冠頭讃

^*¬称しょう讃さん浄じょう土ど教きょう¼ にのたまはく

0314◎▼*¬称シヨウ讃サン浄ジヤウ土ド教キヤウニ¼言ノタマハク

玄げん奘じょう三蔵さんぞうの訳やくなり

玄グヱン奘ジヤウ三サム蔵ザウノ訳ヤクナリ

^「たとひ百ひゃく千せん倶く胝てい那由なゆ他た劫こうを経へて、 それ無む量りょう百ひゃく千せん倶く胝てい那由なゆ他たの舌したをもつて、 一々いちいちの舌したの上うえに無む量りょうの声こえを出いだしてその功く徳どくを讃ほめんに、 また尽つくることあたはじ」 と。 文

「▲仮使 タトヒ 経ヘテ↠於ヲ↢百ヒヤク千セン倶ク胝テイ那ナ由ユ他タ劫コフ↡、以モテ↢其ソレ无ム量リヤウ百ヒヤク千セン倶ク胝テイ那ナ由ユ他タノ舌シタヲ↡、一一ノ舌シタノ上ウヘニ出イダシテ↢无ム量リヤウノ声コヱヲ↡讃ホメムニ↢其ソノ功ク徳ドクヲ↡、亦マタ不ジト↠能アタハ↠尽ツクルコト。」 文△

 

題号

0545◎入にゅう出しゅつ二に門もん偈げ頌じゅ

愚ぐ禿とく親鸞しんらん作さく

 

冠註

^*¬無む量りょう寿じゅ経きょう論ろん¼一巻いっかん 元がん魏ぎ天竺てんじく三蔵さんぞう 菩ぼ提だい留支るしの訳やく

0315*¬无量寿経論¼一巻クワン 元グワン魏グヰ天テン竺ヂク三サム蔵ザウ菩ボ提ダイ留ル支シノ訳ヤク

^婆藪ばそ槃ばん豆ず菩ぼ薩さつの造ぞうなり。 婆藪ばそ槃ばん豆ずはこれ梵ぼん語ごなり。

婆藪槃豆菩薩ノ造ザウナリ婆藪槃豆ハ是コレ梵語ナリ

旧く訳やくには天親てんじん、 これはこれ訛あやまれるなり。 新訳しんやくには世せ親しん、 これを正しょうとす。

旧ク訳ヤクニハ天親此ハ是 レ訛アヤマクワ レルナリ新訳ニハ世親ナリ是ヲ為ス↠正ト

¬優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょうの偈げ¼、 宗しゅう師しこれを ¬浄じょう土ど論ろん¼ と名なづく。

¬優ウ婆バ提ダイ舎シヤ願生ノ偈ゲ¼宗師是ヲ名ナヅク↢¬浄土論ト¼↡

この論ろんをまた ¬往おう生じょう論ろん¼ といへり。 入出にゅうしゅつ二に門もん、 これより出いでたり。

此コノ論ヲ亦曰イヘリ↢¬往生論ト¼↡入出二門従ヨリ↠斯コレ出△イデタリ

一 入出二門の他力を明す
  Ⅰ【世親章】
    ⅰ 願生偈を頌す
      a 一心帰命を明す

【1】 ◎^▲世せ親しん菩ぼ薩さつ (天親) は、 ▼*大だい乗じょう修しゅ多羅たら真実しんじつ功く徳どくによりて、

世親菩薩ハ依ヨリテ↢大乗修シユ多タ羅ラ真実功徳ニ↡

^▲一心いっしんに尽じん十方じっぽう不可ふか思し議ぎ光こう如来にょらいに帰き命みょうせしめたまへり。

一心ニ帰↢命シタマヘリ尽ジン十方不可思議光如来ニ↡

一 Ⅰ ⅰ b 所帰の三厳を示す
        イ 所帰の徳

^▲無礙むげの光こう明みょうは大だい慈悲じひなり。 ▲この光こう明みょうはすなはち諸仏しょぶつの智ちなり。

无ノ光明ハ大慈悲ナリ斯コシ ノ光明ハ即チ諸仏ノ智チナリ

一 Ⅰ ⅰ b ロ 所帰の三厳
          (一)国土荘厳

^▲かの世せ界かいを観かんずるに▲辺際へんざいなし、 究く竟きょうせること広大こうだいにして虚こ空くうのごとし。

観ズルニ↢彼カノ世界ヲ↡无ナシ↢辺際↡究竟セルコト広大ニシテ如ゴトシ↢虚空コクノ↡

^▲五いつつには*仏法ぶっぽう不ふ思議しぎなり。 ▲このなかの仏ぶつ土ど不ふ思議しぎに、

五ニ者ハ仏法不思議ナリ此ノ中ナカノ仏土不思議ニ

^~二に種しゅの不ふ思議しぎ力りきまします。 ▲これは安楽あんらくの至し徳とくを示しめすなり。

有マシマス↢二種ノ不思議力↡斯コレハ示シメスナリ↢安*養之ノ至徳ヲ↡

^▲一ひとつには業力ごうりき、 いはく法蔵ほうぞうの大願だいがん業力ごうりきに成じょう就じゅせられたり。

0316一ニ者ハ業力謂イハク法蔵ノ大願業力ニ所ラレタリ↢成就セ↡

^▲二ふたつには正しょう覚がくの阿あ弥陀みだ法王ほうおうの善力ぜんりきに摂しょう持じせられたり。

二ニ者ハ正覚ノ阿弥陀法王ノ善力ニ所ラレタリ↢摂持セ↡

一 Ⅰ ⅰ b ロ (二)聖衆荘厳

^▲女人にょにん・根欠こんけつ・*二に乗じょうの種しゅ、 安楽あんらく浄じょう刹せつに永ながく生しょうぜず。

女人・根コン欠クヱチ・二乗ノ種安楽浄刹ニハ永ナガク不ズ↠生ゼ

^▲如来にょらい浄じょう華けのもろもろの聖しょう衆じゅは、 法蔵ほうぞう正しょう覚がくの華はなより化け生しょうす。

如来浄華ノ諸ノ聖衆ハ法蔵正覚ノ華ヨリ化生ス

^▲諸しょ機きはもとすなはち三三さんざんの品ほんなれども、 いまは一いち二にの殊しゅ異いなし。

諸シヨ機キハ*本モト則チ三三ノ品ナレドモ今ハ无シ↢一二之ノ殊異↡

^0546▲同一どういつに念仏ねんぶつして別べつの道みちなければなり、 ▲なほ淄し澠じょうの一いち味みなるがごとくなり。

同一ニ念仏シテ无ナケレバナリ↢別ノ道↡猶ナホ↢如ゴトキ淄シ澠ゾウノ一味ミナルガ↡也ナリ

一 Ⅰ ⅰ b ロ (三)仏功徳

^▲かの如来にょらいの本願ほんがん力りきを観かんずるに、 凡ぼん愚ぐ、 遇もうおうて空むなしく過すぐるものなし。

▼観ズルニ↢彼カノ如来ノ本願力ヲ↡凡愚遇マウアフテ无ナシ↢空シク過スグル者モノ↡

^▲一心いっしん専念せんねんすれば、 すみやかに真実しんじつ功く徳どくの大だい宝海ほうかいを満足まんぞくせしむ。

一心ニ専念スレバ速ニ満↢足セシム真実功徳ノ大宝海ヲ↡

一 Ⅰ ⅱ 長行によって入出二門を頌す
      a 如来の所修を標す

^▲*菩ぼ薩さつは五ご種しゅの門もんに入出にゅうしゅつして、 自利じり利他りたの行ぎょう成じょう就じゅしたまへり。

菩薩ハ入↢出シテ五種ノ門ヲ↡自利利他ノ行成就シタマヘリ

^▲不可ふか思議しぎ兆ちょう載さい劫こうに、 ▲漸ぜん次じに五ご種しゅの門もんを成じょう就じゅしたまへり。

不可思議兆テウ載サイ劫コフニ漸次ニ成↢就シタマヘリ五種ノ門ヲ↡

一 Ⅰ ⅱ b 正しく入出二門を明す
        イ 標

^▲なんらをか名なづけて五ご念ねん門もんとすると。 礼らいと讃さんと作さ願がんと観察かんざつと回えとなり。

何ナン等ラオカ名ケテ為スルト↢五念門ト↡礼ト讃ト作願ト観察ト廻トナリ

一 Ⅰ ⅱ b ロ 五門を釈す
          (一)入門
            (Ⅰ)釈
              (ⅰ)礼拝門

^▲いかんが礼拝らいはいする。 身業しんごうに礼らいしたまひき。 阿あ弥陀みだ仏ぶつ正しょう遍へん知ちの、

云何 イカン ガ礼拝スル身業ニ礼シタマヒキ阿弥陀仏正徧ヘン知チノ

^▲もろもろの群ぐん生じょうを善ぜん巧ぎょう方便ほうべんして、 ▲安楽あんらく国こくに生しょうぜん意こころをなさしめたまふがゆゑなり。

善↢巧方↣便シテ諸ノ群生ヲ↡為ナサシメタマフガ↧生ゼム↢安楽国ニ↡意コヽロヲ↥故ユヘナリ

^▲すなはちこれを入にゅう第一だいいち門もんと名なづく。 ▲またこれを名なづけて近門ごんもんに入いるとす。

即チ是ヲ名ナヅク↠入イルト↢第一門ニ↡亦是ヲ名ケテ為ス↠入イルト↢近門ニ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)讃嘆門

^▲いかんが讃嘆さんだんする。 口く業ごうに讃さんじたまひき。 名みょう義ぎに随ずい順じゅんして仏ぶつ名みょうを称しょうせしめ、

0317云何 イカン ガ讃嘆スル口業ヲシテ讃ジタマヒキ随↢順シテ名義ニ↡称セシム↢仏名ヲ↡

^▲如来にょらいの光こう明みょう智ち相そうによりて、 実じつのごとく修しゅし相応そうおうせんと欲おもふがゆゑなり。

依ヨリテ↢如来ノ光明智相ニ↡欲オボスガ↢如ク↠実ノ修シ相応セシメムト↡故ニ

^▲すなはちこれ無礙むげ光こう如来にょらいの、 摂取せっしゅ選せん択じゃくの本願ほんがんなるがゆゑなり。

*則チ斯 レ无光如来ノ摂取選択ノ本願ナルガ故ニ

^▲これを名なづけて入にゅう第だい二に門もんとす。 ▲すなはち*大だい会え衆しゅの数かずに入いることを獲うるなり。

是ヲ名ケテ為ス↠入イルト↢第二門ニ↡即チ獲ウルナリ↠入ルコトヲ↢大会衆ノ数カズニ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅲ)作願門

^▲いかんが作さ願がんする。 心しんにつねに願がんじたまひき。 一心いっしん専念せんねんしてかしこに生うまれんと願がん0547ぜしむ。

云何 イカン ガ作願スル心ニ常ニ願ジタマヒキ一心ニ専念シテ願ゼシム↠生レムト↠彼カシコニ

^▲蓮れん華げ蔵ぞう世せ界かいに入いることを得えて、 ▲実じつのごとく奢しゃ摩他またを修しゅせんと欲おもはしむ。

得ウ↠入ルコトヲ↢蓮華蔵世界ニ↡欲オボスナリ↣如ク↠実ノ修セシメムト↢奢シヤ*摩マ他タヲ↡

^▲これを名なづけて入にゅう第三だいさん門もんとす。 ▲またこれを名なづけて宅門たくもんに入いるとす。

是ヲ名ケテ為ス↠入ルト↢第三門ニ↡亦是ヲ名ケテ為ス↠入ルト↢宅タク門ニ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅳ)観察門

^▲いかんが観察かんざつする。 智慧ちえをして観かんぜしめたまひき。 正しょう念ねんにかしこを観かんじて、 ▲実じつのごとく、

云何 イカン ガ観察スル智慧ヲシテ観ジタマヒキ正念ニ観ゼシムルハ↠彼カシコヲ欲オボスガ↣如ゴトク↠実ノ

^~毘婆びば舎しゃ那なを修しゅ行ぎょうせしめんと欲おもふがゆゑに。 ^▲かの所ところに到いたることを得うれば、 すなはち、

修↢行セシメムト毘婆舎那ヲ↡故ユヘナリ得ウレバ↠到イタルコトヲ↢彼カノ所トコロニ↡則チ受ジユ↢用ヨウス

^~種々しゅじゅ無む量りょうの法ほう味みの楽らくを受用じゅゆうせしむ。 ▲すなはちこれを入にゅう第だい四し門もんと名なづく。

種種无量ノ法味ノ楽ラクヲ↡即チ是ヲ名ク↠入ルト↢第四門ニ↡

^▲またこれを名なづけて屋門おくもんに入いるとす。

亦是ヲ名ケテ為ス↠入ルト↢屋オク門ニ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)結示

^菩ぼ薩さつの修しゅ行ぎょう成じょう就じゅとは、

 菩薩ノ修行成就トイフ者ハ

^▲四し種しゅは入にゅうの功く徳どくを成じょう就じゅしたまへり、 自利じりの行ぎょうを成じょう就じゅしたまへりと、 知しるべし。

四種ハ成↢就シタマフ入ノ功徳ヲ↡自利ノ行ヲ成就シタマフト応ベシ↠知シル

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)出門
            (Ⅰ)釈
              (ⅰ)如来の所修

^▲第だい五ごは出しゅつの功く徳どくを成じょう就じゅしたまへり。 菩ぼ薩さつの出しゅつ第だい五ご門もんは、

第五ニ成↢就シタマフ出ノ功徳ヲ↡菩薩ノ出第五門トイフ者ハ

^▲いかんが回え向こうする。 心しんに作さ願がんしたまひき。 苦く悩のうの一切いっさい衆しゅを捨すてずして、

云何 イカン ガ廻ヱ向カウシタマフ心ニ作願シタマヒキ不ザレバ↠捨ステタマハ↢苦悩ノ一切衆ヲ↡

^▲回え向こうを首はじめとして、 大だい悲ひ心しんを成じょう就じゅすることを得えたまへるがゆゑに、 功く徳どくを施ほどこしたまふなり。

0318廻向ヲ為シテ↠首ト得エタマヘルガ↣成↢就スルコトヲ大悲心ヲ↡故ニ施シタマフナリ↢功徳ヲ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)廻施衆生の廻向

^▲かの土どに生うまれをはりて、 すみやかに疾とく奢しゃ摩他また・毘婆びば舎しゃ那な・

生ジ↢彼ノ土ニ↡已リテ速疾ニ得エ↢奢シヤ摩他マタ・毘婆ビバ舎シヤ那ナ・

^0548~巧ぎょう方便ほうべん力りき成じょう就じゅすることを得えをはりて、 生しょう死じの園その・煩悩ぼんのうの林はやしに入いりて、

功ゲウ方便力成就スルコトヲ↡已リテ入リテ↢生死ノ園オン・煩悩ノ林ニ↡

^▲応おう化げ身しんを示しめし、 神通じんずうに遊あそぶ、 教きょう化け地じに至いたりて群ぐん生じょうを利りせしむ。

示シメシ↢応化身ヲ↡遊ビテ↢神通ニ↡至リテ↢教化地ニ↡利シタマフ↢群生ヲ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)出功徳を決定する

^▲すなはちこれを出しゅつ第だい五ご門もんと名なづく。 ▲園林おんりん遊戯ゆげ地じ門もんに入いるなり。

即チ是ヲ名ナヅク↢出第五門ト↡入ルナリ↢園林遊戯ユゲ地ヂ門ニ↡

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)結示

^▲本願ほんがん力りきの回え向こうをもつてのゆゑに、 ▲利他りたの行ぎょう成じょう就じゅしたまへりと、 知しるべし。

以テノ↢本願力ノ廻向ヲ↡故ニ利他ノ行成就シタマヘリト応ベシ↠知シル

一 Ⅰ ⅱ c 如来の所修を結ぶ
        イ 発願

^▲無礙むげ光こう仏ぶつ、 因いん地じの時とき、 ▲この弘ぐ誓ぜいを発おこし、 この願がんを建たてたまふ。

无光仏因*地ノ時トキ発シ↢斯コノ弘誓ヲ↡建タテタマヒキ↢此ノ願ヲ↡

一 Ⅰ ⅱ c ロ 修行

^▲菩ぼ薩さつすでに智慧ちえ心しんを成じょうじ、 方便ほうべん心しん・無む障しょう心しんを成じょうじ、

菩薩已ニ成ジ↢智慧心ヲ↡成ジ↢方便心・无障心ヲ↡

^▲妙みょう楽らく勝しょう真しん心しんを成じょう就じゅして、

成↢就シテ妙楽勝真心ヲ↡

一 Ⅰ ⅱ c ハ 果を成ず

^▲すみやかに無む上じょう道どうを成じょう就じゅすることを得えたまへるなり。

 速ニ得エタマヘリ↣成↢就スルコトヲ无上道ヲ↡

^▲自利じりと利他りたとの功く徳どくを成じょうずる、 すなはちこれを名なづけて入出にゅうしゅつ門もんとすとのたまへり。

成ジタマフ↢自利ト利他トノ功徳ヲ↡則チ是ヲ名ケテ為ストノタマヘリ↢入出門ト↡

一 Ⅱ【曇鸞章】
    ⅰ 釈主を出す

【2】  ^婆藪ばそ槃ばん頭ず菩ぼ薩さつ (天親) の ¬論ろん¼ (浄土論)、 本ほん師し曇鸞どんらん和か尚しょう註ちゅうしたまへり。

*曇鸞和尚 大巌ガム寺ジ

婆藪*盤豆菩薩ノ¬論¼本師曇鸞和尚*註チウシタマヘリ

一 Ⅱ ⅱ 他力を釈す
      a 他利利他を標す

^▲願力がんりき成じょう就じゅを五ご念ねんと名なづく、 ▲仏ぶつをしていはばよろしく利他りたといふべし。

願力成就ヲ名ク↢五念ト↡仏ヲ而シテ言イハヾ宜ヨロシベ クシ↠言イフ↢利他リタト↡

^▲衆しゅ生じょうをしていはば他利たりといふべし。 まさに知しるべし、 いままさに仏力ぶつりきを談だんぜんとす。

衆生ヲ而シテ言イハヾ言イフベシ↢他利リタト↡当ベ ニシ↠知シル今将マサス ニ↠談ゼムト↢*仏力ヲ↡

一 Ⅱ ⅱ b 釈
        イ 正説
          (一)まず一心正因を明す

^▲如実にょじつ修しゅ行ぎょう相応そうおうといふは、 名みょう義ぎと光こう明みょうと随ずい順じゅんするなり。

0319如実修行相応トイフ者ハ随↣順スルナリ名義ト与ト↢光明↡

^0549▲この信心しんじんをもつて一心いっしんと名なづく。

以テ↢斯ノ信心ヲ↡名ク↢一心ト↡

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)証を示す

^▲煩悩ぼんのう成じょう就じゅせる凡ぼん夫ぶ人にん、

 煩悩成就セル凡夫人

^~煩悩ぼんのうを断だんぜずして涅ね槃はんを得う、 ▲すなはちこれ安楽あんらく自じ然ねんの徳とくなり。

不ズシテ↠断ダンゼ↢煩悩ヲ↡得エシム↢涅槃ヲ↡則チ斯コレ安楽自然ノ徳トクナリ

一 Ⅱ ⅱ b ロ 喩説

^▲淤お泥でい華けといふは、 ¬経きょう¼ (維摩経) に説といてのたまはく、 高原こうげんの陸ろく地じには蓮はちすを生しょうぜず。

淤オケガル泥デイ華クヱトイフ者ハ¬経ニ¼説トヒテ言 マハク高カウ原グヱンノ陸地ニハ不ズ↠生ゼ↠蓮レンヲ

^~卑ひ湿しゅうの淤お泥でいに蓮れん華げを生しょうずと。 これは凡ぼん夫ぶ、 煩悩ぼんのうの泥でいのうちにありて、

卑ヒ湿シフノ淤オ泥デイニ生ズト↢蓮華ヲ↡此ハ喩タトフルナリ↧凡夫在アリテ↢煩悩ノ

^~仏ぶつの正しょう覚がくの華はなを生しょうずるに喩たとふるなり。

*泥デイノ中ニ↡生ズルニ↦仏ノ正覚ノ華ヲ↥

一 Ⅱ ⅱ c 他力を結ぶ

^▲これは如来にょらいの本ほん弘ぐ誓ぜい

 斯 レハ示ス↢如来ノ本弘誓

^~不可ふか思議しぎ力りきを示しめす。 すなはちこれ入出にゅうしゅつ二に門もんを他た力りきと名なづくとのたまへり。

不可思議力ヲ↡即チ是 レ入出二門ヲ名クトノタマヘリ↢他力ト↡

二 助顕
  Ⅰ【道綽章】
    ⅰ 釈主

【3】  ^道どう綽しゃく和か尚しょう、 解げ釈しゃくしていはく、

*道綽禅師 玄グヱン中チウ寺ジ

道綽和尚解ゲ釈シヤクシテ曰イハク

二 Ⅰ ⅱ 二道
      a 聖道難証

^▲¬月蔵がつぞう経きょう¼ にのたまはく、 わが末法まっぽうに、

 ¬*大集経ニ¼言 マハク我ガ末マチ法ポフニ

^~行ぎょうを起おこし道どうを修しゅせんに、 一切いっさいの衆しゅう、 いまだ一人いちにんも獲ぎゃく得とくするものあらじと。

起シ↠行ヲ修セムニ↠道ヲ一切ノ衆未イマ ジ ダト↠有アラ↢一人モ獲グヰヤク得トクノ者モノ↡

^▲ここにありて心しんを起おこして行ぎょうを立たつるは、 すなはちこれ聖しょう道どうなり、 自じ力りきと名なづく。

在アリテ↠此コヽニ起シテ↠心ヲ立タテム↠行ヲ者ハ則チ*此 レ聖道ナリ名ク↢自力ト↡

二 Ⅰ ⅱ b 浄土易行
        イ 約時被機
          (一)末代

^▲当今とうこんは末法まっぽうにしてこれ五ご濁じょくなり。 ただ浄じょう土どのみありて通つう入にゅうすべしと。

当今ハ末法ニシテ是 レ五濁ナリ唯タヾ有アリテ↢浄土ノミ↡可ベシト↢通入ス↡

二 Ⅰ ⅱ b イ (二)機実

^▲今いまの時とき、 悪あくを起おこし衆罪しゅざいを造つくる、 恒ごう常じょうなること暴風ぼうふう駛し雨うのごとし。

今ノ時 キ起シ↠悪ヲ造ルコト↢衆罪ヲ↡恒常ニシテ如シ↢暴風ボフ駛雨シウノ↡

二 Ⅰ ⅱ b ロ 浄土の法
          (一)本願

^▲本ほん弘ぐ誓ぜい願がんに名みなを称しょうせしむるは、 これ穢え濁じょく悪あくの衆しゅ生じょうのためなり。

本弘誓願ニ令ムルハ↠称セ↠名ヲ是 レ為 メナリ↢穢ヱ濁ヂヨク悪ノ衆生ノ↡

^▲ここをもつて諸仏しょぶつ、 浄じょう土どを勧すすめたまへり。

0320是ヲ以テ諸仏勧メタマヘリ↢浄土ヲ↡

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)一心帰命

^▲たとひ一いっ生しょう悪業あくごうを造つくれども、

 縦令 タトヒ 一生造ツクル↠悪ヲ*者 ノ

^▲三信さんしん相応そうおうすればこれ一心いっしんなり。 一心いっしんは淳じゅん心しんなれば如実にょじつと名なづく。

三信相応セムハ是 レ一心ナリ一心ハ淳ジユン心シムナレバ名ク↢如実ト↡

^0550▲もし生しょうぜずは、 この処ことわりなけん。

若シ不ズ↠生レ者ハ无ナケム↢是コノ処コトハリ↡

二 Ⅰ ⅱ b ロ (三)証

^▲かならず安楽あんらく国こくに往おう生じょうを得うれば、

 必ズ得レバ↣往↢生ヲ安楽国ニ↡

^▲生しょう死じすなはちこれ大だい涅ね槃はんなり、

生死即チ是 レ大涅槃ナリ

二 Ⅰ ⅱ b ハ 易行他力を結ぶ

^▲すなはち易い行ぎょう道どうなり、 他た力りきと名なづくと。

 則チ易行道ナリ名クトノタマヘリ↢他力ト↡

二 Ⅱ【善導章】
    ⅰ 釈主

【4】  ^善導ぜんどう和か尚しょう、 義解ぎげしていはく、

*善導禅師 光明寺

善導和尚義解ギゲシテ曰イハク

二 Ⅱ ⅱ 念仏の法義
      a 教を示す

^▲念仏ねんぶつ成じょう仏ぶつする、 これ真しん宗しゅうなり。

 念仏成仏スル是 レ真宗ナリ

^▲すなはちこれを名なづけて一いち乗じょう海かいとす、 ▲すなはちこれをまた菩ぼ提だい蔵ぞうと名なづく。

即チ是コレヲ名ケテ為ス↢一乗海ト↡即チ是 レヲ亦名ク↢菩提蔵ト↡

^▲すなはちこれ円えん教ぎょうのなかの円えん教ぎょうなり、 すなはちこれ頓とん教ぎょうのなかの頓とん教ぎょうなり。

即チ是 レ円教ノ中ノ円*教ナリ即チ是 レ頓教ノ中ノ頓教ナリ

二 Ⅱ ⅱ b 念仏成仏
        イ 信を出す
          (一)難信

^▲真しん宗しゅうに遇もうあひがたし、 ▲信しんを得うること難かたし。 ▲難なんのなかの難なん、 これに過すぎたるはなし。

真宗ニ叵ガタシ↠遇マウアイ難カタシ↠得ルコト↠信ヲ難ノ中之ノ難无ナケム↠過スギタルハ↠*斯コレニ

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)廻施の信

^▲釈しゃ迦か・諸仏しょぶつ、 これ真実しんじつ慈悲じひの父母ぶもなり。 種々しゅじゅの

釈迦・諸仏ハ是 レ真実慈悲ノ父母ナリ以モテ↢種種ノ

^▲善ぜん巧ぎょう方便ほうべんをもつて、 われらが無む上じょうの真実しんじつ信しんを発ほっ起きせしめたまふ。

善功方便ヲ↡令セシメタマフ↣発↢起セ我ワレ等ラガ无上ノ真実ノ信ヲ↡

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)信益

^▲煩悩ぼんのうを具ぐ足そくせる凡ぼん夫ぶ人にん、 仏ぶつ願力がんりきによりて信しんを獲ぎゃく得とくす。

具↢足セル煩悩ヲ↡凡夫人ニン由ヨリテ↢仏願力ニ↡獲ウ↢*摂取ヲ↡

^▲この人ひとはすなはち凡数ぼんじゅの摂しょうにあらず、 ▲これは人にん中ちゅうの分ふん陀利だり華けなり。

斯コノ人ハ即チ非アラズ↢凡数ノ摂ニ↡是コレハ人中ノ*分陀利華ナリ

^▲この信しんは*最さい勝しょう希有けう人にんなり、 この信しんは*妙みょう好こう上上じょうじょう人にんなり。

斯コノ信ハ最勝希有人ナリ斯ノ信ハ妙好上上人ナリ

二 Ⅱ ⅱ b ロ 念仏の証

^▲安楽あんらく土どに到いたれば、 かならず自じ然ねんに、 ▲すなはち法ほっ性しょうの常じょう楽らくを証しょうせしむとのたまへり。

0321到イタレバ↢安楽土ニ↡必ズ自然ニ即チ証ストノタマヘリ↢法性之ノ常楽ヲ↡

入にゅう0551出しゅつ二に門もん偈げ頌じゅ

七しち十じゅう四し行ぎょう

愚ぐ禿とく釈しゃく親鸞しんらん作さく

 

延書の底本は本派本願寺蔵蓮如上人書写本ˆ原漢文の対校本Ⓐˇ。
称讃浄土教… この引文は註釈版にない。 聖典全書より有国が書き下した。
無量寿経論… 冒頭の5行は註釈版にない。 聖典全書より有国が書き下した。
大乗修多羅 親鸞聖人は浄土三部経のこととする。
仏法不思議 仏法力不可思議のこと。 五ご不ふ思議しぎの一。
二乗の種… 底本には 「二乗の種に」 とある。
菩薩は… ここでの菩薩は法蔵ほうぞう菩薩のこと。 入は自利、 出は利他にあたる。
大会衆の数に… ここでは信心の行者が、 現在 (この世) において正定しょうじょう聚じゅに入り、 阿弥陀仏の眷属けんぞくとなることをいう。
最勝希有人 この上なくすぐれた功く徳どくをそなえたきわめてまれな人。
妙好上上人 この上なくすぐれて好もしい人。 前項とともに真実信心の行者をほめたたえた言葉。
底本は◎高田派専修寺蔵建長八年真仏上人書写本。 Ⓐ本派本願寺蔵蓮如上人書写本、 Ⓑ茨城県正徳寺蔵室町時代書写本 と対校。
称…文△ ⒶⒷになし
無…出△ ⒶⒷになし
養→ⒶⒷ楽
本則→Ⓑ則是
「則…故」14字 Ⓑになし
摩→Ⓐ応(定名と右傍註記)
地→Ⓑ位
曇鸞和尚大巌寺 ⒶⒷになし
盤豆→Ⓐ槃頭→Ⓑ盤頭
註→Ⓑ釈
仏→Ⓑ他
「泥…誓」14字 ⒶⒷになし
道綽禅師玄中寺 ⒶⒷになし
大集→ⒶⒷ月蔵
此→Ⓑ是
者→ⒶⒷ業
善導禅師光明寺 ⒶⒷになし
教→Ⓑ地
斯→ⒶⒷ此
摂取→ⒶⒷ得信
分→Ⓑ芬