し 止 梵語シャマタ (śamatha) の意訳。 奢摩他と音訳し、 止息・寂静などとも意訳する。 散乱した心を離れ、 思いを止めて心が寂静になった状態のこと。 観とあわせて止観といわれる。 天親は ¬浄土論¼ に 「いかんが作願する。 心につねに願を作し、 一心にもつぱら畢竟じて安楽国土に往生せんと念ず。 如実に奢摩他を修行せんと欲するがゆゑなり」 といい、 作願門を一心に往生を願い、 奢摩他の行を如実に修しようとすることとしている。 曇鸞はこれをうけて ¬論註△¼ に奢摩他を 「止」 と意訳することについて、 ①如来の名号と浄土の名が一切の悪を止めること、 ②安楽国に往生すれば自然に身・口・意の悪を止めること、 ③阿弥陀仏の正覚の力が自然に二乗を願う心を止めること、 の三義が含まれると示している。 さらに、 「この三種の止は如来の如実の功徳より生ず」 と述べ、 止の根源には本願のはたらきがあることを指摘している。