かんぎょう序分じょぶん かんだい

*沙門しゃもん*善導ぜんどう集記しゅうき

通裁節一経【一経大科】
  承上総標

【1】 ^これより以下いげもんにつきてりょうけんするに、 りゃくして*もんつくりてかす。

↠此以下↠文料簡ルニ、略↢五門↡明↠義

随標分章
    明王宮四分
      分文
        序分

^いちにょもん」 よりしも五苦ごく所逼しょひつうんけん極楽ごくらくかいいたるこのかたは、 その*序分じょぶんかす。

↢「如是我聞」↡下至↢「五苦所逼云何見極楽世界」↡已来タハ、明↢其序分↡。

一 Ⅱ ⅰ a 正宗分

^日観にっかんはじめの仏告ぶつごうだいにょぎゅうしゅじょう」 よりしもぼんしょういたるこのかたは、 *正宗しょうしゅうぶんかす。

↢日観「仏告韋提汝及衆生」↡下至↢下品下生↡已来タハ、明↢正宗分↡。

一 Ⅱ ⅰ a 得益分

^さんせつ是語ぜご」 よりしも諸天しょてん発心ほっしんいたるこのかたは、 まさしく*得益とくやくぶんかす。

↢「説是語時」↡下至↢「諸天発心」↡已来タハ、正↢得益分↡。

一 Ⅱ ⅰ a 流通分

^なんびゃくぶつ」 よりしもだいとうかんいたるこのかたは、 *通分ずうぶんかす。

↢「阿難白仏」↡下至↢「韋提等歓喜」↡已来タハ、明↢流通分↡。

一 Ⅱ ⅰ 示会

^この四義しぎぶつ*おうにましますいちしょうせつなり。

此之四義仏在↢王宮↡一会正説ナリ

一 Ⅱ 明耆闍一分

^なんしゃ大衆だいしゅのために伝説でんせつする」 よりはまたこれ*いちなり。 また*三分さんぶんあり。 いち爾時にじそんそくくうげんしゃ崛山くっせん」 よりこのかたは、 その序分じょぶんかす。 なんこう大衆だいしゅせつ如上にょじょう」 よりこのかたは、 正宗しょうしゅうぶんかす。 さん一切いっさい大衆だいしゅかんぎょう」 よりこのかたは、 通分ずうぶんかす。

リハ↧「阿難為↢耆闍大衆↡伝説スル」↥復是一会ナリ。亦有↢三分↡。一↢「爾時世尊足歩虚空還耆闍崛山」↡已来タハ、明↢其序分↡。二↢「阿難広為大衆説如上事」↡已来タハ、明↢正宗分↡。三↢「一切大衆歓喜奉行」↡已来タハ、明↢流通分↡。

摂五帰三
    述三分義

^しかるににはかならずゆえあり、 ゆゑにじょかす。 *じょすでにおこりぬればまさしく所説しょせつぶ。 つぎ*正宗しょうしゅうかす。 ためにくことすでにおわりて、 所説しょせつをもつて末代まつだいでんせしめんとほっして、 *しょうたんじてがくすすむ。 のちずうかす。

ニハユヱ、故↠序。由序既ヌレバ↢所説↡。次↢正宗↡。為コトヲハリ、欲↧以↢所説↡伝↦持シメムト末代↥、歎↠勝↠学。後↢流通↡。

一 Ⅲ 結示摂帰

^じょうらい五義ごぎどうありといへども、 りゃくしてじょしょうずうりょうけんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢五義不同↡、略料↢簡序・正・流↡竟

別解釈序分
  標科

【2】 ^またさきじょのなかにつきてまたわかちてとなす。 いちには にょもん」 よりいっづけて*しょうしんじょとなす。 には いち」 よりしもうんけん極楽ごくらくかいいたるこのかたは、 まさしく*ほっじょかす。

又就↢前↡復分チテ↠二。一ニハ↢「如是我聞」↡一句↢証信序↡。二ニハ↢「一時」↡下至↢「云何見極楽世界」↡已来タハ、正↢発起序↡。

随釈
    【証信序】
      双釈二意
        述意

【3】 ^はじめにしょうしんといふはすなはち二義にぎあり。

↢証信↡者即↢二義↡。

・如是

^いちにはいはく、 「にょ」 の二字にじはすなはちそうじてきょうしゅ (*釈尊)ひょうす。 *能説のうせつにんなり。

ニハ「如是」二字↢教主↡。能説之人ナリ

・我聞

^にはいはく、 「もん」 のりょうはすなはちべつして*なんす。 *のうちょうにんなり。 ゆゑににょもんといふ。 これすなはちならべてこころしゃくす。

ニハ「我聞」両字↢阿難↡。能聴之人ナリ。故↢「如是我聞」↡。此即↢二↡也。

二 Ⅱ ⅰ a 釈文
          (一)釈如是
            (Ⅰ)第一釈

^また 「にょ」 といふはすなはち*ほうす。 *じょうさんりょうもんなり。 「」 はすなはちさだむることばなり。 *ぎょうずればかならずやくす。 これは如来にょらい所説しょせつごん*さくびゅうなきことをかす。 ゆゑににょづく。

又言↢如是↡者↠法。定散両門也。是ナリ。機行レバ。此↣如来所説キコトヲ↢錯謬↡。故↢如是↡。

二 Ⅱ ⅰ a ロ (一)(Ⅱ)第二釈

^また 「にょ」 といふは*しゅじょうこころのごとし。 しん*しょぎょうしたがひて、 ぶつすなはちこれをしたまふ。 *きょう相応そうおうするをまたしょうして 「」 となす。 ゆゑににょといふ。

又言↠如者如↢衆生↡也。随↢心所楽↡仏即タマフ↠之。機教相応ルヲ復称↠是。故↢如是↡。

二 Ⅱ ⅰ a ロ (一)(Ⅲ)第三釈

^また 「にょ」 といふは、 如来にょらい所説しょせつは、 *ぜんくことぜんのごとく、 *とんくこととんのごとく、 *そうくことそうのごとく、 *くうくことくうのごとく、 *人法にんぼうくこと人法にんぼうのごとく、 *天法てんぽうくこと天法てんぽうのごとく、 *しょうくことしょうのごとく、 *だいくことだいのごとく、 ぼんくことぼんのごとく、 しょうくことしょうのごとく、 *いんくこといんのごとく、 *くことのごとく、 *くことのごとく、 *らくくことらくのごとく、 おんくことおんのごとく、 ごんくことごんのごとく、 どうくことどうのごとく、 べつくことべつのごとく、 じょうくことじょうのごとく、 くことのごとく、 一切いっさい*諸法しょほう千差せんしゃ万別まんべつなるをきたまふに、 如来にょらいかん*歴々れきれき了然りょうねんなることをかさんとほっす。 *随心ずいしん起行きぎょう*各益かくやくどう*ごう法然ほうねんたる、 すべて*錯失さくしつなきをまたしょうしてとなす。 ゆゑににょといふ。

又言↢如是↡者、欲↠明ムト↧如来所説、説コト↠漸↠漸、説コト↠頓↠頓、説コト↠相↠相、説コト↠空↠空、説コト↢人法↡如↢人法↡、説コト↢天法↡如↢天法↡、説コト↠小↠小、説コト↠大↠大、説コト↠凡↠凡、説コト↠聖↠聖、説コト↠因↠因、説コト↠果↠果、説コト↠苦↠苦、説コト↠楽↠楽、説クト↠遠↠遠、説コト↠近↠近、説コト↠同↠同、説コト↠別↠別、説コト↠浄↠浄、説コト↠穢↠穢、説コト↢一切諸法千差万別ナルヲ↡、如来観知歴歴了然ナルコトヲ↥。随心起行、各益不同、業果法然タル、衆キヲ↢錯失↡又称↠是。故↢如是↡。

二 Ⅱ ⅰ a ロ (二)釈我聞

^もん」 といふは、 なんはこれぶつしゃにして、 つねにぶつしたがひてもん広識こうしきなり。 座下ざげのぞみてよくきよくたもちて、 きょうしたしくくることをかして、 伝説でんせつあやまりなきことをひょうせんとほっす。 ゆゑにもんといふ。

↢我聞↡者、欲↩明↧阿難是仏侍者ニシテ、常↢仏後↡多聞広識ナリ身臨座下↡能、教旨親コトヲ↥、表ムト↝無キコトヲ↢伝説之錯↡。故↢我聞↡也。

二 Ⅱ ⅰ 就阿難解

^また 「しょうしん」 といふは、 なんぶっきょう*ほんじょうして末代まつだいでんするに、 しゅじょうたいするがためのゆゑにかくのごとき*観法かんぽう、 われぶつしたがひてくといふことをかして、 *しん*証誠しょうじょうせんとほっす。 ゆゑにしょうしんじょづく。 これはなんにつきてす。

又言↢証信↡者、欲↪明↧阿難稟↢承仏教↡伝↢持ルニ末代↡、為↠対ルガ↢衆生↡故↠是観法、我従↠仏クトイフコトヲ↥、証↩誠ムト可信↨。故↢証信序↡。此↢阿難↡解也。

二 Ⅱ 【発起序】
      標章

【4】 ^ほっじょのなかにつきてくわしくわかちてしちとなす。

↢発起序クハシチテ↠七

・化前序

^はじめに いち仏在ぶつざい」 よりしも法王ほうおう而為にいじょうしゅいたるこのかたは、 *ぜんじょかす。

↢「一時仏在」↡下至↢「法王子而為上首」↡已来タハ、明↢化前序↡。

・禁父縁

^王舎おうしゃだいじょう」 よりしも顔色げんしきえついたるこのかたは、 まさしくほっじょ*ごんえんかす。

↢「王舎大城」↡下至↢「顔色和悦」↡已来タハ、正↢発起序禁父之縁↡。

・禁母縁

^さんじゃ」 よりしもりょうすいいたるこのかたは、 *ごんえんかす。

↢「時阿闍世」↡下至↢「不令復出」↡已来タハ、明↢禁母↡。

・厭苦縁

^だい幽閉ゆうへい」 よりしも共為ぐい眷属けんぞくいたるこのかたは、 *えんえんかす。

↢「時韋提希被幽閉」↡下至↢「共為眷属」↡已来タハ、明↢厭苦↡。

・欣浄縁

^唯願ゆいがん為我いが広説こうせつ」 よりしもきょうしょうじゅいたるこのかたは、 その*ごんじょうえんかす。

↢「唯願為我広説」↡下至↢「教我正受」↡已来タハ、明↢其欣浄↡。

・散善顕行縁

^ろく爾時にじそん即便そくべんしょう」 よりしもじょうごうしょういんいたるこのかたは、 *散善さんぜんけんぎょうえんかす。

↢「爾時世尊即便微笑」↡下至↢「浄業正因」↡已来タハ、明↢散善顕行縁↡。

・定善示観縁

^しち仏告ぶつごうなんとう諦聴たいちょう」 よりしもうん得見とくけん極楽ごくらくこくいたるこのかたは、 まさしく*じょうぜんかんえんかす。

↢「仏告阿難等諦聴」↡下至↢「云何得見極楽国土」↡已来タハ、正↢定善示観縁↡。

^じょうらい七段しちだんどうありといへども、 ひろほっじょ*りょうけんしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢七段不同↡、広料↢簡発起序↡竟

二 Ⅱ ⅱ 随釈
        【化前序】
          (一)牒標

【5】 ^つぎぜんじょせば、 このじょのなかにつきてすなはちそのあり。

↢↡化前序↡者、就↢此↡即↢其四↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)随釈
            (Ⅰ)釈時
              (ⅰ)約義旨釈
                (a)牒科

^はじめに 「いち」 といふはまさしく*起化きけときかす。

↢「一時」↡者、正↢起化之時↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)述意

^ぶつまさに説法せっぽうせんとするに、 *しょたくしたまふ。 ただしゅじょうかいかならず因縁いんねんによるをもつて、 しゅ (釈尊) のぞみてしょちたまふ。

仏将ルニ↢説法ムト↡、先タマフ↢於時処↡。但以↣衆生開悟必ルヲ↢因縁↡、化主臨↠機タマフ↢於時処↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)釈文

^また 「いち」 といふは、 あるいはにちじゅう年月ねんがつ*四時しじとうく。 これみなこれ如来にょらいおうじて*せっしたまふときなり。 「しょ」 といふは、 かのしょしたがひて如来にょらい説法せっぽうしたまふ。 あるいは山林せんりんしょにましまし、 あるいはおう*聚落じゅらくしょにましまし、 あるいはこう*塚間ちょけんしょにましまし、 あるいはしょう人天にんでんしょにましまし、 あるいは*しょうもん*さつしょにましまし、 あるいは*はちにん*天王てんのうとうところにましまし、 あるいは*じゅんぼんもしはいちとのところにましまし、 あるいは*純聖じゅんしょうもしはいちとのところにまします。 そのしょしたがひて如来にょらいかんしてぞうせずげんぜず、 えんしたがひてほうさずけておのおの*しょやくす。 これすなはち*こうしょうひびくといへども、 かならずたたくをちてまさにる。 だいしょう (釈尊)れたまふこと、 かならず*しょうちてまさにくべし。 ゆゑにいちづく。

又言↢一時↡者、或↢日夜十二時、年月四時等↡。此皆是如来応↠機摂化タマフ時也。言↠処者、随↢彼所宜↡如来説法タマフ。或在↢山林処↡、或↢王宮・聚落処↡、或↢曠野・塚間処↡、或↢多少人天処↡、或↢声聞・菩薩処↡、或↢八部・人・天王等↡、或↢純凡若一二トノ↡、或↢純聖若一二トノ↡。随↢其時処↡如来観知不↠増不↠減、随↠縁↠法↢所資↡。斯乃洪鐘雖↠響クト、必↠扣クヲ而方。大聖タマフコト↠慈、必↠請而当↠説。故↢一時↡也。

・以下形上

^また 「いち」 とは、 *じゃまさしく*ぎゃくおこときぶついづれのところにかまします。 このいちあたりて、 如来にょらいひとしゅ (声聞・菩薩) とかの*しゃにまします。 これすなはちしもをもつてかみあらわこころなり。 ゆゑにいちといふ。

又一時者、阿闍世正↠逆時、仏在↢何ニカ↡。当↢此一時↡、如来独与↢二衆↡在↢彼耆闍↡。此即↠下アラハ↠上意也。故↢一時↡。

・以上形下

^また 「いち」 といふは、 ぶつしゅいちのうちにおいて、 かのしゃにましまして、 すなはちじゃのこのあくぎゃくおこ因縁いんねんきたまふ。 これすなはちかみをもつてしもあらわこころなり。 ゆゑにいちといふ。

又言↢一時↡者、仏与↢二衆↡於↢一時↡、在シテ↢彼耆闍↡、即タマフ↧阿闍世↢此悪逆↡因縁↥。此即↠上↠下意也。故↢一時↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)釈仏

^に 「ぶつ」 といふは、 これすなはち*しゅ*標定ひょうじょうす。 *ぶつけんしてひとしゃあらわこころなり。

↢「仏」↡者、此即標↢定化主↡。簡↢異余仏↡独↢釈迦↡意也。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)釈処

^さんざい王舎おうしゃじょう」 より以下いげは、 まさしく如来にょらい*遊化ゆげところかす。 すなはちそのあり。 いちにはおうじょう聚落じゅらくあそびたまふは、 在俗ざいぞくしゅうせんがためなり。 には*せんとうところあそびたまふは、 しゅっしゅうせんがためなり。

↢「在王舎城」↡已下、正↢如来遊化之処↡。即↢其二↡。一ニハタマフハ↢王城・聚落↡、為ナリ↠化ムガ↢在俗之衆↡。二ニハタマフハ↢耆山等↡、為ナリ↠化ムガ↢出家之衆↡。

・在家

^また*ざいといふは、 *よくとんすること相続そうぞくしてこれつねなり。 たとひしょうしんおこせども、 なほみずえがくがごとし。 ただおもんみればえんしたがひてあまねくやくし、 だいてたまはざれども、 *道俗どうぞくかたちことなればともにじゅうするによしなし。 これを*きょうがいじゅうづく。

又在家トイフ者、貪↢求コト五欲↡相続是常ナリ。縦ドモ↢清心↡、猶如↠画クガ↠水。但以レバ↠縁、不ドモ↠捨タマハ↢大悲↡、道俗形殊ナレバ↠由↢共ルニ↡。此↢境界住↡也。

・出家

^また*しゅっといふは、 もういのちて、 よくだんしんす。 しん金剛こんごうのごとくえんきょう等同とうどうなり。 *ぶつ悕求けぐしてすなはちひろ自他じたやくす。 もし*囂塵ごうじんぜつするにあらずは、 このとくしょうすべきによしなし。 これを*依止えじじゅうづく。

又出家トイフ者、↠身↠命、断↠欲↠真。心若↢金剛↡等↢同ナリ円鏡↡。悕↢求仏地↡即↢自他↡。若ズハ↣絶↢離ルニ囂塵↡、此徳無↠由↠可キニ↠証。此↢依止住↡也。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)釈衆
              (ⅰ)牒文標科

^だい比丘びくしゅ」 よりしも而為にい上首じょうしゅ」 にいたるこのかたは、 ぶつしゅかす。

↢「与大比丘衆」↡下至↢「而為上首」↡已来タハ、明↢仏徒衆↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)列釈二衆
                (a)標列

^このしゅうのなかにつきてすなはちわかちてとなす。 いちにはしょうもんしゅにはさつしゅなり。

↢此↡即チテ↠二。一者声聞衆、二者菩薩衆ナリ

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)随釈
                  (イ)声聞衆
                    [一]

^しょうもんしゅのなかにつきてすなはちそのあり。

↢声聞衆↡即↢其九↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二]
                      [Ⅰ]標列文義

^はじめに 「」 といふは仏身ぶっしんしゅうぬ。 ゆゑにづけてとなす。 *には*総大そうだいさんには*相大そうだいには*衆大しゅだいには*年大ねんだいろくには*数大しゅだいしちには*そん宿しゅくだいはちには*ない実徳じっとくだいには*しょうだいなり。

↢「与」↡者仏身兼↠衆。故↠与。二者総大、三者相大、四者衆大、五者耆年大、六者数大、七者尊宿大、八者内有実徳大、九者果証大ナリ

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]問答料簡
                        [ⅰ]料簡標数
                          [a]正釈標数
                            [イ]

 ^ひていはく、 一切いっさいきょうはじめにみなこれらのしょうもんありて、 もつて*猶置ゆちとなせるはなんの所以ゆえんかある。

、一切ハジメ皆有↢此等声聞↡、以ルハ↢猶置↡有↢何所以↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅰ][a][ロ]

^こたへていはく、 これに*べっあり。 いかなるかべっ。 これらのしょうもんおおくはこれ*どうなり。 ¬*げんきょう¼ (意)きたまふがごとし。 「*優楼うるびんしょうは、 ひゃく弟子でしりょうして邪法じゃほうしゅす。 *伽耶がやしょうは、 ひゃくじゅう弟子でしりょうして邪法じゃほうしゅす。 *だいしょうは、 ひゃくじゅう弟子でしりょうして邪法じゃほうしゅす。 そうじて一千いっせんあり。 みな*ぶっけて*かんどうたり。 そのひゃくじゅうといふは、 すなはちこれ*しゃ*目連もくれんとの弟子でしなり。 ともに一処いっしょりょうして邪法じゃほうしゅす。 またぶっけてみな*どうたり。 これらのしゅがっして一処いっしょとなす。 ゆゑにせんひゃくじゅうにんあり」 と。

、此↢別意↡。云何ナルガ別意。此等声聞多クハ是外道ナリ。如↢¬賢愚経¼説タマフガ↡。優楼頻螺迦葉↢五百弟子↡修↢事邪法↡。伽耶迦葉↢二百五十弟子↡修↢事邪法↡。那提迦葉↢二百五十弟子↡修↢事邪法↡。総↢一千↡。皆受↢仏化↡得タリ↢羅漢道↡。其二百五十トイフ者、即是舎利目連トノ弟子ナリ。共↢一処↡修↢事邪法↡。亦受↢仏化↡皆得タリ↢道果↡。此等四衆↢一処↡。故リト↢千二百五十人↡也。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅰ][b]弁総標意
                            [イ]

 ^ひていはく、 このしゅうのなかにまたどうにあらざるものあり。 なんがゆゑぞそうじてひょうする。

、此亦有↧非↢外道↡者↥。何

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅰ][b][ロ]

^こたへていはく、 ¬きょう¼ (賢愚経・意) のなかにきたまふがごとし。 「このもろもろのどうつねにそんしたがひてあひしゃせず」 と。 しかるに*けつじゅういえとく*えらる。 ゆゑにみょうあり。 これどうなるものはおおく、 あらざるものはすくなし。

、如↢¬経¼中タマフガ↡。「此外道常↢世尊↡不↢相捨離↡。」然結集之家、簡↢取外徳↡。故↢異名↡。是外道ナル、非

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]弁常随意
                          [a]

 ^またひていはく、 いぶかし、 これらのどうつねにぶつしたがへるは、 なんのこころかあるや。

又問未審イブカシ、此等外道常ルハ↢仏後↡、有↢何↡也。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]

^こたへていはく、 するに二義にぎあり。 いちにはぶつにつきてす。 どうにつきてす。

、解ルニ↢二義↡。一ニハ↠仏。二ニハ↢外道↡解

・就仏解

^ぶつにつきてすとは、 このもろもろのどう邪風じゃふうひさしくあおぐこと、 これいっしょうのみにあらず。 *真門しんもんるといへども、 *じゅうなほあり。 ゆゑに如来にょらいかくして*外化げけせしめざらしむ。 しゅじょうしょうけんこんそんじ、 悪業あくごうぞうじょうして、 此世しせしょうじつおさめざることをおそるればなり。 この因縁いんねんのためにせっしてみづからちかづかしめて、 *やくゆるしたまはず。 これすなはちぶつにつきてしをはりぬ。

スト者、此外道邪風久グコト、非↢是一生ノミニ↡。雖↠入ルト↢真門↡、気習ナホ。故使↢如来知覚↟令↢外化↡。畏ルレバナリ↧損↢衆生正見根芽↡悪業増長、此世・後生コトヲ↞収↢果実↡。為↢此因縁↡摂↢自↡、不↠聴タマハ↢外益↡。此即↠仏

・就外道解

^つぎどうにつきてすとは、 しょうとうこころ、 みづからただ*曠劫こうごうよりひさしく*しょうしず*六道ろくどう*じゅんかんして、 くるしみいふべからず。 *愚痴ぐち*悪見あくけんにして邪風じゃふう*ふうしゅうし、 *みょうはずしてながかいながる。 ただ*宿しゅくえんをもつてたまたまそん (釈尊)ふことをることあり。 *法沢ほうたくわたくしなし。 わがともがらにんこうむり、 ぶつ恩徳おんどくじんするに、 *砕身さいしんごく*惘然もうねんたり。 したしく*りょうつかへて、 しばらくもかわるによしなからしむることをいたす。 これすなはちどうにつきてしをはりぬ。

↢外道↡解スト者、迦葉等意、自唯曠劫ヨリ↢生死↡循↢還六道↡、苦不↠可↠言。愚痴・悪見ニシテ封↢執邪風↡、不シテ↠値↢明師↡永↢於苦海↡。但以↢宿縁↡有↢遇コト↟会コトヲ↢慈尊↡。法沢無↠私。我トモガラ↠潤尋↢思ルニ仏之恩徳↡、砕身之極惘然ナリ。致↠使コトヲ↧親ツカヘ↢霊儀↡、無↞由↢暫ルニ↡。此即↢外道↡解

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]料簡嘆徳
                          [a]

 ^またひていはく、 これらのそん宿しゅくいかんが*衆所しゅしょしきづくる。

又問、此等尊宿云何↢衆所知識↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]

^こたへていはく、 とくたかきをそんといひ、 *ねんなるを宿しゅくといふ一切いっさい*ぼんしょうかの内徳ないとくの、 ひとぎたることをり、 そのそうしゅなるをる。 ゆゑに衆所しゅしょしきづく。

、徳高キヲ↠尊、耆年ナルヲ↠宿。一切凡聖知↢彼内徳タルコトヲ↟人、識↢其外相殊異ナルヲ↡。故↢衆所知識↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(イ)[三]

 ^じょうらい九句くくどうありといへども、 しょうもんしゅしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢九句不同↡、解↢声聞衆↡竟

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)菩薩衆
                    [一]

^つぎさつしゅす。 このしゅうのなかにつきてすなはちそのしちあり。

↢菩薩衆↡。就↢此↡即↢其七↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]標列文義

^いちにはそうひょうす。 にはしゅひょうす。 さんにはくらいひょうす。 にはひょうす。 にはとくひょうす。 ろくにはべつして*文殊もんじゅ高徳こうとくくらいあらわす。 しちにはそうじてけっす。

者標↠相。二者標↠数。三者標↠位。四者標↠果。五者標↠徳。六者別↢文殊高徳之位↡。七者総

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]広嘆衆徳
                        [ⅰ]総嘆

^またこれらのさつりょうぎょうがんし、 一切いっさいどくほうあんじゅうす。 十方じっぽう遊歩ゆぶして*ごん方便ほうべんぎょうじ、

又此等菩薩具↢無量行願↡、安↢住一切功徳之法↡。遊↢歩十方↡行↢権方便↡、

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]別嘆
                          [a]約果嘆

^ぶつ法蔵ほうぞうりてがんきょうす。 りょうかいにおいて、 して*等覚とうがくじょうず。 こうみょう*顕曜けんようにしてあまねく十方じっぽうらす。 りょうぶつ*六種しゅ震動しんどうす。 えんしたがひてかいしてすなはち*法輪ほうりんてんず。 ほうたたき、 法剣ほうけんり、 法雷ほうらいふるひ、 ほうあめふらし、 ほうぶ。 つねに法音ほうおんをもつてもろもろのけんかくせしむ。 *邪網じゃもう掴裂かくれつし、 *諸見しょけんしょうめつし、 もろもろの*塵労じんろうさんじ、 もろもろの*欲塹よくぜんやぶり、 *清白しょうびゃくけんみょうし、 仏法ぶっぽう*こうし、 しょう*せんす。

↢仏法蔵↡究↢竟彼岸↡。於↢無量世界↡、化↢等覚↡。光明顕曜ニシテ↢十方↡。無量仏土六種震動。随↠縁開示↢法輪↡。扣↢法鼓↡、執↢法剣↡、震↢法雷↡、雨ラシ↢法↡、演↢法施↡。常↢法音↡覚シム↢諸世間↡。掴↢裂邪網↡、消↢滅諸見↡、散↢諸塵労↡、ヤブ↢諸欲塹↡、顕↢明清白↡、光↢融仏法↡、宣↢流正化↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]約因嘆

^しゅじょうみんしょうしていまだかつて*まんせず。 びょうどうほうりょうひゃくせん三昧ざんまいそくす。 一念いちねんのあひだにおいてしゅうへんせざるはなし。 *ぐんじょう荷負かぶしてこれをあいすることのごとし。 一切いっさい*善本ぜんぽんみながんす。

愍↢傷衆生↡未↢曽慢恣↡。得↢平等↡具↢足無量百千三昧↡。於↢一念↡無↠不ルハ↢周遍↡。荷↢負群生↡愛コト↠之↠子。一切善本、皆度↢彼岸↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅲ]結嘆

^ことごとく諸仏しょぶつりょうどくて、 智慧ちえ開朗かいろうなること思議しぎすべからず。

↢諸仏無量功徳↡、智慧開朗ナルコト不↠可↢思議↡。

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]

^しちどうありといへども、 さつしゅしをはりぬ。

↠有リト↢七句不同↡、解↢菩薩衆↡訖

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)総結

^じょうらいしゅどうありといへども、 ひろぜんじょかしをはりぬ。

上来雖↠有リト↢二衆不同↡、広↢化前序↡竟

二 Ⅱ ⅱ b 【禁父縁】
          (一)

【6】 ^ごんえんのなかにつきてすなはちそのしちあり。

↢禁父↡即↢其七↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)
            (Ⅰ)釈王舎大城文
              (ⅰ)科節

^いち爾時にじ王舎おうしゃ大城だいじょう」 より以下いげは、 そうじて*起化きけところかす。

↢「爾時王舎大城」↡以下、総↢起化↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)釈文
                (a)釈名

・王舎

^これおう*ひゃくせい、 ただ城中じょうちゅうしゃつくるにすなはちてんのためにかる。 もしこれおう舎宅しゃたくには、 ことごとくちかづくことなし。 のちときひゃくせいともにおうそうす。 「しんたくつくればしばしばてんのためにかる、 ただこれ*王舎おうしゃのみことごとくちかづくことなし。 なんの所以ゆえんかあるといふことをらず」 と。 おう*奏人そうにんげたまはく、 「いまより以後いごなんぢらたくつくとき、 ªただわれいまおうのためにしゃつくるº といふべし」 と。 奏人そうにんおのおのおうちょくうけたまわりて、 帰還かえりてしゃつくるにさらにかれず。 これによりて相伝そうでんして、 ことさらに王舎おうしゃづくることをかす。

此明↧往古百姓、但城中ルニ↠舎↢天火↡所↠焼是王家舎宅ニハ、悉↢火近コト百姓共↢於王臣等造レバ↠宅↢天火↡所↠焼、但是王舎ノミ↢火近コト↠知↠有ルトイフコトヲ↢何所以王告タマハク↢奏人↡、自↠今以後ナンヂ等造↠宅之時、但言ベシト↢我今為↠王ルト↟舎奏人等各↢王↡、帰還 カヘリ ルニ↠舎不↠被↠焼↠此相伝、故ラニコトヲ↦「王舎」↥。

・大城

^だいじょう」 といふは、 このしろきはめてだいにして、 *みんおくなり。 ゆゑに王舎おうしゃだいじょうといふ。

↢「大城」↡者、此城極ニシテ、居民九億ナリ。故↢王舎大城↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)弁義

^起化きけところといふはすなはちそのあり。

↢起化↡者、即↢其二↡。

・機相

^いちにはいはく、 闍王じゃおうあくおこしてすなはち父母ぶもきんずるえんあり。 きんによりてすなはちこの*しゃいとひて、 *無憂むうかいたくせんとがんず。

ニハ闍王起↠悪↧禁↢父母↡之縁↥。因↠禁↢此娑婆↡、願↠託ムト↢無憂之世界↡。

・法益

^にはすなはち如来にょらい (釈尊) しょうおもむき、 ひかりへんじてだいとなりて*りょう影現ようげんしたまふに、 にんすなはち安楽あんらくしょうずることをもとむ。 またしんかたむけてぎょうひ、 ぶつ*三福さんぷくいんひらきたまふ。 しょうかんはすなはちこれ*じょうもんなり。 さらに*しょうやくあらわす。 この因縁いんねんのためのゆゑに起化きけところづく。

ニハ如来赴↠請、光変リテ↠台影↢現タマフニ霊儀↡、夫人即↠生コトヲ↢安楽↡。又傾↠心↠行、仏タマフ↢三福之因↡。正観是定門ナリ。更↢九章之益↡。為↢此因縁↡故↢起化↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)釈随順悪友文
              (ⅰ)科節

^いったい」 よりしもあく之教しきょう」 にいたるこのかたは、 まさしく闍王じゃおう*怳忽こうこつのあひだに悪人あくにんあやまるところを信受しんじゅすることをかす。

↢「有一太子」↡下至↢「悪友之教」↡已来タハ、正↣闍王怳忽之間信↢受コトヲ悪人↟悞

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)釈文
                (a)弁位釈名

・太子

^たい」 といふはそのくらいあらわす。 「じゃ」 といふはそのあらわす。 また じゃ」 といふはすなはちこれ*西国さいこくしょうおんなり。 *この往翻おうほんには*しょうおんづけ、 またせっづく。

↢「太子」↡者彰↢其↡也。言↢「阿闍世」↡者顕↢其↡也。又阿闍世トイフ者乃是西国正音ナリ。此往翻ニハ↢未生怨↡、亦名↢折指↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)問答料簡
                  (イ)

 ^ひていはく、 なんがゆゑぞ 「しょうおん」 とづけ、 および 「せっ」 とづくるや。

、何↢未生怨↡、及↢折指↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)

^こたへていはく、 これみなしゃくにち因縁いんねんぐ。 ゆゑにこのあり。

、此皆挙↢昔日因縁↡。故↢此名↡。

・折指

^ˆ「せっ」 のˇ 因縁いんねんといふは、 元本もとちちおうそくあることなし。 処々しょしょ*じんもとむれども、 つひにることあたはず。 たちまちに*そうありて、 おうそうしてまうさく、 「しんれり。 やまのなかにいち仙人せんにんあり。 ひさしからずして寿いのちて、 命終みょうじゅうしをはりてのちかならずまさにおうのためにとなるべし」 と。

↢因縁↡者、元本 モト 王無↠有コト↢子息↡。処処ドモ↠神、竟不↠能↠得コト。忽↢相師↡而奏↠王、臣知レリ。山↢一仙人↡。不シテ↠久カラ↠寿、命終後必シト ↢与↠王↟子

^おうきてかんす。 「このひといづれのときにかしゃみょうする」 と。 そうおうこたふ。 「さらに三年さんねんてはじめて命終みょうじゅうすべし」 と。 おういはく、 「われいまとしいてくに*けいなし。 さらに三年さんねんつるまでなにによりてかつべき」 と。

王聞歓喜。此人何ニカ捨命スル。相師答↠王。更↢三年↡始シト↢命終↡。王言、我今年老↢継祀↡。更ルマデ↢三年↡何テカキト↠待

^おうすなはち使つかひをつかはしてやまらしめ、 きて仙人せんにんしょうじていはしむ。 「大王だいおうなく、 けて*じょうけいなし。 処々しょしょじんもとるに、 ることあたはざるにくるしむ。 すなはちそうありて大仙だいせん瞻見るに、 ひさしからずしてしゃみょうして、 おうのためにとなるべしと。 ねがはくは大仙だいせんおんれてはやきたまへ」 と。

王即↠使シメ↠山、往ジテ↢仙人↡曰シム。大王無↠子、闕↢紹継↡。処処ルニ↠神クルシ↠不ルニ↠能↠得コト。乃↢相師↡瞻↢見 ミル 大仙↡、不シテ↠久カラ捨命、与↠王ベシト↠子。請クハ大仙垂↠恩タマヘト

^使にんきょうけてやまり、 仙人せんにんところいたりて、 つぶさにおうしょう因縁いんねんく。 仙人せんにん使しゃこたへていはく、 「われさらに三年さんねんてはじめて命終みょうじゅうすべし。 おうのすなはちけとちょくするは、 この不可ふかなり」 と。

使人受↠教↠山、到↢仙人↡、具↢王請因縁↡。仙人報↢使者↡言、我更↢三年↡始↢命終↡。王↢即ケト↡者、是事不可ナリト

^使つかひ、 せんきょうけて、 かえりて大王だいおうほうずるに、 つぶさにせんこころぶ。 おういはく、 「われはこれ一国いっこくあるじなり。 あらゆる人物にんもつみなわれにぞくす。 いまことさらにれいをもつてあひくっするに、 すなはちわがこころけざるや」 と。 おうさらに使しゃちょくす。 「なんぢきてかさねてしょうぜよ。 しょうぜんにもしずは、 まさにすなはちこれをころすべし。 すでに命終みょうじゅうしをはりなば、 わがためにとならざるべけんや」 と。

使奉↢仙↡、還ルニ↢大王↡、具↢仙↡。王曰、我是一国之主ナリ。所有人物皆帰↢属↡。今故ラニ↠礼ルニ、乃ルヤ↠承↢我↡。王更↢使者↡。ナンヂ。請ムニ↠得、当↢即↟之。既命終レバ、可ケム↠不↢与↠我↟子也。

^使にんちょくけて、 仙人せんにんところいたりて、 つぶさにおうこころをいふ。 仙人せんにん使つかひのせつくといへども、 こころにまたけず。 使にんちょくけてすなはちこれをころさんとほっす。 仙人せんにんいはく、 「なんぢまさにおうかたるべし。 ªわがいのちいまだきざるに、 おう*しんをもつてひとをしてわれをころさしむ。 われもしおうのためにとならば、 またしんをもつてひとをしておうころさしめんº」 と。 せんにんこのをいひをはりてすなはちく。

使人受↠勅、至↢仙人↡、具↢王↡。仙人雖↠聞クト↢使↡、意亦不↠受。使人奉↠勅↠殺ムト↠之。仙人曰ナンヂ↠語↠王。我命未ルニ↠尽、王以↢心口↡遣↢人ヲシテ↟我。我若↠王↠児者、還↢心口↡遣ムト↢人ヲシテ↟王。仙人噵↢此↡已↠死

^すでにしをはりて、 すなはちおうたくしてしょうく。 そのよるあたりてにんすなはち*しんすとおぼゆ。 おうきてかんす。 てんけてすなはちそうびて、 もつてにんしむ。 これおとこなりやこれおんななりや。 そうをはりておうこたへていはく、 「このおんなにあらず。 この*おうにおいてそんあるべし」 と。 おういはく、 「わがこくはみなこれを*捨属しゃぞくすべし。 たとひそんずるところありとも、 われまたおそれなし」 と。 おうこのきて憂喜うきまじはりいだく。

、即↢王宮↡受↠生。当↢其↡夫人即↢有身スト↡。王聞歓喜。天明↢相師↡、以シム↢夫人↡。是男ナリヤ是女ナリヤ。相師観已而報↠王、是↠女。此児於↠王ベシト↠損。王曰、我之国土皆捨↢属ベシ↡。縦トモ↠所↠損、吾亦無シト↠畏。王聞↢此↡憂喜交

^おうにんにまうしてまうさく、 「われにんとともにひそかにみづから*平章びょうしょうせん。 そうわれにおいてそんあるべしといふ。 にんこれをちて、 高楼こうろううえにありててんじょうのなかにあたりてこれをみ、 ひとをしてらしむることなかれ。 おとしてにあらんに、 あにせざるべけんや。 われまたうれふることなく、 *もまたあらわれじ」 と。 にんすなはちおうはかりごととし、 そのときにおよびてもつぱらさきほうのごとくす。 みをはりてつるに、 いのちすなはちえず、 ただしょうそんず。 よりてすなはち*にんおなじくとなへて 「せったい」 といふ。

王白↢夫人↡言、吾共↢夫人ヒソカ平章。相師噵↢児於↠吾ベシト↟損。夫人待↢生↠之↡、在↢高楼↡当↢天井↡生↠之、勿↠令コト↢人ヲシテ↡。落ムニ↢於地↡、豈ケム↠不↠死也。吾亦無↠憂コト亦不↠露。夫人即トシ↢王之計↡、及↢其↡一クス↢前↡。生ルニ↠地、命便不↠断、唯損↢手小指↡。因外人同↢折指太子↡也。

・未生怨

^しょうおん」 といふは、 これ*だいだっあくしんおこすがゆゑにかのたいたいしてしゃくにち悪縁あくえん顕発けんぽつするによる

↢未生怨↡者、此因↧提婆達多起スガ↢悪妬之心↡故↢彼太子↡顕↦発ルニ昔日悪縁↥。

^いかんがしんして悪縁あくえんおこす。 だいあくしょうにして、 *為人ひととなりきょうもうなり。 またしゅっすといへども、 つねにぶつ*みょうもんようねたむ。 しかるにちちおうはこれぶつ*檀越だんおつなり。 いちのうちにおいておおようをもつて如来にょらいじょうす。 いはく、 こんごん七宝しっぽうみょうじょうぶくひゃくじきとう一々いちいち色々しきしきみなひゃくしゃなり。 こう*がくし、 ひゃく千万せんまんしゅう讃歎さんだん*にょうして*ぶつ送向そうこうして、 ぶつおよびそうほどこす。

云何妬心而起↢悪縁↡。提婆悪性ニシテ為人ヒトトナリ匈猛ナリ。雖↢復出家スト↡、恒常 ツネ ↢仏名聞利養↡。然是仏檀越ナリ。於↢一時↡多↢供養↡奉↢上如来↡。謂金・銀・七宝・名衣・上服・百味菓食等、一一色色皆五百車ナリ。香・華・伎楽、百千万衆讃歎囲遶送↢向仏会↡、施↢仏及↡。

^とき調じょうだつ (提婆達多) をはりてしんさらにさかりなり。 すなはち*しゃほつところかひて*身通しんつうがくせんともとむ。 尊者そんじゃかたりていはく、 「なんぢしばらく*念処ねんじょがくせよ。 身通しんつうがくすべからず」 と。 すでにしょうずれどもしんげず。 さらに尊者そんじゃへんかひてもとむ。 ないひゃく弟子でしとうことごとくひととしておしふるものなし、 みな念処ねんじょがくせしむ。 しょうずることむことをずして、 つひに*なんへんかひてがくす。 なんかたりていはく、 「なんぢはこれわがおとうとなり。 われつうがくせんとほっす。 一々いちいちだいにわれにおしへよ」 と。 しかるになん*しょたりといへども、 いまだ*しんしょうせず。 *きょうのひそかにつうがくして、 ぶつみもとにおいて*悪計あくけいおこさんとほっすることをらず。 なんつひにすなはちびてじょうしょかひて、 だいにこれをおしふ。

調達見已妬心更ナリ。即↢舎利弗↡求↠学ムト↢身通↡。尊者語人者 ナンヂ セヨ↢四念処↡。不↠須↠学↢身通↡也。既ドモ不↠遂↠心。更↢余尊者↡求。乃至五百弟子等悉↢人トシテルモノ↡、皆遣↠学↢四念処↡。請コトシテ↠得↠已コトヲ、遂↢阿難↡学。語↢阿難↡言、汝是我ナリ。我欲↠学ムト↠通。一一次第ヨト↠我。然阿難雖↠得タリト↢初果↡、未↠証↢他心↡。不↠知↫阿兄私密 ヒソカ ↠通、欲コトヲ↪於↢仏↡起ムト↩於悪計↨。阿難遂↢静処↡、次第↠之

^*跏趺かふしょうせしめて、 しんをもつてぐることをおしふ。 うごくにたりとおもへ。 ること一分いちぶん一寸いっすんするとおもへ。 いっしゃくいちじょうするとおもへ。 しゃいたるに、 *くう無礙むげおもいをなし、 ただちにぎてくうちゅうのぼるとおもへ。 またしんせっしてくだり、 もとしょいたるとおもへ。 つぎをもつてしんげ、 はじめのときるこ一分いちぶん一寸いっすんするとう、 またさきほうのごとくせよ。 をもつてしんげ、 しんをもつてぐるに、 またしたがひてすでにいたる。 くうのぼりをはりて、 また*摂取せっしゅしてくだり、 もとしょいたれ。 つぎ身心しんしんがっしてぐとおもへ。 またさきほうおなじく、 一分いちぶん一寸いっすんするとうおわりてまたはじめよ。

跏趺正坐シメテ、先↢将↠心コトヲ↟身。似タリト↠動クニ。去コト↠地一分・一寸スルト。一尺・一丈スルト。至ルニ↠舎、作↢空無礙↡、直ルト↢空中↡想。還↠心、至ルト↢本坐処↡想。次↠身↠心、初コト↠地一分・一寸スル等、亦如クセヨ↢前↡。以↠身↠心、以↠心ルニ↠身、亦随。上↠空、還摂↢取↡下、至↢本坐処↡。次↢身心合グト↡。還↢前↡、一分・一寸スル等、ヲハリ而復始メヨ

^つぎ身心しんしん一切いっさい*ぜつ*しききょうのなかにるとおもひ、 ぜつおもいをなせ。 つぎ一切いっさいせんだいとうしきしんのなかにるに、 くうのごとく*無礙むげにして色相しきそうずとおもへ。 つぎしん、 あるいはだいにして*くう*遍満へんまんして坐臥ざがざいなり、 あるいはし、 あるいはして、 をもつて日月にちがつうごかすとおもへ。 あるいはしょうしんとなりて*じんのなかにるに、 一切いっさいみな無礙むげおもいをなせと。

↣身心入ルト↢一切質色境↡、作↢不質↡。次↧一切山・河・大地等色入ルニ↢自身↡、如↠空無礙ニシテ↞見↢色相↡。次↧自身或ニシテ遍↢満虚空坐臥自在ナリ、或、以↠手↦動スト日月↥。或リテ↢小身↡入ルニ↢微塵↡、一切皆作セト↢無礙↡。

^なんかくのごとくだいおしへをはりぬ。 とき調じょうだつ (提婆達多) すでにほう受得じゅとくしをはりて、 すなはちべつしてじょうしょかひて七日しちにちしち一心いっしんせんちゅうして、 すなはち身通しんつうたり。 一切いっさいざいにしてみなじょうじゅすることをたり。 すでにつうをはりてすなはちたい殿でんまえかひて、 くうちゅうにありてだい神変じんぺんげんず。 しんじょうよりいだし、 しんよりみずいだす。 あるいはへんみずいだし、 へんいだす。 あるいは大身だいしんげんじ、 あるいはしょうしんげんず。 あるいはくうちゅう坐臥ざがし、 こころしたがひてざいなり。

阿難如↠是次第。時調達既受↢得↡已、即↢静処↡七日七夜一心専注、即タリ↢身通↡。一切自在ニシテ皆得タリ↢成就コトヲ↡。既得↠通↢太子殿↡、在↢於空中↡現↢大神変↡。身上ヨリ↠火、身下ヨリ↠水。或左辺↠水、右辺↠火。或↢大身↡、或↢小身↡。或坐↢臥空中↡、随↠意自在ナリ

^たいをはりて左右さうひていはく、 「これはこれ何人なんぴとぞ」 と。 左右さうたいこたへてまうさく、 「これはこれ尊者そんじゃだいなり」 と。 たいきをはりてしんおおきにかんす。 つひにすなはちげてびていはく、 「尊者そんじゃなんぞくだきたらざる」 と。 だいすでにぶををはりてすなはちしてようとなり、 ただちにたいひざうえかふ。 たいすなはちいだきて、 くちひてこれをもてあそび、 またくちのなかにつばきはく。 ようつひにこれをむ。 *しゅかえりて本身ほんしんぶくす。 たいすでにだい種々しゅじゅ*神変じんぺん*うたた敬重きょうじゅうくわふ。

太子見已↢左右↡曰、此是何人。左右答↢太子↡言、此是尊者提婆ナリト。太子聞心大歓喜。遂↠手、尊者何ルト↢下↡。提婆既見↠喚ブヲ↢嬰児↡、直↢太子↡。太子即、嗚↠口↠之、又唾ハク↢口↡。嬰児遂↠之。須臾↢本身↡。太子既↢提婆種種神変↡転↢敬重↡。

^すでにたいしん敬重きょうじゅうせるををはりて、 すなはちちちおうよう因縁いんねんく。 「色別しきべつひゃくじょうくるませ、 ぶつみもとかひてぶつおよびそうにたてまつる」 と。 たいきをはりてすなはち尊者そんじゃかたる。 「弟子でしまたよくしきおのおのひゃくしゃととのそなへて、 尊者そんじゃようし、 および衆僧しゅそうほどこすこと、 かれのごとくならざるべけんや」 と。 だいいはく、 「たい、 このこころおおきにし」 と。

見↢太子心敬重ルヲ↡已、即↢父供養因縁↡。色別五百乗、向↢仏↡奉ルト↢仏及↡。太子聞↢尊者↡。弟子亦能↢具色各五百車↡、供↢養尊者↡、及コト↢衆僧↡、可ケム↠不↠如クナラ↠彼。提婆言、太子、此意大シト

^これより以後いごおおきにようしんうたた高慢こうまんなり。 たとへばつえをもつてあくはなつに、 うたたあくすがごとし。 これまたかくのごとし。 たいいま*ようつえをもつてだい貪心とんしんはなつに、 うたたあくすことさかりなり。 これによりてそうし、 仏法ぶっぽうかいあらためて、 きょうかいどうなり。

↠此已後大得↢供養↡、心転高慢ナリ。譬↧以↠杖ツニ↢悪狗↡、転スガ↦狗↥。此亦如↠是。太子今将↢利養之杖↡打ツニ↢提婆貪心↡、転コト↠悪ナリ。因↠此↠僧、改↢仏法↡、教戒不ナリ

^ぶつあまねく*ぼんしょう大衆だいしゅのためにほうきたまふときちて、 すなはち*ちゅうきたりてぶつしたがひ、 *しゅならびにもろもろの*法蔵ほうぞうことごとくわれにぞくしたまへともとむ。 「そんとしまさに老邁ろうまいしたまへり。 よろしくじょうないにつきてみづから*しょうようしたまふべし」 と。 一切いっさい大衆だいしゅだいがこのきて、 *がくとしてたがひにあひてはなはだ*きょうしょうず。

↧仏普↢凡聖大衆↡説タマフ↠法之時↥、即↢会中↡従↠仏、索↣於徒衆并法蔵尽付↢嘱タマヘト↡。世尊年将老邁タマヘリ。宜シト↧就↢静内↡自将養タマフ↥。一切大衆聞↢提婆↡、愕爾トシテ迭互↢驚怪↡。

^そのときそん、 すなはち大衆だいしゅたいしてだいかたりてのたまはく、 「*しゃ*目連もくれんとうのすなはち*だいほうしょうなるすら、 われなほ仏法ぶっぽうをもつてぞくせず、 いはんやなんぢにんつばきらへるものをや」 と。

時世尊、即↢大衆↡語↢提婆↡言、舎利・目連等大法将ナルスラ、我尚不↧将↢仏法↡付嘱↥。況汝痴人、食ヘル↠唾

^ときだいぶつの、 しゅうたいして*にくしたまふをき、 なほ*毒箭どくせんむねるがごとし、 さらにきょうこころおこす。 この因縁いんねんによりてすなはちたいところかひてともに悪計あくけいろんず。 たいすでに尊者そんじゃて、 きょうしんをもつてじょうもんしていはく、 「尊者そんじゃ今日こんにち顔色げんしきしょうすいせること、 おうじゃくおなじからず」 と。

提婆聞↢仏↠衆毀辱タマフヲ↡、ナホ↢毒箭ルガムネ、更↢痴狂之意↡。藉↢此因縁↡即↢太子↡共↢悪計↡。太子既↢尊者↡、敬心ヲモテ承問、尊者、今日顔色憔悴コト↠同カラ↢往昔↡。

^だいこたへていはく、 「われいましょうすいすることはまさしくたいのためなり」 と。

提婆答、我今憔悴コトハ為↢太子↡也

^たいうやまひてはく、 「尊者そんじゃ、 わがためになんのこころかあるや」 と。

太子敬、尊者、為↠我↢何↡也

^だいすなはちこたへていはく、 「たいるやいなや。 そんとしいて*堪任かんにんするところなし。 まさにこれをのぞきてわれみづからぶつるべし。 ちちおうとしいたり。 またこれをのぞきてたいみづからしょうすべし。 新王しんおう新仏しんぶつ治化じけせんに、 あにたのしからざらんや」 と。

提婆即、太子知ルヤ。世尊年老↠所↢堪任↡。当↢除↠之我自↟仏。父王年老タリ。亦可↣除↠之太子自↢正位↡。新王新仏治化ムニ、豈ラム↠楽カラ

^たいこれをきてきはめておおきにしんして、 「このせつをなすことなかれ」 といふ。

太子聞↠之瞋怒、勿レトイフ↠作コト↢是↡。

^またいはく、 「たいいかることなかれ。 ちちおうたいにおいてまつたく恩徳おんどくなし。 はじめてたいしょうぜんとほっせしときちちおうすなはちにんをして百尺ひゃくしゃくろううえにありててんじょうのなかにあたりてしょうぜしめて、 すなはちおとしてせしめんとのぞむ。 まさしくたい福力ふくりきをもつてのゆゑにみょうこんえず、 ただしょうそんず。 もししんぜずは、 みづからしょうたまへ。 もつてげんとなすにれり」 と。

又言、太子莫↠瞋コト。父王於↢太子↡全↢恩徳↡。初セシ↠生ムト↢太子↡時、父王即↧夫人ヲシテ↢百尺↡当↢天↡生↥、即↢堕↠地メムト↟死。正↢太子福力↡故命根不↠断、但損↢小指↡。若↠信者、自タマヘ↢小指↡。足レリト↢以スニ↟験

^たいすでにこのきて、 さらにかさねてあきらめていはく、 「じつにしかりやいなや」 と。

太子既↢此↡、更メテ、実爾已 シカリ ヤト

^だいこたへていはく、 「これもしじつならば、 われことさらにきたりて*まんをなすべけんや」 と。

提婆答、此若不実ナラバ、我可ケム↣故ラニ↢漫語↡也

^このによりをはりてつひにすなはちだい悪見あくけんはかりごと信用しんようす。

↢此↡已信↢用提婆悪見之計↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結示順教

^ゆゑに 「ずいじゅん調じょうだつあくきょう」 といふ。

↢「随順調達悪友之教」↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)釈父王幽禁文
                (ⅰ)科節

 ^さん収執しゅうしゅうおう」 よりしもいち得往とくおう」 にいたるこのかたは、 まさしくちちおうのために幽禁ゆうきんせらるることをかす。

↢「収執父王」↡下至↢「一不得往」↡已来タハ、正↢父王為↠子幽禁ラルルコトヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)(ⅱ)述意

^これじゃだい悪計あくけいりて、 たちまちに父子ぶしじょうつることをかす。 ただ*罔極もうごくおんしっするのみにあらず、 *ぎゃくひびきこれによりてみちてり。

此明↧闍世取↢提婆之悪計↡、頓コトヲ↦父子之情↥。非↣直失ノミニ↢於罔極之恩↡。逆↠茲↠路

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)(ⅲ)釈文

・収執

^たちまちにおうおおふを 「しゅう」 といひ、 すでにてざるを 「しゅう」 といふ。 ゆゑに収執しゅうしゅうづく。

オホフ↢王↡曰↠収、既ルヲ↠捨↠執。故↢「収執」↡也。

・父王

^」 といふはべつしてしんごくあらわす。 「おう」 とはそのくらいあらわす。 「びん」 とはそのあらわす。

↢「父」↡者別↢親之極↡也。「王」者彰↢其↡也。「頻婆」者彰↢其↡也。

・幽閉

^幽閉ゆうへいしちじゅう室内しつない」 といふは、 しょすでにおもし、 またかろきにあらず。 あさ*人間にんげんきんずべからず、 まつたくしゅなければなり。 ただおう*こうとして*にんつとも、 ただ群臣ぐんしんあればすなはちひさしきよりこのかた*じょうせるをもつて、 もし厳制ごんせいせずはおそらくは*じょうつうあらん。 ゆゑにないをしてまじはりをたしめて、 ぢてしちじゅうのうちにく。

↢「幽閉七重室内」↡者、所為既、事亦非↠軽キニ。不↠可↣浅↢人間↡、全レバナリ↢守護↡。但以↧王之宮閤トシテトモ↢外人↡、唯有↢群臣↡則キヨリ承奉ルヲ↥、若↢厳制↡恐↢情通↡。故使↢内外ヲシテ↟交リヲ、閉↢七重之内↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)釈夫人奉食文
              (ⅰ)科節

^国大こくだいにん」 よりしもみつじょうおう」 にいたるこのかたは、 まさしくにんひそかにおうじきをたてまつることをかす。

↢「国大夫人」↡下至↢「密以上王」↡已来タハ、正↣夫人密コトヲ↢王↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)釈文

・国大夫人

^国大こくだいにん」 といふは、 これ最大さいだいなることをかす。 「にん」 といふはそのくらいひょうす。 「だい」 といふはそのあらわす。

↢「国大夫人」↡者、此明↢最大ナルコトヲ↡也。言↢夫人↡者標↢其↡也。言↢「韋提」↡者彰↢其↡也。

・恭敬大王

^ぎょう大王だいおう」 といふは、 これにんすでにおうきんぜらるるをるに、 もんきはめてかたくして、 音信いんしんつうぜず、 おそらくはおうしんみょうつことを。 つひにすなはち香湯こうとう*滲浴しんよくしてをして清浄しょうじょうならしめて、 すなはち*みつりてづそのり、 のち*かんしょうりてはじめてみつうえき、 すなはじょうてこれをおおひて、 外衣げえうえにありてはじめて*瓔珞ようらくること、 つね服法ぶくほうのごとくにして、 *にんをしてあやしまざらしむ。 また瓔珞ようらくりてあないち*ろうをもつてこれをふさぎ、 いちあなのなかにどう*漿しょうりて、 てをはりてまたふさぐに、 ただこれ瓔珞ようらくなり。 ことごとくみなかくのごとくす。 しょうごんすることすでにおわりて、 *やうやくあゆみてりて、 おうとあひまみゆることをかす。

↢「恭敬大王」↡者、此明↧夫人既ルニ↢王身被ルルヲ↟禁、門戸極クシテ音信不↠通、恐コトヲ↢王身命香湯滲浴↢身ヲシテ清浄ナラ↡、即↢酥蜜↡先↢其↡、後↢乾麨↡始↢酥蜜之上↡、即↢浄衣↡覆↠之、在↢外衣↡始コト↢瓔珞↡、如クニシテ↢常服法↡、令↢外人ヲシテ↟怪又取↢瓔珞↡孔一頭以↠之、一頭↢蒲桃漿↡、満グニ、但是瓔珞ナリ皆如クス↠此コト、徐↠宮与↠王相マミユコトヲ↥。

 ^ひていはく、 諸臣しょしんちょくけておうまみゆることをゆるさず。 いぶかし、 にん*もんせいせずしてほしいままにることをしむるは、 なんのこころかあるや。

、諸臣↠勅不↠許↠見コトヲ↠王未審イブカシ、夫人門家不シテ↠制ホシイママルハ↠得↠入コトヲ者、有↢何↡也。

^こたへていはく、 諸臣しょしんことなりて、 またこれ*にんなり。 *じょうつうあることをおそれて、 きびしくじゅうせいくわへしむることをいたす。 またにんこれ女人にょにんにして、 しん*けいなし。 おう*宿しゅくえんごうおもくして、 ひさしくちかづきてさいなり。 別体べったい同心どうしんにして、 ひとをしてりょなからしむることをいたす。 ここをもつてりて、 おうとあひまみゆることをしむ。

、諸臣身異リテ、復是外人ナリ。恐↠有コトヲ↢情通↡、致↠使コトヲ↣厳↢重制↡。又夫人者身是女人ニシテ、心↢異計↡。与↠王宿縁業重ニシテ、久キテ夫妻ナリ。別体同心ニシテ、致↠使コトヲ↣人ヲシテ↢外慮↡。是シム↢入与↠王相コトヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)釈父王請法文
              (ⅰ)科節

 ^爾時にじ大王だいおうじきしょう」 よりしもじゅ八戒はっかい」 にいたるこのかたは、 まさしくちちおうきんによりてほうしょうずることをかす。

↢「爾時大王食麨」↡下至↢「授我八戒」↡已来タハ、正↢父王因↠禁コトヲ↟法

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅱ)述意

・王得食

^これにんすでにおうまみえをはりて、 すなはちしんじょう*けずりて、 *しょうだんをもつておうじゅす。 おうてすなはちじきす。 しょうじきすることすでにおわりて、 すなはちないにおいてにんじょうすいもとて、 おうあたへてくちすすがしむ。

此明↧夫人既↠王、即↢取身上↡、麨団ヲモテ授↢与王得コト↠麨、即↢宮内↡夫人求↢得浄水↡、与↠王シム↠口

・請求加護

^くちきよめをはりてむなしくときくべからず。 *ちょうしんるところなし。 ここをもつて*けんがっしょうして、 おもてめぐらして*しゃかひ、 きょう如来にょらいいたして*加護かごしょうすることをかす。

↠口已竟不↠可↢虚↟時朝心無↠所↠寄虔恭合掌、廻↠面↢於耆闍↡、致↢敬如来↡請↦求コトヲ加護↥。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅲ)釈文
                (a)正釈

・身業敬

^これ身業しんごうきょうかす、 またつうじてごうあり。

此明↢身業↡、亦通↢意業↡也。

・口業請

^而作是にさぜごん以下いげは、 まさしくごうしょうかす、 またつうじてごうあり。

「而作是言」已下、正↢口業↡、亦通↢意業↡也。

・目連親友

^大目連だいもくれん是吾ぜごしん」 といふはその二意にいあり。 ただ目連もくれんぞくにありてはこれおう*別親べっしんなり。 すでにしゅってすなはちこれ*もんなり。 *こう往来おうらいすることすべて*しょうなし。 しかるにぞくにありてはしんとなし、 しゅっしてはづく。 ゆゑにしんづく。

↢「大目連是吾親友」↡者有↢其二意↡。但目連在テハ↠俗是王別親ナリ。既↢出家↡即是門師ナリ。往↢来コト宮閤↡都↢障礙↡。然テハ↠俗↠親、出家シテハ↠友。故↢親友↡也。

・授我八戒

^願興がんこう慈悲じひじゅ八戒はっかい」 といふは、 これちちおうほううやまじょうふかくして、 ひとおもんずることおのれにぎたることをかす。 もしいまだ*幽難ゆうなんはずは、 仏僧ぶっそうじょうするにかたしとなすにらず。 いますでにとらはれて*くついたすによしなし。 ここをもつてただ目連もくれんしょうじて*八戒はっかいく。

↢「願興慈悲授我八戒」↡者、此明↢父王敬↠法情深クシテ、重コト↠人タルコトヲ↟己。若↠逢↢幽難↡、奉↢請ルニ仏僧↡不↠足↠為スニ↠難シト。今既↠囚↠由↠致スニ↠屈。是但請↢目連↡受↢於八戒↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅲ)(b)料簡

・礼世尊請目連意

 ^ひていはく、 ちちおうはるかにうやまふには、 そんらいし、 その受戒じゅかいおよびてすなはち目連もくれんしょうずるは、 なんのこころかあるや。

、父王遥フニハ、先↢世↡、及↢其受戒↡即ルハ↢目連↡、有↢何↡也。

^こたへていはく、 *ぼんしょう極尊ごくそんぶつぎたるはなし。 しんかたむけてがんおこすにはすなはちだい (釈尊)らいす。 かいはこれしょうえんなり。 ここをもつてただ目連もくれんきたりてさずくることをしょうず。 しかるにおうこころとうとぶこと得戒とくかいぞんず。 すなはちこれあまねし。 なんぞいたわしくげてそん*くっせんや。

、凡聖極尊無↠過タルハ↢於仏↡。傾↠心スニハ↠願↢大師↡。戒是小縁ナリ。是唯請↢目連コトヲ↡。然意者貴ブコト↢得戒↡。即是義周。何イタハシ↢世尊↡也。

・請八戒不請余意

 ^ひていはく、 如来にょらい戒法かいほうすなはちあることりょうなるに、 ちちおうただ八戒はっかいのみをしょうじてしょうぜずや。

、如来戒法乃コト無量ナルニ、父王唯請↢八戒ノミヲ↡不↠請↠余也。

^こたへていはく、 かいはややひろくして*せつじょうおんなり。 おそらくはちゅうげん失念しつねんしてしょうてんすることを。 その八戒はっかいとは*ぶっきょうきたまふがごとし。 ざいひとしゅっかいたもつ。 このかい*しん極細ごくさいごくきゅうなり。 なんのこころぞしかるとなれば、 ただせつややつづまりて、 ただ一日いちにちいちかぎりてほうしてすなはちつ。

、余戒ヤヤクシテ時節長遠ナリ恐畏オソラク中間失念流↢転コトヲ生死↡。其八戒者如↢余仏経タマフガ↡。在家人持↢出家↡。此持心極細極急ナリ。何ルトナラバ者、但時節稍ツヅマリ、唯限リテ↢一日一夜↡作法

^いかんがこのかい*用心ようじんぎょうとの*さいなることをる。 *戒文かいもんのなかにつぶさにあらわしていふがごとし。 「*ぶっ*今旦こんたんより*みょうたんいたるまで一日いちにちいち諸仏しょぶつせっしょうしたまはざるがごとくよくたもつやいなや」 と。 こたへていはく、 「よくたもつ」 と。 だいにまたいはく、 「ぶっ今旦こんたんよりみょうたんいたるまで一日いちにちいち諸仏しょぶつの、 ちゅうとうせず、 いんぎょうぜず、 もうせず、 飲酒おんじゅせず、 ふんることをず、 歌舞かぶしょうしおよびきてかんちょうすることをず、 高広こうこうだいじょうのぼることをたまはざるがごとくすべし」 と。

云何↢此用心トノナルコトヲ↡。如↢戒文フガ↡。仏子従↢今旦↡至マデ↢明旦↡一日一夜、如↣諸仏ルガ↢殺生タマハ↡能ツヤ。答、能ツト。第二又云、仏子従↢今旦↡至マデ↢明旦↡一日一夜、如クスベシト↧諸仏不↢偸盗↡、不↠行↠婬、不↢妄語↡、不↢飲酒↡、不↠得↢脂粉コトヲ↟身、不↠得↢歌舞唱伎観聴コトヲ↡、不ルガ↞得タマハ↠上コトヲ↢高広大床↡。

このかみはちはこれかいにしてさいにあらず。 *ちゅうぎてじきすることをず、 このいちはこれさいにしてかいにあらず。 これらの諸戒しょかいみな諸仏しょぶつきてしょうとなす。 なにをもつてのゆゑに。 ただぶつぶつとのみ*正習しょうじゅうともにつくしたまへり。 ぶつのぞきてげん*あくじゅうとうなほあり。 このゆゑにきてしょうとなさず。 ここをもつてることを。 このかい用心ようじんぎょうときはめてこれ*さいきゅうなり。

是戒ニシテ↠斎。不↠得↢過↠中コトヲ↡、此是斎ニシテ↠戒。此等諸戒皆引↢諸仏↡為↠証。何唯仏ノミ↠仏正習倶タマヘリ。除↠仏已還悪習等ナホ。是不↢引↟証也。是得↠知コトヲ。此用心起行是細急ナリ

^またこのかいには、 ぶつ*八種はっしゅしょうぼうありときたまへり。 もしひと一日いちにちいちつぶさにたもちておかさざれば、 所得しょとくどくにんてんじょうきょうがいちょうせり。 *きょうひろきたまふがごとし。 このやくあるがゆゑに、 ちちおうをして日々にちにちにこれをけしむることをいたす。

又此ニハ仏説タマヘリ↠有↢八種勝法↡。若人一日一夜具レバ↠犯、所得功徳超↢過セリ人・天・二乗境界↡。如↢経タマフガ↡。有↢斯益↡故、致↠使コトヲ↢父ヲシテ日日↟之

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)釈父王受法文
              (ⅰ)科節

 ^ろくだい目連もくれん」 よりしもおう説法せっぽう」 にいたるこのかたは、 そのちちおうしょうによりてしょうぼうこうむることをることをかす。

↢「時大目連」↡下至↢「為王説法」↡已来タハ、明↢其王因↠請コトヲ↟蒙コトヲ↢聖法↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)述意

^これ目連もくれん*しんてはるかにちちおうしょうりて、 すなはち*神通じんずうおこして*だんのあひだのごとくにおうところいたることをかす。

此明↧目連得↢他心智↡遥↢父請意↡、即↢神通↡如クニ↢弾指↡到コトヲ↦於王↥。

^またおそらくはひと神通じんずうそうらざらん。 ゆゑに*おうきてたとへとなす。 しかるに目連もくれん通力つうりきは、 一念いちねんのあひだにてんめぐることひゃくせんそうなり。 あにおうるいをなすことをんや。 かくのごとき*きょうはすなはちしゅあり。 つぶさにくべからず。 ¬げんきょう¼ につぶさにきたまふがごとし。

又恐人不ラム↠識↢神通之相↡。故↢快鷹↡為↠喩。然目連通力、一念之頃コト↢四天下↡百千之帀ナリ。豈↢与↠鷹為コトヲ↟類也。如↠是比校↢衆多↡。不↠可↢具↡。如↢¬賢愚経¼具タマフガ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅲ)釈文

・受戒

^日日にちにちにょ授王じゅおう八戒はっかい」 といふは、 これちちおういのちべて、 目連もくれんしばしばきたりてかいけしむることをいたすことをかす。

↢「日日如是授王八戒」↡者、此明↧父王延↠命コトヲ↞使コトヲ↢目連数↟戒

 ^ひていはく、 八戒はっかいすでにすぐれたりといふは、 ひとたびくるにすなはちりぬ。 なんぞ日々にちにちにこれをくるをもちゐん。

、八戒既↠勝タリト者、一タビルニ。何↢日日ルヲ↟之

^こたへていはく、 やまたかきをいとはず、 うみふかきをいとはず、 かたなきをいとはず、 あかきをいとはず、 ひとぜんいとはず、 つみのぞこるをいとはず、 げんとくいとはず、 ぶつしょういとはず。 しかるにおうこころはすでにしゅうきんせられて、 さらにしんこうむらず。 念々ねんねんのうちにひところすことをおそる。 これがためにちゅうしんかたむけ、 あおぎて八戒はっかいたのむ。 ぜんむことますますたかきことを望欲もうよくして*来業らいごうせんとす。

、山不↠厭↠高キヲ、海不↠厭↠深キヲ、刀不↠厭↠利キヲ、日不↠厭↠明キヲ、人不↠厭↠善、罪不↠厭↠除コルヲ、賢不↠厭↠徳、仏不↠厭↠聖。然意者既レテ↢囚禁↡、更不↠蒙↢進止↡。念念之中↢人コトヲ↡。為↠此昼夜↠心、仰↢八戒↡。望↢欲コトヲ↠善キコトヲ↡擬↠資ムト↢来業↡。

・説法

 ^そん亦遣やくけん富楼那ふるなおう説法せっぽう」 といふは、 これそん慈悲じひこころおもくして、 おう愍念みんねんしたまふに、 たちまちにしゅうろうひて、 おそらくはすいしょうずることを。 しかるに*富楼那ふるなしょう弟子でしのなかにおいてもつともよく説法せっぽうし、 よく*方便ほうべんありてひとしん開発かいほつす。 この因縁いんねんのために、 如来にょらい*発遣はっけんしておうのためにほうきて、 もつてのうのぞかしめたまふことをかす。

↢「世尊亦遣富楼那為王説法」↡者、此明↧世尊慈悲意重クシテ、愍↢念タマフニ↡、忽↢囚労↡、恐コトヲ↢憂悴富楼那者於↢聖弟子↡最説法、善↢方便↡開↢発↢此因縁↡、如来発遣↠王↠法、以シメタマフコトヲ↦憂悩↥。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)釈多日不死文
              (ⅰ)科節

^しちにょけん」 よりしも顔色げんしきえつ」 にいたるこのかたは、 まさしくちちおうじき聞法もんぽうとによりてにちせざることをかす

↢「如是時間」↡下至↢「顔色和悦」↡已来タハ、正↧父王因↢食聞法トニ↡多日不コトヲ↞死

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)(ⅱ)述意

^これまさしくにん多時たじじきをたてまつりて、 もつてかつのぞき、 しょう (目連・富楼那) また戒法かいほうをもつてうちにたすけてよくおうこころひらく。 じきはよくいのちべ、 戒法かいほう*じんやしなひて、 しっうれひをもうじて、 *顔容げんようえつならしむることをいたすことをかす。

此正↧夫人多時↠食↢飢渇↡、二聖又以↢戒法↡内ケテ↢王↠命、戒法↠神、失↠苦↠憂、致コトヲ↞使コトヲ↢顔容和悦ナラ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ロ (三)

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろごんえんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢七句不同↡、広↢禁父↡竟

二 Ⅱ ⅱ b 【禁母縁】
          (一)

【7】 ^さんごんえんのなかにつきてすなはちそのはちあり。

↢禁母↡即↢其八↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)
            (Ⅰ)釈問父音信文
              (ⅰ)科節

^いちには じゃ」 よりしも存在ぞんざい」 にいたるこのかたは、 まさしくちち音信いんしんふことをかす。

↢「時阿闍世」↡下至↢「由存在耶」↡已来タハ、正↠問コトヲ↢父音信↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅱ)述意

^これ闍王じゃおうちちきんずること日数にっしゅすでにおおし。 ひとまじはりすべてえ、 水食すいじきつうぜずして*しち有余うよなり。 いのちおわるべし。 このねんをなしをはりて、 すなはちもんいたりて守門しゅもんのものにひて、 「ちちおういまなほ存在ぞんざいせりや」 といふことをかす。

此明↧闍王禁コト↠父日数既、水食不シテ↠通二七有余ナリ命応↠終↢是↡已↢宮門↡問↢守門↡、父王今者 イマ 猶存在セリトイフコトヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)料簡
                (a)

 ^ひていはく、 もしひと一餐いちざんいいじきして、 かぎ七日しちにちいたりぬればすなはちす。 ちちおう*三七さんしちたるをもつてはかるに、 いのちゆべきことうたがいなし。 闍王じゃおうなにをもつてかただちにひて、 「*もんちちおういましをはれりや」 といはずして、 いかんぞいたして 「なほ存在ぞんざいせりや」 とへるは、 なんのこころかあるや。

、若人食↢一餐之飯↡、限ヌレバ↢七日↡即。父王以↠経ルヲ↢三七↡計ルニベキコト↢命断↡無↠疑。闍王何シテ↣直、曰↢門家、父王今者死レリ↡、云何↠疑而問↢猶存在セリヤト↡者、有↢何↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)

^こたへていはく、 これはこれ闍王じゃおう*みつといなり。 ただおもんみれば*ばんしゅなれば、 *どうずいなるべからず。 ちちおうすでにこれてんしょうこころしたし、 いひて 「せりや」 とふべきことなし。 おそらくはとがとうにありて、 もつて*譏過きかじょうずることを。 ただおもんみれば内心ないしんひょうして、 くちに 「ありや」 とへるは、 なが*あくぎゃくめんとほっするがためなり。

、此是闍王意密問也。但以レバ万基之主ナレバ、挙動不↠可↢随宜ナル↡。父王既是天性情親、無↠容キコト↢言↟死セリヤト。恐失在↢当時↡、以コトヲ↢譏過↡。但以レバ内心↠死、口↠在リヤト者、為↠欲ルガ↠息ムト↢永悪逆之↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)釈門家具答文
              (ⅰ)科節

 ^守門しゅもんにんびゃくごん」 よりしも不可ふか禁制きんぜい」 にいたるこのかたは、 まさしく*もんをもつてつぶさにこたふることをかす。

↢「時守門人白言」↡下至↢「不可禁制」↡已来タハ、正↢門家以↠事コトヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)述意

^これじゃさきに 「ちちおうありや」 とへば、 いまつぎもんとうすることをかす。

此明↧闍世前↢父王在リヤト↡者、今次門家奉答コトヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)釈文

・奉食事

^びゃくごん大王だいおう国大こくだいにん」 といふ以下いげは、 まさしくにんひそかにおうじきをたてまつるに、 おうすでにじきじきよくいのちべて、 にちといへどもちちいのちなほぞんず。 これすなはちにんこころにして、 このもんとがにはあらずといふことをかす。

「白言大王国大夫人トイフ」已下、正↧夫人密ルニ↢王↡、王既得↠食食能↠命、雖↠経↢多日↡父命猶存此乃夫人之意ニシテ、非ズトイフコトヲ↦是門家之過ニハ↥。

 ^ひていはく、 にんじきをたてまつるに、 うえ*しょうりてころもしたひそかにおおふ。 出入しゅつにゅう往還おうげんするに、 ひとることをることなし。 なんがゆゑぞもんつぶさににんじきをたてまつるあらわす。

、夫人奉ルニ↠食、身↠麨。出入往還ルニ、無↢人コト↟見コトヲ。何門家具↢夫人奉↠食之事↡。

^こたへていはく、 一切いっさい*みつひさしくぎょうずべからず。 たとひたくみにかたぞうせども、 かえりて彰露あらわる。 ちちおうすでにきんぜられてないにあり、 にん日々にちにち往還おうげんす。 もしひそかにしょうちてじきせしめずは、 おういのちくることるによしなし。 いま 「みつ」 といふは、 もんのぞめてにんこころぶるなり。 にんかくして*にんらずとおもへども、 そのもんことごとくもつてこれをさとらざらんや。 いますでにきわまりて、 あひかくすによしなし。 ここをもつて一々いちいちつぶさにおうかひてく。

、一切私密不↠可↢久↡。縦セドモ、事還彰露 アラハ 。父王既ラレテ↢宮内↡、夫人日日往還。若↢密↠麨シメ↡、王命無↠由↠得ルニ↠活コトヲ。今言↠密者、望↢門家↡述↢夫人↡也。夫人謂ドモ↢密シテ外人不↟知、不ラムヤ↢其門家尽↟之。今既事窮、無↠由↢相スニ↡。是一一具↠王

・説法事

 ^沙門しゃもん目連もくれん」 といふ以下いげは、 まさしくしょう (目連・富楼那) くうあがりてらいし、 もんによらず。 日々にちにち往還おうげんしておうのためにほうく。 大王だいおうまさにるべし。 *にん進食しんじきさきおうきょうけず、 ゆゑにあへて*遮約しゃやくせず。 しょうくうじょうず、 これまた*門制もんせいによらずといふことをかす。

↢「沙門目連」↡已下、正↧二聖騰↠空来去、不↠由↢門路日日往還↠王↠法大王当↠知夫人進食先不↠奉↢王↡、所以不↢敢遮約二聖乗↠空、此亦不トイフコトヲ↞猶↢門制↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅲ)釈闍王瞋怒文
              (ⅰ)科節

^さんじゃもん此語しご」 よりしも欲害よくがい其母ごも」 にいたるこのかたは、 まさしくおうしんかす。

↢「時阿闍世聞此語」↡下至↢「欲害其母」↡已来タハ、正↢世王瞋怒↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅲ)(ⅱ)述意

^これ闍王じゃおうすでにもん*分疏ぶんしょきをはりて、 すなはちにんにおいてしんあくおこし、 くちあくぶることをかす。

此明↧闍王既↢門家分疏↡已、即↢夫人↡心↢悪怒↡、口コトヲ↦悪辞↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅲ)(ⅲ)釈文

・逆悪

^また*三業さんごうぎゃく三業さんごうあくとをおこす。 父母ぶもののしりてぞくとなすをごうぎゃくづく。 沙門しゃもんののしるをごうあくづく。 けんりてははころさんとするを身業しんごうぎゃくづく。 しんしょしんをもつてしゅとなすを、 すなはちごうぎゃくづく。 また*ぜん方便ほうべんあくとなし、 *のち正行しょうぎょうぎゃくとなす。

又起↢三業三業トヲ↡。罵↢父母↡為スヲ↠賊↢口業↡。罵ルヲ↢沙門↡者名↢口業↡。執↠剣ムトスルヲ↠母↢身業↡。身口所為以↠心スヲ↠主、即↢意業↡。又復前方便↠悪、後正行↠逆

・罵其母

^我母がもぞく」 といふ以下いげは、 まさしくくちあくいだすことをかす。 いかんぞははののしりて、 ぞくなり、 ぞくともなればなり」 となす。 ただ闍王じゃおうもとしんあだちちいたし、 はやおわらざることをうらむに、 ははすなはちしてためにかてすすむるがゆゑにせざらしむ。 このゆゑにののしりて、 「わがはははこれぞくなり、 ぞくともなればなり」 といふ。

↢「我母是賊」↡已下、正↣口コトヲ↢悪辞↡。云何↠母、為↢賊ナリ賊之伴ナレバナリト↡也。但闍王心致↢怨於父↡、恨ムニ↠不コトヲ↢早↡、母乃ルガ↠糧↠不。是↢我是賊ナリ、賊之伴ナレバナリト↡也。

・瞋二聖

^沙門しゃもん悪人あくにん」 といふ以下いげは、 これじゃははじきすすむることをいかり、 また*沙門しゃもんおうのためにらいすることをきて、 さらに瞋心しんしんおこさしむることをいたすことをかす。 「ゆゑになんのじゅじゅつありてか悪王あくおうをしてにちせざらしむ」 といふ。

↢「沙門悪人」↡已下、此明↧闍世瞋↢母コトヲ↟食、復聞↢沙門与↠王来去コトヲ↡、致コトヲ↞使コトヲ↣更↢瞋心↡。故↧有テカ↢何呪術↡而令ムト↦悪王ヲシテ多日↞死

・欲害母

^そくしゅうけん」 といふ以下いげは、 これおういかさかりにして、 ぎゃくははおよぶことをかす。 なんぞそれいたましきかな。 こうべりてけんす。 しんみょうたちまちにしゅにあり。 *慈母じもがっしょうしてこうべれ、 *く。 にんそのときあつあせあまねくながれて、 *心神しんじん悶絶もんぜつす。 あああわれなるかな、 *怳忽こうこつのあひだにこのなんへること。

↢「即執利剣」↡已下、此明↣世王ニシテ、逆及コトヲ↢於母↡。何其痛シキ哉。撮↠頭↠剣。身命頓↢須臾↡。慈母合掌↠身↠頭、就↢児之手↡。夫人爾時熱汗遍、心神悶絶。嗚呼哀ナル哉、怳忽之間コト↢斯苦難↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅳ)釈二臣切諌文
              (ⅰ)科節

^しんみょうわつ月光がっこう」 よりしも却行きゃくぎょう退たい」 にいたるこのかたは、 まさしくしん (*月光・*耆婆) *切諌せっかんしてゆるさざることをかす。

↢「時有一臣名曰月光」↡下至↢「却行而退」↡已来タハ、正↢二臣切諌コトヲ↟聴

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅳ)(ⅱ)述意

^これしんはすなはちこれくにしょう立政りっせいこうなり。 万国ばんこくげ、 *八方はっぽう*ほうじゅうすることをんとのぞむ。 たちまちに闍王じゃおう*ぼつぎゃくおこして、 けんりてそのははころさんとほっするをて、 このあくるにしのびず。 つひに耆婆ぎば*かおおかしてかんもうくることかす。

此明↩二臣是国之輔相、立政之綱ナリ↠得ムト↢万国↠名、八方昉習コトヲ↧闍王↢於勃逆↡執↠剣ルヲ↞殺ムト↢其↡、不↠忍↠見ルニ↢斯悪事与↢耆婆↡犯↠顔コトヲ↝諌也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅳ)(ⅲ)釈文

^」 といふは、 闍王じゃおうははころさんとほっするときあたれり。 「大臣だいじん」 といふはそのくらいあらわす。 「月光がっこう」 といふはそのあらわす。 「そうみょう多智たち」 といふはそのとくあらわす。

↢「時」↡者、当レリ↢闍王欲↠殺ムト↠母↡也。言↢「有一大臣」↡者彰↢其↡也。言↢「月光」↡者、彰↢其↡也。言↢「聡明多智」↡者彰↢其↡也。

^ぎゅう耆婆ぎば」 といふは、 耆婆ぎばはまたこれちちおうにして、 *にょなり。 たちまちに*きょうははにおいてぎゃくおこすをて、 つひに月光がっこうおなじくいさむ。

↢「及与耆婆」↡者、耆婆亦是父王之子ニシテ、奈女之児ナリ。忽↢家兄↠母スヲ↟逆、遂与↢月光↡同

^おうらい」 といふは、 おほよそ*大人だいにん*かんせんとほっするほうは、 かならずすべからくはいもうけて、 もつてしんきょうあらわすべし。 いまこのしん (月光・耆婆) もまたしかなり。 しんきょうもうけておうしん覚動かくどうし、 おさげてまさにほんぶ。

↢「為王作礼」↡者、凡↣諮↢諌ムト大人↡之法、要↣設↠拝、以↢身敬↡。今此二臣亦爾ナリ。先↢身敬↡覚↢動↡、斂↠手↠躬↢本意↡也。

^また 「びゃくごん大王だいおう」 といふは、 これ月光がっこうまさしくことばべんとほっして、 闍王じゃおうしんひら*ちょうらんすることをんとのぞむことをかす。 この因縁いんねんのためのゆゑに、 づ 「びゃく」 をもちゐる。

又「白言大王トイフ」者、此明↢月光正↠陳ムト↠辞、望コトヲ↟得ムト↢闍王開↠心聴攬コトヲ↡。為↢此因縁↡故、須↢先↡。

^臣聞しんもん*毘陀びだろんきょうせつ」 といふは、 これひろ*こんしょ歴帝れきていもんくことをかす。 じんいはく、 「いふことてんあずからざるはくんづるところなり」 と。 いますでにかんかろからず、 あにごんをもつて妄説もうせつすべけんや。

↢「臣聞毘陀論経説」↡者、此明↣広コトヲ↢古今書史、歴帝之文記↡。古人云、言コトルハアヅカ↠典君子ナリト↠慚。今既諌事不↠軽カラケムヤ↢虚言ヲモテ妄説↡。

^劫初こうしょらい」 といふはそのときあらわす。

↢「劫初已来」↡者彰↢其↡也。

^しょ悪王あくおう」 といふは、 これそうじてれいぼうぎゃくひとひょうすることをかす。

↢「有諸悪王」↡者、此明↣総コトヲ↢非礼暴逆之人↡也。

^貪国とんごく位故いこ」 といふは、 これ*非意ひいちちしょ貪奪とんだつするところをかす。

↢「貪国位故」↡者、此明↤非意↣貪↢奪坐処↡也。

^殺害せつがい其父ごぶ」 といふは、 これすでにちちにおいてあくおこすことはひさしくとどむべからず。 ゆゑにすべからくいのちだんずべしといふことをかす。

↢「殺害其父」↡者、此明↧既↠父コトハ↠悪不↠可↢久シトイフコトヲ↞断↠命也。

^一万いちまん八千はっせん」 といふは、 これおういまちちころすことは、 かれと類同るいどうすることをかす。

↢「一万八千」↡者、此明↢王今殺コトハ↠父、与↠彼類同コトヲ↡也。

^曽聞ぞうもん有無うむ道害どうがい」 といふは、 これいにしえよりいまいたるまで、 ちちがいしてくらいることは*じゃくややだんずるも、 くにとんじてははころすことはすべてせるところなきことをかす。 もし*劫初こうしょらいろんぜば、 悪王あくおうくにとんぜしに、 ただそのちちころして慈母じもくわへず。 これすなはちいにしえいまことなるをく。 大王だいおういまくにとんじてちちころす。 ちちはすなはちくらいとんずべきことあり。 いにしえ類同るいどうせしむべし。 はははすなはちくらいもとむべきなし。 よこさまぎゃくがいくわふ。 ここをもつていまをもつてむかしす。

↢「未曽聞有無道害母」↡者、此明↣自↠古至マデ↠今、害↠父コトハ↠位史籍ヤヤルモ、貪↠国コトハ↠母キコトヲ↢記処↡。若↢劫初已来↡、悪王貪シニ↠国、但殺↢其↡不↠加↢慈母↡。此則↢古ナルヲ↟今。大王今者 イマ ↠国↠父。父↢位キコト↟貪。可↠使↣類↢同於古↡。母↢位↟求。横↢逆害↡。是↠今↠昔也。

^おういまこのせつをなさば、 *せつしゅけがさん」 といふ。 「せつ」 といふは、 すなはちこれ*しょう高元こうげん王者おうじゃしゅなり、 代々だいだいそうじょうす。 あに凡砕ぼんさいおなじからんや。

↧「王今為サバ↢此殺母↡者、汚ムト↦刹利種↥」也。言↢「刹利」↡者、乃是四姓高元、王者之種ナリ、代代相承。豈カラムヤ↢凡砕↡。

^しん忍聞にんもん」 といふは、 おうあくおこして宗親そうしん損辱そんにくするをば、 あくしょう流布るふせん。 わがしょうもうざんするにところなし。

↢「臣不忍聞」↡者、見↣王起↠悪損↢辱ルヲ宗親↡、悪声流布。我之性望恥慚ルニ↠地。

^*せん陀羅だら」 といふはすなはちこれしょう下流げるなり。 これすなはちしょうきょうあくいだきてじんならはず。 ひとかわたりといへども、 おこなきんじゅうおなじ。 おうじょうぞくして、 してばんのぞしゅなり。 いますでにあくおこしておんくわふ、 かの下流げるとなんぞことならんや。

↢「是旃陀羅」↡者乃是四姓之下流也。此乃性懐↢匈悪↡不↠ナラ↢仁義↡。雖↠著タリト↢人↡、行↢禽獣↡。王シテ↢上族↡、押↢万基↡之主ナリ。今既↠悪、与↢彼下流↡何ナラム也。

^不宜ふぎじゅう」 といふはすなはち二義にぎあり。 いちにはおういまあくつくりて*風礼ふうれいぞんぜず。 *きょうおうしんしゅう、 あにせん陀羅だらをしてしゅたらしめんや。 これすなはちじょうひんしゅつするこころなり。 にはおうくににありといへどもわが宗親そうしんそんぜば、 とおほうひんしてなが*もんたんにはしかず。 ゆゑに不宜ふぎじゅうといふ。

↢「不宜住此」↡者即↢二義↡。一者王今造↠悪不↠存↢風礼↡。京邑神州、豈メム↢旃陀羅ヲシテ↟主也。此即擯↢出宮城↡意也。二者王雖↠在↠国↢我宗親↡、不↠如↧遠↢他方↡永ムニハ↦無聞之地↥。故↢「不宜住此」↡也。

^大臣だいじんせつ此語しご」 といふ以下いげは、 これしん (月光・耆婆)直諌じきかんせつにして、 ことばきはめてあらくして、 ひろこんきて、 おうしんかいすることをんとのぞむことをかす。

↢「時二大臣説此語」↡已下、此明↧二臣直諌切ニシテ、語極クシテ、広↢古今↡、望コトヲ↞得ムト↢王心開悟コトヲ↡。

^しゅ按剣あんけん」 といふは、 しんみづからしゅちゅう*けんあんずるなり。

↢「以手按剣」↡者、臣自↢手中↡也。

 ^ひていはく、 *かんあくにして*かおおかすことをけず、 君臣くんしんすでにそむけり。 なにをもつてかめぐらしてただちにらずして、 すなはち*却行きゃくぎょう退たいすといふや。

、諌辞麁悪ニシテ不↠避↠犯コトヲ↠顔、君臣之義既ケリ。何シテ↢廻↠身↡、乃↢「却行而退スト」↡也。

^こたへていはく、 ごんおうさからふといへども、 がいしんむることをのぞむ。 またおそらくは*瞋毒しんどくいまだのぞこらず、 けたるけんおのれをあやふくすることを。 ここをもつてけんあんじてみづからふせぎて、 却行きゃくぎょうして退しりぞく。

、麁言雖↠逆フト↠王、望↠息コトヲ↢害母之心↡。又恐瞋毒未↠除コラ、繋タル剣危クスルコトヲ↠己。是↠剣、却行而退

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅴ)釈世王生怖文
              (ⅰ)科節

 ^じゃきょう」 よりしもにょ不為ふい我耶がや」 にいたるこのかたは、 まさしくおうおそれをしょうずることをかす。

↢「時阿闍世驚怖」↡下至↢「汝不為我耶」↡已来タハ、正↢世王生コトヲ↟怖

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅴ)(ⅱ)述意

^これじゃすでにしんかんせつなるを、 またけんあんじてるをて、 しんわれをそむきてかのちちおうかひてさらに*けいしょうずることをおそれ、 *じょうをしてやすからざらしむることをいたすことをかす。

此明↩闍世既見↢二臣諌辞麁切ナルヲ↡、又覩↢按↠剣而去ルヲ↡、恐↧臣背↠我↢彼↡更コトヲ↦異計↥、致コトヲ↝使コトヲ↢情地ヲシテ↟安カラ

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅴ)(ⅲ)釈文

ゆゑに 「こう」 としょうす。 かれすでにわれをつ、 たれがためにすといふことをらず。 しんうたがひてけっせず。 つひにすなはちくちひてこれをつまびらかにす。 ゆゑに 「耆婆ぎばにょ不為我ふいが」 といふ。

↢惶懼↡。彼既↠我、不↠知↠為ニストイフコトヲ↠誰。心疑不↠決。遂ニス↠之。故↢「耆婆汝不為我也」↡。

^耆婆ぎば」 といふはこれおうおとうとなり。 じんいはく、 「いえすいあるときは、 しんにあらざればすくはず」 と。 なんぢすでにこれわがおとうとなれば、 あに月光がっこうどうぜんや。

↢耆婆↡者是王之弟也。古人云、家トキハ↢衰禍↡、非レバ↠親↠救。汝既是我ナレバ者、豈ゼム↢月光↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅵ)釈二臣重諌文
              (ⅰ)科節

^ろく耆婆ぎばびゃくごん」 よりしもしん莫害まくがい」 にいたるこのかたは、 しん (月光・耆婆) かさねていさむることをかす。

↢「耆婆白言」↡下至↢「慎莫害母」↡已来タハ、明↢二臣重コトヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅵ)(ⅱ)述意

^これ耆婆ぎばまことをもつて大王だいおうこたふることをかす。 「もしわれらを*しょうとなさんとほっせば、 ねがはくはははがいすることなかれ」 となり。 ここに直諌じきかんすることおはりぬ。

此明↣耆婆実ヲモテコトヲ↢大王↡。若↧得↢我等ムト↞相者、願クハレト↠害コト↠母也。此直諌コト

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅶ)釈闍王受諌文
              (ⅰ)科節

^しち王聞おうもん此語しご」 よりしも止不しふがい」 にいたるこのかたは、 まさしく闍王じゃおうかんけてはは*ざんみょうゆるすことをかす。

↢「王聞此語」↡下至↢「止不害母」↡已来タハ、正↣闍王受↠諌ユルスコトヲ↢母残命↡。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅶ)(ⅱ)述意

^これおうすでに耆婆ぎばかんをはりて、 しんこんしょうじ、 さき所造しょぞうぢて、 すなはちしんかひてあわれみをもといのちふ。 よりてすなはちははゆるしてなんのがれしめ、 しゅちゅうけんもとはこげんすることをかす。

此明↧世王既得↢耆婆↡已、心↢悔恨↡、愧↢前所造↡、即↢二臣↡求↠哀ミヲ↠命ユルシ↠母シメ↢於死↡、手中之剣還↦帰コトヲハコ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅷ)釈闍王禁母文
              (ⅰ)科節

^はちちょく内官ないかん」 よりしもりょうすい」 にいたるこのかたは、 そのおうしんははきんずることをかす。

↢「勅語内官」↡下至↢「不令復出」↡已来タハ、明↢其世王余瞋禁コトヲ↟母

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅷ)(ⅱ)述意

^これおうしんかんけてははゆるすといへども、 なほしんありてほかにあらしめず。 内官ないかんちょくじんへいして、 さらにいだしてちちおうとあひまみえしむることなきことをかす。

此明↩世王雖↧受↢臣ユルス↞母、猶有↢余瞋↡不↠令↠在↠外勅↢語内官↡閉↢置深宮↡、更キコトヲ↝令コト↧出与↢父王↡相マミ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろごんえんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢八句不同↡、広↢禁母↡竟

二 Ⅱ ⅱ b 【厭苦縁】
          (一)

【8】 ^えんえんのなかにつきてすなはちそのあり。

↢厭苦↡即↢其四↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)
            (Ⅰ)釈為子幽禁文
              (ⅰ)科節

^いちには だい」 よりしも憔悴しょうすい」 にいたるこのかたは、 まさしくにんのために幽禁ゆうきんせらるることをかす。

↢「時韋提希」↡下至↢「憔悴」↡已来タハ、正↢夫人為↠子幽禁ラルルコトヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅰ)(ⅱ)述意

^これにんなんまぬかるといへども、 さらにじんかれて、 *守当しゅとうきはめてかたくしてづることをるによしなし。 ただ念々ねんねんうれひをいだくことのみありて、 ねんしょうすいすることをかす。

此明↧夫人雖↠勉ルト↢死↡、更↢在レテ深宮↡、守当極クシテ↠由↠得ルニ↠出コトヲ唯有↢念念コトノミ↟憂、自然憔悴コトヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅰ)(ⅲ)傷歎

^しょうたんしていはく、 「わざわいなるかな今日こんにち闍王じゃおうびてじんちゅうげんつなぎ、 またじんなん遇値ふ」 と。

傷歎、禍ナル哉今日苦、遇↧値 アフ 闍王喚利刃中間ツナ、復置↢深宮↡難↥。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅰ)(ⅳ)料簡

 ^ひていはく、 にんすでにまぬかれてることを。 よろしく*らくすべし、 なにによりてかかへりてさらにしゅうするや。

、夫人既得↢勉↠死コトヲ↟宮。宜↢訝楽↡、何テカ愁憂也。

^こたへていはく、 すなはちさんどうあり。

、即↢三義不同↡。

^いちにはにんすでにみづからぢられて、 さらにひとじきすすめておうあたふるなし。 おうまたわがなんにあるをきてうたたさらにしゅうせん。 いますでにじきなくしてうれひをくわへば、 おうしんみょうさだめてひさしからざるべきことをかす。

ニハ↧夫人既レテ↠閉、更↢人↠食↟王王又聞↢我ルヲ↟難愁憂今既クシテ↠食加↠憂者、王之身命定キコトヲ↞不↠久カラ

^にはにんすでにしゅうなんこうむる、 いづれのときにかさらに如来にょらい (釈尊)みかおおよびもろもろの弟子でしたてまつらんといふことをかす。

ニハ↧夫人既↢囚難↡、何ニカマツラムトイフコトヲ↦如来之面及弟子↥。

^さんにはにんきょうけてきんぜられてじんにあり。 内官ないかん守当しゅとうして*水泄すいせつすらつうぜず。 *旦夕たんせきのあひだ、 ただ死路しろのみをうれふることをかす。

ニハ↧夫人奉↠教ラレテ↢深宮内官守当水泄スラ不↠通旦夕之間唯愁コトヲ↦死路ノミヲ↥。

^このさんありて身心しんしん切逼せっぴつす。 しょうすいすることなきことをんや。

↢斯三義↡切↢逼身心↡。得↠無キコトヲ↢憔悴コト↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅱ)釈夫人請仏文
              (ⅰ)科節

 ^遥向ようこうしゃ崛山くっせん」 よりしも挙頭こずきょう」 にいたるこのかたは、 まさしくにんきんによりてぶつしょうじ、 こころぶるところあることをかす。

↢「遥向耆闍崛山」↡下至↢「未挙頭頃」↡已来タハ、正↢夫人因↠禁↠仏、意コトヲ↟所↠陳

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅱ)(ⅱ)述意

^これにんすでにしゅうきんにありて、 しん仏辺ぶっぺんいたることをるによしなし。 ただ*単心たんしんのみありて、 おもてしゃかへ、 はるかにそんらいしたてまつりて、 「ねがはくはぶつ慈悲じひ弟子でししゅうこころ*ひょうしたまへ」 といふことをかす。

此明↧夫人既↢囚禁↡、自身無↠由↠得ルニ↠到コトヲ↢仏辺唯有↢単心ノミ↡、面↢耆闍↡、遥マツリテ↢世尊↡、願クハ慈悲、表↦知タマヘトイフコトヲ弟子愁憂之意↥。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅱ)(ⅲ)釈文

^如来にょらいざいしゃく之時しじ」 といふ以下いげは、 これに二義にぎあり。 いちにはちちおういまだきんぜられざるときは、 あるいはおうおよびわがしたしく仏辺ぶっぺんいたるべし、 あるいは如来にょらいおよびもろもろの弟子でししたしくおうしょうくべし。 しかるにわれおよびおうともにしゅうきんにありて、 因縁いんねん断絶だんぜつし、 *彼此ひしこころそむけることをかす。 にはちちおうきんにありてよりこのかた、 しばしばそんなんつかはしてきたりてわれをもんせしめたまふことをこうむることをかす。 いかんがもんする。 ちちおうしゅうきんせらるるをるをもつて、 ぶつにんのうすることをおそれたまふ。 この因縁いんねんをもつてのゆゑにもんせしめたまふ。

↢「如来在昔之時」↡已下、此↢二義↡。一ニハ↧父王未↠被↠禁、或↣王及身親↢仏辺↡、或↣如来及弟子親↢王我及身倶↢囚禁↡、因縁断絶、彼此情乖ケルコトヲ↥。二ニハ↫父王在テヨリ↠禁已来、数コトヲ↪世尊遣↢阿難↡来慰↩問シメタマフコトヲ↨。云何慰問。以↠見ルヲ↢父囚禁ラルルヲ↡、仏恐タマフ↢夫人憂悩コトヲ↡。以↢是因縁↡故タマフ↢慰問↡也。

^そんじゅう無由むゆ得見とくけん」 といふは、 これにんうちにみづからけんして、 ぶつ弟子でしそんす。 「*ぜつ女身にょしん*福因ふくいん尠薄せんぱくなり。 仏徳ぶっとくたかし、 かろがろしくるるによしなし。 ねがはくは目連もくれんとうつかはしてわれとあひまみえしめたまへ」 といふことをかす。

↢「世尊威重無由得見」↡者、此明↧夫人内卑謙、帰↢尊於仏弟子穢質女身、福因尠薄ナリ仏徳威高、無↠由↢軽シクルニクハ↢目連等↡与↠我相シメタマヘトイフコトヲ↥。

 ^ひていはく、 如来にょらいはすなはちこれしゅなり。 *時宜じぎうしなはざるべし。 にんなにをもつてか*たびしょうくわへずして、 すなはち目連もくれんとうぶはなんのこころかあるや。

、如来是化主ナリ。応↠不↠失↢時宜↡。夫人何シテ↣三タビ↢致請↡、乃ブハ↢目連等↡有↢何↡也。

^こたへていはく、 仏徳ぶっとく尊厳そんごんなり。 しょうえんをもつてあへてたやすくしょうぜず。 ただなんて、 ことばつたへて、 きてそんにまうさしめんとほっす。 ぶつわがこころりたまはば、 またなんをしてぶつことばつたへて、 われに*じゅせしめたまはん。 このをもつてのゆゑになんんとねがふ。

、仏徳尊厳ナリ。小縁ヲモテ不↢敢タヤス↡。但見↢阿難↡、欲↣伝↠語、往シメムト↢世尊↡。仏知タマハバ↢我↡、復使タマハム↧阿難ヲシテ↢仏之語↡、指↦授於我↥。↢斯↡故↠見ムト↢阿難↡。

 ^作是さぜ語已ごい」 といふはそうじてさきこころきをはるなり。

↢「作是語已」↡者総↢前↡竟也。

^きゅうるい」 といふは、 これにんみづからただつみおもし。 ぶつあいしょうずるに、 きょういたこころふかくしてるいてり。

↢「悲泣雨涙」↡者、此明↧夫人自唯罪重ルニ↢仏加哀↡、致↠敬情深クシテ、悲涙満↠目

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅱ)(ⅳ)結意

^ただ*りょう*渇仰かつごうするをもつて、 またますますはるかにらいし、 いただきたたきて*じょし、 しばらくいまだげざることをかす。

但以↣渇↢仰ルヲ霊儀↡、復マスマス、叩↠頂跱須臾シバラクルコトヲ↞挙

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅲ)釈如来赴請文
              (ⅰ)科節

^さん爾時にじそん」 よりしもてんゆうよう」 にいたるこのかたは、 まさしくそんみづからきたりてしょうおもむくことをかす。

↢「爾時世尊」↡下至↢「天華持用供養」↡已来タハ、正↢世尊自コトヲ↟請

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅲ)(ⅱ)述意

^これそんしゃにましますといへども、 すでににん心念しんねんこころることをかす。

此明↧世尊雖↠在スト↢耆闍↡、已コトヲ↦夫人心念之意↥。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅲ)(ⅲ)釈文

^ちょくだい目連もくれんとうじゅうくうらい」 といふは、 これにんしょうおうずることをかす。

↢「勅大目連等従空而来」↡者、此明↠応コトヲ↢夫人↡也。

^ぶつじゅうせんもつ」 といふは、 これにんない禁約きんやくきはめてかたし。 ぶつもしげんじてらいしたまはば、 おそらくはじゃもんしてさらに*なんしょうずることを。 この因縁いんねんをもつてのゆゑに、 すべからく*ここにもっして*かしこにでたまふべきことをかす。

↢「仏従耆山没」↡者、此明↧夫人宮内禁約極仏若↠身来赴タマハバ、恐畏闍世知聞コトヲ↢留難↢是因縁↡故、須キコトヲ↦此タマフ↥也。

^だいらい挙頭こず」 といふは、 これにんきょういたときかす。

↢「時韋提礼已挙頭」↡者、此明↢夫人致↠敬之時↡也。

^けんぶつそん」 といふは、 これそんちゅうにすでにでて、 にんをしてこうべげてすなはちしむることをいたすことをかす。

↢「見仏世尊」↡者、此明↢世尊宮中、致コトヲ↟使コトヲ↢夫人ヲシテ↠頭見↡。

^しゃ牟尼むにぶつ」 といふはぶつ*けんす。 ただ諸仏しょぶつみなつうじ、 身相しんそうことならず。 いまことさらにしゃ*標定ひょうじょうしてうたがいなからしむ。

↢「釈迦牟尼仏」↡者簡↢異余仏↡。但諸仏名通、身相不↠異ナラ。今故ラニ標↢定釈迦↡使↠無↠疑也。

^しん金色こんじき」 といふはそのそうあらわさだむ。 「ひゃっぽう」 といふは余座よざけんす。 目連もくれん侍左じさとうといふは、 これさらにしゅうなくして、 ただ二そう (目連・阿難) のみあることをかす。

↢「身紫金色」↡者顕↢定↡也。言↢「坐百宝華」↡者簡↢異余座↡也。言↢「目連侍左」等↡者、此明↧更クシテ↢余衆↡、唯有コトヲ↦二僧ノミ↥。

^しゃくぼん護世ごせ」 といふは、 これ天王てんのうしゅとうぶつそんかくれておうあらわれたまふをるに、 「かならず*希奇けきほうきたまはん、 われらてんにんだいによるがゆゑに*もんやくくことをん」 と。 おのおの本念ほんねんじょうじてあまねくくうじゅうりんして、 てんはるかにさんして、 あめふらしてようすることをかす。

↢「釈梵護世」↡者、此明↧天王衆等、見ルニ↣仏世尊隠タマフヲ↢王宮↡、必タマハム↢希奇之法↡、我等天・人因ルガ↢韋提↡故ムト↠聴コトヲ↢未聞之益↢本念↡普住↢臨↡、天耳遥、雨ラシテ↠華供養コトヲ↥。

^また 「しゃく」 といふは、 すなはちこれ*天帝てんたいなり。 「ぼん」 といふは、 すなはちこれ色界しきかい*梵王ぼんのうとうなり。 「護世ごせ」 といふは、 すなはちこれ*天王てんのうなり。 「諸天しょてん」 といふは、 すなはちこれしき欲界よくかいとう天衆てんしゅなり。 すでに天王てんのう仏辺ぶっぺんきたかへるをて、 かのもろもろの天衆てんしゅまたおうしたがひてきたりて、 ほうきてようす。

又言↠釈者、即天帝也。言↠梵者、即是色界梵王等也。言↢護世↡者、即是四天王也。言↢「諸天」↡者、即是色・欲界等天衆ナリ。既↣天王↢向ルヲ仏辺↡、彼天衆亦従↠王、聞↠法供養

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅳ)釈夫人傷歎文
              (ⅰ)科節

^だいけんそん」 よりしもだい共為ぐい眷属けんぞく」 にいたるこのかたは、 まさしくにんこうべげてぶつたてまつり、 ごんしょうたんし、 怨結おんけつこころふかきことをかす。

↢「時韋提希見世尊」↡下至↢「与提婆共為眷属」↡已来タハ、正↢夫人挙↠頭マツリ↠仏、口言傷歎、怨結情深キコトヲ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)(Ⅳ)(ⅱ)釈文

^ぜつ*瓔珞ようらく」 といふは、 これにんかざりの瓔珞ようらくなほあいしていまだのぞかず、 たちまちに如来にょらいたてまつりてぢてみづからつことをかす。

↢「自絶瓔珞」↡者、此明↧夫人身カザリ瓔珞猶愛↠除、忽マツリテ↢如来↡羞コトヲ↥。

 ^ひていはく、 いかんぞみづからつや。

、云何也。

^こたへていはく、 にんはすなはちこれのなかのそんのなかのそんなり。 *威儀いぎおおくのひときゅうし、 たるところのぶくみな傍人ぼうにん使つかふ。 いますでにぶつたてまつりてづるこころふかくして、 *鉤帯こうたいによらず、 たちまちにみづからく。 ゆゑにぜつといふ。

、夫人是貴中之貴、尊中之尊ナリ。身四威儀クノ人供給、所↠着タル衣服皆使↢傍人↡。今既マツリテ↠仏ヅル情深クシテ、不↠依↢鉤帯↡、頓。故↢自絶↡也。

 ^しんとう」 といふは、 これにん内心ないしん*かんけつしておんへがたし。 ここをもつてよりおどらしてりゅうし、 りゅうせるよりおどらしてぐることをかす。 これすなはち歎恨たんごんことわりふかくして、 さらに礼拝らいはい威儀いぎこととせず。

↢「挙身投地」↡者、此明↢夫人内心感結怨苦難↠堪、是↠坐踊ラシテ↠身而立、従↠立セルラシテ↠身コトヲ↟地。此乃歎恨コトワリクシテ、更不↠事トセ↢礼拝威儀↡也。

^ごうきゅう向仏こうぶつ」 といふは、 これにん仏前ぶつぜん*婉転えんでんし、 悶絶もんぜつ号哭ごうこくすることをかす。

↢「号泣向仏」↡者、此明↧夫人婉↢転仏前↡、悶絶号哭コトヲ↥。

^びゃくぶつ」 といふ以下いげは、 これにん婉転えんでん涕哭ていこくすることややひさしくして、 すこしきめてはじめて*威儀いぎただしくして、 がっしょうしてぶつにまうすことをかす。 「われいっしょうよりこのかた、 いまだかつてその大罪だいざいつくらず。 いぶかし、 *宿しゅくごう因縁いんねん、 なんの*おうありてかこのとともに母子もしたる」 と。 これにんすでにみづからさわりふかくして*宿しゅくいんらず。 いまがいこうむる。 これよこさまきたれりとおもひて、 「ねがはくはぶつ慈悲じひ、 われに*けいしめしたまへ」 といふことをかす。

↢「白仏」↡已下、此明↧夫人婉転涕哭コトヤヤクシテ、少クシテ↢身威儀↡、合掌スコトヲ↞仏。我自↢一生↡已来、未↣曽↢其大罪↡。未審イブカシ、宿業因縁有テカ↢何殃咎↡而与↢此↡共ルト↢母子↡。此明↧夫人既障深クシテ不↠識↢宿因今被↢児↢是横レリト↡、願クハ慈悲、示タマヘトイフコトヲ↦我径路↥。

^そん復有ぶうとう因縁いんねん」 といふ以下いげは、 これにんぶつかひてちんす。 「われはこれぼんなり。 罪惑ざいわくきざれば、 この悪報あくほうあり。 この*甘心かんしんす。 そん曠劫こうごうどうぎょうじて、 *正習しょうじゅうともにもうじたまへり。 しゅ朗然ろうねんとしてまどかなるをぶつなづけたてまつる。 いぶかし、 なんの因縁いんねんありてかすなはちだいとともに眷属けんぞくとなりたまふ」 といふことをかす。 このこころあり。 いちにはにんあだいたすことをかす。 たちまちに父母ぶもにおいてたぶれてぎゃくしんおこせばなり。 にはまたうらむらくはだい、 わがじゃおしへてこの悪計あくけいつくらしむ。 もしだいによらずは、 わがつひにこのこころなからんといふことをかす。 この因縁いんねんのためのゆゑにこのといいたす。

↢「世尊復有何等因縁」↡已下此明↧夫人向↠仏陳訴是凡夫ナリ罪惑不レバ↠尽、有↢斯悪報↡事甘心世尊曠劫↠道正習倶タマヘリ衆智朗然トシテ果円カナルヲマツル↠仏未審イブカシ、有テカ↢何因縁↡乃与↢提婆↡共タマフトイフコトヲ↦眷属↥。此↠二。一ニハ↣夫人致コトヲ↢怨於子↡。忽↢父母タブレバナリ↢逆心↡。二ニハ↧又恨ラクハ提婆教↢我闍世↡造シム↢斯悪計↠因↢提婆↡者、我児終ラムトイフコトヲ↦此意↥也。為↢此因縁↡故↢斯↡。

^またにんぶつひて 「だい眷属けんぞく」 といふはすなはちそのあり。 いちにはざい眷属けんぞくにはしゅっ眷属けんぞくなり。 ざいといふは、 ぶつはくしゅくにそのにんあり。 ぶつはすなはちこれ白浄びゃくじょうおう (浄飯王)こんびゃくぼんのうだい斛飯こくぼんのうしゃくなんはこれかんぼんのうなり。 これをざい眷属けんぞくづく。 しゅっ眷属けんぞくといふは、 ぶつのために弟子でしとなる、 ゆゑにない眷属けんぞくづく。

又夫人問↠仏↢「与提婆眷属」↡者即↢其二↡。一者在家眷属、二者出家眷属ナリ。言↢在家↡者、仏之伯叔↢其四人↡。仏者即是白浄王児、金毘者白飯王児、提婆者斛飯王児、釈魔男者是甘露飯王ナリ。此↢在家外眷属↡也。言↢出家眷属↡者、与↠仏↢弟子↡、故↢内眷属↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)

^じょうらい四句しくどうありといへども、 ひろえんえんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢四句不同↡、広↢厭苦↡竟

二 Ⅱ ⅱ b 【欣浄縁】
          (一)

【9】 ^ごんじょうえんのなかにつきて、 すなはちそのはちあり。

↢欣浄↡、即↢其八↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)
            (Ⅰ)釈通請所求文
              (ⅰ)科節

^いち唯願ゆいがんそん為我いが広説こうせつ」 よりしもじょくあく世也せや」 にいたるこのかたは、 まさしくにんつうじて*しょしょうじ、 べつしてかいひょうすることをかす。

↢「唯願世尊為我広説」↡下至↢「濁悪世也」↡已来タハ、正↧夫人通↢所求↡、別コトヲ↦苦界↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅰ)(ⅱ)述意

^これにんしんひて、 *じょうさとるに、 *六道ろくどうおなじくしかなり。 安心あんじんところあることなし。 ここにぶつじょう*しょうなるをきたまふをきて、 しんててかの*無為むいらくしょうせんとがんずることをかす。

此明↫夫人遇↢自身↡覚ルニ↢世非常↡、六道同ナリ↠有コト↢安心之トコロ↣仏説タマフヲ↢浄土無生ナルヲ↡、願コトヲ↪捨↢穢身↡証ムト↩彼無為之楽↨。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)釈挙所厭境文
              (ⅰ)科節

^じょくあくしょ」 よりしもけん悪人あくにん」 にいたるこのかたは、 まさしくにん所厭しょえんきょうすいすることをかす。

↢「此濁悪処」↡下至↢「不見悪人」↡已来タハ、正↣夫人挙↢出コトヲ所厭之境↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)述意

^これ*えんはすべてあくにして、 いまだ一処いっしょとしてとんずべきことあらず。 ただ幻惑げんわく愚夫ぐふなるをもつて、 このじょうむといふことをかす。

此明↧閻浮ニシテ、未↠有↢一処トシテキコト↟貪但以↢幻惑愚夫ナルヲ↡、飲ムトイフコトヲ↦斯長苦↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅲ)釈文

^じょくあくしょ」 といふはまさしくかいかす。 また*器世きせけんかす。 またこれしゅじょう*ほうところなり。 またしゅじょうしょところづく。

↢「此濁悪処」↡者正↢苦界↡也。又明↢器世間↡。亦是衆生依報ナリ。亦名↢衆生所依↡也。

^ごくとうといふ以下いげは、 *三品さんぼんあくもつともおもければなり。

↢「地獄」等↡已下、三品悪果最レバ也。

^盈満ようまん」 といふは、 この*さんじゅはただひとえんすのみにあらず、 しゃもまたみなあまねくあり。 ゆゑに盈満ようまんといふ。

↢「盈満」↡者、此苦聚↣直独スノミニ↢閻浮↡、娑婆亦皆遍。故↢盈満↡。

^多不たふ善聚ぜんじゅ」 といふは、 これ三界さんがい六道ろくどうどうにして種類しゅるい恒沙ごうじゃなるは、 しん差別しゃべつしたがふことをかす。 *きょうにのたまはく、 「ごうよくしきかざり、 世々せせ処々しょしょにおのおのおもむきて、 えんしたがひてほうけ、 対面たいめんすれどもあひらず」 と。

↢「多不善聚」↡者、此明↣三界・六道不同ニシテ種類恒沙ナルハ、随コトヲ↢心差別↡。経、「業能カザ↠識、世世処処、随↠縁↢果報↡、対面ドモ↢相↡。」

^がんらい」 といふ以下いげは、 これにん真心しんしん徹到てっとうしてしゃいとひ、 らく無為むいねがひてながじょうらくすることをかす。 ただ無為むいきょう*きょうとしてすなはちかなふべからず。 のうしゃ*ちょうねんとしてはなるることをるによしなし。 金剛こんごうこころざしおこすにあらざるよりは、 ながしょうもとたんや。 もししたしくそん (釈尊)したがはずは、 なんぞよくこのじょうたんまぬかれん。 しかして 「がんらいもんあくしょう悪人あくにん」 とは、 これ闍王じゃおう調じょうだつ (提婆達多) がごとき、 ちちころそうするもの、 およびあくしょうとうねがはくはまたかず、 ざらんといふことをかす。 ただ闍王じゃおうはすでにこれしんしょうなるも、 かみ父母ぶもにおいて殺心せっしんおこす。 いかにいはんやうとひとにしてあひがいせざらんや。 このゆゑににんしん*えらばず、 そうじてみなたちまちにつ。

↢「願我未来」↡已下、此明↧夫人真心徹到↢苦娑婆↡、欣↢楽無為↡永コトヲ↦常楽↥。但無為之境、不↠可↢軽爾トシテカナ↡。苦悩娑婆、無↠由↢輒然トシテルニ↟離コトヲ。自リハ↠非↠発スニ↢金剛之志↡、永ムヤ↢生死之元↡。若↣親↢慈尊↡、何レム↢斯長歎↡。然「願我未来不聞悪声悪人」者、此明↧如↢闍王・調達↡、殺↠父ルモノ↠僧、及悪声等、願クハ亦不↠聞ラムトイフコトヲ↞見。但闍王是親生之子ナルモ、上於↢父母↡起↢於殺心↡。何ニシテ而不ラムヤ↢相↡。是夫人不↠簡↢親疎↡、総皆頓

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅲ)釈求哀懴悔文

^さん今向こんこうそん」 よりしもさん」 にいたるこのかたは、 まさしくにんじょうみょうしょぜんにあらずはしょうぜず、 おそらくは*けんありてへてくことをざることを。 ここをもつてあいしてさらにすべからくさんすべきことをかす。

↢「今向世尊」↡下至↢「懴悔」↡已来タハ、正↧夫人浄土妙処ズハ↠善不↠生、恐↢余↡障コトヲ↠得↠往コトヲ求哀キコトヲ↦懴悔↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅳ)釈通請去行文
              (ⅰ)科節

^唯願ゆいがん仏日ぶつにち」 よりしも清浄しょうじょう業処ごっしょ」 にいたるこのかたは、 まさしくにんつうじて*ぎょうしょうずることをかす。

↢「唯願仏日」↡下至↢「清浄業処」↡已タハ、正↣夫人通コトヲ↢去行↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅳ)(ⅱ)述意

^これにんかみにはすなはちつうじて*しょうじょしょうじ、 いままたつうじて*とくしょうぎょうしょうずることをかす。

此明↧夫人上ニハ↢生処↡、今亦通コトヲ↦得生之行↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅳ)(ⅲ)釈文

^*仏日ぶつにち」 といふはほうならべてひょうす。 たとへばでて衆闇しゅあんことごとくのぞこるがごとく、 ぶっひかりかがやかして、 *みょうよるのごとくにほがらかなり。

↢「仏日」↡者法・喩双也。譬↢日出衆闇尽ルガ↡、仏智輝カシテ↠光無明之夜日ノゴトクカナリ

^きょうかん清浄しょうじょう」 といふ以下いげは、 まさしくすでによく*いとじょうねが。 いかんが安心あんじんちゅうそうして清浄しょうじょうところしょうずることをるといふことをかす。

↢「教我観於清浄」↡已下、正↢既↠穢↠浄若為 イカン 安心注想ルトイフコトヲ↟生コトヲ↢清浄↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅴ)【光台現国】
              (ⅰ)科節

^爾時にじそんほうけんこう」 よりしもりょうだいけん」 にいたるこのかたは、 まさしくそんひろじょうげんじてさきつうしょうこたへたまふことをかす。

↢「爾時世尊放眉間光」↡下至↢「令韋提見」↡已来タハ、正↧世尊広↢浄土コタヘタマフコトヲ↦前通請↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅴ)(ⅱ)述意

^これそんにんひろじょうもとむることをたまへるをもつて、 如来にょらいすなはちけんひかりはなちて十方じっぽうこくらし、 ひかりをもつてくにせっし、 頂上ちょうじょう還来げんらいしてして金台こんだいとなるに、 *しゅせんのごとし。 ^にょ」 のごんなり、 しゅせんたり。 このやまこしほそく、 かみひろし。 あらゆる仏国ぶっこく*ならびになかにおいてげんじ、 種々しゅじゅどうにしてしょうごんことなることあり。 ぶつ*神力じんりきのゆゑに*了々りょうりょうとしてぶんみょうなり。 だい*加備かびしてことごとくみなることをしむることをかす。

此明↧世尊以↠見タマヘルヲ↣夫人コトヲ↢浄土↡、如来即↢眉間↡照↢十方国↡、以↠光↠国、還↢来頂上↡化ルニ↢金台↡、如↢須弥山「如」之言ナリ、似タリ↢須弥山山腰ヒロ所有仏国並↠中、種種不同ニシテ荘厳有↠異コト神力了了トシテ分明ナリ加↢備韋提↡尽皆得シムルコトヲ↞見コトヲ

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅴ)(ⅲ)料簡

 ^ひていはく、 だいかみには 「わがためにひろ無憂むうところきたまへ」 としょうず。 ぶついまなんがゆゑぞためにひろきたまはずして、 すなはちために金台こんだいにあまねくげんずるはなんのこころかあるや。

、韋提上ニハ↣為↠我タマヘト↢無憂之処↡。仏今何シテ↢為タマハ↡、乃金台ズル者有↢何↡也。

^こたへていはく、 これ如来にょらい*みつあらわす。 しかるにだいごんおこしてしょういたすは、 すなはちこれひろじょうもんひらけとなり。 もしこれがためにそうじてかば、 おそらくはかれずしてしんなほまどひをいたすことを。 ここをもつて一々いちいち顕現けんげんしてかの眼前げんぜんたいして、 かの*所須しょしゅまかせてしんしたがひみづからえらばしむ。

、此彰↢如来意密↡也。然韋提発↠言スハ↠請、即是広ケトナリ↢浄土之門↡。若↠之、恐彼不シテ↠見心猶致コトヲ↠惑。是一一顕現↢彼眼前↡、マカセ↢彼所須↡随↠心シム

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅵ)釈総領所現文
              (ⅰ)科節

 ^ろくだいびゃくぶつ」 よりしもかいこうみょう」 にいたるこのかたは、 まさしくにんそうじて*所現しょげんりょうして、 仏恩ぶっとん*かんすることをかす。

↢「時韋提白仏」↡下至↢「皆有光明」↡已来タハ、正↧夫人総↢所現↡、感↦荷コトヲ仏恩↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅵ)(ⅱ)述意

^これにんそうじて十方じっぽう仏国ぶっこくるに、 ならびにことごとく*しょうなれども、 *極楽ごくらくしょうごんせんとほっするに、 まつたくきょうにあらざることをかす。 ゆゑに 「こん楽生ぎょうしょう安楽あんらくこく」 といふ。

此明↧夫人総ルニ↢十方仏国↡、並精華ナレドモ、欲ルニ↠比ムト↢極楽荘厳↡、全コトヲ↦比況↥。故↢「我今楽生安楽国」↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅵ)(ⅲ)料簡

 ^ひていはく、 十方じっぽう諸仏しょぶつ*断惑だんわくことなることなく、 ぎょうおわまどかなること、 またなかるべし。 なにをもつてか一種いっしゅじょうにすなはちこのれつあるや。

、十方諸仏断惑無↠殊ナルコト、行畢果円カナルコト、亦応↠無カル↠二。何一種浄土↢斯優劣↡也。

^こたへていはく、 ぶつはこれ法王ほうおう神通じんずうざいなり。 れつ*凡惑ぼんわくるところにあらず。 隠顕おんけんしたがひて*やくぞんずることをのぞむ。 あるいはことさらにかのとなすことをかくして、 ひと西方さいほうあらわしてしょうとなすべし。

、仏是法王、神通自在ナリ。優之与↠劣非↢凡惑↟知。隠顕随↠機↠存コトヲ↢化益↡。或↧故ラニ↢彼コトヲ↟優、独↢西方↡為↞勝

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅶ)釈別選所求文
              (ⅰ)科節

 ^しちこん楽生ぎょうしょう弥陀みだ」 より以下いげは、 まさしくにんべっして*しょえらぶことをかす。

↢「我今楽生弥陀」↡已下、正↣夫人別コトヲ↢所求↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅶ)(ⅱ)述意

・総標

^これ弥陀みだ本国ほんごく*じゅうはちがんよりす。

此明↧弥陀本国四十八願ヨリス

・別顕

願々がんがんみなぞうじょうしょういんおこし、 いんによりて勝行しょうぎょうおこし、 ぎょうによりてしょうかんじ、 によりてしょうほうかんじょうし、 ほうによりて極楽ごくらくかんじょうし、 らくによりて*悲化ひけ顕通けんつうし、 悲化ひけによりて智慧ちえもん顕開けんかいす。

願願皆発↢増上勝因↡、依↠因↢於勝行↡、依↠行↢於勝果↡、依↠果感↢成勝報↡、依↠報感↢成極楽↡、依↠楽顕↢通悲化↡、依↢於悲化↡顕↢開智慧之門

・一代化儀

^しかるにしんじんなれば、 もまたぐうなり。 *悲智ひちそうぎょうしてすなはちひろ*かんひらく。 これによりて*法潤ほうにんあまねく*ぐんじょうせっす。

悲心無尽ナレバ、智亦無窮ナリ悲智双行↢甘露↠茲法潤普↢群生↡也

・末仏勧讃

^しょきょうてんすすむるところいよいよおおし。 *しゅしょうしんひとしくしてみなおなじく*さんす。

諸余経典処弥衆聖斉クシテ↠心皆同指讃

・別選所由

^この因縁いんねんありて、 如来にょらいひそかににんつかはして、 べつしてえらばしめたまふことをいたすことをかす。

↢此因縁↡、致コトヲ↞使タマフコトヲ↧如来密シテ↢夫人↡別↥也。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅷ)釈請求別行文
              (ⅰ)科節

^はち唯願ゆいがんそん」 より以下いげは、 まさしくにん*べつぎょうしょうすることをかす。

↢「唯願世尊」↡已下、正↣夫人請↢求コトヲ別行↡。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅷ)(ⅱ)述意

^これだいすでにとくしょうところえらびて、 かえりてべつぎょうしゅして、 おのれをはげまししんとどめて、 かならず*往益おうやくのぞむことをかす。

此明↧韋提既↢得生↡、還↢別行↡、励↠己トドメ↠心コトヲ↦往益↥。

二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅷ)(ⅲ)釈文

・教我思惟

^きょうゆい」 といふは、 すなはちこれじょう*ぜん方便ほうべん、 かのくに*しょうほう*しゅしょうごんそう憶念おくねんするなり。

↢「教我思惟」↡者、即是定前方便、思↢想憶↣念依正二報・四種荘厳↡也。

・教我正受

^きょうしょうじゅ」 といふは、 これさきそう漸々ぜんぜんさいにして、 *覚想かくそうともにもうずるによりて、 ただじょうしんのみありて*ぜんきょうがっするをづけてしょうじゅとなすことをかす。 このなかにりゃくしてすでにりょうけんす。 *しも観門かんもんいたりてさらにまさにひろべんずべし、 るべし。

↢「教我正受」↡者、此明↧因↢前思想漸漸微細ニシテ、覚想倶ルニ↡、唯有↢定心ノミ↡与↢前境↡合ルヲコトヲ↦正受↥。此料簡。至↢下観門↡更↢広↡、応↠知

二 Ⅱ ⅱ b ホ (三)

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろごんじょうえんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢八句不同↡、広↢欣浄↡竟

二 Ⅱ ⅱ b 【散善顕行縁】
          (一)

【10】^ろく散善さんぜんけんぎょうえんのなかにつきてすなはちそのあり。

↢散善顕行縁↡即↢其五↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)
            (Ⅰ)釈光益父王文
              (ⅰ)科節

^いち爾時にじそん即便そくべんしょう」 よりしもじょうごん」 にいたるこのかたは、 まさしくひかりちちおうやくすることをかす。

↢「爾時世尊即便微笑」↡下至↢「成那含」↡已来タハ、正↣光益コトヲ↢父↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅰ)(ⅱ)述意

^これ如来にょらいにん極楽ごくらくしょうぜんとがんじ、 さらにとくしょうぎょうしょうずるをたまふに、 ぶつ本心ほんしんかなひ、 また弥陀みだがんあらわすをもつて、 このしょうによりてひろじょうもんひらけば、 ただだいのみくことをるにあらず、 *しきこれをきてみなく。 このやくあるがゆゑに、 ゆゑに如来にょらいしょうしたまふことをかす。

此明↭如来以↪見タマフニ↧夫人↠生ムト↢極楽↡、更ルヲ↦得生之行↥、カナ↢仏本心↡、又顕スヲ↩弥陀願意↨、因↢斯二請↡広↢浄土之門↡、非↢直韋提ノミルニ↟去クコトヲ、有識聞↠之皆往ルガ益↡故、所以如来微笑タマフコトヲ↬也。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅰ)(ⅲ)釈文

・光益所由

^色光しきこうじゅうぶつしゅつ」 といふは、 これ一切いっさい諸仏しょぶつしんつね*威儀いぎ*ほうとしておほよそいだすところのひかりかならずやくあることをかす。

↢「有五色光従仏口出」↡者、此明↣一切諸仏心口威儀、法爾トシテ↠出光必コトヲ↢利益↡。

・唯照頻婆

^一一いちいちこうしょうびんちょう」 といふは、 まさしくくちひかりほうらさずして、 ただおうちょうらすことかす。

↢「一一光照頻婆頂」↡者、正↧口光不シテ↠照↢余方↡、唯照コトヲ↦王頂↥。

^しかるにぶつひかりしゅっしょしたがひてかならずみなやくあり。 ぶつみあししたよりひかりはなてば、 すなはちごくどうしょうやくす。 もしひかりひざよりづれば、 ちくしょうどうををしょうやくす。 もしひかり*陰蔵おんぞうよりづれば、 じんどうしょうやくす。 もしひかりほぞよりづれば、 しゅどうしょうやくす。 ひかりむねよりづれば、 人道にんどうしょうやくす。 もしひかりくちよりづれば、 じょうひとしょうやくす。 もしひかりけんよりづれば、 だいじょうひとしょうやくす。 いまこのひかりくちよりでてただちにおうちょうらすは、 すなはちその*しょうさずくることをかす。 もしひかりけんよりでてすなはちぶっちょうよりるは、 すなはちさつ*さずくるなり。 かくのごときこうにしてりょうなり、 つぶさにぶべからず。

光随↢身出処↡必皆有↠益。仏ヨリ↠光、即照↢益地獄道↡。若光従↠膝出レバ、照↢益畜生道↡。若光従↢陰蔵↡出レバ、照↢益鬼神道↡。若光従↠臍出レバ、照↢益修羅道↡。光従↠心出レバ、照↢益於人道↡。若光従↠口出レバ、照↢益二乗之人↡。若光従↢眉間↡出レバ、照↢益大乗↡。今明↧此光従↠口出↢王頂↡者、即コトヲ↦其小果↥。若光従↢眉間↡出↢仏頂↡入者、即クル↢菩薩↡也。如↠斯義者広多ニシテ無量ナリ、不↠可↢具↡。

・頻婆得益

^爾時にじ大王だいおう雖在すいざい幽閉ゆうへい」 といふ以下いげは、 まさしくちちおうひかりいただきらすことをこうむりて心眼しんげんひらくることをて、 *障隔しょうきゃくおおしといへどもねんにあひる。 これすなはちひかりによりてぶつたてまつるは、 こころするところにあらず、 きょういた帰依きえするにすなはち*第三だいさん超証ちょうしょうすることをかす。

↢「爾時大王雖在幽閉」↡已下、正↧父王蒙↢光コトヲ↟頂心眼得↠開コトヲ、障隔雖↠多シト自然斯乃↠光マツルハ↠仏、非↢意↟期、致↠敬帰依ルニ超↦証コトヲ第三之果↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)釈酬請許説文
              (ⅰ)科節

^爾時にじそん」 よりしも広説こうせつしゅ」 にいたるこのかたは、 まさしくさきにんべつして*しょぎょうえらぶにこたふることをかす。

↢「爾時世尊」↡下至「広説衆譬」↡已来タハ、正↠答コトヲ↣前夫人別ブニ↢所求之行↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅱ)述意

^これ如来にょらいかみしゃもっしておうでをはるよりこのもんいたるまで、 そん*黙然もくねんとしてして、 そうじていまだ言説ごんせつしたまはざることをかす。

此明↧如来従↢上耆闍王宮↡至↢此↡、世尊嘿然トシテ而坐、総ルコトヲ ↦言説タマハ↥。

^ただちゅうげんにんさんしょうもん放光ほうこう現国げんごくとうは、 すなはちこれなんぶつしたがひておうにしてこの因縁いんねんて、 おわりてやまかえり、 つたへてしゃ大衆だいしゅかひてかみのごときくに、 はじめてこのもんあり。 またこれときぶつなきにあらず、 るべし。

但中間夫人懴悔・請問・放光・現国等、乃是阿難従↠仏王宮ニシテ↢此因縁↡、事了リテ↠山、伝↢耆闍大衆↡説クニ↢如↠上↡、始↢此文↡。亦非↣是無キニ↢時仏語↡也、応↠知

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅲ)釈文

・告命許説

^爾時にじそんごうだい」 といふ以下いげは、 まさしく*ごうみょうせつかす

↢「爾時世尊告韋提」↡已下、正↢告命許説↡也。

・去此不遠

^弥陀みだぶつおん」 といふは、 まさしく*きょうひょうしてもつてしんとどむることをかす。 すなはちそのさんあり。 いちには*分斉ぶんざいとおからず。 これよりじゅう万億まんおくせつちょうして、 すなはちこれ弥陀みだくになることをかす。 には*どうはるかなりといへども、 とき一念いちねんにすなはちいたることをかす。 さんにはだいとうおよびらいえんしゅじょうしんとどめて観念かんねんすれば*定境じょうきょう相応そうおうして、 ぎょうにんねんにつねにることをかす。 このさんあるがゆゑにおんといふ。

↢「阿弥陀仏不遠」↡者、正↢標↠境トドムコトヲ↟心。即↢其三↡。一ニハ↧分斉不↠遠カラ↠此超↢過十万億刹↡、即是弥陀之国ナルコトヲ↥。二ニハ↢道里雖↠遥ナリト、去時一念コトヲ↡。三ニハ↢韋提等及未来有縁衆生、トドメ↠心観念レバ、定境相応、行人自然コトヲ↡。有ルガ↢斯三義↡故↢不遠↡也。

・浄業成

^汝当にょとうねん」 といふ以下いげは、 まさしく*凡惑ぼんわくさわりふかくして、 しんおお散動さんどうす。 もしたちまちに*攀縁へんえんてずは、 *浄境じょうきょうげんずることをるによしなきことをかす。 これすなはちまさしく安心あんじん住行じゅうぎょうおしふ。 もしこのほうによるをづけて 「*じょうごうじょう」 となす。

↢「汝当繋念」↡已下、正↧凡惑障深クシテ心多散動↣頓↢攀縁↡、浄境無キコトヲ↞由↠得ルニ↠現コトヲ。此即↢安心住行↡。若ルヲ↢此↡名↢浄業成ズト↡也。

・自開散善

^こんにょ」 といふ以下いげは、 これえんいまだせず、 ひとへに*じょうもんくべからず、 ぶつさらにかんじて、 みづから*三福さんぷくぎょうひらきたまふことをかす。

↢「我今為汝」↡已下、此明↧機縁未↠具、不↠可↣偏↢定門↡、仏更↠機、自タマフコトヲ↦三福之行↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅲ)釈挙機勧修文
              (ⅰ)科節

^さんやくりょうらいよりしも極楽ごくらくこく」 にいたるこのかたは、 まさしくげてしゅすすめ、 やくることをかす。

↢「亦令未来世」↡下至↢「極楽国土」↡已来タハ、正↢挙↠機↠修、得コトヲ↟益

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅲ)(ⅱ)述意

^これにんしょうずるところ、 やくいよいよふかくして、 らいおよぶまでしんすればみないたることをかす。

此明↧夫人所↠請、利益弥クシテ、及マデ↢未来↡廻心レバ皆到コトヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅳ)釈勧修三福文
              (ⅰ)科節

^よくしょうこくしゃ」 よりしもみょうじょうごう」 にいたるこのかたは、 まさしくすすめて三福さんぷくぎょうしゅせしむることをかす。

↢「欲生彼国者」↡下至↢「名為浄業」↡已来タハ、正↣勧シムルコトヲ↢三福之行↡。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅳ)(ⅱ)述意

^これ一切いっさいしゅじょうしゅあり。 いちには*じょうには*さんなり。 もし定行じょうぎょうによれば、 すなはち*しょうせっするにきず。 ここをもつて如来にょらい (釈尊) 方便ほうべんして三福さんぷく顕開けんかいして、 もつて散動さんどうこんおうじたまふことをかす。

此明↧一切衆生↢二種↡者定、二者散ナリ↢定行↡、即ルニ↠生不↠尽如来方便顕↢開三福↡、以タマフコトヲ↦散動根機↥。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅳ)(ⅲ)釈文

・所帰

^よくしょうこく」 といふはしょひょうす。

↢「欲生彼国」↡者標↢指所帰↡也。

・行門

^当修とうしゅ三福さんぷく」 といふはそうじてぎょうもんひょうす。 いかんがさんづくる。

↢「当修三福」↡者総↢行門↡也。云何クル↠三

・行門 ・世福

^一者いっしゃきょうよう父母ぶも」、 すなはちそのあり。

「一者孝養父母」、即↢其四↡。

・行門 ・世福 ・孝養父母

^いちに 「きょうよう父母ぶも」 といふは、 これ一切いっさいぼんみなえんによりてしょうずることをかす。

↢「孝養父母」↡者、此明↢一切凡夫皆藉↠縁而生コトヲ↡。

^いかんがえんによる。 あるいは*しょうあり、 あるいは*湿しっしょうあり、 あるいは*らんしょうあり、 あるいは*たいしょうあり。 このしょうのなかにおのおのにまたしょうあり。 *きょうひろきたまふがごとし。

云何↠縁。或↢化生↡、或↢湿生↡、或↢卵生↡、或↢胎生↡。此四生各各復有↢四生↡。如↢経タマフガ↡。

^ただこれあひよりてしょうずればすなはち父母ぶもあり。 すでに父母ぶもあればすなはち大恩だいおんあり。 もしちちなくは*のうしょういんすなはちけ、 もしははなくは*しょしょうえんすなはちそむきなん。 もしにんともになくはすなはちたくしょうところうしなはん。 かならずすべからく父母ぶもえんして、 まさに受身じゅしんことわりあるべし。 すでにけんとほっするに、 みづからの*業識ごっしきをもつて内因ないいんとなし、 父母ぶもしょうけつをもつてえんとなして因縁いんねんごうするがゆゑにこのあり。 このをもつてのゆゑに父母ぶもおんおもし。 はは懐胎かいたいしをはりてつきるまで、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざがにつねにのうしょうず。 またさんときなんうれふ。 もししょうじをはりぬれば、 三年さんねんるまでつねにねむ尿にょうす。 *じょうぶくみなまたじょうなり。 そのじょうだいおよびてあいしたしみて、 父母ぶもところにおいてかへりて憎疾ぞうしつしょうじ、 おんきょうぎょうぜざるものはすなはちちくしょうことなることなし。

但是相而生レバ、即↢父母↡。既レバ↢父母↡即↢大恩↡。若クハ↠父者能生之因即、若クハ↠母者所生之縁即キナム。若二人倶クハ↢託生之トコロ↡。要↣父母縁具、方↢受身之コトワリ↡。既ルニ↠受ムト↠身、以↢自ラノ業識↡為↢内因↡、以↢父母精血↡為↢外縁↡、因縁和合ルガ↢此身↡。以↢斯↡故父母恩重。母懐胎マデ↢於十月↡、行住坐臥↢苦悩↡。復憂↢産↡。若ヌレバ、経マデ↢於三年恒常 ツネ ↠屎↠尿。床被・衣服皆亦不浄ナリ。及↢其長大↡愛↠婦ミテ↠児、於↢父母↡反↢憎↡、不↠行↢恩孝↡者与↢畜生↡無↠異コト也。

^また父母ぶも*けん*福田ふくでんきわみなり。 ぶつはすなはちこれ*しゅっ福田ふくでんきわみなり。

又父母者世間福田之極也。仏者即是出世福田之極也。

^しかるにぶつざいときねん*けんせるに遇値ひて、 ひとみな餓死がしして白骨はっこつ*じゅうおうなり。 もろもろの*比丘びくとう*乞食こつじきするにがたし。 ときそん比丘びくとうりぬるのちちて、 ひとりみづからしろりて乞食こつじきしたまふ。 あしたよりひるいたるまで門々もんもんひたまへども、 じきあたふるものなし。 ぶつまたはちむなしくしてかえりたまふ。 明日あくるひまたきて、 またたまはず。 のちまたきたまふに、 またたまはず。

仏在世時、遇↢値 アヒ 時年飢倹セルニ↡、人皆餓死白骨縦横ナリ。諸比丘等乞食ルニ得。於↠時世尊待↢比丘等ヌル↡、独↠城乞食タマフ。従アシタマデヒル門門タマヘドモ、無↢与↠食者↡。仏還クシテ↠鉢而帰タマフ明日アクルヒ復去キテ又還 マタ 不↠得タマハ。後日復去タマフニ、又亦不↠得タマハ

たちまちにいち比丘びくありて、 みちひてぶつたてまつるに、 顔色げんしきつねよりもことにしてそうましますにたり。 すなはちぶつひたてまつりてまうさく、 「そんいますでにじきしをはりたまへりや」 と。 ぶつのたまはく、 「比丘びく、 われ三日さんにちてよりこのかた、 乞食こつじきするにいちをもず。 われいま飢虚きこにしてちからなし、 よくなんぢとともにかたらんや」 と。

↢一比丘↡、道マツルニ↠仏、顔色異ニシテ↠常ヨリモタリ↠有スニ↢飢相↡。即マツリテ↠仏、世尊今已タマヘリ。仏言、比丘、我経テヨリ↢三日↡已来、乞食ルニ不↠得↢一匙ヲモ↡。我今飢虚ニシテ↠力、能↠汝ラムヤト

比丘びくぶつきをはりて、 るいしてみづからふることあたはず。 すなはちみづから念言ねんごんすらく、 「ぶつはこれじょう福田ふくでんしゅじょう*覆護ふごなり。 われこの*さんばいきゃくして、 一鉢ひとはちいいりてぶつじょうせん、 いままさしくこれときなり」 と。

比丘聞↢仏語↡已、悲涙不↠能↢自タフコト↡。即念言ラク、仏是無上福田、衆生覆護ナリ。我此三衣売却、買↢取一鉢↡奉↢上於仏↡。今正時也。

このねんをなしをはりてすなはち一鉢ひとはちいいて、 すみやかにもつてぶつにたてまつる。 ぶつろしめして、 ことさらにひてのたまはく、 「比丘びくねんけんにしてひとみな餓死がしす。 なんぢいまいづれのところにしてかこの一鉢ひとはちじゅんしきいいきたれる」 と。

↢是↡已↢得一鉢↡、急カニ↠仏。仏知シテ而故ラニ、比丘、時年飢倹ニシテ人皆餓死。汝今何ニシテカ↢此一鉢純色↡来レルト

比丘びくさきのごとくつぶさにそんにまうす。 ぶつまたのたまはく、 「比丘びくさんはすなはちこれさん諸仏しょぶつ*幢相どうそうなり。 この因縁いんねんきはめてとうとく、 きはめておもく、 きはめておんあり。 なんぢいまこのいいてわれにあたふることは、 おおきになんぢが好心こうしんりょうすれども、 われこのいいしょうせず」 と。

比丘如↠前↢世尊↡。仏又言、比丘三衣者即是三世諸仏之幢相ナリ。此衣因縁極アリ。汝今易↢得↡与コト↠我者、大レドモ↢汝好心↡、我不↠消↢此↡也。

比丘びくかさねてぶつにまうしてまうさく、 「ぶつはこれ*三界さんがい福田ふくでんしょうのなかのごくなるに、 なほしょうせずといはば、 ぶつのぞきて以外いげはたれかよくしょうせんや」 と。 ぶつのたまはく、 「比丘びく、 なんぢ父母ぶもありやいなや」 と。 こたへてまうさく、 「あり」 と。 「なんぢもつて父母ぶもようれ」 と。

比丘重↠仏、仏是三界福田、聖中之極ナルニ、尚言↠不↠消者、除↠仏已外。仏言、比丘、汝有リヤ↢父母↡已不 イナ ヤト。答、有リト。汝将供↢養父母↡去レト

比丘びくまうさく、 「ぶつなほしょうせずとのたまふ、 わが父母ぶもあによくしょうせんや」 と。 ぶつのたまはく、 「しょうすることを。 なにをもつてのゆゑに。 父母ぶもよくなんぢがしょうぜり。 なんぢにおいてだいじゅうおんあり。 これがためにしょうすることを」 と。

比丘言、仏尚云↠不↠消、我父母豈。仏言、得↠消コトヲ。何。父母能ゼリ↢汝↡。於↠汝↢大重恩↡。為↠此↠消コトヲ

ぶつまた比丘びくひたまはく、 「なんぢが父母ぶもぶつしんずるしんありやいなや」 と。 比丘びくまうさく、 「すべて信心しんじんなし」 と。 ぶつのたまはく、 「いましんずるしんあるべし。 なんぢのいいあたふるをおおきにかんしょうじて、 これによりてすなはち信心しんじんおこさん。 おしへて*さん帰依きえけしめよ。 すなはちよくこのじきしょうせん」 と。 とき比丘びくすでにぶつおしえけて*愍仰みんごうしてりぬ。

仏又問タマハク↢比丘↡、汝父母有↠仏心↡不ヤト。比丘言、都シト↢信心↡。仏言、今有ベシ↢信心↡。見↢汝ルヲ↟飯↢歓喜↡、因↠此↢信心↡。先シメヨ↢三帰依↡。即ムト↢此↡也。時比丘既↢仏↡愍仰而去

^このをもつてのゆゑに、 おおきにすべからく父母ぶもきょうようすべし。

↢此↡故、大↣孝↢養父母↡。

^また*ぶつ*摩耶まやぶつしょうじて七日しちにちをはりてすなはちして、 *とうてんしょうず。 ぶつのち*じょうどうしたまひて、 がつじゅうにちいたりてすなはちとうてんかひ、 いちははのために説法せっぽうしたまふ。 つき懐胎かいたいおんほうぜんがためなり。 ぶつすらなほみづからおんおさめて父母ぶもきょうようしたまふ、 いかにいはんやぼんにしてきょうようせざらんや。

又仏母摩耶生↠仏経↢七日↡已、生↢忉利天↡。仏後成道タマヒテ、至↢四月十五日↡即↢忉利天↡、一夏為↠母説法タマフ。為ナリ↠報ムガ↢十月懐胎之恩↡。仏スラ尚自↠恩孝↢養タマフ父母↡、何凡夫ニシテ而不ムラ↢孝養↡。

^ゆゑにりぬ、 父母ぶもおんふかくしてきはめておもし。

、父母恩深クシテ也。

・行門 ・世福 ・奉事師長

^奉事ぶじちょう」 とは、 これ礼節らいせつきょうして学識がくしきとくじょうじ、 *いんぎょうることなくすなはちじょうぶついたるは、 これなほ*ぜんりきなり。 この大恩だいおんもつともすべからく敬重きょうじゅうすべきことをかす。

「奉事師長」者、此明↧教↢示礼節↡学識成↠徳、因行無↠虧コトルハ↢成仏↡、此猶師之善友力也此之大恩最キコトヲ↦敬重↥。

^しかるに父母ぶもおよび*ちょうづけて*敬上きょうじょうぎょうとなす。

父母及師長者名↢敬上↡也。

・行門 ・世福 ・慈心不殺

^しんせつ」 といふは、 これ一切いっさいしゅじょうみないのちをもつてほんとなすことをかす。

↢「慈心不殺」↡者、此明↢一切衆生皆以↠命コトヲ↟本

^もし悪縁あくえんて、 おそはしかくくるは、 ただいのちまもらんがためなり。

↢悪縁↡怖者、但為↠護ムガ↠命也。

^¬きょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「一切いっさいのもろもろのしゅじょう寿じゅみょうあいせざるはなし。 ころすことなかれ、 じょうぎょうずることなかれ。 おのれを*いかるにさとしをなすべし」 と。 すなはちしょうとなす。

¬経¼云、「一切衆生無↠不ルハ↠愛↢寿命↡。勿↠殺コト、勿↠行コト↠杖ルニ↠己シト↠為↠喩。」即↠証也。

・行門 ・世福 ・修十善業

^しゅじゅう善業ぜんごう」 といふは、 これ*じゅうあくのなかに殺業せつごうもつともあくなることをかす。

↢「修十善業」↡者、此明↢十悪之中殺業最ナルコトヲ↡。

^ゆゑにこれをつらねてはじめにく。 *じゅうぜんのなかには長命じょうみょうもつともぜんなり。 ゆゑにこれをもつて相対そうたいす。 以下いげあくぜんは、 しもぼんのなかにいたりて、 つぎひろぶべし。

ネテ↠之↠初。十善之中ニハ長命最ナリ。故↠之相対也。已下九悪九善者、至↢下九品↡、次↢広↡。

^これ*ぜんかす。 また*慈下じげぎょうづく。

此明↢世善↡。又名↢慈下↡也。

・行門 ・戒福 ・受持三帰

^に 「じゅさん」 といふは、 これぜんきょうにして*感報かんぽうつぶさならず。 *戒徳かいとく巍々ぎぎとしてよくだいかんずることをかす。

↢「受持三帰」↡者、此明↣世善軽微ニシテ感報不↠具ナラ戒徳巍巍トシテコトヲ↢菩提之果↡。

^ただしゅじょうしんあさきよりふかきにいたる。 *さんけしめ、 のち衆戒しゅかいおしふ。

但衆生帰信↠浅↠深キニ。先シメ↢三帰↡、後↢衆戒↡。

・行門 ・戒福 具足衆戒

^そく衆戒しゅかい」 といふは、 しかるにかいしゅあり。 あるいは*さんかい、 あるいは*かい*八戒はっかい*じゅう善戒ぜんかい*ひゃくじゅうかい*ひゃくかい*しゃかい、 あるいはさつ*さん聚戒じゅかい*じゅうじんかいとうなり。 ゆゑそく衆戒しゅかいづく。

↢「具足衆戒」↡者、然↢多種↡。或三帰戒、或五戒・八戒・十善戒・二百五十戒・五百戒・沙弥戒、或菩薩三聚戒・十無尽戒等ナリ。故↢具足衆戒↡也。

^また一々いちいち*戒品かいほんのなかにまた*しょうぶんかい分戒ぶんかいぜん分戒ぶんかいあり。

又一一戒品亦有↢少分戒・多分戒・全分戒↡也。

・行門 ・戒福 ・不犯威儀

^ぼん*威儀いぎ」 といふは、 これ*しん口意くいごう行住ぎょうじゅう坐臥ざがによく一切いっさいかいのために方便ほうべん威儀いぎをなすことをかす。

↢「不犯威儀」↡者、此明↧身口意業行住坐臥↢一切↡作コトヲ↦方便威儀↥也。

^もしは軽重きょうじゅうさいみなよく護持ごじして、 おかせばすなはち*悔過けかす。 ゆゑにぼん威儀いぎといふ。 これを*戒善かいぜんづく。

軽重麁細皆能護持、犯悔過。故↢不犯威儀↡。此↢戒善↡也。

・行門 ・行福 ・発菩提心

^さんに 「ほつだいしん」 といふは、 これしゅじょう*欣心ごんしん*だいおもむく。

↢「発菩提心」↡者、此明↧衆生欣心趣↟大

^あさ*しょういんおこすべからず。 ひろ*しんおこすにあらざるよりは、 なんぞよくだいとあひすることをんといふことをかす。

不↠可↣浅↢小因リハ↠非↣広スニ↢弘心↡、何ルトイフコトヲ↦与↢菩提↡相コトヲ↥。

^ただねがはくはわがくうおなじくしん*法界ほうかいひとしく、 しゅじょうしょうつくさん。 われ身業しんごうをもつて*ぎょうよう礼拝らいはいし、 *らい迎送こうそうして*うんしてつくさしめん。 またわれごうをもつて讃歎さんだん説法せっぽうして、 みなわが*けて、 ことばもと*どうるもの、 つくさしめん。 またわれごうをもつて入定にゅうじょう観察かんざつし、 法界ほうかい分身ぶんしんしておうじてして、 いちとしてつくさざるはなからん。 われこのがんおこす。 運々うんうんぞうじょうしてなほくうのごとく、 しょとしてへんせざるはなく、 ぎょうじんにして*さいてつし、 *けんなくしん*厭足えんそくなからん。

唯願クハ身、身↢虚空↡心↢法界↡、尽↢衆生↡。我以↢身業↡恭敬供養礼拝、迎↢送来去↡運度メム↠尽。又我以↢口業↡讃歎説法、皆受↢我↡、言↠道者、令メム↠尽。又我以↢意業↡入定観察↢身法界↡応↠機而度、無ラム↢一トシテルハ↟尽。我発↢此↡。運運増長猶如↢虚空↡、無↢処トシテルハ↟遍、行流無尽ニシテ徹↢窮後際↡、身↢疲倦↡心ラム↢厭足↡。

^また 「だい」 といふはすなはちこれ*ぶっなり。 また 「しん」 といふはすなはちこれしゅじょう*のうしんなり。 ゆゑにほつだいしんといふ。

又言↢菩提↡者即是仏果之名ナリ。又言↠心者即是衆生能求之心ナリ。故↢発菩提心↡也。

・行門 ・行福 ・深信因果

^に 「深信じんしんいん」 といふはすなはちそのあり。

↢「深信因果」↡者即↢其二↡。

^いちにはけんらくいんかす。 もしいんつくればすなはちかんじ、 もしらくいんつくればすなはちらくかんず。 *いんをもつてでいいんするに、 いんこわれてもんじょうずるがごとし。 うたがふことをず。

ニハ↢世間苦楽因果↡。若↢苦↡即↢苦↡、若↢楽↡即↢楽↡。如↢似↠印ルニ↠泥印壊文成ルガ↡。不↠得↠疑コトヲ也。

・行門 ・行福 ・読誦大乗

^読誦どくじゅだいじょう」 といふは、 これ経教きょうきょうはこれをたとふるにかがみのごとし。 しばしばみしばしばたずぬれば、 智慧ちえ開発かいほつす。 もし智慧ちえまなこひらけぬれば、 すなはちよくいとひて*はんとうごんぎょうすることをかす。

↢「読誦大乗」↡者、此明↧経教ルニ↠之↠鏡、数レバ、開↢発智慧智慧眼開ヌレバ、即↠苦欣↦楽コトヲ涅槃等↥也。

・行門 ・行福 ・勧進行者

^勧進かんじんぎょうじゃ」 といふは、 これほうどくのごとく、 悪法あくほうとうのごとし。 さんてんしてしゅじょう損害そんがいす。 いますでにぜん明鏡みょうきょうのごとく、 ほうかんのごとし。 かがみはすなはちしょうどうらしてもつてしんし、 かんはすなはちほうそそぎてくることなく、 *含霊がんれいをしてにんけ、 ひとしくほうせしめんとほっすることをかす。 この因縁いんねんのためのゆゑにすべからくあひすすむべし。

フハ↢「勧進行」↡、此明↧苦法↠毒、悪法↠刀流↢転三有↡損↢害衆生今既↢明鏡↡、法↢甘露↢正道↡以↠真、甘露↢法雨↡而無↠竭コト、欲コトヲ↞使メムト↣含霊ヲシテ↠潤、等↢法流↡。為↢此因縁↡故↢相↡。

・結行

^にょさん」 といふ以下いげは、 そうじてかみぎょうけつじょうす。

↢「如此三事」↡已下、総結↢成↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅴ)釈引聖励凡文
              (ⅰ)科節

^仏告ぶつごうだい」 よりしもしょういん」 にいたるこのかたは、 それしょうきてぼんはげますことをかす。

↢「仏告韋提」↡下至↢「正因」↡已来タハ、明↢其引↠聖コトヲ↟凡

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅴ)(ⅱ)述意

^ただよくけつじょうしてしんとどむれば、 かならずくことうたがいなし。

但能決定レバ↠心、必コト↠疑。

二 Ⅱ ⅱ b ヘ (三)

^じょうらい五句ごくどうありといへども、 ひろ散善さんぜんけんぎょうえんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢五句不同↡、広↢散善顕行縁↡竟

二 Ⅱ ⅱ b 【定善示観縁】
          (一)

【11】^しちじょうぜんかんえんのなかにつきてすなはちそのしちあり。

↢定善示観縁↡即↢其七↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)
            (Ⅰ)釈勅聴許説文
              (ⅰ)科節

^いち仏告ぶつごうなんよりしも清浄しょうじょうごう」 にいたるこのかたは、 まさしく*勅聴ちょくちょうせつかす。

↢「仏告阿難」↡下至↢「清浄業」↡已来タハ、正↢勅聴許説↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅰ)(ⅱ)述意

^これだいさき極楽ごくらくしょうぜんとがんずることをしょうじ、 またとくしょうぎょうしょうずるに、 如来にょらいすでにゆるしたまへり。 いまこのもんにつきてまさしく*しょうじゅ方便ほうべん開顕かいけんせんとほっすることをかす。

此明↫韋提前↠願コトヲ↠生ムト↢極楽↡、又請ルニ↢得生之行↡、如来已タマヘリ今就↢此↡正コトヲ↪開↩顕ムト正受之方便↨。

^これすなはち因縁いんねん極要ごくようにしてやくするところふかし。 曠劫こうごうにもくことまれなり。 いまはじめてく。 こののためのゆゑに、 如来にょらいそうじて*にんめいぜしむることをいたす。

此乃因縁極要ニシテ利益処深。曠劫ニモナリ↠聞コト如今 イマ 。為↢斯↡故、致↠使コトヲ↣如来総↢二人↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅰ)(ⅲ)釈文

^ごうなん」 といふは、 「われいまじょうもん開説かいせつせんとほっす。 なんぢよくでんして遺失ゆいしつせしむることなかれ」 となり。 ^ごうだい」 といふは、 「なんぢはこれ請法しょうぼうひとなり。 われいまかんとほっす。 なんぢよくつまびらかにき、 *りょう諦受たいじゅして、 *錯失さくしつせしむることなかれ」 となり。

↢「告阿難」↡者、我今欲↣開↢説ムト浄土之門↡。汝好伝持レトナリ↠令コト↢遺失↡。言↢「告韋提」↡者、汝是請法之人ナリ。我今欲↠説ムト。汝好、思量諦受、莫レトナリ↠令コト↢錯失↡。

^らい一切いっさいしゅじょう」 といふは、 ただ如来にょらいのぞみたまふことは、 ひとへに*じょうもつしゅじょうのためなり。 いますでにひとしくうんきて、 あまねく*来潤らいにんうるおさんと望欲もうよくす。

↢「為未来世一切衆生」↡者、但如来臨タマフコトハ↠化、偏ナリ↢常没衆生↡。今既↢慈雲↡、望↣欲ムト↢来潤↡。

^煩悩ぼんのう賊害ぞくがい」 といふは、 これぼんさわりおもく、 妄愛もうあいまよふかくして、 *三悪さんまく*きょうくらくしてひとそくにあることをおもはず。 えんしたがひてぎょうおこして、 *進道しんどうりょうとなさんとするも、 なんぞそれ*六賊ろくぞくもんし、 きおきたりておかうばふ。 いますでにこの法財ほうざいうしなふ、 なんぞ憂苦うくなきことをんやといふことをかす。

↢「為煩悩賊害」↡者、此明↧凡夫障重、妄愛迷クシテ、不↠謂↣三悪坑闇クシテコトヲ↢人之足下↠縁↠行、擬ルモ↠作ムト↢進道資糧↡、何六賊知聞、競今既↢此法財↡、何↠無コトヲ↢憂苦↡也↥。

^せつ清浄しょうじょうごう」 といふは、 これ如来にょらいしゅじょうつみたまふをもつてのゆゑに、 ためにさんほうき、 相続そうぞくして断除だんじょせしめ、 *ひっきょうじてなが清浄しょうじょうならしめんとほっすることをかす。 また 「清浄しょうじょう」 といふは、 *しも観門かんもんによりて専心せんしん念仏ねんぶつし、 おもい西方さいほうとどむれば、 念々ねんねんつみのぞこるがゆゑに清浄しょうじょうなり。

↢「説清浄業」↡者、此明↫如来以↠見タマフヲ↢衆生↡故、為↢懴悔之方↡、欲コトヲ↪令↢相続断除↡、畢竟メムト↩清浄ナラ↨。又言↢清浄↡者、依↢下観門↡専心念仏、注レバ↢想西方↡、念念罪除ルガ清浄也。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅱ)釈如来可問文

^善哉ぜんざい」 より以下いげは、 まさしくにんとい*しょうあたれることをかす。

↢「善哉」↡已下、正↣夫人問当レルコトヲ↢聖意↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅲ)釈勧持勧説文
              (ⅰ)科節

^さんなん汝当にょとうじゅ」 よりしも宣説せんぜつぶつ」 にいたるこのかたは、 まさしくかん勧説かんせつとをかす。

↢「阿難汝当受持」↡下至↢「宣説仏語」↡已来タハ、正↢勧持勧説トヲ↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅲ)(ⅱ)述意

^このほう深要じんようなり、 よくすべからく流布るふすべし。 これ如来にょらいさきにはすなはちそうじてげて安心あんじんちょうじゅせしむ。 このもんはすなはちべつしてなんちょくして、 じゅしてわするることなく、 ひろにんところにして、 ためにきてぎょうせしむることをかす。

法深要ナリ、好↢流布↡。此明↧如来前ニハ↢安心聴受↢阿難↡、受持↠忘コト、広多人ニシテ、為流行シムルコトヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅲ)(ⅲ)釈文

^ぶつ」 といふは、 これ如来にょらい曠劫こうごうにすでにくちとがのぞきたまひて、 言説ごんせつあるにしたがひて一切いっさいくもののねんしんしょうずることをかす。

↢「仏語」↡者、此明↧如来曠劫タマヒテ↢口↡、随↠有ルニ↢言説↡一切聞自然コトヲ↞信

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅳ)釈勧修得益文
              (ⅰ)科節

^如来にょらい今者こんしゃ」 よりしもとくしょうにん」 にいたるこのかたは、 まさしく勧修かんしゅ得益とくやくそうかす。

↢「如来今者」↡下至↢「得無生忍」↡已来タハ、正↢勧修得益之相↡。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅳ)(ⅱ)述意

^これ如来にょらいにんおよび*らいとうのためにかん方便ほうべんあらわして、 おもい西方さいほうとどめしめて、 しゃ*捨厭しゃえん極楽ごくらく*貪欣とんごんせしめんとほっすることをかす。

此明↫如来欲コトヲ↪為↢夫人及未来等↡顕↢観方便↡、注シメテ↢想西方↡、捨↢厭娑婆↡貪↩欣シメムト極楽↨。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅳ)(ⅲ)釈文

^仏力ぶつりき」 といふ以下いげは、 これしゅじょう*ごっしょうるるに*しょうもうなれば、 たなごころすにとおしとおもひ、 ほう*竹ちくこんへだつるにすなはちこれをせんゆとす。 あにいはんやぼんぶん諸仏しょぶつきょうないしんうかがはんや。 *しょうりきみょうするにあらざるよりは、 かのくになにによりてかることをんといふことをかす。

↢「以仏力故」↡已下、此明↧衆生業障触ルニ↠目生盲ナレバ、指スニ↠掌↠遠シト他方隔ルニ↢竹↡即ユトス↢之千里夫分外諸仏境内闚ムヤ↠心リハ↠非↢聖力ルニ↡、彼国何テカムトイフコトヲ↞覩コトヲ

^にょしゅう明鏡みょうきょうけん面像めんぞう」 といふ以下いげは、 これにんおよびしゅじょうとうにゅうかんしてしんとどめ、 *じんこらしててざれば、 *しんきょう相応そうおうしてことごとくみな顕現けんげんすることをかす。 きょうげんずるときあたりて、 かがみのなかにものるにことなることなきがごとし。

↢「如執明鏡自見面像」↡已下、此明↢夫人及衆生等入観↠心、凝↠神レバ↠捨、心境相応皆顕現コトヲ↡。当↢境現↡、如↢似ルニ↠物キガ↟異コト也。

・得忍相

^しんかん得忍とくにん」 といふは、 これ弥陀みだ仏国ぶっこく清浄しょうじょうこうみょう、 たちまちに眼前げんぜんげんず、 なんぞ*やくへん。 このによるがゆゑに、 すなはち*しょうにんることをかす。 また*にんづけ、 また*にんづけ、 また*信忍しんにんづく。 これすなはちはるかにだんじていまだ*得処とくしょひょうせず、 にんとうをしてしんにこのやくねがはしめんとほっす。 *ゆうみょうせんしょうにしてしんぶつを〕おもひてとき、 まさににんさとるべし。 これおおくこれ*十信じっしんのなかのにんにして、 *ぎょうじょうにんにはあらず。

↢「心歓喜故得忍」↡者、此明↧阿弥陀仏国清浄光明、忽↢眼前↡、何タヘ↢踊躍↢茲↡故、即コトヲ↦無生之忍↥。亦名↢喜忍↡、亦名↢悟忍↡、亦名↢信忍↡。此乃ハルカ↠標↢得処↡、欲↠令メムト↣夫人等ヲシテ↢心↡。勇猛専精ニシテ時、方↠悟↠忍。此多是十信ニシテ、非↢解行已上ニハ↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅴ)釈仏力観成文
              (ⅰ)科節

^仏告ぶつごうだい」 よりしもりょうにょ得見とくけん」 にいたるこのかたは、 まさしくにんはこれ*ぼんにして*しょうにあらず。 しょうにあらざるによるがゆゑに、 あおぎておもんみればしょうりきみょうして、 かのくにはるかなりといへどもることをることをかす。

↢「仏告韋提」↡下至↢「令汝得見」↡已来タハ、正↧夫人是凡ニシテ↠聖↠非ルニ↠聖、仰レバ聖力冥、彼国雖↠遥ナリトコトヲ↞覩コトヲ

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅴ)(ⅱ)述意

^これ如来にょらいしゅじょうまどひをきて、 *にんはこれしょうにしてぼんにあらずといひうたがいおこすによるがゆゑにすなはちみづから*こうにゃくしょうじ、 しかるにだいげんにこれさつにしてかりに凡身ぼんしんしめす、 われら罪人ざいにんぎゅうするによしなしといふことをおそる。 このうたがいだんぜんがためのゆゑに 「にょぼん」 とのたまふことをかす。

此明↪如来恐↧衆生置↠惑謂↢言 イヒ 夫人是聖ニシテズト↟凡↠起スニ↠疑↢怯弱↡、然韋提是菩薩ニシテ↢凡身↡、我等罪人無シトイフコトヲ↞由↢比及ルニ↠断ムガ↢此↡故コトヲ↩汝是凡夫↨也。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅴ)(ⅲ)釈文

・心想羸劣

^心想しんそう羸劣るいれつ」 といふは、 これぼんなるによるがゆゑにかつてだいなし。

↢「心想羸劣」↡者、由↢是凡ナルニ↡故↢大志↡也。

・未得天眼

^とく天眼てんげん」 といふは、 これにん肉眼にくげんるところの遠近おんごんごんをなすにらず、 いはんやじょういよいよはるかなり、 いかんぞるべきといふことをかす。

↢「未得天眼」↡者、此明↢夫人肉眼↠見遠近不↠足↠為スニ↠言、況浄土弥ナリ、云何キトイフコトヲ↟見

・異方便

^諸仏しょぶつ如来にょらい有異うい方便ほうべん」 といふ以下いげは、 これもししんによりてるところのこくしょうごんは、 なんぢぼんのよく*しつするにあらずと、 こうぶつすることをかす。

↢「諸仏如来有異方便」↡已下、此明↧若↠心↠見国土荘厳者、非ズト↢汝凡普悉ルニ↡、帰コトヲ↦功於仏↥也。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅵ)釈牒前起後文
              (ⅰ)科節

^ろくだいびゃくぶつ」 よりしもけんこく」 にいたるこのかたは、 それにんかさねて*さきおん*でつし、 のちといしょうせんとほっするこころかす。

↢「時韋提白仏」↡下至↢「見彼国土」↡已来タハ、明↧其夫人重↢前↡、欲↣生↢起ムト↡之意↥。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅵ)(ⅱ)述意

^これにんぶつりょうするに、 かみ光台こうだい所見しょけんのごときは、 これすでによくさきたりとおもひき、 そんかいしたまふに、 はじめてこれぶつ方便ほうべんおんなりとる。 もししからば、 ぶついまににましませば、 しゅじょうねんこうむりて西方さいほうることをしむべし。 ぶつもしはんしたまひて*加備かびこうむらざるものは、 いかんがることをんやといふことをかす。

此明↧夫人領↢解ルニ仏意↡、如キハ↢上光台所見↡、謂ヒキ↢是已タリト↡、世尊開示タマフニ↢是仏方便之恩ナリト者、仏今セバ↠世、衆生蒙↠念↠使↠得↠見コトヲ↢西方仏若涅槃タマヒテ↠蒙↢加備↡者、云何↠見コトヲトイフコトヲ↥。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅶ)釈悲心為物文
              (ⅰ)科節

^しちにゃく仏滅ぶつめつ」 よりしも極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 まさしくにんしん*もののためにすること、 おのがおうじょうおなじく、 ながしゃきて、 なが安楽あんらくあそばしめんといふことをかす。

↢「若仏滅後」↡下至↢「極楽世界」↡已来タハ、正↧夫人悲心為ニスルコト↠物、同↢己往生↡、永↢娑婆↡、長シメムトイフコトヲ↦安楽↥。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅶ)(ⅱ)述意

^これ如来にょらいしんしたまふうんは、 *さいてつしていまだやすまず。 ただかわときうつりて、 ぐんじょう*浅促せんそくなるをもつてのゆゑに、 如来にょらいをしてようしょう寿じゅげんじ、 *じょうごう*みんじてもつて*人年にんねんるいし、 *きょうまんせっせんとしてもつてじょうしめし、 剛強こうごうせんとしておなじく*めつせしむることをかす。 ゆゑににゃく仏滅ぶつめつといふ。

此明↫如来期タマフ↠心運度、徹↢窮後際↡而未↠休但以↢世代時移、群情浅促ナルヲ↡故、使コトヲ↪如来ヲシテ↢永生之寿↡、泯↢長劫↡以↢人年↡、摂ムトシテ↢憍慢↡以↢無常↡、化ムトシテ↢剛強↡同↩於磨滅↨。故↢「若仏滅後」↡也。

二 Ⅱ ⅱ b ト (二)(Ⅶ)(ⅲ)釈文

^諸衆しょしゅじょう」 といふは、 これ如来にょらいめたまはば、 しゅじょう帰依きえするにところなし。 *蠢々しゅんしゅん周慞しゅうしょうして、 じゅうおう六道ろくどうはしることをかす。

↢「諸衆生」↡者、此明↧如来息タマハバ↠化、衆生無↠処↢帰依ルニ蠢蠢周慞、縦横コトヲ↦於六道↥。

・濁悪不善

^じょくあくぜん」 といふは、 これじょくかす。 いちにはこうじょくにはしゅ生濁じょうじょくさんにはけんじょくには煩悩ぼんのうじょくにはみょうじょくなり。

↢「濁悪不善」↡者、此明↢五濁↡也。一者劫濁、二者衆生濁、三者見濁、四者煩悩濁、五者命濁ナリ

・劫濁

^こうじょく」 といふは、 しかるにこうじつにこれじょくにあらず、 こうげんずるときあたりて諸悪しょあくぞうす。

↢劫濁↡者、然↢是濁↡、当↢劫減↡諸悪加増也。

・衆生濁

^しゅじょうじょく」 といふは、 こうもしはじめてじょうずるときしゅじょうじゅんぜんなり、 こうもしまつなるときしゅじょうじゅうあくいよいよさかりなり。

↢衆生濁↡者、劫若ルトキハ衆生純善ナリ、劫若ナル衆生十悪弥也。

・見濁

^けんじょく」 といふは、 しん衆悪しゅあくそうじてへんじてぜんとなし、 うえなきをばならずとなす。

↢見濁↡者、自身衆悪↠善、他キヲバ↠非見↠不↠是ナラ也。

・煩悩濁

^煩悩ぼんのうじょく」 といふは、 当今とうこん劫末こうまつしゅじょうあくしょうにしてしたしみがたし。 *六根ろっこん随対ずいたいして*貪瞋とんじんきおおこる。

↢煩悩濁↡者、当今衆生悪性ニシテ↠親。随↢対六根↡貪瞋競也。

・命濁

^命濁みょうじょく」 といふは、 さきけんのうじょくによりておお殺害せつがいぎょうじて、 いつくしみ恩養おんようすることなし。 すで*だんみょういんぎょうじ、 じょうねんけんとほっするも、 なにによりてかべき。

↢命濁↡者、由↢前見・悩二濁↡多↢殺害↡、無↢慈恩養コト↡。既↢断命之苦因↡、欲ルモ↠受ムト↢長年之果↡者、何テカ↠得也。

^しかるにじょく*たいこれぜんにあらず。 いまりゃくしてじょくしめしをはりぬ。

濁者体非↢是善↡。今略↢五濁↡竟。

・五苦所逼

^五苦ごく所逼しょひつ」 といふは、 はっのなかにしょうろうびょう死苦しく*愛別あいべつりて、 これを五苦ごくづく。 さらにさんくわふればすなはちはっとなるいちには*おんじょうには*求不ぐふとくさんには*怨憎おんぞう会苦えくそうじてはっづく。 このじょく五苦ごくはっとう六道ろくどうつうじてく、 いまだなきものあらず。 つねにこれを*逼悩ひつのうす。 もしこのけざるものは、 すなはち*凡数ぼんじゅしょうにあらず。

↢「五苦所逼」↡者、八苦↢生苦・老苦・病苦・死苦・愛別苦↡、此↢五苦↡也。更レバ↢三苦↡即↢八苦↡。一者五陰盛苦、二者求不得苦、三者怨憎会苦、総↢八苦↡也。此五濁・五苦・八苦等↢六道↡受、未↠有↢無者↡。常逼↢悩↡。若↠受↢此↡者、即↢凡数↡也。

^うん当見とうけん」 といふ以下いげは、 これにん*苦機くきすいして、 これらの*罪業ざいごうきはめてふかくして、 またぶつたてまつらず、 加備かびこうむらずは、 いかんがかのくにるべきといふことをかす。

↢「云何当見」↡已下、此明↧夫人挙↢出苦機↡、此等罪業極クシテ、又不↠見マツラ↠仏、不↠蒙↢加備↡、云何ベキトイフコトヲ↦於彼↥也。

二 Ⅱ ⅱ b ト (三)

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろじょうぜんかんえんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢七句不同↡、広↢定善示観縁↡竟

総結

【12】^はじめには*しょうしんじょかし、 つぎには*ぜんじょかし、 のちには*ほっじょかす。

↢証信序↡、次ニハ↢化前序↡、後ニハ↢発起序↡。

^じょうらいじょどうありといへども、 そうじて*序分じょぶんかしをはりぬ。

上来雖↠有↢三序不同↡、総↢序分↡竟

かんぎょう序分じょぶん かんだい

 

五門 五分。 じょうようおん (523-592)・嘉祥かじょう大師吉蔵 (549-623) 等の諸師は ¬観経¼ に三分 (序分じょぶん正宗しょうしゅうぶんずうぶん) を立てて解釈するが、 善導ぜんどう大師は、 五分 (序分・正宗分・得益とくやく分・流通分・しゃ分) を立てて解釈する。
得益分 その経の教えによってやくを得ることを示す部分。
王宮にまします一会 王宮会のこと。 仏が王舎城おうしゃじょうなんだいのために説法した会座。
一会 しゃのこと。 阿難がしゃ崛山くっせんの大衆のために王宮会での仏の説法を再説した会座。 「散善義」 では耆闍分ともよぶ。
三分 善導大師は全四十五字の耆闍会 (耆闍分) にも序分・正宗分・流通分の三分があるとする。
正宗 正宗分のこと。
勝を歎じて (¬観経¼ の教説が) すぐれていることを讃嘆さんだんして。
能説の人 教えを説く人。
能聴の人 教えを聞く人。
定散両門 じょうぜん散善さんぜんについての教え。
錯謬 あやまり。
人法 人間としてあるべきことを示す教え。
天法 天に生ずるための教え。 じゅうぜんの法。
 小乗しょうじょうの教え。
 だいじょうの教え。
歴々了然 明らかであること。
随心の起行 (しゅじょうが) その心にしたがって行をおこすこと。
各益の不同 (その行によって得る) やくはそれぞれ同じではないということ。
業果の法然 業因によって果報を得ることが道理として自然にあること。
錯失 あやまり。
稟承 受けること。
可信を証誠せん 信ずべきことを証明しよう。
禁父の縁 じゃが父のびん婆娑羅ばしゃら王を幽閉する因縁。
禁母の縁 阿闍世が母のだいを幽閉する因縁。
厭苦の縁 韋提希が苦悩の穢土えどを厭う因縁。
欣浄の縁 韋提希が浄土を願い求める因縁。
散善顕行縁 散善行を顕す序文。 親鸞聖人は 「散善は行を顕す縁なり」 (化身土文類訓) と読み、 「自力の散善は他力念仏を顕す縁」 と転意した。
定善示観縁 定善観を示す序文。 親鸞聖人は 「定善は観を示す縁なり」 (化身土文類訓) と読み、 「定善は他力の信心 (観) を示す縁」 と転意した。
起化の時 説法教化をおこす時。
時処 時と場所。
聚落 集落。
塚間 墓場。
天王 四天王してんのうのこと。
純凡 ぼんのみ (がいる場所)。
純聖 聖者のみ (がいる場所)。
所資 教化やくを受ける人々。
洪鐘 大きなつりがね。
 懇請こんせい
 父王を殺すという逆罪。
耆闍 しゃ崛山くっせんのこと。
標定 表し示すこと。
余仏に簡異して 他の仏と区別して。
遊化 諸方をめぐって教化すること。
耆山 耆闍ぎしゃ崛山くっせんのこと。
仏地を悕求して 仏のさとりを願い求めて。
囂塵 さわがしい俗世のけがれ。
二には… 以下、 「大比丘びく衆」 の大についていう。
総大 以下の七大の総句。
相大 すがたがすぐれていること。
衆大 僧衆が巧みに和合していること。
耆年大 長老の比丘であること。
数大 比丘の数が多いこと。
尊宿大 高徳の長老であること。
内有実徳大 内に尊い徳をそなえていること。
果証大 すぐれた証果を得ていること。
猶置 安置の意。 あるいは由致 (由序) の意か。
別意 特別の意味。
仏化 仏の教化。
羅漢道 阿羅漢果。 →阿羅あらかん
舎利 しゃ利弗りほつのこと。
道果 阿羅漢果。 →阿羅あらかん
結集の家 経を結集けつじゅうした人。
簡び 区別して。
真門に入る 真実の教えである仏法に帰入すること。
気習 じっに同じ。
外化 外に出てしゅじょうを教化やくすること。
外益 外化に同じ。
循還 限りなくめぐること。
封執 とらわれること。
法沢 仏法による潤いの利益。
砕身の極 仏の恩徳は身を砕いてもなお報じがたいほど深いという意。
惘然 言い表しようもないさま。
霊儀 威厳のあるすがた (をそなえる釈尊)。
衆所知識 「衆に知識せらる」。 ¬小経¼ に出る語。
耆年 長老。
邪網を掴裂し よこしまな教えの網を切り裂いて。
諸見 様々な悪しき見解。
欲塹 貪欲とんよくの心を越えがたい塹 (ほり) に喩えたもの。
清白 煩悩のけがれを離れた清浄しょうじょな道。
光融 光を輝かし、 邪見のものをおさめとること。
宣流 のべひろめること。
慢恣 おもいあがっておこたること。
起化の処 教化をおこされた場所。
百姓 (王舎城中の) 人民。
王舎 王家の舎宅。
奏人 上奏した人。
居民 居住している人々。
無憂の世界 いかなる憂いもない極楽世界。
霊儀を影現し 釈尊が十方の仏の尊いありさまをだいに示したことをいう。
三福の因 往生の因であるところの散善さんぜん三福さんぷくの行。
定門 じょうぜんの法門。
九章の益 ぼんの散善のやく
怳忽 うっかりするさま。 ぼんやりするさま。
この地の往翻には 中国語の意訳では。
未生怨 出生以前より既に父に怨を懐いた者という意。
継祀 先祖の祭祀をうけつぐこと。 ここでは王位を相続する者の意。
紹継 後継者。
心口をもつて 心に殺意をいだき、 口に命令を発して。
有身 妊娠すること。
王において… 王に害を加えるであろう。
捨属 (生れてくる子に) 与えること。
平章 正しく明らかにすること。 ここでは適切な処置をとるという意。
 風聞。 うわさ。
外人 王族以外の人々。
為人匈猛 性格が凶暴であること。
仏会 釈尊の説法の会座。
身通 神足通じんそくつうのこと。 →ろく神通じんずう
初果 須陀洹果 (預流果よるか) のこと。 →須陀洹しゅだおん
他心 他心通たしんつうのこと。 →ろく神通じんずう
阿兄 兄を親しんでいう言葉。
悪計 悪事の計画。
跏趺正坐 けっ趺坐ふざに同じ。
空無碍の想 くうを自由自在に行く想い。
摂取 おさめとること。
質礙 一つの物の存在が他の物の存在をさまたげるという色 (物質) の特質。
色境 視覚の対象。
利養 自己の利益をはかろうとすること。
会中 釈尊の説法の会座の中。
徒衆 仏弟子たち。
法蔵 仏の教えの蔵。
将養 静かに保養すること。
愕爾 非常におどろくさま。
驚怪 おどろいてあやしく思うこと。
舎利 しゃ利弗りほつのこと。
大法将 仏法の統率者。
毀辱 非難すること。
毒箭 毒をぬった矢。
堪任するところなし (教団を率いてゆく) 能力がない。
漫語 冗談。
罔極の恩 極まりない恩。
逆の響き 逆罪を犯したという噂。
人間 人の出入りするところ。
宮閤 宮廷の奥殿。
外人 王族以外の人々。
承奉 (宮廷に) 仕えること。
情通 (ひそかに) 連絡をとること。
滲浴 身体を洗うこと。
酥蜜 牛乳を精製してつくった乳酥に蜂蜜を加えたもの。
乾麨 炒った麦をひいた粉。 麦こがし。
外人 他の人々。
 蜜蝋のこと。 蜂蜜の巣を精製してつくった蝋。
漿 汁。
門家 守門の者。 門番のこと。
外人 王族以外の人々。
情通 (ひそかに) 連絡をとること。
異計 特別なはかりごと。
宿縁業 過去の因縁いんねん
 酥蜜のこと。 牛乳を精製してつくった乳酥に蜂蜜を加えたもの。
麨団 乾麨のこと。 炒った麦をひいた粉。 麦こがし。
朝心 王の心の意か。
虔恭 つつしんで尊敬すること。
耆闍 耆闍ぎしゃ崛山くっせんのこと。
加護 仏がしゅじょうに力を加えてまもること。
別親 母方の親類。
門師 びんしゃ王家の師匠。
宮閤 宮廷の奥殿。
幽難 幽閉の難。
 屈請くっしょうする。 尊い人の来臨を請うこと。
時節長遠 (戒をたもつべき) 時間が長いこと。
余の仏経 ¬じゅじゅう善戒ぜんかいきょう¼ などを指す。
持心極細極急 戒をたもつ心が細密で精励であること。
用心 (戒をたもつ) 心がまえ。
 細密。
戒文 戒を説く律文。 ¬分律ぶんりつ¼ ¬分律ぶんりつ¼ など。
仏子 かいの人。 仏弟子。
今旦・明旦 今朝・明朝。
 正午。
正習 しょう使じっのこと。
悪習 悪の余残の気分。
細急 細密・精励。
八種の勝法 八種のすぐれたやくのこと。 ①地獄にせず。 ②餓鬼がきに堕せず。 ③畜生ちくちょうに堕せず。 ④しゅに堕せず。 ⑤常に人界に生れて出家得道する。 ⑥梵天ぼんてんの生を受ける。 ⑦梵天に生れて仏に値い法を請う。 ⑧だいを得証する。 ¬受十善戒じゅじゅうぜんかいきょう¼ の説。
 ¬じゅじゅう善戒ぜんかいきょう¼ などの経。
快鷹 空を早く飛ぶ鷹。
来業を資せんと擬す 来世の果報を招く業因の資糧にしたいと望む。
発遣 (富楼那ふるなを) 派遣すること。
顔容和悦 顔かたちが柔和でよろこばしいこと。
二七有余 十四日余り。 ¬観経¼ には 「三七日」 とある。
三七 二十一日間。
門家 守門の者。 門番のこと。
意密の問 本心を隠した問いかけ。
万基の主 国を統治する者。 国王。
挙動… 行動が気ままであってはならない。
譏過 非難。
悪逆の声 悪逆を犯したという評判。
門家 守門の者。 門番のこと。
 乾麨のこと。 炒った麦をひいた粉。 麦こがし。
私密 隠しごと。
外人 他の人々。
夫人の… だい夫人が食物をもちこむことができたのは、 じゃがあらかじめこれを禁じていなかったからである。
遮約 さえぎりとどめること。
門制 宮殿の出入りについての制禁。
分疏 事情の説明。
後の正行 行為そのもの。
沙門 目連もくれん富楼那ふるなのこと。
慈母 だいのこと。
 じゃのこと。
心神 神識じんしき。 こころ。
怳忽 たちまち。
切諌 いさめること。
八方 四方およびゆい。 ここではすべての民衆のこと。
昉習 習い学ぶこと。
勃逆 突然の悪逆。
顔を犯して 遠慮しないという意。
家兄 じゃのこと。
諮諌 いさめること。
聴攬 聴きとること。
古今の書史歴帝の文記 古今の歴史書や歴代帝王の記録。
非意 思いもよらず。 だしぬけに。
史籍 歴史書。
劫初 成住じょうじゅうくうの四劫の中の成劫 (世界の成立期) のはじめ。 世界の成立当初。
刹利種 刹利は梵語クシャトリヤ (kṣatriya) の音写である刹帝せつていの略。 種は家柄のこと。 古代インドの四姓制度の中の王族・貴族・士族の身分をいう。 →四姓ししょう
風礼 風習礼儀。
京邑神州 京邑は都、 神州は国土の美称。 ここではおう舎城しゃじょう摩竭陀まがだこくを指す。
無聞の地 たよりの聞えないようなところ。
剣を按ずる 剣のつかに手をおく。
諌辞 (じゃを) いさめることば。
顔を犯すことを避けず 遠慮しないという意。
却行而退 後向きに退くこと。
異計 (阿闍世を追放するための) 陰謀。
情地 心地。 気持ち。
 大臣。
残命 余命。
守当 警備。
訝楽 憩いたのしむこと。
水泄すら通ぜず 水も漏らさないように厳重に警備するという意。
旦夕 朝夕。
単心 ひたすらなる心。
表知 あきらかに知ること。
彼此 彼は釈尊、 此はだいびんしゃ王を指す。
穢質の女身 →補註10
福因尠薄なり 過去の善根ぜんごんの因がとぼしい。
時宜 適切な時期。
三たび致請 仏を懇請こんせいすること。 三度請をかさねることは仏を請ずるときの礼法。
霊儀 (釈尊の) 威厳のあるすがた。
跱 うずくまること。
留難 障害。 さまたげ。
ここ 耆闍崛山。
かしこ 王舎城おうしゃじょうの王宮。
簡異 区別すること。
標定 表し示すこと。
希奇の法 たぐいまれな教え。
未聞の益 いままでに聞いたことのないすぐれたやく
天帝 たいしゃくてんのこと。
梵王 →梵天ぼんてん
鉤帯 瓔珞のとめひも。
感結 感は憾 (恨み) の意。 恨みの思いをおこすこと。
婉転 ころびたおれること。
身の威儀を正しくして 身だしなみをととのえて。
殃咎 罪や過ち。
径路 (じゃ王が逆罪をおこすに至った) 道筋。
甘心 甘んじて受けるの意か。 またここでの甘を厭の義と解する説もある。
正習 しょう使じっのこと。
所求 願い求めるところ。 阿弥陀仏の浄土。
三本の悪果 地獄・餓鬼がきちくしょうの三悪道の果報。
三の苦聚 三悪道さんまくどうのこと。
経にのたまはく… 引用は ¬華厳経¼ 等の諸経の取意の文か。
軽爾 軽々しいこと。
輒然 安易に。 たやすく。
簡ばず 区別しない。
余 残りの罪や過ち。
生処 往生すべき浄土。
得生の行 往生を得るための行業。
意密 *密意みっちに同じ。 仏の深いみこころ。
所須 求めるところ。
所現 金台に現れた十方仏国のありさま。
感荷 感謝してめぐみを受けとること。
精華 精妙・華麗であること。
断惑 惑は煩悩ぼんのうに同じ。 煩悩を断ち切ること。
凡惑 ぼんのこと。
化益 教化やく
悲化 大悲による導き。
悲智双行 慈悲じひ智慧ちえをともに行ずること。
甘露 ここでは浄土の法門を甘露に喩える。 →かん
法潤 教えによる潤いのめぐみ。
衆聖 数多くの聖者たち。 ここでは諸仏のこと。
指讃 阿弥陀仏の浄土を指し示してほめたたえること。
別行 阿弥陀仏の浄土に往生するための特別な行。
 →じょうぜん
四種の荘厳 定善十三観をほうしょうぼうに分け、 そのそれぞれに通と別とを分つので、 四種のしょうごんとなる。
覚想 心をはたらかせること。
前境 所観の境としての正二報しょうにほう荘厳相そうごんそう
下の観門 定善十三観のこと。
有識 心のはたらきを有するもの。 じょうしゅじょうに同じ。
威儀 ふるまい。 作法。
法爾として おのずからの定まりとして。
陰蔵 仏の男根のこと。 馬の男根のように常に腹中に隠れていて見えないので、 おんぞうともいう。 仏の三十二相の一。
小果 小乗のさとり。
記を授く →じゅ
障隔 へだたり。
第三の果 声聞乗しょうもんじょうの修道階位である四向四果のうちの阿那含果のこと。 →阿那あなごん
所求の行 阿弥陀仏の浄土に往生するための行。
黙然 沈黙していること。
告命許説 告命は仏が韋提希に告げること。 許説は仏が韋提希の願いをききいれて法を説くこと。
 所観の境。 観想の対象となるところの浄土。
分斉遠からず ここでの分斉は程度の意。 十万億刹は二十万億刹、 三十万億刹等の距離に比べれば遠くないということ。
道里 (西方浄土への) みちのり。
定境相応して 定心と所観の境が合致して。
凡惑 ぼんのこと。
浄境 清浄しょうじょうなる境界であるところの浄土のありさま。
定門 じょうぜんの法門。
定・散 じょうぜんの機と散善さんぜんの機。
生を摂するに尽きず すべてのしゅじょうをおさめとることはできない。
 ¬さつ処胎しょたいきょう¼ 等の諸経を指す。
能生の因・所生の縁 父は子種を下すから子をく生ずる因といい、 母は子種をたもち育てるから子を生ずる所の縁であるという。
床被 寝具。
飢倹 飢饉。
縦横 至るところにあること。
覆護 慈悲をもってまもりそだてること。
幢相 はたじるし。 袈裟は煩悩ぼんのうの敵を破るはたじるしに喩えられる。
愍仰 あわれみあおぐこと。
仏母… 以下の説は ¬だいほう便べんぶつ報恩ほうおんぎょう¼ に出る。
因行 仏果を得るための因となる行。
敬上の行 かみを敬う行為。
 異本には 「恕」 とある。
慈下の行 しもを慈しむ行為。
感報 果報を得ること。
戒徳巍々として 戒をたもつ徳はおごそかである。
戒品 戒の種類。
少分戒… 少分戒は戒のうちのいくつかをたもつこと。 多分戒は戒の過半をたもつこと。 全分戒は戒のすべてをたもつこと。
欣心 ねがい求める心。
 だいじょうのこと。
小因 小乗のさとりを求める心。
弘心 大乗のさとりを求める心。
来去を迎送して 来る者を迎え、 去る者を送って。
後際を徹窮し 未来際を尽して。 未来永遠に。
疲倦 疲れていやになること。
能求 求めるはたらきをなす側。 所求の対。
印を… 臘印を熱い泥土におすと臘印は壊れるが文字のみが残る。
勅聴許説 勅聴は仏がだいに聞くことを命じること。 許説は仏が韋提希の願いに応じて法を説くこと。
正受の方便 じょうぜんかんの方法。
二人 なんと韋提希を指す。
思量諦受 深く思いはかって、 たしかに受けいれること。
錯失 あやまること。
常没 (迷いの世界に) 常に沈んでいること。
来潤 未来のしゅじょう。 潤は法のうるおいを受くべき者の意。
三悪 三悪道さんまくどうのこと。
進道の資糧 さとりの道をあゆむためのかて。
下の観門 じょうぜん十三観。
聖意 仏のみこころ。
未来 未来世のしゅじょう
捨厭 厭いすてること。
貪欣 ねがい求めること。
生盲 →補註10
竹 竹の皮を薄く編んだものの意か。 異本には 「竹篾」 (竹の皮の意) とある。
聖力 仏のじんりき
心境相応して 観ずる心と観の対象とが完全に合致して。
無生の忍 しょう法忍ぼうにんのこと。
喜忍・悟忍・信忍 →三忍さんにん
得処 無生法忍を得るところ。 善導ぜんどう大師はだいが無生法忍を得るのは第七華座けざかんにおいてであるとする。
勇猛専精 いさましく一筋にはげむこと。
十信の… 無生法忍は十信位のぼんの得るやくであって、 十住じゅうじゅう十行じゅうぎょう以上の高位の菩薩の得る利益ではないとするのが善導大師の理解である。
解行以上 十住・十行以上の位。
凡・聖 凡夫、 聖者。
夫人は… じょうようおん (523-592) 等の諸師が韋提希を高位の聖者としたことを受けていう。
普悉 あまねく知るの意か。
前の恩 仏の力によって光台のうちに十方諸仏の国土を見ることができたことを指す。
後際を徹窮して 未来際を尽して。 未来永劫に。
浅促 心が浅く寿命が短いという意。
泯じて 減らして。
人年 人間の寿命。
磨滅 死。
蠢々周慞して うごめきあわてて。
断命の苦因 苦の原因となる殺生せっしょう
愛別苦 愛別あいべつ離苦りくのこと。
逼悩 逼められ悩むこと。
凡数の摂 ぼんの部類。
苦機 苦悩の機類。
罪業 →補註6
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
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→Ⓒ即[此]
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