0047◎無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ註ちゅう 巻かん上じょう

*婆藪ばそ槃ばん頭ず菩ぼ薩さつ造ぞう *曇鸞どんらん法ほっ師し註ちゅう解げ

一 釈名【浄土論大綱】
  Ⅰ 分斉を判ず【本論分斉】
    ⅰ 龍樹の判教を述ぶ
      a 標列

【1】 ◎^▼つつしみて*龍樹りゅうじゅ菩ぼ薩さつの ¬*十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ (易行品・意) を案あんずるに、 いはく、 ^「▲菩ぼ薩さつ、 ▼阿毘あび跋ばっ致ちを求もとむるに、 二に種しゅの道どうあり。 一いちには↓難なん行ぎょう道どう、 二にには↓易い行ぎょう道どうなり」 と。

◎*謹0449ミテ案0345ズルニ↢龍樹菩薩ノ¬十住毘婆沙ヲ¼↡云ク、「▼菩薩求ムルニ↢阿毘跋致ヲ↡有リ↢二種ノ道↡。一ニ者難行道、二ニ者易行道ナリト。

一 Ⅰ ⅰ b 随釈
        イ 難行道

^▼「↑難なん行ぎょう道どう」 とは、 いはく、 五ご濁じょくの世よ、 *無む仏ぶつの時ときにおいて阿毘あび跋ばっ致ちを求もとむるを難なんとなす。 この難なんにすなはち多途たずあり。 ほぼ*五ご三さんをいひて、 もつて義ぎの意こころを示しめさん。 ^一いちには外げ道どうの*相しょう善ぜんは*菩ぼ薩さつの法ほうを乱みだる。 ^二にには声しょう聞もんは自利じりにして大だい慈悲じひを障さふ。 ^三さんには無顧むこの悪人あくにんは他たの勝しょう徳とくを破やぶる。 ^四しには*顛倒てんどうの善ぜん果かはよく*梵ぼん行ぎょうを壊こぼつ。 ^五ごにはただこれ自じ力りきにして▼他た力りきの持たもつなし。 ^かくのごとき等らの事じ、 目めに触ふるるにみなこれなり。 ▲たとへば陸ろく路ろの歩ぶ行ぎょうはすなはち苦くるしきがごとし。

▼難行道ト者ハ、謂ク*於テ↢五濁之世於无仏ノ時ニ↡求ムルヲ↢阿毘跋致ヲ↡為ス↠難ト。此ノ難ニ乃チイマシ有リ↢多途↡。粗ボ言ヒテ↢五三ヲ↡、以テ示サムス ↢義ノ意ヲ↡。一ニ者外道ノ相シヤウ 修*醤ノ反 善ハ乱ル↢菩薩ノ法ヲ↡。二ニ者声聞ハ自利ニシテ障フ↢大慈悲ヲ↡。三ニ者†无顧ノ悪人ハ破ルス↢他ノ勝徳ヲ↡。四ニ者顛倒ノ善果ハ能ク壊ツル↢梵行ヲ↡。五ニ者唯是自力ニシテ无シ↢他力ノ持ツ↡。如キ↠斯カクノ等ラノ事、触フルルニ↠目ニ皆是ナリ。譬ヘバ如シ↢陸路ノ歩行ハ則チ苦シキガ↡。

一 Ⅰ ⅰ b ロ 易行道

^▼「↑易い行ぎょう道どう」 とは、 いはく、 ▼ただ*信仏しんぶつの因縁いんねんをもつて浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずれば、 仏願ぶつがん力りきに乗じょうじて、 すなはちかの清浄しょうじょうの土どに往おう生じょうを得え、 *仏力ぶつりき住じゅう持じして、 ▼すなはち▼大だい乗じょう*正しょう定じょうの聚じゅに入いる。 ▲正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あび跋ばっ致ちなり。 ▲たとへば水すい路ろに0048船ふねに乗じょうずればすなはち楽たのしきがごとし。

▼易行道ト者ハ、謂ク▼但以テ↢信仏ノ因縁ヲ↡願ズレバ↠生ゼムト↢浄土ニ↡、乗ジテ↢仏願力ニ↡、便チ得ウ↣往↢生スルコトヲ彼ノ清浄ノ土ニ↡、仏力住持シテ、即チ▼入ル↢大乗正定之聚ニ↡。正定ハ即チ是阿毘跋致ナリ。譬ヘバ如シト↢水路ニ乗ズレバ↠船ニ則チ楽シキガ↡」。

一 Ⅰ ⅱ 正しく今論の分斉を断ず

^◆この ¬↓無む量りょう寿じゅ経きょう↓優婆うば提舎だいしゃ¼ (*浄土論) は、 けだし*上じょう衍えんの極ごく致ち、 *不ふ退たいの風航ふうこうなるものなり。

此ノ¬无量寿経*優*波提舎ハ¼蓋シ▼上*衍エンカン之極*致、不退之*風航カウナルフネノホナリ者 ノ也。

一 Ⅱ 正しく題名を解す
    ⅰ 義意を弁ず【興起体製】
      a 所依の宗体を顕す

【2】 ^◆「↑無む量りょう寿じゅ」 はこれ安楽あんらく浄じょう土どの如来にょらいの別号べつごうなり。 *釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつ、 *王舎おうしゃ城じょうおよび*舎しゃ衛え国こくにましまして、 大衆だいしゅのなかにおいて無む量りょう寿仏じゅぶつの荘しょう厳ごん功く徳どくを説ときたまへり。 ▼すなはち仏ぶつ (*阿弥陀仏) の名みょう号ごうをもつて*経きょうの体たいとなす。

「*无量寿ハ」是安楽浄土ノ如来ノ別*号ナリ。釈迦牟尼仏在マシマシテ↢王舎城及ビ舎衛国ニ↡、於シ0450テ↢大0346衆之中ニ↡説キタマヘリ↢无量寿仏ノ荘厳功徳ヲ↡。即チ以テ↢仏ノ名号ヲ↡為ス↢経ノ体ト↡。

一 Ⅱ ⅰ b 能依の体製を弁ず
        イ 総弁

^◆後のちの聖しょう者じゃ婆藪ばそ槃ばん頭ず菩ぼ薩さつ (*天親)、 如来にょらい大だい悲ひの教きょうを*服膺ぶくようして▼経きょうに傍そへて願がん生しょうの偈げを作つくれり。 また長じょう行ごうを造つくりてかさねて釈しゃくす。

後ノ聖者婆バ*数ソ槃バン頭ヅ菩薩、*服↢膺シテ 一升ノ反 如来大悲之教ヲ↡傍ソヘテ↠経ニ作レリ↢願生ノ偈ヲ↡。復造リテ↢長行ヲ↡重テ†釈ス。

一 Ⅱ ⅰ b ロ 別示
          (一)優婆提舎を釈して総じて一部の体製を顕す
            (Ⅰ)梵名を標す

^*梵ぼんに 「↑優婆うば提舎だいしゃ」 といふは、 この間けん (中国) に正名しょうみょうあひ訳やくせるなし。 もしは*一隅いちぐうを挙あげて名なづけて論ろんとなすべし。 正名しょうみょう訳やくせることなき所以ゆえんは、 この間けんに本もと仏ぶつましまさざるをもつてのゆゑなり。 この間けんの書しょのごときは、 *孔こう子しにつきて 「経けい」 と称しょうす。 余よ人にんの制作せいさくみな名なづけて 「子し」 となす。 *国こく史し・国こっ紀きの徒たぐい*各別かくべつの体例たいれいなり。

梵ニ言フハ↢「優婆提舎ト」↡此ノ間ニ无シ↢正名相 ヒ訳セル↡。若シハ挙ゲテ↢一隅グヲ↡可シ↢名ケテ為ス↟論ト。所↣以 ユヘ 无キ↢正名訳セルコト↡者ハ、以テノ↢此ノ間ニ本 ト无マシマサザルヲ↟仏故 ヘナリ。如キハ↢此ノ間ノ書ノ↡、就ツキテ↢孔子ニ↡而称ス↠経ト。余人ノ制作セイサク皆 ナ名ケテ為ス↠子ト。国史・国紀之徒タグヒ各別ノ†体例ナリ。

^しかるに仏ぶつの所説しょせつの十じゅう二部にぶ経きょうのなかに論ろん議ぎ経きょうあり、 「優婆うば提舎だいしゃ」 と名なづく。 もしまた仏ぶつのもろもろの弟子でし、 仏ぶつの経教きょうきょうを解げして仏ぶつ義ぎと相応そうおうすれば、 仏ぶつまた許ゆるして 「優婆うば提舎だいしゃ」 と名なづく。 仏法ぶっぽうの相そうに入いるをもつてのゆゑなり。

然ルニ仏ノ所説ノ十二部経ノ中ニ有リ↢論議経↡、名ク↢優*波提舎ト↡。若シ復仏ノ諸ノ弟子解シテ↢仏ノ経教ヲ↡与ト↢仏義↡相応スレバハ  者、仏亦許シテ名ク↢優*波提舎ト↡。以テノ↠入ルヲ↢仏法ノ相ニ↡故ナリニ 。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅱ)訳名を弁ず

^この間けんに論ろんといふは、 ただこれ論ろん議ぎのみ。 あにまさしくかの名なを訳やくすることを得えんや。 また女人にょにんを、 子こにおいて母ははと称しょうし、 兄あににおいて0049妹いもうとといふがごとし。 かくのごとき等らの事じ、 みな義ぎに随したがひて名な別べつなり。 もしただ女おんなの名なをもつて汎ひろく母も妹まいを談だんずるに、 すなはち*女おんなの大体だいたいを失しっせざれども、 あに尊そん卑ぴの義ぎを含ふくまんや。 ここにいふところの論ろんもまたかくのごとし。

此ノ間ニハ云フハ↠論ト、直ニ是 レ論*議而已ナラクノミト。豈ニ得ム↣正シク訳スルコトヲ↢彼ノ名ヲ↡耶ヤ。又如シ↢女人ヲ於テ↠子ニ称シ↠母ト、於テ↠兄ニ云フガ↟妹ト。如キ↠是クノ等ラノ事、皆随ヒテ↠義ニ名別ナリ。若シ但以テ↢女ノ名ヲ↡汎ク談ズルニ↢母妹ヲ↡、乃チ†不レドモ↠失セ↢女*之大体ヲ↡、豈ニ含マム↢尊卑之義ヲ↡乎ヤ。此ニノ所ノ↠云フ論モ亦復如シ↠是クノ、

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅲ)題の意を結す

^ここをもつて仍よ 因いんなり りて*梵音ぼんのんを存ぞんじて優婆うば提舎だいしゃといふ。

*是ヲ以テ*仍ナホ 因ナリ而ノ音 存ジテ↢梵音ヲ↡曰フト↢優*波提舎ト↡。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)二分の大意を弁じて別して偈総題を為すを審す
            (Ⅰ)大段

【3】 ^この ¬論ろん¼ (浄土論) の始し終じゅうにおほよそ↓二に重じゅうあり。 一いちにはこれ↓総説そうせつ分ぶん、 二ににはこれ↓解義げぎ分ぶんなり。

此ノ¬論ノ¼始終ニ凡ソ有リ↢二重↡。一ニハ是 レ総説分、二ニハ是解義分ナリ。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅱ)文処を指す

^↑総説そうせつ分ぶんとは、 前さきの五ご言ごんの偈げ尽つくるまでこれなり。 ↑解義げぎ分ぶんとは、 「▲論ろんじて曰いはく」 以下いげ長じょう行ごう尽つくるまでこれなり。

総説分ト者ハ前ノ五言ノ偈尽クルマデ是ナリ、解義分ト者ハ「論曰」已下長行尽クルマデ是ナリ。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅲ)所以を弁ず

^↑二に重じゅうとなす所以ゆえんは二義にぎあり。 偈げはもつて経きょうを誦じゅす。 総そう摂しょうせんがためのゆゑなり。 論ろんはもつて偈げを釈しゃくす。 解義げぎのためのゆゑなり。

所↣以 ユヘ 為スル↢二重ト↡者ハ有リ↢二義↡。偈ハ†以テ誦ス↠経ヲ。為ノ↢総摂セムガ↡故ナリ。論ハ†以テ釈ス↠偈ヲ。為ノ↢解義ノ↡故 ヘナリ。

一 Ⅱ ⅱ 文相を解す
      a 題号を釈す【題号】

【4】 ^「▲無む量りょう寿じゅ」 とは無む量りょう寿じゅ如来にょらいをいふ。 寿じゅ命みょう長じょう遠おんにして思し量りょうすべからず。 「▲経きょう」 とは常じょうなり。 いふこころは安楽あんらく国こく土どの仏ぶつおよび菩ぼ薩さつの清浄しょうじょう荘しょう厳ごん功く徳どくと国こく土どの清浄しょうじょう荘しょう厳ごん功く徳どくとは、 よく衆しゅ生じょうのために*大だい饒にょう益やくをなす。 つねに世よに行おこなはるべきがゆゑに名なづけて経きょうといふ。 「▲優婆うば提舎だいしゃ」 はこれ仏ぶつの論ろん議ぎ経きょうの名ななり。

「無量寿」ト者、†言フ↢无量寿如来ヲ↡。寿命長遠ニシテ不ル↠可カラ↢思量ス↡也。「経ト」者常也。言イフココロハ0347安楽0451国土ノ仏及ビ菩薩ノ清浄荘厳功徳ト・国土ノ清浄荘厳功徳トハ、能ク与タメニ↢衆生ノ↡作ス↢大饒益ヲ↡。可キガ↣常ニ†行ハル↢于世ニ↡故ニ名ケテ曰フ↠経ト。「*優*波提舎ハ」是 レ仏ノ論議経ノ名ナリ。

^「▲願がん」 はこれ*欲よく楽ぎょうの義ぎなり。 「▲生しょう」 は天親てんじん菩ぼ薩さつ、 かの安楽あんらく浄じょう土どの如来にょらいの浄じょう華けのなかに生しょうぜんと願がんずる生しょうなり。 ゆゑに願がん生しょうといふ。 「▲偈げ」 はこれ句く数しゅの義ぎ、 五ご言ごん0050の句くをもつて略りゃくして仏ぶっ経きょうを誦じゅするがゆゑに名なづけて偈げとなす。

「願ハ」是 レ欲楽ノ義ナリ。「生」者ハ天親菩薩†願ズルノ↠生ゼムト↢彼ノ安楽浄土ノ如来ノ浄花ノ中ニ↡生ナリ。故ニ曰フ↢願生ト↡。「偈ハ」是句数ノ義、以テ↢五言ノ句ヲ↡略シテ誦スルガ↢仏経ヲ↡故ニ名ケテ為ス↠偈ト。

一 Ⅱ ⅱ b 撰号を釈す

^「▲婆藪ばそ」 を訳やくして 「天てん」 といふ。 「▲槃ばん頭ず」 を訳やくして 「親しん」 といふ。 この人ひとを*天親てんじんと字なづく。 *事じは ¬*付ふ法蔵ほうぞう経きょう¼ にあり。

訳シテ↢「婆*数ヲ」↡云フ↠天ト。訳シテ↢「槃頭ヲ」↡言フ↠親ト。此ノ人ヲ字ナヅク↢天親ト↡。事ハ在リ↢¬付法蔵経ニ¼↡。

^「▲菩ぼ薩さつ」 とは、 もしつぶさに梵音ぼんのんを存ぞんぜば 「*菩ぼ提だい薩さっ埵た」 といふべし。 「菩ぼ提だい」 は、 これ仏道ぶつどうの名ななり。 「薩さっ埵た」 は、 あるいは衆しゅ生じょうといひ、 あるいは勇健ゆうごんといふ。 仏道ぶつどうを求もとむる衆しゅ生じょう、 *勇ゆう猛みょうの健ごん志しあるがゆゑに菩ぼ提だい薩さっ埵たと名なづく。 いまただ菩ぼ薩さつといふは訳者やくしゃ (*菩提流支) の略りゃくせるのみ。 「▲造ぞう」 はまた作さくなり。 ^人ひとによりて法ほうを重おもんずることを庶ねがふがゆゑに某造ぼうぞうといふ。

「菩薩ト」者ハ、若シ具ニ存ゼバ↢梵音ヲ↡応シ↠云フ↢菩提薩埵ト↡。菩提*者ハ是 レ仏道ノ名ナリ。薩埵ハ或イハ云ヒフ↢衆生ト↡、或イハ云フ↢勇*揵ト↡。求ムル↢仏道ヲ↡衆生有ルガ↢勇猛ノ健志↡故ニ名ク↢菩提薩埵ト↡。今但言フハ↢菩薩ト↡訳者ノ略セル耳ナラクノミ。「造ハ」亦作也。庶ネガフガ↢因リテ↠人ニ重ズルコトヲ↟法ヲ故ニ云フ↢*某レ造ト↡。

^このゆゑに 「無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ婆藪ばそ槃ばん頭ず菩ぼ薩さつ造ぞう」 といへり。 ¬論ろん¼ (浄土論) の名みょう目もくを解げしをはりぬ。

是ノ故ニ言ヘリ↢「无量寿経優*波提舎願生偈婆*数槃頭菩薩造ト」↡。解シ↢¬論ノ¼名目ヲ↡竟リヌト。

二 釈文
  Ⅰ 総説分を釈す【総説分】
    ⅰ 章を分つ

【5】 ^▲偈げのなかを分わかちて五ご念門ねんもんとなす。 ▲下しもの長じょう行ごうに釈しゃくするところのごとし。

*偈ノ中ヲニ分チテ為ス↢五念門ト↡。如シ↢下ノ長行ニ所ノ↟釈スル。

・三念門

^第一だいいち行ぎょうの四句しくにあひ含ふくみて三念さんねん門もんあり。 ▲上かみの三さん句くはこれ↓礼拝らいはい・↓讃嘆さんだん門もんなり。 ▲下しもの一いっ句くはこれ↓作さ願がん門もんなり。

第一行ノ四句ニ相 ヒ含ミテ有リ↢三念門↡。上ノ三句ハ是礼拝・讃嘆門ナリ。下ノ一句ハ是作願門ナリ。

・成上起下

^▲第だい二に行ぎょうは論主ろんじゅ (天親) みづから、 「われ仏ぶっ経きょう (浄土三部経) によりて ¬論ろん¼ を造つくりて仏ぶっ教きょうと相応そうおうす、 服ぶくするところ*宗しゅうある」 ことを述のぶ。 なんがゆゑぞいふとならば、 これ優婆うば提舎だいしゃの名なを成じょうぜんがためのゆゑなり。 またこれ上かみの三門さんもんを成じょうじて下しもの二に門もんを起おこす。 ゆゑにこれに次ついで説とけり。

第二行ハ論主自ミ ラ述ノブ↧我 レ依リテ↢仏経ニ↡造リテ↠¬論ヲ¼与ト↢仏教↡*相応ス、所 ロ↠服スル有ルコトヲ↞宗。何ガ故 ヘゾ云フトナラバ、此 レ為ノ↠成ゼムガ↢優*波提舎ノ名ヲ↡故 ヘナリ。亦是成ジテ↢上ノ三門ヲ↡起ス↢下ノ二門ヲ↡。所以コノユヘニ次ギテイデ↠之ニ説ケリ。

・観察門

^▲第だい三さん行ぎょうよ0051り二に十じゅう一いち行ぎょう尽つくるまで、 これ↓観察かんざつ門もんなり。

*従リ↢第三行↡尽クルマデ↢廿*一行↡是 レ観察門ナリ。

・回向門

^▲末まつ後ごの一いち行ぎょうはこれ↓回え向こう門もんなり。 偈げの章しょう門もんを分わかちをはりぬ。

*末後ノ一行ハ是 レ廻向門ナリ。分チ↢偈ノ章門ヲ↡竟リヌ。

二 Ⅰ ⅱ 文を釈す
      a 随釈して法を顕す
        イ 三念門を相含む
          (一)牒偈

【6】  ^▲↓世せ尊そん↓我が一心いっしん ↓帰き命みょう尽十方じんじっぽう 無礙むげ光こう如来にょらい ↓願がん生しょう安楽国あんらくこく

0452*世0348尊我 レ一心ニ 帰↢命シタテマツリテ尽十方 无光如来ニ↡ 願ズト↠生ゼムト↢安楽国ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)釈義
            (Ⅰ)第一句を解す
              (ⅰ)世尊を釈す
                (a)名義

 ^「↑世せ尊そん」 とは諸仏しょぶつの通号つうごうなり。 智ちを論ろんずればすなはち義ぎとして達たっせざるはなし。 断だんを語かたればすなはち習じっ気け余あまりなし。 *智ち断だん具ぐ足そくしてよく世せ間けんを利りし、 世よのために尊そん重じゅうせらるるゆゑに世せ尊そんといふ。

「*世尊ト」者ハ諸仏ノ通*号ナリ。論ズレバ↠智ヲ則チ義トシテ无シ↠不ルコト↠達セ。語レバルハ↠断ヲ則チ習気无シ↠余リ。智断具足シテ能ク利シス↢世間ヲ↡、為ニ↠世ノ尊重セラルル故ニ曰フ↢世尊ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)通別

^ここにいふ意こころは、 釈しゃ迦か如来にょらいに帰きしたてまつるなり。 なにをもつてか知しることを得うとなれば、 下しもの句くに 「▲我依がえ修しゅ多羅たら」 といへばなり。 天親てんじん菩ぼ薩さつ、 釈しゃ迦か如来にょらいの像法ぞうぼうのなかにありて釈しゃ迦か如来にょらいの経教きょうきょうに順じゅんず。 ゆゑに生しょうぜんと願がんず。 生しょうぜんと願がんずるに宗しゅうあり。 ゆゑにこの言ごんは釈しゃ迦かに帰きしたてまつると知しるなり。 もしこの意こころを謂おもふに、 あまねく諸仏しょぶつに告つぐることまた嫌きらふことなし。

此ニノ言イフ意ハ帰シタテマツルナリ↢釈迦如来ニ↡。何ヲ以テカ得トナレバ↠知ルコトヲ、下ノ句ニ言ヘレバナリ↢「我依修多羅ト」↡。天親菩薩在イマリテシテ↢釈迦如来ノ像法之中ニ↡、順ズ↢釈迦如来ノ経教ニ↡。所以コノユヘニ願ズ↠生ゼムト。願ズルニ↠生ゼムトニ  有リ↠宗。故ニ†知ルナリ↣此ノ言ハ*帰シタテマツルト↢于釈迦ニ↡。若シ謂オモフニ↢此ノ意ヲ↡、遍ク告グルコト↢諸仏ニ↡亦復无ナシ ケム↠嫌フコト。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)告意

^▼それ菩ぼ薩さつの仏ぶつに帰きすることは、 孝こう子しの父母ぶもに帰きし、 忠ちゅう臣しんの君后くんこうに帰きして、 *動どう静じょうおのれにあらず、 *出しゅつ没もつかならず由ゆえあるがごとし。 *恩おんを知しりて徳とくを報ほうず、 理りよろしく先まづ*啓けいすべし。 ^▼また所願しょがん軽かろからず。 もし如来にょらい、 威い神じんを加かしたまはずは、 まさになにをもつてか達たっせんとする。 *神力じんりきを加かすることを乞こふ。 ゆゑに仰あおぎて告つぐるなり。

夫レ菩薩ノハ帰スルコトハ↠仏ニ、如シ↧孝子之ノ帰シ↢父母ニ↡、忠臣之帰シテ↢君后ニ↡、動静非ズ↠*己 レニ、出没必ズ†由アルガ↥。知リテ↠恩ヲ報ズ↠徳ヲ、理宜ベ シクシ ↢先ヅ啓ス↡。又所願不ズ↠軽カラ、若シ如来不ズハ↠加シタマハ↢威神ヲ↡、将ス ニル↢何ヲ以テカ*達セムト↡。乞コフ↠加スルコトヲ↢神力ヲ↡。所以コノユヘニ仰ギテ告グルナリト。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)我一心を釈す
                (a)総釈【論主自督】

^◆「↑我が一心いっしん」 とは、 天親てんじん菩ぼ薩さつの*自じ督とくの詞ことばなり。

「我一心ト」者ハ天親菩薩ノ自*督トク之詞ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)一心

^◆いふここ0052ろは、 無礙むげ光こう如来にょらいを念ねんじて安楽あんらくに生しょうぜんと願がんず。 心々しんしん相続そうぞくして他たの想おもい*間雑けんぞうすることなしとなり。

言イフココロハ念ジタテマツリテ↢无光如来ヲ↡†願ズ↠生ゼムト↢安楽ニ↡。心心相続シテ无シトナリ↢他ノ想 ヒ間雑スルコト↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)我

 ^問とひていはく、 仏法ぶっぽうのなかには我がなし。 このなかになにをもつてか我がと称しょうする。 ^答こたへていはく、 「我が」 といふに三さんの根本こんぽんあり。 一いちにはこれ*邪見じゃけん語ご、 二ににはこれ*自じ大だい語ご、 三さんにはこれ*流布るふ語ごなり。 いま 「我が」 といふは、 天親てんじん菩ぼ薩さつの自指じしの言ことばにして、 流布るふ語ごを用もちゐる。 邪見じゃけんと自じ大だいとにはあらず。

▼問ヒテ曰ク、仏法ノ中ニハ无シ↠我。此ノ中ニ*何ヲ以テカ称スルヤ↠我ト。答ヘテ曰ク、言イフニ↠我ト有リ↢三ノ根本↡。一ニハ是邪見語、二ニハ是自大語、三ニハ是流布語ナリ。今言フ↠我ト者ハ天親菩薩ノ†自指之言ニシテ、用ヰル↢流布語ヲ↡。非ズ ザル↢邪見ト自大トニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)第二三句を解す
              (ⅰ)総示

 ^▼「↑帰き命みょう尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらい」 とは、 「↓帰き命みょう」 はすなはちこれ礼拝らいはい門もんなり。 「↓尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらい」 はすなはちこれ讃嘆さんだん門もんなり。

「帰命尽十方无光如来ト」者ハ、帰命ハ即チ是礼拝門ナリ。尽十方无光如来ハ即チ是讃嘆門ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)【礼拝門】

^◆なにをもつてか 「↑帰き命みょう」 はこれ↑礼拝らいはいなりと知しるとなれば、 ◆龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつの、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの讃さん (易行品) を造つくれるなかに、 あるいは 「▲稽首けいしゅ礼らい」 といひ、 あるいは 「▲我が帰き命みょう」 といひ、 あるいは 「▲帰き命みょう礼らい」 といへり。 この ¬論ろん¼ (浄土論) の長じょう行ごうのなかにまた 「▲五ご念門ねんもんを修しゅす」 といへり。 五ご念門ねんもんのなかに礼拝らいはいはこれ一はじめなり。 天親てんじん菩ぼ薩さつすでに往おう生じょうを願がんず。 あに礼らいせざるべけんや。 ゆゑに知しりぬ、 帰き命みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなり。

何ヲ以テカ知ルトナレバ↢帰命ハ是礼拝ナリト↡、龍樹菩薩ノ造レル↢阿弥陀如来ノ讃ヲ↡中0453ニ、或0349イハ言ヒ↢「稽首礼ト」↡、或イハ言ヒ↢「我帰命ト」↡、或イハ言ヘリ↢「帰命礼ト」↡。此ノ¬論ノ¼長行ノ中ニ亦言ヘリ↠「修スト↢五念門ヲ↡」。五念門ノ中ニ礼拝ハ是一ナリ。天親菩薩既ニ願ズ↢往生ヲ↡。豈ニ容ベケムヤ↠不ル↠礼セ。故ニ知リヌ帰命ハ即チ是礼拝ナリト。

^◆しかるに礼拝らいはいはただこれ*恭く敬ぎょうにして、 かならずしも帰き命みょうにあらず。 帰き命みょうはかならずこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつて推すいせば、 帰き命みょうを重おもしとなす。 偈げは*己こ心しんを申のぶ。 よろ0053しく帰き命みょうといふべし。 論ろんは偈げの義ぎを解げす。 汎ひろく礼拝らいはいを談だんず。 *彼此ひしあひ成じょうじて義ぎにおいていよいよ顕あらわれたり。

*然ルニ礼拝ハ但是恭敬ニシテナリ 、不ズ↢必ズシモ帰命ニ↡。帰命ハ必ズ是礼拝ナリ。若シ*以テ↠此ヲ†推セバ、帰命ヲ為ス↠重シト。偈ハ申ノブ↢己心ヲ↡。宜ベシクシ ↠言フ↢帰命ト↡。論ハ解ス↢偈ノ義ヲ↡。汎ク談ズ↢礼拝ヲ↡。彼此相 ヒ成ジテ、於テ↠義ニ弥イヨイヨ顕ハレタリ。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)【讃嘆門】
                  (イ)正証

 ^◆なにをもつてか 「↑尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらい」 はこれ↑讃嘆さんだん門もんなりと知しるとならば、 ◆下しもの長じょう行ごうのなかに、 「▲いかんが讃嘆さんだん門もん。 いはく、 かの如来にょらいの名みなを称しょうするに、 かの如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうのごとく、 かの*名みょう義ぎのごとく、 如実にょじつに修しゅ行ぎょうして相応そうおうせんと欲ほっするがゆゑなり」 といへり。

何ヲ以テカ知ルトナラバ↢尽十方无光如来ハ是讃嘆門ナリト↡、下ノ長行ノ中ニ†言ヘリ↧「云何ガ讃嘆門、謂イハク称スルニシ  ↢彼ノ如来ノ名ヲ↡、如ク↢彼ノ如来ノ光明智相ノ↡、如ク↢彼ノ名義ノ↡、欲スルガフガ ↢†如実ニ修行シテ相応セムト↡故ナリト」↥。

^▼*舎しゃ衛え国こく所説しょせつの ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (*小経) によらば、 仏ぶつ、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの名みょう号ごうを解げしたまはく、 「▲なんがゆゑぞ阿あ弥陀みだと号ごうする。 ◆かの仏ぶつの光こう明みょう無む量りょうにして、 十方じっぽう国こくを照てらしたまふに障しょう礙げするところなし。 このゆゑに阿あ弥陀みだと号ごうす。 ◆またかの仏ぶつの寿じゅ命みょうおよびその人民にんみんも、 無む量りょう無む辺へん阿あ僧そう祇ぎなり。 ゆゑに阿あ弥陀みだと名なづく」 と。

▼依ラバ↢舎衛国所説ノ¬无量寿経ニ¼↡、仏解シタマハク↢阿弥陀如来ノ名号ヲ↡、「何ガ故ゾ*号スル↢阿弥陀ト↡。彼ノ仏ノ光明无量ニシテ、照スニシタマフニ↢十方国ヲ↡无シ↠所↢障スル↡。是ノ故ニ号スシタテマツル↢阿弥陀ト↡。又彼ノ仏ノ寿命及ビ其ノ人民ノモ、无量无辺阿僧祇ナリ。故ニ名クトケタテマツル↢阿弥陀ト↡」。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)料簡
                    [一]問

 ^問とひていはく、 もし無礙むげ光こう如来にょらいの光こう明みょう無む量りょうにして、 十方じっぽう国こく土どを照てらしたまふに障礙しょうげするところなしといはば、 この間けんの衆しゅ生じょう、 なにをもつてか光照こうしょうを蒙こうむらざる。 光ひかりの照てらさざるところあらば、 あに礙げあるにあらずや。

▼問ヒテ曰ク、若シ言ハバ↧无光如来ノ光明无量ニシテ、照シタマフニ↢十方国土ヲ↡无シト↞所↢障スル↡者ハ、此ノ間ノ衆生何ヲ以テカ不ルラムヤ↠蒙ラ↢光照ヲ↡。光 リノ有ラバ↠所↠不ル↠照サ、豈ニ非ズ↠有ルニ↠耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]答
                      [Ⅰ]正しく所疑を答ふ

^答こたへていはく、 礙げは衆しゅ生じょうに属ぞくす。 光ひかりの礙げにはあらず。 ^たとへば日光にっこうは四し天てん下げにあまねけれども、 *盲者もうじゃは見みざるがごとし。 日光にっこうのあまねからざるにはあらず。 また▼*密雲みつうんの洪おおきにそそ0054 潅かんなり げども、 *頑石がんせきの潤うるおはざるがごとし。 雨あめの洽うるお しゅなり さざるにはあらず。

◆答ヘテ曰ク、ハ属ス↢衆生ニ↡。非ズ↢光ノニハ↡也。▼譬ヘバ如シ↧日光ハ周アマネケレドモ↢四天下ニ↡而盲者ハ不ルガ↞見。非ズ ザル↢日光ノ不ルニハ↟周カラ也。亦如シ↢密雲ノ洪オホキニゲドモ 潅ナリ之句ノ反 而*頑石ノ不ルガ↟潤ウルオハホ。非ザル↢雨ノ不ルニハ↟*洽ウルオサホ*ナリ下*恰ノ反 也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]重ねて二蔵を弁ず

 ^もし一仏いちぶつ、 三千さんぜん大千だいせん世せ界かいを主しゅ領りょうすといはば、 これ声しょう聞もん論ろんのなかの説せつなり。 もし諸仏しょぶつあまねく十方じっぽう無む量りょう無む辺へん世せ界かいを領りょうすといはば、 これ大だい乗じょう論ろんのなかの説せつなり。

▼若シ言ハバフハ↣一仏*主↢領スト三千大千世界ヲ↡、是 レ声0454聞論0350ノ中ノ説ナリ。若シ言ハバフハ↣諸仏遍ク領スト↢十方无量无辺世界ヲ↡、是大乗論ノ中ノ説ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)結成

^▼天親てんじん菩ぼ薩さつ、 いま、 「尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらい」 といふは、 すなはちこれかの如来にょらいの名みなにより、 かの如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうのごとく讃嘆さんだんするなり。 ゆゑに知しりぬ、 この句くはこれ讃嘆さんだん門もんなり。

天親菩薩、今言 タマフハ↢「尽十方无光如来ト」↡、即チ是依リル↢彼ノ如来ノ名ニ↡、如ク↢彼ノ如来ノ光明智相ノ↡讃嘆スルナリ。故ニ知リヌ此ノ句ハ是讃嘆門ナリト。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)第四句を解す
              (ⅰ)正釈【作願門】

 ^◆「↑願がん生しょう安楽あんらく国こく」 とは、 この一いっ句くはこれ↑作さ願がん門もんなり。 天親てんじん菩ぼ薩さつの帰き命みょうの意こころなり。 それ ▽「安楽あんらく」 の義ぎは、 つぶさに下したの観察かんざつ門もんのなかにあり。

「願生安楽国ト」者ハ、此ノ一句ハ是作願門ナリ。天親菩薩ノ帰命之意也。▼其 レ安楽ノ義ハ具ニ在リ↢下ノ観察門ノ中ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)問答【願生問答】
                (a)生の義を料簡す
                  (イ)問

 ^▼問とひていはく、 *大だい乗じょう経きょう論ろんのなかに、 処々しょしょに 「衆しゅ生じょうは*畢ひっ竟きょう無む生しょうにして虚こ空くうのごとし」 と説とけり。 いかんが天親てんじん菩ぼ薩さつ 「願がん生しょう」 といふや。

▼問ヒテ曰ク、大乗経論ノ中ニ、処処ニ説ケリ↣衆生ハ畢竟无生ニシテ如シト↢虚空ノ↡。云何ガゾ天親菩薩言 タマフ↢願生ト↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(a)(ロ)答

^◆答こたへていはく、 「衆しゅ生じょうは無む生しょうにして虚こ空くうのごとし」 と説とくに二に種しゅあり。

◆答ヘテ曰ク、説クニ↣衆生ハ无生ニシテ如シト↢虚空ノ↡有リ↢二種↡。

^◆一いちには、 凡ぼん夫ぶの謂おもふところのごとき実じつの衆しゅ生じょう、 凡ぼん夫ぶの見みるところのごとき実じつの生しょう死じは、 この所見しょけんの事じ、 畢ひっ竟きょうじて所しょ有うなきこと、 *亀き毛もうのごとく、 虚こ空くうのごとし。

◆一ニ者†如キ↢凡夫ノ所ノ↟謂フ実ノ衆生、†如キ↢凡夫ノ所ノ↟見ル実ノ生死ハ、此ノ所見ノ事畢竟ジテ无キコト↢†所有↡如クシ↢亀毛ノ↡、如シ↢虚空ノ↡。

^◆二にには、 いはく、 諸法しょほうは因縁いんねん生しょうのゆゑにすなはちこれ不ふ生しょうなり。 所しょ有うなきこと虚こ空くうのごとし。 天親てんじん菩ぼ薩さつの0055願がんずるところの生しょうは、 これ因縁いんねんの義ぎなり。 因縁いんねんの義ぎのゆゑに仮かりに生しょうと名なづく。 凡ぼん夫ぶの、 実じつの衆しゅ生じょう、 実じつの生しょう死じありと謂おもふがごときにはあらず。

◆二ニ者謂ク諸法ハ因縁生ノ故ニ即チ是不生ナリ。无キコト↢†所有↡如シ↢虚空ノ↡。天親菩薩ノ所ノ↠願ズル生者ハ、是 レ因縁ノ義ナリ。因縁ノ義ノ故ニ仮ニ名ク↠生ト。▼非ザル↠如キニハ↢凡夫ノ謂フガ↟有リト↢実ノ衆生実ノ生死↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)往の義を料簡す
                  (イ)問

 ^▼問とひていはく、 なんの義ぎによりてか往おう生じょうと説とく。

問ヒテ曰ク、依リテカ↢何ノ義ニ↡説クヤ↢往生ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)(ロ)答

^◆答こたへていはく、 この間けんの*仮け名みょう人にんのなかにおいて五ご念門ねんもんを修しゅするに、 前念ぜんねんは後ご念ねんのために因いんとなる。 穢土えどの仮け名みょう人にんと浄じょう土どの仮け名みょう人にんと、 決けつ定じょうして一いちなるを得えず、 決けつ定じょうして異いなるを得えず。 前心ぜんしん後ご心しんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もし一いちならばすなはち因いん果がなく、 もし異いならばすなはち相続そうぞくにあらざればなり。 この義ぎは*一いち異いの門もんを観かんずる論ろんのなかに*委い曲きょくなり。

答ヘテ曰ク、於テ↢此ノ間ノ仮名人ノ中ニ↡修スルニ↢五念門ヲ↡、前念ハ与トニ↢後念ノ↡作ナル↠因ト。穢土ノ仮名人ト・浄土ノ仮名人ト、不ズ↠得↢決定シテ一ナルヲ↡。不↠得↢決定シテ異ナルヲ↡。前心後心*亦如シ↠是クノ。何ヲ以テノ故ニ。若シ一ナラバ則チ无ナクケム↢因果↡、若シ異ナラバ則チ非ザレバナリズ    ↢相続ニ↡。是ノ義ハ観ズル↢一異ノ門ヲ↡論ノ中ニ委曲ナリ。

^◆第だい一行ぎょうの三さん念門ねんもんを釈しゃくしをはりぬ。

釈シ↢第一行ノ三念門ヲ↡竟リヌ。

二 Ⅰ ⅱ a ロ 所服有宗を述ぶ【成上起下偈】
          (一)出科

【7】 ^次つぎは 「優婆うば提舎だいしゃ」 の名なを成じょうじ、 また上かみを成じょうじて下しもを起おこす偈げなり。

▼次ハニ成ジズ↢*優*波提舎ノ名ヲ↡、又成ジテ↠上ヲ†起ス↠下ヲ偈ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (二)牒偈

^▲↓我依がえ修しゅ多羅たら ↓真実しんじつ功く徳どく相そう ↓説せつ願がん偈げ総そう持じ 与よ仏ぶっ教きょう相応そうおう

0455我 レ依0351リテ↢修多羅ノ 真実功徳ノ相ニ↡ 説キテ↢願偈ヲ↡総持シテ 与↢仏教↡相応セムスト

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)釈義
            (Ⅰ)総じて科意を明す
              (ⅰ)名を成ずるを顕す

 ^この一いち行ぎょう、 いかんが 「優婆うば提舎だいしゃ」 の名なを成じょうじ、 いかんが↓*上かみの三門さんもんを成じょうじ*下しもの二に門もんを起おこす。 偈げに 「↑我依がえ修しゅ多羅たら 与よ仏ぶっ教きょう相応そうおう」 といふ。 「↓修しゅ多羅たら」 はこれ仏ぶっ経きょうの名ななり。 われ仏ぶっ経きょうの義ぎを論ろんじて、 経きょうと相応そうおうす。 仏法ぶっぽうの相そうに入いるをもつてのゆゑに優婆うば提舎だいしゃと名なづく。 名な、 成じょうじをはりぬ。

▼此ノ一行云何 イカン ガ成ジ↢優*波提舎ノ名ヲ↡、云何ガ成ジ↢上ノ三門ヲ↡起スヤ↢下ノ二門ヲ↡。偈ニ言ノタマフ↢「我依修多羅、与仏教相応ト」↡。「修多羅ハ」是 レ仏経ノ名ナリ。我 レ論ジテ↢仏経ノ義ヲ↡、与ト↠経相応スシテ、以テノ↠入ルヲ↢仏法ノ相ニ↡*故ニ†名ク↢*憂波提舎ト↡。名成ジ竟リヌ。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)成上起下を審にす

^↑上かみの三門さんもんを成じょうじて下しもの二に門もんを起おこすとは、 ▼いづれのところにか依より、 なんのゆゑにか依より、 いかんが依よる。 ^いづれの0056ところにか依よるとは、 修しゅ多羅たらに依よる。 なんのゆゑにか依よるとは、 如来にょらいはすなはち真実しんじつ功く徳どくの相そうなるをもつてのゆゑなり。 いかんが依よるとは、 五ご念門ねんもんを修しゅして相応そうおうするがゆゑなり。 上かみを成じょうじ下しもを起おこしをはりぬ。

◆成ジテ↢上ノ三門ヲ↡起ストハ↢下ノ二門ヲ↡、何レノ所ニカ依リル、何ノ故ニカ依リル、云何ガ依ルト。何レノ所ニカ依ルト者ハ、依ル↢修多羅ニ↡。何ノ故ニカ依ルト者、以テノ↢如来ハ即チ真実功徳ノ相ナルヲ↡故ナリニト。云何ガ依ルト者、修シテ↢五念門ヲ↡相応スルガ故ナリニ 。成ジテ↠上ヲ起シスコト↠下ヲ竟リヌ。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)別して文句を解す
              (ⅰ)第一句を釈す

^▼「↑修しゅ多羅たら」 とは、 十じゅう二に部ぶ経きょうのなかの直説じきせつのものを修しゅ多羅たらと名なづく。 いはく、 *四阿しあ含ごん・三蔵さんぞう等とう、 三蔵さんぞうのほかの大だい乗じょうの諸経しょきょうもまた修しゅ多羅たらと名なづく。 このなかに 「依え修しゅ多羅たら」 といふは、 これ三蔵さんぞうのほかの大だい乗じょうの修しゅ多羅たらなり。 阿あ含ごん等とうの経きょうにはあらず。

▼修多羅ト者ハ、十二部経ノ中ノ直説ノ者 ノヲ名ク↢修多羅ト↡。謂ク四阿含・三蔵等ナリ。三蔵ノ外ノ大乗ノ諸経モヲ亦名ク↢修多羅ト↡。此ノ中ニ言フ↢「依修多羅ト」↡者ハ、是 レ三蔵ノ外ノ大乗ノ修多羅ナリ。非ズ ザル↢阿含等ノ経ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)第二句を釈す【真実功徳釈】
                (a)不実功徳

^◆「↑真実しんじつ功く徳どく相そう」 とは、 ▼二に種しゅの功く徳どくあり。 一いちには有漏うろの心しんより生しょうじて法ほっ性しょうに順じゅんぜず。 いはゆる凡ぼん夫ぶ人天にんでんの諸善しょぜん、 人天にんでんの果か報ほう、 もしは因いんもしは果か、 みなこれ顛倒てんどう、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑに不ふ実じつの功く徳どくと名なづく。

◆「真実功徳*相ト」者ハ、▼有リ↢二種ノ功徳↡。一ニ者ハ従リ↢有漏ノ心↡生ジテ不ズ↠順ゼ↢法性ニ↡。†所謂ル凡夫人天ノ諸善、▼人天ノ果報、若シハ因若シハ果、皆是顛倒、皆是虚偽ナリ。是ノ故ニ名ク↢不実ノ功徳ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)真実功徳

^◆二にには菩ぼ薩さつの智慧ちえ清浄しょうじょうの業ごうより起おこりて*仏ぶつ事じを荘しょう厳ごんす。 法ほっ性しょうによりて清浄しょうじょうの相そうに入いる。 この法ほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず。 名なづけて▼真実しんじつ功く徳どくとなす。 いかんが顛倒てんどうせざる。 法ほっ性しょうによりて二に諦たいに順じゅんずるがゆゑなり。 いかんが虚偽こぎならざる。 衆しゅ生じょうを摂せっして*畢ひっ竟きょう浄じょうに入いらしむるがゆゑなり。

◆二ニ者従リ↢菩薩ノ智*恵清浄ノ業↡起リテ荘↢厳ス仏事ヲ↡。依リテ↢法性ニ↡入ル↢清浄ノ相ニ↡。是ノ法不ズ↢顛倒セ↡、不ズ↢虚偽ナラ↡。名ケテ為ス↢真実功徳ト↡。云何ガ不ル↢顛倒セ↡。依リテ↢法性ニ↡順ズルガゼルガ↢二諦ニ↡故ナリニ 。云何ガ不ル↢虚偽ナラ↡。摂シテ↢衆生ヲ↡入ラシムルガ↢畢竟浄ニ↡故ナリニト。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅲ)後の二句を釈す

^◆「↑説せつ願がん偈げ総そう持じ 与よ仏ぶっ教きょう相応そうおう」 とは、 「持じ」 は不ふ散さん不ふ失しつに名なづく。 「総そう」 は少しょうをもつて多たを摂せっするに名なづく。 「偈げ」 の言ごんは五ご言ごんの句く数しゅなり。 「願がん」 は往おう生じょうを*欲よく楽ぎょうするに名なづく。 「説せつ」 はいはく、 もろもろの偈げと論ろんを説とくなり。 総そうじて0057これをいふに、 願がん生しょうするところの偈げを説ときて、 仏ぶっ経きょうを*総そう持じし、 仏ぶっ教きょうと相応そうおうするなり。 「相応そうおう」 とは、 たとへば*函かんと蓋がいとあひ称かなへるがごとし。

「説願偈総持、与仏教相応ト」者ハ、持ハ名ク↢不散不失ニ↡。総ハ名ク↢以テ↠少ヲ摂スルニ↟多ヲ。▼偈ノ言ハ五言ノ句数ナリ。願ハ名ク↣欲0352↢楽スルニ往0456生ヲ↡。▼説ハ謂ク説クナリ↢諸ノ偈ト論ヲ↡。総ジテ而言フニ↠之ヲ、説キテ↧所ノ↢願生スル↡偈ヲ↥、総↢持シテ仏経ヲ↡、与ト↢仏教↡相応スルナリ。相応ト者ハ、▼譬ヘバ如シト↢函ト蓋ト相 ヒ*称カナヘルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ【観察門】
          (一)【器世間】
            (Ⅰ)正説
              (ⅰ)【清浄功徳】
                (a)牒偈

【8】  ^▲↓観かん↓彼ひ↓世せ界かい相そう ↓勝しょう過か三界さんがい道どう

観ズルニ↢彼ノ世界ノ相ヲ↡ 勝↢過セリ三界ノ道ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)釈義
                  (イ)総じて章を分つ
                    [一]総じて観察を標す

 ^▲これより以下いげは、 これ第だい四しの↑観察かんざつ門もんなり。

此ヨリ已下ハ是 レ第四ノ観察門ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二]正しく章門を分つ
                      [Ⅰ]総じて依正を分つ

^この門もんのなかを分わかちて二にの別べつとなす。 一いちには↓器き世せ間けん荘しょう厳ごん成じょう就じゅを観察かんざつす。 二にには↓衆しゅ生じょう世せ間けん荘しょう厳ごん成じょう就じゅを観察かんざつす。

此ノ門ノ中ヲニ分チテ為ス↢二ノ別ト↡。一ニ者観↢察ス器世間荘厳成就ヲ↡。二ニ者観↢察ス衆生世間荘厳成就ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]別して国徳を指す
                        [ⅰ]総じて文処を別つ

^▲この句くより以下いげ 「願がん生しょう彼ひ阿あ弥陀みだ仏国ぶつこく▲」 に至いたるまでは、 これ↑器き世せ間けん荘しょう厳ごん成じょう就じゅを観かんずるなり。 器き世せ間けんを観かんずるなかに、 また分わかちて十じゅう七しちの別べつとなす。 文もんに至いたりてまさに目なづくべし。

此ノ句ヨリ已下、至ルマデハ↢「願生彼阿弥陀仏国ニ」↡是 レ観ズルナリ↢器世間荘厳成就ヲ↡。観ズル↢器世*間ヲ↡中ニ、復分チテ為ス↢十七ノ別ト↡。至リテ↠文ニ当ベ ニシ↠目ナヅク。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別して句名を標す

^▲この二に句くはすなはちこれ第一だいいちの事じなり。 名なづけて観察かんざつ荘しょう厳ごん↓清浄しょうじょう功く徳どく↓成じょう就じゅとなす。

此ノ二句ハ即チ是 レ第一ノ事ナリ。名ケテ為ス↢観察荘厳清浄功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)別して今偈を釈す
                    [一]下釈に対す

^▼この↑清浄しょうじょうはこれ*総相そうそうなり。

此ノ清浄ハ是 レ総相ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]本を尋ねて釈す
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^◆仏ぶつ本もとこの荘しょう厳ごん清浄しょうじょう功く徳どくを起おこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいを見みそなはすに、 これ虚偽こぎの相そう、 これ*輪転りんでんの相そう、 これ*無む窮ぐうの相そうにして、 *しゃっ蠖かく 屈かがまり伸のぶる虫むしなり の循じゅん環かんするがごとく、 *蚕繭さんけん 蚕さん衣えなり の自じ縛ばくするがごとし。 あはれなるかな衆しゅ生じょう、 この三界さんがいに締しば 結むすびて解とけず られて、 顛倒てんどう・不ふ浄じょうなり。

仏本 ト所↣以 ユヘ 起シタマヘルシタマフ ↢此ノ荘厳清浄功徳ヲ↡者ハ、†見ソナハスニ↢三界ヲ↡是虚偽ノ相、是輪転ノ相、是 レ无窮ノ相ニシテ、如ク↢*シヤク 尺ノ音 蠖クワクノ 屈カガマリ*申ノブル虫ムシナリ一郭ノ反 *循環クワンスルガ↡、†如シ↢蚕サムカイコ才含ノ反 繭ケンマユノ 蚕衣ナリ公殄ノ反 自縛スルガ↡。哀アハレナル哉カナ衆生締シバラレテ↢ 結ビテ不↠解ケ帝ノ音 此ノ三界ニ↡、顛倒・不浄ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^◆衆しゅ生じょうを不虚偽ふこぎの処ところ、 不ふ輪転りんでんの処ところ、 不無ふむ窮ぐうの処ところに置おきて、 畢ひっ竟きょう安楽あんらくの大だい清浄しょうじょう処しょを得えしめんと欲おぼしめす。 このゆゑにこの清浄しょうじょう荘しょう厳ごん功く徳どくを起おこしたまへり。

欲オボシメス↧†置キテ↢衆生ヲ於不虚偽ノ処、於不輪転ノ処、於不无窮ノ処ニ↡、得エシメムト↦畢竟安楽ノ大清浄処ヲ↥。是ノ故ニ起シタマヘリシタマフ ↢此ノ清浄荘厳功徳ヲ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^◆「↑成じょう就じゅ」 とは、 いふこころは、 この清浄しょうじょうは破壊はえすべからず、 汚わ染ぜんすべから0058ず。 三界さんがいの、 これ汚わ染ぜんの相そう、 これ破壊はえの相そうなるがごときにはあらず。

成就ト者ハ、言イフココロハ此ノ清浄ハ不ズ↠可カラ↢破壊ス↡、不ズ↠可カラ↢汚染ス↡。非ザル↠如キニハ↢三界ノハ是 レ汚染ノ相ナリ、是破壊ノ相ナルガノ  ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]成就
                      [Ⅰ]初句を釈す

^「↑観かん」 とは観察かんざつなり。 「↑彼ひ」 とはかの安楽あんらく国こくなり。 「↑世せ界かい相そう」 とはかの安楽あんらく世せ界かいの清浄しょうじょうの相そうなり。 その相そう、 別べつに↓下しもにあり。

「観ト」者ハ観察也。「彼ト」者ハ彼ノ安楽国也。「世界相ト」者ハ彼ノ安楽世界ノ清浄ノ相也。其ノ相別ニ在リ↠下ニ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]後句を釈す
                        [ⅰ]道を釈す

^「↑勝しょう過か↓三界さんがい道どう」 の 「道どう」 とは通つうなり。 かくのごとき因いんをもつて、 かくのごとき果かを得う。 かくのごとき果かをもつて、 かくのごとき因いんに酬むくゆ。 因いんに通つうじて果かに至いたる。 果かに通つうじて因いんに酬むくゆ。 ゆゑに名なづけて道どうとなす。

「勝過三界*道ノ」、道ト者ハ通也。以テ↢如キノ↠此クノ因0353ヲ↡、得0457シム↢如キノ↠此クノ果ヲ↡。以テ↢如キノ↠此クノ果ヲ↡、酬ムクユ↢如キノ↠此クノ因ニヲ↡。通ジテ↠因ニ至ル↠果ニ。通ジテ↠果ニ酬ムクユ↠因ニ。故 ヘニ名ケテ為ス↠道ト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]三界を釈す

^「↑三界さんがい」 とは、 一いちにはこれ欲界よくかい、 いはゆる六欲ろくよく天てん・四し天てん下げの人にん・畜ちく生しょう・餓鬼がき・地じ獄ごく等とうこれなり。 二ににはこれ色界しきかい、 いはゆる初禅しょぜん・二に禅ぜん・三禅さんぜん・四し禅ぜんの天等てんとうこれなり。 三さんにはこれ無む色界しきかい、 いはゆる空処くうしょ・識処しきしょ・無む所しょ有う処しょ・非ひ想そう非非ひひ想処そうしょの天等てんとうこれなり。

▼三界ト*者ハ、一ニハ是 レ欲界、†所謂ル六欲天・四天下ノ人・畜生・餓鬼・地獄等是也。二ニハ是色界、†所謂ル初禅・二禅・三禅・四禅ノ天等是也。三ニハ是无色界、†所謂ル空処・識処・无所有処・非想非非想処ノ天等是也。

^▼この三界さんがいはけだしこれ生しょう死じの凡ぼん夫ぶの流る転てんの闇宅あんたくなり。 また苦く楽らく小すこしき殊ことなり、 *修短しゅたんしばらく異ことなりといへども、 統すべてこれを観かんずるに有漏うろにあらざるはなし。 *倚い伏ぶくあひ乗じょうじ、 循じゅん環かん無む際さいなり。 *雑ざっ生しょう触受そくじゅし、 *四し倒とう長ながく拘かかはる。 かつは因いん、 かつは果か、 虚偽こぎあひ襲おそふ。

◆此ノ三界ハ蓋ケダシ是 レ生死ノ凡夫ノ流転之闇宅ナリ。雖モ↢復苦楽小スコシクシク殊ナリニ 、修短シウタン暫ク異ナルトナリト↡、統スベテ而観ズルニ↠之ヲ莫シ↠非ザルコト↢有漏ニ↡。*倚イヨリ*伏フスシ相乗ジテ、*循シウ環クワン†无際ナリ。雑生触受シ、四倒長ク*カカハル。且シバラクツハノ 因且シバラクツハノ 果、虚偽相 ヒ襲オソシフフ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅲ]勝過の相を明す

^△↑安楽あんらくはこれ菩ぼ薩さつ (*法蔵) の慈悲じひ・*正しょう観かんの由ゆ生しょう、 如来にょらい (阿弥陀仏) の神力じんりき本願ほんがんの所建しょこんなり。 *胎たい・卵らん・湿しつの生しょう、 これによりて*高たかく揖おさめ、 *業ごう繋けの長ながき維つな、 これより永ながく断たつ。 *続括ぞくかつの権はかりごと、 勧すすめを待またずして弓ゆみを彎ひく。 *労謙ろうけん善ぜん譲じょう、 *普ふ賢げんに斉ひとしくして徳とくを同おなじ0059くす。 ^「勝しょう過か三界さんがい」 とは、 そもそもこれ近言ごんごんなり。

安楽ハ是 レ菩薩ノ慈悲・正観之†由生、如来ノ神力本願之所建コンナリ。胎卵湿ノ*生縁リテ↠茲 レニ高タカク揖ヲサイフメ、業繋ノ長キ*維ツナ従リ↠此永ク断タツ。続ゾクツイデ括クワチククル之*権ハカリゴト不ズシテ↠待マタ↠勧 メヲ而彎ヒク↠弓ヲ。労イタハル謙ケム善譲ユヅル斉ヒトシクシテ↢普賢ニ↡而同ジクス↠徳ヲ。勝↢過セリシテ三界ニ↡トハ▼†抑モ是近言ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)【量功徳】
                (a)牒偈

【9】  ^▲究く竟きょう↓如にょ虚こ空くう ↓広大こうだい無む辺際へんざい

究竟シテ如ク↢虚空ノ↡ 広大ニシテ无シト↢辺際↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん量りょう功く徳どく↓成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳量功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)本願
                    [一]正しく本願を明す
                      [Ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとこの荘しょう厳ごん量りょう功く徳どくを起おこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいを見みそなはすに陜小きょうしょうにして*堕き 敗はい城じょうの阜おかなり 陘けい 山やまの絶坎ぜっかんなり *陪はい 土つちを重かさぬるなり。 一いちにはいはく備びなり 陼しょ 渚しょのごときもの、 陼しょ丘きゅうなり なり。 あるいは*宮く観かん迫迮はくさくし、 あるいは*土ど田でん逼隘ひつあい 陋ろうなり す。 あるいは志求しぐするに路みち促つづまり、 あるいは山せん河が隔へだ 塞そくなり ち障さふ。 あるいは*国界こくかい分ぶん部ぶせり。 かくのごとき等らの種々しゅじゅの*挙こ急きゅうの事じあり。

仏本モト所↣以 ユヘ 起シタマヘルシタマフ ↢此ノ荘厳量功徳ヲ↡者ハ、見ミソナハスニ↢三界ヲ↡*陜 戸甲ノ反 小ニシテ*堕 敗*成ノ*阜ナリ*式垂ノ反 *陘 *山ノ絶坎ナリ形ノ音 *陪 重ヌルコト↠土ヲ一日ニシテ備ハルナリ*父才ノ反 *陼ナリニシテ 如キ↠*緒ノ者陼*丘ナリ之与ノ反。或イハ宮観*迫 伯ノ音 迮シナリ 子格ノ反、或イハ土田*逼隘スシ *陋ナリ。或イハ志求スルニ路ミチ促ツヅマリ、或イハ山河隔ヘダチテ 塞ナリ公*厄ノ反 障サフ。或イハ国界分*部セリ。有リ↢如キ↠此クノ等ラノ種種ノ挙コ急キフノ事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑに菩ぼ薩さつ、 この荘しょう厳ごん量りょう功く徳どくの願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土ど虚こ空くうのごとく広大こうだいにして無む際さいならん」 と。

是ノ故ニ菩薩興オコシタマヘリ↢此ノ荘厳量功徳ノ願ヲ↡。願クハ我ガ国土如0458ク↢虚空0354ノ↡広大ニシテ无際ナラムト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]因みに偈句を釈す

^「↑虚こ空くうのごとく」 とは、 いふこころは、 来らい生しょうのもの衆おおしといへども、 なほなきがごとくならんとなり。 「↑広大こうだいにして無む際さいならん」 とは、 上かみの 「如にょ虚こ空くう」 の義ぎを成じょうず。 なんがゆゑぞ 「如にょ虚こ空くう」 といふ。 広大こうだいにして無む際さいなるをもつてのゆゑなり。

「如クト↢虚空ノ↡」者ハ、言イフココロハ来生ノ者 ノ雖イウトモ↠衆オホシト、猶ナホ若ゴトクナラムト↠无キガ也。「広大ニシテ无際ナラムト」者ハ、成ズ↧上ノ如クノ↢虚空ノ↡義ヲ↥。何ガ故 ヘゾ如クトイフキトイフ↢虚空ノ↡。以テノ↢広大ニシテ†无際ナルヲ↡故ナリニ 。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)成就
                    [一]正釈

^「↑成じょう就じゅ」 とは、 いふこころは、 十方じっぽう衆しゅ生じょうの往おう生じょうするもの、 もしはすでに生しょうじ、 もしはいまに生しょうじ、 もしはまさに生しょうぜん。 無む量りょう無む辺へんなりといへども畢ひっ竟きょうじてつねに虚こ空くうのごとく、 広大こうだいにして無む際さいにして、 つひに満みつ時ときなからん。 このゆゑに0060 「究く竟きょう如にょ虚こ空くう 広大こうだい無む辺際へんざい」 といへり。

成就ト者ハ、言イフココロハ十方衆生ノ往生セム者 ノ、若シハ已イニ生ジ、若シハ今ニ生ジ、若シハ†当ニキ↠生ズ、雖モ↢无量无辺ナリト↡畢竟ジテ常ニ如ク↢虚空ノ↡、広大ニシテ†无際ニシテ、終ニ无カラム↢満ミツ時トキ↡。是ノ故ニ言ノタマヘリ↢「究竟如虚空、広大无辺際ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]問答

 ^問とひていはく、 維ゆい摩まのごときは、 *方ほう丈じょうに苞容ほうようして余あまりあり。 なんぞかならず国界こくかい*無貲むしなるをすなはち広大こうだいと称しょうする。

問ヒテ曰ク、如キハ↢維摩ノ↡、方ホウ*丈ヂヤウニ*苞容シテ有リ↠余。何ゾ必ズ国界无*貲ナルヲ 子*支ノ反 乃チイマシ称スルセムヤ↢広大ト↡。

^答こたへていはく、 いふところの広大こうだいは、 かならずしも*畦けい 五ご十じっ畝せなり 畹えん 三さん十じっ畝せなり をもつて喩たとへとなすにあらず。 ただ空くうのごとしといふ。 またなんぞ方ほう丈じょうを累わずらはさんや。 また方ほう丈じょうの苞容ほうようするところは陜きょうにありて広こうなり。 覈まこと 実じつなり に果か報ほうを論ろんずるに、 あに広こうにありて広こうなるにしかんや。

答ヘテ曰ク、所ノ↠言フ広大ハ非ズ↧必ズシモ以テ↢*畦 五十畝ナリ下圭ノ反 *畹ヲ↡ 三十畝ナリ一*遠一万ノ反 為スニ↞喩ト。但言フ↠如シト↠空ノ。亦何ゾ累カサハサムヤネムヤ ↢方*丈ヲ↡。又方*丈之*所ハ↢*苞*容スル↡在アリテ↠*陜ニ而広ナリ。*覈マコトニ 実ナリ下革ノ反 論ズルニ↢果報ヲ↡、豈ニ†若カム↢在アリテ↠広ニ而広ナルニ↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)【性功徳】
                (a)牒偈

【10】 ^▲↓正しょう道どう大だい慈悲じひ ↓出しゅっ世せ善根ぜんごん生しょう

正道ノ大慈悲ハ 出世ノ善根ヨリ生ズト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^◆この二句にくは荘しょう厳ごん↓性しょう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳性功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 愛欲あいよくをもつてのゆゑにすなはち欲界よくかいあり。 *攀厭へんえん禅ぜん定じょうをもつてのゆゑにすなはち色しき・無む色界しきかいあり。 この三界さんがいはみなこれ有漏うろなり。 邪道じゃどうの所しょ生しょうなり。 長ながく大だい夢むに寝いねて出いでんと悕ねがふを知しることなし。

仏本モト何ガ故 ヘゾ起オコシタマヘルシタマフ ↢此ノ荘厳ヲ↡。見ミソナハスニ↢有アル国土ヲ↡、以テノ↢愛欲ヲ↡故ニ則チ有リ↢欲界↡。以テノ↢†攀厭禅定ヲ↡故ニ則チ有リ↢色・无色界↡。此ノ三界ハ皆 ナ是 レ有漏ナリ。邪道ノ所生ナリ。長ク寝イネテ↢大夢ニ↡莫ナシ↠知ルコト↠†悕フヲ↠出デムト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに大だい悲ひ心しんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわれ成じょう仏ぶつせんに、 *無む上じょうの正しょう見道けんどうをもつて清浄しょうじょうの土どを起おこして三界さんがいを出いださん」 と。

是ノ故ニ興オコシタマヘリフ ↢大悲心ヲ↡。願クハ我 レ成仏セムニ、以テ↢无上ノ正見道ヲ↡起オコシテ↢清浄ノ土ヲ↡†出サムト↢于三界ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)句名を釈す
                    [一]性本義

^▼「↑性しょう」 はこれ本ほんの義ぎなり。 いふこころは、 この浄じょう土どは法ほっ性しょうに随ずい順じゅんして法本ほうほんに乖そむかず。 事じ、 ¬*華け厳ごん経ぎょう¼ の*宝王ほうおう如来にょらいの性しょう0061起きの義ぎに同おなじ。

性ハ是 レ本ノ義ナリ。言イフココロハ此ノ浄土ハ随↢順シテ法性ニ↡不ズ↠乖 ムカ↢法本ニ↡。事同ジ↢¬花厳経ノ¼宝王如来ノ性起ノ義ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[二]積習性

^◆またいふこころは、 積習しゃくじゅうして性しょうを成じょうず。 *法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ、 諸しょ波羅はら蜜みつを集あつめて積習しゃくじゅうして成じょうずるところを指さす。

又言イフココロハ*積習シテ成ズ↠性ヲ。†指ス↧法蔵菩薩集アツメテ↢諸波羅蜜ヲ↡積習シテ所ヲ↞成ズル。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[三]聖種性

^◆また 「性しょう」 といふは、 これ聖しょう種しゅ性しょうなり。 序はじめ法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ、 *世自せじ在王ざいおう仏ぶつの所みもとにおいて、 無む生しょう法忍ぼうにんを悟さとりたまへり。 その時ときの位くらいを聖しょう種しゅ性しょうと名なづく。 この性しょうのなかにおいて四し十じゅう八はちの大願だいがんを発おこしてこの土どを*修しゅ起きせり。 すなはち安楽あんらく浄じょう土どといふ。 これかの因いんの所得しょとくなり。 果かのなかに因いんを説とく。 ゆゑに名なづけて性しょうとなす。

亦言フ↠性ト者ハ是 レ聖種性ナリ。序ハジメハ法蔵菩0459薩於シ↢世0355自在王仏ノ所ミモトニ↡、悟リタマヘリ↢无生法忍ヲ↡。爾ノ時ノ位ヲ名ク↢聖種性ト↡。於シテ↢是ノ性ノ中ニ↡発シテ↢八ノ大願ヲ↡修↢起セリ此ノ土ヲ↡。即チ曰フ↢安楽浄土ト↡。是 レ彼ノ因ノ所得ナリ。果ノ中ニ説ク↠因ヲ。故ニ名ケテ為ス↠性ト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[四]必然不改

^◆またいふこころは、 「性しょう」 はこれ必然ひつねんの義ぎなり、 不ふ改がいの義ぎなり。 ▼海うみの性しょうの一いち味みにして、 衆しゅ流る入いればかならず一いち味みとなりて、 海うみの味あじはひ、 かれに随したがひて改あらたまらざるがごとし。

▼又言イフココロハ性ハ是*必然ノ義ナリ、不改ノ義ナリ。如シト↧海ノ性ノ一味ニシテ、衆流入イレ者バ必ズ為ナリテ↢一味ト↡海ノ味不ルガ↦随ヒテ↠彼ニ改ラ↥也。

^◆また人ひとの身みの性しょうは不ふ浄じょうなるがゆゑに、 種々しゅじゅの妙みょう好こうの色しき・香こう・美味みみ、 身みに入いればみな不ふ浄じょうとなるがごとし。 安楽あんらく浄じょう土どはもろもろの往おう生じょうするもの、 不ふ浄じょうの*色しきなく、 不ふ浄じょうの心しんなし。 畢ひっ竟きょうじてみな*清浄しょうじょう平びょう等どう無為むい法身ほっしんを得うることは、 安楽あんらく国こく土ど清浄しょうじょうの性しょう、 成じょう就じゅせるをもつてのゆゑなり。

又如シ↣人ノ身ノ性ハ不浄ナルガ故ニ、種種ノ妙好ノ色・香・*美味入レバ↠身ニ皆為ルガ↢不浄ト↡。安楽浄土ハ諸ノ往生スル者 ノ、无クシ↢不浄ノ色↡、无シ↢不浄ノ心↡。畢竟ジテ皆得ルコトハ↢清浄平等无為法身ヲ↡、以テノ↢安楽国土清浄ノ性成就セルヲ↡故ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)成就
                    [一]初句を釈す

^◆「正しょう道どう大だい慈悲じひ 出しゅっ世せ善根ぜんごん生しょう」 とは、 平びょう等どうの大道だいどうなり。 平びょう等どうの道どうを名なづけて正しょう道どうとなす所以ゆえんは、 平びょう等どうはこれ諸法しょほうの*体相たいそうなり。 諸法しょほう平びょう等どうなるをもつてのゆゑに*発心ほっしん等ひとし。 発心ほっしん等ひとしきがゆゑに道どう等ひとし。 道どう等ひとしきがゆゑに大だい慈悲じひ等ひとし。 大だい慈悲じひはこれ仏道ぶつどうの正しょう因いんなるがゆゑに 「↑正しょう道どう大だい慈悲じひ」 といへり。

「正道ノ大慈悲、出世ノ善根ヨリ生ズト」者ハ、平等ノ大道也。平等ノ道†ヲ所↣以 ユヘ 名ケテ為スル↢正道ト↡者ハ、平等ハ是 レ諸法ノ体相ナリ。以テノ↢諸法平等ナルヲ↡故ニ発心等ヒトシ。発心等シキガ故ニ道等シ。道等シキガ故ニ大慈悲等シ。大慈悲ハ是仏道ノ正因ナルガ故ニ言ヘリ↢「正道大慈悲ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)[二]後句を釈す

^◆慈じ悲ひ0062に三縁さんえんあり。 一いちには衆しゅ生じょう縁えん、 これ小しょう悲ひなり。 二にには法縁ほうえん、 これ中ちゅう悲ひなり。 三さんには無む縁えん、 これ大だい悲ひなり。 大だい悲ひはすなはち出しゅっ世せの善ぜんなり。 安楽あんらく浄じょう土どはこの大だい悲ひより生しょうぜるがゆゑなり。 ゆゑにこの大だい悲ひをいひて浄じょう土どの根こんとなす。 ゆゑに 「↑出しゅっ世せ善根ぜんごん生しょう」 といへり。

慈悲ニ有リ↢三縁↡。一ニ者ハ衆生縁、是 レ小悲ナリ。二ニ者法縁、是中悲ナリ。三ニ者无縁、是大悲ナリ。大悲ハ*即チ出世ノ善也。安楽浄土ハ従リ↢此ノ大悲↡生ゼルガ故ナリニ 。故ニ謂ヒテ↢此ノ大悲ヲ↡†為ス↢浄土之根ト↡。故ニ曰ヘリフ ↢「出世善根生ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)【形相功徳】
                (a)牒偈

【11】 ^▲浄じょう光こう明みょう満足まんぞく 如にょ鏡きょう日月にちがつ輪りん

浄光明ノ満足スルコト 如シト↢鏡ト日月輪トノ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん形ぎょう相そう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳形相功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとこの荘しょう厳ごん功く徳どくを起おこしたまへる所以ゆえんは、 日ひの*四し域いきに行ゆくを見みそなはすに、 光ひかり*三方さんぽうにあまねからず。 *庭てい燎りょう、 宅たくにあるにあきらかなること*十じゅう仞じんに満みたず。

仏本 ト所↣以 ユヘ 起シタマヘルシタマフ ↢此ノ荘厳功徳ヲ↡者ハ、見ソナハスニ↣日0460ノ行クヲ↢四域ニ↡、光 リ不ズ↠周アマネカラ↢三方ニ↡。庭燎テイレウ 力小ノ反 在ルニ↠宅ニ明カナルコト不ズ↠満タ↢十*仞ジンニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑに浄じょう光こう明みょうを満みたさんと願がんを起おこしたまへり。

以テノ↠是ヲ故ニ起シタマヘリ↧満タサムト↢浄0356光明ヲ↡願ヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ハ)成就

^日月にちがつ光輪こうりんの、 自じ体たいに満足まんぞくせるがごとく、 かの安楽あんらく浄じょう土どもまた広大こうだいにして辺ほとりなしといへども、 清浄しょうじょうの光こう明みょう、 充じゅう塞そくせざるはなからん。 ゆゑに 「浄じょう光こう明みょう満足まんぞく 如鏡にょきょう日月にちがつ輪りん」 といへり。

如ク↣日月光輪ノ満↢足セルガ自体ニ↡、彼ノ安楽浄土モ雖モ↢復広大ニシテ无シト↟辺、清浄ノ光明无ナカラムケム ↠不ルコト↢充塞セ↡。故ニ曰ヘリ↢「浄光明満足、如鏡日月輪ト」↡*。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)【種々事功徳】
                (a)牒偈

【12】 ^▲備び諸しょ珍宝ちんぽう↓性しょう 具ぐ足そく妙みょう荘しょう厳ごん

備ヘテ↢諸ノ珍宝ノ性ヲ↡ 具↢足セリ妙荘厳ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん種々しゅじゅ事じ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳種種事功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 泥でい土どをもつて宮くの飾かざりとなし、 木石ぼくせきをもつて*華け観かんとなす。 あるいは金こがねを彫えり玉たまを鏤ちりばむも意い願がん充みたず。 あるいは営いとなみて百ひゃく千せん0063を備そなふれば、 つぶさに辛しん苦くを受うく。

仏本 ト何ガ故ゾ起オコシタマヘルト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ミソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、以テ↢泥土ヲ↡為シス↢宮ノ飾 リト↡、以テ↢木石ヲ↡為ス↢花観ト↡。或イハ彫ヱリ↠金ヲ鏤チリバムモ↠玉ヲ意願不ズ↠充ミタ。或イハ営イトナミテ備ソナフレバ↢百千ヲ↡具ニ受ウク↢辛苦ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑに大だい悲ひ心しんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわれ成じょう仏ぶつせんに、 かならず珍宝ちんぽう具ぐ足そくし、 厳麗ごんらい自じ然ねんにして*有余うよにあひ忘わすれ、 おのづから仏道ぶつどうを得えしめん」 と。

以テノ↠此ヲ故ニ興オコシタマヘリシタマフ ↢大悲心ヲ↡。願クハ我 レ成仏セムニ、必ズ使シメムトメタマヘリ↧珍宝具足シ、厳麗ニシテ自然ニシテ相アヒ↢忘ワスレ†於有余ニ↡、自ラ†得↦於仏道ヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ハ)成就

^この荘しょう厳ごんの事じ、 たとひ*毘び首羯しゅかつ磨まが工たくみ妙みょう絶ぜつと称しょうすとも、 思おもいを積つみ想おもいを竭つくすとも、 あによく取とりて図うつさんや。

此ノ荘厳ノ事、縦使 タトヒ 毘首羯磨ガ工タクミ称ストモ↢妙絶ト↡、積ツミ↠思ヲ竭ツクストモ↠想ヲ、豈ニ能ク取リテ図ウツサムヤ。

^「↑性しょう」 とは本ほんの義ぎなり。 能のう生しょうすでに浄きよし、 所しょ生しょういづくんぞ不ふ浄じょうを得えん。 ゆゑに ¬経きょう¼ (*維摩経) にのたまはく、 「その心しん浄きよきに随したがひてすなはち仏ぶつ土ど浄きよし」 と。 このゆゑに 「備び諸しょ珍宝ちんぽう性しょう 具ぐ足そく妙みょう荘しょう厳ごん」 といへり。

「性ト」者ハ本ノ義也。能生既ニ浄シ、所生焉イヅクンゾ得ム↢不浄ヲ↡。故ニ¬経ニ¼言ノタマハク、「随ヒテ↢其ノ心浄キニ↡則チ仏土浄シト」。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「備諸珍宝性、具足妙荘厳ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)【妙色功徳】
                (a)牒偈

【13】 ^▲無垢むく光炎こうえん熾し 明浄みょうじょう↓曜よう世せ間けん

无垢ノ光炎熾サカリニシテ 明浄ニシテ曜カス↢世間ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん妙みょう色しき功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳妙色功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 優う劣れつ不ふ同どうなり。 不ふ同どうなるをもつてのゆゑに*高こう下げもつて形あらわる。 高こう下げすでに形あらわるれば、 是非ぜひもつて起おこる。 是非ぜひすでに起おこれば、 長ながく三さん有ぬに淪しず 没もつなり む。

仏本 ト何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、優劣不同ナリ。以テノ↢不同ナルヲ↡故ニ高下以テ†形アラハル。高下既ニ†形アラハルレバ、是非以テ起オコル。是非既ニ起レバ、長ク淪シヅ0461ム↢ 没ナリ倫ノ音 三有ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに大だい悲ひ心しんを興おこして平びょう等どうの願がんを起おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土どは光炎こうえん熾し盛じょうにして第一だいいち無比むひならん。 人天にんでんの金色こんじきよく奪うばふものあるがごとくならじ」 と。

是ノ故ニ興シテ↢大悲心ヲ↡起オコシタマヘリ↢平等ノ願ヲ↡。願クハ我ガ国土ハ光炎熾盛ニシテ第一无比ナラム。不ジト0357↠如クナラ↣人天ノ金色能ク有ルガ↢奪ウバフ者モノ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)成就
                    [一]総じて釈す
                      [Ⅰ]光を顕す

^いかんがあひ奪うばふ。 明鏡みょうきょうのごときを金辺こんぺんに在おけばすなはち現げんぜず。

若為 イカン ガ相アヒ奪ウバフト。如キヲ↢明鏡ノ↡在オケバ↢金辺ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^今日こんにちの時じ中ちゅうの金こがねを仏ぶつ (釈尊) の在ざい時じの金こがねに比ひするにすな0064はち現げんぜず。

今日ノ時中ノ金ヲ比スルニ↢仏ノ在時ノ金ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^仏ぶつ (釈尊) の在ざい時じの金こがねを*閻えん浮那ぶな金ごんに比ひするにすなはち現げんぜず。

仏ノ在ノ時ノ金ヲ比スルニ↢閻浮那金ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^閻えん浮那ぶな金ごんを大海だいかいのなかの転輪てんりん王のうの道どう中ちゅうの*金沙こんしゃに比ひするにすなはち現げんぜず。

閻浮那金ヲ比スルニ↢大海ノ中ノ転輪王ノ道中ノ金沙ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^転輪てんりん王のうの道どう中ちゅうの金沙こんしゃを*金山こんぜんに比ひするにすなはち現げんぜず。

転輪王ノ道中ノ金沙ヲ比スルニ↢金山ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^金山こんぜんを須しゅ弥み山せんの金こがねに比ひするにすなはち現げんぜず。

金山ヲ比スルニ↢須弥山ノ金ニ↡則チ不↠現ゼ。

^須しゅ弥み山せんの金こがねを*三さん十じゅう三さん天てんの*瓔珞ようらくの金こがねに比ひするにすなはち現げんぜず。

須弥山ノ金ヲ比スルニ↢三十*三天ノ瓔珞ノ金ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^三さん十じゅう三さん天てんの瓔珞ようらくの金こがねを*炎えん摩ま天てんの金こがねに比ひするにすなはち現げんぜず。

三十*三天ノ瓔珞ノ金ヲ比スルニ↢炎摩天ノ金ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^炎えん摩ま天てんの金こがねを*兜と率そつ陀だ天てんの金こがねに比ひするにすなはち現げんぜず。

炎摩天ノ金ヲ比スルニ↢兜率陀天ノ金ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^兜と率そつ陀だ天てんの金こがねを*化自けじ在天ざいてんの金こがねに比ひするにすなはち現げんぜず。

兜率陀天ノ金ヲ比スルニ↢化自在天ノ金ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

^化自けじ在天ざいてんの金こがねを*他化たけ自じ在天ざいてんの金こがねに比ひするにすなはち現げんぜず。

化自在天ノ金ヲ比スルニ↢他化自在天ノ金ニ↡則チ不↠現ゼ。

^他化たけ自じ在天ざいてんの金こがねを安楽あんらく国こく中ちゅうの光こう明みょうに比ひするにすなはち現げんぜず。

他化自在天ノ金ヲ比スルニ↢安楽国中ノ光明ニ↡則チ不ズ↠現ゼ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[一][Ⅱ]無垢を顕す

^所以ゆえんはいかんとなれば、 かの土どの金光こんこうは*垢く業ごうより生しょうずることを絶たつがゆゑなり。 清浄しょうじょうにして成じょう就じゅせざるはなきゆゑなり。 安楽あんらく浄じょう土どはこれ無む生しょう忍にんの菩ぼ薩さつの浄じょう業ごうの所しょ起きなり。 阿あ弥陀みだ如来にょらい法王ほうおうの所しょ領りょうなり。 阿あ弥陀みだ如来にょらいを*増ぞう上じょう縁えんとなしたまふがゆゑなり。 このゆゑに 「無垢むく光炎こうえん熾し 明浄みょうじょう曜よう世せ間けん」 といへり。

所以 ユヘ 者ハ何イカントナレバ、彼ノ土ノ金光ハ絶タツガチタマヘルガ↧従リ↢垢業↡生ズルコトヲ↥故ナリニ 。清浄ニシテ†无キ↠不ルコト↢成就セ↡故ナリ。安楽浄土ハ是 レ无生忍ノ菩薩ノ浄業ノ所起ナリ。阿弥陀如来法王ノ所領ナリ。阿弥陀如来ヲ為スガシタマフガ↢増上縁ト↡故ナリニ 。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「无垢光炎熾、明浄曜世間ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]別して後句を釈す

^「↑曜よう世せ間けん」 とは二に種しゅ世せ間けんを曜かがやかすなり。

「曜世間ト」者ハ曜カス↢二種世間ヲ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)触功徳
                (a)牒偈

【14】 ^▲宝ほう性しょう功く徳どく草そう 柔にゅう軟なん左右さう旋せん 触者そくしゃ↓生しょう勝しょう楽らく 過か↓迦か旃隣せんりん陀だ

宝性功徳ノ草 柔軟ニシテ左右ニ旋メグレリ 触フルル者 ノ生ズルコト↢勝楽ヲ↡ 過ギタリ↢迦旃隣陀ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この四句しくは荘しょう厳ごん触そく功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ四句ハ名ク↢荘厳触功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへ0065る。 ある国こく土どを見みそなはすに、 金こん・玉ぎょくを宝ほう重じゅうすといへども衣え服ぶくとなすことを得えず。 明鏡みょうきょうを珍翫ちんがんすれども*敷具ふぐによろしきことなし。 これによりて目めを悦よろこばしむれども、 身みに*便たよりならず。 身しん・眼げんの二に情じょうあに鉾む楯じゅんせざらんや。

仏本 ト何ガ故ゾ起オコシタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、雖モ↣†宝0462↢重スト金玉ヲ↡不ズ↠得エ↠為スコトヲルコトヲ↢衣服ト↡。†珍↢翫スレドモ明鏡ヲ↡无シ↠議ヨロシキコト↢於敷具ニ↡。斯ニ縁リテ悦ヨロコバシムレドモ↢於目ヲ↡不0358ル↠便タヨリナラ↢於身ニ↡也。身眼ノ二情豈ニ弗ザラム↢鉾ムホコ楯ジユンタテ セ↡乎ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「わが国こく土どの人天にんでんの*六ろく情じょう、 *水すい乳にゅうに和わして、 つひに*楚そ越えつの労ろうを去さらしめん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言ノタマハク、使シメムト↧我ガ国土ノ人天ノ六情和ワシテ↢於水乳ニ↡、*卒ツヒニ去サラ↦*楚*越之労ヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ハ)成就

^ゆゑに七宝しっぽう柔にゅう軟なんにして目めを悦よろこばしめ身みに便たよりなるなり。

所以コノユヘニ七宝柔軟ニシテ悦バシメ↠目メヲ便 ヨリナルナリナラムト↠身ニ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)文義を釈す
                    [一]迦旃隣陀を釈す

^「↑迦か旃隣せんりん陀だ」 とは、 天竺てんじく (印度) の柔にゅう軟なん草そうの名ななり。 これに触ふるればよく*楽受らくじゅを生しょうず。 ゆゑにもつて喩たとへとなす。

「迦旃隣陀ト」者ハ、天竺ノ柔軟草ノ名也。触ルレバ↠之ニ者能ク生ズ↢楽受ヲ↡。故ニ以テ為ス↠喩ト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[二]草を勘ふ

^註ちゅう者しゃ (曇鸞) のいはく、 この間けんの土ど・石せき・草そう・木もくはおのおの定じょう体たいあり。 訳者やくしゃ (菩提流支) なにによりてか、 かの宝たからを目なづけて草くさとなすや。 まさにその*ふう 草くさ風かぜを得うる貌かたちなり 然ねんえい 草くさの旋めぐる貌かたちなり びょう 細ほそき草くさをびょうといふ なるをもつてのゆゑに、 草くさをもつてこれに目なづくるのみ。 余よもし*参訳さんやくせばまさに別べつに途みちあるべし。

註者ノ言ク、此ノ間ノ土石草木ハ各ノ有リ↢定体↡。訳者何ニ縁リテカ目ナヅケテ↢彼ノ宝ヲ↡為スル↠草ト耶ヤ。当ニ以テノ↢其ノニ 草得ル↠風ヲ貌カタチナリ*父虫ノ反 *然ヱイ 草ノ旋ル貌ナリ一煢ノ反 ベウナルヲ↡ 細キ草ヲ曰フ↠ト亡小ノ反 故ニ、以テ↠草ヲ目ナヅクル↠之ヲ耳ノミト。餘ヨ若シ*参訳セバ当ニシ↢別†ニ有ル↟途ミチ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[三]生勝楽を釈す

^「↑生しょう勝しょう楽らく」 とは、 迦か旃隣せんりん陀だに触ふるれば*染ぜん着じゃくの楽らくを生しょうず。 かの軟宝なんぽうに触ふるれば法ほう喜きの楽らくを生しょうず。 二事にじあひはるかなり。 勝しょうにあらずはいかん。 ^このゆゑに 「宝ほう性しょう功く徳どく草そう 柔にゅう軟なん左右さう旋せん 触者そくしゃ生しょう勝しょう楽らく 過か迦か旃隣せんりん陀だ」 といへり。

「生ズ↢勝楽ヲ↡ト」者ハ、触ルレバ↢迦旃隣陀ニ↡生ズ↢染着ノ楽ヲ↡。触ルレバ↢彼ノ軟宝ニ↡生ズ↢法喜ノ楽ヲ↡。二事相 ヒ玄ハルカナリ。非ズハ↠勝ニ†如何。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「宝性功徳草、柔軟左右旋、触者生勝楽、過迦旃隣陀ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)【三種功徳】
                (a)水徳【水功徳】
                  (イ)牒偈

【15】 ^▲宝ほう華け千万せんまん種じゅ 弥覆みふ池流ちる泉せん 微み風動ふうどう華け葉よう 交きょう錯さく光こう乱転らんでん

宝華千万種ニシテ 弥↢覆セリ池・流・泉ニ↡ 微風動スニ↢華葉ヲ↡ *交ケウ錯シテ光 リ乱転ス

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^0066この四句しくは荘しょう厳ごん水すい功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ四句ハ名ク↢荘厳水功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを起おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 あるいは澐うん溺にゃく 江かわの水みずの大おおきなる波なみ、 これを澐うん溺にゃくといふ 洪涛こうとう 海うみの波なみの上あがる して*滓し沫まつ人ひとを驚おどろかす。 あるいは*凝ぎょう凘し 氷こおりを流ながす *きょうとう 凍こおりてあひ着つく して、 *蹙しゅく 迫せまる 架かし、 とく 常つねを失しっす を懐いだく。 向さきに安悦あんえつの情こころなし。 背うしろに恐値くちの慮おもんぱかりあり。

仏本 ト何ガ故ゾ起オコシタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、或イハ*澐溺 江ノ水ノ大ナル波謂イフ↢之ヲ澐溺ト↡*云ノ音 洪涛コウタウシテ 海ノ波ノ上アガル大牢ノ反 滓シアワ沫マチアワ驚カス↠人ヲ。或イハ凝ギヨウコホル*凘シ 流ス↠*氷ヲ上支ノ反 **古甲ノ反 *タウシテ *凍リテ相著ク大甲ノ反、*蹙 迫ル子六ノ反 *架シ、†壊ク↠ヲ †失ス↠常ヲ他則ノ反。†向サキニ无シ↢安悦之情↡。†背ウシロニ有リ↢恐クオソル*値チアフ之慮オモンパカリ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^菩ぼ薩さつこれを見みそなはして大だい悲ひ心しんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわれ成じょう仏ぶつせんに、 ▲あらゆる流る・泉せん・池ち・沼しょう 池いけなり 宮く殿でんとあひ称かなひ 事じ、 ¬経きょう¼ (*大経・上) 中ちゅうに出いづ。 ▲種々しゅじゅの宝ほう華け布しきて水みずの飾かざりとなり、 ▲微み風ふうやうやく扇あおぎて*映発ようほつするに*序じょあり、 ▲*神じんを開ひらき体たいを悦よろこばしめて、 一いちとして可かならずといふことなからん」 と。

菩薩見ソナハシテソナハスニ↠此ヲ興オコシタマヘリ↢大悲心ヲ↡。願クハ我 レ成仏セムニ、所有ノ流・泉・池・沼セウ 池ナリ之小ノ反 与ト↢宮殿↡相 ヒ称カナヒフテ 事出ズ↢¬経¼中ニ↡ 種種ノ宝花布シキテ為リム↢水ノ飾ト↡、微風徐ヤウヤク扇ギテ映発スルニ有リテ↠序ハジメ、開ヒラキ↠神ヲ悦バシメテ↠体ヲ、无ナカラムト↢一トシテモ  †不トイフコト↟可ナラ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「宝ほう華け千万せんまん種じゅ 弥覆みふ池流ちる泉せん 微み風動ふうどう華け葉よう 交きょう錯さく光こう乱転らんでん」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「宝花千万0463種、弥覆池流泉、微風動花葉、交錯光乱転ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)地徳【地功徳】
                  (イ)牒偈

【16】 ^▲宮く殿でん諸しょ楼閣ろうかく 観かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ異い光色こうしき 宝欄ほうらん遍へん囲い繞にょう

宮0359殿諸ノ楼閣ニシテ 観ミルコト↢十方ヲ↡无ナリ 雑樹ニ異ノ光色アリ 宝*蘭遍ク囲繞セリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくは荘しょう厳ごん地じ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ四句ハ名ク↢荘厳地功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 *嶕嶢しょうぎょう 高たかき貌かたちなり 峻しゅん 高こうなり 嶺れいにして枯こ木ぼく岑みねに横よこたはり、 *岝峉さくがく 岝峉さくがくは山やま斉ひとしからず けい 深ふかき山谷せんこくまたは山せん消しょうの貌かたちなり 嶙りん 深ふかくして崖かぎりなし にして莦しょう 悪わるき草くさの貌かたちなり *茅ぼう 道みちに草くさ多おおくして行ゆくべからず 壑たにに0067盈みてり。 *茫々ぼうぼうたる滄海そうかい、 *絶目ぜつもくの川せんたり。 *々らんらんたる広沢こうたく、 *無む蹤しょうの所ところたり。

仏本 ト何ガ故ゾ起オコシタマヘルシタマフヤ↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、*嶕セウ 高キ貌ナリ才消ノ反 嶢ゲウタカク*牛消ノ反 峻シユンサカシ 高ナリ俊ノ音 嶺レイニシテ枯木横タハリタヘ ↠*岑ニ、岝サクヤマノカホ 山不↠斉シカラ才白ノ反 峉ガクヤマノカホ 岝峉五百ノ反 ケイ 深キ山谷亦ハ山*消ノ貌ナリ形ノ音 嶙リンニシテ 深クシテ无シ↠*崖カギリ力人ノ反 莦セウ 悪キ*卉クサノ貌カタチナリ消ノ音 *茅バウ 道ニ多クシテ↠*卉クサ不↠可カラ↠行ク方*交ノ反 盈ミテリ↠壑タニニ。茫茫バウバウタル滄海、為タリ↢絶目ゼチモク之ノ川セン↡。ランランタル広沢、為タリ↢无蹤之ノ所↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^菩ぼ薩さつこれを見みそなはして大だい悲ひの願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土どは地じ平たいらかにして掌たなごころのごとく、 宮く殿でん・楼閣ろうかくは鏡かがみのごとくして、 十方じっぽうを納おさめんにあきらかにして属ぞくするところなく、 また属ぞくせざるにあらざらん。 宝樹ほうじゅ・宝欄ほうらんたがひに映飾ようじきとならん」 と。

菩薩見ソナハシテ↠此ヲ興オコシタマヘリ↢大悲ノ願ヲ↡。願クハ我ガ国土ハ地平カニシテ如ク↠掌ノ、宮殿楼閣ハ鏡カガミノゴトクシテ、納メムニ↢十方ヲ↡、†的アキラカニシテ无ク↠所 ロ↠†属スル、亦非ザラム↠不ルニ↠属セ。宝樹・宝*蘭ラン互ニ為ナラムトサム ↢映飾トヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「宮く殿でん諸しょ楼閣ろうかく 観かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ異い光色こうしき 宝欄ほうらん遍へん囲い繞にょう」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「宮殿諸楼閣、観十方无、雑樹異光色、宝*蘭遍囲繞ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)虚空【虚空功徳】
                  (イ)牒偈

【17】 ^▲無む量りょう宝ほう交きょう絡らく 羅ら網もう遍へん虚こ空くう 種種しゅじゅ鈴りょう発響ほっこう 宣せん吐と妙みょう法音ほうおん

无量ノ宝交絡シテ 羅網遍シセム↢虚空ニ↡ 種種ノ鈴発シテ↠*響ヒビキヲ 宣ノベ↢吐ハクカム妙法ノ音ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくは荘しょう厳ごん虚こ空くう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ四句ハ名ク↢荘厳虚空功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 煙えん・雲うん・塵じん・霧む、 *太たい虚こを蔽へい障しょうし、 *震烈しんれつしん 雨あめの声こえなり かく 大雨おおあめなり 上うえよりして堕おつ。 *不ふ祥しょうの烖さい 天てんの火ひなり 霓げつ 屈まがれる紅にじ、 青赤あおあかあるいは白色しろいろの陰おん気けなり つねに空そらより来きたりて、 憂う慮りょ百ひゃく端たんにしてこれがために毛け竪いよだつ。

仏本 ト何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフヤ↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、煙雲塵霧蔽ヘイ↢障シヤウシ太虚ヲ↡、†震烈*雨ノ声ナリ士林ノ反 *大雨ナリ下郭ノ反 従ヨリシテ↠上而堕オツ。不祥シヤウノ烖サイ 天ノ火ナリ葬才ノ反 *霓 屈レル虹、青赤或イハ白色ノ陰気ナリ五結ノ反 毎ツネニ自リ↠空来リテ、憂ウ慮リユ百端ニシテ為ニ↠之ガ毛竪イヨダツ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^菩ぼ薩さつこれを見みそなはして大だい悲ひ心しんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土どには*宝網ほうもう*交きょう絡らくして、 *羅らは虚こ空くうに遍へんし、 鈴りょう鐸たく 大鈴おおすずなり *宮商きゅうしょう鳴なりて道法どうほうを宣のべん。 これを視みて厭いとふことなく、 道どうを懐おもひて徳とくを見あらわさん」 と。

菩薩見ソナハシテ↠此ヲ興オコシタマヘリ↢大悲心ヲ↡。願クハ我ガ国土ニハ宝網交絡シテ、羅ハ遍シジ↢虚空ニ↡、鈴リヤウ鐸チヤク 大鈴ナリ大各ノ反 宮キウ商シヤウ鳴リテ宣ベム↢道法ヲ↡。視ミテ↠之ヲ无ク↠厭フコト懐オモヒテ↠道ヲ見アラハサムトム  ↠徳ヲ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「無む量りょう宝ほう交きょう絡らく 羅ら網もう遍へん虚こ空くう 種種しゅじゅ鈴りょう発響ほっこう 宣せん吐と妙みょう法音ほうおん」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「无量宝交絡、羅網遍虚空、種種鈴発*嚮、宣吐妙0464法音ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)【雨功徳】
                (a)牒偈

【006818】 ^▲↓雨う華衣けえ荘しょう厳ごん 無む量りょう香こう普ふ薫くん

0360†雨ラシテ↢花ト衣トヲ↡荘厳シ 无量ノ香普ク*勲ズゼム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん雨う功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳雨功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 服飾ぶくじきをもつて地じに布しき、 *所尊しょそんを延えん請しょうせんと欲ほっす。 あるいは香こう・華け・名みょう宝ほうをもつて、 用もちゐて恭く敬ぎょうを表ひょうせんと欲ほっす。 しかも*業ごう貧まずしく感かん薄うすきものはこの事じ果はたさず。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルシタマフ ↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、欲スフ↧以テ↢服飾ブクジキヲ↡布シキ↠地ニ、†延↦請セムト所尊ヲ↥。或イハ欲スフ↧以テ↢香花名宝ヲ↡、用ヰテ表セムト↦恭敬ヲ↥。而モシテ業†貧シク感薄キモノハ是ノ事不ズ↠果ハタサ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに大だい悲ひの願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土どにはつねにこの物ものを雨あめふらして衆しゅ生じょうの意こころに満みてん」 と。

是ノ故ニ興シタマヘリ↢大*悲ノ願ヲ↡。願クハ我ガ国土ニハ常ニ雨ラシテリテ ↢此ノ物ヲ↡満タサムトテム  ↢衆生ノ意ヲニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)成就
                    [一]雨を勘ふ

^なんがゆゑぞ↑雨あめをもつて言ことばをなすとならば、 おそらくは*取者しゅしゃのいはん。 「もしつねに華けと衣えとを雨あめふらさば、 また虚こ空くうに填みち塞ふさぐべし。 なにによりてか妨さまたげざらん」 と。 このゆゑに雨あめをもつて喩たとへとなす。 雨あめ、 時ときに適かなひぬれば、 すなはち*洪滔こうとう 水みず漫みちて大おおし の患うれひなし。 安楽あんらくの報ほう、 あに*累るい情じょうの物ものあらんや。

何ガ故ゾ以テ↠雨ヲ為ナストナラバ↠言イフコトバヲ、恐クハ取者ノ*云†ハム。若シ常ニ雨ラサバラバ ↢花ト衣トヲ↡、亦応ベシ↣填ミチ↢塞フサグ虚空ニ↡、何ニ縁リテカ不ラムト↠妨サマタゲ。是ノ故ニ以テ↠雨ヲ為ス↠喩ト。雨適カナヒヌレバ↠時ニ、則チ无シ↢洪滔カウタウ 水†漫テ大シ他高ノ反 之ノ患ウレヘ↡。安楽ノ報豈ニ有ラム↢累情之物↡乎ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)[二]経証

^*経きょうにのたまはく、 「▲日にち夜や六ろく時じに宝ほう衣えを雨あめふり宝ほう華けを雨あめふる。 宝質ほうしつ柔にゅう軟なんにしてその上うえを履ふみ践ふむにすなはち下くだること四し寸すん、 足あしを挙あぐる時ときに随したがひて還復げんぶくすること故もとのごとし。 用もちゐること訖おわりぬれば、 宝ほう地じに入いること水みずの坎あなに入いるがごとし」 と。

経ニ言ク、「日夜六時ニ雨リ↢宝衣ヲ↡雨ル↢宝華ヲ↡。宝ホウノ質スガタ柔軟ニシテ履フミ↢践フムニ其ノ上ヲ↡則チ下ルコト四寸、随ヒテ↢挙グル↠足ヲ時ニ↡還復スルコト如シ↠故モトノ。用ヰルコト訖オハリヌレバ入ルコト↢宝地ニ↡如シト↢水ノ入ルガ↟坎アナニ」。

^このゆゑに 「雨う華衣けえ荘しょう厳ごん 無む量りょう香こう普ふ薫くん」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「雨花衣荘厳、无量香普薫ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)【光明功徳】
                (a)牒偈

【19】 ^▲仏ぶっ慧て明浄みょうじょう日にち 除じょ世痴せち闇あん冥みょう

仏*恵明浄ナルコト日ノゴトクシテ 除ク↢世ノ痴闇冥ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^0069この二句にくは荘しょう厳ごん光こう明みょう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

▼此ノ二句ヲハ名ク↢荘厳光明功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 また*項背こうはいに*日光にっこうありといへども愚痴ぐちのために闇くらまさる。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、雖モ↢復項背ハイニ日光アリト↡而為ニ↢愚痴ノ↡所ル↠闇クラマサ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「わが国こく土どのあらゆる光こう明みょう、 よく痴ち闇あんを除のぞきて仏ぶつの智慧ちえに入いり、 *無記むきの事じをなさざらしめん」 と。

是ノ故ニ▼願ジテ言ノタマハク、†使メムト↧我ガ国土ノ所有ノ光明、能ク除キテ↢痴闇ヲ↡入リ↢仏ノ智*恵ニ↡、不ラ↞為ナサ↢无記之事ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)成就
                    [一]除世闇冥

^またいはく、 安楽あんらく国こく土どの光こう明みょうは如来にょらいの智慧ちえの報ほうより起おこるがゆゑに、 よく世せの闇あん冥みょうを除のぞく。

◆亦云ク、安楽国土ノ光明ハ従ヨリ↢如来ノ智*恵0465ノ報↡起ルガ故ニ、能ク除クト↢世ノ闇冥ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)[二]経証

^¬経きょう¼ (維摩経) にのたまはく、 「あるいは仏ぶつ土どあり。 光こう明みょうをもつて仏ぶつ事じをなす」 と。 すなはちこれはこれなり。

¬経ニ¼言ノタマハク、「或イハ有リ↢仏土↡。以テ↢光明ヲ↡為ナスト↢仏事ヲ↡」。即0361チ是 レハ此也。

^このゆゑに 「仏ぶっ慧て明浄みょうじょう日にち 除じょ世痴せち闇あん冥みょう」 といへり。

*是ノ故ニ言ノタマヘリフト↢「仏*恵明浄日、除世痴闇冥ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)【妙声功徳】
                (a)牒偈

【20】 ^▲↓梵ぼん↓声しょう悟ご深遠じんのん ↓微み↓妙みょう聞もん十方じっぽう

†梵声悟ラシムルコト深遠ニシテ 微妙ナリ聞キコユ↢十方ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん妙声みょうしょう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳妙声功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 善法ぜんぼうありといへども名声みょうしょう遠とおからず。 名声みょうしょうありて遠とおしといへどもまた*微み妙みょうならず。 名声みょうしょうありて妙みょう遠おんなれども、 また*物ものを悟さとらしむることあたはず。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、雖モ↠有リト↢善法↡而名声不ズ↠遠トオカラ。有リテ↢名声↡雖モ↠遠シト復不ズ↢微妙ナラ↡。有リテ↢名声↡†妙遠ナレドモ復不ズ↠能ハ↠悟サトラシムルコトラスルコト ↠物ヲ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへり。

是ノ故ニ起シタマヘリ↢此ノ荘厳ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)成就
                    [一]梵を釈す

^天竺てんじく国こく (印度) には浄行じょうぎょうを称しょうして 「梵ぼん行ぎょう」 となす。 *妙みょう辞じを称しょうして 「梵言ぼんごん」 となす。 かの国くにには梵天ぼんてんを貴き重じゅうすれば、 多おおく 「↑梵ぼん」 をもつて讃さんをなす。 またいはく、 *中ちゅう国ごくの法ほう、 梵ぼん0070天てんと通つうずるがゆゑなり。

天竺国ニハ称シテ↢浄行ヲ↡為ス↢梵行ト↡。称シテ↢妙辞ジコトバヲ↡為ス↢梵言ト↡。彼ノ国ニハ貴↢重スレバ梵天ヲ↡、多ク以テ↠梵ヲ為ナス↠讃ヲ。亦言ク、中国ノ法ハフ与ト↢梵天↡通ズルガ故 ヘ也ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[二]声を釈す

^「↑声しょう」 とは名みょうなり。 名みょうはいはく、 安楽あんらく土どの名ななり。

「声ト」者ハ名也。名ハ謂ク安楽土ノ名ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[三]経証

^*経きょうにのたまはく、 「▲もし人ひとただ安楽あんらく浄じょう土どの名なを聞ききて往おう生じょうを欲願よくがんするに、 また願がんのごとくなることを得う」 と。 これは名なの物ものを悟さとらしむる証しょうなり。

経ニ言ノタマハク、「若シ人但聞キテ↢安楽浄土之名ヲ↡欲↢願スルニ往生ヲ↡、亦得ウトイヘリ↠如クナルコトヲ↠願ノ」。此 レハ名ノ悟サトラシムルラスル ↠物ヲ之証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[四]論証

^▼¬釈論しゃくろん¼ (*大智度論・意) にいはく、 「かくのごとき浄じょう土どは三界さんがいの所しょ摂しょうにあらず。 なにをもつてこれをいふとならば、 欲よくなきがゆゑに欲界よくかいにあらず。 *地居じこなるがゆゑに色界しきかいにあらず。 色しきあるがゆゑに無む色界しきかいにあらざればなり。 けだし菩ぼ薩さつの*別業べつごうの致いたすところのみ」 と。

▼¬釈論ニ¼言ク、「如キノ↠斯クノ浄土ハ非ズ↢三界ノ所摂ニ↡。何ヲ以テ言イフトナラバ↠之ヲ、无キガ↠欲故ニ非ズ↢欲界ニ↡。地居ナルガ故ニ非ズ↢色界ニ↡。有ルガ↠色故ニ非ザレバナリズ    ↢无色界ニ↡。蓋ケダシ菩薩ノ別業ノ所 ロ↠致イタス耳ノミト」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[五]微妙を釈す

^有うを出いでてしかうして有うなるを 「有うを出いでて」 とは、 いはく、 三さん有ぬを出いづるなり。 「しかうして有うなる」 とはいはく、 浄じょう土どの有うなり ↑微みといふ。 名なよく開かい悟ごせしむるを↑妙みょう 妙みょうは好こうなり。 名なをもつて、 よく物ものを悟さとらしむるゆゑに妙みょうと称しょうす といふ。

出デテ↠有ヲ而シテ有ナルヲ曰イフ↠微ト。出↠有ト者ハ、謂ク出†ヅルナリ↢三*有ヲ↡。而シテ有ト者ハ、謂ク浄土ノ有也 名ナ能ク開悟セシムルヲスルヲ  曰フ↠妙ト。妙ハ好也。以テ↠名ヲ能ク悟ラシムルス   ↠物ヲ、故ニ称ス↠妙ト

^このゆゑに 「梵ぼん声しょう悟ご深遠じんのん 微み妙みょう聞もん十方じっぽう」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリヘリト↢「梵声悟深遠、微妙聞十方ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)【主功徳】
                (a)牒偈

【21】 ^▲↓正しょう覚がく阿あ弥陀みだ 法王ほうおう善ぜん↓住じゅう持じ

正覚ノ阿弥陀 法王善ク住持シタマヘリト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん主しゅ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳主功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 羅ら刹せつ君きみとなれば、 すなはち*率そつ土どあひ噉だんす。 *宝輪ほうりん、 殿でんに駐とど 馬うまを立とどむ まればすなはち*四し域いき虞うれひなし。 これを風かぜの靡なびくに譬たとふ。 あに本もとなからんや。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、†羅刹為0466レバ↠君ト則チ率土相噉ズス。宝輪駐トドマレバマル ↠ 立トドメル↠馬ヲ長句ノ反 殿ニ則チ四域イキ无シ↠*虞ウレヒ。譬フ↢之ヲ風ノ靡ナビクニ↡。豈ニ无カラム↠本耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土どにはつねに0071法王ほうおうましまして、 法王ほうおうの善力ぜんりきに住じゅう持じせられん」 と。

是0362ノ故ニ興シタマヘリ↠願ヲ。願クハ我ガ国土ニハ常ニ有シテ↢法王↡、法王ノ善力ニ之所ラレムト↢住持セ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ハ)成就

^▽「↑住じゅう持じ」 とは、 ▼*黄鵠こうこく、 子し安あんを持たもてば、 千齢せんれいかへりて起おこり、 ▼魚ぎょ母も、 子こを念ねん持じすれば、 *がく 夏なつ水みずありて冬ふゆ水みずなきをがくといふ を経へて壊えせざるがごとし。

「住持ト」者ハ▼如シ↧黄クワウ鵠コク持タモテバ↢子安ヲト↡、千齢レイ更カヘリテ起オコリル、魚母念↢持スレバ子ヲ↡、逕ヘテ↠カクヲ不ルガ↞壊セ。夏有リテ↠水冬无キヲ↠水曰フ↠ト火*岳ノ反

^安楽あんらく国こくは ˆ阿あ弥陀みだ仏ぶつのˇ ↑正しょう覚がくのためによくその国くにを持じせらる。 あに正しょう覚がくの事じにあらざることあらんや。

安楽国ハ為ニ↢正覚ノ↡善ク持セラルセリ ↢其ノ国ヲ↡。豈ニ有ラム↠非ザルコト↢正覚ノ事ニ↡耶ヤ。

^このゆゑに 「正しょう覚がく阿あ弥陀みだ 法王ほうおう善ぜん住じゅう持じ」 といへり。

是ノ故ニ言 タマヘリフ ↢「正覚阿弥陀、法王善住持ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)【眷属功徳】
                (a)牒偈

【22】 ^▲如来にょらい浄じょう華け衆しゅ 正しょう覚がく華け化け生しょう

如来浄華ノ衆ハ 正覚ノ花ヨリ化生ス

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん眷属けんぞく功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳眷属功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 あるいは*胞血ほうけつをもつて身しん器きとなす。 あるいは糞ふん尿にょうをもつて生しょうの元もととなす。 あるいは*槐かい棘きょくの高たかき圻ほとりより猜さい狂きょうの子こを出いだす。 あるいは*竪しゅ子しが婢ひ腹ふくより*卓犖たくらくの才さいを出いだす。 *譏き誚しょうこれによりて火ひを懐いだき、 *恥ち辱じょくこれによりて氷こおりを抱いだく。

仏本何ガ故ゾ興オコシタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、或イハ以テ↢胞ハウ血クヱチヲ↡為ス↢身器ト↡。或イハ以テ↢糞フン*屎ネウヲ↡為ス↢生ノ元モトト↡。或イハ槐クワイ棘コクノ高キ*圻ホトリヨリ出ス↢猜セイソネム狂クヰヤウ クルフ 之子ヲ↡。或イハ竪シユ子シガ婢ヒ腹フクヨリ出ス↢卓タク*犖ラクスグレタルコト零角ノ反 之才サイヲ↡。譏キソシリ 誚セウソシル才召ノ反 由リテ↠之ニ懐イダキ↠火ヲ、恥チハヂ辱ジヨクハヅ †縁リテ以テ抱イダク↠氷ヲ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^ゆゑに願がんじてのたまはく、 「わが国こく土どにはことごとく如来にょらい浄じょう華けのなかより生しょうじて、 眷属けんぞく平びょう等どうにして*与よ奪だつ路みちなからしめん」 と。

所以コノユヘニ願ジテ言ノタマハク、使メムト↧我ガ国土ニハ悉ク於ヨリ↢如来浄花ノ中↡生ジテ、眷属平等ニシテ与奪无カラ↞路。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「如来にょらい浄じょう華け衆しゅ 正しょう覚がく華け化け生しょう」 といへり。

*是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「如来浄花衆正覚花化生ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)【受用功徳】
                (a)牒偈

【23】 ^▲↓愛あい楽ぎょう仏法ぶっぽう味み 禅ぜん三昧ざんまい為い食じき

愛↢楽シ仏法ノ味ヲ↡ 禅三昧ヲ為スト↠食ト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん受用じゅゆう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳受用功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたまへ0072る。 ある国こく土どを見みそなはすに、 あるいは巣すを探さぐりて卵らんを破やぶり、 *饛もう 食じきを盛もり満みちたる貌かたちなり 饒にょう 飽ほうなり、 多おおし の饍そなえとなす。 あるいは*沙すなを懸かけて帒こしぶくろを指さすをあひ慰なぐさむる方ほうとなす。 ああ、 諸しょ子し実じつに痛心つうしんすべし。

仏本 ト何ガ故ゾ興オコシタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、或イハ探サグリテ↠巣スヲ破ヤブリ↠卵ヲ、為ス↢饛モウアヂワイ盛リ↠食ヲ満チタル貌カタチナリ*亡公ノ反 饒ネウユタカノ 飽也多シ人消ノ反 之饍ソナヘト↡。或イハ懸カケテ↠沙ヲ指スヲ↠帒コシブクロヲ為ス↢相 ヒ†慰ムル之方ホウト↡。嗚オ0467呼コ諸子実ニ可シ↢痛心ス↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに大だい悲ひの願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国こく土ど、 仏法ぶっぽうをもつて、 ↓禅ぜん定じょうをもつて、 ↓三昧さんまいをもつて食じきとなして、 永ながく他た食じきの労わずらひを絶たたん」 と。

是ノ故ニ興オコシタマヘリ↢大悲ノ願ヲ↡。願クハ我ガ国土、以テシ↢仏法ヲ↡、以テシ↢禅定ヲ↡、以テ↢三昧0363ヲ↡為シテ↠食ト、永ク絶タタムト↢他食之*労ワヅライヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)成就
                    [一]初句を釈す

^「↑愛あい楽ぎょう仏法ぶっぽう味み」 とは、 日月にちがつ灯とう明みょう仏ぶつ、 ¬*法華ほけ経きょう¼ を説ときしに六ろく十じゅう小しょう劫こうなり。 時会じえの聴ちょう者しゃまた一処いっしょに坐ざして六ろく十じゅう小しょう劫こうなるも食じきのあひだのごとしと謂おもふ。 一人いちにんとしてもしは身しん、 もしは心しんをして*懈け惓けんを生しょうずることあることなきがごとし。

「愛↢楽ス仏法ノ味ヲ↡ト」者ハ、†如シ↧日月灯明仏説キシニ↢¬法華経ヲ¼↡六十小劫ナリ、時会ノ聴者亦坐シテ↢一処ニ↡六十小劫ナルモナリ 謂オモフ↠如シト↢食ノ*項アヒダノ↡、无キガ↞有ルコト↣一人トシテ若シハ身、若シハ心ヲシテ而生ズルコト↢懈惓ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)[二]後句を釈す

^「↑禅ぜん定じょうをもつて食じきとなす」 とは、 いはく、 もろもろの大だい菩ぼ薩さつはつねに三昧さんまいにありて他たの食じきなし。 「↑三昧さんまい」 とは、 かのもろもろの人天にんでん、 ▲もし食じきを須もちゐる時とき、 *百ひゃく味みの嘉か餚こう羅ら列れつして前まえにあり。 ▲眼めに色いろを見み、 鼻はなに香かおりを聞かぎ、 身みに*適ちゃく悦えつを受うけて自じ然ねんに飽足ほうそくす。 訖已おわりぬれば化けして去さり、 もし須もちゐるにはまた現げんず。 その事じ、 ¬経きょう¼ (大経・上) にあり。

「以テ↢禅定ヲ↡為ストイフ↠食ト」者ハ、謂ク諸ノ大菩薩ハ常ニ在リテ↢三昧ニ↡无シキ↢他ノ食↡也。「三昧ト」者ハ、彼ノ諸ノ人天、若シ須モチヰル↠食ヲ時トキ、百味ノ嘉餚羅列シテ在リ↠前ニ。眼ニ見ミ↠色ヲ、鼻ニ聞カギ↠香ヲ、*身ニ受ケテ↢適悦ヲ↡自然ニ飽足ス。訖已 ヲハ リヌレバ化シテ去リヌ、若シ須モチヰルニハ復現ズ。其ノ事在リ↠¬経ニ¼。

^このゆゑに 「愛あい楽ぎょう仏法ぶっぽう味み 禅ぜん三昧ざんまい為い食じき」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「愛楽仏法味、禅三昧為食ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)無諸難功徳
                (a)牒偈

【24】 ^▲永よう離り↓身しん↓心しん悩のう 受楽じゅらく常じょう無む間けん

永ク離レテ↢身心ノ悩ヲ↡ 受クルコト↠楽ミヲ常ニシテ无シト↠間ヒマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん無む諸難しょなん功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳无諸難功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたま0073へる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 あるいは朝あしたには*袞こん寵ちょうに預よろこびて、 夕ゆうべには*斧ふ鉞えつに惶おののく。 あるいは幼いとけなくしては*蓬藜ほうれいに捨すてられ、 長ちょうじては*方ほう丈じょうを列つらぬ。 あるいは*鳴めい笳かして出いづることをいひ、 麻ま絰てつして還かえることを催もよおす。 かくのごとき等らの種々しゅじゅの*違い奪だつあり。

仏本何ガ故ゾ興オコシタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、或イハ朝ニハ預アヅカリテ↢*袞コン*寵テウニ↡、夕ニハ惶オノノク↢斧フオノ 鉞オチマサカリニ↡。或イハ幼イトケナクシテハ†捨テラレ↢蓬藜ニ↡、長チヤウジテハ列ツラヌ↢方丈ニヲ↡。或イハ鳴ナラシテ↠笳ヲアシノフヱ†道シ、出シテ↠*麻ヲ*歴*経シテ催ス↠還ルコトヲ。有リ↢如キ↠是クノ等ラノ種種ノ違ヰ奪ダツ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「わが国こく土どは安楽あんらく相続そうぞくして畢ひっ竟きょうじて間ひまなからしめん」 と。

是ノ故ニ願ジテハ 言ノタマハク、使シメムト↢我ガ国土ハ安楽相続シテ畢竟ジテ无カラ↟間ヒマ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ハ)成就

^▼「↑身悩しんのう」 とは飢き渇かつ・寒熱かんねつ・殺害せつがい等とうなり。 「↑心悩しんのう」 とは是非ぜひ・得失とくしつ・三毒さんどく等とうなり。

「身悩ト」者ハ飢渇・寒熱・殺害等也。「心悩ト」者是非・得失・三毒等也。

^このゆゑに 「永よう離り身心悩しんしんのう 受楽じゅらく常じょう無む間けん」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「永離身心悩、受楽常无間ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)【大義門功徳】
                (a)牒偈

【25】 ^▲大だい乗じょう善根ぜんごん界かい 等とう無譏むき嫌げん名みょう *女人にょにん及ぎゅう根欠こんけつ ▼↓二に乗じょう種しゅ不ふ生しょう

大乗善根ノ界サカイハ 等シクシテ无シ↢譏嫌ノ名ナ↡ 女人及ビ根欠 二乗ノ種不ズト↠生ゼ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)釈義
                  (イ)正釈
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくは荘しょう厳ごん大だい義ぎ門もん功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。 「門もん」 とは大だい義ぎに通つうずる門もんなり。 「大だい義ぎ」 とは大だい乗じょうの*所以ゆえんなり。 人ひと、 城しろに造いたりて門もんを得うれば、 すなはち入いるがごとし。 もし人ひと安楽あんらくに生しょうずることを得うれば、 これすなはち大だい乗じょうを成じょう就じゅする門もんなり。

此0468ノ四句ハ名ク↢荘厳大義門功徳成就ト↡。門ト者ハ†通ズル↢大義ニ↡之門也。大義ト者ハ大乗0364ノ所以 ユヘ 也。如シ↢人†造イタリテ↠城ニ得レバ↠門ヲ則チ入ルガ↡。若シ人得レバ↠生ズルコトヲ↢安楽ニ↡者、是 レ則チ†成↢就スル大乗ヲ↡之門也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 仏ぶつ如来にょらい・賢げん聖じょう等とうの衆しゅうましますといへども、 国くに、 濁じょくせるによるがゆゑに、 *一いちを分わかちて三さんと説とく。 あるいは*眉まゆを拓ひらくをもつて誚あざけりを致いたし、 あるいは*指語しごによりて譏そしりを招まねく。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、雖モ↠有イマスト↢仏如来賢聖等ノ衆↡、由ルガ↢国 ニ濁セルニ↡故ユ ニ、分チテ↠一ヲ説ク↠三トヲ。或イハ†以テ↠拓クヲ↠ 聴各ノ反 眉ヲ致シ↠誚アザケリヲ、或イハ縁リテ↢指語ニ↡招マネク↠譏ソシリヲ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「わが国こく土どをしてみなこれ大だい乗じょう一いち味み、 平びょう等どう一いち味みならしめん。 *根敗こんぱいの種しゅ子し畢ひっ竟きょうじて生しょうぜじ、 女人にょにん・*残欠ざんけつの名みょう字じまた断たたん」 と0074。

是ノ故ニ願ジテ言ノタマハク、使シメムト↢我ガ国土ヲシテハ  皆是大乗一味ニシテ、*平等*一味ナラ↡。根敗パイヤブルノ種子畢竟ジテ不ジ↠生ゼ、女人残欠ノ名字亦断タタムト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[三]成就

^このゆゑに 「大だい乗じょう善根ぜんごん界かい 等とう無譏むき嫌げん名みょう 女人にょにん及ぎゅう根欠こんけつ 二に乗じょう種しゅ不ふ生しょう」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「大乗善根界、等无譏嫌名、女人及根欠、二乗種不生ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)問答
                    [一]声聞の有無を料簡す
                      [Ⅰ]問
                        [ⅰ]証1

 ^問とひていはく、 *王舎おうしゃ城じょう所説しょせつの ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上・意) を案あんずるに、 法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの四し十じゅう八はち願がんのなかにのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 国くにのうちの声しょう聞もん、 よく計け量りょうしてその数かずを知しることあらば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第十四願) と。 これ声しょう聞もんある一いちの証しょうなり。

問ヒテ曰ク、案ズルニ↢王舎城所説ノ¬无量寿経ヲ¼↡、法蔵菩薩ノ四十八願ノ中ニ言ノタマハク、「設ヒ我得ムニ↠仏ヲ、国ノ中ウチノ声聞†有ラバ↣能ク計量シテ知ルコト↢其ノ数ヲ↡者、不ジト↠取ラ↢正覚ヲ↡」。是 レ有ル↢声聞↡一ノ証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅱ]証2

^また ¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ (易行品) のなかに龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ、 阿あ弥陀みだの讃さんを造つくりていはく、 「▲三界さんがいの獄ごくを超出ちょうしゅつして、 目めは蓮れん華げ葉ようのごとし。 声しょう聞もん衆しゅ無む量りょうなり。 このゆゑに稽首けいしゅし礼らいしたてまつる」 と。 これ声しょう聞もんある二にの証しょうなり。

又¬十住毘婆沙ノ¼中ニ龍樹菩薩造リテ↢阿弥陀ノ讃ヲ↡云ク、「超↢出シテ三界ノ獄ヲ↡、目メハ如シ↢蓮花葉ノ↡。声聞衆无量ナリ。是ノ故ニ†稽首シ礼シタテマツルト」。是 レ有ル↢声聞↡二ノ証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅲ]証3

^また ¬摩訶まか衍論えんろん¼ (大智度論・意) のなかにいはく、 「仏ぶつ土ど種々しゅじゅ不ふ同どうなり。 あるいは仏ぶつ土どあり、 もつぱらにこれ声しょう聞もん僧そうなり。 あるいは仏ぶつ土どあり、 もつぱらにこれ菩ぼ薩さつ僧そうなり。 あるいは仏ぶつ土どあり、 菩ぼ薩さつ・声しょう聞もん会えして僧そうとなす。 阿あ弥陀みだの安楽あんらく国こく等とうのごときはこれなり」 と。 これ声しょう聞もんある三さんの証しょうなり。

又¬摩訶衍論ノ¼中ニ言ク、「仏土種種不同ナリ。或イハ有リ↢仏土↡、純モハラニ是 レ声聞僧ナリ。或イハ有リ↢仏土↡、純モハラニ是菩薩僧ナリ。或イハ有リ↢仏土↡、菩薩・声聞会シテ為ス↠僧ト。如キハシト↢阿弥陀ノ安楽国等ノ↡是也ト」。是有ル↢声聞↡三ノ証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅳ]正しく難ず

^諸しょ経きょうのなかに安楽あんらく国こくを説とくところありて、 多おおく声しょう聞もんありとのたまひて声しょう聞もんなしとのたまはず。 声しょう聞もんはすなはちこれ二に乗じょうの一いちなり。 ¬論ろん¼ (浄土論) に 「▲↓乃ない至し無む二に乗じょう名みょう」 といへり。 これいかんが*会えする。

諸経ノ中ニ†有リテ↧説ク↢安楽国ヲ↡処↥、多ク言ヒテ↠有リト↢声聞↡不ズ↠言ハ↠无シト↢声聞↡。声聞ハ即チ是二乗之一ナリ。¬論ニ¼言ノタマヘリフ ↣「乃至无シト↢二乗0469ノ名↡」。此 レ云何 イカン ガ会セムヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]答
                        [ⅰ]浄土には生ぜざるを成ず
                          [a]正答

^答こたへていはく、 理りをもつてこれを推すいするに、 安楽あんらく浄じょう土どには二に乗じょう0075あるべからず。 なにをもつてこれをいふとならば、 それ病やまいあるにはすなはち薬くすりあり。 *理り数しゅの常つねなり。

答ヘテ曰ク、以テ↠理ヲ推スルニ↠之ヲ、安楽浄土ニハ不ズ↠応ベカラ↠有ル↢二乗↡。何 ニヲ以テ言イ0365フトナラバ↠之ヲ、夫ソレ有ルニハ↠病則チ有リ↠薬。理リ数シユ之常也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅰ][b]引証

^¬法華ほけ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「釈しゃ迦か牟尼むに如来にょらい、 五ご濁じょくの世よに出いでたまへるをもつてのゆゑに、 一いちを分わかちて三さんとなす」 と。 浄じょう土どすでに五ご濁じょくにあらず。 三さん乗じょうなきことあきらかなり。

¬法花経ニ¼言ノタマハク、「釈迦牟尼如来以テノ↠出デタマヘルヲ↢五濁ノ世ニ↡故ニ分チテ↠一ヲ為スト↠三ト」。浄土既ニ非ズ↢五濁ニ↡。无キコト↢三乗↡明アキラカナリ矣。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]他方の来生を明す
                          [a]総じて経論の説は所由あるを明す
                            イ二乗浄土に生ずべき道理を立つ

^¬法華ほけ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろの声しょう聞もん、 この人ひといづこにおいてか解げ脱だつを得えん。 ただ虚こ妄もうを離はなるるを名なづけて解げ脱だつとなす。 この人ひと実じつにいまだ一切いっさい解げ脱だつを得えず。 いまだ*無む上じょう道どうを得えざるをもつてのゆゑなり」 と。 あきらかにこの理りを推すいするに、 阿羅あら漢かんすでにいまだ一切いっさい解げ脱だつを得えず。 かならず生しょうずることあるべし。 この人ひと更かえりて三界さんがいに生しょうぜず。 三界さんがいのほかに、 浄じょう土どを除のぞきてまた*生しょう処じょなし。 ここをもつてただ浄じょう土どに生しょうずべし。

¬法花経ニ¼†噵ノタマハク、「諸ノ声聞、是ノ人於テカ↠何ニ而得ム↢解脱ヲ↡。但離ルルヲ↢虚妄ヲ↡名ケテ為ス↢解脱ト↡。是ノ人実ニ未ズ ダ↠得エ↢一切解脱ヲ↡。以テノ↠未ダルヲ↠得↢无上道ヲ↡故ナリト」。*覈アキラカニ推スルニ↢此ノ理ヲ↡、阿羅漢既ニ未ズ ダ↠得エ↢一切解脱ヲ↡。必ズ応シ↠有ル↠生ズルコト。此ノ人更カヘリテ不ズ↠生ゼ↢三界ニ↡。三界ノ外ニ、除キテ↢浄土ヲ↡更マタ无シ↢生処↡。是ヲ*以テ唯タダ†応シ↢於浄土ニ生ズ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][a]ロ旧名を存するものなるを明す

^「声しょう聞もん」 といふがごときは、 これ他た方ほうの声しょう聞もん来らい生しょうせるを、 本もとの名なによるがゆゑに称しょうして声しょう聞もんとなす。 *天帝てんたい釈しゃくの人にん中ちゅうに生うまるる時とき、 *憍きょう尸迦しかを姓しょうとせり。 後のちに天主てんしゅとなるといへども、 仏ぶつ (釈尊)、 人ひとをしてその由ゆ来らいを知しらしめんと欲おぼして、 帝たい釈しゃくと語かたらひたまふ時とき、 なほ憍きょう尸迦しかと称しょうするがごとし。 それこの類たぐいなり。

†如キ↠言フガ↢声聞ト↡者ハ、是 レ他方ノ声聞来生セルヲ仍ヨルガ↢本ノ名ニ↡故ニ称シテ為ス↢声聞ト↡。如シ↧天帝釈ノ生ルル↢人中ニ↡時、姓トセリ↢憍尸迦ヲ↡、後ニ雖モ↠為ナルト↢天主ト↡、仏欲オボシテ↠使シメムト↣人ヲシテ知シラ↢其ノ由来ヲ↡、与ト↢帝釈↡語カタラヒタマフ時、猶ナホ称スルガ↦憍尸迦ト↥。其レ此ノ類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別して今論の二乗不生の文を会す
                            イ正しく論意を弁ず

^またこの ¬論ろん¼ (浄土論) にはただ 「↑二に乗じょう種しゅ不ふ生しょう」 といへり。 いはく安楽あんらく国こくに二に乗じょうの種しゅ子しを生しょうぜずとなり。 またなんぞ二に乗じょうの来らい生しょうを妨さまたげんや。

又此ノ¬論ニハ¼但言ノタマヘリフ ↢「二乗ノ種不↟生ゼ」ト↡。謂ク安楽国ニ不ズトナリ↠生ゼ↢二乗ノ種子ヲ↡。亦何ゾ妨サマタゲム↢二乗ノ来生ヲ↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]ロ喩に約して重ねて示す

^たとへば*橘栽きっさいは*江北こうほくに生しょう0076ぜざれども、 *河か洛らくの*菓肆かしにまた橘きつありと見みるがごとし。 また鸚おう鵡むは*壟西ろうせいを渡わたらざれども、 *趙ちょう魏ぎの*架か桁こうにまた鸚おう鵡むありといふ。 この二にの物もの、 ただその種たね渡わたらずといふ。 かしこに声しょう聞もんのあることまたかくのごとし。 かくのごとき解げをなさば、 経論きょうろんすなはち会えしぬ。

譬ヘバ如シ↧橘栽ウハエテ不レドモ↠生ゼ↢江北ニ↡、河洛ノ菓肆ニ亦見ルガ↞有リト↠橘。又言イフ↧鸚鵡ハ不レドモ↠渡ラ↢*壟リヨウ西ヲニ↡、趙テウ魏グヰノガ架カ桁チヤウニ亦有リト↦鸚鵡↥。此ノ二ノ物但言イフ↢其ノ種タネヲ不ト↟†渡ラ。彼ニ有ルコト↢声聞ノ↡亦如シ↠是クノ。作サバスハ↢如キノ↠是クノ解ヲ↡、経論則チ会シヌ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二]離名譏嫌を料簡す
                      [Ⅰ]問

 ^問とひていはく、 名なはもつて事じを召まねく。 事じあればすなはち名なあり。 安楽あんらく国こくにはすでに*二に乗じょう・女人にょにん・根欠こんけつの事じなし。 またなんぞまたこの三さんの名ななしといふべけんや。

問ヒテ曰ク、名ハ以テ召マネク↠事ヲ。有レバ↠事乃チ有リ↠名。安楽国ニハ既ニ无シ↢二乗・女人・根欠之事↡。亦何ゾ†須ヰム↢復言フヲ↟无シト↢此ノ三ノ名↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]答

^答こたへていはく、 軟心なんしんの菩ぼ薩さつのはなはだしくは勇ゆう猛みょうならざるを、 譏そしりて声しょう聞もんといふがごとし。 人ひとの*諂曲てんごくなると、 あるいはまた*儜弱にょうにゃくなるを、 譏そしりて女人にょにんといふがごとし。 また眼まなこあきらかなりといへども事じを識しらざるを、 譏そしりて盲人もうにんといふがごとし。 また耳みみ聴きくといへども義ぎを聴ききて解さとらざるを、 譏そしりて聾人ろうにんといふがごとし。 また舌した語ものいふといへども*訥口とつこう蹇吃けんきつなるを、 譏そしりてあ人にんといふがごとし。

答ヘテ曰ク、如シ↧*軟心ノ菩薩ノ不ルヲ↢甚シクハ勇猛ナラ↡、譏ソシリテ言フガ↦声0470聞ト↥。如シ↣人ノ諂曲テムゴクナルト、或イハ復*ネイヨハシ弱ニヤクヨハシナルヲ、譏ソシリテ言フガ↢女*人ト↡。又如シ↣眼マナコ雖モ↠明カナリト而不ルヲ↠識シラ↠事ヲ、*譏ソシリテ言0366フガ↢盲人ト↡。又如シ↣耳雖モ↠*聴クト而聴キテ↠義ヲ不ルヲ↠解ラ、譏ソシリテ言フガ↢*聾人ト↡。又如シ↣舌シタ雖モ↠語モノイフト而*訥トンコトゴモリ口コウ**吃ナルヲ、譏ソシリテ言フガ↢*人ニント↡。

^かくのごとき等らありて、 根こん具ぐ足そくせりといへども*譏き嫌げんの名なあり。 このゆゑにすべからく 「↑乃ない至し名ななし」 といふべし。 浄じょう土どにはかくのごとき等らの*与よ奪だつの名ななきことあきらかなり。

†有リテ↢如キ↠是クノ等ラ↡、根雖モ↢具足セリト↡而有リ↢譏嫌之名↡。是ノ故ニ†須クシ↠言フ↢乃至无シト↟名。明カナリ↣浄土ニハ无キコト↢如キ↠是クノ等ラノ与奪之名↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三]声聞の名有るを料簡す
                      [Ⅰ]問

 ^▼問とひていはく、 法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつの△本願ほんがん (第十四願)、 および龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつの△所讃しょさん (易行品) を0077尋たずぬるに、 みなかの国くにに声しょう聞もん衆しゅ多たなるをもつて*奇きとなすに似にたり。 これなんの義ぎかある。

問ヒテ曰ク、尋ヌルニ↢法蔵菩薩ノ本願及ビ龍樹菩薩ノ所讃ヲ↡、皆似ニタリ↧以テ↢彼ノ国 ニニ声聞衆多ナルヲ↡為スニルニ↞*奇ト。此 レ有ルヤ↢何ノ義カ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]答
                        [ⅰ]法

^◆答こたへていはく、 声しょう聞もんは*実際じっさいをもつて証しょうとなす。 計はかるにさらによく仏道ぶつどうの根こん芽げを生しょうずべからず。 しかるに仏ぶつ、 本願ほんがんの不可ふか思議しぎの神力じんりきをもつて、 摂せっしてかしこに生しょうぜしめ、 かならずまさにまた神力じんりきをもつてその*無む上じょう道心どうしんを生しょうずべし。

答ヘテ曰ク、声聞ハ以テ↢実際ヲ↡為ス↠証ト。計ハカルニ不ズ↠応カラ↣更ニ能ク生ズ↢仏道ノ根*牙ヲ↡。而ルニ仏以テ↢本願ノ不可思議ノ神力ヲ↡、摂シテ令シメ↠生ゼ↠彼 コニ、必ズ当ベ ニシ↧復以テ↢神力ヲ↡生ズ↦其ノ无上道心ヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(16)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]譬

^▼たとへば*鴆ちん鳥ちょうの水みずに入いれば*魚蚌ぎょぼうことごとく死しし、 *犀さい牛ぎゅうこれに触ふるれば死しせるものみな活よみがえるがごとし。 かくのごとく生しょうずべからずして生しょうず。 ゆゑに奇きとすべし。 ▼しかるに五ご不思議ふしぎのなかに、 仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。 仏ぶつよく声しょう聞もんをしてまた無む上じょう道心どうしんを生しょうぜしむ。 まことに不可ふか思議しぎの至いたりなり。

▼譬ヘバ如シ↢鴆チム鳥ノ入レバ↠水ニ魚ギヨ*蚌ホフハマグリ咸ク死シス、犀牛サイギウ触ルレバ↠之ニ死セル者 ノ皆活ヨミガヘルガ↡。如クキ↠此クノ†不シテ↠応カラ↠生ズ而生ズ。所以コノユヘニ可シ↠奇トス。然ルニ五不思議ノ中ニ、仏法最モ不可思議ナリ。仏能ク*使シム↣声聞ヲシテ復生ゼ↢无上道心ヲ↡。真ニ不可思議之至リ也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)【一切所求満足功徳】
                (a)牒偈

【26】 ^▲衆しゅ生じょう所しょ願がん楽ぎょう 一切いっさい能のう満足まんぞく

衆生ノ所↢願楽スル↡ 一切能ク満足スト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん一切いっさい所しょ求ぐ満足まんぞく功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳一切所求満足功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを興おこしたまへる。 ある国こく土どを見みそなはすに、 あるいは名な高たかく位くらい重おもくして、 *潜処せんしょするに由よしなし。 あるいは人ひと凡ぼんに性しょう鄙いやしくして、 出いでんと悕ねがふに路みちなし。 あるいは*修短しゅたん、 業ごうに繋つながれて、 制せいすることおのれにあらず。 *阿あ私陀しだ仙人せんにんのごとき類たぐいなり。 かくのごとき等らの、 *業風ごうふうのために吹ふかれて自じ在ざいを得えざることあり。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル国土ヲ↡、或イハ名ナ高ク位重クシテ*潜センカハル処スルニ无シ↠由ヨシ。或イハ人†凡ニ性鄙イヤシクシテ悕ネガフニ↠出デムト靡ナシ↠路。或イハ修シユナガシ短タン†繋ガレテ↠業ニ制セイスルコトスルニ 不ズ↠在アラ↠己 レニ。如キノ↢阿私陀仙人ノ↡類 ヒ也。有リ↧如キ↠是クノ等ラノ、為ニ↢業風ノ↡所レテ↠吹フカ不ルコト↞得↢自在0471ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「わが国こく土どをしておのおの所しょ求ぐに称かなひて、 情じょう願がんを満足まんぞくせしめ0078ん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言ク、使メムト↧我ガ国土ヲシテ各ノ称カナヒテ↢所求ニ↡満↦足セ情願ヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「衆しゅ生じょう所しょ願がん楽ぎょう 一切いっさい能のう満足まんぞく」 といへり。

是ノ故ニ言 タマヘリ↢「衆生所願楽0367、一切能満足ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)結成
              (ⅰ)牒偈

【27】 ^▲是故ぜこ願がん生しょう彼ひ 阿あ弥陀みだ仏国ぶつこく

*是ノ故ニ願ズクハ↠生↢ゼムト彼ノ 阿弥陀仏国ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)釈義

 ^この二句にくは上かみに十じゅう七しち種しゅ荘しょう厳ごん国こく土ど成じょう就じゅを観察かんざつするは、 願がん生しょうする所以ゆえんなることを結けつ成じょうす。 ^器き世せ間けん清浄しょうじょうを釈しゃくすること、 これ上かみに訖おわりぬ。

此ノ二句ハ†結↧成ス上ニ観↢察スルハ十七種荘厳国土成就ヲ↡所↦以ナルコトヲ願生スル↥。釈スルコト↢器世間清浄ヲ↡、訖オハリヌ↢之 レ†于上ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)【衆生世間】
            (Ⅰ)分章
              (ⅰ)正しく章を分つ

【28】^▼次つぎに↑衆しゅ生じょう世せ間けん清浄しょうじょうを観かんず。 この門もんのなかを分わかちて二にの別べつとなす。 一いちには阿あ弥陀みだ如来にょらいの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつす。 二ににはかのもろもろの↓菩ぼ薩さつの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつす。 如来にょらいの荘しょう厳ごん功く徳どくを観察かんざつするなかに八種はっしゅあり。 文もんに至いたりてまさに目なづくべし。

次ニ観ズ↢衆生世間清浄ヲ↡。此ノ門ノ中ヲニ分チテ為ス↢二ノ別ト↡。一ニ者ハ観↢察ス阿弥陀如来ノ荘厳功徳ヲ↡。二ニ者ハ観↢察ス彼ノ諸ノ菩薩ノ荘厳功徳ヲ↡。観↢察スル如来ノ荘厳功徳ヲ↡中ニ有リ↢八種↡。至リテ↠*文ニ当ベ ニシ↠目ナヅク。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)名義を料簡す【衆生名義】
                (a)問

 ^問とひていはく、 *ある論ろん師じ、 汎ひろく衆しゅ生じょうの*名みょう義ぎを解げするに、 それ三さん有ぬに輪転りんでんして衆しゅ多たの生しょう死じを受うくるをもつてのゆゑに衆しゅ生じょうと名なづくと。 いま仏ぶつ・菩ぼ薩さつを名なづけて衆しゅ生じょうとなす。 この義ぎいかん。

問ヒテ曰ク、有アル論師、汎ヒロク解スルニ↢衆生ノ名義ヲ↡、以テノ↧其 レ輪↢転シテ三有ニ↡受クルヲ↦衆多ノ生死ヲ↥故ニ名クト↢衆生ト↡。今名ケテ↢仏・菩薩ヲ↡為スル↢衆生ト↡。是ノ義云何ゾヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)答

^答こたへていはく、 ¬経きょう¼ (*涅槃経・意) にのたまはく、 「▼一法いっぽうに無む量りょうの名なあり、 一いち名みょうに無む量りょうの義ぎあり」 と。 衆しゅ多たの生しょう死じを受うくるをもつてのゆゑに名なづけて衆しゅ生じょうとなすがごときは、 これはこれ小乗しょうじょう家けの三界さんがいのなかの衆しゅ生じょうの名みょう義ぎを釈しゃくするなり。 大だい乗じょう家けの衆しゅ生じょうの名みょう義ぎにはあらず。

答ヘテ曰ク、¬経ニ¼言ク、「一法ニ有リ↢无量ノ名↡、一名ニ有リト↢无量ノ義↡」。如キ↧以テノ↠受クルヲ↢衆多ノ生死ヲ↡故ニ名ケテ為スガルガ↦衆生ト↥者ハ、此ハ是 レ小乗家ノ釈スルナリ↢三界ノ中 チノ衆生ノ名義ヲ↡。非ズ ザル↢大乗家ノ衆生ノ名義ニハ↡也。

^大だい乗じょう家けにいふところの衆しゅ生じょうとは、 ¬*不ふ増ぞう不ふ減げん経ぎょう¼ にのたまふがごとし。 「衆しゅ生じょうといふはすなはちこれ不ふ生しょう不ふ滅めつの義ぎなり」 と。 なにをもつてのゆゑに。 もし生しょうあらば生しょうじを0079はりてまた生しょうじ、 *無む窮ぐうの過とがあるがゆゑに、 不ふ生しょうにして生しょうずる過とがあるがゆゑなり。 このゆゑに無む生しょうなり。 もし生しょうあらば滅めつあるべし。 すでに生しょうなし。 なんぞ滅めつあることを得えん。 このゆゑに無む生しょう無む滅めつはこれ衆しゅ生じょうの義ぎなり。

大乗家ニ所ノ↠言フ衆生ト者ハ、如シ↢¬不増不*減経ニ¼言ノタマフガ↡。「言イフ↢衆生ト↡者ハ即チ是不生不滅ノ義ナリト」。何ヲ以テノ故ニ。若シ有ラバ↠生生ジ已リテ*復生ジズルニ、有ルガ↢无窮ノ過トガ↡故ニ、有ルガ↢不生ニ而シテ生ズルノ過トガ↡故ナリニ 。是ノ故ニ无生ナリ。若シ有ラバ↠生可シ↠有ル↠滅。既ニ无シ↠生。何ゾ得ム↠有ルコトヲ↠滅。是ノ故ニ无生无滅ハ是 レ衆0472生ノ義ナリ。

^¬経きょう¼ (維摩経・意) のなかに、 「*五ご受陰じゅおん、 通達つうだつするに空くうにして所しょ有うなし。 これ苦くの義ぎなり」 とのたまふがごとし。 これその類たぐいなり。

如シ↧¬経ノ¼中ニ言フガ↦「五受陰、通達スルニ空ニシテ无シ↠所有↡、是 レ†苦ノ義ナリト」↥。斯 レ其ノ類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)如来荘厳【仏】
                (a)正釈
                  (イ)【座功徳】
                    [一]牒偈

【29】 ^▲↓無む量りょう大だい宝王ほうおう 微み妙みょう浄じょう華け台だい

0368无量大宝王ノ 微妙ノ浄花台アリニイマス

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん座ざ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳座功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの座ざを荘しょう厳ごんしたまへる。 ある菩ぼ薩さつを見みそなはすに、 *末まつ後ごの身しんにおいて、 草くさを敷しきて坐ざして阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成じょうじたまふ。 人天にんでんの見みるもの、 増ぞう上じょうの信しん、 増ぞう上じょうの恭く敬ぎょう、 増ぞう上じょうの*愛あい楽ぎょう、 増ぞう上じょうの修しゅ行ぎょうを生しょうぜず。

仏本何ガ故ゾ荘↢厳シタマヘル此ノ座ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル菩薩ヲ↡、於テ↢*末後ノ身ニ↡、敷シキテ↠草ヲ而坐シテ成†ジタマフ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。人天ノ見ル者、不↠生ゼ↢増上ノ信・増上ノ恭敬・増上ノ愛楽・増上ノ修行ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ成じょう仏ぶつする時とき、 無む量りょうの大だい宝王ほうおうの微み妙みょうの浄じょう華け台だいをして、 もつて仏ぶつの座ざとなさしめん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言 マハク、我 レ成仏セム時トキ、†使メムト↣无量ノ大宝王ノ微妙ノ浄花台ヲシテ、以テ為サ↢仏ノ坐ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅲ]成就

^「↑無む量りょう」 とは、 ¬*観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまふがごとし。 「▲七宝しっぽうの地じの上うえに大宝だいほう蓮れん華げ王おうの座ざあり。 ◆蓮れん華げの一々いちいちの*葉よう、 百ひゃっ宝ぽう色しきをなす。 八万はちまん四し千せんの*脈みゃくあり。 なほ天てんの画えのごとし。 脈みゃくに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。

「无量ト」者ハ如シ↢¬観无量寿経ニ¼言フガ↡。「七宝ノ地ノ上ニ有リ↢大宝蓮花王ノ坐↡。蓮花ノ一一ノ葉、作ス↢百宝色ヲ↡。有リ↢八万四千ノ脈↡。†猶如シ↢天ノ画ノ↡。脈ニ有リ↢八万四千ノ光↡。

^◆華け葉ようの小ちいさきものは縦じゅう広こう二に百ひゃく五ご十じゅう由ゆ旬じゅんなり。 かくのごとき華けに八万はちまん四し千せんの葉ようあり。 一々いちいちの葉ようのあひだに百ひゃく億おくの*摩尼まに珠王しゅおうあり、 もつ0080て映飾ようじきとなす。 一々いちいちの摩尼まには、 千せんの光こう明みょうを放はなつ。 その光ひかりは蓋がいのごとし。 七宝しっぽう合ごう成じょうしてあまねく地じの上うえに覆おおふ。

花葉ノ小チヒサキ者ハ縦広二百五十由旬ナリ。如キノ↠是クノ花ニ有リ↢八万四千ノ葉エフ↡。一一ノ葉ノ間ニ有リ↢百億ノ摩尼珠王↡、以テ為ス↢映飾ト↡。一一ノ摩尼ハ、放ツ↢千ノ光明ヲ↡。其ノ光ハ如シ↠蓋ノ。七宝合成シテ遍ク覆オホフ↢地ノ上ニ↡。

^◆釈しゃ迦毘かび楞りょう伽が宝ほう、 もつてその台だいとなす。 この蓮れん華げ台だいは八万はちまんの金剛こんごう・甄けん叔しゅく迦か宝ほう・梵ぼん摩尼まに宝ほう・妙みょう真珠しんじゅ網もう、 もつて厳飾ごんじきとなす。

釈迦毘楞伽宝、以テ為ス↢其ノ台ト↡。此ノ蓮花台ハ八万ノ金剛・甄ケン叔シク迦宝・梵摩尼宝・妙真珠網、以テ為スル↢*厳飾ト↡。

^◆その台だいの上うえにおいて、 自じ然ねんにして*四し柱ちゅうの宝幢ほうどうあり。 一々いちいちの宝幢ほうどうは、 八万はちまん四し千億せんおくの須しゅ弥み山せんのごとし。 幢どうの上うえの宝幔ほうまんは、 夜摩やま天てん宮ぐのごとし。 五ご百ひゃく億おくの微み妙みょうの宝珠ほうしゅあり、 もつて映飾ようじきとなす。

於テ↢其ノ台ノ上ニ↡、自然ニシテ而有リ↢四柱ノ宝幢↡。一一ノ宝幢ハ、如シ↢八万四千億ノ須弥山ノ↡。幢ノ上ノ宝幔ハ、如シ↢夜摩天宮ノ↡。有リ↢五百億ノ微妙ノ宝珠↡、以テ為ス↢映飾トヲ↡。

^◆一々の宝珠ほうしゅに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。 一々いちいちの光ひかり、 八万はちまん四し千せんの異い種しゅの金色こんじきをなす。 一々の金光こんこう、 安楽あんらく宝ほう土どに遍へんす。 処々しょしょに変へん化げしておのおの異い相そうをなす。 あるいは金剛こんごう台だいとなり、 あるいは真珠しんじゅ網もうとなり、 あるいは雑ざっ華け雲うんとなる。 十方じっぽう面めんにおいて意こころに随したがひて変現へんげんし、 仏ぶつ事じを化作けさす」 と。

一一ノ宝珠ニ有リ↢八0473万四千ノ光↡。一一ノ光作ス↢八万四千ノ異種ノ金色ヲ↡。一一ノ金光遍ス↢安楽宝土ニ↡。処処ニ変化シテ各ノ作ス↢異相ヲ↡。或イハ為ナリ↢金剛台ト↡、或イハ作ナリ↢真珠網ト↡、或イハ作ナル↢雑花雲クモトノゴトクニ↡。於0369テ↢十方面ニ↡随ヒテ↠意ニ変現シ、†化↢作スト仏事ヲ↡」。

^かくのごとき等らの事じ、 数しゅ量りょうに出しゅっ過かせり。 このゆゑに 「無む量りょう大だい宝王ほうおう 微み妙みょう浄じょう華け台だい」 といへり。

如キ↠是クノ等ラノ事、出↢過セリ数量ニ↡。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「无量大宝王、微妙浄花台ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)【身業功徳】
                    [一]牒偈

【30】 ^▲相好そうごう光こう一いち↓尋じん ↓色像しきぞう超ちょう群ぐん生じょう

相好ノ光一尋ニシテナリ 色像超エタマヘリ↢群生ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]正釈
                        [ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん身業しんごう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳身業功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]本願
                          [a]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞかくのごとき身業しんごうを荘しょう厳ごんしたまへる。 ある仏身ぶっしんを見みそなはすに、 一いち丈じょうの光こう明みょうを受うけたり。 人ひとの身光しんこうにおいてはなはだしくは超ちょう絶ぜつせず。 転輪てんりん王のうの相そうのごとし。 そもそもまた大おおきに*提だい婆ば達だっ多たに同おなじ。 *減げんずるところ唯一ゆいいつなれば、 *阿あ闍じゃ世せ王おうをして、 ここをもつて乱らん0081を懐いだかしむることを致いたす。 *刪闍さんじゃ耶や等とうあへて*蟷螂とうろうのごとくするも、 あるいはかくのごとき類たぐいなり。

仏本何ガ故ゾ荘↢厳シタマヘルシタマフト如キ↠此クノ身業ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル仏身ヲ↡、受ケタリ↢一丈ノ光明ヲ↡。於テ↢人ノ身光ニ↡不ズ↢甚†シクハ超絶セ↡。如シ↢転輪王ノ相ノ↡。*抑ソモソモ亦大キニ同ジ↢†提婆達多ニ↡。所↠*減ズル唯*一†ナレバ、致イタス↠令ムルコトヲ↢阿闍世王ヲシテ以テ↠茲ヲ懐イダカ↟乱ヲ。刪サン闍ジヤ*耶ヤ等ヲシテ敢アヘテ如クスルモ↢蟷蜋ノ↡、或イハ如キク↠此クノ類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]摂取の願

^このゆゑにかくのごとき身業しんごうを荘しょう厳ごんしたまへり。

是ノ故ニ荘↢厳シタマヘリセリ   如キノ↠此クノ身業ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]成就
                          [a]詁訓

^この間けん (中国) の*詁こ訓くんを案あんずるに、 六ろく尺しゃくを↑尋じんといふ。

案ズルニ↢此ノ間ノ詁コ訓クンヲシヘヲ↡、六尺ヲ曰イフ↠尋ト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]経証

^¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (意) にのたまへるがごとし。 「▲阿あ弥陀みだ如来にょらいの身しんの高たかさ六ろく十じゅう万億まんおく那由他なゆた恒ごう河が沙しゃ由ゆ旬じゅんなり。 ◆仏ぶつの円光えんこうは百ひゃく億おくの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのごとし」 と。

如シ↢¬観无量寿経ニ¼言ノタマヘルガ↡。「阿弥陀如来ノ身ノ高タカサ六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。仏ノ円光ハ如シト↢百億ノ三千大千世界ノ↡」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][c]尋を勘ふ

^訳者やくしゃ (菩提流支)、 尋じんをもつてしていへり。 なんぞそれ晦くらきや。 *里り舎しゃの間けんの人ひと、 縦じゅう横おう長ちょう短たんを*簡えらばず、 ことごとく横よこさまに両りょう手ての臂ひじを舒のべて尋じんとなすといへり。 もし訳者やくしゃ、 あるいはこの類たぐいを取とりて用もちゐて、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの、 臂ひじを舒のべたまふに准じゅんじて言ごんをなす。 ゆゑに一尋いちじんと称しょうせば、 円光えんこうまた径さしわたし六ろく十じゅう万億まんおく那由他なゆた恒ごう河が沙しゃ由ゆ旬じゅんなるべし。

訳者以テシテ↠尋ヲ而言イヘリ。何ゾ其 レ晦クラキカラム *禾代ノ反 乎ヤ。里舎ノ間ノ人、不ズ↠簡バ↢縦横長*短ヲ↡、咸ク謂ヘリ↧横ニ舒ノベテ↢*両手ノ臂ヲ↡為スト↞尋ト。若シ訳者或イハ取リテ↢此ノ類ヲ↡用ヰテ、*准ジテ↢阿弥陀如来ノ†舒ベタマフニ↟臂ヲ†為ス↠言ヲ。故ニ称セバ↢一尋ト↡者、円光亦†応ベシ↢径サシワタシ六十万億那由他恒河沙由旬ナル↡。

^このゆゑに 「相好そうごう光こう一尋いちじん 色像しきぞう超ちょう群ぐん生じょう」 といへり。

是ノ故ニ*言 タマヘリ↢「相好光一尋、色像超群生ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]問答【法界身義】
                        [ⅰ]問

 ^問とひていはく、 ¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ にのたまはく、 「▲↓諸仏しょぶつ如来にょらいはこれ法ほう↓界かい↓身しんなり。 ↓一切いっさい衆しゅ生じょうの心想しんそうのうちに入いる。 ◆このゆゑに、 なんぢら↓心しんに仏ぶつを想おもふ時とき、 この心しんすなはちこれ三さん十じゅう二に相そう・八はち十じゅう随ずい形ぎょう好こうなり。 ↓この心しん作さ仏ぶつす。 ↓この心しんこれ仏ぶつなり。 ↓諸仏しょぶつ正しょう遍へん知ち海かいは心想しんそうより生しょうず」 と。 この義ぎいかん。

▲*問ヒテ曰0474ク、¬観无量寿経ニ¼言ノタマハク、「諸仏如来ハ是 レ法界身ナリ。入ル↢一切衆生ノ心想ノ中ニ↡。*是ノ故ニ汝等ナンダチ心ニ想フ↠仏ヲ時、是ノ心即チ是三十二相・八十随形好ナリ。是ノ心作仏ス。是ノ心是 レ仏ナリ。諸0370仏正遍知海ハ従リ↢心想↡生ズト」。是ノ義云何ゾヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]答
                          [a]是法界身を釈す
                            イ名を釈す

^答こたへていはく、 「↑身しん」 を*集成しゅうじょうと名なづく。 「↑界かい」 を*事じ別べつと名なづく。

~答ヘテ曰ク、身ヲ名ク↢集成ト↡。界ヲ名ク↢事別ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a]ロ例を引く

^眼界げんかいのごときは*根こん・色しき・空くう・明みょう・作意さいの五ご0082の因縁いんねんによりて生しょうずるを名なづけて眼界げんかいとなす。 これ*眼げんただみづからおのが縁えんを行ぎょうじて他た縁えんを行ぎょうぜず。 事じ別べつなるをもつてのゆゑなり。 耳に・鼻び等とうの界かいもまたかくのごとし。

~如キハ↢眼界ノ↡縁リテジテ↢根・色・空・明・作意ノ五ノ因縁ニヲ↡生ズルヲ名ケテ為ス↢眼界ト↡。是眼マナコ但自ミヅカラ行ジテ↢己 レガ縁ヲ↡不ズ↠行ゼ↢他縁ヲ↡。以テノ↢事別ナルヲ↡故ナリニ 。耳鼻等ノ界モ亦如シ↠是クノ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a]ハ正しく釈す

^「↑諸仏しょぶつ如来にょらいはこれ法界ほうかい身しんなり」 といふは、 「法界ほうかい」 はこれ衆しゅ生じょうの心法しんぽうなり。 心しんよく世せ間けん・出しゅっ世せ間けんの一切いっさい諸法しょほうを生しょうずるをもつてのゆゑに、 心しんを名なづけて法界ほうかいとなす。 法界ほうかいよくもろもろの如来にょらいの相好そうごうの身しんを生しょうず。 また色等しきとうのよく眼識げんしきを生しょうずるがごとし。 このゆゑに仏身ぶっしんを法界ほうかい身しんと名なづく。 この身しん、 他たの縁えんを行ぎょうぜず。 このゆゑに 「↑一切いっさい衆しゅ生じょうの心想しんそうのうちに入いる」 となり。

~言イフ↢諸仏如来ハ是法界身ナリト↡者ハ、法界ハ是 レ衆生ノ心法也。以テノ↣心能ク生ズルヲ↢世間・出世間ノ一切諸法ヲ↡故ニ、名ケテ↠心ヲ為ス↢法界ト↡。*法界能ク生ズ↢諸ノ如来ノ相好ノ身ヲ↡。亦如シ↣色等ノ能ク生ズルガ↢眼識ヲ↡。是ノ故ニ仏身ヲ名ク↢法界身ト↡。是ノ身不ズ↠行ゼ↢他ノ縁ヲ↡。是ノ故ニ入ルトナリ↢一切衆生ノ心想ノ中ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]心相即相を釈す

^「↑心しんに仏ぶつを想おもふ時とき、 この心しんすなはちこれ三さん十じゅう二に相そう・八はち十じゅう随ずい形ぎょう好こうなり」 といふは、 ▼衆しゅ生じょうの心しんに仏ぶつを想おもふ時ときに当あたりて、 仏身ぶっしんの相好そうごう、 衆しゅ生じょうの心しん中ちゅうに顕現けんげんするなり。 たとへば水みず清きよければすなはち↑*色像しきぞう現げんず、 水みずと像ぞうと一いちならず異いならざるがごとし。 ゆゑに仏ぶつの相好そうごうの身しんすなはちこれ心想しんそうとのたまへるなり。

~*心ニ想フ↠仏ヲ時、是ノ心即チ是三十二相・八十随形好ナリトイフ者ハ、†当リテ↢衆生ノ心ニ想フ↠仏ヲ時ニ↡、仏身ノ相好顕↢現スル衆生ノ心中ニ↡也。▼譬ヘバ如シ↢水清ケレバ則チ色像現ズ、水ト之コレ与↠像不ズ↠一ナラ不ルガ↟異ナラ。故ニ言ヘル↢仏ノ相好ノ身即チ是心想ト↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][c]是心作仏を釈す

^▼「↑この心しん作さ仏ぶつす」 といふは、 心しんよく仏ぶつを作つくるといふなり。

~是ノ心作仏ストイフ者ハ、言フ↢心能ク†作ルト↟仏ヲ也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][d]是心是仏を釈す

^◆「↑この心しんこれ仏ぶつ」 といふは、 心しんのほかに仏ぶつましまさず。 たとへば火ひは木きより出いでて、 火ひ、 木きを離はなるることを得えず。 木きを離はなれざるをもつてのゆゑにすなはちよく木きを焼やく。 木き、 火ひのために焼やかれて、 木きすなはち火ひとなるがごとし。

~是ノ心是仏トイフ者ハ、心ノ外ニ无マシマサザル↠仏也。譬ヘバ如シト↢火ハ従リ↠木出デテ、火不ル↠得↠離ルルコトヲ↠木ヲ也、以テノ↠不ルヲ↠離レ↠木ヲ故ニ則チ能ク焼ヤク↠*木ヲ、木†為ニ↠火ノ焼カレテ、木即チ*為ルガ↟火ト也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][e]正遍知海を釈す

^「↑諸仏しょぶつ正しょう遍へん知ち海かいは心想しんそうより生しょうず」 といふは、 「正しょう遍へん知ち」 とは0083真しん正しょうに法界ほうかいのごとくにして知しるなり。 法界ほうかい無む相そうなるがゆゑに諸仏しょぶつは*無知むちなり。 無知むちをもつてのゆゑに知しらざるはなし。 無知むちにして知しるはこれ正しょう遍へん知ちなり。 この知ち、 深広じんこうにして測しき量りょうすべからず。 ゆゑに海うみに譬たとふ。

~諸仏正遍知海ハ従リ↢心想↡生ズトイフ者ハ、正遍知ト者ハ†真正ニ如クニシテ↢法界ノ↡而知ル也。法界无相ナルガ故ニ諸仏ハ无知也。以テノ↢无知ヲ↡故ニ无シキ↠不ルコト↠知0475ラ也。无知ニシテ而知ルナル者ハ是 レ正遍知也。†是ノ知深広ニシテ不↠可カラ↢測量ス↡。故ニ譬フル↠海ニ也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)口業功徳
                    [一]牒偈

【31】 ^▲如来にょらい微み妙みょう声しょう 梵響ぼんこう聞もん十方じっぽう

如来微妙ノ声ミコエ 梵ノ*響ヒゞキ聞キコユ↢十方ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん口く業ごう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

*此0371ノ二句ハ名ク↢荘厳口業功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを興おこしたまへる。 ある如来にょらいを見みそなはすに、 名みなの尊とうとからざるに似にる。 外げ道どう人ひとを*じょう 車くるまを推おす して、 *瞿く曇どん姓しょうと称しょうするがごとし。 *道どうを成じょうずる日ひ、 声みこえはただ梵天ぼんてんに徹とおる。

仏本何ガ故ゾ興シタマヘルト↢此ノ荘厳ヲ↡。†見ソナハスニ↢有ル如来ヲ↡名ノ似ル↠不ルニ↠尊カラ。如シ↣外道†シテ↠ 推ス↠車ヲ*人*冢ノ反 人ヲ、*称スルガ↢瞿曇姓ト↡。成ズル↠道ヲ日、声ハ唯徹ル↢梵天ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ成じょう仏ぶつせんに、 妙声みょうしょうはるかに布しきて、 聞きくものをして*忍にんを悟さとらしめん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言ノタマハク、使シメムト↢我 レ成仏セムニ、妙声遐ハルカニ布シキテ、聞クカム者ヲシテ悟ラ↟忍ヲ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「如来にょらい微み妙みょう声しょう 梵響ぼんこう聞もん十方じっぽう」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「如来微妙声、梵†嚮聞十方ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)【心業功徳】
                    [一]牒偈

【32】 ^▲同どう地じ水すい火か風ふう 虚こ空くう無む分別ふんべつ

同ジテ↢地・水・火・風・ 虚空ニ↡无ナシクシテ↢分別↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん心業しんごう功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳心業功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを興おこしたまへる。 ある如来にょらいを見みそなはすに、 法ほうを説とくに、 *これは黒こく、 これは白びゃく、 これは不ふ黒こく・不ふ白びゃく、 下げ法ほう・中ちゅう法ほう・上じょう法ほう・上上じょうじょう法ほうとのたまふ。 かくのごとき等らの無む量りょう差別しゃべつの品しなあり。 分別ふんべつあるに似にたり。

仏本何ガ故ゾ興オコシタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル如来ヲ↡、説クニ↠法ヲ云フ↢此ハ黒此ハ白、此ハ不黒・不白、下法・中法・上法・上上法ト↡。有リ↢如キ↠是クノ等ラノ无量差*別ノ品シナ↡。似ニタリ↠有ルニ↢分別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ成じょう仏ぶつせ0084んに、 地じの荷負かぶするに軽重きょうじゅうの殊しゅなきがごとく、 水すいの潤長じゅんちょうするに*莦しょう 悪草あくそう かつ 瑞草ずいそうなり の異いなきがごとく、 火かの成じょう*就じゅするに芳ほう臭しゅうの別べつなきがごとく、 風ふうの起き発ほつするに眠めん悟ごの差しゃなきがごとく、 空くうの苞受ほうじゅするに開塞かいそくの念おもいなきがごとくならしめん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言 マハク、†使メムト↫我成仏セムニ如ク↣地ノ荷負スルニ无キガ↢軽重之殊シユ↡、如ク↣水ノ潤長スルニ无キガ↢莦セウ 悪草 クワチ 瑞草ナリ*括ノ音 之異↡、如ク↣火ノ成*就スルニ无キガ↢芳臭之別↡、如ク↣風ノ起発スルニ无キガ↢眠悟之差↡、如クナラ↪空ノ苞受スルニ无キガ↩開塞之念オモヒ↨。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅲ]成就

^これを内うちに得えて、 物ものを外ほかに安やすんず。 *虚むなしく往ゆきて実みちて帰かえり、 ここにおいて息やむ。

得テ↢之コレヲ†于内ニ↡、物ヲ†安ズ↢†於外ニ↡。虚シク往ユキテ実ミチテ帰リルニ、†於テ↠是ニ*于息ム。

^このゆゑに 「同どう地じ水すい火か風ふう 虚こ空くう無む分別ふんべつ」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「同地水火風、虚空无分別ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)【大衆功徳】
                    [一]牒偈

【33】 ^▲天人てんにん↓不ふ動どう衆しゅ 清浄しょうじょう智ち↓海かい生しょう

天人不動ノ衆 清浄ノ智海ヨリ生ズト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん衆しゅ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此0476ノ二句ハ名ク↢荘*厳衆功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある如来にょらいを見みそなはすに、 説法せっぽう輪りん下げのあらゆる大衆だいしゅ、 もろもろの*根こん・性しょう・欲よくは種々しゅじゅ不ふ同どうなり。 仏ぶつの智慧ちえにおいて、 もしは退しりぞきもしは没もっす。 等ひとしからざるをもつてのゆゑに、 衆しゅう、 純浄じゅんじょうならず。

仏本何ガ故ゾ起オコシタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。†見ソナハスニ↢有ル如来ヲ↡、†説法輪下ノ所有ノ†大衆、諸ノ根・性・欲ハ種種不同ナリ。於テ↢仏ノ智*恵ニ↡、若シハ退 ゾキ若シハ没ス。以テノ↠不0372ルヲ↠等ヒトシカラ故ニ、衆不↢純浄ナラ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^ゆゑに願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわれ成じょう仏ぶつせんに、 あらゆる天てん・人にんみな如来にょらいの智慧ちえ清浄しょうじょう海かいより生しょうぜん」 と。

所以コノユヘニ興オコシタマヘリ↠願ヲ。願クハ我 レ成仏セムニ、所有ノ天人皆従ヨリ↢如来ノ智*恵清浄海↡生ゼムト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ]成就
                        [ⅰ]海を釈す

^▼「↑海かい」 とは、 仏ぶつの一切いっさい種しゅ智ちは深広じんこうにして崖かぎりなく、 二に乗じょう雑善ぞうぜんの*中ちゅう・下げの死し尸しを宿やどさざることをいひて、 これを海うみのごとしと喩たとふ。 このゆゑに 「天人てんにん不ふ動衆どうしゅ 清浄しょうじょう智ち海かい生しょう」 といへり。

「海ト」者ハ†言ヒテ↢仏ノ一切種智ハ深広ニシテ无ク↠*崖カギリ、不ルコトヲ↟宿サ↢二乗雑善ノ中下ノ死▼*尸ヲ↡、喩タトフ↢之コレヲ如シト↟海ノ。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「天人不動衆、清浄智海生ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ][ⅱ]不動を釈す

^◆「↑不ふ動どう」 とは、 かの天てん・人にん、 大だい乗じょうの根こんを成じょう就じゅして傾きょう動どうすべからざるをいふなり。

「不動ト」者ハ言フ↧彼ノ天人成↢就シテ大乗ノ根ヲ↡不ルヲト ↞可カラ↢傾動ス↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)【上主功徳】
                    [一]牒偈

【008534】 ^▲如にょ須しゅ弥み山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むか者しゃ

如ク↢須弥山王ノ↡ 勝妙ニシテ无シト↢過ギタル者 ノ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん上じょう首しゅ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳上首功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを起おこしたまへる。 ある如来にょらいを見みそなはすに、 衆しゅうのなかにあるいは*強ごう梁りょうのものあり。 提だい婆ば達だっ多たの流比たぐいのごとし。 あるいは国王こくおう、 仏ぶつと並ならび治おさめて、 はなはだ仏ぶつに推ゆずることを知しらざるあり。 あるいは仏ぶつを請しょうじて*他た縁えんをもつて廃忘はいもうすることあり。 かくのごとき等らの上じょう首しゅの力ちから成じょう就じゅせざるに似にたるあり。

仏本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフ ↢此ノ願ヲ↡。*見ソナハスニ↢有ル如来ヲ↡、衆ノ中ニ或イハ有リ↢強梁ノ者 ノ↡。如シ↢提婆達多ノ流比 タグヒ ノ↡。或イハ有リ↢国*王ト与ト↠仏並ビニ治メテ不ル↟知ラ↢甚ハナハダ推ユズルコトヲ↟仏ニ。或イハ有リ↧請ジテ↠仏ヲ以テ↢他縁ヲ↡廃忘スルコト↥。有アリ↤如キ↠是クノ等ラノ似ニタル↣上首ノ力 ラ不ルニ↢成就セ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ仏ぶつとなる時とき、 願ねがはくは一切いっさいの大衆だいしゅ、 よく心しんを生しょうじて、 あへてわれと等ひとしきことなく、 ただひとり法王ほうおうとしてさらに俗王ぞくおうなからん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言 マハク、我 レ†為ラム↠仏ト時、願クハ一切ノ大衆、†无ク↢能ク生ジテ↠心ヲ敢テ与ト↠我等シキコト↡、唯一ヒトリ法王トシテ更ニ无カラムト↢俗王↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「如にょ須しゅ弥み山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むか者しゃ」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「如須弥山王、勝妙无過者ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)【主功徳】
                    [一]牒偈

【35】 ^▲↓天人てんにん丈じょう夫ぶ衆しゅ 恭く敬ぎょう繞にょう瞻仰せんごう

天人丈夫衆 恭敬シテ遶メグリテ瞻仰シタテマツルト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくは荘しょう厳ごん主しゅ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

此ノ二句ハ名ク↢荘厳主功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある仏ぶつ如来にょらいを見みそなはすに、 大衆だいしゅありといへども、 衆しゅうのなかにまたはなはだ恭く敬ぎょうせざるあり。 一いちの比丘びく、 釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつに、 「もしわがために十じゅう四しの難なんを解げせずは、 われまさにさらに余よ道どうを学がくすべし」 と語かたりしがごとし。

仏本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニタテマツルニ↢有ル仏如来ヲ↡、雖0477モ↠有リト↢大衆↡衆ノ中ニ亦有リ↠不ル↢甚ダ恭敬セ↡。†如シ↱一ノ比丘語リシガ↫釈迦牟尼仏ニ若シ不ハ↣与 メニ↠我ガ解セ↢十四ノ難ヲ↡、我 レ当ニシト↪更ニ学ス↩余道ヲ↨。

^また*居迦離こかり、 *舎しゃ利り弗ほつを謗ほうじて、 *仏ぶつ三みたび語かたりたまひしに三みたび受うけざりしがごとし。

亦如シ↧居迦離謗ジテ↢舎利弗ヲ↡、仏三タビ語リタマヒシニルニ    而三0373タビ不リシガ↞受ケ。

^またもろ0086もろの外げ道どうの輩やから、 かりに仏衆ぶつしゅに入いりてつねに仏ぶつの短とがを伺うかがひ求もとめしがごとし。

又如シ↧諸ノ外道ノ輩 ラ、仮ニ入リテ↢仏衆ニ↡而常ニ伺ウカガヒ↦求メシガ仏ノ*短トガヲ↥。

^また*第だい六天ろくてんの魔ま、 つねに仏ぶつの所みもとにおいてもろもろの留る難なんをなししがごとし。 かくのごとき等らの種々しゅじゅの恭く敬ぎょうせざる相そうあり。

又如シ↧第六天ノ魔、常ニ於シ↢仏ノ所ニ↡作ナシシガ↦諸ノ留難ヲ↥。有リ↧如キ↠是クノ等ラノ種種ノ不ル↢恭敬セ↡相↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ成じょう仏ぶつせんに、 天てん・人にん大衆だいしゅ、 恭く敬ぎょうして惓うむことなからしめん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言 マハク、使メムト↢我 レ成仏セムニ天人大衆恭敬シテ无カラ↟惓モノウムコトキコト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅲ]成就

^ただ 「↑天てん・人にん」 といふ所以ゆえんは、 浄じょう土どには女人にょにんおよび八はち部ぶ鬼き神じんなきがゆゑなり。 このゆゑに 「天人てんにん丈じょう夫ぶ衆しゅ 恭く敬ぎょう繞にょう瞻仰せんごう」 といへり。

†所↣以但言イフ↢天人ト↡者ハ、浄土ニハ无キガ↢女人及ビ八部鬼神↡故ユヘ也。是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「天人丈夫衆、恭敬遶瞻仰ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)【不虚作住持功徳】
                    [一]牒偈

【36】 ^▲観仏かんぶつ本願ほんがん力りき 遇ぐう無む空くう過か者しゃ 能のう令りょう速そく満足まんぞく 功く徳どく大だい宝海ほうかい

観ズルニ↢仏ノ本願力ヲ↡ 遇マウアヒテ无シ↢空シク過グル者 ノ↡ 能ク令ムト↣速ニ満↢足セ 功徳ノ大宝海ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この四句しくは荘しょう厳ごん不ふ虚作こさ↓住じゅう持じ功く徳どく成じょう就じゅと名なづく。

▼此ノ四句ハ名ク↢荘厳不虚作住持功徳成就ト↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある如来にょらいを見みそなはすに、 ただ声しょう聞もんをもつて僧そうとなし、 仏道ぶつどうを求もとむるものなし。 あるいは仏ぶつに値あへども、 三さん塗ずを勉まぬかれざるあり。 *善ぜん星しょう・提だい婆ば達だっ多た・居迦離こかり等とうこれなり。 また人ひと、 仏ぶつ (釈尊) の名みょう号ごうを聞ききて無む上じょう道心どうしんを発おこせども、 悪あくの因縁いんねんに遇あひて、 退たいして声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつ地じに入いるものあり。 かくのごとき等らの空くう過かのもの、 退没たいもつのものあり。

◆仏本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル如来ヲ↡、但以テ↢声聞ヲ↡為シス↠僧ト、无シ↧求ムル↢仏道ヲ↡者 ノ↥。或イハ有リ↢値マフアヘドモ↠仏ニ而不ル↟*勉マヌカレ↢三塗ヲ↡。善星・提婆達多・居迦離等是也。又人聞キテ↢仏ノ名*号ヲ↡発セドモストモ↢无上道心ヲ↡遇ヒテ↢悪ノ因縁ニ↡、退シテ入ル↢声聞・辟支仏地ニ↡者 ノアリ。有リ↢如キ↠是クノ等ラノ空過ノ者 ノ退没ノ者 ノ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ成じょう仏ぶつする時とき、 われに値ち遇ぐうするものをして、 みな速疾そくしつに*無む上じょう大宝だいほうを満足まんぞくせしめん」 と。

◆是ノ故ニ願ジテ言 マハク、▼使メムト↧我 レ成仏セム時、値↢遇セム我ニ↡者ヲシテ皆速ソク疾シチニ満↦足セ无上大宝ヲ↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「観仏かんぶつ本願ほんがん力りき 遇ぐう無む空くう過か者しゃ 能のう令りょう速そく満足まんぞく 功く徳どく大だい宝海ほうかい」 といへり。 ^「↑住じゅう0087持じ」 の義ぎは△上かみのごとし。

是ノ故ニ言 マヘリフ↢「観仏本願力、遇无空過者、能令速満足、功徳大宝海ト」↡。住持ノ義ハ如シ↠上ノ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)総結

^仏ぶつの荘しょう厳ごん八種はっしゅの功く徳どくを観かんずること、 これ上かみに訖おわりぬ。

観ズルコト↢仏ノ荘厳八種ノ功徳ヲ↡、訖リヌ↢之 レ†于上ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)菩薩荘厳【菩薩】
                (a)標目
                  (イ)正標

【37】^▼次つぎに安楽あんらく国こくのもろもろの↑大だい菩ぼ薩さつの四し種しゅの荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観かんず。

次0478ニ観ズゼヨ↢安楽国ノ諸ノ大菩薩ノ四種ノ荘厳功徳成就ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)問答
                    [一]問

 ^問とひていはく、 如来にょらい (阿弥陀仏) の荘しょう厳ごん功く徳どくを観かんずるに、 なんの闕けっ少しょうせるところありてか、 また ˆ浄じょう土どのˇ 菩ぼ薩さつの功く徳どくを観かんずることを須もちゐるや。

問ヒテ曰ク、観ズルニ↢如来ノ荘厳功徳ヲ↡、何ノ所 ロアリテカ↢闕少セル↡、復†須ヰル↠観ズルコトヲ↢菩薩ノ功徳ヲ↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]答
                      [Ⅰ]主伴具足を審かにす

^答こたへていはく、 明君めいくんましますときにはすなはち賢臣けんしんあるがごとし。 *堯ぎょう・舜しゅんの無為むいと称しょうせしは、 これその比たぐいなり。 もしただ如来にょらい法王ほうおうましませども、 大だい菩ぼ薩さつの法臣ほうしんなからしめば、 道どうを*翼讃よくさんするにおいてあに満みつといふに足たらんや。 また薪たきぎを積つみて小すくなきときには、 すなはち火ひ大おおきならざるがごとし。

答ヘテ曰ク、如シ↧有ストキニハストキンバ↢明君メイクン↡則チ有ルガ↦賢臣↥。尭0374舜之称セシハ↢无為ト↡、是 レ其ノ比也。若シ使シメバ↧但有マシマセドモ↢如来法王↡而无カラ↦大菩薩ノ法臣↥、於テ↣翼ヨク↢讃スルニ道ヲ↡豈ニ足タラムヤ↠云フニハムニ↠満ツト。亦*如シ↢薪タキギヲ𧂐ツミテ小スクナキトキニハキトキンバ則チ火不ルガ↟大キナラ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]仏徳の広大を成ず

^*経きょうにのたまふがごとし。 「▲阿あ弥陀みだ仏国ぶつこくに無む量りょう無む辺へんのもろもろの大だい菩ぼ薩さつあり。 観かん世ぜ音おん・大勢だいせい至し等とうのごときは、 みなまさに一いっ生しょうに他た方ほうにおいて*次ついで仏処ぶっしょに補ふすべし」 と。 もし人ひと、 名みなを称しょうして憶念おくねんするもの、 帰依きえするもの、 観察かんざつするものは、 ¬法華ほけ経きょう¼ の 「*普ふ門品もんぼん」 に説とくがごとく、 願がんとして満みたざることなし。 ^しかるに菩ぼ薩さつの功く徳どくを愛あい楽ぎょうすることは、 海うみの、 流ながれを呑のみて*止し足そくの情じょうなきがごとし。

如シ↢¬経ニ¼言フガ↡。「阿弥陀仏国ニ有リ↢无量无辺ノ諸ノ大菩薩↡。如キハ↢観世音・大勢至等ノ↡、皆当ニシト↧一生ニ於シ↢他方ニ↡次ギテイデ補ス↦仏処ニ↥」。若シ人称シテ↠名ヲ憶念スル者 ノ、帰依スル者 ノ、観察スル者 ノハ、如ク↢¬法花経ノ¼「普門品ニ」説クガ↡、无シ↢願ジテトシテ不ルコト↟満タ。然ルニ菩薩ノ愛↢楽スルコトハ功徳ヲ↡、如シ↣海ノ呑ノミテンデ↠流ヲ无キガ↢*止足ノ情↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅲ]功徳を愛楽す

^また釈しゃ迦か牟尼むに如来にょらい、 一いちの*目闇もくあんの比丘びく (*阿楼駄) の吁うれへてまうすを聞きこしめすがごとし。 「たれか功く徳どくを愛あいするも0088の、 わがために針はりを維つなげ」 と。 その時ときに如来にょらい、 禅ぜん定じょうより起たちて、 その所ところに来到らいとうして語かたりてのたまはく、 「われ福徳ふくとくを愛あいす」 と。 つひにそれがために針はりを維つなぎたまふ。 その時ときに*失しつ明みょうの比丘びく、 暗そらに仏ぶつ語ごの声みこえを聞ききて、 驚きょう喜きこもごも集あつまりて仏ぶつにまうしてまうさく、 「世せ尊そん、 世せ尊そんの功く徳どくはなほいまだ満みたずや」 と。 仏ぶつ報こたへてのたまはく、 「わが功く徳どくは円満えんまんせり。 また須もとむべきところなし。 ただわがこの身みは功く徳どくより生しょうず。 功く徳どくの恩分おんぶんを知しるがゆゑに、 このゆゑに愛あいすといふ」 と。

亦如シ↣釈迦牟尼如来聞キコシメスガ↢一ノ目闇ノ比丘ノ吁ウレヘテ言マフスヲ↡。誰 レカ愛スルモノシテ  ↢功徳ヲ↡、†為ニ↠我ガ維ツナゲト↠針ヲ。爾ノ時ニ如来従リ↢禅定↡起タチテ、来↢到シテ其ノ所ニ↡語カタリテ言 マハク、我 レ愛スト↢福徳ヲ↡。遂ニ†為ニ↠其ガ維ツナギタマフ↠針ヲ。爾ノ時ニ失明ノ比丘、*聞キテ↢暗ソラニ仏語ノ声ミコヱヲ↡、驚喜†交コモゴモ集アツマリテ白シテ↠仏ニ言 フサク、世尊、世尊ノ功徳ハ猶ナホ未ズ ダ↠満タ耶ヤト。仏報コタヘテ言ク、我ガ功徳ハ円満セリ。无シ↠所 ロ↢復 タ†須モトムベキ↡。但我ガ此ノ身ハ従リ↢功徳↡生ズ。知ルガ↢功徳ノ恩分ヲ↡故ニ、是ノ故ニ言イフト↠愛スト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅳ]結答

^問とふところのごとく、 仏ぶつ (阿弥陀仏) の功く徳どくを観かんずるに、 実じつに願がんとして充みたざるはなし。 また諸しょ菩ぼ薩さつの功く徳どくを観かんずる所以ゆえんは、 上かみのごとく種々しゅじゅの義ぎあるがゆゑなるのみ。

如ク↠所ノ↠問フ観ズルニ↢仏ノ功徳ヲ↡、実ニ无シ↢願トシテ不ザルハ↟充ミタ。所↣以 ユヘ 復タ観ズル↢*諸菩薩ノ功徳ヲ↡者ハ、有ルガ↢如ク↠上ノ種種ノ義↡故 ヘナル耳ナラクノミト。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正釈
                  (イ)【不動而至功徳】
                    [一]牒偈

【38】 ^▲安楽あんらく国こく清浄しょうじょう 常じょう転てん無垢むく輪りん 化け仏ぶつ菩ぼ薩さつ日にち 如にょ須しゅ弥み住じゅう持じ

安楽国ハ清浄ニシテ 常ニ転ズ↢无垢ノ輪ヲ↡ 化仏菩薩ノ日 如シト↢須弥ノ住持スルガ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある仏ぶつ土どを見みそなはすに、 ただこれ*小しょう菩ぼ薩さつのみにして十方じっぽう世せ界かいにおいて広ひろく仏ぶつ事じをなすことあたはず。 あるいはただ声しょう聞もん・人にん・天てんのみにして利りするところ狭小きょうしょうなり。

仏0479本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル仏土ヲ↡、但是 レ小菩薩ノミニシテ不ズ↠能ハ↧於テ↢十方世界ニ↡広ク作スコト↦仏事ヲ↥。或イハ但声聞人天ノミニシテノ    所 ロ↠利スル狭小ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが国くにのうちには無む量りょうの大だい菩ぼ薩さつ衆しゅありて、 ▽本処ほんしょを動どうぜずしてあまねく十方じっぽうに至いたりて種々しゅじゅに応おう化げして、 ↓如実にょじつに修しゅ行ぎょうしてつねに仏ぶつ事じをなさん0089」 と。

是ノ故ニ興オ シタマヘリシタマフ ↠願ヲ。願クハ我ガ国ノ中 チニハ有リテ↢无量ノ大0375菩薩衆↡、不ズシテ↠動ゼ↢本処ヲ↡遍ク至リテ↢十方ニ↡種種ニ応化シテ、†如実ニ修行シテ常ニ作サムト↢仏事ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]成就
                        [ⅰ]譬1

^たとへば、 日ひの天てん上じょうにありて、 *影かげは百ひゃく川せんに現げんずるがごとし。 日ひあに来きたらんや、 あに来きたらざらんや。

譬ヘバ如シ↧日ノ在リテ↢天上ニ↡而影カゲハ現ズルガ↦百ハク川センニ↥。日豈ニ来ラム耶ヤ、豈ニ不ラム↠来ラ耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]譬2

^¬*大集だいじっ経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「たとへば、 人ひとありてよく*堤塘ていとうを治じして、 その*所しょ宜ぎを量はかりて水みずを放はなつ時ときに及およびて、 心力しんりきを加くわへざるがごとし。 菩ぼ薩さつもまたかくのごとし。 先まづ一切いっさい諸仏しょぶつおよび衆しゅ生じょうの供く養ようすべく、 教きょう化けすべき種々しゅじゅの堤塘ていとうを治じすれば、 三昧さんまいに入いるに及およびて身心しんしん動どうぜざれども、 如実にょじつに修しゅ行ぎょうしてつねに仏ぶつ事じをなす」 と。

如シ↢¬大集経ニ¼言ノタマフガ↡。「譬ヘバ如シ↧有リテ↠人善ヨク治チシテ↢堤塘テイタウヲ↡、量ハカリテ↢其ノ所宜ヲ↡及ビテ↢放ツ↠水ヲ時 キニ↡、不ルガ↞加クワヘ↢心力ヲ↡。菩薩モ亦如シ↠是クノ。先ヅ治スレバ↧一切諸仏及ビ衆生ノ応クジ↢供養スニ↡応キズル↢教化スニ↡種種ノ堤塘ヲ↥、及ビテ↠入ルニ↢三昧ニ↡身心不レドモ↠動ゼ、†如実ニ修行シテ常ニ作スト↢仏事ヲ↡。」

^「↑如実にょじつに修しゅ行ぎょうす」 とは、 つねに修しゅ行ぎょうすといへども、 *実じつに修しゅ行ぎょうするところなし。

如実ニ修行スト者ハ、雖モ↢常ニ修行スト↡実ニ无シキ↠所 ロ↢修行スル↡也。

^このゆゑに 「安楽あんらく国こく清浄しょうじょう 常じょう転てん無垢むく輪りん 化け仏ぶつ菩ぼ薩さつ日にち 如須にょしゅ弥み住じゅう持じ」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリヘリト↢「安楽国清浄、常転无垢輪、化仏菩薩日、如須弥住持ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【一念遍至功徳】
                    [一]牒偈

【39】 ^▲無垢むく荘しょう厳ごん光こう 一念いちねん及ぎゅう一いち時じ 普ふ照しょう諸仏しょぶつ会え 利り益やく諸しょ群ぐん生じょう

无垢荘厳ノ光 一念及ビ一時ニ 普ク照シ↢諸仏ノ会ヲ↡ 利↢益スト諸ノ群生ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある如来にょらいの眷属けんぞくを見みそなはすに、 他た方ほう無む量りょうの諸仏しょぶつを供く養ようせんと欲ほっし、 あるいは無む量りょうの衆しゅ生じょうを教きょう化けせんと欲ほっするに、 ここに没もっしてかしこに出いづ。 南みなみを先さきにして北きたを後あとにす。 一念いちねん一いち時じをもつて光ひかりを放はなちてあまねく照てらし、 あまねく十方じっぽう世せ界かいに至いたりて衆しゅ生じょうを教きょう化けすることあたはず。 出しゅつ没もつ前ぜん後ごの相そうあるがゆゑなり。

仏本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル†如来ノ眷属ヲ↡、欲シヒ↣供↢養セムト他方无量ノ諸仏ヲ↡、或イハ欲スルニフ  ↣教↢化セムト无量ノ衆生ヲ↡、此ニ没シテ彼ニ出ヅ。先 キニシテ↠南ヲ後ニス↠北ヲ。†不↠能ハ↧以テ↢一念一時ヲ↡放チテ↠光ヲ普ク照シ、遍ク至リテ↢十方世界ニ↡教↦化スルコト衆生ヲ↥。有ルガ↢出没前後ノ相↡故ナリニ 。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわが仏ぶつ土どのもろもろの大だい菩ぼ薩さつ、 一念いちねんの時ときのあひだにおいて、 あまねく十方じっぽうに至いたり0090て種々しゅじゅの仏ぶつ事じをなさん」 と。

是ノ故ニ興シタマヘリ↠願ヲ。願クハ我ガ仏土ノ諸ノ大菩薩、於テ↢一念ノ時ノ*項アヒダニ↡、遍ク至リテ↢十方ニ↡作サムトス  ↢種種ノ仏事ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「無垢むく荘しょう厳ごん光こう 一念いちねん及ぎゅう一いち時じ 普照ふしょう諸仏しょぶつ会え 利り益やく諸しょ群ぐん生じょう」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリフ ↢「无垢荘0480厳光、一念及一時、普照諸仏会、利益諸群生ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]問答
                        [ⅰ]問

 ^問とひていはく、 上かみの章しょうに、 △身みは動揺どうようせずしてあまねく十方じっぽうに至いたるといふ。 不ふ動どうにして至いたる、 あにこれ一いち時じの義ぎにあらずや。 これといかんが差別しゃべつする。

問ヒテ曰ク、上ノ章ニ云フ↧身ハ不シテ↢動揺セ↡而遍ク至ルト↦十方ニ↥。†不動ニシテ而至ル、豈ニ非ズ↢是一時ノ義ニ↡耶ヤ。与ト↠此 レ若為 イカン ガ差別スルヤ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]答

^答こたへていはく、 上かみにはただ不ふ動どうにして至いたるといへども、 あるいは前ぜん後ごあるべし。 ここには無む前ぜん無後むごといふ。 これ差別しゃべつとなす。 またこれ上かみの不ふ動どうの義ぎを成じょうずるなり。 もし一いち時じならずはすなはちこれ往来おうらいなり。 もし往来おうらいあらばすなはち不ふ動どうにあらず。 このゆゑに上かみの不ふ動どうの義ぎを成じょうぜんためのゆゑに、 すべからく一いち時じを観かんずべし。

答ヘテ曰ク、上ニハ但言ヘドモ↢不動ニシテ而至ルト↡、或イハ容ベシ↠有ル↢前後↡。此ニハ言フ↢无前无後ヲト↡。是 レ為ス↢差別ト↡。亦是成0376ズルナリ↢上ノ不動ノ義ヲ↡。若シ不ハズハ↢一時ナラニ ↡則チ是 レ往来ナリ。若シ有ラバ↢往来↡則チ非ズ↢不動ニ↡。是ノ故ニ為ノ↠成ゼム↢上ノ不動ノ義ヲ↡故ニ、須ベ クシト↠観ズ↢一時ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)【無相供養功徳】
                    [一]牒偈

【40】 ^▲雨う天楽てんがく華衣けえ 妙みょう香等こうとう供く養よう 讃さん諸仏しょぶつ功く徳どく 無有むう分別ふんべつ心しん

雨ラシテリテ ↢天ノ楽ト花ト衣ト 妙香等ヲ↡供養シ 讃ズルニ↢諸仏ノ功徳ヲ↡ 无シト↠有ルコト↢分別ノ心↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの荘しょう厳ごんを起おこしたまへる。 ある仏ぶつ土どを見みそなはすに、 菩ぼ薩さつ・人にん・天てん、 *志し趣しゅ広ひろからず、 あまねく十方じっぽう無む窮ぐうの世せ界かいに至いたりて諸仏しょぶつ如来にょらい・大衆だいしゅを供く養ようすることあたはず。

仏本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ荘厳ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル仏土ヲ↡、菩薩人天、志趣不ズ↠広カラ、不ズ↠能ハ↧遍ク至リテ↢十方无窮ノ世界ニ↡供↦養スルコト諸仏如来大衆ヲ↥。

^あるいはおのが土どの穢え濁じょくなるをもつて、 あへて浄郷じょうきょうに向詣こうげいせず。 あるいは居こするところの清浄しょうじょうなるをもつて穢土えどを*鄙ひ薄はくす。

或イハ以テ↢*己ガ土ノ穢濁ナルヲ↡不ズ↣敢テ*向↢詣セ浄郷ニ↡。或イハ以テ↢†所ノ↠居スル清浄ナルヲ↡鄙ヒイヤシ↢薄ス穢土ヲ↡。

^かくのごとき等らの種々しゅじゅの*局きょく分ぶんをもつて、 諸仏しょぶつ如来にょらいの所みもとにおいて周しゅう遍へん供く養ようして広大こうだいの0091善根ぜんごんを発ほっ起きすることあたはず。

以テ↢如キ↠此クノ等ノ種種ノ局キヨクカギル分ヲ↡、於テ↢諸仏如来ノ所ニ↡不ズ↠能ハ↣周遍供養シテ発↢起スルコト広大ノ善根ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんじてのたまはく、 「われ成じょう仏ぶつする時とき、 願ねがはくはわが国こく土どの一切いっさいの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もん・天てん・人にん大衆だいしゅ、 あまねく十方じっぽうの*一切いっさい諸仏しょぶつの大だい会えの処所しょしょに至いたりて、 天てんの楽がく・天てんの華け・天てんの衣え・天てんの香こうを雨あめふらして、 *巧妙きょうみょうの弁べん辞じをもつて諸仏しょぶつの功く徳どくを供く養ようし讃嘆さんだんせん」 と。

是ノ故ニ願ジテ言 マハク、我 レ成仏セム時、願クハ我ガ国土ノ一切ノ菩薩・声聞・天・人大衆、遍ク至リテ↢十方ノ一切諸仏ノ大会ノ処所ニ↡、雨ラシテリテ ↢天ノ楽・天ノ花・天ノ衣・天ノ香ヲ↡、以テ↢巧妙ノ辨辞ジヲ↡供↢養シ讃↣嘆セムト諸仏ノ功徳ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]成就

^穢土えどの如来にょらいの*大だい慈じ謙忍けんにんを嘆たんずといへども、 仏ぶつ土どに雑ぞう穢えの相そうあることを見みず。 浄じょう土どの如来にょらいの無む量りょうの荘しょう厳ごんを嘆たんずといへども、 仏ぶつ土どに清浄しょうじょうの相そうあることを見みず。 なにをもつてのゆゑに。 諸法しょほう等ひとしきをもつてのゆゑに、 もろもろの如来にょらい等ひとし。 このゆゑに諸仏しょぶつ如来にょらいを名なづけて*等覚とうがくとなす。

雖モ↠嘆ズト↢穢土ノ如来ノ大慈謙忍ヲ↡、不ジ↠見↣仏土ニ有ルコトヲ↢雑穢ノ相↡。雖モ↠嘆ズト↢浄土ノ如来ノ无量ノ荘厳ヲ↡、不ジ↠見↣仏土ニ有ルコトヲ↢清浄ノ相↡。何ヲ以テノ故ニ。以テノ↢諸法等シキヲ↡故ニ諸ノ如来等シ。是ノ故ニ諸仏如来ヲ名ケテ為ス↢等覚0481ト↡。

^もし仏ぶつ土どにおいて優う劣れつの心しんを起おこさば、 たとひ如来にょらいを供く養ようすれども、 法ほうの供く養ようにはあらず。

若シ於テ↢仏土ニ↡起サバ↢優劣ノ心ヲ↡、仮使 タトヒ 供↢養スレドモ如来ヲ↡、†非ズ↢法ノ供養ニハ↡也。

^このゆゑに 「雨う天楽てんがく華衣けえ 妙みょう香等こうとう供く養よう 讃さん諸仏しょぶつ功く徳どく 無有むう分別心ふんべつしん」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリヘリト↢「雨天楽花衣、妙香等供養、讃諸仏功徳、无有分別心ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)【示法如仏功徳】
                    [一]牒偈

【41】 ^▲何が等とう世せ界かい無む 仏法ぶっぽう功く徳どく宝ほう 我が願がん皆かい往おう生じょう 示じ仏法ぶっぽう如仏にょぶつ

何等ラノ世界ナリトモニカ  无マシマカラムニハサヌ   ↢ 仏法功徳ノ宝↡ 我 レ願クハ皆往生シテ 示スコト↢仏法ヲ↡如クセムト↠仏ノ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^仏ぶつ本もとなんがゆゑぞこの願がんを起おこしたまへる。 ある軟心なんしんの菩ぼ薩さつを見みそなはすに、 ただ有う仏ぶつの国こく土どの修しゅ行ぎょうを楽ねがひて慈悲じひ堅牢けんろうの心しんなし。

仏0377本何ガ故ゾ起シタマヘルシタマフト↢此ノ願ヲ↡。見ソナハスニ↢有ル軟心ノ菩薩ヲ↡、但楽ヒテ↢有仏ノ国土ノ修行ヲ↡无シ↢慈悲堅牢ノ心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑに願がんを興おこしたまへり。 「願ねがはくはわれ成じょう仏ぶつする時とき、 わが土どの菩ぼ薩さつはみな慈悲じひ勇ゆう猛みょう堅けん固ごの志し願がんありて、 よく清浄しょうじょうの土どを捨すて、 他た方ほうの仏法僧ぶっぽうそうなき処ところに至いたりて、 仏法僧ぶっぽうそうの宝ほうを住じゅう持じし0092荘しょう厳ごんして示しめすこと、 仏ぶつのましますがごとくし、 *仏種ぶっしゅをして処々しょしょに断たえざらしめん」 と。

是ノ故ニ興シタマヘリ↠願ヲ。願クハ我成仏セム時、我ガ土ノ菩薩ハ皆慈悲勇猛堅固ノニシテ志願アリテシテ 能ク捨テ↢清浄ノ土ヲ↡、至リテ↧他方ノ无マシマキサヌ↢仏法僧↡処ニ↥、住↢持シ荘↣厳シテ仏法僧ノ宝ヲ↡示スコト如クシテ↠有マシマスガ↠仏ノ、使シメムト↢仏種ヲシテ処処ニ不ラ↟断タエタ。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「何が等とう世せ界かい無む 仏法ぶっぽう功く徳どく宝ほう 我が願がん皆かい往おう生じょう 示じ仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへり。

是ノ故ニ言ノタマヘリヘリト↢「何等世界无、仏法功徳宝、我願皆往生、示仏法如仏ト」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結示

^菩ぼ薩さつの四し種しゅ荘しょう厳ごん功く徳どく成じょう就じゅを観かんずること、 これ上かみに訖おわりぬ。

観ズルコト↢菩薩ノ四種荘厳功徳成就ヲ↡、訖リヌ↢之†于上ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ニ【回向門】
          (一)科目

【42】^次つぎに下しもの四句しくはこれ↑回え向こう門もんなり。

次ニ下ノ四句ハ是レ廻廻向門ナリ。

二 Ⅰ ⅱ a ニ (二)牒偈

^▲我作がさ論説ろんせつ偈げ 願見がんけん弥陀みだ仏ぶつ ▽普共ふぐ諸しょ衆しゅ生じょう 往おう生じょう安楽あんらく国こく

我作リテ↠論ヲ説クキテ↠偈ヲ 願クハ見タテマツリ↢弥陀仏ヲ↡ 普ク共ニ↢諸ノ衆生ト↡ 往↢生セムト安楽国ニ↡

二 Ⅰ ⅱ a ニ (三)釈義

 ^この四句しくはこれ論主ろんじゅ (天親) の回え向こう門もんなり。 「回え向こう」 とは、 おのが功く徳どくを回えしてあまねく衆しゅ生じょうに施ほどこして、 ともに阿あ弥陀みだ如来にょらいを見みたてまつり、 安楽あんらく国こくに生しょうぜんとなり。

此ノ四句ハ是論主ノ廻向門ナリ。廻向ト者ハ廻シテ↢己 レガ功徳ヲ↡普ク施シテ↢衆生ニ↡、共ニ見タテマツリ↢阿弥陀如来ヲ↡生ゼムトナリ↢安楽国ニ↡。

二 Ⅰ ⅱ b 問答して機を彰す【八番問答】
        イ 論文を標す

^▲無む量りょう寿じゅ修しゅ多羅たらの章しょう句く、 われ偈げ頌じゅをもつて総そうじて説ときをはりぬ。

无量寿修多羅ノ章句、我 レ以テ↢偈*誦ヲ↡総ジテ説キ竟リヌ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ 正問答
          (一)経を引き総じて悪人正機を立つ〔第一問答〕
            (Ⅰ)問

【43】^▼*問とひていはく、 天親てんじん菩ぼ薩さつの回え向こうの章しょうのなかに、 「△普共ふぐ諸しょ衆しゅ生じょう 往おう生じょう安楽あんらく国こく」 といへるは、 これはなんらの衆しゅ生じょうとともにと指さすや。

問ヒテ曰ク、天親菩薩ノ廻向ノ章ノ中ニ言ノタマヘルハ↢「普共諸衆生、往生安楽国ト」↡、此ハ指スシタマフ↠共ニト↢何0482等ラノ衆生トヲ↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)答
              (ⅰ)大経

^答こたへていはく、 王舎おうしゃ城じょう所説しょせつの ¬*無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (下) を案あんずるに、 「仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª▲十方じっぽう恒ごう河が沙しゃの諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともに無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん功く徳どく不可ふか思議しぎなるを称しょう嘆たんしたまふ。 ◆諸しょ有うの衆しゅ生じょう、 その名みょう号ごうを聞ききて信心しんじん歓かん喜ぎし、 *すなはち一念いちねんに至いたるまで心しんを至いたして回え向こうして、 ▽かの国くにに生しょうぜんと願がんずれば、 すなはち往おう生じょうを得えて、 不ふ退転たいてんに住じゅう0093せん。 ただ五ご逆ぎゃくと誹ひ謗ほう正しょう法ぼうとを除のぞくº」 と。

答ヘテ曰ク、案ズルニ↢王舎城所説ノ¬无量寿経ヲ¼↡、「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、十方恒河沙ノ諸仏如来、皆共ニ称↢嘆シタマフ无量寿仏ノ威神功徳不可思議ナルヲ↡。諸有ノ衆生、聞キテ↢其ノレ名号ヲ↡信心歓喜シセムコト、†乃チ至ルマデ↢一念ニ↡†至シテ↠心ヲ廻向シテ、願ズレバズルハ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡即チ得エテ↢往0378生ヲ↡、住セムト↢不退転ニ↡。唯除クト↢五逆ト誹謗正法トヲ↡」。

^これを案あんじていふに、 一切いっさいの*外げ道どう・凡ぼん夫ぶ人にん、 みな往おう生じょうを得えん。

案アンジテ↠此ヲ而言フニク 、一切ノ外*道凡夫人、皆得エム↢往生ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)観経

^また ¬*観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ のごときは九く品ぼんの往おう生じょうあり。 「▲下下げげ品ぼんの生しょうとは、 ▽あるいは衆しゅ生じょうありて、 不ふ善業ぜんごうたる五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あくを作つくり、 もろもろの不ふ善ぜんを具ぐせん。 かくのごとき愚ぐ人にん、 悪業あくごうをもつてのゆゑに悪道あくどうに堕だして、 多た劫こうを経歴きょうりゃくして苦くを受うくること窮きわまりなかるべし。

又如キハ↢¬観无量寿経ノ¼↡有リ↢九品ノ往生↡。「下*下品ノ生ト者ハ、或イハ有リテ↢衆生↡、作ツクリ↢不善業タル五逆・十悪ヲ↡、具セム↢諸ノ不善ヲ↡。如キノ↠此クノ*愚人、以テノ↢悪業ヲ↡故ニ応シ↧堕シテ↢悪道ニ↡*逕↢歴シテ多劫ヲ↡受クルコト↠苦ヲ无カル↞窮リ。

^◆かくのごとき愚ぐ人にん、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 善ぜん知ぢ識しき、 種々しゅじゅに安あん慰にして、 ために妙みょう法ほうを説とき教おしへて念仏ねんぶつせしむるに遇あはん。 かの人ひと、 苦くに逼せめられて念仏ねんぶつするに遑いとまあらず。 善ぜん友ぬ告つげていはく、 ªなんぢもし念ねんずることあたはずは無む量りょう寿じゅ仏ぶつと称しょうすべしº と。

如キノ↠此クノ*愚人、臨ミテ↢*命終ノ時ニ↡、遇アハム↧善知識、種種ニ安慰シテ、為ニ説トキ↢妙法ヲ↡教ヘテ令ムルニ↦念仏セ↥。*彼ノ人苦ニ逼セメラレテ不ズ↠遑イトマアラ↢念仏スルニ↡。善友告ゲテ言ク、汝 ヂ若シ不ハ↠能ハ↠念ズルコトズルニ 者応ベシト↠称シヨウス↢无量寿仏ト↡。

^◆かくのごとく心しんを至いたして声こえをして絶たえざらしめて、 十じゅう念ねんを具ぐ足そくして ª南無なも無む量りょう寿じゅ仏ぶつº と称しょうせん。 仏ぶつの名みなを称しょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいて八はち十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞき、

如クキ↠是クノ至シテ↠心ヲ令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、具↢足シテ十念ヲ↡称セム↢南无无量寿仏ト↡。称スルガ↢仏ノ名ミナヲ↡故ニ、於テ↢念念ノ中ニ↡除†キ↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡、

^◆命終みょうじゅうの後のちに金こん蓮れん華げのなほ日輪にちりんのごとくしてその人ひとの前まえに住じゅうするを見み、 一念いちねんのあひだのごとくに▽すなはち極楽ごくらく世せ界かいに往おう生じょうを得えん。

命終之後ニ†見↧金蓮*花ノ†猶如↢クシテ日輪ノ↡住スルヲ↦其ノ人ノ前ニ↥、如クニ↢一念ノ*項アヒダノ↡即チ得エム↣往↢生スルコトヲ極楽世界ニ↡。

^◆蓮れん華げのなかにおいて十じゅう二に大劫だいこうを満みてて、 蓮れん華げまさに開ひらけん。 まさにこれをもつて五ご逆ぎゃくの罪つみを償つぐのふべし。

於シ↢蓮†花ノ*中ニ↡満テテ↢十二大劫ヲ↡、蓮華方ニ開ケム。 当ニシ↣以テ↠此ヲ償ツグノフ↢五逆ノ罪ヲ↡也

^◆観かん世ぜ音おん・大勢だいせい至し、 大だい悲ひの音おん声じょうをもつてそれがために広ひろく諸法しょほう実相じっそう、 罪つみを除滅じょめつする法ほうを説とかん。 聞ききをはりて歓かん喜ぎして、 時ときに応おうじてすなはち菩ぼ提だいの心しんを発おこさん。 ◆これを下げ品ぼん0094下げ生しょうのものと名なづく」 と。

観世音・大勢至、以テ↢大悲ノ音声ヲ↡為ニ↠其ガ広ク説カム↧諸法*実相ノ、除↢*滅スル罪ヲ↡法ヲ↥。聞キキ已リテ歓喜シテ、応ジテ↠時ニ則チ発サムセム↢菩提之心ヲ↡。是ヲ名クト↢下品下生ノ者 ノト↡」。

^この経きょうをもつて証しょうするに、 あきらかに知しりぬ、 下げ品ぼんの凡ぼん夫ぶただ正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうせざれば、 仏ぶつを信しんずる因縁いんねんをもつてみな往おう生じょうを得うと。

以テ↢此ノ経ヲ↡証スルニ、明カニ知リヌ下品ノ凡夫†但令 タダ 不レバ↣誹↢謗セ正法ヲ↡、信ズル↠仏ヲ因縁ヲモテヲシテ皆得ト↢往0483生ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)異を会し別して逆罪得生を成ず
            (Ⅰ)二経の相違を会す【逆謗除取】
              (ⅰ)二罪具欠を弁ず〔第二問答〕
                (a)問

 ^▼問とひていはく、 ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (下・意) にのたまはく、 「△往おう生じょうを願がんずるものみな往おう生じょうを得う。 ただ五ご逆ぎゃくと誹ひ謗ほう正しょう法ぼうとを除のぞく」 と。 ¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「△五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あくもろもろの不ふ善ぜんを具ぐするも△また往おう生じょうを得う」 と。 この二に経きょう、 いかんが会えする。

問ヒテ曰ク、¬无量寿経ニ¼言ノタマハク、「願ズル↢往生ヲ↡者 ノ*皆得†↢往生ヲ↡。唯除クト↢五逆ト誹謗正法トヲ↡」。¬観无量寿経ニ¼*言ノタマハク、「*五逆・十悪*具スルモセル ↢諸ノ不善ヲ↡亦得トシム↢往生ヲ↡」。此ノ二経、云何ガ*会スルセムヤ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)答

^◆答こたへていはく、 一いっ経きょう (大経) には二に種しゅの重じゅう罪ざいを具ぐするをもつてなり。 一いちには五ご逆ぎゃく、 二にには誹ひ謗ほう正しょう法ぼうなり。 この二に種しゅの罪つみをもつてのゆゑに、 ゆゑに往おう生じょうを得えず。 一いっ経きょう (観経) にはただ十じゅう悪あく・五ご逆ぎゃく等とうの罪つみを作つくるとのたまひて、 正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうすとのたまはず。 正しょう法ぼうを謗ほうぜざるをもつてのゆゑに、 このゆゑに生しょうずることを得う。

答ヘテ曰ク、一経ニハ以テナリ↠具スルヲセルヲ↢二種ノ重罪ヲ↡。一ニ者五逆、二ニ者誹謗正0379法ナリ。以テノ↢此ノ二種ノ罪ヲ↡故ニ、所以コノユヘニ不ズ↠得エ↢往生ヲ↡。一経ニハ但言ヒテ↠作ルト↢十悪・五逆等ノ罪ヲ↡、不ズ↠言ハ↣誹↢謗スト正法ヲ↡。以テノ↠不ルヲ↠謗ゼ↢正法ヲ↡故ニ、是ノ故ニ得エシムト↠生ズルコトヲ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)但謗不生を明す
                (a)謗罪極重を明す〔第三問答〕
                  (イ)問

 ^◆問とひていはく、 たとひ一人いちにんありて、 五ご逆ぎゃく罪ざいを具ぐすれども正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうせざれば、 ¬経きょう¼ (観経) に生しょうずることを得うと許ゆるす。 また一人いちにんありて、 ただ正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうして五ご逆ぎゃくの諸罪しょざいなし。 往おう生じょうを願がんぜば生しょうずることを得うやいなや。

問ヒテ曰ク、仮使 タトヒ 一人アリテハ  、具スレドモシ   ↢五逆罪ヲ↡而テ不レバ↣誹↢謗セ正法ヲ↡、¬経ニ¼許ユルス↠得ト↠生ズルコトヲ。復有リテ↢一人↡、但誹↢謗シテ正法ヲ↡而无シ↢五逆ノ諸罪↡。願ゼバ↢往生ヲ↡者得ルヤムヤ↠生ズルコトヲ以不 イナ ヤ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)答

^◆答こたへていはく、 ただ正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうせしめば、 さらに余よの罪つみなしといへども、 かならず生しょうずることを得えず。

答ヘテ曰ク、†但令 タダ 誹↢謗シテ正法ヲ↡、雖モ↣更ニ无シト↢余ノ罪↡、必ズ†不↠得エ↠生ズルコトヲ。

^◆なにをもつてこれをいふとならば、 ¬経きょう¼ (*大品経・意) にのたまはく、 「五ご0095逆ぎゃくの罪人ざいにん、 阿鼻あび大だい地じ獄ごくのなかに堕だしてつぶさに一劫いっこうの重じゅう罪ざいを受うく。 正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうする人ひとは阿鼻あび大だい地じ獄ごくのなかに堕だして、 この劫こうもし尽つきぬれば、 また転てんじて他た方ほうの阿鼻あび大だい地じ獄ごくのなかに至いたる。 かくのごとく*展転てんでんして百ひゃく千せんの阿鼻あび大だい地じ獄ごくを経ふ」 と。 仏ぶつ (釈尊)、 出いづることを得うる時じ節せつを記しるしたまはず。 誹ひ謗ほう正しょう法ぼうの罪つみきはめて重おもきをもつてのゆゑなり。

何ヲ以テ言フトナラバ↠之ヲ、¬経ニ¼言ク、「五逆ノ罪人、堕シテ↢阿鼻大地獄ノ中ニ↡具ニ受ク↢一劫ノ重罪ヲ↡。誹↢謗スル正法ヲ↡人ハ堕シテ↢阿鼻大地獄ノ中ニ↡、此ノ劫若シ尽ツキヌレバ復転ジテ至ル↢他方ノ阿鼻大地獄ノ中ニ↡。如ク↠是クノ展転シテ*逕フトイヘリ↢百千ノ阿鼻大地獄ヲ↡」。仏不ズ↠記シタマハ↢得ル↠出ヅルコトヲ時節ヲ↡。以テノ↢誹謗正法ノ罪極テ重キヲ↡故ナリ。

^◆また正しょう法ぼうはすなはちこれ仏法ぶっぽうなり。 この愚痴ぐちの人にんすでに誹ひ謗ほうを生しょうず。 いづくんぞ仏ぶつ土どに生しょうぜんと願がんずる理りあらんや。 たとひただかの土どの安楽あんらくを貪むさぼりて生しょうぜんと願がんずるは、 また水みずにあらざる氷こおり、 煙けむりなき火ひを求もとむるがごとし。 あに理りを得うることあらんや。

又正法者ハ即チ是仏法ナリ。此 ノ愚痴ノ*人既ニ生ズ↢誹謗ヲ↡。安イヅクンゾ有ラムヤ↧願ズル↠生ゼムト↢仏土ニ↡之理↥。仮使 タトヒ 但†貪リテ↢彼ノ*土ノ安楽ヲ↡而†願ズル↠生ゼムト者、亦如シ↠求ムルガメムガ↢非ザル↠水ニ之氷コホリ、无キ↠煙之火ヲ↡。豈ニ有ラムヤ↠得ルコト↠理ヲ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)謗法行相を審にす〔第四問答〕
                  (イ)問

 ^◆問とひていはく、 なんらの相そうかこれ正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうする。

問ヒテ曰ク、何ナン等ラノ相カ是誹↢謗スルヤ正法ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)答

^◆答こたへていはく、 もし仏ぶつなく、 仏ぶつの法ほうなし、 菩ぼ薩さつなく、 菩ぼ薩さつの法ほうなしといはん。 かくのごとき等らの見けん、 もしは心しんにみづから解げし、 もしは他たに従したがひて受うけ、 その心しん決けつ定じょうするをみな正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうすと名なづく。

答ヘテ曰ク、若シ言ハム↧无マシマクサズ↠仏无シ↢仏ノ法↡、无ク↢菩薩↡无シト↦菩薩ノ法↥。如キ↠是クノ等ラノ見、若シハ心ニ自ミヅカラ解シ、若シハ従ヒテ↠他ニ†受ケ、其ノ心0484決定スルヲ皆名ク↣†誹↢謗スト正法ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)罪重所因を顕す〔第五問答〕
                  (イ)問

 ^◆問とひていはく、 かくのごとき等らの計けいはただこれおのが事じなり。 衆しゅ生じょうにおいてなんの苦く悩のうありてか五ご逆ぎゃくの重じゅう罪ざいに踰こえたるや。

問ヒテ曰ク、如キ↠是クノ等ラノ計ハ但是 レ己 レガ事ナリ。於テ↢衆生ニ↡有リテカ↢何ノ苦悩↡踰コエタル↢†於五逆ノ重罪ニ↡耶ヤ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)答

^◆答こたへていはく、 もし諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつの、 世せ間けん・出しゅっ世せ間けんの善道ぜんどうを説ときて衆しゅ生じょうを教きょう化けするものなくは、 あに*仁じん・義ぎ・礼れい0096・智ち・信しんあることを知しらんや。 かくのごとき世せ間けんの一切いっさいの善法ぜんぼうみな断だんじ、 出しゅっ世せ間けんの一切いっさいの*賢げん聖じょうみな滅めっしなん。 なんぢただ五ご逆ぎゃく罪ざいの重じゅうたることを知しりて、 ▼五ご逆ぎゃく罪ざいの正しょう法ぼうなきより生しょうずることを知しらず。 このゆゑに正しょう法ぼうを謗ほうずる人ひと、 その罪つみもつとも重おもし。

答ヘテ曰ク、若シ无クハ↧諸仏・菩薩ノ説キテ↢世間・出世間ノ善道ヲ↡教↢化スル衆生ヲ↡者↥、豈ニ知ラム↠有ルコトヲ↢仁・義・礼・智・信↡耶ヤ。如キ↠是クノ世間ノ一切ノ善法皆断ジ、出0380世間ノ一切ノ賢聖皆滅シナム。汝但知シリテ↢五逆ノ罪ノ為タルコトヲ↟重而不ズ↠知ラ↧五逆罪ノ従ヨリ↠无キ↢正法↡生ズルコトヲ↥。是ノ故ニ謗ズル↢正法ヲ↡人、其ノ罪最 トモ重オモシ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)五逆得生を成立す【十念往生】〔第六問答〕
              (ⅰ)正しく得生を成ず
                (a)問
                  (イ)先牽を難ず

 ^▼問とひていはく、 *業道ごうどう経きょうにのたまはく、 「▼*業道ごうどうは称はかりのごとし。 重おもきもの↓先まづ牽ひく」 と。

▼問ヒテ曰ク、¬業道経ニ¼言ノタマハク、「業道ハ如シ↠*称ハカリノ。重キ者モノ先マヅ牽ヒクト」。

^◆¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「△人ひとありて五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あくを造つくりもろもろの不ふ善ぜんを具ぐせらん。 悪道あくどうに堕だして多た劫こうを経歴きょうりゃくして無む量りょうの苦くを受うくべし。 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 善ぜん知ぢ識しきの教おしえに遇あひて、 ª南無なも無む量りょう寿じゅ仏ぶつº と称しょうせん。 かくのごとく心しんを至いたして声こえをして絶たえざらしめて、 ▽十じゅう念ねんを具ぐ足そくしてすなはち安楽あんらく浄じょう土どに往おう生じょうすることを得う。 すなはち大だい乗じょう正定しょうじょうの聚じゅに入いりて、 畢ひっ竟きょうじて退たいせず。 三さん塗ずのもろもろの苦くと永ながく隔へだつ」 と。

如シ↢¬観无量寿経ニ¼言ノタマフガ↡。「有リテ↠人造リ↢五逆・十悪ヲ↡具セラム↢諸ノ不善ヲ↡。応シ↧堕シテ↢悪道ニ↡*逕↢歴シテ多劫ヲ↡受ク↦无量ノ苦ヲ↥。臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、遇ヒテ↢善知識ノ教ニ↡称セム↢南无无量寿仏ト↡。如クキ↠是クノ至シテ↠心ヲ令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、具↢足シテ十念ヲ↡便チ†得↣往↢生スルコトヲ安楽浄土ニ↡。即チ入リテ↢大乗正定之聚ニ↡、畢竟ジテ不ズ↠退セ。与ト↢三*塗ノ諸ノ苦↡永ク隔ヘダツトテム。」

^▼*「↑先まづ牽ひく」 の義ぎ、 理りにおいていかんぞ。

▼先マヅ牽ヒク之義、於テ↠理ニ如何 イカン ゾ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)繋業を難ず

^▼また*曠劫こうごうよりこのかた、 つぶさにもろもろの行ぎょうを造つくりて、 有漏うろの法ほうは三界さんがいに*繋け属ぞくせり。 ただ十じゅう念ねん阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじたてまつるをもつてすなはち三界さんがいを出いづ。 *繋け業ごうの義ぎまたいかんせんと欲ほっする。

▼又曠劫ヨリ已来 コノカ タ、備ツブサニ造リテ↢諸ノ行ヲ↡、有漏之法ハ*繋↢属セリ三界ニ↡。但以テ↣十念念ジタテマツルヲ↢阿弥陀仏ヲ↡便チ出ヅ↢三界ヲ↡。繋業之義復†欲スル↢云何セムト↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)答【三在釈義】
                  (イ)標

^▼答こたへていはく、 なんぢ五ご逆ぎゃく・十じゅう悪あくの繋け業ごう等とうを重じゅうとなし、 下下げげ品ぼんの人にんの十じゅう念ねんをもつて軽きょうとなして、 罪つみのために牽ひかれて0097先まづ地じ獄ごくに堕だして三界さんがいに繋け在ざいすべしといはば、 ▼いままさに義ぎをもつて*校量きょうりょうすべし。 軽重きょうじゅうの義ぎは心しんに在あり、 縁えんに在あり、 決けつ定じょうに在ありて、 時じ節せつの久く近ごん・多た少しょうには在あらず。

答ヘテ曰ク、汝†謂ハバ↫五逆・十悪ノ繋業等ヲ為シ↠重ト、以テ↢下下品ノ人ノ十念ヲ↡為シテ↠軽ト、応シト↪為ニ↠罪ノ所レテ↠牽カ先ヅ堕シテ↢地獄ニ↡繋↩在ス三界ニ↨者、今†当ニシ↢以テ↠義ヲ校*量ス↡。軽重之義ハ在リ↠心ニ、在リ↠縁ニ、在リテ↢決定ニ↡、不ル↠在ラ↢時節ノ久近多少ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)釈
                    [一]在心

^◆いかんが 「心しんに在ある」。 かの造罪ぞうざいの人にんはみづから*虚こ妄もう顛倒てんどうの見けんに依止えじして生しょうず。 この十じゅう念ねんは善ぜん知ぢ識しきの*方便ほうべん安あん慰にによりて*実相じっそうの法ほうを聞ききて生しょうず。 一いちは実じつなり、 一いちは虚こなり。 あにあひ比くらぶることを得えんや。

云何ガ在ル↠心ニ。彼ノ造罪ノ人ハ自ミヅカラ依↢止シテ虚妄顛倒ノ見ニ↡生ズ。此ノ十念者†依リテ↢善知識ノ方便安0485慰ニ↡聞キテ↢実相ノ法ヲ↡生ズ。一ハ実ナリ一ハ虚ナリ。豈ニ得ムヤ↢相 ヒ比ブルコトヲ↡。

^▼たとへば千歳せんざいの闇室あんしつに、 光ひかりもししばらく至いたらば、 すなはち明みょう朗ろうなるがごとし。 闇やみ、 あに室しつにあること千歳せんざいにして去さらじといふことを得えんや。 ^▼これを心しんに在ありと名なづく。

譬ヘバ如シ↢千歳ノ闇室ニ光 リ若シ蹔ク至ラバ即便チ明*朗ナルガ↡。闇豈ニ得ム↠言フコトヲ↢在ルコト↠室ニ千歳ニシテ而不ジト↟去ラ耶ヤ。是ヲ†名ク↠在リト↠心ニ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]在縁

^▼いかんが 「縁えんに在ある」。 かの造罪ぞうざいの人にんはみづから妄想もうぞうの心しんに依止えじし、 煩悩ぼんのう虚こ妄もうの果か報ほうの衆しゅ生じょうによりて生しょうず。 この十じゅう念ねんは無む上じょうの信心しんじんに依止えじして、 阿あ弥陀みだ如来にょらいの方便ほうべん荘しょう厳ごん真実しんじつ清浄しょうじょう無む量りょうの功く徳どくの名みょう号ごうによりて生しょうず。

云何ガ在ル↠縁ニ。彼ノ造罪ノ人ハ自ミヅカラ†依↢止シ妄想ノ心ニ↡、依リテ↢煩悩虚妄ノ果報ノ衆生ニ↡生ズ。此ノ十念者ハ依↢止0381シテ无上ノ信心ニ↡、依リテ↢阿弥陀如来ノ方便荘厳真実清浄无量ノ功徳ノ名号ニ↡生ズ。

^▼たとへば人ひとありて毒どくの箭やを被こうむりて、 中あたるところ筋すじを截きり骨ほねを破やぶるに、 滅除めつじょ薬やくの鼓つづみを聞きけば、 すなはち箭や出いで毒どく除のぞこるがごとし。

譬ヘバ如シ↧有リテ↠人被カブリテ↢毒ノ箭ヤヲ↡、所↠中アタル截キリ↠筋スヂヲ破ヤブルニ↠骨ヲ、聞ケバ↢滅除薬ノ鼓ツヅミヲ↡、即チ箭ヤ出イデ毒除ノゾコルガ↥。

^◆¬*首しゅ楞りょう厳ごん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「▼たとへば薬くすりあり、 名なづけて滅除めつじょといふ。 もし闘戦とうせんの時とき用もちゐてもつて鼓つづみに塗ぬるに、 鼓つづみの声こえを聞きけば箭や出いで毒どく除のぞこるがごとし。 菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつまたかくのごとし。 *首しゅ楞りょう厳ごん三昧ざんまいに住じゅうしてその名なを聞きけば、 三毒さんどくの箭や自じ然ねんに抜ぬけ出いづ」 と。

¬首楞厳経ニ¼言ノタマハク、「譬ヘバ如シ↧有リ↠薬、名ケテ曰フ↢滅除ト↡、若シ闘戦ノ時†用ヰテ以テ塗ルニ↠鼓ニ、聞ケバ↢鼓ノ声ヲ↡者箭ヤ出デ毒除コルガ↥。菩薩摩訶薩亦復如シ↠是クノ。住シテ↢首楞厳三昧ニ↡聞ケバ↢其ノ名ヲ↡者、三毒之箭ヤ自然ニ†抜ケ出ヅト。」

^▼あにかの箭や深ふかく毒どくはげしくして、 鼓つづみの音おん声じょうを聞きくとも、 箭やを抜ぬき毒どくを去さ0098ることあたはずといふことを得うべけんや。 これを縁えんに在ありと名なづく。

豈ニ可ベケム↠得ウ↠言フコトヲ↧彼ノ箭ヤ深ク毒厲ハゲシクシテ、聞クトモ↢鼓ノ音声ヲ↡不ジト↞能ハ↢抜ヌキ↠箭ヲ去ルコトヲ↟毒ヲ耶ヤ。是ヲ†名ク↠在リト↠縁ニ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]在決定

^▼いかんが 「決けつ定じょうに在ある」。 かの造罪ぞうあくの人にんは*有後うご心しん・*有う間心けんしんに依止えじして生しょうず。 この十じゅう念ねんは無後むご心しん・無む間心けんしんに依止えじして生しょうず。 これを決けつ定じょうと名なづく。

云何ガ在ル↢決定ニ↡。彼ノ造罪ノ人ハ依↢止シテ有後心・有間心ニ↡生ズ。此ノ十念者ハ依↢止シテ无後心・无間心ニ↡生ズ。是ヲ名ク↢決定ト↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)結

^◆三さんの義ぎを校量きょうりょうするに十じゅう念ねんは重おもし。 重おもきもの先まづ牽ひきてよく三さん有ぬを出いづ。 *両経りょうきょうは一いち義ぎなるのみ。

校↢量スルニ三ノ義ヲ↡、十念者ハ重シ。重キ者 ノ先マヅ牽ヒキテ能ク出ヅ↢三有ヲ↡。*両経ハ一義ナル耳ナラクノミト。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)念相を料簡す【十念釈義1】〔第七問答〕
                (a)問

 ^▼問とひていはく、 いくばくの時ときをか名なづけて一念いちねんとなす。

問ヒテ曰ク、幾イクバクノ時ヲカ名ケテ為スルヤ↢一念ト↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)答

^◆答こたへていはく、 百ひゃく一いちの生しょう滅めつを一いち刹せつ那なと名なづく。 六ろく十じゅうの刹せつ那なを名なづけて一念いちねんとなす。 ◆このなかに念ねんといふはこの時じ節せつを取とらず。 ただ阿あ弥陀みだ仏ぶつを憶念おくねんするをいふ。 もしは*総相そうそう、 もしは*別相べっそう、 所観しょかんの縁えんに随したがひて、 心しんに他た想そうなくして十じゅう念ねん相続そうぞくするを名なづけて十じゅう念ねんとなす。 ただ名みょう号ごうを称しょうするもまたかくのごとし。

答ヘテ曰ク、百一ノ生滅ヲ名ク↢一刹那ト↡。六十ノ刹那ヲ名ケテ為ス↢一念ト↡。此ノ中ニ云フ↠念ト者ハ不ル↠取ラ↢此ノ時節ヲ↡也。但†言フ↣憶↢念スルヲ阿弥陀仏ヲ↡。若シハ総相若シハ別相、随ヒテ↢所観ノ縁ニ↡、心ニ无クシテ↢他想↡十念相続スルヲ名ケテ為ス↢十念ト↡。但称スルモ↢名号ヲ↡亦復如シ↠是クノ。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)十数を料簡す【十念釈義2】〔第八問答〕
                (a)問

 ^◆問とひていはく、 心しんもし他た縁えんせば、 これを摂せっして還かえらしめて念ねんの多た少しょうを知しりぬべし。 ただ多た少しょうを知しるともまた*無む間けんにはあらず。 もし心こんを凝こらし想おもいを注そそげば、 またなにによりてか念ねんの多た少しょうを記きすることを得うべき。

問ヒテ曰ク、心若シ他縁セバ、摂シテ↠之ヲ令メテ↠還ラ可シ↠知リヌ↢念之多少ヲ↡。但知ルトモ↢多少ヲ↡復非ズ↢无間ニハ↡。若シ†凝シテ↠心ヲ注ゲバ↠想ヲ、復依リテカ↠何ニ可キヤ↠得↠記スルコトヲ↢念之多少ヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)答〔業事成弁〕

^◆答こたへていはく、 ¬経きょう¼ (観経) に 「△十じゅう念ねん」 とのたまへるは、 *業ごう事じ成じょう弁べんを明あかすのみ。 かならずしも*頭ず数しゅを知しることを須もちゐず。 「*蟪けい蛄こは春秋しゅんじゅうを識しらず」 といふがごとし。 この虫むにあに*朱陽しゅようの節せつを知しらんや。 知しるものこれをいふのみ。

答ヘテ曰ク、¬経ニ¼†言ヘル↢「十念ト」↡者ハ、明ス↢業事0486成*辦ヲ↡。†不ル↢必ズシモ須モチヰ↟知ルコトヲ↢頭数ヲ↡也。如シ↠†言フガ↢蟪蛄ハ不ト↟識シラ↢春秋ヲ↡。伊ノ虫豈ニ知ラム↢*朱陽之節ヲ↡乎。知シル者 ノ言イフ↠之ヲ耳ナラクノミト。

^▼*十じゅう念ねん業ごう成じょうとは、 これまた*神じんに通つうずる0099ものこれをいふのみ。 ただ念ねんを積つみ相続そうぞくして他事たじを縁えんぜざればすなはち罷やみぬ。 またなんぞ念ねんの頭ず数しゅを知しるを須もちゐることを仮からんや。 もしかならずすべからく知しるべくはまた方便ほうべんあり。 かならずすべからく*口く授じゅすべし。 これを*筆点ひってんに題だいすることを得えざれ。

†十念業成ト者ハ、是亦通ズル↠神ニ者 ノ言イフ↠之ヲ耳ノミト。但積ツミ↠念ヲ相続シテ不レバ↠縁ゼ↢他事ヲ↡便チ罷ヤミヌ。復何ゾ*†仮ラム↠須ヰルコトヲ↠知ルヲ↢念之頭数ヲ↡也。若シ必ズ須ククハ↠知ル亦有リ↢方便0382↡。必ズ†須クシ↢口授ス↡。不レト↠得↠*題スルコトヲ↢之ヲ筆点ニ↡。

無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ註ちゅう 巻かん上じょう

 

延書の底本は本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。
顛倒の善果 人間・天上界に生れる果報。 迷いの中の善果であるので顛倒てんどうという。
仏力住持して 仏の本願力が支えたもってという意。
不退の風航 風航は帆ほかけ船のこと。 不退の位に向かって順風を得た船。 退転することなくかならず仏にならしめる教法を船に喩えたもの。
経 浄土の三部経を指す。
一隅を挙げて 一部分の意味によって。
国史国紀 国史は国王の命などによって公的に記された国の歴史書。 国紀は私人によって私的に記された国の歴史書。
各別の体例 それぞれちがった体裁である。
女の大体… 女性の一般的性質はあらわしているけれども。
梵音を存じて 梵語 (サンスクリット) を音写してという意。
大饒益 大きな利り益やく。
梵音を存ぜば 梵語 (サンスクリット) を音写すればという意。
宗 もとづくところ。 本源。 帰趣。
智断 智ち徳とくと断徳だんとく。
恩を知りて徳を報ず →知ち恩おん報徳ほうとく
邪見語 我を実体視し、 それにとらわれるよこしまな見解を表す言葉。 →邪見じゃけん
自大語 自分が他よりすぐれていると思う慢心を表す言葉。
流布語 世間一般に使われる言葉。 日常語。
彼此 長行じょうごうとこの偈げ頌じゅのこと。
盲者 →補註10
大乗経論 ¬維ゆい摩ま経ぎょう¼ ¬大だい智度ちど論ろん¼ 等の経論のこと。
仮名人 仮名とは実体のないものに仮につけた名という意で、 人といっても五蘊ごうん (五ご陰おん) が因縁いんねんによって仮に和合したものであるから仮名人という。
一異の門を観ずる論 龍樹りゅうじゅ菩薩の ¬中論ちゅうろん¼ 等のこと。
上の三門 五ご念ねん門もんの中の礼らい拝はい・讃嘆さんだん・作さ願がんの三門。
下の二門 五ご念ねん門もんの中の観かん察ざつ・回え向こうの二門。
四阿含三蔵 四阿しあ含ごんなどの小乗の教えのこと。 三蔵さんぞうとは経・律・論のことで、 仏教経典の総称。 原始仏教の経典のことであるが、 大乗経典の成立以後は小乗とその経典の呼称となった。
畢竟浄 完全に煩悩ぼんのうを浄化した究極のさとりの境地。
総持 ここでは広博な経の文意を総摂そうしょうして短い偈げのなかにおさめたもつという意。
総相 器世間の十七種だけでなく二十九種荘しょう厳ごんのすべてにわたるすがた。
雑生触受 雑多な生を経て、 さまざまな苦にふれ、 その苦を受けること。
正観の由生 正しくものをみる智慧ちえより生ずるところ。
胎卵湿の生 四し生しょうのうちの胎生たいしょう・卵生らんしょう・湿生しっしょう。
高く揖め 高は遠の意で、 揖はあいさつをすること。 礼をして遠くへ去りはなれて。
続括の権… 続括はつづけて矢を射ること。 権は権術ごんじゅつの意。 菩薩が退転もせず、 諸仏の勧めもまたずに利他行をなすことを、 名人の連続して射る矢が、 次々と前の矢を支えていっておちることがないのに喩える。
労謙善譲 功労があってもみずから誇らず、 へりくだること。
陪陼 小さな山や中なか洲すのような丘。
宮観迫迮 宮殿や楼観ろうかんが狭い範囲にたてこんでいること。
土田逼隘 土地や田が狭くせせこましいこと。
国界分部せり 国境でへだてられている。
挙急 あわただしく、 うろたえること。
方丈に… 方丈は一丈四方の部屋のこと。 ここでは維摩がこの狭い部屋に三万二千人の座を設けておさめ入れたという ¬維ゆい摩ま経ぎょう¼ の説を出したもの。
無貲 はかりしれないこと。 限りがないこと。
畦畹 田畑や土地の広さをあらわす単位。
攀厭禅定 下位を厭い、 上位の天上界にのぼることをめざして禅定ぜんじょうを修すること。 凡ぼん夫ぶ・外げ道どうの観法。
無上の正見道 最高の真実を見る智慧ちえ。 →阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だい
宝王如来の性起の義 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ 「宝王如来性起品」 に、 如来の身しん口意くいのはたらきはすべて法ほっ性しょうの顕現にほかならないと説いていること。 仏果は法ほっ性しょうの理に順じて起ったものであるということ。 →性起
色 すがた。 身体。
発心 法蔵菩薩のおこされた願心。
四域 須しゅ弥み山せんの四方にある四し大だい州しゅうのこと。
三方にあまねからず 日は須弥山の回りをめぐっているので、一方を照らせば他の三方を照らさない。
十仞 仞は長さの単位。 一仞は両手を左右に広げたときの長さ。
有余にあひ忘れ 充分すぎるほどあるので、あることさえ忘れて。
高下 上下の意。
閻浮那金 閻えん浮ぶ檀金だんごんのこと。
金沙 転輪王てんりんのうが世に出るときは海の水が減じ、 底に金の道ができるとされる。 ここではこの道の金砂のこと。
便りならず 不便である。
六情 六根ろっこんに同じ。
水乳 よく調和し融合することを水と乳がよく融和することに喩えていう。
楚越 ¬荘子そうじ¼ に出る故事。 楚の国と越の国は隣接していたが、 たがいに利害が対立し、 争いがたえなかったという。 ここでは、 六根が同じ体にあっても必ずしも調和がとれていないことに喩える。
楽受 受は感覚のこと。 身心をこころよくさせる感覚。
然 草が風になびくさま。
参訳 翻訳に参加すること。
滓沫 滓はにごった泥水、 沫はしぶきやあわのこと。
凝凘 氷塊が流れること。 流氷。
 流氷がはりつめること。 結氷。
蹙架しを懐く 蹙架は迫りきて自由をうばうこと。 を懐くとは、 平常の心を失わせるという意。
序 一定の順序。
嶕嶢峻嶺 山やみねがひときわ高くけわしいさま。 嶕嶢の註 「高き貌なり」 は底本では嶕の字註として付されてある。
岝峉嶙 山に高低があり、谷やがけが深いさま。
茅 底本には 「茀」 とある。
絶目の川 一時に視界に入ってこないほどの広い水の流れ。
々 は草が風になびくさま。 荒れはてて淋しいようす。
震烈 天地をふるわすような大雨。
不祥の烖霓 不吉な天火や虹。
羅 →羅ら網もう
宮商 宮きゅう・商しょう・角かく・微ち・羽うの五音 (五種の音階) を略していったもの。 →五ご音いん七声しちせい
所尊を延請せんと欲す 人々に尊ばれる仏を招こうと請い願うこと。
業貧しく感薄きもの 善業が少なく、 よい結果を招きがたい者。
取者 文字にとらわれる者。
洪滔 大水。 洪水。
経 ¬大経¼ ¬小経¼ の取意の文。
日光 仏・菩薩の頭頂から放たれる光こう明みょう。
中国 ここではインドを世界の中心地とみて中国と呼んでいる。
経 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬大だい阿弥陀あみだ経きょう¼ ¬平びょう等覚どうがく経きょう¼ 等の取意の文。
地居 地の上にあること。 色界しきかいは空中にあるが、 極楽は七宝の大地の上にある。
別業 特別な行業ぎょうごう。 とくにすぐれた因いん位にの行い。
率土 王の率いる国土。 ここではその民のこと。
宝輪殿に… 宝輪は転輪てんりん聖じょう王おうの乗る車。 転輪聖王が車を宮殿に駐め、そこにいて国を治めると、 世は平和におさまるということ。
四域 ここは四方の意。
黄鵠… ¬列れつ異い伝でん¼ に出る故事。 子安にたすけられた鶴 (黄鵠) が、 子安の死後、 三年間その墓の上でかれを思って鳴きつづけ、 鶴は死んだが子安は蘇って千年の寿命を保ったという。 ここでは、 鶴が命の恩人である子安を思う心の強さを住持に喩えたもの。
 冬になると枯れる泉。
槐棘の… 槐棘はえんじゅといばらの木で、 中国の官位である三公と九卿きゅうけい (三槐九棘) のこと。 朝廷に仕える身分を指す。 →補註8
譏誚これによりて… 人のそしりをうけて、 全身があつくなるような恥ずかしい思いをすること。
恥辱これによりて… はずかしめられて、 氷を抱くように冷汗をかくこと。
沙を懸けて帒を指すを… 砂を入れた袋を壁にかけ、 その中に食ありと教えて、 空腹をしのぐ一時の慰めとするという喩え。
百味の嘉餚 種々さまざまな美食。
袞寵 袞は天子の礼服、 転じて天子のこと。 天子の恩寵。
斧鉞 おのとまさかり。 刑罰の道具をあらわす。 転じて重刑のこと。
蓬藜 よもぎとあかざ。 あれはてた草むら、 または貧しい家の意。
方丈を列ぬ 一丈四方にごちそうを並べるほど豪華な食事ができる身分になる。
鳴笳して… 笳はあしぶえのこと。 麻絰は喪服のこと。 出発するときは笳を吹いてにぎやかであったが、 喪服を着てかえることになってしまったという意。
女人及根欠二乗種不生 →補註10
所以 いわれ。 本旨。
一を分ちて三と説く 一乗いちじょうの法を分けて三さん乗じょうの法を説くということ。
眉を… 女性が眉をひらいて媚態びたいを呈し、誚あざけりを受けるという意。
指語に… 指語は指の動作で語ること。 →補註10
根敗の種子 芽の出ない、 腐敗した種子。 ここでは仏果を証すべき因 (種子) のない声しょう聞もん、 縁覚えんがくの二に乗じょうを喩えていう。
残欠 根欠に同じ。
会する 会通すること。 一見矛盾したように見える記述を道理に照らしあわせて、 趣意の一貫したものとして説明すること。
生処 生まれるべきところ。
天帝釈 帝たい釈しゃく天てんのこと。
橘栽 たちばな、 またはみかんの類 (柑橘類) の総称。
江北 江蘇こうそ省北部の地。 広義で長江 (揚子江) より北の地域。
河洛 黄河と洛水にはさまれた流域。 具体的には洛陽らくようの都。
菓肆 肆は店の意。 くだものを売る店のこと。
壟西 隴山ろうざんの西、隴西郡の地。 現在の甘粛かんしゅく省隴西。
趙魏 戦国七雄の趙国と魏国。 現在の河北かほく省南部、 山さん西せい省の南部と北部、 河南かなん省の北部一帯をいう。
架桁 鳥かごのとまり木。
二乗女人根欠の事なし →補註10
訥口蹇吃 口ごもってなめらかでないこと。
与奪の名… 与はほめること、 奪はそしり、 しりぞけること。 ここでは浄土にはそしりの名さえないという意。
奇 すぐれていること。
修短業に繋がれて 寿命の長短がそれぞれの業報として決定しているという意。
ある論師 小乗の論師を指す。
名義 名の意味。
無窮の過 無限にくりかえして論証が成立しない過失。
五受陰 五ご陰おんに同じ。
末後の身 菩薩が成仏する直前の身。 迷いの尽きる最後の身。
葉 はなびら。
脈 はなびらのすじ。
梵摩尼宝 梵は清浄しょうじょうの意、 きよらかな摩尼宝珠 (如意宝珠) のこと。
妙真珠網 すぐれた真珠をちりばめた飾りあみ。
四柱の宝幢 蓮れん華げ台だいの四方にある宝でできた柱。
夜摩天宮 夜摩天にある宮殿。
雑華雲 種々の色をした花で飾られた雲。
減ずるところ唯一なれば 仏身の三十二相より、 ただ一相を欠いただけということ。 提だい婆ば達だっ多たは一般には、 白毫相びゃくごうそうと千輻輪相せんぷくりんそうの二相を欠くとされる。 またこれにより 「減ずるところ唯二」 とする異本もある。
蟷螂 かまきりのこと。 ¬荘子そうじ¼ に、 かまきりが車輪に向かっていく喩えがある。
簡ばず 区別しない。
根色空明作意 眼という器官 (根)、 対象の事物 (色)、 空間 (空)、 明り (明)、 見ようという意思 (意) のこと。
眼ただ… 眼はただ色しき境きょう (もの、 すがた、 かたち) という対象 (所縁) を見るだけで、 声を聞く、 香を嗅ぐなどということはない。 ここにいう 「行ず」 は心が対象を認識するはたらきのこと。
して は車をおしかえすこと。 ここでは転じて軽んずる、 けなしおとしめるという意。
瞿曇 ここでは外げ道どうが釈尊を軽んじていういい方。
道を成ずる… 釈尊成道の時、 その名声は色界しきかいの初禅しょぜん天てんにとどいたにすぎなかったという意。
忍 無む生しょう法忍ぼうにんのこと。
これは黒これは白 黒は悪法・悪業、 白は善法・善業の意。
莦 悪い草と善い草。
就 異本には 「熟」 とある。
虚しく往きて実ちて帰り 何ももたずに出かけて、 満ちたりて帰り。 ここでは、 心を虚しくして仏に向かえば、 仏の功く徳どくが満ち入るという意。
衆 異本には 「大衆」 とある。 →大衆だいしゅ功く徳どく
根性欲 人々の素質 (機き根こん)、 習性、 望み。
中下の死尸 声しょう聞もん・縁覚えんがくの二に乗じょうのこと。 声聞乗を下乗、 縁覚乗を中乗、 菩薩乗を上乗という。 このうちの声聞 (下)・縁覚 (中) の二乗は、 最高のさとりを求める意志がなく、 仏になれないので、 死尸 (死骸の意) という。
他縁をもつて廃忘する 他のことに気をとられすっかり忘れてしまう。
仏三たび語りたまひしに…  仏は居迦離が舎利弗を謗るのを三度いさめられるが、 居迦離はいずれもききいれなかったために、 ついに地獄に堕ちたという。
第六天の魔 三界さんがいのうち欲よく界かいの最高天である他化たけ自じ在ざい天てんの王のこと。 仏道修行にはげむものを誘惑するので魔といわれる。
無上大宝 この上ないさとりの功く徳どくのことを宝に喩えていう。
堯舜の無為と称せしは 堯・舜は中国の伝説上の王の名。 それぞれ、 すぐれた臣下を持ちみずから何事もしないで天下を泰平におさめたとされることから無為といい、 中国における政事の理想とされる。
経 引用は ¬大経¼ の上巻、 下巻および ¬小経¼ からの取意の文。
次いで仏処に補す 次に仏の位をおぎなう。 →一生いっしょう補ふ処しょ
止足の情 満ち足りた気持ち。
目闇の比丘 →補註10
失明の比丘 →補註10
影 水面にうつった太陽のすがた。
所宜を量りて ちょうどよい時をはかって。
実に修行… 修行したことに少しのとらわれもないということ。
一切諸仏の大会 あらゆる仏たちの説法の会座。
巧妙の弁辞 たくみな弁才。 理解・表現の能力が自由自在であること。
大慈謙忍 衆しゅ生じょう救済のために、 忍んで身をへりくだること。
問ひていはく… →補註3
すなはち…回向して 親鸞聖人は 「乃至一念せん。 至心に回向せしめたまへり」 (信文類訓) と読まれた。
外道凡夫人 異本には 「外凡夫人」 とある。 凡夫の位を内・外にわけたとき、 十じゅう住じゅう・十行じゅうぎょう・十じゅう回え向こうの三賢さんげん位の賢者を内凡ないぼんというのに対し、 十信じっしん以下の善悪の凡夫を外げ凡ぼんという。 また五逆謗ほう法ぼう以外の凡夫人のこととする説もある。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。 五常ごじょうのこと。
先づ牽くの義 義は重い方が先に報いがあらわれるという道理。
虚妄顛倒の見に依止して 真実の理にそむいた誤った見解をよりどころにして。
方便安慰 いろいろてだてをして教え、 心を安らかにすること。
実相の法 名号には仏のさとられた諸法しょほう実相じっそうの徳が含まれているので、 仏の名号のことを実相という。
両経 ¬観経¼ と業を説く教典のこと。
頭数 念仏の回数の意。
蟪蛄 夏のおわりに鳴く蝉。
朱陽の節 夏の季節。
神に通ずるもの 神通力じんずうりきを持つ仏のこと。
筆点に題する 筆で書き記す。
底本は◎本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 大きな相違を†、小違および加は緑茶・減は灰で示したˇ。 Ⓐ高野山寶壽院蔵鎌倉時代書写本(上巻)、 Ⓑ大阪府金剛寺蔵保延四年書写本(下巻)、 Ⓒ山口県常満寺蔵室町時代刊本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
○「第一序分」と右傍註記
於 Ⓐになし
醤→Ⓓ将
无顧ノ悪人→○无キ↠顧コト↠悪ヲ人
優→Ⓐ憂
波→ⒶⒷⒸ婆
衍 ○「衍字[口且反 学也]と下欄註記
致 左Ⓓムネ
風航 左Ⓓホカケブネ
○「第二正宗分三 一大意」と右傍註記
号 ○號を号と上欄訂記
数→ⒶⒹ薮
服膺 左Ⓓシタガヒ ヨハキ モチヰ
釈ス。梵ニ言フハ↢「優婆提舎ト」↡→○釈ス↢梵言ヲ↡。「優婆提舎ハ」
体例ナリ。然ルニ→○体例然シカナリ。
之 Ⓐ人イと右傍註記
是 Ⓐになし(是イと右傍註記)
数→Ⓓ薮 ○数を藪と上書訂記し、 さらに藪ソと左傍註記
ナリ→○ニ
議 ○「或本義字也」と上欄註記
不レドモ→○不ズ
仍 ○「仍字 如ジヨ承反」と左傍註記
以テ誦ス↠経ヲ。為ノ↢総摂セムガ↡故ナリ→○以テ↢誦経ヲ↡為スルガ↢総摂ト↡故ニ
以テ釈ス↠偈ヲ。為ノ↢解義ノ↡→○以テ↢釈偈ヲ↡為スルガ↢解義ト↡
言フ↢无量寿如来ヲ↡。→○言イフコヽロハ无量寿如来
行ハル↢于世ニ↡→○行↠于↠世
願ズルノ↠生ゼムト↢彼ノ安楽浄土ノ如来ノ浄花ノ中ニ↡生ナリ。→○願ズ↠生ト↢彼ノ安楽浄土ニ↡、如来浄花ノ中ニ生ズルガ…
者 Ⓐになし
揵→Ⓓ健
某→◎ⒶⒸ其
○「三入文二 一総説分即上巻也」と右傍註記
相→Ⓐ想(相と上欄註記)
従第三行 Ⓐになし(従第三行イと右傍註記)
一→Ⓓ四
末→◎未 ○未を末と上書訂記し、 さらに末と下欄註記
世 Ⓐ論イと上欄註記
世 Ⓐ註云イと上欄註記
知ルナリ↣此ノ言ハ帰シタテマツルト↢于釈迦ニ↡→○知ヌ此ノ言ハ帰シタテマツルナリ↠於ニ↢釈迦↡
帰于 ○皈于を帰於と上欄訂記
如シ↧…由アルガ↥。知リテ↠恩ヲ報ズ↠徳ヲ→○如シ↧…由ルガ↦知テ↠恩ヲ報ズルニ↞徳ヲ
ノ→○ハ
己→Ⓐ己と上欄註記
達 左Ⓓサトル
督 左Ⓐアキラム ○「督字 アキラカナリ勤也率也正也」と上欄註記
願ズ↠…。→○願ズルコト↠…、
何以→Ⓐ以何
自指之言ニシテ→○自ミヅカラ指 シフル↠之ヲ言コトバナリ
然礼拝 Ⓐになし(然禮拝イと右傍註記)
推セバ、帰命ヲ→○推セバ↢帰命ヲ↡、
以 Ⓒになし
言ヘリ↧「…故ナリト」↥。→○言ク、「…故トナリ。」
如実ニ→○如ク↠実ノ
頑→Ⓐ碩(頑イと右傍註記)
洽→Ⓐ給
→ⒶⒹ霑
恰→◎Ⓐ捨
主→Ⓐ王(主イと右傍註記)
如キ↢凡夫ノ所ノ↟謂フ→○如キ↢凡夫ノ↡所ユル↠謂イハ
如キ↢凡夫ノ所ノ↟見ル実ノ生死ハ→○如キハ↢凡夫ノ所ノ↠見ル実ノ生死ノ↡
所有→○所ユルコト↠有アラ
与タメニ↢後念ノ↡→○与ト↢後念↡
亦→Ⓓ亦[復]
波→ⒸⒹ婆
起ス↠下ヲ偈ナリ→○起ス↢下ノ偈ヲ↡
故→ⒶⒹ故[得] ○得 上欄補記
名ク→○得↠名コトヲ
憂波→Ⓓ優婆
相 Ⓐになし
恵→Ⓓ慧 ○恵を慧と下欄訂記
所謂ル→○所ユル↠謂イハ
称→Ⓐ応
右○「ノ」を「カナヘルガ」と上書訂記
間 右○「ノ」を「ヲ」と上書訂記
見ソナハスニ↢三界ヲ↡…衆生締シバラレテ↢此ノ三界ニ↡、顛倒・不浄ナリ。→○見ミソナハシテ↧三界ハ…衆生締マツワルヽヲ↦此ノ三界、顛倒ノ不浄ニ↥、
尺音蠖 左Ⓐヲギムシ
申→Ⓓ伸
循→◎ⒶⒸ修 ○修を循シウと上欄訂記
如シ↢…自縛スルガ↡→○如クナリ↢…自ミヅカラ縛マツワル↡
置キテ↢衆生ヲ於不虚偽ノ処、於不輪転ノ処、於不无窮ノ処ニ↡→○置テ↣衆生ヲ於ニ↢不虚偽ノ処↡、於ニ↢不輪転ノ処、於↢不无窮処↡
道→Ⓐ道[者]
者 Ⓐになし
倚 左Ⓐタノム カヽル ヨル
伏 左Ⓐヤスム カヽル イコフ
无際ナリ→○无シ↠際キワ
→ⒶⒹ拘
由生→○由ユヘヨリ生ズルナリ
生→Ⓐ有(生イと右傍註記)
維 左→Ⓐツナグ
権→Ⓐ催(權イハカリゴトと右傍註記) ○権ゴンハカリゴト
抑モ是近言ナリ→○抑オサフ↢是 レ近キ言コトバヲ↡
陜→◎Ⓒ→Ⓐ浹 →○カウ
左Ⓐメグル
堕→○堕ズイ反アヤウシ
成→Ⓓ城
阜→○阜ヲヽシ
式→Ⓓ或
陘→Ⓐ径(陘イと上欄註記) →○陘ケイホトリ
山→◎○ⒶⒸ小
陪→○陪ハイマサル
父→◎○Ⓒ文
陼→○陼シヨカギル
緒→Ⓓ渚
丘之 Ⓐ水中高シと右傍註記
迫迮→○迫ハクセマリ 迮サクセマル
逼隘→○逼ヒチセマリ 隘イチイヤシ
陋→Ⓓ陋[已売反]
厄→◎○Ⓒ危 Ⓐになし
部→Ⓐ障(部イと右傍註記)
クトイフ→○シトイフ
无際ナルヲ↡→○无キヲ↟際
当ニキ↠生ズ→○当ニ生ゼム
无際ニシテ→○无クシテ際 ハ
丈→Ⓒ大
苞 左Ⓐユタカニ
貲 左Ⓐツクルコト →○貲シウタカラ
支→◎Ⓒ友
畦→○畦ケイサカイ
左Ⓐナハテ アゼ
畹→○畹エンサカイ
左Ⓐアシ
遠→◎速
所→Ⓐ所[宅イ无]
苞 左○カヌ Ⓐカヌ イル
容 左○ヲサム Ⓐカヌ
陜→Ⓓ狭 左○セバシ Ⓐセマシ
覈 左○アキラカニ Ⓐアキラカ キハム
若カム↢…広ナルニ↡耶→○若ゴトキヲ↢…広ナルガ↡耶ヤ
↢攀厭禅定ヲ↡→○↣攀ヘン↢厭スルヲ禅定ヲ↡
↠悕フヲ↠出ムト→○↢悕ケネガイ出ヲ↡
出サムト↢于三界ヲ↡→○出イデムト↠于ヲ↢三界↡
。指ス↧法蔵菩薩…所ヲ↞成ズル→○、指ス↢法蔵菩薩ヲ↡。…所ナリ↠成ジタマヘル
積習 左Ⓓツム ナラフ
必然義 左Ⓓカナラズサダマルコトナリ
美 左Ⓓヨシ
。…ヲ→○、…ナレバナリ。
即→Ⓐ即[是]
為ス…。故ニ→○為セル…故ニ
○也と下欄補記
仞→Ⓐ刃(仞イと右傍註記し、宇析之七八尺曰仞と上欄註記)
○仞を刃と上書訂記
↧…得↦於仏道ヲ↥→○↧…得エ↞於ヲ↢仏道↡
於有余ニ↡→○於ヲ↟有ルコト↠余
形アラハル→○形 チトス
形アラハルレバ→○形 チナレバ
三→Ⓐ三[諸イ无]
无キ…故ナリ。→○无シ…。故ニ
宝↢重スト…↡→○宝タカラ重クスト↢…↡
珍↢翫スレドモ…↡→○珍メヅラシク翫モテアソベドモ↢…↡
楚 ○「北」と左傍註記
越 ○「南」と左傍註記
卒→Ⓐ卒[土]
父→◎○Ⓒ文
然→Ⓓ能 Ⓐ能イと右傍註記 ○然を能クと右傍訂記
参 ○或本恭ツヽシムデ字也と上欄註記
如何。是ノ→○如何 イカン ゾ是セム。
交→◎Ⓒ災
澐溺→○澐ウンウルフ 溺マウオボル
云→○亡 云を亡と上書訂記
凘→◎○ⒶⒸ澌
氷→◎○ⒶⒸ水
→Ⓐ㳌→Ⓓ浹 →○淌カウミヅノナガルカタチ を上書訂記
古→Ⓐ下
→ⒶⒹ㵩
凍→Ⓐ東
蹙→○蹙ソクセマル
架→Ⓓ枷
壊ク↠ヲ→○壊ヱトクス
壊→Ⓓ懐
失ス↠常ヲ→○失常ナリ
向サキニ→○向ムカフニ
背ウシロニ→○背ソムクニ
値→Ⓓ懼
不トイフコト↟可ナラ→○不可ナルコト↡
蘭→Ⓓ欄
嶕→Ⓐ
牛→Ⓐ中(牛イと右傍註記)
岑→Ⓐ峯
消→Ⓓ陗
崖→Ⓒ崔
卉→Ⓓ草
茅→Ⓐ茀
属スル→○属ツク
的アキラカニシテ→○的ヒトシクシテ
交→Ⓐ来(木イと右傍註記)
震烈→○震シム↢烈レチシテシムクワクヲ↡
霓→○霓ゲイ
響→Ⓐ嚮
 Ⓐイと上欄註記
→ⒶⒸⒹ霍
嚮→Ⓐ響 ○嚮を響と上書訂記
雨ラシテ↢花ト衣トヲ↡荘厳シ→○雨フリ↢花衣ノ荘厳ヲ↡
勲→Ⓓ薫
延↦請セムト所尊ヲ↥→○延ベムト↦請ヲ所尊ニ↥
貧シク感→○貧感ビンカンニシテ
悲→Ⓐ悲[心]
云→Ⓒ去
ハム。→○フコトヲ、
漫テ→○漫ミダレガハシ
恵→Ⓓ慧
使メムト↧…入リ↢仏ノ智恵ニ↡、不ラ↞…→○使シメテ↧…入ラ↦仏ノ智慧ニ↥、不ジ↠…
恵→Ⓓ慧 ○恵を慧と上書註記
是 ⒶⒹになし
梵声悟ラシムルコト→○梵声ノ悟サトリ
妙遠ナレドモ→○妙 ヘニ遠ケレドモ
ヅルナリ…。→○デテ…、
有→Ⓐ界(有イと右傍註記)
羅刹為レバ↠君ト→○羅刹ヲ為ス↠君ト
虞ウレヒ→○虞ワウクウ
岳→Ⓐ竺
屎→Ⓓ尿
圻ホトリ→○圻キシタカホコ
圻→Ⓐ析(圻イと上欄註記)
犖 左Ⓐスグルタカシ
縁リテ→○縁エントシテ
亡→Ⓐ之(亡公反と右傍註記)→Ⓒ已
慰ムル→○慰ヤスム
労 左Ⓐタシナミ
如シ↧日月灯明仏…无キガ↞→○如日月灯明仏…无ナカリキ↠
項→Ⓓ頃
身→Ⓐ身[愛]
捨テラレ↢蓬藜ニ↡→○捨ステ↢蓬ホウ藜シクヒシヲ↡
袞 左Ⓐソヨメク 衣ノナルナリ
寵→Ⓐ龍(寵イと右傍註記)
左Ⓐメグム
麻 ◎Ⓒになし ○右傍補記
歴→Ⓐ暦(歴イと右傍註記) Ⓓになし
道シ、出シテ↠麻ヲ歴経シテ催ス↠還ルコトヲ→○噵イフ↢出デヽ↠麻ヲ歴ヘ 経フルシ催サイ還スト↡
通ズル↢大義ニ↡之門→○通ズル↢大義之門ニ↡
造イタリテ↠城ニ→○造リテ↠城ヲ
成↢就スル大乗ヲ↡之門→○成↢就スル大乗之門ヲ↡
経→Ⓓ絰(聖教全書の註により補足)
以テ↠拓クヲ↠眉ヲ致シ↠誚アザケリヲ→○以テシ↢拓アゲテ↠眉ヲ致スヲ↟誚アザケリヲ
拓 左Ⓐツバナガシテ
平 Ⓐになし(平イと右傍註記)
一 Ⓐになし(一イと右傍註記)
有ラバ↣…計量シテ知ルコト↢…↡者→○有リテ↢…計量↡知ラ↢…↡者バ
稽首シ礼シタテマツルト→○稽首礼ストイヘリ
有リテ↧説ク↢…↡処↥→○有ル↠説クコト↢…↡処ニ
噵ノタマハク→○噵イハク
覈 左Ⓐホガラカニ
応シ↢於浄土ニ生ズ↡→○応シ↧於ニ↢浄土↡生ズ↥
如キ↠言フガ→○如言フ
以→Ⓐ知(以イと右傍註記)
壟→Ⓒ龍
渡ラ。彼ニ→○渡サ↠彼ニ。
須ヰム↢…言フヲ↟→○須ベ クケム↢…言フ↟
軟心菩薩 ○「軟心ノ菩薩ト云ハ金剛心ナラヌ菩薩也」と上欄註記
→Ⓓ儜
人→Ⓐ人[人]
聴クト→○聴ナリトアキラカ
譏→Ⓒ識
聾→◎Ⓒ龍 ○龍を聾レウと右傍訂記
訥 左Ⓐコトヾモリ
 ○を蹇と上書訂記し、 さらに蹇ケンと右傍訂記
左Ⓐフサグ
吃→Ⓐ𠰏 𠰏コケイコトヾモリ と上欄註記
○吃を乏と上書訂記し、 さらに乏ボフナルヲと右傍訂記
→○唖アオシ →Ⓓ瘂
有リテ↢如キ↠是クノ等↡、根→○有テ↢如キ↠是等ラノ根↡、
須クシ↠言フ…。明カナリ↣…无キコト↢…↡→○須ベ クキコト↠言フ…明アキラカナリ。…无シ↢…↡
奇 左Ⓓヨシ
牙→Ⓓ芽 左Ⓓクキ
不シテ…而→○不ルヲ…而シテ
蚌 左Ⓓカイ
使 Ⓐになし
潜 左Ⓐカクル
凡ニ性→○凡性
繋ガレテ↠業ニ→○繋ツナ業
是故→Ⓓ故我
結↧成ス上ニ観↢察スルハ…成就ヲ↡所↦以ナルコトヲ願生スル↥。→○結↣成ス上ノ観↢察スルコトヲ…成就ヲ↡、所↢以 ユヘ ニ願生ノ↡。
于上ニ↡→○于ニ↟上
文→Ⓒ及
減→◎咸
復→Ⓐ後(復イと右傍註記)
ジタマフ…。→○ジテ…、
使メムト↣…台ヲシテ、…為サ↢…↡→○使シメテ↢…台ヲ↡、…為セムト↢…↡
猶如シ↢→○猶↢如 ゴト シ
化↢作スト→○化シテ作ス↢
苦→◎○Ⓒ名 Ⓐ名イと右傍註記
末→◎Ⓐ未
厳→Ⓐ交
抑→◎Ⓒ御→Ⓓ好
…ニ↡。所↠減ズル→○…ノ所ニ↟減ズル、
減→Ⓐ感
一→Ⓒ二
ナレバ、→○ナリ。
耶→Ⓐ邪
禾→ⒸⒹ木
短 Ⓐ短と上欄註記
両→◎雨
准→Ⓓ準 Ⓐ准と上欄註記
舒ベタマフニ↟臂ヲ→○舒ノベタマハム臂ヒヂニ↡
言 Ⓐになし
為ス↠言ヲ。故ニ→○為スルガ↠言ハムト故ニ、
応シ↢径サシワタシ…由旬ナル↡→○応ベシ↠径ワタル↢…由旬ニ↡
問→◎Ⓒ間
是故汝等 Ⓐになし
法界 Ⓐになし
心 Ⓐになし
当リテ↢…時ニ↡→○当ニ…時
作ルト↟仏ヲ→○作仏スト↡
為ニ↠火ノ焼カレテ、木→○為ナル↠火ト焼キテ↠木ヲ
木→Ⓒ水
真正ニ→○真ナリ、正ナリ。
為→Ⓐ是
是ノ知→○是ニ知シリヌ
是→Ⓐ[如]是
見ソナハスニ↢…如来ヲ↡…。…。成ズル↠道ヲ日、声ハ唯徹ル↢梵天ニ↡。→○見ソナハス↧…如来ノ…、…、成ズルニ↠道ヲ曰フニ↠声ナヲ唯徹トオスヲ↦梵天ヲ↥。
シテ↠人ヲ→○人シヤニン
此→Ⓐ此[心]
人→Ⓐ令
使メムト↫…如クナラ↪…无キガ↩…↨。→○使…如ク↣…无キガ↢…↡、
冢→◎ⒶⒸ家
于内ニ↡→○于ニ↟内
安ズ→○安ヤスクス
於外ニ↡→○于ニ↟外
於テ↠是ニ于息ム→○於オイテヲヤ↢是 レ于ニ↟息ム
称→Ⓐ弥(称イと下欄註記)
嚮→Ⓓ響 ○嚮を響と上書訂記
別 Ⓐになし
括→Ⓐ栝
就→Ⓓ熟
于→Ⓓ乎
見ソナハスニ↢…如来ヲ↡…、衆不↢純浄ナラ↡。
→○見ミソナハスニ↧…如来、…衆スベテ不ルヲ↦純浄ナラ↥。
説法輪下ノ→○説タマフ↢法輪ヲ↡下モトニ、
大衆、諸ノ根・→○大衆ノ諸根ノ
厳→Ⓓ厳[大]
崖カギリ→○崖キシ
崖→Ⓓ涯
言ヒテ↢…不ルコトヲ↟宿サ→○言ク、…不ズ↠宿ヤドサ
尸→○尸ガイ
見 Ⓐ界イと上欄註記
王→Ⓐ土(「王イと右傍註記)
為ラム↠仏ト→○為タラム↠仏
无ク↢能ク生ジテ↠心ヲ…等シキコト↡→○无クシテ↢能生ノ心↡…等ヒトシカラム
如シ↱…語リシガ↫…仏ニ…当ニシト↪…学ス↩余道ヲ↨。→○如ク↧…語ラハク↢…仏ニ↡…当ニ…学 クセムトイヒシガ↦余道ヲ↥、
短 Ⓐ短イと右傍註記
所↣以→○所以コノユヘニ
勉→Ⓓ免
須ヰル↠観ズルコトヲ→○須ベ クキ↠観ズ
如 ◎Ⓑになし
止→Ⓒ心
為ニ↠我ガ維ツナゲト↠針ヲ→○為ラム↢我ガ維ヰ針シン↡
為ニ↠其ガ維ツナギタマフ↠針ヲ→○為ナラムト↢其レ維針ト↡
交コモゴモ→○交マジハリ
須モトムベキ→○須マツベキ
聞暗→Ⓓ暗聞
諸 Ⓓになし
如来ノ眷属ヲ↡→○如来ヲ↡眷属
不↠能ハ↧…照シ、…教↦化スルコト衆生ヲ↥。…→○不ズ ↠能↧…照コト↥。…教↢化コト衆生ヲ↡、…
項→Ⓓ頃
向→Ⓐ之(向イと右傍註記)
不動ニシテ而→○不ズ↠動ゼ而シテ
己ガ→○己 レガ 右「レガ」と上書訂記
所ノ↠居スル→○所居ノ
誦→Ⓓ頌
乃チ至ルマデ↢一念ニ↡→○乃至一念セム。
至シテ↠心ヲ廻向シテ、→○至心廻向シタマヘリ。
道 ⒶⒹになし(Ⓐ道イと右傍註記)
下品→Ⓒ品下
愚→◎Ⓒ遇 ○遇を愚と上欄訂記
逕→Ⓓ経
命 Ⓐになし
キ…、→○ク…。
花 ○花を華と上欄訂記
見↧金蓮花ノ…住ルヲ↦…↥→○見ルニ↢金蓮華ヲ↡…住セム↢…↡
花 ○花を華と下欄訂記
猶如クシテ→○猶如 ゴト クシテ
中→○中ウチ
彼→ⒸⒹ此
項→Ⓓ頃
実→Ⓓ宝
滅 Ⓐになし(滅イと右傍註記)
但令 タダ …得ト↢…↡→○但令シム↧…得エ↦…↥
皆得往生 ◎になし ○下欄補記
…。→○ルニ…、
言→Ⓓ言[作]
五→Ⓒ耳
具 Ⓐになし
会 左Ⓓワカツ
人→Ⓐ大
但令 タダ 誹↢謗シテ…↡→○但令メテ↣誹↢謗セ…↡
土→Ⓐ生(土イと右傍註記) ○土を生と上書訂記
貪リテ↢彼ノ土ノ安楽ヲ↡而→○貪↣彼カレ生ヲ↢安楽ニ↡而ジテ
願ズル↠生ゼムト者→○願ゼ↠生ヲ者バ
受ケ、其ノ心→○受ケ↢其ノ心ヲ↡
↣誹↢謗スト正法ヲ↡→○↢誹謗正法ト↡
↢於…重罪ニ↡→○↠於ニ↢…重罪↡
称→Ⓓ秤
塗 左Ⓓミチ
得↣往↢生スルコトヲ…↡。→○得往↢生シテ…↡、
繋属 左Ⓓツナギツナグ
欲スル↢云何セムト↡→○欲オモハムヤ↢云何ガ↡
謂ハバ↫…応シト↪…繋↩在ス三界ニ↨者→○謂…応ベク↧…繋↦在ス三界ニ↥者ハ
当ニシ↢…校量ス↡。…義ハ→○当ニシ↣…校↢量ス…義ヲ↡。
依リテ↢…安慰ニ↡聞キテ↢…↡→○依リテ↣…安慰シテ聞クニ↢…↡
名ク↠在リト↠心ニ→○名ク↢在心ト↡
依↢止シ→○依リ↢止マリ
量 左Ⓓハカラフ
朗 左Ⓓホガラカナリ
用ヰテ以テ塗ルニ↠鼓ニ→○用↢以テ塗ル ヲ↟鼓ニ
抜ケ出ヅト→○抜出スト
名ク↠在リト↠縁ニ→○名ク↢在縁ト↡
両→◎Ⓒ雨
言フ↣→○言イフコヽロハ
言フ↣憶↢念スルヲ…仏ヲ↡。…別相、→○言イフコヽロハ憶↢念シテ…仏ノ…別相ヲ↡、
凝シテ↠心ヲ注ゲバ↠想ヲ→○凝心注想セバ
辦→Ⓓ辨ワキマフ
言ヘル↢「十念ト」↡→○言ノタマハク「十念」
ル…也。→○レト…也、
言フガ↢…不ト↟…。…乎→○言ガ↧…不ズ↠…、乎ヤト↥
朱 左Ⓓアカシ
仮→Ⓓ暇
十念業成ト→○十念ノ業成ズトイフ
仮ラム↠須ヰルコトヲ↠知ルヲ…→○仮ニ須モチヰム↠知ルコトヲ…
須クシ→○須ベシ
題 左Ⓓシルス