そんごうしんぞうめいもん 尊号真像銘文◎ 2巻。 親鸞の著。 ¬銘文¼ ともいう。 親鸞が、 その当時に本尊として安置された名号や祖師の絵像の讃文を集め、 その内容を解説されたもの。 題号のうち、 「尊号」 とは本尊としての名号という意味で、 六字・九字・十字などの名号があるが、 その讃文からみて十字名号であろうと推定される。 また 「真像」 とは善導・法然などの浄土真宗伝統の祖師の肖像画のことである。 そしてそれらの名号や絵像の上下に書かれた経典などの讚文のことを 「銘文」 という。
その内容は、 本願力によって、 どのようなものも本願を信じるそのときに正定聚の位にさだまり、 往生と同時に仏のさとりを開くという浄土真宗の法義を解説し、 またその法義を示された祖師がたを讚嘆したものである。
本書には、 建長7年 (1255)、 親鸞83歳の真跡本 (福井県法雲寺旧蔵) と、 正嘉2年 (1258)、 親鸞86歳の真跡本 (高田派専修寺蔵) が現存している。 建長7年本は1巻で、 ¬大経¼ の3文、 ¬浄土論¼ の2文、 智栄の1文、 劉官 (隆寛) の1文、 善導の3文、 源信の1文、 法然の3文、 聖覚の1文、 親鸞自身の1文の合計9種16文をあげるのに対し、 正嘉2年本は本末2巻に分かれ、 本巻は ¬大経¼ の3文、 ¬首楞厳経¼ の1文、 ¬十住毘婆娑論¼ の1文、 ¬浄土論¼ の2文、 迦才の1文、 智栄の1文、 善導の3文、 太子礼讃の2文、 末巻は源信の1文、 劉官 (隆寛) の1文、 法然の3文、 聖覚の1文、 親鸞自身の1文の合計13種21文をあげている。 こうした形態の相違から、 前者は略本、 後者は広本とも称されるが、 それぞれに編集意図が異なり、 単なる広略の差ではないとされる。