0165◎仏説ぶっせつ阿弥陀あみだ経きょう 巻かん下げ

*呉ご月げっ*支し国こく*居士こじ支し謙けん訳やく

 

二 Ⅳ 往生因果
    ⅰ 衆生往生

【14】◎仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 それ世せ間けんの人民にんみんもしは善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにん、 願がんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっするものに三輩さんぱいあり、 徳とくをなすに大だい小しょうありて、 うたたあひ及およばずと。

◎○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、其レ世間ノ人民若シハ善男子・善女人、願ジテ欲スル↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡者ニ有リ↢三輩↡、作スニ↠徳ヲ有リテ↢大小↡、転タ不ト↢相及バ↡。

仏ぶつのたまはく、 なんらをか三輩さんぱいとなす。 最さい上じょうの第だい一輩いっぱいとは、 まさに家いえを去さり妻さい子しを捨すて愛欲あいよくを断だんじ行ぎょうじて沙門しゃもんとなり、 無為むいの道どうに就つきてまさに菩ぼ薩さつ道どうをなし、 六ろっ波羅ぱら蜜みつ経きょうを奉ぶ行ぎょうするものなり。 沙門しゃもんとなりて経きょう戒かいを虧かかず、 慈じ心しんをもつて精しょう進じんしまさに瞋しん怒ぬせず、 まさに女人にょにんと交きょう通つうせず、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにして心こころに貪とん慕ぼするところなく、 至し誠じょうに願がんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっし、 つねに念ねんじて至し心しんにして断絶だんぜつせざれば、

○仏言ク、何等ヲカ為ス↢三輩ト↡。最上ノ第一輩ト者、当ニ去リ↠家ヲ捨テ↢妻子ヲ↡断ジ↢愛欲ヲ↡*行ジテ作リ↢沙門ト↡、就キテ↢无為之道ニ↡当ニ作シ↢菩薩道ヲ↡、奉↢行スル六波羅蜜経ヲ↡者ナリ。作リテ↢沙門ト↡不↠虧カ↢経戒ヲ↡、慈心ヲモテ精進シ不↢当ニ瞋怒セ↡、不↧当ニ与↢女人↡交通セ↥、斎戒清浄ニシテ心ニ無ク↠所↢貪慕スル↡、至誠ニ願ジテ欲シ↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡、常ニ念ジテ至心ニシテ不レバ↢断絶セ↡者、

その人ひとすなはち今こん世ぜにおいて道どうを求もとむる時とき、 すなはち自じ然ねんにその臥止がし夢む中ちゅうにおいて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつおよびもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんを見みたてまつり、 その人ひと寿じゅ命みょう終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつすなはちみづからもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんとともに翻ほん輩ぱい飛ひ行ぎょうしてこれを迎むかふ。

○其ノ人便チ於テ↢今世ニ↡求ムル↠道ヲ時、即チ自然ニ於テ↢其ノ臥止*夢中ニ↡、見タテマツリ↢阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡、其ノ人寿命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏即チ自ラ与↢諸ノ菩薩・阿羅漢↡共ニ*翻飛行シテ迎フ↠之ヲ。

すなはち阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうし、 すなはち七宝しっぽうの水すい池ちの蓮れん華げのなかより化け生しょうして、 すなはち自じ然ねんに身みを受うけ、 長ちょう大だいしてすなはち阿あ惟ゆい越おっ致ちの菩ぼ薩さつとなり、 すなはちもろもろの菩ぼ薩さつとともに翻輩ほんぱい飛ひ行ぎょうして八方はっぽう上じょう下げのもろもろの無む央数おうしゅの仏ぶつを供く養ようしたてまつり、 すなはち智慧ちえ勇ゆう猛みょうなるに逮およびて、 楽ねがひて経きょう道どうを聴きき、 その心こころ歓かん楽らくす。 所しょ居ごの七宝しっぽうの舎宅しゃたく虚こ空くうのなかにありて、 ほしいままにその意こころに随したがひて所欲しょよくのごとくありて作為さいして、 阿あ弥陀みだ仏ぶつを去さること近ちかしと。

○則チ往↢生シ阿弥陀仏国ニ↡、便チ於リ↢七宝水池ノ蓮華ノ中↡化生シテ、即チ自然ニ受ケ↠身ヲ、長大シテ則チ作リ↢阿惟越致ノ菩薩ト↡、便即チ与↢諸ノ菩薩↡共ニ翻輩飛行シテ供↢養シタテマツリ八方上下ノ諸ノ无央数ノ仏ヲ↡、即チ逮オヨビテ↢智慧勇猛0166ナルニ↡、楽ヒテ聴キ↢経道ヲ↡、其ノ心歓楽ス。所居ノ七宝ノ舎宅在リテ↢虚空ノ中ニ↡、恣ニ随ヒテ↢其ノ意ニ↡在リテ↢所欲ノゴトク↡作為シテ、去ルコト↢阿弥陀仏ヲ↡近シト。

仏ぶつのたまはく、 もろもろの阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっするもの、 まさに精しょう進じんして経きょう戒かいを持たもち、 かくのごときの上じょう法ほうを奉ぶ行ぎょうするものは、 すなはち阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすることを得えて衆しゅのために尊そん敬きょうせらるることを得うべし。 これを上じょうの第だい一輩いっぱいとなすと。

○仏言ク、諸ノ欲スル↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡者、当ニ精進シテ持チ↢経戒ヲ↡、奉↢行スル如キノ↠是クノ上法ヲ↡者ハ、則チ得テ↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国ニ↡可シ↠得↣為ニ↠衆ノ所ルルコトヲ↢尊敬セ↡。是ヲ為スト↢上ノ第一輩ト↡。

【15】仏ぶつのたまはく、 その中ちゅう輩はいとは、 その人ひと願がんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっするに、 家いえを去さり妻さい子しを捨すて愛欲あいよくを断たち行ぎょうじて沙門しゃもんとなることあたはざるものといへども、

○仏言ク、其ノ中輩ト者、其ノ人願ジテ欲スルニ↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡、雖モ↩不ル↠能ハ↧去リ↠家ヲ捨テ↢妻子ヲ↡断チ↢愛欲ヲ↡行ジテ作ルコト↦沙門ト↥者ト↨、

まさに経きょう戒かいを持たもちて虧き失しつを得うることなく、 ますます分檀ぶんだん布施ふせをなして、 つねに仏ぶつの経きょう語ごの深ふかきことを信受しんじゅし、 まさに至し誠じょう中ちゅう信しんをなして、 もろもろの沙門しゃもんに飯食ぼんじきせしめ、 仏ぶつ寺じを作つくり塔とうを起たて、 華はなを散ちらし香こうを焼たき灯ともしびを然ともし、 雑ざつ繒綵ぞうさいを懸かく。 かくのごときの法ほうのもの、 適ちゃく莫まくするところなく、 まさに瞋しん怒ぬせず、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにして慈じ心しんをもつて精しょう進じんし、 愛欲あいよくを断だんじて、

○当ニ持チテ↢経戒ヲ↡无ク↠得ルコト↢虧失ヲ↡、益マス作シテ↢分檀布施ヲ↡、常ニ信↢受シ仏ノ経語ノ深キコトヲ↡、当ニ作シテ↢至誠中信ヲ↡、飯↢食セシメ諸ノ沙門ニ↡、作リ↢仏寺ヲ↡起テ↠塔ヲ、散シ↠華ヲ焼キ↠香ヲ然トモシ↠灯ヲ、懸ク↢雑繒綵ヲ↡。如キノ↠是クノ法ノ者、無ク↠所↢適莫スル↡、不↢当ニ瞋怒セ↡、斎戒清浄ニシテ慈心ヲモテ精進シ、断ジテ↢愛欲ヲ↡、

念ねんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっして、 一日いちにち一いち夜や断絶だんぜつせざれば、

○念ジテ欲シテ↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡、一日一夜不レバ↢断絶セ↡者、

その人ひとすなはち今こん世ぜにおいて、 また臥止がし夢む中ちゅうにおいて阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつり、 その人ひと寿じゅ命みょう終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつすなはち化けしてその人ひとをして目めにみづから阿あ弥陀みだ仏ぶつおよびその国こく土どを見みしめたまふ。 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう至しすれば、 智慧ちえ勇ゆう猛みょうなることを得うべしと。

○其ノ人便チ於テ↢今世ニ↡、亦復於テ↢臥止夢中ニ↡見タテマツリ↢阿弥陀仏ヲ↡、其ノ人寿命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏即チ化シテ令メタマフ↣其ノ人ヲシテ目ニ自ラ見↢阿弥陀仏及ビ其ノ国土ヲ↡。往↢至スレバ阿弥陀仏国ニ↡者、可シト↠得↢智慧勇猛ナルコトヲ↡。

仏ぶつのたまはく、 その人ひと施与せよを奉ぶ行ぎょうすることかくのごとし。 もしその人ひとのしかうして後のちまた中ちゅう悔けし、 心しん中ちゅうに狐疑こぎして、 分檀ぶんだん布施ふせし諸善しょぜんをなせば後世ごせにその福ふくを得うることを信しんぜず、 弥陀みだ仏国ぶっこくあることを信しんぜず、 その国くにに往おう生じょうすることあるを信しんぜず。 しかればその人ひと念ねんを続つづけて絶たえざるに、 しばらくは信しんじしばらくは信しんぜずして、 意志いし猶ゆう予よして専せん拠こするところなしといへども、 続つづけてその善願ぜんがんを本ほんとすればなほし往おう生じょうすることを得う。

●仏言ク、其ノ人奉↢行スルコト施与ヲ↡如シ↠是クノ者。若シ其ノ人ノ然シテ後復中悔シ、心中ニ狐疑シテ、不↠信ゼ↧分檀布施シ作セバ↢諸善ヲ↡後世ニ得ルコトヲ↦其ノ福ヲ↥、不↠信ゼ↠有ルコトヲ↢弥陀仏国↡、不↠信ゼ↠有ルヲ↣往↢生スルコト其ノ国ニ↡。雖モ↢爾レバ者其ノ人続ケテ↠念ヲ不ルニ↠絶エ、蹔クハ信ジ蹔クハ不シテ↠信ゼ、意志猶*予シテ无シト↟所↢専0167拠スル↡、続ケテ其ノ善願ヲ為レバ↠本ト故ナホシ得↢往生スルコトヲ↡。

その人ひと寿じゅ命みょう病やみて終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつすなはちみづから化けして形ぎょう像ぞうとなり、 その人ひとをして目めにみづからこれを見みしめたまふ。 口くちにまたいふことあたはざれども、 ただ心しん中ちゅうに歓かん喜ぎし踊ゆ躍やくして、 意こころに念言ねんごんすらく、 われますます斎戒さいかいし善ぜんをなすことを知しらざりしを悔くゆ。 いままさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべしと。 その人ひとすなはち心こころにみづから悔過けかす。 悔過けかすれば小すこしく差いえて少かくるも、 また及およぶところなし。 その人ひと寿じゅ命みょう終じゅう尽じんするに、 すなはち阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすれども、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの所みもとに前すすみ至いたることを得うることあたはず。

●其ノ人寿命病ミテ欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏即チ自ラ化シテ*作リ↢形像ト↡、令メタマフ↢其ノ人ヲシテ目ニ自ラ見↟之ヲ。口ニ不レドモ↠能ハ↢復言フコト↡、但心中ニ歓喜シ踊躍シテ、意ニ念言スラク、我悔ユ↠不リシヲ↠知ラ↢益マス斎戒シ作スコトヲ↟善ヲ。今当ニシト↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。其ノ人即チ心ニ自ラ悔過ス。悔過スレバ者小シク差イエテ少カクルモ、無シ↠所↢復及ブ↡。其ノ人寿*命終尽スルニ、即チ往↢生スレドモ阿弥陀仏国ニ↡、不↠能ハ↠得ルコト↣前ミ↢至ルコトヲ阿弥陀仏ノ所ニ↡。

すなはち道どうに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこく界かいの辺ほとりの自じ然ねん七宝しっぽうの城中じょうちゅうを見みて、 心こころすなはちおほきに歓かん喜ぎし、 すなはちその城中じょうちゅうに止とどまる。 すなはち七宝しっぽうの水すい池ちの蓮れん華げのなかより化け生しょうして、 すなはち身みを受うけ自じ然ねんに長ちょう大だいす。 城中じょうちゅうにあることこの間けんにおいて五ご百ひゃく歳さいなり。 その城しろの広こう縦じゅうおのおの二に千せん里り、 城中じょうちゅうにもまた七宝しっぽうの舎宅しゃたくあり。

●便チ道ニ見テ↢阿弥陀仏国界ノ辺ノ自然七宝ノ城中ヲ↡、心便チ大ニ歓喜シ、便チ止ル↢其ノ城中ニ↡。即チ於リ↢七宝ノ水池ノ蓮華ノ中↡化生シテ、則チ受ケ↠身ヲ自然ニ長大ス。在ルコト↢城中ニ↡於テ↢是ノ*間ニ↡五百歳ナリ。其ノ城ノ広縦各ノ二*千里、城中ニモ亦有リ↢七宝ノ舎宅↡。

中ちゅう外げ内ないにみな七宝しっぽうの浴よく池ちあり。 浴よく池ちのなかにもまた自じ然ねんの華け香こうありて繞めぐれり。 浴よく池ちの上ほとりにまた七宝しっぽう樹じゅありて重かさなり行ならび、 またみなまた五いつつの音おん声じょうをなせり。 その飯食ぼんじきを欲ほっする時ときは前まえに自じ然ねんの食じきあり、 百ひゃく味みを具ぐしたる飲食おんじきなり。 得えんと欲ほっするところのごとくありて意こころに応おうじてみな至いたる。 その人ひと城中じょうちゅうにおいてまた快け楽らくあり。 その城中じょうちゅうたとへば第だい二に忉とう利り天てん上じょうの自じ然ねんのもののごとし。

●中外内ニ皆有リ↢七宝ノ浴池↡。浴池ノ中ニモ亦有リテ↢自然ノ華香↡繞レリ。浴池ノ上ホトリニ亦有リテ↢七宝樹↡重ナリ行ナラビ、亦皆*復作セリ↢五ノ音声ヲ↡。其ノ欲スル↢*飯食ヲ↡時ハ前ニ有リ↢自然ノ食↡、具シタル↢百味ヲ↡飲食ナリ。在リテ↠所ノゴトク↠欲スル↠得ムト応ジテ↠意ニ皆至ル。其ノ人於テ↢城中ニ↡亦快楽アリ。其ノ城中比タトヘバ如シ↢第二*忉利天上ノ自然之物ノ↡。

しかりといへどもその人ひと城中じょうちゅうより出いづることを得うることあたはず。 また阿あ弥陀みだ仏ぶつを見みたてまつることを得うることあたはず。 ただその光こう明みょうを見みたてまつりて、 心こころにみづから悔け責しゃくし踊ゆ躍やくして喜よろこぶのみ。 また経きょうを聞きくことを得うることあたはず。 またもろもろの比丘びく僧そうを見みることを得うることあたはず。 また阿あ弥陀みだ仏ぶつの国こく中ちゅうのもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんの状貌じょうみょうはなんらの類たぐいなるかを見けん知ちすることを得うることあたはず。 その人ひと愁しゅう苦くすることかくのごとく小適しょうちゃくのごときのみ。

●雖モ↠爾リト其ノ人城中ヨリ*不↠能ハ↠得ルコト↠出ルコトヲ。復不↠能ハ↠得ルコト↠見タテマツルコトヲ↢阿弥陀仏ヲ↡。但見タテマツリテ↢其ノ光明ヲ↡、心ニ自ラ悔責シ踊躍シテ喜ブ耳。亦復不↠能ハ↠得ルコト↠聞クコトヲ↠経ヲ。亦復不↠能ハ↠得ルコト↠見ルコトヲ↢諸ノ比丘僧ヲ↡。亦復不↠能ハ↠得ルコト↣見↢知スルコトヲ阿弥陀仏ノ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ状貌ハ何等ノ類ナルカヲ↡。其ノ人愁苦スルコト如ク↢是比 カク ノ↡如キ↢小適ノ↡耳。

仏ぶつまたしからしむるにあらず、 身しん行ぎょうの所しょ作さ、 自じ然ねんにこれを得うるなり。 みな心こころにみづから趣向しゅこうして道どうにその城中じょうちゅうに入いるなり。 その人ひともと宿命しゅくみょうに道どうを求もとめし時とき、 心しん口くおのおの異ことにして言念ごんねん誠じょう信しんなく、 仏ぶっ経きょうを狐疑こぎして、 またこれを信向しんこうせず、 まさに自じ然ねんに悪道あくどうのなかに入いるべし。 阿あ弥陀みだ仏ぶつ哀愍あいみんして、 威い神じんをもつてこれを引ひきて去さらしめたまふのみ。

●仏亦不0168ズ↠使ムルニ↠爾ラ、身行ノ所作、自然ニ得ルナリ↠之ヲ。皆心ニ自ラ趣向シテ道ニ入ルナリ↢其ノ城中ニ↡。其ノ人本宿命ニ求メシ↠道ヲ時、心口各ノ異ニシテ言念無ク↢誠信↡、狐↢疑シテ仏経ヲ↡、復不↣信↢向セ之ヲ↡、当ニシ↣自然ニ入ル↢悪道ノ中ニ↡。阿弥陀仏哀愍シテ、威神ヲモテ引キテ↠之ヲ去ラシメタマフ*爾。

その人ひと城中じょうちゅうにおいて五ご百ひゃく歳さいにして、 すなはち出いでて阿あ弥陀みだ仏ぶつの所みもとに往おう至しして経きょうを聞きくことを得うるも、 心こころ開かい解げせず、 またもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんの比丘びく僧そうのなかにありて、 経きょうを聴ききもつて去さることを得えず。 所しょ居ごの処ところの舎宅しゃたく地じにありて、 舎宅しゃたくをして意こころに随したがひて高大こうだいにして虚こ空くうのなかにあらしむることあたはず。 また阿あ弥陀みだ仏ぶつを去さることはなはだおほきに遠とおくして、 阿あ弥陀みだ仏ぶつに近ごん附ふしたてまつることを得うることあたはず。 その人ひと智慧ちえあきらかならず、 経きょうを知しることもまた少すくなくして、 心こころ歓かん喜ぎせず、 意こころ開かい解げせず。

●其ノ人於テ↢城中ニ↡五百歳ニシテ、乃チ得ルモ↧出デテ往↢至シテ阿弥陀仏ノ所ニ↡聞クコトヲ↞経ヲ、心不↢開解セ↡、亦復不↠得↧在リテ↢諸ノ菩薩・阿羅漢ノ比丘僧ノ中ニ↡、聴キテ↠経ヲ以テ去ルコトヲ↥。所居ノ処ノ舎宅在リテ↠地ニ、不↠能ハ↠令ムルコト↣舎宅ヲシテ随ヒテ↠意ニ高大ニシテ在ラ↢虚空ノ中ニ↡。復去ルコト↢阿弥陀仏ヲ↡甚ダ大ニ遠クシテ、不↠能ハ↠得ルコト↣近↢附シタテマツルコトヲ阿弥陀仏ニ↡。其ノ人智慧不↠明カナラ、知ルコトモ↠経ヲ復少クシテ、心不↢歓喜セ↡、意不↢開解セ↡。

その人ひと久々くくにまたみづからまさに智慧ちえ開かい解げして経きょうを知しること明みょう健ごん勇ゆう猛みょうなるべくして、 心こころまさに歓かん喜ぎすべし。 次ついでまさにまた上かみの第だい一輩いっぱいのごとくなるべし。 ゆゑはいかん。 その人ひとただ前ぜん世せ宿命しゅくみょうに道どうを求もとめし時とき、 おほきに斎戒さいかいを持たもたず、 経きょう法ぼうを毀き失しつし、 意志いし狐疑こぎなるによりて、 仏ぶつ語ごを信しんぜず、 仏ぶっ経きょうの深ふかきことを信しんぜず、 分檀ぶんだん布施ふせして善ぜんをなせば後世ごせにその福ふくを得うべきことを信しんぜず、 また中ちゅう悔けして阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすることを信しんぜざるによりて、 徳とくをなすこと至し心しんならず、 これをもつてのゆゑにのみなり。 これを第だい二にの中ちゅう輩はいとなすと。

●其ノ人久久ニ亦自ラ当ニクシテ↢智慧開解シテ知ルコト↠経ヲ明健勇猛ナル↡、心当ニシ↢歓喜ス↡。次イデ当ニシ↣復如クナル↢上ノ第一輩ノ↡。所以者何ン。其ノ人但坐ヨリテ↧前世宿命ニ求メシ↠道ヲ時、不↣大ニ持タ↢斎戒ヲ↡、毀↢失シ経法ヲ↡、意志狐疑ナルニ↥、不↠信ゼ↢仏語ヲ↡、不↠信ゼ↢仏経ノ深キコトヲ↡、不↠信ゼ↢分檀布施シテ作セバ↠善ヲ後世ニ当キコトヲ↟得↢其ノ福ヲ↡、復坐ヨリテ↢中悔シテ不ルニ↟信ゼ↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国ニ↡、*作スコト↠徳ヲ不↢至心ナラ↡、用テノ↠*是ヲ故ニ*爾ナリ。是ヲ為スト↢第二ノ中輩ト↡。

【16】仏ぶつのたまはく、 その三輩さんぱいとは、 その人ひと願がんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっすれども、 もしは分檀ぶんだん布施ふせを用もちゐるところなく、 また香こうを焼たき華はなを散ちらし灯ともしびを然ともし、 雑ざつ繒綵ぞうさいを懸かけ、 仏ぶつ寺じを作つくり塔とうを起たてもろもろの沙門しゃもんに飯食ぼんじきせしむることあたはざるものは、 まさに愛欲あいよくを断だんじて貪とん慕ぼするところなく、 経きょうを得えて疾とく慈じ心しんをもつて精しょう進じんし、 まさに瞋しん怒ぬせず、 斎戒さいかい清浄しょうじょうなるべし。

○仏言ク、其ノ三輩ト者、其ノ人願ジテ欲スレドモ↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡、若シハ無ク↠所↠用ヰル↢分檀布施ヲ↡、亦不ル↠能ハ↧焼キ↠香ヲ散シ↠華ヲ然トモシ↠灯ヲ、懸ケ↢雑繒綵ヲ↡、作リ↢仏寺ヲ↡起テ↠塔ヲ*飯↦食セシムルコト諸ノ沙門ニ↥者ハ、○当ニ断ジテ↢愛欲ヲ↡無ク↠所↢貪慕スル↡、得テ↠経ヲ疾ク慈心ヲモテ精進シ、不↢当ニ瞋怒セ↡、斎戒清浄ナルベシ。

かくのごときの法ほうのもの、 まさに一心いっしんに念ねんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっし、 昼ちゅう夜や十じゅう日にち断絶だんぜつせざれば、 寿じゅ命みょう終おわりてすなはち阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうして、 尊そん敬きょう智慧ちえ勇ゆう猛みょうを得うべしと。

○如キノ↠是クノ法0169ノ者、当ニ一心ニ念ジテ欲シ↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡、昼夜十日不レバ↢断絶セ↡者、○寿命終リテ即チ往↢生シテ阿弥陀仏国ニ↡、可シト↠得↢尊敬智慧勇猛ヲ↡。

仏ぶつのたまはく、 その人ひとこれをなして以後いご、 もしまた中ちゅう悔けし心しん意いに狐疑こぎして、 善ぜんをなさば後世ごせにまさにその福ふくを得うべきことを信しんぜず、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすることを信しんぜず。 その人ひとしかりといへども、 続つづいて往おう生じょうすることを得う。 その人ひとの寿じゅ命みょう病やみて終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつすなはちその人ひとをして臥止がし夢む中ちゅうにおいて阿あ弥陀みだ仏ぶつの土どを見みしめたまふ。

●仏言ク、其ノ人作シテ↠是ヲ以後、若シ復中悔シ心意ニ狐疑シテ、不↠信ゼ↢作サバ↠善ヲ後世ニ当ニキコトヲ↟得↢其ノ福ヲ↡、不↠信ゼ↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国ニ↡。其ノ人雖モ↠*爾リト、続イテ得↢往生スルコトヲ↡。其ノ人ノ寿命病ミテ欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏即チ令メタマフ↧其ノ人ヲシテ於テ↢臥止夢中ニ↡見↦阿弥陀*仏ノ土ヲ↥。

心しん中ちゅうにおほきに歓かん喜ぎし、 意こころにみづから念言ねんごんすらく、 われますます諸善しょぜんをなすべきことを知しらざりしを悔くゆ。 いままさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべしと。 その人ひとただこれを念ねんじて口くちにまたいふことあたはざれども、 すなはちみづから悔過けかす。 悔過けかすれば、 やや減少すくなきも、 悔くゆるにまた及およぶところなし。 その人ひと命終みょうじゅうして、 すなはち阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうずるも、 前すすみ至いたることを得うることあたはず。

●心中ニ大ニ歓喜シ、意ニ自ラ念言スラク、我悔ユ↠不リシヲ↠知ラ↣益マス作スベキコトヲ↢諸善ヲ↡。今当ニシト↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。其ノ人但念ジテ↠是ヲ口ニ不レドモ↠能ハ↢復言フコト↡、即チ自ラ悔過ス。悔過スレバ者、差ヤヤ減少 スクナ キモ、悔ユルニ无シ↠所↢復及ブ↡。其ノ人命終シテ、即チ生ズルモ↢阿弥陀仏国ニ↡、不↠能ハ↠得ルコト↢前ミ至ルコトヲ↡。

すなはち道どうに二に千せん里りの七宝しっぽうの城中じょうちゅうを見みて、 心こころに独ひとり歓かん喜ぎし、 すなはちそのなかに止とどまりて、 また七宝しっぽうの浴よく池ちの蓮れん華げのなかより化け生しょうし、 すなはち自じ然ねんに身みを受うけて長ちょう大だいす。 その城しろもまた前さきの城しろの法ほうのごとし。 たとへば第だい二に忉とう利り天てん上じょうの自じ然ねんのもののごとし。 その人ひとまた城中じょうちゅうにおいて、 五ご百ひゃく歳さいをはりてすなはち出いづることを得えて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの所みもとに至いたり、 心しん中ちゅうにおほきに喜よろこぶなり。

●便チ道ニ見テ↢二千里ノ七宝ノ城中ヲ↡、心ニ独リ歓喜シ、便チ止リテ↢其ノ中ニ↡、亦復於リ↢七宝ノ浴池ノ蓮華ノ中↡化生シ、即チ自然ニ受ケテ↠身ヲ長大ス。其ノ城モ亦復如シ↢前ノ城ノ法ノ↡。比タトヘバ如シ↢第二忉利天上ノ自然之物ノ↡。其ノ人亦復於テ↢城中ニ↡、五百歳竟リテ乃チ得テ↠出ヅルコトヲ、至リ↢阿弥陀*仏ノ所ニ↡、心中ニ*大ニ喜ブナリ。

その人ひと経きょうを聴ちょう聞もんすれども心こころ開かい解げせず、 意こころ歓かん楽らくせず、 智慧ちえあきらかならず、 経きょうを知しることまた少すくなし。 所しょ居ごの舎宅しゃたく地じにありて、 舎宅しゃたくをして意こころに随したがひて高大こうだいにして虚こ空くうのなかにあらしむることあたはず。 また阿あ弥陀みだ仏ぶつを去さることおほきに遠とおくして、 阿あ弥陀みだ仏ぶつに近ごん附ふしたてまつることを得うることあたはず。 またこの第だい二に中ちゅう輩はいの狐疑こぎのもののごときなり。

●其ノ人聴↢聞スレドモ経ヲ↡、心不↢*開解セ↡、意不↢歓楽セ↡、智慧不↠明カナラ、知ルコト↠経ヲ復少シ。所居ノ舎宅在リテ↠地ニ、不↠能ハ↠令ムルコト↣舎宅ヲシテ随ヒテ↠意ニ高大ニシテ在ラ↢虚空ノ中ニ↡。復去ルコト↢阿弥陀仏ヲ↡大ニ遠クシテ、不↠能ハ↠得ルコト↣近↢附シタテマツルコトヲ阿弥陀仏ニ↡。亦復如キ↢是ノ第二中輩ノ狐疑ノ者ノ↡也。

その人ひと久々くくにまたまさに智慧ちえ開かい解げして経きょうを知しること勇ゆう猛みょうなるべくして、 心こころまさに歓かん楽らくすべし。 次ついで上かみの第だい一輩いっぱいのごとし。 ゆゑはいかん。 みな前ぜん世せ宿命しゅくみょうに道どうを求もとめし時とき、 中ちゅう悔け狐疑こぎし、 しばらくは信しんじしばらくは信しんぜず、 善ぜんをなせばその福徳ふくとくを得うることを信しんぜざるに、 みな自じ然ねんにこれを得うるのみ。 その功く徳どくに鉉げん・不ふ鉉げんするところあるに随したがひておのおの自じ然ねんに趣向しゅこうす。 経きょうを説とき道どうを行ぎょうずること億万おくまんに卓すぐれ、 超ちょう絶ぜつしてあひ及およばずと。

●其ノ人久久ニ亦当ニクシテ↢智慧開解シテ知ルコト↠経ヲ勇猛ナル↡、心当ニシ↢歓楽ス↡。次イデ如シ↢上ノ第0170一輩ノ↡也。所以者何ン。皆坐ヨリテ↧前世宿命ニ求メシ↠道ヲ時、中悔狐疑シ、蹔クハ信ジ蹔クハ不↠信ゼ、不ルニ↟信ゼ↢作セバ↠善ヲ得ルコトヲ↢其ノ福徳ヲ↡、皆自然ニ得ル↠之ヲ*爾。随ヒテ↢其ノ功徳ニ有ルニ↟所↢鉉・不鉉スル↡各ノ自然ニ趣向ス。説キ↠経ヲ行ズルコト↠道ヲ*卓スグレ↢億万ニ↡、超絶シテ不ト↢相及バ↡。

仏ぶつのたまはく、 それ求もとめて菩ぼ薩さつ道どうをなして阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜんと欲ほっするものは、 その人ひとしかうして後のちみなまさに阿あ惟ゆい越おっ致ちの菩ぼ薩さつを得うべし。 阿あ惟ゆい越おっ致ちの菩ぼ薩さつは、 みなまさに三さん十じゅう二に相そう・紫磨しま金色こんじき・八はち十じゅう種好しゅこうあるべし。

○仏言ク、其レ欲スル↧求メテ作シテ↢菩薩道ヲ↡▼生ゼムト↦阿弥陀仏国ニ↥者ハ、其ノ人然シテ後皆当ニシ↠得↢阿惟越致ノ菩薩ヲ↡。阿惟越致ノ菩薩者、皆当ニシ↠有ル↢三十二相・紫磨金色・八十種好↡。

みなまさに作さ仏ぶつして所願しょがんに随したがふべし。 求ぐ欲よくするところのごとくありて、 他た方ほう仏国ぶっこくにおいて作さ仏ぶつし、 つひにまた泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれいに更かえらず。

○皆当ニシ↣作仏シテ随フ↢所願ニ↡。在リテ↠所ノゴトク↢求欲スル↡、於テ↢他方仏国ニ↡作仏シ、終ニ不↣復更ラ↢泥*犁・禽獣・薜荔ニ↡。

それ精しょう進じんし道どうを求もとむるに随したがひて、 早晩そうばんの事じ同等どうとうなるのみ。 道どうを求もとめて休やまずは、 かならずまさにこれを得えてその所欲しょよくの願がんを失しっせずと。

●随ヒテ↢其レ精進シ求ムルニ↟道ヲ、早晩之事同等ナル*爾。求メテ↠道ヲ不ハ↠休マ、会ズ当ニ得テ↠之ヲ不ト↠失セ↢其ノ所欲ノ願ヲ↡也。

【17】仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらの諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみんに告つげたまはく、 われみななんぢらに語かたる。 もろもろの阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっするものは、 おほきに精しょう進じんし禅ぜん定じょうして経きょう戒かいを持たもつことあたはざるものなりといへども、 おほきにかならずまさに善ぜんをなすべし。 一いちには殺せっ生しょうすることを得えざれ。 二にには盗窃とうせつすることを得えざれ。 三さんには淫泆いんいつにして他た人にんの婦ふ女にょを奸愛かんあいすることを得えざれ。 四しには調じょう欺ごすることを得えざれ。 五ごには飲酒おんじゅすることを得えざれ。 六ろくには両りょう舌ぜつすることを得えざれ。 七しちには悪あっ口くすることを得えざれ。 八はちには妄もう言ごすることを得えざれ。 九くには嫉しっ妬とすることを得えざれ。 十じゅうには貪餮とんてつすることを得えざれ。 心しん中ちゅうに慳けん惜じゃくするところあることを得えざれ。 瞋しん怒ぬすることを得えざれ。 愚痴ぐちなることを得えざれ。 心こころの嗜し欲よくに随したがふことを得えざれ。 心こころに中ちゅう悔けすることを得えざれ。 狐疑こぎすることを得えざれ。

●仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等ノ諸天・帝王・人民ニ↡、我皆語ル↢汝曹ラニ↡。諸ノ欲スル↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡者ハ、雖モ↧不ル↠能ハ↣大ニ精進シ禅定シテ持ツコト↢経戒ヲ↡者ナリト↥、大ニ要ズ当ニシ↠作ス↠善ヲ。一ニ者不レ↠得↢殺生スルコトヲ↡。二ニ者不レ↠得↢盗窃スルコトヲ↡。三ニ者不レ↠得↣淫泆ニシテ*奸↢愛スルコトヲ他人ノ婦女ヲ↡。四ニ者不レ↠得↢調欺スルコトヲ↡。五ニ者不レ↠得↢飲酒スルコトヲ↡。六ニ者不レ得↢両舌スルコトヲ↡。七ニ者不レ↠得↢悪口スルコトヲ↡。八ニ者不レ得↢妄言スルコトヲ↡。九ニ者不レ↠得↢嫉妬スルコトヲ↡。十ニ者不レ↠得↢貪餮スルコトヲ↡。不レ↠得↢心中ニ有ルコトヲ↟所↢慳惜スル↡。不レ↠得↢瞋怒スルコトヲ↡。不レ↠得↢愚痴ナルコトヲ↡。不レ↠得↠随フコトヲ↢*心ノ嗜欲ニ↡。不レ↠得↢心ニ中悔スルコトヲ↡。不レ↠得↢狐疑スルコトヲ↡。

まさに孝順きょうじゅんをなすべし。 まさに至し誠じょう忠ちゅう信しんをなすべし。 まさに仏ぶっの経きょう語ごの深ふかきことを信受しんじゅすべし。 まさに善ぜんをなせば後世ごせにその福ふくを得うることを信しんずべし。 かくのごときその法ほうを奉持ぶじして虧き失しつせざるものは、 心こころの所願しょがんのごとくありて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすることを得うべし。 かならずまさに斎戒さいかいし一心いっしん清浄しょうじょうにして、 昼ちゅう夜やにつねに念ねんじ、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうせんと欲ほっして、 十じゅう日にち十じゅう夜や断絶だんぜつせざるべし。 われみなこれを慈じ哀あいしてことごとく阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜしめんと。

●当ニシ↠作ス↢孝順ヲ↡。当ニシ↠作ス↢至誠忠信ヲ↡。当ニシ↣信↢受ス仏ノ経語ノ深キコトヲ↡。当ニシ↠信ズ↣作セバ↠善ヲ後世ニ得ルコトヲ↢其ノ福ヲ↡。奉0171↢持シテ如キ↠是クノ其ノ法ヲ↡不ル↢虧失セ↡者ハ、在リテ↢心ノ所願ノゴトク↡可シ↠得↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏国ニ↡。至要 カナラ ズ当ニシ↧斎戒シ一心清浄ニシテ、昼夜ニ常ニ念ジ、欲シテ↣往↢生セムト阿弥陀仏国ニ↡、十日十夜不ル↦断絶セ↥。我皆慈↢哀シテ之ヲ↡悉ク令メムト↠生ゼ↢阿弥陀仏国ニ↡。

仏ぶつのたまはく、 世せ間けんの人ひともつて賢げん明みょうに慕したひ及およばんことを欲ほっすれども、 家いえに居こして善ぜんを修しゅし道どうをなさんもの、 妻さい子しとともに居こし、 恩好おんこう愛欲あいよくのなかに在ありて、 憂う念ねん・苦く多おおく、 家事けじ怱そう務むにして、 ▼大斎だいさい一心いっしん清浄しょうじょうなるに暇いとまあらず。 家いえを去さり欲よくを棄すつることを得うることあたはずといへども、 空閑くうげんの時ときありて、 みづから心しん意いを端ただしくし、 身みに善ぜんをなすことを念ねんじ、 専せん精しょうに道どうを行ぎょうずること十じゅう日にち十じゅう夜やすれば殊しゅなり、 もししこうすることあたはずは、 みづから思し惟ゆいしつらつら挍きょう計けすべし。

●仏言ク、世間ノ人以テ欲スレドモ↣慕ヒ↢及バムコトヲ賢明ニ↡、居シテ↠家ニ修シ↠善ヲ為サム↠道ヲ者、与↢妻子↡共ニ居シ、在リテ↢恩好愛欲之中ニ↡、憂念・苦多ク、家事怱務ニシテ、不↠暇アラ↢大斎一心清浄ナルニ↡。雖モ↠不ト↠能ハ↠得ルコト↢去リ↠家ヲ棄ツルコトヲ↟欲ヲ、有リテ↢空閑ノ時↡、自ラ端シクシ↢心意ヲ↡、念ジ↢身ニ作スコトヲ↟善ヲ、専精ニ行ズルコト↠道ヲ十日十夜スレバ者殊ナリ、使モシ不ハ↠能ハ↠*爾スルコト、自ラ思惟シ熟ツラ挍計スベシ。

◆身みを度ど脱だつせんと欲ほっするもの、 下しもまさに念おもいを絶たち憂うれひを去さるべく、 家事けじを念ねんずることなかれ。 婦ふ人にんと同どう床じょうすることなかれ。 みづから身心しんしんを端たん正じょうにして愛欲あいよくを断だんじ、 一心いっしんに斎戒さいかい清浄しょうじょうにして、 意こころを至いたして阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜんと念ねんじて一日いちにち一いち夜や断絶だんぜつせざれば、 寿いのち終おわりてみなその国くにに往おう生じょうし、 七宝しっぽうの浴よく池ちの華れん蓮げのなかにありて化け生しょうして、 智慧ちえ勇ゆう猛みょうなることを得うべし。 所しょ居ごの七宝しっぽうの舎宅しゃたく、 自じ在ざいに意こころの所欲しょよくのごとく作為さいして、 次ついで上かみの第だい一輩いっぱいのごとくなるべしと。

●欲スル↣度↢脱セムト身ヲ↡者、下当ニク↢絶チ↠念ヲ去ル↟憂ヲ、勿レ↠念ズルコト↢家事ヲ↡。莫レ↧与↢婦人↡同床スルコト↥。自ラ端↢正ニシテ身心ヲ↡断ジ↢於愛欲ヲ↡、一心ニ斎戒清浄ニシテ、至シテ↠意ヲ念ジテ↠生ゼムト↢阿弥陀仏国ニ↡一日一夜不レバ↢断絶セ↡者、寿終リテ皆往↢生シ其ノ国ニ↡、在リテ↢七宝ノ浴池ノ華蓮ノ中ニ↡化生シテ、可シ↠得↢智慧勇猛ナルコトヲ↡。所居ノ七宝ノ舎宅、自在ニ意ノ所欲ノゴトク作為シテ、可シト↣次イデ如クナル↢上ノ第一輩ノ↡。

仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつに語かたりてのたまはく、 もろもろの八方はっぽう上じょう下げの無む央数おうしゅの諸天しょてん・人民にんみん・比丘びく僧そう・比丘びく尼に・優婆うば塞そく・優婆うば夷いの、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうする衆等しゅとうの大だい会え、 みなともに七宝しっぽうの浴よく池ち水すいのなかにおいてす。

●仏語リテ↢阿逸菩薩ニ↡言ク、諸ノ八方上下ノ無央数ノ諸天・人民・比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷ノ、往↢生スル阿弥陀仏国ニ↡衆等ノ大会、皆共ニ於テス↢七宝ノ浴池水ノ中ニ↡。

すべてともに人々にんにんはことごとくみづから一ひとつの大だい蓮れん華げの上うえにおいて坐ざして、 みなことごとくみづから道徳どうとく行ぎょう善ぜんを陳のぶ。 人々にんにんおのおのみづからその前ぜん世せ宿命しゅくみょうに道どうを求もとめし時ときの戒かいを持たもちてなすところの善法ぜんぽう、 従じゅう来らいするところの生しょうの本末ほんまつ、 その好憙このむところの経きょう道どう、 経きょうを知しれる智慧ちえ、 施せ行ぎょうするところの功く徳どくを説とき、 上かみより下しもに次つぎてうたたみな遍へんす。

●都テ共ニ人人ハ悉ク自ラ於テ↢一ノ大蓮華ノ上ニ↡坐シテ、皆悉ク自ラ陳ブ↢道徳行善ヲ↡。人人各ノ自ラ説キ↧其ノ前世宿命ニ求メシ↠道ヲ時ノ持チテ↠戒ヲ所ノ↠作ス善法、所ノ↢従来スル↡生ノ本末、其ノ所ノ↢好憙 コノ ム↡経道、知0172レル↠経ヲ智慧、所ノ↢施行スル↡功徳ヲ↥、従リ↠上次ギテ↠下ニ転タ皆遍ス。

もつて経きょうを知しるに明みょう・不ふ明みょうあり、 智ちに深浅じんせん・大だい小しょうあり、 徳とくに優う劣れつ・厚薄こうはくありて、 自じ然ねんの道どうとして、 才能さいのう智慧ちえ健ごん猛みょうを別べっ知ちす。 衆しゅはあひ観かん照しょうし、 礼れい義ぎ和わ順じゅんして、 みなみづから歓かん喜ぎし踊ゆ躍やくす。 智慧ちえに勇ゆう猛みょうあるに、 おのおのあひ属逮およばずと。

●*以テ知ルニ↠経ヲ有リ↢明・不明↡、智ニ有リ↢深浅・大小↡、徳ニ有リテ↢優*劣・厚薄↡、自然之道トシテ、別↢知ス才能智慧健猛ヲ↡。衆ハ相観照シ、礼義和順シテ、皆自ラ歓喜シ踊躍ス。智慧ニ有ルニ↢勇猛↡、各ノ不ト↢相属逮 オヨ バ↡。

仏ぶつのたまはく、 その人ひとことにあらかじめ徳とくをなし善ぜんをなすことをせず、 軽きょう戯けししからしむることを信しんぜず、 徒倚といし懈け怠だいなれば、 ためにもつてしかるべく、 時ときに至いたりて都集あつまりて経きょう道どうを説とけども、 自じ然ねんに迫促はくそくせられて応答おうとう遅ち晩ばんなり。 道どう智ち卓殊たくしゅ超ちょう絶ぜつにして才能さいのう高こう猛みょうなれども、 独ひとり辺羸へんるいにおいて事じに臨のぞみてすなはち悔くゆ。 悔くゆればすでに出いづるも、 その後のちにまさにまたなんの益やくかあらん。 ただ心しん中ちゅう悷らい悢ろうして等ひとしからんと慕ぼ及ぎゅうするのみと。

●仏言ク、其ノ人殊ニ不↢*予メ作シ↠徳ヲ為スコトヲセ↟善ヲ、軽戯シ不↠信ゼ↠使ムルコトヲ↠然ラ、徒倚シ懈怠ナレバ、為ニ用テ可ク↠爾ル、至リテ↠時ニ都集 アツマ リテ説ケドモ↢経道ヲ↡、自然ニ迫促セラレテ応答遅晩ナリ。道智卓殊超絶ニシテ才能高猛ナレドモ、独リ於テ↢辺羸ニ↡臨ミテ↠事ニ乃チ悔ユ。悔ユレバ者已ニ出ヅルモ、其ノ後ニ当ニ復何ノ益カアラム。但心中*悷*悢シテ慕↢及スル等シカラムト↡*爾ト。

【18】仏ぶつのたまはく、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろの菩b薩さつ・阿羅あら漢かん衆等しゅとうの大聚だいじゅ会えは、 自じ然ねんに都集あつまりて、 心こころを拘とどめ意こころを制せいし、 身みを端ただし行おこなひを正ただしくし、 遊戯ゆげ洞達どうだつして、 ともにあひ随したがひて飛ひ行ぎょうし翻輩ほんぱい出入しゅつにゅうす。 供く養ようすること極きわまりなく、 歓心かんしんをもつて喜き楽らくして、 ともに経きょうを観かんじ道どうを行ぎょうじ、 和わ好こうし久ひさしく習ならひ、 才さい猛たけく智慧ちえあり。 志こころざしは虚こ空くうのごとくにして精しょう進じんして求ぐ願がんし、 心こころつひにまた中ちゅう徊えせず、 意こころつひにまた転てんぜず、 つひに懈け極ごくの時ときあることなし。

●仏言ク、阿弥陀仏国ノ諸ノ菩薩・阿羅漢衆等ノ大聚会ハ、自然ニ都集 アツマ リテ、拘トドメ↠心ヲ制シ↠意ヲ、端シ↠身ヲ正シクシ↠行ヲ、遊戯洞達シテ、倶ニ相随ヒテ飛行シ*翻輩出入ス。供養スルコト無ク↠極リ、歓心ヲモテ喜*楽シテ、共ニ観ジ↠経ヲ行ジ↠道ヲ、和好シ久シク習ヒ、才猛ク智慧アリ。志ハ若クニシテ↢虚空ノ↡精進シテ求願シ、心終ニ不↢復中*徊セ↡、意終ニ不↢復転ゼ↡、終ニ无シ↠有ルコト↢懈極ノ時↡。

道どうを求もとむるに外ほかは遅ち緩かんのごとくなりといへども内うちは独ひとり急きゅう疾しつにして、 容々ようようとして虚こ空くうのごとく、 まさにその中ちゅうを得えて中表ちゅうひょう相応そうおうす。 自じ然ねんに厳ごん整じょうに、 撿けん斂れん端直たんじきに、 身心しんしん清しょう潔けつにして、 愛欲あいよくあることなく、 適ちゃく貪どんするところなくして、 衆悪しゅあく瑕穢かえあることなし。 その志し願がんみなおのおの安あん定じょうし姝好しゅこうにして、 増ぞう欠減けつげんなし。

●雖モ↣求ルニ↠道ヲ外ハ若クナリト↢遅緩ノ↡内ハ独リ急疾ニシテ、容容トシテ虚空ノゴトク、適ニ得テ↢其ノ中ヲ↡中表相応ス。自然ニ厳整ニ、撿斂端直ニ、身心清潔ニシテ、无ク↠有ルコト↢愛欲↡、無クシテ↠所↢適貪スル↡、无シ↠有ルコト↢衆悪瑕穢↡。其ノ志願皆各ノ安定シ*姝好ニシテ、無シ↢増欠減↡。

道どうを求もとむるに和わ正しょうにして、 誤あやまりて邪じゃに傾かたむかず。 道法どうぼうを准じゅん望もうし、 経きょうに随したがひ令りょうに約やくし、 あへて違たがひて蹉さ跌でつせず。 もしは八方はっぽう上じょう下げにおいて辺幅へんぷくあることなく、 自じ在ざいに所欲しょよくのごとく至し到とうすること無む窮ぐう無む極ごくなり。 咸然げんねんに道どうをなし、 恢廓かいかくに慕ぼ及ぎゅうし、 曠蕩こうとうに道どうを念ねんじて、 他たの念ねんなく、 憂思うしあることなし。 自じ然ねん無為むい、 虚無こむ空くう立りゅう、 恢かい安あん無む欲よくにして、 善願ぜんがんを作さ得とくして、 心こころを尽つくして求ぐ索しゃくし、 哀あわれみを含ふくみて慈じ愍みんし、 精しょう進じんして中うちも表おもても礼れい義ぎにすべて合がっす。

●求ムルニ↠道ヲ和正ニシテ、不↢誤リテ傾カ↟邪ニ。准↢望シ道法ヲ↡、随ヒ↠経ニ約シ↠令ニ、不↢敢テ*違ヒテ蹉跌セ↡。若シハ於テ↢八方上下ニ↡無ク↠有ルコト↢辺幅↡、自在ニ所欲ノゴトク至到スルコト無窮无極ナリ。咸然ニ為シ↠道ヲ、恢廓ニ*慕及シ、曠0173蕩ニ念ジテ↠道ヲ、無ク↢他之念↡、无シ↠有ルコト↢憂思↡。自然無為、虚*无空立、*恢安無欲ニシテ、作↢得シテ善願ヲ↡、尽シテ↠心ヲ求索シ、含ミテ↠哀ヲ*慈愍シ、精進シテ中モ表モ礼義ニ都テ合ス。

通洞つうどうして違いすることなく、 和わ順じゅん副ふく称しょうし、 表ひょう裏りを褒ほう羅らし、 過度かどし解げ脱だつして、 よく泥洹ないおんに升入しょうにゅうし、 ながへに道徳どうとくと合ごう明みょうし、 自じ然ねんにあひ保ほ守しゅす。 快意けいに真しんを滋しげらし、 真しんを滋しげらして了あきらかに潔けつ白びゃくなり。 志し願がん無む上じょうにして、 清浄しょうじょうに安あん定じょうして、 静じょう楽らくに極きわまりあることなく、 善好ぜんこうなること比ならびあることなし。 巍々ぎぎにこれ耀よう照しょうし、 耀よう照しょうしてつねに開達かいだつ明みょう徹てつなること、 自じ然ねんのなかの自じ然ねんの相そう、 これをしからしむるに根本こんぽんあり。

●*通洞シテ无ク↠違スルコト、和順副称シ、褒↢羅シ表裏ヲ↡、過度シ解脱シテ、能ク升↢入シ泥洹ニ↡、長ヘニ与↢道徳↡合明シ、自然ニ相保守ス。快意ニ之滋ラシ↠真ヲ、滋ラシテ↠真ヲ了カニ潔白ナリ。志*願無上ニシテ、清浄ニ之安定シテ、静楽ニ之无ク↠有ルコト↠極リ、善好ナルコト無シ↠有ルコト↠比。巍巍ニ之耀照シ、耀照シテ亘ツネニ開達明徹ナルコト、自然ノ中ノ自然ノ相、然ラシムルニ↠之ヲ有リ↢根本↡。

自じ然ねんに五ご光こうを成じょうじ、 五ご光こうより九く色しきに至いたり、 九く色しき参まじわり徊え転てんして数しゅ百ひゃく千せんに更きょう変へんし、 鬱単うったんの自じ然ねんなり。 自じ然ねんに七宝しっぽうを成じょうじ、 横よこさまに攬とりて万物まんもつを成じょうじ、 光こう精しょう参まじわりあきらかにしてともに出いづ。 好うるわしくして甚姝じんしゅなること極きわまりあることなし。

●自然ニ成ジ↢五光ヲ↡、五光ヨリ至リ↢九色ニ↡、九色参マジハリ*徊転シテ数百千ニ更変シ、鬱単之自然ナリ。自然ニ成ジ↢七宝ヲ↡、横ニ攬リテ成ジ↢万物ヲ↡、光精参マジハリ明カニシテ倶ニ出ヅ。好シクシテ甚姝ナルコト无シ↠有ルコト↠極リ。

二 Ⅴ 釈迦指勧
    ⅰ 浄穢欣厭

その国こく土どはなはだしきことかくのごとし。

○其ノ国土甚ダシキコト若シ↠此クノ。

なんぞつとめて善ぜんをなし、 道どうの自じ然ねんを念ねんじ、 上じょう下げなく洞達どうだつして辺幅へんぷくなきことを著じゃくし、 志こころざしを虚こ空くうのなかに捐すてざる。

○何ゾ不ル↪力ツトメテ為シ↠善ヲ、念ジ↢道之自然ヲ↡、著シ↧於無ク↢上下↡洞達シテ無キコトヲ↦辺幅↥、捐テ↩志ヲ虚空ノ中ニ↨。

なんぞおのおの精しょう進じんし努ぬ力りきしてみづから求ぐ索しゃくせざる。

○何ゾ不ル↢各ノ精進シ*努力シテ自ラ求索セ↡。

▼超ちょう絶ぜつして去すつることを得うべし。 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすれば、 横よこさまに五ご悪道あくどうを截きり、 自じ然ねんに閉塞へいそくして、 道どうに升のぼるに極きわまりなきに、 往ゆきやすくして人ひとあることなし。 その国こく土ど逆ぎゃく違いせず、 自じ然ねんに牽ひくに随したがふなり。

○可シ↠得↢超絶シテ去スツルコトヲ↡。往↢生スレバ阿弥陀仏国ニ↡、横ニ截リ↢於五*悪道ヲ↡、自然ニ閉塞シテ、升ルニ↠道ニ之無キニ↠極リ、○易クシテ↠往キ无シ↠有ルコト↠人。其ノ国土不↢逆違セ↡、自然ニ之随フナリ↠牽クニ。

なんぞ世事せじを棄すてて行ぎょうじて道徳どうとくを求もとめざる。 極ごく長じょうの生しょうにして寿いのちに極きわまりあることなきを得うべし。 なんすれぞ世事せじに著じゃくして々にょうにょうとしてともに無む常じょうを憂思うしせん。

○何ゾ不ル↧棄テテ↢世*事ヲ↡行ジテ求メ↦道徳ヲ↥。可シ↠得↢極長ノ生ニシテ*寿ニ无キヲ↟有ルコト↠極リ。何為ナンスレゾ著シテ↢世事ニ↡トシテ共ニ憂↢思セム無常ヲ↡。

世せ人にん薄俗はくぞくにしてともに不ふ急きゅうの事じを諍あらそふ。

○世人薄俗ニシテ共ニ諍フ↢不急之事ヲ↡。

ともにここにおいて劇ぎゃく悪あく極ごっ苦くのなかに処しょして、 身みを勤つとめて治じ生しょうしもつてあひ給きゅう活かつす。 尊そんとなく卑ひとなく、 富ふとなく貧ひんとなく、 老ろうとなく少しょうとなく、 男なんとなく女にょとなく、 みなまさにともに銭財せんざいに憂うれふ。 有無うむ同然どうねんなり。 憂思うしまさに等ひとしく、 屏びょう営ようとして愁しゅう苦くし、 念おもいを累かさね思し慮りょして、 心こころのために使し走そうせられ、 安やすき時ときあることなし。

○共ニ於テ↠是ニ処シテ↢劇悪極苦之中ニ↡、勤メテ↠身ヲ治生シ用テ相給活ス。无ク↠尊ト無ク↠卑ト、无ク↠富ト無ク↠貧ト、无ク↠老ト無ク↠少ト、无ク↠男ト無ク↠女ト、皆当ニ共ニ憂フ↢銭財ニ↡。有无同然ナリ。憂思適ニ等シク、屏営0174トシテ愁苦シ、累ネ↠念ヲ思慮シテ、為ニ↠心ノ使走セラレ、無シ↠有ルコト↢安キ時↡。

田たあれば田たに憂うれへ、 宅いえあれば宅いえに憂うれへ、 牛うしあれば牛うしに憂うれへ、 馬うまあれば馬うまに憂うれへ、 六畜ろくちくあれば六畜ろくちくに憂うれへ、 奴婢ぬひあれば奴婢ぬひに憂うれふ。 衣被えび・銭財せんざい・金銀こんごん・宝物ほうもつあれば、 またともにこれに憂うれふ。 思しを重かさね息そくを累かさねて、 憂う念ねんし愁しゅう恐くす。

○有レバ↠田憂ヘ↠田ニ、有レバ↠宅憂ヘ↠宅ニ、有レバ↠牛憂ヘ↠牛ニ、有レバ↠馬憂ヘ↠馬ニ、有レバ↢六畜↡憂ヘ↢六畜ニ↡、有レバ↢奴婢↡憂フ↢奴婢ニ↡。有レバ↢衣被・銭財・金銀・宝物↡、復共ニ憂フ↠之ニ。重ネ↠思ヲ累ネテ↠息ヲ、憂念シ愁*恐ス。

横よこさまに非ひ常じょうの水すい火か・盗賊とうぞく・怨主おんじゅ・債さい家けのために漂焼ひょうしょうせられ繋つながれ唐突とうとつせられ没もつ溺にゃくせられ、 憂う毒どく忪々しゅじゅとして解とくる時ときあることなし。 憤いきどおりを胸中きょうちゅうに結むすび、 気きを稸たくわへて恚怒いぬし、 病やまい胸きょう腹ふくにありて、 憂苦うく離はなれず。 心しん堅かたく意い固かたくして、 まさに縦じゅう捨しゃすることなし。

○横ニ為ニ↢非常ノ水火・盗賊・怨主・*債家ノ↡所レ↢漂焼セ↡*繋ガレ*唐突セラレ没溺セラレ、憂毒*忪忪トシテ无シ↠有ルコト↢解クル時↡。結ビ↢憤ヲ胸中ニ↡、稸ヘテ↠気ヲ恚怒シ、病在リテ↢胸腹ニ↡、憂苦不↠離レ。心堅ク*意固クシテ、適ニ无シ↢縦捨スルコト↡。

あるいは摧蔵さいぞうせらるるによりて身みを終おへ命いのちを亡ほろぼす。 これを棄き捐えんし去さりてたれも随したがふものなし。

○或イハ坐ヨリテ↢摧蔵セラルルニ↡終ヘ↠身ヲ亡ボス↠命ヲ。棄↢捐シ之ヲ↡去リテ莫シ↢誰モ随フ者↡。

尊そん卑ぴ・豪ごう貴き・貧ひん富ぷこの憂懼うくあり。 勤ごん苦くすることかくのごとし。 もろもろの寒熱かんねつを結むすびて痛いたみとともに居こす。

○尊卑・豪貴・貧富有リ↢是ノ憂懼↡。勤*苦スルコト此クノゴトシ。結ビテ↢衆ノ寒熱ヲ↡与↠痛ミ共ニ居ス。

小しょう家け貧者ひんじゃは窮ぐ困こん苦く乏ぼうす。 田たなければまた憂うれへて田たあらんことを欲ほっし、 宅いえなければまた憂うれへて宅いえあらんことを欲ほっし、 牛うしなければまた憂うれへて牛うしあらんことを欲ほっし、 馬うまなければまた憂うれへて馬うまあらんことを欲ほっし、 六畜ろくちくなければまた憂うれへて六畜ろくちくあらんことを欲ほっし、 奴婢ぬひなければまた憂うれへて奴婢ぬひあらんことを欲ほっす。 衣被えび・銭財せんざい・什じゅう物もつ・飲食おんじきの属たぐいなければ、 また憂うれへてこれあらんことを欲ほっす。

○小家貧者ハ窮困苦乏ス。无ケレバ↠田亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠田、無ケレバ↠宅亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠宅、无ケレバ↠牛亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠牛、无ケレバ↠馬亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠馬、無ケレバ↢六畜↡亦憂シテ欲シ↠有ラムコトヲ↢六畜↡、無ケレバ↢奴婢↡亦憂ヘテ欲ス↠有ラムコトヲ↢奴婢↡。无ケレバ↢衣被・銭財・什物・飲食之属↡、亦憂ヘテ欲ス↠有ラムコトヲ↠之。

たまたま一ひとつあればまた一ひとつを少かき、 これあればこれを少かきて、 あること斉等さいとうならんことを思おもふ。 たまたま小すこしく具ぐ有ゆうすればすなはちまた賜し尽じんす。 かくのごとく苦く生しょうず。 まさにまた求ぐ索しゃくし思し想そうすれども益やくなかるべし。 時ときに得うることあたはず。 身心しんしんともに労ろうして坐起ざき安やすからず、 憂意うしあひ随したがひて勤ごん苦くすることかくのごとし。 心こころを憔やつし恚い恨こんを離はなれずして独ひとり怒いかる。

○適マ有レバ↠一ツ復少カキ↠一ツヲ、有レバ↠是少カキテ↠是ヲ、思フ↢有ルコト斉等ナラムコトヲ↡。適マ小シク具有スレバ便チ復*賜尽ス。如ク↠是クノ苦生ズ。当ニシ↢復求索シ思想スレドモ無カル↟益。不↠能ハ↢時ニ得ルコト↡。身心倶ニ労シテ坐起不↠安カラ、憂意相随ヒテ勤苦スルコト如シ↠此クノ。憔シ↠心ヲ不シテ↠離レ↢恚恨ヲ↡独リ怒ル。

またもろもろの寒熱かんねつを結むすびて痛いたみと同どう居こす。

○亦結ビテ↢衆ノ寒熱ヲ↡与↠痛ミ同居ス。

ある時ときはこれによりて身みを終おへ命いのちを夭ほろぼす。 また善ぜんをなし道どうをなすを肯がえんぜず。 寿じゅ命みょう終しゅう尽じんして死しすれば、 みなまさに独ひとり遠とおく去さるべし。 趣向しゅこうするところあれども、 善悪ぜんあくの道どう、 よくこれを知しるものなし。

○或ル時ハ坐ヨリテ↠之ニ終ヘ↠身ヲ夭ボス↠命ヲ。亦不↠肯ゼ↢作シ↠善ヲ為スヲ↟道ヲ。寿命終尽シテ死スレバ、皆当ニシ↢独リ遠ク去ル↡。有レドモ↠所↢趣向スル↡、善悪之道、莫シ↢能ク知ルモノ↟之ヲ。

ある時ときは世せ人にん、 父子ぶし・兄きょう弟だい・夫ふう婦ふ・家け室しつ・中ちゅう外げの親属しんぞくとして、 天てん地ちのあひだに居こしてまさにあひ敬きょう愛あいすべく、 まさにあひ憎にくむべからず。 有無うむまさにあひ給きゅう与よすべくして、 まさに貪とん惜じゃくあるべからず。 言色ごんしきまさに和わしてあひ違い戻らいすることなかるべし。

○或ル時ハ世人、父子・兄弟・夫婦・家室・中外ノ親属トシテ、居シテ↢天地0175之間ニ↡当ニク↢相敬愛ス↡、不↠当ニカラ↢相憎ム↡。有無当ニクシテ↢相給与ス↡、不↠当ニカラ↠有ル↢貪惜↡。言色当ニシ↣和シテ莫カル↢相違戻スルコト↡。

あるいはもし心こころに諍あらそひて恚怒いぬするところあらば、 今こん世ぜの恨うらみの意こころは微かすかにしてあひ嫉憎しつぞうすれども、 後世ごせにはうたた劇はげしくして大怨だいおんとなることを致いたす。 ゆゑはいかん。 いまのごとき事じ、 さらにあひ害がいせんと欲ほっして時ときに臨のぞみて急きゅうにあひ破やぶるべからずといへども、 しかも愁しゅう毒どくして憤いきどおりを精しょう神じんに結むすび、 自じ然ねんに剋こく識ししてあひ離はなるることを得えず、 みなまさにたがひに生しょうじ値あひてたがひに報復ほうぶくすべければなり。

○或イハ儻モシ心ニ諍ヒテ有ラバ↠所↢恚怒スル↡、今世ノ恨ノ意ハ微ニシテ相嫉憎スレドモ、後世ニハ転タ劇シクシテ致ス↠成ルコトヲ↢大怨ト↡。所以者何ン。如キ↠今ノ之事、更ニ欲シテ↢相害セムト↡雖モ↠不ト↣臨ミテ↠時ニ応カラ↢急ニ相破ル↡、然モ之愁毒シテ結ビ↢憤ヲ精神ニ↡、自然ニ剋識シテ不↠得↢相離ルルコトヲ↡、皆当ニケレバナリ↢対相 タガヒ ニ生ジ値ヒテ更相 タガヒ ニ報復ス↡。

人ひと世せ間けんの愛欲あいよくのなかにありて、 独ひとり往ゆき独ひとり来きたり、 独ひとり死しし独ひとり生しょうず。 まさに行ゆきて苦く楽らくの処ところに至いたるべし。 身みみづからこれに当あたりて代かわるものあることなし。

○人在リテ↢世間ノ愛欲之中ニ↡、独リ往キ独リ来リ、独リ死シ独リ生ズ。当ニシ↣行キテ至ル↢苦楽之処ニ↡。身自ラ当リテ↠之ニ無シ↠有ルコト↢代ル者↡。

善悪ぜんあくの変へん化げせる殃おう咎ぐ悪処あくしょ、 あらかじめ厳待ごんたいす。 まさに独ひとり升入しょうにゅうすべきに、 遠とおく他た処しょに到いたり、 よく見みるものなし。 去さりていづれの所ところにあれども、 善悪ぜんあく自じ然ねんに追逐ついちくして行ゆき生しょうず。 窈々ようよう冥々みょうみょうとして別べつ離り久ひさしく長ながし。 道どう路ろ同おなじからざれば会あひ見みること期ごなく、 はなはだまたあひ値あふことを得えがたし。

○善悪ノ変化セル殃咎*悪処、宿アラ*予カジメ厳待ス。当ニキニ↢独リ升入ス↡、遠ク到リ↢他処ニ↡、莫シ↢能ク見ルモノ↡。去リテ在レドモ↢何ノ所ニ↡、善悪自然ニ追逐シテ行キ生ズ。窈窈冥冥トシテ別離久シク長シ。道路不レバ↠同ジカラ会ヒ見ルコト無ク↠期、甚ダ難シ↠得↢復相値フコトヲ↡。

なんぞ家事けじを棄すてて、 おのおの強健ごうごんの時ときに曼およびて、 努ぬ力りきして善ぜんをなしつとめて精しょう進じんせざる。 度世どせを求もとむれば極ごく長じょうの寿いのちを得うべし。 ことに道どうを求もとむるを肯がえんぜずして、 また須待しゅたいせんと欲ほっしなにをか楽ねがはんと欲ほっするや。

○何ゾ不ル↧棄テテ↢家事ヲ↡、各ノ*曼オヨビテ↢強健ノ時ニ↡、*努力シテ為シ↠善ヲ力ツトメテ精進セ↥。求ムレバ↢度世ヲ↡可シ↠得↢極長ノ寿ヲ↡。殊ニ不シテ↠肯ゼ↠求ムルヲ↢於道ヲ↡、復欲シ↢須待セムト↡欲スル↢何ヲカ楽ハムト↡乎。

かくのごとき世せ人にん、 善ぜんをなせば善ぜんを得うることを信しんぜず、 道どうをなせば道どうを得うることを信しんぜず、 死しすれば後世ごせにまた生しょうずることを信しんぜず、 施与せよすればその福徳ふくとくを得うることを信しんぜず。 すべてこれを信しんぜずして、 しかももつてしからずと謂おもひてつひに是ぜすることあることなし。

○如キ↠是クノ世人、不↠信ゼ↢作セバ↠善ヲ得ルコトヲ↟善ヲ、不↠信ゼ↢為セバ↠道ヲ得ルコトヲ↟道ヲ、不↠信ゼ↢死スレバ後世ニ復生ズルコトヲ↡、不↠信ゼ↣施与スレバ得ルコトヲ↢其ノ福徳ヲ↡。都テ不シテ↠信ゼ↠之ヲ、爾モ以テ謂ヒテ↠不ト↠然ラ終ニ無シ↠有ルコト↠是スルコト。

ただこれによるがゆゑにしばらくみづからこれを見み、 たがひにかはるがはる聞きき前ぜん後ご相続そうぞくし、 うたたあひ父ちちの余のこせる教令きょうりょうを承じょう受じゅす。

○但坐ルガ↠是ニ故ニ且ク自ラ見↠之ヲ、更相 タガヒ ニ代カハルガハル聞キ前後相続シ、転タ相承↢受ス父ノ余ノコセル教令ヲ↡。

先人せんにん・祖父そふもとより善ぜんをなさず、 もとより道どうをなさず、 身み愚おろかに神たましい闇くらく、 心こころ塞ふさがり意こころ閉とじて、 大道だいどうを見みず。 ことによく人ひとの死し生しょうして趣向しゅこうするところあるを見みることあることなく、 またよく知しるものなし。 まさに善悪ぜんあくの道どうを見みることあることなく、 また語かたるものもなし。 ために善悪ぜんあくをなすを用もちゐて、 福徳ふくとく・殃おう咎ぐ・禍か罰ばつ、 おのおのみづから競きおひてこれを作為さいするも、 もつてことに怪あやしむことあることなし。

○先人・祖父素モトヨリ不↠作サ↠善ヲ、本ヨリ不↠為サ↠道ヲ、身愚ニ神タマシヒ闇ク、心塞リ意閉ヂテ、不↠見↢大道ヲ↡。殊ニ无ク↠有ルコト↣能ク見ルコト↢人ノ死生シテ有ルヲ↟所↢趣向スル↡、亦莫シ↢能ク知ル者↡。適ニ無ク↠有ルコト↠見ルコト↢善悪之道ヲ↡、復無シ↢語ル者モ↡。為ニ用0176ヒテ↠作スヲ↢善悪ヲ↡、福徳・殃咎・禍罰、各ノ自ラ競ヒテ作↢為スルモ之ヲ↡、用テ殊ニ无シ↠有ルコト↠怪シムコト也。

死し生しょうの道どうに至いたること、 うたたあひ続ぞく立りゅうす。 あるいは子こ父ちちを哭こくし、 あるいは父ちち子こを哭こくし、 あるいは弟おとうと兄あにを哭こくし、 あるいは兄あに弟おとうとを哭こくし、 あるいは婦つま夫おっとを哭こくし、 あるいは夫おっと婦つまを哭こくす。 顛倒てんどう上じょう下げすることは無む常じょうの根本こんぽんなり。 みなまさに過すぎ去さるべく、 常じょう得とくすべからず。 教きょう語ごし開導かいどうすれども道どうを信しんずるものは少すくなし。 みなまさに死し生しょうすべくして休止くしあることなし。

○至ルコト↢於死生之道ニ↡、転タ相続立ス。或イハ子哭シ↠父ヲ、或イハ父哭シ↠子ヲ、或イハ弟哭シ↠兄ヲ、或イハ兄哭シ↠弟ヲ、或イハ婦哭シ↠夫ヲ、或イハ夫哭ス↠婦ヲ。顛倒上下スルコトハ無*常ノ根本ナリ。皆当ニク↢過ギ去ル↡、不↠可カラ↢常得ス↡。教語シ開導スレドモ信ズル↠道ヲ者ハ少シ。皆当ニクシテ↢死生ス↡無シ↠有ルコト↢休止↡。

かくのごとき曹たぐいの人ひとは矇もう冥みょう抵突たいとつして経きょう語ごを信しんぜず、 おのおの意こころを快こころよくせんと欲ほっして、 心こころに計け慮りょせず、 愛欲あいよくに愚痴ぐちにして、 道徳どうとくを解さとらず、 瞋しん怒ぬに迷惑めいわくして財色ざいしきを貪狼とんろうす。 これによりて道どうを得えず、 まさに勤ごん苦くの極きわみを更へて、 悪処あくしょにありて生しょうじ、 つひに止とどまりて休く息そくすることを得えざるべし。 これを痛いたむことはなはだ傷いたむべし。

○如キ↠是クノ曹タグヒノ人ハ*矇冥抵*突シテ不↠信ゼ↢経語ヲ↡、各ノ欲シテ↠快クセムト↠意ヲ、心ニ不↢計慮セ↡、愚↢痴ニシテ於愛欲ニ↡、不↠解ラ↢於道徳ヲ↡、迷↢*惑シテ於瞋怒ニ↡貪↢狼ス於財色ヲ↡。坐ヨリテ↠之ニ不↠得↠道ヲ、当ニシ↧更ヘテ↢勤苦ノ極ヲ↡、在リテ↢悪処ニ↡生ジ、終ニ不ル↞得↢止リテ休息スルコトヲ↡。痛ムコト↠之ヲ甚ダ可シ↠傷ム。

ある時ときは家け室しつ・中ちゅう外げ・父子ぶし・兄きょう弟だい・夫ふう婦ふ、 死し生しょうの義ぎに至いたりて、 たがひに哭こく泣きゅうし、 うたたあひ思慕しぼす。 憂う念ねん憤結ふんけつし、 恩愛おんない繞にょう続ぞくし、 心しん意い著じゃく痛つうして、 たがひに顧こ恋れんす。 昼ちゅう夜や縛ばく礙げせられ解とくる時ときあることなし。

○或ル時ハ家室・中外・父子・兄弟・夫婦、至リテ↢於死生之義ニ↡、更相 タガヒ ニ哭*泣シ、転タ相思慕ス。*憂念憤結シ、恩愛*繞続シ、心意著痛シテ、対相 タガヒ ニ顧恋ス。昼夜縛セラレ无シ↠有ルコト↢解クル時↡。

道徳どうとくを教おしへ視しめせども、 心こころ開かい明みょうせず、 恩好おんこうを思し想そうして情じょう欲よく離はなれず、 閉塞へいそくし矇もう瞑みょうとして交錯きょうしゃくし覆ふ蔽へいせらる。 思計しけして心こころみづから端たん正じょうにして世事せじを決断けつだんし、 専せん精しょうに道どうを行ぎょうずることあたはず。 便旋べんせんとして至いたりをはり、 寿いのち終おわり命いのち尽つくれども道どうを得うることあたはずして、 いかんともすべきことなし。

○教ヘ↢視シメセドモ道徳ヲ↡、心不↢開明セ↡、思↢想シテ恩好ヲ↡情欲不↠離レ、閉塞シ*矇瞑トシテ交錯シ覆蔽セラル。不↠能ハ↧思計シテ心自ラ端正ニシテ決↢断シ世事ヲ↡、専精ニ行ズルコト↞道ヲ。便旋トシテ至リ竟リ、寿終リ命尽クレドモ不シテ↠能ハ↠得ルコト↠道ヲ、无シ↠可キコト↢那何 イカン トモス↡。

総猥そうわい憒かいにょうにしてみな愛欲あいよくを貪むさぼる。 かくのごときの法ほうありて、 道どうを解さとらざるものは多おおく、 道どうを得うるものは少すくなし。 世せ間けん怱々そうそうとして聊りょう頼らいすべきものなし。

○総猥憒*ニシテ皆貪ル↢愛欲ヲ↡。如キ↠是クノ之法アリテ、不ル↠解ラ↠道ヲ者ハ多ク、得ル↠道ヲ者ハ少シ。世間怱怱トシテ無シ↠可キモノ↢聊頼ス↡。

尊そん卑ぴ・上じょう下げ・豪ごう貴き・貧ひん富ぷ・男女なんにょ・大だい小しょう、 おのおのみづから怱そう務むし勤ごん苦くして、 みづから身み殺毒せつどくを懐いだき、 悪あっ気け窈よう冥みょうとして、 惆悵ちゅうちょうせざるものなし。 ためにみだりに事じをなし、 天てん地ちに悪あく逆ぎゃくして人心にんしん道徳どうとくに従したがはず。

○尊卑・上下・豪貴・貧富・男女・大小、各ノ自ラ怱務シ勤苦シテ、躬ミヅカラ身*懐キ↢殺毒ヲ↡、悪気窈冥トシテ、莫シ↠不ルモノ↢惆悵セ↡。為ニ妄ニ作シ↠事ヲ、悪↢逆シテ天地ニ↡不↠従ハ↢人心道徳ニ↡。

非ひ悪あくにはまづ随したがひ、 これに与くみしてほしいままに為なすところを聴ゆるす。 その寿いのちいまだ至いたらざるに、 すなはちたちまちにこれを奪うばひて悪道あくどうに下くだり入いりて、 累るい世せに勤ごん苦くし、 展転てんでん愁しゅう毒どくして、 数しゅ千万せんまん億歳おくさい止やむ期ごあることなし。 痛いたみいふべからず、 はなはだ憐愍れんみんすべしと。

○非悪ニハ先ズ随ヒ、与シテ↠之ニ*恣ニ聴ス↠所ヲ↠為ス。其ノ寿未ダルニ↠至ラ、便チ頓0177チニ奪ヒテ↠之ヲ下リ↢入リテ悪道ニ↡、累世ニ勤苦シ、展転愁毒シテ、数千万*億歳無シ↠有ルコト↢止ム期↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ、甚ダ可シト↢憐愍ス↡。

二 Ⅴ ⅱ 弥勒領解

【19】仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつら、 諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみんに告つげたまはく、 われみななんぢらに世せ間けんの事じを語かたれり。 人ひとこれをもつてのゆゑに坐とどまりて道どうを得えず。 なんぢらつらつらこれを思し惟ゆいして、 悪あくをばまさに縦じゅう捨しゃしてこれを遠おん離りし去さるべし。 その善ぜんなるものに従したがひて、 まさに堅かたく持たもちてみだりに非ひをなすことなくますます諸善しょぜんをなすべし。 大だい小しょう・多た少しょうの愛欲あいよくの栄えい、 みな常じょう得とくすべからず。 よりてまさに別べつ離りすべく、 楽たのしむべきものなし。

○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等、諸天・帝王・人民ニ↡、我皆語レリ↢汝*曹ラニ世間之事ヲ↡。人用テノ↠是ヲ故ニ坐トドマリテ不↠得↠道ヲ。汝曹ラ熟ツラ思↢惟シテ之ヲ↡、悪ヲ者当ニシ↧縦捨シテ遠↢離シ之ヲ↡去ル↥。従ヒテ↢其ノ善ナル者ニ↡、当ニシ↧堅ク持チテ勿ク↢妄ニ為スコト↟非ヲ益マス作ス↦諸善ヲ↥。大小・多少ノ愛欲之栄、皆不↠可カラ↢常得ス↡。由リテ当ニク↢別離ス↡、无シ↢可キ↠楽シム者↡。

仏ぶっ世せの時ときに曼およびて、 それ仏ぶつの経きょう語ごの深ふかきことを信受しんじゅし、 道徳どうとくを奉ぶ行ぎょうするものあらば、 みなこれわが小しょう弟ていなり。 それはじめて仏ぶつの経きょう戒かいを学まなぶことあらんと欲ほっするものは、 みなこれわが弟子でしなり。 それ身みを出いだして家いえを去さり妻さい子しを捨すてて財色ざいしきを絶ぜっ去こせんと欲ほっし、 沙門しゃもんとなり、 仏ぶつのために比丘びくとならんと欲ほっするものあらば、 みなこれわが子し孫そんなり。 わが世よにははなはだ値あふこと得えがたし。

●曼オヨビテ↢仏世ノ*時ニ↡、其レ有ラバ↧信↢受シ仏ノ経語ノ深キコトヲ↡、奉↦行スルモノ道徳ヲ↥、皆是我ガ小弟也。其レ欲スル↠有ラムト↣甫ハジメテ学ブコト↢仏ノ経戒ヲ↡者ハ、皆是我ガ弟子ナリ。其レ有ラバ↩欲シ↧出シテ↠身ヲ去リ↠家ヲ捨テテ↢妻子ヲ↡絶↦去セムト財色ヲ↥、欲スル↧作リ↢沙門ト↡、為ニ↠仏ノ作ラムト↦比丘ト↥者↨、*皆是我ガ子孫ナリ。我ガ世ニハ甚ダ難シ↠得↠値フコト。

それ願がんじて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜんと欲ほっするものあらば、 智慧ちえ勇ゆう猛みょうにして衆しゅのために尊そん敬きょうせらるることを得うべし。 心こころの欲ほっするところに随したがひて経きょう戒かいを虧負きぶして人ひとの後しりえにあることを得うることなかれ。 もし疑意ぎいありて経きょうを解さとらざるものは、 また前すすみて仏ぶつに問とひたてまつれ。 なんぢがためにこれを解とかんと。

○其レ有ラバ↧願ジテ欲スル↠生ゼムト↢阿弥陀仏国ニ↡者↥、可シ↠得↣智慧勇猛ニシテ為ニ↠衆ノ所ルルコトヲ↢尊敬セ↡。勿レ↠得ルコト↧随ヒテ↢心ノ所ニ↟欲スル虧↢負シテ経戒ヲ↡在ルコトヲ↦於人ノ後ニ↥。儻モシ有リテ↢疑意↡不ル↠解ラ↠経ヲ者ハ、復前ミテ問ヒタテマツレ↠仏ニ。為ニ↠汝ガ解カムト↠之ヲ。

阿あ逸いつ菩ぼ薩さつ長じょう跪き叉手しゃしゅしてまうさく、 仏ぶつの威い神じんは尊そん重じゅうにして、 説ときたまふところの経きょうは快け善ぜんなり。

○阿逸菩薩長跪叉手シテ言ク、仏ノ威神ハ尊重ニシテ、所ノ↠説キタマフ経ハ快善ナリ。

われら経きょう語ごを聴ききて、 みな心こころにこれを貫つらぬく。 世せ人にんまことにしかなり、 仏ぶつの語かたりたまふところのごとく異いあることなし。 いま仏ぶつわれらを慈じ哀あいして、 大道だいどうを開かい示じし生しょう路ろを教きょう語ごしたまふ。 耳に目もく聰そう明みょうにしてながへに度ど脱だつすることを得えて、 いまさらに生しょうずることを得えたるがごとし。

○我曹ラ聴キテ↢経語ヲ↡、皆心ニ貫ク↠之ヲ。世人実ニ爾ナリ、如ク↢仏ノ所ノ↟語リタマフ无シ↠有ルコト↠異。今仏慈↢哀シテ*我曹ラヲ↡、開↢*示シ大道ヲ↡教↢語シタマフ生路ヲ↡。耳目聰明ニシテ長ヘニ得テ↢度脱スルコトヲ↡、今若シ↠得タルガ↢更ニ生ズルコトヲ↡。

われら仏ぶつの経きょう語ごを聴ききて、 慈じ心しんをもつて歓かん喜ぎし踊ゆ躍やくし開かい解げせざるものなし。 諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみん・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの類たぐいに及およぶまで、 みな恩おんを蒙こうむりて憂苦うくを解げ脱だつせざるものなし。 仏ぶつ語ごの教きょう戒かいははなはだ深ふかく善よきこと無む極ごく無む底たいなり。

○我曹ラ聴キテ↢仏ノ経語ヲ↡、莫シ↧不ル↢慈心ヲモテ歓喜シ踊躍シ開解セ↡者↥。及ブマデ↢諸天・帝王・人民・蜎飛蠕動之類0178ニ↡、*皆蒙リテ↠恩ヲ无シ↧不ル↣解↢脱セ憂苦ヲ↡者↥。仏語ノ教*戒ハ甚ダ*深ク善キコト無極无底ナリ。

仏ぶつの智慧ちえの見けん知ちしたまふところの八方はっぽう上じょう下げ、 去こ・来らい・現在げんざいの事じは、 無む上じょう無下むげにして、 無む辺へん無む幅ふくなり。 仏ぶつにははなはだ聞きくことを得えがたし、 われら比したしく仏所ぶっしょに慈じ心しんあり。

○仏ノ智慧ノ所ノ↢*見知シタマフ↡八方上下、去・来・現在之事ハ、無上无下ニシテ、無辺无幅ナリ。仏ニハ甚ダ難シ↠得↠*聞クコトヲ、我曹ラ*比シク慈↢心アリ於仏所ニ↡。

われらをして度ど脱だつすることを得えしむるもの、 みなこれ仏ぶつ前ぜん世せに道どうを求もとめたまひし時とき、 勤ごん苦くし学問がくもんし精明しょうみょうにして、 致いたすところの恩徳おんどくあまねく覆おおひ、 施せ行ぎょうするところの福徳ふくとくの相禄そうろくは巍々ぎぎたればなり。 光こう明みょう徹てっ照しょうし、 洞どう虚こなること無む極ごくにして、 泥洹ないおんに貫かん入にゅうせしめ、 教きょう授じゅするに典てんを攬とり、 制せい威いし消しょう化けして、 八方はっぽう上じょう下げを改動かいどうすること、 無む窮ぐう無む極ごくなり。

○令ムル↣我曹ラヲシテ得↢度脱スルコトヲ↡者、皆是仏前世ニ求メタマヒシ↠道ヲ時、*勤苦シ学問シ精明ニシテ、所ノ↠致ス恩徳普ク覆ヒ、所ノ↢施行スル↡福徳ノ相禄ハ巍巍タレバナリ。光明徹照シ、洞虚ナルコト無極ニシテ、貫↢*入セシメ泥洹ニ↡、教授スルニ攬リ↠*典ヲ、制威シ消化シテ、*改↢動スルコト八方上下ヲ↡、无窮無極ナリ。

仏ぶつは師し法ほうの尊そんたり、 群ぐん聖しょうに絶ぜっして、 すべてよく仏ぶつに及およぶものなし。 仏ぶつ、 八方はっぽう上じょう下げの諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみんのために師しとなり、 その心こころの欲願よくがんするところの大だい小しょうに随したがひて、 みな道どうを得えしむ。

○仏ハ為リ↢師法ノ尊↡、絶シテ↢群聖ニ↡、都テ无シ↢能ク及ブ↠仏ニ者↡。仏為ニ↢八方上下ノ諸天・帝王・人民ノ↡作リ↠師ト、随ヒテ↧其ノ心ノ所ノ↢欲願スル↡大小ニ↥、皆令ム↠得↠道ヲ。

いまわれら仏ぶつとあひ見まみゆることを得え、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの声みこえを聞きくことを得えたり。 われらはなはだ喜よろこびて、 *黠がち慧えにして開かい明みょうなることを得えざるものなしと。

○今我曹ラ得↢与↠仏相見ユルコトヲ↡、得タリ↠聞クコトヲ↢阿弥陀仏ノ声ヲ↡。我曹ラ甚ダ喜ビテ、莫シト↧不ル↠得↢黠慧ニシテ開明ナルコトヲ↡者↥。

仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 なんぢが言ことば是ぜなり、 まことにまさにしかるべし。

○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、若ガ言是ナリ、実ニ当ニシ↠爾ル。

なんぢ仏所ぶっしょに慈じ心しんあることはおほきに喜よろこばしきことなり。 実じつにまさに仏ぶつを念ねんずべし。 天てん下げに久々くくにしてすなはちまた仏ぶつましますのみ。 いまわれ苦世くせにおいて仏ぶつとなり、 出いだすところの経きょう道どうをもつて、 教きょう授じゅ洞達どうだつにして狐疑こぎを截断ぜつだんし、 心こころを端ただしくし行おこなひを正ただしくしてもろもろの愛欲あいよくを抜ぬき、 衆悪しゅあくの根本こんぽんを絶たち、 遊歩ゆぶするに拘とらわるることなく、 智慧ちえを典総てんそうす。 衆道しゅどうの表ひょう裏り、 維綱ゆいこうを攬らん持じして、 照しょう然ねん分ぶん明みょうなり。 五ご道どうを開ひらき視しめして、 生しょう死じと泥洹ないおんの道どうとを決けっ正しょうすと。

○若有ルコト↣慈↢心於仏所ニ↡者大ニ喜バシキコトナリ。実ニ当ニシ↠念ズ↠仏ヲ。天下ニ久久ニシテ乃チ復有ス↠仏耳。今我於テ↢*苦世ニ↡作リ↠仏ト、所ノ↠出ス経道ヲモテ、教授洞達ニシテ截↢断シ狐疑ヲ↡、端シクシ↠心ヲ正シクシテ↠行ヲ抜キ↢諸ノ愛欲ヲ↡、絶チ↢衆悪ノ根本ヲ↡、遊歩スルニ無ク↠拘ルルコト、○典↢総ス智慧ヲ↡。衆*道ノ表裏、攬↢持シテ維綱ヲ↡、*照然分明ナリ。開キ↢*視シメシテ五道ヲ↡、決↢正スト生死ト泥洹之道トヲ↡。

仏ぶつのたまはく、 なんぢら無む数劫しゅこうよりこのかた、 不可ふか復計ぶけ劫こう、 なんぢら菩ぼ薩さつ道どうをなして、 諸天しょてん・人民にんみんおよび蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの類たぐいを過度かどせんと欲ほっしてよりこのかた、 はなはだ久く遠おんなり。 人ひとなんぢに従したがひて道どうを得えて度どするもの無む央数おうしゅなり。 泥洹ないおんの道どうを得うるに至いたるものもまた無む央数おうしゅなり。

○仏言ク、若ナンヂ曹ラ従リ↢无数劫↡以来タ、不可復計劫、若ナンヂ曹ラ作シテ↢菩薩道ヲ↡、欲シテヨリ↣過↢度セムト諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲ↡已来タ、甚ダ久遠ナリ。人従ヒテ↠若ニ得テ↠道ヲ度スル者无央数ナリ。至ル↠得ルニ↢泥洹之道ヲ↡者モ亦無0179央数ナリ。

なんぢらおよび八方はっぽう上じょう下げの諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみん、 もしは比丘びく・比丘びく尼に・優婆うば塞そく・優婆うば夷い、 なんぢら宿命しゅくみょうに、 無む数劫しゅこうよりこのかた、 この五ご道どうのなかに展転てんでんして死し生しょう呼こ嗟しゃし、 たがひに哭涙こくるいし、 うたたあひ貪とん慕ぼし、 憂思うし愁しゅう毒どくして、 痛つう苦くいふべからず。 今こん世ぜに至いたるまで死し生しょう絶たえずして、 すなはち今日こんにち、 仏ぶつとあひ見まみえともに会値あひて、 ここにすなはち阿あ弥陀みだ仏ぶつの声みこえを聞きくことはなはだ快け善ぜんなり。 われなんぢらを助たすけて喜よろこばん。

○若ナンヂ曹ラ及ビ八方上下ノ諸天・帝王・人民、若シハ比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、若ナンヂ曹ラ宿命ニ、従リ↢无数劫↡已来タ、展↢転シテ是ノ五道ノ中ニ↡死生呼嗟シ、更相 タガヒ ニ哭涙シ、転タ相貪慕シ、憂思愁毒シテ、痛苦不↠可カラ↠言フ。至ルマデ↢今世ニ↡死生不シテ↠絶エ、乃チ今日、与↠仏相見マミエ共ニ会値アヒテ、是ニ乃チ聞クコト↢阿弥陀仏ノ声ヲ↡甚ダ快善ナリ。*我助ケテ↢汝曹ラヲ↡喜バム。

またみづから死し生しょうの痛痒つうようを厭いとふべし。 生うまるる時ときははなはだ痛いたみはなはだ苦くるしみてはなはだ極きわまれり。 年とし長ちょう大だいするに至いたりてもまた苦くるしみてまた極きわまる。 死しする時ときもまた痛いたみまた苦くるしみてまた極きわまる。 はなはだ悪あく臭しゅうの処ところにして浄じょう潔けつならずして、 つひに可かとするものあることなし。

○亦可シ↣自ラ厭フ↢死生ノ痛痒ヲ↡。生ルル時ハ甚ダ痛ミ甚ダ苦ミテ*甚ダ極レリ。至リテモ↢年長大スルニ↡*亦苦ミテ亦極ル↡。*死スル時モ亦痛ミ亦苦ミテ亦*極ル。甚ダ悪臭ノ処ニシテ不シテ↢浄潔ナラ↡、了ツヒニ无シ↠有ルコト↢可トスル者↡。

仏ぶつゆゑにことごとくなんぢらに語かたらん。 なんぢらまたみづから臭しゅう処しょ・悪お露ろを決断けつだんすべし。 なんぢらまた心こころを端ただしくし身みを正ただしくしてますます諸善しょぜんをなすべし。 ここにおいてつねに中ちゅう外げに端ただしくし、 身体しんたいを潔けつ浄じょうにし、 心しん垢くを洗除せんじょして、 みづからあひ約撿やくけんし、 表ひょう裏り相応そうおうして、 言ごん行ぎょう忠ちゅう信しんにせよ。 人ひとよくみづから度ど脱だつして、 うたたあひ扶ふ接しょうし、 もろもろの愛欲あいよくを抜ぬき、 精明しょうみょう至し心しんにして、 求ぐ願がんして転てんぜず、 その善道ぜんどうの根本こんぽんを結けっせよ。

○仏故ニ悉ク語ラム↢若ナンヂ曹ラニ↡。若ナンヂ曹ラ亦可シ↣自ラ決↢断ス臭処・悪露ヲ↡。若ナンヂ曹ラ亦可シ↣端シクシ↠心ヲ正シクシテ↠身ヲ益マス作ス↢諸善ヲ↡。於テ↠是ニ常ニ端シクシ↢中外ニ↡、潔↢浄ニシ身体ヲ↡、*洗↢除シテ心垢ヲ↡、自ラ相約撿シ、表裏相応シテ、言行忠信ニセヨ。人能ク自ラ度脱シテ、転タ相扶接シ、抜キ↢諸ノ愛欲ヲ↡、精明至心ニシテ、求願シテ不↠転ゼ、結セヨ↢其ノ善道ノ根本ヲ↡。

精しょう苦くすといへども一いっ世せは須しゅ臾ゆのあひだなるのみ。 今こん世ぜに善ぜんをなせば後世ごせに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうじて、 快け楽らくはなはだ極きわまりなく、 ながへに道徳どうとくと合ごう明みょうす。 しかうしてよくあひ保ほ守しゅし、 ながへに悪道あくどう痛痒つうようの憂う悩のうを去さり離はなれ、 勤ごん苦く諸悪しょあくの根本こんぽんを抜ぬき、 もろもろの愛欲あいよく恩好おんこうを断たちて、 ながへに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうじて、 またもろもろの痛痒つうようあることなく、 また復ふくしてもろもろの悪あく臭しゅうの処ところあることなく、 また復ふくして勤ごん苦くあることなく、 また淫泆いんいつ・瞋しん怒ぬ・愚痴ぐちなく、 また憂思うし・愁しゅう毒どくあることなし。

○雖モ↢精苦スト↡一世ハ須臾ノ間ナル耳。今世ニ為セバ↠善ヲ後世ニ生ジテ↢阿弥陀仏国ニ↡、快楽甚ダ無ク↠極リ、長ヘニ与↢道徳↡合明ス。然シテ善ク相保守シ、長ヘニ去リ↢離レ悪道痛痒之憂悩ヲ↡、抜キ↢勤苦諸悪ノ根本ヲ↡、断チテ↢諸ノ愛欲恩好ヲ↡、長ヘニ生ジテ↢阿弥陀仏国ニ↡、亦無ク↠有ルコト↢諸ノ痛痒↡、亦无ク↣復シテ有ルコト↢諸ノ悪臭ノ処↡、亦*无ク↣復シテ有ルコト↢勤苦↡、亦無ク↢淫泆・瞋怒・愚痴↡、亦無シ↠有ルコト↢憂思・愁毒↡。

阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生うまれて、 寿いのち一劫いっこう・十劫じっこう・百ひゃく劫こう・千劫せんごう・万億まんおく劫こうならんと欲ほっし、 みづから恣意しいに寿いのち無む央数おうしゅ劫こう・不可ふか復計ぶけ数劫しゅこうに住じゅう止しせんと欲ほっせば、 ほしいままになんぢの意こころに随したがひてみなこれを得うべし。 食じきせんと欲ほっすも食じきせざらんとすも、 ほしいままにその意こころのごとくにすべてことごとく自じ然ねんにみなこれを得うべし。

○生レテ↢於阿弥陀仏国ニ↡、欲シ↢寿一劫・十劫・百劫・千劫・*万億劫ナラムト↡、自ラ恣意ニ欲セバ↣住0180↢*止セムト寿无央数劫・不可復計数劫ニ↡、恣ニ汝ノ随ヒテ↠意ニ皆可シ↠得↠之ヲ。●欲スモ↠食セムト不ラムトスモ↠食セ、恣ニ若クニ↢其ノ意ノ↡都テ悉ク自然ニ皆可シ↠得↠之ヲ。

泥洹ないおんの道どうに次ちかし。 みなおのおのみづから精明しょうみょうに心しん所欲しょよくの願がんを求ぐ索しゃくすべし。 狐疑こぎし心こころに中ちゅう悔けすることを得うることなかれ。 往おう生じょうせんと欲ほっするものは、 その過か失しつによりて、 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこく界かいの辺ほとりの自じ然ねん七宝しっぽうの城中じょうちゅうにありて、 讁ちゃくせらるること五ご百ひゃく歳さいなるを得うることなかれと。

○次チカシ↢於泥洹之道ニ↡。皆各ノ自ラ精明ニ求↢索スベシ心所欲ノ願ヲ↡。勿レ↠得ルコト↢狐疑シ心ニ中悔スルコトヲ↡。欲スル↢往生セムト↡者ハ、無レト↠得ルコト↧坐ヨリテ↢其ノ過失ニ↡、在リテ↢阿弥陀仏国界ノ辺ノ自然七宝ノ城中ニ↡、讁セラルルコト五百歳ナルヲ↥。

阿あ逸いつ菩ぼ薩さつまうさく、 仏ぶつの厳ごん明みょうなる重教じゅうきょうを受うけて、 みなまさに精しょう進じんして一心いっしんに求ぐ索しゃくすべし。 請ねがはくはこれを奉ぶ行ぎょうしてあへて疑ぎ怠たいせずと。

○阿逸菩薩言ク、受ケテ↢仏ノ厳明ナル重教ヲ↡、皆当ニシ↢精進シテ一心ニ求索ス↡。請ネガハクハ奉↢行シテ之ヲ↡不ト↢敢テ疑怠セ↡。

二 Ⅴ ⅲ 五善五悪

【20】仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらに告つげたまはく、 なんぢらこの世よにおいてよくみづから心こころを制せいし意こころを正ただしくして、 身みに悪あくをなさざれば、 これを大徳だいとくの善ぜんとなし、 すべて一輩いっぱいとしてありて、 八方はっぽう上じょう下げの最さいとなりて比ならびあることなし。 ゆゑはいかん。 八方はっぽう上じょう下げの無む央数おうしゅの仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん・人民にんみんは、 みな自じ然ねんに善ぜんをなしておほきに悪あくをなさざれば教きょう化けしやすければなり。

○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、若ナンヂ曹ラ於テ↢是ノ世ニ↡能ク自ラ制シ↠心ヲ正シクシテ↠意ヲ、身ニ不レバ↠作サ↠悪ヲ者、是ヲ為シ↢大徳ノ善ト↡、都テ有リテ↢一輩トシテ↡、為リテ↢八方上下ノ最ト↡無シ↠有ルコト↠比。所以者何ン。八方上下ノ无央数ノ仏国ノ中ノ諸天・人民ハ、皆自然ニ作シテ↠善ヲ不レバ↢大ニ為サ↟悪ヲ易ケレバナリ↢教化シ↡。

いまわれこの世せ間けんにおいて仏ぶつとなる。 五ご悪あく・五ご痛つう・五ご焼しょうのなかになして仏ぶつとなることもつとも劇はげしとなす。 人民にんみんを教きょう語ごして、 五ご悪あくを縦じゅう捨しゃせしめて、 五ご痛つうを去さらしめ、 五ご焼しょうのなかより去さらしめ、 その心こころを降ごう化けして、 五ご善ぜんを持たもち、 その福徳ふくとく・度世どせ・長ちょう寿じゅ・泥洹ないおんの道どうを得えしめん。

○今我於テ↢是ノ世間ニ↡作ル↠仏ト。為シテ↢於五悪・五痛・五焼之中ニ↡作ルコト↠仏ト為ス↢最モ劇シト↡。教↢語シテ人民ヲ↡、令メテ↣縦↢捨セ五悪ヲ↡、令メ↠去ラ↢五痛ヲ↡、令メ↠去ラ↢五焼之*中ヨリ↡、降↢化シテ其ノ心ヲ↡、令メム↧持チ↢五善ヲ↡、得↦其ノ福徳・度世・長寿・泥洹之道ヲ↥。

仏ぶつのたまはく、 なんらをか五ご悪あくとなし、 なんらをか五ご痛つうとなし、 なんらをか五ご焼しょうのなかのものとなす。 なんらをか五ご悪あくを消しょう化けして五ご善ぜんを得えしめんものとなす。 なんらをか五ご善ぜんを持たもちてその福徳ふくとく・長ちょう寿じゅ・度世どせ・泥洹ないおんの道どうを得うとなすと。

○仏言ク、何等ヲカ為シ↢五悪ト↡、何等ヲカ為シ↢五痛ト↡、何等ヲカ為ス↢五焼ノ中ノ者ト↡。何等ヲカ為ス↧消↢化シテ五悪ヲ↡令メム↠得↢五善ヲ↡者ト↥。何等ヲカ為スト↧持チテ↢五善ヲ↡得ト↦其ノ福徳・長寿・度世・泥洹之道ヲ↥。

【21】仏ぶつのたまはく、 その一悪いちあくとは、 天てん・人民にんみんより下しも禽きん獣じゅう・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの属たぐいに至いたるまで、 衆悪しゅあくをなさんと欲ほっして強つよきものは弱よわきを服ぶくし、 うたたあひ剋賊こくぞくし、 おのづからあひ殺せっ傷しょうしてたがひに食噉じきだんす。

○仏言ク、其ノ一悪ト*者、○天・人民ヨリ下至ルマデ↢禽獣・蜎飛蠕動之属ニ↡、欲シテ↠為サムト↢衆悪ヲ↡強キ者ハ服0181シ↠弱キヲ、転タ相剋賊シ、自ラ相殺傷シテ更相 タガヒ ニ食噉ス。

善ぜんをなすことを知しらず、 悪あく逆ぎゃく不ふ道どうにしてその殃罰おうばつを受うく。 道どうの自じ然ねんにしてまさに往ゆきて趣向しゅこうすべし。

○不↠知ラ↠作スコトヲ↠善ヲ、悪逆不道ニシテ受ク↢其ノ殃罰ヲ↡。道之自然ニシテ当ニシ↢往キテ趣向ス↡。

神じん明みょう記識きししてこれを犯おかさば貰ゆるさず、 うたたあひ承うけ続つぐ。 ゆゑに貧びん窮ぐ・下げ賎せん・乞丐こつがい・孤こ独どくなるものあり。 ゆゑに聾ろう・盲もう・瘖おん瘂あ・愚痴ぐち・憋悪ひつあくなるものありて、 下しもに尫おう狂きょうにして及逮およばざる属たぐいあり。 ゆゑに尊そん卑ぴ・豪ごう貴き・高才こうざい明みょう達だつ・智慧ちえ勇ゆう猛みょうなるものあり。 みなその前ぜん世せ宿命しゅくみょうに善ぜんをなし慈じ孝きょうにして恩徳おんどくを布しき施ほどこすがゆゑなり。

○神明記識シテ犯サバ↠之ヲ不↠*貰サ、転タ相承ケ続ぐ。故ニ有リ↢貧窮・下賎・乞丐・孤独ナルモノ↡。故ニ有リテ↢聾・盲・瘖瘂・愚痴・*憋悪ナルモノ↡、下ニ有リ↧尫狂ニシテ不ル↢及逮 オヨ バ↡之属↥。故ニ有リ↢尊卑・豪貴・高才明達・智慧勇猛ナルモノ↡。皆其ノ前世宿命ニ為シ↠善ヲ慈孝ニシテ布キ↢施スガ恩徳ヲ↡故ナリ。

官かん事じ王法おうぼうの牢獄ろうごくあれども、 畏おそれ慎つつしむことを肯がえんぜずして悪あくをなせば法ほうに入いりてその過か讁ちゃくを受うく。 重じゅう罰ばついたりて劇はげしくして、 解げ脱だつを求ぐ望もうすれども度ど出しゅつすることを得えがたし。 今こん世ぜにこれありて目前もくぜんに現在げんざいし、 寿いのち終おわりて処ところあり、 その窈よう冥みょうに入いり身みを受うけてまた生しょうず。 たとへば王法おうぼうの劇ぎゃっ苦く極ごく刑ぎょうのごとし。

○有レドモ↢官事王法ノ牢獄↡、不シテ↠肯ゼ↢畏レ慎ムコトヲ↡作セバ↠悪ヲ*入リテ↠法ニ受ク↢其ノ過讁ヲ↡。重罰致リテ劇シクシテ、求↢望スレドモ解脱ヲ↡難シ↠得↢度出スルコトヲ↡。今世ニ有リテ↠是目前ニ現在シ、○寿終リテ*有リ↠*処、入リ↢其ノ窈冥ニ↡受ケテ↠身ヲ更タ生ズ。比タトヘバ若シ↢王法ノ劇苦極*刑ノ↡。

ゆゑに自じ然ねんの泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの類たぐいあり。 うたた身しん形ぎょうを貿かへ、 悪あくを改あらためて道どうを易かへ、 寿じゅ命みょうに短たん長じょうあり。 魂神こんじん精しょう識しき、 自じ然ねんに趣しゅに入いりて形かたちを受うけ胎たいに寄よりて、

○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。転タ貿ヘ↢身形ヲ↡、改メテ↠悪ヲ易カヘ↠道ヲ、寿命ニ短長アリ。魂神精識、自然ニ入リテ↠趣ニ*受ケ↠形ヲ*寄リテ↠*胎ニ、

まさに独ひとり値あひ向むかふも、 あひ従したがひともに生しょうずべく、 うたたあひ報ほう償しょうしてまさにあひ還復げんぶくすべし。 殃悪おうあく・禍か罰ばつ、 衆しゅ事じいまだ尽つきざれば、 つひに離はなるることを得えずして、 そのなかに展転てんでんして、 世々せせ累劫るいこうにも出いづる期ごあることなく、 解げ脱だつを得えがたし。 痛いたみいふべからず。

○当ニク↢独リ値ヒ向フモ、相従ヒ共ニ生ズ↡、転タ相報償シテ当ニシ↢相還復ス↡。殃悪・禍罰、衆事未ダレバ↠尽キ、終ニ不シテ↠得↠離ルルコトヲ、展↢転シテ其ノ中ニ↡、世世累劫ニモ無ク↠有ルコト↢出ヅル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ。

天てん地ちのあひだに自じ然ねんにこれあり。 時ときに臨のぞみてにはかに時ときに応おうぜずといへども、 ただ自じ然ねんの道どうを取とりて、 みなまさに善悪ぜんあくこれに帰きすべし。

○天地之間ニ自然ニ有リ↠是。雖モ↠不ト↢臨ミテ↠時ニ卒暴 ニハカ ニ応ゼ↟時ニ、但取リテ↢自然之道ヲ↡、皆当ニシ↢善悪帰ス↟之ニ。

これを一ひとつの大悪だいあくとなし、 一ひとつの痛つうとなし、 一ひとつの焼しょうとなす。 勤ごん苦くかくのごとくして、 愁しゅう毒どく呼こ嗟しゃすべし。 たとへば劇ぎゃく火かの起おこりて人身にんじんを焼やくがごとし。

○是ヲ為シ↢一ノ大悪ト↡、為シ↢一ノ痛ト↡、為ス↢一ノ焼ト↡。勤苦如クシテ↠是クノ、愁毒呼嗟スベシ。比タトヘバ若シ↣劇火ノ起リテ焼クガ↢人身ヲ↡。

人ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんに意こころを制せいし身みを端ただしくし行おこなひを正ただしくして、 独ひとり諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 身み独ひとり度ど脱だつして、 その福徳ふくとくを得え、 長ちょう寿じゅ・度世どせ・上じょう天てん・泥洹ないおんの道どうを得うべし。 これを一ひとつの大善だいぜんとなす。

○*人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端シクシ↠身ヲ正シクシテ↠行ヲ、独リ作シ↢諸善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱シテ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為0182ス↢一ノ大善ト↡。

【22】仏ぶつのたまはく、 その二に悪あくとは、 世せ間けんの帝王たいおう・長ちょう吏り・人民にんみん・父子ぶし・兄きょう弟だい・家け室しつ・夫ふう婦ふ、 ほぼ義理ぎりなくして正令しょうりょうに従したがはず、 奢淫しゃいん憍きょう慢まんにしておのおの意こころを快こころよくせんと欲ほっし、 恣し心しん自じ在ざいにして、 たがひに欺ご調じょうし、 ことに死しを懼おそれず。 心しん口くおのおの異ことにして言念ごんねん実まことなく、 佞にょう諂てんにして忠ちゅうならず、 諛媚ゆみ巧ぎょう辞じにして行おこなひ端緒たんしょならず。 たがひに嫉ねたみ憎にくみ、 うたたあひ讒ざん悪おして人ひとを冤枉おんおうに陥おとしいる。

○仏言ク、其ノ二悪ト者、○世間ノ帝王・長吏・人民・父子・兄弟・家室・夫婦、略ホボ無クシテ↢義理↡不↠従ハ↢正令ニ↡、奢淫憍慢ニシテ各ノ欲シ↠快クセムト↠意ヲ、恣心自在ニシテ、更相 タガヒ ニ欺調シ、殊ニ不↠懼レ↠死ヲ。心口各ノ異ニシテ言念無ク↠実、佞諂ニシテ不↠忠ナラ、諛媚巧辞ニシテ行ヒ不↢端緒ナラ↡。更相 タガヒ ニ*嫉ミ憎ミ、転タ相讒悪シテ陥ル↢人ヲ冤枉ニ↡。

主しゅ上じょうあきらかならず心こころ察あきらかに照てらさずして臣しん下げを任用にんようす、 臣しん下げ存在ぞんざいして度どを践ふみてよく行おこなひその形ぎょう施せを知しりて、 位くらいにありて正ただしからざれば、 その調じょうするところとなりてみだりに忠良ちゅうりょう賢善けんぜんを損そんじ、 天心てんしんに当あたらずしてはなはだ道どう理りに違いす。

○主上不↠明カナラ心不シテ↢察アキラカニ照サ↡任↢用ス臣下ヲ↡、臣下存在シテ践ミテ↠度ヲ能ク行ヒ知リテ↢其ノ形*施ヲ↡、在リテ↠位ニ不レバ↠正シカラ、為リテ↢其ノ所ト↟調スル*妄ニ損ジ↢*忠良賢善ヲ↡、不シテ↠当ラ↢天心ニ↡甚ダ違ス↢道理ニ↡。

臣しんはその君くんを欺あざむき、 子こはその父ちちを欺あざむき、 弟おとうとはその兄あにを欺あざむき、 婦つまはその夫おっとを欺あざむき、 家け室しつ・中ちゅう外げ・知ち識しきはあひ訟あらそひておのおの貪淫とんいん・心毒しんどく・瞋しん怒ぬ・矇聾もうろう・愚痴ぐち・欲益よくやくを懐いだく。 尊そん卑ぴ・上じょう下げあることなく、 男おとことなく女おんなとなく、 大だいとなく小しょうとなく、 心こころともに同おなじくしかなり。

○臣ハ欺キ↢其ノ君ヲ↡、子ハ欺キ↢其ノ父ヲ↡、弟ハ欺キ↢其ノ兄ヲ↡、婦ハ欺キ↢其ノ夫ヲ↡、家室・中外・知識ハ相訟ヒテ ○各ノ懐ク↢貪淫・心毒・瞋怒・*矇聾・愚痴・*欲益ヲ↡。無ク↠有ルコト↢尊卑・上下↡、無ク↠男ト无ク↠女ト、無ク↠大ト无ク↠小ト、心倶ニ同ジク然ナリ。

みづからおのれを厚あつくせんと欲ほっし、 家いえを破やぶり身みを亡ほろぼして、 前ぜん後ご・家け室しつ・親属しんぞくを顧こ念ねんせず、 これによりて族やからを破やぶる。

○欲シ↢自ラ厚クセムト↟己ヲ、破リ↠家ヲ亡シテ↠身ヲ、不↣顧↢念セ前後・家室・親属ヲ↡、坐ヨリテ↠之ニ破ル↠族ヲ。

ある時ときは家け中ちゅう・内ない外げ・知ち識しき・朋ぼう友う・郷ごう党とう・市里じり・愚ぐ民みん・野や人にん、 うたたかはるがはる従じゅう事じし、 ともにあひ利り害がいして財ざいを諍あらそひ、 闘訟とうじゅ怒ぬ忿ふんして仇あだをなし、 うたた勝しょう負ぶを諍あらそふ。

○或ル時ハ家中・内外・知識・朋友・郷党・*市里・愚民・野人、転タ更カハルガハル従事シ、共ニ相利害シテ諍ヒ↠財ヲ、闘訟怒忿シテ成シ↠仇ヲ、転タ諍フ↢勝負ヲ↡。

富とみを慳おしみ心こころを燋こがして施与せよすることを肯がえんぜず、 祝々しゅくしゅくとして守まもり愛あいし保たもちて貪とん惜しゃくす。 これによりて思し念ねんし心労しんろうし身み苦くるしむ。

○慳オシミ↠富ヲ燋ガシテ↠心ヲ不↠肯ゼ↢施与スルコトヲ↡、祝祝トシテ*守リ愛シ保チテ貪*惜ス。坐ヨリテ↠之ニ思念シ心労シ身苦シム。

かくのごとくにして至いたりをはるに、 恃怙じこするところなし。 独ひとり来きたり独ひとり去さりてひとりとして随したがふものなし。 善悪ぜんあくの福徳ふくとく・殃おう禍か・讁ちゃく罰ばつ命みょうを追おひて生しょうずるところなり。 あるいは楽処らくしょにありあるいは毒どく苦くに入いる。 しかうして後のちにすなはち悔くゆともまさにまたなんぞ及およぶべき。

○如クシテ↠是クノ至リ竟ルニ、無シ↠所↢恃怙スル↡。独リ来リ独リ去リテ无シ↢一トシテ随フ者↡。善悪ノ福徳・殃禍・讁罰追ヒテ↠*命ヲ所ナリ↠生ズル。或イハ在リ↢楽処ニ↡或イハ入ル↢毒苦ニ↡。然シテ後ニ乃チ*悔ユトモ当ニキ↢復何ゾ及ブ↡。

ある時ときは世せ人にん、 愚ぐ心しん少しょう智ちにして、 善ぜんを見みては誹ひ謗ほうしてこれを恚いかり、 慕したひ及およぶことを肯がえんぜず。 ただ悪あくをなさんと欲ほっしてみだりに不ふ道どうをなし、 ただ盗窃とうせつを欲ほっしてつねに毒心どくしんを懐いだき、 他た人にんの財物ざいもつを得えんと欲ほっしてもってみづからに供く給きゅうし、 消しょう散さんし靡み尽じんし賜つくしてまた求ぐ索しゃくす。 邪心じゃしんにして正ただしからず、 つねに独ひとり恐怖くふして人ひとの色しることあらんと畏おそる。 時ときに臨のぞみて計はからず、 事じ至いたりてすなはち悔くゆ。

○或ル時ハ世人、愚心少智ニシテ、見テハ↠善ヲ誹謗シテ恚リ↠之ヲ、不0183↠肯ゼ↢慕ヒ及ブコトヲ↡。但欲シテ↠為サムト↠*悪ヲ*妄ニ作シ↢不道ヲ↡、但欲シテ↢盗窃ヲ↡常ニ懐キ↢毒心ヲ↡、欲シテ↠得ムト↢他人ノ財物ヲ↡用テ自ラニ供給シ、消散シ*靡尽シ*賜ツクシテ復求索ス。邪心ニシテ不↠正シカラ、常ニ独リ恐怖シテ畏ル↢人ノ有ラムコトヲ↟色シルコト。臨ミテ↠時ニ不↠計ラ、事至リテ乃チ悔ユ。

今こん世ぜに現げんに長ちょう吏り・牢獄ろうごくありて、 自じ然ねんに趣向しゅこうしてその殃おう咎ぐを受うく。 世せ間けんの貧びん窮ぐ・乞丐こつがい・孤こ独どくただ前ぜん世せ宿命しゅくみょうに道徳どうとくを信しんぜずして善ぜんをなすことを肯がえんぜざるによりて、 今こん世ぜに悪あくをなす。 天神てんじん籍じゃくを別わかち、

○今世ニ現ニ在リテ↢長吏・牢獄↡、自然ニ趣向シテ受ク↢其ノ殃咎ヲ↡。世間ノ貧窮・乞丐・孤独但坐ヨリテ↧前世宿命ニ不シテ↠信ゼ↢道徳ヲ↡不ルニ↞肯ゼ↠為スコトヲ↠善ヲ、今世ニ為ス↠悪ヲ。天神別チ↠籍ヲ、

寿いのち終おわりて悪道あくどうに入いる。 ゆゑに自じ然ねんの泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの属たぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにも出いづる期ごあることなく、 解げ脱だつを得えがたし。 痛いたみいふべからず。

○寿終リテ入ル↢悪道ニ↡。○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ其ノ*中ニ↡世世累劫ニモ无ク↠有ルコト↢出ヅル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ。

これを二ふたつの大悪だいあくとなし、 二ふたつの痛つうとなし、 二ふたつの焼しょうとなす。 勤ごん苦くかくのごとくにして、 たとへば火ひの起おこりて劇はげしく人身にんじんを焼やくがごとし。

○是ヲ為シ↢二ノ大悪ト↡、為シ↢二ノ痛ト↡、為ス↢二ノ焼ト↡。勤苦如クニシテ↠是クノ、比タトヘバ若シ↣火ノ起リテ劇シク於焼クガ↢人身ヲ↡。

人ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんに意こころを制せいし身みを端ただしくし行おこなひを正ただしくして、 独ひとり諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 身み独ひとり度ど脱だつして、 その福徳ふくとくを得え、 長ちょう寿じゅ・度世どせ・上じょう天てん・泥洹ないおんの道どうを得うべし。 これを二ふたつの大善だいぜんとなすと。

○人能ク*自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端シクシ↠身ヲ正シクシテ↠行ヲ、独リ作シ↢諸善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱シテ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠*得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢二ノ大善ト↡。

【23】仏ぶつのたまはく、 その三悪さんあくとは、 もろもろの世せ間けんの人民にんみん、 寄き生しょうしあひ因よりともによりて、 天てん地ちのあひだに居こす。 処年しょねん寿じゅ命みょう、 よくいくばくの歳としもなし。 至いたりては豪ごう貴き・長ちょう者じゃ・賢げん明みょう・善人ぜんにんあり、 下しもには貧賎びんせん・尫羸おうるい・愚ぐ者しゃあり。 なかには不ふ良りょうの人ひとありて、 ただ毒悪どくあくを懐え念ねんして身心しんしん正ただしからず、

○仏言ク、其ノ三悪ト者、○諸ノ世間ノ人民、寄生シ*相因リ共ニ依リテ、居ス↢天地之間ニ↡。処年寿命、无シ↢能ク幾クノ歳モ↡。至リテハ有リ↢豪貴・長者・賢明・善人↡、下ニハ有リ↢貧賎・尫羸・愚者↡。中ニハ有リテ↢不良之人↡、但懐↢念シテ毒悪ヲ↡身心不↠正シカラ、

つねに淫泆いんいつを念ねんじて煩わずらひ胸中きょうちゅうに満みつ。 愛欲あいよく交錯きょうしゃくして坐起ざき安やすからず、 貪とん意い慳けん惜じゃくにして横よこさまにいたづらに得えんことを欲ほっす。 細色さいしきを眄睞めんらいして悪態あくたい婬泆いんいつし、 婦つまあれども厭いとひ憎にくみてひそかにみだりに出入しゅつにゅうし、 家いえの所しょ有うを持もちてあひ給きゅうして非ひをなし、 聚じゅ会え飲食おんじきしてもつぱらともに悪あくをなす。

○常ニ念ジテ↢淫泆ヲ↡煩ヒ満ツ↢胸中ニ↡。愛欲交錯シテ坐起不↠安カラ、貪意慳惜ニシテ欲ス↢横ニ唐イタヅラニ得ムコトヲ↡。眄↢睞シテ細色ヲ↡悪態婬泆シ、有レドモ↠婦厭ヒ憎ミテ*私ヒソカニ妄ニ出入シ、持チテ↢家ノ所有ヲ↡相給シテ為シ↠非ヲ、聚会飲食シテ専ラ共ニ作ス↠悪ヲ。

兵ひょうを興おこし賊ぞくをなして城しろを攻せめ格闘かくとうし、 劫殺こうせつ截断ぜつだんして強奪ごうだつ不ふ道どうなり。 人ひとの財物ざいもつを取とり偸ちゅう窃せつしてにはかに得うれども治じ生しょうすることを肯がえんぜず、 まさに求もとむべきところのものこれをなすことを肯がえんぜず、 悪心あくしん外ほかにありては、 もつぱらなすことあたはず、 欲よく繋けして事じをなし恐く勢せい迫はく脅きょうし、 持もち帰かえりては家いえに給きゅうしてともにあひ生しょう活かつす。 心こころをほしいままにし意こころを快ここよろくして行おこなひを極きわめ楽らくをなす。 他た人にんの婦ふ女にょを行ぎょう乱らんし、 あるいはその親属しんぞくにおいて尊そん卑ぴ・長ちょう老ろうを避さけず。 衆しゅともに憎ぞう悪おし、 家け室しつ・中ちゅう外げ患うれひてこれを恚いかる。

○興シ↠兵ヲ作シテ↠賊ヲ攻メ↠城ヲ格0184闘シ、劫殺截断シテ強奪不道ナリ。取リ↢人ノ財物ヲ↡偸窃シテ趣ニハカニ得レドモ不↠肯ゼ↢治生スルコトヲ↡、所ノ↠当ニキ↠求ム者不↠肯ゼ↠為スコトヲ↠之ヲ、悪心在リテハ↠外ニ、不↠能ハ↢専ラ作スコト↡、欲*繋シテ成シ↠事ヲ恐*勢迫脅シ、持チ帰リテハ*給シテ↠家ニ共ニ相生活ス。恣ニシ↠心ヲ*快クシテ↠意ヲ極メ↠行ヲ作ス↠楽ヲ。*行↢乱シ他人ノ婦女ヲ↡、或イハ於テ↢其ノ親属ニ↡不↠避ケ↢尊卑・長老ヲ↡。衆共ニ*憎悪シ、家室・中外患ヒテ而恚ル↠之ヲ。

また県官けんかんの法ほう令りょうを畏おそれず、 録ろくを避さくるところなし。 かくのごとき悪あく、 自じ然ねんに牢獄ろうごくあり、 日月にちがつ照しょう識しし神じん明みょう記き取しゅして諸神しょじん摂しょう録ろくす。

○亦復不↠畏レ↢県官ノ法令ヲ↡、無シ↠所↠避クル↠録ヲ。如キ↠是クノ之悪、自然ニ牢獄アリ、日月照識シ神明記取シテ諸神摂録ス。

ゆゑに自じ然ねんの泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの属たぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにも出いづる期ごあることなく、 解げ脱だつを得えがたし。 痛いたみいふべからず。

○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ无ク↠*有ルコト↢出ヅル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ。

これを三みつの大悪だいあくとなし、 三みつの痛つうとなし、 三みつの焼しょうとなす。 勤ごん苦くかくのごとくにして、 たとへば火ひの起おこりて人身にんじんを焼やくがごとし。

○是ヲ為シ↢三ノ大悪ト↡、為シ↢*三ノ痛ト↡、為ス↢三ノ焼ト↡。勤苦如クニシテ↠是クノ、比タトヘバ若シ↣火ノ起リテ焼クガ↢人身ヲ↡。

人ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんに意こころを制せいし身みを端ただしくし行おこなひを正ただしくして、 独ひとり諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 身み独ひとり度ど脱だつして、 その福徳ふくとくを得え、 長ちょう寿じゅ・度世どせ・上じょう天てん・泥洹ないおんの道どうを得うべし。 これを三みつの大善だいぜんとなすと。

○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端シクシ↠身ヲ正シクシテ↠行ヲ、独リ作シ↢諸善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱シテ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢三ノ大善ト↡。

【24】仏ぶつのたまはく、 その四し悪あくとは、 諸人しょにん善ぜんをなすことあたはずしてみづからあひ壊え敗はいし、 うたたあひ教令きょうりょうしてともに衆悪しゅあくをなし、 主しゅとして伝言でんごんをなすに、 ただ両りょう舌ぜつ・悪あっ口く・罵め詈り・妄もう語ごを欲ほっし、 あひ嫉ねたみてたがひに闘乱とうらんす。

○仏言ク、其ノ四悪ト者、○諸*人不シテ↠能ハ↠作スコト↠善ヲ自ラ相壊敗シ、転タ相教令シテ共ニ作シ↢衆悪ヲ↡、主トシテ為スニ↢伝言ヲ↡、但欲シ↢両舌・悪口・罵詈・妄語ヲ↡、相嫉ミテ更相 タガヒ ニ闘乱ス。

善人ぜんにんを憎嫉ぞうしつし賢善げんぜんを敗はい壊えしてかたはらにこれを快よろこぶ。 また父母ぶもに孝順きょうじゅんし供く養ようせず、 師し友う・知ち識しきを軽きょう易いして信しんなく誠じょう実じつを得えがたし。 自じ大だい尊そん貴きにして道どうありといひ、 横よこさまに威武いぶを行ぎょうじて権ごん力りき勢いきおひを加くわへ、 侵剋しんこくして人ひとを易あなどりみづから悪あくをなすと知しることあたはず、 みづから羞しゅう慚ざんせず、 自じ用ゆう頑健がんごんにして人ひとをしてこれを承じょう事じし畏い敬きょうせしめんと欲ほっす。

○憎↢嫉シ善人ヲ↡敗↢壊シテ賢善ヲ↡於テ↠*旁ニ快ブ↠之ヲ。復不↤孝↢順シ供↣養セ父母ニ↡、軽↢易シテ師友・知識ヲ↡無ク↠信難シ↠得↢誠実ヲ↡。自大尊貴ニシテ*有リトイヒ↠道、横ニ行ジテ↢威武ヲ↡加ヘ↢権力勢ヲ↡、侵剋シテ易アナドリ↠人ヲ不↠能ハ↢自ラ知ルコト↟為スト↠悪ヲ、不0185↢自ラ羞慚セ↡、自用*頑健ニシテ欲ス↠令メムト↤人ヲシテ承↢事シ畏↣敬セ之ヲ↡。

また天てん地ち・神じん明みょう・日月にちがつを畏い敬きょうせず、 また善ぜんをなすことを教令きょうりょうすべからず、 降ごう化けすべからず。 自じ用ゆう偃蹇えんけんにしてつねにまさにしかなり。 また憂う哀あいの心しんなく恐懼くくの意こころを知しらずして憍きょう慢まんなることかくのごとし。

○復不↣畏↢敬セ天地・神明・日月ヲ↡、亦不↠可カラ↣教↢令ス作スコトヲ↟善ヲ、不↠可カラ↢降化ス↡。自用偃蹇ニシテ常ニ当ニ爾ナリ。亦復无ク↣憂*哀ノ心↡不シテ↠知ラ↢*恐懼*之意ヲ↡憍慢ナルコト如シ↠是クノ。

天神てんじんこれを記しるす。 その前ぜん世せ宿命しゅくみょうにすこぶる福徳ふくとくをなすによりて、 小しょう善ぜん扶ふ接しょうし営よう護ごしてこれを助たすくるも、 今こん世ぜに悪あくをなして諸善しょぜんを尽じん儩しして日ひに去さり、 悪あくのこれを追おふを見み、 身み独ひとりむなしく立たちてまた依よるところなく、 重おもき殃おう讁ちゃくを受うけて、

○天神記ス↠之ヲ。*頼リテ↣其ノ前世宿命ニ頗ル作スニ↢福徳ヲ↡、小善扶接シ営護シテ助クルモ↠之ヲ、今世ニ作シテ↠悪ヲ尽↢*儩シテ諸善ヲ↡日ニ去リ、見↢悪ノ追フヲ↟之ヲ、身独リ空シク立チテ無ク↠所↢復依ル↡、受ケテ↢重キ殃讁ヲ↡、

寿じゅ命みょう終おわるとき身みの衆悪しゅあく繞めぐり帰きして自じ然ねんに迫促はくそくす。 まさに往ゆきて追逐ついちくして止し息そくすることを得えざるべし。 自じ然ねんに衆悪しゅあくともにこれに趣おもむき頓いたる。

○寿命終ルトキ身ノ衆悪繞リ帰シテ自然ニ迫促ス。当ニシ↢往キテ追逐シテ不ル↟得↢止息スルコトヲ↡。自然ニ衆悪共ニ趣キ↢頓イタル*之ニ↡。

その名籍みょうじゃくは神じん明みょうの所ところにあることありて、 殃おう咎ぐ引牽いんけんしまさに値あひ相得そうとくすべし、 自じ然ねんに趣向しゅこうし、 過とがの讁ちゃく罰ばつを受うけ身心しんしん摧砕ざいさいし、 神じん形ぎょう苦く極ごくして、 離り却きゃくすることを得えず。 ただ前すすみ行ゆきてその火か鑊かくに入いることを得う。 この時ときに当あたりて悔くゆともまたなんの益やくかあらん。 まさにまたなんぞ及およぶべき。 天道てんどう自じ然ねんにして蹉さ跌でつすることを得えず。

○有リテ↣其ノ名籍ハ在ルコト↢神明ノ所ニ↡、殃咎引牽シ当ニシ↢値ヒ相得ス↡、自然ニ趣向シ、受ケ↢過ノ讁罰ヲ↡身心摧砕シ、神形苦極シテ、不↠得↢離却スルコトヲ↡。但得↣前ミ行キテ入ルコトヲ↢其ノ火鑊ニ↡。当リテ↢是之時ニ↡悔ユトモ復何ノ益カアラム。当ニキ↢復何ゾ及ブ↡。天道自然ニシテ不↠得↢蹉跌スルコトヲ↡。

ゆゑに自じ然ねんの泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの属たぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにも出いづる期ごあることなく、 解げ脱だつを得えがたし。 痛いたみいふべからず。

○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ無ク↠有ルコト↢出ヅル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ。

これを四よつの大悪だいあくとなし、 四よつの痛つうとなし、 四よつの焼しょうとなす。 勤ごん苦くかくのごとくにして、 たとへば火ひの起おこりて人身にんじんを焼やくがごとし。

○是ヲ為シ↢四ノ大悪ト↡、為シ↢四ノ痛ト↡、為ス↢四ノ焼ト↡。勤苦如クニシテ↠是クノ、比タトヘバ若シ↣火ノ起リテ焼クガ↢人身ヲ↡。

人ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんに意こころを制せいし身みを端ただしくし行おこなひを正ただしくして、 独ひとり諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 身み独ひとり度ど脱だつして、 その福徳ふくとくを得え、 長ちょう寿じゅ・度世どせ・上じょう天てん・泥洹ないおんの道どうを得うべし。 これを四よつの大善だいぜんとなすと。

○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端シクシ↠身ヲ正シクシテ↠行ヲ、独リ作シ↢諸善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱シテ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢四ノ大善ト↡。

【25】仏ぶつのたまはく、 その五ご悪あくとは、 世せ人にん徒倚とい懈け惰だにして善ぜんをなすことを肯がえんぜず、 治じ生しょうすることを念おもはずして、 妻さい子し飢き寒かんし、 父母ぶももともにしかなり、 呵かしてその子こを教おしへんと欲ほっすれば、 その子こ悪心あくしんをもつて目まなこを瞋いからして言ごん令りょうに応おう怒ぬして従したがはず、 違い戻らい反ほん逆ぎゃくすること野や人にんよりも劇はげし。 たとへば怨おん家げのごとし。 子こなきにしかず。

○仏言ク、其ノ五悪ト者、○世人徒倚懈惰ニシテ不↠肯ゼ↠作スコトヲ↠善ヲ、不シテ↠念ハ↢治生スルコトヲ↡、妻子飢寒シ、父母0186モ倶ニ然ナリ。欲スレバ↣*呵シテ教ヘムト↢其ノ子ヲ↡、其ノ子悪心ヲモテ瞋ラシテ↠目ヲ応↢怒シテ言令ニ↡不↠従ハ、違戻反逆スルコト劇シ↢於野人ヨリモ↡。比タトヘバ若シ↢怨家ノ↡。不↠如カ↠無キニ↠子。

みだりにあまねく仮け貸たいして衆しゅともに患うれひ厭いとふ。 尤とがむるもまた報ほう償しょうの心しんあることなし。

○妄ニ遍ク仮貸シテ衆共ニ患ヒ厭フ。尤トガムルモ无シ↣復有ルコト↢報償之心↡。

窮ぐ貧ひん困乏こんぼうしてまた得うることあたはずして、 辜こ較かくし諧かい声しょうしほしいままに遊ゆ散さんし、 しばしばいたづらに得うるに串ならひて、 自じ用ゆう賑しん給きゅうす。 防禁ぼうきんを畏おそれず、 飲食おんじき極きわまりなく、 酒さけを喫きっし美うまきを嗜たしなみ、 出入しゅつにゅう期度ごどあることなし。 魯扈ろこ抵突たいとつして人にん情じょうを知しらず、 壮しょう吁う強ごう制せいして

○窮貧困*乏シテ不シテ↠能ハ↢復得ルコト↡、辜較シ諧声シ放縦ホシイママニ遊散シ、串ナラヒテ↢数バ唐イタヅラニ得ルニ↡、自用*賑給ス。不↠畏レ↢防禁ヲ↡、飲食無ク↠極リ、喫シ↠酒ヲ嗜ミ↠美ヲ、出入ニ無シ↠有ルコト↢期度↡。魯扈抵*突シテ不↠知ラ↢人情ヲ↡、*壮吁強制シテ

人ひとの喜よろこびあるを見みては憎ぞう妬としてこれを恚いかり、 義ぎなく礼らいなく、 自じ用ゆう識当しきとうして諌かん暁ぎょうすべからず。 また父母ぶも・妻さい子しの有無うむを憂う念ねんせず、 またつひに父母ぶもの徳とくに報むくゆることを念おもはず、 また師しの恩好おんこうを念おもはず。 心こころにつねに悪あくを念ねんじ、 口くちにつねに悪あくをいひ、 身みにつねに悪あくを行おこなひて、 日ひに成じょう就じゅすることあらず。

○見テハ↢人ノ有ルヲ↟喜ビ憎妬シテ恚リ↠之ヲ、無ク↠義无ク↠礼、自用*識当シテ不↠可カラ↢諌暁ス↡。亦復不↣憂↢念セ父母・妻子ノ有无ヲ↡、又復不↠念ハ↣卒ツイニ報ユルコトヲ↢父母之徳ニ↡、亦復不↠念ハ↢師之恩好ヲ↡。心ニ常ニ念ジ↠悪ヲ、口ニ常ニ言ヒ↠悪ヲ、身ニ常ニ行ヒテ↠悪ヲ、日ニ不↢成就スルコトアラ↡。

道徳どうとくを信しんぜず、 賢げん明みょう・先せん聖しょうあることを信しんぜず、 善ぜんをなし道どうをなせば度世どせを得うべきことを信しんぜず、 世せ間けんに仏ぶつあることを信しんぜず。 羅ら漢かんを殺ころし比丘びく僧そうをして闘たたかはしめんと欲ほっし、 つねに人ひとを殺ころさんと欲ほっし、 父母ぶも・兄きょう弟だい・妻さい子し・宗そう親しん・朋ぼう友うを殺ころさんと欲ほっす。 父母ぶも・兄きょう弟だい・妻さい子し・宗そう親しん・朋ぼう友うも、 憎ぞう悪おしてこれを見みてはこれをして死しせしめんと欲ほっす。 仏ぶつの経きょう語ごを信しんぜず、 人ひとの寿じゅ命みょう終じゅう尽じんし死しして後世ごせにまた生しょうずることを信しんぜず、 善ぜんをなせば善ぜんを得うることを信しんぜず、 悪あくをなせば悪あくを得うることを信しんぜざるなり。

○不↠信ゼ↢道徳ヲ↡、不↠信ゼ↠有ルコトヲ↢賢明・先聖↡、不↠信ゼ↢作シ↠善ヲ為セバ↠道ヲ可キコトヲ↟得↢度世ヲ↡、不↠信ゼ↢世間ニ有ルコトヲ↟仏。欲シ↧*殺シ↢羅漢ヲ↡闘ハシメムト↦比丘僧ヲシテ↥、常ニ欲シ↠殺サムト↠人ヲ、欲ス↠殺サムト↢父母・兄弟・妻子・宗親・朋友ヲ↡。父母・兄弟・妻子・宗親・朋友モ、憎*悪シテ見テハ↠之ヲ欲ス↠使メムト↢之ヲシテ死セ↡。不↠信ゼ↢仏ノ経語ヲ↡、不↠信ゼ↢人ノ寿命終尽シ死シテ後世ニ復生ズルコトヲ↡、不↠信ゼ↢作セバ↠善ヲ得ルコトヲ↟善ヲ、不ルナリ↠信ゼ↢作セバ↠悪ヲ得ルコトヲ↟悪ヲ。

かくのごときらの人ひと、 男なん子しも女人にょにんも心しん意いともにしかなり。 違い戻らい反ほん逆ぎゃくして愚痴ぐち蒙篭もうろうなり。 瞋しん怒ぬ嗜し欲よくにして識しき知ちするところなく、 自じ用ゆう快け善ぜんにしておほきに智慧ちえありとなして、 また従じゅう来らいするところの生しょう、 死しして趣向しゅこうするところを知しらず。 あへて慈じ孝きょうならずして天てん地ちに悪あく逆ぎゃくす。 その中ちゅう間げんにおいて僥きょう倖ぎょうを望もう求ぐし、 長生じょうしょうを得えんと欲ほっし、 不死ふしを射しゃ呼こすれども、 かならずまさに生しょう死じの勤ごん苦く善悪ぜんあくの道どうに帰き就じゅす。 身みに作つくるところの悪あくの殃おう咎ぐ衆おおく趣おもむき、 度ど脱だつするを得えず。 また降ごう化けして善ぜんをなさしむべからず。

○如キ↠是クノ曹ラノ人、男子モ女人モ心意倶ニ然ナリ。違戻反逆シテ愚痴蒙篭ナリ。瞋怒嗜欲ニシテ无ク↠所↢識知スル↡、自用快善ニシテ大ニ為シテ↢智慧アリト↡、亦不↠知ラ↧所ノ↢従来スル↡生、死シテ所ヲ↦趣向スル↥。不シテ↢肯テ慈孝ナラ↡悪↢逆ス天地ニ↡。於テ↢其ノ中間ニ↡望↢求シ僥倖ヲ↡、欲シ↠得ムト↢長生ヲ↡、射↢呼スレドモ不死ヲ↡、会ズ当ニシ↣帰↢就ス生死ノ勤苦善悪之0187道ニ↡。身ニ所ノ↠作ル悪ノ殃咎衆ク趣キ、不↠得↢度脱スルヲ↡。亦不↠可カラ↢降化シテ令ム↟作サ↠善ヲ。

慈じ心しんをもつて教きょう語ごし、 死苦しく善悪ぜんあくの趣向しゅこうするところこれあることを開導かいどうすれどもまたこれを信しんぜず。 しかれば苦く心しんしてともに語かたりて度ど脱だつせしめんと欲ほっすれども益やくなし。 その人ひと心しん中ちゅう閉塞へいそくして意こころ開かい解げせず、

○慈心ヲモテ教語シ、開↧*導スレドモ死*苦善悪ノ所↢趣向スル↡有ルコトヲ↞是復不↠信ゼ↠之ヲ。然レバ苦心シテ与ニ語リテ欲スレドモ↠令メムト↢度脱セ↡无シ↠益。其ノ人心中閉塞シテ意不↢開解セ↡、

大だい命みょうまさに至いたらんとするに、 時ときに至いたりてみな悔くゆ。 その後のちにすなはち悔くゆれどもまさにまたなんぞ及およぶべき。 あらかじめ計はかりて善ぜんをなさずして窮きわまるに臨のぞみてなんの益やくかあらん。

○大命将ニ至ラムトスルニ、至リテ↠時ニ皆悔ユ。其ノ後ニ乃チ悔ユレドモ当ニキ↢復何ゾ及ブ↡。不シテ↢*予メ計リテ作サ↟善ヲ臨ミテ↠窮ルニ何ノ益カアラム。

天てん地ちのあひだに五ご道どうおのおのあきらかにして、 恢曠かいこう窈よう窕ちょう、 浩々こうこう汗々かんかんたり。 うたたあひ善悪ぜんあくの毒痛どくつうを承じょう受じゅして、 身みみづからこれに当あたりて代かわるものあることなし。 道どうの自じ然ねんなり、 その所しょ行ぎょうに随したがひて命みょうを追おひて生しょうずるところ、 縦じゅう捨しゃすることを得えず。

○天地之間ニ五道各ノ明カニシテ、恢曠窈*窕、浩浩*汗汗タリ。転タ相承↢受シテ善悪ノ毒痛ヲ↡、身自ラ当リテ↠之ニ無シ↠有ルコト↢代ル者↡。道之自然ナリ、随ヒテ↢其ノ所行ニ↡追ヒテ↠命ヲ所↠生ズル、*不↠得↢縦捨スルコトヲ↡。

善人ぜんにんは善ぜんを行ぎょうじて慈じ孝きょうなれば、 楽らくより楽らくに入いり、 明みょうより明みょうに入いる。 悪人あくにんは悪あくを行ぎょうじて、 苦くより苦くに入いり、 冥みょうより冥みょうに入いる。 たれかよく知しるものあらん。 独ひとり仏ぶつの見けん知ちしたまへるのみ。 人民にんみんを教きょう語ごしたまへども信用しんようするものは少すくなし。 死し生しょう休やすまず、 悪道あくどう絶たえず。 かくのごとき世せ人にんには、 ことごとく道説どうせつすべからず。

○善人ハ行ジテ↠善ヲ慈孝ナレバ、従リ↠楽入リ↠楽ニ、従リ↠明入ル↠明ニ。悪人ハ行ジテ↠悪ヲ、従リ↠苦*入リ↠苦ニ、従リ↠冥*入ル↠冥ニ。誰カ能ク知ル者アラム。独リ仏ノ見知シタマヘル耳。教↢語シタマヘドモ人民ヲ↡信用スル者ハ少シ。死生不↠*休マ、悪道不↠絶エ。如キ↠是クノ世人ニハ、不↠可カラ↢悉ク道説ス↡。

ゆゑに自じ然ねんの泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの属たぐいあり。 そのなかに展転てんでんして世々せせ累劫るいこうにも出いづる期ごあることなく、 解げ脱だつを得えがたし。 痛いたみいふべからず。

○故ニ有リ↢自然ノ泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属↡。展↢転シテ其ノ中ニ↡世世累劫ニモ無ク↠有ルコト↢出ヅル期↡、難シ↠得↢解脱ヲ↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ。

これを五いつつの大悪だいあく・五いつつの痛つう・五いつつの焼しょうとなす。 勤ごん苦くをなすことかくのごとし。 たとへば火ひの起おこりて人身にんじんを焼やくがごとし。

○是ヲ為ス↢五ノ大*悪・五ノ*痛・*五ノ焼ト↡。*為スコト↢勤苦ヲ↡如シ↠是クノ。比タトヘバ若シ↣火ノ起リテ焼クガ↢人身ヲ↡。

人ひとよくみづからそのなかにおいて一心いっしんに意こころを制せいし身みを端ただし行おこなひを正ただしくして、 言ごん行ぎょうあひ副かなひてなすところ至し誠じょうに語かたるところ語ことばのごとくして、 心しん口く転てんぜずして独ひとり諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざれば、 身み独ひとり度ど脱だつして、 その福徳ふくとくを得え、 長ちょう寿じゅ・度世どせ・上じょう天てん・泥洹ないおんの道どうを得うべし。 これを五いつつの大善だいぜんとなすと。

○人能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡一心ニ制シ↠意ヲ端シクシ↠身ヲ正シクシテ↠行ヲ、言行相副カナヒテ所↠作ス至誠ニ所↠語ル如クシテ↠語ノ、心口不シテ↠転ゼ独リ作シ↢諸善ヲ↡不レバ↠為サ↢衆悪ヲ↡者、身独リ度脱シテ、得↢其ノ福徳ヲ↡、可シ↠得↢長寿・度世・上天・泥洹之道ヲ↡。是ヲ為スト↢五ノ大善ト↡。

【26】仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらに告つげたまはく、 われみななんぢらに語かたる、 この世よの五ご悪あくの勤ごん苦くかくのごとし。 五ご痛つうを起おこさしめ五ご焼しょうを起おこさしめて展転てんでんしてあひ生しょうず。

○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、我皆語ル↢若ナンヂ曹ラニ↡、是ノ世ノ五悪ノ勤苦如シ↠是クノ。令メ↠起サ↢五痛ヲ↡令メテ↠起0188サ↢五焼ヲ↡展転シテ相生ズ。

世せ間けんの人民にんみん善ぜんをなすことを肯がえんぜずして衆悪しゅあくをなさんと欲ほっす。 あへてこのもろもろの悪あく事じを犯おかさんと欲ほっすれば、 みなことごとく自じ然ねんにまさにつぶさに更きょう歴りゃくして悪道あくどうのなかに入いるべし。

○世間ノ人民不シテ↢肯ゼ↠為スコトヲ↠善ヲ欲ス↠作サムト↢衆悪ヲ↡。敢テ*欲スレバ↠犯サムト↢此ノ諸ノ悪事ヲ↡者、皆悉ク自然ニ当ニシ↣具ニ更歴シテ入ル↢悪道ノ中ニ↡。

あるいはそれ今こん世ぜにはまづ病びょう殃おうを被かぶりて死しも生しょうも得えず。 衆しゅに示しめしてこれを見みしむ。 寿いのち終おわりては至し極ごくの大だい苦くに趣しゅ入にゅうし、 愁しゅう憂う酷毒こくどくし、 みづからあひ燋しょう然ねんしてうたたあひ焼しょう滅めつするなり。

○或イハ其レ今世ニハ先ヅ被リテ↢病殃ヲ↡死モ生モ不↠得。*示シテ↠衆ニ見シム↠之ヲ。寿終リテハ趣↢入シ至極ノ大苦ニ↡、愁憂酷毒シ、自ラ相燋然シテ転タ相焼滅スルナリ。

そのしかうして後のちに至いたりてともに怨おん家げとなりてたがひに傷しょう殺せつす。 小しょう微みより起おこりて大だい困こん劇ぎゃくに至いたる。 みな財色ざいしきを貪淫とんいんしあへて忍辱にんにくして施与せよせざるによりてなり。 おのおのみづから快こころよくせんことを欲ほっして、 また曲こく直ちょくなく、 健ごん名みょうを得えんことを欲ほっすれども、 痴ち欲よくの迫せまるところとなり、 心こころに随したがひて思し想そうし、 また得うることあたはず。 憤いきどおりを胸中きょうちゅうに結むすび財色ざいしきに縛束ばくそくせられて、 解げ脱だつすることあることなし。

○至リテ↢其ノ然シテ後ニ↡共ニ作リテ↢怨家ト↡更相 タガヒ ニ傷殺ス。従リ↢小微↡起リテ至ル↢大困劇ニ↡。皆従リテナリ↧貪↢淫シ財色ヲ↡不ルニ↦肯テ忍辱シテ施与セ↥。各ノ欲シテ↢自ラ快クセムコトヲ↡、無ク↢復曲直↡、欲スレドモ↠得ムコトヲ↢健名ヲ↡、為リ↢痴欲ノ所ト↟迫ル、随ヒテ↠心ニ思想シ、不↠能ハ↢復得ルコト↡。結ビ↢憤ヲ胸中ニ↡財色ニ縛束セラレテ、无シ↠有ルコト↢解脱スルコト↡。

厭足えんそくを知しらずして、 おのれを厚あつくし欲よくを諍あらそひて省しょう録ろくするところなし。 富ふ貴き栄えい華がなれども時ときに当あたりて忍辱にんにくして善ぜんを施ほどこすことを知しらず。 威い勢せいいくばくもなくして悪あく名みょうに随したがひて身みを燋こがし、 労ろう苦くに坐ざして久ひさしくして後のちおほきに劇はげし。

○不シテ↠知ラ↢厭足ヲ↡、厚クシ↠己ヲ諍ヒテ↠欲ヲ無シ↠所↢省録スル↡。富貴栄華ナレドモ当リテ↠*時ニ忍辱シテ不↠知ラ↠施スコトヲ↠善ヲ。威勢無クシテ↠幾クモ随ヒテ↢悪名ニ↡燋シ↠身ヲ、坐シテ↢労苦ニ↡久シクシテ後大ニ劇シ。

自じ然ねんに随逐ずいちくして解とけやむことあることなし。 王法おうぼう施し張ちょうして自じ然ねんに糾挙くこし、 上じょう下げ相応そうおうして羅ら網もう綱こう紀き、 煢々けいげい忪々しゅじゅとしてまさにそのなかに入いるべし。 古こ今こんにこれあり。 痛いたましきかな傷いたむべし。 すべて義理ぎりなく正しょう道どうを知しらずと。

○自然ニ随逐シテ无シ↠有ルコト↢解ケ已ムコト↡。王法施張シテ自然ニ糾挙シ、上下相応シテ羅網綱紀、煢煢忪忪トシテ当ニシ↠入ル↢其ノ中ニ↡。古今ニ有リ↠是。痛マシキ哉可シ↠傷ム。都テ无ク↢義理↡不ト↠知ラ↢正道ヲ↡。

仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらに語かたりたまはく、 もし世よにこれあらんに、 仏ぶつみな慈じ愍みんしてこれを哀あわれみ、 威い神じんをもつて衆悪しゅあく諸しょ事じを摧動さいどうし、 みなこれを消しょう化けしたまふ。 悪あくを去さりて善ぜんに就つき所しょ思しを棄き捐えんし経きょう戒かいを奉持ぶじすることを得えしめ、 経きょう法ぼうを承じょう受じゅし施せ行ぎょうせざるはなく、 あへて度世どせ・無為むい・泥洹ないおんの道どうの快け善ぜんにして極楽ごくらくたるを違い失しつせずと。

○仏*語リタマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、若シ世ニ有ラムニ↠是、仏皆慈愍シテ哀ミ↠之ヲ、威神ヲモテ摧↢動シ衆悪諸事ヲ↡、皆消↢化シタマフ之ヲ↡。令メ↠得↧去リテ↠悪ヲ就キ↠善ニ棄↢捐シ所思ヲ↡奉↦持スルコトヲ経戒ヲ↥、莫ク↠不ルハ↤承↢受シ施↣行セ経法ヲ↡、不ト↣敢テ違↢失セ度世・無為・泥洹之道ノ快善ニシテ極*楽タルヲ↡。

仏ぶつのたまはく、 なんぢら、 諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみんおよび後世ごせの人ひと、 仏ぶつの経きょう語ごを得えてつらつらこれを思し惟ゆいして、 よくみづからそのなかにおいて心こころを端ただしくし行おこなひを正ただしくすべし。

○仏言ク、若ナンヂ曹ラ、諸天・帝王・人民及ビ後世ノ人、得テ↢仏ノ経語ヲ↡熟ツラ思↢惟シテ之ヲ↡、能ク自ラ於テ↢其ノ中ニ↡端シクシ↠心ヲ正シクスベシ↠行ヲ。

その主しゅ上じょう善ぜんをなしその下しもを率そっ化けし撿けん御ごして、 衆しゅを教おしへうたたあひ勅令ちょくりょうし、 うたたともに善ぜんをなしうたたあひ度ど脱だつせよ。 おのおのみづから端ただしく守まもり慈じ仁にん愍みん哀あいして、 終しゅう身しん怠おこたらざれ。 聖しょうを尊とうとび孝きょうを敬うやまひ通洞つうどう博愛はくあいにして、 仏ぶつ語ごの教令きょうりょうはあへて虧負きぶすることなく、 まさに憂うれへて度世どせ・泥洹ないおんの道どうたるべし。 まさに憂うれへて死し生しょうの痛痒つうようを断截だんぜつし悪あくの根本こんぽんを抜ぬくべし。 まさに憂うれへて泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの悪あっ苦くの道どうを断絶だんぜつすべし。 まさに仏ぶっ世せに曼およびて堅かたく経きょう道どうを持たもちてあへて違い失しつすることなかるべしと。

○其ノ主上為シ↠善ヲ率↢化シ撿↣御シテ其ノ下ヲ↡、教へ↠衆ヲ転タ相勅令シ、転タ共ニ0189為シ↠善ヲ転タ相度脱セヨ。各ノ自ラ端シク守リ慈仁愍哀シテ、終身不レ↠怠ラ。尊ビ↠聖ヲ敬ヒ↠孝ヲ通洞博愛ニシテ、仏語ノ教令ハ无ク↢敢テ虧負スルコト↡、当ニシ↢憂ヘテ度世・泥洹之道タル↡。当ニシ↧憂ヘテ断↢截シ死生ノ痛痒ヲ↡抜ク↦悪ノ根本ヲ↥。当ニシ↣憂ヘテ断↢絶ス泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動ノ悪苦之道ヲ↡。当ニシト↧*曼オヨビテ↢仏世ニ↡堅ク持チテ↢経道ヲ↡無カル↦敢テ違失スルコト↥。

仏ぶつのたまはく、 なんぢら、 まさに信しんずべきものはいかん、 第一だいいち急きゅうにまさにみづから身みを端ただしくすべし、 まさにみずづから心こころを端ただしくすべし、 まさにみづから目めを端ただしくすべし、 まさにみづから耳みみを端ただしくすべし、 まさにみづから鼻はなを端ただしくすべし、 まさにみづから口くちを端ただしくすべし、 まさにみづから手てを端ただしくすべし、 まさにみづから足あしを端ただしくすべし。 よくみづから撿斂けんれんしてみだりに動どう作さすることなく、 身心しんしん浄じょう潔けつにしてともに善ぜんと相応そうおうし、 中ちゅう外げ約束やくそくして嗜し欲よくに随したがふことなく、 諸悪しょあくを犯おかさざれ。

●仏言ク、若ナンヂ曹ラ、当ニキ↠信ズ者ハ云何、第一急ニ当ニシ↢自ラ端シクス↟身ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟心ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟目ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟耳ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟鼻ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟口ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟手ヲ、当ニシ↢自ラ端シクス↟足ヲ。能ク自ラ*撿斂シテ莫ク↢妄ニ動作スルコト↡、身心浄潔ニシテ倶ニ善ト相応シ、中外約束シテ勿ク↠随フコト↢嗜欲ニ↡、不レ↠犯サ↢諸悪ヲ↡。

言色ごんしきまさに和わすべし。 身しん行ぎょうまさに専せんなるべし。 行ぎょう歩ぶ・坐起ざきの所しょ作さまさに安やすらかなるべし。 事じをなさばなすところまさにまづつらつら思し慮りょしてこれを計はかるべし。 才能さいのうを揆き度たくし、 円えん規きを視し瞻せんし、 安あん定じょうにしておもむろにこれを作為さいすべし。 事じをなすこと倉卒そうそつにして、 あらかじめ計け熟じゅくせずしてこれをなしてあきらかならざればその功夫くふを亡うしなふ。 敗はい悔け後のちにあればいたづらに苦くるしみて身みを亡ほろぼす。 至し誠じょう忠ちゅう信しんにして道どうを得えて絶ぜっ去こすべしと。

●言色当ニシ↠*和ス。身行当ニシ↠専ナル。行歩・坐起ノ所作当ニシ↠安カナル。作サバ↠事ヲ所↠為ス当ニシ↢先ヅ熟ツラ思慮シテ計ル↟之ヲ。揆↢度シ才能ヲ↡、視↢瞻シ*円規ヲ↡、安定ニシテ徐ニ作↢為スベシ之ヲ↡。作スコト↠事ヲ倉卒ニシテ、不シテ↢*予メ計熟セ↡為シテ↠之ヲ不レバ↠諦ナラ亡フ↢其ノ功夫ヲ↡。敗悔在レバ↠後ニ唐イタヅラニ苦ミテ亡ボス↠身ヲ。至誠忠信ニシテ得テ↠道ヲ絶去スベシト。

仏ぶつのたまはく、 なんぢら、 ここにおいてますます諸善しょぜんをなして、 恩おんを布しき徳とくを施ほどこしてよく道どうの禁きん忌きを犯おかさず、 忍辱にんにく・精しょう進じん・一心いっしん・智慧ちえをもつて、 展転てんでんしてまたあひ教きょう化けして善ぜんをなして徳とくをなせ。 かくのごときの経きょう法ぼう、 慈じ心しん専一せんいつにして、 斎戒さいかい清浄しょうじょうなること一日いちにち一いち夜やなれば、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの国くににありて善ぜんをなすこと百ひゃく歳さいなるに勝すぐれり。

○仏言ク、若ナンヂ曹ラ、於テ↠是ニ益マス作シテ↢諸*善ヲ↡、布キ↠恩ヲ施シテ↠徳ヲ能ク不↠犯サ↢道ノ禁忌ヲ↡、忍辱・精進・一心・智慧ヲモテ、展転シテ復相教化シテ作シテ↠善ヲ為セ↠徳ヲ。如キノ↠是クノ経法、慈心専一ニシテ、斎戒清浄ナルコト一日一夜ナレバ者、勝レリ↧於在リテ↢阿弥陀仏ノ国ニ↡作スコト↠*善ヲ百歳ナルニ↥。

ゆゑはいかん。 阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくはみな徳とく衆善しゅぜんを積つむこと無為むい自じ然ねんにして求ぐ索しゃくするところのごとくにありて、 諸悪しょあくの大おおきさ毛髪もうはつのごとくなるものもあることなければなりと。

○所以者何ン。阿弥陀仏国ハ皆積ムコト↢徳衆善ヲ↡无為自然ニシテ在リテ↠所ノゴトクニ↢求索スル↡、無ケレバナリト↠有ルコト↣諸悪ノ大キサ如クナルモノモ↢毛髪ノ↡。

仏ぶつのたまはく、 ここにおいて善ぜんをなすこと十じゅう日にち十じゅう夜やなれば、 その徳とく他た方ほう仏国ぶっこくのなかの人民にんみんの善ぜんをなすこと千歳せんざいなるに勝すぐれり。

○仏言ク、於テ↠是ニ作スコト↠善ヲ十日十夜ナレバ者、其ノ*徳勝レリ↢於他方仏国ノ中ノ人民ノ作スコト↠善0190ヲ千歳ナルニ↡。

ゆゑはいかん。 他た方ほう仏国ぶっこくはみなことごとく善ぜんをなすに、 善ぜんをなすものは多おおく悪あくをなすものは少すくなし、 みな自じ然ねんのものありて、 求作ぐさを行ぎょうぜずしてすなはちおのづからこれを得うればなり。

○所以者何ン。他方仏国ハ皆悉ク作スニ↠善ヲ、作ス↠善ヲ者ハ多ク為ス↠悪ヲ者ハ少シ、皆有リテ↢自然之物↡、不シテ↠行ゼ↢求作ヲ↡便チ自ラ得レバナリ↠之ヲ。

この間けんは悪あくをなすものは多おおく善ぜんをなすものは少すくなし、 求作ぐさを行ぎょうぜざれば得えしむることあたはず。 世せ人にんよくみづから端ただしく制せいして善ぜんをなし、 至し心しんに道どうを求もとむ、 ゆゑによくしかるのみ。 この間けんは自じ然ねんなることあることなく、 自じ給きゅうすることあたはず、 まさに求ぐ索しゃくを行ぎょうじて勤ごん苦くして治じ生しょうすべし。 うたたあひ欺ご殆だいし調じょう詐さして悪あくを好このみ、 その財物ざいもつを得えて妻さい子しに帰き給きゅうす。 毒どくを飲のみ食くひ心こころを労ろうし身み苦くるしむ。 かくのごとくにして至いたりをはるに、 心しん意い専せんならず惚恫こっとうとして安やすからず。

○是ノ間ハ為ス↠悪ヲ者ハ多ク作ス↠善ヲ者ハ少シ、不レバ↠行ゼ↢求作ヲ↡不↠能ハ↠令ムルコト↠得。世人能ク自ラ端シク制シテ作シ↠善ヲ、至心ニ求ム↠道ヲ、故ニ能ク爾ル耳。是ノ間ハ无ク↠有ルコト↢自然ナルコト↡、不↠能ハ↢自給スルコト↡、当ニシ↧行ジテ↢求索ヲ↡勤苦シテ治生ス↥。転タ相欺殆シ調詐シテ好ミ↠悪ヲ、得テ↢其ノ財物ヲ↡帰↢給ス妻子ニ↡。*飲ミ↢食ヒ毒↡ヲ労シ↠心ヲ*身苦ム。如クニシテ↠是クノ至リ竟ルニ、心意不↠専ナラ*惚恫トシテ不↠安カラ。

人ひとよくみづから安あん静じょうにして善ぜんをなし、 精しょう進じんして徳とくをなす、 ゆゑによくしかるのみ。

●人能ク自ラ安静ニシテ為シ↠善ヲ、精進シテ*作ス↠徳ヲ、故ニ能ク*爾ル耳ト。

仏ぶつのたまはく、 われみななんぢらおよび諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみんを哀あわれみて、 みな教おしへて諸善しょぜんをなし衆悪しゅあくをなさざらしむ。 その所能しょのうに随したがひてすなはち道どうの教きょう戒かいを授じゅ与よし開導かいどうして、 ことごとくこれを奉ぶ行ぎょうせしむ。

○仏言ク、我皆哀ミテ↢若ナンヂ曹ラ及ビ諸天・帝王・人民ヲ↡、皆教ヘテ令ム↧作シ↢諸善ヲ↡不ラ↞為サ↢衆悪ヲ↡。随ヒテ↢其ノ所能ニ↡輒チ授↢与シ道ノ教*戒ヲ↡開導シテ、悉ク奉↢行セシム之ヲ↡。

すなはち君くんは率そっ化けして善ぜんをなして臣しん下げに教令きょうりょうし、 父ちちはその子こに教おしへ、 兄あにはその弟おとうとに教おしへ、 夫おっとはその婦つまに教おしへ、 家け室しつ・内ない外げ・親属しんぞく・朋ぼう友う、 うたたあひ教きょう語ごして、 善ぜんをなし道どうをなし経きょうを奉ほうじ戒かいを持たもち、 おのおのみづから端ただしく守まもりて上じょう下げあひ撿いましめ、 尊そんとなく卑ひとなく、 男おとことなく女おんなとなく、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにして歓かん喜ぎせざるはなし。 義理ぎりに和わ順じゅんして歓かん楽らくし慈じ孝きょうし、 みづからあひ約撿やくけんす。

●*即チ君ハ率化シテ為シテ↠善ヲ教↢令シ臣下ニ↡、父ハ教ヘ↢其ノ子ニ↡、兄ハ教ヘ↢其ノ弟ニ↡、夫ハ教ヘ↢其ノ婦ニ↡、家室・内外・親属・朋友、転タ相教語シテ、作シ↠善ヲ為シ↠道ヲ奉ジ↠経ヲ持チ↠戒ヲ、各ノ自ラ端シク守リテ上下相撿メ、无ク↠尊ト無ク↠卑ト、無ク↠男ト无ク↠女ト、斎戒清浄ニシテ莫シ↠不ルハ↢歓喜セ↡。和↢順シテ義理ニ↡歓楽シ慈孝シ、自ラ相約撿ス。

それ仏ぶつの経きょう語ごを得うることあらば、 ことごとく持たもちてこれを思おもへ。 まさに所しょ作さすべからざるをしかも犯おかしてこれをなさば、 すなはちみづから悔過けかせよ。 悪あくを去さりて善ぜんに就つき、 邪じゃを棄すてて正しょうをなし、 朝あしたに聞ききて夕ゆうべに改あらためて、 経きょう戒かいを奉持ぶじすれば劇ぎゃく愚ぐも宝たからを得う。

●其レ有ラバ↠得ルコト↢仏ノ経語ヲ↡、悉ク持チテ思ヘ↠之ヲ。不ルヲ↠当ニカラ↢所作ス↡而モ犯シテ為サバ↠之ヲ、即チ自ラ悔過セヨ。去リテ↠悪ヲ就キ↠善ニ、棄テテ↠邪ヲ為シ↠正ヲ、朝ニ聞キテ夕ニ改メテ、奉↢持スレバ経戒ヲ↡劇*愚モ得↠*宝ヲ。

仏ぶつの所しょ行ぎょうの処ところ、 所在しょざいの郡国ぐんこくにはすなはち経きょう戒かいを授じゅ与よす。 諸天しょてん・日月にちがつ・星しょう辰しん・諸神しょじん・国王こくおう・旁臣ぼうしん・長ちょう吏り・人民にんみん・諸しょ竜りゅう・鬼き神じん・泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい・蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの属たぐいも、 慈じ心しんをもつて開かい解げせざるものなし。 みなことごとく敬きょう事じして仏ぶつに従したがひ、 経きょう道どうを稽受けいじゅして承うけてこれを奉ぶ行ぎょうす。

●仏ノ所行ノ処、所在ノ郡国ニハ輒チ授↢与ス経戒ヲ↡。諸天・日月・星辰・諸*神・国王・*旁臣・長吏・人民・諸竜・鬼*神・泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之属モ、莫シ↧不ル↢慈心ヲモテ開解セ↡者0191↥。皆悉ク敬事シテ従ヒ↠仏ニ、稽↢受シテ経道ヲ↡承ケテ奉↢行ス之ヲ↡。

すなはち君くんは改がい化けして善ぜんをなし、 斎戒さいかい精しょう思じして浄きよくみづから湔すすぎ洗あらひ、 心こころを端ただしくし行おこなひを正ただしくせん。 位くらいに居こして厳慄ごんりつにして、 教勅きょうちょくし衆しゅを率ひきゐて善ぜんをなし、 道禁どうきんを奉ぶ行ぎょうして言ごん令りょうをして正ただしからしむ。 臣しんはその君くんに孝きょうし、 忠ちゅう直じきに令りょうを受うけてあへて違負いぶせず。 父子ぶしは言ごん令りょうし孝順きょうじゅんに承じょう受じゅし、 兄きょう弟だい・夫ふう婦ふ・宗そう親しん・朋ぼう友うは上じょう下げあひ令りょうして言ことばに順したがひ理りに和わす。 尊そん卑ぴ・大だい小しょう、 うたたあひ敬きょう事じするに、 礼らいをもつてし義ぎにかなひあひ違負いぶせず。

●即チ君ハ改化シテ為シ↠善ヲ、斎戒精思シテ浄ク自ラ湔ギ*洗ヒ、端シクシ↠心ヲ正シクセム↠行ヲ。居シテ↠*位ニ厳*慄ニシテ、教勅シ率ヰテ↠衆ヲ為シ↠善ヲ、奉↢行シテ道禁ヲ↡令ム↢言令ヲシテ正シカラ↡。臣ハ*孝シ↢其ノ君ニ↡、忠直ニ受ケテ↠令ヲ不↢敢テ違負セ↡。父子ハ言令シ孝順ニ承受シ、兄弟・夫婦・宗*親・朋友ハ上下相令シテ順ヒ↠言ニ和ス↠理ニ。尊卑・大小、転タ相敬事スルニ、以テシ↠礼ヲ如カナヒ↠義ニ不↢相違負セ↡。

往おうを改あらため来らいを修しゅし心こころを洗あらひ行ぎょうを易おさめずといふことなく、 中表ちゅうひょうを端たん正じょうにして自じ然ねんに善ぜんをなし、 願ねがふところすなはち得えて、 ことごとく善よく降ごう化けすること自じ然ねんの道どうなり。 不死ふしを求もとめ欲ほっすればすなはち長ちょう寿じゅを得うべし。 度世どせを求もとめ欲ほっすればすなはち泥洹ないおんの道どうを得うべしと。

●莫ク↠不トイフコト↢改メ↠往ヲ修シ↠来ヲ*洗ヒ↠心ヲ易ヲサメ↟行ヲ、端↢正ニシテ中表ヲ↡自然ニ作シ↠善ヲ、所↠願フ輒チ*得テ、*咸ク善ク降化スルコト自然之道ナリ。求メ↢欲スレバ不死ヲ↡*即チ可シ↠得↢長寿ヲ↡。求メ↢欲スレバ度世ヲ↡*即チ可シト↠得↢泥洹之道ヲ↡。

仏ぶつのたまはく、 仏ぶつは威い神じん尊とうとく徳とく重おもくして、 悪あくを消けし善ぜんに化けして、 度ど脱だつせざるはなし。 いまわれ天てん下げに出いでて、 この悪あくのなかにありて、 苦くの世よにおいて仏ぶつとなり、 慈じ愍みん哀あい傷しょうし教きょう語ご開導かいどうす。 諸天しょてん・帝王たいおう・旁臣ぼうしん・左右さう・長ちょう吏り・人民にんみん、 その心こころの願がん楽ぎょうするところに随したがひてみな道どうを得えしむ。

●仏言ク、仏ハ威神尊ク*徳重クシテ、消シ↠悪ヲ化シテ↠善ニ、莫シ↠不ルハ↢度脱セ↡。今我出デテ↢於天下ニ↡、在リテ↢是ノ悪ノ中ニ↡、於テ↢*苦ノ世ニ↡作リ↠仏ト、慈愍哀傷シ教語開導ス。諸天・帝王・*旁臣・左右・長吏・人民、随ヒテ↣其ノ心ノ所ニ↢願楽スル↡皆令ム↠得↠道ヲ。

仏ぶつのもろもろの所しょ行ぎょうの処ところ、 経きょう過かし歴ふるところの郡国ぐんこく・県邑けんおう・丘く聚じゅ・市里じり、 豊ぶ熟じゅくせざるはなし。 天てん下げ太たい平びょうにして、 日月にちがつの運うん照しょうますます明みょう好こうに、 風ふう雨うに時じ節せつありて人民にんみん安寧あんねいならん。 強つよきは弱よわきに臨のぞまず、 おのおのその所ところを得えて、 悪歳あくさい・疾疫しつやくなく、 病びょう痩しゅするものなく、 兵ひょう革かく起おこらず、 国くにに盗賊とうぞくなく、 冤抂おんごうあることなく、 拘く閉へいせらるるものあることなからん。

○仏ノ諸ノ所行ノ処、所ノ↢経過シ歴ル↡郡国・県邑・丘聚・市里、莫シ↠不ルハ↢豊熟セ↡。天下太平ニシテ、日月ノ運照倍益マスマス明好ニ、風雨ニ時節アリテ人民安寧ナラム。強キハ不↠臨マ↠弱キニ、各ノ得テ↢其ノ所ヲ↡、无ク↢悪*歳・疾疫↡、無ク↢病痩スル者↡、兵革不↠起ラ、国ニ无ク↢盗賊↡、無ク↠有ルコト↢冤抂↡、无カラム↠有ルコト↢拘閉セラルル者↡。

君臣くんしん人民にんみん喜踊きゆせざることなく、 忠ちゅう慈じ至し誠じょうにして、 おのおのみづから端ただしく守まもり、 みなみづから国くにを守まもり、 雍よう和わ孝順きょうじゅんにして歓かん喜ぎせざるはなからん。 有無うむあひともに恩おんを布しき徳とくを施ほどこして、 心こころ歓かん楽らくしともにみな敬きょう愛あいして、 義ぎを推おし譲ゆずり、 前ぜん後ごに謙遜けんそんして、 礼らいをもつて敬きょう事じすること父ちちのごとく子このごとく、 兄あにのごとく弟おとうとのごとくにして、 仁賢にんげん・和わ順じゅん・礼節らいせつならざることなく、 すべてに違い諍じょうなく快け善ぜん極きわまりなからんと。

○君臣人民莫ク↠不ルコト↢喜踊セ↡、*忠慈至誠ニシテ、各ノ自ラ端シク守リ、皆自ラ守リ↠国ヲ、*雍和孝順ニシテ莫カラム↠不ルハ↢歓喜セ↡。有无相与ニ布キ↠恩ヲ施シテ↠徳ヲ、心*歓楽シ*与ニ皆敬*愛シテ、推シ↢*譲リ義ヲ↡、謙↢遜シテ前後ニ↡、以テ↠礼ヲ敬事スルコト如ク↠父ノ如ク↠子ノ、如ク↠兄ノ如クニシテ↠弟0192ノ、莫ク↠不ルコト↢仁賢・和順・礼節ナラ↡、都テニ无ク↢違諍↡快善無カラムト↠極リ。

仏ぶつのたまはく、 われなんぢら子こを哀あわれみて、 これを度ど脱だつせんと欲ほっすること父母ぶもの子こを念おもふよりも劇はげし。 いま八方はっぽう上じょう下げの諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみんおよび蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの類たぐい、 仏ぶつの経きょう戒かいを得えて仏道ぶつどうを奉ぶ行ぎょうし、 みな明みょう慧えを得えて心こころことごとく開かい解げして、 憂苦うくを過度かどし解げ脱だつすることを得えざるものなし。 いまわれ仏ぶつとなり、 五ご悪あく・五ご痛つう・五ご焼しょうのなかにありて、 五ご悪あくを降ごう化けし、 五ご痛つうを消しょう尽じんし、 五ご焼しょうを絶滅ぜつめつして、 善ぜんをもつて悪あくを攻せめ毒どく苦くを抜ぬき去さりて、 五ご道どうを得えしめ、 五ご善ぜんを得えしめてあきらかに好うるわしく、 焼しょう・悪あく起おこらざらしむ。

○仏言ク、我哀ミテ↢若ナンヂ曹ラ子ヲ↡、欲スルコト↣度↢脱セムト之ヲ↡劇シ↢父母ノ念フヨリモ↟子ヲ。今八方上下ノ諸天・帝王・人民及ビ蜎飛蠕動之類、得テ↢仏ノ経戒ヲ↡奉↢行シ仏道ヲ↡、皆得テ↢明慧ヲ↡心*悉ク開解シテ、莫シ↧不ル↠得↤過↢度シ解↣脱スルコトヲ憂苦ヲ↡者↥。今我作リ↠仏ト、在リテ↢於五悪・五痛・五焼之中ニ↡、降↢化シ五悪ヲ↡、消↢尽シ五痛ヲ↡、絶↢*滅シテ五焼ヲ↡、以テ↠善ヲ攻メ↠悪ヲ抜キ↢去リテ毒苦ヲ↡、令メ↠得↢五道ヲ↡、令メテ↠得↢五善ヲ↡明カニ好シク、*焼・悪不ラシム↠起ラ。

われ般はつ泥洹ないおんし去さりて後のち、 経きょう道どうやや断絶だんぜつし、 人民にんみん諛ゆ諂てんにしてややまた衆悪しゅあくをなしまた善ぜんをなさざれば、 五ご焼しょうまた起おこり、 五ご痛つうの劇ぎゃっ苦く、 また前さきの法ほうのごとく、 自じ然ねんに還復げんぶくし久ひさしくして後のちうたた劇はげしからん。 ことごとく説とくべからず。 われただなんぢらがために小すこしくこれをいふのみと。

○我般泥洹シ去リテ後、経道稍断絶シ、人民諛諂ニシテ稍復為シ↢衆悪ヲ↡不レバ↢復作サ↟善ヲ、五焼復起リ、五痛ノ劇苦、復如ク↢前ノ法ノ↡、自然ニ還復シ久シクシテ後転タ劇シカラム。不↠可カラ↢悉ク説ク↡。我但為ニ↢ナンヂ曹ラガ↡小シク道イフ↠之ヲ耳ト。

仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらに告つげたまはく、 なんぢらおのおの思おもひてこれを持たもて。 展転てんでんしてあひ教きょう戒かいし、 仏ぶつの経きょう法ぼうのごとくにしてあへて違い犯ぼんすることなかれと。

○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等ニ↡、若ナンヂ曹ラ各ノ思ヒテ持テ↠之ヲ。展転シテ相教*戒シ、如クニシテ↢仏ノ経法ノ↡无レト↢敢テ違犯スルコト↡。

阿あ逸いつ菩ぼ薩さつ長じょう跪き叉手しゃしゅしてまうさく、 仏ぶつの道説どうせつしたまへるところはなはだ苦く痛つうなり。 世せ人にん悪あくをなすことはなはだ劇はげしきことかくのごとし。 仏ぶつみな慈じ哀あいしてことごとくこれを度ど脱だつしたまふと。 みなまうさく、 仏ぶつの重教じゅうきょうを受うけたまへり、 請ねがはくは展転てんでんしてあひ教おしへてあへて違い犯ぼんせじと。

○阿逸菩薩長跪叉手シテ言ク、仏ノ道*説シタマヘルトコロ*甚ダ苦痛ナリ。世人為スコト↠悪ヲ甚ダ劇シキコト如シ↠是クノ。仏皆慈哀シテ悉ク度↢脱シタマフト之ヲ↡。皆言ク、受ケタマヘリ↢仏ノ重教ヲ↡、請ネガハクハ展転シテ相教ヘテ不ト↢敢テ違犯セ↡。

二 Ⅴ ⅳ 霊山現土

【27】仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 われなんぢらを哀あわれみて、 ことごとく阿あ弥陀みだ仏ぶつおよびもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんの所しょ居ごの国こく土どを見みしめむ。 なんぢこれを見みることを欲ほっするやいなやと。

●仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、我哀ミテ↢若ナンヂ曹ラヲ↡、令メム↣悉ク見↢阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ所居ノ国土ヲ↡。若欲スルヤ↠見ルコトヲ↠之ヲ不ヤト。

阿あ難なんすなはちおほきに歓かん喜ぎし、 長じょう跪き叉手しゃしゅしてまうさく、 願ねがはくはみなこれを見みることを欲ほっすと。

●阿難即チ大ニ歓喜シ、長跪叉手シテ言ク、願クハ皆欲スト↠見ルコトヲ↠之ヲ。

仏ぶつのたまはく、 なんぢ起たちてあらためて袈裟けさを被きて西にしに向むかひて拝はいし、 日ひの所没しょもつのところに当あたりて阿あ弥陀みだ仏ぶつのために礼らいをなし、 頭ず脳のうをもつて地じに著つけ、 南無なも阿あ弥陀みだ三さん耶や三さん仏檀ぶつだんといへと。

○仏言ク、若起チテ更メテ被テ↢袈裟ヲ↡西ニ向ヒテ拝シ、当リテ↢日ノ所没ノ処ニ↡為ニ↢阿弥陀仏ノ↡作シ↠礼ヲ、以テ↢頭脳ヲ↡著ケ↠地ニ、言0193ヘト↢南无阿弥陀三耶三仏檀ト↡。

阿あ難なんまうさく、 諾だく、 教きょうを受うけんと。 すなはち起たちあらためて袈裟けさを被きて西にしに向むかひて拝はいし、 日ひの所没しょもつの処ところに当あたりて、 弥陀みだ仏ぶつのために礼らいをなし、 頭ず脳のうをもつて地じに著つけて、 南無なも阿あ弥陀みだ三さん耶や三さん仏檀ぶつだんといふ。

○阿難言ク、諾、受ムト↠教ヲ。即チ起チ更テ*被テ↢袈裟ヲ↡西ニ向ヒテ拝シ、当リテ↢日ノ所没ノ処ニ↡、為ニ↢弥陀仏ノ↡作シ↠礼ヲ、以テ↢頭脳ヲ↡著ケテ↠地ニ、言フ↢南無阿弥陀三耶三仏檀ト↡。

阿あ難なんいまだ起たたざるに、 阿あ弥陀みだ仏ぶつすなはちおほきに光こう明みょう威い神じんを放はなちて、 すなはち八方はっぽう上じょう下げのもろもろの無む央数おうしゅの仏国ぶっこくに遍へんす。 もろもろの無む央数おうしゅの諸天しょてん地ち、 すなはちみなためにおほきに震動しんどうし、 もろもろの無む央数おうしゅの天てん地ち、 須しゅ弥み山せん羅ら宝ほう・摩訶まか須しゅ弥み大山だいせん羅ら宝ほう、 もろもろの天てん地ち、 大界だいかい・小しょう界かい、 そのなかのもろもろの大だい泥ない犁り・小しょう泥ない犁り、 もろもろの山林せんりん・渓谷けいこく・幽ゆう冥みょうの処ところ、 すなはちみな大だい明みょうにして、 ことごとくおほきに開かい闢びゃくす。

○阿難未ダルニ↠起タ、阿弥陀仏便チ大ニ放チテ↢光明威神ヲ↡、則チ遍ス↢八方上下ノ諸ノ无央数ノ仏国ニ↡。諸ノ無央数ノ諸天地、即チ皆為ニ大ニ震動シ、諸ノ无央数ノ天地、須弥山羅宝・摩訶須弥大山羅*宝、諸ノ天地、大界・小界、其ノ中ノ諸ノ大泥*犁・小泥*犁、諸ノ山林・渓谷・幽冥之処、即チ皆大明ニシテ、*悉ク大ニ開闢ス。

すなはち時ときに阿あ難なん、 もろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんら、 諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみん、 ことごとくみな阿あ弥陀みだ仏ぶつおよびもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんの国こく土どの七宝しっぽうを見みをはりて、 心こころおほきに歓かん喜ぎし踊ゆ躍やくして、 ことごとく起たちて阿あ弥陀みだ仏ぶつのために礼らいをなし、 頭ず脳のうをもつて地じに著つけて、 みな南無なも阿あ弥陀みだ三さん耶や三さん仏檀ぶつだんといふ。

●即チ*時ニ阿難、諸ノ菩薩・阿羅漢等、諸天・帝王・人民、悉ク皆見↢阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ国土ノ七宝ヲ↡*已リテ、心大ニ歓喜シ踊躍シテ、悉ク起チテ為ニ↢阿弥陀仏ノ↡作シ↠礼ヲ、以テ↢頭脳ヲ↡著ケテ↠地ニ、皆言フ↢南無阿弥陀三*耶三仏檀ト↡。

阿あ弥陀みだ仏ぶつの国くにの放はなてる光こう明みょうに威い神じんありて、 もつてもろもろの無む央数おうしゅの天てん・人民にんみんおよび蜎けん飛ぴ蠕動ねんどうの類たぐい、 みなことごとく阿あ弥陀みだ仏ぶつの光こう明みょうを見みたてまつるに、 慈じ心しんをもつて歓かん喜ぎせざるものなし。 諸しょ有うの泥ない犁り・禽きん獣じゅう・薜荔へいれい、 諸しょ有うの考こう治じ勤ごん苦くの処ところ、 すなはちみな休止くししてまた治じせず。 憂苦うくを解げ脱だつせざるものなし。

●阿弥陀仏ノ*国ノ*放テル光明ニ威神アリテ、以テ*諸ノ无央数ノ天・人民及ビ蜎飛蠕動之類、皆悉ク見タテマツルニ↢阿弥陀仏ノ光明ヲ↡、莫シ↧不ル↢慈心ヲモテ歓喜セ↡者↥。諸有ノ泥*犁・禽獣・薜荔、諸有ノ*考治勤苦之処、即チ皆休止シテ不↢*復治セ↡。莫シ↧不ル↣解↢脱セ憂苦ヲ↡*者。

諸しょ有うの盲者もうじゃはすなはちみな視みることを得え、 諸しょ有うの聾者ろうじゃはすなはちみな聴きくことを得え、 諸しょ有うの喑者あんじゃはすなはちみなよく語かたり、 諸しょ有うの僂ろう者しゃはすなはち申のぶることを得え、 もろもろの跛は癖へき蹇者けんじゃはすなはちみな走はしり行ゆき、 諸しょ有うの病びょう者しゃはすなはちみな愈いえて起たち、 もろもろの尫者おうじゃはすなはちみな強健ごうごんに、 もろもろの愚痴ぐち者しゃはすなはちさらに黠がち慧えに、 諸しょ有うの婬者いんじゃはみなこれ梵ぼん行ぎょうし、 もろもろの瞋しん怒ぬ者しゃはことごとくみな慈じ心しんをもつて善ぜんをなし、 諸しょ有うの毒どくを被かぶる者ものは毒どくみな行めぐらず、 鍾しょう磬けい・琴瑟きんしつ・箜篌くご楽がっ器き諸しょ伎ぎは鼓こせざるにみなおのづから五いつつの音おん声じょうをなし、 婦ふ女にょの珠環しゅかんはみなおのづから声こえをなし、 百鳥ひゃくちょう畜狩ちくしゅみなおのづから悲ひ鳴みょうす。

●諸有ノ盲者ハ即チ皆得↠視ルコトヲ、諸有ノ聾者ハ即チ皆得↠聴クコトヲ、諸有ノ*喑者ハ即チ皆能ク語リ、諸有ノ*僂者ハ*即チ得↠*申ブルコトヲ、諸ノ跛*癖蹇者ハ即チ皆走リ行キ、諸有ノ病者ハ即チ皆愈エテ起チ、*諸ノ*尫者ハ*即チ皆*強健ニ、諸ノ愚痴者ハ即チ更ニ黠慧ニ、諸有0194ノ婬者ハ*皆*是梵行シ、*諸ノ瞋怒*者ハ悉ク皆慈心ヲモテ作シ↠善ヲ、諸有ノ被ル↠毒ヲ者ハ毒皆不↠行メグラ、鍾磬・琴瑟・箜篌楽器諸伎ハ不ルニ↠鼓セ皆自ラ作シ↢五ノ音声ヲ↡、婦女ノ珠環ハ皆自ラ作シ↠声ヲ、百鳥畜*狩皆自ラ悲鳴ス。

この時ときに当あたりて、 歓かん喜ぎ善ぜん楽ぎょうして過度かどを得えざるものなし、 すなはちその時ときに諸しょ仏国ぶっこく中ちゅうの諸天しょてん・人民にんみん天てん上じょうの華け香こうを持もちて来きたり下くだり、 虚こ空くうのなかにおいてことごとくみな諸仏しょぶつおよび阿あ弥陀みだ仏ぶつの上うえに供く養ようし散さんぜざるはなし。 諸天しょてんおのおのともにおほきに万種まんじゅ自じ然ねんの伎ぎ楽がくをなして、 諸仏しょぶつおよびもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんを楽たのしましむ。 この時ときに当あたりて、 その快け楽らくいふべからずと。

●*当リテ↢是ノ時ニ↡、莫シ↧不ル↣歓喜善楽シテ得↢過度ヲ↡者↥。即チ爾ノ時ニ諸仏国中ノ諸天・人民莫シ↠不ルハ↫持チテ↢天上ノ華香ヲ↡来リ下リ、於テ↢虚空ノ中ニ↡悉ク皆供↩養シ散ゼ↪諸仏及ビ阿弥陀仏ノ上ニ↨。諸天各ノ共ニ大ニ作シテ↢万種自然ノ伎楽ヲ↡、*楽マシム↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。当リテ↢是之時ニ↡、*其ノ快楽不ト↠可カラ↠言フ。

仏ぶつ、 阿あ難なん・阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらに告つげたまはく、 われ阿あ弥陀みだ仏ぶつおよびもろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かんの国こく土どの自じ然ねんの七宝しっぽうを説とくに、 もしは異いあることなきやと。

○仏告ゲタマハク↢阿難・阿逸菩薩等ニ↡、我説クニ↢阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ国土ノ自然ノ七宝ヲ↡、儻モシハ無キ↠有ルコト↠異乎ト。

阿あ難なん長じょう跪き叉手しゃしゅしてまうさく、 仏ぶつ、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの国こく土どの快け善ぜんなることを説ときたまふ。 仏ぶつののたまふところのごとく一ひとつも異ことなることあることなしと。

○阿難長跪叉手シテ言ク、仏説キタマフ↢阿弥陀仏ノ国土ノ快善ナルコトヲ↡。如ク↢仏ノ所ノ↟言キタマフ无シト↠有ルコト↢一ツモ異ナルコト↡。

仏ぶつのたまはく、 われ阿あ弥陀みだ仏ぶつの功く徳どく、 国こく土どの快け善ぜんを説とかんに、 昼ちゅう夜や一劫いっこうを尽つくすともなほまたいまだ竟おへず。 われただなんぢらがために小すこしくこれを説とくのみと。

○仏言ク、我説カムニ↢阿弥陀仏ノ功徳、国土ノ快善ヲ↡、昼夜尽ストモ↢一劫ヲ↡尚復未ダ↠竟ヘ。我但為ニ↢若ナンヂ曹ラガ↡小シク説ク↠之ヲ*爾ト。

二 Ⅴ ⅴ 十方来生

阿あ逸いつ菩ぼ薩さつすなはち長じょう跪き叉手しゃしゅして、 仏ぶつに問とひたてまつりてまうさく、 今仏こんぶつの国こく土どはこの間けんよりまさにいくばくの阿あ惟ゆい越おっ致ちの菩ぼ薩さつありてか阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべき。 願ねがはくはこれを聞きかんと欲ほっすと。

○阿逸菩薩即チ長跪叉手シテ、問ヒタテマツリテ↠仏ニ言ク、今仏ノ国土ハ従リ↢是ノ間↡当ニキ↧有リテカ↢幾何ノ阿惟越致ノ菩薩↡往↦生ス阿弥陀仏国ニ↥。願クハ欲スト↠聞カムト↠之ヲ。

仏ぶつのたまはく、 なんぢ知しらんと欲ほっせば、 あきらかに聴ききて心しん中ちゅうに著つけよと。 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつまうさく、 教きょうを受うけんと。

●仏言ク、汝欲セバ↠知ラムト者、明カニ聴キテ著ケヨト↢心中ニ↡。阿逸菩薩言ク、受ケムト↠教ヲ。

仏ぶつのたまはく、 わが国くによりまさに七しち百ひゃく二に十じゅう億おくの阿あ惟ゆい越おっ致ちの菩ぼ薩さつありて、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。 ひとりの阿あ惟ゆい越おっ致ちの菩ぼ薩さつは、 前ぜん後ご無む央数おうしゅの諸仏しょぶつを供く養ようし、 もつて次つぎて弥み勒ろくのごとし。 みなまさに作さ仏ぶつすべし。 およびその余よのもろもろの小しょう菩ぼ薩さつの輩ともがらは、 無む央数おうしゅにしてまた計かぞふべからず、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべしと。

○仏言ク、従リ↢我ガ国↡当ニ有リテ↢七百二十億ノ阿惟越致ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。一ノ阿惟越致ノ菩薩者、前後供↢養シ无央数ノ諸仏ヲ↡、以テ次ギテ如シ↢弥勒ノ↡。皆当ニシ↢作仏ス↡。及ビ其ノ余ノ諸ノ小菩薩0195ノ輩者、無央数ニシテ不↠可カラ↢復計フ↡、皆当ニシト↣往↢生ス阿弥陀仏*国ニ↡。

仏ぶつ、 阿あ逸いつ菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ただわが国こく中ちゅうのもろもろの菩ぼ薩さつのみまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべきにあらず。 他た方ほう異い国こくにまた仏ぶつましましてまたかくのごとし。

○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、不ズ↤但我ガ国中ノ諸ノ菩薩ノミ当ニキニ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。他方異国ニ復有シテ↠仏亦復如シ↠是クノ。

第一だいいちの仏ぶつを頭楼ずる和斯わしと名なづく。 その国くにに百ひゃく八はち十じゅう億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○第一ノ仏ヲ名ク↢頭楼和斯ト↡。其ノ国ニ有リ↢百八十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい二にの仏ぶつを羅ら隣りん那阿なあ竭かつと名なづく。 その国くにに九く十じゅう億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第二ノ仏ヲ名ク↢羅隣那阿竭ト↡。其ノ国ニ有リ↢九十億ノ菩薩↡、*皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第三だいさんの仏ぶつを朱蹄しゅだい彼会ひえと名なづく。 その国くにに二に百ひゃく二に十じゅう億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第三ノ仏ヲ名ク↢朱蹄彼*会ト↡。其ノ国ニ有リ↢二百二十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい四しの仏ぶつを阿あ蜜蔡みつさい羅ら薩さつと名なづく。 その国くにに二に百ひゃく五ご十じゅう億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第四ノ*仏ヲ名ク↢阿*蜜蔡羅薩ト↡。其ノ国ニ有リ↢二百五十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい五ごの仏ぶつを楼波るは黎波りは蔡さいせつと名なづく。 その国くにに六ろっ百ぴゃく億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第五ノ仏ヲ名ク↢楼波黎波蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢六百億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第六だいろくの仏ぶつを那な惟ゆい于う蔡さいと名なづく。 その国くにに万まん四し千せんの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第六ノ仏ヲ名ク↢那惟于蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢万四千ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第七だいしちの仏ぶつを維ゆい黎り波羅はら潘はんせつと名なづく。 その国くにに十じゅう五ごの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第七ノ仏ヲ名ク↢*維黎波羅潘ト↡。其ノ国ニ有リ↢十五ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第八だいはちの仏ぶつを和阿わあ蔡さいと名なづく。 その国くにに八はちの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第八ノ仏ヲ名ク↢和阿蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢八ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい九くの仏ぶつを尸利しり群蔡ぐんさいと名なづく。 その国くにに八はつ百ぴゃく一いち十じゅう億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第九ノ仏ヲ名ク↢尸利群蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢八百*一十億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい十じゅうの仏ぶつを那他なた蔡さいと名なづく。 その国くにに万億まんおくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第十ノ仏ヲ名ク↢那他蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢万億ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい十じゅう一いちの仏ぶつを和羅わら那な惟ゆい于う蔡さいせつと名なづく。 その国くにに万まん二に千せんの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。

○他方異国ノ第0196十一ノ仏ヲ名ク↢和羅那惟于蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢万二千ノ菩薩↡、皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい十じゅう二にの仏ぶつを沸ふつ覇は図耶ずや蔡さいと名なづく。 その国くににもろもろの菩ぼ薩さつあり、 無む央数おうしゅにしてまた計かぞふべからず。 みな阿あ惟ゆい越おっ致ちなり。 みな智慧ちえ勇ゆう猛みょうにして、 おのおの無む央数おうしゅの諸仏しょぶつを供く養ようしをはりて、 一いち時じにともに心こころに願がんじて往ゆかんと欲ほっして、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうずべし。

○他方異国ノ第十二ノ仏ヲ*名ク↢沸*覇図*耶蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢諸ノ菩薩↡、无央数ニシテ不↠可カラ↢復計フ↡。皆阿惟越致ナリ。皆智慧勇猛ニシテ、各ノ供↢養シ無央数ノ諸仏ヲ↡*已リテ、一時ニ倶ニ心ニ願ジテ欲シテ↠*往カムト、皆当ニシ↠生ズ↢阿弥陀仏国ニ↡。

他た方ほう異い国こくの第だい十じゅう三さんの仏ぶつを随ずい呵か閲えつ祇ぎ波多はた蔡さいと名なづく。 その国くにに七しち百ひゃく九く十じゅう億おくの菩ぼ薩さつあり、 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべしと。

○他方異国ノ第十三ノ仏ヲ名ク↢随*呵閲祇波多蔡ト↡。其ノ国ニ有リ↢七百九十億ノ菩薩↡、皆当ニシト↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ。

仏ぶつのたまはく、 このもろもろの菩ぼ薩さつはみな阿あ惟ゆい越おっ致ちなり。 もろもろの比丘びく僧そう中ちゅうの小しょう菩ぼ薩さつの輩ともがらに及およぶまで無む央数おうしゅなり。 みなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし。 独ひとりこの十じゅう四し仏国ぶっこく中ちゅうのもろもろの菩ぼ薩さつのみまさに往おう生じょうすべきにあらず。 すべて八方はっぽう上じょう下げの無む央数おうしゅの仏国ぶっこくのもろもろの菩ぼ薩さつの輩ともがら、 おのおのこれみなまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべし、 はなはだ無む央数おうしゅなり。 すべてともに往ゆきて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに会えす。 おほきに衆しゅ多たにして計かぞふべからず。

○仏言ク、是ノ諸ノ菩薩ハ皆阿惟越致ナリ。諸ノ比丘僧中ノ及ブマデ↢小菩薩ノ輩ニ↡无央数ナリ。皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡。不ズ↣独リ是ノ十四仏国中ノ諸ノ菩薩ノミ当ニキニ↢往生ス↡也。都テ八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸ノ菩薩ノ輩、各*各是皆当ニシ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡、*甚ダ无央数ナリ。都テ共ニ往キテ会ス↢阿弥陀仏国ニ↡。大ニ衆多ニシテ不↠可カラ↠計フ。

われただ八方はっぽう上じょう下げの無む央数おうしゅの諸仏しょぶつの名みょう字じを説とかんに、 昼ちゅう夜や一劫いっこうすともなほいまだ竟おへず。 われただまた諸仏しょぶつ国こくのもろもろの比丘びく僧そうの衆しゅの菩ぼ薩さつのまさに阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすべき人数にんじゅを説とかんに、 これを説とくこと一劫いっこうにして休止くしせざるもなほいまだ竟おへず。 われただなんぢらがために総攬そうらんしてすべて小すこしくこれを説とくのみと。

○我*但説カムニ↢八方上下ノ無央数ノ諸仏ノ名字ヲ↡、昼夜一劫ストモ尚未ダ↠竟ヘ。我但復説カムニ↧諸仏国ノ諸ノ比丘僧ノ衆ノ菩薩ノ当ニキ↣往↢生ス阿弥陀仏国ニ↡人数ヲ↥、説クコト↠之ヲ一劫ニシテ不ルモ↢休止セ↡尚未ダ↠竟ヘ。我但為ニ↢若ナンヂ曹ラガ↡総攬シテ都テ小シク説ク↠之ヲ*爾ト。

三 流通分
  Ⅰ 弥勒付属

【28】仏ぶつ、 阿あ難なん・阿あ逸いつ菩ぼ薩さつらに語かたりたまはく、 それ世せ間けんの帝王たいおう・人民にんみん、 善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにん、 前ぜん世せ宿命しゅくみょうに善ぜんをなして致いたすところの相禄そうろく巍々ぎぎとして、 すなはちまさに阿あ弥陀みだ仏ぶつの声みなを聞きくべきもの、 はなはだ快け善ぜんなり。 われこれに代かわりて喜よころばんと。 仏ぶつのたまはく、 ▼それ善男ぜんなん子し・善ぜん女人にょにんありて、 阿あ弥陀みだ仏ぶつの声みなを聞きき、 慈じ心しんをもつて歓かん喜ぎして一いち時じに踊ゆ躍やくし、 心しん意い浄じょう潔けつに、 衣え毛もうために起たちて、 涙なみだすなはち出いづるものは、 みな前ぜん世せ宿命しゅくみょうに仏道ぶつどうをなせること他た方ほうの仏ぶつのごとく、 もと菩ぼ薩さつにして凡人ぼんにんにあらず。

○仏語リタマハク↢阿難・阿逸菩薩等ニ↡、其レ世間ノ帝王・人民、善男子・善女人、前世宿命ニ作シテ↠善ヲ所ノ↠致ス相禄巍巍トシテ、乃チ当ニキ↠聞ク↢阿弥陀仏ノ声ヲ↡者、甚ダ快*善ナリ。*我代リテ↠之ニ喜バムト。仏0197言ク、其レ有リテ↢善男子・善女人↡、聞キ↢阿弥陀仏ノ声ヲ↡、慈心ヲモテ歓喜シテ一時ニ踊躍シ、心意浄潔ニ、衣毛為ニ起チテ、涙即チ出ヅル者ハ、皆前世宿命ニ作セルコト↢仏道ヲ↡若ク↢他方ノ仏ノ↡、故モト菩薩ニシテ非ズ↢凡人ニ↡。

それ人民にんみん、 男なん子し・女人にょにんありて、 弥陀みだ仏ぶつの声みなを聞ききて有う者しゃを信しんぜず、 経きょうの仏ぶつ語ごを信しんぜず、 比丘びく僧そうあることを信しんぜず、 心しん中ちゅうに狐疑こぎしてすべて信しんずるところなきものは、 みなもと悪道あくどうのなかより来きたり生しょうじて、 愚痴ぐちにして解さとらず、 宿命しゅくみょうの殃悪おうあくいまだ尽つきず、 なほいまだまさに度ど脱だつすべからず。 ゆゑに心しん中ちゅうに狐疑こぎして、 信向しんこうせざるのみと。

●其レ有リテ↢人民、男子・女人↡、*聞キテ↢弥陀仏ノ声ヲ↡不↠信ゼ↢有者ヲ↡、不↠信ゼ↢経ノ*仏語ヲ↡、不↠信ゼ↠有ルコトヲ↢比丘僧↡、心中ニ狐疑シテ都テ无キ↠所↠信ズル者ハ、皆故モト従リ↢悪道ノ中↡来リ生ジテ、愚痴ニシテ不↠解ラ、宿命ノ殃悪未ダ↠尽キ、尚未ダ↠当ニカラ↢度脱ス↡。故ニ*心中ニ狐疑シテ、不ル↢信向セ↡*爾ト。

仏ぶつのたまはく、 われなんぢらに語かたらん。 なんぢらまさになすべきところの善法ぜんぼうは、 みなまさに奉ぶ行ぎょうしてこれを信しんじ、 疑うたがいを得うることなかるべし。 われ般はつ泥洹ないおんし去さりて後のち、 なんぢらおよび後世ごせの人ひと、 またわれ阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくにあることを信しんぜずといふことを得うることなかれ。 われことさらになんぢらをしてことごとく阿あ弥陀みだ仏ぶつの国こく土どを見みしむ。 まさになすべきところのものはおのおのこれを求もとめよ。

○仏言ク、我語ラム↢若ナンヂ曹ラニ↡。若ナンヂ曹ラ所ノ↠当ニキ↠作ス善法ハ、皆当ニシ↢奉行シテ信ジ↠之ヲ、無カル↟*得ルコト↠疑ヲ。我般泥洹シ去リテ後、汝曹ラ及ビ後世ノ人、无レ↠得ルコト↣復言フコトヲ↢我不ト↟信ゼ↠有ルコトヲ↢阿弥陀仏国↡。我故ラニ令ム↣若ナンヂ曹ラヲシテ悉ク見↢阿弥陀仏ノ国土ヲ↡。所ノ↠当ニキ↠為ス者ハ各ノ求メヨ↠之ヲ。

われつぶさになんぢらがために経きょう戒かい慎法しんぼうを道説どうせつす。 なんぢらまさに仏ぶつの法ほうのごとくこれを持たもつべし。 毀き失しつを得うることなかれ。 われこの経きょうを持たもちもつてなんぢらに累るいす。 なんぢらまさに堅かたくこれを持たもつべし、 みだりにこの経きょう法ぼうを増減ぞうげんするをなすことを得うることなかれ。

●我具ニ為ニ↢若ナンヂ曹ラガ↡道↢説ス経戒慎法ヲ↡。若ナンヂ曹ラ当ニシ↧如ク↢仏ノ法ノ↡持ツ↞之ヲ。無レ↠得ルコト↢毀失ヲ↡。我持チ↢是ノ経ヲ↡以テ累ス↢若ナンヂ曹ラニ↡。若ナンヂ曹ラ当ニシ↢堅ク持ツ↟之ヲ、无レ↠得ルコト↠為スコトヲ↣妄ニ増↢減スルヲ是ノ経法ヲ↡。

三 Ⅱ 特留此経

▼われ般はつ泥洹ないおんし去さりて後のち、 経きょう道どう留止るしすること千歳せんざいせん。 千歳せんざいの後のち、 経きょう道どう断絶だんぜつせん。 われみな慈じ哀あいして、 この経きょう法ぼうを持たもち留とどめて止し住じゅうすること百ひゃく歳さいせん。 百ひゃく歳さい中みちをはりてすなはち休止くしし断絶だんぜつせん。 心こころの所願しょがんのごとくありてみな道どうを得うべしと。

○我般泥洹シ去リテ後、経道留止スルコト千歳セム。千歳ノ後、経道断絶セム。我皆慈哀シテ、*持チ↢留メテ是ノ経法ヲ↡止住スルコト百歳セム。百歳中ミチ竟リテ乃チ休止シ断絶セム。在リテ↢心ノ所願ノゴトク↡皆可シト↠得↠道ヲ。

仏ぶつのたまはく、 師しは人ひとを開導かいどうするに、 耳に目もく・智慧ちえ明みょう達だつにして、 人ひとを度ど脱だつしてよく泥洹ないおんの道どうに合あふことを得えしむ。 つねにまさに仏ぶつに孝きょう慈じすること父母ぶものごとくすべし。 つねにまさに師しの恩おんを念ねんずべし。 つねに念ねんじて絶たえざればすなはち道どうを得うること疾はやからんと。

●仏言ク、師ハ開↢*導スルニ人ヲ↡、耳目・智慧明達ニシテ、度↢脱シテ人ヲ↡令ム↠得↣善ク合フコトヲ↢泥洹之道ニ↡。常ニ当ニシ↧孝↢慈スルコト於*仏ニ↡父母ノゴトクス↥。常ニ当ニシ↠念ズ↢師ノ恩ヲ↡。常ニ念ジテ不レバ↠絶エ即チ得ルコト↠道ヲ疾カラムト。

仏ぶつのたまはく、 天てん下げに仏ぶつましますははなはだ値あひがたし。 もしは沙門しゃもんありて師しのごとく人ひとのために経きょうを説とくは、 はなはだ値あひがたし。

○仏言ク、天下ニ有ス↠仏者甚ダ難シ↠値ヒ。若シハ有リテ↢沙門↡若ク↠師ノ為ニ↠人ノ説ク↠経ヲ者0198、甚ダ難シ↠値ヒ。

仏ぶつこの経きょうを説ときたまふ時とき、 すなはち万まん二に千億せんおくの諸天しょてん・人民にんみんみな天眼てんげんを得えて徹てっ視しし、 ことごとく一心いっしんにみな菩ぼ薩さつ道どうをなす。 すなはち二に百ひゃく億おくの諸天しょてん・人民にんみんみな阿那あな含道ごんどうを得え、 すなはち八はっ百ぴゃくの沙門しゃもん、 みな阿羅あら漢道かんどうを得え、 すなはち四し十じゅう億おくの菩ぼ薩さつ、 みな阿あ惟ゆい越おっ致ちを得えたりと。

○仏説キタマフ↢是ノ経ヲ↡時、即チ万二千億ノ諸天・人民皆得テ↢天眼ヲ↡徹視シ、悉ク一心ニ皆為ス↢菩薩道ヲ↡。即チ二百億ノ諸天・人民皆*得↢阿那含道ヲ↡、即チ八百ノ沙門、皆得↢阿羅漢道ヲ↡、即チ四十億ノ菩薩、皆得タリト↢阿惟越致ヲ↡。

仏ぶつ、 経きょうを説ときをはりたまふに、 もろもろの菩ぼ薩さつ・阿羅あら漢かん・諸天しょてん・帝王たいおう・人民にんみん、 みなおほきに歓かん喜ぎし、 起たちて仏ぶつのために礼らいをなし、 遶めぐること三帀さんぞうして、 前すすみて頭ず面めんをもつて仏足ぶっそくに著つけて去さりにき。

○仏説キ↠経ヲ已リタマフニ、諸ノ菩薩・阿羅漢・諸天・帝王・人民、皆大ニ歓喜シ、起チテ為ニ↠仏ノ作シ↠礼ヲ、遶ルコト三帀シテ、前ミテ以テ↢頭面ヲ↡著ケテ↢仏足ニ↡而去リニキ。

 

*阿弥陀あみだ経きょう 巻かん下げ

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ元版(普寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ正倉院聖語藏本、 Ⓔ高田派専修寺蔵顕智上人書写本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒶⒷⒸⒹⒺ瑠 孤→Ⓔ狐
犁→Ⓓ黎
犁→ⒶⒹⒺ黎
呉…譯9字 Ⓓになし
支国→ⒶⒷⒸⒺ氏
居士→ⒷⒸ優婆塞 ⒶⒺになし
行 ⒶⒺになし
夢中→ⒶⒷⒸⒹⒺ中夢
翻→ⒶⒷⒺ翻[輩]
予→Ⓔ預
作 Ⓓになし
命終→ⒶⒷⒸⒹⒺ終命
間→Ⓓ聞
千→Ⓔ十
復→Ⓔ得
飯→ⒶⒷⒸⒹⒺ飲
忉→Ⓐ切
不 Ⓑになし
爾→ⒶⒷⒹⒺ耳
作→ⒶⒷⒸⒹⒺ作[功]
是→Ⓔ之
爾→ⒶⒷⒹⒺ耳
飯→ⒶⒷⒸⒺ飲
爾→Ⓓ身
仏→ⒶⒷⒸⒹⒺ仏[国]
仏→Ⓓ仏[国]
大→ⒶⒷⒸⒺ大[歓]
開→Ⓔ聞
卓→ⒶⒷⒸⒹⒺ百千
奸→ⒶⒷⒸⒺ姦
心→Ⓔ意
爾→ⒶⒷⒸⒺ念
以→ⒶⒷⒸⒺ已
劣→Ⓓ奥
予→ⒶⒷⒸⒺ預
悷→ⒶⒺ戻→ⒷⒸ恢→Ⓓ怪
悢→ⒶⒺ佷→ⒷⒸ廓 Ⓓになし
翻→Ⓐ幡
楽→ⒶⒷⒸⒹⒺ楽[楽]
徊→ⒶⒷⒸⒹⒺ廻
姝→ⒶⒷⒸⒺ殊
違 ⒶⒷⒸⒺになし
慕 ◎ⒶⒸⒹになし
无空→ⒶⒷⒸⒹⒺ空无
恢→ⒸⒷ淡
慈愍→Ⓓ愍慈
通洞→ⒶⒷⒸⒺ洞通
願→Ⓓ願[高]
徊→ⒶⒷⒸⒹⒺ廻
努→Ⓓ怒
悪→ⒶⒷⒸⒹⒺ悪[悪]
事→ⒶⒷⒸⒺ事[勤]
寿→ⒶⒷⒸⒹⒺ寿[楽]
恐→ⒶⒷⒸⒺ毒
債→Ⓓ責
繋→ⒶⒷⒸⒺ撃
唐突→ⒶⒷⒸⒺ搪揬
忪→Ⓓ怔
意固→ⒶⒷⒸⒺ固意
苦→ⒶⒷⒸⒺ苦[如]
賜→ⒷⒸ儩→Ⓓ瀃
悪→ⒶⒷⒸⒹⒺ異
曼→Ⓒ遇
曼=遇Ⓓ
常 Ⓓになし
矇→ⒶⒷⒸ朦
突→ⒶⒷⒸⒺ揬
惑→Ⓓ或
泣→ⒶⒷⒸⒹⒺ涙
憂→Ⓓ愛
繞 ⒶⒺになし
矇瞑→ⒶⒷⒸⒹⒺ蒙蒙
→Ⓓ説
懐→ⒶⒷⒸⒹⒺ懐[怨]
恣→Ⓓ怨
億→ⒶⒷⒸⒺ億[億]
曹→◎造
時→ⒶⒷⒸⒺ尊
皆 Ⓓになし
我 Ⓓになし
示→Ⓓ爾
皆→ⒶⒷⒸⒺ皆[悉]
戒→ⒶⒷⒸⒺ誡
深→ⒶⒷⒸⒺ深[甚]
見知→Ⓔ知見
聞→ⒶⒷⒸ値→Ⓔ→道
比→Ⓓ皆
勤→ⒷⒹ謙
入→Ⓔ人
典→Ⓔ曲
改→ⒷⒸ愍→Ⓔ吹
苦→ⒹⒺ若
道→ⒶⒺ諸
照→ⒷⒸ昭
視→ⒶⒷⒸⒺ示
我→ⒶⒷⒸⒺ哉
甚 Ⓓになし
亦→ⒶⒷⒸⒹ亦[痛亦]
死→ⒶⒷⒸⒹⒺ飢
極→ⒶⒷⒸⒹⒺ極[病時亦痛亦苦亦極死時亦痛亦苦亦極]
洗→ⒶⒷⒸⒺ酒
无復→ⒶⒷⒸⒺ復無
万→ⒶⒷⒸⒺ万[劫]
止→ⒶⒷⒸⒺ上
中 Ⓓになし
者→ⒶⒷⒸⒺ者[諸]
貰→Ⓒ貫
憋→ⒶⒺ蔽→ⒷⒸ弊
入→Ⓓ人
有→ⒷⒸ尤
処→ⒶⒷⒸⒺ劇
刑→ⒶⒺ形
受→ⒶⒷⒸⒺ受[於]
寄胎→ⒶⒷⒸⒺ寿
胎→Ⓓ治
人 Ⓔになし
嫉憎→ⒶⒷⒸⒺ憎嫉
施→ⒶⒷⒸⒺ勢
妄→Ⓐ倭
忠→Ⓓ中
矇→Ⓓ曚
欲益→ⒶⒷⒸⒺ殺盜
市→Ⓔ帀
守→ⒶⒷⒸⒹⒺ守[惜]
惜→ⒷⒸ重 Ⓓになし
命→ⒶⒷⒸⒺ念
悔→ⒶⒷⒺ悔[生]
悪 ◎ⒶⒹⒺになし
妄→Ⓑ忘
靡→Ⓓ糜
賜→ⒷⒸ儩
犁→ⒶⒹ黎→Ⓔ梨
中→Ⓒ終
自 Ⓔになし
得→Ⓐ徳
相因→Ⓓ想恩
私→Ⓓ和
繋→ⒶⒷⒹⒺ撃
勢→ⒶⒹⒺ熱
給→Ⓓ其
快→ⒶⒺ使
行→ⒶⒷⒸⒺ婬
憎→Ⓓ増
有→Ⓓ自
三→Ⓓ三[大]
人→Ⓔ天
旁→ⒶⒷⒸⒺ傍
有道 ⒶⒷⒸⒺになし
頑→ⒶⒷⒸⒺ頦
哀→ⒶⒷⒸⒺ畏
恐→Ⓓ怨
之→ⒷⒸ恣
頼→Ⓓ類
儩→ⒶⒹⒺ賜
之→◎ⒷⒸ乏
呵→ⒶⒷⒸⒺ訶
乏→Ⓓ之
賑→Ⓓ振
突→ⒶⒷⒸⒺ揬
壮→Ⓔ肚
識→Ⓓ職
殺→ⒶⒷⒸⒺ殺[阿]
悪 Ⓓになし
導→ⒶⒷⒸⒺ道
苦→ⒶⒷⒸⒺ生→Ⓓ告
窕→ⒶⒷ窈 Ⓔになし
汗汗→Ⓓ晧晧
不→Ⓓ所
入苦 ◎Ⓓになし
入冥 ◎Ⓓになし
休→Ⓔ止
悪→ⒶⒷⒸⒺ悪[為]
痛→ⒶⒷⒸⒹⒺ痛[為]
為 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
欲→ⒷⒸ有
示→Ⓓ亦
時→Ⓑ時[快意不能]
語→ⒷⒸⒺ告
楽 Ⓓになし
曼→Ⓒ遇
撿→ⒶⒷⒸ検
和→Ⓓ知
円→ⒶⒷⒸⒹⒺ図
善→Ⓓ益
善→ⒶⒷⒸⒺ善[者]
徳→Ⓓ徳[福徳]
飲食毒 ⒶⒷⒸⒺになし
身苦→ⒶⒷⒸⒺ苦身
惚恫→ⒶⒷⒸⒹⒺ怱洞
作 ◎になし
爾耳→Ⓓ耳爾
戒→ⒶⒷⒸⒺ誡
即→ⒷⒸ則
愚→ⒷⒸ貧
宝→ⒶⒺ実
神 ⒶⒷⒸⒺになし
旁→ⒶⒷⒸⒺ傍
神 Ⓓになし
犁→ⒶⒷⒹⒺ黎
洗→ⒶⒷⒸⒺ洒
位→Ⓔ倍
慄→ⒶⒹ慓
孝→ⒷⒸ事
親 Ⓔになし
得→ⒶⒺ徳
咸→ⒶⒹⒺ成→ⒷⒺ感
即→Ⓑ則
徳 ⒶⒷⒸⒺになし
苦→Ⓓ若
歳→ⒶⒷⒸⒺ穢
忠→Ⓓ中
雍→Ⓓ維
歓→ⒶⒷⒸⒺ歓[喜]
与→ⒶⒷⒸⒺ与[得]
愛→ⒶⒷⒸⒺ受
譲義→ⒶⒷⒸⒺ義譲
譲∽義ⒷⒸⒹ
悉→Ⓓ迷
滅→Ⓓ然
焼→Ⓓ暁
戒→ⒶⒷⒸⒺ誡
説→◎記
甚→ⒶⒺ其
被→Ⓓ披
宝 Ⓔになし
悉→Ⓓ悉[両]
時 Ⓓになし
已→Ⓓ以
耶→Ⓓ邪
国 ⒶⒷⒸⒺになし
放→ⒶⒷⒸⒺ放[大]
諸无央数天→ⒶⒷⒸⒺ无央数諸天
考→ⒶⒷⒸⒺ拷
復→ⒶⒷⒸⒺ復[拷]
者→ⒶⒷⒸ者[也]
喑者→ⒶⒷⒸⒺ瘖瘂
暗→Ⓓ瘂
僂→Ⓓ傴
即→ⒶⒷⒸⒹⒺ即[皆]
申→ⒷⒸ伸
癖→ⒶⒷⒸⒹⒺ躄
諸→Ⓓ諸[有]
尫→ⒶⒺ尫[愚]
即→ⒷⒸ則
強健諸愚痴者即更→ⒷⒸ強健愚者皆 ⒶⒺになし
強健諸愚痴者即Ⓓになし
皆是梵行 Ⓓになし
是→ⒶⒷⒸⒺ修
諸 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
者 Ⓓになし
狩→ⒶⒷⒸⒹⒺ獣
当→ⒶⒷⒸⒺ当[于]
楽 ⒶⒷⒸⒺになし
其→ⒶⒷⒸⒹⒺ甚
国仏 Ⓓになし
皆当→Ⓔ当皆
会→ⒶⒷⒸⒹⒺ会[蔡]
仏→ⒶⒷⒸⒺ如来
蜜→ⒶⒷⒸⒺ密
維→Ⓓ羅
一十→Ⓓ十一
名→Ⓓ名[若]
覇 Ⓓになし
耶→Ⓓ邪
已→◎Ⓓ以
往→ⒶⒷⒸⒺ往[生]
呵→ⒶⒷⒺ訶→Ⓒ阿
各→Ⓑ各[如]→Ⓒ各[在]
甚→ⒷⒸ其
但→Ⓓ但[当]
善→Ⓓ善[哉]
我→◎ⒶⒺ哉
聞→ⒶⒷⒸⒺ聞[阿]
仏 Ⓓになし
心中→Ⓓ中心
得→ⒶⒷⒸ得[狐]→Ⓔ得[孤]
持→ⒶⒷⒸⒺ特
導→ⒶⒷⒸ道
仏→ⒷⒸ仏[如]
得 ⒶⒹⒺになし
[仏説]+阿ⒷⒸⒹ