ゆいしん 唯信 親鸞の門弟。 ¬御消息¼ 第31通は唯信宛である。 ¬交名きょうみょうちょう¼ には唯信という名が、 親鸞の直弟として2カ所 (常陸国奥郡住・会津住) にみられ、 孫弟子として、 順信 (常陸之鹿島住) の門下、 信願 (下野那須住) の門下の2カ所にも出る。 親鸞直弟の唯信は次の二者が知られているが、 ¬御消息¼ に出る唯信との異同は明らかではない。 ❶ (生没年未詳) 二十四輩の第二十二。 戸森の唯信。 宍戸氏の出身とも飯沼氏の出身ともいう。 稲田きょうしていた親鸞を訪ねてその門弟となり、 鎌倉幕府の一切経きょうごう (¬口伝鈔¼ 第8条) に招かれた親鸞を助けたと伝えられる。 また、 親鸞の命により河内国で教化したともいわれる。 唯信寺 (茨城県笠間市)、 専往寺 (大阪府大東市) の開基とされる。 ❷ (生没年未詳) 二十四輩の第二十三。 幡谷の唯信。 もと常陸国南郡橘郷幡谷 (現在の茨城県小美玉市) の領主で幡谷信勝と称したといい、 鹿島神宮に参拝途中の親鸞一行に出会い、 その門弟になったという。 また、 もと近江源氏の一族で佐々木高重と称する人物であったともいわれる。 信願寺 (茨城県水戸市)、 覚念寺 (茨城県日立市) の開基とされる。