依観経等明般舟三昧行道往生讃
比丘僧善導撰
◎序分
【1】 ▼敬ひて*一切往生の知識等にまうす。 大きにすべからく慚愧すべし。 釈迦如来は実にこれ慈悲の父母なり。 種々の方便をもつてわれらが無上の信心を発起せしめたまふ。 また種々の方便を説きて教門一にあらざることは、 ただわれら*倒見の凡夫のためなり。 もしよく教によりて修行すれば、 すなはち門々に仏を見て浄土に生ずることを得。
一切往生の知識等 往生を願うすべての同行たち。 ここでの知識は同行、 法友の意。
倒見 真理にそむいた謝った見解。
敬白↢一切往生知識等↡。大須↢慚愧↡。釈迦如来実是慈悲父母。種種方便、発↢起我等無上信心↡。又説↢種種方便↡、教門非↠一、但為↢我等倒見凡夫↡。若能依↠教修行者、則門門見↠仏、得↠生↢浄土↡。
もし人ありて善を行ずるを見聞せば、 すなはち善をもつてこれを助けよ。 もし人ありて教を行ずるを見聞せば、 これを讃めよ。 もし人ありて行を説くを聞かば、 すなはち行によりてこれに順へ。 もし人ありて悟ることあるを聞かば、 すなはち悟によりてこれを喜べ。
若見↢聞有↠人行↟善者即以↠善助↠之、若見↢聞有↠人行↟教讃↠之、若聞↢人説↟行即依↠行順↠之、若聞↢人有↟悟即依↠悟喜↠之。
なんの意ぞしかるとならば、 同じく諸仏をもつて師となし、 *法をもつて母となして*生養し、 ともに同じく情親しみて外きにあらざればなり。 *他の有縁の教行を軽毀し、 *自の有縁の要法を讃ずることを得ざれ。 すなはちこれみづから諸仏の*法眼をあひ破壊するなり。 法眼すでに滅しなば、 菩提の正道*履足するに由なし。 浄土の門、 なんぞよく入ることを得ん。 傷歎していはく、
法 仏法。 仏の教法。
生養 育て養うこと。
他の… 他人に縁のある教えや修行を軽視しそしる。
自の… 自分に縁のある肝要な教えだけをほめたたえてはならない。
履足 ふみ歩むこと。
何意然者、同以↢諸仏↡為↠師、以↠法為↠母生養、共同情親非↠外。不↠得↧軽↢毀他有縁之教行↡、讃↦自有縁之要法↥。即是自相↢破↣壊諸仏法眼↡。法眼既滅、菩提正道、履足無↠由。浄土之門、何能得↠入。傷歎曰。
*生盲にして業に信せて走く、 業に随へば*深坑に堕す。
深坑 深いあな。
生盲信↠業走、 随↠業堕↢阬↡。
この*貪瞋の火をほしいままにすれば、 自損し他人を損じ、
縦↢此貪瞋火↡、 自損損↢他人↡、
長く無明の海に没して、 *木に遇ふこと永く縁なし。
木に遇ふ 盲亀浮木の喩えをうけていう。 大海中に住む盲目の亀が、 百年に一度、 海上に顔を出し、 そこに流れてきた板のあなに出遇うことが極めて困難であるように、 仏法に遇うこともきわめて難しい。
長没↢無明海↡、 遇↠木永無↠縁。
行者等かならずすべからく一切*凡聖の境の上において、 つねに*讃順の心を起して、 *是非慊恨を生ずることなかるべし。 なんがゆゑぞしかるとならば、 みづから*身口意業を防がんがためなり。 おそらくは不善の業起らば、 またこれ流転すること前と異なることなからん。 もし自他の境の上に三業を護り得てよく清浄ならしむれば、 すなはちこれ仏国に生ずる正因なり。
讃順の心 讃嘆し信順する心。
是非慊恨 よしあしを論じたり、 嫌い恨んだりする心。
行者等必須↧於↢一切凡聖境上↡、常起↢讃順之心↡、莫↞生↢是非慊恨↡也。何故然者、為↣自防↢身口意業↡。恐不善業起、復是流転与↠前無↠異。若自他境上護↢得三業↡、能令↢清浄↡者、即是生↢仏国↡之正因。
問ひていはく、 すでに三業清浄なる、 これ浄土に生ずる正因なりといはば、 いかんが作業して清浄と名づくることを得る。
問曰。既道↧三業清浄、是生↢浄土↡正因↥者、云何作業得↠名↢清浄↡。
答へていはく、 一切の不善の法、 自他の身口意にすべて断じて行ぜざる、 これを清浄と名づく。 また自他の身口意相応の善にはすなはち上々*随喜の心を起す。 もろもろの仏・菩薩の所作の随喜のごとく、 われもまたかくのごとく随喜す。 この善根をもつて*回して浄土に生ず。 ゆゑに名づけて正因となす。 また浄土に生ぜんと欲せば、 かならずすべからくみづから勧め他を勧めて広く浄土の*依正二報の荘厳の事を讃ずべし。 またすべからく*浄土に入る縁起、 *娑婆を出づる本末を知るべし。 もろもろの有智のもの、 知るべし。
随喜 善事をよろこぶ心。
浄土に入る縁儀 浄土に往生する縁由、 いわれ。
娑婆を出づる本末 迷いの世界である娑婆を離れ出る次第。
答曰。一切不善之法、自他身口意総断不↠行、是名↢清浄↡。又自他身口意相応善、即起↢上上随喜心↡、如↢諸仏菩薩所作随喜↡、我亦如↠是随喜。以↢此善根↡迴生↢浄土↡。故名為↢正因↡也。又欲↠生↢浄土↡、必須↣自勧勧↠他広讃↢浄土依正二報荘厳事↡。亦須↠知↧入↢浄土↡之縁起、出↢娑婆↡之本末↥。諸有智者、応↠知。
【2】 また問ひていはく、 「般舟三昧楽」 とは、 これなんの義ぞや。
又問曰。般舟三昧楽者、是何義也。
答へていはく、 *梵語には 「般舟」 と名づく、 ここ (中国) には*翻じて 「常行道」 と名づく。 あるいは七日、 九十日、 身行じて*無間なり、 総じては三業無間に名づく。 ゆゑに般舟と名づく。 また 「三昧」 といふは、 またこれ*西国 (印度) の語、 ここには翻じて名づけて 「定」 となす。 前の三業無間によりて、 心至りて感ずるところすなはち*仏境現前す。 まさしく境現ずる時すなはち*身心内悦す。 ゆゑに名づけて楽となす。 また*立定見諸仏と名づく、 知るべし。
梵語 サンスクリット語のこと。 インドの古典語。
翻じて 翻訳して。
西国の語 梵語 (サンスクリット) のこと。
仏境現前す 仏の境界が行者の面前に現れる。
身心内悦す 身も心もよろこびにみたされる。
立定見諸仏 定に入って諸仏を見ること。 「立常見諸仏」 とする異本もある。
答曰。梵語名↢般舟↡、此翻名↢常行道↡。或七日・九・十日、身行無間総名↢三業無間↡、故名↢般舟↡也。又言↢三昧↡者、亦是西国語、此翻名為↠定。由↢前三業無間↡、心至所↠感、即仏境現前。正境現時、即身心内悦。故名為↠楽、亦名↢立定見諸仏↡也。応↠知。
◎正讃
【3】 般舟三昧楽 願往生
般舟三昧楽 願往生
*三界・*六道は苦にして停まりがたし 無量楽
三界六道苦難↠停 無量楽
*曠劫よりこのかたつねに*没々たり 願往生
没々 深く沈んでいるさま。
曠劫已来常没没 願往生
到るところただ生死の声のみを聞く 無量楽
到処唯聞↢生死声↡ 無量楽
釈迦如来の真の報土は 願往生
釈迦如来真報土 願往生
清浄荘厳の*無勝これなり 無量楽
無勝 無勝荘厳国のこと。 無勝土ともいう。 西方四十二恒河沙の諸仏の国土の彼方にある釈迦仏の浄土。 北本 ¬涅槃経¼ 巻二十四に説かれる。
清浄荘厳無勝是 無量楽
娑婆を度せんがために*化を分ちて入り 願往生
化 釈迦仏の化身のこと。
為↠度↢娑婆↡分化入 願往生
*八相成仏して衆生を度したまふ 無量楽
八相成仏度↢衆生↡ 無量楽
あるいは人・天・二乗の法を説き 願往生
或説↢人・天・二乗法↡ 願往生
あるいは菩薩涅槃の因を説き 無量楽
或説↢菩薩涅槃因↡ 無量楽
あるいは漸あるいは頓*空有を明かして 願往生
空有 空の立場と有の立場。
或漸或頓明↢空有↡ 願往生
*人法二障ならべて除かしめたまふ 無量楽
人法二障 人・法二つの我見のさわり。 人について実態的な自我があると執着するさわりと、 すべての存在 (法) について固定的な実体があると執着するさわり。
人・法二障遣↢双除↡ 無量楽
*根性利なるものはみな益を蒙る 願往生
根性利者皆蒙↠益 願往生
鈍根無智は開悟しがたし 無量楽
鈍根無智難↢開悟↡ 無量楽
▼¬*瓔珞経¼ のなかには*漸教を説く 願往生
¬瓔珞経¼中説↢漸教↡ 願往生
万劫の修功不退を証す 無量楽
万劫修↠功証↢不退↡ 無量楽
¬観経¼・¬弥陀経¼ 等の説は 願往生
¬観経¼「弥陀経¼等説 願往生
すなはちこれ*頓教*菩提蔵なり 無量楽
菩提蔵 仏のさとりに至らせる教え。 「菩薩蔵」 とする異本もある。
即是頓教菩提蔵 無量楽
一日七日もつぱら仏を称すれば 願往生
一日七日専称↠仏 願往生
命断えて須臾に安楽に生ず 無量楽
命断須臾生↢安楽↡ 無量楽
一たび*弥陀涅槃国に入りぬれば 願往生
弥陀涅槃国 阿弥陀仏の浄土が涅槃のさとりの世界であることを示す。 →
涅槃
一入↢弥陀涅槃国↡ 願往生
すなはち不退を得て*無生を証す 無量楽
即得↢不退↡証↢無生↡ 無量楽
万劫の修功実に続きがたし 願往生
万劫修↠功実難↠続 願往生
一時に煩悩百たび千たび間はる 無量楽
一時煩悩百千間 無量楽
もし娑婆にして*法忍を証することを待たば 願往生
若待↣娑婆証↢法忍↡ 願往生
六道にして恒沙の劫にもいまだ期あらず 無量楽
六道恒沙劫未↠期 無量楽
*貪瞋はすなはちこれ輪廻の業なり 願往生
貪瞋即是輪迴業 願往生
煩悩あにこれ無生の因ならんや 無量楽
煩悩豈是無生因 無量楽
この貪瞋火焼の苦を験むるに 願往生
験↢此貪瞋火焼苦↡ 願往生
走きて弥陀国に入るにしかず 無量楽
不↠如走入↢弥陀国↡ 無量楽
【4】 弥陀*因地にして*発心の時 願往生
因地 仏のさとりを得るための修行の段階。 因位ともいう。
弥陀因地発心時 願往生
たちまちに王位を捨てて菩提を求めたまふ 無量楽
頓捨↢王位↡求↢菩提↡ 無量楽
*饒王仏の所にして鬚髪を落し 願往生
饒王仏所落↢鬚髪↡ 願往生
出家修道するを*法蔵と名づく 無量楽
出家修↠道名↢法蔵↡ 無量楽
四十八願これによりて発す 願往生
四十八願因↠茲発 願往生
一々の誓願は衆生のためなり 無量楽
一一誓願為↢衆生↡ 無量楽
衆宝をもつて荘厳して極楽と名づく 願往生
衆宝荘厳名↢極楽↡ 願往生
広大*寛平にして限量なし 無量楽
広大寛平無↢限量↡ 無量楽
われ菩提を得ば*心に当ひて坐し 願往生
心に当然ひて坐し 浄土の中央に座り。 ここでの心は中心、 中央の意。
我得↢菩提↡当心坐 願往生
*後際を徹窮して衆生を度せん 無量楽
後際を徹窮して 未来際を尽して。 未来永劫に。
徹↢窮後際↡度↢衆生↡ 無量楽
身相の光明は法界を照らす 願往生
身相光明照↢法界↡ 願往生
光の及ぶところの処みな益を蒙る 無量楽
光所↠及処皆蒙↠益 無量楽
一々の光明は相続して照らし 願往生
一一光明相続照 願往生
念仏往生の人を照らし*覓む 無量楽
覓む 「覓」 はさがしもとめるの意。
照↢覓念仏往生人↡ 無量楽
十方諸仏の国に比せんと欲するに 願往生
欲↠比↢十方諸仏国↡ 願往生
極楽は身を安んずるに実にこれ*精なり 無量楽
極楽安↠身実是精 無量楽
【5】 般舟三昧楽 願往生
般舟三昧楽 願往生
釈迦如来は*悲意深くまします 無量楽
悲意 衆生をあわれむ大悲の心。
釈迦如来悲意 無量楽
*本師釈迦*普行を修して 願往生
本師 根本の師。
普行 あらゆる善行。
本師釈迦修↢普行↡ 願往生
*長時長劫に衆生を度したまふ 無量楽
長時長劫 限りなく長い時間。
長時長劫度↢衆生↡ 無量楽
一切如来方便を設けたまふこと 願往生
一切如来設↢方便↡ 願往生
また今日の釈迦尊に同じ 無量楽
亦同↢今日釈迦尊↡ 無量楽
機に随ひて法を説くにみな益を蒙る 願往生
随↠機説↠法皆蒙↠益 願往生
おのおの悟解を得て*真門に入る 無量楽
真門 真実の法門。 仏のさとりに至る門。
各得↢悟解↡入↢真門↡ 無量楽
▼門々不同にして*八万四なるは 願往生
八万四 八万四千の略。 多数の意。 仏の説かれた教法が多数であることを示す。
門門不同八万四 願往生
無明と*果と*業因とを滅せんがためなり 無量楽
果 ここでは生死の苦果のこと。
業因 ここでは生死の苦果をまねく原因となる行為のこと。
為↠滅↢無明果業因↡ 無量楽
*利剣はすなはちこれ弥陀の号なり 願往生
利剣 するどいつるぎ。
利剣即是弥陀号 願往生
一声称念すれば罪みな除こる 無量楽
一声称念罪皆除 無量楽
【6】 釈迦如来因地の時 願往生
釈迦如来因地時 願往生
たちまちに*身財を捨てて妙法を求め 無量楽
身財 身命と財産。
頓捨↢身財↡求↢妙法↡ 無量楽
小劫・大劫・長時劫 願往生
小劫・大劫・長時劫 願往生
仏語に随順して誓ひて修行す 無量楽
随↢順仏語↡誓修行 無量楽
念々時中に六度を行じ 願往生
念念時中行↢六度↡ 願往生
*慈悲喜捨して衆生を化したまふ 無量楽
慈悲喜捨化↢衆生↡ 無量楽
三業にもつぱら*無間業を修して 願往生
無間業 絶え間のない行業。
三業専修↢無間業↡ 願往生
誓ひて*菩提無上の尊となりたまふ 無量楽
菩提無常の尊 この上ないさとりをひらかれた方。 仏のこと。
誓作↢菩提無上尊↡ 無量楽
菩提無上の果を証得して 願往生
証↢得菩提無上果↡ 願往生
身を百億に分ちて衆生を度したまふ 無量楽
分↢身百億↡度↢衆生↡ 無量楽
*一音をもつて演説したまふに機に随ひて悟り 願往生
一音を… 仏の教えは本来ただ一つであるのに、 衆生はそれぞれの素質能力に応じてさとるという意。 ¬維摩経¼ 「仏国品」 等に出る。
一音演説随↠機悟 願往生
おのおの悟に随ひて*真元に到る 無量楽
各各随↠悟到↢真元↡ 無量楽
般舟三昧楽 願往生
般舟三昧楽 願往生
釈迦如来の教に随順すべし 無量楽
随↢順釈迦如来教↡ 無量楽
【7】 ▼仏教多門にして*八万四なるは 願往生
仏教多門八万四 願往生
まさしく衆生の機不同なるがためなり 無量楽
正為↢衆生機不同↡ 無量楽
身を安んずる*常住の処を*覓めんと欲せば 願往生
常住の処 生滅変化を離れた涅槃のさとりの世界。
欲↠覓↢安身常住処↡ 願往生
先づ*要行を求めて*真門に入れ 無量楽
要行 肝要な行業。
先求↢要行↡入↢真門↡ 無量楽
▼門々不同なるを漸教と名づく 願往生
門門不同名↢漸教↡ 願往生
万劫苦行して無生を証す 無量楽
万劫苦行証↢無生↡ 無量楽
*畢命を期となしてもつぱら念仏すれば 願往生
畢命を期となして 命が終る時を限りとして。
畢命為↠期専念仏 願往生
須臾に命断えて仏迎へ将たまふ 無量楽
須臾命断仏迎将 無量楽
*一食の時なほ間はることあり 願往生
一食の… 一度の食事をする僅かの間にも煩悩がまじわるという意。
一食之時尚有↠間 願往生
いかんが万劫に*貪瞋せざらん 無量楽
如何万劫不↢貪瞋↡ 無量楽
貪瞋は人天を受くる路を障へて 願往生
貪瞋障↧受↢人天↡路↥ 願往生
*三悪・四趣のうちに身を安く 無量楽
三悪四趣 三悪は疑獄・
餓鬼・
畜生の三悪趣、 四趣はこれに
阿修羅を加えた四悪趣のこと。 →
悪趣
三悪・四趣内安↠身 無量楽
弥陀安養国に到らんと欲せば 願往生
欲↠到↢弥陀安養国↡ 願往生
念仏・戒行かならずすべからく*回すべし 無量楽
念仏戒行必須↠迴 無量楽
戒行専精なれば諸仏讃めたまひ 願往生
戒行専精諸仏讃 願往生
臨終に*華座おのづから来迎す 無量楽
臨終華座自来迎 無量楽
一念のあひだに*仏会に入りて 願往生
一念之間入↢仏会↡ 願往生
三界・六道永く名を除く 無量楽
三界六道永除↠名 無量楽
*三明六通みな自在なり 願往生
三明六通皆自在 願往生
畢命すれば不退にして無為を証す 無量楽
畢竟不退証↢無為↡ 無量楽
*四種の威儀につねに仏を見たてまつる 願往生
四種威儀常見↠仏 願往生
手に香華を執りてつねに供養したてまつる 無量楽
手執↢香華↡常供養 無量楽
一念一時衆に随ひて聴き 願往生
一念一時随↠衆聴 願往生
百千の三昧自然に成ず 無量楽
百千三昧自然成 無量楽
一切時中につねに定に入る 願往生
一切時中常入↠定 願往生
*定理聞経みな得悟す 無量楽
定理聞経みな得悟す 禅定の中にあって教えを聞き、 すべてみなさとりを得る。
定理聞経皆得悟 無量楽
百宝の荘厳念に随ひて現じ 願往生
百宝荘厳随↠念現 願往生
*長劫に供養して*慈恩を報ず 無量楽
長劫供養報↢慈恩↡ 無量楽
▼*微塵の故業智に随ひて滅し 願往生
微塵の…滅し 無始以来の多くの悪業は智慧によって滅尽しの意。 親鸞聖人は 「微塵の故業と随智と滅す」 (信文類訓) と読まれた。 この場合の随智は自力の智慧の意か。
微塵故業随智滅 願往生
*不覚転じて真如門に入れば 無量楽
不覚転じて…入れば 迷いを転じて真如の門に入ればの意。 親鸞聖人は 「覚へざるに真如の門に転入す」 (行文類訓) と読まれた。
不↠覚転↢入真如門↡ 無量楽
大小僧祇恒沙劫も 願往生
大小僧祇恒沙劫 願往生
また*弾指須臾のあひだのごとし 無量楽
弾指須臾のあひだ 指をはじくほどの短い時間。
亦如↢弾指須臾間↡ 無量楽
かくのごとく快楽の処に*逍遙す 願往生
如↠此逍遥快楽処 願往生
さらに何事を貪りてか生ずることを求めざらん 無量楽
更貪↢何事↡不↠求↠生 無量楽
たとひ千年五欲を受くとも 願往生
縦使千年受↢五欲↡ 願往生
地獄の苦の因縁を増長せん 無量楽
増↢長地獄苦因縁↡ 無量楽
*貪瞋十悪相続して起る 願往生
貪瞋十悪相続起 願往生
あにこれ解脱涅槃の因ならんや 無量楽
豈是解脱涅槃因 無量楽
三塗を畏れずして衆罪を造り 願往生
不↠畏↢三塗↡造↢衆罪↡ 願往生
三宝を破滅して永く*沈淪す 無量楽
破↢滅三宝↡永沈淪 無量楽
父母に孝せず眷属を罵りて 願往生
不↠孝↢父母↡罵↢眷属↡ 願往生
地獄に身を安き出づる期なし 無量楽
地獄安↠身無↢出期↡ 無量楽
*曠劫よりこのかた苦海に沈みて 願往生
曠劫已来沈↢苦海↡ 願往生
*西方の要法いまだかつて聞かず 無量楽
西方の要法 西方浄土に往生するという肝要な教え。
西方要法未↢曾聞↡ 無量楽
人身を得たりといへども多く障あり 願往生
雖得↢人身↡多有↠障 願往生
*仏化を受けずしてかへりて疑を生ず 無量楽
仏化 仏の教化。
不↠受↢仏化↡反生↠疑 無量楽
六方如来の慈悲極まり 願往生
六方如来慈悲極 願往生
同心に同じく勧めて西方に往かしめたまふ 無量楽
同心同勧往↢西方↡ 無量楽
長病*遠行には日を計へず 願往生
遠行 遠方にでかけること。
長病遠行不↠計↠日 願往生
*念仏にはすなはち功夫なしといふ 無量楽
念仏には… 念仏をつとめるいとまがないという。 功夫はつとめる、 実践するの意。
念仏即道↠無↢功夫↡ 無量楽
かくのごとき人は*化度しがたし 願往生
如↠此之人難↢化度↡ 願往生
無明に底められてかつ長く眠る 無量楽
無明被↠底且長眠 無量楽
【8】 もつぱら ¬弥陀¼・¬観経¼ の法を読むべし 願往生
専読↢¬弥陀¼¬観経¼法↡ 願往生
文々句々に西方を説く 無量楽
文文句句説↢西方↡ 無量楽
地下の*宝幢無億数なり 願往生
地下宝幢無億数 願往生
*方楞具足してことごとく光を輝かす 無量楽
方楞具足して 方は側面、 楞は角の意。 ¬観経¼ に 「八方八楞具足」 とあるのをうける。 法幢が八角柱の形をなしているということ。
方楞具足尽輝↠光 無量楽
万億の宝珠あひ*映飾して 願往生
万億宝珠相映飾 願往生
おのおの*希奇の事を変現す 無量楽
希奇の事 すぐれたありさま。
各各変↢現希奇事↡ 無量楽
上衆宝荘厳の地を照らして 願往生
照↢上衆宝荘厳地↡ 願往生
雑色百千の日よりも過ぎたり 無量楽
雑色過↢於百千日↡ 無量楽
自身の光明は紫金色なり 願往生
自身光明紫金色 願往生
足宝地を践みて徐々として行く 無量楽
足践↢宝地↡徐徐行 無量楽
この無生宝国の地を得るは 願往生
得↢此無生宝国地↡ 願往生
みなこれ弥陀願力の恩なり 無量楽
皆是弥陀願力恩 無量楽
一切時中に妙法を聞く 願往生
一切時中聞↢妙法↡ 願往生
煩悩・罪障起るに由なし 無量楽
煩悩罪障無↠由↠起 無量楽
菩薩は*知識同学となり 願往生
菩薩知識為↢同学↡ 願往生
手を携へあひ将て*宝堂に入らしむ 無量楽
携↠手相将入↢宝堂↡ 無量楽
念々のうちに法楽を受け 願往生
念念之中受↢法楽↡ 願往生
須臾に百千の門を悟得す 無量楽
須臾悟↢得百千門↡ 無量楽
*大衆同心に*この界を厭へ 願往生
大衆 同じく往生を願う者を指していう。
この界 娑婆世界を指す。
大衆同心厭↢此界↡ 願往生
仏の願力に乗ずれば弥陀を見たてまつる 無量楽
乗↢仏願力↡見↢弥陀↡ 無量楽
たちまちに思量すれば心髄痛む 願往生
忽爾思量心髄痛 願往生
*無窮の劫にもいたづらに疲労せり 無量楽
無窮の劫 はかりしれないほどの長い時間。
無窮之劫枉疲労 無量楽
みづから今身に浄土を聞くことを慶ぶ 願往生
自慶↣今身聞↢浄土↡ 願往生
身命を惜しまずして西方に往かん 無量楽
不↠惜↢身命↡往↢西方↡ 無量楽
西方は快楽無為の処なり 願往生
西方快楽無為処 願往生
*天上・人間に*比量なし 無量楽
天上人間 天の世界と人間の世界。
比量なし たぐいない。
天上・人間無↢比量↡ 無量楽
*六天あひ勝るること億万倍なるも 願往生
六天相勝億万倍 願往生
西方の人の一相にも及ばず 無量楽
不↠及↢西方人一相↡ 無量楽
三十二相ありて*通自在なり 願往生
三十二相通自在 願往生
身光あまねく十方界を照らす 無量楽
身光徧照↢十方界↡ 無量楽
世の帝王より六天に至るまで 願往生
従↢世帝王↡至↢六天↡ 願往生
音楽あひ勝るること億万重なり 無量楽
音楽相勝億万重 無量楽
仏国の宝林枝あひ触るるに 願往生
仏国宝林枝相触 願往生
*六天の音楽は一にもしかず 無量楽
六天音楽不↠如↠一 無量楽
時によりて供養の香風起り 願往生
依↠時供養香風起 願往生
樹を払へば華飛びて宝池に落つ 無量楽
払↠樹華飛落↢宝池↡ 無量楽
宝樹の飛華*徳水に汎ぶ 願往生
宝樹飛華汎↢徳水↡ 願往生
童子*捉取しをはりて船となす 無量楽
捉取 つかみとること。
童子捉取已為↠船 無量楽
船に乗りてただちに*蓮華会に入る 願往生
蓮華会 宝池の中にある蓮華の会座。
乗↠船直入↢蓮華会↡ 願往生
化仏・菩薩衣を与へて被しめたまふ 無量楽
化仏・菩薩与↠衣被 無量楽
おのおの香華を執りて仏前に立し 願往生
各執↢香華↡仏前立 願往生
徐々としてはるかに散ずれば変じて雲となる 無量楽
徐徐遥散変成↠雲 無量楽
宝雲の荘厳はすなはちこれ*蓋なり 願往生
宝雲荘厳即是蓋 願往生
すなはち*宝果を与へて教へて食せしむ 無量楽
宝果 宝樹にみのる果実。
即与↢宝果↡教令↠食 無量楽
*往生の善知識に遇値ひて 願往生
遇↢値往生善知識↡ 願往生
浄土・弥陀の名を聞くことを得たり 無量楽
得↠聞↢浄土弥陀名↡ 無量楽
仏の願力によりて来りてあひ見ゆ 願往生
因↢仏願力↡来相見 願往生
つねに*この国に住して*還るを須ゐず 無量楽
この国 西方浄土。
還るを須ゐず 迷いの世界に帰る必要はないという意。
常住↢此国↡不↠須↠還 無量楽
*法侶携へ将て林に入りて看れば 願往生
法侶携将入↠林看 願往生
足下の輝光日月に超えたり 無量楽
足下輝光超↢日月↡ 無量楽
菩薩の衆会窮尽することなし 願往生
菩薩衆会無↢窮尽↡ 願往生
おのおのの身光たがひにあひ照らす 無量楽
各各身光互相照 無量楽
*新往の化生も紫金色なり 願往生
新往の化生 新たに浄土に往生した者。
新往化生紫金色 願往生
もろもろの*大衆と*殊異なし 無量楽
大衆 浄土の聖者を指していう。
殊異なし 異なるところがない。
与↢諸大衆↡無↢殊異↡ 無量楽
あるいは宝楼に入りて衆中に坐す 願往生
或入↢宝楼↡衆中坐 願往生
大衆見るものみな歓喜す 無量楽
大衆見者皆歓喜 無量楽
種々の荘厳識るべからず 願往生
種種荘厳不↠可↠識 願往生
内外あひ看るに*障礙なし 無量楽
内外相看無↢障礙↡ 無量楽
足を佇むれば須臾に法楽を受く 願往生
佇↠足須臾受↢法楽↡ 願往生
三昧*無生自然に悟る 無量楽
三昧無生自然悟 無量楽
【9】 地上の荘厳衆宝間はる 願往生
地上荘厳衆宝間 願往生
雑色あひ参はりて百千万なり 無量楽
雑色相参百千万 無量楽
宝座・*華台処々に満てり 願往生
宝座・華台処処満 願往生
心に随ひて受用するに光来りて照らす 無量楽
随↠心受用光来照 無量楽
百千の童子・菩薩衆 願往生
百千童子菩薩衆 願往生
おのおの香華を捧げて池に臨みて看る 無量楽
各捧↢香華↡臨↠池看 無量楽
あるいは坐しあるいは立して*池渠の岸にあり 願往生
或坐或立池渠岸 願往生
あるいは*階を尋ねて宝池に入るものあり 無量楽
階 階段。
或有↣尋↠階入↢宝池↡ 無量楽
あるいは沙に立ちあるいは膝に至り 願往生
或立↢于沙↡或至↠膝 願往生
あるいは腰頭を没しあるいは懸け注ぐ 無量楽
或没↢腰頭↡或懸注 無量楽
あるいは*金華・百宝の葉を取りて 願往生
或取↢金華百宝葉↡ 願往生
岸上にして池を看る人に授与す 無量楽
授↢与岸上看↠池人↡ 無量楽
香華を受得すること千万種なり 願往生
受↢得香華↡千万種 願往生
すなはち*弥陀大会の上に散ず 無量楽
弥陀大会 阿弥陀仏の説法の会座。
即散↢弥陀大会上↡ 無量楽
所散の華変じて*蓋となる 願往生
所↠散之華変成↠蓋 願往生
自然の音楽繞ること千重なり 無量楽
自然音楽繞千重 無量楽
*宝鳥声を連ねて天の楽を奏す 願往生
宝鳥 阿弥陀仏の変化であるところの宝の鳥。 ¬観経¼ に 「百宝色の鳥」 とあるのをうけている。
宝鳥連↠声奏↢天楽↡ 願往生
一切の見るもの*悲心を起す 無量楽
悲心 慈悲の心。
一切見者起↢悲心↡ 無量楽
われいまここに到ることは仏の願力なり 願往生
我今到↠此仏願力 願往生
*同縁同行いづれの時にか来る 無量楽
同縁同行 同じ