
ナリ→○
シウと上蘭訂記
ナルト→○ナリト
无際ナリ→○キワ
→ⒶⒹ
ツハ→○[シバラク]
由生→○ユヘヨリ[ズル]ナリ
→Ⓐ(と右傍註記)
 左→Ⓐツナグ
→Ⓐ(ハカリゴトと右傍註記) ○ゴンハカリゴト
セリ→○シテ
是近言ナリ→○オサコトバ
→◎Ⓒ→Ⓐ →○カウ
左Ⓐメグル
→○ズイ反アヤウシ
→Ⓓ
ナリ→○ヲヽシ
→Ⓓ
→Ⓐ(と上欄註記) →○ケイホトリ
→◎○ⒶⒸ
→○ハイマサル
→◎○Ⓒ
ナリ→○シヨカギルニシテ
→Ⓓ
丘之 Ⓐ水中高と右傍註記
迫迮→○ハクセマリ サクセマルナリ
逼隘→○ヒチセマリ イチイヤシ
→○
→Ⓓ陋[已売反]
→◎○Ⓒ Ⓐになし
→Ⓐ(と右傍註記)
クト↢虚空→○如虚空
広大ニシテ无際ナラムト→○広大无際
クノ↢虚空→○如虚空
クトイフ→○シトイフ
无際ナルヲ→○キヲ↟際
→○
↠生→○ゼム
无際ニシテ→○クシテ
スル→○セムヤ
→Ⓒ
 左Ⓐユタカニ
 左Ⓐツクルコト →○シウタカラ
→◎Ⓒ
→○ケイサカイ
左Ⓐナハテ アゼ
→○エンサカイ
左Ⓐアシ
ワズラハサムヤ→○カサネムヤ
→◎
→Ⓐ所[宅イ无]
 左Ⓐカヌ イル →○カヌ
 左Ⓐカヌ →○ヲサム
→Ⓓ →ケフセバシ
左Ⓐセマシ
→○マコトアキラカニ
左Ⓐアキラカ キハム
カム↢…広ナルニ↡耶→○ゴトキヲ↢…広ナルガ
攀厭禅定→○ヘン↢厭スルヲ禅定
フヲ↠出ムト→○ネガイ
サムト↢于三界→○イデムト[ヲ]↢三界↡
↧法蔵菩薩…所↞成ズル→○↢法蔵菩薩↡。…所ナリ↠成ジタマヘル
積習 左Ⓓツム ナラフ
必然義 左Ⓓカナラズサダマルコトナリ
 左Ⓓヨシ
→○ナレバナリ
→○
→Ⓐ即[是]
…。故→○セル…故
ヘリ→○
と下欄補記
→Ⓐ(と右傍註記し、宇析之七八尺曰仞と上欄註記) ○ジンジンと上書訂記
カラム→○ケム
メムト→○メタマヘリ
得↦於仏道→○↢仏道↡
ニシテ
於有余→○↟有[ル]コト↠余
シタマヘル→○シタマフト
アラハ→○トス
アラハルレバ→○ナレバ
→Ⓐ三[諸イ无]
在時→○仏在
ツガ→○チタマヘルガ
…故ナリ→○…。故
スガ→○[シ]タマフガ
→○…也
宝↢重スト…↡→○タカラクスト↢…↡
スコトヲ→○ルコトヲ
珍↢翫スレドモ…↡→○メヅラシクモテアソベドモ↢…↡
↢於敷具→○↢敷具↡
↢於目→○↠目
↢於身→○↠身
↢於水乳→○↢水乳↡
 ○「北」と左傍註記
 ○「南」と左傍註記
ナルナリ→○ナラムト
→○ヒウ
→Ⓐ卒[土]
→◎○Ⓒ
→Ⓓ Ⓐと右傍註記 ○と右傍訂記
 ○或本ツヽシムデ字也と上欄註記
如何。是→○如何 イカン セム
ヘリ→○ノタマ
→○ノタマ
→◎Ⓒ
澐溺→○ウンウルフ マウオボル
→○ と上書訂記
→◎○ⒶⒸ
→◎○ⒶⒸ
→Ⓐ→Ⓓ →○カウミヅノナガルカタチ を上書訂記
→Ⓐ
→ⒶⒹ
→Ⓐ
→○ソクセマル
→Ⓓ
↠→○トク
→Ⓓ
↠常→○失常ナリ
サキ→○ムカフニ
ウシロ→○ソムクニ
→○フテ
→Ⓓ
→○[ソナ]ハスニ
→○
↠序→○[リ]テハジメ
トシテ→○
トイフコト↟可ナラ→○不可ナルコト
シタマヘル→○シタマフヤ
→Ⓓ
→Ⓐ
ニシテ ○レイニシテと下欄訂記
タハリ→○タヘ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓒ
→Ⓓ
→Ⓐ
无蹤→○シヨウ
スル→○
アキラカニシテ→○ヒトシクシテ
ラムト↢映飾→○サム↢映飾
→○セム
→○カム
→Ⓐ(と右傍註記)
震烈→○シムレチシテシムクワク
→○ゲイ
→○
シテ
アラハサムト→○
→Ⓐ
 Ⓐと上欄註記
→ⒶⒸⒹ
→Ⓐと上書訂記
ラシテ↢花トヲ↡荘厳→○[フ]↢花衣荘厳
→Ⓓ
→○ゼム
→○オモ
延↦請セムト所尊→○[ベ]ムト↦請所尊
→○
→○[シ]テ
シク→○貧感ビンカンニシテ
→Ⓐ悲[心]
ラシテ→○
タサムト→○テム
→○イフコトバ
→Ⓒ
ハム。→○フコトヲ
ラサバ→○[フ]ラバ
宝質→○ホウスガタ
→○ミダレガハ
→Ⓓ
→○
使メムト↧…入↢仏智恵↡、不↞…→○使メテ↧…入↦仏智慧[ニ]↥、↠…
→Ⓓと上書註記
 ⒶⒹになし
ヘリ→○ノタマフト
梵声悟ラシムルコト→○梵声サトリ
妙遠ナレドモ→○ケレドモ
ラシムルコト→○ラスルコト
イヘリ
ラシムル→○ラスル
ザレバナリ→○
ヅルナリ…。→○[デ]テ…、
→Ⓐ(と右傍註記)
セシムルヲ→○スルヲ
ラシムル…、→○…。
ヘリ→○ノタマヘリ
ヘリ→○ノタマヘリト
羅刹為レバ↠君→○羅刹↠君
相噉→○相噉
マレバ→○マル
ウレヒ→○ワウクウ
→○
セラル→○[セ]リ
ヘリ→○ タマ
→Ⓐ
→Ⓓ尿
ホトリ→○キシタカホコ
→Ⓐ(と上欄註記)
 左Ⓐスグルタカシ
リテ→○エントシテ
→Ⓐ(亡公反と右傍註記)→Ⓒ
ムル→○ヤス
 左Ⓐタシナミ
ナルモ→○ナリ
↧日月灯明仏…无キガ→○如日月灯明仏…カリキ
→Ⓓ
→○
→Ⓐ身[愛]
イフ
テラレ↢蓬藜→○ホウシクヒシ
 左Ⓐソヨメク 衣ノナルナリ
→Ⓐ(と右傍註記)
左Ⓐメグム
 ◎Ⓒになし ○右傍補記
→Ⓐ(と右傍註記) Ⓓになし
、出シテ↠麻歴経シテ↠還ルコトヲ→○↢出デヽ↠麻フルサイスト
と上書訂記し、 さらにと右傍註記
ジテ→○
ズル↢大義↡之門→○ズル↢大義之門
イタリテ↠城→○[リ]テ↠城
成↢就スル大乗↡之門→○成↢就スル大乗之門
→Ⓓ(聖教全書の註により補足)
スト→○イマス[ト]
→○
↠拓クヲ↠眉アザケリ→○テシゲテ↠眉スヲアザケリ
 左Ⓐツバナガシテ
ヲシテ→○
 Ⓐになし(と右傍註記)
 Ⓐになし(と右傍註記)
ラバ↣…計量シテルコト↢…↡者→○↢…計量↡知↢…↡
稽首シタテマツルト→○稽首礼ストイヘリ
キハ→○シト
リテ↧説↢…↡処↥→○↠説[ク]コト↢…↡処
セムムヤ
ノタマハク→○ハク
 左Ⓐホガラカニ
↢於浄土→○↢浄土↡生
↠言フガ→○如言
→Ⓐ(と右傍註記)
ヘリ→○ノタマヘリ
→○ウエ
→Ⓒ
→○
。彼→○↠彼
サバ→○[ス]ハ
ヰム↢…言フヲ→○ケム↢…言
軟心菩薩 ○「軟心ノ菩薩ト云ハ金剛心ナラヌ菩薩也」と上欄註記
シクハ→○
→Ⓓ
→Ⓐ人[人]
クト→○ナリトアキラカ
→Ⓒ
→◎Ⓒ ○レウと右傍訂記
 左Ⓐコトヾモリ
 ○と上書訂記し、 さらにケンと右傍訂記
左Ⓐフサグ
→Ⓐ𠰏 𠰏コケコトヾモリ と上欄註記
と上書訂記し、 さらにボフナルヲと右傍訂記
→○オシ →Ⓓ
リテ↢如↠是クノ等↡、根→○↢如↠是[ノ]根↡、
↠言…。明カナリ↣…无キコト↢…↡→○キコト↠言アキカナリ。…无↢…↡
スニ→○ルニ
 左Ⓓヨシ
→Ⓓ 左Ⓓクキ
→○
シテ…而→○ルヲシテ
 左Ⓓカイ
使 Ⓐになし
 左Ⓐカクル
→○凡性
ガレテ↠業→○ツナ
スルコト→○スルニ
是故→Ⓓ故我
ヘリ→○ タマヘリ
→○[ク]ハ
結↧成観↢察スルハ…成就↡所↦以ナルコトヲ願生スル↥。→○結↣成観↢察スルコトヲ…成就↡、所↢以 ユヘ 願生↡。
于上→○↟上
→Ⓒ
ゾヤ
スガ→○ルガ
→○
→○[ズル]ニ
→◎
→Ⓐ(と右傍註記)
アリ→○ニイマス
ジタマフ…。→○ジテ…、
使メムト↣…台ヲシテ、…為↢…↡→○使メテ↢…台↡、…ムト↢…↡
猶如→○猶↢如 ゴト
→○
→○
→○クモノゴトクニ
化↢作スト→○シテ
→◎○Ⓒ Ⓐと右傍註記
→◎Ⓐ
→Ⓐ
ニシテ→○ナリ
→◎Ⓒ→Ⓓ
↡。所↠減ズル→○↟減ズル
→Ⓐ
→Ⓒ
ナレバ→○ナリ
→Ⓐ
ヲシテ
シタマヘリ→○セリ
→○カ[ラ]ム
→ⒸⒹ
 Ⓐと上欄註記
→◎
→Ⓓ Ⓐと上欄註記
ベタマフニ↟臂→○ベタマハムヒヂ
ヘリ→○ タマヘリ  Ⓐになし
↠言。故→○ルガ↠言ハムト
サシワタシ…由旬ナル→○ワタ↢…由旬
→◎Ⓒ
是故汝等 Ⓐになし
汝等→○汝等ナンダチ
法界 Ⓐになし
キハ↢眼界→○如眼界
リテ↢…因縁→○ジテ…因縁
→○マナコ
→○
 Ⓐになし
リテ↢…時→○…時
→○コレ
心作仏→○是心作仏
ルト↟仏→○作仏スト
心是仏→○是心是仏
↠火カレテ、木→○↠火[キ]テ↠木
→Ⓒ
真正→○ナリ、正ナリ
→○ナル
→Ⓐ
→○[リ]ヌ
→Ⓐ[如]是
→○ミコヱ
梵響→○ヒヾキ
ソナハスニ↢…如来↡…。…。成ズル↠道日、声唯徹↢梵天↡。→○[ソナハ]ス↧…如来…、…、成[ズル]ニ↠道フニトオスヲ↦梵天↥。
シテ↠人→○人シヤニン
→Ⓐ此[心]
→Ⓐ
ヲシテ→○カム
→○カラムト
使メムト↫…如クナラ↪…无キガ↩…↨。→○使…如↣…无キガ↢…↡、
→◎ⒶⒸ
于内→○↟内
→○ヤスクス
於外→○↟外
→○ルニ
↠是于息→○オイテヲヤ[ニ]↟息[ム]
→Ⓐ(と下欄註記)
→Ⓓ ○と上書訂記
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓓ
ソナハスニ↢…如来↡…、衆不↢純浄ナラ↡。
→○ソナハスニ↧…如来、…スベルヲ↦純浄ナラ↥。
説法輪下→○タマフ↢法輪モト
大衆、諸根・→○大衆諸根
→Ⓓ厳[大]
カギリ→○キシ
→Ⓓ
ヒテ↢…不ルコトヲ↟宿→○[ク]、…宿ヤド
→○ガイ
ルヲ→○
 Ⓐと上欄註記
→Ⓐ(「王と右傍註記)
ラム↠仏→○ラム↠仏
↢能ジテ↠心…等シキコト→○クシテ↢能生心↡…ヒトシカラム
ソナハスニ→○[タテマ]ツルニ
↱…語リシガ↫…仏…当シト↪…学↩余道↨。→○↧…語ラハク↢…仏↡…当セムトイヒシガ↦余道↥、
リタマヒシニ→○ルニ
 Ⓐと右傍註記
ムコト→○モノウキコト
所↣以→○所以コノユヘニ
→○マフア
→Ⓓ
セドモ→○[ス]トモ
ヘリ→○
→○ゼヨ
ヰル↠観ズルコトヲ→○↠観
ストキニハ→○ストキンバ
フニ→○ハムニ
キトキニハ→○キトキンバ
 ◎Ⓑになし
ギテ→○[イ]デ
ジテ→○トシテ
ミテ→○ンデ
→Ⓒ
スルモノ→○シテ
↠我ツナゲト↠針→○ラム↢我シン
↠其ツナギタマフ↠針→○ラムト↢其維針
コモゴモ→○マジハ
モトムベキ→○ツベキ
→○ナラクノミ
聞暗→Ⓓ暗聞
 Ⓓになし
ノミニシテ→○
↢供養→○↢供養
↢教化→○ズル↢教化
如来眷属→○如来↡眷属
→○オモ
スルニ→○
不↠能↧…照、…教↦化スルコト衆生↥。…→○↠能↧…照コト↥。…教↢化コト衆生↡、…
→Ⓓ
サムト→○
→Ⓐ(と右傍註記)
不動ニシテ→○↠動シテ
↢一時ナラ→○ズハ↢一時
→○シト
→○ 右「レガ」と上書訂記
↠居スル→○所居
→○
ナリトモ→○ニカ
カラムニハ→○マシマサヌ
→○ニシテ
アリテ→○シテ
→○ シマサヌ
→○
→○キテ
→Ⓓ
ヘルハ→○ノタマヘルハ
→○[シ]タマフ
→○
→○セムコト
ルマデ↢一念→○乃至一念セム
シテ↠心廻向シテ→○至心廻向シタマヘリ
ズレバ→○[ズル]ハ
 ⒶⒹになし(Ⓐと右傍註記)
フニ→○
下品→Ⓒ品下
→◎Ⓒ ○と上欄訂記
→Ⓓ
 Ⓐになし
ズルコト→○ズルニ
…、→○…。
 ○と上欄訂記
見↧金蓮花…住ルヲ↦…↥→○[ル]ニ↢金蓮華↡…住セム↢…↡
 ○と下欄訂記
猶如クシテ→○猶如 ゴト クシテ
→○ウチ
→ⒸⒹ
→Ⓓ
→Ⓓ
サム→○セム
 Ⓐになし(と右傍註記)
但令 タダ …得↢…↡→○↧…↦…↥
皆得往生 ◎になし ○下欄補記
ヲモテ→○ヲシテ
…。→○ルニ…、
スルモ→○セル
→○シム
→Ⓓ言[作]
→Ⓒ
 Ⓐになし
 左Ⓓワカツ
スル→○セムヤ
スルヲ→○セルヲ
→○シムト
→Ⓐ
スレドモ→○
アリテ→○
ルヤ→○ムヤ
但令 タダ 誹↢謗シテ…↡→○但令メテ↣誹↢謗…↡
→Ⓐ(と右傍註記) ○と上書訂記
→○
リテ↢彼安楽↡而→○貪↣カレ↢安楽ジテ
ズル↠生ゼムト→○↠生
ムルガ→○メムガ
→○マシマサズ
、其→○↢其
↣誹↢謗スト正法→○↢誹謗正法
↢於五逆重罪→○↢五逆重罪
→Ⓓ
 左Ⓓミチ
得↣往↢生スルコトヲ…↡→○得往↢生シテ…↡
ツト→○テム
繋属 左Ⓓツナギツナグ
スル↢云何セムト→○オモハムヤ↢云何
ハバ↫…応シト↪…繋↩在三界↨者→○謂…↧…繋↦在三界
↢…校量↡。…義→○↣…校↢量…義↡。
→○
リテ↢…安慰↡聞キテ↢…↡→○[リ]テ↣…安慰シテクニ↢…↡
↠在リト↠心→○↢在心
依↢止→○↢止[マリ]
 左Ⓓハカラフ
 左Ⓓホガラカナリ
ヰテルニ↠鼓→○用↢以[ル] ヲ↟鼓
ヅト→○抜出スト
↠在リト↠縁→○↢在縁
→◎Ⓒ
→○ルヤ
→○イフコヽロ
↣憶↢念スルヲ…仏↡。…別相、→○フコヽロハ憶↢念シテ…仏…別相↡、
シテ↠心ゲバ↠想→○凝心注想セバ
→Ⓓワキマフ
ヘル↢「十念」↡→○ノタマハク「十念」
…也。→○レト…也、
フガ↢…不↟…。…乎→○↧…↠…、
 左Ⓓアカシ
→Ⓓ
十念業成→○十念業成ズトイフ
→○ノミ
ラム↠須ヰルコトヲ↠知ルヲ→○モチヰム↠知ルコトヲ
→○
 左Ⓓシルス