0625◎浄じょう0577土ど三さん経ぎょう往おう生じょう文類もんるい

 

一 大経往生
  Ⅰ 略明義
    ⅰ 標

【1】 ◎^▲大だい経きょう往おう生じょうといふは、

一 Ⅰ ⅱ 弁
      a 明往生体
        イ 総

^如来にょらい選せん択じゃくの本願ほんがん、 *不可ふか思議しぎの願海がんかい、 これを他た力りきと申もうすなり。

一 Ⅰ ⅱ a ロ 別

^これすなはち*念仏ねんぶつ往おう生じょうの願因がんいんにタネトイフよりて、 *必ひっ至し滅めつ度どの願がん果かをうるなり。

一 Ⅰ ⅱ b 明往生相
        イ 約即往生

^現げん生しょうにコノヨヲイフ 正定しょうじょう聚じゅの位くらいに住じゅうして、 かならず真実しんじつ報ほう土どにいたる。

一 Ⅰ ⅱ b ロ 約証大涅槃

^これは阿あ弥陀みだ如来にょらいの↓往相おうそう回え向こうの真因しんいんマコトノなるインナリがゆゑに、 無む上じょう涅ね槃はんのさとりをひらく。

一 Ⅰ ⅲ 結

^▲これを ¬大だい経きょう¼ の宗しゅう致ちムネトストとナリす。 このゆゑに大だい経きょう往おう生じょうと申もうす、 また難なん思じ議ぎ往おう生じょうと申もうすなり。

一 Ⅱ 広引文
    ⅰ 正約往相回向
      a 正引
        イ 経文
          (一)列引
            (Ⅰ)顕真実行文
              (ⅰ)標挙

【05782】 ^▲この如来にょらいの↑往相おうそう回え向こうにつきて、 真実しんじつの行ぎょう業ごうあり。 ▲すなはち諸仏しょぶつ称名しょうみょうの悲ひ願がん (第十七願) にあらはれたり。

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅰ)(ⅱ)引文
                (a)称名悲願文

^◆称名しょうみょうの悲ひ願がんは ¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 十方じっぽう世せ界かいの無む量りょうの諸仏しょぶつ、 ことごとく咨し嗟しゃし、 わが名なを称しょうせずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 文

「◆設たとひ我われ得えむに↠仏を、十方世せ界かいの無む量りやうの諸仏しよぶち、不ず↣悉ことごとく咨し嗟しやヨロヅノホトケニホメラルヽナリし、称しようせ↢我わが名なを↡者は、不じと↠取とら↢正しやう覚がくを↡。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅰ)(ⅱ)(b)行信成就文

 ^*称名しょうみょう・信しん楽ぎょうの悲ひ 本 願がん (第十七・十八願) 成じょう就じゅの文もん、 ¬経きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

^「▲十方じっぽう恒沙ごうじゃの諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともに無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん功く徳どく不可ふか思議しぎなるを0626讃嘆さんだんしたまふ。 ^◆あらゆる衆しゅ生じょう、 その名みょう号ごうを聞ききて信心しんじん歓かん喜ぎして、 乃ない至し一念いちねんせん。 至し心しん回え向こうしたまへり。 かの国くにに生うまれんと願がんずれば、 すなはち往おう生じょうを得え、 不ふ退転たいてんに住じゅうせん。 ただ五ご逆ぎゃくと正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうするを除のぞく」 と。 文

「十方恒沙ごうじやの諸仏しよぶち如来によらい、皆みな共ともに讃さん↢嘆だんしたまふ无む量りやう寿じゆ仏ぶちの威ゐ神じん功く徳どく不可ふか思議しぎなるを↡。諸有あらゆる衆しゆ生じやう、聞ききて↢其その名号を↡信心歓くわん喜ぎして、乃ない至し一念ねむせむ。至し心しむ廻ゑ向かうしたまへり。願ぐわんずれば↠生むまれむと↢彼かの国くにに↡、即すなわち得え↢往生を↡、住ぢゆせむ↢不ふ退転たいてんに↡。唯たゞ除のぞくと↣五ご逆ぐゐやくと誹ひ↢ソシリ謗はうすソシルるを正しやう法ぼふを↡。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅱ)顕真実信文
              (ⅰ)標挙

【3】 ^▲また真実しんじつ信心しんじんあり。 ▲すなはち念仏ねんぶつ往おう生じょうの悲ひ願がん (第十八願) にあらはれたり。

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引文
                (a)大経

^ ◆至心信しん楽ぎょうの悲ひ 本 願がんはの文 ¬大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 至し心しん信しん楽ぎょうして、 わが国くにに生うまれんと欲おもうて、 乃ない至し十じゅう念ねんせん。 もし生うまれずは、 正しょう覚がくを取とらじと。 ただ五ご逆ぎゃくと正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうせんを除のぞかん」 と。 文

「◆設たとひ我われ得0579たらむに↠仏を、十方の衆しゆ生じやう、至し心しむ信楽しんげうして欲おもふて↠生むまれむと↢我わが国くにに↡、乃ない至し十念ねむせむ。若もし不ず↠生むまれ者は、不じと↠取とら↢正しやう覚がくを↡。唯たゞ除のぞかむと↣五ご逆ぐゐやくと誹ひ↢謗はうせむを正しやう法ぼふを↡。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)寿会

 ^同本どうほん異い訳やく 至心信楽本願文、の ¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にのたまはく、

^「▲もしわれ無む上じょう覚かくを証しょう得とくせんとき、 余よの仏ぶっ刹せつのうちのもろもろの有う情じょう類るい、 わが名なを聞ききをはりて、 所しょ有うの善根ぜんごん、 心々しんしん回え向こうして、 わが国くにに生うまれんと願がんじて、 乃ない至し十じゅう念ねんせん。 もし生うまれずは、 菩ぼ提だいを取とらじと。 ただ無む間けん悪業あくごうを造つくり、 正しょう法ぼうおよびもろもろの聖しょう人にんを誹ひ謗ほうせんを除のぞかん」 と。 文

「若もし我われ証しよう↢得とくせむ无上覚かくを↡時とき、余よの仏刹ぶちせちの中うちクニトイフの諸もろもろの有う情じやう類るい、聞きき↢我わが名なを↡已おはりて、所しよ有うの善根ぜんごん、心心しむしむ廻ゑ向かうして、願ぐわんじて↠生むまれむと↢我わが国くにに↡、乃至十念ねむせむ。若もし不ず↠生むまれ者は、不じと↠取とら↢菩ぼ提だいを↡。唯たゞ除のぞかむと↧造つくり↢无む間けん悪業あくごふを↡、誹ひ↦謗はうせむを正しやう法ぼふ及および諸もろもろの聖しやう人にんを↥。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅲ)顕真実証文
              (ⅰ)標挙

【4】 ^▲また真実しんじつ証しょう果かあマコトノサトリり。 ヲイフナリ▲すなはち必ひっ至し滅めつ度どの悲ひ願がん (第十一願) にあらはれたり。

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅲ)(ⅱ)引文
                (a)因願
                  (イ)大経

^◆証しょう果かの悲ひ必至滅度願文願がん、 ¬大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国くにのうちの人天にんでん、 定じょう聚じゅに住じゅうし、 かならず滅めつ度どに至いたらずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 文0627

「◆設たとひ我われ得たらむに↠仏を、国の中うちの人天にんでん、不ず↧住ぢゆし↢定じやう聚じゆに↡、必かならず至いたら↦滅めち度どに↥者は、不じと↠取と0580ら↢正覚を↡。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅲ)(ⅱ)(a)(ロ)寿会

 ^▼同本どうほん異い訳やく 必至滅度願文、 の ¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にのたまはく、

^「▲もしわれ成じょう仏ぶつせんに、 国くにのうちの有う情じょう、 もし決けつ定じょうして*等とう正しょう覚がくを成なり大だい涅ね槃はんを証しょうせずは、 菩ぼ提だいを取とらじ」 と。 文

「◆若もし我われ成じやう仏せむに、国くにの中うちの有う情じやう、若もし不ず↧決定くゑちぢやうして成なり↢等とう正しやう覚がくを↡証しようせ↦大涅槃ねちはんを↥者は、不じと↠取とら↢菩ぼ提だいを↡。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅲ)(ⅱ)(b)成就
                  (イ)寿会本願成就

 ^    本願成就文、¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (下) にのたまはく、

^「▲他た方ほう仏国ぶっこくの諸しょ有うの衆しゅ生じょう、 無む量りょう寿じゅ如来にょらいの名みょう号ごうを聞ききてよく一念いちねんの浄じょう信しんを発おこして*歓かん喜ぎ愛あい楽ぎょうせん。 あらゆる善根ぜんごん回え向こうして無む量りょう寿じゅ国こくに生うまれんと願がんぜば、 願がんに随したごうてみな生うまれて、 不ふ退転たいてん乃ない至し無む上じょう正しょう等とう菩ぼ提だいを得えんと。 五ご無む間けんと正しょう法ぼうを誹ひ謗ほうし、 および聖しょう者じゃを謗ほうぜんをば除のぞかん」 と。

「他た方はう仏国ぶちこくの諸しよ有うの衆しゆ生じやう、聞ききて↢无む量りやう寿じゆ如来によらいの名号を↡能よく発おこして↢一念の浄じやう信しんを↡歓くわん喜ぎ愛楽あいげうせむ。所ゆる↠有あら善根ぜんごん廻ゑ向かうして願ぐわんぜ↠生むまれむと↢无む量りやう寿じゆ国こくに↡者ば、随したがふて↠願ぐわんに皆みな生むまれて、得えむと↢不ふ退転たいてん乃ない至し无上正しやう等とう菩ぼ提だいを↡。除のぞかむと↧五ご无む間けんと誹ひ↢謗はうし正しやう法ぼふを↡、及および謗はうぜむをば↦聖しやう者じやを↥。」

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅲ)(ⅱ)(b)(ロ)大経証願成就

 0581^必ひっ至し滅めつ度ど・証しょう大だい涅ね槃はんの願がん (第十一願) 成じょう就じゅの文もん、 ¬大だい経きょう¼ (下) にのたまはく、

^「▲それ衆しゅ生じょうあつて、 かの国くにに生うまれんもの、 みなことごとく正定しょうじょうの聚じゅに住じゅうせん。 ゆゑはいかんとなれば、 かの仏国ぶっこくのうちにはもろもろの邪聚じゃじゅおよび不ふ定じょう聚じゅはなければなり」。 文

「其それ有あて↢衆しゆ生じやう↡、生むまれむ↢彼かの国くにに↡者もの、皆みな悉ことごとく住ぢゆせむ↠於に↢正定しやうぢやう之の聚じゆ↡。所以ゆへ者は何いかんとなれば、彼かの仏国ぶちこくの中うちには无なければなり↢諸もろもろの邪聚じやじゆジリキノ及およびモロモロノゼンニンナリ不ふ定ぢやう聚じゆはジリキノネムブチシヤナリ↡。」 文

一 Ⅱ ⅰ a イ (一)(Ⅲ)(ⅱ)(b)(ハ)寿会証願成就

 ^ また  必至滅度願成就文、¬如来にょらい会え¼ (下) にのたまはく、

^「▲かの国くにの衆しゅ生じょうと、 もしまさに生うまれんものは、 みなことごとく無む上じょう菩ぼ提だいを究く竟きょうし、 涅ね槃はんの処ところに到いたらん。 なにをもつての0628ゆゑに。 もし邪じゃ定じょう聚じゅおよび不ふ定じょう聚じゅは、 かの因いんを建こん立りゅうせることを了りょう知ちすることあたはざるがゆゑなり」 と。 以上抄要

「彼かの国くにの衆しゆ生じやうと、若もし当たうマサに生むまれむ者ものは、皆みな悉ことごとく究く↢竟きやうし无上菩ぼ提だいを↡、到いたらむ↢涅槃ねちはんの処ところに↡。何なにを以もての故ゆへに。若もし邪じや定ぢやう聚じゆ及および不ふ定ぢやう聚じゆは、不ざるが↠能あたは↤了れう↢知ちすること建こん↢立りふせることを彼かの因いんを↡故ゆへなりと。」 已上抄要

一 Ⅱ ⅰ a イ (二)釈成
            (Ⅰ)直就大経釈

【5】 ^▼この真実しんじつの称名しょうみょうと真実しんじつの信しん楽ぎょうをえたる人ひとは、 すなはち正定しょうじょう聚じゅの位くらいに住じゅうせしめんと誓ちかひたまへるなり。

一 Ⅱ ⅰ a イ (二)(Ⅱ)転就寿会釈
              (ⅰ)正釈

^▲この正定しょうじょう聚じゅに住じゅうするを、 等とう正しょうを成なるとものたまへるなり。 等とう正しょう覚がくと申もうすは、 ▲す0582なはち補ふ処しょの弥み勒ろく菩ぼ薩さつとおなじ位くらいとなると説ときたまへり。

一 Ⅱ ⅰ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^▼しかれば、 ¬大だい経きょう¼ (下) には 「▲次し如にょ弥み勒ろく」ツイデミロクノゴトシ とトナリのたまへり。

一 Ⅱ ⅰ a ロ 論文
          (一)妙声眷属功徳

 ^¬浄じょう土ど論ろん¼ (論註・下) にいはく、

^「▲ª荘しょう厳ごん妙声みょうしょう功く徳どく成じょう就じゅは、 偈げに «梵ぼん声しょう悟ご深遠じんのん 微み妙みょう聞もん十方じっぽう» とのたまへるがゆゑにº と。

「荘しやう厳ごむ妙めう声しやう功く徳どく成じやう就じゆ者は、偈げに言のたまへるが↢梵ぼむ声しやう悟ご深遠じむおん微み妙めう聞もん十方と↡故ゆへにと。

^◆これいかんぞ不ふ思議しぎなるや。 ¬経きょう¼ にのたまはく、 ªもし人ひと、 ただかの国こく土どの清浄しょうじょう安楽あんらくなるを聞ききて、 剋念こくねんして生うまれんと願がんずると、 また往おう生じょうを得うると、 すなはち正定しょうじょう聚じゅに入いるº。 ◆これはこれ、 国こく土どの名みょう字じ、 仏ぶつ事じをなす。 いづくんぞ思議しぎすべきや。 乃至

此これ云何いかんぞ不思議ふしぎなるや。経きやうに言のたまはく、若もし人ひと但たゞ聞きゝて↢彼かの国こく土どの清浄しやうじやう安楽あんらくなるを↡、剋念こくねむして願ぐわんずると↠生むまれむと、亦また得うると↢往生を↡、即すなわち入いる↢正定しやうぢやう聚じゆに↡。此これは是これ国こく土どの名みやう字じ為なす↢仏ぶち事じを↡。安いづくんぞ可べきや↢思議しぎす↡。 乃至

^▲ª荘しょう厳ごん眷属けんぞく功く徳どく成じょう就じゅは、 偈げに «如来にょらい浄じょう華け衆しゅ 正しょう覚がく華け化け生しょう》とのたまへるがゆゑにº と。

荘しやう厳ごむ眷くゑん属ぞく功く徳どく成じやう就じゆ者は、偈げに言のたまへるが↢如来浄じやう華くゑ衆しゆ正しやう覚がく華くゑ化くゑ生しやうと↡故ゆへにと。

^◆これいかんぞ不ふ思議しぎなるや。 おほよそこれ雑ざっ生しょうの世せ界かいは、 もしは胎たいもしは卵らんもしは湿しつもしは化け、 眷属けんぞくそこばくなり。 苦く楽らく万品まんぼんなり。 雑業ぞうごうをもつてのゆゑに。 ◆かの安楽あんらく国こく土どは、 これ阿あ弥陀みだ如来にょらいの正しょう覚がく浄じょう華けの化け生しょうする所ところにあらざるこ0629となし。 同一どういつに念仏ねんぶつして別べつの道どうなきがゆゑに。 遠とおく通つうずるにそれ四し海かいのうちみな兄きょう弟だいとするなり。 眷属けんぞく無む量りょうなり。 いづくんぞ思議しぎすべきや」。

此これ云何いかんぞ不思議ふしぎなるや。凡おほよそ是これ雑ざふ生しやうの世せ界かいは、若もしは胎たい若もしは卵らん若もしは湿しち若もしは化くゑ、眷くゑん属ぞく若干そこばくなり。苦く楽らく万品まんぼむなり。以もての↢雑業ざふごふを↡故ゆへに。彼かの安楽あんらく国こく土どは、莫なし↠非あらざること↣是これ阿弥陀如来によらいの正しやう覚がく浄じやう華くゑ之の所ところに↢化くゑ生しやうする↡。同どう一に念仏して无なきが↢別べちの道だう↡故ゆへに。遠とおく通つうずるに夫それ四し海かい之の内うち皆みな為する↢兄くゐやうアニ 弟だいとオトヽ↡也なり。眷くゑん0583属ぞく无む量りやうなり。焉いづくんぞ可べきや↢思議しぎす↡。」

一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)大義門功徳

 ^またのたまはく (論註・下)、

^「▲往おう生じょうを願がんずるもの、 本もとはすなはち三三さんざんの品ほんなれども、 いまは一いち二にの殊ことなることなし。 また淄し澠じょうの一いち味みなるがごとし。 いづくんぞ思議しぎすべきや」。 以上

「願ぐわんずる↢往生を↡者もの、本もとは則すなわち三三之の品ほむなれども、今いまは无なし↢一二之の殊ことなること↡。亦また如ごとし↢ 淄しミヅナリ澠じようのミヅナリ 食じき陵れうの反かへし 一味みなるが↡。焉いづくんぞ可べきや↢思議しぎす↡。」已上

一 Ⅱ ⅰ a ロ (三)清浄功徳

 ^また ¬論ろん¼ (論註・下) にいはく、

^「▲ª荘しょう厳ごん清浄しょうじょう功く徳どく成じょう就じゅは、 偈げに «観かん彼ぴ世せ界かい相そう 勝しょう過が三界さんがい道どう» とのたまへるがゆゑにº と。

「荘しやう厳ごむ清浄しやうじやう功く徳どく成じやう就じゆ者は、偈げに言のたまへるが↢観くわん彼ぴ世せ界かい相さう勝しよう過ぐわ三界道だうと↡故ゆへにと。

^◆これいかんぞ不ふ思議しぎなるや。 凡ぼん夫ぶ人にんの煩悩ぼんのう成じょう就じゅせるあつて、 またかの浄じょう土どに生しょうを得うるに、 三界さんがいの繋け業ごう畢ひっ竟きょうじて牽ひかず。 すなはちこれ煩悩ぼんのうを断だんぜずして涅ね槃はんの分ぶんを得う。 いづくんぞ思議しぎすべきや」。 以上抄要

此これ云何いかんぞ不思議ふしぎなるや。有あて↢凡ぼむ夫ぶ人にんの煩悩ぼむなう成じやう就じゆせる↡、亦また得うるに↠生しやうを↢彼かの浄じやう土どに↡、三界がいの繋け業ごふ畢ひち竟きやうじて不ず↠牽ひか。則すなわち是これ不ずして↠断だんぜ↢煩悩ぼむなうを↡得う↢涅槃ねちはんの分ぶんを↡。焉いづくんぞ可べきや↢思議しぎす↡。」 已上抄要

一 Ⅱ ⅰ b 結示

【6】 ^▲この阿あ弥陀みだ如来にょらいの往相おうそう回え向こうの選せん択じゃくいまこの真文をよくよく本願ほんがんをこゝろえて、 みたてまつるなり。 これを▲難なん思じ議ぎ往おう生じょうと申もうす。の義をしるべしとなり。▲これをこころえて、 ▼他た力りきには義ぎなきを義ぎとすとしるべ0584し。

一 Ⅱ ⅱ 因約還相回向
      a 論文
        イ 標

【7】 ^▲二ふたつに還相げんそうの回え向こうといふは、

一 Ⅱ ⅱ a ロ 引

◆¬浄じょう土ど論ろん¼ にいはく、

^「▲本願ほんがん力りきの回え向こうをもつてのゆゑに、 これを*出しゅつ第だい五ご門もんと名なづく」 といへり。

「◆以もての↢本願力の廻向を↡故ゆへに、是これを名なづくといへり↢出第五門もんと↡。」

一 Ⅱ ⅱ a ハ 結

^◆これは還相げんそうの回え向こうなり。

一 Ⅱ ⅱ b 経文
        イ 標

^▲一いっ生しょう補ふ処しょの悲ひ願がん (第二十二願) にあらはれたり。

一 Ⅱ ⅱ b ロ 引

 0630^◆大だい慈じ大だい悲ひの願がん (第二十二願) 、 ¬大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう仏ぶつ土どのもろもろの菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが国くにに来らい生しょうすれば、 究く竟きょうしてかならず一いっ生しょう補ふ処しょに至いたる。 その本願ほんがんの自じ在ざいの所しょ化け、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 弘ぐ誓ぜいの鎧がいを被きて、 徳本とくほんを積しゃく累るいし、 一切いっさいを度ど脱だつし、 諸仏しょぶつの国くにに遊あそびて、 菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅし、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ如来にょらいを供く養ようし、 恒沙ごうじゃ無む量りょうの衆しゅ生じょうを開かい化けして無む上じょう正しょう真しんの道どうを立りゅうせしめんをば除のぞかんと。 常じょう倫りんに超出ちょうしゅつし、 諸しょ地じの行ぎょう現前げんぜんし、 普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 文

「◆設たとひ我われ得えたらむに↠仏ぶちを、他た方はう仏土の諸もろもろの菩ぼ薩さち衆しゆ、来らい↢生しやうキタリムマルすれば我わが国くにに↡、究く竟きやうして必かならず至いたる↢一生しやう補ふ処しよに↡。除のぞかむと↧其その本ほん願ぐわんの自じ在ざいの所しよ化くゑ、為ための↢衆しゆ生じやうの↡故ゆへに、被きて↢弘ぐ誓ぜいの鎧がいをヨロイ↡、積しやく↢累るいし徳本とくほんを↡、度ど↢脱だちし一切を↡、遊あそびて↢諸仏しよぶちの国くにに↡、修しゆし↢菩ぼ薩さちの行ぎやうを↡、供く↢養やうし十方の諸仏しよぶち如来を↡、開かい↢化くゑして恒沙ごうじや无む量りやうの衆しゆ生じやうを↡使しめむをば↞立りふせ↢无む上じやう正しやう真しん之の道だうを↡。超てう↢出しゆつし常じやう倫りんに↡、諸しよ地ぢ之の行ぎやう現前げんぜんし、修しゆ↢習じふせむ普ふ賢げん之の徳とくを↡。若もし不ず↠爾しから者は、不じと↠取とら↢正しやう覚がくを↡。」 文

一 Ⅱ ⅱ b ハ 結

 ^◆この悲ひ願がんは、 如来にょらいの還相げんそう回え向こうの御おんちかひなり。

一 Ⅱ ⅲ 通結他力回向
      a 正明

【8】 ^如来にょらいの二に種しゅの回え向こうによりて、 ▲真実しんじつの*信しん楽ぎょうをうる人ひと0585は、 かならず正定しょうじょう聚じゅの位くらいに住じゅうするがゆゑに他た力りきと申もうすなり。

一 Ⅱ ⅲ b 引証

^▼しかれば、 ¬無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ¼ にいはく、

^「▼いかんが回え向こうしたまへる。 一切いっさい苦く悩のうの衆しゅ生じょうを捨すてずして、 心しんにつねに作さ願がんすらく、 回え向こうを首しゅとして大だい悲ひ心しんを成じょう就じゅすることを得えたまへるがゆゑに」 とのたまへり。

「◆云何いかんが廻ゑ向かうしたまへる。不ずして↠捨すて↢一切苦く悩のうの衆生を↡、心しむに常つねに作さ願ぐわんすらく、廻ゑ向かうを為して↠首しゆと得えたまへるが↠成じやう↢就じゆすることを大悲心を↡故ゆへにとのたまへり。」

一 Ⅲ 総結

 ^△これは ¬大だい無む量りょう寿じゅ経きょう¼ の宗しゅう致ちムネトストとナリしたまへり。 これを難なん思じ議ぎ往おう生じょうと申もうすなり。

二 観経往生
  Ⅰ 略明義
    ⅰ 標

【9】 ^▲観かん経ぎょう往おう生じょうといふは、

二 Ⅰ ⅱ 弁
      a 約発願

^▲修しゅ諸しょ功く徳どくの願がん (第十九願) により、 ▲至し心しん発願ほつがんのちかひ0631にいりて、 万善まんぜん諸しょ行ぎょうの自じ善ぜんを回え向こうして浄じょう土どを欣ごんネガフ慕ぼせシタフコしヽロむるなり。

二 Ⅰ ⅱ b 約開説

^▲しかれまた ば、 ¬無む量りょう寿じゅ仏ぶつ観かん経ぎょう¼ には、 定じょう善ぜん・散善さんぜん  を分別し、 三福さんぷく九く品ぼんの諸善しょぜん、 あるいは自じ力りきの称名しょうみょう念仏ねんぶつを説ときて、 九く品ぼん往おう生じょう0586をすすめたましむ、 へり。

二 Ⅰ ⅱ c 示宗致

^▲これは他た力りきのなかに の 自じ力りき   なり。 これを  ¬観経¼の宗しゅう致ちとしす。たまへり。

二 Ⅰ ⅲ 結

^▲このゆゑに観かん経ぎょう往おう生じょうと申もうすいふ。 は、 これみな方便ほうべん化土けどの往おう生じょうなり。 これを双樹そうじゅ林りん下げ往おう生じょうと申もうすなり。

二 Ⅱ 広引文
    ⅰ 経文
      a 至心発願之願
        イ 因願
          (一)大経

【10】^至し心しん発願ほつがんの修諸功徳願文 願がん (第十九願)、 ¬大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 菩ぼ提だい心しんを発おこし、 もろもろの功く徳どくを修しゅして、 至し心しん発願ほつがんしてわが国くにに生うまれんと欲おもはん。 寿いのち終おわらん時ときに臨のぞまんに、 たとひ大衆だいしゅと囲い繞にょうしてその人ひとの前まえに現げんぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 文

「設たとひ我われ得えむに↠仏を、十方の衆しゆ生じやう、発おこし↢菩ぼ提だい心しむを↡、修しゆして↢諸もろもろの功く徳どくを↡、至し心しむ発ほち願ぐわんして欲おもはむ↠生むまれむと↢我わが国くにに↡。臨のぞまむに↢寿いのち終おはらむ時ときに↡、仮令たとひ不ず↧与と↢大衆しゆ↡囲ゐ繞ねうしてカコミメグル現げんぜ↦其その人の前まへに↥者は、不じと↠取ら↢正覚を↡。」 文

二 Ⅱ ⅰ a イ (二)悲華経

 ^ また修諸功徳願文、 ¬悲華ひけ経きょう¼ 「*大だい施せ品ぼん」 にのたまはく、

^「▲願ねがはくは、 われ阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成なりをはらんに、 その余よの無む量りょう無む辺へん阿あ僧そう祇ぎの諸仏しょぶつ世せ界かいの所しょ有うの衆しゅ生じょう、 もし阿あ耨のく多羅たら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だい心しんを発おこし、 もろもろの善根ぜんごんを修しゅして、 わが界かいに生うまれんと欲おもはば、 臨りん終じゅうの時とき、 われまさに大衆だいしゅと囲い繞にょうしてその人ひとの前まえに現げんずべし。 その人ひと、 われを見みて、 すなはちわが前まえにして心しんに歓かん喜ぎを得えて、 われを見みるをもつてのゆゑに、 もろもろの障しょう礙げを離はなれてすなはち身みを捨すててわが界かいに来らい生しょうせし0632めん」 と。 文

「願ねがはくは我われ成なり↢阿耨わあのく多羅たら三さむ藐みやく三さむ菩ぼ提だいを↡已おはらむに、其その余よの无む量りやう无む辺へん阿わあ僧そう祇ぎの諸仏しよぶち世せ界かいの所しよ有うの衆しゆ生じやう、若もし発おこし↢阿耨わあのく多羅たら三さむ藐みやく三さむ菩ぼ提だい心しむを↡、修しゆして↢諸もろもろの善根ぜんごんを↡、欲おもは↠生むまれむと↢我わが界かいに↡者ば、臨終りむじゆ之の時とき、我われ当まさベ にシ↧与と↢大衆しゆ↡囲ゐ繞ねうして現げんず↦其その人の前まへに↥。其その人ひと見みて↠我われを、即すなわち於して↢我わが前まへに↡得えて↢心しむに歓くわん喜ぎを↡、以もての↠見みるを↠我われを故ゆへ0587に、離はなれて↢諸もろもろの障しやう閡げを↡即便すなわち捨すてゝ↠身みを来らい↢生しやうせしめむと我わが界かいに↡。」 文

二 Ⅱ ⅰ a ロ 成就

 ^▲至し心しん発ほつ修諸功徳願がんの願がん (第十九願) 成じょう就じゅの文もん、 ¬大だい経きょう¼ (下) にのたまはく、

^「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª十方じっぽう世せ界かいの諸天しょてん・人民にんみん、 それ心しんを至いたしてかの国くにに生うまれんと願がんずることあらん。 おほよそ三輩さんぱいあり。 ◆その上じょう輩はいは、 家いえを捨すて欲よくを棄すてて沙門しゃもんとなり、 菩ぼ提だい心しんを発おこして一向いっこうにもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんじ、 もろもろの功く徳どくを修しゅしてかの国くにに生うまれんと願がんぜん。 ◆これらの衆しゅ生じょう、 寿いのち終おわらん時ときに臨のぞみて、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつ、 もろもろの大衆だいしゅとその人ひとの前まえに現げんぜん。

「仏告つげたまはく↢阿難に↡、十じふ方ぱう世せ界かいの諸しよ天てん・人民にんみん、其それ有らむ↢至いたして↠心を願ずること↟生むまれむと↢彼かの国くにに↡。凡おほよそ有あり↢三輩ぱい↡。其その上輩はい者はトモガラ、捨すて↠家いゑを棄すて↠欲よくを而て作なり↢沙門しやもんと↡、発おこして↢菩ぼ提だい心しむを↡一向かうに専もはら念じ↢无む量りやう寿じゆ仏を↡、修しゆして↢諸もろもろの功く徳どくを↡願ぐわんぜむ↠生むまれむと↢彼かの国くにに↡。此これ等らの衆しゆ生じやう、臨のぞみて↢寿いのち終おはらむ時ときに↡、无む量りやう寿じゆ仏ぶち、与と↢諸もろもろの大衆しゆ↡現げんぜむ↢其その人ひとの前まへに↡。

乃至

即すなわち随したがふて↢彼かの仏に↡往↢生せむ其その国くにに↡。便すなわち於して↢七宝華の中うちに↡自然に化生し住ぢゆせむ↢不退転に↡。智慧ちゑ勇猛にして神通自在ならむ。是この故ゆへに

^▲阿あ難なん、 それ衆しゅ生じょうあつて、 今こん世ぜにおいて無む量りょう寿じゅ仏ぶつを見みたてまつらんと欲おもうて、 無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこし功く徳どくを修しゅ行ぎょうしてかの国くにに生うまれんと願がんずべし。º

阿難わあなん、其それ有あて↢衆しゆ生じやう↡、欲おもふて↧於おいて↢今こむ世ぜに↡見みたてまつらむと↦无む量りやう寿じゆ仏を↥、応べし↧発おこし↢无む上じやう菩ぼ提だい之の心しむを↡、修しゆ↢行ぎやうして功く徳どくを↡願ぐわんず↠生むまれむと↢彼かの国くにに↡。

^◆仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 ªそれ中ちゅう輩はいは、 十方じっぽう世せ界かいの諸天しょてん・人民にんみん、 それ心しんを至いたしてかの国くにに生うまれんと願がんずることあらん。 行ぎょうじて沙門しゃもんとなり、 大おおきに功く徳どくを修しゅすることあたはずといへども、 ◆まさに無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこして一向いっこうにもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんじ、 ◆多た少しょう、 善ぜんを修しゅし、 斎戒さいかいを奉持ぶじし、 塔像とうぞうを起き立りゅうし、 沙門しゃもんに飯食ぼんじきせしめ、 繒ぞうを懸かけ灯とうを燃ともし、 華はなを散さんじ香こうを焼たくべし。 これをもつて回え向こうしてかの国くにに生うまれんと願がんぜん。 ◆その人ひと、 終おわりに臨のぞみて、

仏語かたりたまはく↢阿難わあなんに↡、其それ中輩はい者は、十方世界の諸天しよてん・人民にんみん、其それ有らむ↢至いたして↠心しむを願ぐわんずること↟生むまれむと↢彼かの国くにに↡。雖いゑども↠不ずと↠能あたは↧行ぎやうじて作なり↢沙門しやもんと↡、大おほきに修しゆ0588すること↦功徳を↥、当まさベ にシ↧発おこして↢无む上じやう菩ぼ提だい之の心しむを↡、一向かうに専もはら念じ↢无む量りやう寿じゆ仏ぶちを↡、多た少せう修し↠善ぜんを、奉ぶ↢持じし斎戒さいかいを↡、起き↢立りふし塔像たうざうを↡、飯ぼむ↢食じきせしめ沙門しやもんに↡、懸かけ↠繒ぞうを燃ともし↠灯とうを、散さんじ↠華はなを焼たく↞香かうを。以もて↠此これを廻ゑ向かうして願ぐわんぜむ↠生むまれむと↢彼かの国くにに↡。其その人ひと臨のぞみて↠終おはりに、

乃至

无量寿仏化くゑ↢現げんして其その身みを↡、光明・相好

^つぶさに真仏しんぶつのごとく、 もろもろの大衆だいしゅとその人ひとの前まえに現げんぜん。º

具つぶさに如ごとく↢真仏しんぶちの↡、与と↢諸もろもろの大衆だいしゆ↡現げんぜむ↢其その人ひとの前まへに↡。

乃至0633

即すなわち随したがふて↢化仏に↡往↢生し其その国くにに↡住ぢゆせむ↢不退転に↡。功徳・智慧、次ついで如ごとくらなむと↢上輩の者ものの↡也なり。

^▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªそれ下げ輩はいは、 十方じっぽう世せ界かいの諸天しょてん・人民にんみん、 それ心しんを至いたしてかの国くにに生うまれんと欲おもふことあらん。 たとひもろもろの功く徳どくをなすことあたはずとも、 ◆まさに無む上じょう菩ぼ提だいの心しんを発おこして一向いっこうに意こころをもつぱらにして、 乃ない至し十じゅう念ねん、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつを念ねんじて、 その国くにに生うまれんと願がんずべし。 ◆もし深法じんぽうを聞ききて歓かん喜ぎ信しん楽ぎょうして疑ぎ惑わくを生しょうぜず、 乃ない至し一念いちねん、 かの仏ほとけを念ねんじて、 至し誠じょう心しんをもつてその国くにに生うまれんと願がんぜん。 ◆この人ひと、 終おわりに臨のぞみて、 *夢ゆめにかの仏ぶつを見みたてまつり、 また往おう生じょうを得えん。 功く徳どく・智慧ちえ、 次ついで中ちゅう輩はいのもののごとくならんとなりº」 と。 以上略抄

仏告つげたまはく↢阿難わあなんに↡、其それ下げ輩はい者は、十方世せ界かいの諸天しよてん・人民にんみん、其それ有あらむ↢至いたして↠心を欲おもふこと↟生むまれむと↢彼かの国くにに↡。仮使たとひ不ずとも↠能あたは↠作なすこと↢諸もろもろの功く徳どくを↡、当まさベ にシ↧発おこして↢无上菩ぼ提だい之の心を↡、一向に専もはらにして↠意こゝろを、乃ない至し十念、念ねむじて↢无む量りやう寿じゆ仏ぶちを↡、願ぐわんず↞生むまれむと↢其その国くにに↡。若し聞きゝて↢深法じむぼふを↡フカキミノリ歓くわん喜ぎ信楽しんげうして不ず↠生しやうぜ↢疑ぎウタガフ惑わくをマドフ↡、乃ない至し一念ねむ、念ねむじて↠於を↢彼かの仏ほとけ↡、以もて↢至し誠じやう心しむを↡願ぐわんぜむ↠生むまれむと↢其その国くにに↡。此この人ひと臨のぞみて↠終おはりに、夢ゆめのごとくに見みたてまつり↢彼かの仏ぶちを↡、亦また得えむ↢往わう生じやうを↡。功く徳どく・智慧ちゑ、次ついで如ごとくならむと↢中ちゆう輩はいの者ものの↡也なりと。」 已上略抄

二 Ⅱ ⅰ b 道場樹願
        イ 因願

 0589^   道場樹願文、¬大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国くにのうちの菩ぼ薩さつ、 乃ない至し少しょう功く徳どくのもの、 その道どう場じょう樹じゅの無む量りょうの光色こうしきあつて、 高たかさ四し百ひゃく万まん里りなるを知ち見けんすることあたはずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 文

「設たとひ我われ得えたらむに↠仏ぶちを、国くにの中うちの菩ぼ薩さち、乃ない至し少せう功く徳どくの者もの、不ず↠能あたは↣知ち↢見けんすること其その道だう場ぢやう樹じゆの无む量りやうの光くわう色しきあて、高たかさ四百万まん里りなるを↡者は、不じと↠取とら↢正しやう覚がくを↡。」 文

二 Ⅱ ⅰ b ロ 成就

 ^道どう場じょう樹じゅの願がん (第二十八願) 成じょう就じゅの文もん、 ¬経きょう¼ (大経・上) にのたまはく、

^「▲また無む量りょう寿じゅ仏ぶつ、 その道どう場じょう樹じゅの高たかさ四し百ひゃく万まん里りならん。 その本もと周しゅう囲い五ご十じゅう由ゆ旬じゅんならん。 枝し葉よう四よもに布しきて二に十じゅう万まん里りならん。 一切いっさいの衆宝しゅぼう自じ然ねんに合ごう成じょうせり。 月光がっこう摩尼まに・持じ海かい輪宝りんぼうの衆宝しゅぼうの王おうたるをもつてして、 これを荘しょう厳ごんせり。 ◆条えだのあひだに周しゅう帀そうして、 宝ほうの瓔珞ようらくを垂たれたり。 百ひゃく千万せんまん色じきにして種々しゅじゅに異い変へんす。 無む量りょうの光こう炎えん0634、 照しょう耀よう極きわまりなし。 珍ちん妙みょうの宝網ほうもうその上うえに羅覆らふせり。

「又また无む量りやう寿じゆ仏ぶち、其その道だう場ぢやう樹じゆの高たかさ四百万まん里りならむ。其その本もと周しゆ囲ゐ五十由ゆ旬じゆんならむ。枝しエダ葉えふハ 四よもに布しきて二十万まん里りならむ。一切さいの衆宝しゆぼう自じ然ねんに合がう成じやうせり。以もて↢月光ぐわちくわう摩尼まに・持ぢ海かい輪宝りんぼうの衆宝しゆぼう之の王わうたるを↡而して荘しやう↢厳ごむせり之これを↡。周しゆ↢帀さうして条えだの間あひだに↡、垂たれたり↢宝ほうの瓔珞やうらくを↡。百千万色まんじきにして種種しゆじゆに異い変へんす。无む量りやうの光くわう炎えむ、照耀せうえう无なし↠極きわまり。珍妙ちんめうの宝網ほうまう羅らコメ覆ふオホエせりリ其その上うえに↡。

乃至

一切の荘厳、随したがふて↠応おうに而て現げんず。微風徐やうやく動おごいて吹ふくに↢諸もろもろの枝葉を↡、演えん↢出しゆつす无量の妙法の音声を↡。其その声こゑ流布るふして徧へんす↢諸仏の国くにに↡。其それ聞きけ↠音こゑを者ば、得え↢深じん法ぼふ忍を↡住ぢゆせむ↢不退転に↡。至いたるまで↠成なるに↢仏道を↡、耳根こむ清しやう徹てちにして不ず↠遭あは↢苦患ぐゑんに↡。目めに覩み↢其その色いろを↡、耳みゝに聞きき↢其その音こゑを↡、鼻はなに知しり↢其その香かを↡、舌したに嘗なめ↢其その味あぢわいを↡、身みに触ふれ↢其その光ひかりを↡、心しむに以もて↠法を縁えんじ、

^▲一切いっさいみな*甚深じんじんの法忍ほうにんを得えて不ふ退転たいてんに住じゅうせん。 仏道ぶつどうを成なるに至いたるまで、 六根ろっこん清しょう徹てつにしてもろもろの悩患のうげんなけん」 と。 以上略出

一切さい皆みな得えて↢甚深じむじむの法忍ほうにんを↡住ぢゆせむ↢不ふ退たい0590転てんに↡。至いたるまで↠成なるに↢仏道ぶちだうを↡、六根こん清しやうキヨク徹てちにしてトホリテ 无なけむと↢諸もろもろの悩なう患ぐゑん↡。」 已上略出

二 Ⅱ ⅱ 釈文

 ^首しゅ楞りょう厳ごん院いん (源信) の ¬要よう集しゅう¼ (下) に、 感かん禅ぜん師じ (懐感) の釈しゃく (群疑論) を引ひきていはく、

^「▲問とふ。 ¬菩ぼ薩さつ処胎しょたい経きょう¼ の*第だい二にに説ときたまへり。 ª^西方さいほうこの閻えん浮ぶ提だいを去さること十じゅう二に億おく那由なゆ他たに懈け慢まん界がいありと。 乃至 ▲意こころを発おこす衆しゅ生じょう、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生うまれんと欲おもふもの、 深ふかく懈け慢まん国こく土どに着じゃくして、 前進すすみて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生うまるることあたはず。 億おく千万せんまんの衆しゅう、 時ときに一人いちにんあつて、 よく阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうずº といへり。 ^◆この経きょうをもつて准じゅん難なんするに、 生しょうを得うべしや。

「問とふ。¬菩ぼ薩さち処胎しよたい経きやうの¼第だい二に説ときたまへり。西方さいはう去さること↢此この閻えむ浮ぶ提だいを↡十二億おく那由なゆ他たに有ありと↢懈け慢まん界がい↡。 乃至 発おこす↠意こゝろを衆しゆ生じやう欲おもふ↠生むまれむと阿わあ弥陀みだ仏ぶち国こくに↡者もの、深ふかく著ぢやくして↢懈け慢まん国こく土どに↡、不ず↠能あたは↣前進 すゝ みて生むまるゝこと↢阿わあ弥陀みだ仏ぶち国こくに↡。億おく千万せんまんの衆しゆ、時ときに有あて↢一人↡、能よく生しやうずと↢阿わあ弥陀みだ仏ぶち国こくに↡云云 いへ ウンウンリ。以もて↢此この経きやうを↡准じゆん難なんナズラヘナするにンズト、イフ可べしや↠得う↠生しやうを。

^◆答こたふ。 ¬群ぐん疑ぎ論ろん¼ に善導ぜんどう和か尚しょうの前さきの文もんを引ひきて、 この難なんを釈しゃくせり。 またみづから助じょ成じょうしていはく、 ª^この経きょうの下げの文もんにのたまはく、 «なにをもつてのゆゑに、 みな懈け慢まんして執しゅう心しん牢ろう固こならざるによつてなり»。 ◆ここに知りりぬ、 雑修ざっしゅのものは執しゅう心しん牢かたからざるの人ひととす。 かるがゆゑに懈け慢まん国こくに生しょうずるなり。 もし雑修ざっしゅせずして、 もつぱらこの業ごうを行ぎょうずるは、 これすなはち執しゅう心しん牢ろう固こにして、 さだめて極楽ごくらく国こくに生しょうず。 乃至 ◆また報ほうの浄じょう土どの生しょうはきはめて少すくなし。 化けの浄じょう土どのなかに生しょうずるものは少すくなからず。 か0635るがゆゑに経きょうの別説べつせつ、 まことに相そう違いせざるなり」 と。 以上略出

答こたふ。¬群ぐん疑ぎ論ろんに¼引ひき↢善導でんだう和くわ尚しやうの前さきの文もんを↡而て釈しやくせり↢此この難なんを↡。又また自みづか ら助じよ成じやうして云いはく、此この経きやうの下しもの文もんに言のたまはく、何なにを以もての故ゆへに。皆みな0591由よてなり↣懈け慢まんして執しふ心しむ不ざるに↢牢らう固こならカタクカタシ↡。是こゝに知しりぬ、雑修ざふしゆ之の者ものは為す↢執しふ心しむ不ざる↠牢かたから之人ひとと↡。故かるがゆへに生しやうずる↢懈け慢まん国こくに↡也なり。若もし不ずして↢雑修ざふしゆせ↡、専もはら行ぎやうずるは↢此この業ごふを↡、此これ即すなわち執しふ心しむ牢らう固こにして、定さだめて生しやうず↢極楽ごくらく国こくに↡。 乃至 又また報ほうの浄じやう土どの生しやう者は極きわめて阿わあ弥陀みだ仏ぶち少すくなし。化くゑの浄じやう土どの中なかに生しやうずる者ものは不ず↠少すくなから。故かるがゆへに経きやうの別説べちせち、実まことに不ざる↢相さう違ゐせ↡也なりと。」 已上略出

二 Ⅲ 結示

【11】^これらの文もんのこころにて、 双樹そうじゅ林りん下げ往おう生じょうと申もうすことを、 よくよくこころえたまふべし。

三 小経往生
  Ⅰ 略明義
    ⅰ 標

【12】^▲弥陀みだ経きょう往おう生じょうといふは、

三 Ⅰ ⅱ 弁
      a 修因
        イ 挙法体

^▲植じき諸しょ徳とく不果遂者本ほんの誓願せいがん (第二十願) によりて不ふ果か遂すい植諸徳本者しゃの▲真門しんもんにいりる、 、    諸善万行を貶して     少善根となづけたり。▲*善本ぜんぽん徳本とくほんの名みょう号ごうを選えらびて万善まんぜん諸しょ行ぎょうの少しょう多善根多功徳とのたまへり。 善ぜんをさしおく。

三 Ⅰ ⅱ a ロ 明機失

^しかりといしかるにへども、 ▲定じょう散さん自じ力りきの行ぎょう係念我国の人、  人にんは、 ▲不可ふか思議しぎの仏ぶっ智ち 力 を疑ぎ惑わくして信受しんじゅせず。 、  如来にょらい善本徳本の尊号そんごうをおのれが善根ぜんごんと0592してす  、 みづから浄じょう土どに回え向こうしてせしむ、 果か遂すいのこれを弥陀経ちかひの宗とす。  をたのむ。

三 Ⅰ ⅱ b 感果

^不可ふか思議しぎの名みょう号ごうを称しょう念ねんしながら、 不可ふか称しょう不可ふか説せつ不可ふか思議しぎの大だい悲ひの誓願せいがんを疑うたがふ。 その罪つみふかくおもくして、 七宝しっぽうの牢獄ろうごくにいましめられて、 いのち五ご百ひゃく歳さいのあひだ、 自じ在ざいなることあたはず、 三宝さんぼうをみたてまつらず、 つかへたてまつることなしと、 如来にょらいは説ときたまへり。

このゆへに弥陀経往生といふ、 他力の中の自力なり。

三 Ⅰ ⅲ 結釈名義

^しかれども、 如来にょらいの尊号そんごうを称しょう念ねんするゆゑに、 胎たい宮ぐにとどまる。 徳号とくごうによるがゆゑに難なん思じ往おう生じょうジリキノネムブチシと申もうヤナリ すなり。 不可ふか思議しぎの誓願せいがん、 疑ぎウタガフ惑わくすマドフ る罪つみによりて難なん思じ議ぎ往おうホングワンタリキ生じょうとはノワウジヤウト申もうさマフス ずと知しるべきなり。

尊号を称するゆへに疑城胎宮にむまるといゑども、 不可称不可説不可思議の他力をうたがふそのつみおもくして、 牢獄にいましめられていのち五百歳なり。 尊号の徳によるがゆへに、 難思往生とまふすなり。

三 Ⅱ 広引文
    ⅰ 経文
      a 因願
        イ 大経

【13】^植じき諸しょ徳本とくほんの願文がんもん、 ¬大だい経きょう¼ (上) にのたまはく、

^「▲たとひわれ仏ぶつを得えんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを聞ききて、 念おもいをわが国くにに係かけて、 もろもろの徳本とくほんを0636植うゑて、 心しんを至いたし回え向こうしてわが国くにに生うまれんと欲おもはん。 果か遂すいせずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 と。 文

「設たとひ我われ得えたらむに↠仏ぶちを、十方ぱうの衆しゆ生じやう、聞きゝて↢我わが名みやう号がうを↡、係かけて↢念おもひを我わが国くにに↡、植うえて↢諸もろもろの徳本とくほんを↡、至いた0593し↠心しむを廻ゑ向かうして欲おもはむ↠生むまれむと↢我わが国くにに↡。不ず↢果遂くわすいせ↡者は、ハタシトゲズハトイフ不じと↠取とら↢ハツイニハタサム正しやうトナリ覚がくを↡。」 文

三 Ⅱ ⅰ a ロ 寿会

 ^*同本どうほん異い訳やく植諸徳本願文、 の ¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (上) にのたまはく、

¬无量寿如来会に¼言はく、

^「▲もしわれ成じょう仏ぶつせんに、 無む量りょう国こくのうちの所しょ有うの衆しゅ生じょう、 わが名なを説とかんを聞ききて、 おのれが善根ぜんごんをもつて極楽ごくらくに回え向こうせん。 もし生うまれずは、 菩ぼ提だいを取とらじ」 と。 文

「若もし我われ成じやう仏ぶちせむに、无む量りやう国こくの中うちの所しよ有うの衆しゆ生じやう、聞きゝて↠説とかむを↢我わが名なを↡、以もて↢己おのれが善根ぜんごんを↡廻ゑ↢向かうせむ極楽ごくらくに↡。若もし不ず↠生むまれ者は、不じと↠取とら↢菩ぼ提だいを↡。」 文

三 Ⅱ ⅰ b 成就
        イ 大経

 ^願がん (第二十願) 成じょう就じゅの文もん 又 、 ¬経きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

^「▲それ胎たい生しょうのものの処しょするところの宮く殿でん、 あるいは百ひゃく由ゆ旬じゅん、 あるいは五ご百ひゃく由ゆ旬じゅんなり。 おのおのそのなかにして、 もろもろの快け楽らくを受うくること、 忉とう利り天てん上じょうのごとし。 またみな自じ然ねんなり。

「其それ胎たい生しやうの者ものの所ところの↠処しよヰルする宮く殿でむ、或あるいは百由ゆ旬じゆん、或あるいは五百由ゆ旬じゆんなり。各おのおの於して↢其その中なかに↡、受うくること↢諸もろもろの快くゑ楽らくを↡如ごとし↢忉たう利り天てん上じやうの↡。亦また皆みな自じ然ねんなり。

^◆その時ときに、 慈氏じし菩ぼ薩さつ (*弥勒)、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 なんの因いんなんの縁えんにか、 かの国くにの人民にんみん、 胎たい生しょう・化け生しょうなるº と。

爾その時ときに慈氏じし菩ぼ薩さち白まふして↠仏ぶちに言まふさく、世せ尊そん、何なんの因いん何なんの縁えんにか、彼かの国くにの人民にんみん、胎たい生しやう・化くゑ生しやうなると。

^◆仏ぶつ、 慈氏じしに告つげたまはく、 ªもし衆しゅ生じょうあつて、 疑ぎ惑わくの心しんをもつてもろもろの功く徳どくを修しゅし、 かの国くにに生うまれんと願がんじて、 仏ぶっ智ち・不ふ思議しぎ智ち・不可ふか称しょう智ち・大だい乗じょう広こう智ち・無む等とう無む倫りん最さい上じょう勝しょう智ちを了さとらずして、 この諸しょ智ちにおいて疑ぎ惑わくして信しんぜず。 しかるになほ罪福ざいふくを信しんじて、 善本ぜんぽんを修しゅ習じゅうして、 その国くにに生うまれんと願がんぜん。

仏ぶち告つげたまはく↢慈氏じしに↡、若もし有あて↢衆しゆ生じやう↡、以もて↢疑ぎ惑わくの心しむを↡修しゆし↢諸もろもろの功く徳どくを↡、願ぐわんじて↠生むまれむと↢彼かの国くにに↡、不ずして↠了さとら↢仏ぶち智ち・不ふ思議しぎ智ち・不可ふか称しよう智ち・大だい乗じやう広くわう智ち・无む等とう无む倫りん最さい上じやう勝しよう智ちを↡、於おい0594て↢此この諸しよ智ちに↡疑ぎ ウタガフ惑わくしてマドフ 不ず↠信しんぜ。然しかるに猶なほ信しんじて↢罪福ざいふくを↡、修しゆ↢習じふして善本ぜんぽんを↡、ミダノミヤウガウ願ぐわんぜむ↠生むまれむと↢其その国くにに↡。

^◆このもろもろの衆しゅ生じょう、 かの宮く殿でんに生うまれて、 寿いのち五ご百ひゃく歳さいならん。 つねに仏ぶつを見みたてまつらず、 経きょう法ぼうを聞きか0637ず、 菩ぼ薩さつ・声しょう聞もん聖しょう衆じゅを見みず。 ◆このゆゑにかの国こく土ど、 これを胎たい生しょうといふ。 乃至

此この諸もろもろの衆しゆ生じやう、生むまれて↢彼かの宮く殿でむに↡、寿いのち五百歳さいならむ。常つねに不ず↠見みたてまつら↠仏ぶちを、不ず↠聞きか↢経きやう法ぼふを↡、不ず↠見み↢菩ぼ薩さち・声しやう聞もん聖しやう衆じゆを↡。是この故ゆへに彼かの国こく土ど、謂いふ↢之これを胎たい生しやうと↡。 乃至

^▲弥み勒ろくまさに知しるべし、 かの化け生しょうのものは智慧ちえ勝すぐれたるがゆゑに。 その胎たい生しょうのものはみな智慧ちえなしº。 乃至

弥み勒ろく当まさベ にシ↠知しる、彼かの化くゑ生しやうの者ものは智慧ちゑ勝すぐれたるが故ゆへに。其その胎たい生しやうの者ものは皆みな无なし↢智慧ちゑ↡。 乃至

^▲仏ぶつ、 弥み勒ろくに告つげたまはく、 ªたとへば転輪てんりん聖じょう王おうに七宝しっぽうの牢獄ろうごくあり。 種々しゅじゅに荘しょう厳ごんし床帳じょうちょうを張ちょう設せつし、 もろもろの繒幡ぞうばんを懸かけたらん。 もしもろもろの小しょう王おう子じ、 罪つみを王おうに得えたらん、 すなはちかの獄ごくのうちに内いれて、 繋つなぐに金こがねの鎖くさりをもつてせんがごとしº。乃至

仏ぶち告つげたまはく↢弥み勒ろくに↡、譬たとえば如ごとし↧転輪てんりん聖じやう王わうに有あり↢七宝ぽうの牢獄らうごく↡。種種しゆじゆに荘しやう厳ごむし張ちやう↢設せちし床帳じやうちやうを↡、懸かけたらむ↢諸もろもろの繒幡ぞうばんを↡。若もし諸もろもろの小せう王わう子じ、得えたらむ↢罪つみを於に↟王わう、輒すなわち内いれて↢彼かの獄ごくの中うちに↡、繋つなぐに以もてせむが↦金こがねの鎖くさりを↥。 乃至

^▲仏ぶつ、 弥み勒ろくに告つげたまはく、 ªこのもろもろの衆しゅ生じょう、 またまたかくのごとし。 仏ぶっ智ちを疑ぎ惑わくするをもつてのゆゑに、 かの胎たい宮ぐに生しょうず。 乃至

仏ぶち告つげたまはく↢弥み勒ろくに↡、此この諸もろもろの衆しゆ生じやう、亦復 また 如ごとし↠是かくの。以もての疑ぎ↢惑わくするを仏ぶち智ちを↡故ゆへに生しやうず↢彼かの胎く宮たいに↡。 乃至

^▲もしこの衆しゅ生じょう、 その本もとの罪つみを識しりて、 深ふかくみづから悔け責しゃくしてかの処ところを離はなれんと求もとめよ。 乃至

若もし此この衆しゆ生じやう、識しりて↢其その本もとの罪つみを↡、深ふかく自みづから悔くゑクヰ責しやくセメテして求もとめよ↠離はなれむと↢彼かの処ところを↡。 乃至

^▲弥み勒ろくまさに知しるべし、 それ菩ぼ薩さつあつて疑ぎ惑わくを生しょうずるは、 大だい利りを失うしなふとすº」 と。 略抄

弥み勒ろく当まさベ にシ↠知しる、其それ有あて↢菩ぼ薩さち↡生しやうずれ↢疑ぎ惑わくを↡者ば、為すと↠失ふと↢大だい利りを↡。」ネチハンノサトリ 略抄

三 Ⅱ ⅰ b ロ 寿会

 0595^また ¬無む量りょう寿じゅ如来にょらい会え¼ (下) にのたまはく、

^「▲仏ぶつ、 弥み勒ろくに告つげたまはく、 ªもし衆しゅ生じょうあつて、 疑悔ぎけに随したごうて善根ぜんごんを積集しゃくじゅうして、 仏ぶっ智ち・普ふ遍へん智ち・不ふ思議しぎ智ち・無む等とう智ち・威い徳とく智ち・広大こうだい智ちを希求けぐせんに、 みづからの善根ぜんごんにおいて信しんを生しょうずることあたはず。 ◆この因縁いんねんをもつて、 五ご百ひゃく歳さいにおいて宮く殿でんのうちに住じゅうすと。 乃至

「仏ぶち告つげたまはく↢弥み勒ろくに↡、若もし有あて↢衆しゆ生じやう↡、随したがふて↠於に↢疑ぎ悔くゑ↡ウタガフコヽロ積しやく↢集じふツミアツム して善根ぜんごんを↡、希け↢求ぐせむに仏ぶち智ち・普ふ徧へん智ち・不ふ思議しぎ智ち・无む等とう智ち・威ゐ徳とく智ち・広くわう大だい智ちを↡、於おいて↢自みづかの善根ぜんごんに↡不ず↠能あたは↠生しやうずること↠信しんを。以もて↢此この因縁いんねんを↡、於おいて↢五百歳さいに↡住ぢゆすと↢宮く殿でむの中うちに↡。 乃至

^▲阿あ逸いっ多た (弥勒)、 なんぢ殊しゅ勝しょう智ちのものを観みそなはすに、 かの広こう慧えの力ちからによるがゆゑ0638に、 *かの化け生しょうを受うく。 蓮れん華げのなかにおいて結けっ跏か趺坐ふざす。 なんぢ下げ劣れつの輩ともがらを観みそなはすに、 乃至 もろもろの功く徳どくを修しゅ習じゅうすることあたはざるがゆゑに、 因いんなくして無む量りょう寿じゅ仏ぶつに奉事ぶじせん。 このもろもろの人ひと等ら、 みな昔むかし疑悔ぎけせんによつて致いたすところとするなりº と。 乃至

阿逸わあいち多た、ミロクボサチナリ汝なんぢ観みそなはすに↢殊しゆ勝しよう智ちの者ものを↡、彼かの因よるが↢広くわう慧ゑの力ちからに↡故ゆへに、受うく↢彼かの化くゑ生しやうを↡、於おいて↢蓮華れんぐゑの中なかに↡結けち跏か趺坐ふざす。汝なんぢ観みそなはすに↢下げ劣れち之の輩ともがらを↡、 乃至 不ざるが↠能あたは↣修しゆ↢習じふすること諸もろもろの功く徳どくを↡故ゆへに、无なくして↠因いん奉ぶ↢事じせむ无む量りやう寿じゆ仏ぶちに↡。是この諸もろもろの人ひと等ら、皆みな為するるなりと↧昔むかし縁よて↢疑ぎ ウタガフ悔くゑせしに↡所ところと↞致いたす。 乃至

^▲仏ぶつ、 弥み勒ろくに告つげたまはく、 ªかくのごとし、 かくのごとし。 もし疑悔ぎけに随したごうて、 もろもろの善根ぜんごんを種うゑて、 仏ぶっ智ち乃ない至し広大こうだい智ちを希求けぐすることあらん。 みづからの善根ぜんごんにおいて信しんを生しょうずることあたはず。 仏ぶつの名みなを聞ききて信心しんじんを起おこすによるがゆゑに、 かの国くにに生うまるといへども、 蓮れん華げのうちにおいて出しゅつ現げんすることを得えず。 かれらの衆しゅ生じょう、 華け胎たいのうちに処しょすること、 園苑おんえん宮く殿でんの想おもいのごとしº」。 乃ない至し略出

仏ぶち告つげたまはく↢弥み勒ろくに↡、如ごとし↠是かくの如ごとし↠是かくの。若もし有あらむ↧随したがふて↠於に↢疑ぎ悔くゑに↡、種うえて↢諸もろもろの善根ぜんごんを↡、希け↦求ぐすること仏ぶち智ち乃ない至し広くわう大だい智ちを↥。於おいて↢自みずからの善根ぜんごんに↡不ず↥能あたは↥生しやうずること↥信しんを。由よるが↧聞きゝて↢仏ぶちの名みな0596を↡起おこすに↦信しん心じむを↥故ゆへに、雖いゑども↠生むまると↢彼かの国くにに↡、於おいて↢蓮華れんぐゑの中うちに↡不ず↠得え↢出しゆつ現げんすることを↡。彼かれ等らの衆しゆ生じやう処しよすること↢華胎くゑたいの中うちに↡、猶↢如  ごと  し 園おんウシロノソノ 苑おんマヘノソノ宮く殿でむ之の想おもひの↡。」 乃至略出

三 Ⅱ ⅱ 釈文
      a 光明

 ^光こう明みょう寺じ (善導) の釈しゃく (定善義) にいはく、

^「▲華はなに含ふくんでいまだ出いでず。 あるいは辺界へんかいに生しょうじ、 あるいは宮く胎たいに堕だす」 と。 以上

「含ふうんで↠華はなに未いまズ だ↠出いで。或あるいは生しやうじ↢辺界へんがいに↡、或あるいは堕だすと↢宮く胎たいに↡。」已上

三 Ⅱ ⅱ b 憬興

 ^憬きょう興ごう師しジヤウドノニンシナリ(述文賛) のいはく、

^「▲仏ぶっ智ちを疑うたがふによつて、 かの国くにに生うまるといへども、 辺へん地じにあつて聖しょう化けの事じを被かぶらず。 もし胎たい生しょうせば、 よろしくこれを重おもく捨すつべし」 と。 以上

「由よて↠疑うたがふに↢仏ぶち智ちを↡、雖いゑども↠生むまると↢彼かの国くにに↡、而在あて↢辺へん地ぢに↡不ず↠被かぶら↢聖しやう化くゑの事じを↡。若もし胎たい生しやうせば、宜よろしベ くシト↢之これを重おもく捨すつ↡。」已上

三 Ⅲ 結示

【14】^これらの真文しんもんにて、 難なん思じ往おう生じょうと申もうすことを、 よくよくこころえさせ う たま0639ふべし と。

  南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ 南無なも阿あ弥陀みだ仏ぶつ

 

*康元こうげん二に年ねん三月さんがつ二ふつ日かこれを書写しょしゃす。

愚ぐ禿とく親鸞しんらん八はち十じゅう五ご歳さい

*建長七歳乙卯八月六日

愚禿親鸞 八十三歳 書之

 

底本は興正派興正寺蔵伝宗祖真筆本ˆ広本、 浄聖全上段と同一ˇ。 (黄色の太い下線は略本ˆと重なる部分ˇを示し、底本は浄聖全下段の本派本願寺蔵建長七年宗祖真筆本。 また、 黄土色の上線は ¬如来二種廻向文¼ と同じ内容を示す。)
不可思議の願海 本願が衆しゅ生じょうの思慮を超えたものであることを広大な海に喩えていう。
念仏往生の願因 念仏往生の願 (第十八願) に誓われている往生の因。 すなわち真実の行ぎょう信しんをいう。
必至滅度の願果 必至滅度の願 (第十一願) に誓われている証果。 すなわち大だい涅ね槃はんのさとりをいう。
歓喜…回向して 「信巻」 では如来回向の義をあらわして 「歓喜せしめ、 諸有の善根回向したまへるを愛楽して」 と読んでいる。
大施品 引用の文は 「大施品」 になく 「諸しょ菩ぼ薩さつ本ほん授じゅ記き品ぼん」 にある。
夢に ¬三経往生文類¼ (略本) では 「夢のごとくに」 と読んでいる。
甚深の法忍 無む生しょう法ぼう忍にんのこと。
第二 「西方…生ず」 の文は現行の ¬菩ぼ薩さつ処胎しょたい経きょう¼ では第三 (巻三) にある。
善本徳本 自力の念仏のこと。 名みょう号ごうには因いん位にの法蔵ほうぞう菩薩の万善をおさめるから善本といい、 果位の阿弥陀仏の万徳を具するから徳本という。 自力念仏の人は名号の多た善根ぜんごん性にとらわれ、 多く称えて善根を積み、 救われようとするからとくにこの名を立てる。
聖化の事を被らず 阿弥陀仏の教化、 導きを受けることがない。
本願成就文… 略本では十八願成就文のみが必至滅度の願文の次にある。
植諸徳本就文… 略本では大経成就文の次にある。