標挙

*こうみょうりょうがん

光明無量の願… →補註1

 寿じゅみょうりょうがん

 

けんじょうしんぶつ文類もんるい 五

禿とくしゃく親鸞しんらんしゅう

真仏土釈  直釈

1. 仏土出願  明仏土

【1】 つつしんでしんぶつあんずれば、 ぶつはすなはちこれ不可ふか思議しぎこう如来にょらいなり、 はまたこれ*りょうこうみょうなり

謹按↢真仏土↡者仏者則是不可思議光如来、土者亦是无量光朙土也。

1. 仏土出願  示報義

しかればすなはちだい誓願せいがん*しゅうほうするがゆゑに、 しんほうぶつといふなり

酬報 因にむくいること。

然則酬↢報大悲誓願↡故、曰↢真報仏土↡。

1. 仏土出願  指因願

すでにしてがんいます、 すなはちこうみょう寿じゅみょうがん (第十二・十三願) これなり

既而有↠願、即光朙・寿命之願是也。

○真仏土釈  引文  経説  大経

1. 因願  第十二願

【2】 ¬*だいきょう¼ (上) にのたまはく、 「たとひわれぶつたらんに、 こうみょうよくげんりょうありて、 しもひゃくせんおく那由他なゆた諸仏しょぶつくにらさざるにいたらば、 しょうがくらじ」 と

¬大経¼言。「設我得↠仏、光朙有↢能限量↡、下至↠不↠照↢百千億那由他諸仏国↡者、不↠取↢正覚↡。」

1. 因願  第十三願

【3】 またがん (第十三願) にのたまはく (*同・上)「たとひわれぶつたらんに、 寿じゅみょうよくげんりょうありて、 しもひゃくせんおく那由他なゆたこういたらば、 しょうがくらじ」 と

又願言。「設我得↠仏、寿命有↢能限量↡、下至↢百千億那由他劫↡者、不↠取↢正覚↡。」

2. 願成就文  第十二願

【4】 がん (第十二・十三願) じょうじゅもんにのたまはく (*同・上)ぶつ*なんげたまはく、 ªりょう寿じゅぶつじんこうみょう最尊さいそん第一だいいちにして、 諸仏しょぶつこうみょうおよぶことあたはざるところなり。 このゆゑにりょう寿じゅぶつをば*りょう光仏こうぶつへん光仏こうぶつ無礙むげこうぶつたい光仏こうぶつ炎王えんのう光仏こうぶつ清浄しょうじょう光仏こうぶつかん光仏こうぶつ智慧ちえ光仏こうぶつだん光仏こうぶつなん光仏こうぶつしょう光仏こうぶつちょう日月にちがっ光仏こうぶつごう

無量光仏…超日月光仏 阿弥陀仏の十二種の異名。 →じゅうこう

願成就文言。「仏告↢阿難↡。无量寿仏威神光朙、最尊第一、諸仏光朙所↠不↠能↠及。 是故无量寿仏、号↢无量灮仏・无辺光仏・无光仏・无対光仏・炎王光仏・清浄光仏・歓喜光仏・智慧光仏・不断光仏・難思光仏・无称灮仏・超日月光仏↡。

それしゅじょうありて、 このひかりもうあふものは、 *さんしょうめつし、 しん*にゅうなんなり。 かんやく善心ぜんしんしょうず。 もし*さんごんところにありて、 このこうみょうれば、 みなそくてまたのうなけん。 寿いのちへてののち、 みな*だつかぶる。 りょう寿じゅぶつこうみょう*顕赫けんかくにして、 十方じっぽう諸仏しょぶつこく*しょう耀ようして*きこえざることなし。 ただわれいまそのこうみょうしょうするのみにあらず、 一切いっさい諸仏しょぶつしょうもん縁覚えんがく・もろもろのさつしゅ、 ことごとくともにたんすること、 またまたかくのごとし。 もししゅじょうありて、 そのこうみょうじんどくきて、 にちしょうせつし、 こころいたしてえざれば、 こころ所願しょがんしたがひて、 そのくにしょうずることをて、 もろもろのさつしょうもん大衆だいしゅのために、 ともにそのどくたんしょうせられん。 それしかうしてのち仏道ぶつどうるときにいたりて、 あまねく十方じっぽう諸仏しょぶつさつのために、 そのこうみょうたんぜられんこと、 またいまのごときならんº と

柔軟 やわらかでおだやかなこと。
顕赫 盛んに輝くさま。
照耀 照り輝くこと。
聞え 聞はこうみょうやくがそのままみょうごうどくであることを示す。

其有↢衆生↡、遇↢斯灮↡者、三垢消滅、身意柔、歓喜踊躍、善心生焉。若在↢三塗懃苦之処↡、見↢此灮朙↡、皆得↢休息↡、无↢復苦悩↡。寿終之後、皆蒙↢解脱↡。无量寿仏灮朙顕赫、照↢耀十方諸仏国土↡、莫↠不↠聞焉。不↢但我今称↢其光朙↡、一切諸仏・声聞・縁覚、諸菩薩衆、咸共嘆誉、亦復如↠是。若有↢衆生↡、聞↢其光朙威神功徳↡、日夜称説、至↠心不↠断、随↢意所願↡、得↠生↢其国↡、為↢諸菩薩・声聞大衆↡、所↤共嘆↢誉称↣其功徳↡。至↧其然後得↢仏道↡時↥、普為↢十方諸仏・菩薩↡、嘆↢其光朙↡、亦如↠今也。

ぶつののたまはく、 ªわれりょう寿じゅぶつこうみょうじん*巍々ぎぎしゅみょうなるをかんに、 ちゅう一劫いっこうすともなほいまだつくすことあたはじº と

巍々殊妙 気高くすぐれていること。

仏言。我説↢无量寿仏灮朙威神、巍巍殊妙↡、昼夜一劫尚未↠能↠尽。

2. 願成就文  第十三願

 ぶつなんかたりたまはく、 ªりょう寿じゅぶつは、 寿じゅみょうじょうにして*しょうすべからず。 なんぢむしろらんや。 たとひ十方じっぽうかいりょうしゅじょう、 みな人身にんじんて、 ことごとくしょうもん縁覚えんがくじょうじゅせしめて、 すべてともにしゅうして、 おもいをもつぱらにしこころひとつにして、 そのりきつくして、 ひゃくせん万劫まんごうにおいてことごとくともに推算すいさんして、 その寿じゅみょうじょうおんかずかぞへんに、 じんしてその限極げんごくることあたはじº」 と

勝計 数え尽すこと。

仏語↢阿難↡。无量寿仏、寿命長久不↠可↢勝計↡。汝寧知乎。仮使十方世界无量衆生、皆得↢人身↡、悉令↣成↢就声聞・縁覚↡、都共集会、禅↠思一↠心竭↢其智力↡、於↢百千万劫↡、悉共推竿、計↢其寿命長遠之数↡、不↠能↣窮尽知↢其限極↡。」

○真仏土釈 2 引文 A 経説  如来会

【5】 ¬*りょう寿じゅ如来にょらい会¼ (上) にのたまはく、 「なん、 このをもつてのゆゑに、 りょう寿じゅぶつにまたみょうまします。 いはく、 *りょうこうへんこうじゃくこう無礙むげこうこうしょうおう端厳たんごんこうあいこうこうかんこう不可ふか思議しぎこうとうこう不可ふかしょうりょうこう*暎蔽えいへい日光にっこう暎蔽えいへい月光がっこう*掩奪あんだつ日月にちがっこうなり。 かのこうみょう清浄しょうじょう広大こうだいにして、 あまねくしゅじょうをして身心しんしん悦楽えつらくせしむ。 また一切いっさい*仏刹ぶっせつのうちの*てんりゅうしゃしゅとうみな歓悦かんえつしむ」 と

無量光…掩奪日月光 阿弥陀仏の異名である十五光。 ¬大教¼ に説かれる十二光に対応している。
暎蔽日光・暎蔽月光 日光・月光を照らしておおいかくすという意。
掩奪日月光 日月の光をおおいかくしてうばうという意。
天竜夜叉阿修羅等 仏教を護持する八部衆のうち、 代表的なものをあげる。 →はち

¬无量寿如来会¼言。「阿難、以↢是義↡故、无量寿仏復有↢異名↡。謂无量光・无辺光・无著灮・无灮・光照王・端厳光・愛光・喜光・可観光・不可思議光・无等・不可称量灮・映蔽日光・映蔽月光・掩奪日月光。彼之光朙、清浄広大、普令↢衆生身心悦楽↡。復令↣一切余仏刹中天・竜・夜叉・阿修羅等、皆得↢歓悦↡。」

○真仏土釈 2 引文 A 経説  平等覚経

【6】 ¬*りょう清浄しょうじょうびょうどうがくきょう¼ (二) *帛延はくえんやく にのたまはく、 「速疾そくしつえて、 すなはち安楽あんらくこくかいいたるべし。 *りょうこうみょういたりて、 しゅぶつようす」 と

¬无量清浄平等覚経¼帛延 言。「速疾超便可↠到↢ 安楽国之世界↡。 至↢无量光朙土↡ 供↣養於↢无数仏↡。」

○真仏土釈 2 引文 A 経説  大阿弥陀経

【7】 ¬*仏説ぶっせつ*諸仏しょぶつ弥陀みださん三仏さんぶつ薩楼さるぶつだん過度かど人道にんどうきょう¼ (上) *けんやく にのたまはく、 「ぶつののたまはく、 ª弥陀みだぶつこうみょう最尊さいそん第一だいいちにしてならびなし。 諸仏しょぶつこうみょうみなおよばざるところなり。 八方はっぽうじょう*おうしゅ諸仏しょぶつのなかに、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうしちじょうらすあり。 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょういちらすあり。 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくまん仏国ぶっこくらすありº と

諸仏 ¬開元かいげんろく¼ 巻三に示された経名にはこの二字がある。 ¬浄土和讃¼ (六〇) の異本左訓には、 ¬諸仏阿弥陀…¼ の経名を釈して 「弥陀を諸仏とまうす。 過度人道 (経) のこころなり」 とある。

¬仏説諸仏阿弥陀三那三仏薩楼仏檀過度人道経¼ 友謙言。「仏言。阿弥陀仏光朙、最尊第一无↠比、諸仏光朙皆所↠不↠及也。八方・上下、无央数諸仏中、有↣仏頂中光朙照↢七丈↡、有↣仏頂中光朙照↢一里↡、 有↣仏頂中光朙照↢二百万仏国↡。

ぶつののたまはく、 ªもろもろの八方はっぽうじょうおうしゅぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうえんしょうするところ、 みなかくのごとくなり。 弥陀みだぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうえんしょうするところ、 千万せんまん仏国ぶっこくなり。 諸仏しょぶつこうみょうらすところに近遠ごんおんあるゆゑはいかんとなれば、 もとそれ*ぜん宿命しゅくみょうに、 *どうもとめてさつたりしとき所願しょがんどくおのおのおのづからだいしょうあり。 それしかうしてのちぶつになるときいたりて、 おのおのみづからこれをたり。 このゆゑにこうみょううたた同等どうとうならざらしむ。 諸仏しょぶつじん同等どうとうなるならくのみと。 *ざいこころ所欲しょよく作為さいしてあらかじめはからず。 弥陀みだぶつこうみょうらすところ最大さいだいなり。 諸仏しょぶつこうみょうみなおよぶことあたはざるところなりº と

前世の宿命 過去世の境涯。
 仏果。 仏のさとり。
自在の意の所欲 諸仏それぞれの心のままの願。

仏言。諸八方・上下、无央数仏頂中光朙所↢炎照↡、皆如↠是也。阿弥陀仏頂中光朙所↢炎照↡千万仏国。所↣以諸仏光朙所↠照有↢近遠↡者何、本其前世宿命、求↠道為↢菩薩↡、照↢所願↡功徳各自有↢大小↡。至↢其然後作↠仏時↡、各自得↠之。是故令↣光朙転不↢同等↡、諸仏威神同等耳。自在意所欲、作為不↢予計↡。阿弥陀仏光朙所↠照最大、諸仏光朙皆所↠不↠能↠及也。

ぶつ弥陀みだぶつこうみょう極善ごくぜんなることを*しょうしたまふ。 ª弥陀みだぶつこうみょう極善ごくぜんにして、 ぜんのなかのみょうこうなり。 それこころよきことならびなし、 *絶殊ぜっしゅごくなり。 弥陀みだぶつこうみょうしょうけつにして*瑕穢かえなく欠減けつげんなきなり。 弥陀みだぶつこうみょう殊好しゅこうなること、 日月にちがつみょうよりもすぐれたることひゃくせんおくまんばいなり。 諸仏しょぶつこうみょうのなかのごくみょうなり、 こうみょうのなかの極好ごくこうなり、 こうみょうのなかのごく雄傑おうけつなり、 こうみょうのなかのぜんなり、 諸仏しょぶつのなかのおうなり、 こうみょうのなかの極尊ごくそんなり、 こうみょうのなかのさいみょうごくなり。 もろもろのしゅてん*ゆうみょうところえんしょうするに、 みなつねにだいみょうなり。 しょ人民にんみん*けん*蠕動ねんどうたぐい弥陀みだぶつこうみょうざることなきなり。 たてまつるもの、 しんかんせざるものなけん。 けんしょ*いんいつ*しん愚痴ぐちのもの、 弥陀みだぶつこうみょうたてまつりて、 ぜんをなさざるはなきなり。 もろもろの*ない*きんしゅ*辟茘へきれい*こうりょうごんところにありて、 弥陀みだぶつこうみょうたてまつれば、 いたりてみな休止くしして、 またすることをざれども、 してのち憂苦うくだつすることをざるものはなきなり。 弥陀みだぶつこうみょうみなとは、 八方はっぽうじょうぐうごくおうしゅ諸仏しょぶつくにかしめたまふ。 諸天しょてん人民にんみんもんせざることなし。 もんせんもの、 *だつせざるはなきなりº と

称誉 ほめたたえること。
絶殊無極 すぐれて極まりないこと。
瑕穢 きずとけがれ。
幽冥の処 暗い世界、 すなわち地獄・餓鬼がきちくしょうの三塗 (さん悪道まくどう) のこと。
婬泆 みだらな欲望。 貪欲のこと。 →貪欲とんよく
瞋怒 瞋恚のこと。 →しん
狩 獣のこと。 →ちくしょう
辟茘 梵語プレータ (preta) の音写。 餓鬼のこと。 →餓鬼がき
考掠 打ち奪いとること。
度脱 だつに同じ。 迷いの世界をわたり、 そこから脱すること。

仏称↢誉阿弥陀仏光朙極善↡。阿弥陀仏光朙、極善善中朙好。其快无↠比、絶殊无極也。阿弥陀仏光朙、清潔无↢瑕穢↡、无↢欠咸↡也。阿弥陀仏光朙、殊好勝↠於↢日月之朙↡、百千億万倍。諸仏光朙中之極朙也。光朙中之極好也。光朙中之極雄傑也。光朙中之快善也。諸仏中之王也。光朙中之極尊也。光朙中之最朙无極也。炎↢照諸无数天下幽冥之処↡、皆常大朙。諸有人民・蜎飛・蠕動之類、莫↠不↠見↢阿弥陀仏光朙↡也。見者、莫↧不↢慈心歓喜↡者↥。世間諸有婬泆・瞋怒・愚痴者、見↢阿弥陀仏光朙↡、莫↠不↠作↠善也。諸在↢泥梨・狩・辟茘・考掠・勤苦之処↡、見↢阿弥陀仏光朙↡、至皆休止不↠得↢復治↡、死後莫↧不↠得↣解↢脱憂苦↡者↥也。阿弥陀仏光朙名、聞↢八方・上下、无窮无極无央数諸仏国↡。諸天人民莫↠不↢聞知↡、聞知者莫↠不↢度脱↡也。

ぶつののたまはく、 ªひとりわれ、 弥陀みだぶつこうみょうしょうするのみにあらざるなり。 八方はっぽうじょうおうしゅぶつ*びゃくぶつさつ*阿羅あらかんしょうするところみなかくのごとしº と

仏言。不↣独我称↢誉阿弥陀仏光朙↡也、八方・上下、无央数仏・辟支仏・菩薩・阿羅漢所↢称誉↡、皆如↠是。

ぶつののたまはく、 ªそれ人民にんみん善男ぜんなんぜん女人にょにんありて弥陀みだぶつみなきて、 こうみょうしょうして、 ちょうにつねにその*光好こうごうしょうして、 こころいたして断絶だんぜつせざれば、 こころ所願しょがんにありて、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすº」 と

光好 こうみょうのすばらしさ。

仏言。其有↢人民、善男子・善女人↡、聞↢阿弥陀仏声↡、称↢誉光朙↡、朝暮常称↢誉其光好↡、至↠心不↢断絶↡、在↢心所願↡、往↢生阿弥陀仏国↡。」

○真仏土釈 2 引文 A 経説  不空羂索経

【8】 ¬*くうけんじゃく神変じんぺん真言しんごんぎょう¼ にのたまはく、 「なんぢ*とうしょうところは、 これ弥陀みだぶつ清浄しょうじょう*ほうなり。 れんより*しょうして、 つねに諸仏しょぶつたてまつる。 もろもろの*法忍ほうにんしょうせん。 寿じゅみょうりょうひゃくせん劫数こうしゅならん。 ただちに*のく多羅たらさんみゃくさんだいいたる、 また退転たいてんせず。 われつねに*ゆうす」 と

当生の処 未来に生れるべきところ。
法忍 忍は認可けつじょうの意で、 真理をはっきりと確かめて受け入れること。
祐護 たすけまもること。

¬不空羂索神変真言経¼言。「汝当生処、是阿弥陀仏清浄報土。蓮華化生、常見↢諸仏↡、証↢諸法忍↡。寿命无量百千劫数。直至↢阿耨多羅三藐三菩提↡、不↢復退転↡、我常祐護。」

○真仏土釈 2 引文 A 経説  涅槃経

1. 四相品

【9】 ¬*はんぎょう¼ (*四相品) にのたまはく、 「ªまただつづけて*虚無こむといふ。 虚無こむはすなはちこれだつなり、 だつはすなはちこれ如来にょらいなり、 如来にょらいはすなはちこれ虚無こむなり、 *非作ひさしょなり。 しんだつしょうめつなり、 このゆゑにだつはすなはちこれ如来にょらいなり。 如来にょらいまたしかなり。 しょうめつろう不死ふし不破ふは不壊ふえにして*有為ういほうにあらず。 このをもつてのゆゑに、 づけて如来にょらいにゅうだいはんといふ。 まただつ*じょうじょうづく。 じょうじょうはすなはちしんだつなり、 しんだつはすなはちこれ如来にょらいなり。 もしのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうずることををはりて、 *あい無疑むぎなり。 あい無疑むぎはすなはちしんだつなり、 しんだつはすなはちこれ如来にょらいなり。 如来にょらいはすなはちこれはんなり、 はんはすなはちこれじんなり、 じんはすなはちこれ*ぶっしょうなり、 ぶっしょうはすなはちこれ*けつじょうなり、 けつじょうはすなはちこれのく多羅たらさんみゃくさんだいなりº と

虚無 はんの異名。 とらわれるべき実体のない無のこと。 絶対平等無差別のさとりの境地。
非作の所作 人間の分別を離れ、 あるがままにおのずとなされたはたらき。
無上上 涅槃の異名。 この上もなくすぐれているという意。
無愛無疑 愛着、 疑念のぼんのうがないこと。
決定 絶対究極の安定。

¬涅槃経¼言。「又解脱者名曰↢虚无↡。虚无即是解脱、解脱即是如来、如来即是虚无、非作所作真解脱者不生不滅、是故解脱即是如来。如来亦爾。不生不滅、不老不死、不破不壊、非↢有為法↡。以↢是義↡故、名曰↢如来入大涅槃↡。又解脱者名↢无上上↡、无上上者即真解脱、真解脱者即是如来。若得↠成↢於阿耨多羅三藐三菩提↡已、无愛无疑。无愛无疑即真解脱、真解脱者即是如来。如来者即是涅槃、涅槃者即是无尽、无尽者即是仏性、仏性者即是決定、決定者即是阿耨多羅三藐三菩提。

 *しょうさつぶつにまうしてまうさく、 ª*そん、 もしはんぶっしょうけつじょう如来にょらいと、 これ*いちみょうならば、 いかんぞきてさん帰依きえありとのたまへるやº と

一義名 同じ意味をあらわす言葉。

迦葉菩薩白↠仏言。世尊、若涅槃仏性決定如来、是一義名、云何説言↠有↢三帰依↡。

ぶつしょうげたまはく、 ª善男ぜんなん一切いっさいしゅじょうしょう*怖畏ふいするがゆゑにさんもとむ。 さんをもつてのゆゑに、 すなはちぶっしょうけつじょうはんとをるなり。 善男ぜんなんほう*みょういちなるあり、 ほう*みょう倶異ぐいなるあり。 みょういちとは、 *ぶつじょう*ほうじょう*比丘びくそうじょうなり。 はんくうみなまたこれじょうなり。 これをみょういちづく。 みょう倶異ぐいとは、 ぶつづけて*かくとす、 ほう*かくづく、 そうごうづく、 はんだつづく、 くう*ぜんづく、 また無礙むげづく。 これをみょう倶異ぐいとす。 善男ぜんなんさん帰依きえとはまたまたかくのごとしº」 と

怖畏 おそれること。
名一義異 言葉は同じであっても、 その意味が異なること。
名義倶異 語もその意味もともに異なること。
仏の常 仏は常住じょうじゅうで、 しょうめつ変化しないという意。
法の常 真理は永遠であるという意。
比丘僧の常 教団が永続するという意。
 覚者の意。
不覚 真理はさとるものではなく、 さとられるものであるので不覚という。
非善 善悪という相対的なものを超えているという意。

仏告↢迦葉↡。善男子、一切衆生、怖↢畏生死↡故、求↢三帰↡。以↢三帰↡故、則知↢仏性決定涅槃↡。善男子、有↢法名一義異↡、有↢法名義倶異↡。名一義異者、仏常法常比丘僧常。涅槃虚空、皆亦是常。是名↢名一義異↡。名義倶異者、仏名為↠覚、法名↢不覚↡、僧名↢和合↡、涅槃名↢解脱↡、虚空名↢非善↡、亦名↢无↡。是為↢名義倶異↡。善男子、三帰依者、亦復如↠是。」

2. 四依品

【10】またのたまはく (涅槃経・*四依品)、 「こうみょう*羸劣るいれつづく。 羸劣るいれつとはづけて如来にょらいといふ。 またこうみょうづけて智慧ちえとす」 と

不羸劣 疲れず衰えないという意で、 阿弥陀仏の徳をあらわす。

又言。「光朙者名↢不羸劣↡、不羸劣者名曰↢如来↡。又光朙者名為↢智慧↡。」

3. 聖行品

【11】またのたまはく (同・*聖行品)、 「善男ぜんなん一切いっさい*有為ういはみなこれじょうなり。 *くう*無為むいなり、 このゆゑにじょうとす。 *ぶっしょう無為むいなり、 このゆゑにじょうとす。 くうはすなはちこれぶっしょうなり、 ぶっしょうはすなはちこれ如来にょらいなり、 如来にょらいはすなはちこれ無為むいなり、 無為むいはすなはちこれじょうなり、 じょうはすなはちこれほうなり、 ほうはすなはちこれそうなり、 そうはすなはち無為むいなり、 無為むいはすなはちこれじょうなり」 と

又言。「善男子、一切有為、皆是无常。虚空无為、是故為↠常。仏性无為、是故為↠常。虚空者即是仏性、仏性者即是如来、如来者即是无為、无為者即是常、常者即是法、法者即是僧、僧即无為、无為者即是常。

 「善男ぜんなん、 たとへばうしより*にゅういだす、 にゅうより*らくいだす、 らくより*しょういだす、 しょうより*じゅくいだす、 じゅくより*だいいだす。 だいさいじょうなり。 もしぶくすることあるものは、 しゅびょうみなのぞこる。 しょのもろもろのくすり、 ことごとくそのなかにるがごとし。 善男ぜんなんぶつもまたかくのごとし。 ぶつより*じゅうきょういだす、 じゅうきょうより*しゅ多羅たらいだす、 しゅ多羅たらより*ほうどうきょういだす、 方等ほうどうきょうより*般若はんにゃ波羅はらみついだす、 般若はんにゃ波羅はらみつよりだいはんいだす。 なほしだいのごとし。 だいといふはぶっしょうたとふ、 ぶっしょうはすなはちこれ如来にょらいなり。 善男ぜんなん、 かくのごときののゆゑに、 きて ª如来にょらいしょどくりょうへん*しょうº とのたまへり」 と

乳・酪・生蘇・熟蘇・醍醐 五味ごみのこと。 牛乳より最上の美味である醍醐をつくる精製の順序。 ¬はんぎょう¼ では醍醐味は涅槃に比定される。 天台てんだいしゅうでは五味を順に五時に配当し、 教判として用いる。
方等経 方等経典のこと。 →方等ほうどうきょうてん
不可称計 思いはかることができないという意。

善男子、譬如↧従↠牛出↠乳、従↠乳出↠酪、従↠酪出↢生蘇↡、従↢生蘇↡出↢熟蘇↡、従↢熟蘇↡出↢醍醐↡、醍醐最上、若有↠服者衆病皆除、所有諸薬、悉入↦其中↥。善男子、仏亦如↠是。従↠仏出↢十二部経↡、従↢十二部経↡出↢修多羅↡、従↢修多羅↡出↢方等経↡、従↢方等経↡出↢般若波羅蜜↡、従↢般若波羅蜜↡出↢大涅槃猶↡。如↢醍醐↡。言↢醍醐↡者喩↢於仏性↡、仏性者即是如来。善男子、如↠是義故、説言↢如来所有功徳、无量无辺不可称計↡。」

4. 梵行品(1)

【12】またのたまはく (涅槃経・*梵行品)、 「善男ぜんなんどうしゅあり。 ひとつにはじょうふたつにはじょうなり。 だいそうにまたしゅあり。 ひとつにはじょうふたつにはじょうなり。 はんもまたしかなり。 *どうどうづけてじょうとす、 *内道ないどうどうはこれをづけてじょうとす。 しょうもん縁覚えんがくしょだいづけてじょうとす、 さつ諸仏しょぶつしょだい、 これをづけてじょうとす。 だつづけてじょうとす、 ないだつはこれをづけてじょうとすと。 善男ぜんなんどうだいおよびはんと、 ことごとくづけてじょうとす。 一切いっさいしゅじょうは、 つねにりょう煩悩ぼんのうのためにおおはれて*げんなきがゆゑに、 ることをることあたはず。 しかしてもろもろのしゅじょうんとおもふがために*かいじょうしゅす。 しゅぎょうをもつてのゆゑに、 どうだいとおよびはんとをる。 これを*さつ得道とくどうだいはんづく。 どう*しょうそうじつしょうめつなり。 このをもつてのゆゑにそくすべからず。 *どう*色像しきぞうなしといへどもつべし、 *称量しょうりょうしてんぬべし、 しかるにじつ*ゆうありと。 しゅじょうしんのごときは、 これしきにあらず、 ちょうにあらずたんにあらず、 にあらずさいにあらず、 ばくにあらずにあらず、 けんにあらずといへども、 ほうとしてまたこれなり」 と

内道 仏教のこと。
慧眼 智慧ちえの眼。
戒定慧 三学 (仏道修行者が修めるべき三種の基本的な修学) のこと。 戒を持つ戒学、 ぜんじょうを修める定学、 真理をみきわめる慧学。
菩薩の得道菩提涅槃と名づく 菩薩が道と菩提と涅槃とを得るという意。
性相 性は本質、 本性、 相は形相 (すがたかたち)。
道は色像…知んぬべし 通常は 「道は色像の見るべく、 称量して知るべきなしといへども」 と読む。
色像 すがたかたち。
称量 思いはかること。
 はたらき。

又言。「善男子、道有↢二種↡。一者常、二者无常。菩薩之相亦有↢二種↡。一者常、二者无常、涅槃亦爾。外道道、名為↢无常↡、内道道者、名↠之為↠常。声聞・縁覚所有菩提、名為↢无常↡、菩薩・諸仏所有菩提、名↠之為↠常。外解脱者、名為↢无常↡、内解脱者、名↠之為↠常。善男子、道与↢菩提及以涅槃↡、悉名為↠常。一切衆生、常為↢无量煩悩↡所↠覆、无↢慧眼↡故、不↠能↠得↠見。而諸衆生、為↠欲↠見↠修↢戒・定・慧↡、以↢修行↡故、見↢道菩提及以涅槃↡。是名↢菩薩得道菩提涅槃↡。道之性相、実不生滅、以↢是義↡故、不↠可↢投持↡。{乃至}道者雖↠无↢色像↡可↠見、称量可↠知、而実有↠用。{乃至}如↢衆生心↡、雖↧非↢是色↡、非↠長非↠短、非↠麁非↠細、非↠縛非↠解、非↞見、法而亦是有。」

5. 徳王品(1)

【13】またのたまはく (涅槃経・*徳王品)、 「善男ぜんなん*大楽だいらくあるがゆゑにだいはんづく。 はん*らくなり。 *らくをもつてのゆゑにだいはんづく。 なんらをかつとする

大楽 普遍絶対なる大安楽。
無楽 ぼんの苦楽を超えた無苦無楽の境地。
四楽 断受楽、 寂静じゃくじょう楽、 覚知楽、 不壊楽の四をいう。

又言。「善男子、有↢大楽↡故名↢大涅槃↡。涅槃无楽、以↢四楽↡故、名↢大涅槃↡。何等為↠四。

ひとつには*諸楽しょらくだんずるがゆゑに。 らくだんぜざるは、 すなはちづけてとす。 もしあらば大楽だいらくづけず。 らくだんずるをもつてのゆゑに、 すなはちあることなけん。 無苦むくらくをいまし大楽だいらくづく。 はんしょう無苦むくらくなり。 このゆゑにはんづけて大楽だいらくとす。 このをもつてのゆゑにだいはんづく。 またつぎ善男ぜんなんらくしゅあり、 ひとつにはぼんふたつには諸仏しょぶつなり。 ぼんらく*じょうはいなり、 このゆゑにらくなり。 諸仏しょぶつじょうらくなり、 *変易へんやくあることなきがゆゑに大楽だいらくづく。 またつぎ善男ぜんなん三種さんしゅ*じゅあり。 ひとつにはじゅふたつには楽受らくじゅつには不苦ふくらくじゅなり。 不苦ふくらくこれまたとす。 はん不苦ふくらくおなじといへども、 しかるに大楽だいらくづく。 大楽だいらくをもつてのゆゑにだいはんづく

諸楽 世間のさまざまな楽。
無常敗壊 常住じょうじゅうでなく、 こわれるもの。
変易 変化すること。
 五蘊の一。 →うん

一者断↢諸楽↡故。不↠断↠楽者則名為↠苦、若有↠苦者不↠名↢大楽↡。以↠断↠楽故則无↠有↠苦、无苦无楽乃名↢大楽↡。涅槃之性无苦无楽、是故涅槃名為↢大楽↡。以↢是義↡故、名↢大涅槃↡。復次善男子、楽有↢二種↡、一者凡夫、二者諸仏。凡夫之楽无常敗壊、是故无楽。諸仏常楽、无↠有↢変易↡故、名↢大楽↡。復次善男子、有↢三種受↡、一者苦受、二者楽受、三者不苦不楽受。不苦不楽是亦為↠苦。涅槃雖↠同↢不苦不楽↡、然名↢大楽↡。以↢大楽↡故、名↢大涅槃↡。

ふたつには*だい寂静じゃくじょうのゆゑにづけて大楽だいらくとす。 はんしょうこれだい寂静じゃくじょうなり。 なにをもつてのゆゑに、 一切いっさい*かいにょうほうおんせるゆゑに。 だいじゃくをもつてのゆゑにだいはんづく

大寂静 煩悩ぼんのうを消滅して得られる絶対の平安の境地。
憒鬧の法 身心を乱し、 悩ませ、 苦しませる悪しきもの。 煩悩のさわぎ。

二者大寂静故、名為↢大楽↡。涅槃之性是大寂静。何以故、遠↢離一切憒鬧法↡故。以↢大寂↡故、名↢大涅槃↡。

つには*一切いっさいのゆゑにづけて大楽だいらくとす。 一切いっさいにあらざるをば大楽だいらくづけず。 諸仏しょぶつ如来にょらいは、 一切いっさいのゆゑにづけて大楽だいらくとす。 大楽だいらくをもつてのゆゑにだいはんづく

一切智 すべてのことがらの真実を知る智慧ちえ

三者、一切智故、名為↢大楽↡、非↢一切智↡不↠名↢大楽↡。諸仏如来、一切智故名為↢大楽↡。以↢大楽↡故名↢大涅槃↡。

つにはしん不壊ふえのゆゑにづけて大楽だいらくとす。 しんもしすべきは、 すなはちらくづけず。 如来にょらいしん金剛こんごうにしてなし。 煩悩ぼんのうしんじょうしんにあらざるがゆゑに大楽だいらくづく。 大楽だいらくをもつてのゆゑにだいはんづく」 と

四者身不壊故、名為↢大楽↡。身若可↠壊、則不↠名↠楽。如来之身金剛无↠壊、非↢煩悩身、无常之身↡故、名↢大楽↡。以↢大楽↡故、名↢大涅槃↡。」

6. 徳王品(2)

【14】またのたまはく (涅槃経・*徳王品)、 「不可ふか称量しょうりょう不可ふか思議しぎなるがゆゑに、 づけて大般だいはつはんとすることを純浄じゅんじょうをもつてのゆゑにだいはんづく。 いかんが純浄じゅんじょうなる。 じょうしゅあり。 なんらをかつとする

又言。「不可称量不可思議故、得↢名為↢大般涅槃↡。以↢純浄↡故名↢大涅槃↡。云何純浄。浄有↢四種↡、何等為↠四。

ひとつには*じゅうづけてじょうとす。 よくながだんずるがゆゑに、 づけてじょうとすることをじょうはすなはちはんなり。 *かくのごときのはん、 またにしてこれはんづくることをじつにこれにあらず。 諸仏しょぶつ如来にょらいぞくしたがふがゆゑにはんなりときたまへり。 たとへばにんの、 ちちにあらざるをちちといひ、 ははにあらざるをははといふ、 じつ父母ぶもにあらずして父母ぶもといふがごとし。 はんもまたしかなり。 ぞくしたがふがゆゑに、 *きて諸仏しょぶつにしてだいはんなりとのたまへり

かくのごときの涅槃…有にあらず 通常は 「かくのごとく涅槃もまた有と名づくることを得れども、 しかもこの涅槃は実にこれ有にあらず」 と読む。
説きて諸仏…とのたまへり 通常は 「説きて諸仏に大涅槃有りといふ」 と読む。

一者二十五有名為↢不浄↡、能永断故、得↢名為↟浄。浄即涅槃。如↠是涅槃、亦得↠名↢有而是涅槃↡、実非↢是有↡。諸仏如来随↢世俗↡故、説↢涅槃有↡。譬如↧世人非↠父、言↠父、非↠母言↠母。実非↢父母↡而言↦父母↥。涅槃亦爾。随↢世俗↡故、説言↢諸仏有大涅槃↡。

ふたつには*ごう清浄しょうじょうのゆゑに。 一切いっさいぼんごうは、 清浄しょうじょうのゆゑにはんなし。 諸仏しょぶつ如来にょらいごう清浄しょうじょうのゆゑに、 ゆゑにだいじょうづく。 だいじょうをもつてのゆゑにだいはんづく

業清浄 仏のはたらきには少しも煩悩ぼんのうがまじらないから清浄であること。

二者業清浄故。一切凡夫業、不清浄故无↢涅槃↡。諸仏如来、業清浄故、故名↢大浄↡。以↢大浄↡故、名↢大涅槃↡。

つにはしん清浄しょうじょうのゆゑに。 しんもしじょうなるをすなはちじょうづく。 如来にょらいしんじょうなるがゆゑにだいじょうづく。 だいじょうをもつてのゆゑにだいはんづく

三者身清浄故。身若无常則名↢不浄↡、如来身常故名↢大浄↡。以↢大浄↡故名↢大涅槃↡。

つにはしん清浄しょうじょうのゆゑに。 心もし有漏うろなるをづけてじょうといふ。 仏心ぶっしん無漏むろなるがゆゑにだいじょうづく。 だいじょうをもつてのゆゑにだいはんづく。 善男ぜんなん*これを善男ぜんなんぜん女人にょにんづく」 と

これを善男子… ¬はんぎょう¼ の原文には 「これを善男子善女人かくのごとく大涅槃経を修業して初分のどくを具足し成就すと名づく」 とあるが、 語を省略することによって、 大涅槃を得るものを善男子、 善女人と名づくというように転意したのである。

四者心清浄故。心若有漏名曰↢不浄↡、仏心无漏故名↢大浄↡。以↢大浄↡故名↢大涅槃↡。善男子、是名↢善男子・善女人↡。」

7. 徳王品(3)

【15】またのたまはく (涅槃経・*徳王品)、 「善男ぜんなん諸仏しょぶつ如来にょらい煩悩ぼんのうおこらず、 これをはんづく。 しょ智慧ちえほうにおいて無礙むげなり、 これを如来にょらいとす。 *如来にょらいはこれ*ぼん*しょうもん*縁覚えんがく*さつにあらず、 これを*ぶっしょうづく。 如来にょらい身心しんしん智慧ちえりょうへんそう遍満へんまんしたまふに、 しょうするところなし、 これを*くうづく。 如来にょらい常住じょうじゅうにして変易へんやくあることなければ、 づけて*実相じっそうといふ。 このをもつてのゆゑに、 如来にょらいじつ*ひっきょうはんにあらざる、 *これをさつづく」 と

畢竟涅槃にあらざる 如来は絶えずしょうの迷いの世界で活動するから、 涅槃にとどまらないという意。
これを菩薩と名づく ¬はんぎょう¼ の原文には 「これを菩薩、 大涅槃微妙の経典を修して、 第七どくを具足し成就すと名づく」 とあるが、 語を省略することによって、 従果降因の還相の徳をあらわそうとしたのであろう。 →還相げんそう

又言。「善男子、諸仏如来煩悩不↠起、是名↢涅槃↡。所有智慧、於↠法无、是為↢如来↡。如来非↢是凡夫・声聞・縁覚・菩薩↡、是名↢仏性↡。如来身心智慧、徧↢満无量无辺阿僧祇土↡、无↠所↢鄣↡、是名↢虚空↡。如来常住无↠有↢変易↡、名曰↢実相↡。以↢是義↡故、如来実不↢畢竟涅槃↡、是名↢菩薩↡。」

8. 迦葉品(1)

【16】またのたまはく (同・*迦葉品)、 「*しょうさつまうさく、 ªそんぶっしょうじょうなり、 なほくうのごとし。 なんがゆゑぞ如来にょらいきてらいとのたまふやと。 如来にょらい、 もし*一闡いっせんだいともがら善法ぜんぽうなしとのたまはば、 一闡いっせんだいともがら、 それ同学どうがくどう父母ぶも親族しんぞくさいにおいて、 あにまさに*愛念あいねんしんしょうぜざるべきや。 もしそれしょうぜば、 これぜんにあらずやº と

愛念の心 愛する心。

又言。「迦葉菩薩言。世尊、仏性者常、猶如↢虚空↡。何故如来説言↢未来↡。如来若言↣一闡提輩无↢善法↡者、一闡提輩於↢其同学・同師・父母・親族・妻子↡、豈当↠不↠生↢愛念心↡邪。如其生者、非↢是善↡乎。

ぶつののたまはく、 ªいかないかな、 善男ぜんなんこころよくこのといほっせり。 ぶっしょうはなほくうのごとし、 過去かこにあらず、 らいにあらず、 現在げんざいにあらず。 一切いっさいしゅじょう三種さんしゅしんあり、 いはゆる過去かこらい現在げんざいなり。 しゅじょうらいしょうごん清浄しょうじょうしんそくして、 ぶっしょうることをん。 このゆゑにわれぶっしょうらいといへり。 善男ぜんなん、 あるいはしゅじょうのために、 あるときはいんきてとす、 あるときはきていんとす。 このゆゑにきょうのなかに*みょうきてじきとす、 *しきそくづく。 らいしんじょうなるがゆゑにぶっしょうくº と

命を説きて食とす 食することによって生命を維持するから、 食が因、 生命は果であるが、 「食物が生命」 と語るように果の生命を因の食といいあらわす。
色を見て触と名づく 色 (物質) は触 (根・境・識の三者の接触によって感覚や知覚の認識作用が生ずること) によって存在を認められるから、 触が因で色が果であるが、 物質を 「触れるもの」 と語るように果の色を因の触といいあらわす。

仏言。善哉善哉、善男子、快発↢斯問↡。仏性者猶如↢虚空↡、非↢過去↡、非↢未来↡、非↢現在↡。一切衆生有↢三種身↡、所↠謂過去・未来・現在。衆生未来具↢足荘厳清浄之身↡、而得↠見↢仏性↡、是故我言↢仏性未来↡。善男子、或為↢衆生↡、或時説↠因為↠果、或時説↠果為↠因。是故経中説↠命為↠食、見↠色名↠触。未来身浄故説↢仏性↡。

ªそんぶつ所説しょせつのごとし。 かくのごときのもの、 なんがゆゑぞきて*一切いっさいしゅじょうしつぶっしょうとのたまへるやº と

世尊、如↢仏所説義↡、如↠是者、何故説言↢一切衆生悉有仏性↡。

ª善男ぜんなんしゅじょうぶっしょう現在げんざいなりといへども、 といふべからず。 くうのごとし。 しょうなりといへども、 現在げんざいといふことをず。 一切いっさいしゅじょうまたじょうなりといへども、 しかもこれぶっしょう常住じょうじゅうにしてへんなし。 このゆゑにわれこのきょうのなかにおいて、 «*しゅじょうぶっしょうない非外ひげにして、 なほくうのごとし» とく。 ない非外ひげにして、 それくうのごとくしてなり。 ないくうなれども、 づけていちとし、 じょうとせず。 また一切いっさいしょといふことをず。 くうはまたない非外ひげなりといへども、 しかれどももろもろのしゅじょうことごとくみなこれあり。 しゅじょうぶっしょうもまたまたかくのごとし

衆生の仏性…常とせず 通常は 「衆生の仏性は非内非外にして、 なほし虚空の非内非外なるがごとしと説く。 もしそれ虚空に内外あらば、 虚空を名づけて一とし、 常とせず」 と読む。

善男子、衆生仏性雖↢現在无↡、不↠可↠言↠无。如↢虚空↡性雖↠无、現在不↠得↠言↠无。一切衆生雖↢復无常↡、而是仏性常住无↠変。是故我於↢此経中↡、説↣衆生仏性非内非外、猶如↢虚空↡、非内非外、如↢其虚空↡有、内外者虚空、不↢名為↠一為↟常、亦不↠得↠言↢一切処有↡。虚空雖↢復非内非外↡、而諸衆生悉皆有↠之。衆生仏性亦復如↠是。

なんぢいふところの一闡いっせんだいともがらのごとし、 もし*身業しんごう*ごう*ごう*取業しゅごう*ごう*ごう*ごう、 かくのごときらのごうあれども、 ことごとくこれ邪業じゃごうなり。 なにをもつてのゆゑに、 *いんもとめざるがゆゑなり。 善男ぜんなん