おうじょう要集ようしゅう かんちゅう *じんだいべつ念仏ねんぶつもん

尽第六別時念仏門 本書の巻中が大文第六の別時念仏までであるという意。

天台てんだい*首楞厳しゅりょうごんいん沙門しゃもん源信げんしんせん

◎正修念仏  観察門

【42】だい四に観察かんざつもんとは、 初心しょしん観行かんぎょう深奥じんおうへず。 ¬*じゅう毘婆びばしゃ¼ (意) にいふがごとし。 「*新発しんぽっさつぶつ色相しきそうねんず」 と。 また*諸経しょきょうのなかに、 初心しょしんにんのためには、 おお相好そうごうどくけり。 このゆゑにいままさに色相しきそうかんしゅすべし

諸経 以下の第四観察かんざつもんに引用される経典を指す。

第四観察門者、初心観行不↠堪↢深奥↡。如↢¬十住婆娑¼云↡、「新発意菩薩先念↢仏色相↡。」又諸経中、為↢初心人↡多説↢相好功徳↡。是故今当↠修↢色相観↡。

これをわかちて三となす。 一には*別相べっそうかん、 二には*総相そうそうかん、 三には*雑略ぞうりゃくかんなり。 *意楽いぎょうしたがひてこれをもちゐるべし

別相観 仏の華座および仏身の相好の一々を観想すること。
総相観 仏身の全体を観想すること。
雑略観 種々の相好そうごうを略して、 白毫相びゃくごうそう (眉間にある白色の旋毛) のみを観想すること。
意楽 望み。

此分為↠三。一別相観、二総相観、三雑略観。随↢意楽↡応↠用↠之。

◎正宗念仏 ○観察門  別相観

【43】はじめに別相べっそうかんとは、 また二あり

初別相観者亦有↠二。

・華座

*華座けざかん

華座 阿弥陀仏が座るれんの台座。

先観↢華座↡。

¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「かのぶつかんぜんとおもはば、 まさに想念そうねんおこすべし。 七宝しっぽううえにおいてれんおもいをなし、 そのれんの一々のようをして百宝ひゃっぽうしき〔ありとのおもい〕をなさしめよ。 〔そのように〕八まんせんみゃくありて、 なほてんのごとし。 みゃくに八まんせんひかりあり。 *了々りょうりょう分明ぶんみょうにして、 みなることをしめよ。 ようちいさきものは、 縦広じゅうこうひゃく五十由旬ゆじゅんなり。 かくのごときはなに八まんせんようあり。 一々のようのあひだに百億ひゃくおく*摩尼まに珠王しゅおうありて、 もつて映飾ようじきとなせり。 一々の摩尼まにしゅは、 せんこうみょうはなつ。 そのひかりてんがいのごとくして、 七宝しっぽう合成ごうじょうして、 あまねくうえけり。 *しゃ毘楞伽びりょうがほう、 もつてそのだいとなせり。 このれんだいは、 八まん金剛こんごう*甄叔迦きんしゅくがほう*ぼん摩尼まにほうみょう真珠しんじゅもう、 もつて交飾きょうじきとなせり。 その台上だいじょうにおいて、 ねんにして*ちゅう宝幢ほうどうあり。 一々の宝幢ほうどうは、 百千ひゃくせん万億まんおくしゅせんのごとし。 どううえ*宝縵ほうまんは、 *夜摩やまてんのごとし。 五百億ひゃくおく微妙みみょう宝珠ほうしゅありて、 もつて映飾ようじきとなせり。 一一の宝珠ほうしゅに八まんせんひかりあり。 一々のひかり、 八まんせんしゅ金色こんじきをなす。 一々の金光こんこう、 そのほうにあまねくして、 処々しょしょへんして、 おのおのそうをなす。 あるいは金剛こんごうだいとなり、 あるいは真珠網しんじゅもうとなり、 あるいは*ざっうんとなる。 十ぽうめんにおいて、 こころしたがひて変現へんげんしてぶつ施作せさす。 これを華座けざおもいとなす

了々分明にして あきらかに。 はっきりと。
摩尼珠王 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 わざわいを去る徳をもつともいう。
甄叔迦宝 甄叔迦は梵語キンシュカ (kiſśuka) の音写。 甄叔迦という木に咲く赤い花の色に似た宝石。
梵摩尼宝 梵は清浄しょうじょうの意。 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写で、 きよらかな摩尼宝珠 (如意宝珠) のこと。
四柱の宝幢 れんだいの四方にある宝でできた柱。
雑華雲 種々の色をした花で飾られた雲。

¬観経¼云。「欲↠観↢彼仏↡者、当↠起↢想念↡。於↢七宝地上↡、作↢蓮華想↡、令↣其蓮華一一葉作↢百宝色↡。有↢八万四千脈↡、猶如↢天画↡。脈有↢八万四千光↡、了了分明皆令↠得↠見。華葉小者、縦広二百五十由旬。如↠是華有↢八万四千葉↡、一一葉間有↢百億摩尼珠王↡、以為↢暎飾↡。一一摩尼珠、放↢千光明↡。其光如↠蓋、七宝合成、遍布↢地上↡。釈迦楞伽宝以為↢其台↡。此蓮華台八万金剛・甄叔迦宝・梵摩尼宝・妙真珠網以為↢交飾↡。於↢其台上↡、自然而有↢四柱宝幢↡。一一宝幢如↢百千万億須弥山↡。幢上宝縵、如↢夜摩天宮↡、有↢五百億微妙宝珠↡、以為↢暎飾↡。一一宝珠有↢八万四千光↡。一一光、作↢八万四千異種金色↡。一一金光、遍↢其宝土↡、処処変化各各作↢異相↡。或為↢金剛台↡、或作↢真珠網↡、或作↢雑華雲↡。於↢十方面↡、随↠意変現施↢作仏事↡。是為↢華座想↡。

かくのごとき妙華みょうけは、 これもと法蔵ほうぞう比丘びく願力がんりき所成しょじょうなり。 もしかのぶつねんぜんとおもふものは、 まさにづこの華座けざおもいをなすべし。 このおもいをなすときには*雑観ざっかんすることをざれ。 みな一々にこれをかんずべし。 一々のよう、 一々のしゅ、 一々のこう、 一々のだい、 一々のどう、 みな分明ぶんみょうならしめて、 かがみのなかにみづから面像めんぞうるがごとくせよ

雑観 順序次第を乱して観想すること。

如↠此妙華、是本、法蔵比丘願力所成。若欲↠念↢彼仏↡者、当↣先作↢此華座想↡。作↢此想↡時、不↠得↢雑観↡。皆応↢一一観↟之。一一葉、一一珠、一一光、一一台、一一幢、皆令↢分明↡、如↧於↢鏡中↡自見↦面像↥。

このかんをなすを、 づけて正観しょうかんとなす。 もしかんするを、 づけて邪観じゃかんとなす」 と 以上いじょう、 このそうかんずるものは、 五万劫まんごうしょうつみ滅除めつじょして、 必定ひつじょうしてまさに極楽ごくらくかいうまるべし。

作↢此観↡者名為↢正観↡。若他観者名為↢邪観↡。」已上観↢此座相↡者滅↢除五万劫生死之罪↡必定当↠生↢極楽世界↡

・相好

 つぎにまさしく*相好そうごうかんず。 いはく、 阿弥陀あみだぶつ*だいうえして、 相好そうごう*炳然へいねんとして、 その荘厳しょうごんしたまへり

炳然 明らかなさま。

次正観↢相好↡。謂阿弥陀仏坐↢華台上↡、相好炳然、荘厳其身↡。

・相好 1. 頂上肉髻

 一には、 いただきうえ*肉髻にくけいはよくるものなし。 高顕こうけん周円しゅうえんなること、 なほ*天蓋てんがいのごとし。 あるいはひろかんずることをねがふものは、 つぎかんずべし。 かのいただきうえだいこうみょうあり。 せんいろそくせり。 一々のいろは、 八まんせんえだとなり、 一々のえだのなかに八まんせんぶつまします。 ぶついただきうえより、 またこのひかりはなちたまふ。 このひかりあひいで、 すなはち上方じょうほうりょうかいいたる。 上方じょうほうかいにおいても、 さつありて、 くものごとくしてくだりて諸仏しょぶつ*にょうしたてまつれり ¬*大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 「父母ぶもそう和上わじょう*恭敬くぎょうして、 肉髻にくけいそうたり」 と云々うんぬん。 もしこのそうにおいてずいしょうずるものは、 千億せんおくこう極重ごくじゅう悪業あくごう除却じょきゃくして、 三せず。

天蓋 仏を荘厳しょうごんするために頭上をおおうかさ。
圍繞 とりかこむこと。

一頂上肉髻、無↢能見者↡。高顕周円猶如↢天蓋↡。或楽↢広観↡者、次応↠観。彼頂上有↢大光明↡具↢足千色↡。一一色作↢八万四千支↡、一一支中有↢八万四千化仏↡。化仏頂上亦放↢此光↡。此光、相次乃至↢上方無量世界↡。於↢上方界↡有↢化菩薩↡、如↠雲而下囲↢遶諸仏↡。¬大集経¼云「恭↢敬父母・師僧・和上↡得↢肉髻相↡」云云若於↢此相↡生↢随喜↡者除↢却千億劫極重悪業↡不↠堕↢三途↡

・相好 2. 頂上髪毛

 二には、 いただきうえに八まんせん髪毛ほつもうあり。 みなうえかひてなびき、 みぎめぐりてひたり。 なが*らくすることなく、 また雑乱ぞうらんせず。 紺青こんじょう稠密ちゅうみつにして、 香潔こうけつ細軟さいなんなり。 もしひろかんずることをねがふものは、 かんずべし。 一々のもうよりめぐりて五のひかりをなせり。 もしこれをぶるときには、 修長しゅじょうにしてはかりがたし。 釈尊しゃくそんかみのごときは、 なが*尼楼陀にくるだ精舎しょうじゃよりおういたりて、 しろめぐること*そうせり。 りょうひかりあまねくらして、 *こん琉璃るりいろをなし、 いろのなかにぶつあり、 称数しょうしゅすべからず。 このそうげんじをはりて、 かえりてぶついただきじゅうして、 みぎめぐりて宛転えんでんして、 すなはち*もんとなる ¬大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 「あくをもつてしゅじょうくわへざるがゆゑに、 髪毛ほつもう金精こんじょうそうたり」 と。

褫落 脱け落ちること。
尼楼陀精舎 (釈尊の生国) の南にあった庭園。 釈尊がここで父王のために法を説いたので、 精舎 (僧院の意) の語を付して呼ばれる。
七帀 七周。
紺琉璃 琉璃は青色の宝玉で、 瑠璃とも書く。
蠡文 もんのこと。 渦巻きの文様。

二頂上八万四千髪毛、皆上向靡右旋而生。永無↢落↡、亦不↢雑乱↡。紺青稠密、香潔細軟。或楽↢広観↡者、応↠観。一一毛孔旋生↢五光↡。若申↠之時、脩長難↠量。如↢釈尊↡髪長従↢尼楼陀精舎↡至↢父王宮↡遶↠城七匝 無量光普照作↢紺琉璃色↡。色中化仏、不↠可↢称数↡。現↢此相↡已還住↢仏頂↡、右旋宛転即成↢蠡文↡。¬大集経¼云「不↧以↢悪事↡加↦衆生↥故得↢髪毛金精相↡」

 青蓮院本では

・相好 3. 髪際有光

 三には、 そのかみきわに五せんひかりあり。 *間錯けんざく分明ぶんみょうなり。 みなうえかひてなびきて、 もろもろのかみにょうせり。 いただきめぐること五そうせり。 てん画師えししょほうのごとし。 *団円だんえん正等しょうとうにして、 ほそきこと一のごとし。 そのいとのあひだにもろもろのぶつしょうじ、 さつありて、 もつて眷属けんぞくたり。 一切いっさい*色像しきぞうまたなかにおいて ひろかんずることをねがふものは、 このかんもちゐるべし。

間錯 まじわること。
団円正等 円くふくよかで大きさが等しい。
色像 すがたかたち。

三於↢其髪際↡有↢五千光↡、間錯分明。皆上向靡囲↢遶諸髪↡、遶↠頂五匝。如↢天画師所作画法↡。団円正等細如↢一糸↡。於↢其糸間↡生↢諸化仏↡、有↢化菩薩↡以為↢眷属↡。一切色像亦於↠中見。楽↢広観↡者可↠用↢此観↡

・相好 4. 広長輪埵

 四には、 みみあつく、 ひろながくして、 *りん成就じょうじゅせり。 あるいはひろかんずべし。 七のめぐしょうじて、 五のひかりすいす。 そのひかりせんいろあり。 いろごとにせんぶつまします。 ぶつごとにせんひかりはなちて、 あまねく十ぽうりょうかいらしたまふ この*随好ずいこう*業因ごういんかんがふべし。 ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ (意) にのたまはく、 「このこうかんずるものは、 八十こうしょうつみめっし、 後世ごせにはつねに*陀羅尼だらにひと眷属けんぞくたり」 と云々うんぬん下去げこもろもろのやく、 みなまた ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ によりてちゅうす。

輪埵 円く盛り上がった耳たぶ。
業因 果をもたらす因となる行為。
陀羅尼の人 陀羅尼をたもつ人。 →陀羅尼だらに

四耳厚広長輪埵成就。或応↢広観↡。旋↢生七毛↡流↢出五光↡。其光千色、色千化仏。仏放↢千光↡遍照↢十方無量世界↡。此随好之業因可↠勘¬観仏三昧経¼云「観↢此好↡者滅↢八十億劫生死之罪↡後世常為↢陁羅尼人↡為↢眷属↡」云云下去諸利益皆依↢¬観仏三昧経¼↡而注

 他本では欠く。
 他本では 「於」。
◇ 他本では 「亦」 の字あり。

・相好 5. 額広平正

 五には、 ひたいひろ平正びょうしょうにして、 形相ぎょうそう殊妙しゅみょうなり この*こう*業因ごういんならびにやくかんがふべし。

 随形好ずいぎょうこうのこと。
業因 果をもたらす因となる行為。

五額広平正形相殊妙。妙業因并利益可↠勘

 他本では 「好」。

・相好 6. 面輪円満

 六には、 *面輪めんりん円満えんまんにして、 *光沢こうたく熙怡きいなり。 *端正たんじょう皎潔きょうけつなること、 なほあきつきのごとし。 ならべるまゆ皎浄きょうじょうなること、 *天帝てんていゆみたり。 そのいろたぐいなくして、 こん琉璃るりひかりあり きたもとむるものをかんしょうずるがゆゑに、 面輪めんりん円満えんまんなり。 このそうかんずるものは億劫おくこうしょうつみ除却じょきゃくして、 しん生処しょうじょに、 まのあたり諸仏しょぶつたてまつる。

面輪 面容のこと。 顔。
光沢熙怡 つややかで柔和なこと。
端正皎潔 よくととのって、 きよらかに澄みわたっていること。
天帝 帝釈天のこと。 →たいしゃく

六面輪円満、光沢熙怡。端正皎潔猶如↢秋月↡。双眉皎浄、似↢天帝弓↡。其色無比紺流璃光。見↢来求者↡生↢歓喜↡故面輪円満観↢此相↡者除↢却億劫生死之罪↡後身生処面見↢諸仏↡

・相好 7. 眉間白毫

 七には、 けん*白毫びゃくごうみぎめぐりて宛転えんでんせり。 柔軟にゅうなんなること*覩羅とら綿めんのごとく、 鮮白せんびゃくなること*せつえたり。 あるいはつぎひろかんずべし。 これをぶれば、 なおくして長大ちょうだいなることびゃく琉璃るりつつのごとく、 はなちをはれば、 みぎめぐりて*頗梨はりしゅのごとし。 じょう六のぶつ白毫びゃくごう*じょうなり。 みぎめぐることけいすん周囲しゅういすんぽうめんにおいて、 りょうひかりげんずること、 万億まんおくのごとくして、 つぶさにるべからず。 ただひかりのなかに、 もろもろのれんげんず。 かみ*りょう塵数じんじゅかいぐるまで、 華々けけあひいで、 *団円だんえん正等しょうとうなり。 一々のうえに、 一のぶつしたまへり。 相好そうごう荘厳しょうごんし、 眷属けんぞく*にょうせり。 一々のぶつまたりょうひかりいだし、 一々のひかりのなかにまたりょうぶつまします。 このもろもろのそんは、 ぎょうずるものしゅじゅうするものしゅするものしゅするものしゅにして、 あるいはだいだいき、 あるいは*三十七ほん、 あるいは六波羅ぱらみつ、 あるいはもろもろの*不共ふぐほうく。 もしひろかば、 一切いっさいしゅじょうより十さついたるまで、 またこれをることあたはじ ¬大集だいじっきょう¼ (意) にのたまはく、 「とくかくさず、 そのとく*称揚しょうようして、 このそうたり」 と。 ¬*観仏かんぶつきょう¼ (意) にのたまはく、 「りょうこうより昼夜ちゅうや精進しょうじんして身心しんしんおこたることなきこと、 *ねんはらふがごとくして、 六・三十七ほん・十りき無畏むいだいだいのもろもろのみょうどく勤修ごんしゅして、 この白毫びゃくごうたり。 このそうかんずるものは、 九十六おく那由他なゆたごうしゃ*じんしゅこうしょうつみ除却じょきゃくす」 と。

珂雪 白雪。
頗梨珠 水晶の玉。
五丈 諸本には 「長丈五」 とある。 丈五は一丈五尺。
無量塵数 数限りないこと。
団円正等 円くふくよかで大きさが等しい。
不共の法 十八不共法のこと。 →十八不共法じゅうはちふぐほう
微塵数 無数の意。 微塵は仏教でいう物質の最小単位。

七眉間白毫、右旋宛転。柔軟如↢都覩羅綿↡、鮮白逾↢珂雪↡。或次応↢広観↡。舒↠之直長大如↢白琉璃筒↡、放已右旋如↢頗梨珠↡。丈六仏白毫丈五右旋径一寸周囲二寸 於↢十方面↡現↢無量光↡、如↢万億日↡、不↠可↢具見↡。但於↢光中↡現↢諸蓮華↡。上過↢无量塵数世界↡、華華相次、団円正等。一一花上一化仏坐、相好荘厳眷属囲遶。一一化仏復出↢无量光↡、一一光中亦无量化仏。是諸世尊、行者無数、住者無数、坐者无数、臥者无数。或説↢大慈大悲↡、或説↢三十七品↡、或説↢六波羅密↡、或説↢諸不共法↡。若広説者、一切衆生至↢十地菩薩↡、亦不↠能↠知↠之。¬大集経¼云「不↠隠↢他徳↡称↢揚其徳↡得↢此相↡」¬観仏経¼云「従↢无量劫↡昼夜精進身心无↠懈如↠救↢頭燃↡勤↢修六度・七品・十力・无畏・大慈・大悲諸妙功徳↡得↢此白毫↡観↢此相↡者除↢却九十六億那由他恒河沙微塵数劫生死之罪↡」

都羅綿 他本では 「覩羅綿」。
 青蓮院本では欠く。
丈五 青蓮院本では 「五丈」。
 青蓮院本では 「経」。
二寸 他本では 「三寸」。
 青蓮院本では欠く。
 他本では 「蜜」。 以下同。
 青蓮院本では欠く。

・相好 8. 牛王眼睫

 八には、 如来にょらい*眼睫げんしょうはなほおうのごとし。 紺青こんじょうにしてひとしくととのほりて、 あひ雑乱ぞうらんせず。 あるいはつぎひろかんずべし。 上下じょうげにおのおのしょうじて、 五ひゃくあり。 *どんひげのごとくして、 柔軟にゅうなんにして愛楽あいぎょうすべし。 一々の毛端もうたんより一のひかりすいす。 頗梨はりいろのごとくして、 かしらめぐること一そうし、 もつぱらに微妙みみょうのもろもろのしょうれんしょうず。 一々の*だい*梵天王ぼんてんのうありて、 青色しょうしき*がいれり ¬大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 「しんいたして*無上むじょうだいもとめしがゆゑに、 おうしょうそうたり」 と。 ¬だいきょう¼ (*大般涅槃経) にのたまはく、 「怨憎おんぞう善心ぜんしんをなすがゆゑに」 と。

眼睫 まつげ。
優曇華 優曇は梵語ウドゥンバラ (udumbara) の音写の略。 霊端れいずいと漢訳する。 どんじゅの花。 三千年に一度花が咲くという。
梵天王 →梵天ぼんてん
 かさ。

八如来眼睫、猶若↢牛王↡。紺青斉整不↢相雑乱↡。或次応↢広観↡。上下各生有↢五百毛↡。如↢優曇華鬚↡、柔軟可↢愛楽↡。一一毛端流↢出一光↡。如↢頗梨色↡、遶↠頭一匝、純生↢微妙諸青蓮華↡。一一華台有↢梵天王↡、執↢青色蓋↡。¬大集経¼云「至↠心求↢於无上菩提↡故得↢牛王睫相↡」¬大経¼云「見↢於怨増↡生↢於善心↡故」

 青蓮院本、 建長五年刊本では 「如」。

・相好 9. 青白眼相

 九には、 仏眼ぶつげん青白しょうびゃくにして上下じょうげともにまじろく。 しろきものは白宝びゃくほうぎたり。 あおきものはしょうれんすぐれたり。 あるいはつぎひろかんずべし。 げんよりこうみょういだしたまふに、 わかれて四となりて、 あまねく十ぽうりょうかいらす。 あおひかりのなかにはあおいろぶつましまし、 しろひかりのなかにはしろいろぶつまします。 この青白しょうびゃくぶつ、 またもろもろの神通じんずうげんじたまふ ¬大集だいじっきょう¼ (意) にのたまはく、 「しん修集しゅじゅうし、 しゅじょうあいして、 紺色こんじきそうたり」 と云々うんぬん小時しょうじのあひだにおいても、 このそうかんずるものは、 らい生処しょうじょに、 げんつねに明浄みょうじょうにして、 眼根げんこんやまいなく、 七こうしょうつみ除却じょきゃくす。

九仏眼青白上下倶眴。白者過↢白宝↡、青者勝↢青蓮華↡。或次応↢広観↡。眼出↢光明↡、分為↢四支↡、遍照↢十方无量世界↡。於↢青光中↡有↢青色化仏↡、於↢白光中↡有↢白色化仏↡。此青・白化仏、復現↢諸神通↡。¬大集経¼云「修↢集慈心↡愛↢視衆生↡得↢紺色目相↡」云云於↢少時間↡観↢此相↡者未来生処眼常明浄眼根無↠病除↢却七劫生死之罪↡

 青蓮院本では 「小」。

・相好 10. 鼻修高直

 十には、 はなながく、 たかなおくして、 そのあなげんぜず。 たる*金鋌こんじょうのごとく、 おうくちばしのごとし。 表裏ほかうち清浄しょうじょうにしてもろもろの*塵翳じんえいなし。 二のこうみょういだしてあまねく十ぽうらし、 へんじて種々しゅじゅりょう*ぶつをなす この*随好ずいこうかんずるものは千劫せんごうつみめっし、 らい生処しょうじょにて上妙じょうみょうこうぎ、 つねに*戒香かいこうをもつて*瓔珞ようらくとなす。

金鋌 金をてつくった折釘状の金具。
塵翳 不浄のもの。
戒香 戒をたもったどくが四方に薫ずるのを、 香に喩えていう。

十鼻脩高直其孔不↠現。如↢鋳金挺↡、如↢鸚鵡觜↡。表裏清浄无↢諸塵翳↡。出↢二光明↡、遍照↢十方↡、変作↢種種无量仏事↡。観↢此随好↡者滅↢千劫罪↡未来生処聞↢上妙香↡常以↢戒香↡為↢身瓔珞↡

 青蓮院本、 大派依用本では 「鋌」。

・相好 11. 脣色赤好

 十一には、 くちびるいろ赤好しゃくこうなること*びん婆菓ばかのごとし。 上下じょうげあひかなへること、 *はかりのごとくにして厳麗ごんらいなり。 あるいはつぎひろかんずべし。 *団円だんえんこうみょうぶつくちよりでて、 なほ百千ひゃくせんあか真珠しんじゅつらぬくがごとくして、 はな*白毫びゃくごうかみとのあひだに入出にゅうしゅつす。 かくのごとく*展転てんでんして、 *円光えんこうのなかに このくちびる随好ずいこうごうとうかんがふべし。

頻婆菓 頻婆は梵語ビンバ (bhimba) の音写。 鮮やかな赤色の果実を結ぶ植物。
量りのごとくにして 天秤のようにつりあいがとれているという意。
団円 完全な円形。
白毫 白色の旋毛。
展転 めぐりうつること。

十一脣色赤好如↢頻婆菓↡、上下相称如↠量厳麗。或次応↢広観↡。団円光明、従↢仏口↡出、猶如↢百千赤真珠貫↡、入↢出於鼻白毫髪間↡。如↠是展転入↢円光中↡。此脣随好業等可↠勘

・相好 12. 歯斉浄密

 十二には、 四十のは、 ひとしく、 きよみつにしてふかく、 しろきこと*せつえたり。 つねにこうみょうあり。 そのひかり紅白ぐびゃくにして、 ひと映耀ようよう ¬*だいきょう¼ (大般涅槃経) にのたまはく、 「*両舌りょうぜつあっ*しんおんして、 四十の鮮白せんびゃく斉密ざいみつなるそうたり」 と云々うんぬん

珂雪 白雪。
大経 底本 (青蓮院本) には 「大集経」 とある。
恚心 いかりの心。

十二四十歯斉浄密根深、白逾↢珂雪↡。常有↢光明↡、其光紅白映↢耀人目↡。¬大経¼云「遠↢離両舌・悪口・恚心↡得↢四十歯鮮白斉密相」

大経 青蓮院本では 「大集経」。
◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「云云」 とあり。

・相好 13. 四牙鮮白

 十三には、 四のきば鮮白せんびゃく光潔こうけつにして鋒利ふりなること、 つきのはじめてづるがごとし ¬大集だいじつ¼ にのたまはく、 「しん口意くいきよきがゆゑに、 四びゃくそうたり」 と云々うんぬん。 このくちびるくちそうかんずるものは、 二千劫せんごうつみめっす。

十三四牙鮮白光潔鋒利如↢月初出↡。¬大集経¼云「身口意浄故得↢四牙白相↡」云云観↢此脣口歯相↡者滅↢二千劫罪↡

 底本まま。 註なし。
大集経 青蓮院本では 「大集」。 以下同。

・相好 14. 広長舌相

 十四には、 そん舌相ぜっそうは、 うすきよくして、 ひろながし。 よく*面輪めんりんおおひて、 ほつきわより、 ない梵天ぼんてんいたる。 そのいろ赤銅しゃくどうのごとし。 あるいはつぎひろかんずべし。 したうえに五のあり、 なほ*印文いんもんのごとし。 みたまふときしたうごかすに五の色光しきこういだし、 ぶつめぐること七そうして、 かえりていただきよりる。 あらゆる*神変じんぺんりょうへんなり ¬大集だいじつ¼ にのたまはく、 「*の四のとがまもりて、 広長こうじょう舌相ぜっそうたり」 と云々うんぬん。 このそうかんずるものは、 百億ひゃくおくまん千劫せんごうつみのぞきて、 他世たせに八十おくぶつふ。

面輪 面容のこと。 顔。
印文 印章に刻まれた文様。
神変 不可思議なはたらき。
口の四の過 もうりょうぜつあっ綺語きごごうの四悪。

十四世尊舌相、薄浄、広長、能覆↢面輪↡、至↢耳髪際乃至梵天↡。其色如↢赤銅↡。或次可↢広観↡。舌上五画、猶如↢印文↡。咲時動↠舌出↢五色光↡、遶↠仏七匝還従↠頂入。所有神変无量无辺。¬大集経¼云「護↢口四過↡得↢広長舌相↡」云云観↢此相↡者除↢百億八万四千劫罪↡他世値↢八十億仏↡

 大派依用本では 「笑」。

・相好 15. 舌下宝珠

 十五には、 したもと両辺りょうへんに二の宝珠ほうしゅあり。 かん流注るちゅうして、 舌根ぜっこんうえしたづ。 諸天しょてんにん・十さつもこの舌根ぜっこんなく、 またこのあじはひなし ¬*だい般若はんにゃ¼ にせつあり。 かんがふべし。 ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「飲食おんじき施与せよするがゆゑに、 上味じょうみそうたり」 と。

大般若 底本 (青蓮院本) には 「大集般若」 とある。

十五舌下両辺有↢二宝珠↡、流↢注甘露↡滴↢舌根上↡。諸天・世人・十地菩薩、无↢此舌根↡、亦无↢此味↡。¬大般若¼有↢異説↡可↠勘¬大経¼云「飲食施与故得↢上味相↡」

大般若 青蓮院本では 「大集般若」。

・相好 16. 瑠璃咽喉

 十六には、 如来にょらい咽喉いんこう*瑠璃るりつつのごとし。 かたちれんかさねたるがごとし。 いだしたまふところの音声おんじょう*いん和雅わげにして、 ひとしくきこえずといふことなし。 そのこえおおきにふるひて、 なほてんつづみのごとく、 おこしたまふところのごんは、 *均えんきんとして*迦陵頻かりょうびんこえのごとし。 *任運にんうんによく*大千だいせんかいへんす。 もし*作意さいしたまふときにはりょうへんなり。 しかもしゅじょうせんがために、 るいしたがひて増減ぞうげんせず ¬だいきょう¼ (同・意) にのたまはく、 「かのたんあらそはず、 しょうぼうほうぜずして、 *ぼん音声おんじょうそうたり」 と。 ¬大集だいじつ¼ にのたまはく、 「もろもろのしゅじょうにおいて、 つねに柔軟にゅうなんかたりしがゆゑに」 と云々うんぬん

詞韻和雅 言葉のひびきが柔和・優雅であること。
均 婉約。 おだやかで、 つつしみ深いこと。
迦陵頻 りょうびんのこと。
大千世界 三千大千世界のこと。 →三千大千さんぜんだいせんかい
作意 心をはたらかせること。
梵音声 仏のきよらかな声。

十六如来咽喉如↢瑠璃筒↡、状如↠累↢蓮華↡。所↠出音声詞韻和雅无↠不↢等聞↡。其声洪震、猶如↢天皷↡、所↠発言均、如↢伽陵頻音↡。任運能遍↢大千世界↡。若作意時无量无辺。然為↠利↢衆生↡、随↠類不↢増減↡。¬大経¼云「不↠訟↢彼短↡不↠謗↢正法↡得↢梵音声相↡」¬大集経¼云「於↢諸衆生↡常柔軟語故」云云

・相好 17. 頚出円光

 十七には、 くびより円光えんこういだしたまふ。 咽喉いんこううえ*点相てんそうありて分明ぶんみょうなり。 一々のてんのなかに一々のひかりいだす。 その一々のひかりさき円光えんこうめぐりて七そう満足まんぞくして、 衆画しゅかく分明ぶんみょうなり。 一々のかくのあひだにみょうれんあり。 うえに七ぶつまします。 一々のぶつにおのおの七さつありて、 もつてしゃとなせり。 一々のさつ*にょしゅれり。 そのしゅ金光こんこうあり。 しょうおうしゃくびゃくおよび*摩尼まにいろ、 みなことごとくそくして、 諸光しょこうにょうせり。 上下じょうげ左右さう、 おのおの*じんにして、 ぶつくびにょうして、 了々りょうりょうなることのごとし ¬*無上むじょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶく飲食おんじき車乗しゃじょう臥具がぐ、 もろもろの荘厳しょうごんものかんして施与せよし、 しん金色こんじきにして、 円光えんこうじょうなるそうたり」 と。

点相 梵字の伊字の三点に似た形。 「∵」 の形のこと。
摩尼 梵語マニ (maņi) の音写。 如意珠に同じ。
一尋 尋は長さの単位。 両手を左右にひろげたときの長さを一尋とする。

十七頚出↢円光↡。咽喉上有↢点相分明↡、一一点中出↢一一光↡。其一一光遶↢前円光↡満↢足七匝↡、衆画分明。一一画間、有↢妙蓮華、華上有↢七仏↡。一一化仏各有↢七菩薩↡、以為↢侍者↡。一一菩薩執↢如意珠↡、其珠金光。青・黄・赤・白及摩尼色皆悉具足囲↢遶諸光↡。上下左右各各一尋囲↢遶仏頚↡、了了如↠画。¬无上依経¼云「衣服飲食車乗臥具諸荘厳物歓喜施与得↢身金色円光一丈相↡」

・相好 18. 頚出二光

 十八には、 くびより二のひかりいだす。 そのひかり万色まんじきありて、 あまねく十ぽう一切いっさいかいらす。 このひかりふものは*辟支びゃくしぶつとなる。 このひかり、 もろもろの辟支びゃくしぶつくびらす。 このそうげんずるとき行者ぎょうじゃ、 あまねく十ぽう一切いっさいのもろもろの辟支びゃくしぶつの、 はちくうげて十八へんをなし、 一々のあししたにみなもんありて、 その*十二因縁いんねん宣説せんぜつするを

十八頚出↢二光↡。其光万色、遍照↢十方一切世界↡。遇↢此光↡者、成↢辟支仏↡。此光照↢諸辟支仏頚↡。此相現時、行者遍見↧十方一切諸辟支仏擲↢鉢虚空↡作↢十八変↡、一一足下皆有↢文字↡、其字宣↦説十二因縁↥。

・相好 19. 欠瓫骨満相

 十九には、 *欠瓫けつぼん骨満こつまんそうあり。 ひかりぽうらすに、 *はくいろをなす。 このひかりふものはしょうもんこころおこす。 このもろもろのしょうもん、 このこうみょうるに、 わかれて十となる。 一せんいろ、 十せんこうみょうあり。 ひかりごとにぶつまします。 一々のぶつに四の比丘びくありて、 もつてしゃとなり、 一々の比丘びくはみな、 くう無常むじょう無我むが 以上いじょうしゅは、 ひろかんずることをねがふもの、 これをもちゐるべし。

欠瓫骨満 のどぼとけの突起がないという意。 あるいは両肩のくぼみがないという意か。
虎魄 琥珀。 紅黄色の宝石。

十九鈌盆骨満相。光照↢十方↡作↢虎魄色↡。遇↢此光↡者発↢声聞意↡。是諸声聞、見↢此光明↡、光分為↢十支↡、一支千色、十千光明。光有↢化仏↡。一一化仏有↢四比丘↡、以為↢侍者↡。一一比丘皆説↢苦・空・无常・无我↡。已上三種楽↢広観↡者応↠用↠之

 他本では
 他本では欠く。

・相好 20. 肩項円満

 二十には、 そんかたうなじ円満えんまん殊妙しゅみょうなり ¬*ほっもん¼ (意) にいはく、 「つねにをして増長ぞうじょうせしめたるがゆゑに、 このそうたり」 と。

二十世尊肩項円満殊妙。¬法華文句¼云「恒令↢施増長↡故得↢此相↡」

・相好 21. 腋下充実

 二十一には、 如来にょらいわきしたはことごとくみな充実じゅうじつなり。 紅紫ぐしひかりはなちて、 もろもろのぶつをなし、 しゅじょうやく ¬無上むじょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「しゅじょうのなかにおいてやくをなし、 *正勤しょうごんしゅして、 しんおそるるところなくして、 りょうかた平整びょうしょうにして、 わきしたてるそうたり」 と。

二十一如来腋下、悉皆充実、放↢紅紫光↡、作↢諸仏事↡利↢益衆生↡。¬无上依経¼云「於↢衆生中↡為↢利益事↡修↢四正勤↡心无↠所↠畏得↢両肩平整而腋下満相↡」

・相好 22. 臂肘明直

 二十二には、 ぶつ*そうちゅう明直みょうちょくにして*円ようえんなること象王ぞうおうはなのごとく、 平立びょうりゅうせるにひざづ。 あるいはつぎひろかんずべし。 手掌しゅしょう*千輻せんぷくあやあり。 おのおの百千ひゃくせんひかりはなちてあまねく十ぽうらすに、 して金水こんすいとなる。 金水こんすいのなかに一の妙水みょうすいあり、 水精すいしょういろのごとし。 餓鬼がきねつのぞき、 畜生ちくしょう*宿命しゅくみょうさとり、 狂象きょうぞうるは獅子ししおうとなり、 獅子しし*金翅鳥こんじちょう諸竜しょりゅうもまた金翅鳥こんじちょうおうる。 このもろもろの畜生ちくしょう、 おのおのとうとぶところとて、 しん恐怖くふしょうじて、 合掌がっしょう*恭敬くぎょうす。 恭敬くぎょうするをもつてのゆゑに、 命終みょうじゅうしててんうま ¬大集だいじつ¼ にのたまはく、 「怖畏ふいあるを救護くごして、 ちゅうようなることを事業じぎょうじょせしがゆゑに、 *しゅしつそうたり」 と。

双臂肘 両ひじ。
円 まるみを帯びていること。
千輻の理 千の放射状の (車輪の輻) のような模様。 せん輻輪ぷくりんそうのこと。
宿命 過去世の境界。
金翅鳥 竜を食べるという大鳥。 妙翅鳥みょうじちょうともいう。 八部鬼神のうちの迦楼羅かるらに同じ。 →はちじん
手摩膝の相 手がひざにまでとどく相。

二十二仏双臂肘明直円如↢象王鼻↡、平立摩↠膝。或次応↢広観↡。手掌千軸理、各放↢百千光↡、遍照↢十方↡、化成↢金水↡。金水之中有↢一妙水↡、如↢水精色↡。餓鬼見除↠熱、畜生識↢宿命↡。狂象見者為↢師子王↡、師子見↢金翅鳥↡、諸竜亦見↢金翅鳥王↡。是諸畜生各見↢諸尊↡、心生↢恐怖↡合掌恭敬。以↢恭敬↡故、命終生↠天。¬大集経¼云「救↢護怖畏↡得↢臂肘↡見↢他事業↡佐助故得↢手摩膝相↡」

 他本では 「輻」。
 他本では 「像」。
諸尊 他本では 「所尊」。

・相好 23. 諸指円満

 二十三には、 もろもろのゆび円満えんまんし、 充密じゅうみつ繊長せんじょうにして、 はなはだ愛楽あいぎょうすべし。 一々のはしに、 おのおの*まんしょうぜり。 そのつめ光潔こうけつなること、 華赤銅けしゃくどうのごとし ¬瑜伽ゆが¼ (*瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろの尊長そんちょうにおいて、 恭敬くぎょうし、 礼拝らいはいし、 合掌がっしょうし、 起立きりゅうせしがゆゑに、 ゆび繊長せんじょうなるそうたり」 と。

万字 卍。 吉祥きっしょうの印。

二十三諸指円満、充密繊長甚可↢愛楽↡。於↢一一端↡、各生↢万字↡。其爪光潔如↢花赤銅↡。¬瑜伽¼云「於↢諸尊長↡恭敬礼拝合掌起立故得↢指繊長相↡」

万字 大派依用本では 「卍」。

・相好 24. 指間網

 二十四には、 一々のゆびのあひだは、 なほ雁王がんおうのごとく、 ことごとく*網まんもうあり。 金色こんじき交絡きょうらくして、 *もん綺画きえおなじ。 *えんごんすぐれたること百千ひゃくせん万億まんおくなり。 そのいろ明達みょうだつにして、 眼界げんかいぎたり。 れるときにはすなはちゆれども、 ゆびおさむればえず ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「四しょうほうしゅして、 しゅじょう摂取せっしゅせしがゆゑに、 このそうたり」 と。

網 網縵もうまんのこと。 指の間の水かき状の膜。
文綺画に同じ 文様はあやぎぬの画と同じ。
閻浮金 閻浮は梵語ジャンブー・ナダ (jambhū-nada) の音写の略。 えんじゅの間を流れる河の意。 その河の底からとれる砂金を閻浮金 (閻浮檀金) といい、 最高の金とされる。

二十四一一指間、猶如↢雁王↡、咸有↢網↡。金色交絡文同↢綺画↡。勝↢閻浮金↡百千万億。其色明達過↢於眼界↡。張時則見、斂↠指不↠見。¬大集経¼云「修↢四摂法↡摂↢取衆生↡故得↢此相↡」

大経 青蓮院本では 「大集経」。 以下同。

・相好 25. 其手柔軟

 二十五には、 その柔軟にゅうなんなること*覩羅とら綿めんのごとくして、 一切いっさい勝過しょうがして、 ないにともににぎ ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「父母ぶも*師長しちょうの、 もし病苦びょうくするに、 みづからをもつてあらのごひ、 そくし、 *あんせしがゆゑに、 手軟しゅなんそうたり」 と。

安摩 なでること。 さすること。

二十五其手柔軟如↢覩羅綿↡、勝↢過一切↡内外倶握。¬大集経¼云「父母・師長若病苦自手洗拭捉持安摩故得↢手軟相↡」

・相好 26. 頷臆広大

 二十六には、 そんおとがいむね、 ならびにしん上半じょうはんの、 よう広大こうだいなること獅子ししおうのごとし ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろのじょうの、 如法にょほうしょにおいてよく上首じょうしゅたれども、 しかも助伴じょばんとなりて*まんはなれ、 もろもろの*獷捩こうれいなかりしがゆゑに、 このそうたり」 と。

我慢 自らをたのんで、 おごりたかぶる心。
獷捩 あらあらしい (ふるまい)。

二十六世尊頷・臆、并身上半威容広大如↢師子王↡。¬瑜伽¼云「於↢諸有情如法所作↡能為↢上首↡而作↢助伴↡離↢於我慢↡无↢諸悷↡故得↢此相↡」

 他本では
 青蓮院本では

・相好 27. 胸有万字

 二十七には、 みむね*まんあり。 実相じっそういんづけ、 だいこうみょうはなつ。 あるいはつぎひろかんずべし。 ひかりのなかにりょう百千ひゃくせんのもろもろのありて、 一々のうえりょうぶつまします。 このもろもろのぶつ、 おのおのせんひかりありて、 しゅじょうやくす。 ない、 あまねく十ぽうぶついただきる。 ときに、 もろもろのぶつみむねより百千ひゃくせんひかりいだし、 一々のひかり、 六波羅ぱらみつく。 一々のぶつ、 一のにんの、 *端正たんじょう微妙みみょうにしてかたちろくのごときをつかはして、 行者ぎょうじゃあんせしむ このそうひかりるものは、 十二億劫おくこうしょうつみのぞく。

万字 卍。 吉祥きっしょうの印。
端正微妙にして 容姿が美しくととのっているという意。

二十七胸有↢万字↡、名↢実相印↡、放↢大光明↡。或次応↢広観↡。光中有↢无量百千衆花↡、一一花上有↢无量化仏↡。是諸化仏、各有↢千光↡利↢益衆生↡、乃至遍入↢十方仏頂↡。時諸仏胸出↢百千光↡、一一光説↢六波羅密↡。一一化仏、遣↢一化人端正微妙状如↢弥勒↡、安↢慰行者↡。見↢此相光↡者除↢十二億劫生死之罪↡

万字 大派依用本では 「卍」。

・相好 28. 心紅蓮華

 二十八には、 如来にょらい*心相しんそうは、 れんのごとし。 たえなるこんひかり、 もつて*間錯けんざくをなして、 *瑠璃るりつつのごとくして、 かかりてぶつみむねにあり。 あわせず、 かいせず、 *団円だんえんなること、 しんのごとし。 万億まんおくぶつぶつしんのあひだにあそぶ。 また*りょう塵数じんじゅぶつぶつしんのなかにましまして、 金剛こんごうだいして、 りょうひかりはなちたまふ。 一々のひかりのなかに、 またりょう塵数じんじゅぶつましまして、 広長こうじょうしたいだし、 万億まんおくひかりはなちてもろもろの*ぶつをなしたまふ ぶつしんおもふものは、 十二億劫おくこうしょうつみのぞき、 生々しょうじょうりょうさつふことを云々うんぬんひろかんずることをねがふものは、 このかんをなすべし。

心相 心臓のありさま。
間錯 まじわること。
団円 完全な円形。
無量塵数 数限りないこと。

二十八如来心相、如↢紅蓮華↡。妙紫金光、以為↢間錯↡、如↢瑠璃筒↡懸在↢仏胸↡。不↠合不↠開団円如↠心。万億化仏、遊↢仏心間↡。又无量塵数化仏、在↢仏心中↡、坐↢金剛台↡放↢无量光↡。一一光中、亦有↢无量塵数化仏↡、出↢広長舌↡、放↢万億光↡作↢諸仏事↡。念↢仏心↡者除↢十二億劫生死之罪↡生生得↠値↢无量菩薩↡云云楽↢広観↡者応↠作↢此観↡

・相好 29. 身皮金色

 二十九には、 そんしんかわは、 みな真金しんこんいろなり。 光潔こうけつ*晃耀こうようすること、 みょう金台こんだいのごとし。 衆宝しゅぼうをもつて荘厳しょうごんし、 しゅうんとねがふところなり ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「ぶく臥具がぐほどこして、 このそうたり」 と。

晃耀 盛んに輝くこと。

二十九世尊身皮、皆真金色。光潔晃耀如↢妙金台↡。衆宝荘厳、衆所↠楽↠見。¬大経¼云「施↢衣服臥具↡得↢此相↡」

・相好 30. 身光無量

 三十には、 身光しんこう*任運にんうん*千界ぜんがいらす。 もし*作意さいしたまふときにはりょうへんなり。 しかももろもろのじょう憐愍れんみんせんがためのゆゑに、 ひかりせっしてつねにらしたまふこと、 めんごとにおのおの*じんなり ¬だいきょう¼ (同・意) にのたまはく、 「こう灯明とうみょうとうをもつてひとほどこして、 このそうたり」 と云々うんぬん大光だいこうかんずるものは、 ただしんることをおこすに、 衆罪しゅざい*除却じょきゃくすと。

三千界 三千大千世界の略。 →三千大千さんぜんだいせんかい
作意 心をはたらかせること。
一尋 尋は長さの単位。 両手を左右にひろげたときの長さを一尋とする。
除却すと 底本 (青蓮院本) には下に 「云々」 の二字がある。

三十身光任運照↢三千界↡。若作意時无量无辺。然為↣憐↢愍諸有情↡故摂↠光常照面各一尋。¬大経¼云「以↢香華灯明等↡施↠人得↢此相↡」云云観↢大光↡者但発↢心見↡除↢却衆罪↡

◇ 青蓮院本には 「云云」 と割註あり。

・相好 31. 身相端厳

 三十一には、 そん身相しんそうは、 ながひろくして端厳たんごんなり ¬大論だいろん¼ (*大智度論) にいはく、 「尊長そんちょう*恭敬くぎょうし、 迎送こうそうし、 侍繞じにょうして、 なおくしてひろそうたり」 と云々うんぬん

三十一世尊身相、修広端厳。¬大論¼云「恭↢敬尊長↡迎送侍遶得↢身直広相↡」

◇ 青蓮院本には 「云云」 と割註あり。

・相好 32. 躰相円満

 三十二には、 そん体相たいそうは、 縦広じゅうこうりょうひとしくして周帀しゅうそう円満えんまんせること、 *尼陀にくだじゅのごとし ¬大集だいじつ¼ (意) にのたまはく、 「つねにしゅじょうすすめて、 三昧さんまいしゅせしめて、 このそうたり」 と。 ¬*報恩ほうおんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「もししゅじょうありて、 *だい不調ふじょうなるを、 よく療治りょうじすることをなせしがゆゑに、 しん*方円ほうえんなるそうたり」 と。

尼陀樹 尼陀は梵語ニヤグローダ (nyagrodha) の音写。 インドの無花果いちじくの樹、 バニヤン樹のこと。
四大不調 病気のこと。 身体を構成するすいふうの四大が調和しないと病気になるという。
方円 完全に円満であること。

三十二世尊躰相縦広量等周匝円満、如↢尼陀樹↡。¬大集経¼云「常勧↢衆生↡修↢三昧↡得↢此相↡」¬報恩経¼云「若有↢衆生↡四大不調能為↢療治↡故得↢身方円相↡」

・相好 33. 容儀洪満

 三十三には、 そんよう洪満こうまんにして端直たんじきなり ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「疾病しつびょうのものにおいて、 くつしてせんし、 良薬りょうやく給施きゅうせせしがゆゑに、 しん僂曲ろうきょくせざるそうたり」 と。

三十三世尊容儀洪満端直。¬瑜伽¼云「於↢疾病者↡卑屈瞻侍給↢施良薬↡故得↢身不僂曲相↡」

・相好 34. 陰蔵平満

 三十四には、 如来にょらい*陰蔵おんぞうたいらかなること満月まんげつのごとし。 金色こんじきひかりありて、 なほ日輪にちりんのごとく、 金剛こんごううつわのごとく、 中外ちゅうげともにきよ ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「はだかなるをぶくほどこせしがゆゑに、 陰蔵おんぞうそうたり」 と。 ¬大集だいじつ¼ にのたまはく、 「とが*ぞうせしがゆゑに」 と。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「おおざんしゅし、 および*邪婬じゃいんだんぜしがゆゑに」 と云々うんぬんどうぜん (善導) のいはく (*観念法門)、 「ぶつののたまはく、 ªもし欲色よくしきとんずることおおきものは、 すなはち如来にょらい陰蔵おんぞうそうおもへば、 欲心よくしんすなはちみ、 罪障ざいしょう除滅じょめつして、 りょうどくたりº」 と。

陰蔵 仏の男根のこと。 馬の男根のように常に腹中に隠れていて見えないので、 おんぞうともいう。

三十四如来陰蔵平如↢満月↡。有↢金色光↡、猶如↢日輪↡。如↢金剛器↡中外倶浄。¬大経¼云「見↠裸施↢衣服↡故得↢陰蔵相↡」¬大集経¼云「覆↢蔵他過↡故」¬大論¼云「亦修↢慚愧↡及断↢邪婬↡故」導禅師云「仏言若多貪↢欲色↡者即想↢如来陰蔵相↡者欲心即止罪障除滅得↢无量功徳↡」

陰蔵 建長五年刊本では 「陰馬蔵」。
 他本では 「多」。
◇ 青蓮院本には 「云云」 と割註あり。
 青蓮院本では 「息」。

・相好 35. 七処充満

 三十五には、 そん両足りょうぞく、 二しゅ掌中しょうちゅううなじおよびならべるかたの七しょ充満じゅうまんせり ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「ぎょうぜしときに、 所珍しょちんものをよくててりんせず、 *福田ふくでんおよび福田ふくでんざりしかば、 七処満しょまんそうたり」 と。

三十五世尊両足、二手掌中、項及双肩七処充満。¬大経¼云「行↠施之時所↠珍之物能捨不↠恡不↠視↢福田及非福田↡得↢七所満相↡」

 青蓮院本、 建長五年刊本では 「観」。
七所 他本では 「七処」。

・相好 36. 双腨繊円

 三十六には、 そん*双腨そうせんぜん繊円せんえんなること、 *翳泥えいない仙鹿王せんろくおうはぎのごとし。 ひざがしらこうほねの、 盤結ばんけつせるあひだよりもろもろの金光こんこういだ ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「みづからしょうぼうにおいて、 じつのごとく摂受しょうじゅし、 ひろにんのためにき、 およびまさしくのためによく給使きゅうじをなして、 翳泥えいないひざがしらそうたり」 と。

双腨 両足のふくらはぎ。
翳泥耶仙鹿王 翳泥耶は梵語アイネーヤ (aineya) の音写。 鹿のこと。

三十六世尊双腨、漸次繊円、如↢翳泥耶仙鹿王腨↡。膊鉤璅骨、盤結之間出↢諸金光↡。¬瑜伽¼云「自於↢正法↡如↠実摂受広為↠他説及正為↠他善作↢給使↡得↢翳泥耶膊相↡」

 青蓮院本では 「他人」。

・相好 37. 跟趺相称

 三十七には、 そん*足跟そくこんひろなが円満えんまんして、 *あなひらとあひかなひて、 もろもろのじょうすぐれたり

足跟 くびす。
 足の甲。

三十七世尊足跟、広長円満、与↠趺相称勝↢諸有情↡。

・相好 38. 足趺修高

 三十八には、 そくながたかくして、 なほかめのごとし。 柔軟にゅうなん妙好みょうこうにして、 くびすとあひかなへり ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「そく平満びょうまんと、 *千輻輪せんぷくりんと、 繊長指せんじょうしとの三のそうかんずるごうそうじてよくこんの二のそう感得かんとくす。 これさきの三そう依止えじするところなるがゆゑに」 と。

三十八足趺修高、猶如↢亀背↡。柔軟妙好与↠跟相称。¬瑜伽¼云「感↢足下平満・千輻輪・繊長指三相之業↡総能感↢得跟趺二相↡是前三相所↢依止↡故」

・相好 39. 柔潤毛相

 三十九には、 如来にょらいしんぜん左右さうおよびいただきうえに、 おのおの八まんせんありてひたり。 柔潤にゅうにん紺青こんじょうにして、 みぎめぐりて宛転えんでんせり。 あるいはつぎひろかんずべし。 一々の毛端もうたんひゃく千万せんまん塵数じんじゅれんあり。 一々のれんりょうぶつしょうじ、 一々のぶつはもろもろのじゅげんじて、 声々しょうしょうあひげること、 なほあめしただるがごとし ¬無上むじょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろの勝善しょうぜんほうしゅして、 ちゅうぼんなく、 つねに増上ぞうじょうせしめて、 身毛しんもううえなびき、 みぎめぐりて宛転えんでんせるそうたり」 と。 ¬*優婆うばそく戒経かいきょう¼ にのたまはく、 「しゃ親近しんごんして、 ねがひてき、 ねがひてろんじ、 きをはりてねがひてしゅし、 ねがひてどうし、 *こくじょせるがゆゑに」 と。

棘刺 いばら・とげ。

三十九如来之身、前後左右、及以頂上、各有↢八万四千毛↡生、柔潤紺青右旋宛転。或次応↢広観↡。一一毛端有↢百千万塵数蓮華↡、一一蓮華生↢无量化仏↡、一一化仏現↢諸偈頌↡、声声相次猶如↢雨渧↡。¬無上依経¼云「修↢諸勝善法↡无↢中下品↡恒令↢増上↡得↢身毛上靡右旋宛転相↡」¬優婆塞戒経¼曰「親↢近智者↡楽↠聞楽↠論聞已楽↠修楽↧治↢道路↡除↦失棘刺↥故」

 他本では 「云」。
 青蓮院本、 建長五年刊本では 「去」。

・相好 40. 千輻輪文

 四十には、 そんみあしした*千輻輪せんぷくりんもんあり。 *網轂もうこく衆相しゅそう円満えんまんせざることなし ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) にいはく、 「その父母ぶもにおいて種々しゅじゅようし、 もろもろのじょうのもろもろののうにおいて、 種々しゅじゅ救護くごして、 往来おうらいとう動転どうてんごうによるがゆゑに、 このそうたり」 と云々うんぬん千輻輪せんぷくりんそうるは、 千劫せんごう極重ごくじゅう悪業あくごうしりぞく。

千輻輪の文 千の放射状の (車輪の輻) のような模様。 千輻輪せんぷくりんそうのこと。
網轂 網は異本には 「輞」 (車の輪) とある。 轂は車のこしき。

四十世尊足下千輻輪文。網縠衆相、无↠不↢円満↡。¬瑜伽¼云「於↢其父母↡種種供養於↢諸有情諸苦悩事↡種種救護由↢往来等動転業↡故得↢此相↡」云云見↢千輻輪相↡除↢却千劫極重悪業↡

 青蓮院本、 建長五年刊本では
除却 青蓮院本、 建長五年刊本では 「却」。

・相好 41. 足下平満

 四十一には、 そんみあししたには平満びょうまんそうあり。 妙善みょうぜん安住あんじゅうせること、 なほ*奩底れんていのごとし。 *こうなりといへども、 あしむところにしたがひて、 みなことごとく*たつねんとして、 ひとしくれずといふことなし ¬だいきょう¼ (大般涅槃経・意) にのたまはく、 「かいしてどうぜず、 しんうつらず、 *じつ安住あんじゅうせるがゆゑに、 このそうたり」 と云々うんぬん。 そのあし柔軟にゅうなんなり。 もろもろのゆび繊長せんじょうなり。 *まんもうそくし、 ないにぎとうそう、 および*業因ごういんは、 さき手相しゅそうおなじ。

奩底 箱の底。
高下 高低や起伏。
 異本には 「坦」 とある。
実語 真実の言葉。
網 網縵もうまんのこと。 指の間の水かき状の膜。
業因 果をもたらす因となる行為。

四十一世尊足下有↢平満相↡。妙善安住猶如↢匲底↡。地雖↢高下↡随↢足所↟蹈、皆悉怛然无↠不↢等触↡。¬大経¼云「持戒不↠動施心不↠移安↢住実語↡故得↢此相↡」云云其足柔軟諸指繊長網具足内外握等相及業因同↢前手相↡

怛然 建長五年刊本では 「坦然」。

・相好 42. 足下一花

 四十二には、 ひろきをねがふものはかんずべし。 そくおよびくびすに、 おのおの一のしょうじ、 もろもろのひかりにょうして十そう満足まんぞくす。 華々けけあひいで、 一々のうえに五のぶつまします。 一々のぶつ、 五十五のさつをもつてしゃとなして、 一一のさついただき*摩尼まにしゅひかりしょうず。 このそうげんずるときに、 ぶつのもろもろのもうより八まんせんさいの少こうみょうしょうじて、 身光しんこう厳飾ごんじきして、 きはめてあいならしむ。 このひかりじんにして、 そのそうしゅなり。 ないほうのもろもろのだいさつ、 これをかんずるときに、 このひかりしたがひてだいなり

摩尼珠 摩尼は梵語マニ (maņi) の音写。 意のままに財宝や衣服・飲食などを出す徳をもつ宝珠。 また悪を去り、 濁水をきよらかにし、 わざわいを去る徳をもつという。

四十二楽↠広者応↠観。足下及跟、各生↢一花↡、囲↢遶諸光↡満↢足十匝↡。花花相次、一一花上有↢五化仏↡、一一化仏五十五菩薩以為↢侍者↡。一一菩薩頂生↢摩尼珠光↡。此相現時、仏諸毛孔生↢八万四千微細少光明↡、厳↢餝身光↡、極令↠可↠愛。此光一尋、其相衆多。乃至他方諸大菩薩、観↠此之時此光随大。已上

 このもろもろの相好そうごう行相ぎょうそうやく廃立はいりゅうとう諸文しょもんどうなり。 しかるにいま三十二の略相りゃくそうは、 おおく ¬だい般若はんにゃ¼ による。 *広相こうそう随好ずいこうとおよびもろもろのやくとは、 ¬観仏かんぶつきょう¼ による

広相と随好 仏のすぐれた形相の特徴のうち顕著なもの (広相) と微細なもの (随好)。 →相好そうごう

是諸相好行相・利益・廃立等事、諸文不同。然今三十二略相多依↢¬大般若¼↡、広相随好及諸利益依↢¬観仏経¼↡。

 他本では

また*相好そうごうごうに、 その総別そうべつあり

相好の業 相好を得るための業因。

又相好業有↢其総別↡。

・相好 ・総因

総因そういんといふは、 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) の四十九にいはく、 「*はじめ、 *清浄しょうじょう勝意しょうい楽地ぎょうじより、 一切いっさいしょ*だい資糧しりょうは、 差別しゃべつすることあることなくして、 よく一切いっさいそうおよび随好ずいこうかんず」 と

 底本 (青蓮院本) には 「如」 とある。
清浄勝意楽地 ¬瑜伽ゆがろん¼ で菩薩の修道階位を七地に分けるうちの第三の浄心じょうしん十地じゅうじの位ではしょに相当する。
菩提の資糧 さとりに至るためのもととなる善根ぜんごんどく

言↢惣因↡者、¬瑜伽¼四十九云。「始従↢清浄勝意楽地↡、一切所有菩提資糧、无↠有↢差別↡、能感↢一切相及好↡。」云云

 底本まま。 註なし。
 青蓮院本では 「如」。
 他本では 「随好」。

・相好 ・別因

別因べついんといふは、 かの ¬ろん¼ (同) に三しゅあり

言↢別因↡者、彼¬論¼有↢三種↡。

一には*六十二のいん。 つぶさには ¬ろん¼ (瑜伽論)もんのごとし

六十二の因 父母にようをし、 じょうを救護する、 尊長を敬い礼拝らいはいする、 などの六十二種の善因。

一者六十二因。具如↢¬論¼文↡。

二には浄戒じょうかい。 もしもろもろのさつ浄戒じょうかいぼんするは、 なほせん人身にんじんをすらることあたはず。 いかにいはんや、 よく*大丈夫だいじょうぶそうかんぜんや

大丈夫 立派な人。 ここでは仏のこと。

二者浄戒。若諸菩薩毀↢犯浄戒↡。尚不↠能↠得↢下賤人身↡。何況能感↢大丈夫相↡。

三には四しゅ善修ぜんしゅ。 一は善修ぜんしゅごう、 二は*ぜんぎょう方便ほうべん、 三は*饒益にょうやくじょう、 四は*とうこうなり

善巧方便 たくみな手段、 方法。
饒益 教化やくすること。
無倒回向 真如しんにょほっしょうの理にかなったなにものにもとらわれない回向。

三者四種善修。一善修↢事業↡、二善巧方便、三饒↢益有情↡、四无倒廻向。已上

別因べついんのなかにまたおおくの差別しゃべつあり。 いまはしばらくいんのあひじゅんぜるものを

別因之中、亦有↢多差別↡、今者且取↢因果相順者↡也。

 青蓮院本では欠く。

ぜんだいは、 諸文しょもんまたどうなり。 いまはよろしきにしたがひて、 りてだいとなすなり。 *そうこう間雑けんぞうしてもつて観法かんぽうをなすこと、 またこれ ¬*観仏かんぶつきょう¼ のれいなり。 順観じゅんかんだいは、 だいかくのごとし。 逆観ぎゃくかんは、 これにかえして、 あしよりいただきいた

相好間雑して 広相と随好とをまじえて。

前後次第諸文亦不同、今者随↠宜取為↢次第↡也。相好間雑以為↢観法↡、亦是¬観仏経¼之例也。順観次第、大途如↠是。逆観反↠之、従↠足至↠頂。

¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にのたまはく、 「まなこぢてることをんには、 心想しんそうちからをもつてせよ。 *了々りょうりょうにして分明ぶんみょうなること、 ぶつざいのごとくせよ。 このそうかんずといへども、 しゅにすることをざれ。 一よりおこしてまた一おもひ、 一おもひをはればまた一おもへ。 逆順ぎゃくじゅん反覆ほんぷくすること、 十六ぺんよ。 かくのごとくして、 心想しんそうきはめて明利みょうりならしめ、 しかしてのちに、 しんとどめてねんを一しょけよ。 かくのごとくして、 *漸々ぜんぜんしたげてあごかへ、 したをしてまさしくじゅうせしめよ。 二七にちて、 しかしてのちに、 身心しんしん安穏あんのんなることをべし」 と

¬観仏三昧経¼云。「閇↠眼得↠見、以↢心想力↡。了了分明如↢仏在世↡。雖↠観↢是相↡不↠得↢衆多↡。従↢一事↡起復想↢一事↡。一事想已復想↢一事↡。逆順反覆経↢十六反↡。如↠是心想極令↢明利↡、然後住↠心繋↢念一処↡。如↠是漸漸挙↠舌向↠腭、令↢舌政住↡、経↢二七日↡。然後身心可↠得↢安穏道↡。

 底本まま。 註なし。
一事想 青蓮院本、 建長五年刊本では 「想一事」。
 底本まま。 註なし。 他本ではは か。

どう和尚かしょう (善導) のいはく (*観念法門・意)、 「十六ぺんのちには、 しんとどめて*白毫びゃくごうそうかんぜよ。 雑乱ぞうらんすることをざれ」 と

導和尚云。「十六遍後住↠心観↢白毫相↡。不↠得↢雑乱↡。」

◎正宗念仏 ○観察門  総相観

【44】二に*総相観そうそうかんとは、 づ〔さきのごとく〕衆宝しゅぼう荘厳しょうごん広大こうだいれんかんじ、 つぎ阿弥陀あみだぶつの、 *だいうえしたまへるをかんぜよ。 しんいろは、 百千ひゃくせん万億まんおく*えん檀金だんごんのごとし。 しんたかさは、 六十万億まんおく那由他なゆたごうしゃ由旬ゆじゅんなり。 けん白毫びゃくごうは、 みぎめぐりて婉転えんでんせること五しゅせんのごとし。 まなこは四大海水だいかいすいのごとくして、 清白しょうびゃく分明ぶんみょうなり。 しんのもろもろのもうよりこうみょう演出えんすいすること、 しゅせんのごとし。 *円光えんこうは、 百億ひゃくおく*大千だいせんかいのごとし。 ひかりのなかにりょうごうしゃぶつましまし、 一々のぶつは、 しゅさつをもつてしゃとなせり

総相観 仏身の全体を観想すること。
大千界 三千大千世界のこと。 →三千大千さんぜんだいせんかい

二総相観者、先観↢如↠前衆宝荘厳広大蓮華↡、次観↣阿弥陀仏坐↢華台上↡。身色如↢百千万億閻浮檀金↡、身高六十万億那由他恒河沙由旬。眉間白毫右旋婉転如↢五須弥山↡、眼如↢四大海水↡、清白分明。身諸毛孔演↢出光明↡如↢須弥山↡、円光如↢百億大千界↡。光中有↢无量恒河沙化仏↡、一一化仏以↢无数菩薩↡為↢侍者↡。

如前 青蓮院本では欠く。

かくのごとくして八まんせんそうあり。 一々のそうにおのおの八まんせん随好ずいこうあり。 一々のこうにまた八まんせんこうみょうあり。 一々のこうみょうあまねく十ぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらして、 *摂取せっしゅしててたまはず。 まさにるべし。 一々のそうのなかに、 おのおのひゃくてい百万っぴゃくまんこうみょうして、 *ねん赫奕かくやくとして*神徳じんとく巍々ぎぎたること、 金山王こんぜんおう大海だいかいのなかにあるがごとし。 りょうぶつさつひかりのなかに充満じゅうまんして、 おのおの神通じんずうげんじて、 弥陀みだぶつ*にょうしたてまつれり。 かのぶつ、 かくのごとくりょうどく相好そうごうそくして、 さつしゅのなかにましまして、 しょうぼう演説えんぜつしたまふ。 行者ぎょうじゃ、 このときにすべて色相しきそうなく、 *しゅてっ大小だいしょうのもろもろのやまもことごとくげんぜず、 大海だいかいこう土地とち樹林じゅりんもことごとくげんぜず。 てるものは、 ただこれ弥陀みだぶつ相好そうごうかい周遍しゅうへんせるものは、 またこれ*えん檀金だんごんこうみょうなり。 たとへば、 *劫水こうすいの、 かい*まんせるに、 そのなかの万物まんもつ沈没ちんもつしてげんぜず、 *滉瀁こうよう浩汗こうかんとして、 ただおおきなるみずのみをるがごとし。 かのぶつこうみょうもまたかくのごとし。 たか一切いっさいかいうえでて、 相好そうごうこうみょう照曜しょうようせずといふことなし。 行者ぎょうじゃ心眼しんげんをもつておのがるに、 またかのこうみょう所照しょしょうのなかにあり 以上いじょう、 ¬かんぎょう¼・¬*双巻そうかんぎょう¼ (大経)・¬*般舟はんじゅきょう¼・¬大論だいろん¼ (大智度論) とうこころによる。 このかんじょうじてのちねがいしたがひてつぎかんをなせ。

摂取して… →摂取せっしゅしゃ
熾然赫奕 さかんに光り輝くさま。
神徳巍々 威神のどくがけだかくおごそかであること。
須弥鉄囲 須弥山とその周囲をめぐる鉄囲山。 →しゅせん
劫水 壊劫えこう (世界の破滅期) の終りの一中劫におこる水害。 これによって色界しきかい第二禅天までが流出するという。
滉瀁浩汗 水が満ちひろがったさま。

如↠是有↢八万四千相↡、一一相各有↢八万四千随好↡。一一好復有↢八万四千光明↡、一一光明遍照↢十方世界↡、念仏衆生摂取不↠捨。当↠知、一一相中、各具↢七百五倶胝六百万光明↡、熾然赫奕、神徳巍巍如↣金山王在↢大海中↡。无量化仏・菩薩、充↢満光中↡各現↢神通↡、囲↢遶弥陀仏↡。彼仏如↠是具↢足无量功徳相好↡、在↢於菩薩衆会之中↡、演↢説正法↡。行者是時都无↢余色相↡、須弥・鉄囲、大小諸山悉不↠現、大海・江河・土地・樹林悉不↠現。溢↠目之者、但是弥陀仏相好、周↢遍世界↡之者、亦是閻浮檀金光明。譬如↧劫水弥↢満世界↡、其中万物沈没不↠現、滉瀁浩汗只見↦大水↥、彼仏光明亦復如↠是。高出↢一切世界上↡、相好光明靡↠不↢照曜↡。行者以↢心眼↡見↢於己身↡、在↢於彼光明所照之中↡。已上依↢¬観経¼¬双巻経¼¬般舟経¼¬大論¼等意↡此観成後随↠楽作↢次観↡耳

 他本では 「唯」。
◇ 青蓮院本、 建長五年刊本では 「亦」 の字あり。

 あるいはかんずべし。 かのぶつはこれ*しん一体いったいしんなり

三身一体の身 法・報・応の三身のどくをそなえた身体。 →三身さんしん

或応↠観。彼仏是三身一躰之身也。

・応化身

かの一しんにおいて、 るところどうなり。 あるいは*じょう六、 あるいは八しゃく、 あるいは広大こうだいしんなり。 所現しょげんはみな金色こんじきにして、 やくしたまふところはおのおのりょうなり。 一切いっさい諸仏しょぶつと、 その同一なり おうしんなり。

於↢彼一身↡所↠見不同。或丈六、或八尺、或広大身。所現身皆金色所↢利益↡各無量。与↢一切諸仏↡其事同一。応化身

・報身

また一々の相好そうごうは、 *凡聖ぼんしょうそのほとりず、 梵天ぼんてんもそのいただきず、 目連もくれんもそのこえきわめず、 無形むぎょうだい一のたいなり。 荘厳しょうごんにあらずして荘厳しょうごんせり。 十りき・四無畏むい*念住ねんじゅうだい、 八まんせん三昧さんまいもん、 八まんせん波羅はらみつもん恒沙ごうじゃ塵数じんじゅ法門ほうもん究竟くきょう円満えんまんしたまふ。 一切いっさい諸仏しょぶつと、 そのこころ同一どういつなり 報身ほうじん

三念住 三種の、 心静かな状態に安住すること。

又一一相好凡聖不↠得↢其辺↡、梵天不↠見↢其頂↡、目連不↠窮↢其声↡、無形第一躰。非↢荘厳↡荘厳。十力・四无畏・三念住・大悲・八万四千三昧門・八万四千波羅密門・恒沙塵数法門、究竟円満。与↢一切諸仏↡其意同一。報身

・法身

微妙みみょうじょう法身ほっしんに、 もろもろの相好そうごうそくせり。 一々の相好そうごうは、 すなはちこれ実相じっそうなり。 実相じっそうは、 法界ほうかいそくしてげんずることなし。 *しょうぜずめっせず、 らいなし。 一にあらずにあらず、 だんじょうにあらず。 有為うい無為むいのもろもろのどくは、 この法身ほっしんによりてつねに清浄しょうじょうなり。 一切いっさい諸仏しょぶつと、 そのたい同一どういつなり 法身ほっしん

生ぜず滅せず… 以下の八種の否定は龍樹りゅうじゅ菩薩の ¬中論¼ によったもので、 八不とよばれる。

微妙浄法身、具↢足諸相好↡。一一相好即是実相。実相法界、具足无↠減。不↠生不↠滅、无↢去来↡。不↠一不↠異、非↢断・常↡。有為・無為諸功徳、依↢此法身↡常清浄。与↢一切諸仏↡其躰同一。法身

このゆゑに三ぽう諸仏しょぶつの三しん*もん塵数じんじゅりょう法門ほうもん仏衆ぶっしゅ法海ほうかい*円融えんにゅう万徳まんどく、 おほよそ*じん法界ほうかいは、 つぶさに弥陀みだの一しんにあり。 じゅうならずおうならず、 また一・にあらず。 じつにもあらずにもあらず、 またにもあらず。 本性ほんしょう清浄しょうじょうにして、 *心言しんごんみちえたり。 たとへば、 *にょしゅのなかに、 たからあるにもあらず、 たからなきにもあらざるがごとし。 仏身ぶっしん万徳まんどくもまたかくのごとし

普門塵数 普門はすべて、 あらゆるの意。 塵数は無数の意。
円融 少しのさまたげもなく、 完全に一つに融けあっていること。
無尽の法界 すべての存在世界。
心言の路絶えたり 思慮や言語を超えている。

是故三世十方諸仏三身、普門塵数無量法門、仏衆法海、円融万徳、凡无尽法界備在↢弥陀一身↡。不↠縦不↠横、亦非↠一非↠異。非↠実非↠虚、亦非↢有無↡。本性清浄心言路絶。譬如↢如意珠中、非↠有↠宝非↟无↠宝。仏身万徳亦復如↠是。

非一非異 他本では 「非一異」。

また*陰入界おんにゅうかいそくして、 づけて如来にょらいとなすにあらず。 かのもろもろのしゅじょうは、 みなことごとくこれあるがゆゑに、 陰入界おんにゅうかいはなれて、 づけて如来にょらいとなすにもあらず。 これをはなれては、 すなはちこれ因縁いんねんほうなるがゆゑに、 そくにもあらず、 またにもあらず。 寂静じゃくじょうにしてただのみあり。 このゆゑにまさにるべし。 所観しょかん衆相しゅそうは、 すなはちこれ*しん即一そくいつ相好そうごうこうみょうなり、 諸仏しょぶつ同体どうたい相好そうごうこうみょうなり、 万徳まんどく円融えんにゅう相好そうごうこうみょうなり。 しきすなはちこれくうなるがゆゑに、 これを真如しんにょ実相じっそうといふ。 くうすなはちこれしきなるがゆゑに、 これを相好そうごうこうみょうといふ。 *しき・一こう中道ちゅうどうにあらずといふことなし。 *じゅそうぎょうしきもまたかくのごとし。 わがしょ*どう弥陀みだぶつ万徳まんどくと、 本来ほんらい空寂くうじゃくにして*一体いったい無礙むげなり。 ねがはくはわれぶつて、 聖法しょうぼうおうひとしからん 以上いじょう、 ¬*かんぎょう¼・¬*しんかんぎょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼・¬念仏ねんぶつ三昧ざんまいきょう¼・¬般若はんにゃきょう¼・¬*かん¼ とうこころによる。

陰入界 五陰と十二入と十八界 (六根ろっこん六境ろくきょう六識ろくしき) のこと。 →おん十二入じゅうににゅう
三身即一 法・報・応の三身がそのまま一であるとの意。 →三身さんしん
一色一香… すべてのものはことごとく中道ちゅうどう実相じっそうの理のあらわれであるという意。 天台てんだい大師智顗ちぎの ¬摩訶まかかん¼ に見える語。
受想行識 五陰 (五蘊ごうん) のうちの精神面の四。 →おん
三道 三悪道のこと。 →さん悪道まくどう
一体無礙 さわりなく一つに融けあっていること。

又非↧即↢陰入界↡名為↦如来↥。彼諸衆生皆悉有↠之故、非↧離↢陰入界↡名為↦如来↥。離↠之則是无因縁法故。非↠即亦非↠離、寂静但有↠名。是故当↠知、所観衆相、即是三身即一之相好光明也、諸仏同躰之相好光明也、万徳円融之相好光明也。色即是空故、謂↢之真如実相↡、空即是色故、謂↢之相好光明↡。一色一香、无↠不↢中道↡。受・想・行・識、亦復如↠是。我所有三悪道、与↢弥陀仏万徳↡、本来空寂、一体无。願我得↠仏、斉↢聖法王↡。已上依↢¬観経¼¬心地観経¼¬金光明経¼¬念仏三昧経¼¬般若経¼¬止観¼等意↡

 他本では 「非」。
三悪道 青蓮院本、 建長五年刊本では 「三道」。

◎正宗念仏 ○観察門  雑略観

【45】三に*雑略ぞうりゃくかんとは、 かのぶつけんに一の白毫びゃくごうあり。 みぎめぐりて宛転えんでんせること、 五しゅのごとし。 なかにおいて、 また八まんせんこうあり。 一々のこうに八まんせんひかりあり。 そのひかり微妙みみょうにして、 衆宝しゅぼういろせり。 そうじてこれをいへば、 ひゃくてい百万ぴゃくまんこうみょうなり。 十ぽうめん*赫奕かくやくたること、 億千おくせん日月にちがつのごとし。 そのひかりのなかに一切いっさい仏身ぶっしんげんじ、 しゅさつしゅしてにょうせり。 また微妙みみょうおといだして、 もろもろの法海ほうかい*宣暢せんちょうす。 またかの一々のこうみょう、 あまねく十ぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらして、 摂取せっしゅしててたまはず。 *われまたかの摂取せっしゅのなかにあれども、 煩悩ぼんのうまなこへて、 たてまつることあたはずといへども、 だいむことなくして、 つねにわがらしたまふ。 あるいはしんおこして極楽ごくらくこくしょうじて、 れんのなかに*けっ趺坐ふざし、 れんがっするおもいをなすべし。 いで、 れんひらくるときに、 尊顔そんげん*瞻仰せんごうしたてまつり、 白毫びゃくごうそうかんず。 ときに五百色ひゃくしきひかりありて、 きたりてわがらすに、 すなはちりょうぶつさつの、 くうのなかにてるをたてまつる。 みずとり樹林じゅりんおよび諸仏しょぶついだしたまふところの音声おんじょうは、 みな妙法みょうほうぶと。 かくのごとくそうして、 しんをして*欣悦ごんえつせしめよ。 ねがはくは、 もろもろのしゅじょうとともに安楽あんらくこくおうじょうせん 以上いじょう、 ¬かんぎょう¼・¬ごんぎょう¼ とうこころによる。 つぶさには*別巻べっかんにあり。

雑略観 種々の相好そうごうを略して白毫相びゃくごうそう (眉間にある白色の旋毛) のみを観想すること。
赫奕 さかんに光り輝くこと。
われ…照らしたまふ 親鸞聖人はこの文によって 「正信偈」 源信章の 「やくざい摂取せっしゅ中ちゅう煩悩ぼんのうしょうげんすいけんだいけん常照じょうしょう」 の句を作成された。
欣悦 よろこぶこと。
別巻 源信げんしんしょう撰 ¬阿弥陀あみだぶつびゃく毫観ごうかん¼ のこと。

三雑略観者、彼仏眉間有↢一白毫↡。右旋宛転、如↢五須弥↡。於↠中復有↢八万四千好↡、一一好有↢八万四千光↡。其光微妙具↢衆宝色↡。惣而言↠之、七百五倶胝六百万光明。十方面赫奕如↢億千日月↡。其光中現↢一切仏身↡。无数菩薩、衆会囲遶。復出↢微妙音↡、宣↢暢諸法海↡。又彼一一光明、遍照↢十方世界↡、念仏衆生摂取不↠捨。我亦在↢彼摂取之中↡煩悩障↠眼雖↠不↠能↠見、大悲无↠惓常照↢我身↡。或応起↢自心↡生↢極楽国↡、於↢蓮華中↡、結跏趺坐、作↢蓮華合想↡。尋蓮華開時瞻↢仰尊顔↡、観↢白毫相↡。時有↢五百色光↡、来照↢我身↡、即見↢无量化仏・菩薩満↢虚空中↡。水鳥・樹林及与諸仏所↠出音声皆演↢妙法↡。如↠是思想令↢心欣悦↡。願共↢諸衆生↡往↢生安楽国↡。已上依↢¬観経¼¬花厳経¼等意↡具在↢別巻↡

もし*極略ごくりゃくねがふものは、 おもふべし。 かのぶつけん白毫びゃくごうそうは、 *旋転せんでんせること、 なほ*頗梨はりしゅのごとし。 こうみょうあまねくらしてわれらをおさめたまふ。 ねがはくは、 しゅじょうとともにかのくにうまれんと

極略 きわめて簡略な観想のこと。
旋転 渦巻状にまわること。
頗梨珠 水晶の玉。

若楽↢極略↡者、応↠念、彼仏眉間白毫相、旋転猶如↢頗梨珠↡。光明遍照摂↢我等↡。願共↢衆生↡生↢彼国↡。

もし相好そうごう観念かんねんするにへざることあらば、 あるいはみょうおもいにより、 あるいは*引摂いんじょうおもいにより、 あるいはおうじょうおもいによりて、 一心いっしん称念しょうねんすべし 以上いじょう*意楽いぎょうどうなり。 ゆゑに種々しゅじゅかんかす。

引接の想 阿弥陀仏が浄土に導いてくださるという想い。
意楽 望み。

若楽↢極略↡者、応↠念、彼仏眉間白毫相、旋転猶如↢頗梨珠↡。光明遍照摂↢我等↡。願共↢衆生↡生↢彼国↡。若有↠不↠堪↣観↢念相好↡、或依↢帰命想↡、或依↢引摂想↡、或依↢往生想↡、応↢一心称念↡。已上意楽不同故明↢種種観↡

*行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささに、 つねにこのねんをもつてむねのなかにくこと、 してじきおもふがごとくし、 かつしてみずふがごとくせよ。 あるいはこうべげ、 あるいはこえげてしょうせよ。 *外儀げぎことなりといへども、 心念しんねんはつねにぞんぜよ。 念々ねんねん相続そうぞくして、 *寤寐ごびわするることなかれ

行住坐臥語黙作々 歩く、 とどまる、 すわる、 す、 話す、 黙る。 いかなる場合にもの意。
外儀 身体のふるまい。
寤寐 寝ても覚めても。

行住坐臥、語黙作作、常以↢此念↡在↢於胸中↡、如↢飢念↟食、如↢渇追↟水。或低↠頭挙↠手、或挙↠声称↠名、外儀雖↠異、心念常存。念念相続、寤寐莫↠忘。

 ふ。 かのぶつ*真身しんしんは、 これぼん心力しんりきおよぶところにあらず。 ただぞうかんずべし。 なんぞ大身だいしんかんぜん

真身 真実の身体、 すがた。

問。彼仏真身、非↢是凡夫心力所↠及、但応↠観↠像、何観↢大身↡。

こたふ。 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「無量寿むりょうじゅぶつ身量しんりょうへんにして、 これぼん心力しんりきおよぶところにあらず。 しかもかの如来にょらい*宿願力しゅくがんりきのゆゑに、 *憶想おくそうすることあるものは、 かならず成就じょうじゅすることを。 ただ仏像ぶつぞうおもふすら、 りょうふく。 いはんやまたぶつそくせる身相しんそうかんぜんをや」 と

宿願力 過去の誓願の力。

答。¬観経¼云。「无量寿仏身量无辺、非↢是凡夫心力所↟及。然彼如来宿願力故、有↢憶想↡者、必得↢成就↡。但想↢仏像↡得↢無量福↡、況復観↢仏具足身相↡。」已上

あきらかにりぬ、 初心しょしんもまた*楽欲ぎょうよくしたがひて真身しんしんかんずることをるなり

楽欲 意向。 望み。

明知、初心亦随↢楽欲↡得↠観↢真身↡。

 ふ。 いふところの弥陀みだの一しんは、 すなはち一切いっさいぶつしんなりとは、 なんの証拠しょうこかある

問。所↠言弥陀一身、即一切仏身者、有↢何証拠↡。

こたふ。 *天台てんだいだい (智顗) のいはく (*十疑論)、 「阿弥陀あみだぶつねんずるは、 すなはち一切いっさいぶつねんずるなり。 ゆゑに ¬ごんぎょう¼ にのたまはく、

ª一切いっさい諸仏しょぶつしんは、 すなはちこれ一ぶつしんなり。

しんなり、 一智慧ちえなり。 *りき無畏むいもまたしかなりº」 と

力無畏 十力と四無所畏。 →十力じゅうりきしょ

答。天台大師云。「念↢阿弥陀仏↡、即是念↢一切仏↡。故華厳経云。一切諸仏身、即是一仏身。一心・一智慧、力・无畏亦然。」已上

 青蓮院本では欠く。

また ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にのたまはく、 「もし一ぶつゆいすれば、 すなはち一切いっさいぶつたてまつる」 と

又¬観仏三昧経¼云。「若思↢惟一仏↡即見↢一切仏↡。」云云

 ふ。 もし諸仏しょぶつ*体性たいしょう無二むになるがごとく、 念者ねんじゃどくもまたべつなきや

体性 本性。

問。為↧如↢諸仏躰性无二↡、念者功徳亦无↞別耶。

こたふ。 ひとしくして差別しゃべつなし。 ゆゑに ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃきょう¼ のかんにのたまはく、 「一ぶつねんずるは、 どくりょうへんなり。 またりょう諸仏しょぶつどく無二むになり。 不思議ふしぎ仏法ぶっぽうひとしくして分別ふんべつなし。 みな一にょじょうじて*最正覚さいしょうがくじょうじ、 ことごとくりょうどくりょう弁才べんざいしたまへり。 かくのごとくして*一行いちぎょう三昧ざんまいるものは、 ことごとく恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ法界ほうかいの、 差別しゃべつそうる」 と

最正覚 もっともすぐれた仏のさとり。

答。等无↢差別↡。故¬文殊般若経¼下巻云。「念↢一仏↡功徳无量无辺、亦与↢无量諸仏功徳↡无二。不思議仏法、等无↢分別↡、皆乗↢一如↡成↢最正覚↡、悉具↢无量功徳弁才↡。如↠是入↢一行三昧↡者、尽知↢恒沙諸仏法界无差別相↡。」

◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「已上」 の割註あり。

 ふ。 諸相しょそうどくは、 *肉髻にくけい*梵音ぼんのんと、 これを最勝さいしょうなりとなす。 いまおお*白毫びゃくごうすすむること、 なんの証拠しょうこかある

梵音 仏のきよらかな声。

問。諸相功徳、肉髻梵音、是為↢最勝↡。今多勧↢白毫↡有↢何証拠↡耶。

こたふ。 そのしょうはなはだおおし。 りゃくして*りょういださん。 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「無量寿むりょうじゅぶつかんずるものは、 一の相好そうごうよりれ。 ただけん白毫びゃくごうかんじて、 きはめて明了みょうりょうならしめよ。 けん白毫びゃくごうるものは、 八まんせん相好そうごうねんにまさにつべし」 と

一両 一つ二つ。

答。其証甚多。略出↢一両↡。¬観経¼云。「観↢無量寿仏↡者、従↢一相好↡入。但観↢眉間白毫↡、極令↢明了↡。見↢眉間白毫↡者、八万四千相好、自然当↠見。

また ¬*観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 「如来にょらいりょう相好そうごうまします。 一々のそうのなかに、 八まんせんのもろもろのしょう相好そうごうあり。 かくのごとき相好そうごうは、 白毫びゃくごう少分しょうぶんどくおよばず。 このゆゑに今日こんにち*らいのもろもろのあくしゅじょうのために、 白毫びゃくごうそうだいこうみょうの、 消悪しょうあく観法かんぽうく。 もし邪見じゃけん極重ごくじゅう悪人あくにんありて、 この観法かんぽう*相貌そうみょうそくすときて、 瞋恨しんごんしんをなさば、 このことわりあることなからん。 たとひいかりをなすとも、 白毫びゃくごうそうひかり、 また覆護ふごせん。 しばらくこのかば、 三こうつみのぞき、 しん生処しょうじょは、 諸仏しょぶつみまえしょうぜん。 かくのごとく、 種々しゅじゅひゃく千億せんおくしゅのもろもろの、 こうみょう微妙みみょう境界きょうがいは、 ことごとくくべからず。 *白毫びゃくごうおもときねんにまさにしょうずべし」 と

来世 未来世。 将来。

又¬観仏経¼云。「如来有↢无量相好↡、一一相中、八万四千諸小相好。如↠是相好、不↠及↢白毫小分功徳↡。是故今日、為↢於来世諸悪衆生↡、説↢白毫相大恵光明消↠悪観法↡。若有↢邪見極重悪人↡、聞↣此観法具↢足相貌↡、生↢瞋恨心↡、无↠有↢是処↡。縦使生↠瞋白毫相光亦復覆護。暫聞↢是語↡、除↢三劫罪↡、後身生処、生↢諸仏前↡。如↠是種種百千億種諸観↢光明↡微妙境界、不↠可↢悉説↡。念↢白毫↡時、自然当↠生。」

 青蓮院本、 建長五年刊本では 「少」。
 青蓮院本では 「慧」、 建長五年刊本では 「悲」。

またのたまはく (*観仏経)、 「*しんにしてぞうかんずるに、 なほかくのごときりょうどく。 いはんやまたねんけて、 ぶつけん白毫びゃくごうそうひかりかんぜんをや」 と

粗心 乱れやすい粗雑な心。

又云。「麁心観↠像尚得↢如↠是无量功徳↡。況復繋↠念観↢仏眉間白毫相光↡。」

またのたまはく (*同)、 「*しゃもんぶつ行者ぎょうじゃの前にげんじて、 げてのたまはく、 ªなんぢ、 観仏かんぶつ三昧ざんまいりきしゅす。 ゆゑに、 われはん相のちからをもつて、 なんぢに色身しきしんしめして、 なんぢをしてあきらかにかんぜしめん。 なんぢ、 いまぜんしておおかんずることをざれ。 なんぢ、 のちひとおおくもろもろのあくつくれり。 ただけん白毫びゃくごうそうひかりかんぜよ。 このかんをなすときるところの境界きょうがいは、 かみ所説しょせつのごとしº」 と 以上いじょう、 これを略抄りゃくしょうす。

又云。「釈迦文仏、現↢行者前↡、告言。汝修↢観仏三昧力↡。故我以↢涅槃相力↡、示↢汝色身↡、令↢汝諦観↡。汝今坐禅、不↠得↢多観↡。汝後世人、多作↢諸悪↡、但観↢眉間白毫相光↡。作↢此観↡時、所↠見境界如↢上所説↡。已上略抄

かみ所説しょせつ」 とは、 ぶつ種々しゅじゅ境界きょうがいるなり。 もろもろのやくは、 *しもべつぎょうおよびやくもんいたりてりぬべし

下の別時の… 大文第六べつ念仏ねんぶつおよび大文第七念仏ねんぶつやくを指す。

上所説者、見↢仏種種境界↡也。諸余利益、至↢下別時行及利益門↡応↠知。

 ふ。 白毫びゃくごうの一相をかんずるをもまた三昧さんまいづくるや

問。観↢白毫一相↡、亦名↢三昧↡耶。

こたふ。 しかなり。 ゆゑに ¬*観仏かんぶつきょう¼ のだい九にのたまはく、 「もしよくこころけて一のもうかんずる、 このひとづけて*念仏ねんぶつじょうぎょうずとなす。 ぶつねんずるをもつてのゆゑに、 十ぽう諸仏しょぶつ、 つねにそのまえちて、 ためにしょうぼうきたまふ。 このひと、 すなはちよく三のもろもろの如来にょらいしょうずるしゅとなす。 いかにいはんや、 そくしてぶつ色身しきしんねんぜんをや」 と

念仏定 念仏三昧のこと。 →念仏ねんぶつ三昧ざんまい

答。爾。故¬観仏経¼第九云。「若能繋↠心観↢一毛孔↡、是人名為↠行↢念仏定↡。以↠念↠仏故、十方諸仏常立↢其前↡、為説↢正法↡。此人即為↣能生↢三世諸如来種↡。何況具足念↢仏色身↡。」

 ふ。 なんがゆゑぞじょう荘厳しょうごんかんぜざるや

問。何故不↠観↢浄土荘厳↡耶。

こたふ。 いま広行こうぎょうへざるもののために、 ただ略観りゃくかんすすむ。 もしかんぜんとおもふものは、 ¬かんぎょう¼ をむべし。 いかにいはんやさき*しゅかしつ。 すなはちこれじょう荘厳しょうごんなり

十種の事 大文第二欣求ごんぐじょうに示される十種の楽事。

答。今為↧不↠堪↢広行↡之者↥、唯勧↢略観↡。若欲↠観者、応↠読↢¬観経¼↡。何況前明↢十種事↡。即是浄土荘厳也。

 ふ。 なんがゆゑぞ観音かんのんせいかんぜざるや

問。何故不↠観↢観音・勢至↡耶。

こたふ。 りゃくせるがゆゑにじゅつせず。 ぶつねんじをはりてのちは、 二さつかんずべし。 あるいはみょうごうしょうせよ。 多少たしょうこころしたが

答。略故不↠述、念↠仏已後、応↠観↢二菩薩↡。或称↢名号↡。多少随↠意。

◎正修念仏  回向門

【46】だい五にこうもんかすとは、 五のそくせるもの、 これしんこうなり

第五明↢廻向門↡者、五義具足、是真廻向。

一には、 三一切いっさい善根ぜんごん聚集じゅしゅうすること ¬ごんぎょう¼ のこころ

一聚↢集三世一切善根↡。¬華厳経¼意

二には、 *薩婆さはにゃしん相応そうおうすること

二薩婆若心相応。

三には、 この善根ぜんごんをもつて一切いっさいしゅじょうとともにすること

三以↣此善根↡共↢一切衆生↡。

四には、 *無上むじょうだいこうすること

四廻↢向無上菩提↡。

五には、 *のうしょもつはみな*不可ふかとくなりとかんじて、 よく*諸法しょほう実相じっそうごうせしむることなり ¬大論だいろん¼ (大智度論) のこころ

能施所施 能施は施し与える人、 所施は施しを受ける人。
不可得 固定的な対象として認識しないの意。
諸法の実相 →諸法しょほう実相じっそう

五観↢能施・所施・施物皆不可得↡、能令↢諸法実相和合↡。¬大論¼意

これらのによりて、 しんおもひ、 くちにいへ。 しゅするところのどくと、 および*ざい一切いっさい善根ぜんごんとを、 その一。 自他じた法界ほうかい一切いっさいしゅじょうこうして、 平等びょうどうやくし、 その二。 つみめっし、 ぜんしょうじて、 ともに極楽ごくらくしょうじて、 *げん行願ぎょうがん速疾そくしつ円満えんまんし、 自他じたおなじく無上むじょうだいしょうして、 *らいさいつくすまでしゅじょうやくし、 その三。 法界ほうかい*回施えせして、 その四。 だいだいこうするなり その五。

三際 前際 (過去)・中際 (現在)・さい (未来)。 三世に同じ。 →さん
普賢の行願 ¬華厳経¼ 「普賢行願品」 に説かれる普賢菩薩の十種の大願のこと。
未来際を尽すまで 未来永劫に。

依↢此等義↡、心念口言、所↠修功徳、及以三際一切善根、其一 廻↢向自他法界一切衆生↡、平等利益、其二 滅罪生善共生↢極楽↡、普賢行願速疾円満、自他同証↢無上菩提↡、尽↢未来際↡利↢益衆生↡、其三 廻↢施法界↡、其四 廻↢向大菩提。其五

 ふ。 らいぜんいまだあらず。 なにをもつてかこうする

問。未来善根未↠有、以↠何廻向。

善根 青蓮院本では 「善」。

こたふ。 ¬ごんぎょう¼ に、 *だい三のこう*さつ行相ぎょうそうきてのたまはく、 「三善根ぜんごんをもつて、 所着しょじゃくなく、 そうなくそうはなれて、 ことごとくもつてこうす」 (意)

第三の回向 三種回向 (だいこうしゅじょうこう実際じっさいこう) のうちの第三、 実際回向のこと。 →こう
菩薩 底本 (青蓮院本) には 「菩提」 とある。

答。¬華厳経¼説↢第三廻向菩薩行相↡云。「以↢三世善根↡、而無↢所着↡、無↠相離↠相悉以廻向。」

菩薩 青蓮院本では 「菩提」。

¬*刊定記かんじょうき¼ に二のしゃくあり。 一には、 らい善根ぜんごんはいまだあらずといへども、 いまもしがんおこしつれば、 *がんくんじてしゅとなり、 摂持しょうじするちからのゆゑに、 らい所修しょしゅ*任運にんうんしゅじょうだいとに注向ちゅうこうして、 さらにこうすることをたず。 二には、 このきょうのなかによれば、 さつは、 ない、 一ねんぜんしゅするに、 ほっしょうせっするがゆゑに*へんす。 ゆゑにかの善根ぜんごんをもつてこうすと

願薫じて種となり 願の香りが移り付いて善根ぜんごんの種になるという意。
九世 ごん教学では、 過去・現在・未来の三世におのおの三世を認めて九世とし、 それらが一つに融合しているという。

¬刊定記¼有↢二釈↡。一未来善根、雖↠未↠有、今若発願願薫成↠種、摂持力故、未来所修任運注↢向衆生菩提↡、不↠待↢更廻向↡也。二依↢此教中↡、菩薩乃至修↢一念善↡、摂↢法性↡故遍↢於九世↡、故用↢彼善根↡廻向也。

◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「云云」 と割註あり。

 ふ。 だい二に、 いかなるをや薩婆さはにゃ相応そうおうしんづくる

問。第二何名↢薩婆若相応心↡。

こたふ。 ¬ろん¼ (大智度論) にいはく、 「*のくだいこころ、 すなはちこれ薩婆さはにゃおうずる心なりと。 ªおうº といふは、 しんけて、 われまさにぶつるべしとがんずるなり」 と

答。¬論¼云。「阿耨菩提意、即是応↢薩婆若↡心。応者繋↠心願↣我当↢作仏↡。」

 ふ。 だい三・だい四は、 なんがゆゑぞかならず一切いっさいしゅじょうとともにし、 および無上むじょうだいこうする

問。第三第四、何故要共↢一切衆生↡、及以廻↢向无上菩提↡。

こたふ。 ¬*波羅ぱらみつきょう¼ にのたまはく、 「いかんぞ少施しょうせどくなるや。 方便ほうべんちからをもつて、 少分しょうぶん布施ふせをもつてこう発願ほつがんすらく、 ª一切いっさいしゅじょうおなじく*無上むじょう正等しょうとうだいしょうせんº と。 これをもつてどくりょうへんなること、 なほ小雲しょううんの、 やうやく法界ほうかいへんするがごとし」 と ない、 一・一をもつてするもまたしかり。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) のこころまたこれにおなじ。

無上正等菩提 阿耨多羅三藐三菩提に同じ。 →のく三藐さんみゃく三菩提さんぼだい

答。¬六波羅密経¼云。「云何少施功徳多耶。以↢方便力↡、小分布施廻向発願、与↢一切衆生↡同証↢无上正等菩提↡。以↠是功徳无量无辺、猶如↣小雲漸遍↢法界↡。」乃至以↢一華一菓↡施亦爾¬大論¼意亦同↠之

 青蓮院本、 建長五年刊本では 「少」。

また ¬*宝積ほうしゃくきょう¼ の四十六にのたまはく、 「*さつ摩訶まかさつは、 しょ*已生いしょうのもろもろのみょう善根ぜんごんを、 一切いっさい無上むじょうだいこうして、 この善根ぜんごんをして畢竟ひっきょうじてじんならしむ。 たとへば、 小水しょうすい大海だいかいげつれば、 ない*劫焼こうしょうのなかにもくることあることなからんがごとし」 と

已生 すでになしおえた。
劫焼 壊劫えこう (世界の破滅期) の終りの一中劫におこる火災。 これによって色界しきかい初禅天しょぜんてんまでが焼尽するという。

¬宝積経¼四十六云。「菩薩摩訶薩、所有已生諸妙善根、一切廻↢向无上菩提↡、令↢此善根畢竟无尽↡。譬如↧小水投↢于大海↡、乃至劫焼中无↞有↠尽。」

◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「又」 の字あり。

また ¬*だい荘厳しょうごんろん¼ のにいはく、

大荘厳論 現存の ¬大荘厳だいしょうごんろん¼ に該当する文はない。 道世どうせい編の ¬諸経しょきょう要集ようしゅう¼ 巻十に引く ¬だいさつぞうきょう¼ の文によったものか。

ぎょうじて*妙色みょうしきざいもとめず、 またてん人趣にんしゅかんずることをがんぜざれ、

妙色財 すぐれた容色と財物。

もつぱら無上むじょうしょうだいもとむれば、 なれどもすなはちりょうふくかんず」 と

又¬大荘厳論¼偈云。「行↠施不↠求↢妙色財↡、亦不↠願↠感↢天人趣↡。専求↢无上勝菩提↡、施微便感↢无量福↡。」已上

ゆゑにもろもろの善根ぜんごんをもつてことごとく仏道ぶつどうこうするなり

故以↢諸善根↡、尽廻↢向仏道↡。

また ¬大論だいろん¼ (*大智度論) にいはく、 「たとへば、 *慳貪けんどんにんの、 因縁いんねんなくしては、 ないせんをもほどこせず、 *貪慳とんけん積聚しゃくじゅしてただ増長ぞうじょうすることをのぞむがごとく、 さつもまたかくのごとし。 福徳ふくとくの、 もしはもしはしょう余事よじにはかへず、 ただ愛惜あいじゃく積集しゃくじゅうして*薩婆さはにゃかふ」 と

貪慳積聚して むさぼり、 ものおしみをして (財を) 集めて。

又¬大論¼云。「譬如↧慳貪人、无↢因縁↡乃至一銭不↠施、貪慳積聚、但望↦増長↥。菩薩亦如↠是。福徳若多若少、不↠向↢余事↡、但愛惜積集、向↢薩婆若↡。」已上

 ふ。 もししからば、 ただだいこうすべし。 なんがゆゑぞ、 さらにおうじょう極楽ごくらくとはいふ

問。若爾唯応↣廻↢向菩提↡。何故更云↣往↢生極楽↡。

こたふ。 だいはこれほうなり。 極楽ごくらくはこれほうなり。 もとむる人、 いかんぞせざらんや。 このゆゑに*ぼんごうにみないはく、 「こうして極楽ごくらくこくしょうぜんとがんす」 と

答。菩提是果報、極楽是花報。求↠果之人、盍↠期↠花耶。是故九品業皆云↤廻向願↣求生↢極楽国↡。

 ふ。 発願ほつがんこうとは、 なんの差別しゃべつかある

問。発願廻向有↢何差別↡。

こたふ。 ちかひてもとむるところをする、 これをづけてがんとなす。 しょごうしてかしこに趣向しゅこうする、 これをこうといふ

答。誓期↠所↠求、名↠之為↠願、廻↢所作業↡、趣↢向於彼↡、謂↢之廻向↡。

 ふ。 薩婆さはにゃ*無上むじょうだいと、 二は差別しゃべつなし。 なんぞわかちて二とはなす

問。薩婆若与↢无上菩提↡、二无↢差別↡。何分為↠二。

こたふ。 ¬ろん¼ (同)こうかすに、 これをわかちて二となせり。 ゆゑにいまこれにじゅんず。 さらに*¬ろん¼ (同)もんかんがへよ

論の文 ¬だい智度ちどろん¼ 巻四六に記す問答の第十を指すものか。

答。¬論¼明↢廻向↡、分↠之為↠二。故今順↠之。更撿↢¬論¼文↡。

 ふ。 つぎに、 なんがゆゑぞ、 あらゆるかんじて、 ことごとくくうならしむるや

問。次何故観↢所有事↡、悉令↠空耶。

こたふ。 ¬ろん¼ (*大智度論) にいはく、 「*着心じゃくしん取相しゅそうさつしゅする福徳ふくとくは、 くさよりしょうずるの、 めっすることをべきことやすきがごとし。 もし実相じっそう体得たいとくせるさつの、 だいしんをもつてぎょうずる衆行しゅぎょうは、 することをべきことかたきこと、 みずのなかのの、 よくめっするものなきがごとし」 と

着心取相 自己の心に執着し、 もののすがたにとらわれること。

答。¬論¼云。「着心取相菩薩修福徳、如↢草生火易↟可↠得↠滅。若躰↢得実相↡菩薩、以↢大悲心↡行衆行、難↠可↠得↠破、如↣水中火无↢能滅者↡。」

◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「云云」 と割註あり。

 ふ。 もししからば、 となへて 「くう*所得しょとく」 といふべし。 なんがゆゑぞいま 「*回施えせ法界ほうかい」 とはいふ

無所得 固定的な対象として認識しないの意。
回施法界 法界に回施 (こう) すること。

問。若爾応↤唱言↣空无↢所得↡。何故今云↣廻↢施法界↡。

こたふ。 じつにはしかるべし。 しかれども、 いまはこく風俗ふうぞくじゅんずるがゆゑに 「法界ほうかい」 といふに、 またすることなし。 しかる所以ゆえんは、 法界ほうかいはすなはちこれ*円融えんにゅう無作むさだいくうなり。 所修しょしゅぜんをもつて*しゅし、 かのだいくう相応そうおうするを回施えせ法界ほうかいづく

円融無作 無差別平等で、 一切の作為を超え離れていること。
回趣 回施趣向。 回向に同じ。 →こう

答。理、実可↠然。然今順↢於国土風俗↡故云↢法界↡。理亦无↠違。所↢以然↡者、法界即是円融无作第一義空。以↢所修善↡廻趣相↢応彼第一義空↡、名↣廻↢施法界↡。

 ふ。 さいに、 なんのこころとなへて 「こうだいだい」 といふや

問。後何意、唱言↣廻↢向大菩提↡耶。

こたふ。 これはこれ、 薩婆さはにゃ相応そうおうせしむるなり。 これまた*ふうじゅんじて、 これをまつく。 「薩婆さはにゃ」 といふは、 すなはちこれだいなり。 さきの ¬ろん¼ (同)もんのごとし

土風に… 日本の仏事法会では、 回向の次第を 「回施えせ法界ほうかい」 「こうだいだい」 の順とする。

答。此是令↧与↢薩婆若↡相応↥也。此亦順↢土風↡置↢之末後↡。言↢薩婆若↡、即是菩提。如↢前¬論¼文↡。

 ふ。 *そうこうにはやくなきや

有相の回向 差別の相にとらわれた回向。

問。有相廻向无↢利益↡耶。

こたふ。 かみにしばしばろんずるがごとし。 勝劣しょうれつはありといへども、 なほやくあり

答。如↢上数論↡。雖↠有↢勝劣↡、猶有↢巨益↡。

¬大論だいろん¼ (同)だい七にいふがごとし。 「小因しょういんだい小縁しょうえん大報だいほうあり。 仏道ぶつどうもとめて一さんじ、 一たび ª南無なもぶつº としょうし、 一ねんこうきて、 かならずぶつることをるがごときなり。 いかにいはんや、 もんせんをや。 ª*諸法しょほう実相じっそう不生ふしょうめつにして、 不生ふしょうにもあらず、 めつにもあらざれども、 しかも因縁いんねんごうぎょうずれば、 またしっせざるなりº」 と

諸法の実相 →諸法しょほう実相じっそう

如↢¬大論¼第七云↡。「有↢小因大果、小縁大報↡。如↧求↢仏道↡讃↢一偈↡、一称↢南无仏↡、焼↢一捻香↡、必得↦作仏↥。何況聞↧知諸法実相、不生不滅、不↢不生↡不↦不滅↥、而行↢因縁業↡亦不↠失。」已上

このもん深妙じんみょうなり。 もとどりのなかの明珠みょうしゅなり。 すなはちりぬ、 われらもぶつになることうたがいなしと

此文深妙、髻中明珠。則知、我等成仏无↠疑。

龍樹りゅうじゅそんみょうしたてまつる。 わが心願しんがん証明しょうみょうしたまへ

帰↢命龍樹尊↡、証↢成我心願↡。

証成 青蓮院本では 「証明」。

助念方法

【47】大文だいもんだい五に、 *助念じょねん方法ほうほうといふは、 *もくあみとりることあたはず、 万術まんじゅつをもつて観念かんねんたすけて、 おうじょうだいじょうず。 いま七をもつて、 りゃくして方法ほうほうしめさん。 一には方処ほうしょ供具くぐ、 二には修行しゅぎょう相貌そうみょう、 三にはたいだい、 四にはあく修善しゅぜん、 五にはさん衆罪しゅざい、 六にはたい魔事まじ、 七には総結そうけつ要行ようぎょうなり

助念方法 念仏を助ける方法。
一目の羅… 目の一つしかない網では鳥を捕らえることはできない。 天台てんだい大師の ¬摩訶まかかん¼ 巻五にもとづく語。

大文第五助念方法者、一目之羅、不↠能↠得↠鳥、万術助↢観念↡成↢往生大事↡。今以↢七事↡略示↢方法↡。一方処供具、二修行相貌、三対治懈怠、四止悪修善、五懺悔衆罪、六対治魔事、七総結行要。

◎助念方法 方処供具

【48】だい一に*方処ほうしょ供具くぐとは、 *ないともにきよくして一の閑処げんしょめて、 ちからしたがひてこう供具くぐべんぜよ

方処供具 念仏を修する際の場所やもつ・道具。
内外 心と身体。

第一方処・供具者、内外倶浄、卜↢一閑処↡、随↠力弁↢於華香・供具↡。

華香 青蓮院本では 「香華」。

もしこうとう闕少けっしょうせることあらば、 ただもつぱらぶつどくじんねんぜよ

若有↣闕↢少華香等事↡、但専念↢仏功徳威神↡。

もししたしく仏像ぶつぞうむかはば、 すべからく灯明とうみょうべんずべし

若親対↢仏像↡、須↠弁↢灯明↡。

もしはるかに西方さいほうかんぜば、 あるいは闇室あんしつもちゐよ *かんぜん (懐感) は闇室あんしつゆるす。

感禅師は… ¬ぐんろん¼ 巻七に見える説。

若遥観↢西方↡、或須↢闇室↡。感禅師許↢闇室↡

もしこうするときには、 すべからく ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ のようもんこころによるべし。 そのるところのふくりょうへんなり。 煩悩ぼんのうおのづから減少げんしょうし、 *おのづから円満えんまん そのもん*つう所用しょゆうことならず。 ゆゑにさらにしょうせず。

通途の所用 通常、 用いられるもの。

若供↢華香↡時、須↠依↢¬観仏三昧経¼供養文意↡。其所↠得福、无量无辺、煩悩自減少、六度自円満。其文不↠異↢通途所用↡故不↢更抄↡

もし念珠ねんじゅもちゐんときには、 じょうもとめんとおもはば、 *木槵もくげんもちゐ、 どくおもはば、 *だいない、 あるいは*水精すいしょうれんとうもちゐよ ¬*念珠ねんじゅどくきょう¼ にえたり。

木槵子 むくろじの実。
菩提子 菩提樹の実。
水精蓮子 水晶、 はすの実。

若用↢念珠↡時、欲↠求↢浄土↡、用↢木槵子↡、欲↠多↢功徳↡、用↢菩提子乃至或水精・蓮子等↡。見↢¬念珠功徳経¼↡

◎助念方法 修行相貌

【49】だい二に*修行しゅぎょう相貌そうみょうとは、 ¬*摂論しょうろん¼ とうによりて*しゅそうもちゐよ

修行相貌 念仏行のすがた。
摂論等 ¬摂大乗論しょうだいじょうろん¼ 巻八、 ¬舎論しゃろん¼ 巻二十七など。

第二修行相皃者、依↢¬摂論¼等↡用↢四修相↡。

 底本まま。 註なし。

一には長時修じょうじしゅ

一者長時修。

¬要決ようけつ¼ (*西方要決) にいはく、 「*初発心しょほっしんよりすなはちだいいたるまで、 つねに*浄因じょういんをなして、 つひに退転たいてんなかれ」 と

初発心 はじめて仏道に進もうという志をおこすこと。
浄因 往生浄土の因業。

¬要决¼云。「従↢初発心↡乃至菩提、恒作↢浄因↡、終无↢退転↡。」

善導ぜんどうぜんのいはく (礼讃)、 「いのちふるをとなして、 ちかひて中止ちゅうしせざれ」 と

善導禅師云。「畢命為↠期、誓不↢中止↡。」

二には慇重修おんじゅうしゅ。 いはく、 極楽ごくらく*仏法僧ぶっぽうそうぼうにおいて、 しんにつねに憶念おくねんして、 もつぱら尊重そんじゅうをなせ

仏法僧宝 三宝のこと。 →三宝さんぼう

二者慇重修。謂於↢極楽仏・法・僧宝↡、心常憶念、専生↢尊重↡。

¬要決ようけつ¼ (同) にいはく、 「*行住ぎょうじゅう坐臥ざがに、 西方さいほうそむかざれ。 *てい便べんは、 西方さいほうかはざれ」 と

啼唾便痢 涙・つば・大小便。

¬要决¼云。「行住坐臥、不↠背↢西方↡、涕唾便利、不↠向↢西方↡。」

 他本では 「口+弟」。
 他本では 「痢」。

どう (善導) のいはく (礼讃)、 「おもて西方さいほうかふるものは最勝さいしょうなり。 さきよりかたむけるはたおるるに、 かならずまがれるにしたがふがごとし。 かならずさわりありて西にしかふことおよばずは、 ただ西にしかふおもいをなすにまたたり」 と

禅師云。「面向↢西方↡者勝。如↢樹先傾倒必随↟曲。必有↢事礙↡不↠及↠向↢西方↡者、但作↢向↠西想↡亦得。」

禅師 青蓮院本、 建長五年刊本では 「師」。
西方 他本では 「西」。

三には間修けんしゅ

三者无間修。

¬要決ようけつ¼ (同) にいはく、 「いはく、 つねにぶつねんじておうじょうしんをなせ。 一切いっさいときにおいて、 しんにつねにおもたくめ。 たとへば、 ひとありて、 *抄掠しょうりゃくせられ、 せんとなりてつぶさに*艱辛かんしんけん。 たちまちに父母ぶもおもひ、 はしりてくにかえらんとほっするに、 *行装ぎょうしょういまだべんぜずして、 なほさとにありてにちゆいし、 堪忍かんにんせず。 ときとしてしばらくもてて*耶嬢やじょうおもはざることなし。 はかりごとをなすことすでにじょうじて、 すなはちかえりてたっすることをて、 父母ぶも親近しんごんし、 ほしいままにかんせんがごとし。 行者ぎょうじゃもまたしかなり。 むかし煩悩ぼんのうによりて善心ぜんしんらんし、 *ふく珍財ちんざい、 ならびにみな散失さんしつせり。 ひさしくしょうしずみてせいすること自由じゆならず。 つねにおうのためにしかも*ぼく使となりて、 六どう駆馳くちせられ、 身心しんしんせつす。 いま善縁ぜんえんひて、 たちまちに弥陀みだ慈父じぶの、 がんたがはずして*群生ぐんじょう*済抜さいばつしたまふことをき、 にち*驚忙きょうもうし、 しんおこしてくことをねがふ。 ゆゑに*精勤しょうごんすることまずして、 まさに仏恩ぶっとんねんじて、 *ほうくるをとなして、 しんにつねにねんすべし」 と

他に抄掠せられ 他人にさらわれて。
艱辛 苦労。 苦難。
行装 旅の用意。
耶嬢 耶は父、 嬢は母。 両親のこと。
福智の珍財 福徳や智慧ちえの尊い財宝。 福徳は六波羅蜜のうちの布施ふせかい忍辱にんにく精進しょうじん禅定ぜんじょうの五をいい、 智慧は第六の般若はんにゃを指す。 →ろっ波羅ぱらみつ
僕使 従属する者。
済抜 苦を抜き、 迷いの世界から救うこと。
驚忙 おどろきあわてること。
報の尽くるを期となして 現在のこの身 (報) が尽きるまでという意。

¬要决¼云。「謂常念↠仏作↢往生心↡、於↢一切時↡、心恒想巧。譬若↧有↠人、被↢他抄掠↡、身為↢下賤↡、備受↢艱辛↡、忽思↢父母↡、欲↣走帰↢本国↡、行装未↠弁、由在↢他郷↡日夜思惟。苦不↠堪↠忍、无↢時暫捨不↟念↢耶嬢↡。為↠計既成、便帰得↠達、親↢近父母↡、縦任歓娯↥。行者亦爾。往因↢煩悩↡、壊↢乱善心↡、福智珍財、并皆散失。久沈↢生死↡制不↢自由↡。恒与↢魔王↡而作↢僕使↡駈↢馳六道↡、苦↢切身心↡。今遇↢善縁↡、忽聞↧弥陀慈父不↠違↢弘願↡済↦抜羣生↥、日夜驚忙発心願↠往。所以精勤不↠倦、当↧念↢仏恩↡報尽為↠期、心恒計念↥。」

本国 他本では 「国」。
◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「云々」 と割註あり。

どう (善導) のいはく (礼讃)、 「心々しんしん相続そうぞくしてごうをもつてまじへざれ。 また*貪瞋とんじんとうをもつてまじへざれ。 したがひておかせば、 したがひてさんせよ。 ねんへだときへだへだてしめずして、 つねに清浄しょうじょうならしめよ」 と

導師云。「心心相続不↧以↢余業↡間↥、又不↧以↢貪瞋等↡間↥、随犯随懺、不↠令↢隔↠念隔↠時隔↟日、常令↢清浄↡。

◇ 青蓮院本には 「云々」 と割註あり。

わたくしにいはく、 にち、 あるいは三・二に、 かならず方法ほうほうして、 精勤しょうごん修習しゅじゅうせよ。 そのしょには*威儀いぎもとめず、 方法ほうほうろんぜず、 しんはいすることなくして、 つねにぶつねんずべし

威儀 規律にかなった起居動作、 ふるまいのこと。

私云。昼夜六時、或三時・二時、要具↢方法↡、精勤修習。其余時処、不↠求↢威儀↡、不↠論↢方法↡、心口无↠廃、常応↠念↠仏。

 青蓮院本、 建長五年刊本では 「癈」。

四には無余むよしゅ

四者无余修。

¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「もつぱら極楽ごくらくもとめて弥陀みだ*礼念らいねんせよ。 ただししょ業行ごうぎょうぞうせしめざれ。 しょごうは、 *日別にちべつに、 すべからく念仏ねんぶつ読経どくきょうしゅして、 *余課よかとどめざるべし」 と

礼念 礼拝らいはいし念ずること。
余課を留めざるべし 課は一日に行うべき仕事を定め置くこと。 念仏と読経以外はこの課に入れないようにせよという意。

¬要决¼云。「専求↢極楽↡、礼↢念弥陀↡、但諸余業行、不↠令↢雑起↡。所作之業、日別須↧修↢念仏読経↡不↞留↢余課↡耳。」

どう (善導) のいはく (礼讃)、 「かのぶつみなをもつぱらしょうし、 かのぶつおよび一切いっさいしょうじゅとうをもつぱらねんじ、 もつぱらおもひ、 もつぱららいし、 もつぱらさんじて、 ごうまじへざれ」 と

導師云。「専称↢彼仏名↡、専↢念専↣想専↤礼専↯讃彼仏及一切聖衆等↡、不↠雑↢余業↡。」已上

 ふ。 そのごうは、 なんのしつかある

問。其余事業、有↢何過失↡。

こたふ。 ¬*宝積ほうしゃくきょう¼ の九十二にのたまはく、 「もしさつありて、 ねがひて*ごうをなし、 *しゅいとなまんを、 おうぜざるところなりとなす。 われかく、 ªこのひとしょうじゅうすº」 と

世業 世俗のいとなみ、 仕事。
衆務 さまざまなつとめ。

答。¬宝積経¼九十二云。「若有↢菩薩↡楽作↢世業↡、営↢於衆務↡、為↠所↠不↠応。我説、是人住↢於生死↡。」

またどうにのたまはく、

*ろん諍論じょうろんところは、 おおくもろもろの煩悩ぼんのうおこす。

戯論諍論 無意味な会話や論争。

しゃおんすべきこと、 まさにひゃく由旬ゆじゅんるべし」 と

又同¬偈¼云。「戯論諍論処、多起↢諸煩悩↡。智者応遠離当↠去↢百由旬↡。」云云

自余じよ方法ほうほうは、 つぶさに ¬*かん¼ のごとし

自余方法、具如↢¬止観¼↡。

 ふ。 もししからば、 ざいにん念仏ねんぶつぎょうへがたし

問。若爾、在家人、難↠堪↢念仏行↡。

こたふ。 もしぞくにんは、 *えんてがたくは、 ただつねにおもい西方さいほうけて、 誠心じょうしんにしてかのぶつねんずべし。 ¬*木槵もくげんきょう¼ の*瑠璃るりおうぎょうのごとくせよ

縁務 自分に関係した世俗のいとなみ。
瑠璃王の行 政務のために修行に専念できない瑠璃王 (波瑠璃王) は、 釈尊の教えによって、 常に木槵子むくろじの数珠を携え、 戦場にあっても仏を念じつづけたという。

答。世俗人、難↠棄↢縁務↡、但常繋↢念西方↡、誠心応↧念↢彼仏↡、如↦¬木槵経¼瑠璃王行↥。

◇ 青蓮院本、 建長五年刊本には 「若」 の字あり。

またざいの ¬*じょうろん¼ にいはく、 「たとへば、 りゅうくに、 くもすなはちこれにしたがふがごとく、 しんもし西にしけば、 ごうまたこれにしたがふ」 と

又迦才¬浄土論¼云。「譬如↢竜行雲即随↟之、心若西逝、業亦随↠之。」云云

云云 青蓮院本では欠く。

 ふ。 すでにりぬ、 修行しゅぎょうそうじて*四のそうありと。 その修行しゅぎょうとき用心ようじんいかんぞ

四の相 四修の相。 →しゅ

問。既知、修行惣有↢四相↡。其修行時用心云何。

こたふ。 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「もししゅじょうありて、 かのくにうまれんとがんずるものは、 三しゅしんおこして即便すなわちおうじょうす。 一には至誠心しじょうしん、 二には深心じんしん、 三にはこう発願心ほつがんしんなり」 と

答。¬観経¼云。「若有↢衆生↡、願↠生↢彼国↡者、発↢三種心↡、即便往生。一至誠心、二深心、三廻向発願心。」

善導ぜんどうぜんのいはく (礼讃)、 「一に至誠心しじょうしんといふは、 いはく、 礼拝らいはい讃嘆さんだん*念観ねんかんの三ごうはかならず真実しんじつもちゐるがゆゑなり。 二に深心じんしんといふは、 いはく、 しんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼんなり。 善根ぜんごん薄少はくしょうにして三がいてんして、 いまだたくでずとしんし、 いま弥陀みだ*ほん誓願ぜいがんは、 みょうごうしょうすることしもしょう・一しょうとういたるにおよぶまで、 さだめておうじょうしんして、 ないねんしんあることなきなり。 三にこう発願心ほつがんしんといふは、 いはく、 しょ一切いっさい善根ぜんごんをことごとくみなこうして、 おうじょうせんとがんずるがゆゑなり。 この三しんすれば、 かならずおうじょうすることを。 もし一心いっしんけぬれば、 すなはちしょうずることをず」 と りゃくしてこれをしょうす。 経文きょうもん上品じょうぼん上生じょうしょうにありといへども、 ぜん (善導) のしゃくのごとくは、 ぼんつうず。 余師よししゃくつぶさにすることあたはず。

念観 観察のこと。 →観察かんざつ
本弘誓願 阿弥陀仏がいんにおいて弘く一切のしゅじょうを救おうと誓われた願。

善導禅師云。「一至誠心、謂礼拝・讃歎・念観三業、必須↢真実↡故。二深心、謂信↧知自身是具↢足煩悩↡凡夫、善根薄少流↢転三界↡、未↞出↢火宅↡。今信↪知弥陀本弘誓願、及↧称↢名号↡下至十声・一声等↥、定得↩往生↨、乃至↢一念↡无↠有↢疑心↡。三廻向発願心、謂所作一切善根、悉皆廻向、願↢往生↡故。具↢此三心↡必得↢往生↡。若少↢一心↡即不↠得↠生。」略↢抄之↡経文雖↠在↢上品上生↡如↢禅師釈↡者理通↢九品↡余師釈不↠能↠具

¬*音声おんじょうおうきょう¼ にのたまはく、 「もしよくふかしんじて狐疑こぎなきものは、 かならず阿弥陀あみだくにおうじょうすることを」 と

¬鼓音声経¼云。「若能深信无↢狐疑↡者、必得↣往↢生阿弥陀仏国↡。」

仏国 青蓮院本、 建長五年刊本では 「国」 のみ。

¬はんぎょう¼ にのたまはく、 「*のくだい信心しんじんいんとなす。 このだいいんまたりょうなりといへども、 もし信心しんじんきつればすなはちすでに摂尽しょうじんしつ」 と

¬涅槃経¼云。「阿耨菩提信心為↠因。是菩提因、雖↢復无量↡、若説↢信心↡、則已摂尽。」已上

あきらかにりぬ、 どうしゅするにはしんをもつてはじめとなす

明知、修↠道以↠信為↠首。

また善導ぜんどう和尚かしょうのいはく (礼讃・意)、 「もしは入観にゅうかんおよびねむりのときには、 このがんおこすべし。 もしはし、 もしはちて、 一心いっしん合掌がっしょうして、 まさしくおもて西にしかへて、 十しょう、 ª阿弥陀あみだぶつ観音かんのんせい・もろもろのさつ*清浄しょうじょう大海だいかいしゅº としょうしをはりて、 ぶつさつおよび極楽ごくらくかいそうたてまつらんといふがんおこせ。 すなはちこころしたがひて入観にゅうかんし、 およびねむりてもることをしんをばいたさざるをのぞく」 と

清浄大海衆 清浄で海のように広大な浄土の聖者たち。

又善導和尚云。「若入観及睡時、応↠発↢此願↡。若坐若立、一心合掌、正面向↠西、十声称↢阿弥陀仏・観音・勢至・諸菩薩・清浄大海衆↡竟、而発↧見↢仏・菩薩及極楽界相↡之願↥。即随↠意入観、及唾得↠見。除↠不↢至心↡。」

 ふ。 行者ぎょうじゃ*常途じょうずおうじょうねんすること、 そのそう、 なににかたる

常途 平生へいぜい

問。行者常途、計↢念往生↡、其相似何。

こたふ。 さきくところの ¬要決ようけつ¼ (*西方要決) に、 本国ほんごくかえらんとおもたとへ、 これそのそうなり

答。前所↠引¬要决¼欲↠帰↢本国↡之譬、是其相也。

またしゃく和尚かしょう (道綽) の ¬*安楽あんらくしゅう¼ (上) にいはく、 「たとへば、 ひとありて*空曠くうこうのはるかなるところにして、 怨賊おんぞくの、 つるぎゆうふるひて、 ただちにきたりてころさんとほっせんに値遇ひなん。 このひとただちにはしるに、 一のかわわたらんとる。 いまだかわいたるにおよばざるに、 すなはちこのねんをなす。 ªわれかわきしいたりては、 ころもぎてやわたるとやせん、 ころもてやおよぐとやせん。 もしころもぎてわたらば、 ただおそらくはいとまなきことを。 もしころもおよがば、 またおそらくは*首領しゅりょうまったくすることかたしº と。 そのときに、 ただ一心いっしんかわわた方便ほうべんをなすことのみありて、 心想しんそう*間雑けんぞうすることなからんがごとし。 行者ぎょうじゃまたしかり。 阿弥陀あみだぶつねんずるときには、 またかのひとわたることをおもふがごとくして、 念々ねんねんにあひいで、 心想しんそう間雑けんぞうすることなし。 あるいはぶつ法身ほっしんおもひ、 あるいはぶつ*神力じんりきおもひ、 あるいはぶつ智慧ちえおもひ、 あるいはぶつ*毫相ごうそうおもひ、 あるいはぶつ相好そうごうおもひ、 あるいはぶつ本願ほんがんおもへ。 みなしょうすることもまたしかなり。 ただよくもつぱらいたして、 相続そうぞくしてだんぜざるは、 さだめて仏前ぶつぜんうまる」 と

空曠のはるかなる処 何もなくて、 どこまでも広がっている場所。
首領を… 命を全うすることができないであろう。 ここでは、 溺れ死ぬであろうの意。

¬安楽集¼云。「譬如↧有↠人於↢空曠逈処↡、値↢遇怨賊抜↠劒奮↠勇直来欲↟殺。此人径走観↠渡↢一河↡。未↠及↠到↠河、即作↢此念↡。我至↢河岸↡、為↢脱↠衣渡↡、為↢著↠衣浮↡。若脱↠衣渡、唯恐无↠暇。若著↠衣浮、復畏↢首領難↟全。爾時、但有↣一心作↢渡↠河方便↡、无↦余心想間雑↥。行者亦爾。念↢阿弥陀仏↡時、亦如↢彼人念↟渡、念念相次無↢余心想間雑↡、或念↢仏法身↡、或念↢仏神力↡、或念↢仏智慧↡、或念↢仏毫相↡、或念↢仏相好↡、或念↢仏本願↡。称↠名亦爾。但能専至相続不↠断、定生↢仏前↡。」已上

◇ 青蓮院本には 「綽和尚」 とある。

*元暁がんぎょうこれにおな

元暁師同↠之。

 ふ。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいは、 ただしんねんずとやせん、 またくちとなふとやせん

問。念仏三昧為↢唯心念↡、為↢亦口唱↡。

こたふ。 ¬*かん¼ のだい(意) にいふがごとし。 「あるいは〔しょうねん〕ともにはこび、 あるいはねんのちとなへ、 あるいはとなのちねんじて、 しょうねんあひぎてそくするときなし。 声々しょうしょう念々ねんねんただ阿弥陀あみだにあり」 と

答。如↢¬止観¼第二云↡。「或唱念倶運、或先念後唱、或先唱後念、唱念相継无↢休息時↡。声声念念、唯在↢阿弥陀↡。」

唱念 青蓮院本では欠く。

またかんぜん (*懐感) のいはく (群疑論)、 「¬かんぎょう¼ にのたまはく、 ªこのひとめられて念仏ねんぶついとまあらず。 *ぜん教令きょうりょうすらく、 «阿弥陀あみだぶつしょうすべし» と。 かくのごとくしんいたして、 こえをしてえざらしむº と。 あにのうめられて念想ねんそうじょうじがたきには、 こえをしてえざらしむるに、 しんにすなはちるにあらずや。 いまこのこえいだして、 *念仏ねんぶつじょうがくすることもまたかくのごとし。 こえをしてえざらしむれば、 つひに三昧さんまいて、 ぶつしょうじゅ*皎然きょうねんとしてまえにましますをる。 ゆゑに ¬*大集だいじゅう¼ の ª日蔵分にちぞうぶんº にのたまはく、 ª大念だいねん大仏だいぶつる、 小念しょうねん小仏しょうぶつるº と。 ª大念だいねんº とは大声だいしょうぶつしょうするなり。 ª小念しょうねんº とは小声しょうしょうぶつしょうするなり。 これすなはち聖教しょうぎょうなり。 なんのまどひかあらん。 げんるにすなはちいまのもろもろの修学しゅがくしゃ、 ただすべからくこえはげましてぶつねんずべし。 三昧さんまいじょうじやすし。 小声しょうしょうぶつしょうするに、 つひに*さんおおし。 これすなはち学者がくしゃるところにして、 *にんさとるにあらず」 と 以上いじょう、 かの ¬きょう¼ (大集経) にのたまはく、 「ただほっするはしょうほっするはしょうる」 とうと。 しかるにかん (懐感)、 すでに三昧さんまいたり。 かのしゃくするところ、 あおぎてしんずべし。 さらに諸本しょほんかんがへよ。 「小念しょうねんしょう大念だいねんだいる」 のもん、 ¬*日蔵にちぞうきょう¼ のだい九にでたり。

念仏定 念仏三昧のこと。 →念仏ねんぶつ三昧ざんまい
皎然 明らかなさま。
馳散 心のみだれ。
外人 余地の人。
日蔵経 ¬大集経¼ 日蔵分のこと。 引用はその取意の文。

又感禅師云。「観経言。是人苦逼、不↠遑↢念仏↡。善友教令、可↠称↢阿弥陀仏↡。如↠是至↠心令↢声不↟絶。豈非↧苦悩所↠逼、念想難↠成、令↢声不↟絶、至心便得↥。今此出↠声、学↢念仏定↡、亦復如↠是。令↢声不↟絶、遂得↢三昧↡、見↢仏・聖衆皎然目前↡。故大集日蔵分言。大念見↢大仏↡、小念見↢小仏↡。大念者大声称↠仏也、小念者小声称↠仏也。斯即聖教、有↢何惑↡哉。現見即今諸修学者、唯須↢励↠声念仏↡、三昧易↠成。小声称↠仏遂多↢馳散↡。此乃学者所↠知、非↢外人之暁↡矣。」已上彼¬経¼但云「欲↠多見↠多欲↠小見↠小」等云云然感師既得↢三昧↡彼所↠釈応↢仰信受↡更勘↢諸本↡小念見↠小大念見↠大文出↢日蔵経第九↡

 青蓮院本では 「或」。
但云 青蓮院本では 「云但」。
云云 青蓮院本では欠く。
信受 青蓮院本、 建長五年刊本では 「信」。

◎助念方法 対治懈怠

【50】だい三に*たいだいとは、 *行人ぎょうにん*ごう勇進ゆうしんすることあたはず。 あるいはしん蒙昧もうまいとなり、 あるいはしん*退屈たいくつす。 そのとき種々しゅじゅすぐれたるせてしん勧励かんれいすべし

対治懈怠 おこたりなまける心を制すること。
行人 (念仏ねんぶつ三昧ざんまいの) 行者。
恒時 つねに。 いつも。
退屈 (仏道を求める心が) くじけること。

第三対治懈怠者、行人不↠能↢恒時勇進↡。或心蒙昧、或心退屈。爾時応↧寄↢種種勝事↡勧↦励自心↥。

あるいは三苦果くかをもつてじょうどくくらべて、 このねんをなすべし。 「われすでに悪道あくどうにしてこうき。 *無利むりごんすら、 なほよくえたり。 小行しょうぎょう修行しゅぎょうしてだいんはだいなり。 退屈たいくつをなすべからず」 と 悪趣あくしゅじょうそう、 一々に*さきのごとし。

無利の勤苦 なんの利益もない苦しい勤め。
 大文第一厭離えんり穢土えど、 大文第二ごんじょうを指す。

或以↢三途苦果↡比↢浄土功徳↡、応↠作↢是念↡。我已悪道経↢多劫↡、无利勤苦尚能超。修↢行少行↡得↢菩提大利↡、不↠応↠生↢退屈↡。悪趣苦浄土相一一如↠前

 建長五年刊本では 「小」。

あるいはおうじょうじょうしゅじょうえんじて、 このねんをなすべし。 「十ぽうかいのもろもろのじょう念々ねんねん安楽あんらくこくおうじょうす。 かれすでに*丈夫じょうぶなり。 われもまたしかなり。 みづからかろみて退屈たいくつをなすべからず」 と おうじょうにん*しもやくもん料簡りょうけんもんのごとし。

丈夫 すぐれた人。 立派な人。
下の利益門料簡門 大文第七念仏ねんぶつやく、 大文第十問答もんどう料簡りょうけんを指す。

或縁↧往↢生浄土↡衆生↥、応↠作↢是念↡。十方世界諸有情、念念往↢生安楽国↡。彼既丈夫、我亦爾。不↠応↣自軽生↢退屈↡。往生人如↢下利益門料簡門↡

あるいはぶつ奇妙きみょうどくえんずべし

或応↠縁↢仏奇妙功徳↡。

 ふ。 なんらのどく

問。何等功徳。

こたふ。 そのりょうなり。 りゃくしてそのようげん

答。其事无辺、略挙↢其要↡。

 青蓮院本では 「量」。

・四十八願

一には四十八の本願ほんがんねんすべし

一応↣思↢念四十八本願↡。

本願 青蓮院本では 「大願」。

また*¬りょう清浄しょうじょうがくきょう¼ にのたまはく、 「阿弥陀あみだぶつかんおん大勢だいせいと、 大願だいがんふねりてしょううみうかびて、 このしゃかいにつきて、 しゅじょうかんして大願だいがんふねせて、 西方さいほうおくけしめたまふ。 もししゅじょうの、 あへて大願だいがんふねらば、 ならびにみなることを。 これはこれきやすきなり」 と

無量清浄覚経に… 引用は ¬りょう清浄しょうじょう平等覚びょうどうがくきょう¼ 巻二の文にもとづいたざいの ¬浄土論¼ 巻下の文。

又¬无量清浄覚経¼云。「阿弥陀仏与↢観世音・大勢至↡、乗↢大願船↡、汎↢生死海↡、就↢此娑婆世界↡、呼↢喚衆生↡令↠上↢大願船↡、送↢著西方↡。若衆生肯上↢大願船↡者、並皆得↠去。」此是易↠往也。

¬*しんかんぎょう¼ のにのたまはく、

しゅじょう生死海しょうじかい没在もつざいして、 *しゅりんしてづるなし。

五趣 悪趣あくしゅの略。 地獄・餓鬼がき畜生ちくしょう・人・天の五道。

*善逝ぜんぜいつねに妙法みょうほうふねとなり、 よく*あいりてがんえしめたまふ」 と

愛流 人の心を溺れさせる貪愛とんないを水の流れに喩えていう。

¬心地観経¼偈云。「衆生没↢在生死海↡、輪↢廻五趣↡、无↢出期↡。善逝恒為↢妙法船↡、能截↢愛流↡、超↢彼岸↡。」

おもふべし、 「われ、 いづれのときにかがんふねりてらん」 と

応↠念、我何時乗↢悲願船↡去。

・名号

 二には*みょうごうどくなり

二名号功徳。

¬*ゆいぎょう¼ にのたまふがごとし。 「諸仏しょぶつ色身しきしんそう種性しゅしょう*かいじょう智慧ちえだつけん*りきしょ不共ふぐほうだいだい威儀いぎ所行しょぎょう、 およびその寿命じゅみょう説法せっぽう教化きょうけし、 しゅじょう成就じょうじゅし、 ぶつこくきよめ、 もろもろの仏法ぶっぽうしたまへること、 ことごとくみな同等どうとうなり。 このゆゑにづけて*三藐さんみゃくさんぶっとなし、 づけて*多陀阿ただあ伽度かどとなし、 づけてぶっとなす。 なん、 もしわれひろくこの三かば、 なんぢ*劫寿こうじゅをもつてすとも、 つくしてくることあたはじ。 たとひ三ぜん大千だいせんかいのなかにてらんしゅじょうをして、 みななんのごとくもんだい一にして*ねんそうしむとも、 このもろもろのひとも、 こう寿じゅをもつてすともまたくることあたはじ」 と

戒定智慧解脱知見 戒・定・慧・解脱・解脱知見のぶん法身ほっしんのこと。 戒をたもち、 禅定ぜんじょうに入り、 智慧をひらき、 すべての煩悩ぼんのうから解放されて、 心の安らかさを自覚するという五つのどく
力無所畏不共の法 十力と四無所畏と十八不共法のこと。 →十力じゅうりきしょじゅう八不共法はちふぐほう
三藐三仏陀 梵語サムヤック・サンブッダ (samyak-saſbuddha) の音写。 正遍しょうへん等正覚とうしょうがく正等覚しょうとうがくなどと漢訳する。 絶対平等のさとりを得た仏のこと。
多陀阿伽度 梵語タターガタ (tathāgata) の音写。 如来と漢訳する。 →如来にょらい
劫寿 一劫の寿命。
念総持 学び聞いたところをすべて保持記憶する能力。

如↢¬維摩経¼言↡。「諸仏色身威相・種性・戒・定・智慧・解脱・知見・力・无所畏・不共之法・大慈大悲・威儀・所行、及其寿命、説法教化、成↢就衆生↡、浄↢仏国土↡、具↢諸仏法↡、悉皆同等。是故名為↢三藐三仏陀↡、名為↢多陀阿伽度↡、名為↢仏陀↡。阿難、若我広説↢此三句義↡、汝以↢劫寿↡不↠能↢尽受↡。正使三千大千世界、満↠中衆生、皆如↢阿難↡、多聞第一、得↢念惣持↡、此諸人等、以↢劫之寿↡、亦不↠能↠受。」

◇ 青蓮院本には 「已上」 と割註あり。

¬要決ようけつ¼ (*西方要決) にいはく、 「¬ゆい¼ にのたまはく、 ªぶつはじめの三ごうをば、 ぶつもしひろきたまはば、 なんこうとも領受りょうじゅすることあたはじº と。 ¬*成実じょうじつろん¼ に、 ぶつごうしゃくするに、 *さきの九ごうはみなべつしたがひ、 さきの九ごう*名義みょうぎどくそうじて、 ぶつそんとなす。 はじめの三ごうかんに、 こうともきわめがたし。 なん領悟りょうごするに、 よく*つぶさにしっすることなし。 さらに六ごうくわへて、 もつて仏号ぶつごうせいせりといふ。 *勝徳しょうとくすでにまどかなれば、 それをねんずるは大善だいぜんなり」 と 以上いじょう ¬要決ようけつ¼ (西方要決)。

前の九号 如来の十号のうち仏世尊以外の九号。 →にょらい
名義 名号の意義、 いわれ。
つぶさに悉する 完全に理解するの意。
勝徳 すぐれたどく

¬要决¼云。「維摩経云。仏初三号、仏若広説、阿難経↠劫不↠能↢領受↡。成実論釈↢仏之号↡、前之九号皆従↢別義↡、惣↢前九号名義功徳↡為↢仏世尊↡。説↢初三号↡、歴↠劫難↠周、阿難領悟莫↢能具悉↡。更加↢六号↡以製↢仏名↡。勝徳既円、念↠其大善也。」已上¬要决¼

 青蓮院本では欠く。
 青蓮院本では 「号」。

¬ごん¼ のにのたまはく、

「もしもろもろのしゅじょうありて、 いまだ提心だいしんおこさざらんに、

一たびもぶつみなくことをば、 けつじょうしてだい*じょうぜん」 と

成ぜんと 諸本には次下に細註で 「首楞厳経しゅりょうごんきょうの文は下の料簡門りょうけんもんのごとし」 とある。

¬華厳¼偈云。「若有↢諸衆生↡、未↠発↢菩提心↡、一得↠聞↢仏名↡、决定成↢菩提↡。」¬首楞厳経¼文加↢下料簡門↡

首楞厳経文加下料簡門 青蓮院本では欠く。

このねんをなすべし、 「われ、 いますでにぶつ尊号そんごうくことをたり。 ねがはくは、 われまさにぶつつくりて十ぽう諸仏しょぶつのごとくあるべし」 と

応↠作↢是念↡。我今既得↠聞↢仏尊号↡、願我当↣作仏如↢十方諸仏↡。

・相好

 三には相好そうごうどくなり

三仏相好功徳。

¬*波羅ぱらみつきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろのけんにおいて、 あるところの三一切いっさいしゅじょう*がくがくにん、 および辟支びゃくしぶつ、 かくのごときじょうりょうへんしょどくを、 如来にょらいの一もうどくくらぶるに、 百千ひゃくせん万分まんぶんがなかにその一にもおよばず。 かくのごとき一々の毛端もうたんは、 みな如来にょらいりょうどくより出生しゅっしょうせるところなり。 一切いっさい毛端もうたんのあらゆるどくをもつて、 ともに一のほつどくじょうず。 かくのごとくしてぶつみぐしは八まんせんなり。 一々のほつのなかに、 おのおのかみのごときどくせり。 かくのごとく合集ごうじゅうして、 ともに一の*随好ずいこうどくじょうず。 一切いっさいこうどくをともにして、 一の*そうどくじょうず。 一切いっさいそうどく合集ごうじゅうして百千ひゃくせんばいいたりて、 けん*毫相ごうそうどくじょうず。 そのそう円満えんまんにして、 宛転えんでんしてみぎめぐれること、 *ていほうのごとし。 明浄みょうじょう鮮白せんびゃくにして、 あんのなかに、 なほあきらかなるほしのごとくなり。 毫相ごうそうこれをぶれば、 かみ*色界しきかい*阿迦膩あかにたてんまでにいたる。 これをけば、 もとのごとくしてまた毫相ごうそうとなりて、 けんじゅうす。 毫相ごうそうどく百千ひゃくせんばいいたりて*肉髻にくけいそうじょうず。 かくのごとき肉髻にくけい千倍せんばいどくは、 *梵音声ぼんのんじょうそうどくおよばじ」 と

学無学の人 仏道においてなお学ぶべき余地を残す者と、 もはや学ぶべきことのない者。
 仏のすぐれた形相の特徴のうちの顕著なもの。
頗胝迦宝 水晶のこと。
梵音声 仏のきよらかな声。

¬六波羅密経¼云。「於↢諸世間↡、所有三世一切衆生、学・无学人、及辟支仏、如↠是有情无量无辺所有功徳、比↢於如来一毛功徳↡、百千万分中不↠及↢其一↡。如↠是一一毛端、皆従↢如来矛量功徳↡之所↢出生↡。一切毛端所有功徳、共成↢一髪功徳↡。如↠是仏髪八万四千、一一髪中各具↢如↠上功徳↡。如↠是合集共成↢一随好功徳↡、一切随好功徳共成↢一相功徳↡。一切相功徳合集至↢百千倍↡、成↢眉間毫相功徳↡。其相円満、宛転右遶、如↢頗胝迦宝↡、明浄鮮白。夜闇之中猶如↢明星↡。毫相舒↠之、上至↢色界阿迦膩天↡、巻↠之如↠旧復為↢毫相↡、於↢眉間↡住。毫相功徳、至↢百千倍↡成↢肉髻相↡。如↠是肉髻、千倍功徳、不↠及↢梵音声相功徳↡。」

随好 他本では 「好」。
 青蓮院本、 建長五年刊本では 「旋」。

また ¬*宝積ほうしゃくきょう¼ にしゅ*校量きょうりょうあり。 学者がくしゃかんがふべし

又¬宝積経¼有↢無数挍量↡、学者可↠勘。

また ¬*大集だいじゅう念仏ねんぶつ三昧ざんまいきょう¼ のだい五にのたまはく、 「かくのごときかい、 および十ぽうりょうへんのもろもろのかいのなかのあらゆるしゅじょう、 たとひことごとくみな一ぶつとなりて、 かのもろもろのそんりょうこうて、 みなかえりてぶつの一もうどくめたまふとも、 つひにまたつくさじ」 と

又¬大集念仏三昧経¼第五云。「如↠此世界、及十方無量無辺諸世界中所有衆生、仮使尽皆一時成仏、彼諸世尊、経↢無量劫↡、皆還歎↢仏一毛功徳↡、終亦不↠尽。」已上

已上 青蓮院本では 「云云」。

¬ごん¼ のにのたまはく、

清浄しょうじょう*もん*刹塵数せつじんじゅにして、 ともに如来にょらいの一の妙相みょうそうしょうず。

慈門 慈悲心のどく
刹塵数 刹は梵語クシェートラ (kşetra) の音写で、 国土の意。 国土を微塵 (物質の最小単位) にしたほど数が多いということ。

一々の諸相しょそう、 しからずといふことなし。 このゆゑにるもの、 *厭足えんそくすることなし」 と

¬華厳¼偈云。「清浄慈門刹塵数、共生↢如来一妙相↡。一一諸相莫↠不↠然。是故見者無↢厭足↡。」

このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われまさにぶつへんどくそうたてまつるべし」 と

応↠作↢是念↡。願我当見↢仏無辺功徳相↡。

・光明威神

 四には*こうみょうじんなり

光明の威神 光明の不可思議な力。

四光明威神。

いはく、 ¬*平等覚びょうどうがくきょう¼ (一) にのたまはく、 「りょう清浄しょうじょうぶつ りょう清浄しょうじょうぶつは、 これ阿弥陀あみだぶつなり。こうみょうは、 最尊さいそんだい一にしてならびなし。 諸仏しょぶつこうみょう、 みなおよばざるところなり。 あるぶついただきこうみょうは七しゃくらす。 あるぶつは一らす。 あるぶつは五*あるぶつは二十・四十・八十ない百万ひゃくまん仏国ぶっこく、 二百万ひゃくまん仏国ぶっこくなり。 八ぽう上下じょうげ*央数おうしゅ諸仏しょぶついただきひかりらしたまふところ、 みなかくのごとし。 りょう清浄しょうじょうぶついただきのなかのこうみょうは、 千万せんまん仏国ぶっこく炎照えんしょうす」 と 以上いじょうしゅ。 わたくしにいはく、 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「かのぶつ*円光えんこう百億ひゃくおく*大千だいせんかいのごとし」 と。 この ¬きょう¼ (平等覚経・一) にはのたまはく、 「いただきのなかのひかり千万せんまんぶつくにらす」 と。 二きょうこころおなじきのみ。

ある仏 底本 (青蓮院本) には 「仏」 の字なし。
大千界 三千大千世界のこと。 →三千大千さんぜんだいせんかい

謂¬平等覚経¼云。「無量清浄 無量清浄仏者是阿弥陀仏也 光明尊第一无↠比、諸仏光明皆所↠不↠及也。有仏頂光明照↢七尺↡、有仏照↢一里↡、有仏五里、有仏二十里・四十里・八十里、乃至百万仏国、二百万仏国。八方・上下、無央数諸仏頂光所↠照、皆如↠是也。無量清浄仏頂中光明、炎↢照千万仏国↡。」已上取意私云¬観経¼云「彼仏円光如↢百億大千界↡」此経云「頂中光照↢千万仏国↡」二経意同耳

◇ 青蓮院本、 建長五年刊本では 「仏」 の字あり。
¬*双巻そうかんぎょう¼ (大経)こころ、 これにおなじ。 ¬きょう¼ (同・上) にのたまはく、 「無量寿むりょうじゅぶつじんこうみょうは、 最勝さいしょうだい一にして、 諸仏しょぶつこうみょうおよぶことあたはざるところなり。 あるいはぶつひかりの、 百仏ひゃくぶつかいあるいは千仏せんぶつかいらすあり。 ようりてこれをいはば、 すなはち東方とうぼうごうしゃ*仏刹ぶっせつらす。 南西なんざい北方ほっぽう*ゆい上下じょうげもまたかくのごとし。 このゆゑに無量寿むりょうじゅぶつを、 無量光むりょうこうぶつ辺光へんこうぶつ無礙むげこうぶつ対光たいこうぶつ *玄一げんいちのいはく (無量寿経記)、 ªともにひとしきものなきがゆゑにº と。 炎王光えんのうこうぶつ 玄一げんいちのいはく (同)、 ª最勝さいしょうざいなるがゆゑにº と。 清浄しょうじょうこうぶつ 一 (玄一) のいはく (同)、 ª三めっするがゆゑにº と。 *憬興きょうごうのいはく (*述文賛)、 ªとん善根ぜんごん所生しょしょうなるがゆゑにº と。 かんこうぶつ 一のいはく (無量寿経記)、 ªふものえつするがゆゑにº と。 こう (憬興) のいはく (述文賛)、 ªしん所生しょしょうなるがゆゑにº と。 智慧ちえこうぶつ 一のいはく (無量寿経記)、 ª智慧ちえ所発しょほつなるがゆゑにº と。 こういはく (述文賛)、 ª無痴むち所生しょしょうなるがゆゑにº と。 断光だんこうぶつ 一のいはく (無量寿経記)、 ªごう相続そうぞくのゆゑにº と。 なんこうぶつ無称光むしょうこうぶつ 一のいはく (同)、 ª称嘆しょうたんして、 そのしょつくすべからざるがゆゑにº と。 自余じよ名義みょうぎりぬべし。 わずらはしくせず。 ちょう日月光にちがっこうぶつごうす。 もし三ごんところにありて、 このこうみょうるに、 またのうなく、 寿いのちおわりてのちにはみなだつこうむる。 ただわれのみ、 いまそのこうみょうしょうするにあらず。 一切いっさい諸仏しょぶつまたかくのごとし。 もししゅじょうありて、 そのこうみょうじんどくきて、 にち*称説しょうせつし、 しんいたしてえざれば、 こころ所願しょがんしたがひて、 そのくにしょうずることをん。 われ、 無量寿むりょうじゅぶつ*こうみょうじん*巍々ぎぎとして殊妙しゅみょうなることをかんに、 昼夜ちゅうやにして一こうすとも、 なほつくすことあたはじ」 と 以上いじょうしゅ。 ¬平等びょうどうきょう¼ には、 べっして、 「いただきひかり」 とのたまひ、 ¬かんぎょう¼ には、 そうじて 「こうみょう」 とのたまふ。

光明の威神 光明の不可思議な力。
巍々 けだかくおごそかであること。

¬双巻経¼云。「無量寿仏威神光明、最勝第一、諸仏光明所↠不↠能↠及。或有↣仏光照↢百仏世界↡、或千仏世界。取↠要言↠之、乃照↢東方恒河沙仏刹↡。南西北方・四維・上下亦復如↠是。是故無量寿仏号↢無量光仏・無辺光仏・無光仏・無対光仏・玄一師云「无↢与等↡故」 炎王光仏・一師云「勝自在故」 清浄光仏・一云「滅↢三垢↡故」憬興師云「无貪善根所生故」 歓喜光仏・一云「遇者悦意故」興云「无瞋所生故」 智恵光仏・一云「智恵所発故」興云「无痴所生故」 不断光仏・一云「恒相続故」 難思光仏・無称光仏・一云「不↠可↣称歎尽↢其所有↡故」自余名義可↠知不↢煩記↡ 超日月光仏↡。若在↢三途勤苦之処↡、見↢此光明↡、無↢復苦悩↡。寿終之後、皆蒙↢解脱↡。非↣但我今称↢其光明↡、一切諸仏亦復如↠是。若有↢衆生↡、聞↢其光明威神功徳↡、日夜称説至↠心不↠断、随↢意所願↡、得↠生↢其国↡。我説↢無量寿仏光明威神巍巍殊妙↡、昼夜一劫尚不↠能↠尽。」已上取意¬平等覚経¼別云↢「頂光」↡¬観経¼惣云↢「光明」↡

 青蓮院本では 「玄一」。
平等覚経 青蓮院本、 建長五年刊本では 「平等経」。

*¬譬喩ひゆきょう¼ のだい三に、 *しゃもんぶつ光相こうそうかしてのたまはく、 「ぶつ (釈尊) めっしたまひて百年ひゃくねん*いくおうあり。 くにのうちの民庶みんしょぶつ遺典ゆいてんしき。 おうの、 こころしんぜずして念言ねんごんすらく、 ªぶつにいかなるとくの、 ひとえたるものありて、 しかもともにしんをもつぱらにしてそのもん誦習じゅじゅうすらんº と。 すなはち大臣だいじんはく、 ªくにのうちに、 もしぶつたるものありやº と。 こたへてまうさく、 ªくならく、 *波斯はしのくおういもうと出家しゅっけして比丘尼びくにとなれり。 ねん*西垂さいずいにありて、 いひてぶつたりといふº と。 おうすなはちみづからでて往詣おうげいして、 ひていはく、 ª*道人どうにんぶつたりやいなやº と。 こたへてまうさく、 ªじつにしかりº と。 ひていはく、 ªなんのしゅなることかあるº と。 道人どうにんのいはく、 ªぶつどく巍々ぎぎとしてはかりがたし。 わがせんの、 よくこれをぶるところにあらず。 ほぼ一かば、 殊特しゅどくなることをりぬべし。 われときに八さいそんきたりておうりたまひき。 すなはちすすみてみあしらいせしに、 こうべうえこがねかんざしらくしてにあり。 これをもとむるにずして、 その所以ゆえんあやしみき。 如来にょらいりたまひしみあしあとに、 *千輻輪せんぷくりんありて、 こうみょうげんじてかがやき、 七にちありてすなはちめっしにき。 *とうには、 こがねかんざし同色どうしきなりき。 ここをもつてえざりき。 ひかりめっしてのちに、 かんざしき。 すなはちりき、 殊特しゅどくなることをº と。 おうきてかんして、 しんあきらかにかいしき」 と

比喩経の… 引用に該当する文は現行の ¬比喩経¼ に見出せない。
波斯匿王 波斯匿は梵語プラセーナジット (Prasena-jit) の俗語形の音写。 釈尊在世時代のコーサラ国の王。
西垂 年老いていること。
道人 仏道を修める人。
登時 その時。

¬譬喩経¼第三明↢釈迦文仏光明相↡云。「仏滅百年有↢阿育王↡、国内民庶、歌↢仏遺典↡。王意不↠信念言。仏有↣何徳過↢踰於人↡而共専信誦↢習其文↡。即問↢大臣↡。国中頗有↢見↠仏者↡。答曰。聞、波斯匿王妹、出家作↢比丘尼↡、年在↢西垂↡、云↢言見↟仏。王即自出往詣問曰。道人見↠仏不耶。答云。実爾。問曰。有↢何殊異↡。道人曰。仏之功徳巍巍難↠量。非↣我愚賎所↢能陳↟之、粗説↢一事↡可↠知↢殊特↡。我時八歳。世尊来入↢王宮↡。即前礼↠足、頭上金釵、堕落在↠地。求↠之不↠得。恠↢其所以↡、如来過去足跡有↢千輻輪↡現↢光明↡晃、七日即滅。登時、金釵与↠地同↠色、是以不↠見。光滅後得↠釵。乃知、為↢殊特↡。王聞歓喜、心煥開悟。」略抄

¬ごん¼ のにのたまはく、

「一々のもう光雲こううんげんじて、 あまねくくうへんして、 大音だいおんおこす。

もろもろの*幽冥ゆうみょうところらさざるなし。 ごくしゅことごとく減ぜしむ」 と

幽冥 くらやみ。

¬華厳経¼偈云。「一一毛孔現↢光明↡、普遍↢虚空↡発↢大音↡。諸幽冥所靡↠不↠照。地獄衆苦咸令↠滅。」

光明 青蓮院本、 建長五年刊本では 「光雲」。

このねんをなすべし、 「ねがはくは、 ぶつこうみょう、 われをらして、 しょう*ごうめっしたまへ」 と

業苦 悪業の結果として受ける苦悩。

応↠作↢是念↡。願仏光照↠我滅↢生死業苦↡。

 青蓮院本では 「光明」。

・無能害者

 五には*よくがいするものなし

よく害するものなし 仏は何者によってもそこなわれることがないという意。

五无↢能害者↡。

¬*宝積ほうしゃくきょう¼ の三十七 (意) にのたまはく、 「*風劫ふうこうおこときには、 大風だいふうあり。 僧伽そうぎゃづく。 かのかぜ、 この三ぜんかい*しゅてっ、 および*大洲だいしゅう、 八まん小洲しょうしゅう大山だいせん大海だいかいぐること、 たかひゃく*ぜんないりょう百千ひゃくせんぜんにして、 すでに砕末さいまつしてじんとなす。 またちて、 *えんてんめつす。 ない*遍浄天へんじょうてんのあらゆる殿でんまたみな散滅さんめつす。 すなはちこのかぜをもつて如来にょらいころもかんに、 一の毛端もうたんきわをも、 なほうごかすことあたはず。 いかにいはんやころもすみおよびまったころもをや」 と

風劫 壊劫えこう (世界の破滅期) の終りの一中劫におこる風害。 これによって色界しきかい第三禅天までが散滅するという。
須弥鉄囲 須弥山とその周囲をめぐる鉄囲山。 →しゅせん
四大州 四天下に同じ。 →てん
閻魔天宮 閻魔天は夜摩天に同じ。 →夜摩やまてん

¬宝積経¼三十七云。「風劫起時、世有↢大風↡、名↢僧伽多↡。彼風挙↢此三千世界須弥・鉄囲、及四大洲、八万小洲、大山・大海↡、高百踰繕那、乃至無量百千踰繕那、已砕末為↠塵。又撃壊↢滅焔摩天宮↡、乃至遍浄天、所有宮殿亦皆散滅。即以↢此風↡吹↢如来衣↡、一毛端際、尚不↠能↠動。何況衣角、及全衣者。」已上

已上 青蓮院本では欠く。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*十住毘婆沙論) にいはく、 「諸仏しょぶつ不可思議ふかしぎなることをば、 仮喩たとえをもつてりぬべし。 たとひ一切いっさいぽうかいしゅじょうみな勢力せいりきあり、 たとひ一のありてそこばくの勢力せいりきあらん。 また十ぽうの一々のしゅじょうちからをしてあくのごとくあらしめたらんに、 ともにぶつがいせんとおもはんに、 なほぶつの一もうをすらうごかすことあたはじ。 いはんやがいするものあらんや」 と

¬十住論¼云。「諸仏不可思議、仮↠喩可↠知。仮使一切十方世界衆生、皆有↢勢力↡、設有↢一魔↡、有↢爾所勢力↡、復令↣十方一一衆生力如↢悪魔↡、欲↢共害↟仏、尚不↠能↠動↢仏一毛↡。況有↢害者↡。」

(同) にいはく、

「もしもろもろのけんのなかに、 ぶつがいすることあらんとおもはば、

このみなじょうぜじ。 せつほうじょうじたまへるをもつてなり」 と

¬偈¼云。「若諸世間中、欲↠有↠害↠仏者、是事皆不↠成。以↠成↢不殺法↡。」

このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われまさにぶつ金剛こんごう不壊ふえしんべし」 と

応↠作↢是念↡。願我当得↢仏金剛不壊身↡。

・飛行自在

 六には飛行ひぎょうざいなり

六飛行自在。

同論どうろんにいはく、 「ぶつくうにおいて、 みあしげ、 みあしろし、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざがしたまふこと、 みなざいたまへり。 大声聞だいしょうもんのごときは、 神通じんずうざいにして、 一にちに五十三おくひゃく九十六まんせんの三ぜん大千だいせんかいぐ。 かくのごときしょうもん百歳ひゃくさいぎたるところをば、 ぶつは一ねんぎたまふ。 ないごうのなかのいさごの、 一のいさごを一のかわとなして、 このもろもろのごうしゃの、 大劫だいこうぎたるところのこくを、 ぶつは一ねんのうちにぎたまふ。 もしたかられんみてらんとほっせば、 すなはちよく成弁じょうべんす。 かくのごとく飛行ひぎょうすること一切いっさい*無礙むげなり」 と

同¬論¼云。「仏於↢虚空↡挙足下足・行住坐臥、皆得↢自在↡。若↢大声聞↡、神通自在、一日過↢五十三億二百九十六万六千三千大千世界↡。如↠是声聞百歳所↠過、仏一念過。乃至恒河中沙、一沙為↢一河↡、是諸恒河沙大劫所↠過国土、仏一念中過。若欲↧蹈↢宝蓮華↡而去↥、即能成弁。如↠是飛行、一切无。」

¬*観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 「くうにおいて、 みあしげてときに、 *千輻輪せんぷくりんそうよりみな八まんせんれんあめふらす。 かくのごときもろもろの*塵数じんじゅぶつましまして、 またくうを歩む」 と 以上略抄

¬観仏経¼云。「於↢虚空↡挙↠足行時、千輻輪相、皆雨↢八万四千蓮華↡。如↠是衆華、有↢塵数仏↡亦歩↢虚空↡。」已上略抄

また 「くうみてきたまへども、 しかも千輻輪せんぷくりん*さいげんず。 *えつ妙香みょうこう鉢特摩華はずまけねん踊出ゆじゅつして如来にょらいみあしく。 もし畜生ちくしょうしゅ一切いっさいじょう如来にょらいみあしのためにれらるるものは、 七きわつるまで、 もろもろのらくけ、 命終みょうじゅうのちには、 *善趣ぜんしゅらくかいのなかにおうじょうす」 と ¬宝積ほうしゃくきょう¼。

地際 地面。
悦意の妙香鉢特摩華 鉢特摩は梵語パドマ (padma) の音写。 れんと漢訳する。 快い香りをはなつ紅色の蓮華。
善趣の楽世界 六道のうちの地獄・餓鬼がき畜生ちくしょうを悪趣、 悪世界というのに対し、 天・人・しゅを善趣、 楽世界という。

又「蹈↠空行、而千輻輪現↢於地際↡。悦意妙香鉢特摩花、自然踊出承↢如来足↡。若畜生趣一切有情、為↢如来足↡之所↠触者、極↢満七夜↡受↢諸快楽↡、命終之後、往↢生善趣楽世界中↡。」¬宝積経¼

もし四十盤石ばんじゃくをもつてしき究竟くきょうてんよりくだすに、 一まんせんびゃく八十三ねんて、 このいたるべし。 ただちにくだるすらなほしかり。 これをしてりぬべし、 しょうもん飛行ひぎょう如来にょらい飛行ひぎょうは、 展転てんでんして不可思議ふかしぎなることを

若以↢四十里盤石↡、従↢色究竟天↡下、経↢一万八千三百八十三年↡到↢此地↡。直下尚爾。推↠之応↠知。声聞飛行、如来飛行、展転不可思議。

¬ごんぎょう¼ のりんさつ讃仏さんぶつにのたまはく、

ざい神通じんずうりきは、 りょうにして*なん思議じぎなり。

難思議 心でおしはかることのできないこと。 不可思議。

らいもなくまたもなくして、 ほうきてしゅじょうしたまふ」 と

¬花厳経¼慧林菩薩讃仏偈云。「自在神通力、无量難↢思議↡。无↠来亦无↠去、説↠法度↢衆生↡。」

 青蓮院本では 「恵」。

このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われ神通じんずうて、 諸仏しょぶつ遊戯ゆげせん」 と

応↠作↢是念↡。願我得↢神通↡遊↢戯諸仏土↡。

・神通無礙

 七には*神力じんりき無礙むげなり

神力無礙 超人的な力が自由自在であること。

神通无。

神通 青蓮院本では 「神力」。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*十住毘婆沙論・意) にいはく、 「ぶつはよくごうしゃとうかいまっして、 *じんのごとくならしめて、 またよくかえりてがっしたまふ。 あるいはまたよくりょうへんそうかいへんじて、 みな金銀こんごんとうとなさしめたまふ。 またよくごうしゃとうかい大海水だいかいすいへんじて、 みな*乳蘇にゅうそとうとならしめたまふ」 と

乳蘇 牛乳を精製してつくった生蘇しょうそ熟蘇じゅくそ

¬十住論¼云。「仏能末↢恒河沙等世界↡、令↠如↢微塵↡、又能還合。或又能変↢无量无辺阿僧祇世界↡、皆令↠作↢金・銀等↡、又能変↢恒河沙等世界大海水↡、皆使↠為↢乳・蘇等↡。已上

¬浄名じょうみょうきょう¼ (*維摩経・意) に、 さつ*不思議ふしぎだつきてのたまはく、 「三ぜん大千だいせんかいりて、 *とうりんのごとくして、 みぎたなごころのなかにけて、 ぐるにごうしゃかいのほかにぐしたまはん。 そのなかのしゅじょうは、 おのが所住しょじゅうかくせず、 せじ。 またかえりて本処ほんしょくに、 すべてひとをして往来おうらいそうあらしめじ。 しかもこのかいもとそうは、 もとのごとし。 またほうごうしゃとう諸仏しょぶつかいにおいて一ぶつりて、 上方じょうほうごうしゃしゅかいくること、 *しんちて一*棗葉そうようぐるがごとくするも、 わずらはすことなし。 しゅせんをもつて芥子けしのなかにおさめ、 四大海だいかいをもつて一もうるることまたかくのごとし。 そのなかのしゅじょうは、 かくせず、 せじ。 ただすべきものすなはちこれをけんす」 と

不思議解脱 思惟を超えたさとりの境地。
陶家の輪 陶器をつくるためのろく
針鋒 針の先。
棗葉 なつめの葉。

¬浄名経¼説↢菩薩不思議解脱↡云。「断↢取三千大千世界↡、如↢陶家輪↡、著↢右掌中↡、擲↢過恒河沙世界之外↡、其中衆生、不↠覚↢不↠知↣己之所↟住。又復還置↢本処↡、都不↠使↣人有↢往来想↡。而此世界本相如↠故。又於↢下方過恒河沙等諸仏世界↡、取↢一仏土↡挙↢著上方過恒河沙无数世界↡、如↧持↢針鋒↡挙↦一稾葉↥、而无↠所↠嬈。以↢須弥山↡、納↢芥子中↡、以↢四大海↡入↢一毛孔↡亦復如↠是。其中衆生、不↠覚不↠知。唯応↠度者、乃知↢見之↡。」已上

 青蓮院本、 承元元年刊本では
无所嬈 「なやますところなし」。 青蓮院本では 「无嬈」。

さつなほしかり、 いかにいはんや仏力ぶつりきをや。 ゆゑに ¬*諸仏しょぶつ境界きょうがいきょう¼ にのたまはく、 「よく十ぽうかいをして一もうれしめ、 じんにおいてよくりょうしゅ不可ふかせつかいげんずるに、 一切いっさいしゅじょうまた*迫迮はくさくなし。 りょうしゅ不可ふかせつこう威儀いぎほうを、 よく一ねんのうちにおいてげんじ、 一ねん威儀いぎほうを、 りょうしゅ不可ふかせつこうのうちにおいてげんず。 かくのごときしょは、 しん*ゆうなく、 ゆいをなさず」 と

迫迮 おしつめられて、 ちぢまること。

菩薩尚爾。何況仏力。故¬度諸仏境界経¼云。「能令↣十方世界入↢一毛孔↡、乃至 於↢一微塵↡能現↢无量无数不可説世界↡、一切衆生、亦无↢迫迮↡。无量无数不可説劫、威儀果報事能於↢一念中↡現、一念威儀果報事於↢无量无数不可説劫中↡現。如↠是所作心无↢功用↡、不↠作↢思惟↡。」

¬ごんぎょう¼ の真実しんじつどうさつにのたまはく、

一切いっさいのもろもろの如来にょらいは、 神通じんずうざいなり。

ことごとく三のなかにおいて、 これをもとむるに不可ふかとくなり」 と

¬華厳経¼真実幢菩薩偈云。「一切諸如来、神通力自在。悉於↢三世中↡、求↠之不↠可↠得。」

このねんをなすべし、 「われいままたらず、 ぶつ*神力じんりきのためにてんぜられて、 いづれのぶつにかあり、 たれのもうにかあるといふことを。 われいづれのときにか、 これをかくすることをん」 と

応↠作↢是念↡。我今亦不↠知、為↢仏神力↡転在↢何仏土↡、在↢誰毛孔↡。我於↢何時↡得↣覚↢知之↡。

・随類化現

 八には*随類ずいるいげんなり

随類化現 しゅじょうこん (素質能力) に応じて姿を現すこと。

八随類化現。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*十住毘婆沙論・意) にいふがごとし。 「ぶつは一ねんのうちに、 十ぽうりょうへんごうしゃとうかいにおいて、 りょう仏身ぶっしんへんしたまふ。 一々のぶつまたよく種々しゅじゅ*ぶつほどこす」 と 以上いじょう**神境通じんきょうつうなり。

四事 能害者のうがいしゃ飛行ひぎょうざい神力じんりき無礙むげ随類ずいるいげんの四。
神境通 神足じんそくつうに同じ。 →六神通ろくじんずう

¬十住論¼云。「仏一念中、於↢十方无量无辺、恒河沙等世界↡、変↢化无量仏身↡。一一化仏、亦能施↢種種仏事↡。」已上四事神境通

◇ 青蓮院本には 「如」 の字あり。

¬諸仏しょぶつ境界きょうがいきょう¼ にのたまはく、 「如来にょらい所現しょげんゆうなく、 ゆいなし。 しゅじょうしょうしたがひて、 おのづからることどうなり。 十五にちよるえんだいひとは、 おのおのつきげんじて、 そのうえにありとるが、 つき*作意さいして、 われそのうえげんぜんとせざるがごとし」 と

作意 心をはたらかせること。

¬度諸仏境界経¼云。「如来所現、无↢異功用↡无↢異思惟↡。随↢衆生性↡自見不同。如↫十五日夜、閻浮提人、各見↣月現在↢其上↡、月不↪作意我現↩其上↨。」

¬ごん¼ のにのたまはく、

如来にょらい広大こうだいしんは、 *法界ほうかい究竟くきょうしたまへり。

法界を究竟し 存在世界のすべてにゆきわたり。

このはなれずして、 一切いっさいところへんしたまふ」 と

¬華厳¼偈云。「如来広大身究↢竟於法界↡。不↠離↢於此座↡、而遍↢一切処↡。」

またのたまはく (同)

智慧ちえ甚深じんじんどくかい、 あまねく十ぽうりょうくにげんじたまふ。

もろもろのしゅじょうるべきところにしたがひて、 こうみょうあまねくらして*法輪ほうりんてんじたまふ」 と

又云。「智慧甚深功徳海、普現↢十方无量国↡。随↢諸衆生所↟応↠見、光明遍照転↢法輪↡。」

このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われまさに*遍法界へんほうかいしんたてまつるべし」 と

遍法界の身 存在世界に遍満している身体。

応↠作↢是念↡。願我当見↢遍法界身↡。

・天眼明徹

 九には*天眼てんげん明徹みょうてつなり

天眼明徹 三世十方のすべてを明らかに見通すこと。

九天眼明徹。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*十住毘婆沙論) にいはく、 「大力だいりきしょうもん天眼てんげんをもつて*小千しょうせんこく、 またなかのしゅじょう生時しょうじ死時しじる。 小力しょうりき辟支びゃくしぶつは十の小千しょうせんこく、 なかのしゅじょう生時しょうじ死時しじる。 中力ちゅうりき辟支びゃくしぶつひゃく小千しょうせんこく、 なかのしゅじょう生時しょうじ死時しじる。 大力だいりき辟支びゃくしぶつは三ぜん大千だいせんこく、 なかのしゅじょうしょう所趣しょしゅる。 諸仏しょぶつそんりょうへん不可思議ふかしぎけんそなはし、 またこのなかのしゅじょう生時しょうじ死時しじそなはす」 と

小千国土 一しゅせん世界を千集めたもの。

¬十住論¼云。「大力声聞、以↢天眼↡見↢小千国土↡、亦見↢中衆生生時・死時↡。小力辟支仏、見↢十小千国土↡、見↢中衆生生時・死時↡。中力辟支仏、見↢百小千国土↡、見↢中衆生生時・死時↡。大力辟支仏、見↢三千大千国土↡、見↢中衆生生死所趣↡。諸仏世尊、見↢无量无辺不可思議世間↡、亦見↢是中衆生生時・死時↡。」已上

¬ごんぎょう¼ のにのたまはく、

仏眼ぶつげん広大こうだいにして辺際へんざいなし。 あまねく十ぽうのもろもろのこくたまふ。

そのなかのしゅじょう不可ふかりょうなり。 だい神通じんずうげんじてことごとく*調伏じょうぶくしたまふ」 と

調伏 仏道に帰するように教え導くこと。

¬華厳経¼偈云。「仏眼広大无↢辺際↡、普見↢十方諸国土↡。其中衆生不↠可↠量、現↢大神通↡悉調伏。」

このねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 はるかにわが身業しんごうそなはすらん」 と

応↠作↢是念↡。今弥陀如来、遥見↢我身業↡。

・聞声自在

 十には*聞声もんしょうざいなり

聞声自在 しゅじょうの声を自由自在に聞きわけること。

十声聞自在。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*十住毘婆沙論) にいはく、 「たとひ、 ごうしゃとうの三ぜん大千だいせんかいしゅじょう、 一発言はつごんし、 また一百千ひゃくせんじゅ*がくつくらん。 もしはとおきも、 もしはちかきも、 こころしたがひてよくきたまふ。 もしなかにおいて、 一の音声おんじょうかんとほっせば、 こころしたがひてくことををばかず。 またへんかいぎたるに、 最細さいさいこえをも、 みなまたくことをたまふ。 もししゅじょうをしてかしめんとほっせば、 よくくことをしめたまふ」 と

¬十住論¼云。「仮令恒河沙等三千大千世界衆生、一時発↠言、又一時作↢百千種伎楽↡、若遠若近、随↠意能聞。若欲↣於↠中聞↢一音声↡、随↠意得↠聞、余者不↠聞。又過↢无辺世界↡細声皆亦得↠聞。若欲↠令↢衆生聞↡、能令↠得↠聞。」略抄

¬ごんぎょう¼ の文殊もんじゅにのたまはく、

一切いっさいけんのなかのあらゆるもろもろの音声おんじょうを、

ぶっはみなしたがひてさとりたまふも、 また分別ふんべつあることなし」 と

¬華厳¼文殊偈云。「一切世間中所有諸音声、仏智皆随了、亦无↠有↢分別↡。」已上

華厳 青蓮院本では 「華厳経」。 以下同。

このねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 さだめてわがしょごうきたまふらん」 と

応↠作↢是念↡。今弥陀如来、定聞↢我所有語業↡。

・知他心智

 十一には*しんなり

知他心智 他人の心のありさまを明らかに知る智慧ちえ

十一知他心智。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*十住毘婆沙論) にいはく、 「ぶつは、 よくりょうへんかい現在げんざいしゅじょうしん、 およびもろもろの染浄ぜんじょう所縁しょえんとうりたまひ、 またよく*しきしゅじょうのもろもろのしんりたまふ」 と

無色 三界の一の無色界のこと。 →色界しきかい

¬十住論¼云。「仏能知↢无量无辺世界現在衆生心、及諸染浄所縁等↡、又能知↢无色衆生諸心↡。」略抄

¬ごんぎょう¼ の文殊もんじゅにのたまはく、

一切いっさいしゅじょうしん、 あまねく三にあるを、

如来にょらいは一ねんにおいて、 一切いっさいことごとくあきらかにたっしたまふ」 と

¬華厳¼文殊偈云。「一切衆生心、普在↢於三世↡、如来於↢一念↡一切悉明達。」

このねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 かならずわがごうりたまふらん」 と

応↠作↢是念↡。今弥陀如来、必知↢我意業↡。

・宿住随念智

 十二には*宿住しゅくじゅう随念ずいねんなり

宿住随念智 過去世のありさまを自在に知る智慧。

十二宿住随念智。

¬十住じゅうじゅうろん¼ (*同) にいはく、 「ぶつもししんおよび一切いっさいしゅじょうりょうへん*宿命しゅくみょう一切いっさいねんぜんとほっせば、 みなことごとくりて、 ごうしゃとうこうらずといふことあることなし。 このひとはいづれのところしょうぜりき、 姓名しょうみょうせん飲食おんじき*資生ししょうらくしょごう所受しょじゅほうしんにはなんの所行しょぎょうある、 もとはいづこよりきたるといふこと、 かくのごときをすなはちよくけんしたまふ」 と

資生 生活のありさま。

¬十住論¼云。「仏若欲↠念↢自身及一切衆生、无量无辺宿命↡、一切事皆悉知、无↠有↠不↠知↢過恒河沙等劫事↡。是人何処生姓名・貴賤・飲食・資生・苦楽・所作事業、所受果報、心何所行、本従↠何来、如↠是等事、即能知見。」

(*十住毘婆沙論) にいはく、

*宿命しゅくみょうりょうなり。 天眼てんげんけんへんなり。

宿命智 六神通の一。 →ろく神通じんずう

一切いっさい人天にんでんのなかには、 よくそのかぎりをることなし」 と

¬偈¼云。「宿命智无量天眼見无辺。一切人天中、无↣能知↢其限↡。」

ねんずべし、 「ねがはくはぶつ、 わが宿しゅくごうをして清浄しょうじょうならしめたまへ」 と

応↠念、願仏、令↢我宿業清浄↡。

・智慧無礙

 十三には*智慧ちえ無礙むげなり

智慧無碍 智慧のはたらきが自由自在であること。

十三智恵无。

¬宝積ほうしゃくきょう¼ の三十七にのたまはく、 「たとひひとありて、 ごうしゃとうかいのあらゆる一切いっさい草木そうもくり、 ことごとくきてすみとなし、 げてほうごうしゃとうかい大海だいかいき、 ひゃく千歳せんざいにして、 つきてもつてこれをりてことごとくすみしるとなしてん。 ぶつ大海だいかいのなかより一々のすみしただりをりて、 分別ふんべつ了知りょうちしたまふ。 これはそのかいのかくのごとき草木そうもくの、 その、 そのくき、 そのおおえだ、 そのこえだ葉等ようとうとなりと。 またもしひとありて、 一毛端もうたんちてみずてきうるおして、 ぶつみもとらいして、 このごんをなさく、 ªあへて滴水てきすいをもつて、 もつてあひす。 のちにもしもちゐば、 まさにわれにかえたまふべしº と。 そのときに、 如来にょらいその滴水てきすいりて、 *ごうかわのなかにきたまはんに、 かのかわろう*ぶくのために旋転せんでんせられて、 ごう引注いんちゅうして大海だいかいいたりなん。 このひと百年ひゃくねんてをはりて、 ぶつにまうしてまうさく、 ªさきせたてまつりし滴水てきすいを、 いまふ、 われにかえしたまへº と。 そのときに、 ぶつ、 一ぶん毛端もうたんをもつて、 大海だいかいのうちにけて、 もと水滴すいてきうるおして、 もつてこのひとかえしたまはん」 と

恒河の河 ガンジス河。
回澓 うず。

¬宝積経¼三十七云。「仮使有↠人取↢恒河沙等世界所有一切草木↡、悉焼為↠墨、擲↢置他方恒河沙等世界大海↡、於↢百千歳↡就以磨↠之尽為↢墨汁↡、仏従↢大海中↡取↢一一墨滴↡分↢別了↣知是其世界如↠是草木其根、其茎、其枝、其条・花・菓・葉等↡。又如有↠人持↣一毛端霑↢水一滴↡、来↢至仏所↡而作↢是言↡。敢以↢滴水↡持用相寄。後若須者、当↢還賜↟我。爾時如来取↢其滴水↡、置↢兢伽河中↡、而為↢彼河流浪廻渡↡之所↢旋転↡、和合引注至↢于大海↡。是人満↢百年↡已、而白↠仏言。先寄滴水、今請、還↠我。爾時仏以↢一分毛端↡、就↢大海内↡、霑↢本水滴↡用還↢是人↡。」略抄

 他本では 「澓」。

また*¬六波羅ぱらみつきょう¼ にのたまはく、 「りょうごうしゃの十ぽうかい草木そうもくを、 ことごとくきて墨灰すみはいとなして、 億載おくさいうみん。 十りき深妙じんみょうにしてしただりをりて、 *含生がんしょうしめして、 じつのごとく分別ふんべつして、 これ、 それのさかい樹等じゅとうなりとらしめたまへり」 と

六波羅蜜経に… 引用は ¬六波羅蜜経¼ の文ではなく、 ¬ほうしゃくきょう¼ 巻三十七の文。
含生 しゅじょうに同じ。

¬六波羅蜜経¼云。

◇ 青蓮院本には 「又」 の字あり。
◇ 青蓮院本には 無量兢河沙十方界草木尽焚成墨灰億載歴于海十力智深妙取滴示含生如実分別知此某界樹等云云 の一文がある。

またのたまはく (同・意)、 「かくのごとき*しゅうおよびもろもろの山王せんのうをもつて紙素しそとなし、 八の大海だいかいみず、 もつてそのすみとなし、 一切いっさい草木そうもくをもつてそのふでとなして、 一切いっさい人天にんでんこう書写しょしゃせらんを、 しゃほつ所得しょとく智慧ちえくらぶれば、 十六ぶんがなかにその一にもおよばず。 またこの三ぜん大千だいせんかいにおいて、 そのなかのしゅじょうしょ智慧ちえをして、 しゃほつのごとく、 ひとしくしてことなることあることなからしめんに、 さつ*布施ふせ波羅はらみっ了達りょうだつせるしょ智慧ちえは、 かれにぎたることひゃくばいなり。 またこの三ぜん大千だいせんかいのあらゆるしゅじょうをして、 みな布施ふせ波羅はらみっ智慧ちえせしめんに、 一のさつ所得しょとく*浄戒じょうかい波羅はらみっ智慧ちえおよばず。 ない般若はんにゃもまたかくのごとし。 またこの三ぜん大千だいせんかいのあらゆるしゅじょうをして、 みな六波羅ぱらみつ智慧ちえせしめんに、 一のしょさつ智慧ちえにはおよばず。 ない、 十まで*展転てんでんして、 かくのごとし。 またこの十さつ智慧ちえは、 なんぢ慈氏じし (弥勒)、 一しょうしょさつ智慧ちえくらぶるに、 百千ひゃくせんぶんがなかにその一にもおよばず。 この三ぜん大千だいせんかい一切いっさいしゅじょうしょ智慧ちえをして、 みな慈氏じしのごとく、 ひとしくしてことなることあることなからしめんに、 かくのごときさつ道場どうじょうして*おん*降伏ごうぶくして、 まさにしょうがくじょうぜんとするしょ智慧ちえは、 ぶつ智慧ちえ百千ひゃくせん万分まんぶんにおいてその一にもおよばず」 と

四洲 四天下に同じ。 →てん
布施波羅蜜多 六波羅蜜のうちの布施。 →ろっ波羅ぱらみつ
浄戒波羅蜜多 六波羅蜜のうちのかい。 →ろっ波羅ぱらみつ
魔怨 悪魔のこと。 悪魔は人々にあだをなす怨敵であるところから魔怨という。

「如↠是四洲、及諸山王用為↢紙素↡、八大海水、以為↢其墨↡、一切草木用為↢其筆↡、一切人天一劫書写、比↢舎利弗所得智恵↡、十六分中、不↠及↢其一↡。又於↢此三千大千世界↡、其中衆生所有智恵、如↢舎利弗↡、等无↠有↠異、菩薩了達布施波羅蜜多所有智恵、過↠彼百倍。又此三千大千世界所有衆生皆具↢布施波羅蜜多智恵↡、不↠及↢一菩薩所得浄戒波羅蜜多智恵↡。乃至般若亦復如↠是。又此三千大千世界所有衆生、皆具↢六波羅蜜智恵↡、不↠及↢一初地菩薩智恵↡。乃至十地展転如↠是。又此十地菩薩智恵比↢汝慈氏一生補処菩薩智恵↡、百千分中不↠及↢其一↡。此三千大千世界一切衆生、所有智恵皆如↢慈氏↡、等无↠有↠異、如↠是菩薩、坐↢於道場↡降↢伏魔怨↡、将↠成↢正覚↡、所有智恵、於↢仏智恵↡百千万分不↠及↢其一↡。」

◇ 青蓮院本には 「又云」 とある。

¬宝積ほうしゃくきょう¼ にのたまはく、 「たとひ、 十ぽうりょうへん一切いっさい