0047りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょうちゅう かんじょう

*婆藪ばそばんさつぞう *曇鸞どんらんほっちゅう

釈名【浄土論大綱】
  分斉を判ず【本論分斉】
    龍樹の判教を述ぶ
      標列

【1】 ^つつしみて*龍樹りゅうじゅさつの ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品・意)あんずるに、 いはく、 ^さつ阿毘あびばっもとむるに、 しゅどうあり。 いちにはなんぎょうどうにはぎょうどうなり」 と。

0449ミテ0345ズルニ↢龍樹菩薩¬十住毘婆沙¼↡云、「菩薩求ムルニ↢阿毘跋致↡有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道ナリ[ト]

一 Ⅰ ⅰ 随釈
        難行道

^なんぎょうどう」 とは、 いはく、 じょく*ぶつときにおいて阿毘あびばっもとむるをなんとなす。 このなんにすなはち多途たずあり。 ほぼ*さんをいひて、 もつてこころしめさん。 ^いちにはどう*しょうぜん*さつほうみだる。 ^にはしょうもん自利じりにしてだい慈悲じひふ。 ^さんには無顧むこ悪人あくにんしょうとくやぶる。 ^には*顛倒てんどうぜんはよく*ぼんぎょうこぼつ。 ^にはただこれりきにしてりきたもつなし。 ^かくのごときるるにみなこれなり。 たとへばろくぎょうはすなはちくるしきがごとし。

難行道者、謂↢五濁之世於无仏↡求ムルヲ↢阿毘跋致↡為↠難。此↢多途↡。粗ヒテ↢五三↡、以サム↢義↡。一者外道↢菩薩↡。二者声聞自利ニシテ↢大慈悲↡。三无顧悪人↢他勝徳↡。四者顛倒善果コボ↢梵行↡。五者唯是自力ニシテ↢他力↡。如↠斯クノ事、触ルルニ↠目皆是ナリ。譬ヘバ↢陸路歩行シキガ↡。

一 Ⅰ ⅰ b 易行道

^ぎょうどう」 とは、 いはく、 ただ*信仏しんぶつ因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんずれば、 仏願ぶつがんりきじょうじて、 すなはちかの清浄しょうじょうおうじょう*仏力ぶつりきじゅうして、 すなはちだいじょう*しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすい0048ふねじょうずればすなはちたのしきがごとし。

易行道者、謂但以↢信仏因縁↡願ズ[レバ]↠生ゼムト↢浄土↡、乗ジテ↢仏願力↡、便得↣往↢生[スルコト]ヲ清浄↡、仏力住持シテ、即↢大乗正定之聚↡。正定是阿毘跋致ナリ。譬ヘバシ[ト]↢水路ズレバ↠船シキガ↡」。

一 Ⅰ 正しく今論の分斉を断ず

^この ¬りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃ¼ (*浄土論) は、 けだし*じょうえんごく*退たい風航ふうこうなるものなり。

¬无量寿経波提舎¼蓋衍之極致、不退之ナル者也。

正しく題名を解す
    義意を弁ず【興起体製】
      所依の宗体を顕す

【2】 ^りょう寿じゅ」 はこれ安楽あんらくじょう如来にょらい別号べつごうなり。 *しゃ牟尼むにぶつ*王舎おうしゃじょうおよび*しゃこくにましまして、 大衆だいしゅのなかにおいてりょう寿仏じゅぶつしょうごんどくきたまへり。 すなはちぶつ (*阿弥陀仏)みょうごうをもつて*きょうたいとなす。

无量寿」是安楽浄土如来ナリ釈迦牟尼仏在シテ↢王舎城及舎衛国↡、0450↢大0346衆之中↡説キタマヘリ↢无量寿仏荘厳功徳↡。即↢仏名号↡為↢経

一 Ⅱ ⅰ 能依の体製を弁ず
        総弁

^のちしょうじゃ婆藪ばそばんさつ (*天親)如来にょらい*だいきょう*服膺ぶくようしてきょうへてがんしょうつくれり。 またじょうごうつくりてかさねてしゃくす。

聖者婆数槃頭菩薩、服↢膺シテ 一升 如来大悲之教↡傍ヘテ↠経レリ↢願生↡。復造リテ↢長行↡重

一 Ⅱ ⅰ b 別示
          (一)優婆提舎を釈して総じて一部の体製を顕す
            (Ⅰ)梵名を標す

^*ぼんに 「優婆うば提舎だいしゃ」 といふは、 このけん (中国)正名しょうみょうあひやくせるなし。 もしは*一隅いちぐうげてづけてろんとなすべし。 正名しょうみょうやくせることなき所以ゆえんは、 このけんもとぶつましまさざるをもつてのゆゑなり。 このけんしょのごときは、 *こうにつきて 「けい」 としょうす。 にん制作せいさくみなづけて 「」 となす。 *こくこったぐい*各別かくべつ体例たいれいなり。

フハ↢「優婆提舎」↡此↢正名相訳セル↡。若シ[ハ]ゲテ↢一隅↡可↢名ケテ↟論。所↣以无↢正名訳セルコト↡者、以テノ↢此マシマサザルヲ↟仏故ナリ。如キハ↢此↡、就キテ↢孔子↡而称↠経。余人制作皆名ケテ↠子。国史・国紀之タグヒ各別体例ナリ

^しかるにぶつ所説しょせつじゅう二部にぶきょうのなかにろんきょうあり、 「優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 もしまたぶつのもろもろの弟子でしぶつ経教きょうきょうしてぶつ相応そうおうすれば、 ぶつまたゆるして 「優婆うば提舎だいしゃ」 とづく。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑなり。

ルニ所説十二部経↢論議経↡、名↢優波提舎↡。若復仏弟子解シテ↢仏経教↡与↢仏義↡相応スレバ者、仏亦許シテ↢優波提舎↡。以テノ↠入ルヲ↢仏法↡故ナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅱ)訳名を弁ず

^このけんろんといふは、 ただこれろんのみ。 あにまさしくかのやくすることをんや。 また女人にょにんを、 においてははしょうし、 あににおいて0049いもうとといふがごとし。 かくのごとき、 みなしたがひてべつなり。 もしただおんなをもつてひろまいだんずるに、 すなはち*おんな大体だいたいしっせざれども、 あにそんふくまんや。 ここにいふところのろんもまたかくのごとし。

フ[ハ]↠論直是論而已。豈↣正シクスルコトヲ↢彼↡耶。又如↢女人↠子↠母、於↠兄フガ↟妹。如↠是クノ事、皆随ヒテ↠義名別ナリ。若但以↢女↡汎ズ[ルニ]↢母妹↡、乃レドモ↠失↢女之大体↡、豈マム↢尊卑之義↡乎。↠云[モ]亦復如↠是クノ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (一)(Ⅲ)題の意を結す

^ここをもつて いんなり りて*梵音ぼんのんぞんじて優婆うば提舎だいしゃといふ。

ナホ ナリジテ↢梵音↡曰↢優波提舎↡。

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)二分の大意を弁じて別して偈総題を為すを審す
            (Ⅰ)大段

【3】 ^この ¬ろん¼ (浄土論)じゅうにおほよそじゅうあり。 いちにはこれ総説そうせつぶんにはこれ解義げぎぶんなり。

¬論¼始終↢二重↡。一ニハ是総説分、二ニハ是解義分ナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅱ)文処を指す

^総説そうせつぶんとは、 さきごんくるまでこれなり。 解義げぎぶんとは、 「ろんじてはく」 以下いげじょうごうくるまでこれなり。

総説分者前五言偈尽クルマデナリ解義分者「論曰」已下長行尽クルマデナリ

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)(Ⅲ)所以を弁ず

^じゅうとなす所以ゆえん二義にぎあり。 はもつてきょうじゅす。 そうしょうせんがためのゆゑなり。 ろんはもつてしゃくす。 解義げぎのためのゆゑなり。

所↣以為↢二重↡者有↢二義↡。偈↠経。為↢総摂セムガ↡故ナリ。論↠偈。為↢解義↡故ナリ

一 Ⅱ 文相を解す
      題号を釈す【題号】

【4】 ^りょう寿じゅ」 とはりょう寿じゅ如来にょらいをいふ。 寿じゅみょうじょうおんにしてりょうすべからず。 「きょう」 とはじょうなり。 いふこころは安楽あんらくこくぶつおよびさつ清浄しょうじょうしょうごんどくこく清浄しょうじょうしょうごんどくとは、 よくしゅじょうのために*だいにょうやくをなす。 つねにおこなはるべきがゆゑにづけてきょうといふ。 「優婆うば提舎だいしゃ」 はこれぶつろんきょうなり。

「無量寿」者、↢无量寿如来↡。寿命長遠ニシテ↠可カラ↢思量↡也。「経」者常也。言フココロハ0347安楽0451国土仏及菩薩清浄荘厳功徳国土清浄荘厳功徳トハ、能↢衆生↡作↢大饒益↡。可キガ↣常ハル↢于世↡故ケテ↠経。「波提舎」是仏論議経ナリ

^がん」 はこれ*よくぎょうなり。 「しょう」 は天親てんじんさつ、 かの安楽あんらくじょう如来にょらいじょうのなかにしょうぜんとがんずるしょうなり。 ゆゑにがんしょうといふ。 「」 はこれしゅごん0050をもつてりゃくしてぶっきょうじゅするがゆゑにづけてとなす。

「願」是欲楽ナリ。「生」者天親菩薩ズル↠生ゼムト↢彼安楽浄土如来浄花↡生ナリ。故↢願生↡。「偈」是句数義、以↢五言↡略シテスルガ↢仏経↡故ケテ↠偈

一 Ⅱ ⅱ 撰号を釈す

^婆藪ばそ」 をやくして 「てん」 といふ。 「ばん」 をやくして 「しん」 といふ。 このひと*天親てんじんなづく。 *は ¬*法蔵ほうぞうきょう¼ にあり。

シテ↢「婆」↡云↠天。訳シテ↢「槃頭」↡言↠親。此ナヅ↢天親↡。事↢¬付法蔵経¼↡。

^さつ」 とは、 もしつぶさに梵音ぼんのんぞんぜば 「*だいさっ」 といふべし。 「だい」 は、 これ仏道ぶつどうなり。 「さっ」 は、 あるいはしゅじょうといひ、 あるいは勇健ゆうごんといふ。 仏道ぶつどうもとむるしゅじょう*ゆうみょうごんあるがゆゑにだいさっづく。 いまたださつといふは訳者やくしゃ (*菩提流支)りゃくせるのみ。 「ぞう」 はまたさくなり。 ^ひとによりてほうおもんずることをねがふがゆゑに某造ぼうぞうといふ。

「菩薩」者、若ゼバ↢梵音↡応↠云↢菩提薩埵↡。菩提者是仏道ナリ。薩埵↢衆生↡、或↢勇↡。求ムル↢仏道↡衆生有ルガ↢勇猛健志↡故↢菩提薩埵↡。今但言フハ↢菩薩↡訳者セル耳。「造」亦作也。ネガフガ↢因↠人ズルコトヲ↟法某造↡。

^このゆゑに 「りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょう婆藪ばそばんさつぞう」 といへり。 ¬ろん¼ (浄土論)みょうもくしをはりぬ。

ヘリ↢「无量寿経優波提舎願生偈婆数槃頭菩薩造」↡。解↢¬論¼名目↡竟リヌ

釈文
  総説分を釈す【総説分】
    章を分つ

【5】 ^のなかをわかちて念門ねんもんとなす。 しもじょうごうしゃくするところのごとし。

チテ↢五念門↡。如↢下長行↟釈スル

・三念門

^第一だいいちぎょう四句しくにあひふくみて三念さんねんもんあり。 かみさんはこれ礼拝らいはい讃嘆さんだんもんなり。 しもいっはこれがんもんなり。

第一行四句相含ミテ↢三念門↡。上三句是礼拝・讃嘆門ナリ。下一句是作願門ナリ

・成上起下

^だいぎょう論主ろんじゅ (天親) みづから、 「われぶっきょう (浄土三部経) によりて ¬ろん¼ をつくりてぶっきょう相応そうおうす、 ぶくするところ*しゅうある」 ことをぶ。 なんがゆゑぞいふとならば、 これ優婆うば提舎だいしゃじょうぜんがためのゆゑなり。 またこれかみ三門さんもんじょうじてしももんおこす。 ゆゑにこれにいでけり。

第二行論主自↧我依リテ↢仏経↡造リテ↠¬論¼与↢仏教↡相応、所↠服スルルコトヲ↞宗。何フトナラバ、此為↠成ゼム[ガ]↢優波提舎↡故ナリ。亦是成ジテ↢上三門↡起↢下二門↡。所以↠之ケリ

・観察門

^だいさんぎょう0051じゅういちぎょうくるまで、 これ観察かんざつもんなり。

↢第三行↡尽クルマデ↢廿一行↡是観察門ナリ

・回向門

^まついちぎょうはこれこうもんなり。 しょうもんわかちをはりぬ。

末後一行是廻向門ナリ。分↢偈章門↡竟リヌ

二 Ⅰ 文を釈す
      随釈して法を顕す
        三念門を相含む
          (一)牒偈

【6】  ^そん一心いっしん みょう尽十方じんじっぽう 無礙むげこう如来にょらい がんしょう安楽国あんらくこく

04520348尊我一心シタテマツリテ尽十方 无光如来ゼムト安楽国

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)釈義
            (Ⅰ)第一句を解す
              (ⅰ)世尊を釈す
                (a)名義

 ^そん」 とは諸仏しょぶつ通号つうごうなり。 ろんずればすなはちとしてたっせざるはなし。 だんかたればすなはちじっあまりなし。 *だんそくしてよくけんし、 のためにそんじゅうせらるるゆゑにそんといふ。

世尊」者諸仏ナリ。論ズレバ↠智トシテ↠不コト↠達。語レバ↠断習気无↠余。智断具足シテ↢世間↡、為↠世尊重セラルル↢世尊↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)通別

^ここにいふこころは、 しゃ如来にょらいしたてまつるなり。 なにをもつてかることをとなれば、 しもに 「我依がえしゅ多羅たら」 といへばなり。 天親てんじんさつしゃ如来にょらい像法ぞうぼうのなかにありてしゃ如来にょらい経教きょうきょうじゅんず。 ゆゑにしょうぜんとがんず。 しょうぜんとがんずるにしゅうあり。 ゆゑにこのごんしゃしたてまつるとるなり。 もしこのこころおもふに、 あまねく諸仏しょぶつぐることまたきらふことなし。

シタテマツル[ナリ]↢釈迦如来↡。何テカトナレバ↠知ルコトヲ、下バナリ↢「我依修多羅」↡。天親菩薩リテ↢釈迦如来像法之中↡、順↢釈迦如来経教↡。所以↠生ゼムトズルニ↠生ゼムト↠宗。故ルナリ↣此シタテマツルト↢于釈迦↡。若フニ↢此↡、遍グルコト↢諸仏↡亦復无↠嫌フコト

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)告意

^それさつぶつすることは、 こう父母ぶもし、 ちゅうしん君后くんこうして、 *どうじょうおのれにあらず、 *しゅつもつかならずゆえあるがごとし。 *おんりてとくほうず、 よろしく*けいすべし。 ^また所願しょがんかろからず。 もし如来にょらいじんしたまはずは、 まさになにをもつてかたっせんとする。 *神力じんりきすることをふ。 ゆゑにあおぎてぐるなり。

菩薩ス[ルコトハ]↠仏↧孝子之帰↢父母↡、忠臣之帰シテ↢君后↡、動静非、出没必アルガ↥。知リテ↠恩↠徳、理宜シクシ ↢先↡。又所願不↠軽カラ如来不↠加シタマハ↢威神↡、将↢何テカセムト↡。乞↠加スルコトヲ↢神力↡。所以ギテグルナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)我一心を釈す
                (a)総釈【論主自督】

^一心いっしん」 とは、 天親てんじんさつ*とくことばなり。

「我一心」者天親菩薩督之詞ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)一心

^いふここ0052ろは、 無礙むげこう如来にょらいねんじて安楽あんらくしょうぜんとがんず。 心々しんしん相続そうぞくしておもい*間雑けんぞうすることなしとなり。

フココロハ↢无光如来↠生ゼムト↢安楽↡。心心相続シテシトナリ↢他想間雑スルコト↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)

 ^ひていはく、 仏法ぶっぽうのなかにはなし。 このなかになにをもつてかしょうする。 ^こたへていはく、 「」 といふにさん根本こんぽんあり。 いちにはこれ*邪見じゃけんにはこれ*だいさんにはこれ*流布るふなり。 いま 「」 といふは、 天親てんじんさつ自指じしことばにして、 流布るふもちゐる。 邪見じゃけんだいとにはあらず。

ヒテ、仏法ニハ↠我。此テカスル↠我。答ヘテ、言フニ↠我↢三根本↡。一ニハ是邪見語、二ニハ是自大語、三ニハ是流布語ナリ。今言↠我者天親菩薩自指之言ニシテ、用ヰル↢流布語↡。非↢邪見自大トニ[ハ]↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)第二三句を解す
              (ⅰ)総示

 ^みょうじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 とは、 「みょう」 はすなはちこれ礼拝らいはいもんなり。 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はすなはちこれ讃嘆さんだんもんなり。

「帰命尽十方无光如来」者、帰命是礼拝門ナリ。尽十方无光如来是讃嘆門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)【礼拝門】

^なにをもつてか 「みょう」 はこれ礼拝らいはいなりとるとなれば、 りゅうじゅさつの、 弥陀みだ如来にょらいさん (易行品)つくれるなかに、 あるいは 「稽首けいしゅらい」 といひ、 あるいは 「みょう」 といひ、 あるいは 「みょうらい」 といへり。 この ¬ろん¼ (浄土論)じょうごうのなかにまた 「念門ねんもんしゅす」 といへり。 念門ねんもんのなかに礼拝らいはいはこれはじめなり。 天親てんじんさつすでにおうじょうがんず。 あにらいせざるべけんや。 ゆゑにりぬ、 みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなり。

テカルトナレバ↢帰命是礼拝ナリト↡、龍樹菩薩レル↢阿弥陀如来↡中0453、或0349イハ↢「稽首礼」↡、或イハ↢「我帰命」↡、或イハヘリ↢「帰命礼」↡。此¬論¼長行亦言ヘリ↠「修スト↢五念門↡」。五念門礼拝是一ナリ。天親菩薩既↢往生↡。豈ケムヤ↠不↠礼。故リヌ帰命是礼拝ナリ[]

^しかるに礼拝らいはいはただこれ*ぎょうにして、 かならずしもみょうにあらず。 みょうはかならずこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつてすいせば、 みょうおもしとなす。 *しんぶ。 よろ0053しくみょうといふべし。 ろんす。 ひろ礼拝らいはいだんず。 *彼此ひしあひじょうじてにおいていよいよあらわれたり。

ルニ礼拝但是恭敬ニシテ、不↢必ズ[シモ]帰命↡。帰命是礼拝ナリ。若↠此セバ、帰命↠重シト。偈↢己心↡。宜シクシ ↠言↢帰命↡。論↢偈↡。汎↢礼拝↡。彼此相成ジテ、於↠義レタリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)【讃嘆門】
                  (イ)正証

 ^なにをもつてか 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 はこれ讃嘆さんだんもんなりとるとならば、 しもじょうごうのなかに、 「いかんが讃嘆さんだんもん。 いはく、 かの如来にょらいみなしょうするに、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく、 かの*みょうのごとく、 如実にょじつしゅぎょうして相応そうおうせんとほっするがゆゑなり」 といへり。

テカルトナラバ↢尽十方无光如来是讃嘆門ナリト↡、下長行ヘリ↧「云何讃嘆門スルニ↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、スルガ如実修行シ[テ]相応セムト↡故ナリト」↥。

^*しゃこく所説しょせつの ¬りょう寿じゅきょう¼ (*小経) によらば、 ぶつ弥陀みだ如来にょらいみょうごうしたまはく、 「なんがゆゑぞ弥陀みだごうする。 かのぶつこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふにしょうするところなし。 このゆゑに弥陀みだごうす。 またかのぶつ寿じゅみょうおよびその人民にんみんも、 りょうへんそうなり。 ゆゑに弥陀みだづく」 と。

ラバ↢舎衛国所説¬无量寿経¼↡、仏解シタマハク↢阿弥陀如来名号↡、「何スル↢阿弥陀↡。彼光明无量ニシテ、照↢十方国↡无↠所↢障スル↡。是↢阿弥陀↡。又彼寿命及人民、无量无辺阿僧祇ナリ。故クト↢阿弥陀↡」。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)料簡
                    [一]

 ^ひていはく、 もし無礙むげこう如来にょらいこうみょうりょうにして、 十方じっぽうこくらしたまふに障礙しょうげするところなしといはば、 このけんしゅじょう、 なにをもつてか光照こうしょうこうむらざる。 ひかりらさざるところあらば、 あにあるにあらずや。

ヒテ、若ハバ↧无光如来光明无量ニシテ、照シタマフニ↢十方国土↡无シト↞所↢障スル↡者、此衆生何テカ↠蒙↢光照↡。光ラバ↠所↠不↠照、豈↠有ルニ↠耶。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]正しく所疑を答ふ

^こたへていはく、 しゅじょうぞくす。 ひかりにはあらず。 ^たとへば日光にっこうてんにあまねけれども、 *盲者もうじゃざるがごとし。 日光にっこうのあまねからざるにはあらず。 また*密雲みつうんおおきにそそ0054 かんなり げども、 *頑石がんせきうるおはざるがごとし。 あめうるお しゅなり さざるにはあらず。

ヘテ、↢衆生↡。非↢光ニハ↡也。譬ヘバ↧日光ケレドモ↢四天下↡而盲者ルガ↞見。非↢日光ルニハ↟周カラ也。亦如↢密雲オホキゲドモ ナリ之句頑石ルガ↟潤。非ザル↢雨ルニハ ナリ 也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]重ねて二蔵を弁ず

 ^もし一仏いちぶつ三千さんぜん大千だいせんかいしゅりょうすといはば、 これしょうもんろんのなかのせつなり。 もし諸仏しょぶつあまねく十方じっぽうりょうへんかいりょうすといはば、 これだいじょうろんのなかのせつなり。

ハバ↣一仏主↢領スト三千大千世界↡、是声0454聞論0350ナリ。若ハバ↣諸仏遍スト↢十方无量无辺世界↡、是大乗論ナリ

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)結成

^天親てんじんさつ、 いま、 「じん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 といふは、 すなはちこれかの如来にょらいみなにより、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく讃嘆さんだんするなり。 ゆゑにりぬ、 このはこれ讃嘆さんだんもんなり。

天親菩薩、今フハ↢「尽十方无光如来」↡、即是依↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡讃スルナリ。故リヌ是讃嘆門ナリ[]

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)第四句を解す
              (ⅰ)正釈【作願門】

 ^がんしょう安楽あんらくこく」 とは、 このいっはこれがんもんなり。 天親てんじんさつみょうこころなり。 それ 安楽あんらく」 のは、 つぶさにした観察かんざつもんのなかにあり。

「願生安楽国」者、此一句是作願門ナリ。天親菩薩帰命之意也。其安楽↢下観察門↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)問答【願生問答】
                (a)生の義を料簡す
                  (イ)

 ^ひていはく、 *だいじょうきょうろんのなかに、 処々しょしょに 「しゅじょう*ひっきょうしょうにしてくうのごとし」 とけり。 いかんが天親てんじんさつがんしょう」 といふや。

ヒテ、大乗経論、処処ケリ↣衆生畢竟无生ニシテシト↢虚空↡。云何天親菩薩↢願生↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 「しゅじょうしょうにしてくうのごとし」 とくにしゅあり。

ヘテ、説クニ↣衆生无生ニシテシト↢虚空↡有↢二種↡。

^いちには、 ぼんおもふところのごときじつしゅじょうぼんるところのごときじつしょうは、 この所見しょけんひっきょうじてしょなきこと、 *もうのごとく、 くうのごとし。

↢凡夫↟謂衆生、↢凡夫↟見生死、此所見事畢竟ジテキコト所有↡如↢亀毛↡、如↢虚空

^には、 いはく、 諸法しょほう因縁いんねんしょうのゆゑにすなはちこれしょうなり。 しょなきことくうのごとし。 天親てんじんさつ0055がんずるところのしょうは、 これ因縁いんねんなり。 因縁いんねんのゆゑにかりしょうづく。 ぼんの、 じつしゅじょうじつしょうありとおもふがごときにはあらず。

。二者謂諸法因縁生是不生ナリ。无キコト所有↡如↢虚空↡。天親菩薩↠願ズル生者、是因縁ナリ。因縁↠生。非ザル↠如キニハ↢凡夫フガ↟有リト↢実衆生実生死↡也。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)往の義を料簡す
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんのによりてかおうじょうく。

ヒテ、依リテカ↢何↡説↢往生↡。

二 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 このけん*みょうにんのなかにおいて念門ねんもんしゅするに、 前念ぜんねんねんのためにいんとなる。 穢土えどみょうにんじょうみょうにんと、 けつじょうしていちなるをず、 けつじょうしてなるをず。 前心ぜんしんしんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もしいちならばすなはちいんなく、 もしならばすなはち相続そうぞくにあらざればなり。 この*いちもんかんずるろんのなかに*きょくなり。

ヘテ、於↢此仮名人↡修スルニ↢五念門↡、前念↢後念↡作↠因。穢土仮名人浄土仮名人、不↠得↢決定シテナルヲ不↠得↢決定シテナルヲ↡。前心後心亦如↠是クノ。何テノ。若ナラバ↢因果↡、若ナラバザレバナリ↢相続↡。是ズ[ル]↢一異↡論委曲ナリ

^だいぎょうさん念門ねんもんしゃくしをはりぬ。

↢第一行三念門↡竟リヌ

二 Ⅰ ⅱ a 所服有宗を述ぶ【成上起下偈】
          (一)出科

【7】 ^つぎは 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 またかみじょうじてしもおこなり

波提舎↡、又成ジテ↠上↠下ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (二)牒偈

^我依がえしゅ多羅たら 真実しんじつどくそう せつがんそう ぶっきょう相応そうおう

0455我依0351リテ修多羅 真実功徳キテ願偈総持仏教相応セム

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)釈義
            (Ⅰ)総じて科意を明す
              (ⅰ)名を成ずるを顕す

 ^このいちぎょう、 いかんが 「優婆うば提舎だいしゃ」 のじょうじ、 いかんが*かみ三門さんもんじょう*しももんおこす。 に 「我依がえしゅ多羅たら ぶっきょう相応そうおう」 といふ。 「しゅ多羅たら」 はこれぶっきょうなり。 われぶっきょうろんじて、 きょう相応そうおうす。 仏法ぶっぽうそうるをもつてのゆゑに優婆うば提舎だいしゃづく。 じょうじをはりぬ。

一行云何↢優波提舎↡、云何↢上三門↡起↢下二門↡。偈↢「我依修多羅、与仏教相応」↡。「修多羅」是仏経ナリ。我論ジテ↢仏経↡、与↠経相応テノ↠入ルヲ↢仏法憂波提舎↡。名成リヌ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)成上起下を審にす

^かみ三門さんもんじょうじてしももんおこすとは、 いづれのところにかり、 なんのゆゑにかり、 いかんがる。 ^いづれの0056ところにかるとは、 しゅ多羅たらる。 なんのゆゑにかるとは、 如来にょらいはすなはち真実しんじつどくそうなるをもつてのゆゑなり。 いかんがるとは、 念門ねんもんしゅして相応そうおうするがゆゑなり。 かみじょうしもおこしをはりぬ。

ジテ↢上三門↡起ス[トハ]↢下二門↡、何レノニカ、何ニカ、云何レノニカルト者、依↢修多羅↡。ニカルト者、以テノ↢如来真実功徳ナルヲ↡故ナリ云何ルト者、修シテ↢五念門↡相応スルガナリ。成↠上↠下リヌ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)別して文句を解す
              (ⅰ)第一句を釈す

^しゅ多羅たら」 とは、 じゅうきょうのなかの直説じきせつのものをしゅ多羅たらづく。 いはく、 *四阿しあごん三蔵さんぞうとう三蔵さんぞうのほかのだいじょう諸経しょきょうもまたしゅ多羅たらづく。 このなかに 「しゅ多羅たら」 といふは、 これ三蔵さんぞうのほかのだいじょうしゅ多羅たらなり。 ごんとうきょうにはあらず。

修多羅者、十二部経直説↢修多羅↡。謂四阿含・三蔵等ナリ三蔵大乗諸経亦名↢修多羅↡。此↢「依修多羅」↡者、是三蔵大乗修多羅ナリ。非↢阿含等ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)第二句を釈す【真実功徳釈】
                (a)不実功徳

^真実しんじつどくそう」 とは、 しゅどくあり。 いちには有漏うろしんよりしょうじてほっしょうじゅんぜず。 いはゆるぼん人天にんでん諸善しょぜん人天にんでんほう、 もしはいんもしは、 みなこれ顛倒てんどう、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑにじつどくづく。

「真実功徳」者、有↢二種功徳↡。一者従↢有漏心↡生ジテ不↠順↢法性↡。所謂凡夫人天諸善、人天果報、若シハ因若シハ果、皆是顛倒、皆是虚偽ナリ。是↢不実功徳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)真実功徳

^にはさつ智慧ちえ清浄しょうじょうごうよりおこりて*ぶつしょうごんす。 ほっしょうによりて清浄しょうじょうそうる。 このほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず。 づけて真実しんじつどくとなす。 いかんが顛倒てんどうせざる。 ほっしょうによりてたいじゅんずるがゆゑなり。 いかんが虚偽こぎならざる。 しゅじょうせっして*ひっきょうじょうらしむるがゆゑなり。

者従↢菩薩恵清浄業↡起リテ荘↢厳仏事↡。依リテ↢法性↡入↢清浄↡。是法不↢顛倒↡、不↢虚偽ナラ↡。名ケテ↢真実功徳↡。云何↢顛倒↡。依リテ↢法性↡順ズルガ↢二諦↡故ナリ。云何↢虚偽ナラ↡。摂シテ↢衆生↡入ラシムルガ↢畢竟浄↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅲ)後の二句を釈す

^せつがんそう ぶっきょう相応そうおう」 とは、 「」 はさんしつづく。 「そう」 はしょうをもつてせっするにづく。 」 のごんごんしゅなり。 がん」 はおうじょう*よくぎょうするにづく。 せつ」 はいはく、 もろもろのろんくなり。 そうじて0057これをいふに、 がんしょうするところのきて、 ぶっきょう*そうし、 ぶっきょう相応そうおうするなり。 相応そうおう」 とは、 たとへば*かんがいとあひかなへるがごとし。

「説願偈総持、与仏教相応」者、持↢不散不失↡。総↢以↠少スルニ↟多。偈五言句数ナリ。願↣欲0352↢楽スルニ0456↡。説クナリ↢諸↡。総ジテ而言フニ↠之、説キテ↧所↢願生スル↡偈↥、総↢持仏経↡、与↢仏教↡相応スルナリ。相応者、譬ヘバ↢函カナヘルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a 【観察門】
          (一)【器世間】
            (Ⅰ)正説
              (ⅰ)【清浄功徳】
                (a)牒偈

【8】  ^かんかいそう しょう三界さんがいどう

ズルニ世界セリ三界

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)釈義
                  (イ)総じて章を分つ
                    [一]総じて観察を標す

 ^これより以下いげは、 これだい観察かんざつもんなり。

ヨリ已下是第四観察門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二]正しく章門を分つ
                      [Ⅰ]総じて依正を分つ

^このもんのなかをわかちてべつとなす。 いちにはけんしょうごんじょうじゅ観察かんざつす。 にはしゅじょうけんしょうごんじょうじゅ観察かんざつす。

チテ↢二↡。一者観↢察器世間荘厳成就↡。二者観↢察衆生世間荘厳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]別して国徳を指す
                        [ⅰ]総じて文処を別つ

^このより以下いげがんしょう弥陀みだ仏国ぶつこく」 にいたるまでは、 これけんしょうごんじょうじゅかんずるなり。 けんかんずるなかに、 またわかちてじゅうしちべつとなす。 もんいたりてまさになづくべし。

ヨリ已下、至ルマデハ↢「願生彼阿弥陀仏国」↡是観ズルナリ↢器世間荘厳成就↡。観ズル↢器世↡中、復分チテ↢十七↡。至リテ↠文ナヅ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別して句名を標す

^このはすなはちこれ第一だいいちなり。 づけて観察かんざつしょうごん清浄しょうじょうどくじょうじゅとなす。

二句是第一ナリ。名ケテ↢観察荘厳清浄功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)別して今偈を釈す
                    [一]下釈に対す

^この清浄しょうじょうはこれ*総相そうそうなり。

清浄是総相ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]本を尋ねて釈す
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごん清浄しょうじょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいそなはすに、 これ虚偽こぎそう、 これ*輪転りんでんそう、 これ*ぐうそうにして、 *しゃっかく かがまりぶるむしなりじゅんかんするがごとく、 *蚕繭さんけん さんなりばくするがごとし。 あはれなるかなしゅじょう、 この三界さんがいしば むすびてけず られて、 顛倒てんどうじょうなり。

仏本所↣以起シタマヘル↢此荘厳清浄功徳↡者、ソナハスニ↢三界↡是虚偽相、是輪転相、是无窮ニシテ、如 マリブルナリ一郭 循環スルガ↡、↢蚕 才含反 蚕衣ナリ公殄 自縛スルガ↡。哀ナル哉衆生シバラレテビテ不↠解三界↡、顛倒・不浄ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^しゅじょう不虚偽ふこぎところ輪転りんでんところ不無ふむぐうところきて、 ひっきょう安楽あんらくだい清浄しょうじょうしょしめんとおぼしめす。 このゆゑにこの清浄しょうじょうしょうごんどくおこしたまへり。

シメスキテ↢衆生於不虚偽処、於不輪転処、於不无窮↡、得シメムト↦畢竟安楽大清浄処↥。是シタマヘリ↢此清浄荘厳功徳↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 この清浄しょうじょう破壊はえすべからず、 ぜんすべから0058ず。 三界さんがいの、 これぜんそう、 これ破壊はえそうなるがごときにはあらず。

成就者、言フココロハ清浄不↠可カラ↢破壊↡、不↠可カラ↢汚染↡。非ザル↠如キニハ↢三界是汚染、是破壊ナルガ↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]成就
                      [Ⅰ]初句を釈す

^かん」 とは観察かんざつなり。 「」 とはかの安楽あんらくこくなり。 「かいそう」 とはかの安楽あんらくかい清浄しょうじょうそうなり。 そのそうべつしもにあり。

「観」者観察也。「彼」者彼安楽国也。「世界相」者彼安楽世界清浄相也。其相別↠下

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]後句を釈す
                        [ⅰ]道を釈す

^しょう三界さんがいどう」 の 「どう」 とはつうなり。 かくのごときいんをもつて、 かくのごとき。 かくのごときをもつて、 かくのごときいんむくゆ。 いんつうじていたる。 つうじていんむくゆ。 ゆゑにづけてどうとなす。

「勝過三界」、道者通也。以↢如↠此クノ0353↡、0457↢如↠此クノ↡。以↢如↠此クノ↡、ムク↢如↠此クノ↡。通ジテ↠因↠果。通ジテ↠果ムク↠因。故ケテ↠道

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]三界を釈す

^三界さんがい」 とは、 いちにはこれ欲界よくかい、 いはゆる六欲ろくよくてんてんにんちくしょう餓鬼がきごくとうこれなり。 にはこれ色界しきかい、 いはゆる初禅しょぜんぜん三禅さんぜんぜん天等てんとうこれなり。 さんにはこれ色界しきかい、 いはゆる空処くうしょ識処しきしょしょしょそう非非ひひ想処そうしょ天等てんとうこれなり。

三界者、一ニハ是欲界、所謂六欲天・四天下人・畜生・餓鬼・地獄等是也。二ニハ是色界、所謂初禅・二禅・三禅・四禅天等是也。三ニハ是无色界、所謂空処・識処・无所有処・非想非非想処天等是也。

^この三界さんがいはけだしこれしょうぼんてん闇宅あんたくなり。 またらくすこしきことなり、 *修短しゅたんしばらくことなりといへども、 べてこれをかんずるに有漏うろにあらざるはなし。 *ぶくあひじょうじ、 じゅんかんさいなり。 *ざっしょう触受そくじゅし、 *とうながかかはる。 かつはいん、 かつは虚偽こぎあひおそふ。

三界是生死凡夫流転之闇宅ナリ。雖↢復苦楽小ナリ修短暫↡、統ベテ而観ズルニ↠之↠非ザルコト↢有漏↡。相乗循環无際ナリ。雑生触受、四倒長カカハツハツハ果、虚偽相襲

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅲ]勝過の相を明す

^安楽あんらくはこれさつ (*法蔵)慈悲じひ*しょうかんしょう如来にょらい (阿弥陀仏)神力じんりき本願ほんがん所建しょこんなり。 *たいらん湿しつしょう、 これによりて*たかおさめ、 *ごうながつな、 これよりながつ。 *続括ぞくかつはかりごとすすめをたずしてゆみく。 *労謙ろうけんぜんじょう*げんひとしくしてとくおな0059くす。 ^しょう三界さんがい」 とは、 そもそもこれ近言ごんごんなり。

安楽是菩薩慈悲・正観之由生、如来神力本願之所建ナリ。胎卵湿生縁リテ↠茲ヲサ、業繋ツナ↠此永。続括之ハカリゴトシテ↠待↠勧↠弓。労謙善譲斉シクシテ↢普賢↡而同ジクス↠徳。勝セリ三界是近言ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)【量功徳】
                (a)牒偈

【9】  ^きょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい

究竟シテ虚空 広大ニシテ辺際

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんりょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳量功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)本願
                    [一]正しく本願を明す
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごんりょうどくおこしたまへる所以ゆえんは、 三界さんがいそなはすに陜小きょうしょうにして* はいじょうおかなり けい やま絶坎ぜっかんなり *はい つちかさぬるなり。 いちにはいはくなり しょ しょのごときもの、 しょきゅうなり なり。 あるいは*かん迫迮はくさくし、 あるいは*でん逼隘ひつあい ろうなり す。 あるいは志求しぐするにみちつづまり、 あるいはせんへだ そくなりふ。 あるいは*国界こくかいぶんせり。 かくのごとき種々しゅじゅ*きゅうあり。

仏本所↣以起シタマヘル↢此荘厳量功徳↡者、見ソナハスニ↢三界戸甲[ニシテ]ナリ式垂 絶坎ナリ ヌルコト↠土ニシテハルナリ父才 ナリ 者陼ナリ之与。或イハ宮観 子格、或イハ土田逼隘 ナリ。或イハ志求スルニツヅマ、或イハ山河隔 ナリ。或イハ国界分セリ。有↢如↠此クノ種種挙急事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑにさつ、 このしょうごんりょうどくがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくくうのごとく広大こうだいにしてさいならん」 と。

菩薩興シタマヘリ↢此荘厳量功徳↡。願クハ国土如0458↢虚空0354↡広大ニシテ无際ナラムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]因みに偈句を釈す

^くうのごとく」 とは、 いふこころは、 らいしょうのものおおしといへども、 なほなきがごとくならんとなり。 「広大こうだいにしてさいならん」 とは、 かみの 「にょくう」 のじょうず。 なんがゆゑぞ 「にょくう」 といふ。 広大こうだいにしてさいなるをもつてのゆゑなり。

クト↢虚空↡」者、言フココロハ来生者雖オホシト、猶若クナラムト↠无キガ也。「広大ニシテ无際ナラムト」者、成↧上虚空↥。何トイフ虚空。以テノ↢広大ニシテ无際ナルヲ↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)成就
                    [一]正釈

^じょうじゅ」 とは、 いふこころは、 十方じっぽうしゅじょうおうじょうするもの、 もしはすでにしょうじ、 もしはいまにしょうじ、 もしはまさにしょうぜん。 りょうへんなりといへどもひっきょうじてつねにくうのごとく、 広大こうだいにしてさいにして、 つひにときなからん。 このゆゑに0060きょうにょくう 広大こうだい辺際へんざい」 といへり。

成就者、言フココロハ十方衆生往生セム者、若シハ、若シハ、若シハ↢无量无辺ナリト↡畢竟ジテ↢虚空↡、広大ニシテ无際ニシテ、終カラム↢満時↡。是ヘリ↢「究竟如虚空、広大无辺際」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]問答

 ^ひていはく、 ゆいのごときは、 *ほうじょう苞容ほうようしてあまりあり。 なんぞかならず国界こくかい*無貲むしなるをすなはち広大こうだいしょうする。

ヒテ、如キハ↢維摩↡、方苞容シテ↠余。何国界无ナルヲ スル↢広大↡。

^こたへていはく、 いふところの広大こうだいは、 かならずしも*けい じっなり えん さんじっなり をもつてたとへとなすにあらず。 ただくうのごとしといふ。 またなんぞほうじょうわずらはさんや。 またほうじょう苞容ほうようするところはきょうにありてこうなり。 まこと じつなりほうろんずるに、 あにこうにありてこうなるにしかんや。

ヘテ、所↠言広大↧必ズシモ五十畝ナリ下圭 三十畝ナリ遠一万スニ↞喩。但言↠如シト↠空。亦何ワズラハサムヤ↢方↡。又方丈之スル↡在リテ而広ナリマコト ナリ下革ズルニ↢果報↡、豈カム↢在リテ↠広而広ナルニ↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)【性功徳】
                (a)牒偈

【10】 ^しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう

正道大慈悲 出世善根ヨリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんしょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳性功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 愛欲あいよくをもつてのゆゑにすなはち欲界よくかいあり。 *攀厭へんえんぜんじょうをもつてのゆゑにすなはちしき色界しきかいあり。 この三界さんがいはみなこれ有漏うろなり。 邪道じゃどうしょしょうなり。 ながだいねてでんとねがふをることなし。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、以テノ↢愛欲↡故↢欲界↡。以テノ攀厭禅定↡故↢色・无色界↡。此三界皆是有漏ナリ。邪道所生ナリ。長ネテ↢大夢↡莫↠知ルコトフヲ↠出デムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 *じょうしょう見道けんどうをもつて清浄しょうじょうおこして三界さんがいいださん」 と。

シタマヘリ↢大悲心↡。願クハ我成仏セムニ、以↢无上正見道↡起シテ↢清浄サムト↢于三界↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)句名を釈す
                    [一]性本義

^しょう」 はこれほんなり。 いふこころは、 このじょうほっしょうずいじゅんして法本ほうほんそむかず。 ¬*ごんぎょう¼ の*宝王ほうおう如来にょらいしょう0061おなじ。

是本ナリ。言フココロハ浄土随↢順シテ法性↡不↠乖↢法本↡。事同↢¬花厳経¼宝王如来性起↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[二]積習性

^またいふこころは、 積習しゃくじゅうしてしょうじょうず。 *法蔵ほうぞうさつしょ波羅はらみつあつめて積習しゃくじゅうしてじょうずるところをす。

又言フココロハ積習シテ↠性↧法蔵菩薩集メテ↢諸波羅蜜↡積習シテ↞成ズル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[三]聖種性

^また 「しょう」 といふは、 これしょうしゅしょうなり。 はじ法蔵ほうぞうさつ*世自せじ在王ざいおうぶつみもとにおいて、 しょう法忍ぼうにんさとりたまへり。 そのときくらいしょうしゅしょうづく。 このしょうのなかにおいてじゅうはち大願だいがんおこしてこの*しゅせり。 すなはち安楽あんらくじょうといふ。 これかのいん所得しょとくなり。 のなかにいんく。 ゆゑにづけてしょうとなす。

亦言↠性者是聖種性ナリハジ法蔵菩0459↢世0355自在王仏↡、悟リタマヘリ↢无生法忍↡。爾↢聖種性↡。↢是↡発シテ↢八大願↡修↢起セリ↡。即↢安楽浄土↡。是彼所得ナリ。果↠因。故ケテ↠性

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ハ)[四]必然不改

^またいふこころは、 「しょう」 はこれ必然ひつねんなり、 がいなり。 うみしょういちにして、 しゅればかならずいちとなりて、 うみあじはひ、 かれにしたがひてあらたまらざるがごとし。

又言フココロハ必然ナリ、不改ナリ。如↧海性一味ニシテ、衆流入レバ者必リテ↢一味↡海味不ルガ↦随ヒテ↠彼↥也。

^またひとしょうじょうなるがゆゑに、 種々しゅじゅみょうこうしきこう美味みみればみなじょうとなるがごとし。 安楽あんらくじょうはもろもろのおうじょうするもの、 じょう*しきなく、 じょうしんなし。 ひっきょうじてみな*清浄しょうじょうびょうどう無為むい法身ほっしんることは、 安楽あんらくこく清浄しょうじょうしょうじょうじゅせるをもつてのゆゑなり。

又如↣人不浄ナルガ、種種妙好色・香・美味入レバ↠身皆為ルガ↢不浄↡。安楽浄土往生スル者、无↢不浄色↡、无↢不浄心↡。畢竟ジテ皆得ルコトハ↢清浄平等无為法身↡、以テノ↢安楽国土清浄性成就セルヲ↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)成就
                    [一]初句を釈す

^しょうどうだい慈悲じひ しゅっ善根ぜんごんしょう」 とは、 びょうどう大道だいどうなり。 びょうどうどうづけてしょうどうとなす所以ゆえんは、 びょうどうはこれ諸法しょほう*体相たいそうなり。 諸法しょほうびょうどうなるをもつてのゆゑに*発心ほっしんひとし。 発心ほっしんひとしきがゆゑにどうひとし。 どうひとしきがゆゑにだい慈悲じひひとし。 だい慈悲じひはこれ仏道ぶつどうしょういんなるがゆゑに 「しょうどうだい慈悲じひ」 といへり。

「正道大慈悲、出世善根ヨリ」者、平等大道也。平等所↣以名ケテ↢正道↡者、平等是諸法体相ナリ。以テノ↢諸法平等ナルヲ↡故発心等。発心等シキガ道等。道等シキガ大慈悲等。大慈悲是仏道正因ナルガヘリ↢「正道大慈悲」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅲ)(b)(ニ)[二]後句を釈す

^0062三縁さんえんあり。 いちにはしゅじょうえん、 これしょうなり。 には法縁ほうえん、 これちゅうなり。 さんにはえん、 これだいなり。 だいはすなはちしゅっぜんなり。 安楽あんらくじょうはこのだいよりしょうぜるがゆゑなり。 ゆゑにこのだいをいひてじょうこんとなす。 ゆゑに 「しゅっ善根ぜんごんしょう」 といへり。

慈悲↢三縁↡。一者衆生縁、是小悲ナリ。二者法縁、是中悲ナリ。三者无縁、是大悲ナリ。大悲出世善也。安楽浄土↢此大悲↡生ゼルガナリ。故ヒテ↢此大悲↢浄土之根↡。故ヘリ↢「出世善根生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)【形相功徳】
                (a)牒偈

【11】 ^じょうこうみょう満足まんぞく にょきょう日月にちがつりん

浄光明満足スルコト日月輪トノ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんぎょうそうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳形相功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとこのしょうごんどくおこしたまへる所以ゆえんは、 *いきくをそなはすに、 ひかり*三方さんぽうにあまねからず。 *ていりょうたくにあるにあきらかなること*じゅうじんたず。

仏本所↣以起シタマヘル↢此荘厳功徳↡者、見ソナハスニ↣日0460クヲ↢四域↡、光不↠周カラ↢三方↡。庭燎 力小ルニ↠宅カナルコト不↠満↢十↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑにじょうこうみょうたさんとがんおこしたまへり。

テノ↠是シタマヘリ↧満タサムト↢浄0356光明↡願↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅳ)(b)(ハ)成就

^日月にちがつ光輪こうりんの、 たい満足まんぞくせるがごとく、 かの安楽あんらくじょうもまた広大こうだいにしてほとりなしといへども、 清浄しょうじょうこうみょうじゅうそくせざるはなからん。 ゆゑに 「じょうこうみょう満足まんぞく 如鏡にょきょう日月にちがつりん」 といへり。

↣日月光輪満↢足セルガ自体↡、彼安楽浄土[モ]↢復広大ニシテシト↟辺、清浄光明无カラム↠不コト↢充塞↡。故ヘリ↢「浄光明満足、如鏡日月輪」↡

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)【種々事功徳】
                (a)牒偈

【12】 ^しょ珍宝ちんぽうしょう そくみょうしょうごん

ヘテ珍宝セリ妙荘厳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん種々しゅじゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳種種事功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 でいをもつてかざりとなし、 木石ぼくせきをもつて*かんとなす。 あるいはこがねたまちりばむもがんたず。 あるいはいとなみてひゃくせん0063そなふれば、 つぶさにしんく。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、以↢泥土↡為↢宮リト↡、以↢木石↡為↢花観↡。或イハ↠金チリバム[モ]↠玉意願不↠充。或イハミテフレバ↢百千↡具↢辛苦↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^これをもつてのゆゑにだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 かならず珍宝ちんぽうそくし、 厳麗ごんらいねんにして*有余うよにあひわすれ、 おのづから仏道ぶつどうしめん」 と。

テノ↠此シタマヘリ↢大悲心↡。願クハ我成仏セムニ、必使メムト↧珍宝具足、厳麗自然ニ[シテ]相↢忘於有余↡、自得↦於仏道↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅴ)(b)(ハ)成就

^このしょうごん、 たとひ*首羯しゅかつたくみみょうぜつしょうすとも、 おもいおもいつくすとも、 あによくりてうつさんや。

荘厳事、縦使 タトヒ 毘首羯磨タクミストモ↢妙絶↡、積↠思ツクストモ↠想、豈リテウツサムヤ

^しょう」 とはほんなり。 のうしょうすでにきよし、 しょしょういづくんぞじょうん。 ゆゑに ¬きょう¼ (*維摩経) にのたまはく、 「そのしんきよきにしたがひてすなはちぶつきよし」 と。 このゆゑに 「しょ珍宝ちんぽうしょう そくみょうしょうごん」 といへり。

「性」者本義也。能生既、所生焉↢不浄↡。故¬経¼言、「随ヒテ↢其心浄キニ↡則仏土浄シト」。是ヘリ↢「備諸珍宝性、具足妙荘厳」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)【妙色功徳】
                (a)牒偈

【13】 ^無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん

无垢光炎サカリニシテ 明浄ニシテカス↢世間

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんみょうしきどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳妙色功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 れつどうなり。 どうなるをもつてのゆゑに*こうもつてあらわる。 こうすでにあらわるれば、 是非ぜひもつておこる。 是非ぜひすでにおこれば、 ながさんしず もつなり む。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、優劣不同ナリ。以テノ↢不同ナルヲ↡故高下以アラハ。高下既アラハルレバ、是非以。是非既レバ、長0461ナリ 三有↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいしんおこしてびょうどうがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこく光炎こうえんじょうにして第一だいいち無比むひならん。 人天にんでん金色こんじきよくうばふものあるがごとくならじ」 と。

シテ↢大悲心↡起シタマヘリ↢平等↡。願クハ国土光炎熾盛ニシテ第一无比ナラム。不0357↠如クナラ↣人天金色能ルガ↢奪者↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)成就
                    [一]総じて釈す
                      [Ⅰ]光を顕す

^いかんがあひうばふ。 明鏡みょうきょうのごときを金辺こんぺんけばすなはちげんぜず。

若為 イカン 相奪。如キヲ↢明鏡ケバ↢金辺↡則不↠現

^今日こんにちちゅうこがねぶつ (釈尊)ざいこがねするにすな0064はちげんぜず。

今日時中スルニ↢仏在時↡則不↠現

^ぶつ (釈尊)ざいこがね*えん浮那ぶなごんするにすなはちげんぜず。

在時スルニ↢閻浮那金↡則不↠現

^えん浮那ぶなごん大海だいかいのなかの転輪てんりんのうどうちゅう*金沙こんしゃするにすなはちげんぜず。

閻浮那金スルニ↢大海転輪王道中金沙↡則不↠現

^転輪てんりんのうどうちゅう金沙こんしゃ*金山こんぜんするにすなはちげんぜず。

転輪王道中金沙スルニ↢金山↡則不↠現

^金山こんぜんしゅせんこがねするにすなはちげんぜず。

金山スルニ↢須弥山↡則不↠現

^しゅせんこがね*さんじゅうさんてん*瓔珞ようらくこがねするにすなはちげんぜず。

須弥山スルニ↢三十三天瓔珞↡則不↠現

^さんじゅうさんてん瓔珞ようらくこがね*えんてんこがねするにすなはちげんぜず。

三十三天瓔珞スルニ↢炎摩天↡則不↠現

^えんてんこがね*そつてんこがねするにすなはちげんぜず。

炎摩天スルニ↢兜率陀天↡則不↠現

^そつてんこがね*化自けじ在天ざいてんこがねするにすなはちげんぜず。

兜率陀天スルニ↢化自在天↡則不↠現

^化自けじ在天ざいてんこがね*他化たけ在天ざいてんこがねするにすなはちげんぜず。

化自在天スルニ↢他化自在天↡則不↠現

^他化たけ在天ざいてんこがね安楽あんらくこくちゅうこうみょうするにすなはちげんぜず。

他化自在天スルニ↢安楽国中光明↡則不↠現

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[一][Ⅱ]無垢を顕す

^所以ゆえんはいかんとなれば、 かの金光こんこう*ごうよりしょうずることをつがゆゑなり。 清浄しょうじょうにしてじょうじゅせざるはなきゆゑなり。 安楽あんらくじょうはこれしょうにんさつじょうごうしょなり。 弥陀みだ如来にょらい法王ほうおうしょりょうなり。 弥陀みだ如来にょらい*ぞうじょうえんとなしたまふがゆゑなり。 このゆゑに 「無垢むく光炎こうえん 明浄みょうじょうようけん」 といへり。

所以者何ントナレバ、彼金光ツガ↧従↢垢業↡生ズルコトヲ↥故ナリ。清浄ニシテ↠不コト↢成就↡故ナリ。安楽浄土是无生忍菩薩浄業所起ナリ。阿弥陀如来法王所領ナリ。阿弥陀如来↢増上縁↡故ナリ。是ヘリ↢「无垢光炎熾、明浄曜世間」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]別して後句を釈す

^ようけん」 とはしゅけんかがやかすなり。

「曜世間」者曜カス↢二種世間↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)触功徳
                (a)牒偈

【14】 ^ほうしょうどくそう にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょうしょうらく 旃隣せんりん

宝性功徳草 柔軟ニシテ左右レリルル者生ズルコト勝楽ギタリ迦旃隣陀

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この四句しくしょうごんそくどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳触功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへ0065る。 あるこくそなはすに、 こんぎょくほうじゅうすといへどもぶくとなすことをず。 明鏡みょうきょう珍翫ちんがんすれども*敷具ふぐによろしきことなし。 これによりてよろこばしむれども、 *便たよりならず。 しんげんじょうあにじゅんせざらんや。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖0462↢重スト金玉↡不↠得↠スコトヲ↢衣服↡。珍↢翫スレドモ明鏡↡无ヨロシキコト↢於敷具↡。斯リテバシムレドモ↢於目0358↠便リナラ↢於身↡也。身眼二情豈ラム↢鉾楯↡乎。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこく人天にんでん*ろくじょう*すいにゅうして、 つひに*えつろうらしめん」 と。

ジテ、使メムト↧我国土人天六情和シテ↢於水乳↡、ツヒ越之労↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ハ)成就

^ゆゑに七宝しっぽうにゅうなんにしてよろこばしめ便たよりなるなり。

所以七宝柔軟ニシテバシ[メ]↠目便リナルナリ↠身

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)文義を釈す
                    [一]迦旃隣陀を釈す

^旃隣せんりん」 とは、 天竺てんじく (印度)にゅうなんそうなり。 これにるればよく*楽受らくじゅしょうず。 ゆゑにもつてたとへとなす。

「迦旃隣陀」者、天竺柔軟草名也。触ルレバ↠之者能↢楽受↡。故↠喩

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[二]草を勘ふ

^ちゅうしゃ (曇鸞) のいはく、 このけんせきそうもくはおのおのじょうたいあり。 訳者やくしゃ (菩提流支) なにによりてか、 かのたからなづけてくさとなすや。 まさにその*ふう くさかぜかたちなり ねんえい くさめぐかたちなり びょう ほそくさびょうといふ なるをもつてのゆゑに、 くさをもつてこれになづくるのみ。 もし*参訳さんやくせばまさにべつみちあるべし。

註者、此土石草木↢定体↡。訳者何リテカナヅケテ↢彼↠草耶。当テノ↢其草得↠風カタチナリ父虫 然 ナリ一煢[ナル]ヲ↠亡小、以↠草ナヅ↠之。餘若参訳セバ↢別↟途。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅶ)(b)(ニ)[三]生勝楽を釈す

^しょうしょうらく」 とは、 旃隣せんりんるれば*ぜんじゃくらくしょうず。 かの軟宝なんぽうるればほうらくしょうず。 二事にじあひはるかなり。 しょうにあらずはいかん。 ^このゆゑに 「ほうしょうどくそう にゅうなん左右さうせん 触者そくしゃしょうしょうらく 旃隣せんりん」 といへり。

「生勝楽」者、触ルレバ↢迦旃隣陀↡生↢染着↡。触ルレバ↢彼軟宝↡生↢法喜↡。二事相ハルカナリ。非ズハ↠勝如何。是ヘリ↢「宝性功徳草、柔軟左右旋、触者生勝楽、過迦旃隣陀」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)【三種功徳】
                (a)水徳【水功徳】
                  (イ)牒偈

【15】 ^ほう千万せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん 風動ふうどうよう きょうさくこう乱転らんでん

宝華千万種ニシテセリ池・流・泉 微風動スニ華葉 交錯シテ光乱転

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^0066この四句しくしょうごんすいどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳水功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはうんにゃく かわみずおおきなるなみ、 これをうんにゃくといふ 洪涛こうとう うみなみがる して*まつひとおどろかす。 あるいは*ぎょう こおりなが *きょうとう こおりてあひ して、 *しゅく せま し、 とく つねしっいだく。 さき安悦あんえつこころなし。 うしろに恐値くちおもんぱかりあり。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或イハ澐溺 ナル波謂↢之澐溺 洪涛シテ 大牢 滓沫驚カス↠人。或イハ上支 古甲 シテ 相著大甲子六 ↠ ↠常他則サキ↢安悦之情↡。ウシロ↢恐値之慮↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 あらゆるせんしょう いけなり 殿でんとあひかな、 ¬きょう¼ (*大経・上) ちゅうづ。 種々しゅじゅほうきてみずかざりとなり、 ふうやうやくあおぎて*映発ようほつするに*じょあり、 *じんひらたいよろこばしめて、 いちとしてならずといふことなからん」 と。

菩薩見ソナハシ↠此シタマヘリ↢大悲心↡。願クハ我成仏セムニ、所有流・泉・池・沼 ナリ之小 与↢宮殿↡相カナ 事出↢¬経¼中 種種宝花布キテ↢水↡、微風ヤウヤギテ映発スルニ↠序、開↠神バシメテ↠体、无カラムト↢一トシテトイフコト↟可ナラ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(a)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「ほう千万せんまんじゅ 弥覆みふ池流ちるせん 風動ふうどうよう きょうさくこう乱転らんでん」 といへり。

ヘリ↢「宝花千万0463種、弥覆池流泉、微風動花葉、交錯光乱転」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)地徳【地功徳】
                  (イ)牒偈

【16】 ^殿でんしょ楼閣ろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらんへんにょう

0359殿諸楼閣ニシテルコト十方无ナリ 雑樹光色アリ蘭遍囲繞セリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごんどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳地功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 *嶕嶢しょうぎょう たかかたちなり しゅん こうなり れいにしてぼくみねよこたはり、 *岝峉さくがく 岝峉さくがくやまひとしからず けい ふか山谷せんこくまたはせんしょうかたちなり りん ふかくしてかぎりなし にしてしょう わるくさかたちなり *ぼう みちくさおおくしてくべからず たに0067てり。 *茫々ぼうぼうたる滄海そうかい*絶目ぜつもくせんたり。 *々らんらんたる広沢こうたく*しょうところたり。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、ナリ才消牛消 ナリニシテ枯木横タハリ山不↠斉シカラ才白岝峉五百 山谷亦ナリニシテ クシテカギリ力人 クサカタチナリ クシテクサ不↠可カラ↠行 テリタニ。茫茫タル滄海、為↢絶目之川↡。タル広沢、為无蹤之所↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくたいらかにしてたなごころのごとく、 殿でん楼閣ろうかくかがみのごとくして、 十方じっぽうおさめんにあきらかにしてぞくするところなく、 またぞくせざるにあらざらん。 宝樹ほうじゅ宝欄ほうらんたがひに映飾ようじきとならん」 と。

菩薩見ソナハシテ↠此シタマヘリ↢大悲↡。願クハ国土地平カニシテ↠掌、宮殿楼閣ノゴトクシテ、納メムニ↢十方↡、アキラカニシテ↠所↠属スル、亦非ザラム↠不ルニ↠属。宝樹・宝蘭互ラムト↢映飾↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(b)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「殿でんしょ楼閣ろうかく かん十方じっぽう無礙むげ 雑樹ぞうじゅ光色こうしき 宝欄ほうらんへんにょう」 といへり。

ヘリ↢「宮殿諸楼閣、観十方无、雑樹異光色、宝蘭遍囲繞」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)虚空【虚空功徳】
                  (イ)牒偈

【17】 ^りょうほうきょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん

无量宝交絡シテ 羅網遍虚空 種種鈴発シテ妙法

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)釈義
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごんくうどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳虚空功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 えんうんじん*たいへいしょうし、 *震烈しんれつしん あめこえなり かく 大雨おおあめなり うえよりしてつ。 *しょうさい てんなり げつ まがれるにじ青赤あおあかあるいは白色しろいろおんなり つねにそらよりきたりて、 りょひゃくたんにしてこれがためにいよだつ。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、煙雲塵霧蔽↢障太虚↡、震烈ナリ士林 大雨ナリ下郭リシテ↠上而堕。不祥ナリ葬才レル虹、青赤或イハ白色陰気ナリ五結↠空来リテ、憂慮百端ニシテ↠之イヨダ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[二][Ⅱ]摂取の願

^さつこれをそなはしてだいしんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくには*宝網ほうもう*きょうらくして、 *くうへんし、 りょうたく 大鈴おおすずなり *宮商きゅうしょうりて道法どうほうべん。 これをいとふことなく、 どうおもひてとくあらわさん」 と。

菩薩見ソナハシテ↠此シタマヘリ↢大悲心↡。願クハ国土ニハ宝網交絡シテ、羅↢虚空↡、鈴鐸 大鈴ナリ大各 宮商鳴リテベム↢道法↡。視↠之↠厭フコトオモヒテ↠道アラハサムト↠徳

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅷ)(c)(ロ)[三]成就

^このゆゑに 「りょうほうきょうらく もうへんくう 種種しゅじゅりょう発響ほっこう せんみょう法音ほうおん」 といへり。

ヘリ↢「无量宝交絡、羅網遍虚空、種種鈴発嚮、宣吐妙0464法音」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)【雨功徳】
                (a)牒偈

006818】 ^華衣けえしょうごん りょうこうくん

0360ラシテトヲ荘厳 无量香普

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳雨功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 服飾ぶくじきをもつてき、 *所尊しょそんえんしょうせんとほっす。 あるいはこうみょうほうをもつて、 もちゐてぎょうひょうせんとほっす。 しかも*ごうまずしくかんうすきものはこのはたさず。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、↧以↢服飾↡布↠地延↦請セムト所尊↥。或イハ↧以↢香花名宝↡、用ヰテセムト↦恭敬↥。而シク感薄キモノハ事不↠果

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくにはつねにこのものあめふらしてしゅじょうこころてん」 と。

シタマヘリ↢大↡。願クハ国土ニハラシテ↢此↡満タサムト↢衆生↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)成就
                    [一]雨を勘ふ

^なんがゆゑぞあめをもつてことばをなすとならば、 おそらくは*取者しゅしゃのいはん。 「もしつねにとをあめふらさば、 またくうふさぐべし。 なにによりてかさまたげざらん」 と。 このゆゑにあめをもつてたとへとなす。 あめときかなひぬれば、 すなはち*洪滔こうとう みずちておおうれひなし。 安楽あんらくほう、 あに*るいじょうものあらんや。

↠雨ストナラバ、恐クハ取者ハム。若ラサバ↢花トヲ↡、亦応↣填↢塞虚空リテカラムト↠妨。是↠雨↠喩。雨適ヒヌレバ↠時、則↢洪滔 水漫他高 之患↡。安楽報豈ラム↢累情之物↡乎。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅸ)(b)(ハ)[二]経証

^*きょうにのたまはく、 「にちろくほうあめふほうあめふる。 宝質ほうしつにゅうなんにしてそのうえむにすなはちくだることすんあしぐるときしたがひて還復げんぶくすることもとのごとし。 もちゐることおわりぬれば、 ほうることみずあなるがごとし」 と。

、「日夜六時↢宝衣↡雨↢宝華↡。宝質柔軟ニシテ↢践ムニ↡則ルコト四寸、随ヒテ↢挙グ[ル]↠足↡還復スルコトモト。用ヰルコトリヌレバルコト↢宝地↡如シ[ト]↢水ルガアナ」。

^このゆゑに 「華衣けえしょうごん りょうこうくん」 といへり。

ヘリ↢「雨花衣荘厳、无量香普薫」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)【光明功徳】
                (a)牒偈

【19】 ^ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう

恵明浄ナルコトノゴトク痴闇冥

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^0069この二句にくしょうごんこうみょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳光明功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 また*項背こうはい*日光にっこうありといへども愚痴ぐちのためにくらまさる。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖↢復項背日光アリト↡而為↢愚痴↡所↠クラマサ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくのあらゆるこうみょう、 よくあんのぞきてぶつ智慧ちえり、 *無記むきをなさざらしめん」 と。

ジテ使メムト↧我国土所有光明、能キテ↢痴闇↡入↢仏↡、不↞為↢无記之事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)成就
                    [一]除世闇冥

^またいはく、 安楽あんらくこくこうみょう如来にょらい智慧ちえほうよりおこるがゆゑに、 よくあんみょうのぞく。

亦云、安楽国土光明↢如来0465報↡起ルガ、能ク[ト]↢世闇冥↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅹ)(b)(ハ)[二]経証

^¬きょう¼ (維摩経) にのたまはく、 「あるいはぶつあり。 こうみょうをもつてぶつをなす」 と。 すなはちこれはこれなり。

¬経¼言、「或イハ↢仏土↡。以↢光明↡為ス[ト]↢仏事↡」。即0361此也。

^このゆゑに 「ぶっ明浄みょうじょうにち じょ世痴せちあんみょう」 といへり。

ヘリ↢「仏恵明浄日、除世痴闇冥」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)【妙声功徳】
                (a)牒偈

【20】 ^ぼんしょう深遠じんのん みょうもん十方じっぽう

梵声悟ラシムルコト深遠ニシテ 微妙ナリ十方

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん妙声みょうしょうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳妙声功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 善法ぜんぼうありといへども名声みょうしょうとおからず。 名声みょうしょうありてとおしといへどもまた*みょうならず。 名声みょうしょうありてみょうおんなれども、 また*ものさとらしむることあたはず。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖↠有リト↢善法↡而名声不↠遠カラ。有リテ↢名声↡雖↠遠シト復不↢微妙ナラ↡。有リテ↢名声↡妙遠ナレドモ復不↠能↠悟ラシムルコト↠物

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにこのしょうごんおこしたまへり。

シタマヘリ↢此荘厳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)成就
                    [一]梵を釈す

^天竺てんじくこく (印度) には浄行じょうぎょうしょうして 「ぼんぎょう」 となす。 *みょうしょうして 「梵言ぼんごん」 となす。 かのくにには梵天ぼんてんじゅうすれば、 おおく 「ぼん」 をもつてさんをなす。 またいはく、 *ちゅうごくほうぼん0070てんつうずるがゆゑなり。

天竺国ニハシテ↢浄行↡為↢梵行↡。称シテ↢妙辞↡為↢梵言↡。彼ニ[ハ]貴↢重スレバ梵天↡、多↠梵↠讃。亦言、中国法与↢梵天↡通ズルガ故也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[二]声を釈す

^しょう」 とはみょうなり。 みょうはいはく、 安楽あんらくなり。

「声」者名也。名安楽土ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[三]経証

^*きょうにのたまはく、 「もしひとただ安楽あんらくじょうきておうじょう欲願よくがんするに、 またがんのごとくなることを」 と。 これはものさとらしむるしょうなり。

、「若人但聞キテ↢安楽浄土之名↡欲↢願スルニ往生↡、亦得↠如クナルコトヲ↠願」。此ラシムル↠物之証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[四]論証

^¬釈論しゃくろん¼ (*大智度論・意) にいはく、 「かくのごときじょう三界さんがいしょしょうにあらず。 なにをもつてこれをいふとならば、 よくなきがゆゑに欲界よくかいにあらず。 *地居じこなるがゆゑに色界しきかいにあらず。 しきあるがゆゑに色界しきかいにあらざればなり。 けだしさつ*別業べつごういたすところのみ」 と。

¬釈論¼言、「如↠斯クノ浄土↢三界所摂↡。何フトナラバ↠之、无キガ↠欲故↢欲界↡。地居ナルガ↢色界↡。有ルガ↠色故ザレバナリ↢无色界↡。蓋菩薩別業所↠致」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅺ)(b)(ハ)[五]微妙を釈す

^でてしかうしてなるを でて」 とは、 いはく、 さんづるなり。 「しかうしてなる」 とはいはく、 じょうなり といふ。 よくかいせしむるをみょう みょうこうなり。 をもつて、 よくものさとらしむるゆゑにみょうしょう といふ。

デテ↠有シテナルヲ↠微者、謂ヅルナリ↢三↡。而シテ者、謂浄土有也 名能開悟セシムルヲ↠妙好也。以↠名ラシムル↠物↠妙

^このゆゑに 「ぼんしょう深遠じんのん みょうもん十方じっぽう」 といへり。

ヘリ↢「梵声悟深遠、微妙聞十方」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)【主功徳】
                (a)牒偈

【21】 ^しょうがく弥陀みだ 法王ほうおうぜんじゅう

正覚阿弥陀 法王善住持シタマヘリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごんしゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳主功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 せつきみとなれば、 すなはち*そつあひだんす。 *宝輪ほうりん殿でんとど うまとど まればすなはち*いきうれひなし。 これをかぜなびくにたとふ。 あにもとなからんや。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、羅刹為0466レバ↠君率土相噉。宝輪駐マレバトドメル↠馬長句 殿四域无ウレヒ。譬↢之ナビクニ↡。豈カラム↠本耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこくにはつねに0071法王ほうおうましまして、 法王ほうおう善力ぜんりきじゅうせられん」 と。

0362シタマヘリ↠願。願クハ国土ニハシテ↢法王↡、法王善力之所レム[ト]↢住持↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅻ)(b)(ハ)成就

^じゅう」 とは、 *黄鵠こうこくあんたもてば、 千齢せんれいかへりておこり、 ぎょねんすれば、 *がく なつみずありてふゆみずなきをがくといふせざるがごとし。

「住持」者如↧黄鵠持テバ↢子安↡、千齢更リテ、魚母念↢持スレバ↡、逕↠ルガ↞壊夏有リテ↠水冬无キヲ↠水曰↠

^安楽あんらくこくˆ弥陀みだぶつのˇ しょうがくのためによくそのくにせらる。 あにしょうがくにあらざることあらんや。

安楽国↢正覚↡善セラル↢其↡。豈ラム↠非ザルコト↢正覚↡耶。

^このゆゑに 「しょうがく弥陀みだ 法王ほうおうぜんじゅう」 といへり。

ヘリ↢「正覚阿弥陀、法王善住持」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)【眷属功徳】
                (a)牒偈

【22】 ^如来にょらいじょうしゅ しょうがくしょう

如来浄華 正覚ヨリ化生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん眷属けんぞくどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳眷属功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいは*胞血ほうけつをもつてしんとなす。 あるいはふん尿にょうをもつてしょうもととなす。 あるいは*かいきょくたかほとりよりさいきょういだす。 あるいは*しゅふくより*卓犖たくらくさいいだす。 *しょうこれによりていだき、 *じょくこれによりてこおりいだく。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或イハ↢胞血↡為↢身器↡。或イハ↢糞↡為↢生↡。或イハ槐棘ホトリヨリ↢猜狂之子↡。或イハ竪子婢腹ヨリ↢卓零角 之才↡。譏誚 才召リテ↠之↠火、恥辱リテ↠氷

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^ゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくにはことごとく如来にょらいじょうのなかよりしょうじて、 眷属けんぞくびょうどうにして*だつみちなからしめん」 と。

所以ジテ、使メム[ト]↧我国土ニハ↢如来浄花中↡生ジテ、眷属平等ニシテ与奪无カラ↞路。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅼ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「如来にょらいじょうしゅ しょうがくしょう」 といへり。

ヘリ↢「如来浄花衆正覚花化生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)【受用功徳】
                (a)牒偈

【23】 ^あいぎょう仏法ぶっぽう ぜん三昧ざんまいじき

仏法 禅三昧

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん受用じゅゆうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳受用功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへ0072る。 あるこくそなはすに、 あるいはさぐりてらんやぶり、 *もう じきちたるかたちなり にょう ほうなり、 おおそなえとなす。 あるいは*すなけてこしぶくろすをあひなぐさむるほうとなす。 ああ、 しょじつ痛心つうしんすべし。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或イハ↠巣↠卵、為↢饛 ↠食チタルカタチナリ亡公 飽也多人消ソナヘ↡。或イハケテ↠沙ス[ヲ]コシブクロ↢相ムル之方↡。嗚0467呼諸子実↢痛心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにだいがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがこく仏法ぶっぽうをもつて、 ぜんじょうをもつて、 三昧さんまいをもつてじきとなして、 ながじきわずらひをたん」 と。

シタマヘリ↢大悲↡。願クハ国土、以↢仏法↡、以↢禅定↡、以↢三昧0363↡為シテ↠食、永タム[ト]↢他食之↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)成就
                    [一]初句を釈す

^あいぎょう仏法ぶっぽう」 とは、 日月にちがつとうみょうぶつ、 ¬*法華ほけきょう¼ をきしにろくじゅうしょうこうなり。 時会じえちょうしゃまた一処いっしょしてろくじゅうしょうこうなるもじきのあひだのごとしとおもふ。 一人いちにんとしてもしはしん、 もしはしんをして*けんしょうずることあることなきがごとし。

「愛仏法」者、↧日月灯明仏説キシニ↢¬法華経¼↡六十小劫ナリ時会聴者亦坐シテ↢一処↡六十小劫ナルモ↠如シト↢食アヒダキガ↞有ルコト↣一人トシテシハ身、若シハヲシテ而生ズルコト↢懈惓↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅽ)(b)(ハ)[二]後句を釈す

^ぜんじょうをもつてじきとなす」 とは、 いはく、 もろもろのだいさつはつねに三昧さんまいにありてじきなし。 「三昧さんまい」 とは、 かのもろもろの人天にんでん、 もしじきもちゐるとき*ひゃくこうれつしてまえにあり。 いろはなかおりをぎ、 *ちゃくえつけてねん飽足ほうそくす。 訖已おわりぬればしてり、 もしもちゐるにはまたげんず。 その、 ¬きょう¼ (大経・上) にあり。

「以↢禅定↡為スト↠食」者、謂大菩薩リテ↢三昧↡无↢他食↡也。「三昧」者、彼人天、若ヰル↠食時、百味嘉餚羅列シテ↠前。眼見↠色、鼻↠香ケテ↢適悦↡自然飽足訖已 ヲハ リヌレバシテ、若ヰルニハ復現。其事在↠¬経¼。

^このゆゑに 「あいぎょう仏法ぶっぽう ぜん三昧ざんまいじき」 といへり。

ヘリ↢「愛楽仏法味、禅三昧為食」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)無諸難功徳
                (a)牒偈

【24】 ^ようしんしんのう 受楽じゅらくじょうけん

身心クルコトミヲニ[シテ]ヒマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん諸難しょなんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳无諸難功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたま0073へる。 あるこくそなはすに、 あるいはあしたには*こんちょうよろこびて、 ゆうべには*えつおののく。 あるいはいとけなくしては*蓬藜ほうれいてられ、 ちょうじては*ほうじょうつらぬ。 あるいは*めいしてづることをいひ、 てつしてかえることをもよおす。 かくのごとき種々しゅじゅ*だつあり。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或イハニハ↡、夕ニハオノノ斧鉞↡。或イハクシテハテラレ↢蓬藜↡、長ジテハ↢方丈↡。或イハラシテシテシテ↠還ルコトヲ。有↢如↠是クノ種種違奪↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこく安楽あんらく相続そうぞくしてひっきょうじてひまなからしめん」 と。

ジテ、使メムト↢我国土安楽相続畢竟ジテカラヒマ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅾ)(b)(ハ)成就

^身悩しんのう」 とはかつ寒熱かんねつ殺害せつがいとうなり。 「心悩しんのう」 とは是非ぜひ得失とくしつ三毒さんどくとうなり。

「身悩」者飢渇・寒熱・殺害等也。「心悩」者是非・得失・三毒等也。

^このゆゑに 「よう身心悩しんしんのう 受楽じゅらくじょうけん」 といへり。

ヘリ↢「永離身心悩、受楽常无間」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)【大義門功徳】
                (a)牒偈

【25】 ^だいじょう善根ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう *女人にょにんぎゅう根欠こんけつ じょうしゅしょう

大乗善根シクシテ譏嫌 女人及根欠 二乗種不

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)釈義
                  (イ)正釈
                    [一]句名を標す

 ^この四句しくしょうごんだいもんどくじょうじゅづく。 もん」 とはだいつうずるもんなり。 「だい」 とはだいじょう*所以ゆえんなりひとしろいたりてもんれば、 すなはちるがごとし。 もしひと安楽あんらくしょうずることをれば、 これすなはちだいじょうじょうじゅするもんなり。

0468四句↢荘厳大義門功徳成就↡。門ズル↢大義↡之門也。大義者大乗0364所以也。如↢人イタリテ↠城レバ↠門ルガ↡。若人得レバ↠生[ズルコト]ヲ↢安楽↡者、是則成↢就スル大乗↡之門也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二]本願
                      [Ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 ぶつ如来にょらいげんじょうとうしゅうましますといへども、 くにじょくせるによるがゆゑに、 *いちわかちてさんく。 あるいは*まゆひらくをもつてあざけりをいたし、 あるいは*指語しごによりてそしりをまねく。

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、雖スト↢仏如来賢聖等衆↡、由ルガ↢国濁セルニ↡故、分チテ↠一↠三。或イハ↠拓クヲ聴各アザケリ、或イハリテ↢指語↡招ソシリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[二][Ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくをしてみなこれだいじょういちびょうどういちならしめん。 *根敗こんぱいしゅひっきょうじてしょうぜじ、 女人にょにん*残欠ざんけつみょうまたたん」 と0074

ジテ、使メム↢我国土ヲシテ皆是大乗一味平等一味ナラ↡。根敗種子畢竟ジテ不↠生、女人残欠名字亦断タムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(イ)[三]成就

^このゆゑに 「だいじょう善根ぜんごんかい とう無譏むきげんみょう 女人にょにんぎゅう根欠こんけつ じょうしゅしょう」 といへり。

ヘリ↢「大乗善根界、等无譏嫌名、女人及根欠、二乗種不生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)問答
                    [一]声聞の有無を料簡す
                      [Ⅰ]
                        [ⅰ]証1

 ^ひていはく、 *王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬りょう寿じゅきょう¼ (上・意)あんずるに、 法蔵ほうぞうさつじゅうはちがんのなかにのたまはく、 「たとひわれぶつんに、 くにのうちのしょうもん、 よくりょうしてそのかずることあらば、 しょうがくらじ」 (第十四願) と。 これしょうもんあるいちしょうなり。

ヒテ、案ズルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、法蔵菩薩四十八願、「設我得ムニ↠仏、国声聞ラバ↣能計量シテルコト↢其↡者、不↠取↢正覚↡」。是有↢声聞↡一証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅱ]証2

^また ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品) のなかにりゅうじゅさつ弥陀みださんつくりていはく、 「三界さんがいごく超出ちょうしゅつして、 れんようのごとし。 しょうもんしゅりょうなり。 このゆゑに稽首けいしゅらいしたてまつる」 と。 これしょうもんあるしょうなり。

又¬十住毘婆沙¼中龍樹菩薩造リテ↢阿弥陀↡云、「超↢出シテ三界↡、目↢蓮花葉↡。声聞衆无量ナリ。是稽首シタテマツルト」。是有↢声聞↡二証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅲ]証3

^また ¬摩訶まか衍論えんろん¼ (大智度論・意) のなかにいはく、 「ぶつ種々しゅじゅどうなり。 あるいはぶつあり、 もつぱらにこれしょうもんそうなり。 あるいはぶつあり、 もつぱらにこれさつそうなり。 あるいはぶつあり、 さつしょうもんしてそうとなす。 弥陀みだ安楽あんらくこくとうのごときはこれなり」 と。 これしょうもんあるさんしょうなり。

又¬摩訶衍論¼中、「仏土種種不同ナリ。或イハ↢仏土↡、モハラ是声聞僧ナリ。或イハ↢仏土↡、モハラ是菩薩僧ナリ。或イハ↢仏土↡、菩薩・声聞会シテ↠僧。如キハ↢阿弥陀安楽国等↡是也[ト]」。是有↢声聞↡三証也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅳ]正しく難ず

^しょきょうのなかに安楽あんらくこくくところありて、 おおしょうもんありとのたまひてしょうもんなしとのたまはず。 しょうもんはすなはちこれじょういちなり。 ¬ろん¼ (浄土論) に 「ないじょうみょう」 といへり。 これいかんが*する。

諸経リテ↧説↢安楽国↡処↥、多ヒテ↠有リト↢声聞↡不↠言↠无シト↢声聞↡。声聞是二乗之一ナリ。¬論¼ヘリ↣「乃至无シト二乗0469」。此云何セム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]浄土には生ぜざるを成ず
                          [a]正答

^こたへていはく、 をもつてこれをすいするに、 安楽あんらくじょうにはじょう0075あるべからず。 なにをもつてこれをいふとならば、 それやまいあるにはすなはちくすりあり。 *しゅつねなり。

ヘテ、以↠理スルニ↠之、安楽浄土ニハ不↠応カラ↠有↢二乗↡。何0365フトナラバ↠之、夫ルニハ↠病則↠薬。理数之常也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅰ][b]引証

^¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまはく、 「しゃ牟尼むに如来にょらいじょくでたまへるをもつてのゆゑに、 いちわかちてさんとなす」 と。 じょうすでにじょくにあらず。 さんじょうなきことあきらかなり。

¬法花経¼言、「釈迦牟尼如来以テノ↠出デタマヘルヲ↢五濁↡故チテ↠一ス[ト]↠三」。浄土既↢五濁↡。无キコト↢三乗↡明カナリ矣。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]他方の来生を明す
                          [a]総じて経論の説は所由あるを明す
                            [イ]二乗浄土に生ずべき道理を立つ

^¬法華ほけきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろのしょうもん、 このひといづこにおいてかだつん。 ただもうはなるるをづけてだつとなす。 このひとじつにいまだ一切いっさいだつず。 いまだ*じょうどうざるをもつてのゆゑなり」 と。 あきらかにこのすいするに、 阿羅あらかんすでにいまだ一切いっさいだつず。 かならずしょうずることあるべし。 このひとかえりて三界さんがいしょうぜず。 三界さんがいのほかに、 じょうのぞきてまた*しょうじょなし。 ここをもつてただじょうしょうずべし。

¬法花経¼ノタマハク、「諸声聞、是人於テカ↠何而得↢解脱↡。但離ルルヲ↢虚妄↡名ケテ↢解脱↡。是人実↠得↢一切解脱↡。以テノ↠未ルヲ↠得↢无上道↡故ナリ[ト]」。アキラカスルニ↢此↡、阿羅漢既↠得↢一切解脱↡。必↠有↠生[ズルコト]。此カヘリテ不↠生↢三界↡。三界、除キテ↢浄土↡更↢生処↡。是唯応↢於浄土↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]旧名を存するものなるを明す

^しょうもん」 といふがごときは、 これほうしょうもんらいしょうせるを、 もとによるがゆゑにしょうしてしょうもんとなす。 *天帝てんたいしゃくにんちゅううまるるとき*きょう尸迦しかせいとせり。 のち天主てんしゅとなるといへども、 ぶつ (釈尊)ひとをしてそのらいらしめんとおぼして、 たいしゃくかたらひたまふとき、 なほきょう尸迦しかしょうするがごとし。 それこのたぐいなり。

↠言フガ↢声聞↡者、是他方声聞来生セルヲルガ↢本↡故シテ↢声聞↡。如↧天帝釈ルル↢人中↡時、姓トセリ↢憍尸迦↠為ルト↢天主↡、仏欲シテ↠使メムト↣人ヲシテ↢其由来↡、与↢帝釈↡語ラヒタマフ時、猶称スルガ↦憍尸迦↥。其類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別して今論の二乗不生の文を会す
                            [イ]正しく論意を弁ず

^またこの ¬ろん¼ (浄土論) にはただ 「じょうしゅしょう」 といへり。 いはく安楽あんらくこくじょうしゅしょうぜずとなり。 またなんぞじょうらいしょうさまたげんや。

又此¬論ニハ¼但ヘリ↢「二乗種不。謂安楽国トナリ↠生↢二乗種子↡。亦何ゲム↢二乗来生↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ][b][ロ]喩に約して重ねて示す

^たとへば*橘栽きっさい*江北こうほくしょう0076ぜざれども、 *らく*菓肆かしにまたきつありとるがごとし。 またおう*壟西ろうせいわたらざれども、 *ちょう*こうにまたおうありといふ。 このもの、 ただそのたねわたらずといふ。 かしこにしょうもんのあることまたかくのごとし。 かくのごときをなさば、 経論きょうろんすなはちしぬ。

ヘバ↧橘レドモ↠生↢江北↡、河洛菓肆亦見ルガ↞有リト↠橘。又言↧鸚鵡レドモ↠渡壟西↡、趙魏架桁亦有リト↦鸚鵡↥。此物但言↢其。彼ルコト↢声聞↡亦如↠是クノ。作サバ↢如↠是クノ↡、経論則シヌ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二]離名譏嫌を料簡す
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 はもつてまねく。 あればすなはちあり。 安楽あんらくこくにはすでに*じょう女人にょにん根欠こんけつなし。 またなんぞまたこのさんなしといふべけんや。

ヒテ、名↠事。有レバ↠事乃↠名。安楽国ニハ↢二乗・女人・根欠之事↡。亦何ヰム↢復言フヲ↟无シト↢此名↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]

^こたへていはく、 軟心なんしんさつのはなはだしくはゆうみょうならざるを、 そしりてしょうもんといふがごとし。 ひと*諂曲てんごくなると、 あるいはまた*儜弱にょうにゃくなるを、 そしりて女人にょにんといふがごとし。 またまなこあきらかなりといへどもらざるを、 そしりて盲人もうにんといふがごとし。 またみみくといへどもきてさとらざるを、 そしりて聾人ろうにんといふがごとし。 またしたものいふといへども*訥口とつこう蹇吃けんきつなるを、 そしりてにんといふがごとし。

ヘテ、如軟心菩薩ルヲ↢甚シクハ勇猛ナラ↡、譏リテフガ↦声0470↥。如↣人諂曲ナルト、或イハ弱ナルヲ、譏リテフガ↢女↡。又如↣眼雖↠明カナリト而不ルヲ↠識↠事リテ0366フガ↢盲人↡。又如↣耳雖クト而聴キテ↠義ルヲ↠解、譏リテフガ聾人↡。又如↣舌雖モノイフト訥口ナルヲ、譏リテフガ人↡。

^かくのごときありて、 こんそくせりといへども*げんあり。 このゆゑにすべからく 「ないなし」 といふべし。 じょうにはかくのごとき*だつなきことあきらかなり。

リテ↢如↠是クノ等↡、根雖↢具足セリト↡而有↢譏嫌之名↡。是↠言↢乃至无シト↟名。明カナリ↣浄土ニハキコト↢如↠是クノ与奪之名↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三]声聞の名有るを料簡す
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 法蔵ほうぞうさつ本願ほんがん (第十四願)、 およびりゅうじゅさつ所讃しょさん (易行品)0077たずぬるに、 みなかのくにしょうもんしゅなるをもつて*となすにたり。 これなんのかある。

ヒテ、尋ヌルニ↢法蔵菩薩本願及龍樹菩薩所讃↡、皆似タリ↧以↢彼声聞衆多ナルヲスニ。此有↢何↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅿ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]
                        [ⅰ]

^こたへていはく、 しょうもん*実際じっさいをもつてしょうとなす。 はかるにさらによく仏道ぶつどうこんしょうずべからず。 しかるにぶつ本願ほんがん不可ふか思議しぎ神力じんりきをもつて、 せっしてかしこにしょうぜしめ、 かならずまさにまた神力じんりきをもつてその*じょう道心どうしんしょうずべし。

ヘテ、声聞↢実際↡為↠証。計ルニ不↠応カラ↣更↢仏道↡。而ルニ仏以↢本願不可思議神力↡、摂シテ↠生↠彼、必↧復以↢神力↡生↦其无上道心↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(16)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]

^たとへば*ちんちょうみずれば*魚蚌ぎょぼうことごとくし、 *さいぎゅうこれにるればせるものみなよみがえるがごとし。 かくのごとくしょうずべからずしてしょうず。 ゆゑにとすべし。 しかるに不思議ふしぎのなかに、 仏法ぶっぽうもつとも不可ふか思議しぎなり。 ぶつよくしょうもんをしてまたじょう道心どうしんしょうぜしむ。 まことに不可ふか思議しぎいたりなり。

ヘバ↢鴆鳥レバ↠水蚌咸、犀牛触ルレバ↠之セル者皆ヨミガヘルガ↡。如↠此クノシテ↠応カラ↠生而生所以↠奇トス。然ルニ五不思議、仏法最不可思議ナリ。仏能使↣声聞ヲシテ復生↢无上道心↡。真不可思議之至也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)【一切所求満足功徳】
                (a)牒偈

【26】 ^しゅじょうしょがんぎょう 一切いっさいのう満足まんぞく

衆生願楽スル 一切能満足

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)釈義
                  (イ)句名を標す

 ^この二句にくしょうごん一切いっさいしょ満足まんぞくどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳一切所求満足功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)本願
                    [一]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 あるこくそなはすに、 あるいはたかくらいおもくして、 *潜処せんしょするによしなし。 あるいはひとぼんしょういやしくして、 でんとねがふにみちなし。 あるいは*修短しゅたんごうつながれて、 せいすることおのれにあらず。 *私陀しだ仙人せんにんのごときたぐいなり。 かくのごときの、 *業風ごうふうのためにかれてざいざることあり

仏本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有国土↡、或イハ名高位重クシテ潜処スルニ↠由。或イハ性鄙シクシテフニ↠出デムト↠路。或イハ修短ガレテ↠業スルコト不↠在↠己。如↢阿私陀仙人↡類也。有↧如↠是クノ、為↢業風↡所↠吹ルコト↞得↢自在0471↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ロ)[二]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「わがこくをしておのおのしょかなひて、 じょうがん満足まんぞくせしめ0078ん」 と。

ジテ、使メムト↧我国土[ヲシテ]カナヒテ↢所求↡満↦足情願↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅰ)(ↀ)(b)(ハ)成就

^このゆゑに 「しゅじょうしょがんぎょう 一切いっさいのう満足まんぞく」 といへり。

ヘリ↢「衆生所願楽0367、一切能満足」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)結成
              (ⅰ)牒偈

【27】 ^是故ぜこがんしょう 弥陀みだ仏国ぶつこく

ゼムト 阿弥陀仏国

二 Ⅰ ⅱ a ハ (一)(Ⅱ)(ⅱ)釈義

 ^この二句にくかみじゅうしちしゅしょうごんこくじょうじゅ観察かんざつするは、 がんしょうする所以ゆえんなることをけつじょうす。 ^けん清浄しょうじょうしゃくすること、 これかみおわりぬ。

二句結↧成観↢察スルハ十七種荘厳国土成就↡所↦以ナルコトヲ願生スル↥。釈スルコト↢器世間清浄↡、訖リヌ↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)【衆生世間】
            (Ⅰ)分章
              (ⅰ)正しく章を分つ

【28】^つぎしゅじょうけん清浄しょうじょうかんず。 このもんのなかをわかちてべつとなす。 いちには弥陀みだ如来にょらいしょうごんどく観察かんざつす。 にはかのもろもろのさつしょうごんどく観察かんざつす。 如来にょらいしょうごんどく観察かんざつするなかに八種はっしゅあり。 もんいたりてまさになづくべし。

↢衆生世間清浄↡。此チテ↢二↡。一者観↢察阿弥陀如来荘厳功徳↡。二者観↢察菩薩荘厳功徳↡。観↢察スル如来荘厳功徳↡中↢八種↡。至リテナヅ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)名義を料簡す【衆生名義】
                (a)

 ^ひていはく、 *あるろんひろしゅじょう*みょうするに、 それさん輪転りんでんしてしゅしょうくるをもつてのゆゑにしゅじょうづくと。 いまぶつさつづけてしゅじょうとなす。 このいかん。

ヒテ、有論師、汎スルニ↢衆生名義↡、以テノ↧其輪↢転シテ三有↡受クルヲ↦衆多生死↥故ク[ト]↢衆生↡。今名ケテ↢仏・菩薩↢衆生↡。是義云何

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (*涅槃経・意) にのたまはく、 「一法いっぽうりょうあり、 いちみょうりょうあり」 と。 しゅしょうくるをもつてのゆゑにづけてしゅじょうとなすがごときは、 これはこれ小乗しょうじょう三界さんがいのなかのしゅじょうみょうしゃくするなり。 だいじょうしゅじょうみょうにはあらず。

ヘテ、¬経¼言、「一法↢无量名↡、一名リ[ト]↢无量義↡」。如↧以テノ↠受クルヲ↢衆多生死↡故ケテスガ↦衆生↥者、此是小乗家スルナリ↢三界衆生名義↡。非↢大乗家衆生名義ニハ↡也。

^だいじょうにいふところのしゅじょうとは、 ¬*ぞうげんぎょう¼ にのたまふがごとし。 「しゅじょうといふはすなはちこれしょうめつなり」 と。 なにをもつてのゆゑに。 もししょうあらばしょうじを0079はりてまたしょうじ、 *ぐうとがあるがゆゑに、 しょうにしてしょうずるとがあるがゆゑなり。 このゆゑにしょうなり。 もししょうあらばめつあるべし。 すでにしょうなし。 なんぞめつあることをん。 このゆゑにしょうめつはこれしゅじょうなり。

大乗家↠言衆生者、如↢¬不増不減経¼言フガ↡。「言↢衆生↡者即是不生不滅ナリ[ト]」。何テノ。若ラバ↠生生リテ復生、有ルガ↢无窮過↡故、有ルガ↢不生ニシテ而生ズル過↡故ナリ。是无生ナリ。若ラバ↠生可↠有↠滅。既↠生。何↠有ルコトヲ↠滅。是无生无滅是衆0472ナリ

^¬きょう¼ (維摩経・意) のなかに、 「*受陰じゅおん通達つうだつするにくうにしてしょなし。 これなり」 とのたまふがごとし。 これそのたぐいなり。

↧¬経¼中フガ↦「五受陰、通達スルニニシテ↠所有↡ナリト」↥。斯其類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)正釈
              (ⅰ)如来荘厳【仏】
                (a)正釈
                  (イ)【座功徳】
                    [一]牒偈

【29】 ^りょうだい宝王ほうおう みょうじょうだい

0368无量大宝王[ノ] 微妙浄花台アリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳座功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんしたまへる。 あるさつそなはすに、 *まつしんにおいて、 くさきてしてのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじたまふ。 人天にんでんるもの、 ぞうじょうしんぞうじょうぎょうぞうじょう*あいぎょうぞうじょうしゅぎょうしょうぜず。

仏本何荘↢厳シタマヘル↡。見ソナハスニ↢有菩薩↡、於末後↡、敷キテ↠草而坐シテジタマフ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。人天者、不↠生↢増上信・増上恭敬・増上愛楽・増上修行↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするときりょうだい宝王ほうおうみょうじょうだいをして、 もつてぶつとなさしめん」 と。

ジテ、我成仏セム時、使メムト↣无量大宝王微妙浄花台ヲシテ、以↢仏↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(イ)[二][Ⅲ]成就

^りょう」 とは、 ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまふがごとし。 「七宝しっぽううえ大宝だいほうれんおうあり。 れん一々いちいち*ようひゃっぽうしきをなす。 八万はちまんせん*みゃくあり。 なほてんのごとし。 みゃく八万はちまんせんひかりあり。

「无量」者如↢¬観无量寿経¼言フガ↡。「七宝↢大宝蓮花王坐↡。蓮花一一葉、作↢百宝色↡。有↢八万四千脈↡。猶如↢天↡。脈↢八万四千光↡。

^ようちいさきものはじゅうこうひゃくじゅうじゅんなり。 かくのごとき八万はちまんせんようあり。 一々いちいちようのあひだにひゃくおく*摩尼まに珠王しゅおうあり、 もつ0080映飾ようじきとなす。 一々いちいち摩尼まには、 せんこうみょうはなつ。 そのひかりがいのごとし。 七宝しっぽうごうじょうしてあまねくうえおおふ。

花葉サキ縦広二百五十由旬ナリ。如↠是クノ↢八万四千葉↡。一一↢百億摩尼珠王↡、以↢映飾↡。一一摩尼、放↢千光明↡。其↠蓋。七宝合成シテ↢地↡。

^しゃ迦毘かびりょうほう、 もつてそのだいとなす。 このれんだい八万はちまん金剛こんごうけんしゅくほうぼん摩尼まにほうみょう真珠しんじゅもう、 もつて厳飾ごんじきとなす。

釈迦毘楞伽宝、以↢其↡。此蓮花台八万金剛・甄叔迦宝・梵摩尼宝・妙真珠網、以厳飾↡。

^そのだいうえにおいて、 ねんにして*ちゅう宝幢ほうどうあり。 一々いちいち宝幢ほうどうは、 八万はちまん千億せんおくしゅせんのごとし。 どううえ宝幔ほうまんは、 夜摩やまてんのごとし。 ひゃくおくみょう宝珠ほうしゅあり、 もつて映飾ようじきとなす。

↢其↡、自然ニシテ而有↢四柱宝幢↡。一一宝幢、如↢八万四千億須弥山↡。幢宝幔、如↢夜摩天宮↡。有↢五百億微妙宝珠↡、以↢映飾↡。

^一々の宝珠ほうしゅ八万はちまんせんひかりあり。 一々いちいちひかり八万はちまんせんしゅ金色こんじきをなす。 一々の金光こんこう安楽あんらくほうへんす。 処々しょしょへんしておのおのそうをなす。 あるいは金剛こんごうだいとなり、 あるいは真珠しんじゅもうとなり、 あるいはざっうんとなる。 十方じっぽうめんにおいてこころしたがひて変現へんげんし、 ぶつ化作けさす」 と。

一一宝珠↢八0473万四千光↡。一一光作↢八万四千異種金色↡。一一金光遍↢安楽宝土↡。処処変化シテ↢異相↡。或イハ↢金剛台↡、或イハ↢真珠網↡、或イハ↢雑花↡。於0369↢十方面↡随ヒテ↠意変現化↢作スト仏事↡」。

^かくのごときしゅりょうしゅっせり。 このゆゑに 「りょうだい宝王ほうおう みょうじょうだい」 といへり。

↠是クノ事、出↢過セリ数量↡。是ヘリ↢「无量大宝王、微妙浄花台」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)【身業功徳】
                    [一]牒偈

【30】 ^相好そうごうこういちじん 色像しきぞうちょうぐんじょう

相好光一尋ニシテ 色像超エタマヘリ群生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]正釈
                        [ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん身業しんごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳身業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]本願
                          [a]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞかくのごとき身業しんごうしょうごんしたまへる。 ある仏身ぶっしんそなはすに、 いちじょうこうみょうけたり。 ひと身光しんこうにおいてはなはだしくはちょうぜつせず。 転輪てんりんのうそうのごとし。 そもそもまたおおきに*だいだっおなじ。 *げんずるところ唯一ゆいいつなれば、 *じゃおうをして、 ここをもつてらん0081いだかしむることをいたす。 *刪闍さんじゃとうあへて*蟷螂とうろうのごとくするも、 あるいはかくのごときたぐいなり。

仏本何荘↢厳シタマヘル↠此クノ身業↡。見ソナハスニ↢有仏身↡、受ケタリ↢一丈光明↡。於↢人身光↡不↢甚シクハ超絶↡。如↢転輪王↡。ソモソモ亦大提婆達多↡。所↠ズルナレバ、致↠令ムルコトヲ↢阿闍世王ヲシテ↠茲↟乱。刪闍耶等クス[ルモ]↢蟷蜋↡、或イハ↠此クノ類也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]摂取の願

^このゆゑにかくのごとき身業しんごうしょうごんしたまへり。

荘↢厳シタマヘリ↠此クノ身業↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]成就
                          [a]詁訓

^このけん (中国)*くんあんずるに、 ろくしゃくじんといふ。

ズルニ↢此詁訓↡、六尺↠尋

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]経証

^¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまへるがごとし。 「弥陀みだ如来にょらいしんたかろくじゅう万億まんおく那由他なゆたごうしゃじゅんなり。 ぶつ円光えんこうひゃくおく三千さんぜん大千だいせんかいのごとし」 と。

↢¬観无量寿経¼言ヘルガ↡。「阿弥陀如来六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。仏円光シト↢百億三千大千世界↡」。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][c]尋を勘ふ

^訳者やくしゃ (菩提流支)じんをもつてしていへり。 なんぞそれくらきや。 *しゃけんひとじゅうおうちょうたん*えらばず、 ことごとくよこさまりょうひじべてじんとなすといへり。 もし訳者やくしゃ、 あるいはこのたぐいりてもちゐて、 弥陀みだ如来にょらいの、 ひじべたまふにじゅんじてごんをなす。 ゆゑに一尋いちじんしょうせば、 円光えんこうまたさしわたしろくじゅう万億まんおく那由他なゆたごうしゃじゅんなるべし。

訳者以テシテ↠尋而言ヘリ。何クラ 禾代 乎。里舎人、不↠簡↢縦横長↡、咸ヘリ↧横ベテ両手↡為スト↞尋。若訳者或イハリテ↢此↡用ヰテジテ↢阿弥陀如来ベタマフニ↟臂↠言。故セバ↢一尋↡者、円光亦サシワタシ六十万億那由他恒河沙由旬ナル↡。

^このゆゑに 「相好そうごうこう一尋いちじん 色像しきぞうちょうぐんじょう」 といへり。

ヘリ↢「相好光一尋、色像超群生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]問答【法界身義】
                        [ⅰ]

 ^ひていはく、 ¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「諸仏しょぶつ如来にょらいはこれほうかいしんなり。 一切いっさいしゅじょう心想しんそうのうちにる。 このゆゑに、 なんぢらしんぶつおもとき、 このしんすなはちこれさんじゅうそうはちじゅうずいぎょうこうなり。 このしんぶつす。 このしんこれぶつなり。 *諸仏しょぶつしょうへんかい心想しんそうよりしょうず」 と。 このいかん。

ヒテ0474、¬観无量寿経¼言、「諸仏如来是法界身ナリ。入↢一切衆生心想↡。汝等心↠仏時、是心即是三十二相・八十随形好ナリ。是心作仏。是心是仏ナリ。諸0370仏正遍知海↢心想↡生ズ[ト]」。是義云何

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]
                          [a]是法界身を釈す
                            [イ]名を釈す

^こたへていはく、 「しん」 を*集成しゅうじょうづく。 「かい」 を*べつづく。

ヘテ、身↢集成↡。界↢事別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]例を引く

^眼界げんかいのごときは*こんしきくうみょう作意さい0082因縁いんねんによりてしょうずるをづけて眼界げんかいとなす。 これ*げんただみづからおのがえんぎょうじてえんぎょうぜず。 べつなるをもつてのゆゑなり。 とうかいもまたかくのごとし。

キハ↢眼界リテ↢根・色・空・明・作意因縁↡生ズルヲケテ↢眼界↡。是眼但自ジテ↡不↠行↢他縁↡。以テノ↢事別ナルヲ↡故ナリ。耳鼻等亦如↠是クノ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ハ]正しく釈す

^諸仏しょぶつ如来にょらいはこれ法界ほうかいしんなり」 といふは、 法界ほうかい」 はこれしゅじょう心法しんぽうなり。 しんよくけんしゅっけん一切いっさい諸法しょほうしょうずるをもつてのゆゑに、 しんづけて法界ほうかいとなす法界ほうかいよくもろもろの如来にょらい相好そうごうしんしょうず。 また色等しきとうのよく眼識げんしきしょうずるがごとし。 このゆゑに仏身ぶっしん法界ほうかいしんづく。 このしんえんぎょうぜず。 このゆゑに 「一切いっさいしゅじょう心想しんそうのうちにる」 となり。

↢諸仏如来是法界身[ナリ]ト↡者、法界是衆生心法也。以テノ↣心能ズルヲ↢世間・出世間一切諸法↡故、名ケテ↠心↢法界↡。法界能↢諸如来相好↡。亦如↣色等ズルガ↢眼識↡。是仏身↢法界身↡。是身不↠行↢他↡。是ルトナリ↢一切衆生心想↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]心相即相を釈す

^しんぶつおもとき、 このしんすなはちこれさんじゅうそうはちじゅうずいぎょうこうなり」 といふは、 しゅじょうしんぶつおもときあたりて、 仏身ぶっしん相好そうごうしゅじょうしんちゅう顕現けんげんするなり。 たとへばみずきよければすなはち*色像しきぞうげんず、 みずぞういちならずならざるがごとし。 ゆゑにぶつ相好そうごうしんすなはちこれ心想しんそうとのたまへるなり。

↠仏時、是心即是三十二相・八十随形好[ナリ]トイフ者、リテ↢衆生↠仏↡、仏身相好顕↢現スル衆生心中↡也。譬ヘバ↢水清ケレバ色像現、水之与↠像不↠一ナラルガ↟異ナラ。故ヘル↢仏相好身即是心想↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][c]是心作仏を釈す

^このしんぶつ」 といふは、 しんよくぶつつくるといふなり。

心作仏ストイフ者、言↢心能ルト↟仏也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][d]是心是仏を釈す

^このしんこれぶつ」 といふは、 しんのほかにぶつましまさず。 たとへばよりでて、 はなるることをず。 はなれざるをもつてのゆゑにすなはちよくく。 のためにかれて、 すなはちとなるがごとし。

心是仏トイフ者、心マシマザル↠仏也。譬ヘバ↢火↠木出デテ、火不↠得↠離ルルコトヲ↠木テノ↠不ルヲ↠離↠木↠火カレテ、木即ルガ↟火也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][e]正遍知海を釈す

^諸仏しょぶつしょうへんかい心想しんそうよりしょうず」 といふは、 「しょうへん」 とは0083しんしょう法界ほうかいのごとくにしてるなり。 法界ほうかいそうなるがゆゑに諸仏しょぶつ*無知むちなり。 無知むちをもつてのゆゑにらざるはなし。 無知むちにしてるはこれしょうへんなり。 この深広じんこうにしてしきりょうすべからず。 ゆゑにうみたとふ。

諸仏正遍知海↢心想↡生ズトイフ者、正遍知真正クニシテ↢法界↡而知也。法界无相ナルガ諸仏无知也。以テノ↢无知↡故↠不コト↠知0475也。无知ニシテ者是正遍知也。知深広ニシテ不↠可カラ↢測量↡。故↠海也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)口業功徳
                    [一]牒偈

【31】 ^如来にょらいみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう

如来微妙響聞十方

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんごうどくじょうじゅづく。

0371二句↢荘厳口業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 みなとうとからざるにる。 どうひと*じょう くるま して、 *どんしょうしょうするがごとし。 *どうじょうずるみこえはただ梵天ぼんてんとおる。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。ソナハスニ↢有如来↡名↠不ルニ↠尊カラ。如↣外道シテ↠車スルガ↢瞿曇姓↡。成ズル↠道日、声唯徹↢梵天↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 妙声みょうしょうはるかにきて、 くものをして*にんさとらしめん」 と。

ジテ、使メムト↢我成仏セムニ、妙声ハルカキテヲシテ↟忍

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ハ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「如来にょらいみょうしょう 梵響ぼんこうもん十方じっぽう」 といへり。

ヘリ↢「如来微妙声、梵嚮聞十方」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)【心業功徳】
                    [一]牒偈

【32】 ^どうすいふう くう分別ふんべつ

ジテ地・水・火・風・ 虚空分別

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごん心業しんごうどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳心業功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 ほうくに、 *これはこく、 これはびゃく、 これはこくびゃくほうちゅうほうじょうほう上上じょうじょうほうとのたまふ。 かくのごときりょう差別しゃべつしなあり。 分別ふんべつあるにたり。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来↡、説クニ↠法↢此黒此白、此不黒・不白、下法・中法・上法・上上法↡。有↢如↠是クノ无量差品↡。似タリ↠有ルニ↢分別↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつ0084んに、 荷負かぶするに軽重きょうじゅうしゅなきがごとく、 すい潤長じゅんちょうするに*しょう 悪草あくそう かつ 瑞草ずいそうなりなきがごとく、 じょう*じゅするにほうしゅうべつなきがごとく、 ふうほつするにめんしゃなきがごとく、 くう苞受ほうじゅするに開塞かいそくおもいなきがごとくならしめん」 と。

ジテ使メムト↫我成仏セムニ↣地荷負スルニキガ↢軽重之殊↡、如↣水潤長スルニキガ↢莦 悪草瑞草ナリ 之異↡、如↣火スルニキガ↢芳臭之別↡、如↣風起発スルニキガ↢眠悟之差↡、如クナラ↪空苞受スルニキガ↩開塞之念↨。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ニ)[二][Ⅲ]成就

^これをうちて、 ものほかやすんず。 *むなしくきてちてかえり、 ここにおいてむ。

↢之于内↡、物↢於外↡。虚シクキテチテ↠是于息

^このゆゑに 「どうすいふう くう分別ふんべつ」 といへり。

ヘリ↢「同地水火風、虚空无分別」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)【大衆功徳】
                    [一]牒偈

【33】 ^天人てんにんどうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう

天人不動衆 清浄智海ヨリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんしゅどくじょうじゅづく。

0476二句↢荘厳衆功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 説法せっぽうりんのあらゆる大衆だいしゅ、 もろもろの*こんしょうよく種々しゅじゅどうなり。 ぶつ智慧ちえにおいて、 もしは退しりぞきもしはもっす。 ひとしからざるをもつてのゆゑに、 しゅう純浄じゅんじょうならず。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。ソナハスニ↢有如来↡、説法輪下所有大衆、諸根・性・欲種種不同ナリ。於↢仏↡、若シハ退シハ。以テノ↠不0372ルヲ↠等カラ、衆不↢純浄ナラ↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^ゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつせんに、 あらゆるてんにんみな如来にょらい智慧ちえ清浄しょうじょうかいよりしょうぜん」 と。

所以シタマヘリ↠願。願クハ我成仏セムニ、所有天人皆従↢如来恵清浄海↡生ゼムト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ]成就
                        [ⅰ]海を釈す

^かい」 とは、 ぶつ一切いっさいしゅ深広じんこうにしてかぎりなく、 じょう雑善ぞうぜん*ちゅう宿やどさざることをいひて、 これをうみのごとしとたとふ。 このゆゑに 「天人てんにん動衆どうしゅ 清浄しょうじょうかいしょう」 といへり。

「海」者ヒテ↢仏一切種智深広ニシテカギリ、不ルコトヲ↟宿↢二乗雑善中下↡、喩↢之シト↟海。是ヘリ↢「天人不動衆、清浄智海生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ホ)[二][Ⅲ][ⅱ]不動を釈す

^どう」 とは、 かのてんにんだいじょうこんじょうじゅしてきょうどうすべからざるをいふなり。

「不動」者言↧彼天人成↢就シテ大乗ルヲ↞可カラ↢傾動↡也。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)【上主功徳】
                    [一]牒偈

008534】 ^にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ

須弥山王 勝妙ニシテギタル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんじょうしゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳上首功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 しゅうのなかにあるいは*ごうりょうのものあり。 だいだっ流比たぐいのごとし。 あるいは国王こくおうぶつならおさめて、 はなはだぶつゆずることをらざるあり。 あるいはぶつしょうじて*えんをもつて廃忘はいもうすることあり。 かくのごときじょうしゅちからじょうじゅせざるにたるあり。

仏本何シタマヘル↢此↡。ソナハスニ↢有如来↡、衆イハ↢強梁者↡。如↢提婆達多流比 タグヒ ↡。或イハ↢国与↠仏並メテ↟知↢甚ユズルコト↟仏。或イハ↧請ジテ↠仏↢他縁↡廃忘スルコト↥。有↤如↠是クノタル↣上首力不ルニ↢成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われぶつとなるときねがはくは一切いっさい大衆だいしゅ、 よくしんしょうじて、 あへてわれとひとしきことなく、 ただひとり法王ほうおうとしてさらに俗王ぞくおうなからん」 と。

ジテ、我ラム↠仏時、願クハ一切大衆、↢能ジテ↠心与↠我等シキコト↡、唯ヒトリ法王トシテカラムト↢俗王↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ヘ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「にょしゅ山王せんのう 勝妙しょうみょう無過むかしゃ」 といへり。

ヘリ↢「如須弥山王、勝妙无過者」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)【主功徳】
                    [一]牒偈

【35】 ^天人てんにんじょうしゅ ぎょうにょう瞻仰せんごう

天人丈夫衆 恭敬シテリテ瞻仰シタテマツル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この二句にくしょうごんしゅどくじょうじゅづく。

二句↢荘厳主功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつ如来にょらいそなはすに、 大衆だいしゅありといへども、 しゅうのなかにまたはなはだぎょうせざるあり。 いち比丘びくしゃ牟尼むにぶつに、 「もしわがためにじゅうなんせずは、 われまさにさらにどうがくすべし」 とかたりしがごとし。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有仏如来↡、雖0477↠有リト↢大衆↡衆亦有↠不↢甚恭敬↡。↱一比丘語リシガ↫釈迦牟尼仏↣与↠我↢十四↡、我当シト↪更↩余道↨。

^また*居迦離こかり*しゃほつほうじて、 *ぶつたびかたりたまひしにたびけざりしがごとし。

亦如↧居迦離謗ジテ↢舎利弗↡、仏三タビリタマヒシニ而三0373タビリシガ↞受

^またもろ0086もろのどうやから、 かりに仏衆ぶつしゅりてつねにぶつとがうかがもとめしがごとし。

又如↧諸外道輩、仮リテ↢仏衆↡而常↦求メシガトガ↥。

^また*だい六天ろくてん、 つねにぶつみもとにおいてもろもろのなんをなししがごとし。 かくのごとき種々しゅじゅぎょうせざるそうあり。

又如↧第六天魔、常↢仏↡作シシガ↦諸留難↥。有↧如↠是クノ種種↢恭敬↡相↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつせんに、 てんにん大衆だいしゅぎょうしてむことなからしめん」 と。

ジテ、使メム[ト]↢我成仏セムニ天人大衆恭敬シテカラムコト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ト)[二][Ⅲ]成就

^ただ 「てんにん」 といふ所以ゆえんは、 じょうには女人にょにんおよびはちじんなきがゆゑなり。 このゆゑに 「天人てんにんじょうしゅ ぎょうにょう瞻仰せんごう」 といへり。

所↣以但言↢天人↡者、浄土ニハキ[ガ]↢女人及八部鬼神↡故也。是ヘリ↢「天人丈夫衆、恭敬遶瞻仰」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)【不虚作住持功徳】
                    [一]牒偈

【36】 ^観仏かんぶつ本願ほんがんりき ぐうくうしゃ のうりょうそく満足まんぞく どくだい宝海ほうかい

ズルニ本願力ヒテシクグル 功徳大宝海

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二]釈義
                      [Ⅰ]句の名を標す

 ^この四句しくしょうごん虚作こさじゅうどくじょうじゅづく。

四句↢荘厳不虚作住持功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらいそなはすに、 ただしょうもんをもつてそうとなし、 仏道ぶつどうもとむるものなし。 あるいはぶつへども、 さんまぬかれざるあり。 *ぜんしょうだいだっ居迦離こかりとうこれなり。 またひとぶつ (釈尊)みょうごうきてじょう道心どうしんおこせども、 あく因縁いんねんひて、 退たいしてしょうもんびゃくぶつるものあり。 かくのごときくうのもの、 退没たいもつのものあり。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来↡、但以↢声聞↡為↠僧、无↧求ムル↢仏道↡者↥。或イハヘドモ↠仏而不マヌカ↢三塗↡。善星・提婆達多・居迦離等是也。又人聞キテ↢仏↡発セドモ↢无上道心↡遇ヒテ↢悪因縁↡、退シテ↢声聞・辟支仏地↡者アリ。有↢如↠是クノ空過者退没者↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅱ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするとき、 われにぐうするものをして、 みな速疾そくしつ*じょう大宝だいほう満足まんぞくせしめん」 と。

ジテ、使メムト↧我成仏セム時、値↢遇セム↡者[ヲシテ]皆速疾満↦足无上大宝↥。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(チ)[二][Ⅲ]成就

^このゆゑに 「観仏かんぶつ本願ほんがんりき ぐうくうしゃ のうりょうそく満足まんぞく どくだい宝海ほうかい」 といへり。 ^じゅう0087」 のかみのごとし。

ヘリ↢「観仏本願力、遇无空過者、能令速満足、功徳大宝海」↡。住持↠上

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)総結

^ぶつしょうごん八種はっしゅどくかんずること、 これかみおわりぬ。

コト↢仏荘厳八種功徳↡、訖リヌ↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)菩薩荘厳【菩薩】
                (a)標目
                  (イ)正標

【37】^つぎ安楽あんらくこくのもろもろのだいさつしゅしょうごんどくじょうじゅかんず。

0478↢安楽国大菩薩四種荘厳功徳成就↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)問答
                    [一]

 ^ひていはく、 如来にょらい (阿弥陀仏)しょうごんどくかんずるに、 なんのけっしょうせるところありてか、 また ˆじょうのˇ さつどくかんずることをもちゐるや。

ヒテ、観ズルニ↢如来荘厳功徳↡、何アリテカ↢闕少セル↡、復ヰル↠観ズルコトヲ↢菩薩功徳↡耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]主伴具足を審かにす

^こたへていはく、 明君めいくんましますときにはすなはち賢臣けんしんあるがごとし。 *ぎょうしゅん無為むいしょうせしは、 これそのたぐいなり。 もしただ如来にょらい法王ほうおうましませども、 だいさつ法臣ほうしんなからしめば、 どう*翼讃よくさんするにおいてあにつといふにらんや。 またたきぎみてすくなきときには、 すなはちおおきならざるがごとし。

ヘテ、如↧有ストキニハ↢明君↡則ルガ↦賢臣↥。尭0374舜之称セシ[ハ]↢无為↡、是其比也。若使メバ↧但有セドモ↢如来法王↡而无カラ↦大菩薩法臣↥、於↣翼↢讃スルニ↡豈ラムヤ↠云フニ↠満ツト。亦↢薪𧂐ミテキトキニハ火不ルガ↟大キナラ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]仏徳の広大を成ず

^*きょうにのたまふがごとし。 「弥陀みだ仏国ぶつこくりょうへんのもろもろのだいさつあり。 かんおん大勢だいせいとうのごときは、 みなまさにいっしょうほうにおいて*いで仏処ぶっしょすべし」 と。 もしひとみなしょうして憶念おくねんするもの、 帰依きえするもの、 観察かんざつするものは、 ¬法華ほけきょう¼ の 「*門品もんぼん」 にくがごとく、 がんとしてたざることなし。 ^しかるにさつどくあいぎょうすることは、 うみの、 ながれみて*そくじょうなきがごとし。

↢¬経¼言フガ↡。「阿弥陀仏国↢无量无辺大菩薩↡。如キ[ハ]↢観世音・大勢至等↡、皆当シ[ト]↧一生↢他方↡次ギテ↦仏処↥」。若人称シテ↠名憶念スル者、帰依スル者、観察スル[ハ]、如↢¬法花経¼「普門品」説クガ↡、无↢願ルコト↟満。然ルニ菩薩愛↢楽スルコトハ功徳↡、如↣海ミテ↠流キガ止足情↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅲ]功徳を愛楽す

^またしゃ牟尼むに如来にょらいいち*目闇もくあん比丘びく (*阿楼駄)うれへてまうすをきこしめすがごとし。 「たれかどくあいするも0088の、 わがためにはりつなげ」 と。 そのとき如来にょらいぜんじょうよりちて、 そのところ来到らいとうしてかたりてのたまはく、 「われ福徳ふくとくあいす」 と。 つひにそれがためにはりつなぎたまふ。 そのとき*しつみょう比丘びくそらぶつみこえきて、 きょうこもごもあつまりてぶつにまうしてまうさく、 「そんそんどくはなほいまだたずや」 と。 ぶつこたへてのたまはく、 「わがどく円満えんまんせり。 またもとむべきところなし。 ただわがこのどくよりしょうず。 どく恩分おんぶんるがゆゑに、 このゆゑにあいすといふ」 と。

亦如↣釈迦牟尼如来キコシメスガ↢一目闇比丘ウレヘテスヲ↡。誰スルモノ↢功徳↡、↠我ツナゲト↠針。爾如来従↢禅定↡起チテ、来↢到シテ↡語リテ、我愛ス[ト]↢福徳↡。遂↢其ツナギタマフ↠針。爾失明比丘、キテソラ仏語↡、驚喜コモゴモマリテシテ↠仏、世尊、世尊功徳猶未↠満。仏報ヘテ、我功徳円満セリ。无↠所↢復モトムベキ↡。但我↢功徳↡生。知ルガ↢功徳恩分↡故、是フト↠愛スト

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅳ]結答

^ふところのごとく、 ぶつ (阿弥陀仏)どくかんずるに、 じつがんとしてたざるはなし。 またしょさつどくかんずる所以ゆえんは、 かみのごとく種々しゅじゅあるがゆゑなるのみ。

↠所↠問ズルニ↢仏功徳↡、実↢願トシテルハ↟充。所↣以復観ズル諸菩薩功徳↡者、有ルガ↢如↠上種種義↡故ナル耳。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)正釈
                  (イ)【不動而至功徳】
                    [一]牒偈

【38】 ^安楽あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち にょしゅじゅう

安楽国清浄ニシテ无垢輪 化仏菩薩日 如須弥住持スルガ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつそなはすに、 ただこれ*しょうさつのみにして十方じっぽうかいにおいてひろぶつをなすことあたはず。 あるいはただしょうもんにんてんのみにしてするところ狭小きょうしょうなり。

0479本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有仏土↡、但是小菩薩ノミニシテ不↠能↧於↢十方世界↡広スコト↦仏事↥。或イハ但声聞人天ノミニシテ所↠利スル狭小ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがくにのうちにはりょうだいさつしゅありて、 本処ほんしょどうぜずしてあまねく十方じっぽういたりて種々しゅじゅおうして、 如実にょじつしゅぎょうしてつねにぶつをなさん0089」 と。

シタマヘリ↠願。願クハニハリテ↢无量0375菩薩衆↡、不シテ↠動↢本処↡遍リテ↢十方↡種種応化シテ如実修行シテサム[ト]↢仏事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]成就
                        [ⅰ]譬1

^たとへば、 てんじょうにありて、 *かげひゃくせんげんずるがごとし。 あにきたらんや、 あにきたらざらんや。

ヘバ↧日リテ↢天上↡而影ズルガ↦百川↥。日豈ラム耶、豈ラム↠来耶。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]譬2

^¬*大集だいじっきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「たとへば、 ひとありてよく*堤塘ていとうして、 その*しょはかりてみずはなときおよびて、 心力しんりきくわへざるがごとし。 さつもまたかくのごとし。 一切いっさい諸仏しょぶつおよびしゅじょうようすべく、 きょうすべき種々しゅじゅ堤塘ていとうすれば、 三昧さんまいるにおよびて身心しんしんどうぜざれども、 如実にょじつしゅぎょうしてつねにぶつをなす」 と。

↢¬大集経¼言フガ↡。「譬ヘバ↧有リテ↠人善シテ↢堤塘↡、量リテ↢其所宜↡及ビテ↢放↠水↡、不ルガ↞加↢心力↡。菩薩亦如↠是クノ。先スレバ↧一切諸仏及衆生↢供養↢教化↡種種堤塘↥、及ビテ↠入ルニ↢三昧↡身心不レドモ↠動如実修行シテス[ト]↢仏事↡。」

^如実にょじつしゅぎょうす」 とは、 つねにしゅぎょうすといへども、 *じつしゅぎょうするところなし。

如実修行スト者、雖↢常修行スト↡実↠所↢修行スル↡也。

^このゆゑに 「安楽あんらくこく清浄しょうじょう じょうてん無垢むくりん ぶつさつにち 如須にょしゅじゅう」 といへり。

ヘリ↢「安楽国清浄、常転无垢輪、化仏菩薩日、如須弥住持」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【一念遍至功徳】
                    [一]牒偈

【39】 ^無垢むくしょうごんこう 一念いちねんぎゅういち しょう諸仏しょぶつ やくしょぐんじょう

无垢荘厳光 一念及一時諸仏群生

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 ある如来にょらい眷属けんぞくそなはすに、 ほうりょう諸仏しょぶつようせんとほっし、 あるいはりょうしゅじょうきょうせんとほっするに、 ここにもっしてかしこにづ。 みなみさきにしてきたあとにす。 一念いちねんいちをもつてひかりはなちてあまねくらし、 あまねく十方じっぽうかいいたりてしゅじょうきょうすることあたはず。 しゅつもつぜんそうあるがゆゑなり。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有如来眷属↡、↣供↢養セムト他方无量諸仏↡、或イハスルニ↣教↢化セムト无量衆生↡、此シテ。先ニシ[テ]↠南ニス↠北不↠能↧以↢一念一時↡放チテ↠光、遍リテ↢十方世界↡教↦化スルコト衆生↥。有ルガ↢出没前後相↡故ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわがぶつのもろもろのだいさつ一念いちねんときのあひだにおいて、 あまねく十方じっぽういた0090種々しゅじゅぶつをなさん」 と。

シタマヘリ↠願。願クハ仏土大菩薩、於↢一念アヒダ↡、遍リテ↢十方↡作サムト↢種種仏事↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「無垢むくしょうごんこう 一念いちねんぎゅういち 普照ふしょう諸仏しょぶつ やくしょぐんじょう」 といへり。

ヘリ↢「无垢荘0480厳光、一念及一時、普照諸仏会、利益諸群生」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]問答
                        [ⅰ]

 ^ひていはく、 かみしょうに、 動揺どうようせずしてあまねく十方じっぽういたるといふ。 どうにしていたる、 あにこれいちにあらずや。 これといかんが差別しゃべつする。

ヒテ、上↧身シテ↢動揺↡而遍ルト↦十方↥。不動ニシテ而至、豈↢是一時↡耶。与↠此若為 イカン 差別スル

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]

^こたへていはく、 かみにはただどうにしていたるといへども、 あるいはぜんあるべし。 ここにはぜん無後むごといふ。 これ差別しゃべつとなす。 またこれかみどうじょうずるなり。 もしいちならずはすなはちこれ往来おうらいなり。 もし往来おうらいあらばすなはちどうにあらず。 このゆゑにかみどうじょうぜんためのゆゑに、 すべからくいちかんずべし。

ヘテ、上ニハ但言ヘドモ↢不動ニシテ而至ルト↡、或イハ↠有↢前後↡。此ニハ↢无前无後↡。是為↢差別↡。亦是成0376ズルナリ↢上不動↡。若↢一時ナラ↡則是往来ナリ。若ラバ↢往来↡則↢不動↡。是↠成ゼム↢上不動↡故、須↠観↢一時↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)【無相供養功徳】
                    [一]牒偈

【40】 ^天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別ふんべつしん

ラシテ 妙香等供養ズルニ諸仏功徳ルコト分別

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのしょうごんおこしたまへる。 あるぶつそなはすに、 さつにんてん*しゅひろからず、 あまねく十方じっぽうぐうかいいたりて諸仏しょぶつ如来にょらい大衆だいしゅようすることあたはず。

仏本何シタマヘル↢此荘厳↡。見ソナハスニ↢有仏土↡、菩薩人天、志趣不↠広カラ、不↠能↧遍リテ↢十方无窮世界↡供↦養スルコト諸仏如来大衆↥。

^あるいはおのがじょくなるをもつて、 あへて浄郷じょうきょう向詣こうげいせず。 あるいはするところの清浄しょうじょうなるをもつて穢土えど*はくす。

イハ穢濁ナルヲ↡不↣敢向↢詣浄郷↡。或イハ↠居スル清浄ナルヲ↡鄙↢薄穢土↡。

^かくのごとき種々しゅじゅ*きょくぶんをもつて、 諸仏しょぶつ如来にょらいみもとにおいてしゅうへんようして広大こうだい0091善根ぜんごんほっすることあたはず。

↢如↠此クノ種種局分↡、於↢諸仏如来↡不↠能↣周遍供養シテ発↢起スルコト広大善根↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんじてのたまはく、 「われじょうぶつするときねがはくはわがこく一切いっさいさつしょうもんてんにん大衆だいしゅ、 あまねく十方じっぽう*一切いっさい諸仏しょぶつだい処所しょしょいたりて、 てんがくてんてんてんこうあめふらして、 *巧妙きょうみょうべんをもつて諸仏しょぶつどくよう讃嘆さんだんせん」 と。

ジテ、我成仏セム時、願クハ国土一切菩薩・声聞・天・人大衆、遍リテ↢十方一切諸仏大会処所↡、ラシテ↢天楽・天花・天衣・天↡、以↢巧妙辨辞↡供↢養讃↣嘆セム[ト]諸仏功徳↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]成就

^穢土えど如来にょらい*だい謙忍けんにんたんずといへども、 ぶつぞうそうあることをず。 じょう如来にょらいりょうしょうごんたんずといへども、 ぶつ清浄しょうじょうそうあることをず。 なにをもつてのゆゑに。 諸法しょほうひとしきをもつてのゆゑに、 もろもろの如来にょらいひとし。 このゆゑに諸仏しょぶつ如来にょらいづけて*等覚とうがくとなす。

↠嘆ズト↢穢土如来大慈謙忍↡、不↠見↣仏土ルコトヲ↢雑穢相↡。雖↠嘆ズト↢浄土如来无量荘厳↡、不↠見↣仏土ルコトヲ↢清浄相↡。何テノ。以テノ↢諸法等シキヲ↡故如来等。是諸仏如来ケテ↢等覚0481↡。

^もしぶつにおいてれつしんおこさば、 たとひ如来にょらいようすれども、 ほうようにはあらず。

↢仏土↡起サバ↢優劣↡、仮使 タトヒ 供↢養スレドモ如来↡、↢法供養ニ[ハ]↡也。

^このゆゑに 「天楽てんがく華衣けえ みょう香等こうとうよう さん諸仏しょぶつどく 無有むう分別心ふんべつしん」 といへり。

ヘリ↢「雨天楽花衣、妙香等供養、讃諸仏功徳、无有分別心」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)【示法如仏功徳】
                    [一]牒偈

【41】 ^とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ

何等世界ナリトモカラムニハ 仏法功徳 我願クハ皆往生シテスコト仏法クセム

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]釈義
                      [Ⅰ]本願
                        [ⅰ]選捨の境

 ^ぶつもとなんがゆゑぞこのがんおこしたまへる。 ある軟心なんしんさつそなはすに、 ただぶつこくしゅぎょうねがひて慈悲じひ堅牢けんろうしんなし。

0377本何シタマヘル↢此↡。見ソナハスニ↢有軟心菩薩↡、但楽ヒテ↢有仏国土修行↡无↢慈悲堅牢心↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅰ][ⅱ]摂取の願

^このゆゑにがんおこしたまへり。 「ねがはくはわれじょうぶつするとき、 わがさつはみな慈悲じひゆうみょうけんがんありて、 よく清浄しょうじょうて、 ほう仏法僧ぶっぽうそうなきところいたりて、 仏法僧ぶっぽうそうほうじゅう0092しょうごんしてしめすこと、 ぶつのましますがごとくし、 *仏種ぶっしゅをして処々しょしょえざらしめん」 と。

シタマヘリ↠願。願クハ我成仏セム時、我菩薩皆慈悲勇猛堅固志願アリテ↢清浄↡、至リテ↧他方↢仏法僧↡処↥、住↢持荘↣厳シテ仏法僧↡示スコトクシ↠有スガ↠仏、使メムト↢仏種ヲシテ処処↟断

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]成就

^このゆゑに 「とうかい 仏法ぶっぽうどくほう がんかいおうじょう 仏法ぶっぽう如仏にょぶつ」 といへり。

ヘリ↢「何等世界无、仏法功徳宝、我願皆往生、示仏法如仏」↡。

二 Ⅰ ⅱ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結示

^さつしゅしょうごんどくじょうじゅかんずること、 これかみおわりぬ。

ズルコト↢菩薩四種荘厳功徳成就↡、訖リヌ↢之于上↡。

二 Ⅰ ⅱ a 【回向門】
          (一)科目

【42】^つぎしも四句しくはこれこうもんなり。

四句是廻廻向門ナリ

二 Ⅰ ⅱ a ニ (二)牒偈

我作がさ論説ろんせつ 願見がんけん弥陀みだぶつ 普共ふぐしょしゅじょう おうじょう安楽あんらくこく

我作リテクハタテマツリ弥陀仏衆生セム安楽国

二 Ⅰ ⅱ a ニ (三)釈義

 ^この四句しくはこれ論主ろんじゅ (天親)こうもんなり。 「こう」 とは、 おのがどくしてあまねくしゅじょうほどこして、 ともに弥陀みだ如来にょらいたてまつり、 安楽あんらくこくしょうぜんとなり。

四句是論主廻向門ナリ。廻向者廻シテ功徳↡普シテ↢衆生↡、共タテマツリ↢阿弥陀如来↡生ゼムトナリ↢安楽国↡。

二 Ⅰ ⅱ 問答して機を彰す【八番問答
        論文を標す

^りょう寿じゅしゅ多羅たらしょう、 われじゅをもつてそうじてきをはりぬ。

无量寿修多羅章句、我以↢偈↡総ジテリヌ

二 Ⅰ ⅱ b 正問答
          (一)経を引き総じて悪人正機を立つ〔第一問答〕
            (Ⅰ)

【43】^*ひていはく、 天親てんじんさつこうしょうのなかに、 「普共ふぐしょしゅじょう おうじょう安楽あんらくこく」 といへるは、 これはなんらのしゅじょうとともにとすや。

ヒテ、天親菩薩廻向ヘルハ↢「普共諸衆生、往生安楽国」↡、此↠共ニト↢何0482衆生↡耶。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)大経

^こたへていはく、 王舎おうしゃじょう所説しょせつの ¬*りょう寿じゅきょう¼ (下)あんずるに、 「ぶつなんげたまはく、 ª十方じっぽうごうしゃ諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともにりょう寿じゅぶつじんどく不可ふか思議しぎなるをしょうたんしたまふ。 しょしゅじょう、 そのみょうごうきて信心しんじんかんし、 *すなはち一念いちねんいたるまでしんいたしてこうして、 かのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょうて、 退転たいてんじゅう0093せん。 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞº」 と。

ヘテ、案ズルニ↢王舎城所説¬无量寿経¼↡、「仏告ゲタマハク↢阿難↡、十方恒河沙諸仏如来、皆共称↢嘆シタマフ无量寿仏威神功徳不可思議ナルヲ↡。諸有衆生、聞キテ名号↡信心歓喜ルマデ↢一念シテ↠心廻向シテ、願ズレバ↠生ゼムト↢彼↡即[テ]↢往0378↡、住セム↢不退転↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲ↡」。

^これをあんじていふに、 一切いっさい*どうぼんにん、 みなおうじょうん。

ジテ↠此フニ、一切道凡夫人、皆得↢往生↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)観経

^また ¬*かんりょう寿じゅきょう¼ のごときはぼんおうじょうあり。 「下下げげぼんしょうとは、 あるいはしゅじょうありて、 善業ぜんごうたるぎゃくじゅうあくつくり、 もろもろのぜんせん。 かくのごときにん悪業あくごうをもつてのゆゑに悪道あくどうして、 こう経歴きょうりゃくしてくることきわまりなかるべし。

又如キハ↢¬観无量寿経¼↡有↢九品往生↡。「下下品者、或イハリテ↢衆生↡、作↢不善業タル五逆・十悪↡、具セム↢諸不善↡。如↠此クノ愚人、以テノ↢悪業↡故↧堕シテ↢悪道逕↢歴シテ多劫↡受クルコト↠苦カル↞窮

^かくのごときにん命終みょうじゅうときのぞみて、 ぜんしき種々しゅじゅあんして、 ためにみょうほうおしへて念仏ねんぶつせしむるにはん。 かのひとめられて念仏ねんぶつするにいとまあらず。 ぜんげていはく、 ªなんぢもしねんずることあたはずはりょう寿じゅぶつしょうすべしº と。

↠此クノ愚人、臨ミテ命終↡、遇ハム↧善知識、種種安慰シテ、為↢妙法↡教ヘテムルニ↦念仏↥。人苦メラレテ不↠イトマアラ↢念仏スルニ↡。善友告ゲテ、汝若↠能↠念ズルコト者応シ[ト]↠称↢无量寿仏↡。

^かくのごとくしんいたしてこえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくして ª南無なもりょう寿じゅぶつº としょうせん。 ぶつみなしょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいてはちじゅう億劫おくこうしょうつみのぞき、

↠是クノシテ↠心メテ↢声ヲシテ↟絶、具↢足シテ十念↡称セム↢南无无量寿仏↡。称スルガ↢仏↡故、於↢念念↡除↢八十億劫生死之罪↡、

^命終みょうじゅうのちこんれんのなほ日輪にちりんのごとくしてそのひとまえじゅうするを一念いちねんのあひだのごとくにすなはち極楽ごくらくかいおうじょうん。

命終之後見↧金蓮猶如↢クシテ日輪↡住ルヲ↦其↥、如クニ↢一念アヒダ↡即↣往↢生[スルコト]ヲ極楽世界↡。

^れんのなかにおいてじゅう大劫だいこうてて、 れんまさにひらけん。 まさにこれをもつてぎゃくつみつぐのふべし。

↢蓮↡満テテ↢十二大劫↡、蓮華方ケム↣以↠此ツグノ↢五逆↡也

^かんおん大勢だいせいだいおんじょうをもつてそれがためにひろ諸法しょほう実相じっそうつみ除滅じょめつするほうかん。 きをはりてかんして、 ときおうじてすなはちだいしんおこさん。 これをぼん0094しょうのものとづく」 と。

観世音・大勢至、以↢大悲音声↡為↠其カム↧諸法実相、除↢スル↡法↥。聞リテ歓喜シテ、応ジテ↠時サム↢菩提之心↡。是クト↢下品下生↡」。

^このきょうをもつてしょうするに、 あきらかにりぬ、 ぼんぼんただしょうぼうほうせざれば、 ぶつしんずる因縁いんねんをもつてみなおうじょうと。

↢此↡証スルニ、明カニリヌ下品凡夫但令 タダ レバ↣誹↢謗正法↡、信ズル↠仏因縁ヲモテ皆得↢往0483↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)異を会し別して逆罪得生を成ず
            (Ⅰ)二経の相違を会す【逆謗除取
              (ⅰ)二罪具欠を弁ず〔第二問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 ¬りょう寿じゅきょう¼ (下・意) にのたまはく、 「おうじょうがんずるものみなおうじょう。 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞく」 と。 ¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぎゃくじゅうあくもろもろのぜんするもまたおうじょう」 と。 このきょう、 いかんがする。

ヒテ、¬无量寿経¼言、「願ズル↢往生↡者皆得↢往生↡。唯除ク[ト]↢五逆誹謗正法トヲ↡」。¬観无量寿経¼、「五逆・十悪スルモ↢諸不善↡亦↢往生↡」。此二経、云何スル

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)

^こたへていはく、 いっきょう (大経) にはしゅじゅうざいするをもつてなり。 いちにはぎゃくにはほうしょうぼうなり。 このしゅつみをもつてのゆゑに、 ゆゑにおうじょうず。 いっきょう (観経) にはただじゅうあくぎゃくとうつみつくるとのたまひて、 しょうぼうほうすとのたまはず。 しょうぼうほうぜざるをもつてのゆゑに、 このゆゑにしょうずることを

ヘテ、一経ニハテナリ↠具スルヲ↢二種重罪↡。一者五逆、二者誹謗正0379ナリ。以テノ↢此二種↡故所以不↠得↢往生↡。一経ニハ但言ヒテ↠作ルト↢十悪・五逆等↡、不↠言↣誹↢謗スト正法↡。以テノ↠不ルヲ↠謗↢正法↡故、是得↠生[ズルコト]ヲ

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)但謗不生を明す
                (a)謗罪極重を明す〔第三問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 たとひ一人いちにんありて、 ぎゃくざいすれどもしょうぼうほうせざれば、 ¬きょう¼ (観経)しょうずることをゆるす。 また一人いちにんありて、 ただしょうぼうほうしてぎゃく諸罪しょざいなし。 おうじょうがんぜばしょうずることをやいなや。

ヒテ仮使 タトヒ 一人アリテ、具スレドモ↢五逆罪↡而不レバ↣誹↢謗正法↡、¬経¼許↠得↠生[ズルコト]ヲ。復有リテ↢一人↡、但誹↢謗シテ正法↡而无↢五逆諸罪↡。願ゼバ↢往生↡者↠生[ズルコト]ヲ以不 イナ 

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 ただしょうぼうほうせしめば、 さらにつみなしといへども、 かならずしょうずることをず。

ヘテ但令 タダ 誹↢謗シテ正法↡、雖↣更シト↢余罪↡、必不↠得↠生[ズルコト]ヲ

^なにをもつてこれをいふとならば、 ¬きょう¼ (*大品経・意) にのたまはく、 「0095ぎゃく罪人ざいにん阿鼻あびだいごくのなかにしてつぶさに一劫いっこうじゅうざいく。 しょうぼうほうするひと阿鼻あびだいごくのなかにして、 このこうもしきぬれば、 またてんじてほう阿鼻あびだいごくのなかにいたる。 かくのごとく*展転てんでんしてひゃくせん阿鼻あびだいごく」 と。 ぶつ (釈尊)づることをせつしるしたまはず。 ほうしょうぼうつみきはめておもきをもつてのゆゑなり。

フトナラバ↠之、¬経¼言、「五逆罪人、堕シテ↢阿鼻大地獄↡具↢一劫重罪↡。誹↢謗スル正法↡人シテ↢阿鼻大地獄↡、此劫若キヌレバ復転ジテ↢他方阿鼻大地獄↡。如↠是クノ展転シテ↢百千阿鼻大地獄↡」。仏不↠記シタマハ↢得↠出ヅルコトヲ時節↡。以テノ↢誹謗正法罪極キヲ↡故ナリ

^またしょうぼうはすなはちこれ仏法ぶっぽうなり。 この愚痴ぐちにんすでにほうしょうず。 いづくんぞぶつしょうぜんとがんずるあらんや。 たとひただかの安楽あんらくむさぼりてしょうぜんとがんずるは、 またみずにあらざるこおりけむりなきもとむるがごとし。 あにることあらんや。

又正法者即是仏法ナリ此愚痴人既↢誹謗↡。安クンゾラムヤ↧願ズル↠生ゼムト↢仏土↡之理↥。仮使 タトヒ リテ↢彼安楽↡而ズル↠生ゼムト者、亦如↠求ムルガ↢非ザル↠水之氷、无↠煙之火↡。豈ラムヤ↠得ルコト↠理

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)謗法行相を審にす〔第四問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんらのそうかこれしょうぼうほうする。

ヒテ、何等[カ]是誹↢謗スル正法↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 もしぶつなく、 ぶつほうなし、 さつなく、 さつほうなしといはん。 かくのごときけん、 もしはしんにみづからし、 もしはしたがひてけ、 そのしんけつじょうするをみなしょうぼうほうすとづく。

ヘテ、若ハム↠仏无↢仏法↡、无↢菩薩↡无シト↦菩薩法↥。如↠是クノ見、若シハ、若シハヒテ↠他、其0484決定スルヲ皆名誹↢謗スト正法↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)罪重所因を顕す〔第五問答〕
                  (イ)

 ^ひていはく、 かくのごときけいはただこれおのがなり。 しゅじょうにおいてなんののうありてかぎゃくじゅうざいえたるや。

ヒテ、如↠是クノ但是ナリ。於↢衆生↡有リテカ↢何苦悩↡踰エタル↢於五逆重罪↡耶。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)

^こたへていはく、 もし諸仏しょぶつさつの、 けんしゅっけん善道ぜんどうきてしゅじょうきょうするものなくは、 あに*じんれい0096しんあることをらんや。 かくのごときけん一切いっさい善法ぜんぼうみなだんじ、 しゅっけん一切いっさい*げんじょうみなめっしなん。 なんぢただぎゃくざいじゅうたることをりて、 ぎゃくざいしょうぼうなきよりしょうずることをらず。 このゆゑにしょうぼうほうずるひと、 そのつみもつともおもし。

ヘテ、若クハ↧諸仏・菩薩キテ↢世間・出世間善道↡教↢化スル衆生↡者↥、豈ラム↠有ルコトヲ↢仁・義・礼・智・信↡耶。如↠是クノ世間一切善法皆断、出0380世間一切賢聖皆滅シナム。汝但知リテ↢五逆罪ルコトヲ↟重而不↠知↧五逆罪↠无↢正法↡生ズルコトヲ↥。是ズル↢正法↡人、其罪最

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)五逆得生を成立す【十念往生】〔第六問答〕
              (ⅰ)正しく得生を成ず
                (a)
                  (イ)先牽を難ず

 ^ひていはく、 *業道ごうどうきょうにのたまはく、 「*業道ごうどうはかりのごとし。 おもきものく」 と。

ヒテ、¬業道経¼言、「業道。重者先クト」。

^¬かんりょう寿じゅきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「ひとありてぎゃくじゅうあくつくりもろもろのぜんせらん。 悪道あくどうしてこう経歴きょうりゃくしてりょうくべし。 命終みょうじゅうときのぞみて、 ぜんしきおしえひて、 ª南無なもりょう寿じゅぶつº としょうせん。 かくのごとくしんいたしてこえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくしてすなはち安楽あんらくじょうおうじょうすることを。 すなはちだいじょう正定しょうじょうじゅりて、 ひっきょうじて退たいせず。 さんのもろもろのながへだつ」 と。

↢¬観无量寿経¼言フガ↡。「有リテ↠人造↢五逆・十悪↡具セラム↢諸不善↡。応↧堕シテ↢悪道逕↢歴シテ多劫↡受↦无量↥。臨ミテ↢命終↡、遇ヒテ↢善知識↡称セム↢南无无量寿仏↡。如↠是クノシテ↠心メテ↢声ヲシテ↟絶、具↢足シテ十念↡便得↣往↢生スルコトヲ安楽浄土↡。即リテ↢大乗正定之聚↡、畢竟ジテ不↠退。与↢三苦↡永ツト。」

^*く」 のにおいていかんぞ。

之義、於↠理如何

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)繋業を難ず

^また*曠劫こうごうよりこのかた、 つぶさにもろもろのぎょうつくりて、 有漏うろほう三界さんがい*ぞくせり。 ただじゅうねん弥陀みだぶつねんじたてまつるをもつてすなはち三界さんがいづ。 *ごうまたいかんせんとほっする。

又曠劫ヨリ已来、備リテ↢諸↡、有漏之法繋↢属セリ三界↡。但以↣十念念ジタテマツルヲ↢阿弥陀仏↡便↢三界↡。繋業之義復スル↢云何セムト↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)答【三在釈義】
                  (イ)

^こたへていはく、 なんぢぎゃくじゅうあくごうとうじゅうとなし、 下下げげぼんにんじゅうねんをもつてきょうとなして、 つみのためにかれて0097ごくして三界さんがいざいすべしといはば、 いままさにをもつて*校量きょうりょうすべし。 軽重きょうじゅうしんり、 えんり、 けつじょうりて、 せつごんしょうにはらず。

ヘテ、汝ハバ↫五逆・十悪繋業等↠重、以↢下下品十念↡為シテ↠軽、応シト↪為↠罪↠牽シテ↢地獄↡繋↩在三界↨者、今↢以↠義↡。軽重之義↠心、在↠縁、在リ[テ]↢決定↡、不↠在↢時節久近多少ニハ↡也。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)
                    [一]在心

^いかんが 「しんる」。 かの造罪ぞうざいにんはみづから*もう顛倒てんどうけん依止えじしてしょうず。 このじゅうねんぜんしき*方便ほうべんあんによりて*実相じっそうほうきてしょうず。 いちじつなり、 いちなり。 あにあひくらぶることをんや。

云何↠心。彼造罪依↢止シテ虚妄顛倒↡生。此十念者リテ↢善知識方便安0485↡聞キテ↢実相↡生。一ナリナリ。豈ムヤ↢相比ブルコトヲ↡。

^たとへば千歳せんざい闇室あんしつに、 ひかりもししばらくいたらば、 すなはちみょうろうなるがごとし。 やみ、 あにしつにあること千歳せんざいにしてらじといふことをんや。

ヘバ↢千歳闇室光若ラバ即便ナルガ↡。闇豈↠言フコトヲ↢在ルコト↠室千歳ニシテ而不↟去耶。

^これをしんりとづく。

↠在リト↠心

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]在縁

^いかんが 「えんる」。 かの造罪ぞうざいにんはみづから妄想もうぞうしん依止えじし、 煩悩ぼんのうもうほうしゅじょうによりてしょうず。 このじゅうねんじょう信心しんじん依止えじして、 弥陀みだ如来にょらい方便ほうべんしょうごん真実しんじつ清浄しょうじょうりょうどくみょうごうによりてしょうず。

云何↠縁。彼造罪依↢止妄想↡、依リテ↢煩悩虚妄果報衆生↡生。此十念者依↢止0381シ[テ]无上信心↡、依リテ↢阿弥陀如来方便荘厳真実清浄无量功徳名号↡生

^たとへばひとありてどくこうむりて、 あたるところすじほねやぶるに、 滅除めつじょやくつづみけば、 すなはちどくのぞこるがごとし。

ヘバ↧有リテ↠人被リテ↢毒↡、所↠中↠筋ルニ↠骨、聞ケバ↢滅除薬↡、即箭出毒除コルガ↥。

^¬*しゅりょうごんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「たとへばくすりあり、 づけて滅除めつじょといふ。 もし闘戦とうせんときもちゐてもつてつづみるに、 つづみこえけばどくのぞこるがごとし。 さつ摩訶まかさつまたかくのごとし。 *しゅりょうごん三昧ざんまいじゅうしてそのけば、 三毒さんどくねんづ」 と。

¬首楞厳経¼言、「譬ヘバ↧有↠薬、名ケテ↢滅除闘戦ヰテルニ↠鼓、聞ケバ↢鼓↡者箭出毒除コル[ガ]↥。菩薩摩訶薩亦復如↠是クノ。住シテ↢首楞厳三昧↡聞ケバ↢其↡者、三毒之箭自然ヅト。」

^あにかのふかどくはげしくして、 つづみおんじょうくとも、 どく0098ることあたはずといふことをべけんや。 これをえんりとづく。

ケム↠得↠言フコトヲ↧彼箭深ハゲシクシテ、聞クトモ↢鼓音声↡不↞能↢抜↠箭ルコト↟毒耶。是↠在リト↠縁

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]在決定

^いかんが 「けつじょうる」。 かの造罪ぞうあくにん*有後うごしん*間心けんしん依止えじしてしょうず。 このじゅうねん無後むごしん間心けんしん依止えじしてしょうず。 これをけつじょうづく。

云何↢決定↡。彼造罪依↢止シテ有後心・有間心↡生。此十念者依↢止シテ无後心・无間心↡生。是↢決定↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)

^さん校量きょうりょうするにじゅうねんおもし。 おもきものきてよくさんづ。 *両経りょうきょういちなるのみ。

校↢量ルニ↡、十念者重。重者先キテ↢三有↡。両経一義ナル耳。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)念相を料簡す【十念釈義1】〔第七問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 いくばくのときをかづけて一念いちねんとなす。

ヒテ、幾ヲカケテ↢一念↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)

^こたへていはく、 ひゃくいちしょうめついちせつづく。 ろくじゅうせつづけて一念いちねんとなす。 このなかにねんといふはこのせつらず。 ただ弥陀みだぶつ憶念おくねんするをいふ。 もしは*総相そうそう、 もしは*別相べっそう所観しょかんえんしたがひて、 しんそうなくしてじゅうねん相続そうぞくするをづけてじゅうねんとなす。 ただみょうごうしょうするもまたかくのごとし。

ヘテ、百一生滅↢一刹那↡。六十刹那ケテ↢一念↡。此↠念不↠取↢此時節↡也。但↣憶↢念スルヲ阿弥陀仏↡。若シハ総相若シハ別相、随ヒテ↢所観↡、心クシテ↢他想↡十念相続スルヲケテ↢十念↡。但称スルモ↢名号↡亦復如↠是クノ

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)十数を料簡す【十念釈義2】〔第八問答〕
                (a)

 ^ひていはく、 しんもしえんせば、 これをせっしてかえらしめてねんしょうりぬべし。 ただしょうるともまた*けんにはあらず。 もしこんらしおもいそそげば、 またなにによりてかねんしょうすることをべき。

ヒテ、心若他縁セバ、摂シテ↠之メテ↠還↠知リヌ↢念之多少↡。但知ルトモ↢多少↡復非↢无間ニハ↡。若↠心ゲバ↠想、復依リテカ↠何↠得↠記スルコトヲ↢念之多少↡。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)〔業事成弁〕

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (観経) に 「じゅうねん」 とのたまへるは、 *ごうじょうべんかすのみ。 かならずしも*しゅることをもちゐず。 「*けい春秋しゅんじゅうらず」 といふがごとし。 このむにあに*朱陽しゅようせつらんや。 るものこれをいふのみ。

ヘテ、¬経¼ヘル↢「十念」↡者、明↢業事0486耳。↢必ズシモ↟知ルコトヲ↢頭数↡也。如フガ↢蟪蛄↟識↢春秋↡。伊虫豈ラム朱陽之節↡乎。知者言↠之耳。

^*じゅうねんごうじょうとは、 これまた*じんつうずる0099ものこれをいふのみ。 ただねん相続そうぞくして他事たじえんぜざればすなはちみぬ。 またなんぞねんしゅるをもちゐることをらんや。 もしかならずすべからくるべくはまた方便ほうべんあり。 かならずすべからく*じゅすべし。 これを*筆点ひってんだいすることをざれ。

十念業成者、是亦通ズル↠神者言↠之耳。但積↠念相続シテレバ↠縁↢他事↡便ミヌ。復何ラム↠須ヰルコトヲ↠知ルヲ↢念之頭数↡也。若クハ↠知亦有↢方便0382↡。必↢口授↡。不↠得↠スルコトヲ↢之筆点↡。

りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃがんしょうちゅう かんじょう

 

延書の底本は本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)ˆ原漢文の底本と同一ˇ。
顛倒の善果 人間・天上界に生れる果報。 迷いの中の善果であるので顛倒てんどうという。
仏力住持して 仏の本願力が支えたもってという意。
不退の風航 風航はかけ船のこと。 不退の位に向かって順風を得た船。 退転することなくかならず仏にならしめる教法を船に喩えたもの。
 浄土の三部経を指す。
一隅を挙げて 一部分の意味によって。
国史国紀 国史は国王の命などによって公的に記された国の歴史書。 国紀は私人によって私的に記された国の歴史書。
各別の体例 それぞれちがった体裁である。
女の大体… 女性の一般的性質はあらわしているけれども。
梵音を存じて 梵語 (サンスクリット) を音写してという意。
大饒益 大きなやく
梵音を存ぜば 梵語 (サンスクリット) を音写すればという意。
 もとづくところ。 本源。 帰趣。
智断 とく断徳だんとく
恩を知りて徳を報ず →おん報徳ほうとく
邪見語 我を実体視し、 それにとらわれるよこしまな見解を表す言葉。 →邪見じゃけん
自大語 自分が他よりすぐれていると思う慢心を表す言葉。
流布語 世間一般に使われる言葉。 日常語。
彼此 長行じょうごうとこのじゅのこと。
盲者 →補註10
密雲 深くたれこめた雨雲。
頑石 固い石。
大乗経論 ¬ゆいぎょう¼ ¬だい智度ちどろん¼ 等の経論のこと。
仮名人 仮名とは実体のないものに仮につけた名という意で、 人といっても五蘊ごうん (おん) が因縁いんねんによって仮に和合したものであるから仮名人という。
一異の門を観ずる論 龍樹りゅうじゅ菩薩の ¬中論ちゅうろん¼ 等のこと。
上の三門 ねんもんの中のらいはい讃嘆さんだんがんの三門。
下の二門 ねんもんの中のかんざつこうの二門。
四阿含三蔵 四阿しあごんなどの小乗の教えのこと。 三蔵さんぞうとは経・律・論のことで、 仏教経典の総称。 原始仏教の経典のことであるが、 大乗経典の成立以後は小乗とその経典の呼称となった。
畢竟浄 完全に煩悩ぼんのうを浄化した究極のさとりの境地。
総持 ここでは広博な経の文意を総摂そうしょうして短いのなかにおさめたもつという意。
総相 器世間の十七種だけでなく二十九種しょうごんのすべてにわたるすがた。
雑生触受 雑多な生を経て、 さまざまな苦にふれ、 その苦を受けること。
正観の由生 正しくものをみる智慧ちえより生ずるところ。
胎卵湿の生 しょうのうちの胎生たいしょう卵生らんしょう湿生しっしょう
高く揖め 高は遠の意で、 揖はあいさつをすること。 礼をして遠くへ去りはなれて。
続括の権… 続括はつづけて矢を射ること。 権は権術ごんじゅつの意。 菩薩が退転もせず、 諸仏の勧めもまたずに利他行をなすことを、 名人の連続して射る矢が、 次々と前の矢を支えていっておちることがないのに喩える。
労謙善譲 功労があってもみずから誇らず、 へりくだること。
陪陼 小さな山やなかのような丘。
宮観迫迮 宮殿や楼観ろうかんが狭い範囲にたてこんでいること。
土田逼隘 土地や田が狭くせせこましいこと。
国界分部せり 国境でへだてられている。
挙急 あわただしく、 うろたえること。
方丈に… 方丈は一丈四方の部屋のこと。 ここでは維摩がこの狭い部屋に三万二千人の座を設けておさめ入れたという ¬ゆいぎょう¼ の説を出したもの。
無貲 はかりしれないこと。 限りがないこと。
畦畹 田畑や土地の広さをあらわす単位。
攀厭禅定 下位を厭い、 上位の天上界にのぼることをめざして禅定ぜんじょうを修すること。 ぼんどうの観法。
無上の正見道 最高の真実を見る智慧ちえ。 →のく多羅たらさんみゃくさんだい
宝王如来の性起の義 ¬ごんぎょう¼ 「宝王如来性起品」 に、 如来のしん口意くいのはたらきはすべてほっしょうの顕現にほかならないと説いていること。 仏果はほっしょうの理に順じて起ったものであるということ。 →性起
 すがた。 身体。
発心 法蔵菩薩のおこされた願心。
四域 しゅせんの四方にあるだいしゅうのこと。
三方にあまねからず 日は須弥山の回りをめぐっているので、一方を照らせば他の三方を照らさない。
十仞 仞は長さの単位。 一仞は両手を左右に広げたときの長さ。
有余にあひ忘れ 充分すぎるほどあるので、あることさえ忘れて。
高下 上下の意。
閻浮那金 えん檀金だんごんのこと。
金沙 転輪王てんりんのうが世に出るときは海の水が減じ、 底に金の道ができるとされる。 ここではこの道の金砂のこと。
金山 しゅせんの周囲をかこむ七重の山脈。 七金山しちこんぜん
便りならず 不便である。
六情 六根ろっこんに同じ。
水乳 よく調和し融合することを水と乳がよく融和することに喩えていう。
楚越 ¬荘子そうじ¼ に出る故事。 楚の国と越の国は隣接していたが、 たがいに利害が対立し、 争いがたえなかったという。 ここでは、 六根が同じ体にあっても必ずしも調和がとれていないことに喩える。
楽受 受は感覚のこと。 身心をこころよくさせる感覚。
然 草が風になびくさま。
参訳 翻訳に参加すること。
滓沫 滓はにごった泥水、 沫はしぶきやあわのこと。
凝凘 氷塊が流れること。 流氷。
 流氷がはりつめること。 結氷。
蹙架しを懐く 蹙架は迫りきて自由をうばうこと。 を懐くとは、 平常の心を失わせるという意。
 一定の順序。
嶕嶢峻嶺 山やみねがひときわ高くけわしいさま。 嶕嶢の註 「高き貌なり」 は底本では嶕の字註として付されてある。
岝峉嶙 山に高低があり、谷やがけが深いさま。
 底本には 「茀」 とある。
絶目の川 一時に視界に入ってこないほどの広い水の流れ。
々 は草が風になびくさま。 荒れはてて淋しいようす。
震烈 天地をふるわすような大雨。
不祥の烖霓 不吉な天火や虹。
 →もう
宮商 きゅうしょうかくの五音 (五種の音階) を略していったもの。 →いん七声しちせい
所尊を延請せんと欲す 人々に尊ばれる仏を招こうと請い願うこと。
業貧しく感薄きもの 善業が少なく、 よい結果を招きがたい者。
取者 文字にとらわれる者。
洪滔 大水。 洪水。
 ¬大経¼ ¬小経¼ の取意の文。
日光 仏・菩薩の頭頂から放たれるこうみょう
中国 ここではインドを世界の中心地とみて中国と呼んでいる。
 引用は ¬大経¼ の第十八願成就文および ¬だい阿弥陀あみだきょう¼ ¬びょう等覚どうがくきょう¼ 等の取意の文。
地居 地の上にあること。 色界しきかいは空中にあるが、 極楽は七宝の大地の上にある。
別業 特別な行業ぎょうごう。 とくにすぐれたいんの行い。
率土 王の率いる国土。 ここではその民のこと。
宝輪殿に… 宝輪は転輪てんりんじょうおうの乗る車。 転輪聖王が車を宮殿に駐め、そこにいて国を治めると、 世は平和におさまるということ。
四域 ここは四方の意。
黄鵠… ¬れつでん¼ に出る故事。 子安にたすけられた鶴 (黄鵠) が、 子安の死後、 三年間その墓の上でかれを思って鳴きつづけ、 鶴は死んだが子安は蘇って千年の寿命を保ったという。 ここでは、 鶴が命の恩人である子安を思う心の強さを住持に喩えたもの。
 冬になると枯れる泉。
槐棘の… 槐棘はえんじゅといばらの木で、 中国の官位である三公と九卿きゅうけい (三槐九棘) のこと。 朝廷に仕える身分を指す。 →補註8
譏誚これによりて… 人のそしりをうけて、 全身があつくなるような恥ずかしい思いをすること。
恥辱これによりて… はずかしめられて、 氷を抱くように冷汗をかくこと。
沙を懸けて帒を指すを… 砂を入れた袋を壁にかけ、 その中に食ありと教えて、 空腹をしのぐ一時の慰めとするという喩え。
百味の嘉餚 種々さまざまな美食。
袞寵 袞は天子の礼服、 転じて天子のこと。 天子の恩寵。
斧鉞 おのとまさかり。 刑罰の道具をあらわす。 転じて重刑のこと。
蓬藜 よもぎとあかざ。 あれはてた草むら、 または貧しい家の意。
方丈を列ぬ 一丈四方にごちそうを並べるほど豪華な食事ができる身分になる。
鳴笳して… 笳はあしぶえのこと。 麻絰は喪服のこと。 出発するときは笳を吹いてにぎやかであったが、 喪服を着てかえることになってしまったという意。
女人及根欠二乗種不生 →補註10
所以 いわれ。 本旨。
一を分ちて三と説く 一乗いちじょうの法を分けてさんじょうの法を説くということ。
眉を… 女性が眉をひらいて媚態びたいを呈し、あざけりを受けるという意。
指語に… 指語は指の動作で語ること。 →補註10
根敗の種子 芽の出ない、 腐敗した種子。 ここでは仏果を証すべき因 (種子) のないしょうもん縁覚えんがくじょうを喩えていう。
残欠 根欠に同じ。
会する 会通すること。 一見矛盾したように見える記述を道理に照らしあわせて、 趣意の一貫したものとして説明すること。
生処 生まれるべきところ。
天帝釈 たいしゃくてんのこと。
憍尸迦 梵語カウシカ (kauśika) の音写。 帝釈天のもとの姓。
橘栽 たちばな、 またはみかんの類 (柑橘類) の総称。
江北 江蘇こうそ省北部の地。 広義で長江 (揚子江) より北の地域。
河洛 黄河と洛水にはさまれた流域。 具体的には洛陽らくようの都。
菓肆 肆は店の意。 くだものを売る店のこと。
壟西 隴山ろうざんの西、隴西郡の地。 現在の甘粛かんしゅく省隴西。
趙魏 戦国七雄の趙国と魏国。 現在の河北かほく省南部、 さん西せい省の南部と北部、 河南かなん省の北部一帯をいう。
架桁 鳥かごのとまり木。
二乗女人根欠の事なし →補註10
訥口蹇吃 口ごもってなめらかでないこと。
与奪の名… 与はほめること、 奪はそしり、 しりぞけること。 ここでは浄土にはそしりの名さえないという意。
 すぐれていること。
修短業に繋がれて 寿命の長短がそれぞれの業報として決定しているという意。
ある論師 小乗の論師を指す。
名義 名の意味。
無窮の過 無限にくりかえして論証が成立しない過失。
五受陰 おんに同じ。
末後の身 菩薩が成仏する直前の身。 迷いの尽きる最後の身。
 はなびら。
 はなびらのすじ。
梵摩尼宝 梵は清浄しょうじょうの意、 きよらかな摩尼宝珠 (如意宝珠) のこと。
妙真珠網 すぐれた真珠をちりばめた飾りあみ。
四柱の宝幢 れんだいの四方にある宝でできた柱。
夜摩天宮 夜摩天にある宮殿。
雑華雲 種々の色をした花で飾られた雲。
減ずるところ唯一なれば 仏身の三十二相より、 ただ一相を欠いただけということ。 だいだっは一般には、 白毫相びゃくごうそう千輻輪相せんぷくりんそうの二相を欠くとされる。 またこれにより 「減ずるところ唯二」 とする異本もある。
蟷螂 かまきりのこと。 ¬荘子そうじ¼ に、 かまきりが車輪に向かっていく喩えがある。
簡ばず 区別しない。
諸仏正遍知海 正しく完全に真理をさとったあらゆる仏陀たちの意。
根色空明作意 眼という器官 (根)、 対象の事物 (色)、 空間 (空)、 明り (明)、 見ようという意思 (意) のこと。
眼ただ… 眼はただしききょう (もの、 すがた、 かたち) という対象 (所縁) を見るだけで、 声を聞く、 香を嗅ぐなどということはない。 ここにいう 「行ず」 は心が対象を認識するはたらきのこと。
して は車をおしかえすこと。 ここでは転じて軽んずる、 けなしおとしめるという意。
瞿曇 ここではどうが釈尊を軽んじていういい方。
道を成ずる… 釈尊成道の時、 その名声は色界しきかい初禅しょぜんてんにとどいたにすぎなかったという意。
 しょう法忍ぼうにんのこと。
これは黒これは白 黒は悪法・悪業、 白は善法・善業の意。
莦 悪い草と善い草。
 異本には 「熟」 とある。
虚しく往きて実ちて帰り 何ももたずに出かけて、 満ちたりて帰り。 ここでは、 心を虚しくして仏に向かえば、 仏のどくが満ち入るという意。
 異本には 「大衆」 とある。 →大衆だいしゅどく
根性欲 人々の素質 (こん)、 習性、 望み。
中下の死尸 しょうもん縁覚えんがくじょうのこと。 声聞乗を下乗、 縁覚乗を中乗、 菩薩乗を上乗という。 このうちの声聞 (下)・縁覚 (中) の二乗は、 最高のさとりを求める意志がなく、 仏になれないので、 死尸 (死骸の意) という。
強梁のもの 自然の理にさからうような強さ、 不自然な強さのもの。 梁は屋根をささえる横木であるが、 梁ばかりが強いと柱をこわし、 全体を破壊してしまうことからいう。
他縁をもつて廃忘する 他のことに気をとられすっかり忘れてしまう。
仏三たび語りたまひしに  仏は居迦離が舎利弗を謗るのを三度いさめられるが、 居迦離はいずれもききいれなかったために、 ついに地獄に堕ちたという。
第六天の魔 三界さんがいのうちよくかいの最高天である他化たけざいてんの王のこと。 仏道修行にはげむものを誘惑するので魔といわれる。
無上大宝 この上ないさとりのどくのことを宝に喩えていう。
堯舜の無為と称せしは 堯・舜は中国の伝説上の王の名。 それぞれ、 すぐれた臣下を持ちみずから何事もしないで天下を泰平におさめたとされることから無為といい、 中国における政事の理想とされる。
 引用は ¬大経¼ の上巻、 下巻および ¬小経¼ からの取意の文。
次いで仏処に補す 次に仏の位をおぎなう。 →一生いっしょうしょ
止足の情 満ち足りた気持ち。
目闇の比丘 →補註10
失明の比丘 →補註10
y>無礙むげの二利行ができないから小菩薩という。
 水面にうつった太陽のすがた。
所宜を量りて ちょうどよい時をはかって。
実に修行… 修行したことに少しのとらわれもないということ。
一切諸仏の大会 あらゆる仏たちの説法の会座。
巧妙の弁辞 たくみな弁才。 理解・表現の能力が自由自在であること。
大慈謙忍 しゅじょう救済のために、 忍んで身をへりくだること。
問ひていはく… →補註3
すなはち…回向して 親鸞聖人は 「乃至一念せん。 至心に回向せしめたまへり」 (信文類訓) と読まれた。
外道凡夫人 異本には 「外凡夫人」 とある。 凡夫の位を内・外にわけたとき、 じゅうじゅう十行じゅうぎょうじゅうこう三賢さんげん位の賢者を内凡ないぼんというのに対し、 十信じっしん以下の善悪の凡夫をぼんという。 また五逆ほうぼう以外の凡夫人のこととする説もある。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。 五常ごじょうのこと。
先づ牽くの義 義は重い方が先に報いがあらわれるという道理。
虚妄顛倒の見に依止して 真実の理にそむいた誤った見解をよりどころにして。
方便安慰 いろいろてだてをして教え、 心を安らかにすること。
実相の法 名号には仏のさとられた諸法しょほう実相じっそうの徳が含まれているので、 仏の名号のことを実相という。
両経 ¬観経¼ と業を説く教典のこと。
無間 相続すること。
頭数 念仏の回数の意。
蟪蛄 夏のおわりに鳴く蝉。
朱陽の節 夏の季節。
神に通ずるもの 神通力じんずうりきを持つ仏のこと。
筆点に題する 筆で書き記す。
底本は◎本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(宗祖加点本)[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ高野山寶壽院蔵鎌倉時代書写本(上巻)、 Ⓑ大阪府金剛寺蔵保延四年書写本(下巻)、 Ⓒ山口県常満寺蔵室町時代刊本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
○「第一序分」と右傍註記
 Ⓐになし
←○イマシ
サム←○
→Ⓓ
无顧悪人←○↠顧コト↠悪
←○
コボ←○ヤブ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ
 ○「衍字[口且反 学也]と下欄註記
 左Ⓓムネ
風航 左Ⓓホカケブネ
 左○フネノホナリ
○「第二正宗分三 一大意」と右傍註記
 ○と上欄訂記
←○
→ⒶⒹ
服膺 左Ⓓシタガヒ ヨハキ モチヰ
。梵フハ↢「優婆提舎」↡←○↢梵言↡。「優婆提舎
体例ナリ。然ルニ←○体例然ナリ
 Ⓐと右傍註記
 Ⓐになし(と右傍註記)
→Ⓓ ○と上書訂記し、 さらにと左傍註記
相応スレバ←○相応
ナリ←○
←○
 ○「或本義字也」と上欄註記
而已←○而已ナラクノミ
レドモ←○
←○
 ○「仍字 ジヨ承反」と左傍註記
↠経。為↢総摂セムガ↡故ナリ←○↢誦経ルガ↢総摂↡故
↠偈。為↢解義←○↢釈偈ルガ↢解義[ト]
↢…↡。←○フコヽロハ
ズルノ↠生ゼムト↢彼安楽浄土如来浄花↡生ナリ←○↠生[ゼム]ト↢彼安楽浄土↡、如来浄花ズルガ
 Ⓐになし
←○
→Ⓓ
←○ナラクノミ
→◎ⒶⒸ ○
○「三入文二 一総説分即上巻也」と右傍註記
←○
→Ⓐ(と上欄註記)
所以←○所以コノユヘ
ギテ←○
従第三行 Ⓐになし(従第三行と右傍註記)
→Ⓓ
→◎ ○と上書訂記し、 さらにと下欄註記
 Ⓐと上欄註記
 Ⓐ註云と上欄註記
←○
←○
○レ
リテ←○イマシテ
ズルニ↠生ゼムト←○願生
ルナリ↣…帰シタテマツルト↢…↡←○…帰シタテマツルナリ↠於↢…↡
帰于 ○皈于帰於と上欄訂記
←○ケム
←○
←○ Ⓐと上欄註記
 左Ⓓサトル
↧…由アルガ↥。…報↠徳←○↧…由ルガ↦…報ズルニ↞徳
 左Ⓐアキラム ○「督字 アキラカナリ勤也率也正也」と上欄註記
タテマツリ
…。←○[ズル]コト…、
何以→Ⓐ以何
○ヤ
自指之←○ミヅカラフル↠之
ニシテ←○ナリ
←○[ザ]ル
然礼拝 Ⓐになし(然禮拝と右傍註記)
ニシテ←○ナリ
セバ、帰命←○セバ↢帰命↡、
 Ⓒになし
ヘリ↧「…故ナリト」↥。←○、「…故トナリ。」
スルニ←○
スルガ←○フガ
如実←○↠実
スニ←○[シ]タマフニ
←○[シタテ]マツル
クト←○[ケタテ]マツル
←○ラムヤ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→ⒶⒹ
→◎Ⓐ
→Ⓐ(と右傍註記)
ハバ←○フハ
フハ←○ タマフハ
←○
 右○「スルナリ」と上書訂記
←○
←○
←○ タマ
↢凡夫↟謂←○↢凡夫ユルイハ
↢凡夫↟見生死←○キハ↢凡夫↠見生死
所有←○ユルコトアラ
←○
→Ⓓ亦[復]
←○ケム
ザレバナリ←○
←○
←○
→ⒸⒹ
↠下ナリ←○↢下
セム←○スト
←○シテ
ナリ←○ニト
→ⒶⒹ故[得]
←○得↠名コトヲ
上欄補記
憂波→Ⓓ優婆
レノニカルト←○何所依
ニカルト←○何故依
云何ルト←○云何依
ナリ←○
←○[ス]コト
←○
 Ⓐになし
→Ⓓ ○と下欄訂記
ズルガ←○ゼルガ
ナリ←○ニト
→Ⓐ
右○「ノ」を「カナヘルガ」と上書訂記
 右○「ノ」を「ヲ」と上書訂記
ソナハスニ↢三界↡…衆生シバラレテ↢此三界↡、顛倒・不浄ナリ←○ソナハシテ↧三界…衆生マツワルヽヲ↦此三界、顛倒不浄↥、
シタマヘル←○シタマフ
シタマヘリ←○シタマフ
尺音蠖 左Ⓐヲギムシ
→Ⓓ
→◎ⒶⒸ
↢…自縛スルガ←○クナリ↢…ミヅカラマツワ
キテ↢衆生於不虚偽処、於不輪転処、於不无窮←○↣衆生↢不虚偽処↡、↢不輪転処、於↢不无窮処↡
←○
ナリ
ナルガ←○
→Ⓐ道[者]
←○シム
←○
 Ⓐになし
 左Ⓐタノム カヽル ヨル
 左Ⓐヤスム カヽル イコフ
シク←○シキ
ナリ←○
シウと上書訂記
ナルト←○ナリト
无際ナリ←○キワ
→ⒶⒹ
ツハ←○[シバラ]ク
由生←○ユヘヨリ[ズル]ナリ
→Ⓐ(と右傍註記)
 左→Ⓐツナグ
→Ⓐ(ハカリゴトと右傍註記) ○ゴンハカリゴト
セリ←○シテ
是近言ナリ←○オサコトバ
→◎Ⓒ→Ⓐ ←○カウ
左Ⓐメグル
←○ズイ反アヤウシ
→Ⓓ
ナリ←○ヲヽシ
→Ⓓ
→Ⓐ(と上欄註記) ←○ケイホトリ
→◎○ⒶⒸ
←○ハイマサル
→◎○Ⓒ
←○シヨカギル
ナリ←○ニシテ
丘之 Ⓐ水中高と右傍註記
迫迮←○ハクセマリ サクセマル
←○ナリ
逼隘←○ヒチセマリ イチイヤシ
←○
←○
→Ⓓ陋[已売反]
→◎○Ⓒ Ⓐになし
→Ⓐ(と右傍註記)
クト↢虚空←○如虚空
広大ニシテ无際ナラムト←○広大无際
クノ↢虚空←○如虚空
クトイフ←○シトイフ
无際ナルヲ←○キヲ↟際
←○
↠生←○ゼム
无際ニシテ←○クシテ
スル←○セムヤ
→Ⓒ
 左Ⓐユタカニ
 左Ⓐツクルコト ←○シウタカラ
→◎Ⓒ
←○ケイサカイ
左Ⓐナハテ アゼ
←○エンサカイ
左Ⓐアシ
ワズラハサムヤ←○カサネムヤ
→◎
→Ⓐ所[宅イ无]
 左Ⓐカヌ イル ←○カヌ
 左Ⓐカヌ ←○ヲサム
→Ⓓ ←ケフセバシ
左Ⓐセマシ
←○マコトアキラカニ
左Ⓐアキラカ キハム
カム↢…広ナルニ↡耶←○ゴトキヲ↢…広ナルガ
攀厭禅定←○ヘン↢厭スルヲ禅定
フヲ↠出ムト←○ネガイ
サムト←○イデムト
↧法蔵菩薩…所↞成ズル←○↢法蔵菩薩↡。…所ナリ↠成ジタマヘル
積習 左Ⓓツム ナラフ
必然義 左Ⓓカナラズサダマルコトナリ
 左Ⓓヨシ
←ナレバナリ○
←○
→Ⓐ即[是]
…。故←○セル…故
ヘリ←○
と下欄補記
→Ⓐ(と右傍註記し、宇析之七八尺曰仞と上欄註記) ○ジンジンと上書訂記
カラム←○ケム
メムト←○メタマヘリ
○ニシテ
於有余←○↟有[ル]コト↠余
シタマヘル←○シタマフト
アラハ←○トス
アラハルレバ←○トスレバ
→Ⓐ三[諸イ无]
ツガ←○チタマヘルガ
…故ナリ←○…。故
スガ←○[シ]タマフガ
←○
宝↢重スト…↡←○タカラクスト↢…↡
スコトヲ←○ルコトヲ
珍翫スレドモ←○メヅラシクモテアソベドモ
 ○「北」と左傍註記
 ○「南」と左傍註記
リナルナリ←○リナラムト
←○ヒウ
→Ⓐ卒[土]
→◎○Ⓒ
→○Ⓓ Ⓐと右傍註記 ○と右傍訂記
 ○或本ツヽシムデ字也と上欄註記
如何。是←○如何 イカン セム
ヘリ←○ノタマ
→◎Ⓒ
澐溺←○ウンウルフ マウオボル
←○ と上書訂記
洪涛←○洪涛コウタウ
滓沫←○アワマチアワ
凝凘←○ギヨウコホル
→◎○ⒶⒸ
→◎○ⒶⒸ
→Ⓐ→Ⓓ ←○カウミヅノナガルカタチ を上書訂記
→Ⓐ
→ⒶⒹ ←○タウ
→Ⓐ
←○ソクセマル
→Ⓓ
↠←○トク
→Ⓓ
↠常←○失常ナリ
サキ←○ムカフニ
ウシロ←○ソムクニ
→Ⓓ
←○[ソナ]ハスニ
←○
↠序←○[リ]テハジメ
トシテ←○
トイフコト↟可ナラ←○不可ナルコト
シタマヘル←○シタマフヤ
→Ⓓ
嶕嶢←○セウゲウタカク
→Ⓐ
峻嶺ニシテ←○シユンサカシレイニシテ
レイニシテと下欄訂記
タハリ←○タヘ
岝峉←○サクヤマノカホガクヤマノカホ
嶙ニシテ←○嶙ケイリンニシテ
莦茅←○莦茅セウバウ
→Ⓐ(と右傍註記)
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓒ
→Ⓓ
→Ⓐ
无蹤←○シヨウ
アキラカニシテ←○ヒトシクシテ
ラムト↢映飾←○サム↢映飾
←○セム
→Ⓐ(と右傍註記)
震烈←○シムレチシテシムクワク
烖霓←○烖霓サイゲイ
←○
シテ
アラハサムト←○
→Ⓐ
 Ⓐと上欄註記
→ⒶⒸⒹ
→Ⓐと上書訂記
ラシテ↢花トヲ↡荘厳←○[フ]↢花衣荘厳
→Ⓓ
←○ゼム
←○オモ
延↦請セムト所尊←○[ベ]ムト↦請所尊
←○
←○[シ]テ
シク←○貧感ビンカンニシテ
→Ⓐ悲[心]
ラシテ←○[フ]リテ
タサムト←○テム
←○イフコトバ
→Ⓒ
ハム。←○フコトヲ、
ラサバ←○[フ]ラバ
宝質←○ホウスガタ
→Ⓓ
←○
使メムト↧…入↢仏智恵↡、不↞…←○使メテ↧…入↦仏智恵[ニ]↥、↠…
→Ⓓと上書註記
 ⒶⒹになし
ヘリ←○ノタマフト
梵声悟ラシムルコト←○梵声サトリ
妙遠ナレドモ←○ケレドモ
ラシムルコト←○ラスルコト
イヘリ
ラシムル←○ラスル
ザレバナリ←○
ヅルナリ…。←○デテ…、
→Ⓐ(と右傍註記)
セシムルヲ←○スルヲ
ラシムル←○
ヘリ←○ノタマヘリ
ヘリ←○ノタマヘリト
羅刹為レバ↠君←○羅刹↠君
相噉←○相噉
マレバ←○マル
ウレヒ←○ワウクウ
←○
セラル←○[セ]リ
ヘリ←○ タマ
→Ⓐ
→Ⓓ尿
ホトリ←○キシ
→Ⓐ(と上欄註記)
 左Ⓐスグルタカシ
リテ←○エントシテ
→Ⓐ(亡公反と右傍註記)→Ⓒ
ムル←○ヤス
 左Ⓐタシナミ
ナルモ←○ナリ
↧…无キガ←○如…カリキ
→Ⓓ
←○
→Ⓐ身[愛]
○ヌ
○イフ
斧鉞←○オノ オチマサカリ
テラレ↢蓬藜←○ホウシクヒシ
 左Ⓐソヨメク 衣ノナルナリ
→Ⓐ(と右傍註記)
左Ⓐメグム
 ◎Ⓒになし ○ 右傍補記
→Ⓐ(と右傍註記) Ⓓになし
、出シテ↠麻歴経シテ↠還ルコトヲ←○↢出デヽ↠麻歴経サイスト
と上書訂記し、 さらにと右傍註記
ズル↢大義↡之門←○ズル↢大義之門
イタリテ↠城←○[リ]テ↠城
成↢就スル大乗↡之門←○成↢就スル大乗之門
→Ⓓ(聖教全書の註により補足)
スト←○イマス[ト]
←○
↠拓クヲ↠眉アザケリ←○テシゲテ↠眉スヲアザケリ
 左Ⓐツバナガシテ
ヲシテ←○
 Ⓐになし(と右傍註記)
 Ⓐになし(と右傍註記)
ラバ↣…計量シテルコト↢…↡者←○↢…計量↡知↢…↡
稽首シタテマツルト←○稽首礼ストイヘリ
キハ←○シト
リテ↧説↢…↡処↥←○↠説コト↢…↡処
セムムヤ
ノタマハク←○ハク
 左Ⓐホガラカニ
↠言フガ←○如言
→Ⓐ(と右傍註記)
ヘリ←○ノタマヘリ
←○ウエ
→Ⓒ
趙魏←○テウグヰ
。彼←○↠彼
サバ←○[ス]ハ
ヰム↢…言フヲ←○ベケム↢…言
軟心菩薩 ○「軟心ノ菩薩ト云ハ金剛心ナラヌ菩薩也」と上欄註記
シクハ←○
→Ⓓ
→Ⓐ人[人]
クト←○ナリトアキラカ
→Ⓒ
→◎Ⓒ ○レウと右傍訂記
 左Ⓐコトヾモリ
 ○と上書訂記し、 さらにケンと右傍訂記
左Ⓐフサグ
→Ⓐ𠰏 𠰏コケコトヾモリ と上欄註記
と上書訂記し、 さらにボフナルヲと右傍訂記
→Ⓓ
リテ↢如↠是クノ等↡、根←○↢如↠是根↡、
↠言…。明カナリ↣…无キコト↢…↡←○キコト↠言…明カナリ。…无↢…↡
スニ←○ルニ
 左Ⓓヨシ
→Ⓓ 左Ⓓクキ
←○
シテ…而←○ルヲシテ
 左Ⓓカイ
使 Ⓐになし
 左Ⓐカクル
←○凡性
ガレテ↠業←○繋業
スルコト←○スルニ
是故→Ⓓ故我
ヘリ←○ タマヘリ
←○[ク]ハ
結↧成観↢察スルハ…成就↡所↦以ナルコトヲ願生スル←○結↣成観↢察スルコトヲ…成就↡、所↢以 ユヘ 願生
→Ⓒ
○ゾヤ
スガ←○ルガ
←○
ジ←○[ズル]ニ
→◎
→Ⓐ(と右傍註記)
アリ←○ニイマス
ジタマフ…。←○ジテ…、
使メムト↣…台ヲシテ、…為↢…↡←○使メテ↢…台↡、…為ムト↢…↡
猶如←○猶如 ゴト
←○
←○クモノゴトクニ
化↢作スト←○シテ
→◎Ⓒ Ⓐと右傍註記
→◎Ⓐ
→Ⓐ
ニシテ←○ナリ
→◎Ⓒ→Ⓓ
↡。所↠減ズル←○↟減ズル
→Ⓐ
→Ⓒ
、←ナリ○
→Ⓐ
ヲシテ
シタマヘリ←○セリ
←○カ[ラ]ム
→ⒸⒹ
 Ⓐと上欄註記
→◎
→Ⓓ Ⓐと上欄註記
ベタマフニ↟臂←○ベタマハムヒヂ
 Ⓐになし
↠言。故←○ルガ↠言ハムト
サシワタシ…由旬ナル←○ワタ↢…由旬
→◎Ⓒ
是故汝等 Ⓐになし
汝等←○汝等ナンダチ
法界 Ⓐになし
リテ↢…因縁←○ジテ…因縁
←○マナコ
←○
 Ⓐになし
リテ↢…時←○…時
←○コレ
心作仏←○是心作仏
ルト↟仏←○作仏スト
心是仏←○是心是仏
↠火カレテ、木←○↠火[キ]テ↠木
→Ⓒ
真正←○ナリ、正ナリ
←○ナル
→Ⓐ
←○[リ]ヌ
→Ⓐ[如]是
←○ミコヱ
梵響←○ヒヾキ
ソナハスニ↢…如来↡…。…。成ズル↠道日、声唯徹↢梵天↡。←○[ソナハ]ス↧…如来…、…、成[ズル]ニ↠道フニトオスヲ↦梵天↥。
シテ↠人←○人シヤニン
→Ⓐ此[心]
→Ⓐ
ヲシテ←○カム
←○カラムト
使メムト↫…如クナラ↪…无キガ↩…↨。←○使…如↣…无キガ↢…↡、
→◎ⒶⒸ
←○ヤスクス
←○ルニ
↠是于息←○オイテヲヤ[ニ]↟息[ム]
→Ⓐ(と下欄註記)
→Ⓓ ○と上書訂記
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓓ
ソナハスニ↢…如来↡…、衆不↢純浄ナラ↡。
←○ソナハスニ↧…如来、…スベルヲ↦純浄ナラ↥。
説法輪下←○タマフ↢法輪モト
大衆、諸根・←○大衆諸根
→Ⓓ厳[大]
カギリ←○キシ
→Ⓓ
ヒテ↢…不ルコトヲ↟宿←○[ク]、…宿ヤド
←○ガイ
ルヲ←○
 Ⓐと上欄註記
→Ⓐ(「王と右傍註記)
○ニ
ラム↠仏←○ラム↠仏
↢能ジテ↠心…等シキコト←○クシテ↢能生心↡…ヒトシカラム
ソナハスニ←○[タテマ]ツルニ
↱…語リシガ↫…仏…当シト↪…学↩余道↨。←○↧…語ラハク↢…仏↡…当セムトイヒシガ↦余道↥、
リタマヒシニ←○ルニ
 Ⓐと右傍註記
ムコト←○モノウキコト
所↣以←○所以コノユヘニ
←○マフア
→Ⓓ
セドモ←○[ス]トモ
ヘリ←○
←○ゼヨ
ヰル↠観ズルコトヲ←○↠観
ストキニハ←○ストキンバ
キトキニハ←○キトキンバ
 ◎Ⓑになし
ギテ←○[イ]デ
ジテ←○トシテ
ミテ←○ンデ
→Ⓒ
スルモノ←○シテ
↠我ツナゲト↠針←○ラム↢我シン
↢其ツナギタマフ↠針←○ラムト↢其維針
コモゴモ←○マジハ
モトムベキ←○ツベキ
←○ナラクノミ
聞暗→Ⓓ暗聞
 Ⓓになし
ノミニシテ←○
↢供養←○↢供養
↢教化←○ズル↢教化
如来眷属←○如来↡眷属
←○オモ
スルニ←○
不↠能↧…照、…教↦化スルコト衆生↥。←○不↠能↧…照コト。…教↢化スルコト衆生↡、
→Ⓓ
サムト←○
→Ⓐ(と右傍註記)
不動ニシテ←○↠動シテ
↢一時ナラ←○ルハ↢一時
←○シト
←○ 右「レガ」と上書訂記
↠居スル←○所居
←○
ナリトモ←○ニカ
カラムニハ←○マシマサヌ
←○ニシテ
アリテ←○シテ
←○ シマサヌ
←○
←○キテ
→Ⓓ
ヘルハ←○ノタマヘルハ
←○[シ]タマフ
←○
←○セムコト
ルマデ↢一念←○乃至一念セム
シテ↠心廻向シテ←○至心廻向シタマヘリ
ズレバ←○[ズル]ハ
 ⒶⒹになし(Ⓐと右傍註記)
フニ←○
下品→Ⓒ品下
→◎Ⓒ ○と上欄訂記
→Ⓓ
 Ⓐになし
ズルコト←○ズルニ
…、←○…。
 ○と上欄訂記
見↧金蓮花…住ルヲ↦…↥←○[ル]ニ↢金蓮華↡…住セム↢…↡
 ○と下欄訂記
猶如クシテ←○猶如 ゴト クシテ
→ⒸⒹ
→Ⓓ
→Ⓓ
サム←○セム
 Ⓐになし(と右傍註記)
但令 タダ …得↢…↡←○但↧↦…↥
皆得往生 ◎になし ○下欄補記
…。←○ルニ…、
スルモ←○セル
←○シム
→Ⓓ言[作]
→Ⓒ
 Ⓐになし
 左Ⓓワカツ
スル←○セムヤ
スルヲ←○セルヲ
←○シムト
→Ⓐ
アリテ←○
ルヤ←○ムヤ
但令 タダ 誹↢謗シテ…↡←○但令メテ↣誹↢謗…↡
→Ⓐ(と右傍註記) ○と上書訂記
←○
ジテ↢彼安楽↡而←○貪↣カレ↢安楽ジテ
ズル↠生ゼムト←○↠生
ムルガ←○メムガ
←○マシマサズ
、其←○↢其
誹↢謗スト正法←○誹謗正法
→Ⓓ
 左Ⓓミチ
ツト←○テム
繋属 左Ⓓツナギツナグ
スル↢云何セムト←○オモハムヤ↢云何
ハバ↫…応シト↪…繋↩在三界↨者←○謂…↧…繋↦在三界
↢…校量↡。…義←○↣…校↢量…義↡。
←○
リテ↢…安慰↡聞キテ↢…↡←○[リ]テ↣…安慰シテクニ↢…↡
↠在リト↠心←○↢在心
依↢止←○↢止[マリ]
 左Ⓓハカラフ
 左Ⓓホガラカナリ
ヰテルニ↠鼓←○用↢以[ル] ヲ↟鼓
ヅト←○抜出スト
↠在リト↠縁←○↢在縁
→◎Ⓒ
←○ルヤ
←○イフコヽロ
↣憶↢念スルヲ…仏↡。…別相、←○フコヽロハ憶↢念シテ…仏…別相↡、
シテ↠心ゲバ↠想←○凝心注想セバ
→Ⓓワキマフ
ヘル↢「十念」↡←○ノタマハク「十念」
ル…也。←○レト…也、
フガ↢…不↟…。…乎←○↧…↠…、
 左Ⓓアカシ
→Ⓓ
十念業成←○十念業成ズトイフ
←○ノミ
ラム↠須ヰルコトヲ↠知ルヲ←○ヰム↠知ルコトヲ
←○
 左Ⓓシルス