讃阿弥陀仏偈
*曇鸞法師作
南無阿弥陀仏 *釈して無量寿と名づく。 ¬経¼ (大経) に傍へて奉讃す。 また安養ともいふ。
釈して…いふ 親鸞聖人は 「釈して無量寿傍経と名づく。 讃めたてまつりてまた安養といふ」 (真仏土文類訓) と読み、 本偈を経典に順ずるものと見られた。
◎南無阿弥陀仏釈名↢無量寿傍経↡奉↠讃亦曰↢安養↡
◎ 原漢文の底本は本派本願寺蔵版。 龍谷大学蔵敦煌本 (唐代写本)、 龍谷大学蔵室町時代写本、 大派依用十行本と対校されている。
○仏荘厳
【1】 ▼現に西方この界を去ること、 *十万億刹の安楽土にまします。
十万億刹 刹は梵語クシェートラ (kşetra) の音写。 国土のこと。 十万億の国土の彼方。
現在↧西方去↢此界↡ 十万億刹安楽土↥
仏世尊を阿弥陀と号けたてまつる。 われ往生せんと願じて帰命し礼したてまつる。
仏世尊号↢阿弥陀↡ 我願↢往生↡帰命礼
【2】 成仏よりこのかた十劫を歴たまへり。 寿命まさに量りあることなし。
成仏已来歴↢十劫↡ 寿命方将無↠有↠量
*法身の光輪*法界にあまねくして、 *世の盲冥を照らす。 ゆゑに*頂礼したてまつる。
世の盲冥 無明煩悩の衆生を指していう。 →
補註10
法身光輪徧↢法界↡ 照↢世盲冥↡故頂礼
十二光讃
【3】 智慧の光明量るべからず。 ゆゑに仏をまた無量光と号けたてまつる。
智慧光明不↠可↠量 故仏又號↢無量光↡
*有量の諸相*光暁を蒙る。 このゆゑに▼*真実明を*稽首したてまつる。
有量の諸相 あらゆる衆生のこと。
光暁 仏の光明が無明の闇を破ることを暁の光に喩えていう。
真実明 明は智慧の意。 真実の智慧で十方世界を照らす仏という意。
有量諸相蒙↢光暁↡ 是故稽↢首真実明↡
【4】 解脱の光輪限斉なし。 ゆゑに仏をまた無辺光と号けたてまつる。
解脱光輪無↢限斉↡ 故仏又號↢無辺光↡
光触を蒙るもの*有無を離る。 このゆゑに▼*平等覚を稽首したてまつる。
有無 すべての事物を実有とみる有見と、 空無とみる無間。 ともに邪見とされる。
平等覚 すべての事物の無差別平等をさとった仏という意。
蒙↢光触↡者離↢有無↡ 是故稽↢首平等覚↡
【5】 *光雲*無礙にして虚空のごとし。 ゆゑに仏をまた無礙光と号けたてまつる。
光雲 仏の光明を、 すべてのものに雨のめぐみをもたらす雲に喩えていう。
光雲無如↢虚空↡ 故仏又號↢無光↡
一切の*有礙*光沢を蒙る。 このゆゑに▼*難思議を頂礼したてまつる。
有礙 煩悩悪業のさわりを有する者。 すべての衆生のこと。
光沢 沢は潤いの意。 仏の光明がもたらす利益を雨の潤いに喩えていう。
難思議 思いはかることのできない仏という意。
一切有礙蒙↢光沢↡ 是故頂↢礼難思議↡
【6】 清浄の光明対ぶものあることなし。 ゆゑに仏をまた無対光と号けたてまつる。
清浄光明無↠有↠対 故仏又號↢無対光↡
この光に遇ふもの*業繋除こる。 このゆゑに▼*畢竟依を稽首したてまつる。
業繋 煩悩にもとづく行為によって迷界につなぎとめられること。
畢竟依 究極の依りどころとなる仏という意。
遇↢斯光↡者業繋除 是故稽↢首畢竟依↡
【7】 仏光照曜すること最第一なり。 ゆゑに仏をまた*光炎王と号けたてまつる。
光炎王 炎王光に同じ。
仏光照曜最第一 故仏又號↢光炎王↡
三塗の黒闇*光啓を蒙る。 このゆゑに▼*大応供を頂礼したてまつる。
光啓 光明によって闇がひらけること。
大応供 衆生の供養を受けるにふさわしい仏という意。
三塗黒闇蒙↢光啓↡ 是故頂↢礼大応供↡
【8】 *道光明朗にして、 色超絶したまへり。 ゆゑに仏をまた清浄光と号けたてまつる。
道光 仏のさとりの智慧から放たれる光明。
道光明朗色超絶 故仏又號↢清浄光↡
一たび光照を蒙れば、 罪垢除こりてみな解脱を得。 ゆゑに頂礼したてまつる。
一蒙↢光照↡罪垢除 皆得↢解脱↡故頂礼
【9】 慈光はるかに被らしめ、 安楽を施したまふ。 ゆゑに仏をまた歓喜光と号けたてまつる。
慈光遐被施↢安楽↡ 故仏又號↢歓喜光↡
光の至るところの処法喜を得。 ▼*大安慰を稽首し頂礼したてまつる。
大安慰 衆生に大いなる安らぎとなぐさめをもたらす仏という意。
光所↠至処得↢法喜↡ 稽↢首頂↣礼大安慰↡
【10】 仏光よく無明の闇を破す。 ゆゑに仏をまた智慧光と号けたてまつる。
仏光能破↢無明闇↡ 故仏又號↢智慧光↡
一切諸仏・三乗衆、 ことごとくともに歎誉したまへり。 ゆゑに稽首したてまつる。
一切諸仏三乗衆 咸共歎誉故稽首
【11】 光明一切の時にあまねく照らす。 ゆゑに仏をまた不断光と号けたてまつる。
光明一切時普照 故仏又號↢不断光↡
光力を聞くがゆゑに、 心断えずしてみな往生を得。 ゆゑに頂礼したてまつる。
聞光力故心不↠断 皆得↢往生↡故頂礼
【12】 その光仏を除きてはよく測るものなし。 ゆゑに仏をまた*難思議と号けたてまつる。
難思議 難思光のこと。
其光除↠仏莫↢能測↡ 故仏又號↢難思光↡
十方諸仏往生を歎じ、 その功徳を称したまへり。 ゆゑに稽首したてまつる。
十方諸仏歎↢往生↡ 称↢其功徳↡故稽首
【13】 *神光、 相を離れたれば、 名づくべからず。 ゆゑに仏をまた無称光と号けたてまつる。
神光… 不可思議な光明 (神光) の徳は、 すがたかたちを超えているので、 言葉に説き尽すことができない。
神光離↠相不↠可↠名 故仏又號↢無称光↡
*光によりて成仏したまへば、 光*赫然たり。 諸仏の歎じたまふところなり。 ゆゑに頂礼したてまつる。
光によりて… 阿弥陀仏は光明無量の願によって成仏されたという意。
赫然 盛んに輝くさま。
因↠光成仏光赫然 諸仏所↠歎故頂礼
【14】 光明照曜すること日月に過ぎたり。 ゆゑに仏を超日月光と号けたてまつる。
光明照曜過↢日月↡ 故仏號↢超日月光↡
釈迦仏歎じたまふもなほ尽きず。 ゆゑにわれ▼*無等等を稽首したてまつる。
無等等 並ぶものがないほどすぐれている仏という意。
釈迦仏歎尚不↠尽 故我稽↢首無等等↡
○菩薩荘厳
【15】 ▼阿弥陀仏の*初会の衆は、 声聞・菩薩の数無量なり。
初会 成仏の後の最初の説法の会座。
阿弥陀仏初会衆 声聞・菩薩数無量
神通巧妙にして算ふることあたはず。 このゆゑに*広大会を稽首したてまつる。
広大会 無数の聖者たちを集めた広大な法会の主である仏という意。
神通巧妙不↠能↠算 是故稽↢首広大会↡
【16】 安楽の無量の*摩訶薩は、 みなまさに*一生にして仏処を補ふべし。
安楽無量摩訶薩 咸当↣一生補↢仏処↡
その本願の*大弘誓をもつて、 あまねくもろもろの衆生を*度脱せんと欲するを除く。
大弘誓 穢土の衆生をあまねく救い導く広大な誓い。
除↤其本願大弘誓 普欲↣度↢脱諸衆生↡
これらの*宝林功徳聚を、 一心に合掌し頭面をもつて礼したてまつる。
宝林功徳聚 宝の林のようにすぐれた功徳を集めた聖者たち。 浄土の菩薩のことをいう。
斯等宝林功徳聚 一心合掌頭面礼
【17】 安楽国土のもろもろの声聞は、 みな光*一尋にして流星のごとし。
一尋 尋は長さの単位。 両手を左右に広げた時の長さを一尋とする。
安楽国土諸声聞 皆光一尋若↢流星↡
菩薩の光輪は四千里にして、 秋の満月の紫金に映ずるがごとし。
菩薩光輪四千里 若↣秋満月映↢紫金↡
仏の*法蔵を集めて衆生のためにす。 ゆゑにわれ*大心海を頂礼したてまつる。
法蔵 ここでは自利利他の行の徳という意。
大心海 海のように広大な心をもつ仏という意。
集↢仏法蔵↡為↢衆生↡ 故我頂↢礼大心海↡
【18】 また*観世音・*大勢至は、 もろもろの聖衆において最第一なり。
又観世音・大勢至 於↢諸聖衆↡最第一
慈光*大千界を照曜し、 仏の左右に侍して*神儀を顕す。
神儀 厳かで気高いすがた。
慈光照↢曜大千界↡ 侍↢仏左右↡顕↢神儀↡
もろもろの有縁を度してしばらくも息まざること、 大海の潮の時を失せざるがごとし。
度↢諸有縁↡不↢暫息↡ 如↢大海潮不↟失↠時
かくのごとき大悲 (観音)・大勢至を、 一心に稽首し頭面をもつて礼したてまつる。
如↠是大悲・大勢至 一心稽首頭面礼
【19】 ▼それ衆生ありて安楽に生ずれば、 ことごとく*三十有二相を具す。
其有↢衆生↡生↢安楽↡ 悉具↢三十有二相↡
智慧満足して深法に入る。 *道要を究暢して障礙なし。
道要を究暢して さとりの道をきわめて。
智慧満足入↢深法↡ 究↢暢道要↡無↢障礙↡
*根の利鈍に随ひて忍を成就す。 *三忍乃至不可説なり。
根の利鈍 素質能力のすぐれていることと劣っていること。
三忍 音響忍・
柔順忍・
無生法忍の三法忍のこと。 →
三宝忍
随↢根利鈍↡成↢就忍↡ *二忍乃至不可*計
二 室町時代写本では 「三」。
計 室町時代写本では 「説」。
*宿命五通つねに自在にして、 仏に至るまで*雑悪趣に更らず。
宿命五通 宿命通をはじめとする五神通。 五神通は六神通のうち
漏尽通以外の五のこと。 →
六神通
雑悪趣 種々無量の悪がまじる境界。 地獄・餓鬼・畜生の三悪趣のこと。
宿命五通常自在 至↠仏不↠更↢雑悪趣↡
他方の五濁の世に生じて、 示現して同じく大牟尼 (釈尊) のごとくなるを除く。
除↧生↢他方五濁世↡ 示現同如↦大牟尼↥
安楽国に生じて大利を成ず。 このゆゑに心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
生↢安楽国↡成↢大利↡ 是故至↠心頭面礼
【20】 安楽の菩薩は仏の*神を承けて、 一念のあひだに十方に詣る。
神 不思議な力。
安楽菩薩承↢仏神↡ 於↢一*食頃↡詣↢十方↡
食 室町時代写本では 「念」。
算数すべからざる仏世界にして、 もろもろの如来を恭敬し供養したてまつる。
不↠可↢算数↡仏世界 恭↢敬供↣養諸如来↡
華・香・*伎楽、 念に従ひて現じ、 *宝蓋・幢幡、 意に随ひて出づ。
宝蓋幢幡 宝石のかさ・はたぼこ。
花・香・伎楽従↠念現 宝葢・幢幡随↠意出
珍奇なること世に絶れてよく名づくることなし。 散華して殊勝の宝を供養したてまつれば、
珍奇絶↠世無↢能名↡ 散花供↢養殊*異宝↡
異 聖教全書まま。 室町時代写本では 「星」。
化して*華蓋となり、 光*晃耀し、 香気あまねく薫じてあまねからざるはなし。
晃耀し 盛んに輝き。
化成↢華葢↡光晃耀 香気普薫莫↠不↠周
華蓋の小なるものも四百里なり。 すなはちあまねく*一仏界を覆ふことあり。
一仏界 一仏の教化する世界。 通常一つの三千大千世界であるとされる。
華葢小者四百里 乃有↣遍覆↢一仏界↡
その前後に随ひて次いで化し去る。 このもろもろの菩薩みな*欣悦す。
欣悦 よろこぶこと。
随↢其前後↡次化去 是諸菩薩僉欣悦
虚空のなかにおいて天楽を奏し、 徳を*雅讃し、 *仏慧を頌揚す。
雅讃 ほめたたえること。
仏慧頌揚す 仏の智慧をほめたたえる。
於↢虚空中↡奏↢天楽↡ *雅讃・徳頌揚↢仏慧↡
雅讃徳頌揚仏慧 返り点・区切りは底本まま。 「雅讃・徳頌仏慧を揚ぐ」
経法を聴受して供養しをはりて、 いまだ食せざる前に虚に騰りて還る。
聴↢受経法↡供養已 未↠食之前騰↠虚還
*神力自在にして測るべからず。 ゆゑにわれ*無上道を頂礼したてまつる。
神力自在不↠可↠測 故我頂↢礼無上*尊↡
尊 室町時代写本では 「道」。
【21】 ▼安楽仏国のもろもろの菩薩、 それ宣説すべきことは智慧に随ふ。
安楽仏国諸菩薩 夫可↢宣説↡随↢智慧↡
おのが万物において*我所を亡ず。 浄きこと蓮華の塵を受けざるがごとし。
我所を亡ず 我執の思いを滅ぼし尽している。
於↢己万物↡亡↢我所↡ 浄若↢蓮華不↟受↠塵
往来進止汎べる舟のごとし。 *利安を務めとなして*適莫を捨つ。
利安 衆生を利益して安らぎを与えること。
往来進止若↢汎舟↡ 利安為↠務捨↢適莫↡
かれもおのれも空のごとくして*二想を断ず。 智慧の炬を燃して長夜を照らす。
二想 他者・自己の二にとらわれる思い。
彼己猶空断↢二想↡ 然↢智慧炬↡照↢長夜↡
*三明六通みなすでに足れり。 菩薩の万行心眼を貫く。
三明六通皆已足 菩薩万行貫↢心眼↡
かくのごとき功徳辺量なし。 このゆゑに心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
如↠是功徳無↢辺量↡ 是故至↠心頭面礼
【22】 ▼安楽の声聞・菩薩衆、 人天、 智慧ことごとく洞達せり。
安楽声聞・菩薩衆 人・天智慧咸洞達
身相の荘厳殊異なし。 ただ*他方に順ずるがゆゑに名を列ぬ。
他方に… 他の世界になぞらえて、 声聞・菩薩・人天の名を立てているだけで、 実体のないこと。
身相荘厳無↢殊異↡ 但順↢他方↡故列↠名
顔容端正にして比ぶべきなし。 *精微妙躯にして人天にあらず。
精微妙躯 不可思議ですぐれた身体。
顔容端正無↠可↠比 精微妙躯非↢人天↡
*虚無の身無極の体なり。 このゆゑに平等力を頂礼したてまつる。
虚無の身無極の体 虚無、 無極はともに限定を超えた涅槃のこと。 浄土における身体は涅槃のさとりにかない、 絶対の自由をもつものであるということ。
虚無之身無極体 是故頂↢礼平等力↡
【23】 敢みてよく安楽国に生ずることを得れば、 みなことごとく*正定聚に住す。
敢能得↠生↢安楽国↡ 皆悉住↢於正定聚↡
*邪定・不定その国になし。 諸仏ことごとく讃じたまふ。 ゆゑに頂礼したてまつる。
邪定・不定其国無 諸仏咸讃故頂礼
【24】 ▼*あらゆるもの、 阿弥陀の徳号を聞きて、 信心歓喜して聞くところを慶び、
あらゆるもの…ことを得 親鸞聖人は 「あらゆるもの、 阿弥陀の徳号を聞きて、 信心歓喜して聞くところを慶ばんこと、 いまし一念におよぶまでせん。 至心のひと、 回向したまへり。 生ぜんと願ずればみな往くことを得しむ」 (信文類訓) と読まれた。
諸聞↢阿弥陀徳號↡ 信心歓喜慶↠所↠聞
すなはち一念に曁ぶまで心を至すもの、 回向して生ぜんと願ずればみな生ずることを得。
乃曁↢一念↡至心者 廻向願↠生皆得↠生
ただ*五逆と*謗正法とを除く。 ゆゑにわれ頂礼して往生を願ず。
唯除↢五逆謗正法↡ 故我頂礼願↢往生↡
【25】 ▼安楽の菩薩・声聞の輩、 この世界において比方なし。
安楽菩薩・声聞輩 於↢此世界↡無↢比方↡
釈迦*無礙の大弁才をもつて、 もろもろの仮令を設けて少分を示し、
無礙の大弁才 自由自在なる弁舌の才能。
釈迦無礙大弁才 設↢諸仮令↡示↢少分↡
*最賤の乞人を帝王に並べ、 帝王をまた*金輪王に比ぶ。
金輪王 金銀銅鉄の四種の転輪王の一。 四天下のすべてを治めるもっともすぐれた転輪王。 →
転輪王
最賤乞人並↢帝王↡ 帝王復比↢金輪王↡
かくのごとく*展転して*六天に至る。 次第してあひ形すことみな始めのごとし。
如↠是展転至↢六天↡ 次第相形皆如↠始
*天の色像をもつてかれに喩ふるに、 千万億倍すともその類にあらず。
天の色像 第六天のすがたかたち。
以↢天色像↡喩↢於彼↡ 千万億倍非↢其類↡
みなこれ*法蔵願力のなせるなり。 *大心力を稽首し頂礼したてまつる。
法蔵願力 法蔵菩薩の本願力。
大心力 大いなる願心の力をそなえた仏という意。
皆是法蔵願力為 稽↢首頂↣礼大心力↡
【26】 天・人一切須むるところあれば、 欲に称はざるはなし。 念に応じて至る。
天人一切有↠所↠須 無↠不↢称↠欲応↠念至↡
一宝・二宝・無量宝、 心に随ひて*受用の具を化造す。
受用の具 衣服・香・華などの品々。
一宝・二宝・無量宝 随↠心化↢造受用具↡
堂宇・飲食ことごとくかくのごとし。 ゆゑにわれ*無称仏を稽首したてまつる。
無称仏 言葉に説き尽すことのできない仏という意。
堂宇・飲食悉如↠此 故我稽↢首無称仏↡
【27】 もろもろの往生するもの、 ことごとく清浄の色身を具足して、 比ぶべきなし。
諸往生者悉具↢足 清浄色身↡無↠可↠比
神通功徳および宮殿・服飾の荘厳は六天のごとし。
神通功徳及宮殿 服飾荘厳如↢六天↡
*応器の宝鉢自然に至り、 *百味の嘉餚たちまちすでに満つ。
応器 応量器の略。 仏が定められた修行者の食器。
百味の嘉餚 種々さまざまな美食。
応器宝鉢自然至 百味嘉餚儵已満
色を見、 香りを聞き、 意に食せんとすれば、 忽然として飽足し*適悦を受く。
適悦 心にかなったよろこび。
見↠色聞↠香意為↠食 忽然飽足受↢適悦↡
味はふところ清浄にして*着するところなし。 事已れば化し去り、 須むればまた現ず。
着する (美食に) 執着する。
所↠味清浄無↠所↠著 事已化去須復現
*晏安たる快楽は*泥洹に次し。 このゆゑに心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
晏安 おだやかにやすらぐさま。
晏安快楽次↢泥洹↡ 是故至↠心頭面礼
【28】 十方仏土の菩薩衆およびもろもろの比丘、 安楽に生ずるもの、
十方仏土菩薩衆 及諸比丘生↢安楽↡
無量無数にして計るべからず。 *已生・今生・当もまたしかなり。
已生今生当 過去に往生したもの・現在に往生しようとするもの・未来に往生するもの。
無量無数不↠可↠計 已生・今生・当亦然
みなかつて無量の仏を供養し、 百千堅固の法を*摂取す。
皆曾供↢養無量仏↡ 摂↢取百千堅固法↡
かくのごとき*大士ことごとく往生す。 このゆゑに阿弥陀を頂礼したてまつる。
大士 偉大な人。 すぐれた人。
如↠是大士悉往生 是故頂↢礼阿弥陀↡
【29】 ▼もし阿弥陀仏の号を聞きて、 歓喜し讃仰し、 心帰依すれば、
若聞↢阿弥陀仏號↡ 歓喜讃仰心帰依
下一念に至るまで大利を得。 すなはち功徳の宝を具足すとなす。
下至↢一念↡得↢大利↡ 則為↣具↢足功徳宝↡
たとひ*大千世界に満てらん火をも、 またただちに過ぎて仏の名を聞くべし。
設満↢大千世界↡火 亦応↣直過聞↢仏名↡
阿弥陀を聞けば、 また*退かず。 このゆゑに心を至して稽首し礼したてまつる。
聞↢阿弥陀↡不↢復退↡ 是故至↠心稽首礼
【30】 ▼*神力無極の阿弥陀は、 十方無量の仏の歎じたまふところなり。
神力無極 不可思議な力がきわまりないこと。
神力無極阿弥陀 十方無量仏所↠歎
東方恒沙の諸仏の国、 菩薩無数にしてみな*往覲す。
往覲 往きてまみえること。 浄土に往詣して阿弥陀仏を見たてまつること。
東方恒沙諸仏国 菩薩無数皆往覲
また安楽国の菩薩・声聞・もろもろの大衆を供養し、
亦復供↢養安楽国 菩薩・声聞諸大衆↡
*経法を聴受して*道化を宣ぶ。 *自余の九方もまたかくのごとし。
経法 (阿弥陀仏の説く) 教法。
道化を宣ぶ (阿弥陀仏の教えを十方世界の衆生に) 説いて教化する。
自余の九方 東方以外の南西北・四維・上下の諸仏の国。
聴↢受経法↡宣↢道化↡ 自余九方亦如↠是
釈迦如来、 ▲*偈を説きて、 無量の功徳を頌したまふ。 ゆゑに頂礼したてまつる。
偈 ¬大経¼ (下) の 「往覲偈」 のこと。
釈迦如来説↠偈頌↢ 無量功徳↡故頂礼
【31】 諸来の無量菩薩衆、 *徳本を殖ゑんがために虔恭を致す。
徳本 すぐれた果徳を得るための因となる善根。
諸来無量菩薩衆 為↠植↢徳本↡致↢虔恭↡
あるいは天楽を奏して仏を歌歎し、 あるいは仏慧の世間を照らすを頌す。
或奏↢音楽↡歌↢歎仏↡ 或頌↣仏慧照↢世間↡
あるいは天の華・衣をもつて供養し、 あるいは浄土を覩て*等願を興す。
等願 (阿弥陀仏の浄土と) 等しくしようという願い。
或以↢天華衣↡供養 或覩↢浄土↡興↢等願↡
かくのごとき聖衆ことごとく現前し、 *八梵声をもつて*仏記を授くるを蒙る。
如↠是聖衆悉現前 蒙↣八梵声授↢仏記↡
一切の菩薩願行を増す。 ゆゑにわれ*婆伽婆を頂礼したてまつる。
婆伽婆 梵語バガヴァット (bhagavat) の音写。 世尊と漢訳する。 →
世尊
一切菩薩増↢願行↡ 故我頂↢礼婆伽婆↡
【32】 聖主世尊 (阿弥陀仏) 説法の時、 大衆七宝の堂に雲集す。
聖主世尊説法時 大衆雲↢集七宝堂↡
仏の開示を聴きてことごとく悟入し、 歓喜充遍してみな*道を得。
道 さとり。
聴↢仏開示↡咸悟入 歓喜充遍皆得↠道
時に四面より清風起り、 宝樹を撃動して妙響を出す。
于↠時四面起↢清風↡ 撃↢動宝樹↡出↢妙響↡
*和韻清徹にして*糸竹に過ぎ、 *金石に踰えて倫比なし。
和韻 調和のとれた音色。
糸竹 糸は琴などの弦楽器、 竹は笛などの管楽器。
金石 金属製・石製の打楽器。 鐘や磬など。
和韻清徹過↢糸竹 踰↢於金石↡無↢倫比↡
天華*繽紛として香風を逐ひ、 自然の供養つねにして息まず。
繽紛 花びらが乱れ散るさま。
天華繽紛逐↢香風↡ 自然供養常不↠息
諸天また天の華香を持し、 百千の伎楽もつて敬ひを致す。
諸天復持↢天華香↡ 百千伎楽用致↠敬
かくのごとき功徳三宝の聚なり。 ゆゑにわれ想を運らして*講堂を礼したてまつる。
講堂 講堂 (教法を講説する堂舎) を成就した仏という意。
如↠是功徳三宝聚 故我運↠想礼↢講堂↡
○国土荘厳
【33】 ▼妙土広大にして*数限を超ゆ。 自然の*七宝をもつて合成するところなり。
数限を超ゆ 数量による限定を超えている。
妙土広大超↢数限↡ 自然七宝所↢合成↡
仏の*本願力より*荘厳起る。 *清浄大摂受を稽首したてまつる。
清浄大摂受 清浄で、 広く衆生をおさめとる仏という意。
仏本願力荘厳起 稽↢首清浄大摂受↡
【34】 世界光曜すること妙にして殊絶す。 *適悦晏安として*四時なし。
適悦晏安 よろこびに満たされ、 おだやかに安らいでいるさま。
世界光曜妙殊絶 適悦晏安無↢四時↡
*自利*他利の力円満したまふ。 *方便巧荘厳を帰命したてまつる。
方便巧荘厳 慈悲のてだてとしてのたくみな浄土の荘厳相。
自利他利力円満 帰↢命方便巧荘厳↡
宝地澄静にして平らかなること掌のごとく、 山・川・陵・谷の阻あることなし。
宝地澄静平如↠掌 無↠有↢山川・陵谷阻↡
もし仏の神力をもつて須むればすなはち見る。 不可思議尊を稽首したてまつる。
若仏神力須則見 稽↢首不可思議尊↡
【35】 *道樹の高さ四百万里、 周囲由旬五千あり。
道樹 道場樹のこと。 仏がさとりをひらく場所にある樹。 菩提樹。
道樹高四百万里 周囲由旬有↢五十↡
枝葉布くこと里二十万なり。 自然の衆宝をもつて合成するところなり。
枝葉布里二十万 自然衆宝所↢合成↡
*月光摩尼・*海輪宝、 衆宝の王をもつて荘厳す。
海輪宝 持海輪宝の略。 海のように偉大な徳を有する宝珠。
月光摩尼・海輪宝 衆宝之王而荘厳
*周帀してあひだに垂るる宝の*瓔珞は、 百千万種の色に変異す。
周帀 めぐっていること。
周匝垂↠間宝瓔珞 百千万種色変異
光焔照曜すること*千日に超え、 *無極の宝網その上に覆へり。
無極の宝網 無限にひろがった宝のあみ。
光焔照曜超↢千日↡ 無極宝網覆↢其上↡
一切の荘厳随ひて応現す。 *道場樹を稽首し頂礼したてまつる。
道場樹 道場樹 (菩提樹) を成就した仏という意。
一切荘厳随↠応現 稽↢首頂↣礼道場樹↡
【36】 微風、 樹を吹きて法音を出し、 あまねく十方諸仏の*刹に流る。
微風吹↠樹出↢法音↡ 普流↢十方諸仏刹↡
この音を聞くもの*深法忍を得、 仏道を成ずるに至るまで苦に遭はず。
聞↢斯音↡得↢深法忍↡ 至↠成↢仏道↡不↠遭↠苦
神力広大にして量るべからず。 道場樹を稽首し頂礼したてまつる。
神力広大不↠可↠量 稽↢首頂↣礼道場樹↡
【37】 樹香・樹色・樹音声・樹触・樹味および樹法、
樹香・樹色・樹音声・ 樹触・樹味及樹法
*六情遇へば*法忍を得。 ゆゑにわれ道場樹を頂礼したてまつる。
法忍 無生法忍のこと。
六情遇者得↢法忍↡ 故我頂↢礼道場樹↡
【38】 道場樹の六根に対するを蒙り、 すなはち成仏に至るまで根清徹なり。
蒙↣道場樹対↢六根↡ 乃至↢成仏↡根清徹
*音響・柔順・無生忍、 力の浅深に随ひてことごとく証を得。
音響・柔順・無生忍 随↢力浅深↡咸得↠証
この樹の威徳の由来するところ、 みなこれ如来 (阿弥陀仏) *五種の力なり。
五種の力 次行に示す 「神力」 と 「本願」 を合わせて総とし、 下の四を別として、 五種の力とする。
此樹威徳所↢由来↡ 皆是如来五種力
神力と本願および満足と、 明了と堅固と究竟願となり。
神力・本願及満足・ 明了・堅固・究竟願
慈悲方便称るべからず。 *真無量を帰命し稽首したてまつる。
真無量 はかりしることのできない慈悲方便をそなえた仏という意。
慈悲・方便不↠可↠称 帰↢命稽↣首真無量↡
【39】 ▼世の帝王より六天に至るまで、 音楽うたた妙にして八種あり。
従↢世帝王↡至↢六天↡ 音楽転妙有↢八重↡
*展転して勝るること千億万倍、 宝樹の音の麗しきこと倍してまたしかなり。
展転勝↠前億万倍 宝樹音麗倍亦然
また自然の妙なる伎楽あり。 法音清和にして*心神を悦ばしめ、
心神 神識。 こころ。
復有↢自然妙伎楽↡ 法音清和悦↢心神↡
*哀婉雅亮にして十方に超ゆ。 ゆゑにわれ*清浄楽を稽首したてまつる。
哀婉雅亮 深い情趣をたたえて、 しなやかに響きわたり、 優雅・明澄であること。
清浄楽 清浄なる音楽を成就した仏という意。
哀婉雅亮超↢十方↡ 故我稽↢首清浄楽↡
【40】 七宝の樹林世界にあまねし。 光耀鮮明にしてあひ映発す。
七宝樹林周↢世界↡ 光耀鮮明相映発
華・菓・枝・葉たがひになる。 *本願功徳聚を稽首したてまつる。
本願功徳聚 本願力によって林のように功徳を集めた仏という意。
華菓枝葉更互為 稽↢首本願功徳聚↡
【41】 清風時々に宝樹を吹くに、 *五の音声を出して宮商和す。
五の音声 宮・商・角・徴・羽の音階。
清風時時吹↢宝樹↡ 出↢五音声↡宮商和
微妙の雅曲自然に成ず。 ゆゑにわれ*清浄勲を頂礼したてまつる。
清浄勲 きよらかな功勲 (功徳) のある仏という意。 異本には 「清浄薫」 とある。
微妙雅曲自然成 故我頂↢礼清浄*薫↡
薫 敦煌本、 室町時代写本では 勲。
【42】 その土広大にして崖際なく、 衆宝の*羅網あまねく上に覆へり。
其土広大無↢崖際↡ 衆宝羅網遍覆↠上
*金縷珠璣、 奇異の珍、 不可名の宝をもつて*校飾となす。
金縷珠璣 金の糸・宝珠。
校飾 飾り。
金縷・殊璣奇異珍 不可名宝為↢挍飾↡
四面に周帀して宝鈴を垂る。 調風吹き動かして妙法を出す。
周↢匝四面↡垂↢宝鈴↡ 調風吹動出↢妙法↡
和雅の徳香つねに流布せり。 聞くもの*塵労の習起らず。
和雅徳香常流布 聞者塵労習不↠起
この風身に触るれば快楽を受くること、 比丘の*滅尽定を得るがごとし。
滅尽定 心と、 心のはたらきとを滅し尽した禅定。 六識の心作用が滅びてなくなった精神統一の境地。
此風触↠身受↢快楽↡ 如↣比丘得↢滅尽定↡
風吹きて華を散らし、 仏土に満つ。 色の次第に随ひて雑乱せず。
風吹散↠華満↢仏土↡ 随↢色次第↡不↢雑乱↡
華質柔軟にして*列芬芳たり。 足その上を履むに下ること四指。
列芬芳 香りたかいこと。
華質柔軟列芬芳 足履↢其上↡下四指
足を挙ぐる時に随ひてまた故のごとし。 用ゐをはれば地開け、 没して遺ることなし。
随↢挙↠足時↡還如↠故 用訖地開没無↠遺
その時節に随ひて華*六返す。 *不可議の報なり。 ゆゑに頂礼したてまつる。
六返 昼夜六時 (
晨朝・日中・
日没・初夜・中夜・
後夜) に繰り返すこと。 →
六時
不可議 異本には 「不思議」 とある。
随↢其時節↡華六返 不可議報故頂礼
【43】 衆宝の蓮華世界に盈つ。 一々の華に百千億の葉あり。
衆宝蓮花盈↢世界↡ 一一華百千億葉
その葉の光明の色無量なり。 朱・紫・紅・緑五色に間はり、
其華光明色無量 朱・紫・紅・緑間↢五色↡
*煒燁煥爛として日光より曜く。 このゆゑに一心に稽首し礼したてまつる。
煒燁煥爛 さかんにかがやいているさま。
煒燁煥爛曜↢日光↡ 是故一心稽首礼
【44】 一々の華のなかより出すところの光、 三十六百有千億なり。
一一花中所↠出光 三十六百有千億
一々の華のなかに仏身あり。 多少また出すところの光のごとし。
一一光中有↢仏身↡ 多少亦如↢所↠出光↡
仏身の相好金山のごとし。 一々また百千の光を放ち、
仏身相好如↢金山↡ 一一又放↢百千光
あまねく十方のために妙法を説き、 おのおの衆生を仏道に安んず。
普為↢十方↡説↢妙法↡ 各安↢衆生於仏道↡
かくのごとき神力辺量なし。 ゆゑにわれ阿弥陀を帰命したてまつる。
如↠是神力無↢辺量 故我帰↢命阿弥陀↡
【45】 楼閣・殿堂工の造にあらず。 七宝の彫綺化してなるところなり。
楼閣・殿堂非↢工造↡ 七宝彫綺化所↠成
*明月・*珠璫、 *交露の縵あり。 おのおの浴池あり、 形あひ称ふ。
明月 月光摩尼に同じ。
珠璫 宝珠。
交露の縵 宝玉をつらねた幔幕。 宝玉の光が露を交えたように照り映えるので交露という。
明月・殊璫交露*幔 各有↢浴池↡形相称
幔 敦煌本では 縵。
八功徳の水池のなかに満てり。 色味香潔にして甘露のごとし。
八功徳水満↢池中↡ 色味香潔如↢甘露↡
黄金の池には白銀の沙あり。 七宝の池の沙たがひにかくのごとし。
黄金池者白銀沙 七宝池沙互如↠此
池岸の香樹上に垂れ布き、 *栴檀*芬馥としてつねに馨りを流す。
芬馥 香気が盛んに漂う様。
池岸香樹垂↢布上↡ 栴檀芬馥常流↠馨
天華*彩璨として映飾をなす。 水上*熠燿として景雲のごとし。
彩璨 色鮮やかに輝く様。
熠燿 光が盛んに輝く様。
天華*璀璨為↢映飾↡ 水上熠燿若↢景雲↡
璀 敦煌本、 室町時代写本では 彩。
*無漏の依果、 思議しがたし。 このゆゑに*功徳蔵を稽首したてまつる。
無漏の依果 漏は煩悩の異名。 依果は衆生の依り所となる環境世界。 煩悩を離れた世界の意。
功徳蔵 あらゆる功徳をおさめ、 たくわえている仏という意。
無漏依果難↢思議↡ 是故稽↢首功徳蔵↡
【46】 菩薩・声聞宝池に入れば、 意に随ひて浅深欲するところのごとし。
菩薩・声聞入↢宝池↡ 随↠意浅深如↠所↠欲
もし身に潅がんと須むれば、 自然に注ぐ。 *旋復せしめんと欲すれば、 水すなはち還る。
旋復 もとにもどすこと。
若須↠潅↠身自然注 欲↠令↢旋復↡水尋還
調和冷暖にして称はざるはなし。 *神開け体悦びて、 心垢を蕩かす。
調和冷暖無↠不↠称 神開体悦蕩↢心垢↡
清明澄潔にして形なきがごとし。 宝沙映徹して深からざるがごとし。
清明澄潔若↠無↠形 宝沙映徹如↠不↠深
*澹淡として回転りてあひ注潅す。 *嬋約容予にして人の神を和らぐ。
澹淡 水がゆったりとたゆたうさま。
嬋約容予 うるわしく好ましいさま。
澹淡廻転相注潅 婥約容予和↢人神↡
微波無量にして妙響を出す。 その所応に随ひて法語を聞く。
微波無量出↢妙響↡ 随↢其所応↡聞↢法語↡
あるいは三宝の妙章を聞き、 あるいは*寂静・空・無我を聞き、
或聞↢三宝之妙章↡ 或聞↢寂静・空無我↡
あるいは無量の波羅蜜・*力・不共法・*諸通慧を聞き、
諸通慧 さまざまな神通智慧。
或聞↢無量波羅密・ 力・不共法・諸通慧↡
あるいは*無作・無生忍、 乃至*甘露潅頂の法を聞く。
無作 とらわれのないこと。
甘露灌頂 十地の菩薩のこと。 仏が甘露の法水をその菩薩の頂に
灌ぐことからいう。 →
十地、
菩薩
或聞↢無作・無生忍 乃至甘露・潅頂法↡
根の*性欲に随ひてみな歓喜す。 三宝の相と真実の義に順ひて、
性欲 資質。 傾向。
随↢根性欲↡皆歓喜 順↢三宝相真実義↡
菩薩・声聞の所行の道、 ここにおいて一切ことごとくつぶさに聞く。
菩薩・声聞所行道 於↠是一切悉具聞
三塗苦難の名永く閉ぢ、 ただ自然快楽の音のみあり。
三塗苦難名永閉 但有↢自然快楽音↡
このゆゑにその国を安楽と号く。 頭面をもつて*無極尊を頂礼したてまつる。
無極尊 威神功徳が極まりない仏という意。
是故其国号↢安楽↡ 頭面頂↢礼無極尊↡
【47】 本師龍樹摩訶薩、 *形を*像始に誕じて*頽綱を理へ、
形を…理へ 親鸞聖人は 「形像を誕ず。 はじめて頽綱を理る」 (真仏土文類訓) と読まれた。
像始 像法の時代のはじめ。
頽綱を理へ おとろえた仏法の綱要をととのえただしたという意。
本師龍樹摩訶薩 *誕↢形像↡始理↢頽綱↡
誕形像始 返り点は聖教全書まま。 書き下し文 「形を…」 の註に呼応。
*邪扇を関閉して正轍を開く。 これ閻浮提の一切の眼なり。
邪扇を… よこしまな教えを閉ざして、 正しい仏法の道を明らかにしたという意。
関↢閉邪扇↡開↢正轍↡ 是閻浮提一切眼
*伏して承るに尊 (龍樹)、 歓喜地を*悟りて、 阿弥陀に帰して安楽に生ぜり。
伏して…悟りて 親鸞聖人は 「尊語を伏承し歓喜地にして」 (真仏土文類訓) と読まれた。
悟 異本には 「語」 とある。
*伏↢承尊*語↡歓喜地 帰↢阿弥陀↡生↢安楽↡
伏承尊語歓喜地 返り点は聖教全書まま。 書き下し文 「伏して…」 の註に呼応。
語 敦煌本・室町時代写本・大派依用本では 「悟」。
【48】 たとへば*龍動けば雲かならず随ふがごとし。 閻浮提に*百卉を放ち舒ぶ。
龍 龍樹菩薩の 「龍」 の字によせて讃嘆する。
百卉 卉は草木の意。 龍樹菩薩の 「樹」 によせて讃嘆する。
譬如↢竜動雲必随↡ 閻浮提放↢百卉↡舒
南無慈悲龍樹尊、 心を至し帰命し頭面をもつて礼したて