おうじょうようしゅう かんじょう *尽第じんだい門半もんはん

天台てんだい*しゅりょうごんいん*沙門しゃもん*源信げんしんせん


  顕法難易
    嘆宗勧帰

【1】 ^それ*おうじょう*極楽ごくらく*教行きょうぎょうは、 *じょく*末代まつだい目足もくそくなり。 *道俗どうぞくせん、 たれかせざるものあらん。

往生極楽之教行、濁世末代之目足也。道俗貴賎、誰ラム↠帰アラム

一 Ⅰ 揀非示難

^ただし*顕密けんみつきょうぼう、 そのもんいちにあらず。 *事理じり業因ごういん、 そのぎょうこれおおし。 利智りちしょうじんひとは、 いまだかたしとなさず。 *がごときがんのもの、 あにあへてせんや。

顕密教法、其文非↠一。事理業因、其是多。利智精進之人、未↠為↠難シト。如↠豫頑魯之者、豈タヘムヤ矣。

叙撰述相
    標製示用

^このゆゑに、 *念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろん要文ようもんあつむ。 これをひらきこれをしゅするに、 さとりやすくぎょうじやすし。

↢念仏↡、聊↢経論要文↡。披↠之ルニ↠之、易↠覚↠行

一 Ⅱ 挙示章門

^べてじゅうもんあり。 わかちて三巻さんかんとなす。 いち*えん穢土えど*ごんじょうさん極楽ごくらくしょうしょうしゅ念仏ねんぶつ助念じょねん方法ほうほうろく*べつ念仏ねんぶつしち念仏ねんぶつやくはち念仏ねんぶつしょうおうじょう諸業しょごうじゅう問答もんどうりょうけんなり。

↢十門↡。分チテ↢三巻↡。一スル穢土、二スル浄土、三極楽証拠、四スル念仏、五助念方法、六別時念仏、七念仏利益、八念仏証拠、九往生諸業、十問答料簡ナリ

一 Ⅱ 結示所為

^これを座右ざうきて、 廃忘はいもう*そなへん。

↢之↡、備↢於癈忘↡矣。

正宗
  厭離穢土
    総弁標章

【2】 ^大文だいもん第一だいいちに、 えん穢土えどといふは、 それ*三界さんがいやすきことなし、 もつともえんすべし。 いまそのそうかすに、 べて七種しちしゅあり。 いち*ごく*餓鬼がきさん*ちくしょう*しゅ*にんろく*てんしち総結そうけつなり。

大文第一厭離穢土トイフ者、三界↠安キコト、最↢厭離↡。今明スニ↢其↡、総↢七種↡。一地獄、二餓鬼、三畜生、四阿修羅、五人、六天、七総結ナリ

二 Ⅰ 別釈広顕
      地獄

【3】 ^第一だいいちごくに、 またわかちて*はちとなす。 いち等活とうかつこくじょうさん衆合しゅごうきょうかんだいきょうかんろくしょうねつしちだいしょうねつはちけんなり。

第一地獄亦分チテ↠八。一等活、二黒縄、三衆合、四叫喚、五大叫喚、六焦熱、七大焦熱、八無間ナリ

二 Ⅰ ⅱ a 等活

【4】 ^はじめに*等活とうかつごくといふは、 この*えんだいした一千いっせん*じゅんにあり。 *じゅうこう一万いちまんじゅんなり。

等活地獄トイフ者、在↢於此閻浮提之下一千由旬↡。縦広一万由旬ナリ

^このなかの罪人ざいにん、 たがひにつねに害心がいしんいだけり。 もしたまたまあひれば、 りょうしゃ鹿ししへるがごとくして、 おのおのてつつめをもつてたがひにつかく。 にくすでにきて、 ただ残骨ざんこつのみあり。

罪人、互↢害心テハ、如クシテ↢猟者ルガ鹿カセギ、各↢鉄↡而互。血シシ、唯有↢残ノミ↡。

^あるいは獄卒ごくそつてつつえてつぼうりて、 こうべよりあしいたるまで、 あまねくみなくに、 身体しんたいさいすること、 なほ*沙揣しゃせんのごとし。

獄卒、手↢鉄杖・鉄↡、従↠頭至マデ↠足皆打身体破砕コト猶如↢沙揣↡。

^あるいはきはめてかたなをもつて分々ぶんぶんにくくこと、 *ちゅうしゃ魚肉ぎょにくほふるがごとし。

↢極↡分々コト↠肉、如↣廚者ルガ↢魚↡。

^りょうふうきたりてくに、 いでよみがえることもとのごとし。 *欻然こつねんとしてまたきて、 さきのごとくく。

涼風来クニギテヨミガヘルコトクシテモト欻然トシテ復起キテ、如↠前↠苦

^あるいはいはく、 くうちゅうこえありていはく、 「このもろもろの*じょう、 またひとしくよみがえるべし、 またひとしくよみがえるべし」 と。 あるいはいはく、 獄卒ごくそつてつひしをもつてちて、 となへて 「活活かつかつ」 といふ。 かくのごとき、 つぶさにじゅつすべからず。

、空↠声云、此有情可↡、シト↡。或、獄卒以↢鉄ヒシ↡打↠地、唱↢活々↡。如↠是苦、不↠可↢具↡。

^じょう、 ¬*智度ちどろん¼・¬*瑜伽ゆがろん¼・¬*しょきょうようしゅう¼ によりて、 これをせんす。

已上依↢¬智度論¼・¬瑜伽論¼・¬諸経要集¼↡、撰↠之

^*人間にんげんじゅうねんをもつて*天王てんのうてん一日いちにちいちとなして、 その寿じゅひゃくさいなり。 天王てんのうてん寿じゅをもつてこのごくいちにちいちとなして、 その寿じゅひゃくさいなり。 *せっしょうせるもの、 このなかにつ。 じょう寿じゅりょうは ¬しゃ¼ (*倶舎論) による。 *業因ごういんは ¬*しょうぼうねんぎょう¼ による。 しもろくもこれにおなじ。

↢人間五十年↡為↢四天王天一日一夜寿五百歳ナリ。以↢四天王天寿↡為↢此地獄一日一夜↡、其寿五百歳ナリ。殺生セル之者堕↢此↡。已上寿量↢¬倶舎¼↡。業因↢¬正法念経¼↡。下↠之

^¬*優婆うばそくかいきょう¼ には、 はじめのてん (四天王天)一年いちねんをもつてはじめのごく (等活地獄)にちとなせり。 下去げここれになぞらへよ。

¬優婆塞戒経ニハ¼、以↢初一年↡為↢初地獄日夜↡。下去↠之

 ^このごく*もんのほかに、 またじゅうろく*眷属けんぞく*別処べっしょあり。

地獄四門之外復有↢十六眷属別処↡。

・屎泥処

^いちでいしょ。 いはく、 きはめてあつでいあり。 そのあじはひ、 もつともにがし。 金剛こんごうくちばしあるむし、 そのなかにじゅうまんせり。 ざいにん、 なかにありてこのねっらふ。 もろもろのむしじゅしゅうして、 いちきおらふ。 かわやぶりてにくらひ、 ほねりてずいふ。

屎泥処。謂↢極屎泥↡。其味最。金剛アル虫充↢満セリ↡。罪人在↠中↢此熱屎↡。諸虫聚集一時ヒテ↠皮クラ↠肉↠骨↠髄

^むかし鹿ししころとりころせるもの、 このなかにつ。

昔殺鹿シシ↠鳥之者、堕↢此↡。

・刀輪処

^刀輪とうりんしょ。 いはく、 てつかべ*しゅうそうして、 たかじゅうじゅんなり。 みょう*ねんとして、 つねにそのなかにてり。 人間にんげんはこれにくらぶればゆきのごとし。 わづかにそのるるに、 くだくること芥子けしのごとし。 また熱鉄ねつてつあめふらすこと、 なほさかりなるあめのごとし。 また刀林とうりんあり。 そのつるぎはきはめてし。 また*もろありて、 あめのごとくしてくだる。 もろもろのまじはりいたりて、 堪忍かんにんすべからず。

刀輪処。謂壁周帀十由旬ナリ。猛火熾然トシテテリ↢其↡。人間之火レバ↠此↠雪。纔ルニ↢其↡、砕コト↢芥子↡。又雨コト↢熱鉄↡猶↢盛ナル↡。復有↢刀林↡。其ツルギ。復コト、如クシテ↠雨而下。衆苦交不↠可↢堪忍↡。

^むかしものむさぼりてせっしょうせるもの、 このなかにつ。

昔貪↠物セル之者、堕↢此↡。

・瓮熟処

^さんおうじゅくしょ。 いはく、 罪人ざいにんりててつ*もたいのなかにれて、 せんじゅくすることまめのごとし。

熟処。謂↢罪人↡入↢鉄モタヒ↡、煎コト↠豆

^むかしせっしょうしてらへるもの、 このなかにつ。

昔殺シテヘル者、堕↢此↡。

・多苦処

^多苦たくしょ。 いはく、 このごくじゅう千億せんおくしゅりょう*どくあり。 つぶさにくべからず。

多苦処。謂地獄↢十千億種无量楚毒↡。不↠可↢具↡。

^むかしなわをもつてひとしばり、 つえをもつてひとち、 ひとりてとおみちかしめ、 けわしきところよりひとおとし、 けむりふすべてひとなやまし、 しょうおそれしむ。 かくのごときの、 種々しゅじゅひとなやませるもの、 みなこのなかにつ。

昔以↠縄↠人、以↠杖↠人、駆↠人↠行↢於遠↡、従↢嶮処↡落↠人フスベ↠煙マシ↠人、令オド↢小児↠是種々マセル↠人之者、皆堕↢此↡。

・闇冥処

^あんみょうしょ。 いはく、 黒闇こくあんところにありて、 つねにあんのためにかる。 大力だいりきみょうふう金剛こんごうせんきて、 あわり、 あわくだくこと、 なほいさごらすがごとし。 熱風ねっぷうかるるに、 かたなくがごとし。

闇冥処。謂↢黒闇↡、常↢闇火↡所↠焼。大力猛風吹↢金剛山↡、コト、猶如↠散スガ↠沙。熱風ルニ↠吹、如↢利クガ↡。

^むかしひつじくちはなふさぎ、 かわらのなかにかめきてころせるもの、 このなかにつ。

フサ↢羊口・鼻↡、二カハラ之中↠亀者、堕↢此↡。

・不喜処

^ろく不喜ふきしょ。 いはく、 おおきなるえんありてちゅうぼんじょうす。 熱炎ねつえんくちばしあるとり狗犬いぬ*かんの、 そのこえ極悪ごくあくにしてはなはだ怖畏ふいすべし。 つねにきたりて*食噉じきだんす。 *骨肉こつにく狼藉ろうぜきたり。 金剛こんごうくちばしあるむしほねのなかに往来おうらいして、 そのずいらふ。

不喜処。謂↢大ナル火炎↡昼夜焚焼。熱炎アル鳥・狗犬 イヌ ・野干、其声極悪ニシテ↢怖畏食噉。骨肉狼藉。金剛アル虫骨往来、而シテラフ↢其↡。

^むかしかいき、 つづみち、 おそるべきこえをなして鳥獣ちょうじゅう殺害せつがいせるもの、 このなかにつ。

昔吹↠貝↠鼓、作↢可↡殺↢害鳥獣之者、堕↢此↡。

・極苦処

^しちごくしょ。 いはく、 嶮岸けんがんしたにありて、 つねにてっのためにかる。

極苦処。謂↢嶮岸↡、常↢鉄火↡所↠焼

^むかし*放逸ほういつにしてせっしょうせるもの、 このなかにつ。

昔放逸ニシテ殺生之者、堕↢此↡。

^じょう、 ¬しょうぼうねんぎょう¼ による。 *自余じよしょ、 ¬きょう¼ (同) のなかに説かず。

已上依↢¬正法念経¼↡。自余九処、¬経¼中不↠

二 Ⅰ ⅱ a 黒縄

【5】 ^*こくじょうごくといふは、 等活とうかつしたにあり。 *じゅうこうさきおなじ。

黒縄地獄トイフ者、在↢等活↡。縦広同↠前

^獄卒ごくそつ罪人ざいにんりて熱鉄ねつてつせて、 熱鉄ねつてつなわをもつてじゅうおう*すみうちて、 熱鉄ねつてつおのをもつてなわしたがひてく。 あるいはのこぎりをもつてき、 あるいはかたなをもつてほふりて、 ひゃく千段せんだんになして処々しょしょ散在さんざいす。 また熱鉄ねつてつなわけて、 まじよこたふることしゅなり。 罪人ざいにんりてそのなかにれしむるに、 悪風あくふうにわかきて、 その*きょうらくして、 にくき、 ほねこがして、 どくきわまりなし。

獄卒執↢罪人↡臥↢熱鉄↡、以↢熱鉄↡縦横スミウチ↠身、以↢熱鉄↡随↠縄。或↠鋸、或↠刀、作↢百千↡処々散在。又懸↢熱鉄↡、交スルコト無数ニシテ↢罪人↡令ルニ↠入↢其悪風アラ、交↢絡↡、焼↠肉、焦↠骨、楚毒無↠極

^じょう、 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)・¬智度ちどろん¼。

已上¬瑜伽¼・¬智度論¼

^また左右さうおおきなる鉄山てっせんあり。 やまうえにおのおのてつはたぼこて、 はたぼこはしてつなわり、 なわしたおお*熱鑊ねつかくあり。 罪人ざいにんりて、 てつやまはしめなわうえよりかしめ、 はるかにてつかなえおとしてくだることきわまりなし。 ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼

又左右↢大ナル鉄山↡。山タリ↢鉄ハシレリ↢鉄↢熱鑊↡。駆↢罪人↡、令↧負セテ↢鉄↡従↢縄上↡行↥、遥↢鉄カナヘ↡摧コト↠極¬観仏三昧経¼

^等活とうかつごくおよびじゅうろく*別処べっしょの、 一切いっさいのもろもろのじゅうばいしてかさねてく。 獄卒ごくそつ罪人ざいにんしゃくしていはく、

等活地獄及十六別処、一切十倍。獄卒呵↢罪人↡云

^しんはこれ第一だいいちあだなり。 このあだをもつともあくとなす。

このあだよくひとしばりて、 おくりて*えんところいたらしむ。

なんぢひとごくかれて、 *悪業あくごうのためにじきせらる。

さいきょうだいとう親属しんぞくすくふことあたはず」 と。 乃至広説

是第一ナリ↠悪
怨能↠人シム↢閻羅
汝独地獄レテ↢悪業↡所↠食
妻子兄弟等↠能↠救コト 乃至広説

^のちごくは、 おのおの、 前々ぜんぜん一切いっさいごくのあらゆるもろもろのをもつてじゅうばいしておもくること、 れいしてこれをりぬべし。 じょう、 ¬*しょうぼうねんぎょう¼

地獄、各↢前々一切地獄↡十倍コト↢例↟之已上¬正法念経¼意

^人間にんげんいっぴゃくさいをもつて*とうてん一日いちにちいちとなして、 その寿じゅいっ千歳せんざいなり。 とうてん寿じゅをもつて一日いちにちとなして、 このごく寿じゅいっ千歳せんざいなり。

↢人間一百歳↡為↢忉利天一日一夜↡、其寿一千歳ナリ↢忉利天寿↡為↢一日夜↡、地獄寿一千歳ナリ

^せっしょう*ちゅうとうせるもの、 このなかにつ。

殺生・偸盗セル之者、堕↢此↡。

・等喚受苦処

 ^また*しょあり。 等喚とうかんじゅしょづく。 いはく、 けわしききしりょうじゅんなるにきて、 熱炎ねつえんこくじょうをもつて束縛そくばくして、 けをはりて、 しかしてのちにこれをして、 てつかたなねつうえおとす。 てつほのおきばあるいぬ*噉食だんじきするところなり。 *一切いっさい身分しんぶん分々ぶんぶんぶんす。 こえとなへてかんすれども、 すくふものあることなし。

復有↢異処↡。名↢等喚受苦処↡。謂オキサカシキ無量由旬ナルニ↡、熱炎黒縄ヲモテ束縛、繋、然シテ↠之、堕↢利、熱地之上↡。鉄アル狗之所ナリ↢噉食↡。一切身分、分々分離。唱↠声吼喚ドモ、無↠有コト↢救者↡。

^むかし説法せっぽうせしに悪見あくけんろんによりてし、 一切いっさいじつにして、 一切いっさいかえりみず、 きしげてせつせるもの、 このなかにつ。

昔説法シニテシ↢悪見↡、一切不、不↠顧↢一切↡、投↠岸ヨリ者、堕↢此↡。

・畏鷲処

^またしょあり。 鷲処じゅしょづく。 あるほん*この四字しじなし。 いはく、 獄卒ごくそつつえいからかしてきゅうち、 ちゅうにつねにはしらしめ、 えん鉄刀てっとうり、 ゆみき、 はなち、 しりえしたがひてはしひ、 くだち、 これをる。

復有↢異処↡。↢畏鷲処↡。本无↢此四字↡獄卒怒レルヲシテ、昼夜↢火炎鉄刀↡、挽↠弓ハナ↠箭、随↠後オヒクダ、射↠之

^むかしものとんぜしがゆゑにひところし、 ひとしばりてじきうばひしもの、 ここにつ。 ¬しょうぼうねんぎょう¼ 略抄りゃくしょう

昔貪シガ↠物↠人、縛↠人ヒシ↠食之者、堕↡。¬正法念経¼略抄

二 Ⅰ ⅱ a 衆合

【6】 ^さん*衆合しゅごうごくといふは、 こくじょうしたにあり。 *じゅうこうさきおなじ。

衆合地獄トイフ者、在↢黒縄↡。縦広同↠前

^おお鉄山てっせんありて、 両々りょうりょうあひむかへり。 *牛頭ごず馬頭めずとうのもろもろの獄卒ごくそつ*じょうりて、 ˆ罪人ざいにんをˇ りてやまのあひだにらしむ。 このときふたつやまきたりてあわす。 身体しんたいくだくだけ、 ながれてつ。

↢鉄山↡、両々相ヒテ牛頭・馬頭等獄卒、手↢器↡、駆↠入↢山↡。是フタツ山迫。身体摧、血流↠地

^あるいはてつやまありてそらよりちて、 罪人ざいにんつに、 くだくること*沙揣しゃせんのごとし。 あるいはいわうえきていわおをもつてこれをす。 あるいはてつうすれててつきねをもつてく。

↢鉄山↡従シテ↠空而落、打↢於罪人コト↢沙揣↡。或↢石↡以↠巌↠之。或↢鉄↡以↢鉄

^極悪ごくあくごく、 ならびに熱鉄ねつてつ獅子ししろうとうのもろもろのけだものからすわしとうとりきおきたりて食噉じきだんす。 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)・¬大論だいろん¼ (大智度論)。

極悪獄鬼并熱鉄師子・虎・狼等獣、烏・鷲等鳥、競食噉¬瑜伽¼・¬大論¼

^また鉄炎てつえんくちばしあるわし、 その*はらわたりをはりてはしきて、 これを噉食だんじきす。

又鉄炎鷲、取↢其↡已オキハシ↡而噉↢食↡。

^かしこにおおきなるかわあり。 なかにてっありて、 みなことごとくゆ。 獄卒ごくそつ罪人ざいにんとらへて、 かのかわのなかにげて、 てっうえおとす。

↢大ナル河↡。中↢鉄鉤↡皆悉。獄卒トラヘ↢罪人↡、ナゲ↢彼↡、堕↢鉄鉤↡。

^またかのかわのなかにあつしゃくどうしるありて、 かの罪人ざいにんただよはす。 あるいはのはじめてづるがごときものあり。 沈没ちんもつせること、 おもいしのごときものあり。 げて、 てんかひて号哭ごうこくするものあり。 ともにあひちかづきてしかも号哭ごうこくするものあり。

又彼赤銅アリハス↢彼罪人↡。或↧身如↢日ルガ↡者↥。有↧身沈没コト↢重↡者↥。有↢挙↠手↠天而号哭者↡。有↢共キテ号哭者↡。

^ひさしくだいけて、 しゅもなく、 もなし。

↢大苦↡、↠主、無↠救

・刀葉林

^また獄卒ごくそつごくにんりて*刀葉とうようりんく。 かのはしるに、 *たんじょうにして*厳飾ごんじきにょあり。 かくのごとくをはりて、 すなはちかののぼれば、 ようかたなのごとくして、 その身肉しんにくく。 つぎにはそのすじく。 かくのごとく一切いっさいところりをはりて、 のぼることををはりて、 かのにょれば、 またにあり。

又復獄卒取↢地獄↡置↢刀葉林↡。見ルニ↢彼ハシ↡有↢好ニシテ厳飾婦女↡↠是見已、即レバ↢彼↡、樹クシテ↠刀↢其身肉↡。次ニハ↢其↡。如↠是↢割一切↡已、得↠上コトヲ↠樹、見レバ↢彼婦女↡復在↢於地↡。

^よくこびたるまなこをもつて、 かみざま罪人ざいにんて、 かくのごときごんをなさく、 「なんぢをおも因縁いんねんをもつて、 われこのところいたれり。 なんぢ、 いまなんがゆゑぞ、 きたりてわれにちかづかざる。 なんぞわれをいだかざる」 と。

↢欲↡、上↢罪人↡、作↢如↠是↡、念↠汝因縁ヲモテ、我到レリ↢此↡。汝、今何不↠来キテ↠我。何ルト↠抱↠我

^罪人ざいにんをはりて、 *欲心よくしんじょうにして、 だいにまたくだれば、 刀葉とうようかみかひて、 きこと剃刀たいとうのごとくして、 さきのごとくあまねく*一切いっさい身分しんぶんく。 すでにいたりをはりぬれば、 しかもかのにょはまたはしにあり。 罪人ざいにんをはりて、 またのぼる。

罪人見已、欲心熾盛ニシテ、次第復下レバ、刀葉向↠上キコトクシテ↢剃刀↡、如シテ↠前↢一切身分↡。既↠地ヌレバ、而婦女復在↢樹ハシ↡。罪人見已シテ復上↠樹

^かくのごとくりょうひゃく千億せんおくさいしんたぶらかされて、 かのごくのなかに、 かくのごとくてんぎょうし、 かくのごとくかるること、 邪欲じゃよくいんとなす。 ないひろく。

シテ↠是無量百千億歳、自心タブ、彼地獄シテ、如↠是転行、如↠是コト↠焼邪欲為↠因。乃至

^獄卒ごくそつ罪人ざいにんしゃくして、 きていはく、

獄卒呵↢罪人↡、説↠偈

^異人ことひとあくをなして、 異人ことひとほうくるにあらず。

みづからのごうをもつてみづからしゅじょうみなかくのごとし」 と。 ¬しょうぼうねんぎょう¼。

↣異人作↠悪異人受ルニ↢苦
ラノヲモテ得↠果衆生皆如↠是 ¬正法念経¼

^人間にんげんひゃくさいをもつて*夜摩やまてん一日いちにちとなして、 その寿じゅ千歳せんざいなり。 かのてん寿じゅをもつてこのごく一日いちにちとなして、 その寿じゅ千歳せんざいなり。 せっしょうちゅうとう*邪婬じゃいんのもの、 このなかにつ。

↢人間二百歳↡為↢夜摩天一日夜↡、其寿二千歳ナリ↢彼寿↡為一日夜↡、寿二千歳ナリ。殺生・偸盗・邪婬之者、堕↢此↡。

 ^このだいごくにまたじゅうろく*別処べっしょあり。

大地獄復有↢十六別処↡。

・悪見処

^いはく、 一処いっしょあり。 悪見あくけんしょづく。 児子にしりて、 めてじゃぎょうして、 号哭ごうこくせしめたるもの、 ここにちてく。

↢一処↡。名↢悪見処↡。取↢他児子↡、強邪行タル↢号哭↡者、堕↠此↠苦

^いはく、 罪人ざいにんみづからの児子にしれば、 ごくのなかにあり。 獄卒ごくそつ、 もしはてつつえをもつて、 もしはてつきりをもつて、 その ˆ児子にしのˇ おんのなかをす。 もしはてっをもつて、 そのおんのなかにくぎうつ。 すでにみづからののかくのごとき苦事くじて、 愛心あいしんをもつてかなしみいきたゆること堪忍かんにんすべからず。 この愛心あいしんは、 しょうにおいていふに、 じゅうろくぶんのなかにそのいちにもおよばず。

罪人見レバ児子↡、在↢地獄↡。獄卒、若↢鉄↡、若↢鉄↡、刺↢其↡。若↢鉄↡、クギウ↢其↡。既↠是苦事↡、愛心ヲモテイキタユルコト不↠可↢堪忍↡。此愛心、於テイフニ↢火焼↡十六分不↠及↢其ニモ↡。

^かのひと、 かくのごとくしんめられをはりてまたしんく。 いはく、 めんしたき、 あつあかがねしるりて、 その糞門ふんもんそそぐ。 その身内しんないるに、 その*じゅくぞうだいしょう*ちょうとうく。 だいきをはりて、 したにありてづ。 つぶさに身心しんしんくること、 りょうひゃくせんねんのなかにまず。

人如シテ↠是メサレ復受↢身苦↡。謂頭面リテ↠下↢熱モテ↡、潅↢其糞門↡。入ルニ↢其身内↡、焼↢其熟蔵・大小腹等↡。次第、在↠下而出。具コト↢身心↡、無量百千年不↠止

・多苦悩処

^また別処べっしょあり。 のうしょづく。 いはく、 おとこの、 おとこにおいてじゃぎょうぎょうぜるもの、 ここにちてく。

又有↢別処↡。名↢多苦悩↡。謂↠男↢邪行↡者、堕↠此↠苦

^いはく、 もとなんるに、 *一切いっさい身分しんぶん、 みなことごとく熱炎ねつえんあり。 きたりてそのいだくに、 一切いっさい身分しんぶん、 みなことごとくさんしぬ。 しをはりてまたよみがえり、 きはめて怖畏ふいをなして、 はしのがれてるに、 けわしききしよりち、 ほのおくちばしあるからすほのおくち*かんありて、 これを*噉食だんじきす。

ルニ↢本男子↡、一切身分皆悉熱炎ニシテクニ↢其↡、一切身分皆悉解散シヌ。死ヨミガヘリ、極ナシ↢怖畏↡、走ノガレ而去ルニツレバ↢於嶮シキヨリ↡、有↢炎アル烏、炎野干↡而噉↢食↡。

・忍苦処

^また*別処べっしょあり。 にんしょづく。 にょれるもの、 ここにちてく。

復有↢別処↡。名↢忍苦処↡。レル↢他婦女↡者、堕↠此

^いはく、 獄卒ごくそつこれをはしけて、 めんしたにあり、 あしうえにあり。 したおおきなるほのおきて一切いっさいく。 つくせばまたしょうじぬ。 しょうかんしてくちひらけば、 くちよりりて、 そのしんはい*生熟しょうじゅくぞうとうく。 きょうくがごとし。 じょう、 ¬しょうぼうねんぎょう¼ よりこれを略抄りゃくしょうす。

獄卒懸↢之ハシ↡、頭面↠下、足↢於上タキナル↡焼↢一切↡。焼復生ジヌ。唱喚↠口、火従↠口入、焼↢其心・肺・生熟蔵等↡。余↢経クガ↡。已上¬正法念経ヨリ¼略↢抄

二 Ⅰ ⅱ a 叫喚

【7】 ^*きょうかんごくといふは、 衆合しゅごうしたにあり。 *じゅうこうさきおなじ。

叫喚地獄トイフ者、在↢衆合↡。縦広同↠前

^獄卒ごくそつこうべなることこがねのごとし。 まなこのなかよりづ。 あかいろころもたり。 あしちょうだいにして、 はしることかぜのごとし。 くちよりあくしょういだして罪人ざいにんる。 罪人ざいにん*こうして、 *こうべたたきて、 あわれみをもとむ。 「ねがはくは*みんれて、 すこ放捨ほうしゃせられよ」 と。 このごんありといへども、 いよいよしんす。 ¬大論だいろん¼ (大智度論)。

獄卒、頭黄ナルコト↠金。眼ヨリ火出。著タリアカ↡。手足長大ニシテコト↠風。口ヨリ↢悪声↡而射↢罪人↡。罪人惶怖、叩↠頭↠哀。願クハ↢慈愍↡小ラレヨト↢放捨↡。雖↠有リト↢此言↡、弥↢瞋怒↡。¬大論¼

^あるいはてつぼうをもつてこうべちて熱鉄ねつてつよりしてはしらしめ、 あるいは*熱熬ねつごうきて反覆ほんぷくしてこれをあぶる。 あるいは*熱鑊ねっかくげてこれをる。 あるいはりてみょうえんてつむろる。 あるいはかなはしをもつてくちひらきて*洋銅ようどうそそぎて、 *ぞうしょうらんしてしもよりただちにいだす。 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)・¬大論だいろん¼ (大智度論)。

↢鉄↡打↠頭リシテ↢熱鉄地↡令↠走↢熱熬↡反覆↠之。或ナゲ↢熱鑊↡而煎↢煮↡。或↢猛炎↡。或カナ↠口而潅↢洋銅↡、焼↢爛五蔵↡従↠下直¬瑜伽¼・¬大論¼

^罪人ざいにんきて、 *えんにんしょうこんしていはく、

罪人説↠偈、傷↢恨閻羅人↡言

^「なんぢ、 なんぞしんなき、 またなんぞ寂静じゃくじょうならざる。

われはこれしんうつわなり。 われにおいてなんぞなき」 と。

汝何↢悲心↡復何↢寂静ナラ
是悲心モノナリ↠我キト↠悲

^ときえんにん罪人ざいにんこたへていはく、

閻羅人答↢罪人↡曰

「すでに*あいあみのためにたぶらかされて、 あくぜんごうをなして、

いま悪業あくごうほうく。 なんがゆゑぞわれをいかうらむるや」 と。

↢愛タブサレテ↢悪不善
今受↢悪業↢恨ルヤト

^またいはく、

又云

「なんぢもと悪業あくごうをなして、 *よくのためにたぶらかされき。

かのときになんぞいずして、 いまゆること、 なんのおよぶところかあらん」 と。 ¬しょうぼうねんぎょう¼。

汝本作↢悪業↢欲痴↡所タブ
シテ↠悔今悔コトカアラム↠及 ¬正法念経¼

^人間にんげんひゃくさいをもつて*率天そつてん一日いちにちとなして、 その寿じゅ千歳せんざいなり。 率天そつてん寿じゅをもつてこのごく一日いちにちとなして、 寿じゅ千歳せんざいなり。

↢人間四百歳↡為都卒天一日夜↡、其寿四千歳ナリ都卒寿↡為獄一日夜寿四千歳ナリ

^せつとういん飲酒おんじゅのもの、 このなかにつ。

殺・盗・婬・飲酒者、堕↢此↡。

 ^またじゅうろく*別処べっしょあり。

↢十六別処↡。

・火末虫処

^そのなかに一処いっしょあり。 まつちゅうづく。 むかしさけりしに、 みずくわせるもの、 このなかにつ。

↢一処↡。名↢火末虫↡。昔売シニ↠酒、加↢益↡者、堕↢此↡。

^*ひゃくびょうせり。 *風黄ふうおうりょうぞうに、 おのおのひゃくいちやまいあり。 がっしてひゃくあり。 そのいちやまいちからは、 一日いちにちにおいてよく*だいしゅうのそこばくのひとをしてみなせしむ。 またよりむしでて、 そのにくこつずいやぶりて飲食おんじきす。

↢四百四病↡。風黄冷雑、各↢百一病↡。合↢四百四↡、於↢一日夜↡能↢四大若干ソコバクヲシテ皆死↡。又自ヨリ虫出、破↢其皮・肉・骨・髄↡飲食

・雲火霧処

^また別処べっしょあり。 うん火霧かむづく。 むかしさけをもつてひとあたへて、 はしめをはりて、 *調じょうして、 これをろうして、 かれをしてしゅうせしめたるもの、 ここにちてく。

復有↢別処↡。名↢雲火↡。昔以↠酒↠人、令↠酔、調戯↠之、令タル↢彼ヲシテ羞恥之者、堕↠苦

^いはく、 ごくてることあつひゃく*ちゅうなり。 獄卒ごくそつ罪人ざいにんとらへてのなかにかしめて、 あしよりこうべいたるまで一切いっさいようしょうせしむ。 あしぐればかえりてしょうじぬ。 かくのごとくりょうひゃく千歳せんざいあたふることまず。 きょうもんのごとし。

獄火コト二百肘ナリ。獄卒↢罪人↡令↠行↢火↡、従↠足至マデニ↠頭一切洋消シム。挙レバジヌ。如↠是無量百千歳、与コト↠苦不↠止。余↢経↡。

^また獄卒ごくそつ罪人ざいにんしゃくして、 きていはく、

^ぶつみもとにして*をなし、 *しゅっやぶり、

だつくことのごとくするは、 いはゆるさけ一法いっぽうなり」 と。 ¬しょうぼうねんぎょう¼。

又獄卒呵↢罪人↡、説↠偈

↢仏↠痴ヤブ↢世出世
コト↢解脱↡如クスルハ↠火所謂一法ナリ ¬正法念経¼

二 Ⅰ ⅱ a 大叫喚

【8】 ^*だいきょうかんごくといふは、 きょうかんしたにあり。 *じゅうこうさきおなじ。 そうまたおなじ。 ただしさきごく、 およびもろもろのじゅうろく別処べっしょ一切いっさいのもろもろのじゅうばいしておもく。

大叫喚地獄トイフ者、在↢叫喚↡。縦広同↠前。苦相亦同。但地獄、及十六別処一切十倍

^人間にんげんはっぴゃくさいをもつて*楽天らくてん一日いちにちとなして、 その寿じゅはっ千歳せんざいなり。 かのてん寿じゅをもつてこのごく一日いちにちとなして、 その寿じゅはっ千歳せんざいなり。

↢人間八百歳↡為↢化楽天一日夜↡、寿八千歳ナリ。以↢彼寿↡為↢此一日夜↡、其寿八千歳ナリ

^せつとういん飲酒おんじゅ*もうのもの、 このなかにつ。

殺・盗・婬・飲酒・妄語者、堕↢此↡。

^獄卒ごくそつ罪人ざいにんしゃくして、 きていはく、

卒呵↢罪人↡、説↠偈

^もう第一だいいちなり。 なほよく大海だいかいをすらきてん。

いはんやもうにんくこと、 草木そうもくたきぎくがごとし」 と。

妄語第一ナリ尚能テム↢大海ヲスラ
クコトヲヤ↢妄語シト↠焼クガ↢草木薪

 ^また*じゅうろく別処べっしょあり。

復有↢十六別処↡。

・受鋒苦処

^そのなかの一処いっしょじゅ鋒苦ふくづく。 熱鉄ねつてつはりぜつをともにして、 啼哭ていこくすることあたはず。

一処↢受鋒苦↡。熱鉄針、口舌、不↠能↢啼哭コト↡。

・受無辺苦処

^また別処べっしょあり。 じゅへんづく。 獄卒ごくそつ熱鉄ねつてつかなはしをもつてそのしたいだす。 きをはりぬればまたしょうじ、 しょうじぬればすなはちまたく。 まなこくこともまたしかなり。 またかたなをもつてそのけずる。 かたなはなはだうすきこと、 たいとうのごとし。

復有↢別処↡。名↢受無辺苦↡。獄卒以↢熱鉄カナ↡抜↢出↡。抜ヌレバ復生ヌレバ復抜。抜コトモ亦然ナリ。復以↠刀↡。刀甚キコト↢剃頭刀↡。

^かくのごときるいのもろもろのくること、 みなこれもう*ほうなり。 きょうくがごとし。 ¬しょうぼうねんぎょう¼ 略抄りゃくしょう

コト↢如↠是異類↡、皆是妄語之果報也。余↢経クガ↡。¬正法念経¼略抄

二 Ⅰ ⅱ a 焦熱

【9】 ^ろく*しょうねつごくといふは、 だいきょうかんしたにあり。 *じゅうこうさきおなじ。

焦熱地獄トイフ者、在↢大叫喚之下↡。縦広同↠前

^獄卒ごくそつ罪人ざいにんとらへて熱鉄ねつてつうえせ、 あるいはあおむけ、 あるいはうつぶせて、 こうべよりあしいたるまで、 おおきなる熱鉄ねつてつぼうをもつて、 あるいはち、 あるいはきて、 *肉摶にくだんのごとくならしむ。 あるいは極熱ごくねつおおきなる*鉄熬てつごううえきて、 みょうえんをもつてこれをあぶる。 左右さうにこれをてんじて、 ひょうしょうはくす。

獄卒↢罪人↡臥↢熱鉄↡、或ウツブセ、従↠頭至マデ↠足、以↢大ナル熱鉄↡、或、令↠如クナラ↢肉摶↡。或↢極熱ナル鉄熬↡、猛炎ヲモテ↠之。左右↠之、表裏焼薄

^あるいはおおきなるてつくじりをもつてしもよりこれをつらぬき、 こうべとおしていだし、 反覆ほんぷくしてこれをあぶり、 かのじょうをして諸根しょこんもう、 およびくちのなかにことごとくみなほのおおこらしむ。 あるいは*熱鑊ねっかくれ、 あるいはてつ*ろうくに、 てつ猛盛みょうじょうにして骨髄こつずいとおす。 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)・¬大論だいろん¼ (大智度論)。

↢大ナルクジリ↡従↠下貫↠之、徹↠頭而出、反覆↠之↢彼有情ヲシテ諸根・毛孔、及以皆炎起↡。或↢熱鑊↡、或キテ↢鉄↡、鉄火猛盛ニシテ↢於骨髄↡。¬瑜伽¼・¬大論¼

^もしこのごくまめばかりのをもつてえんだいかば、 いちきなん。 いはんや罪人ざいにんやわらかなること*しょうのごとし。 じょうぼんじょうせんに、 あにしのぶべけんや。 このごくにんは、 さきごくのぞること、 なほ雪霜せっそうのごとし。 ¬しょうぼうねんぎょう¼。

↢此バカリ之火↡置↢閻浮提↡、一時ナム。況罪人之身カナルコト↢生蘇↡。長時焚焼スルコト、豈ケム↠忍哉。此地獄、望↢見コト地獄之火↡、猶如トオモヘリ雪霜↡。¬正法念経¼

^人間にんげんせんろっぴゃくさいをもつて*他化たけてん一日いちにちとなして、 その寿じゅまんろく千歳せんざいなり。 他化たけてん寿じゅをもつてにちとなして、 このごく寿じゅまたしかなり。

↢人間千六百歳↡為↢他化天一日夜↡、其寿万六千歳ナリ他化天寿↡為↢日夜↡、寿亦然ナリ

^せつとういん飲酒おんじゅもう邪見じゃけんのもの、 このなかにつ。

殺・盗・婬・飲酒・妄語・邪見之者、堕↢此↡。

 ^*もんのほかにまたじゅうろく*別処べっしょあり。

四門之外復有↢十六別処↡。

・分荼離迦処

^そのなかに一処いっしょあり。 *ふん荼離だりづく。 いはく、 かの罪人ざいにん*一切いっさい身分しんぶんに、 芥子けしばかりもえんなきところなし。 ごくにん、 かくのごとくきていはく、 「なんぢ、 くすみやかにきたれ。 なんぢ、 くすみやかにきたれ。 ここにふん荼離だりいけあり。 みずありてみつべし、 はやしじゅんえいあり」 と。

↢一処↡。名↢分荼離迦↡。謂罪人一切身分、無↧芥子バカリ↢火炎↡処↥。異地獄人如↠是汝、疾。汝、疾。此↢分荼離迦池↡。有↠水可↠飲ミツ、林リト↢潤影↡。

^したがひてはしおもむくに、 みちほとりあなあり。 なかにさかりなるてり。 罪人ざいにんりをはるに、 一切いっさい身分しんぶんみなことごとくきぬ。 けをはればまたしょうじ、 しょうじをはればまたく。

而走クニ、道ホトリ↠坑テタ↢中ナル↡。罪人ルニ、一切身分皆悉。焼復生復焼

^渇欲かつよくまずして、 すなはち前進すすみてりぬ。 すでにかのところれば、 ふん荼離だりほのおゆること、 高大こうだいなることひゃくじゅんなり。 かのしょうしゃせられて、 してまたよみがえる。

渇欲不シテ↠息、便前進 ススミ 。既↢彼↡、分荼離迦ナルコト五百由旬ナリ。彼焼炙ラレテ、死而復活

^もしひと、 みづから餓死がししててんうまるることをることをのぞみ、 またにんおしへて邪見じゃけんじゅうせしめたるもの、 このなかにつ。

人自餓死↠得コトヲ↠生ルルコトヲ↠天、復教↢他人↡令タル↠住↢邪見↡者、堕↢此↡。

・闇火風処

^また別処べっしょあり。 あんふうづく。 いはく、 かの罪人ざいにん悪風あくふうかれて、 くうのなかにありて、 *しょところなし。 車輪しゃりんのごとくてんじて、 るべからず。 かくのごとくてんじをはるに、 *刀風とうふうしょうじて、 くだくこといさごのごとくして、 十方じっぽう分散ふんさんす。 さんじをはればまたしょうじ、 しょうじをはればまたさんず。 つねにかくのごとし。

復有↢別処↡。名↢闇火風↡。謂罪人悪風↠吹、在↢虚空↡、無↢所依処↡。如車輪↡疾、身不↠可↠見。如↠是ルニ、異刀風生、砕コト↠身クシテ↠沙、分↢散十方↡。散復生復散恒常 ツネ ↠是

^もしひと、 かくのごときけんをなさく、 「一切いっさい諸法しょほうに、 じょうじょうとあり。 じょうといふはなり。 じょうといふはだいなり」 と。 かの邪見じゃけんにん、 かくのごときく。 きょうくがごとし。 ¬しょうぼうねんぎょう¼。

人作↢如↠是↡、一切諸法↢常無常↡。无常トイフ者身ナリ。常トイフ者四大ナリト。彼邪見人、受↢如↠是↡。余↢経クガ↡。¬正法念経¼

二 Ⅰ ⅱ a 大焦熱

【10】^しち*だいしょうねつごくといふは、 しょうねつしたにあり。 *じゅうこうさきおなじ。 そうまたおなじ。 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)・¬大論だいろん¼ (大智度論)

大焦熱地獄トイフ者、在↢焦熱↡。縦広同↠前。苦相亦同¬瑜伽¼・¬大論¼

^ただしさきろくごく根本こんぽん*別処べっしょとの一切いっさいのもろもろのじゅうばいしてつぶさにく。 つぶさにくべからず。 その寿じゅ*はんちゅうこうなり。

地獄根本別処トノ一切十倍ルコト不↠可↢具↡。其寿、半中劫ナリ

^せつとういん飲酒おんじゅもう邪見じゃけん、 ならびにじょうかい*けがせるもの、 このなかにつ。

殺・盗・婬・飲酒・妄語・邪見并セル↢浄戒之者、堕↢此↡。

^この悪業あくごうにんは、 *ちゅうにしてだいごくそうる。

悪業、先↢中有↡見↢大地獄↡。

^*えんにんありて、 おもてみにくかたちあり。 あしきはめてあつくして、 もどろかし、 ひじいからかせり。 罪人ざいにんこれをて、 きはめておおきに*もうす。 そのこえらいのごとし。 罪人ざいにんこれをきて恐怖くふさらにす。

↢閻羅人↡ミニク状↡。手足極モドロカ↠身、怒ラカセリ。罪人見↠之、極恾怖。其声如↢雷吼↡。罪人聞↠之恐怖更

^そのかたなり、 ふくはなはだだいにして、 黒雲こくうんいろのごとし。 まなこほのおともしびのごとく、 まがれるきばほこのさきのごとくし。 ひじみなながく、 揺動ようどうしていきおひをなすに、 *一切いっさい身分しんぶん、 みなことごとく粗起そきす。 かくのごとき種々しゅじゅづべき形状ぎょうじょうをもつて、 かた罪人ざいにんのどしばる。

レリ↢利肚甚ニシテ、如↢黒雲↡。眼↠灯マガレホコサキノゴトクナリ。臂・手皆長揺動スニ↠勢、一切身分皆悉麁起。如↠是種々形状アリシバ↢罪人↡。

^かくのごとくしてること、 ろくじゅうはちひゃくせんじゅんかい洲城しゅうじょうぎて、 うみへんにあり。 またくことさんじゅうろくおくじゅんにして、 *漸々ぜんぜんしもかふことじゅうおくじゅんなり。 一切いっさいかぜのなかには、 *業風ごうふう第一だいいちなり。 かくのごとき業風ごうふう悪業あくごうにんりて、 かのところいたらしむ。

クシテ↠是コト、過↢六十八百千由旬地海洲城↡、在↢海外辺復行コト卅六億由旬シテ、漸々コト↠下十億由旬ナリ。一切ニハ風第一ナリ。如↠是業風将↢悪業↡去、到シム↢彼↡。

^すでにかしこにいたりをはりぬれば、 *えん魔羅まらおう種々しゅじゅしゃくす。 しゃくすでにおわれば、 悪業あくごうなわをもつてしばりて、 いだしてごくかはしむ。

↠彼ヌレバ閻魔羅王種々。呵責既リテ、悪業ナハヲモテ、出シテ↢地獄↡。

^とおだいしょうねつごくのあまねくおおきなるほのおゆるをる。 またごく罪人ざいにん啼哭ていこくこえく。 かなしみうれへ、 はくして、 りょうく。 かくのごとくりょうひゃくせん万億まんおくしゅ年歳ねんさい啼哭ていこくこえきて、 じゅうばいしてはくし、 しんおどろ怖畏ふいす。

↢大燋熱地獄ナルモユルヲ↡。又聞↢地獄罪人啼哭之声ヅルタマシヒアリテ、受↢無量↡。如シテ↠是無量百千万億無数年歳、聞↢啼哭↡、十倍恐魄心驚怖畏

^えんにん、 これをしゃくしていはく、

閻羅人呵↢↡言

^「なんぢごくこえくに、 すでにかくのごとく怖畏ふいす。

いかにいはんやごくにしてかるることは、 れたる薪草しんそうくがごとし。

くはこれくにあらず。 悪業あくごうすなはちこれくなり。

くはすなはちめっすべし。 ごうくをばめっすべからず」 と。

汝聞クニ↢地獄↠是怖畏
地獄ニシテコトハ↠焼クガ↢乾レタル薪草
クハ↢是焼クニ悪業乃是焼クナリ
クハシツクハ↠可

^かくのごとくねんごろにしゃくしをはりて、 ごくかふに、 おおきなる*じゅあり。 そのじゅあがれることたかひゃくじゅんなり。 そのりょう寛広かんこうなることひゃくじゅんなり。 ほのおゆることじょうなるは、 かのひとしょ悪業あくごう勢力せいりきなり。 きゅうにそのげて、 かのじゅおとすこと、 おおきなるやまきしよりしてさかしききしがごとし。 じょう、 ¬しょうぼうねんぎょう¼ よりこれをしゅ略抄りゃくしょうす。

↠是ネンゴロ、将↢地獄↡、有↢大ナル火聚↡。其ホムラレルコト五百由旬ナリ。其量寛広ナルコト二百由旬ナリ。炎ユルコト熾盛ナリレル悪業勢力ナリナゲ↢其↡堕コト↢彼火聚↡、如↣大ナルクガサガシ↡。已上¬正法念経ヨリ¼取↢意略↣抄

 ^このだいしょうねつごく*もんのほかに、 じゅうろく*別処べっしょあり。

大焦熱地獄四門之外↢十六別処↡。

・皆悉炎燃処

^そのなかに一処いっしょあり。 一切いっさいひまなく、 ないくうまで、 みなことごとく炎燃えんねんして、 はりあなばかりも炎燃えんねんせざるところなし。 罪人ざいにんのなかにこえおこしてとなさけぶ。 りょう億歳おくさい、 つねにくことまず。

↢一処↡。一切無ヒマ、乃至虚空マデ皆悉炎燃、无↧針バカリ↢炎燃↡処↥。罪人火ニシテ↠声、唱サケ。无量億歳コト不↠止

^清浄しょうじょう*優婆夷うばいおかせるもの、 このなかにつ。

↢清浄優婆夷之者、堕↢此↡。

・普受一切苦悩処

^また別処べっしょあり。 じゅ一切いっさいのうづく。 いはく、 炎刀えんとうをもつて一切いっさいかわきて、 そのにくをばおかさず。 すでにそのかわぎ、 とあひつらねてねつきて、 をもつてこれをき、 熱鉄ねつてつけるをもつてその身体しんたいそそぐ。 かくのごとくりょう億歳おくさいだいく。

復有↢別処↡。名↢普受一切苦悩↡。謂炎刀ヲモテ↢割キテ一切↡、不↠侵↢其ヲバ↡。既↢其↡、与↠身相ネテオキ↡、以↠火↠之、以↢熱鉄↡潅↢其身体↡。如シテ↠是無量億歳受↢大苦↡也。

^*比丘びくの、 さけをもつてかいにょこしらたぶらかして、 そのしんやぶりをはりて、 しかしてのちに、 ともにぎょうじ、 あるいは財物ざいもつあたへたるもの、 このなかにつ。

比丘↠酒コシラタブカシ持戒婦女↡、ヤブ↢其↡已、然シテ、或ヘタル↢財物之者、堕↢此↡。

^きょうくがごとし。 ¬しょうぼうねんぎょう¼ よりこれを略抄りゃくしょうす。

クガ↡。¬正法念経ヨリ¼略↢抄

二 Ⅰ ⅱ a 阿鼻

【11】^はち*阿鼻あびごくといふは、 だいしょうねつしたにあり。 *欲界よくかい最底さいていところなり。

阿鼻地獄トイフ者、在↢大焦熱之下↡。欲界最底之処ナリ

^罪人ざいにん、 かしこに趣向しゅこうするときに、 ちゅうくらいにして、 啼哭ていこくして、 きていはく、

罪人趣↢向↡時、先中有ニシテ、啼哭↠偈

^一切いっさいはただえんなり。 くうへんしてちゅうげんもなし。

ほうおよび*ゆいかいにもむなしきところなし。

^一切いっさい界処かいしょには、 悪人あくにんみな*遍満へんまんせり。

われいまするところなくして、 どくにして同伴どうはんなし。

^悪処あくしょやみのなかにありて、 おおきなるえんじゅりぬ。

われくうのなかにして、 にちがつしょうず」 と。

一切唯火炎ナリオホゾラ↢中間
四方及四維地界ニモ↢空シキ処↡
一切界処ニハ悪人皆遍満
我今無クシテ↠所↠帰スル孤独ニシテ↢同伴↡
↢悪処↢大ナル火炎ホムラ
我於↢虚空↠見↢日月

^とき*えんにんしんしんをもつてこたへていはく、

閻羅人以↢瞋怒↡答

^「あるいは*増劫ぞうこうあるいは*減劫げんこうに、 だいなんぢがく。

にんすでにあくをなしてき。 いまなにをもつてかゆることをなす。

^これてん*しゅ*健達けんだつ*りゅうのするにもあらず。

*ごうばくするところなり。 ひとのよくなんぢをすくふものなし。

^大海だいかいのなかに、 ただ*一掬いっきくみずらんがごとし。

この一掬いっきくのごとし、 のち大海だいかいのごとし」 と。

増劫或減劫大火焼↢汝
痴人已テキ↠悪今何テカ↠悔コトヲ
↢是天・修羅・健達婆・竜・鬼ノスルニモ
ナリ↢繋縛ケム↢人トシテコト↟汝
↧於大海ムガ↦一掬
↢一掬シト↢大海

^すでにしゃくしをはれば、 ごくかふ。 かしこをることまんせんじゅんにして、 かのごく啼哭ていこくこえきて、 じゅうばいして悶絶もんぜつす。 めんしたにあり、 あしうえにありて、 千年せんねんて、 みなしもかひてく。 ¬しょうぼうねんぎょう¼ よりこれを略抄りゃくしょうす。

リテ、将↢地獄↡。去ルコト↠彼二万五千由旬シテ、聞↢彼地獄啼哭之声↡、十倍悶絶。頭面↠下、足↢於上↡、逕↢二千年↡、皆向↠下¬正法念経ヨリ¼略↢抄

^かの阿鼻あびじょうは、 *じゅうこう八万はちまんじゅんにして、 しちじゅうてつしろ七層しちそうてつあみあり。 したじゅうはち*へだてありて、 刀林とうりん*しゅうそうせり。

阿鼻城、縦広八万由旬ナリ七重アリ、七層アリ。下↢十八隔↡刀林周帀セリ

^すみあかがねいぬあり。 たけじゅうじゅんなり。 まなこいなずまのごとく、 きばつるぎのごとく、 刀山とうせんのごとく、 したてつのごとし。 一切いっさいもうよりみなみょういだし、 そのけむりしゅうあくにしてけんたとへなし。

四角↢四アカガネ狗↡。由旬ナリ。眼イナビカリ、牙↠剣、歯↢刀山↡、舌↢鉄↡。一切毛孔ヨリ皆出↢猛火煙臭悪ニシテ、世間↠喩

^じゅうはち獄卒ごくそつあり。 こうべ*せつのごとく、 くち*しゃのごとし。 ろくじゅうまなこありて、 鉄丸てつがんほとばしらす。 まがれるきばは、 うえでたることたかじゅんきばはしよりながれて阿鼻あびじょうつ。 こうべうえはち牛頭ごずあり。 一々いちいち牛頭ごずじゅうはちつのありて、 一々いちいちつのはしよりみなみょういだす。

↢十八獄卒↡。頭↢羅刹↡、口↢夜叉↡。有↢六十四眼↡、↢散↡。カガマレタルコト四由旬ハシヨリ火流↢阿鼻城↡。頭↢八頭↡。一々牛頭↢十八角↡一々ハシ皆出↢猛火↡。

^またしちじゅうしろのうちにしち*鉄幢てつどうあり。 どうはしよりくこと、 なほせんのごとし。 そのほのおながほとばしりて、 またしろのうちにつ。

又七重↢七鉄幢↡。幢ハシコト、猶如↢沸泉↡。其炎流リテ、亦満↢城↡。

^もんとじきみうえはちじゅうかなえあり。 *どうじゅつして、 またしろのうちにつ。

四門トジキミ↢八十釜↡。沸銅涌出、亦満↢城↡。

^一々いちいちへだてのあひだに、 八万はちまんせん*鉄蟒てつもう大蛇だいじゃありて、 どくき、 きて、 しろのうちにてり。 そのへびゆること、 ひゃくせんいかずちのごとく、 だい鉄丸てつがんあめふらして、 またしろのうちにつ。

一々↢八万四千蟒・大蛇↡、吐↠毒↠火、身満↢城↡。其サケブコト、如↢百千ラシテ↢大鉄丸↡、亦満↢城↡。

^ひゃくおくむしあり。 八万はちまんせんくちばしありて、 くちばしはしよりながれ、 あめのごとくしてくだる。 このむしくだときに、 ごくいよいよさかりにして、 あまねく八万はちまんせんじゅんらす。 また八万はちまん億千おくせんのなかのなるもの、 このなかにじゅうざいせり。 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ よりこれを略抄りゃくしょうす。

↢五百億虫↡。有↢八万四千嘴↡ハシ火流クシテ↠雨而下。此虫下、獄火弥ニシテ↢八万四千由旬↡。又八万億千ナル者、集在セリ↢此↡。¬観仏三昧経ヨリ¼略↢抄

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)だいにいはく、 「東方とうぼうひゃく*ぜん三熱さんねつ大鉄だいてつうえより、 みょうありて、 ほのおげてきたりて、 かのじょうす。 かわ穿うがちてにくり、 すじちてほねやぶり、 またそのずいとおりて、 くことそくのごとし。 かくのごとく、 こぞりてみなみょうえんとなりぬ。 東方とうぼうよりするがごとく、 南西なんざい北方ほっぽうもまたかくのごとし。

¬瑜¼第四、「従↢東方多百瑜繕那三熱大鉄地上↡有↢猛熾火↡、騰↠焔而来、刺シテ↢彼有情穿↠皮↠肉、断↠筋↠骨復徹↢其↡、焼コト↢脂燭↡。如スルニ↠是コゾリ↠身皆成↢猛焔↡。如↠従リスルガ↢東方↡、南・西・北方亦復如↠是

^この因縁いんねんによりて、 かのもろもろのじょうみょうえんぞうして、 ただ*じゅの、 ほうよりきたるをる。 えんぞうし、 けんきゃくあることなく、 所受しょじゅつうまたけんきゃくなし。 ただめられてさけこえきて、 しゅじょうありといふことをる。

↢此因縁↡、彼有情与↢猛焔↡和雑、唯↢火聚↡。↢四方↡来レル火焔和雑、無↠有コト↢間隙↡所受苦痛亦無↢間隙↡。唯聞↢苦セメラレテ之声↡、知↠有トイフコトヲ↢衆生↡。

^またてつをもつて三熱さんねつてつはいてて、 これを*あおそろへ、 また熱鉄ねつてつうえきて、 大熱鉄だいねつてつやまのぼらしむ。 のぼりてはまたくだり、 くだりてはまたのぼる。

又以↢鉄↡盛↢満三熱ハヒ↡而シテ。復置↢熱鉄↡、令リテ↢大熱鉄↡、上リテハシテ復下、下リテハシテ復上

^そのくちのなかより、 そのしたいだして、 ひゃくてつくぎをもつて、 これをりて、 皺しわひだなからしむること、 うしかわるがごとし。

↢其中↡抜↢出↡、以↢百↡而張↠之、令コト↠无↢皺ヒダ↡如↠張ルガ↢牛↡。

^またさらに熱鉄ねつてつうえあおむけせて、 熱鉄ねつてつかなはしをもつてくちはさみてひらかしめ、 三熱さんねつ鉄丸てつがんをもつてそのくちのなかにきて、 すなはちそのくちおよび咽喉いんこうき、 *ぞうとおしてしもよりいだす。

復更↢臥熱鉄↡、以↢熱鉄ハサミハサミ↠口↠開、以↢三熱鉄丸↡置↢其↡、即↢其口及以咽喉↡、徹↢於府蔵↡従シテ↠下而出

^また*洋銅ようどうをもつてそのくちそそぎて、 のどおよびくちき、 ぞうとおしてしもよりすいす」 と。

又以↢洋銅↡而潅↢其↡、焼↢喉↡、徹↢於府蔵↡従シテ↠下流スト。」

^じょう、 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) に、 「*三熱さんねつ」 といふは、 「しょうねんごくしょうねんへんごくしょうねん」 なり。

已上¬瑜伽¼言、「三熱トイフ者、焼燃・極焼燃・遍極焼燃

^しちだいごくならびに*別処べっしょ一切いっさいのもろもろのを、 もつて一分いちぶんとなすに、 阿鼻あびごくいっ千倍せんばいしてすぐれたり。 かくのごとくして、 阿鼻あびごくひとは、 だいしょうねつごく罪人ざいにんること、 *他化たけざい天処てんしょるがごとし。

大地獄アハセ別処一切コレヲモテ↢一分↡、阿鼻地獄一千倍シテレタリ。如↠是阿鼻地獄之人、見コト↢大焦熱地獄罪人↡如↠見ルガ↢他化自在天処↡。

^*てんしょ*欲界よくかい六天ろくてんは、 ごくがば、 すなはちみなきなん。 なにをもつてのゆゑに。 ごくにんはきはめておおきにくさきをもつてのゆゑに。 ごくくさ、 なんがゆゑぞきたらざる。 大山だいせんありて、 いちしゅっせんづけ、 没山もっせんづく。 かのくさしゃせり。

四天下処、欲界六天カガ↢地獄クサイ↡、即皆消ナム。何。以↢地獄キヲ↡故。地獄気、何↠来。有↢二大山↡、一↢出山↡↢没山↡。遮セリ↢彼↡。

^もしひと一切いっさいごくのあらゆるのうかば、 みなことごとくへざらん。 これをかばすなはちせん。 かくのごとくなるをもつて、 阿鼻あびだい獄処ごくしょをば、 千分せんぶんのなかにおいて一分いちぶんをもかず。 なにをもつてのゆゑに。 つくすべからず、 くことをべからず、 譬喩ひゆすべからざるをもつてなり。 もしひとありてき、 もしひとありてかば、 かくのごときひときてせん。 ¬しょうぼうねんぎょう¼ より、 しゅ略抄りゃくしょうす。

人聞キテ↢一切地獄所有苦悩↡、皆悉ラム。聞↠此セム。如ナルヲモテ↠是阿鼻大地獄処ヲバ↢千分↡不↠説↢一分↡。何。不↠可↢説↡、不↠可↠得↠聴コトヲ、不ルヲモテナリ↠可↢譬喩↡。若↠人↠人聴、如↠是之人↠血而死¬正法念経¼取意略抄

^この*けんごく寿じゅいちちゅうこうなり。 ¬しゃろん¼。

無間獄寿一中劫ナリ¬倶舎論¼

^*ぎゃくざいつくり、 *いんほつし、 *だいじょうほうし、 *じゅうおかして、 むなしく*しんらへるもの、 このなかにつ。 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ による。

↢五逆罪↡、撥↢無因果↡、誹↢謗大乗↡、犯↢四重↡、虚ラヘル↢信施之者、堕↢此↡。¬観仏三昧経¼

 ^このけんごく*もんのほかに、 またじゅうろく*眷属けんぞく別処べっしょあり。

無間獄四門之外亦有↢十六眷属別処↡。

・鉄野干食処

^そのなかの一処いっしょてつかん食処じきしょづく。 いはく、 罪人ざいにんうえに、 えたることじゅうじゅんりょうなり。 もろもろのごくのなかに、 このもつともすぐれたり。 またてつかわらあめふらすこと、 さかりなるなつあめのごとく、 身体しんたいさいすること、 なほれたる*ほしじしのごとし。 ほのおきばある*かん、 つねにきたりて*食噉じきだんし、 一切いっさいときにおいてくることまず。

一処↢鉄野干食処↡。謂罪人タルコト十由旬量ナリ。諸地獄、此苦最レタリ。又雨コト↢鉄マロカシ↡如↢盛ナル身体破砕コト猶如↢乾レタルホシジシ↡。炎アル野干常食噉↢一切↡受コト↠苦不↠止

^むかし仏像ぶつぞうき、 僧房そうぼうき、 そう臥具がぐきしもの、 このなかにつ。

昔焼↢仏像↡、焼↢僧房↡、焼ケル↢僧臥具之者、堕↢此↡。

・黒肚処

^また別処べっしょあり。 こくしょづく。 いはく、 かつきて、 みづからそのにくらふ。 らひをはればまたしょうじ、 しょうじをはればまたらふ。 こくへびありて、 かの罪人ざいにんまつひて、 はじめあしつめより*漸々ぜんぜんらふ。 あるいはみょうれてぼんじょうし、 あるいは*鉄鑊てっかくきて煎煮せんしゃす。 りょう億歳おくさい、 かくのごときく。

復有↢別処↡。名↢黒肚処↡。謂飢渇焼↠身、自↢其↡。食復生復食。有↢黒蛇↡、マツヒ↢彼罪人↡、始↢足ツメ↡漸漸。或レテ↢猛火↡焚焼ラルオキ↢鉄鑊↡煎煮。無量億歳受↢如↡。

^むかしぶつ財物ざいもつりて食用じきゆうせるもの、 ここにつ。

昔取↢仏財物↡食用セル之者、堕

・雨山聚処

^また別処べっしょあり。 山聚せんじゅしょづく。 いはく、 いちじゅんりょう鉄山てっせんうえよりくだりて、 かの罪人ざいにんつに、 くだくること*沙揣しゃせんのごとし。 くだけをはればまたしょうじ、 しょうじをはればまたくだく。 またじゅういちほのおありて、 しゅうへんしてく。 また獄卒ごくそつかたなをもつてあまねく*身分しんぶんきて、 極熱ごくねつびゃくろうしるをそのけるところる。 ひゃくびょうそくしてつねにあり。 じょうけて年歳ねんさいあることなし。

復有↢別処↡。名雨山聚処↡。謂一由旬量鉄山従シテ↠上而下、打ツニ↢彼罪人↡、砕コト↢沙揣↡。砕復生、生復砕。又有↢十一炎↡、周遍↠身。又獄卒以↠刀↢身分↡、極熱白鑞↢其↡。四百四病具足。長久↠苦、無↠有コト↢年歳↡。

^むかしびゃくぶつじきりて、 みづからじきしてこれをあたへざるもの、 ここにつ。

昔取↢辟支仏之食↡、自↠与↠之者、堕↠此

・閻婆度処

^また*別処べっしょあり。 えん婆度ばどしょづく。 あくちょうあり、 おおきなることぞうのごとし。 づけてえんといふ。 くちばしくしてほのおしょうぜり。 罪人ざいにんりて、 はるかにくうちゅうのぼりて、 東西とうざいぎょうし、 しかしてのちにこれをはなつに、 いしつるがごとくして、 くだけてひゃくぶんとなる。 くだけをはりてはまたがっし、 がっしをはればまたる。

復有↢別処↡。名↢閻婆度処↡。有↢悪鳥↡、身大ナルコト↠象。名↢閻婆↡。嘴利クシテゼリ↠炎。執↢罪人↡遥↢空↡東西遊行シテツニ↠之、如クシテ↢石ルガツチ、砕↢百分↡。砕テハ復合復執

^またつるぎみちちて、 その足脚あしく。 あるいはほのおあるいぬありて、 きたりてそのむ。 じょうときだいのうく。

又利ツルギ↠道、割↢其足脚 アシ ↡。或↢炎アル狗↡、来↢其↡。於長久大苦悩↡。

^むかしひと*もちゐる ˆかわをˇ 決断けつだんして、 ひとをしてかつせしめたるもの、 ここにつ。 きょうくがごとし。 じょう ¬しょうぼうねんぎょう¼。

昔決↢断タシナミテ↠之タル↢人ヲシテ渇死↡之者、堕↠此。余↢経クガ↡。已上¬正法念経¼

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)だいに、 つうじて八大はちだいごく近辺ごんぺん別処べっしょきていはく、 「^いはく、 かの一切いっさいのもろもろの*だい那落迦ならかに、 みなほうがんもんありて、 てつかき*にょうせり。 そのほうもんよりでをはりて、 その一々いちいちもんのほかに*しゅつおんけり。

¬瑜伽¼第四↢八大地獄近辺別処↡云、「謂一切大那落迦、皆有↢四方四岸四門↡牆囲遶セリ。従↢其四方四門↡出、其一々↢四ヅル↡。

・煨

^いはく、 *とうわいありてひざひとし。 かのもろもろのじょうでて舎宅しゃたくもとめんとしてぎょうして、 ここにいたりぬ。 あしくだときには、 にくおよび、 ならびにすなはちしょうらんしぬ。 あしぐればかえりてしょうず。

煨キニ↠膝有情ムトシテ舎宅↡遊行↠此。下ニハ、皮肉及血、消爛。挙レバ↠足

・屍糞泥

^いでこのとうわいひまなくして、 すなはち*死屍しし糞泥ふんでいあり。 このもろもろのじょう舎宅しゃたくもとめんがために、 かしこよりでをはりて、 漸々ぜんぜんぎょうして、 そのなかにりて、 首足しゅそくともにもっしぬ。

ギテ煨死屍糞泥↡。此有情、為↠求ムガ↢舎宅↡、従↠彼出、漸々遊行↢入↡、首足

^また、 糞泥ふんでいのうちに、 おおくもろもろのむしあり。 じょう矩くたづく。 かわ穿うがちてにくり、 すじちてほねやぶり、 ずいりてらふ。

又屍糞泥↢諸虫↡。名↢嬢矩↡。穿↠皮↠肉、断↠筋↠骨、取↠髄而食

・刀剣刃路

^つぎ糞泥ふんでいひまなくして、 刀剣とうけんあり。 つるぎあおむけてみちとなす。 かのもろもろのじょう舎宅しゃたくもとめんがために、 かしこよりでをはりて、 ぎょうしてここにいたり、 あしくだときには、 にくきんけつことごとくみなただれぬ。 あしぐるときには、 またぶくすることもとのごとし。

屍糞泥↢利刀剣↡。仰↠刃↠路。彼有情為↠求ムガ↢舎宅↡、従↠彼出、遊行↠此ニハ、皮肉筋血悉皆消タダレ。挙↠足之時ニハ還復コトモト

・刃葉林

^つぎ刀剣とうけんじんひまなくして、 刃葉じんようりんあり。 かのもろもろのじょう舎宅しゃたくもとめんがために、 かしこよりでをはりて、 かのかげおもむきて、 わづかにそのしたするに、 ふうつひにおこりてつるぎらくし、 その一切いっさいせつ*しゃくぜつして、 すなはちたおれぬ。

刀剣刃路↢刃葉林↡。彼有情為↠求ムガ↢舎宅↡、従↠彼出、往↢趣↡、纔ルニ↢其↡、微風ツルギ葉堕落斫↢截一切支節↡、便タフレ↠地

^*こくいぬありて、 *せきたい*摣掣しゃせいして、 これを*噉食だんじきす。

↢黒黧狗↡、摣↢掣脊・胎↡而噉↢食↡。

・鉄設柆末梨林

^この刃葉じんようりんよりひまなくして、 *てつりゅうまつりんあり。 かのもろもろのじょう舎宅しゃたくもとめんがために、 すなはちきたりてこれにおもむきて、 つひにそのうえのぼる。 まさにのぼりぬるときには、 一切いっさい*刺鋒しふ、 ことごとくかえりてしたかふ。 くだらんとほっするときには、 一切いっさい刺鋒しふ、 またかえりてうえかふ。 この因縁いんねんによりて、 そのして、 もろもろのせつへんす。

↢此刃葉林↡無↢鉄設柆末梨林↡。彼有情為↠求ムガ↢舎宅↡、便↠之、遂↢其↡。当ヌル之時ニハ、一切刺鋒悉↠下↠下ムト之時ニハ、一切刺鋒復廻↠上。由↢此因縁↡、貫サキ↡遍↢諸支節↡。

^そのときに、 すなはちてつくちばしあるおおきなからすありて、 かのこうべうえのぼり、 あるいはそのかたのぼりて、 *がんしょう*探啄たんたくして、 しかもこれを*噉食だんじきす。

便↢鉄アルナル烏↡、上↢彼↡、或カタ↡、探↢啄眼精↡、而噉↢食↡。

・熱灰河

^てつりゅうまつりんよりひまなくして、 広大こうだいなるかわあり。 きてあつはいみず、 そのなかに*まんせり。 かのもろもろのじょう舎宅しゃたくたずもとめて、 かしこよりでをはりて、 きたりてこのなかにちぬ。 なほまめをもつてこれをおおきなるかなえきて、 たけさかりなるきて、 これを煎煮せんしゃするがごとし。 したがひてとうして、 *しゅうせんしてぶくす。

↢鉄設柆末梨林↡無↢広大河↡。沸弥↢満セリ↡。彼有情尋ギテムトシテ舎宅↡、従↠彼出、来↢此↡。猶如↧以↠豆イレ↢之ナルカナヘ↡、タキ↢猛ナル↡、而シテ煎↢煮↡、随↠湯、周旋廻復ルガ

^かわふたつきしに、 もろもろの獄卒ごくそつあり。 じょうさくおよびおおきなるあみりて、 行列ごうれつしてじゅうして、 かのじょうしゃしてづることをしめず。 あるいはなわをもつてけ、 あるいはあみをもつてすくふ。

フタツ↢諸獄卒↡。手↢杖索及以ナル↡、行而住、遮↢彼有情↡不↠令↠得↠出コトヲ。或索羂↠網シタミ

^また、 広大こうだいなる熱鉄ねつてつうえきて、 かのじょうあおむけて、 これにひていはく、 ªなんぢら、 いま*なんの所須しょしゅをかほっするº と。 かくのごとくこたへていはく、 ªわれら、 いま*つひにかくすることなし。 しかも種々しゅじゅ飢苦きくのためにめらるº と。 ときにかの獄卒ごくそつ、 すなはちてつかなはしをもつてくちはさみてひらかしめて、 すなはち極熱ごくねつしょうねつ鉄丸てつがんをもつてそのくちのなかにく。 さきくがごとし。

復置↢広大熱鉄↡、仰↢彼有情↡、而シテ↠之、汝等、今者 イマ ルト↢何所須ヲカ↡。如↠是、我等、今者 イマ ↢覚知コト↡。然↢種々飢苦↡所↠逼。時獄卒、即↢鉄カナハサミ↠口↠開、便↢極熱↡置↢其↡。余↢前クガ↡。

^もしかれこたへて、 ªわれいまただかつのためにめらるº といへば、 そのときに、 獄卒ごくそつすなはち*洋銅ようどうをもつてそのくちそそぐ。 この因縁いんねんによりてじょうく。

彼答↧我今唯↢渇苦↡所↞逼、爾獄卒便即洋銅↢其↡。由↢是因縁↡長時↠苦

^ない*せんつくれるところの一切いっさいの、 よく*那落迦ならかかんじ、 あくぜんごういまだきざれば、 いまだこのなかをでず。 もしは刀剣とうけんじん、 もしは刃葉じんようりん、 もしはてつりゅうまつりん、 これをべていちとなす。 ゆゑにそのあり」 と。

乃至先世↠造レル、能ズル↢那落迦↡悪不善レバ↠尽、未↠出刀剣刃路、若葉林、若鉄設柆末梨林、総↠之↠一。故リト園↡。」

^じょうは ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) ならびに ¬しゃ¼ (倶舎論) のこころなり。 一々いちいちごく*もんのほかにおのおのこのおんあり。 がっしてじゅうろくづく。 ¬しょうぼうねんぎょう¼ の、 八大はちだいごくじゅうろく*別処べっしょ*みょうそう各別かくべつなるにはどうぜず。

已上¬瑜伽¼并¬倶舎¼意一々地獄四門之外四園↡。合↢十六↡。不↠同↢¬正法念経¼八大地獄十六別処名相各別ナルニハ

^また頞部陀あぶだとう*八寒はっかんごくあり。 つぶさに*きょうろんのごとし。 これをこうじゅつするにいとまあらず。

復有↢頞部陀等八寒地獄↡。具↢経論↡。不↠イトマアラ広↢述ルニ↡。

二 Ⅰ ⅱ 餓鬼

【12】^だい餓鬼がきどうかさば、 じゅうしょあり。 いちにはしたひゃくじゅんにあり。 *えん王界おうかいなり。 には人天にんでんのあひだにあり。 そのそうはなはだおおし。 いま少分しょうぶんかさん。

第二サバ↢餓鬼道↡者、住処↠二。一者在↢地下五百由旬↡。閻魔王界ナリ。二者在↢人天之間↡。其相甚。今明↢少分↡。

^あるいはたけいっしゃくなり。 あるいはしんりょうにんのごとし。 あるいはせんぜんのごとし。 あるいは*雪山せっせんのごとし。 ¬*大集だいじっきょう¼。

長一尺ナリ。或身量如↠人。或千踰繕那↡。或雪山¬大集経¼

・鑊身

^あるいはあり。 鑊身かくしんづく。 そのちょうだいにして、 にんぎたることりょうばいなり。 めんもくあることなく、 しゅそくはなほかなえあしのごとし。 ねっなかにちて、 そのぼんじょうす。

↠鬼。名↢鑊身↡。其身長大ニシテ、過タルコト↠人両倍ナリ、無↠有コト↢面目↡手足猶如カナヘ↡。熱火満↠中、焚↢焼↡。

^むかしざいとんじて*せつせるもの、 このほうく。

昔貪↠財屠殺之者、受↢此↡。

・食吐

^あるいはあり。 じきづく。 その広大こうだいにして、 たけはんじゅんなり。 つねにおうもとむるに、 たしなみてることあたはず。

↠鬼。名↢食吐↡。其身広大ニシテ長半由旬ナリ。常ルニ↢嘔吐↡、タシナミ不↠能↠得コト

^むかし、 あるいは*じょうの、 みづからじきらひてさいあたへず、 あるいはにんの、 みづかららひて夫子ふしあたへざるもの、 このほうく。

昔或丈夫クラヒ↢美食↡不↠与↢妻子↡、或婦人モノ↠与↢夫子↡、受↢此↡。

・食気

^あるいはあり。 じきづく。 にんの、 やまいによりて、 みずほとりはやしのなかに*まつりもうくるに、 このこうぎて、 もつてみづから*かつみょうす。

↠鬼。名↢食気↡。世人↠病、水辺、林シテルニ↠祭カギ香気↡、以

^むかしさいとうまえにしてひとじきらへるもの、 このほうく。

昔於↢妻子等↡独クラヘ↢美食之者、受↢此↡。

・食法

^あるいはあり。 食法じきほうづく。 嶮難けんなんところにしてそうしてじきもとむ。 いろ黒雲こくうんのごとく、 なみだながるることあめのごとし。 もしそういたりて、 ひと呪願しゅがん説法せっぽうすることあるときは、 これによりてちからかつみょうす。

↠鬼。名↢食法↡。於↢嶮難↡馳走↠食。色↢黒雲コト↠雨。若↢僧寺↡有↢人呪願説法コト↡之時、因↠此↠力活命

^むかし*みょうとんぜしがために*じょう説法せっぽうせしもの、 このほうく。

昔為↠貪シガ↢名利↡不浄説法セシ之者、受↢此↡。

・食水

^あるいはあり。 食水じきすいづく。 かつき、 *周慞しゅうしょうしてみずもとむるに、 たしなみてることあたはず。 ながかみおもておおひ、 るところなし。 はしりてかわほとりおもむきて、 もしひとかわわたりて、 脚足あししたより遺落ゆいらくせるのこりのみずあれば、 速疾そくしつりて、 もつてみづからかつみょうす。

↠鬼。名↢食水↡。飢渇焼↠身、周ルニ↠水タシナミ不↠能↠得コト。長髪覆↠面、目無↠所↠見。走↢河↡、若レルニ↠河脚足 アシ 之下遺落速疾、以活命

^あるいはひとの、 みずすくひてもうぜる父母ぶもするに、 すなはちしょうぶんて、 いのちぞんりゅうすることを。 もしみづからみずれば、 みずまもるもろもろのつえをもつてす。

ムスビ↠水ルニ↢亡ゼル父母↡則↢少分↡、命得↢存立コトヲ↡。若↠水、守↠水鬼、以↠杖撾打

^むかしさけるにみずくわへ、 あるいは*いんしずめ、 善法ぜんぽうしゅせざるもの、 このほうく。

ウル↠酒↠水、或↢蚓蛾↡、不↠修↢善法之者、受↢此↡。

・悕望

^あるいはあり。 もうづく。 にんの、 もうぜる父母ぶものためにまつりもうくるときにのみ、 てこれをらふ。 をばことごとくじきすることあたはず。

↠鬼。名悕望↡。世人↢亡ゼル父母↡設タル↠祀之時ニノミ、得而食↠之。余ヲバ不↠能↠食コト

^もしひといたわしくしてしょうもつたるを、 *誑惑おうわくしてもちゐるもの、 このほうく。

イタハシクシテ而得タルヲ↢少物↡誑之者、受↢此↡。

^あるいはあり。 海渚かいしょのなかにうまれたり。 樹林じゅりんすいあることなく、 そのところはなはだあつし。 かのふゆをもつて人間にんげんなつくらぶるに、 えたること千倍せんばいなり。 ただあしたつゆをもつてみづからかつみょうす。 海渚かいしょじゅうすといへども、 うみるにきぬ。

↠鬼。生タリ↢海渚↡。無↠有コト↢樹林・河水↡処甚。以↢彼タクラブルニ↢人間↡、過タルコト千倍ナリ。唯↢朝↡而自活命。雖↠住スト↢海渚↡、見ルニ↠海ツキ

^むかしみちひとの、 びょうごくせるに、 そのうるものあざむりて、 あたいあたふること薄少はくしょうなるもの、 このほうく。

昔行病苦疲極セルニ、欺↢取ウルモノ↡、与コトアタヒ薄少ナル之者、受↢此↡。

^あるいはあり。 つねに*つかのあひだにいたりて、 *しょうらふに、 なほあきたることあたはず。

↠鬼。常↢塚↡、クラフニ↢焼↡、猶不↠能アキタルコト

^むかしぎょうごく典主てんしゅして、 ひと飲食おんじきれるもの、 このほうく。

昔典↢主刑獄↡取レル↢人飲食之者、受↢此↡。

^あるいは餓鬼がきあり。 うまれてのなかにありて、 *逼迮ひっさくしてさるること賊木とくさむしのごとくして、 だいのうく。

餓鬼↡。生↢樹↡、逼迮コト↠身クシテ↢賊木虫↡、受↢大苦悩↡。

^むかしおんりょうり、 および衆僧しゅそう園林おんりんれるもの、 このほうく。 ¬しょうぼうねんぎょう¼。

昔伐↢陰涼↡、及レル↢衆僧園林↡之者、受↢此↡。¬正法念経¼

^あるいはまたあり。 こうべかみくだりて、 あまねく身体しんたいまつへり。 そのかみかたなのごとくして、 そのる。 あるいはへんじてとなりて、 ˆ身体しんたいをˇ *しゅうそうしてぼんじょうす。

復有↠鬼。頭クダマツヘ↢身体↡。其髪如クシテ↠刀↢切↡。或↠火、周帀焚焼

^あるいはあり。 ちゅうにおのおのむ。 むにしたがひてこれをらふに、 なほつねにぼうす。 ¬*ろっみつきょう¼。

↠鬼。昼夜↢五↡。随↠生ムニフニ↠之、猶常飢乏¬六波羅蜜経¼

^あるいはまたあり。 一切いっさいじきをみならふことあたはず。 ただみづからこうべのうりてらふ。

復有↠鬼。一切之食皆不↠能クラフコト。唯自ワリ↠頭ナヅキ而食

^あるいはあり。 くちよりづ。 飛蛾ひがの、 とうずるをもつて飲食おんじきとなす。

↠鬼。火従↠口出。飛蛾ズルニ↠火↢飲食↡。

^あるいはあり。 ふんていのうけつうつわあらへるゆいらふ。 ¬大論だいろん¼ (大智度論)。

↠鬼。食↢糞・涕・濃・血、洗↠器遺余↡。¬大論¼

^またほかのさわりによりてじきざるあり。 いはく、 かつつねにきゅうにして、 身体しんたいかつせり。 たまたまきよながれのぞみ、 はしりてかしこにかひおもむけば、 大力だいりきありて、 つえをもつてさかつ。 あるいはへんじてとなり、 あるいはことごとくかわきぬ。

又有↧依↢外↡不↠得↠食鬼↥。謂飢渇常ニシテ、身体枯竭セリ。適↢清↡走ケバ↡、有↢大力鬼↡以↠杖サカ。或↠火カワキ

^あるいはうちのさわりによりてじきざるあり。 いはく、 くちはりあなのごとく、 はら大山だいせんのごとくして、 たとひ飲食おんじきへどもこれをらふによしなし。

↧依↢内↡不↠得↠食鬼↥。謂↢針↡、腹クシテ↢大山↡、縦ドモ↢飲食↡無↠由↠クラフニ↠之

^あるいはないさわりなけれども、 しかももちゐることあたはざるあり。 いはく、 たまたましょうじきひて*食噉じきだんすれば、 へんじて猛焔みょうえんとなりて、 きてづ。 ¬瑜伽ゆがろん¼。

↧無ケレドモ↢内外障↡、而↠能↠用コト鬼↥。謂↢少食↡而シテ食噉レバ者、変↢猛焔↡、焼↠身而出¬瑜伽論¼

^人間にんげん一月いちがつをもつて一日いちにちとなしてがつねんをなし、 寿じゅひゃくさいなり。

↢人間一月↡為↢一日夜↡成↢月年↡、寿五百歳ナリ

^¬しょうぼうねんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「*慳貪けんどんしっのもの、 餓鬼がきどうつ」 と。

¬正法念経¼云、「慳貪嫉妬之者、堕ツト↢餓鬼道↡。」

二 Ⅰ ⅱ 畜生

【13】^だいさんちくしょうどうかさば、 そのじゅうしょあり。 根本こんぽん大海だいかいじゅうし、 まつ人天にんでんぞうせり。

第三サバ↢畜生道↡者、其住処↠二。根本↢大海支末セリ↢人天↡。

^べっしてろんずれば、 さんじゅうおく種類しゅるいあり。 そうじてろんずれば、 さんでず。 いちちょうるいじゅうるいさんちゅうるいなり。

レバ↢卅四億種類↡。レバ不↠出↠三。一者鳥類、二者獣類、三者虫類ナリ

^かくのごときたぐいごうにゃくあひがいす。 もしはおん、 もしはじき、 いまだかつてしばらくもやすらかならず。 ちゅうのうちに、 つねに*怖懼ふくいだけり。 いはんやまた、 もろもろのすいしょうたぐいすなどるもののためにがいせられ、 もろもろのりくぎょうたぐいは、 かりするもののためにがいせらる。

↠是類、強弱相。若飲若食、ムカシニモカラ↡。昼夜之中↢怖ルルコトヲ↡。況復諸水性之属スナド↡所↠害アリ之類カリス↡所↠害

^もしはぞう*らく*とうのごときは、 あるいはてっをもつてそののううがち、 あるいははなのなかに穿とおし、 あるいはくつわつらをもつてくびく。 につねにおもきものをひて、 もろもろの*じょうすいくわへらる。 ただすいそうねんじて、 るところなし。

キハ↢象・馬・牛・驢・駱駝・騾等↡、或ヲモテウガ↢其ナヅキ↡、或穿トホ↢鼻↡、或クツワヅラヲモテ↠首。身↠重キモノヲ、加ラル↢諸杖捶↡。但念↢水・草↡、余↠所↠知

^また蚰蜒なめくじ鼠狼いたちとうは、 やみのなかにうまれてやみのなかにぬ。 蟣蝨しらみのみとうは、 人身にんじんによりてしょうじて、 かえりてにんによりてぬ。

蚰蜒ナメクジ・鼠狼等シテ而生シテ而死。蟣蝨・蚤等↢人身↡生↠人

^またもろもろのりゅうしゅは、 三熱さんねつけてちゅうやすむことなし。 あるいはまた*蟒蛇もうじゃは、 そのちょうだいなれども、 聾騃ろうがいにしてあしなく、 *宛転えんでんふくぎょうして、 もろもろの小虫しょうちゅうのためにしょうじきせらる。

又諸竜衆↢三熱↡昼夜↠休コト。或復蟒蛇身長大ニシテ、聾騃ニシテ↠足、宛転シテヲモテ↢諸小虫↡之所↢唼食↡。

^あるいはまたいちひゃくぶんのごときもの、 あるいはまどのなかのじんのごときもの、 あるいはじゅうじゅんのごときものあり。

復有↧如モノ↢一百分↡、或モノ↢窓遊塵↡、或モノ↦十五由旬↥。

^かくのごときもろもろのちくしょうは、 あるいは*いちるあひだ、 あるいは*しちのあひだ、 あるいは一劫いっこうひゃくこうない千万せんまんおくこうりょうくるあり。 あるときにはもろもろのえんひて、 しばしば残害ざんがいせらる。 これらのもろもろのげてかぞふべからず。

↠是畜生、或一時アヒダ、或七時項、或↣一劫百劫乃至千万億劫↢无量↡。或トキニハ↢諸違縁↡、数↢残害↡。此等苦、不↠可アゲ↡。

^愚痴ぐち*ざんにしていたづらにしんけて、 ものつぐのはざるもの、 このほうく。 じょう諸文しょもん*きょうろん散在さんざいせり。

愚痴・无慚ニシテ↢信↡、他ツグノ者、受↢此↡。已上諸文、散↢在セリ経論

二 Ⅰ ⅱ 阿修羅

【14】^だいしゅどうかさば、 あり。 根本こんぽんすぐれたるものは、 しゅせんきたかいそこじゅうせり。 支流しるれつなるものは、 だいしゅうのあひだの山巌せんがんのなかにあり。

第四サバ↢阿修羅道↡者、有二。根本レタル、住セリ↢須弥山北、巨海之底↡。支流ナル、在↢四大山巌之中↡。

^雲雷うんらいもしれば、 これ*てんつづみおもひて*怖畏ふい周章しゅうしょうして、 しんおおきに*戦悼せんとうす。 またつねに諸天しょてんのために侵害しんがいせられて、 あるいは身体しんたいやぶり、 あるいはそのめいようす。 また*日々にちにちさんに、 *苦具くぐおのづからきたりて逼害ひつがいす。 種々しゅじゅ憂苦うくげてくべからず。

雲雷若、謂↢是天↡怖畏周章、心大戦悼。亦常↢諸天↡之所レテ↢侵害↡、或↢身体↡、或↢其↡。又日々三時苦具自逼害。種々憂苦、不↠可アゲ↡。

二 Ⅰ ⅱ

【15】^だい*人道にんどうかさば、 りゃくしてさんそうあり。 つまびらかに観察かんざつすべし。 いちにはじょうそうにはそうさんにはじょうそうなり。

第五サバ↢人道↡者、略↢三相↡。応↢審カニ観察↡。一ニハ不浄相、二ニハ苦相、三ニハ无常ナリ

・不浄

【16】^いちじょうそうといふは、 おほよそにんしんのなかにさんびゃくろくじゅうほねありて、 節々ふしぶしあひささへたり。

不浄トイフ者、凡↢三百六十之骨↡、節々相ササヘタリ

^いはく、 ゆびほねあしほねささへ、 あしほねつぶふしほねささへ、 つぶふしほねはぎほねささへ、 はぎほねひざほねささへ、 ひざほねももほねささへ、 ももほねしりげたほねささへ、 しりげたほねこしほねささへ、 こしほねせなかほねささへ、 せなかほねかたわらほねささへ、 またせなかほねうなじほねささへ、 うなじほねおとがいほねささへ、 おとがいほね牙歯きばささへ、 かみどくあり。

タリ↢足↡。足タリツブフシタリハギタリ↢膝タリモモタリシリゲタタリ↢腰タリタリカタハラタリウナジタリ↢頷タリ↢牙歯↢髑髏↡。

^またうなじほねかたほねささへたり。 かたほねひじほねささへたり。 ひじほね*うでほねささへたり。 うでほねたなごころほねささへたり。 たなごころほねゆびほねささへたり。 かくのごとく展転てんでんしてだいじょうせり。 ¬だいきょう¼ (*涅槃経) のこころ

復項タリ↢肩↡。肩タリ↢臂↡。臂タリタブサ↡。タブサタリ↢掌↡。掌タリ↢指↡。如↠是展転次第鎖成セリ¬大¼

^さんびゃくろくじゅうほねの、 あつまりてじょうぜるところなり。 やぶれたるいえのごとし。 もろもろのふしをもつてささたもち、 さいみゃくをもつて*しゅうそうして弥布みふせり。

「三百六十アツマリナリ↠成ゼル。如↢朽タルイヘ↡。諸ヲモテセリ↢四細脈↡周帀弥布セリ

^ひゃくぶんにく、 なほどろれるがごとく、 ろくみゃくあひつなぎ、 ひゃくすじまつへり。

五百分シシムラ、猶如↢泥レルガチノミチケタリ五百マツヘ

^しちひゃくさいみゃく、 もつて*編絡へんらくをなし、 じゅうろくあらみゃくめぐりてあひつらなれり。

七百細脈以↢編絡十六アラチノミチメグラシレリ

^にくじょうあり。 なが*さん尋半じんはんなり。 うちにしてまつけっせり。 じゅうろくはらわた*生熟しょうじゅくぞうめぐれり。

↢二肉縄↡。長三尋半ナリ。於↠内セリ。十六腸・胃、マツヘ↢生熟蔵↡。

^じゅうみゃく、 なほまどひまのごとし。 いっぴゃくしちかん、 あたかもさいせるうつわのごとし。

二十五気脈、猶如↢窓↡。一百七ヲコツリ、宛↢破セル↡。

^八万はちまんもうみだれたるくさおおへるがごとし。 *こん*しちきょうじょうにて盈満ようまんせり。

八万毛孔、如↢乱レタルヲモテルガ↡。五根・七竅不浄ニテ盈満セリ

^しちじゅうかわにてつつみ、 *ろくにてちょうようすること、 なほ祠火しかの、 呑受どんじゅしていとふことなきがごとし。 かくのごときは、 一切いっさいしゅうにして、 しょう*殨爛かいらんせり。 たれかまさにここにおいてあいじゅう*きょうまんせん」 と。 ¬*ほうしゃくきょう¼ じゅうろく

七重六味ヲモテ長養セリ猶如クシテルガ、呑受↠厭コト。如↠是之身一切臭穢ニシテ、自性殨爛セリ。誰↠此愛重憍慢ムト。」¬宝積経¼九十六(勤授長者会)

^あるいはいはく、 ひゃくししむら、 そのうえおおひ、 ひゃくすじ、 そのあひだにつらなれり。 三万さんまん六千ろくせんみゃくありて、 さんしょう、 なかにありてちゅうす。 じゅうまんもうありて、 もろもろのあせつねにづ。 じゅうじゅうかわ、 しかもそのうえつつめり。 じょうしんちゅう骨肉こつにくとうなり。

、九百シシムラヘリ↢其九百筋連レリ↢其↡。↢三万六千之チノミチ三升之血在↠中流注。有↢九十九万之毛孔↡汗常。九十九重之皮、而シテツツメ↢其↡。已上身中骨肉等ナリ

^またはらのなかにぞうあり。 葉々ようようあひおおひて、 *靡々びびとしてしもざまかへり。 かたちれんのごとし。 きょうくうにして、 ないにあひつうじ、 おのおのじゅうじゅうあり。

又腹↢五蔵↡。葉々相、靡々トシテヘリ↠下状如↢蓮華↡。孔竅空疎ニシテ内外フナリ↢九十重↡。

^肺臓はいぞううえにありて、 そのいろしろし。 肝臓かんぞうはそのいろあおし。 心臓しんぞうちゅうおうにありて、 そのいろあかし。 ぞうはそのいろなり。 腎臓じんぞうしもにありて、 そのいろくろし。

肺蔵↠上、其色白肝蔵色青。心蔵↢中央↡、其色赤。脾蔵色黄ナリ。腎蔵↠下、其色黒

^またろっあり。 いはく、 だいちょうをば伝送でんそうとなす。 またはいたり。 なが*さん尋半じんはん、 そのいろしろし。

又有↢六府↡。謂大腸ヲバ↢伝送之府↡。亦↢肺府↡。長三尋半、其色白

^たんをば清浄しょうじょうとなす。 またかんたり。 そのいろあおし。

タムヲバ↢清浄之府↡。亦肝府↡。其色青

^小腸しょうちょうをばじゅじょうとなす。 またしんたり。 ながじゅうろくじん、 そのいろあかし。

小腸ヲバ↢受盛之府↡。亦↢心府↡。長十六尋、其色赤

^をば*こくとなす。 またたり。 さんしょうくそ、 なかにありて、 そのいろなり。

ヲバ↢五穀之府↡。亦↢脾↡。三升糞在↠中、其色黄ナリ

^膀胱ぼうこうをば津液しんえきとなす。 またじんたり。 いっ尿ゆばり、 なかにありて、 そのいろくろし。

膀胱ヲバ↢津液之府↡。亦↢腎府↡。一斗尿在↠中、其色黒

^さんしょうをばちゅうとくとなす。

三膲ヲバ↢中涜之府↡。

^かくのごときものじゅうおうぶんせり。 だいしょうちょう赤白しゃくびゃくいろまじへたり。 じゅうはちしゅうてんせること、 毒蛇どくじゃわだかまれるがごとし。 じょうふくちゅう*ぞうなり。

↠此物、縦横分布シテ大小二腸、赤白交タリ↠色。十八周転コト、如↢毒蛇ワダカマレルガ↡。已上腹中府蔵ナリ

^またいただきよりあなうらいたるまで、 ずいよりかわえいたるまで、 八万はちまんむしあり。 こうべくちじゅうありて、 ぎょうそういちにあらず。 一々いちいちにまたまんさいちゅうありて、 あきのぎよりもちいさし。 ¬*ぜんぎょう¼・¬*だい禅門ぜんもん¼ とう

又従↠頂至マデアナウラ、従↠髄至リテカハヘ、有↢八万戸虫↡。四頭、四口、九十九アリ形相非↠一。一々復有↢九万細虫↡。小サシ↢於秋ノギヨリモ↡。¬禅経¼・¬次第禅門¼等

^¬ほうしゃくきょう¼ にのたまはく、 「はじめてはらづるときに、 七日しちにちて、 八万はちまんむしよりしょうじて、 じゅうおう*食噉じきだんす。

¬宝積経¼云、「初↠胎↢於七日↡、八万戸虫従シテ↠身而生、縦横食噉

^二戸にこむしあり。 づけてほつとなす。 かみによりてじゅうして、 つねにそのかみじきす。

↢二戸虫↡。名↢舐髪↡。依↢髪↡住、常↢其↡。

^二戸にこむしにょうげんづく。 まなこによりてじゅうして、 つねにまなこじきす。

二戸↢繞眼↡。依↠眼、常↠眼

^四戸しこのうによりてのうじきす。

ナヅキナヅキ

^いっ稲葉とうようづく。 みみによりてみみじきす。

一戸↢稲葉↡。依↠耳↠耳

^いっぞうづく。 はなによりてはなじきす。

一戸↢蔵口↡。依↠鼻↠鼻

^二戸にこを、 いちようじゃくづけ、 へんじゃくづく。 くちびるによりてくちびるじきす。

二戸、一↢遥擲↡、二↢遍擲↡。依↠脣↠脣

^いっをばしんづく。 したによりてしたじきす。

一戸↢針口↡。依↠舌↠舌

^ひゃくへんによりてへんじきす。 へんもまたしかなり。

五百↢左辺↡食↢左辺↡。右辺亦然ナリ

^四戸しこ*しょうぞうじきし、 二戸にこ*じゅくぞうじきす。

四戸↢生蔵二戸↢熟蔵↡。

^四戸しこしょう便べんどうによりて、 尿ゆばりらひてじゅうし、 四戸しこ大便だいべんどうによりて、 くそらひてじゅうす。

四戸↢小便↡、食ヒテ尿而住四戸↢大便↡、食ヒテ↠糞而住

^ないいっこくづく。 あしによりてあしじきす。

乃至一戸↢黒頭↡。依↠脚↠脚

^かくのごとき八万はちまん、 この依止えじして、 ちゅう食噉じきだんして、 をして熱悩ねつのうせしめて、 しんしゅうあらしむ。 しゅびょう現前げんぜんするにりょうとしてよくためにじょりょうするあることなし」 と。 だいじゅうしちでたり。 これを略抄りゃくしょうす。

↠是八万、依↢止↡昼夜食噉、令↢身ヲシテ熱悩↡、心シム↢憂愁↡。衆病現前ルニシト↠有コト↢良医トシテ除療↡。」タリ↢第五↡。略↢抄

^¬*僧伽そうぎゃきょう¼ にきてのたまはく、 「ひとまさになんとするときには、 もろもろのむし怖畏ふいして、 たがひにあひ噉食だんじきするに、 もろもろのつうく。 男女なんにょ*眷属けんぞくだいのうをなす。 もろもろのむし、 あひじきす。 ただむしありて、 七日しちにちのあひだとうじょうす。 七日しちにちぎをはりて、 いちむしいのちきて、 いちむしはなほぞんぜり」 と。 じょうちゅう

¬僧伽経¼説、「人将↠死ムトニハ、諸虫怖畏、互噉食ルニ、受↢諸苦痛↡。男女眷属↢大悲悩↡。諸虫相。唯有↢二虫↡七日間闘諍。過↢七日↡已、一命尽、一猶存ゼリト。」已上虫蛆

^たとひじょうぜんしゅじきすれども、 宿しゅくるあひだにみなじょうとなりぬ。 たとへば、 ふんだいしょうともにくさきがごとく、 このもまたしかり。 しょうよりろういたるまで、 ただこれじょうなり。 海水かいすいかたむけてあらふとも、 じょうけつならしむべからず。 ほかには端厳たんごんそうほどこせりといへども、 うちにはただもろもろのじょうつつめること、 なほせるかめに、 しかもふんれたるがごとし。 ¬大論だいろん¼ (大智度論)・¬*かん¼ とうこころる。

スレドモ↢上饍衆味↡、逕↠宿之間皆為↢不浄↡。譬↢糞穢大小倶キガ↡、此亦爾。従↠少至マデ↠老、唯是不浄ナリ。傾↢海水↡洗トモ、不↠可↠令↢浄潔ナラ↡。外ニハ↠施セリト↢端厳↡、内ニハツツメ↢諸不浄猶如セルラム↢糞穢↡。↢¬大論¼・¬止観¼等

^ゆゑに ¬*ぜんぎょう¼ のにのたまはく、

¬禅経¼偈

^くさくしてじょうなることをれども、 しゃはなほあいじゃくす。

ほかうるわしき顔色げんしきて、 うちじょうをばかんぜず」 と。 じょうたいじょうぐ。

「知レドモ↢身クシテ不浄ナルコトヲ愚者ナホ愛惜
ウルハシ顔色↠観↢内不浄↡」 已上挙不浄

^いはんやまた命終みょうじゅうのちに、 *つかのあひだに捐捨てられて、 いちにちない七日しちにちるに、 その*ぼうちょうして、 しき*しょうへんず。 くさただれ、 かわ穿げて、 膿血のうけつながづ。 *ちょうじゅ**きょう*かんとう種々しゅじゅきんじゅう*掣しゃせいして*食噉じきだんす。 きんじゅうらひをはりて、 じょう*潰爛かいらんせり。 りょうしゅちゅうありて、 くさところまじはりづ。 にくむべきこと、 にたるいぬよりもぎたり。

復命終之後捐↢捨 ステ ラレテ↡、経ルニ↢一二日乃至七日↡、其身膖脹色変↢青瘀↡。臭穿ウゲ、膿血流。鵰・クマタカワシ・鵄トビ・梟・フクロフ野干 キツネ ・狗イヌ種々禽獣、掣食噉。禽獣食、不浄潰爛ナリ。有↢无量種虫蛆↡シテトシテキコトニクタリ↢於死タルヨリモ↡。

^ない白骨はっこつとなりをはれば、 せつ分散ふんさんして、 しゅそくどくおのおのしょにあり。 かぜき、 さらし、 あめそそぎ、 しもふうじて、 むこと歳年さいねんあれば、 色相しきそうへんし、 つひにきゅう砕末さいまつして、 じんとあひしぬ。 じょう*きょうじょうなり。 ¬*だい般若はんにゃ¼・¬かん¼ とうえたり。

乃至成↢白骨↡已、支節分散、手足・髑髏各↢異処↡。風吹、雨潅霜封、積リテリテ↢歳年↡色相変異腐朽砕末与↢塵土↡相シヌ已上究竟不浄ナリ。見タリ↢¬大般若¼・¬止観¼等

^まさにるべし。 このじゅうじょうなり。 所愛しょあい男女なんにょみなまたかくのごとし。 いづれの有智うちのものか、 さらに楽着ぎょうじゃくしょうぜんや。

↠知。此始終不浄ナリ。所愛男女皆亦如イヅレ有智ムヤ↢楽著↡。

^ゆゑに ¬かん¼ にいはく、 「いまだこのそうざるときは、 *愛染あいぜんはなはだこわし。 もしこれををはれば、 欲心よくしんすべてむ。 はるかにしてもしのへざることは、 くそざればなほよくめしらへども、 たちまちにくさぎつれば、 すなはちおうするがごとし」 と。

¬止観¼云、「未シテ↠見↢此↡、愛染甚コハ。若見↠此欲心都ミヌハルカニシテモルコトハ↢忍シト↧不ルトキニハ↠見↠糞猶能クラヘドモ↠飯、忽カギツレバ↢臭↡即便嘔吐ルガ↥。」

^またいはく (止観)、 「もしこのそうしょうしつれば、 またたかまゆあおまなこしろあかくちびるなりといへども、 一聚いちじゅくそに、 *をもつてそのうえおおへるがごとし。 またただれたるかばねに、 りて*繒綵ぞうさいせたらんがごとし。 なほまなこにすらず、 いはんやまさにちかづくべけんや。 *鹿ろくじょうやとひてがいすべし。 いはんやくちすいだきていんぎょうせんをや。 かくのごときそうは、 これ婬欲いんよくやまい*だい黄湯おうとうなり」 と。

又云、「若アラハシツレバ↢此↡、雖↢復高眉、アヲ眼、シロ歯、アカナリト↡、如↣一聚モテルガ↢其↡。亦如↣爛タルタラムガ↢繒↡。尚不↢眼ダモ見↡ケムヤ↢身↡。雇↢鹿杖↡自害セリ。況クチスタハセム。如↠是想者、是婬欲病之大黄湯ナリト。」

・苦

【17】^といふは、 このしょしょうときより、 つねにのうく。 ¬ほうしゃくきょう¼ にくがごとし。 「もしはなん、 もしはにょ、 たまたましょうじてつるに、 あるいはをもつてささげ、 あるいはころもをもつて承接じょうしょうし、 あるいはとうときに、 りょうねつかぜるるに、 だいのうくること、 うしなまぎにして、 墻壁かきかべれしむるがごとし」 と。

トイフ者、此↢初生時↡常↢苦悩↡。如↢¬宝積経¼説クガ↡。「若男若女、適↠地、或↠手、或ヲモテ承接冬夏、冷熱風触ルルニコト↢大苦悩↡如シト↣生シクゲルルル↢於牆壁↡。」

^ちょうだいのちにまたのうおおし。 どうきょうかく、 「このけてしゅあり。 いはゆるげんぜつ咽喉いんこう牙歯げしきょうふくしゅそくに、 もろもろのやまいしょうずることあり。 かくのごときひゃくびょう、 その逼切ひっせつするを、 づけてうちとなす。

長大之後亦多↢苦悩↡。同ジキ¬経¼説カク、「受↢於此↡有↢二種苦↡。所謂眼・耳・鼻・舌・咽喉・牙歯・胸・腹・手・足↢諸コト↠是四百四病、逼↢切ルヲ↡名↢内↡。

^またほかあり。 いはゆる、 あるいは牢獄ろうごくにありて、 *たつせられ、 あるいはみみはなられ、 およびあしらる。 もろもろの*あくじん、 しかもその便たよりを。 またあぶはちとうどくちゅうのためにしょうじきせらる。 寒熱かんねつかつふうならびにいたりて、 種々しゅじゅのう、 その逼切ひっせつす。

復有↢外苦↡。所謂↢牢獄↡撾打楚撻↢耳鼻↡、及↢手足↡。諸悪鬼神而シテ得↢其便↡。復為↢蚊・虻・蜂等毒虫↡之所↢唼食↡。寒熱・飢渇・風雨、種々苦悩逼↢切↡。

^この*おんは、 一々いちいち*威儀いぎ*行住ぎょうじゅう坐臥ざが、 みなにあらずといふことなし。 もしじょうきて、 しばらくもそくせざれば、 これをづけて*外苦げくとなす。 じゅうおよびまたみななり」 と。

五陰、一々威儀、行住坐臥、無↠不ズトイフコト↢皆苦↡。若長時↢暫クモ休息↡、是↡。住及坐臥亦復皆苦ナリト。」

^しょそうまなこまえつべし。 くことをつべからず。

諸余苦相↠見。不↠可↠俟↠説クコト

・無常

【18】^さん*じょうといふは、 ¬はんぎょう¼ にのたまはく、 「ひといのちとどまらざること、 やまみずよりもぎたり。 今日こんにちぞんぜりといへども、 くればまたたもちがたし。 いかんぞしんをほしいままにして、 悪法あくほうじゅうせしめんや」 と。

無常トイフ者、¬涅槃経¼云、「人コト↠停タリ↢於山ヨリモ↡。今日↠存ゼリト、明クレバ亦難↠保。云何ニシテ↠心、令ムヤト↠住↢悪法↡。」

^¬*しゅつようきょう¼ にのたまはく、

¬出曜経¼云

「このすでにぐれば、 いのちすなはちげんしょうす。

しょうすいうおのごとし。 これなんのたのしみかあらん」 と。

「此日已グレバ命即減少
↢少水斯有ムヤト↢何↡」

^¬*摩耶まやきょう¼ のにのたまはく、

¬摩耶経¼偈

「たとへば*せん陀羅だらの、 うしりてしょいたるに、

歩々ぶぶちかづくがごとく、 ひといのちもまたかくのごとし」 と。

「譬旃陀羅↠牛ルニ↢屠所
歩々クガ↦死亦如シト↠是

^たとひちょう寿じゅごうありといへども、 つひにじょうまぬかれず。 たとひ富貴ふきほうかんぜりといへども、 かならず衰患すいげんあり。 ¬はんぎょう¼ のにのたまふがごとし。

↠有↢長寿業↡、終不↠免↢無常↡。設↠感ゼリト↢富貴↡、必↢衰患期↡。如↢¬涅槃経¼偈フガ↡。

^一切いっさいのもろもろのけんに、 しょうぜるものはみなす。

寿じゅみょうりょうなりといへども、 かならずじゅうじんすることあり。

^それさかりなるはかならずすいすることあり、 ごうするはべつあり。

壮年そうねんひさしくとどまらず、 さかりなるしきやまいおかさる。

^いのちのためにまれ、 ほうとしてじょうなるものあることなし」 と。

「一切世間皆帰↠死
寿命雖↢无量ナリト要必カナラズ↢終尽コト
ナルハ↠衰コト合会ルハ↢別離↡
壮年不↢久ナル所↠侵
↠死所↠呑シト↠有コト↢法トシテナル者↡」

^また ¬*罪業ざいごう応報おうほうきょう¼ のにのたまはく、

又¬罪業応報経¼偈

水渚すいしょはつねにたず。 さかりなればひさしくえず。

でてしゅもっしぬ。 つきちをはりてまたけぬ。

尊栄そんようこうなるものも、 じょうのすみやかなることこれにぎたり。

いままさにつとめてしょうじんして、 *じょうそん*ちょうらいすべし」 と。

「水渚不↢常ナレバ不↢久モセ
須臾復欠
尊栄高貴無常ナルコトタリ↠是
今当シト精進頂↢礼無上↡」

^ただもろもろのぼんのみ、 この怖畏ふいあるにあらず。 *せんのぼり、 *つうたるもの、 またかくのごとし。 ¬*ほっ譬喩ひゆきょう¼ のにのたまふがごとし。

↣唯凡下ノミ↢此怖畏↡。登↠仙タル↠通者亦復如↠是。如↢¬法句譬喩経¼偈フガ↡。

*そらにもあらずうみのなかにもあらず。 せんじゃくのあひだにるにもあらず。

方処ほうしょとして、 だっしてけざるはあることなし」 と。

そらのぼり、 うみり、 いわおかくるる三人さんにん因縁いんねん、 ¬きょう¼ (同) にひろくがごとし。

「非↠空ニモ↢海ニモ↠入ルニモ↢山石
シト↠有コト方処トシテ脱止ルハ↟受↠死
ノボ↠空、入↠海、隠ルル↠巌之三人因縁、如↢¬経¼広クガ

^まさにるべし。 しょげんは、 あるいはまぬかるるものあるも、 じょういちはつひにのがるるところなし。 すべからくせつのごとくしゅぎょうして、 じょうらくごんすべし。

↠知。諸余苦患↢免ルル者↡无常一事ルニ処↡。須↣如↠説修行欣↢求常楽↡。

^¬かん¼ にいふがごとし。 「じょうせつ豪賢ごうげんをもえらばず。 ぜいにしてかたからず、 *恃怙じこすべきことかたし。 いかんぞ安然あんねんとしてひゃくさいもうせん。 ほう馳求ちぐして、 *ちょしゃく聚斂じゅれんすれども、 聚斂じゅれんいまだらざるに、 *溘然こうねんとしてながきぬれば、 あらゆるさんはいたづらにとなりぬ。 冥々みょうみょうとしてひとくに、 たれか是非ぜひとぶらはんや。

↢¬止観¼云フガ↡。「无常殺鬼不↠択↢豪賢ヲモ↡。危脆ニシテ不↠堅カラ、難↠可キコト↢恃怙↡。云何安然トシテ規↢望百歳↡。四方馳求、貯積聚斂ドモ、聚斂未ルニ↠足溘然トシテヌレバ、所有産貨リヌ↢他↡。冥々トシテクニ、誰ハムヤ↢是非↡。

^もしじょうの、 暴水ぼうすいみょうふう*掣電せいでんよりもぎたることをさとらんも、 せんかいくうに、 くるところなし。 かくのごとくかんじをはりて、 しんおおきに怖畏ふいして、 ねむりはむしろやすくせず、 じき*あまくせず、 ねんすくはんがごとくして、 もつて*しゅつようもとめよ」 と。

リナバ無常ナルコト↢於暴水・猛風・掣電ヨリモ↡、山海空市シトケヌル↥、↠是、心大怖畏、眠不↠安クセムシロ、食不↠甘クセ↠哺、如クシテハラハムガ↢頭燃↡、以ヨト↢出要↡。」

^またいはく (止観)、 「たとへば、 *かんみみきばうしなふまでは、 いつわねむりしてまぬかるることをのぞめども、 たちまちにこうべることをきては、 しんおおきに驚怖きょうふするがごとし。 しょうろうびょうひては、 なほきゅうなりとなさざらんも、 いるかせにせず。 いかんぞぢざることをん。 しんおこときに、 とうまんがごとし。 *じん*六欲ろくよく*貪染とんぜんするにいとまあらず」 と。 以上略抄

又云、「譬↧野干マデハ↢耳・尾・牙↡、詐リシテマヌカラムコトヲ、忽キテハ↠断ラムコトヲ↠頭、心大驚怖ルガ↥、遭テハ↢生・老・病↡、尚ランモ↠為↠急ナリト弗↠ユルガナライカン↠不コトヲ↠怖。怖心起↠履マムガ湯・火↡。五塵・六欲、不↠暇アラ↢貪染スル↡。」 略抄

^人道にんどうかくのごとし、 じつえんすべし。

人道如↠此↢厭離↡。

二 Ⅰ ⅱ

【19】^だいろく*天道てんどうかさば、 さんあり。 いちには*欲界よくかいには*色界しきかいさんには*色界しきかいなり。 そのそうすでにひろし。 つぶさにじゅつすべきことかたし。 しばらく一処いっしょげて、 もつてそのれいせん。

第六サバ↢天道↡者有↠三。一者欲界、二者色界、三者无色界ナリ。其相既。難↠可キコト↢具↡。且↢一処↡、以セム↢其↡。

^かの*とうてんのごときは、 らくきわまりなしといへども、 命終みょうじゅうときのぞみて*すいそうげんず。 いちこうべうえ*はなかずらたちまちにしぼむ。 てんじんじゃくせらる。 さんわきしたよりあせづ。 ふたつしばしばまじろぐ。 *ほんねがはず。 このそうげんずるときに、 天女てんにょ眷属けんぞくみなことごとくおんして、 これをつることくさのごとし。

キハ↢彼忉利天↡雖↢快楽無シト↟極、臨↢命終↡五衰相現。一カヅラ。二天衣塵垢↠著。三ヨリ汗出。四フタツマジロ。五不↠楽↢本居↡。是相現ズル、天女・眷属皆悉遠離、棄ツルコト↠之↠草

^はやしのあひだに*えんして、 きゅうしてなげきていはく、 「このもろもろの天女てんにょをば、 われつねに憐愍れんみんしつ。 いかんぞ一旦いったんにわれをつることくさのごとくする。 われいまなくなし。 たれかわれをすくふものあらん。

偃↢臥↡、悲泣、此天女ヲバ我常憐愍シツ。云何一旦ツルコト↠我アル↠草。我今無↠依無↠怙。誰ハム↠我アラン

^*善見ぜんけんじょうは、 いまよりはまさにえなんとす。 たいしゃくほうちょうえつするによしなし。

善見宮城リハ↠今将↠絶ナムト。帝釈宝座、朝謁ルニ↠由。

^*しゅしょう殿でんのなかには、 なが瞻望せんもうつ。 *しゃくてん宝象ほうぞうには、 いづれのおなじくらん。

殊勝殿ニハ↢瞻望↡。釈天宝象ニハレノ

^*衆車しゅしゃおんのなかには、 またよくることなからん。 *じゅうおんのうちには、 *かいちゅうながしつ。

衆車苑ニハ↢復能コト↡。麁渋苑ニハ介冑長シツ

^*雑林ぞうりんおんのなかには、 宴会えんかいするになし。 *かんおんのなかには、 遊止ゆしするになし。

雑林苑ニハ宴会ルニ↠日。歓喜苑ニハ遊止コト↠期。

^*こうじゅもとびゃくごく軟石なんせきには、 さらにするときなし。 *まん陀枳だきしゅしょうみずには、 沐浴もくよくせんによしなし。

劫波白玉軟石ニハ↢坐スル時↡。曼陀枳尼殊勝池沐浴ムニ由。

^*しゅかんはたちまちにじきすることをがたく、 *みょう音楽おんがくはにはかにちょうもんつ。

四種甘露タチマチ↠得↠食コトヲ五妙音楽ニハカ↢聴聞↡。

^かなしきかな、 このひとりこのかかれり。 ねがはくはみんれてわが寿じゅみょうすくひて、 さらにすこしきばしめば、 またたのしからざらんや。 かの*馬頭めずせんおくしょうかいせしむることなかれ」 と。 このごんをなすといへども、 あへてすくふものなし。 ¬ろっ波羅ぱらみつきょう¼。

哉此身独カカレ↢此↡。願クハ↢慈↡救↢我寿命↡、更↢少↡、不ラム↢亦楽シカラ↡乎。勿レト↠令コト↠堕↢彼馬頭山・沃焦↡。雖↠作スト↢是↡、無↢敢者↡。¬六波羅蜜経¼

^まさにるべし、 このごくよりもはなはだし。 ゆゑに ¬しょうぼうねんぎょう¼ のにのたまはく、

↠知、此↢於地獄ヨリモ↡。故¬正法念経¼偈

てんじょうより退たいせんとほっするときには、 しんだいのうしょうず。

ごくのもろもろのどくは、 じゅうろくにしていちにもおよばず」 と。

「天上ヨリ↠退ムトニハ↢大苦悩
地獄苦毒十六ニシテ↠及↠一ニモ

^また大徳だいとくてんすでにうまれてのちには、 ふるてん眷属けんぞくは、 ててかれにしたがふ。 あるいはとくてんありて、 しんじゅんぜざるときには、 りていだし、 じゅうすることをることあたはざらしむ。 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)。

又大徳天既之後ニハ、旧眷属テテ而従↠彼。或↢威徳天↡不↠順↠心ニハ、駆メテ↠宮、不↠能↠得コト↠住コトヲ¬瑜伽¼

^*欲天よくてんことごとくこのあり。 じょうかい (色界・無色界) のなかにはかくのごときなしといへども、 つひに退没たいもつあり。 ない*そう*阿鼻あびをばまぬかれず。 まさにるべし、 てんじょうまたたのしむべからず。 じょう天道てんどう

欲天悉↢此苦↡。上二界ニハ↠無シト↢如↠此之事↡、終↢退没之苦↡。乃至非想マデニ不↠免↢阿鼻ヲバ↡。当↠知、天上亦不↠可↠楽已上天道

二 Ⅰ ⅱ 総結

【20】^だいしちそうじて厭相えんそうけっせば、 いはく、 *いっきょう、 ひとへにくるし。 *耽荒たんこうすべきにあらず。 *やまあわきたらば、 のがるところなし。 しかも、 もろもろのしゅじょう*貪愛とんないをもつてみづからおおひて、 ふか*よくじゃくせり。 じょうにあらざるをじょうといひ、 らくにあらざるをらくといへり。 かの、 *ようあらまつげくがごとき、 なほいかんぞいとはざらん。 いはんやまた刀山とうせんとう、 やうやくまさにいたりなんとす。 いづれの有智うちのものか、 この宝玩ほうがんせんや。

第七セバ↢厭相↡者、謂篋、偏。非↠可キニ↢耽荒↡。四山合↠所↢ノガ↡。而衆生↢貪愛↡自ツヒ、深セリ↢於五欲↡。非ルヲ↠常↠常、非ルヲ↠楽ヘリ↠楽。彼↢洗ヨウクガマツゲ、猶イカンラム。況復刀山・火湯、漸↠至ナムトイヅレ有智宝↢玩セム↡乎。

^ゆゑに ¬*しょうぼうねんぎょう¼ のにのたまはく、

¬正法念経¼偈

しゃのつねにうれひをいだくこと、 なほごくのなかにとらはれたるにたり。

にんのつねに歓楽かんらくすること、 なほ*光音こうおんてんのごとし」 と。

「智者コト↠憂ナホタリ↢獄コメラレタルニ
愚人歓楽コト猶如シト↢光音天↡」

^¬ほうしゃくきょう¼ のにのたまはく、

¬宝積経¼偈

^種々しゅじゅ悪業あくごうをもつて財物ざいもつもとめて、 さい養育よういくしてかんすとおもへども、

命終みょうじゅうときのぞみて、 せまり、 さいもよくあひすくふものなし。

^かのさん怖畏ふいのなかにおいては、 さいおよび親識しんしきず。

しゃ財宝ざいほうにんぞくしぬ。 くるに、 たれかよくともにしてわかつものあらん。

^父母ぶもきょうだいおよびさいぼう僮僕どうぼくならびに珍財ちんざいも、

してりぬれば、 いちとしてきたりあひしたしむものなし。 ただ*黒業こくごうのみありてつねに*随逐ずいちくせり。

「種々悪業ヲモテ↢財物養↢育妻子↡謂↢歓娯スト
↢命終苦逼レバ↠身妻子↢能者↡
テハ↢彼三塗怖畏不↠見↢妻子及
車馬財宝↢他人ルニ↠苦ニシテアラム
父母兄弟及妻子朋友僮僕アハセ珍財
ヌレバ↢一ヅク↢黒業ノミ↡常セリ

^えんつねにかの罪人ざいにんぐ。 ªしょうざいもわがよくくわふることあることなし。

なんぢみづからつみつくりて、 いまみづからきたれり。 *業報ごうほうみづからまねく、 かわるものなし。

^父母ぶもさいもよくすくふことなし。 ただまさに*しゅついん勤修ごんしゅすべしº と。

このゆゑに*枷鎖かさごうてて、 よくおんりて安楽あんらくもとむべし」 と。

閻羅常↢彼罪人↠有コト↢少罪トシテ
汝自↠罪今自レリ業報自↢代者↡
父母妻子↢能コト↣勤↢修出離
シト↧捨テテ伽鎖↢遠離↡求↦安楽↥」

^また ¬大集だいじっきょう¼ のにのたまはく、

又¬大集経¼偈

さい珍宝ちんぽうおよびおうも、 命終みょうじゅうときのぞみては、 したがはざるものなり。

ただ*かいとおよび**放逸ほういつと、 こん後世ごせ伴侶はんりょとなる」 と。

「妻子珍宝及王位↢命終↠随ナリ
不放逸今世後世ルト↢伴侶↡」

^かくのごとく*展転てんでんして、 あくつくりてけ、 いたづらにしょうじいたづらにして、 輪転りんでんきわなし。 ¬きょう¼ (*雑阿含経)にのたまふがごとし。

シテ↠是展転、作↠悪↠苦、輪転無↠際。如↢¬経¼偈フガ↡。

一人いちにん一劫いっこうのなかにけたるところのもろもろの身骨しんこつを、

つねにみてはいせずは、 *布羅ふらせんのごとし」 と。

「一人一劫↠受タル身骨
↢腐敗ケム↢毘布羅山↡。」

^一劫いっこうすらなほしかなり。 いはんやりょうこうをや。 われらいまだかつてどうしゅせざるがゆゑに、 いたづらにへんこうたり。 いまもし勤修ごんしゅせずは、 らいもまたしかるべし。 かくのごとくりょうしょうのなかには、 人身にんじんることはなはだかたし。 たとひ人身にんじんたれども、 もろもろのこんすることまたかたし。 たとひ諸根しょこんすれども、 ぶっきょうふことまたかたし。 たとひぶっきょうふとも、 *信心しんじんをなすことまたかたし。

一劫スラナリ。況无量劫ヲヤ。我等未ルガムカシニモ↟道、徒タリ↢无辺劫↡。今若↢勤修↡未来亦可↠然。如↠是无量生死之ニハ、得コト↢人身↡甚。縦タレドモ↢人身↡、具コト↢諸↡亦難。縦スレドモ↢諸根↡、遇コト↢仏教↡亦難。縦トモ↢仏教↡、ナスコト↢信心↡亦難

^ゆゑに ¬だいきょう¼ (*涅槃経・意) にのたまはく、 「人趣にんしゅうまるるものはつめうえつちのごとし。 さんつるものは十方じっぽうつちのごとし」 と。

¬大経¼云、「生ルル↢人趣↡者↢爪↡。堕↢三途↡者シト↢十方↡。」

^¬*法華ほけきょう¼ のにのたまはく、

¬法花経¼

りょうしゅこうにも、 このほうくことまたかたし。

よくこのほうくもの、 このひとまたかたし」 と。

「無量無数劫コト↢是↡亦難
↢是↡者人亦復難シトイヘリ。」

^しかるをいま、 たまたまこれらのえんせり。 まさにるべし、 *かいはなれてじょうおうじょうすべきこと、 ただこんじょうにのみあり。 しかるをわれら、 こうべ霜雪そうせついただきて、 しん俗塵ぞくじんめり。 いっしょうきぬといへども、 もうきず。 つひにびゃくにちもとして、 ひと*黄泉こうせんそこときひゃくぜん*洞然どうねんたるみょうのなかにちて、 てんばはりたたくといへども、 さらになんのやくかあらんや。

ルヲ今適↢此等↡。当↠知、応キコト↧離苦海↡往↦生浄土↥只在コノノミ↡。而ルヲ我等頭↢霜雪↡、心俗塵↡。一生↠尽ヌト悕望不↠尽↢白日↡、独ラム↢黄泉↡之時、堕↢多百踰繕那洞然タル猛火↡、雖↢呼↠天↟地、更↢何↡乎。

^ねがはくはもろもろのぎょうじゃえんしんしょうじて、 すみやかに*しゅつようみちしたがふべし。 たからやまりてむなしくしてかえることなかれ。

クハ行者、疾↢厭離↡、速ベシ↢出要↡。莫↧入↢宝↡空クシテ↠手而帰コト↥。

 ^ふ、 なんらのそうをもつてか厭心えんしんをなすべき。

↢何等↡応↢厭心↡。

^こたふ、 もしひろかんぜんとおもはば、 さき所説しょせつのごとし。 六道ろくどういんじょうとうなり。

↢広ゼムト↡、如↢前所説↡。六道因果、不浄・苦等ナリ

^あるいはまた*りゅうじゅさつの、 ぜん陀迦だかおう勧発かんぽつする (龍樹為王説法要偈) にいはく、

復龍樹菩薩勧↢発禅陀迦王↡偈

^「このは、 じょう*あなよりながれて、 きわまりむことあることなきこと、 かいのごとし。

「是不浄九ヨリキコト↠有コト↢窮コト↡若↢河海

うすかわおおかくして清浄しょうじょうなるにたれども、 *瓔珞ようらくりてみづからしょうごんせるがごとし。

皮覆↢清浄ナルニ↧仮↢瓔珞↡自荘厳セルガ

^もろもろの有智うちにんはすなはち分別ふんべつして、 その*おうなるをりてすなはちしゃす。

有智分別↢其虚誑ナルヲ↡便棄捨

たとへば*しゃの、 みょうえんちかづきて、 はじめはしばらくよろこぶといへども、 のちにはすがごとし。

↧疥者キテ↢猛焔↢暫ブト↡後スガ↞苦

^*貪欲とんよくそうもまたしかなり。 はじ楽着ぎょうじゃくすといへども、 つひにはうれおおし。

貪欲之亦復然ナリ↢楽著スト↡終ニハ↠患

実相じっそうはみなじょうなりとる。 すなはちこれ*くう*無我むがかんずるなり。

レバ↢身皆不浄ナリ是観ズルナリ↢於空无我

^もしよくこのかんしゅじゅうするものは、 やくのなかにおいてもつともじょうなり。

修↢習↡者↢利益↡最无上ナリ

*しきぞくおよびもんありといへども、 もしかいなければきんじゅうのごとし。

↠有リト↢色族及多聞↡レバ↢戒智↡猶↢禽獣

^しゅうせんしょし、 聞見もんけんすくなしといへども、 よくかいしゅするを勝上しょうじょうづく。

↧処↢醜賎↡少シト↦聞見↥ルヲ↢戒智↡名↢勝

*すい八法はっぽう、 よくまぬかるることなし。 もし除断じょだんすることあるは、 まことにともがらなし。

利衰八法莫↢能コトルハ ↢除断コト↡真トモガラ

^もろもろの沙門しゃもん*婆羅ばらもん父母ぶもさいおよび眷属けんぞくの、

ラバ沙門・婆羅門・父母・妻子及眷属

かのこころのためにそのごんけて、 ひろぜんほうぎょうつくることなかれ。

↧為↢彼↡受↢其コト↦不善非法

^たとひこれらがためにもろもろのとがおこせども、 らいだいはただく。

↢此等↡起ドモ↢諸未来大苦ヲバ

それ衆悪しゅあくつくれども、 ただちにむくいず。 刀剣とうけんのこもごもしょうかつするがごとくにはあらず。

トキハ↢衆悪↡不↢即↠如クニハ↢刀剣傷割ルガ

^おわりにのぞみ、 つみあひはじめてともにげんじて、 のちごくりてもろもろのかかる。

↠終罪相↢地獄カカ↢諸

*しんかいもんざん、 かくのごとき七ぽうしょうざいづく。

信・戒・施・聞・慧・慚・↠是七法↢聖財

^真実しんじつにして無比むひ*牟尼むにせつなり。 けんのもろもろの珍宝ちんぽうちょうおつせり。

ニシテ無比牟尼ナリ超↢越セリ世間珍宝

ることをりぬれば、 まずしといへどもめりとづくべし。 ざいあれどもよくおおきは、 これをびんづく。

ヌレバ↠足コトヲ↠貧シト↠名↠富リトドモ↠財多ヲバ↠欲是↠貧

^もし財業ざいごうゆたかなれば、 もろもろのすこと、 りゅうかしらおおきは*酸毒さんどくすがごとし。

ルハ↢財業↡増コト↢諸↣竜キハカシラスガ↢酸毒

まさにかんずべし、 うまあじはひは毒薬どくやくのごとし。 智慧ちえみずをもつてそそぎてきよからしめよ。

↠観ウマ↢毒薬↢智↡灑↠浄カラ

^このぞんぜんがためにじきすべしといへども、 しきとんじてきょうまんちょうずることなかれ。

↠存ムガ↢此↡雖↠応↠食↧貪↢色味↡長ズルコト↦憍慢

もろもろの欲染よくぜんにおいてまさにいとふことをなして、 つとめてじょうはんどうもとむべし。

↢諸欲染↡当↠厭コトヲ↢无上涅槃

^この調じょうして安穏あんのんならしめて、 しかしてのちによろしく*斎戒さいかいしゅすべし。

調↢和↡令↢安ナラシテ↠修↢斎戒

いち分別ふんべつするに*五時ごじあり。 二時にじのなかにまさに眠息めんそくすべし。

一夜分別ルニ↢五時↡二時↢眠息

^しょちゅう後夜ごやには*しょうかんじて、 よろしくつとめて*もとめてむなしくぐすことなかれ。

初・中・後夜ニハジテ↢生死↠度↢空コト

たとへばしょうえん*ごうけるに、 みずをして*かんあらしむることあたはざるがごとく、

↧少塩ルニ↢恒河ルガ↞能↠令コト↣水ヲシテ↢鹹味↡

^さいあく衆善しゅぜんひぬれば、 しょうめつさんすること、 またかくのごとし。

微細之悪ヌレバ↢衆善消滅散壊コト亦如↠是

梵天ぼんてんよくたのしみをくといへども、 かえりて*けんねん

↠受クト↢梵天離欲↢無間熾然

^てんしてこうみょうせりといへども、 のちにはごく黒闇こくあんのなかにる。

↧居↢天宮↡具セリト↦光明ニハ↢地獄黒闇

いはゆる*こくじょうかつごくの、 しょうかつはくおよびけんなり。

所謂縄・活地獄焼・割・剥・刺及无間ナリ

^このはちごくはつねに*ねんなり。 みなこれしゅじょう悪業あくごうほうなり。

地獄熾然ナリ皆是衆生悪業ナリ

もし図画ずえごんき、 あるいはきょうしょしたがひてみづから憶念おくねんし、

見↢図画↡聞↢他↢経書↡自憶念

^かくのごとくしてときにすらもつてしのびがたし。 いはんやまたおのがにみづから*経歴きょうりゃくせんをや。

シテ↠是ニスラ↠忍復己逕歴ムヲヤ

もしまたひとありて一日いちにちのうちに、 さんびゃくほこをもつてそのさんも、

復有↠人一日↢三百ササ↢其

^*阿鼻あびごく一念いちねんくらぶるに、 ひゃくせん万分まんぶんにしていちにもおよばず。

ルニ↢阿毘獄一念百千万分ニシテ不↠↠一ニモ

ちくしょうのなかにおいても、 りょうなり。 あるいは*ばくおよび鞭撻べんたつせらるることあり。

テモ↢畜生↡苦无量ナリ↢繋縛鞭撻ラルルコト

^あるいはみょうしゅかくこつもうにくのために残害ざんがいせらるることをいたす。

↢明珠・羽・角・牙・骨・毛・皮・肉↢残害セラルルコト

餓鬼がきどうのなかのもまたしかなり。 もろもろの*所須しょしゅよくこころしたがはず、

餓鬼道亦然ナリ所須欲不↠随↠意

^かつひっせられて寒熱かんねつくるしむ。 ぼうとう、 はなはだりょうなり。

飢渇レテ↠逼クルシ↢寒熱疲乏等苦甚无量ナリ

尿にょうふんのもろもろのじょうすら、 ひゃく千万せんまんごうによくることなし。

屎尿糞穢不浄百千万劫↢能コト

^たとひまたもとめてしょうぶんれども、 さらにあひ*劫奪こうだつして、 いで散失さんしつしぬ。

復推ドモ↢少分劫奪ギテ散失

清冷しょうりょうあきつきにも焔熱えんねつうれへ、 おんはるにもうたたかんす。

ニモ↢焔熱温和ニモ寒苦

^もし園林おんりんおもむけば、 しゅき、 たとひしょういたれどもへんじてかつしぬ。

↢園林↡衆菓尽レバ清流枯竭

*罪業ざいごうえんのゆゑに、 寿じゅじょうおんにして、 ること一万いちまん千歳せんざいあり。

寿長遠ニシテコト↢一万五千歳↡

^もろもろの*どくくるにむなしくくることなし。 みなこれ餓鬼がきほうなり。

ルニ↢衆楚毒↡无↢空コト皆是餓鬼之果報ナリ

煩悩ぼんのう*かわしゅじょうただよはし、 ふか怖畏ふいねんとなる。

煩悩河漂↢衆生↢深怖畏熾然

^かくのごときもろもろの*塵労じんろうめっせんとおもはば、 真実しんじつだつ*たいしゅすべし。

↠滅ムト↢如↠是塵労↠修↢真実解脱

もろもろのけん*みょうほうはなれて、 すなはち清浄しょうじょうどうところよ」 と。

↢諸世間仮名ヨト↢清浄不動↡」

^じょうひゃくじゅうぎょうあり。 いまりゃくしてこれをしょうす。

已上有↢百十行偈↡。今略

^もしりゃくぞんぜば、 *みょうさつの、 *らい和羅わらしょうとなへていふがごとし。

ゼバ↠略者、如↢馬鳴菩薩頼和羅フガ↡。

^*有為うい諸法しょほうは、 げんのごとくのごとし。

「有為諸法↢幻↢化

三界さんがい獄縛ごくばくは、 いちとしてもたのしむべきことなし。

三界獄縛↢一トシテモキコト↟楽

^おう高顕こうけんにして、 勢力せいりきざいなれども、

王位高勢力自在ナレドモ

じょうすでにいたりぬれば、 たれかぞんずることをるものあらん。

無常既ヌレバ↠存コトヲアラン

^くうちゅうくもの、 しゅ散滅さんめつするがごとし。

↢空須臾散滅ルガ

この虚偽こぎなること、 なほしょうのごとし。

虚偽ナルコト猶如↢芭蕉

^おんたりぞくたり、 親近しんごんすべからず。

↠怨↠賊不↠可↢親近

*毒蛇どくじゃはこのごとし。 たれかまさに*あいぎょうすべき。

↢毒蛇↢愛楽

^このゆゑに諸仏しょぶつ、 つねにこのしたまふ」 (*付法蔵因縁伝) と。

諸仏タマフト↢此↡」

^このなかにつぶさにじょうくうぶ。 くものどうさとる。

↢無常・苦・↡。聞者悟↠道

^あるいはまた堅牢けんろう比丘びくかべうえ (宝積経) にのたまはく、

復堅牢比丘

^しょう断絶だんぜつせざるは、 貪欲とんよく嗜味しみなるがゆゑなり。

「生死コト↢断絶貪欲嗜味ナルガ

あだやしなひて*ちょうりて、 むなしくもろもろのしんく。

↠怨↢丘塚↢諸辛苦

^くさきこと死屍しにかばねのごとし。 あなよりじょうながす。

キコト↢死屍ヨリ↢不浄

かわやむしの、 ふんたのしむがごとく、 にしてとんずるもことなることなし。

↢廁↟糞ニシテルモ↠身↠異ナルコト

^*憶想おくそうしてみだりに*分別ふんべつする、 すなはちこれよくもとなり。

憶想分別是五欲ナリ

しゃ分別ふんべつせざれば、 よくすなはち断滅だんめつす。

智者レバ↢分別五欲則断滅

^邪念じゃねんより*とんじゃくしょうじ、 とんじゃくより煩悩ぼんのうしょうず。

邪念ヨリ↢貪著貪著ヨリ↢煩悩

しょうねんにして貪欲とんよくなければ、 煩悩ぼんのうまたきぬ」 と。

正念レバ↢貪欲↡余煩悩亦尽ヌト

^過去かこ弥楼みるけんぶつめつに、 しょうぼうめっせしときに、 陀摩だま尸利しりさつ、 このもと仏法ぶっぽうせんし、 りょうしゅじょうやくせり。

過去弥楼犍駄仏滅後、正法滅セシ、陀摩尸利菩薩求↢得↡弘↢宣仏法↡、利↢益セリ無量衆生↡。

^あるいはまた ¬*仁王にんのうきょう¼ に*じょうあり。 つべし。

復¬仁王経¼有↢四非常偈↡。可↠見

^もしごくりゃくねがはば、 ¬*金剛こんごうきょう¼ にのたまふがごとし。

ハバ↢極略↡者、如↢¬金剛経¼云フガ↡、

一切いっさい有為ういほうは、 ゆめまぼろしあわかげとのごとし。

つゆのごとくまたいなずまのごとし。 かくのごときかんをなすべし」 と。

「一切有為↢夢トノ
↠露亦如↠電シト↢如↠是↡」

^あるいはまた ¬だいきょう¼ (涅槃経)にのたまはく、

復¬大経¼偈

*しょぎょうじょうなり。 これしょうめつほうなり。

しょうめつめっしをはりて、 じゃくめつなるをらくとなす」 と。

「諸行無常ナリ是生滅ナリ
生滅滅寂滅ナルヲ↠楽

^*おんじょうどうすみに、 *頗梨はりかねあり。 かねのなかにまたこのく。 びょうそうきて、 のうすなはちのぞこりて、 清涼しょうりょうらくること、 *三禅さんぜんじょううまれなんとするがごとし。 いはんやまた、 *雪山せっせんだい全身ぜんしんててこのたり。

祇園寺无常堂↢頗梨鐘↡。鐘亦説↢此↡。病僧聞↠音、苦悩即コリテルコト↢清涼↧入↢三禅ルガ↞生ナムト↢浄土復雪山大士、捨テテ於全身↡而得タリ↢此↡。

^ぎょうじゃよくねんして、 これを忽爾いるかせにすることをざれ。 せつのごとく観察かんざつして、 まさに*とんしんとう惑業わくごうはなるること、 獅子ししの、 ひとふがごとくにすべし。 どうやくぎょうをなして、 かたくななるいぬの、 つちくれふがごとくすべからず。

行者善思念、不↠得↣忽↢爾イルカセニスルコトヲ↡。如↠説観察、応↧離コト↢貪・瞋・痴等或業↡、如クニス↦師子フガ↞人。不↠応↧作↢外道無益苦行↡、如クスカタクナナルフガツチクレ

 ^ふ。 じょうじょう、 そのさとりやすし。 げん*法体ほったいあるをばるに、 なんぞきてくうとなす。

。不浄・苦・无常、其義易↠了。現ルニ↠有ヲバ↢法体↡、何↠空

^こたふ。 あに ¬きょう¼ (金剛経)かずや、 「げんのごとし」 と。 ゆゑにゆめきょうれいして、 まさにくうかんずべし。

。豈↢¬経¼説↡、「如シト↢夢・幻・化↡。」故↢夢↡当↠観↢空↡。

^¬西域さいいき¼ (*大唐西域記) にいふがごとし。 「^*婆羅ばらねつこく*鹿林ろくりんひがしくことさんにして、 れたるいけあり。 むかしいちいんありて、 このいけほとりにしていおりむすあとへだてて、 ひろじゅつならひ、 じん究極きゅうきょくして、 よく*りゃくをしてたからとなし、 人畜にんちくをしてかたちへしむ。 ただしいまだ風雲ふううんりて*せんばいすることあたはず。 ひらき、 いにしえかんがへて、 さらにせんじゅつもとむ。

↢¬西域¼云フガ↡。「婆羅痆斯国施鹿林キテ二三里、有↢涸タル池↡。昔有↢一隠士↡、於↢此↡結↠蘆ヘダテ↠迹、博伎術↡究↢極神理↡、能使↢瓦礫ヲシテ、人畜ヲシテ↠形。但↠能↢風雲コト↦仙↥。ヒラ↠図↠古、更↢仙術↡。

^そのほうにいはく、 いち*れつめいじて、 ながかたなりてだんすみち、 いきへだごんちて、 ゆうべよりあしたおよばしむ。 せんもとむるものはちゅうだんし、 ながかたなり、 くち*神呪じんじゅじゅし、 おさちょうほんじて、 *みょうせんのぼると。 つひにせんほうによりていちれつもとめて、 しばしば*ちょうくわへ、 ひそかに陰徳おんとくぎょうじき。

、命烈士↡、執↢長↡立↡、ヘダ↠息↠言、自ヨムベオヨバシムアシタ。求↠仙、手↢長↡、口↢神呪↡、収↠視ジテ↠聴、遅明ルトイヘリ↠仙。遂↢仙↡求↢一烈士↡、数↢重貽↡、ヒソカジキ↢陰徳↡。

^いんのいはく、 ªねがはくは、 一夕いっせきおとせざらんのみº と。 れつのいはく、 ªすらなほせじ。 あにいたづらにいきへだてんをやº と。

隠士、願クハ一夕不ラムオト。烈士、死ヌルコトヲダモ尚不↠辞。豈ヘダテムヲヤト↠息

^ここにおいてだんじょうもうけ、 せんほうけ、 ほうによりてぎょうして、 してるるをつ。 くんのちにおのおのそのいとなみつかさどる。 いん神呪じんじゅじゅし、 れつ銛刀せんとうあんぜり。 ほとほとまさにけなんとするに、 たちまちにおとおこしてさけぶ。

↠是↢壇場↡、受↢仙↡、依↠方行事シテ、坐↢日クルルヲ↡。曛暮之後リテ↢其イトナミ隠士神呪↡、烈士ゼリ銛刀↡。殆ルニアケナムト矣、忽オトヨバ

^ときいんひていはく、 ªおとすることなかれといましめつ。 なにをもつてかおどろさけぶº と。

隠士問、誡メツレトオトスルコト。何ヨバ

^れつのいはく、 ªめいけてのちぶんいたるに、 *惛然こんねんとしてゆめのごとくして、 へんさらにおこれり。

烈士、受↠命後至ルニ↢夜分↡、惛然トシテクシテ↠夢、変異更

^れば、 むかしつかへししゅ、 みづからきたりてしゃす。 厚恩こうおんになへることをかんじて、 しのびて*ほうせず。 かのひとしんして、 つひに殺害せつがいせられぬ。

ツカヘミヅカ慰謝。感↠荷コトヲ↢厚恩↡、忍不↢報語↡。彼人震怒シテ、遂ラレ殺害↡。

^*ちゅういんしんけて、 かばねかえりみてたんしゃくす。 なほねがはくは、 ともものいはずしてもつて厚徳こうとくほうぜんと。

↢中陰↡、顧↠屍嘆惜。猶願クハトモ↠世シテモノイムト↢厚徳↡。

^つひにれば、 みなみいん*だい婆羅ばらもんいえたくしょうす。 ないたいたいづるに、 つぶさにやくれども、 おんになとくになひてかつておといださず。

詫↢生南印度大婆羅門乃至受↠胎ルニ↠胎、備ドモ↢苦↡、荷↠恩↠徳不↠出オト

^ごうけ、 冠婚かんこんし、 おやうしなひ、 をなすにおよぶまで、 つねにさきおんおもひてしのびてかたらず。 *宗親そうしんしゃくぞくことごとく怪異けいす。

洎↢乎オヨブマデ↠業↠親ナス↟子、毎↢前↡忍而不↠語。宗親戚属咸怪異

^としろくじゅうゆうぎて、 わがつまかたりていはく、 «なんぢ、 ものいふべし。 もしかたらずは、 まさになんぢがころすべし» と。 われとき*惟念ゆいねんすらく、 «すでにしょうへだつ。 みづからかえりみるに、 衰老すいろうして、 ただこの*稚子ちしのみありと。 よりてそのつまとどめて、 殺害せつがいすることなからしめん» と。 つひにこのおとおこせるのみº と。

年過↢六十有五↡、我カタリ、汝、可モノイ矣。若↠語者当シト↠殺↢汝↡。我時惟念ラク、已↢生世↡。自ルニ衰老タリ稚子ノミアリト。因↢其↡、令メムトシテ↠無↢殺害スルコトセルナラク↢此オト↡耳

^いんのいはく、 ªわがとがなり。 これなやませるのみº と。 れつおんかんじて、 のならざるをかなしみて、 ふんしてせり」 と。 以上略抄

隠士、我之過也。此魔ナヤマスナラク。烈士、感↠恩ミテ↢事ルヲ↟成、憤恚而死。」 已上略抄

^ゆめきょう、 かくのごとし。 諸法しょほうもまたしかなり。 妄想もうぞうゆめ、 いまだめざれば、 くうにおいて、 いひてとなす。

境如↠是。諸法亦然ナリ。妄想夢未レバ↠覚、於↠空↠有

^ゆゑに ¬*唯識ゆいしきろん¼ (意) にいはく、 「いまだしんさとりざるときは、 つねにゆめのなかにしょせり。 ゆゑにぶつきて、 しょう*じょうとなしたまふ」 と。

¬唯識論¼云、「未シテ↠得↢真↡、常セリ↢夢↡。故仏説タマフト↢生死長夜↡。」

 ^ふ。 もしじょうくうとうかんをなさば、 あに*小乗しょうじょう*調じょう自度じどことならんや。

。若↢無常・苦・空等↡、豈ムヤ↢小乗自調・自度↡。

^こたふ。 このかん*しょうかぎらず。 またつうじてだいじょうにもあり。

。此不↠局↠小。亦通↢大乗↡。

^¬ほっ¼ にのたまふがごとし。

↢¬法華¼云フガ↡。

^だい慈悲じひしつとなす。 にゅう忍辱にんにくなり。

諸法しょほうくうとなす。 ここにしょしてためにほうけ」 と。

「大慈悲↠室柔和忍辱ナリ
諸法↠座シテ↠此↢説ケト↠法↡」

^諸法しょほうくうかん、 なほだい慈悲じひしんさまたげず、 いかにいはんやじょうとうさつがんもよおすをや。 このゆゑに ¬だい般若はんにゃ¼ とうきょうに、 *じょうとうかんをもつてまたさつほうとなす。 もしらんとおもはば、 さらにきょうもんめ。

諸法観尚不↠妨↢大慈悲心↡、何苦・無常等スヲ↢菩薩悲願乎。是¬大般若¼等、以不浄等↡亦為↢菩薩↡。若↠知ムト者、更↢経↡。

 ^ふ。 かくのごとき観念かんねんは、 なんのやくかある。

。如↠是観念↢何利益↡。

^こたふ。 もしつねにかくのごとくしん*調じょうぶくすれば、 よくはくにして、 ないりんじゅうにはしょうねんにしてみだれず、 あくしょちざるなり。

。若シテ↠是調↢伏レバ↡者、五欲微薄ニシテ、乃至臨終正念ニシテシテ↠乱、不ルナリ↠堕↢悪処↡。

^¬*だいしょうごんろん¼ の勧進かんじんねんにいふがごとし。

↢¬大荘厳論¼勧進繋念フガ↡。

^じょうねんにしてうれひなきときには、 *だいにしてしょうじんせず。

「盛年ニシテ↠患ニハ懈怠ニシテ不↢精進

もろもろの*事務じむ貪営とんようして、 *かいぜんとをしゅせず。

貪↢営事務不↠修↢施・戒・禅

^のためにまるるにのぞみて、 まさにいてぜんしゅすることをもとむ。

↢為↠死ルニ↟呑↠修セムコトヲ↠善

しゃ観察かんざつして、 よくおもい断除だんじょすべし。

智者↣観察断↢除五欲

^*しょうごんじゅうしんのものは、 *じゅうこんなし。

精勤習心終時↢悔恨↡

しんすでにせんなれば、 錯乱さくらんおもいあることなし。

心意既ラニシテ↠有コト↢錯乱念↡

^しゃはつとめてしんれば、 おわりにのぞみてこころさんぜず。

智者レバ↠終意不↠散

じゅうしんせんならざれば、 おわりにのぞみてかならず散乱さんらんす」 と。

ルハ↢習心専↠終散乱スト

^また ¬ほうしゃくきょう¼ のじゅうしちにのたまはく、

又¬宝積経¼五十七

^「このかんずべし。 きんみゃくたがひに*てんにょうせり。

「応↠観↢於此筋脈タガヒ纏繞セリ

湿うるへるかわあひつつおおひて、 *ところ瘡門そうもんあり。

湿ヘル皮相ツツ↢瘡門↡

^しゅうへんしてつねに尿にょうのもろもろのじょういつせり。

周遍流↢溢セリ屎尿不浄

たとへばしゃ*せんとに、 もろもろの穀麦こくばくとうれるがごとく、

↣舎↠篅レルガ↢諸穀麦等

^このもまたかくのごとし。 ぞうそのなかにてり。

亦如↠是雑穢満↢其

ほねけん運動うんどうするに、 ぜいにして堅実けんじつにあらず。

運↢動シテ機関危脆ニシテ↢堅実ナラ

^愚夫ぐふはつねにあいぎょうすれども、 しゃ*ぜんじゃくすることなし。

愚夫愛楽レドモ智者↢染著スルコト

なみだつばきあせつねにながれ、 膿血のうけつつねにじゅうまんせり。

ナミダ唾汗常ウミシル血恒充満セリ

^なるあぶら乳汁にゅうじゅうまじはり、 のうどくのなかにつ。

ナルリテ↢乳汁ナヅキチテ↢髑髏

きょうかくには*痰癊たんおんながれ、 うちに*生熟しょうじゅくぞうあり。

ヨリ痰癊流↢生熟蔵↡

^肪膏ぼうこうまくと、 ぞうのもろもろのふくとあり。

肪膏与↢皮膜↡五蔵腹胃トアリ

かくのごときしゅうらんとうの、 もろもろのじょうおなじくせり。

↠是臭爛等不浄セリ

^つみふかづべし。 これはすなはちこれおんなり。

↠畏是怨家ナリ

しき耽欲たんよくにんは、 愚痴ぐちにしてつねにたもちてまもれども、

ルコト耽欲愚痴ニシテ

^かくのごときしゅうは、 なほちたるじょうかくのごとし。

↠是臭穢猶如↢朽タル城廓

にち煩悩ぼんのうめられて、 せんしてしばらくもとどまることなし。

日夜煩悩レテ遷流↢蹔コト

^しろほね墻壁かきかべにくをもつてでいとなし、

城骨牆壁ニハ血肉ヲモテセリ↢塗泥

さい*とんしんところしたがひて枉飾おうじきせり。

画彩貪・瞋・痴↠処枉飾セリ

^にくむべし骨身こつしんしろにくあひ連合れんごうし、

骨身血肉相セリ

つねに*あくしきないをもつてあひせんぜらる。

↢悪知識内外

^*なん、 なんぢまさにるべし。 わが所説しょせつのごとく、

難陀汝当↠知↢我之所説

ちゅうつねに*ねんして、 よくきょうおもふことなかれ。

昼夜常繋念↠思コト↢於欲境

^もしおんせんとおもはば、 つねにかくのごときかんをなし、

↢遠離ムト↡者↢如↠是

だつところごんせば、 すみやかにしょううみえん」 と。

勤↢求シテ解脱↢生死海↡」

^しょやくは ¬大論だいろん¼ (大智度論)・¬かん¼ とうるべし。

諸余利益↠見↢¬大論¼・¬止観¼等↡。

欣求浄土
    叙意標章

【21】^大文だいもんだいに、 ごんじょうといふは、 *極楽ごくらく*しょうどくりょうなりひゃくこう千劫せんごうくともつくすことあたはじ。 *算分さんぶんぶんもまたるところにあらず。 しかも ¬*ぐんろん¼ には三十さんじっしゅやくかし、 ¬*安国あんこくしょう¼ にはじゅうらくひょうせり。 すでにりぬ。 しょうようはただひとしんにあり。

大文第二欣求浄土トイフ者、極楽依正功徳無量ナリ。百劫・千劫トモ不↠能↠尽コト。算分・喩分亦非↠所↠知。然¬群疑論ニハ¼明↢三十種↡、¬安国ニハ¼摽セリ↢二十四↡。既。称只在↢人↡。

^いまじゅうらくげてじょうさんずること、 なほ一毛いちもうをもつて大海だいかいしただらすがごとし。 いちにはしょうじゅ来迎らいこうらくにはれん初開しょかいらくさんには身相しんそう神通じんずうらくにはみょうきょうがいらくにはらく退たいらくろくにはいんじょう結縁けちえんらくしちにはしょうじゅ倶会くえらくはちには見仏けんぶつ聞法もんぽうらくには随心ずいしんぶつらくじゅうには増進ぞうしん仏道ぶつどうらくなり。

今挙↢十↡而シテコト↢浄土↡、猶如クセム↣一毛之シタツル↢大海↡。一ニハ聖衆来迎楽、二ニハ蓮華初開楽、三ニハ身相神通楽、四ニハ五妙境界楽、五ニハ快楽无退楽、六ニハ引接結縁楽、七ニハ聖衆倶会楽、八ニハ見仏聞法楽、九ニハ随心供仏楽、十ニハ増進仏道楽也。

二 Ⅱ 解釈十楽
      聖衆来迎楽

【22】^第一だいいち*しょうじゅ来迎らいこうらくといふは、 おほよそ悪業あくごうにんは、 いのちくるときに、 *ふうる。 ゆゑに動熱どうねつしておおし。 ぜんぎょうにんは、 いのちくるときに、 *すいる。 ゆゑに緩慢かんまんとしてなし。 ^いかにいはんや念仏ねんぶつこうつもり、 *運心うんしんとしふかきものは、 命終みょうじゅうときのぞみてだいおのづからしょうず。

第一聖衆来迎トイフ者、凡悪業命尽クル、風・火先。故動熱↠苦。善行命尽クル、地・水先。故緩縵トシテ↠苦。何念仏功積、運心年深之者、臨↢命終↡大喜自

^しかる所以ゆえんは、 弥陀みだ如来にょらい*本願ほんがんをもつてのゆゑに、 もろもろのさつひゃくせん比丘びくしゅと、 だいこうみょうはなちて、 *皓然こうねんとしてまえにまします。 とき*だいかんおん*ひゃっぷくしょうごんみてべ、 たから蓮台れんだいささげてぎょうじゃまえいたりたまひ、 *大勢だいせいさつりょうしょうじゅと、 どう讃嘆さんだんしてみてさずけていんじょうしたまふ。

所↢以然↡者、弥陀如来以↢本願↡故、与↢諸菩薩、百千比丘衆↡、放↢大光明↡、皓然トシテ↢目↡。時大悲観世音申↢百福荘厳↡、ササゲ↢宝蓮台↡至タマヒ↢行者大勢至菩薩与↢無量聖衆↡、同時讃嘆↠手引接タマフ

^このときぎょうじゃ、 まのあたりみづからこれをて、 しんちゅうかんし、 身心しんしん安楽あんらくなることぜんじょうるがごとし。

行者、目↠之歓喜身心安楽ニシテ↠入ルガ↢禅定↡。

^まさにるべし、 草菴そうあん瞑目めいもくのあひだはすなはちこれ*蓮台れんだいけっときなり。 すなはち弥陀みだぶつしりえしたがひ、 さつしゅのなかにありて、 一念いちねんのあひだに、 西方さいほう極楽ごくらくかいしょうずることを¬*かんぎょう¼・¬*びょう等覚どうがくきょう¼、 ならびに*でんとうこころによる。

↠知、草菴瞑目之間便是蓮台結跏之トキナリ。即↢弥陀仏↡、在↢菩薩衆↡、一念之アヒダ得↠生コトヲ↢西方極楽世界↡。↢¬観経¼・¬平等覚経¼并伝記等

^かのとうてんじょう億千おくせんざいらくも、 *だい梵王ぼんのう深禅じんぜんじょうらくも、 これらのもろもろのらくは、 いまだらくとなすにらず。 *輪転りんでんさいにしてさんまぬかれず。 しかもいま、 観音かんのんたなごころしょし、 たかられんたいたくして、 ながかいおつしてはじめてじょうおうじょうしぬ。 そのときかんしんごんをもつてぶべからず。

忉利天上億千歳、大梵王宮深禅定、此等、未↠足↠為↠楽。輪転無際ニシテ不↠免↢三途↡。而今処↢観音↡、託↢宝花胎↡、永越↢過苦海↡初往↢生浄土↡。爾歓喜心、不↠可↢以↠言↡。

^りゅうじゅ (*易行品) にいはく、

龍樹

^もしひと命終みょうじゅうときに、 かのくにうまるることをるものは、

すなはちりょうとくす。 このゆゑにわれ*みょうしたてまつる」 と。

「若人命終↠生コトヲ↢彼↡者
↢无量我帰命マツルト

二 Ⅱ ⅱ 蓮華初開楽

【23】^だいれん初開しょかいらくといふは、 ぎょうじゃかのくにしょうじをはりて、 *れんはじめてひらくるときに、 あらゆる歓楽かんらくさきばいせることひゃくせんなり。 なほ*盲者もうじゃの、 はじめてみょうげんたるがごとし。 またへんのたみの、 たちまちにおうれるがごとし。 みづからそのれば、 はすでに*紫磨しま金色こんじきたいとなり、 またねんほうありて、 かんせん宝冠ほうかんしょうごんりょうなり。

第二蓮華初クルトイフ者、行者生↢彼↡已、蓮花初クル、所有歓楽倍コト↠前百千ナリ。猶如↣盲者タルガ↢明眼↡。亦↣辺鄙ノタミレルガ↢王宮↡。自レバ↢其↡、身レリ↢紫磨金亦有↢自然宝衣↡、鐶・釧・宝冠、荘厳无量ナリ

^ぶつこうみょう清浄しょうじょうまなこさき宿習しゅくじゅうによりてもろもろの法音ほうおんく。 しきしょうれて、 みょうならずといふことなし。 *じんくうかいしょうごんは、 まなこうんまよひ、 *てんみょう法輪ほうりんおんじょうは、 き、 *宝刹ほうせつてり。 楼殿ろうでんりんひょうしょうようし、 がん鴛鴦えんおう遠近おんごんむらがりぶ。

↢仏光明↡得↢清浄↡、因↢前宿習↡聞↢衆法音↡。触↠色↠声↠不トイフコト↢奇妙ナラ↡。尽虚空界之荘厳眼迷↢雲路↡、転妙法輪之音声テリ↢宝刹↡。楼殿・林池表裏照曜セリカモ・雁カリ・鴛鴦ヲシ遠近

^あるいはしゅじょうの、 *あめのごとくして十方じっぽうかいよりしょうずるを、 あるいはしょうじゅの、 恒沙ごうじゃのごとくしてしゅぶつよりきたるをる。

↧衆生クシテ↡従↢十方世界↡生ルヲ↧聖衆クシテ↢恒沙↡従↢无数仏土↡来ルヲ↥。

^あるいは楼台ろうだいのぼりて十方じっぽうのぞむものあり。 あるいは殿でんりてくうじゅうするものあり。 あるいはくうちゅうじゅうしてきょうじゅほうくものあり。 あるいはくうちゅうじゅうしてぜん入定にゅうじょうするものあり。 うえはやしのあひだにも、 またかくのごとし。 処々しょしょにまたかわわたながれすすぎ、 がくそうはなさんじ、 楼殿ろうでん往来おうらいして、 如来にょらい*礼讃らいさんしたてまつるものあり。

↧登↢楼台↡望↢十方↡者↥。或↧乗↢宮殿↡住スル↢虚空者↥。或↧住↢空↡誦↠経↠法者↥。或↧住↢空↡坐禅入定者↥。地上、林ニモ亦復如↠是。処々復有↧渉↠河↠流、奏↠楽↠花、往↢来楼殿↡、礼↢讃マツル如来↡之者↥。

^かくのごときりょうてんにんしょうじゅしんしたがひて遊戯ゆげす。 いはんやぶつさつ香雲こううんうん国界こくかいじゅうまんして、 つぶさにづくべからず。

↠是无量天人聖衆随↠心遊戯。況化仏・菩薩、香雲・花雲充↢満国界↡、不↠可↢具↡。

^またやうやくまなじりめぐらしてはるかにもつて瞻望せんもうすれば、 弥陀みだ如来にょらい*金山王こんぜんのうのごとくして宝蓮ほうれんうえし、 ほうちゅうおうしょしたまへり。 観音かんのんせい*威儀いぎそんじゅうにして、 またほうし、 ぶつ左右さうはべらひたまふ。 りょうしょうじゅ*ぎょう*にょうせり。

又漸マナジリ瞻望レバ、弥陀如来クシテ↢金山王↡坐↢宝蓮花↡、処タマヘリ↢宝中央↡。観音・勢至威儀尊重ニシテ、亦坐↢宝花↡、侍ヒタマフ↢仏左右↡。无量聖衆恭敬囲繞セリ

^またほううえ宝樹ほうじゅ行列ごうれつし、 宝樹ほうじゅもとにおのおの一仏いちぶつさつましまして、 こうみょうをもつて*厳飾ごんじきし、 *流璃るりへんしたまへること、 あんのなかにおおきなる炬火こかともせるがごとし。

又宝宝樹行列セリ宝樹シテ↢一仏二菩薩↡、光明ヲモテ厳飾、遍タマヘルコト流璃↡、如↣夜闇セルガ↢大ナル炬火↡。

^とき観音かんのんせいぎょうじゃまえらいして、 だいこえいだして種々しゅじゅ慰喩いゆしたまふ。 ぎょうじゃ蓮台れんだいよりりて*たいげて、 *めんをもつてきょうらいす。 すなはちさつしたがひて、 やうやくぶつみもといたりぬ。 *七宝しっぽうはしひざまずきて万徳まんどく尊容そんようまばり、 *一実いちじつどうきて*げん願海がんかいる。 かんしてなみだあめふらし、 *渇仰かつごうしてほねとおる。

観音・勢至来↢至行者↡、出↢大悲↡種々慰喩タマフ。行者従↢蓮台↡下五体↠地、頭面敬礼。即↢菩薩↡漸↢仏↡。跪↢七宝ハシ↡瞻↢万徳之尊容↡、聞↢一実↡入↢普賢之願海↡。歓喜シテ↠涙、渇仰シテ↠骨

^はじめて仏界ぶっかいりて未曽有みぞうなることをつ。 ぎょうじゃむかししゃにしてわづかにきょうもんみしも、 いままさしくこのる。 かんしんいくばくぞや。 おおく ¬かんぎょう¼ とうこころによる。

↢仏界↡得コトヲムカシニモ↡。行者昔於娑婆ニシテ↢教文今正↢此↡。歓喜心幾クゾ乎。↢¬観経¼等

^りゅうじゅ (易行品) にいはく、

龍樹

^もしひと*善根ぜんごんゑたるに、 うたがへばすなはちはなひらけず。

信心しんじん清浄しょうじょうなるものは、 はなひらけてすなはちぶつたてまつる」 と。

「若人種↢善根花不↠開
信心清浄ナル花開マツルト↠仏

二 Ⅱ ⅱ 身相神通楽

【24】^だいさん*身相しんそう神通じんずうらくといふは、 かのしゅじょうはその真金しんこんいろなり。 ないともに清浄しょうじょうにして、 つねにこうみょうありて彼此ひしたがひにらす。 *さんじゅうそうそくしてしょうごんせり。 *たんじょうしゅみょうにしてけんたぐいなし。 もろもろのしょうもんしゅは、 身光しんこう*一尋いちじんなり。 さつこうみょうひゃくじゅんらす。 あるいはじゅうまんじゅんといふ。 *第六だいろくてんしゅをもつてかのしゅじょうくらぶるに、 なほ*乞丐こつがいの、 帝王たいおうほとりにあらんがごとし。

第三身相神通トイフ者、彼衆生身真金ナリ。内外倶清浄ニシテ、常↢光明↡彼此互。卅二相具足荘厳セリ。端正殊妙ニシテ世間↠比。諸声聞衆光一尋ナリ。菩薩光明↢百由旬↡。或↢十万由旬↡。以↢第六↡比ルニ↢彼衆生↡、猶如↣乞丐ムガ↢帝王↡。

^またかのもろもろのしゅじょうは、 みな*神通じんずうして、 *みょうゆうはかりがたくして、 しんしたがひてざいなり。 もし十方じっぽうかいしきんとおもへば、 あゆみをはこばずしてすなはち十方じっぽうかいこえかんとおもへば、 たずしてすなはちく。 りょう*宿命しゅくみょう今日こんにちくところのごとく、 六道ろくどうしゅじょうしんはあきらかなるかがみかたちるところのごとし。

又彼衆生皆具セリ↢五神通妙用難シテ、随↠心自在ナリ。若↠見ムト↢十方界↡、不シテ↠運↠歩↠聞ムト↢十方界↡、不シテ↠起↠座。無量宿命之事↢今日所↟聞六道衆生之心↢明ナル↟見↠像

^*央数おうしゅ*仏刹ぶっせつ*せきのごとく往来おうらいし、 おほよそよこさまひゃくせん万億まんおく*那由なゆくににおいて、 たたさまひゃくせん万億まんおく那由なゆこうにおいて、 一念いちねんのうちに*ざい無礙むげなり。

无央数之仏刹只尺往来↡。↢百千万億那由他↡、竪↢百千万億那由他↡、一念之中自在無礙ナリ

^いま*このかいしゅじょうは、 さんじゅうそうにおいて、 たれか一相いっそうをもたる、 神通じんずうにおいてたれか一通いっつうをもたる。 とうにちにあらずはもつてらすことなく、 ぎょうにあらずはもつていたることなし。 いっなりといへどもそのほかをず。 いちねんなりといへどもそののちらず。 *燓篭はんろういまだでずして、 したがひてさわりあり。

今此衆生↢卅二相↡誰タル↢一相ヲモ↢五神通↡誰タル↢一通ヲモ↡。非ズハ↢灯日↡无↢以コトズハ↢行歩↡无↢以コト↡。雖↢一紙ナリト↡不↠見↢其↡。雖↢一念ナリト↡不↠知↢其↡。燓篭未シテ↠出、随↠事↠礙。

^しかるをかのしゅじょうは、 一人いちにんもこのとくせずといふことあることなし。 ひゃく大劫だいこうのうちにおいて相好そうごうごうをもゑず。 *じょうりょのうちにおいて神通じんずういんをもしゅせざれども、 ただこれかの*任運にんうんしょうとくほうなり。 またたのしからざらんや。 おおく ¬*双巻そうかんぎょう¼ (大経)・¬びょう等覚どうがくきょう¼ とうによる。

ルヲ衆生↠有コト↢一人トイフコト↟具↢此↡。不↧於↢百大劫↡而種↦相好ヲモ↥。不レドモ↧於↢四静慮↡修↦神通ヲモ只是彼任運生得之果報ナリ。不ラム↢亦楽シカラ乎。↢¬双巻経¼・¬平等覚経¼等

^りゅうじゅ (易行品) にいはく、

龍樹

^人天にんでん身相しんそうおなじくして、 なほ金山こんぜんいただきのごとし。

*しょしょうしょところなり。 このゆゑにめんをもつてらいす。

^それかのくにうまるることあるは、 *天眼てんげんつうして、

十方じっぽうならびに無礙むげなり。 聖中しょうちゅうそん稽首けいしゅしたてまつる。

^そのくにのもろもろのしゅじょうは、 *神変じんぺんおよびしんつうあり。

また*宿命しゅくみょうせり。 このゆゑにみょうらいしたてまつる」 と。

「人天身相同クシテ猶如↢金山
レタルヒトノ所帰ナリ頭面
ルハ↠生コト↢彼↢天眼耳通
十方無礙ナリ稽↢首マツル聖中
衆生神変及アリ
亦具セリ↢宿命智帰命マツルト

二 Ⅱ ⅱ 五妙境界楽

【25】^だい*みょうきょうがいらくといふは、 じゅうはちがんをもつてじょうしょうごんしたまへば、 一切いっさい万物まんもつきわごくみょうなり。 るところはことごとくこれ浄妙じょうみょういろにして、 くところはだつこえにあらずといふことなし。 こうそくきょう、 またかくのごとし。

第四五妙境界トイフ者、八ヲモテ荘厳、一切万物窮↠美極妙ナリ。所↠見是浄妙ナリ↠聞↠不ズトイフコト↢解脱↡。香・味・触境、亦復如↠是

・地相

^いはく、 かのかい琉璃るりをもつてとなして、 こんじょうそのみちさかへり。 *坦然たんねん平正びょうしょうにしてこうあることなく、 *恢廓かいかく曠蕩こうとうにして辺際へんざいあることなし。 *晃耀こうようみょうにしてらい清浄しょうじょうなり。 もろもろのみょうをもつてあまねくそのき、 一切いっさいてんにん、 これをみてく。 じょうそう

世界琉璃↡為↠地、金縄サカヘ↢其↡。坦然平正ニシテ↠有コト↢高下↡恢廓曠蕩ニシテ↠有コト↢辺際↡。晃耀微妙ニシテ奇麗清浄ナリ。以↢諸妙衣↡遍ケリ↢其一切天人践↠之而行已上地相

・宮殿

^衆宝しゅぼうこく一々いちいちさかいうえに、 ひゃくおく七宝しっぽうしょじょう殿でん*楼閣ろうかくあり。 こうしんしたがひ、 こうきょうおもいおうず。 もろもろのたからじょうにはみょうをもつてうえき、 しちじゅう*らんじゅんひゃくおく*どうありて、 たま*瓔珞ようらくれ、 たから*幡蓋ばんがいけたり。 殿でんのうち、 ろううえには、 もろもろの天人てんにんありて、 つねに*がくをなして、 如来にょらいようしたてまつる。 じょう殿でん

衆宝国土一々サカヒ、有↢五百億七宝所成宮殿楼閣↡。高下随↠心、広狭応↠念。諸床座妙衣ヲモテケリ↠上七重欄楯、百億花幢アリ↢珠瓔珞↡、懸タリ↢宝幡蓋↡。殿ウチ、楼、有↢諸天人↡常伎楽↡、歌↢マツル如来↡。已上宮殿

・水相

^講堂こうどうしょうじゃ殿でん楼閣ろうかくない左右さうにもろもろのよくあり。 黄金おうごんいけそこにはびゃくごんいさごあり。 びゃくごんいけそこには黄金おうごんいさごあり。 すいしょういけそこには*瑠璃るりいさごあり。 瑠璃るりいけそこにはすいしょういさごあり。 さん*はく*しゃのうびゃくごく*こん、 またかくのごとし。 *はっどくみず、 そのなかにじゅうまんし、 宝沙ほうしゃ映徹ようてつして、 ふからさずといふことなし。

講堂・精舎・宮殿・楼閣内外左右↢諸浴池↡。黄金ニハ白銀アリ。白銀ニハ黄金アリ。水精ニハ瑠璃アリ瑠璃ニハ水精アリ。珊瑚・虎魄・・馬瑙・白玉・紫金、亦復如↠是。八功徳水充↢満セリ宝沙映徹↢深トイフコト↟照

^はっどく」 とは、 いちには澄浄ちょうじょうには清冷しょうりょうさんにはかんにはきょうなんには潤沢にんたくろくにはあんしちにはおんかつとうりょうげんのぞき、 はちにはみをはりて、 さだめてよく諸根しょこんだいちょうようし、 種々しゅじゅしゅしょう善根ぜんごん増益ぞうやくするなり。 ¬*しょうさんじょうきょう¼ にづ。

八功徳者、一ニハ浄、二ニハ清冷、三ニハ甘美、四ニハ軽軟、五ニハ潤沢、六ニハ安和、七ニハ飲時↢飢渇等无量過患↡、八ニハ、定長↢養諸根・四大↡、増↢益ルナリ種々殊勝善根↡。↢¬称讃浄土¼

^へん*階道かいどう衆宝しゅぼうをもつてごうじょうし、 種々しゅじゅほういけなかに*弥覆みふせり。 しょうれんにはしょうこうあり。 黄蓮おうれんには黄光おうこうあり。 しゃくれんびゃくれんもおのおのそのひかりあり。 ふうきたりて、 はなひかり乱転らんでんす。 一々いちいちはなのなかにおのおのさつあり。 一々いちいちひかりのなかにもろもろのぶつまします。 *らん回流えるしてうたたあひそそそそぐ。 *あんじょうとしてやうやくきて、 おそからずからず。

四辺階道衆宝ヲモテ合成セリ種々宝花弥↢覆セリ↡。青蓮ニハ↢青光↡。黄蓮ニハ↢黄光↡。赤蓮・白蓮↢其光↡。微風吹、花光乱転。一々↢菩薩↡。一々↢諸化仏↡。微瀾廻流。安詳トシテ、不↠遅カラ不↠疾カラ

^そのこえみょうにして仏法ぶっぽうにあらずといふことなし。 あるいはくう無我むが、 もろもろの波羅はらみつ演説えんぜつし、 あるいは*じゅうりき*無畏むい*不共ふぐ法音ほうおんすいす。 あるいはだい慈悲じひこえ、 あるいはしょうにんこえあり。 その所聞しょもんしたがひてかんすることりょうなり。 清浄しょうじょうじゃくめつ真実しんじつずいじゅんし、 さつしょうもん所行しょぎょうどうずいじゅんせり。

声微妙ニシテ↠不ズトイフコト↢仏法↡。或演↢説苦・空・无我・諸波羅蜜流↢出十力・无畏・不共法音↡。或慈悲声、或无生忍アリ。随↢其所聞↡歓喜コト无量ナリ。随↢順清浄・寂滅・真実之義↡、随↢順セリ菩薩・声聞所行之道↡。

^また、 がん鴛鴦えんおうしゅうかくじゃくおう*りょうびんとうひゃっぽうしきとり*ちゅうろく*和雅わげこえいだして、 念仏ねんぶつ念法ねんぽうねん比丘びくそう讃嘆さんだんし、 *こん*りき*しち提分だいぶん*えんちょうす。 *さんなんあることなくして、 ただねんらくこえのみあり。

又鳧・雁・鴛鴦・ 鶖カシドリ・ 鷺シラサギ・鵝・鶴ツル・孔雀・鸚鵡・伽陵頻迦等百宝色鳥、昼夜六時↢和雅↡、讃↢嘆念仏・念法・念比丘僧↡、演↢暢五根・五力・七菩提分↡。無クシテ↠有コト↢三途苦難之名↡、但有↢自然快楽之音ノミ↡。

^かのもろもろのさつおよびしょうもんしゅほうりて洗浴せんよくするときは、 浅深せんじんおもいしたがひ、 そのしんたがはず。 *しん*蕩除とうじょして、 清明しょうみょうちょうけつなり。

菩薩及声聞衆、入↢於宝池↡洗浴之時、浅深随↠念不↠違↢其↡。蕩↢除心垢↡、清明澄潔なり

^洗浴せんよくしをはれば、 おのおのみづからりて、 あるいはくうちゅうにあり、 あるいはじゅにありて、 きょうこうきょうじゅするものあり、 きょうきょうくものあり、 ぜんするものあり、 *経行きょうぎょうするものあり。

洗浴已訖 オハ レバ、各々自、或↢空↡、或↢樹↡有↢講↠経↠経者↡↢受↠経↠経者↡↢坐禅者↡↢経行者↡。

^そのなかに、 いまだ*しゅおんざるものはすなはちしゅおんない、 いまだ*阿羅あらかんざるものは阿羅あらかん、 いまだ*惟越ゆいおっざるものはすなはち惟越ゆいおっ。 みなことごとくどうかんせずといふことなし。

↠得↢須陀洹↡者得↢須陀洹乃至未↠得↢阿羅漢↡者得↢阿羅漢↠得↢阿惟越致↡者得↢阿惟越致↡。皆悉↠道↠不トイフコト↢歓喜↡。

^またきよかわあり。 そこ金沙こんしゃき、 浅深せんじん寒温かんおん、 つぶさにひとこのみにかなへり。 衆人しゅにんらんして、 おなじくひんあつまる。 じょう水相すいそう

復有↢清河↡。底ケリ↢金沙浅深寒温、ツブサカナヘ↢人コノミ↡。衆人遊覧アツマ↢河浜↡。已上水相

・樹相

^いけほとりかわきしに、 *栴檀せんだんあり。 行々ごうごうあひあたり、 葉々ようようあひげり。 *こんびゃくごんえださんはな*しゃあり。 一宝いっぽう七宝しっぽう、 あるいはじゅん、 あるいはぞうの、 ようしょうごん*映飾ようじきせり。

畔河旃檀樹↡。行々相、葉々相ゲリ。紫金之葉、白銀之枝、珊瑚之花、車之実アリ。一宝・七宝、或純或、枝葉花菓荘厳映飾セリ

^やわらかなるかぜとききたりてもろもろの宝樹ほうじゅくに、 *もうすこどうじてみょうやうやくつ。 かぜしたがひてさんじ、 みずまじはりてかおりをながす。 いはんやみょうおんいだして*宮商きゅうしょうあひせること、 たとへばひゃくせんじゅがくどうにともになすがごとし。 くもの、 ねん*仏法ぶっぽうそうねんず。 かのだい六天ろくてん万種まんじゅ音楽おんがくも、 この一種いっしゅおんじょうにはしかず。

カナル風時クニ↢諸宝樹↡、羅網微妙花ヤウヤ。随↠風カウバリテ↠水カヲリ。況↢微妙↡宮商相コト、譬↢百千種同時セル↡。聞者自然↢仏・法・僧↡。彼第六天万種音楽、不↠如↢此一種音声ニハ↡。

^のあひだにはなしょうじ、 はなうえこのみあり。 みなこうみょうはなちて、 して*宝蓋ほうがいとなる。 一切いっさい*ぶつがいのなかに映現ようげんす。 ない十方じっぽうごんじょうぶつんとおもへば、 宝樹ほうじゅのあひだにおいて、 みなことごとくしょうけんす。 うえしちじゅう*宝網ほうもうあり。 宝網ほうもうのあひだにひゃくおくみょう殿でんあり。 殿でんのなか諸天しょてんどうあり。 瓔珞ようらく*光耀こうようしてざいらくす。

ゼリ↠花↠菓。皆放↢光明↡化↢宝蓋↡。一切仏事映↢現↡。乃至欲↠見ムト↢十方厳浄仏土↡、於↢宝樹↡皆悉照見。樹↢七重宝網↡。宝網↢五百億妙花宮殿↡。宮殿↢諸天童子↡。瓔珞光耀自在遊楽

^かくのごとく七宝しっぽうのもろもろのかいしゅうへんせり。 みょう軟草なんそうまたところしたがひてあり、 にゅうなん香潔こうけつにして、 るるものらくをなす。 じょう樹相じゅそう

↠是七宝樹周↢遍セリ世界↡。名花軟草亦随↠処柔軟・香潔ニシテルル↠楽已上樹

・虚空

^衆宝しゅぼうもうくう*まんして、 もろもろのほうりょうけて、 みょうほうおんぶ。 てんみょうしき繽粉ひんぷんとしてみだち、 ほう*ごん旋転せんでんしてらいす。 とりの、 そらびてくだるがごとくして、 諸仏しょぶつさんしたてまつる。 またりょうがっありてくう懸処げんしょせり。 たざるにおのづからりて、 みなみょうほうく。 じょうくう

衆宝羅網弥↢満セリ虚空↢諸宝鈴↡宣↢妙法↡。天花妙色繽紛トシテ宝衣・厳具旋転来下。如クシテ↢鳥↠空ルガ↡供↢散マツル於諸仏↡。又有↢無量楽器↡懸↢処セリ虚空↡。不ルニ↠鼓、皆説↢妙法↡。已上虚空

^またにょみょうこう*こう*末香まっこうりょうこう*芬馥ふんぷくとして、 かい遍満へんまんせり。 もしぐことあるものは、 *塵労じんろうじゅうねんおこらず。 おほよそよりくういたるまで、 殿でんじゅ一切いっさい万物まんもつは、 みなりょう雑宝ざっぽうひゃくせんじゅこうをもつて、 ともにごうじょうせり。 そのかおり、 あまねく十方じっぽうかいくんず。 さつぐものみなぶつぎょうしゅす。

復如意妙香・塗香・末香、無量香芬馥シテ、遍↢満セリ於世界↡。若カグコト、塵労垢習、自然不↠起。凡↠地至マデ↠空、宮殿・花樹、一切万物、皆以↢無量雑宝、百千種↡而共合成セリ。其香普↢十方世界↡。菩薩者皆修↢仏↡。

^またかのくにさつかん、 もろもろのしゅじょうとう、 もしじきせんとほっするときには、 七宝しっぽうつくえねん現前げんぜんし、 七宝しっぽうはちにはたえなるあじはひ、 なかにてり。 けんあじはひにるいせず、 またてんじょうあじはひにあらず。 こうなることたぐいなくして、 *てんこころしたがふ。 いろかおりをぐに、 身心しんしんしょうけつなり。 すなはちじきしをはるにおなじくして、 *色力しきりきぞうじょうす。 おわればり、 ときいたればまたげんず。

復彼菩薩・羅漢・諸衆生等、若↠食ムトニハ、七宝之机自然現前、七宝之鉢ナル味満テリ↠中。不↠類↢世間之味↡、亦非↢天上之味↡。香ナルコトクシテ↠比、甜アマサスサ↠意。見↠色グニ↠香、身心清潔ナリ。即クシテ↢食ルニ↡、色力増長。事已時至復現

^またかのしゅじょうは、 ぶくんとおもへば、 おもいしたがひてすなはちいたる。 ぶつ所讃しょさんのごとき*ほうおうぜるみょうぶくねんにあり。 裁縫さいほうぜん*かんじょくもとめず。

復彼衆生、欲↠得ムト↢衣服↡随↠念。如↢仏所讃↡応ゼル↠法妙服、自然↠身。不↠求↢裁タチヌヒ・染ソメツクロヒスヽギ 濯↡。アラフコト

^またこうみょうしゅうへんしてにちがつ灯燭とうそくもちゐず。 りょうなん調じょうして、 春秋しゅんじゅうとうあることなし。 ねん徳風とくふうおんりょう調適じょうちゃくし、 しゅじょうるるに、 みならくること、 たとへば比丘びくの、 *滅尽めつじん三昧ざんまいたるがごとし。

又光明周遍不↠用↢日月・灯燭↡。冷暖調和シテ、无↠有コト↢春秋冬夏↡。自然徳風、温冷調適セリルルニ↢衆生↡皆得ルコト↢快楽↣比丘タルガ↢滅尽三昧↡。

^毎日まいにち*じんじょうに、 みょう吹散すいさんして、 ぶつ遍満へんまんし、 *きょうこう芬烈ふんれつして、 みょうにゅうなんなること*兜羅とら綿めんのごとしあしをもつてそのうえむに、 くだることすんしたがひてあしげをはりぬれば、 またぶくすることもとのごとし。 じんじょうぎをはれば、 そのはなもっす。 ふるはなすでにもっしぬれば、 さらにあたらしきはなあめふらす。 *ちゅう晡時ふじしょちゅう後夜ごや、 またかくのごとし。

毎日晨朝吹↢散妙花↡、遍↢満仏土馨香芬烈微妙柔軟ナルコト↢兜羅綿↡。足ヲモテムニ↢其↡、蹈コト四寸、随↠足ヌレバ、還復コトモト。過↢晨朝↡已、其花没↠地。旧花既ヌレバ、更↢新シキ↡。中時・晡時、初・中・後夜、亦復如↠是

^これらのあらゆるみょうきょう見聞けんもん覚者かくしゃをして身心しんしんちゃくえつせしむといへども、 しかもじょうとんじゃくぞうじょうせず、 さらにりょうしゅしょうどくす。 おほよそ八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつくにのなかに、 極楽ごくらくかいしょどくもつとも第一だいいちたり。 ひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつじょうごんじょうなるみょうをもつて、 みなこのなかにしょうざいせり。

此等所有微妙五境、雖↠令ムト↢見聞覚者ヲシテ身心適悦↡、而不↣増↢長有情貪著↢无量殊勝功徳↡。凡八方上下无央数諸仏、極楽世界所有功徳最↢第一↡。以↢二百一十億諸仏浄土厳浄ナル妙事↡、皆摂↢在セリ↡。

^もしかくのごときこくそうかんずるものは、 りょう億劫おくこうごくじゅう悪業あくごうのぞきて、 命終みょうじゅうのちにかならずかのくにうまる。

ズル↢如↠是国土↡者、除↢无量億劫極重悪業↡、命終之後↢彼↡。

^*しゅ¬かんぎょう¼・¬*弥陀みだきょう¼・¬しょうさんじょうきょう¼・¬ほうしゃくきょう¼・¬びょう等覚どうがくきょう¼・¬*ゆいきょう¼ とうこころによりて、 これをしるす。

↢二種¬観経¼・¬阿弥陀経¼・¬称讃浄土経¼・¬宝積経¼・¬平等覚経¼・¬思惟経¼等↡記↠之

^しん (*浄土論) にいはく、

世親

^かのかいそうかんずるに、 三界さんがいどうしょうせり。

「観ズルニ↢彼世界勝↢過セリ三界

きょうしてくうのごとし。 広大こうだいにして辺際へんざいなし。

究竟↢虚空広大ニシテ↢辺際↡

^ほう千万せんまんじゅにして、 せん*弥覆みふせり。

宝花千万種ニシテ弥↢覆セリ池流泉

ふうよううごかすに、 *きょうさくしてひかり*乱転らんでんす。

微風動スニ↢花葉交錯光乱転

^殿でん・もろもろの楼閣ろうかくにして、 十方じっぽうること無礙むげなり。

宮殿楼閣↢十方↡无礙ナリ

雑樹ぞうじゅ光色こうしきあり。 *宝欄ほうらんあまねく*にょうせり。

雑樹光色アリ宝欄遍囲繞セリ

^りょうたからきょうらくして、 もうくうにあまねし。

无量絞絡セル羅網遍セリ↢虚空

種々しゅじゅすずひびききをおこして、 みょうほうおんく。

種々鈴発↠響↢吐妙法

^しゅじょう*がんぎょうするところ、 一切いっさいみな満足まんぞくす。

衆生所↢願楽スル一切皆満足

ゆゑにわれかの弥陀みだぶつくにうまれんとがんず」 と。

我願ズト↠生ムト↢彼阿弥陀仏↡」

二 Ⅱ ⅱ 快楽無退楽

【26】^だい*らく退たいらくといふは、 いまこのしゃかい耽玩たんがんすべきことなし。 輪王りんのう (転輪王)くらい*七宝しっぽうひさしからず。 てんじょうらく*すいはやきたる。 ない*ちょうりんなし。 いはんやにんをや。 がんたがひ、 らくとともなり。 めるものは、 いまだかならずしも寿じゅあらず。 寿じゅあるものは、 いまだかならずしもまず。 あるいはきのうみて、 きょうまずし。 あるいはあしたにはうまれて、 ゆうべにはぬ。

第五快楽無退トイフ者、今此娑婆世界↠可キコト↢耽玩↡。輪王之位七宝不↠久カラ。天上之楽五衰早。乃至有輪廻無↠期。況世人乎。事与↠願違、楽与↠苦倶ナリ。富↢必シモ寿アラ↡。寿アル↢必シモ↡。或キノフケフ。或ユフベニハ

^ゆゑに*きょうにのたまはく、 「しゅっそくにゅうそくたず、 にゅうそくしゅっそくたず。 ただまえたのしみりてかなしみきたるのみにあらず。 また命終みょうじゅうのぞみて、 つみしたがひてつ」 と。

¬経¼言、「出息不↠待↢入息↡、入息レト↠待↢出息↡。非↢唯眼ルノミニ↡。亦臨↢命終↡随↠罪ツト↠苦。」

^かの西方さいほうかいは、 らくくること*ぐうなり。

西方世界コト↠楽无窮ナリ

^人天にんでん交接きょうしょうして、 ふたつながらあひることを慈悲じひしんくんじて、 たがひにいっのごとし。 ともに琉璃るりうえ経行きょうぎょうし、 おなじく栴檀せんだんはやしのあひだに遊戯ゆげす。 殿でんより殿でんいたり、 りんよりりんいたる。

人天交接フタツナガラ得↢相コトヲ↡。慈悲薫↠心、互↢一子↡。共経↢行琉璃↡、同遊↢戯栴檀↡。従↢宮殿↡至↢宮殿↡、従↢林池↡至↢林池↡。

^もしじゃくならんとほっするときには、 風浪ふうろう絃管げんかん、 おのづからみみもとへだつ。 もしんとほっするときには、 せんせんけいこく、 なほまえげんず。 こうそくほうねんしたがひてまたしかなり。

↠寂ナラムトニハ、風・浪・絃コトフエ、自↢耳↡。若↠見ムトニハ、山・川・渓・谷尚現↢眼↡。香・味・触・法、随↠念亦然ナリ

^あるいは*ていわたりてがくをなし、 あるいはくうのぼりて神通じんずうげんず。 あるいは*ほうだいしたがひて迎送こうそうし、 あるいはてんにんしょうじゅともなひてもつてらんす。

↢飛梯↡作↢伎楽↡、或ノボリ↢虚空↡現↢神通↡。或↢他方大士↡而迎送、或↢天人聖衆↡以遊覧

^あるいはほうほとりいたりて、 *しんしょうひともんす。 「なんぢるやいなや。 このところ極楽ごくらくかいづけ、 このさかいしゅ弥陀みだぶつごうしたてまつる。 いままさに帰依きえすべし」 と。

↢宝池↡、慰↢問新生↡。汝知。是↢極楽世界マツル↢弥陀仏↡。今当シト↢帰依↡。

^あるいはおなじくほうのなかにありて、 おのおの蓮台れんだいうえして、 たがひに宿命しゅくみょうく。 「われもと、 そのくににありて、 *しんおこ*どうもとめしとき、 そのきょうてんたもち、 そのかいぎょうまもり、 その善法ぜんぽうをなし、 その布施ふせしゅしき」 と。 おのおのこうせしところのどくかたらひ、 つぶさにらいしょうせるところの本末ほんまつぶ。

↢宝池↡、各↢蓮台↡、互↢宿命↡。我本在↢其↡発↠心メシ↠道之時、持↢其経典↡、護↢其戒行↡、作↢其善法↡、修キト↢其布施↡。各ラヒ↧所↢好憙セシ↡之功徳↥、具↧所↢来生セル↡之本末↥。

^あるいはともに十方じっぽう諸仏しょぶつ*しょう方便ほうべんかたらひ、 あるいはともに*さんしゅじょうばっ因縁いんねんす。 しをはればえんひてあひり、 かたらひをはればねがいしたがひてともにく。

ラヒ↢十方諸仏利生之方便↡、或↢三有衆生抜苦之因縁↡。議リテ↠縁而相ラヒリテ↠楽

^あるいはまた、 七宝しっぽうやま 七宝しっぽうやま七宝しっぽうとう七宝しっぽうぼう、 ¬*じゅうおうじょうきょう¼ にでたり。のぼり、 *はっいけみ、 じゃくねんとして宴黙えんもくし、 読誦どくじゅせつす。

復登↢七宝↡、七宝山、七宝塔、七宝坊、出タリ↢¬十往生経¼↡ ↢八↡、寂然トシテ宴黙、読誦・解説

^かくのごとくらくすること、 相続そうぞくしてひまなし。 しょはこれ退たいなれば、 ながさん*八難はちなんおそれをまぬかれ、 寿じゅもまたりょうなれば、 つひにしょうろうびょう*なし。 *しん相応そうおうすれば愛別あいべつ離苦りくなく、 げんをもつてひとしくれば怨憎おんぞう会苦えくもなし。 *びゃくごうほうなれば求不ぐふとくなく、 金剛こんごうなればじょうおんもなし。

↠是遊楽コト相続ヒマ。処是不退ナリタリ↢三途・八難之畏寿亦无量ナリ↢生・老・病・死之苦↡。心事相応シテ↢愛別離苦↡慈眼ヲモテ↢怨憎会↡。白業之報ナレバ↢求不得苦↡金剛之身ナレバ↢五盛陰↡。

^ひとたび七宝しっぽうしょうごんうてなたくしぬれば、 なが三界さんがいりんうみわかれぬ。 もし*別願べつがんあれば、 ほうしょうずといへども、 これざいしょうめつにして、 業報ごうほうしょうめつにはあらず。 なほらくすらなし。 いかにいはんやもろもろのをや。

タビヌレバ↢七宝荘厳之台↡、長↢三界苦輪之海↡。若↢別願↡、雖↠生ズト↢他方↡、是自在生滅ナリ↢業報生滅ニハ↡。尚无↢不苦・不楽之名スラ↡。何耶。

^りゅうじゅ (易行品) にいはく、

龍樹

^もしひと、 かのくにうまれぬれば、 つひに悪趣あくしゅおよび、

しゅとにちず。 われいまみょうしてらいす」 と。

「若人生ヌレバ↢彼不↠堕↢悪趣
及与 オヨビ 阿修羅トニ我今帰命スト

二 Ⅱ ⅱ 引接結縁楽

【27】^だいろく*いんじょう結縁けちえんらくといふは、 ひとにあるに、 もとむるところ、 こころのごとくならず。 しずかならんとおもへども、 かぜまず。 ようせんとおもへども、 おやたず。 *こころざし肝胆かんたんくといへども、 ちからすいしゅくへず。 君臣くんしんていさいぼう一切いっさい*恩所おんじょ一切いっさい*しき、 みなまたかくのごとし。

第六引接結縁トイフ者、人之在↠世不↠如クナラ↠意。樹欲ドモ↠静ナラムト而風不↠停。子欲ドモ↠養ムト而親不↠待。志雖クト↢肝胆↡力不↠堪↢水菽↡。君臣・師弟・妻子・朋友、一切恩所、一切知識、皆亦如↠是

^むなしく*あいしんつからかして、 いよいよりんごうす。 いはんやまたごううつりて、 しょうじょあひへだたぬれば、 六趣ろくしゅ*しょういづれのところといふことをらず。 けだものやまとり、 たれかきゅうしんわきまへん。

ツカラカシ↢痴愛之心↡、弥↢輪廻之業↡。況復業果推、生処相ヌレバ、六趣・四生不↠知↢何レノトイフコトヲ↡。野獣・山禽、誰ヘム↢旧親↡。

^¬*しんかんぎょう¼ のにのたまふがごとし。

↢¬心地観経¼偈フガ↡。

^にんのためにもろもろのつみつくりて、 さんざいしてながくれども、

男女なんにょしょうにあらずして神通じんずうなければ、 りんずしてほうずべきことかたし。

^じょうりんして六道ろくどうしょうずること、 なほ車輪しゃりんのごとくしてじゅうなし。

あるいは父母ぶもとなり男女なんにょとなり、 世々せせ生々しょうじょうにたがひにおんあり」 と。

「世人為↠子↢諸堕↢在三途↡長レドモ↠苦
男女非シテ↠聖レバ↢神通↡シテ↠見↢輪廻↡難↠可コト↠報
有情輪廻コト↢六道猶如クシテ↢車輪↡无↢始終↡
↢父母↡為↢男女世々生々リト↠恩。」

^もしひと極楽ごくらくしょうじぬれば、 智慧ちえ*こうみょうにして神通じんずう*洞達どうだつし、 世々せせ生々しょうじょう恩所おんじょしきをばしんしたがひていんじょうす。 *天眼てんげんをもつてしょうじょ*てんをもつて言音ごんおんく。 *宿命しゅくみょうをもつてそのおんおくし、 *しんをもつてそのしんさとる。 *じんきょうつうをもつて*随逐ずいちく変現へんげんし、 方便ほうべんりきをもつてきょうかいどうす。

人生ヌレバ↢極楽↡、智恵高明シテ神通洞達、世々生々恩所・知識ヲバ↠心引接。以↢天眼↡見↢生処↡、以↢天耳↡聞↢言音↡。以↢宿命智↡憶↢其↡、以↢他心智↡了↢其↡。以↢神境通↡随逐変現、以↢方便力↡教誡示

^¬*びょうどうきょう¼ (一・三意) にのたまふがごとし。 「かのしゅじょうは、 みなみづからそのぜんじゅうらいせしところのしょうり、 および八方はっぽうじょうらい現在げんざいれり。 かの諸天しょてん人民にんみん*けん*蠕動ねんどうたぐいの、 しんねんずるところ、 にいはんとおもふところをる。 いづれのとしいづれのこうに、 まさにこのくにうまれてさつどうをなし、 阿羅あらかんべしといふことを、 みなあらかじめこれをる」 と。

↢¬平等経¼云フガ↡。「彼衆生、皆自↣其前世来生セルニ、及レリ↢八方上下、去・来・現在之事↡。知↢彼諸天・人民、蠉飛・蠕動之類心意所↠念、口↟欲↠言ムトレノ歳何レノ、当シトイフコトヲ↧生↢此↢菩薩↡、得↦阿羅漢↥皆アラカジルト↠之。」

^また ¬*ごんぎょう¼ の*げんがんにのたまはく、

又¬花厳経¼普賢

^ねがはくは、 われ、 命終みょうじゅうせんとほっするときのぞみて、 ことごとく一切いっさいのもろもろの*しょうのぞきて、

まのあたり、 かのぶつ弥陀みだたてまつりて、 すなはち*安楽あんらくせつおうじょうすることをん。

^われすでにかのくにおうじょうしをはれば、 現前げんぜんにこの大願だいがんじょうじゅし、

一切いっさい円満えんまんしてことごとくあますことなく、 一切いっさいしゅじょうかい*らくせん」 と。

「願クハ我臨↧欲セム↢命終ムト↡時↢一切障礙
マノアタリマツリテ↢彼仏阿弥陀↣往↢生コトヲ安楽刹
我既往↢生↡已リテ現前成↢就セム大願
一切円満シテシテ↠余スコト利↢楽ムト一切衆生界↡」

^えんすらなほしかり。 いはんや*結縁けちえんをや。 *りゅうじゅにいはく、

无縁スラ尚爾。況結縁乎。龍樹

^*無垢むくしょうごんひかり一念いちねんおよびいちに、

あまねく諸仏しょぶつ*らして、 もろもろの*ぐんじょうやくす」 と。

「無垢荘厳一念及一時
↢諸仏利↢スト群生↡」

二 Ⅱ ⅱ 聖衆倶会楽

【28】^だいしち*しょうじゅ倶会くえらくといふは、 ¬きょう¼ (小経) にのたまふがごとし。 「しゅじょう*くものは、 まさにがんおこして、 かのくにうまれんとがんずべし。 所以ゆえんはいかん。 かくのごときもろもろのじょうぜんにんと、 とも一処いっしょすることをればなり」 と。

第七聖衆倶会トイフ者、如↢¬経¼云フガ↡。「衆生、応↢発↠願↟生ムト↢彼↡。所以者何。得バナリト↧与↢如↠是上善人↡倶コトヲ↦一処↥。」

・普賢菩薩

^かのもろもろのさつしょうじゅとくぎょうは、 不可ふか思議しぎなり。 *げんさつのいはく、 「もししゅじょうありて、 いまだ善根ぜんごんゑざるもの、 およびしょうぜんゑたるしょうもんさつは、 なほわがみょうくことをじ。 いはんやわがんや。 もししゅじょうありてわがくことをては、 *のくだいにおいてまた退転たいてんせじ。 ないゆめのうちに、 われをくものも、 またかくのごとし」 と。 ¬ごんぎょう¼ のこころ

菩薩聖衆、徳行不可思議ナリ。普賢菩薩、「若↢衆生↡未ルモノ↠種↢善根↡、及タル↢少善↡声聞・菩薩猶尚 ナホ 不↠得↠聞コトヲ↢我名字↡。況ムヤ↢我↡。若↢衆生↡得テハ↠聞コトヲ↢我↡、於↢阿耨菩↡不↢復退転↡。乃至夢シテモ、見↢聞カム↡者亦復如シト↠是。」¬花厳経¼意

^またのたまはく、

又云

^「われつねにもろもろのしゅじょうずいじゅんして、 らい一切いっさいこうつくすまで、

「我常随↢順衆生於未来一切

つねにげん広大こうだいぎょうしゅし、 *じょうだいだい円満えんまんせんと。

↢普賢広大円↢満ムト無上大菩提

^げん身相しんそうくうのごとし。 *しんによりてじゅうして、 こくにはあらず。

普賢身相↢虚空↠真而住↢国土ニハ

もろもろのしゅじょうしんほっするところにしたがひて、 しんげんして一切いっさいひとくす。

↢諸衆生示↢現普身↡等クス↢一切

^一切いっさい*せつのなかの諸仏しょぶつみもとに、 種々しゅじゅ三昧さんまいをもつて神通じんずうげんず。

一切諸仏種々三昧ヲモテ↢神通

一々いちいち神通じんずうはことごとく十方じっぽうこくしゅうへんして、 のこすものなし。

一々神通周↢遍十方国土↡無↢遺者↡

^一切いっさいせつ如来にょらいみもとのごとく、 かのせつじんのなかにもことごとくまたしかなり」 と。 どうきょう

↢一切如来ニモ亦然ナリト¬経¼偈

・文殊菩薩

^*文殊もんじゅ師利しりだいしょうそんをば、 さん諸仏しょぶつもつてははとなしたまふ。

「文殊師利大聖尊ヲバ三世諸仏以タマフ↠母

十方じっぽう如来にょらいの、 はじめて*しんおこすことは、 みなこれ文殊もんじゅきょうちからなり。

十方如来コトハ↠心皆是文殊教化ナリ

^一切いっさいかいのもろもろのじょうみなき、 しんおよび光相こうそう

一切世界有情↠名見↢身及光相

ならびに随類ずいるいのもろもろのげんるは、 みな仏道ぶつどうじょうずること思議しぎしがたし」 と。 ¬しんかんぎょう¼ の

ルハ↢随類化現皆成コト↢仏道↡難シト↢思議↡」
¬心地観経¼

^もしただ ˆ文殊もんじゅ師利しりのˇ みなくものは、 じゅう億劫おくこうしょうつみのぞく。 もし礼拝らいはいようするものはつねに*ぶっうまる。 もしみょうしょうすること一日いちにち七日しちにちすれば、 文殊もんじゅかならずきたりたまふ。 もし*宿障しゅくしょうあるものは、 ゆめのうちにることをて、 しょ円満えんまんす。

但聞↠名、除↢十二億劫生死之罪↡。若礼拝・供養↢仏家↡。若コト↢名字↡一日七日ルハ、文殊必タマフ。若モノ↢宿障↡、夢↠見コトヲ、所求円満

^もしぎょうぞうるものは、 ひゃくせんこうのうちに悪道あくどうちず。 もししんぎょうずるものは、 すなはち文殊もんじゅたてまつることを。 もしみなじゅ読誦どくじゅすることあるものは、 たとひ重障じゅうしょうあれども*阿鼻あび極悪ごくあくみょうちずして、 つねにほう清浄しょうじょうぶつうまる。 ¬*文殊もんじゅはつはんきょう¼ のこころ。 かのぎょうぞう、 ¬きょう¼ (同) にひろくがごとし。

↢形像↡者、百千劫不↠↢悪道↡。若↢慈心↡者、即得↠見マツルコトヲ↢文殊↡。若↤受↢持読↣誦コト↡者、設ドモ↢重障↡不シテ↠堕↢阿鼻極悪猛火↡、常↢他方清浄仏土↡。¬文殊般涅槃経¼意。彼形像如↢¬経¼広クガ

^またひゃく千億せんおく那由なゆぶつやくしゅじょうは、 文殊もんじゅ師利しりの、 一劫いっこうのうちにおいてなせるところのやくにはおよばず。 ゆゑにもし文殊もんじゅ師利しりさつしょうするものは、 ふくはかのひゃく千億せんおく諸仏しょぶつみょうごうじゅするよりもおおし。 ¬ほうしゃくきょう¼ のこころ

又百千億那由他利益衆生、不↠及↧文殊師利↢一劫↡所↠作セル利益ニハ↥。故↢文殊師利菩薩↡者、福↣於受↢持ルヨリモ百千億諸仏名号↡。¬宝積経¼意

・弥勒菩薩

^*ろくさつどくりょうなり。 もしただみなくものは黒闇こくあんしょちず。 一念いちねんみなしょうするものは、 せんひゃくこうしょうつみじょきゃくす。 帰依きえすることあるものは、 *じょうどうにおいて退転たいてん¬*上生じょうしょうきょう¼ のこころ しょうさん礼拝らいはいするものは、 ひゃくせん万億まんおく*そうこうしょうつみのぞく。 ¬*空蔵くうぞうきょう¼・¬*ぶつみょうきょう¼ のこころ

弥勒菩薩功徳無量ナリ。若但聞↠名不↠堕↢黒闇↡。一念↠名、除↢却千二百劫生死之罪↡。有↢帰依コト↡者、於↢無上道↡得↢不退転↡。¬上生経¼意 称讃・礼拝、除↢百千万億阿僧祇劫生死↡。¬虚空蔵経¼・¬仏名経¼

^りょう千万せんまんこうしゅせるところのがんぎょう

広大こうだいにして不可ふかりょうなり。 *しょうようすともよくつくすことなからん」 と。
¬ごんぎょう¼ のじょうさんさつ、 つねに極楽ごくらくかいにまします。 ¬じゅうごんぎょう¼ にでたり。

「無量千万劫↠修セル願智行
広大ニシテ不可量ナリストモムト↢能コト↡」
¬花厳経¼偈。已上、三菩薩、常↢極楽世界↡。出タリ↢¬四十花厳経¼↡

・地蔵菩薩

^*ぞうさつは、 毎日まいにち*じんじょう恒沙ごうじゃじょうりて、 *法界ほうかいしゅうへんしてしゅじょうきたまふ。 しょがん*だいえたり。 ¬*じゅうりんぎょう¼ のこころ

地蔵菩薩、毎日晨朝↢恒沙↡、周↢遍法界↡抜タマフ↢苦衆生↡。所有悲願超タリ↢余大士↡。¬十輪経¼意

^かの ¬きょう¼ (十輪経)にのたまはく、

¬経¼偈

^一日いちにちぞうどくだいみょうもんしょうせんは、

*ていこうのうちに、 しゃしょうするとくすぐれたり。

たとひひゃくこうのうちに、 そのどく讃説さんせつすとも、

なほつくすことあたはじ。 ゆゑにみなまさにようすべし」 と。

「一日セム↢地蔵功徳大名聞
レタリ↣倶低劫セムニハ↢余智者
仮使百劫讃↢説ストモ功徳
猶尚 ナホ 不↠能↠尽コト皆当シト↢供養↡」

・観音菩薩

^*かんおんさつのいはく、 「しゅじょうありて、 たびわがしょうせんに、 きてすくはずといはば、 しょうがくらじ」 と。 ¬*みょうかいきょう¼。

観世音菩薩、「衆生有↠苦三タビムニ↢我↡、不トイハバ↢往↡者不↠取↢正覚↡。」¬弘猛海慧経¼

^「もしひゃくせんてい那由なゆ諸仏しょぶつみょうごうしょうねんすることあらん。 またしばらくのときもわがみょうごうにおいて、 しんいたしてしょうねんすることあらん。 かのどくびょうどうびょうどうならん。 もろもろのわがみょうごうしょうねんすることあるものは、 一切いっさいみな退転たいてんてん」 と。 ¬*じゅういちめんぎょう¼ (意)。

「若↣称↢念コト百千倶胝那庾多諸仏名号↡。復有↧暫クノ↢我名号↡至シテ↠心称念コト↥。彼功徳平等平等ナラム。諸ラム↣称↢念コト名号↡者、一切皆得テムト↢不退転↡。」¬十一面経¼

^しゅじょうもしかば、 はなれてだつてん。

「衆生カムハ↠名↠苦テム↢解脱

またごく*遊戯ゆげして、 だいかわりてけん」 と。 ¬*しょう観音かんのんぎょう¼ の

亦遊↢戯地獄大悲代ムト↠苦¬請観音経¼偈

^*ぜいふかきことうみのごとし。 こうとも思議しぎすまじ。

「弘誓キコト↠海トモ↠劫↢思議

千億せんおくぶつつかへて、 だい清浄しょうじょうがんおこせり。

ヘテ↢多千億セリ↢大清浄

^神通じんずうりきそくし、 ひろ方便ほうべんしゅして、

具↢足神通力↢智方便

十方じっぽうのもろもろのこくに、 せつとしてげんぜずといふことなし。

十方国土↢刹トシテトイフコト↟現↠身

^念々ねんねんうたがいをなすことなかれ。 かんおん浄聖じょうしょうは、

念々↠生スコト↠疑観世音浄聖

のうやくにおいて、 よくために*依怙えことなりたまふ。

↢苦悩死厄タマフ↢依怙

^一切いっさいどくして、 げんをもつてしゅじょうたまふ。

↢一切功徳慈眼ヲモテタマフ↢衆生

福聚ふくじゅうみりょうなり。 このゆゑにちょうらいしたてまつるべし」 と。 ¬法華ほけきょう¼。

福聚海无ナリシト↢頂礼マツル↡」 ¬法華経¼

・勢至菩薩

^*大勢だいせいさつのいはく、 「われよくもろもろの悪趣あくしゅの、 未度みどしゅじょうするに堪任かんにんせり」 と。 ¬ほうしゃくきょう¼。

大勢至菩薩、「我能堪↣任セリト↢諸悪趣未度衆生↡。」¬宝積経¼

^智慧ちえひかりをもつて、 あまねく一切いっさいらして、 さんはなれしむるに、 じょうちからたり。 ゆゑにこのさつ大勢だいせいづく。 このさつかんずるものは、 しゅこうそうしょうつみのぞき、 *胞胎ほうたいしょせずして、 つねに諸仏しょぶつ浄妙じょうみょうこくあそぶ」 と。 ¬かんぎょう¼ のこころ

「以↢智慧↡普↢一切↢三途↡得↦無上。故菩薩↢大勢至↡。観ズル↢此菩薩↡者、除↢无数劫阿僧祇生死之罪シテ↠処↢胞胎↡、常ブト↢諸仏浄妙国土↡。」¬観経¼意

^りょうへんしゅこうに、 ひろ願力がんりきしゅして弥陀みだたすけ、

つねに大衆だいしゅしょして法言ほうごんぶ。 しゅじょうくものはじょうげん

神通じんずうをもつて十方じっぽうくにしゅうへんして、 あまねく一切いっさいしゅじょうまえげんず。

しゅじょうもしよくしんいたしてねんずれば、 みなことごとくみちびきて安楽あんらくいたらしむ」 と。 *りゅうじゅさん

「無量无辺无数劫↢願力↡助↢弥陀
↢大衆↡宣↢法言衆生得↢浄眼
神通モテ周↢遍十方↢一切衆生
衆生若シテ↠心レバ皆悉ムト↠至↢安楽↡」 龍樹

^またいはく、

又云

*観音かんのんせいだい名称みょうしょうまします。 どく智慧ちえ、 ともにりょうなり。

慈悲じひそくしてけんすくひ、 あまねく一切いっさいしゅじょうかいあそびたまふ。

かくのごときすぐれたるひとは、 はなはだふことかたし。 一心いっしんぎょうしてめんをもつてらいしたてまつる」 と。

「観音・勢至大名称マシマス功徳智恵倶无量ナリ
具↢足慈悲↡救↢世間タマフ↢一切衆生海
↠是レタル↠遇コト一心恭敬頭面マツルト

^かくのごとき*いっしょうしょだいさつ、 そのかず恒沙ごうじゃのごとし。 色相しきそう端厳たんごんにして、 どくそくし、 つねに極楽ごくらくこくにましまして弥陀みだぶつ*にょうしたまへり。

↠是一生補処大菩薩、其数如クシテ↢恒沙色相端厳ナリ功徳具足、常シテ↢極楽国↡囲↢繞タマヘリ弥陀仏↡。

^またもろもろのしょうもんしゅ、 そのかずはかりがたし。 じん*洞達どうだつし、 りきざいなり。 よくたなごころのなかに一切いっさいかいたもつ。 たとひ*だい目連もくれんのごときもの、 ひゃくせん万億まんおくりょうしゅにして、 そうこうに、 ことごとくともに、 かの*しょしょうもん*きょうせんに、 るところのかずはなほ一渧いったいのごとく、 そのらざるところは大海だいかいみずのごとし。

又諸声聞衆、其数難↠量。神智洞達威力自在ナリ。能於掌↢一切世界↡。設キモノ↢大目連↡、百千万億无量无数ニシテ、於↢阿僧祇↡悉計↢挍ムニ初会声聞↡、所↠知ラム数者猶如↢一渧↠不↠知ケム↢大海水↡。

^そのなかに、 *はつ泥洹ないおんしてるもの央数おうしゅなり。 あらたに阿羅あらかんるもの、 また央数おうしゅなり。 しかれどもすべて増減ぞうげんをなさず。 たとへば大海だいかいの、 *恒水ごうすいげんずといへども、 恒水ごうすいくわふといへども、 しかもぞうなくまたげんなきがごとし。 もろもろのさつしゅは、 またかみかずばいせり。

般泥洹者無央数ナリ。新↢阿羅漢↡者亦無央数ナリ。而レドモ不↠為↢増減↡。譬↧大海↠減ズト↢恒水↡、雖↠加フト↢恒水↡而↠増亦無キガ↞減。諸菩薩衆復倍セリ↢上↡。

^¬大論だいろん¼ (大智度論) にいふがごとし。 「弥陀みだぶつくにには、 さつそうおおしょうもんそうすくなし」 と。

↢¬大論¼云フガ↡。「弥陀仏ニハ、菩薩僧声聞僧シト。」

^かくのごときしょうじゅ、 そのくにじゅうまんせり。 たがひにはるかにあひ、 はるかにあひ瞻望せんもうし、 はるかにしょうきて、 同一どういつどうもとめて、 るいあることなし。 いかにいはんや、 また十方じっぽう恒沙ごうじゃぶつ*りょう塵数じんじゅさつしょうじゅ、 おのおの神通じんずうげんじて安楽あんらくこくいたりて、 尊顔そんげん*瞻仰せんごうしてぎょうようしたてまつる。

↠是聖衆充↢満セリ↡。互見、遥瞻望↢語声↡、同一ムルコト↠道↠有コト↢異類↡。何復十方恒沙无量塵数菩薩聖衆、各↢神通↡至↢安楽国↡、瞻↢仰尊顔↡恭敬供養マツル

^あるいはてんみょうもたらし、 あるいはみょうほうこうき、 あるいは*無価むげころもたてまつり、 あるいはてん*がくそうし、 *和雅わげおんおこして、 そんたんし、 きょうぼうちょうじゅし、 *どうせんす。

↢天妙花↡、或↢妙宝↡、或タテマツ↢無価↡、或↢天妓楽↢和雅↡、歌↢嘆世尊↡、聴↢受経法↡、宣↢布道化↡。

^かくのごとく往来おうらいすること、 ちゅうえず。 東方とうぼうれば、 西方さいほうよりきたり、 西方さいほうれば、 北方ほっぽうよりきたり、 北方ほっぽうれば、 南方なんぽうよりきたる。 *ゆいじょうもたがひにまたかくのごとし。 かはるがはるあひ*かいすること、 なほさかりなるいちのごとし。

シテ↠是往来コト昼夜不↠絶。東方西方ヨリ西方北方ヨリ北方南方ヨリ四維・上下亦如↠是更相カハルガハル開避コト猶如↢盛ナル↡。

^これらのだいは、 ひとたびそのみなくすら、 なほしょうえんにあらず。 いはんやひゃく千万せんまんごうにも、 たれかあひることをるものあらん。 しかもかのこくしゅじょうはつねに一処いっしょして、 たがひにごんまじへ、 問訊もんじんぎょうし、 親近しんごん承習じょうじゅうす。 またたのしからざらんや。 じょう、 ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)・¬かんぎょう¼・¬びょうどうきょう¼ とうこころ

此等大士タビコト↢其↡尚非↢少縁↡。況百千万劫ニモ↢相コトヲ↡者アラン。然国土衆生シテ↢一処↡、互↢言語↡、問訊恭敬、親近承習。不ラム↢亦楽カラ↡乎。已上¬双巻経¼・¬観経¼・¬平等経¼等

^りゅうじゅ (易行品) にいはく、

龍樹

^かののもろもろのさつは、 もろもろの相好そうごうそくして、

みなみづからしょうごんせり。 われいまみょうしてらいす。

三界さんがいごく超出ちょうしゅつして、 れんようのごとし。

しょうもんしゅりょうなり。 このゆゑに稽首けいしゅしてらいす」 と。

「彼菩薩具↢足相好
皆自荘↢厳セリ我今帰命
超↢出三界↢蓮華葉
声聞衆无量ナリ稽首スト

^またいはく (十二礼)

十方じっぽうよりきたるところのもろもろのぶっ神通じんずう顕現けんげんして安楽あんらくいたりて、

尊顔そんげん瞻仰せんごうしてつねにぎょうしたてまつる。 ゆゑにわれ弥陀みだぶつちょうらいす。

*ねがはくは、 もろもろのしゅじょうとともに安楽あんらくこくおうじょうせん」 と。

「十方ヨリ↠来仏子顕↢現神通↡至↢安楽
瞻↢仰尊顔↡常恭敬マツル我頂↢礼弥陀仏
クハ↢諸衆生↡往↢生ムト安楽国。」

二 Ⅱ ⅱ 見仏聞法楽

【29】^だいはち*見仏けんぶつ聞法もんぽうらくといふは、 いまこのしゃかいは、 ぶつほうくことはなはだかたし。

第八見仏聞法トイフ者、今此娑婆世界見↠仏コト↠法

^師子吼ししくさつのいはく (心地観経)

師子吼菩薩

「われらしゅひゃくせんごうに、 *四無しむりょうさんだつしゅして、

いま大聖だいしょう牟尼むにそん (釈尊)たてまつること、 なほ*めしひたるかめうきへるがごとし」 と。

「我等无数百千劫↢四无量三解脱
今見マツルコト↢大聖牟尼尊猶如シト↣盲ヒタルルガ↢浮木↡」

^また*儒童じゅどう全身ぜんしんててはじめてはんたり。 *じょうたいかんきてとお般若はんにゃもとめたり。 さつすらなほしかり、 いかにいはんやぼんをや。

又儒童テテ↢全身↡而シテタリ↢半偈↡。常啼↢肝府↡而遠タリ↢般若↡。菩薩スラ尚爾凡夫ヲヤ

^ぶつ (釈尊)*しゃにましますことじゅうねん、 かしこにおくいえあり。 三億さんおくぶつたてまつり、 三億さんおくはわづかにき、 その三億さんおくかず。 ざいすらなほしかり、 いかにいはんやめつをや。

仏在スコト↢舎衛↡廿五年、彼九億アリ三億マツリ↠仏、三億、其三億不↠見不↠聞。在世スラ尚爾、何滅後ヲヤ

^ゆゑに ¬ほっ¼ にのたまはく、

¬法花¼云

「このもろもろのつみしゅじょうは、 悪業あくごう因縁いんねんをもつて、

そうこうぐれども、 三宝さんぼうみなをもかず」 と。

「是衆生↢悪業因縁
タレドモ↢阿僧祇↠聞↢三宝↡」

^しかるをかのくにしゅじょうは、 つねに弥陀みだぶつたてまつり、 つねにじんみょうほうく。 いはく、 ごんじょううえには提樹だいじゅあり、 ようもにき、 衆宝しゅぼうをもつてごうじょうせり。 うえにはたからもうおおひ、 えだのあひだにはたま瓔珞ようらくれたり。

ルヲ衆生マツリ↢弥陀↡、恒↢深妙↡。謂厳浄↢菩提樹↡枝葉モニ、衆宝ヲモテ合成セリ。樹ヘリ↢宝羅網エダタリ↢珠瓔珞↡。

^かぜよううごかすに、 こえみょうほうべ、 そのこえ流布るふして諸仏しょぶつくにへんす。 そのくことあるものは*じん法忍ぼうにん退転たいてんじゅうし、 こんしょうてつなり。 いろかおりをぎ、 あじめ、 ひかりれ、 すがたえんずるも、 一切いっさいまたしかなり。 仏道ぶつどうじょうずるにいたるまで*六根ろっこんしょうてつなり。

風動スニ↢枝葉↡、声演↢妙法声流布↢諸仏↡。其↠聞コト得↢深法忍↡、住↢不退転↡、耳根清徹。覩↢樹↡、↢樹↡、嘗↢樹↡、触↢樹↡、縁ルモ↢樹↡、一切亦然ナリ。至マデ↠成ルニ↢仏道↡六根清徹

^じゅあり、 しょうごんりょうなり。 うえにはぶつましまし、 相好そうごうへんなり。 *しつたかあらわれて、 晴天せいてんみどりく、 *びゃくごうみぎめぐりて、 しゅうげつひかりてり。 しょうれんまなこたんくちびる*りょうびんこえ獅子ししそうむね仙鹿せんろくおうはぎ*千輻せんぷくりんあなうら、 かくのごとき八万はちまんせん相好そうごう紫磨しまこんしん纏絡てんらくし、 りょう塵数じんじゅこうみょうは、 億千おくせん日月にちがつあつめたるがごとし。

樹下↠座荘厳无量ナリ。座↠仏相好无辺ナリ。烏瑟高シテコマヤカナリ白毫右光満。青蓮之眼、丹菓之脣、迦陵頻之声、師子相之胸、仙鹿王之ハギ、千輻輪之アナウラ、如↠是八万四千相好、纏↢絡セリ紫磨金無量塵数光明↠集タルガ↢億千日月↡。

^ときありて、 七宝しっぽう講堂こうどうましましてみょうほう*えんちょうしたまふに、 *梵音ぼんのんじんみょうにして、 しゅうしんえっしたまふ。 さつしょうもんてんにん大衆だいしゅ一心いっしんがっしょうして尊顔そんげん瞻仰せんごうしたてまつる。 そくに、 ねんふう七宝しっぽうじゅくに、 りょうみょうかぜしたがひてもにさんず。 一切いっさい諸天しょてん、 もろもろの音楽おんがくそうす。 このときあたりて、 *熙怡きいらくげていふべからず。

↠時シテ↢七宝講堂↡演↢暢タマフ妙法梵音深妙ニシテ、悦↢可タマフ↡。菩薩・声聞・天・人・大衆、一心合掌瞻↢仰マツル尊顔↡。即時自然微風吹クニ↢七宝↡、無量妙花随↠風モニ。一切諸天奏↢諸音楽↡。当斯之時↡、熙怡快楽不↠可アゲ↡。

^あるいはまた広大こうだいげんじ、 あるいは*じょうろくはっしゃくげんじ、 あるいは宝樹ほうじゅもとにましまし、 あるいはほうほとりにまします。 しゅじょうもと宿命しゅくみょうにより、 どうときしんがんせしところにしたがひて、 だいしょうこころしたがひて、 ためにきょうぼうき、 それをしてかいし、 得道とくどうせしめたまふ。 かくのごとく種々しゅじゅしたがひて、 種々しゅじゅほうきたまふ。

復現↢広大↡、或↢丈六・八尺↢宝樹↢宝池↡。随↣衆生宿命求道憙願セシ↡、大小随↠意↢経法↡、令タマフ↢其ヲシテ開解得道↡。如↠是↢種々↡、説タマフ↢種々↡。

^また観音かんのんせいふたりさつ、 つねにぶつ左右さうほとりにありて、 坐侍ざじして*しょうろんす。 ぶつつねにこのふたりさつとともにたいして、 八方はっぽうじょう*らい現在げんざいしたまふ。

又観音・勢至フタリ菩薩常↢仏左右↡、坐侍政論。仏常与↢是フタリ菩薩↡共対坐、議タマフ↢八方上下、去・来・現在之事↡。

^あるときには、 東方とうぼう恒沙ごうじゃ仏国ぶっこくりょうしゅのもろもろのさつしゅ、 みなことごとくりょう寿じゅぶつみもと往詣おうげいして、 ぎょうようして、 もろもろのさつしょうもんしゅうまでにおよぼす。 南西なんざい北方ほっぽう*ゆいじょうもまたかくのごとし。 かのごんじょう*みょうなん思議じぎなるをて、 よりてりょうしんおこして、 わがくにもまたしからんとがんず。

或時ニハ、東方恒沙仏国无量无数菩薩衆、皆悉往↢詣無量寿仏↡、恭敬供養、及ボス↢諸菩薩・声聞之衆マデニ↡。南・西・北方・四維・上下亦復如↠是。見↢彼厳浄微妙難思議ナルヲ↡、因↢无量↡、願↢我亦然ラムト↡。

^ときおうじて、 そんみかおうごかしてしょうし、 くちよりしゅひかりいだして、 あまねく十方じっぽうくにらしたまふ。 こうしんめぐること*三帀さんぞうしていただきる。 一切いっさいてん人衆にんしゅやくしてみなかんす。

↠時世尊動ミカホ微笑、口↢无数↡、遍タマフ↢十方↡。廻光囲リテ↠身三帀↠頂。一切天人衆踊躍皆歓喜

^だいかんおんぶくととのへて ˆりょう寿じゅぶつにˇ *稽首けいしゅしてひたてまつる。 「ぶつ、 なんのえんありてかみたまふ。 やや、 しかなり。 ねがはくはきたまへ」 と。 とき*ぼんみこえいかずちのごとくして八音はっとんをもつてみょうこうべたまひ、 「まさにさつ*さずくべし」 と。

大士観世音整↠服稽首マツル。仏、何アリテカタマフ。唯然ナリ。願クハタマヘト。時声、猶クシテ↠雷八音ヲモテタマ↢妙響シト↠授↢菩薩↡。

^げてのたまはく、 「なんぢ、 あきらかにけ。 十方じっぽうよりきたれる*しょう、 われことごとくかのねがいれり。 ごんじょう志求しぐし、 *けつけてまさにぶつるべし。 一切いっさいほうはなほげんきょうのごとしとかくりょうするも、 もろもろのみょうがん満足まんぞくして、 かならずかくのごときせつじょうぜん。 ほうでんようのごとしとるも、 さつどうきょうし、 もろもろのどくもとして、 けつけてまさにぶつるべし。 諸法しょほうしょう一切いっさいくう無我むがなりと通達つうだつするも、 もつぱらじょうぶつもとめて、 かならずかくのごときせつじょうぜん」 と。

ナンヂ。十方ヨリ正士、吾悉レリ↢彼↡。志↢求スルニ厳浄↡、受↠決↠作↠仏。覚↣了シテ一切猶如シト↢夢・幻・↡、満↢足妙願↡、必↢如↠是↡。知リテ↣法シト↢電・影↡、究↢竟菩薩↡、具↢諸功徳↡、受↠決↠作↠仏。通↢達シテ諸法一切空无我ナリト↡、専ムル↢浄仏土↡、必ゼム↢如↠是↡。

^いはんやまた、 すいちょう樹林じゅりんみなみょうほうぶ。 おほよそかんとほっするところをば、 ねんくことを。 かくのごとき法楽ほうらくは、 またいづれのところにかあらんや。 このなかはおおく ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)・¬びょうどうきょう¼ とうによれり。

復水・鳥・樹林皆演↢妙法↡。凡ヲバ↠欲↠聞ムト自然得↠聞コトヲ。如↠是法楽亦在↢何レノニカ↡乎。レリ↢¬双巻経¼・¬平等経¼

^りゅうじゅさん (十二礼) にいはく、

龍樹

^こがねそことし、 たからまじはりたるいけしょうぜるはな善根ぜんごんじょうぜるところのみょうだいなり。

かのうえにおいて*山王せんのうのごとし。 ゆゑにわれ弥陀みだぶつちょうらいしたてまつる。

^*しょじょう無我むがとうなり。 また*水月すいがつでんようのごとし。

しゅうのために*ほうみょうなきことをきたまふ。 ゆゑにわれ弥陀みだぶつちょうらいしたてまつる。

^ねがはくはもろもろのしゅじょうとともに安楽あんらくこくおうじょうせん」 と。

「金トシゼル善根妙台
↢彼↡如↢山王我頂↢礼マツル弥陀仏
諸有无常・无我等ナリ亦如↢水月・電・影・露
↠衆タマフ↣法コトヲ↢名字↡我頂↢礼マツル弥陀仏
クハ↢諸衆生往↢生ムト安楽国↡」

二 Ⅱ ⅱ 随心供仏楽

【30】^だい*随心ずいしんぶつらくといふは、 かのしゅじょうは、 ちゅうろくに、 つねに種々しゅじゅてんちて、 りょう寿じゅぶつようしたてまつる。

第九随心供仏トイフ者、彼衆生、昼夜六時↢種々天花↡、供↢養マツル無量寿仏↡。

^また、 こころほう諸仏しょぶつようしたてまつらんとおもふことあれば、 すなはちすすみて*じょうして、 *あざへてぶつにまうす。 ぶつすなはちこれをゆるしたまふに、 みなおおきにかんして、 千億せんおくまんにん、 おのおのみづからひるがえび、 等輩とうはいあひひ、 ともにさんして、 八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつみもといたりて、 みなすすみてらいをなし、 ようぎょうしたてまつる。

又有ルハ↤意コト↣供↢養マツラムト他方諸仏↡、即ススミ長跪アザヘ↠手↠仏仏則ユルシタマフニ↠之皆大歓喜、千億万人各、等輩相倶共散飛、到↢八方上下無央数諸仏↡、皆ススミリテ↠礼、供養恭敬マツル

^かくのごとく毎日まいにちじんじょうに、 おのおの*こくをもつてもろもろのみょうれて、 ほうじゅう万億まんおくぶつようしたてまつる。 およびもろもろのぶくがく一切いっさい供具くぐこころしたがひて出生しゅっしょうして、 ようぎょうす。 すなはち*じきをもつて本国ほんごくかえいたりて、 飯食ぼんじき経行きょうぎょうして、 もろもろの法楽ほうらくく。

↠是毎日晨朝、各↢衣裓↡盛↢衆妙花↡、供↢養マツル十万億↡。及衣服・妓楽、一切供具、随↠意出生、供養恭敬。即↢食時↡還本国↡、飯食経行↢諸法楽↡。

^あるいはいはく、 毎日まいにちさん諸仏しょぶつようしたてまつると。

、毎日三時供↢養マツルト諸仏↡。

^ぎょうじゃ、 いまゆいきょうしたがひて、 十方じっぽうぶつ種々しゅじゅどくくことをたり。 るにしたがひ、 くにしたがひて、 はるかにれんしょうず。 おのおのあひかたりていはく、 「われら、 いづれのときにか、 十方じっぽうじょうることを諸仏しょぶつさつふことをん」 と。 きょうもんむかふごとに、 *嗟嘆しゃたんせずといふことなし。

行者今従↢遺教↡、得↠聞コトヲ↢十方仏土種々功徳↡。随↠見ルニ↠聞クニ、遥↢恋慕↡。各カタリ、我等何レノニカ得↠見コトヲ↢十方浄土↡、得ムト↠値コトヲ↢諸仏・菩薩↡。毎↠対↢教文↡無↠不トイフコト↢嗟嘆↡。

^しかるを、 もしたまたま極楽ごくらくこくうまるることをば、 あるいはりきにより、 あるいは仏力ぶつりきけて、 あしたゆうべきたり、 しゅしゅかえらん。 あまねく十方じっぽう一切いっさい*仏刹ぶっせついたりて、 まのあたり諸仏しょぶつつかへたてまつり、 もろもろのだいぐうし、 つねにしょうぼうき、 だいだいけん。

ルヲコトヲ↢極楽国↡、或↢自力↡、或↢仏力↡、朝ユフベ、須臾須臾ラム。遍↢十方一切仏刹↡、マノアタリマツ↢諸仏↡、値↢遇大士↡、恒↢正法↡、受↢大菩提↡。

^ない、 あまねく一切いっさい*塵刹じんせつりて、 もろもろのぶつをなし、 げんぎょうしゅせん。 またたのしからずや。 ¬弥陀みだきょう¼・¬びょう等覚どうがくきょう¼・¬双巻そうかんぎょう¼ (大経) のこころ

乃至普↢一切塵刹↡、作↢諸仏事↡、修↢普賢↡。不↢亦楽カラ↡乎。¬阿弥陀経¼・¬平等覚経¼・¬双巻経¼意

^りゅうじゅ (易行品) にいはく、

龍樹

かの*だいさつは、 *日々にちにちさんに、

十方じっぽうぶつようしたてまつる。 このゆゑに稽首けいしゅしてらいしたてまつる」 と。

「彼大菩薩日々於三時
供↢養マツル十方稽首マツルト

二 Ⅱ ⅱ 増進仏道楽

【31】^だいじゅう*増進ぞうしん仏道ぶつどうらくといふは、 いまこのしゃかいは、 どうしゅしてることはなはだかたし。 いかんとなれば、 くるものはつねにうれへ、 らくくるものはつねにじゃくす。 といひらくといひ、 だつおんす。 もしはしょうもしはちんりんにあらずといふことなし。

第十増進仏道トイフ者、今此娑婆世界↠道コト↠果云何トナレバ者受↠苦、受↠楽。苦、遠↢離解脱↡。若昇若沈、無↠非トイフコト↢輪廻↡。

^たまたま*発心ほっしんしてしゅぎょうするものありといへども、 またじょうじゅしがたし。 煩悩ぼんのううちもよおし、 悪縁あくえんほかきて、 あるいはじょうしんおこし、 あるいはさん悪道まくどうかえりぬ。 たとへば、 みずのなかのつきの、 なみしたがひてうごきやすく、 じんまえぐんの、 やいばのぞみてすなはちかえるがごとし。 ぎょちょうじがたく、 *あんじゅくすることすくなし。 かの*しん (舎利弗) とうの、 六十ろくじっこう退たいせるもののごとき、 これなり。

↠有リト↢発心シテ修行者↡亦難↢成就↡。煩悩内、悪縁外、或↢二乗↡、或↢三悪道↡。譬↢水中之月↠波↠動前之軍↠刃ルガ↡。魚子難↠長、菴菓少↠熟コト。如↢彼身子等六十劫退↡是也。

^ただしゃ如来にょらいりょうこうなんぎょうぎょうし、 こうみ、 とくかさねて、 さつどうもとめて、 いまだかつてそくしたまはず。 三千さんぜん大千だいせんかいかんずるに、 ない芥子けしばかりのごときも、 このさつしんみょうてたるところにあらざること、 あることなし。 しゅじょうのためのゆゑなり。 しかしてのちに、 すなはちだいどうじょうずることをたまへり。

釈迦如来於無量劫難行苦行、積↠功↠徳、求マフシ↢菩薩↡、未ムカシニモ止息タマハ↡。観ルニ↢三千大千世界↡、乃至無↠有コト↧如キモ↢芥子バカリ↡、非↦是菩薩タル↢身命↡処↥。為↢衆生↡故シテタマヘリ↠成コトヲ↢菩提↡。

^そのしゅじょうはおのが*ぶんにあらず。 ぞうちからよわければ、 刀箭とうせん歿もっす。

衆生↢己智分↡。象ヨワクシテ、身歿↢刀箭↡。

^ゆゑにりゅうじゅさつのいはく (大智度論・意)、 「たとへばじゅうこおりに、 もし一人いちにんありていっしょう熱湯ねっとうをもつてこれにるれば、 *とうこおりげんずるにたれども、 あけいたれば、 すなはちのものよりもたかきがごとし。 ぼんのここにありて発心ほっしんして、 すくはんとするもまたかくのごとし。 *貪瞋とんじんきょうじゅんおおきをもつてのゆゑに、 みづから煩悩ぼんのうおこして、 かへりて悪道あくどうしぬ」 と。

龍樹菩薩、「譬キニ里、如↢一人↡以↢一升オケ↠之、当時レドモ↢氷減ルニ↡、経↠夜↠明クル、乃キガ↦於余ヨリモ↥。凡夫↠此発心、救ムトスル↠苦亦復如↠是。以↢貪瞋境、順違多キヲ↡故、自↢煩悩↡、返ヌト↢悪道↡。

^かの極楽ごくらくこくしゅじょうは、 おおくの因縁いんねんあるがゆゑに、 ひっきょうじて退たいせずして、 仏道ぶつどう増進ぞうしんす。 いちには、 ぶつがんりきつねにしょうするがゆゑに。 には、 ぶつひかりつねにらして提心だいしんぞうするがゆゑに。 さんには、 すいとり樹林じゅりんふうりょうとうこえ、 つねに念仏ねんぶつ念法ねんぽう念僧ねんそうしんしょうぜしむるがゆゑに。 には、 もつぱらもろもろのさつを、 もつてぜんとなして、 ほか悪縁あくえんなく、 うち*じゅうわくぶくせるがゆゑに。 には、 寿じゅみょう永劫ようごうにして、 ぶつとともに斉等ざいとうにして、 仏道ぶつどうしゅじゅうするに、 しょうけんきゃくあることなきがゆゑに。

極楽国土衆生ルガ↢多クノ因縁↡故畢竟ジテシテ↠退増↢進仏道↡。一ニハ悲願力常摂持ルガ。二ニハ光常ルガ↢菩提心↡故。三ニハ水・鳥・樹林・風鈴等声、常ルガ↠生↢念仏・念法・念僧之心↡故。四ニハモハラ菩薩↢善友↡、外↢悪縁↡、内ルガ↢重↡故。五ニハ寿命永劫ニシテ、共↠仏斉等ニシテ、修↢習ルニ仏道↡、無キガ↠有コト↢生死之間隔↡故

^¬ごん¼ のにのたまはく、

¬花厳¼偈

「もししゅじょうありてひとたびぶつたてまつれば、 かならずもろもろの*ごっしょうじょうじょせしむ」 と。

「若↢衆生↡一タビルハ↠仏
使ムト↣浄↢除業障↡」

^ひとたびたてまつるすら、 なほしかなり。 いかにいはんやつねにたてまつるをや。 この因縁いんねんによりて、 かのしゅじょうは、 あらゆる万物まんもつにおいて、 *しょしんなし。 らいしんしんくるところなし。 もろもろのしゅじょうにおいてだい心をねん増進ぞうしんして、 しょうにんさとり、 きょうしてかならずいっしょうしょいたり、 ない、 すみやかに*じょうだいしょうす。

タビ、尚ナリ。何ヲヤ。由↢此因縁↡彼衆生、於↢所有万物↡無↢我・我所心↡。去来進止心无↠所↠係クル。於↢諸衆生↡得↢大悲心↡、自然増進、悟↢无生忍究竟↢一生補処↡、乃至速↢无上菩提↡。

^しゅじょうのためのゆゑに、 *八相はっそうげんし、 えんしたがひ、 ごんじょうこくにありて*みょう法輪ほうりんてんじ、 もろもろのしゅじょうす。 もろもろのしゅじょうをしてそのくにごんせしむること、 わが今日こんにち極楽ごくらくがんするがごとくす。 また十方じっぽうきてしゅじょう*いんじょうすること、 弥陀みだぶつだい本願ほんがんのごとくあらん。

↢衆生↡故示↢現八相↡、随↠縁↢於厳浄国土↡転↢妙法輪↡、度↢諸衆生↡。令コト↣諸衆生ヲシテ欣↢求↡、如クス↣我今日志↢願ルガ極楽↡。亦往↢十方↡引↢接コト衆生↡、如クアラム↢弥陀仏大悲本願↡。

^かくのごときやく、 またたのしからずや。 いっ勤修ごんしゅは、 これしゅのあひだなり。 なんぞしゅててじょうもとめざらんや。 ねがはくはもろもろのぎょうじゃ、 ゆめおこたることなかれ。 おおくは ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)、 ならびに天台てんだい ¬*じゅう¼ とうこころによる。

↠是利益不↢亦楽カラ↡乎。一世勤修是須臾ナリ。何ラム↧棄↢衆事↡求↦浄土↥哉。願クハ行者努力 ユメ ナカオコタルコト↢¬双巻経¼、并天台¬十疑¼等

^りゅうじゅ (十二礼) にいはく、

龍樹

^かのそん*りょう方便ほうべんきょうには、 *諸趣しょしゅ*あくしきとあることなし。

おうじょうしぬれば退たいせずしてだいいたる。 ゆゑにわれ、 弥陀みだぶつちょうらいしたてまつる。

^われかのそんどくくに、 衆善しゅぜんへんなること海水かいすいのごとし。

しょぎゃく善根ぜんごん清浄しょうじょうなるものをもつて、 ねがはくはしゅじょうとともにかのくにうまれん。

^ねがはくはもろもろのしゅじょうとともに、 安楽あんらくこくおうじょうせん」 と。

「彼無量方便ニハ↠有コト↢諸趣悪知識
往生スルハシテ↠退↢菩提我頂↢礼マツル弥陀仏
我説クニ↢彼功徳衆善无辺ナルコト↢海水
所獲善根清浄ナルヲモテクハ↢衆生↡生↢彼
クハ↢諸衆生往↢生ムト安楽国↡」

極楽証拠

【32】^大文だいもんだいさんに、 *極楽ごくらくしょうかさば、 あり。 いち十方じっぽうたいす。 *そつたいす。

大文第三極楽証拠↡者、有↠二。一↢十方↡。二↢兜率↡。

二 Ⅲ 対十方

【33】^はじめに十方じっぽうたいすとは、

↢十方↡者、

^はく、 十方じっぽうじょうあり。 なんぞただ極楽ごくらくにのみしょうぜんとねがふや。

ハク、十方↢浄土↡。何↠生ムト↢極楽ノミ↡耶。

^こたふ。 天台てんだいだい (*智顗) のいはく (十疑論・意)、 「もろもろのきょうろん処々しょしょにただしゅじょうすすめてひとへに弥陀みだぶつねんじ、 西方さいほう極楽ごくらくかいもとめしめたまへり。 ¬りょう寿じゅきょう¼・¬かんぎょう¼・¬*おうじょうろん¼ (天親の浄土論) とうしゅじゅう余部よぶきょうろんもんに、 *慇懃おんごん*じゅして西方さいほうしょうずることをすすめたり。 ここをもつてひとへにねんず」 と。

。天台大師、「諸経論、処々唯勧↢衆生↡偏↢阿弥陀仏↡、令タマヘリ↠求↢西方極楽世界↡。¬無量寿経¼・¬観経¼・¬往生論¼等数十余部経論、慇懃指授タリ↠生ゼムコトヲ↢西方↡。是ズト也。」

^だい (智顗)一切いっさいきょうろんえつしたまへること、 おほよそじゅうへんるべし、 べたまへるところ、 しんぜずはあるべからず。

大師披↢閲タマヘルコト一切経論↡、凡十五遍。応↠知、所↠述タマヘル不↠可↠不ハアル↠信

・ 十二経七論

^*ざい三巻さんがん ¬*じょうろん¼ に、 じゅうきょう七論しちろんけり。 いちには ¬*りょう寿じゅきょう¼、 には ¬*かんぎょう¼、 さんには ¬*しょう弥陀みだきょう¼、 には ¬*おんじょうきょう¼、 には ¬*しょうよう諸仏しょぶつどくきょう¼、 ろくには ¬*発覚ほっかくじょうしんぎょう¼、 しちには ¬*大集だいじっきょう¼、 はちには ¬*じゅうおうじょうきょう¼、 には ¬*やくきょう¼、 じゅうには ¬*般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼、 じゅういちには ¬*だい弥陀みだきょう¼、 じゅうには ¬*りょう清浄しょうじょうびょう等覚どうがくきょう¼ なり。

迦才師三巻¬浄土論¼、引↢十二経七論↡。一ニハ¬無量寿経¼、二ニハ¬観経¼、三ニハ¬小阿弥陀経¼、四ニハ¬鼓音声経¼、五ニハ¬称揚諸仏功徳経¼、六ニハ¬発覚浄心経¼、七ニハ¬大集経¼、八ニハ¬十往生経¼、九ニハ¬薬師経¼、十ニハ¬般舟三昧経¼、十一ニハ¬大阿弥陀経¼、十二ニハ¬无量清浄平等覚経¼ナリ

^じょう、 ¬双巻そうかんりょう寿じゅきょう¼・¬清浄しょうじょうがくきょう¼・¬だい弥陀みだきょう¼ は同本どうほんやくなり。

已上¬双巻无量寿経¼・¬清浄覚経¼・¬大阿弥陀経¼同本異

^いちには ¬*おうじょうろん¼、 には ¬*しんろん¼、 さんには ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃろん¼、 には一切いっさいきょうのなかの弥陀みだには ¬*宝性ほうしょうろん¼、 ろくにはりゅうじゅの ¬*じゅうらい¼ のしちには ¬*しょうだいじょうろん¼ の弥陀みだなり。 じょう*きょうこれにおなじ。

ニハ¬往生論¼、二ニハ¬起信論¼、三ニハ¬十住毘婆娑論¼、四ニハ一切経弥陀偈、五ニハ¬宝性論¼、六ニハ龍樹¬十二礼¼偈、七ニハ¬摂大乗論¼弥陀ナリ已上智憬師同↠之

^わたくしにくわへていはく、 ¬*法華ほけきょう¼ の 「*薬王やくおうぼん」、 ¬*じゅうごんぎょう¼ のげんがん、 ¬*目連もくれん所問しょもんぎょう¼・¬*三千さんぜんぶつみょうきょう¼・¬*無字むじほうきょうきょう¼・¬*千手せんじゅ陀羅尼だらにきょう¼・¬*じゅういちめんぎょう¼・¬*くうけんじゃく¼・¬*にょりん¼・¬*ずい¼・¬*そんしょう¼・¬*無垢むくじょうこう¼・¬*こうみょう¼・¬*弥陀みだ¼ とうのもろもろの*けん密教みっきょうのなかに、 もつぱら極楽ごくらくすすめたること、 しょうすべからず。 ゆゑにひとへにがんす。

、¬法華経¼「薬王品」、¬四十花厳経¼普賢願、¬目連所問経¼・¬三千仏名経¼・¬無字宝篋経¼・¬千手陀羅尼経¼・¬十一面経¼・¬不空羂索¼・¬如意輪¼・¬随求¼・¬尊勝¼・¬無垢浄光¼・¬光明¼・¬阿弥陀¼等顕密教、専タルコト↢極楽↡、不↠可↢称計↡。故願求

 ^ふ。 ぶつののたまはく、 「諸仏しょぶつじょうじつ*差別しゃべつなし」 と。 なんがゆゑぞ如来にょらいはひとへに西方さいほうさんじたまふ。

ラク、諸仏浄土シト↢差別↡。何如来タマフ↢西方↡。

^こたふ。 ¬*随願ずいがんおうじょうきょう¼ に、 ぶつ、 このうたがいけっしてのたまはく、 「しゃかいは、 ひととんじょくおおくして、 *信向しんこうのものはすくなく、 じゅうじゃのものはおおくして*しょうぼうしんぜず、 専一せんいつなることあたはざれば、 こころみだれてこころざしなし。 じつには差別しゃべつなけれども、 もろもろのしゅじょうをして専心せんしんにあることあらしむ。 このゆゑにかのこく讃嘆さんだんしたまふのみ。 もろもろのおうじょうにん、 ことごとくかのがんしたがひてずといふことなし」 と。

ラク¬随願往生経¼仏決↢此↡言、「娑婆世界人多↢貪濁↡信向、習邪クシテ不↠信↢正法レバ↠能↢専一ニスルコト心乱↠志。実ニハドモ↢差別↡、令↢諸衆生ヲシテ専心↟在コト。是讃↢嘆シタマフラク国土↡耳。諸往生人、悉↢彼↡无シト↠不トイフコト↠獲↠果」。

^また ¬しんかんぎょう¼ にのたまはく、 「もろもろの*ぶっとう、 まさにしんいたして一仏いちぶつおよびいちさつんともとむべし。 かくのごときをづけて*しゅっ法要ほうようとなす」 と。

又¬心地観経¼云、「諸仏子等応↢至シテ↠心↟見ムト↢一仏及一菩薩↡。如キヲ↠是↢出世法要↡。」

^このゆゑに、 もつぱら一仏いちぶつくにもとめしむるなり。

シムル↢一仏↡也。

 ^ふ。 そのしんをもつぱらにせんがために、 なんがゆゑぞなかにおいてただ極楽ごくらくをしもすすむる。

ハク↠専ニセムガ↢其↡、何↠中唯勧↢極楽ヲシモ耶。

^こたふ。 たとひじょうすすむとも、 またこのなんらじ。 *ぶつはかりがたし。 ただあおぎてしんずべし。 たとへば、 にんの、 きょうちてみづからづることあたはざらんに、 しきこれをすくふにいち方便ほうべんをもつてせば、 にんちからて、 いそぎてすみやかにづべし。 なんのいとまありてか、 じゅうおうじゅっけいろんぜんや。 ぎょうじゃもまたしかり。 ねんしょうずることなかれ。

ラクムトモ↢余浄土↡、亦不↠↢此↡。仏意難↠測。唯可↢仰↡。譬痴人↢火坑↡不ルガ↢自コト↡。知識救フニ↠之セム↢一方便痴人得ナバ↠力、応イソギ↡。何ニカ縦横ムヤ↢余術計↡。行者亦爾。勿↠生コト↢他念↡。

^¬目連もくれん所問しょもんぎょう¼ にのたまふがごとし。 「たとへば、 万川ばんせん長流ちょうりゅううかべる草木そうもくありて、 さきあとず、 あとさきず、 すべて大海だいかいあつまるがごとく、 けんもまたしかり。 ごうらくざいなることありといへども、 ことごとくしょうろうびょうまぬかるることをず。 ただぶっきょうしんぜざるによるに、 後世ごせひととなれども、 さらにはなはだしく*こん