0735◎親鸞しんらん聖しょう人にん御ご消しょう息そく

 

※「註釈版」 の本文に重ねて、 対校の形で ¬浄土真宗聖典全書¼ の 「真筆消息▽」・「古写消息▽」・¬末灯鈔▽¼・¬御消息集▽¼・¬善性本▽¼・¬血脈文集▽¼ の各本文が確認できるようにしてある。 それにあたり、 通常の脚注に加えて ~:「註釈版」 にある語句がない場合、 +:「註釈版」 にない語句がある場合、 %:「註釈版」 と語句が入れ替わっている場合 で示した。 ただし、「表記の違い」 のみのものはすべて割愛し、 大きく異なる場合は該当本文を茶字で収録している。 また、 †は註釈版で 「対校本によっ」 たとされている箇所で、 底本のもとの内容を示しておいた。

 0768  0777

◎▼(1) 「古写消息」(4)、 ¬末灯鈔¼(1)

 ^▽~有う念ねん無む念ねん~の事こと。 +

 ^▼+来らい+迎こうは諸しょ行ぎょう往おう生じょうに​あり、 自じ力りきの行ぎょう者じゃなる​がゆゑに。 *臨りん終じゅうといふ​こと​は、 諸しょ行ぎょう往おう生じょうの​ひと​に​いふ​べし、 いまだ真実しんじつの信心しんじんを​え​ざる​がゆゑなり。 また十悪じゅうあく・五ご逆ぎゃくの罪人ざいにんの​はじめて善ぜん知ぢ識しきに​あう​て、 すすめ​らるる​とき​に​いふ​こと+なり。

^真実しんじつ信心しんじんの行ぎょう人にんは、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃのゆゑに正定しょうじょう聚じゅの位くらいに+住じゅうす。 このゆゑに臨りん終じゅう+まつ​こと​なし、 来迎らいこう+たのむ​こと​なし。 信心しんじんの定さだまるとき+往おう生じょう%また定さだまる​なり。 来迎らいこうの*儀ぎ%則そくを​また​ず。

 ^正しょう念ねんといふは、 本ほん弘ぐ誓ぜい願がんの信しん楽ぎょう定さだまる​を​いふ​なり。 この信心しんじん+うる​ゆゑに、 かならず無む上じょう涅ね槃はんに​いたる​なり。 この信心しんじんを一心いっしんといふ、 この一心いっしんを金剛こんごう心しんといふ、 この金剛こんごう心しんを大だい菩ぼ提だい心しんといふ​なり。 これ​すなはち他た力りきの​なか​の他た力りきなり。

 ^また正しょう念ねんといふ​につきて二ふたつあり。 一ひとつ~には*定じょう心しんの行ぎょう人にん0778の正しょう念ねん、 二ふたつには*散さん0736心しんの行ぎょう人にんの正しょう念ねんある​べし。 この二ふたつ​の正しょう念ねんは、 他た力りきの​なか​の自じ力りきの正しょう念ねんなり。 定じょう散さんの善ぜんは、 諸しょ行ぎょう往おう生じょうの​ことば​に​をさまる​なり。 この善ぜんは、 他た力りきの​なか​の自じ力りきの善ぜんなり。 この自じ力りきの行ぎょう人にんは、 来迎らいこうを​また​ず​して​は、 %辺へん地じ・胎たい生しょう・懈け慢まん界がいまで​も生うまる​べから​ず。 このゆゑに第だい十じゅう九くの誓願せいがんに、 「▲もろもろ0769の善ぜんをして浄じょう土どに回え向こうして往おう生じょうせん​と​ねがふ人ひとの臨りん終じゅうには、 われ現げんじ​て迎むかへ​ん」 と誓ちかひ​たまへ​り。 臨りん終じゅう+まつ+こと​と来迎らいこう往おう生じょう+といふ​こと​は、 この定じょう心しん・散心さんしんの行ぎょう者じゃの​いふ​こと​なり。

 ^選せん択じゃく本願ほんがんは有う念ねんに​あらず、 無む念ねんに​あらず。 有う念ねん~は​すなはち*色しきイロ形ぎょうカタチを​おもふ​につきて​いふ​こと​なり。 無む念ねんといふは、 形かたちを​こころ​に​かけ​ず、 色いろを+こころ​に​おもは​ず​して、 念ねんも​なき​を​いふ​なり。 これ​みな聖しょう道どうの​をしへ​なり。

^▲*聖しょう道どうといふは、 すでに仏ぶつに成なり​たまへ​る人ひと~の、 われら​が​こころ​を​すすめ​ん​が​ため​に、 仏心ぶっしん宗しゅう・真言しんごん宗しゅう・法ほっ華け宗しゅう・華け厳ごん宗しゅう・三論さんろん宗しゅう等とうの大だい乗じょう至し極ごくの教きょうなり。 仏心ぶっしん宗しゅうといふは、 この世よに​ひろまる禅ぜん宗しゅうこれ​なり。

^▲また法相ほっそう宗しゅう・成じょう実じつ宗しゅう・倶く舎しゃ宗しゅう等とうの権ごん教きょう、 小乗しょうじょう等とうの教きょうなり。 これ​みな聖しょう道どう門もんなり。 権ごん教きょうといふは、 すなはち​すでに仏ぶつに成なり​たまへる仏ぶつ・菩ぼ薩さつの、 かりに​さまざま​の形かたちを​あらはし​て​すすめ​たまふ​がゆゑ0737に権ごんといふ​なり。

 ^浄じょう土ど宗しゅうに​また有う念ねんあり、 無む念ねんあり。 有う念ねん0779は散善さんぜんの義ぎ、 無む念ねんは定じょう善ぜんの義ぎなり。 浄じょう土どの無む念ねんは聖しょう道どうの無む念ねんには似にず。 ~また​こ†の聖しょう道どうの無む念ねんの​なか​に​また有う念ねんあり。 よくよく​とふ​べし。

 ^浄じょう土ど宗しゅうの​なか​に真しんあり、 仮けあり。 真しんといふは▲選せん択じゃく本願ほんがんなり、 仮けといふは定じょう散さん二に善ぜんなり。 選せん択じゃく本願ほんがんは▲浄じょう土ど真しん宗しゅうなり、 定じょう散さん二に善ぜんは方便ほうべん仮け門もんなり。 浄じょう土ど真しん宗しゅうは大だい乗じょうの​なか~の至し極ごくなり。 方ほう0770便べん仮け門もんの​なか​に​また大だい小しょう・権実ごんじつの教きょうあり。

^*釈しゃ迦か如来にょらいの御ご善ぜん知ぢ識しきは一いっ百ぴゃく一いち十じゅう人にんなり。 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ に​みえ​たり。

^~南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ

*建けん長ちょう三歳さんさい 辛かのと亥のい 閏うるう九く月がつ二十はつ日かのひ

愚ぐ禿とく親鸞しんらん 七しち十じゅう九く歳さい ▽

 0810  0817

◎(2) ¬末灯鈔¼(20)、 ¬御消息集¼(1)

 ^†かたがた​より​の御おんこころざし​の​もの​ども、 数かずの​まま​に​たしかに​たまはり+候そうろふ。 明みょう教きょう房ぼうの*のぼら​れ​て候そうろふ​こと、 +ありがたき​こと​に候そうろふ。 かたがた​の御おんこころざし、 申もうし​つくし​がたく候そうろふ。

^明みょう法ほうの御房おんぼうの往おう生じょうの​こと、 おどろき​まうす​べき0738には​あら​ねども、 かへすがへす​うれしく候そうろふ。 鹿か島しま・行方なめかた・奥郡おうぐん、 かやう​の往おう生じょうねがは​せたまふ​ひとびと​の、 みな​の御おんよろこび​にて候そうろふ。

^またひら・・つか・・の入にゅう道どう殿どのの御ご往おう生じょう%の​こと​きき候そうろふ​こそ、 かへすがへす申もうすに​かぎり​なく​おぼえ候そうらへ。 めでたさ申もうし​つくす​べく​も候そうらは​ず。 おのおの+みな往おう生じょうは一いち定じょうと​おぼしめす​べし。

^さりながら​も、 往おう生じょうを​ねがは​せたまふ​ひとびと​の御中おんなかにも、 御おんこころえ​ぬ​こと​も候そうらひ​き、 いま​も​さ+こそ候そうろふ​らめ​と​おぼえ候そうろふ。 京きょうにも​こころえ​ず​して、 やうやう0818に​まどひ​あう​て候そうろふ​めり。 *くにぐに​にも​おほく​きこえ候そうろふ。

^法然ほうねん聖しょう人にんの御おん弟子でしの​なか​にも、 われ​は*ゆゆしき学がく生しょうなど​と​おもひ~あひ​たる​ひとびと​も、 この世よには、 みな​やうやう​に法ほう%文もんを​いひ​かへ​て、 身みも​まどひ、 ひと​をも​まどはし​て、 わづらひ​あう​て候そうろふ%めり。

 ^聖教しょうぎょうの​をしへ​をも​み​ず​しら​ぬ、 おのおの​の​やう​に​おはします​ひとびと0811は、 往おう生じょうに​さはり​なし​と​ばかり​いふ​を​きき​て、 *あしざまに御おんこころえ​ある​こと、 おほく候そうらひ​き。 いま​も​さこそ候そうろふ​らめ​と​おぼえ候そうろふ+。

^浄じょう土どの教きょうも​しら​ぬ*信見しんけん房ぼうなど​が申もうす​こと​によりて、 *ひがざまに​いよいよ​なり​あはせ​たまひ候そうろふ​らん%を​きき候そうろふ​こそ、 あさましく候そうらへ。

 ^0739まづ​おのおの~の、 +むかし​は弥陀みだの​ちかひ​をも​しら​ず、 阿あ弥陀みだ仏ぶつをも申もうさ​ず​おはしまし候そうらひ​し​が、 釈しゃ迦か・弥陀みだの*御ご方便ほうべんに​もよほさ​れ​て、 いま弥陀みだの​ちかひ​をも​きき​はじめ​て​おはします身みにて候そうろふ​なり。 もと​は無む明みょうの酒さけに酔えひ+て、 貪欲とんよく・瞋しん恚に・愚痴ぐちの三毒さんどくを​のみ好このみ​めし​あう​て候そうらひ​つる​に、 仏ぶつの+ちかひ​を​きき​はじめ​し​より、 無む明みょうの酔えひ​も*やうやう​すこし​づつ​さめ、 三毒さんどくをも​すこし​づつ好このま​ず​して、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの薬くすりを​つね​に好このみ​めす身みと​なり​て​おはしまし​あう​て候そうろふ​ぞかし。

 ^しかるに、 なほ▽+酔えひも​さ0819めやらぬに、 かさねて酔えひをすすめ、 毒どくも消きえ​やら​ぬ​に、 なほ+毒どくを​すすめ​られ候そうろふ​らん​こそ、 あさましく+候そうらへ。 煩悩ぼんのう具ぐ足そくの身みなれば~とて、 こころ​に+まかせ~て、 身みにも​す​まじき​こと​をも​ゆるし、 口くちにも​いふ​まじき​こと​をも​ゆるし、 こころ​にも​おもふ​まじき​こと​をも​ゆるし​て、 *いかにも​こころ​の​まま​に~て​ある​べし​と申もうし​あう​て候そうろふ​らん​こそ、 かへすがへす*不ふ便びんに0812おぼえ候そうらへ。

^酔えひ​も​さめ​ぬ​さき​に、 なほ酒さけを​すすめ、 毒どくも消きえ​やら​ぬ+に、 いよいよ毒どくを​すすめ​ん​が​ごとし。 ▼薬くすりあり毒どくを好このめ​と候そうろふ​らん​こと​は、 *ある​べく​も候そうらは​ず​と†ぞ​おぼえ候そうろふ。

^仏ぶつの%御名みなをも​きき念仏ねんぶつ%を申もうし​て、 ひさしく​なり​て​おはしまさ​ん​ひとびと​は、 %後世ごせの​あしき​こと​を​いとふしるし、 この身みの​あしき​こと​を~ば​いとひ0740すて​ん​と​おぼしめす​しるし​も候そうろふ​べし​と​こそ​おぼえ候そうらへ。

 ^はじめて仏ぶつの​ちかひ​を​きき​はじむる​ひとびと​の、 わが身みの​わろく、 こころ​の​わろき​を​おもひしり​て、 この身みの​やう​にては%なんぞ往おう生じょうせ​んずる​といふ​ひと​に​こそ、 煩悩ぼんのう具ぐ~足そくし​たる身みなれば、 わが​こころ​の善悪ぜんあくをば沙汰さたせ​ず、 迎むかへ​たまふ​ぞ​と​は申もうし候そうらへ。

^かく​きき​て​のち、 仏ぶつを信しんぜ​ん​と​おもふ​こころ​ふかく​なり​ぬる​には、 まことに​この身みをも​いとひ、 流る転てんせん​こと​をも​かなしみ​て、 ふかく​ちかひ​をも0820信しんじ、 阿あ弥陀みだ仏ぶつをも好このみ​まうし​なんど​する​ひと​は、 †もとこそ、 こころ​の​まま​にてあしき​こと​をも​おもひ、 あしき​こと​をも​ふるまひ​なんど​せ​しかども、 いま​は​さやう​の​こころ​を​すて​ん​と​おぼしめし​あは​せたまは​ば​こそ、 世よを​いとふ​しるし​にても候そうらは​め。

^また往おう生じょうの信心しんじんは、 釈しゃ迦か・弥陀みだの御おんすすめ​によりて​おこる​と​こそ​みえ~て候そうらへ​ば、 さりとも​まこと​の​こころ​おこら​せたまひ​なん​には、 いか%が​むかし​の御おんこころ​の​まま​にては候そうろふ​べき。

 ^この御中おんなかの​ひとびと​も0813、 少々しょうしょうは​あしき​さま​なる​こと%の*きこえ候そうろふ​めり。 師しを​そしり、 善ぜん知ぢ識しきを​かろしめ、 同どう行ぎょうをもあなづり​なんど​し​あはせ​たまふ​よし​き%き候そうろふ~こそ、 あさましく候そうら%へ。 すでに謗法ほうぼうの​ひと​なり、 五ご逆ぎゃくの​ひと​なり。 *なれ0741むつぶ​べから​ず。

^¬浄じょう土ど論ろん¼ (論註・上意) と申もうす​ふみ​には、 「▲かやう​の​ひと​は仏法ぶっぽう信しんずる​こころ​の​なき​より、 この​こころ​は​おこる​なり」 と候そうろふ​めり。 また至し誠じょう心しんの​なか​には、 「▲かやうに悪あくを​このま​ん+には​つつしん​で​とほざかれ、 ちかづく%べから​ず」 (散善義・意) と​こそ%説とか​れ​て候そうらへ。 善ぜん知ぢ識しき・同どう行ぎょうには​したしみ​ちかづけ​と​こそ説とき​おか​れ​て候そうらへ。

 ^悪あくを​このむ​ひと​にも​ちかづき+なんど​する​こと​は、 浄じょう土どに​まゐり​て​のち、 衆しゅ生じょう利り益やくに​かへり​て​こそ、 さやう​の罪人ざいにんにも​した0821%がひ​ちかづく​こと​は候そうらへ。 それも、 わが​はからひ​には​あらず。 弥陀みだの​ちかひ​に​より~て+御おんたすけ​に+て​こそ、 おもふ​さま​の​ふるまひ​も候そうらは​んずれ。 *当とう時じは、 この身みども​の​やう​にて​は、 いかが候そうろふ​べか~る​らん​と​おぼえ候そうろふ。 よくよく案あんぜ​させたまふ​べく候そうろふ。

 ^往おう生じょうの金剛こんごう心しんの​おこる​こと​は、 仏ぶつの御おんはからひ+より​おこり​て候そうらへ​ば、 金剛こんごう心しんを​とり​て候そうらは​ん​ひと​は、 よも師しを​そしり善ぜん知ぢ識しきを​あなづり​なんど​する​こと​は候そうらは​じ​と%こそ​おぼえ候そうらへ。

^この文ふみをもつて鹿か島しま・行方なめかた・南みなみの荘しょう、 いづかた+も​これ​に​こころざし​おはしまさ​ん​ひと​には、 おなじ御おんこころ​に​よみ0814きか​せたまふ​べく候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

0742*建けん長ちょう四し年ねん%二に月がつ二に十じゅう四よっ日かのひ ▽

+親鸞

 (808)

◎(3) ¬末灯鈔¼(19)後半1、 ¬御消息集¼(2)

 ^この明教みょうきょう房ぼう~の​のぼら​れ​て候そうろふ​こと、 まことに​ありがたき​こと​と​おぼえ候そうろふ。 明みょう法ほうの御房おんぼうの御ご往おう生じょうの​こと​を​まのあたり​きき候そうろふ​も、 うれしく候そうろふ。 +ひとびとの御おんこころざし​も、 ありがたく​おぼえ候そうろふ。 かたがた​この0822ひと~びと​の​のぼり、 不ふ思議しぎの​こと​に候そうろふ。

^この文ふみを​たれたれ​にも​おなじ+こころ​に​よみ​きか​せたまふ​べく候そうろふ。 この文ふみは奥郡おうぐんに​おはします同どう0809朋ぼうの御中おんなかに、 %みな​おなじく御ご覧らん候そうろふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

 ^*としごろ念仏ねんぶつして往おう生じょう+ねがふ​しるし​には、 もと​あしかり​し​わが​こころ​をも​おもひ​かへし​て、 とも+同朋どうぼうにも​ねんごろ%に​こころ​の​おはしまし​あは​ば​こそ、 世よを​いとふ​しるし​にて​も候そうらは​め​と​こそ​おぼえ候そうらへ。 よくよく御おんこころえ候そうろふ​べし。▽

 0806

◎(4) ¬末灯鈔¼(19)前半、 ¬御消息集¼(3)

 ^御文おんふみたびたび​まゐらせ候そうらひ​き。 御ご覧らんぜ​ず​や候そうらひ​けん。

^なにごと​より​も明みょう法ほうの御房おんぼうの往おう生じょうの本ほん意いとげ​て​おはしまし候そうろふ​こそ、 常陸ひたちの国くにうち​の、 *これ​に​こころざし​おはします​ひとびと​の御おんため​に、 *めでたき​こと​にて候そうらへ。

^往おう生じょうは​ともかく0743も凡ぼん夫ぶの​はからひ​にて​す​べき​こと​にて​も候そうらは​ず。 *めでたき智ち者しゃも​はからふ​べき​こと​にも候そうらは​ず。 大だい小しょうの聖しょう人にんだに​も、 %ともかくも​はからは​で、 ただ願力がんりきに​まかせ​て​こそ​おはします​こと​にて+候そうら%へ。 まして​おのおの​の​やう​に​おはします​ひとびと​は、 ただ​この​ちかひ​あり​と​きき、 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつに​あひ​まゐらせ%0823たまふ​こそ、 ありがたく、 めでたく候そうろふ御ご果か報ほうにて​は候そうろふ​なれ。 +とかく​はからは​せたまふ​こと、 ゆめゆめ候そうろふ​べから​ず。

^さき​に​くだし​まゐらせ候そうらひ​し ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼・+¬自じ力りき他た力りき¼ な~んど​の​ふみ+にて御ご覧らん候そうろふ​べし。 *それ​こそ、 この世よにとりて​は​よき​ひとびと​にて+おはします。 +すでに往おう生じょうをも​して​おはします​ひとびと​にて候そうらへ​ば、 その​ふみ​ども​に書かか​れ​て候そうろふ​には、 なにごと​も​なにごと​も*すぐ​べく​も候そうらは​ず。

^法然ほうねん聖しょう人にんの御おんをしへ​を、 よくよく御おんこころえ​たる​ひとびと​にて​おはしま%す​に候そうらひ​き。 さればこそ、 往おう生じょうも​めでたく​して0807おはしまし候そうらへ。

 ^おほかた​は、 としごろ念仏ねんぶつ申もうし​あ%ひ​たまふ​ひとびと​の​なか​にも、 ひとへに*わが​おもふ​さま​なる​こと​を​のみ申もうし​あは​れ​て候そうろふ​ひとびと​も候そうらひ​き。 いま​も​さ%ぞ候そうろふ​ら%ん​と​おぼえ候そうろふ。 明みょう法ほう房ぼうな+ど​の往おう生じょうして​おはします​も、 もと​は*不可ふか思議しぎの​ひがごと​を​おもひ​なんど​し​たる​こころ​をも​ひるがへし​な~んど​して​こそ候そうらひ​し0744か。

^*われ往おう生じょうす​べけれ​ば​とて、 す​まじき​こと​をも​し、 おもふ​まじき​こと​をも~おもひ、 いふ​まじき​こと​をも​いひ​な+ど​する​こと​は​ある​べく​も候そうらは​ず。 貪欲とんよく~の煩悩ぼんのうに​くるはさ​れ​て欲よくも​おこり、 瞋しん恚にの煩悩ぼんのうに​くるはさ​れ​て​ねたむ​べく​も​なき因いん果がを​やぶる​こころ​も​おこり、 愚痴ぐち0824の煩悩ぼんのうに​まどはさ​れ​て​おもふ​まじき​こと​など​も​おこる​にて​こそ候そうらへ。

^めでたき仏ぶつの御おんちかひ​の​あれば​とて、 わざと​す​まじき​こと​ども​をも​し、 おもふ​まじき​こと​ども​をも​おもひ​な+ど​せ%ん​は、 よくよく​この世よの​いとはしから​ず、 身みの​わろき​こと​を+おもひ+しら​ぬ​にて候そうらへ​ば、 念仏ねんぶつに​こころざし​も​なく、 仏ぶつの御おんちかひ​にも​こころざし​の​おはしまさ​ぬ​にて候そうらへ​ば、 念仏ねんぶつせさせたまふ+とも、 その御おんこころざし​にて​は*順じゅん次じの往おう生じょうも*かたく​や候そうろふ​べから​ん。

^よくよく​この​よし​を​ひとびと​に、 きか​せ​まゐらせ~させたまふ​べく候そうろふ。 かやうに​も申もうす​べく​も候そうらは​ねども、 なに0808と​なく​この辺へんの​こと​を御おんこころ​に​かけ​あはせ​たまふ​ひとびと​にて​おはしまし%あひ​て候そうらへ​ば、 かく+も申もうし候そうろふ​なり。

^この%世よの念仏ねんぶつの義ぎは、 やうやう​に​かはり​あう​て候そうろふ​めれ​ば、 とかく申もうす​に+およば​ず候そうらへ​ども、 故こ聖しょう人にん (法然) の御おんをしへ​を​よくよく​うけたまはり​て​おはします​ひとびと​は、 *いま​も​もと​の​やう​に+かはら​せたまふ​こと候そうらは​ず。 *世よかくれ​なき0745こと​なれば、 きか​せたまひ​あう​て候そうろふ​らん。

^*浄じょう土ど宗しゅうの義ぎ、 みな​かはり​て​おはしまし​あう​て候そうろふ​ひとびと​も、 +聖しょう人にん (法然) の御おん弟子でしにて候そうらへ​ども、 やうやう​に義ぎをも​いひ​かへ​な+ど​して、 身みも​まどひ、 ひと​をも​まどは~かし​あう​て候そうろふ0825めり。 あさましき​こと​にて候そうろふ​なり。 京きょうにも​おほく​まどひ​あう​て候そうろふ​めり。 †まして、 ゐなか​は、 さこそ候そうろふ​らめ​と*こころにくく​も候そうらは​ず。 なにごと​も申もうし​つくし​がたく候そうろふ。 またまた申もうし候そうろふ​べし。▽

 (809)

◎(5) ¬末灯鈔¼(19)後半2、 ¬御消息集¼(4)

 ^善ぜん知ぢ識しきを​おろか​に​おもひ、 師しを​そしる​もの​をば、 謗法ほうぼうの​もの​と申もうす​なり。 おや​を​そしる​もの​をば、 五ご逆ぎゃくの​もの​と申もうす​なり。 同どう座ざ+せ​ざれ​と候そうろふ​なり。

^されば北きたの郡こおりに候そうらひ​し善ぜん%証しょう房ぼうは、 おや​を​のり、 善信ぜんしん (親鸞) を​やうやう​に​そしり候そうらひ​しかば、 ちかづき​むつまじく​おもひ候そうらは​で、 ちかづけ​ず候そうらひ​き。 明みょう法ほうの御房おんぼうの往おう生じょうの​こと​を​きき​ながら、 *+あと​を​おろかに+せん​ひとびと​は、 その同朋どうぼうに​あらず候そうろふ​べし。

^△無む明みょうの酒さけに酔えひ​たる人ひとに​いよいよ酔えひ​を​すすめ、 三毒さんどくを​ひさしく好このみ​く~らふ​ひと​に​いよいよ毒どくを​ゆるして好このめ​と申もうし​あう​て候そうろふ​らん、 不ふ便びんの​こと​に候そうろふ。

^無む明みょうの酒さけに酔えひ​たる~こと​を​かなしみ、 三毒さんどくを好このみ​くう​て​いまだ毒どくも0746失うせ​はて​ず、 無む明みょうの酔えひ​も​いまだ​さめ​やら​ぬ%に​おはしまし​あう​て候そうろふ​ぞかし。 よくよく御おんこころえ候そうろふ​べし。▽

+なに0826ごと​も​まふし​つくし​がたく​さふらふ。 またまた​まふす​べし。 あなかしこ、 あなかしこ。

親鸞▽

 0743  (770)  (779)  0871

◎(6) 「真筆消息」(1)、 「古写消息」(5)、 ¬末灯鈔¼(2)、 ¬血脈文集¼(1)

 ^%笠かさ間まの念仏ねんぶつ者しゃの疑うたがひ​とは%れ​たる事こと。

 ^それ浄じょう土ど~真しん宗しゅうの​こころ​は、 往おう生じょうの根こん機きに他た力りきあり、 自じ力りきあり。 この​こと​すでに*天竺てんじく (印度) の論ろん家げ、 浄じょう土どの祖師そしの仰おおせ​られ​たる%こと​なり。

 ^まづ自じ力りきと申もうす​こと​は、 行ぎょう者じゃの​おのおの~の縁えんに​したがひ​て、 *余よの仏号ぶつごうを称しょうトナウ念ねんし、 余よの善根ぜんごんを修しゅ行ぎょうして、 わが身みを​たのみ、 わが​はからひ​の​こころ​をもつて▼身しん口意くいの​みだれごころ​を​つくろひ、 *0780めでたう​しなし​て浄じょう土どへ往おう生じょうせん​と​おもふ​を自じ力りきと申もうす​なり。

^また他た力りきと申もうす​こと​は、 弥陀みだ如来にょらいの御おんちかひ​の​なか​に、 選せん択じゃく摂取せっしゅし​たまへる第だい十じゅう八はちの念仏ねんぶつ往おう生じょうの本願ほんがんを信しん楽ぎょうする​を他た力りきと申もうす​なり。 如来にょらいの御おんちかひ​なれば、 「▲他た力りきには義ぎなき​を義ぎと​す」 と、 聖しょう人にん (法然) の仰おおせごと​にて​あり​き。 義ぎといふ​こと​は、 はからふ​ことば​なり。 行ぎょう者じゃのはからひ​は自じ力りきなれば、 義ぎと0872いふ​なり。 他た力りきは、 本願ほんがん0771を信しん楽ぎょうして往おう生じょう%必ひつ定じょうなる​ゆゑに、 さらに0744義なし​と+なり。

 ^0747しかれば、 わが身みの​わるけれ​ば、 *いかでか如来にょらい迎むかへ​たま%は​ん​と​おもふ​べから​ず。 凡ぼん夫ぶは​もとより煩ぼんミヲワヅラハス 悩のうココロヲワヅラハス具ぐ足そくし​たる​ゆゑに、 わるき​もの​と​おもふ​べし。 また​わが​こころ+よけれ​ば、 往おう生じょうす​べし​と​おもふ​べから​ず。 自じ力りきの御おんはからひ​にて​は真実しんじつの報ほう土どへ%生うまる​べから​ざる​なり。 「行ぎょう者じゃの​おのおの​の自じ力りきの%信しんにて​は、 懈け慢まん辺へん地じの往おう生じょう、 胎たい生しょう疑ぎ城じょうの浄じょう土どまで​ぞ往おう生じょうせ​らるる​こと​にて​ある​べき」 と%ぞ、 うけたまはり​たり​し。

^第だい十じゅう八はちの本願ほんがん成じょう就じゅの​ゆゑに阿あ弥陀みだ如来にょらいと​なら​せたまひ​て、 不可ふか思議しぎの利り益やくきはまり​ましまさ​ぬ御おんかたち​を、 天親てんじん菩ぼ薩さつは▲尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらいと​あらはし​たまへ​り。 このゆゑに、 よき​あしき人ひとを​きらは​ず、 煩悩ぼんのうの​こころ​を​えらば​ず、 へだて​ず​して、 往おう生じょうは​かならず​する​なり​と​しる​べし​となり。

^しかれば、 恵え心しん院いんの和か尚しょう (源信) は、 ¬往おう生じょう要よう集しゅう¼ (下意) に0781+、 本願ほんがん~の念仏ねんぶつを信しん楽ぎょうする​ありさま​を​あらはせ​る​には、 「▲行住ぎょうじゅう座臥ざがを簡えらば​ず、 時じ処しょ諸縁しょえんを​きらは​ず」 と仰おおせ​られ​たり。 「▲真実しんじつの信心しんじんを​え​たる人ひとは摂取せっしゅの​ひかり​に​をさめ​とら​れ​まゐらせ​たり」 (往生要集・下意) と、 たしかに​あらはせ​り。

^しかれば、 「無む明みょう煩悩ぼんのうを具ぐ+して安あんヤスシ養にょうヤシナウ浄じょう土どに往おう生じょうすれば、 ~かならず​すなはち無む上じょう仏ぶっ果かに​いたる」 と、 釈しゃ迦か如来にょらい説とき​たまへ​り。

 ^0748しかるに、 「▲五ご濁じょく0873悪あく世せの​われら、 釈しゃ迦か一仏いちぶつの​みこと​を信受しんじゅ0772せん​こと*ありがたかる​べし​とて、 十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ、 証しょう0745人にんと​なら​せたまふ」 (散善義・意) と、 善導ぜんどう和か尚しょうは釈しゃくし​たまへ​り。 「▲釈しゃ迦か・弥陀みだ・十方じっぽうの諸仏しょぶつ、 みな​おなじ御おんこころ​にて、 本願ほんがん+念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうには、 影かげ~の形かたちに添そへ​る​が​ごとく​して​はなれ​たまは​ず」 (散善義・意) と​あかせ​り。

^しかれば、 この信心しんじんの人ひとを釈しゃ迦か如来にょらいは、 「▲~わが親したしき友ともなり」 (大経・下意) と​よろこび​まします。

^▲この信心しんじんの人ひとを真しんの仏ぶつ弟子でしと​いへ​り。 この人ひとを正しょう念ねんに住じゅうする人ひとと​す。 この人ひと%は、〔阿あ弥陀みだ仏ぶつ〕摂取せっしゅして捨すて​たまは​ざれ​ば、 金剛こんごう心しんを​え​たる人ひとと申もうす​なり。 ▲この人ひとを 上上じょうじょう人にんウエガウエノヒトナリとも、 好人こうにんヨキヒトナリとも、 妙みょう好こう人にんタヱニヨキヒトナリとも、 最さい勝しょう人にんコトニスグレタとルヒも、トナリ 希有けう人にんマレニアリガタキヒトナリとも申もうす​なり。 この人ひとは正定しょうじょう聚じゅの位くらいに定さだま~れ​る​なり​と​しる​べし。 しかれば、 *弥み勒ろく仏ぶつと​ひとしき人ひとと​のたまへ​り。 %これ​は真実しんじつ信心しんじんを​え​たる​ゆゑに、 かならず真実しんじつの報ほう土どに往おう生じょうする​なり​と​しる​べし。

 ^この信心しんじんを0782うる​こと​は、 釈しゃ迦か・弥陀みだ・十方じっぽう諸仏しょぶつの御ご方便ほうべん+より​たまはり​たる​と​しる​べし。 しかれば、 「▽諸仏しょぶつの御おんをしへ​を​そしる​こと​な%し。 余よの善根ぜんごんを行ぎょうずる人ひとを​そしる​こと​なし。 この念仏ねんぶつする人ひとを​にくみ​そしる人ひとをも、 にくみ​そしる​こと​ある​べからず。 あはれみ​を​なし、 *かなしむ​こころ​を​もつ​べし」 と​こそ、 聖しょう人にん0749 (法然) は仰おおせごと​あり​し​か。

^あなかしこ、 あなかしこ。

 0874^仏恩ぶっとんの​ふかき​こと​は、 懈け慢まん辺へん地じに往おう生じょうし、 疑ぎ城じょう胎たい宮ぐに往おう生じょうする​だに​も、 弥陀みだの御おんちかひ​の0773なか​に、 第だい十じゅう九く・第だい二に十じゅうの願がんの御おんあはれみ​にて​こそ、 不ふ0746可か思議しぎの​たのしみ​に​あふ​こと​にて候そうらへ。 仏恩ぶっとんの​ふかき​こと、 その​きは​も​なし。 いかに​いはんや、 真実しんじつの報ほう土どへ往おう生じょうして大だい涅ね槃はんの​さとり​を​ひらか​ん​こと、 仏恩ぶっとんよくよく御ご案あんども候そうろふ​べし。 これ​さらに性しょう信しん坊ぼう・親鸞しんらんが​はからひ​まうす​には​あらず候そうろふ。 ゆめゆめ。

*建けん長ちょう七歳しちさい乙きのと卯のう十じゅう月がつ三みっ日かのひ

愚ぐ禿とく親鸞しんらん八はち十じゅう三歳さんさいこれを書かく。▽

   %*建長八歳丙辰四月十三日

釈親鸞 八十四歳 剋作 ▽

+此御書者、 自性信聖之遺跡、 以聖人御自筆之本、 写与被門弟中。 云々 ▽

+なをなを​よくよく念仏ねむぶちまうさ​せたまは​ん人々ひとびとは、 本ほん願ぐわんの念仏ねむぶちを信しんぜ​させたまふ​べし。▽

 (747)  (793)  (845)

◎(7) [信行一念章] 「真筆消息」(3)、 ¬末灯鈔¼(11)、 ¬御消息集¼(14)

 ^四し月がつ七なぬ日かの御文おんふみ、 五ご月がつ二に十じゅう六日ろくにちたしかに~たしかに​み候そうらひ​ぬ。

^さては、 仰おおせ​られ​たる​こと、 信しんの一念いちねん・行ぎょうの一念いちねんふたつ​なれども、 信しんを​はなれ​たる行ぎょうも​なし、 行ぎょう0846の一念いちねんを​はなれ​たる信しんの一念いちねんも​なし。

^そのゆゑは、 行ぎょうと申もうす​は、 本願ほんがんの名みょう号ごうを​ひとこゑ​となへ​て往おう生じょうす​と申もうす​こと​を​きき​て、 ひとこゑ​をも​となへ、 もしは十じゅう念ねんをも​せん​は行ぎょうなり。 この御おんちかひ​を​きき​て、 疑うたがふ​こころ​の​すこし​も​なき0750を信しんの一念いちねんと申もう%せ​ば、 信しんと行ぎょうと​ふたつ​と​きけ​ども、 行ぎょうを​ひとこゑ​する​と​きき​て疑うたが0794は​ねば、 行ぎょうを​はなれ​たる信しんは​なし*と​きき​て候そうろふ。 また、 信しん+はなれ​たる行ぎょうなし​と​おぼしめす​べし。

 ^これ​みな弥陀みだの御おんちかひ​と申もうす​こと​を​こころう​べし。 行ぎょうと信しんと​は御おんちかひ​を申もうす​なり。

^あなかしこ、 あなかしこ。

 ^いのち候そうらは​ば、 かならず~かならず​のぼら​せたまふ​べし。

五ご月がつ二に十じゅう%八日はちにち

%(花押)▽

  ~覚かく信しんの御房おんぼう 御おん返へん事じ

 0748^▼専信せんしん坊ぼう、 京きょうちかく​なら​れ​て候そうろふ​こそ、 たのもしう​おぼえ候そうらへ。▽

~また、 御おんこころざし​の銭ぜに*三さん百びゃく文もん、 たしかに​たしかに​かしこまり​て​たまはり​て候そうろふ。▽

 *「*建けん長ちょう八歳はっさい丙ひのえ辰たつ五ご月がつ二に十じゅう八日はちにち親鸞しんらん聖しょう人にん御おん返へん事じ」

 (874)

◎(8) ¬血脈文集¼(2)

 ^この御文おんふみども​の​やう、 くはしく​み候そうろふ。

^また、 さては慈じ信しんが法文ほうもんの​やう​ゆゑに、 常陸ひたち・下野しもつけの人々、 念仏ねんぶつ申もうさせたまひ候そうろふ​こと​の、 としごろ​うけたまはり​たる​やう​には、 みな​かはり​あう​て​おはします​と​きこえ候そうろふ。 かへすがへす0875†こころ0751うく​あさましく​おぼえ候そうろふ。 としごろ往おう生じょうを一いち定じょうと仰おおせられ候そうろふ人々、 慈じ信しんと​おなじ​やう​に、 そらごと​を​みな候そうらひ​ける​を、 としごろ​ふかく​たのみ​まゐらせ​て候そうらひ​ける​こと、 かへすがへす​あさましう候そうろふ。

 ^そのゆゑは、 往おう生じょうの信心しんじんと申もうす​こと​は、 一念いちねんも疑うたがふ​こと​の候そうらは​ぬ​を​こそ、 往おう生じょう一いち定じょうと​は​おもひ​て候そうらへ。

^光こう明みょう寺じの和か尚しょう (善導) の信しんの​やう​を​をしへ​させたまひ候そうろふ​には、 「▲まこと​の信しんを定さだめ​られ​て​のち​には、 弥陀みだの​ごとく​の仏ぶつ、 釈しゃ迦かの​ごとく​の仏ぶつ、 そら​に​みち​みち​て、 釈しゃ迦かの​をしへ、 弥陀みだの本願ほんがんは​ひがごと​なり​と仰おおせ​らる​とも、 ▲一念いちねんも疑うたがいある​べから​ず」 と​こそ​うけたまはり​て候そうらへ​ば、 その​やう​を​こそ、 としごろ申もうし​て候そうろふ​に、 慈じ信しんほど​の​もの​の申もうす​こと​に、 常陸ひたち・下野しもつけの念仏ねんぶつ者しゃの、 みな御おんこころ​ども​の*うかれて、 はては、 さしも​たしかなる証しょう文もんを、 ちから​を尽つくして数かずあまた書かき​て​まゐらせ​て候そうらへ​ば、 それ​を​みな​すて​あう​て​おはしまし候そうろふ​と​きこえ候そうらへ​ば、 ともかくも申もうす​に​およば​ず候そうろふ。

 ^まづ慈じ信しんが申もうし候そうろふ法文ほうもんの​やう、 名みょう目もくをも​きか​ず。 いはんや​ならひ​たる​こと​も候そうらは​ねば、 慈じ信しんに​ひそかに​をしふ​べき​やう​も候そうらは​ず。 また夜よるも昼ひるも慈じ信しん一人いちにんに、 人ひとには​かくし​て法文ほうもんをしへ​たる​こと候そうらは​ず。 もし​この​こと、 慈じ信しんに申もうし0752ながら、 そらごと0876をも申もうし​かくし​て、 人ひとにも​しら​せ​ず​して​をしへ​たる​こと候そうらは​ば、 三宝さんぼうを本ほんとして、 三界さんがいの諸天しょてん善神ぜんじん・四し海かいの竜りゅう神じん八はち部ぶ・閻えん魔ま王界おうかいの神じん祇ぎ冥みょう道どうの罰ばつを、 親鸞しんらんが身みに​ことごとく​かぶり候そうろふ​べし。

 ^自じ今こん以後いごは、 慈じ信しんにおきて​は、 *子この義ぎおもひきり​て候そうろふ​なり。 世せ間けんの​こと​にも、 *不可ふか思議しぎの​そらごと、 申もうす​かぎり​なき​ことども​を、 申もうし​ひろめ​て候そうらへ​ば、 出しゅっ世せのみ​に​あらず、 世せ間けんの​こと​におきて​も、 おそろしき申もうしごと​ども数かずかぎり​なく候そうろふ​なり。

^なか​にも、 この法文ほうもんの​やう​きき候そうろふに、 こころ​も​およば​ぬ申もうしごと​にて候そうろふ。 *つやつや親鸞しんらんが身みには、 きき​も​せ​ず、 ならは​ぬ​こと​にて候そうろふ。 かへすがへす​あさましう、 こころうく候そうろふ。

^弥陀みだの本願ほんがんをすて​まゐらせ​て候そうろふ​こと​に、 人々ひとびとの​つき​て、 親鸞しんらんをも​そらごと申もうし​たる​もの​に​なし​て候そうろふ。 こころうく、 *うたてき​こと​に候そうろふ。

 ^おほかた​は、 ¬唯信ゆいしん抄しょう¼・¬自じ力りき他た力りきの文ふみ¼・¬後世ごせ物もの語がたりの聞書ききがき¼・¬一念いちねん多た念ねんの証しょう文もん¼・¬唯信ゆいしん鈔しょうの文もん意い¼・¬一念いちねん多た念ねんの文もん意い¼、 これら​を御ご覧らんじ​ながら、 慈じ信しんが法文ほうもんによりて、 おほく​の念仏ねんぶつ者しゃ達たちの、 弥陀みだの本願ほんがんを​すて​まゐらせ​あう​て候そうろふ​らん​こと、 申もうす​ばかり​なく候そうらへ​ば、 かやう​の御おんふみ​ども、 これ​より​のち​には仰おおせ​らる0753べから​ず候そうろふ。

 ^また ¬真しん0877宗しゅうの聞書ききがき¼、 性しょう信しん房ぼうの書かか​せたまひ​たる​は、 すこし​も​これ​に申もうして候そうろふ​やう​に​たがは​ず候そうらへ​ば、 うれしう候そうろふ。 ¬真しん宗しゅうの聞書ききがき¼ 一いち帖じょうは​これ​に​とどめ​おき​て候そうろふ。

 ^また哀愍あいみん房ぼうとか​や​の、 いまだ​み​も​せ​ず候そうろふ。 また文ふみ一いち度ども​まゐらせ​たる​こと​も​なし。 くに​より​も*文ふみたび​たる​こと​も​なし。

^親鸞しんらんが文ふみを得えたる​と申もうし候そうろふ​なる​は、 おそろしき​こと​なり。 この ¬*唯信ゆいしん鈔しょう¼ 書かき​たる​やう、 あさましう候そうらへ​ば、 火ひに​やき候そうろふ​べし。 かへすがへす​こころうく候そうろふ。

^この文ふみを人々ひとびとにも​み​せ​させたまふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

*五ご月がつ二に十じゅう九く日にち

親鸞しんらん

  性しょう信しん房ぼう御おん返へん事じ

 ^なほなほ​よくよく念仏ねんぶつ者しゃ達たちの信心しんじんは一いち定じょうと候そうらひ​し​こと​は、 みな御おんそらごと​ども​にて候そうらひ​けり。 これ​ほど​に第だい十じゅう八はちの願がんを​すて​まゐらせ​あう​て候そうろふ人々ひとびとの御おんことばを​たのみ​まゐらせ​て、 としごろ候そうらひ​ける​こそ、 あさましう候そうろふ。 この文ふみを​かくさ​る​べき​こと​なら​ねば、 よくよく人々ひとびとに​みせ​まうし​たまふ​べし。▽

 0754  (765)

◎(9) [慈信房義絶状] 「古写消息」(3)

 ^仰おおせ​られ​たる​こと、 くはしく​きき​て候そうろふ。 なに​より​は、 哀愍あいみん房ぼうとかや​と申もうす​なる人ひとの、 *京きょうより文ふみを得えたる​とかや​と申もうさ​れ候そうろふ​なる、 かへすがへす不ふ思議しぎに候そうろふ。 いまだ​かたち​をも​み​ず、 文ふみ一いち度ども​たまはり候そうらは​ず、 これ​より​も申もうす​こと​も​なき​に、 京きょうより文ふみを得えたる​と申もうす​なる、 あさましき​こと​なり。

 ^また慈じ信しん房ぼうの法文ほうもんの​やう、 名みょう目もくを​だに​も​きか​ず、 しら​ぬ​こと​を、 慈じ信しん一人いちにんに、 夜よる親鸞しんらんが​をしへ​たる​なり​と、 人ひとに慈じ信しん房ぼう申もうされて候そうろふ​とて、 *これ​にも常陸ひたち・下野しもつけの人々ひとびとは、 みな親鸞しんらんが​そらごと​を申もうし​たる​よし​を申もうし​あは​れ​て候そうらへ​ば、 いま​は父子ふしの義ぎは​ある​べから​ず候そうろふ。

 ^また*母ははの尼あまにも不ふ0766思議しぎの​そらごと​を​いひ​つけ​られ​たる​こと、 申もうす​かぎり​なき​こと、 あさましう候そうろふ。 *みぶ・・の女にょう房ぼうの、 これ​へ​きたり​て申もうす​こと、 慈じ信しん房ぼうが*たう​たる文ふみとて、 もち​て​きたれ​る文ふみ、 これ​に​おき​て候そうろふ​めり。 慈じ信しん房ぼうが文ふみとて​これ​に​あり。 その文ふみ、 *つやつや​いろは​ぬこと​ゆゑに、 *ままはは​に*いひ​まどは​され​たると書かか​れ​たる​こと、 ことに​あさましき​こと​なり。 世よに​あり​ける​を、 ままはは​の尼あまの​いひ​まどはせ​り​といふ​こと、 あさましき​そらごと​なり。

^またこの世よに​いかに​して​あり​けり​とも​しら​ぬ​こと​を、 みぶ・・の女にょう房ぼうの​もと​へ​も文ふみの​ある​こと0755、 こころ​も​およば​ぬ​ほど​の​そらごと、 こころうき​こと​なり​と​なげき候そうろふ。

 ^まことに​かかる​そらごと​ども​を​いひ​て、 *六ろく波羅はらの辺へん、 *鎌倉かまくらなんど​に*披ひ露ろうせ​られ​たる​こと、 こころうき​こと​なり。 これら​ほど​の​そらごと​は​この世よの​こと​なれば、 いかで​も​ある​べし。 それ​だに​も、 そらごと​を​いふ​こと、 うたてき​なり。 いかに​いはんや、 往おう生じょう極楽ごくらくの大だい事じを​いひ​まどはし​て、 常陸ひたち・下野しもつけの念仏ねんぶつ者しゃを​まどはし、 親おやに​そらごと​を​いひ​つけ​たる​こと、 こころうき​こと​なり。

 ^第だい十じゅう八はちの本願ほんがんをば、 しぼめる​はな​に​たとへ​て、 人ひとごと​に​みな​すて​まゐらせ​たり​と​きこゆる​こと、 まことに謗法ほうぼうの​とが、 また五ご逆ぎゃくの罪つみを好このみ​て、 人ひとを損そんじ​まどはさ​るる​こと0767、 かなしき​こと​なり。

 ^ことに破は僧そう~の罪つみと申もうす罪つみは、 五ご逆ぎゃくの​その一ひとつ​なり。 親鸞しんらんに​そらごと​を申もうし​つけ​たる​は、 父ちちを殺ころす​なり。 五ご逆ぎゃくの​その一ひとつ​なり。 この​こと​ども​つたへ​きく​こと、 あさましさ申もうす​かぎり​なけれ​ば、 いま​は親おやといふ​こと​ある​べから​ず、 子こと​おもふ​こと​おもひ​きり​たり。 三宝さんぼう・神明しんめいに申もうし​きり​をはり​ぬ。 かなしき​こと​なり。 わが法門ほうもんに似にず​とて、 常陸ひたちの念仏ねんぶつ者しゃみな​まどはさ​ん​と好このまるる​と​きく​こそ、 こころうく候そうらへ。 親鸞しんらんが​をしへ​にて、 常陸ひたちの念仏ねんぶつ申もうす人々ひとびとを損そんぜ​よ​と慈じ信しん房ぼう0756に​をしへ​たる​と鎌倉かまくらまで​きこえ​ん​こと、 あさまし​あさまし。

五ご月がつ二に十じゅう九く日にち

在判

    *同おなじき六月ろくがつ二に十じゅう七日しちにち到来とうらい

     建けん長ちょう八年はちねん六月ろくがつ二に十じゅう七日しちにちこれを註しるす。

   ^慈じ信しん房ぼう御おん返へん事じ

     *嘉か元げん三年さんねん七月しちがつ二に十じゅう七日しちにち書写しょしゃしをはんぬ。▽

 (789)

◎(10) ¬末灯鈔¼(8)

 ^また▲五ご説せつといふは、 よろづ​の経きょうを説とか​れ候そうろふ​に、 五ご種しゅにはすぎ​ず候そうろふ​なり。 一には仏説ぶっせつ、 二には聖しょう弟子でしの説せつ、 三には天仙てんせんの説せつ、 四には鬼き神じんの説せつ、 五には変へん化げの説せつといへり。 この五いつつ​の​なか​に、 仏説ぶっせつを​もちゐ​て​かみ​の四し種しゅを​たのむ​べから​ず候そうろふ。 この三さん部ぶ経きょうは釈しゃ迦か如来にょらいの自じ説せつにて​まします​と​しる​べし​となり。

^▲四土しどといふは、 一には0790法身ほっしんの土ど、 二には報身ほうじんの土ど、 三には応身おうじんの土ど、 四には化土けどなり。 いま​この安楽あんらく浄じょう土どは報ほう土どなり。

^三身さんしんといふは、 一には法身ほっしん、 二には報身ほうじん、 三には応身おうじんなり。 いま​この弥陀みだ如来にょらいは報身ほうじん如来にょらいなり。

^三宝さんぼうといふは、 一には仏宝ぶっぽう、 二には法宝ほうぼう、 三には僧宝そうぼうなり。 いま​この浄じょう土ど宗しゅうは仏宝ぶっぽうなり。

^四し乗じょうといふは0757、 一には仏ぶつ乗じょう、 二には菩ぼ薩さつ乗じょう、 三には縁覚えんがく乗じょう、 四には声しょう聞もん乗じょうなり。 いま​この浄じょう土ど宗しゅうは*菩ぼ薩さつ乗じょうなり。

^二に教きょうといふは、 一には頓とん教ぎょう、 二には漸ぜん教ぎょうなり。 いま​この教きょうは頓とん教ぎょうなり。

^二に蔵ぞうといふは、 一には菩ぼ薩さつ蔵ぞう、 二には声しょう聞もん蔵ぞうなり。 いま​この教きょうは菩ぼ薩さつ蔵ぞうなり。

^二に道どうといふは、 一には難なん行ぎょう道どう、 二には易い行ぎょう道どうなり。 いま​この浄じょう土ど宗しゅうは易い行ぎょう道どうなり。

^二に行ぎょうといふは、 一には正行しょうぎょう、 二には雑ぞう行ぎょうなり。 いま​この浄じょう土ど宗しゅうは正行しょうぎょうを本ほんとするなり。

^二に超ちょうといふは、 一には竪しゅ超ちょう、 二には横おう超ちょうなり。 いま​この浄じょう土ど宗しゅうは横おう超ちょうなり。 竪しゅ超ちょうは聖しょう道どう自じ力りきなり。

^二に縁えんといふは、 一には無む縁えん、 二には有う縁えんなり。 いま​この浄じょう土どは有う縁えんの教きょうなり。

^二に住じゅうといふは、 一には%止し住じゅう、 二には不ふ住じゅうなり。 いま​この浄じょう土ど~の教きょうは、 法滅ほうめつ百ひゃく歳さいまで住じゅうし​たまひ​て、 有う情じょうを利り益やくし​たまふ​となり。 不ふ住じゅうは聖しょう道どう諸善しょぜんなり。 諸善しょぜんは​みな竜りゅう宮ぐうへ​かくれ​いり​たまひ​ぬる​なり。

^思し・不思ふしといふは、 思し+議ぎの法ほうは聖しょう道どう*八万はちまん四し千せんの諸善しょぜんなり。 不思ふしといふは浄じょう土どの教きょうは不可ふか思し0791議ぎの教きょう法ぼうなり。

 ^これら​は​かやうに​しるし​まうし​たり。 よく​しれ​らん​ひと​に尋たずね​まうし​たまふ​べし。 また​くはしく​は​この文ふみにて申もうす​べく​も候そうらは​ず。 目めも​みえ​ず候そうろふ。 なにごと​も​みな​わすれ​て候そうろふ​うへに、 ひと+に​あきらかに申もうす​べき身みにも​あらず候そうろふ。 0758よくよく*浄じょう土どの学がく生しょうに​とひ​まうし​たまふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

*閏うるう三月さんがつ%三みっ日かのひ

親鸞しんらん ▽

 0783  (864)  (882)

◎(11) [金剛信心事] ¬末灯鈔¼(3)、 ¬善性本¼(5)、 ¬血脈文集¼(6)

+金剛信心事。

 ^+信心しんじんを​え​たる​ひと​は、 かならず正定しょうじょう聚じゅの位くらいに住じゅうする​がゆゑに等とう正しょう覚がくの位くらいと申もうす​なり。 +¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ に~は、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃの利り益やくに定さだまる~もの​を▲正定しょうじょう聚じゅと​なづけ、 ¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ には▲等とう正しょう覚がくと説とき​たまへ​り。 その名なこそ​かはり​たれ​ども、 正定しょうじょう聚じゅ・等とう正しょう覚がく~は、 ひとつ​こころ、 ひとつ位くらいなり。 等とう正しょう覚がくと申もうす位くらいは、 補ふ処しょの弥み勒ろく~と​おなじ位くらいなり。 弥み勒ろくと​おなじく、 このたび無む上じょう覚かくに​いたる​べき​ゆゑに、 弥み勒ろくに​おなじと説とき​たまへ​り。

 ^さて ¬大だい経きょう¼ (下) には、 「▲次し如にょ0883弥み勒ろく」 と​は申もうす​なり。 弥み勒ろくは​すでに仏ぶつに​ちかく​ましませ​ば、 弥み勒ろく仏ぶつと諸しょ宗しゅうの​ならひ​は申もうす​なり。 しかれば、 弥み勒ろくに​おなじ位くらいなれば、 正定しょうじょう聚じゅの人ひとは如来にょらい%と​ひとし​とも申もうす​なり。 浄じょう土どの真実しんじつ信心しんじんの人ひとは、 この身みこそ​あさましき不ふ浄じょう造悪ぞうあくの身みなれども、 心こころは​すでに如来にょらいと​ひとし​けれ~ば、 如来にょらいと~ひとし​と申もうす​こと​も​ある​べし​と​しら​せたまへ。

^弥み勒ろく~は​すでに無む上じょう覚かくに​その0865心しん定さだまり​て%ある​べき​に​なら​せたまふ​によりて、 三さん会ねの​あかつき​と申もう0759す​なり。 浄じょう土ど真しん%実じつの​ひと​も、 この​こころ​を​こころう​べき​なり。

 ^光こう明みょう寺じの和か尚しょう (善導) の ¬般舟はんじゅ讃さん¼ (意) には、 「▲信心しんじんの​ひと​は、 %その心しんすでに~つねに浄じょう土どに居こす」 と釈しゃくし​たまへ​り。 「居こす」 といふは、 浄じょう0784土どに、 信心しんじんの​ひと​の​こころ​つねに​ゐ​た%り​といふ​こころ​なり。 これ​は弥み勒ろくと​おなじ+といふ​こと​を申もうす​なり。 これ​は等とう正しょう覚がくを弥み勒ろくと​おなじ​と申もうす​によりて、 信心しんじんの​ひと​は如来にょらいと​ひとし​と申もうす​こころ​なり。

~*正しょう嘉か元年がんねん丁ひのと巳のみ十じゅう月がつ十とお日かのひ

親鸞しんらん

  性しょう信しんの御房おんぼう

+これ​は親鸞聖人御信心の​むね​を​あそばし​たり。 ひざう​の​こと​なり。 ひと​に​ひやうかい​に​しら​しむ​べから​ず。 ゆめゆめ。

 

◎(12) ¬末灯鈔¼(4)、 ¬善性本¼(6)

+真仏御坊   親鸞

 ^これ​は ¬経きょう¼ の文もんなり。 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ (入法界品・意) に~のたまはく、 「▲信心しんじん歓かん喜ぎ者しゃ与よ諸しょ如来にょらい等とう」 といふは、 「信心しんじん+よろこぶ​ひと​は​もろもろ​の如来にょらいと​ひとし」 といふ​なり。 「~もろもろ​の如来にょらいと​ひとし」 といふは、 信心しんじんを​え​て​ことに​よろこぶ​ひと%は、 釈しゃく尊そんの​みこと​には、 「▲見けん敬きょう得とく大だい慶きょう則そく我が善ぜん親しん友ぬ」 (大経・下) と説とき​たまへ​り。

^また弥陀みだの第だい十じゅう七しちの願がんには、 「▲十方じっぽう世せ界かい+ 無む量りょう+諸仏しょぶつ0866 不ふ悉しつ咨し嗟しゃ 称しょう我が名みょう者しゃ 不ふ取しゅ正しょう覚がく」 (大経・上) と誓ちかひ​たまへ​り。 願がん成じょう就じゅの文 (大経・下意) には、 「▲よ0760ろづ​の仏ぶつに​ほめ​られ、 よろこび​たまふ」 と​みえ​たり。

 ^すこしも疑うたがふ​べき​に​あらず。 これ​は 「如来にょらいと​ひとし」 といふ文もんども​を​あらはし​しるす​なり。

0785*正しょう嘉か元年がんねん丁ひのと巳のみ十じゅう月がつ十とお日かのひ

親鸞しんらん

  真しん仏ぶつの御房おんぼう ▽

 (748)  0797  0853

◎(13) [慶信上書聖人加筆御返事] 「真筆消息」(4)、 ¬末灯鈔¼(14)、 ¬善性本¼(1)

 ^*畏かしこまり​て申もうし+候そうろふ。

 ^¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (下) に 「▲信心しんじん歓かん喜ぎˆ嘉ˇ」 と候そうろふ。 ¬~華け厳ごん経ぎょう¼ を引ひき​て ¬浄じょう土ど和わ讃さん¼ (94) にも、 「▲信心しんじんよろこぶ​その​ひと​を 如来にょらいと​ひとし​と​とき​たまふ ↓大だい信心しんじんは仏ぶっ性しょうなり 仏ぶっ性しょうすなはち如来にょらいなり」 と仰おおせ​られ​て候そうろふ​に、 専修せんじゅの人ひとの​なか​に、 ある人ひとこころえ​ちがへ​て候そうろふ​やらん、 「信心しんじんよろこぶ人ひとを如来にょらいと​ひとし​と同どう行ぎょう達たちの​のたまふ​は自じ力りきなり。 *真言しんごんに​かたより​たり」 と申もうし候そうろふ​なる†は、 *人ひとの​うへ​を知しる​べき​に候そうらは​ねども申もうし候そうろふ。

 ^また、 「▲真実しんじつ信心しんじんうる​ひと​は すなはち定じょう聚じゅの​かずにˆのˇいる 不ふ退たいの​くらゐ​に​いり​ぬれ​ば かならず滅めつ度どを​さとら​しむ」 (浄土和讃・59) と候そうろふ~。 「滅めつ度どを0761さとら​しむ」 と候そうろふ​は、 この度たびこの身みの終おわり候そうらは​ん​とき、 真実しんじつ信心しんじんの行ぎょう者じゃの心こころ、 報ほう土どに​いたり候そうらひ​なば、 寿じゅ命みょう無む量りょう0798を体たいとして、 光こう明みょう無む量りょうの徳用とくゆうはなれ​たまは​ざれ​ば、 如来にょらいの心光しんこうに一いち味みなり。

^このゆゑ+、 「▲↑大だい信心しんじんは仏ぶっ性しょうなり、 仏ぶっ性しょう~は​すなはち如にょ0854来らいなり」 と仰おおせ​られ​て候そうろふ​やらん。 これ​は十一・二・三の御おん0749誓ちかい+と​こころえ​られ候そうろふ。 罪悪ざいあくの​われら​がために​おこし​たまへ​る大だい悲ひの御おん誓ちかいの目出めでたく​あはれに​まします​うれしさ、 こころ​も​およば~れ​ず、 ことば​も​たえ​て申もうし​つくし​がたき​こと、 かぎり​なく候そうろふ。

^無始むし曠劫こうごうより​このかた、 過去かこ遠々おんおんに、 恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの出しゅっ世せの所みもとにて、 大だい ˆ自力のˇ菩ぼ提だい心しんおこす​と​いへども、 自じ力りきˆさとりˇかなはず、 二に尊そんの御ご方便ほうべんに​もよほさ​れ​まゐらせ​て、 雑ぞう行ぎょう雑修ざっしゅ自じ力りき疑ぎ心しんの​おもひ​なし。

 

^無礙むげ光こう如来にょらいの摂取せっしゅ不ふ捨しゃの御おんあはれみ​の​ゆゑに、 疑ぎ心しんなく​よろこび​まゐらせ​て、 ▽一念いちねん%まで​の ˆするにˇ 往おう生じょう定さだ%まり​て、 誓願せいがん不ふ思議しぎと​こころえ候そうらひ​な*ん​には、 聞きき見み候そうろふˆるˇ に​あか​ぬ浄じょう土どの聖しょうˆ御ˇ 教ぎょうも、 知ち識しきに​あひ​まゐらせ​ん​と​おもは​ん​こと​も、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃも、 信しんも、 念仏ねんぶつも、 人ひとのため​と​おぼえ​られ+候そうろふ。

 ^いま師し主しゅの御おん教おしえの​ゆゑ ˆによりてˇ 、 心こころ~を​ぬき​て御おんこころむき​を​うかがひ候そうろふ​によりて0762、 願がん意いを​さとり、 直道じきどうを​もとめ​え​て、 まさしき真実しんじつ報ほう土ど~に​いたり候そうらは​ん​こと、 この度たび、 一念いちねん聞もん名みょうに​いたるˆにとげ候ひぬるˇまで、 うれしさ御ご恩おんの​いたり+、 その​うへ ¬弥陀みだ経きょう義ぎ集しゅう¼ に​おろおろ​あきらかに​お%ぼえ​られ候そうろふ。

^しか%るに世せ0799間けんのそうそう​に​まぎれ​て、 一いち時じもし~くは二時にじ、 三さん時じおこたる​と​いへども、 昼ちゅう夜やに​わすれ​ず、 御おんあはれみ​を​よろこぶ業力ごうりきばかり​にて、 行住ぎょうじゅう座臥ざがに時じ所しょの不ふ浄じょうをも​きらは​ず、 一向いっこうに金剛こんごうの信心しんじんば0750かり0855にて、 仏恩ぶっとんのふかさ、 師し主しゅの恩徳おんどくˆ御とくˇの​うれしさ、 報謝ほうしゃのために​ただ御名みなを​となふる​ばかり​にて、 *日ひの所しょ作さと%せ​ず。 この​やう*ひがざまに%か候そうろふ​らん。 一いち期ごの大だい事じ、 ただ​これ​に​すぎ​たる​は​なし。 しかるべくは、 よくよく​こまかに仰おおせを蒙かぶり候そうらは​ん​とて、 わづかに​おもふ​ばかり​を記しるして申もうし~あげ候そうろふ。

 ^さては京きょうに​ひさしく候そうらひ​し​に、 そうそう​に​のみ候そうらひ​て、 こころ​しづかに​おぼえ​ず候そうらひ​し​こと​の​なげか​れ候そうらひ​て、 わざと​いかにしても​まかり​のぼり​て、 こころ​しづかに、 せめて​は五いつ日か、 御み所もとに候そうらは​ばや​と​ねがひ候そうろふ​なり。 噫ああˆあゝˇ、 かう​まで申もうし候そうろふ​も御ご恩おんの​ちから​なり。

 ^進しん上じょう 聖しょう人にん (親鸞) の御み所もとへ   蓮れん位いの御坊おんぼう申もうさ​せたまへ

   0763~十じゅう月がつ十とお日かのひ

慶きょう信しん上たてまつる %(花押)

 ^*追おつて申もうしあげ候そうろふ。

 ^念仏ねんぶつ申もうし候そうろふ人々ひとびとの​なか​に、 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつと​となへ候そうろふ​ひま​には、 無礙むげ光こう如来にょらいと​となへ​まゐらせ候そうろふ人ひとも候そうろふ。 これ​を​きき​て、 ある人ひとの申もう0800し候そうろふ​なる、 「南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつと​となへ​て​の​うへ​に、 帰き命みょう尽じん十方じっぽう無礙むげ光こう如来にょらいと​となへ​まゐら​せ候そうろふ​こと​は、 おそれ​ある​こと​にて​こそ​あれ、 *いまめがはしく」 と申もうし候そうろふ​なる、 この​やう​いかが候そうろふ​べき0751。▽

 (801)  0856

・「真筆消息」(4)続き、 ¬末灯鈔¼(15)後半、 ¬善性本¼(1)続き

+御返事

 *南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつを​となへ​て~の​うへ​に、 無礙むげ光こう%仏ぶつと申もう%さ​ん​は​あしき​こと​なり​と候そうろふ​なる​こそ、 きはまれ​る~御おんひがごと​と​きこえ候そうらへ。 帰き命みょうは南無なもなり。 無礙むげ光こう仏ぶつは光こう明みょうなり、 智慧ちえなり。 この智慧ちえは​すなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつ†なり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつの御おんかたち​を​しら​せたま+は​ねば、 その御おんかたち​を​たしかに​たしかに​しら​せまゐらせ​ん​とて、 世せ親しん菩ぼ薩さつ (天親) 御おんちから​を尽つくし​て​あらはし​たまへ​る​なり。 この​ほか​の​こと​は、 少々しょうしょう文字もじを​なほし​て​まゐらせ候そうろふ~なり。

+親鸞 ▽

  +慶信御坊 御返事 ▽

 0764  (859)

・「真筆消息」(4)続き、 ¬善性本¼(3) ª蓮位添状º

 ^*この御文おんふみの​やう、 くはしく申もうしあげ​て候そうろふ。 すべて​この御文おんふみの​やう、 たがは​ず候そうろふ​と仰おおせ候そうろふ​なり。 ただし、 「△一念いちねんする​に往おう生じょう定さだまり​て誓願せいがん不ふ思議しぎと​こころえ候そうろふ」 と仰おおせ候そうろふ​を​ぞ、 「よき​やう​には候そうらへ​ども、 一念いちねんに​とどまる​ところ​あしく候そうろふ」 とて、 御文おんふみの​そば​に御ご自じ筆ひつをもつて、 あしく候そうろふ​よし​を入いれ​させ​おはしまし​て候そうろふ。 蓮れん位いに 「かく入いれ​よ」 と仰おおせ​を​かぶり​て候そうらへ​ども、 御ご自じ筆ひつは​つよき証しょう拠こに​おぼしめさ​れ候そうらひ​ぬ​と​おぼえ候そうろふ​あひだ、 をりふし*御咳おんがい病びょうにて御おんわづらひ​に​わたら​せたまひ候そうらへ​ども、 申もうし​て候そうろふ​なり。

 ^また*のぼり​て候そうらひ​し0752人々ひとびと、 くに​に論ろんじ​まうす​とて、 あるいは弥み勒ろくと​ひとし​と申もうし候そうろふ人々ひとびと候そうろふ​よし​を申もうし候そうらひ​しか​ば、 しるし仰おおせ​られ​て候そうろふ文ふみの候そうろふ。 しるし​て​まゐら​せ候そうろふなり。 御ご覧らんある​べく候そうろふ。

^また弥み勒ろくと​ひとし​と候そうろふ​は、 弥み勒ろくは等覚とうがくの分ぶんなり。 これ​は因いん位にの分ぶんなり。 これ​は十じゅう四し・十じゅう五ごの月つきの円満えんまんし0860たまふ​が、 すでに八よう日か・九ここぬ日かの月つきの​いまだ円満えんまんし​たまは​ぬ​ほど​を申もうし候そうろふ​なり。 これ​は自じ力りき修しゅ行ぎょうの​やう​なり。 われら​は信心しんじん決けつ定じょうの凡ぼん夫ぶ、 位くらい〔は〕正定しょうじょう聚じゅの位くらいなり。 これ​は因いん位になり、 これ等覚とうがくの分ぶんなり。 かれ0765は自じ力りきなり、 これ​は他た力りきなり。 自他じたの​かはり​こそ候そうらへ​ども、 因いん位にの位くらいは​ひとし​といふ​なり。 また弥み勒ろくの妙みょう覚がくの​さとり​は​おそく、 われら​が滅めつ度どに​いたる​こと​は疾とく候そうらは​んずる​なり。 かれ​は*五ご十じゅう六ろく億おく七千しちせん万まん歳ざいの​あかつき​を期ごし、 これ​は*ちくまく​を​へだつる​ほど​なり。 かれ​は漸頓ぜんとんの​なか​の頓とん、 これ​は頓とんの​なか​の頓とんなり。

^滅めつ度どといふは妙みょう覚がくなり。 曇鸞どんらんの ¬註ちゅう¼ (論註・下) に​いはく、 「▲樹じゅウヘキあり、 好堅こうけん樹じゅといふ。 この木き、 地じの底そこに百ひゃく年ねんわだかまり​ゐ​て、 生おふる​とき一日いちにちに百ひゃく丈じょう生おひ候そうろふ」 (意) なる​ぞ。 この木き、 地じの底そこに百ひゃく年ねん候そうろふ​は、 われら​が娑しゃ婆ば世せ界かいに候そうらひ​て、 正定しょうじょう聚じゅの位くらいに住じゅうする分ぶんなり。 一日いちにちに百ひゃく丈じょう生おひ候そうろふ​なる​は、 滅めつ度どに​いたる分ぶんなり。 これ​に​たとへ​て候そうろふ​なり。 これ​は他た力りきの​やう​なり。 松まつの生長しょうちょうする​は、 とし​ごと​に寸すんを​すぎ​ず。 これ​は​おそし、 自じ力りき修しゅ行ぎょうの​やう​なり。

 ^また如来にょらいと​ひとし​といふ​は、 煩悩ぼんのう成じょう就じゅの凡ぼん夫ぶ、 仏ぶつの心光しんこうに照てらさ​れ​まゐら​せ​て信しん0753心じん歓かん喜ぎす。 信しん心じん歓かん喜ぎする​ゆゑに正定しょうじょう聚じゅの数かずに住じゅうす。 信心しんじんといふは智ちなり。 この智ちは、 他た力りきの光こう明みょうに摂取せっしゅせ​られ​まゐら​せ​ぬる​ゆゑに​うる​ところの智ちなり。 仏ぶつの光こう明みょう0861も智ちなり。 かるがゆゑに、 おなじ​といふ​なり0766。 おなじ​といふは、 信心しんじんを​ひとし​といふ​なり。 歓かん喜ぎ地じといふは、 信心しんじんを歓かん喜ぎする​なり。 わが信心しんじんを歓かん喜ぎする​ゆゑに​おなじ​といふ​なり。

^くはしく御ご自じ筆ひつに​しるさ​れ​て候そうろふ​を、 書かき写うつし​て​まゐら​せ候そうろふ。

 ^また南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつと申もうし、 また無礙むげ光こう如来にょらいと​となへ候そうろふ御ご不ふ審しんも、 くはしく自じ筆ひつに御ご消しょう息そくの​そば​に​あそば​し​て候そうろふなり。 かるがゆゑに、 それ​より​の御文おんふみを​まゐら​せ候そうろふ。 あるいは阿あ弥陀みだと​いひ、 あるいは無礙むげ光こうと申もうし、 御名みな異ことなり​と​いへども、 心こころは一ひとつ​なり。 阿あ弥陀みだといふは梵ぼん語ごなり。 これ​には無む量りょう寿じゅとも​いふ。 無礙むげ光こうとも申もうし候そうろふ。 梵漢ぼんかん異ことなり​と​いへども、 心こころおなじく候そうろふ​なり。

 ^そもそも、 ▼覚信かくしん坊ぼうの​こと、 ことに​あはれに​おぼえ、 また​たふとく​も​おぼえ候そうろふ。 そのゆゑは、 *信心しんじんたがは​ず​して​をはら​れ​て候そうろふ。 また、 たびたび信心しんじん存ぞん知じの​やう、 いかやうに​か​と​たびたび申もうし候そうらひ​しか​ば、 当とう時じまで​は​たがふ​べく​も候そうらは​ず。 いよいよ信心しんじんの​やうは​つよく存ぞんずる​よし候そうらひ​き。

^*のぼり候そうらひ​し​に、 くに​を​たち​て、 *ひと・・いち・・と申もうし​し​とき、 病やみ​いだし​て候そうらひ​しか​ども、 同どう行ぎょうたち​は帰かえれ​なんど申もうし候そうらひ​しか​ども、 「死しする​ほど​の​こと​なら0767ば、 帰かえる​とも死しし、 とどまる​とも死しし候そうらは​んず。 また病やまいは​やみ候そうらは​ば、 帰かえる​とも​やみ、 0754とどまる​とも​やみ候そうらは​んず。 おなじく​は、 *みもと​にて0862こそ​をはり候そうらは​ば、 をはり候そうらは​め​と存ぞんじ​て​まゐり​て候そうろふ​なり」 と、 御おんものがたり候そうらひ​し​なり。

^この御ご信心しんじんまことに​めでたく​おぼえ候そうろふ。 善導ぜんどう和か尚しょうの釈しゃく (散善義) の二河にがの譬喩ひゆに​おもひ​あはせ​られ​て、 よに​めでたく存ぞんじ、 うらやましく候そうろふ​なり。 をはり​の​とき、 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 南無なも無礙むげ光こう如来にょらい、 南無なも不可ふか思議しぎ光こう如来にょらいと​となへ​られ​て、 手てを​くみ​て​しづかに​をはら​れ​て候そうらひ​し​なり。

^また*おくれ​さきだつ​ためし​は、 あはれに​なげかしく​おぼしめさ​れ候そうろふ​とも、 さきだち​て滅めつ度どに​いたり候そうらひ​ぬれ​ば、 かならず最初さいしょ*引いん接じょうの​ちかひ​を​おこし​て、 結縁けちえん・眷属けんぞく・朋ぼう友うを​みちびく​こと​にて候そうろふ​なれば、 しかるべく​おなじ法文ほうもんの門もんに入いり​て候そうらへ​ば、 蓮れん位いも​たのもしく​おぼえ候そうろふ。 また、 親おやと​なり、 子こと​なる​も、 先せん世ぜの​ちぎり​と申もうし候そうらへ​ば、 たのもしく​おぼしめさ​る​べく候そうろふ​なり。 この​あはれさ​たふとさ、 申もうし​つくし​がたく候そうらへ​ば、 とどめ候そうらひ​ぬ。 いかに​して​か、 みづから​この​こと​を申もうし候そうろふ​べき​や。 くはしく​は​なほなほ申もうし候そうろふ​べく候そうろふ。

^この文ふみの​やう​を、 *御おんまへ​にて​あしく​も​や候そうろ0768ふ​とて、 よみ​あげ​て候そうらへ​ば、 「これ​に​すぐ​べく​も候そうらは​ず、 めでたく候そうろふ」 と仰おおせ​を​かぶり​て候そうろふ​なり。 ことに覚信かくしん坊ぼうの​ところ​に、 御おん涙なみだを​ながさ​せたまひ​て候そうろふ​なり。 よに​あはれに​おもは​せたまひ​て候そうろふ​なり。

   *十じゅう月がつ二に十じゅう九く日にち

蓮れん位い

  0755慶きょう信しんの0863御坊おんぼうへ ▽

 (773)  (785)

◎(14) [獲得名号自然法爾章] 「古写消息」(6)、 ¬末灯鈔¼(5)

 ^~自じ然ねん法ほう爾にの事こと。

+▲「獲」◗ぐゐやくの字じは、 因位のときうるを獲ぐゐやくといふ。
 「得」 字は、 果位のときにいたりてうることを得といふなり。
◆「名」 字は、 因位のときのなを名といふ。
 「号」 字は、 果位のときのなを号といふ。

 ^◆「自じ然ねん」 といふは、 「自じ」 は​おのづから​といふ、 行ぎょう者じゃの*はからひ​に​あらず。+ 「然ねん」 といふは、 しからしむ​といふ​ことば~なり。 しからしむ​といふは、 行ぎょう者じゃの​はからひ​に​あらず、 如来にょらいの​ちかひ​にて​ある​がゆゑに~法ほう爾にといふ。

^◆「法ほう爾に」 といふは、 この如来にょらいの御おんちかひ0774なる​がゆゑに、 しからしむる​を法ほう爾にといふ~なり。 法ほう爾には、 この御おんちかひ​なり​ける​ゆゑに、 %およそ行ぎょう者じゃのはからひ​の​なき​をもつて、 この法ほうの徳とくのゆゑに​しからしむ​といふ​なり。 すべて、 ひと​の*はじめて​はからは​ざる​なり。 このゆゑに+義ぎなき​を義ぎと​す​と​しる​べし​と​なり。

^「自じ然ねん」 といふは、 もとより​しからしむ~る​といふ​ことば​なり。

 ^0769◆弥陀みだ仏ぶつの御おんちかひ​の、 もとより行ぎょう者じゃの​はからひ​に​あらず​して、 南無なも阿あ弥陀みだ~仏ぶつと​たのま​せたまひ​て、 迎むかへ​ん​と​はからは​せたまひ​たる​によりて、 行ぎょう者じゃの​よから​ん​とも​あしから​ん​とも​おもは​ぬ​を、 自じ然ねんと​は申もうす​ぞ*と​きき​て候そうろふ。

 ^◆ちかひ​の​やう​は、 「無む上じょう仏ぶつに​なら​しめ​ん」 と誓ちかひ​たまへ​る​なり。 無む上じょう0786仏ぶつと申もうす​は、 かたち​も​なく​まします。 かたち%も​ましまさ​ぬ​ゆゑに、 自じ然ねんと​は申もうす​なり。 かたち​まします​と​しめす​とき​には、 無む上じょう涅ね槃はんとは申もうさ​ず。 かたち​も​ましまさ​ぬ​やう​を​しらせ​ん​とて、 はじめ%て弥陀みだ仏ぶつ~と申もうす​と​ぞ、 きき​ならひ​て候そうろふ。 弥陀みだ仏ぶつは自じ然ねんの​やう​を​しらせ​ん*料りょうなり。

^◆この道どう理りを​こころえ​つる​のち​には、 この自じ然ねんの​こと​は​つね​に*沙汰さたす​べき​に~は​あらざる​なり。 つね​に自じ然ねんを沙汰さたせ​ば、 義ぎなき​を義ぎと​す​といふこと​は、 なほ義ぎの​ある​に​なる​べし。 これは仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎにて​ある​な%る​べし。

正しょう嘉か二に年ねん十じゅう二に月がつ十じゅう四よっ日かのひ

0775愚ぐ禿とく親鸞しんらん八はち十じゅう六歳ろくさい ▽

◆%*正嘉二歳戊午十二月日、 善法坊僧都御坊、 三条とみのこうぢ​の御坊にて、 聖人に​あい​まいらせ​て​の​きゝがき、 その​とき顕智これ​を​かく​なり。

 (755)

◎(15) 「真筆消息」(5)

 ^閏うるう十じゅう月がつ一日ついたちの御文おんふみ、 たしかに​み候そうろふ。

^*かく・・ねむ・・ばう・・の御おんこと、 かたがたあは0770れに存ぞんじ候そうろふ。 親鸞しんらんは​さきだち​まゐら​せ候そうらは​んずらん​と、 まち​まゐら​せ​て​こそ候そうらひ​つる​に、 さきだた​せたまひ候そうろふ​こと、 申もうす​ばかり​なく候そうろふ。 △かく・・しん・・ばう・・、 *ふる​としごろ​は、 かならず​かならず​さきだち​て​また​せたまひ候そうろふ​らん。 かならず​かならず​まゐり​あふ​べく候そうらへ​ば、 申もうす​に​およばず候そうろふ。 *かく・・ねん・・ばう・・の仰おおせ​られ​て候そうろふ​やう、 すこし​も愚ぐ老ろうに​かはら​ず​おはしまし候そうらへ​ば、 かならず​かならず*一ひとつ​ところ​へ​まゐり​あふ​べく候そうろふ。

^明みょう年ねんの十じゅう月がつの​ころ​まで​も生いき​て候そうらは​ば、 この世よの面謁めんえつ疑うたがいなく候そうろふ​べし。 入にゅう道どう殿どのの御おんこころ​も、 すこし​も​かはら​せたまは​ず候そうらへ​ば、 さきだち​まゐら​せ​ても、 まち​まゐら​せ候そうろふ​べし。

^人々ひとびとの御おんこころざし、 たしかに​たしかに​たまはり​て候そうろふ。 なにごと​も​なにごと​も、 いのち候そうろふ​らん​ほど​は申もうす​べく候そうろふ。 また*仰おおせ​を​かぶる​べく候そうろふ。 この御文おんふみみ​まゐら​せ候そうろふ​こそ、 ことに​あはれに候そうらへ。 なかなか申もうし候そうろふ​もおろかなるやう​に候そうろふ。 またまた、 追おつて申もうし候そうろふ​べく候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

0756*閏うるう十じゅう月がつ二に十じゅう九く日にち

親鸞しんらん (花押)

  *高たか田だの入にゅう道どう殿どの御おん返へん事じ▽

 0771  (786)

◎(16) ¬末灯鈔¼(6)

 ^なによりも、 *去年こぞ・今こ年とし、 老ろう少しょう男女なんにょおほく​の​ひとびと​の、 死しに​あひ​て候そうろふ​らん​こと​こそ、 あはれに候そうらへ。 ただし生しょう死じ無む常じょうの​ことわり、 くはしく如来にょらいの説とき​おか​せおはしまし​て候そうろふ​うへは、 おどろき​おぼしめす​べから​ず候そうろふ。

^まづ善信ぜんしん (親鸞) が身みには、 臨りん終じゅうの善悪ぜんあくをば申もうさ​ず、 信心しんじん決けつ定じょうの​ひと​は、 疑うたがいなけれ​ば正定しょうじょう聚じゅに住じゅうする​こと​にて候そうろふ​なり。 さればこそ愚痴ぐち無智むちの人ひとも、 をはり​も​めで0787たく候そうらへ。

^如来にょらいの御おんはからひ​にて往おう生じょうする​よし、 ひとびと~に申もうさ​れ候そうらひ​ける、 すこし​も​たがは​ず候そうろふ​なり。 としごろ、 おのおの​に申もうし候そうらひ​し​こと、 たがは​ず​こそ候そうらへ。 *かまへて*学がく生しょう沙汰さたせさせたまひ候そうらは​で、 往おう生じょうを​とげ​させたまひ候そうろふ​べし。

 ^故こ法然ほうねん聖しょう人にんは、 「▲浄じょう土ど宗しゅうの人ひとは愚ぐ者しゃに​なり​て往おう生じょうす」 と候そうらひ​し​こと​を、 たしかに​うけたまはり候そうらひ​し​うへに、 もの​も​おぼえ​ぬ​あさましき​ひとびと​の​まゐり​たる​を御ご覧らんじ​て​は、 「往おう生じょう必ひつ定じょうす​べし」 とて、 笑えま​せたまひ​し​を​み​まゐら​せ候そうらひ​き。 文ふみ沙汰さたして、 *さかさかしき​ひと​の​まゐり​たる​をば、 「▼往おう生じょうは​いかが​あら​んずらん」 と、 たしかに​うけたまはり​き。 いま​に​いたる​まで、 おもひ​あはせ​られ候そうろふ​なり。

^ひとびと​にすかさ​れ​させたまは​で、 御ご信心しんじんたぢろか​せたまは0772ず​して、 おのおの御ご往おう生じょう候そうろふ​べき​なり。 ただし、 ひと​に​すかさ​れ~させたまひ候そうらは​ず​とも、 信心しんじんの定さだまら​ぬ人ひとは正定しょうじょう聚じゅに住じゅうし​たまは​ず​して、 *うかれ​たまひ​たる人ひとなり。

 ^乗じょう信しん房ぼうに​かやうに申もうし候そうろふ​やう​を、 ひとびと​にも申もうさ​れ候そうろふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

*文応ぶんおう元年がんねん十じゅう一月いちがつ十じゅう三日さんにち

善信ぜんしん八はち十じゅう八歳はっさい

  乗じょう信しん御房おんぼう

   +この御おん消しょう息そくの正しやう本ほんは、 板東ばんどう下野しもつけの国くにおほうち​の荘しやう高たか田だに​これ​ある​なり​と。 云々 ▽

 (841)

◎(17) ¬御消息集¼(12)

 ^さては*念仏ねんぶつのあひだ​の​こと​によりて、 *ところせき​やう​に​うけたまはり候そうろふ。 かへすがへす​こころぐるしく候そうろふ。 詮せんずる​ところ、 その​ところ​の縁えんぞ尽つき​させたまひ候そうろふ​らん。 念仏ねんぶつを*さへ​らる​なんど申もうさ​ん​こと​に、 ともかくも​なげき​おぼしめす​べから​ず候そうろふ。 *念仏ねんぶつとどめ​ん​ひと​こそ、 いかにも​なり候そうらは​め。 申もうし​たまふ​ひと​は、 なにか​くるしく候そうろふ​べき。 *余よの​ひとびと​を縁えんとして、 念仏ねんぶつを​ひろめ​ん​と、 はからひ​あはせ​たまふ​こと、 ゆめゆめ​ある​べから​ず候そうろ0842ふ。 その​ところ​に念仏ねんぶつの​ひろまり候そうらは​ん​こと​も、 仏天ぶってんの御おんはからひ​にて候そうろふ​べし。

 ^0773慈じ信しん坊ぼうが​やうやう​に申もうし候そうろふ​なる​によりて、 ひとびと​も御おんこころ​ども​の​やうやう​に​なら​せたまひ候そうろふ​よし、 うけたまはり候そうろふ。 かへすがへす不ふ便びんの​こと​に候そうろふ。 ともかくも仏天ぶってんの御おんはからひ​に​まかせ​まゐらせ​させたまふ​べし。 その​ところ​の縁えん尽つき​て​おはしまし候そうらは​ば、 いづれ​の​ところ​にて​も​うつら​せたまひ候そうろう​て​おはします​やう​に御おんはからひ候そうろふ​べし。 慈じ信しん坊ぼうが申もうし候そうろふ​こと​を​たのみ​おぼしめし​て、 *これ​より​は余よの人ひとを強縁ごうえんとして念仏ねんぶつひろめ​よ​と申もうす​こと、 ゆめゆめ申もうし​たる​こと候そうらは​ず。 きはまれ​る​ひがごと​にて候そうろふ。

^*この世よの​ならひ​にて、 念仏ねんぶつを​さまたげ​ん+こと​は、 ▲かねて仏ぶつの説とき​おか​せたまひ​て候そうらへ​ば、 おどろき​おぼしめす​べから​ず。 やうやう​に慈じ信しん坊ぼうが申もうす​こと​を、 これ​より申もうし候そうろふ​と御おんこころえ候そうろふ、 ゆめゆめ​ある​べから​ず候そうろふ。 法門ほうもんの​やう​も、 あら​ぬ​さま​に申もうし​なし​て候そうろふ​なり。 御耳おんみみにきき​いれ​らる​べから​ず候そうろふ。 きはまれ​る​ひがごと​ども​の​きこえ候そうろふ。 あさましく候そうろふ。

 ^入にゅう信しん坊ぼうなんど​も不ふ便びんに​おぼえ候そうろふ。 鎌倉かまくらに長なが居いして候そうろふ​らん、 不ふ便びんに候そうろふ。 当とう時じ、 それ​も*わづらふ​べく​て​ぞ0843、 さても候そうろふ​らん。 ちから​およば​ず候そうろふ。

 ^奥郡おうぐんの​ひとびと​の、 慈じ信しん坊ぼうに​すかさ​れ​て、 信心しんじんみな​うかれ​あう​て​おはしまし候そうろ0774ふ​なる​こと、 かへすがへす​あはれに​かなしう​おぼえ候そうろふ。 これ​も​ひとびと​を​すかし​まうし​たる​やう​に​きこえ候そうろふ​こと、 かへすがへす​あさましく​おぼえ候そうろふ。 それ​も日ひごろ、 ひとびと​の信しんの定さだまら​ず候そうらひ​ける​こと​の​あらはれ​て​きこえ候そうろふ。 かへすがへす不ふ便びんに候そうらひ​けり。

 ^慈じ信しん坊ぼうが申もうす​こと​によりて、 ひとびと​の日ひごろの信しんの​たぢろき​あう​て​おはしまし候そうろふ​も、 詮せんずる​ところ​は、 ひとびと​の信心しんじんの​まこと​なら​ぬ​こと​の​あらはれ​て候そうろふ。 よき​こと​にて候そうろふ。 *それ​を、 ひとびと​は、 *これ​より申もうし​たる​やう​に​おぼしめし​あう​て候そうろふ​こそ、 あさましく候そうらへ。

 ^日ひごろ​やうやう​の御おんふみ​ども​を、 書かき​もち​て​おはしまし​あう​て候そうろふ甲斐かいも​なく​おぼえ候そうろふ。 ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼、 やうやう​の御おんふみ​ども​は、 いま​は詮せんなく​なり​て候そうろふ​と​おぼえ候そうろふ。 よくよく書かき​もた​せたまひ​て候そうろふ法門ほうもんは、 みな詮せんなく​なり​て候そうろふ​なり。 慈じ信しん坊ぼうに​みな​したがひ​て、 *めでたき御おんふみ​ども​は​すて​させたまひ​あう​て候そうろふ​と​きこえ候そうろふ​こそ、 詮せんなく​あはれに​おぼえ候そうらへ。

^よくよく ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼・¬後世ごせ物もの語がたり¼ なんど​を御ご覧らんある​べく候そうろふ。 年とし0844ごろ、 信しんあり​と仰おおせ​られ​あう​て候そうらひ​ける​ひとびと​は、 みな​そらごと​にて候そうらひ​けり​と​きこえ候そうろふ。 あさましく0775候そうろふ、 あさましく候そうろふ。 なにごと​も​なにごと​も、 またまた申もうし候そうろふ​べし。

正しょう月がつ九ここぬ日か

親鸞しんらん

  真しん浄じょうの御坊おんぼう ▽

 (828)

◎(18) ¬御消息集¼(6)

 ^なにごと​より​は、 如来にょらいの御ご本願ほんがんの​ひろまら​せたまひ​て候そうろふ​こと、 かへすがへす​めでたく、 うれしく候そうろふ。 その​こと​に、 おのおの​ところどころ​に、 *われ​は​といふ​こと​を​おもう​て​あらそふ​こと、 ゆめゆめ​ある​べから​ず候そうろふ。 京きょうに~も一念いちねん多た念ねんなんど申もうす、 あらそふ​こと​の​おほく候そうろふ​やう​に​ある​こと、 さらさら候そうろふ​べから​ず。

^ただ詮せんずる​ところ​は、 ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼・¬後世ごせ物もの語がたり¼・¬自じ力りき他た力りき¼、 この御おんふみ​ども​を​よくよく​つね​に​み​て、 その御おんこころ​に​たがへ​ず​おはします​べし。 いづかた​の​ひとびと​にも、 この​こころ​を仰おおせ​られ候そうろふ​べし。 なほ​おぼつかなき​こと​あらば、 今日こんにちまで生いきて候そうらへ​ば、 *わざと​も​これ​へ​たづね​たまふ​べし。 また便びんにも仰おおせ​たまふ​べし。 鹿か島しま・行方なめかた、 その​ならび​の​ひとびと​にも、 この​こころ​を​よくよく仰おおせ​らる​べし。 一念いちねん多た念ねんの​あらそひ​なんど​の​やう​に、 *詮せんなき​こと0829、 論ろんじ​ごと​を​のみ申もうし​あは​れ​て候そうろふ​ぞかし。 よくよく​つつしむ​べき​こと​なり。

^あなかしこ0776、 あなかしこ。

 ^かやう​の​こと​を​こころえ​ぬ​ひとびと​は、 *その​こと​と​なき​こと​を申もうし​あは​れ​て候そうろふ​ぞ。 よくよく​つつしみ​たまふ​べし。 かへすがへす。

二に月がつ三みっ日かのひ

親鸞しんらん ▽

 (849)  0878

◎(19) ¬御消息集¼(18)、 ¬血脈文集¼(3)

 ^諸仏しょぶつ称名しょうみょうの願がん (第十七願) と申もうし、 諸仏しょぶつ咨し嗟しゃの願がん (同) と申もうし候そうろふ​なる​は、 十方じっぽう衆しゅ生じょうを​すすめ​ん​ため​と​きこえ​たり。 また十方じっぽう衆しゅ生じょうの疑ぎ心しんを​とどめ​ん*料りょうと​きこえ​て候そうろふ。 ¬弥陀みだ経きょう¼ の十方じっぽう諸仏しょぶつの証誠しょうじょうの​やう​にて​きこえ​たり。 詮せんずる​ところ​は、 方便ほうべんの御ご誓願せいがんと信しんじ​まゐらせ+候そうろふ。

^念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がん (第十八願) は、 如来にょらいの往相おうそう回え向こうの正しょう業ごう・正しょう因いんなり​と​みえ​て候そうろふ。 まこと​の信心しんじんある​ひと​は、 等とう正しょう覚がくの弥み勒ろくと​ひとしけれ​ば、 如来にょらいと​ひとし​とも諸仏しょぶつの​ほめ​させたまひ​たり​と​こ​そきこえ​て候そうらへ。 また 「△弥陀みだの本願ほんがんを信しんじ候そうらひ​ぬる​うへに​は、 義ぎなき​を義ぎと​す」 と​こそ、 大だい師し聖しょう人にん (法然) の仰おおせ​にて候そうらへ。 かやうに義ぎの候そうろふ​らん​かぎり​は、 他た力りきには​あらず、 自じ力りきなり​と​きこえ​て候そうろふ。

^また他た力りきと申もうす​は、 仏ぶっ智ち不ふ思議しぎにて候そうろ0850ふ​なる​とき​に、 煩悩ぼんのう具ぐ足そくの凡ぼん夫ぶの無む上じょう覚かくの​さとり​を得え候そうろふ​なる​こと%を0777ば、 仏ぶつと仏ぶつ+のみ御おんはからひ​なり。 さらに行ぎょう者じゃの​はからひ​に​あらず~候そうろふ。 しかれば、 義ぎなき​を義ぎと​す​と候そうろふ​なり。 義ぎと申もうす​こと​は、 自じ力りきの​ひと​の​はからひ​を申もうす​なり。 他た力りきには、 しかれば、 義ぎなき​を義ぎと​す​と候そうろふ​なり。 この​ひとびと​の仰おおせ​の​やう​は、 これ​には​つやつやと​しら​ぬ​こと​にて候そうらへ​ば、 とかく申もうす​べき​に​あら0879ず候そうろふ。

^▲また 「来らい」 の字じは、 衆しゅ生じょう利り益やくのために​は、 きたる​と申もうす、 方便ほうべんなり。 ▲さとり~を​ひらき​て​は、 かへる​と申もうす。 とき​に​したがひ​て、 きたる​とも​かへる​とも申もうす​と​みえ​て候そうろふ。

^なにごとも​なにごと​も、 またまた申もうす​べく候そうろふ。

二に月がつ%九ここぬ日か

親鸞しんらん

  慶きょう西さいの御坊おんぼう ~御おん返へん事じ▽

 (856)

◎(20) [浄信房御返事・諸仏等同云事] ¬善性本¼(2)

 ^~無礙むげ光こう如来にょらいの慈悲じひ光こう明みょうに摂取せっしゅせ​られ​まゐら​せ候そうろふ​ゆゑ、 名みょう号ごうを​となへ​つつ不ふ退たいの位くらいに入いり定さだまり候そうらひ​なん​には、 この身みのために摂取せっしゅ不ふ捨しゃを​はじめて​たづぬ​べき​には​あらず​と​おぼえ​られ​て候そうろふ。

^その​うへ ¬華け厳ごん経ぎょう¼ (入法界品) に、 「▲聞もん此し法ほう歓かん喜ぎ信心しんじん無疑むぎ者しゃ 速そく成じょう無む上じょう道どう与よ諸しょ如来にょらい等とう」 と仰おおせ​られ​て候そうろふ。 また第だい十じゅう七しちの願がんに 「▲十方じっぽう無む量りょうの諸仏しょぶつに​ほめ​となへ​られ​ん」 と仰おおせ​られ​て候そうろふ。 また願がん成じょう就じゅの文もん (大経・下) に 「▲十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ」 と仰おおせ0778られ​て候そうろふ​は、 信心しんじんの人ひとと​こころえ​て候そうろ0857ふ。 この人ひとは​すなはち​この世よより如来にょらいと​ひとし​と​おぼえ​られ候そうろふ。

^この​ほか​は、 凡ぼん夫ぶの​はからひ​をば​もちゐ​ず候そうろふ​なり。 この​やう​を​こまかに仰おおせ​かぶり​たまふ​べく候そうろふ。 恐々きょうきょう謹言きんげん。

0758二に月がつ十じゅう二に日にち

浄じょう信しん

 (757)  0788

・「真筆消息」(6)、 ¬末灯鈔¼(7)、 ¬善性本¼(2)続き

+聖人御返事

 +諸仏等同と云事
 +往わう生じやうは​なにごと​も​なにごと​も凡ぼむ夫ぶの​はからひ​なら​ず、 如来にょらいの御おんちかひ​に​まかせ​まいらせ​たれ​ば​こそ、 他た力りきにて​は候へ。 やうやうに​はからひ​あふ​て候らん、 おかしく候。

 ^如来にょらいの誓願せいがんを信しんずる心しんの定さだまる~とき​と申もうす​は、 摂取せっしゅオサメムカエトリタマフ不ふ捨しゃの利り益やくに​あづかる​ゆゑに、 不ふ退たいの位くらいに定さだまる​と御おんこころえ候そうろふ​べし。 真実しんじつ信心しんじん+定さだまる​と申もうす​も、 金剛こんごう+信心しんじんの定さだまる​と申もうすも、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃの​ゆゑに~申もうす​なり。 されば​こそ、 無む上じょう覚かくに​いたる​べき心しんの​おこる​と申もうす​なり。 これ​を不ふ退たいの位くらいとも+、 正定しょうじょう聚じゅの位くらいに入いる​とも申もうし、 等とう正しょう覚がくに​いたる​とも申もうす​なり。

^この​こころ​の定さだまる​を、 十方じっぽう諸仏しょぶつの​よろこび​て、 諸仏しょぶつの御おんこころ​に​ひとし​と​ほめ​たまふ​なり。 このゆゑに、 まこと​の信心しんじんの人ひとをば、 諸仏しょぶつと​ひとし​と申もうす​なり。 また補ふ処しょの弥み勒ろくと​おなじ​と+も申もうす​なり。

^この世よにて真実しんじつ信心しんじんの人ひとをま†もら​せたまへ​ば​こそ、 ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ (意) には、 「▲十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ護ご念ねんす」 とは申もうす​こと​にて候そうらへ。 安楽あんらく浄じょう土どへ往おう生じょう0779して​のち%は、 まもり​たまふ​と申もうす​こと​にて​は候そうらは​ず。 娑しゃ婆ば世せ界かい†に居いたる​ほど護ご念ねんす​と†は申もうす​こと0789なり。 信心しんじんまこと​なる人ひとの​こころ​を、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ0858の如来にょらいの​ほめ​たまへ​ば、 仏ぶつと​ひとし​と​は申もうす​こと​なり。

 ^また他た力りきと申もうす​こと​は、 義ぎなき​を義ぎと​す0757と申もうす​なり。 義ぎと申もうす​こと​は、 行ぎょう者じゃの​おのおの​の​はからふ​こと​を義ぎと​は申もうす​なり。 如来にょらいの誓願せいがんは不可ふか思議しぎに​まします​ゆゑに、 仏ぶつと仏ぶつとの御おんはからひ​なり。 凡ぼん夫ぶの​はからひ​に​あらず。 補ふ処しょの弥み勒ろく菩ぼ薩さつを​はじめ​として、 仏ぶっ智ちの不ふ思議しぎを​はからふ​べき人ひとは候そうらは​ず。 しかれば、 「如来にょらいの誓願せいがんには義ぎなき​を義ぎと​す」 と​は、 大だい師し聖しょう人にん (法然) の仰おおせ​に候そうらひ​き。 この​こころ​の​ほか​に~は*往おう生じょうに​いる​べき​こと候そうらは​ず​と​こころえ​て、 まかり​すぎ候そうらへ​ば、 人ひとの仰おおせごと​には​いら​ぬ​もの​にて候そうろふ​なり。 ~諸しょ事じ恐々きょうきょう謹言きんげん。▽

+二月廿五日

*親鸞しんらん (花押)

  +浄信御坊 御返事 ▽

 (814)

◎(21) ¬末灯鈔¼(21)、 ¬善性本¼(2)後半

 ^安楽あんらく浄じょう土どに入いり​はつ​れ​ば、 すなはち大だい涅ね槃はんを​さとる​とも、 ~また無む上じょう覚かくを​さとる​とも、 滅めつ度どに​いたる​とも申もうす​は、 御名みなこそ​かはり​たる​やう​なれども、 これ​みな+法身ほっしんと申もうす仏ぶつのさとり​を​ひらく​べき正しょう因いんに、 弥陀みだ仏ぶつの御おんちかひ​を、 法蔵ほうぞう菩ぼ0780薩さつわれら​に回え向こうし​たまへ​る​を、 往相おうそうの回え向こうと申もうす​なり。

^この回え向こうせさせたまへ​る願がんを、 念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がん (第十八願) と​は申もうす​なり。 この念仏ねんぶつ往おう生じょうの願がんを一向いっこうに信しんじ​てふたごころなき​を、 一向いっこう専修せんじゅと~は申もうす​なり。 如来にょらい+二に種しゅの回え向こうと申もうす​こと​は、 この二に種しゅの回え向こうの願がんを信しんじ、 ふたごころなき​を、 真実しんじつの信心しんじんと申もうす。 この真実しんじつの信心しんじんの​おこる​こと​は、 釈しゃ迦か・弥陀みだ~の二に尊そんの御おんはからひ​より​おこり​たり​と​しら​せたまふ​べ%し。

^あなかしこ、 あなかしこ。▽

 (758)

◎(22) 「真筆消息」(7)

 ^*いや・・をんな・・・%が​こと、 文ふみ書かき​て​まゐら​せ​られ候そうろふ%めり。 いまだ居い所どころも​なく​て、 *わび​ゐ​て候そうろふ​なり。 あさましく​あさましく、 *もてあつかひ​て、 いかに​す​べし​とも​なく​て候そうろふ​なり。 あなかしこ。

三月さんがつ二に十じゅう八日はちにち

(花押)

+………(切封)

  わうごぜんへ

しんらん▽

 0763  (791)

◎(23) [誓願名号同一事] 「古写消息」(1)、 ¬末灯鈔¼(9)

 ^~▼誓願せいがん・名みょう号ごう同一どういつの事こと。

 ^0781御文おんふみくはしくうけたまはり候そうらひぬ。

^さては​この御ご不ふ審しん*しかるべし​とも​おぼえ​ず候そうろふ。 そのゆゑは、 誓願せいがん・名みょう号ごうと申もうして​かはり​たる​こと候そうらは​ず+。 誓願せいがんを​はなれ​たる名みょう号ごうも候そうらは​ず+、 名みょう号ごうを​はなれ​たる誓願せいがんも候そうらは​ず候そうろふ。 かく申もうし候そうろふ​も、 はからひ​にて候そうろふ​なり。 ただ誓願せいがんを不ふ思議しぎと信しんじ、 また名みょう号ごうを不ふ思議しぎと一念いちねん信しんじ​となへ​つる​うへは、 *なんでふ​わが​はからひ​を​いたす​べき。

^*きき​わけ、 しり​わくる​など、 わづらはしく​は仰おおせ~られ候そうろふ​やらん。 これ​みな​ひがごと​にて候そうろふ​なり。 ただ不ふ思議しぎと信しんじ​つる​うへは、 とかく御おんはからひ​ある​べから​ず候そうろふ。 *往おう生じょうの業ごうには、 わたくし​の​はからひ0792は​ある​まじく候そうろふ​なり。

^あなかしこ、 あなかしこ。

 ^~ただ如来にょらいに​まかせ​まゐら​せ​おはします​べく候そうろふ。 あなかしこ、 あなかしこ。

五ご月がつ五いつ日か

親鸞しんらん

  0764教きょう%名みょうの御おん房ぼう+

 ^~端書はしがきに​いはく

 この文ふみをもつて、 ひとびと​にも​みせ​まゐらせ​させたまふ​べく候そうろふ。 他た力りきには義ぎなき​を義ぎと~す​とは申もうし候そうろふ​なり。

 0782

◎(24) [仏智不思議と信ずべき事] 「古写消息」(2)、 ¬末灯鈔¼(10)

 ^~仏ぶっ智ち不ふ思議しぎと信しんず​べき事こと。

 ^御文おんふみくはしく​うけたまはり候そうらひ​ぬ。

^さては御ご法門ほうもんの御ご不ふ審しんに、 一念いちねん発ぽっ起き+の​とき、 無礙むげの心光しんこうに摂しょう護ごせ​られ​まゐら​せ候そうろふ​ゆゑ~に、 *つね​に*浄じょう土どの業因ごういん決けつ定じょうす​と仰おおせ​られ候そうろふ。 これ​めでたく候そうろふ。 かく​めでたく​は仰おおせ候そうらへ​ども、 これ​みな*わたくし​の御おんはからひ​に​なり​ぬ​と​おぼえ候そうろふ。 ただ不ふ思議しぎと信しんぜ​させたまひ候そうらひ​ぬる​うへは、 わづらはしき​はからひ+ある​べから​ず候そうろふ。

 ^また​ある人ひとの*候そうろふ​なる​こと、 *出しゅっ世せの​こころ​おほく、 浄じょう土どの業因ごういんすくなし​と候そうろふ​なる​は、 こころえ​がたく候そうろふ。 出しゅっ世せと候そうろふ​も、 浄じょう土どの業因ごういんと候そうろふ​も、 みな​ひとつ​にて候そうろふ​なり。 すべ+て​これ、 *なまじひなる0793御おんはからひ​と存ぞんじ候そうろふ。 仏ぶっ智ち不ふ思議しぎと信しんぜ​させたまひ候そうらひ​なば、 別べつに​わづらはしく、 とかく​の御おんはからひ​ある​べから​ず候そうろふ。 *ただ​ひと~びと​の​とかく申もうし候そうらは​ん0765こと​を~ば、 御ご不ふ審しんある​べから​ず候そうろふ。 ただ如来にょらいの誓願せいがんに​まかせ​まゐら​せたまふ​べく候そうろふ。 とかく​の御おんはからひ​ある​べから​ず候そうろふ​なり。

^あなかしこ、 あなかしこ。

五ご月がつ五いつ日かのひ

親鸞しんらん %御判

  浄じょう信しんの御房おんぼう~へ

 ^0783~袖書そでがきに​いはく

  他た力りきと申もうし候そうろふ​は、 とかく​の​はからひ​なき​を申もうし候そうろふ​なり。▽

 (829)

◎(25) ¬御消息集¼(7)

 ^六月ろくがつ一日ついたちの御文おんふみ、 くはしく​み候そうらひ​ぬ。

^さては鎌倉かまくらにて​の御おん訴うったへ​の​やう​は、 *おろおろ​うけたまはり​て候そうろふ。 *この御文おんふみにたがは​ず​うけたまはり​て候そうらひ​し​に、 *別べつの​こと​は​よも候そうらは​じ​と​おもひ候そうらひ​し​に、 *御おんくだり​うれしく候そうろふ。

 ^おほかた​は、 この訴うったへ​の​やう​は、 御おん身みひとり​の​こと​には​あらず候そうろふ。 すべて浄じょう土どの念仏ねんぶつ者しゃの​こと​なり。 この​やう​は、 故こ聖しょう人にん (法然) の御おん時とき、 この身みども​の​やうやう​に申もうされ候そうらひ​し​こと​なり。 *こと​も​あたらしき訴うったへ​にて†も候そうら†は​ず。 性しょう信しん坊ぼうひとり​の沙汰さたある​べき​こと​には​あらず。 念仏ねんぶつ申もうさ​ん​ひと​は、 みな​おなじ​こころ​に御おん沙汰さたある​べき​こと​なり。 御おん身みをわらひ​まうす​べき​こと​には​あらず0830候そうろふ​べし。

^*念仏ねんぶつ者しゃの​もの​に​こころえ​ぬ​は、 *性しょう信しん坊ぼうの​とが​に申もうし​なされ​ん​は、 きはまれ​る​ひがごと​に候そうろふ​べし。 念仏ねんぶつ申もうさ​ん​ひと​は、 性しょう信しん坊ぼうの*かたうど​に​こそ​なり​あはせ​たまふ​べけれ。 母はは・姉あね・妹いもうとなんど​やうやう​に申もうさるる​こと​は、 *ふるごと​にて候そうろふ。

^さればとて、 *念仏ねんぶつを​とどめ​られ候そうらひ​し​が、 世よに*曲事くせごとの​おこり候そうらひ​しか0784ば、 それ​につけて​も念仏ねんぶつを​ふかく​たのみ​て、 世よの​いのり​に​こころ​に​いれ​て、 申もうし​あはせ​たまふ​べし​とぞ​おぼえ候そうろふ。

 ^御文おんふみの​やう、 おほかた​の陳ちん状じょう、 よく御おんはからひ​ども候そうらひ​けり。 うれしく候そうろふ。

^詮せんじ候そうろふ​ところ​は、 御おん身みに​かぎら​ず、 念仏ねんぶつ申もうさ​ん​ひとびと​は、 わが御おん身みの料りょうは​おぼしめさ​ず​とも、 朝ちょうオホヤ家かのケノオン御おんためタメトマフス、ナリ 国民こくみんクニノタのたミヒヤクめにシヤウ 、 念仏ねんぶつを申もうし​あはせ​たまひ候そうらは​ば、 *めでたう候そうろふ​べし。

^往おう生じょうを不ふ定じょうに​おぼしめさ​ん​ひと​は、 まづ​わが身みの往おう生じょうを​おぼしめし​て、 御おん念仏ねんぶつ候そうろふ​べし。 わが身みの往おう生じょう一いち定じょうと​おぼしめさ​ん​ひと​は、 仏ぶつの御ご恩おんを​おぼしめさ​ん​に、 御ご報恩ほうおんのために、 御おん念仏ねんぶつこころ​に​いれ​て申もうして、 世よの​なか安穏あんのんなれ、 仏法ぶっぽうひろまれ​と​おぼしめす​べしとぞ、 おぼえ候そうろふ。 よくよく御ご案あん候そうろふ​べし。

^この​ほか​は、 別べつの御おんはからひ​ある​べし​と​は​おぼえ​ず候そうろふ。

 ^なほなほ疾とく御おんくだり​の候そうろふ​こそ、 う0831れしう候そうらへ。 よくよく御おんこころ​に​いれ​て、 往おう生じょう一いち定じょうと​おもひ​さだめ​られ候そうらひ​なば、 仏ぶつの御ご恩おんを​おぼしめさ​ん​には、 異事ことごとは候そうろふ​べから​ず。 御おん念仏ねんぶつを​こころ​に​いれ​て申もうさ​せたまふ​べし​と​おぼえ候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

七月しちがつ九ここぬ日か

親鸞しんらん

  0785性しょう信しんの御坊おんぼう ▽

 (794)

◎(26) ¬末灯鈔¼(12)

 ^尋たづね仰おおせ​られ候そうろふ念仏ねんぶつの不ふ審しんの​こと。

^念仏ねんぶつ往おう生じょうと信しんずる人ひとは、 辺へん地じの往おう生じょうとて​きらは​れ候そうろふ​らん​こと、 *おほかた​こころえ​がたく候そうろふ。 そのゆゑは、 弥陀みだの本願ほんがんと申もうす​は、 名みょう号ごうを​となへ​ん​もの​をば極楽ごくらくへ迎むかへ​ん​と誓ちかは​せたまひ​たる​を、 ふかく信しんじ​て​となふる​が​めでたき​こと​にて候そうろふ​なり。 信心しんじんあり​とも、 名みょう号ごうを​となへ​ざら​ん​は*詮せんなく候そうろふ。 また一向いっこう名みょう号ごうを​となふ​とも、 信心しんじんあさく​は往おう生じょうし​がたく候そうろふ。 されば念仏ねんぶつ往おう生じょうと​ふかく信しんじ​て、 しかも名みょう号ごうを​となへ​んずる​は、 疑うたがいなき報ほう土どの往おう生じょうにて​ある​べく候そうろふ​なり。

^詮せんずる​ところ、 名みょう号ごうを​となふ​と​いふとも、 他た力りき本願ほんがんを信しんぜ​ざら​ん​は辺へん地じに生うまる​べし。 本願ほんがん他た力りきを​ふかく信しんぜ​ん​とも0795がら​は、 *なにごと​にか​は辺へん地じの往おう生じょうにて候そうろふ​べき。 この​やう​を​よくよく御おんこころえ候そうろう​て御おん念仏ねんぶつ候そうろふ​べし。

 ^この身みは、 いま​は、 とし​きはまり​て候そうらへ​ば、 さだめて​さきだち​て往おう生じょうし候そうらは​んずれ​ば、 浄じょう土どにて​かならず​かならず​まち​まゐらせ候そうろふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

0786七月しちがつ十じゅう三日さんにち

親鸞しんらん

  *有ゆう阿あ弥陀みだ仏ぶつ 御おん返かえり事ごと ▽

 0834

◎(27) ¬御消息集¼(9)

 ^まづ​よろづ​の仏ぶつ・菩ぼ薩さつを​かろしめ​まゐらせ、 よろづ​の神じん祇ぎ・冥みょう道どうを​あなづり*すて​たてまつる​と申もうす​こと、 この事こと*ゆめゆめ​なき​こと​なり。

^世々せせ生々しょうじょうに無む量りょう無む辺へんの諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつの利り益やくによりて、 よろづ​の善ぜんを修しゅ行ぎょうせ​しかども、 自じ力りきにて​は生しょう死じを出いで​ず​あり​し​ゆゑに、 曠劫こうごう多た生しょうの​あひだ、 諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつの御おんすすめ​によりて、 いま​まうあひ​がたき弥陀みだの御おんちかひ​に​あひ​まゐらせ​て候そうろふ御ご恩おんを​しら​ず​して、 よろづ​の仏ぶつ・菩ぼ薩さつを*あだ​に申もうさ​ん​は、 ふかき御ご恩おんを​しら​ず候そうろふ​べし。

^仏法ぶっぽうを​ふかく信しんずる​ひと​をば、 天てん地ちに​おはします​よろづ​の神かみは、 かげ​の​かたち​に添そへ​る​が​ごとく​して、 まもら​せたまふ​こと​にて候そうらへ​ば、 念仏ねんぶつを信しんじ​たる身みにて、 天てん地ちの神かみを​すて​まうさ​ん​と​おもふ​こと、 ゆめゆめ​なき​こと​なり。 *神じん祇ぎ等とうだに​も​すてら​れ​たまは​ず。 いかに​いはんや、 よろづ​の仏ぶつ・菩ぼ薩さつを​あだ​にも申もうし、 *おろかに​おもひ​まゐらせ候そうろふ​べし​や。 よろづ​の仏ぶつを​おろかに申もうさ​ば、 念仏ねんぶつを信しんぜず、 弥陀みだの御名みなを​となへ​ぬ身みにて​こそ候そうらは​んずれ。

^詮せんずる​ところ​は、 そらごと0787を申もうし、 ひがごと​を、 こと​に​ふれ​て、 念仏ねんぶつの​ひとびと​に仰おおせ​られ​つけ​て、 念仏ねんぶつを​とどめ​ん​と*領りょう家か・*地じ頭とう・*名みょう主しゅの御おんはからひ​ども​の候そうろふ​らん0835こと、 よくよく*やう​ある​べき​こと​なり。

^そのゆゑは、 釈しゃ迦か如来にょらいの​みこと​には、 念仏ねんぶつする​ひと​を​そしる​もの​をば ▲「名みょう無む眼げん人にん」 と説とき、 「名みょう無耳むに人にん」 と仰おおせ​おかれ​たる​こと​に候そうろふ。 善導ぜんどう和か尚しょうは、 「▲五ご濁じょく増ぞう時じ多た疑ぎ謗ほう 道俗どうぞく相嫌そうけん不ふ用よう聞もん 見けん有う修しゅ行ぎょう起き瞋毒しんどく 方便ほうべん破壊はえ競生きょうしょう怨おん」 (法事讃・下) と​たしかに釈しゃくし​おか​せたまひ​たり。

^この世よの​ならひ​にて念仏ねんぶつを​さまたげ​ん​ひと​は、 その​ところ​の領りょう家か・地じ頭とう・名みょう主しゅ*の​やう​ある​こと​にて​こそ候そうらは​め。 とかく申もうす​べき​に​あらず。 「△念仏ねんぶつせ​ん​ひとびと​は、 かの​さまたげ​を​なさ​ん​ひと​をば​あはれみ​を​なし、 不ふ便びんに​おもう​て、 念仏ねんぶつをも​ねんごろに申もうして、 さまたげ​なさ​ん​を、 たすけ​させたまふ​べし」 と​こそ、 *ふるき​ひと​は申もうさ​れ候そうらひ​し​か。 よくよく御おんたづね​ある​べき​こと​なり。

 ^つぎ​に、 念仏ねんぶつせさせたまふ​ひとびと​の​こと、 弥陀みだの御おんちかひ​は煩悩ぼんのう具ぐ足そくの​ひと​のため​なり​と信しんぜ​られ候そうろふ​は、 *めでたき​やう​なり。 ただし​わるき​もの​のため​なり​とて、 ことさらに​ひがごと​を​こころ​にも​おもひ、 身みにも口くちにも申もうすべしとは、 浄じょう土ど宗しゅうに申もうす​こと​ならねば、 ひとびと​にも​かたる​こと候そうらは​ず。

^おほかた​は0788、 煩悩ぼんのう具ぐ足そくの身みにて、 こころ​をも​とどめ​がたく候そうらひ​ながら、 往おう生じょうを疑うたがは​ず​せん​と​おぼしめす​べし​と​こそ、 師しも善ぜん知ぢ識しきも申もうす​こと​にて候そうろふ​に、 かかる​わるき身みなれば0836、 ひがごと​を​ことさらに好このみ​て、 念仏ねんぶつの​ひとびと​の​さはり​と​なり、 師しのために​も善ぜん知ぢ識しきのために​も、 とが​と​なさ​せたまふべし​と申もうす​こと​は、 ゆめゆめ​なき​こと​なり。

^弥陀みだの御おんちかひ​にまうあひ​がたく​して​あひ​まゐらせ​て、 仏恩ぶっとんを報ほうじ​まゐらせ​ん​と​こそ​おぼしめす​べき​に、 *念仏ねんぶつを​とどめ​らるる​こと​に沙汰さたし​なさ​れ​て候そうろふ​らん​こそ、 かへすがへす​こころえ​ず候そうろふ。 あさましき​こと​に候そうろふ。 ひとびと​の​ひがざま​に御おんこころえ​ども​の候そうろふ​ゆゑ+、 *ある​べく​も​なき​こと​ども​きこえ候そうろふ。 申もうす​ばかり​なく候そうろふ。

^ただし念仏ねんぶつの​ひと、 ひがごと​を申もうし候そうらは​ば、 その身みひとり​こそ地じ獄ごくにも​おち、 天てん魔まとも​なり候そうらは​め。 よろづ​の念仏ねんぶつ者しゃの​とが​に​なる​べし​と​は​おぼえ​ず候そうろふ。 よくよく御おんはからひ​ども候そうろふ​べし。 なほなほ念仏ねんぶつせさせたまふ​ひとびと、 よくよく​この文ふみを御ご覧らんじ説とか​せたまふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

九く月がつ二ふつ日かのひ

親鸞しんらん

  念仏ねんぶつの人々ひとびと御中おんなかへ

 0789  0837

◎(28) ¬御消息集¼(10)

 ^文ふみ書かき​て​まゐらせ候そうろふ。 この文ふみを、 ひとびと​にも読よみ​て​きかせ​たまふ​べし。

 ^*遠江とおとうみの尼あま御ご前ぜんの御おんこころ​に​いれ​て御おん沙汰さた候そうろふ​らん、 かへすがへす​めでたく​あはれに​おぼえ候そうろふ。 よくよく京きょうより​よろこび申もうす​よし​を申もうし​たまふ​べし。

 ^信願しんがん坊ぼうが申もうす​やう、 かへすがへす不ふ便びんの​こと​なり。 わるき身みなれば​とて、 ことさらに​ひがごと​を好このみ​て、 師しのため善ぜん知ぢ識しきのために​あしき​こと​を沙汰さたし、 念仏ねんぶつの​ひとびと​のために、 とが​と​なる​べき​こと​を​しら​ず​は、 仏恩ぶっとんを​しら​ず、 よくよく​はからひ​たまふ​べし。

 ^また、 もの​に​くるう​て死しに​けん​ひとびと​の​こと​をもちて、 信願しんがん坊ぼうが​こと​を、 よし​あし​と申もうす​べき​には​あらず。 念仏ねんぶつする​ひと​の死しに​やう​も、 身みより病やまいを​する​ひと​は、 往おう生じょうの​やう​を申もうす​べから​ず。 こころ​より病やまいを​する​ひと​は、 天てん魔まとも​なり、 地じ獄ごくにも​おつる​こと​にて候そうろふ​べし。 *こころ​より​おこる病やまいと、 身みより​おこる病やまいと​は、 かはる​べけれ​ば、 こころ​より​おこり​て死しぬる​ひと​の​こと​を、 よくよく御おんはからひ候そうろふ​べし。

 ^信願しんがん坊ぼうが申もうす​やう​は、 凡ぼん夫ぶの​ならひ​なれば、 わるき​こそ*本ほんなれば​とて、 おもふ​まじき​こと​を好このみ、 身みにも​すまじき​こと​を​し、 口くちにも​いふ​まじき​こと​を申もうす​べき0790やう0838に申もうさ​れ候そうろふ​こそ、 信願しんがん坊ぼうが申もうし​やう​と​は​こころえ​ず候そうろふ。 往おう生じょうに​さはり​なけれ​ば​とて、 ひがごと​を好このむ​べし​と​は、 申もうし​たる​こと候そうらは​ず。 かへすがへす​こころえ​ず​おぼえ候そうろふ。

 ^詮せんずる​ところ、 ひがごと申もうさ​ん​ひと​は、 その身みひとり​こそ、 *ともかくも​なり候そうらは​め。 すべて​よろづ​の念仏ねんぶつ者しゃの​さまたげ​と​なる​べし​と​は​おぼえ​ず候そうろふ。

 ^また念仏ねんぶつを​とどめ​ん​ひと​は、 その​ひと​ばかり​こそ*いかにも​なり候そうらは​め。 よろづ​の念仏ねんぶつする​ひと​の​とが​と​なる​べし​と​は​おぼえ​ず候そうろふ。 「▲五ご濁じょく増ぞう時じ多た疑ぎ謗ほう 道俗どうぞく相嫌そうけん不ふ用よう聞もん 見けん有う修しゅ行ぎょう起き瞋毒しんどく 方便ほうべん破壊はえ競生きょうしょう怨おん」 (法事讃・下) と、 まのあたり善導ぜんどうの御おんをしへ候そうろふ​ぞかし。 釈しゃ迦か如来にょらいは、 「▲名みょう無む眼げん人にん、 名みょう無耳むに人にん」 と説とか​せたまひ​て候そうろふ​ぞかし。 かやうなる​ひと​にて、 念仏ねんぶつをも​とどめ、 念仏ねんぶつ者しゃをも​にくみ​なんど​する​こと​にて​も候そうろふ​らん。 *それは、 *かの​ひと​を​にくま​ず​して、 念仏ねんぶつを​ひとびと申もうし​て、 たすけ​ん​と​おもひ​あはせ​たまへ​と​こそ​おぼえ候そうらへ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

九く月がつ二ふつ日かのひ

親鸞しんらん

  慈じ信しん坊ぼう 御おん返へん事じ

 ^0791入にゅう信しん坊ぼう・真しん浄じょう坊ぼう・*法信ほうしん坊ぼうにも、 この文ふみを読よみ​きか​せ​たまふ​べし。 かへすがへす0839不ふ便びんの​こと​に候そうろふ。 性しょう信しん坊ぼうには、 春はるのぼり​て候そうらひ​し​に、 よくよく申もうし​て候そうろふ。 *くげ・・どの・・にも、 よくよく​よろこび申もうし​たまふ​べし。

^この​ひとびと​の​ひがごと​を申もうし​あう​て候そうらへ​ば​とて、 *道どう理りをば失うしは​れ候そうらは​じ​と​こそ​おぼえ候そうらへ。 世せ間けんの事ことにも、 さる​こと​の候そうろふ​ぞかし。 領りょう家か・地じ頭とう・名みょう主しゅの​ひがごと​すれば​とて、 *百姓ひゃくしょうを​まどはす​こと​は候そうらは​ぬ​ぞかし。 仏法ぶっぽうをば​やぶる​ひと​なし。 仏法ぶっぽう者しゃのやぶるにたとへたるには、 「▲獅子ししの身しん中ちゅうの虫むしの獅子ししを​くらふ​が​ごとし」 と候そうらへ​ば、 念仏ねんぶつ者しゃをば仏法ぶっぽう者しゃの​やぶり​さまたげ候そうろふ​なり。 よくよく​こころえ​たまふ​べし。

^なほなほ御文おんふみには申もうし​つくす​べく​も候そうらは​ず。▽

 (879)

◎(29) ¬血脈文集¼(4)

 ^武蔵むさしより​とて、 *しむ・・の入にゅう道どうどの​と申もうす人ひとと、 *正しょう念ねん房ぼうと申もうす人ひとの、 *王番おうばんに​のぼら​せたまひて候そうろふ​とて​おはしまし​て候そうろふ。 み​まゐらせ​て候そうろふ。 御おん念仏ねんぶつの御おんこころざし​おはします​と候そうらへ​ば、 ことに​うれしう​めでたう​おぼえ候そうろふ。 *御おんすすめ​と候そうろふ。 かへすがへす​うれしう​あはれに候そうろふ。 なほなほ​よくよく​すすめ​まゐらせ​て、 信心しんじんかはら​ぬ​やう​に人々ひとびとに申もうさせたまふ​べし。 如来にょらいの御おんちかひ​の​うへ​に0792、 釈しゃく尊そんの御おんこと​なり。 また十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの御ご証誠しょうじょうなり。 信心しんじんは​かはら​じ​と​おもひ候そうらへども、 やうやうにかはりあはせたまひて候そうろふ0880こと、 ことに​なげき​おもひ候そうろふ。 よくよく​すすめ​まゐらせ​たまふ​べく候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

九く月がつ七なぬ日か

親鸞しんらん

  性しょう信しん御房おんぼう

 ^*念仏ねんぶつの​あひだ​の​こと​ゆゑに、 御ご沙汰さたども​の​やうやう​に​きこえ候そうろふ​に、 *こころやすく​なら​せたまひ​て候そうろふ​と、 この人々ひとびとの御おんものがたり候そうらへ​ば、 ことに​めでたう​うれしう候そうろふ。 なにごと​も​なにごと​も申もうし​つくし​がたく候そうろふ。 いのち候そうらは​ば、 またまた申もうし候そうろふ​べく候そうろふ。▽

 (758)  (795)  (863)

◎(30) [摂取不捨事] 「真筆消息」(8)、 ¬末灯鈔¼(13)、 ¬善性本¼(4)

 ^尋たずね仰おおせ​られ​て候そうろふ摂取せっしゅ不ふ捨しゃの​こと​は、 ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい行ぎょう道どう往おう生じょう讃さん¼ と申もうす​に仰おおせ​られ​て候そうろふ​を​み​まゐら​せ+候そうらへ​ば、 「▲釈しゃ迦か如来にょらい・弥陀みだ%仏ぶつ、 われら​が慈悲じひの父母ぶもにて、 さまざま​の方便ほうべんにて、 われら​が無む上じょう+信心しんじんをば​ひらき​おこさ​せたまふ」 (意) と候そうらへ​ば、 まこと​の0759信心しんじんの定さだまる​こと​は、 釈しゃ迦か・弥陀みだの御おんはからひ​と​みえ​て候そうろふ。

^往おう生じょうの心しん疑うたがいなく​なり候そうろふ​は、 摂取せっしゅせ​られ​まゐら%する​ゆゑ0793+と​みえ​て候そうろふ。 摂取せっしゅの​うへ​には、 ともかくも行ぎょう者じゃの​はからひ​ある​べから​ず候そうろふ。 浄じょう土どへ往おう生じょうする​まで​は、 不ふ退たいの位くらいに~て​おはしまし候そうらへ​ば、 正しょう0796定じょう聚じゅの位くらいと​なづけ​て​おはします​こと​にて候そうろふ​なり。

^まことの信心しんじんをば、 釈しゃ迦か如来にょらい・弥陀みだ如来にょらい二に尊そんの御おんはからひ​にて発ほっ起きせ​しめたまひ候そうろふ​と​みえ​て候そうらへ​ば、 信心しんじんの定さだまる​と申もうす​は、 摂取せっしゅに​あづかる​とき​にて候そうろふ​なり。 その​のち​は正定しょうじょう聚じゅの位くらいにて、 まことに浄じょう土どへ生うまるる​まで​は候そうろふ​べし​と​みえ+候そうろふ​なり。 ともかくも行ぎょう者じゃの​はからひ​を​ちり​ばかり​も​ある​べから​ず候そうらへ​ば​こそ、 他た力りきと申もうす​こと​にて候そうらへ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

0864十じゅう月がつ六むゆ日かのひ

親鸞しんらん~(花押)

  *%しのぶの御房おんぼう~の御おん返へん事じ ▽

+*康永三歳 甲申 仲春上旬第一日至輔時終漸写微功訖

隠倫乗専 半白 ▽

 (848)

◎(31) ¬御消息集¼(17)

 ^ひとびと​の仰おおせ​られ​て候そうろふ十じゅう二に光こう仏ぶつの御おんこと​の​やう、 書かき​しるし​て​くだし​まゐらせ候そうろふ。 くはしく書かき​まゐらせ候そうろふ​べき​やう​も候そうらは​ず。 *おろおろ書かき​しるし​て候そうろふ。

 ^詮せんずる​ところ​は、 無礙むげ光こう仏ぶつと申もうし​まゐらせ候そうろふ​こと​を*本ほんと​せさせたまふ​べく候そうろ0794ふ。 無礙むげ光こう仏ぶつは、 よろづ​の​もの​の​あさましき0849わるき​こと​には​さはり​なく、 たすけ​させたまは​ん料りょうに、 無礙むげ光こう仏ぶつと申もうす​と​しら​せたまふ​べく候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

十じゅう月がつ二に十じゅう一日いちにち

~親鸞しんらん

  唯信ゆいしんの御坊おんぼう 御おん返へん事じ ▽

 (759)  (800)  (846)

◎(32) [如来とひとしといふ事] 「真筆消息」(9)、 ¬末灯鈔¼(15前半)、 ¬御消息集¼(15)

 ^尋たずね仰おおせ​られ​て候そうろふ​こと、 かへすがへす*めでたう候そうろふ。 まこと​の信心しんじんを​え​たる人ひとは、 すでに仏ぶつに成な%ら​せたまふ​べき御おん身みと​なり​て​おはします​ゆゑに、 「▲如にょ0847来らいと​ひとしき人ひと」 と ¬経きょう¼ (華厳経・入法界品) に0760説とか​れ+候そうろふ​なり。 弥み勒ろくは​いまだ仏ぶつに成なり​たまは​ねども、 このたび​かならず~かならず仏ぶつに成なり​たまふ​べき​によりて、 ~弥み勒ろくをば​すでに弥み勒ろく仏ぶつと申もうし候そうろふ​なり。 *その定じょうに、 真実しんじつ信心しんじんを​え​たる人ひと%をば、 如来にょらいと​ひとし​と仰おおせ​られ​て候そうろふ​なり。

^また*%承じょう信しん房ぼうの、 弥み勒ろくとひとしと候そうろふも、 ひがごとに+は候そうらはねども、 他た力りきによりて信しんをえてよろこぶこころは如来にょらいとひとしと候そうろふを、 自じ力りきなりと候そうろふらんは、 いますこし%承じょう信しん房ぼうの御おんこころの底そこのゆきつかぬやうにき%こえ候そうろふこそ、 よく~よく御ご案あん候そうろふべくや候そうろふらん。

^0795自じ力りきの​こころ​にて、 わが身みは如来にょらいと​ひとし​と候そうろ%ふ​らん​は、 まことに​あしう候そうろふ0801べし。 ~他た力りきの信心しんじんの​ゆゑ​に、 浄じょう信しん房ぼうの​よろこば​せたまひ候そうろふ​らん​は、 なにかは自じ力りきにて候そうろふ​べき。 よくよく御おんはからひ候そうろふ​べし。

^この​やう​は、 この人々ひとびとに​くはしう申もうし​て候そうろふ。 %承じょう信しんの御房おんぼう+、 とひ​まゐら​せ​させたまふ​べ%し。

^あなかしこ、 あなかしこ。

十じゅう月がつ二に十じゅう%一日いちにち

親鸞しんらん ▽

  ~%浄じょう信しんの御房おんぼう 御おん%返へん事じ ▽

 (839)

◎(33) ¬御消息集¼(11)

 ^九く月がつ二に十じゅう七日しちにちの御文おんふみ、 くはしく​み候そうらひ​ぬ。 さては御おんこころざし​の銭ぜに*五ご貫かん文もん、 十じゅう一月いちがつ九ここぬ日かに​たまはり​て候そうろふ。

 ^さては​ゐなか​の​ひとびと、 みな​としごろ念仏ねんぶつせ​し​は、 いたづらごと​にて​あり​けり​とて、 かたがた、 ひとびと​やうやう​に申もうす​なる​こと​こそ、 かへすがへす不ふ便びんの​こと​に​きこえ候そうらへ。 やうやう​の文ふみども0840を書かき​て​もて​る​を、 いかに​みなし​て候そうろふ​やらん。 かへすがへす​おぼつかなく候そうろふ。

 ^慈じ信しん坊ぼうの​くだり​て、 わが​きき​たる法文ほうもんこそ​まこと​にて​は​あれ、 日ひごろ​の念仏ねんぶつは0796、 みな​いたづらごと​なり​と候そうらへ​ば​とて、 おほぶ・・・の中ちゅう太た郎ろうの方かたの​ひと+は、 九く十じゅうなん人ひととかや、 みな慈じ信しん坊ぼうの方かたへ​とて、 中ちゅう太た郎ろう入にゅう道どうを​すて​たる​とかや​きき候そうろふ。 いかなる​やう​にて、 さやう​には候そうろふ​ぞ。 詮せんずる​ところ、 信心しんじんの定さだまら​ざり​ける​と​きき候そうろふ。 いかやう​なる​こと​にて、 さほど​に​おほく​の​ひとびと​の*たぢろき候そうろふ​らん。 不ふ便びんの​やう​と​きき候そうろふ。

^また​かやう​の​きこえ​なんど候そうらへ​ば、 そらごと​も​おほく候そうろふ​べし。 また親鸞しんらんも偏へん頗ぱある​もの​と​きき候そうらへ​ば、 ちから​を尽つくし​て ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼・¬後世ごせ物もの語がたり¼・¬自じ力りき他た力りきの文ふみ¼ の​こころ​ども、 二河にがの譬喩ひゆなんど書かき​て、 かたがた​へ、 ひとびと​に​くだし​て候そうろふ​も、 みな​そらごと​に​なり​て候そうろふ​と​きこえ候そうろふ​は、 いかやうに​すすめ​られ​たる​やらん。 不可ふか思議しぎの​こと​と​きき候そうろふ​こそ、 不ふ便びんに候そうらへ。 よくよく​きか​せたまふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

十じゅう一月いちがつ九ここぬ日か

親鸞しんらん

  慈じ信しんの御坊おんぼう

 0841^真仏しんぶつ坊ぼう・性しょう信しん坊ぼう・入にゅう信しん坊ぼう、 *この​ひとびと​の​こと​うけたまはり候そうろふ。 かへすがへす​なげき​おぼえ候そうらへ​ども、 ちから​およば​ず候そうろふ。 また余よの​ひとびと​の​おなじ​こころ​なら​ず候そうろふ​らん​も、 ちから​およば​ず候そうろふ。 ひとびと​の​おなじ​こころ0797なら​ず候そうらへ​ば、 とかく申もうす​に​およば​ず。 いま​は*ひと​の​うへ​も申もうす​べき​に​あらず候そうろふ。 よくよく​こころえ​たまふ​べし。

親鸞しんらん

  慈じ信しんの御坊おんぼう▽

 (866)

◎(34) ¬善性本¼(7)

 ^ある人ひとの​いはく、

^往おう生じょうの業因ごういんは、 一念いちねん発ぽっ起き信心しんじんの​とき、 無礙むげの心光しんこうに摂しょう護ごせ​られ​まゐらせ候そうらひ​ぬれ​ば、 同一どういつなり。 このゆゑに不ふ審しんなし。 このゆゑに、 はじめて​また信しん不ふ信しんを論ろんじ尋たずね​まうす​べき​に​あらず​となり。 このゆゑに他た力りきなり、 義ぎなき​が​なか​の義ぎと​なり。 ただ無む明みょうなる​こと、 おほは​るる煩悩ぼんのうばかり​となり。

^恐々きょうきょう謹言きんげん。

     十じゅう一月いちがつ一日ついたち

専信せんしん上たてまつる

 ^仰おおせ候そうろふ​ところ​の往おう生じょうの業因ごういんは、 真実しんじつ信心しんじんを​うる​とき摂取せっしゅ不ふ捨しゃに​あづかる​と0798おもへ​ば、 かならず​かならず如来にょらいの誓願せいがんに住じゅうす​と、 悲ひ願がんに​みえ​たり。 「▲設せつ我が得仏とくぶつ 国こく中ちゅう0867人天にんでん 不ふ住じゅ定じょう聚じゅ 必ひっ至し滅めつ度ど者しゃ 不ふ取しゅ正しょう覚がく」 (大経・上) と誓ちかひ​たまへ​り。 正定しょうじょう聚じゅに信心しんじんの人ひとは住じゅうし​たまへ​り​と​おぼしめし候そうらひ​なば、 行ぎょう者じゃの​はからひ​の​なき​ゆゑに、 義ぎなき​を義ぎと​す​と、 他た力りきをば申もうす​なり。 善ぜんとも悪あくとも、 浄じょうとも穢えとも、 行ぎょう者じゃの​はからひ​なき身みと​なら​せたまひ​て候そうらへ​ば​こそ、 義ぎなき​を義ぎと​す​と​は申もうす​こと​にて候そうらへ。

 ^十じゅう七しちの願がんに、 「▲わが​な​を​となへ​られ​ん」 と誓ちかひ​たまひ​て、 十じゅう八はちの願がんに、 「▲信心しんじんまことなら​ば、 もし生うまれ​ず​は仏ぶつに成なら​じ」 と誓ちかひ​たまへ​り。 十じゅう七しち・十じゅう八はちの悲ひ願がんみな​まことなら​ば、 正定しょうじょう聚じゅの願がん (第十一願) は*せんなく候そうろふ​べき​か。 補ふ処しょの弥み勒ろくに​おなじ位くらいに信心しんじんの人ひとは​なら​せたまふ​ゆゑに、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃと​は定さだめ​られ​て候そうらへ。 このゆゑに、 他た力りきと申もうす​は行ぎょう者じゃの​はからひ​の​ちり​ばかり​も​いら​ぬ​なり。 かるがゆゑに義ぎなき​を義ぎと​す​と申もうす​なり。 この​ほか​に​また申もうす​べき​こと​なし。 ただ仏ぶつに​まかせ​まゐらせ​たまへ​と、 大だい師し聖しょう人にん (法然) の​みこと​にて候そうらへ。

十じゅう一月いちがつ十じゅう八はち日にち

親鸞しんらん

  専せん信しんの御坊おんぼう 御ご報ほう

 0799  (760)

◎(35) 「真筆消息」(10)

                 「*御おん返へん事じ (花押) 」

 ^常陸ひたちの人々ひとびとの御中おんなかへ、 この文ふみを​み​せ​させたまへ。 すこし​も​かはらず候そうろふ。 この文ふみ0761に​すぐ​べから​ず候そうらへ​ば、 この文ふみを、 くに​の人々ひとびと、 おなじ​こころ​に候そうらは​んずらん。

^あなかしこ、 あなかしこ。

十じゅう一月いちがつ十じゅう一日いちにち

(花押)

  *いまごぜんのはは​に

 

◎(36) 「真筆消息」(11)

 ^この​いま・・ごぜ・・んの・・はは・・の、 たのむ​かた​も​なく、 そらう(所領)を​もちて候そうらは​ば​こそ、 譲ゆずり​も​し候そうらは​め。 *せん​しに候そうらひ​なば、 くに​の人々ひとびと、 いとほしう​せ​させたまふ​べく候そうろふ。 この文ふみを書かく常陸ひたちの人々ひとびとを​たのみ​まゐらせ​て候そうらへ​ば、 申もうし​おき​て、 あはれみ​あはせ​たまふ​べく候そうろふ。 この文ふみを​ごらん​ある​べく候そうろふ。

^この*そく・・しやう・・・ばう・・​も、 *すぐ​べき​やう​も​なき​もの​にて候そうらへ​ば、 申もうし​おく​べき​やう​も候そうらは​ず。 身みの​かなは​ず、 わびしう候そうろふ​こと​は、 ただ​この​こと​おなじ​こと​にて候そうろふ。 とき​に​このそく・・しやう・・・ばう・・にも、 申もうし​おか​ず候そうろふ。 常陸ひたちの人々ひとびとばかり​ぞ、 この​ものども​をも、 御おんあはれみ​あは​れ候そうろふ​べから​ん。 いとほしう、 人々ひとびとあはれみ​おぼしめす​べし0800。 この文ふみにて、 人々ひとびとおなじ御おんこころ​に候そうろふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

0762十じゅう一月いちがつ十じゅう二に日にち

ぜんしん (花押)

  常陸ひたち ˆのˇ 人々ひとびとの御中おんなかへ

+………(切封)

   常陸ひたちの人々ひとびとの御中おんなかへ

(花押)▽

 0802  (826)

◎(37) ¬末灯鈔¼(16)、 ¬御消息集¼(5)

 ^なに+より%も、 聖教しょうぎょうの​をしへ​をも​しら​ず、 また浄じょう土ど宗しゅうの*まこと​の​そこ​をも​しら​ず​して、 不可ふか思議しぎの放逸ほういつ無む慚ざんの​ものども​の​なか​に、 悪あくは​おもふさまに​ふるまふ​べし​と仰おおせ​られ候そうろふなる​こそ、 かへすがへす​ある​べく​も候そうらは​ず。 北きたの郡こおりに​あり​し善ぜん%証しょう房ぼうといひ​し​もの​に、 つひに*あひ​むつるる​こと​なく​て​やみ​に​し​をば​み​ざり​ける​にや。

^凡ぼん夫ぶなれば​とて、 なにごと​も​おもふさま​ならば、 ぬすみ​をも​し、 人ひとをも​ころし​なんど​す​べき​かは。 もと​ぬすみごころ​あら​ん%人ひとも、 極楽ごくらくを​ねがひ、 念仏ねんぶつ~を申もうす​ほど​の​こと​に​なり​なば、 もと*ひがう​たる​こころ~をも​おもひ​なほし​て​こそ​ある​べき​に、 その​しるし​も​なから​ん​ひとびと​に、 *悪あくくるしから​ず​といふ0801こと、 ゆめゆめ​ある​べから​ず候そうろふ。

^煩悩ぼんのうに​くるはさ​れ​て、 おもは​ざる​ほか​に​す​まじき​こと​をも​ふるまひ、 いふ​まじき​こと​をも​いひ、 おもふ​まじき​こと​をも0827おもふ​にて​こそ​あれ。 *さはら​ぬ​こと​なれば​とて、 ひと​のために​も​はらぐろく、 す​まじき​こと​をも​し、 いふ​まじき​こと​をも​いは​ば、 煩悩ぼんのうに​くるはさ​れ​たる儀ぎには​あら​で、 わざと​す​まじき​こと​をも​せば、 かへすがへす​ある​まじき​こと​なり。

 ^鹿か島しま・行方なめかたの​ひとびと​の​あしから​ん​こと​をば​いひ+とどめ、 *その辺へんの人々ひとびとの、 ことに0803ひがみ​たる​こと​をば制せいし​たまは​ば​こそ、 *この辺へんより出いで​きたる​しるし​にて​は候そうらは​め。

^+ふるまひ~は、 な%に​とも​こころ​に​まかせ​よ​と​い%ひ​つる​と候そうろふ​らん、 あさましき​こと​に候そうろふ。 この世よの​わろき​を~も​すて、 あ~さましき​こと​を~も​せ​ざら​ん​こそ、 世よを​いとひ、 念仏ねんぶつ申もうす​こと​にて​は候そうら%へ。 としごろ念仏ねんぶつする​ひと​なんど​の、 ひと​のために​あしき​こと​を+し、 また​いひも​せ%ば、 世よを​いとふ​しるし​も​なし。

 ^されば善導ぜんどうの御おんをしへ​には、 「▲悪あくを​この%む人ひとをば、 %つつしんで​とほざかれ」 (散善義・意) と​こそ、 至し誠じょう心しんのなか​には​をしへ​おか​せおはしまし​て候そうらへ。 いつか+、 わが​こころ​の​わろき​に​まかせ​て​ふるまへ​と​は候そうろふ。 おほかた+経釈きょうしゃく+をも​しら​ず、 如来にょらいの御おんこと​をも​しら​ぬ身みに+、 ゆめゆめ​その沙汰さたある​べく​も候そうらは​ず。

 +また往わう生じやうは​なにごと​も​なにごと​も凡ぼむ夫ぶの​はからひ​なら​ず、 如来にょらいの御おんちかひ​に​まかせ​まいらせ​たれ​ば​こそ、 他た力りきにて​は​さふ0828らへ。 やうやうに​はからひ​あふ​て​さふらふ​らん、 をかしく​さふらふ。

^あ0802なかしこ、 あなかしこ。

十じゅう一月いちがつ二に十じゅう四よっ日かのひ

親鸞しんらん ▽

 0848

◎(38) ¬末灯鈔¼(17)、 ¬御消息集¼(16)

 ^他た力りきの​なか​には自じ力りきと申もうす​こと​は候そうろふ​と​きき候そうらひ​き。 他た力りきの​なか​に​また他た力りきと申もうす​こと​は​きき候そうらは​ず。 他た力りきの​なか​に自じ力りきと申もうす​こと​は、 雑ぞう行ぎょう雑修ざっしゅ0804・定じょう心しん念仏ねんぶつ・~散心さんしん念仏ねんぶつ%を​こころ%がけ​られ​て候そうろふ​ひとびと​は、 他た力りきの​なか​の自じ力りきの​ひとびと​なり。 他た力りきの​なか​に​また他た力りきと申もうす​こと​は​うけたまはり候そうらは​ず。 なにごと​も専信せんしん房ぼうの​しばらく%も居いたら​ん​と候そうらへ​ば、 その​とき申もうし候そうろふ​べし。

^あなかしこ、 あなかしこ。

 ^~銭ぜに二に十じっ貫文かんもん、 たしかに​たしかに給たまはり候そうろふ。 あなかしこ、 あなかしこ。

十じゅう一月いちがつ二に十じゅう五ご日にち

~親鸞しんらん

  +真しん仏ぶつの御坊おんぼう 御おん返へん事じ ▽

 

◎(39) ¬末灯鈔¼(18)

 ^御おんたづね候そうろふ​こと​は、 弥陀みだ他た力りきの回え向こうの誓願せいがんに​あひ​たてまつり​て、 真実しんじつの信心しんじんを​たまはり​て、 よろこぶ​こころ​の定さだまる​とき、 摂取せっしゅして捨すて​られ​まゐらせ​ざる​ゆゑに、 金剛こんごう心しんに​なる​とき​を正定しょうじょう聚じゅの位くらいに住じゅうす​とも申もうす。 弥み勒ろく菩ぼ薩さつと​おなじ0803位くらいに​なる​とも説とか​れ​て候そうろふ​めり。

^弥み勒ろくと​ひとつ位くらいに​なる​ゆゑに、 信心しんじんまこと​なる​ひと​を+、 仏ぶつ%に​ひとし​とも申もうす。

 ^また諸仏しょぶつの真実しんじつ信心しんじんを​え​て​よろこぶ​をば、 まことに​よろこび​て、 われ​と​ひとしき​もの​なり​と説とか​せたまひ​て候そうろふ​なり。 ¬大だい経きょう¼ (下) には、 釈しゃく尊そんの​みことば​に、 「▲見けんミテウヤ敬きょうマヒエ得とく大だいテオホキ慶きょうニヨロ則そく我がコブハス善ぜん親しん友ぬナハチワガヨ」 と​よキシタシキト0805ろこモナリ ば​せたまひ候そうらへ​ば、 信心しんじんをえ​たる​ひと​は諸仏しょぶつと​ひとし​と説とか​れ​て候そうろふ​めり。

^また弥み勒ろくをば、 すでに仏ぶつに成なら​せたまは​ん​こと​ある​べき​に​なら​せたまひ​て候そうらへ​ば​とて、 弥み勒ろく仏ぶつと申もうす​なり。 しかれば、 すでに他た力りきの信しんを​え​たる​ひと​をも、 仏ぶつと​ひとし​と申もうす​べし​と​みえ​たり。 御おん疑うたがいある​べから​ず候そうろふ。

 ^御おん同どう行ぎょうの 「臨りん終じゅうを期ごして」 と仰おおせ​られ候そうろふ​らん​は、 ちから​およば​ぬ​こと​なり。 信心しんじんまこと​に​なら​せたまひ​て候そうろふ​ひと​は、 誓願せいがんの利り益やくにて候そうろふ​うへに、 摂取せっしゅして捨すて​ず​と候そうらへ​ば、 来迎らいこう臨りん終じゅうを期ごせ​させたまふ​べから​ず​と​こそ​おぼえ候そうらへ。 いまだ信心しんじん定さだまら​ざら​ん​ひと​は、 臨りん終じゅうをも期ごし、 来迎らいこうをも​また​せたまふ​べし。

 ^この御文おんふみ主ぬしの御ご名みょうは随信ずいしん房ぼうと仰おおせ​られ候そうらは​ば、 めでたく候そうろふ​べし。 この御文おんふみの書かき​やう​めでたく候そうろふ。 御おん同どう行ぎょうの仰おおせ​られ​やう​は、 こころえ​ず候そうろふ。 それ​をば0804ちから​およば​ず候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

十じゅう一月いちがつ二に十じゅう六日ろくにち          親鸞しんらん

  随ずい信しんの御房おんぼう ▽

 (746)

◎(40) 「真筆消息」(2)

 ^この*ゑん・・仏ぶつばう・・、 くだら​れ候そうろふ。 こころざし​の​ふかく候そうろふ​ゆゑに、 主ぬしなど​にも​しられ​まうさ​ず​して、 のぼら​れ​て候そうろふ​ぞ。 こころ​に​いれ​て、 主ぬしなど​にも、 仰おおせ​られ候そうろふ​べく候そうろふ。 *この十とお日かの夜よ、 *せうまう​に​あう​て候そうろふ。 この御おんばう​よくよく​たづね候そうらひ​て候そうろふ​なり。 こころざし​ありがたき​やう​に候そうろふ​ぞ。 さだめて​この​やう​は申もうさ​れ候そうらは​んずらん。 よくよく​きか​せたまふ​べく候そうろふ。 なにごと​も​なにごと​も​いそがしさ​に、 くはしう申もうさ​ず候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

*十じゅう二に月がつ十じゅう五ご日にち

(花押)

  0747真仏しんぶつの御房おんぼうへ▽

 (831)

◎(41) ¬御消息集¼(8)

 ^護ご念ねん坊ぼうの​たより​に、 教きょう忍にん御坊おんぼうより銭ぜに二に百ひゃく文もん、 *御おんこころざし​の​もの​たまはり​て候そうろふ。 さき​に*念仏ねんぶつの​すすめ​の​もの、 かたがた​の御中おんなかより​とて、 たしかに​たまはり0805て候そうらひ​き。 ひとびと​に​よろこび申もうさ​せたまふ​べく候そうろふ。 この御おん返へん事じにて、 おなじ御おんこころ​に申もうさ​せたまふ​べく候そうろふ。

 ^さては​この御おんたづね候そうろふ​こと​は、 まことに​よき御おん疑うたがいども​にて候そうろふ​べし。

^まづ一念いちねんにて往おう生じょうの業因ごういんは​たれ​りと申もうし候そうろふ​は、 まことに​さる​べき​こと​にて候そうろふ​べし。 されば​とて、 一念いちねんの​ほか​に念仏ねんぶつを申もうす​まじき​こと​には候そうらは​ず。 その​やう​は、 ¬唯ゆい0832信しん鈔しょう¼ に​くはしく候そうろふ。 よくよく御ご覧らん候そうろふ​べし。

^一念いちねんの​ほか​に​あまる​ところ​の念仏ねんぶつは、 十方じっぽうの衆しゅ生じょうに回え向こうす​べし​と候そうろふ​も、 さる​べき​こと​にて候そうろふ​べし。 十方じっぽうの衆しゅ生じょうに回え向こうすれば​とて、 二に念ねん・三念さんねんせん​は往おう生じょうに​あしき​こと​と​おぼしめさ​れ候そうらは​ば、 ひがごと​にて候そうろふ​べし。 ▲念仏ねんぶつ往おう生じょうの本願ほんがんと​こそ仰おおせ​られ​て候そうらへ​ば、 おほく申もうさ​ん​も、 一念いちねん一いっ称しょうも往おう生じょうす​べし​と​こそ​うけたまはり​て候そうらへ。 かならず、 一念いちねんばかり​にて往おう生じょうす​と​いひ​て、 多た念ねんを​せん​は往おう生じょうす​まじき​と申もうす​こと​は、 ゆめゆめ​ある​まじき​こと​なり。 ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼ を​よくよく御ご覧らん候そうろふ​べし。

 ^また△有う念ねん・無む念ねんと申もうす​こと​は、 他た力りきの法文ほうもんには​あら​ぬ​こと​にて候そうろふ。 聖しょう道どう門もんに申もうす​こと​にて候そうろふ​なり。 みな自じ力りき聖しょう道どうの法文ほうもんなり。 阿あ弥陀みだ如来にょらいの選せん択じゃく本願ほんがん念仏ねんぶつは、 有う念ねんの義ぎにも​あらず、 無む念ねんの義ぎにも​あらずと申もうし候そうろふ​なり。 いかなる0806ひと申もうし候そうろふ​とも、 ゆめゆめ​もちゐ​させたまふ​べからず候そうろふ。 聖しょう道どうに申もうす​こと​を、 あしざま​に​きき​なし​て、 浄じょう土ど宗しゅうに申もうす​にて​ぞ候そうろふ​らん。 さらさら​ゆめゆめ​もちゐ​させたまふ​まじく候そうろふ。

^また慶きょう喜きと申もうし候そうろふ​こと​は、 他た力りきの信心しんじんを​え​て、 往おう生じょうを*一いち定じょうし​てんず​と​よろこぶ​こころ​を申もうす​なり。 常陸ひたちの国こく中ちゅうの念仏ねんぶつ者しゃの​なか​に、 有う0833念ねん・無む念ねんの念仏ねんぶつ沙汰ざたの​きこえ候そうろふ​は、 ひがごと​に候そうろふ​と申もうし候そうらひ​にき。

^ただ詮せんずる​ところ​は、 他た力りきの​やう​は、 行ぎょう者じゃの​はからひ​にて​は​あらず候そうらへ​ば、 有う念ねんに​あらず、 無む念ねんに​あらず​と申もうす​こと​を、 あしう​きき​なし​て、 有う念ねん・無む念ねんなんど申もうし候そうらひ​ける​と​おぼえ候そうろふ。 弥陀みだの選せん択じゃく本願ほんがんは、 行ぎょう者じゃの​はからひ​の候そうらは​ねば​こそ、 ひとへに他た力りきと​は申もうす​こと​にて候そうらへ。

^一念いちねんこそ​よけれ、 多た念ねんこそ​よけれ​なんど申もうす​こと​も、 ゆめゆめ​ある​べから​ず候そうろふ。 なほなほ一念いちねんの​ほか​に​あまる​ところ​の御おん念仏ねんぶつを法界ほうかい衆しゅ生じょうに回え向こうす​と候そうろふ​は、 釈しゃ迦か・弥陀みだ如来にょらいの御ご恩おんを報ほうじ​まゐらせ​ん​とて、 十方じっぽう衆しゅ生じょうに回え向こうせ​られ候そうろふ​らん​は、 さる​べく候そうらへ​ども、 二に念ねん・三念さんねん申もうし​て往おう生じょうせん​ひと​を​ひがごと​と​は候そうろふ​べから​ず。 よくよく ¬唯信ゆいしん鈔しょう¼ を御ご覧らん候そうろふ​べし。 念仏ねんぶつ往おう生じょうの御おんちかひ​なれば、 一念いちねん・十じゅう念ねんも往おう生じょうは​ひがごと​に​あらず​と​おぼしめす​べき​なり。

^あなかしこ、 あなかしこ。

0807十じゅう二に月がつ二に十じゅう六日ろくにち

親鸞しんらん

  教きょう忍にんの御坊おんぼう 御おん返へん事じ ▽

 0815

◎(42) ¬末灯鈔¼(22)

 ^¬*宝号ほうごう経きょう¼ に​のたまは​く、 「▼弥陀みだの本願ほんがんは行ぎょうに​あらず、 善ぜんに​あらず、 ただ仏ぶつ名みょうを​たもつ​なり」。 名みょう号ごうは​これ善ぜんなり、 行ぎょうなり。 行ぎょうといふは、 善ぜんを​する​について​いふ​ことば​なり。 本願ほんがんは​もとより仏ぶつの御おん約束やくそくと​こころえ​ぬる​には、 善ぜんに​あらず、 行ぎょうに​あらざる​なり。 かるがゆゑに他た力りきと~は申もうす​なり。

^▲本願ほんがんの名みょう号ごうは能のう生しょうする因いんなり。 能のう生しょうの因いんといふは​すなはち​これ父ちちなり。 大だい悲ひの光こう明みょうは​これ所しょ生しょうの縁えんなり。 所しょ生しょうの縁えんといふは​すなはち​これ母ははなり。

+*康永元歳 壬子 七月十二日、 終書写筆功遂校合労見訖。 凡斯御消息者、 念仏成仏之咽喉、 愚痴愚迷之眼目也。 可秘可秘而已。   執筆釋乗専

願主釈□□

 (844)

◎(43) ¬御消息集¼(13)

 ^*くだら​せたまひ​て​のち、 なにごと​か候そうろふ​らん。 この*源藤げんとう四し郎ろう殿どのに​おもは​ざる​に​あひ​まゐらせ​て候そうろふ。 便びんの​うれしさ​に申もうし候そうろふ。 その​のち​なにごと​か候そうろふ。

 ^念仏ねんぶつの訴うったへ​の​こと、 しづまり​て候そうろふ​よし、 かたがた​より​うけたまはり候そうらへ​ば、 うれしう​こそ候そうらへ。 いま​は​よくよく念仏ねんぶつも​ひろまり候そうらは​んずらん​と、 よろこび​いり​て候そうろふ。

 ^0808これ​につけて​も御おん身みの*料りょうは​いま定さだまら​せたまひ​たり。 念仏ねんぶつを御おんこころ​に​いれ​て​つねに申もうし​て、 念仏ねんぶつそしら​ん​ひとびと、 この世よ・のち​の世よまで​の​こと​を、 いのり​あはせ​たまふ​べく候そうろふ。 御おん身みども​の料りょうは、 御おん念仏ねんぶつは​いま​は​なにか​は​せさせたまふ​べき。 ただ​ひがう​たる世よの0845ひとびと​を​いのり、 弥陀みだの御おんちかひ​に​いれ​と​おぼしめし​あは​ば、 仏ぶつの御ご恩おんを報ほうじ​まゐらせ​たまふ​に​なり候そうろふ​べし。 よくよく御おんこころ​に​いれ​て申もうし​あはせ​たまふ​べく候そうろふ。

^聖しょう人にん (法然) の*二に十じゅう五ご日にちの御おん念仏ねんぶつも、 詮せんずる​ところ​は、 かやう​の邪見じゃけんの​もの​を​たすけ​ん*料りょうに​こそ、 申もうし​あはせ​たまへ​と申もうす​こと​にて候そうらへ​ば、 よくよく念仏ねんぶつそしら​ん​ひと​を​たすか​れ​と​おぼしめし​て、 念仏ねんぶつし​あはせ​たまふ​べく候そうろふ。

 ^また​なにごと​も、 度々たびたび便びんには申もうし候そうらひ​き。 源藤げんとう四し郎ろう殿どのの便びんに​うれしう​て申もうし候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

 ^入にゅう西さい御坊おんぼうの​かた​へ​も申もうし​たう候そうらへ​ども、 おなじ​こと​なれば、 この​やう​を​つたへ​たまふ​べく候そうろふ。

^あなかしこ、 あなかしこ。

親鸞しんらん

  性しょう信しんの御坊おんぼうへ ▽

 (762)

◎真筆消息(12)

ゆづり​わたす​いや女事。 み​の​かわり​を​とら​せ​て​せうあみだ仏が​めしつかう女なり。 しかるを​せうあみだ仏、 ひむがしの女房に​ゆづり​わたす​もの​なり。 さまたげ​を​なす​べき人なし。 ゆめゆめ​わづらい​ある​べから​ず。 のち​の​ため​に​ゆづりふみ​を​たてまつる​なり。 あなかしこ、 あなかしこ。

*寛元元年癸卯十二月廿一日  (花押)

 (880)

◎血脈文集(5)

一ひとつ ▲法然ほふねん聖しやう人にん者は 流る罪ざい土と佐さの国くに 幡多はた  俗ぞく姓しょう藤井ふぢゐの元彦もとひこ 御ご名みょう

▲善信ぜんしん者は 流る罪ざい越後えちごの国くに 国こく府ふ  俗ぞく姓しょう藤井ふぢゐの善信よしざね

坐つみする↢罪科に↡之時の勅宣に称いはく

善信ぜんしん者は 俗ぞく姓しょう藤ふぢ井ゐ  俗ぞく名みょう善信よしざね

▲善ぜん0881恵ゑ者は 无む動どう寺じ大だい僧そう正じょう御ご坊ぼう慈じ鎮ちん和くわ尚しやうの御おんことなりにあづけしめおはしましき

幸西かうさい者は 俗ぞく姓しやう物部ものゝべ常じやう覚かく坊ばう

愚ぐ禿とく者は、 坐つみする↢流る罪ざいに↡之時とき、 望のぞむ↢勅ちょく免めん↡之時とき↡、 改あらためて↢藤ふぢ井ゐの姓しやう↡、 以て↢愚ぐ禿とく之字じを↡、 中ちう納言なふごん範光のりみつ卿きやうをもて勅ちょく免めんをかぶらんと、 経ふるに↢奏聞そうもん↡、 範光のりみつの卿きやうをはじめとして、 諸しよ卿きやうみな愚ぐ禿とくの字じにあらためかきて奏聞そうもんをふること、 めでたくまうしたりとてありき。 そのとき、 ほどなく聖しやう人にんもゆるしましまししに、 御おん弟子でし八人はちにんあひ具ぐしてゆるされたりしなり。 京きやう中ちうにはみなこの様やうは、 しられたるなり。

¬教行証きょうぎょうしょう¼ 六末ろくまつ (化身土巻) にいはく、 「▲愚ぐ禿とく釈しゃくの鸞らん、 建仁けんにん辛しん酉ゆうの暦れき、 雑ぞう行ぎょうを棄すてて本願ほんがんに帰きす。 元げん久きゅう乙きのとの丑うしの歳とし、 恩恕おんじょを蒙かぶりて ¬選せん択じゃく¼ を書しょしき。 本願ほんがん念仏ねんぶつ集しゅうの内題ないだいの字じ、 ならびに 「南无なも阿弥陀あみだ仏ぶつ往おう生じょう之し業ごう念仏ねんぶつ為い↠本ほん」 と、 釈しゃくの綽しゃく空くうの字じと、 空くうの真筆しんぴつをもって、 これを書しょせしむ。 ◆同おなじき日ひ空くうの真しん影えい申もうし預あづかりて、 図画ずがしたてまつる。 同おなじき二に年ねん閏うるう七月しちがつ下げ旬じゅん第だい九く日にち、 真影しんえいの銘めいは、 真筆しんぴつをもつて 「南无なも阿弥陀あみだ仏ぶつ」、 「若にゃく我が成じょう仏ぶつ、 十方じっぽう衆しゅ生しょう、 称しょう我が名みょう号ごう、 下至げし十じっ声しょう、 若にゃく不ふ生しょう者しゃ、 不ふ取しゅ正しょう覚がく。 彼ひ仏ぶつ今こん現在げんざい成じょう仏ぶつ、 当とう知ち本誓ほんぜい重じゅう願がん不虚ふこ、 衆しゅ生じょう称しょう念ねん必得ひっとく往おう生じょう」 の真文しんもんとを書しょせしむ。 ◆また夢ゆめの告つげによりて、 綽しゃく空くうの字じを改あらためて、 同おなじき日ひ御ご筆ひつをもって名なの字じを書しょせしめおはりぬ。 本ほん師し聖しょう人にん、 今年こんねん七しち旬しゅん三さんの御ご歳さいなり」 と。

¬教行証¼ 六末 (化身土巻) 云、 「愚禿釈の鸞、 建仁辛しむ酉いうの暦れき、 棄てゝ↢雑行を↡兮帰す↢本願に↡。 元ぐゑん久きう乙きのとの丑の歳、 蒙て↢恩恕を↡兮書しき↢¬選択を¼↡。 本願念仏集の内題の字、 并に南无阿弥陀仏往生之業念仏為↠本と、 与↢釈の綽空の字↡、 以て↢空の真筆を↡、 令む↠書せ↠之を。 同き日空の真影えい申預あづかて、 奉つる↢図画↡。 同き二年閏七月下旬第九日、 真影の銘めいは、 以て↢真筆を↡令しむ↠書せ↣南无阿弥陀仏、 与とを↢若我成仏、 十方衆生、 称我名号、 下至十声、 若不生者、 不取正覚。 彼仏今現在成仏、 当知本誓重願不虚、 衆生称念必得往生之真文↡。 又依て↢夢の告に↡、 改て↢綽空の字を↡、 同日以↢御筆を↡令め↠書↢名之字を↡畢。 本師聖人、 今年七旬三の御ご歳さい也。」

右みぎ此この真文しんもんをもつて性しょう信しん尋たづね申もうさるるところに早はやくかの本尊ほんぞんを預あずかるところなり。 かの本尊ほんぞんならびに ¬選せん択集じゃくしゅう¼ 真影しんえいの銘文めいもん等とう、 源空げんくう聖しょう人にんより親鸞しんらん聖しょう人にんへ譲ゆづりたてまつる親鸞しんらん聖しょう人にんより性しょう信しんへ譲ゆづりたまふところなり。 かの本尊ほんぞん銘文めいもんなり。

右0882以↢此真文を↡性信所ところに↢尋たづね申まふさるゝ↡早はやく所↠預↢彼の本尊を↡也。 彼本尊并に選択集真影之銘文等、 従↢自源空聖人↡奉たてまつる↠譲ゆづり↢親鸞聖人へ↡従り↢親鸞聖人↡所 ろ↤譲ゆづり↢給↣性信↡也。 彼の本尊銘文。

 南无阿弥陀仏

*建暦第二壬申歳正月廿五日

   黒谷法然上人御入滅 春秋満八十

賢心 御判 ▽

 

ª第一通は、 関東在住の門弟の疑問に答えた法語で、 臨終正念を祈り、 有念無念を沙汰することは、 ともに浄土真宗の法義にかなわないことを示す。 なお、 「有念無念の事」 という標題は後世の付加と考えられる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 「古写消息」(4)の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本、 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
臨終 ここでは臨終の時に初めて浄土往生が決けつ定じょうすることを指す。
儀則 ここでは臨終における聖しょう衆じゅ来迎らいこうの儀式のこと。
定心の行人の正念 定じょう善ぜんを行ずる人にそなわる正念。
散心の行人の正念 散善さんぜんを行ずる人にそなわる正念。
色形 ここでは仏身ぶっしん・浄土の荘しょう厳ごん相そうなど具体的に示された仏徳のことを指す。
聖道といふは… 親鸞聖人独自の解釈。 聖しょう道どう門もんを権ごん化けの聖しょう者じゃの説いた方便誘引の教えと見る意。
釈迦如来の… ¬華け厳ごん経ぎょう¼ 「入にゅう法界ほっかい品ぼん」 (晋訳巻五十八) には 「この童子 (善財ぜんざい童子) は昔頻陀伽羅城において文殊もんじゅ師利しりの教を受け、 善ぜん知ぢ識しきを求めて、 展転して一百一十のもろもろの善知識を経由し…」 とある。
ª第二通は、 鹿島・行方なめかた・南の荘などの常陸ひたち (現在の茨城県) 南部の門弟のために書かれたもので、 明みょう法ほう房ぼうやひらつか・・・・の入道の往生について感慨を述べ、 造悪ぞうあく無む礙げの異義を誡めている。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
のぼられて 京都へ上られて。
くにぐに ここでは京都に対して地方の諸国のことをいう。
ゆゆしき学生 すぐれた学者。
あしざまに まちがって。
信見房 伝未詳。
ひがざまに 誤ったふうに。
御方便 善ぜん巧ぎょう方便のこと。
いかにも… どのようにでも、 自分の心のままにすればよいと。
あるべくも… あってよいことではないと思われます。
きこえ うわさ。 評判。
なれむつぶ 親しく交際する。
ª第三通は、 その内容から、 独立した消息ではなく、 追伸であろうと考えられる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
ª第四通は、 常陸ひたち (現在の茨城県) の門弟に宛てたもの。 その内容は、 明みょう法ほう房ぼうの回え心しんの事実にことよせて、 造悪ぞうあく無礙むげの異義を誡めたものである。 第二通とは内容的に重なるところが多い。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
これに 往生ということに。
めでたき智者 すぐれた智ち慧え者。
それこそ ¬唯信鈔¼ ¬自力他力事¼ の著者である聖覚せいかく法印ほういん・隆りゅう寛かん律りっ師しこそは。
すぐべくも候はず まさることのできるものはありません。
わがおもふさまなること 自分勝手なこと。
不可思議のひがごと とんでもない間違い。 考えられないような誤り。 ここでは明みょう法ほう房ぼうがかつて犯した悪事を指していう。
われ往生すべければとて 自分が往生できるはずだからといって。
順次の往生 現世の命が終って、 次にただちに浄土に生れること。
かたくや候ふべからん 困難なことであるはずでしょう。
いまも… 今も法然ほうねん上人御在世の時と同様で異義を立てることはしておりません。
世かくれなきことなれば 世間に知れわたったことなので。
浄土宗の義… 浄土宗の本義と全く異なる自己流の説を立てておられる人々も。
こころにくくも候はず 知りたいとも思いません。
ª第五通は、 一通の独立した消息ではなく、 もとは他の消息に添えられた追伸であったとみられている。
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
あとを… 明みょう法ほう房ぼうののこした行跡を疎略にするような人々。
ª第六通は、 笠間の門弟の疑問に答えたもので、 法語の形をとっている。 内容は往生を願うものの中に自力他力の別があることを示して、 義なきを義とする本願他力の趣を明らかにし、 信心の行者を讃嘆したもの。 この消息が書かれた建長七年 (1255) は、 慈じ信しん房ぼう善鸞ぜんらん義絶の前年に当っており、 笠間の門弟の疑問の背景にはこの慈信房による異義のあったことが推測される。º
◎註釈版の底本は真宗大谷派蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(1)と同一)。 「古写消息」(5)の底本は高田派専修寺蔵真仏上人書写本、 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本、 ¬血脈文集¼ の底本は富山県専琳寺蔵賢心本転写本。
天竺の論家浄土の祖師 七しち高僧こうそうをいう。
余の仏号 阿弥陀仏以外の仏名。
めでたうしなして 立派にふるまって。
いかでか… どうして阿弥陀如来が迎え取ってくださろうか、 (迎え取ってはくださらないだろう) と思ってはなりません。
ありがたかるべし 困難であるに違いない。
弥勒仏とひとしき人 弥勒は現在の一生を過ぎると仏となる。 他力の念仏者も現世の一生を終えるとただちに仏のさとりを得るから、 このように称される。 →便同べんどう弥み勒ろく
ª第七通は、 下野しもつけ高たか田だ (現在の栃木県芳賀郡) の覚信かくしんに与えたもの。 信の一念と行の一念は不離の関係であると説く。 古来、 この消息は 「信行一念章」 と称されている。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(3)と同一)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本、 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
とききて候ふ 法然ほうねん上人から伝え聞いた法義であるから、 「とききて候ふ」 という。
三百文 一千文で一貫。 おおよそ一貫で米一石 (百升) が買えた。
「建…事」 までの十八字は包紙に別筆で記入。
ª第八通は、 慈じ信しん房ぼうを義絶したことを性しょう信しん房ぼうへ知らせたもので、 第九通の義絶状と同日に書かれている。º
◎註釈版の底本は「富山県専琳寺蔵賢心本転写本(¬血脈文集(2)と同一¼)」。
うかれて 動揺して。
子の義 (親鸞の) 子であるという関係。
不可思議のそらごと 考えられないような虚偽。
つやつや 少しも。 全く。
うたてきことに候ふ なさけないことです。
文たびたること (哀愍房から) 手紙をもらったこと。
唯信鈔 聖覚せいかく法印ほういんの ¬唯信鈔¼ なのか、 あるいは哀愍房の書いたもので、 性信房がそれを親鸞聖人のもとへ送ってきたものなのか不明。
ª第九通は、 慈じ信しん房ぼう義絶状ともいわれる。 義絶事件後四十九年を経た嘉元三年 (1305) に顕けん智ち上人が書写したもので、 古来、 いずれの消息集にも収められず、 また他の書写も伝わっていない。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵顕智上人書写本(「古写消息」(3)と同一)。
京より文を… 京都にいるこの親鸞から手紙をもらったとかなんとか。
これにも この親鸞に対しても。
母の尼 親鸞聖人の内室、 恵え信しん尼に公こう。
みぶの女房 伝未詳。
たうたる文  「賜たびたる」 の音便形。 くださった手紙。
つやつや… 少しも手を加えてはありませんので。
ままはは 恵信尼公を中傷していったものか。
いひまどはされたる 慈信房が言いまどわされたとする説と、 親鸞聖人が言いまどわされたとする説との両説がある。
六波羅 六波羅探題。 鎌倉幕府が京都においた出先機関。
鎌倉 鎌倉幕府のこと。
披露 上申すること。
ª第十通は、 五説・四土・三身・三宝など、 浄土真宗の教えに関する重要な名目を並べ説かれたもの。 法然上人の 「浄土宗大意」 (¬西方指南抄¼ 所収) の解説と考えられる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
菩薩乗 この注釈のもとになっている ¬浄土宗大意¼ には 「仏乗なり」 とある。
八万四千 多数の意。
浄土の学生 浄土教の学者。
ª第十一通は、 性しょう信しん房ぼうに宛てたもので、 信心をえた人は補ふ処しょの弥み勒ろくと同じであり、 如来と等しいと説明している。 なお、 ¬血けち脈みゃく文もん集じゅう¼(6) では 「金剛信心の事」 と標題が付されている。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本、 ¬善性本¼ の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本、 ¬血脈文集¼ の底本は愛知県上宮寺蔵室町末期書写本。
ª第十二通は、 第十一通と同じ日に書かれたもので、 「如来とひとし」 ということに関する真仏しんぶつ上人の質問に答えたものである。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本、 ¬善性本¼ の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本。
ª第十三通は、 慶きょう信しんの質問状に、 親鸞聖人が直接、 加筆訂正を施し、 余白に簡単な返事を書き入れて、 蓮れん位いの添状とともに、 慶信のもとに送り返したものである。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵慶信真筆・親鸞聖人真筆(「真筆消息」(4)と同一)、 蓮位添状は高田派専修寺蔵善性本より。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬善性本¼ の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本。
畏まりて… 以下、 慶信の質問状。 親鸞聖人の加筆・訂正を赤、 また抹消は下にˆ ˇで示した。
真言 ここでは真言しんごん宗しゅうの教えのこと。
人のうへを その人がどんな意味でいっているのかを。
ん 慶信が 「ん」 と書いていたのを、 親鸞聖人が 「む」 と訂正しているが、 註釈版では表記の統一によりあらためて 「ん」 とされている。
日の所作とせず 日課念仏とはしません。
ひがざまにか候ふらん 間違いでしょうか。
追つて… 以下、 慶信の追伸。
南無阿弥陀仏を… 以下、 慶信の追伸に記された疑問に対する親鸞聖人の返事。
この御文… 以下、 連れん位いの添状。 「この御文」 は慶きょう信しんの上書を指す。
御咳病 せきの出る病気のこと。
のぼりて候ひし人々 京都へ上った人々。
五十六億七千万歳 釈尊の入にゅう滅めつから弥み勒ろく菩薩が成仏するまでの年数 (¬菩ぼ薩さつ処しょ胎たい経きょう¼ の説)。
ちくまく 竹膜 (竹の内側についている膜) のことか。 きわめて薄いことの喩え。
信心たがはず… 覚信かくしん坊ぼうは最後まで信心が変ることなくして命終されました。
のぼり候ひしに 覚信坊が関東から京都へ上りましたおりに。
ひといち 地名。 「一日市」 か。 下総しもうさ下河辺吉河よしかわ市いち (毎月一日を市日としていた。 現在の埼玉県吉川市) とみる説がある。
みもとにてこそ… 親鸞聖人のお側で、 死ぬものならば死のうと思って参上しました。
おくれさきだつためし 親しい人に死に遅れたり、 先立って死んだりする例。
引接 浄土へ導き入れること。
御まへにて 親鸞聖人の御前で。
ª第十四通は、 「自然法爾章」 といわれる法語で、 ¬末燈鈔¼ 第五通のほか、 文明版 ¬正像末和讃¼ にも収録され、 また高田派専修せんじゅ寺じには顕けん智ち上人の書写本が現存する。 顕智上人書写本の後跋には 「正嘉二歳戊午十二月日善法ぜんぽう坊ぼう僧そう都ず御坊三条富小路の御坊にて聖人にあひまゐらせての聞き書き、 そのとき顕智これをかくなり」 とある。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 「古写消息」(6)の底本は高田派専修寺蔵顕智上人書写本、 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
とききて候ふ 法然ほうねん上人から伝え聞いた法義であるから、 「とききて候ふ」 という。
料 ここでは 「…するためのもの」 という意。
かくねむばう 覚念房か。
ª第十五通は、 かく・・ねむ・・ばう・・の往生を知らせた高田入道の書状に対する返信。 なおこの消息には親鸞聖人の署名と花か押おうが付されており、 聖人の消息中、 最も丁重な形式をとっている。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(5)と同一)。
ふるとしごろ 先年。
かくねんばう 覚然房か。
一つところ おなじところ、 つまり阿弥陀仏の浄土のこと。
仰せ (入道殿の) お言葉。
高田の入道 高田派の所伝では、 下野しもつけ (現在の栃木県) 真ま壁かべの城主大内おおうち国時くにときが親鸞聖人に帰依きえして出家し、 高田入道と号したといい、 真仏しんぶつ上人の叔父にあたると伝えられる。
ª第十六通は、 文応元年乗じょう信しんに送ったもので、 信心の行者は、 臨終の善悪にかかわらず救われると説く。 現存する親鸞聖人の消息中、 年月日の明記されている最後のものである。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
去年今年 去年 (正元元年・1259年)、 今年 (文応元年・1260年) は全国的な大飢饉と悪疫におそわれ、 死者がはなはだ多かった。
学生沙汰 学者ぶった論議。
さかさかしきひと いかにも賢明なようにふるまう人。
うかれたまひたる人 心が落ち着かない人。
ª第十七通は、 真しん浄じょう房ぼうに宛てたもので、 権力者の力をかりて念仏の布教をはかってはならないと誡め、 弾圧をうけて、 やむを得なければいずれの地へでも移るようにと諭している。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本
念仏のあひだのこと 念仏に関する問題。
ところせき 居づらい。 大へん困っている。
念仏とどめんひと 念仏を禁止する人。
余のひとびと 在地の権力者を指すと考えられる。
これよりは 私の方からは。
この世のならひ この末法まっぽうの世の通例、 きまり。
かねて仏の説きおかせ… ¬法ほう事じ讃さん¼ (下) に 「五濁増の時は多く疑謗し、 道俗あひ嫌ひて聞くことを用ゐず。 修行するものあるを見ては瞋毒を起し、 方便破壊して競ひて怨を生ず」 とあるのを指す。
わづらふべくてぞ… さしつかえるべき事情があって、 そのようなことになっているのでしょう。
それを 慈じ信しん房ぼうがいっていることを。
これより 私 (親鸞聖人) の方より。
めでたき御ふみ 立派な書物。 ここでは ¬唯信鈔¼ 等の書物のことを指す。
ª第十八通は、 常陸の門弟に宛てたものとみられる。 一念多念の論争を誡め、 ¬唯信鈔¼ ¬後世物語¼ ¬自力他力事¼ などの熟読を勧めている。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
われはといふこと 自分の意見こそは正しいということ。
わざとも あらためてでも。
詮なきこと かいのないこと。
そのこととなきこと 無意味なこと。 重要でもないこと。
ª第十九通は、 慶きょう西さいに宛てたもの。 第十七願の意趣を示し、 凡ぼん夫ぶが仏になることは、 ひとえに仏と仏との御はからいによるといい、 「他力の信心は義なきを義とする」 と説き及んでいる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本、 ¬血脈文集¼ の底本は富山県専琳寺蔵賢心本転写本。
料 ため。
ª第二十通は、 浄じょう信しん房ぼうの上書と親鸞聖人の返書からなる。 その返書には、 信心の人は摂取せっしゅ不ふ捨しゃの利り益やくにあずかり正定しょうじょう聚じゅ・等とう正しょう覚がくの位に定まること、 その信心の人は十方恒沙の如来によって讃嘆されるところから仏と等しいこと、 さらに他力とは義なきを義とするものであるということが説き示されている。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(6)と同一。 ただし浄信上書は ¬善性本¼(2)より)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本、 ¬善性本¼ の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本。
往生に… 往生のために必要なことはないと心得て、 この世を過ごしてまいりましたので。
ª第二十一通は、 阿弥陀仏の本願力の回え向こうによって、 この上ないさとりを得しめられると信じて、 念仏すべきであると説いたもの。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬善性本¼ の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本。
ふたごころなき 疑いがないこと。
ª第二十二通は、 わう・・ご・ぜ・ん・にいや・・をんな・・・の近況を知らせた消息である。º
◎註釈版の底本は本派本願寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(7)と同一)。
いやをんな 親鸞聖人に仕えていた使用人とみられる。
わびゐて候ふなり 貧しく暮らしている。
もてあつかひて もてあまして。
ª第二十三通は、 教名きょうみょう (養) の質問に答えたもの。 誓願せいがんと名みょう号ごうとを別執すべきでないと説く。 「誓願名号同一の事」 という標題は後世の付加。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 「古写消息」(1)の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本、 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
しかるべし… もっともなこととも思われません。
なんでふわが… どうして自分のはからいをさしはさめましょうか。
ききわけしりわくる 誓願不思議を信ずるのは他力、 名号不思議を信ずるのは自力と、 聞きわけ知りわけねばならないと教える異義。
往生の業 浄土に往き生れるための因となる行為。
ª第二十四通は、 浄じょう信しんの質問に答えたもの。 仏智不思議と信ずるほかに、 私のはからいがあってはならないと説く。 「仏智不思議と信ずべき事」 という標題は後世の付加とみられる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 「古写消息」(2)の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本、 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
つね 平生。 ふだん。
浄土の業因 浄土往生の因となるべき行ぎょう業ごう。
わたくしの 自分勝手の。
候ふなること 申すことには。
出世のこころ 浄土往生を願う心
ª第二十五通は、 鎌倉での念仏訴訟が落着したことを報じた性しょう信しん房ぼうの書状に対する返書。 聖人は性信房の対処の仕方を称讃している。 なお、 この訴訟に関しては、 第四十三通にも触れられているが、 詳細は明らかでない。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
おろおろ… (性信房のお手紙の前に) 大体のところは聞いております。
この御文 六月一日付の性信房の手紙を指す。
別のことは… 格別のことはまさかあるまいと。
御くだり 訴訟が終って性信房が鎌倉から下総しもうさに帰ったこと。
ことも… とりわけ新しい訴えでもありません。
念仏者の… 念仏者の中のものの道理を心得ていない人が。
性信坊の… 性信坊のとがであるかのように申しなされるのは。
かたうど  「かたびと (方人) 」 の転。 味方。
ふるごと 昔からよくあること。 昔のこと。
念仏をとどめられ 承じょう元げん元年 (1207) の専修せんじゅ念仏停ちょう止じを指す。
曲事 承久の乱 (1221) による三上皇の配流を指すものか。
めでたう候ふべし 結構なことであるに違いありません。
ª第二十六通は、 有ゆう阿あ弥陀みだ仏ぶつの質問に答えたもの。 念仏往生を否定することの誤りをただし、 信心と念仏が不離の関係であると述べる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本。
おほかた 全く。
なにごとにかは… どうして辺地の往生でありましょうか、 (決してそうではありません)。
有阿弥陀仏 親鸞聖人の門弟の一人。 伝未詳。
ª第二十七通は、 第二十八通と同じく九月二日付であり、 内容も似ていることから、 同日に書かれたものとみられる。 諸神軽視、 造悪ぞうあく無礙むげを口実として念仏者を弾圧する在地権力者がいるが、 そうした権力者に対しては憐れみをもって念仏して彼らをたすけよと諭している。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼「広本」の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
すて 「すつ」 は無視するの意。
ゆめゆめなきことなり 決してないことです。
神祇等だにも… 天神地祇などでさえ (念仏者に) 無視されたまわないのです。
おろかに 疎かに。 いいかげんに。
やうあるべきことなり そのいわれがあるはずのことです。
の であって、 (それは…)。
ふるきひと 法然ほうねん上人を指す。
めでたきやうなり 結構なことであります。
念仏を… 念仏を停ちょう止じされるようなことに言動をなされておられるとかいうのは、 ほんとうに腑におちません。
あるべくもなきこと (念仏者はことさらに悪を好み行うものだという) 事実であるはずもない風評。
ª第二十八通は、 慈じ信しん房ぼうに宛てたもの。 信願房が造悪ぞうあく無礙むげの主張をするとは思えないと述べ、 臨終のありさまで往生の得否を論ずることは誤りであると指摘して、 念仏をさまたげる者に対しては彼らをたすけようと思って念仏すべきであると説く。 また追伸の部分では仏法を破滅させるのは仏法者自身であると述べる。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
遠江の尼御前 伝未詳。
こころよりおこる病 邪見をいだいて、 仏教をそしったりすることなどをいう。
本 本来の姿。
ともかくもなり候はめ・いかにもなり候はめ 悪道に堕するようなことにもなるでありましょう。
それは 念仏を非難妨害されることについては。
かのひと 念仏を非難妨害する人。
法信坊 伝未詳。 「交名牒」 にも見えない。
くげどの 伝未詳。
道理をば… 道理まで失ってはおられまいと思われます。
百姓を… 一般の人々を惑わすことはありません。
ª第二十九通は、 性しょう信しん房ぼうに宛てたもの。 大番役で京都へ上ったしむ・・の入道と正しょう念ねん房ぼうに面会したことを喜び記している。º
◎註釈版の底本は「専琳寺蔵賢心書写本」とあるが、 愛知県上宮寺蔵室町末期書写本(¬血脈文集¼の対校本Ⓐ)か。 ¬血脈文集¼ の底本は富山県専琳寺蔵賢心本転写本。
しむの入道 伝未詳。 恵え空くう本ぼん ¬血脈文集¼ には 「しむしの入道」 とある。
正念房 伝未詳。
王番 大番のこと。 宮廷の警護をつとめる役。 幕府の御家人がこの役に当てられた。
御すすめと候ふ あなた (性信房) のお勧めであるということです。
念仏のあひだのこと 念仏に関する問題。 鎌倉での念仏訴訟を指す。
こころやすく 平穏無事なありさま。 ここは念仏訴訟が落着したことを指すものと考えられる。
ª第三十通は、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃについての質問状に対する返書。 信心が定まることは釈迦・弥陀のはからいであると述べ、 弥陀に摂取されるから信心が定まり、 正定しょうじょう聚じゅの位に入らしめられると説いて、 行者のはからいを誡めている。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(8)と同一)。 ¬末灯鈔¼(本)の底本は滋賀県慈敬寺蔵康永三年乗専書写本、 ¬善性本¼ の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本。
しのぶの御房 真蹟本の原型は 「しんぶつの御房」 であったが、 後人が 「しのぶの御房」 と改竄したものとみられる。 ¬末灯鈔¼ 所収本では 「真仏御房」 となっている。
ª第三十一通は、 十二光についての解説を唯信ゆいしんに送り与えた際の添状と考えられている。 その解説とは、 ¬弥陀如来名号徳¼ を指すと推測されている。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
本 根本。
ª第三十二通は、 浄じょう信しんの問いに答えたもの。 真実信心を得た人は、 如来と等しいことを示し、 そのことを自力の信心であると批判することの非を指摘している。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(9)と同一)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
めでたう候ふ 結構でございます。
その定に それと同様に。
承信房 伝未詳。
ª第三十三通は、 慈じ信しん房ぼうに宛てたもの。 文面には、 関東の門弟の動揺を伝え聞いて深く悲嘆している様子がうかがわれる。 この時点では、 親鸞聖人はまだ、 慈信房の異義について十分承知していない。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
五貫文 おおよそ一貫文で米一石 (百升) が買えた。
このひとびとのことうけたまはり候ふ 慈じ信しん房ぼうは真仏・性信・入信などの信心が変ったと親鸞聖人に報告していたらしい。
ひとのうへも 他人のことについても。
ª第三十四通は、 専信せんしんの上書に対する返事。 現生正しょう定じょう聚じゅの義を示して、 義なきを義とする他力のおもむきを明かしている。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代書写本(¬善性本¼(7)と同一)。
せんなく候ふべきか 意味がないことになりましょうか、 そんなはずはありません。
ª第三十五通は、 第三十六通と一連のもの。 いま・・ごぜ・・んの・・はは・・に対し、 第三十六通を常陸の人々に見せるようにと申し送っている。º
◎註釈版の底本は本派本願寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(10)と同一)。
御返事 端裏書であり、 上部に切封がある。
いまごぜんのはは 不明。 親鸞聖人の妻、 末娘の覚信かくしん尼に公こう、 親鸞聖人の息男の妻の母など、 諸説があって定まらない。
ª第三十六通は、 常陸ひたち (現在の茨城県) の人々にいま・・ごぜ・・んの・・はは・・とそく・・しやう・・・ばう・・の扶持を依頼されたもの。 筆蹟の乱れが著しく、 最晩年に書かれた遺言状であろうともいわれる。º
◎註釈版の底本は本派本願寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(11)と同一)。
せんしに  「善 (信) 死に」 「詮、 死に」 あるいは 「ぜんしん (善信)」 の 「ん」 を脱したもの等の諸説がある。
そくしやうばう 伝未詳。
すぐべきやうもなき… 暮らしを立てて世をすごしてゆく方法も知らない者ですので。
ª第三十七通は、 宛名は不明であるが、 その内容は念仏者の放逸無慚なふるまいを誡めたものである。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼ の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
まことのそこ 真髄。
あひむつるること 相親しむこと。
ひがうたる 「ひがみたる」 の音便形。 曲がった。
悪くるしからず 悪いことをしてもかまわない。
さはらぬ… 浄土往生のさまたげにはならないからといって。
その辺の人々の… 鹿島・行方なめかたの人々の、 間違ったことを説得してやめさせ。
この辺より… この親鸞の門下より出できたしるしである。 あるいは京都より出てきたとみる説もある。
ª第三十八通は、 本願寺藏本 ¬御消息集¼ (広本) には 「真仏しんぶつ上人御返事」 とある。 他力の中に自力ということはあるが、 他力の中にさらに奥深い他力ということはないと示す。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本、 ¬御消息集¼の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
ª第三十九通は、 随信ずいしんの問いに答えたもの。 信心をたまわった時、 正定しょうじょう聚じゅに住するので、 信心の人は弥み勒ろくと同じ位であり、 諸仏と等しいと説いて、 来迎らいこう・臨終をまたない旨を示している。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本。
ª第四十通は、 ゑん・・仏ばう・・が主人に無断で京都の親鸞聖人のもとを訪れたので、 その帰東に際して、 とりなしを真仏しんぶつ上人に依頼したもの。º
◎註釈版の底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆(「真筆消息」(2)と同一)。
ゑん仏ばう 伝未詳。 ¬交名きょうみょう牒ちょう¼ の真仏上人門下の信願しんがんの下に出る円仏房のことか。
せうまう 焼亡 (火事) であろう。
ª第四十一通は、 教忍の質問に答えたもの。 一念多念、 有念無念の争いをしてはならないと誡め、 ¬唯信鈔¼ の熟読を勧めている。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
御こころざしのもの・念仏のすすめのもの 「こころざしのもの」 は門徒個人の懇こん志し、 「念仏のすすめのもの」 は毎月の 「二十五日の御念仏」 に集まった同行たちが醵出した懇志を意味するようである。
一定してんず 必ずするであろう。
ª第四十二通は、 ¬宝号経¼ によって本願の念仏が非行非善の他力の行であることや、 光こう明みょう名みょう号ごうの因縁いんねんについて述べた法語である。º
◎註釈版の底本は真宗法要所収本(¬末灯鈔¼の対校本Ⓒ)。 ¬末灯鈔¼(末)の底本は大阪府願得寺蔵康永元年乗専書写本。
宝号経 現存の ¬大蔵経¼ には存しない。 ¬弥陀みだ経きょう義ぎ集しゅう¼ に 「又宝号王経、 非行非善、 但持仏名故、 生不退位」 とある。
ª第四十三通は、 性しょう信しん房ぼうに宛てたもの。 念仏訴訟の解決を喜び、 念仏をそしる人々のために念仏することを勧め、 合せてこのことを入西にも伝えるようにと記している。º
◎「註釈版」の底本は真宗法要所収本(¬御消息集¼の対校本Ⓒ)。 ¬御消息集¼「広本」の底本は本派本願寺蔵室町末期書写本。
くだらせたまひてのち 鎌倉から (郷里の下総しもうさに) お帰りになって後。
源藤四郎殿 伝未詳。
料 考え。 思いめぐらし。
料 ため。
◎底本は本派本願寺蔵親鸞聖人真筆。
◎底本は富山県専琳寺蔵賢心本転写本。
こ/しか 「真蹟消息(1)」(上書訂正)。
は 「註釈版」、 「古写消息(5)」、 ¬血脈文集(1)¼。 「真筆消息」(1)にもとづき修正。
は 「真蹟消息(4)」 になし。 ¬末灯鈔(14)¼ による (¬善性本(1)¼ にもなし)。
なり 「真蹟消息(4)」になし。 ¬末灯鈔(15)¼ による (¬善性本(1)¼ にもなし)。
の 「真蹟消息(3)」になし。 ¬末灯鈔(15)¼ による。
の 「真蹟消息(6)」になし。 「古謝消息(4)」、 ¬末灯鈔(7)¼、 ¬善性本(2)¼ による。
も←ぼ ¬末灯鈔(7)¼による。 (¬善性本(2)¼ も「ぼ」)。
は 「真蹟消息(6)」になし。 ¬末灯鈔(7)ª真宗法要所収本º¼ による (¬善性本(2)¼ にもなし)。
親鸞(花押) 別筆。
が/の 「註釈版」。 「真筆消息」(7)にもとづき修正。
め/な 「註釈版」。 「真跡本はªめºとも読める」 と脚注があり、 また逆に真跡本にも 「ªなºと読む説あり」 と対校註があるが、 「真筆消息」(7)にもとづき修正。
て 「註釈版」。 「真筆消息」(8)にもとづき削除。 ¬末灯鈔(13)¼、 ¬善性本(4)¼にもなし。
(花押) 「註釈版」、 ¬末灯鈔(13)¼、 ¬善性本(4)¼。 「真筆消息(8)」にもとづき修正。
「真筆消息(12)」。
(表題) 「古写消息(1)」、 ¬末灯鈔(9)ª乗専書写本º¼。
候 「古写消息(1)」。
ただ 「古写消息(1)」。
名/やう 「古写消息(1)」。
へ 「古写消息(1)」。
信心 「古写消息(2)」、 ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼。
に 「古写消息(2)」、 ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼
は 「古写消息(2)」
候 「古写消息(2)」。
御判/(花押) 「古写消息(2)」、 ¬末灯鈔(10)¼ になし。
端書にいはく 「古写消息(2)」、 ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼。
の事 「古写消息(4)」。
愚ぐ禿とく親鸞しんらん曰いわ、く (行末)「古写消息(4)」。
来 「古写消息(4)」には 「ライハキタルトイフ ジャウドヘコレニヤクフシヤウジヤノチカヒヲアラハスミノリナリ ヱドヲステヽシンジチノホウドニキタラシメントナリ 又カヘルトイフハグワンカイニイリヌルニヨリテカナラズダイネチハンニイタルヲホフシヤウノミヤコヘカヘルトマフスナリ」 と左傍註記あり。
迎 「古写消息(4)」には 「カウハマツトイフムカフトイフ タリキヲアラハスコヽロナリ」 と右傍注記あり。
信心のさだまるとき 「古写消息(4)」。
を 「古写消息(4)」。
を 「古写消息(4)」。
に 「古写消息(4)」。
また/は 「古写消息(4)」。
を 「古写消息(4)」。
に 「古写消息(4)」。
辺地・胎生/胎生・辺地 「古写消息(4)」。
を 「古写消息(4)」。
といふ 「古写消息(4)」。
をたのむ 「古写消息(4)」。
は 「古写消息(4)」。
も 「古写消息(4)」。
の 「古写消息(4)」。
また 「古写消息(4)」。
の 「古写消息(4)」。
南無阿弥陀仏 「古写消息(4)」。
笠間の念仏者の/念仏する人々のなかより 「古写消息(5)」。
れたる/るゝ 「古写消息(5)」、 ¬血脈文集(1)¼。
真 「古写消息(5)」。
こと/ところ 「古写消息(5)」。
はん/ふ 「古写消息(5)」。
ぞ/こそ 「古写消息(5)」。
の 「古写消息(5)」。
の 「古写消息(5)」。
わが 「古写消息(5)」。
は/を 「古写消息(5)」。
に 「古写消息(5)」。
「古写消息(5)」。
自然法爾の事。 「古写消息(6)」、 ¬末灯鈔(5)ª乗専書写本º¼。
しからしむといふことばなり。 「古写消息(6)」。
なり。 しからしむといふは 「古写消息(6)」。
法爾といふ 「古写消息(6)」。
なり 「古写消息(6)」。
およそ/すべて 「古写消息(6)」。
他力には 「古写消息(6)」。
る 「古写消息(6)」。
仏 「古写消息(6)」。
「古写消息(6)」。
も/の 「古写消息(6)」、 ¬末灯鈔(5)ª乗専書写本º¼。
と申す 「古写消息(6)」。
るべし/り 「古写消息(6)」、 ¬末灯鈔(5)ª乗専書写本º¼。。
「古写消息(6)」
有念無念の事。 ¬末灯鈔(1)ª乗専書写本º¼。
ば ¬末灯鈔(1)ª乗専書写本º¼。
則/式 ¬末灯鈔(1)ª乗専書写本º¼。
に 「真筆消息(6)」 になし。 ¬末灯鈔(7)¼、 ¬善性本(2)¼ による。
の←れ 「真宗法要所収本」(および「蓮如上人書写本」)。
の ¬末灯鈔(2)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(2)ª真宗法要所収本º¼、 ¬血脈文集(1)¼。
生る/生ず ¬末灯鈔(2)ª乗専書写本º¼。
信/身 ¬末灯鈔(2)ª乗専書写本º¼、 信/み ¬末灯鈔(2)ª真宗法要所収本º¼。
かならず ¬末灯鈔(2)ª乗専書写本º¼。
¬末灯鈔(2)ª乗専書写本º¼。
は ¬末灯鈔(3)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(5)¼、 ¬血脈文集(6)¼。
そ/こ ¬末灯鈔(3)ª乗専書写本º¼。
は/を ¬末灯鈔(4)ª乗専書写本º¼。
て/に ¬末灯鈔(5)ª乗専書写本º¼。
は ¬末灯鈔(5)ª乗専書写本º¼。
に ¬末灯鈔(6)ª乗専書写本º¼。
させ ¬末灯鈔(6)ª乗専書写本º¼。
¬末灯鈔(6)ª乗専書写本º¼。
(浄信書状全) ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
とき ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(2)¼。
まふし ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
は/に ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
は ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(2)¼。
諸事恐々謹言 ¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼。
¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(2)¼ª位置は次の(21)末º。
¬末灯鈔(7)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(2)¼ª位置は次の(21)末º。
止/正 ¬末灯鈔(8)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(8)ª乗専書写本º¼。
不思 ¬末灯鈔(8)ª乗専書写本º¼。
など ¬末灯鈔(8)ª乗専書写本º¼。
三/二 ¬末灯鈔(8)ª乗専書写本º¼。
候 「古写消息(1)」、 ¬末灯鈔(9)ª乗専書写本º¼。
られ ¬末灯鈔(9)ª乗専書写本º¼。
端書にいはく 「古写消息(1)」、 ¬末灯鈔(9)ª乗専書写本º¼。
すと 「古写消息(1)」、 ¬末灯鈔(9)ª乗専書写本º¼。
仏智不思議と信ずべき事 「古写消息(2)」、 ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼。
びと ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼。
ば ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼。
へ ¬末灯鈔(10)ª乗専書写本º¼。
たしかに ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼。
せば、/すなり。 ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(15)¼。
を ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(15)¼。
かならず ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼。
八/六 ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼。
(花押)/親鸞 ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(15)¼。
(以下全) ¬末灯鈔(11)ª乗専書写本º¼。
仏/如来 ¬末灯鈔(13)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(13)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(4)¼。
す/せた ¬末灯鈔(13)ª乗専書写本º¼。
しのぶの/真仏 ¬末灯鈔(13)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(13)ª乗専書写本º¼。
(奥書) ¬末灯鈔(13)ª乗専書写本º¼。
に ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(1)¼。
は ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
までの/にて ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
ず ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
にさふらふ ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
ぼえ/ほせ ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
せず/す ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
か/や ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼。
(花押)/在判 ¬末灯鈔(14)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(1)¼ になし。
らせ/り ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
て ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
かならず ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
弥勒をば ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
承/乗 ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼、 /浄 ¬御消息集(15)¼。
て ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
承/乗 ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
こえ/き ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
よく ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
ふら/は ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(15)¼。
承/乗 ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
に ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(15)¼。
し/くさふらふ ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
一/七 ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(15)¼。
浄信御坊御返事 ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
仏と/如来を ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
さん/す ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
御 ¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼、 ¬善性本(1)¼。
¬末灯鈔(15)ª乗専書写本º¼。
証/乗 ¬末灯鈔(16)ª乗専書写本º¼。
も ¬末灯鈔(17)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(5)¼。
散心念仏 ¬末灯鈔(17)ª乗専書写本º¼。
を/と ¬末灯鈔(17)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(16)¼。
が/にか ¬末灯鈔(17)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(16)¼。
も/は ¬御消息集(16)¼、 ¬末灯鈔(17)ª乗専書写本º¼ になし。
ば ¬末灯鈔(18)ª乗専書写本º¼。
に/と ¬末灯鈔(18)ª乗専書写本º¼。
ん ¬末灯鈔(19)ª乗専書写本º¼。
の ¬末灯鈔(19)ª乗専書写本º¼。
ん ¬末灯鈔(19)ª乗専書写本º¼。
世/余 ¬末灯鈔(19)ª乗専書写本º¼。
を ¬末灯鈔(19)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(2)¼。
証/乗 ¬末灯鈔(19)ª乗専書写本º¼、 「室町中期書写本」。
前文に続け一通として別出せず 「真宗法要所収本」(および「室町中期書写本」)。
ふし ¬末灯鈔(20)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(1)¼。
ぞ←こそ 「真宗法要所収本」。
もとこそ、 こころのままにてあしきことをもおもひ、 あしきことをもふるまひなんどせしかども、 いまはさやうのこころをすてん←もともこゝろのまゝにて悪事をもふるまひなんどせじ 「真宗法要所収本」(ほか ¬末灯鈔¼ 系の諸本すべて)。 「御消息集」による。
がひ/しみ ¬末灯鈔(20)ª乗専書写本º¼、 ¬御消息集(1)¼。
の ¬末灯鈔(21)ª乗専書写本º¼。
は ¬末灯鈔(22)ª乗専書写本º¼。
(奥書) ¬末灯鈔(22)ª乗専書写本º¼。
て ¬御消息集(1)¼。
のこと/と ¬御消息集(1)¼。
まことに ¬御消息集(1)¼。
いよいよ ¬御消息集(1)¼。
のみ ¬御消息集(1)¼。
あひ ¬御消息集(1)¼。
文/門 ¬御消息集(1)¼。
め/な ¬御消息集(1)¼。
なり ¬御消息集(1)¼。
を/と ¬御消息集(1)¼。
の ¬御消息集(1)¼。
御こゝろえは ¬御消息集(1)¼。
御 ¬御消息集(1)¼。
無明の ¬御消息集(1)¼。
三 ¬御消息集(1)¼。
おぼえ ¬御消息集(1)¼。
とて ¬御消息集(1)¼。
も ¬御消息集(1)¼。
て ¬御消息集(1)¼。
て ¬御消息集(1)¼。
もの ¬御消息集(1)¼。
御名/ちかひ ¬御消息集(1)¼。
を/も ¬御消息集(1)¼。
後世/この世 ¬御消息集(1)¼。
ば ¬御消息集(1)¼。
なんぞ/いかゞ ¬御消息集(1)¼。
足 ¬御消息集(1)¼。
て ¬御消息集(1)¼。
が/でか ¬御消息集(1)¼。
の/も ¬御消息集(1)¼。
き/こえ ¬御消息集(1)¼。
こそ ¬御消息集(1)¼。
へ/ふ ¬御消息集(1)¼。
人 ¬御消息集(1)¼。
べからず/ことなかれ ¬御消息集(1)¼。
説かれ/をしへをかれ ¬御消息集(1)¼。
善をせぬひとにもちかづき ¬御消息集(1)¼。
て ¬御消息集(1)¼。
かの ¬御消息集(1)¼。
より ¬御消息集(1)¼。
る ¬御消息集(1)¼。
に ¬御消息集(1)¼。
こそ/ぞ ¬御消息集(1)¼。
に ¬御消息集(1)¼。
二月二十四日/ 壬子 八月十九日 ¬御消息集(1)¼。
¬御消息集(1)¼。
の ¬御消息集(2)¼。
また ¬御消息集(2)¼。
びと ¬御消息集(2)¼。
御 ¬御消息集(2)¼。
みなおなじく/おなじくみな ¬御消息集(2)¼。
の ¬御消息集(2)¼。
に/の ¬御消息集(2)¼。
ともかくも/とかく ¬御消息集(3)¼。
は ¬御消息集(3)¼。
へ/ふなり ¬御消息集(3)¼。
たまふ/んこと ¬御消息集(3)¼。
をのをの ¬御消息集(3)¼。
¬後世物語¼・ ¬御消息集(3)¼。
ども ¬御消息集(3)¼。
も ¬御消息集(3)¼。
また ¬御消息集(3)¼。
すに/し ¬御消息集(3)¼。
ひ/はせ ¬御消息集(3)¼。
ぞ/こそ ¬御消息集(3)¼。
ん/め ¬御消息集(3)¼。
ん ¬御消息集(3)¼。
おもひ、 いふまじきことをも ¬御消息集(3)¼。
ん ¬御消息集(3)¼。
ん ¬御消息集(3)¼。
んは/ば ¬御消息集(3)¼。
も ¬御消息集(3)¼。
こ ¬御消息集(3)¼。
させ ¬御消息集(3)¼。
あひ/ゐ ¬御消息集(3)¼。
ほど ¬御消息集(3)¼。
は ¬御消息集(3)¼。
て ¬御消息集(3)¼。
たゞ ¬御消息集(3)¼。
ん ¬御消息集(3)¼。
か ¬御消息集(3)¼。
まして 「真宗法要所収本」(ほか ¬末灯鈔¼ 系の諸本すべて)になし。 「御消息集」による。
を ¬御消息集(4)¼。
その ¬御消息集(4)¼。
も ¬御消息集(4)¼。
ら ¬御消息集(4)¼。
ことを ¬御消息集(4)¼。
に/身にて ¬御消息集(4)¼。
¬御消息集(4)¼。
ごと ¬御消息集(5)¼。
も/は ¬御消息集(5)¼。
人/もの ¬御消息集(5)¼。
を ¬御消息集(5)¼。
を ¬御消息集(5)¼。
も ¬御消息集(5)¼。
たゞしたからんことをばせよ、 ¬御消息集(5)¼。
は、 ¬御消息集(5)¼。
にと/んど ¬御消息集(5)¼。
ひつ/へ ¬御消息集(5)¼。
も ¬御消息集(5)¼。
さま ¬御消息集(5)¼。
も ¬御消息集(5)¼。
へ。/ふに、 ¬御消息集(5)¼。
ば/んは ¬御消息集(5)¼。
む/まん ¬御消息集(5)¼。
つつしんで/うやまひて ¬御消息集(5)¼。
は ¬御消息集(5)¼。
は ¬御消息集(5)¼。
の文 ¬御消息集(5)¼。
て ¬御消息集(5)¼。
¬御消息集(5)¼。
も ¬御消息集(6)ª室町末期書写本º¼。
も ¬御消息集(7)ª室町末期書写本º¼ になし。 「恵空書写本(略本)」による。
はず ¬御消息集(7)ª室町末期書写本º¼ では 「ふなり」。 「恵空書写本(略本)」による。
する/、 ¬御消息集(9)ª室町末期書写本º¼。
に ¬御消息集(9)ª室町末期書写本º¼。
びと ¬御消息集(11)ª室町末期書写本º¼。
とせん ¬御消息集(12)ª室町末期書写本º¼。
(以下全) ¬御消息集(14)ª室町末期書写本º¼。
をば/は ¬御消息集(15)¼。
ふら/は ¬御消息集(15)¼。
他力の信心のゆゑに、 浄信房のよろこばせたまひ候ふらんは、 ¬御消息集(15)¼。
浄/慶 ¬御消息集(15)¼。
返事/報 ¬御消息集(15)¼。
(一行) ¬御消息集(16)¼。
親鸞 ¬御消息集(16)¼。
¬御消息集(16)¼。
親鸞 ¬御消息集(17)ª室町末期書写本º¼。
と ¬御消息集(18)ª室町末期書写本º¼、 ¬血脈文集(3)¼。
九/廿五 ¬御消息集(18)ª室町末期書写本º¼、 ¬血脈文集(3)¼。
上 ¬善性本(1)¼。
華厳経を引きて ¬善性本(1)¼。
。 滅度をさとらしむと候 ¬善性本(1)¼。
の ¬善性本(1)¼。
れ ¬善性本(1)¼。
まり/め ¬善性本(1)¼。
を ¬善性本(1)¼。
に ¬善性本(1)¼。
るに/れば ¬善性本(1)¼。
く ¬善性本(1)¼。
あげ ¬善性本(1)¼。
十月十日 ¬善性本(1)¼。
¬善性本(1)¼。
ひ候 ¬善性本(1)¼。
なり ¬善性本(1)¼。
¬善性本(2)¼。
申すなり。 さればこそ、 ¬善性本(2)¼。
と ¬善性本(2)¼。
また無上覚をさとるとも、 ¬善性本(2)¼。
法身とまふす仏となるなり。 ¬善性本(2)¼。
は ¬善性本(2)¼。
の ¬善性本(2)¼。
し/く候 ¬善性本(2)¼。
に ¬善性本(4)¼。
て ¬善性本(4)¼。
て ¬善性本(4)¼。
いまの ¬善性本(5)¼、 ¬血脈文集(6)¼。
は ¬善性本(5)¼。
もの ¬善性本(5)¼。
ば ¬善性本(5)¼。
あるべき/あかつき ¬善性本(5)¼、 ¬血脈文集(6)¼。
つねに ¬善性本(5)¼。
く ¬善性本(5)¼、 ¬血脈文集(6)¼。
¬善性本(6)¼。
のたまはく ¬善性本(6)¼。
を ¬善性本(6)¼。
もろもろの ¬善性本(6)¼。
の ¬善性本(6)¼。
必/決 ¬血脈文集(1)¼。
いふ ¬血脈文集(1)¼。
足 ¬血脈文集(1)¼。
の ¬血脈文集(1)¼。
れ ¬血脈文集(1)¼。
し。/く、 ¬血脈文集(1)¼。
¬血脈文集(1)¼。
こころうくあさましくおぼえ候ふ。 としごろ 「◎賢心本転写本」になし。 「Ⓐ室町中期書写本」、 「Ⓑ恵空写傳本」によって補われている。
て ¬血脈文集(3)¼。
をば/は ¬血脈文集(3)¼。
候ふ ¬血脈文集(3)¼。
を ¬血脈文集(3)¼。
御 ¬血脈文集(3)¼。
¬血脈文集(6)¼。
愚禿親鸞。 ¬血脈文集(6)¼。
は、 ひとつこころ、 ひとつ位なり。 等正覚 ¬血脈文集(6)¼。
と ¬血脈文集(6)¼。
と/に ¬血脈文集(6)¼。
ひとしと ¬善性本(5)¼、 ¬血脈文集(6)¼。
実/宗 ¬血脈文集(6)¼。
り/る ¬血脈文集(6)¼。
(日付・署名・宛名) ¬血脈文集(6)¼。
¬血脈文集(6)¼ª室町末期書写本º。