◎経釈文聞書

(1) 蓮華面経文

◎¬蓮れん華げ面めん経ぎょう¼ (巻上意) にのたまはく、

◎¬蓮華面経¼言、

「仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 師子のもし命終みょうじゅうすれば、 もしは水みずもしは陸くがにあらゆる衆しゅ生じょう、 噉食だんじきせず、 ただ師子ししの身みよりみずから生しょうじたるもろもろの虫むし、 かえってみずから師子ししの完ししむらを噉だん食じきするがごとき、 阿あ難なん、 わが仏法ぶっぽう余よの壊えするにあらず。 これわが法ほうの中なかの、 もろもろの悪あく比丘びく・比丘びく尼に、 みずから毀き壊えするがゆゑにと。」文

「仏告ツゲタマハク↢阿ア難ナンニ↡、如ゴトキ↧師子ノ若モシ命終スレ者バ、若モシハ水若モシハ陸クガニ所ユル↠有アラ衆生、不ズ↢噉食ダムジキセ↡、唯タヾ▼師子ノ身ミヨリ自ラ生ジタル諸モロモロノ蟲ムシ、還カヘテ自ラ噉ダム↦食ジキスルガ師子シシ之ノ完シヽムラヲ↥、阿難、我ワガ之仏法ブチポフ非アラズ↢余ヨノ壊ヱスルニ。是コレ我ワガ法ノ中ノ、諸モロモロノ悪アク比丘ビク・比丘ビク尼ニ、自ミヅカラ毀クヰ壊ヱスルガ故ユヘト。」文

(2) 法事讃文

末法まっぽう弘ぐ通づうの謗難ぼうなんを鑑かんがみて、

鑑カヾミテ↢末法マチポフ弘グ通ヅノ謗難バウナンヲ↡、

善導ぜんどう ¬法ほう事じ讃さん¼ (巻下) にいはく、

善導¬法事讃¼云、

「世せ尊そん法ほうを説ときたまふ時ときまさに了おわらんとして、 慇懃おんごんに弥陀みだの名みなを付ふ属ぞくしたまへり。
五ご濁じょく増ぞうの時ときは多おおく疑ぎ謗ほうせん。 道俗どうぞくあひ嫌きらひて聞きくことを用もちいじ。

「▲世尊説トキタマフ↠法ヲ時トキ将マサシテニ↠了オハラムト慇懃オンゴンニ付フ↢属ゾクシタマヘリ弥陀ノ名ミナヲ↡
五濁増ノ時トキハ多オホク疑ギ謗ハウセム道俗相アヒ嫌キラフテ不ジ↠用モチヰ↠聞キクコトヲ

修しゅ行ぎょうすることあるを見みては瞋毒しんどくを起おこし、 方便ほうべんして破壊はえし競きおいて怨あだを生しょうゼム。
かくのごときの生しょう盲もう闡提せんだいの輩ともがら、 頓とん教ぎょうを毀き滅めつして永ながく沈ちん淪りんせん。

◆見ミテハ↠有アルヲ↢修シユ行ギヤウスルコト↡起オコシ↢瞋毒シンドクヲ↡方便シテ破壊シ競キオイテ生ゼム↠怨アダヲ
如ゴトキ↠此カクノ生シヤウ盲マウ闡提センダイノ輩トモガラ毀クヰ↢滅メチシテ頓教トンゲウヲ↡永ナガク沈チム淪リンセム

大だい地じ微み塵じん劫ごうを超ちょう過かすとも、 いまだ三さん塗ずの身しnを離はなるることを得うべからず。
大衆だいしゅ同どう心しんにみな所しょ有うの破は法ほうの罪つみの因縁いんねんを懴さん悔げせよと。」文

◆超テウ↢過クワストモ大地ヂ微ミ塵ヂン劫ゴフヲ↡未イマズトダ↠可ベカラ↠得ウ↠離ハナルヽコトヲ↢三塗ヅノ身シンヲ↡
大衆同ドウ心ニ皆ミナ懴サム↢悔グヱセヨト所有ノ破法ノ罪ツミノ因縁ヲ↡」文

(3) 行巻文

親鸞しんらん聖しょう人にんいはく、 ¬教行きょうぎょう証しょう¼ (行巻) にいはく、

親鸞聖人曰、¬教行証¼言、

「専心せんしんはすなはち一心なり、 二に心しんなき形かたちなり。 専せん念ねんといふはすなはち一いち行ぎょうなり、 二に行ぎょうなき形かたちなり。 今いま弥み勒ろく付ふ嘱ぞくの一念いちねんすなはちこれ一いっ声しょうなり。 一いっ声しょうすなはちこれ一念いちねんなり。 一念いちねんすなはちこれ一いち行ぎょうなり。 一いち行ぎょうすなはちこれ正しょう行ぎょうなり。 正行しょうぎょうすなはちこれ正しょう業ごうなり。 正しょう業ごうすなはちこれ正しょう念ねんなり。 正しょう念ねんすなはちこれ念仏ねんぶつなり。 すなはちこれ南無なも阿弥陀あみだ仏ぶつなり。」

「▲専心センシム者ハ即スナワチ一心ナリ、形カタチ↠无ナキ↢二心↡也ナリ。云イフ↢専セン念ト↡者ハ即スナワチ一行ナリ、形カタチ↠无ナキ↢二行↡也ナリ。◆今イマ弥ミ勒ロク付フ嘱ゾク之ノ一念ハ即スナワチ是コレ一声ナリ。一声即是一念ナリ。一念即是一行。一行即スナワチ是コレ正行ナリ。正行即スナワチ是コレ正業ゴフナリ。正業即是正念ナリ。正念即スナワチ是コレ念仏ナリ。則スナワチ是コレ南无阿弥陀仏ナリ。」

(4) 述文賛文

憬きょう興ごう師し (述文賛巻下) のいはく、

憬キヤウ興ゴウ師シノ (述文賛巻下) 云イハク、

「仏ぶっ智ち 清浄しょうじょう法界ほっかい 不思議ふしぎ智ち 大だい円えん鏡きょう智ち 不可ふか称しょう智ち 平びょう等どう性しょう智ち 大だい乗じよう広こう智ち 妙みょう観かん察ざっ智ち 無む等とう無む倫りん最さい上じょう勝しょう智ち 成じょう所しょ作智さち」

「▼仏智 清浄シヤウジヤウ法界ホフカイ 不思議フシギ智チ 大円ヱン鏡キヤウ智チ 不可称智 平ビヤウ等ドウ性シヤウ智チ 大乗ジヨウ広コウ智チ 妙メウ観クワン察ザチ智チ 无ム等トウ无ム倫リン最サイ上勝シヨウ智チ 成ジヤウ所シヨ作智サチ」

(5) 四依供仏略頌文

四依しえ供く仏ぶちの略りゃく頌じゅ (北本巻六如来性品意 南本巻六四依凡意)

砂数しゃしゅの仏ぶつ供く養よう人にんに値あふなり

四依シエ供ク仏ブチノ略リヤク頌ジユ

砂数シヤシユ仏ブチ値チ供ク養ヤウ人ニン也ナリ

「熙き連れんに受じゅ持じして誹ひ謗ほうせず 一に恒こう愛あい楽ぎょう、 二に読どく誦じゅ 三に恒こう浅せん義ぎ、 ならびに初しょ依え 四に一いち、 五に八はち、 第だい二依え 六・七に、 十二・四、 三依え 八に恒こう十六、 第だい四依え」

「熙キ連レン受ジユ持ジ不フ 誹ヒ 謗ハウ 一恒コウ愛楽アイゲウ、二読ドク恒 誦ジユ 三恒コウ浅セン義ギ、ビヤウ初シヨ依エ 四恒 一仏性、五恒 八仏性、第ダイ二依エ 六恒 ・七恒 、十二仏性・四仏性、三依エ 八恒コウ十六仏性、第四依エ」

(6) 華厳経文 一

¬華け厳ごん経ぎょう¼ (晋訳巻六〇 入法界品) にのたまはく、

¬華厳経¼言、

「この法ほうを聞ききて信心しんじんを歓かん喜ぎし、 疑うたがいなき者ものは、 すみやかに無む上じょう道どうを成なる。 もろもろの如来にょらいと等ひとしと。」

「▲聞キヽテ↢此コノ法ヲ↡歓クワン↢喜ギシ 信心ヲ↡無ナキ↠疑ウタガヒ者モノハ 速スミヤカニ成ナル↢无上道ダウヲ↡ 与ト↢諸モロモロノ如来↡等ヒトシト」

(7) 涅槃経文 一

¬涅ね槃はん経ぎょう¼ (北本巻二〇梵行品 南本巻一八梵行品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言、

「如来にょらい一切いっさいのためにつね慈じ父母ぶもとなりたまへり。 まさに知しるべし、 もろもろの衆しゅ生じょうはみなこれ如来にょらいの子こなり。 世せ尊そんの大だい慈悲じひ、 衆しゅのために苦く行ぎょうを修しゅしたまふこと、 人ひとの鬼魅きみに著くるわされて狂きょう乱らんして所しよ為い多おおきがごとし。」

「如来為タメニ↢一切ノ↡ 常ツネニ作ナリタマヘリ↢慈ジ父母ブモト↡ 当マサベ ニシ知シル諸モロモロノ衆生ハ 皆ミナ是コレ如来ノ子コナリ 世尊大慈悲 為タメニ↠衆ノ修シタマフコト↢苦ク行ギヤウヲ↡ 如ゴトシ↧人ノ著クルワサレテ↢鬼クヰ魅ミニ↡ 狂キヤウ乱ランシテ多オホキガ↦所シヨ為ヰ↥」

(8) 法華経文 一

¬法華ほけ経きょう¼ (巻二 譬喩品) にのたまはく、

¬法華経¼言、

「もろもろの苦くのもろもろの因いんは、 貪欲とんよくを本ほんとなす。 もし貪とん欲よくを滅めっすれば、 依より止とどまるところなし。」

「諸ノ苦ノ諸ノ因ハ 貪欲ヲ為ス↠本ト 若シ滅スレバ↢貪欲ヨク↡ 无ナシ↠所トコロ↢依ヨリ止トヾマル」

(9) 大経文

¬大だい経きょう¼ (巻下) にのたまはく、

¬大経¼言、

「心しん口くおのおの異ことにして、 言念ごんねん実まことなし。」

「▲心口各オノオノ異コトニシテ、言念無ナシ↠実マコト。」

(10) 涅槃経文 二

¬涅ね槃はん経ぎょう¼ (北本巻三六和尚品意 南本巻三二和尚品意) にのたまはく、

¬涅槃経¼言、

「四し善ぜん事じ悪法あくほう 一利り養よう 二名みょう聞もん 三勝しょう他た 四他た属ぞく 。」

「四善事悪法 一利養 二名聞 三勝他 四他属 。」

(11) 大品経文

¬大品だいぼん経ぎょう¼ (巻一序品) にのたまはく、

¬大品経¼言、

「利り養よう名みょう聞もんを捨すてよと。」 ¬大論だいろん¼ にこの文もんを述じゅつする下したにいはく、 「まさに業ごうに雑毒ぞうどくを捨すつべしといふは、 一いっ声しょう一念いちねんなほこれを具ぐせば、 実心じっしんのなき相そうなり。 内うちを翻ほんじて外ほかを矯かざるといふは、 仮け令りょう外げ相そう不ふ法ほうなれども、 内心ないしん真実しんじつにして往おう生じょうを願がんずれば、 往おう生じょうを遂とぐべきなりと。」云々

「捨ステヨト↢利養名聞ヲ↡。」¬大論ニ¼述ジユツスル↢此コノ文ヲ↡之下シタニ云ク、「当マサベ ニシトイフ↣業ゴフニ捨スツ↢雑毒ヲ↡者ハ、一声一念猶ナホ具グセバ↠之コレヲ、无ナキ↢実心ノ↡相サウ也。翻ホムジテ↠内ヲ矯カザルトイフ↠外ホカヲ者ハ、仮ケ令リヤウ外相グヱサウ不フ法ホフナレドモ、内心真実ニシテ願ズレ↢往生ヲ↡者バ、可ベキ↠遂トグ↢往生ヲ↡也ナリト。」云々

(12) 華厳経文 二

¬華け厳ごん経ぎょう¼ (唐訳巻一四 賢首品) にのたまはく、

▲¬華厳経¼言、

「信しんは道どうの元もととなす、 功く徳どくの母ははなり。 一切いっさいのもろもろの善法ぜんぽうを長じょう養ようす。
疑ぎ網もうを断除だんじょすれば愛あい流るを出いでて、 涅ね槃はん無む上じょうの道どうを開かい示じす。」文

「▲信ハ為ス↢道ノ元モトト↡功徳ノ母ハヽナリ長↢養ス一切ノ諸モロモロノ善法ヲ↡
断↢除スレバ疑網ヲ↡出イデヽ↢愛流ヲ↡開↢示ス涅槃无上ノ道ヲ↡」文

◆道ハ无上道、 元グヱンハ根本ナリ、 諸法ノハジメ也。 マズ成仏セムトオモフニ、 信心ヲモチテミナモトヽス。 ハジメトモスルコトナリ。 ヨロズノ功徳ノハヽニテオハスルナリ。 コノ母ハヽニ一切ノモロモロノ善根オモ修シユシ、 三宝オモ恭敬シ、 供養スルコトヲヤシナイタテヽ、 ウタガヒノコヽロオバナガクノゾキステヽ、 三毒煩悩アイヨクノナガレヲイデヽ、 无上道ニイタルヲ涅槃ヲサトルトハマフスナリ。 涅槃ノサトリヲウレバ、 スナワチ衆生ヲリヤクスルユヘニ、 開示ストハマフスナリ。 シカレバ、 无上道ニイタルトマフスハ自利ナリ、 開示ストマフスハ利他ナリトシラセタマフベシ。

(13) 業報差別経文

¬業報ごうほう差別しゃべつ経きょう¼ にのたまはく、

¬業報差別経¼言、

「高こう声しょうに念仏ねんぶつし読ど経きょうするに、 十種じっしゅの功く徳どくあり。 一にはよく睡眠すいめん ねぶり を遣のぞく、 二は天てん魔ま恐きょう怖ふす、 三は声こえ十方じっぽうに徧へんす、 四は三さん途づの苦くを息やむ、 五には外ほかの声こえ入いらず、 六には心しんをして散ちらさざらしむ、 七には勇ゆう猛みょう精しょう進じんなり、 八は諸仏しょぶつ歓かん喜ぎしたまふ、 九には三昧さんまい現げん前ぜんす、 十にはさだめて浄じょう土どに生しょうずと。」已上抄出

「▼高声ニ念仏シ読経スルニ、有アリ↢十種ノ功徳↡。一ニハ能ヨク遣ノゾク↢睡眠スイメン ネブリ ヲ↡、二ハ天魔マ恐キヤウオドロキ怖フスオソル、三ハ声コヱ徧ヘンス↢アマネシ十方ニ、四ハ三途ヅノ息ヤム↠苦クヲ、五ニハ外ホカノ声コヱ不ズ↠入イラ、六ニハ令シム↢心ヲシテ不ザラ↟散チラサ、七ニハ勇ユ猛ミヤウ精シヤウ進ジンナリ、八ハ諸仏歓クワンヨロコビ喜ギシタマフヨロコブ  、九ニハ三昧マイ 現ゲンアラハル前ゼンスマヘニ、十ニハ定メテ生ズト↢浄土ニ↡。」已上抄出

(14) 諸経文

諸しょ経きょうにのたまはく、

諸経言、

「生うまるればかならず滅めっす、 会あう者ものはさだめて離はなる。 始はじめあれば終おわりあり、 楽たのしみ尽つきては悲かなしみ来きたる。」

「生ルレ者バ必ズ滅ス 会アフ者モノハ定メテ離ル 有アレバ↠始 メ有アリ終オワリ 楽タノシミ尽ツキテハ悲カナシミ来キタル」

(15) 法句譬喩経文

¬法ほっ句く譬喩ひゆ経ぎょう¼ (修行本起経巻下出家品) にのたまはく、

¬法句譬喩経¼言、

「身み強こわけれども病やまいを得うれば砕くだく、 気き盛さかりなれども老おいぬれば衰おとろふるに至いたる。 死ししては亡ほろぶ、 生いきては別わかれ離はなる。 いかんが世せ間けんを楽このまんと。」

「身ミ強コワケレドモ得ウレバ↠病ヤマウヲ砕クダク 気キ盛サカリナレドモ老オイヌレバ至イタル↠衰オトロフルニ 死シテハ亡ホロブ生イキテハ別ワカレ離ハナル 云何イカンガ楽コノマムト↢世セ間ケンヲ↡」

(16) 焼法門誦文

法門ほうもんを焼やく誦文じゅもん (大智度論巻一一初品意) 三反べん

▲焼ヤク↢法門ヲ↡誦文ジユモン 三反

「もろもろの法ほうは縁えんより生しょうず、 この法ほう縁えんより滅めっす。 如来にょらいこの因いんを説ときたまふ。 これ大だい沙門しゃもんの説せつなり。」

「諸モロモロノ法ホフハ従ヨリ↠縁エン生ズ 此コノ法従ヨリ↠縁エン滅メチス 如来説トキタマフ↢是コノ因ヲ↡ 是コレ大沙門ノ説ナリ」

(17) 親鸞夢記文

¬親鸞しんらん夢記むき¼ にいはく、

¬親鸞夢記¼云、

「六角ろっかく堂どうの救世くせ大だい菩ぼ薩さつ、 顔容げんよう端たん政じょうの僧そう形ぎょうを示じ現げんして、 白びゃく納のうの御おん袈裟けさを服ふく著ちやくせしめて、 広大こうだいの白びゃく蓮れんに端たん座ざして、 善信ぜんしんに告ごう命みょうしてのたまはく、

「▲六角堂ノ救世クセ大菩薩、示ジ↢現ゲンシテ顔容ゲンヨウ端タン政ジヤウ之ノ僧ソウ形ギヤウヲ↡、令シメテ↣服フク↢著チヤクセ白ビヤク納ノウノ御袈裟ケサヲ↡、端タン↢座ザシテ広大ノ白蓮ニ↡、告↢命シテ善信ニ↡言ク、

行ぎょう者じゃ宿しゅく報ほうにてたとひ女にょ犯ぼんすとも、 われ玉ぎょく女にょの身みとなりて犯ぼんせられん
一いっ生しょうの間あいだよく荘しょう厳ごんして、 臨りん終じゅうに引いん導どうして極楽ごくらくに生しょうぜしめん。 文

◆行ギヤウ者ジヤ宿シウシウ報ホウホウニテ設タトセチヒ女ニヨ犯ボムボムストモ
我ワレ ガ 成ナリテジヤウ↢玉ギヨクギヨク女ニヨニヨノ身ミシント↡被ラピ レム↠犯ボムボムセ
一生シヤウ之ノ シ 間アヒダ ケン 能ヨノウク荘シヤウシヤウ厳ゴムゴムシテ
臨リムリム終ジユジユニ引インイン導ダウダウシテ生シヤウゼシメム↢極楽ニ↡ 文

救世くせ菩ぼ薩さつ、 この文もんを誦じゆしてのたまはく、 この文もんは、 わが誓願せいがんなり。 一切いっさい群ぐん生じょうに説とき聞きかすべしと告ごう命みょうしたまへり。 この告ごう命みょうによりて、 数かず千万せんまんの有う情じょうにこれを聞きかしむと覚おぼえて、 夢ゆめ悟さめ了おわりぬ。」

◆救世クセ菩薩、誦ジユシテ↢此コノ文ヲ↡言ク、此コノ文ハ、吾ワガ誓願セイガンナリ。一切群グン生ニ可ベシト↢説トキ聞キカス↡告ガウ命ミヤウシタマヘリ。因ヨテ↢斯コノ告ガウ命ミヤウニ↡、数カズ千万センマンノ有ウ情ジヤウニ令シムト↠聞キカ↠之 コレヲ覚オボエテ、夢ユメ悟サメ了ヌ。」

*聖しょう人にん六角ろっかく堂どう御おん夢む想そうの記きこの所ところにこれあり。 一枚いちまい半はんなり。 仰おおせによりて抜ぬき出いだし、 御おん掛物かけものに仰おおせつけらるるなり。
享きょう保ほう十四 己つちのと酉とり 年五月廿四日

聖人六角堂御夢想之記此所に有之 壹枚半也 依仰抜出し御掛物に被仰付也
享保十四 己酉 年五月廿四日

(18) 浄土本縁経文 一

¬観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつ往おう生じょう浄じょう土ど本縁ほんえん経ぎょう¼ にのたまはく、

¬観世音菩薩往生浄土本縁経¼言、

「もし重おもき業ごう障しょうありて浄じょう土どに生うまるる因いんなからむものは、 弥陀みだの願力がんりきに乗じょうじぬればかならず安楽あんらく国こくに生しょうず。」

「▲若モシ有アテ↢重オモキ業ゴフ障シヤウ↡ 无ナカラムモノハ↧生ムマルヽ↢浄ジヤウ土ドニ↡因インタネ↥ 乗ジヌレバ↢弥陀ノ願力ニ↡ 必ズ生ズ↢安楽国ニ↡」

(19) 浄土本縁経文 二

また (浄土本縁経) のたまはく、

▲又言、

「もし人ひと多おおくの罪つみを造つくれば、 地じ獄ごくの中なかに堕おつべし。 わずかに弥陀みだの名みなを聞きけば、 猛みょう火か清涼しょうりょうとなる」 と。

「若モシ人造ツクレバ↢多オホクノ罪ツミ↡ 応ベシ↠堕オツ↢地獄ノ中ナカニ↡ 纔ワヅカニ聞キケバ↢弥陀ノ名ミナヲ↡ 猛ミヤウ火クワ為ナル↢清涼シヤウリヤウト↡」

(20) 観仏三昧経文

¬観仏かんぶつ三昧ざんまい経きょう¼ にのたまはく、

¬観仏三昧経¼言、

「無始むしよりこのかたの無む量りょうの罪つみ、 今こん世ぜに犯おかすところの極ごく重じゅう悪あく、
日日にちにち夜夜ややに作なすところの罪つみ、 念念ねんねん歩歩ぶぶに起おこすところの罪つみ、
念仏ねんぶつの威い力りきにてみな生しょう滅めつす。 命終みょうじゅうして決けつ定じょうして極楽ごくらくに生しょうず」 と。 文

「无始ムシヨリ已来コノカタノ无量ノ罪ツミ今世ニ所トコロノ↠犯オカス極ゴク重悪ヂウアク
日日夜夜ヤヤニ所トコロノ↠作ナス罪ツミ念念歩歩ブブニ所トコロノ↠起オコス罪ツミ
念仏ノ威ヰ力ニテ皆ミナ生滅ス命終シテ決定シテ生ズト↢極楽ニ↡」文

(21) 平等覚経文

¬平びょう等覚どうがく経きょう¼ にのたまはく、 帛延はくえん三蔵さんぞう

¬平等覚経¼言、 帛延ハクエン三蔵サムザウ

「十方じっぽう三さん世ぜの仏ぶつと一切いっさいのもろもろの菩ぼ薩さつ、 一切いっさいのもろもろの聖教しょうぎょう、 みなこれ阿弥陀あみだなり。」

「▲十方三世ノ仏ト 一切ノ諸ノ菩薩 一切ノ諸モロモロノ聖教 皆ミナ是コレ阿弥陀ナリ」

(22) 法華経文 二

¬法華ほけ経きょう¼ (巻二) にのたまはく、 「譬喩品」

¬法華経¼言、「譬喩ヒユ品ボム」

「華け光こう仏ぶつの住じゅう世せの寿いのち十二小しょう劫こうなり。 その国くにの人民にんみん衆しゆ、 寿じゆ命みょう八小しょう劫こうなり。」

「華クヱ光クワウ仏ブチノ住ヂユ世セノ 寿イノチ十二小劫コフナリ 其ソノ国クニノ人民ニンミン衆シユ 寿ジユ命ミヤウ八小劫ナリ」

(23) 法華経文 三

同おなじき ¬経きょう¼ (法華経巻四)、 「五ご障しょうといふは、 一は梵天ぼんてん王のう、 二は帝たい釈しゃく、 三は魔ま王おう、 四は転輪てんりん聖じょう王おう、 五は仏身ぶっしん。」

同¬経¼、 「提婆達多品」「五ゴ障シヤウト者イフハ 一者ハ梵ボム天王、二者ハ帝タイ釈シヤク、三者ハ魔マ王ワウ、四者転輪テンリン聖ジヤウ王ワウ、五者仏身ブチシン。」

(24) 法華経文 四

同おなじき ¬経きょう¼ (法華経巻四) にのたまはく、 「安楽行品」

同¬経¼言、「安楽行品ボム」

「外げ道どう梵ぼん士じ尼に健けん子し等とう。」

「外道グヱダウ梵ボム士ジ尼ニ健ケン子シ等トウ。」

(25) 法華経文 五

同おなじき ¬経きょう¼ (法華経巻六)に、 「薬王品」

同¬経¼、「薬王品」

「如来にょらい滅めつ後ご、 後ご五ご百ひゃく歳さい中ちゅう、 もし女人にょにんありてこの経きょう典てんを聞ききて説せつのごとくに修しゅ行ぎょうせば、 この命終みょうじゅうにおいて、 すなはち安楽あんらく世せ界かい阿弥陀あみだ仏ぶつのみもとに住じゅうす。」

「如来滅後、後五百歳中、若有女人聞是経典如説修行、於此命終、即住安楽世界阿弥陀仏。」

 

延書は底本の訓点にしたがって有国が行った。 なお、 表記は現代仮名遣いとしている。
底本は高田派専修寺蔵真仏上人書写本。
本文にはない。 解説より抜粋して補足。