0581じやけんしやうせう 

 

・序説

*専修せんじゆ念仏ねむぶちぎやうにんそれがしつつしんごんじやう

はやくさんしやうだう諸僧しよそうならびに*山伏さんぐわ*ぢよ陰陽おんやうとうじちぶん讒言ざんげん濫妨らんぼうちやうせられて、 かつは*帰仏くゐぶち信法しんぽふ*こんいうせられ、 かつは*こくみんおん*れんをたれられて、 もとのごとく*本宅ほんたく*ぐゑんぢゆして念仏ねむぶちごんぎやうすべきよし、 裁許さいきよをかうぶらんとおもふさいこと

みぎ専修せんじゆ念仏ねむぶちしようごうは、 決定くゑちぢやうわうじやうしやういんなり。 *安楽あんらく能仁のうにんはねんごろにきたれとをしへ、 *しや*化主くゑしゆはしゐてゆけとすゝめたまへり。 しかのみならず、 六方ろくぱう諸仏しよぶちはしたをのべてぶち*証誠しようじやうし、 一切いちさいさちはいたゞきをなでゝぎやうじやねむす。 これをぎやうずればぶち納受なうじゆをたれ、 これをしゆすれば神明しんめいおうをいたす。 これによりて当流たうりう祖師そし親鸞しんらんしやうにんめいぐゑんしやうにんのをしへをうけられしよりこのかた、 こゝろをぜいぶちにたて、 ねんなん法海ほふかいにながす。 くゐのこゝろ他事たじなく、 渇仰かちがうのおもひねむなし。 このゆへに末代まちだいざいぢよく*どんをかゞみ、 こと0582ざい无智むち群類ぐんるいをあはれみて、 をしふるに弥陀みだいちぎやうをもてし、 すゝむるに西方さいはう*いちをもてせり。 しかるあひだ*きやうちうらくぐわい遠邦えんぱう近国きんごく、 かのながれをくみ、 そのをしへをつたふるひと、 *済々さいさいえんたり。 われらすなはちその随一ずいいちなり。

おほよそ当流たうりうくわんくゑにをいては、 あながちに*しやよくのすがたをへうせず。 しゆち発心ほちしんをことゝせざるあひだ、 *農業のうげうをつとむるものは、 つとめながらこれをぎやうじ、 *かんをいたすものは、 いたしながらこれをしんず。 しかれば、 つとむべき所役しよやくををこたらず、 かぎりある*公務くむをいるかせにすることなし。 くにゝをいてわづらひなく、 ところにをいてつゐえなし。 たゞ愚痴ぐち闇鈍あむどんのあま入道にふだうとうしやうだう諸宗しよしゆしゆぎやうにたへざるあひだ、 涯分がいぶん相応さうおうぎやうしゆして、 じゆんわうじやうするばかりなり。 これすなはち時機じきをはかるがゆへなり。 仏法ぶちぽふにつけ、 けんにつけて、 さらにそのあやまつところなし。 しかるにさんしやうだうそうをはじめとして、 べちがく偏執へんじふ邪見じやけんのともがら、 種々しゆじゆじちをたくみ、 条々でうでうあくみやうをかまへて、 みだりがはしくじやうにをよび、 あまさへ在所ざいしよ*ついしゆちせらるゝでう*愁吟しうぎんのいたりなにごとかこれにしかん。 じやうたい善導ぜんだうくわしやうとをくこのことをかゞみて、 「*けんしゆぎやう瞋毒しんどく方便はうべん破壊はえきやうしやうおん (法事讃巻下) しやくしたまへり。 はじめておどろくべ0583きにあらず。 *末代まちだい邪悪じやあくをかへりみて、 しりぞいてしやうぼふ*再興さいこふをまつべしといへども、 *ぼくにふるゝところの*じち、 いかでかちんせざらん。 ほゞ*一端いちたんをあげて、 たゞ*万察ばんさちをあをぐ。 つぶさに*高聞かうぶんたちして恩裁おんさいにあづからんとおもふものなり。

・本論

(1)

一 一向いちかう専修せんじゆといふは仏法ぶちぽふにあらず、 外道ぐゑだうほふなるによりてこれをちやうせらるべきこと

このでう、 おそらくは経釈きやうしやくをうかゞはざるひとのことば。 そのゆへは、 一向いちかうといふはわたくしのことばにあらず、 *しゆ多羅たら直説ぢきせちなり。 ¬りやう寿じゆきやう¼ (巻下) のなかに三輩さむぱいわうじやうをとくとして、 一々いちいちにみな 「一向いちかう専念せんねむりやう寿じゆぶち」 といへり。 みなもとこのじやうせちよりいでゝ、 かう善導ぜんだうくわしやうまたこのはんじたまへり。 いはゆる ¬観経くわんぎやう¼ の 「*汝好によかう是語ぜご」 のもんしやくするとき、 「*望仏まうぶちほんぐわんざいしゆじやう一向いちかうせんしよう弥陀みだぶちみやう (散善義) といへるしやく、 これなり。 こゝをもてぐゑんしやうにんは、 じく三種さむしゆのてらをひいて ¬さうくわん¼ の一向いちかうじやうぜり。 かくのごとく、 かみ仏説ぶちせちよりおこりて、 しも先徳せんどくしやくにいたるまで、 そのもんしよう*炳焉へいえんなり。 たれかこれを*見聞けんもんせざらん。 もし見聞けんもんせば、 いかんが一向いちかうみやうごん謗説ほうせちせん。 もしまた見聞けんもんしながらこれをきん0584ぜしめば、 あに偏執へんじふにあらずや。 おほよそ八万はちまんせん教門けうもんは、 しゆじやうにふしやうえうなり。 ともにしや一仏いちぶち所説しよせちなれば、 いづれをし、 いづれをすべきにあらず。 このゆへに善導ぜんだうくわしやう、 あるひは 「*随縁ずいえんしや即皆そくかいだち (玄義分) しやくし、 あるひは 「*仏教ぶちけうもん八万はちまんしやうしゆじやうどう (般舟讃) はんぜり。 にしたがひてこれをぎやうずればみなしやうをいで、 えんにおもむいてこれをしゆすればことごとくだいにいたる。 いま専修せんじゆぎやうにんは、 弥陀みだえんなるがゆへに念仏ねむぶちぎやうじてわうじやうをねがふ。 かのしやうだう学者がくしやは、 諸教しよけうえんなるがゆへにしゆぎやうしゆしてじやうぶちする。 なんぞあながちに、 わがえんえうぎやうにあらざるをもて、 にんぎやうえうをさまたぐるや。 しかれば、 ¬ほんぐわんやくきやう¼ には 「*自是じぜ非他ひた嫌謗けんばうしやうぼふ為魔いま伴党ばんたう」 ととき、 ¬智度ちどろん¼ (巻一初品) には 「*ほふ愛染あいぜん毀呰きしにんほふすいかいぎやうにんだちごく」 とはんぜり。 なかんづくに、 はうしやうぼふのものは弥陀みだほんぐわん*ぢよきやくせり。 たれかこれをおそれざらんや。 しかのみならず善導ぜんだうくわしやうは、 「えんけうぎやう*きやうくゐして、 えん要法えうぼふ*さんずることをえざれ。 すなはちこれみづから諸仏しよぶち*法眼ほふげんをあひ*破壊はえするなり。 法眼ほふげんすでにめちしなば、 だい*しやうだう*そくするによしなし。 じやうもん、 な0585んぞよくいることをえん」 (般舟讃) といましめられたり。 これによりていまこの一向いちかう専念せんねむぎやうじやは、 これらのもんをまもりてさらにぎやうはうぜず、 あへて諸宗しよしゆ*せず。 しかるにかのそうは、 すがたは仏法ぶちぽふしゆぎやうのうつはものににたりといへども、 こゝろははち因果いんぐわのたぐひにおなじ。 そのゆへは、 在々ざいざい処々しよしよにをいて念仏ねむぶちしや堂舎だうしや破壊はえし、 ことにふれおりにつけて、 じやうもんぎやうじやたうす。 弥陀みだざう木像もくざうをば外道ぐゑだうぎやうざうなりといひて、 あしをもてこれを*蹂躙じうりんし、 真宗しんしゆ法門ほふもんしやうげうをば外道ぐゑだう所説しよせちなりとしようして、 つばきをはいてこれを*くゐす。 あまさへじやう本書ほんじよさむきやう以下いげ五祖ごそしやくとう十帖じふでうをして、 これをうばひとらしめをはりぬ。 けん*財宝ざいほうにあらずといへども、 *盗犯たうぼむ*罪責ざいせきそのとがおなじかるべき。 そのときくだんの諸僧しよそうとう人勢にんぜいあく引率いんそちして念仏ねむぶちぎやうじや住宅ぢゆたく発向はちかうす。 ぎやうじや*所犯しよぼむなにごとぞや、 われらが臓物ざうもちなにものぞや。 そのとがといふは仏法ぶちぽふしゆぎやう、 その臓物ざうもちといふは念仏ねむぶちいちぎやうごん道断だうだんしよぎやうなり。 そのていたらく、 だち幢相どうさうのころものうへには、 かたじけなく放逸ほういちのよろひをたいし、 *鬀除たいぢよ鬚髪しゆほちのいたゞきのあひだにはほしいまゝに邪見じやけんのかぶとをちやくせり。 *弓箭きうせんをよこたへ*刀剣たうけんをさゝげて、 よそほひをおどろかし、 *高天かうてんにさけび*かうをたゝひて、 こえ0586みゝに*てちす。 おほよそその勢力せいりきだい千界せんかいをひゞかす。 ほとほとしゆ*軍衆ぐんしゆにすぎたり。 しかりといへども、 われらほかには合戦がふせん重犯ぢうぼん*眼前がんぜんにおそれ、 うちにはしゆちだい*しやうにかなしむがゆへに、 一分いちぶんこんをさしはさまず、 *一言いちごん*返答へんたうにをよばず。 すみやかに住所ぢゆしよをしりぞいておだやかにしようをふるところなり。 いまかのそうにさいだちて穢土えどをいでんおもひをなして、 *年来ねんらい在所ざいしよをいづるわれらをば、 さむ諸仏しよぶちもさだめてずいをくはへ、 十方じふぱうさちもあらたに納受なうじゆをたれたまふらん。 しかるにとき末代まちだいにをよべりといへども、 にちぐわちなをてんにかゝれり。 じよくしよくすといへども、 仏法ぶちぽふいまだにおちず。 いまのしよぎやうすでに*じやうへんにたえたり。 みやう照覧せうらんはゞかりあり、 ひとの謗難ばうなんいくそばくぞや。 一向いちかう専念せんねむぎやうじやとうにをいては、 のうへにきたれる*災難さいなんなをかくのごとくこれをふせがず。 いはんや、 みづからそのわざはひをおこさず。 このゆへにいにしへよりいまにいたるまで、 いまだあくぎやうのくはだてにをよばざるものなり。 にをいてあやまりなきでう、 これらをもて*迹きやうじやくあるべきもの

(2)

一 法華ほふくゑ真言しんごんとうだいじようをもてざうぎやうしようするでう、 しかるべからざるよしのこと

0587でう、 しづかに善導ぜんだうくわしやうしやくをひらいて、 つらつらじやういち廃立はいりうあんずるに、 弥陀みだ一仏いちぶちにをいてくゐするところのぎやうたいをもて正行しやうぎやうしようし、 自余じよぶちきやうにをいてなすところのぎやうごふをもてざうぎやうがうす。 たとひ法華ほふくゑ真言しんごんとう甚深じんじんけうなりといふとも、 なんぞざうぎやうのことばにおさまらざらんや。 これ弥陀みだ如来のわうじやうほんぐわんにあらざるがゆへなり。 けだしけう*浅深せんじんろんずるにあらず、 ぎやう*れち*するにあらざるがゆへなり。 *此土しど得道とくだうをあかすけうをもてしやうだうもんとし、 他土たどとくしやうするもんをもてじやうしゆとす。 かのもろもろのだいじようは、 もはら即身そくしんとんのむねををしふるがゆへに、 すでにしやうだう教門けうもんなり。 しかれば、 たとひこれをしゆして西方さいはうかうすれども、 弥陀みだ如来によらいほんぐわんにあらざるがゆへに、 これをざうぎやうとなづけてわうじやうぢやうなり。 じやう正行しやうぎやうといふは、 もとより西方さいはう入因にふいんたるぎやうたいにをいて正行しやうぎやうをたつるところなり。 一宗いちしゆ教相けうさう、 すでにみだるゝところなし。 ぎやう差別しやべち、 さらに*こんずべからざるものなり。 これによりてしむ先徳せんどくの ¬わうじやう要集えうしふ¼ に十門じふもんをたつるなかに、 だいわうじやう諸業しよごふもんにをいて、 法華ほふくゑ真言しんごんとうのもろもろのだいじようぎやうをいれたり。 諸業しよごふといひざうぎやうといへる、 そのことばことなりといへども、 そのたいこれおなじ。 善導ぜんだうくわしやう弥陀みだ化身くゑしんしやくそん*再誕さいたんぐゑんしんそう遠劫おんごふ0588ぶちりやうぜんちやうしゆなり。 たれのひとか、 かのりやうしやくなんすべきや。

(3)

一 念仏ねむぶち天臺てんだい法相ほふさうとう八宗はちしゆのうちにあらず、 じやうしゆがうしてしゆをたつること自由じゆたるよしのこと

このでう、 もとよりしゆをたつることは仏説ぶちせちにあらず。 めちにん、 こゝろざすところのきやうろんについてそのをたつるところなり。 いまけん流布るふするところの八宗はちしゆといふは、 真言しんごん天臺てんだい華厳くえごん三論さむろん律宗りちしゆしやじやうじちなり。 これすなはちしやう天皇てんわう勅願ちよくぐわんとして東大とうだいをたてられしとき、 このてらにはこの八宗はちしゆ兼学けんがくすべきよし、 さだめをかれしよりこのかた、 八宗はちしゆがうあり。 しかれば、 *しよ諸山しよざんにこれをがくし、 *なむきやう*ほくきやうにこれをぎやうじて*朝用てうようにかなひ、 しやうをつとむるについて八宗はちしゆといふものなり。 じやう一宗いちしゆにをいては、 かのときいまだわがてうにわたらず、 くわん天皇てんわうをんとき、 しようだいおほくこれを*しやうらいしたまへり。 そのゝちもこのしゆにいたてはしやうをのぞまず、 みやうをもとめず、 たゞじやうだいのためにしゆぎやうするけうなるがゆへに、 かの一烈いちれつにこれをいれず。

しかりといひて、 この八宗はちしゆのほかにしゆなきにはあらず。 すなはちかの仏心ぶちしむしゆもそのときわがてうにわた0589らざるゆへに八宗はちしゆにいらず。 これまた朝用てうようにあらざるしゆなれども、 しやうらいののちひとこれをよびくはふるときしゆしようす。 じやうしゆをくはへんとき十宗じふしゆがうせんこと、 またなにのさまたげかあらん。 おほよそ*震旦しんたんにをいては、 この八宗はちしゆにかぎらず種々しゆじゆしゆあり。 いはゆるろんしゆ涅槃ねちはんしゆろんしゆ摂論せふろんしゆとうなり。 これみなそのきやうをもてしよとし、 そのろんをもて本論ほんろんとしてをたてぎやうしゆすれば、 すなはちそのしゆとなづく。 なんぞじやう一門いちもんにかぎりてしゆををさゑられんや。 しかれば、 善導ぜんだういちのみにあらず、 ぐわんげうざいおんとうしよみな念仏ねむぶちもんにをいてしよをたてられたり。 はじめてなんにをよぶべからざるものをや。

(4)

一 念仏ねむぶちせうじようほふなるがゆへに、 真実しんじちしゆちぎやうにあらざるよしのこと

このでう安養あんやうだいじよう善根ぜんごんめう念仏ねむぶちだいじようじやう勝行しようぎやうなり。 なんぞせうじようしゆぎやうをもてたやすくだいじようこくにいらんや。 なかんづくに、 ¬般舟はんじゆきやう¼ (一巻本勧助品意) せちのごときは 「さむ諸仏しよぶちねん弥陀みだ三昧ざむまいによりてしやうがくをなる」 とゝき、 ¬弥陀みだきやう¼ のせちにまかせば、 しや如来によらいこの念仏ねむぶち三昧ざむまいぎやうじてのくだいをうとゝけり。 諸仏しよぶちじやうだう要法えうぼふ、 むしろせうじよう*れちぎやうならんや。 しやくそんぼんほんぎやう、 あに*はん小業せうごふ0590らんや。 しかれば、 ¬さうくわん¼ (大経巻下意) には 「じやうだいどく」 ととき、 ¬じやうろん¼ には 「真実しんじちどくさう」 とはんぜり。 これだいじようをあらはすものなり。 こゝをもて善導ぜんだうくわしやう一宗いちしゆ教相けうさうはんずるとき、 「さちざう頓教とんげう (玄義分) しやくせり。 いかでかせうじようけうたりといふべきや。 いかにいはんや、 善導ぜんだうくわしやうしやくのみにあらず。 しよしやく、 そのまた*いちなり。 くはしくしるすにいとまあらずといへども、 りやくして少々せうせうをあぐべし。 いはゆる天臺てんだいだいは ¬観経くわんぎやう¼ をもて方等はうどうだいじようはんぞくし、 三論さむろん祖師そしじやうだいはまたこのきやうをもてくわしやう料簡れうけんのごとくさちざう釈成しやくじやうし、 法相ほふさう祖師そしおんだい念仏ねむぶちをもて大善だいぜんしやくし、 律宗りちしゆ祖師そしだいりちは 「だいじよう円頓えんどんじやうぶちほふ (小経義疏) しやくせり。 念仏ねむぶち三昧ざむまいけうぎやうだいじよう大善だいぜん要法えうぼふなるでうもんしやくほゞかくのごとし。 そもそも、 また曇鸞どむらんほふろんしゆ*賢哲けんてちなり、 その講説かうせちをすてゝ一向いちかうじやうくゐせり。 だうしやくぜん涅槃ねちはんしゆがくしやうなり、 かのくわうごふをさしをいて、 ひとへに西方さいはうぎやうをひろめき。 またしむとく天臺てんだいしゆ*碩才せきさいなり、 三諦さむたい相即さうそくのまどをいでゝじゆんわうじやうののぞみをかく。 永観ゐやうくわんりち三論さむろんしゆめいしやうなり、 はち正観しやうくわんのゆかをして西方さいはう往詣わうげいのこゝろざしをいたす。 念仏ねむぶちぎやうもしせうじようならば、 これらの明徳めいとくあにだいじようしゆぎやうをすてゝせうじよう教門けうもんにいらんや。 謗難ばうなんのむねすこぶる*0591足言そくげんのいたりなり。 おほよそしゆしゆかうといひ、 震旦しんたん*日域じちいきにんといひ、 念仏ねむぶちをもてせうじようはんぞくすること、 いまだその一文いちもんをみず。 もしなんをいたさんとおもはんひとは、 すべからく誠証じやうしようをかんがへまふすべきものなり。 しかるにきやうろん説文せちもんをいださず、 しやくしようをひかず。 たゞ自由じゆ*くわうげんをはいて、 あるひは外道ぐゑだうほふにして仏教ぶちけうにあらざるよし、 これをはうじ、 あるひはじやうしゆをたつべからざるむねをこれをなんじ、 あるひはせうじようけうにしてだいじようほふにあらざるよし、 これをまふすでう不可ふかせちだいなり。 はうのおもむき、 そのむねいさゝかことなれども、 みなこれ謗法はうぼふ*大罪たいざいなり。 そのほう*らくにあるべし。 くゐのともがら、 はやくごろの*せんをあらためて、 当来たうらい*ざい*さんずべきものなり。

(5)

一 念仏ねむぶちけんのため*きちほふなるによりてちやうせらるべきよしのこと

このでう、 また*いんぐわいだい念仏ねむぶちぎやうはたとひけんのためきちほふなりといふとも、 わうじやうのため決定くゑちぢやうごふならば、 これをせいせらるべきにあらず。 しやうあるものはかならずめちし、 さかんなるものはつゐにおとろふ。 けん一旦いちたんしやうしゆちゐやうごふ楽果らくくわなるがゆへなり。 いかにいはんや、 念仏ねむぶちぎやう*現当げんたうかねてし、 *ぞん0592もちともにやくす。 弥陀みだ諸仏しよぶちほん念仏ねむぶち万善まんぜん総体そうたいなるがゆへなり。 しかるあひだ、 これをねんじこれをぎやうずれば、 たゞじやうわうじやうをうるのみにあらず。 またこんじやう災難さいなんをはらふものなり。 これによりて、 ¬こん光明くわうみやうきやう¼ の 「寿じゆりやうぼん」 をば弥陀みだ如来によらい*息災そくさい延命えんめい教主けうしゆとしてこれをとき、 伝教でんげうだいはこのろくみやうがうをもて七難しちなん消滅せうめち誦文じゆもんとしたまへり。 なかんづくに、 ¬くわんねむ法門ぼふもん¼ (意) 念仏ねむぶちぎやうじやにをいてしゆぞうじやうえんをたつるなかに、 ねむぞうじやうえんしやくすとしてしよきやうもんをひけり。 そのなかに ¬譬喩ひゆきやう¼・¬ゆい三昧ざむまいきやう¼・¬じやう三昧ざむまいきやう¼ とうのこゝろによりて 「念仏ねむぶちぎやうにんは、 さちしやうじゆねむをかうぶりて、 としをのべいのちをてんじて、 *長命ぢやうみやう安楽あんらくなることをう」 としやくせり。 すでに長命ぢやうみやう業因ごふいんなり、 なんぞきちれちぎやうたらんや。 謗難ばうなんのむね、 ごんのをよぶところにあらず。

じやけんしやうせう 

  大谷本願寺親鸞聖人之御流之正理也。

本願寺住持存如(花押)

 

0593じやけんしやうせう 

(6)

一 かいぎやうをたもつは仏法ぶちぽふしゆぎやうにあらずといひて、 これをちやうすべきむね、 くわんくゑせしむるよしのこと

このでうかいさいぎやうをもて仏法ぶちぽふしゆぎやうにあらざるよし、 宣説せんぜちのむねまふさしむるでう不可ふかせち謀言ぼうげんなり。 かいはこれ仏法ぶちぽふだいしゆぎやう根本こんぽんなり。 これをじゆせんは仏法ぶちぽふ威儀いぎなり、 たれかこれを*せんや。 たゞしざいどん道俗だうぞくをこしらへて、 専修せんじゆ念仏ねむぶち一法いちぽふぎやうぜよとをしふるとき、 あながちにかいをことゝすべきよし、 くわんくゑをいたさざることはしかなり。 そのゆへは、 ¬大集だいじふきやう¼ (巻五月蔵分閻浮提品意) のこゝろをあんずるに、 「しやくそんめちにをいて五箇ごかひやくねんあり。 いはゆる第一だいいちひやくねんは、 *だちけんなり。 だいひやくねんは、 *ぜんぢやうけんなり。 第三だいさむひやくねんは、 *かいけんなり。 だいひやくねんは、 *もんけんなり。 だいひやくねんは、 *とう0594じやうけんなり」 といへり。 このきやうのこゝろならば、 たとひしやうぼふひやくねんによるとも、 たとひしやうぼふ千年せんねんせちによるとも、 ともにかいぎやう像法ざうぼふのときにあたれり。 また ¬像法ざうぼふくえちきやう¼ の所説しよせちによらば、 しやうぼふひやくねんかいけんなり、 像法ざうぼふいち千年せんねんぜんけんなり、 末法まちぽふ万年まんねん念仏ねむぶちけんなりとみえたり。 このきやうせちをおもふに、 あるひはしやうぼふのときのぎやうととき、 あるひは像法ざうぼふのときのほふとあかせり。 いまだ末法まちぽふにをいてかいけんをとかず。 これによりて、 伝教でんげうだいの ¬末法まちぽふとうみやう¼ (意) には、 「しやうぼふのときはかいそうをもてたからとし、 像法ざうぼふのときは破壊はえそうをもてたからとし、 末法まちぽふのときはかいみやう比丘びくをもてたからとす。 もし末法まちぽふのなかにかいのものあらば、 くゑなり、 いちにとらのあらんがごとし」 といへり。 これらの所説しよせちをうかゞふに、 たとい*鬀髪たいほちぜんのすがたとなりてかいりちをかいつくろふといふとも、 真実しんじちにたもちうるひとはかたかるべし。 これぎやうにんのとがにあらず、 すでに末法まちぽふのしるしたり。 いかにいはんや、 ざいぢゆのやからにいたりては、 たもちうべきひとなし。 このゆへに、 末法まちぽふ相応さうおう要法えうぼふたるにより、 こんぎやうほんぐわんたるについて、 ひとへに安養あんやういちをねがひ、 念仏ねむぶちいちぎやうをつとむべきよし、 みづからもふかくこれをしんじ、 ひとををしえてもぎやう0595しむるものなり。 かいぎやうにをいては、 をのれがぶんにあらざるあひだ、 これを*げうぎやうせずといへども、 *きやうじうのおもひにをいては、 もともあさからず。 なにゝよりてか仏教ぶちけうにあらざるよし、 *悪言あくごんをはくべきや。 まちのなかにはみやう比丘びくなをくにのたからなり。 いはんや末代まちだいなりとも、 もしとくのひとあらば、 ことにこれをたうとむべし。 いかでか*慢想まんさうしやうずべきや。 しかしながら*じやうさちをあふぐところなり。

(7)

一 ¬弥陀みだきやう¼ ならびに ¬礼讃らいさん¼ をもて外道ぐゑだうけうとなづけてごくごふしようし、 わがりうにもちゐるさんをばわうじやうごふなりとがうするよしのこと

このでう不可ふか思議しぎ虚誕きよたんなり。 ¬四紙ししせうきやう¼ は諸仏しよぶち証誠しようじやうじち、 ¬ろく礼讃らいさん¼ は五部ごぶくわん随一ずいいちなり。 これをはなれては、 念仏ねむぶちのうをしるべからず。 これにあらずは、 わうじやう行願ぎやうぐわんをたつべからず。 外道ぐゑだうけうなりといはゞ、 そのひとすなはち外道ぐゑだうなるべし。 ごくごふなりとしようせば、 かのひとすなはちごくをまぬかれがたし。 たゞしかのじゆきやう礼讃らいさんとう善導ぜんだうくわしやうのこゝろによるに、 正行しやうぎやうざうぎやう分別ふんべちするときは、 正行しやうぎやうにしてざうぎやうにあらず。 しやうごふ助業じよごふせんじやくするときは、 助業じよごふにしてしやうごふにあらず。 そのゆへは、 じやうぎやうにをいてしゆのしなあり。 ひとつ0596読誦どくじゆふたつにはくわんざちみつには礼拝らいはいよつには称名しようみやういつゝには讃嘆さんだんやうなり。 このなかにだい称名しようみやうをもて正定しやうぢやうごふとし、 自余じよしゆをもて助業じよごふとなづく。 かの ¬観経くわんぎやう¼ のだい (散善義) に 「*一心いちしむ専念せんねむ弥陀みだみやうがうぎやうぢゆぐわもんせちごん念々ねむねむ捨者しやしやみやう正定しやうぢやうごふじゆんぶちぐわんにやく礼誦らいじゆとうそくみやう助業じよごふ」 といへるしやく、 このこゝろすでに称名しようみやうをもて正定しやうぢやうごふとなづくれば、 その正定しやうぢやうごふにあらずときこへたり。 念仏ねむぶちをもてぶちほんぐわんじゆんずとしやくすれば、 そのほかはほんぐわんじゆんぜずとしられたり。 かるがゆへに*どくきやうにもたへぬべく、 礼讃らいさんをもぎやうじつべからんひとは、 これをしゆせんことじやう正行しやうぎやうにそむかず、 これもともわうじやう助業じよごふなり。 たとひまたこれをぎやうぜずといへども、 わうじやうごふには念仏ねむぶちほんとするがゆへにそくあることなし。 しかれども、 いたりてつたなき一文いちもんつうのあま入道にふだうとうは、 ¬弥陀みだきやう¼ を読誦どくじゆすることもはなはだかたく、 ¬ろく礼讃らいさん¼ を*ごんぎやうすることもかなひがたし。 たとひまた、 いさゝか*こくびやくをわきまふるたぐひなれども、 あるひは主君しゆくんにつかへて奉公ほうこうをはげむもの、 あるひは*しやうばいをことゝしてせいをわしるやから、 ろくみやうがうすらこれをとなふるになをものうく、 なをいとまなし。 いはんやちやうじちに ¬弥陀みだきやう¼ をじゆせよとすゝめ、 ろくに ¬礼讃らいさん¼ をぎやうぜよとをし0597へば、 じやうをねがふものはいとありがたかるべし。 このゆへに祖師そし親鸞しんらんしやうにん、 もとよりこんしゆじやうをさきとしておこしたまへるほんぐわんしゆをしりて、 こゝろをしゆ助業じよごふにかくべからず、 ぎやうだいしやうごふにもはらにすべきよし、 これをすゝめらるゝところなり。 これ如来によらい本誓ほんぜいにそむくべからず、 またくわしやうしやくにたがふべからざるをや。

つぎにさんこと。 かみのごときの*一文いちもん不知ふちのやから、 きやうけう*じむをもしらず、 しやく*あうをもわきまへがたきがゆへに、 いさゝかかの経釈きやうしやくのこゝろをやはらげて无智むちのともがらにこゝろえしめんがために、 ときどき念仏ねむぶちにくはへてこれをじゆしもちゐるべきよし、 さづけあたへらるゝものなり。 これまたわうじやうしやうごふにあらず、 たゞ念仏ねむぶち助業じよごふなり。 もししゆ正行しやうぎやう*はいせば、 だい讃嘆さんだん*せふすべき。 またくじゆきやうとうたいして差別しやべちろんずるに、 全分ぜんぶん文盲もんまうのともがらにをいては、 かのじゆきやうとうはなをじやうじがたく、 このさんとうはまなびやすきがゆへに、 もし称名しようみやうにものうからんとき、 かつはおんじやうをやすめしめんがため、 かつはほふをあぢはゝしめんがために、 これをしめしをかるゝばかりなり。 しかりといひてこれをじゆせざらんもの、 わうじやうをえざるべきにあらず。 わうじやうしやうごふは、 ただ南無なも弥陀みだ仏のいちぎやうなり。

0598(8)

一 神明しんめいをかろしめたてまつるよしのこと

このでう、 あとかたなき虚誕きよたんなり。 そのゆへは神明しんめいについて権実ごんじちどうありといへども、 おほくはこれ諸仏しよぶちさち変化へんぐゑなり。 しゆじやうやくせんがため、 群類ぐんるいくゑせんがために、 かりに凡惑ぼんわくのちりにまじはりて、 しばらく分段ぶんだんのさかひにげんじたまへり。 これすなはち仏法ぶちぽふにをいて、 さしたる善因ぜんいんをたくはへざるえん无怙むこのともがら、 しんをいたしてわがまえにいたらば、 これをもて*来縁らいえんとして、 つゐに三界さむがい火宅くわたくをいださしめて、 すみやかに一実いちじち金刹こんせつにいたらしめんとなり。 いま念仏ねむぶちぎやうじやは、 ふかくそのすいしやくほんをしり、 かのだいおんをさとりて、 専心せんしむわうじやうをもとめ一向いちかう念仏ねむぶちしゆす。 さだめてしや弥陀みだならびに六方ろくぱう恒沙ごうじやぶちをよび一切いちさいさちとう*ほんぐわいにかなふべし。 ぶちさちほんぐわいにかなはゞ、 そのすいしやくたらん神明しんめい、 したがひてまたずいをいたしたまふべしといふこと、 そのだう必然ひちぜんなり。 これによりて、 かみ梵天ぼんてんたいしやくだい天王てんわうよりはじめて、 しもえん法王ほふわうだう冥官みやうくわんない六十ろくじふしうてんそち大小だいせう権実ごんじちじんみやうだうにいたるまで、 ことごとく*随逐ずいちくしてぎやうじや*やうしたまふ。 このゆへに神明しんめいおう一向いちかう専修せんじゆぎやうにんにたれ、 ぎやうにんそんきやう一切いちさい諸神しよじん0599明徳めいとくにぬきいづ。 西方さいはうごんぎやうじや、 なにゝよりてか神明しんめい*忽諸こちしよしたてまつらんや。 ひとたとひ讒言ざんげんをいたすといふとも、 しんむしろ照鑑せうかんをたれたまはざらんや。

(9)

一 しよくをはゞからず*きちくゐようとうをえらばざるでうほふごくたるよしのこと

このでう仏法ぶちぽふのなかにはしやう煩悩ぼんなうをもて*とし、 どく善根ぜんごんをもて*じやうとす。 これすなはちぶちけうをたるゝおもむき、 さちしやうするみちなり。 けんにはしやうとうきんをもてとし、 これをさるをもてじやうとす。 これすなはち神明しんめいのひとをいましむるほふ王法わうぼふせいをさだむるしきなり。 かるがゆへに俗塵ぞくぢんをいでゝ*山林さんりんにまじはり、 *せいをすてゝ仏法ぶちぽふぎやうぜんひとは、 たとひしやうにまじはるといふとも、 ぶちまなじりをめぐらしたまふべからざる。 しかれども、 いま一向いちかう専修せんじゆぎやうじやにをきては、 さらにぞくをはなれずやくをつとめながら、 しかも内心ないしむ仏道ぶちだうをねがふゆへに、 あるひはしんしよくにつかふるやからもあり、 あるひは奉公ほうこうをつとむるたぐひあり。 かくのごときのともがら、 たとひ仏法ぶちぽふのなかにしやうじやうとう差別しやべちなきことをしるといふとも、 いかでかけんぞくをわすれて、 みだりがはしくしよくをはゞからざらんや。 ほふをいたすよし、 かすめまふすでうをふいて0600きずをもとむるいひ、 まことにこのたぐひ

つぎににちぐわちきちくゐようこと。 ¬涅槃ねちはんぎやう¼ (北本巻二〇梵行品 南本巻一八梵行品) せちあんずるに、 「如来によらいほふのなかには*りやうにち*吉辰きちしん*せんぢやくすることなし」 といへり。 このゆへに、 あるひは恒例ごうれい、 あるいはりん念仏ねむぶちごんぎやう追善ついぜんをいとなむとき、 さらにきちくゐようをえらばず。 こればうにむけてちうぞんずるにあらず、 にんたいしてほふをいたすにあらず。 かのそうなんぞこれをとがめまふすべきや。 もし如来によらいほふのなかに吉日きちにちをえらぶべきことはりなきむねしんせしむるでう邪見じやけんのいたりにして仏神ぶちしん照覧せうらんにそむかば、 しん*れいをうけず。 ぶち*質直しちじきをさきとするがゆへに、 そのばちすでにしんにあるべし。 そのわざはひにんにをよぶべからず。 しかれば、 かみとして*禁遏きんあちせらるべきにあらず、 ひとゝしてまた*説諌せちかんにあたはざる。 いかにいはんや、 もしはしんにしたがひやくをつとむるとき、 ところのほふにまかせ、 つねのしきについて、 ついでをまもることさいにをよばず。 たゞあながちにきちくゐようををのれがこゝろにかけざるばかりなり。 あゑてつう*しちせずうたへまふすむき、 かたがたよりどころなきものをや。

(10)

一 仏法ぶちぽふめち王法わうぼふ忽諸こちしよするよしのこと

0601でう仏法ぶちぽふ王法わうぼふ一双いちさうほふなり。 とりのふたつのつばさのごとし、 くるまのふたつののごとし、 ひとつもかけては不可ふかなり。 かるがゆへに仏法ぶちぽふをもて王法わうぼふをまもり、 王法わうぼふをもて仏法ぶちぽふをあがむ。 これによりてじやうだいといひたうといひ、 こくをおさめまします明主めいしゆ、 みな仏法ぶちぽふ紹隆せうりうぐわんをもはらにせられ、 しやうだうといひじやうといひ、 仏教ぶちけうがくする諸僧しよそう、 かたじけなくてん安穏あんおんせいをいたしたてまつる。 一向いちかう専修せんじゆのともがら、 なんぞこのことはりをわすれんや。 なかんづくに、 *曠劫こうごふてんのあひだ、 *しやう沈没ちんもちのほど善根ぜんごん*薄少はくせうにして、 いまだ火宅くわたくをいでざるところに、 たまたまなむ人身にんじんをうけて、 さいはひに西方さいはう仏教ぶちけうにあへり。 このゆへに生々しやうじやうにうけし六道ろくだうしやうよりは、 このたびの人身にんじんはもともよろこばしく、 世々せゝにかうぶりし国王こくわうおんよりは、 このところの*くわうおんはことにをもし。 けんにつけしゆちにつけ、 おんをあふぎとくをあふぐ。 いかでか王法わうぼふ忽諸こちしよしたてまつるべきや。 いかにいはんや専修せんじゆ念仏ねむぶちぎやうじや在々ざいざい所々しよしよにして*一渧いちていをのみ、 *一食いちじきをうくるにいたるまで、 そうじては公家くげくわんとう恩化おんくわなりとしんじ、 べちしてはりやうしゆとうおんなりとしる。 こうにつけてさらにはいなし。 たゞしん得道とくだうのためにこれをしゆするばかりなり。 けだしこれ末法まちぽふにいたりぢよくにをよびぬれば、 *もく*ぎやうそくともにかけてしゆちのみち0602にまどへるざい无智むちのやから、 しやう悪果あくくわはおそるべしといへども、 自余じよしよぎやうしゆすることあたはざるがゆへに、 ひとへにぎやう一道いちだうにおもむいて、 たゞ西方さいはうわうじやうをねがふものなり。 これなんぞ王法わうぼふをそむくならんや、 これむしろ仏法ぶちぽふするならんや。 たちまちに国中こくちうついしゆちせらるゝでう便びんだいなり。 そもそも、 王法わうぼふをいのり仏法ぶちぽふをあがむとしようするさんしやうだうそうしよぎやうのくはだてもとも穏便おんびんならず。 一天いちてんかいえうとして公家くげ武家ぶけ人民にんみんたるわれら、 後世ごせをねがひ仏法ぶちぽふしんずる、 さらになにのとがゝあらん。 しかるにこれをもて*重科ぢうくわしようし、 これをもて*大罪たいざいがうして、 あるひは在所ざいしよ発向はちかうしてついしゆちをいたし、 あるひは住宅ぢゆたくきやくして*愁嘆しうたんをくはふ。 *濫吹らんすいのはなはだしきこと、 すこぶる是非ぜひにまどふものなり。 しかのみならず、 あるひは念仏ねむぶちぎやうずべからざるよし、 しやうもんをかゝしめてさむ*ぐゑんをうれへしめ、 あるひは国中こくちう*追放ついはうすべきむね、 りんありとしようして自由じゆ虚誕きよたんをかまへ、 あるひは打擲ちやうちやくにんじやうをくはへて面々めんめん*じよくをあたへ、 あるひは*逃脱てうだち牢篭らうろうにをよんで一々いちいち山林さんりんにまじはらしむるでうあくぎやうのいたりおほよそじやうへんにこえたり。 すでに人民にんみんをわづらはすは王法わうぼふをかろしむるなり。 また念仏ねむぶちをさまたぐるは仏法ぶちぽふめちするなり。 なにをもてか王法わうぼふをいのるとしようし、 なにゝよりてか仏法ぶちぽふをあ0603がむとがうすべきや。 みづからのとがをもてにんにゆづるでう*かんきよくごくなり。

(11)

一 念仏ねむぶちぎやうじやはひとの死後しごにみちををしえざるでう邪見じやけんのきはまりなるよしのこと

このでうにをいては、 まことにしかなり。 一向いちかう専修せんじゆぎやうじやにんにみちををしへざるでう、 さらにあらがひまうすべからず。 たゞし、 をしへざるは邪見じやけんのよしまふさしむるでうじん申状まふしじやうなり。 そのゆへは、 田舎でんしやとうにみちををしふとしようして、 もちゐるところのじやうだうほふは、 六道ろくだう方角はうがくををしへ、 極楽ごくらく方所はうしよをしめす。 しかれば、 念仏ねむぶちのひとにをいては、 これををしふべきにあらず、 六道ろくだう*いうにまよふべからず。 西方さいはうじやうせちにいたるべきがゆへなり。 たとひまたわうじやうをとげざるひとなりといふとも、 これををしへてせんなし。 こゝにしてみちををしへんによりて、 かのひとじやうにむまるべからざるがゆへなり。 そのゆへは、 めいのありさまをとぶらひ、 しゆち*方法はうほふをしめさんこと、 もとも仏説ぶちせち*じやうごんにまかせしやうげうせちによるべし。 しかるに亡者まうじや死後しご六道ろくだうのちまたををしふべきでう、 いまだきやうろんしやくしやうせちをきかず。 たゞのちのひとのをろかなるたくみをもて、 もちゐはじめたるところ。 これをもちゐこれをもちゐざらんこと、 よろしくひと0604のこゝろにあるべし。 にんのいふところにあらず。 おほよそもち追善ついぜんにをいては、 たとひ讃仏さんぶちかうきやうとうしゆしようどくしゆしてかうすれども、 七分しちぶんがなかにをいて、 わづかにその一分いちぶんのみめいたちすとみえたり。 いはんや、 仏教ぶちけうにあらざるわたくしの*げうをもて六趣ろくしゆのつじをしめさん、 あにそのやくあらんや。 しかるあひだ、 念仏ねむぶちぎやうじやにをいては、 かのほふをもちゐざるところなり。 なかんづくに、 ¬くわんぶち三昧ざむまいきやう¼ のせちをうかゞふに、 念仏ねむぶち三昧ざむまい*失道しちだうのものゝ*なんなり。 *黒闇こくあんのものゝ*灯燭とうそくなりとみえたり。 しからば、 六道ろくだうのくらきちまたにまよひ、 さむのかすかなるみちにやすらはんとき、 この念仏ねむぶちしゆして、 かの*しやうじよをとぶらはゞ、 そのみちしるべとなり、 かのあきらかなるともしびとならんこと、 仏説ぶちせちすでにたなごゝろをさす。 感応かんおうなんぞくびすをめぐらさんや。 かるがゆへに専修せんじゆぎやうにんは、 ふかく仏教ぶちけうじやうごんをまもりて、 *にんげうをもちゐざるものなり。

じやけんしやうせう 

  大谷本願寺親鸞聖人之御流之正理也。

本願寺住持存如(花押)

 

0605じやけんしやうせう 

(12)

一 仏前ぶちぜんにをいて、 *さん*かうもろもろの畜類ちくるいじやう*にくをそなふるよしのこと

このでう、 ほとほとごんじやうにをよばず。 虚誕きよたんのいたり、 しかしながら*すいりやうにたりぬべきものをや。 そのゆへは、 弥陀みだ如来によらい安養あんやうじやうせち能忍のうにんしようぐわ三界さむがい教主けうしゆなり。 しかれば、 *しきしやうかうきやうがいぢやくせず、 みづからほふ禅悦ぜんえちのあぢはひをなめたまふ。 三界さむがい穢土えどやうにをいては、 ひとつとして清浄しやうじやうなることなれば、 *こんするにあたはずといへども、 いまぢゆ三宝さむぼうにむかひたてまつるとき、 *散華さんぐゑ焼香せうかう燃灯ねんとう懸幡けんばんとうやうをもちゐるべきむねみえたり。 これすなはちぼんのためにやくをなしたまふたいなるがゆへに、 穢土えどやうをまうくるものなり。 このほか仏前ぶちぜん供具くぐじやうもんにをいていまだこれをことゝせず。 なにゝよりてか*山禽さんきんじうのけがらはしきにくをそなふべきをや、 さらに信用しんようにたらざるものな0606り。 たゞしくゑちしゆどうぎやういち道俗だうぞく、 そのかずすでにもておほし、 たやすくたづねあなぐるにをよばず。 もしまんいちかくのごときのほふをいたすひとあらば、 すみやかにけうみやうをさゝるべし。 こともしじちならば、 すでに仏法ぶちぽふめちのともがらなり。 これ放逸ほういち邪見じやけんのたぐひなり。 はやくもん追放ついはうすべし。 たゞ展転てんでん*げんしんじて偏執へんじふじやうにをよばゞ、 かつは荒涼くわうりやうなり、 かつは*姧謀かんぼうなり、 ことにあきらめ沙汰さたあるべきものなり。

(13)

一 *魚鳥ぎよてうべちみやうをつけて、 念仏ねむぶちごんぎやうちうだうぢやうにしてこれを受用じゆようせしむるよしのこと

このでう、 さらにしよういんにをよぶべからず。 いまこの専修せんじゆぎやうじやは、 おほくはこれざいぢゆのともがらなり。 このゆへにあるいは*さいにともなひて愛欲あいよくにまつはれ、 あるいは主君しゆくんにつかへて弓箭きうせんたいせり。 あるひはまた*耕作かうさくをことゝして、 *鋤鍬じよせうをひさぐるものもあり。 あるいは*しやうげうとして*朝夕てうせきのさゝへとするものもあり。 しかるに弥陀みだ如来によらいは、 こふゆいほんぐわん*深重じんじふ超絶てうぜちにして諸仏しよぶちにすぐれ、 兆載てうさいゐやうごふしゆぎやう不可ふか思議しぎにしてぐんじやうしまします。 たとひ十悪じふあくぎやくぢう0607謗法はうぼふ闡提せんだいかいけんとう罪人ざいにんなりといへども、 しむ念仏ねむぶちすれば、 これをもらさず。 しむ信楽しんげうすれば、 かならずこれをしたまふ。 かいざんのともがら、 ざい無智むちのたぐひ、 もともこれをぎやうずべきむね、 しきくわんじんのあひだ、 一心いちしむにかのをしへをたのみて、 一向いちかうにこのぎやうをつとむるばかりなり。 もとより煩悩ぼんなうだんぜず山林さんりんにまじはらざるこんなれば、 魚鳥ぎよてうじきするをもてひとにはゞからず。 いはんや、 念仏ねむぶち勤修ごんしゆ一道いちだうぢやうぶんたいいちぐわちいちなり。 しかれば、 ぢやうにはゞかりをなさずして魚鳥ぎよてう食用じきようするともがら、 いづれのへんによりてか、 かだましくべちみやうをつけて念仏ねむぶちごんぎやう*へんのあひだにこれをもちゐるべきや。 さらに信用しんようのかぎりにあらざるものなり。

(14)

一 念仏ねむぶちごんぎやうのついでに、 仏前ぶちぜんにして*しんぞんぜず、 自他じたさいをいはず、 たがひにこれをゆるしもちゐるよしのこと

このでうさいまたさきにおなじかるべし。 すみかをざいにしめて*ちうさいにまつはるゝ、 なにのかだましきこゝろありてか、 念仏ねむぶちのとき仏前ぶちぜんにしてかくのごときのじやぎやうをいたすべきや。 なかんづくに、 いんぎやうずるは愛欲あいよく*しよなり。 よく0608をはなれずしていんぎやうぜん、 いかでかしちをはなれて*さいにんにゆるすべきや。 迹きやうじやくにたりぬべし。 いかにいはんや、 われら曠劫こうごふよりこのかた、 ひさしく六道ろくだうしやうにめぐりて、 いたづらに十悪じふあく三毒さむどくにまつはれたり。 このゆへにむなしくしやうしん各々かくかく恩愛おんあいのかうばしきよしみをもわすれ、 さむ諸仏しよぶち番々ばんばんしゆち慈悲じひをもわきまへずして、 いまにいたるまでしやう*ぢやうにさまよい、 三界さむがい*牢獄らうごくにとぢられたり。 これをなげき、 これをかなしむがゆへに、 穢土えど*えんするとなり、 じやう*ごんするこゝろをおこせり。 *希有けう仏法ぶちぽふにあひて*こんしゆちをねがふ、 なにゝよりてかさんのとり・けだものにどうじて、 しかのごときの調てうをいたさんや。 もとも*高察かうさちあるべきものなり。

(15)

一 一向いちかう専修せんじゆぎやうじやとうみやうとなづけて*銭貨せんくわはん沙汰さたするでう邪法じやほふのいたすところなるよしのこと

このでう仏教ぶちけうくゐするやから、 仏前ぶちぜんとうみやうれう沙汰さたせむでうだうにそむくべからざる。 おほよそ仏法ぶちぽふしゆぎやうほふ*ぶちそうのいとなみをさきとし、 仏道ぶちだうごんのならひ、 *しやくしんみやうのをもゐをほんとす。 しんみやうなをおしむべからず、 いはんや財宝ざいほう0609をいてをや。 これによりて一向いちかう専修せんじゆぎやうにんとう、 かつはおん報謝ほうしやせんがため、 かつはしんみやうのため、 仏前ぶちぜんとうみやう*し、 しやう*りやうにあてゝ、 わたくしにもちゐるところの*くわちけいじやうぶんをもてはんのところにをくりあげんでう、 これすでに信心しんじむのいたすところなり。 さらににんのいろふところにあらず。 わたくしのちからをもちいて公事くじげんぜざれば、 かみとしてきんぜらるべきにあらず。 わがこゝろざしをはげましてこくをつゐやさゞれば、 ひとゝしてうたへをいたすべきにあらず。 なすところのこう少分せうぶんなりといへども、 うるところのやくはさだめて莫大ばくだいならん。 なかんづくに、 ¬くわんねむ法門ぼふもん¼ (意) に ¬般舟はんじゆ三昧ざむまいきやう¼ のせちをひいて、 「この念仏ねむぶち三昧ざむまいにをいて四事しじやうあり。 *飲食をんじきぶくぐわ湯薬たうやくをもて、 それをたすけてくわんす。 さむ諸仏しよぶちみな*ねむ弥陀みだぶち三昧ざむまい四事しじじよくわんをもて、 じやうぶちしたまへり」 といへり。 すなはちきんわう私訶しか提仏だいぶちにあひ、 ぼんだち珍宝ちんぼう比丘びくにつかへし、 みな四事しじやうをのべろくみやうがうをきゝて、 つゐに得益とくやくせることをあかせり。 このせちのごとくならば、 念仏ねむぶちぎやうじや、 ちからのたえんにしたがひてやうちやうにいたし、 こゝろざしのひかんにまかせて財宝ざいほう仏道ぶちだうになぐべしとみゑたり。 しかれども、 とき末代まちだいにをよび、 ひとおほく*慳貪けんどんにして、 そのまことをぬきいづる0610ともがら、 はなはだもてかたし。 たまたま随分ずいぶんのつとめをいたさんものをば、 これをみな*ずいすべし、 なんぞかへりて*にくにをよばんや。

(16)

一 念仏ねむぶちもしわうじやうごふならば、 みづからこれをとなへんにわうじやうをうべし。 あながちにしきをあふいで*師資ししさうじようをたつべからざるよしのこと

このでうそうじて仏法ぶちぽふしゆぎやうほふをみるに、 みな師資ししさうじようあり。 なんぞじやういちにをいて血脈くゑちみやくなからんや。 なかんづくに、 弥陀みだほんぐわんをきくによりてすでにわうじやう信心しんじむをたくはふ。 きくことをうるはしきおんなり、 なんぞしきをあふがざらん。 これをあふがば、 むしろ血脈くゑちみやくなからんや。 このゆへに ¬だいきやう¼ (巻下) のなかには、 「*ぜんしき聞法もんぼふのうぎやう」 ととけり。 しきにあひてほふをきかば、 そのさうじようなり。 これによりて善導ぜんだうくわしやう処々しよしよしやくのなかに、 しきのをしへにあらずは、 わうじやうをえがたきむねをはんぜり。 いましげきがゆへにこれをりやくす。 おほよそ仏教ぶちけうもんにいりてしゆちのみちをしること、 あるひは経巻きやうくわんのをしへにより、 あるひはしきのすゝめによる。 しかるに一文いちもん不知ふちどんのともがらにいたりては、 きやうけうをひらいてみづから仏教ぶちけうのことはりをさとることなし。 たゞひとへにしきのちからによる0611がゆへに、 そのことばをたのみて*ぶちしんずるおもひをなし、 かのをしへをまもりてきやうけうくゐするこゝろにぢゆす。 いかでか*面授めんじゆ恩徳おんどくをわすれ、 いかでか*くえち血脈くゑちみやくをあふがざらん。 しかれば、 黒谷くろだにぐゑんしやうにんじやうしゆにをいて師資ししさうじようあるべきことをはんじて、 五祖ごそとう血脈くゑちみやくをひかれたり。 *じやうにをいてすでに血脈くゑちみやくあり、 末代まちだいにいたりなんぞさうじようなからんや。

(17)

一 念仏ねむぶちしゆせばぎやうのためにこれをつとめてわうじやうをねがふべし。 無智むちをもてひとを教化けうくゑせしむるでう、 しかるべからざるよしのこと

このでう*じやうだいくゑしゆじやうさち行願ぎやうぐわんなり。 したがひてじやうもんぎやうじや、 このこゝろなきにあらず。 いはゆる*ぐわん仏心ぶちしむしゆじやうしむこれなり。 しかれば、 ぜんしきにあひてわがわうじやう信心しんじむをうるゆへに、 *やくくわんのあまり、 ざい无智むちのやからをあひかたらひて末代まちだい相応さうおうぎやうしゆすべきよし、 えんにしたがひてこれをすゝめんでう仏法ぶちぽふしゆぎやう*たいにそむくべからざる无智むちをもて有智うちのひとををしへば、 まことにおほけなきににたり。 无智むちなりといへども、 無智むちのひとをこしらへて念仏ねむぶちせしめんこと、 なんぞ如来によらいほんぐわいにたがはんや。 これによ0612りて善導ぜんだうくわしやうしやくをうかゞふに、 ¬観経くわんぎやう¼ (定善義意) のなかには 「一人いちにんをしてもしやうをいづることをえしむるは、 *しん仏恩ぶちおんほうずとなづく。 このゆへにこんえん、 あひすゝめてちかひてじやうしやうぜしむるは、 すなはち諸仏しよぶちほんぐわんのこゝろにかなふなり」 といひ、 ¬わうじやう礼讃らいさん¼ には、 「みづからもしんじ、 ひとをしてもしんぜしむる、 かたきがなかにうたゝさらにかたし、 だいつたへてあまねくくゑする、 しん仏恩ぶちおんほうずるになる」 としやくせり。 ちからのをよばんにしたがひて*しんをこしらへ、 えんにふれて道俗だうぞくをすゝめんこと、 そんほんにかなひ、 諸仏しよぶち方便はうべんじゆんずべきをや。 なんのむね、 もともぞんしがたきものなり。

・結釈

ぜん条々でうでう*ぶんせちについてさい*ろくしてごんじやうすることかくのごとし。 おほよそ念仏ねむぶち三昧さむまいは、 弥陀みだせんぢやくほんぐわんしやくそんぞく勝行しようぎやう諸仏しよぶち証誠しようじやうじちしゆじやう得脱とくだちしやうもんなり。 八万はちまんせん行願ぎやうぐわんこの三昧さんまいよりじやうじゆし、 十方じふぱうさむ諸仏しよぶちこのろくより出生しゆちしやうせり。 なかんづくに、 末代まちだいぎやうじや无智むち道俗だうぞく、 このぎやうにあらずはしやうをいでがたく、 このほふにあらずはだいしやうじがたし。 いはゆる如来によらいめちにをいてさむどうあり、 しやうざう末法まちぽふこれなり。 しゆじやうこんじやうについて三種さむしゆ差別しやべちあり、 じやうちうこんこれなり。 このゆへに如来によらい、 ときをはかりをはかりて、 ほふ0613をさづけたまふ。 しゆじやうまた、 ときをはかりをはかりて、 これをぎやうずべし。 かのしやうざう二時にじのあひだには、 かいぢやう三学さむがくみなけんにして得道とくだうのひとおほく、 末法まちぽふぢよくらんのいまは、 念仏ねむぶち三昧ざむまい得道とくだうさかりなるべきむねををしへたまへり。 しかるにかのさむをもてその三根さむこんはいせば、 しやうぼふじやうこん像法ざうぼふ中根ちうこん末法まちぽふこんにあたれり。 しかれば、 しやうざう二時にじじやうちうこんは、 しやうだうけうぎやうじてもしやうだちすべし。 末法まちぽふ万年まんねんさい群類ぐんるいは、 じやうぎやうにあらずは、 だいしようとくしがたし。 かるがゆへに時機じき相応さうおうすれば、 しゆぎやうじやうじゆすることをえ、 けうあひそむけば、 やく速疾そくしちなることなし。 このむねをぞんぜずして、 しやうぼふのときのしゆぎやうをもて像法ざうぼふにをしへ、 像法ざうぼふのときのしゆぎやうをもて末法まちぽふにすゝめば、 ときとさうし、 ほふ相応さうおうせずして、 しようはなはだすくなかるべし。 またそのこんについて、 じやうちうべちあるのみにあらず。 ざいしゆちしゆあひわかれたるがゆへに、 ぶちざいには住所ぢゆしよまた各別かくべちなり。 まづざいしゆといふは、 よく*とんすること相続さうぞくしてこれつねなり。 たとひ*しやうしむをおこせども、 なをしみづにゑがくがごとし。 このしゆ*男女なんにょけうくわい*飲酒をんじゆ食肉じきにくとうをいましむるにをよばず。 つぎにしゆちのものといふは、 *まうじいのちをすて、 よくだんしんくゐし、 こゝろ金剛こんがうのごと0614*えんきやう*等同とうどうなり。 ぶち*悕求けぐして*自他じた*やくす。 もし*くゐようぢんぜちするにあらずは、 このとくしようすべきによしなし。 このしゆをば、 婬酒いんしゆ食肉じきにくとうをいましめたまへり。 こゝにしりぬ、 、 如来によらいだいをもてひとにしたがひ、 ときによりて、 あるひはゆるし、 あるひはせいしたまへり。 しかれば、 伝教でんげうだいしやくにも、 「しやうぼふのときの制文せいもんをもて、 末法まちぽふみやう比丘びくせいせば、 ひとほふがちせず。 これによりて ¬りち¼ のなかには、 せいせいすれば、 さむみやうだんず。 せちするところつみあり」 (末法灯明記意) といましめたまへり。 かるがゆへに、 そのよくだんしんくゐせんしゆち清浄しやうじやうのひとをば、 をいてこれをろんぜず。 かのしやうだうもん学者がくしやとうはこのたぐひ。 たゞし当今たうこん末法まちぽふのありさまをみるに、 鬀髪たいほちぜんのともがらおほしといへども、 ざいしゆちほふのごとく、 まことにまうじいのちをすつるひと、 はなはだまれなり。 おほくはこれ住所ぢゆしよざいしゆちにわかたず、 おなじく妄念まうねむ愛塵あいぢん欲塵よくぢんにおこすものなり。 かうべをそるといへども、 ぞくにつかへて弓箭きうせんたい*剣戟けんげきをさゝぐるひともあり。 ころもをそむといへども、 さいにまつはれて*田畠でんばくをたがやし*屠沽とこをことゝするものもあり。 しゆちのひとのなかに、 なをかくのごときのたぐひあり。 けだしこれ末代まちだいのならひ、 ほふのごとくなること、 もともかたきがゆへなり。 いかに0615いわんや、 いまわれらがともがらは、 もとよりざいぢゆのたぐひ、 愚痴ぐち無智むちのあま入道にふだうなれば、 よくとんずるをもて朝夕てうせきのおもひとし、 三毒さむどくにまつはるゝをもてちうのうとせり。 かくのごときの、 このほふによらずは、 たやすくしやうをいでがたきがゆへに、 一心いちしむくゐ一向いちかう勤修ごんしゆするものなり。 これすなはち弥陀みだほんぐわんはもとぼんをすくひ、 如来によらいだいはことに罪人ざいにんにかうぶらしむるがゆへなり。 おほよそ仏法ぶちぽふしゆぎやうのならひ、 をのをのぎやうをつとめしむるに、 あへてごふ*しやせず。 えんにしたがひてぎやうをおこせば、 みなだちをう。 一向いちかう専修せんじゆぎやうにんにかぎりて、 なんぞあながちに種々しゆじゆじちをかまへ、 条々でうでうあくみやうをあげて在所ざいしよ追放ついはうせしめ、 念仏ねむぶちちやうせらるゝや。 *末弟まちていもしあやまつところあらば、 とがをせいをあらたむべきよし、 *くゑをくわへられんでう、 これ自他じたしゆ学者がくしやほんなり。 しかるにことを左右さうによせ、 とがを*じゆうわうにもとめて、 仏道ぶちだうしゆぎやうしやうせらるゝでうごん道断だうだんしよぎやうなり。 まことにこれあくのさだまれるほふ邪見じやけんごくなり。 くわしやうらいみぎにのせて炳焉へいえんなり。 かなしむべし、 かなしむべし。 なげかずはあるべからず。 しかれば、 はやく*哀憐あいりんをたれられて、 さんしやうだう諸僧しよそうならびに山伏さんぐわぢよ陰陽おんやうとう念仏ねむぶちはうのともがらと、 一向いちかう専修せんじゆぎやうじやりやう0616はうをめしくゑちせられて、 称名しようみやう念仏ねむぶち勝行しようぎやう外道ぐゑだう邪見じやけんほふにあらず。 西方さいはうわうじやうえう時機じき相応さうおうけうたるでう理致りち*えんぐゑんをきわめられてのち、 もとのごとく本宅ほんたくぐゑんぢゆして専修せんじゆ念仏ねむぶちごんぎやうすべきよし、 成敗せいばいをかうぶらば、 いよいよ*憲政けんせいへんをあふいで、 まさに真宗しんしゆ*やくをしらんとおもふ。 よてほゞごんじやう、 くだんのごとし。

じやけんしやうせう 

  大谷本願寺親鸞聖人之御流之正理也。

本願寺住持存如(花押)

 

底本は龍谷大学蔵存如上人書写本。
山伏 ヤマブシ(左訓)
巫女 カンナギ(左訓)
帰仏信法 ブチニクヰシ ホフヲシンズル(左訓)
懇志 ネンゴロナルコヽロザシ(左訓)
治国撫民 クニヲオサメ タミヲナヅル(左訓)
 アハレミ(異本左訓)
本宅 モトノイヘ(左訓)
還住 カヘリスミテ(左訓)
愚鈍 ヲロカニニブキ(異本左訓)
一路 ヒトツノミチ(異本左訓)
京中洛外遠邦近国 ミヤコノウチ ミヤコノホカ トヲキクニ チカキクニ(左訓)
済々焉 オホシトイフコヽロナリ(左訓)
捨家棄欲 イエヲステ ヨクヲスツル(左訓)
農業 タツクルワザナリ(左訓)
官仕 ミヤヅカヘ(左訓)
公務 オホヤケノコトナリ(左訓)
追出 ヲヒイダサルヽ(異本左訓)
愁吟 ウレヘ(左訓)
見有… シユギヤウスルコトアルヲミテハシンドクヲオコシ ハウベンハエシテキホイテアダヲナス(左訓)
末代 スエノヨ(異本左訓)
再興 フタヽビヲコランコトヲ(左訓)
耳目 ミヽ メ(左訓)
一端 ヒトハシ(左訓)
无実 マコトナキコト(異本左訓)
万察 ヨロヅヲシハカラルベシトナリ(左訓)
高聞 カミヘキコシメサレテトイフコヽロナリ(左訓)
汝好… ナンヂヨクコノコトバヲタモテ(異本左訓)
望仏… ブチノホングワンニノゾムルニ コヽロシユジヤウヲシテヰチカウニモハラミダブチノミナヲシヨウセシムルニアリ(左訓)
炳焉 アキラカナリ(左訓)
見聞せざらん ミキカザラントナリ(異本左訓)
随縁… エンニシタガフモノハ スナハチミナゲダチヲカウブル(異本左訓)
仏教… ブチケウノカドオホクシテハチマンシナルコトハ マサシクシユジヤウノキノオナジカラザルガタメナリ(異本左訓)
自是… ミヅカラヲゼシタヲヒシテ シヤウボフヲソシレバ マノトモガラトナル(左訓)
自法… ミヅカラノホフヲアイゼンスルガユヘニ タニンノホフヲソシレバ カイギヤウヲタモテルヒトナリトイヘドモ ヂゴクノクヲマヌカレズ(左訓)
除却せり ノゾキシリゾケラレタリ(左訓)
軽毀して カロシメソシリテ(左訓)
 ホムル(異本左訓)
法眼 ミノリノマナコ(異本左訓)
破壊 ヤブリソコナフ(異本左訓)
正道 タヾシキミチ(左訓)
履足するによしなし アシヲフミイレズトナリ(左訓)
非せず ソシラズ(異本左訓)
蹂躙 フミニジル(左訓)
毀破 ソシリヤブル(異本左訓)
盗犯 ヌスミ ヲカス(左訓)
罪責 ツミノセメ(左訓)
財宝 タカラ(異本左訓)
所犯 ヲカストコロ(左訓)
剃除鬚髪 ヒゲカミヲソリタルコト(異本左訓)
弓箭 ユミヤ(左訓)
刀剣 カタナツルギ(左訓)
高天 タカキソラ(左訓)
厚地 アツキツチ(左訓)
徹す トホル(左訓)
軍衆 イクサノシユ(左訓)
眼前 マナコノマヘ(左訓)
生後 ノチノヨナリ(異本左訓)
一言 ヒトコトバ(左訓)
返答 カヘリゴト(左訓)
年来 トシゴロ(異本左訓)
常篇にたえたり ヨノツネニコヘタリトイフコヽロナリ(左訓)
災難 ワザハイ(左訓)
浅深 アサキフカキ(左訓)
優劣 マサリオトリ(左訓)
比するに ナラブルニ(左訓)
此土 コノド(左訓)
混ずべからざる ヒタヽクベカラズトナリ(異本左訓)
再誕 フタヽビムマレタマフ(左訓)
諸寺諸山 モロモロノテラ モロモロノヤマ(左訓)
南京 ミナミノミヤコハナラ(左訓)
北京 キタノミヤコハヤマミヰデラ(左訓)
朝用 ダイリニモチヰラルヽコト(異本左訓)
請来 ワタシタマフナリ(異本左訓)
震旦 タウドナリ(異本左訓)
劣行 オトレルギヤウ(異本左訓)
半字 セウジヨウナリ(異本左訓)
一致 ヒトツ ムネ(異本左訓)
賢哲 カシコカリシヒト(異本左訓)
碩才 ガクシヤウトイフコヽロナリ
不足言 イフニタラザル(左訓)
日域 ニチポン(異本左訓)
荒言 アレタルコトバ(左訓)
捺落 ヂゴクナリ(異本左訓)
大罪 オホキナルツミ(異本左訓)
先非 サキノヒガゴト(左訓)
罪苦 ツミ クルシミ(異本左訓)
懺ず クヰヨトナリ(左訓)
不吉 イマイマシキトイフコヽロナリ(異本左訓)
員外 サタノホカトイフコヽロナリ(異本左訓)
現当 コノヨ アノヨ(異本左訓)
存没 イキタルモノ シニタルモノ(左訓)
息災延命 ワザワヒヲヤメテ イノチヲノブ(異本左訓)
長命安楽 ナガキイノチヲヤスクタノシムトナリ(左訓)
非せんや ソシランヤトナリ(左訓)
解脱堅固 シヤウジヲハナルヽコトサカリナルナリ(左訓)
禅定堅固 ザゼンノサカリナルナリ(左訓)
持戒堅固 カイヲタモツコトノサカリナルナリ(左訓)
多聞堅固 シヤウギヤウヲオホクキヽタモツコトサカリナルナリ(左訓)
闘諍堅固 タタカヒアラソフコトノサカリナルナリ(左訓)
剃髪染衣 カミヲソリ コロモヲソムル(左訓)
楽行せず ネガヒオコナハズトナリ(左訓)
敬重 ウヤマヒヲモクスル(左訓)
悪言 アシキコトバ(左訓)
慢想 アナヅルオモヒ(左訓)
上察 カミトシテヲシハカリタマフベシ
一心… イチシンニモハラミダノミヤウガウヲネンジテ ギヤウヂユザグワニジセチノヒサシキチカキヲトハズネムネムニステザルヲバ コレヲシヤウヂヤウノゴフトナヅク カノブチノグワンニジユンズルガユヘニ モシライジユトウニヨルヲバスナハチナヅケテジヨゴフトス(左訓)
読経 キヤウヲヨム(異本左訓)
勤行 ツトメヲコナフ(左訓)
黒白 クロク シロシ(左訓)
商売 アキナヒ(左訓)
一文不知 モンジヒトツヲモシラザルヒトヽイフナリ(左訓)
深理 フカキコトハリ(異本左訓)
奥旨 フカキムネ(左訓)
配せば アテバ(異本左訓)
摂す オサム(異本左訓)
来縁 ミライノエン(左訓)
本懐 モトノオモヒ(異本左訓)
随逐 シタガヒテ(左訓)
影護 カゲノゴトクニマモリタマフ(異本左訓)
忽諸したてまつらんや イルカセニシタテマツランヤトナリ(左訓)
吉凶 ヨシアシ(異本左訓)
 ケガレ(異本左訓)
 キヨシ(異本左訓)
山林 ヤマハヤシ(左訓)
世務 ヨノイトナミ(左訓)
良日 ヨキヒ(左訓)
吉辰 ヨキトキ(左訓)
選択することなし エラビエラブコトナシト(左訓)
非礼 ヒガゴトナリ(異本左訓)
質直 スナホナルコトナリ(左訓)
禁遏せらるべきにあらず イマシメトドメラルベカラズトナリ(左訓)
説諌にあたはざる トキイサムルニアラズトナリ(異本左訓)
遺失せず タガヒウシナワレズトナリ(左訓)
曠劫流転のあひだ ムカシヨリロクダウニナガレメグルアヒダ(左訓)
多生沈没のほど オホクノアシヤウニサンヅニシヅミツルホド(左訓)
薄少 ウスクスクナシ(左訓)
皇恩 オホヤノヲン(左訓)
一渧 ヒトシタヽリノサケ(左訓)
一食 ヒトカハラケクヒモノ(左訓)
智目 チヱノメ(異本左訓)
行足 ギヤウノアシ(異本左訓)
重科 ヲモキトガ(左訓)
大罪 オホキナルツミ(左訓)
愁嘆 ウレエナゲク(異本左訓)
濫吹 ラウゼキノフルマヒナリ(異本左訓)
苦患 クルシミ ウレヘ(異本左訓)
追放 ヲイハナツ(左訓)
恥辱 ハヂ(左訓)
逃脱牢篭 ニゲノガレテマドウコトナリ
奸曲の至極 カダマシクマガレルコトノイタレルキハマリナリ(左訓)
幽途 カスカナルミチ(左訓)
方法 ミチ(異本左訓)
誠言 マコトノコトバ(異本左訓)
意巧 コヽロノタクミ(左訓)
失道 ミチヲウシナヘル(異本左訓)
指南 シルベ(左訓)
黒闇 クラキヤミ(左訓)
灯燭 トモシビ(左訓)
生処 ウマルヽトコロ(左訓)
愚人 ヲロカナルヒト(異本左訓)
山野 ヤマ ノ(左訓)
江河 エ カハ(左訓)
肉味 シシムラノアヂハヒ(左訓)
御推量 オンオシハカリアルベシトナリ(左訓)
色声香味 イロ コヱ カ アヂハヒ(異本左訓)
奉献 タテマツル(左訓)
散華焼香燃灯懸幡 ハナヲチラシ カウヲタキ トモシビヲトモシ ハタヲカク(左訓)
山禽野獣 ヤマノトリ ノノケダモノ(左訓)
浮言 ウカベルコトバ(左訓)
奸謀 カダマシキハカリゴト(左訓)
魚鳥 ウホ トリ(左訓)
妻子 メ コ(左訓)
耕作 タガヘシ ツクル(左訓)
鋤鍬 スキ クワ(左訓)
商沽 アキナヒ ウル(左訓)
朝夕 アシタ ユフベ(異本左訓)
深重超絶 フカクヲモクコエスグレテ(異本左訓)
昼夜 ヒル ヨル(左訓)
片時 カタトキ(異本左訓)
親子 オヤコ(異本左訓)
所為 ナストコロ(異本左訓)
自妻 ミヅカラノメ(左訓)
長夜 ナガキヨ(異本左訓)
牢獄 カタメタルヒトヤ(左訓)
厭離 イトヒハナルヽ(左訓)
銭貨 ゼニ タカラ(異本左訓)
供仏施僧 ブチニクシ ソウニホドコス(異本左訓)
欣求 ネガヒモトムル(左訓)
希有 マレナル(左訓)
今度 コノタビ(左訓)
高察 ヲシハカリアルベシトナリ(左訓)
不惜身命 シンミヤウヲヲシマズトナリ(左訓)
 ナゾラフ(異本左訓)
資糧 タスケ カテ(左訓)
活計 イノチイクルハカリゴト(左訓)
飲食衣服臥具湯薬 ノミクウ イシヤウ フストキノグワグ クスリ(異本左訓)
念阿… ワアミダブチサムマイヲネムジテシジヲモテタスケテヨロコブ(異本左訓)
慳貪 オシミムサボル(異本左訓)
随喜 シタガヒヨロコブ(異本左訓)
毀辱 ソシリハヂシム(左訓)
師資相承 シシヤウヨリアヒウケツタフル(異本左訓)
遇善知識… ゼンヂシキニアヒテホフヲキヽテヨクギヤウズトナリ(左訓)
仏語 ミコトバ(異本左訓)
面授 メンニアフテサヅクルナリ(異本左訓)
口決 クチヅカラツタフルナリ(異本左訓)
上古 トヲキイニシヘ(異本左訓)
末代 スエノヨ(異本左訓)
上求菩提下化衆生 カミボダイヲモトメ シモシユジヤウヲクヱスルナリ(異本左訓)
願作仏心度衆生心 ネガハクハブチニナラントオモフコヽロ シユジヤウヲドセントオモフコヽロナリ(異本左訓)
踊躍 オドリオドル(異本左訓)
大意 オホコヽロ(異本左訓)
真に マコトニ(左訓)
親疎 シタシキウトキ(左訓)
風聞 ホノカニキコユル(左訓)
 シロシテ(異本左訓)
貪求 ムサボリモトムルコト(異本左訓)
清心 キヨキコヽロ(異本左訓)
男女交懐 ヲトコヲンナマジハリイダク(左訓)
飲酒食肉 サケヲノミシヽムラヲクラフ(左訓)
亡じ ホロボシ(左訓)
円鏡 マドカナルカヾミ(異本左訓)
等同 ヒトシクオナジ(異本左訓)
悕求 ネガヒモトム(左訓)
自他 ワレ ヒト(異本左訓)
弘益 ヒロクリヤクス(異本左訓)
囂塵を絶離するにあらずは カマビスシクケガラハシキコトヲタチハナルルニアラズハトイフナリ(左訓)
剣戟 ツルギホコ(左訓)
田畠 タ ハタケ(異本左訓)
屠沽 ホフリ ウル(左訓)
示誨 シメシヲシフル(左訓)
 サイギル(異本左訓)
末弟 スヱノデシ(異本左訓)
竪横 タタサマ ヨコサマ(左訓)
哀憐 アハレミアハレム(異本左訓)
淵源 フカキミナモト(左訓)
憲政の無偏 カシコキッマツリゴトノヘンバナキコト(左訓)
巨益 オホキナルヤク(異本左訓)