いのり 神仏などの聖なるものと人間との内面的なまじわりを意味し、 仏教においても菩薩天神地祇などに向かってやくを求め、 救いを願う意で用いられる。 しかし、 親鸞は ¬高僧和讃¼ に 「仏号むねと修すれども 現世をいのる行者をば これも雑修となづけてぞ 千中無一ときらはるる」 と示し、 現世の利益を求めて念仏することを否定している。 なお、 ¬御消息¼ 第25通には 「それにつけても念仏をふかくたのみて、 世のいのりにこころをいれて、 申しあはせたまふべしとぞおぼえ候ふ」、 第43通には 「念仏そしらんひとびと、 この世・のちの世までのことを、 いのりあわせたまふべく候ふ」 とあり、 本願に出遇った上で世の中が安穏であってほしいと願う意で 「いのり」 の語が用いられている。