えこう 回向 梵語パリナーマ (pariṇāma)、 あるいはパリナーマナー (pariṇāmanā) の意訳。 回はめぐらすこと、 向はさしむけること。 自己の善行の功徳を自身の菩提、 または他にめぐらしさしむけること。 ❶浄影寺慧遠は回向を3種に分ける。 自らの修めた善根を自らのさとりのためにふりむける菩提回向、 自らの修めた善根を他の人々を救うためにふりむける衆生回向、 自ら善根を修め空真如の理にかなっていこうとする実際回向の三。 浄土教では、 自らの修めた善根をふりむけて浄土に向かう善根回向と、 此土への想いをひるがえして彼土 (浄土) に向かう回此向彼の意味とがある。 後者の場合は発願と同意。 ❷浄土真宗では、 阿弥陀仏が本願力をもって、 その功徳を衆生にふり向けること (他力回向・本願力回向) をいい、 往相回向と還相回向との2種の回向があるとする。 →二種回向、 補註12。 ❸五念門の一。 ❹追善回向のこと。 ❺勤行の最後に唱えられる文のこと。 「玄義分」 の 「願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽国 (願はくはこの功徳をもつて、 平等に一歳に施し、 同じく菩提心を発して、 安楽国に往生せん)」 が多く用いられる。