にしゅえこう 二種回向 往相回向と還相回向のこと。 往相とは往生浄土の相状、 還相とは還来穢国の相状の意。 曇鸞は ¬論註¼ においてこれらの回向を浄土願生者のとし、 往相回向とは自己の功徳を一切衆生にふりむけて自他ともに往生しようとすること、 還相回向とは浄土に往生してのち、 再び迷いの世界に還り来て、 衆生きょうすることとした。 親鸞はこれらの回向を本願力廻向であるとして、 回向の主体を阿弥陀仏であるとした。 衆生が往生成仏する因果である往相も、 証果を開いて後の還相のはたらきも、 阿弥陀仏が衆生に施し与えるものとする。 親鸞は往相回向を教・行・信・証の四法として明かし、 その証の内容として還相が回向されることを示した。 「教巻」 に 「つつしんで浄土真宗を案ずるに、 二種の回向あり。 一つには往相、 二つには還相なり。 往相の回向について真実の教行信証あり」、 「証巻」 に 「還相の回向といふは、 すなはちこれ利他教化地の益なり」 とある。 →補註12