とこのげるい 屠沽の下類 元照の ¬阿弥陀経義疏△¼ (信巻引文)、 戒度の ¬聞持記△¼ (信巻引文) に出る語。 親鸞は ¬唯信鈔文意¼ の中でこれを解釈して、 「屠はよろづのいきたるものをころし、 ほふるものなり、 これはれふしといふものなり。 沽はよろづのものをうりかふものなり、 これはあき人なり。 これらを下類といふなり」 といい、 殺生を生業とする猟師・漁師、 物を売り買う商人のことであるとする。 つづいて、 ¬五会法事讃¼ の 「能令瓦礫変成金」 の解釈を通して、 「れふし・あき人、 さまざまのものはみな、 いし・かはら・つぶてのごとくなるわれらなり。…れふし・あき人などは、 いし・かはら・つぶてなんどをよくこがねとなさしめんがごとしとたとへたまへるなり」 と、 自身は猟師 (漁師) や商人と同じであり、 社会的に 「下類」 とみなされた人々と立場を共にして、 石・瓦・礫のような私たちが、 阿弥陀仏より回向された信心によって、 「弥勒に同じ」、 「諸仏とひとし」 といわれる 「こがね」 のような尊厳な徳をもつものに転成せしめられるという。 →補註4。