無量寿経むりょうじゅきょう優婆うば提舎だいしゃ願生偈がんしょうげちゅう かんじょう

*婆藪ばそばんさつぞう *曇鸞どんらんほっ註解ちゅうげ

浄土論大綱 本論分斉

【1】 つつしみて*龍樹りゅうじゅさつの ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (*易行品・意)あんずるに、 いはく、 「さつ*阿毘あびばっもとむるに、 二しゅどうあり。 一には*難行なんぎょうどう、 二には*易行道いぎょうどうなり」 と

謹案↢龍樹菩薩¬十住婆沙¼↡云。菩薩求↢阿跋致↡有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道。

 原漢文 (真宗聖教全書) の底本は本派本願寺蔵建長八年宗祖加点本。 本派本願寺蔵鎌倉時代刊本、 宗教大学蔵嘉永年間刊本、 本派本願寺蔵版、 大派依用十行本と対校。

難行道

難行なんぎょうどう」 とは、 いはく、 *五濁ごじょく*ぶつときにおいて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはち多途たずあり。 ほぼ*さんをいひて、 もつてこころしめさん。 一には*どう*相善しょうぜん*さつほうみだる。 二には*しょうもん自利じりにしてだい慈悲じひふ。 三には無顧むこ悪人あくにん勝徳しょうとくやぶる。 四には*顛倒てんどうぜんはよく*梵行ぼんぎょうこぼつ。 五にはただこれりきにしてりきたもつなし。 かくのごときるるにみなこれなり。 たとへばろく歩行ぶぎょうはすなはちくるしきがごとし

無仏の時 すでに釈尊がにゅうめつされて仏がおられない時代。
五三 少々。 若干。
菩薩の法 自利利他の行法。
顛倒の善果 人間・天上界に生れる果報。 迷いの中の善果であるので顛倒という。

難行道者、謂於↣五濁之世於↢无仏時↡求↢阿跋致↡為↠難。此難乃有↢多途↡、粗言↢五三↡以示↢義意↡。一者外道相亂↢菩薩法↡、二者声聞自利鄣↢大慈悲↡、三者无↠顧↠悪人破↢他勝徳↡、四者顛倒善果能壊↢梵行↡、五者唯是自力无↢他力持↡。如↠斯等事触↠目皆是。譬如↢陸路歩行則苦↡。

 聖教全書まま。 註なし。 以下同。
 本願寺本、 大派依用本では
 略字 (新字) は底本まま。 以下同。 (原漢文中での 「乱」 は旧字 「亂」 の文字コードを使用)
無顧悪人 返り点は聖教全書まま。 「悪を顧みることなき人」

易行道

易行道いぎょうどう」 とは、 いはく、 ただ*信仏しんぶつ因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんずれば、 仏願力ぶつがんりきじょうじて、 すなはちかの清浄しょうじょうおうじょう*仏力ぶつりき住持じゅうじして、 すなはち*大乗だいじょう*正定しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすいふねじょうずればすなはちたのしきがごとし

仏力住持して 仏の本願力が支えたもってという意。
正定の聚 →正定聚しょうじょうじゅ

易行道者、謂但以↢信仏因縁↡願↠生↢浄土↡。乗↢仏願力↡便得↣往↢生彼清浄土↡。仏力住持即入↢大乗正定之聚↡、正定即是阿跋致。譬如↢水路乗↠船則楽↡。

この ¬りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃ¼ (浄土論) は、 けだし*上衍じょうえんごく*退たい風航ふうこうなるものなり

上衍 衍は梵語ヤーナ (yāna) の音写。 乗り物の意。 上乗とも漢訳される。 大乗のこと。 →大乗だいじょう
不退の風航 風航はかけ船のこと。 退転することなくかならず仏にならしめる教法を船に喩えたもの。

此¬无量寿経優波提舎¼盖上之極致不退之風航者也。

 諸本では 。 以下同。
(外字) 本願寺本、 大派依用本では

◎浄土論大綱 興起体製

【2】 無量寿むりょうじゅ」 はこれ安楽あんらくじょう如来にょらい別号べつごうなり。*しゃ迦牟尼かむにぶつ*王舎おうしゃじょうおよび*しゃこくにましまして、 大衆だいしゅのなかにおいて*無量寿仏むりょうじゅぶつ*荘厳しょうごんどくきたまへり。 すなはちぶつ (阿弥陀仏)*名号みょうごうをもつて*きょうたいとなす。 のち聖者しょうじゃ婆藪ばそばんさつ (天親)如来にょらいだいきょう*服膺ぶくようしてきょうへて願生がんしょう*つくれり。 また*長行じょうごうつくりてかさねてしゃく

 浄土の三部経を指す。
服膺 心にしっかりとめて忘れないこと。

「无量寿」是安楽浄土如来別號。釈迦牟尼仏在↢王舎城及舎衛国↡於↢大衆之中↡説↢无量寿仏荘厳功徳↡。即以↢仏名號↡為↢経躰↡。後聖者婆数槃頭菩薩、服↢膺一升如来大悲之教↡、傍↠経作↢願生偈↡。復造↢長行↡重釈↢梵言↡。

 略字 (新字) は底本まま。 以下同。 (原漢文中での 「号」 には旧字 「號」 の文字コードを使用)
 諸本では 。 以下同。
釈梵言 返り点は聖教全書まま。 「梵言を釈す」。 このときの 「梵言」 は天神菩薩の偈を指す。

*ぼんに 「優婆うば提舎だいしゃ」 といふは、 このけん (中国)正名しょうみょうあひやくせるなし。 もしは*ぐうげてづけてろんとなすべし。 正名しょうみょうやくせることなき所以ゆえんは、 このけんもとぶつましまさざるをもつてのゆゑなり。 このけんしょのごときは、 *こうにつきて 「けい」 としょうす。 にん制作せいさくみなづけて 「」 となす。 *こくこったぐい*各別かくべつ体例たいれいなり。 しかるにぶつ所説しょせつ*十二部じゅうにぶきょうのなかに論議経ろんぎきょうあり、 「*優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 もしまたぶつのもろもろの弟子でしぶつ経教きょうきょうしてぶつ相応そうおうすれば、 ぶつまたゆるして 「優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑなり。 このけんろんといふは、 ただこれろんのみ。 あにまさしくかのやくすることをんや

 梵語 (サンスクリット)。 インドの古典語。
一隅を挙げて 一部分の意味によって。
国史国紀 国史は国王の命などによって公的に記された国の歴史書。 国紀は私人によって私的に記された国の歴史書。
各別の体例 それぞれちがった体裁である。

「優婆提舎」此間无↢正名相訳↡、若挙↢一隅↡可↢名為↟論。所↣以无↢正名訳↡者、以↢此間本无↟仏故。如↢此間書↡、就↢孔子↡而称↠経、余人制作皆名為↠子。国史・国紀之徒各別躰例然。仏所説十二部経中有↢論議経↡、名↢優波提舎↡。若復仏諸弟子、解↢仏経教↡与↢仏義↡相応者、仏亦許名↢優波提舎↡、以↠入↢仏法相↡故。此間云↠論、直是論議而已、豈得↣正訳↢彼名↡耶。

 句点位置は聖教全書まま。 「各別の体例しかなり」

また女人にょにんを、 においてははしょうし、 あににおいていもうとといふがごとし。 かくのごとき、 みなしたがひてべつなり。 もしただおんなをもつてひろまいだんずるに、 すなはち*おんな大体だいたいしっせざれども、 あにそんふくまんや

女の大体… 女性の一般的性質はあらわしているけれども。

又如↢女人於↠子称↠母、於↠兄云↟妹。如↠是等事皆随↠義名別、若但以↢女名↡汎談↢母妹↡乃不↠失↢女之大躰↡、豈含↢尊卑之義↡乎。

ここにいふところのろんもまたかくのごとし。 ここをもつて いんなり りて*梵音ぼんのんぞんじて優婆うば提舎だいしゃといふ

梵音を存じて 梵語 (サンスクリット) を音写してという意。

此所↠云論亦復如↠是、是以仍因而存↢梵音↡曰↢優波提舎↡。

本論大科

【3】 この ¬ろん¼ (浄土論)始終しじゅうにおほよそ二じゅうあり。 一にはこれ総説分そうせつぶん、 二にはこれ解義げぎぶんなり。 総説分そうせつぶんとは、 まえの五ごんくるまでこれなり。 解義げぎぶんとは、 「ろんじてはく」 以下いか長行じょうごうくるまでこれなり

此論始終凡有↢二重↡。一是捴説分、二是解義分。捴説分者前五言偈尽是、解義分者論曰已下長行尽是。

じゅうとなす所以ゆえんは二あり。 はもつてきょうじゅす。 総摂そうしょうせんがためのゆゑなり。 ろんはもつてしゃくす。 解義げぎのためのゆゑなり

所↣以為↢二重↡者、有↢二義↡。偈以↢誦経↡為↢捴摂↡故、論以↢釈偈↡為↢解義↡故。

偈~故 返り点は聖教全書まま。 「偈は誦経をもって総摂とするがゆゑに、 論は釈偈をもって解義するがゆゑなり」

◎浄土論大綱 題号

【4】 「無量寿むりょうじゅ」 とは無量寿むりょうじゅ如来にょらいをいふ。 寿命じゅみょう長遠じょうおんにして思量しりょうすべからず。 「きょう」 とはじょうなり。 いふこころは安楽国あんらくこくぶつおよびさつ清浄しょうじょう荘厳しょうごんどくこく清浄しょうじょう荘厳しょうごんどくとは、 よくしゅじょうのために*大饒益だいにょうやくをなす。 つねにおこなはるべきがゆゑにづけてきょうといふ。 「優婆うば提舎だいしゃ」 はこれぶつ論議経ろんぎきょうなり。 「がん」 はこれ*欲楽よくぎょうなり。 「しょう」 は天親てんじんさつ、 かの安楽あんらくじょう如来にょらい浄華じょうけのなかにしょうぜんとがんずるしょうなり。 ゆゑに願生がんしょうといふ。 「」 はこれしゅ、 五ごんをもつてりゃくして仏経ぶっきょうじゅするがゆゑにづけてとなす

大饒益 大きなやく
欲楽 ねがいもとめるという意。

「無量寿」者、言无量寿如来寿命長遠不↠可↢思量↡也。「経」者常也、言安楽国土仏及菩薩清浄荘厳功徳・国土清浄荘厳功徳、能与↢衆生↡作↢大饒益↡、可↣常行↢于世↡故名曰↠経。「優波提舎」是仏論議経名。「願」是欲楽義、「生」者天親菩薩願↠生↢彼安楽浄土↡、如来浄花中生故曰↢願生↡。「偈」是句数義、以↢五言句↡略誦↢仏経↡故名為↠偈。

言… 返り点まま。 「言ふこころは…」
願生ab生故 返り点まま。 「aに生ぜんと願じ、 bに生ずるがゆゑに」

◎浄土論大綱 撰号

婆藪ばそ」 をやくして 「てん」 といふ。 「ばん」 をやくして 「しん」 といふ。 このひと*天親てんじんなづく。 *は ¬*法蔵ほうぞうきょう¼ にあり。 「さつ」 とは、 もしつぶさに*梵音ぼんのんぞんぜば「*だいさっ」 といふべし。 「だい」 は、 これ仏道ぶつどうなり。 「さっ」 は、 あるいはしゅじょうといひ、 あるいは勇健ゆうごんといふ。 仏道ぶつどうもとむるしゅじょう*勇猛ゆうみょうごんあるがゆゑにだいさっづく。 いまたださつといふは訳者やくしゃ (菩提流支)りゃくせるのみ。 「ぞう」 はまたさくなり。 ひとによりてほうおもんずることをねがふがゆゑに某造ぼうぞうといふ

 一代の事跡。
梵音を存ぜば 梵語 (サンスクリット) を音写すればという意。
菩提薩埵 梵語ボーディサットヴァ (bodhisattva) の音写。 →さつ
勇猛 心をはげましてつとめること。

訳↢「婆藪」↡云↠天、訳↢「槃頭」↡言↠親、此人字↢天親↡事在↢¬付法蔵経¼↡。「菩薩」者、若具存↢梵音↡応↠云↢菩提薩埵↡。菩提者是仏道名、薩埵或云↢衆生↡、或云↢勇揵↡、求↢仏道↡衆生有↢勇猛健志↡故名↢菩提薩埵↡。今但言↢菩薩↡訳者略耳。「造」亦作也、庶↢因↠人重↟法故云↢某造↡、

 鎌倉時代刊本では
 諸本では

このゆゑに 「無量寿むりょうじゅきょう優婆うば提舎だいしゃ願生偈がんしょうげ婆藪ばそばんさつぞう」 といへり。 ¬ろん¼ (浄土論)名目みょうもくしをはりぬ

是故言↢「无量寿経優波提舎願生偈婆数槃頭菩薩造」↡。解↢論名目↡竟。

 諸本では

総説分 章門分別

【5】 のなかをわかちて*念門ねんもんとなす。 しも長行じょうごうしゃくするところのごとし。 だいぎょうの四にあひふくみて三念門ねんもんあり。 かみの三はこれ礼拝らいはい讃嘆さんだんもんなり。 しもの一はこれがんもんなり。 だいぎょう論主ろんじゅ (天親) みづから、 「われ仏経ぶっきょう (浄土三部経) によりて ¬ろん¼ をつくりて仏教ぶっきょう相応そうおうす、 ぶくするところ*しゅうある」 ことをぶ。 なんがゆゑぞいふとならば、 これ優婆うば提舎だいしゃじょうぜんがためのゆゑなり。 またこれかみの三もんじょうじてしもの二もんおこす。 ゆゑにこれにいでけり。 だいぎょうより二十一ぎょうくるまで、 これ観察かんざつもんなり。 まつの一ぎょうはこれこうもんなり。 章門しょうもんわかちをはりぬ

 もとづくところ。 本源。 帰趣。

偈中分為↢五念門↡、如↢下長行所↟釈。第一行四句相含有↢三念門↡、上三句是拝・讃嘆門、下一句是作願門。第二行論主自述↧我依↢仏経↡造↠論与↢仏教↡相応所↠服有↞宗。何故云、此為↠成↢優波提舎名↡故。亦是成↢上三門↡起↢下二門↡、所以次↠之説。従↢第三行↡尽↢廿一行↡是観察門。末後一行是迴向門。分↢偈章門↡竟。

(外字) 略字は聖教全書まま。

◎総説分 相含三念門

【6】  そん一心いっしん みょう尽十方じんじっぽう 無礙むげこう如来にょらい 願生がんしょう安楽国あんらくこく

 「そん」 とは諸仏しょぶつ通号つうごうなり。 ろんずればすなはちとしてたっせざるはなし。 だんかたればすなはち*じっあまりなし。 *だんそくしてよくけんし、 のために尊重そんじゅうせらるるゆゑにそんといふ。 ここにいふこころは、 しゃ如来にょらいしたてまつるなり。 なにをもつてかることをとなれば、 しもに 「我依がえしゅ多羅たら」 といへばなり。 天親てんじんさつしゃ如来にょらい*像法ぞうぼうのなかにありてしゃ如来にょらい経教きょうきょうじゅんず。 ゆゑにしょうぜんとがんず。 しょうぜんとがんずるにしゅうあり。 ゆゑにこのごんしゃしたてまつるとるなり。 もしこのこころおもふに、 あまねく諸仏しょぶつぐることまたきらふことなし。 それさつぶつすることは、 こう父母ぶもし、 忠臣ちゅうしん君后くんこうして、 *動静どうせいおのれにあらず、 *出没しゅつもつかならずゆえあるがごとし。 おんりてとくほうず、 よろしく*けいすべし。 また所願しょがんかろからず。 もし如来にょらいじんしたまはずは、 まさになにをもつてかたっせんとする。 *神力じんりきすることをふ。 ゆゑにあおぎてぐるなり

智断 智徳と断徳。 智徳はあらゆる道理に達しているという徳。 断徳は煩悩ぼんのうを余すところなく断じているという徳。
動静おのれにあらず 身勝手な立居振舞をしない。
出没 出処進退のこと。
啓す 申す。 申し上げる。

世尊我一心 帰↢命尽十方 无光如来↡ 願↠生↢安楽国↡。

「世尊」者、諸仏通號、論↠智則義无↠不↠達、語↠断則習気无↠余、智断具足能利↢世間↡、為↠世尊重故曰↢世尊↡。此言意帰↢釈迦如来↡。何以得↠知、下句言↢「我依修多羅」↡。天親菩薩、在↢釈迦如来像法之中↡、順↢釈迦如来経教↡、所以願↠生。願生有↠宗、故知此言帰↠於↢釈迦↡。若謂↢此意↡、遍告↢諸仏↡亦復无↠嫌。夫菩薩帰↠仏、如↧孝子之帰↢父母↡忠臣之帰↢君后↡、動静非↠己出没必由↦知↠恩報↞徳、理宜↢先啓↡。又所願不↠軽、若如来不↠加↢威神↡将↢何以達↡、乞↠加↢神力↡、所以仰告。

如~由知恩報徳 返り点まま。 「~恩を知りて徳を報ずるによるがごとし」

論主自督

一心いっしん」 とは、 天親てんじんさつ*とくことばなり。 いふこころは、 無礙むげこう如来にょらいねんじて安楽あんらくしょうぜんとがんず。 心々しんしん相続そうぞくしておもい*間雑けんぞうすることなしとなり

自督 みずからをすすめ (勧)、 ひきい (率)、 正してゆく (正) ようなはたらきをもつ信心のこと。

「我一心」者、天親菩薩自督之詞、言念↢无光如来↡願↠生↢安楽↡、心心相続无↢他想間雑↡。

 ひていはく、 仏法ぶっぽうのなかにはなし。 このなかになにをもつてかしょうする。 こたへていはく、 「」 といふに三の根本こんぽんあり。 一にはこれ*邪見じゃけん、 二にはこれ*だい、 三にはこれ*流布語るふごなり。 いま 「」 といふは、 天親てんじんさつ自指じしことばにして、 流布語るふごもちゐる。 邪見じゃけんだいとにはあらず

邪見語 我を実体視し、 それにとらわれるよこしまな見解を表す言葉。 →邪見じゃけん
自大語 自分が他よりすぐれていると思う慢心を表す言葉。
流布語 世間一般に使われる言葉。 日常語。

問曰。仏法中无↠我、此中何以称↠我。答曰。言↠我有↢三根本↡。一是邪見語、二是自大語、三是流布語。今言↠我者天親菩薩自指↠之言、用↢流布語↡、非↢邪見自大↡也。

自指之言 返り点まま。 「自らこれを指しふる言なり」

 みょう尽十方じんじっぽう無礙むげこう如来にょらい」 とは、 「みょう」 はすなはちこれ礼拝らいはいもんなり。 「尽十方じんじっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はすなはちこれ讃嘆さんだんもんなり。

「帰命尽十方无光如来」者、帰命即是拝門、尽十方无光如来即是讃嘆門。

なにをもつてか 「みょう」 はこれ礼拝らいはいなりとるとなれば、 龍樹りゅうじゅさつの、 阿弥陀あみだ如来にょらいさん (易行品)つくれるなかに、 あるいは 「*稽首礼けいしゅらい」 といひ、 あるいは 「*みょう」 といひ、 あるいは 「*帰命礼きみょうらい」 といへり。 この ¬ろん¼ (浄土論)長行じょうごうのなかにまた 「念門ねんもんしゅす」 といへり。 念門ねんもんのなかに礼拝らいはいはこれはじめなり。 天親てんじんさつすでにおうじょうがんず。 あにらいせざるべけんや。 ゆゑにりぬ、 みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなり。 しかるに礼拝らいはいはただこれ*恭敬くぎょうにして、 かならずしもみょうにあらず。 みょうはかならずこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつてすいせば、 みょうおもしとなす。 *しんぶ。 よろしくみょうといふべし。 ろんす。 ひろ礼拝らいはいだんず。 *彼此ひしあひじょうじてにおいていよいよあらわれたり

稽首礼 頭を地につけてらいはいすること。
己心 自己の領解りょうげ。 みずからの信心。
彼此 長行じょうごうとこのじゅのこと。

何以知、帰命是拝。龍樹菩薩造↢阿弥陀如来讃↡中、或言↢「稽首」↡、或言↢「我帰命」↡、或言↢「帰命」↡。此論長行中、亦言↠修↢五念門↡。五念門中、拝是一。天親菩薩既願↢往生↡、豈容↠不↠、故知帰命即是拝。然拝但是恭敬、不↢必帰命↡、帰命必是拝。若以↠此推↢帰命↡為↠重。偈申↢己心↡、宜↠言↢帰命↡。論解↢偈義↡、汎談↢拝↡。彼此相成、於↠義弥顕。

知…礼拝 返り点まま。 (内容的には知↢…礼拝↡が適切か)

讃嘆門

 なにをもつてか 「尽十方じんじっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はこれ讃嘆さんだんもんなりとるとならば、 しも長行じょうごうのなかに、 「いかんが讃嘆さんだんもん。 いはく、 かの如来にょらいみなしょうするに、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく、 かの*名義みょうぎのごとく、 如実にょじつ修行しゅぎょうして相応そうおうせんとほっするがゆゑなり」 といへり。 *しゃこく所説しょせつの ¬無量寿むりょうじゅ経¼ (小経) によらば、 ぶつ阿弥陀あみだ如来にょらいみょうごうしたまはく、 「なんがゆゑぞ阿弥陀あみだごうする。 かのぶつこうみょうりょうにして、 十方国じっぽうこくらしたまふに*障礙しょうげするところなし。 このゆゑに阿弥陀あみだごうす。 またかのぶつ寿命じゅみょうおよびその人民にんみんも、 りょうへん*そうなり。 ゆゑに阿弥陀あみだづく」 と

名義 名号の意義、 いわれ。

何以知↢尽十方无光如来是讃嘆門↡、下長行中言。「云何讃嘆門、謂称↢彼如来名↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、欲↢如↠実修行相応↡故」。依↢舎衛国所説¬无量寿経¼↡、仏解↢阿弥陀如来名號↡「何故號↢阿弥陀↡、彼仏光明无量照↢十方国↡无↠所鄣↡、是故號↢阿弥陀↡」。又「彼仏寿命及其人民、无量无辺阿僧祇、故名↢阿弥陀↡」。

 ひていはく、 もし無礙むげこう如来にょらいこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふに障礙しょうげするところなしといはば、 このけんしゅじょう、 なにをもつてか光照こうしょうこうむらざる。 ひかりらさざるところあらば、 あにあるにあらずや。 こたへていはく、 しゅじょうぞくす。 ひかりにはあらず。 たとへば日光にっこう*てんにあまねけれども、 *盲者もうじゃざるがごとし。 日光にっこうのあまねからざるにはあらず。 また*密雲みつうんおおきにそそ かんなり げども、 *頑石がんせきうるおはざるがごとし。 あめうるお しゅなり さざるにはあらず

盲者 →補註10
密雲 深くたれこめた雨雲。
頑石 固い石。

問曰。若言↧无光如来光明无量照↢十方国土↡无↞所↢鄣↡者、此間衆生何以不↠蒙↢光照↡、光有↠所↠不↠照、豈非↠有↠耶。答曰。属↢衆生↡非↢光↡也。譬如↧日光周↢四天下↡而、盲者不↠見↥、非↢日光不↟周也。亦如↢密雲洪潅之句反而頑石不↟潤、非↢雨不↟洽下捨反也。

 もし一ぶつ*三千さんぜん大千だいせんかい主領しゅりょうすといはば、 これしょうもんろんのなかのせつなり。 もし諸仏しょぶつあまねく十方じっぽうりょうへんかいりょうすといはば、 これ大乗だいじょうろんのなかのせつなり。 天親てんじんさつ、 いま、 「尽十方じんじっぽう無礙むげこう如来にょらい」 といふは、 すなはちこれかの如来にょらいみなにより、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく讃嘆さんだんするなり。 ゆゑにりぬ、 このはこれ讃嘆さんだんもんなり

若言↣一仏主↢領三千大千世界↡、是声聞論中説。若言↣諸仏遍領↢十方无量无辺世界↡、是大乗論中説。天親菩薩、今言↢尽十方无光如来↡、即是依↢彼如来名↡、如↢彼如来光明智相↡讃嘆。故知此句是讃嘆門。

作願門

 願生がんしょう安楽国あんらくこく」 とは、 この一はこれがんもんなり。 天親てんじんさつ*みょうこころなり。 それ 「安楽あんらく」 のは、 つぶさにした観察かんざつもんのなかにあり

「願生安楽国」者、此一句是作願門、天親菩薩帰命之意也。其安楽義具在↢下観察門中↡。

願生問答

 ひていはく、 *大乗だいじょう経論きょうろんのなかに、 処々しょしょに 「しゅじょう*畢竟ひっきょうしょうにして*くうのごとし」 とけり。 いかんが天親てんじんさつ願生がんしょう」 といふや。 こたへていはく、 「しゅじょうしょうにしてくうのごとし」 とくに二しゅあり。 一には、 ぼんおもふところのごときじつしゅじょうぼんるところのごときじつしょうは、 この所見しょけん畢竟ひっきょうじてしょなきこと、 *もうのごとく、 くうのごとし。 二には、 いはく、 諸法しょほう*因縁いんねんしょうのゆゑにすなはちこれ不生ふしょうなり。 しょなきことくうのごとし。 天親てんじんさつがんずるところのしょうは、 これ*因縁いんねんなり。 因縁いんねんのゆゑにかりしょうづく。 ぼんの、 じつしゅじょうじつしょうありとおもふがごときにはあらず

大乗経論 ¬ゆいぎょう¼ ¬だい智度ちどろん¼ 等の経論のこと。
畢竟無生 本来、 消滅しょうめつ変化のないこと。
亀毛 亀の甲羅についた藻を毛と誤認するように、 本来ないものが実在するかのようにあるあり方。

問曰。大乗経論中、処処説↣衆生畢竟无生如↢虚空↡、云何天親菩薩言↢願生↡耶。答曰。説↣衆生无生如↢虚空↡有↢二種↡。一者如↢凡夫↡所↠謂実衆生、如↢凡夫所↠見実生死↡、此所見事畢竟无↠所↠有如↢亀毛↡如↢虚空↡。二者謂諸法因縁生故即是不生、无↠所↠有如↢虚空↡。天親菩薩所↠願生者是因縁義、因縁義故仮名↠生、非↠如↢凡夫謂↟有↢実衆生実生死↡也。

如a所謂b 返り点まま。 「aのごとき所謂いわゆるb」
如a所見b 返り点まま。 「aの見るところのbのごとき」

往生問答

 ひていはく、 なんのによりてか*おうじょうく。 こたへていはく、 このけん*仮名人けみょうにんのなかにおいて念門ねんもんしゅするに、 前念ぜんねんねんのためにいんとなる。 *穢土えど仮名人けみょうにんじょう仮名人けみょうにんと、 けつじょうしていちなるをず、 けつじょうしてなるをず。 前心ぜんしんしんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もしいちならばすなはちいんなく、 もしならばすなはち相続そうぞくにあらざればなり。 この*いちもんかんずるろんのなかに*委曲いきょくなり

仮名人 仮名とは実体のないものに仮につけた名という意で、 人といっても五蘊ごうん (五陰) が因縁いんねんによって仮に和合したものであるから仮名人という。 →おん
一異の門を観ずる論 龍樹りゅうじゅ菩薩の ¬中論ちゅうろん¼ 等のこと。
委曲 くわしいこと。

問曰。依↢何義↡説↢往生↡。答曰。於↢此間仮名人中↡修↢五念門↡、前念与↢後念↡作↠因。穢土仮名人、浄土仮名人、不↠得↢決定一↡不↠得↢決定異↡、前心・後心、亦如↠是。何以故、若一則无↢因果↡、若異則非↢相続↡、是義観↢一異門↡論中委曲、

 嘉永年間刊本・本願寺本・大派依用本では 「亦復」。

だいぎょうの三念門ねんもんしゃくしをはりぬ

釈↢第一行三念門↡竟。

◎総説分 成上起下偈

【7】 つぎは 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 またかみじょうじてしもおこなり。

次成↢優波提舎名↡、又成↠上起↢下偈↡。

我依がえしゅ多羅たら 真実しんじつどくそう せつがんそう 仏教ぶっきょう相応そうおう

 この一ぎょう、 いかんが 「*優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 いかんが*かみの三もんじょう*しもの二もんおこす。 に 「我依がえしゅ多羅たら 仏教ぶっきょう相応そうおう」 といふ。 「*しゅ多羅たら」 はこれ仏経ぶっきょうなり。 われ仏経ぶっきょうろんじて、 きょう相応そうおうす。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑに優婆うば提舎だいしゃづく。 じょうじをはりぬ。 かみの三もんじょうじてしもの二もんおこすとは、 いづれのところにかり、 なんのゆゑにかり、 いかんがる。 いづれのところにかるとは、 しゅ多羅たらる。 なんのゆゑにかるとは、 如来にょらいはすなはち*真実しんじつ*どくそうなるをもつてのゆゑなり。 いかんがるとは、 念門ねんもんしゅして相応そうおうするがゆゑなり。 かみじょうしもおこしをはりぬ

上の三門 五念門の中のらいはい讃嘆さんだんがんの三門。 →ねんもん
下の二門 五念門の中のかんざつこうの二門。 →ねんもん

我依↢修多羅 真実功徳相↡ 説↢願偈↡捴持 与↢仏教↡相応。

此一行云何成↢優波提舎名↡、云何成↢上三門↡起↢下二門↡。偈言↢「我依修多羅与仏教相応」↡。修多羅是仏経名、我論↢仏経義↡与↠経相応、以↠入↢仏法相↡故得↠名↢憂波提舎↡。名成竟。成↢上三門↡起↢下二門↡。何所依、何故依、云何依。何所依者、依↢修多羅↡。何故依者、以↢如来即真実功徳相↡故。云何依者、修↢五念門↡相応故成↠上起↠下竟。

 鎌倉時代刊本では欠く。
 諸本では 「優」。

しゅ多羅たら」 とは、 *十二きょうのなかの直説じきせつのものをしゅ多羅たらづく。 いはく、 *四阿しあごん三蔵さんぞうとう三蔵さんぞうのほかの大乗だいじょう諸経しょきょうもまたしゅ多羅たらづく。 このなかに 「しゅ多羅たら」 といふは、 これ三蔵さんぞうのほかの大乗だいじょうしゅ多羅たらなり。 含等ごんとうきょうにはあらず

「修多羅」者、十二部経中直説者名↢修多羅↡。謂四阿含・三蔵等。三蔵外大乗諸経亦名↢修多羅↡。此中言↢「依修多羅」↡者、是三蔵外大乗修多羅、非↢阿含等経↡也。

四阿含三蔵 四阿含などの清浄の教えのこと。 三蔵とは経・律・論のことで、 仏教経典の総称。 原始仏教の経典のことであるが、 大乗経典の成立以後は小乗とその経典の呼称となった。 →四阿しあごん三蔵さんぞう

真実功徳釈

真実しんじつどくそう」 とは、 二しゅどくあり。 一には*有漏うろしんよりしょうじて*ほっしょうじゅんぜず。 いはゆるぼん人天にんでん諸善しょぜん人天にんでんほう、 もしはいんもしは、 みなこれ顛倒てんどう、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑにじつどくづく。 二にはさつ智慧ちえ清浄しょうじょうごうよりおこりて*ぶつ荘厳しょうごんす。 ほっしょうによりて清浄しょうじょうそうる。 このほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず。 づけて真実しんじつどくとなす。 いかんが顛倒てんどうせざる。 ほっしょうによりて*たいじゅんずるがゆゑなり。 いかんが虚偽こぎならざる。 しゅじょうせっして*畢竟ひっきょうじょうらしむるがゆゑなり

畢竟浄 完全に煩悩ぼんのうを浄化した究極のさとりの境地。

「真実功徳相」者、有↢二種功徳↡。一者従↢有漏心↡生不↠順↢法性↡。所↠謂凡夫人天諸善、人天果報、若因若果、皆是顛倒皆是虚偽、是故名↢不実功徳↡。二者従↢菩薩智恵清浄業↡起荘↢厳仏事↡。依↢法性↡入↢清浄相↡。是法不↢顛倒↡不↢虚偽↡、名為↢真実功徳↡。云何不↢顛倒↡、依↢法性↡順↢二諦↡故。云何不↢虚偽↡、摂↢衆生↡入↢畢竟浄↡故。

 鎌倉時代刊本・嘉永年間刊本では

せつがんそう ぶっきょう相応そうおう」 とは、 「」 はさんしつづく。 「そう」 はしょうをもつてせっするにづく。」 のごんは五ごんしゅなり。 がん」 はおうじょう*欲楽よくぎょうするにづく。せつ」 はいはく、 もろもろのろんくなり。 そうじてこれをいふに、 願生がんしょうするところのきて、 仏経ぶっきょう*そうし、 仏教ぶっきょう相応そうおうするなり。 相応そうおう」 とは、 たとへば*かんがいとあひかなへるがごとし

欲楽 ねがいもとめるという意。
総持 ここでは広博な経の文意を総摂そうしょうして短いのなかにおさめたもつという意。
函と蓋 はことふた。

「説願偈捴持与仏教相応」者、持名↢不散不失↡。捴名↢以↠少摂↟多。偈言五言句数。願名↣欲↢楽往生↡。説謂説↢諸偈論↡。捴而言↠之、説↧所↢願生↡偈↥捴↢持仏経↡与↢仏教↡相応。相応者譬如↢凾盖相称↡也。

凾盖 ともに聖教全書まま。 註なし。

◎総説分 観察門

【8】  かんかいそう 勝過しょうか三界道さんがいどう

 これより以下いげは、 これだい四の観察かんざつもんなり。 このもんのなかをわかちて二のべつとなす。 一には*けん*荘厳しょうごん成就じょうじゅ観察かんざつす。 二には*しゅじょうけん荘厳しょうごん成就じょうじゅ観察かんざつ

観↢彼世界相↡ 勝↢過三界道↡。

此已下是第四観察門。此門中分為↢二別↡。一者観↢察器世間荘厳成就↡。二者観↢察衆生世間荘厳成就↡。

◎総説分 ○観察門  器世間

このより以下いげ願生がんしょう阿弥陀あみだ仏国ぶつこく」 にいたるまでは、 これけん荘厳しょうごん成就じょうじゅかんずるなり。けんかんずるなかに、 またわかちて十七のべつとなす。 もんいたりてまさになづくべし

此句已下至↢「願生彼阿弥陀仏国」↡、是観↢器世間荘厳成就↡。観↢器世間↡中、復分為↢十七別↡、至↠文当↠目。

◎総説分 ○観察門 Ⅰ 器世間  清浄功徳

この二はすなはちこれだい一のなり。 づけて観察かんざつ荘厳しょうごん清浄しょうじょうどく成就じょうじゅとなす。 この清浄しょうじょうはこれ*総相そうそうなり

総相 器世間の十七種だけでなく二十九種荘厳しょうごんのすべてにわたるすがた。

此二句即是第一事、名為↢観察荘厳清浄功徳成就↡。此清浄是捴相。

所為の境

ぶつもとこの荘厳しょうごん清浄しょうじょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 *三界さんがいそなはすに、 これ虚偽こぎそう、 これ*輪転りんでんそう、 これ*ぐうそうにして、 *蠖しゃっかく かがまりぶるむしなり循環じゅんかんするがごとく、 *蚕繭さんけん さんなりばくするがごとし。 あはれなるかなしゅじょう、 この三界さんがいしば むすびてけず られて、 顛倒てんどう不浄ふじょうなり

輪転の相 三界さんがいを車輪がまわるようにめぐり迷うこと。
無窮の相 三界を輪転することがはてしないこと。
蠖 尺とり虫。
蚕繭 かいこのまゆ。

仏本所↣以起↢此荘厳清浄功徳↡者、見↧三界是虚偽相、是輪転相、是无窮相、如↢申虫一郭反循環↡、如↢蚕才含蚕衣公殄反自縳↡、哀哉衆生締↦結不解帝音此三界顛倒不浄↥、

見…締a 返り点まま。 「…aにまつわるるを見そなわして」
 諸本では
 諸本では 「伸」。

能為の願

しゅじょう不虚偽ふこぎところ輪転りんでんところ不無ふむぐうところきて、 畢竟ひっきょう安楽あんらく大清浄処だいしょうじょうしょしめんとおぼしめす。 このゆゑにこの清浄しょうじょう荘厳しょうごんどくおこしたまへり

欲↧置↣衆生於↢不虚偽処↡於↢不輪転処↡於↢不无窮処↡得↦畢竟安楽大清浄処↥。是故起↢此清浄荘厳功徳↡也。

成就の相

成就じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 この清浄しょうじょう破壊はえすべからず、 ぜんすべからず。 三界さんがいの、 これぜんそう、 これ破壊はえそうなるがごときにはあらず

成就者、言此清浄不↠可↢破壊↡不↠可↢汙染↡。非↠如↢三界是汙染相是破壊相↡也。

かん」 とは観察かんざつなり。 「」 とはかの安楽国あんらくこくなり。 「かいそう」 とはかの安楽あんらくかい清浄しょうじょうそうなり。 そのそうべつしもにあり

「観」者観察也。「彼」者彼安楽国也。「世界相」者彼安楽世界清浄相也、其相別在↠下。

勝過しょうか三界道さんがいどう」 の 「どう」 とはつうなり。 かくのごときいんをもつて、 かくのごとき。 かくのごときをもつて、 かくのごときいんむくゆ。 いんつうじていたる。 つうじていんむくゆ。 ゆゑにづけてどうとなす。 「三界さんがい」 とは、 一にはこれ*欲界よくかい、 いはゆる*六欲天ろくよくてん*てんにん畜生ちくしょう餓鬼がきごくとうこれなり。 二にはこれ*色界しきかい、 いはゆる初禅しょぜん・二ぜん・三ぜん・四ぜん天等てんとうこれなり。 三にはこれ*色界しきかい、 いはゆる空処くうしょ識処しきしょしょしょそう非非ひひ想処そうしょ天等てんとうこれなり。 この三界さんがいはけだしこれしょうぼんてん闇宅あんたくなり。 またらくすこしきことなり、 *修短しゅたんしばらくことなりといへども、 べてこれをかんずるに*有漏うろにあらざるはなし。 *ぶくあひじょうじ、 循環じゅんかんさいなり。 *雑生ざっしょう触受そくじゅし、 *とうながかかはる。 かつはいん、 かつは虚偽こぎあひおそふ。 安楽あんらくはこれさつ (法蔵)慈悲じひ*正観しょうかん由生ゆしょう如来にょらい (阿弥陀仏)神力じんりき本願ほんがん所建しょこんなり。 *たいらん湿しつしょう、 これによりて*たかおさめ、 *ごうながつな、 これよりながつ。 *続括ぞくかつはかりごとすすめをたずしてゆみく。 *労謙ろうけん善譲ぜんじょう*げんひとしくしてとくおなじくす。 「勝過しょうか三界さんがい」 とは、 そもそもこれ近言ごんごんなり

修短 長短。 ここでは寿命の長短のこと。
雑生触受 雑多な生を経て、 さまざまな苦にふれ、 その苦を受けること。
正観の由生 正しくものをみる智慧ちえより生ずるところ。
胎卵湿の生 四生のうちの胎生たいしょう卵生らんしょう湿生しっしょう。 →四生ししょう
高く揖め 高は遠の意で、 揖はあいさつをすること。 礼をして遠くへ去りはなれて。
業繋 煩悩ぼんのうにもとづく行為によって迷界につなぎとめられること。
続括の権… 続括はつづけて矢を射ること。 権は権術ごんじゅつの意。 菩薩が退転もせず、 諸仏の勧めもまたずに利他行をなすことを、 名人の連続して射る矢が、 次々と前の矢を支えていっておちることがないのに喩える。
労謙善譲 功労があってもみずから誇らず、 へりくだること。
普賢 →げんさつ

「勝過三界道」、道者通也。以↢如↠此因↡得↢如↠此果↡、以↢如↠此果↡酬↢如↠此因↡。通↠因至↠果、通↠果酬↠因、故名為↠道。三界者、一是欲界、所↠謂六欲天、四天下人・畜生・餓鬼・地獄等是也。二是色界、所↠謂初禅・二禅・三禅・四禅天等是也。三是无色界、所↠謂空処・識処・无所有処・非想非非想処天等是也。此三界盖是生死凡夫流転之闇宅。雖↢復苦楽小殊修短暫異↡統而観↠之莫↠非↢有漏↡。倚伏相乗循環无↠際、雑生触受四倒長拘。且因且果虚偽相襲。安楽是菩薩慈悲正観之由生、如来神力本願之所建。胎・卵・湿生縁↠茲高揖業繋長維従↠此永断。続括之権、不↠待↠勧而彎↠弓、労謙善譲斉↢普賢↡而同↠徳。勝↢過三界↡抑↢是近言↡。

◎総説分 ○観察門 Ⅰ 器世間  量功徳

【9】  究竟くきょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい

 この二荘厳しょうごんりょうどく成就じょうじゅづく

究竟如↢虚空↡ 広大无↢辺際↡。

此二句名↢荘厳量功徳成就↡。

所為の境

ぶつもとこの荘厳しょうごんりょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいそなはすに陜小きょうしょうにして* 敗城はいじょうおかなり けい やま絶坎ぜっかんなり *はい つちかさぬるなり。 一にはいはくなり しょ しょのごときもの、 陼丘しょきゅうなり なり。 あるいは*かん迫迮はくさくし、 あるいは*でん逼隘ひつあい ろうなり す。 あるいは志求しぐするにみちつづまり、 あるいはせんへだ そくなりふ。 あるいは*国界こくかいぶんせり。 かくのごとき種々しゅじゅ*挙急こきゅうあり

堕陘 くずれた丘やけわしい谷。
陪陼 小さな山やなかのような丘。
宮観迫迮 宮殿や楼観ろうかんが狭い範囲にたてこんでいること。
土田逼隘 土地や田が狭くせせこましいこと。
国界分部せり 国境でへだてられている。
挙急 あわただしく、 うろたえること。

仏本所↣以起↢此荘厳量功徳↡者、見↢三界↡戸甲小堕成阜式垂反小絶坎形音重土一曰備文才反如緒者陼丘之与反或宮観迫子格或土田逼隘或志求路促、或山河隔公厄反鄣、或国界分部。有↢如↠此等種種挙急事↡。

(外字) 諸本では
 諸本では 「城」。
 他本では 「或」。
 諸本では 「山」。

能為の願

このゆゑにさつ、 この