りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょうちゅう かんじょう

*婆藪ばそばんさつぞう *曇鸞どんらんほっちゅう

釈名【浄土論大綱】
  分斉を判ず【本論分斉】
    龍樹の判教を述ぶ
      標列

【1】 ^つつしみて*龍樹りゅうじゅさつの ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品・意)あんずるに、 いはく、 ^さつ*阿毘あびばっもとむるに、 しゅどうあり。 いちには*なんぎょうどうには*ぎょうどうなり」 と。

ルニ↢龍樹菩薩¬十住毘婆沙¼↡云、「菩薩求ルニ↢阿毘跋致↡有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道ナリ

一 Ⅰ ⅰ 随釈
        難行道

^なんぎょうどう」 とは、 いはく、 *じょく*ぶつときにおいて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはち多途たずあり。 ほぼ*さんをいひて、 もつてこころしめさん。 ^いちには*どう*しょうぜん*さつほうみだる。 ^には*しょうもん*自利じりにしてだい慈悲じひふ。 ^さんには*無顧むこ悪人あくにんしょうとくやぶる。 ^には*顛倒てんどうぜんはよく*ぼんぎょうこぼつ。 ^にはただこれ*りきにして*りきたもつなし。 ^かくのごときるるにみなこれなり。 たとへばろくぎょうはすなはちくるしきがごとし。

難行道者、謂↢五濁之世於无仏↡求ルヲ↢阿毘跋致↡為↠難。此↢多途↡。粗↢五三↡、以↢義↡。一者外道↢菩薩↡。二者声聞自利ニシテ↢大慈悲↡。三者无顧悪人↢他勝徳↡。四者顛倒善果コボ↢梵行↡。五者唯是自力ニシテ↢他力↡。如↠斯事、触ルニ↠目皆是ナリ。譬↢陸路歩行キガ↡。

一 Ⅰ ⅰ b 易行道

^ぎょうどう」 とは、 いはく、 ただ*信仏しんぶつ因縁いんねんをもつて*じょうしょうぜんとがんずれば、 *仏願ぶつがんりきじょうじて、 すなはちかの清浄しょうじょう*おうじょう仏力ぶつりき*じゅうして、 すなはち*だいじょう*しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすいふねじょうずればすなはちたのしきがごとし。

易行道者、謂但以↢信仏因縁↡願レバ↠生ムト↢浄土↡、乗↢仏願力↡、便得↣往↢生コト清浄↡、仏力住持、即↢大乗正定之聚↡。正定是阿毘跋致ナリ。譬シト↢水路レバ↠船キガ↡」。

一 Ⅰ 正しく今論の分斉を断ず

^この ¬りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃ¼ (*浄土論) は、 けだし*じょうえんごく*退たい風航ふうこうなるものなり。

¬无量寿経波提舎¼蓋上衍之極致、不退之風航ホカケブネナル者也。

正しく題名を解す
    義意を弁ず【興起体製】
      所依の宗体を顕す

【2】 ^りょう寿じゅ」 はこれ*安楽あんらくじょう如来にょらい別号べつごうなり。 *しゃ牟尼むにぶつ*王舎おうしゃじょうおよび*しゃこくにましまして、 *大衆だいしゅのなかにおいて*りょう寿仏じゅぶつ*しょうごんどくきたまへり。 すなはちぶつ (*阿弥陀仏)*みょうごうをもつて*きょう*たいとなす。

「无量寿」是安楽浄土如来別号ナリ釈迦牟尼仏在シテ↢王舎城及舎衛国↡、↢大衆之中↡説タマヘリ↢无量寿仏荘厳功徳↡。即↢仏名号↡為↢経

一 Ⅱ ⅰ 能依の体製を弁ず
        総弁

^のちしょうじゃ婆藪ばそばんさつ (*天親)如来にょらい*だいきょう*服膺ぶくようしてきょうへてがんしょう*つくれり。 また*じょうごうつくりてかさねてしゃくす。

聖者婆数槃頭菩薩、服↢膺 一升 如来大悲之教↡傍↠経レリ↢願生↡。復造↢長行↡重

一 Ⅱ ⅰ b 別示
          (一)優婆提舎を釈して総じて一部の体製を顕す
            (Ⅰ)梵名を標す

^*ぼんに 「優婆うば提舎だいしゃ」 といふは、 このけん (中国)正名しょうみょうあひやくせるなし。 もしは*一隅いちぐうげてづけてろんとなすべし。 正名しょうみょうやくせることなき所以ゆえんは、 このけんもとぶつましまさざるをもつてのゆゑなり。 このけんしょのごときは、 *こうにつきて 「けい」 としょうす。 にん制作せいさくみなづけて 「」 となす。 *こくこったぐい*各別かくべつ体例たいれいなり。

フハ「優婆提舎」此↢正名相↡。若↢一隅↡可↢名↟論。所↣以无↢正名訳コト↡者、以↢此マシマサザル↟仏故ナリ。如キハ↢此↡、就↢孔子↡而称↠経。余人制作皆名↠子。国史・国紀之タグヒ各別体例ナリ

^しかるにぶつ所説しょせつ*じゅう二部にぶきょうのなかにろんきょうあり、 「*優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 もしまたぶつのもろもろの弟子でしぶつ経教きょうきょうしてぶつ*相応そうおうすれば、 ぶつまたゆるして 「優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 *仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑなり。

所説十二部経↢論議経↡、名↢優波提舎↡。若復仏弟子解↢仏経教↡与↢仏義↡相応レバ者、仏亦許↢優波提舎↡。以↠入ルヲ↢仏法↡故ナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅱ)訳名を弁ず

^このけんろんといふは、 ただこれろんのみ。 あにまさしくかのやくすることをんや。 また女人にょにんを、 においてははしょうし、 あににおいいもうとといふがごとし。 かくのごとき、 みなしたがひてべつなり。 もしただおんなをもつてひろまいだんずるに、 すなはち*おんな大体だいたいしっせざれども、 あにそんふくまんや。 ここにいふところのろんもまたかくのごとし。

フハ↠論、直是論議而已 ノミ 。豈↣正コトヲ↢彼↡耶。又如↢女人↠子↠母、於↠兄フガ↟妹。如↠是事、皆随↠義名別ナリ。若但以↢女↡汎ルニ↢母妹↡、乃ドモ↠失↢女之大体↡、豈↢尊卑之義↡乎。此↠云亦復如↠是

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅲ)題の意を結す

^ここをもつて いんなり りて*梵音ぼんのんぞんじて優婆うば提舎だいしゃといふ。

ナホ ナリ↢梵音↡曰↢優波提舎↡。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)二分の大意を弁じて別して偈総題を為すを審す
            (Ⅰ)大段

【3】 ^この ¬ろん¼ (浄土論)じゅうにおほよそじゅうあり。 いちにはこれ総説そうせつぶんにはこれ解義げぎぶんなり。

¬論¼始終↢二重↡。一ニハ是総説分、二ニハ是解義分ナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅱ)文処を指す

^総説そうせつぶんとは、 さきごんくるまでこれなり。 解義げぎぶんとは、 「ろんじてはく」 以下いげじょうごうくるまでこれなり。

総説分者前五言偈尽マデナリ解義分者「論ジテ」已下長行尽マデナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅲ)所以を弁ず

^じゅうとなす所以ゆえん二義にぎあり。 はもつてきょうじゅす。 そうしょうせんがためのゆゑなり。 ろんはもつてしゃくす。 解義げぎのためのゆゑなり。

所↣以為↢二重↡者有↢二義↡。偈↠経。為↢総摂ムガ↡故ナリ。論↠偈。為↢解義↡故ナリ

一 Ⅱ 文相を解す
      題号を釈す【題号】

【4】 ^りょう寿じゅ」 とはりょう寿じゅ如来にょらいをいふ。 寿じゅみょうじょうおんにしてりょうすべからず。 「きょう」 とはじょうなり。 いふこころは安楽あんらくこくぶつおよびさつ清浄しょうじょうしょうごんどくこく清浄しょうじょうしょうごんどくとは、 よく*しゅじょうのために*だいにょうやくをなす。 つねにおこなはるべきがゆゑにづけてきょうといふ。 「優婆うば提舎だいしゃ」 はこれぶつろんきょうなり。

「无量寿」者、言↢无量寿如来↡。寿命長遠ニシテ↠可↢思量↡也。「経」者常也。言フココロハ楽国土仏及菩薩清浄荘厳功徳国土清浄荘厳功徳トハ、能↢衆生↡作↢大饒益↡。可キガ↣常ハル↢于世↡故↠経。「波提舎」是仏論議経ナリ

^がん」 はこれ*よくぎょうなり。 「しょう」 は天親てんじんさつ、 かの安楽あんらくじょう如来にょらいじょうのなかにしょうぜんとがんずるしょうなり。 ゆゑにがんしょうといふ。 「」 はこれしゅごんをもつてりゃくしてぶっきょうじゅするがゆゑにづけてとなす。

「願クハ」是欲楽ナリ。「生」者天親菩薩願↠生ムト↢彼安楽浄土如来浄花↡生ナリ。故↢願生↡。「偈」是句数義、以↢五言↡略ルガ↢仏経↡故↠偈

一 Ⅱ ⅱ 撰号を釈す

^婆藪ばそ」 をやくして 「てん」 といふ。 「ばん」 をやくして 「しん」 といふ。 このひと*天親てんじんなづく。 *は ¬*法蔵ほうぞうきょう¼ にあり。

↢「婆」↡云↠天。訳↢「槃頭」↡言↠親。此ナヅ↢天親↡。事↢¬付法蔵経¼↡。

^さつ」 とは、 もしつぶさに*梵音ぼんのんぞんぜば 「*だいさっ」 といふべし。 「だい」 は、 これ仏道ぶつどうなり。 「さっ」 は、 あるいはしゅじょうといひ、 あるいは勇健ゆうごんといふ。 仏道ぶつどうもとむるしゅじょう*ゆうみょうごんあるがゆゑにだいさっづく。 いまたださつといふは訳者やくしゃ (*菩提流支)りゃくせるのみ。 「ぞう」 はまたさくなり。 ^ひとによりてほうおもんずることをねがふがゆゑに某造ぼうぞうといふ。

「菩薩」者、若ゼバ↢梵音↡応↠云↢菩提薩埵↡。菩提者是仏道ナリ。薩埵↢衆生↡、或↢勇↡。求↢仏道↡衆生有↢勇猛健志↡故↢菩提薩埵↡。今但言フハ↢菩薩↡訳者耳。「造」亦作也。庶フガ↢因↠人ズルコトヲ↟法某造↡。

^このゆゑに 「りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょう婆藪ばそばんさつぞう」 といへり。 ¬ろん¼ (浄土論)みょうもくしをはりぬ。

↢「无量寿経優波提舎願生偈婆数槃頭菩薩造」↡。解↢¬論¼名目↡竟

釈文
  総説分を釈す【総説分】
    章を分つ

【5】 ^のなかをわかちて*念門ねんもんとなす。 しもじょうごうしゃくするところのごとし。

チテ↢五念門↡。如↢下長行↟釈

・三念門

^第一だいいちぎょう四句しくにあひふくみて三念さんねんもんあり。 かみさんはこれ*礼拝らいはい*讃嘆さんだんもんなり。 しもいっはこれ*がんもんなり。

第一行四句↢三念門↡。上三句是礼拝・讃嘆門ナリ。下一句是作願門ナリ

・成上起下

^だいぎょう論主ろんじゅ (天親) みづから、 「われぶっきょう (浄土三部経) によりて ¬ろん¼ をつくりてぶっきょう相応そうおうす、 ぶくするところ*しゅうある」 ことをぶ。 なんがゆゑぞいふとならば、 これ優婆うば提舎だいしゃじょうぜんがためのゆゑなり。 またこれかみ三門さんもんじょうじてしももんおこす。 ゆゑにこれにいでけり。

第二行論主自↧我依↢仏経↡造↠¬論¼与↢仏教↡相応、所↠服コトヲ↞宗。何フトナラバ、此為↠成ムガ↢優波提舎↡故ナリ。亦是成↢上三門↡起↢下二門↡。所以↠之

・観察門

^だいさんぎょうよりじゅういちぎょうくるまで、 これ*観察かんざつもんなり。

↢第三行↡尽マデ↢廿一行↡是観察門ナリ

・回向門

^まついちぎょうはこれ*こうもんなり。 しょうもんわかちをはりぬ。

末後一行是廻向門ナリ。分↢偈章門↡竟

二 Ⅰ 文を釈す
      随釈して法を顕す
        三念門を相含む
          (一)牒偈

【6】  ^そん一心いっしん みょう尽十方じんじっぽう 無礙むげこう如来にょらい がんしょう安楽国あんらくこく

世尊我一心シタテマツリテ尽十方 无光如来ゼムト安楽国

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)釈義
            (Ⅰ)第一句を解す
              (ⅰ)世尊を釈す
                (a)名義

 ^*そん」 とは諸仏しょぶつ通号つうごうなり。 *ろんずればすなはちとしてたっせざるはなし。 *だんかたればすなはち*じっあまりなし。 だんそくしてよく*けんし、 のためにそんじゅうせらるるゆゑにそんといふ。

世尊」者諸仏通号ナリ。論レバ↠智トシテ↠不コト↠達。語レバ↠断習気无↠余。智断具足↢世間↡、為↠世尊重ラルル↢世尊↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)通別

^ここにいふこころは、 しゃ如来にょらいしたてまつるなり。 なにをもつてかることをとなれば、 しもに 「我依がえしゅ多羅たら」 といへばなり。 天親てんじんさつしゃ如来にょらい*像法ぞうぼうのなかにありてしゃ如来にょらい経教きょうきょうじゅんず。 ゆゑにしょうぜんとがんず。 しょうぜんとがんずるにしゅうあり。 ゆゑにこのごんしゃしたてまつるとるなり。 もしこのこころおもふに、 あまねく諸仏しょぶつぐることまたきらふことなし。

マツルナリ↢釈迦如来↡。何トナレバ↠知コトヲ、下ヘバナリ↢「我依修多羅」↡。天親菩薩在↢釈迦如来像法之中↡、順↢釈迦如来経教↡。所以↠生ムト。願ルニ↠生ムト↠宗。故ナリ↣此マツルト↢于釈迦↡。若フニ↢此↡、遍コト↢諸仏↡亦復无↠嫌フコト

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)告意

^それさつぶつすることは、 こう父母ぶもし、 ちゅうしん君后くんこうして、 *どうじょうおのれにあらず、 *しゅつもつかならずゆえあるがごとし。 *おんりてとくほうず、 よろしく*けいすべし。 ^また所願しょがんかろからず。 もし如来にょらい*じんしたまはずは、 まさになにをもつてかたっせんとする。 *神力じんりきすることをふ。 ゆゑにあおぎてぐるなり。

菩薩コトハ↠仏、如↧孝子之帰↢父母↡、忠臣之帰↢君后↡、動静非、出没必アルガ↥。知↠恩↠徳、理宜↢先↡。又所願不↠軽カラ如来不↠加タマハ↢威神↡、将↢何ムトサトル ↡。乞↠加コトヲ↢神力↡。所以ルナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)我一心を釈す
                (a)総釈【論主自督】

^一心いっしん」 とは、 天親てんじんさつ*とくことばなり。

「我一心」者天親菩薩自 督アキラム之詞ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)一心

^いふこころは、 *無礙むげこう如来にょらいねんじて安楽あんらくしょうぜんとがんず。 心々しんしん*相続そうぞくしておもい*間雑けんぞうすることなしとなり。

フココロハ↢无光如来↡願↠生ムト↢安楽↡。心心相続シトナリ↢他想間雑コト↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)

 ^ひていはく、 仏法ぶっぽうのなかにはなし。 このなかになにをもつてかしょうする。 ^こたへていはく、 「」 といふにさん根本こんぽんあり。 いちにはこれ*邪見じゃけんにはこれ*だいさんにはこれ*流布るふなり。 いま 「」 といふは、 天親てんじんさつ自指じしことばにして、 流布るふもちゐる。 邪見じゃけんだいとにはあらず。

、仏法ニハ↠我。此↠我。答、言フニ↠我↢三根本↡。一ニハ是邪見語、二ニハ是自大語、三ニハ是流布語ナリ。今言↠我者天親菩薩自指之言ニシテ、用↢流布語↡。非↢邪見自大トニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)第二三句を解す
              (ⅰ)総示

 ^*みょうじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 とは、 「*みょう」 はすなはちこれ礼拝らいはいもんなり。 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はすなはちこれ讃嘆さんだんもんなり。

「帰命尽十方无光如来」者、帰命是礼拝門ナリ。尽十方无光如来是讃嘆門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)【礼拝門】

^なにをもつてか 「みょう」 はこれ礼拝らいはいなりとるとなれば、 りゅうじゅさつの、 弥陀みだ如来にょらいさん (易行品)つくれるなかに、 あるいは 「*稽首けいしゅらい」 といひ、 あるいは 「みょう」 といひ、 あるいは 「みょうらい」 といへり。 この ¬ろん¼ (浄土論)じょうごうのなかにまた 「念門ねんもんしゅす」 といへり。 念門ねんもんのなかに礼拝らいはいはこれはじめなり。 天親てんじんさつすでにおうじょうがんず。 あにらいせざるべけんや。 ゆゑにりぬ、 みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなり。

トナレバ↢帰命是礼拝ナリト↡、龍樹菩薩レル↢阿弥陀如来、或↢「稽首礼」↡、或↢「我帰命」↡、或↢「帰命礼」↡。此¬論¼長行亦言↠「修スト↢五念門↡」。五念門礼拝是一ナリ。天親菩薩既↢往生↡。豈ケムヤ↠不↠礼。故帰命是礼拝ナリ

^しかるに礼拝らいはいはただこれ*ぎょうにして、 かならずしもみょうにあらず。 みょうはかならずこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつてすいせば、 みょうおもしとなす。 *しんぶ。 よろしくみょうといふべし。 ろんす。 ひろ礼拝らいはいだんず。 *彼此ひしあひじょうじてにおいていよいよあらわれたり。

礼拝但是恭敬ニシテ、不↢必シモ帰命↡。帰命是礼拝ナリ。若↠此、帰命↠重シト。偈↢己心↡。宜↠言↢帰命↡。論↢偈↡。汎↢礼拝↡。彼此相、於↠義レタリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)【讃嘆門】
                  (イ)正証

 ^なにをもつてか 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はこれ讃嘆さんだんもんなりとるとならば、 しもじょうごうのなかに、 「いかんが讃嘆さんだんもん。 いはく、 かの如来にょらいみなしょうするに、 かの如来にょらい*こうみょうそうのごとく、 かの*みょうのごとく、 *如実にょじつしゅぎょうして相応そうおうせんとほっするがゆゑなり」 といへり。

トナラバ↢尽十方无光如来是讃嘆門ナリト↡、下長行↧「云何讃嘆門ルニ↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、欲ルガ↢如実修行相応ムト↡故ナリト」↥。

^*しゃこく所説しょせつの ¬りょう寿じゅきょう¼ (*小経) によらば、 ぶつ弥陀みだ如来にょらいみょうごうしたまはく、 「なんがゆゑぞ弥陀みだごうする。 かのぶつこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふに*しょうするところなし。 このゆゑに弥陀みだごうす。 またかのぶつ寿じゅみょうおよびその人民にんみんも、 りょうへん*そうなり。 ゆゑに弥陀みだづく」 と。

↢舎衛国所説¬无量寿経¼↡、仏解タマハク↢阿弥陀如来名号↡、「何スル↢阿弥陀↡。彼光明无量ニシテ、照↢十方国↡无↠所↢障↡。是↢阿弥陀↡。又彼寿命及人民、无量无辺阿僧祇ナリ。故クト↢阿弥陀↡」。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)料簡
                    [一]

 ^ひていはく、 もし無礙むげこう如来にょらいこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふに障礙しょうげするところなしといはば、 このけんしゅじょう、 なにをもつてか光照こうしょうこうむらざる。 ひかりらさざるところあらば、 あにあるにあらずや。

、若↧无光如来光明无量ニシテ、照タマフニ↢十方国土↡无シト↞所↢障↡者、此衆生何↠蒙↢光照↡。光↠所↠不↠照、豈↠有ルニ↠耶。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]正しく所疑を答ふ

^こたへていはく、 しゅじょうぞくす。 ひかりにはあらず。 ^たとへば日光にっこう*てんにあまねけれども、 *盲者もうじゃざるがごとし。 日光にっこうのあまねからざるにはあらず。 また*密雲みつうんおおきにそそ かんなり げども、 *頑石がんせきうるおはざるがごとし。 あめうるお しゅなり さざるにはあらず。

、↢衆生↡。非↢光ニハ↡也。譬↧日光ケレドモ↢四天下↡而盲者ルガ↞見。非↢日光ルニハ↟周カラ也。亦如↢密雲オホキゲドモ ナリ之句頑石ルガ↟潤。非↢雨ルニハ ナリ 也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]重ねて二蔵を弁ず

 ^もし一仏いちぶつ*三千さんぜん大千だいせんかいしゅりょうすといはば、 これしょうもんろんのなかのせつなり。 もし諸仏しょぶつあまねく十方じっぽうりょうへんかいりょうすといはば、 これだいじょうろんのなかのせつなり。

↣一仏主↢領スト三千大千世界↡、是声聞論ナリ。若↣諸仏遍スト↢十方无量无辺世界↡、是大乗論ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)結成

^天親てんじんさつ、 いま、 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 といふは、 すなはちこれかの如来にょらいみなにより、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく讃嘆さんだんするなり。 ゆゑにりぬ、 このはこれ讃嘆さんだんもんなり。

天親菩薩、今言フハ↢「尽十方无光如来」↡、即是依↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡讃嘆ルナリ。故是讃嘆門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)第四句を解す
              (ⅰ)正釈【作願門】

 ^がんしょう安楽あんらくこく」 とは、 このいっはこれがんもんなり。 天親てんじんさつみょうこころなり。 それ 「安楽あんらく」 のは、 つぶさにした観察かんざつもんのなかにあり。

「願生安楽国」者、此一句是作願門ナリ。天親菩薩帰命之意也。其安楽↢下観察門↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)問答【願生問答】
                (a)生の義を料簡す
                  (イ)

 ^ひていはく、 *だいじょうきょうろんのなかに、 処々しょしょに 「しゅじょう*ひっきょうしょうにして*くうのごとし」 とけり。 いかんが天親てんじんさつ*がんしょう」 といふや。

、大乗経論、処処↣衆生畢竟无生ニシテシト↢虚空↡。云何天親菩薩言↢願生↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 「しゅじょうしょうにしてくうのごとし」 とくにしゅあり。

、説クニ↣衆生无生ニシテシト↢虚空↡有↢二種↡。

^いちには、 *ぼんおもふところのごときじつしゅじょうぼんるところのごときじつしょうは、 この所見しょけんひっきょうじてしょなきこと、 *もうのごとく、 くうのごとし。

者如↢凡夫↟謂衆生、如↢凡夫↟見生死、此所見事畢竟キコト↢所有↡如↢亀毛↡、如↢虚空

^には、 いはく、 諸法しょほう*因縁いんねんしょうのゆゑにすなはちこれしょうなり。 しょなきことくうのごとし。 天親てんじんさつがんずるところのしょうは、 これ*因縁いんねんなり。 因縁いんねんのゆゑにかりしょうづく。 ぼんの、 じつしゅじょうじつしょうありとおもふがごときにはあらず。

。二者謂諸法因縁生是不生ナリ。无キコト↢所有↡如↢虚空↡。天親菩薩↠願ズル生者、是因縁ナリ。因縁↠生。非↠如キニハ↢凡夫フガ↟有リト↢実衆生実生死↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)往の義を料簡す
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんのによりてかおうじょうく。

、依テカ↢何↡説↢往生↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 このけん*みょうにんのなかにおいて念門ねんもんしゅするに、 前念ぜんねんねんのためにいんとなる。 *穢土えどみょうにんじょうみょうにんと、 けつじょうしていちなるをず、 けつじょうしてなるをず。 前心ぜんしんしんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もしいちならばすなはちいんなく、 もしならばすなはち相続そうぞくにあらざればなり。 この*いちもんかんずるろんのなかに*きょくなり。

、於↢此仮名人↡修ルニ↢五念門↡、前念↢後念↡作↠因。穢土仮名人浄土仮名人、不↠得↢決定ナルヲ不↠得↢決定ナルヲ↡。前心後心亦如↠是。何。若ナラバ↢因果↡、若ナラバレバナリ↢相続↡。是↢一異↡論委曲ナリ

^だいぎょうさん念門ねんもんしゃくしをはりぬ。

↢第一行三念門↡竟

二 Ⅰ ⅱ a 所服有宗を述ぶ【成上起下偈】
          (一)出科

【7】 ^つぎは 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 またかみじょうじてしもおこなり

波提舎↡、又成↠上↠下ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (二)牒偈

我依がえしゅ多羅たら 真実しんじつどくそう せつがんそう ぶっきょう相応そうおう

我依リテ修多羅 真実功徳相キテ願偈総持仏教相応セム

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)釈義
            (Ⅰ)総じて科意を明す
              (ⅰ)名を成ずるを顕す

 ^このいちぎょう、 いかんが 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 いかんが*かみ三門さんもんじょう*しももんおこす。 に 「我依がえしゅ多羅たら ぶっきょう相応そうおう」 といふ。 「*しゅ多羅たら」 はこれぶっきょうなり。 われぶっきょうろんじて、 きょう相応そうおうす。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑに優婆うば提舎だいしゃづく。 じょうじをはりぬ。

一行云何↢優波提舎↡、云何↢上三門↡起↢下二門↡。偈↢「我依修多羅、与仏教相応」↡。「修多羅」是仏経ナリ。我論↢仏経↡、与↠経相応↠入ルヲ↢仏法憂波提舎↡。名成

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)成上起下を審にす

^かみ三門さんもんじょうじてしももんおこすとは、 いづれのところにかり、 なんのゆゑにかり、 いかんがる。 ^いづれのところにかるとは、 しゅ多羅たらる。 なんのゆゑにかるとは、 如来にょらいはすなはち*真実しんじつどくそうなるをもつてのゆゑなり。 いかんがるとは、 念門ねんもんしゅして相応そうおうするがゆゑなり。 かみじょうしもおこしをはりぬ。

↢上三門↡起ストハ↢下二門↡、何レノニカ、何ニカ、云何。何レノニカルト者、依↢修多羅↡。何ニカルト者、以↢如来真実功徳ナルヲ↡故ナリ。云何ルト者、修↢五念門↡相応ルガナリ。成↠上↠下

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)別して文句を解す
              (ⅰ)第一句を釈す

^しゅ多羅たら」 とは、 じゅうきょうのなかの直説じきせつのものをしゅ多羅たらづく。 いはく、 *四阿しあごん三蔵さんぞうとう三蔵さんぞうのほかのだいじょう諸経しょきょうもまたしゅ多羅たらづく。 このなかに 「しゅ多羅たら」 といふは、 これ三蔵さんぞうのほかのだいじょうしゅ多羅たらなり。 ごんとうきょうにはあらず。

修多羅者、十二部経直説↢修多羅↡。謂四阿含・三蔵等ナリ三蔵大乗諸経亦名↢修多羅↡。此↢「依修多羅」↡者、是三蔵大乗修多羅ナリ。非↢阿含等ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)第二句を釈す【真実功徳釈】
                (a)不実功徳

^真実しんじつどくそう」 とは、 しゅどくあり。 いちには*有漏うろしんよりしょうじて*ほっしょうじゅんぜず。 いはゆるぼん人天にんでん諸善しょぜん人天にんでんほう、 もしはいんもしは、 みなこれ*顛倒てんどう、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑにじつどくづく。

「真実功徳」者、有↢二種功徳↡。一者従↢有漏心↡生不↠順↢法性↡。所謂凡夫人天諸善、人天果報、若因若果、皆是顛倒、皆是虚偽ナリ。是↢不実功徳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)真実功徳

^にはさつ智慧ちえ清浄しょうじょうごうよりおこりて*ぶつしょうごんす。 ほっしょうによりて清浄しょうじょうそうる。 このほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず。 づけて真実しんじつどくとなす。 いかんが顛倒てんどうせざる。 ほっしょうによりて*たいじゅんずるがゆゑなり。 いかんが虚偽こぎならざる。 しゅじょうせっして*ひっきょうじょうらしむるがゆゑなり。

者従↢菩薩恵清浄業↡起荘↢厳仏事↡。依↢法性↡入↢清浄↡。是法不↢顛倒↡、不↢虚偽ナラ↡。名↢真実功徳↡。云何不↢顛倒↡。依↢法性↡順ルガ↢二諦↡故ナリ。云何不↢虚偽ナラ↡。摂↢衆生↡入シムルガ↢畢竟浄↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅲ)後の二句を釈す

^せつがんそう ぶっきょう相応そうおう」 とは、 「」 はさんしつづく。 「そう」 はしょうをもつてせっするにづく。 」 のごんごんしゅなり。 がん」 はおうじょう*よくぎょうするにづく。 せつ」 はいはく、 もろもろのろんくなり。 そうてこれをいふに、 がんしょうするところのきて、 ぶっきょう*そうし、 ぶっきょう相応そうおうするなり。 相応そうおう」 とは、 たとへば*かんがいとあひかなへるがごとし。

「説願偈総持、与仏教相応」者、持↢不散不失↡。総↢以↠少ルニ↟多。偈五言句数ナリ。願クハ↣欲↢楽ルニ往生↡。説クナリ↢諸↡。総而言フニ↠之、説↧所↢願生↡偈↥、総↢持仏経↡、与↢仏教↡相応ルナリ。相応者、譬↢函ヘルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a 【観察門】
          (一)【器世間】
            (Ⅰ)正説
              (ⅰ)【清浄功徳】
                (a)牒偈

【8】  ^かんかいそう しょう三界さんがいどう

ズルニ世界セリ三界

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)釈義
                  (イ)総じて章を分つ
                    [一]総じて観察を標す

 ^これより以下いげは、 これだい観察かんざつもんなり。

ヨリ已下是第四観察門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二]正しく章門を分つ
                      [Ⅰ]総じて依正を分つ

^このもんのなかをわかちてべつとなす。 いちには*けんしょうごんじょうじゅ観察かんざつす。 には*しゅじょうけんしょうごんじょうじゅ観察かんざつす。

チテ↢二↡。一者観↢察器世間荘厳成就↡。二者観↢察衆生世間荘厳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]別して国徳を指す
                        [ⅰ]総じて文処を別つ

^このより以下いげがんしょう弥陀みだ仏国ぶつこく」 にいたるまでは、 これけんしょうごんじょうじゅかんずるなり。 けんかんずるなかに、 またわかちてじゅうしちべつとなす。 もんいたりてまさになづくべし。

ヨリ已下、至マデハ↢「願生彼阿弥陀仏国」↡是観ルナリ↢器世間荘厳成就↡。観↢器世間↡中、復分チテ↢十七↡。至↠文ナヅ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別して句名を標す

^このはすなはちこれ第一だいいちなり。 づけて観察かんざつしょうごん*清浄しょうじょうどくじょうじゅとなす。

二句是第一ナリ。名↢観察荘厳清浄功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)別して今偈を釈す
                    [一]下釈に対す

^この清浄しょうじょうはこれ*総相そうそうなり。

清浄是総相ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]本を尋ねて釈す
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごん清浄しょうじょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 *三界さんがいそなはすに、 これ虚偽こぎそう、 これ*輪転りんでんそう、 これ*ぐうそうにして、 *しゃっかく かがまりぶるむしなりじゅんかんするがごとく、 *蚕繭さんけん さんなりばくするがごとし。 あはれなるかなしゅじょう、 この三界さんがいしば むすびてけず られて、 顛倒てんどうじょうなり。

仏本所↣以起タマヘル↢此荘厳清浄功徳↡者、見ソナハスニ↢三界↡是虚偽相、是輪転相、是无窮ニシテ、如 マリブルナリ一郭 循環ルガ↡、如↢蚕 才含反 蚕衣ナリ公殄 自縛ルガ↡。哀ナル哉衆生締ラレテ不↠解三界↡、顛倒・不浄ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^しゅじょう不虚偽ふこぎところ輪転りんでんところ不無ふむぐうところきて、 ひっきょう安楽あんらくだい清浄しょうじょうしょしめんとおぼしめす。 このゆゑにこの清浄しょうじょうしょうごんどくおこしたまへり。

シメス↧置↢衆生於不虚偽処、於不輪転処、於不无窮↡、得シメムト↦畢竟安楽大清浄処↥。是タマヘリ↢此清浄荘厳功徳↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 この清浄しょうじょう破壊はえすべからず、 ぜんすべからず。 三界さんがいの、 これぜんそう、 これ破壊はえそうなるがごときにはあらず。

成就者、言フココロハ清浄不↠可↢破壊↡、不↠可↢汚染↡。非ザル↠如キニハ↢三界是汚染相、是破壊ナルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]成就
                      [Ⅰ]初句を釈す

^かん」 とは観察かんざつなり。 「」 とはかの安楽あんらくこくなり。 「かいそう」 とはかの安楽あんらくかい清浄しょうじょうそうなり。 そのそうべつしもにあり。

「観」者観察也。「彼」者彼安楽国也。「世界相」者彼安楽世界清浄相也。其相別↠下

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]後句を釈す
                        [ⅰ]道を釈す

^しょう三界さんがいどう」 の 「どう」 とはつうなり。 かくのごときいんをもつて、 かくのごとき。 かくのごときをもつて、 かくのごときいんむくゆ。 いんつうじていたる。 つうじていんむくゆ。 ゆゑにづけてどうとなす。

「勝過三界」、道者通也。以↢如↠此↡、得↢如↠此↡。以↢如↠此↡、酬↢如↠此↡。通↠因↠果。通↠果↠因。故↠道

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]三界を釈す

^三界さんがい」 とは、 いちにはこれ*欲界よくかい、 いはゆる六欲ろくよくてんてんにんちくしょう餓鬼がきごくとうこれなり。 にはこれ*色界しきかい、 いはゆる初禅しょぜんぜん三禅さんぜんぜん天等てんとうこれなり。 さんにはこれ*色界しきかい、 いはゆる空処くうしょ識処しきしょしょしょそう非非ひひ想処そうしょ天等てんとうこれなり。

三界者、一ニハ是欲界、所謂六欲天・四天下人・畜生・餓鬼・地獄等是也。二ニハ是色界、所謂初禅・二禅・三禅・四禅天等是也。三ニハ是无色界、所謂空処・識処・无所有処・非想非非想処天等是也。

^この三界さんがいはけだしこれしょうぼんてん闇宅あんたくなり。 またらくすこしきことなり、 *修短しゅたんしばらくことなりといへども、 べてこれをかんずるに有漏うろにあらざるはなし。 *ぶくあひじょうじ、 じゅんかんさいなり。 *ざっしょう触受そくじゅし、 *とうながかかはる。 かつはいん、 かつは虚偽こぎあひおそふ。

三界是生死凡夫流転之闇宅ナリ。雖↢復苦楽小ナリ、修短暫↡、統而観ルニ↠之↠非コト↢有漏↡。伏相循環无際ナリ。雑生触受、四倒長カカハ。且因且果、虚偽相

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅲ]勝過の相を明す

^安楽あんらくはこれさつ (*法蔵)慈悲じひ*しょうかんしょう如来にょらい (阿弥陀仏)神力じんりき*本願ほんがん所建しょこんなり。 *たいらん湿しつしょう、 これによりて*たかおさめ、 *ごうながつな、 これよりながつ。 *続括ぞくかつはかりごとすすめをたずしてゆみく。 *労謙ろうけんぜんじょう*げんひとしくしてとくおなじくす。 ^しょう三界さんがい」 とは、 そもそもこれ近言ごんごんなり。

安楽是菩薩慈悲・正観之由生、如来神力本願之所建ナリ。胎卵湿生縁リテ↠茲ヲサ、業繋ツナ↠此永。続括之ハカリゴトシテ↠待↠勧↠弓。労謙善譲斉クシテ↢普賢↡而同クス↠徳。勝セリ三界トハ是近言ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)【量功徳】
                (a)牒偈

【9】  ^きょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい

究竟シテ虚空 広大ニシテ辺際

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*りょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳量功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)本願
                    [一]正しく本願を明す
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごんりょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいそなはすに陜小きょうしょうにして* はいじょうおかなり けい やま絶坎ぜっかんなり *はい つちかさぬるなり。 いちにはいはくなり しょ しょのごときもの、 しょきゅうなり なり。 あるいは*かん迫迮はくさくし、 あるいは*でん逼隘ひつあい ろうなり す。 あるいは志求しぐするにみちつづまり、 あるいはせんへだ そくなりふ。 あるいは*国界こくかいぶんせり。 かくのごとき種々しゅじゅ*きゅうあり。

仏本所↣以起タマヘル↢此荘厳量功徳↡者、見ソナハスニ↢三界戸甲ニシテナリ式垂 絶坎ナリコト↠土ニシテナリ父才ナリ 者陼ナリ之与。或宮観迫 子格、或土田逼隘 ナリ。或志求ルニツヅマ、或山河隔 ナリ。或国界分セリ。有↢如↠此種種挙急事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑにさつ、 このしょうごんりょうどくがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくくうのごとく広大こうだいにしてさいならん」 と。

菩薩興タマヘリ↢此荘厳量功徳↡。願クハ国土↢虚空↡広大ニシテ无際ナラムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]因みに偈句を釈す

^くうのごとく」 とは、 いふこころは、 らいしょうのものおおしといへども、 なほなきがごとくならんとなり。 「広大こうだいにしてさいならん」 とは、 かみの 「にょくう」 のじょうず。 なんがゆゑぞ 「にょくう」 といふ。 広大こうだいにしてさいなるをもつてのゆゑなり。

「如クト↢虚空↡」者、言フココロハ来生者雖オホシ、猶若クナラムト↠无キガ也。「広大ニシテ无際ナラムト」者、成↧上虚空↥。何虚空トイフ。以↢広大ニシテ无際ナルヲ↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)成就
                    [一]正釈

^じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 十方じっぽうしゅじょうおうじょうするもの、 もしはすでにしょうじ、 もしはいまにしょうじ、 もしはまさにしょうぜん。 りょうへんなりといへどもひっきょうじてつねにくうのごとく、 広大こうだいにしてさいにして、 つひにときなからん。 このゆゑに 「きょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい」 といへり。

成就者、言フココロハ十方衆生往生セム者、若、若、若↢无量无辺ナリト↡畢竟↢虚空↡、広大ニシテ无際ニシテ、終ラム↢満時↡。是ヘリ↢「究竟如虚空、広大无辺際」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]問答

 ^ひていはく、 ゆいのごときは、 *ほうじょう苞容ほうようしてあまりあり。 なんぞかならず国界こくかい*無貲むしなるをすなはち広大こうだいしょうする。

、如キハ↢維摩↡、方苞容↠余。何国界无ナルヲ スル↢広大↡。

^こたへていはく、 いふところの広大こうだいは、 かならずしも*けい じっなり えん さんじっなり をもつてたとへとなすにあらず。 ただくうのごとしといふ。 またなんぞほうじょうわずらはさんや。 またほうじょう苞容ほうようするところはきょうにありてこうなり。 まこと じつなりほうろんずるに、 あにこうにありてこうなるにしかんや。

、所↠言広大↧必シモ五十畝ナリ下圭 三十畝ナリ遠一万スニ↞喩。但言↠如シト↠空。亦何ワズラハサムヤ↢方↡。又方丈之苞容↡在而広ナリマコト ナリ下革ルニ↢果報↡、豈カム↢在↠広而広ナルニ↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)【性功徳】
                (a)牒偈

【10】 ^しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう

正道大慈悲 出世善根ヨリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*しょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳性功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 愛欲あいよくをもつてのゆゑにすなはち欲界よくかいあり。 *攀厭へんえんぜんじょうをもつてのゆゑにすなはちしき色界しきかいあり。 この三界さんがいはみなこれ有漏うろなり。 *邪道じゃどうしょしょうなり。 ながだいねてでんとねがふをることなし。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、以↢愛欲↡故↢欲界↡。以↢攀厭禅定↡故↢色・无色界↡。此三界皆是有漏ナリ。邪道所生ナリ。長↢大夢↡莫↠知コト↠悕フヲ↠出ムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 *じょうしょう見道けんどうをもつて清浄しょうじょうおこして三界さんがいいださん」 と。

タマヘリ↢大悲心↡。願クハ我成仏ムニ、以↢无上正見道↡起↢清浄↡出サムト↠于↢三界↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)句名を釈す
                    [一]性本義

^*しょう」 はこれほんなり。 いふこころは、 このじょうほっしょうずいじゅんして法本ほうほんそむかず。 ¬*ごんぎょう¼ の*宝王ほうおう如来にょらい*しょうおなじ。

是本ナリ。言フココロハ浄土随↢順法性↡不↠乖↢法本↡。事同↢¬花厳経¼宝王如来性起↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[二]積習性

^またいふこころは、 積習しゃくじゅうしてしょうじょうず。 *法蔵ほうぞうさつしょ*波羅はらみつあつめて積習しゃくじゅうしてじょうずるところをす。

又言フココロハ積習↠性。指↧法蔵菩薩集↢諸波羅蜜↡積習↞成ズル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[三]聖種性

^また 「しょう」 といふは、 これ*しょうしゅしょうなり。 はじ法蔵ほうぞうさつ*世自せじ在王ざいおうぶつみもとにおいて、 *しょう法忍ぼうにんさとりたまへり。 そのときくらいしょうしゅしょうづく。 このしょうのなかにおいて*じゅうはち大願だいがんおこしてこの*しゅせり。 すなはち安楽あんらくじょうといふ。 これかのいん所得しょとくなり。 のなかにいんく。 ゆゑにづけてしょうとなす。

亦言↠性者是聖種性ナリハジ法蔵菩薩於↢世自在王仏↡、悟タマヘリ↢无生法忍↡。爾↢聖種性↡。於↢是↡発↢八大願↡修↢起↡。即↢安楽浄土↡。是彼所得ナリ。果↠因。故↠性

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[四]必然不改

^またいふこころは、 「しょう」 はこれ必然ひつねんなり、 がいなり。 うみしょう*いちにして、 しゅればかならずいちとなりて、 うみあじはひ、 かれにしたがひてあらたまらざるがごとし。

又言フココロハ必然ナリ、不改ナリ。如↧海性一味ニシテ、衆流入レバ者必↢一味↡海味不ルガ↦随↠彼↥也。

^またひとしょうじょうなるがゆゑに、 種々しゅじゅみょうこうしきこう美味みみればみなじょうとなるがごとし。 安楽あんらくじょうはもろもろのおうじょうするもの、 じょうしきなく、 じょうしんなし。 ひっきょうじてみな清浄しょうじょうびょうどう*無為むい法身ほっしんることは、 安楽あんらくこく清浄しょうじょうしょうじょうじゅせるをもつてのゆゑなり。

又如↣人不浄ナルガ、種種妙好色・香・美味入レバ↠身皆為ルガ↢不浄↡。安楽浄土往生者、无↢不浄色↡、无↢不浄心↡。畢竟皆得コトハ↢清浄平等无為法身↡、以↢安楽国土清浄性成就セルヲ↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)成就
                    [一]初句を釈す

^しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう」 とは、 *びょうどう*大道だいどうなり。 びょうどうどうづけて*しょうどうとなす所以ゆえんは、 びょうどうはこれ諸法しょほう*体相たいそうなり。 諸法しょほうびょうどうなるをもつてのゆゑに*発心ほっしんひとし。 発心ほっしんひとしきがゆゑにどうひとし。 どうひとしきがゆゑにだい慈悲じひひとし。 だい慈悲じひはこれ仏道ぶつどうしょういんなるがゆゑに 「しょうどうだい慈悲じひ」 といへり。

「正道大慈悲、出世善根ヨリ」者、平等大道也。平等所↣以名↢正道↡者、平等是諸法体相ナリ。以↢諸法平等ナルヲ↡故発心等。発心等キガ道等。道等キガ大慈悲等。大慈悲是仏道正因ナルガ↢「正道大慈悲」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)[二]後句を釈す

^**三縁さんえんあり。 いちにはしゅじょうえん、 これしょうなり。 には法縁ほうえん、 これちゅうなり。 さんにはえん、 これだいなり。 だいはすなはち*しゅっぜんなり。 安楽あんらくじょうはこのだいよりしょうぜるがゆゑなり。 ゆゑにこのだいをいひてじょうこんとなす。 ゆゑに 「しゅっ善根ぜんごんしょう」 といへり。

慈悲↢三縁↡。一者衆生縁、是小悲ナリ。二者法縁、是中悲ナリ。三者无縁、是大悲ナリ。大悲出世善也。安楽浄土↢此大悲↡生ルガナリ。故↢此大悲↡為↢浄土之根↡。故↢「出世善根生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)【形相功徳】
                (a)牒偈

【11】 ^じょうこうみょう満足まんぞく にょきょう日月にちがつりん

浄光明満足スルコト日月輪トノ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*ぎょうそうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳形相功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごんどくおこしたまへる所以ゆえんは、 *いきくをそなはすに、 ひかり*三方さんぽうにあまねからず。 *ていりょうたくにあるにあきらかなること*じゅうじんたず。

仏本所↣以起タマヘル↢此荘厳功徳↡者、見ソナハスニクヲ↢四域↡、光不↠周カラ↢三方↡。庭燎 力小ルニ↠宅カナルコト不↠満↢十↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑにじょうこうみょうたさんとがんおこしたまへり。

↠是タマヘリ↧満ムト↢浄光明↡願↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ハ)成就

^日月にちがつ光輪こうりんの、 たい満足まんぞくせるがごとく、 かの安楽あんらくじょうもまた広大こうだいにしてほとりなしといへども、 清浄しょうじょうこうみょうじゅうそくせざるはなからん。 ゆゑに 「じょうこうみょう満足まんぞく 如鏡にょきょう日月にちがつりん」 といへり。

↣日月光輪満↢足ルガ自体↡、彼安楽浄土↢復広大ニシテシト↟辺、清浄光明无ラム↠不コト↢充塞↡。故↢「浄光明満足、如鏡日月輪」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)【種々事功徳】
                (a)牒偈

【12】 ^しょ珍宝ちんぽうしょう そくみょうしょうごん

ヘテ珍宝セリ妙荘厳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*種々しゅじゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳種種事功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 でいをもつてかざりとなし、 木石ぼくせきをもつて*かんとなす。 あるいはこがねたまちりばむもがんたず。 あるいはいとなみてひゃくせんそなふれば、 つぶさにしんく。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、以↢泥土↡為↢宮↡、以↢木石↡為↢花観↡。或↠金チリバム↠玉意願不↠充。或レバ↢百千↡具↢辛苦↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑにだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 かならず珍宝ちんぽうそくし、 厳麗ごんらいねんにして*有余うよにあひわすれ、 おのづから仏道ぶつどうしめん」 と。

↠此タマヘリ↢大悲心↡。願クハ我成仏ムニ、必使ムト↧珍宝具足、厳麗自然ニシテ↢忘於有余↡、自得↦於仏道↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ハ)成就

^このしょうごん、 たとひ*首羯しゅかつたくみみょうぜつしょうすとも、 おもいおもいつくすとも、 あによくりてうつさんや。

荘厳事、縦使毘首羯磨タクミトモ↢妙絶↡、積↠思ツクストモ↠想、豈ウツサムヤ

^しょう」 とはほんなり。 のうしょうすでにきよし、 しょしょういづくんぞじょうん。 ゆゑに ¬きょう¼ (*維摩経) にのたまはく、 「そのしんきよきにしたがひてすなはちぶつきよし」 と。 このゆゑに 「しょ珍宝ちんぽうしょう そくみょうしょうごん」 といへり。

「性」者本義也。能生既、所生焉↢不浄↡。故¬経¼言、「随↢其心浄キニ↡則仏土浄シト」。是↢「備諸珍宝性、具足妙荘厳」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)【妙色功徳】
                (a)牒偈

【13】 ^無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん

无垢光炎熾ニシテ 明浄ニシテカス↢世間

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*みょうしきどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳妙色功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 れつどうなり。 どうなるをもつてのゆゑに*こうもつてあらわる。 こうすでにあらわるれば、 是非ぜひもつておこる。 是非ぜひすでにおこれば、 なが*さんしず もつなり む。

仏本何タマヘリ↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、優劣不同ナリ。以↢不同ナルヲ↡故高下以アラハ。高下既レバ、是非以。是非既レバ、長ナリ 三有↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいしんおこしてびょうどうがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこく光炎こうえんじょうにして第一だいいち無比むひならん。 人天にんでん金色こんじきよくうばふものあるがごとくならじ」 と。

↢大悲心↡起タマヘリ↢平等↡。願クハ国土光炎熾盛ニシテ第一无比ナラム。不↠如クナラ↣人天金色能ルガ↢奪者↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)成就
                    [一]総じて釈す
                      [Ⅰ]光を顕す

^いかんがあひうばふ。 明鏡みょうきょうのごときを金辺こんぺんけばすなはちげんぜず。

若為イカンガ。如キヲ↢明鏡オケ↢金辺↡則不↠現

^今日こんにちちゅうこがねぶつ (釈尊)ざいこがねするにすなはちげんぜず。

今日時中ルニ↢仏在時↡則不↠現

^ぶつ (釈尊)ざいこがね*えん浮那ぶなごんするにすなはちげんぜず。

在時ルニ↢閻浮那金↡則不↠現

^えん浮那ぶなごん大海だいかいのなかの*転輪てんりんのうどうちゅう*金沙こんしゃするにすなはちげんぜず。

閻浮那金ルニ↢大海転輪王道中金沙↡則不↠現

^転輪てんりんのうどうちゅう金沙こんしゃ*金山こんぜんするにすなはちげんぜず。

転輪王道中金沙ルニ↢金山↡則不↠現

^金山こんぜん*しゅせんこがねするにすなはちげんぜず。

金山ルニ↢須弥山↡則不↠現

^しゅせんこがね*さんじゅうさんてん*瓔珞ようらくこがねするにすなはちげんぜず。

須弥山ルニ↢三十三天瓔珞↡則不↠現

^さんじゅうさんてん瓔珞ようらくこがね*えんてんこがねするにすなはちげんぜず。

三十三天瓔珞ルニ↢炎摩天↡則不↠現

^えんてんこがね*そつてんこがねするにすなはちげんぜず。

炎摩天ルニ↢兜率陀天↡則不↠現

^そつてんこがね*化自けじ在天ざいてんこがねするにすなはちげんぜず。

兜率陀天ルニ↢化自在天↡則不↠現

^化自けじ在天ざいてんこがね*他化たけ在天ざいてんこがねするにすなはちげんぜず。

化自在天ルニ↢他化自在天↡則不↠現

^他化たけ在天ざいてんこがね安楽あんらくこくちゅうこうみょうするにすなはちげんぜず。

他化自在天ルニ↢安楽国中光明↡則不↠現

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[一][Ⅱ]無垢を顕す

^所以ゆえんはいかんとなれば、 かの金光こんこう*ごうよりしょうずることをつがゆゑなり。 清浄しょうじょうにしてじょうじゅせざるはなきゆゑなり。 安楽あんらくじょうはこれ*しょうにんさつじょうごうしょなり。 弥陀みだ如来にょらい法王ほうおうしょりょうなり。 弥陀みだ如来にょらい*ぞうじょうえんとなしたまふがゆゑなり。 このゆゑに 「無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん」 といへり。

所以者何ントナレバ、彼金光ツガ↧従↢垢業↡生コトヲ↥故ナリ。清浄ニシテ↠不コト↢成就↡故ナリ。安楽浄土是无生忍菩薩浄業所起ナリ。阿弥陀如来法王所領ナリ。阿弥陀如来↢増上縁↡故ナリ。是↢「无垢光炎熾、明浄曜世間」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]別して後句を釈す

^ようけん」 とは*しゅけんかがやかすなり。

「曜世間」者曜カス↢二種世間↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)触功徳
                (a)牒偈

【14】 ^ほうしょうどくそう にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょうしょうらく 旃隣せんりん

宝性功徳草 柔軟ニシテ左右レリルル者生ズルコト勝楽ギタリ迦旃隣陀

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この四句しくしょうごん*そくどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳触功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 こんぎょくほうじゅうすといへどもぶくとなすことをず。 明鏡みょうきょう珍翫ちんがんすれども*敷具ふぐによろしきことなし。 これによりてよろこばしむれども、 *便たよりならず。 しんげんじょうあにじゅんせざらんや。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖宝↢重スト金玉↡不↠得↠為コトヲ↢衣服↡。珍↢翫ドモ明鏡↡无ヨロシキコト↢於敷具↡。斯リテシムレドモ↢於目↡不↠便リナラ↢於身↡也。身眼二情豈ラム↢鉾楯↡乎。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこく人天にんでん*ろくじょう*すいにゅうして、 つひに*えつろうらしめん」 と。

、使ムト↧我国土人天六情和↢於水乳↡、ツヒ↦楚越之労↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ハ)成就

^ゆゑに*七宝しっぽうにゅうなんにしてよろこばしめ便たよりなるなり。

所以七宝柔軟ニシテシメ↠目便リナルナリ↠身

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)文義を釈す
                    [一]迦旃隣陀を釈す

^*旃隣せんりん」 とは、 天竺てんじく (印度)にゅうなんそうなり。 これにるればよく*楽受らくじゅしょうず。 ゆゑにもつてたとへとなす。

「迦旃隣陀」者、天竺柔軟草名也。触レバ↠之者能↢楽受↡。故↠喩

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[二]草を勘ふ

^ちゅうしゃ (曇鸞) のいはく、 このけんせきそうもくはおのおのじょうたいあり。 訳者やくしゃ (菩提流支) なにによりてか、 かのたからなづけてくさとなすや。 まさにその*ふう くさかぜかたちなり ねんえい くさめぐかたちなり びょう ほそくさびょうといふ なるをもつてのゆゑに、 くさをもつてこれになづくるのみ。 もし*参訳さんやくせばまさにべつみちあるべし。

註者、此土石草木↢定体↡。訳者何リテカナヅケ↢彼↡為↠草耶。当↢其草得↠風カタチナリ父虫 然 ナリ一煢ナルヲ↠亡小、以↠草↠之耳。餘若参訳セバ↢別↟途。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[三]生勝楽を釈す

^しょうしょうらく」 とは、 旃隣せんりんるれば*ぜんじゃくらくしょうず。 かの軟宝なんぽうるればほうらくしょうず。 二事にじあひはるかなり。 しょうにあらずはいかん。 ^このゆゑに 「ほうしょうどくそう にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょうしょうらく 旃隣せんりん」 といへり。

「生勝楽」者、触レバ↢迦旃隣陀↡生↢染着↡。触レバ↢彼軟宝↡生↢法喜↡。二事相ハルカナリ。非ズハ↠勝如何。是↢「宝性功徳草、柔軟左右旋、触者生勝楽、過迦旃隣陀」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)【三種功徳】
                (a)水徳【水功徳】
                  (イ)牒偈

【15】 ^ほう千万せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん 風動ふうどうよう きょうさくこう乱転らんでん

宝華千万種ニシテセリ池・流・泉 微風動スニ華葉 交錯シテ光乱転

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごん*すいどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳水功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはうんにゃく かわみずおおきなるなみ、 これをうんにゃくといふ 洪涛こうとう うみなみがる して*まつひとおどろかす。 あるいは*ぎょう こおりなが *きょうとう こおりてあひ して、 *しゅく せま し、 とく つねしっいだく。 さき安悦あんえつこころなし。 うしろに恐値くちおもんぱかりあり。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或澐溺 ナル波謂↢之澐溺↡云 洪涛シテ 大牢 滓沫驚カス↠人。或上支 古甲 大甲、蹙 子六 ↠ ↠常他則。向↢安悦之情↡。ウシロ↢恐値之慮↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 あらゆるせんしょう いけなり 殿でんとあひかな、 ¬きょう¼ (*大経・上) ちゅうづ。 種々しゅじゅほうきてみずかざりとなり、 ふう*やうやくあおぎて*映発ようほつするに*じょあり、 *じんひらたいよろこばしめて、 いちとしてならずといふことなからん」 と。

菩薩見ソナハシ↠此タマヘリ↢大悲心↡。願クハ我成仏ムニ、所有流・泉・池・沼 ナリ之小 与↢宮殿↡相 事出↢¬経¼中 種種宝花布↢水↡、微風徐映発ルニ↠序、開↠神シメテ↠体、无ラムト↢一トシテトイフコト↟可ナラ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「ほう千万せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん 風動ふうどうよう きょうさくこう乱転らんでん」 といへり。

↢「宝花千万種、弥覆池流泉、微風動花葉、交錯光乱転」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)地徳【地功徳】
                  (イ)牒偈

【16】 ^殿でんしょ楼閣ろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらんへんにょう

宮殿諸楼閣ニシテコト十方无ナリ 雑樹光色アリ蘭遍囲繞セリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごん*どくじょうじゅづく。

四句↢荘厳地功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 *嶕嶢しょうぎょう たかかたちなり しゅん こうなり れいにしてぼくみねよこたはり、 *岝峉さくがく 岝峉さくがくやまひとしからず けい ふか山谷せんこくまたはせんしょうかたちなり りん ふかくしてかぎりなし にしてしょう わるくさかたちなり *ぼう みちくさおおくしてくべからず たにてり。 *茫々ぼうぼうたる滄海そうかい*絶目ぜつもくせんたり。 *々らんらんたる広沢こうたく*しょうところたり。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、ナリ才消牛消ナリニシテ枯木横タハリ、岝 山不↠斉カラ才白岝峉五百山谷亦ナリニシテ クシテ力人ナリ クシテ卉不↠可↠行テリタニ。茫茫タル滄海、為↢絶目之川↡。タル広沢、為↢无蹤之所↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくたいらかにしてたなごころのごとく、 殿でん楼閣ろうかくかがみのごとくして、 十方じっぽうおさめんにあきらかにしてぞくするところなく、 またぞくせざるにあらざらん。 宝樹ほうじゅ宝欄ほうらんたがひに映飾ようじきとならん」 と。

菩薩見ソナハシテ↠此タマヘリ↢大悲↡。願クハ国土地平カニ↠掌、宮殿楼閣ノゴトクシテ、納メムニ↢十方↡、アキラカニシテ↠所↠属、亦非ザラム↠不ルニ↠属。宝樹・宝蘭互ムト↢映飾↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「殿でんしょ楼閣ろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらんへんにょう」 といへり。

↢「宮殿諸楼閣、観十方无、雑樹異光色、宝蘭遍囲繞」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)虚空【虚空功徳】
                  (イ)牒偈

【17】 ^りょうほうきょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん

无量宝交絡シテ 羅網遍虚空 種種鈴発シテ妙法

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごん*くうどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳虚空功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 えんうんじん*たいへいしょうし、 *震烈しんれつしん あめこえなり かく 大雨おおあめなり うえよりしてつ。 *しょうさい てんなり げつ まがれるにじ青赤あおあかあるいは白色しろいろおんなり つねにそらよりきたりて、 りょひゃくたんにしてこれがためにいよだつ。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、煙雲塵霧蔽↢障太虚↡、震烈ナリ士林 大雨ナリ下郭リシテ↠上而堕。不祥ナリ葬才レル虹、青赤或白色陰気ナリ五結↠空来、憂慮百端ニシテ↠之イヨダ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくには*宝網ほうもう*きょうらくして、 *くうへんし、 りょうたく 大鈴おおすずなり *宮商きゅうしょうりて道法どうほうべん。 これをいとふことなく、 どうおもひてとくあらわさん」 と。

菩薩見ソナハシテ↠此タマヘリ↢大悲心↡。願クハ国土ニハ宝網交絡、羅↢虚空↡、鈴鐸 大鈴ナリ大各 宮商鳴↢道法↡。視↠之↠厭コトオモヒ↠道アラハサムト↠徳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「りょうほうきょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん」 といへり。

↢「无量宝交絡、羅網遍虚空、種種鈴発響、宣吐妙法音」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)【雨功徳】
                (a)牒偈

【18】 ^華衣けえしょうごん りょうこうくん

ラシテトヲ荘厳 无量香普

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*どくじょうじゅづく。

二句↢荘厳雨功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 服飾ぶくじきをもつてき、 *所尊しょそんえんしょうせんとほっす。 あるいはこうみょうほうをもつて、 もちゐてぎょうひょうせんとほっす。 しかも*ごうまずしくかんうすきものはこのはたさず。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、欲↧以↢服飾↡布↠地、延↦請ムト所尊↥。或↧以↢香花名宝↡、用ムト↦恭敬↥。而業貧感薄キモノハ事不↠果

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくにはつねにこのものあめふらしてしゅじょうこころてん」 と。

タマヘリ↢大↡。願クハ国土ニハラシテ↢此↡満タサム↢衆生↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)成就
                    [一]雨を勘ふ

^なんがゆゑぞあめをもつてことばをなすとならば、 おそらくは*取者しゅしゃのいはん。 「もしつねにとをあめふらさば、 またくうふさぐべし。 なにによりてかさまたげざらん」 と。 このゆゑにあめをもつてたとへとなす。 あめときかなひぬれば、 すなはち*洪滔こうとう みずちておおうれひなし。 安楽あんらくほう、 あに*るいじょうものあらんや。

↠雨ストナラバ↠言、恐クハ取者。若ラサバ↢花トヲ↡、亦応↣填↢塞虚空リテカラムト↠妨。是↠雨↠喩。雨適ヌレバ↠時、則无↢洪滔 水漫他高 之患↡。安楽報豈↢累情之物↡乎。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)[二]経証

^*きょうにのたまはく、 「にち*ろくほうあめふほうあめふる。 宝質ほうしつにゅうなんにしてそのうえむにすなはちくだることすんあしぐるときしたがひて還復げんぶくすることもとのごとし。 もちゐることおわりぬれば、 ほうることみずあなるがごとし」 と。

、「日夜六時↢宝衣↡雨↢宝華↡。宝質柔軟ニシテ↢践ムニ↡則コト四寸、随↢挙↠足↡還復コトモト。用コトヌレバコト↢宝地↡如シト↢水ルガアナ」。

^このゆゑに 「華衣けえしょうごん りょうこうくん」 といへり。

↢「雨花衣荘厳、无量香普薫」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)【光明功徳】
                (a)牒偈

【19】 ^ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう

恵明浄ナルコトノゴトク痴闇冥

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*こうみょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳光明功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 また*項背こうはい*日光にっこうありといへども*愚痴ぐちのためにくらまさる。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖↢復項背日光アリト↡而為↢愚痴↡所↠クラマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくのあらゆるこうみょう、 よくあんのぞきてぶつ智慧ちえり、 *無記むきをなさざらしめん」 と。

、使メムト↧我国土所有光明、能↢痴闇↡入↢仏↡、不↞為↢无記之事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)成就
                    [一]除世闇冥

^またいはく、 安楽あんらくこくこうみょう如来にょらい智慧ちえほうよりおこるがゆゑに、 よくあんみょうのぞく。

亦云、安楽国土光明↢如来報↡起ルガ、能クト↢世闇冥↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)[二]経証

^¬きょう¼ (維摩経) にのたまはく、 「あるいはぶつあり。 こうみょうをもつてぶつをなす」 と。 すなはちこれはこれなり。

¬経¼言、「或↢仏土↡。以↢光明↡為スト↢仏事↡」。即此也。

^このゆゑに 「ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう」 といへり。

↢「仏恵明浄日、除世痴闇冥」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)【妙声功徳】
                (a)牒偈

【20】 ^ぼんしょう深遠じんのん みょうもん十方じっぽう

梵声悟ラシムルコト深遠ニシテ 微妙ナリ十方

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*妙声みょうしょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳妙声功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 善法ぜんぽうありといへども名声みょうしょうとおからず。 名声みょうしょうありてとおしといへどもまた*みょうならず。 名声みょうしょうありてみょうおんなれども、 また*ものさとらしむることあたはず。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖↠有↢善法↡而名声不↠遠カラ。有↢名声↡雖↠遠シト復不↢微妙ナリ↡。有↢名声↡妙遠ナレドモ復不↠能↠悟シムルコト↠物

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにこのしょうごんおこしたまへり。

タマヘリ↢此荘厳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)成就
                    [一]梵を釈す

^天竺てんじくこく (印度) には浄行じょうぎょうしょうして 「ぼんぎょう」 となす。 *みょうしょうして 「梵言ぼんごん」 となす。 かのくにには*梵天ぼんてんじゅうすれば、 おおく 「ぼん」 をもつてさんをなす。 またいはく、 *ちゅうごくほう梵天ぼんてんつうずるがゆゑなり。

天竺国ニハ↢浄行↡為↢梵行↡。称↢妙辞↡為↢梵言↡。彼ニハ貴↢重レバ梵天↡、多↠梵↠讃。亦言、中国法与↢梵天↡通ルガ故也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[二]声を釈す

^しょう」 とはみょうなり。 みょうはいはく、 安楽あんらくなり。

「声」者名也。名安楽土ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[三]経証

^*きょうにのたまはく、 「もしひとただ安楽あんらくじょうきておうじょう欲願よくがんするに、 またがんのごとくなることを」 と。 これはものさとらしむるしょうなり。

、「若人但聞↢安楽浄土之名↡欲↢願ルニ往生↡、亦得↠如クナルコトヲ↠願」。此シムル↠物之証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[四]論証

^¬釈論しゃくろん¼ (*大智度論・意) にいはく、 「かくのごときじょう三界さんがいしょしょうにあらず。 なにをもつてこれをいふとならば、 よくなきがゆゑに欲界よくかいにあらず。 *地居じこなるがゆゑに色界しきかいにあらず。 しきあるがゆゑに色界しきかいにあらざればなり。 けだしさつ*別業べつごういたすところのみ」 と。

¬釈論¼言、「如↠斯浄土↢三界所摂↡。何フトナラバ↠之、无キガ↠欲故↢欲界↡。地居ナルガ↢色界↡。有↠色故レバナリ↢无色界↡。蓋菩薩別業所↠致」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[五]微妙を釈す

^でてしかうしてなるを でて」 とは、 いはく、 さんづるなり。 「しかうしてなる」 とはいはく、 じょうなり といふ。 よくかいせしむるをみょう みょうこうなり。 をもつて、 よくものさとらしむるゆゑにみょうしょう といふ。

↠有シテナルヲ↠微者、謂ルナリ↢三↡。而シテ者、謂浄土有也 名能開悟シムルヲ↠妙好也。以↠名シムル↠物↠妙

^このゆゑに 「ぼんしょう深遠じんのん みょうもん十方じっぽう」 といへり。

↢「梵声悟深遠、微妙聞十方」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)【主功徳】
                (a)牒偈

【21】 ^しょうがく弥陀みだ 法王ほうおうぜんじゅう

正覚阿弥陀 法王善住持シタマヘリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*しゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳主功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 *せつきみとなれば、 すなはち*そつあひ*だんす。 *宝輪ほうりん殿でんとど うまとど まればすなはち*いきうれひなし。 これをかぜなびくにたとふ。 あにもとなからんや。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、羅刹レバ↠君率土相。宝輪駐レバトドメ↠馬長句 殿四域无↠虞。譬↢之クニ↡。豈ラム↠本耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくにはつね法王ほうおうましまして、 法王ほうおう善力ぜんりきじゅうせられん」 と。

タマヘリ↠願。願クハ国土ニハシテ↢法王↡、法王善力之所レムト↢住持↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ハ)成就

^じゅう」 とは、 *黄鵠こうこくあんたもてば、 千齢せんれいかへりておこり、 ぎょねんすれば、 *がく なつみずありてふゆみずなきをがくといふせざるがごとし。

「住持」者如↧黄鵠持テバ↢子安↡、千齢更、魚母念↢持レバ↡、逕↠ルガ↞壊夏有↠水冬无キヲ↠水曰↠

^安楽あんらくこくˆ弥陀みだぶつのˇ *しょうがくのためによくそのくにせらる。 あにしょうがくにあらざることあらんや。

安楽国↢正覚↡善セラル↢其↡。豈↠非コト↢正覚↡耶。

^このゆゑに 「しょうがく弥陀みだ 法王ほうおうぜんじゅう」 といへり。

↢「正覚阿弥陀、法王善住持」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)【眷属功徳】
                (a)牒偈

【22】 ^如来にょらいじょうしゅ しょうがくしょう

如来浄華 正覚ヨリ化生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*眷属けんぞくどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳眷属功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいは*胞血ほうけつをもつてしんとなす。 あるいはふん尿にょうをもつてしょうもととなす。 あるいは*かいきょくたかほとりよりさいきょういだす。 あるいは*しゅふくより*卓犖たくらくさいいだす。 *しょうこれによりていだき、 *じょくこれによりてこおりいだく。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或↢胞血↡為↢身器↡。或↢糞↡為↢生↡。或槐棘ホトリヨリ↢猜狂之子↡。或竪子婢腹ヨリ↢卓零角 之才↡。譏誚 才召↠之↠火、恥辱縁リテ↠氷

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^ゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくにはことごとく如来にょらいじょうのなかよりしょうじて、 *眷属けんぞくびょうどうにして*だつみちなからしめん」 と。

所以、使メムト↧我国土ニハ↢如来浄花中↡生、眷属平等ニシテ与奪无↞路。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「如来にょらいじょうしゅ しょうがくしょう」 といへり。

↢「如来浄花衆正覚花化生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)【受用功徳】
                (a)牒偈

【23】 ^あいぎょう仏法ぶっぽう ぜん三昧ざんまいじき

仏法 禅三昧

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*受用じゅゆうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳受用功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはさぐりてらんやぶり、 *もう じきちたるかたちなり にょう ほうなり、 おおそなえとなす。 あるいは*すなけてこしぶくろすをあひなぐさむるほうとなす。 ああ、 しょじつ痛心つうしんすべし。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或↠巣↠卵、為↢饛 ↠食タルナリ亡公 飽也多人消ソナヘ↡。或↠沙スヲコシブクロ↢相ムル之方↡。嗚呼諸子実↢痛心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこく仏法ぶっぽうをもつて、 *ぜんじょうをもつて、 *三昧さんまいをもつてじきとなして、 ながじきわずらひをたん」 と。

タマヘリ↢大悲↡。願クハ国土、以↢仏法↡、以↢禅定↡、以↢三昧↡為↠食、永ムト↢他食之↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)成就
                    [一]初句を釈す

^あいぎょう仏法ぶっぽう」 とは、 日月にちがつとうみょうぶつ、 ¬*法華ほけきょう¼ をきしにろくじゅうしょうこうなり。 時会じえちょうしゃまた一処いっしょしてろくじゅうしょうこうなるもじきのあひだのごとしとおもふ。 一人いちにんとしてもしはしん、 もしはしんをして*けんしょうずることあることなきがごとし。

「愛仏法」者、如↧日月灯明仏説キシニ↢¬法華経¼↡六十小劫ナリ時会聴者亦坐↢一処↡六十小劫ナルモ↠如シト↢食アヒダキガ↞有コト↣一人トシテ身、若ヲシテ而生コト↢懈惓↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)[二]後句を釈す

^ぜんじょうをもつてじきとなす」 とは、 いはく、 もろもろの*だいさつはつねに三昧さんまいにありてじきなし。 「三昧さんまい」 とは、 かのもろもろの人天にんでん、 もしじきもちゐるとき*ひゃくこうれつしてまえにあり。 いろはなかおりをぎ、 *ちゃくえつけてねん飽足ほうそくす。 訖已おわりぬればしてり、 もしもちゐるにはまたげんず。 その、 ¬きょう¼ (大経・上) にあり。

「以↢禅定↡為スト↠食」者、謂大菩薩リテ↢三昧↡无↢他食↡也。「三昧」者、彼人天、若↠食時、百味嘉餚羅列↠前。眼見↠色、鼻↠香↢適悦↡自然飽足訖已 ヲハリ ヌレバ、若ルニハ復現。其事在↠¬経¼。

^このゆゑに 「あいぎょう仏法ぶっぽう ぜん三昧ざんまいじき」 といへり。

↢「愛楽仏法味、禅三昧為食」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)無諸難功徳
                (a)牒偈

【24】 ^ようしんしんのう 受楽じゅらくじょうけん

身心クルコトミヲニシテ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*諸難しょなんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳无諸難功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはあしたには*こんちょうよろこびて、 ゆうべには*えつおののく。 あるいはいとけなくしては*蓬藜ほうれいてられ、 ちょうじては*ほうじょうつらぬ。 あるいは*めいしてづることをいひ、 てつしてかえることをもよおす。 かくのごとき種々しゅじゅ*だつあり。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或ニハ↡、夕ニハオノノ↢斧鉞↡。或クシテハラレ↢蓬藜↡、長ジテハ↢方丈↡。或シテシテシテ↠還コトヲ。有↢如↠是種種違奪↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこく安楽あんらく相続そうぞくしてひっきょうじてひまなからしめん」 と。

、使メムト↢我国土安楽相続畢竟ヒマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ハ)成就

^身悩しんのう」 とはかつ寒熱かんねつ殺害せつがいとうなり。 「心悩しんのう」 とは是非ぜひ得失とくしつ*三毒さんどくとうなり。

「身悩」者飢渇・寒熱・殺害等也。「心悩」者是非・得失・三毒等也。

^このゆゑに 「よう身心悩しんしんのう 受楽じゅらくじょうけん」 といへり。

↢「永離身心悩、受楽常无間」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)【大義門功徳】
                (a)牒偈

【25】 ^だいじょう善根ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう *女人にょにんぎゅう根欠こんけつ じょうしゅしょう

大乗善根界 等クシテ譏嫌 女人及根欠 二乗種不

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)釈義
                  (イ)正釈
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごん*だいもんどくじょうじゅづく。 「もん」 とはだいつうずるもんなり。 「だい」 とはだいじょう*所以ゆえんなり。 ひとしろいたりてもんれば、 すなはちるがごとし。 もしひと安楽あんらくしょうずることをれば、 これすなはちだいじょうじょうじゅするもんなり。

四句↢荘厳大義門功徳成就↡。門者通ズル↢大義↡之門也。大義者大乗所以也。如↢人イタリ↠城レバ↠門ルガ↡。若人得レバ↠生コトヲ↢安楽↡者、是則成↢就大乗↡之門也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 ぶつ如来にょらいげんじょうとうしゅうましますといへども、 くにじょくせるによるがゆゑに、 *いちわかちてさんく。 あるいは*まゆひらくをもつてあざけりをいたし、 あるいは*指語しごによりてそしりをまねく。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖↠有スト↢仏如来賢聖等衆↡、由↢国濁セルニ↡故、分チテ↠一↠三。或クヲ聴各アザケリ、或↢指語↡招ソシリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくをしてみなこれだいじょういちびょうどういちならしめん。 *根敗こんぱいしゅひっきょうじてしょうぜじ、 女人にょにん*残欠ざんけつみょうまたたん」 と。

、使メム↢我国土ヲシテ皆是大乗一味、平等一味ナラ↡。根敗種子畢竟不↠生、女人残欠名字亦断ムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[三]成就

^このゆゑに 「だいじょう善根ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう 女人にょにんぎゅう根欠こんけつ じょうしゅしょう」 といへり。

↢「大乗善根界、等无譏嫌名、女人及根欠、二乗種不生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)問答
                    [一]声聞の有無を料簡す
                      [Ⅰ]
                        [ⅰ]証1

 ^ひていはく、 王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬りょう寿じゅきょう¼ (上・意)あんずるに、 法蔵ほうぞうさつじゅうはちがんのなかにのたまはく、 「たとひわれぶつんに、 くにのうちのしょうもん、 よくりょうしてそのかずることあらば、 しょうがくらじ」 (第十四願) と。 これしょうもんあるいちしょうなり。

、案ルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、法蔵菩薩四十八願、「設我得ムニ↠仏、国声聞有↣能計量コト↢其↡者、不↠取↢正覚↡」。是有↢声聞↡一証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅱ]証2

^また ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品) のなかにりゅうじゅさつ弥陀みださんつくりていはく、 「三界さんがいごく超出ちょうしゅつして、 *れんようのごとし。 しょうもんしゅりょうなり。 このゆゑに稽首けいしゅらいしたてまつる」 と。 これしょうもんあるしょうなり。

又¬十住毘婆沙¼中龍樹菩薩造↢阿弥陀↡云、「超↢出三界↡、目↢蓮花葉↡。声聞衆无量ナリ。是稽首マツルト」。是有↢声聞↡二証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅲ]証3

^また ¬摩訶まか衍論えんろん¼ (大智度論・意) のなかにいはく、 「ぶつ種々しゅじゅどうなり。 あるいはぶつあり、 もつぱらにこれしょうもんそうなり。 あるいはぶつあり、 もつぱらにこれさつそうなり。 あるいはぶつあり、 さつしょうもんしてそうとなす。 弥陀みだ安楽あんらくこくとうのごときはこれなり」 と。 これしょうもんあるさんしょうなり。

又¬摩訶衍論¼中、「仏土種種不同ナリ。或↢仏土↡、モハラ是声聞僧ナリ。或↢仏土↡、純是菩薩僧ナリ。或↢仏土↡、菩薩・声聞会↠僧。如キハ↢阿弥陀安楽国等↡是也」。是有↢声聞↡三証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅳ]正しく難ず

^しょきょうのなかに安楽あんらくこくくところありて、 おおしょうもんありとのたまひてしょうもんなしとのたまはず。 しょうもんはすなはちこれ*じょういちなり。 ¬ろん¼ (浄土論) に 「ないじょうみょう」 といへり。 これいかんが*する。

諸経↧説↢安楽国↡処↥、多↠有リト↢声聞↡不↠言↠无シト↢声聞↡。声聞是二乗之一ナリ。¬論¼言↣「乃至无」。此云何セム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]浄土には生ぜざるを成ず
                          [a]正答

^こたへていはく、 をもつてこれをすいするに、 安楽あんらくじょうにはじょうあるべからず。 なにをもつてこれをいふとならば、 それやまいあるにはすなはちくすりあり。 *しゅつねなり。

、以↠理ルニ↠之、安楽浄土ニハ不↠応カラ↠有↢二乗↡。何フトナラバ↠之、夫ルニハ↠病則↠薬。理数之常也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅰ][b]引証

^¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまはく、 「しゃ牟尼むに如来にょらい*じょくでたまへるをもつてのゆゑに、 いちわかちてさんとなす」 と。 じょうすでにじょくにあらず。 *さんじょうなきことあきらかなり。

¬法花経¼言、「釈迦牟尼如来以↠出タマヘルヲ↢五濁↡故チテ↠一スト↠三」。浄土既↢五濁↡。无キコト↢三乗↡明カナリ矣。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]他方の来生を明す
                          [a]総じて経論の説は所由あるを明す
                            [イ]二乗浄土に生ずべき道理を立つ

^¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろのしょうもん、 このひといづこにおいてか*だつん。 ただもうはなるるをづけてだつとなす。 このひとじつにいまだ一切いっさいだつず。 いまだ*じょうどうざるをもつてのゆゑなり」 と。 あきらかにこのすいするに、 *阿羅あらかんすでにいまだ一切いっさいだつず。 かならずしょうずることあるべし。 このひとかえりて三界さんがいしょうぜず。 三界さんがいのほかに、 じょうのぞきてまた*しょうじょなし。 ここをもつてただじょうしょうずべし。

¬法花経¼噵、「諸声聞、是人於テカ↠何而得↢解脱↡。但離ルヲ↢虚妄↡名↢解脱↡。是人実↠得↢一切解脱↡。以↠未ルヲ↠得↢无上道↡故ナリト」。アキラカルニ↢此↡、阿羅漢既↠得↢一切解脱↡。必↠有↠生コト。此カヘリ不↠生↢三界↡。三界、除↢浄土↡更↢生処↡。是唯応↢於浄土↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]旧名を存するものなるを明す

^しょうもん」 といふがごときは、 これほうしょうもんらいしょうせるを、 もとによるがゆゑにしょうしてしょうもんとなす。 *天帝てんたいしゃくにんちゅううまるるとき*きょう尸迦しかせいとせり。 のち天主てんしゅとなるといへども、 ぶつ (釈尊)ひとをしてそのらいらしめんとおぼして、 たいしゃくかたらひたまふとき、 なほきょう尸迦しかしょうするがごとし。 それこのたぐいなり。

↠言フガ↢声聞↡者、是他方声聞来生ルヲルガ↢本↡故↢声聞↡。如↧天帝釈↢人中↡時、姓トセリ↢憍尸迦↠為ルト↢天主↡、仏欲↠使メムト↣人ヲシテ↦其由来↡、与↢帝釈↡語ラヒタマフ時、猶称ルガ↦憍尸迦↥。其類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別して今論の二乗不生の文を会す
                            [イ]正しく論意を弁ず

^またこの ¬ろん¼ (浄土論) にはただ 「じょうしゅしょう」 といへり。 いはく安楽あんらくこくじょうしゅしょうぜずとなり。 またなんぞじょうらいしょうさまたげんや。

又此¬論ニハ¼但言↢「二乗種不。謂安楽国トナリ↠生↢二乗種子↡。亦何↢二乗来生↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b][ロ]喩に約して重ねて示す

^たとへば*橘栽きっさい*江北こうほくしょうぜざれども、 *らく*菓肆かしにまたきつありとるがごとし。 またおう*壟西ろうせいわたらざれども、 *ちょう*こうにまたおうありといふ。 このもの、 ただそのたねわたらずといふ。 かしこにしょうもんのあることまたかくのごとし。 かくのごときをなさば、 経論きょうろんすなはちしぬ。

↧橘栽不ドモ↠生↢江北↡、河洛菓肆亦見↞有↠橘。又言↧鸚鵡ドモ↠渡壟西↡、趙魏架桁亦有↦鸚鵡↥。此物但言↢其種不↟渡。彼コト↢声聞↡亦如↠是。作サバ↢如↠是↡、経論則

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二]離名譏嫌を料簡す
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 はもつてまねく。 あればすなはちあり。 安楽あんらくこくにはすでに*じょう女人にょにん根欠こんけつなし。 またなんぞまたこのさんなしといふべけんや。

、名↠事。有↠事乃↠名。安楽国ニハ无↢二乗・女人・根欠之事↡。亦何ヰム↢復言フヲ↟无シト↢此名↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]

^こたへていはく、 軟心なんしんさつのはなはだしくはゆうみょうならざるを、 そしりてしょうもんといふがごとし。 ひと*諂曲てんごくなると、 あるいはまた*儜弱にょうにゃくなるを、 そしりて女人にょにんといふがごとし。 またまなこあきらかなりといへどもらざるを、 そしりて盲人もうにんといふがごとし。 またみみくといへどもきてさとらざるを、 そしりて聾人ろうにんといふがごとし。 またしたものいふといへども*訥口とつこう蹇吃けんきつなるを、 そしりてにんといふがごとし。

、如↧軟心菩薩ルヲ↢甚ダシクハ勇猛ナラ↡、譏フガ声聞↥。如↣人諂曲ナルト、或弱ナルヲ、譏フガ↢女↡。又如↣眼雖↠明カナリト而不ルヲ↠識↠事フガ↢盲人↡。又如↣耳雖↠聴クト而聴↠義ルヲ↠解、譏フガ聾人↡。又如↣舌雖モノイフ訥口ナルヲ、譏フガ人↡。

^かくのごときありて、 こんそくせりといへども*げんあり。 このゆゑにすべからく 「ないなし」 といふべし。 じょうにはかくのごとき*だつなきことあきらかなり。

↢如↠是等↡、根雖↢具足セリト↡而有↢譏嫌之名↡。是↠言↢乃至无シト↟名。明カナリ↣浄土ニハキコト↢如↠是与奪之名↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三]声聞の名有るを料簡す
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 法蔵ほうぞうさつ本願ほんがん (第十四願)、 およびりゅうじゅさつ所讃しょさん (易行品) たずぬるに、 みなかのくにしょうもんしゅなるをもつて*となすにたり。 これなんのかある。

、尋ルニ↢法蔵菩薩本願及龍樹菩薩所讃↡、皆似タリ↧以↢彼声聞衆多ナルヲ↡為スニ。此有↢何↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]
                        [ⅰ]

^こたへていはく、 しょうもん*実際じっさいをもつてしょうとなす。 はかるにさらによく仏道ぶつどうこんしょうずべからず。 しかるにぶつ本願ほんがん*不可ふか思議しぎ神力じんりきをもつて、 せっしてかしこにしょうぜしめ、 かならずまさにまた神力じんりきをもつてその*じょう道心どうしんしょうずべし。

、声聞↢実際↡為↠証。計ルニ不↠応カラ↣更↢仏道↡。而ルニ仏以↢本願不可思議神力↡、摂↠生↠彼、必↧復以↢神力↡生↦其无上道心↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(16)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]

^たとへば*ちんちょうみずれば*魚蚌ぎょぼうことごとくし、 *さいぎゅうこれにるればせるものみなよみがえるがごとし。 かくのごとくしょうずべからずしてしょうず。 ゆゑにとすべし。 しかるに*不思議ふしぎのなかに、 仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。 ぶつよくしょうもんをしてまたじょう道心どうしんしょうぜしむ。 まことに不可ふか思議しぎいたりなり。

↢鴆鳥レバ↠水蚌咸、犀牛触レバ↠之セル者皆ヨミガヘル↡。如↠此シテ↠応カラ↠生而生。所以↠奇トス。然五不思議、仏法最不可思議ナリ。仏能使↣声聞ヲシテ復生↢无上道心↡。真不可思議之至也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)【一切所求満足功徳】
                (a)牒偈

【26】 ^しゅじょうしょがんぎょう 一切いっさいのう満足まんぞく

衆生願楽スル 一切能満足

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん*一切いっさいしょ満足まんぞくどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳一切所求満足功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはたかくらいおもくして、 *潜処せんしょするによしなし。 あるいはひとぼんしょういやしくして、 でんとねがふにみちなし。 あるいは*修短しゅたんごうつながれて、 せいすることおのれにあらず。 *私陀しだ仙人せんにんのごときたぐいなり。 かくのごときの、 *業風ごうふうのためにかれてざいざることあり

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或名高位重クシテ潜処ルニ↠由。或人凡性鄙クシテフニ↠出ムト↠路。或修短繋↠業コト不↠在↠己。如↢阿私陀仙人↡類也。有↧如↠是、為↢業風↡所↠吹コト↞得↢自↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくをしておのおのしょかなひて、 じょうがん満足まんぞくせしめん」 と。

、使メムト↧我国土ヲシテカナヒ↢所求↡満↦足情願↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「しゅじょうしょがんぎょう 一切いっさいのう満足まんぞく」 といへり。

↢「衆生所願楽、一切能満足」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)結成
              (ⅰ)牒偈

【27】 ^是故ぜこがんしょう 弥陀みだ仏国ぶつこく

ゼムト 阿弥陀仏国

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)釈義

 ^この二句にくかみじゅうしちしゅしょうごんこくじょうじゅ観察かんざつするは、 がんしょうする所以ゆえんなることをけつじょうす。 ^けん清浄しょうじょうしゃくすること、 これかみおわりぬ。

二句結↧成観↢察ルハ十七種荘厳国土成就↡所↦以ナルコトヲ願生↥。釈コト↢器世間清浄↡、訖↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)【衆生世間】
            (Ⅰ)分章
              (ⅰ)正しく章を分つ

【28】^つぎしゅじょうけん清浄しょうじょうかんず。 このもんのなかをわかちてべつとなす。 いちには弥陀みだ如来にょらいしょうごんどく観察かんざつす。 にはかのもろもろのさつしょうごんどく観察かんざつす。 如来にょらいしょうごんどく観察かんざつするなかに八種はっしゅあり。 もんいたりてまさになづくべし。

↢衆生世間清浄↡。此チテ↢二↡。一者観↢察阿弥陀如来荘厳功徳↡。二者観↢察菩薩荘厳功徳↡。観↢察如来荘厳功徳↡中↢八種↡。至ナヅ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)名義を料簡す【衆生名義】
                (a)

 ^ひていはく、 *あるろんひろしゅじょう*みょうするに、 それさん輪転りんでんしてしゅ*しょうくるをもつてのゆゑにしゅじょうづくと。 いまぶつさつづけて*しゅじょうとなす。 このいかん。

、有論師、汎ルニ↢衆生名義↡、以↧其輪↢転三有↡受ルヲ↦衆多生死↥故クト↢衆生↡。今名↢仏・菩薩↡為↢衆生↡。是義云何

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (*涅槃経・意) にのたまはく、 「一法いっぽうりょうあり、 いちみょうりょうあり」 と。 しゅしょうくるをもつてのゆゑにづけてしゅじょうとなすがごときは、 これはこれ*小乗しょうじょう三界さんがいのなかのしゅじょうみょうしゃくするなり。 だいじょうしゅじょうみょうにはあらず。

、¬経¼言、「一法↢无量名↡、一名リト↢无量義↡」。如↧以↠受ルヲ↢衆多生死↡故スガ↦衆生↥者、此是小乗家ルナリ↢三界衆生名義↡。非↢大乗家衆生名義ニハ↡也。

^だいじょうにいふところのしゅじょうとは、 ¬*ぞうげんぎょう¼ にのたまふがごとし。 「しゅじょうといふはすなはちこれしょうめつなり」 と。 なにをもつてのゆゑに。 もししょうあらばしょうをはりてまたしょうじ、 *ぐうとがあるがゆゑに、 しょうにしてしょうずるとがあるがゆゑなり。 このゆゑにしょうなり。 もししょうあらばめつあるべし。 すでにしょうなし。 なんぞめつあることをん。 このゆゑにしょうめつはこれしゅじょうなり。

大乗家↠言衆生者、如↢¬不増不減経¼言フガ↡、「言↢衆生↡者即是不生不滅ナリト」。何。若↠生生復生、有ルガ↢无窮過↡故、有ルガ↢不生ニシテ而生過↡故ナリ。是无生ナリ。若↠生可↠有↠滅。既↠生。何↠有コトヲ↠滅。是无生无滅衆生ナリ

^¬きょう¼ (維摩経・意) のなかに、 「*受陰じゅおん通達つうだつするに*くうにしてしょなし。 これなり」 とのたまふがごとし。 これそのたぐいなり。

↧¬経¼中フガ↦「五受陰、通達ルニニシテ↠所有↡ナリト」↥。斯其類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)如来荘厳【仏】
                (a)正釈
                  (イ)【座功徳】
                    [一]牒偈

【29】 ^りょうだい宝王ほうおう みょうじょうだい

无量大宝王 微妙浄花台アリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*どくじょうじゅづく。

二句↢荘厳座功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんしたまへる。 あるさつそなはすに、 *まつしんにおいて、 くさきてしてのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじたまふ。 人天にんでんるもの、 ぞうじょうしんぞうじょうぎょうぞうじょう*あいぎょうぞうじょうしゅぎょうしょうぜず。

仏本何荘↢厳タマヘル↡。見ソナハスニ↢有菩薩↡、於末後↡、敷↠草而坐タマフ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。人天者、不↠生↢増上信・増上恭敬・増上愛楽・増上修行↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするときりょうだい宝王ほうおう*みょうじょうだいをして、 もつてぶつとなさしめん」 と。

、我成仏セム時、使メムト↣无量大宝王微妙浄花台ヲシテ、以↢仏↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅲ]成就

^りょう」 とは、 ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまふがごとし。 「七宝しっぽううえ大宝だいほうれんおうあり。 れん一々いちいち*ようひゃっぽうしきをなす。 八万はちまんせん*みゃくあり。 なほてんのごとし。 みゃく八万はちまんせんひかりあり。

「无量」者如↢¬観无量寿経¼言フガ↡。「七宝↢大宝蓮花王坐↡。蓮花一一葉、作↢百宝色↡。有↢八万四千脈↡。猶如↢天↡。脈↢八万四千光↡。

^ようちいさきものは*じゅうこうひゃくじゅう*じゅんなり。 かくのごとき八万はちまんせんようあり。 一々いちいちようのあひだにひゃくおく*摩尼まに珠王しゅおうあり、 もつて映飾ようじきとなす。 一々いちいち摩尼まには、 せんこうみょうはなつ。 そのひかりがいのごとし。 七宝しっぽうごうじょうしてあまねくうえおおふ。

花葉サキ縦広二百五十由旬ナリ。如↠是↢八万四千葉↡。一一↢百億摩尼珠王↡、以↢映飾↡。一一摩尼、放↢千光明↡。其↠蓋。七宝合成↢地↡。

^*しゃ迦毘かびりょうほう、 もつてそのだいとなす。 このれんだい八万はちまん金剛こんごう*けんしゅくほう*ぼん摩尼まにほう*みょう真珠しんじゅもう、 もつて厳飾ごんじきとなす。 そのだいうえにおいて、 ねんにして*ちゅう宝幢ほうどうあり。 一々いちいち宝幢ほうどうは、 八万はちまん千億せんおく*しゅせんのごとし。 どううえ*宝幔ほうまんは、 *夜摩やまてんのごとし。 ひゃくおくみょう宝珠ほうしゅあり、 もつて映飾ようじきとなす。

釈迦毘楞伽宝、以↢其↡。此蓮花台八万金剛・甄叔迦宝・梵摩尼宝・妙真珠網、以厳飾↡。於↢其↡、自然ニシテ而有↢四柱宝幢↡。一一宝幢、如↢八万四千億須弥山↡。幢宝幔、如↢夜摩天宮↡。有↢五百億微妙宝珠↡、以↢映飾↡。

^一々の宝珠ほうしゅ八万はちまんせんひかりあり。 一々いちいちひかり八万はちまんせんしゅ金色こんじきをなす。 一々の金光こんこう安楽あんらくほうへんす。 処々しょしょへんしておのおのそうをなす。 あるいは金剛こんごうだいとなり、 あるいは真珠しんじゅもうとなり、 あるいは*ざっうんとなる。 十方じっぽうめんにおいてこころしたがひて変現へんげんし、 ぶつ化作けさす」 と。

一一宝珠八万四千光↡。一一光作↢八万四千異種金色↡。一一金光遍↢安楽宝土↡。処処変化↢異相↡。或↢金剛台↡、或↢真珠網↡、或↢雑花雲↡。於↢十方面↡随↠意変現、化↢作スト仏事↡」。

^かくのごときしゅりょうしゅっせり。 このゆゑに 「りょうだい宝王ほうおう みょうじょうだい」 といへり。

↠是事、出↢過数量↡。是↢「无量大宝王、微妙浄花台」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)【身業功徳】
                    [一]牒偈

【30】 ^相好そうごうこういちじん 色像しきぞうちょうぐんじょう

相好光一尋ニシテ 色像超エタマヘリ群生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]正釈
                        [ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*身業しんごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳身業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]本願
                          [a]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞかくのごとき身業しんごうしょうごんしたまへる。 ある仏身ぶっしんそなはすに、 いちじょうこうみょうけたり。 ひと身光しんこうにおいてはなはだしくはちょうぜつせず。 転輪てんりんのうそうのごとし。 そもそもまたおおきに*だいだっおなじ。 *げんずるところ唯一ゆいいつなれば、 *じゃおうをして、 ここをもつてらんいだかしむることをいたす。 *刪闍さんじゃとうあへて*蟷螂とうろうのごとくするも、 あるいはかくのごときたぐいなり。

仏本何荘↢厳タマヘル↠此身業↡。見ソナハスニ↢有仏身↡、受タリ↢一丈光明↡。於↢人身光↡不↢甚ダシクハ超絶↡。如↢転輪王↡。亦大↢提婆達多↡。所↠ナレバ、致↠令コトヲ↢阿闍世王ヲシテ↠茲↟乱。刪闍耶等敢クスルモ↢蟷蜋↡、或↠此類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]摂取の願

^このゆゑにかくのごとき身業しんごうしょうごんしたまへり。

荘↢厳タマヘリ↠此身業↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]成就
                          [a]詁訓

^このけん (中国)*くんあんずるに、 ろくしゃくじんといふ。

ルニ↢此詁訓↡、六尺↠尋

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]経証

^¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまへるがごとし。 「弥陀みだ如来にょらいしんたかろくじゅう万億まんおく*那由他なゆた*ごうしゃじゅんなり。 ぶつ*円光えんこうひゃくおく三千さんぜん大千だいせんかいのごとし」 と。

↢¬観无量寿経¼言ルガ↡。「阿弥陀如来六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。仏円光シト↢百億三千大千世界↡」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][c]尋を勘ふ

^訳者やくしゃ (菩提流支)じんをもつてしていへり。 なんぞそれくらきや。 *しゃけんひとじゅうおうちょうたん*えらばず、 ことごとくよこさまりょうひじべてじんとなすといへり。 もし訳者やくしゃ、 あるいはこのたぐいりてもちゐて、 弥陀みだ如来にょらいの、 ひじべたまふにじゅんじてごんをなす。 ゆゑに一尋いちじんしょうせば、 円光えんこうまたさしわたしろくじゅう万億まんおく那由他なゆたごうしゃじゅんなるべし。

訳者以テシテ↠尋而言。何クラキ 禾代 乎。里舎人、不↠簡↢縦横長↡、咸↧横両手↡為スト↞尋。若訳者或↢此↡用↢阿弥陀如来タマフニ↟臂↠言。故↢一尋↡者、円光亦応サシワタシ六十万億那由他恒河沙由旬ナル

^このゆゑに 「相好そうごうこう一尋いちじん 色像しきぞうちょうぐんじょう」 といへり。

。是↢「相好光一尋、色像超群生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]問答【法界身義】
                        [ⅰ]

 ^ひていはく、 ¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「諸仏しょぶつ如来にょらいはこれほうかいしんなり。 一切いっさいしゅじょう心想しんそうのうちにる。 このゆゑに、 なんぢらしんぶつおもとき、 このしんすなはちこれ*さんじゅうそう*はちじゅうずいぎょうこうなり。 このしんぶつす。 このしんこれぶつなり。 *諸仏しょぶつしょうへんかい心想しんそうよりしょうず」 と。 このいかん。

、¬観无量寿経¼言、「諸仏如来是法界身ナリ。入↢一切衆生心想↡。汝等心↠仏時、是心即是三十二相・八十随形好ナリ。是心作仏。是心是仏ナリ。諸仏正遍知海↢心想↡生ズト」。是義云何

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]
                          [a]是法界身を釈す
                            [イ]名を釈す

^こたへていはく、 「しん」 を*集成しゅうじょうづく。 「かい」 を*べつづく。

、身↢集成↡。界↢事別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]例を引く

^眼界げんかいのごときは*こんしきくうみょう作意さい因縁いんねんによりてしょうずるをづけて眼界げんかいとなす。 これ*げんただみづからおのがえんぎょうじてえんぎょうぜず。 べつなるをもつてのゆゑなり。 とうかいもまたかくのごとし。

キハ↢眼界↡縁↢根・色・空・明・作意因縁↡生ルヲ↢眼界↡。是眼但自↢己↡不↠行↢他縁↡。以↢事別ナルヲ↡故ナリ。耳鼻等亦如↠是

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ハ]正しく釈す

^諸仏しょぶつ如来にょらいはこれ法界ほうかいしんなり」 といふは、 *法界ほうかい」 はこれしゅじょう心法しんぽうなり。 しんよくけん*しゅっけん一切いっさい諸法しょほうしょうずるをもつてのゆゑに、 しんづけて法界ほうかいとなす法界ほうかいよくもろもろの如来にょらい相好そうごうしんしょうず。 また色等しきとうのよく眼識げんしきしょうずるがごとし。 このゆゑに仏身ぶっしん*法界ほうかいしんづく。 このしんえんぎょうぜず。 このゆゑに 「一切いっさいしゅじょう心想しんそうのうちにる」 となり。

↢諸仏如来是法界身ナリト↡者、法界是衆生心法也。以↣心能ルヲ↢世間・出世間一切諸法↡故、名↠心↢法界↡。法界能↢諸如来相好↡。亦如↣色等ルガ↢眼識↡。是仏身↢法界身↡。是身不↠行↢他縁↡。是ルトナリ↢一切衆生心想↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]心相即相を釈す

^しんぶつおもとき、 このしんすなはちこれさんじゅうそうはちじゅうずいぎょうこうなり」 といふは、 しゅじょうしんぶつおもときあたりて、 仏身ぶっしん相好そうごうしゅじょうしんちゅう顕現けんげんするなり。 たとへばみずきよければすなはち*色像しきぞうげんず、 みずぞういちならずならざるがごとし。 ゆゑにぶつ相好そうごうしんすなはちこれ心想しんそうとのたまへるなり。

↠仏時、是心即是三十二相・八十随形好ナリトイフ者、当↢衆生↠仏↡、仏身相好顕↢現衆生心中↡也。譬↢水清レバ色像現、水之与↠像不↠一ナラルガ↟異ナラ。故↢仏相好身即是心想↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][c]是心作仏を釈す

^*このしんぶつ」 といふは、 しんよくぶつつくるといふなり。

心作仏ストイフ者、言↢心能ルト↟仏也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][d]是心是仏を釈す

^*このしんこれぶつ」 といふは、 しんのほかにぶつましまさず。 たとへばよりでて、 はなるることをず。 はなれざるをもつてのゆゑにすなはちよくく。 のためにかれて、 すなはちとなるがごとし。

心是仏トイフ者、心マシマサザ↠仏也。譬↢火↠木出、火不↠得↠離コトヲ↠木↠不ルヲ↠離↠木木為↠火レテ、木即ルガ↟火也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][e]正遍知海を釈す

^諸仏しょぶつしょうへんかい心想しんそうよりしょうず」 といふは、 「*しょうへん」 としんしょう法界ほうかいのごとくにしてるなり。 法界ほうかい*そうなるがゆゑに諸仏しょぶつ*無知むちなり。 無知むちをもつてのゆゑにらざるはなし。 無知むちにしてるはこれしょうへんなり。 この深広じんこうにして*しきりょうすべからず。 ゆゑにうみたとふ。

諸仏正遍知海↢心想↡生ズトイフ者、正遍知者真正クニシテ↢法界↡而知也。法界无相ナルガ諸仏无知也。以↢无知↡故↠不コト也。无知ニシテ而知者是正遍知也。知深広ニシテ不↠可↢測量↡。故↠海也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)口業功徳
                    [一]牒偈

【31】 ^如来にょらいみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう

如来微妙声 梵響聞十方

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*ごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳口業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 みなとうとからざるにる。 どうひと*じょう くるま して、 *どんしょうしょうするがごとし。 *どうじょうずるみこえはただ梵天ぼんてんとおる。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来↡名↠不ルニ↠尊カラ。如↣外道↠車ルガ↢瞿曇姓↡。成ズル↠道日、声唯徹↢梵天↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 妙声みょうしょうはるかにきて、 くものをして*にんさとらしめん」 と。

、使メムト↢我成仏ムニ、妙声ハルカ、聞ヲシテ↟忍

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「如来にょらいみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう」 といへり。

↢「如来微妙声、梵嚮聞十方」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)【心業功徳】
                    [一]牒偈

【32】 ^どうすいふう くう分別ふんべつ

ジテ地・水・火・風・ 虚空分別

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*心業しんごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳心業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 ほうくに、 *これはこく、 これはびゃく、 これはこくびゃくほうちゅうほうじょうほう上上じょうじょうほうとのたまふ。 かくのごときりょう*差別しゃべつしなあり。 *分別ふんべつあるにたり。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来↡、説クニ↠法↢此黒此白、此不黒・不白、下法・中法・上法・上上法↡。有↢如↠是无量差品↡。似↠有ルニ↢分別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 荷負かぶするに軽重きょうじゅうしゅなきがごとく、 すい潤長じゅんちょうするに*しょう 悪草あくそう かつ 瑞草ずいそうなりなきがごとく、 じょう*じゅするにほうしゅうべつなきがごとく、 ふうほつするにめんしゃなきがごとく、 くう苞受ほうじゅするに開塞かいそくおもいなきがごとくならしめん」 と。

、使メムト↫我成仏ムニ↣地荷負ルニキガ↢軽重之殊↡、如↣水潤長ルニキガ↢莦 悪草瑞草括音 之異↡、如↣火ルニキガ↢芳臭之別↡、如↣風起発ルニキガ↢眠悟之差↡、如クナラ↪空苞受ルニキガ↩開塞之念↨。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅲ]成就

^これをうちて、 ものほかやすんず。 *むなしくきてちてかえり、 ここにおいてむ。

↢之于内↡、物↢於外↡。虚ミチ、於↠是于息

^このゆゑに 「どうすいふう くう分別ふんべつ」 といへり。

↢「同地水火風、虚空无分別」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)【大衆功徳】
                    [一]牒偈

【33】 ^天人てんにんどうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう

天人不動衆 清浄智海ヨリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*しゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳衆功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 説法せっぽうりんのあらゆる大衆だいしゅ、 もろもろの*こんしょうよく種々しゅじゅどうなり。 ぶつ智慧ちえにおいて、 もしは退しりぞきもしはもっす。 ひとしからざるをもつてのゆゑに、 しゅう純浄じゅんじょうならず。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来↡、説法輪下所有大衆、諸根・性・欲種種不同ナリ。於↢仏↡、若退。以↠不ルヲ↠等カラ、衆不↢純浄ナラ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^ゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 あらゆるてんにんみな如来にょらい智慧ちえ清浄しょうじょうかいよりしょうぜん」 と。

所以タマヘリ↠願。願クハ我成仏ムニ、所有天人皆従↢如来恵清浄海↡生ムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ]成就
                        [ⅰ]海を釈す

^かい」 とは、 ぶつ*一切いっさいしゅ深広じんこうにしてかぎりなく、 じょう*雑善ぞうぜん*ちゅう宿やどさざることをいひて、 これをうみのごとしとたとふ。 このゆゑに 「天人てんにん動衆どうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう」 といへり。

「海」者言↢仏一切種智深広ニシテカギリ、不コトヲ↟宿↢二乗雑善中下死尸↡、喩↢之シト↟海。是↢「天人不動衆、清浄智海生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ][ⅱ]不動を釈す

^どう」 とは、 かのてんにんだいじょうこんじょうじゅして*きょうどうすべからざるをいふなり。

「不動」者言↧彼天人成↢就大乗↡不ルヲ↞可↢傾動↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)【上主功徳】
                    [一]牒偈

【34】 ^にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ

須弥山王 勝妙ニシテギタル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*じょうしゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳上首功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 しゅうのなかにあるいは*ごうりょうのものあり。 だいだっ流比たぐいのごとし。 あるいは国王こくおうぶつならおさめて、 はなはだぶつゆずることをらざるあり。 あるいはぶつしょうじて*えんをもつて廃忘はいもうすることあり。 かくのごときじょうしゅちからじょうじゅせざるにたるあり。

仏本何タマヘル↢此↡。ソナハスニ↢有如来↡、衆↢強梁者↡。如↢提婆達多流比 タグヒ ↡。或↢国王与↠仏並↟知↢甚ユズルコト↟仏。或↧請↠仏↢他縁↡廃忘コト↥。有↤如↠是タル↣上首力不ルニ↢成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われぶつとなるときねがはくは一切いっさい大衆だいしゅ、 よくしんしょうじて、 あへてわれとひとしきことなく、 ただひとり法王ほうおうとしてさらに俗王ぞくおうなからん」 と。

、我為ラム↠仏時、願クハ一切大衆、无↢能↠心与↠我等キコト↡、唯ヒトリ法王トシテラムト↢俗王↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ」 といへり。

↢「如須弥山王、勝妙无過者」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)【主功徳】
                    [一]牒偈

【35】 ^天人てんにんじょうしゅ ぎょうにょう瞻仰せんごう

天人丈夫衆 恭敬シテリテ瞻仰シタテマツル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん*しゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳主功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつ如来にょらいそなはすに、 大衆だいしゅありといへども、 しゅうのなかにまたはなはだぎょうせざるあり。 いち比丘びくしゃ牟尼むにぶつに、 「もしわがために*じゅうなんせずは、 われまさにさらにどうがくすべし」 とかたりしがごとし。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有仏如来↡、↠有↢大衆↡衆亦有↠不↢甚恭敬↡。如↱一比丘語シガ↫釈迦牟尼仏↣与↠我↢十四↡、我当シト↪更↩余道↨。

^また*居迦離こかり*しゃほつほうじて、 *ぶつたびかたりたまひしにたびけざりしがごとし。

亦如↧居迦離謗↢舎利弗↡、仏三タビタマヒシニ而三タビシガ↞受

^またもろもろのどうやから、 かりに仏衆ぶつしゅりてつねにぶつとがうかがもとめしがごとし。

又如↧諸外道輩、仮↢仏衆↡而常↦求シガトガ↥。

^また*だい六天ろくてん、 つねにぶつみもとにおいてもろもろのなんをなししがごとし。 かくのごとき種々しゅじゅぎょうせざるそうあり。

又如↧第六天魔、常↢仏↡作シガ↦諸留難↥。有↧如↠是種種↢恭敬↡相↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 てんにん大衆だいしゅぎょうしてむことなからしめん」 と。

、使メムト↢我成ムニ仏天人大衆恭敬↟惓コト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅲ]成就

^ただ 「てんにん」 といふ所以ゆえんは、 じょうには女人にょにんおよび*はちじんなきがゆゑなり。 このゆゑに 「天人てんにんじょうしゅ ぎょうにょう瞻仰せんごう」 といへり。

所↣以但言↢天人↡者、浄土ニハキガ↢女人及八部鬼神↡故也。是↢「天人丈夫衆、恭敬遶瞻仰」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)【不虚作住持功徳】
                    [一]牒偈

【36】 ^観仏かんぶつ本願ほんがんりき ぐうくうしゃ のうりょうそく満足まんぞく どくだい宝海ほうかい

ズルニ本願力フテシクグル 功徳大宝海

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この四句しくしょうごん*虚作こさじゅうどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳不虚作住持功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 ただしょうもんをもつてそうとなし、 仏道ぶつどうもとむるものなし。 あるいはぶつへども、 *さんまぬかれざるあり。 *ぜんしょうだいだっ居迦離こかりとうこれなり。 またひとぶつ (釈尊)みょうごうきて*じょう道心どうしんおこせども、 あく因縁いんねんひて、 退たいしてしょうもん*びゃくぶつるものあり。 かくのごときくうのもの、 退没たいもつのものあり。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来↡、但以↢声聞↡為↠僧、无↧求↢仏道↡者↥。或↢値ドモ↠仏而不マヌカ↢三塗↡。善星・提婆達多・居迦離等是也。又人聞↢仏名号↡発ドモ↢无上道心↡遇↢悪因縁↡、退↢声聞・辟支仏地↡者アリ。有↢如↠是空過者退没者↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするとき、 われにぐうするものをして、 みな速疾そくしつ*じょう大宝だいほう満足まんぞくせしめん」 と。

、使メムト↧我成仏セム時、値↢遇セム↡者ヲシテ皆速疾満↦足无上大宝↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「観仏かんぶつ本願ほんがんりき ぐうくうしゃ のうりょうそく満足まんぞく どくだい宝海ほうかい」 といへり。 ^住持じゅうじ」 のかみのごとし。

↢「観仏本願力、遇无空過者、能令速満足、功徳大宝海」↡。住持↠上

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)総結

^ぶつしょうごん八種はっしゅどくかんずること、 これかみおわりぬ。

コト↢仏荘厳八種功徳↡、訖↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)菩薩荘厳【菩薩】
                (a)標目
                  (イ)正標

【37】^つぎ安楽あんらくこくのもろもろのだいさつしゅしょうごんどくじょうじゅかんず。

↢安楽国大菩薩四種荘厳功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)問答
                    [一]

 ^ひていはく、 如来にょらい (阿弥陀仏)しょうごんどくかんずるに、 なんのけっしょうせるところありてか、 また ˆじょうのˇ さつどくかんずることをもちゐるや。

、観ルニ↢如来荘厳功徳↡、何アリテカ↢闕少↡、復須↠観コトヲ↢菩薩功徳↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]主伴具足を審かにす

^こたへていはく、 明君めいくんましますときにはすなはち賢臣けんしんあるがごとし。 *ぎょうしゅん無為むいしょうせしは、 これそのたぐいなり。 もしただ如来にょらい法王ほうおうましませども、 だいさつ法臣ほうしんなからしめば、 どう*翼讃よくさんするにおいてあにつといふにらんや。 またたきぎみてすくなきときには、 すなはちおおきならざるがごとし。

、如↧有ストキニハ↢明君↡則↦賢臣↥。尭舜之称セシハ↢无為↡、是其比也。若使↧但有セドモ↢如来法王↡而无↦大菩薩法臣↥、於↣翼↢讃ルニ↡豈ムヤ↠云フニ↠満ツト。亦↢薪𧂐キトキニハ火不ルガ↟大ナラ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]仏徳の広大を成ず

^*きょうにのたまふがごとし。 「弥陀みだ仏国ぶつこくりょうへんのもろもろのだいさつあり。 *かんおん*大勢だいせいとうのごときは、 みなまさにいっしょうほうにおいて*いで仏処ぶっしょすべし」 と。 もしひとみなしょうして憶念おくねんするもの、 帰依きえするもの、 観察かんざつするものは、 ¬法華ほけきょう¼ の 「*門品もんぼん」 にくがごとく、 がんとしてたざることなし。 ^しかるにさつどくあいぎょうすることは、 うみの、 ながれみて*そくじょうなきがごとし。

↢¬経¼言フガ↡。「阿弥陀仏国↢无量无辺大菩薩↡。如キハ↢観世音・大勢至等↡、皆当シト↧一生↢他方↡次ギテ↦仏処↥」。若人称↠名憶念者、帰依者、観察、如↢¬法花経¼「普門品」説クガ↡、无↢願コト↟満。然菩薩愛↢楽コトハ功徳↡、如↣海↠流キガ止足情↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅲ]功徳を愛楽す

^またしゃ牟尼むに如来にょらいいち*目闇もくあん比丘びく (*阿楼駄)うれへてまうすをきこしめすがごとし。 「たれかどくあいするもの、 わがためにはりつなげ」 と。 そのとき如来にょらいぜんじょうよりちて、 そのところ来到らいとうしてかたりてのたまはく、 「われ福徳ふくとくあいす」 と。 つひにそれがためにはりつなぎたまふ。 ^そのとき*しつみょう比丘びくそらぶつみこえきて、 きょうこもごもあつまりてぶつにまうしてまうさく、 「そんそんどくはなほいまだたずや」 と。 ぶつこたへてのたまはく、 「わがどく円満えんまんせり。 またもとむべきところなし。 ただわがこのどくよりしょうず。 どく恩分おんぶんるがゆゑに、 このゆゑにあいすといふ」 と。

亦如↣釈迦牟尼如来聞コシメスガ↢一目闇比丘ウレヘスヲ↡。誰ルモノ↢功徳↡、為↠我ツナゲ↠針。爾如来従↢禅定↡起、来↢到↡語、我愛スト↢福徳↡。遂↢其タマフ↠針。爾失明比丘、ソラ仏語↡、驚喜交リテ↠仏、世尊、世尊功徳猶未↠満。仏報、我功徳円満セリ。无↠所↢復モトムベキ↡。但我↢功徳↡生。知ルガ↢功徳恩分↡故、是フト↠愛スト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅳ]結答

^ふところのごとく、 ぶつ (阿弥陀仏)どくかんずるに、 じつがんとしてたざるはなし。 またしょさつどくかんずる所以ゆえんは、 かみのごとく種々しゅじゅあるがゆゑなるのみ。

↠所↠問ルニ↢仏功徳↡、実↢願トシテルハ↟充。所↣以復観諸菩薩功徳↡者、有ルガ↢如↠上種種義↡故ナル耳。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正釈
                  (イ)【不動而至功徳】
                    [一]牒偈

【38】 ^安楽あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち にょしゅじゅう

安楽国清浄ニシテ无垢輪 化仏菩薩日 如須弥住持スルガ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつそなはすに、 ただこれ*しょうさつのみにして十方じっぽうかいにおいてひろぶつをなすことあたはず。 あるいはただしょうもんにんてんのみにしてするところ狭小きょうしょうなり。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有仏土↡、但是小菩薩ノミニシテ不↠能↧於↢十方世界↡広コト↦仏事↥。或但声聞人天ノミニシテ所↠利狭小ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがくにのうちにはりょうだいさつしゅありて、 本処ほんしょどうぜずしてあまねく十方じっぽういたりて種々しゅじゅ*おうして、 如実にょじつしゅぎょうしてつねにぶつをなさん」 と。

タマヘリ↠願。願クハニハ↢无量大菩薩衆↡、不シテ↠動↢本処↡遍↢十方↡種種応化、如実修行ムト↢仏事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]成就
                        [ⅰ]譬1

^たとへば、 てんじょうにありて、 *かげひゃくせんげんずるがごとし。 あにきたらんや、 あにきたらざらんや。

↧日↢天上↡而影ルガ↦百川↥。日豈耶、豈↠来耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]譬2

^¬*大集だいじっきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「たとへば、 ひとありてよく*堤塘ていとうして、 その*しょはかりてみずはなときおよびて、 心力しんりきくわへざるがごとし。 さつもまたかくのごとし。 一切いっさい諸仏しょぶつおよびしゅじょう*ようすべく、 *きょうすべき種々しゅじゅ堤塘ていとうすれば、 三昧さんまいるにおよびて身心しんしんどうぜざれども、 如実にょじつしゅぎょうしてつねにぶつをなす」 と。

↢¬大集経¼言フガ↡。「譬↧有↠人善↢堤塘↡、量↢其所宜↡及↢放↠水↡、不ルガ↞加↢心力↡。菩薩亦如↠是。先レバ↧一切諸仏及衆生↢供養↡応↢教化↡種種堤塘↥、及↠入ルニ↢三昧↡身心不ドモ↠動、如実修行スト↢仏事↡。」

^如実にょじつしゅぎょうす」 とは、 つねにしゅぎょうすといへども、 *じつしゅぎょうするところなし。

如実修行スト者、雖↢常修行スト↡実↠所↢修行↡也。

^このゆゑに 「安楽あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち 如須にょしゅじゅう」 といへり。

↢「安楽国清浄、常転无垢輪、化仏菩薩日、如須弥住持」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【一念遍至功徳】
                    [一]牒偈

【39】 ^無垢むくしょうごんこう 一念いちねんぎゅういち しょう諸仏しょぶつ やくしょぐんじょう

无垢荘厳光 一念及一時諸仏群生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらい眷属けんぞくそなはすに、 ほうりょう諸仏しょぶつようせんとほっし、 あるいはりょうしゅじょうきょうせんとほっするに、 ここにもっしてかしこにづ。 みなみさきにしてきたあとにす。 一念いちねんいちをもつてひかりはなちてあまねくらし、 あまねく十方じっぽうかいいたりてしゅじょうきょうすることあたはず。 しゅつもつぜんそうあるがゆゑなり。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来眷属↡、欲↣供↢養ムト他方无量諸仏↡、或ルニ↣教↢化ムト无量衆生↡、此。先ニシテ↠南ニス↠北。不↠能↧以↢一念一時↡放↠光、遍↢十方世界↡教↦化コト衆生↥。有↢出没前後相↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがぶつのもろもろのだいさつ一念いちねんときのあひだにおいて、 あまねく十方じっぽういたりて種々しゅじゅぶつをなさん」 と。

タマヘリ↠願。願クハ仏土大菩薩、於↢一念アヒダ↡、遍↢十方↡作ムト↢種種仏事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「無垢むくしょうごんこう 一念いちねんぎゅういち 普照ふしょう諸仏しょぶつ やくしょぐんじょう」 といへり。

↢「无垢荘厳光、一念及一時、普照諸仏会、利益諸群生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]問答
                        [ⅰ]

 ^ひていはく、 かみしょうに、 動揺どうようせずしてあまねく十方じっぽういたるといふ。 どうにしていたる、 あにこれいちにあらずや。 これといかんが差別しゃべつする。

、上↧身シテ↢動揺↡而遍ルト↦十方↥。不動ニシテ而至、豈↢是一時↡耶。与↠此若為イカンガ差別スル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]

^こたへていはく、 かみにはただどうにしていたるといへども、 あるいはぜんあるべし。 ここにはぜん無後むごといふ。 これ差別しゃべつとなす。 またこれかみどうじょうずるなり。 もしいちならずはすなはちこれ往来おうらいなり。 もし往来おうらいあらばすなはちどうにあらず。 このゆゑにかみどうじょうぜんためのゆゑに、 すべからくいちかんずべし。

、上ニハ但言ドモ↢不動ニシテ而至ルト↡、或↠有↢前後↡。此ニハ↢无前无後↡。是為↢差別↡。亦是成ルナリ↢上不動↡。若↢一時ナラ↡則是往来ナリ。若↢往来↡則↢不動↡。是↠成ゼム↢上不動↡故、須↠観↢一時↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)【無相供養功徳】
                    [一]牒偈

【40】 ^天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別ふんべつしん

ラシテ 妙香等供養ズルニ諸仏功徳コト分別

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつそなはすに、 さつにんてん*しゅひろからず、 あまねく十方じっぽうぐうかいいたりて諸仏しょぶつ如来にょらい大衆だいしゅようすることあたはず。

仏本何タマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有仏土↡、菩薩人天、志趣不↠広カラ、不↠能↧遍↢十方无窮世界↡供↦養コト諸仏如来大衆↥。

^あるいはおのがじょくなるをもつて、 あへて浄郷じょうきょう向詣こうげいせず。 あるいはするところの清浄しょうじょうなるをもつて穢土えど*はくす。

↢己穢濁ナルヲ↡不↣敢向↢詣浄郷↡。或↢所↠居清浄ナルヲ↡鄙↢薄穢土↡。

^かくのごとき種々しゅじゅ*きょくぶんをもつて、 諸仏しょぶつ如来にょらいみもとにおいてしゅうへんようして広大こうだい善根ぜんごんほっすることあたはず。

↢如↠此種種局分↡、於↢諸仏如来↡不↠能↣周遍供養発↢起コト広大善根↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするときねがはくはわがこく一切いっさいさつしょうもんてんにん大衆だいしゅ、 あまねく十方じっぽう*一切いっさい諸仏しょぶつだい処所しょしょいたりて、 てんがくてんてんてんこうあめふらして、 *巧妙きょうみょうべんをもつて諸仏しょぶつどくよう讃嘆さんだんせん」 と。

、我成仏セム時、願クハ国土一切菩薩・声聞・天・人大衆、遍↢十方一切諸仏大会処所↡、雨ラシテ↢天楽・天花・天衣・天↡、以↢巧妙辨辞↡供↢養讃↣嘆ムト諸仏功徳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]成就

^穢土えど如来にょらい*だい謙忍けんにんたんずといへども、 ぶつぞうそうあることをず。 じょう如来にょらいりょうしょうごんたんずといへども、 ぶつ清浄しょうじょうそうあることをず。 なにをもつてのゆゑに。 諸法しょほうひとしきをもつてのゆゑに、 もろもろの如来にょらいひとし。 このゆゑに諸仏しょぶつ如来にょらいづけて*等覚とうがくとなす。

↠嘆ズト↢穢土如来大慈謙忍↡、不↠見↣仏土コトヲ↢雑穢相↡。雖↠嘆ズト↢浄土如来无量荘厳↡、不↠見↣仏土コトヲ↢清浄相↡。何。以↢諸法等キヲ↡故如来等。是諸仏如来↢等↡。

^もしぶつにおいてれつしんおこさば、 たとひ如来にょらいようすれども、 ほうようにはあらず。

↢仏土↡起サバ↢優劣↡、仮使供↢養ドモ如来↡、非↢法供養ニハ↡也。

^このゆゑに 「天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別心ふんべつしん」 といへり。

↢「雨天楽花衣、妙香等供養、讃諸仏功徳、无有分別心」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)【示法如仏功徳】
                    [一]牒偈

【41】 ^とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ

何等世界ナリトモカラムニハ 仏法功徳 我願クハ皆往生シテコト仏法クセム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 ある軟心なんしんさつそなはすに、 ただぶつこくしゅぎょうねがひて慈悲じひ堅牢けんろうしんなし。

仏本何タマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有軟心菩薩↡、但楽↢有仏国土修行↡无↢慈悲堅牢心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつするとき、 わがさつはみな慈悲じひゆうみょうけんがんありて、 よく清浄しょうじょうて、 ほう*仏法僧ぶっぽうそうなきところいたりて、 仏法僧ぶっぽうそうほうじゅうしょうごんしてしめすこと、 ぶつのましますがごとくし、 *仏種ぶっしゅをして処々しょしょえざらしめん」 と。

タマヘリ↠願。願クハ我成仏セム時、我菩薩皆慈悲勇猛堅固志願アリテ↢清浄↡、至↧他方↢仏法僧↡処↥、住↢持荘↣厳仏法僧↡示コトクシ↠有スガ↠仏、使メムト↢仏種ヲシテ処処↟断

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへり。

↢「何等世界无、仏法功徳宝、我願皆往生、示仏法如仏」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結示

^さつしゅしょうごんどくじょうじゅかんずること、 これかみおわりぬ。

コト↢菩薩四種荘厳功徳成就↡、訖↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a 【回向門】
          (一)科目

【42】^つぎしも四句しくはこれこうもんなり。

四句是廻廻向門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ニ (二)牒偈

我作がさ論説ろんせつ 願見がんけん弥陀みだぶつ 普共ふぐしょしゅじょう おうじょう安楽あんらくこく

我作シテクハタテマツリ弥陀仏衆生セム安楽国

二 Ⅰ ⅱ a ニ (三)釈義

 ^この四句しくはこれ論主ろんじゅ (天親)こうもんなり。 「こう」 とは、 おのがどくしてあまねくしゅじょうほどこして、 ともに弥陀みだ如来にょらいたてまつり、 安楽あんらくこくしょうぜんとなり。

四句是論主廻向門ナリ。廻向者廻↢己功徳↡普↢衆生↡、共マツリ↢阿弥陀如来↡生ムトナリ↢安楽国↡。

二 Ⅰ ⅱ 問答して機を彰す【八番問答
        論文を標す

^りょう寿じゅしゅ多羅たらしょう、 われじゅをもつてそうじてきをはりぬ。

无量寿修多羅章句、我以↢偈↡総

二 Ⅰ ⅱ b 正問答
          (一)経を引き総じて悪人正機を立つ〔第一問答〕
            (Ⅰ)

【43】^*ひていはく、 天親てんじんさつこうしょうのなかに、 「普共ふぐしょしゅじょう おうじょう安楽あんらくこく」 といへるは、 これはなんらのしゅじょうとともにとすや。

、天親菩薩廻向ヘルハ↢「普共諸衆生、往生安楽国」↡、此↠共ニト何等衆生↡耶。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)大経

^こたへていはく、 王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬*りょう寿じゅきょう¼ (下)あんずるに、 「ぶつなんげたまはく、 ª十方じっぽうごうしゃ諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともにりょう寿じゅぶつじんどく不可ふか思議しぎなるをしょうたんしたまふ。 しょしゅじょう、 そのみょうごうきて信心しんじんかんし、 *すなはち一念いちねんいたるまでしんいたしてこうして、 かのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょうて、 *退転たいてんじゅうせん。 ただ*ぎゃく*ほうしょうぼうとをのぞº」 と。

、案ルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、「仏告タマハク↢阿難↡、十方恒河沙諸仏如来、皆共称↢嘆タマフ无量寿仏威神功徳不可思議ナルヲ↡。諸有衆生、聞↢其名号↡信心歓喜、乃マデ↢一念↡至↠心廻向、願レバ↠生ムト↢彼↡即↢往生↡、住↢不退転↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲ↡」。

^これをあんじていふに、 一切いっさい*どうぼんにん、 みなおうじょうん。

↠此而言フニ、一切道凡夫人、皆得↢往生↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)観経

^また ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ のごときは*ぼんおうじょうあり。 「下下げげぼんしょうとは、 あるいはしゅじょうありて、 善業ぜんごうたるぎゃく*じゅうあくつくり、 もろもろのぜんせん。 かくのごときにん悪業あくごうをもつてのゆゑに悪道あくどうして、 こう*経歴きょうりゃくしてくることきわまりなかるべし。

又如キハ↢¬観无量寿経¼↡有↢九品往生↡。「下下品者、或↢衆生↡、作↢不善業タル五逆・十悪↡、具↢諸不善↡。如↠此愚人、以↢悪業↡故↧堕↢悪道逕↢歴多劫↡受コト↠苦カル↞窮

^かくのごときにん命終みょうじゅうときのぞみて、 *ぜんしき種々しゅじゅあんして、 ためにみょうほうおしへて念仏ねんぶつせしむるにはん。 かのひとめられて念仏ねんぶつするにいとまあらず。 *ぜんげていはく、 ªなんぢもしねんずることあたはずはりょう寿じゅぶつしょうすべしº と。

↠此愚人、臨命終↡、遇↧善知識、種種安慰、為↢妙法↡教ルニ↦念仏↥。人苦ラレテ不↠遑アラ↢念仏ルニ↡。善友告、汝若↠能↠念コト者応シト↠称↢无量寿仏↡。

^かくのごとくしんいたしてこえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくして ª南無なもりょう寿じゅぶつº としょうせん。 ぶつみなしょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいてはちじゅう億劫おくこうしょうつみのぞき、

↠是↠心↢声ヲシテ↟絶、具↢足十念↡称↢南无无量寿仏↡。称ルガ↢仏↡故、於↢念念↡除↢八十億劫生死之罪↡、

^命終みょうじゅうのちこんれんのなほ日輪にちりんのごとくしてそのひとまえじゅうするを一念いちねんのあひだのごとくにすなはち極楽ごくらくかいおうじょうん。

命終之後見↧金蓮花猶↢如クシテ日輪↡住ルヲ↦其↥、如クニ↢一念アヒダ↡即↣往↢生ルコト極楽世界↡。

^れんのなかにおいてじゅう大劫だいこうてて、 れんまさにひらけん。 まさにこれをもつてぎゃくつみつぐのふべし。

↢蓮花↡満テテ↢十二大劫↡、蓮華方↣以↠此ツグノ↢五逆↡也

^かんおん大勢だいせいだいおんじょうをもつてそれがためにひろ*諸法しょほう実相じっそうつみ除滅じょめつするほうかん。 きをはりてかんして、 ときおうじてすなはちだいしんおこさん。 これをぼんしょうのものとづく」 と。

観世音・大勢至、以↢大悲音声↡為↠其↧諸法実相、除↢↡法↥。聞歓喜、応↠時↢菩提之心↡。是クト↢下品下生↡」。

^このきょうをもつてしょうするに、 あきらかにりぬ、 ぼんぼんただ*しょうぼうほうせざれば、 *ぶつしんずる因縁いんねんをもつてみなおうじょうと。

↢此↡証ルニ、明下品凡夫但令 タダ レバ↣誹↢謗正法↡、信↠仏因縁ヲモテ皆得往生↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)異を会し別して逆罪得生を成ず
            (Ⅰ)二経の相違を会す【逆謗除取
              (ⅰ)二罪具欠を弁ず〔第二問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 ¬りょう寿じゅきょう¼ (下・意) にのたまはく、 「おうじょうがんずるものみなおうじょう。 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞく」 と。 ¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぎゃくじゅうあくもろもろのぜんするもまたおうじょう」 と。 このきょう、 いかんが*する。

、¬无量寿経¼言、「願↢往生↡者皆得↢往生↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲ↡」。¬観无量寿経¼、「五逆・十悪ルモ↢諸不善↡亦得↢往生↡」。此二経云何スル

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)

^こたへていはく、 いっきょう (大経) にはしゅじゅうざいするをもつてなり。 いちにはぎゃくにはほうしょうぼうなり。 このしゅつみをもつてのゆゑに、 ゆゑにおうじょうず。 いっきょう (観経) にはただじゅうあくぎゃくとうつみつくるとのたまひて、 しょうぼうほうすとのたまはず。 しょうぼうほうぜざるをもつてのゆゑに、 このゆゑにしょうずることを

、一経ニハテナリ↠具ルヲ↢二種重罪↡。一者五逆、二者誹謗正法ナリ。以↢此二種↡故、所以不↠得↢往生↡。一経ニハ但言↠作ルト↢十悪・五逆等↡、不↠言↣誹↢謗スト正法↡。以↠不ルヲ↠謗↢正法↡故、是得↠生コトヲ

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)但謗不生を明す
                (a)謗罪極重を明す〔第三問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 たとひ一人いちにんありて、 ぎゃくざいすれどもしょうぼうほうせざれば、 ¬きょう¼ (観経)しょうずることをゆるす。 また一人いちにんありて、 ただしょうぼうほうしてぎゃく諸罪しょざいなし。 おうじょうがんぜばしょうずることをやいなや。

、仮使一人アリテ、具ドモ↢五逆罪↡而不レバ↣誹↢謗正法↡、¬経¼許↠得↠生コトヲ。復有↢一人↡、但誹↢謗正法↡而无↢五逆諸罪↡。願ゼバ↢往生↡者得ルヤ↠生コトヲ以不 イナ 

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 ただしょうぼうほうせしめば、 さらにつみなしといへども、 かならずしょうずることをず。

但令 タダ 誹↢謗シテ正法↡、雖↣更シト↢余罪↡、必不↠得↠生コトヲ

^なにをもつてこれをいふとならば、 ¬きょう¼ (*大品経・意) にのたまはく、 ぎゃく罪人ざいにん*阿鼻あびだいごくのなかにしてつぶさに一劫いっこうじゅうざいく。 しょうぼうほうするひと阿鼻あびだいごくのなかにして、 このこうもしきぬれば、 またてんじてほう阿鼻あびだいごくのなかにいたる。 かくのごとく*展転てんでんしてひゃくせん阿鼻あびだいごく」 と。 ぶつ (釈尊)づることをせつしるしたまはず。 ほうしょうぼうつみきはめておもきをもつてのゆゑなり。

フトナラバ↠之、¬経¼言、「五逆罪人、堕↢阿鼻大地獄↡具↢一劫重罪↡。誹↢謗正法↡人↢阿鼻大地獄↡、此劫若ヌレバ復転↢他方阿鼻大地獄↡。如↠是展転↢百千阿鼻大地獄↡」。仏不↠記タマハ↢得↠出コトヲ時節↡。以↢誹謗正法罪極キヲ↡故ナリ

^またしょうぼうはすなはちこれ仏法ぶっぽうなり。 この*愚痴ぐちにんすでにほうしょうず。 いづくんぞぶつしょうぜんとがんずるあらんや。 たとひただかの安楽あんらくむさぼりてしょうぜんとがんずるは、 またみずにあらざるこおりけむりなきもとむるがごとし。 あにることあらんや。

又正法者即是仏法ナリ。此愚痴人既↢誹謗↡。安ンゾムヤ↧願↠生ムト↢仏土↡之理↥。仮使但貪↢彼安楽↡而願↠生ムト者、亦如↠求ルガ↢非↠水之氷、无↠煙之火↡。豈ムヤ↠得コト↠理

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)謗法行相を審にす〔第四問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんらのそうかこれしょうぼうほうする。

、何等是誹↢謗正法↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 もしぶつなく、 ぶつほうなし、 さつなく、 さつほうなしといはん。 かくのごとき*けん、 もしはしんにみづからし、 もしはしたがひてけ、 そのしんけつじょうするをみなしょうぼうほうすとづく。

、若↧无↠仏无↢仏法↡、无↢菩薩↡无シト↦菩薩法↥。如↠是見、若、若↠他、其心決定ルヲ皆名↣誹↢謗スト正法↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)罪重所因を顕す〔第五問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 かくのごときけいはただこれおのがなり。 しゅじょうにおいてなんののうありてかぎゃくじゅうざいえたるや。

、如↠是但是己ナリ。於↢衆生↡有テカ↢何苦悩↡踰エタル↢於五逆重罪↡耶。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)

^こたへていはく、 もし諸仏しょぶつさつの、 けんしゅっけん*善道ぜんどうきてしゅじょうきょうするものなくは、 あに*じんれいしんあることをらんや。 かくのごときけん一切いっさい善法ぜんぼうみなだんじ、 しゅっけん一切いっさい*げんじょうみなめっしなん。 なんぢただぎゃくざいじゅうたることをりて、 ぎゃくざいしょうぼうなきよりしょうずることをらず。 このゆゑにしょうぼうほうずるひと、 そのつみもつともおもし。

、若クハ↧諸仏・菩薩↢世間・出世間善道↡教↢化衆生↡者↥、豈↠有コトヲ↢仁・義・礼・智・信↡耶。如↠是世間一切善法皆断、出世間一切賢聖皆滅シナム。汝但知↢五逆罪コトヲ↟重而不↠知↧五逆罪↠无↢正法↡生コトヲ↥。是↢正法↡人、其罪最

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)五逆得生を成立す【十念往生】〔第六問答〕
              (ⅰ)正しく得生を成ず
                (a)
                  (イ)先牽を難ず

 ^ひていはく、 *業道ごうどうきょうにのたまはく、 「*業道ごうどうはかりのごとし。 おもきものく」 と。

、¬業道経¼言、「業道。重者先クト」。

^¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「ひとありてぎゃくじゅうあくつくりもろもろのぜんせらん。 悪道あくどうしてこう*経歴きょうりゃくしてりょうくべし。 命終みょうじゅうときのぞみて、 ぜんしきおしえひて、 ª南無なもりょう寿じゅぶつº としょうせん。 かくのごとくしんいたしてこえをしてえざらしめて、 *じゅうねんそくしてすなはち安楽あんらくじょうおうじょうすることを。 すなはちだいじょう正定しょうじょうじゅりて、 *ひっきょうじて退たいせず。 さんのもろもろのながへだつ」 と。

↢¬観无量寿経¼言フガ↡。「有↠人造↢五逆・十悪↡具セラム↢諸不善↡。応↧堕↢悪道逕↢歴多劫↡受↦无量↥。臨↢命終↡、遇↢善知識↡称↢南无无量寿仏↡。如↠是↠心↢声ヲシテ↟絶、具↢足十念↡便得↣往↢生コトヲ安楽浄土↡。即↢大乗正定之聚↡、畢竟不↠退。与↢三苦↡永ツト。」

^*く」 のにおいていかんぞ。

之義、於↠理如何

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)繋業を難ず

^また*曠劫こうごうよりこのかた、 つぶさにもろもろのぎょうつくりて、 有漏うろほう三界さんがい*ぞくせり。 ただじゅうねん弥陀みだぶつねんじたてまつるをもつてすなはち三界さんがいづ。 *ごうまたいかんせんとほっする。

又曠劫ヨリ已来、備↢諸↡、有漏之法繋↢属三界↡。但以↣十念念マツルヲ↢阿弥陀仏↡便↢三界↡。繋業之義復欲↢云何セムト↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)答【三在釈義】
                  (イ)

^こたへていはく、 なんぢぎゃくじゅうあくごうとうじゅうとなし、 下下げげぼんにんじゅうねんをもつてきょうとなして、 つみのためにかれごくして三界さんがいざいすべしといはば、 いままさにをもつて校量きょうりょうすべし。 軽重きょうじゅうしんり、 えんり、 けつじょうりて、 せつごんしょうにはらず。

、汝謂↫五逆・十悪繋業等↠重、以↢下下品十念↡為↠軽、応シト↪為↠罪↠牽↢地獄↡繋↩在三界↨者、今当↢以↠義↡。軽重之義↠心、在↠縁、在↢決定↡、不↠在↢時節久近多少ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)
                    [一]在心

^いかんが 「しんる」。 かの造罪ぞうざいにんはみづから*もう顛倒てんどうけん*依止えじしてしょうず。 このじゅうねんぜんしき*方便ほうべんあんによりて*実相じっそうほうきてしょうず。 いちじつなり、 いちなり。 あにあひくらぶることをんや。

云何↠心。彼造罪依↢止虚妄顛倒↡生。此十念者依↢善知識方便安慰↡聞↢実相↡生。一ナリナリ。豈ムヤ↢相コトヲ↡。

^たとへば千歳せんざい闇室あんしつに、 ひかりもししばらくいたらば、 すなはちみょうろうなるがごとし。 やみ、 あにしつにあること千歳せんざいにしてらじといふことをんや。

↢千歳闇室光若即便ナルガ↡。闇豈↠言コトヲ↢在コト↠室千歳ニシテ而不↟去耶。

^これをしんりとづく。

↠在リト↠心

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]在縁

^いかんが 「えんる」。 かの造罪ぞうざいにんはみづから妄想もうぞうしん依止えじし、 煩悩ぼんのうもうほうしゅじょうによりてしょうず。 このじゅうねんじょう*信心しんじん依止えじして、 弥陀みだ如来にょらい*方便ほうべんしょうごん真実しんじつ清浄しょうじょうりょうどくみょうごうによりてしょうず。

云何↠縁。彼造罪依↢止妄想↡、依↢煩悩虚妄果報衆生↡生。此十念者依↢止无上信心↡、依↢阿弥陀如来方便荘厳真実清浄无量功徳名号↡生

^たとへばひとありてどくこうむりて、 あたるところすじほねやぶるに、 *滅除めつじょやくつづみけば、 すなはちどくのぞこるがごとし。

↧有↠人被↢毒↡、所↠中↠筋ルニ↠骨、聞↢滅除薬↡、即箭出毒除コルガ↥。

^¬*しゅりょうごんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「たとへばくすりあり、 づけて滅除めつじょといふ。 もし闘戦とうせんときもちゐてもつてつづみるに、 つづみこえけばどくのぞこるがごとし。 さつ*摩訶まかさつまたかくのごとし。 *しゅりょうごん三昧ざんまいじゅうしてそのけば、 三毒さんどくねんづ」 と。

¬首楞厳経¼言、「譬↧有↠薬、名↢滅除闘戦時用ルニ↠鼓、聞↢鼓↡者箭出毒除コルガ↥。菩薩摩訶薩亦復如↠是。住↢首楞厳三昧↡聞↢其↡者、三毒之箭自然ヅト。」

^あにかのふかどくはげしくして、 つづみおんじょうくとも、 どくることあたはずといふことをべけんや。 これをえんりとづく。

ケム↠得↠言コトヲ↧彼箭深ハゲシクシテ、聞トモ↢鼓音声↡不↞能↢抜↠箭コト↟毒耶。是↠在リト↠縁

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]在決定

^いかんが 「けつじょうる」。 かの造罪ぞうあくにん*有後うごしん*間心けんしん依止えじしてしょうず。 このじゅうねん無後むごしん間心けんしん依止えじしてしょうず。 これをけつじょうづく。

云何↢決定↡。彼造罪依↢止有後心・有間心↡生。此十念者依↢止无後心・无間心↡生。是↢決定↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)

^さん*校量きょうりょうするにじゅうねんおもし。 おもきものきてよくさんづ。 *両経りょうきょういちなるのみ。

校↢量ルニ↡、十念者重。重者先↢三有↡。両経一義ナル耳。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)念相を料簡す【十念釈義1】〔第七問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 いくばくのときをかづけて一念いちねんとなす。

、幾ヲカ↢一念↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ひゃくいちしょうめついち*せつづく。 ろくじゅうせつづけて一念いちねんとなす。 このなかにねんといふはこのせつらず。 ただ弥陀みだぶつ憶念おくねんするをいふ。 もしは*総相そうそう、 もしは*別相べっそう所観しょかんえんしたがひて、 しんそうなくしてじゅうねん相続そうぞくするをづけてじゅうねんとなす。 ただみょうごうしょうするもまたかくのごとし。

、百一生滅↢一刹那↡。六十刹那↢一念↡。此↠念者不↠取↢此時節↡也。但言↣憶↢念ルヲ阿弥陀仏↡。若総相若別相、随↢所観↡、心クシテ↢他想↡十念相続ルヲ↢十念↡。但称ルモ↢名号↡亦復如↠是

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)十数を料簡す【十念釈義2】〔第八問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 しんもしえんせば、 これをせっしてかえらしめてねんしょうりぬべし。 ただしょうるともまた*けんにはあらず。 もしこんらしおもいそそげば、 またなにによりてかねんしょうすることをべき。

、心若他縁セバ、摂↠之↠還↠知↢念之多少↡。但知トモ↢多少↡復非↢无間ニハ↡。若↠心ゲバ↠想、復依テカ↠何↠得↠記コトヲ↢念之多少↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)〔業事成弁〕

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (観経) に 「じゅうねん」 とのたまへるは、 *ごうじょうべんかすのみ。 かならずしも*しゅることをもちゐず。 「*けい春秋しゅんじゅうらず」 といふがごとし。 このむにあに*朱陽しゅようせつらんや。 るものこれをいふのみ。

、¬経¼言ヘル↢「十念」↡者、明↢業事成↡耳。不↢必シモ↟知コトヲ↢頭数↡也。如↠言↢蟪蛄↟識↢春秋↡。伊虫豈朱陽之節↡乎。知者言↠之耳。

^*じゅうねんごうじょうとは、 これまた*じんつうるものこれをいふのみ。 ただねん相続そうぞくして他事たじえんぜざればすなはちみぬ。 またなんぞねんしゅるをもちゐることをらんや。 もしかならずすべからくるべくはまた方便ほうべんあり。 かならずすべからく*じゅすべし。 これを*筆点ひってんだいすることをざれ。

十念業成者、是亦通↠神者言↠之耳。但積↠念相続レバ↠縁↢他事↡便。復何↠須コトヲ↠知ルヲ↢念之頭数↡也。若クハ↠知亦有↢方便↡。必↢口授↡。不↠得↠スルコトヲ↢之筆点

りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょうちゅう かんじょう

 

延書の底本は本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。
無仏の時 すでに釈尊がにゅうめつされて仏がおられない時代。
五三 少々。 若干。
菩薩の法 自利利他の行法。
顛倒の善果 人間・天上界に生れる果報。 迷いの中の善果であるので顛倒という。
不退の風航 風航はかけ船のこと。 退転することなくかならず仏にならしめる教法を船に喩えたもの。
 浄土の三部経を指す。
服膺 心にしっかりとめて忘れないこと。
一隅を挙げて 一部分の意味によって。
国史国紀 国史は国王の命などによって公的に記された国の歴史書。 国紀は私人によって私的に記された国の歴史書。
各別の体例 それぞれちがった体裁である。
女の大体… 女性の一般的性質はあらわしているけれども。
梵音を存じて 梵語 (サンスクリット) を音写してという意。
大饒益 大きなやく
欲楽 ねがいもとめるという意。
梵音を存ぜば 梵語 (サンスクリット) を音写すればという意。
菩提薩埵 梵語ボーディサットヴァ (bodhisattva) の音写。 →さつ
勇猛 心をはげましてつとめること。
 もとづくところ。 本源。 帰趣。
動静おのれにあらず 身勝手な立居振舞をしない。
出没 出処進退のこと。
啓す 申す。 申し上げる。
邪見語 我を実体視し、 それにとらわれるよこしまな見解を表す言葉。 →邪見じゃけん
自大語 自分が他よりすぐれていると思う慢心を表す言葉。
流布語 世間一般に使われる言葉。 日常語。
己心 自己の領解りょうげ。 みずからの信心。
彼此 長行じょうごうとこのじゅのこと。
盲者 →補註10
密雲 深くたれこめた雨雲。
頑石 固い石。
大乗経論 ¬ゆいぎょう¼ ¬だい智度ちどろん¼ 等の経論のこと。
畢竟無生 本来、 消滅しょうめつ変化のないこと。
仮名人 仮名とは実体のないものに仮につけた名という意で、 人といっても五蘊ごうん (おん) が因縁いんねんによって仮に和合したものであるから仮名人という。
一異の門を観ずる論 龍樹りゅうじゅ菩薩の ¬中論ちゅうろん¼ 等のこと。
委曲 くわしいこと。
上の三門 ねんもんの中のらいはい讃嘆さんだんがんの三門。
下の二門 ねんもんの中のかんざつこうの二門。
四阿含三蔵 四阿しあごんなどの小乗の教えのこと。 三蔵さんぞうとは経・律・論のことで、 仏教経典の総称。 原始仏教の経典のことであるが、 大乗経典の成立以後は小乗とその経典の呼称となった。
畢竟浄 完全に煩悩ぼんのうを浄化した究極のさとりの境地。
欲楽 ねがいもとめるという意。
総持 ここでは広博な経の文意を総摂そうしょうして短いのなかにおさめたもつという意。
総相 器世間の十七種だけでなく二十九種しょうごんのすべてにわたるすがた。
無窮の相 三界を輪転することがはてしないこと。
蠖 尺とり虫。
蚕繭 かいこのまゆ。
修短 長短。 ここでは寿命の長短のこと。
雑生触受 雑多な生を経て、 さまざまな苦にふれ、 その苦を受けること。
正観の由生 正しくものをみる智慧ちえより生ずるところ。
胎卵湿の生 しょうのうちの胎生たいしょう卵生らんしょう湿生しっしょう
高く揖め 高は遠の意で、 揖はあいさつをすること。 礼をして遠くへ去りはなれて。
業繋 煩悩ぼんのうにもとづく行為によって迷界につなぎとめられること。
続括の権… 続括はつづけて矢を射ること。 権は権術ごんじゅつの意。 菩薩が退転もせず、 諸仏の勧めもまたずに利他行をなすことを、 名人の連続して射る矢が、 次々と前の矢を支えていっておちることがないのに喩える。
労謙善譲 功労があってもみずから誇らず、 へりくだること。
普賢 →げんさつ
堕陘 くずれた丘やけわしい谷。
陪陼 小さな山やなかのような丘。
宮観迫迮 宮殿や楼観ろうかんが狭い範囲にたてこんでいること。
土田逼隘 土地や田が狭くせせこましいこと。
国界分部せり 国境でへだてられている。
挙急 あわただしく、 うろたえること。
方丈に… 方丈は一丈四方の部屋のこと。 ここでは維摩がこの狭い部屋に三万二千人の座を設けておさめ入れたという ¬ゆいぎょう¼ の説を出したもの。
無貲 はかりしれないこと。 限りがないこと。
畦畹 田畑や土地の広さをあらわす単位。
攀厭禅定 下位を厭い、 上位の天上界にのぼることをめざして禅定ぜんじょうを修すること。 ぼんどうの観法。
無上の正見道 最高の真実を見る智慧ちえ。 →のく多羅たらさんみゃくさんだい
宝王如来の性起の義 ¬ごんぎょう¼ 「宝王如来性起品」 に説かれる意を指す。 仏果はほっしょうの理に順じて起ったものであるということ。 ここでは阿弥陀仏の浄土も同じく真如しんにょほっしょうの顕現したものであるという意を示す。
修起 修行してその結果を成就すること。
体相 本体。 本質的なすがた。
発心 法蔵菩薩のおこされた願心。
四域 しゅせんの四方にあるだいしゅうのこと。
三方にあまねからず 日は須弥山の回りをめぐっているので、一方を照らせば他の三方を照らさない。
庭燎 庭のかがり火。
十仞 仞は長さの単位。 一仞は両手を左右に広げたときの長さ。
華観 はなやかな楼閣ろうかく
有余にあひ忘れ 充分すぎるほどあるので、あることさえ忘れて。
高下 上下の意。
閻浮那金 えん檀金だんごんのこと。
金沙 転輪王てんりんのうが世に出るときは海の水が減じ、 底に金の道ができるとされる。 ここではこの道の金砂のこと。
金山 しゅせんの周囲をかこむ七重の山脈。 七金山しちこんぜん
炎摩天 夜摩やまてんに同じ。
化自在天 楽天らくてんに同じ。
垢業 煩悩ぼんのうの垢のついた行い。
敷具 しきもの。
便りならず 不便である。
六情 六根ろっこんに同じ。
水乳 よく調和し融合することを水と乳がよく融和することに喩えていう。
楚越 ¬荘子そうじ¼ に出る故事。 楚の国と越の国は隣接していたが、 たがいに利害が対立し、 争いがたえなかったという。 ここでは、 六根が同じ体にあっても必ずしも調和がとれていないことに喩える。
楽受 受は感覚のこと。 身心をこころよくさせる感覚。
然 草が風になびくさま。
参訳 翻訳に参加すること。
染着 執着のこと。 心が対象に染みついて離れないこと。
滓沫 滓はにごった泥水、 沫はしぶきやあわのこと。
凝凘 氷塊が流れること。 流氷。
 流氷がはりつめること。 結氷。
蹙架しを懐く 蹙架は迫りきて自由をうばうこと。 を懐くとは、 平常の心を失わせるという意。
映発 照らし合うこと。
 一定の順序。
 神識じんしき。 こころ。
嶕嶢峻嶺 山やみねがひときわ高くけわしいさま。 嶕嶢の註 「高き貌なり」 は底本では嶕の字註として付されてある。
岝峉嶙 山に高低があり、谷やがけが深いさま。
 底本には 「茀」 とある。
茫々 広々としたさま。 広大なさま。
絶目の川 一時に視界に入ってこないほどの広い水の流れ。
々 は草が風になびくさま。 荒れはてて淋しいようす。
無蹤 人跡がおよばないこと。
太虚 大空。
震烈 天地をふるわすような大雨。
不祥の烖霓 不吉な天火や虹。
宝網 珠をつらねた飾りあみ。
交絡 張りめぐらすこと。
 もうのこと。 珠玉をつらねた飾りあみ。
宮商 きゅうしょうかくの五音 (五種の音階) を略していったもの。 →いん七声しちせい
所尊を延請せんと欲す 人々に尊ばれる仏を招こうと請い願うこと。
業貧しく感薄きもの 善業が少なく、 よい結果を招きがたい者。
取者 文字にとらわれる者。
洪滔 大水。 洪水。
累情の物 こころをわずらわせるもの。
 ¬大経¼ ¬小経¼ の取意の文。
項背 うなじとせなか。
日光 仏・菩薩の頭頂から放たれるこうみょう
妙辞 尊い言葉。
中国 ここではインドを世界の中心地とみて中国と呼んでいる。
 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬平等覚びょうどうがくきょう¼ ¬大阿弥陀経¼ 等の取意の文。
地居 地の上にあること。 色界しきかいは空中にあるが、 極楽は七宝の大地の上にある。
別業 特別な行業ぎょうごう。 とくにすぐれたいんの行い。
率土 王の率いる国土。 ここではその民のこと。
噉す くう、 くらうの意。
宝輪殿に… 宝輪は転輪てんりんじょうおうの乗る車。 転輪聖王が車を宮殿に駐め、そこにいて国を治めると、 世は平和におさまるということ。
四域 ここは四方の意。
黄鵠… ¬れつでん¼ に出る故事。 子安にたすけられた鶴 (黄鵠) が、 子安の死後、 三年間その墓の上でかれを思って鳴きつづけ、 鶴は死んだが子安は蘇って千年の寿命を保ったという。 ここでは、 鶴が命の恩人である子安を思う心の強さを住持に喩えたもの。
 冬になると枯れる泉。
胞血 胞は胎児をつつむ皮膜。 血は父母の血のこと。
槐棘の… 槐棘はえんじゅといばらの木で、 中国の官位である三公と九卿きゅうけい (三槐九棘) のこと。 朝廷に仕える身分を指す。 →補註8
竪子 召使いのこと。
卓犖 ものごとに明らかですぐれていること。
譏誚これによりて… 人のそしりをうけて、 全身があつくなるような恥ずかしい思いをすること。
恥辱これによりて… はずかしめられて、 氷を抱くように冷汗をかくこと。
与奪 ほめたりそしったりすること。
饛饒 山盛りのごちそう。
沙を懸けて帒を指すを… 砂を入れた袋を壁にかけ、 その中に食ありと教えて、 空腹をしのぐ一時の慰めとするという喩え。
懈惓 疲れ、 うとましく思うこと。
百味の嘉餚 種々さまざまな美食。
適悦 よろこびのこころ。
袞寵 袞は天子の礼服、 転じて天子のこと。 天子の恩寵。
斧鉞 おのとまさかり。 刑罰の道具をあらわす。 転じて重刑のこと。
蓬藜 よもぎとあかざ。 あれはてた草むら、 または貧しい家の意。
方丈を列ぬ 一丈四方にごちそうを並べるほど豪華な食事ができる身分になる。
鳴笳して… 笳はあしぶえのこと。 麻絰は喪服のこと。 出発するときは笳を吹いてにぎやかであったが、 喪服を着てかえることになってしまったという意。
違奪 心にたがう、 ちぐはぐな行き違い。
女人及根欠二乗種不生 →補註10
所以 いわれ。 本旨。
一を分ちて三と説く 一乗いちじょうの法を分けてさんじょうの法を説くということ。
眉を… 女性が眉をひらいて媚態びたいを呈し、あざけりを受けるという意。
指語に… 指語は指の動作で語ること。 →補註10
根敗の種子 芽の出ない、 腐敗した種子。 ここでは仏果を証すべき因 (種子) のないしょうもん縁覚えんがくじょうを喩えていう。
残欠 根欠に同じ。
蓮華葉 蓮華のはなびら。
会する 会通すること。 一見矛盾したように見える記述を道理に照らしあわせて、 趣意の一貫したものとして説明すること。
理数 自然の道理。
生処 生まれるべきところ。
天帝釈 たいしゃくてんのこと。
憍尸迦 梵語カウシカ (kauśika) の音写。 帝釈天のもとの姓。
橘栽 たちばな、 またはみかんの類 (柑橘類) の総称。
江北 江蘇こうそ省北部の地。 広義で長江 (揚子江) より北の地域。
河洛 黄河と洛水にはさまれた流域。 具体的には洛陽らくようの都。
菓肆 肆は店の意。 くだものを売る店のこと。
壟西 隴山ろうざんの西、隴西郡の地。 現在の甘粛かんしゅく省隴西。
趙魏 戦国七雄の趙国と魏国。 現在の河北かほく省南部、 さん西せい省の南部と北部、 河南かなん省の北部一帯をいう。
架桁 鳥かごのとまり木。
二乗女人根欠の事なし →補註10
諂曲 へつらうこと。
儜弱 弱々しいこと。
訥口蹇吃 口ごもってなめらかでないこと。
譏嫌の名 不快なそしりの名。
与奪の名… 与はほめること、 奪はそしり、 しりぞけること。 ここでは浄土にはそしりの名さえないという意。
 すぐれていること。
鴆鳥 中国に伝えられる毒鳥の名。 毒蛇を食べるといい、 その羽根を酒に浸すと毒酒になるという。
魚蚌 魚介類。 蚌は、 どぶ貝、 またははまぐり。
犀牛 さい。
潜処 かくれ住むこと。
修短業に繋がれて 寿命の長短がそれぞれの業報として決定しているという意。
ある論師 小乗の論師を指す。
名義 名の意味。
無窮の過 無限にくりかえして論証が成立しない過失。
五受陰 おんに同じ。
末後の身 菩薩が成仏する直前の身。 迷いの尽きる最後の身。
 はなびら。
 はなびらのすじ。
梵摩尼宝 梵は清浄しょうじょうの意、 きよらかな摩尼宝珠 (如意宝珠) のこと。
妙真珠網 すぐれた真珠をちりばめた飾りあみ。
四柱の宝幢 れんだいの四方にある宝でできた柱。
夜摩天宮 夜摩天にある宮殿。
雑華雲 種々の色をした花で飾られた雲。
減ずるところ唯一なれば 仏身の三十二相より、 ただ一相を欠いただけということ。 だいだっは一般には、 白毫相びゃくごうそう千輻輪相せんぷくりんそうの二相を欠くとされる。 またこれにより 「減ずるところ唯二」 とする異本もある。
蟷螂 かまきりのこと。 ¬荘子そうじ¼ に、 かまきりが車輪に向かっていく喩えがある。
詁訓 字句の解釈。
里舎の間 むらざと。
簡ばず 区別しない。
諸仏正遍知海 正しく完全に真理をさとったあらゆる仏陀たちの意。
集成 さまざまな要素、 作用、 性徳などが集まってできていること。
根色空明作意 眼という器官 (根)、 対象の事物 (色)、 空間 (空)、 明り (明)、 見ようという意思 (意) のこと。
眼ただ… 眼はただしききょう (もの、 すがた、 かたち) という対象 (所縁) を見るだけで、 声を聞く、 香を嗅ぐなどということはない。 ここにいう 「行ず」 は心が対象を認識するはたらきのこと。
事別 事物の区別、 事物の別々の相のこと。
色像 すがた、 かたち。
して は車をおしかえすこと。 ここでは転じて軽んずる、 けなしおとしめるという意。
瞿曇 梵語ガウタマ (Gautama) の音写。 釈尊の本姓。 ここではどうが釈尊を軽んじていういい方。
道を成ずる… 釈尊成道の時、 その名声は色界しきかい初禅しょぜんてんにとどいたにすぎなかったという意。
 しょう法忍ぼうにんのこと。
これは黒これは白 黒は悪法・悪業、 白は善法・善業の意。
莦 悪い草と善い草。
 異本には 「熟」 とある。
虚しく往きて実ちて帰り 何ももたずに出かけて、 満ちたりて帰り。 ここでは、 心を虚しくして仏に向かえば、 仏のどくが満ち入るという意。
 異本には 「大衆」 とある。 →大衆だいしゅどく
根性欲 人々の素質 (こん)、 習性、 望み。
中下の死尸 しょうもん縁覚えんがくじょうのこと。 声聞乗を下乗、 縁覚乗を中乗、 菩薩乗を上乗という。 このうちの声聞 (下)・縁覚 (中) の二乗は、 最高のさとりを求める意志がなく、 仏になれないので、 死尸 (死骸の意) という。
強梁のもの 自然の理にさからうような強さ、 不自然な強さのもの。 梁は屋根をささえる横木であるが、 梁ばかりが強いと柱をこわし、 全体を破壊してしまうことからいう。
他縁をもつて廃忘する 他のことに気をとられすっかり忘れてしまう。
仏三たび語りたまひしに  仏は居迦離が舎利弗を謗るのを三度いさめられるが、 居迦離はいずれもききいれなかったために、 ついに地獄に堕ちたという。
第六天の魔 三界さんがいのうちよくかいの最高天である他化たけざいてんの王のこと。 仏道修行にはげむものを誘惑するので魔といわれる。
無上大宝 この上ないさとりのどくのことを宝に喩えていう。
堯舜の無為と称せしは 堯・舜は中国の伝説上の王の名。 それぞれ、 すぐれた臣下を持ちみずから何事もしないで天下を泰平におさめたとされることから無為といい、 中国における政事の理想とされる。
翼讃 あいたすけほめること。
 引用は ¬大経¼ の上巻、 下巻および ¬小経¼ からの取意の文。
次いで仏処に補す 次に仏の位をおぎなう。 →一生いっしょうしょ
愛楽 喜び好むこと。
止足の情 満ち足りた気持ち。
目闇の比丘 →補註10
失明の比丘 →補註10
小菩薩 七地以前の菩薩のこと。 ざい無礙むげの二利行ができないから小菩薩という。
 水面にうつった太陽のすがた。
堤塘 つつみ、 土手のこと。
所宜を量りて ちょうどよい時をはかって。
実に修行… 修行したことに少しのとらわれもないということ。
志趣 願いのこと。
鄙薄 いやしみきらうこと。
局分 分をかぎる。 分別・区別して一方にとらわれること。
一切諸仏の大会 あらゆる仏たちの説法の会座。
巧妙の弁辞 たくみな弁才。 理解・表現の能力が自由自在であること。
大慈謙忍 しゅじょう救済のために、 忍んで身をへりくだること。
問ひていはく… →補註3
すなはち…回向して 親鸞聖人は 「乃至一念せん。 至心に回せしめたまへり」 (信文類訓) と読まれた。
外道凡夫人 異本には 「外凡夫人」 とある。 凡夫の位を内・外にわけたとき、 じゅうじゅう十行じゅうぎょうじゅうこう三賢さんげん位の賢者を内凡ないぼんというのに対し、 十信じっしん以下の善悪の凡夫をぼんという。 また五逆ほうぼう以外の凡夫人のこととする説もある。
会する つうすること。 一見矛盾したように見える記述を道理に照らしあわせて趣意の一貫したものとして説明すること。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。 五常ごじょうのこと。
先づ牽くの義 義は重い方が先に報いがあらわれるという道理。
繋属 つなぎとめること。
虚妄顛倒の見に依止して 真実の理にそむいた誤った見解をよりどころにして。
方便安慰 いろいろてだてをして教え、 心を安らかにすること。
実相の法 名号には仏のさとられた諸法しょほう実相じっそうの徳が含まれているので、 仏の名号のことを実相という。
有後心 まだ後があると思うゆっくりした心。
有間心 他のさまざまな想いがまじって、 専一でない心。
両経 ¬観経¼ と業を説く教典のこと。
総相 仏身の全体のすがた。
別相 仏身の一部分のすがた。 総相に対す。
頭数 念仏の回数の意。
蟪蛄 夏のおわりに鳴く蝉。
朱陽の節 夏の季節。
神に通ずるもの 神通力じんずうりきを持つ仏のこと。
筆点に題する 筆で書き記す。
底本は◎本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)。 Ⓐ高野山寶壽院蔵鎌倉時代書写本(上巻)、 Ⓑ大阪府金剛寺蔵保延四年書写本(下巻)、 Ⓒ山口県常満寺蔵室町時代刊本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
 Ⓐになし
→Ⓓ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ
 左Ⓓムネ
風航 左Ⓓホカケブネ
→ⒶⒹ
服膺 左Ⓓシタガヒ ヨハキ モチヰ
 Ⓐと右傍註記
 Ⓐになし(と右傍註記)
→Ⓓ
 Ⓐになし
→Ⓓ
→◎ⒶⒸ
→Ⓐ(と上欄註記)
従第三行 Ⓐになし(従第三行と右傍註記)
→Ⓓ
→◎
 Ⓐと上欄註記
 Ⓐ註云と上欄註記
 Ⓐと上欄註記
何以→Ⓐ以何
然礼拝 Ⓐになし(然禮拝と右傍註記)
 Ⓒになし
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→ⒶⒹ
→◎Ⓐ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓓ亦[復]
→ⒸⒹ
→ⒶⒹ故[得]
憂波→Ⓓ優婆
 Ⓐになし
→Ⓓ
→Ⓐ
尺音蠖 左Ⓐヲギムシ
→Ⓓ
→◎ⒶⒸ
→Ⓐ道[者]
 Ⓐになし
 左Ⓐタノム カヽル ヨル
 左Ⓐヤスム カヽル イコフ
→ⒶⒹ
→Ⓐ(と右傍註記)
 左→Ⓐツナグ
→Ⓐ(ハカリゴトと右傍註記)
→◎Ⓒ→Ⓐ
左Ⓐメグル
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓐ(と上欄註記)
→◎ⒶⒸ
→◎Ⓒ
丘之 Ⓐ水中高と右傍註記
→Ⓓ陋[已売反]
→◎Ⓒ Ⓐになし
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓒ
 左Ⓐユタカニ
 左Ⓐツクルコト
→◎Ⓒ
 左Ⓐナハテ アゼ
 左Ⓐアシ
→◎
→Ⓐ所[宅イ无]
 左Ⓐカヌ イル
→Ⓓ 左Ⓐセマシ
 左Ⓐアキラカ キハム
積習 左Ⓓツム ナラフ
必然義 左Ⓓカナラズサダマルコトナリ
 左Ⓓヨシ
→Ⓐ即[是]
→Ⓐ(と右傍註記し、宇析之七八尺曰仞と上欄註記)
→Ⓐ三[諸イ无]
→Ⓐ卒[土]
→◎Ⓒ
→Ⓓ Ⓐと右傍註記
→◎Ⓒ
→◎ⒶⒸ
→◎ⒶⒸ
→Ⓐ→Ⓓ
→Ⓐ
→ⒶⒹ
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓐ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓒ
→Ⓓ
→Ⓐ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
 Ⓐと上欄註記
→ⒶⒸⒹ
→Ⓓ
→Ⓐ悲[心]
→Ⓒ
→Ⓓ
 ⒶⒹになし
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→Ⓓ尿
→Ⓐ(と上欄註記)
 左Ⓐスグルタカシ
→Ⓐ(亡公反と右傍註記)→Ⓒ
 左Ⓐタシナミ
→Ⓓ
→Ⓐ身[愛]
 左Ⓐソヨメク 衣ノナルナリ
→Ⓐ(と右傍註記)
左Ⓐメグム
 ◎Ⓒになし
→Ⓐ(と右傍註記) Ⓓになし
→Ⓓ(聖教全書の註により補足)
 左Ⓐツバナガシテ
 Ⓐになし(と右傍註記)
 Ⓐになし(と右傍註記)
 左Ⓐホガラカニ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓒ
→Ⓓ
→Ⓐ人[人]
→Ⓒ
→◎Ⓒ
 左Ⓐコトヾモリ
 左Ⓐフサグ
→Ⓐ𠰏(𠰏コケコトヾモリと上欄註記)
→Ⓓ
 左Ⓓヨシ
→Ⓓ 左Ⓓクキ
 左Ⓓカイ
使 Ⓐになし
 左Ⓐカクル
是故→Ⓓ故我
→Ⓒ
→◎
→Ⓐ(と右傍註記)
→◎Ⓒ Ⓐと右傍註記
→◎Ⓐ
→Ⓐ
→◎Ⓒ→Ⓓ
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓐ
→ⒸⒹ
 Ⓐと上欄註記
→◎
→Ⓓ Ⓐと上欄註記
 Ⓐになし
→◎Ⓒ
是故汝等 Ⓐになし
法界 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ[如]是
→Ⓐ此[心]
→Ⓐ
→◎ⒶⒸ
→Ⓐ(と下欄註記)
→Ⓓ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ厳[大]
→Ⓓ
→Ⓓ
 Ⓐと上欄註記
→Ⓐ(「王と右傍註記)
 Ⓐと右傍註記
→Ⓓ
 ◎Ⓑになし
→Ⓒ
聞暗→Ⓓ暗聞
 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓓ
 ⒶⒹになし(Ⓐと右傍註記)
下品→Ⓒ品下
→◎Ⓒ
→Ⓓ
 Ⓐになし
→ⒸⒹ
→Ⓓ
→Ⓓ
 Ⓐになし(と右傍註記)
皆得往生 ◎になし
→Ⓓ言[作]
→Ⓒ
 Ⓐになし
 左Ⓓワカツ
→Ⓐ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓓ
 左Ⓓミチ
繋属 左Ⓓツナギツナグ
 左Ⓓハカラフ
 左Ⓓホガラカナリ
→◎Ⓒ
→Ⓓワキマフ
 左Ⓓアカシ
→Ⓓ
 左Ⓓシルス