題目

0131◎▼顕けん▼浄じょう土ど▼真実しんじつ▼教行証きょうぎょうしょう▼文類もんるい ▼序じょ

*▼愚ぐ禿とく▼釈しゃく▼親鸞しんらん▼述じゅつ

 (太字は 「略文類」 と重なる表現を示す。)

▼総序

一 法義を讃嘆す

・他力真宗総標(大経)

 ◎^▲*ひそかにおもんみれば、 ▼*難なん思じの弘ぐ誓ぜいは▲*難なん度ど海かいを度どする大船だいせん、 ▲無礙むげの光こう明みょうは*無む明みょうの闇あんを破はする▲*恵え日にちなり。

◎▼※窃0006カニ以ミレバ、▼難思ノ弘誓ハ度スル↢▼難度海ヲ↡大船、▼无ノ光明ハ破スル↢▼无明ノ闇ヲ↡▼恵日ナリ。▼

・教興の因縁と諸聖の大悲(観経)

^▼しかればすなはち、 ▼*浄じょう邦ほう縁えん熟じゅくして、 ▲調じょう達だつ (*提婆達多)、 闍じゃ世せ (*阿闍世) をして逆ぎゃく害がいを興こうぜしむ。 *浄じょう業ごう機き*彰あらわれて、 ▲*釈しゃ迦か、 *韋い提だいをして安あん養にょうを選えらばしめたまへり。 これすなはち▼権ごん化けの仁にん斉ひとしく苦く悩のうの群萌ぐんもうを救く済さいし、 *世せ雄おうの悲ひまさしく逆ぎゃく謗ほう闡提せんだいを恵めぐまんと欲おぼす。

▼然レバ則チ、▼浄*邦ハウクニ縁熟シテ、▼調達▼闍世ヲシテ▼興ゼシム↢ヲ↡、▼浄業機*彰シテ、▼釈迦▼韋提ヲシテ▼選バシメタマヘリ↢安養ヲ↡。斯レ乃チ、▼権化ノ仁、斉ヒトシク*救ク↢タスケ済サイシスクフ苦悩ノ▼群萌ヲ↡、▼世*雄オウノ悲、正シク欲オボス↠恵メグマムト↢▼逆謗▼闡提ヲ↡。▼

・行信の勝徳(小経)

^▼ゆゑに知しんぬ、 *円えん融にゅう至し徳とくの嘉か号ごうは悪あくを転てんじて徳とくを成なす正しょう智ち、 ▲*難信なんしん金剛こんごうの信しん楽ぎょうは疑うたがいを除のぞき証さとりを獲えしむる真しん理りなりと。

▼故ニ知ヌ、▼円*融トオル至徳ノ*嘉カ反ヨシ反スグル反号ガウハミナ反、転ジテ↠悪ヲ成ナス↠徳ヲ正智、▼難信金剛ノ信楽ハ、▼除キ↠疑ヲ▼獲エシムル↠証ヲ真理也ト。

二 有縁を勧誡す

・易修に約して勧信

 ^しかれば、 *凡ぼん小しょう修しゅし易やすき真しん教きょう、 愚ぐ鈍どん往ゆき易やすき*捷径せつけいなり。 *大だい聖しょう一代いちだいの教きょう、 この▲徳海とくかいに*しくなし。

爾レ者バ、凡小易キ↠修シ真教、愚鈍易キ↠往キ▼*捷セチトシ反径ケイナリ。スグヂナリ大聖ノ一代ノ教、無シ↠如シク↢是之徳海ニ↡。

^▼穢えを捨すて浄じょうを欣ねがひ、 行ぎょうに迷まどひ信しんに惑まどひ、 ▼心こころ昏くらく識さとり寡すくなく、 悪あく重おもく障さわり多おおきもの、 ことに▼如来にょらい (釈尊) の*発遣はっけんを仰あおぎ、 かならず最さい勝しょうの直道じきどうに帰きして、 もつぱらこの行ぎょうに奉つかへ、 ただこの信しんを崇あがめよ0132。

捨テ↠穢ヲ*忻ネガヒ↠浄ヲ、迷 ドヒ↠行ニ惑ヒ↠信ニ、心昏クラク識サトリ0007寡スクナクワ反ク、悪重ク障多キモノ、特コトニ仰ギ↢▼如来ノ発ハチ*遣ケンヲ↡、必ズ帰シテ↢▼*最モトモ勝ノスグレ直道ニ↡、専 ハラ奉ツカヘ↢斯ノ行ニ↡、唯崇アガメヨ↢斯ノ信ヲ↡。▼

・聞法の因縁

^▼ああ、 弘ぐ誓ぜいの強縁ごうえん、 *多た生しょうにも値もうあひがたく、 真実しんじつの浄じょう信しん、 *億劫おくこうにも獲えがたし。 たまたま行ぎょう信しんを獲えば、 遠とおく宿しゅく縁えんを慶よろこべ。

▼*噫アヽ、ナゲク弘誓ノ強縁多生ニモ叵ク↠値マウアヒ、真実ノ浄信億劫ニモ叵シ↠獲。▼遇タマタマ獲エバ↢行信ヲ↡遠トヲク慶ヨロコベ↢宿縁ヲ↡。

・疑慮の大過

^▼もしまたこのたび*疑ぎ網もうに覆ふ蔽へいせられば、 かへつてまた曠劫こうごうを*経歴きょうりゃくせん。 ▼誠まことなるかな、 摂取せっしゅ不ふ捨しゃの真言しんごん、 超ちょう世せ希有けうの正しょう法ぼう、 *聞もん思しして遅ち慮りょすることなかれ。

若シ也マタ、此コノ*廻タビ覆↢蔽セラレバ疑網ニ↡、更カヘテ復マタ逕キヤウ↢歴リヤクセム曠劫ヲ↡。誠マコトナル哉カナ、摂取不捨ノ▼真言、超世希有ノ正法、聞思シテ莫レ↢遅チオソク慮スルコトオモパカリ ↡。▼

三 造書の意を述ぶ

・七祖の師訓と選集の意楽

 ^▼ここに愚ぐ禿とく釈しゃくの親鸞しんらん、 ▼慶よろこばしいかな、 *西蕃せいばん・月げっ支しの聖しょう典てん、 東とう夏か (中国)・日域じちいき (日本) の師し釈しゃくに、 ▲遇あひがたくしていま遇あふことを得えたり、 聞ききがたくしてすでに聞きくことを得えたり。 ▼真しん宗しゅうの教行きょうぎょう証しょうを敬きょう信しんして、 ことに如来にょらいの恩徳おんどくの深ふかきことを知しんぬ。 ▼ここをもつて聞きくところを慶よろこび、 獲うるところを嘆たんずるなりと。

爰コヽニ▼愚禿釈ノ親鸞、慶ヨロコバシイ哉カナ、▼西セイ*蕃バンサカイ・月支ノ聖典、▼東夏カ・日域ジチヰキノ師釈ニ、難クシテ↠遇ヒ今得タリ↠遇フコトヲ、難クシテ↠聞キ已ニ得タリ↠聞クコトヲ。敬キヤウ↢信シテ▼真宗ノ教行証ヲ↡、特ニ知ヌ↢如来ノ恩徳ノ深コトヲ↡。斯ヲ以テ、慶ビ↠所ヲ↠聞ク、嘆タンホムズルナリト↠所ヲ↠獲ウル矣。*

  0133

  0008

標挙

0134▼大だい無む量りょう寿じゅ経きょう ▼*真実しんじつの教きょう ▼浄じょう土ど真しん宗しゅう

標列

▼真実しんじつの教きょうを顕あらわす一
 真実しんじつの行ぎょうを顕あらわす二
 真実しんじつの信しんを顕あらわす三
 真実しんじつの証しょうを顕あらわす四
 真しん仏ぶつ土どを顕あらわす五
 化け身しん土どを顕あらわす六

 

題号

0135▼顕けん浄じょう土ど真実しんじつ▼教きょう文類もんるい ▼一

▼愚ぐ禿とく釈しゃく親鸞しんらん▼集しゅう

一 先づ法門を開拓す【真宗大綱】

【1】 ^▼つつしんで浄じょう土ど真しん宗しゅうを案あんずるに、 ▲二に種しゅの*回え向こうあり。 一つには往相おうそう、 ▽二つには還相げんそうなり。 往相おうそうの回え向こうについて真実しんじつの▽教きょう▽行ぎょう▽信しん▽証しょうあり。

▼※謹0009デ*按ズルニ↢▼浄土▼真宗ヲ↡有リ↢▼二種ノ廻向↡。一ニ者往相、二ニ者還相ナリ。就イテ↢往相ノ廻向ニ↡有リ↢真実ノ教行信証↡。

二 正しく真実教を明かす
  Ⅰ 教体を指定す【指定教体】

【2】 ^△それ真実しんじつの教きょうを顕あらわさば、 すなはち ¬*大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ これなり。

▼※夫レ顕サ↢真実ノ教ヲ↡者バ、則チ¬大无量寿経¼是也。▼

二 Ⅱ 大意を顕示す【大経大意】
    ⅰ 正しく大意を明かす

^▼この経きょうの大たい意いは、 ▲弥陀みだ、 誓ちかいを超ちょう発ほつして、 ▲広ひろく法蔵ほうぞうを開ひらきて、 凡ぼん小しょうを哀あわれんで選えらんで功く徳どくの宝ほうを施せすることを致いたす。 ▲釈しゃ迦か、 世よに出しゅっ興こうして、 道どう教きょうを光闡こうせんして、 群萌ぐんもうを拯すくひ恵めぐむに真実しんじつの利りをもつてせんと欲おぼすなり。

▼斯ノ経ノ大タイ意イ者ハ、▼弥陀超↢発シテ於ヲ↟誓、▼広ク開キテ↢法蔵ヲ↡、致ス↧哀ンデ↢凡小ヲ↡選ンデ施スルコトヲ↦功徳之宝ホウヲ↥。▼釈迦出↢興シテ於ニ↟世、光↢ヒロシ闡センシテヒラク 道教ヲ↡、*欲オボスナリ↧*拯スクヒ↢群グン萌マウヲ↡恵メグムニ以テセムト↦真実之利ヲ↥。▼

二 Ⅱ ⅱ 宗体を結示す

^▲ここをもつて如来にょらいの本願ほんがんを説ときて経きょうの▼宗しゅう致ちとす、 ▲すなはち仏ぶつの名みょう号ごうをもつて経きょうの体たいとするなり。

▼是ヲ以テ説キテ↢如来ノ本願ヲ↡為ス↢経ノ宗*致チトムネト↡、即チ以0010テ↢仏ノ名号ヲ↡為スル↢経ノ体ト↡也。▼

二 Ⅲ 真実を証誠す【出世本懐】
   
ⅰ 徴起

 ^なにをもつてか*出しゅっ世せの大だい事じなりと知しることを得うるとならば、

▼何ヲ以テカ得ルトナラバ↠知ルコトヲ↢出世ノ大事ナリト↡、

二 Ⅲ ⅱ 出文
      a 経文
        イ ¬大経¼

【3】 ^¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上) にのたまはく、

▼※¬大无量寿経ニ¼言ノタマハク、

1.阿難請問 ・ 未曽瞻覩

^「▲ª今日こんにち世せ尊そん、 諸根しょこん悦えつ予よし姿し色しき清浄しょうじょうにして、 光顔こうげん巍々ぎぎとましますこと、 あきらかなる鏡かがみの浄きよき影かげ、 表ひょう裏りに暢とおるがごと0136し。 威い容よう顕曜けんようにして超ちょう絶ぜつしたまへること無む量りょうなり。 いまだかつて瞻せん覩とせず、 殊しゅ妙みょうなること今きょうのごとくましますをば。

「▼今日世尊、▼諸根*悦エチヨロコビ*予ヨシヨロコブ、*姿スガタ色清浄ニシテ、光*顔カオバセ *巍スガタ巍トマシマスコト、▼如シ↣明ナル鏡カヾミノ浄キ影カゲ、暢トオルガ↢*表ヘウオモテ*裏リウラニ↡。威ヰ*容ヨウスガタ カオバセ顕ケン*曜エウカヾヤクニシテ超*絶タエタリシタマヘルコト无量ナリ。未ズ ダ↢曽テ*瞻セム覩トセ↡ミタテマツラ、*殊シユ反スグレ妙ナルコト如クマシマスヲバ↠今ケフノ。

1.阿難請問 ・ 五徳瑞現

^◆やや、 しかなり。 大だい聖しょう、 わが心こころに念言ねんごんすらく、 ^▽今日こんにち世せ尊そん、 奇き特どくの法ほうに住じゅうしたまへり。 ^▽今日こんにち世せ雄おう、 仏ぶつの所しょ住じゅうに住じゅうしたまへり。 ^▽今日こんにち世せ眼げん、 導どう師しの行ぎょうに住じゅうしたまへり。 ^▽今日こんにち世せ英よう、 最さい勝しょうの道どうに住じゅうしたまへり。 ^▽今日こんにち天尊てんそん、 如来にょらいの徳とくを行ぎょうじたまへり。

▼唯ヤヽ然ナリ。大聖、我ガ*心ニ念言スラク、▼今日 ケフ 世尊、住シタマヘリ↢奇特ノ法ニ↡。今日 ケフ *世雄、住シタマヘリ↢仏ノ所住ニ↡。今日 ケフ 世眼、住シタマヘリ↢*導師ノ行ニ↡。今日 ケフ 世英、住シタマヘリ↢最勝ノ道ニ↡。今日 ケフ 天尊、行ジタマヘリ↢如来ノ徳ヲ↡。

1.阿難請問 ・ 仏仏相念

^◆去こ来らい現げんの仏ぶつ、 仏ぶつと仏ぶつとあひ念ねんじたまへり。 いまの仏ぶつも諸仏しょぶつを念ねんじたまふことなきことを得えんや。 ◆なんがゆゑぞ威い神じんの光ひかり、 光ひかりいまししかるº と。

▼去来現ノ仏、仏ト仏ト相ヒ念ジタマヘリ。得ム↠无キコトヲ↣今イマノ仏モ念ジタマフコト↢諸仏ヲ↡邪ヤ。▼何ガ故ゾ威神ノ光ヒカリ、光 リ乃イマシ爾シカルト。

2.如来審問

^◆ここに世せ尊そん、 *阿あ難なんに告つげてのたまはく、 ª諸天しょてんのなんぢを教おしへて来きたして仏ぶつに問とはしむるや、 みづから慧え見けんをもつて威い顔げんを問とへるやº と。

▼於ニ↠是コヽ世尊告ゲテ↢阿難ニ↡曰ノタマハク、諸天ノ教ヘテ↠汝ヲ来シテ問ハシムル↠仏ニ邪ヤ、自ミヅカラ以テ↢慧見ヲ↡問ヘル↢威顔カオバセヲ↡乎ヤト。

3.阿難実答

^◆阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 ª諸天しょてんの来きたりてわれを教おしふるものあることなけん。 みづから所見しょけんをもつてこの義ぎを問とひたてまつるならくのみº と。

阿難白サク↠仏0011ニ、無ケム↠有ルコト↢諸天ノ来リテ教フル↠我ヲ者↡。自ミヅカラ以テ↢所見ヲ↡問トヒタテマツル↢斯ノ義ヲ↡耳ナラクノミト。

4.如来正答 ・ 先歎所問

 ^◆仏ぶつののたまはく、 ª善よいかな阿あ難なん、 問とへるところはなはだ快こころよし。 ◆深ふかき智慧ちえ、 真しん妙みょうの弁才べんざいを発おこして、 衆しゅ生じょう*を愍念みんねんせんとして、 この慧義えぎを問とへり。

▼仏ノ言ハク、▼善イ哉阿難、所↠問ヘル甚ダ快コヽロヨシ。▼発シテ↢深キ智慧、真妙ノ*弁才ヲ↡、▼愍↢念セムトシテ衆生ヲ↡、問ヘリ↢斯ノ慧義ヲ↡。

4.如来正答 ・ 正顕本懐 ・ 正明

^◆如来にょらい無む蓋がいの大だい悲ひをもつて三界さんがいを矜哀こうあいしたまふ。 世よに出しゅっ興こうするゆゑは、 道どう教きょうを光闡こうせんして、 群萌ぐんもうを拯すくひ恵めぐむに真実しんじつの利りをもつてせんと欲おぼしてなり。

▼如来以テ↢▼无*蓋ガイノオホフ反ケダシ反大悲ヲ↡▼*矜↢哀アイシタマフ三界ヲ↡。所↣以 ユヘ ハ出↢興スル於ニ↟世、▼光↢闡シテ道教ヲ↡、欲オボシテナリ↧拯スクヒ↢群萌ヲ↡恵メグムニ以テセムト↦▼真実之利ヲ↥。

4.如来正答 ・ 正顕本懐 ・ 示難

^◆無む量りょう億おく劫こうに値もうあひがたく見みたてまつりがたきこと、 なほし霊瑞れいずい華けの時ときありて時ときにいまし出いづるがごとし0137。

▼无量億劫ニ難ク↠値マウアヒ難キコト↠見タテマツリ、猶シシ↢霊瑞華ノ▼時 キアリテ時ニ乃シ出ヅルガ↡。

4.如来正答 ・ 正顕本懐 ・ 問益

^◆いま問とへるところは饒にょう益やくするところ多おおし、 一切いっさいの諸天しょてん・人民にんみんを開かい化けす。

▼今 マ所↠問ヘル者ハ多オホシ↠所↢饒益スル↡、開↢化ス一切ノ諸天・人民ヲ↡。

4.如来正答 ・ 述成所問

^▽阿あ難なんまさに知しるべし、 如来にょらいの正しょう覚がくは、 その智ち量はかりがたくして、 導どう御ごしたまふところ多おおし。 ▽慧え見けん無礙むげにして▽よく遏絶あつぜつすることなしº」 と。 以上

▼阿難当ニシ↠知ル、▼如来ノ正覚ハ、▼其ノ智難クシテ↠量リ、▼多シ↠所 ロ↢導御ゴシタマフ↡。▼慧見无ニシテ▼无シト↢能ク遏アチトヾム絶スルコト↡。」 已上

二 Ⅲ ⅱ a ロ ¬如来会¼

【4】 ^¬*無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にのたまはく、

▼※¬无量寿如来会ニ¼言ク、

^「▲阿あ難なん、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 われ如来にょらいの光瑞こうずい希有けうなるを見みたてまつるがゆゑにこの念ねんを発おこせり。 天てん等とうによるにあらずº と。

「▼阿難白シテ↠仏ニ言サク、世尊、我見タテマツルガ↢如来ノ光瑞希有ナルヲ↡故ニ発セリ↢斯ノ念ヲ↡。非ズト↠*因ヨルニ↢天等ニ↡。

^◆仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª善よいかな善よいかな、 なんぢいま快こころよく問とへり。 よく微み妙みょうの弁才べんざいを観察かんざつして、 よく如来にょらいに如にょ是ぜの義ぎを問とひたてまつれり。

▼仏告タマハク↢阿難ニ↡、善イ哉カナ善イ哉0012、汝今快 ヨク問ヘリ。善能ク*観↢察シテミソナハシクカヾミテ微妙ノ*弁才ヲワキマヘシル↡、能ク問ヒタテマツレリ↢如来ニ如是之義ヲ↡。

^◆なんぢ一切いっさい*如来にょらい・応おう・正しょう等覚とうがくおよび大だい悲ひに安あん住じゅうして群ぐん生じょうを利り益やくせんがために、 優う曇どん華げの希有けうなるがごとくして*大だい士じ世せ間けんに出しゅつ現げんしたまへり。 ゆゑにこの義ぎを問とひたてまつる。

▼汝為タメニ↧一切如来・応・正等覚及ビ安↢住シテ大悲ニ↡利↦益セムガ群ムラガル生ヲ↥、如クシテ↢優曇華ノ希有ナルガ↡大士出↢現シタマヘリ世間ニ↡。故ニ問ヒタテマツル↢斯ノ義ヲ↡。

^◆またもろもろの有う情じょうを哀愍あいみんし利り楽らくせんがためのゆゑに、 よく如来にょらいに如にょ是ぜの義ぎを問とひたてまつれりº」 と。 以上

▼又為 メノ↤哀↢愍シ利↣楽セムガ諸ノ*有情ヲ↡故ニ、能ク問ヒタテマツレリト↢如来ニ如是之義ヲ↡。」 已上

二 Ⅲ ⅱ a ハ ¬平等覚経¼

【5】 ^¬*平びょう等どう覚がく経きょう¼ (一) にのたまはく、

▼¬平等覚経ニ¼言ク、

^「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª世せ間けんに*優う曇どん鉢ば樹じゅあり、 ただ実みありて華はなあることなし。 天てん下げに仏ぶつまします、 いまし華はなの出いづるがごとくならくのみ。 世せ間けんに仏ぶつましませども、 はなはだ値もうあふことを得うること難かたし。 いまわれ仏ぶつになりて天てん下げに出いでたり。

「仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、如シ↧世間ニ有リ↢優曇鉢樹↡、但有リテ↠実无シ↠有ルコト↠華、天下ニ有マシマス↠仏、乃シ華ノ出ヅルガ↥耳ナラクノミ。世間ニ有マシマセドモ↠仏、甚ダ難シ↠得ルコト↠値マ フコトヲ。今我作リテ↠仏ニ出デタリ↠於ニ↢天下↡。

^◆*なんぢ大徳だいとくありて、 聡そう明みょう善心ぜんしんに0138して、 あらかじめ仏ぶつ意いを知しる。 なんぢ忘わすれずして仏辺ぶっぺんにありて仏ぶつに侍つかへたてまつるなり。 なんぢいま問とへるところ、 よく聴きき、 あきらかに聴きけº」 と。 以上

若シ有リテ↢大徳↡、*聡明善心ニシテ、縁テ↠知ニ↢仏意ヲ↡、若シ不ズハ↠*妄レ在リテ↢仏辺ニ↡*侍 カヘタマフ↠仏ニ也。若シ今所↠問ヘル、普ク聴キキ、諦ニ聴ケト。」 已上

二 Ⅲ ⅱ b 師釈
        イ 憬興¬述文賛¼

【6】 ^*憬きょう興ごう師しのいはく (*述文賛)、

▼憬興師ノ云ク、

^「△ª今日こんにち世せ尊そん住じゅう奇き特どく法ほうº といふは、 *神通じんずう輪りんによりて現げんじたまふところの相そうなり。 ただつねに異ことなるのみにあらず。 また等ひとしきものなきがゆゑに。

「今日世尊住▼奇特法トイフハ、 依リテ↢神通輪ニ↡所↠現ジタマフ之相ナリ。非ズ↢唯異ナルノミニ↟常ニ。亦无キガ↢等シキ者ト↡故ニ。

^△ª今日こんにち世せ雄おう住じゅう仏ぶつ所しょ住じゅうº といふは、 *普ふ等とう三昧ざんまいに住じゅうして、 *よく衆しゅ魔ま雄健おうごん天てんを制せいするがゆゑに。

今日世雄住▼仏所住トイフハ、 住シテ↢普等三昧ニ↡、能ク制スルガ↢衆魔雄健天ヲ↡故ニ。

^△ª今日こんにち世せ眼げん住じゅう導どう師し行ぎょうº といふは、 五ご眼げんを導どう師しの行ぎょうと名なづく。 衆しゅ生じょうを引導いんどうするに過か上じょうなきがゆゑに。

今日世眼住▼導師行トイフハ、 五眼ヲ名ク↢導師ノ行ト↡。引↢導スルニ衆生ヲ↡无キガ↢過上↡故ニ。

^△ª今日こんにち世せ英よう住じゅう最さい勝しょう道どうº といふは、 仏ぶつ、 四智しちに住じゅうしたまふ。 独ひとり秀ひいでたまへること、 匹ひとしきことなきがゆゑに。

今日世*英住▼最勝道トイフハ、 仏住シタマフ↢四智ニ↡。独リ秀ヒデタマヘルコト无キガ↠匹ヒトシキコト故ニ。

^△ª今日こんにち天尊てんそん行ぎょう如来にょらい徳とくº といふは、 すなはち*第だい一いち義ぎ天てんなり。 *仏ぶっ性しょう不ふ空くうの義ぎをもつてのゆゑに。

今日天尊行▼如来徳トイフハ、 即チ第一義天ナリ。以ノ↢仏性不空ノ義ヲ↡故ニ。

^△ª阿あ難なん当とう知ち如来にょらい正しょう覚がくº といふは、 すなはち奇き特どくの法ほうなり。

▼阿難当知如来正覚トイフハ、 即チ奇キ特ドク之法ナリ。

^△ª慧え見けん無礙むげº といふは、 最さい勝しょうの道どうを述じゅつするなり。

慧見无トイフハ、 *述ジユツスルナリ↢最勝之道ヲ↡。

^△ª無む能のう遏絶あつぜつº といふは、 すなはち如来にょらいの徳とくなり」 と。 以上

无能*遏タヘ*絶タフルトイフハ、 即チ如来之ノ徳ナリ。」 已上

二 Ⅲ ⅲ 結示

【7】 ^しかればすなはち、 これ真実しんじつの教きょうを顕あらわす明証みょうしょうなり。

▼爾0013レ者則チ*此ノ※顕真実教ノ明証也。

二 Ⅳ 結嘆【六句歎釈】

^▼まことにこれ、 ▲如来にょらい興こう世せの正しょう説せつ、 ▲奇き特どく最さい勝しょうの妙みょう典でん、 ▲*一いち乗じょう究く竟きょうの極説ごくせつ、 ▲速疾そくしつ円えん融にゅうの金言きんげん、 ▲十方じっぽう称しょう讃さんの誠じょう言ごん、 ▲時機じき純熟じゅんじゅくの真しん教きょうなりと、 知しるべしと。

誠ニ是レ▼如来興世之正説、▼奇特最*勝之妙典、▼一乗究竟之極説、▼速疾円融之金言、▼十方称讃之誠言、▼時機純熟之真教也、応ベシト↠知ル。

顕けん0139浄じょう土ど真実しんじつ教きょう文類もんるい 一

 

延書の底本は本派本願寺蔵善如上人書写本。
愚禿釈親鸞述 現行本にない。 六要鈔の註に対応するため仮に入れた。
ひそかにおもんみれば 仏意に対して、 へりくだる意をあらわす。
彰れて Ⓐ「彰して」
浄邦縁熟して 釈尊が浄土の教えを説き明かす機縁が熟して。
浄業機彰れて 浄土往生の行業 (念仏) を修するにふさわしい機類があらわれて。
大聖一代の教 釈尊が一生の間に説いた教法。
しくなし 及ぶものはない。
多生にも値ひがたく いくたび生を重ねても容易にあえるものではなく。
疑網に覆蔽せられば 疑いの網におおわれたなら。
経歴 ここでは流る転てんをくり返すこと。
聞思して… 本願のいわれを聞きひらき、 疑いためらってはならない。
西蕃月支 月支 (月氏) は中央アジアの民族名であるが、 ここでは西蕃も月支もともにインドを指す。
真実の教 →補註8
回向 →補註12
出世の大事 →出しゅっ世せ本懐ほんがい
諸根悦予 諸根は眼・耳・鼻・舌・身の五根 (五種の感覚器官)、 悦予はよろこぶこと。 全身によろこびがあふれている相をあらわした言葉。
大士 一般には菩薩のこと。 ここでは釈尊を指す。
優曇鉢樹 優う曇どん華げのこと。
なんぢ…聴け 底本には 「もし大徳ありて、 聡明善心にして、 仏意を知るによって、 もし忘れずは、 仏辺にありて仏に侍へたまふなり。 もしいま問へるところ、 あまねく聴き、 あきらかに聴け」 とある。
神通輪 三輪さんりんの一。
よく衆魔雄健天を制するがゆゑに 雄健天を天魔 (第六天の魔王) と解するものか。 通常は 「よく衆魔を制す。 雄健天 (世雄。 仏のこと) なるがゆゑに」 と読む。
仏性不空 仏ぶっ性しょうは無量の徳用をもち常住じょうじゅうであることをいう。
一乗究竟の極説 一切衆しゅ生じょうをことごとく仏のさとりに至らせる一乗教の究極を説きあらわした最高の教え。
底本は◎真宗大谷派蔵親鸞聖人真筆本。 Ⓐ本派本願寺蔵鎌倉時代写本、 Ⓑ高田派専修寺蔵真仏上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵存如上人授与本、 Ⓓ本派本願寺蔵版本 と対校。
総序は底本を欠く。 Ⓐによる。
邦 左◎クニⒷクニ反
彰 左◎シヤウ反Ⓑ―
救済 左◎タスクスクフⒷタスク反スクフ反
雄 左◎オウⒷ―
融 左◎トオルⒷトオル反
嘉 左◎ヨシ反スグル反Ⓑヨシ反
捷 左◎トシ反Ⓑトシ
忻 左Ⓑゴン反
遣 左Ⓑツカハス反
最勝 左◎モトモスグレⒷモトモ反―
噫 左Ⓑナゲク反
廻→Ⓑ回
蕃 左◎サカイ
Ⓐイヒオハルコトバナリ Ⓑイヒオハルコヽロナリ
この段は底本を欠く。 Ⓐによる。
按→Ⓑ案
欲 Ⓐ「オモテナリイ本」と左傍註記 右Ⓑオモテナリ 左Ⓑオボシテナリ
拯 左Ⓑジヨウ反
致 左◎ムネトⒷムネト反
悦 左◎ヨロコビ
予 左◎ヨロコブⒷヨロコブ反
姿 左◎スガタⒷスガタ反
顔 左◎カオバセⒷカオバセ反
巍 左◎スガタⒷスガタト反
表 左◎オモテⒷオモテ反
裏 Ⓑ「裏」と上欄註記 左◎ウラⒷウラト反
容 左◎スガタ カオバセⒷスガタ反 カオバセ反
曜 左◎カヾヤクⒷカヾヤク反
絶 左◎タエタリ
瞻覩 左◎ミタテマツラⒷミタテマツル
殊 左◎スグレⒷスグレル反
心 左◎シクⒷ―
世雄 左◎ヨニスグレタリトⒷ―
導 Ⓐ「道アル本ニコノ字」と下欄註記
弁→Ⓒ辨
蓋 左◎オホフ反ケダシ反Ⓑオヽフ反
矜哀 左Ⓑオホキニ アハレム
因 左◎ヨルⒷ―
観察 左◎ミソナハシクカヾミテⒷミソナハシ反 カヾミテ反
弁 左◎ワキマヘシルⒷ― →Ⓒ辨
有情→Ⓑ衆生
聡 左ⒶトクⒷトク反
妄 左Ⓑワスレ
侍 左Ⓐヘタテマツラムト
英 左◎スグルⒷ―
述 左ⒶⒷノブ反
遏 左◎タヘⒷ―
絶 左◎タフルⒶタフル ゼチ反Ⓑ―
此 ◎「是」を「此」と上書訂記 →Ⓑ是
顕真実教ノ→Ⓑ顕ス↢真実ノ教ヲ↡
勝 ◎右傍補記