ゆいしんしょうもんい 唯信鈔文意 1巻。 親鸞の著。 本書は親鸞が、 同じ法然門下の先輩にあたる聖覚の著した ¬唯信鈔¼ について、 その題号および引用された経釈の要文に註釈を施したものである。 このなか題号および初めの3文 (法照の ¬五会法事讃¼ の文、 慈愍三蔵の文、 善導の ¬法事讃¼ の文) については、 教義的に重要な註釈が詳細に施されている。
親鸞が聖覚の ¬唯信鈔¼ を尊重し、 また門弟にしばしばこれを熟読するよう勧めていることは、 御消息の記事や数回にわたる書写の事実などから知られるところである。 しかし ¬唯信鈔¼ には引文された経釈の文について詳細な解釈がなされていない。 本書は巻末の文からもうかがえるように、 この ¬唯信鈔¼ の要文を解釈し、 人々がその意を受け取りやすいように懇切に説き示されるとともに、 「極楽無為涅槃界」 を註釈した文に見られるような深遠な解釈を施して、 浄土真宗の法義をより明らかにしたものである。
高田派専修寺に康元2年 (1257) の奥書を持つ親鸞真跡本が2本 (正月11日本・正月27日本) と正嘉元年 (1257) 8月19日の奥書を持つ鎌倉時代書写本が所蔵されている。