ろくじしゃく 六字釈 南無阿弥陀仏の六字についての解釈のこと。 ❶善導の六字釈。 善導は 「玄義分」 において、 南無阿弥陀仏について、 「南無」 は 「帰命」 「発願回向」、 「阿弥陀仏」 は 「即是其行」 の義であり、 浄土往生に必要なとが六字にそなわっていると主張している。 しょうろん宗の学徒が、 ¬観経¼ 下品下生に説かれる念仏釈尊別時意の説であって唯願ゆいがんぎょうであると論難したことに対するもので、 これを願行具足の六字釈という。 →別時意会通。 ❷親鸞の六字釈。 善導の意をうけた親鸞は 「行巻」 において、 六字全体の意味を 「帰命 (仏の勅命)」 と 「発願回向 (仏の発願回向)」 と 「即是其行 (仏の行徳)」 の三義であらわし、 善導が衆生の上で説いた南無阿弥陀仏の意味を、 すべて阿弥陀仏の上で解釈することによって、 智慧慈悲をそなえている名号の本質的な意義を明らかにしている。 また、 ¬銘文¼ では、 「帰命」 「発願回向」 を衆生の信心と解釈し、 善導をうけて衆生の上での解釈も示している。 すなわち、 「行文類」 は他力回向の法としての名号の解釈であり、 ¬銘文¼ は他力回向の名号が衆生の上ではたらいていることを解釈したものであるといえる。 ❸蓮如の六字釈。 蓮如は、 善導・親鸞の解釈をうけて ¬御文章¼ 3帖目第8通、 5帖目第13通等において、 「南無 (信心)」 の二字と 「阿弥陀仏 (法)」 の四字にわける解釈や、 六字全体を機、 または法とする解釈をしている。 →機法一体