六要ろくようしょう 第三だいさん きゅうほん

 

二 Ⅱ

【1】 当巻とうかん大門だいもん第三だいさんしんかす。 なかにおいてわかつ。

当巻大門第三↠信。於↠中↠五

いちにはじょ題目だいもくには別序べつじょさんにはしょう題目だいもくにはひょうには正釈しょうしゃくなり。

ニハ題目、二者別序、三ニハ正題目、四者標挙、五者正釈ナリ

二 Ⅱ ⅲ 序題目

【2】 はじめにじょ題目だいもくわかつことさきのごとし。

題目コト↠二↠前

二 Ⅱ ⅲ 別序

【3】 別序べつじょとは、 だい一巻いっかん最初さいしょ総序そうじょたいしてこれを別序べつじょごうす、 これ安心あんじんかん要須ようしゅたるがゆゑにこの別序べつじょあり。

別序者、対シテ↢第一巻最初総序↡号↢之別序↡、安心タル↢要須↡故↢此別序↡。

ふ。 じょもちゐるときつねぜんあんず。 よりてのちあんずるをもつてこれをじょといひ、 あるいはぜんをもつてこれをじょばつしょうす。 そのじょにあらずしてちゅうげんにこれをもちゐる、 そのれいあるや。

問。用↢二序↡時常↢前後↡。仍↠安コトヲ↠後↢之後序↡、或↢前後↡称↢之ハジメモト↡。非シテ↢其後序↡中間↠之、有↢其例↡耶。

こたふ。 もし天台てんだいによらば ¬法華ほけきょう¼ のほんじゃくもんにおいておのおのそのじょあり、 これそのしょうなり。

答。若ラバ↢天臺↡於↢¬法華経¼本迹二門↡各有↢其序↡、証也。

このじょなかきて、 もんわかちてとなす。

↢此↡、分↠文↠四

いちもんはじめより 「あいぜんぎょう」 にいたるまではこれりき信心しんじんぎょうそうあらわす。 かみには 「如来にょらい」 といふ、 これ弥陀みだやくす。 しもには 「だいしょう」 といふ、 これしゃやくす。

自↢文之初↡至マデハ↢「哀善巧」↡↢他力信心行相↡。上ニハ↢「如来」↡、↢弥陀↡。下ニハ↢「大聖」↡、↢釈迦↡。

に 「ねん末代まつだい」 のしもはこれ他師たしそのほんしゅうりき執情しゅうじょうかかはつて、 本願ほんがん真実しんじつ源底げんていあらわわさざることをかす。 これじつあやまりにあらず。 時機じきいまだじゅくせざれば、 みなけんのそのじつべんことをつらくのみ。 れいせば*天台てんだい*じょうようとう、 みなこれ大権だいごん、 おのおのみょうてつなりといへども、 しばらくきょうかくしてひそかに弥陀みだ如来にょらいおう善導ぜんどうだいかいじょうじゅつゆずりしがごとし。

「然末代」下↧他師カヽハ↢其本宗自力執情↡、不コトヲ↞顕↢本願真実源底↡。此↢実↡。時機未レバ↠熟、皆待ツラク↣後賢ベンコトヲ↢其実義ノミ。例セバ↧天臺・浄影等師、皆大権、各↢明哲ナリト↡、暫シテ↢経旨シガ↦弥陀如来応化、善導大師楷定述記↥。

さんに 「えん禿とく」 のしもはみづからのしょあたかもきょうろんしゃくじん、 かねて謗難ほうなんかえりみてけんごんぶることをあらわす。

「爰愚禿」下所解宛↢経論釈義深旨↡、兼↢謗難↡述コトヲ↦自謙↥。

に 「ごんじょうほう」 のしも総結そうけつもんなり。

欣浄邦」下総結文也。

二 Ⅱ ⅲ 正題目

【4】 さんしょう題目だいもくとは、 わかつことまたおなじ。 じょ題目だいもくたいしてしょう題目だいもくといふ、 ぎょうしんこうしてさんいでをじょうず。

正題目者、分コト↠二又同。対シテ↢序題目↡云↢正題目↡、行信鉤鎖シテ二三成↠次

二 Ⅱ ⅲ 標挙

【5】 ひょうといふは、 だいのちいちぎょうだいじゅうはちがん、 「しんしんぎょうがん」 これなり。 ちゅうに 「正定しょうじょうじゅ」 といふは、 これしんしんぎょうぎょうにん、 すなはち摂取せっしゅしゃやくこうぶるがゆゑに、 げんしょうながれわかかすなり。

言↢標挙↡者、題一行第十八願、「至心信楽之願」是也。註言↢「正定聚之機」↡者、↧至心信楽行人、即蒙ブルガ↢摂取不捨↡故、現与↢生死↡分↠流↥也。

二 Ⅱ ⅲ 正釈

【6】 正釈しょうしゃくなかに、 またわかちてとなす。 もんはじめよりしもじゅうあい」 にいたるまでは、 まづ信相しんそうひょうし、 かねてがんみょうぐ。 に 「しんしん」 のしもはまさしく諸文しょもんく。

正釈、又分↠二。自↢文初↡下至マデハ↢「重愛也」↡、先↢信相↡兼↢願名↡。二「至心信」下↢諸文↡。

二 Ⅱ ⅲ e 信相願名

【7】 はじめのもんなかにおいて つつしんであん」 とらは、 だいかんはじめにならべてぎょうしんひょうしてそのなかぎょうかす。 このゆゑに当巻とうかんにはひょうするにおよばず、 ただちにしんかすなり。

↢初↡「謹按ズト」等者、第二巻ベテシテ↢行信↡其↠行。是当巻ニハ不↠及↠標スルニ↠二タヾチ↠信也。

この信心しんじんたんずるに、 じゅう二句にくあり。 そのもんつべし。

ズルニ↢此信心↡、有↢十二句。其文可↠見

顛倒てんどう」 といひ 「虚偽こぎ」 といふ、 ¬ろんちゅう¼ のごんる。

↢「不顛倒」↡云↢「不虚偽」↡、借↢¬論¼↡言

二 Ⅱ ⅲ e 引文

【8】 引文いんもんなかに、

引文

二 Ⅱ ⅲ e ロ 因願成就文

因願いんがんじょうじゅと、 ¬だいきょう¼ と ¬ほうしゃく¼ とおのおのもつてこれをく。 そのつべし。

因願成就、¬大経¼¬宝積¼各以↠之。其義可↠見

ごん聞法もんぼうのう」 とらは、 ¬だいきょう¼ のかんさんじゅうもん、 これ聞法もんぼうもうとくたんず。

「又言聞法能不」等者、¬大経¼下巻三十偈文、↢聞法不忘之徳↡。

ふ。 次上つぎかみもんは ¬如来にょらい¼ のせついまもんは ¬だいきょう¼。 りょうきょう各別かくべつなり。 なんぞ 「」 といふや。 またしももんは ¬如来にょらい¼ のもん、 なんぞ ¬だいきょう¼ にたいしてまた 「」 といふや。 ぜん錯乱さくらんおもひがたし。 いかん。

問。次上文者¬如来会¼説、今¬大経¼。両経各別ナリ。何云↠「又」耶。又下二文¬如来会¼文、何シテ↢¬大経¼↡亦云↠「又」耶。前後錯乱難↠思。如何。

こたふ。 まことにもつておもひがたし。 このしょ大概たいがい類聚るいじゅのちしょうにんいくばくならずじゃくあいださいおよばず、 少々しょうしょうかくのごときことらなきにあらず。 かつはまた翻訳ほんやくありといへども、 梵本ぼんぽんおなじきがゆゑそのへんによるにあながちになきか。

答。誠↠思。此書大概類聚之後、上人不↠幾帰寂之間、不↠及↢再治↡、少々非↠無↢如↠此事等↡。且又雖↠有↢翻訳之異↡、梵本同ジキガ故依↢其義辺↡強無↠苦歟。

聞法もんぼうもうそくしん」 はしょうじょうよう*きょうごうはともにかのやくす、 *じゃくはここにやくす。 殿最でんさいりがたし。 ただしつぎ所引しょいんやくの ¬きょう¼ のもんに、 あるいは 「とうぎゃくじゅうあいしょうそん」 といひ、 あるいは 「常令じょうりょう諸仏しょぶつしょう」 といふ。 文勢もんぜいしゅこのやくする、 もつともそのたり。 よろしくじゃくによるべし。

「聞法不忘即我親友」称誉之義、浄影・憬興↢彼↡、義寂↠此。殿最難↠知。但所引異訳¬経¼文、或↢「当獲重愛聖尊」↡、或↢「常令諸仏生喜」↡。文勢義趣約スル↢比↡義、尤得タリ↢其↡。宜↠依↢寂↡。

ふ。 しょ異解いげそのしゃくかんとおもふ。

問。諸師異解欲↠聞ント↢其↡。

こたふ。 じょうよう (大経義疏巻下) のいはく、 「もんもうとは、 弥陀みだ仏所ぶっしょにしてほうきてわすれず。 けんきょうといふは、 弥陀みだぶつしん敬重きょうじゅうしょうず。 とくだいきょうとは、 さきほうぶつぎょうしてぜんることをかすなり。 ぎょうしゃじゅんずるをわがぜんづく。」

答。浄影師云、「聞不忘者、弥陀仏所ニシテ↠法不↠忘。言↢見敬↡者、見↢弥陀仏↡心↢敬重↡。得大慶者、明↣前↠法↠仏恭敬シテコトヲ↢善利↡也。 行順ズルヲ↢釈迦↡名↢我善友↡。」

きょうごう (述文賛巻下) のいはく、 「すなはち弥陀みだ所説しょせつわすれず、 またかのぶつしん敬重きょうじゅうしょうじてもつてだいをなす。 ぎょうしゃじゅんじてしゃせっせらる。 ゆゑにぜんといふ。」

憬興師云、「即不↠忘↢弥陀所説↡、亦見↢彼↡心ジテ↢敬重↡以↢大喜↡。行順ジテ↢釈迦↡釈迦↠摂。故↢善友↡。」

じゃく (大乗義記巻下) のいはく、 「聞法もんぼうのうもうとは、 きてよくおもふ。 ゆゑにわすれず。 けんきょうとくだいきょうとは、 ちゃくときにおいて、 その深趣じんしゅてしかも敬重きょうじゅうし、 その滋味じみてしかもおほきによろこぶ。 もしよくかくのごとくすれば、 すなはちぶつこころざしおなじくす。 ゆゑにそくしんぜんなりといふなり。」

義寂師云、「聞法能不忘者、聞而能。故不↠忘也。見敬得大慶者、於↢思択↡、見↢其深趣↡而敬重、得↢其滋味↡而。若クスレバ↠此、則与↠仏同↠志。故↢即我親善友也ト↡也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 『如来会』両文

【9】 次下つぎしもりょうもん、 おほきに ¬だいきょう¼ におなじ。

次下両文、大↢¬大経¼↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 『論註』文

【10】つぎに ¬ろんちゅう¼ のもんは、 ねんもんなか讃嘆さんだんもんしゃくなり。

¬論¼文、五念門讃嘆門ナリ

いま所引しょいんなかに、 はじしょう」 より 「相応そうおう」 にいたるまでのじゅう五字ごじは、 これ本論ほんろんもんしょう如来にょらいみょうしゃ以下いげは、 論文ろんもんさんわかちてこれをでっしゃくすらくのみ。

所引、初自↢「称彼」↡至マデノ↢「相応故」↡二十五字本論文。「称彼如来名者」以下、論文分↠三牒↢釈スラクノミ

第一だいいちきて、

↢第一↡、

ふ。 「しょう」 とらは、 いふところの 「しょう」 は、 しょうねんか、 しょうようか。

問。「称彼」等者、所↠言之「称」、称念義歟、称揚義歟。

こたふ。 そうじてこれをいはば二義にぎつうずべし。 べっしてこれをろんぜばしょうねんほんとなす。

答。総ジテハヾ↠之↠通↢二義↡。別シテ而論ゼバ↠之称念↠本

ふ。 いまの ¬ろん¼ につるところのねんもんなかに、 みょうごうしょうねん一門いちもんてず、 すなはち観察かんざつをもつて ¬ろん¼ のしょうとなす。

問。今¬論¼所↠立五念門、不↠立↢名号称念一門↡、即以↢観察↡為↢¬論¼正意↡。

したがひて ¬ちゅう¼ (論註巻下)もんるに、 讃嘆さんだんしゃくしていはく、 「さんとは讃揚さんようなり、 たんとはたんなり」 と。

ルニ↢¬註¼文↡、釈シテ↢讃嘆↡云、「讃者讃揚也、嘆者歌嘆也。」

すべからくしょうようやくすべし、 なんぞ二義にぎつうぜん。 いはんやしょうねんをもつてろんしょうとすること、 そのいかん。

↠約↢称揚↡、何ゼン↢二義↡。況↢称念スルコト↢¬論¼正意↡、其理如何。

こたふ。 あにさきにいはずや、 そうじて二義にぎつうずとは。 いま讃嘆さんだんしゃくはすなはち一辺いっぺんなり。 ただしべつしょうねんもんてざることは、 讃嘆さんだんといふはこれすなはちしょうしょうしょうようしょうねん二義にぎあり、 ゆゑにべってず。 おほよそしょうへんつうずるにおいて、 もし所讃しょさんやくせばこれすなはちみょうごうしょうねんするこれなり。 もし能讃のうさんやくせばしょうようなり。 しかるに能讃のうさんとは、 所讃しょさんほうにおいてしょうとくあるがゆゑなり。 もし所讃しょさんなくはなんぞ能讃のうさんあらん。 その所讃しょさんとはみょうごうこうみょう第一だいいちかすところ、 すなはちこれみょうごうほうなり。

答。豈不↢前↡、総ジテズトハ↢二義↡。今讃嘆則一辺ナリ。但コト↠立↢称念↡者、言↢讃嘆↡者是則称義、称↢称揚・称念二義↡、故不↢別立↡。凡↧称字通ズル↢二辺↡義↥、若セバ↢所讃則称↢念スル名号↡是也。若セバ↢能讃↡称揚之義ナリ。而能讃者、於↢所讃↡有ルガ↢勝徳↡故ナリ。若クハ↢所讃↡何ラン↢能讃↡。其所讃者名号、光明第一之句所↠明、即名号法也。

だいきて 仏光ぶっこう」 とらは、 ぶつこうみょう智慧ちえしょしょうなり。 ゆゑに 「如来にょらいこうみょうそう」 といふ。

↢第二↡「仏光」等者、仏之光明智恵所生ナリ。故↢「如来光明智相」↡。

第三だいさんきてのう」 とらは、 滅罪めつざいとくかす。 「一切いっさい」 のごんなかに、 わくしょうごっしょうほうしょう、 もろもろのぜんせっすべし。 能満のうまん」 とらは、 おうじょうやくかす。 また 「一切いっさい」 のごんねん見仏けんぶつとうせっすべし。

↢第三↡「能破」等者、明↢滅罪↡。「一切」言、応↠摂↢惑障・業障・報障、諸不善↡也。「能満」等者、明↢往生↡。又「一切」言可↠摂↢護念・見仏等↡也。

ねん」 とらは、 これそのといなり。 由不ゆふ」 とらは、 これそのこたえなり。 うん」 とらは、 これちょうもんなり。 「」 のしもにょ」 のかみに、 ほんに 「」 のあり、 これ脱落だつらくか。 謂不いふ」 とらは、 これそのこたえなり。 これにあり、 いちにはいはくしゅしんらざるをもつてはんじてみょう相応そうおうとなす。 にはいはく三種さんしゅ相応そうおうするをしょうして如実にょじつしゅぎょう相応そうおうとなす。

「然有」等者、問也。「由不」等者、答也。「云何」等者、徴問也。「為」下「如」上、本↢「不」字↡、脱落歟。「謂不」等者、答也。此↢二意↡、一ニハ↠不ルヲ↠知↢二種之身↡判ジテ↢名義不相応義↡。二ニハスルヲ↢三種不相応↡称シテ↢如実修行相応↡。

ふ。 実相じっそうもつしゅしん、 そのいかん。

問。実相・為物二種之身、其義如何。

こたふ。 これに二義にぎあり。 いちにいはく、 実相じっそうしんとはこれはこれぶつ、 すなはちほっしょう法身ほっしんといふこれなり。 もつしんとはこれはこれぶつ、 すなはち方便ほうべん法身ほっしんといふこれなり。 いちにいはく、 実相じっそうもつしゅ法身ほっしん、 ともにこれぶつしゅ法身ほっしんこれ自利じり利他りたとくやくす。 すなはちみょうとなり。 実相じっそうやくす。 すなはちこれこうみょうしょう法身ほっしんのゆゑに。 もつはこれ、 すなはちこれみょうごうしょうしゅじょうのゆゑに。

答。此↢二義↡。一義云、実相者此理仏、即云↢法性法身↡是也。為物者此事仏、即云↢方便法身↡是也。一義、実相・為物二種法身、共事仏、二種法身↢自利利他之徳↡。即名 トナリ↠義。実相↠義。即光明、摂法身。為物是名、即名号、摂衆生

ふ。 しばらくのちきてすでに実相じっそうといふ、 なんぞぶつたらん。

問。且↢後↡既↢実相↡、何タラ↢事仏↡。

こたふ。 いふところの実相じっそうそうにあらず、 これじつなり。 すなはちしょうぶつやくす。 いはくぶつじつとなししゅじょうとなし、 をもつてじつとなしめいをもつてとなす。

答。所↠言実相↢無相↡、虚実ナリ。即約↢生仏↡。謂↠実衆生↠虚、以↠悟↠実↠迷↠虚

ふ。 二義にぎなかに、 いづれをもつてかしょうとする。

問。二義之中、以テカ↠何↠正

こたふ。 二義にぎともにぞんず、 用捨ようしゃ学者がくしゃにあるべし。 ただしみょうやくする、 なほもんしたしきか。

答。二義共、用捨可↠在↢学者之意↡。但スル↢名義↡、猶親シキ↠文歟。

又有うう」 とらは、 これ如実にょじつ如実にょじつしゃくす。

「又有」等者、↢如実・不如実↡。

一者いっしゃ」 とらは、 第一だいいちしんは、 これしんにゃくやくす。 しんにゃくによるがゆゑにあるいはぎょうずるときあり、 あるときぎょうぜず。

「一者」等者、第一不信↢心弱↡。由ルガ↢心弱↡故↢行ズル時↡、或時不↠行

またくんうかがふに、 「じゅん」 ¬ぎょくへん¼ にいはく、 「じゅんりんせつしゅくなり。」 ¬広韻こういん¼ にいはく、 「じょうりんせつしょうなり、 ぼくなり。」 これらのくんによるに、 ぜんじょうじきとうつうずべきか。 ちゅうの 「じょうはん」、 「」 のおそらくはなり、 しょしょうあやまりか。 ¬広韻こういん¼ のごとくなるべし。

又窺フニ↢字訓↡、「淳」¬玉篇¼云、「之純、是倫二切、淑也。」¬広韻¼云、「常倫切、清也、朴也。」依↢此等↡、可↠通↢不善・不浄・不直等之義↡歟。註「常偸反」、「偸」字恐ナリ、書生誤歟。可↠如ナル↢¬広韻¼↡。

だいしん、 すでに 「いち」 といふ、 いちによるがゆゑにぎょういちじゅんならざるを 「相続そうぞく」 といふ。 ぎょうぞうするがゆゑに弥陀みだねんずるしん念々ねんねん間断けんだんす、 しゃくに 「ねんけん」 といふこれなり。

第二不信、既↢「不一」↡、由↢不一↡故行不ルヲ↢一准ナラ↡云↢「不相続」↡。雑スルガ↢余行↡故ズル↢弥陀↡心、念々間断。釈↢「余念間故」↡是也。

是故ぜこ」 とらは、

「是故」等者、

ふ。 かみ*三信さんしんげてさらにいちといはず。 一心いっしんもんをもつて三信さんしんけっす。 註釈ちゅうしゃく引文いんもんはなはだあひじゅんせず、 いかん。

問。上↢三信↡更不↠云↠一。以↢一心↡結↢三信↡。註釈引文甚不↢相順↡、如何。

こたふ。 かみ三信さんしんげてそのしんかいすといへども、 三信さんしんあひじょうじてつひに別心べっしんにあらず。 これをもつてこれをいふにただこれ開合かいごう、 そのあらわさんがために、 ゆゑにこのけっするにこのもんくなり。 よりてしもわたくししゃく、 もつぱら三心さんしん一心いっしんじょうず。 もつともこのかなふ、 ことに信受しんじゅすべし。

答。上↢三信↠開スト↢其↡、三信相成ジテ↢別心↡。以↠之↠之只是開合、為↠顕ンガ↢其↡、故スルニ↢此↡引↢此↡也。仍釈、専↢三心一心之義↡。尤叶↢此↡、殊↢信受↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 『讃弥陀偈』文

【11】つぎに ¬さん弥陀みだ¼、 このもんだいじゅうはちがんさんずるもんたるがゆゑに、 このくなり。

¬讃弥陀偈¼、此タル↧讃ズル↢第十八↡文↥故、引↢此↡也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 「定善義」文

【12】つぎ所引しょいんもんは 「じょうぜん」 のしゃく雑想ざっそうかん (観経) の 「弥陀みだぶつ神通じんずうにょ十方じっぽうこく変現へんげんざい」 のもんするしゃくなり。

所引「定善義」釈、解スル↢雑想観「阿弥陀仏神通如意、於十方国変現自在」之文↡釈也。

言如ごんにょ」 とらは、 にょごんにおいて二義にぎあるなかに、 のちほぼりきやくひょうす。 これ造悪ぞうあくてんぼんかい得脱とくだつおのれが所堪しょかんにあらず、 ひとへに仏徳ぶっとくたることをあらわす。 じょうぜん観門かんもんせつたりといへども、 所観しょかんぶつきてそのやくかすなり。

「言如」等者、於↢如意↡有↢二義↡中、後義粗標↢他力利益↡。↧造悪流転凡夫、開悟得脱非↢己所堪↡、偏コトヲ↦仏徳↥。↠為↢定善観門之説↡、就↢所観↡明↢其↡也。

げん」 といふはだい一巻いっかんす。

言↢「五眼」↡者載↢第一巻↡。

六通ろくつう」 といふは ¬しゃろん¼ のだいじゅうしち (玄奘訳智品) にいはく、 「いちにはじんきょうしょうつうには天眼てんげんしょうつうさんにはてんしょうつうにはしんしょうつうには宿住しゅくじゅう随念ずいねんしょうつうろくにはじんしょうつう六通ろくつうなか第六だいろくはただしょうなり、 しかれどもそのさき*しょうまたといへども、 総想そうそうによりてまたともにしょうなりとく。」

言↢「六通」↡者¬倶舎論¼第二十七云、「一ニハ神境智証通、二ニハ天眼智証通、三ニハ天耳智証通、四ニハ他心智証通、五ニハ宿住随念智証通、六ニハ漏尽智証通。↢六通第六唯聖ナリ、然異生亦↡、依↢総↡説↢亦共異生ナリト↡。」

二 Ⅱ ⅲ e ロ 「序分義」文

【13】つぎ所引しょいんもんは 「序分じょぶん」 のしゃくなり。

所引「序分義」釈ナリ

ふ。 いまこのもんくなんのゆえかあるや。

問。今引↢此↡有↢何↡耶。

こたふ。 じょうらい引文いんもんかすところ、 みなこれ如来にょらいさいしょう方便ほうべん如実にょじつ相応そうおう真実しんじつ信心しんじんなり。 そのしょは、 これ罪悪ざいあくしょうぼん煩悩ぼんのう賊害ぞくがいしゅじょうたるがゆゑに、 じょく五苦ごくはっ逼悩ひつのうじょう、 もつぱらそのたることをあらわさんがためにことさらにこれをく。

答。上来引文所↠明、皆如来済度利生方便、如実相応真実信心ナリ。其所被タル↢罪悪生死凡夫、煩悩賊害之衆生↡故、為↠顕サンガ↣五濁・五苦・八苦逼悩有情、専為コトヲ↢其機↡↠之也。

げんぎょうほん、 「五苦ごく(序分義)しもに 「はっ」 の二字にじあり、 いまのぞかるるか、 またあるか。

現行之本、 「五苦」下↢「八苦」二字↡、今被↠除歟、又有↠異歟。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 「散善義」五文

【14】つぎ所引しょいんは 「散善さんぜん」 のもん三心さんしんしゃくなり。 この三心さんしんは、 しゅつ直因じきいんぎょうじゃ最要さいようしんごうしんよろしくこんによるべし。 ともにぶっすればおうじょううたがいなし。 この三心さんしんにおいてぞんずべし。

所引者「散善義」文、三心釈也。此三心者、出離直因、行者最要、解信仰信宜↠依↢機根↡。共スレバ↢仏智↡往生無↠疑。於↢此三心↡可↠存↢二↡。

いちにはこれじょうさんしょほっするところなるがゆゑに、 まづぎょうじゃかぶらしめてその信相しんそうかす。 ゆゑに初心しょしん勧門かんもんかすとき、 まづそのやくしてぎょう真実しんじつなるべきすすむ。 誡門かいもんときおなじくそのやくして貪瞋とんじん虚仮こけはなるべしといましむ。 ない相応そうおうする、 これを真実しんじつといふ。 しかるにいまだりきりきわかたず。 しもしんこれにじゅんじてるべし。

一者ルガ↣定散諸機所↢発起スル↡故、先シメテ↢行者↡明↢其信相↡。故↢初心勧門↡之時、先シテ↢其↡勧↧可↢解行真実ナル↡之義↥。誡門之時、同シテ↢其↡誡シム↢貪嗔↡可↞離↢虚仮↡。内外相応スル、謂↢之真実↡。然而未↠分↢自力・他力↡。下之二心准ジテ↠之↠知

には三心さんしんみなこれ加来にょらいこうじょうじゅやくなり。 さらにぼんりきしんにあらず。 凡心ぼんしんさらに真実しんじつなし。 ひとへにりきすればその仏徳ぶっとくをもつておうじょうしょうとくす。 このゆゑににおいて信相しんそうろんぜず。 このへんやくして ¬だいきょう¼ ¬かんぎょう¼ 三信さんしん三心さんしん、 もとこれいちなり。 いまじょうしん勧誡かんかいもんその文点もんてんみてよろしくりょうせしむべし。 でんにあるべし。 またそのもんいたりてほぼすべからくのみ。

二者三心皆加来廻向成就之利益也。更↢凡夫自力之心↡。凡心更↢真実之義↡。偏スレバ↢他力↡以↢其仏徳↡証↢得往生↡。是↠機不↠論↢信相↡。約シテ↢此義辺↡¬大経¼¬観経¼三信・三心、本一意ナリ。今至誠心、勧誡二門読↢其文点↡宜↢領解↡。可↠在↢口伝↡。又至↢其↡粗可ラク↠解ノミ

二義にぎなかに、 はじめのじょうのちこん相伝そうでんなり。 次下つぎしも三心さんしん一心いっしんしゃくなかにつぶさにこのあり。

二義之中、初義、後今師相伝之義ナリ。次下三心・一心↢此意↡。

べんじょう」 とらは、 いまのこの三心さんしんしょういん」 といふにきて、 しょうとはじゃたいし、 またぼうたいするごんなり。 いまここにしょうといふそのんぬべし。 いんとはたいし、 またえんたいするごんなり。

「辨定」等者、今三心就↠云↢「正因」↡、正者対↠邪、又対スル↠傍ナリ。今コヽ↠正義可↠知。因者対↠果、又対スル↠縁ナリ

これすなはち ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ のなか見仏けんぶつえんしゃくしていはく、 「じょうしん信心しんじん願心がんしん内因ないいんとなし、 また弥陀みだ三種さんしゅ願力がんりきりてもつてえんとなして、 ない因縁いんねんごうす。 ゆゑにすなはちぶつる。」

是則¬観念法門¼中シテ↢見仏縁↡云、「至誠心・信心・願心↢内因↡、又籍↢弥陀三種願力↡以シテ↢外縁↡、外内因縁和合。故即見↠仏。」

三力さんりきといふは、 おなじきえんなかに、 ¬般舟はんじゅきょう¼ のせつによりてするところのだい誓願せいがんりき三味さんまいじょうりきほんどくりき、 これそのさんなり。 見仏けんぶつやくすでにない因縁いんねんによりてこれをおうじょうやくもつともじゅんすべし。

言↢三力↡者、同、依↢¬般舟経¼説↡所↢引スル↡之大誓願力・三味定力・本功徳力、三也。見仏之益既↢内外因縁↠之。往生之益尤可↢准知↡。

これによりてこのしょだいかん (行巻) に 「真実しんじつしん業識ごっしき、 これすなはち内因ないいんとす。 こうみょうみょう父母ぶも、 これすなはちえんとす。 ない因縁いんねんごうしてほう真身しんしんとくしょうす」 といへる、 けだしこのなり。

↠茲第二巻ヘル↧「真実信業識、斯則↢内因↡。光明・名父母、斯則為↢外縁↡。内外因縁和合シテ得↦証スト報土真身↥」、蓋義也。

ずい」 とらは、 「」 とはすなはちこれじょうさんしょ、 「やく」 とはすなはちこれしょおうじょう、 そのおうじょうることひとへに仏願ぶつがんなんやくみょうごう一法いっぽうによる。 しかるにぶついまだそのしょうあらわしたまはず、 これを 「みつ」 といふ。 このゆゑにもんちょうとうしたまふ。 もしかくのごとくならずは、 しゅじょうなにをもつてかこのようかん。 慇懃おんごん、 そのたっとむべし。

「随機」等者、「機」者即是定散諸機、「益」者即是諸機往生、得コト↢其往生↡偏↢仏願難思利益、名号一法↡。而仏未↠顕ハシタマハ↢其勝利↡、言↢之「意密」↡。是自問・自懲・自答シタマフ。若↠如ナラ↠是、衆生何テカカン↢此要義↡。慇懃之意、其義可↠貴。

【15】きょうにいはく一者いっしゃじょうしん」 とは、 これきょうもんでっす。

「経一者至誠心」者、↢経文↡。

ふ。 もん三巻さんかん一々いちいちに ¬きょう¼ をしゃくす。 なんぞこのもんかぎりてこのごんくや。

問。依文三巻、一々↠¬経¼。何↢此↡置↢此↡耶。

こたふ。 いふところの三心さんしんは、 いっきょう眼目げんもくしゅつ要道ようどうなり。 ゆゑに仏言ぶつごんげてしんじゅんすすむるなり。

答。所↠言三心、一経眼目、出離要道ナリ。故↢仏言↡勧↢信順↡也。

しゃ」 とらは、 これしゃくなり。 「」 のしん」 のくん管見かんけんいまだおよばず。 ただしかくのごときのれいしょうてんにこれおおし。 いはんや大権だいごんしゃくあおいでこれをしんずべし。 天台てんだいのごときは 「せん」 をもつて 「」 にくんず。 これまたいまだらず、 おのおのよりどころあるか。

「至者」等者、字釈也。「至」字「真」訓、管見未↠覃。但↠此例、聖典↠之。況大権釈、仰↠信↠之。如↢天臺↡者以↠「専」訓↠「至」。是又未↠知、各有↠拠歟。

よくみょう」 とらは、 勧門かんもんしゃくなり。 「しゅ」 のくん、 「よう」 のくんもちゐるべし。

「欲明」等者、勧門釈也。「須」字之訓、可↠用↢「用」訓↡。

しんちゅう」 とはぎょうじゃにあらず。 ぶつしょやくす、 これすなはち凡心ぼんしん真実しんじつにあらざるがゆゑに。 仏心ぶっしん真実しんじつとくするによりてその仏徳ぶっとくとなしておうじょうやく。 そのしょきて真実しんじつしんといふ、 しゅしゃくなり。

「心中作」者非↢行者↡。約↢仏所作↡、是則凡心↢真実↡故。依↠帰スルニ↢仏心真実之徳↡為シテ↢其仏徳↡得↢往生↡。就↢其所帰↡云↢真実心↡、依主釈也。

とく」 とらは、 誡門かいもんしゃくなり。 この文点もんてんげん」 より 「とく」 にかえる、 とうりゅう学者がくしゃさだめてぞんせるか。

「不得」等者、誡門釈也。此文点自↠「現」還↠「得」、当流学者定存知歟。

いまこのしゃくぞうぎょういましむるなり。 しかるゆゑは、 ぼんしんさらに賢善けんぜんしょうじんなし。 ただこれあくだいなり。 しかるにひとしんあくかえりみず、 随縁ずいえんぎょうして、 もし賢善けんぜんしょうじんしょぎょうしゅすることをもとめんとほっせば、 あくしょうしんなるがゆゑに煩悩ぼんのう賊害ぞくがいして、 かならずこれ虚仮こけ雑毒ぞうどくまぬかれじ、 「ない虚仮こけ」 これそのなり。 しかれば賢善けんぜんとうそうげんぜず、 しん三毒さんどくあくしょうしきしてりきぎょうりきぎょうして、 真実しんじつ清浄しょうじょうごうべきなり。 このしんすすむるをもつていましゃくようとなす。

今此釈意誡↢雑行↡也。所↢以然↡者、凡夫之心更↢賢善精進之義↡。只是愚悪懈怠機也。而人不↠顧↢自心愚悪↡、随縁起行シテ、若↠求メント↠修スルコトヲ↢賢善精進之諸行↡者、悪性ナルガ煩悩賊害シテ、必↠免↢虚仮雑毒↡、「内懐虚仮」義也。然者不↠現↢賢善等↡、識↢知シテ自心三毒悪性↢自力↡帰シテ↢他力↡、可↠得↢真実清浄↡也。以↠勧ムルヲ↢此↡為↢今↡。

すい」 とらは、 三業さんごうとなしあくしょうないとなす。 じょうのごときは、 をばしんづけ、 ないをばごうづく。 しかのごとくならばすいごうといふべし。 すでに三業さんごうといふ。 るべし、 三業さんごうはただこれなり。 ないあくしょうなり。

「雖起」等者、三業↠外悪性↠内。如↢常義↡者、外ヲバ↢身・口↡、内ヲバ↢意業↡。如ナラバ↠然↠云↢雖起二業↡。既↢三業↡。可↠知、三業只是外也。内悪性也。

にゃく」 とらは、 りきぜん雑毒ぞうどくたるがゆゑに身心しんしんはげますといへどもおうじょうざることをかす。

「若作」等者、明↧自力タル↢雑毒↡故雖↠励スト↢身心↡不コトヲ↞得↢往生↡。

何以がい」 とは、 ちょうもんごんなり。 これ雑毒ぞうどく虚仮こけぎょうしょうゆえちょうす。

「何以故」者、懲問言也。↢雑毒虚仮之行不生之由↡。

しょう」 とらは、 これそのこたえなり。 いふこころはかのじょう弥陀みだいんぎょうほうよりおこる、 いんちゅう所修しょしゅみなこれ真実しんじつなり。 ゆゑにしょうぜんとおもはんものは真実しんじつなるべしとなり。

「正由」等者、答也。言コヽロハ浄土起↠自↢弥陀因行・果報↡、因中所修皆真実ナリ。故ハン↠生ゼントシト↢真実ナル↡也。

ふ。 ぼんしんはもとこれじつなり、 いかでかかのぶつしょぎょう真実しんじつひとしからん。

問。凡夫心者本不実ナリ、争デカカラン↢彼所行真実↡。

こたふ。 仏願ぶつがんするをもつて真実しんじつづくるなり。 ぶついんちゅう真実しんじつしんそうたずぬるに、 ただ仏心ぶっしんす。 いまもまたおなじかるべし。 能修のうしゅぎょうじゃ、 そのしんにおいては、 かの仏心ぶっしんするに、 じょう善悪ぜんあくとうしゃありといへども、 仏願ぶつがんするは真実しんじつしんおこす。 このしんぼん所発しょほつたりといへども、 これぶっしょしんたるがゆゑに真実しんじつしんといふ。 さらにしゅじょうずいじょうしんにあらず。 ゆゑに等同とうどうならしむるなり。

答。以↠帰スルヲ↢仏願↡名↢真実↡也。尋ヌルニ↢仏因中真実心↡、↢仏心↡。今又可↠同カル。能修行者、於↢其↡者、比スルニ↢彼仏心↡、雖↠有↢浄穢・善悪等差↡、帰スル↢仏願↡者発↢真実心↡。此心雖↠似タリト↢凡夫所発↡、タル↢仏智所施心↡故↢真実心↡。更↢衆生随情↡。故ムル↢等同ナラ↡也。

おほよそいまもんにおいてその真実しんじつするにじゅうしゃくあり。 いちにはいんちゅうぎょうどう真実しんじつにはおほよそほどこしたまふところしゅをなすなり。 はじめはちょうさいぎょうつぎはかのぎょうをもつてしゅじょうほどこしたまふゆゑに、 しゅじょうこれをぎょうずれば、 如来にょらいいんちゅうがん契当かいとうするがゆゑに、 これぼん所発しょほつしんにあらず。 しかしながら如来にょらい利他りたしんたり。 このゆゑにしょうぜんとおもはば、 ぶつしてりき虚仮こけ雑毒ぞうどくぜんもちゐざれ。

↢今↡解スルニ↢其真実↡有↢二重釈↡。一者因中行道真実、二者凡所↠施シタマフ↢趣求↡也。初兆載行、次↢彼↡施シタマフガ↢衆生↡故、衆生行ズレバ↠之、契↢当スルガ如来因中↡故↢凡夫所発之心↡。併↢如来利他之心↡。是ハヾ↠生ゼント、帰シテ↠仏↠用↢自力虚仮雑毒之善↡。

施為せいしゅ」 は二利にり配当はいとうす、 「施為せい」 は利他りた、 「しゅ」 は自利じり、 これじょうなり。 いま文点もんてんあり、 施為せいみょうもくこれをようせず。 「ぼんしょ」 とは、 これ如来にょらいぶつはこれのう。 「しゅ」 とは、 これぎょうじゃやくす、 仏道ぶつどうしゅなり。 これすなはちぶつたいしてしゅじょうしょなり。 これ如来にょらい施与せよぎょうをもつてすなはちしゅじょうしゅぎょうとなす。 能所のうしょことなりといへどもともにこれ如来にょらい利他りたぎょうなるがゆゑにこれを真実しんじつといふ。

「施為趣求」配↢当二利↡、「施為」利他、「趣求」自利、義也。今有↢文点↡、施為名目不↣依↢用↡。「凡所施」者、如来施、仏能施。「為趣求」者、↢行者↡、仏道趣求ナリ。是則対シテ↠仏衆生所施ナリ↢如来施与之行↡即為↢衆生趣求之行↡。能所雖↠異ナリト如来利他ナルガ謂↢之真実↡。

亦皆やくかい」 といふは、 かみいんぎょう、 すなはちいましょなり。 かみには 「ぶつぎょう」 といひいまは 「しょ」 といふ、 のうぶつぎょうしょぎょうたい、 ともにこれ真実しんじつなり、 ゆゑに 「やく」 といふなり。

言↢「亦皆」↡者、上因位行、即今所施ナリ。上ニハ↢「仏行」↡今↢「所施」↡、能施仏行、所施行体、共真実ナリ、故云↠「亦」也。

しん」 とらは、 かさねて真実しんじつしゃくす。 なかにおいてさんあり。 いちにはそうじて捨悪しゃあく修善しゅぜんきて真実しんじつす。 には三業さんごうきてべっ欣厭ごんえんかす。 さんには善悪ぜんあくきて真実しんじつけっす。 そのもんやすし。

「又真」等者、重↢真実↡。於↠中↠三。一者総ジテ↢捨悪修善↡解↢真実↡。二ニハ↢三業↡別↢欣厭↡。三ニハ↢善悪↡結↢真実↡。其文易↠見。

ふ。 しゅありとひょうして、 利他りた真実しんじつしゃくせず、 いかん。

問。標シテ↠有↢二種↡、不↠釈↢利他真実↡、云何。

こたふ。 学者がくしゃ種々しゅじゅぞんずといへども、 しばらくろうりゅういちによらば、 じょうらいにいふところのしょ真実しんじつしゅ真実しんじつは、 いまひょうするところの 「利他りた真実しんじつ」 なり。 ゆゑにべつせず。 いまいふところの 「自利じり真実しんじつ」 は、 これじんじょう真実しんじつそうかす。 これすなはち上中じょうちゅうしゃあり。 もしそのじょうかみ安心あんじんうえにこのしょあり。 とらつのいただくがごとし。 ただしこのぎょうしょつうじがたし。 たとひかくのごとくならざれどもかみ利他りた真実しんじつそうかなひ、 ぶつしんあればまたおうじょう煩悩ぼんのう賊害ぞくがい下機げき、 もつぱらしょうたるゆゑなり。

答。学者雖↠存ズト↢種々之義↡、且↢当流一義↡者、上来↠言所施真実・趣求真実、今所↠標スル之「利他真実ナリ」。故不↠解。今所↠言之「自利真実」、↢尋常真実之相↡。是則機↢上中下差↡。若上機安心↢此所為↡。如↢虎クガ↟角。但行儀難↠通↢諸機↡。縦ザレドモ↠如クナラ↠此↢上利他真実之相↡、有レバ↢帰仏心↡亦得↢往生↡。煩悩賊害下機、専為↢正機↡故也。

けん」 とらは、 しもわたくししゃくに ¬はんぎょう¼ をきてそのないみょうあんかす。 そのつべし。

「不簡」等者、下解釈↢¬涅槃経¼↡明↢其内外明闇之義↡。可↠待↢其↡。

【16】つぎ深心じんしんしゃくするなかに、

スル↢深心↡中

しゃ」 とらは、 これきょうもんでっす。 じんとうといふは、 能信のうしんそうかす。 やく」 とらは、 所信しょしんあらわす。 これすなはちほうしゅ信心しんじんなり。

「二者」等者、↢経文↡。言↢「深」等↡者、明↢能信↡。「亦有」等者、顕↢所信↡。是則機法二種信心ナリ

無有むう」 とらは、 まさしくぜんぜんろんぜず、 こうらず、 しゅつひとへにりきにあることをかす。 しょうどうしょきょうさかんにしょうぶつ一如いちにょだんず。 いまきょうりきこうなきことをるによりてひとへに仏力ぶつりきす。 これによりてこのしんことに最要さいようなり。

「無有」等者、正↧不↠論↢有善・無善↡、不↠仮↢自↡、出離偏コトヲ↦他力↥。聖道諸教盛↢生仏一如之理↡。今↠知↢自力コトヲ↟功偏↢仏力↡。依↠之信殊最要也。

無疑むぎ」 とらは、 「にゃくしょうじゃしゅしょうがく(大経巻上)しょうがくすでにじょうず、 ゆゑに 「無疑むぎ」 といふ。 「即得そくとくおうじょうじゅ退転たいてん(大経巻下)一念いちねんあやまることなし、 ゆゑに 「りょ」 といふ。

「無疑」等者、「若不生者不取正覚」、正覚既、故↢「無疑」↡。「即得往生住往不退転」、一念无↠誤コト、故云↢「無慮」↡。

またしゃくあり。

又有↢二釈↡。

はじめにけつじょう深信じんしん」 とらは、 これ ¬かんぎょう¼ によりてしゃせつしんず。

「又決定深信」等者、↢¬観経¼↡信↢釈迦↡。

つぎけつじょう深信じんしん」 とらは、 ¬弥陀みだきょう¼ によりて諸仏しょぶつしょうしんず。 すなはちこれさんぎょうそくして信心しんじんけつりょうすることをしんずることをかす。

「又決定深信」等者、依↢¬弥陀経¼↡信↢諸仏↡。即↠信ズルコトヲ↢三経具足シテ信心決了スルコトヲ↡。

じん」 とらは、 このもんなかにおいて、 「ぶつ弟子でし」 にいたるまではさんぎょうによりてかくのごとくしんずるもの*そんおよび諸仏しょぶつしんじゅんしてすなはち自利じりることをかす。

「又深」等者、於↢此↡、至マデハ↢「仏弟子」↡明↧依↢三経↡如↠此ズル信↢順シテ二尊及諸仏↡即得コトヲ↦自利↥。

一切いっさい」 のしも利他りたとくかす。

「又一切」下↢利他↡。

にゃくぶつ」 とらは、 了教りょうきょうりょうきょうろんしゃく、 そのせつおなじからず。 おのおのもつてあり。 いま分満ぶんまんきて、 そのりょうりょうべつかす。

「若仏」等者、了教・不了経論釈義、其説不↠同。各以↠義。今就↢分満↡、明↢其不了・了義之別↡。

ない」 といふは、 深心じんしん深信じんしんしゃ」 よりしもじゅうぎょう、 これじゅうなんもんなかはじめのさんじゅうおよびじゅうはじめをのぞく。 これぶつによりて道同どうどうあきらむるに、 たとひ報仏ほうぶつぶつせつなりといへども、 いま仏説ぶっせつせばあへてしんせじ、 これごくじょうなり。 ゆゑにさんじゅうのぞきてだいじゅう肝要かんようもんだすに、 そのりぬとなす。 ゆゑに省略しょうりゃくすらくのみ。

言↢「乃至」↡者、自↢「又深心深信者」↡下四十余行、↢四重難破中、初之三重及四重↡。↢仏語↡験ルニ↢道同↡、縦雖↢報仏・化仏之説ナリト↡、違セバ↢今仏説↡敢↢依信↡、極成ナリ。故↢三重↡出スニ↢第四重肝要之文↡、其理為↠足ヌト。故省略スラクノミ

しゃ」 とらは、 このもん以下いげはこれ教証きょうしょうく。 そのもんあり。 はじめのもんしゃ讃勧さんかんつぎもん諸仏しょぶつ讃勧さんかん

「釈迦」等者、此文以下是引↢教証↡。其↠四。初二文者釈迦讃勧、次二文者諸仏讃勧。

みょう*じゅにんりっしん」 とらは、

「此名就人立信」等者、

ふ。 いふところの 「にん」 とは何人なんぴとすや。

問。所↠言「人」者指↢何人↡耶。

こたふ。 するに二義にぎあり。 いちにいはく、 じゅうなんけざるかえりてそのなんきてなほ信心しんじんす。 ゆゑににんといふはかのべつがくひとすなり。 いちにいはく、 いんりょうせつしんぜず、 ひとへにぶっけつりょうしんじて、 ながだいのぞ信心しんじんこんりゅうす。 もしこのによらばぶつをもつてにんとなす。 これ能説のうせつにんたるがゆゑなり。

答。解スルニ有↢二義↡。一義云、不↠受↢四重難破↡之意、還↢其↡猶増↢信心↡。故言↠人者指↢彼別解異学↡也。一義、不↠信↢因位不了之説↡、偏ジテ↢仏智決了之語↡、永↢疑殆↡建↢立信心↡。若ラバ↢此↡以↠仏↠人タル↢能説之人↡故也。

ない」 といふは、 じゅぎょう以下いげろくぎょうなり。 ぎょうひょうすといへども、 しゅぐといへども、 りっしんぎょうにあらず。 このゆゑにのぞく。 いまりっしんしょう正定しょうじょうごうにあることをけんみょうせんがためにじゅ以下いげもんくところなり。

言↢「乃至」↡者、「就行」已下六行余也。雖↠標スト↢二行↡、雖↠挙↢五種↡、非↢立信↡。是也。今為↤顕↣明センガ立信正意在コトヲ↢正定↡所↠引↢「又就」以下↡也。

一心いっしん」 とらは、 そうじてじょうねん相続そうぞくそうすすむ。

「一心」等者、総ジテ↢常念相続之相↡。

行住ぎょうじゅう」 とらは、 べっしてりき相続そうぞくとくかす。 ただし 「念々ねんねんしゃしゃ」 のきてその二義にぎあり。

「行住」等者、別シテ↢他力相続之徳↡。但↢「念々不捨者」句↡有↢其二義↡。

いちにいはく、 これぎょうじゃ用心ようじんぎょうしゃくす、 すみやかにしゅなげうちて一心いっしん称名しょうみょうはげむべきなり。

一義云、此↢行者用心意楽↡、速↢衆事↡一心↠励↢称名↡義也。

いちにいはく、 ぼんぎょうじゃこのがたし。 一食いちじきけんなほそのあいだあり、 いち念々ねんねんいかでか相続そうぞくすることをん。 すでに仏願ぶつがんすれば*ほう一体いったい*能所のうじょ不二ふににて、 おのづからぎょうぎょうあり、 ゆゑにしゃといふ。 しゃくれいにあらず、 これほうとくなり。

一義云、凡夫行者此義難↠得、一食之間猶有↢其間↡、一期念々争デカ↢相続スルコトヲ↡。既スレバ↢仏願↡機法一体、能所不二ニシテ、自有↢不行而行之理↡、故↢不捨↡。非↢機策励↡、徳也。

とうりゅうによらばのちほんとなす。

ラバ↢当流↡後↠本

つぎに 「ない」 とは、 これしょうじょぎょう得失とくしつはんずるぎょうなり。 正行しょうぎょうなかにおいて、 かみしょうじょわかちて、 その称名しょうみょうをもつて正定しょうじょうごうとなして仏願ぶつがんじゅんずとたんず。 ゆゑに正行しょうぎょうとくこれその最要さいようなり。 ゆゑにいまこれをりゃくす。 つぎぞうぎょうしつしゅまちまちなりといへどもぞうぎょうづくるにそのりぬべし。 ゆゑにちゅうげんりゃくして結文けつもんくなり。

「乃至」者、ズル↢正助二行得失↡二行余也。於↢正行↡、上↢正助↡、以↢其称名↡為シテ↢正定↡嘆↠順ズト↢仏願↡。故正行最要ナリ。故今略↠之。次雑行失、義趣雖↠区也トルニ↢疎雑↡其義可↠足。故シテ↢中間↡引↢結文↡也。

【17】つぎこう発願ほつがんしんするなかに、

スル↢回向発願心↡中

三者さんじゃ」 とらは、 またきょうもんでっす。 まづこのしんしゃくするにしゅあり。

「三者」等者、亦牒↢経文↡。先スルニ↢此↡有↢二種意↡。

こう」 といふより 「願心がんしん」 にいたるまでぎょういんこういまない」 といひてりゃくするところこれなり。 これりきやくす、 ゆゑにしばらくこれをのぞく。

自↠言↢「廻向」↡至マデ↢「願心也」↡五行余者廻因向果、今言↢「乃至」↡所↠略スル是也。↢自力↡、故↠之

いま所引しょいん こう」 のしも大益だいやく」 にいたるまではこうどう、 これりきやくしてしょうとくかす。

之所引「又廻向」下至マデハ↢「大益也」↡廻思向道、是約シテ↢他力↡明↢証得↡。

問曰もんわつ以下いげ得益とくやく」 にいたるまではこれ問答もんどうなり。

「問曰」已下至マデハ↢「得益也」↡問答也。

ふ。 いまこの問答もんどう深心じんしんなかいたすところの問答もんどうとなんのべつかあるや。

問。今此問答、与↢深心↠致問答↡有↢何↡耶。

こたふ。 かみ無有むうしゅつえんやくしてこれをいふ。 ゆゑにぼんなんしょうきてそのしゅ問答もんどうしゃくあり。 いまいっしょう修福しゅふく念仏ねんぶつげん三業さんごう悪業あくごうしがたきことをただして、 こたふるに仏力ぶつりき思議しぎやくかす。 上下かみしも問答もんどうしゃここにあり。

答。上シテ↢無有出離之縁之機↡言↠之。故↢凡夫難生之義↡有↢其四重問答之釈↡。今シテ↢一生修福念仏、難コトヲ↟消↢過現三業悪業↡、答フルニ↢仏力不思議↡。上下問答差異在↠斯

諸仏しょぶつ」 とらは、 まづしゃ偏見へんけんたいせんがために、 ぶっきょうにおいてもんあることをぶ。

「諸仏」等者、先↣対↢治センガ疑者偏見↡、述↧於↢仏教↡有コトヲ↦多門↥也。

にょ」 とらは、 これけん浅近せんごんそうげて、 かの仏力ぶつりきなんやくきょうす。

「譬如」等者、↢世間浅近事相↡、況↢彼仏力難思之益↡。

ずいしゅつ」 とらは、 これしょ八万はちまんせん塵労じんろうもんなかに、 その一門いちもんづればすなはちよくつひに煩悩ぼんのうもんづることをかす。

「随出」等者、↧所治八万四千塵労門、出レバ↢其一門↡即能コトヲ↦余煩悩↥。

ずいにゅう」 とらは、 これのう八万はちまんせんだつもんなかに、 その一門いちもんればすなはちよくつひにだつもんることをかす。 いはく三毒さんどくなかにもしとんひとは、 とんぜんをもつてとん煩悩ぼんのうして、 しかしてのちねんしんす。 しん多痴たち、 またしん無痴むち善根ぜんごんをもつてたいしてしかしてのちまたそのすることれいしてもつてるべし。

「随入」等者、↧能治八万四千解脱門、入レバ↢其一門↡即能コトヲ↦余解脱↥。謂三毒多貪、以↢无貪↡治シテ↢貪煩悩↡、然シテ後自然↢嗔 トヲ↟痴。多嗔・多痴、又以↢無嗔・無痴善根↡対治シテ而後又治スルコト↢其↡例シテ↠知

にゃくよくがく」 とらは、 がく初心しょしんきょう一切いっさいしょつうずべきことをかす。

「若欲学解」等者、明↢学コトヲ↟通↢初心究竟一切諸位↡。

にゃくよくがくぎょう」 とらは、 ぎょうはすべからくえんほうによるべきことをかす。 「えんほう」 とは念仏ねんぶつにあり。

「若欲学行」等者、明↢行コトヲ↟依↢有縁之法↡。「有縁」者意↢念仏↡。

びゃく以下いげはこれ譬喩ひゆかす。 この譬喩ひゆをいふにあるいは二河にが譬喩ひゆといひ、 あるいはしゅしんしゃくといふ。

「又白」以下↢譬喩↡。言↢此譬喩↡或↢二河譬喩↡、或↢守護心↡。

なかにおいてあり。 はじめにひょうつぎせつせつなかにまたさんごうけつとなり。 一々いちいちもん、 つぶさにぶることあたはず。

↠中↠二。初標、次説。説亦三、喩也。一々文義、不↠能↢具述↡。

ごん」 とらは、 かさねてこうしゃくす。 これすなはち還相げんそうこうなり。

「又言」等者、重↢廻向↡。斯乃還相廻向意也。

【18】三心さんしん以下いげはこれ総結そうけつもんなり。 これにあり。

「三心」已下総結ナリ。此↢二意↡。

いちにいはく、 三心さんしんひろ万善まんぜんしょぎょうにわたるなり。 これによりてこれをいへば、 もし三心さんしんすればしょぎょうみなじょうず。

、三心広↢万善諸行↡義也。依↠之ヘバ↠之、若スレバ↢三心↡諸行皆成

¬せんじゃくしゅう¼ に 「そうじてこれをいへば、 もろもろのぎょうほうつうず」 といへる、 すなはちそのなり。

¬選択集¼云ヘル↣「総ジテ而言ヘバ↠之、通ズト↢諸行法↡」、即其意也。

いちにいはく、 いまこの三心さんしんはこれ念仏ねんぶつやくす。 一往いちおうしょぎょうつうずるへんありといへども、 じつりてこれをろんずれば、 りきしょぎょうごうじょうじがたし。 たやすくがんぎょうすでにじょうずといふべからず。 またおうじょうることはひとへにこれりき念仏ねんぶつやくなり。 もししょぎょうやくせばすなはちにゃくしょうじゃといふべからず。 ゆゑにいまいふところは、 三心さんしんすればすなはちしょうごうじょうじてかならず往益おうやくしゅうなり。

云、今此三心↢念仏↡。一往雖↠有↧通ズル↢諸行↡辺↥、拠↠実ズレバ↠之、自力諸行作業難↠成。輙不↠可↠云↢願行既成↡。又得コトハ↢往生↡偏他力念仏之利益也。若セバ↢諸行↡即不↠可↠云↢若不生者↡。故今所↠言、具スレ↢三心↡者即成ジテ↢正業↡必得↢往益↡之宗旨也。

おなじき (選択集意) つぎに 「べっしてこれをいへば、 念仏ねんぶつぎょうにあり」 といへる、 これそのなり。

ヘル↣「別シテ而言ヘバ↠之、在↢念仏↡」、義也。

ふ。 二義にぎなかにいづれをもつてかしょうとする。

問。二義之中テカ↠何↠正

こたふ。 とうりゅうによらば、 のちほんとなす。

答。依ラバ↢当流↡、後↠本

またこれとうは、 もしひろしょぎょうつうずるによらば、 さんかぎらずまたじょうぜんつうずることをあらわす。 おほよそ三心さんしんにおいてそのあり。 はじめのはこれじょうさんしょりき各別かくべつ発心ほっしんやくす。 のちはこれ如来にょらい利他りたりきじょうじゅ仏願ぶつがんやくやくす。 三心さんしん大綱たいこうただ一端いったんしめす。

「又此」等者、若↧広ズル↢諸行↡義↥者、顕↣不↠限↠散亦通コトヲ↢定善↡。凡↢三心↡有↢其意↡。初↢定散諸機、自力各別発心之義↡。後↢如来利他、他力成就仏願利益↡。三心大綱只シメ↢一端↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 『般舟讃』文

【19】つぎ所引しょいんもんけいびゃく」 とらは、 ¬般舟はんじゅさん¼ のじょ最初さいしょもんなり。

所引文、「敬白」等者、¬般舟讃¼序最初文也。

いふところの三心さんしんは、 これぼんほっしんにあらず。 ひとへに如来にょらい利他りたぜんぎょうにあり。 またしゃくそん種々しゅじゅ方便ほうべんによりてわれらがじょう信心しんじんほっす。 これすなはち東岸とうがん西岸さいがん発遣はっけんしょうかんなり。 このあらわさんがためにいまこのもんく。

↠言三心、此↢凡夫発起之心↡。偏↢如来利他善巧↡。又依↢釈尊種々方便↡発↢起我等無上信心↡。是則東岸・西岸、発遣・招喚義也。為↠顕サンガ↢此↡今引↢此↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 『礼讃』文

【20】つぎ所引しょいんもん

所引文。

ふ。 かみだいかんにすでにいまもんく。 なんぞかさねてだすや。

問。上第二巻↢今↡。何出耶。

こたふ。 同文どうもんたりといへども、 所用しょようすでになり。 このゆゑにかさねてく。

答。雖↠為↢同文↡、所用既ナリ。是

そのゆゑにさきかんにはぎょうきてこれをく。 「ぎゅうしょうみょうごう下至げしじっしょういっしょう(行巻) とうなり。 当巻とうかんなかにはしんきてこれをく。 あるいは 「そく真実しんじつ信心しんじん」 といひ、 あるいは 「しん弥陀みだほんぜいがん」 といひ、 あるいはない一念いちねん無有むうしん」 といふとうなり。

所以ソヘニニハ↠行↠之。「及称名号下至十声一声」等也。当巻之中ニハ↠信↠之。或↢「即是真実信心」↡、或↢「信知弥陀本弘誓願」↡、或↢「乃至一念無有疑心」↡等也。

おほよそこのしょうのごときの、 あるいは経釈きょうしゃくもん、 あるいは譬喩ひゆとう、 その所用しょようきてかさねて引用いんゆうするところそのれいなきにあらず。 かの ¬ようしゅう¼ のじゅうすい宝珠ほうしゅたとえこうりゃくありといへどもふたたびもつてこれをだすがごとし。 また観察かんざつもん総相そうそうぞうりゃくりょうかんに、 おなじく 「こうみょうへんじょう十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょう摂取せっしゅしゃ(観経)もんげて、 わたくししゃくおなじく 「しちひゃくていろっぴゃくまんこうみょう(要集巻中)きょうするとうこれなり。

↢此鈔↡、或経釈文、或譬喩等、就↢其所用↡重所↢引用スル↡非↠無↢其例↡。如↧彼¬要集¼住水宝珠之譬、雖↠有↢広略↡再以↞之。又観察門総相・雑略両観、同↢「光明遍照十方世界念仏衆生摂取不捨」之文↡、私スル↢「七百五倶胝六百万光明」之計校↡等是也。

其有ごう得聞とくもん」 とらは、 ¬だいきょう¼ のずうもん、 「かん一念いちねん」 とは、 これ信心しんじんあらわかおばせなり。 このゆゑにこのつぎにこれをだす。

「其有得聞」等者、¬大経¼流通意、「歓喜至一念」者、↢信心↡貌也。是↠之

二 Ⅱ ⅲ e ロ 『要集』二文

【21】つぎに ¬ようしゅう¼ のもんは、 じょうかんしゃくなり。

¬要集¼文、上巻釈也。

大文だいもんだいしょうしゅ念仏ねんぶつがんもんなかに、 だいしんぎょうそうかすもんなり。 ぜんぐるところおおくの譬喩ひゆあり。 いまはそのだす。 さきかんだすところの波利はり質多したじゅ譬喩ひゆ、 すなはちそのたぐいなり。

大文第四正修念仏作願門、明↢菩提心行相↡文也。前後所↠挙↢多譬喩↡。今出↢其↡。前↠出波利質多樹之譬喩、即其類也。

【22】つぎ所引しょいんしゃくは、 ちゅうかんはじめのもん

所引、中巻文。

おなじき観察かんざつもんわかちてもつてさんとなす。 いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんなり。 いましゃく第三だいさんぞうりゃくかんもん真身しんしんかん (観経) の 「こうみょうへんじょう十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょう摂取せっしゅしゃ」 のによりてこれをしゃくす。 きょうもんじょうぜんもんなかにありといへども、 これ称名しょうみょう念仏ねんぶつやくあらわす。 かの ¬しょ¼ (定善義)しゃくに 「ゆいひょう専念せんねんみょうごうとくしょう」 といひて、 ひろさんぎょうきてみょうごうじょうず。 いましゃくまたおなじ。 このもん観察かんざつもんなかにありといへども、 念仏ねんぶつやくかすことかれにじゅんじてるべし。

観察門↠三。一ニハ別相観、二ニハ総相観、三ニハ雑略観ナリ。今第三雑略観文、依↢真身観「光明遍照十方世界念仏衆生摂取不捨」之意↡釈↠之。経文雖↠在↢定善↡、是顕↢称名念仏利益↡。彼¬疏¼釈↢「唯標専念名号得生」↡、広↢三経↡成↢名号↡。今釈又同。此文雖↠在↢観察門↡、明コト↢念仏ジテ↠彼↠知。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 総結

【23】つぎわたくしおんしゃく

御釈。

しゃ」 とらは、 そうじてじょうらい諸文しょもんけっして、 みな如来にょらいこうじょうじゅあらわすらくのみ。

「爾者」等者、総ジテシテ↢上来諸文↡、皆顕スラク↢如来廻向成就ノミ

二 Ⅱ ⅲ e ロ 初問答(字訓釈)

【24】つぎじゅう問答もんどうあるなかに、 はじめの問答もんどうは、

↢二重問答↡之中、初問答者、

ひろくんげて三心さんしん一心いっしんじょうずることをかす。 くんいまだことごとく本文ほんもんかんがず。 博覧はくらん宏才こうざいあおぐべし、 しんずべし。

↢字訓↡明↠成ズルコトヲ↢三心一心之義↡。字訓未↣悉勘↢得本文↡。博覧宏才可↠仰、可↠信。

二 Ⅱ ⅲ e ロ 次問答(法義釈)

【25】つぎ問答もんどうは、

問答者、

この三心さんしんさらにぼんほっしんにあらず、 如来にょらいこうじょうじゅのゆゑに、 この信心しんじん、 このゆゑにづけて真実しんじつしんとなすことをかすなり。

↧此三心更↢凡夫発起之心↡、如来廻向成就之故↢此信心↡、是コトヲ↦真実心↥也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 至心

【26】つぎに 「とうごんしもに、 しんするなかに、

「答」言、解スル↢至心↡中

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『大経』文

くところの ¬だいきょう¼ のじょうかんもんは、

↠引¬大経¼上巻文者、

これ法蔵ほうぞうさついんちゅう所修しょしゅぎょう、 みなしゅじょう得脱とくだついんだいこうじょうじゅそうたることをく。

↣法蔵菩薩因中所修之行、皆為コトヲ↢衆生得脱之因、大悲廻向成就之相↡。

しょう」 とらは、 煩悩ぼんのうかす。

「不生」等者、明↢離煩悩↡。

これにきてあり、 はじめにはぎょうかし、 つぎには利他りたかす。 ぎょうかすなかにまた四事しじあり。 いまもん以下いげろっ煩悩ぼんのう因縁いんねんかす。

↠此↠二、初ニハ↢自行↡、次ニハ↢利他↡。明↢自行↡中又有↢四事↡。今文以下六句↢離煩悩因縁↡。

しょう」 とらは、 じょうよう (大経義疏巻上) のいはく、 「かく八種はっしゅあり、 ¬地持じじ¼ にくがごとし。 いちにはこれ欲覚よくかくざいおもしきおもふ。 にはこれ瞋覚しんかくまたはかくづく、 おもいからんとほっす。 さんには害覚がいかくまた悩覚のうかくづく、 にんところにおいておもがいくわへんとほっす。 には親覚しんかくひて親縁しんえんおもふ。 にはこくかくあんおもふ。 ろくには不死ふしかくせじとおもつてひろしょうあつむ。 しちにはぞくしょうかくぞくくだれることをおもふ。 はちにはきょうかくにんしのがんことをおもふ。 この八種はっしゅなかに、 はじめのさんとがおもし、 これがためにひとへにぐ。」

「不生」等者、浄影師、「覚↢八種↡、如↢¬地持¼説↡。一ニハ欲覚、思↠財↠色。二ニハ瞋覚亦↢恚覚↡、思↠瞋ント↠他。三者害覚亦↢悩覚↡、於↢他人↡念欲↠加ント↠害。四者親覚、追↢親縁↡。五ニハ国土覚、念↢世安危↡。六ニハ不死覚、オモ↢身↟死↢資生↡。七ニハ族姓覚、念↢氏族クダレルコトヲ↡。八ニハ フ シコツ覚、念シノガンコトヲ↢他人↡。此八種、初過重、為↠是。」

欲想よくそう」 とらは、

「欲想」等者、

またどう (浄影観経義疏巻上) いはく、 「不起ふき欲想よくそう瞋想しんそう害想がいそうは、 かさねてまたこれをあらわす。」

又同師云、「不起欲想・瞋想・害想、重復顕↠之。」

きょうごう (述文賛巻中) いはく、 「いまはすなはち三覚さんかくいんいでのごとく三想さんそうきょう分斉ぶんざいりて、 まさに欲等よくとうしょうずるがゆゑに、 しかもすなはちみょうとんせざるがゆゑに欲覚よくかくしょうぜず。 しゅじょうなやまさざるがゆゑに瞋覚しんかくしょうぜず。 ものいのちそんせざるがゆゑに害覚がいかくしょうぜず。 三覚さんかくしょうぜざればかならず三想さんそうつ。」

憬興師云、「今即三覚之因、如↠次三想、取↢境分斉↡、方ズルガ↢欲等↡故、然即不ルガ↠貪↢名利↡故不↠生↢欲覚↡。不ルガ↠悩↢衆生↡故不↠生↢嗔覚↡。不ルガ↠損↢物↡故不↠生↢害覚↡。三覚不レバ↠生必絶↢三想↡。」

じゃく」 とらは、

「不著」等者、

またおなじき (述文賛巻中) のいはく、 「内因ないいんすでにはなえんここにむ、 ゆゑにじゃくといふ。」

又同云、「内因既外縁斯、故↢不著↡。」

忍力にんりきじょうじゅ以下いげ二句にくほうたいかす。

「忍力成就」以下二句↢法対治↡。

どう (述文賛巻中) のいはく、 「忍力にんりきとは、 安受あんじゅと、 ない怨害おんがいさつ法忍ほうにんとなり。 この忍力にんりきをもつてよく損悩そんのうしのぶ、 ゆゑに三覚さんかく三想さんそうとをはなる。」

同師云、「忍力者、安受苦ナイタヘタリ怨害、察法忍也。以↢此忍力↡能↢損悩↡、故↢三覚三想トヲ↡。」

しょうよく」 とらは、

「少欲」等者、

ほう (大経義疏巻上) のいはく、 「らいにおいておおもとめざるをしょうよくづく。 現在げんざいにおいてもうまんずるをそくづく。」

法位師、「於↢未来↡不ルヲ↢多↡名↢少欲↡。於↢現在↡希望満ズルヲ↢知足↡。」

ぜん恚痴いち」 とは、 煩悩ぼんのうたいはなるることをかす。 煩悩ぼんのうたいとはすなはちこれ三毒さんどく、 いはくとんしん、 またいんなり。

「无染恚痴」者、明↠離コトヲ↢煩悩↡。煩悩者即是三毒、謂貪・嗔・痴、又婬・怒・痴ナリ

ゆゑにほう (大経義疏) のいはく、 「ぜん恚痴いちとは三毒さんどくつ。」

法位、「无染恚痴者絶↢三毒↡。」

またじゃく (大経義記巻中) ¬般若はんにゃ¼ をきていはく、 「さついんおんす、 いん不可ふかけんのゆゑにこれをいんおんすとづく。」

又義寂師引↢¬般若¼↡云、「菩薩遠↢離婬・怒・痴↡、婬・怒・痴不可見↣遠↢離スト婬・怒・痴↡。」

三昧さんまい」 とらは、

「三昧」等者、

じょうようによるに、 「三昧さんまい」 はやくし、 「智慧ちえ」 はかんやくす。 「常寂じょうじゃく」 をじんといひ 「無礙むげ」 をしょうといふ。

↢浄影↡、「三昧」約↠止「智恵」約↠観。「常寂」云↠深「無」云↠勝

無有むう虚偽こぎ以下いげ四句しくは、 これ化他けたかす。

「无有虚偽」以下四句↢化他↡。

じょうようきょうごうおなじく三業さんごうやくす。 ゆゑにじょうよう (大経義疏巻下) のいはく、 「無有むう諂曲てんごくしんはなるることをかす、 げんといふはしんはなるることをかす、 あい先問せんもん口過くかはなるることをかす。」

浄影・憬興同↢三業↡。故浄影、「無有諂曲↠離コトヲ↢心過↡、言↢和顔↡者明↠離コトヲ↢身過↡、愛語先問↠離コトヲ↢口過↡。」

ゆうみょう」 のしも善法ぜんぽうしゅすることをかす。

「勇猛」之下↠修スルコトヲ↢善法↡。

なかにおいてさんあり。 はじめの四句しくけんしゅかす。 ぎょう三宝さんぼう以下いげろっぎょうしゅかす。 じゅうくう以下いげ行成ぎょうじょう修礼しゅらい、 ただしいま所引しょいんぎょうしゅいた第三だいさんのぞくなり。

↠中↠三。初之四句↢無間修↡。「恭敬三宝」以下六句↢恭敬修↡。「住空」已下行成修礼、但所引↢恭敬修ノゾ↢第三↡也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『如来会』文

【27】つぎに ¬りょう寿じゅ如来にょらい¼ のもん文言もんごんいささかことなれども ¬だいきょう¼ におなじ。

¬無量寿如来会¼文。文言聊異ナレドモ意同↢¬大経¼↡。

法処ほうしょ」 といふはすなはちこれ法蔵ほうぞう。 「けんざいおう如来にょらい」 とはすなはちざいおうぶつこれなり。 「けん」 の有無うむりょうきょうならくのみ。

言↢「法処」↡者即法蔵。「世間自在王如来」者即世自在王仏也。「間」字有無、両経ナラクノミ

ふ。 しんしゃくするなか両経りょうきょうもんく。 これなんのや。

問。釈スル↢至心↡中↢両経↡。意耶。

こたふ。 如来にょらいしん真実しんじつしんとなす。 その真心しんしんをもつてしゅじょう回施えせす。 ぶついんちゅう真実しんじつしんそうき、 また回施えせどくくこと、 これらのきょうせつともにもつてぶんみょうなり。 ゆゑにこれをくなり。

答。如来至心↢真実心↡。以↢其真心↡廻↢施衆生↡。説↢仏因中真実心↡、又説コト↢廻施功徳之義↡、此等経説共分明ナリ。故引↠之也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 「散善義」文

【28】つぎ所引しょいんもんは、 ¬かんぎょう¼ (散善義)しゃく

所引、¬観経義¼釈。

いまもんさきにあり。 なんぞかさねてくや。

文在↠前。何引耶。

こたふ。 その当要とうようきてじゅういんはばからざることさいかみぶ。 いままた同前どうぜん。 いはんやこうりゃくぞんず。 なきにあらざるか。 いはくかみ所引しょいん三心さんしんそうしゃくわたくししゃくくわへず。 いまべつにみづから三心さんしんす。 そのなかにほぼ本文ほんもんごんきて広博こうはくおよばず。 これさきなり。

答。就↢其当要↡不コト↠憚↢重引↡子細述↠上。今又同前。況↢広略↡。非↠無↠異歟。謂所引三心総釈、不↠加↢私↡。今↢三心之義↡。其↢本文之言↡不↠及↢広博↡。是与↠前異ナリ

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『涅槃経』文

【29】ふ。 ¬はんぎょう¼ をきて何事なにごとしょうするをや。

問。引↢¬涅槃経¼↡証スルヲ↢何事↡耶。

こたふ。 真実しんじつしんとは、 如来にょらいしゅじょうあずからず、 このしょうせんがためにこのもんくなり。

答。真実心者、如来之意、不↠関カラ↢衆生↡、為↠証センガ↢此↡引↢此↡也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 私釈(内外明暗釈)

【30】しゃくけんみょうあんといふ」 とらは、 これまたおなじく ¬はんぎょう¼ のせつによりてそのないみょうあんす。

不簡明闇」等者、又同↢¬涅槃経¼説↡解↢其内外明闇之義↡。

弥陀みだみょうじょうはん念仏ねんぶつはすなはちこれまんもんなり。 このゆゑにしょうどうきょうくといへども、 しつぶっしょう如来にょらい常住じょうじゅう甚深じんじんごく、 ただこれ弥陀みだ如来にょらいとくなり。 しょうにん賢慮けんりょしかしながらこのぞんじたまふ。 あおぎてしんすべし、 りょいだくことなかれ。

弥陀妙果無上涅槃、念仏即是涅槃之門ナリ。是雖↠説↢聖道教理↡、悉有仏性、如来常住、甚深極理、唯是弥陀如来果徳ナリ。聖人賢慮併ジタマフ↢此↡。仰↢依信↡、勿↠懐コト↢疑慮↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 信楽

【31】つぎしんぎょうなかに、

信楽

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 私釈

そく利他りたこう」 とらは、

「即以利他廻向」等者、

ふ。 しんしんぎょうよくしょう三信さんしんそのそう各別かくべつなり、 なんぞしんしゃくしてしんぎょうたいとする。 また 貪愛とんないしんじょうのう」 とらは、 これこうしん譬喩ひゆなり。 またしもにあるいは きゅうきゅうしゅ」 といひ、 あるいは しゅみょう雑毒ぞうどく」 とらいふはじょうしんしゃくなり。 なんぞみだりがはしく三心さんしんしゃく混乱こんらんする。

問。至心・信楽・欲生三信其相各別ナリ、何シテ↢至心↢信楽↡。又「貪愛之心常能」等者、廻向心之譬喩也。又下↢「急作急修」↡、或云↢「衆名雑毒」等↡者至誠心ナリ。何混↢乱スル三心解釈↡。

こたふ。 かいすれば三信さんしんたり、 がっすれば一心いっしんたり。 よりて三心さんしんいちあり。 このゆゑに三心さんしんすなはちこれ一心いっしんなるひょうせんがために、 ことさらに三信さんしん彼此ひしもんいろへてしゃくせらるところなり。

答。開スレバ↢三信↡、合スレバ↢一心↡。仍↢三心一異之義↡。是↠標センガ↢三心即是一心ナル之義↡、故イロヘ↢三信彼此之文↡所↠被↠釈也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『大経』¬如来会』文

【32】つぎ所引しょいんもんなかに、

之所引二文之中

のちもんやくきょうせつたりといへども、 *さきかんぶるがごとく、 梵本ぼんぽんおなじきによりて 「うん」 といふか。

雖↠為↢異訳経説↡、如↢前ルガ↡、依↢梵本同キニ↡言↢「又云」↡歟。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『涅槃経』三文

【33】つぎに ¬はんぎょう¼、 もん三段さんだんあり。 はじめのもんなかきて、

¬涅槃経¼、文↢三段↡。就↢初↡、

ぶっしょう」 といふはだい信心しんじんづく。 またしもきて 「だい信心しんじんとはすなはちこれぶっしょうなり」 といふ。 そのだい信心しんじんはすなはちこれ如来にょらいこう利他りた信心しんじん、 これはこれしょうとくおうじょうひっはん真因しんいんなり。 一切いっさいこのりきおうじょうしょうげん一道いちどうによりて、 ことごとくみなぼんしょう斉円さいえんみょうあらわすべし。 ゆゑに一切いっさいしゅじょうことごとくぶっしょうあり。 そのぶっしょうとはすなはちいま信心しんじんなり。 ふかくこのてこのもん引用いんようす。

云↢「仏性」↡者名↢大信心↡。又下云↢「大信心者即是仏性也ト」↡。其大信心即是如来廻向利他信心、此証得往生必至涅槃之真因也。一切依↢此他力往生清閑一道↡、咸皆可↠顕↢凡聖斉円之妙理↡。故一切衆生悉↢仏性↡。其仏性者即今信心ナリ。深↢此↡引↢用↡。

いっ」 とはしょ*かんあんにょうほうしゅじょうしょうずるものみなこれ*阿鞞あびばっくらいおうじょうひとすなはち*しょのぼりてしょうしょうす。 はんだいしんじょうせつ、 ひそかにこのかなふ。

「一子地」者初歓喜地、安養報土、衆生生ズル者皆是阿鞞跋致之位、往生之人即登↢初地↡証↢悟無生↡。涅槃醒醐真常之説、潜↢其↡。

【34】つぎ所引しょいんもんだいみょう信心しんじんいんとなす。 またじょう真実しんじつ信心しんじんあらわす。

所引文、菩提妙果、信心↠因。又顕↢浄土真実信心↡。

【35】のち所引しょいんもん

所引文、

これにじゅうあり。 ともにしんそくかす。 ここにひるがえして信心しんじんそくるべし。 ゆゑにもんあんずるに、

↢二重↡。共↢信不具足之義↡。翻シテ↠此↠知↢信心具足↡。故ズルニ↢文↡、

かみもんしょしょうきてしん具不ぐふす。 信心しんじんもしよりしょうぜば、 信心しんじんそくづくべし。

↢聞思所生↡解↢信具不之義↡。信心若従↠思生ゼバ、可↠名↢信心具足↡。

しももんは、 所得しょとくどう能得のうとくにんとにきて具不ぐふす。 またもし得道とくどうひとありとしんぜば、 これをづけて信心しんじんそくといふべし。

意者、就↣所得 トニ↢能得人↡解↢具不↡。又若ゼバ↠有↢得道之人↡、名↠之↠言↢信心具足↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『華厳経』三文

【36】つぎに ¬ごんぎょう¼ に、 また三段さんだんあり。

¬花厳経¼、又有↢三段↡。

はじめにごんいちあり。

↢五言一四句偈↡。

ふ。 このきょうもんくなんのようかあるや。

問。引↢此経文↡有↢何↡乎。

こたふ。 いまきょうもん、 ほぼかんしんぎょうせつし、 また無疑むぎりょしんじゅんず。 このゆゑにかんしんぎょう深信じんしんたすけんがためにこれをかるるか。

答。今経文意、粗会↢歓喜信楽之説↡、又順↢無疑無慮之信↡。是↠助ンガ↢歓喜・信楽・深信之義↡被↠引↠之歟。

ただししょうしゃく弥陀みだじょうしょうかずといへどもそのひそかにつうず。 また天台てんだい (法華玄義巻十下) のいはく、 「しょぶっ円頓えんどんひとし。」 ¬ごん¼ の、 またすべからず。 したがひてげんじゅうがんすすむるところもつぱらあんにょう往詣おうげいにあり。

雖↢彰灼アキラカ↟説↢弥陀浄土利生↡其意潜。又天臺云、「初後仏恵、円頓義斉。」 ¬花厳¼之意、又不↠可↠違。随而普賢十願之意、所↠勧専在↢安養往詣↡。

これらのによるに、 ¬ほっ¼・¬ごん¼ 以下いげしょきょう、 みなおんにかの弥陀みだしょうあらわす。 しょうにんふか一代いちだいしょきょう、 みな弥陀みだだいやくあらわすことをしたまふ。 これらの諸文しょもんつべし。

↢此↡¬法花¼・¬華厳¼以下諸経、皆隠↢彼弥陀利生↡。上人深シタマフ↣一代諸教、皆顕コトヲ↢弥陀大悲利益↡。得↢此等↡可↠見↢諸文↡。

【37】のち所引しょいんもん、 これに七言しちごんじゅうしちぎょうじゅう四句しくあり。

所引文、此↢七言四十七行九十四句↡。

ぐるところのじゅしゅおおしといへども、 しん根本こんぽんとなしてみなそのとくたんず。 いまこのもんく。 そのここにあり。 ただししょなかたんずるところその信心しんじんにあらざるありといへども、 展転てんでんしょうしかしながらしんこうたり。 一々いちいち句義くぎ、 そのつべし。

↠挙偈頌句数雖↠多、信シテ↢根本↡皆嘆↢其↡。今引↢此↡。其意在↠斯。但諸句雖↠有↣所↠嘆ズルザル↢其信心↡、展転勝利併↢信功↡。一々句義、其意可↠見

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『論註』文

【38】つぎに ¬ろんちゅう¼ のもん文言もんごんすくなしといへどもこれにだんあり。 もんともにこれかんしゃくなり。

¬論¼文、文言雖↠少シト↢二段↡。二文共下巻釈也。

そのなかかみもん讃嘆さんだんもんしゃくしももんまつ結文けつもんならくのみ。

讃嘆門釈、下末後結文而已ナラクノミ

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 欲生
              願成就文

【39】つぎがんじょうじゅもん、 これ全文ぜんもんにあらず。

願成就文、此↢全文↡。

つぎ所引しょいんもん、 「ごんさきのごとし。

所引文、「又言」如↠前

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 『論註』三文

【40】つぎに ¬じょうろん¼ (論註)、 これに三段さんだんあり。

¬浄土論¼、此↢三段↡。

はじめのもんきてだいかんなかにあり。 ただし還相げんそうとは以下いげしゃくもんいまこれをくわふ。

↢第二巻↡。但「還相者」以下釈文、今引↢加↡。

なかにおいて、 はじめより 「しん」 にいたるまではこれ本論ほんろんもんこう以下いげはこれ ¬ちゅう¼ のしゃくなり。

↠中自↠初至マデハ↢「悲心故」↡本論文。「廻向」以下¬註¼釈也。

【41】つぎ所引しょいんもんは、 かん十重じゅうじゅう解義げぎぶんなかに、 だい*浄入じょうにゅう願心がんしんしゃくなり。

所引、下巻十重解義分、第四浄入願心釈也。

向説こうせつ」 のしもおう」 といふにいたるまではこれ本論ほんろんもんおうしゃ」 のしもはまた ¬ちゅう¼ のしゃくなり。

「又向説」下至マデハ↠云↢「応知」↡本論文。「応知者」下又¬註¼釈也。

浄入じょうにゅう願心がんしん」 といふは、 「じょう」 とは三種さんしゅしょうごん、 そのたい無漏むろなり。 すなはちこれじょう、 「にゅう」 といふはいん願心がんしん酬入しゅうにゅうするなり。 「願心がんしん」 はすなはちこれじゅう八願はちがんたいまた無漏むろなり。 すなはちこれいんじょう六八ろくはち願心がんしんそのいんじょうなるがゆゑに、 三種さんしゅしょうごんそのまたじょうなり。

言↢「浄入願心」」↡者、「浄」者三種荘厳、其体無漏ナリ。即是果浄、言↠「入」意者酬↢入スル因位願心↡義也。「願心」即四十八願、体亦無漏ナリ。即是因浄、六八願心其因浄ナルガ三種荘厳其果亦浄ナリ

【42】のち所引しょいんもんは、 おなじきだい十重じゅうじゅうぎょう満足まんぞく本論ほんろんもんなり。

所引、同第十重利行満足、本論文也。

このもん註釈ちゅうしゃくだいかん重釈じゅうしゃくはじめにあり。 ゆゑにかのもんきて愚解ぐげくわおわんぬ。

註釈、在↢第二巻重釈之初↡。故↢彼↡加↢愚解↡訖

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 「散善義」文

【43】つぎ所引しょいんもんは、 こうしんしゃく

所引、廻向心釈。

かみ所引しょいん三心さんしんしゃくなかにあり、 かみ総引そういんひろ三心さんしんわたる。 いま別引べついんこうしんかぎる。

↢上所引三心↡。上者総引、広↢三心↡。今者別引、限↢廻向心↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 私釈

【44】しん以下いげわたくしおんしゃくなかに、

「真知」以下私御釈

ふ。 「どう」 「」 の差別しゃべつだいしょうおもひがたし。 くんのごときは、 *だいくんあり。 ほとんどしょう配当はいとうすべし、 いかん。

問。「道」「路」差別大小難↠思。如↢字訓↡者、路有↢大訓↡。殆可↣配↢当↡、云何。

こたふ。 かくのごときのしゃく一分いちぶんによりて一往いちおうはいしゃく、 これつねなり、 一概いちがいすべからず。 ただいましゃくおもふに、 どうとはなり。 またいはく、 *どうにまたしゅみょうしょもんあり。 このによるがゆゑにしゃくに 「本願ほんがん一実いちじつ直道じきどう」 といふ。 だいくんありといへども、 いまだどうくんおよばず、 ゆゑにこのしゃくあり。

答。如↠比解釈、依↢一分↡一往配釈、事也、不↠可↢一概↡。但思↢今↡、道者理也。又云、道又有↢衆妙所寄之文↡。依↢此↡故云↢「本願一実直道」↡。路字雖↠有↢大訓↡、未↠及↢道之訓↡。故↢此釈↡。

ごん四五しごすん」 とらいふは、

言↢「言四五寸」等↡者、

ふ。 「四五しごすん」 とはびゃくどうぶんりょう、 その 「びゃくどう」 とはこれ信心しんじんなり。 そのたい清浄しょうじょうなり。 そのしょう真実しんじつなり。 *おん*だいたいしょうそうなり。 ほうさいとがあるにたり、 いかん。

問。「四五寸」者白道分量、其「白道」者信心也。其体清浄ナリ。其性真実ナリ。五陰四大体・性相異ナリ。似タリ↠有↢法・譬不斉之過↡、云何。

こたふ。 このうたがいけっしがたし。 しばらくいちぶ。

答。此疑難↠决。且↢一義↡。

弥陀みだみょうごう念仏ねんぶつ三昧ざんまいは、 広大こうだい善根ぜんごんじょうほうなり、 ゆゑに ¬ごん¼ (晋訳巻三一不思議法品) には 「しゅだい善根ぜんごん念仏ねんぶつ三昧ざんまい」 といひ、 ¬だいきょう¼ (巻下意) にはきて 「一念いちねんだいじょうどく」 といひ、 ¬要決ようけつ¼ (西方要決) にはしゃくして 「じょう大善だいぜんはいおうじょう」 といひ、 ¬じゅういん¼ (往生拾因) にははんじて 「そくじょう広大こうだいじん善根ぜんごん」 といふ。 自余じよもんしょうつぶさにぐるにいとまあらず。

弥陀名号念仏三昧広大善根無上法也。故¬花厳ニハ¼云↢「修大善根念仏三昧」↡、¬大経ニハ¼説↢「一念大利無上功徳」↡、¬要决ニハ¼釈シテ↢「故成大善不廃往生」↡、¬十因ニハ¼判ジテ↢「即成広大無尽善根」↡。自余文証不↠遑アラ↢具↡。

これによりてこんだい信心しんじん」 といひ 「だい信海しんかい」 といふ。 しょぎょうぎょうたいこれ大善だいぜんなるがゆゑに、 能信のうしん信心しんじんまた広大こうだいなり。 いかにいはんや三心さんしんすなはちだいしんなり。

↠之今師云↢「大信心」↡云↢「大信海」↡。所行々体大善ナルガ、能信々心亦復広大ナリ。何三心即菩提心ナリ

¬安楽あんらくしゅう¼ (巻上)だいしんしゃくしていはく、 「このしん広大こうだいにして法界ほうかいしゅうへんす。 このしんじょうおんにしてらいざいつくす」 と。

¬安楽集¼釈シテ↢菩提心↡云、「此心広大ニシテ周↢遍法界↡。此心長遠ニシテスト↢未来際↡。」

まさにるべし、 いふところの信心しんじんびゃくどう広大こうだいへんにしてじつ辺際へんざいなし。 これにきてこれをおもふに、 ぼんぎょうじゃ所発しょほつ信心しんじんりきによるがゆゑにこれ広大こうだいなりといへども、 貪瞋とんじんおおふがゆゑにそのしんなりといふ。 じつには狭小きょうしょうにあらず。 これだいおんしょじょう凡身ぼんしんうえにおいておこすところのしんなるがゆゑに四五しごすんといふ。

↠知、所↠言信心白道、広大無辺ニシテ↢辺際↡。就↠此↠之、凡夫行者所発信心、由↢他力↡故雖↢広大也ト↡、貪嗔覆フガ↢其心微也ト↡。実ニハ↢狭小↡。↢四大五陰所成↡所↠発ナルガ↢四五寸↡。

もしこのによりてこのしゃくあるか。 これすいをもつてこのりょうけんいたす。 ふ、 のち学者がくしゃようこころにあるべし。

↢此↡有↢此釈↡歟。↢愚推↡致↢此料簡↡。請、後学者、用否在ベシ↠心

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 「玄義分」文

【45】つぎに ¬かんぎょう¼、 もん三段さんだんあり。 いま信心しんじん金剛こんごうしんづくるにきてみなそのしょうをひく。

¬観経義¼、文↢三段↡。就↣今信心ルニ↢金剛心↡皆引↢其↡。

なかにおいてはじめのもんはこれ 「げんぶん勧衆かんしゅもんなり。

↠中「玄義分」勧衆偈ナリ

金剛こんごう」 とは、 そうじてこれをいはばひろ三心さんしんつうず。 三心さんしんするものはかならずおうちょう四流しるやくるがゆゑに。 べっしてこれをいはばこれ深心じんしんやくす。 *深心じんしんしゃくに 「このしんふかしんぜることなほし金剛こんごうのごとし」 といふこれそのしょうなり。

「金剛志」者、総ジテ而言ハヾ↠之↢三心↡。具スル↢三心↡者必得↢横超四流↡故。別シテ而言ハヾ↠之↢深心↡。深心↣「此心深ゼルコトシト↢金剛↡」証也。

四流しる」 といふは、 三界さんがいけん諸惑しょわくこれなり。 いちにはよく爆流ぼるじゅうもつあり。 五部ごぶ三毒さんどくと、 たいもとと、 十纏じってんとこれなり。 十纏じってんといふは、 ざん無愧むぎしつけんめんじょう惛沈こんちんと、 これを八纏はってんといふ。 忿ふんとをくわへて十纏じってんといふなり。 には瀑流ぼるじゅう八物はちもつあり。 しきしきかい五部ごぶとんまんと、 おなじきかいたいにおのおのあるなり。 さんにはけん爆流ぼるさんじゅうろくもつあり。 もとあり、 いはゆる身見しんけん辺見へんけん戒取かいしゅ見取けんしゅ邪見じゃけんとなり。 じゅうもとあり、 しんへんかいとをのぞく。 滅諦めったいのぞくところ、 まつたく集諦じったいのごとし。 どうもとさんあり、 かいくわふるをとなす。 がっしてじゅうとなす。 三界さんがいみなおなじ。 ゆゑにこのかずあり。 にはみょう瀑流ぼるじゅうもつあり。 これ三界さんがい五部ごぶをもつてがっしてこのかずじょうず。 これをひゃくはち煩悩ぼんのうといふならくのみ。 これを瀑流ぼるづく。 ¬しゃろん¼ のなり。

言↢「四流」↡者、三界見思諸惑是也。一者欲爆流、有↢二十九物↡。五部三毒、四諦、十纏是也。言↢十纏↡者、無慚無愧掉挙惛沈、謂↢之八纏↡。加↢忿 トヲ↟覆云↢十纏↡也。二者有瀑流、有↢二十八物↡。色・無色界五部、同四諦各有↠疑也。三者見爆流、有↢三十六物↡。苦有↠五、所謂身見辺見戒取見取邪見トナリ。集有↠二、除↢身トヲ↡。滅諦所↠除、全↢集諦↡。道有↠三、加ルヲ↠戒為↠異。合シテ↢十二↡。三界皆同。故↢此数↡。四ニハ無明瀑流、有↢十五物↡。↢三界五部之痴↡合シテ↢此↡。謂フナラク↢之百八煩悩而已ノミ。是↢四瀑流↡。¬倶舎論¼意也。

しょうじゅ」 とらは、 おなじきもんなり。

「正受」等者、同文也。

ふ。 三宝さんぽうにあまねく因分いんぶんぶんしょぐとして、 ぶつそうするなかに、 ごくげんがために、 まづいんげてそのてんしょうあらわす。 「とく」 とらは、 そのごくす。 すなはちみょうがくなり。 「しょうじゅ」 とらは、 そのいんぐ。 いはゆる 「しょうじゅ金剛こんごうしん」 とは、 金剛こんごうじょう、 これみょうがく無礙むげどう。 「相応そうおう」 とらは、 ¬大品だいぼん¼ のによるに、 すなはち一念いちねん相応そうおうをもつてざんしゅうだんずるを 「しょうじゅ」 とらいひ 「相応そうおう」 とらいふ。 みなこれかの等覚とうがくしんす。 「とく」 とらは、 これすなはちみょうがく、 これだつどうなり。 しかるにいまなんぞはくぼん所発しょほつ信心しんじんしょうすとして、 この等覚とうがく金剛こんごうしんるいするや。

問。帰三宝グトシテ↢因分・果分諸位↡、帰スル↢仏・僧↡中、為↠挙ンガ↢極果↡、先↢因位↡顕↢其転勝↡。「果得」等者、指↢其極位↡。即妙覚也。「正受」等者、挙↢其因位↡。所謂「正受金剛心」者、金剛喩定、↢妙覚↡之無道。「相応」等者、依↢¬大品¼意↡、即以↢一念相応之恵↡断ズルヲ↢余残↡云↢「正受」等↡云↢「相応」等↡。皆↢彼等覚後心↡。「果得」等者、此即妙覚、解脱道ナリ。而今何ストシテ↢薄地凡夫所発信心↡、類スル↢此等覚金剛心↡乎。

こたふ。 難勢なんぜいるがごとく、 とうみょうかくぶつそうほう説相せっそうみなしかなり。 ただいまだすところはさらに等覚とうがくさつじゅう一品いちぼんみょう断除だんじょし、 じゅう一分いちぶんほっしょうしょうして、 金剛こんごうしんじゅうし、 一念いちねん相応そうおうして、 そのみょうがくごくくらいることを混乱こんらんするにはあらず。 ぼんしょうことなりといへども浅深せんじんことなりといへども、 そのゆうろんずるにともに金剛こんごうしんしょうたり。 よりていまこれをく、 よろしくそのべし。

答。如↠載ルガ↢難勢↡、等・妙二覚、仏・僧二宝、説相皆然ナリ。但今所↠出↫混↪乱スルニハ等覚菩薩断↢除四十一品無明↡、証↢悟シテ四十一分法性↡、住↢金剛心↡、相↢応シテ一念↡、入コトヲ↩其妙覚極果之位↨。凡聖雖↠異也ト浅深雖↠殊也ト、論ズルニ↢其功用↡共↢金剛心之勝利↡。仍今引↠之、宜↠得↢其↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 「序分義」文

【46】つぎ所引しょいんもんは、 ¬しょ¼ の 「序分じょぶんごんじょうえんしゃくなり。

所引、¬疏¼「序分義」欣浄縁ナリ

これ ¬かんぎょう¼ の がんらい以下いげきょうもんしゃくするしゃくなり。 この 「金剛こんごう」 はしゃくそんするしん、 かの三心さんしん弥陀みだするしんそんことなりといへども、 そのしんこれおなじ。 ゆゑにいまこれをく。

スル↢¬観経¼「願我未来」以下経文↡之解釈也。此「金剛志」帰スル↢釈尊↡心、彼三心者帰スル↢弥陀↡心、二尊雖↠殊也ト、其。故今引↠之

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ ○ 「定善義」文

【47】のちいっは、 「じょうぜん」 のしゃく

一句者、「定善義」釈、

ほうかん (観経) の 「かい雑色ざっしき金剛こんごう以為いい底沙たいしゃ」 のもんするしゃくなり。 かみのつぶさなるもん (定善義) にいはく、 「渠下こげ底沙たいしゃ雑宝ざっぽういろをなすことをかす。」 所引しょいんもんこのつぎなり このもんほうしょうとくしゃくすといへども、 金剛こんごうたいしょう彼此ひしことならず。 このゆゑにこれをく。

スル↢宝地観「渠下皆以雑色金剛以為底沙」之文↡釈也。上ナル、「明↣渠下底沙ナスコトヲ↢雑宝↡。」 所引文此次也文雖↠釈スト↢依報勝徳↡、金剛体性彼此不↠異ナラ。是↠之

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 私釈(三心結釈)

【48】わたくしりょうけんなか

料簡

真実しんじつ信心しんじんひつ」 とらは、

「真実信心必具」等者、

ふ。 所発しょほつ信心しんじんたとひ真実しんじつたりとも、 なんぞかならずしもそのなかみょうごうそくせん。 またろくなか南無なもといふは、 すなはちこれみょう、 すなはちこれ安心あんじんなり。 なんぞみょうごう願力がんりき信心しんじんせずといふや。

問。所発信心縦タリトモ↢真実↡、何シモ具↢足セン名号↡。又六字言↢南無↡者、即帰命、即安心ナリ。何云↢名号不↟具↢願力信心↡。

こたふ。 信心しんじんといふはこれのうしんしょほうたいしてほっするところのしんなり。 ゆゑに信心しんじんほっせばかならずみょうごうす。 これすなはち ¬きょう¼ (観経) に 「ほつ三種さんしゅしん即便そくべんおうじょう」 といへる、 これそのなり。

答。言↢信心↡者能帰心、対シテ↢所帰↡所↠発信也。故セバ↢信心↡必↢名号↡。則¬経¼云ヘル↢「発三種心即便往生」↡、義也。

もしぎょうせずはすでに唯願ゆいがんおなじ。 なんぞおうじょうん。 すでにおうじょういんなり。 まさにんぬ、 発心ほっしんすればかならずみょうごうすといふことを。 このゆゑにいま真実しんじつ信心しんじんひつみょうごう」 といふ。

↠具↠行↢唯願↡。何↢往生↡。既往生ナリ。方、発心スレバ必具スト云コトヲ↢名号↡。是今云↢「真実信心必具名号」↡。

またたとひみなとなふとも、 もし信心しんじんなくはおうじょうがたし。 ¬きょう¼ (大経巻上) に 「しんしんぎょうよくしょう」 といふ、 しんによりてしょうずべきことそのしゃくねんなり。 称名しょうみょうひといまだかならずしもことごとく真実しんじつ信心しんじんせず。 またこれげんりょうなり、 ゆゑにこのしゃくあり。

又縦フトモ↠名、若クハ↢信心↡難↠得↢往生↡。¬経¼云↢「至心信楽欲生」↡、依↠信コト↠生理灼然ナリ。称名之人未↣必シモ↢真実信心↡。又現量ナリ、故↢此釈↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 大信海

【49】けん」 とらいひ不謂ふい」 とらいふは、 えらばざることをかす。 十方じっぽうしゅじょうえらぶところなきがゆゑに。

↢「不簡」等↡云↢「不謂」等↡、明↠不コトヲ↠簡↠機。十方衆生無↠所↠簡

もん」 とらは、 つみによりておうじょうざるにあらざることをかす。

「不問」等者、明↠非コトヲ↧依↠罪ルニ↞得↢往生↡。

ろん」 とらは、 しょうずることりきこうによらざることをかす。

「不論」等者、明↢生ズルコトコトヲ↟由↢自力之功↡。

散善さんぜん」 には 「もんせつごん」 といひ、 ¬ほうさん¼ (巻下) には 「もん罪福ざいふくしょう」 とらいふ、 これそのなり。

「散善義ニハ」云↢「不問時節久遠」↡、¬法事讃ニハ¼云↢「無問罪福時多少」等↡、意也。

ぎょう」 とらは、

「非行」等者、

ふ。 称名しょうみょう念仏ねんぶつはすでにこれ正行しょうぎょう、 またこれだいぎょうなり。 なんぞ 「ぎょうにあらず」 といふ。 すでにこれしょうぜんまたこれ大善だいぜんなり、 なんぞ 「ぜんにあらず」 といふ。 すでにこれとんぎょうなり、 なんぞ 「とんにあらず」 といふ。 すでにこれさんしょうなり、 なんぞ 「さんにあらず」 といふ。 もと観念かんねんにあらず、 なんぞじゃしょうろんぜん。 すでに所念しょねんあり、 なんぞねんにあらざらん。 じんじょうりんじゅうともにしゅぎょうときなり、 なんぞみなあらずといふ。 ねん一念いちねんともにおうじょうゆるす、 なんぞおのおのあらずといふ。

問。称名念仏正行、又大行ナリ。何↠「非↠行」。既勝善又大善ナリ、何↠「非↠善」。既頓教ナリ、何↠「非↠頓」。既散称ナリ、何↠「非↠散」。本非↢観念↡、何ゼン↢邪正↡。既↢所念↡、何ラン↢有念↡。尋常・臨終共修行ナリ、何皆云↠非。多念・一念倶↢往生↡、何各云↠非

こたふ。 みょうごうだいぎょう大善だいぜんたりといへども、 これしょぎょうほうなり。 いま能信のうしんしんなり。 このゆゑにしばらくぎょうにあらずぜんにあらずといふ。

答。名号雖↠タリ↢大行大善↡、所行ナリ。今能信ナリ。是↢非↠行↟善

漸頓ぜんとんといふはこれしゅうやくす。 信心しんじんあずからざるがゆゑにまたあらずといふ。

言↢漸頓↡者↢宗旨↡。不↠関カラ↢信心↡故亦云↠非

じょうさんといふはこれにあり。 いちにはほうす、 にはしんす。 いまはまたしんす。

言↢定散↡者此↢二意↡。一者指↠法、二者指↠心。今亦指↠心

ただししんすにきて 「じょうさんにあらず」 とは、 いふところの信心しんじん散心さんしんたるがゆゑにしばらくじょうにあらずといふ。 しかも念仏ねんぶつ三昧ざんまいあり。 三昧さんまいじょうなるがゆゑにしばらくさんにあらずといふ。

↠指スニ↠心「非↢定散↡」者、所↠言信心↢散心↡故↠非↠定。而↢念仏三昧之名↡。三昧ナルガ↠非↠散

ゆゑに ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「もしじょうしん三昧ざんまいおよびしょう三昧ざんまいつれば、 心眼しんげんすなはちひらけてかのじょう一切いっさいしょうごんる、 くともじんすることなけん。」

¬観念法門¼云、「若ツレ↢定心三昧及口称三昧↡者、心眼即開ケテ↢彼浄土一切荘厳↡、説クトモケン↢窮尽スルコト↡也。」

また (観念法門) いはく、 「三昧さんまいといふは、 すなはちこれ念仏ねんぶつぎょうにんしんしょうねんしてさらに雑想ざっそうなく、 念々ねんねんしんじゅう声々しょうしょう相続そうぞくして、 心眼しんげんすなはちひらけて、 かのぶつることをりょうねんとしてげんずるをすなはちづけてじょうとなす。 また三昧さんまいづく。」

又云、「言↢三昧↡者、即念仏行人心口称念シテ↢雑想↡、念念↠心声声相続シテ、心眼即開ケテ、得↠見コトヲ↢彼↡了然トシテ而現ズルヲ即名↠定。亦名↢三昧↡。」

しょうちからすでにかのしょうほうる。 ゆゑに見仏けんぶつやくすればさんあり。 たとひ眼見げんけんなけれどもかならず心見しんけんあり。 たとひげんざれどもりんじゅうときおよびじゅんしょうひつじょうして見仏けんぶつす。 このあるがゆゑに三昧さんまいあり。 このやくするがゆゑにさんといふなり。

口称之力已↢彼依正二報↡。故スレバ↢見仏↡有↢非散義↡。縦ケレドモ↢眼見↡必有↢心見↡。縦レドモ↠見臨終之時及順次生必定シテ見仏。有↢此義↡故↢三昧名↡。約スルガ↢此↡故云↢非散↡也。

しょうかんにあらず邪観じゃかんにあらず」 といふは、 問端もんたんするがごとくもと観心かんしんにあらず。 ゆゑにじゃしょうあずからざるあらわす。

言↧「非↢正観↡非ズト↦邪観↥」者、如↠載ルガ↢問端↡本非↢観心↡。故↧不↠関↢邪正↡之義↥。

ねんにあらずねんにあらず」 といふは、 ねんたりといへどもひとへにかかわらず。 ねんにあらずといへどもねんとどまらず。 これすなはちぞくひとじょうしゅうはこれそうきょうなり、 ゆゑにごんじょうたりとおもへる邪見じゃけんらんがためのゆゑに、 「ねんにあらずねんにあらず」 といふなり。

言↧「非↢有念↡非ズト↦無念↥」者、雖↠タリ↢有念↡不↢偏カヽハ↟有。雖↠非↢无念↡不↠滞↢有念↡。是則為↠遣ンガ↧世俗オモヘ↣浄土宗有相ナリ、故タリ↢権乗↡之邪見↥故、言↧「非↢有念↡非↦無念↥」也。

これによりてじょう𦣱さくぜんれんしょうじょにいはく、 「それねんをもつてねんとししょうをもつてしょうとするはじょうけんしっするところなり。 ねんをもつてねんとししょうをもつてしょうとなすは邪見じゃけんまどふところなり。 ねんにしてねんなくしょうにしてしょうなるは第一だいいちたいなり。 「けだし念仏ねんぶつ三昧ざんまい還源げんげんようじゅつありておうじょう一門いちもんかいす。 ゆゑに終日ひねもす念仏ねんぶつすれどもしかもねんそむかず。 ねんおうじょうすともしかもしょうそむかず。」

↠之長盧𦣱禅師蓮華勝会、「夫↠念↠念↠生↠生者常見之所↠失スル也。以↢无念↢無念↡以↢無生↡為↢無生↡者邪見之所↠惑也。念ニシテ而無↠念生ニシテ而無生ナル者第一義諦也。 「蓋↢念仏三昧還源要術↡示↢開往生一門↡。所以終日念仏スレドモ不↠乖↢於無念↡。熾然往生ストモ不↠乖↢於無生↡。」

また ¬しょうかん¼ に ¬きょう¼ の一心いっしんらんするに、 一心いっしんおよび一心いっしんだす。 一心いっしんやくすればこれ散心さんしんたり、 一心いっしんやくすればこれじょうしんたり。 これじょうさんかなふ、 またすなはちやくじょう亦散やくさんなり。 甚深じんじん和会わえしてよ。

又¬正観記¼解スルニ↢¬経¼一心不乱之義↡、出↢事一心及一心↡。約スレバ↢事一心為↢散心↡、約スレバ↢理一心↢定心↡。↢非定非散之義↡、又則亦定亦散義也。甚深之義、和会シテ↠意

じんじょうにあらずりんじゅうにあらず」 といふは、 もしりんじゅう遇善ぐうぜんやくすればこれじんじょうにあらず。 もし平生へいぜいごうじょうやくすればこれりんじゅうにあらず。 じんじょうをいはずりんじゅうろんぜず。 ただ仏法ぶっぽうせつ分済ぶんざいなり。 ゆゑにともにあらずといふ。

言↧「非↢尋常↡非臨終↥」者、若スレバ↢臨終遇善之機↡此↢尋常↡。若スレバ↢平生業成之機↢臨終↡。不↠謂↢尋常↡不↠論↢臨終↡。只逢↢仏法↡時節分済ナリ。故云↠非

ねんにあらず一念いちねんにあらず」 といふは、 そのねんとはこれじんじょう、 その一念いちねんとはこれりんじゅう、 そののぞむるがゆゑにこれをたがひにあらずといふ。 かみじゅんじてるべし。

言↧「非↢多念↡非↦一念↥」者、其多念尋常機、其一念臨終機、望ルガ↢其↡故↢之ズト↡。准ジテ↠上↠知。

智愚ちぐどくめっ」 とは、

「滅スト↢智愚↡」者、

ふ。 どくかぎるべし、 なんぞわたらんや。

問。毒↠限↠愚、何ラン↠智耶。

こたふ。 一向いっこう無智むちびょうしんなほりぬ。 もししょうたいしまたじゃあるはかえりてびゅうしょうじてみづからおうじょうふ。 このさわりきらふがゆゑにかくのごとくしゃくするなり。

答。一向無智平信尚足。若↢小智↡又有ルハ↢邪智↡還ジテ↢謬解↢往生↡。嫌フガ↢此↡故↠此スル也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 菩提心

【50】ねんじゅ」 とらは、 これにそうじゅうしゃくあり。 いはゆるしゅしゅつしゅちょうおうしゅつおうちょうこれなり。 しょりゅうしゃもんにありてつべし。

「然就」等者、此↢二双四重之釈↡。所謂竪出・竪超、横出・横超也。所立差異在↠文↠見

また第六だいろくかんおよび ¬禿とくしょう¼ にくはしくこのあり。 かのもんるべし。

又第六巻及¬愚禿鈔¼委↢此事↡。可↠見↢彼↡。

ふ。 いまみょうもくなんのてんでたりや。

問。今之名目出タリ↢何↡耶。

こたふ。 ¬楽邦らくほう文類もんるい¼ のだい桐江とうこうちゃくえいほっ横竪おうしゅしゅつべんずるもんにいはく、

答。¬楽邦文類¼第四、桐江択瑛法師弁ズル↢横竪二出↡文

しゅしゅつとは、 しょうもんたいしゅし、 縁覚えんがくじゅう因縁いんねんしゅし、 さつろくまんぎょうしゅす。 これ地位じいわたる。 たとへばきゅうだいのすべからくみづから才学さいかくあるべきがごとし。 またりゃくにん転官てんかんのすべからくこうあるべきがごとし。

「竪出者、声聞↢四諦↡、縁覚↢十二因縁↡、菩薩↢六度万行↡。此↢地位↡。譬ヘバ↤及第キガ↢才学↡。又如↢歴任転官キガ↟有↢功効↡。

おうしゅつとは、 念仏ねんぶつしてじょうしょうぜんことをもとむ。 たとへば蔭叙おんじょこう祖父そふりきによりて学業がくごう有無うむはざるがごとし。 またおんおよぼすことはくにしてこう国王こくおうによりてりゃくにん浅深せんじんろんぜざるがごとし。

横出者、念仏シテ↠生ゼンコトヲ↢浄土↡。譬ヘバ↧蔭叙功由↢祖父他力↡不ルガ↞問↢学業有無↡。又如↧覃スコト↠恩普博ニシテ功由↢国王↡不ルガ↞論↢歴任浅深↡。

おうしゅつなかにおいてじょうさんぜんあり。 ゆゑに善導ぜんどうしょう専雑せんぞうしゅつ。 雑修ざっしゅとは、 いはく散謾さんまんにしてもろもろの善業ぜんごうしゅしてこうしょうごんす。 専修せんじゅとは、 にすべからく弥陀みだぶつ専礼せんらいしてらいぞうせざるべし。 くちにすべからく弥陀みだぶつせんしょうして、 ごうしょうせず、 きょうじゅじゅせざるべし。 にすべからく弥陀みだぶつ専想せんそうしてかんしゅせざるべし。

↢横出↡有↢定散二善↡。故善導和尚立↢専雑二修↡。雑修者、謂散謾ニシテシテ↢諸善業↡廻向荘厳也。専修者、身↧専↢礼シテ阿弥陀仏↡不↞雑↢余礼↡。口↧専↢称阿弥陀仏↡、不↠称↢余号↡、不↞誦↢余経呪↡。意↧専↢想シテ阿弥陀仏↡不↞修↢余観↡。

もし専修せんじゅものは、 じゅうそくじゅうしょうし、 ひゃくそくひゃくしょうす。 もし雑修ざっしゅものは、 ひゃくなかにあるいはいちりょうにんしょうずることをせんなかにあるいはさんにんしょうずることを

専修、十即十生、百即百生。若雑修、百↢一両人生ズルコトヲ↡、千↢三五人生ズルコトヲ↡。

いまにんるに一日いちにち弥陀みだぶつらいすること三千さんぜんはいするもの弥陀みだぶつじゅうまんしょうしょうするものあり。 ちゅう弥陀みだぶつ専想せんそうするものあり。 ならびに感応かんのうあり。 ここにためしつべし。」 もとこのしゃくによりてまたわたくしくわふ。

今見↢世人↡、有↧一日スルコト↢阿弥陀仏↡三千拝スル者、日スル↢阿弥陀仏十万声↡者↥。有↧昼夜専↢想スル阿弥陀仏↡者↥。並↢感応↡。コヽ↠験シツ也。」 本依↢斯↡又加↢私↡。

ふ。 いましゃくのごときは、 ただしゅつありてちょうせず。 ゆゑにしゅしゅつなか権実ごんじつわかたずあまねくしょきょうせっす。 おうしゅつなか浅深せんじんわかたず、 そうじて浄教じょうきょうやくす。 これすなはちじょうさん専雑せんぞうとうなり。 なんぞちょうくわへてしかもかのせつする。

問。如↢今↡者、唯有↢二出↡不↠載↢二超↡。故竪出不↠分↢権実↡普↢諸教↡。横出之中不↠弁↢浅深↡総ジテ↢浄教↡。是則定散専雑等也。何↢二超↡而スル↢彼↡。

こたふ。 しょうどうもんにおいてさんじょうありいちじょうあり。 さnじょうきょう権実ごんじつわかたず。 いちじょうきょうはもつぱら権実ごんじつぞんず。 いまいちじょうによりて差別しゃべつあるべし。 よりてしゅちょうててべつ速疾そくしつじょうぶつ一門いちもんとなす。 またしょうどう浄教じょうきょうつといへどもじょうさんがん分別ふんべつおよばず。 またしょうじょもんしゃごうなし。 しゅうによるにすでにそのしゃわかつ。 したがひてしゃくなかおうちょうごんあり。 これによりてちゃくえいの 「おうしゅつ」 のごんこうの 「おうちょう」 のごんと、 彼此ひしきょうごうして、 おう一門いちもんなかしゅつをばごんきょう迂廻うえきょうづけ、 ちょうをばじっきょう速疾そくしつどうかたどる。 またおうちょうたいして、 しゅなかちょうあるべきがゆゑにこの分別ふんべつあり。 本説ほんせつまもりながらしかももんひらきてたくみにりょうしょりゅうみょうかなふ。 もつともひょうすべし。

答。於↢聖道門↡有↢三乗家↡有↢一乗家↡。三乗教不↠分↢権実↡。一乗教↢権実↡。今依↢一乗↡可↠有↢差別↡。仍テヽ↢竪超↡別↢速疾成仏一門↡。又聖道意、雖↠立↢浄教↡不↠及↢定散弘願分別↡。又無↢正助二門差降↡。依ルニ↢宗家↡既↢其↡。随而釈↢横超言↡。依↠之択瑛「横出」之言↢高祖師「横超」之言↡、校↢合シテ彼此↡、横一門ヲバ↢権教迂廻之教↡、超ヲバドル↢実教速疾之道↡。又対シテ↢横超↡、竪↠有↢超義↡之故↢此分別↡。乍↠守↢本説↡而↢義門↡巧↢両師所立名義↡。尤可↢依↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 『論註』文

【51】つぎに ¬ろんちゅう¼ のもん

¬論¼文。

かん解義げぎぶんなかに、 だいぜんぎょうせっしょうしゃくなり。 づけてぜんぎょうせっといふは、 ぎょう方便ほうべんこう善根ぜんごんをもつてしゅじょうせっするならくのみ。

下巻解義分、第五善巧摂化章之釈也。名曰↢善巧摂化↡意者、以↢巧方便廻向善根↡摂↢化スル衆生↡之義而已ナラクノミ

三輩さんぱいしょうなか」 とらは、

「三輩生」等者、

ふ。 ¬寿じゅ¼・¬かん¼ の両経りょうきょうはこれ開合かいごうなり。 しかるに ¬かんぎょう¼ のなかには発心ほっしんおうじょうひとく、 いはくぼんなかちゅうさんさん六品ろくぼんこれなり。 ¬寿じゅきょう¼ の三輩さんぱいにはともに発心ほっしんく、 そういかん。

問。¬寿¼・¬観¼両経開合ナリ。而¬観経¼中ニハ↢未発心往生之人↡。謂九品々三・下三六品是也。¬寿経¼三輩ニハ↢発心↡、相違如何。

こたふ。 異義いぎありといへどもしばらくいちにいはく、 ¬だいきょう¼ の説相せっそうじょうせつじゅんず。 しょうどうしょきょうみな発心ほっしん得道とくどうだんずるがゆゑに。 ¬かんぎょう¼ のなかには発心ほっしんみなおうじょうく。 仏力ぶつりきによるがゆゑに。 しょしょりゅう、 そのどうなり。 つぶさにぶるにあたはず。

答。雖↠有↢異義↡且一義、¬大経¼説相↢常途↡。聖道諸教皆談ズルガ↢発心得道↡故。¬観経¼之中ニハ↣未発心皆得↢往生↡。由↢仏力↡故。諸師所立、其義不同ナリ。不↠能↢具ルニ↡。

ふ。 ちゅう、 このゆるすや。

問。註家之意、許↢此↡耶。

こたふ。 これにあり。

答。此↢二意↡。

いちにはゆるさざるなり。 いましゃくにあるいは 「まくほつかいだいしん」 といひ、 あるいは 「にゃくにんほつだいしん」 といふがゆゑに。

ニハ不↠許也。今↢「莫不発皆菩提之心」↡、或↢「若人不発菩提心」↡故

にはゆるすところなり。 たださんきらひてまさしく三信さんしんおうじょうゆるすがゆゑなり。 だいきて、 すなはち ¬だいきょう¼ 所説しょせつだいしんはすなはち三信さんしんすといふしゅあるべきなり。

ニハ所↠許也。唯嫌↢三不↡正スガ↢三信往生↡故也。就↢第二↡、可↠有↧即云↣¬大経¼所説菩提心者則指スト↢三信↡之義趣↥也。

ちなみにふ。 しゅう、 なんのにかよる。

チナミ問。宗家之意、依↢何ニカ↡耶。

こたふ。 発心ほっしんひとおうじょうゆるす。 これぼんさいがんほんたるがゆゑなり。

答。許↢未発心之人往生↡。ルガ↢凡夫済度弘願本意↡故也。

おほよそこうみょうしゃくせば」 とらは、 そのつべし。

「凡セバト↢廻向名義↡」等者、其意可↠見

¬安楽あんらくしゅう¼ のにいはく、 「こうみょうしゃくせば、 ただしおもんみれば一切いっさいしゅじょうにすでにぶっしょうあり、 人々にんにんみながんじょうぶつしんあり。 しかれども所修しょしゅぎょうごうによりていまだ一万いちまんごうまんぜざるこのかたはなほいまだかいでず、 りんまぬかれず。 このゆゑにしょうじゃこのじょうあわれみて、 して西にしむかへてために大益だいやくさんことをすすむ。

¬安楽集¼下云、「釈↢廻向名義↡者、但レバ一切衆生↢仏性↡、人人皆有↢願成仏心↡。然↢所修行業↡未↠満↢一万劫↡已来猶未↠出↢火界↡、不↠免↢輪廻↡。是聖者愍↢斯長苦↡、勧↣廻シテヘテ↠西サンコトヲ↢大益↡。

しかるにこうこうろくえず。 なんらをかろくとする。 いちには所修しょしゅ諸業しょごうをもつて弥陀みだこうして、 すでにかのくにいたりて、 かえりて六通ろくつうしゅじょう済運さいうんす。 これすなはちじゅうどうなり。 にはいんしてむかふ。 さんにはしてじょうむかふ。 にはしてそくむかふ。 これすなはちじゅうけんなり。 にはしゅじょう回施えせして、 ねんしてぜんむかふ。 ろくには分別ふんべつしんにゅうきゃくす。 こうこうただこのろくじょうず。」

廻向之功不↠越↢於六↡。何等ヲカ↠六。一者↢所修諸業↡廻↢向シテ弥陀↡、既↢彼↡、還↢六通↡済↢運衆生↡。此即不住道也。二ニハシテ↠因↠果。三ニハシテ↠下↠上。四ニハシテ↠遅↠速。此即不住世間ナリ。五ニハ廻↢施シテ衆生↡、悲念シテ↠善。六ニハ廻↢入去↣却分別之心↡。廻向之功只成↢斯↡。」

いまの ¬ろんちゅう¼ のもんいまこうだいとそのおなじなり。

¬論¼文与↢今廻向第五之義↡其意同也。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 『弥陀経義疏』三文

【52】つぎがんじょうしゃくもん三段さんだんあり、 ともに ¬弥陀みだきょうしょ¼ のもんなり。

元照釈、文↢三段↡、共¬弥陀経義疏¼文也。

はじめは諸仏しょぶつさんなかに、 諸仏しょぶつしゃ仏徳ぶっとくしょうさんして、 すなはち (小経)のう甚難じんなん希有けう之事しじ」 といふきょうもんするしゃくもんなり。

スル↧諸仏互サン之中、諸仏称↢讃シテ釈迦仏徳↡、即言↢「能為甚難希有之事」↡経文↥之釈文也。

【53】つぎもんは、 なんあるなか法難ほうなんきて、 (小経)せつ一切いっさいけん難信なんしんほう」 といふきょうもんするしゃくもんなり。

文者、解スル↧有↢二難↡中↢法難↡、云↢「説是一切世間難信之法」↡経文↥之釈文也。

【54】のちもんは、 すなはちかのなんだすしゃくなり。

、即出↢彼↡釈ナリ

ふ。 のちしゃくはこれはじめのしゃくつぎことばたり。 もつともあひとなるべし。 しょうぜんしもつぎしゃくまつことばたり。 これ顕実けんじつもんなり。 なんぞともにいち文段もんだんくわへずして、 おのおのべつもんへだててぜんくや。

問。後↢初詞↡。尤可トナ↡。承前↢次詞↡。顕実ナリ。何シテ↠加↢一具文段↡、各隔テヽ↢別↡前後引耶。

こたふ。 まことにおもひがたきにたり。 ただしすいくわふるに、 まづはじめのもんは、 甚難じんなん希有けうきょうもんなかにこのなんふくむ。 このゆゑにしょしゅそのもとにおいてこのしゃくあり。 しかるに第一だいいちなんはこれぶつ自利じりだいなんはこれぶつ利他りた、 その利他りたとは、 この一切いっさいけん難信なんしん念仏ねんぶつくこれなり。 このゆゑにじょくあくじょうどう、 ただこれこの難信なんしんほうかんがためなり。 このあらわさんがために法難ほうなんく。 しもにことさらにくわへらるるか。

答。誠タリ↠難↠思。但ルニ↢推義↡、先文者、甚難希有之経文↢此↡。是疏主於↢其↡有↢此解釈↡。而第一自利、第二之難利他、其利他者、説↢此一切世間難信念仏↡是也。是五濁悪世成道、唯是為ナリ↠説ンガ↢此難信↡。為↠顕ンガ↢此↡説↢法難↡。下加↠之歟。

つぎ顕実けんじつもんさきなんぐるしもにあひぐるに便べんあり、 これをちゃくすべし。

顕実文、挙↢前↡下相次ツルニ↠便、可↣思↢択↡。

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 『超玄記』文

【55】つぎ*用欽ようきんしゃく

次用欽釈、

かみの ¬しょ¼ に法難ほうなんするもんしゃくす。 このゆゑにこれをく。

↧上¬義疏¼解スル↢法難↡文↥。是↠之

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 『聞持記』文

【56】つぎに ¬*もん持記じき¼ は、 *かいりっかの ¬しょ¼ をするしょなり。

¬聞持記¼、戒度律師解スル↢彼¬疏¼↡書ナリ

いま所引しょいんは、 かみもちゐるところの本書ほんしょ文言もんごんしゃくす。 今疏こんしょとなし、 しゃくちゅうとなす。 しやすからしめんがためにするところかくのごとし。

所引者、釈↢上↠用本書文言↡。今疏↠疎、記↠註。為↠令ンガ↠易カラ↠解所↠截スル↠此

二 Ⅱ ⅲ e ロ ○ 『楽邦文類』文

【57】つぎに ¬*楽邦らくほう文類もんるい¼ のじょ無為むいさく

¬楽邦文類¼後序、無為子作。

いま所引しょいん最初さいしょことば、 このおくになほじゅうしちぎょうあり。 つぶさにするにおよばず。 こころざしあらんひとはこれをたずるべし。

所引者最初之詞、此猶有↢十七行余↡。不↠及↢具ルニ↡。有ラン↠志之人↣尋↢見↡。

 

六要ろくようしょう 第三だいさん きゅうほん

 

→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→ⒶⒷ
 Ⓑになし
→Ⓑ
→Ⓐ
→Ⓑ
[問]今
釈云不簡明闇等→◎釈云↢不簡明闇等↡
 Ⓐになし
前の巻 実際には当巻。 (二末にも 「又云」 の釈があるが、 別内容)
→Ⓑ[故]三
路に大の訓 ¬広韻¼ の説と思われる。
道の義にまた衆妙所寄の文あり ¬広韻¼ の説と思われる。
→◎ⒶⒷ
→Ⓐ身[之]
深心 実際には回向発願心釈の釈にある。
→Ⓐ
已上→Ⓐ乃至
臨終→◎ⒶⒷ平生
→Ⓐ