往生要集 巻中 *尽第六別時念仏門
尽第六別時念仏門 本書の巻中が大文第六の別時念仏までであるという意。
天台*首楞厳院沙門源信撰
◎正修念仏 4 観察門
【42】第四に観察門とは、 初心の観行は深奥に堪へず。 ¬*十住毘婆沙¼ (意) にいふがごとし。 「*新発意の菩薩は先づ仏の色相を念ず」 と。 また*諸経のなかに、 初心の人のためには、 多く相好の功徳を説けり。 このゆゑにいままさに色相の観を修すべし。
諸経 以下の第四観察門に引用される経典を指す。
第四観察門者、初心観行不↠堪↢深奥↡。如↢¬十住婆娑¼云↡、「新発意菩薩先念↢仏色相↡。」又諸経中、為↢初心人↡多説↢相好功徳↡。是故今当↠修↢色相観↡。
これを分ちて三となす。 一には*別相観、 二には*総相観、 三には*雑略観なり。 *意楽に随ひてこれを用ゐるべし。
別相観 仏の華座および仏身の相好の一々を観想すること。
総相観 仏身の全体を観想すること。
雑略観 種々の相好を略して、 白毫相 (眉間にある白色の旋毛) のみを観想すること。
意楽 望み。
此分為↠三。一別相観、二総相観、三雑略観。随↢意楽↡応↠用↠之。
◎正宗念仏 ○観察門 1 別相観
【43】初めに別相観とは、 また二あり。
初別相観者亦有↠二。
・華座
先づ*華座を観ず。
華座 阿弥陀仏が座る蓮華の台座。
先観↢華座↡。
¬観経¼ にのたまはく、 「▲かの仏を観ぜんと欲はば、 まさに想念を起すべし。 七宝の地の上において蓮華の想をなし、 その蓮華の一々の葉をして百宝色〔ありとの想〕をなさしめよ。 〔その葉に〕八万四千の脈ありて、 なほ天の画のごとし。 脈に八万四千の光あり。 *了々分明にして、 みな見ることを得しめよ。 華葉の小さきものは、 縦広二百五十由旬なり。 かくのごとき華に八万四千の葉あり。 一々の葉のあひだに百億の*摩尼珠王ありて、 もつて映飾となせり。 一々の摩尼珠は、 千の光明を放つ。 その光〔天〕蓋のごとくして、 七宝合成して、 あまねく地の上に布けり。 *釈迦毘楞伽宝、 もつてその台となせり。 この蓮華台は、 八万の金剛・*甄叔迦宝・*梵摩尼宝・妙真珠網、 もつて交飾となせり。 その台上において、 自然にして*四柱の宝幢あり。 一々の宝幢は、 百千万億の須弥山のごとし。 幢の上の*宝縵は、 *夜摩天宮のごとし。 五百億の微妙の宝珠ありて、 もつて映飾となせり。 一一の宝珠に八万四千の光あり。 一々の光、 八万四千の異種の金色をなす。 一々の金光、 その宝土にあまねくして、 処々に変化して、 おのおの異相をなす。 あるいは金剛台となり、 あるいは真珠網となり、 あるいは*雑華雲となる。 十方の面において、 意に随ひて変現して仏事を施作す。 これを華座の想となす。
了々分明にして あきらかに。 はっきりと。
摩尼珠王 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 禍を去る徳をもつともいう。
甄叔迦宝 甄叔迦は梵語キンシュカ (kiſśuka) の音写。 甄叔迦という木に咲く赤い花の色に似た宝石。
梵摩尼宝 梵は清浄の意。 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写で、 きよらかな摩尼宝珠 (如意宝珠) のこと。
四柱の宝幢 蓮華台の四方にある宝でできた柱。
雑華雲 種々の色をした花で飾られた雲。
¬観経¼云。「欲↠観↢彼仏↡者、当↠起↢想念↡。於↢七宝地上↡、作↢蓮華想↡、令↣其蓮華一一葉作↢百宝色↡。有↢八万四千脈↡、猶如↢天画↡。脈有↢八万四千光↡、了了分明皆令↠得↠見。華葉小者、縦広二百五十由旬。如↠是華有↢八万四千葉↡、一一葉間有↢百億摩尼珠王↡、以為↢暎飾↡。一一摩尼珠、放↢千光明↡。其光如↠蓋、七宝合成、遍布↢地上↡。釈迦楞伽宝以為↢其台↡。此蓮華台八万金剛・甄叔迦宝・梵摩尼宝・妙真珠網以為↢交飾↡。於↢其台上↡、自然而有↢四柱宝幢↡。一一宝幢如↢百千万億須弥山↡。幢上宝縵、如↢夜摩天宮↡、有↢五百億微妙宝珠↡、以為↢暎飾↡。一一宝珠有↢八万四千光↡。一一光、作↢八万四千異種金色↡。一一金光、遍↢其宝土↡、処処変化各各作↢異相↡。或為↢金剛台↡、或作↢真珠網↡、或作↢雑華雲↡。於↢十方面↡、随↠意変現施↢作仏事↡。是為↢華座想↡。
かくのごとき妙華は、 これ本法蔵比丘の願力の所成なり。 もしかの仏を念ぜんと欲ふものは、 まさに先づこの華座の想をなすべし。 この想をなす時には*雑観することを得ざれ。 みな一々にこれを観ずべし。 一々の葉、 一々の珠、 一々の光、 一々の台、 一々の幢、 みな分明ならしめて、 鏡のなかにみづから面像を見るがごとくせよ。
雑観 順序次第を乱して観想すること。
如↠此妙華、是本、法蔵比丘願力所成。若欲↠念↢彼仏↡者、当↣先作↢此華座想↡。作↢此想↡時、不↠得↢雑観↡。皆応↢一一観↟之。一一葉、一一珠、一一光、一一台、一一幢、皆令↢分明↡、如↧於↢鏡中↡自見↦面像↥。
この観をなすを、 名づけて正観となす。 もし他観するを、 名づけて邪観となす」 と。 以上、 この座の相を観ずるものは、 五万劫の生死の罪を滅除して、 必定してまさに極楽世界に生るべし。
作↢此観↡者名為↢正観↡。若他観者名為↢邪観↡。」已上観↢此座相↡者滅↢除五万劫生死之罪↡必定当↠生↢極楽世界↡
・相好
次にまさしく*相好を観ず。 いはく、 阿弥陀仏は*華台の上に坐して、 相好*炳然として、 その身を荘厳したまへり。
炳然 明らかなさま。
次正観↢相好↡。謂阿弥陀仏坐↢華台上↡、相好炳然、荘厳其身↡。
・相好 1. 頂上肉髻
一には、 頂の上の*肉髻はよく見るものなし。 高顕周円なること、 なほ*天蓋のごとし。 あるいは広く観ずることを楽ふものは、 次に観ずべし。 かの頂の上に大光明あり。 千の色を具足せり。 一々の色は、 八万四千の支となり、 一々の支のなかに八万四千の化仏まします。 化仏の頂の上より、 またこの光を放ちたまふ。 この光あひ次いで、 すなはち上方の無量の世界に至る。 上方界においても、 化の菩薩ありて、 雲のごとくして下りて諸仏を*囲繞したてまつれり。 ¬*大集経¼ にのたまはく、 「父母・師僧・和上を*恭敬して、 肉髻の相を得たり」 と云々。 もしこの相において随喜を生ずるものは、 千億劫の極重の悪業を除却して、 三途に堕せず。
天蓋 仏を荘厳するために頭上をおおうかさ。
圍繞 とりかこむこと。
一頂上肉髻、無↢能見者↡。高顕周円猶如↢天蓋↡。或楽↢広観↡者、次応↠観。彼頂上有↢大光明↡具↢足千色↡。一一色作↢八万四千支↡、一一支中有↢八万四千化仏↡。化仏頂上亦放↢此光↡。此光、相次乃至↢上方無量世界↡。於↢上方界↡有↢化菩薩↡、如↠雲而下囲↢遶諸仏↡。¬大集経¼云「恭↢敬父母・師僧・和上↡得↢肉髻相↡」云云若於↢此相↡生↢随喜↡者除↢却千億劫極重悪業↡不↠堕↢三途↡
・相好 2. 頂上髪毛
二には、 頂の上に八万四千の髪毛あり。 みな上に向かひて靡き、 右に旋りて生ひたり。 永く*褫落することなく、 また雑乱せず。 紺青稠密にして、 香潔細軟なり。 もし広く観ずることを楽ふものは、 観ずべし。 一々の毛孔より旋りて五の光をなせり。 もしこれを申ぶる時には、 修長にして量りがたし。 釈尊の髪のごときは、 長さ*尼楼陀精舎より父王の宮に至りて、 城を繞ること*七帀せり。 無量の光あまねく照らして、 *紺琉璃の色をなし、 色のなかに化仏あり、 称数すべからず。 この相を現じをはりて、 還りて仏の頂に住して、 右に旋りて宛転して、 すなはち*蠡文となる。 ¬大集経¼ にのたまはく、 「悪事をもつて衆生に加へざるがゆゑに、 髪毛金精の相を得たり」 と。
褫落 脱け落ちること。
尼楼陀精舎 (釈尊の生国) の南にあった庭園。 釈尊がここで父王のために法を説いたので、 精舎 (僧院の意) の語を付して呼ばれる。
七帀 七周。
紺琉璃 琉璃は青色の宝玉で、 瑠璃とも書く。
蠡文 螺文のこと。 渦巻きの文様。
二頂上八万四千髪毛、皆上向靡右旋而生。永無↢*落↡、亦不↢雑乱↡。紺青稠密、香潔細軟。或楽↢広観↡者、応↠観。一一毛孔旋生↢五光↡。若申↠之時、脩長難↠量。如↢釈尊↡髪長従↢尼楼陀精舎↡至↢父王宮↡遶↠城七匝 無量光普照作↢紺琉璃色↡。色中化仏、不↠可↢称数↡。現↢此相↡已還住↢仏頂↡、右旋宛転即成↢蠡文↡。¬大集経¼云「不↧以↢悪事↡加↦衆生↥故得↢髪毛金精相↡」
青蓮院本では 褫。
・相好 3. 髪際有光
三には、 その髪の際に五千の光あり。 *間錯分明なり。 みな上に向かひて靡きて、 もろもろの髪を囲繞せり。 頂を繞ること五帀せり。 天の画師の所作の画法のごとし。 *団円正等にして、 細きこと一糸のごとし。 その糸のあひだにもろもろの化仏を生じ、 化の菩薩ありて、 もつて眷属たり。 一切の*色像またなかにおいて見ゆ。 広く観ずることを楽ふものは、 この観を用ゐるべし。
間錯 まじわること。
団円正等 円くふくよかで大きさが等しい。
色像 すがたかたち。
三於↢其髪際↡有↢五千光↡、間錯分明。皆上向靡囲↢遶諸髪↡、遶↠頂五匝。如↢天画師所作画法↡。団円正等細如↢一糸↡。於↢其糸間↡生↢諸化仏↡、有↢化菩薩↡以為↢眷属↡。一切色像亦於↠中見。楽↢広観↡者可↠用↢此観↡
・相好 4. 広長輪埵
四には、 耳厚く、 広く長くして、 *輪埵成就せり。 あるいは広く観ずべし。 七の毛を旋り生じて、 五の光を流出す。 その光に千の色あり。 色ごとに千の化仏まします。 仏ごとに千の光を放ちて、 あまねく十方の無量の世界を照らしたまふ。 この*随好の*業因は勘ふべし。 ¬*観仏三昧経¼ (意) にのたまはく、 「この好を観ずるものは、 八十劫の生死の罪を滅し、 後世にはつねに*陀羅尼の人と眷属たり」 と云々。 下去もろもろの利益、 みなまた ¬観仏三昧経¼ によりて注す。
輪埵 円く盛り上がった耳たぶ。
業因 果をもたらす因となる行為。
四耳厚広長輪埵成就。或応↢広観↡。旋↢生七毛↡流↢出五光↡。其光千色、色千化仏。仏放↢千光↡遍照↢十方無量世界↡。此随好之業因可↠勘¬観仏三昧経¼云「観↢此好↡者滅↢八十*億劫生死之罪↡後世常*為↢陁羅尼人↡為↢眷属↡」云云下去諸利益皆*依↢¬観仏三昧経¼↡而注
億 他本では欠く。
為 他本では 「於」。
◇ 他本では 「亦」 の字あり。
・相好 5. 額広平正
五には、 額広く平正にして、 形相殊妙なり。 この*好の*業因ならびに利益は勘ふべし。
好 随形好のこと。
業因 果をもたらす因となる行為。
五額広平正形相殊妙。此*妙業因并利益可↠勘
妙 他本では 「好」。
・相好 6. 面輪円満
六には、 *面輪円満にして、 *光沢熙怡なり。 *端正皎潔なること、 なほ秋の月のごとし。 双べる眉の皎浄なること、 *天帝の弓に似たり。 その色比なくして、 紺琉璃の光あり。 来り求むるものを見て歓喜を生ずるがゆゑに、 面輪円満なり。 この相を観ずるものは億劫の生死の罪を除却して、 後身の生処に、 まのあたり諸仏を見たてまつる。
面輪 面容のこと。 顔。
光沢熙怡 つややかで柔和なこと。
端正皎潔 よくととのって、 きよらかに澄みわたっていること。
六面輪円満、光沢熙怡。端正皎潔猶如↢秋月↡。双眉皎浄、似↢天帝弓↡。其色無比紺流璃光。見↢来求者↡生↢歓喜↡故面輪円満観↢此相↡者除↢却億劫生死之罪↡後身生処面見↢諸仏↡
・相好 7. 眉間白毫
七には、 眉間の*白毫、 右に旋りて宛転せり。 柔軟なること*覩羅綿のごとく、 鮮白なること*珂雪に逾えたり。 あるいは次に広く観ずべし。 これを舒ぶれば、 直くして長大なること白琉璃の筒のごとく、 放ちをはれば、 右に旋りて*頗梨珠のごとし。 丈六の仏の白毫は*五丈なり。 右に旋ること経一寸、 周囲三寸。 十方の面において、 無量の光を現ずること、 万億の日のごとくして、 つぶさに見るべからず。 ただ光のなかに、 もろもろの蓮華を現ず。 上は*無量塵数の世界を過ぐるまで、 華々あひ次いで、 *団円正等なり。 一々の華の上に、 一の化仏坐したまへり。 相好荘厳し、 眷属*囲繞せり。 一々の化仏また無量の光を出し、 一々の光のなかにまた無量の化仏まします。 このもろもろの世尊は、 行ずるもの無数、 住するもの無数、 坐するもの無数、 臥するもの無数にして、 あるいは大慈大悲を説き、 あるいは*三十七品、 あるいは六波羅蜜、 あるいはもろもろの*不共の法を説く。 もし広く説かば、 一切衆生より十地の菩薩に至るまで、 またこれを知ることあたはじ。 ¬大集経¼ (意) にのたまはく、 「他の徳を隠さず、 その徳を*称揚して、 この相を得たり」 と。 ¬*観仏経¼ (意) にのたまはく、 「無量劫より昼夜に精進して身心懈ることなきこと、 *頭燃を救ふがごとくして、 六度・三十七品・十力・無畏・大慈大悲のもろもろの妙功徳を勤修して、 この白毫を得たり。 この相を観ずるものは、 九十六億那由他恒河沙*微塵数劫の生死の罪を除却す」 と。
珂雪 白雪。
頗梨珠 水晶の玉。
五丈 諸本には 「長丈五」 とある。 丈五は一丈五尺。
無量塵数 数限りないこと。
団円正等 円くふくよかで大きさが等しい。
微塵数 無数の意。 微塵は仏教でいう物質の最小単位。
七眉間白毫、右旋宛転。柔軟如↢*都覩羅綿↡、鮮白逾↢珂雪↡。或次応↢広観↡。舒↠之直長大如↢白琉璃筒↡、放已右旋如↢頗梨珠↡。丈六仏白毫*長*丈五右旋*径一寸周囲*二寸 於↢十方面↡現↢無量光↡、如↢万億日↡、不↠可↢具見↡。但於↢光中↡現↢諸蓮華↡。上過↢无量塵数世界↡、華華相次、団円正等。一一花上一化仏坐、相好荘厳眷属囲遶。一一化仏復出↢无量光↡、一一光中亦无量化仏。是諸世尊、行者無数、住者無数、坐者无数、臥者无数。或説↢大慈大悲↡、或説↢三十七品↡、或*説↢六波羅*密↡、或*説↢諸不共法↡。若広説者、一切衆生至↢十地菩薩↡、亦不↠能↠知↠之。¬大集経¼云「不↠隠↢他徳↡称↢揚其徳↡得↢此相↡」¬観仏経¼云「従↢无量劫↡昼夜精進身心无↠懈如↠救↢頭燃↡勤↢修六度・七品・十力・无畏・大慈・大悲諸妙功徳↡得↢此白毫↡観↢此相↡者除↢却九十六億那由他恒河沙微塵数劫生死之罪↡」
都羅綿 他本では 「覩羅綿」。
長 青蓮院本では欠く。
丈五 青蓮院本では 「五丈」。
径 青蓮院本では 「経」。
二寸 他本では 「三寸」。
説 青蓮院本では欠く。
密 他本では 「蜜」。 以下同。
説 青蓮院本では欠く。
・相好 8. 牛王眼睫
八には、 如来の*眼睫はなほ牛王のごとし。 紺青にして斉しく整ほりて、 あひ雑乱せず。 あるいは次に広く観ずべし。 上下におのおの生じて、 五百の毛あり。 *優曇華の鬚のごとくして、 柔軟にして愛楽すべし。 一々の毛端より一の光を流出す。 頗梨の色のごとくして、 頭を繞ること一帀し、 もつぱらに微妙のもろもろの青蓮華を生ず。 一々の*華台に*梵天王ありて、 青色の*蓋を執れり。 ¬大集経¼ にのたまはく、 「心を至して*無上菩提を求めしがゆゑに、 牛王の睫の相を得たり」 と。 ¬大経¼ (*大般涅槃経) にのたまはく、 「怨憎を見て善心をなすがゆゑに」 と。
眼睫 まつげ。
優曇華 優曇は梵語ウドゥンバラ (udumbara) の音写の略。 霊端華と漢訳する。 優曇鉢樹の花。 三千年に一度花が咲くという。
蓋 かさ。
八如来眼睫、猶*若↢牛王↡。紺青斉整不↢相雑乱↡。或次応↢広観↡。上下各生有↢五百毛↡。如↢優曇華鬚↡、柔軟可↢愛楽↡。一一毛端流↢出一光↡。如↢頗梨色↡、遶↠頭一匝、純生↢微妙諸青蓮華↡。一一華台有↢梵天王↡、執↢青色蓋↡。¬大集経¼云「至↠心求↢於无上菩提↡故得↢牛王睫相↡」¬大経¼云「見↢於怨増↡生↢於善心↡故」
若 青蓮院本、 建長五年刊本では 「如」。
・相好 9. 青白眼相
九には、 仏眼は青白にして上下ともに眴く。 白きものは白宝に過ぎたり。 青きものは青蓮華に勝れたり。 あるいは次に広く観ずべし。 眼より光明を出したまふに、 分れて四支となりて、 あまねく十方の無量の世界を照らす。 青き光のなかには青き色の化仏ましまし、 白き光のなかには白き色の化仏まします。 この青白の化仏、 またもろもろの神通を現じたまふ。 ¬大集経¼ (意) にのたまはく、 「慈心を修集し、 衆生を愛視して、 紺色の目の相を得たり」 と云々。 小時のあひだにおいても、 この相を観ずるものは、 未来の生処に、 眼つねに明浄にして、 眼根に病なく、 七劫の生死の罪を除却す。
九仏眼青白上下倶眴。白者過↢白宝↡、青者勝↢青蓮華↡。或次応↢広観↡。眼出↢光明↡、分為↢四支↡、遍照↢十方无量世界↡。於↢青光中↡有↢青色化仏↡、於↢白光中↡有↢白色化仏↡。此青・白化仏、復現↢諸神通↡。¬大集経¼云「修↢集慈心↡愛↢視衆生↡得↢紺色目相↡」云云於↢*少時間↡観↢此相↡者未来生処眼常明浄眼根無↠病除↢却七劫生死之罪↡
少 青蓮院本では 「小」。
・相好 10. 鼻修高直
十には、 鼻修く、 高く直くして、 その孔現ぜず。 鋳たる*金鋌のごとく、 鸚鵡の嘴のごとし。 表裏清浄にしてもろもろの*塵翳なし。 二の光明を出してあまねく十方を照らし、 変じて種々の無量の*仏事をなす。 この*随好を観ずるものは千劫の罪を滅し、 未来の生処にて上妙の香を聞ぎ、 つねに*戒香をもつて身の*瓔珞となす。
金鋌 金を鋳てつくった折釘状の金具。
塵翳 不浄のもの。
戒香 戒をたもった功徳が四方に薫ずるのを、 香に喩えていう。
十鼻脩高直其孔不↠現。如↢鋳金*挺↡、如↢鸚鵡觜↡。表裏清浄无↢諸塵翳↡。出↢二光明↡、遍照↢十方↡、変作↢種種无量仏事↡。観↢此随好↡者滅↢千劫罪↡未来生処聞↢上妙香↡常以↢戒香↡為↢身瓔珞↡
挺 青蓮院本、 大派依用本では 「鋌」。
・相好 11. 脣色赤好
十一には、 唇の色、 赤好なること*頻婆菓のごとし。 上下あひ称へること、 *量りのごとくにして厳麗なり。 あるいは次に広く観ずべし。 *団円の光明、 仏の口より出でて、 なほ百千の赤き真珠の貫くがごとくして、 鼻と*白毫と髪とのあひだに入出す。 かくのごとく*展転して、 *円光のなかに入る。 この唇の随好の業等は勘ふべし。
頻婆菓 頻婆は梵語ビンバ (bhimba) の音写。 鮮やかな赤色の果実を結ぶ植物。
量りのごとくにして 天秤のようにつりあいがとれているという意。
団円 完全な円形。
白毫 白色の旋毛。
展転 めぐりうつること。
十一脣色赤好如↢頻婆菓↡、上下相称如↠量厳麗。或次応↢広観↡。団円光明、従↢仏口↡出、猶如↢百千赤真珠貫↡、入↢出於鼻白毫髪間↡。如↠是展転入↢円光中↡。此脣随好業等可↠勘
・相好 12. 歯斉浄密
十二には、 四十の歯は、 斉しく、 浄く密にして根深く、 白きこと*珂雪に逾えたり。 つねに光明あり。 その光紅白にして、 人の目を映耀す。 ¬*大経¼ (大般涅槃経) にのたまはく、 「*両舌・悪口・*恚心を遠離して、 四十の歯、 鮮白斉密なる相を得たり」 と云々。
珂雪 白雪。
大経 底本 (青蓮院本) には 「大集経」 とある。
恚心 いかりの心。
十二四十歯斉浄密根深、白逾↢珂雪↡。常有↢光明↡、其光紅白映↢耀人目↡。¬*大経¼云「遠↢離両舌・悪口・恚心↡得↢四十歯鮮白斉密相」*
大経 青蓮院本では 「大集経」。
◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「云云」 とあり。
・相好 13. 四牙鮮白
十三には、 四の牙、 鮮白光潔にして鋒利なること、 月のはじめて生づるがごとし。 ¬大集¼ にのたまはく、 「身口意浄きがゆゑに、 四牙、 白の相を得たり」 と云々。 この唇・口・歯の相を観ずるものは、 二千劫の罪を滅す。
十三四牙鮮白光潔鋒利如↢月初*出↡。¬*大集経¼云「身口意浄故得↢四牙白相↡」云云観↢此脣口歯相↡者滅↢二千劫罪↡
出 底本まま。 註なし。
大集経 青蓮院本では 「大集」。 以下同。
・相好 14. 広長舌相
十四には、 世尊の舌相は、 薄く浄くして、 広く長し。 よく*面輪を覆ひて、 耳髪の際より、 乃至梵天に至る。 その色、 赤銅のごとし。 あるいは次に広く観ずべし。 舌の上に五の画あり、 なほ*印文のごとし。 笑みたまふ時、 舌を動かすに五の色光を出し、 仏を繞ること七帀して、 還りて頂より入る。 あらゆる*神変は無量無辺なり。 ¬大集¼ にのたまはく、 「*口の四の過を護りて、 広長の舌相を得たり」 と云々。 この相を観ずるものは、 百億八万四千劫の罪を除きて、 他世に八十億の仏に値ふ。
面輪 面容のこと。 顔。
印文 印章に刻まれた文様。
神変 不可思議なはたらき。
口の四の過 妄語・両舌・悪口・綺語の口業の四悪。
十四世尊舌相、薄浄、広長、能覆↢面輪↡、至↢耳髪際乃至梵天↡。其色如↢赤銅↡。或次可↢広観↡。舌上五画、猶如↢印文↡。*咲時動↠舌出↢五色光↡、遶↠仏七匝還従↠頂入。所有神変无量无辺。¬大集経¼云「護↢口四過↡得↢広長舌相↡」云云観↢此相↡者除↢百億八万四千劫罪↡他世値↢八十億仏↡
咲 大派依用本では 「笑」。
・相好 15. 舌下宝珠
十五には、 舌の下の両辺に二の宝珠あり。 甘露を流注して、 舌根の上に滴づ。 諸天・世人・十地の菩薩もこの舌根なく、 またこの味はひなし。 ¬*大般若¼ に異説あり。 勘ふべし。 ¬大経¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「飲食を施与するがゆゑに、 上味の相を得たり」 と。
大般若 底本 (青蓮院本) には 「大集般若」 とある。
十五舌下両辺有↢二宝珠↡、流↢注甘露↡滴↢舌根上↡。諸天・世人・十地菩薩、无↢此舌根↡、亦无↢此味↡。¬*大般若¼有↢異説↡可↠勘¬大経¼云「飲食施与故得↢上味相↡」
大般若 青蓮院本では 「大集般若」。
・相好 16. 瑠璃咽喉
十六には、 如来の咽喉は*瑠璃の筒のごとし。 状は蓮華を累ねたるがごとし。 出したまふところの音声は*詞韻和雅にして、 等しく聞えずといふことなし。 その声洪きに震ひて、 なほ天の鼓のごとく、 発したまふところの言は、 *均として*迦陵頻の音のごとし。 *任運によく*大千世界に遍す。 もし*作意したまふ時には無量無辺なり。 しかも衆生を利せんがために、 類に随ひて増減せず。 ¬大経¼ (同・意) にのたまはく、 「かの短を訟はず、 正法を謗ぜずして、 *梵音声の相を得たり」 と。 ¬大集¼ にのたまはく、 「もろもろの衆生において、 つねに柔軟に語りしがゆゑに」 と云々。
詞韻和雅 言葉のひびきが柔和・優雅であること。
均 婉約。 おだやかで、 つつしみ深いこと。
作意 心をはたらかせること。
梵音声 仏のきよらかな声。
十六如来咽喉如↢瑠璃筒↡、状如↠累↢蓮華↡。所↠出音声詞韻和雅无↠不↢等聞↡。其声洪震、猶如↢天皷↡、所↠発言均、如↢伽陵頻音↡。任運能遍↢大千世界↡。若作意時无量无辺。然為↠利↢衆生↡、随↠類不↢増減↡。¬大経¼云「不↠訟↢彼短↡不↠謗↢正法↡得↢梵音声相↡」¬大集経¼云「於↢諸衆生↡常柔軟語故」云云
・相好 17. 頚出円光
十七には、 頚より円光を出したまふ。 咽喉の上に*点相ありて分明なり。 一々の点のなかに一々の光を出す。 その一々の光、 前の円光を繞りて七帀を満足して、 衆画分明なり。 一々の画のあひだに妙蓮華あり。 華の上に七仏まします。 一々の化仏におのおの七菩薩ありて、 もつて侍者となせり。 一々の菩薩、 *如意珠を執れり。 その珠に金光あり。 青・黄・赤・白および*摩尼の色、 みなことごとく具足して、 諸光を囲繞せり。 上下・左右、 おのおの*一尋にして、 仏の頸を囲繞して、 了々なること画のごとし。 ¬*無上依経¼ (意) にのたまはく、 「衣服・飲食・車乗・臥具、 もろもろの荘厳の物を歓喜して施与し、 身金色にして、 円光一丈なる相を得たり」 と。
点相 梵字の伊字の三点に似た形。 「∵」 の形のこと。
摩尼 梵語マニ (maņi) の音写。 如意珠に同じ。
一尋 尋は長さの単位。 両手を左右にひろげたときの長さを一尋とする。
十七頚出↢円光↡。咽喉上有↢点相分明↡、一一点中出↢一一光↡。其一一光遶↢前円光↡満↢足七匝↡、衆画分明。一一画間、有↢妙蓮華、華上有↢七仏↡。一一化仏各有↢七菩薩↡、以為↢侍者↡。一一菩薩執↢如意珠↡、其珠金光。青・黄・赤・白及摩尼色皆悉具足囲↢遶諸光↡。上下左右各各一尋囲↢遶仏頚↡、了了如↠画。¬无上依経¼云「衣服飲食車乗臥具諸荘厳物歓喜施与得↢身金色円光一丈相↡」
・相好 18. 頚出二光
十八には、 頚より二の光を出す。 その光万色ありて、 あまねく十方の一切の世界を照らす。 この光に遇ふものは*辟支仏となる。 この光、 もろもろの辟支仏の頸を照らす。 この相現ずる時、 行者、 あまねく十方一切のもろもろの辟支仏の、 鉢を虚空に擲げて十八変をなし、 一々の足の下にみな文字ありて、 その字、 *十二因縁を宣説するを見る。
十八頚出↢二光↡。其光万色、遍照↢十方一切世界↡。遇↢此光↡者、成↢辟支仏↡。此光照↢諸辟支仏頚↡。此相現時、行者遍見↧十方一切諸辟支仏擲↢鉢虚空↡作↢十八変↡、一一足下皆有↢文字↡、其字宣↦説十二因縁↥。
・相好 19. 欠瓫骨満相
十九には、 *欠瓫骨満の相あり。 光十方を照らすに、 *虎魄の色をなす。 この光に遇ふものは声聞の意を発す。 このもろもろの声聞、 この光明を見るに、 分れて十支となる。 一支に千の色、 十千の光明あり。 光ごとに化仏まします。 一々の化仏に四の比丘ありて、 もつて侍者となり、 一々の比丘はみな、 苦・空・無常・無我を説く。 以上三種は、 広く観ずることを楽ふもの、 これを用ゐるべし。
欠瓫骨満 のどぼとけの突起がないという意。 あるいは両肩のくぼみがないという意か。
虎魄 琥珀。 紅黄色の宝石。
十九*鈌盆骨満相。光照↢十方↡作↢虎魄色↡。遇↢此光↡者発↢声聞意↡。是諸声聞、見↢此光明↡、*光分為↢十支↡、一支千色、十千光明。光有↢化仏↡。一一化仏有↢四比丘↡、以為↢侍者↡。一一比丘皆説↢苦・空・无常・无我↡。已上三種楽↢広観↡者応↠用↠之
鈌 他本では 欠。
光 他本では欠く。
・相好 20. 肩項円満
二十には、 世尊の肩・項は円満殊妙なり。 ¬*法華の文句¼ (意) にいはく、 「つねに施をして増長せしめたるがゆゑに、 この相を得たり」 と。
二十世尊肩項円満殊妙。¬法華文句¼云「恒令↢施増長↡故得↢此相↡」
・相好 21. 腋下充実
二十一には、 如来の腋の下はことごとくみな充実なり。 紅紫の光を放ちて、 もろもろの仏事をなし、 衆生を利益す。 ¬無上依経¼ (意) にのたまはく、 「衆生のなかにおいて利益の事をなし、 *四正勤を修して、 心に畏るるところなくして、 両の肩平整にして、 腋の下満てる相を得たり」 と。
二十一如来腋下、悉皆充実、放↢紅紫光↡、作↢諸仏事↡利↢益衆生↡。¬无上依経¼云「於↢衆生中↡為↢利益事↡修↢四正勤↡心无↠所↠畏得↢両肩平整而腋下満相↡」
・相好 22. 臂肘明直
二十二には、 仏の*双臂肘、 明直にして*円なること象王の鼻のごとく、 平立せるに膝を摩づ。 あるいは次に広く観ずべし。 手掌に*千輻の理あり。 おのおの百千の光を放ちてあまねく十方を照らすに、 化して金水となる。 金水のなかに一の妙水あり、 水精の色のごとし。 餓鬼は見て熱を除き、 畜生は*宿命を識り、 狂象の見るは獅子王となり、 獅子は*金翅鳥と見、 諸竜もまた金翅鳥王と見る。 このもろもろの畜生、 おのおの尊ぶところと見て、 心に恐怖を生じて、 合掌し*恭敬す。 恭敬するをもつてのゆゑに、 命終して天に生る。 ¬大集¼ にのたまはく、 「怖畏あるを救護して、 臂肘、 なることを得、 他の事業を見て佐助せしがゆゑに、 *手摩膝の相を得たり」 と。
双臂肘 両ひじ。
円 まるみを帯びていること。
千輻の理 千の放射状の輻 (車輪の輻) のような模様。 千輻輪相のこと。
宿命 過去世の境界。
金翅鳥 竜を食べるという大鳥。
妙翅鳥ともいう。 八部鬼神のうちの
迦楼羅に同じ。 →
八部鬼神
手摩膝の相 手がひざにまでとどく相。
二十二仏双臂肘明直円如↢象王鼻↡、平立摩↠膝。或次応↢広観↡。手掌千*軸理、各放↢百千光↡、遍照↢十方↡、化成↢金水↡。金水之中有↢一妙水↡、如↢水精色↡。餓鬼見除↠熱、畜生識↢宿命↡。狂*象見者為↢師子王↡、師子見↢金翅鳥↡、諸竜亦見↢金翅鳥王↡。是諸畜生各見↢*諸尊↡、心生↢恐怖↡合掌恭敬。以↢恭敬↡故、命終生↠天。¬大集経¼云「救↢護怖畏↡得↢臂肘↡見↢他事業↡佐助故得↢手摩膝相↡」
軸 他本では 「輻」。
象 他本では 「像」。
諸尊 他本では 「所尊」。
・相好 23. 諸指円満
二十三には、 もろもろの指円満し、 充密繊長にして、 はなはだ愛楽すべし。 一々の端に、 おのおの*万字を生ぜり。 その爪光潔なること、 華赤銅のごとし。 ¬瑜伽¼ (*瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろの尊長において、 恭敬し、 礼拝し、 合掌し、 起立せしがゆゑに、 指繊長なる相を得たり」 と。
万字 卍。 吉祥の印。
二十三諸指円満、充密繊長甚可↢愛楽↡。於↢一一端↡、各生↢*万字↡。其爪光潔如↢花赤銅↡。¬瑜伽¼云「於↢諸尊長↡恭敬礼拝合掌起立故得↢指繊長相↡」
万字 大派依用本では 「卍」。
・相好 24. 指間網
二十四には、 一々の指のあひだは、 なほ雁王のごとく、 ことごとく*網あり。 金色交絡して、 *文、 綺画に同じ。 *閻浮金に勝れたること百千万億なり。 その色明達にして、 眼界に過ぎたり。 張れる時にはすなはち見ゆれども、 指を斂むれば見えず。 ¬大経¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「四摂の法を修して、 衆生を摂取せしがゆゑに、 この相を得たり」 と。
網 網縵のこと。 指の間の水かき状の膜。
文綺画に同じ 文様はあやぎぬの画と同じ。
閻浮金 閻浮は梵語ジャンブー・ナダ (jambhū-nada) の音写の略。 閻浮樹の間を流れる河の意。 その河の底からとれる砂金を閻浮金 (閻浮檀金) といい、 最高の金とされる。
二十四一一指間、猶如↢雁王↡、咸有↢網↡。金色交絡文同↢綺画↡。勝↢閻浮金↡百千万億。其色明達過↢於眼界↡。張時則見、斂↠指不↠見。¬*大集経¼云「修↢四摂法↡摂↢取衆生↡故得↢此相↡」
大経 青蓮院本では 「大集経」。 以下同。
・相好 25. 其手柔軟
二十五には、 その手柔軟なること*覩羅綿のごとくして、 一切に勝過して、 内外にともに握る。 ¬大経¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「父母・*師長の、 もし病苦するに、 みづから手をもつて洗ひ拭ひ、 捉持し、 *安摩せしがゆゑに、 手軟の相を得たり」 と。
安摩 なでること。 さすること。
二十五其手柔軟如↢覩羅綿↡、勝↢過一切↡内外倶握。¬大集経¼云「父母・師長若病苦自手洗拭捉持安摩故得↢手軟相↡」
・相好 26. 頷臆広大
二十六には、 世尊の頷・臆、 ならびに身の上半の、 威容広大なること獅子王のごとし。 ¬瑜伽¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろの有情の、 如法の所作においてよく上首たれども、 しかも助伴となりて*我慢を離れ、 もろもろの*獷捩なかりしがゆゑに、 この相を得たり」 と。
我慢 自らをたのんで、 おごりたかぶる心。
獷捩 あらあらしい (ふるまい)。
二十六世尊頷・臆、并身上半威容広大如↢師子王↡。¬瑜伽¼云「於↢諸有情如法所作↡能為↢上首↡而作↢助伴↡離↢於我慢↡无↢諸*儣*悷↡故得↢此相↡」
儣 他本では 獷。
悷 青蓮院本では 捩。
・相好 27. 胸有万字
二十七には、 胸に*万字あり。 実相の印と名づけ、 大光明を放つ。 あるいは次に広く観ずべし。 光のなかに無量百千のもろもろの華ありて、 一々の華の上に無量の化仏まします。 このもろもろの化仏、 おのおの千の光ありて、 衆生を利益す。 乃至、 あまねく十方の仏の頂に入る。 時に、 もろもろの仏の胸より百千の光を出し、 一々の光、 六波羅蜜を説く。 一々の化仏、 一の化人の、 *端正微妙にして状弥勒のごときを遣はして、 行者を安慰せしむ。 この相の光を見るものは、 十二億劫の生死の罪を除く。
万字 卍。 吉祥の印。
端正微妙にして 容姿が美しくととのっているという意。
二十七胸有↢*万字↡、名↢実相印↡、放↢大光明↡。或次応↢広観↡。光中有↢无量百千衆花↡、一一花上有↢无量化仏↡。是諸化仏、各有↢千光↡利↢益衆生↡、乃至遍入↢十方仏頂↡。時諸仏胸出↢百千光↡、一一光説↢六波羅密↡。一一化仏、遣↢一化人端正微妙状如↢弥勒↡、安↢慰行者↡。見↢此相光↡者除↢十二億劫生死之罪↡
万字 大派依用本では 「卍」。
・相好 28. 心紅蓮華
二十八には、 如来の*心相は、 紅蓮華のごとし。 妙なる紫金の光、 もつて*間錯をなして、 *瑠璃の筒のごとくして、 懸りて仏の胸にあり。 合せず、 開せず、 *団円なること、 心のごとし。 万億の化仏、 仏の心のあひだに遊ぶ。 また*無量塵数の化仏、 仏の心のなかにましまして、 金剛台に坐して、 無量の光を放ちたまふ。 一々の光のなかに、 また無量塵数の化仏ましまして、 広長の舌を出し、 万億の光を放ちてもろもろの*仏事をなしたまふ。 仏の心を念ふものは、 十二億劫の生死の罪を除き、 生々に無量の菩薩に値ふことを得と云々。 広く観ずることを楽ふものは、 この観をなすべし。
心相 心臓のありさま。
間錯 まじわること。
団円 完全な円形。
無量塵数 数限りないこと。
二十八如来心相、如↢紅蓮華↡。妙紫金光、以為↢間錯↡、如↢瑠璃筒↡懸在↢仏胸↡。不↠合不↠開団円如↠心。万億化仏、遊↢仏心間↡。又无量塵数化仏、在↢仏心中↡、坐↢金剛台↡放↢无量光↡。一一光中、亦有↢无量塵数化仏↡、出↢広長舌↡、放↢万億光↡作↢諸仏事↡。念↢仏心↡者除↢十二億劫生死之罪↡生生得↠値↢无量菩薩↡云云楽↢広観↡者応↠作↢此観↡
・相好 29. 身皮金色
二十九には、 世尊の身の皮は、 みな真金の色なり。 光潔*晃耀すること、 妙金台のごとし。 衆宝をもつて荘厳し、 衆の見んと楽ふところなり。 ¬大経¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「衣服・臥具を施して、 この相を得たり」 と。
晃耀 盛んに輝くこと。
二十九世尊身皮、皆真金色。光潔晃耀如↢妙金台↡。衆宝荘厳、衆所↠楽↠見。¬大経¼云「施↢衣服臥具↡得↢此相↡」
・相好 30. 身光無量
三十には、 身光、 *任運に*三千界を照らす。 もし*作意したまふ時には無量無辺なり。 しかももろもろの有情を憐愍せんがためのゆゑに、 光を摂してつねに照らしたまふこと、 面ごとにおのおの*一尋なり。 ¬大経¼ (同・意) にのたまはく、 「香・華・灯明等をもつて人に施して、 この相を得たり」 と云々。 大光を観ずるものは、 ただ心に見ることを発すに、 衆罪を*除却すと。
作意 心をはたらかせること。
一尋 尋は長さの単位。 両手を左右にひろげたときの長さを一尋とする。
除却すと 底本 (青蓮院本) には下に 「云々」 の二字がある。
三十身光任運照↢三千界↡。若作意時无量无辺。然為↣憐↢愍諸有情↡故摂↠光常照面各一尋。¬大経¼云「以↢香華灯明等↡施↠人得↢此相↡」云云観↢大光↡者但発↢心見↡除↢却衆罪↡*
◇ 青蓮院本には 「云云」 と割註あり。
・相好 31. 身相端厳
三十一には、 世尊の身相は、 修く広くして端厳なり。 ¬大論¼ (*大智度論) にいはく、 「尊長を*恭敬し、 迎送し、 侍繞して、 身の直くして広き相を得たり」 と云々。
三十一世尊身相、修広端厳。¬大論¼云「恭↢敬尊長↡迎送侍遶得↢身直広相↡」*
◇ 青蓮院本には 「云云」 と割註あり。
・相好 32. 躰相円満
三十二には、 世尊の体相は、 縦広の量等しくして周帀円満せること、 *尼陀樹のごとし。 ¬大集¼ (意) にのたまはく、 「つねに衆生を勧めて、 三昧を修せし