(955)、七箇条起請文

一 あまねく門人もんにん念仏ねむぶちしやうにんとうつげたまはく。

一 普告↠于↢豫門人念仏上人等↡。

いまだゐちもんうかゞはず真言しんごんくわんし、 ぶちさちはうたてまつることをちやうすべきこと

可↱停↫止未↠窺↢一句文↡奉↪破↢真言・止観↡、謗↩余仏・菩薩↨事。

みぎだうりふするにいたては、 がくしやうるところなり、 にんきやうがいにあらず。 しかのみならず、 はうしやうぼふ弥陀みだぐわん免除めんぢよせられたり。 そのほうまさにらくすべし。 あにあむいたりにあらずや。

右至↣立↢破道↡者、学生之所↠経也、非↢愚人之境界↡。加之、誹謗正法免↢除弥陀願↡。其報当↠堕↢那落↡。豈非↢痴闇之至↡哉。

一 无智むちをもて有智うちひとむかひ、 べちぎやうともがらあふてこのみてじやうろんいたすことをちやうすべきこと

一 可↫停↪止以↢无智身↡対↢有智人↡、遇↢別行輩↡好致↩諍論↨事。

みぎろんは、 これしやなり、 さらににんぶんにあらず。 またじやうろんところはもろもろの煩悩ぼむなうおこる。 しやこれをおんすることひやくじゆんなり。 いはむや一向ゐちかう念仏ねむぶちぎやうにんにおいてをや。

右論義者、是智者之有也、更非↢愚人之分↡。又諍論之処諸煩悩起。智者遠↢離之↡百由句也。況於↢一向念仏之行人↡乎。

一 べちべちぎやうにんむかふて、 愚痴ぐち偏執へんじふこゝろをもてまさに本業ほんごふ棄置きちし、 しゐてこれをけむくわんすべしといふことをちやうすべきこと

一 可↧停↦止対↢別解・別行人↡、以↢愚痴偏執心↡傋↞当↧棄↢置本業↡、強嫌↦キラヒキラフ ↥事。

みぎ修道しゆだうならひ、 おのおのつとむるにあえてぎやうしやせず。 ¬西方さいはうえうくゑち¼ (意)いはく、 「べちべちぎやうはすべてきやうしむおこせ。 もしきやうまんしやうぜば、 つみむこときわまりなしと。」 なんぞこのせいそむかむや。

右修道之習、各勤敢不↠遮↢余行↡。¬西方要決¼ 云、「別解・別行者総起↢敬心↡。若生↢軽慢↡、得↠罪无↠窮。」 何背↢此制↡哉。

0956 念仏ねむぶちもんにおいて、 かいぎやうなしとがうしてもはら淫酒いむしゆしよくにくすゝめ、 たまたまりちまもものざふぎやうなづく、 弥陀みだほんぐわんたのものとい造悪ざうあくおそるゝことなかれといふことをちやうすべきこと

一 可↧停↦止於↢念仏門↡、号↠无↢戒行↡専勧↢淫酒食肉↡、適守↢律儀↡者名↢雑行↡、馮↢弥陀本願↡者、説勿↞恐↢造悪↡事。

みぎかいはこれ仏法ぶちぽふだいなり、 しゆぎやうまちまちなりといゑどもおなじくこれをもはらにす。 これをもて善導ぜんだうくわしやうあげ女人によにんず。 この行状ぎやうじやうおもむき本律ほんりちせいじやうごふたぐひすぎたり。 これにしゆんぜずは、 すべて如来によらい遺教ゆいけうわすれたり、 べちしては祖師そし旧跡きうせきそむく。 かたがたるところなきものかと。

右戒是仏法大地也、衆行雖↠区同専↠之。是以善導和尚、挙↠目不↠見↢女人↡。此行状之趣、過↢本律制浄業之類↡。不↠順↠之者、総失↢如来之遺教↡、別背↢祖師之旧跡↡。旁无↠拠者歟。

一 いまだ是非ぜひわきまへにんしやうげうはなせちにあらず、 おそらくはわたくしじゆちしみだりにじやうろんくわだて、 しやわらはにん迷乱めいらんすることをちやうすべきこと

一 可↫停↪止未↠辨↢是非↡痴人、離↢聖教↡非↢師説↡、恐述↢私義↡妄企↢諍論↡、被↠笑↢智者↡迷↩乱愚人↨事。

みぎ无智むち大天だいてん、 このてう再誕さいたむしてみだりがわしくじやじゆちす。 すでにじふしゆだうどうじ、 もともこれをかなしむべし。

右无智大天、此朝再誕猥述↢邪義↡。既同↢九十五種異道↡、尤可↠悲↠之。

一 どんをもてことにしやうだうこのみ、 しやうぼふしらずして種種しゆじゆ邪法じやほふときて、 无智むち道俗だうぞく教化けうくゑすることをちやうすべきこと

一 可↫停↪止以↢痴鈍身↡殊好↢唱導↡、不↠知↢正法↡説↢種種邪法↡、教↩化无智道俗↨事。

みぎさとりなくしてるは、 これ ¬梵網ぼむまう¼ の制戒せいかいなり。 黒闇こくあむたぐひおのれさいあらわさむとおもふて、 じやうけうをもて芸能げいのうとして、 みやうとむ檀越だんおちのぞむ。 おそらくは自由じゆ妄説まうせちなして、 けんひと狂惑わうわくせむ。 誑法わうぼふとがことにおもし。 このともがら国賊こくぞくにあらずや。

右無↠解作↠師、是 ¬梵網¼ 之制戒也。黒闇之類欲↠顕↢己才↡、以↢浄土教↡為↢芸能↡、貪↢名利↡望↢檀越↡。恐成↢自由之妄説↡、狂↢惑世間人↡。誑法之過殊重。是輩非↢国賊↡乎。クニノヌスビトヽイフ

一 みづから仏教ぶちけうにあらざる邪法じやほふときしやうぼふとし、 いつわりはんせちがうすることをちやうすべきこと

一 可↫停↪止自説↧非↢仏教↡邪法↥為↢正法↡、偽号↩師範説↨事。

みぎ0957おのおの一人ゐちにんなりといゑども、 つめるところわが一身いちしんためなりとく。 衆悪しゆあくをして弥陀みだ教文けうもんけがす、 しやうあくみやうぐ、 ぜんはなはだしきことこれにすぎたることなきものなり。

右各雖↢一人↡、説↣所↠積為↢豫一身↡。衆悪汚↢弥陀教文↡、揚↢師匠之悪名↡、不善之甚无↠過↠之者也。

ぜんしちでう甄録けんろくかくのごとし。 一分ゐちぶん教文けうもんまなばむ弟子でしは、 すこぶるしゆしり年来ねんらいあひだ念仏ねむぶちしゆすといゑども、 しやうげうずいじゆんしてあえて人心にんしむたがはず、 きこへおどろかすことなかれ。 これによていま三十さんじふねん无為ぶゐなり。 にちぐゑちわたりちかわういたるまでこのじふねんより以後いご无智むちぜんともがら時時ときどき到来たうらいす。 たゞ弥陀みだじやうごふしちするのみにあらず、 またしや遺法ゆいほふ汚穢わゑす。 なんぞきやうかいくわへざらむや。

以前七箇条甄録如↠斯。一分学↢教文↡弟子等者、頗知↢旨趣↡年来之間雖↠修↢念仏↡、随↢順聖教↡敢不↠逆↢人心↡、无↠驚↢世聴↡。因↠茲于↠今三十箇年无為。渉↢日月↡而至↢近王↡此十箇年以後、无智不善輩時時到来。非↣啻失↢弥陀浄業↡、又汚↢穢釈迦遺法↡。何不↠加↢烱誡↡乎。

このしちでううちたうあひださい事等じらおほし。 つぶさにちゆじゆちしがたし。 すべてかくのごときらのはうつゝしんおかすべからず。 このうへなほ制法せいほふそむともがらは、 これ門人もんにんにあらず、 くゑんぞくなり。 さらに草庵さうあむきたるべからず。

此七箇条之内、不当之間巨細事等多。具難↢註述↡。総如↠此等之無方、慎不↠可↠犯。此上猶背↢制法↡輩者、是非↢豫門人↡、魔眷属也。更不↠可↠来↢草庵↡。

こむ以後いご、 おのおのおよばむにしたがふて、 かならずこれをれらるべし。 にんあひともなふことなかれ。 もししからずは、 これどうひとなり。 かのとがすごときのものは、 同法どうほふいかしやううらむることあたはず、 ごふとくことわり、 ただおのれりならくのみ。

自今以後、各随↢聞及↡、必可↠被↠触↠之。余人勿↢相伴↡。若不↠然者、是同意人也。彼過如↠作者、不↠能↧瞋↢同法↡恨↦師匠↥、自業自得之理、只在↢己身↡而已。

このゆへに今日こむにちはうぎやうにんもよおして、 一室ゐちしちあつめがうみやうすらく、 わずかにぶんありといゑどもたしかにたれのひととがしらず、 沙汰さたによて愁歎しうたんす。 年序ねんじよおくる、 黙止もだすべきにあらず。 まづちからおよぶしたがうて、 禁遏きむあちはかりごとめぐらすところなり。 よてそのおもむきろくして門葉もんえふしめじやうくだんのごとし。

是故今日催↢四方行人↡、集↢一室↡告命、僅雖↠有↢風聞↡慥不↠知↢誰人失↡、拠↠于↢沙汰↡愁歎。遂↢年序↡、非↠可↢黙止↡。先随↢力及↡、所↠廻↢禁遏之計↡也。仍録↢其趣↡示↢門葉等↡之状、如↠件。

 ぐゑんきうぐわんねん十一じふゐちぐわち七日しちにち 沙門しやもんぐゑん

しん かむしやう 尊西そんさい しよう ぐゑん ぎやう西さい しやうれん 見仏けんぶち だうくわん 導西だうさい じやく西せい 宗慶そうけい 西さい0958えん 親蓮しんれん 幸西かうせい 住蓮ぢゆれん 西さい 仏心ぶちしむ ぐゑんれん 蓮生れんせい 善信ぜんしん ぎやう 已上 じやうひやくにん連署れんしよおわり