0934◎往おう生じょう要よう集しゅう 巻かん中ちゅう *尽じん第六だいろく別べつ時じ念仏ねんぶつ門もん

天台てんだい*首しゅ楞りょう厳ごん院いん沙門しゃもん*源信げんしん撰せん

二 Ⅳ ⅱ d 観察門

【42】◎^第だい四しに△観察かんざつ門もんとは、 初心しょしんの観かん行ぎょうは深奥じんおうに堪たへず。 ¬*十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ (意) にいふがごとし。 「*新発しんぽっ意ちの菩ぼ薩さつは先まづ仏ぶつの色相しきそうを念ねんず」 と。 また*諸しょ経きょうのなかに、 初心しょしんの人にんのためには、 多おおく相好そうごうの功く徳どくを説とけり。 このゆゑにいままさに色相しきそうの観かんを修しゅすべし。

◎第1095四ニ▼観察門ト者、▼初心ノ観行ハ不↠堪ヘ↢深奥ニ↡。如シ↢¬十住毘婆*娑ニ¼云フガ↡。「新発意ノ菩薩ハ先ヅ念ズト↢仏ノ色*相ヲ↡。」又諸経ノ中ニ、為ニハ↢初心ノ人ノ↡多ク説ケリ↢相好ノ功徳ヲ↡。▼是ノ故ニ今当ニシ↠修ス↢色相ノ観ヲ↡。

^これを分わかちて三さんとなす。 一いちには▽別相べっそう観かん、 二にには▽総相そうそう観かん、 三さんには▽雑ぞう略りゃく観かんなり。 *意い楽ぎょうに随したがひてこれを用もちゐるべし。

◆此ヲ分チテ為ス↠三ト。▼一ニハ別相観、二ニハ総*相観、三ニハ雑略観ナリ。随ヒテ↢意楽ニ↡応シ↠用ヰル↠之ヲ。

・別相観

【43】^初はじめに△*別相べっそう観かんとは、 また二にあり。

▼初ニ別相観ト者、亦有リ↠二。

・別相観 ・華座

^先まづ*華座けざを観かんず。

先ヅ▼観ズ↢花座ヲ↡。

^¬*観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 「▲かの仏ぶつを観かんぜんと欲おもはば、 まさに想念そうねんを起おこすべし。 ◆七宝しっぽうの地じの上うえにおいて蓮れん華げの想おもいをなし、 ◆その蓮れん華げの一々いちいちの葉ようをして百ひゃっ宝ぽう色しき ˆありとの想おもいˇ をなさしめよ。 ˆその葉ようにˇ 八万はちまん四し千せんの脈みゃくありて、 なほ天てんの画えのごとし。 脈みゃくに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。 ◆了々りょうりょう分ぶん明みょうにして、 みな見みることを得えしめよ。

¬観経ニ¼云ク、「欲ハバ↠観ゼムト↢彼ノ仏ヲ↡者、当ニシ↧起シテ↢想念ヲ↡於テ↢七宝ノ地ノ上ニ↡作ス↦蓮花ノ想ヲ↥。令メヨ↣其ノ蓮花ノ一々ノ葉ヲシテ作サ↢百宝色ヲ↡。有リテ↢八万四千ノ脈↡、猶如シ↢天ノ*画ノ↡。脈ニ有リ↢八万四千ノ光↡。了々分明ニシテ皆令メヨ↠得↠見ルコトヲ。

^◆華け葉ようの小ちいさきものは、 縦じゅう広こう二に百ひゃく五ご十じゅう由ゆ旬じゅんなり。 かくのごとき華はなに八万はちまん四し千せんの葉ようあり。 一々いちいちの葉ようのあひだに0935百ひゃく億おくの摩尼まに珠王しゅおうありて、 もつて映飾ようじきとなせり。 一々いちいちの摩尼まに珠しゅは、 千せんの光こう明みょうを放はなつ。 その光ひかり ˆ天てんˇ 蓋がいのごとくして、 七宝しっぽう合ごう成じょうして、 あまねく地じの上うえに布しけり。

花葉ノ小キ者ハ縦広二百五十由旬ナリ。如キ↠是クノ花ニ有リ↢八万四千ノ葉↡。一々ノ葉ノ間ニ有リテ↢百億ノ摩尼珠王↡、以テ為セリ↢映飾ト↡。一々ノ摩尼珠ハ放ツ↢千ノ光明ヲ↡。其ノ光如クシテ↠蓋ノ、七宝合成シテ、遍ク布ケリ↢地ノ上ニ↡。

^◆釈しゃ迦か毘び楞りょう伽が宝ほう、 もつてその台だいとなせり。 この蓮れん華げ台だいは、 八万はちまんの金剛こんごう・甄けん叔しゅく迦か宝ほう・梵ぼん摩尼まに宝ほう・妙みょう真珠しんじゅ網もう、 もつて交きょう飾じきとなせり。 ◆その台だい上じょうにおいて、 自じ然ねんにして四し柱ちゅうの宝幢ほうどうあり。 一々いちいちの宝幢ほうどうは、 百ひゃく千せん万億まんおくの須しゅ弥み山せんのごとし。 幢どうの上うえの宝縵ほうまんは、 夜摩やま天てん宮ぐのごとし。 五ご百ひゃく億おくの微み妙みょうの宝珠ほうしゅありて、 もつて映飾ようじきとなせり。

釈迦毘楞伽宝ヲ以テ為セリ↢其ノ台ト↡。此ノ蓮花台ハ、八万ノ金剛・甄叔迦宝・梵摩1096尼宝・妙真珠網ヲ以テ為セリ↢交飾ト↡。於テ↢其ノ台上ニ↡自然ニシテ而シテ有リ↢四柱ノ宝幢↡。一々ノ宝幢ハ如クナリ↢百千万億ノ須弥山ノ↡。幢ノ上ノ宝縵ハ如クナリ↢夜摩天宮ノ↡。有リテ↢五百億ノ微妙ノ宝珠↡。以テ為セリ↢映飾スルコトヲ↡。

^◆一々いちいちの宝珠ほうしゅに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。 一々いちいちの光ひかり、 八万はちまん四し千せんの異い種しゅの金色こんじきをなす。 一々いちいちの金光こんこう、 その宝ほう土どにあまねくして、 処々しょしょに変へん化げして、 おのおの異い相そうをなす。 あるいは金剛こんごう台だいとなり、 あるいは真珠しんじゅ網もうとなり、 あるいは雑ざっ華け雲うんとなる。 十方じっぽうの面めんにおいて、 意こころに随したがひて変現へんげんして仏ぶつ事じを施作せさす。 ◆これを華座けざの想おもいとなす。

一々ノ宝珠ニ有リ↢八万四千ノ光↡。一々ノ光作ス↢八万四千ノ異種ノ金色ヲ↡。一々ノ金光遍クシテ↢其ノ宝*土ニ↡処処ニ変化シテ、*各 ノ作ス↢異相ヲ↡。或イハ為リ↢金剛台ト↡、或イハ作リ↢真珠網ト↡、或イハ作ル↢雑花雲ト↡。於テ↢十方ノ面ゴトニ↡随ヒテ↠意ニ変現シテ、施↢作ス仏事ヲ↡。是ヲ為ス↢花座ノ想ト↡。

^▲かくのごとき妙みょう華けは、 これ本もと法蔵ほうぞう比丘びくの願力がんりきの所しょ成じょうなり。 ◆もしかの仏ぶつを念ねんぜんと欲おもふものは、 まさに先まづこの華座けざの想おもいをなすべし。 この想おもいをなす時ときには雑観ざっかんすることを得えざれ。 みな一々いちいちにこれを観かんずべし。 一々いちいちの葉よう、 一々いちいちの珠しゅ、 一々いちいちの光こう、 一々いちいちの台だい、 一々いちいちの幢どう、 みな分ぶん明みょうならしめて、 鏡かがみのなかにみづから面像めんぞうを見みるがごとくせよ。

如キ↠此クノ妙花ハ是本法蔵比丘ノ願力ノ所成ナリ。若シ欲ハム↠念ゼムト↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、当ニシ↣先ヅ作ス↢此ノ花座ノ想ヲ↡。作サム↢此ノ想ヲ↡時ニハ不レ↠得↢雑観スルコトヲ↡。皆応シ↢一々ニ観ズ↟之ヲ。一々ノ葉、一々ノ珠、一々ノ光、一々ノ台、一々ノ幢、皆令メヨ↢分明ナラ↡。如クセヨ↧於テ↢鏡ノ中ニ↡自ラ見ルガ↦面像ヲ↥。

^▲この観かんをなすを、 名なづけて正しょう観かんとなす。 もし他た観かんするを、 名なづけて0936邪観じゃかんとなす」 と。

作ラム↢此ノ観ヲ↡者ヲ名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他ノ観ゼム者ヲバ名ケテ為スト↢邪観ト↡。」

^以い上じょう、 この座ざの相そうを観かんずるものは、 五ご万劫まんごうの生しょう死じの罪つみを滅除めつじょして、 必ひつ定じょうしてまさに極楽ごくらく世せ界かいに生うまるべし。

已上観ズル↢此ノ座ノ相ヲ↡者ハ、滅↢除シテ五万劫ノ生死之罪ヲ↡、必定シテ当ニシ↠生ル↢極楽世界ニ↡

・相好

 ^次つぎにまさしく相好そうごうを観かんず。 いはく、 阿あ弥陀みだ仏ぶつは華け台だいの上うえに坐ざして、 相好そうごう*炳然へいねんとして、 その身みを荘しょう厳ごんしたまへり。

次ニ正シク▼観ゼバ↢相好ヲ↡、謂ク阿弥陀仏ハ坐シテ↢花台ノ上ニ↡、相好炳然トシテ、荘↢厳シタマヘリ其ノ身ヲ↡。

・相好 1. 頂上肉髻

 ^一いちには、 ▲頂いただきの上うえの*肉髻にくけいはよく見みるものなし。 高顕こうけん周しゅう円えんなること、 なほ*天蓋てんがいのごとし。

一ニハ頂ノ上ノ肉髻ハ無シ↢能ク見ル者↡。高顕周円ナルコト猶如シ↢天蓋ノ↡。

^あるいは広ひろく観かんずることを楽ねがふものは、 次つぎに観かんずべし。 かの頂いただきの上うえに大だい光こう明みょうあり。 千せんの色いろを具ぐ足そくせり。 一々いちいちの色いろは、 八万はちまん四し千せんの支えだとなり、 一々いちいちの支えだのなかに八万はちまん四し千せんの化け仏ぶつまします。 化け仏ぶつの頂いただきの上うえより、 またこの光ひかりを放はなちたまふ。 この光ひかりあひ次ついで、 すなはち上じょう方ほうの無む量りょうの世せ界かいに至いたる。 上じょう方ほう界かいにおいても、 化けの菩ぼ薩さつありて、 雲くものごとくして下くだりて諸仏しょぶつを*囲い繞にょうしたてまつれり。

或イハ楽ハム↢広ク観ズルコトヲ↡者ハ、次ニ応シ↠観ズ。彼ノ頂ノ上ニ有リ↢大光明↡。具↢足セリ千ノ色ヲ↡。一々ノ色ハ作ル↢八万四千ノ支ト↡。一々ノ支ノ中ニ有ス↢八万四千ノ化仏↡。化仏ノ頂ノ上ヨリ亦放チタマフ↢此ノ光ヲ↡。此ノ光相次ギテ、乃チ至ル上方ノ无量ノ世界マデニス。於テモ↢上方界ニ↡有リテ↢化ノ菩薩↡、如クシテ↠雲ノ而下リテ囲↢遶シタテマツレリ諸仏ヲ↡。

^¬*大集だいじっ経きょう¼ にのたまはく、 「父母ぶも・師し僧そう・和わ上じょうを*恭く敬ぎょうして、 肉髻にくけいの相そうを得えたり」 と云々うんぬん。 もしこの相そうにおいて随ずい喜きを生しょうずるものは、 千億せんおく劫こうの極ごく重じゅうの悪業あくごうを除じょ却きゃくして、 三さん途ずに堕だせず。

¬大集経ニ¼云ク、「恭↢敬セル父母・師僧・和上ヲ↡、得タリト↢肉髻ノ相ヲ↡」云々。若シ於テ↢此ノ相ニ↡生ズル↢随喜ヲ↡者ハ、除↢却シテ千億劫ノ極重ノ悪業ヲ↡、不1097↠堕セ↢三途ニ↡

・相好 2. 頂上髪毛

 ^二にには、 頂いただきの上うえに八万はちまん四し千せんの髪毛ほつもうあり。 みな上うえに向むかひて靡なびき、 右みぎに旋めぐりて生おひたり。 永ながく*褫ち落らくすることなく、 また雑乱ぞうらんせず。 紺こん青じょう稠ちゅう密みつにして、 香潔こうけつ細軟さいなんなり。

二ニハ頂ノ上ニ八万四千ノ髪毛アリ。皆上ニ向ヒテ靡ナビキテ右ニ旋リテ而生オヒタリ。永ク无シ↢*褫落スルコト↡。亦不↢雑乱セ↡。紺青稠密ニシテ香潔細軟ナリ。

^もし広ひろく観かんずることを楽ねがふものは、 観かんずべし。 一々いちいちの毛もう孔くより旋めぐりて五ご0937の光ひかりをなせり。 もしこれを申のぶる時ときには、 修しゅ長じょうにして量はかりがたし。 釈しゃく尊そんの髪かみのごときは、 長ながさ*尼にく楼陀るだ精しょう舎じゃより父ふ王おうの宮くに至いたりて、 城しろを繞めぐること*七帀しちそうせり。 無む量りょうの光ひかりあまねく照てらして、 *紺こん琉璃るりの色いろをなし、 色いろのなかに化け仏ぶつあり、 称しょう数しゅすべからず。 この相そうを現げんじをはりて、 還かえりて仏ぶつの頂いただきに住じゅうして、 右みぎに旋めぐりて宛転えんでんして、 すなはち*蠡ら文もんとなる。

或モシ楽ハム↢広ク観ズルコトヲ↡者ハ、応シ↠観ズ。一々ノ毛孔ヨリ旋リテ生ナセリ↢五ノ光ヲ↡。若シ申ブル↠之ヲ時ニハ、修長ニシテ難シ↠量リ。如キハ↢*釈尊ノ髪ノ↡、長サ従リ↢尼楼陀精舎↡至リテ↢父王ノ宮ニ↡、遶ルコト↠城ヲ七帀セリ 無量ノ光普ク照シテ作シ↢紺*琉璃ノ色ヲ↡、色ノ中ノ化仏アリ不↠可カラ↢称数ス↡。現ジ↢此ノ相ヲ↡已リテ還リテ住シテ↢仏ノ頂ニ↡、右ニ旋リテ宛転シテ、即チ成ル↢*蠡文ト↡。

^¬大集だいじっ経きょう¼ にのたまはく、 「悪あく事じをもつて衆しゅ生じょうに加くわへざるがゆゑに、 髪毛ほつもう金こん精じょうの相そうを得えたり」 と。

¬大集*経ニ¼云ク、「不ルガ↧以テ↢悪事ヲ↡加ヘ↦衆生ニ↥故ニ、得タリト↢髪毛金精ノ相ヲ↡。」

・相好 3. 髪際有光

 ^三さんには、 その髪かみの際きわに五ご千せんの光ひかりあり。 *間錯けんざく分ぶん明みょうなり。 みな上うえに向むかひて靡なびきて、 もろもろの髪かみを囲い繞にょうせり。 頂いただきを繞めぐること五ご帀そうせり。 天てんの画師えしの所しょ作さの画え法ほうのごとし。 *団円だんえん正しょう等とうにして、 細ほそきこと一いっ糸しのごとし。 その糸いとのあひだにもろもろの化け仏ぶつを生しょうじ、 化けの菩ぼ薩さつありて、 もつて眷属けんぞくたり。 一切いっさいの*色像しきぞうまたなかにおいて見みゆ。

三ニハ於テ↢其ノ髪ノ際ニ↡有リ↢五千ノ光↡。間錯分明ナリ。皆上ニ向ヒテ靡ナビキテ囲↢遶セリ諸ノ髪ヲ↡。遶ルコト↠頂ヲ五帀セリ。如シ↢天ノ*画師ノ所作ノ*画法ノ↡。団円正等ニシテ細キコト如シ↢一絲ノ↡。於テ↢其ノ絲ノ間ニ↡生ゼリ↢諸ノ化仏ヲ↡。有リテ↢化ノ菩薩↡以テ為リ↢眷属↡。一切ノ色像亦於テ↠中ニ見ユ。

^広ひろく観かんずることを楽ねがふものは、 この観かんを用もちゐるべし。

楽ハム↢広ク観ズルコトヲ↡者ハ、可シ↠用ヰル↢此ノ観ヲ↡

・相好 4. 広長輪埵

 ^四しには、 ▲耳みみ厚あつく、 広ひろく長ながくして、 *輪りん埵だ成じょう就じゅせり。

四ニハ耳厚ク広ク長クシテ、輪埵成*就セリ。

^あるいは広ひろく観かんずべし。 七しちの毛けを旋めぐり生しょうじて、 五ごの光ひかりを流る出すいす。 その光ひかりに千せんの色いろあり。 色いろごとに千せんの化け仏ぶつまします。 仏ぶつごとに千せんの光ひかりを放はなちて、 あまねく十方じっぽうの無む量りょうの世せ界かいを照てらしたまふ。

或イハ応シ↢広ク観ズ↡。旋リ↢生シテ七ノ毛ヲ↡、流↢出ス五ノ光ヲ↡。其ノ光ニ千ノ色アリ。色ゴトニ千ノ化仏マシマス。仏ゴトニ放チテ↢千ノ光ヲ↡、遍ク照シタマフ↢十方ノ无量ノ世界ヲ↡。

^この*随好ずいこうの業因ごういんは勘かんがふべし。 ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ (意) にのたまはく、 「この好こうを観かんずるも0938のは、 八十はちじっ劫こうの生しょう死じの罪つみを滅めっし、 後世ごせにはつねに*陀羅だら尼にの人ひとと眷属けんぞくたり」 と云々うんぬん。 下去げこもろもろの利り益やく、 みなまた ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ によりて注ちゅうす。

此ノ随好之業因ハ可シ↠勘フ。¬観仏三昧経ニ¼云ク、「観ズル↢此ノ好ヲ↡者ハ、滅ス↢八*十劫ノ生死之罪ヲ↡。後世ニハ常ニ*与↢陀羅尼ノ人↡為リト↢眷属↡」云々。下去諸ノ利益、皆*亦依リテ↢¬観仏三昧経ニ¼↡而*注ス

・相好 5. 額広平正

 ^五ごには、 ▲額ひたい広ひろく平正びょうしょうにして、 形ぎょう相そう殊しゅ妙みょうなり。

五ニハ額広クシテ平正ニシテ形相殊妙ナリ。

^この*好こうの業因ごういんならびに利り益やくは勘かんがふべし。

此ノ*好ノ業因并ニ利益ハ可シ↠勘フ

・相好 6. 面輪円満

 ^六ろくには、 ▲*面輪めんりん円満えんまんにして、 *光沢こうたく熙怡きいなり。 *端たん正じょう皎きょう潔けつなること、 なほ秋あきの月つきのごとし。 双ならべる眉まゆの皎浄きょうじょうなること、 *天帝てんたいの弓ゆみに似にたり。 その色いろ比たぐいなくして、 紺こん琉璃るりの光ひかりあり。

六ニハ面輪円満ニシテ光沢熙怡ナリ。端正皎潔ナルコト猶如シ↢秋ノ月ノ↡。双ベル眉ノ皎浄ナルコト似タリ↢天帝ノ弓ニ↡。其ノ色*无クシテ↠比、*紺*流璃ノ光ナリ。

^来きたり求もとむるものを見みて歓かん喜ぎを生しょうずるがゆゑに、 面輪めんりん円満えんまんなり。 この相そうを観かんずるものは億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除じょ却きゃくして、 後ご身しんの生しょう処じょに、 まのあたり諸仏しょぶつを見みたてまつる。

見テ↢来リ求ムル者ヲ↡生ズルガ↢歓喜ヲ↡故ニ、面輪円満セリ。観ズル↢此ノ相ヲ↡者ハ除↢却シテ億劫ノ生死之罪ヲ↡、後身ノ生処ニ、面マノアタリ見タテマツル↢諸仏ヲ↡

・相好 7. 眉間白毫

 ^七しちには、 ▲眉み間けんの*白びゃく毫ごう、 右みぎに旋めぐりて宛転えんでんせり。 柔にゅう軟なんなること*覩羅とら綿めんのごとく、 鮮せん白びゃくなること*珂か雪せつに逾こえたり。

七ニハ眉間ノ白毫右ニ旋リテ宛転セリ。柔軟ナルコト如シ↢*覩羅綿ノ↡。鮮白ナルコト逾エタリ↢珂雪ニ↡。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 これを舒のぶれば、 直なおくして長ちょう大だいなること白びゃく琉璃るりの筒つつのごとく、 放はなちをはれば、 右みぎに旋めぐりて頗梨はり珠しゅのごとし。 丈じょう六ろくの仏ぶつの白びゃく毫ごうは*五ご丈じょうなり。 右みぎに旋めぐること経けい一寸いっすん、 周しゅう囲い三寸さんすん。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。舒ブレバ↠之ヲ直クシテ長大ナルコト如シ↢白*琉璃ノ筒ノ↡。*放チ已レバ右ニ旋リテ如シ↢頗梨珠ノ↡。丈六ノ仏ノ白毫ハ、*五丈ナリ。右ニ旋ルコト*経一寸、周囲*三寸

^十方じっぽうの面めんにおいて、 無む量りょうの光ひかりを現げんずること、 万億まんおくの日ひのごとくして、 つぶさに見みるべからず。 ただ光ひかりのなかに、 もろもろの蓮れん華げを現げんず。 上かみは無む量りょう塵数じんじゅの世せ界かいを過すぐるまで0939、 華々けけあひ次ついで、 団円だんえん正しょう等とうなり。

於テ↢十方1098ノ面ニ↡現ズルコト↢无量ノ光ヲ↡如クシテ↢万億ノ日ノ↡、不↠可カラ↢具ニ見ル↡。但於テ↢光ノ中ニ↡現ズ↢諸ノ蓮花ヲ↡。上ハ過グルマデニ↢無量塵数ノ世界ヲ↡、花々相次ギテ、団円正等ナリ。

^一々いちいちの華けの上うえに、 一いちの化け仏ぶつ坐ざしたまへり。 相好そうごう荘しょう厳ごんし、 眷属けんぞく囲い繞にょうせり。 一々いちいちの化け仏ぶつまた無む量りょうの光ひかりを出いだし、 一々いちいちの光ひかりのなかにまた無む量りょうの化け仏ぶつまします。 このもろもろの世せ尊そんは、 行ぎょうずるもの無む数しゅ、 住じゅうするもの無む数しゅ、 坐ざするもの無む数しゅ、 臥がするもの無む数しゅにして、 あるいは大だい慈じ大だい悲ひを説とき、 あるいは三さん十じゅう七しち品ほん、 あるいは六ろっ波羅ぱら蜜みつ、 あるいはもろもろの*不共ふぐの法ほうを説とく。

一々ノ花ノ上ニ一ノ化仏坐シタマヘリ。相好荘厳シ、眷属囲遶セリ。一々ノ化仏復出シタマフ↢无量ノ光ヲ↡。一々ノ光ノ中ニ亦无量ノ化仏マシマス。是ノ諸ノ世尊ハ、行ズル者無数ナリ。住スル者無数ナリ。坐スル者無数ナリ。臥スル者无数ナリ。或イハ説ク↢大慈大悲ヲ↡。或イハ説ク↢卅七品*或イハ六波羅*蜜*或イハ諸ノ不共ノ*法ヲ↡。

^もし広ひろく説とかば、 一切いっさい衆しゅ生じょうより十じゅう地じの菩ぼ薩さつに至いたるまで、 またこれを知しることあたはじ。

若シ広ク説カバ者、一切衆生ヨリ至ルマデニ↢十地ノ菩薩ニ↡、亦不↠能ハ↠知ルコト↠之ヲ。

^¬大集だいじっ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「他たの徳とくを隠かくさず、 その徳とくを*称しょう揚ようして、 この相そうを得えたり」 と。 ¬*観仏かんぶつ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「無む量りょう劫こうより昼ちゅう夜やに精しょう進じんして身心しんしん懈おこたることなきこと、 *頭ず燃ねんを救はらふがごとくして、 六ろく度ど・三さん十じゅう七しち品ほん・十じゅう力りき・無畏むい・大だい慈じ大だい悲ひのもろもろの妙みょう功く徳どくを勤修ごんしゅして、 この白びゃく毫ごうを得えたり。 この相そうを観かんずるものは、 九く十じゅう六億ろくおく那由なゆ他た恒ごう河が沙しゃ微み塵じん数しゅ劫こうの生しょう死じの罪つみを除じょ却きゃくす」 と。

¬大集*経ニ¼云ク、「不シテ↠隠サ↢他ノ徳ヲ↡称↢揚セル其ノ徳ヲ↡、得タリト↢此ノ相ヲ↡。」¬観仏経ニ¼云ク、「従リ↢无量劫↡昼夜ニ精進シテ身心无キコト↠懈ルコト、如クシテ↠救フガ↢頭ノ燃ヒヲ↡勤↢修シテ六度・卅七品・十力・无畏・大慈大悲ノ、諸ノ妙功徳ヲ↡、得タリ↢此ノ白*毫ヲ↡。観ズル↢此ノ相ヲ↡者ハ、除↢却スト九十六億那由他恒河沙微塵数劫ノ生死之罪ヲ↡。」

・相好 8. 牛王眼睫

 ^八はちには、 如来にょらいの*眼げん睫しょうはなほ牛ご王おうのごとし。 紺こん青じょうにして斉ひとしく整ととのほりて、 あひ雑乱ぞうらんせず。

八ニハ如来ノ眼睫ハ、猶*如シ↢牛王ノ↡。紺青ニシテ斉ヒトシク整ホリテ不↢相雑乱セ↡。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 上じょう下げにおのおの生しょうじて、 五ご百ひゃくの毛けあり。 *優う曇どん華げの鬚ひげのごとくして、 柔にゅう軟なんにして愛あい楽ぎょうすべし。 一々いちいちの毛端もうたんより一いちの光ひかりを流る出すいす。 頗梨はりの色いろのごとくして、 頭かしらを繞めぐること一帀いっそうし、 もつぱらに微み妙みょうのもろもろ0940の青しょう蓮れん華げを生しょうず。 一々いちいちの華け台だいに*梵天ぼんてん王のうありて、 青しょう色しきの蓋がいを執とれり。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。上下ニ各 ノ生ジテ有リ↢五百ノ毛↡。如クシテ↢優曇花ノ*鬚ノ↡柔軟ニシテ可シ↢愛楽ス↡。一々ノ毛端ヨリ流↢出ス一ノ光ヲ↡。如クシテ↢頗梨ノ色ノ↡、遶ルコト↠頭ヲ一帀シ、純モハラニ生ズ↢微妙ノ諸ノ青蓮花ヲ↡。一々ノ華台ニ有リテ↢梵天王↡、執レリ↢青色ノ蓋ヲ↡。

^¬大集だいじっ経きょう¼ にのたまはく、 「心しんを至いたして無む上じょう菩ぼ提だいを求もとめしがゆゑに、 牛ご王おうの睫しょうの相そうを得えたり」 と。 ¬大だい経きょう¼ (*涅槃経) にのたまはく、 「怨憎おんぞうを見みて善心ぜんしんをなすがゆゑに」 と。

¬大集*経ニ¼云ク、「至シテ↠心ヲ*求ムルガ↢无上菩提ヲ↡故ニ得タリト↢牛王ノ睫ノ相ヲ↡。」¬大経ニ¼云ク、「見テ↢於怨*増ヲ↡生ナスガ↢於善心ヲ↡故ニト。」

・相好 9. 青白眼相

 ^九くには、 ▲仏眼ぶつげんは青白しょうびゃくにして上じょう下げともに眴まじろく。 白しろきものは白びゃく宝ほうに過すぎたり。 青あおきものは青しょう蓮れん華げに勝すぐれたり。

九ニハ仏眼ハ青白ニシテ上下倶ニ眴マジログ。白キ者ハ過ギタリ↢白宝ニ↡。青キ者ハ勝レタリ↢青蓮花ニ↡。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 眼げんより光こう明みょうを出いだしたまふに、 分わかれて四支ししとなりて、 あまねく十方じっぽうの無む量りょうの世せ界かいを照てらす。 青あおき光ひかりのなかには青あおき色いろの化け仏ぶつましまし、 白しろき光ひかりのなかには白しろき色いろの化け仏ぶつまします。 この青白しょうびゃくの化け仏ぶつ、 またもろもろの神通じんずうを現げんじたまふ。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。眼ヨリ出シタマフニ↢光明ヲ↡、分レテ為ル↢四支ト↡。遍ク照ス↢十方ノ无量ノ世界ヲ↡。於青キ光ノ中ニハ有ス↢青キ色ノ化仏↡、於白キ光ノ中ニハ有ス↢白キ色ノ化仏↡。此ノ青白ノ化仏復現ジタマフ↢諸ノ神通ヲ↡。

^¬大集だいじっ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「慈じ心しんを修しゅ集じゅうし、 衆しゅ生じょうを愛あい視しして、 紺色こんじきの目めの相そうを得えたり」 と云々うんぬん。 小しょう時じのあひだにおいても、 この相そうを観かんずるものは、 未み来らいの生しょう処じょに、 眼げんつねに明浄みょうじょうにして、 眼根げんこんに病やまいなく、 七劫しちこうの生しょう死じの罪つみを除じょ却きゃくす。

¬大集経ニ¼云ク、「修↢集シ慈心ヲ↡、愛↢視シテ衆生ヲ↡、得タリト↢*紺色ノ目ノ相ヲ↡」云*々。於テモ↢小時ノ間ニ↡、観ズル↢此ノ相ヲ↡者ハ、未来ノ生処ニ、眼常ニ明浄ニシテ、眼根ニ无シ↠病。除↢却ス七劫ノ生死之罪ヲ↡

・相好 10. 鼻修高直

 ^十じゅうには、 ▲鼻はな修ながく、 高たかく直なおくして、 その孔あな現げんぜず。 鋳いたる*金こん鋌じょうのごとく、 鸚おう鵡むの嘴くちばしのごとし。 表裏ほかうち清浄しょうじょうにしてもろもろの*塵翳じんえいなし。 二にの光こう明みょうを出いだしてあまねく十方じっぽうを照てらし、 変へんじて種々しゅじゅの無む量りょうの仏ぶつ事じをなす。

十ニハ鼻修ナガク高ク直クシテ、其ノ孔不↠現ゼ。如ク↠鋳1099タルガ↢金*鋌ノ↡、如シ↢鸚鵡ノ嘴ノ↡。表ホカ裏ウラ清浄ニシテ无シ↢諸ノ塵翳↡。出シテ↢二ノ光明ヲ↡遍ク照シテ↢十方ヲ↡、変ジテ↢作ス種々ノ无量ノ仏事ヲ↡。

^この随好ずいこうを観かんずるものは千劫せんごうの罪つみを滅めっし、 未み来らいの生しょう処じょにて上妙じょうみょうの香こうを聞かぎ、 つねに*戒香かいこうをもつて身みの*瓔珞ようらくとなす。

観ズル↢此ノ随好ヲ↡者ハ滅シ↢千劫*之罪ヲ↡、未来ノ生処ニテ聞カギ↢上妙ノ香ヲ↡、常ニ以テ↢戒香ヲ↡為ス↢身ノ瓔*珞ト↡

・相好 11. 脣色赤好

 ^0941十じゅう一いちには、 ▲唇くちびるの色いろ、 赤しゃく好こうなること*頻びん婆菓ばかのごとし。 上じょう下げあひ称かなへること、 *量はかりのごとくにして厳麗ごんらいなり。

十一ニハ脣ノ色赤好ナルコト如シ↢頻婆菓ノ↡。上下相称カナヒテ如↠量厳麗ナリ。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 団円だんえんの光こう明みょう、 仏ぶつの口くちより出いでて、 なほ百ひゃく千せんの赤あかき真珠しんじゅの貫つらぬくがごとくして、 鼻はなと白びゃく毫ごうと髪かみとのあひだに入出にゅうしゅつす。 かくのごとく展転てんでんして、 *円光えんこうのなかに入いる。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。団円ノ光明従リ↢仏ノ口↡出デテ、猶如クシテ↢百千ノ赤キ真珠ノ貫ノ↡、入↢出シ於鼻ト白毫ト髪トノ間ニ↡、如ク↠是クノ展転シテ入ル↢円光ノ中ニ↡。

^この唇くちびるの随好ずいこうの業ごう等とうは勘かんがふべし。

此ノ脣ノ随好ノ業等ハ可シ↠勘フ

・相好 12. 歯斉浄密

 ^十じゅう二にには、 ▲四し十じゅうの歯はは、 斉ひとしく、 浄きよく密みつにして根ね深ふかく、 白しろきこと珂か雪せつに逾こえたり。 つねに光こう明みょうあり。 その光ひかり紅ぐ白びゃくにして、 人ひとの目めを映耀ようようす。

十二ニハノ歯ハ斉ヒトシク、浄ク密シゲクシテ根深シ。白キコト逾エタリ↢*河雪ニ↡。常ニ有リ↢光明↡。其ノ光紅白ニシテ、映↢耀ス人ノ目ヲ↡。

^¬*大だい経きょう¼ (涅槃経) にのたまはく、 「両りょう舌ぜつ・悪あっ口く・*恚い心しんを遠おん離りして、 四し十じゅうの歯は、 鮮せん白びゃく斉密ざいみつなる相そうを得えたり」 と云々うんぬん。

¬*大経ニ¼云ク、「遠↢離シテ両舌・悪口・恚心ヲ↡、得タリト↢ノ歯鮮白斉密ナル相ヲ↡」*云々

・相好 13. 四牙鮮白

 ^十じゅう三さんには、 四しの牙きば、 鮮せん白びゃく光潔こうけつにして鋒利ふりなること、 月つきのはじめて生いづるがごとし。

十三ニハ四ノ牙鮮白光潔ニシテ鋒利ナルコト、如シ↢月ノ初テ*生イヅルガ↡。

^¬大だい集じゅう¼ にのたまはく、 「身しん口意くい浄きよきがゆゑに、 四牙しげ、 白びゃくの相そうを得えたり」 と云々うんぬん。 この唇くちびる・口くち・歯はの相そうを観かんずるものは、 二に千劫せんごうの罪つみを滅めっす。

¬大*集ニ¼云ク、「身口意浄キガ故ニ、得タリト↢*四牙白ノ相ヲ↡」云々。観ズル↢此ノ脣・口・歯ノ相ヲ↡者ハ、滅ス↢二千劫*之罪ヲ↡

・相好 14. 広長舌相

 ^十じゅう四しには、 ▲世せ尊そんの舌相ぜっそうは、 薄うすく浄きよくして、 広ひろく長ながし。 よく面輪めんりんを覆おおひて、 耳に髪ほつの際きわより、 乃ない至し梵天ぼんてんに至いたる。 その色いろ、 赤しゃく銅どうのごとし。

十四ニハ世尊ノ舌相ハ、薄ク浄クシテ広ク長シ。能ク覆ヒテ↢面輪ヲ↡至リ↢耳髪ノ際ニ↡、乃至梵天マデニス。其ノ色如シ↢赤銅ノ↡。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 舌したの上うえに五ごの画えあり、 なほ*印文いんもんのごとし。 笑えみたまふ時とき、 舌したを動うごかすに五ご0942の色光しきこうを出いだし、 仏ぶつを繞めぐること七帀しちそうして、 還かえりて頂いただきより入いる。 あらゆる*神変じんぺんは無む量りょう無む辺へんなり。

或イハ次ニ可シ↢広ク観ズ↡。舌ノ上ニ五ノ*画アリ、猶如シ↢印文ノ↡。笑ミタマフ時ニハ、動スニ↠舌ヲ出シテ↢五ノ色光ヲ↡、遶ルコト↠仏ヲ七帀シテ還リテ従リ↠頂入ル。所有ノ神変ハ無量無辺ナリ。

^¬大だい集じゅう¼ にのたまはく、 「*口くの四しの過とがを護まもりて、 広こう長じょうの舌相ぜっそうを得えたり」 と云々うんぬん。 この相そうを観かんずるものは、 百ひゃく億おく八万はちまん四し千劫せんごうの罪つみを除のぞきて、 他世たせに八はち十じゅう億おくの仏ぶつに値あふ。

¬大*集ニ¼云ク、「護リテ↢口ノ四ノ過ヲ↡得タリト↢広長ノ舌ノ相ヲ↡」云々。観ズル↢此ノ相ヲ↡者ハ、除キテ↢百億八万四千劫ノ罪ヲ↡、他世ニ値フ↢八十億ノ仏ニ↡

・相好 15. 舌下宝珠

 ^十じゅう五ごには、 舌したの下もとの両りょう辺へんに二にの宝珠ほうしゅあり。 甘かん露ろを流る注ちゅうして、 舌根ぜっこんの上うえに滴したづ。 諸天しょてん・世せ人にん・十じゅう地じの菩ぼ薩さつもこの舌根ぜっこんなく、 またこの味あじはひなし。

十五ニハ舌ノ下ノ両辺ニ有リ↢二ノ宝珠↡。流↢注シテ甘露ヲ↡*滴ヅ↢舌根ノ上ニ↡。諸天・世人・十地ノ菩薩モ无ク↢此ノ舌根↡、亦无シ↢此ノ味↡。

^¬*大だい般若はんにゃ¼ に異い説せつあり。 勘かんがふべし。 ¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「飲食おんじきを施与せよするがゆゑに、 上じょう味みの相そうを得えたり」 と。

¬*大般若ニ¼有リ↢異説↡。可シ↠勘フ。¬大経ニ¼云ク、「飲食ヲ施与スルガ故ニ、得タリト↢上味ノ相ヲ↡。」

・相好 16. 瑠璃咽喉

 ^十じゅう六ろくには、 ▲如来にょらいの咽喉いんこうは*瑠璃るりの筒つつのごとし。 状かたちは蓮れん華げを累かさねたるがごとし。 出いだしたまふところの音おん声じょうは*詞し韻いん和雅わげにして、 等ひとしく聞きこえずといふことなし。 その声こえ洪おおきに震ふるひて、 なほ天てんの鼓つづみのごとく、 発おこしたまふところの言ごんは、 *均えんきんとして*迦か陵りょう頻びんの音こえのごとし。 *任運にんうんによく大千だいせん世せ界かいに遍へんす。 もし*作意さいしたまふ時ときには無む量りょう無む辺へんなり。 しかも衆しゅ生じょうを利りせんがために、 類るいに随したがひて増減ぞうげんせず。

十六ニハ如来ノ咽喉ハ如シ↢*瑠璃ノ筒ノ↡、状ハ如シ↠累ネタルガ↢蓮花ヲ↡。所出ノ音声ハ詞韻和雅ニシテ、无シ↠不トイフコト↢等シク聞エ↡。其ノ声洪キニ震ヒテ、猶如シ↢天ノ鼓ノ↡、所発ノ言ハ均トシテ如シ↢伽陵頻ノ音ノ↡。任運ニ能ク遍ス↢大千世界ニ↡。若シ作意シタマフ時ニハ无量无辺ナリ。然モ為ニ↠利セムガ↢衆生1100ヲ↡、*随ヒテ↠類ニ不↢増減セ↡。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「かの短たんを訟あらそはず、 正しょう法ぼうを謗ほうぜずして、 *梵ぼん音のん声じょうの相そうを得えたり」 と。 ¬大だい集じゅう¼ にのたまはく、 「もろもろの衆しゅ生じょうにおいて、 つねに柔にゅう軟なんに語かたりしがゆゑに」 と0943云々うんぬん。

¬大経ニ¼云ク、「不↠訟ハ↢彼ノ短ヲ↡、不シテ↠謗ゼ↢正法ヲ↡、得タリト↢梵音声ノ相ヲ↡」¬大*集ニ¼云ク、「於テ↢諸ノ衆生ニ↡、常ニ柔軟ノ語スルガ故ニト」云々

・相好 17. 頚出円光

 ^十じゅう七しちには、 頚くびより円光えんこうを出いだしたまふ。 咽喉いんこうの上うえに*点相てんそうありて分ぶん明みょうなり。 一々いちいちの点てんのなかに一々いちいちの光ひかりを出いだす。 その一々いちいちの光ひかり、 前さきの円光えんこうを繞めぐりて七帀しちそうを満足まんぞくして、 衆画しゅかく分ぶん明みょうなり。

十七ニハ頚ヨリ出シタマフ↢円光ヲ↡。咽喉ノ上ニ有リテ↢点相↡分明ナリ。一々ノ点ノ中ニ出ス↢一々ノ光ヲ↡。其ノ一々ノ光遶リテ↢前ノ円光ヲ↡満↢足シテ七帀ヲ↡、衆*画分明ナリ。

^一々いちいちの画かくのあひだに妙みょう蓮れん華げあり。 華けの上うえに七仏しちぶつまします。 一々いちいちの化け仏ぶつにおのおの七しち菩ぼ薩さつありて、 もつて侍じ者しゃとなせり。 一々いちいちの菩ぼ薩さつ、 如にょ意い珠しゅを執とれり。 その珠しゅに金光こんこうあり。 青しょう・黄おう・赤しゃく・白びゃくおよび摩尼まにの色いろ、 みなことごとく具ぐ足そくして、 諸光しょこうを囲い繞にょうせり。 上じょう下げ・左右さう、 おのおの一尋いちじんにして、 仏ぶつの頚くびを囲い繞にょうして、 了々りょうりょうなること画えのごとし。

一々ノ*画ノ間ニ有リ↢妙蓮花。花ノ上ニ有ス↢七仏↡。一々ノ化仏ニ各 ノ有リテ↢七菩薩↡以テ為セリ↢侍者ト↡、一々ノ菩薩執レリ↢如意珠ヲ↡。其ノ珠ニ金光アリ。青・黄・赤・白及ビ摩尼ノ色皆悉ク具足シテ、囲↢遶セリ諸光ヲ↡。上下・左右ニ各々一尋ニシテ、囲↢遶シテ仏ノ頚ヲ↡、了々ナルコト如シ↠*画ノ。

^¬*無む上じょう依え経きょう¼ (意) にのたまはく、 「衣え服ぶく・飲食おんじき・車しゃ乗じょう・臥具がぐ、 もろもろの荘しょう厳ごんの物ものを歓かん喜ぎして施与せよし、 身しん金色こんじきにして、 円光えんこう一いち丈じょうなる相そうを得えたり」 と。

¬无上依経ニ¼云ク、「衣服・飲食・車乗・臥具、諸ノ荘厳ノ物ヲ歓喜シテ施与シテ、得タリト↢身金色ニシテ円光一丈ナル相ヲ↡。」

・相好 18. 頚出二光

 ^十じゅう八はちには、 頚くびより二にの光ひかりを出いだす。 その光ひかり万色まんじきありて、 あまねく十方じっぽうの一切いっさいの世せ界かいを照てらす。 この光ひかりに遇あふものは辟びゃく支し仏ぶつとなる。 この光ひかり、 もろもろの辟びゃく支し仏ぶつの頚くびを照てらす。 この相そう現げんずる時とき、 行ぎょう者じゃ、 あまねく十方じっぽう一切いっさいのもろもろの辟びゃく支し仏ぶつの、 鉢はちを虚こ空くうに擲なげて十じゅう八はち変へんをなし、 一々いちいちの足あしの下したにみな文もん字じありて、 その字じ、 十じゅう二に因縁いんねんを宣説せんぜつするを見みる。

十八ニハ頚ヨリ出ス↢二ノ光ヲ↡。其ノ光万色アリテ、遍ク照ス↢十方ノ一切ノ世界ヲ↡。遇フ↢此ノ光ニ↡者ハ成ル↢辟支仏ト↡。此ノ光照ス↢諸ノ辟支仏ノ頚ヲ↡。此ノ相現ズル時ニ、行者遍ク見ルニ↢十方ノ一切ノ諸ノ辟支仏ヲ↡、擲ゲテ↢鉢ヲ虚空ニ↡作ス↢十八変ヲ↡。一々ノ足ノ下ニ皆有リテ↢文字↡、其ノ字宣↢説ス十二因縁ヲ↡。

・相好 19. 欠瓫骨満

 ^0944十じゅう九くには、 *欠瓫けつぼん骨満こつまんの相そうあり。 光ひかり十方じっぽうを照てらすに、 虎こ魄はくの色いろをなす。 この光ひかりに遇あふものは声しょう聞もんの意こころを発おこす。 このもろもろの声しょう聞もん、 この光こう明みょうを見みるに、 分わかれて十じっ支しとなる。 一いっ支しに千せんの色いろ、 十じっ千せんの光こう明みょうあり。 光ひかりごとに化け仏ぶつまします。 一々いちいちの化け仏ぶつに四しの比丘びくありて、 もつて侍じ者しゃとなり、 一々いちいちの比丘びくはみな、 苦く・空くう・無む常じょう・無我むがを説とく。

十九ニハ*欠瓫骨満ノ相アリ。光照スニ↢十方ヲ↡作ス↢虎魄ノ色ヲ↡。遇フ↢此ノ光ニ↡者ハ発ス↢声聞ノ意ヲ↡。是ノ諸ノ声聞見ルニ↢此ノ光明ヲ↡、*分レテ為ル↢十支ト↡。一支ニ千ノ色、十千ノ光明アリ。光ゴトニ有ス↢化仏↡。一々ノ化仏ニ有リテ↢四ノ比丘↡以テ為リ↢侍者ト↡、一々ノ比丘ハ皆説ク↢苦・空・無常・無我ヲ↡。

^以い上じょう三種さんしゅは、 広ひろく観かんずることを楽ねがふもの、 これを用もちゐるべし。

已上三種ハ、楽フ↢広ク観ズルコトヲ↡者、応シ↠用ヰル↠之ヲ

・相好 20. 肩項円満

 ^二に十じゅうには、 ▲世せ尊そんの肩かた・項うなじは円満えんまん殊しゅ妙みょうなり。

廿ニハ世尊ハ肩*項ウナジハ円満殊妙ナリ。

^¬*法ほっ華けの文もん句ぐ¼ (意) にいはく、 「つねに施せをして増ぞう長じょうせしめたるがゆゑに、 この相そうを得えたり」 と。

¬法花ノ文句ニ¼云ク、「恒ニ令ムルガ↢施ヲシテ増長セ↡故ニ、得タリト↢此ノ相ヲ↡」

・相好 21. 腋下充実

 ^二に十じゅう一いちには、 如来にょらいの腋わきの下したはことごとくみな充じゅう実じつなり。 紅紫ぐしの光ひかりを放はなちて、 もろもろの仏ぶつ事じをなし、 衆しゅ生じょうを利り益やくす。

廿一ニハ如来ノ腋ノ下ハ悉ク皆充実ナリ。放チテ↢紅紫ノ光ヲ↡作シ↢諸ノ仏事ヲ↡、利↢益ス衆生ヲ↡。

^¬無む上じょう依え経きょう¼ (意) にのたまはく、 「衆しゅ生じょうのなかにおいて利り益やくの事じをなし、 四し正しょう勤ごんを修しゅして、 心しんに畏おそるるところなくして、 両りょうの肩かた平整びょうしょうにして、 腋わきの下した満みてる相そうを得えたり」 と。

¬无上依経ニ¼云ク、「於テ↢衆生ノ中ニ↡為シ↢利益ノ事ヲ↡、修シテ↢四正勤ヲ↡、心ニ无クシテ↢所畏↡、得タリト↢両ノ肩*平整ニシテ而腋ノ下満テル*相ヲ↡」

・相好 22. 臂肘明直

 ^二に十じゅう二にには、 ▲仏ぶつの*双そう臂ひ肘ちゅう、 明直みょうちょくにして*円ようえんなること象王ぞうおうの鼻はなのごとく、 平立びょうりゅうせるに膝ひざを摩なづ。

廿二ニハ仏ノ双臂1101肘、明ヒカラカニ直ク円ナルコト如ク↢象王ノ鼻ノ↡、平立セルニ摩ナヅ↠膝ヲ。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 手しゅ掌しょうに*千輻せんぷくの理あやあり。 おのおの百ひゃく千せんの光ひかりを放はなちてあまねく十方じっぽうを照てらすに、 化けして金水こんすいとなる。 金水こんすいのなかに一いちの妙みょう水すいあり、 水すい精しょうの色いろのごとし。 餓鬼がきは見みて熱ねつを除のぞき、 畜ちく生しょうは宿命しゅくみょうを識さとり0945、 狂きょう象ぞうの見みるは獅子しし王おうとなり、 獅子ししは*金こん翅じ鳥ちょうと見み、 諸しょ竜りゅうもまた金こん翅じ鳥ちょう王おうと見みる。 このもろもろの畜ちく生しょう、 おのおの尊とうとぶところと見みて、 心しんに恐怖くふを生しょうじて、 合がっ掌しょうし恭く敬ぎょうす。 恭く敬ぎょうするをもつてのゆゑに、 命終みょうじゅうして天てんに生うまる。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。手掌ニ千*輻ノ理アヤアリ、各 ノ放チテ↢百千ノ光ヲ↡遍ク照スニ↢十方ヲ↡、化シテ成ル↢金水ト↡。金水之中ニ有リ↢一ノ妙水↡、如シ↢水精ノ色ノ↡。餓鬼ハ見テ除ク↠熱ヲ、畜生ハ識サトル↢宿命ヲ↡。狂*像ノ見ル者為リ↢師子王ト↡。師子ハ見ル↢金翅鳥ト↡。諸竜モ亦見ル↢金翅鳥王ト↡。是ノ諸ノ畜生各 ノ見テ↢*所尊ト↡、心ニ生ジテ↢恐怖ヲ↡、合掌シ恭敬ス。以テノ↢恭敬スルヲ↡故ニ命終シテ生ル↠天ニ。

^¬大だい集じゅう¼ にのたまはく、 「怖畏ふいあるを救護くごして、 臂ひ肘ちゅう、 ようなることを得え、 他たの事じ業ごうを見みて佐さ助じょせしがゆゑに、 *手しゅ摩ま膝しつの相そうを得えたり」 と。

¬大*集ニ¼云ク、「救↢護セル怖畏アルヲ↡、得↢臂肘ナルコトヲ↡。見テ↢他ノ事業ヲ↡佐助セルガ故ニ、得タリト↢手摩膝ノ相ヲ↡」

・相好 23. 諸指円満

 ^二に十じゅう三さんには、 ▲もろもろの指ゆび円満えんまんし、 充じゅう密みつ繊せん長じょうにして、 はなはだ愛あい楽ぎょうすべし。 一々いちいちの端はしに、 おのおの*万まん字じを生しょうぜり。 その爪つめ光潔こうけつなること、 華け赤しゃく銅どうのごとし。

廿三ニハ諸ノ指円満シ充密繊長ニシテ、甚ダ可シ↢愛楽ス↡。於テ↢一々ノ端ニ↡各 ノ生ゼリ↢万字ヲ↡。其ノ爪光潔ナルコト如シ↢花赤銅ノ↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (*瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろの尊そん長ちょうにおいて、 恭く敬ぎょうし、 礼拝らいはいし、 合がっ掌しょうし、 起き立りゅうせしがゆゑに、 指ゆび繊せん長じょうなる相そうを得えたり」 と。

¬瑜*伽ニ¼云ク、「於テ↢諸ノ尊長ニ↡、恭敬シ礼拝シ、合掌シ起立スルガ故ニ、得タリト↢*指繊長ナル*相ヲ↡」

・相好 24. 指間網

 ^二に十じゅう四しには、 ▲一々いちいちの指ゆびのあひだは、 なほ雁王がんおうのごとく、 ことごとく*網まんもうあり。 金色こんじき交きょう絡らくして、 *文もん、 綺画きえに同おなじ。 *閻えん浮ぶ金ごんに勝すぐれたること百ひゃく千せん万億まんおくなり。 その色いろ明みょう達だつにして、 眼界げんかいに過すぎたり。 張はれる時ときにはすなはち見みゆれども、 指ゆびを斂おさむれば見みえず。

廿四ニハ一々ノ指ノ間ハ、猶如ク↢雁王ノ↡、咸ク有リ↢網↡。金色交絡シテ、文同ジ↢綺*画ニ↡。勝レタルコト↢閻浮金ニ↡百千万億ナリ。其ノ色明達ニシテ過ギタリ↢於眼界ニ↡。張レル時ニハ則チ見ユレドモ。*斂オサムレバ↠指ヲ不↠見エ。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「四し摂しょうの法ほうを修しゅして、 衆しゅ生じょうを摂取せっしゅせしがゆゑに、 この相そうを得えたり」 と。

¬*大経ニ¼云ク、「修シテ↢四摂ノ法ヲ↡、摂↢取セルガ衆生ヲ↡故ニ、得タリト↢此ノ相ヲ↡」

・相好 25. 其手柔軟

 ^二に十じゅう五ごには、 ▲その手て柔にゅう軟なんなること覩羅とら綿めんのごとくして、 一切いっさいに勝しょう過がして、 内ない外げ0946にともに握にぎる。

廿五ニハ其ノ手柔軟ナルコト如クシテ↢*覩羅綿ノ↡、勝↢過シテ一切ニ↡、内外ニ倶ニ握ル。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「父母ぶも・*師し長ちょうの、 もし病びょう苦くするに、 みづから手てをもつて洗あらひ拭のごひ、 捉そく持じし、 *安あん摩ませしがゆゑに、 手軟しゅなんの相そうを得えたり」 と。

¬*大経ニ¼云ク、「父母・師長ノ若シ病*苦スルニ、自ラ手ヲモテ洗ヒ拭ノゴヒ、捉持シ安摩セルガ故ニ、得タリト↢手軟ノ相ヲ↡」

・相好 26. 頷臆広大

 ^二に十じゅう六ろくには、 ▲世せ尊そんの頷おとがい・臆むね、 ならびに身しんの上じょう半はんの、 威い容よう広大こうだいなること獅子しし王おうのごとし。

廿六ニハ世尊ノ頷オトガヒ・臆并ニ身ノ上半ハ、威容広大ナルコト如シ↢師子王ノ↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろの有う情じょうの、 如法にょほうの所しょ作さにおいてよく上じょう首しゅたれども、 しかも助伴じょばんとなりて*我が慢まんを離はなれ、 もろもろの*獷捩こうれいなかりしがゆゑに、 この相そうを得えたり」 と。

¬瑜伽ニ¼云ク、「於テ↢諸ノ有情ノ如法ノ所作ニ↡能ク為レドモ↢上首↡、而モ作リテ↢助伴ト↡離レ↢於我慢ヲ↡、无キガ↢諸ノ*獷*捩↡故ニ、得タリト↢此ノ相ヲ↡」

・相好 27. 胸有万字

 ^二に十じゅう七しちには、 胸みむねに万まん字じあり。 実相じっそうの印いんと名なづけ、 大だい光こう明みょうを放はなつ。

廿七ニハ胸ニ有リ↢万字↡。名ク↢*実相ノ印ト↡。放ツ↢大光明ヲ↡。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 光ひかりのなかに無む量りょう百ひゃく千せんのもろもろの華けありて、 一々いちいちの華けの上うえに無む量りょうの化け仏ぶつまします。 このもろもろの化け仏ぶつ、 おのおの千せんの光ひかりありて、 衆しゅ生じょうを利り益やくす。 乃ない至し、 あまねく十方じっぽうの仏ぶつの頂いただきに入いる。 時ときに、 もろもろの仏ぶつの胸みむねより百ひゃく千せんの光ひかりを出いだし、 一々いちいちの光ひかり、 六ろっ波羅ぱら蜜みつを説とく。 一々いちいちの化け仏ぶつ、 一いちの化け人にんの、 端たん正じょう微み妙みょうにして状かたち弥み勒ろくのごときを遣つかはして、 行ぎょう者じゃを安あん慰にせしむ。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。光ノ中ニ有リテ↢无量百千ノ衆ノ花↡、一々ノ花ノ上ニ有ス↢無量ノ化仏↡。是ノ諸ノ化仏各 ノ有リテ↢千ノ光↡、利↢益ス衆生ヲ↡。乃至遍ク入1102ル↢十方ノ仏ノ頂ニ↡。時ニ諸ノ仏ノ胸ヨリ出シタマフ↢百千ノ光ヲ↡。一々ノ光説ク↢六波羅蜜ヲ↡。一々ノ化仏遣シテ↢一ノ化人ノ端正微妙ニシテ状カタチ如キヲ↢弥勒ノ↡、安↢慰セシム行者ヲ↡。

^この相そうの光ひかりを見みるものは、 十じゅう二に億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞく。

見ル↢此ノ相ノ光ヲ↡者ハ、除ク↢十二億劫ノ生死之罪ヲ↡

・相好 28. 心紅蓮華

 ^二に十じゅう八はちには、 如来にょらいの*心相しんそうは、 紅ぐ蓮れん華げのごとし。 妙たえなる紫し金こんの光ひかり、 もつて*間錯けんざくを0947なして、 瑠璃るりの筒つつのごとくして、 懸かかりて仏ぶつの胸みむねにあり。 合がっせず、 開かいせず、 団円だんえんなること、 心しんのごとし。

廿八ニハ如来ノ心相ハ如シ↢紅蓮花ノ↡。妙ナル紫金ノ光ヲ以テ為リ↢間錯ト↡。如クシテ↢*瑠璃ノ筒ノ↡懸リテ在リ↢仏ノ胸ニ↡。不↠合セ不↠開セ、団円ナルコト如シ↠心ノ。

^万億まんおくの化け仏ぶつ、 仏ぶつの心しんのあひだに遊あそぶ。 また無む量りょう塵数じんじゅの化け仏ぶつ、 仏ぶつの心しんのなかにましまして、 金剛こんごう台だいに坐ざして、 無む量りょうの光ひかりを放はなちたまふ。 一々いちいちの光ひかりのなかに、 また無む量りょう塵数じんじゅの化け仏ぶつましまして、 広こう長じょうの舌したを出いだし、 万億まんおくの光ひかりを放はなちてもろもろの仏ぶつ事じをなしたまふ。

万億ノ化仏遊ブ↢仏ノ心ノ間ニ↡。又無量塵数ノ化仏在シテ↢仏ノ心ノ中ニ↡、坐シテ↢金剛台ニ↡、放チタマフ↢無量ノ光ヲ↡。一々ノ光ノ中ニ亦有シテ↢無量塵数ノ化仏↡、出シ↢広長ノ舌ヲ↡、放チテ↢万億ノ光ヲ↡作シタマフ↢諸ノ仏事ヲ↡。

^仏ぶつの心しんを念おもふものは、 十じゅう二に億劫おくこうの生しょう死じの罪つみを除のぞき、 生々しょうじょうに無む量りょうの菩ぼ薩さつに値あふことを得うと云々うんぬん。 広ひろく観かんずることを楽ねがふものは、 この観かんをなすべし。

念フ↢仏ノ心ヲ↡者ハ、除ク↢十二億劫ノ生死之罪ヲ↡。生生ニ得ト↠値フコトヲ↢无*量ノ菩薩ニ↡云々。楽ハム↢広ク観ズルコトヲ↡者ハ応シ↠作ル↢此ノ観ヲ↡

・相好 29. 身皮金色

 ^二に十じゅう九くには、 世せ尊そんの身しんの皮かわは、 みな真金しんこんの色いろなり。 光潔こうけつ*晃耀こうようすること、 妙みょう金台こんだいのごとし。 衆宝しゅぼうをもつて荘しょう厳ごんし、 衆しゅうの見みんと楽ねがふところなり。

廿九ニハ世尊ノ身ノ皮ハ皆真金ノ色ナリ。光潔晃耀スルコト如クシテ↢妙金台ノ衆宝ヲモテ荘厳セルガ↡、衆ノ所ナリ↠楽フ↠見ムト。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「衣え服ぶく・臥具がぐを施ほどこして、 この相そうを得えたり」 と。

¬大経ニ¼云ク、「施シテ↢衣服・臥具ヲ↡、得タリト↢此ノ相ヲ↡」

・相好 30. 身光無量

 ^三さん十じゅうには、 身光しんこう、 任運にんうんに三さん千界ぜんかいを照てらす。 もし作意さいしたまふ時ときには無む量りょう無む辺へんなり。 しかももろもろの有う情じょうを憐愍れんみんせんがためのゆゑに、 光ひかりを摂せっしてつねに照てらしたまふこと、 面めんごとにおのおの一尋いちじんなり。

三十ニハ身光任運ニ照ス↢三千界ヲ↡。若シ作意シタマフ時ニハ無量無辺ナリ。然モ為ノ↣憐↢愍セムガ諸ノ有情ヲ↡故ニ、摂シテ↠光ヲ常ニ照シタマフコト面ゴトニ各 ノ一尋ナリ。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「香こう・華け・灯とう明みょう等とうをもつて人ひとに施ほどこして、 この相そうを得えたり」 と云々うんぬん。 大光だいこうを観かんずるものは、 ただ心しんに見みることを発おこすに、 衆罪しゅざいを*除じょ却きゃくすと。

¬大経ニ¼云ク、「以テ↢香花・灯明等ヲ↡施シテ↠人ニ、得タリト↢此ノ相ヲ↡」云々。*観ズル↢*大光ヲ↡者ハ、但発スニ↢心ニ見ルコトヲ↡、除↢却スト衆罪ヲ↡*云々

・相好 31. 身相端厳

 ^0948三さん十じゅう一いちには、 世せ尊そんの身相しんそうは、 修ながく広ひろくして端厳たんごんなり。

卅一ニハ世尊ノ身相ハ修ク広クシテ端厳ナリ。

^¬大論だいろん¼ (*大智度論) にいはく、 「尊そん長ちょうを恭く敬ぎょうし、 迎送こうそうし、 侍じ繞にょうして、 身みの直なおくして広ひろき相そうを得えたり」 と云々うんぬん。

¬大論ニ¼云ク、「恭↢敬シ尊長ヲ↡、迎送シ侍遶スル、得タリト↢身ノ直クシテ広ノ相ヲ↡」*云々

・相好 32. 体相円満

 ^三さん十じゅう二にには、 世せ尊そんの体相たいそうは、 縦じゅう広こうの量りょう等ひとしくして周しゅう帀そう円満えんまんせること、 *尼にく陀だ樹じゅのごとし。

卅二ニハ世尊ノ体相ハ、縦広ノ量等ニシテ*周帀円満セルコト、如シ↢尼陀樹ノ↡。

^¬大だい集じゅう¼ (意) にのたまはく、 「つねに衆しゅ生じょうを勧すすめて、 三昧さんまいを修しゅせしめて、 この相そうを得えたり」 と。 ¬*報恩ほうおん経ぎょう¼ (意) にのたまはく、 「もし衆しゅ生じょうありて、 *四し大だい不ふ調じょうなるを、 よく療りょう治じすることをなせしがゆゑに、 身しんの*方円ほうえんなる相そうを得えたり」 と。

¬大*集ニ¼云ク、「常ニ勧メテ↢衆生ヲ↡修セシメタル↢三昧ヲ↡、得タリト↢此ノ相ヲ↡」¬報恩経ニ¼云ク、「若シ有リテ↢衆生↡、四大不調ナルヲ能ク為ルガ↢療治スルコトヲ↡故ニ得タリト↢身ノ方円ナル相ヲ↡」

・相好 33. 容儀洪満

 ^三さん十じゅう三さんには、 世せ尊そんの容よう儀ぎは洪満こうまんにして端直たんじきなり。

卅三ニハ世尊ハ容儀ハ洪満ニシテ端直ナリ。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「疾しつ病びょうのものにおいて、 卑ひ屈くつして瞻せん侍じし、 良りょう薬やくを給きゅう施せせしがゆゑに、 身しん、 僂ろう曲きょくせざる相そうを得えたり」 と。

¬*瑜*伽ニ¼云ク、「於テ↢疾病ノ者ニ↡、卑屈シテ瞻侍シ、給↢施セルガ良薬ヲ↡故ニ、得タリト↧身不ル↢*僂曲セ↡相ヲ↥↡」

・相好 34. 陰蔵平満

 ^三さん十じゅう四しには、 ▲如来にょらいの*陰蔵おんぞうは平たいらかなること満月まんがつのごとし。 金色こんじきの光ひかりありて、 なほ日輪にちりんのごとく、 金剛こんごうの器うつわのごとく、 中ちゅう外げともに浄きよし。

卅四ニハ如来ノ陰蔵ハ平ナルコト如シ↢満月ノ↡。有リテ↢金色ノ光↡、猶如ク↢日輪ノ↡、如ク↢金剛ノ器ノ↡、中外倶ニ浄1103シ。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「裸はだかなるを見みて衣え服ぶくを施ほどこせしがゆゑに、 陰蔵おんぞうの相そうを得えたり」 と。 ¬大だい集じゅう¼ にのたまはく、 「他たの過とがを*覆ふ蔵ぞうせしがゆゑに」 と。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「多おおく慚ざん愧ぎを修しゅし、 および邪婬じゃいんを断だんぜしがゆゑに」 と云々うんぬん。 導どう禅ぜん師じ (*善導) のいはく (*観念法門)、 「▲仏ぶつののたまはく、 ªもし欲色よくしきに貪とんずること多おおきものは、 すなはち如来にょらいの陰おん蔵ぞう0949の相そうを想おもへば、 欲心よくしんすなはち息やみ、 罪ざい障しょう除滅じょめつして、 無む量りょうの功く徳どくを得えたりº」 と。

¬大経ニ¼云ク、「見テ↠裸ナルヲ施セルガ↢衣*服ヲ↡故ニ、得タリト↢*陰蔵ノ相ヲ↡」¬大*集ニ¼云ク、「覆↢蔵セルガ他ノ過ヲ↡故ニト。」¬大論ニ¼云ク、「*多ク修シ↢慚愧ヲ↡、及ビ断ゼルガ↢邪婬ヲ↡*故ニト」*云々。*道禅師ノ云ク、「仏ノ言ク、若シ多キ↠貪スルコト↢欲色ニ↡者ハ、即チ想ヘバ↢如来ノ陰蔵ノ相ヲ↡者、欲心*即チ*息ム。罪障除滅シテ、得タリト↢无量ノ功*徳ヲ↡。」

・相好 35. 七処充満

 ^三さん十じゅう五ごには、 世せ尊そんの両りょう足ぞく、 二に手しゅの掌中しょうちゅう、 項うなじおよび双ならべる肩かたの七処しちしょは充じゅう満まんせり。

卅五ニハ世尊ノ両足、二手ノ掌中、項ウナジ及ビ双ベル肩ノ七処ハ充満セリ。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「施せを行ぎょうぜし時ときに、 所珍しょちんの物ものをよく捨すてて吝りんせず、 *福田ふくでんおよび非ひ福田ふくでんを観みざりしかば、 七しち処満しょまんの相そうを得えたり」 と。

¬大経ニ¼云ク、「行ズル↠施ヲ之時ニ所珍之物ヲ能ク捨テテ不↠吝セ。不ル↠*観ゼ↢福田及ビ非福田ヲ↡、得タリト↢七*処満ノ相ヲ↡」

・相好 36. 双腨繊円

 ^三さん十じゅう六ろくには、 ▲世せ尊そんの*双腨そうせんは漸ぜん次じに繊円せんえんなること、 *翳泥えいない耶や仙鹿せんろく王おうの腨はぎのごとし。 膊ひざがしらの鉤こう璅さの骨ほねの、 盤結ばんけつせるあひだよりもろもろの金光こんこうを出いだす。

卅六ニハ世尊ノ双腨ハ漸次ニ繊円ナルコト、如シ↢翳泥耶仙鹿王ノ腨膊ノ↡。鉤ケ*璅クサレル骨ノ盤結セル之間ヨリ出ス↢諸ノ金光ヲ↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「みづから正しょう法ぼうにおいて、 実じつのごとく摂しょう受じゅし、 広ひろく他た人にんのために説とき、 およびまさしく他たのためによく給きゅう使じをなして、 翳泥えいない耶やの膊ひざがしらの相そうを得えたり」 と。

¬瑜*伽ニ¼云ク、「自ラ於テ↢正法ニ↡如ク↠実ノ摂受シ、広ク為ニ↢他*人ノ↡説キ、及ビ正シク為ニ↠他ノ善ク作セル↢給使ヲ↡、得タリト↢翳泥耶ノ*膊ノ*相ヲ↡」

・相好 37. 跟趺相称

 ^三さん十じゅう七しちには、 ▲世せ尊そんの*足跟そくこんは広ひろく長ながく円満えんまんして、 *趺あなひらとあひ称かなひて、 もろもろの有う情じょうに勝すぐれたり。

卅七ニハ世尊ノ足跟ハ広ク長ク円満シテ与↠趺アナヒラ相称カナヒテ勝レタリ↢諸ノ有情ニ↡。

・相好 38. 足趺修高

 ^三さん十じゅう八はちには、 ▲*足そく趺ふは修ながく高たかくして、 なほ亀かめの背せのごとし。 柔にゅう軟なん妙みょう好こうにして、 跟くびすとあひ称かなへり。

卅八ニハ足趺ハ修ナガク高クシテ猶如シ↢亀ノ背ノ↡。柔軟妙好ニシテ、与↠跟相称セリ。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「足そく下げ平びょう満まんと、 *千輻せんぷく輪りんと、 繊せん長じょう指しとの三さんの相そうを感かんずる業ごう、 総そうじてよく跟こん・趺ふの二にの相そうを感得かんとくす。 これ前さきの三相さんそうの依止えじするところなるがゆゑに」 と。

¬瑜*伽ニ¼云ク、「感ズル↢足下平満ト、千輻輪ト、繊長指トノ三ノ相ヲ↡之業、総ジテ能ク感↢得ス跟趺ノ二ノ相ニ↡是前ノ三相ノ所ナルガ↢依止スル↡故ニ。」

・相好 39. 柔潤毛相

 ^三さん十じゅう九くには、 如来にょらいの身しんの前ぜん後ご左右さうおよび頂いただきの上うえに、 おのおの八万はちまん四し千せんの毛けあり0950て生おひたり。 柔にゅう潤にん・紺こん青じょうにして、 右みぎに旋めぐりて宛転えんでんせり。

卅九ニハ如来之身ハ前後左右及以 オヨビ 頂ノ*上ニ、各 ノ有リテ↢八万四千ノ毛↡生オヒタリ。柔潤・紺青ニシテ右ニ旋リテ宛転セリ。

^あるいは次つぎに広ひろく観かんずべし。 一々いちいちの毛端もうたんに百ひゃく千万せんまん塵数じんじゅの蓮れん華げあり。 一々いちいちの蓮れん華げに無む量りょうの化け仏ぶつを生しょうじ、 一々いちいちの化け仏ぶつはもろもろの偈げ頌じゅを現げんじて、 声々しょうしょうあひ次つげること、 なほ雨あめの渧しただるがごとし。

或イハ次ニ応シ↢広ク観ズ↡。一々ノ毛端ニ有リ↢百千万塵数ノ蓮花↡。一々ノ蓮花ニ生ナセリ↢無量ノ*化仏ヲ↡。一々ノ化仏ハ現ジタマフ↢諸ノ偈頌ヲ↡。声々相次ゲルコト猶如シ↢雨ノ渧シタタルガ↡。

^¬無む上じょう依え経きょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろの勝しょう善ぜんの法ほうを修しゅして、 中ちゅう・下げ品ぼんなく、 つねに増ぞう上じょうせしめて、 身毛しんもう上うえに靡なびき、 右みぎに旋めぐりて宛転えんでんせる相そうを得えたり」 と。 ¬*優婆うば塞そく戒かい経きょう¼ にのたまはく、 「智ち者しゃに親近しんごんして、 楽ねがひて聞きき、 楽ねがひて論ろんじ、 聞ききをはりて楽ねがひて修しゅし、 楽ねがひて道どう路ろを治じし、 *棘こく刺しを除じょ去こせるがゆゑに」 と。

¬無上依経ニ¼云ク、「修セルコト↢諸ノ勝善ノ法ヲ↡无ク↢中・下品↡、恒ニ令メタル↢増上セ↡、得タリト↢身毛上ニ靡キ、右ニ旋リテ宛転セル相ヲ↡」¬優婆塞戒経¼*云ク、親↢近シテ智者ニ↡、楽ヒテ聞キ楽ヒテ論ジ、聞キ已リテ楽ヒテ修シ、楽ヒテ治シ↢道路ヲ↡、除↢*去セルガ棘刺ヲ↥故ニト。」

・相好 40. 千輻輪文

 ^四し十じゅうには、 ▲世せ尊そんの足みあしの下したに千輻せんぷく輪りんの文もんあり。 *網轂もうこく衆相しゅそう、 円満えんまんせざることなし。

四十ニハ世尊ノ足ノ下ニ千輻輪ノ文アリ。*網*轂衆相無シ↠不ルコト↢円満セ↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) にいはく、 「その父母ぶもにおいて種々しゅじゅに供く養ようし、 もろもろの有う情じょうのもろもろの苦く悩のうの事じにおいて、 種々しゅじゅに救護くごして、 往来おうらい等とうの動転どうてんの業ごうによるがゆゑに、 この相そうを得えたり」 と云々うんぬん。 千輻せんぷく輪りんの相そうを見みるは、 千劫せんごうの極ごく重じゅう悪業あくごうを却しりぞく。

¬瑜*伽ニ¼云ク、「於テ↢其ノ*父母ニ↡種々ニ供養シ、於テ↢諸ノ有情ノ諸ノ苦悩ノ事ニ↡種種ニ救護シテ、由ルガ↢往来等ノ動転ノ業ニ↡故ニ、得タリト↢此ノ相ヲ↡」云々。見ルハ↢千輻輪ノ相ヲ↡、*却ク↢千劫ノ極重悪業ヲ↡

・相好 41. 足下平満

 ^四し十じゅう一いちには、 ▲世せ尊そんの足みあしの下したには平びょう満まんの相そうあり。 妙みょう善ぜん安あん住じゅうせること、 なほ*奩底れんていのごとし。 地じは*高こう下げなりといへども、 足あしの蹈ふむところに随したがひて、 みなことごとく*怛たつ然ねんとして、 等ひとしく触ふれずといふことなし。

一ニハ世尊ノ足ノ下ニハ有リ↢平満ノ相↡。妙善安住セルコト猶如シ↢奩底ノ↡。地ハ雖モ↢高下ナリト↡、随ヒテ↢足ノ所ニ↟蹈ム皆悉ク*怛然トシテ、無シ↠不トイフコト↢等シク触レ↡。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「持じ戒かいして動どうぜず、 施せ心しん移うつらず、 *実じつ語ごに安あん住じゅうせるがゆゑに、 この相そうを得えたり0951」 と云々うんぬん。 その足あし柔にゅう軟なんなり。 もろもろの指ゆび繊せん長じょうなり。 まん網もう具ぐ足そくし、 内ない外げに握にぎる等とうの相そう、 および業因ごういんは、 前さきの手相しゅそうに同おなじ。

¬大経ニ¼云1104ク、「持戒シテ不↠動ゼ、施心不↠移ラ、安↢住スルガ実語ニ↡故ニ、得タリト↢此ノ相ヲ↡」云々。其ノ足柔軟ナリ。諸ノ指繊長ナリ。*網具足シ、内外ニ握ル等ノ相、及ビ業因ハ同ジ↢前ノ手相ニ↡

・相好 42. 足下一華

 ^四し十じゅう二にには、 広ひろきを楽ねがふものは観かんずべし。 足そく下げおよび跟くびすに、 おのおの一いちの華けを生しょうじ、 もろもろの光ひかりを囲い繞にょうして十帀じっそうを満足まんぞくす。 華々けけあひ次ついで、 一々いちいちの華けの上うえに五ごの化け仏ぶつまします。 一々いちいちの化け仏ぶつ、 五ご十じゅう五ごの菩ぼ薩さつをもつて侍じ者しゃとなして、 一々いちいちの菩ぼ薩さつの頂いただきに摩尼まに珠しゅの光ひかりを生しょうず。

二ニハ楽ハム↠広キヲ者ハ応シ↠観ズ。足下及ビ跟ニ各 ノ生ナセリ↢一ノ花ヲ↡。囲↢遶シテ諸ノ光ヲ↡満↢足ス十帀ヲ↡。花々相次ギテ一々ノ花ノ上ニ有ス↢五ノ化仏↡。一々ノ化仏五十五ノ菩薩ヲ以テ為シテ↢侍者ト↡、一々ノ菩薩ノ頂ニ生ズ↢摩尼珠ノ光ヲ↡。

^この相そう現げんずる時ときに、 仏ぶつのもろもろの毛もう孔くより八万はちまん四し千せんの微み細さいの少しょう光こう明みょうを生しょうじて、 身光しんこうを厳飾ごんじきして、 きはめて可か愛あいならしむ。 この光ひかり一尋いちじんにして、 その相そう衆しゅ多たなり。 乃ない至し、 他た方ほうのもろもろの大だい菩ぼ薩さつ、 これを観かんずる時ときに、 この光ひかり随したがひて大だいなり。 以上

此ノ相現ズル時ニ、仏ノ諸ノ毛孔ヨリ生ジテ↢八万四千ノ微*細ノ少光明ヲ↡、厳↢飾シテ身光ヲ↡極テ令ム↢可愛ナラ↡。此ノ光一尋ニシテ其ノ相衆多ナリ。乃至他方ノ諸ノ大菩薩観ズル↠此ヲ之時ニ、此ノ光随ヒテ大ナリ。 已上

 ^このもろもろの相好そうごうの行ぎょう相そう・利り益やく・廃はい立りゅう等とうの事じ、 諸文しょもん不ふ同どうなり。 しかるにいま三さん十じゅう二にの略りゃく相そうは、 多おおく ¬大だい般若はんにゃ¼ による。 *広相こうそうと随好ずいこうとおよびもろもろの利り益やくとは、 ¬観仏かんぶつ経きょう¼ による。

是ノ諸ノ相好ノ行相・利益・癈立等ノ事、諸文不同ナリ。然ニ今卅二ノ略相ハ多ク依ル↢¬大般若ニ¼↡。広相ト随好ト及ビ諸ノ利益トハ依ル↢¬観仏経ニ¼↡。

^また*相好そうごうの業ごうに、 その総別そうべつあり。

又相好ノ業ニ有リ↢其ノ総別↡。

・相好 ・総因

^総因そういんといふは、 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) の四し十じゅう九くにいはく、 「*始はじめ、 *清浄しょうじょう勝しょう意い楽ぎょう地じより、 一切いっさい所しょ有うの*菩ぼ提だいの資し糧りょうは、 差別しゃべつすることあることなくして、 よく一切いっさいの相そうおよび随好ずいこうを感かんず」 と。 云々

言フ↢総因ト↡者、¬瑜*伽ノ¼九ニ云ク、「*如キハ↧従リノ↢清浄勝意楽地↡一切所有ノ菩提ノ資糧ノ↥、無クシテ↠有ルコト↢差別スルコト↡、能ク感ズト↢一切ノ相及ビ*随好ヲ↡。」*云々

・相好 ・別因

^別因べついんといふは、 かの ¬論ろん¼ (瑜伽論) に三種さんしゅあり。

言フ↢別因ト↡者、彼ノ¬論ニ¼有リ↢三種↡。

^一いちには*六ろく十じゅう二にの因いん0952。 つぶさには ¬論ろん¼ (瑜伽論) の文もんのごとし。

一ニ者六十二ノ因。具ニハ如シ↢¬論ノ¼文ノ↡。

^二にには浄じょう戒かい。 もしもろもろの菩ぼ薩さつ、 浄じょう戒かいを毀き犯ぼんするは、 なほ下げ賎せんの人身にんじんをすら得うることあたはず。 いかにいはんや、 よく*大だい丈じょう夫ぶの相そうを感かんぜんや。

二ニ者浄戒。若シ諸ノ菩薩毀↢犯スルハ浄戒ヲ↡、尚不↠能ハ↠得ルコト↢下賎ノ人身ヲスラ↡。何ニ況ヤ能ク*感ゼムヤ↢大丈夫ノ相ヲ↡

^三さんには四し種しゅの善修ぜんしゅ。 一いちは善修ぜんしゅ事じ業ごう、 二には*善ぜん巧ぎょう方便ほうべん、 三さんは饒にょう益やく有う情じょう、 四しは*無む倒とう回え向こうなり。 以上

三ニ者四種ノ善修。一ハ善修事業、二ハ善巧方便、三ハ饒益有情、四ハ無倒廻向ナリ。 已上

^別因べついんのなかにまた多おおくの差別しゃべつあり。 いまはしばらく因いん果がのあひ順じゅんぜるものを取とる。

別因之中ニ亦有リ↢多クノ差別↡。今者 イマ ハ且ク取ル↢因果ノ相順ゼル*者ヲ↡。

^前ぜん後ごの次し第だいは、 諸文しょもんまた不ふ同どうなり。 いまはよろしきに随したがひて、 取とりて次し第だいとなすなり。 *相そう・好こう間雑けんぞうしてもつて観法かんぽうをなすこと、 またこれ ¬観仏かんぶつ経きょう¼ の例れいなり。 順じゅん観かんの次し第だいは、 大だい途とかくのごとし。 逆ぎゃく観かんは、 これに反かえして、 足あしより頂いただきに至いたる。

前後ノ次第ハ諸文亦不同ナリ。今者ハ随ヒテ↠宜シキニ、取リテ為ル↢次第ト↡也。相・好間雑シテ以テ為ルコト↢観法ヲ↡、亦是¬観仏経¼之例也。順観ノ次第ハ大途如シ↠是クノ。逆観ハ反1105シテ↠之ニ従リ↠足至ル↠頂ニ。

^¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ にのたまはく、 「眼まなこを閉とぢて見みることを得えんには、 心想しんそうの力ちからをもつてせよ。 *了々りょうりょうにして分ぶん明みょうなること、 仏ぶつの在ざい世せのごとくせよ。 この相そうを観かんずといへども、 衆しゅ多たにすることを得えざれ。 一いち事じより起おこしてまた一いち事じを想おもひ、 一いち事じを想おもひをはればまた一いち事じを想おもへ。 逆順ぎゃくじゅん反覆ほんぷくすること、 十じゅう六反ろっぺんを経へよ。

¬観仏三昧経ニ¼云ク、「閉ヂテ↠眼ヲ得ンニハ↠見ルコトヲ、以テセヨ↢心想ノ力ヲ↡。了々ニシテ分明ナルコト如クセヨ↢仏ノ在世ノ↡。雖モ↠観ズト↢是ノ相ヲ↡不レ↠得↢衆多ニスルコトヲ↡。従リ↢一事↡起リテ復想ヒ↢一事ヲ↡、*想ヒ↢一事ヲ↡已リテ復想ヘ↢一事ヲ↡。逆順ニ反覆スルコト経ヨ↢十六反ヲ↡。

^かくのごとくして、 心想しんそうきはめて明みょう利りならしめ、 しかして後のちに、 心しんを住とどめて念ねんを一処いっしょに繋かけよ。 かくのごとくして、 *漸々ぜんぜんに舌したを挙あげて齶あごに向むかへ、 舌したをしてまさしく住じゅうせしめよ。 二に七日しちにちを経へて、 しかして後のちに、 身心しんしん安穏あんのんなることを得うべし」 と。

如キ↠是クノ心想極テ令メテ↢明利ナラ↡、然シテ後ニ住セシメテ↠心ヲ繋ケヨ↢念ヲ一処ニ↡。如クシテ↠是クノ漸々ニ挙ゲテ↠舌ヲ向ヘテ↠齶アゴニ、令メヨ↢舌ヲシテ政マサシク住セ↡。経テ↢二七日ヲ↡然シテ後ニ、身心可シト↠得↢安穏ナルコトヲ↡。」

^導どう和尚かしょう (善導) のい0953はく (観念法門・意)、 「▲十じゅう六遍ろっぺんの後のちには、 心しんを住とどめて白びゃく毫ごう相そうを観かんぜよ。 雑乱ぞうらんすることを得えざれ」 と。

*道和尚ノ云ク、「十六遍ノ後ニハ、住メテ↠心ヲ観ジテ↢白毫相ヲ↡、不レト↠得↢雑乱スルコトヲ↡。」

・総相観

【44】^二にに△*総相そうそう観かんとは、 先まづ ˆ前さきのごとくˇ ▲衆宝しゅぼう荘しょう厳ごんの広大こうだいの蓮れん華げを観かんじ、 次つぎに▲阿あ弥陀みだ仏ぶつの、 華け台だいの上うえに坐ざしたまへるを観かんぜよ。 ▲身しんの色いろは、 百ひゃく千せん万億まんおくの閻えん浮ぶ檀金だんごんのごとし。 ▲身しんの高たかさは、 六ろく十じゅう万億まんおく那由なゆ他た恒ごう河が沙しゃ由ゆ旬じゅんなり。

▼二ニ総*相観ト者、先ヅ▼*観ゼヨ↢衆宝荘厳ノ広大ノ蓮花ヲ↡。次ニ観ゼヨ↣阿弥陀仏ノ坐シタマヘルヲ↢花台ノ上ニ↡。身ノ色ハ如シ↢百千万億ノ閻浮檀金ノ↡。身ノ高サハ六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。

^▲眉み間けんの白びゃく毫ごうは、 右みぎに旋めぐりて婉転えんでんせること五ご須しゅ弥み山せんのごとし。 ▲眼まなこは四し大だい海水かいすいのごとくして、 清白しょうびゃく分ぶん明みょうなり。

眉間ノ白毫ハ、右ニ旋リテ婉転セルコト如シ↢五須弥山ノ↡。眼ハ如クシテ↢四大海水ノ↡、清白分明ナリ。

^▲身しんのもろもろの毛もう孔くより光こう明みょうを演出えんすいすること、 須しゅ弥み山せんのごとし。 ▲*円光えんこうは、 百ひゃく億おくの大千だいせん界かいのごとし。 ▲光ひかりのなかに無む量りょう恒ごう河が沙しゃの化け仏ぶつましまし、 ▲一々いちいちの化け仏ぶつは、 無む数しゅの菩ぼ薩さつをもつて侍じ者しゃとなせり。

身ノ諸ノ毛孔ヨリ演↢出スルコト光明ヲ↡如シ↢須弥山ノ↡。円光ハ如シ↢百億ノ大千界ノ↡。光ノ中ニ有ス↢無量恒河沙ノ化仏↡。一々ノ化仏ハ以テ↢無数ノ菩薩ヲ↡為セリ↢侍者ト↡。

^▲かくのごとくして八万はちまん四し千せんの相そうあり。 ▲一々いちいちの相そうにおのおの八万はちまん四し千せんの随好ずいこうあり。 ▲一々いちいちの好こうにまた八万はちまん四し千せんの光こう明みょうあり。 ▲一々いちいちの光こう明みょうあまねく十方じっぽう世せ界かいの念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを照てらして、 *摂取せっしゅして捨すてたまはず。 まさに知しるべし。

如クシテ↠是クノ有リ↢八万四千ノ相↡。一々ノ相ニ各 ノ有リ↢八万四千ノ随好↡。一々ノ好ニ復有リ↢八万四千ノ光明↡。一々ノ▼光明遍ク照シテ↢十方世界ノ念仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。当ニシ↠知ル。

^▼一々いちいちの相そうのなかに、 おのおの七しち百ひゃく五ご倶く胝てい六ろっ百ぴゃく万まんの光こう明みょうを具ぐして、 *熾し然ねん赫奕かくやくとして神徳じんとく巍々ぎぎたること、 金山こんぜん王おうの大海だいかいのなかにあるがごとし。 無む量りょうの化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつ、 光ひかりのなかに充じゅう満まんして、 おのおの神通じんずうを現げんじて、 弥陀みだ仏ぶつを囲い繞にょうしたてまつれり。 かの仏ぶつ、 かくのごとく無む量りょうの功く徳どく・相好そうごうを具ぐ足そくして0954、 菩ぼ薩さつ衆しゅ会えのなかにましまして、 正しょう法ぼうを演説えんぜつしたまふ。

一々ノ相ノ中ニ各 ノ具シテ↢▼七百五倶胝六百万ノ光明ヲ↡、熾然赫奕トシテ神徳巍々タルコト如シ↣金山王ノ在ルガ↢大海ノ中ニ↡。無量ノ化仏1106・菩薩充↢満シテ光ノ中ニ↡、各*各現ジテ↢神通ヲ↡、囲↢遶シタテマツレリ弥陀仏ヲ↡。彼ノ仏如ク↠是クノ具↢足シテ無量ノ功徳相好ヲ↡、在シテ↢於菩薩衆会之中ニ↡、演↢説シタマフ正法ヲ↡。

^行ぎょう者じゃ、 ▲この時ときにすべて余よの色相しきそうなく、 *須しゅ弥み・鉄てっ囲ち、 大だい小しょうのもろもろの山やまもことごとく現げんぜず、 大海だいかい・江こう河が・土地とち・樹林じゅりんもことごとく現げんぜず。 目めに溢みてるものは、 ただこれ弥陀みだ仏ぶつの相好そうごう、 世せ界かいに周しゅう遍へんせるものは、 またこれ閻えん浮ぶ檀金だんごんの光こう明みょうなり。

行者是ノ時ニ都カツテ無シ↢余ノ色相↡。須弥・鉄囲、大小ノ諸ノ山モ悉ク不↠現ゼ。大海・江河・土地・樹林モ悉ク不↠現ゼ。溢テル↠目ニ之者ハ但是弥陀仏ノ相好、周↢遍セル世界ニ↡*之者ハ亦是閻浮檀金ノ光明ナリ。

^▲たとへば、 *劫水こうすいの、 世せ界かいに*弥み満まんせるに、 そのなかの万物まんもつは沈没ちんもつして現げんぜず、 *滉瀁こうよう浩汗こうかんとして、 ただ大おおきなる水みずのみを見みるがごとし。 かの仏ぶつの光こう明みょうもまたかくのごとし。 高たかく一切いっさい世せ界かいの上うえに出いでて、 相好そうごう・光こう明みょう、 照しょう曜ようせずといふことなし。 行ぎょう者じゃは心眼しんげんをもつておのが身みを見みるに、 またかの光こう明みょうの所しょ照しょうのなかにあり。

譬ヘバ如シ↧劫水ノ弥↢満シテ世界ニ↡其ノ中ノ万物ハ沈没シテ不↠現ゼ、滉瀁*浩汗トシテ、*唯見ユルガ↦大ナル水ノミヲ↥。彼ノ仏ノ光明モ亦復如シ↠是クノ。高ク出デテ↢一切世界ノ上ニ↡、相好光明靡シ↠不トイフコト↢照曜セ↡。行者ハ以テ↢心眼ヲ↡見ルニ↢於己ガ身ヲ↡、*亦在リ↢*於彼ノ光明ノ所照之中ニ↡。

^以い上じょう、 ¬観かん経ぎょう¼・¬*双巻そうかん経ぎょう¼ (大経)・¬*般舟はんじゅ経きょう¼・¬大論だいろん¼ (大智度論) 等とうの意こころによる。 この観かん、 成じょうじて後のちに楽ねがいに随したがひて次つぎの観かんをなせ。

已上依ル↢¬観経¼・¬双巻経¼・¬般舟経¼・¬大論¼等ノ意ニ↡。此ノ*観成ジテ後ニ随ヒテ↠楽ヒニ作レ↢次ノ*観ヲ↡*耳

 ^あるいは観かんずべし。 かの仏ぶつはこれ*三身さんしん一体いったいの身しんなり。

▼或イハ応シ↠観ズ。彼ノ仏ハ是▼三身一体之身也。

・応化身

^かの一身いっしんにおいて、 見みるところ不ふ同どうなり。 あるいは*丈じょう六ろく、 あるいは八はっ尺しゃく、 あるいは広大こうだいの身しんなり。 所現しょげんの身しんはみな金色こんじきにして、 利り益やくしたまふところはおのおの無む量りょうなり。 一切いっさいの諸仏しょぶつと、 その事じ同一どういつなり。 応おう化げ身しんなり。

◆於テ↢彼ノ一身ニ↡所見不同ナリ。或イハ丈六、或イハ八尺、或イハ広大ノ身ナリ。所現ノ身ハ皆金色ナリ。所ハ↢利益シタマフ↡各 ノ無量ナリ。与↢一切ノ諸仏↡其ノ事同一ナリ。応化身*也

・報身

^また一々いちいちの相好そうごうは、 凡ぼん聖しょうその辺ほとりを得えず、 梵天ぼんてんもその頂いただきを見みず、 目連もくれんもその声こえを窮きわめず、 無む形ぎょう第一だいいちの体たいなり。 荘しょう厳ごんにあらず0955して荘しょう厳ごんせり。 十じゅう力りき・四し無畏むい・三念さんねん住じゅう・大だい悲ひ、 八万はちまん四し千せんの三昧さんまい門もん、 八万はちまん四し千せんの波羅はら蜜みつ門もん、 恒沙ごうじゃ塵数じんじゅの法門ほうもん、 究く竟きょう円満えんまんしたまふ。 一切いっさいの諸仏しょぶつと、 その意こころ同一どういつなり。 報身ほうじん。

又一々ノ相好ハ凡聖不↠得↢其ノ辺ヲ↡。梵天モ不↠見↢其ノ頂ヲ↡。目連モ不↠窮メ↢其ノ声ヲ↡。無クシテ↠形第一ノ体ナリ。非ズシテ↢荘厳ニ↡荘厳セリ。十力・四無畏・三念住・大悲、八万四千ノ三昧門、八万四千ノ波羅蜜門、恒沙塵数ノ法門究竟円満シタマヒテ、与↢一切ノ諸仏↡其ノ意同一ナリ。報身

・法身

^微み妙みょうの浄じょう法身ほっしんに、 もろもろの相好そうごうを具ぐ足そくせり。 一々いちいちの相好そうごうは、 すなはちこれ実相じっそうなり。 実相じっそうは、 法界ほうかい具ぐ足そくして減げんずることなし。 *生しょうぜず滅めっせず、 去こ・来らいなし。 一いちにあらず異いにあらず、 断だん・常じょうにあらず。 有為うい・無為むいのもろもろの功く徳どくは、 この法身ほっしんによりてつねに清浄しょうじょうなり。 一切いっさいの諸仏しょぶつと、 その体たい同一どういつなり。 法身ほっしん。

微妙ノ浄法身ニ具↢足セリ諸ノ相好ヲ↡。一々ノ相好ハ即チ是実相ナリ。実相ハ法界具足シテ無シ↠減ズルコト。不↠生ゼ不↠滅セ、無シ↢去来↡。不ズ↠一ニ不ズ↠異ニ、非ズ↢断常ニ↡。有為・無為1107ノ諸ノ功徳ハ、依リテ↢此ノ法身ニ↡常ニ清浄ニシテ、与↢一切ノ諸仏↡其ノ体同一ナリ。法身

^このゆゑに三さん世ぜ十方じっぽうの諸仏しょぶつの三身さんしん、 *普ふ門もん塵数じんじゅの無む量りょうの法門ほうもん、 仏衆ぶっしゅ法海ほうかいの*円えん融にゅうの万徳まんどく、 おほよそ*無む尽じんの法界ほうかいは、 つぶさに弥陀みだの一身いっしんにあり。 縦じゅうならず横おうならず、 また一いち・異いにあらず。 実じつにもあらず虚こにもあらず、 また有う・無むにもあらず。 本ほん性しょう清浄しょうじょうにして、 *心言しんごんの路みち絶たえたり。 たとへば、 如にょ意い珠しゅのなかに、 宝たからあるにもあらず、 宝たからなきにもあらざるがごとし。 仏身ぶっしんの万徳まんどくもまたかくのごとし。

是ノ故ニ▼三世十方ノ諸仏ノ三身、普門塵数ノ無量ノ法門、仏衆法海ノ円融ノ万徳、凡ソ無尽ノ法界ハ、備ニ在リ↢弥陀ノ一身ニ↡。不↠縦ナラ不↠横ナラ、亦非ズ↢*一異ニ↡。非ズ↠実ニモ非ズ↠虚ニモ、亦非ズ↢有無ニモ↡。本性清浄ニシテ心言ノ路絶エタリ。譬ヘバ如シ↢如意珠ノ中ニ、非ズ↠有ルニモ↠宝ノ非ザルガ↟无キニモ↠宝。仏身ノ万徳モ亦復如シ↠是クノ。

^また*陰おん入にゅう界かいに即そくして、 名なづけて如来にょらいとなすにあらず。 かのもろもろの衆しゅ生じょうは、 みなことごとくこれあるがゆゑに、 陰おん入にゅう界かいを離はなれて、 名なづけて如来にょらいとなすにもあらず。 これを離はなれては、 すなはちこれ無む因縁いんねんの法ほうなるがゆゑに、 即そくにもあらず、 また離りにもあらず。 寂静じゃくじょうにしてただ名なのみあり。

又非ズ↧即シテ↢陰入界ニ↡名ケテ為ルニモ↦如来ト↥。彼ハ諸ノ衆生ニ皆悉ク有ルガ↠之故ニ、非ズ↧離レテ↢陰入界ヲ↡名ケテ為ルニモ↦如来ト↥。離レテハ↠之ヲ則チ是無因縁ノ法ナルガ故ニ、非ズ↠即ニモ、亦非ズ↠離ニモ。寂静トシテ但有リ↠名ノミ。

^このゆゑにまさに0956知しるべし。 所観しょかんの衆相しゅそうは、 すなはちこれ*三身さんしん即一そくいつの相好そうごう・光こう明みょうなり、 諸仏しょぶつ同体どうたいの相好そうごう・光こう明みょうなり、 万徳まんどく円えん融にゅうの相好そうごう・光こう明みょうなり。 色しきすなはちこれ空くうなるがゆゑに、 これを真如しんにょ実相じっそうといふ。 空くうすなはちこれ色しきなるがゆゑに、 これを相好そうごう・光こう明みょうといふ。

是ノ故ニ当ニシ↠知ル。所観ノ衆相ハ、即チ是三身即一之相好・光明也。諸仏同体之相好・光明也。万徳円融之相好・光明也。色即チ是空ナルガ故ニ、謂フ↢之ヲ真如実相ト↡。空即チ是色ナルガ故ニ、謂フ↢之ヲ相好・光明ト↡。

^*一色いっしき・一香いっこう、 中ちゅう道どうにあらずといふことなし。 *受じゅ・想そう・行ぎょう・識しきもまたかくのごとし。 わが所しょ有うの*三道さんどうと弥陀みだ仏ぶつの万徳まんどくと、 本来ほんらい空くう寂じゃくにして*一体いったい無礙むげなり。 願ねがはくはわれ仏ぶつを得えて、 聖しょう法ぼうの王おうと斉ひとしからん。

一色・一香無シ↠*非ズトイフコト↢中道ニ↡。受想行識モ亦復如シ↠是クノ。我ガ所有ノ*三道ト与↢弥陀仏ノ万徳↡、本来空寂ニシテ一体無ナリ。願クハ我得テ↠仏ヲ斉ヒトシカラム↢聖法ノ王ト↡。

^以い上じょう、 ¬観かん経ぎょう¼・¬*心しん地じ観かん経ぎょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼・¬*念仏ねんぶつ三昧ざんまい経きょう¼・¬般若はんにゃ経きょう¼・¬*止し観かん¼ 等とうの意こころによる。

已上依ル↢¬観経¼・¬心地観経¼・¬金光明経¼・¬念仏三昧経¼・¬般若経¼・¬止観¼等ノ意ニ↡

・雑略観 ・白毫観

【45】^三さんに△*雑ぞう略りゃく観かんとは、 かの仏ぶつの眉み間けんに一いちの白びゃく毫ごうあり。 右みぎに旋めぐりて宛転えんでんせること、 五ご須しゅ弥みのごとし。

▼三ニ雑略ノ観ト者、彼ノ仏ノ眉間ニ有リ↢一ノ▼白毫↡。右ニ旋リテ宛転セルコト如シ↢五須弥ノ↡。

^なかにおいて、 また八万はちまん四し千せんの好こうあり。 一々いちいちの好こうに八万はちまん四し千せんの光ひかりあり。 その光ひかり微み妙みょうにして、 衆宝しゅぼうの色いろを具ぐせり。 総そうじてこれをいへば、 七しち百ひゃく五ご倶く胝てい六ろっ百万ぴゃくまんの光こう明みょうなり。 十方じっぽうの面めんに赫奕かくやくたること、 億千おくせんの日月にちがつのごとし。 その光ひかりのなかに一切いっさいの仏身ぶっしんを現げんじ、 無む数しゅの菩ぼ薩さつ、 衆しゅ会えして囲い繞にょうせり。 また微み妙みょうの音おとを出いだして、 もろもろの法海ほうかいを*宣せん暢ちょうす。

於テ↠中ニ復有リ↢八万四*千ノ好↡。一々ノ好ニ有リ↢八万四千ノ光↡。其ノ光微妙ニシテ具セリ↢衆宝ノ色ヲ↡。総ジテ而言ハバ↠之ヲ、▼七百五倶胝六百万ノ光明ナリ。十方ノ面ゴトニ赫奕タルコト如シ↢億千ノ日月ノ↡。其ノ光ノ中ニ現ズ↢一1108切ノ仏身ヲ↡。無数ノ菩薩衆会シテ囲遶セリ。復出シテ↢微妙ノ音ヲ↡宣↢暢ス諸ノ法海ヲ↡。

^またかの一々いちいちの▼光こう明みょう、 あまねく十方じっぽう世せ界かいの念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを照てらして、 摂取せっしゅして捨すてたまはず。 ▼われまたかの摂取せっしゅのなかにあれども、 ▼煩悩ぼんのう、 眼まなこを障さへて、 見みたてまつることあたはずといへども、 大だい悲ひ0957倦うむことなくして、 つねにわが身みを照てらしたまふ。

*又彼ノ一々ノ▼光明、遍ク照シテ↢十方世界ノ念仏ノ衆生ヲ↡摂取シテ不↠捨テタマハ。▼我亦在リ↢彼ノ摂取之中ニ↡。▼煩悩障ヘテ↠眼ヲ雖モ↠不ト↠能ハ↠見タテマツルコト、大悲無クシテ↠惓ムコト常ニ照シタマフ↢我ガ身ヲ↡。

・雑略観 ・往生観

^あるいは自じ心しんを起おこして極楽ごくらく国こくに生しょうじて、 蓮れん華げのなかに*結けっ跏か趺坐ふざし、 蓮れん華げの合がっする想おもいをなすべし。 尋ついで、 蓮れん華げ開ひらくる時ときに、 尊顔そんげんを*瞻仰せんごうしたてまつり、 白びゃく毫ごうの相そうを観かんず。 時ときに五ご百色ひゃくしきの光ひかりありて、 来きたりてわが身みを照てらすに、 すなはち無む量りょうの化け仏ぶつ・菩ぼ薩さつの、 虚こ空くうのなかに満みてるを見みたてまつる。 水みず・鳥とり・樹林じゅりんおよび諸仏しょぶつの出いだしたまふところの音おん声じょうは、 みな妙みょう法ほうを演のぶと。 かくのごとく思し想そうして、 心しんをして*欣悦ごんえつせしめよ。 願ねがはくは、 もろもろの衆しゅ生じょうとともに安楽あんらく国こくに往おう生じょうせん。

或イハ応シ↧起シテ↢自心ヲ↡▼生ジテ↢極楽国ニ↡、於テ↢蓮華ノ中ニ↡結跏趺坐シ、作ス↦蓮華ノ合スル想ヲ↥。尋ツギテ蓮華開クル時ニ、瞻↢仰シタテマツリ尊顔ヲ↡、観ズル↢白毫ノ相ヲ↡。時ニ、有リテ↢五百色ノ光↡来リテ照スニ↢我ガ身ヲ↡、即チ見タテマツル↣無量ノ化仏・菩薩ノ満テルヲ↢虚空ノ中ニ↡。水・鳥・樹林及与 オヨビ 諸仏ノ所出ノ音声ハ皆演ブト↢妙法ヲ↡。如ク↠是クノ思想シテ、令メテ↢心ヲシテ欣悦セ↡、願ゼヨ↧共ニ↢諸ノ衆生ト↡往↦生セムト安楽国ニ↥。

^以い上じょう、 ¬観かん経ぎょう¼・¬*華け厳ごん経ぎょう¼ 等とうの意こころによる。 つぶさには*別巻べっかんにあり。

已上依ル↢¬観経¼・¬花厳経¼等ノ意ニ↡。具ニハ在リ↢別巻ニ↡

・雑略観 ・極略観

^もし*極ごく略りゃくを楽ねがふものは、 念おもふべし。 かの仏ぶつの眉み間けんの白びゃく毫ごうの相そうは、 *旋転せんでんせること、 なほ頗梨はり珠しゅのごとし。 光こう明みょうあまねく照てらしてわれらを摂おさめたまふ。 願ねがはくは、 衆しゅ生じょうとともにかの国くにに生うまれんと。

若シ楽ハム↢▼極略ヲ↡者ハ応シ↠念フ。彼ノ仏ノ眉間ノ白毫ノ相ハ、旋転セルコト猶シ如シ↢頗梨珠ノ↡。光明遍ク照シテ摂メタマフ↢我等ヲ↡。願クハ共ニ↢衆生ト↡生レムト↢彼ノ国ニ↡。

・三想

^もし相好そうごうを観念かんねんするに堪たへざることあらば、 あるいは帰き命みょうの想おもいにより、 あるいは*引いん摂じょうの想おもいにより、 あるいは往おう生じょうの想おもいによりて、 一心いっしんに称しょう念ねんすべし。 以い上じょう、 意い楽ぎょう不ふ同どうなり。 ゆゑに種々しゅじゅの観かんを明あかす。

▼若シ有ラバ↠不ルコト↠堪ヘ↣観↢念スルニ相好ヲ↡、或イハ依リ↢帰命ノ想ニ↡、或イハ依リ↢引摂ノ想ニ↡、或イハ依リテ↢往生ノ想ニ↡応シ↢一心ニ称念ス↡。已上意楽不同ナリ。故ニ明ス↢種々ノ観ヲ↡

^*行住ぎょうじゅう坐臥ざが、 語ご黙もく作々ささに、 つねにこの念ねんをもつて胸むねのなかに在おくこと、 飢きして食じきを念おもふがごとくし、 渇かつして水みずを追おふがごとくせよ。 あるいは頭こうべを低たれ手てを挙あげ、 あるいは声こえを挙あげて名なを称しょうせよ。 ▼*外儀げぎは異ことなりとい0958へども、 心念しんねんはつねに存ぞんぜよ。 ▼念々ねんねんに相続そうぞくして、 *寤寐ごびに忘わするることなかれ。

▼行住坐臥、語黙作々ニ、常ニ以テ↢此ノ念ヲ↡在オケ↢於胸ノ中ニ↡。如クシ↢飢シテ念フガ↟食ヲ、如クセヨ↢渇シテ追フガ↟水ヲ。或イハ低レ↠頭ヲ挙ゲ↠手ヲ、或イハ挙ゲテ↠声ヲ称セヨ↠名ヲ。外儀ハ雖モ↠異ナリト心念ハ常ニ存ゼヨ。念々ニ相続シテ、寤寐ニ莫レ↠忘ルルコト。

 ^問とふ。 かの仏ぶつの*真身しんしんは、 これ凡ぼん夫ぶの心力しんりきの及およぶところにあらず。 ただ像ぞうを観かんずべし。 なんぞ大身だいしんを観かんぜん。

問フ。彼ノ仏ノ真身ハ、非ズ↢是凡夫ノ心力ノ所ニ↟及ブ。但応シ↠観ズ↠像ヲ。何ゾ観ゼム↢大身ヲ↡。

^答こたふ。 ¬観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 「▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつは身しん量りょう無む辺へんにして、 これ凡ぼん夫ぶの心力しんりきの及およぶところにあらず。 ◆しかもかの如来にょらいの宿しゅく願力がんりきのゆゑに、 憶想おくそうすることあるものは、 かならず成じょう就じゅすることを得う。 ◆ただ仏像ぶつぞうを想おもふすら、 無む量りょうの福ふくを得う。 いはんやまた仏ぶつの具ぐ足そくせる身相しんそうを観かんぜんをや」 と。 以上

答フ。¬観経ニ¼云ク、「無量寿仏ハ身量無辺ニシテ非ズ↢是凡夫ノ心力ノ所ニ↟及ブ。然モ彼ノ如来ノ宿願力ノ故ニ、有ル↢憶想スルコト↡者ハ必ズ得↢成*就スルコトヲ↡。但想フニ↢仏像ヲ↡得↢無量ノ福ヲ↡。況ヤ復観1109ゼムヲヤト↢仏ノ具足ノ身相ヲ↡」 已上

^あきらかに知しりぬ、 初心しょしんもまた*楽ぎょう欲よくに随したがひて真身しんしんを観かんずることを得うるなり。

明カニ知リヌ初心モ亦随ヒテ↢楽欲ニ↡得ルナリ↠観ズルコトヲ↢真身ヲ↡。

 ^問とふ。 いふところの弥陀みだの一身いっしんは、 すなはち一切いっさい仏ぶつの身しんなりとは、 なんの証しょう拠こかある。

▼問フ。所ノ↠言フ弥陀ノ一身ハ即チ一切ノ仏ノ身ナリト者、有ル↢何ノ証拠カ↡。

^答こたふ。 天台てんだい大だい師し (*智顗) のいはく (*十疑論)、 「阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんずるは、 すなはち一切いっさいの仏ぶつを念ねんずるなり。 ゆゑに ¬華け厳ごん経ぎょう¼ にのたまはく、

◆答フ。天台大師ノ云ク、「念ズルハ↢阿弥陀仏ヲ↡*即チ念ズルナリ↢一切ノ仏ヲ↡。故ニ¬花厳経ニ¼云ク、

^ª一切いっさいの諸仏しょぶつの身しんは、 すなはちこれ一仏いちぶつの身しんなり。
一心いっしんなり、 一いち智慧ちえなり。 *力りき・無畏むいもまたしかなりº」 と。 以上

◆一切ノ諸仏ノ身ハ即チ是一仏ノ身ナリ
一心ナリ一智慧ナリ力・無畏モ亦然ナリト」 已上

^また ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ にのたまはく、 「もし一仏いちぶつを思し惟ゆいすれば、 すなはち一切いっさいの仏ぶつを見みたてまつる」 と。 云々

又¬観仏三昧経ニ¼云ク、「若シ思↢惟スレバ一仏ヲ↡即チ見タテマツルト↢一切ノ仏ヲ↡。」云々

 ^問とふ。 もし諸仏しょぶつの*体たい性しょうの無二むになるがごとく、 念者ねんじゃの功く徳どくもまた別べつなきや。

問フ。為モシ如ク↢諸仏ノ体性ノ無二ナルガ↡、念者ノ功徳モ亦無キ↠別耶。

^答こたふ0959。 等ひとしくして差別しゃべつなし。 ゆゑに ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃ経きょう¼ の下げ巻かんにのたまはく、 「一仏いちぶつを念ねんずるは、 功く徳どく無む量りょう無む辺へんなり。 また無む量りょうの諸仏しょぶつの功く徳どくと無二むになり。 不思議ふしぎの仏法ぶっぽうは等ひとしくして分別ふんべつなし。 みな一如いちにょに乗じょうじて*最さい正しょう覚がくを成じょうじ、 ことごとく無む量りょうの功く徳どく、 無む量りょうの弁才べんざいを具ぐしたまへり。 かくのごとくして*一いち行ぎょう三昧ざんまいに入いるものは、 ことごとく恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつの法界ほうかいの、 無む差別しゃべつの相そうを知しる」 と。 以上

答フ。等シクシテ無差別ナリ。故ニ¬文殊般若経ノ¼下巻ニ云ク、「念ズルハ↢一仏ヲ↡功徳無量無辺ナリ。亦与↢無量ノ諸仏ノ功徳↡無二ナリ。不思議ナリ。仏法ハ等シクシテ無シ↢分別↡。皆乗ジテ↢一如ニ↡成ジタマフ↢最正覚ヲ↡。悉ク具シタマヘリ↢無量ノ功徳、*無量ノ*辨才ヲ↡。如クシテ↠是クノ入ル↢一行三昧ニ↡者ハ、尽ク知ルト↢恒沙ノ諸仏ノ法界ノ無差別ノ相ヲ↡」 *已上

 ^問とふ。 諸相しょそうの功く徳どくは、 肉髻にくけいと梵音ぼんのんと、 これを最さい勝しょうなりとなす。 いま多おおく白びゃく毫ごうを勧すすむること、 なんの証しょう拠こかある。

問フ。諸相ノ功徳ハ、肉髻ト梵音ト、是ヲ為ス↢最勝ナリト↡。今多ク勧ムルコト↢白毫ヲ↡有ル↢何ノ証拠カ↡耶。

^答こたふ。 その証しょうはなはだ多おおし。 略りゃくして*一いち両りょうを出いださん。 ¬観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 「▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつを観かんずるものは、 一いちの相好そうごうより入いれ。 ただ眉み間けんの白びゃく毫ごうを観かんじて、 きはめて明了みょうりょうならしめよ。 眉み間けんの白びゃく毫ごうを見みるものは、 八万はちまん四し千せんの相好そうごう、 自じ然ねんにまさに見みつべし」 と。

答フ。其ノ証甚ダ多シ。略シテ出サム↢一両ヲ↡。¬観経ニ¼云ク、「観ゼム↢無量寿仏ヲ↡者ハ、従リ↢一ノ相好↡入レ。但シ観ジテ↢眉間ノ白毫ヲ↡、極テ令メヨ↢明了ナラ↡。見ル↢眉間ノ白毫ヲ↡者ハ、八万四千ノ相好自然ニ当ニシト↠見ツ。」

^また ¬観仏かんぶつ経きょう¼ にのたまはく、 「如来にょらいに無む量りょうの相好そうごうまします。 一々いちいちの相そうのなかに、 八万はちまん四し千せんのもろもろの小しょう相好そうごうあり。 かくのごとき相好そうごうは、 白びゃく毫ごうの少しょう分ぶんの功く徳どくに及およばず。 このゆゑに今日こんにち、 *来らい世せのもろもろの悪あくの衆しゅ生じょうのために、 白びゃく毫ごう相そうの大だい慧え光こう明みょうの、 消しょう悪あくの観法かんぽうを説とく。

又¬観仏経ニ¼云ク、「如来ニ有ス↢無量ノ相好↡。一々ノ相ノ中ニ八万四千ノ諸ノ小相好アリ。如キ↠是クノ相好ハ不↠及バ↢白毫ノ少分ノ功徳ニ↡。是ノ故ニ今日、為ニ↢於来世ノ諸ノ悪ノ衆生ノ↡、説ク↢白毫相ノ大*慧光明ノ消悪ノ観法ヲ↡。

^もし邪見じゃけんの極ごく重じゅうの悪人あくにんありて、 この観法かんぽうは*相そう貌みょうを具ぐ足そくすと聞ききて、 瞋恨しんごんの心しんをなさば、 この処ことわりあることなからん。 たとひ瞋いかりをなすとも、 白びゃく毫ごう相そうの0960光ひかり、 また覆護ふごせん。

若シ有リテ↢邪見ノ極重ノ悪人↡、聞キテ↢此ノ観法ノ具1110足ノ相貌ヲ↡生ナサバ↢瞋恨ノ心ヲ↡、無ケム↠有ルコト↢是ノ処コトワリ↡。縦使ヒ生ナストモ↠瞋ヲ、白毫相ノ光亦復覆護セム。

^しばらくこの語ごを聞きかば、 三劫さんこうの罪つみを除のぞき、 後ご身しんの生しょう処じょは、 諸仏しょぶつの前みまえに生しょうぜん。 かくのごとく、 種々しゅじゅの百ひゃく千億せんおく種しゅのもろもろの、 光こう明みょうを観みる微み妙みょうの境きょう界がいは、 ことごとく説とくべからず。 白びゃく毫ごうを念おもふ時とき、 自じ然ねんにまさに生しょうずべし」 と。

暫ク聞カバ↢是ノ語コトヲ↡、除カム↢三劫ノ罪ヲ↡。後身ノ生レム処ハ生レム↢諸仏ノ前ニ↡。如ク↠是クノ種々ノ百千億種ノ諸ノ観ノ光明微妙ノ境界ハ、不↠可カラ↢悉ク説ク↡。念ハム↢白毫ヲ↡時ニ自然ニ当ニシ↠生ズ。」

^またのたまはく (観仏経)、 「*粗そ心しんにして像ぞうを観かんずるに、 なほかくのごとき無む量りょうの功く徳どくを得う。 いはんやまた念ねんを繋かけて、 仏ぶつの眉み間けんの白びゃく毫ごう相そうの光ひかりを観かんぜんをや」 と。

又云ク、「麁心ニシテ観ズルニ↠像ヲ、尚シ得↢如キ↠是クノ無量ノ功徳ヲ↡。況ヤ復繋ケテ↠念ヲ観ゼムヲヤト↢仏ノ眉間ノ白毫相ノ光ヲ↡。」

^またのたまはく (観仏経)、 「*釈しゃ迦か文もん仏ぶつ、 行ぎょう者じゃの前まえに現げんじて、 告つげてのたまはく、 ªなんぢ、 観仏かんぶつ三昧ざんまい力りきを修しゅす。 ゆゑに、 われ涅ね槃はん相そうの力ちからをもつて、 なんぢに色身しきしんを示しめして、 なんぢをしてあきらかに観かんぜしめん。 なんぢ、 いま坐ざ禅ぜんして多おおく観かんずることを得えざれ。 なんぢ、 後のちの世よの人ひと、 多おおくもろもろの悪あくを作つくれり。 ただ眉み間けんの白びゃく毫ごうの相そうの光ひかりを観かんぜよ。 この観かんをなす時ときに見みるところの境きょう界がいは、 ↓上かみの所説しょせつのごとしº」 と。 以い上じょう、 これを略抄りゃくしょうす。

又云ク、「釈迦文仏現ジテ↢行者ノ前ニ↡告ゲテ言ク、汝修スル↢観仏三昧ヲ↡力ノ故ニ、我以テ↢涅槃相ノ力ヲ↡、示シテ↢汝ニ色身ヲ↡、令メム↢汝ヲシテ諦ニ観ゼ↡。汝今坐禅シテ不レ↠得↢多ク観ズルコトヲ↡。汝後ノ世ノ人多ク作レリ↢諸ノ悪ヲ↡。但観ゼヨト↢眉間ノ白毫ノ相ノ光ヲ↡。作ラム↢此ノ観ヲ↡時ニ所ノ↠見ム境界ハ、如シト↢上ニ所ノ↟説キツル。已上略↢抄ス*之ヲ↡

^「↑上かみの所説しょせつ」 とは、 仏ぶつの種々しゅじゅの境きょう界がいを見みるなり。 もろもろの余よの利り益やくは、 下しもの▽別べつ時じの行ぎょうおよび▽利り益やく門もんに至いたりて知しりぬべし。

上ノ所説ト者、見ル↢仏ノ種々ノ境界ヲ↡也。諸ノ余ノ利益ハ、至リテ↢下ノ別時ノ行及ビ利益門ニ↡応シ↠知リヌ。

 ^問とふ。 白びゃく毫ごうの一相いっそうを観かんずるをもまた三昧さんまいと名なづくるや。

問フ。観ズルヲモ↢白毫ノ一相ヲ↡亦名クル↢三昧ト↡耶。

^答こたふ。 しかなり。 ゆゑに ¬観仏かんぶつ経きょう¼ の第だい九くにのたまはく、 「もしよく心こころを繋かけて一いちの毛もう孔くを観かんずる、 こ0961の人ひとは名なづけて*念仏ねんぶつ定じょうを行ぎょうずとなす。 仏ぶつを念ねんずるをもつてのゆゑに、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ、 つねにその前まえに立たちて、 ために正しょう法ぼうを説ときたまふ。 この人ひと、 すなはちよく三さん世ぜのもろもろの如来にょらいを生しょうずる種しゅとなす。 いかにいはんや、 具ぐ足そくして仏ぶつの色身しきしんを念ねんぜんをや」 と。

答フ。爾ナリ。故ニ¬観仏経ノ¼第九ニ云ク、「若シ能ク繋ケテ↠心ヲ観ズル↢一ノ毛孔ヲ↡、是ノ人ハ名ケテ為ス↠行ズト↢念仏定ヲ↡。以テノ↠念ズルヲ↠仏ヲ故ニ、十方ノ諸仏常ニ立チテ↢其ノ前ニ↡、為ニ説キタマフ↢正法ヲ↡。此ノ人ヲバ即チ為ス↧能ク生ズル↢三世ノ諸ノ如来ヲ↡種ト↥。何ニ況ヤ具足シテ念ゼムヲヤアト↢仏ノ色身ヲ↡。」

 ^問とふ。 なんがゆゑぞ浄じょう土どの荘しょう厳ごんを観かんぜざるや。

問フ。何ガ故ゾ不ル↠観ゼ↢浄土ノ荘厳ヲ↡*耶。

^答こたふ。 いま広こう行ぎょうに堪たへざるもののために、 ただ略りゃく観かんを勧すすむ。 もし観かんぜんと欲おもふものは、 ¬観かん経ぎょう¼ を読よむべし。 いかにいはんや前さきに△十種じっしゅの事じ明あかしつ。 すなはちこれ浄じょう土どの荘しょう厳ごんなり。

答フ。今為ニ↧不ル↠堪ヘ↢広行ニ↡之者ノ↥、唯シ勧ム↢略観ヲ↡。若シ欲ハム↠観ゼムト者ハ応シ↠読ム↢¬観経ヲ¼↡。何ニ況ヤ前ニ明シツ↢十種ノ事↡。即チ是浄土ノ荘厳也。

 ^問とふ。 なんがゆゑぞ観音かんのん・勢せい至しを観かんぜざるや。

問フ。何ガ故ゾ不ル↠観ゼ↢観音・勢至ヲ↡耶。

^答こたふ。 略りゃくせるがゆゑに述じゅつせず。 仏ぶつを念ねんじをはりて後のちは、 二に菩ぼ薩さつを観かんずべし。 あるいは名みょう号ごうを称しょうせよ。 多た少しょうは意こころに随したがへ。

答フ。略セルガ故ニ不↠述セ。念ジテ↠仏ヲ已後 ノチ ニ、応シ↠観ズ↢二菩薩ヲ↡。或イハ称セヨ↢名*号ヲ↡。多少1111ハ随ヘ↠意ニ。

二 Ⅳ ⅱ e 回向門

【46】^第だい五ごに△回え向こう門もんを明あかすとは、 五ごの義ぎ具ぐ足そくせるもの、 これ真しんの回え向こうなり。

第五ニ明スト↢廻向*門ヲ↡者、五ノ義具足セルモノ、是真ノ廻向ナリ。

^一いちには、 ↓三さん世ぜの一切いっさいの善根ぜんごんを聚じゅ集しゅうすること、 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ の意こころ。

一ニハ聚↢集スルコト三世ノ一切ノ善根ヲ↡、¬花厳経ノ¼意

^二にには、 ▽↓*薩婆さは若にゃの心しんと相応そうおうすること、

二ニハ薩婆若ノ心ト相応スルコト、

^三さんには、 この善根ぜんごんをもつて↓一切いっさい衆しゅ生じょうとともにすること、

三ニハ以テ↢此ノ善根ヲ↡共ニスルコト↢一切衆生ト↡、

^四しには、 ↓無む上じょう菩ぼ提だいに回え向こうすること、

四ニハ廻↢向スルコト無上菩提ニ↡、

^五ごには、 *能のう施せ・所しょ施せ・施せ物もつは↓みな*不可ふか得とくなりと観かんじて、 よく諸法しょほうの実相じっそうと和わ合ごうせしむることなり。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) の意こころ。

五ニハ観ジテ↢能施・所施・施物ハ皆不可得ナリト↡、能ク令ムルコトナリ↢諸法ノ実相ト和合セ↡。¬大論ノ¼意

^こ0962れらの義ぎによりて、 心しんに念おもひ、 口くちにいへ。 修しゅするところの功く徳どくと、 および*三際さんざいの一切いっさい善根ぜんごんとを、 その一いち。 自他じた法界ほうかいの一切いっさい衆しゅ生じょうに回え向こうして、 平びょう等どうに利り益やくし、 その二に。 罪つみを滅めっし、 善ぜんを生しょうじて、 ともに↓極楽ごくらくに生しょうじて、 *普ふ賢げんの行ぎょう願がんを速疾そくしつに円満えんまんし、 自他じた同おなじく無む上じょう菩ぼ提だいを証しょうして、 *未み来らい際さいを尽つくすまで衆しゅ生じょうを利り益やくし、 その三さん。 ↓法界ほうかいに*回施えせして、 その四し。 ↓大だい菩ぼ提だいに回え向こうするなり。 その五ご。

依リテ↢此等ノ義ニ↡、心ニ念ヒ口ニ言ヘ。所修ノ功徳ト及以 オヨビ 三際ノ一切善根トヲ。其ノ一 廻↢向シテ自他法界ノ一切衆生ニ↡平等ニ利益セム。其ノ二 滅シ↠罪ヲ生ジテ↠善ヲ共ニ生ジテ↢極楽ニ↡普賢ノ行願ヲ速疾ニ円満シ、自他同ジク証シテ↢無上菩提ヲ↡、尽クスマデ↢未来際ヲ↡利↢益セム衆生ヲ↡。其ノ三 廻↢施シテ法界ニ↡、其ノ四 廻↢*向スルナリ大菩提ニ。其ノ五

 ^問とふ。 ↑未み来らいの善ぜんいまだあらず。 なにをもつてか回え向こうする。

問フ。未来ノ*善未ダ↠有ラ。以テカ↠何ヲ廻向スル。

^答こたふ。 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ に、 *第だい三さんの回え向こうの*菩ぼ薩さつの行ぎょう相そうを説ときてのたまはく、 「三さん世ぜの善根ぜんごんをもつて、 所着しょじゃくなく、 相そうなく相そうを離はなれて、 ことごとくもつて回え向こうす」 (意) と。

答フ。¬花厳経ニ¼説キテ↢第三ノ廻向ノ菩*提ノ行相ヲ↡云ク、「以テ↢三世ノ善根ヲ↡、而シテ無ク↢所著↡、無ク↠相離レテ↠相ヲ、悉ク以テ廻向スト。」

^¬*刊かん定じょう記き¼ に二にの釈しゃくあり。 一いちには、 未み来らいの善根ぜんごんはいまだあらずといへども、 いまもし願がんを発おこしつれば、 *願がん薫くんじて種しゅとなり、 摂しょう持じする力ちからのゆゑに、 未み来らいの所修しょしゅ任運にんうんに衆しゅ生じょうと菩ぼ提だいとに注ちゅう向こうして、 さらに回え向こうすることを待またず。 二にには、 この教きょうのなかによれば、 菩ぼ薩さつは、 乃ない至し、 一念いちねんの善ぜんを修しゅするに、 法ほっ性しょうを摂せっするがゆゑに*九世くせに遍へんす。 ゆゑにかの善根ぜんごんをもつて回え向こうすと。 云々

¬刊定記ニ¼有リ↢二ノ釈↡。一ニハ未来ノ善根ハ雖モ↠未ダト↠有ラ、今若シ発シツレバ↠願ヲ、願薫↢成シテ種ヲ↡摂持スル力ノ故ニ、未来ノ所修*任運ニ注↢向シテ衆生ト菩提トニ↡、不↠待タ↢更ニ廻向スルコトヲ↡也。二ニハ依レバ↢此ノ教ノ中ノ菩薩ニ↡、乃至修スルニ↢一念ノ善ヲ↡、摂スルガ↢法性ヲ↡故ニ遍ス↢於九世ニ↡。故ニ用テ↢彼ノ善根ヲ↡廻向スト也。*云々

 ^問とふ。 第だい二にに、 いかなるをや↑薩婆さは若にゃ相応そうおうの心しんと名なづくる。

問フ。第二ニ何ナルヲヤ名クル↢薩婆若相応ノ心ト↡。

^答こたふ。 ¬論ろん¼ (大智度論) にいはく、 「▽*阿あ耨のく菩ぼ提だいの意こころ、 すなはちこれ薩婆さは若にゃに応おうずる心しんなりと。 ª応おう0963º といふは、 心しんを繋かけて、 われまさに仏ぶつに作なるべしと願がんずるなり」 と。

答フ。¬論ニ¼云ク、「阿耨菩提ノ意、即チ是応ズル↢薩婆若ニ↡心ナリト。応トイフ者繋ケテ↠心ヲ、願ズルナリト↢我当ニシト↟作ル↠仏ニ。」

 ^問とふ。 第三だいさん・第だい四しは、 なんがゆゑぞかならず↑一切いっさい衆しゅ生じょうとともにし、 および↑無む上じょう菩ぼ提だいに回え向こうする。

問フ。第三第四ハ、何ガ故ゾ要ズ共ニシ↢一切衆生ト↡、及1112以廻↢向スル无上菩提ニ↡。

^答こたふ。 ¬*六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょう¼ にのたまはく、 「いかんぞ少しょう施せの功く徳どく多たなるや。 方便ほうべんの力ちからをもつて、 少しょう分ぶんの布施ふせをもつて回え向こうし発願ほつがんすらく、 ª一切いっさい衆しゅ生じょうと同おなじく*無む上じょう正しょう等とう菩ぼ提だいを証しょうせんº と。 これをもつて功く徳どくの無む量りょう無む辺へんなること、 なほ小しょう雲うんの、 やうやく法界ほうかいに遍へんするがごとし」 と。 乃ない至し、 一いっ華け・一いっ菓かをもつて施せするもまたしかり。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) の意こころまたこれに同おなじ。

答フ。¬六波羅蜜経ニ¼云ク、「云何ゾ少施ノ功徳多ナル耶。以テ↢方便ノ力ヲ↡、少分ノ布施ヲモテ廻向シ発願スラク、与↢一切衆生↡同ジク証セムト↢無上正等菩提ヲ↡。以テ↠是ヲ功徳ノ無量無辺ナルナリ。猶如シト↣小雲ノ漸ク遍スルガ↢法界ニ↡。」乃至以テ↢一花・一菓ヲ↡施スルモ亦爾リ。¬大論ノ¼意*亦同ジ↠之ニ

^また ¬*宝ほう積しゃく経きょう¼ の四し十じゅう六ろくにのたまはく、 「菩ぼ薩さつ摩訶まか薩さつは、 所しょ有うの*已い生しょうのもろもろの妙みょう善根ぜんごんを、 一切いっさい、 無む上じょう菩ぼ提だいに回え向こうして、 この善根ぜんごんをして畢ひっ竟きょうじて無む尽じんならしむ。 たとへば、 小しょう水すいを大海だいかいに投なげつれば、 乃ない至し、 *劫こう焼しょうのなかにも尽つくることあることなからんがごとし」 と。

*又¬宝積経ノ¼六ニ云ク、「菩薩摩訶薩ハ、所有ノ已生ノ諸ノ妙善根ヲ一切廻↢向シテ無上菩提ニ↡、令ム↢此ノ善根ヲシテ畢竟ジテ無尽ナラ↡。譬ヘバ如クト↧小水ヲ投ゲツレバ↢于大海ニ↡、乃至劫焼マデニ中ニシテ无カラムガ↞有ルコト↠尽クルコト。」

^また ¬*大だい荘しょう厳ごん論ろん¼ の偈げにいはく、

又¬大荘厳論ノ¼偈ニ云ク、

^「施せを行ぎょうじて*妙みょう色しき・財ざいを求もとめず、 また天てん・人趣にんしゅを感かんずることを願がんぜざれ、
もつぱら無む上じょう勝しょう菩ぼ提だいを求もとむれば、 施せは微みなれどもすなはち無む量りょうの福ふくを感かんず」 と。 以上

「行ジテ↠施ヲ不↠求メ↢妙色財ヲ↡亦不シテ↠願ゼ↠感ゼムト↢天人趣ヲ↡
専ラ求ムルハ↢无上勝菩提ヲ↡施ハ微ナレドモ便チ感ズト↢无量ノ福ヲ↡」 已上

^ゆゑにもろもろの善根ぜんごんをもつてことごとく仏道ぶつどうに回え向こうするなり。

故ニ以テ↢諸ノ善根ヲ↡尽ク廻↢向スルナリ仏道ニ↡。

^また ¬大論だいろん¼ (大0964智度論) にいはく、 「たとへば、 *慳貪けんどんの人にんの、 因縁いんねんなくしては、 乃ない至し一銭いっせんをも施ほどこせず、 *貪慳とんけん積しゃく聚じゅしてただ増ぞう長じょうすることを望のぞむがごとく、 菩ぼ薩さつもまたかくのごとし。 福徳ふくとくの、 もしは多たもしは少しょう、 余事よじには向むかへず、 ただ愛あい惜じゃく積集しゃくじゅうして↓薩婆さは若にゃに向むかふ」 と。 以上

又¬大論ニ¼云ク、「譬ヘバ如ク↧慳貪ノ人ノ無クシテハ↢因縁↡、乃至一銭ヲモ不↠施セ、貪慳積聚シテ但望ムガ↦増長セムコトヲ↥、菩薩モ亦如シ↠是クノ。福徳ノ若シハ多若シハ少、不↠向ヘ↢余事ニハ↡、但愛惜積集シテ向フト↢薩婆若ニ↡。」 *已上

 ^問とふ。 もししからば、 ただ菩ぼ提だいに回え向こうすべし。 なんがゆゑぞ、 さらに↑往おう生じょう極楽ごくらくとはいふ。

問フ。若シ爾ラバ唯応シ↣廻↢向ス菩提ニ↡。何ガ故ゾ更ニ云フ↢往生極楽トハ↡。

^答こたふ。 菩ぼ提だいはこれ果か報ほうなり。 極楽ごくらくはこれ華け報ほうなり。 果かを求もとむる人、 いかんぞ華けを期ごせざらんや。 このゆゑに九く品ぼんの業ごうにみないはく、 「回え向こうして極楽ごくらく国こくに生しょうぜんと願がん求ぐす」 と。

答フ。菩提ハ是果報ナリ。極楽ハ是花報ナリ。求ムル↠果ヲ之人盍イカンゾラム↠期セ↠花ヲ耶。是ノ故ニ九品ノ業ニ皆云ク、廻向シテ願↣求スト生ゼムト↢極楽国ニ↡。

 ^問とふ。 発願ほつがんと回え向こうとは、 なんの差別しゃべつかある。

問フ。発願ト廻向トハ有ル↢何ノ差別カ↡。

^答こたふ。 誓ちかひて求もとむるところを期ごする、 これを名なづけて願がんとなす。 所しょ作さの業ごうを回えしてかしこに趣向しゅこうする、 これを回え向こうといふ。

答フ。誓↢期スル所求ヲ↡、名ケテ↠之ヲ為ス↠願ト。廻シテ↢所作ノ業ヲ↡趣↢向スル於彼ニ↡、謂フ↢之ヲ廻向ト↡。

 ^問とふ。 薩婆さは若にゃと無む上じょう菩ぼ提だいと、 二には差別しゃべつなし。 なんぞ分わかちて二にとはなす。

問フ。薩婆若ト与ハ↢無上菩提↡二ハ无シ↢差別↡。何ゾ分チテ為ル↠二トハ。

^答こたふ。 ¬論ろん¼ (大智度論) に回え向こうを明あかすに、 △これを分わかちて二にとなせり。 ゆゑにいまこれに順じゅんず。 さらに *¬論ろん¼ (同) の文もんを撿かんがへよ。

答フ。¬論ニ¼明スニ↢廻向ヲ↡、分チテ↠之ヲ為セリ↠二ト。故ニ今順ズ↠之ニ。更ニ撿カンガヘヨ↢¬論ノ¼文ヲ↡。

 ^問とふ。 次つぎに、 なんがゆゑぞ、 あらゆる事じを観かんじて、 ↑ことごとく空くうならしむるや0965。

問フ。次ニ何ガ故1113ゾ観ジテ↢所有ノ事ヲ↡悉ク令ムル↠空ナラ耶。

^答こたふ。 ¬論ろん¼ (大智度論) にいはく、 「*着じゃく心しん*取相しゅそうの菩ぼ薩さつの修しゅする福徳ふくとくは、 草くさより生しょうずる火ひの、 滅めっすることを得うべきこと易やすきがごとし。 もし実相じっそうを体得たいとくせる菩ぼ薩さつの、 大だい悲ひ心しんをもつて行ぎょうずる衆しゅ行ぎょうは、 破はすることを得うべきこと難かたきこと、 水みずのなかの火ひの、 よく滅めっするものなきがごとし」 と。 云々

答フ。¬論ニ¼云ク、「著心取相ノ菩薩ノ修スル福徳ハ、如シ↢草ヨリ生ズル火ノ易キガ↟可キコト↠得↠滅スルコトヲ。若シ体↢得セル実相ヲ↡菩薩ノ以テ↢大悲心ヲ↡行ズル衆行ハ、難キコト↠可キコト↠得↠破スルコトヲ、如シト↣水ノ中ノ火ノ无キガ↢能ク滅スル者↡。」*云々

 ^問とふ。 もししからば、 唱となへて 「空くう無む所得しょとく」 といふべし。 なんがゆゑぞいま 「↑回施えせ法界ほうかい」 とはいふ。

問フ。若シ爾ラバ応シ↣唱ヘテ言フ↢空无所得ト↡。何ガ故ゾ今云フ↢廻施法界トハ↡。

^答こたふ。 理り、 実じつにはしかるべし。 しかれども、 いまは国こく土どの風俗ふうぞくに順じゅんずるがゆゑに 「法界ほうかい」 といふに、 理りまた違いすることなし。 しかる所以ゆえんは、 法界ほうかいはすなはちこれ*円えん融にゅう無作むさの第一だいいち義ぎ空くうなり。 所修しょしゅの善ぜんをもつて*回え趣しゅし、 かの第一だいいち義ぎ空くうに相応そうおうするを回施えせ法界ほうかいと名なづく。

答フ。理実ニハ可シ↠然ル。然レドモ今ハ順ズルガ↢於国土ノ風俗ニ↡故ニ云フニ↢法界ト↡、理亦無シ↠違スルコト。所↢以然ル↡者、法界ハ即チ是円融无作ノ第一義空ナリ。以テ↢所修ノ善ヲ↡廻趣シ、相↢応スルヲ彼ノ第一義空ニ↡名ク↢廻施法界ト↡。

 ^問とふ。 最さい後ごに、 なんの意こころぞ唱となへて 「↑回え向こう大だい菩ぼ提だい」 といふや。

問フ。最後ニ何ノ意ゾ唱ヘテ言フ↢廻向大菩提ト↡耶。

^答こたふ。 これはこれ、 薩婆さは若にゃと相応そうおうせしむるなり。 これまた*土ど風ふうに順じゅんじて、 これを末まつ後ごに置おく。 「↑薩婆さは若にゃ」 といふは、 すなはちこれ菩ぼ提だいなり。 △前さきの ¬論ろん¼ (大智度論) の文もんのごとし。

答フ。此ハ是令ムル↧与↢薩婆若↡相応セ↥也。此亦順ジテ↢土風ニ↡、置ク↢之ヲ*末後ニ↡。言フハ↢薩婆若ト↡即チ是菩提ナリ。如シ↢前ノ¬論ノ¼文ノ↡。

 ^問とふ。 *有う相そうの回え向こうには利り益やくなきや。

問フ。有相ノ廻向ハ无シ↢利益↡耶。

^答こたふ。 上かみにしばしば論ろんずるがごとし。 勝しょう劣れつはありといへども、 なほ巨こ益やくあり。

答フ。如シ↢上ニ数バ論ズルルガ↡。雖モ↠有リト↢勝劣ハ↡猶有リ↢*巨益↡。

^¬大論だいろん¼ (大智度論) の第だい七しちにいふがごとし。 「小しょう因いんの大だい果か、 小しょう縁えんの大報だいほうあり。 仏道ぶつどうを求もとめて一いち偈げを讃さんじ、 一ひとたび ª南無なも仏ぶつº と0966称しょうし、 一捻いちねんの香こうを焼たきて、 かならず仏ぶつに作なることを得うるがごときなり。 いかにいはんや、 聞もん知ちせんをや。 ª諸法しょほうの実相じっそうは不ふ生しょう不ふ滅めつにして、 不ふ生しょうにもあらず、 不ふ滅めつにもあらざれども、 しかも因縁いんねんの業ごうを行ぎょうずれば、 また失しっせざるなりº」 と。 以上

如シ↢¬大論ノ¼第七ニ云フガ↡。「有リ↢小因ノ大果アル、小縁ノ大報アル↡。如キナリ↧求メテ↢仏道ヲ↡讃ジ↢一偈ヲ↡、一タビ称シ↢南無仏ト↡、焼タキテ↢一捻ノ香ヲ↡、必ズ得ルガ↞作ルコトヲ↠仏ニ。何ニ況ヤ聞知セムヲヤ。諸法ノ実*相ハ不生・不滅ニシテ、不々生・不々滅、而モ行ノ因縁ノ業亦不ルナリト↠失セ。」 已上

^この文もん深じん妙みょうなり。 髻もとどりのなかの明みょう珠しゅなり。 すなはち知しりぬ、 われらも仏ぶつになること疑うたがいなしと。

此ノ文深妙ナリ。髻ノ中ノ明珠ナリ。則チ知リヌ我等モ成ラムコト↠仏ニ无シト↠疑。

^*龍りゅう樹じゅ尊そんに帰き命みょうしたてまつる。 わが心願しんがんを証明しょうみょうしたまへ。

帰↢命シタテマツル龍樹尊ニ↡。証↢*明シタマヘ*我ガ心願ヲ↡。

二 Ⅴ 助念方法

【47】^大文だいもん第だい五ごに、 △*助念じょねん方法ほうほうといふは、 *一目いちもくの羅あみは鳥とりを得うることあたはず、 万まん術じゅつをもつて観念かんねんを助たすけて、 往おう生じょうの大だい事じを成じょうず。 いま七しち事じをもつて、 略りゃくして方法ほうほうを示しめさん。 一いちには▽方処ほうしょ供具くぐ、 二にには▽修しゅ行ぎょう相そう貌みょう、 三さんには▽対たい治じ懈け怠だい、 四しには▽止し悪あく修善しゅぜん、 五ごには▽懴さん悔げ衆罪しゅざい、 六ろくには▽対たい治じ魔事まじ、 七しちには▽総結そうけつ要よう行ぎょうなり。

大文第五ニ▼助念ノ方法トイフ者、一目之羅アミハ、不↠能ハ↠得ルコト↠鳥ヲ、万術ヲモテ助ケテ↢観念ヲ↡成セ↢往生ノ大事ニ↡。今以テ↢七事ヲ↡略シテ示サム↢方法ヲ↡。▼一ニハ方処供具、二ニハ修行ノ相貌、三ニハ対治懈怠、四1114ニハ止悪修善、五ニハ懴悔衆罪、六ニハ対治魔事、七ニハ総結*行要ナリ。

二 Ⅴ ⅰ 方処供具

【48】^▼第一だいいちに△*方処ほうしょ供具くぐとは、 *内ない外げともに浄きよくして一いちの閑処げんしょを卜しめて、 力ちからに随したがひて香こう華げ供具くぐを弁べんぜよ。

第一ニ方処供具ト者、内外倶ニ浄クシテ卜シメテ↢一ノ閑処ヲ↡、随ヒテ↠力ニ*辨ゼヨ↢於*香花供具ヲ↡。

^もし華け香こう等とうの事じを闕けっ少しょうせることあらば、 ただもつぱら仏ぶつの功く徳どく威い神じんを念ねんぜよ。

若シ有ラバ↣闕↢少セルコト花香等ノ事ヲ↡、但専ラ念ゼヨ↢仏ノ功徳威神ヲ↡。

^もし親したしく仏像ぶつぞうに対むかはば、 すべからく灯とう明みょうを弁べんずべし。

若シ親シク対ハバ↢仏像ニ↡、須クシ↠*辨ズ↢灯明ヲ↡。

^もしはるかに西方さいほうを観かんぜば、 あるいは闇室あんしつを須もちゐよ。 *感かん禅ぜん師じ (*懐感) は闇室あんしつを許ゆるす。

若シ遥ニ観ゼバ↢西方ヲ↡、或イハ須ヰヨ↢闇室ヲ↡。感禅師ハ許ス↢*暗室ヲ↡

^もし華け香こうを供くする時ときには、 すべからく ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ の供く養ようの文もんの意こころによる0967べし。 その得うるところの福ふく、 無む量りょう無む辺へんなり。 煩悩ぼんのうおのづから減げん少しょうし、 六ろく度どおのづから円満えんまんす。 その文もん、 *通つう途ずの所用しょゆうに異ことならず。 ゆゑにさらに抄しょうせず。

若シ供セム↢花香ヲ↡時ニハ、須クハシ ↠依ル↢¬観仏三昧経ノ¼供養ノ文ノ意ニ↡。其ノ所得ノ福無量無辺ナリ。煩悩自ラ減少シ、六度自ラ円満ス。其ノ文不↠異ナラ↢通途ノ所用ニ↡。故ニ不↢更ニ抄セ↡

^もし念珠ねんじゅを用もちゐん時ときには、 浄じょう土どを求もとめんと欲おもはば、 *木槵もくげん子しを用もちゐ、 多た功く徳どくを欲おもはば、 *菩ぼ提だい子し、 乃ない至し、 あるいは水すい精しょう・*蓮れん子し等とうを用もちゐよ。 ¬*念珠ねんじゅ功く徳どく経きょう¼ に見みえたり。

▼若シ用ヰバ↢念珠ヲ↡、*時ニ欲ハバ↠求メムト↢浄土ヲ↡用ヰヨ↢木槵子ヲ↡。欲ハバ↢多功徳ヲ↡用ヰヨ↢菩提子乃至或イハ水精・蓮子等ヲ↡。見エタリ↢¬念*珠功徳経ニ¼↡

二 Ⅴ ⅱ 修行相貌

【49】^第だい二にに△*修しゅ行ぎょう相そう貌みょうとは、 *¬摂しょう論ろん¼ 等とうによりて四し修しゅの相そうを用もちゐよ。

第二ニ修行相貌ト*者、依リテ↢¬摂論¼等ニ↡用ヰヨ↢四修ノ相ヲ↡

^一いちには長じょう時じ修しゅ。

一ニ者長時修。

^¬要決ようけつ¼ (*西方要決) にいはく、 「▼初しょ発心ほっしんよりすなはち菩ぼ提だいに至いたるまで、 つねに*浄じょう因いんをなして、 つひに退転たいてんなかれ」 と。

¬要决ニ¼云ク、「従リ↢初発心↡乃至菩提マデニ、恒ニ作シテ↢浄因ヲ↡、終ニ無レト↢退転↡。」

^善導ぜんどう禅ぜん師じのいはく (*礼讃)、 「▲命いのちを畢おふるを期ごとなして、 誓ちかひて中ちゅう止しせざれ」 と。

善*導禅師ノ云ク、「畢フルヲ↠命ヲ為シテ↠期ト誓ヒテ不レト↢中止セ↡。」

^二にには慇おん重じゅう修しゅ。

二ニ者慇重修。

^いはく、 ▲極楽ごくらくの*仏法ぶっぽう僧そう宝ぼうにおいて、 心しんにつねに憶念おくねんして、 もつぱら尊そん重じゅうをなせ。

謂ク於テ↢極楽ノ仏法僧宝ニ↡心常ニ憶念シテ、専ラ生ナセ↢尊重ヲ↡。

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「▼行住ぎょうじゅう坐臥ざがに、 西方さいほうを背そむかざれ。 *啼てい・唾だ・便べん痢りは、 西方さいほうに向むかはざれ」 と。

¬要决ニ¼云ク、「行住坐臥ニ不レ↠背カ↢西方ヲ↡。*啼唾便*痢ハ不レト↠向ハ↢西方ニ↡。」

^導どう師し (善導) のいはく (礼讃)、 「▲面おもてを西方さいほうに向むかふるものは最さい勝しょうなり。 ▼樹きの先さきより傾かたむけるは倒たおるるに、 かならず曲まがれるに随したがふがごとし。 かならず事じの礙さわりありて西にしに向むかふこと及およばずは、 ただ西にしに向むかふ想おもいをなすにまた得えたり」 と。

*導師ノ云ク、「面ヲ向フル↢西方ニ↡者ハ最勝ナリ。如シ↢樹ノ先ヅ傾キ倒ルルニ必ズ随フガ↟曲レルニ。必ズ有リテ↢事ノ礙↡不レバ↠及バ↠向フコト↠*西ニ者、但作スニ↢向フ↠西ニ想ヲ↡亦得タリト。」

^三さんには無む間修けんしゅ。

三ニ者无間修。

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「▼いはく、 つねに仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうの心しんをなせ。 一切いっさいの時ときにおいて、 心しんにつねに想おもひ巧たくめ。

¬要決ニ¼云ク、「▼謂ク常ニ念ジテ↠仏ヲ作セ↢往生ノ心ヲ↡。於テ↢一切ノ時ニ↡心ニ恒ニ想ヒ巧メ。

^◆たとへば、 人ひとありて0968、 *他たに抄掠しょうりょうせられ、 身み、 下げ賎せんとなりてつぶさに*艱辛かんしんを受うけん。 たちまちに父母ぶもを思おもひ、 走はしりて国くにに帰かえらんと欲ほっするに、 *行装ぎょうしょういまだ弁べんぜずして、 なほ他たの郷さとにありて日にち夜やに思し惟ゆいし、 苦く堪忍かんにんせず。 時ときとしてしばらくも捨すてて*耶や嬢じょうを念おもはざることなし。 計はかりごとをなすことすでに成じょうじて、 すなはち帰かえりて達たっすることを得えて、 父母ぶもに親近しんごんし、 ほしいままに歓かん娯ごせんがごとし。

譬ヘバ若ク↧有リテ↠人被レテ↢他ニ抄掠セ↡、身為リテ↢下賎ト↡備ニ受ケム↢艱辛ヲ↡、*忽ニ思1115ヒテ↢父母ヲ↡欲スルニ↢走リテ*帰ラムト↟国ニ↡、行装未ダル↠*辨ゼ、由ナホ在リテ↢他ノ郷ニ↡日夜ニ思惟シテ、苦不↢堪忍セ↡、無シ↢時トシテモ暫モ捨テテ不ルコト↟念ハ↢*耶嬢ヲ↡、為スコト↠計ハカリゴトヲ既ニ成ジテ、便チ帰リテ得テ↠達スルコトヲ、親↢近シ父母ニ↡、縦任ホシイママニ歓娯セムガ↥、

^◆行ぎょう者じゃもまたしかなり。 往むかし、 煩悩ぼんのうによりて善心ぜんしんを壊え乱らんし、 福ふく智ちの珍財ちんざい、 ならびにみな散失さんしつせり。 久ひさしく生しょう死じに沈しずみて制せいすること自由じゆならず。 つねに魔ま王おうのためにしかも*僕ぼく使しとなりて、 六道ろくどうに*駆馳くちせられ、 身心しんしんを苦く切せつす。

行者モ亦爾ナリ。往ムカシ因リテ↢煩悩ニ↡壊↢乱シ善心ヲ↡、福智ノ珍財并ニ皆散失シテ、久シク沈ミテ↢生死ニ↡制シテ不↢自由ナラ↡。恒ニ与ニ↢魔王ノ↡而モ作リテ↢僕使ト↡駆↢馳シテ六道ニ↡、苦↢切ス身心ヲ↡。

^◆いま善縁ぜんえんに遇あひて、 たちまちに弥陀みだの慈父じぶの、 弘ぐ願がんに違たがはずして群ぐん生じょうを*済抜さいばつしたまふことを聞きき、 日にち夜やに*驚きょう忙もうし、 心しんを発おこして往ゆくことを願ねがふ。 ゆゑに*精しょう勤ごんすること倦うまずして、 まさに仏恩ぶっとんを念ねんじて、 *報ほうの尽つくるを期ごとなして、 心しんにつねに計け念ねんすべし」 と。 云々

今遇ヒテ↢善縁ニ↡、*忽ニ聞キテ↧弥陀ノ慈父ノ不シテ↠違ハ↢弘願ニ↡済↦抜シタマフコトヲ群生ヲ↥、日夜ニ驚忙シテ、発シテ↠心ヲ願フ↠往カムコトヲ。所以ニ精勤スルコト不シテ↠倦マ、当ニシト↧念ジテ↢仏恩ヲ↡報ジ尽クルヲ為シテ↠期ト、心ニ恒ニ計念ス↥。」*云々

^導どう師し (善導) のいはく (礼讃)、 「▲心々しんしん相続そうぞくして余よ業ごうをもつて間まじへざれ。 また貪瞋とんじん等とうをもつて間まじへざれ。 随したがひて犯おかせば、 随したがひて懴さんせよ。 念ねんを隔へだて時ときを隔へだて日ひを隔へだてしめずして、 つねに清浄しょうじょうならしめよ」 と。 云々

導師ノ云ク、「心々相続シテ不レ↧以テ↢余業ヲ↡間マジヘ↥。又不レ↧以テ↢貪瞋等ヲ↡間ヘ↥。随ヒテ犯セバ随ヒテ懴セヨ。不シテ↠令メ↢隔テ↠念ヲ隔テ↠時ヲ隔テ↟日ヲ、常ニ令メヨト↢清浄ナラ↡。」*云々

^わたくしにいはく、 日にち夜や六ろく時じ、 あるいは三さん時じ・二時にじに、 かならず方法ほうほうを具ぐして、 精しょう勤ごん修しゅ習じゅうせよ。 その余よの時じ処しょには*威儀いぎを求もとめ0969ず、 方法ほうほうを論ろんぜず、 心しん口くに廃はいすることなくして、 つねに仏ぶつを念ねんずべし。

私ニ云ク、*日夜六時或イハ三時・二時ニ、要ズ具シテ↢方法ヲ↡精勤修習セヨ。其ノ余ノ時処ニハ不↠求メ↢威儀ヲ↡、不↠論ゼ↢方法ヲ↡。心口ニ*無クシテ↠癈スルコト、常ニ応シ↠念ズ↠仏ヲ。

^四しには無余むよ修しゅ。

四ニ者無余修。

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「▼もつぱら極楽ごくらくを求もとめて弥陀みだを礼念らいねんせよ。 ただし諸しょ余よの業ごう行ぎょうは雑ぞう起きせしめざれ。 所しょ作さの業ごうは、 *日別にちべつに、 すべからく念仏ねんぶつ・読どく経きょうを修しゅして、 *余課よかを留とどめざるべし」 と。

¬要決ニ¼云ク、「専ラ求メテ↢極楽ヲ↡礼↢念セヨ弥陀ヲ↡。但シ諸余ノ業行ハ不レ↠令メ↢雑起セ↡。所作*之業ハ、*日別ニ須クシ↠修ス↢念仏・読経ヲ↡。不ラム↠留メ↢余ノ課ヲ↡耳。」

^導どう師し (善導) のいはく (礼讃)、 「▲かの仏ぶつの名みなをもつぱら称しょうし、 かの仏ぶつおよび一切いっさいの聖しょう衆じゅ等とうをもつぱら念ねんじ、 もつぱら想おもひ、 もつぱら礼らいし、 もつぱら讃さんじて、 余よ業ごうを雑まじへざれ」 と。 以上

導師ノ云ク、「専ラ↢称シ彼ノ仏ノ名ヲ↡、専ラ↢念ジ専ラ↣想ヒ専ラ↤礼シ専ラ↯讃ゼヨ彼ノ仏及ビ一切ノ聖衆等ヲ↡。不レト↠雑セ↢余業ヲ↡。」 已上

 ^問とふ。 その余よの事じ業ごうは、 なんの過か失しつかある。

問フ。其ノ余ノ事業ハ有ル↢何ノ過失カ↡。

^答こたふ。 ¬宝ほう積しゃく経きょう¼ の九く十じゅう二ににのたまはく、 「もし菩ぼ薩さつありて、 楽ねがひて*世せ業ごうをなし、 *衆しゅ務むを営いとなまんを、 応おうぜざるところなりとなす。 われ説とかく、 ªこの人ひとは生しょう死じに住じゅうすº」 と。

答フ。¬宝積経ノ¼九十二ニ云ク、「若シ有リテ↢菩薩↡楽ヒテ作シ↢世業ヲ↡営マムヲ↢於衆務ヲ↡、為ス↠所ナリト↠不ル↠応ゼ。我説カク、是ノ人ハ住スト↢於生死ニ↡。」

^また同どう偈げにのたまはく、

又同ジキ偈ニ云ク、

^「▼戯け論ろん・諍じょう論ろんの処ところは、 多おおくもろもろの煩悩ぼんのうを起おこす。
智ち者しゃは遠おん離りすべきこと、 まさに百ひゃく由ゆ旬じゅんを去さるべし」 と。 云々

「戯論諍論ノ処ハ多ク起ス↢諸ノ煩悩ヲ↡
智1116者ハ応キコト↢遠離ス↡当ニシト ↠去ル↢百由旬ヲ↡」 *云々

^自余じよの方法ほうほうは、 つぶさに ¬止し観かん¼ のごとし。

自余ノ方法ハ、具ニ如シ↢¬止観ノ¼↡。

 ^問とふ。 もししからば、 在ざい家けの人にんは念仏ねんぶつの行ぎょうに堪たへがたし。

問フ。若シ爾ラバ在家ノ人ハ難ケム↠堪ヘ↢念仏ノ行ニ↡。

^答こたふ。 もし世せ俗ぞくの人にんは、 *縁えん務むを棄すてがたくは、 ただつねに念おもいを西方さいほうに繋かけて、 誠じょう心しんにしてかの仏ぶつを0970念ねんずべし。 ▽¬*木槵もくげん経きょう¼ の*瑠璃るり王おうの行ぎょうのごとくせよ。

答フ。*若シ世俗ノ人ハ難クハ↠棄テ↢縁務ヲ↡、但常ニ繋ケテ↢念ヲ西方ニ↡、誠心ニシテ応シ↠念ズ↢彼ノ仏ヲ↡。如クセヨ↢¬木槵経ノ¼瑠璃王ノ行ノ↡。

^また*迦か才ざいの ¬*浄じょう土ど論ろん¼ にいはく、 「たとへば、 竜りゅうの行ゆくに、 雲くもすなはちこれに随したがふがごとく、 心しんもし西にしに逝ゆけば、 業ごうまたこれに随したがふ」 と。

*又迦*才ノ¬*浄土論ニ¼云ク、「譬ヘバ如ク↢竜ノ行クニ雲即チ随フガ↟之ニ、心若シ西ニ*逝ケバ、業亦随フト↠*之ニ。」

 ^問とふ。 すでに知しりぬ、 修しゅ行ぎょうに総そうじて*四しの相そうありと。 その修しゅ行ぎょうの時ときの用心ようじんいかんぞ。

問フ。既ニ知リヌ修行ニ総ジテ有リト↢四ノ相↡。其ノ修行ノ時ノ用心云何ゾ。

^答こたふ。 ¬観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 「▲もし衆しゅ生じょうありて、 かの国くにに生うまれんと願がんずるものは、 三種さんしゅの心しんを発おこして即便すなわち往おう生じょうす。 ▲一いちには至し誠じょう心しん、 二にには深心じんしん、 三さんには回え向こう発願ほつがん心しんなり」 と。

答フ。¬観経ニ¼云ク、「若シ有リテ↢衆生↡願ゼム↠生レムト↢彼ノ国ニ↡者ハ、発シテ↢三種ノ心ヲ↡即便チ往生ス。一ニハ至誠心、二ニハ深心、三ニハ廻向発願心ナリト。」

^善導ぜんどう禅ぜん師じのいはく (礼讃)、 「▲一いちに至し誠じょう心しんといふは、 いはく、 礼拝らいはい・讃嘆さんだん・*念観ねんかんの三業さんごうはかならず真実しんじつを須もちゐるがゆゑなり。

善導禅師ノ云ク、「一ニ至誠心トイフハ、謂ク礼拝・讃歎・念観ノ三業ハ必ズ須ヰルガ↢真実ヲ↡故ナリ。

^◆二にに深心じんしんといふは、 いはく、 自じ身しんはこれ煩悩ぼんのうを具ぐ足そくせる凡ぼん夫ぶなり。 善根ぜんごん薄はく少しょうにして三界さんがいに流る転てんして、 いまだ火か宅たくを出いでずと信しん知ちし、 いま弥陀みだの本ほん弘ぐ誓願ぜいがんは、 名みょう号ごうを称しょうすること下しも十じっ声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるに及およぶまで、 さだめて往おう生じょうを得うと信しん知ちして、 乃ない至し一念いちねんも疑ぎ心しんあることなきなり。

二ニ深心トイフハ、謂ク信↧知シ自身ハ是具↢足セル煩悩ヲ↡凡夫ナリ、善根薄少ニシテ流↢転シテ三界ニ↡、未ダト↞出デ↢火宅ヲ↡、今信↧知シテ弥陀ノ本*弘誓願ハ及ビ称スルコト↢名号ヲ↡下至ルマデニ↢十声・一声等ニ↡、定メテ得ト↦往生スルコトヲ↥、乃至一念モ无キナリ↠有ルコト↢疑心↡。

^◆三さんに回え向こう発願ほつがん心しんといふは、 いはく、 所しょ作さの一切いっさいの善根ぜんごんをことごとくみな回え向こうして、 往おう生じょうせんと願がんずるがゆゑなり。 ◆この三心さんしんを具ぐすれば、 かならず往おう生じょうすることを得う。 もし一心いっしんも少かけぬれば、 すなはち生しょうずることを得えず」 と。 略りゃくしてこれを抄しょうす。 経きょう文もんは上じょう品ぼん上生じょうしょうにありといへども、 ▼禅ぜん師じ (善0971導) の釈しゃくのごとくは、 理り九く品ぼんに通つうず。 余師よしの釈しゃくつぶさにすることあたはず。

三ニ廻向発願心トイフハ、謂ク所作ノ一切ノ善根ヲ悉ク皆廻向シテ、願ズルガ↢往生セムト↡故ニ。具シテ↢此ノ三心ヲ↡必ズ得↢往生スルコトヲ↡。若シ少カケヌレバ↢一心モ↡、即チ不トイヘリ↠得↠生ズルコトヲ。」略シテ↢抄ス之ヲ↡。経文ハ雖モ↠在リト↢上品上生ニ↡、如ク↢禅師ノ釈ノ↡者、理通ズ↢九品ニ↡。余師ノ釈不↠能ハ↠具スルコト

^¬*鼓く音おん声じょう王おう経きょう¼ にのたまはく、 「もしよく深ふかく信しんじて狐疑こぎなきものは、 かならず阿あ弥陀みだの国くにに往おう生じょうすることを得う」 と。

¬鼓音声*王経ニ¼云ク、「若シ能ク深ク信ジテ無キ↢*狐疑↡者ハ、必ズ得ト↣往↢生スルコトヲ阿弥*陀ノ国ニ↡。」

^¬涅ね槃はん経ぎょう¼ にのたまはく、 「阿あ耨のく菩ぼ提だいは信心しんじんを因いんとなす。 この菩ぼ提だいの因いんまた無む量りょうなりといへども、 もし信心しんじんを説ときつればすなはちすでに摂しょう尽じんしつ」 と。 以上

¬涅槃経ニ¼云ク、「阿耨菩提ニハ信心ヲ為ス↠因ト。是ノ菩提ノ因雖モ↢復無量ナリト↡、若シ説キツレバ↢信心ヲ↡則チ已ニ摂尽シツト。」 已上

^あきらかに知しりぬ、 道どうを修しゅするには信しんをもつて首はじめとなす。

明カニ知リヌ修スルニハ↠道ヲ以テ↠信ヲ為ス↠首ハジメト。

^また善導ぜんどう和か尚しょうのいはく (礼讃・意)、 「▲もしは入にゅう観かんおよび睡ねむりの時ときには、 この願がんを発おこすべし。 もしは坐ざし、 もしは立たちて、 一心いっしんに合がっ掌しょうして、 まさしく面おもてを西にしに向むかへて、 十じっ声しょう、 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつ・観音かんのん・勢せい至し・もろもろの菩ぼ薩さつ・清浄しょうじょう大海だいかい衆しゅº と称しょうしをはりて、 ◆仏ぶつ・菩ぼ薩さつおよび極楽ごくらく界かいの相そうを見みたてまつらんといふ願がんを発おこせ。 ◆すなはち意こころに随したがひて入にゅう観かんし、 および睡ねむりても見みることを得う。 心しんをば至いたさざるを除のぞく」 と。

又善導和尚ノ云ク、「若シハ入観及ビ睡リノ時ニハ応シ↠発ス↢此ノ願ヲ↡。若1117シハ坐シ若シハ立ツルニ、一心ニ合掌シテ、正シク↠ナホクシテ面ヲ向ヘテ↠西ニ、十声称シ↢阿弥陀仏、観音・勢至、諸ノ菩薩、清浄大海衆ヲ↡竟リテ而発セ↧見タテマツラムトイフ↢仏・菩薩及ビ極楽界ノ相ヲ↡之願ヲ↥。即チ随ヒテ↠意ニ入観シ及ビ睡リテモ得↠見ルコトヲ。除オクト↠不ルヲ↠至サ↠*心ヲバ。」

 ^問とふ。 行ぎょう者じゃ、 *常じょう途ずに往おう生じょうを計け念ねんすること、 その相そう、 なににか似にたる。

問フ。行者常途ニ計↢念セムコト往生ヲ↡、其ノ相似タル↠何ニカ。

^答こたふ。 △前さきに引ひくところの ¬要決ようけつ¼ (西方要決) に、 本国ほんごくに帰かえらんと欲おもふ譬たとへ、 これその相そうなり。

答フ。前ニ所ノ↠引ク¬要決ニ¼、欲フ↠帰ラムト↢本国ニ↡之譬、是其ノ相也。

^また綽しゃく和か尚しょう (道綽) の ¬*安楽あんらく集しゅう¼ (上) にいはく、 「▲たとへば、 人ひとありて空曠くうこうのはるかなる処ところにして、 怨賊おんぞくの、 剣つるぎを抜ぬき勇ゆうを奮ふるひて、 ただちに来きたりて殺ころ0972さんと欲ほっせんに値遇あひなん。 この人ひとただちに走はしるに、 一いちの河かわを渡わたらんと観みる。 いまだ河かわに到いたるに及およばざるに、 すなはちこの念ねんをなす。 ªわれ河かわの岸きしに至いたりては、 衣ころもを脱ぬぎてや渡わたるとやせん、 衣ころもを着きてや浮およぐとやせん。 もし衣ころもを脱ぬぎて渡わたらば、 ただおそらくは暇いとまなきことを。 もし衣ころもを着きて浮およがば、 またおそらくは首しゅ領りょうを全まったくすること難かたしº と。 その時ときに、 ただ一心いっしんに河かわを渡わたる方便ほうべんをなすことのみありて、 余よの心想しんそう間雑けんぞうすることなからんがごとし。

又*綽和尚ノ¬安楽集ニ¼云ク、「譬ヘバ如ク↧有リテ↠人於テ↢空*曠ノ迥カナル処ニ↡、値↢遇アヒナム怨賊ノ抜キ↠剣ヲ*奮ヒテ↠勇ヲ、直ニ来リテ欲セムニ↟殺サムト、此ノ人径走シテ、観ル↠渡ラムト↢一ノ河ヲ↡、未ダルニ↠及バ↠到ルニ↠河ニ、即チ作ス↢此ノ念ヲ↡、我至リテハ↢河ノ岸ニ↡、為セマシ↢脱ギテヤ↠衣ヲ渡ルコトヲ↡、為セマシ↢著テヤ↠衣ヲ浮オヨグコトヲ↡、若シ脱ギテ↠衣ヲ渡ラバ、唯恐クハ無カラムコトヲ↠暇、若シ著テ↠衣ヲ浮オヨガバ、復畏クハ首領ヲ難シト↠全クセムコト、爾ノ時ニ但有リテ↣一心ニ作スコトノミ↢渡ラム↠河ヲ方便ヲ↡、无カラムガ↦余ノ心想間雑スルコト↥、

^◆行ぎょう者じゃまたしかり。 阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんずる時ときには、 またかの人ひとの渡わたることを念おもふがごとくして、 念々ねんねんにあひ次ついで、 余よの心想しんそう間雑けんぞうすることなし。 あるいは仏ぶつの法身ほっしんを念おもひ、 あるいは仏ぶつの神力じんりきを念おもひ、 あるいは仏ぶつの智慧ちえを念おもひ、 あるいは仏ぶつの毫相ごうそうを念おもひ、 あるいは仏ぶつの相好そうごうを念おもひ、 あるいは仏ぶつの本願ほんがんを念おもへ。 名みなを称しょうすることもまたしかなり。 ただよくもつぱら至いたして、 相続そうぞくして断だんぜざるは、 さだめて仏前ぶつぜんに生うまる」 と。 以上

行者亦爾リ。念ゼム↢阿弥陀仏ヲ↡時ニハ、亦如クシテ↢彼ノ人ノ念フガ↟渡ラムコトヲ、念々ニ相次ギテ*無シ↢余ノ心想*間雑スルコト↡。或イハ念ヒ↢仏ノ法身ヲ↡、或イハ念ヒ↢仏ノ神力ヲ↡、或イハ念ヒ↢仏ノ智*慧ヲ↡、或イハ念ヒ↢仏ノ毫相ヲ↡、或イハ念ヒ↢仏ノ相好ヲ↡、或イハ念ヘ↢仏ノ本願ヲ↡。称スルコトモ↠名ヲ亦爾ナリ。但能ク専ラ*至シテ、相続シテ不ルハ↠断ゼ、定メテ生ルト↢仏前ニ↡。」 *已上

^*元がん暁ぎょう師しこれに同おなじ。

元暁師同ジ↠之ニ。

 ^問とふ。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいは、 ただ心しんに念ねんずとやせん、 また口くちに唱となふとやせん。

問フ。念仏三昧ハ為ム↢唯心ニ念ズトヤ↡、為ム↢亦口ニ唱フトヤ↡。

^答こたふ。 ¬止し観かん¼ の第だい二 (意) にいふがごとし。 「あるいは ˆ唱しょう・念ねんˇ ともに運はこび、 あるいは先まづ念ねんじ後のちに唱となへ、 あるいは先まづ唱となへ後のちに念ねんじて、 唱しょう・念ねんあひ継つぎて休く息そくす0973る時ときなし。 声々しょうしょう・念々ねんねんただ阿あ弥陀みだにあり」 と。

答フ。如シ↢¬止観ノ¼第二ニ云フガ↡。「*或イハ倶ニ運ジ、或イハ先ヅ念ジ後ニ唱ヘ、或イハ先ヅ唱ヘ後ニ念ジテ、唱念相継ギテ無シ↢休息スル時↡。声々念々唯シ在リト↢阿弥陀ニ↡。」

^また感かん禅ぜん師じ (懐感) のいはく (*群疑論)、 「¬観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 ª▲この人ひと、 苦くに逼せめられて念仏ねんぶつに遑いとまあらず。 善ぜん友ぬ、 教令きょうりょうすらく、 «阿あ弥陀みだ仏ぶつを称しょうすべし» と。 ◆かくのごとく心しんを至いたして、 声こえをして絶たえざらしむº と。

又感禅師ノ云ク、「¬観経ニ¼言ク、是ノ人苦ニ逼メサレテ不↠遑アラ↢念仏ニ↡。善友教令スラク、可シト↠称ス↢阿弥陀仏ヲ↡。如クシテ↠是クノ至シテ↠心1118ヲ、令メヨト↢声ヲシテ不ラ↟絶エ。

^あに苦く悩のうに逼せめられて念想ねんそう成じょうじがたきには、 声こえをして絶たえざらしむるに、 至し心しんにすなはち得うるにあらずや。 いまこの声こえを出いだして、 念仏ねんぶつ定じょうを学がくすることもまたかくのごとし。 声こえをして絶たえざらしむれば、 つひに三昧さんまいを得えて、 仏ぶつ・聖しょう衆じゅの*皎きょう然ねんとして目めの前まえにましますを見みる。

豈ニ非ズヤ↧苦悩ニ所テハ↠逼メサ念想難キニハ↠成リ、令ムルニ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、至心ニ便チ得スルニ↥。今此ノ出シテ↠声ヲ学スルコトモ↢念仏定ヲ↡亦復如シ↠是クノ。令ムレバ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、遂ニ得テ↢三昧ヲ↡、見ル↢仏・聖衆ノ皎然トシテ目ノ前ニマシマスヲ↡。

^ゆゑに *¬大だい集じゅう¼ の ª日蔵にちぞう分ぶんº にのたまはく、 ª▼大念だいねんは大仏だいぶつを見みる、 小しょう念ねんは小しょう仏ぶつを見みるº と。 ▼ª大念だいねんº とは大だい声しょうに仏ぶつを称しょうするなり。 ª小しょう念ねんº とは小声しょうしょうに仏ぶつを称しょうするなり。 これすなはち聖教しょうぎょうなり。 なんの惑まどひかあらん。

故ニ¬大集ノ¼「日蔵分ニ」言ク、大念ハ見ル↢大仏ヲ↡、小念ハ見ルト↢小仏ヲ↡。大念ト者大声ニ称スル↠仏ヲ也。小念ト*者小声ニ称スル↠仏ヲ也。斯即チ聖教ナリ。有ラム↢何ノ*或マドヒカ↡哉。

^現げんに見みるにすなはちいまのもろもろの修学しゅがく者しゃ、 ただすべからく声こえを励はげまして仏ぶつを念ねんずべし。 三昧さんまい成じょうじやすし。 小声しょうしょうに仏ぶつを称しょうするに、 つひに*馳ち散さん多おおし。 これすなはち学者がくしゃの知しるところにして、 *外げ人にんの暁さとるにあらず」 と。

現ニ見ルニ*即チ今ノ諸ノ修学者、唯須クシ↢励シテ↠声ヲ念ズ↟仏ヲ。三昧易ケム↠成ジ。小声ニ称スルニ↠仏ヲ、遂ニ多シ↢馳散↡。此乃チ学者ノ所知ナリ。非ズト↢外人之暁サトルニ↡矣。」

^以い上じょう、 かの ¬経きょう¼ (大集経) にのたまはく、 「ただ多たを欲ほっするは多たを見み、 小しょうを欲ほっするは小しょうを見みる」 等とうと。 しかるに感かん師し (懐感)、 すでに三昧さんまいを得えたり。 かの釈しゃくするところ、 仰あおぎて信しんずべし。 さらに諸本しょほんを勘かんがへよ。 「小しょう念ねんは小しょうを見み、 大念だいねんは大だい0974を見みる」 の文もん、 ¬*日蔵にちぞう経きょう¼ の第だい九くに出いでたり。

已上*彼ノ¬経ニ¼*云ク、「但欲スルハ↠多ヲ見↠多ヲ、欲スルハ↠小ヲ見ル↠小ヲ」*等ト。然ルニ感師既ニ得タリ↢三昧ヲ↡。*彼ノ所↠釈スル応シ↢仰ギテ*信ズ↡。更ニ勘ヘヨ↢諸本ヲ↡。「*小念ハ見↠小ヲ、大念ハ見ルノ↠大ヲ」文、出デタリ↢¬日蔵経ノ¼第九ニ↡

二 Ⅴ ⅲ 対治懈怠

【50】^第だい三さんに△*対たい治じ懈け怠だいとは、 *行ぎょう人にん、 恒ごう時じに勇進ゆうしんすることあたはず。 あるいは心しん蒙昧もうまいとなり、 あるいは心しん*退屈たいくつす。 その時ときに種々しゅじゅの勝すぐれたる事じに寄よせて自じ心しんを勧励かんれいすべし。

第三ニ対治懈怠ト者、行人不↠能ハ↢恒時ニ勇進スルコト↡。或イハ心蒙昧トナリ、或イハ心退屈ス。爾ノ時ニ応シ↧寄セテ↢種々ノ勝レタル事ニ↡勧↦*励ス自心ヲ↥。

^あるいは三さん途ずの苦果くかをもつて浄じょう土どの功く徳どくに比くらべて、 この念ねんをなすべし。 「われすでに悪道あくどうにして多た劫こうを経へき。 *無利むりの勤ごん苦くすら、 なほよく超こえたり。 小行しょうぎょうを修しゅ行ぎょうして菩ぼ提だいを得えんは大だい利りなり。 退屈たいくつをなすべからず」 と。 △悪趣あくしゅの苦く、 △浄じょう土どの相そう、 一々いちいちに前さきのごとし。

或イハ以テ↢三途ノ苦果ヲ↡比ベテ↢浄土ノ功徳ニ↡、応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡。我已ニ悪道ニシテ経キ↢多劫ヲ↡、无利ノ勤苦スラ尚能ク超エタリ。修↢行シテ小行ヲ↡得ムハ↢菩提ヲ↡大利ナリ。不ト↠応カラ↠生ナス↢退屈ヲ↡。悪趣ノ苦、浄土ノ相、一々ニ如シ↠前ノ

^あるいは往おう生じょう浄じょう土どの衆しゅ生じょうを縁えんじて、 この念ねんをなすべし。 「十方じっぽう世せ界かいのもろもろの有う情じょう、 念々ねんねんに安楽あんらく国こくに往おう生じょうす。 かれすでに*丈じょう夫ぶなり。 われもまたしかなり。 みづから軽かろみて退屈たいくつをなすべからず」 と。 往おう生じょうの人にんは下しもの▽利り益やく門もん・▽料りょう簡けん門もんのごとし。

或イハ縁ジテ↢往生浄土ノ衆生ヲ↡、応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡。十方世界ノ諸ノ有情、念々ニ往↢生ス安楽国ニ↡。彼既ニ丈夫ナリ。我モ亦爾ナリ。不ト↠応カラ↣自ラ軽ミテ生ナス↢退屈ヲ↡。往生ノ人ハ如シ↢下ノ利益門・*料簡門ノ↡

^あるいは仏ぶつの奇き妙みょうの功く徳どくを縁えんずべし。

或イハ応シ↠縁ズ↢仏ノ奇妙ノ功徳ヲ↡。

 ^問とふ。 なんらの功く徳どくぞ。

*問フ。何等ノ功徳ゾ。

^答こたふ。 その事じ、 無む量りょうなり。 略りゃくしてその要ようを挙あげん。

答フ。其ノ事无*量ナリ。略シテ挙ゲム↢其ノ要ヲ↡。

1. 四十八願

^一いちには四し十じゅう八はちの本願ほんがんを思し念ねんすべし。

一ニハ応シ↣思↢念ス四十八ノ*大願ヲ↡。

^また *¬無む量りょう清浄しょうじょう覚がく経きょう¼ にのたまはく、 「▼阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 観かん世ぜ音おん・大勢だいせい至しと、 大願だいがんの船ふねに乗のりて生しょう死じの海うみに汎うかびて、 この娑しゃ婆ば世せ界かいにつきて、 衆しゅ生じょうを呼こ喚かんして大願だいがんの船ふねに上のせて、 西方さいほうに送おくり着つけしめたまふ。 もし衆しゅ生じょうの、 あへて大願だいがんの船ふねに上のらば、 ならびにみな去さることを得う。 これは0975これ往ゆきやすきなり」 と。

又¬無量清浄覚経ニ¼云ク、「阿弥陀仏与↢観世音・大勢至↡乗リテ↢大願ノ船ニ↡汎ウカビテ↢生死ノ海ニ↡、就キテ↢此ノ娑婆世界ニ↡、呼↢喚シテ衆生ヲ↡令メタマフ↧上ノセテ↢大願ノ*船1119ニ↡送リ↦著ケ西方ニ↥。*若シ衆生ノ肯テ上ノル↢大願ノ船ニ↡者ハ、並ニ皆得ト↠去ルコトヲ。」此ハ是易キ↠往キ也。

^¬心しん地じ観かん経ぎょう¼ の偈げにのたまはく、

¬*心地観経ノ¼偈ニ云ク、

^「衆しゅ生じょうは生しょう死じ海かいに没在もつざいして、 五ご趣しゅに輪りん廻ねして出いづる期ごなし。
善逝ぜんぜいつねに妙みょう法ほうの船ふねとなり、 よく*愛あい流るを截きりて彼ひ岸がんに超こえしめたまふ」 と。

「衆生ハ没↢在シテ生死海ニ↡輪↢廻シテ五趣ニ↡無シ↢出ヅル期↡
善逝恒ニ為リ↢妙法ノ船ト↡能ク截リテ↢愛流ヲ↡超エシメタマフト↢彼*岸ニ↡」

^念おもふべし、 「われ、 いづれの時ときにか悲ひ願がんの船ふねに乗のりて去さらん」 と。

応シ↠念フ、我何レノ時ニカ乗リテ↢悲願ノ船ニ↡去ラムト。

2. 名号

 ^二にには名みょう号ごうの功く徳どくなり。

二ニハ名号ノ功徳ナリ。

^¬*維ゆい摩ま経ぎょう¼ にのたまふがごとし。 「諸仏しょぶつの色身しきしんの威い相そう・種しゅ性しょう、 *戒かい・定じょう・智慧ちえ・解げ脱だつ・知ち見けん、 *力りき・無む所しょ畏い・不共ふぐの法ほう、 大だい慈じ大だい悲ひ、 威儀いぎ所しょ行ぎょう、 およびその寿じゅ命みょう、 説法せっぽう教きょう化けし、 衆しゅ生じょうを成じょう就じゅし、 仏ぶつの国こく土どを浄きよめ、 もろもろの仏法ぶっぽうを具ぐしたまへること、 ことごとくみな同等どうとうなり。 このゆゑに名なづけて*三さん藐みゃく三さん仏ぶっ陀だとなし、 名なづけて*多陀ただ阿あ伽度かどとなし、 名なづけて仏ぶっ陀だとなす。

如シ↢¬維摩経ニ¼言フガ↡。「▼諸仏ハ色身ノ威相、種性、戒・定・智*慧・解脱・知見・力・無所畏・不共之法、大慈大悲、威儀所行、及ビ其ノ寿命、説法教化シ、成↢就シ衆生ヲ↡、浄メ↢仏ノ国土ヲ↡、具シタマヘルコト↢諸ノ仏法ヲ↡、悉ク皆同等ナリ。是ノ故ニ名ケテ為シ↢三藐三仏陀ト↡、名ケテ為シ↢多陀阿伽度ト↡、名ケテ為ス↢仏陀ト↡。

^阿あ難なん、 もしわれ広ひろくこの三さん句くの義ぎを説とかば、 なんぢ*劫寿こうじゅをもつてすとも、 尽つくして受うくることあたはじ。 たとひ三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのなかに満みてらん衆しゅ生じょうをして、 みな阿あ難なんのごとく多た聞もん第一だいいちにして*念ねん総そう持じを得えしむとも、 このもろもろの人ひと等らも、 劫こうの寿じゅをもつてすともまた受うくることあたはじ」 と。 以上

◆阿難、若シ我広ク説カバ↢此ノ三句ノ義ヲ↡、汝以テストモ↢劫寿ヲ↡不↠能ハ↢尽シテ受クルコト↡。正使 タトヒ 三千大千世界ニ満テル↠中ニ衆生ヲシテ、皆如ク↢阿難ガ↡多聞第一ニシテ得タラム↢念総持ヲ↡。此ノ諸ノ人等モ以テストモ↢劫之寿ヲ↡亦不ト↠能ハ↠受クルコト。」 *已上

^▽¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「¬維ゆい摩ま¼ にのたまはく、 ª仏ぶつの初はじめの三号さんごうをば、 仏ぶつもし広ひろく説ときたまはば、 阿あ難なん、 劫こうを経ふとも領りょう受じゅすることあたはじº と。

¬要決ニ¼云ク、「¬維*摩ニ¼云ク、仏ノ初ノ三号ヲバ、仏若シ広ク説キタマハバ、阿難経テモ↠劫ヲ不ト↠能ハ↢領受スルコト↡。

^¬*成じょう実じつ論ろん¼ に、 仏ぶつの号ごうを釈しゃくするに0976、 *前さきの九く号ごうはみな別べつ義ぎに従したがひ、 前さきの九く号ごうの*名みょう義ぎの功く徳どくを総そうじて、 仏ぶつ世せ尊そんとなす。 初はじめの三号さんごうを説とかんに、 劫こうを歴ふとも周きわめがたし。 阿あ難なん領りょう悟ごするに、 よく*つぶさに悉しっすることなし。 さらに六号ろくごうを加くわへて、 もつて仏号ぶつごうを製せいせりといふ。 *勝しょう徳とくすでに円まどかなれば、 それを念ねんずるは大善だいぜんなり」 と。 以い上じょう ¬要決ようけつ¼ (西方要決)。

¬成実論ニ¼釈スルニ↢仏之号ヲ↡、前之九号ハ皆従フ↢別義ニ↡。総ジテ↢前ノ九号ノ名義ノ功徳ヲ↡為ス↢仏世尊ト↡。説カムニ↢初ノ三号ヲ↡、歴トモ↠劫ヲ難シ↠周ヲヘ。阿難領悟スルニ莫シ↢能ク具ニ悉スルコト↡。更ニ加ヘテ↢六号ヲ↡、以テ*製セリトイフ↢仏*号ヲ↡。勝徳既ニ円カナレバ、念ズルハ↠其ヲ大善也ナリトイヘリ。」已上¬要決¼

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまはく、

¬花厳ノ¼偈ニ云ク、

^「もしもろもろの衆しゅ生じょうありて、 いまだ菩ぼ提心だいしんを発おこさざらんに、
一ひとたびも仏ぶつの名みなを聞きくことを得えば、 決けつ定じょうして菩ぼ提だいを*成じょうぜん」 と。

「若シ有リテ↢諸ノ衆生↡未ダラムニ↠発サ↢菩提心ヲ↡
一タビモ得テハ↠聞クコトヲ↢仏ノ名ヲ↡決定シテ成ラムトイヘリ↢菩*提ヲ↡。」

^この念ねんをなすべし、 「われ、 いますでに仏ぶつの尊号そんごうを聞きくことを得えたり。 願ねがはくは、 われまさに仏ぶつに作なりて十方じっぽうの諸仏しょぶつのごとくあるべし」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、我今既ニ得タリ↠聞クコトヲ↢仏ノ尊号ヲ↡。願クハ我*当ニシト↣作リテ↠仏ニ如クアル↢十方ノ諸1120仏ノ↡。

3. 相好

 ^三さんには相好そうごうの功く徳どくなり。

*三ニハ相好ノ功徳ナリ。

^¬六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろの世せ間けんにおいて、 あるところの三さん世ぜの一切いっさいの衆しゅ生じょう、 *学がく・無む学がくの人にん、 および辟びゃく支し仏ぶつ、 かくのごとき有う情じょうの無む量りょう無む辺へんの所しょ有うの功く徳どくを、 如来にょらいの一毛もうの功く徳どくに比くらぶるに、 百ひゃく千せん万分まんぶんがなかにその一いちにも及およばず。 かくのごとき一々いちいちの毛端もうたんは、 みな如来にょらいの無む量りょうの功く徳どくより出生しゅっしょうせるところなり。

¬六波羅蜜経ニ¼云ク、「於テ↢諸ノ世間ニ↡所ノ↠有ル三世ノ一切ノ衆生、学・無学ノ人、及ビ辟支仏、如キ↠是クノ有情ノ無量無辺ノ所有ノ功徳ヲ比ブルニ↢於如来ノ一毛ノ功徳ニ↡、百千万分ガ中ニ不↠及バ↢其ノ一ニモ↡。如キ↠是クノ一々ノ毛端ハ、皆従リ↢如来ノ無量ノ功徳↡之所ナリ↢出生セル↡。

^一切いっさいの毛端もうたんのあらゆる功く徳どくをもつて、 ともに一いちの髪ほつの功く徳どくを成じょうず。 かくのごとくして仏ぶつの髪みぐしは八万はちまん四し千せんなり。 一々いちいちの髪ほつ0977のなかに、 おのおの上かみのごとき功く徳どくを具ぐせり。

一切ノ毛端ノ所有ノ功徳ヲモテ、共ニ成ズ↢一ノ髪ノ功徳ヲ↡。如クシテ↠是クノ仏ノ髪ハ八万四千ナリ。一々ノ髪ノ中ニ各 ノ具セリ↢如キ↠上ノ功徳ヲ↡。

^かくのごとく合ごう集じゅうして、 ともに一いちの*随好ずいこうの功く徳どくを成じょうず。 一切いっさいの好こうの功く徳どくをともにして、 一いちの*相そうの功く徳どくを成じょうず。 一切いっさいの相そうの功く徳どくを合ごう集じゅうして百ひゃく千せん倍ばいに至いたりて、 眉み間けんの毫相ごうそうの功く徳どくを成じょうず。

如ク↠是クノ合集シテ共ニ成ル↢一ノ随好ノ功徳ト↡。一*切ノ好ノ功徳ヲ共ニシテ成ス↢一ノ相ノ功徳ト↡。一*切ノ相ノ功徳ヲ合集シテ至リテ↢百千倍ニ↡、成ス↢眉間ノ*毫相ノ功徳ト↡。

^その相そう円満えんまんにして、 宛転えんでんして右みぎに旋めぐれること、 *頗は胝てい迦か宝ほうのごとし。 明浄みょうじょう鮮せん白びゃくにして、 夜や闇あんのなかに、 なほあきらかなる星ほしのごとくなり。 毫相ごうそうこれを舒のぶれば、 上かみは色界しきかいの*阿迦あか膩にた天てんまでに至いたる。 これを巻まけば、 旧もとのごとくしてまた毫相ごうそうとなりて、 眉み間けんに住じゅうす。 毫相ごうそうの功く徳どく、 百ひゃく千せん倍ばいに至いたりて肉髻にくけいの相そうを成じょうず。 かくのごとき肉髻にくけいの千倍せんばいの功く徳どくは、 *梵音ぼんのん声じょうの相そうの功く徳どくに及およばじ」 と。

其ノ相円満ニシテ宛転シテ右ニ*旋レルコト、如シ↢頗胝迦宝ノ↡。明浄鮮白ニシテ夜闇之中ニ猶如クナリ↢明カナル星ノ↡。*毫相舒ブレバ↠之ヲ上ハ至ル↢色界ノ阿迦膩天マデニ↡。巻ケバ↠之ヲ如クシテ↠旧ノ復為リテ↢*毫相ト↡於テ↢眉間ニ↡住ス。*毫相ノ功徳至リテ↢百千倍ニ↡成ル↢肉*髻ノ相ト↡。如キ↠是クノ肉髻ノ千倍ノ功徳ハ、不トイヘリ↠及バ↢梵音声ノ相ノ功徳ニ↡。」

^また ¬宝ほう積しゃく経きょう¼ に無む数しゅの*校量きょうりょうあり。 学者がくしゃ、 勘かんがふべし。

又¬宝積経ニ¼有リ↢無数ノ挍量↡。学者可シ↠勘フ。

^また ¬*大だい集じゅうの念仏ねんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ の第だい五ごにのたまはく、 「かくのごとき世せ界かい、 および十方じっぽうの無む量りょう無む辺へんのもろもろの世せ界かいのなかのあらゆる衆しゅ生じょう、 たとひことごとくみな一いち時じに仏ぶつとなりて、 かのもろもろの世せ尊そん、 無む量りょう劫こうを経へて、 みな還かえりて仏ぶつの一毛いちもうの功く徳どくを嘆ほめたまふとも、 つひにまた尽つくさじ」 と。 云々

*又¬大集ノ念仏三昧経ノ¼第五ニ云ク、「如キ↠此クノ世界及ビ十方ノ無量無辺ノ諸ノ世界ノ中ノ所有ノ衆生ノ、*仮使 タトヒ 尽ク皆一時ニ成リナム↠仏ト。彼ノ諸ノ世尊経テ↢无量劫ヲ↡皆還リテ嘆メタマフトモ↢仏ノ一毛ノ功徳ヲ↡、終ニ亦不ト↠尽サ。」*云々

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまはく、

¬花*厳ノ¼偈ニ云ク、

^「清浄しょうじょうの*慈じ門もん、 *刹せつ塵数じんじゅにして、 ともに如来にょらいの一いちの妙みょう相そうを生しょうず。
一々いちいちの諸相しょそう、 しからずといふことなし。 このゆゑに見みるもの、 *厭足えんそくすること0978なし」 と。

「清浄ノ慈門刹塵数ニシテ共ニ生ズ↢如来ノ一ノ妙相ヲ↡
一々ノ諸相莫シ↠不トイフコト↠然ラ是ノ故ニ見ル者无シト↢厭足スルコト↡」

^この念ねんをなすべし、 「願ねがはくは、 われまさに仏ぶつの無む辺へん功く徳どくの相そうを見みたてまつるべし」 と。

*応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ我1121当ニシト↠見タテマツル↢仏ノ无辺功徳ノ相ヲ↡。

4. 光明威神

 ^四しには光こう明みょうの威い神じんなり。

四ニハ光明ノ威神ハ、

^いはく、 ¬*平びょう等覚どうがく経きょう¼ (一) にのたまはく、 「▲無む量りょう清浄しょうじょう仏ぶつ 無む量りょう清浄しょうじょう仏ぶつは、 これ阿あ弥陀みだ仏ぶつなり。 の光こう明みょうは、 最尊さいそん第一だいいちにして比ならびなし。 諸仏しょぶつの光こう明みょう、 みな及およばざるところなり。

*謂ク▼¬平等覚経ニ¼云ク、「无量清浄*仏ノ 无量清浄仏者、是阿弥陀*仏ナリ 光明ハ最尊ニシテ第一ニシテ無シ↠比ビ。諸仏ノ光明皆所↠不ル↠及バ也。

^◆ある仏ぶつの頂いただきの光こう明みょうは七しち尺しゃくを照てらす。 ある仏ぶつは一いち里りを照てらす。 ある仏ぶつは五ご里り、 *ある仏ぶつは二に十じゅう里り・四し十じゅう里り・八はち十じゅう里り、 ◆乃ない至し百ひゃく万まんの仏国ぶっこく、 二に百ひゃく万まんの仏国ぶっこくなり。 ◆八方はっぽう上じょう下げ、 無む央数おうしゅの諸仏しょぶつの頂いただきの光ひかりの照てらしたまふところ、 みなかくのごとし。 無む量りょう清浄しょうじょう仏ぶつの↓頂いただきのなかの光こう明みょうは、 千万せんまんの仏国ぶっこくを炎えん照しょうす」 と。

有ル仏ノ頂ノ光明ハ照ス↢七尺ヲ↡。有ル仏ハ照ス↢一里ヲ↡。有ル仏ハ五里、*有ル仏ハ廿里、里、八十里、乃至百万ノ仏国、二百万ノ仏国ナリ。八方上下无央数ノ諸仏ノ頂ノ光ノ所↠照シタマフ、皆如シ↠是クノ也。无量清浄仏ノ頂ノ中ノ光明炎ハ、照スト↢千万仏国ヲ↡。」

^以い上じょう取しゅ意い。 わたくしにいはく、 ¬観かん経ぎょう¼ にのたまはく、 「▲かの仏ぶつの↓円光えんこうは百ひゃく億おくの大千だいせん界かいのごとし」 と。 この ¬経きょう¼ (平等覚経・一) にはのたまはく、 「頂いただきのなかの光ひかり、 千万せんまん仏ぶつの国くにを照てらす」 と。 二に経きょうの意こころ、 同おなじきのみ。

已上取ル↠意ヲ。私ニ云ク、¬観経ニ¼云ク、「彼ノ仏ノ*円光ハ如シト↢百億ノ大千界ノ↡。」此ノ¬経ニハ¼云ク、「頂ノ中ノ光照スト↢千万仏ノ国ヲ↡。」二経ノ意同ジキ耳

^¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経) の意こころ、 これに同おなじ。 ¬経きょう¼ (同・上) にのたまはく、 「▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん光こう明みょうは、 最さい勝しょう第一だいいちにして、 諸仏しょぶつの光こう明みょう、 及およぶことあたはざるところなり。

¬双巻経ノ¼*意同ジ↠之ニ。¬経ニ¼*云ク、「无量寿仏ノ威神光明ハ、最勝第一ナリ。諸仏ノ光明所ナリ↠不ル↠能ハ↠及ブコト。

^◆あるいは仏ぶつの光ひかりの、 百ひゃく仏ぶつ世せ界かいあるいは千仏せんぶつ世せ界かいを照てらすあり。 要ようを取とりてこれをいはば、 すなは0979ち東方とうぼうの恒ごう河が沙しゃの仏刹ぶっせつを照てらす。 南西なんざい北方ほっぽう・四し維ゆい・上じょう下げもまたかくのごとし。

或イハ有リ↣仏ノ光ノ照ス↢百仏世界或イハ千仏世界ヲ↡。取リテ↠要ヲ言ハバ↠之ヲ、乃チ照ス↢東方ノ恒河沙ノ仏刹ヲ↡。南西北方・四維・上下モ亦復如シ↠是クノ。

^▲このゆゑに無む量りょう寿じゅ仏ぶつを、 無む量りょう光こう仏ぶつ・無む辺光へんこう仏ぶつ・無礙むげ光こう仏ぶつ・無む対光たいこう仏ぶつ *玄一げんいち師しのいはく (無量寿経記)、 ªともに等ひとしきものなきがゆゑにº と。

是ノ故ニ無量寿仏ヲ号ス↢无量光仏・无辺光仏・无礙光仏・無*対光仏 玄一師ノ云ク、无キガ↢与ニ等シキモノ↡故ニト

^炎王光えんのうこう仏ぶつ 玄一げんいち師しのいはく (無量寿経記)、 ª最さい勝しょう自じ在ざいなるがゆゑにº と。

*炎王光仏 *玄一師ノ云ク、最勝自在ナルガ故ニト

^清浄しょうじょう光こう仏ぶつ 一いち (玄一) のいはく (無量寿経記)、 ª三さん垢くを滅めっするがゆゑにº と。 *憬きょう興ごう師しのいはく (*述文賛)、 ª無む貪とんの善根ぜんごんの所しょ生しょうなるがゆゑにº と。

清浄光仏 一ガ云ク、滅スルガ↢三垢ヲ↡故ニト。憬興師ノ云ク、无貪ノ善根ノ所生ナルガ故ニト

^歓かん喜ぎ光こう仏ぶつ 一いちのいはく (無量寿経記)、 ª遇あふもの悦えつ意いするがゆゑにº と。 興こう (憬興) のいはく (述文賛)、 ª無む瞋しん所しょ生しょうなるがゆゑにº と。

歓喜光仏 一ガ云ク、遇フ者悦意スルガ故ニト。興ノ云ク、无瞋所生ナルガ故ニト

^智慧ちえ光こう仏ぶつ 一いちのいはく (無量寿経記)、 ª智慧ちえの所発しょほつなるがゆゑにº と。 興こういはく (述文賛)、 ª無痴むちの所しょ生しょうなるがゆゑにº と。

智*慧光仏 一ガ云ク、智*慧ノ所発ナルガ故ニト。興云ク、无痴ノ所生ナルガ故ニト

^不ふ断光だんこう仏ぶつ 一いちのいはく (無量寿経記)、 ª恒ごう相続そうぞくのゆゑにº と。

不断光仏 一ガ云ク、恒相続ノ故ニト

^難なん思じ光こう仏ぶつ・無む称しょう光こう仏ぶつ 一いちのいはく (無量寿経記)、 ª称しょう嘆たんして、 その所しょ有うを尽つくすべからざるがゆゑにº と。 自余じよの名みょう義ぎは知しりぬべし。 煩わずらはしく記きせず。

難思光仏・無称光仏 一ガ云ク、不ルガ↠可カラ↣称嘆シテ尽ス↢其ノ所有ヲ↡故ニト。自余ノ名義ハ可シ↠知リヌ。不↢煩ク記セ↡

^超ちょう日月にちがっ光こう仏ぶつと号ごうす。

超日月光仏ト↡。

^▲もし三さん途ず勤ごん苦くの処ところにありて、 この光こう明みょうを見みるに、 また苦く悩のうなく、 寿いのち終おわりて後のちにはみな解げ脱だつを蒙こうむる。 ◆ただわれのみ、 いまその光こう明みょうを称しょうするにあらず。 一切いっさいの諸仏しょぶつまたかくのごとし。

若シ在ルニハ↢三途勤苦之処ニ↡、見ルニ↢此ノ光明ヲ↡、無ク↢復苦悩↡、寿終ヘテ之後ニハ皆蒙ル↢解脱ヲ↡。非ズ↣但我ノミ今称スルノミニ↢其ノ光明ヲ↡。一切ノ諸仏亦復如シ↠是クノ。

^◆もし衆しゅ生じょうありて、 その光こう明みょうの威い神じんの功く徳どくを聞ききて、 日にち夜やに称しょう説せつし、 心しんを至いたして断たえざれば、 意こころの所願しょがんに随したがひて、 その国くにに生しょうずることを得えん。 ◆われ、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつの0980光こう明みょうの威い神じん、 巍々ぎぎとして殊しゅ妙みょうなることを説とかんに、 昼ちゅう夜やにして一劫いっこうすとも、 なほ尽つくすことあたはじ」 と。

若シ有リテ↢衆生↡聞キテ↢其ノ光明ノ威神ノ功1122徳ヲ↡、日夜ニ称説シ至シテ↠心ヲ不レバ↠断エ、随ヒテ↢意ノ所願ニ↡得ム↠生ズルコトヲ↢其ノ国ニ↡。*我説カバ↢无量寿仏ノ光明ノ威神巍々トシテ殊妙ナルコトヲ↡、昼夜ニシテ一劫ストモ尚シ不ト↠能ハ↠尽スコト。」

^以い上じょう取しゅ意い。 ¬平びょう等どう経きょう¼ には、 別べっして、 「↑頂いただきの光ひかり」 とのたまひ、 ¬観かん経ぎょう¼ には、 総そうじて 「↑光こう明みょう」 とのたまふ。

已上取意。¬平*等経ニハ¼別シテ云ヒ↢「頂ノ光ト」↡、¬観経ニハ¼総ジテ云フ↢「光明ト」↡

^¬*譬喩ひゆ経きょう¼ の第だい三さんに、 *釈しゃ迦か文もん仏ぶつの光相こうそうを明あかしてのたまはく、 「仏ぶつ (釈尊) 滅めっしたまひて百年ひゃくねんに*阿あ育いく王おうあり。 国くにのうちの民庶みんしょ、 仏ぶつの遺典ゆいてんを歌かしき。 王おうの、 意こころに信しんぜずして念言ねんごんすらく、 ª仏ぶつにいかなる徳とくの、 人ひとに過すぎ踰こえたるものありて、 しかもともに信しんをもつぱらにしてその文もんを誦じゅ習じゅうすらんº と。

¬譬喩経ノ¼第三ニ明シテ↢釈迦文仏ノ*光相ヲ↡云ク、「仏滅シタマヒテ百年ニ有リ↢阿育王↡。国ノ内ノ民庶歌シキ↢仏ノ遺典ヲ↡。王ノ意ニ不シテ↠信ゼ念言スラク、仏ニ有リテ↢何ノ徳ノ↡過ギ↢踰コエタレバカ於人ニ↡、而モ共ニ専ニシテ↠信ヲ誦↢習スラムト其ノ文ヲ↡。

^すなはち大臣だいじんに問とはく、 ª国くにのうちに、 もし仏ぶつを見みたるものありやº と。 答こたへてまうさく、 ª聞きくならく、 *波斯はし匿のく王おうの妹いもうと、 出しゅっ家けして比丘びく尼にとなれり。 年ねん*西垂さいずいにありて、 いひて仏ぶつを見みたりといふº と。

即チ問ハク↢大臣ニ↡、国ノ中ニ頗モシ有リヤト↢見タル↠仏ヲ者↡。答ヘテ曰ク、聞クナラク、波斯匿王ノ妹出家シテ作レリ↢比丘尼ト↡。年在リテ↢西*垂ニ↡、云ヒテ言フト↠見タリト↠仏ヲ。

^王おうすなはちみづから出いでて往詣おうげいして、 問とひていはく、 ª*道人どうにん、 仏ぶつを見みたりやいなやº と。 答こたへてまうさく、 ª実じつにしかりº と。 問とひていはく、 ªなんの殊しゅ異いなることかあるº と。

王即チ自ラ出デテ往詣シテ、問ヒテ曰ク、道人見タリヤ↠仏ヲ不耶ト。答ヘテ云ク、実ニ爾リト。問ヒテ曰ク、有ルト↢何ノ殊異ナルコトカ↡。

^道人どうにんのいはく、 ª仏ぶつの功く徳どくは巍々ぎぎとして量はかりがたし。 わが愚ぐ浅せんの、 よくこれを陳のぶるところにあらず。 ほぼ一いち事じを説とかば、 殊特しゅどくなることを知しりぬべし。

道人ノ曰ク、仏之功徳ハ巍々トシテ難シ↠量リ。非ズ↣我ガ愚*浅ノ所ニ↢能ク陳ブル↟之ヲ。粗説カバ↢一事ヲ↡、可シ↠知リヌ↢殊特ナルコトヲ↡。

^われ時ときに八歳はっさい、 世せ尊そん来きたりて王おう宮ぐに入いりたまひき。 すなはち前すすみて足みあしを礼らいせしに、 頭こうべの上うえの金こがねの釵かんざし、 堕だ落らくして地じにあり。 これを求もとむるに得えずして、 その所以ゆえん0981を怪あやしみき。 如来にょらいの過すぎ去さりたまひし足みあしの跡あとに、 千輻せんぷく輪りんありて、 光こう明みょうを現げんじて晃かがやき、 七日しちにちありてすなはち滅めっしにき。 *登とう時じには、 金こがねの釵かんざし地じと同色どうしきなりき。 ここをもつて見みえざりき。 光ひかり滅めっして後のちに、 釵かんざしを得えき。

我時ニ八歳、世尊来リテ入リタマヒキ↢王宮ニ↡。即チ前ススミテ礼セシニ↠足ヲ、頭ノ上ノ金ノ釵カムザシ堕落シテ在リ↠地ニ。求ムルニ↠之ヲ不シテ↠得怪ビキ↢其ノ所以ヲ↡。如来ノ過ギ去リタマヘドモ足ノ跡ニ有リテ↢千輻輪↡、現ニ光明晃カガヤケリキ。七日アリテ即チ滅シニキ。登時ニハ金ノ釵カムザシ与↠地同色ナリキ。是ヲ以テ不リキ↠見エ。光滅シテ後ニ得ト↠釵カムザシヲ。

^すなはち知しりき、 殊特しゅどくなることをº と。 王おう聞ききて歓かん喜ぎして、 心しんあきらかに開かい悟ごしき」 と。 略抄

乃チ知リテ為↢殊特ナリト↡。王聞キテ歓喜シテ、心煥アキラカニ開悟シキト。」*略抄

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまはく、

¬花*厳ノ¼偈ニ*云ク、

^「一々いちいちの毛もう孔くに光雲こううんを現げんじて、 あまねく虚こ空くうに遍へんして、 大音だいおんを発おこす。
もろもろの*幽ゆう冥みょうの所ところ、 照てらさざるなし。 地じ獄ごくの衆しゅ苦くことごとく減げんぜしむ」 と。

「一々ノ毛孔ニ現ジテ↢光*雲ヲ↡普ク遍ス↢虚空ニ↡発ス↢大音ヲ↡
諸ノ幽冥ノ所靡シ↠不ル↠照サ地獄ノ衆苦咸ク令ムト↠滅セ」

^この念ねんをなすべし、 「願ねがはくは、 仏ぶつの光こう明みょう、 われを照てらして、 生しょう死じの*業ごう苦くを滅めっしたまへ」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ仏ノ光*明照シテ↠我ヲ、滅シタマヘト↢生死ノ業苦ヲ↡。

5. 無能害者

 ^五ごには*よく害がいするものなし。

五ニハ無シ↢能ク害スル者↡。

^¬宝ほう積しゃく経きょう¼ の三さん十じゅう七しち (意) にのたまはく、 「*風劫ふうこう起おこる時ときには、 世よに大風だいふうあり。 僧伽そうぎゃ多たと名なづく。 かの風かぜ、 この三千さんぜん世せ界かいの須しゅ弥み・鉄てっ囲ち、 および*四し大だい洲しゅう、 八万はちまんの小洲しょうしゅう、 大山だいせん・大海だいかいを挙あぐること、 高たかさ百ひゃく*踰ゆ繕ぜん那な、 乃ない至し、 無む量りょう百ひゃく千せん踰ゆ繕ぜん那なにして、 すでに砕末さいまつして塵じんとなす。 また撃うちて、 *閻えん魔ま天てん宮ぐを壊え滅めつす。 乃ない至し、 遍へん浄じょう天てんのあらゆる宮く殿でんまたみな散滅さんめつす。 すなはちこの0982風かぜをもつて如来にょらいの衣ころもを吹ふかんに、 一いちの毛端もうたんの際きわをも、 なほ動うごかすことあたはず。 いかにいはんや衣ころもの角すみおよび全まったき衣ころもをや」 と。

¬宝積経ノ¼卅七ニ云ク、「風劫起ル時ニハ世ニ有リ↢大風↡。名ク↢僧伽多ト↡。彼ノ風挙グルコト↢此ノ三千世界ノ須弥1123・鉄囲、及ビ四大洲、八*万ノ小洲、大山・大海ヲ↡、高サ百踰繕那、乃至無量百千踰繕那シ已リテ*砕*末シテ為ス↠塵ト。又撃チテ壊↢滅ス焔摩天宮ヲ↡。乃至遍浄天ノ所有ノ宮殿亦皆散滅ス。即チ以テ↢此ノ風ヲ↡吹カムニ↢如来ノ衣ミソノ一ノ毛端ノ際ヲ↡、尚不↠能ハ↠動ズルコト。何ニ況ヤ衣ミソノ角及ビ全キ衣ミソヲヤトイヘリ*者。」

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「諸仏しょぶつの不可ふか思議しぎなることをば、 仮喩たとえをもつて知しりぬべし。 たとひ一切いっさい十方じっぽう世せ界かいの衆しゅ生じょうみな勢力せいりきあり、 たとひ一いちの魔まありてそこばくの勢力せいりきあらん。 また十方じっぽうの一々いちいちの衆しゅ生じょうの力ちからをして悪あく魔まのごとくあらしめたらんに、 ともに仏ぶつを害がいせんと欲おもはんに、 なほ仏ぶつの一毛いちもうをすら動うごかすことあたはじ。 いはんや害がいするものあらんや」 と。

¬十住論ニ¼云ク、「諸仏ノ不可思議ナルコトヲバ、仮喩 タトヒ ヲモテ可シ↠知リヌ。仮使 タトヒ 一切十方世界ノ衆生皆有リ↢勢力↡、設ヒ有リテ↢一ノ魔↡有ラム↢爾所ソコバクノ勢力↡。復令メム↣十方ノ一々ノ衆生ノ力ヲシテ如クアラ↢悪魔ノ↡。欲ハムニ↢共ニ害セムト↟仏ヲ、尚不↠能ハ↠動スコト↢仏ノ一毛ヲスラ↡。況ヤ有ラムヤト↢害スル者↡。」

^偈げ (十住毘婆娑論) にいはく、

偈ニ*云ク、

^「もしもろもろの世せ間けんのなかに、 仏ぶつを害がいすることあらんと欲おもはば、
この事じみな成じょうぜじ。 不ふ殺せつの法ほうを成じょうじたまへるをもつてなり」 と。

「若シ諸ノ世間ノ中ニ欲ハバ↠有ラムト↠害スルコト↠仏ヲ者
是ノ事皆不↠成ラ以テナリト↠成ジタマヘルヲ↢不殺ノ法ヲ↡」

^この念ねんをなすべし、 「願ねがはくは、 われまさに仏ぶつの金剛こんごう不壊ふえの身しんを得うべし」 と。

*応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ我当ニシト↠得↢仏ノ金剛不壊ノ身ヲ↡。

6. 飛行自在

 ^六ろくには▽飛ひ行ぎょう自じ在ざいなり。

六ニハ飛行自在ナリ。

^同論どうろんにいはく、 「仏ぶつは虚こ空くうにおいて、 足みあしを挙あげ、 足みあしを下おろし、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがしたまふこと、 みな自じ在ざいを得えたまへり。 大だい声しょう聞もんのごときは、 神通じんずう自じ在ざいにして、 一日いちにちに五ご十じゅう三億さんおく二に百ひゃく九く十じゅう六万ろくまん六千ろくせんの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいを過すぐ。 かくのごとき声しょう聞もんの百ひゃく歳さいに過すぎたるところをば、 仏ぶつは一念いちねんに過すぎたまふ。

同ジキ¬論ニ¼云ク、「仏ハ於テ↢虚空ニ↡挙ゲ↠足ヲ下シ↠足ヲ、行住坐臥シタマフコト、皆得タマヘリ↢自在ヲ↡。若シ↣大声聞ノ神通自在ナルハ一日ニ過グルガ↢五十三億二百九十六万六千ノ三千*大千世界ヲ↡。如キ↠是クノ声聞ノ百歳ニ所ヲバ↠過ギタル、仏ハ一念ニ過ギタマフ。

^乃ない至し、 恒ごう河がのなかの沙いさごの、 一いちの沙いさごを一いちの河かわとなして、 このもろもろの恒ごう河が沙しゃの、 大劫だいこうに0983過すぎたるところの国こく土どを、 仏ぶつは一念いちねんのうちに過すぎたまふ。 もし宝たからの蓮れん華げを蹈ふみて去さらんと欲ほっせば、 すなはちよく成じょう弁べんす。 かくのごとく飛ひ行ぎょうすること一切いっさい*無礙むげなり」 と。

乃至恒河ノ中ノ沙ノ一ノ沙ヲ為ラム↢一ノ河ト↡。是ノ諸ノ恒河沙ノ大劫ニ所ノ↠過ギタル国土ヲ、仏ハ一念ノ中ニ過ギタマフ。若シ欲セバ↧蹈ミテ↢宝ノ蓮花ヲ↡而去ラムト↥、即チ能ク成*辨ス。如ク↠是クノ飛行スルコト一切無礙ナリトイヘリ。」

^¬観仏かんぶつ経きょう¼ にのたまはく、 「虚こ空くうにおいて、 足みあしを挙あげて行ゆく時ときに、 千輻せんぷく輪りんの相そうよりみな八万はちまん四し千せんの蓮れん華げを雨あめふらす。 かくのごときもろもろの華けに塵数じんじゅの仏ぶつましまして、 また虚こ空くうを歩あゆむ」 と。 以上略抄

¬観仏経ニ¼云ク、「*於テ↢虚空ニ↡挙ゲテ↠足ヲ行ク時ニ、千輻輪ノ相ヨリ皆雨ル↢八万四千ノ蓮花ヲ↡。如キ↠是クノ衆ノ花ニ有シテ↢塵数ノ仏↡、亦歩ムトイヘリ↢虚空ヲ↡。」 已上略抄

^また 「空くうを蹈ふみて行ゆきたまへども、 しかも千輻せんぷく輪りんは地じ際さいに現げんず。 悦えつ意いの妙みょう香こう*鉢特はず摩華まけ、 自じ然ねんに踊ゆ出じゅつして如来にょらいの足みあしを承うく。 もし畜ちく生しょう趣しゅの一切いっさいの有う情じょう、 如来にょらいの足みあしのために触ふれらるるものは、 七しち夜やを極きわめ満みつるまで、 もろもろの快け楽らくを受うけ、 命終みょうじゅうの後のちには、 *善趣ぜんしゅの楽らく世せ界かいのなかに往おう生じょうす」 と。 ¬宝ほう積しゃく経きょう¼。

又「蹈ミテ↠空ヲ行1124キタマヘドモ、而モ千*輻輪ハ現ズ↢於地際ニ↡。悦意ノ妙香鉢特摩花自然ニ踊出シテ承ク↢如来ノ足ヲ↡。若シ畜生趣ノ一切ノ有情、為ニ↢如来ノ足ノ↡之所ルル↠触レ者ハ、極テ満ツルマデニ↢七夜ヲ↡受ク↢諸ノ快楽ヲ↡。命終之後ニハ往↢生スト善趣ノ楽世界ノ中ニ↡。」¬宝積経¼

^もし四し十じゅう里りの盤ばん石じゃくをもつて色しき究く竟きょう天てんより下くだすに、 一万いちまん八千はっせん三さん百びゃく八はち十じゅう三年さんねんを経へて、 この地じに到いたるべし。 ただちに下くだるすらなほしかり。 これを推おして知しりぬべし、 声しょう聞もんの飛ひ行ぎょう、 如来にょらいの飛ひ行ぎょうは、 展転てんでんして不可ふか思議しぎなることを。

若シ以テ↢里ノ*盤石ヲ↡従リ↢色究竟天↡下スニ、経テ↢一万八千三百八十三年ヲ↡、到ルベシ↢此ノ地ニ↡。直ニ下ルスラ尚シ爾アリ。推シテ↠之ヲ応シ↠知リヌ、声聞ノ飛行、如来ノ飛行ハ展転シテ不可思議ナルコトヲ。

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の恵え林りん菩ぼ薩さつの讃仏さんぶつの偈げにのたまはく、

¬花厳経ノ¼*恵林菩薩ノ讃仏ノ偈ニ云ク、

^「自じ在ざい神通じんずう力りきは、 無む量りょうにして難なん思議じぎなり。
来らいもなくまた去こもなくして、 法ほうを説ときて衆しゅ生じょうを度どしたまふ」 と。

「自在神通ノ力ハ無量ニシテ難思議ナリ
無ク↠来モ亦無クシテ↠去モ説キテ↠法ヲ度シタマフト↢衆生ヲ↡」

^この念ねんをなすべし、 「願ねがはくは、 われ神通じんずうを得えて、 諸仏しょぶつの土どに遊戯ゆげせん」 と。

*応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ我得テ↢神通ヲ↡、遊↢戯セムト諸仏ノ土ニ↡。

7. 神通無礙

 ^0984七しちには神力じんりき無礙むげなり。

七ニハ神*力無礙ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論・意) にいはく、 「仏ぶつはよく恒ごう河が沙しゃ等とうの世せ界かいを末まっして、 微み塵じんのごとくならしめて、 またよく還かえりて合がっしたまふ。 あるいはまたよく無む量りょう無む辺へん阿あ僧そう祇ぎの世せ界かいを変へんじて、 みな金銀こんごん等とうとなさしめたまふ。 またよく恒ごう河が沙しゃ等とうの世せ界かいの大だい海水かいすいを変へんじて、 みな*乳にゅう蘇そ等とうとならしめたまふ」 と。 以上

¬十住論ニ¼云ク、「仏ハ能ク*末シテ↢恒河沙等ノ世*界ヲ↡、令メテ↠如クナラ↢微塵ノ↡、又能ク還リテ*合シタマフ。或イハ又能ク変ジテ↢無量無辺阿僧祇ノ世界ヲ↡、皆令メタマフ↠作サ↢金・銀等ト↡。又能ク変ジテ↢恒河沙等ノ世界ノ大海水ヲ↡、皆使メタマフト↠為ラ↢乳・蘇等ト↡。 已上

^¬浄名じょうみょう経きょう¼ (維摩経・意) に、 菩ぼ薩さつの*不ふ思議しぎ解げ脱だつを説ときてのたまはく、 「三千さんぜん大千だいせん世せ界かいを断たち取とりて、 *陶とう家けの輪りんのごとくして、 右みぎの掌たなごころのなかに着つけて、 擲なぐるに恒ごう河が沙しゃの世せ界かいのほかに過すぐしたまはん。 そのなかの衆しゅ生じょうは、 おのが所しょ住じゅうを覚かくせず、 知ちせじ。 また還かえりて本処ほんしょに置おくに、 すべて人ひとをして往来おうらいの想そうあらしめじ。 しかもこの世せ界かいの本もとの相そうは、 故もとのごとし。

¬浄名経ニ¼*説キテ↢菩薩ノ不思議解脱ヲ↡云ク、「断チ↢取リテ三千大千世界ヲ↡、如クシテ↢陶家ノ輪ノ↡、著ケテ↢右ノ掌ノ中ニ↡、擲ナグルニ過グイタマハム↢恒*河沙ノ世界之外ニ↡。其ノ中ノ衆生ハ不↠覚セ↢不↠知セ↣己ガ之所住ヲ↡。又復還リテ置クニ↢本処ニ↡、都テ不↠使メ↣人ヲシテ有ラ↢往来ノ想↡。而シテ此ノ世界ノ本ノ相ハ如シ↠故モトノ。

^また下げ方ほう過か恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつ世せ界かいにおいて一仏いちぶつ土どを取とりて、 上じょう方ほう過か恒ごう河が沙しゃ無む数しゅの世せ界かいに挙あげ着つくること、 *針しん鋒ふを持もちて一いち*棗葉そうようを挙あぐるがごとくするも、 嬈わずらはすことなし。 ▲須しゅ弥み山せんをもつて芥子けしのなかに納おさめ、 四し大海だいかいをもつて一毛いちもう孔くに入いるることまたかくのごとし。 そのなかの衆しゅ生じょうは、 覚かくせず、 知ちせじ。 ただ度どすべきものすなはちこれを知ち見けんす」 と。 以上

*又於テ↢下方過恒河沙等ノ諸仏世界ニ↡取リテ↢一仏土ヲ↡、挙ゲ↢著クルコト上方過恒河沙无数ノ世界ニ↡、如クスルモ↧持チテ↢針*鋒ヲ↡挙グルガ↦一*棗葉ヲ↥而*無シ↠嬈ワヅラハスコト。以テ↢須弥1125山ヲ↡納メ↢芥子ノ中ニ↡、以テ↢四大海ヲ↡入ルルコト↢一毛孔ニ↡亦復如シ↠是クノ。其ノ中ノ衆生ハ不↠覚セ不↠知セ。唯シ応キ↠度ス者乃シ知↢見スト之ヲ↡。」 已上

^菩ぼ薩さつなほしかり、 いかにいはんや仏力ぶつりきをや。 ゆゑに ¬*度ど諸仏しょぶつ境きょう界がい経きょう¼ にのたまはく、 「よく十方じっぽう世せ界かいをして一毛いちもう孔くに入いれしめ、 乃至 一いち微み0985塵じんにおいてよく無む量りょう無む数しゅ不可ふか説せつの世せ界かいを現げんずるに、 一切いっさい衆しゅ生じょうまた*迫迮はくさくなし。 無む量りょう無む数しゅ不可ふか説せつ劫こうの威儀いぎ果か報ほうの事じを、 よく一念いちねんのうちにおいて現げんじ、 一念いちねんの威儀いぎ果か報ほうの事じを、 無む量りょう無む数しゅ不可ふか説せつ劫こうのうちにおいて現げんず。 かくのごとき所しょ作さは、 心しんに*功く用ゆうなく、 思し惟ゆいをなさず」 と。

*菩薩尚爾リ、何ニ況ヤ仏力ヲヤ。故ニ¬度諸仏境界経ニ¼云ク、「能ク令メテム↣十方世界ヲシテ入レ↢一*毛孔ニ↡。 乃至 於テ↢一微塵ニ↡能ク現ズルニ↢無量無数不可説ノ世界ヲ↡、一切衆生亦無シ↢迫迮↡。无量无数不可説劫ノ威儀果報ノ事ヲ能ク於テ↢一念ノ中ニ↡現ズ。一念ノ威儀果報ノ事ヲ於テ↢無量無数不可説劫ノ中ニ↡現ズ。如キ↠是クノ所*作ハ心ニ无シ↢功用↡、不ト↠作サ↢思*惟ヲ↡。」

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の真実しんじつ幢どう菩ぼ薩さつの偈げにのたまはく、

¬花*厳経ノ¼真実幢菩薩ノ偈ニ云ク、

^「一切いっさいのもろもろの如来にょらいは、 神通じんずう力りき自じ在ざいなり。
ことごとく三さん世ぜのなかにおいて、 これを求もとむるに不可ふか得とくなり」 と。

「一切ノ諸ノ如来ハ神通力自在ナリ
悉ク於テ↢三世ノ中ニ↡求ムルニ↠之ヲ不可得ナリト」

^この念ねんをなすべし、 「われいままた知しらず、 仏ぶつの神力じんりきのために転てんぜられて、 いづれの仏ぶつ土どにかあり、 たれの毛もう孔くにかあるといふことを。 われいづれの時ときにか、 これを覚かく知ちすることを得えん」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、我今亦不↠知ラ、為ニ↢仏ノ神力ノ↡転ゼラレテ、在リテ↢何レノ仏土ニカ↡、在ラムトイフコトヲ↢誰ガ毛孔ニカ↡。*我何レノ時ニカ、得ムト↣覚↢知スルコトヲ之ヲ↡。

8. 随類化現

 ^八はちには*随類ずいるい化け現げんなり。

八ニハ随類化現ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論・意) にいふがごとし。 「仏ぶつは一念いちねんのうちに、 十方じっぽうの無む量りょう無む辺へん、 恒ごう河が沙しゃ等とうの世せ界かいにおいて、 無む量りょうの仏身ぶっしんを変へん化げしたまふ。 一々いちいちの化け仏ぶつまたよく種々しゅじゅの仏ぶつ事じを施ほどこす」 と。 以い上じょうの*四し事じは*神境通じんきょうつうなり。

*如シ¬十住論ニ¼云フガ。「仏ハ一念ノ中ニ、於テ↢十方ノ无量无辺恒河沙等ノ世界ニ↡、変↢化シタマフ無量ノ仏身ヲ↡。一々ノ化仏亦能ク*施スト↢種々ノ仏事ヲ↡。」已上ノ四事ハ神境通*也

^¬度ど諸仏しょぶつ境きょう界がい経きょう¼ にのたまはく、 「如来にょらいの所現しょげんは異いの功く用ゆうなく、 異いの思し惟ゆいなし。 衆しゅ生じょうの性しょうに随したがひて、 おのづから見みること不ふ同どうなり。 十じゅう五ご日にちの夜よる、 閻えん浮ぶ提だいの人ひとは、 おのおの月つきの現げんじて、 その上うえにありと見みるが、 月つきは作意さいして、 われその0986上うえに現げんぜんとせざるがごとし」 と。

¬度諸仏境界経ニ¼云ク、「如来ノ所現ハ无ク↢異ノ功用↡、無シ↢異ノ思惟↡。随ヒテ↢衆生ノ性ニ↡自ラ見ルコト不同ナリ。如シト↫十五日ノ夜、閻浮提ノ人ハ各 ノ見ルガ↣月ノ現ニ在リト↢其ノ上ニ↡、月ハ不ルガ↪作意シテ我現ゼムトセ↩其ノ上ニ↨。」

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまはく、

¬花厳ノ¼偈ニ云ク、

^「如来にょらいの広大こうだいの身しんは、 *法界ほうかいを究く竟きょうしたまへり。
この座ざを離はなれずして、 一切いっさいの処ところに遍へんしたまふ」 と。

「如来ノ広大ノ身ハ究↢竟シタマヘリ於法界ヲ↡
不シテ↠離レ↢於此ノ座ヲ↡而遍シタマフト↢一切ノ処ニ↡」

^またのたまはく (華厳経)、

又云ク、

^「智慧ちえ甚深じんじんの功く徳どく海かい、 あまねく十方じっぽうの無む量りょうの国くにに現げんじたまふ。
もろもろの衆しゅ生じょうの見みるべきところに随したがひて、 光こう明みょうあまねく照てらして法輪ほうりんを転てんじたまふ」 と。

「智*慧甚深ノ功徳海普ク現ジタマフ↢十方ノ无量ノ国ニ↡
随1126ヒテ↢諸ノ衆生ノ所ニ↟応キ↠見ル光明遍ク照シテ転ジタマフト↢法輪ヲ↡」

^この念ねんをなすべし、 「願ねがはくは、 われまさに*遍へん法界ほうかいの身しんを見みたてまつるべし」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ我当ニシト↠見タテマツル↢遍法界ノ身ヲ↡。

9. 天眼明徹

 ^九くには*天眼てんげん明みょう徹てつなり。

九ニハ天眼明徹ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「大力だいりきの声しょう聞もんは天眼てんげんをもつて*小しょう千せん国こく土どを見み、 またなかの衆しゅ生じょうの生しょう時じ・死時しじを見みる。 小しょう力りきの辟びゃく支し仏ぶつは十じゅうの小しょう千せん国こく土どを見み、 なかの衆しゅ生じょうの生しょう時じ・死時しじを見みる。 中ちゅう力りきの辟びゃく支し仏ぶつは百ひゃくの小しょう千せん国こく土どを見み、 なかの衆しゅ生じょうの生しょう時じ・死時しじを見みる。 大力だいりきの辟びゃく支し仏ぶつは三千さんぜん大千だいせん国こく土どを見み、 なかの衆しゅ生じょうの生しょう死じの所趣しょしゅを見みる。 諸仏しょぶつ世せ尊そんは無む量りょう無む辺へんの不可ふか思議しぎの世せ間けんを見みそなはし、 またこのなかの衆しゅ生じょうの生しょう時じ・死時しじを見みそなはす」 と。 以上

¬十住論ニ¼云ク、「大力ノ声聞ハ以テ↢天眼ヲ↡見↢小千国土ヲ↡、亦見ル↢中ノ衆生ノ生時・死時ヲ↡。小力ノ辟支仏ハ見↢十ノ小千国土ヲ↡、見ル↢中ノ衆生ノ生時・死時ヲ↡。中力ノ辟支仏ハ見↢百ノ小千国土ヲ↡、見ル↢中ノ衆生ノ生時・死時ヲ↡。大力ノ辟支仏ハ見↢三千大千国土ヲ↡、見ル↢中ノ衆生ノ生*死ノ所趣ヲ↡。諸仏世尊ハ見ソナハシ↢无量无辺ノ不可思議ノ世間ヲ↡、亦見ソナハスト↢是ノ中ノ衆生ノ生時・死時ヲ↡。」 已上

^¬華け厳ごん0987経ぎょう¼ の偈げにのたまはく、

¬花厳経ノ¼偈ニ云ク、

^「仏眼ぶつげんは広大こうだいにして辺際へんざいなし。 あまねく十方じっぽうのもろもろの国こく土どを見みたまふ。
そのなかの衆しゅ生じょうは不可ふか量りょうなり。 大だい神通じんずうを現げんじてことごとく*調伏じょうぶくしたまふ」 と。

「仏眼ハ広大ニシテ無シ↢辺際↡普ク見タマフ↢十方ノ諸ノ国土ヲ↡
其ノ中ノ衆生ハ不可量ナリ現ジテ↢大神通ヲ↡悉ク調伏シタマフト」

^この念ねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 はるかにわが身業しんごうを見みそなはすらん」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、今弥陀如来ハ遥ニ見ソナハスラムト↢我ガ身業ヲ↡。

10. 聞声自在

 ^十じゅうには*聞もん声しょう自じ在ざいなり。

十ニハ*聞声自在ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「たとひ、 恒ごう河が沙しゃ等とうの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいの衆しゅ生じょう、 一いち時じに発言はつごんし、 また一いち時じに百ひゃく千せん種じゅの伎ぎ楽がくを作つくらん。 もしは遠とおきも、 もしは近ちかきも、 意こころに随したがひてよく聞ききたまふ。 もしなかにおいて、 一いちの音おん声じょうを聞きかんと欲ほっせば、 意こころに随したがひて聞きくことを得え、 余よをば聞きかず。 また無む辺へん世せ界かいを過すぎたるに、 最細さいさいの声こえをも、 みなまた聞きくことを得えたまふ。 もし衆しゅ生じょうをして聞きかしめんと欲ほっせば、 よく聞きくことを得えしめたまふ」 と。 略抄

¬十住論ニ¼云ク、「仮令 タトヒ 恒河沙等ノ三千大千世界ノ衆生一時ニ発言セム。又一時ニ作ラム↢百千種ノ伎楽ヲ↡。若シハ遠ク若シハ近キヲ、随ヒテ↠意ニ能ク聞キタマフ。若シ欲セバ↣於テ↠中ニ聞カムト↢一ノ音声ヲ↡、随ヒテ↠意ニ得↠聞クコトヲ、余ヲバ者不↠聞カ。又過ギタルニ↢無辺世界ヲ↡最細ノ声ヲモ皆亦得タマフ↠聞クコトヲ。若シ欲セバ↠令メムト↢衆生ヲシテ聞カ↡、能ク令メタマフト↠得↠聞クコトヲ。」略抄

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の文殊もんじゅの偈げにのたまはく、

¬花厳*経ノ¼文殊ノ偈ニ云ク、

^「一切いっさい世せ間けんのなかのあらゆるもろもろの音おん声じょうを、
仏ぶっ智ちはみな随したがひて了さとりたまふも、 また分別ふんべつあることなし」 と。

「一切世間ノ中ノ所有ノ諸ノ音声ヲ
仏智ハ皆随ヒテ了サトリタマフモ亦無シト↠有ルコト↢分*別↡」

^こ0988の念ねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 さだめてわが所しょ有うの語ご業ごうを聞ききたまふらん」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、今弥陀如来ハ定メテ聞キタマフラムト↢我ガ*所有ノ語業ヲ↡。

11. 知他心智

 ^十じゅう一いちには*知ち他た心しん智ちなり。

十一ニハ知ル↢他心ヲ↡智ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「仏ぶつは、 よく無む量りょう無む辺へんの世せ界かいの現在げんざいの衆しゅ生じょうの心しん、 およびもろもろの染ぜん浄じょうの所縁しょえん等とうを知しりたまひ、 またよく*無む色しきの衆しゅ生じょうのもろもろの心しんを知しりたまふ」 と。 略抄

¬十住論ニ¼云ク、「仏ハ能ク知1127リタマフ↢无量无辺ノ世界ノ現在ノ衆生ノ心、及ビ諸ノ染浄ノ所縁等ヲ↡。又能ク知リタマフト↢无色ノ衆生ノ諸ノ心ヲ↡。」略抄

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の文殊もんじゅの偈げにのたまはく、

¬花厳*経ノ¼文殊ノ偈ニ云ク、

^「一切いっさい衆しゅ生じょうの心しん、 あまねく三さん世ぜにあるを、
如来にょらいは一念いちねんにおいて、 一切いっさいことごとくあきらかに達たっしたまふ」 と。

「一切衆生ノ心普ク在ルヲ↢於三世ニ↡
如来ハ於テ↢一念ニ↡一切悉ク明カニ*達シタマフト」

^この念ねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 かならずわが意い業ごうを知しりたまふらん」 と。

応シ↠*作ス↢是ノ念ヲ↡、今弥陀如来ハ必ズ知リタマフラムト↢我ガ意業ヲ↡。

12. 宿住随念智

 ^十じゅう二にには*宿住しゅくじゅう随念ずいねん智ちなり。

十二ニハ宿住随念智ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆娑論) にいはく、 「仏ぶつもし自じ身しんおよび一切いっさい衆しゅ生じょうの無む量りょう無む辺へんの宿命しゅくみょうの一切いっさいの事じを念ねんぜんと欲ほっせば、 みなことごとく知しりて、 過か恒ごう河が沙しゃ等とうの劫こうの事じに知しらずといふことあることなし。 この人ひとはいづれの処ところに生しょうぜりき、 姓名しょうみょう・貴き賎せん・飲食おんじき・*資し生しょう・苦く楽らく、 所しょ作さの事じ業ごう、 所受しょじゅの果か報ほう、 心しんにはなんの所しょ行ぎょうある、 本もとはいづこより来きたるといふこと、 かくのごとき等らの事じを0989すなはちよく知ち見けんしたまふ」 と。

¬十住論ニ¼云ク、「仏若シ欲セバ↠念ゼムト↢自身及ビ一切衆生ノ无量無辺ノ宿命ノ一切ノ事ヲ↡、皆悉ク知リテ、无シ↠有ルコト↠不トイフコト↠知ラ↢過恒河沙等ノ劫ノ事ニ↡。是ノ人ハ何レノ処ニ生ゼリキ、*姓名・貴賎・飲食・資生・苦楽、所作ノ事業、所受ノ果報、心ニハ何レノ所行アル、本ハ従リ↠何イヅコ来レリトイフコト、如キ↠是クノ等ノ事ヲ即チ能ク知見シタマフト。」

^偈げ (十住毘婆沙論) にいはく、

¬偈ニ¼云ク、

^「宿命しゅくみょう智ちは無む量りょうなり。 天眼てんげんの見けん、 無む辺へんなり。
一切いっさいの人天にんでんのなかには、 よくその限かぎりを知しることなし」 と。

「宿命智ハ無量ナリ天眼ノ見无辺ナリ
一切ノ人天ノ中ニハ無シト↣能ク知ルコト↢其ノ限リヲ↡」

^念ねんずべし、 「願ねがはくは仏ぶつ、 わが宿しゅく業ごうをして清浄しょうじょうならしめたまへ」 と。

*応シ↠念ズ、願クハ仏、令メタマヘト↢我ガ宿業ヲシテ清浄ナラ↡。

13. 智慧無礙

 ^十じゅう三さんには*智慧ちえ無礙むげなり。

十三ニハ智*慧無礙ナリ。

^¬宝ほう積しゃく経きょう¼ の三さん十じゅう七しちにのたまはく、 「たとひ人ひとありて、 恒ごう河が沙しゃ等とうの世せ界かいのあらゆる一切いっさいの草木そうもくを取とり、 ことごとく焼やきて墨すみとなし、 擲なげて他た方ほうの恒ごう河が沙しゃ等とうの世せ界かいの大海だいかいに置おき、 百ひゃく千歳せんざいにして、 つきてもつてこれを磨すりてことごとく墨すみの汁しるとなしてん。 仏ぶつ、 大海だいかいのなかより一々いちいちの墨すみの滴しただりを取とりて、 分別ふんべつし了りょう知ちしたまふ。 これはその世せ界かいのかくのごとき草木そうもくの、 その根ね、 その茎くき、 その枝おおえだ、 その条こえだ、 華け・菓か・葉等ようとうとなりと。

¬宝積経ノ¼卅七ニ云ク、「仮使 タトヒ 有リテ↠人取リテ↢恒河沙等ノ世界ノ所有ノ一切ノ草木ヲ↡、悉ク焼キテ為シテ↠墨ト、擲ナゲテ置キテ↢他方ノ恒河沙等ノ世界ノ大海ニ↡、於テ↢百千歳ニ↡、就キテ以テ磨シテ↠之ニ尽ク為シテム↢*墨ノ汁ト↡。仏従リ↢大海ノ中↡取リテ↢一々ノ墨ノ滴ヲ↡分別シ了知シタマフ。是ハ其ノ世界ノ如キ↠是クノ草木ノ*其ノ根、*其ノ茎、*其ノ枝オホエダ、*其ノ条・花・菓・葉等トナリト↡。

^またもし人ひとありて、 一いち毛端もうたんを持もちて水みず一滴いってきを霑うるおして、 仏ぶつの所みもとに来らい至しして、 この言ごんをなさく、 ªあへて滴水てきすいをもつて、 もつてあひ寄よす。 後のちにもし須もちゐば、 まさにわれに還かえし賜たまふべしº と。 その時ときに、 如来にょらいその滴水てきすいを取とりて、 *恒ごう河がの河かわのなかに置おきたまはんに、 かの河かわの流る浪ろう*回え澓ぶくのために旋転せんでんせられて、 和わ合ごうし引いん注ちゅうして大海だいかいに至いたりなん。

又如モシ有リテ↠人持チテ↢一毛端ヲ↡霑シテ↢水一滴ヲ↡、来↢至シテ仏ノ所ニ↡而シテ作サク↢是ノ言ヲ↡、敢テ以テ↢滴水ヲ↡、持用 モテ 相寄ス。後ニ若シ須ヰバ者、当ニシト↢還シテ賜フ↟我ニ。爾ノ時ニ如来取リテ↢其ノ滴水ヲ↡、置キタマハムニ↢兢*伽ノ河ノ中ニ↡。而シテ為ニ↢彼ノ河ノ流*浪廻*澓ノ↡之1128所レテ↢旋転セ↡、和合シ引注シテ至リナム↢于大海ニ↡。

^この人ひと、 百ひゃく年ねんを満みてをはりて、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª先さきに寄よせたてまつりし滴水てきすいを、 い0990ま請こふ、 われに還かえしたまへº と。 その時ときに、 仏ぶつ、 一分いちぶんの毛端もうたんをもつて、 大海だいかいのうちに就つけて、 本もとの水滴すいてきを霑うるおして、 もつてこの人ひとに還かえしたまはん」 と。 略抄

是ノ人満テ↢百年ヲ↡已リテ而白シテ↠仏ニ言ク、先ニ寄セタテマツリシ滴水ヲ今請フ、還シタマヘト↠我ニ。爾ノ時ニ仏以テ↢一分ノ毛端ヲ↡就ケテ↢大海ノ内ニ↡、霑シテ↢本ノ水滴ヲ↡、用テ還シタマハムト↢是ノ人ニ↡。」略抄

^また *¬六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょう¼ にのたまはく、 「無む量りょう恒ごう河が沙しゃの十方じっぽう界かいの草木そうもくを、 ことごとく焚やきて墨灰すみはいとなして、 億載おくさい海うみに歴へん。 十じゅう力りき智ち深じん妙みょうにして滴しただりを取とりて、 *含がん生しょうに示しめして、 実じつのごとく分別ふんべつして、 これ、 それの界さかいの樹等じゅとうなりと知しらしめたまへり」 と。 云々

*又¬六波羅蜜経ニ¼云ク、「*无量兢河沙ノ十方界ノ草木ヲ尽ク焚キテ成シテ↢墨灰ト↡、億載歴ム↢于海ニ↡。十力智深妙ニシテ取リテ↠滴ヲ、示シテ↢含生ニ↡、如ク↠実ノ分別シテ、知ラシメタマヘリト↢此某ノ界ノ樹等ナリト↡。」云々

^またのたまはく (六波羅蜜経・意)、 「かくのごとき*四し洲しゅうおよびもろもろの山王せんのうをもつて紙素しそとなし、 八はちの大海だいかいの水みず、 もつてその墨すみとなし、 一切いっさいの草木そうもくをもつてその筆ふでとなして、 一切いっさいの人天にんでん一劫いっこうに書写しょしゃせらんを、 舎しゃ利り弗ほつの所得しょとくの智慧ちえに比くらぶれば、 十じゅう六ろく分ぶんがなかにその一いちにも及およばず。

又云 △ク、「如キ↠是クノ四*洲及ビ諸ノ山王ヲ用テ為シ↢紙素ト↡、八ノ大海ノ水ヲ以コレヲモテ為シ↢其ノ墨ト↡、一切ノ草木ヲ用テ為シテ↢其ノ筆ト↡、一切ノ人天一劫ニ書写セラムヲ比ブレバ↢舎利弗ノ所得ノ智*慧ニ↡、十六分ガ中ニ不↠及バ↢其ノ一ニモ↡。

^またこの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいにおいて、 そのなかの衆しゅ生じょうの所しょ有うの智慧ちえをして、 舎しゃ利り弗ほつのごとく、 等ひとしくして異ことなることあることなからしめんに、 菩ぼ薩さつの*布施ふせ波羅はら蜜みっ多たを了りょう達だつせる所しょ有うの智慧ちえは、 かれに過すぎたること百ひゃく倍ばいなり。

又於テ↢此ノ三千大千世界ニ↡、其ノ中ノ衆生ノ所有ノ智*慧ヲシテ、如クシテ↢舎利弗ノ↡、等シクシテ无カラム↠有ルコト↠異ナルコト。菩薩ノ了↢達セル布施波羅蜜多ヲ↡所有ノ智*慧ハ、過ギタルコト↠彼ニ百倍ナリ。

^またこの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのあらゆる衆しゅ生じょうをして、 みな布施ふせ波羅はら蜜みっ多たの智慧ちえを具ぐせしめんに、 一いちの菩ぼ薩さつの所得しょとくの*浄じょう戒かい波羅はら蜜みっ多たの智慧ちえに及およばず。 乃ない至し、 般若はんにゃもまたかくのごとし。

又此ノ三千大千世界ノ所有ノ衆生ヲシテ、皆具セラムハ↢布施波羅蜜多ノ智*慧ヲ↡、不↠及バ↢一ノ菩薩ノ所得ノ浄戒波羅蜜多ノ智*慧ニ↡。乃至般若モ亦復如シ↠是クノ。

^またこの三千さんぜん大千だいせん世せ界かいのあらゆる衆しゅ生じょうをして、 みな六ろっ波羅ぱら蜜みつの智慧ちえを具ぐせしめんに、 一いちの初しょ地じの菩ぼ薩さつの智慧ちえには0991及およばず。 乃ない至し、 十じゅう地じまで*展転てんでんして、 かくのごとし。 またこの十じゅう地じの菩ぼ薩さつの智慧ちえは、 なんぢ慈氏じし (弥勒)、 一いっ生しょう補ふ処しょの菩ぼ薩さつの智慧ちえに比くらぶるに、 百ひゃく千せん分ぶんがなかにその一いちにも及およばず。

又此ノ三千大千世界ノ所有ノ衆生ヲシテ、皆具セラムハ↢六波羅蜜ノ智*慧ヲ↡、不↠及バ↢一ノ初地ノ菩薩ノ智*慧ニハ↡。乃至十地マデ展転シテ如シ↠是クノ。又此ノ十地ノ菩薩ノ智恵ハ、比ブルニ↢汝慈氏、一生補処ノ菩薩ノ智*恵ニ↡、百千分ガ中ニ不↠及バ↢其ノ一ニモ↡。

^この三千さんぜん大千だいせん世せ界かいの一切いっさい衆しゅ生じょうの所しょ有うの智慧ちえをして、 みな慈氏じしのごとく、 等ひとしくして異ことなることあることなからしめんに、 かくのごとき菩ぼ薩さつ、 道場どうじょうに坐ざして*魔ま怨おんを*降伏ごうぶくして、 まさに正しょう覚がくを成じょうぜんとする所しょ有うの智慧ちえは、 仏ぶつの智慧ちえの百ひゃく千せん万分まんぶんにおいてその一いちにも及およばず」 と。

此ノ三千大千世界ノ一切衆生ノ所有ノ智*慧ヲシテ皆如クシテ↢慈氏ノ↡、等シクシテ无カラム↠有ルコト↠異ナルコト。如キ↠是クノ菩薩坐シテ↢於道場ニ↡降↢伏シテ魔1129怨ヲ↡、将ニルニ↠成ラムト↢正覚ヲ↡、所有ノ智*慧ハ、於テ↢仏ノ智*慧ノ百千万分ニ↡不ト↠及バ↢其ノ一ニモ↡。」

^¬宝ほう積しゃく経きょう¼ にのたまはく、 「たとひ、 十方じっぽうの無む量りょう無む辺へんの一切いっさい世せ界かいのあらゆる衆しゅ生じょうをして、 みなことごとく*繋け属ぞく一いっ生しょうの菩ぼ薩さつの智慧ちえを成じょう就じゅせしめんに、 如来にょらいの十じゅう力りきの一いちの*処しょ非ひ所しょ智ちに比ひせんと欲おもはんに、 百ひゃく千せん万分まんぶんのその一いちにも及およばず。 乃至 *烏波尼うはに沙しゃ陀だ分ぶんのその一いちにも及およばず。 乃ない至し、 *算数さんじゅ・譬喩ひゆも及およぶことあたはざるところなり」 と。

¬宝積経ニ¼云ク、「仮使 タトヒ 十方ノ無量無辺ノ一切世界ノ所有ノ衆生ヲシテ、皆悉ク成↢*就セラム繋属一*生ノ*菩薩之智*恵ヲ↡。欲ハムニ↠比セムト↢如来ノ十力之一ノ処非所智ノ百千万分ニ↡、不↠及バ↢*其ノ一ニモ↡。乃至 烏波尼沙陀分ニシテ不↠及バ↢其ノ一ニモ↡。乃至算数・譬喩ノ所ナリトイヘリ↠不ル↠能ハ↠*及ブコト。」

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の偈げにのたまはく、

¬花厳経ノ¼偈ニ*云ク、

^「如来にょらいの甚深じんじんの智ちは、 あまねく法界ほうかいに入いりたまふ。
よく三さん世ぜに随したがひて転てんじて、 世よのために明みょう道どうとなりたまふ」 と。

「如来ノ甚深ノ智ハ普ク入リタマフ↢於法界ニ↡
能ク随ヒテ↢三世ニ↡転ジテ与ニ↠世ノ為リタマフト↢明道ト↡」

^同どう経きょうの普ふ明みょう智ち菩ぼ薩さつの讃仏さんぶつの偈げにのたまはく、

同ジキ¬経ノ¼普明智菩薩ノ讃仏ノ偈ニ云ク、

^「一切いっさい諸法しょほうのなかには、 法門ほうもんに辺へんあることなし。
0992*一切いっさい智ちを成じょう就じゅして、 深じん法海ほうかいに入いる」 と。 以上

「一切諸法ノ中ニハ法門ニ無シ↠有ルコト↠辺
成↢就シテ一切智ヲ↡入ルト↢於深法海ニ↡」 已上

^この念ねんをなすべし、 「弥陀みだ如来にょらいはわが三業さんごうを照しょう見けんしたまふらん。 願ねがはくは、 世せ尊そんのごとく慧え眼げん第一だいいちに浄じょうなることを得えん」 と。

*応シ↠作ス↢是ノ*念ヲ↡、弥陀*如来ハ照↢見シタマヘ我ガ三業ヲ↡。願クハ得ムト↧如ク↢世尊ノ↡恵眼第一ニ浄ナルコトヲ↥。

14. 能調伏心

 ^十じゅう四しには*能のう調じょう伏ぶく心しんなり。

十四ニハ能調伏心ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「諸仏しょぶつは、 もしは定じょうに入いり、 もしは定じょうに入いりたまはずして、 心しんを*一縁いちえんのなかに繋かけんと欲おぼせば、 意こころの久く近ごんに随したがひて意こころのごとくよく住じゅうしたまふ。 この縁えんのなかよりさらに余よの縁えんに住じゅうしたまふに、 意こころに随したがひてよく住じゅうしたまふ。

¬十住論ニ¼云ク、「諸仏ハ若シハ入リ↠定ニ、若シハ不ルニ↠入リタマハ↠定ニ、欲セバ↠繋ケムト↢心ヲ一縁ノ中ニ↡、随ヒテ↢意ノ久近ニ↡如ク↠意ノ能ク住シタマフ。従リ↢此ノ縁ノ中↡更ニ住シタマフニ↢余ノ縁ニ↡、随ヒテ↠意ニ能ク住シタマフ。

^もし仏ぶつ、 常心じょうしんに住じゅうしたまへるに、 人ひとをして知しらざらしめんと欲おぼせば、 すなはち知しることあたはず。 たとひ一切いっさい衆しゅ生じょうの、 他た心しんを知しる智ちをして*大だい梵王ぼんのうのごとくならしめ、 大だい声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつのごとく、 智慧ちえを成じょう就じゅして他た人にんの心しんを知しらんとも、 仏ぶつの常心じょうしんを知しらんと欲おもはんに、 もし仏ぶつ聴ゆるしたまはずは、 すなはち知しることあたはじ」 と。

若シ仏住シテ↢常心ニ↡、欲セバ↠令メムト↢人ヲシテ不ラ↟知ラ、則チ不↠能ハ↠知ルコト。仮使 タトヒ 一切衆生ノ知ル↢他心ヲ↡智ヲシテ、如クナラシメ↢大梵王ノ↡如クシテ↢大声聞・辟支仏ノ↡、成↢就シテ智*慧ヲ↡知ラムトモ↢他人ノ心ヲ↡、欲ハムニ↠*知ラムト↢仏ノ常心ヲ↡、若シ仏不ハ↠聴ユルシタマハ、則チ不トイヘリ↠能ハ↠知ルコト。」

^念ねんずべし、 「願ねがはくは、 われをして*仏覚ぶっかく三昧ざんまいを得えしめたまへ」 と。

応シ↠念ズ、願クハ令メタマヘト↣我ヲシテ得↢仏覚三昧ヲ↡。

15. 常在安慧

 ^十じゅう五ごには*常じょう在ざい安あん慧えなり。

十五ニハ常在安*慧ナリ。

^同論どうろんにいはく、 「諸仏しょぶつは安穏あんのんにして、 つねに念おもいを動うごかしたまはざれども、 つねに心しんにあり。 なにをもつてのゆゑに。 *先さきに知しりて後のちに行ぎょう生しょうじ、 意こころの所縁しょえんのなかに随したがひて無礙むげの行ぎょうに住じゅうするがゆゑに。 一切いっさいの煩悩ぼんのうを0993断だんずるがゆゑに。 *動どう性しょうを出しゅっ過かせるがゆゑに。

同ジキ¬論ニ¼云ク、「諸仏ハ安*隠ニシテ常ニ不シテ↠動ゼ、念常ニ在リ↠心ニ。何ヲ以テノ故ニ。先ニ知リテ而シテ後ニ行生ズ。随ヒテ↢意ノ所縁ノ中ニ↡住スルガ↢无礙ノ行ニ↡故ニ。断1130ズルガ↢一切ノ煩悩ヲ↡故ニ。出↢過セルガ動性ヲ↡故ニ。

^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまふがごとし。 ª仏ぶつは、 この夜よにおいて*阿あ耨のく菩ぼ提だいを得えて、 一切いっさい世せ間けんの、 もしは天てん・魔ま・梵ぼん・沙門しゃもん・婆羅ばら門もんを、 尽じん苦くの道どうをもつて教きょう化けすることあまねく畢おへて*無余むよ涅ね槃はんに入いりたまふ。 その中ちゅう間げんにおいて、 仏ぶつは*諸受しょじゅにおいて*起きを知しり、 *住じゅうを知しり、 生しょうを知しり、 滅めつを知しろしめす。 *諸想しょそう・諸触しょそく・諸覚しょかく・諸念しょねんにおいてまた起きを知しり、 住じゅうを知しり、 生しょうを知しり、 滅めつを知しろしめす。 悪あく魔ま、 七年しちねん昼ちゅう夜やに息やまずして、 つねに仏ぶつに*随逐ずいちくするに、 仏ぶつの*短たんを得えず、 仏ぶつの念ねんの安あん慧えにあらざるを見みずº」 と。

如シ↣仏告ゲタマフガ↢阿難ニ↡。仏ハ於リ↢此ノ夜↡得シ↢阿耨菩提ヲ↡、一切世間ノ若シハ天・魔・梵・沙門・婆羅門ヲ、以テ↢尽苦ノ道ヲ↡教化スルコト周ヲヘ畢ヘテ入レタマフ↢无余涅槃ニ↡。於テ↢其ノ中間ニ↡、仏ハ於テ↢諸*受ニ↡知リ↠起ヲ知リ↠住ヲ、知リ↠生ヲ、知メス↠滅ヲ。諸*想・諸触・諸覚・諸念ヲモ亦知リ↠起ヲ知リ↠住ヲ、知リ↠生ヲ、知メス↠滅ヲ。悪魔七年昼夜ニ不シテ↠息マ、常ニ随↢*逐スルニ仏ニ↡、不↠得↢仏ノ短ヲ↡、不ト↠見↢仏ノ念ノ不ルヲ↟在ラ↢安*慧ニ↡。」

^偈げ (十住毘婆沙論) にいはく、

¬偈ニ¼云ク、

^「その念ねん大海だいかいのごとくして、 *湛然たんねんとして安穏あんのんにまします。
世せ間けんには法ほうとして、 よく擾にょう乱らんするものあることなし」 と。

「其ノ念如クシテ↢大海ノ↡湛然トシテ在ス↢安*隠ニ↡
世間ニハ无シト↠有ルコト↢法トシテ而能ク擾乱スル者↡」

^念ねんずべし、 「願ねがはくは仏ぶつ、 わが*粗そ動どうなる覚観かくかんの心しんを除滅じょめつしたまへ」 と。

応シ↠念ズ、願クハ仏、除↢滅シタマヘト我ガ麁動ナル覚観ノ心ヲ↡。

16. 悲念衆生

 ^十じゅう六ろくには悲ひ念ねん衆しゅ生じょうなり。

十六ニハ悲↢念シタマフ衆生ヲ↡。

^¬*大だい般若はんにゃ経きょう¼ にのたまはく、 「十方じっぽう世せ界かいには、 一いちの有う情じょうとして、 如来にょらいの大だい悲ひの照てらすことあたはざるところなるはなし」 と。

¬大般若経ニ¼云ク、「十方世界ニハ、無シト↢一ノ有情トシテ如来ノ大悲ノ所ナルハ↟不ル↠能ハ↠照スコト。」

^¬宝ほう積しゃく経きょう¼ にのたまはく、 「たとひ、 恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつの世せ界かいを過すぎて、 ただ一いちの衆しゅ生じょうも、 この仏ぶつの化けすべき限かぎりなるには、 その時ときに如来にょらいみづからその所ところに往ゆきて0994、 ために*法要ほうようを説ときて、 それをして悟ご入にゅうせしめたまふ」 と。

¬宝積経ニ¼云ク、「仮使 タトヒ 過ギタル↢於*兢伽沙等ニ↡諸仏ノ世界ニ、唯シ一ノ衆生モ是ノ仏ノ化スベキ限リナルニハ、爾ノ時ニ如来躬ミヅカラ往キテ↢其ノ所ニ↡、為ニ説キテ↢法要ヲ↡、令メタマフト↢其ヲシテ悟*入セ↡。」

^同どう経きょうの偈げにのたまはく、

*同ジキ¬経ノ¼偈ニ云ク、

^「一いちの衆しゅ生じょうを利りせんがために、 無む辺へんの劫海こうかいに住じゅうして、
それをして調じょう伏ぶくすることを得えしめたまふ。 大だい悲ひ心しんかくのごとし」 と。

「為ニ↠利セムガ↢一ノ衆生ヲ↡住シテ↢无辺ノ劫海ニ↡
令メタマフ↣其ヲシテ得↢調伏スルコトヲ↡大悲心如シト↠是クノ」

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の文殊もんじゅ讃仏さんぶつの偈げにのたまはく、

¬花厳経ニ¼文殊讃仏ノ偈ニ云ク、

^「一々いちいちの地じ獄ごくのなかに、 無む量りょう劫こうを経へて、
衆しゅ生じょうを度どせんがためのゆゑに、 よくこの苦くを忍しのびたまふ」 と。

「一々ノ地獄ノ中ニ経テ↢於无量劫ヲ↡
為ノ↠度セムガ↢衆生ヲ↡故ニ而シテ能ク忍ビタマフト↢是ノ苦ヲ↡」

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経) の偈げにのたまはく、

¬大経ノ¼偈ニ云ク、

^「一切いっさい衆しゅ生じょうの、 異いの苦くを受うくるは、 ことごとくこれ如来にょらい一人いちにんの苦くなり。 乃至
衆しゅ生じょうは仏ぶつのよく救すくひたまふことを知しらず。 ゆゑに如来にょらいおよび法ほう・僧そうを謗ほうず」 と。

「一切衆生ノ受クルハ↢異ノ苦ヲ↡悉ク是如来一人ノ苦ナリ 乃至
衆生ハ不↠知ラ↢仏ノ能ク救ヒタマフコトヲ↡故ニ謗ズト↢如来及ビ法僧ヲ↡」

^¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「仏ぶつは仏眼ぶつげんをもつて、 一日いちにち一いち夜や、 おのおの三さん時じに一切いっさい衆しゅ生じょうを観かんじたまふ、 たれか度どすべきものあらんと。 時ときを失しっせしむることなし」 と。

¬大論ニ¼云ク、「仏ハ以テ↢仏眼ヲ↡一日一夜各 ノ三時ニ観ジタマフ↢一切衆生ヲ↡、誰カ可キ↠度ス者アラント。无シト↠令ムルコト↠失セ↠時1131ヲ。」

^ある ¬論ろん¼ (大智度論・意) にいはく、 「▲たとへば、 魚うおの子この母ははもし念ねんぜざれば、 子こすなはち*爛らん壊えしぬるがごとく、 衆しゅ生じょうもまたしかなり。 仏ぶつもし念ねんじたまは0995ずは、 善根ぜんごんすなはち壊えしなん」 と。

有ル¬論ニ¼云ク、「譬ヘバ如シ↢魚ノ子ノ母若シ不レバ↠念ゼ、子則チ爛壊シヌルガ↡。衆生モ亦爾ナリ。仏若シ不ハ↠念ジタマハ、善根*則チ壊シナムト。」

^¬*荘しょう厳ごん論ろん¼ の偈げにのたまはく、

¬荘厳論ノ¼偈ニ云ク、

^「菩ぼ薩さつは衆しゅ生じょうを念ねんじて、 これを愛あいすること骨髄こつずいに徹とおり、
恒ごう時じに利り益やくせんと欲おもふ。 なほ一いっ子しのごときがゆゑに」 と。

「菩薩ハ念ジテ↢衆生ヲ↡愛スルコト↠之ヲ徹ス↢骨髄ヲ↡
恒時ニ欲フコト↢利益セムト↡猶如キガ↢一子ノ↡故ニト」

^これらの義ぎによりて、 ある懴さん悔げの偈げにいはく、

由リテ↢此等ノ義ニ↡、有ル懴悔ノ偈ニ云ク、

^「父母ぶもに子こあり。 はじめて生うまれてすなはち*盲聾もうろうなり。
慈悲じひの心しん*慇おん重じゅうにして、 捨すてずして養活ようかつす。

「如キ↧父母ニ有リ↠子始テ生レテ便チ盲聾ナリ
慈*悲ノ心慇重ニシテ不シテ↠捨テ而養活ス

^子こは父母ぶもを見みざれども、 父母ぶもはつねに子こを見みんがごとき、
諸仏しょぶつは衆しゅ生じょうを視みそなはすこと、 なほ*羅睺羅らごらのごとし。
^衆しゅ生じょうは見みたてまつらずといへども、 実じつに諸仏しょぶつの前みまえにあり」 と。 以上

子ハ不レドモ↠見↢父母ヲ↡父母ハ常ニ見ムガ↞子ヲ
諸仏ハ視ソナハスコト↢衆生ヲ↡猶如シ↢羅睺羅ノ↡
衆生ハ雖モ↠不ト↠見タテマツラ実ニ在リト↢諸仏ノ前ニ↡」 已上

^この念ねんをなすべし、 「弥陀みだ如来にょらいはつねにわが身みを照てらし、 わが善根ぜんごんを護ご念ねんし、 わが機き縁えんを観察かんざつしたまふ。 われもし機き縁えん熟じゅくせば、 時ときを失うしなはずして*接しょうを被こうむりなん」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、弥陀如来ハ常ニ照シ↢我ガ身ヲ↡、護↢念シ我ガ善根ヲ↡、観↢察シタマフ我ガ機縁ヲ↡。我若シ機縁熟セバ、不シテ↠失ハ↠時ヲ*被リナムト↠接ヲ。

17. 無礙弁舌

 ^十じゅう七しちには*無礙むげ弁説べんぜつなり。

十*七ニハ無礙*弁説ナリ。

^¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) にいふがごとし。 「もし三さん千界ぜんかいのあらゆる四し天てん下げのなかに満みてらん微み塵数じんじゅの三千さんぜん大千だいせん界かいの衆しゅ生じょう、 みな舎しゃ利り弗ほつのごとき、 辟びゃく支し仏ぶつのごとき、 みなことごとく智慧ちえ・*楽ぎょう説ぜつを成じょう就じゅし、 寿じゅ命みょうも上かみ0996のごとき塵数じんじゅの大劫だいこうならんに、 このもろもろの人ひと等ら、 四し念処ねんじょに因よせて、 その*形ぎょう寿じゅを尽つくすまで如来にょらいを問難もんなんせば、 如来にょらい還かえりて四し念処ねんじょの義ぎをもつてその所問しょもんを答こたへたまはんに、 言ごん義ぎ重かさならず、 楽ぎょう説ぜつ無む窮ぐうならん」 と。

*如シ¬十住論ニ¼云フガ。「若シ三千界ノ所有ノ四天下ニ満テラム↠中ニ微塵数ノ三千大*千界ノ衆生、皆如キ↢舎利弗ノ↡、如キ↢辟支仏ノ↡、皆悉ク成↢*就シ智*慧・楽説ヲ↡、寿命モ如キ↢上ノ塵数ノ↡大劫ナラムニ。是ノ諸ノ人等、因セテ↢四念処ニ↡尽スマデニ↢其ノ形寿ヲ↡問↢難セム如来ヲ↡。如来還リテ以テ↢四念処ノ義ヲ↡答ヘタマハムニ↢其ノ所問ヲ↡、言義不↠重ナラ、楽説無窮ナラムト。」

^またいはく (十住毘婆沙論)、 「仏ぶつの説ときたまふところあるは、 みな利り益やくありてつひに空言くうごんならず。 これまた希有けうなり。 乃至 もし一切いっさい衆しゅ生じょうの智慧ちえ・勢力せいりき、 辟びゃく支し仏ぶつのごとくならんに、 このもろもろの衆しゅ生じょう、 もし仏ぶつ意いを承うけずして一人いちにんを度どせんと欲おぼせば、 この処ことわりあることなからん。 もしこのもろもろの人ひと、 説とく時ときには、 乃ない至し、 無む色界しきかいの*結けっ使しの一いちの*毫ごう釐りの分ぶんをも断たつことあたはず。

又云ク、「仏ノ有ルハ↢所↠説キタマフ↡、皆有リテ↢利益↡終ニ不↢空言ナラ↡。是亦希有ナリ。乃至 若シ一切衆生ノ智*慧ノ勢*力如クアラムニ↢辟支仏ノ↡。是ノ諸ノ衆生若シ不シテ↠承ケ↢仏意ヲ↡欲セバ↠度セムト↢一人ヲ↡、無ケム↠有ルコト↢是ノ処コトワリ↡。若シ是ノ諸ノ人説ク時ニハ、乃至不↠能ハ↠断ツコト↢無色界ノ結使ノ一ノ*毫*釐ノ分ヲモ↡。

^もし仏ぶつ、 衆しゅ生じょうを度どせんと欲おぼして、 言説ごんせつしたまふところあれば、 乃ない至し、 外げ道どう・邪見じゃけん、 もろもろの竜りゅう・夜や叉しゃ等とう、 および余よの仏ぶつ語ごを解げせざるものにも、 みなことごとく解さとらしめたまふ。 これらもまたよく無む量りょうの衆しゅ生じょうを転てん化けす。 乃至 このゆゑに、 仏ぶつを最さい上じょうの導どう師しと名なづけたてまつる」 と。

若シ仏欲シテ↠度セムト↢衆生ヲ↡、有レバ↠所↢言説シタマフ↡、乃至外道・邪見、諸ノ竜・夜叉等及ビ余ノ不ル↠解セ↢仏語1132ヲ↡者ニモ、皆悉ク令メタマフ↠解サトラ。是等モ亦能ク転↢化ス無量ノ衆生ヲ↡。乃至 是ノ故ニ、仏ヲ名ケタテマツルト↢最上ノ導師ト↡。」

^偈げ (十住毘婆娑論) にいはく、

¬偈ニ¼*云ク、

^「*四しの問答もんどうのなかにおいて、 超ちょう絶ぜつして*倫匹りんぴつなし。
衆しゅ生じょうのもろもろの問難もんなんは、 一切いっさいみな得えやすし。

「於テ↢四ノ*門ノ答ノ中ニ↡*超絶シテ无シ↢倫匹↡
衆生ノ諸ノ問難ハ一切皆易シ↠得

^もし三さん時じのうちにおいて、 もろもろの所説しょせつあるは、
0997言ごんかならず虚むなしく設もうけたるにあらず、 つねに大だい果か報ほうあり」 と。 以上

若シ於テ↢三時ノ中ニ↡諸ノ有ル↢所説↡者
言必ズ不ズ↢虚シク設ケタルニ↡常ニ有リト↢大果報↡」 已上

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまはく、

¬花*厳ノ¼偈ニ云ク、

^「諸仏しょぶつの広大こうだいの音みこえは、 法界ほうかいに聞きこえずといふことなし。
菩ぼ薩さつはよく了りょう知ちして、 よく音おん声じょう海かいに入いる」 と。

「諸仏ノ広大ノ音ハ法界ニ靡シ↠不トイフコト↠*聞エ
菩薩ハ能ク了知シテ善ク入ルト↢音声海ニ↡」

^¬浄名じょうみょう経きょう¼ (維摩経) の偈げにのたまはく、

¬浄名経ノ¼偈ニ云ク、

^「仏ぶつは*一音いっとんをもつて法ほうを演説えんぜつしたまふに、 衆しゅ生じょうは類るいに随したがひておのおの解げを得う。
みな謂おもへり、 世せ尊そんはその語ごを同おなじくしたまふと。 これすなはち*神力じんりき不共ふぐの法ほうなり」 と。

「仏ハ以テ↢一音ヲ↡演↢説シタマフニ法ヲ↡衆生ハ随ヒテ↠類ニ各 ノ得↠解ヲ
皆謂フ世尊ハ同ジト↢其ノ語ニ↡斯*則チ神力不共ノ法ナリト」

^また *¬譬喩ひゆ経きょう¼ の第だい三さんにのたまはく、 「阿あ育いく王おう、 意こころに仏ぶつを信しんぜず。 時ときに海辺かいへんに鳥とりあり、 名なづけて随ようずいとなす。 その音こえはなはだ哀あい和わにして、 すこぶる髣髴ほうふつとして、 仏ぶつの音おん声じょうの万分まんぶんが一いちに似にたることあり。 王おう、 その音こえを聞ききて歓かん喜ぎして、 すなはち*無む上じょう道どうの意こころを発おこせり。 宮く中ちゅうの*婇女さいにょおほよそ七千しちせんの人にんも、 また無む上じょう道どうの意こころを発おこしてき。 王おうはこれよりつひに*三尊さんぞんを信しんぜり。 鳥とりの音おん声じょうにして、 度どするところかくのごとし。 いはんや、 至し真しんの清浄しょうじょうの妙みょう音おんのものにおいてをや」 と。 取意略抄

又¬譬喩経ノ¼第三ニ云ク、「阿育王意ニ不↠信ゼ↠仏ヲ。時ニ海辺ニ有リ↠鳥、名ケテ為ス↢随ト↡。其ノ*音甚ダ哀和ニシテ、頗ル有リ↣*髣髴オボツカナク似タルコト↢仏ノ音声ノ万分之ガ一ニ↡。王聞キテ↢其ノ音ヲ↡歓喜シテ、即チ発セリ↢无上道ノ意ヲ↡。宮中ノ婇女凡ソ七千ノ人モ、復発シテキ↢无上道ノ意ヲ↡。王ハ従リ↠是遂ニ信ゼリ↢*三尊ヲ↡。鳥之音声ニシテ所↠度スル如シ↠是クノ。況ヤ於テヲ↢至真ノ清浄ノ妙音ノ者ニ↡乎ト。」取意略抄

^念ねん0998ずべし、 「われいづれの時ときにか、 かの弁説べんぜつを聞きくことを得えん」 と。

応シ↠念ズ、我何レノ時ニカ得ムト↠聞クコトヲ↢彼ノ*弁説ヲ↡。

18. 観仏法身

 ^十じゅう八はちには観仏かんぶつ法身ほっしんなり。

十八ニハ観ズ↢仏法身ヲ↡。

^文殊もんじゅ師利しり菩ぼ薩さつのいへるがごとし。 「われ、 如来にょらいを観かんずるに、 すなはち真如しんにょの相そうなり。 動どうなく作さなし。 分別ふんべつするところなく分別ふんべつに異ことなることもなし。 方処ほうしょに即そくせず方処ほうしょに離りせず。 有うにあらず無むにあらず、 常じょうにあらず断だんにあらず。 三さん世ぜに即そくせず三さん世ぜに離りせず。 生しょうなく滅めつなく、 去こなく来らいなく、 染ぜん・不ふ染ぜんもなく、 二に・不二ふにもなし。 *心言しんごんの路みち絶たえたり。

如シ↢文殊師利菩薩ノ言ヘルガ↡。「我観ズルニ↢如来ヲ↡、即チ真如ノ相ナリ。無ク↠動無シ↠作。無ク↠所↢分別スル↡無シ↠異ナルコトモ↢分別ニ↡。非↠即セ↢方処ニ↡非↠離セ↢方処ニ↡。非ズ↠有ニ非ズ↠無ニ、非ズ↠常ニ非ズ↠断ニ、非↠即セ↢三世ニ↡非↠離レ↢三世ニ↡。無ク↠生無ク↠滅、無ク↠去無ク↠来、無ク↢染・不染モ↡、无ク↢二・不二モ↡、心言ノ路絶エタリ。

^もしこれらの真如しんにょの相そうをもつて如来にょらいを観かんずるを、 真しんに仏ぶつを見みたてまつると名なづく。 または如来にょらいを*礼らい敬きょうし、 親近しんごんすと名なづく。 実じつに有う情じょうにおいてよく利り益やくをなす」 と。 ¬大だい般若はんにゃ¼。

若シ以テ↢此等ノ真如之相ヲ↡観ズルヲ↢於如来ヲ↡、名ク↢真ニ見タテマツルト↟仏ヲ。亦ハ名ク↤礼↢敬シ親↣近スト如来ヲ↡。実ニ於テ↢有情ニ↡能ク為スト↢利*益1133ヲ↡。¬大般若¼

^¬*占察せんざつ経きょう¼ の下げ巻かんに地じ蔵ぞう菩ぼ薩さつのいはく、 「*一実いちじつ境きょう界がいとは、 いはく、 衆しゅ生じょうの*心体しんたいは、 もとよりこのかた、 生しょうぜず滅めっせず、 *自じ性しょう清浄しょうじょうにして*無む障しょう・無礙むげなること、 なほ虚こ空くうのごとし。 分別ふんべつを離はなれたるがゆゑに、 平びょう等どうに普ふ遍へんして至いたらざるところなく、 十方じっぽうに円満えんまんす。 究く竟きょうして一相いっそうにして、 無二むに無む別べつなり。 変へんぜず異いせず、 増ぞうなく減げんなし。

¬占察経ノ¼下巻ニ地蔵菩薩ノ*言ク、「一実境界ト者、謂ク衆生ノ心体ノ従リ↠本已来タ不↠生ゼ不↠滅セ、自性清浄ナルナリ。无障无礙ナルコト猶如シ↢虚空ノ↡。離レタルガ↢分別ヲ↡故ニ、平等ニ普遍シテ無シ↠所↠不トイフ↠至ラ。円↢満シテ十方ニ↡、究竟シテ一相ナリ。无二无別ナリ。不↠変セ不↠異セ、无ク↠増无シ↠減。

^一切いっさい衆しゅ生じょうの心しん、 一切いっさい声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつの心しん、 一切いっさい菩ぼ薩さつの心しん、 一切いっさい諸仏しょぶつの心しんは、 みな同おなじく不ふ生しょう不ふ滅めつ、 *無む染ぜん寂静じゃくじょうの真如しんにょの相そうなるをもつてのゆゑに。 所以ゆえんはいかん。 一切いっさいの、 心しんありて分別ふんべつを起おこすは、 なほ*幻げん化けのごとくして、 *定じょう実じつあるこ0999となし。 乃至

以テノ↢一切衆生ノ心、一切声聞・辟支仏ノ心、一切菩薩ノ心、一切ノ諸仏ノ心ハ、皆同ジク不生・不滅ナリ、无染寂静ニシテ真如ノ相ナルヲ↡故ニ。所以者何ン。一切ノ有リテ↠心起スハ↢分別ヲ↡者、猶如クシテ↢*幻化ノ↡无シ↠有ルコト↢定実↡。乃至

^一切いっさい世せ界かいに心しんの形状ぎょうじょうを求もとむるに、 一いっ区くの分ぶんとして得うべきものなし。 ただ衆しゅ生じょうの無む明みょう痴ち闇あんの*勲くん習じゅうの因縁いんねんをもつて、 妄みだりに*境きょう界がいを現げんじて、 *念ねん着じゃくを生しょうぜしむ。 いはゆるこの心しん、 みづから無むなりと知しることあたはずして、 妄みだりにみづから有うと謂おもひて、 覚かく知ちの想そうを起おこして、 *我が・我が所しょを計けいす。 しかも実じつには覚かく知ちの想そうあることなし。 この妄心もうしんは畢ひっ竟きょうじて体たいなく、 可か見けんならざるをもつてのゆゑに」 と。

一切世界ニ求ムルニ↢心ノ形状ヲ↡、无シ↢一区ノ分トシテ而シテ可キ↠得者↡。但シ以テ↢衆生ノ无明痴闇ノ勲習ノ因縁ヲ↡、妄ニ現ジテ↢境界ヲ↡、令ム↠生ゼ↢念著ヲ↡。所謂ル此ノ心不シテ↠能ハ↢自ラ知ルコト↟无ナリト、妄ニ自ラ謂ヒテ↠有ト、起テ↢覚知ノ想ヲ↡、計ス↢我・我所ヲ↡。而モ実ニハ无シ↠有ルコト↢覚知之想↡。以テノ↣此ノ妄心ハ畢竟ジテ无ク↠体不ルヲ↢可見ナラ↡故ニト。」

^乃ない至し広説こうせつ。 信しん解げをもつてこの理りを観念かんねんするを、 菩ぼ薩さつの最初さいしょ根本こんぽん業ごうとなせり。

乃至広説。以テ↢信解ヲ↡観↢*念スルヲ此ノ理ヲ↡、為セリ↢菩薩ノ最初根本業ト↡也

^この一実いちじつ境きょう界がいは、 すなはちこれ如来にょらいの法身ほっしんなり。

此ノ一実境界ハ、即チ是如来ノ法*身ナリ。

^¬華け厳ごん経ぎょう¼ の一切いっさい慧え菩ぼ薩さつの偈げにのたまはく、

¬花厳経ニ¼一切*慧菩薩ノ偈ニ云ク、

^「法ほっ性しょうはもとより空くう寂じゃくにして、 取しゅなくまた見けんなし。
性しょう空くうなるはすなはちこれ仏ぶつなり。 思し量りょうすることを得うべからず」 と。 以上

「法性ハ本ヨリ空寂ニシテ无ク↠取亦无シ↠見
性空ナルハ即チ是仏ナリ不ト↠可カラ↠得↢思量スルコトヲ↡」 已上

^念ねんずべし、 「われいづれの時ときにか*本ほん有うの性しょうを顕あらわすことを得えん」 と。

応シ↠念ズ、我何レノ時ニカ得ムト↠顕スコトヲ↢本有ノ性ヲ↡。

19. 総観仏徳

 ^十じゅう九くには*総観そうかん仏徳ぶっとくなり。

十九ニハ総観仏徳ナリ。

^普ふ賢げん菩ぼ薩さつのいふがごとし。 「如来にょらいの功く徳どくは、 たとひ十方じっぽうの一切いっさいの諸仏しょぶつ、 不可ふか説せつの仏刹ぶっせつを、 極ごく微み塵数じんじゅの劫こうを経へて、 相続そうぞくして演説えんぜつしたまふとも、 窮ぐ尽じんすべからず」 (華厳経) と。 以上

如シ↢普賢菩薩ノ云フガ↡。「如来ノ功徳ヲ、仮使 タトヒ 十方ノ一切ノ諸仏、経テ↢不可*説ノ仏刹ヲ極微塵数ノ劫ヲ↡相続シテ演説シタマフトモ、不ト↠可カラ↢窮尽ス↡。」 已上

^また阿あ弥陀みだ仏ぶつの威い神じん無む極ごくなることは、 ¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経・下) にのたまふがごとし。 「▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつは威い神じん極きわまりなし1000。 十方じっぽう世せ界かいの無む量りょう無む辺へん不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ如来にょらい、 称歎しょうたんしたまはざることなし」 と。

又阿弥陀仏ノ威神无極ナルコトハ、如シ↢¬双巻経ニ¼云フガ↡。「无量寿仏ハ威神无シ↠極リ。十方世界1134ノ无量无辺不可思議ノ諸仏如来、莫シト↠不ルコト↢称歎シタマハ↡。」

^龍りゅう樹じゅの偈げ (十住毘婆沙論) にいはく、

龍樹ノ¬偈ニ¼云ク、

^「世せ尊そんのもろもろの功く徳どくは、 度ど量りょうすることを得うべからず。
人ひとの、 *尺しゃく寸すんをもつて空くうを量はからんに、 尽つくすべからざるがごとし」 と。

「世尊ノ諸ノ功徳ハ不↠可カラ↠得↢度量スルコトヲ
如シト↧人ノ以テ↢尺寸ヲ↡量ラムニ↠空ヲ不ルガ↞可カラ↠尽ス」

^同おなじき讃さん弥陀みだの偈げ (*易行品) にいはく、

同ジキ讃弥陀ノ偈ニ云ク、

^「▲諸仏しょぶつ無む量りょう劫こうに、 その功く徳どくを讃揚さんようしたまはんに、
なほ尽つくすことあたはじ。 清浄しょうじょうの人にんに帰き命みょうしたてまつる」 と。

「*諸仏无量劫ニ讃↢揚シタマハムニ其ノ功徳ヲ↡
猶尚 ナホ 不↠能ハ↠尽スコト帰↢命シタテマツルト清浄ノ人ニ↡」

^念ねんずべし、 「願ねがはくは、 われ仏ぶつを得えて、 正しょう法ぼうの王おうに斉ひとしからん」 と。

*応シ↠念ズ、願クハ我得テ↠仏ヲ斉シカラムト↢正法ノ王ニ↡。

20. 欣求教文

 ^二に十じゅうには欣ごん求ぐ教きょう文もんなり。

二十ニハ欣↢求スル教*文ヲ↡。

^¬般舟はんじゅ経きょう¼ にのたまはく、 「*この三昧さんまいは、 値あふことを得うること難かたし。 たとひこの三昧さんまいを求もとめんに、 百ひゃく億おく劫こうに至いたり、 ただその名声みょうしょうを聞きくことを得えんと欲ほっすとも、 聞きくことを得うることあたはじ。 いかにいはんや学がくすることを得うるものをや。 *うたたまた行ぎょうじて人ひとに教おしへんをや」 と。

¬般*舟経ニ¼云ク、「是ノ三昧ハ難シ↠得ルコト↠値フコトヲ。正使 タトヒ 求メムニ↢是ノ三昧ヲ↡、至リテ↢百億劫ニ↡但シ欲ストモ↠得ムト↠聞クコトヲ↢其ノ名声ヲ↡、不↠能ハ↠得ルコト↠聞クコトヲ。何ニ況ヤ得ム↠*学スルコトヲ者ヲヤ。転タ復行ジテ教ヘムヲヤト↠人ニ。」

^偈げ (般舟経) にのたまはく、

偈ニ*云ク、

^「われみづから*往おう世せの時ときを識念しきねんするに、 その数かず六ろく万歳まんざいを具ぐ足そくするまで、
つねに法ほっ師しに随したがひて捨しゃ離りせざりしに、 初はじめより、 この三昧さんまいを聞きくことを得えざ1001りき。

「我自ラ識↢念スルニ往世ノ時ヲ↡其ノ数具↢足シテ六万歳ヲ↡
常ニ随ヒテ↢法師ニ↡不リシニ↢捨離セ↡初メヨリ不リキ↠得↠聞クコトヲ↢是ノ三昧ヲ↡

^仏ぶつましましき。 号ごうをば具至ぐし誠じょうとまうしき。 時ときに智ちの比丘びくありき。 和わ隣りんと名なづけき。
かの仏ぶつ世せ尊そんの*泥洹ないおんの後のちに、 比丘びくつねにこの三昧さんまいを持たもちき。

有シキ↠仏号ヲバ曰シキ↢具至誠ト↡時ニ智ノ比丘アリキ名ケキ↢和*隣ト↡
彼ノ仏世尊ノ泥洹ノ後ニ比丘常ニ持チキ↢是ノ三昧ヲ↡

^われ時ときに王おう君くん子しの種しゅたりき。 夢ゆめのなかにこの三昧さんまいを聞きくに逮およびぬ。
ª和わ隣りん比丘びくこの経きょうを有たもてりき。 王おうまさに従したがひてこの*定じょう意いを受うくべかりきº と。

我時ニ為リキ↢王ノ君子ノ種↡夢ノ中ニ逮オヨビヌ↠聞クニ↢是ノ三昧ヲ↡
和*隣比丘有タモテリキ↢斯ノ経ヲ↡王当ニカリキト↣従ヒテ受ク↢此ノ定意ヲ↡

^夢ゆめより覚さめをはりてすなはち往ゆきて求もとむるに、 すなはち比丘びくの三昧さんまいを持たもてるを見みつ。
すなはち鬚髪しゅほつを除のぞきて沙門しゃもんとなりにき。 学がくすること八はっ千歳せんざいして一いち時じ聞ききき。

従リ↠夢覚メ已リテ即チ往キテ求ムルニ輒タヤスク見ツ↣比丘ノ持テルヲ↢三昧ヲ↡
即チ除キテ↢*鬚髪ヲ↡作リニキ↢沙門ト↡学スルコト八千歳シテ一時聞キキ

^その数かず八はち万歳まんざいを具ぐ足そくするまで、 この比丘びくを供く養ようし*奉事ぶじしき。
時ときに魔まの因縁いんねんしばしば興こう起きして、 初はじめよりいまだかつて一反いっぺんすら聞きくことを得えざりき。

其ノ数具↢足シテ八万歳ヲ↡供↢養シ奉↣事シキ此ノ比丘ヲ↡
時ニ魔ノ因縁数バ興起シテ初メヨリ未ダリキ↣曽ムカシニモ得↢一反スラ聞クコトヲ↡

^このゆゑに比丘びく・比丘尼びくに、 および清しょう信しん士じ・清しょう信女しんにょ、
この経法きょうぼうを持たもてとなんぢらに属ぞくす。 この三昧さんまいを聞ききては疾とく受行じゅぎょうせよ。

是ノ故ニ比丘・比丘尼及ビ清信士・清信女
持チテ↢是ノ経法ヲ↡属ス↢汝等ナムダチニ↡聞キテハ↢是ノ三昧ヲ↡疾ク受行セヨ

^1002つねにこれを習じゅう持じせる法ほっ師しを敬うやまひて、 一劫いっこうを具ぐ足そくするまで懈おこたることを得うることなかれ。 乃至
たとひ億千おくせん*那な術じゅつ劫こうに、 この三昧さんまいを求もとむるに聞きくことを得うること難かたし。

常ニ敬ヒテ↧習↢持セル是ヲ↡法師ヲ↥具↢足シテ一劫ヲ↡无レ↠得ルコト↠懈オコタルコトヲ。乃至
仮使 タトヒ 億千那*術劫ニ求ムルニ↢是ノ三昧ヲ↡難シ↠得ルコト↠聞クコトヲ

^たとひ世せ界かいの、 恒沙ごうじゃのごとき、 なかに満みてらん珍宝ちんぽうをもつて布施ふせせんも、
もしこの一いち偈げの説せつを受うけて*敬きょう誦じゅすることあらんには、 功く徳どくかれに過すぎたらん」 と。

設令 タトヒ 世界ノ如キニ↢恒沙ノ↡満テラム↠中1135ニ珍宝ヲ用テ布施セムモ
若シ有ラムニハ↧受ケテ↢是ノ一偈ノ説ヲ↡敬↥誦スルコト功徳過ギタラムト↢於*彼ニ↡」

^¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経・下) にのたまはく、 「▲たとひ大だい火かありて三千さんぜん大千だいせん世せ界かいに充じゅう満まんせりとも、 かならずまさにこれを過すぎて、 この経きょう法ぼうを聞ききて、 歓かん喜ぎし信しん楽ぎょうし、 受じゅ持じし読誦どくじゅして、 説せつのごとく修しゅ行ぎょうすべし。

¬双巻経ニ¼云ク、「設ヒ有リテ↢大火↡充↢満セリトモ三千大千世界ニ↡、要ズ当ニシ↧過ギテ↠此ヲ聞キテ↢是ノ経法ヲ↡、歓喜シ信楽シ受持シ読誦シテ、如ク↠説ノ修行ス↥。

^◆所以ゆえんはいかん。 多おおく菩ぼ薩さつありてこの経きょうを聞きかんと欲ほっすとも、 しかも得うることあたはず。 ◆もし衆しゅ生じょうありてこの経きょうを聞きくものは、 無む上じょう道どうにおいてつひに退転たいてんせじ。 このゆゑに、 まさに専心せんしんにして信しんじ、 受じゅ持じし読誦どくじゅして、 行ぎょうずべし」 と。 以上

所以者何ン。多ク有リテ↢菩薩↡欲ストモ↠聞カムト↢此ノ経ヲ↡而モ不↠能ハ↠得ルコト。若シ有リテ↢衆生↡聞カム↢此ノ経ヲ↡者ハ、於テ↢无上道ニ↡終ニ不↢退転セ↡。是ノ故ニ、応ニ当シト↢専心ニシテ信ジ受持シ読*誦シテ行ズ↡。」 已上

^この念ねんをなすべし、 「あるいは*大千だいせんの猛みょう火か聚じゅを過すぎ、 あるいは億劫おくこうを経ふとも、 法ほうを求もとむべし。 われすでに深じん三昧ざんまいに値ち遇ぐうせり。 いかんぞ退屈たいくつして勤修ごんしゅせざらん」 と。

応シ↠作ス↢*是ノ念ヲ↡、或イハ過ギ↢大千ノ猛火聚ヲ↡、或イハ経テモ↢億劫ヲ↡応シ↠求ム↠法ヲ。我既ニ*値↢遇セリ深三昧ニ↡。如何ゾ退屈シテ不ラムト↢勤修セ↡。

^行ぎょう者じゃ、 このもろもろの事じにおいて、 もしは多たもしは少しょう、 楽ねがいに随したがひて憶念おくねんせよ。 もし憶念おくねんすることあたはずは、 すべか1003らく巻かんを披ひらきて文もんに対むかひて、 あるいは*決けっ択ちゃくし、 あるいは誦詠じゅようし、 あるいは恋れん慕ぼし、 あるいは敬きょう礼らいすべし。 近ちかくは*勤心ごんしんの方便ほうべんとなし、 遠とおくは見仏けんぶつの因縁いんねんを結むすべ。 おほよそ三業さんごう・四し儀ぎに、 仏ぶつの境きょう界がいを忘わするることなかれ。

▼行者於テ↢此ノ諸ノ事ニ↡、若シハ多若シハ少、随ヒテ↠楽ヒニ憶念セヨ。若シ不ハ↠能ハ↢憶念スルコト↡、須クシ↢披キテ↠巻ヲ対ヒテ↠文ニ、或イハ決*択シ、或イハ誦詠シ、或イハ恋慕シ、或イハ敬礼ス↡。近クハ為シ↢勤心之方便ト↡、遠クハ結ベ↢見仏之因縁ヲ↡。凡ソ三業・四儀ニ勿レ↠忘ルルコト↢仏ノ境界ヲ↡矣。

 ^問とふ。 如来にょらいのかくのごとき種々しゅじゅの功く徳どくを信受しんじゅし、 憶念おくねんするは、 なんの*勝しょう利りやある。

問フ。信↢受シ憶↣念スルハ如来ノ如キ↠是クノ*種々ノ功徳ヲ↡、有ル↢何ノ勝利ヤ↡。

^答こたふ。 ¬度ど諸仏しょぶつ境きょう界がい経きょう¼ にのたまはく、 「もし十方じっぽう世せ界かいの微み塵じん等とうの諸仏しょぶつおよび声しょう聞もん衆しゅにおいて、 百ひゃく味みの飲食おんじき、 微み妙みょうの天てん衣えを施せすること、 日々にちにちに廃はいせずして恒沙ごうじゃの劫こうを満みてて、 かの仏ぶつの滅めつ後ごに、 一々いちいちの仏ぶつのために、 十じっ方界ぽうかいの一々いちいちの世せ界かいにおいて塵数じんじゅの塔とうを起たて、 衆宝しゅぼうをもつて荘しょう厳ごんし、 種々しゅじゅに供く養ようすること、 一日いちにちに三さん時じ、 日々にちにちに廃はいせずして恒沙ごうじゃの劫こうを満みてて、 また無む数しゅ無む量りょうの衆しゅ生じょうを教おしへて、 もろもろの供く養ようを設もうけしめんに、 もし一人いちにんありて、 この如来にょらいの智慧ちえ功く徳どく、 不可ふか思議しぎの境きょう界がいを信しんぜば、 所得しょとくの功く徳どくはかれに勝すぐれたること無む量りょうなり」 と。 取意

答フ。¬度諸仏境界経ニ¼云ク、「若シ於テ↢十方世界ノ微塵等ノ諸仏及ビ声聞衆ニ↡、施シテ↢百味ノ飲食、微妙ノ天衣ヲ↡、日々ニ不シテ↠*廃セ、満テテ↢恒沙ノ劫ヲ↡、彼ノ仏ノ滅後ニ、為ニ↢一々ノ仏ノ↡、於テ↢十方界ノ一々ノ世界ニ↡起テテ↢塵数ノ塔ヲ↡、衆宝ヲモテ荘厳シ、種々ニ供養シ一日ニ三時スルコト、日々ニ不シテ↠*廃セ満テテ↢恒沙ノ劫ヲ↡、復教ヘテ↢无数无量ノ衆生ヲ↡設ケシメムニ↢諸ノ供養ヲ↡。若シ有リテ↢一人↡信ゼム↢此ノ如来ノ智*慧功徳、不可思議ノ境界ヲ↡所得ノ功徳ハ、勝レタルコト↠彼ニ无量ナリト。」取意

^また ¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまはく、

又¬花厳ノ¼偈ニ云ク、

^「如来にょらいの自じ在ざい力りきは、 無む量りょう劫こうにも遇あふこと難かたし。
もし一念いちねんの信しんをなすは、 すみやかに無む上じょう道どうを証しょうす」 と。

「如来ノ自在力ハ无量劫1136ニモ難シ↠遇フコト
若シ生ナスハ↢一念ノ信ヲ↡速ニ証スト↢无上*道ヲ↡」

^余よは、 ▽下しもの利り益やく門もんのごとし。

余ハ如シ↢下ノ利益門ノ↡。

 ^1004問とふ。 凡ぼん夫ぶの行ぎょう人にんは、 物ものに逐おひて意こころ移うつる。 なんぞつねに念仏ねんぶつの心しんを起おこすことを得えん。

▼問フ。凡夫ノ行人ハ逐オヒテ↠物ニ意移ル。何ゾ常ニ得ム↠起スコトヲ↢念仏之心ヲ↡。

^答こたふ。 かれ、 もしただちに仏ぶつを念ねんずることあたはずは、 事々じじに寄よせてその心しんを勧発かんぽつすべし。

◆答フ。彼若シ不ハ↠能ハ↢直爾 タダチ ニ念ズルコト↟仏ヲ、応シ↧寄セテ↢事々ニ↡勧↦発ス其ノ心ヲ↥。

^いはく、 遊戯ゆげ・談だん笑しょうの時ときには、 極楽ごくらく界かいの宝ほう池ち・宝林ほうりんのなかにして、 天てん・人にん聖しょう衆じゅと、 かくのごとく娯ご楽らくすることを得えんと願ねがへ。 もし憂苦うくする時ときには、 もろもろの衆しゅ生じょうとともに、 苦くを離はなれて極楽ごくらくに生しょうぜんと願ねがへ。 もし*尊徳そんとくに対むかひては、 まさに極楽ごくらくに生うまれて、 かくのごとく世せ尊そんに奉つかまつらんと願ねがふべし。 もし卑ひ賎せんを見みば、 まさに極楽ごくらくに生しょうじて、 孤こ独どくの類たぐいを*利り楽らくせんと願ねがふべし。

◆謂ク遊戯・談笑ノ時ニハ、願ヘ↧於テ↢極楽界ノ宝池宝林ノ中ニ↡、与↢天人聖衆↡如クシテ↠是クノ得ムト↦娯楽スルコトヲ↥。若シ憂苦セム時ニハ、願ヘ↧共ニ↢諸ノ衆生ト↡離レテ↠苦ヲ生ゼムト↦極楽ニ↥。若シ対ムカヒテハ↢尊徳ニ↡、当ニシ↠願フ↧生レテ↢極楽ニ↡如クシテ↠是クノ奉ツカマツラムト↦世尊ニ↥。若シ見テハ↢卑賎ヲ↡、当ニシ↠願フ↧生ジテ↢極楽ニ↡利↦楽セムト孤独ノ類ヲ↥。

^おほよそ人畜にんちくを見みるごとに、 つねにこの念ねんをなすべし、 「願ねがはくは、 この衆しゅ生じょうとともに安楽あんらく国こくに往おう生じょうせん」 と。 もし飲食おんじきする時ときには、 まさに極楽ごくらくの自じ然ねんの微み妙みょうの食じきを受うけんと願がんずべし。 衣え服ぶく・臥具がぐ、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが、 違い縁えん・順じゅん縁えん、 一切いっさい准なぞらへて知しれ。

凡ソ毎ニ↠見ム↢人畜ヲ↡、常ニ応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ共ニ↢此ノ衆生ト↡往↢生セムト安楽国ニ↡。若シ飲食セム時ニハ、当ニシ↠願ズ↠受ケムト↢極楽ノ自然ノ微妙ノ食ヲ↡。衣服・臥具、行住坐臥、違縁・順縁、一切准ヘテ知レ。

^事じに寄よせて願がんをなすこと、 これ ¬華け厳ごん経ぎょう¼ 等とうの例れいなり。

寄セテ↠事ニ作スコト↠願ヲ、是¬花厳経¼等ノ例也

二 Ⅴ ⅳ 止悪修善

【51】^第だい四しに△*止し悪あく修善しゅぜんとは、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ にのたまはく、 「この念仏ねんぶつ三昧ざんまいを、 もし成じょう就じゅせんには、 五ごの因縁いんねんあり。 一いちには▽持じ戒かい不ふ犯ぼん。 二にには▽不起ふき邪見じゃけん。 三さんには▽不ふ生しょう憍きょう慢まん。 四しには▽不恚ふい不ふ嫉しつ。 五ごには▽勇ゆう猛みょう精しょう進じんして、 頭ず燃ねんを救はらふがごとくす。

第四ニ止悪修善ト者、¬観仏三昧経ニ¼云ク、「此ノ念仏三昧ヲ若シ成*就スルコト者有リ↢五ノ因縁↡。▼一ニ者持戒不犯。*二ニハ不起邪見。三ニ者不生憍慢。四ニ者不恚不嫉。五ニ者勇猛精進スルコト如クスルナリ↠救ハムガ↢頭ノ燃エムヲ↡。

^この五ごの事じを行ぎょうじて、 まさしく諸仏しょぶつの微み妙みょうの色身しきしんを念ねんじて、 心しんをして退たいせざらし1005めよ。 またまさに▽大だい乗じょう経きょう典てんを読誦どくじゅすべし。 この功く徳どくをもつて仏力ぶつりきを念ねんずるがゆゑに、 疾々しつしつに無む量りょうの諸仏しょぶつを見みたてまつることを得う」 と。 以上

行ジテ↢此ノ五ノ事ヲ↡正シク念ジテ↢諸仏ノ微妙ノ色身ヲ↡、令メヨ↢心ヲシテ不ラ↟退セ。亦当ニシ↣▼読↢誦ス大乗経典ヲ↡。以テ↢此ノ功徳ヲ↡念ズルガ↢仏力ヲ↡故ニ、*疾々ニ得ト↠見タテマツルコトヲ↢无量ノ諸仏ヲ↡。」 *已上

 ^問とふ。 この*六ろく種しゅの法ほうはなんの義ぎかあるや。

問フ。此ノ六種ノ法ハ有ル↢何ノ義カ↡耶。

・戒

^答こたふ。 同どう経きょうにのたまはく、 △「浄じょう戒かいをもつてのゆゑに、 仏ぶつの像面ぞうめんを見みたてまつること、 真金しんこんの鏡かがみのごとくして、 了々りょうりょう分ぶん明みょうなり」 と。

答フ。同ジキ¬経ニ¼云ク、「以テノ↢浄戒ヲ↡故ニ見タテマツルコト↢仏ノ像面ヲ↡、如クシテ↢真金ノ鏡ノ↡了々分明ナリト。」

^また ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「仏ぶつは医い王おうのごとく、 法ほうは良りょう薬やくのごとく、 僧そうは*瞻せん病びょう人にんのごとく、 戒かいは服薬ぶくやくの禁きん忌きのごとし」 と。 以上

又¬大論ニ¼云ク、「仏ハ如シ↢医王ノ↡。法1137ハ如シ↢良薬ノ↡。僧ハ如シ↢瞻病人ノ↡。*戒ハ如シト↢服薬ノ禁忌ノ↡。」 已上

^ゆゑに知しりぬ、 たとひ法薬ほうやくを服ぶくしたりとも、 禁戒きんかいを持たもたずは、 煩悩ぼんのうの病びょう患げんを除じょ愈ゆするに由よしなし。

故ニ知リヌ、設ヒ服シタリトモ↢法薬ヲ↡、不ハ↠持タ↢禁戒ヲ↡、無シ↠由↣除↢愈スルニ煩悩ノ病患ヲ↡。

^ゆゑに ¬般舟はんじゅ経きょう¼ にのたまはく、 「戒かいを破やぶること、 大おおきさ毛髪もうはつのごとくにもすることを得えざれ」 と。 以い上じょう、 戒品かいほん。

故ニ¬般*舟経ニ¼云ク、「不レト↠得↣破ルコト↠戒ヲ大キサ如クニモスルコトヲ↢毛髪ノ↡。」已上「戒*品」

・邪見憍慢

^△¬観仏かんぶつ経きょう¼ にのたまはく、 「もし*邪念じゃねんおよび*貢く高こうの法ほうを起おこさば、 まさに知しるべし、 この人ひとはこれ*増ぞう上じょう慢まんにして、 仏法ぶっぽうを破は滅めつす。 多おおく衆しゅ生じょうをして不ふ善ぜんの心しんを起おこさしめ、 和わ合ごう僧そうを乱みだり、 異いを顕あらわして、 衆しゅうを惑まどはす。 これ悪あく魔まの伴ともなり。

¬観仏経ニ¼云ク、「若シ起ス↢邪*命及ビ貢高ノ法ヲ↡、当ニシ↠知ル、此ノ人ハ是増上慢ナリ。破↢滅ス仏*法ヲ↡。多ク使ム↣衆生ヲシテ起サ↢不善ノ心ヲ↡。乱リ↢和合僧ヲ↡、顕シテ↠異ヲ*惑マドハス↠*衆ヲ。是悪魔ノ伴ナリ。

^かくのごとき悪人あくにんは、 また仏ぶつを念ねんずといへども、 甘かん露ろの味あじはひを失うしなふ。 この人ひとは生うまるる処ところに、 貢く高こうをもつてのゆゑに、 身みつねに卑ひ小しょうにして、 下げ賎せんの家いえに生うまれ、 貧びん窮ぐの諸衰しょすい、 無む量りょうの悪業あくごう、 もつて*厳飾ごんじきとなす。 かくのごとき種々しゅじゅの衆しゅ多たの悪あく事じは、 まさにみづから防ぼう護ごして、 永なが1006く生しょうぜざらしむべし」 と。 以い上じょう、 邪見じゃけん・憍きょう慢まん。

如キ↠是クノ悪人ハ、雖モ↢復念ズト↟仏ヲ失フ↢甘露ノ味ヲ↡。此ノ人ハ生ルル処ニ、以テノ↢貢高ヲ↡故ニ身恒ニ卑小ナリ。生ル↢下賎ノ家ニ↡。貧窮ノ諸衰、无量ノ悪業ヲ以テ為リ↢厳飾ト↡。如キ↠*此クノ種々ノ衆多ノ悪事ヲ、当ニシト↣自ラ防護シテ*令ム↢永ク不ラ↟生ゼ。」已上邪見・憍慢

・瞋恚

^△¬六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょう¼ にのたまはく、 「無む量りょう劫こうのうちにもろもろの善ぜんを修しゅ行ぎょうすとも、 *安忍あんにんの力ちからおよび智慧ちえの眼まなこなければ、 一念いちねんの瞋しん火かに焼しょう滅めつして余よなし」 と。

¬六波羅蜜経ニ¼云ク、「无量劫ノ中ニ修↢行ストモ諸ノ善ヲ↡、无ケレバ↢安忍ノ力及ビ智慧ノ眼↡一念ノ瞋火ニ焼滅シテ无シト↠余。」

^またある所ところに説ときていはく、 「よく大だい利りを損そんずること、 瞋いかりに過すぎたるはなし。 一念いちねんの因縁いんねんことごとく倶く胝てい広劫こうごうの所修しょしゅの善ぜんを焚滅ぼんめつす。 このゆゑに慇懃おんごんにつねに捨しゃ離りすべし」 と。

*又或ル処ニ説キテ云ク、「能ク損スルコト↢大利ヲ↡莫シ↠過ギタルハ↠瞋ニ。一念ノ因縁悉ク焚↢滅ス倶胝広劫ノ所修ノ善ヲ↡。是ノ故ニ慇懃ニ常ニ捨離スベシト。」

^また ¬*遺ゆい教きょう経ぎょう¼ にのたまはく、 「功く徳どくを劫かすむる賊ぞくは、 瞋しん恚にに過すぎたるはなし」 と。

又¬遺教経ニ¼云ク、「劫カスムル↢功徳ヲ↡賊ハ无シト↠過ギタルハ↢瞋*恚ニ↡。」

^¬大だい集じゅう¼ の 「月蔵がつぞう分ぶん」 (意) に、 無む瞋しんの功く徳どくを説ときてのたまはく、 「つねに*賢げん聖じょうとあひ会えして、 三昧さんまいに着つくことを得う」 と。 以い上じょう、 瞋しん恚に。

¬大集ノ¼「月蔵分ニ」説キテ↢无瞋ノ功徳ヲ↡云ク、「常ニ与↢賢聖↡相会シテ得ト↠著スコトヲ↢於三昧ヲ↡。」已上瞋恚

・嫉妬

^△¬双巻そうかん経ぎょう¼ (大経・下) にのたまはく、 「▲今こん世ぜの恨うらみの意こころは微すこしきあひ憎嫉ぞうしつすれども、 後世ごせにはうたたはなはだしくして、 大おおきなる怨あだとなるに至いたる」 と。 云々

¬双巻経ニ¼云ク、「今世ニ恨ノ意ヲモテ微シキ相憎嫉スレバ、後世ニハ転タ劇ハナハダシクシテ至ルト↠成スニ↢大ナル怨ヲ↡。」云々

^また他た人にんを*嫉しっ毀きする、 その罪つみはなはだ重おもし。

又嫉↢毀スル他人ヲ↡、其ノ罪甚ダ重シ。

^また ¬宝ほう積しゃく経きょう¼ の九く十じゅう一いちにのたまふがごとし。 「仏ぶつ、 *施せ鹿園ろくおんにましましき。 時ときに六ろく十じゅうの菩ぼ薩さつあり。 業ごっ障しょう深じん重じゅうにして、 諸根しょこん闇鈍あんどんなり。 仏足ぶっそくを頂ちょう礼らいして悲ひ感かんして涙なみだを流ながす。 みづから起おくることあたはず。

*又如シ↢¬宝積経ノ¼九十一ニ云フガ↡。「仏在シキ↢施鹿園ニ↡。時ニ有リ↢六十ノ菩薩↡。業障深重ニシテ諸根闇鈍ナリ。頂↢礼シテ仏足ヲ↡悲感シテ流ス↠涙ヲ。不↠能ハ↢自ラ起クルコト↡。

^時ときに仏ぶつ告つげてのたまはく、 ªなんぢら、 起おくべし。 また悲ひ号ごうして大だい熱悩ねつのうをなすことなかれ。 なんぢ、 曽むかし、 *倶留くる孫そん仏ぶつの法ほうのなかにして、 出しゅっ家けして道どうをなせしかども、 みづから多た聞もん・持じ1007戒かい・頭陀ずだ・少しょう欲よくに執着しゅうじゃくせりき。 時ときに二にの説法せっぽうの比丘びくありき。 もろもろの親しん友ぬ多おおく、 名みょう聞もん・利り養ようありき。 なんぢら、 嫉しっ妬との心しんをもつて妄言もうごん誹ひ謗ほうして、 かの親しん友ぬ・もろもろの衆しゅ生じょうをして、 随ずい順じゅんの心しんなく、 もろもろの善根ぜんごんを断だんぜしめき。

時ニ仏告ゲテ言ク、汝等ナムダチ、応シ↠起1138ク。勿レ↣復悲*号シテ生ナスコト↢大熱悩ヲ↡。汝曽ムカシ於テ↢*倶留孫仏ノ法ノ中ニ↡出家シテ為レリキ↠道ト。自ラ執↢著セリキ多*聞・持戒・頭陀・少欲ニ↡。時ニ有リキ↢二ノ説法ノ比丘↡。多カリキ↢諸ノ親友↡。名聞・利養アリキ。汝等ナムダチ以テ↢嫉妬ノ心ヲ↡妄言誹謗シテ、令メキ↧彼ノ親友ノ諸ノ衆生ヲシテ、无ク↢随順ノ心↡断ゼ↦諸ノ善根ヲ↥。

^この悪業あくごうによりて、 六ろく十じゅう百ひゃく千歳せんざいのうちに阿鼻あび地じ獄ごくに生うまれき。 余よ業ごういまだ尽つきずして、 また四し十じゅう百ひゃく千歳せんざいのうちに等活とうかつ地じ獄ごくに生うまれ、 また二に十じゅう百ひゃく千歳せんざいのうちに黒こく縄じょう地じ獄ごくに生うまれ、 また六ろく十じゅう百ひゃく千歳せんざいのうちに焼しょう熱ねつ地じ獄ごくに生うまれき。

由リテ↢此ノ悪業ニ↡於テ↢六十百千歳ノ中ニ↡生レキ↢阿鼻地獄ニ↡。余業未ダシテ↠尽キ、復於テ↢四十百千歳ノ中ニ↡生レキ↢等活地獄ニ↡。復於テ↢二十百千歳ノ中ニ↡生レキ↢黒縄地獄ニ↡。復於テ↢六十百千歳ノ中ニ↡生レキ↢焼熱地獄ニ↡。

^かしこより歿もっしをはりて、 還かえりて人にんとなることを得えて、 五ご百ひゃく世せのうちに*生しょう盲もうにして目めなかりき。 在々ざいざいの所しょ生しょうに正しょう念ねんを忘失もうしつし善根ぜんごんを*障しょう礙げしき。 形ぎょう容よう醜しゅう欠けつにして、 人ひと見みんと喜このまざりき。 つねに辺へん地じに生うまれて、 貧びん窮ぐ下げ劣れつなりき。

従リ↠彼歿シ已リテ還リテ得テ↠為ルコトヲ↠人ト、五百世ノ中ニ生盲ニシテ无カリキ↠目。在々ノ所生ニ忘↢失シ正念ヲ↡障↢礙シキ善根ヲ↡。形容醜欠ニシテ、人不リキ↠喜コノマ↠見ムト。常ニ生レテ↢辺地ニ↡貧窮下劣ナリキ。

^ここより歿もっしをはりて、 後ご末まつの五ご百ひゃく歳さいのうちに法ほう滅めっせんと欲ほっする時ときに、 還かえりて辺へん地じにして下げ劣れつの家いえに生うまれて、 *匱き乏ぼう飢き凍とうして、 正しょう念ねんを忘失もうしつせん。 たとひ善ぜんを修しゅせんと欲ほっすとも、 もろもろの*留る難なん多おおし。

従リ↠此没シ已リテ、於テ↢後*末ノ五百歳ノ中ニ↡法欲セム↠滅セムト時ニ、還リテ於テ↢辺地ニ↡下劣ノ家ニ生レテ、匱乏飢凍シテ、忘↢失セム正念ヲ↡。設ヒ欲ストモ↠修セムト↠善ヲ、多ケム↢諸ノ留難↡。

^五ご百ひゃく歳さいの後のちに悪業あくごうすなはち滅めっして、 後のちに阿あ弥陀みだ仏ぶつの極楽ごくらく世せ界かいに生うまるることを得えん。 この時ときに、 かの仏ぶつ、 まさになんぢらがために*阿あ耨のく菩ぼ提だいの記きを授さずけたまふべしº と。

五百歳ノ後ニ悪業乃チ滅シテ、於テ↠後ニ得ム↠生ズルコトヲ↢阿弥陀仏ノ極楽世界ニ↡。是ノ時ニ、彼ノ仏当ニシト↧為ニ↢汝等ナムダチガ↡*授タマフ↦阿耨菩提ノ記ヲ↥。

^時ときにもろもろの菩ぼ薩さつ、 仏ぶつの所説しょせつを聞ききて、 挙こぞりて身みの毛け竪いよだち、 深ふかく憂悔うけを生しょうじて、 すなはちみづから涙なみだを収おさめてまうさく、 ªわれ、 今日こんにちより*未み1008来らい際さいに至いたるまで、 もし*菩ぼ薩さつ乗じょうの人にんにおいて違い犯ぼんあらんを見みて、 その過とがを挙露あらわさば、 われらすなはち如来にょらいを*欺ご誑おうしたてまつるとせん。

時ニ諸ノ菩薩、聞キタマヒテ↢仏ノ所説ヲ↡、挙コゾリテ身ノ毛竪イヨダチ、深ク生ジテ↢憂悔ヲ↡、便チ自ラ収メテ↠涙ヲ、白テ言ク、我従リ↢今日↡至ルマデニ↢未来際ニ↡、若シ於テ↢菩薩乗ノ人ニ↡見テ↠有ラムヲ↢違犯↡挙↢露 アラハ サバ其ノ過ヲ↡、我等即チ為ムナム↣欺↢誑シタテマツルニ如来ヲ↡。

^われ、 今日こんにちより未み来らい際さいに至いたるまで、 もし在ざい家け・出しゅっ家けの菩ぼ薩さつ乗じょうの人にんの、 欲よく楽ぎょうをもつて遊戯ゆげし歓かん娯ごするを見みんも、 つひにその過とがを伺うかがひ求もとめずして、 つねに信しん敬きょうを生しょうじて、 教きょう師しの想おもいを起おこさん。

我従リ↢今日↡至ルマデニ↢未来際ニ↡、若シ見テ↧在家・出家ノ菩薩乗ノ人ノ以テ↢欲楽ヲ↡遊戯シ歓娯セムヲ↥、終ニ不シテ↣伺ヒ↢求メ其ノ過ヲ↡。常ニ生ジテ↢信敬ヲ↡、起サム↢教師ノ想ヲ↡。

^われ、 今日こんにちより未み来らい際さいに至いたるまで、 もしよくその身みを*摧伏さいぶくして下げ劣れつの想おもいをなすこと、 旃せん陀羅だらおよび狗く犬けんのごとくせずは、 すなはち如来にょらいを欺ご誑おうしたてまつるとせん。 もし持じ戒かい・多た聞もん・頭陀ずだ・少しょう欲よく・知ち足そくの一切いっさいの功く徳どくにおいて、 身みみづから*炫曜げんようせば、 すなはち如来にょらいを欺ご誑おうしたてまつるとせん。 所修しょしゅの*善本ぜんぽんをばみづから矜おごり伐ほこらじ、 所行しょぎょうの罪業ざいごうをば慚ざん愧ぎ発ほつ露ろせん。 もししからずは、 すなはち如来にょらいを欺ご誑おうしたてまつるとせんº と。

我従リ↢今日↡至ルマデニ↢未来際ニ↡、若シ不1139ハ↧善能ヨク摧↢伏シテ其ノ身ヲ↡、生ナスコト↢下劣ノ想ヲ↡如クセ↦*旃陀羅及ビ於狗犬ノ↥、則チ為ムナム↣欺↢誑シタテマツルニ如来ヲ↡。若シ於テ↢持戒・多聞・頭陀・少欲・知足ノ一切ノ功徳ニ↡身自ラ炫曜セバ、則チ為ムナム↣欺↢誑シタテマツルニ如来ヲ↡。所修ノ善本ヲバ不↢自ラ矜オゴリ伐ホコラ↡、所行ノ罪業ヲバ慚愧発露セム。若シ不ハ↠爾ラ者*則チ為ムナムト↣欺↢誑シタテマツルニ如来ヲ↡。

^時ときに仏ぶつ、 讃さんじてのたまはく、 ª善よきかな、 善よきかな。 かくのごとき決けつ定じょう心しんをもつてせば、 一切いっさいの業ごっ障しょうみなことごとく消しょう滅めつし、 無む量りょうの善根ぜんごんはまたまさに増ぞう長じょうすべしº」 と。 略抄

時ニ仏讃ジテ言ク、善哉善哉。*以テセバ↢如キ↠是クノ決定心ヲ↡、一切ノ業障皆悉ク*銷滅シ、无量ノ善根ハ亦当ニシト↢増長ス↡。」略抄

^このゆゑに ¬大論だいろん¼ (大智度論) の偈げにいはく、

是ノ故ニ¬大論ノ¼偈ニ云ク、

^「自じ法ほうに*愛染あいぜんするがゆゑに、 他た人にんの法ほうを*毀訾きしするは、
持じ戒かいの行ぎょう人にんなりといへども、 地じ獄ごくの苦くを脱まぬかれず」 と。 以い上じょう、 嫉しっ妬と。

「自法ニオイテ愛染スルガ故ニ毀↢訾スルハ他人ノ法ヲ↡
雖モ↢持戒ノ行人ナリト↡不ト↠脱レ↢地獄ノ苦ヲ↡」 已上嫉妬

・精進

^△同どう1009論ろんの偈げにいはく、

同ジキ¬論ノ¼偈ニ云ク、

^「*馬め・井しょうの二にの比丘びくは、 *懈け怠だいにして悪道あくどうに堕だしたり。
仏ぶつを見み、 法ほうを聞きくといへども、 なほまたみづから勉まぬかれざるをもつてなり」 と。 以上

「馬*井ノ二ノ比丘ハ懈怠ニシテ堕シタリ↢悪道ニ↡
雖モ↢見↠仏ヲ聞クト↟法ヲ猶亦不ルヲモテナリト↢自ラ勉マヌカレ↡」 已上

^またもし精しょう進じんなくは、 行ぎょう成じょう就じゅすること難かたし。 ゆゑに ¬華け厳ごん経ぎょう¼ の偈げにのたまはく、

^「*鑚燧さんずいして火ひを求もとむるがごとし。 いまだ出いでざるにしばしば息やすめば、
火ひの勢せい随したがひて止し滅めつす。 懈け怠だいのものまたしかなり」 と。 以い上じょう、 精しょう進じん。

又若シ无キハ↢精進↡行難シ↢成*就スルコト↡。故ニ¬花厳*経ノ¼偈ニ云ク、

「如シ↧鑚↢燧シテ*火ヲ↡求ムルニ未ダルニ↠出デ而数バ息メバ
*火ノ勢随ヒテ止滅スルガ↥懈怠ノ者モ亦然ナリト」 已上精進

・読誦大乗

^△読誦どくじゅ大だい乗じょうの功く徳どく無む量りょうなることは、 ¬*金剛こんごう般若はんにゃ論ろん¼ の偈げにいふがごとし。

読誦大乗ノ功徳无量ナルコトハ、如シ↢¬金剛般若論ノ¼偈ニ云フガ↡。

^「福ふくは菩ぼ提だいに趣おもむかず。 *二によく菩ぼ提だいに趣おもむく。
*実じつにおいては了りょう因いんと名なづく。 *余よにおいては生しょう因いんと名なづく」 と。

「福ハ不↠趣カ↢菩提ニ↡二能ク趣ク↢菩提ニ↡
於テハ↠実ニ名ク↢了因ト↡於テハ↠余ニ名クト↢生因ト↡」

^以い上じょう、 ¬観仏かんぶつ経きょう¼ の*六種ろくしゅの法ほう畢おわりぬ。 かの ¬経きょう¼ (同) に嫉しつ・恚い・精しょう進じんはつぶさにこれを説とかず。 ゆゑに、 余よの文もんをもつて ¬経きょう¼ (同) の意こころを釈成しゃくじょうす。

已上¬観仏経ノ¼六種ノ法畢リヌ。彼ノ¬経ニ¼*嫉・恚・精進ハ不↢具ニ説カ↟之ヲ。故ニ以テ↢余ノ文ヲ↡釈↢成ス¬経ノ¼意ヲ↡

^¬般舟はんじゅ経きょう¼ にまた十じゅうの事じあり。 かの ¬経きょう¼ (同) にのたまふがごとし。 「もし菩ぼ薩さつありて*この三昧さんまいを学誦がくじゅせば、 十じゅうの事じあり。

¬般*舟経ニ¼亦有リ↢十ノ事↡。如シ↢彼ノ¬経ニ¼*云フガ↡。「若シ有リテ↢菩薩↡学↢誦セバ是ノ三昧ヲ↡者、有リ↢十ノ事↡。

^一いちには他た人にんの利り養ようを嫉しっ妬とせざれ。 二に1010にはことごとくまさに人ひとを愛あい敬ぎょうし、 長ちょう老ろうに孝順きょうじゅんすべし。 三さんにはまさに報恩ほうおんを念おもふべし。 四しには*妄もう語ごせずして非ひ法ほうを離はなれよ。 五ごにはつねに*乞食こつじきして*請しょうを受うけざれ。 六ろくには精しょう進じんして*経行きょうぎょうせよ。 七しちには昼ちゅう夜やに*臥が出しゅつすることを得えざれ。 八はちにはつねに布施ふせすることを欲おもひて、 つひに惜おしみ悔くゆることなかれ。 九くには深ふかく慧えのなかに入いりて着じゃくするところなかれ。 十じゅうには善ぜん師しに敬きょう事じすること、 仏ぶつのごとくせよ」 と。 略抄

一ニハ不ル↣嫉↢妬セ他人ノ利*養ヲ↡。二ニハ悉ク当ニシ↧愛↢敬シ人ヲ↡、*教↦順ス於長老ニ↥。三ニハ当ニシ↠念フ↢報恩ヲ↡。四ニハ不シテ↢*妄語セ↡、離ルル↢非法ヲ↡。五ニハ常ニ乞食シテ不ル↠受ケ↠請ヲ。六ニハ精進シテ経行スル。七ニハ昼夜ニ不ル↠得↢臥出スルコトヲ↡。八ニハ常ニ欲ヒテ↢布施セムコトヲ↡、終ニ无シ↢惜シミ悔ユルコト↡。九ニハ深ク入1140リテ↢*恵ノ中ニ↡无キ↢所著↡。十ニハ敬↢事スルコト善師ニ↡如クスルト↠仏ノ。」略抄

 ^問とふ。 ¬般舟はんじゅ経きょう¼ にまた四々しし十じゅう六ろく種しゅの法ほうあり。 ¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ の第だい九くに百ひゃく四し十じゅう余よ種しゅの法ほうあり。 ¬念仏ねんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ に種々しゅじゅの法ほうあり。

問フ。¬般*舟経ニ¼亦有リ↢四々十六*種ノ法↡。¬十住*毘婆*沙ノ¼第九ニ有リ↢百余種ノ法↡。¬念仏三昧経ニ¼有リ↢種種ノ法↡。

^また ¬華け厳ごん経ぎょう¼ の 「入にゅう法界ほっかい品ぼん」 の偈げにのたまはく、

又¬花厳経ノ¼「入法界品ノ」偈ニ云ク、

^「もし信しん解げして憍きょう慢まんを離はなるることあらば、 *発心ほっしんしてすなはち如来にょらいを見みたてまつることを得うるも、
もし*諂誑てんおう不ふ浄じょうの心しんあらば、 億劫おくこうに尋じん求ぐすれども値ち遇ぐうすることなからん」 と。

「若シ有リ↢信解↡、離レタルハ↢*憍慢ヲ↡発心ニ即チ得ツモ↠見タテマツルコトヲ↢如来ヲ↡
若シ有ルハ↢諂誑不浄ノ心↡億劫ニ尋求スレドモ莫シト↢値遇スルコト↡。」

^¬観仏かんぶつ経きょう¼ にのたまはく、 「昼ちゅう夜や六ろく時じに*六法ろっぽうを勤ごん行ぎょうし、 端たん坐ざし*正しょう受じゅして、 まさに小しょう語ごを楽ねがふべし。 経きょうを読誦どくじゅし、 広ひろく法ほう教きょうを演のぶるを除のぞきては、 つひに*無義むぎの語ごを宣説せんぜつせざれ。 つねに諸仏しょぶつを念ねんじて、 心々しんしん相続そうぞくせよ。 乃ない至し、 一念いちねんのあひだも1011仏ぶつを見みざる時ときあることなし。 心しん専せん精しょうなるがゆゑに、 *仏日ぶつにちを離はなれず」 と。

¬観仏経ニ¼云ク、「昼夜六時ニ勤↢行シ六法ヲ↡、端坐シ正受シテ、当ニシ↠楽フ↢小語ヲ↡。除オキテハ↧読↢誦シ経ヲ↡広↦演スルヲ法教ヲ↥、終ニ不レ↣宣↢説セ无義之語コトヲ↡。常ニ念ジテ↢諸仏ヲ↡心々相続セヨ。乃至、无シ↠有ルコト↢一念之間モ不ル↠見↠仏ヲ時↡。心専精ナルガ故ニ不ト↠離レ↢仏日ヲ↡。」

^また ¬*遺日ゆいにち摩尼まに経きょう¼ に説とかく、 「沙門しゃもんの、 牢獄ろうごくに堕だするに、 多おおくの事じあり。 あるいは人ひとを求もとめて供く養ようを得えんと欲ほっし、 あるいは多おおく衣え鉢はつを積つまんと欲ほっし、 あるいは*白びゃく衣えと厚善こうぜんし、 あるいはつねに愛欲あいよくを念おもひ、 あるいは喜このみて知友ちうと交きょう結けつす」 と。 文もんに多おおくの法ほうあり、 略りゃくしてこれを抄しょうす。

又¬遺日摩尼経ニ¼説カク、「沙門ノ堕スルニ↢牢獄ニ↡有リ↢多クノ事↡。或イハ求メテ↠人ヲ欲スル↠得ムト↢供養ヲ↡、或イハ多ク欲↢積スル衣鉢ヲ↡、或イハ与↢白衣↡厚善ナル、或イハ常ニ念ズル↢愛欲ヲ↡、或イハ喜コノミテ交↢結スト知友ト↡。」文ニ有リ↢多クノ法↡、略シテ抄ス↠*之ヲ

^なんぞいま、 かれらの法ほうを挙あげざるや。

*何ゾ今不ル↠挙ゲ↢彼等ノ法ヲ↡耶。

^答こたふ。 もし広ひろくこれを出いださば、 還かえりて行ぎょう者じゃをして退転たいてんの心しんをなさしめん。 ゆゑに略りゃくして要ようを挙あぐ。

答フ。若シ広ク出サバ↠之ヲ、還リテ令メム↣行者ヲシテ生ナサ↢退転ノ心ヲ↡。故ニ略シテ挙グ↠要ヲ。

^もし堅かたく十重じゅうじゅう・四し十じゅう八はち軽きょう戒かいを持たもたば、 理りかならず念仏ねんぶつ三昧ざんまいを助じょ成じょうして、 また任運にんうんに余よの行ぎょうをも持じ得とくしつべし。 いはんや六法ろっぽうを具ぐし、 あるいは十法じっぽうを具ぐせんに、 いづれの行ぎょうか摂おさまらざらん。 ゆゑに略りゃくして述じゅつせず。 しかも*粗そ強ごうの惑業わくごうは、 人ひとをして*覚かく了りょうせしむれども、 ただ無義むぎの語ごはその過とが顕あらわならずして、 つねに正しょう道どうを障さふ。 よくこれを治じすべし。

若シ堅ク持タバ↢十重・八軽戒ヲ↡、理必ズ助↢成シテ念仏三昧ヲ↡、亦応シ↣任運ニ持↢得シツ余ノ行ヲモ↡。況ヤ具シ↢六法ヲ↡或イハ具セムニ↢十法ヲ↡、何ノ行カ不ラム↠摂マラ。故ニ略シテ不↠述セ。然モ麁強ノ*或業ハ令ムレドモ↢人ヲシテ*学了セ↡。但シ无義ノ語コトハ、其ノ過ハ*不シテ↠顕ナラ、恒ニ障フ↢正道ヲ↡。善ク応シ↠治ス↠之ヲ。

^あるいは ¬大論だいろん¼ (大智度論) の文もんによるべし。 いはく、 「人ひとの失しっ火かして、 四し辺へんにともに起おこらんがごときに、 いかんぞそのうちに安処あんしょして、 余よの事じを語ご説せつせん。 このなかに仏ぶつ説ときたまはく、 ªもし声しょう聞もん・辟びゃく支し仏ぶつの事じを説とくすら、 なほ無む益やくの言ごんとなす。 いかにいはんや、 余よの事じをやº」 と。 以上

或イハ応シ↠依ル↢¬大論ノ¼文ニ↡。*云ク、「*如キニ↢人ノ失シテ↠火ヲ四辺ニ倶ニ起ラムガ↡、云何ゾ安↢処シテ其ノ内ニ↡語↢説セム余ノ事ヲ↡。此ノ中ニ仏説キタマハク、若シ説クスラ↢声聞・辟支仏ノ事ヲ↡猶為ス↢无益之言ト↡。何ニ況1141ヤ余ノ事ヲヤト。」 *已上

^行ぎょう者じゃつねに娑しゃ婆ばの*依え正しょうにおいて火か宅たくの想おもいを生しょうじて、 無む益やく1012の語ごを絶たち、 相続そうぞくして仏ぶつを念ねんずべし。

行者常ニ於テ↢娑婆ノ依・*正ニ↡生ジテ↢火宅ノ想ヲ↡、絶チ↢无益ノ語コトヲ↡、*相続シテ念ズベシ↠仏ヲ。

 ^問とふ。 ¬往おう生じょう論ろん¼ (天親の浄土論) に念仏ねんぶつの行ぎょう法ほうを説ときていはく、 「▲三種さんしゅの菩ぼ提だい門もんの相そう違いの法ほうを遠おん離りせよ。 なんらか三種さんしゅ。 ◆一いちには智慧ちえ門もんによりて、 自じ楽らくを求もとめず。 我が心しんの、 自じ身しんに貪とん着じゃくすることを遠おん離りするがゆゑに。 ◆二にには慈悲じひ門もんによりて、 一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬく。 *無む安衆あんしゅの心しんを遠おん離りするがゆゑに。 ◆三さんには方便ほうべん門もんによりて、 一切いっさい衆しゅ生じょうを憐愍れんみんする心しんなり。 自じ身しんを供く養ようし恭く敬ぎょうする心しんを遠おん離りするがゆゑに。 ◆これを、 三種さんしゅの菩ぼ提だい門もんの相そう違いの法ほうを遠おん離りすと名なづくがゆゑに。

問フ。¬往生論ニ¼説キテ↢念仏ノ行法ヲ↡云ク、「遠↢離セヨ三種ノ菩提門ノ相違ノ法ヲ↡。何等カ三種。一ニ者依リテ↢智*慧門ニ↡、不ル↠求メ↢自楽ヲ↡、遠↣離スルガ我心ニ貪↢著スルコトヲ自身ヲ↡故ニ。二ニ者依リテ↢慈悲門ニ↡、抜ク↢一切衆生ノ苦ヲ↡。遠↢離スルガ无安*衆ノ心ヲ↡故ニ。三ニ者依リテ↢方便門ニ↡、憐↢愍スル一切衆生ヲ↡心ナリ。遠↧離スルガ供↢養シ恭↣敬スル自身ヲ↡心ヲ↥故ニ。是ヲ名クガ↣遠↢離スト三種ノ菩提門ノ相違ノ法ヲ↡故ニ。

^◆菩ぼ薩さつ、 かくのごとき三種さんしゅの菩ぼ提だい門もんの相そう違いの法ほうを遠おん離りして、 三種さんしゅの随ずい順じゅん菩ぼ提だい門もんの法ほう満足まんぞくすることを得うるがゆゑに。 なんらか三さん。 ◆一いちには無む染ぜん清浄しょうじょう心しん。 身みのためにもろもろの楽らくを求もとめざるがゆゑに。 ◆二にには安あん清浄しょうじょう心。 一切いっさい衆しゅ生じょうの苦くを抜ぬくがゆゑに。 ◆三さんには楽らく清浄しょうじょう心しん。 一切いっさい衆しゅ生じょうをして大だい菩ぼ提だいを得えしむるをもつてのゆゑに。 衆しゅ生じょうを摂取せっしゅして、 かの国こく土どに生うまれしむるをもつてのゆゑに。 ◆これを三種さんしゅの随ずい順じゅん菩ぼ提だい門もんの法ほう満足まんぞくすと名なづく」 と。 以上 このなかに、 なんがゆゑぞ、 かの ¬論ろん¼ (浄土論) によらざる。

菩薩遠↢離シテ如キ↠是クノ三種ノ菩提門ノ相違ノ法ヲ↡、得ルガ↢三種ノ随順菩提門ノ法ヲ満足スルコトヲ↡故ニ。何等カ三。一ニ者无染清浄心。不ルガ↣為ニ↠身ノ求メ↢諸ノ楽ヲ↡故ニ。二ニ者安清浄心。抜クガ↢一切衆生ノ苦ヲ↡故ニ。三ニ*者楽清浄心。以テノ↠令ムルヲ↣一切衆生ヲシテ得↢大菩提ヲ↡故ニ。以テノ↧摂↢取シテ衆生ヲ↡生レシムルヲ↦彼ノ国土ニ↥故ニ。是ヲ名クト↢三種ノ随順菩提門ノ法満足スト↡。」 已上 此ノ中ニ、何ガ故ゾ不ル↠依ラ↢彼ノ¬論ニ¼↡。

^答こたふ。 △前さきの*四弘しぐのなかに、 *この六法ろっぽうを具ぐせり。 文言もんごん異ことなりといへども、 その義ぎは闕かくることなし。

答フ。前ノ四弘ノ中ニ*具セリ↢此ノ六法ヲ↡。文言雖モ↠異ナリト、其ノ義ハ无シ↠闕クルコト。

 ^1013問とふ。 仏ぶつを念ねんずるに、 おのづから罪つみを滅めっす。 なんぞかならずしも堅かたく戒かいを持たもつや。

▼問フ。念ズルニ↠仏ヲ自ラ滅ス↠罪ヲ。何ゾ必ズシモ堅ク持ツヤ↠戒ヲ。

^答こたふ。 もし一心いっしんに念ねんぜば、 まことに責せむるところのごとし。 しかも*尽日ひねもすに仏ぶつを念ねんぜんも、 閑しずかにその実じつを撿けんすれば、 浄じょう心しんはこれ一いち両りょう、 その余よはみな濁じょく乱らんせり。 野のの鹿ししは繋つなぎがたく、 家いえの狗くはおのづから馴なれたり。 いかにいはんや、 みづから心しんをほしいままにせば、 その悪あくいくばくぞや。

◆答フ。若シ一心ニ念ゼバ、誠ニ如シ↠所ノ↠責ムル。然モ*尽日ヒネモスニ念ジテ↠仏ヲ閑ニ撿スレバ↢其ヲ実ヲ↡、浄心ハ是一両、其ノ余ハ皆濁乱セリ。▼野ノ鹿カセギハ難ク↠繋ギ家ノ狗ハ自ラ馴レタリ。何ニ況ヤ自ラ↢恣ニセバ心ヲ↡、其ノ悪幾許イクバクゾ乎。

^このゆゑに、 かならずまさに精しょう進じんして、 浄じょう戒かいを持たもつこと、 なほ明みょう珠しゅを護まもるがごとくすべし。 後のちの悔くい、 なんぞ及およばんや。 よくこれを思し念ねんせよ。

▼是ノ故ニ、要ズ当ニシ↧精進シテ持ツコト↢浄戒ヲ↡猶如クス↞護ルガ↢明珠ヲ↡。後ノ悔何ゾ及バムヤ。善ク思↢念セヨ之ヲ↡。

 ^問とふ。 まことにいふところのごとし。 善業ぜんごうはこれ今こん世ぜの所学しょがく、 欣ねがふといへども、 ややもすれば退たいす。 妄心もうしんはこれ永劫ようごうの所しょ習じゅう、 厭いとふといへども、 なほ起おこる。 すでにしからば、 なんの方便ほうべんをもつてかこれを治じせん。

問フ。誠ニ如シ↠所ノ↠言フ。▼善業ハ是今世ノ所学、雖モ↠欣フト動ヤヤモスレバ退ス。妄心ハ是永劫1142ノ所習、雖モ↠厭フト猶起ル。既ニ爾ラバ以テカ↢何ノ方便ヲ↡治セム↠之ヲ。

^答こたふ。 その治じ、 一いちにあらず。 ¬*次し第だい禅門ぜんもん¼ にいふがごとし。 「^一いちに、 沈惛ちんこん闇塞あんそくの障さわりを治じせんには、 *応仏おうぶつを観念かんねんすべし。

答フ。其ノ治非ズ↠一ニ。如シ↢¬次第禅門ニ¼云フガ↡。「一ニ治セバ↢沈惛闇塞ノ障ヲ↡者、応シ↣観↢念ス応仏ヲ↡。

^三さん十じゅう二に相そうのなかに、 随したがひて一いちを取とれ。 あるいは先まづ眉み間けんの毫相ごうそうを取とりて、 目めを閉とぢて観かんぜよ。 もし心しん闇鈍あんどんにしてはるかに成じょうぜんとするに成じょうぜずは、 まさに一いちの*好厳こうごんの形ぎょう像ぞうに対むかひて、 一心いっしんに相そうを取とり、 これを縁えんじて定じょうに入いるべし。 もし明了みょうりょうならずは、 眼まなこを開ひらきてさらに観かんじ、 またさらに目めを閉とぢよ1014。

卅二相ノ中ニ随ヒテ取レ↠一ヲ。或イハ先ヅ取リテ↢眉間ノ*毫相ヲ↡閉ヂテ↠目ヲ而観ゼヨ。若シ心闇鈍ニシテ懸ハルカニ成ゼムトスルニ不ハ↠成ゼ、当ニ対フテ↢一ノ好厳ノ形像ニ↡、一心ニシテ取リテ↠相ヲ縁ゼヨ↠之ヲ。入リテ↠定ニ若シ不ハ↢明了ナラ↡、開キテ↠眼ヲ更ニ観ジテ、復更ニ閉ヂヨ↠目ヲ。

^かくのごとくして一相いっそうを取とること明了みょうりょうならば、 次し第だいにあまねく衆相しゅそうを観かんじて、 心眼しんげんをして開かい明みょうならしめ、 すなはち惛睡こんすい沈闇ちんあんの心しんを破はせよ。 仏ぶつの功く徳どくを念ねんずれば、 すなはち罪ざい障しょうを除のぞく。

如クシテ↠是クノ取ルコト↢一相ヲ↡明了ニシテ、次第ニ遍ク観ジテ↢衆相ヲ↡、使メテ↢心眼ヲシテ開明ナラ↡、即チ破セヨ↢惛睡沈闇之心ヲ↡。念仏ノ功徳則チ除ク↢罪障ヲ↡。

^二にに、 *悪念あくねん思し惟ゆいの障さわりを治じせんには、 *報仏ほうぶつの功く徳どくを念ねんずべし。

二ニ治セバ↢悪念思惟ノ障ヲ↡者、応シ↠念ズ↢報仏ノ功徳ヲ↡。

^正しょう念ねんのうちに、 仏ぶつの十じゅう力りき・四無しむ所しょ畏い・十じゅう八はち不共ふぐ・一切いっさい種しゅ智ちは、 円まどかに法界ほうかいを照てらして、 常寂じょうじゃく不ふ動どうにして、 あまねく色身しきしんを現げんじて、 一切いっさいを利り益やくしたまふ功く徳どくは無む量りょうにして不可ふか思議しぎなることを縁えんぜよ。 なにをもつてのゆゑに。 この、 仏ぶつの功く徳どくを念ねんずるは、 勝しょう善法ぜんぽうを*縁えんずるなかより生しょうずる*心数しんじゅなれども、 悪念あくねん思し惟ゆいは、 悪法あくほうを縁えんずるなかより生しょうずる心数しんじゅなり。 善ぜんはよく悪あくを破はするがゆゑに、 報仏ほうぶつを念ねんずべし。

正念之中ニ、縁ゼヨ↧仏ノ十力・四无所畏・十八不共・一切種智ノ円カニ照シテ↢法界ヲ↡、常寂不動ニシテ、普ク現ジテ↢色身ヲ↡、利↢益シタマフ一切ヲ↡、功徳ハ无量ニシテ不可思議ナルコトヲ↥。何ヲ以テノ故ニ。此ノ念仏ノ功徳従リ↢*勝善法ノ中↡生ズル心数ナリ。悪念思惟ハ従リ↧縁ズル↢悪法ヲ↡中↥生ル心数ナリ。善ハ能ク破スルガ↠悪ヲ故ニ応シ↠念ズ↢報仏ヲ↡。

^たとへば、 醜しゅう陋る少しょう智ちの人にんの、 端たん正じょう大だい智ちの人にんのなかにありては、 すなはちみづから*鄙恥ひちするがごとく、 悪あくもまたかくのごとし。 善心ぜんしんのなかにありては、 すなはち恥愧ちきしておのづから息やむ。 仏ぶつの功く徳どくを縁えんずれば、 念々ねんねんのうちに一切いっさいの障さわりを滅めっす。

譬ヘバ如ク↧醜*陋少智之人ノ在リテハ↢端正大智ノ*人ノ中ニ↡、即チ自ラ鄙恥スルガ↥、悪モ亦如シ↠是クノ。在リテハ↢善心ノ中ニ↡、則チ恥愧シテ自ラ息ム。縁ズルハ↢仏ノ功徳ヲ↡、念々之中ニ滅ス↢一切ノ障ヲ↡。

^三さんに、 *境きょう界がい逼迫ひっぱくの障さわりを治じせんには、 *法仏ほうぶつを念ねんずべし。

三ハ治セバ↢境界逼迫ノ障ヲ↡者、応シ↠念ズ↢法仏ヲ↡。

^法仏ほうぶつとは、 すなはちこれ法ほっ性しょうなり。 平びょう等どうにして不ふ生しょう不ふ滅めつなり。 形ぎょう色しきあることなく、 空くう寂じゃく無為むいなり。 無為むいのなかにはすでに境きょう界がいなし。 何者なにものかこれ逼迫ひっぱくの相そうならん。 境きょう界がいの空くうなることを知しるがゆゑに、 すなはちこれ*対たい治じなり。

法仏ト者即チ是法性ナリ。平等ニシテ不生不滅ナリ。无ク↠有ルコト↢形色↡、空寂无為ナリ。无為之中ニハ既ニ无シ↢境界↡。何者カ是逼迫之相ナラム。知ルガ↢境界ノ空ナルコトヲ↡故ニ、即チ是対治ナリ。

^もし三さん十じゅう二に1015相そうを念ねんずれば、 すなはち対たい治じにあらず。 なにをもつてのゆゑに。 この人ひといまだ相そうを縁えんぜざる時ときに、 すでに境きょう界がいのために悩乱のうらんせらる。 しかるをさらに相そうを取とらば、 この着じゃくによりて、 魔まはその心しんを狂きょう乱らんす。

若シ念ズルハ↢卅二相ヲ↡即チ非ズ↢対治ニ↡。何ヲ以テノ故ニ。是ノ人未ダル↠縁ゼ↠相ヲ時ニ、已ニ為ニ↢境界ノ↡悩1143乱セラルル、而ルヲ更ニ取ラバ↠相ヲ者、因リテ↢此ノ著ニ↡魔ハ狂↢乱ス其ノ心ヲ↡。

^いま空くうを観かんじて相そうを破はすれば、 もろもろの境きょう界がいを除のぞき、 心しんに在おきて仏ぶつを念ねんずれば、 功く徳どく無む量りょうにしてすなはち重じゅう罪ざいを滅めっす」 と。 略抄

今観ジテ↠空ヲ破スレバ↠相ヲ除ク↢諸ノ境界ヲ↡。在オキテ↠心ニ念ズレバ↠仏ヲ功徳无量ニシテ即チ滅スト↢重罪ヲ↡。略抄

^*別相べっそうの治じもかくのごとし。 いま三さんの*通つうの治じを加くわへん。

別相ノ治モ如シ↠是クノ。今加ヘム↢三ノ通ノ治ヲ↡。

^一いちには、 よく*惑わくの起おこることを了しょうして、 その心しんを驚きょう覚かくして、 煩悩ぼんのうを呵か責しゃくすること、 悪賊あくぞくを駆かるがごとくし、 三業さんごうを防ぼう護ごすること、 油ゆ鉢はちを擎ささぐるがごとくせよ。

一ニハ能ク了シテ↢惑ノ起ルコトヲ↡、驚↢覚シテ其ノ心ヲ↡、呵↢*責スルコト煩悩ヲ↡如クシ↠駆カルガ↢悪賊ヲ↡、防↢護スルコト三業ヲ↡如クセヨ↠擎ササグルガ↢油鉢ヲ↡。

^¬六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょう¼ にのたまふがごとし。 「結けっ跏か趺坐ふざして正しょう念ねんに観察かんざつし、 大だい悲ひ心しんをもつて屋宅おくたくとなし、 智慧ちえをもつて鼓つづみとなし、 *覚かく悟ごの杖つえをもつてこれを扣たたき撃うちて、 もろもろの煩悩ぼんのうに告つげよ。 ªなんぢら、 まさに知しるべし、 もろもろの煩悩ぼんのうの賊ぞくは妄想もうぞうより生しょうず。 わが法王ほうおうの家いえに善ぜん事じの起おこることあり。 なんぢが所しょ為いにあらず。 なんぢ、 よろしくすみやかに出いづべし。 もし時ときに出いでずは、 まさになんぢが命いのちを断たつべしº と。

如シ↢¬六波羅蜜経ニ¼云フガ↡。「結跏趺坐シテ正念ニ観察シ、以テ↢大悲心ヲ↡而シテ為シ↢屋宅ト↡、智*慧ヲモテ為シ↠鼓ト、以テ↢覚悟ノ杖ヲ↡而扣キ↢*撃チテ之ヲ↡、告ゲヨ↢諸ノ煩悩ニ↡。汝等、当ニシ↠知ル、諸ノ煩悩ノ賊ハ従リ↢*妄想↡生ズ。我ガ法王ノ家ニ有リ↢善事ノ起ルコト↡。非ズ↢汝ガ所為ニ↡。汝宜クシ↢速ニ出ヅ↡。若シ不ハ↢時ニ出デ↡当ニシト↠断ツ↢汝ガ命ヲ↡。

^かくのごとく告つげをはるに、 もろもろの煩悩ぼんのうの賊ぞくは、 尋ついでおのづから散滅さんめつす。 次つぎに自じ身しんにおいて、 よく防ぼう護ごを起おこして、 放逸ほういつすべからず」 と。

如ク↠是クノ告ゲ已ルニ、諸ノ煩悩ノ賊ハ尋ギテ自ラ散*滅ス。次ニ於テ↢自身ニ↡善ク起シテ↢防護ヲ↡不ト↠応カラ↢放逸ス↡。」

^また ¬*菩ぼ薩さつ処胎しょたい経きょう¼ の偈げにのたまはく、

又¬菩薩処胎経ノ¼偈ニ云ク、

^1016「かの犯罪ぼんざいの人にんの、 満鉢まんぱちの油ゆを擎ささげ持じして、
もし油ゆを棄すつること一渧いったいをもせば、 罪つみ*大だい僻びゃくに交入きょうにゅうせん。

「如シ↧彼ノ犯罪ノ人ノ擎ゲ↢持シテ満鉢ノ油ヲ↡
若シ棄ツルコト↠油ヲ一渧ヲモセバ罪交↢入ス大僻ニ↡

^左右さうに伎ぎ楽がくをなせども、 死しを懼おそれて顧視こじせざるがごとし。
菩ぼ薩さつの*浄じょう観かんを修しゅするには、 *執しゅう意い、 金剛こんごうのごとく、

左右ニ作レドモ↢伎楽ヲ↡懼レテ↠死ヲ不ルガ↦顧視セ↥
菩薩ノ修シテ↢浄観ヲ↡執意如ク↢金剛ノ↡

^毀誉きよおよび悩乱のうらんに、 心しん意い、 *傾きょう動どうせず。
空くうは本来ほんらい浄じょうにして、 彼此ひし、 中ちゅう間げんもなしと解げす」 と。

毀誉及ビ悩乱ニ心意不↢傾動セ↡
解スト↣空ハ本来浄ニシテ无シト↢彼此中間モ↡」

 ^二にには、 通つうじて*四句しくを用もちゐて、 一切いっさいの煩悩ぼんのうの根源こんげんを推すい求ぐせよ。 いはく、 この煩悩ぼんのうは、 *心しんによりて生しょうずとやせん、 *縁えんによりて生しょうずとやせん、 共ともに生しょうずとやせん、 離はなれて生しょうずとやせん。

二ニハ通ジテ用ヰテ↢四句ヲ↡、推↢求セヨ一切ノ煩悩ノ根源ヲ↡。謂ク此ノ煩悩ハ、為モシ由リテヤ↠心ニ生ズル、為モシ由リテヤ↠縁ニ生ズル、為モシ共生ヤ、為モシ離生ヤ。

^もし心しんによりて生しょうぜば、 さらに縁えんを待またじ。 あるいは*亀き毛もう・*兎と角かくにおいても、 貪瞋とんじんを生しょうずべし。

若シ由リテ↠心ニ生ゼバ者、更ニ不↠待タ↠縁ヲ。或イハ於テモ↢亀毛・兎角ニ↡応シ↠生ズ↢貪瞋ヲ↡。

^もし縁えんによりて生しょうぜば、 心しんを用もちゐざるべし。 あるいは眠ねむれる人ひとをして煩悩ぼんのうを生しょうぜしむべし。

若シ由リテ↠縁ニ生ゼバ者、応シ↠不ル↠用ヰ↠心ヲ。或イハ令ムベシ↣眠レル人ヲシテ生ゼ↢於煩悩ヲ↡。

^もし共ともに生しょうずとせば、 いまだ共ぐせざるとき、 おのおのなくして、 共ぐの時ときに、 いづくんぞあらん。 たとへば二にの沙いさごの合がっすといへども、 油ゆなきがごとし。 あるいは*心しん境きょうともに合がっするに、 なんぞ煩悩ぼんのうを生しょうぜざる時ときある。

若シ共生ナラバ者、未ダルトキ↠共セ各ニシテ无シ。共ノ時ニ安ンゾ有ラム。譬ヘバ如ク↢二ノ沙ノ雖モ↠合スト无キガ↟油、或ルトキニ心境倶ニ合スルニ、那ナンゾ有ル↧不ル↠生ぜ↢煩悩ヲ↡時↥。

^もし離はなれて生しょうずとせば、 すでに心しんを離はなれ縁えんを離はなれたり、 なんぞたちまちに煩悩ぼんのうを生しょうぜん。 あるいは虚こ空くう、 二にを離はなれたり。 つねに1017煩悩ぼんのうを生しょうずべし。

若シ離生1144ナラバ者、既ニ離レ↠心ヲ離レバ↠縁ヲ、那ナンゾ*急タチマチニ生ゼム↢煩悩ヲ↡。或イハ虚空離レタリ↠二ヲ。*応シ↣常ニ生ズ↢煩悩ヲ↡。

^種々しゅじゅに観察かんざつするに、 すでに実じつの生しょうなし。 よりて来きたるところなく、 また去さるところなし。 内うちにあらず、 外ほかにあらず、 また中ちゅう間げんにあらず。 すべて処所しょしょなく、 みな幻げん有うのごとし。 ただ*惑心わくしんのみにあらず、 *観心かんじんもまたしかなり。 かくのごとく推すい求ぐするに、 惑心わくしんおのづから滅めっす。

種々ニ観察スルニ、既ニ无シ↢実ノ生↡。无ケレバ↠所↢従リテ来ル↡亦无シ↠所↠去ル。非ズ↠内ニ非ズ↠外ニ、亦非ズ↢中間ニ↡。都テ无ク↢処所↡、皆如クシテ↠幻ノ有ナリ。非ズ↢唯シ惑心ノミニ↡、観心モ亦爾ナリ。如ク↠是クノ推求スルニ、惑心自ラ滅ス。

^ゆゑに ¬心しん地じ観かん経ぎょう¼ の偈げにのたまはく、

故ニ¬心地観経ノ¼偈ニ云ク、

^「かくのごとき*心法しんぽうはもとより有うにあらず、 凡ぼん夫ぶは執しゅう迷めいして非無ひむなりと謂おもへり。
もしよく心しんの*体たい性しょうの空くうなることを観かんずれば、 *惑わく障しょう生しょうぜずしてすなはち解げ脱だつす」 と。

「如キ↠是クノ心法ハ本ヨリ非ズ↠有ニ凡夫ハ執迷シテ謂ヘリ↢非无ナリト↡
若シ能ク観ズルハ↢心ノ体性ノ空ナルコトヲ↡惑障不シテ↠生ゼ便チ解*脱スト」

^また ¬*中ちゅう論ろん¼ の第一だいいちの偈げにいはく、

又¬中論ノ¼第一ノ偈ニ云ク、

^「諸法しょほうは自じより生しょうぜず、 また他たよりも生しょうぜず。
共ぐならず無む因いんならず。 このゆゑに無む生しょうなりといふことを知しりぬ」 と。

「諸法ハ不↢自ヨリ生ゼ↡亦不↢従リモ↠他生ゼ↡
不↠共ナラ不↢无因ナラ↡是ノ故ニ知リヌト↢无生ナリトイフコトヲ↡」

^この偈げによりて、 多おおくの四句しくを用もちゐるべし。

応シ↧依リテ↢此ノ偈ニ↡用ヰル↦多クノ四句ヲ↥。

^三さんには、 念ねんずべし、 「いま、 わが惑心わくしんに具ぐ足そくせる八万はちまん四し千せんの*塵労じんろう門もんと、 かの弥陀みだ仏ぶつの具ぐ足そくしたまへる八万はちまん四し千せんの*波羅はら蜜みつ門もんとは、 本来ほんらい空くう寂じゃくにして、 *一体いったい無礙むげなり。 ▼貪欲とんよくはすなはちこれ道どうなり。 恚い1018・痴ちまたかくのごとし。 水みずと氷こおりとの、 性しょうの異ことなる処ところにあらざるがごとし。

三ニ者応シ↠念ズ、今我ガ惑心ニ具↢足セリ八万四千ノ塵労門ヲ↡。彼ノ弥陀仏ニハ具↢足シタマヘリ八万四千ノ波羅蜜門ヲ↡。本来空寂ニシテ一体无ナリ。貪欲ハ即チ是道ナリ。恚・痴亦如シ↠是クノ。如クナリ↣*水ト与ノ↠*氷性ノ非ザルガ↢異処ニ↡。

^ゆゑに経きょうにのたまはく、 ª煩悩ぼんのう・菩ぼ提だいは体たい無二むになり。 生しょう死じ・涅ね槃はんは異い処しょにあらずº と。

故ニ¬経ニ¼云ク、「煩悩・菩提ハ体无二ナリ。生死・涅槃ハ非ズトイヘリ↢異*処ニ↡。」

^われいま、 いまだ*智火ちかの分ぶんあらざるがゆゑに、 ▼煩悩ぼんのうの氷こおりを解ときて功く徳どくの水みずとなすことあたはず。 願ねがはくは仏ぶつ、 われを*哀愍あいみんして、 その所得しょとくの法ほうのごとく、 *定じょう慧え力りきをもつて荘しょう厳ごんし、 これをもつて解げ脱だつせしめたまへ」 と。 かくのごとく念ねんじをはりて、 声こえを挙あげて仏ぶつを念ねんじて、 救護くごを請こへ。

我今未ダルガ↠有ラ↢智火ノ分↡故ニ、不↠能ハ↧解キテ↢煩悩ノ氷ヲ↡成スコト↦功徳ノ水ト↥。願クハ仏哀↢愍シタマヘ我ヲ↡。如キハ↢其ノ所得ノ法ノ↡定*恵力ヲモテ荘厳シタマヘリ。以テ↠此ヲ令メタマフベシト↢解脱セ↡。如ク↠是クノ念ジ已リテ、挙ゲテ↠声ヲ念ジテ↠仏ヲ而請ヘ↢救護ヲ↡。

^¬止し観かん¼ にいふがごとし。 「人ひとの重おもきを引ひくに、 自じ力りきにて前すすまずは、 傍かたわらの救く助じょを仮かりて、 すなはち軽かろく挙あげらるるがごとく、 行ぎょう人にんもまたしかなり。 心しん弱よわくして障さわりを排はらふことあたはずは、 名なを称しょうして護ごを請こふに、 悪縁あくえん壊えすることあたはず」 と。 以上

如シ↢¬止観ニ¼云フガ↡。「如ク↧人ノ引クニ↠重キヲ自力ニテ不レバ↠前ススマ、仮リテ↢傍ノ救助ヲ↡、則チ*蒙ルルガ↦軽ク挙ゲ↥行人モ亦爾ナリ。心弱クシテ不ハ↠能ハ↠排フコト↠障ヲ、称シテ↠名ヲ請フニ↠護ヲ、悪縁不ト↠能ハ↠*壊スルコト。」 已上

^もし惑わく、 心しんを覆おおひて*通別つうべつの対たい治じを修しゅせんと欲ほっせしめずは、 すべからくその意こころを知しりて、 つねに心しんが師しとなりて、 心しんを師しとせざるべし。

若シ惑覆ヒテ↠心ヲ不ハ↠令メ↠欲セ↠修セムト↢通・別ノ対治ヲ↡、須クシ↧知リテ↢其ノ意ヲ↡、常ニ為リテ↢心ガ師ト↡、不ル↞師トセ↢於心ヲ↡。

 ^問とふ。 もし破は戒かいのもの、 三昧さんまい成じょうぜずは、 いかんぞ、 ¬観仏かんぶつ経きょう¼ に、 「この観仏かんぶつ三昧ざんまいは、 これ一切いっさい衆しゅ生じょうの、 罪つみを犯おかせるものの薬くすり、 破は戒かいのものの護まもりなり」 とのたまへるや。

問フ。若シ破戒ノ者ハ三昧不ハ↠成ゼ、云何1145ゾ¬観仏経ニ¼云ヘル↢「此ノ観仏三昧ハ是一切衆生ノ犯セル↠罪ヲ者ノ薬、破戒ノ者ノ護ナリト」↡*耶。

^答こたふ。 破は戒かいの以後いごに、 前さきの罪つみを滅めっせんがために一心いっしんに仏ぶつを念ねんず。 これがために薬くすりと名なづく。 もしつねに毀き犯ぼんせば、 三昧さんまい成じょうじがたし。

答フ。破戒ノ已後ニ為ニ↠滅セムガ↢前ノ罪ヲ↡一心ニ念ズル↠仏ヲ、為ニ↠此ガ名ク↠薬ト。若シ常ニ毀犯セバ、三昧難ケム↠成リ。

二 Ⅴ ⅴ 懴悔衆罪

【101952】^第だい五ごに△*懴さん悔げ衆罪しゅざいとは、 *もし煩悩ぼんのうのためにその心しんを迷乱めいらんして禁戒きんかいを毀やぶらば、 日ひを過すぐさずして懴さん悔げを営よう修しゅうすべし。

第五ニ懴悔衆罪ト者、設ヒ*若シ為ニ↣煩悩迷↢乱スルガ其ノ心ヲ↡毀ヤブラバ↢禁戒ヲ↡者、応シ↣不シテ↠過グサ↠日ヲ営イソギテ修ス↢懴悔ヲ↡。

^¬大だい経きょう¼ (涅槃経) の十じゅう九くにのたまふがごとし。 「もし罪つみを覆おおへば、 罪つみすなはち増ぞう長じょうす。 *発ほつ露ろ懴さん悔げすれば、 罪つみすなはち消しょう滅めつす」 と。

如シ↢¬大経ノ¼十九ニ云フガ↡。「若シ覆ヘバ↠罪ヲ者罪則チ増長ス。発露懴悔スレバ罪即チ消滅スト。」

^また ¬大論だいろん¼ (大智度論・意) にいはく、 「身しん口くの悪あくを悔くいずして仏ぶつを見みんと欲ほっせば、 この処ことわりあることなからん」 と。 以上

又¬大論ニ¼云ク、「身*口ノ悪ヲ不シテ↠悔イ欲セバ↠見ムト↠仏ヲ、无ケムト↠有ルコト↢是ノ処コトワリ↡。」 已上

^*懴法さんぽう、 一いちにあらず。 楽ねがいに随したがひてこれを修しゅせよ。 あるいは五ご体たいを地じに投なげ、 遍身へんしんに汗あせを流ながして弥陀みだ仏ぶつに帰き命みょうし、 眉み間けんの白びゃく毫ごう相そうを念ねんじ、 発ほつ露ろ涕てい泣きゅうして、 この念ねんをなすべし、 「過去かこの空王くうおう仏ぶつの眉み間けんの白びゃく毫ごう相そうを、 弥陀みだ尊そん礼らい敬きょうして、 罪つみを滅めっして、 いま仏ぶつを得えたまへり。 われいま弥陀みだを礼らいすることは、 またまさにまたかくのごとくなるべし」 と。

*懴法非ズ↠一ニ。随ヒテ↠楽ヒニ修セヨ↠之ヲ。*或イハ五体ヲ投ゲテ↠地ニ遍シテ↠身ニ流シテ↠汗ヲ、帰↢命シテ弥陀仏ニ↡、念ジ↢眉間ノ白毫*相ヲ↡、発露涕泣シテ、応シ↠作ス↢*此ノ念ヲ↡、過去ノ空王仏ノ眉間ノ白毫相ヲ弥陀尊礼*敬シテ、滅シテ↠罪ヲ今得タマヘリ↠仏ヲ。我今*礼スルコトハ↢弥*陀ヲ↡、亦当ニシト↢復如クアル↟是ノ。

^すべからく罪つみの相そうに随したがひて、 仏ぶつの光ひかりを哀あい請しょうすべし。 いはく、 「*檀光だんこうを放はなちては*慳蔽けんぺいの罪つみを滅めっしたまへ。 戒光かいこうを放はなちては毀き禁きんの罪つみを滅めっしたまへ。 忍辱にんにくの光ひかりを放はなちては瞋しん恚にの罪つみを滅めっしたまへ。 精しょう進じんの光ひかりを放はなちては懈け怠だいの罪つみを滅めっしたまへ。 禅ぜん定じょうの光ひかりを放はなちては散乱さんらんの罪つみを滅めっしたまへ。 智慧ちえの光ひかりを放はなちては愚ぐ惑わくの罪つみを滅めっしたまへ」 と。

須クシ↧随ヒテ↢罪ノ*相ニ↡哀↦請ス仏ノ光ヲ↥。謂ク放チテハ↢檀光ヲ↡滅シタマヘ↢慳*蔽ノ罪ヲ↡。放チテハ↢戒光ヲ↡滅シタマヘ↢毀禁ノ罪ヲ↡。放チテハ↢忍辱ノ光ヲ↡滅シタマヘ↢瞋恚ノ罪ヲ↡。放チテハ↢精進ノ光ヲ↡滅シタマヘ↢懈*怠ノ罪ヲ↡。放チテハ↢禅定ノ光ヲ↡滅シタマヘ↢散乱ノ罪ヲ↡。放チテハ↢智*慧ノ光ヲ↡滅シタマヘト↢愚*或ノ罪ヲ↡。

^かくのごとくして、 一日いちにちもしは七日しちにちに至いたらば、 百ひゃく千せん劫ごうの煩悩ぼんのうの重障じゅうしょうを除のぞきてん。 あるいは須しゅ臾ゆのあひだも、 坐ざ禅ぜん入定にゅうじょうして仏ぶつの白びゃく毫ごうを念ねんじ、 心しんを1020して*了々りょうりょうならしめ、 謬びゅう乱らんの想おもいなく、 分ぶん明みょうにまさしく住じゅうして意こころを注つけて息やまざれば、 九く十じゅう六ろく億おく那由なゆ他た等とうの劫こうの生しょう死じの罪つみを除じょ却きゃくす。 あるいは一心いっしんにかの仏ぶつの*神呪じんじゅを念ねんずること、 一返いっぺんすればよく四し重じゅう・五ご逆ぎゃくを滅めっし、 七返しちへんすればよく根本こんぽんの罪つみを滅めっす。 ¬*儀軌ぎき¼ に出いづ。

如クシテ↠*是ノ一日ヨリ若シハ至ルマデセバ↢七日ニ↡、除キテム↢百千*劫ノ煩悩ノ重障ヲ↡。或イハ須臾ノ間モ坐禅入定シテ念ジテ↢仏ノ白毫ヲ↡、令メ↣心ヲシテ了々ニシテ无カラ↢謬乱ノ想↡、分明ニ正シク住シテ注ツケテ↠意ニ不レバ↠息マ、除↢却ス九十六億那由他等ノ劫ノ生死之罪ヲ↡。或イハ一心ニ念ズレバ↢彼ノ仏ノ神呪ヲ↡、一*返ニ能ク滅ス↢四重・五逆ヲ↡。七*返ニ能ク滅ス↢根1146本之罪ヲ↡。出ヅ↢¬儀軌ニ¼↡

^あるいはまた ¬心しん地じ観かん経ぎょう¼ に、 *理りの懴さん悔げを明あかしてのたまはく、

或イハ復¬心地観経ニ¼明シテ↢理ノ懴悔ヲ↡云ク、

^「一切いっさいのもろもろの罪つみは、 性しょうみな*如にょなり。 顛倒てんどうの因縁いんねん、 妄心もうしんより起おこる。
かくのごとき罪相ざいそうは本来ほんらい空くうなり。 三さん世ぜのなかに得うるところなし。

「一切ノ諸ノ罪ハ性皆如ナリ顛倒ノ因縁ヲモテ*妄心ヨリ起ル
如キ↠是クノ罪相ハ本来モトヨリ空ナリ三世之中ニ无シ↠所↠得ル

^内うちにあらず外ほかにあらず中ちゅう間げんにあらず。 *性しょう相そうは如々にょにょにしてともに不ふ動どうなり。
真如しんにょの妙みょう理りは*名みょう言ごんを絶たつ。 ただ聖しょう智ちのみありてよく通達つうだつす。

非ズ↠内ニ非ズ↠外ニ非ズ↢中間ニ↡性相ハ如々ニシテ倶ニ不動ナリ
真如ハ妙理ナリ絶エタリ↢名言↡唯シ有リテ↢聖智ノミ↡能ク通達ス

^有うにあらず無むにあらず有無うむにあらず。 有無うむにあらざるにあらず。 *名みょう相そうを離はなれ、
法界ほうかいに周しゅう遍へんして生しょう滅めつなく、 諸仏しょぶつは本来ほんらい同一どういつ体たいなり。

非ズ↠有ニ非ズ↠无ニ非ズ↢有无ニ↡非ズ↠不ザルニ↢有无ニ↡離レタリ↢名相ヲ↡
周↢遍シテ法界ニ↡无ク↢生滅↡諸仏ハ本来モトヨリ同一体ナリ

^ただ願ねがはくは諸仏しょぶつ、 加護かごを垂たれて、 よく一切いっさいの顛倒てんどうの心しんを滅めっしたまへ。
願ねがはくはわれ早はやく*真しん性しょうの源みなもとを悟さとりて、 すみやかに如来にょらいの無む上じょう道どうを証しょうせん」 と。

唯シ願クハ諸仏垂レテ↢加護ヲ↡能ク滅シタマヘ↢一切ノ顛倒ノ心ヲ↡
願クハ我早ク悟リテ↢真性ノ源ヲ↡速ニ証セムトイヘリ↢如来ノ无上道ヲ↡。」

 ^1021問とふ。 ただに仏ぶつを観念かんねんするに、 すでによく罪つみを滅めっす。 なんがゆゑぞ、 さらに理りの懴さん悔げを修しゅするや。

問フ。*直ニ観↢念スルニ仏ヲ↡、既ニ能ク滅ス↠罪ヲ。何ガ故ゾ更ニ修スル↢理ノ懴悔ヲ↡耶。

^答こたふ。 たれかはいふ、 一々いちいちにこれを修しゅせよとは。 ただ意い楽ぎょうに随したがふべし。 いかにいはんや、 もろもろの罪ざい性しょうは空くうにして所しょ有うなしと観かんずるは、 すなはちこれ真実しんじつの念仏ねんぶつ三昧ざんまいなり。

答フ。誰カハ言フ、一々ニ修セヨトハ↠之ヲ。但随フベシ↢意楽ニ↡。何ニ況ヤ、観ズルハ↣衆ノ罪性ハ空ニシテ无シト↢所有↡、即チ是真実ノ念仏三昧ナリ。

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまふがごとし。

如シ↢¬花厳ノ¼偈ニ云フガ↡。

^「現在げんざいは*和わ合ごうにあらず。 去こ・来らいもまたしかなり。
一切いっさいの法ほうの無む相そうなる、 これすなはち仏ぶつの*真体しんたいなり」 と。

「現在ハ非ズ↢和合ニ↡*去来モ亦復然ナリ
一切ノ法ノ无相ナル是即チ仏ノ真ノ体ナリト」

^また ¬*仏蔵ぶつぞう経きょう¼ の 「念仏ねんぶつ品ぼん」 (意) にのたまはく、 「所しょ有うなしと見みるを名なづけて念仏ねんぶつとなし、 諸法しょほうの実相じっそうを見みるを名なづけて念仏ねんぶつとなす。 分別ふんべつあることなく、 取しゅなく捨しゃなき、 これ真しんの念仏ねんぶつなり」 と。 以上

▼*又¬仏蔵経ノ¼「念仏品ニ」云ク、「見ルヲ↠无シト↢所有↡名ケテ為シ↢念仏ト↡、見ルヲ↢諸法ノ実相ヲ↡名ケテ為ス↢念仏ト↡。无ク↠有ルコト↢分別↡、无ク↠取无キ↠捨、是真ノ念仏ナリト。」 已上

^諸しょ余よの空くう・無む相そう等とうの観かんも、 これに准じゅんじてみな念仏ねんぶつ三昧ざんまいに摂入しょうにゅうすべし。

諸余ノ空・无相等ノ観モ、准ジテ↠之ニ皆応シ↣摂↢入ス念仏三昧ニ↡。

 ^問とふ。 かくのごとき懴さん悔げはなんの*勝しょう徳とくかある。

問フ。如キ↠是クノ懴悔ハ有ル↢*何ノ勝徳カ↡。

^答こたふ。 ¬心しん地じ観かん経ぎょう¼ の偈げにのたまはく、

答フ。¬心地観経ノ¼偈ニ云ク、

^「在ざい家けはよく煩悩ぼんのうの因いんを招まねき、 出しゅっ家けもまた清浄しょうじょうの戒かいを破やぶる。
もしよく法ほうのごとく懴さん悔げするものは、 あらゆる煩悩ぼんのうことごとくみな除のぞこる。 乃至

「在家ハ能ク招ク↢煩悩ノ因ヲ↡出家ハ亦破ル↢清浄ノ戒ヲ↡
若シ能ク如ク↠法ノ懴悔スル者ハ所有ノ煩悩悉ク皆除コル 乃至

^1022懴さん悔げはよく三界さんがいの獄ごくを出いで、 懴さん悔げはよく菩ぼ提だいの華はなを開ひらき、
懴さん悔げは仏ぶつの*大円だいえん鏡きょうを見み、 懴さん悔げはよく*宝所ほうしょに至いたる」 と。

懴悔ハ能ク出ヅ↢三界ノ獄ヲ↡懴悔ハ能ク開ク↢菩提ノ花ヲ↡
懴*悔ハ見ル↢仏ノ大円鏡ヲ↡懴悔ハ能ク至ルト↢於宝所ニ↡」

 ^問とふ。 このなかに何者なにものをか最さい勝しょうなりとなすや。

問フ。此ノ中ニ何者ヲカ為ル↢最勝ナリトハ↡耶1147。

^答こたふ。 もし一人いちにんに約やくせば、 機きに順じゅんずるを勝すぐれたりとなす。 もし*汎ほん爾にに判はんぜば、 *理りの懴さんを勝すぐれたりとなす。

答フ。若シ約セバ↢一人ニ↡順ズルヲ↠機ニ為ス↠勝レタリト。若シ汎爾ニ判ズルニハ理ノ懴ヲ為ス↠勝レタリト。

^ゆゑに ¬*如来にょらい秘ひ密蔵みつぞう経きょう¼ の下げ巻かんに、 仏ぶつ、 迦か葉しょうに告つげてのたまはく、 「もし少しょう不ふ善ぜんをも、 もしそれ堅けん住じゅうし、 堅けん執しゅうし、 堅けん着じゃくせば、 一切いっさいわれ説ときて、 これを名なづけて犯ぼんとなす。

故ニ¬如来秘密蔵経ノ¼下巻ニ、仏告ゲテ↢迦葉ニ↡言ク、「若シ少不善ヲモ若シ其レ堅住シ、堅執シ、堅著スレバ、一切我説キテ名ケテ↠之ヲ為ス↠犯ト。

^迦か葉しょう、 五無ごむ間けん罪ざいをも、 もし堅けん住じゅうし、 堅けん執しゅうし、 堅けん着じゃくして見けんをなさざるものをば、 われ、 かれを説ときて、 名なづけていひて犯ぼんとなさず。 いはんやまた、 余よの*少しょう不ふ善ぜんの業道ごうどうをや。

迦葉、五无間罪ヲモ若シ不ル↣堅住シ、堅執シ、堅著シテ生ナサ↢於見ヲ↡者ヲバ、我不↢説キテ↠彼ヲ名ケテ曰ヒテ為サ↟犯ト。況ヤ復余ノ少不善ノ業道ヲヤ。

^迦か葉しょう、 われは不ふ善ぜんの法ほうをもつて菩ぼ提だいを得うるにあらず。 また善法ぜんぽうをもつて菩ぼ提だいを得うるにあらず。 乃至 煩悩ぼんのうは因縁いんねんより生しょうずと解知げちするを、 菩ぼ提だいを得うと名なづく。

迦葉、我ハ不ズ↧以テ↢不善ノ法ヲ↡而シテ得ルニ↦菩提ヲ↥。亦不ズ↧以テ↢善ノ法ヲ↡而シテ得ルニ↦菩提ヲ↥。乃至 解↧知スルヲ煩悩ハ従リ↢因縁↡生ズト↥名ク↠得ト↢菩提ヲ↡。

^迦か葉しょう、 いかなるをか、 因縁いんねんより生しょうずるところの煩悩ぼんのうを解知げちすとはなす。 これ*自じ性しょうなくして起おこる法ほうは、 これ無む生しょうの法ほうなりと解知げちす。 かくのごとく解知げちするを、 菩ぼ提だいを得うと名なづく」 と。 云々

迦葉、云何ナルヲカ為ル↧解↦知ストハ従リ↢因縁↡所ノ↠生ズル煩悩ヲ↥。解↧知スルナリ*是无シ↢自性↡、起ル法ハ是无生ノ法ナリト↥。如ク↠是クノ解知スルヲ、名クト↠得ト↢菩提ヲ↡。」*云々

^また ¬*決けつ定じょう毘尼びに経きょう¼ (意) にのたまはく、 「大だい乗じょうのなかにおいて*発ほっ起きし修しゅ行ぎょうするに、 *日ひの初分しょぶんの時ときに所犯しょぼんの戒かいあるに、 日ひの中ちゅう分ぶんにおいて↓一切いっさい智ちの心しんを離はなれずは、 かくのごとき菩ぼ薩さつ、 *戒身かいしん壊え1023せず。 もし日ひの中ちゅう分ぶんに所犯しょぼんの戒かいあるに、 日ひの後ご分ぶんにおいて一切いっさい智ちの心しんを離はなれずは、 かくのごとき菩ぼ薩さつ、 戒身かいしん壊えせず。 乃至

又¬決定毘尼経ニ¼云ク、「於テ↢大乗ノ中ニ↡発起シ修行スルニ、日ノ初分ノ時ニ有ルニ↢所犯ノ*戒↡、於テ↢日ノ中分ニ↡不レバ↠離レ↢一切智ノ心ヲ↡、如キ↠是クノ菩薩*戒身不↠壊セ。*若シ日ノ中分ニ有ルニ↢所犯ノ戒↡、於テ↢日ノ後分ニ↡不レバ↠離レ↢一切智ノ心ヲ↡、如キ↠是クノ菩薩*戒身不↠壊セ。乃至

^もし夜よの後ご分ぶんに所犯しょぼんの戒かいあるに、 日ひの初分しょぶんにおいて一切いっさい智ちの心しんを離はなれずは、 かくのごとき菩ぼ薩さつ、 戒身かいしん壊えせず。 この義ぎをもつてのゆゑに、 菩ぼ薩さつ乗じょうの人にんは*開遮かいしゃの戒かいを持たもてば、 たとひ所犯しょぼんありとも、 失念しつねんして妄みだりに憂悔うけを生しょうじて、 みづからその心しんを悩なやますべからず。 声しょう聞もん乗じょうにおいては所犯しょぼんあるものをば、 すなはち声しょう聞もんの浄じょう戒かいを破壊はえしつとなす」 と。 云々

若シ夜ノ後分ニ有ルニ↢所犯ノ戒↡、於テ↢日ノ初分ニ↡不レバ↠離レ↢一切智ノ心ヲ↡、如キ↠是クノ菩薩*戒身不↠壊セ。以テノ↢是ノ義ヲ↡故ニ、菩薩乗ノ人ハ持ツニ↢開遮ノ戒ヲ↡、設ヒ有リトモ↢所犯↡、不↠応カラ↧失念シテ妄ニ生ジテ↢憂悔ヲ↡、自ラ悩マス↦其ノ心ヲ↥。於テハ↢声聞乗ニ↡有ル↢所犯↡者ヲバ、便チ為スト↣破↢壊シツト声聞ノ浄戒ヲ↡。」云々

^「↑一切いっさい智ちの心しん」 とは、 余よ処しょの説せつに准なぞらへば、 これ第一だいいち義ぎ空くう相応そうおうの心しんなり。 あるいはこれ*仏ぶつの種しゅ智ちを願がん求ぐする心しんなるべし。

一切智ノ心ト者、准ヘバ↢余処ノ説ニ↡、是第一義空相応ノ心*也。或イハ*可シ↧是願↢求スル仏ノ種智ヲ↡心ナル↥也。

 ^問とふ。 もし懴さん悔げを修しゅするに、 よく衆罪しゅざいを滅めっせば、 いかんぞ ¬大論だいろん¼ (大智度論) の四し十じゅう六ろくに、 「*戒律かいりつのなかの戒かいは、 また細さい微みなりといへども、 懴さん悔げすればすなはち清浄しょうじょうなり。 十じゅう善戒ぜんかいを犯おかせば、 また懴さん悔げすといへども、 三さん悪道まくどうの罪つみ↓除のぞこらず」 とはいひ、 また ¬*十じゅう輪りん経ぎょう¼ (意) に説とかく、 「▽*十じゅう悪あく輪罪りんざいを造つくれるは、 一切いっさいの諸仏しょぶつの救すくひたまはざるところなり」 とはいへる。

問フ。若シ修スルニ↢懴悔ヲ↡能ク滅セバ↢衆罪ヲ↡、云何ゾ¬大論ノ¼六ニ云ヘル↧「戒律ノ中ノ戒ハ、雖モ↢復細1148微ナリト↡、懴*悔シツレバ即チ清浄ナリト。犯シツレバ↢十善戒ヲ↡、雖モ↢復懴悔スト↡、三悪道ノ罪不トハ↞除コラ」。又¬十輪経ニ¼説カク、「造レルハ↢十悪輪罪ヲ↡、一切ノ諸仏之所ナリトハイヘル↠不ル↠救ヒタマハ。」

^答こたふ。 ¬観かん経ぎょう¼ には、 十じゅう念ねんしてよく五ご逆ぎゃくを滅めっし、 ¬観仏かんぶつ経きょう¼ には、 仏ぶつの一相いっそうを念ねんずればよく十じゅう悪あく・五ご逆ぎゃくを滅めっし、 ¬大だい経きょう¼ (涅槃経) には、 闍王じゃおう、 殺せっ父ぷの罪つみを懴除さんじょし、 ¬*般若はんにゃ経きょう¼ には1024、 読誦どくじゅ・解げ説せつすればよく三界さんがいの衆しゅ生じょうを殺害せつがいせる罪つみを滅めっして、 悪趣あくしゅに堕だせず、 ¬華け厳ごん経ぎょう¼ には、 普ふ賢げんの願がんを誦じゅするに、 一念いちねんによく十じゅう悪あく・五ご逆ぎゃくを滅めっすと。

答フ。¬観経ニハ¼十念ニ能ク滅ス↢五逆ヲ↡。¬観仏経ニハ¼念ズレバ↢仏ノ一相ヲ↡能ク滅ス↢十悪・五逆ヲ↡。¬大経ニハ¼闍王懴↢除セリ殺父之罪ヲ↡。¬般若経ニハ¼*読誦・解*説スレバ能ク滅シテ↧殺↢害セル三界ノ衆生ヲ↡之罪ヲ↥、不↠堕セ↢悪趣ニ↡。¬花厳経ニハ¼誦スルニ↢普賢ノ願ヲ↡一念ニ能ク滅スト↢十悪・五逆ヲ↡。

^あきらかに知しりぬ、 大だい乗じょうの実説じっせつは、 罪つみを滅めっせずといふことなし。 しからば、 この ¬論ろん¼ (大智度論) の文もんは、 あるいはこれ*転てん重じゅう軽きょう受じゅにしてまつたく受うけざるにあらざるを、 これを 「↑除のぞこらず」 と名なづけ、 あるいはこれ*随転ずいてん理り門もんの説せつならん。

明カニ知リヌ大乗ノ実説ハ无シ↠不トイフコト↠滅セ↠罪ヲ。然モ*此ノ¬論ノ¼文ハ、或イハ是転重軽受ニシテ非ザルヲ↢全ク不ルニ↟受ケ、名クルナリ↢之ヲ不↠除ト↡。或イハ是随転理門之説ナリ。

^また感かん禅ぜん師じ (懐感)、 ¬△十じゅう輪りん経ぎょう¼ を会えしていはく (群疑論)、 「如来にょらいの*密みつ意い、 罪つみを畏おどさしめんと欲おぼすなり」 と等らいへり。 云々

又感禅師会シテ↢¬十輪経ヲ¼↡云ク、「如来ノ密意欲スナリト↠令メムト↠畏オドサ↠*罪ヲ」等イヘリ。云々

^余よは、 下しもの料りょう簡けんの▽念仏ねんぶつ相門そうもんのごとし。 これらはみなこれ*別べつ時じの懴さん悔げなり。 しかも行ぎょう者じゃはつねにまさに三さん事じを修しゅすべし。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいふがごとし。 「菩ぼ薩さつはかならず、 すべからく昼ちゅう夜や六ろく時じに、 懴さん悔げ・随ずい喜き・勧かん請じょうの三さん事じを修しゅすべし」 と。 略抄

余ハ如シ↢下ノ料簡ノ念仏相門ノ↡。此等ハ皆是別時ノ懴悔ナリ。然モ行者ハ常ニ当ニシ↠修ス↢三事ヲ↡。如シ↢¬大論ニ¼云フガ↡。「菩薩ハ必ズ須クシト↣昼夜六時ニ修ス↢懴悔・随喜・勧請ノ三事ヲ↡。」略抄

^五ご念門ねんもんのうちに、 礼拝らいはいの次つぎに、 この事じを修しゅすべし。

五念門ノ中ニ、礼拝之次ニ応シ↠修ス↢此ノ事ヲ↡。

^¬*十住じゅうじゅう婆ば沙しゃ¼ の懴さん悔げの偈げにいはく、

¬十住婆*娑ノ¼懴悔ノ偈ニ云ク、

^「十方じっぽう無む量りょうの仏ぶつは、 知しるところ、 尽つきたまはずといふことなし。
われいまことごとく前みまえにして、 もろもろの*黒悪こくあくを発ほつ露ろす。

「十方无量ノ仏ハ所知无シ↠不トイフコト↠尽キタマハ
我今悉ク於テ↠前ニ発↢露ス諸ノ黒悪ヲ↡

^↓三々さんさん合がっして九く種しゅあり、 ↓三さん煩悩ぼんのうより起おこる。
今身こんじんもしは前身ぜんしんの、 この罪つみをことごとく懴さん悔げす。

三々合ノ九種アリ従リ↢三煩悩↡起ル
今身若シハ前身ノ是ノ罪ヲ*尽ク懴悔ス

^1025三さん悪道まくどうのなかにして、 もし業報ごうほうを受うくべからんをば、
願ねがはくは今身こんじんに償つぐのひて、 悪道あくどうに入いりては受うけじ」 と。

於テ↢三悪道ノ中ニ↡若シ応カラムヲバ↠受ク↢業報ヲ↡
願クハ於テ↢今身ニ↡償ツグナヒテ不ト↧入リテハ↢悪道ニ↡受ケ↥」

^「↑三々さんさん合がっして九く種しゅあり」 とは、 身しん口意くいにおのおの*現げん・生しょう・後ご業ごうあり。 「↑三さん煩悩ぼんのうより起おこる」 とは、 三界さんがいの煩悩ぼんのうなり。

三々合シテ九種アリト者、身口意ニ*各 ノ有リ↢現*生*後*業↡。従リ↢三煩悩↡起ルト者、三*界ノ煩悩*也

^勧かん請じょうの偈げ (十住毘婆沙論) にいはく、

勧請ノ偈ニ云ク、

^「十方じっぽうの一切いっさいの仏ぶつの、 現在げんざいに仏ぶつになりたまへるものを、
われ請こひたてまつる。 法輪ほうりんを転てんじて、 もろもろの衆しゅ生じょうを安楽あんらくならしめたまへと。

「十方ノ一切ノ仏ノ現在ニ成リタマヘル↠仏ニ者ヲ
我請ヒタテマツル転ジテ↢法輪ヲ↡安↢楽ナラシメタマヘト諸ノ衆生ヲ↡

^十方じっぽうの一切いっさいの仏ぶつ、 もし寿じゅ命みょうを捨すてんと欲ほっしたまはば、
われいま頭ず面めんをもつて礼らいして、 勧かん請じょうして久ひさしく住じゅうせしめたてまつらん」 と。

十方ノ一*切ノ仏ノ若1149シ欲シタマハムヲ↠捨テムト↢寿命ヲ↡
我今頭面ニ礼シテ勧請シテ令メタテマツラムト↢久シク住セ↡」

^随ずい喜きの偈げ (十住毘婆娑論) にいはく、

随喜ノ偈ニ云ク、

^「あらゆる布施ふせの福ふくも、 持じ戒かいと修禅しゅぜんの行ぎょうも、
身しん口意くいより生しょうず。 *去こ・来らい・今こんの所しょ有うの、

「所有ノ布施ノ福ト持チ↠戒ヲ修スル↠禅ヲ行ノ
従リ↢身口意↡生ズル去来今ノ所有ノ

^三さん乗じょうを習行じゅうぎょうする人ひとと、 三さん乗じょうを具ぐ足そくするものと、
一切いっさいの凡ぼん夫ぶとの福ふくを、 みな随したがひて歓かん喜ぎせん」 と。 以上

習↢行スル三乗ヲ↡人ト具↢足セル三乗ヲ↡者ト
一切ノ凡夫トノ福ヲ皆随ヒテ而*歓喜スト」 已上

^また*常行じょうぎょう三昧ざんまい・法ほっ華け三昧ざんまい・*真言しんごん教きょう等とうに、 みなおのおの文もんあり。 意こころに随したがひてこれ1026を用もちゐよ。

又常行三昧・法花三昧・真言教等ニ皆各 ノ有リ↠文。随ヒテ↠意ニ用ヰヨ↠之ヲ。

^もし略りゃくを楽ねがはば、 ¬*弥み勒ろく菩ぼ薩さつ本願ほんがん経ぎょう¼ の一いち偈げによるべし。 ¬経きょう¼ (同) にのたまはく、 「^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 ª弥み勒ろく菩ぼ薩さつ、 本もと道どうを求もとめたまひし時ときに、 耳に・鼻び・頭ず・目もく・手しゅ・足そく・身しん命みょう・珍宝ちんぽう・城じょう邑おう・妻さい子し、 および国こく土どを持たもちて、 布施ふせして人ひとに与あたへ、 もつて仏道ぶつどうを成じょうぜしにはあらず。 ただ*善権ぜんごん安楽あんらくの行ぎょうをもつて、 無む上じょう正しょう真しんの道どうを致いたすことを得えたりº と。

若シ楽ハバ↠略ヲ者、可シ↠依ル↢¬弥勒菩薩本願経ノ¼一偈ニ↡。¬経ニ¼云ク、「仏語ラヒリタマハク↢阿難ニ↡、弥勒菩薩本求メタマヒシ↠道ヲ時ニ、不ズ↧持チテ↢耳・鼻・頭・目・手・足・身命・珍宝・城邑・妻子及以 オヨビ 国土ヲ↡、布施シテ与ヘテ↠人ニ以テ成レルニハ↦仏道ヲ↥。但以テ↢善*権安楽之行ヲ↡得タリト↠致ルコトヲ↢无上正真之*道ニ↡。

^阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 ª弥み勒ろく菩ぼ薩さつは、 なんの善権ぜんごんをもつてか、 仏道ぶつどうを致いたすことを得えたるº と。

阿難白サク↠仏ニ、弥勒菩薩ハ以テカ↢何ノ善*権ヲ↡得タルト↠致ルコトヲ↢仏道ニ↡。

^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 ª弥み勒ろく菩ぼ薩さつは、 昼ちゅう夜やにおのおの三みたび、 *正しょう衣え束体そくたいし、 手てを叉あざへ、 右みぎの膝ひざを地じに着つけて、 十方じっぽうに向むかひて偈げを説ときていはく、

仏語リタマハク↢阿難ニ↡、弥*勒菩薩ハ昼夜ニ各 ノ三タビ正衣束体シ、叉アザヘ↠手ヲ右ノ膝ヲ著ケテ↠地ニ、向ヒテ↢於十方ニ↡説キテ↠偈ヲ言ク、

^«われ一切いっさいの過とがを悔くいて、 もろもろの*道徳どうとくを明あかしたまへと勧すすめ、
帰き命みょうして諸仏しょぶつを礼らいしたてまつる。 *無む上じょうの慧えを得えしめたまへ»º と。

我悔イテ↢一切ノ過ヲ↡勧メ↠明シタマヘト↢衆ノ道徳ヲ↡
帰命シテ礼シタテマツル↢諸仏ヲ↡令メタマヘト↠得↢无上ノ*慧ヲ↡

^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 ª弥み勒ろく菩ぼ薩さつは、 この善権ぜんごんをもつて無む上じょう正しょう真しんの道を得えたりº」 と。 以上

仏語リタマハク↢阿難ニ↡、弥勒菩薩ハ以テ↢是ノ善*権ヲ↡得タリトイヘリ↢於无上正真之道ヲ↡。」 已上

 ^問とふ。 この懴さん悔げ・勧かん請じょう等とうの事じを修しゅするに、 いくばくの福ふくをか得うる。

問フ。修スルニハ↢此ノ懴悔勧請等ノ事ヲ↡、得ル↢幾処イクバクノ福ヲカ↡。

^答こたふ。 ¬十住じゅうじゅう論ろん¼ (十住毘婆沙論) の偈げにいはく、

答フ。¬十住論ノ¼偈ニ云ク、

^「もし一いち時じのうちにおいてせんに、 福徳ふくとく、 形かたちあらば、
1027恒ごう河が沙しゃの世せ界かいも、 すなはちおのづから容受ようじゅせじ」 と。

「若シ於テセムニ↢一時ノ中ニ↡福徳有ラバ↠形者
恒河沙ノ世界モ乃チ自ラ不ト↢容受セ↡」

二 Ⅴ ⅵ 対治魔事

【53】^第だい六ろくに△*対たい治じ魔事まじとは、

第六ニ対治魔事ト者、

^問とふ、 種々しゅじゅの魔事まじよく正しょう道どうを障さふ。 あるいは病びょう患げんを発おこさしめ、 あるいは観念かんねんを失うしなはしめ、 あるいは邪法じゃほうを得えしむ。

問フ。種々ノ魔事能ク障フ↢正道ヲ↡。或イハ令メ↠発サ↢病患ヲ↡、或イハ令メ↠失ハ↢観念ヲ↡、或イハ令ム↠得↢邪法ヲ↡。

^いはゆる、 もしは*有うの見けんもしは*無むの見けん、 もしは明了みょうりょうもしは昏闇こんあん、 もしは*邪じゃ定じょうもしは*攀縁へんえん、 もしは悲ひもしは喜き、 もしは苦くもしは楽らく、 もしは禍かもしは福ふく、 もしは悪あくもしは善ぜん、 もしは人ひとを憎にくみもしは恋れん着じゃくし、 もしは心こころ強つよくもしは心こころ軟やわらかなり。 かくのごとき等らの事じの、 もしは過すぎたる、 もしは及およばざるは、 みなこれ魔事まじなり。 ことごとく正しょう道どうを障さふ。 なにをもつてかこれを対たい治じする。

所謂ル若シハ有ノ見若シハ无ノ見、若シハ明了若シハ昏闇、若シハ邪定若シハ攀1150縁、若シハ悲若シハ喜ニマレ、若シハ苦若シハ楽ニマレ、若シハ禍若シハ福ニマレ、若シハ*悪若シハ*善ニマレ、若シハ憎↠人若シハ恋著ニマレ、若シハ心強ク若シハ心軟ニマレ、如キ↠是クノ等ノ事ノ若シハ過ギタル若シハ不ルハ↠及バ、皆是魔事ナリ。悉ク障フ↢正道ヲ↡。何ヲ以テカ対↢治スル之ヲ↡。

^答こたふ。 治じ道どう多おおしといへども、 いまただ念仏ねんぶつの一いちの治じによるべし。 このなかにまた↓事じ↓理りあり。

答フ。治道雖モ↠多シト今但応シ↠依ル↢念仏ノ一ノ治ニ↡。此ノ中ニ亦有リ↢事・理↡。

 ^▽一いちに↑事じの念ねんとは、 言ごん行ぎょう相応そうおうして一心いっしんに仏ぶつを念ねんずる時ときに、 もろもろの悪あく魔ま、 *沮壊そえすることあたはず。

一ニ事ノ念ト者、言行相応シテ一心ニ念ズル↠仏ヲ時ニ、諸ノ悪魔不↠能ハ↢俎壊スルコト↡。

 ^問とふ。 なんがゆゑぞ壊えせざる。

問フ。何ガ故ゾ不ル↠壊セ。

^答こたふ。 仏ぶつ、 護ご念ねんしたまふがゆゑに、 法ほうの威い力りきのゆゑに、 沮壊そえすることあたはず。

答フ。仏護念シタマフガ故ニ法ノ威力ノ故ニ不↠能ハ↢俎壊スルコト↡。

^¬大だい般若はんにゃ¼ に、 魔事まじを対たい治じするに、 番々ばんばんの二に法ほうを出いだせるがごとし。 そのなかにのたまはく、 「一いちには、 いふところのごとくみなことごとくよくなす、 二にには、 諸仏しょぶつのためにつねに護ご念ねんせらる」 と。

如シ↧¬大般若ニ¼対↢治スルニ魔事ヲ↡出セルガ↦番々ノ二法ヲ↥。其ノ中ニ云ク、「一ニハ如ク↠所ノ↠言フ皆悉ク能ク作ス。二ニハ為ニ↢諸仏ノ↡常ニ為ルナリト↢護念セラルルコトヲ↡。」

^また1028 ¬般舟はんじゅ経きょう¼ にのたまはく、 「もし*閲叉えつしゃ・鬼き神じんの、 人ひとの*禅ぜんを壊やぶり、 人ひとの念ねんを奪うばはんも、 たとひこの菩ぼ薩さつを中やぶらんと欲ほっせば、 つひに中やぶることあたはじ」 と。

又¬般*舟経ニ¼云ク、「若シ*閲叉・鬼神ノ、壊ヤブリ↢人ノ*神ヲ↡奪フモノ↢人ノ念ヲ↡、設ヒ欲セバ↠中ヤブラムト↢是ノ菩薩ヲ↡者終ニ不ト↠能ハ↠*中ヤブルコト。」

^余よは下しもの▽利り益やく門もんのごとし。

余ハ如シ↢下ノ利益門ノ↡。

 ^▽二にに↑理りの念ねんとは、 ¬止し観かん¼ の第だい八はちにいふがごとし。 「▼魔ま界かいの如にょと仏界ぶっかいの如にょとは、 一如いちにょにして二に如にょなし。 平びょう等どう一相いっそうなりと知しりて、 魔まをもつてうれひとなし、 仏ぶつをもつて欣よろこびとなさず、 これを*実際じっさいに安おく。 乃至

*二ニ理ノ念ト者、如シ↢¬止観ノ¼第八ニ云フガ↡。「知リヌレバ↧魔界ノ如ト、仏界ノ如トハ、一如ニシテ无シ↢二如↡、平等一相ナリト↥、不↢以テ↠魔ヲ為シ↠*ウレヘト、以テ↠仏ヲ為サ↟欣ヨロコビト、安オク↢之ヲ実際ニ↡。乃至

^魔ま界かいすなはち仏界ぶっかいなり。 しかも衆しゅ生じょうは知しらずして仏界ぶっかいに迷まよひて、 横よこさまに魔ま界かいを起おこし、 菩ぼ提だいのなかにおいて、 しかも煩悩ぼんのうを生しょうず。 このゆゑに悲ひを起おこして、 衆しゅ生じょうをして魔ま界かいにおいて仏界ぶっかいに即そくし、 煩悩ぼんのうにおいて菩ぼ提だいに即そくせしめんと欲おもふ。 このゆゑに慈悲じひを起おこす」 と。 以上

魔界即チ仏界ナリ。而ルヲ衆生ハ不シテ↠知ラ迷ヒテ於テ↢仏界ニ↡横ニ起シ↢魔界ヲ↡、於テ↢菩提ノ中ニ↡而モ生ズ↢煩悩ヲ↡。是ノ故ニ起シテ↠悲ヲ、欲フ↠令メムト↧衆生ヲシテ於テ↢魔界ニ↡即シ↢仏界ニ↡、於テ↢煩悩ニ↡即セ↦菩提ニ↥。是ノ故ニ起スト↢慈*悲ヲ↡。」 已上

^この念ねんをなすべし、 「魔ま界かい・仏界ぶっかいおよび自他じた界かい、 同おなじく空くうなり、 無む相そうなり。 この諸法しょほうの無む相そう、 これすなはち仏ぶつの*真体しんたいなり。 まさに知しるべし、 魔ま界かいすなはちこれ仏身ぶっしんなり、 またすなはちわが身みなり。 理り、 無二むになるがゆゑに。 しかるを、 もろもろの衆しゅ生じょうは妄想もうぞうの夢ゆめいまだ覚さめず。 *一実いちじつの相そうを解さとらずして、 是非ぜひの想おもいを生しょうじて五ご道どうに輪りん廻ねす。 願ねがはくは、 衆しゅ生じょうをして平びょう等どうの慧えに入いらしめん」 と。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、魔界・仏界及ビ自他界同ジク空ナリ无相ナリ。此ノ諸法ノ无相是即チ仏ノ真体ナリ。当ニシ↠知ル、魔界即チ是仏身ナリ、亦即チ我ガ身ナリ。理无二ナルガ故ニ。而ルヲ諸ノ衆生ハ妄想ノ夢未ダシテ↠覚メ、不シテ↠解サトラ↢一実ノ相ヲ↡、生ジテ↢是非ノ想ヲ↡輪↢廻ス五道ニ↡。願クハ令メムト↣衆生ヲシテ入ラ↢平等ノ*恵1151ニ↡。

^かくのごとく、 深ふかく*無む縁えんの大だい悲ひを起おこして、 乃至 仏ぶつの妙みょう色身しきしんを観かんずといへども、 *三空さんくうの門もんに入い1029りて執着しゅうじゃくすべからず。 熱金ねつこん丸がんの、 色いろの妙たえなることを見みるといへども、 手てに触ふるべからざるがごとし。 いはんや、 余よの事じにおいて着じゃくを生しょうじ、 慢まんを生しょうぜんや。 この観かんをなす時ときに、 魔ま、 沮壊そえせず。

如ク↠是クノ深ク起シテ↢无縁ノ大悲ヲ↡、乃至 雖モ↠観ズト↢仏ノ妙色身ヲ↡、入リテ↢三空ノ門ニ↡不↠応カラ↢執著ス↡。如ク↧熱金丸ノ雖モ↠見ルト↢色ノ妙ナルコトヲ↡、不ルガ↞可カラ↢手ニ触ル↡、況ヤ於テ↢余ノ事ニ↡生ジ↠著ヲ生ゼムヤ↠慢ヲ。作ス↢是ノ観ヲ↡時ニ魔不↢俎壊セ↡。

^ゆゑに ¬大だい般若はんにゃ経きょう¼ に、 またその治じを説ときてのたまはく、 「一いちには諸法しょほうはみな*畢ひっ竟きょう空くうなりと観かんじ、 二にには一切いっさい有う情じょうを棄き捨しゃせず」 と。

故ニ¬大般若経ニ¼亦説キテ↢其ノ治ヲ↡云ク、「一ニハ観ズル↢諸法ハ皆畢竟空ナリト↡、二ニハ不ルナリト↣棄↢捨セ一切有情ヲ↡。」

^また ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「十じゅう二に入にゅうはみなこれ*魔ま網もうなり。 *虚こ誑おうにして実じつならず。 このなかにおいて*六種ろくしゅの識しきを生しょうずるも、 またこれ魔ま網もうにして虚こ誑おうなり。 何者なにものかこれ実じつ。 ただ不二ふにの法ほうあるのみ。 眼げんもなく色しきもなく、 乃至 意いなく法等ほうとうもなきが、 これを実じつと名なづく。 衆しゅ生じょうをして十じゅう二に入にゅうを離はなれしめんがゆゑに、 つねに種々しゅじゅの因縁いんねんをもつてこの不二ふにの法ほうを説とく」 と。

又¬大論ニ¼云ク、「十二入ハ皆是魔網ナリ、虚狂ニシテ不↠実ナラ。於テ↢此ノ中ニ↡生ズルモ↢六種ノ識ヲ↡、亦是魔網ニシテ虚狂ナリ。何者カ是実。唯シ不二ノ法ナリ。无ク↠眼モ无ク↠色モ、乃至 无ク↠意无キガ↢法等モ↡、是ヲ名ク↠実ト。令メムガ↣衆生ヲシテ離レ↢十二入ヲ↡故ニ、常ニ以テ↢種々ノ因縁ヲ↡説クト↢是ノ不二ノ*法ヲ↡。」

 ^問とふ。 なんがゆゑぞ、 空くうを観かんずるに、 魔ま、 便たよりを得えざる。

問フ。何ガ故ゾ観ズルニ↠空ヲ、魔不ル↠得↠便ヲ。

^答こたふ。 かの ¬論ろん¼ (大智度論) にいはく、 「一切いっさいの法ほうのなかにみな*着じゃくせず。 着じゃくせざるがゆゑに*違い錯さくなし。 違い錯さくなきがゆゑに、 魔ま、 その便たよりを得うることあたはず。 たとへば、 人ひとの身みに瘡きずなきときには、 *毒屑どくせつのなかに臥ふすといへども、 毒どくまた入いらず。 もし小しょう瘡そうあらば、 すなはち死しぬるがごとし」 と。

答フ。*彼ノ¬論ニ¼云ク、「一切ノ法ノ中ニ皆不↠著セ。不ルガ↠著セ故ニ无シ↢違錯↡。无キガ↢違錯↡故ニ魔不↠能ハ↠得ルコト↢其ノ便ヲ↡。譬ヘバ、如シト↧人ノ身ニ无キトキニハ↠瘡、雖モ↠臥スト↢毒屑ノ中ニ↡、毒亦不↠入ラ、若シ有ラバ↢小瘡↡、則チ死ヌルガ↥。」

^また ¬大集だいじつ経きょう¼ の 「月蔵がつぞう分ぶん」 のなかに、 他化たけ天てんの魔ま王おう、 菩ぼ提心だいしんを発おこし、 記きを受うけて、 願がんを発おこしていはく、 「われら、 現在げんざい・未み来らい1030のもろもろの仏ぶつ弟子でしの、 第一だいいち義ぎと相応そうおうして住じゅうするものを護ご念ねんして、 供く給きゅうし供く養ようせん。 もしわが教おしえに順じゅんぜずして行ぎょう者じゃを悩乱のうらんせば、 すなはちかの類たぐいをして種々しゅじゅの病やまいを得えしめ、 神通じんずうを退失たいしつせしめん」 と。 取意

又¬大集経ノ¼「月蔵分ノ」中ニ、他化天ノ魔王発シ↢菩提心ヲ↡、受ケテ↠記ヲ、発シテ↠願ヲ*云ク、「我等護↧念シテ現在・未来ノ諸ノ仏弟子ノ与↢第一義↡相応シテ住セム者ヲ↥、供給シ供養セム。若シ不シテ↠順ゼ↢我ガ教ニ↡悩↢乱セバ行者ヲ↡、即チ令メムト↧彼ノ類ヲシテ得シメ↢種々ノ病ヲ↡、退↦失セ神通ヲ↥。」取意

^あきらかに知しりぬ、 *実じつの魔まは便たよりを得えず、 *権ごんの魔まは護ご念ねんするのみ。 △前さきの二に種しゅの治じはみな証しょう拠こあり。 ゆゑにさらに諸しょ師しの所しょ釈しゃくを引ひかず。

明カニ知リヌ、実ノ魔ハ不↠得↠便ヲ、*権ノ魔ハ護念スラク耳。前ノ二種ノ治ハ皆有リ↢証拠↡。故ニ不↣更ニ引カ↢諸師ノ所釈ヲ↡。

二 Ⅴ ⅶ 総結要行

【54】^第だい七しちに△*総結そうけつ要よう行ぎょうとは、

▼第七ニ総結要行ト者、

^問とふ、 上かみの諸門しょもんのなかに陳のぶるところすでに多おおし。 いまだ知しらず、 いづれの業ごうをか往おう生じょうの要ようとなす。

◆問フ。▼上ノ諸門ノ中ニ▼所↠陳ブル既ニ多シ。▼*未ダ↠知ラ何レノ業ヲカ為ル↢往生ノ要ト↡。

^答こたふ。 ↓大だい菩ぼ提心だいしんと、 ↓*三業さんごうを護まもると、 ↓深ふかく信しんじ、 ↓誠まことを至いたして、 ↓常つねに仏ぶつを念ねんずとは、 ↓願がんに随したがひて決けつ定じょうして極楽ごくらくに生しょうず。 いはんやまた、 余よのもろもろの妙行みょうぎょうを具ぐせらんをや。

◆答1152フ。大▼菩提心アリテ▼護リ↢三業ヲ↡、▼深ク信ジ▼至誠ニシテ▼常ニ▼念ズル↠仏ヲ、▼随ヒテ↠願ニ決定シテ生ル↢極楽ニ↡。況ヤ復具セラムヲヤ↢余ノ諸ノ妙行ヲ↡。

 ^問とふ。 なんがゆゑぞ、 これらを往おう生じょうの要ようとなす。

◆問フ。何ガ故ゾ此等ヲ為ル↢往生ノ要ト↡。

^答こたふ。 ↑菩ぼ提心だいしんの義ぎは、 △前さきにつぶさに釈しゃくするがごとし。 ↑三業さんごうの重じゅう悪あくはよく正しょう道どうを障さふ。 ゆゑにすべからくこれを護まもるべし。 ▼*往おう生じょうの業ごうは念仏ねんぶつを本ほんとなす。 その念仏ねんぶつの心しんは、 かならずすべからく理りのごとくすべし。 ゆゑに↑深信じんしん・↑至し誠じょう・↑常じょう念ねんの三さんの事じを具ぐす。

◆答フ。菩提心ノ義ハ如シ↢前ニ具ニ釈スルガ↡。▼三業ノ重悪ハ能ク障フ↢正道ヲ↡。故ニ須クシ↠護ル↠之ヲ。往生之業ハ念仏ヲ為ス↠本ト。其ノ念仏ノ心ハ必ズ須クシ↠如クス↠理ノ。故ニ具ス↢深信・至誠・常念ノ三ノ事ヲ↡。

^常じょう念ねんに三さんの益やくあり。 迦か才ざいのいふがごとし。 「一いちには諸悪しょあくの*覚観かくかん、 畢ひっ竟きょうじて生しょうぜず。 また業ごっ障しょうを消しょうすることを得う。 二にには善根ぜんごん増ぞう長じょうし、 また見仏けんぶつの因縁いんねんを種ううることを得う。 三さん1031には*薫くん習じゅう熟じゅく利りして、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 正しょう念ねん現前げんぜんす」 (浄土論) と。 以上

◆常念ニ有リ↢三ノ益↡。如シ↢迦才ノ云フガ↡、「一ニ者諸ノ悪ノ覚観畢竟ジテ不↠生ゼ。亦得↠消スルコトヲ↢於業障ヲ↡。二ニ者善根増長シ、亦得↠種ウルコトヲ↢於見仏ノ因縁ヲ↡。三ニ者薫習熟利シテ、臨命終ノ時ニ正念現前スト。」 已上

^業ごうは願がんによりて転てんず。 ゆゑに↑随願ずいがん往おう生じょうといふ。

◆業ハ由リテ↠願ニ転ズ。故ニ云フ↢随願往生ト↡。

^総そうじてこれをいへば、 三業さんごうを護まもるは、 これ*止しの善ぜんなり。 仏ぶつを称しょう念ねんするは、 これ*行ぎょうの善ぜんなり。 菩ぼ提心だいしんおよび願がんは、 この二にの善ぜんを扶ふ助じょす。 ゆゑにこれらの法ほうを往おう生じょうの要ようとなす。 その旨むね経きょう論ろんに出いでたり。 これをつぶさにすることあたはず。

◆総ジテ而言ヘバ↠之ヲ、護ルハ↢三業ヲ↡是*止ノ善ナリ。▼称↢念スルハ仏ヲ↡是行ノ善ナリ。菩提心及ビ願ハ扶↢助ス此ノ二ノ善ヲ↡。故ニ此等ノ法ヲ為ス↢往生ノ要ト↡。其ノ旨出デタリ↢経論ニ↡。不↠能ハ↠具ニスルコト↠之ヲ。

二 Ⅵ 別時念仏

【55】^大文だいもん第だい六ろくに、 △*別べつ時じ念仏ねんぶつといふは、 二にあり。 初はじめには▽*尋じん常じょうの別べつ行ぎょうを明あかす。 次つぎには▽*臨りん終じゅうの行ぎょう儀ぎを明あかす。

大文第六ニ▼別時念仏トイフ者、有リ↠二。▼初ニハ明ス↢尋常ノ別行ヲ↡。次ニハ明ス↢臨終ノ行儀ヲ↡。

二 Ⅵ ⅰ 尋常別行

【56】^第一だいいちに△尋じん常じょうの別べつ行ぎょうとは、 日々にちにちの行ぎょう法ほうにおいてつねに勇進ゆうしんすることあたはず。 ゆゑに、 時ときありて別べつ時じの行ぎょうを修しゅすべし。 あるいは↓一いち・二に・三日さんにち、 乃ない至し↓七日しちにち、 あるいは↓十じゅう日にち乃ない至し↓九く十じゅう日にち、 楽ねがいに随したがひてこれを修しゅせよ。

第一ニ尋常ノ別行ト者、於テ↢日々ノ行法ニ↡不↠能ハ↢常ニ勇進スルコト↡。故ニ応シ↣有リテ↠時修ス↢別時ノ行ヲ↡。或イハ一・二・三日乃至七日、或イハ十日乃至九十日、随ヒテ↠楽 ヒニ修セヨ↠之ヲ。

^いふところの 「↑一日いちにち乃ない至し七日しちにち」 とは、 導どう和か尚しょう (善導) の ¬観念かんねん門もん¼ (観念法門) にいはく、 「^¬*般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ に、 ª▲仏ぶつ、 跋ばつ陀和だわに告つげたまはく、 «この行ぎょう法ほうを持たもてば、 すなはち三昧さんまいを得え、 現在げんざいの諸仏しょぶつ、 ことごとく前まえにましまして立たちたまふ。

所ノ↠言フ一日乃至七*日ト者、導和尚ノ¬*観念門ニ¼云ク、「¬般舟三昧経ニ¼、仏告ゲタマハク↢跋陀和ニ↡、持セバ↢是ノ行法ヲ↡便チ得テ↢三昧現在スルコトヲ↡、諸仏悉ク在シテ↠前ニ立チタマハム。

^◆それ比丘びく・比丘びく尼に・優婆うば塞そく・優婆うば夷いありて、 法ほうのごとく、 持じ戒かいまつたく具ぐし、 独ひとり一処いっしょに止とどまりて、 西方さいほうの阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 いま現げんにかしこにましますと念おもへ。 所聞しょもんに随したがひてまさに念ねんずべし1032。 ここを去さること十じゅう万億まんおくの仏刹ぶっせつなり、 その国くにを須しゅ摩ま提だいと名なづく。

其レ有リテ↢比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷↡、如ク↠法ノ持戒完マタク具シ、独リ一処ニ*止リテ、念ヘ↢西方ノ阿弥陀仏、今現ニ在スト↟彼ニ。随ヒテ↢所聞1153ニ↡当ニシ↠念ズ。去レルコト↠此ヲ十万億ノ仏刹ナリ、其ノ国ヲバ名ク↢須摩提ト↡。

^◆一心いっしんにこれを念ねんずること、 一日いちにち一いち夜や、 もしは七日しちにち七しち夜やせよ。 七日しちにちを過すぎてより以後のちに、 これを見みたてまつること、 たとへば夢ゆめのうちに見みるところのごとくせん。 昼ちゅう夜やを知しらず、 また内ない外げを知しらず、 冥みょうのなかにありて弊へい礙げするところあるによるがゆゑに、 見みざるにあらず。

一心ニ念ズルコト↠之ヲ一日一夜、若シハ七日七夜セヨ。過ギテヨリ↢七日ヲ↡已後 ノチ ニ、見タテマツルコト↠之ヲ、譬ヘバ如クセム↢夢ノ中ニ所ノ↟見ル。不↠知ラ↢昼夜ヲ↡、亦不↠知ラ↢内外ヲ↡、不ズ↧由リテ↠在ルニ↢冥ノ中ニ↡有ルガ↠所↢弊礙スル↡故ニ不ルニ↞見。

^◆跋ばつ陀和だわ、 四し衆しゅつねにこの念ねんをなす時ときに、 諸仏しょぶつの境きょう界がいのなかのもろもろの大山だいせん・須しゅ弥み山せん、 それ幽ゆう冥みょうなることある処ところ、 ことごとく*開かい闢びゃくすることをなして、 弊へい礙げするところなからん。 この四し衆しゅは、 天眼てんげんを持もちても徹とおし視みるにあらず、 天てん耳にを持もちても徹とおし聴きくにあらず、 神足じんそくを持もちてもその仏刹ぶっせつに到いたるにあらず、 この間けんに終おわりて、 かの間けんにも生うまるるにあらずして、 すなはちここに坐ざしてこれを見みるなり» と。

跋陀和、四衆常ニ作セ↢是ノ念ヲ↡。時ニ諸仏ノ境界ノ中ノ諸ノ大山・須弥山、其有ル↢幽冥ナルコト↡之処、悉ク為シテ↢*開闢スルコトヲ↡、无ケム↠所↢弊礙スル↡。是ノ四衆ハ不↧持チテモ↢天眼ヲ↡徹シ視ルニアラ↥、不↧持チテモ↢天耳ヲ↡徹シ聴カ↥、不↧持チテモ↢神足ヲ↡到ラ↦其ノ仏刹ニ↥、不ズシテ↧於テ↢此ノ間ニ↡終リテ生ルルニ↦彼ノ間ニモ↥、便チ於テ↠此ニ坐シナガラ見ムト↠之ヲ。

^◆仏ぶつののたまはく、 «四し衆しゅ、 この間けんの国こく土どにして、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんずること、 念ねんをもつぱらにするがゆゑに、 これを見みたてまつることを得う。 すなはち問とへ、 "なんの法ほうを持たもちてか、 この国くにに生うまるることを得うる" と。 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 報ほうじてのたまはく、 "来らい生しょうせんと欲おもはば、 つねにわが名なを念ねんじて休く息そくすることを得うることなかれ。 すなはち来らい生しょうすることを得えてん"» と。

仏ノ言ク、四衆於テ↢此ノ間ノ国土ニ↡、念ズルコト↢阿弥陀仏ヲ↡専ニスルガ↠念ヲ故ニ、得テ↠見タテマツルコトヲ↠之ヲ、即チ問ハク、持チテカ↢何ノ法ヲ↡得ムト↠生ルルコトヲ↢此ノ国ニ↡。阿弥*陀仏報ジテ言ク、欲ハム↢来生セムト↡者、常ニ念ジテ↢我ガ名ヲ↡莫レ↠得ルコト↢休息スルコトヲ↡。即チ得テムト↢来生スルコトヲ↡。

^◆仏ぶつののたまはく、 «念ねんをもつぱらにするがゆゑに往おう生じょうすることを得う。 まさに念ねんず1033べし、 仏身ぶっしんには三さん十じゅう二に相そう・八はち十じゅう種好しゅこうありて、 巨こ億おくの光こう明みょう徹てっ照しょうし、 端たん正じょう無比むひにして、 菩ぼ薩さつ僧そうのなかにましまして法ほうを説ときたまふことを。 色しきを壊えすることなかれ。 なにをもつてのゆゑに。 色しきを壊えせざるがゆゑに、 仏ぶつの色身しきしんを念おもふによるがゆゑに、 この三昧さんまいを得う»º と。 以上

仏ノ言ノ専ニスルガ↠念ヲ故ニ得トイフハ↢往生スルコトヲ↡、当ニシ↠念フ↧仏身ノ卅二相八十種好アリテ、巨億ノ光明徹照シ、端正无*比ニシテ、在シテ↢菩薩僧ノ中ニ↡説キタマフコトヲ↞法ヲ。莫レ↠壊スルコト↠色ヲ。何ヲ以テノ故ニ。不ルガ↠壊セ↠色ヲ故ニ、由ルガ↠念フニ↢仏ノ色身ヲ↡故ニ得ト↢是ノ三昧ヲ↡。 已上

^◆念仏ねんぶつ三昧ざんまいの法ほうを明あかす。

明ス↢念仏三昧ノ法ヲ↡。

^この文もんはかの ¬経きょう¼ (般舟三昧経) の ª行ぎょう品ぼんº のなかにあり。 もし覚さめて仏ぶつを見みずは、 夢ゆめのうちにこれを見みんといへり。

此ノ文ハ在リ↢彼ノ¬経ノ¼「行品ノ」中ニ↡。若シ覚メテ不ハ↠見↠仏ヲ、於テ↢夢ノ中ニ↡見ムトイヘリ↠之ヲ

^▲三昧さんまいの道どう場じょうに入いらんと欲おもふ時ときには、 もつぱら仏ぶっ教きょうの方法ほうほうによりて、 先まづすべからく道どう場じょうを料りょう理りし、 尊像そんぞうを安あん置ちし、 香湯こうとうをもつて掃灑そうしゃすべし。 もし仏堂ぶつどうなきも、 浄きよき房ぼうあらば、 また得えたり。 掃灑そうしゃすること法ほうのごとくして、 一いちの仏像ぶつぞうを取とりて西にしの壁かべに安あん置ちせよ。

欲ハム↠入ラムト↢三昧ノ道場ニ↡時ニハ、一ニハ依リテ↢仏教ノ方法ニ↡先ヅ須クシ↧料↢理シ道場ヲ↡、安↢置シ尊像ヲ↡、香*湯ヲモテ掃灑サイス↥。若シ无キハ↢仏堂↡、有ラバ↢浄キ房モ↡亦得タリ。掃灑スルコト如法ニシテ、取リテ↢一ノ仏像ヲ↡西ノ壁ニ安置セヨ。

^◆行ぎょう者じゃ等とう、 月つきの一日いちにちより八日はちにちに至いたり、 あるいは八日はちにちより十じゅう五ご日にちに至いたり、 あるいは十じゅう五ご日にちより二に十じゅう三日さんにちに至いたり、 あるいは二に十じゅう三日さんにちより三さん十じゅう日にちに至いたるまで、 月別つきべつに四時しじするは佳よし。 行ぎょう者じゃ等とう、 みづから家け業ごうの軽重きょうじゅうを量はかりて、 この時ときのうちにおいて浄行じょうぎょうの道どうに入いれ。

行者等従リ↢月ノ一日↡至リ↢八日ニ↡、或イハ従リ↢八日↡至リ↢十五日ニ↡、或イハ従リ↢十五日↡至リ↢廿三日ニ↡、或イハ従リ↢廿三*日↡至ルマデセヨ↢卅日ニ↡。月別1154ニ四時スルハ佳シ。行者等、自ラ量リテ↢家業ノ軽重ヲ↡、於テ↢此ノ時ノ中ニ↡入レ↢浄行ノ道ニ↡。

^◆もしは一日いちにち乃ない至し七日しちにち、 ことごとく浄じょう衣えを須もちゐよ、 鞋靺かいまつもまた新しん浄じょうなるを須もちゐよ。 七日しちにちのうちは、 みなすべからく一食いちじき長じょう斎さいすべし。 軟やわらかなる餠もち、 粗あらき飯いい、 随ずい時じの醤しょう菜さい、 倹けん素そし節せつ量りょうせよ。

若シハ一日乃至七日尽ク須ヰヨ↢浄衣ヲ↡、鞋靺モ亦須ヰヨ↢新浄ナルヲ↡。七日之中ニ皆須クシ↢一食長斎ス↡。軟カナル餠、麁キ飯、随時ノ醤*菜倹素シ節量セヨ。

^◆道どう場じょうのなかにして、 昼ちゅう夜やに心しんを束たばね、 相続そうぞくしてもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんぜよ1034。 心しんと声しょうと相続そうぞくして、 ただ坐ざし、 ただ立りゅうして、 七日しちにちのうち睡眠すいめんを得えざれ。 また時ときによりて、 仏ぶつを礼らいし経きょうを誦じゅすべからざれ。 数じゅ珠ずをもまた捉とるべからず。 ただ合がっ掌しょうして仏ぶつを念ねんずと知しり、 念々ねんねんに見仏けんぶつの想おもいをなせ。

於テ↢道場ノ中ニ↡昼夜ニ束シテ↠心ヲ相続シテ専ラ念ゼヨ↢阿弥陀仏ヲ↡。心ト与↠声相続セヨ。唯シ坐シ唯シ立セヨ。七日之内ニ不レ↠得↢睡眠ヲ↡。亦不レ↠須カラ↢依リテ↠時ニ礼シ↠仏ヲ誦ス↟経ヲ。数珠ヲモ亦不↠須カラ↠捉トル。但知レ↢合掌シテ念ズルコトヲ↟仏ヲ、念々ニ作セ↢見仏ノ想ヲ↡。

^◆仏ぶつののたまはく、 ª阿あ弥陀みだ仏ぶつの真金しんこん色じきの身しんに、 光こう明みょう徹てっ照しょうし、 端たん正じょう無比むひにして、 心眼しんげんの前まえにましますと想念そうねんせよº と。

仏ノ言ノ想↣念セヨト阿弥陀仏ノ真金色ノ身ニ光明徹照シテ、端正无比ニシテ、在スト↢心眼ノ前ニ↡。

^◆まさしく仏ぶつを念ねんずる時ときには、 もし立たたばすなはち立たちて一万いちまん・二に万まんを念ねんぜよ。 もし坐ざせばすなはち坐ざして一万いちまん・二に万まんを念ねんぜよ。 道どう場じょうのうちにして、 頭こうべを交まじへてひそかに語かたらふことを得えじ。

正シク念ゼム↠仏ヲ時ニハ、若シ立タバ即チ立チテ念ゼヨ↢一万・二万ヲ↡。若シ坐セバ即チ坐シテ念ゼヨ↢一万・二万ヲ↡。於テ↢道場ノ内ニ↡不↠得↢交ヘテ↠頭ヲ窃ニ語ラフコトヲ↡。

^◆昼ちゅう夜やあるいは三さん時じ・六ろく時じに、 諸仏しょぶつ、 一切いっさいの賢げん聖じょう、 天曹てんそう・地府じふ、 一切いっさいの業道ごうどうに表白ひょうびゃくして、 一いっ生しょうの己こ身しんの身しん口意くい業ごうの所造しょぞうのもろもろの罪つみを発ほつ露ろ懴さん悔げせよ。

昼夜或イハ三時・六時ニ、表↢白シテ諸仏、一切ノ賢聖、天曹・地府、一切ノ業道ニ↡、発↢露懴↣悔セヨ一生ノ*己身ノ身口意業ノ所造ノ衆ノ罪ヲ↡。

^◆事々じじ、 実じつによりて懴さん悔げしをはりて、 還かえりて法ほうによりて仏ぶつを念ねんぜよ。 所見しょけんの境きょう界がいは、 たやすく説とくことを得えざれ。 善ぜんならばみづから知しれ。 悪あくならば懴さん悔げせよ。 酒しゅ・肉にく・五ご辛しんは、 きはめて願がんを発おこして、 手てに捉とらざれ、 口くちに喫くはざれ。 もしこの語ごに違たがはば、 すなはち身しん口くにともに悪瘡あくそうを着つけんと願がんぜよ。

事々、依リテ↠実ニ懴悔シ竟リテ還リテ依リテ↠法ニ念ゼヨ↠仏ヲ。所見ノ境界ハ不レ↠得↢輒タヤスク説クコトヲ↡。善ナラバ者自ラ知レ。悪ナラバ者懴悔セヨ。酒・肉・五辛ハ、極テ発シテ↠願ヲ手ニ不レ↠捉ラ、口ニ不レ↠喫ハ。若シ違ハバ↢此ノ語ニ↡、即チ願ゼヨ↣身口ニ倶ニ著セムト↢悪瘡ヲ↡。

^◆願がんじて ¬阿あ弥陀みだ経きょう¼ を誦じゅすること十じゅう万遍まんべんを満みてよ。 日別にちべつに仏ぶつを念ねんずること一いち万遍まんべんせよ。 経きょうを誦じゅすること日別にちべつに十じゅう五ご遍へんせよ。 あるいは誦じゅすること二に十遍じっぺん・三さん十遍じっぺんせよ。 力ちからの多た少しょうに任まかせよ。 浄じょう土どに生うまれんと誓ちかひ、 仏ぶつ1035摂しょう受じゅしたまへと願がんぜよ。

願ジテ誦スルコト↢¬阿弥陀経ヲ¼↡満テヨ↢十万遍ヲ↡。日別ニ念ズルコト↠仏ヲ一万遍セヨ。誦スルコト↠経ヲ日別ニ十五遍セヨ。或イハ誦スルコト廿遍・卅遍セヨ。任セヨ↢力ノ多少ニ↡。誓ヒ↠生レムト↢浄土ニ↡、願ゼヨ↢仏摂受シタマヘト↡。

^▲またもろもろの行ぎょう者じゃにまうさく、 ただ今こん生じょうに日にち夜や相続そうぞくして、 もつぱら弥陀みだ仏ぶつを念ねんじ、 もつぱら ¬弥陀みだ経きょう¼ を誦じゅし、 浄じょう土どの聖しょう衆じゅ・荘しょう厳ごんとを称しょう揚ようし、 礼讃らいさんして、 生しょうずることを願ねがはんと欲ほっするものは、

又白サク↢諸ノ行者ニ↡、但欲ス↫今生ニ日夜ニ相続シテ専ラ念ゼム↢弥陀仏ヲ↡、専ラ誦セム↢¬弥陀経ヲ¼↡、称↩揚シ礼↪讃セムコトヲ浄土ノ聖衆荘厳トヲ↨。願ゼム↠生レムト者ハ、

^◆三昧さんまい道どう場じょうに入いることを除のぞきて、 日別にちべつに弥陀みだ仏ぶつを念ねんずること一万いちまんして、 命いのちを畢おわるまで相続そうぞくせば、 すなはち弥陀みだの*加か念ねんを蒙こうむり、 罪ざい障しょうを除のぞくことを得えん。 また仏ぶつ、 聖しょう衆じゅとつねに来きたりて護ご念ねんすることを蒙こうむらん。 すでに護ご念ねんを蒙こうむりなば、 すなはち年としを延のべ、 転てんじて長命じょうみょう安楽あんらくなることを得えん。

除キテ↠入ルコトヲ↢三1155昧道場ニ↡、日別ニ念ズルコト↢弥陀仏ヲ↡一万シテ、畢ルマデ↠命ヲ相続セバ者、即チ蒙リ↢弥陀ノ加*命ヲ↡、得ム↠除クコトヲ↢罪障ヲ↡。又蒙ラム↧仏与↢聖衆↡常ニ来リテ護念スルコトヲ↥。既ニ蒙リナバ↢護念ヲ↡、*即チ得ム↢延ベ↠年ヲ転ジテ長*命ニシテ安楽ナルコトヲ↡。

^◆因縁いんねんの一々いちいちは、 つぶさに ¬*譬喩ひゆ経きょう¼・¬*惟ゆい無む三昧さんまい経きょう¼・¬*浄じょう度ど三昧さんまい経きょう¼ 等とうに説とくがごとし。

因縁ノ一々ハ具ニ如シ↢¬譬喩経¼・¬惟无三昧経¼・¬浄*度三昧経¼等ニ説クガ↡。

^また ¬観仏かんぶつ経きょう¼ にのたまはく、 ª▲もしもろもろの比丘びく・比丘びく尼に、 もしは男なん・女にょの人にん、 *四し根本こんぽん罪ざい、 十じゅう悪あく等とうの罪つみ、 五ご逆ぎゃくの罪つみを犯おかし、 および大だい乗じょうを謗そしらんに、 かくのごときもろもろの人ひと、 もしよく懴さん悔げして、 日にち夜や六ろく時じに身心しんしん息やまず、 五ご体たいを地じに投とうずること、 大山だいせんの崩くずるるがごとくし、 号ごう泣きゅうして涙なみだを雨あめふらし、 合がっ掌しょうして仏ぶつに向むかひて、 仏ぶつの眉み間けんの白びゃく毫ごう相そうの光ひかりを念ねんずること、 一日いちにちより七日しちにちに至いたらば、 前さきの四し種しゅの罪つみは軽きょう微みなることを得うべし。

又¬観仏経ニ¼云ク、若シ諸ノ比丘・比丘尼、若シハ男・女ノ人犯セラム↢四根本罪、十悪等ノ罪、五逆ノ罪ヲ↡、及ビ謗ゼラムニ↢大乗ヲ↡。如キ↠是クノ諸ノ人若シ能ク懴悔シテ、日夜六時ニシテ身心不↠息マ、五体ヲ投ゲ↠地ニ如クシ↢大山ノ崩ルルガ↡、*号泣シテ雨リ↠涙ヲ、合掌シテ向ヒテ↠仏ニ、念ズルコト↢仏ノ眉間ノ白毫相ノ光ヲ↡一日ヨリ至ラバ↢七日ニ↡、前ノ四種ノ罪ハ可シ↠得↢軽微ナルコトヲ↡。

^◆白びゃく毫ごうの毛けを観かんぜんに、 闇あんにして見みえずは、 塔とうのうちに入いりて、 像ぞうの眉み間けんの白びゃく毫ごうを観かんずべし。 一日いちにちより三日さんにちに至いたるまで、 合がっ掌しょうして啼てい泣きゅうせよº」 と。

観ゼムニ↢白毫ノ毛ヲ↡、*闇ニシテ不ハ↠見エ者、応シ↧入リテ↢塔ノ中ニ↡観ズ↦像ノ眉間ノ白*毫ヲ↥。一日ヨリ至ルマデニ↢三日ニ↡合掌シテ啼泣セヨト。」

^以い上じょう、 ¬観かん1036念ねん門もん¼ (観念法門) の文もんよりこれを略抄りゃくしょうす。

已上¬観念門ノ¼*文ヨリ略↢抄ス*之ヲ↡

^¬大だい般若はんにゃ¼ の五ご百ひゃく六ろく十じゅう八はちに、 ↑七日しちにちの行ぎょうを明あかしてのたまはく、 「もし善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにん等とう、 心しんに疑ぎ惑わくなく、 七日しちにちのうちにおいて、 澡浴そうよく清浄しょうじょうにして、 新しん浄じょうの衣ころもを着き、 華け香こうをもつて供く養ようし、 一心いっしんにまさしく↓前さきの所説しょせつのごとき、 如来にょらいの功く徳どくおよび大だい威い神じんを念ねんぜば、 その時とき、 如来にょらいは慈悲じひをもつて護ご念ねんし、 身しんを現げんじて見みせしめたまひ、 *願がんをして満足まんぞくせしめたまふ。 もし華け香こう等とうの事じに闕けっ少しょうせることあらば、 ただ一心いっしんに功く徳どく威い神じんを念ねんぜよ。 まさに命終みょうじゅうせんとする時ときに、 かならず仏ぶつを見みたてまつることを得えん」 と。 以上

¬大般若ノ¼五百六十八ニ明シテ↢七日ノ行ヲ↡云ク、「若シ善男子・善女人等心ニ无クシテ↠疑、*或イハ於テ↢七日ノ中ニ↡、澡浴清浄ニシテ、著↢新浄ノ衣ヲ↡、花香ヲモテ供養シテ、一心ニ正シク念ゼバ↢如キ↠前ノ所説ノ如来ノ功徳及ビ大威神ヲ↡、爾ノ時ニ如来ハ慈悲ヲモテ護念シテ、現ジテ↠身ヲ令メタマヒ↠見セ、*便チ願ヲシテ満足セム。若シ有ラバ↣闕↢少セルコト花香等ノ事ニ↡、但一心ニ念ゼヨ↢功徳威神ヲ↡。将ニル↢命終セムト↡時ニ必ズ得ムト↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ。」 已上

^「↑前さきの所説しょせつの功く徳どく」 と等らいふは、 如来にょらいの大だい慈じと大だい悲ひと説法せっぽうと無礙むげの静じょう慮りょと、 一念いちねんによく*無む辺へん類るいの身しんを現げんずると、 天眼てんげんと天てん耳にと他た心しん智ちと*無む失念しつねんと*無漏むろ離垢りくと、 *得とく一切いっさい法ほう自じ在ざい平びょう等どう等とうの功く徳どく威い神じんなり。

言フ↢前ノ所説ノ功徳ト等↡者、如来ノ大慈ト大悲ト説法ト无礙ト静慮ト、一念ニ能ク現ズルト↢无辺類ノ身ヲ↡、天眼ト天耳ト他心智ト无失念ト无漏離垢ト、得一切法自在平等等ノ功徳威神也。

^¬*大だい集じゅうの賢げん護ご経きょう¼ にまた七日しちにちの行ぎょうあり。 ▽次つぎの利り益やくのなかに説とくがごとし。

¬大集ノ賢1156護経ニ¼亦有リ↢七日ノ行↡。如シ↢次ノ利益ノ中ニ説クガ↡。

^また迦か才ざいの ¬浄じょう土ど論ろん¼ にいはく、 「綽しゃく禅ぜん師じ (*道綽) 、 ¬経きょう¼ (*木槵子経) の文もんを撿かんがへ得えたるに、 ªただよく仏ぶつを念ねんずること一心いっしんに乱みだれずして、 百ひゃく万まん遍べん以去いこを得えつるものは、 さだめて往おう生じょうすることを得うº と。 また綽しゃく禅ぜん師じ、 ¬*小しょう阿あ弥陀みだ経きょう¼ の七日しちにちの念仏ねんぶつによりて、 百ひゃく万まん遍べんを撿かんがへ得えたるなり。 このゆゑに、 ¬大集だいじつ経きょう¼・¬*薬やく師し経きょう¼・¬小しょう阿あ弥陀みだ経きょう¼ にみな七日しちにちの念仏ねんぶつを勧すすめたる1037は、 この意こころあきらかなり」 と。 以い上じょう、 迦か才ざい。

又迦才ノ¬浄土論ニ¼云ク、「綽禅師撿カンガヘ↢得タルニ¬経ノ¼文ヲ↡、但能ク念ズルコト↠仏ヲ一心ニシテ不シテ↠乱レ、得ツル↢百万遍已去ヲ↡者ハ定メテ得ト↢往生スルコトヲ↡。又綽禅師依リテ↢¬小阿弥陀経ニ¼↡、七日ノ念ズルニ↠仏ヲ撿ヘテ↢得タリ百万*返ヲ↡也。是ノ故ニ¬大集経¼・¬薬師経¼・¬小阿弥陀経ニ¼↡皆勧メタル↢七日ノ念仏ヲ↡者、此ノ意明カナリト*矣」已上迦才

^いふところの↑十じゅう日にちの行ぎょうとは、 ▽¬*鼓く音おん声じょう経きょう¼・▽¬平びょう等覚どうがく経きょう¼ に出いでたり。 次つぎの利り益やく門もんに至いたりてまさに知しるべし。

所ノ↠言フ*十日ノ行ト者、出デタリ↢¬鼓音声経¼・¬平等覚経ニ¼↡。至リテ↢次ノ利益門ニ↡当ニシ↠知ル。

^いふところの↑九く十じゅう日にちの行ぎょうとは、 ▽¬止し観かん¼ の第だい二ににいはく、

所ノ↠言フ九十日ノ行ト者、¬止観ノ¼第二ニ云ク、

^「*常行じょうぎょう三昧ざんまいとは、 先まづは▽方法ほうほうを明あかす。 次つぎには▽勧修かんしゅを明あかす。

「常行三昧ト者、先ヅハ明ス↢方法ヲ↡。次ニハ*明ス↢勧修ヲ↡。

^△方法ほうほうとは、 ↓*身しんの開遮かいしゃ、 ↓*口くの説黙せつもく、 ↓*意いの止し観かんなり。 この法ほうは ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ に出いでたり。 ˆ般舟はんじゅをˇ *翻ほんじて ª仏ぶつ立りゅうº となす。 仏ぶつ立りゅうに三さんの義ぎあり。 一いちには仏ぶつの威い力りき、 二にには三昧さんまい力りき、 三さんには行ぎょう者じゃの本ほん功く徳どく力りきなり。 よく定じょうのなかにして、 十方じっぽう現在げんざいの仏ぶつ、 その前まえにありて立たちたまへりと見みること、 明みょう眼げんの人にんの、 清しょう夜やに星ほしを観みるがごとし。 十方じっぽうの仏ぶつを見みたてまつることも、 またかくのごとく多おおし。 ゆゑに仏ぶつ立りゅう三昧ざんまいと名なづく。

方法ト者身ノ開遮、口ノ説黙、意ノ止観ナリ。此ノ法ハ出デタリ↢¬般*舟三昧経ニ¼↡。*翻ジテ為リ↢仏立ト↡。仏立ニ三ノ義アリ。一ニハ仏ノ威力、二ニハ三昧力、三ニハ行者ノ本功徳力ナリ。能ク於テ↢定ノ中ニ↡、見ルコト↧十方現在ノ仏在リテ↢其ノ前ニ↡立チタマヘリト↥、如シ↢明カナル眼ノ人ノ清夜ニ観ルガ↟星ヲ。見タテマツルコトモ↢十方ノ仏ヲ↡、亦如ク↠是クノ多シ。故ニ名ク↢仏立三昧ト↡。

^¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙しゃ¼ の偈げにいはく、

¬十住毘婆*娑ノ¼偈ニ云ク、

^ªこの三昧さんまいの↓*住処じゅうしょに、 少しょうと中ちゅうと多たとの差別しゃべつあり。
かくのごとき種々しゅじゅの相そう、 またすべからく論ろん議ぎすべしº と。

是ノ三昧ノ住処ニ小ト中ト多トノ差別アリ
如キ↠是クノ種々ノ相亦応シトイヘリ↢須ク論議ス↡

^ª↑住じゅう処しょº とは、 あるいは*初禅しょぜん・二に・三さん・四しの中ちゅう間げんとにおいて、 この勢力せいりきを発おこし、 よく三昧さんまいを生しょうず。 ゆゑに住じゅう処しょと名なづく。 初禅しょぜんは少しょうなり、 二に禅ぜんは中ちゅうなり、 三さん・四しは多たなり。 あるいは少しょう時じに住じゅうするを少しょうと名なづく。 あるいは世せ界かいを見みること少しょうなり1038。 あるいは仏ぶつを見みたてまつること少しょうなり。 ゆゑに少しょうと名なづく。 中ちゅうと多たとまたかくのごとし。

住処ト者、或イハ於テ↢初禅・二・三・四ノ中間トニ↡、発シ↢是ノ勢力ヲ↡能ク生ズ↢三昧ヲ↡。故ニ名ク↢住処ト↡。初禅ハ小ナリ、二禅ハ中ナリ、三・四ハ多ナリ。或イハ小時ニ住スルヲ名ク↠少ト。或イハ見ルコト↢世界ヲ↡少ナリ。或イハ見タテマツルコト↠仏ヲ少ナリ。故ニ名ク↠少ト。中ト多ト亦如シ↠是クノ。

^↑身みには*常行じょうぎょうを開かいす。 この法ほうを行ぎょうずる時ときには、 *悪あく知ち識しきおよび痴ち人にん・親属しんぞく・郷きょう里りを避され。 つねに独ひとり処しょ止しして、 他た人にんに悕け望もうして求ぐ索しゃくするところあることを得えざれ。 つねに乞食こつじきして*別べっ請しょうを受うけざれ。

身ニハ開ス↢常行ヲ↡。行ゼム↢此ノ法ヲ↡時ニハ、避サレ↢悪知識及ビ痴人・親属・郷里ヲ↡。常ニ独リ処止シテ、不レ↠得↧*悕↢望シテ他人ヲ↡有ルコトヲ↞所↢求索スル↡。常ニ乞食シテ不レ↠受1157ケ↢別請ヲ↡。

^道どう場じょうを厳飾ごんじきして、 もろもろの供具くぐ・香餚こうこう・甘かん菓かを備そなへよ。 その身みを盥沐かんもくし、 左右さう出入しゅつにゅうに衣え服ぶくを改あらため換かへよ。 ただもつぱら*行ぎょう旋せんし、 九く十じゅう日にちを一いち期ごとなせ。

厳↢飾シテ道場ヲ↡備ヘヨ↢諸ノ供具・香餚・甘菓ヲ↡。盥↢沐シ其ノ身ヲ↡、左右出入ニ改メ↢換ヘヨ衣服ヲ↡。唯シ専ニシテ行旋シ九十日ヲ為ヨ↢一期ト↡。

^*明みょう師しの、 *内ない外げの律りつによくして、 よく*妨ぼう障しょうを開除かいじょするを須もちゐよ。 所聞しょもんの三昧さんまいの処ところにおいて、 世せ尊そんを視みたてまつるがごとくにし、 嫌けんせず、 恚いせず、 短たん・長ちょうを見みざれ。 まさに肌き肉にくを割さきて、 師しに供く養ようすべし。 いはんやまた余よのものをや。 師しに承じょう事じすること、 僕ぼくの大だい家けに奉つかまつるがごとくせよ。 もし師しにおいて悪あくをなすときには、 この三昧さんまいを求もとむるに、 つひに得うること難かたし。

須ヰヨ↧明カナル師ノ善クシテ↢内外ノ律ニ↡能ク開↦除スルヲ妨障↥。於テ↢所聞ノ三昧ノ処ニ↡如クニシ↠視タテマツルガ↢世尊ヲ↡、不↠嫌セ不↠恚セ、不レ↠見↢短・長ヲ↡。*当ニシ↧割キテ↢肌肉ヲ↡供↦養ス師ニ↥。況ヤ復余ノモノヲ耶。承↢事セムコト師ニ↡如クセヨ↣僕ノ奉ツカマツルガ↢大家ニ↡。若シ於テ↠師ニ生ナストキニハ↠悪ヲ、求ムルニ↢是ノ三昧ヲ↡終ニ難ケム↠得ルコト。

^*外護げごの、 母ははの子こを養やしなふがごときを須もちゐ、 *同どう行ぎょうの、 ともに嶮けんを渉わたるがごときを須もちゐよ。

須ヰヨ↣外護ノ如キヲ↢母ノ養フガ↟子ヲ。須ヰヨ↣同行ノ如キヲ↢共ニ渉ルガ↟嶮ヲ。

^すべからく要よう期ごし、 誓願せいがんすべし。 わが筋骨きんこつをして枯かれ朽くちせしむとも、 この三昧さんまいを学がくせんに得えずは、 つひに休く息そくせずと。 大信だいしんを起おこさば、 よく壊やぶるものなからん。 大だい精しょう進じんを起おこさば、 よく及およぶものなからん。 所しょ入にゅうの智ちはよく逮およぶものなからん。

須クシ↢要*期シテ誓願ス↡。使ムトモ↢我ガ筋骨ヲシテ枯レ朽チセ↡、学セムニ↢是ノ三昧ヲ↡不ハ↠得、終ニ不シテ↢休息セ↡起セ↢大信ヲ↡。无ケム↢能ク壊ル者↡。起セ↢大精進ヲ↡。无ケム↢能ク及ブ者↡。所入ノ智ハ无ケム↢能ク逮オヨブ者↡。

^つねに善ぜん師しとともに事じに従したがへ。 三月さんがつを終竟おわるま1039で、 *世せ間けんの想欲そうよくを念おもふこと、 *弾だん指しのあひだのごとくすることを得えざれ。 三月さんがつ終竟おわるまで、 臥が出しゅつすること弾だん指しのあひだのごときも得えざれ。 三月さんがつを終竟おわるまで、 行ぎょうじて休く息そくすることを得えざれ。 *坐ざ食じき・左右さうをば除のぞく。 人ひとのために経きょうを説とかんに、 衣え食じきを望のぞむことを得えざれ。

常ニ与ニ↢善師ノ↡従事セヨ。終竟 ツヒ ニ三月、不レ↠得↧念フコト↢世間ノ想欲ヲ↡如クスルコトヲ↦弾指ノ*項アヒダノ↥。*三月終竟 ツヒ ニ、不レ↠得↣臥出スルコトヲ如キモ↢弾指ノ*項ノ↡。終竟 ツヒ ニ三月、行ジテ不レ↠得↢休息コトヲ↡。除オク↢坐食・左右ヲバ↡。為ニ↠人ノ説カムニ↠経ヲ、不レ↠得↠望ムコトヲ↢衣食ヲ↡。

^¬婆ば沙しゃ¼ (十住毘婆沙論) の偈げにいはく、

¬婆*娑ノ¼偈ニ云ク、

^ª善ぜん知ぢ識しきに親近しんごんし、 精しょう進じんして懈け怠だいなく、
智慧ちえはなはだ堅牢けんろうにして、 信力しんりき妄みだりに動どうずることなかれº と。

親↢近シ善知識ニ↡精進シテ无ク↢懈怠↡
智慧甚ダ堅牢ニシテ信力无クスト↢妄ニ動ズルコトヲ↡

^↑口くの説黙せつもくとは、 九く十じゅう日にち、 身しんにはつねに行ぎょうじて休く息そくすることなく、 九く十じゅう日にち、 口くにはつねに阿あ弥陀みだ仏ぶつの名みなを唱となへて休く息そくすることなく、 九く十じゅう日にち、 心しんにはつねに阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじたてまつりて休く息そくすることなかれ。

口ノ説黙ト者、九十日身ニハ常ニ行ジテ无キナリ↢休息スルコト↡。九十日口ニハ常ニ唱フルコト↢阿弥陀仏ノ名ヲ↡无ク↢休息スルコト↡、九十日心ニハ常ニ念ジマツリテ↢*阿弥陀仏ヲ↡无レ↢休息スルコト↡。

^あるいは唱しょうと念ねんとともに運めぐらし、 あるいは先まづ念ねんじ後のちに唱となへ、 あるいは先まづ唱となへ後のちに念ねんぜよ。 唱しょう・念ねんあひ継つぎて休く息そくする時ときなかれ。 もし弥陀みだを唱となふるは、 すなはちこれ十方じっぽうの仏ぶつを唱となへたてまつると功く徳どく等ひとし。 ただもつぱら弥陀みだをもつて法門ほうもんの主しゅとなす。 要ようを挙あげてこれをいはば、 歩々ぶぶ・声々しょうしょう・念々ねんねん、 ただ阿あ弥陀みだ仏ぶつにあり。

或イハ唱ト念ト倶ニ運メグラシ、或イハ先ヅ念ジ後ニ唱ヘ、或イハ先ヅ唱ヘ後ニ念ゼヨ。唱・念相継ギテ无レ↢休息スル時↡。若シ唱フルハ↢弥陀ヲ↡即チ是唱ヘタテマツルト↢十方ノ仏ヲ↡功徳等シ。但専ラ以テ↢弥陀ヲ↡為ス↢法門ノ主ト↡。挙ゲテ↠要ヲ言ハバ↠之ヲ、歩々・声々・念々唯シ在リ↢阿弥陀仏ニ↡。

^↑意いに止し観かんを論ろんずとは、 西方さいほうの阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんぜよ。 ここを去さること十じゅう万億まんおくの仏刹ぶっせつにして、 宝ほう地じ・宝ほう池ち・宝樹ほうじゅ・宝堂ほうどうにましまして、 もろもろの菩ぼ薩さつの中ちゅう央おうに坐ざして経きょうを説ときたまふ。 三さん月がつ1040つねに仏ぶつを念ねんぜよ。

意ニ論ゼバ↢止観ヲ↡者、念ズ↧西1158方ノ阿弥陀仏ヲ去リタマヘルコト↠此ヲ十万億ノ仏刹アリテ、在シテ↢宝地・宝池・宝樹・宝堂、衆ノ菩薩ノ中央ニ↡坐シテ説キタマフト↞経ヲ。三月常ニ念ゼヨ↠仏ヲ。

^いかんが念ねんずる。 三さん十じゅう二に相そうを念ねんず。 足あしの下したの*千輻せんぷく輪りん相そうより、 一々いちいちに*逆ぎゃくに縁えんじて、 諸相しょそう乃ない至し*無む見けん頂ちょうを念ねんじ、 また*頂ちょう相そうより*順じゅんに縁えんじて、 すなはち千輻輪せんぷくりんに至いたるべし。 われをしてまたこの相そうに逮およばしめたまへと。 また念ねんぜよ、 われまさに心しんよりや仏ぶつを得えん、 身しんよりや仏ぶつを得えんと。

云何ガ念ズル。念ズ↢卅二ノ相ヲ↡。従リ↢足ノ下ノ千輻輪ノ相↡一一ニ逆ニ縁ジテ念ゼヨ↢諸相ヲ↡。乃至无見頂マデニス。亦応シ↧従リ↢頂相↡順ニ縁ス↥。乃至千輻輪マデニ、令メタマヘト↣我ヲシテ亦逮オヨバ↢是ノ相ニ↡。又念ズ、我当ニ従リヤ↠心得ム↠仏ヲ、従リヤ↠身得ムト↠仏ヲ。

^仏ぶつをば、 心しんを用もちゐても得えず、 身みを用もちゐても得えず。 心しんを用もちゐても仏ぶつの色しきを得えず。 色しきを用もちゐても仏ぶつの心しんを得えず。 なにをもつてのゆゑに。 心しんといはば、 仏ぶつには心しんなし。 色しきといはば、 仏ぶつには色しきなし。 ゆゑに色しき・心しんを用もちゐても*三さん菩ぼ提だいを得うべからず。

仏ヲバ不↢用ヰテモ↠心ヲ得セ↡、不↢用ヰテモ↠*身ヲ得セ↥。不↣用ヰテモ↠心ヲ得↢仏ノ色ヲ↡。不↣用ヰテモ↠色ヲ得↢仏ノ心ヲ↡。何ヲ以テノ故ニ。心トイハバ者、仏ニハ无シ↠心。色トイハバ者、仏ニハ无シ↠色。故ニ不↧用ヰテモ↢色心ヲ↡得スベカラ↦三菩提ヲ↥。

^仏ぶつは*色しきすでに尽つき、 乃ない至し、 *識しきもすでに尽つきたまへり。 仏ぶつの諸説しょせつの尽じんをば、 これ痴ち人にんは知しらず、 智ち者しゃは*暁了ぎょうりょうす。 身しん口くを用もちゐても仏ぶつを得えず、 智慧ちえを用もちゐても仏ぶつを得えず。 なにをもつてのゆゑに。 智慧ちえは索もとむるに得うべからず、 みづから*我がを索もとむるに、 つひに得うべからざればなり。 また所見しょけんなし。 一切いっさいの法ほうはもとより所しょ有うなし。 本もとを壊えし本もとを絶ぜっす。 それ一いち。

仏ハ色已ニ尽シ、乃至識モ已ニ尽シタマヘリ。仏ノ所ヲバ↠説キタマフ↠尽セリト者是痴人ハ不↠知ラ、智者ハ暁了ス。不↧用ヰテモ↢身口ヲ↡得セ↞仏ヲ、不ラムコトヲ↧用ヰテモ↢智*慧ヲ↡得セ↞仏ヲ。*何ヲ以テノ故ニ。智慧ヲモテ索モトムルニ不可得ナルヲモテナリ。自ラ索ムルニ↠我ヲ了ツヒニ不可得ナリ。亦无シ↢所見↡。一切ノ法ハ本ヨリ无シ↢所*有↡。壊シ↠本ヲ絶ス↠本ヲ。*其一

^夢ゆめに七宝しっぽうを見みて、 親属しんぞくありて歓楽かんらくするも、 覚さめをはりて追おひて念おもふに、 いづれの処ところにあるといふことを知しらざるがごとく、 かくのごとくにして仏ぶつを念ねんず。

如ク↧夢ニ見ルトモ↢七宝アリ、親属アリ*勧楽スト↡、覚メ已リテ追ヒテ念ズルニ、不ルガ↞知ラ↠在ルトイフコトヲ↢何レノ処ニ↡、如クニシテ↠是クノ念ズ↠仏ヲ。

^また*舎しゃ衛えに女にょありて須門しゅもんと名なづく。 これを聞ききて心しんに喜よろこぶ。 夜夢やむに事じに従したがふ。 覚さめをはりてこれを念おもふに、 かれも来きたらずわれも往ゆかず、 しか1041も楽らく事じ*宛然えんねんなり。 まさにかくのごとくして仏ぶつを念ねんじたてまつるべし。

*又舎衛ニ有リテ↠女名ク↢須門ト↡。聞キテ↠之ヲ心ニ喜ブ。夜夢ニミル↠従フト↠事ニ。覚メ已リテ念フニ↠*此ヲ、彼モ不↠来ラ我モ不↠往カ、而モ楽事宛然ナリ。当ニシ↢如クシテ↠是クノ念ジタテマツル↟仏ヲ。

^人ひとの大おおきなる沢さわを行ゆくに、 飢き渇かつして夢ゆめに美み食じきを得うるも、 覚さめをはりて腹はら空むなし。 みづから一切いっさいのあらゆる法ほうみな夢ゆめのごとしと念おもふがごとく、 まさにかくのごとく仏ぶつを念ねんじたてまつるべし。 しばしば念ねんじて休く息そくすることを得うることなかれ。

如ク↧人ノ行クニ↢大ナル沢ヲ↡飢渇シテ夢ニ得ツ↢美食ヲ↡、覚メ已リテ腹空シ、自ラ念フガ↦一切ノ所有ノ法皆如シト↞夢ノ、当ニシ↢如ク↠是クノ念ジタテマツル↟仏ヲ。数々念ジテ莫レ↠得ルコト↢休息スルコトヲ↡。

^この念ねんを用もちゐて、 まさに阿あ弥陀みだ仏ぶつの国くにに生うまるべし。 これを如想にょそうの念ねんと名なづく。 人ひと宝たからをもつて瑠璃るりの上うえに倚よするに、 影かげそのなかに現げんずるがごとく、 また比丘びくの、 骨ほねを観かんずるに、 骨ほねより種々しゅじゅの光ひかりを起おこすがごとく、 これ持たもちて来きたるものなく、 またこの骨ほねあることもなし。 これ意こころのなせるのみ。 鏡かがみのなかの像ぞうの、 外ほかよりも来きたらず、 中うちよりも生しょうぜず、 鏡かがみ浄きよきをもつてのゆゑに、 おのづからその形かたちを見みるがごとし。

用ヰテ↢是ノ念ヲ↡当ニシ↠生ル↢阿弥陀仏ノ国ニ↡。是ヲ名ク↢如想ノ念ト↡。如ク↧人以テ↠宝ヲ倚スルニ↢*瑠璃ノ上ニ↡影現ズルガ↦其ノ中ニ↥、亦如ク↣比丘ノ観ズルニ↠骨ヲ骨ヨリ起スガ↢種々ノ光ヲ↡、此无シ↢持チテ来ル者1159↡。亦无シ↠有ルコトモ↢是ノ骨↡。是意ノ作ス耳。如シ↧鏡ノ中ノ像ノ不↢外ヨリモ来ラ↡、不↢中ヨリモ生ゼ↡、以テノ↢鏡浄キヲ↡故ニ自ラ見ユルガ↦其ノ形ヲ↥。

^*行ぎょう人にん、 色しき清浄しょうじょうなれば、 あらゆるもの清浄しょうじょうなり。 仏ぶつを見みたてまつらんと欲おもへば、 すなはち仏ぶつを見みたてまつる。 見みればすなはち問とひ、 問とへばすなはち報こたへたまふ。 経きょうを聞ききて、 大おおきに歓かん喜ぎす。 それ二に。

行人、色清浄ナレバ所有ノ者清浄ナリ。欲ヘバ↠見タテマツラムト↠仏ヲ即チ見タテマツル↠仏ヲ。見レバ即チ問フ。問ヘバ即チ報ヘタマフ。聞キテ↠経ヲ大ニ歓喜ス。*其二

^みづから念ねんず。 仏ぶつはいづれの所ところよりか来きたりたまふ、 われもまた至いたるところなし。 わが所念しょねんをもつて、 すなはち見みるなり。 心しん、 仏ぶつに作なる。 心しんみづから心しんを見みるは、 仏心ぶっしんを見みるなり。 この仏心ぶっしんは、 これわが心しん、 仏ぶつを見みるなり。

自ラ念ズ、仏ハ従リカ↢何レノ所↡来リタマフ、我モ亦无シ↠所↠至ル。我ガ所念ヲモテ即チ見ルナリ。心作ル↠仏ニ、心自ラ見ルハ↠心ヲ見ルナリ↢仏心ヲ↡。是ノ仏心ハ是我ガ心見ルナリ↠仏ヲ。

^心しんはみづから心しんを知しらず、 心しんはみづから心しんを見みず。 心しんに想そう1042あるをば痴ちとなし、 心しんに想そうなきはこれ*泥洹ないおんなり。 この法ほうは示しめすべきものなし。 みな念ねんの所しょ為いなり。 たとひ念ねんありとも、 また所しょ有うなくして空くうなりと了りょうするのみ。 それ三さん。

心ハ不↢自ラ知ラ↟心ヲ、心ハ不↢自ラ見↟心ヲ。心ニ有ルヲバ↠想為シ↠痴ト、心ニ无キハ↠*想是泥洹ナリ。是ノ法ハ无キニ↢可キ↠示ス者↡、皆念ノ所為ナリ。設ヒ有リトモ↠念、亦了スラク↧无クシテ↢所*有↡空ナリト↥耳。*其三

^偈げ (般舟三昧経) にのたまはく、

偈ニ云ク、

^ª心しんは心しんを知しらず。 心しんありて心しんを見みず。
心しんに想そうを起おこすは、 すなはち痴ちなり。 想そうなきは、 すなはち泥洹ないおんなり。

心者不↠知ラ↠心ヲ有リテ↠心不↠見↠心ヲ
心ニ起スハ↠想ヲ即チ痴ナリ无キハ↠想即チ泥洹ナリ

^諸仏しょぶつは心しんより解げ脱だつを得えたまふ。 心しんは垢くなければ、 清浄しょうじょうと名なづく。
五ご道どうは鮮潔せんけつにして色しきを受うけず。 これを解さとることあるものは*大道だいどうを成じょうずº と。

諸仏ハ従リ↠心得タマフ↢解脱ヲ↡心者无シ↠垢名ク↢清浄ト↡
五道ハ鮮潔ニシテ不↠受ケ↠色ヲ有ル↠解サトルコト↠此ヲ者ハ成ズト↢大道ヲ↡

^これを*仏印ぶついんと名なづく。 所貪しょとんなく、 所着しょじゃくなく、 所しょ求ぐなく、 所想しょそうなく、 所しょ有う尽つき、 所欲しょよく尽つく。 従よりて生しょうずるところなく、 滅めっすべきところなく、 壊え敗はいするところなし。 道どうの要よう、 道どうの本もとなり。 この印いんは、 二に乗じょうも壊えすることあたはず、 いかにいはんや魔まをや。 云々

是ヲ名ク↢仏印ト↡。无ク↠所↠貪スル、无ク↠所↠著スル、无ク↢所求↡、无シ↢所想↡。所有尽キ、所欲尽ク。无ク↠所↢従ヒテ生ズルニ↡、無シ↠所↠可キ↠滅ス。无シ↠所↢壊敗スル↡。道ノ要、道ノ本ナリ。是ノ印ハ二乗モ不↠能ハ↠壊スルコト、何ニ況ヤ魔ヲ耶。云々

^¬婆ば沙しゃ¼ (十住毘婆沙論) に明あかさく、 ª*新発しんぽっ意ちの菩ぼ薩さつ、 先まづ仏ぶつの色相しきそう、 *相体そうたい、 相業そうごう、 相そう果か、 相用そうゆうを念ねんじて、 下げの勢力せいりきを得う。 次つぎに仏ぶつの*四し十じゅうの不共ふぐの法ほうを念ねんじて、 心しんに中ちゅうの勢力せいりきを得う。 次つぎに*実相じっそうの仏ぶつを念ねんじて、 上じょうの勢力せいりきを得う。 しかも色しきと法ほうとの二に身しんに着じゃくせずº と。

¬婆*娑ニ¼明サク、新発意ノ菩薩先ヅ念ジテ↢仏ノ色相、相体・相業・相果・相用ヲ↡得↢下ノ勢力ヲ↡。次ニ念ジテ↢仏ノノ不共ノ法ヲ↡心ニ得↢中ノ勢力ヲ↡。次ニ念ジテ↢実相ノ仏ヲ↡得↢上ノ勢力ヲ↡。而モ不レト↠著セ↢色ト法トノ二身ニ↡。

^偈げ (十住毘婆娑論) にいはく、

偈ニ云ク、

^ª色身しきしんに貪とん着じゃくせず、 法身ほっしんにもまた着じゃくせず。
1043よく一切いっさいの法ほうは、 永よう寂じゃくなること虚こ空くうのごとしと知しるº と。

不↣貪↢著セ色身ニ↡法身ニモ亦不↠著セ
善ク知ルト↣一切ノ法ハ永寂ナルコト如シト↢虚空ノ↡

^△勧修かんしゅをいはば、 もし人ひと、 智慧ちえ大海だいかいのごとくにして、 よくわがために師したるものなからしめ、 ここに坐ざして、 神通じんずうを運はこばずしてことごとく諸仏しょぶつを見みたてまつり、 ことごとく所説しょせつを聞きき、 ことごとくよく受じゅ持じすることを得えんと欲おもはば、 つねに三昧さんまいを行ぎょうぜよ。 もろもろの功く徳どくにおいて、 もつとも第一だいいちなりとなす。

勧修ヲイハバ者、若シ*人欲ハバ↠得ムト↧智*慧如クシテ↢大海ノ↡令メ↠无カラ↢能ク為ニ↠我ガ作タル↠師者↡、於テ↠此ニ坐シテ不シテ↠運メグラセ↢神通ヲ↡悉ク見タテマツリ↢諸仏ヲ↡、悉ク聞キ↢所説ヲ↡、悉ク能ク受1160持スルコトヲ↥者、常ニ行ゼヨ↢三昧ヲ↡。於テ↢諸ノ功徳ニ↡最モ為ス↢第一ナリト↡。

^この三昧さんまいはこれ諸仏しょぶつの母ははなり、 仏ぶつの眼まなこなり、 仏ぶつの父ちちなり、 無む生しょう大だい悲ひの母ははなり。 一切いっさいのもろもろの如来にょらいは、 この二に法ほうより生しょうじたまふ。

此ノ三昧ハ是諸仏ノ母ナリ、仏ノ眼ナリ、仏ノ父ナリ、無生ノ大悲ノ母ナリ。一切ノ諸ノ如来ハ従リ↢是ノ二法↡生ジタマフ。

^大千だいせんの地じおよび草木そうもくを砕くだきて塵ちりとなし、 一塵いちじんを一いち仏刹ぶっせつとなして、 そこばくの世せ界かいのなかに満みてる宝たからをもつて布施ふせせんは、 その福ふくはなはだ多おおし。 この三昧さんまいを聞ききて驚きょうせず、 畏いせざらんにはしかじ。 いはんや信しんじて受じゅ持じし、 読誦どくじゅして人ひとのために説とかんをや。 いはんや定じょう心しんに修しゅ習じゅうすること、 牛ご乳にゅうを搆しぼるがあひだのごとくせんをや。 いはんやよくこの三昧さんまいを成じょうぜんをや。 ゆゑに無む量りょう無む辺へんなり。

砕キテ↢大千ノ地及ビ草木ヲ↡為シテ↠塵ト、一塵ヲ為ム↢一仏刹ト↡。満テル↢爾ソコバクノ世界ノ中ニ↡宝ヲ用ヰテ布施セムハ、其ノ福甚ダ多シ。不↠如カ↧聞キテ↢此ノ三昧ヲ↡不↠驚セ不ラムニハ↞畏せ。況ヤ信ジテ受持シ読誦シテ為ニ↠人ノ説カムヲヤ。況ヤ定心ニ修習スルコト如クセムヲヤ↧搆シボルガ↢牛乳ヲ↡*項アヒダノ↥。況や能ク成ゼムヲヤ↢是ノ三昧ヲ↡。故ニ无量無*辺ナリ。

^¬婆ば沙しゃ¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 ª*劫こう火か・官かん・賊ぞく・怨おん・毒どく・竜りゅう・獣じゅう・衆病しゅびょう、 この人ひとを侵おかすといはば、 この処ことわりあることなからん。 この人ひとはつねに*天てん竜りゅう八はち部ぶと諸仏しょぶつのために、 みなともに護ご念ねんし称しょう讃さんせらる。 みなともに見みんと欲ほっして、 ともにその所ところに来きたらんº と。

¬婆*娑ニ¼云ク、劫火・官・賊・怨・毒・竜・獣・衆病侵ストイハバ↢是ノ人ヲ↡者、无ケム↠有ルコト↢是ノ処コトワリ↡。此ノ人ハ常ニ為ニ↢天竜八部ト、諸仏ノ↡皆共ニ護念シ称讃セラル。皆共ニ欲シテ↠見ムト、共ニ来ラムト↢其ノ所ニ↡。

^もしこの三昧さんまいの上かみ1044のごとき四し番ばんの功く徳どくを聞ききて、 みな随ずい喜きすること、 三さん世ぜの諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつのみな随ずい喜きしたまふがごとくならんに、 また上かみの↓四し番ばんの功く徳どくに勝まさる。 もしかくのごとき法ほうを修しゅせざるは、 無む量りょうの重じゅう宝ほうを失うしなひ、 人天にんでんこれがために憂悲うひす。 *おう鼻びの人にんの、 栴檀せんだんを把とりて嗅かがさざらんがごとく、 *田でん家けの子この、 摩尼まに珠しゅをもつて一いち頭ずの牛うしに博かふるがごとし」 と。 云々うんぬん。

若シ聞キテ↢此ノ三昧ノ如キ↠上ノ四番ノ功徳ヲ↡皆随喜セマク、三世ノ諸仏・菩薩モ皆随喜シタマフト。復勝レリ↢上ノ四番ノ功徳ニ↡。若シ不ルハ↠修セ↢如キ↠是クノ法ヲ↡失フ↢无量ノ重宝ヲ↡。人天為ニ↠之ガ憂悲ス。如ク↧齆鼻ノ人ノ把リテ↢栴檀ヲ↡而不ラムガ↞*嗅ガ、如シト↧田家ノ子ノ以テ↢摩尼珠ヲ↡博カフルガ↦一頭ノ牛ニ↥」云*々

^「↑四し番ばんの功く徳どく」 とは、 ¬*弘ぐ決けつ¼ にいはく、 「また四し番ばんの果か報ほうあり。 一いちには驚きょうせざること、 二にには信受しんじゅすること、 三さんには定じょう心しんに修しゅすること、 四しにはよく成じょう就じゅすることなり」 と。

「四番ノ功徳ト」者、¬弘決ニ¼云ク、「又有リ↢四番ノ果報↡。一ニハ不ルコト↠驚セ、二ニハ信受スルコト、三ニハ定心ニ修スルコト、四ニハ能ク成*就スルコトナリト

二 Ⅵ ⅱ 臨終行儀

【57】^第だい二にに△臨りん終じゅうの行ぎょう儀ぎとは、 先まづ↓行ぎょう事じを明あかし、 次つぎに↓勧念かんねんを明あかす。

第二ニ臨終ノ行儀ト者、先ヅ明シ↢行事ヲ↡、次ニ明ス↢*勧念ヲ↡。

・行事

^初はじめに↑行ぎょう事じとは、 ¬*四し分律ぶんりつの抄しょう¼ の*瞻せん病びょう送そう終じゅうの篇へんに、 *中ちゅう国ごくの本伝ほんでんを引ひきていはく、 「△*祇ぎ園おんの西北せいほくの角すみ、 日光にっこうの没もっする処ところを無む常じょう院いんとなせり。 もし病びょう者しゃあれば、 安あん置ちしてなかに在おく。 おほよそ*貪染とんぜんを生しょうずるものは、 本房ほんぼうのうちの衣え鉢はつ・衆しゅ具ぐを見みて、 多おおく恋れん着じゃくを生しょうじ、 心しんに*厭背えんばいなきをもつてのゆゑに、 制せいして別処べっしょに至いたらしむるなり。 堂どうを無む常じょうと号なづくるなり。 来きたるものはきはめて多おおく、 還反かえるものは一いち二になり。 事じにつきて求もとめ、 専心せんしんに法ほうを念ねんず。

初ニ行事ト者、¬四分律ノ抄ノ¼瞻病送終ノ篇ニ、引キテ↢中国ノ本伝ヲ↡云ク、「祇洹ノ西北ノ角ノ*日光ノ没スル処ヲ為セリ↢无常院ト↡。若シ有レバ↢病者↡安置シテ在オク↠中ニ。以テノ↧凡ソ生ジテ↢貪染ヲ↡、見テ↢本房ノ内ノ衣鉢・衆具ヲ↡、多ク生ジテ↢恋著ヲ↡无キヲ↦心ニ厭背↥故ニ、制シテ令メテ↠至ラ↢別処ニ↡、堂ヲ号ナヅクルナリ↢无常ト↡。来ル者ハ極テ多ク、還リ反ルコト一二ナリ。即シテ↠事ニ而1161シテ求ムトシテ↢専ニシテ↠心ヲ念ゼムコトヲ↟法ヲ、

^その堂どうのうちに、 一いちの立りゅう像ぞうを置おけり。 金薄こんぱくをもつてこれに塗ぬり、 面おもてを西方さいほうに向むかへたり。 その像ぞうの右みぎの手ては挙あげ、 左ひだりの1045手てのなかには、 一いちの*五ご綵さいの幡はたの、 脚あし垂たれて地じに曳ひけるを繋かけたり。 まさに病びょう者しゃを安やすんじて像ぞうの後しりえに在おき、 左ひだりの手てに幡はたの脚あしを執とりて、 仏ぶつに従したがひて仏ぶつの浄じょう刹せつに往ゆく意こころをなさしむべし。 瞻せん病びょうのひとは、 香こうを焼たき華はなを散ちらして病びょう者しゃを荘しょう厳ごんし、 乃ない至し、 もし屎し尿にょう・吐唾とだあれば、 あるに随したがひてこれを除のぞく」 と。

其ノ堂ノ中ニ置ケリ↢一ノ立像ヲ↡。金薄ヲモテ塗レリ↠之ニ。面ヲ向ヘタリ↢西方ニ↡。其ノ像ノ右ノ手ハ挙ゲ、左ノ手ノ中ニハ繋ケタリ↢一ノ五綵ノ幡ヲ↡。脚垂レテ曳ク↠地ニ。当ニシ↧安ジテ↢病者ヲ↡在オキテ↢像之後ニ↡、左ノ手ニ執リテ↢幡ノ脚ヲ↡、作サシム↦従ヒテ↠仏ニ往ク↢仏ノ浄刹ニ↡之意ヲ↥。瞻病ノ者ハ焼キ↠香ヲ散シテ↠花ヲ荘↢厳シ病者ヲ↡、乃至若シ有レバ↢*屎尿・吐唾↡、随ヒテ↠有ルニ除ハラフト↠之ヲ。」

^*ある説せつには 「仏像ぶつぞうを東ひがしに向むけ、 病びょう者しゃを前まえに在おく」 と。 わたくしにいはく、 もし別処べっしょなくは、 ただ病びょう者しゃをして面おもてを西にしに向むかへしめて、 香こうを焼たき華はなを散さんじて、 種々しゅじゅに勧進かんじんせよ。 あるいは、 端厳たんごんの仏像ぶつぞうを見みしむべし。

或説ニハ、「仏像ハ向ヒ↠東ニ、病者ハ在リト↠前ニ。」私ニ云ク、若シ无ケレバ↢別処↡、但令メテ↢病者ヲシテ面ヲ向ヘ↟*西ニ、焼キ↠香ヲ散ジテ↠花ヲ、種々ニ勧進セヨ。或イハ可シ↠令ム↠見↢端厳ノ仏像ヲ↡

^導どう和か尚しょう (善導) のいはく (観念法門)、 「▲行ぎょう者じゃ等とう、 もしは病やまいし、 病やまいせざらんも、 命いのち終おわらんと欲ほっする時ときには、 もつぱら上かみの念仏ねんぶつ三昧ざんまいの法ほうによりて、 身心しんしんを正しょう当とうにして、 面おもてを回めぐらして西にしに向むかへ、 心しんまた専せん注ちゅうして阿あ弥陀みだ仏ぶつを観想かんそうし、 心しん口く相応そうおうして声々しょうしょう絶たゆることなく、 決けつ定じょうして往おう生じょうの想おもい、 華け台だいの聖しょう衆じゅ来きたりて迎こう接しょうする想おもいをなせ。

*導和尚ノ云ク、「行者等若シハ病シ不ラムニ↠病セ、欲セム↢命終セムト↡時ニハ、一ツ依リテ↢上ノ念仏三昧ノ法ニ↡、正ニ当ナホクシテ↢身心ヲ↡廻シテ↠面ヲ向ヘ↠西ニ、心亦専注シテ観↢想スベシ阿弥陀仏ヲ↡。心口相応シテ声々莫レ↠絶ユルコト。決定シテ作セ↢往生ノ想、華台ノ聖衆来リテ迎接スル想ヲ↡。

^◆病びょう人にんもし前まえの境きょうを見みば、 すなはち看かん病びょうの人にんに向むかひて説とけ。 すでに説とくを聞ききをはらば、 すなはち説せつによりて録ろく記きせよ。 また病びょう人にん、 もし語かたることあたはずは、 看かん病びょう者しゃかならずすべからくしばしば病びょう人にんに問とふべし、 なんの境きょう界がいをか見みたると。 もし罪つみの相そうを説とかば、 傍かたわらの人ひとすなはちために仏ぶつを念ねんじ、 助たすけて同おなじく懴さん悔げして、 かならず罪つみを滅めっせしめよ。 もし罪つみ滅めっするこ1046とを得えば、 華け台だいの聖しょう衆じゅ念ねんに応おうじて現前げんぜんせん。 前まえに准なぞらへて抄しょう記きせよ。

病人若シ見エバ↢前ノ境↡、則チ向ヒテ↢看病ノ人ニ↡説ケ。既ニ聞キ↠説クヲ已リテ、即チ依リテ↠説ニ録記セヨ。又病人若シ不ハ↠能ハ↠語ルコト、看病*者必ズ須クシ↣数々問フ↢病人ニ↡、見タルト↢何ノ境界ヲカ↡。若シ説カバ↢罪ノ相ヲ↡、傍ノ人即チ為ニ念ジ↠仏ヲ助ケテ同ジク懴悔シテ、必ズ令メヨ↢罪ヲ滅セ↡。若シ得テハ↢罪滅スルコトヲ↡、花台ノ聖衆応ジテ↠念ニ現前セム。准ヘテ↠前ニ抄記セヨ。

^◆また行ぎょう者じゃ等らの眷属けんぞく六親ろくしん、 もし来きたりて病やまいを看みば、 酒しゅ・肉にく・五ご辛しんを食くらへる人ひとをあらしむることなかれ。 もしあらば、 かならず病びょう人にんの辺ほとりに向むかふことを得えざれ。 すなはち正しょう念ねんを失うしなひ、 鬼き神じん交きょう乱らんし、 病びょう人にん狂きょう死しして、 三さん悪道まくどうに堕だしなん。 願ねがはくは行ぎょう者じゃ等ら、 よくみづから謹慎きんしんして仏ぶっ教きょうを奉持ぶじして、 同おなじく見仏けんぶつの因縁いんねんをなせ」 と。 以上

又行者等ノ眷属・六親若シ来リテ看バ↠病ヲ、勿レ↠令ムルコト↠有ラ↧食ラヘル↢酒・肉・五辛ヲ↡人ヲ↥。若シ有ラバ必ズ不レ↠得↠向フルコトヲ↢病人ノ辺ニ↡。即チ失ヒ↢正念ヲ↡、鬼神交乱シ、病人狂死シテ、*堕シナム↢三悪道ニ↡。願クハ行者等好ク自ラ謹慎シテ奉↢持シテ仏教ヲ↡、同ジク作セト↢見仏ノ因縁ヲ↡。」 已上

^往おう生じょうの想おもい、 迎こう接しょうの想おもいをなすこと、 その理りしかるべし。

作スコト↢往生ノ想・迎接ノ想ヲ↡其ノ理可シ↠然ル。

^¬大論だいろん¼ (大智度論) に、 *神変じんぺんの作意さいを説ときていふがごとし。 「地じの想そうを取とること多おおきがゆゑに、 水みずを履ふむこと地じのごとし。 水みずの想そうを取とること多おおきがゆゑに、 地じに入いること水みずのごとし。 火ひの想そうを取とること多おおきがゆゑに、 身みより煙えん火か等とうを出いだす」 と。 云々

如シ↧¬大論ニ¼説キテ↢神変ノ作意ヲ↡云フガ↥。「取ルコト↢地ノ*想ヲ↡多キガ故ニ、履ムコト↠水ヲ如シ↠地ノ。取ルコト↢水ノ*想ヲ↡多キガ故ニ、入1162ルコト↠地ニ如シ↠水ノ。取ルコト↢火ノ*想ヲ↡多キガ故ニ、身ヨリ出スト↢煙火等ヲ↡。」云々

^あきらかに知しりぬ、 所しょ求ぐの事じにおいて、 かの相そうを取とる時ときには、 よくその事じを助たすけて成じょう就じゅすることを得うるなり。 ただ臨りん終じゅうのみにあらず。 尋じん常じょうもこれに准なぞらへよ。

明カニ知リヌ於テ↢所求ノ事ニ↡取ル↢彼ノ相ヲ↡時ニハ、能ク助ケテ↢其ノ事ヲ↡而シテ得ルナリ↢成*就スルコトヲ↡。非ズ↢唯シ臨終ノミニ↡。尋常モ*准ヘヨ↠之ニ。

^綽しゃく和か尚しょう (道綽) のいはく (安楽集・上)、 「▲↓十じゅう念ねん相続そうぞくすることは難かたからざるがごときに似にたり。 しかれども、 もろもろの凡ぼん夫ぶ、 心しんは野馬やめのごとく、 識しきは猿猴えんこうよりもはなはだしく、 六塵ろくじんに馳ち騁ちょうして、 なんぞかつて停じょう息そくせんや。 おのおの、 すべからくよろしく信心しんじんを致いたし、 あらかじめみづから剋念こくねんし、 積習しゃくじゅうして性しょうを成じょうじ、 善根ぜんごんをして堅けん1047固ごならしむべし。

綽和尚ノ云ク、「十念相続スルコトハ似タレドモ↠若キニ↠不ルガ↠難カラ、然モ諸ノ凡夫、心ハ如シ↢野馬ノ↡。識ハ劇ハナハダシク↢猨猴ヨリモ↡、馳↢騁ス六塵ニ↡。何ゾ曽テ停息セムヤ。各 ノ須クシ↧宜ク致シテ↢信心ヲ↡、*預メ自ラ剋念シテ、使ム↦積習シテ成ジ↠性ヲ、善根ヲシテ堅固ナラ↥也。

^◆仏ぶつ (釈尊)、 大王だいおうに告つげたまへるがごとし。 ª人ひと、 善ぜん行ぎょうを積つめば、 死しするときに悪念あくねんなし。 樹きの先さきより傾かたむけるは倒たおるるに、 かならず曲まがれるに随したがふがごとしº (大智度論) と。

如シ↣仏告ゲタマヘルガ↢大王ニ↡。人積メルハ↢善行ヲ↡死スルトキニ无シ↢悪念↡。如シト↢樹ノ先ヨリ傾ケルガ倒ルルニハ必ズ*随フガ↟曲レルニ也。

^◆もし刀風とうふう一ひとたび至いたれば、 百ひゃっ苦く身みに奏あつまる。 もし習ならい先さきよりあらずは、 懐え念ねんなんぞ弁べんずべけんや。 おのおのよろしく同どう志し三さん五ごと、 あらかじめ言要ごんようを結むすびて、 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 たがひにあひ開かい暁ぎょうし、 ために弥陀みだの名みょう号ごうを称しょうし、 極楽ごくらくに生うまるることを願がんじて、 声々しょうしょうあひ次ついで十じゅう念ねんを成じょうぜしむべし」 と。 以上

若シ刀風一タビ至レバ、百モモチノ苦シビ*奏イタル↠身ニ。若シ習ヒ先ヨリ不レバ↠在ラ、懐ココロ念何ゾ可ケムヤ↠*弁ズ。各 ノ宜ク同志ヲ三五シテ、預メ結ビテ↢言要ヲ↡臨マム↢命終ノ時ニ↡。迭タガヒニ相開*暁シ、為ニ称シ↢弥陀ノ名号ヲ↡、願ジテ↠生レムコトヲ↢極楽ニ↡、声々相次ギテ使メヨト↠成サ↢十念ヲ↡。」 已上

^いふところの 「↑十じゅう念ねん」 といふは、 多おおくの釈しゃくありといへども、 しかも一心いっしんに十返じっぺん 「南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ」 と称しょう念ねんする、 これを十じゅう念ねんといふ。 この義ぎ、 経きょうの文もんに順じゅんぜり。 余よは▽下しもの料りょう簡けんのごとし。

所ノ↠言フ「十念トイフハ」、雖モ↠有リト↢多ノ釈↡、然モ一心ニシテ十*返称↢念スル南无阿弥陀仏ト↡、謂フ↢之ヲ十念ト↡。此ノ義順ゼリ↢経ノ文ニ↡。余ハ如シ↢下ノ料簡ノ↡。

・観念

 ^次つぎに臨りん終じゅうの↑勧念かんねんとは、 善ぜん友ぬ・同どう行ぎょうのその志こころざしあるものは、 仏ぶっ教きょうに順じゅんずるがために、 衆しゅ生じょうを利りせんがために、 善根ぜんごんのために、 結縁けちえんのために、 患やまいに染そまん初はじめより病やまいの床ゆかに来きたりて問とひて、 幸さいわひに勧進かんじんを垂たれよ。

次ニ臨終ノ勧念ト者、善友・同行ノ有ラム↢其ノ志↡者ハ、為ニ↠順ズルガ↢仏教ニ↡、為ニ↠利セムガ↢衆生ヲ↡、*為ニ↢善根ノ↡、為ニ↢結縁ノ↡、従リ↢染マム↠患ヤマヒニ初↡来リテ↢問トブラフテ病ノ床ニ↡、幸ニ垂レヨ↢勧進ヲ↡矣。

^ただ勧誘かんゆうの趣おもむきは、 人ひとの意こころにあるべし。 いましばらく自じ身しんのために、 その詞ことばを結むすびていはく、 *仏ぶっ子し、 年来としごろのあひだ、 この界さかいの希け望もうを止とどめて、 ただ*西方さいほうの業ごうを修しゅす。 就中なかんずく、 もとより期ごするところは、 これ臨りん終じゅうの十じゅう念ねんなり。 いますでに病やまいの床ゆかに臥ふしぬ。 恐おそれざるべからず1048。

但勧誘之趣ハ、応シ↠在ル↢人ノ意ニ↡。今且ク為ニ↢自身ノ↡結ビテ↢其ノ詞ヲ↡云ク、仏子、年来トシゴロ之間止メテ↢此ノ界ノ*希望ヲ↡唯シ修ス↢西方ノ業ヲ↡。就キテ↠中ニ本ヨリ所ハ↠期セシ、是臨終ノ十念ナリ。今既ニ臥シヌ↢病ノ床ニ↡。不↠可カラ↠不ハアル↠恐ラ。

^すべからく目めを閉とぢ、 掌たなごころを合あわせて、 一心いっしんに誓せい期ごすべし。 仏ぶつの相好そうごうにあらざるよりは、 余よの色しきを見みることなかれ。 仏ぶつの法音ほうおんにあらざるよりは、 余よの声こえを聞きくことなかれ。 仏ぶつの正教しょうきょうにあらざるよりは、 余よの事じを説とくことなかれ。 往おう生じょうの事じにあらざるよりは、 余よの事じを思おもふことなかれ。

須クシ↢閉ジ↠目ヲ合セテ↠掌ヲ、一心ニシテ誓期ス↡。自リハ↠非ズ↢仏ノ相好ニ↡、勿レ↠見ルコト↢余ノ色ヲ↡。自リハ↠非ズ↢仏ノ法音ニ↡、勿レ↠聞クコト↢余ノ声ヲ↡。自リハ↠非ズ↢仏ノ正教ニ↡、勿レ↠説クコト↢余ノ事ヲ↡。自リハ↠非ズ↢往生ノ事ニ↡、勿レ↠思1163フコト↢余ノ事ヲ↡。

^かくのごとくして、 乃ない至し、 命終みょうじゅうの後のちに、 宝ほう蓮台れんだいの上うえに坐ざして、 弥陀みだ仏ぶつの後しりえに従したがひ、 聖しょう衆じゅ囲い繞にょうして、 十じゅう万億まんおくの国こく土どを過すぐるあひだをもまたかくのごとくして、 余よの境きょう界がいを縁えんずることなかれ。 ただ極楽ごくらく世せ界かいの七宝しっぽうの池いけのなかに至いたりて、 はじめて目めを挙あげ、 掌たなごころを合あわせて、 弥陀みだの尊容そんようを見みたてまつり、 甚深じんじんの法音ほうおんを聞きき、 諸仏しょぶつの功く徳どくの香こうを聞かぎ、 法ほう喜き・禅悦ぜんえつの味あじはひを嘗なめ、 *海かい会えの聖しょう衆じゅを頂ちょう礼らいし、 普ふ賢げんの行ぎょう願がんに悟ご入にゅうすべし。

如クシテ↠是クノ乃至命終之後ニ、坐シテ↢宝*蓮台ノ上ニ↡、従ヒ↢弥陀仏ノ後ニ↡、聖衆囲遶シテ、過ギム↢十万億ノ国*土ヲ↡間ヲモ亦復如クシテ↠是クノ、勿レ↠縁ズルコト↢余ノ境界ヲ↡。唯シ至リテ↢極楽世界ノ七宝ノ池ノ中ニ↡、始テ応ニシ↧挙ゲ↠目ヲ合セテ↠掌ヲ、見タテマツリ↢弥陀ノ尊容ヲ↡、聞キ↢甚深ノ法音ヲ↡、聞カギ↢諸仏ノ功徳ノ香ヲ↡、嘗メ↢法喜・禅悦ノ味ヲ↡、頂↢礼シ海会ノ聖衆ヲ↡、悟↦入ス普賢ノ行願ニ↥。

^いま十じゅう事じあり。 まさに心しんを一いつにして聴きき、 心しんを一いつにして念おもふべし。 一々いちいちの念ねんごとに疑ぎ心しんをなすことなかれ。

今有リ↢十事↡。応ニ当シ↢一ニシテ↠心ヲ聴キ、一ニシテ↠心ヲ念フ↡。毎ニ↢一々ノ念↡莫レ↠生ナスコト↢疑心ヲ↡。

 ^一いちには先まづ大だい乗じょうの*実じっ智ちを発おこして生しょう死じの由ゆ来らいを知しるべし。

一ニハ先ヅ応シ↧発シテ↢大乗ノ実智ヲ↡知ル↦生死ノ由来ヲ↥。

^¬*大だい円覚えんがく経きょう¼ の偈げにのたまふがごとし。

如シ↢¬大円覚経ノ¼偈ニ云フガ↡。

^「一切いっさいのもろもろの衆しゅ生じょうの、 無始むしの幻まぼろしの無む明みょうは、
みなもろもろの如来にょらいの、 *円覚えんがくの心しんより建こん立りゅうせり」 と。

「一切ノ諸ノ衆生ノ无始ノ幻ノ无明ハ
皆従リ↢諸ノ如来ノ円覚ノ心↡建立セリト」

^ま1049さに知しるべし、 生しょう死じ即そく涅ね槃はんなり、 煩悩ぼんのう即そく菩ぼ提だいなり、 円えん融にゅう無礙むげにして無二むに無む別べつなり。 しかるを一念いちねんの妄心もうしんによりて、 生しょう死じの界さかいに入いりにしよりこのかた、 無む明みょうの病やまいに盲めしひられて、 久ひさしく*本覚ほんがくの道どうを忘わすれたり。 ただ諸法しょほうはもとよりこのかた、 つねにおのづから寂じゃく滅めつの相そうなり。 幻まぼろしのごとくして定さだまれる性しょうなし。 心しんに随したがひて転変てんぺんす。

当ニシ↠知ル、生死即涅槃ナリ。煩悩即菩提ナリ。円融无礙ニシテ无二无別ナリ。而ルヲ由リテ↢一念ノ*妄心ニ↡入リニシヨリ↢生死ノ界ニ↡来コノカタ、无明ノ病ニ所レテ↠盲ヒ久シク*妄ワスレタリ↢本覚ノ道ヲ↡。但シ諸法ハ従リ↠本来コノカタ常ニ自ラ寂滅ノ相ナリ。如クシテ↠幻ノ无シ↢定マレル性↡。随ヒテ↠心ニ而転変ス。

^このゆゑに、 仏ぶっ子し、 三宝さんぼうを念ねんじたてまつりて、 邪じゃを翻ひるがえして正しょうに帰きすべし。 しかも仏ぶつはこれ医い王おうなり、 法ほうはこれ良りょう薬やくなり、 僧そうはこれ瞻せん病びょう人にんなり。 無む明みょうの病やまいを除のぞき、 正しょう見けんの眼まなこを開ひらき、 本覚ほんがくの道どうを示しめして、 浄じょう土どに引いん摂じょうすることは、 仏法ぶっぽう僧そうにしくはなし。

是ノ故ニ*仏子応シ↧念ジタテマツリテ↢三宝ヲ↡、翻シテ↠邪ヲ帰ス↞正ニ。然モ仏ハ是医王ナリ。法ハ是良薬ナリ。僧ハ是瞻病人ナリ。除キ↢无明ノ病ヲ↡、開キ↢正見ノ眼ヲ↡、示シテ↢本覚ノ道ヲ↡引↢*摂スルコトハ浄土ニ↡、无シ↠如クハ↢仏法僧ニ↡。

^このゆゑに、 仏ぶっ子し、 先まづ大だい医い王おうの想おもいをなして、 一心いっしんに仏ぶつを念ねんじたてまつるべし。 「南無なも三さん世ぜ十方じっぽう一切いっさい諸仏しょぶつ・南無なも本ほん師し釈しゃ迦か牟尼むに仏ぶつ・南無なも薬やく師し琉璃るり光こう仏ぶつ」 と。 三念さんねん以い上じょう。 「南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ」 と。 十じゅう念ねん以い上じょう。

是ノ故ニ仏子、先ヅ応シ↧*作シテ↢大医王ノ想ヲ↡一心ニシテ念ジタテマツル↞仏ヲ。*南无三世十方一切諸仏、南无本師釈迦牟尼仏、南无薬師*琉璃光*仏ト、三念已上 南无阿弥陀*仏ト。十念已上

^次つぎに妙みょう良りょう薬やくの想おもいを生しょうじて、 一心いっしんに法ほうを念ねんずべし。 「南無なも三さん世ぜ*仏ぶつ母も摩訶まか般若はんにゃ波羅はら蜜みつ・南無なも平びょう等どう大だい慧え妙みょう法ほう蓮れん華げ経きょう・南無なも*八万はちまん十じゅう二に一切いっさい正しょう法ぼう」 と。

次ニ応シ↧生ジテ↢妙良薬ノ想ヲ↡一心ニ念ズ↞法ヲ。南无三世仏母摩訶般若波羅蜜、南无平等大*慧妙法蓮花経1164、南无八万十二一切正法ト。

^次つぎに*随逐ずいちく護ご念ねんの想おもいを生しょうじて、 一心いっしんに僧そうを念ねんずべし。 「南無なも観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつ・南無なも大勢だいせい至し菩ぼ薩さつ・南無なも普ふ賢げん菩ぼ薩さつ・南無なも文殊もんじゅ師利しり菩ぼ薩さつ・南無なも弥み勒ろく菩ぼ薩さつ・南無なも地じ蔵ぞう菩ぼ薩さつ・南無なも龍りゅう樹じゅ菩ぼ薩さつ・南無なも三さん世ぜ十方じっぽう一切いっさい聖しょう衆じゅ・南無なも極楽ごくらく界かい会え一切いっさい三宝さんぼう・南無なも三さん世ぜ十方じっぽう一切いっさい三宝さんぼう」 と。

次ニ応シ↧生ジテ↢随*逐護念ノ想ヲ↡一心ニ念ズ↞僧ヲ。南无観世音菩薩、南无大勢至菩薩、南无普賢菩薩、南无文殊師利菩薩、南无弥勒菩薩、南无地蔵菩薩、南无龍樹菩薩、南无三世十方一切聖衆、南无極楽界会一切三宝、南无三世十方一切三宝ト。

^三念さんねん以い上じょう、 あるいは1050よろしきに随したがひて、 同音どうおんに助念じょねんせよ。 あるいは鐘声しょうしょうを聞きかしめて、 正しょう念ねんを増ぞうせしめよ。 下去げこはこれに准じゅんぜよ。

三念已上、或イハ随ヒテ↠宜シキニ、同音ニ助念セヨ。或イハ令メテ↠聞カ↢鐘声ヲ↡、増セシメヨ↢正念ヲ↡。下去ハ准ゼヨ↠之ニ

 ^二にには*法ほっ性しょうは平びょう等どうなりといへども、 また仮有けうを離はなれず。

二ニハ法性ハ雖モ↢平等ナリト↡、亦不↠離レ↢仮有ヲ↡。

^弥陀みだ仏ぶつののたまふがごとし。

如シ↢弥陀仏ノ言フガ↡。

^「▲諸法しょほうの性しょうは、 一切いっさい、 空くう・無我むがなりと通達つうだつして、
もつぱら浄じょう仏ぶつ土どを求もとむれば、 かならずかくのごとき浄じょう刹せつを成じょうず」 (*大経・下) と。

「通↢達シテ諸法ノ性ハ一切空无我ナリト↡
専ラ求ムル↢*浄仏土ヲ↡必ズ成ズト↢如キ↠是クノ*浄刹ヲ↡」

^ゆゑに浄じょう土どに往おう生じょうせんがために、 先まづこの界さかいを厭えん離りすべし。 いまこの娑しゃ婆ば世せ界かいは、 これ悪業あくごうの所感しょかんなり、 衆しゅ苦くの本源ほんげんなり。 生しょう老ろう病びょう死しは輪転りんでんして際きわなし。 三界さんがいは極縛ごくばくにして一いちも楽たのしむべきことなし。 もしこの時ときにおいてこれを厭えん離りせずは、 まさにいづれの生しょうにか輪りん廻ねを離はなるべけんや。

故ニ為ニ↣往↢生セムガ浄土ニ↡、先ヅ応シ↣厭↢離ス此ノ界ヲ↡。今此ノ娑婆世界ハ是悪業ノ所感ナリ、衆苦ノ本源也。*生老病死ハ輪転シテ无シ↠際。三界ハ*極縛ニシテ无シ↢一モ可キコト↟楽シブ。若シ於テ↢此ノ時ニ↡不ハ↣厭↢離セ之ヲ↡、当ニケム↣於何レノ生ニカ離ル↢輪廻ヲ↡耶。

^しかも阿あ弥陀みだ仏ぶつには不可ふか思議しぎの威い力りきまします。 もし一心いっしんに名みなを称しょうすれば、 念々ねんねんのうちに、 八はち十じゅう億劫おくこうの生しょう死じの重じゅう罪ざいを滅めっしたまふ。 このゆゑに、 いままさに一心いっしんにかの仏ぶつを念ねんじて、 この苦く界かいを離はなるべし。

然モ阿弥陀仏ニハ有ス↢不*可思議ノ威力↡。若シ一心ニ称スレバ↠名ヲ、念念之中ニ滅シタマフ↢八十億劫ノ生死ノ重罪ヲ↡。是ノ故ニ今当ニシ↧一心ニシテ念ジテ↢彼ノ仏ヲ↡離ル↦此ノ苦界ヲ↥。

^この念おもいをなすべし、 「願ねがはくは阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 決けつ定じょうしてわれを抜済ばっさいしたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。 その十じゅう念ねん以い上じょうの信心しんじんの勢いきおひの尽つくるを見みて、 次つぎの事じを勧すすむ1051べし。 あるいは加くわへて二に菩ぼ薩さつ (観音・勢至) を称しょうせよ。 下去げこはこれに准じゅんず。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡。願クハ阿弥陀仏、決定シテ抜↢済シタマヘト我ヲ↡。南无阿弥陀仏。見レバ↢其ノ十念以*上ノ信心ノ勢ノ尽クルヲ↡、応シ↠勧ム↢次ノ事ヲ↡。*或イハ加ヘテ称セヨ↢二菩薩ヲ↡。下去ハ准ズ↠之ニ

 ^三さんには浄じょう土どを欣ごん求ぐすべし。

三ニハ応シ↣欣↢求ス浄土ヲ↡。

^西方さいほう極楽ごくらくは、 これ大だい乗じょう善根ぜんごんの界さかい、 無苦むく無む悩のうの処ところなり。 一ひとたび蓮胎れんたいに託たくしぬれば、 永ながく生しょう死じを離はなれ、 眼まなこには弥陀みだの聖しょう容ようを瞻みたてまつり、 耳みみには深じん妙みょうの尊教そんきょうを聞きく。 一切いっさいの快け楽らく、 具ぐ足そくせずといふことなし。

西方極楽ハ、是大乗善根ノ界、无苦无悩ノ処ナリ。一タビ託シヌレバ↢蓮胎ニ↡永ク離ル↢生死ヲ↡。眼ニハ瞻タテマツリ↢弥陀之聖容ヲ↡、耳ニハ聞ク↢深妙之尊教ヲ↡。一切ノ快楽无シ↠不トイフコト↢具足セ↡。

^もし人ひと、 臨りん終じゅうの時ときに、 十とたび弥陀みだ仏ぶつを念ねんずれば、 決けつ定じょうしてかの安楽あんらく国こくに往おう生じょうす。 仏ぶっ子し、 いまたまたま人身にんじんを得えたり、 また仏ぶっ教きょうに値あへり。 なほ*一眼いちげんの亀かめの、 浮うき木ぎの孔あなに値あへるがごとし。 もしこの時ときにおいて、 往おう生じょうすることを得えずは、 還かえりて三悪さんまく・八難はちなんのなかに堕だして、 法ほうを聞きくことなほ難かたし。 いかにいはんや、 往おう生じょうをや。 ゆゑに、 一心いっしんにかの仏ぶつを称しょう念ねんしたてまつるべし。

若シ人臨終ノ時ニ十タビ念ズレバ↢弥陀仏ヲ↡、決定シテ往↢生ス彼ノ安楽国ニ↡。仏子1165*今適マ得タリ↢人身ヲ↡、亦値ヘリ↢仏教ニ↡。猶シ↣一眼ノ亀ノ値ヘルガ↢浮木ノ*孔ニ↡。若シ於テ↢此ノ時ニ↡不ハ↠得↢往生スルコトヲ↡、還リテ堕シテ↢三*悪・八難之中ニ↡、聞クコト↠法ヲ尚難ケム。何ニ況ヤ往生ヲヤ。故ニ応シ↣一心ニシテ称↢念シタテマツル彼ノ仏ヲ↡。

^この念ねんをなすべし、 「願ねがはくは仏ぶつ、 今日こんにち決けつ定じょうして、 われを*引いん接じょうして、 極楽ごくらくに往おう生じょうせしめたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ仏、今日決定シテ引接シテ、於テ↠我ニ往↢生セシメタマヘト極楽ニ↡。南无阿弥陀仏

 ^四しにはおほよそかの国くにに往おう生じょうせんと欲おもふものは、 すべからくその業ごうを求もとむべし。

四ニハ凡ソ欲ハム↣往↢生セムト彼ノ国ニ↡者ハ、須クシ↠求ム↢其ノ業ヲ↡。

^かの仏ぶつの本願ほんがん (第二十願) にのたまふがごとし。 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを聞ききて、 念おもいをわが国くにに係かけて、 もろもろの徳とくの本ほんを殖うゑて、 心しんを至いたして回え向こうして、 わが国くにに生うまれんと欲ほっせん。 果はたし遂とげずは、 正しょう覚がく1052を取とらじ」 (大経・上) と。

如シ↢彼ノ仏ノ本願ニ云フガ↡。「設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生ノ、聞キテ↢我ガ名号ヲ↡、係ケテ↢念ヲ我ガ国ニ↡、殖ヱテ↢諸ノ徳ノ本ヲ↡、至シテ↠心ヲ廻向シテ欲セムニ↠生レムト↢我ガ国ニ↡、不トイハバ↢果シ遂ゲ↡者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

^仏ぶっ子し、 一いっ生しょうのあひだ、 ひとへに西方さいほうの業ごうを修しゅす。 所修しょしゅの業ごう多おおしといへども、 期ごするところはただ極楽ごくらくなり。 いますべからくかさねて三際さんざいの一切いっさいの善根ぜんごんを聚じゅ集しゅうして、 ことごとく極楽ごくらくに回え向こうすべし。

仏子一生之間偏ニ修ス↢西方ノ業ヲ↡。所修ノ業雖モ↠多シト、所ハ↠期スル唯シ極楽ナリ。今須クシ↧重ネテ聚↢集シテ三際ノ一切ノ善根ヲ↡、尽ク廻↦向ス極楽ニ↥。

^この念おもいをなすべし、 「願ねがはくは、 わが所しょ有うの一切いっさいの善根ぜんごん力りきによりて、 今日こんにち決けつ定じょうして極楽ごくらくに往おう生じょうせん」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ由リテ↢我ガ所有ノ一切ノ善根力ニ↡、今日決定シテ往↢生セムト極楽ニ↡。南无阿弥陀仏

 ^五ごにはまた本願ほんがん (第十九願) にのたまはく、 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 菩ぼ提心だいしんを発おこして、 もろもろの功く徳どくを修しゅして、 至し心しんに願がんを発おこして、 わが国くにに生うまれんと欲ほっせん。 寿じゅ終じゅうの時ときに臨のぞみて、 たとひ大衆だいしゅと囲い繞にょうして、 その人ひとの前まえに現げんぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 (大経・上) と。

五ニハ又本願ニ云ク、「設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生ノ、発シテ↢菩提心ヲ↡、修シテ↢諸ノ功徳ヲ↡、至心ニ発シテ↠願ヲ、欲セムニ↠生レムト↢我ガ国ニ↡、臨ミテ↢寿終ノ時ニ↡、仮令 タトヒ 不トイハバ↧与↢大衆↡囲遶シテ現ゼ↦其ノ人ノ前ニ↥者、不ト↠取ラ↢正覚ヲ↡。」

^仏ぶっ子し、 久ひさしくすでに菩ぼ提心だいしんを発おこし、 およびもろもろの善根ぜんごんをもつて極楽ごくらくに回え向こうせり。 いますべからくかさねて菩ぼ提心だいしんを発おこして、 かの仏ぶつを念ねんじたてまつるべし。

仏子久シク已ニ発シ↢菩提心ヲ↡、及ビ諸ノ善根ヲモテ廻↢向セリ極楽ニ↡。今須クシ↧重ネテ発シテ↢菩提心ヲ↡念ジタテマツル↦彼ノ仏ヲ↥。

^この念おもいをなすべし、 「願ねがはくはわれ、 一切いっさい衆しゅ生じょうを利り益やくせんがために、 今日こんにち決けつ定じょうして極楽ごくらくに往おう生じょうせん」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

応シ↠作ス↢此ノ念ヲ↡、願クハ我為ニ↣利↢*益セムガ一切衆生ヲ↡、今日決定シテ往↢生セムト極楽ニ↡。南无阿弥陀仏

 ^六ろくにはすでに知しりぬ。 仏ぶっ子しはもとよりこのかた、 往おう生じょうの業ごうを具ぐせり。 いますべからくもつぱら弥陀みだ如来にょらいを念ねんじて、 業ごうをして増ぞう盛じょうならしむべし。

六ニハ既ニ知リヌ。仏子ハ本ヨリ来コノカタ具セリ↢往生ノ業ヲ↡。今須クシ↧専ラ念ジテ↢弥陀如来ヲ↡、令ム↦業ヲシテ増*盛↥ナラ。

^しかも、 かの1053仏ぶつの功く徳どくは無む量りょう無む辺へんにして、 つぶさに説とくべからず。 いま現げんに十方じっぽうにまします、 おのおの恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつ、 つねにかの仏ぶつの功く徳どくを称しょう讃さんしたまふ。 かくのごとく称しょう讃さんしたまふこと、 たとひ恒沙ごうじゃ劫こうを経ふとも、 つひに窮ぐ尽じんすべからず。 仏ぶっ子し、 総そうじて一心いっしんにかの仏ぶつの功く徳どくを帰き命みょうすべし。

然モ彼ノ仏ノ功徳ハ无量无辺ニシテ不↠可カラ↢具ニ説ク↡。今現在ニ十方ニ、各 ノ恒河沙等ノ諸仏恒常 ツネ ニ称↢讃シタマフ彼ノ仏ノ功徳ヲ↡。如ク↠是1166クノ称讃シタマフコト、設ヒ経トモ↢恒沙劫ヲ↡終ニ不↠可カラ↢窮尽ス↡。仏子総ジテ応シ↣一心ニ帰↢命ス彼ノ仏ノ功徳ヲ↡。

^念おもふべし、 「われいま、 一念いちねんのうちに、 ことごとくもつて弥陀みだ如来にょらいの一切いっさいの万徳まんどくを帰き命みょうす」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

応シ↠念フ、我今一*念ノ中ニシテ、尽ク以テ帰↢命スト弥陀如来ノ一切ノ万徳ニ↡。南无阿弥陀仏

 ^七しちには仏ぶっ子し、 弥陀みだ仏ぶつの一いちの色相しきそうを念ねんじて、 心しんをして一いっ境きょうに住じゅうせしむべし。

七ニハ仏子応シ↫念ジテ↢*弥陀仏ノ一ノ色相ヲ↡令ム↪心ヲシテ住セ↩一境ニ↨。

^いはく、 かの仏ぶつの色身しきしんは閻えん浮ぶ檀金だんごんのごとし。 威い徳とく巍々ぎぎたること金山こんぜん王おうのごとく、 無む量りょうの相好そうごうをもつて、 その身みを荘しょう厳ごんせり。 そのなかに眉み間けんの白びゃく毫ごうは、 右みぎに旋めぐりて婉転えんでんせること五ご須しゅ弥みのごとし。 七しち百ひゃく五ご倶く胝てい六ろっ百ひゃく万まんの光こう明みょう、 熾し然ねん赫奕かくやくたること億千おくせんの日月にちがつのごとし。

謂ク彼ノ仏ノ色身ハ如クシテ↢閻浮檀金ノ↡、威徳巍々タルコト如シ↢金山王ノ↡。無量ノ相好ヲモテ荘↢厳セリ其ノ身ヲ↡。其ノ中ニ眉間ノ白毫ハ右ニ旋リテ婉転セルコト、如シ↢*五須弥ノ↡。七百五倶胝六百万ノ光明、熾然ニ赫奕タルコト如シ↢億千ノ日月ノ↡。

^これすなはち無漏むろの万徳まんどくの成じょう就じゅしたまへるところ、 大定だいじょう智悲ちひの流る出すいせるところなり。 須しゅ臾ゆのあひだも、 この相そうを憶おもへば、 よく九く十じゅう六ろく億おく那由なゆ他た恒ごう河が沙しゃ微み塵数じんしゅ劫こうの生しょう死じの重じゅう罪ざいを滅めっす。 このゆゑに、 いままさにかの相そうを憶念おくねんして、 決けつ定じょうして罪業ざいごうを滅除めつじょすべし。

是即チ无漏ノ万徳之所↢成*就シタマヘル↡、大定智悲之所↢流出セル↡也。須臾之間モ憶ヘバ↢此ノ相ヲ↡者、能ク滅ス↢九十六億那由他恒河沙微塵数劫ノ生死ノ重罪ヲ↡。是ノ故ニ今当ニシ↧憶↢念シテ彼ノ相ヲ↡決定シテ滅↦除ス罪業ヲ↥。

^この念おもいをなすべし、 「願ねがはくは白びゃく毫ごう相そうの光ひかり、 わがもろもろの罪つみを滅めっしたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

応シ↠作ス↢此ノ念ヲ↡、願クハ白毫相ノ*光滅シタマヘト↢我ガ諸ノ罪ヲ↡。南无阿弥陀仏

 ^八はちにはかの白びゃく毫ごう相そうのそこばくの光こう明みょうは、 つねに十方じっぽう世せ界かいの念仏ねんぶつの衆しゅ生じょうを照てらし1054て、 *摂取せっしゅして捨すてたまはず。 まさに知しるべし、 大だい悲ひの光こう明みょうは決けつ定じょうして来きたりて照てらしたまふらん。

八ニハ彼ノ白毫相ノ若干ソコバクノ光明ハ、常ニ照シテ↢十方世界ノ念仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。当ニシ↠知ル、大悲ノ光明ハ決定シテ来リテ照シタマフラム。

^¬華け厳ごん¼ の偈げにのたまふがごとし。

如シ↢¬花*厳ノ¼偈ニ云フガ↡。

^「また光こう明みょうを放はなちたまふを見仏けんぶつと名なづく。 かの光ひかりは命終みょうじゅうのものを覚かく悟ごせしめたまふ。
念仏ねんぶつ三昧ざんまいをしてかならず仏ぶつを見みたてまつり、 命終みょうじゅうの後のちに仏前ぶつぜんに生うまる」 と。

「又放チタマフヲ↢光明ヲ↡名ク↢見仏ト↡彼ノ光ハ覚↢悟セシメタマフ命終ノ者ヲ↡
念仏三昧ヲシテ必ズ見タテマツリ↠仏ヲ命終之後ニ生ルト↢仏前ニ↡」

^ゆゑにいまこの念おもいをなすべし、 「願ねがはくは弥陀みだ仏ぶつ、 清浄しょうじょうの光ひかりを放はなちて、 はるかにわが心しんを照てらしたまひ、 わが心しんを覚かく悟ごして、 *境きょう界がいと自じ体たいと当とう生しょうとの三種さんしゅの愛あいを転てんじて、 念仏ねんぶつ三昧ざんまい成じょう就じゅして極楽ごくらくに往おう生じょうすることを得えしめたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ

故ニ今応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ弥陀仏放チテ↢清浄ノ光ヲ↡、遥ニ照シタマヒ↢我ガ心ヲ↡、覚↢悟シテ我ガ心ヲ↡、転ジテ↢境界ト自体ト当生トノ三種ノ愛ヲ↡、令メタマヘト↠得↣念仏三昧成就シテ往↢生スルコトヲ極楽ニ↡。南无阿弥陀仏

 ^九くには弥陀みだ如来にょらいは、 ただ光ひかりをもつてはるかに照てらしたまふのみにあらず。 みづから観音かんのん・勢せい至しとつねに来きたりて行ぎょう者じゃを擁よう護ごしたまふ。 いかにいはんや、 父母ぶもは病やまいの子こにおいては、 その心しんひとへに重おもし。 ˆ仏ぶつはˇ 法ほっ性しょうの山やまを動うごかし、 生しょう死じの海うみに入いりたまふ。 まさに知しるべし、 この時ときに、 仏ぶつ、 大だい光こう明みょうを放はなちて、 もろもろの聖しょう衆じゅとともに来きたりて、 *引いん接じょう擁よう護ごしたまふらん。 惑わく障しょうあひ隔へだてて、 見みたてまつることあたはずといへども、 大だい悲ひの願がん疑うたがふべからず。 決けつ定じょうしてこの室しつに来入らいにゅうし1055たまふらん。

九ニハ弥陀如来ハ非ズ↢唯シ以テ↠光ヲ遥ニ照シタマフノミニ↡。自ラ与↢観音・勢至↡常ニ来リテ擁↢護シタマフ行者ヲ↡。何ニ況ヤ、父母ハ於テハ↢病ノ子ニ↡其1167ノ心偏ニ重シ。動シ↢法性ノ山ヲ↡、入リタマフ↢生死ノ海ニ↡。当ニシ↠知ル、是ノ時ニ仏放チテ↢大光明ヲ↡、与↢諸ノ聖衆↡倶ニ来リテ引接擁護シタマフラム。*或障相隔テテ雖モ↠不ト↠能ハ↠見タテマツルコト、大悲ノ願不↠可カラ↠疑フ。決定シテ来↢入シタマフラム此ノ室ニ↡。

^ゆゑに仏ぶっ子し、 この念おもいをなすべし、 「願ねがはくは仏ぶつ、 大だい光こう明みょうを放はなちて、 観音かんのん・勢せい至しとともに来きたりて、 決けつ定じょうして来迎らいこうし、 引いん接じょうして極楽ごくらくに往おう生じょうせしめたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。 以い上じょう第だい七しち・八はち・九く条じょうの事じは、 つねに勧誘かんゆうすべし。 その余よの条じょうは、 時々じじ、 これを用もちゐよ。

故ニ仏子応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、願クハ仏放チテ↢大光明ヲ↡*与↢観音・勢至↡倶ニ来リテ、決定シテ来迎シテ、*引接シテ往↢生セシメタマヘト極楽ニ↡。南无阿弥陀仏 *已上第七・八・九条ノ事ハ、常ニ応シ↢勧誘ス↡。其ノ余ノ*条ハ、時々用ヰヨ↠之ヲ

^もし病者びょうしゃの気き力りき、 やうやく羸劣るいれつなる時ときには、 いふべし、 「仏ぶつ、 観音かんのん・勢せい至し、 無む量りょうの聖しょう衆じゅとともに来きたりて、 宝蓮台ほうれんだいを擎ささげて、 仏ぶっ子しを引いん接じょうしたまふらん」 と。

若シ病者ノ気力漸々ヤウヤク羸劣ナラム時ニハ、応シ↠云フ、仏与↢観音・勢至、无量ノ聖衆↡倶ニ来リテ、擎ササゲテ↢宝蓮台ヲ↡*而引↢*接シタマフラムト仏*子ヲ↡。

 ^十じゅうにはまさしく終おわりに臨のぞむ時ときにいふべし、 「仏ぶっ子し、 知しるやいなや。 ただいまはすなはちこれ最さい後ごの心しんなり。 臨りん終じゅうの一念いちねんは百ひゃく年ねんの業ごうに勝すぐれり。 もしこの刹せつ那なを過すぎなば、 生しょう処じょ一いち定じょうしぬべし。 いままさしくこれその時ときなり。 まさに一心いっしんに仏ぶつを念ねんじて、 決けつ定じょうして西方さいほう極楽ごくらくの微み妙みょう浄じょう土どの*八はっ功く徳どく池ちのうちの、 七宝しっぽう蓮台れんだいの上うえに往おう生じょうすべし」 と。

十ニハ正シク臨ム↠終ニ時ニ応シ↠云フ。仏子知ルヤ*不ヤ。*但今ハ即チ是最後ノ心也。臨終ノ一念ハ勝レリ↢百年ノ業ニ↡。若シ過ギナバ↢此ノ刹那ヲ↡、生処応シ↢*一定シヌ↡。今正シク是其ノ時ナリ。当ニシト↣一心ニシテ念ジテ↠仏ヲ、決定シテ往↢生ス西方極楽ノ微妙浄土ノ八功徳池ノ中ノ、七宝蓮台ノ上ニ↡。

^この念おもいをなすべし、 「如来にょらいの本誓ほんぜいは一毫いちごうも謬あやまることなし。 願ねがはくは仏ぶつ、 決けつ定じょうしてわれを引いん摂じょうしたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

応シ↠作ス↢是ノ念ヲ↡、如来ノ本誓ハ一毫モ无シ↠謬ルコト。願クハ仏、決定シテ引↢*摂シタマヘト*於我ヲ↡。南无阿弥陀仏

^あるいは漸々ぜんぜんに略りゃくを取とりて、 念おもふべし、 「願ねがはくは仏ぶつ、 かならず引いん摂じょうしたまへ」 と。 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ。

或イハ漸々ニ取リテ↠略ヲ*応シ↠念フ、▼願クハ仏必ズ引摂シタマヘト。南无阿弥陀仏

^かくのごとく病びょう者しゃの気け色しきを瞻みて、 その所応しょおうに随ずい順じゅんして、 ただ*一いちの事じをもつて最さい後ごの念ねんとなし、 衆しゅ多たなることを得えざれ。 その詞ことばの進しん止しは、 ことに用よう意いすべ1056し。 病びょう者しゃをして*攀縁へんえんをなさしむることなかれ。

如ク↠是クノ瞻テ↢病者ノ気色ヲ↡、随↢順シテ其ノ所応ニ↡、但以テ↢一ノ事ヲ↡為ヨ↢最*後ノ念ト↡。不レ↠得↢衆多ナルコトヲ↡。其ノ詞ノ進止ハ可シ↢殊ニ用意ス↡。勿レ↠令ムルコト↣病者ヲシテ生ナサ↢*於攀縁ヲ↡矣。

 ^問とはく、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ に説とくがごとし。 「仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªもし衆しゅ生じょうありて、 父ちちを殺ころし、 母ははを害がいし、 六親ろくしんを*罵め辱にくせらん。 この罪つみを作つくれるものは、 ▲命終みょうじゅうの時ときに、 銅あかがねの狗く、 口くちを張はりて十じゅう八はちの車くるまを化けす。 状かたち、 金車こんしゃのごとし。 宝蓋ほうがい、 上うえにありて、 ▽一切いっさいの火か焔えんは、 化けして玉ぎょく女にょとなる。 罪人ざいにんはるかに見みて、 心しんに歓かん喜ぎを生しょうじて、 «われなかに往ゆかんと欲ほっす» と。

問ク、如シ↢¬観仏三昧経ニ¼説クガ↡。「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若シ有リテ↢衆生↡、殺シ↠父ヲ*害シ↠母ヲ、罵↢辱セラム六親ヲ↡。作レル↢是ノ罪ヲ↡者ハ、命終之時ニ、銅ノ狗張リテ↠口ヲ化ス↢十八ノ車ヲ↡。状カタチ如クシテ↢金車ノ↡、宝蓋在オケリ↠上ニ。一切ノ火焔ハ化シテ為ル↢玉女ト↡。罪人遥ニ見テ心ニ生ジテ↢歓喜ヲ↡、我欲スト↠往カムト↠中ニ。

^◆風刀ふうとうの解とくる時ときに、 寒かん急きゅうにして声こえを失うしなひ、 «むしろ好こう火かを得えて、 車くるまの上うえにありて、 坐ざして燃もゆる火ひにみづから爆あぶられん» と。 この念おもいをなしをはりて、 すなはち命終みょうじゅうす。 揮き攉かくのあひだに、 ▽すでに金車こんしゃに坐ざしぬ。 玉ぎょく女にょを顧かえりみ瞻まばれば、 みな鉄てっ斧ぷを捉とりて、 その身みを折きり截きるº」 と。

風1168刀ノ解クル時ニ寒急ニシテ失フ↠声ヲ。寧ロ得テ↢好火ヲ↡、在リテ↢車ノ上ニ↡、坐シテ燃タキテ↠火ヲ自ラ爆アブラレムト。作シ↢是ノ念ヲ↡已リテ即便チ命終ス。揮攉之間ニ已ニ坐シヌ↢金車ニ↡。顧ミ↢瞻マバレバ玉女ヲ↡、皆*捉リテ↢鉄斧ヲ↡折キリ↢截キルト其ノ身ヲ↡。」

^またのたまはく (観仏三昧経)、 「▽また衆しゅ生じょうありて、 四し重じゅう禁きんを犯おかし、 虚むなしく*信しん施せを食くらひ、 誹ひ謗ほう・邪見じゃけんにして、 因いん果がを識しらず、 般若はんにゃを学がくすることを断だんじ、 十方じっぽうの仏ぶつを毀そしり、 *僧そう祇ぎ物もつを偸ぬすみ、 *婬妷いんいつ無む道どうにして、 浄じょう戒かいのもろもろの比丘びく尼に、 姉し妹まい・親しん戚しゃくを逼ひつ略りゃくして、 懴さん愧ぎすることを知しらず、 所親しょしんを毀き辱にくし、 もろもろの悪あく事じを造つくれる、 この人ひとの罪報ざいほう、 ▲命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 ▽風刀ふうとう身みを解とくに、 *偃えん坐ざ不ふ定じょうなること、 *杖じょう楚そを被こうむるがごとし。

又言ク、「復有リテ↢衆生↡犯シ↢四重禁ヲ↡、虚シク食ヒ↢信施ヲ↡、誹謗・邪見ニシテ不↠識ラ↢因果ヲ↡、断ジ↠学スルコトヲ↢般若ヲ↡、毀リ↢十方ノ仏ヲ↡、偸ミ↢僧*祇物ヲ↡、婬*妷无道ニシテ逼↢略シテ浄戒ノ諸ノ比丘尼、姉妹・親*慼ヲ↡、不↠知ラ↢*懴愧スルコトヲ↡、毀↢辱シ所親ヲ↡、造レル↢衆ノ悪事ヲ↡、此ノ人ノ罪報、臨ミテ↢命終ノ時ニ↡風刀解クニ↠*身ヲ、坐不定ナルコト如シ↠被ルガ↢杖*楚ヲ↡。

^◆その心しんは荒越こうおつして、 痴ち狂きょうの想おもいを発おこし、 おのが室しつ宅たく1057を見みれば、 男女なんにょ・大だい小しょうの一切いっさいは、 みなこれ不ふ浄じょうの物ものなり。 屎し尿にょうの臭くさき処ところにして、 ほかに盈よう流るせん。 ◆その時ときに、 罪人ざいにんすなはちこの語ごをなしていはく、 ªなんぞ、 この処ところに好よき城じょう廓かくおよび好よき山林せんりんの、 われをして遊戯ゆげせしむるものなくして、 すなはちかくのごとき不ふ浄じょう物もつのあひだに処しょせるやº と。

其ノ心ハ荒越シテ発シ↢痴狂ノ想ヲ↡、見ユ↢己ガ室宅ノ男女・大少一切ハ皆是不浄之物ナリト↡。屎尿ノ臭キ処トシテ盈↢流セム于外ニ↡。爾ノ時ニ罪人即チ作シテ↢是ノ語ヲ↡云ク、何ゾ此ノ処ニ无キ↣好キ城廓及ビ好キ山林ノ*使ムルモノ↢吾ヲシテ遊戯セ↡、乃シ処セルコトヲヤト↢如キ↠此クノ不*浄物ノ間ニ↡。

^◆この語ごをなしをはるに、 獄卒ごくそつ羅ら刹せつ、 大おおきなる鉄叉てっしゃをもつて、 阿鼻あび地じ獄ごくおよびもろもろの刀山とうせんを擎ささげて、 化けして宝樹ほうじゅおよび清涼しょうりょうの池いけとなす。 火か焔えんは化けして金葉こんようの蓮れん華げとなり、 もろもろの鉄てつの嘴くちばしある虫むしは、 化けして鳧ふ・雁がんとなる。 ▽地じ獄ごくの痛いたむ声こえは、 詠よう歌かの音おんのごとし。 ◆罪人ざいにん、 聞ききをはりて、 ªかくのごとき好よき処ところに、 われまさになかに遊あそぶべしº とおもふ。 念ねんじをはりて、 尋ついで時ときに大だい蓮れん華げに坐ざせん」 と。 云々

作シ↢是ノ語ヲ↡已ルニ、獄率・羅刹以テ↢大ナル鉄叉ヲ↡擎ササゲテ↢阿鼻地獄及ビ諸ノ刀山ヲ↡、化シテ作サム↢宝樹及ビ清涼ノ池ヲ↡。火焔ハ化シテ作ラム↢金葉ノ蓮花ト↡。諸ノ鉄ノ嘴アル虫ハ化シテ為ラム↢鳧・雁ト↡。地獄ノ痛ム声ハ如クアラム↢詠歌ノ音ノ↡。罪人聞キ已リテ、如キ↠此クノ好キ処ニ吾当ニシトオモフ↠遊ブ↠中ニ。念ジ已リテ、*尋ギテ時ニ坐セムト↢大蓮花ニ↡。」云々

^いかんぞ知しるや、 今日こんにちの蓮れん華げの来きたり迎むかふること、 これ火華かけにあらずとは。

寧ゾ知ルヤ、今日ノ蓮花ノ来リ迎フルコト非ズトハ↢是火花ニ↡。

^答こたふ。 感かん和か尚しょう (懐感) の釈しゃくしていはく (群疑論)、 「四しの義ぎをもつてのゆゑに、 *火か車しゃにあらずといふことを知しる。 一いちには↓行ぎょうをもつて、 二にには↓相そうをもつて、 三さんには↓語ごをもつて、 四しには↓仏ぶつをもつてなり。 この四義しぎ、 火華かけに異ことなり。

答スラク、感和尚ノ釈シテ云ク、「以テノ↢四ノ義ヲ↡故ニ知ル↠非ズトイフコトヲ↢火車ニ↡。一ニハ以テ↠行ヲ、二ニハ以テ↠相ヲ、三ニハ以テ↠語ヲ、四ニハ以テナリ↠仏ヲ。此ノ四義異ナリ↢火華ニハ↡。

^一いちに↑行ぎょうをもつてとは、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ に、 ª△罪人ざいにんは罪つみを造つくりて、 四し重じゅう禁きんを犯おかし、 乃ない至し、 所親しょしんを毀き辱にくしてº と説とけども、 悔過けかをなさず、 善ぜん友ぬの、 教おしへて仏ぶつを念ねんぜしむるにも遇あはざ1058るがゆゑに、 所見しょけんの華はなはこれ地じ獄ごくの相すがたなり。 いまこの下げ品ぼん等とうの三人さんにんは、 また生うまれてよりこのかた、 罪つみを造つくれりといへども、 終おわりの時ときに、 善ぜん知ぢ識しきに遇あひて、 心しんを至いたして仏ぶつを念ねんず。 仏ぶつを念ねんずるをもつてのゆゑに、 多た劫こうの罪つみを滅めっして、 勝しょう功く徳どくを成じょうじて、 宝ほう池ちのなかの華はな来きたり迎むかふることを感得かんとくす。 あに前さきの華はなに同おなじからんや。

一ニ以テト↠行ヲ者、¬観仏三昧経ニ¼説カク、罪人ハ造リテ↠罪ヲ、犯シ↢四重禁ヲ↡、乃至毀↢辱シテ所親ヲ↡、不↠生ナサ↢悔過ヲ↡、不ルガ↠遇ハ↢善1169友ノ教ヘテ令ムルニモ↟念ゼ↠仏ヲ故ニ、所見ノ花ハ是地獄ノ相ナルナリ。今此ノ下品等ノ三人ハ、雖モ↢復生レテヨリ来コノカタ造レリト↟罪ヲ、終ノ*時ニ遇ヒテ↢善知識ニ↡、至シテ↠心ヲ念ズ↠仏ヲ。以テノ↢念仏ヲ↡故ニ滅シテ↢多劫ノ罪ヲ↡、成ジテ↢勝功徳ヲ↡、感↢得ス宝池ノ中ノ花来リ迎フルコトヲ↡。豈ニ同ジカラム↢前ノ花ニ↡也。

^二にに↑相そうといふは、 かの ¬経きょう¼ (観仏経) に、 ª△風刀ふうとう身みを解とくに、 偃えん臥が定さだまらず、 楚そ撻たつを被こうむるがごとし。 ◇その心しんは荒越こうおつして、 狂きょう痴ちの想おもいを発おこす。 おのが室宅しつたくを見みれば、 男女なんにょ・大だい小しょうの一切いっさいは、 みなこれ不ふ浄じょうの物ものなり。 屎し尿にょうの臭くさき処ところにして、 ほかに盈よう流るせんº と説とけども、 いまこれは、 仏ぶつを念ねんじて、 身心しんしん安穏あんのんにして、 悪想あくそうすべて滅めっしぬ。 ただ聖しょう衆じゅを見み、 *異い香こうあることを聞かぐ。 ゆゑに類るいせざるなり。

二ニ相トイフ者、彼ノ経ニ説カク、風刀解キテ↠身ヲ偃臥不↠定マラ、如シ↠被ルガ↢楚*撻ヲ↡。其ノ心ハ荒越シテ発ス↢狂痴ノ想ヲ↡。見ル↣己ガ室宅ノ男女・大少ハ一切ハ皆是不浄之物ナリ、*屎尿ノ臭キ処トシテ盈↢流スト于外ニ↡。今此ノ念ズルニハ↠仏ヲ、身心安*隠ニシテ、悪*想都テ滅シヌ。唯見ユ↢聖衆ヲ↡。聞カグ↠有ルコトヲ↢異香↡。故ニ不ル↠類セ也。

^三さんに↑語ごといふは、 かの ¬経きょう¼ (観仏経) のなかに、 ª△地じ獄ごくの痛いたむ声こえは、 詠よう歌かの音おんのごとし。 罪人ざいにん、 聞ききをはりて、 «かくのごとき好よき処ところに、 われまさになかに遊あそぶべし»º と説とけども、 ¬観かん経ぎょう¼ のなかに、 讃たたへてのたまはく、 ª▲善男ぜんなん子し、 なんぢ、 仏ぶつの名みなを称しょうするがゆゑに、 もろもろの罪つみ消しょう滅めつして、 われ来きたりてなんぢを迎むかふº と。 かれ (観仏経) はこれ詠よう歌かの音おんなり。 これ (観経) は滅罪めつざいの語ごを陳のぶ。 二に音おんすでに別べつなり。 ゆゑに不ふ同どうなり。

三ニ語トイフ者、彼ノ¬経ノ¼中ニ説カク、地獄ノ痛ム声ハ如シ↢詠歌ノ音ノ↡。罪人聞キ已リテ、如キ↠此クノ好キ処ニ吾当ニシトイフ↠遊ブ↠中ニ。¬観経ノ¼中ニ*讃ジテ言ク、善男子、汝称スルガ↢仏ノ名ヲ↡故ニ諸ノ罪消滅シテ、我来リテ迎フトイフ↠汝ヲ。彼ハ是詠歌之音ナリ。此ハ陳ブ↢滅罪之語ヲ↡。二音既ニ別ナリ。故ニ不同也。

^四しに↑仏ぶつといふは、 かの ¬経きょう¼ (観仏経) に1059、 ª△一切いっさいの火か焔えんは、 化けして玉ぎょく女にょとなる。 罪人ざいにんはるかに見みて、 心しんに歓かん喜ぎを生しょうじて、 «われなかに往ゆかんと欲おもふ» と。 ◇金車こんしゃに坐ざしをはりて、 玉ぎょく女にょを顧かえりみ瞻まばれば、 みな鉄てっ斧ぷを捉とりて、 その身みを折きり截きるº と。 ¬観かん経ぎょう¼ に、 ª▲その時ときに、 かの仏ぶつ、 すなはち化け仏ぶつ・化けの観かん世ぜ音おん・化けの大勢だいせい至しを遣つかはして、 行ぎょう者じゃの前まえに至いたらしむº とのたまへり。

四ニ仏トイフ者、*彼ノ¬経ニイハク¼一切ノ火焔ハ化シテ為ル↢玉女ト↡。罪人遥ニ見テ心ニ生ジテ↢歓喜ヲ↡、我欲ヒテ↠往カムト↠中ニ、坐シ↢金車ニ↡已リテ、顧ミ↢瞻マバレバ玉女ヲ↡、皆*捉リテ↢鉄斧ヲ↡折↢截ストイヘリ其ノ身ヲ↡。¬観経ニ¼言ク、爾ノ時ニ彼ノ仏即チ遣シテ↢化仏・化ノ観世音・化ノ大勢至ヲ↡、至シムトイヘリ↢行者ノ前ニ↡。

^この四しの義ぎをもつて、 准なぞらへて知しれ。 蓮れん華げの来迎らいこうすること、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ の説せつには同どうぜず」 と。 以上

以テ↢此ノ四ノ義ヲ↡准ヘテ知レ。蓮花ノ来*迎スルコト不ト↠同ゼ↢¬観仏三昧経ノ¼説ニハ↡。」 已上

^看かん病びょうの人にんは、 よくこの相そうを了さとりて、 しばしば病びょう者しゃの所しょ有うのもろもろの事じを問とひて、 前さきの行ぎょう儀ぎによりて種々しゅじゅに教きょう化けせよ。

看病之人ハ、能ク了サトリテ↢此ノ相ヲ↡、数バ問ヒテ↢病者ノ所有ノ諸ノ事ヲ↡、依リテ↢前ノ行儀ニ↡種々ニ教化セヨ。

往おう生じょう要よう集しゅう 巻かん中ちゅう

 

延書の底本は京都府青蓮院蔵承安元年書写本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし訓はかなり異なり、 対校諸本によるか。
尽第六別時念仏門 本書の巻中が大文第六の別時念仏までであるという意。
諸経 以下の第四観察かんざつ門もんに引用される経典を指す。
別相観 仏の華座および仏身の相好の一々を観想すること。
尼楼陀精舎 (釈尊の生国) の南にあった庭園。 釈尊がここで父王のために法を説いたので、 精舎 (僧院の意) の語を付して呼ばれる。
七帀 七周。
紺琉璃 琉璃は青色の宝玉で、 瑠璃とも書く。
輪埵 円く盛り上がった耳たぶ。
陀羅尼の人 陀羅尼だらにをたもつ人。
好 随形好ずいぎょうこうのこと。
光沢熙怡 つややかで柔和なこと。
端正皎潔 よくととのって、 きよらかに澄みわたっていること。
五丈 諸本には 「長丈五」 とある。 丈五は一丈五尺。
不共の法 十じゅう八はち不共ふぐ法ほうのこと。
量りのごとくにして 天秤のようにつりあいがとれているという意。
大経 底本 (青蓮院本) には 「大集経」 とある。
口の四の過 妄もう語ご・両りょう舌ぜつ・悪あっ口く・綺語きごの口く業ごうの四悪。
大般若 底本 (青蓮院本) には 「大集般若」 とある。
詞韻和雅 言葉の響きが柔和・優雅であること。
迦陵頻 迦か陵りょう頻びん伽がのこと。
梵音声 仏のきよらかな声。
点相 梵字の伊字の三点に似た形。 「∵」 の形のこと。
欠瓫骨満 のどぼとけの突起がないという意。 あるいは両肩のくぼみがないという意か。
双臂肘 両ひじ。
円 まるみを帯びていること。
千輻の理 千の放射状の輻や (車輪の輻) のような模様。 千せん輻輪ぷくりん相そうのこと。
手摩膝の相 手がひざにまでとどく相。
文綺画に同じ 文様はあやぎぬの画と同じ。
閻浮金 →閻えん浮ぶ檀金だんごん
心相 心臓のありさま。
除却すと 底本 (青蓮院本) には下に 「云々」 の二字がある。
四大不調 病気のこと。 身体を構成する地じ・水すい・火か・風ふうの四大が調和しないと病気になるという。
方円 完全に円満であること。
双腨 両足のふくらはぎ。
翳泥耶仙鹿王 翳泥耶は梵語アイネーヤ (aineya) の音写。 鹿のこと。
趺 足の甲。
棘刺 いばら・とげ。
網轂 網は異本には 「輞」 (車の輪) とある。 轂は車のこしき。
怛 異本には 「坦」 とある。
広相と随好 仏のすぐれた形相の特徴のうち顕著なもの (広相) と微細なもの (随好)。 →相好そうごう
相好の業 相好を得るための業因。
始 底本 (青蓮院本) には 「如」 とある。
清浄勝意楽地 ¬瑜伽ゆが論ろん¼ で菩薩の修道階位を七地に分けるうちの第三の浄じょう心しん地じ。 十地じゅうじの位では初しょ地じに相当する。
菩提の資糧 さとりに至るためのもととなる善根ぜんごん功く徳どく。
六十二の因 父母に供く養ようをし、 有う情じょうを救護する、 尊長を敬い礼拝らいはいする、 などの六十二種の善因。
大丈夫 立派な人。 ここでは仏のこと。
善巧方便 たくみな手段、 方法。
無倒回向 真如しんにょ法ほっ性しょうの理にかなったなにものにもとらわれない回向。
相好間雑して 広相と随好とをまじえて。
総相観 仏身の全体を観想すること。
摂取して… →摂取せっしゅ不ふ捨しゃ
熾然赫奕 さかんに光り暉くさま。
須弥鉄囲 須しゅ弥み山せんと鉄てっ囲ち山せん。
滉瀁浩汗 水が満ちひろがったさま。
三身一体の身 法・報・応の三身さんしんの功く徳どくをそなえた身体。
生ぜず滅せず… 以下の八種の否定は龍りゅう樹じゅ菩薩の ¬中論¼ によったもので、 八不とよばれる。
普門塵数 普門はすべて、 あらゆるの意。 塵数は無数の意。
無尽の法界 すべての存在世界。
心言の路絶えたり 思慮や言語を超えている。
三身即一 法・報・応の三身さんしんがそのまま一であるとの意。
一色一香… すべてのものはことごとく中ちゅう道どう実相じっそうの理のあらわれであるという意。 天台てんだい大師智顗ちぎの ¬摩訶まか止し観かん¼ に見える語。
受想行識 五ご陰おん (五蘊ごうん) のうちの精神面の四。
一体無礙 さわりなく一つに融けあっていること。
雑略観 種々の相好そうごうを略して白毫相びゃくごうそう (眉間にある白色の旋毛) のみを観想すること。
別巻 源信げんしん和か尚しょう撰 ¬阿あ弥陀みだ仏ぶつ白びゃく毫観ごうかん¼ のこと。
極略 きわめて簡略な観想のこと。
行住坐臥語黙作々 歩く、 とどまる、 すわる、 臥ふす、 話す、 黙る。 いかなる場合にもの意。
力無畏 十じゅう力りきと四し無む所しょ畏い。 十じゅう八はち不共ふぐ法ほうの全体を指す。
能施所施 能施は施し与える人、 所施は施しを受ける人。
三際 前際 (過去)・中際 (現在)・後ご際さい (未来)。 三さん世ぜに同じ。
未来際を尽すまで 未来永劫に。
第三の回向 三種回向 (菩ぼ提だい回え向こう・衆しゅ生じょう回え向こう・実際じっさい回え向こう) のうちの第三、 実際回向のこと。 →回え向こう
菩薩 底本 (青蓮院本) には 「菩提」 とある。
願薫じて種となり 願の香りが移り付いて善根ぜんごんの種になるという意。
九世 華け厳ごん教学では、 過去・現在・未来の三世におのおの三世を認めて九世とし、 それらが一つに融合しているという。
無上正等菩提 阿あ耨のく多た羅ら三藐さんみゃく三菩提さんぼだいに同じ。
大荘厳論 現存の ¬大荘厳だいしょうごん論ろん¼ に該当する文はない。 道世どうせい編の ¬諸しょ経きょう要よう集しゅう¼ 巻十に引く ¬大だい菩ぼ薩さつ蔵ぞう経きょう¼ の文によったものか。
妙色財 すぐれた容色と財物。
貪慳積聚して むさぼり、 ものおしみをして (財を) 集めて。
論の文 ¬大だい智度ちど論ろん¼ 巻四六に記す問答の第十を指すものか。
円融無作 無差別平等で、 一切の作為を超え離れていること。
土風に… 日本の仏事法会では、 回向の次第を 「回施えせ法界ほうかい」 「回え向こう大だい菩ぼ提だい」 の順とする。
有相の回向 差別の相にとらわれた回向。
一目の羅… 目の一つしかない網では鳥を捕らえることはできない。 天台てんだい大師智ち顗ぎの ¬摩訶まか止し観かん¼ 巻五にもとづく語。
内外 心と身体。
感禅師は… ¬群ぐん疑ぎ論ろん¼ 巻七に見える説。
通途の所用 通常、 用いられるもの。
摂論等 ¬摂しょう大だい乗じょう論ろん¼ 巻八、 ¬倶く舎論しゃろん¼ 巻二十七など。
他に抄掠せられ 他人にさらわれて。
報の尽くるを期となして 現在のこの身 (報) が尽きるまでという意。
余課を留めざるべし 課は一日に行うべき仕事を定め置くこと。 念仏と読経以外はこの課に入れないようにせよという意。
瑠璃王の行 政務のために修行に専念できない瑠璃王 (波瑠璃王) は、 釈尊の教えによって、 常に木槵子むくろじの数珠を携え、 戦場にあっても仏を念じつづけたという。
四の相 四し修しゅの相。
念観 専念に観察かんざつすること。
外人 余他の人。
行人 (念仏ねんぶつ三昧ざんまいの) 行者。
無利の勤苦 なんの利益もない苦しい勤め。
無量清浄覚経に… 引用は ¬無む量りょう清浄しょうじょう平びょう等覚どうがく経きょう¼ 巻二の文にもとづいた迦か才ざいの ¬浄土論¼ 巻下の文。
戒定智慧解脱知見 戒・定・慧・解脱・解脱知見の五ご分ぶん法身ほっしんのこと。
力無所畏不共の法 十力じゅうりきと四し無む所しょ畏いを始めとする十じゅう八不共法はちふぐほうのこと。
劫寿 一劫の寿命。
前の九号 如来の十号のうち仏世尊以外の九号。 →如にょ来らい十じゅう号ごう
つぶさに悉する 完全に理解するの意。
成ぜんと 諸本には次下に細註で 「首楞厳経しゅりょうごんきょうの文は下の料簡門りょうけんもんのごとし」 とある。
学無学の人 仏道においてなお学ぶべき余地を残す (有う学がく) 者と、 もはや学ぶべきことのない (無む学がく) 者。
相 仏のすぐれた形相の特徴のうちの顕著なもの。 →相好そうごう
梵音声 仏のきよらかな声。
慈門 慈悲心の功く徳どく。
刹塵数 刹は梵語クシェートラ (kṣetra) の音写で国 (土) の意。 国土を微み塵じんにしたほど数が多いということ。
ある仏 底本 (青蓮院本) には 「仏」 の字なし。
道人 仏道を修める人。
登時 その時。
よく害するものなし 仏は何者によってもそこなわれることがないという意。
閻魔天宮 閻魔天は夜摩やま天てんに同じ。
善趣の楽世界 六道のうちの地獄・餓鬼がき・畜ちく生しょうを悪趣、 悪世界というのに対し、 天・人・修しゅ羅らを善趣、 楽世界という。
乳蘇 牛乳を精製してつくった生蘇しょうそや熟蘇じゅくそ。
陶家の輪 陶器をつくるための轆ろく轤ろ。
棗葉 なつめの葉。
随類化現 衆しゅ生じょうの根こん機き (素質能力) に応じて姿を現すこと。
四事 無む能害者のうがいしゃ・飛ひ行ぎょう自じ在ざい・神じん力りき無礙むげ・随類ずいるい化け現げんの四。
神境通 神足じんそく通つうに同じ。
法界を究竟し 存在世界のすべてにゆきわたり。
遍法界の身 存在世界に遍満している身体。
天眼明徹 三世十方のすべてを明らかに見通すこと。
小千国土 一須しゅ弥み山せん世界を千集めたもの。 →三千さんぜん大千だいせん世せ界かい
聞声自在 衆しゅ生じょうの声を自由自在に聞きわけること。
知他心智 他人の心のありさまを明らかに知る智慧ちえ。 他た心しん智ち。
無色 三界の一の無む色界しきかいのこと。
宿住随念智 過去世のありさまを自在に知る智慧。 宿命しゅくみょう智ち。
智慧無礙 智慧のはたらきが自由自在であること。
六波羅蜜経に… 引用は ¬六波羅蜜経¼ の文ではなく、 ¬大だい宝ほう積しゃく経きょう¼ 巻三十七の文。
四洲 四し大だい州しゅうに同じ。
布施波羅蜜多 六ろっ波羅ぱら蜜みつのうちの布施ふせ。
浄戒波羅蜜多 六ろっ波羅ぱら蜜みつのうちの持じ戒かい。
繋属一生の菩薩 一生いっしょう補ふ処しょの菩薩に同じ。
処非所智 理にかなうことと背くことを明瞭に知る智ち慧え。
烏波尼沙陀分 烏波尼沙陀は梵語ウパニシャッド (upaniṣad) の音写。 数の極少の意。
能調伏心 思いのとおりに心を制御する能力。
一縁 ひとつの対象。
大梵王 →梵天ぼんてん
仏覚三昧 仏のようなさとりの境地。
常在安慧 つねに安らぎの智慧ちえに住していること。
先に知りて (真実の理を) すでにさとって。
動性 動揺する性質。
無余涅槃 ここでは仏の入にゅう滅めつの意。
諸受 さまざまな感受作用。
起・住 起は生起、 住は存続。
諸想諸触諸覚諸念 想は感受したものを表象すること、 触は接触感覚、 覚はものごとを推し測る心、 念は記憶作用。
短 欠点。 短所。
粗動なる覚観の心 粗雑で動揺する覚想の心。 覚はものごとを推し測る心、 観は覚よりも細密に尋ね知る心。
盲聾 →補註10
接 迎接こうしょう。 迎えとって浄土に導き入れること。
無礙弁舌 自由自在に教えを説く能力。
四の問答 四記答のこと。 他人の問に対して答える四つの形式。 直ちに肯定する一向いっこう記き、 問を分析して、 一々いちいちに諾否を与える分別ふんべつ記き、 反問して問意を確認し答える反詰はんきつ記き、 答えるべきものでない問を捨て置く捨しゃ置ち記きの四をいう。
神力不共の法 仏のみにそなわる不思議な威い神じん力りきの徳。
比喩経の… 引用に該当する文は現行の ¬比喩ひゆ経きょう¼ に見出せない。
無上道の意 この上ないさとりを求める心。 菩ぼ提だい心しんに同じ。
心言の路絶えたり 思慮や言語を超えている。
一実境界 一如いちにょ平びょう等どうで真実なるさとりの世界。 →一実いちじつ
無障無礙 いかなるさまたげもないこと。
無染寂静 煩悩ぼんのうのけがれがなく絶対の平安であること。
我我所 固定的な自己と自己に所属するものがあるという誤った見解。
本有の性 本来具えている真如しんにょ法ほっ性しょうの性質。
総観仏徳 総じて仏の功く徳どくを観ずること。
尺寸 ものさし。
この三昧 般はん舟三昧じゅざんまいのこと。 この三昧が成就すれば、 十方の諸仏が行者の前に立ち現れるという。
定意 般はん舟三昧じゅざんまいの異名。
大千の猛火聚 三千大千世界に満ちわたる猛火のかたまり。
勤心の方便 心をはげますためのてだて。
六種の法 持じ戒かい不犯ふぼん等の五事に読誦どくじゅ大だい乗じょうを加えていう。
邪念 底本 (青蓮院本) には 「邪命」 とある。
匱乏飢凍して 貧窮し、 飢えて寒さにふるえて。
阿耨菩提の記を授け →授じゅ記き
馬井 馬師めしと井宿しょうしゅく (満宿) のこと。 釈尊在世当時、 徒党を組んで、 いつも誤った行いをした六人の比丘のうちの二人。
二 経を読誦することと、 説きひろめること。
実に… 法身ほっしんを明らかにさとる智慧ちえ (了因) と名づけるという意。
余に… 報身ほうじん・応身おうじんを生みだすもと (生因) と名づけるという意。
六種の法 →六法ろっぽう。
この三昧 般はん舟三昧じゅざんまいのこと。
請 特別の招待。
諂誑不浄の心 他人にへつらいあざむく、 煩悩ぼんのうにけがれた心。
白衣と厚善し 白衣は在俗者のこと。 在俗者と親しくつきあい。
粗強の惑業 あらあらしい煩悩ぼんのう。
覚了 底本 (青蓮院本) には 「学了」 とある。
無安衆の心 無安衆しゅ生じょうの心。 衆生を安らかにすることのない心。
四弘 →四弘しぐ誓願ぜいがん
この六法 遠離貪着自身心・遠離無安衆心・遠離供養恭敬自身心・無染清浄心・安清浄心・楽清浄心の六。
好厳の形像 厳かですぐれた仏像。
悪念思惟の障 悪しき思念の障。
縁 ¬次第禅門¼ の原文によって 「縁」 の字を付け加えた。
心数 心のはたらき。
境界逼迫の障 対象の世界が来きたり迫って、 心のはたらきが閉塞すること。
別相の治 個々の煩悩ぼんのうを対治する方法。
通の治 煩悩を総括して対治する方法。
大僻 死刑。
執意 (浄観を修する) 心構え。
四句 →四句しく分別ふんべつ
心・縁 内なる心・外なる縁。
心境 心と外境 (外縁)。
波羅蜜門 ここではさとりに至った仏の功く徳どく智慧ちえのこと。
一体無礙 さわりなく一つに融けあっていること。
智火の分 智慧ちえの火の持ち分。
通別の対治 煩悩を総括して対治する方法 (通治) と個々の煩悩を対治する方法 (別治)。
もし 底本 (青蓮院本) には 「設若」 とあるが、 「若」 は衍えん字じ。
理の懴悔 理は事 (具体的な事物) に対する語で、 普遍的な真理の意。 罪業が本来空くう不可得であることを体得するための懴悔。
真性の源 真如しんにょ法ほっ性しょうの根源。
和合 因縁いんねん和わ合ごう。 因と縁が結び合っていること。
真体 真実なるすがた。
大円鏡 →大円だいえん鏡きょう智ち
宝所 仏のさとりの世界を宝のある場所に喩えていう。
汎爾 一般的。 通常。
理の懴 理の懴さん悔げ。 理は事 (具体的な事物) に対する語で、 普遍的な真理の意。 罪業が本来空くう不可得であることを体得するための懴悔。
少不善の業道 わずかな不善の行為。
発起 菩ぼ提だい心しんをおこすこと。
日の初分 日の初分を朝、 中分を昼、 後分を夜とする。
戒身 戒体のこと。 受戒じゅかいによって得られる防悪の力用。 これを戒の本質とする。
開遮の戒 戒のうち許されるもの (開) と禁じられるもの (遮)。
仏の種智 一切いっさい種智しゅちのこと。
戒律のなかの戒 遮戒しゃかいのこと。 必要に応じて仏が特に制止した戒。 これに対して、 仏の制止にかかわらず、 本来罪となるものをいましめたのを性戒しょうかいという。
十悪輪罪 一切の善根ぜんごんを破壊するという十種の悪業。 ¬地蔵じぞう十輪経じゅうりんぎょう¼ の原文には、 十悪輪、 十種悪輪とある。
般若経 ¬理り趣しゅ般若はんにゃ経きょう¼ のこと。
転重軽受 重い罪を転じて軽く受けること。
随転理門 真実理門の対。 根こん機き (素質能力) に応じて説かれた方便の法門。
別時の懴悔 特別に期間を定めて行う懴悔の方法。
黒悪を発露す 罪をあらわに告白する。
現生後業 ①順現じゅんげん受業じゅごう (現世の業の報を現世で受ける)、 ②順次じゅんじ受業じゅごう 。(次生で報を受ける)、 ③順後じゅんご受業じゅごう (第三生以後に報を受ける) の三時業のこと。
去来今 過去・未来・現在。
常行三昧法華三昧 天台てんだい大師智顗ちぎ (538-597) の ¬摩訶まか止し観かん¼ に説かれる四種三昧のうちの二種。 ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ によって、 九十日間、 阿弥陀仏を唱念し、 その像の周囲を不断に回り歩く行法を常行三昧といい、 ¬法華ほけ経きょう¼ によって、 二十一日間、 坐禅と行道 (仏座の周囲を回り歩く) を繰り返す半行半座の行法を法華三昧という。
真言教 密みっ教きょうのこと。
善権安楽の行 善ぜん巧ぎょう方便ほうべん (たくみなてだて) による心安らかな修行。 「善権」 は異本に 「善根」 とある。
正衣束体 衣服をただして、 体をととのえること。
道徳 仏法の正しい徳。
無上の慧 この上ない仏のさとりの智慧ちえ。
有の見・無の見 有う見けんと無む見けん。 両極端に偏った誤った見解。
禅 底本 (青蓮院本) には 「神」 とある。
三空の門 →三さん解げ脱だつ門もん
六種の識 六識ろくしきのこと。
着 執着すること。
毒屑 毒の粉末。
実の魔・権の魔 本来の魔と仮に魔のすがたを現しているもの。
三業を護る 戒によって身しん口意くいの三業さんごうをまもりつつしむという意。
往生の業は念仏を本となす 「本」 は宗要、 かなめの意。 法然上人はこの文によって ¬選択集¼ (親鸞聖人伝授本) の標宗ひょうしゅうの文を記された。
薫習熟利 薫習は香気を移すように他のものにその性質を移し付けること。 ここでは念仏行が次第に心にしみついてゆくことをいう。
止の善 止善。 悪を制止すること。 行善の対。
行の善 行善。 積極的に善を行うこと。 止善の対。
尋常の別行 平生へいぜいに特定の期日を定めて行う念仏。
臨終の行儀 臨終時に行う念仏の作法。
加念 底本 (青蓮院本) には 「加命」 とある。
四根本罪 四重禁しじゅうきんのこと。
願を…たまふ ¬般若経はんにゃきょう¼ の原文に 「使願満足」 とあるのによった。 底本 (青蓮院本) には 「便願満足」 (すなはち願満足せん) とある。
無辺類の身 数限りない種類の身体。
無失念 失われることのない記憶力。
無漏離垢 煩悩ぼんのうのけがれを離れていること。
得一切法自在平等 すべてのものにおいて自由自在・平等無差別であること。
身の開遮 身業に許されることと禁じられること。
口の説黙 口にすべきことと黙すべきこと。
意の止観 心の中で観じてはならないこと (止) と、 観じなければならないこと (観)。
翻じて 翻訳して。
住処 「仏の威力・三昧さんまい力りき・本ほん功く徳どく力りき」 がそなわった状態。
初禅二三四 四し禅ぜんのこと。
別請 特別の招待。
内外の律 内外は大乗・小乗の意。 または内心・外相の意か。 律は教団の生活規則のこと。
妨障を開除する (仏道修行の) さまたげをとり除く。
世間の想欲 俗世間の想いや願望。
坐食左右 食事と大小便。
逆に縁じ 仏の相好を下から上の順に観想してゆき。
頂相 無む見けん頂ちょうに同じ。
順に縁じ 仏の相好を上から下の順に観想してゆき。
三菩提 阿あ耨のく多羅たら三藐三さんみゃくさん菩ぼ提だいの略。
色・識 色・受・想・行・識の五ご陰おん (五ご蘊うん)。
行人 (常行じょうぎょう三昧ざんまいの) 行者。
仏印 仏の真髄。 印は決けつ定じょうして変ることがないという意。
相体相業相果相用 色相の本体。 色相成就の業因。 その業因の果としての色相そのもの。 色相のはたらき。
四十の不共の法 仏にのみそなわっている四十種類の特質。 通常は十八の不共法を立てる。 →十八じゅうはち不共ふぐ法ほう
実相の仏 法身ほっしんのこと。 真しん如にょ実相そのものである仏身。
鼻の人 鼻を病む人。
瞻病送終の篇 看病や葬送について説いた部分。
中国の本伝 元がん照じょうの ¬四し分ぶん律りつ行事鈔ぎょうじしょう資持記しじき¼ では、 ¬六ろく祖そ檀経だんぎょう¼ にいう 「別伝」 を指すとする。
五綵の幡 五色の布。
ある説 道世どうせい編の ¬法苑珠ほうおんじゅ林りん¼ 巻九五、 ¬諸経要集¼ 巻十九に記す説か。
神変の作意 心の不思議なはたらき。
仏子 以下、 臨終の念仏行者に対しては、 「仏子」 という言葉で呼びかける。
法喜禅悦 教えを聞くよろこびや禅ぜん定じょうのよろこび。
海会 海のように広大な説法の会座。
仏母 般若はんにゃ波羅はら蜜みつは三世の諸仏を生む母であるから仏母という。
八万十二 八万四千の法門 (無量の教え) と十じゅう二部にぶ経きょう。
随逐護念 聖者がつねにつきしたがって、 悪鬼悪神等から行者をまもるということ。
法性は… 真如しんにょ法ほっ性しょうは無差別平等であるけれども、 仮の差別相を離れたものではない。
一眼の亀の… 大海中に住む一眼の亀が、 百年に一度、 海上に顔を出し、 そこに流れてきた板のあなに出遇うことが極めて困難であるように、 仏法に遇うこともきわめて難しいという意。
摂取して… →摂取せっしゅ不ふ捨しゃ
境界と… →三愛さんあい
引接擁護 行者を浄土へ導きまもること。
八功徳池 八はっ功く徳どく水すいの浴池。
一の事 「願はくは仏、 かならず引いん接じょうしたまへ」 の句。
攀縁 外界の事物による心の乱れ。
偃坐 諸本によって 「偃」 の字を補う。 偃坐は臥ふすも坐すもの意。
火車 「火華」 の誤りか。 ¬群ぐん議ぎ論ろん¼ の原文では 「火華」 とある。
底本は◎京都府青蓮院蔵承安元年書写本。 Ⓐ神奈川県最明寺蔵平安時代書写本、 Ⓑ大阪府出口順得氏蔵建保四年刊本(上巻本末)、 愛知県専光寺蔵建保四年刊本(中巻本末・下巻本末)、 Ⓒ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)建長五年刊本、 Ⓓ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓔ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 なお、 別の読み方がされている右訓は割愛した。
娑→ⒷⒸ沙
相→ⒷⒸ相[云云]
相→ⒹⒺ想
画→ⒸⒹ尽
土→Ⓑ上
各→Ⓔ各[各]
褫→ⒶⒷⒹⒺ
釈→Ⓐ釈[迦]
琉→ⒶⒷⒸ瑠
蠡→Ⓐ螺
経 ⒷⒸになし
画→Ⓓ尽
就→Ⓐ熟
十→ⒹⒺ十[億]
与→ⒹⒺ為
亦 Ⓔになし
注→Ⓐ注[之]→Ⓓ住
好→Ⓔ妙
无 Ⓓになし
紺→Ⓐ鉗
流→ⒶⒷⒸ瑠→琉
覩→ⒸⒹ兜→Ⓔ都
琉→ⒶⒷⒸ瑠
放→Ⓐ放[光]
五丈→ⒶⒷⒸⒹⒺ長丈五
経→ⒷⒸⒹⒺ径
三→Ⓔ二
或→ⒶⒹⒺ或[説]
蜜→Ⓒ密[説]
或→ⒹⒺ或[説]
法→Ⓒ法[説]
経 Ⓑになし
毫→Ⓓ豪
如→ⒶⒹⒺ若
鬚→ⒶⒷⒸⒹ鬢
経 Ⓑになし
求→ⒶⒷⒸⒹⒺ求[於]
増→ⒶⒷⒸⒹ憎
紺→Ⓐ紺[青]
々 Ⓐになし
鋌 ◎挺チャウ テイ と上欄註記
之 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
珞→Ⓑ珞[也]
河→ⒶⒷⒸⒹⒺ珂
大→◎大[集]
云々 ⒶⒹⒺになし
生→ⒷⒸⒹⒺ出
集→ⒸⒹⒺ集[経]
四→ⒶⒸ二
之 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
画→Ⓒ尽
集→ⒶⒷⒸⒹⒺ集[経]
滴→ⒶⒷⒹⒺ適
大→◎大[集]
瑠→ⒹⒺ琉
随→ⒷⒸ隋
集→ⒶⒹⒺ集[経]
欠→Ⓔ鈌
分→ⒹⒺ[光]分
項→Ⓔ頂
平整→Ⓓ十衆
相→Ⓐ相[之]
輻→Ⓔ軸
像→ⒷⒸⒺ象
所→Ⓔ諸
集→ⒶⒸⒹⒺ集[経]
伽→Ⓐ珈
指 Ⓓになし
相→Ⓐ相[之]
斂→Ⓔ歛
大→ⒹⒺ大[集]
覩→ⒷⒸ都
苦→若
獷→Ⓔ儣
捩→ⒶⒷⒸⒹⒺ悷
実→Ⓔ宝
瑠→Ⓓ琉
量→Ⓓ生
観 Ⓓになし
大→Ⓐ丈
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
周→Ⓔ団
集→ⒹⒺ集[経]
瑜→Ⓓ踰
僂 ◎倭ヰイと上欄註記→Ⓐ倭
服 ⒷⒸになし
陰→ⒷⒸ陰[馬]
多→ⒹⒺ亦
故 ⒷⒸになし
道→ⒷⒸⒹⒺ導
即→Ⓐ即[止]
息→ⒷⒸⒹⒺ止
徳→Ⓐ徳[也]
観→ⒹⒺ視
処→Ⓔ所
璅→鏁
伽→Ⓐ珈→Ⓒ加
人 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
膊→膞
相→Ⓑ相[之]
上→Ⓓ土
化 ⒶⒷⒸになし
云→Ⓔ曰
去→ⒹⒺ失
網→ⒷⒸ輞
轂→ⒶⒹ穀→Ⓔ縠
父→Ⓓ文
却→ⒶⒹⒺ[除]却
怛→ⒷⒸ坦
網→Ⓔ綱
細→Ⓓ網
如→ⒶⒷⒸⒹⒺ始
随 Ⓔになし
感→Ⓐ滅
者→ⒷⒸⒹⒺ者[也]
想一事→ⒹⒺ一事想
道→ⒶⒷⒸⒹⒺ導
相→◎想
観→ⒶⒷⒸⒹⒺ観[如前]
各 Ⓔになし
之 Ⓐになし
浩→Ⓐ洪
唯→Ⓔ只
亦 ⒹⒺになし
於 Ⓐになし
観→Ⓓ視
耳 Ⓐになし
也 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
一→ⒶⒺ一[非]
非→Ⓔ不
三→ⒹⒺ三[悪]
千→Ⓐ千[相]
又 ⒷⒸになし
就→Ⓐ熟
即→ⒶⒷⒸⒹⒺ即[是]
無量 ⒹⒺになし
辨→ⒷⒸ弁
已上 ⒹⒺになし
慧→ⒶⒷⒸ悲→ⒹⒺ恵
之 ⒹⒺになし
耶 Ⓐになし
号→Ⓐ字
門 ⒷⒸになし
向→Ⓐ向[无上]
善→Ⓔ善[根] ⒶⒷⒸⒹになし
提→ⒶⒷⒸⒹⒺ薩
任運→Ⓒ住蓮
云々 ⒶⒹⒺになし
亦→ⒷⒸ又
又 ⒹⒺになし
已上 ◎「若」の上に割書
云々 ⒹⒺになし
末→Ⓔ未
巨→◎Ⓓ臣
相 Ⓑになし
明→ⒷⒸⒹⒺ成
我→Ⓐ乗
行要→Ⓒ要行
辨→Ⓑ弁→Ⓒ辦
香花→ⒶⒷⒸⒹⒺ花香
暗→ⒶⒷⒸⒹⒺ闇
時…等25字→Ⓐ専用木槵子菩提子
珠→Ⓔ殊
者 Ⓐになし
導→Ⓐ道
啼→Ⓔ涕
痢→Ⓔ利
導→ⒹⒺ導[禅]
西→ⒶⒷⒸⒹⒺ西[方]
忽→Ⓐ怱
帰→Ⓔ帰[本]
耶→Ⓐ邪→ⒷⒸ
云々 ⒶⒹⒺになし
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
日→ⒶⒷⒸⒹⒺ昼
無→Ⓐ先
之 Ⓐになし
日→Ⓔ口
云々 Ⓐになし
若 ⒹⒺになし
又 Ⓐになし
才→Ⓐ才[師]
浄土論 Ⓐになし
逝→Ⓓ遊
之→ⒷⒸⒹⒺ之[云々]
弘 Ⓐになし
王 ⒹⒺになし
狐→ⒶⒹ孤
陀→ⒹⒺ陀[仏]
心→ⒷⒸ心[云々]
綽和尚 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
曠→Ⓐ瞻
奮→ⒷⒸ奪
無→Ⓐ先
間→Ⓔ問
慧→Ⓐ恵
至→Ⓐ至[心]
已上→Ⓐ云々
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ或[唱念]
者 Ⓐになし
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
即 Ⓐになし
彼…本30字 Ⓐになし
云但→ⒷⒸⒹⒺ但云
等→ⒷⒸⒹⒺ等[云々]
彼→ⒷⒸ彼[之]
信→ⒹⒺ信[受]
小…九15字 ⒷⒸになし
励 Ⓐになし
料→Ⓐ断
問何等功徳答其事无量 ⒶⒷⒸⒹになし
量→Ⓔ辺
大→ⒶⒷⒸⒹⒺ本
船 Ⓓになし
若→Ⓐ若[有]
心→Ⓐ[又]心
岸→Ⓐ岸[已上]
慧→Ⓐ恵
已上 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
摩→ⒶⒷⒸⒹⒺ摩[経]
製→Ⓐ制
号→ⒶⒷⒸⒹⒺ名
提→ⒷⒸⒹⒺ提[首楞厳経文如下料簡門]
当→Ⓐ当[得]
三→ⒹⒺ三[仏]
切→ⒹⒺ切[随]
切 Ⓐになし
毫→Ⓐ豪
旋→ⒹⒺ遶
毫→ⒶⒹ豪
髻→Ⓐ髻[相]
又 Ⓐになし
仮→Ⓐ設
云々→ⒶⒷⒸⒹⒺ已上
厳→ⒷⒸ厳[経]
應…相14字 ⒷⒸになし
謂 Ⓐになし
仏 ⒹⒺになし
仏→ⒹⒺ仏[也]
有→ⒷⒸⒹⒺ有[仏]
円→◎国
意同之経 ⒹⒺになし
云→Ⓐ云[云]
対→Ⓐ数
炎王光→Ⓐ光炎王
玄 ⒷⒸⒹⒺになし
慧→ⒶⒹⒺ恵
我→Ⓐになし
等→ⒹⒺ等[覚]
光→ⒹⒺ光[明]
垂→Ⓐ乗
浅→ⒸⒹⒺ賎
略抄 Ⓐになし
厳→ⒶⒹⒺ厳[経]
云→Ⓐ曰
雲→ⒹⒺ明
明 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
万→Ⓒ方
砕→Ⓔ辟
末→ⒷⒸⒹ未
者→ⒷⒸⒹⒺ者[已上]
云→ⒷⒸ曰
應…身14字 ⒷⒸになし
大→Ⓔ人
於→Ⓐ[或]於[仏]
輻→Ⓓ福
盤→ⒷⒸ磐
恵→ⒶⒷⒸⒹⒺ慧
應…土14字 ⒷⒸになし
力→ⒹⒺ通
末→ⒸⒹ未
界→Ⓐ界[皆]
合→Ⓓ令
説→Ⓐ説[諸仏]
河 Ⓐになし
又…嬈40字 ◎別筆補記 ⒷⒸになし
鋒→◎鉢
棗→Ⓓ来→Ⓔ稾
無→ⒶⒹⒺ無[所]
菩薩尚爾何況仏力故 Ⓐになし
菩…至26字 ◎別筆補記
毛→Ⓓ手
作→Ⓔ住
惟→ⒷⒸ惟[云々]
厳→Ⓐ変
我→ⒶⒷⒸⒹⒺ我[於]
如 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
施→ⒷⒸ施[作]
也 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
慧→Ⓐ恵
死→Ⓐ死[時]
聞声→Ⓔ声聞
経 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
別→ⒶⒹⒺ別[已上]
所有 ⒶⒹになし
経 ⒶⒹⒺになし
達→ⒷⒸ達[已上]
作 Ⓐになし
姓→Ⓐ性
応念願仏令我宿業清浄 ⒷⒸになし
慧→ⒶⒹⒺ恵
墨→Ⓔ黒
其→ⒶⒷⒸ某
伽 Ⓐになし
浪→ⒶⒸ限
澓→Ⓔ渡
又 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
无…云 △44字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
洲→Ⓔ州
慧→ⒹⒺ恵
慧→ⒶⒷⒸⒹⒺ恵
慧→ⒷⒸⒹⒺ恵
恵→Ⓐ慧
就→ⒶⒹ熟
生→ⒷⒸⒹⒺ生[補処]
菩薩 ⒷⒸになし
恵 ⒶⒷⒸになし
其 Ⓐになし
及→ⒶⒷⒸ及[已上]
云→ⒹⒺ言
應…業13字→Ⓐ応念
念→ⒷⒸ念[今]→ⒹⒺ念[願今]
如来 ⒹⒺになし
知 Ⓐになし
隠→ⒷⒸⒹⒺ穏
受→Ⓐ度
想→ⒶⒹⒺ相
逐→Ⓐ遂
兢伽→ⒹⒺ恒河
入→Ⓓ人
同→[又]同
則→ⒹⒺ即
悲 Ⓐになし
被→ⒹⒺ被[引]
七→ⒹⒺ七[仏]
弁→Ⓔ辨
如 ⒷⒸⒹⒺになし
千→ⒶⒷⒸⒹⒺ千[世]
就→ⒶⒹ熟
慧→ⒶⒹⒺ恵
力→ⒶⒷⒸⒹⒺ力[皆]
毫→ⒶⒹⒺ豪
釐→ⒷⒸ氂
云→ⒹⒺ云[問]
門→ⒷⒸⒹⒺ問
超→Ⓐ起
厳→ⒶⒷⒸⒹⒺ厳[経]
聞→Ⓐ周
則→ⒹⒺ即
音→ⒷⒸ音[声]
髣→Ⓓ髪
三 ◎世イと右傍註記
弁→Ⓔ辨
益→ⒶⒷⒸⒹⒺ楽
言→Ⓔ云
幻→ⒹⒺ幼
念→Ⓓ分
身→ⒶⒷⒸⒹⒺ身[也]
慧→ⒶⒷⒸ恵
説→ⒶⒷⒸⒹⒺ説[不可説]
諸→Ⓐ讃
応念願我得仏斉正法王 ⒷⒸになし
文→Ⓐ父
舟→Ⓐ丹
学→Ⓐ覚
云→ⒷⒸⒹⒺ言
隣→ⒷⒸ憐
鬚髪→ⒶⒹⒺ髪鬚鬚→ⒷⒸ鬢
術→Ⓐ衍
彼→ⒶⒷⒸ彼[已上]
誦→Ⓐ誦[如説]→ⒸⒹⒺ誦[如説修]
是→ⒹⒺ此
値 Ⓐになし
択→Ⓐ釈→Ⓓ檡
種々→Ⓐ種之
廃→ⒶⒹ癈
慧→Ⓐ恵
道→ⒷⒸ道[云々]
就→Ⓐ熟
二→ⒶⒷⒸⒹⒺ二[者]
疾々→ⒹⒺ速疾
已上 ⒷⒸになし
戒→Ⓔ或
品→ⒹⒺ已
命→ⒶⒷⒸⒹⒺ念
法 Ⓐになし
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
衆→ⒹⒺ衆[生]
此→Ⓔ是
令→Ⓔ今
又…離33字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
恚→ⒹⒺ恚[又或処説云能損大利莫過瞋一念因縁悉焚滅倶胝広劫所修善是故慇懃常捨離]
又 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
号→Ⓔ啼
倶→ⒹⒺ
聞→Ⓓ問
末→ⒸⒹ未
授→Ⓓ援
旃→ⒷⒸ栴
則 ⒹⒺになし
以→ⒹⒺ以[則]
銷→ⒹⒺ消
井→Ⓐ菩薩(生と右傍註記)
就→Ⓐ熟
経 ⒷⒸになし
火求→ⒶⒷⒸⒹⒺ求火
火→Ⓔ一
嫉→Ⓐ嫉[妬]
云→ⒶⒷⒸⒹⒺ言
養→Ⓐ益
教→ⒶⒷⒸⒹⒺ孝
妄→ⒶⒹ忘
恵→ⒷⒸ慧
種法→ⒹⒺ法種
毘 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
沙→Ⓐ娑
憍→Ⓐ矯→Ⓓ
之 ⒹⒺになし
何今→Ⓐ今何→ⒹⒺ問今何
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
学→ⒶⒷⒸⒹⒺ覚
不顕→ⒹⒺ顕不
云 ⒹⒺになし
如→Ⓓ始
已上→ⒷⒸ云々
正→Ⓑ止
相→Ⓔ想
慧→ⒶⒹⒺ恵
衆→Ⓔ衆[生]
者 Ⓐになし
具→ⒶⒹⒺ具[足]
尽→ⒷⒸ昼
毫→Ⓓ豪
勝→ⒷⒸⒹ縁→勝[縁]
陋→ⒶⒹⒺ
人→ⒷⒸ人[之]
責→ⒷⒸ嘖
慧→ⒶⒹⒺ恵
撃→ⒹⒺ繋
妄→ⒶⒹ忘
滅 ⒹⒺになし
急→ⒶⒷⒸⒹⒺ忽
応常→ⒹⒺ常応
脱→ⒹⒺ脱[云々] Ⓐ云と右傍註記
水→ⒹⒺ氷
氷→ⒹⒺ水
処→ⒷⒸⒹⒺ処[云々]
恵→ⒷⒸ慧
蒙→Ⓓ家
壊→Ⓓ懐
耶 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
若 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
口→ⒶⒹⒺ口[意]
懴→Ⓐ懴[悔]
或→Ⓓ戒
相 ⒶⒷⒸⒺになし
此→ⒷⒸ是
敬→Ⓑ拝
礼→Ⓐ礼[敬]
陀→ⒹⒺ陀[仏]
相→Ⓔ根
蔽→ⒷⒸⒹⒺ弊
怠→Ⓓ息
慧→ⒹⒺ恵
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
是→ⒹⒺ是[若]
劫→Ⓐ却
返→ⒶⒹⒺ遍→ⒷⒸ徧
妄→Ⓐ忘
直→ⒹⒺ真
去→Ⓔ未
又 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
何→Ⓓ阿
悔→ⒹⒺ悔[能]
是→Ⓔ其
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
戒→Ⓐ或
戒→ⒶⒺ或
若…壊26字 ◎別筆補記
戒→Ⓔ或
也 ⒶⒹⒺになし
可→Ⓐ可[云]
悔 Ⓑになし
読→Ⓒ請
説→Ⓐ脱
此 Ⓐになし
罪 Ⓐになし
尽 Ⓐになし
各有 Ⓐになし
生→Ⓔ世
後→ⒶⒹⒺ後[自作教也(ⒹⒺ使)見(ⒹⒺ見作)随喜也]
業 Ⓐになし
界→Ⓐ界[三毒三品]→ⒹⒺ苛三毒三品
也 ⒶⒺになし
切→Ⓓになし
歓→Ⓐ観
権→Ⓔ根
道→Ⓐ道[已上]
勒 Ⓓになし
慧→Ⓐ恵
悪→ⒷⒸ悪[事]
善→ⒶⒷⒸ善[事]
閲叉→Ⓔ又
神→ⒶⒷⒸⒹⒺ禅
中→ⒶⒷⒸⒹⒺ中[云々]
二→Ⓓ二[中]
→Ⓔ戚
悲 Ⓑになし
恵→ⒶⒷⒹⒺ慧
法→ⒹⒺ法[已上]
彼→Ⓐ彼[大]
云→Ⓑ去
権→Ⓔ推
未→ⒶⒺ末
止→ⒹⒺ正
日→Ⓐ日[法]
観念門 ⒹⒺになし
止→ⒹⒺ正
開→Ⓔ門
陀 ◎になし
比→Ⓑ此
湯→ⒶⒷⒸⒹⒺ湯[掃]
日 ⒹⒺになし
菜→ⒷⒸ啋
己身→Ⓔ已来
命→Ⓒ念
卽…説30字→◎即チ得ム↧延ベ↠年ヲ転ジテ↢長命ニ↡安楽ノ因縁ヲ↥。一々ニ具ニ如シ↢¬比喩経¼・¬惟无三昧経¼・¬浄度三昧経¼等ニ説クガ↡。
命→Ⓓ命[多]
度 Ⓐ土と右傍註記
号→Ⓔ啼
闇→Ⓐ間
毫→ⒶⒷⒸ毛
文→Ⓓ観 ⒷⒸⒺになし
之 ⒶⒹⒺになし
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
便→ⒶⒷⒸⒺ使
返→ⒶⒷⒸⒹⒺ遍
矣→Ⓒ美
十→Ⓔ七
明 ⒷⒸになし
翻→Ⓐ番
娑→ⒶⒷⒸⒹⒺ沙
悕→ⒶⒷⒸⒹⒺ希
当→ⒹⒺ常
期→Ⓓ勘
項→ⒹⒺ頃
三月終竟→Ⓐ終竟三月
阿 ⒷⒸになし
身→ⒹⒺ[心]身
慧→ⒹⒺ恵
何→Ⓐ所
有→Ⓐ即
其→ⒹⒺ某
勧→ⒶⒷⒸⒹⒺ歓
又→ⒶⒷⒸⒹⒺ又[如]
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ之
瑠→ⒶⒹⒺ琉
想→ⒹⒺ相
有→ⒹⒺ有[念]
娑→ⒷⒸⒹ沙
人→ⒹⒺ又
慧→Ⓐ恵
項→ⒶⒹⒺ頃
辺→ⒶⒷ量
嗅→ⒶⒹⒺ臭
々 ⒹⒺになし
就→ⒶⒹⒺ熟
勧→観
日→Ⓐ曰
屎尿→ⒷⒸ尿屎
西→ⒶⒷⒸ西[方]
導→Ⓓ道
者 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
堕→ⒶⒹ随
想→ⒶⒷⒸⒹⒺ相
就→Ⓐ熟
准→Ⓓ唯
預→ⒷⒸⒹⒺ予
随→Ⓐ随[典]
奏 ◎湊イと上欄註記→ⒶⒷⒸⒹⒺ湊
弁→Ⓒ辦→Ⓔ辨
暁→Ⓓ繞
返→ⒶⒷⒸⒹⒺ遍
為善根為結縁 Ⓓになし
希→ⒷⒸⒹⒺ悕
蓮→ⒷⒸ蓮[華]
土→ⒶⒷⒸⒹⒺ土[之]
妄→Ⓐ忘
妄→ⒶⒷⒸⒹⒺ忘
仏子応→ⒷⒸ応仏子
摂→ⒶⒷⒸⒹⒺ接
作→ⒶⒷⒸⒹⒺ生
南无三世十方一切諸仏 ⒷⒸになし
琉→ⒶⒷⒸ瑠
仏→ⒷⒸ仏[南无三世十方一切諸仏]
仏 Ⓐになし
慧→Ⓐ会
逐→◎Ⓐ遂
浄仏→◎仏浄
浄 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
極→ⒹⒺ獄
生 Ⓓになし
可 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
上 ◎になし
或加称二菩薩 ⒷⒸになし
今 ⒶⒹになし
孔→◎乳
悪→Ⓔ途
益→ⒷⒸ楽
盛→Ⓓ咸
念→ⒹⒺ念[之]
弥→ⒹⒺ[阿]弥
五 ⒹⒺになし
就→Ⓐ熟
光 ⒷⒸになし
厳→Ⓐ厳[経]
或→ⒶⒷⒸⒹⒺ惑
与観音勢至倶来 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
引接 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
已…之19字 ⒹⒺ33字後子の下にあり
已→ⒶⒷⒸⒹⒺ以
条→ⒷⒸⒺ条[事]
而 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
接→ⒹⒺ摂
子 Ⓓになし
不→Ⓔ否
但→Ⓔ唯 ⒶⒷⒹになし
一 ⒶⒹになし
摂→ⒷⒸ接
於 ⒶⒹⒺになし
応→◎応[応]
後→ⒹⒺ後[一]
害→ⒷⒸ殺
捉→ⒹⒺ提
祇→Ⓔ祗
妷→ⒶⒹⒺ佚
慼→ⒷⒸⒹⒺ戚
懴→ⒶⒷⒸⒹⒺ慚
身→ⒶⒷⒸⒹⒺ身[偃]
楚→ⒹⒺ禁
使→Ⓓ便
浄 Ⓓになし
尋→Ⓔ即
時 Ⓓになし
撻→◎Ⓐ揵
屎尿→ⒷⒸ尿屎
隠→ⒶⒷⒸⒹⒺ穏
想→ⒷⒸ相
讃言→ⒶⒷⒸⒹⒺ言讃
彼→ⒷⒸ復
捉→ⒷⒸ投
迎→Ⓓ近