巻上

1043ほん0075がんしょうにん親鸞しんらんでん じょう

 

 出家学道

【1】 ^それしょうにん (*親鸞)ぞくしょう藤原ふじわらうじ*あまつ児屋こやねのみことじゅういっびょうえいたいしょっかん *かまこのない大臣だいじん 玄孫げんそんこのえのたいしょう大臣だいじん ぞう大臣だいじん じゅいち*内麿うちまろこう ながおかの大臣だいじんごうし、 あるいはかんいんの大臣だいじんごうす。 ぞうしょういちじょう大臣だいじん*房前ふさざきこうのまごだいごんしききょうたてのそくなり 六代ろくだい後胤こういんひつのさいしょうありくにのきょう*だいまご*こう太后たいごうぐうの大進だいしん*有範ありのりなり。

^しかあればちょうていつかへて*霜雪そうせつをもいただ*0076さんにわしりてえいをもひらくべかりしひとなれども、 興法こうぼういんうちにきざし、 *しょうえんほかにもよおししによりて、 *さいはるのころ、 はくじゅさん*のりつなのきょう ときじゅ四位しいじょうさきの若狭わかさのかみしらかわのじょうこう近臣きんしんなり、 しょうにん (親鸞) のよう さきのだいそうじょう *えんちんしょうこれなり、 *ほうしょう殿どののそく*月輪つきのわ殿どののちょうけい ぼうへあひしたてまつりて、 鬢髪びんぱつ剃除ていじょしたまひき。 *範宴はんねんしょうごんのきみごうす。

^それよりこのかた、 しばしば*南岳なんがく天台てんだい玄風げんぷうとぶらひて、 ひろく*三観さんがんぶつじょうたっし、 とこしなへに*りょうごんかわりゅうたた1044へて、 ふかく*きょうえんにゅうにあきらかなり。

 吉水入室

【2】 だいだん

 ^**建仁けんにん第一だいいちれきはるのころ しょうにん (親鸞) じゅうさい 隠遁いんとんこころざしにひかれて、 *源空げんくうしょうにん*吉水よしみず禅房ぜんぼうにたづねまゐりたまひき

^これすなはちくだり、 ひとつたなくして、 *なんぎょうしょうまよひやすきによりて、 *ぎょうだいどうにおもむかんと0077なり。 *しんしゅう紹隆しょうりゅうたいしょうにん (源空)、 ことにしゅう淵源えんげんつくし、 きょう理致りちをきはめて、 これをのべたまふに、 たちどころに*りきせっしょう旨趣しいしゅ受得じゅとくし、 あくまで*ぼんじきにゅう*真心しんしんけつじょうしましましけり

 六角夢想

【3】 だいさんだん

 ^*建仁けんにん三年さんねん *みずのとのい がついつかのひ*とらのときしょうにん (親鸞) そうげましましき。

^*かの ¬¼ にいはく、 ^*六角ろっかくどう*救世くせさつ顔容げんよう端厳たんごんしょうそうかたち*げんして、 *びゃくのう*袈裟けさちゃくぶくせしめ、 広大こうだいびゃくれんたんして、 善信ぜんしん (親鸞)ごうみょうしてのたまはく、 「*ぎょうじゃ宿しゅくほうせつ女犯にょぼん じょうぎょくにょしんぼん いっしょうけんのうしょうごん りんじゅう引導いんどうしょう極楽ごくらく」 といへり。 救世くせさつぜん0078しんにのたまはく、 「これはこれ、 わが誓願せいがんなり。 善信ぜんしんこの誓願せいがん旨趣しいしゅ宣説せんぜつして、 一切いっさい*ぐんじょうにきかしむべし」 とうん1045ぬん

^そのとき善信ぜんしんゆめのうちにありながら、 どうしょうめんにして東方とうぼうをみれば、 *峨々ががたる岳山がくざんあり。 その高山こうざん千万せんまんおく*じょうくんじゅうせりとみゆ。 そのときごうみょうのごとく、 このもんのこころを、 かのやまにあつまれるじょうたいしてききかしめをはるとおぼえて、 ゆめさめをはりぬと云々うんぬん

^つらつらこのろくひらきてかのそうあんずるに、 ひとへにしんしゅうはんじょうずい*念仏ねんぶつこうひょうなり。 しかあればしょうにん (親鸞)のちときおおせられてのたまはく、 ^ぶっきょうむかし西天さいてん (印度) よりおこりて、 きょうろんいまとう (日本)つたはる。 これひとへにじょうぐうたい (*聖徳太子)広徳こうとくやまよりもたかくうみよりもふかし。 わがちょう欽明きんめい天皇てんのう*ぎょに、 これをわたされしによりて、 すなはちじょう*しょうきょうろんとうこのときにらいす。 儲君ちょくん (聖徳太子) もし厚恩こうおんほどこしたまはずは、 *ぼんいかでか0079*ぜいにあふことをん。 救世くせさつはすなはち儲君ちょくん*ほんなれば、 *すいしゃく興法こうぼうがんをあらはさんがためにほん尊容そんようをしめすところなり。

^そもそも、 まただいしょうにん 源空げんくう もしけいしょせられたまはずは、 われまた配所はいしょにおもむかんや。 もしわれ配所はいしょにおもむかずんば、 なにによりてかへん群類ぐんるいせん。 これなほきょうおんなり。

^だいしょうにんすなはち*せいしんたいまた*観音かんのん*すいしゃくなり。 このゆゑにわれさつ1046*引導いんどうじゅんじて、 如来にょらい*本願ほんがんをひろむるにあり。 しんしゅうこれによりてこうじ、 念仏ねんぶつこれによりてさかんなり。

^これ*しかしながら、 しょうじゃきょうによりて、 さらに*まい今案こんあんをかまへず、 かのだいじゅうがん、 た0080*いちぶつみょう専念せんねんするにたれり。 いまぎょうじゃあやまりて*きょうつかふることなかれ、 ただちに本仏ほんぶつ (*阿弥陀仏)あおぐべし」 と云々うんぬん

^かるがゆゑにしょうにん親鸞しんらんかたわらに皇太こうたい (聖徳太子)あがめたまふ。 けだしこれ仏法ぶっぽう*ずうのおほいなるおんしゃせんがためなり。

 蓮位夢想

【4】 だいだん

 ^*けんちょう八年はちねん ひのえたつ がつここぬかのひ*とらのときしゃくの*れんそうげにいはく、 しょうとくたい親鸞しんらんしょうにんらいしたてまつりてのたまはく、 ^きょうらいだい弥陀みだぶつ 妙教みょうきょうずうらいしょうじゃ じょくあくあくかいちゅう けつじょう即得そくとくじょうかく」 。

^しかれば、 祖師そししょうにん (親鸞) は、 弥陀みだ如来にょらいしんにてましますといふことあきらかなり。

0081 選択付属

【5】 だいだん

 ^*黒谷くろだに先徳せんどく 源空げんくう ざいのむかし、 矜哀こうあいのあまり、 あるとき恩許おんきょこうぶりて*製作せいさく見写けんしゃし、 あるとき真筆しんぴつくだしてみょうきたまはす。

^すなはち ¬けんじょう方便ほうべんしん文類もんるい¼ のろくにのたまはく、 親鸞しんらんしょうにんせんじゅつ^しかるに*禿とくしゃくのらんけん1047にんかのとのとりれき*ぞうぎょうてて本願ほんがんし、 げんきゅうきのとのうしとし恩恕おんじょこうぶりて ¬せんじゃく¼ (*選択集)く。 おなじきとししょ中旬ちゅうしゅんだいにち、 ªせんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅうº の内題ないだい、 ならびに ª南無なも0082弥陀みだぶつ おうじょうごう 念仏ねんぶつほんº と ªしゃくのしゃくくうº と、 くう (源空)真筆しんぴつをもつてこれをかしめたまひ、

^おなじきくう*真影しんねいもうあずかり、 図画ずがしたてまつる。 おなじきねんうるう七月しちがつじゅんだいにち真影しんねいめいは、 真筆しんぴつをもつて ª南無なも弥陀みだぶつº と ªにゃくじょうぶつ 十方じっぽうしゅじょう しょう<