にゅうしゅつにもんげじゅ 入出二門偈頌 1巻。 親鸞の著。 ¬入出二門偈¼ ¬二門偈¼ などともいう。 天親の ¬浄土論¼ に示された入出二門と、 曇鸞・道綽・善導の釈義とを讚嘆する偈頌。
初めに ¬浄土論¼ の 「願生偈」 によって、 天親が真実の教にしたがって阿弥陀仏に帰命していることを讚え、 さらに曇鸞の解釈にもとづいて、 「願生偈」 がまったく阿弥陀仏の本願力を讚嘆するものと理解されている。
すなわち礼拝・讚嘆・作願・観察・回向の五念門の行と、 それに応じて得る近門・大会衆門・宅門・屋門 (入の四門)・園林遊戯地門 (出の第五門) の五功徳門 (入出二門) について、 元来は行者が修める行とその功徳として論じられていたものを、 親鸞はすべて法蔵菩薩 (阿弥陀仏) が修めたところとみなしている。 こうした解釈は、 曇鸞が ¬浄土論¼ の文にしたがって五念門と五功徳門を論じつつ、 最後にそのすべてが阿弥陀仏の本願力によることを明らかにし、 他力の深義を示している意をうけたものである。
さらに道綽の聖浄二門の釈義を讚え、 善導が念仏成仏の法門を真宗といい、 一乗海とよび、 信心の行者を称讚されたことを述べている。
著述の年代についての定説はないが、 現存する諸本から親鸞80歳頃 (建長4年・1252) とするのが有力である。 古写本に高田派専修寺蔵建長8年真仏書写本 (福井県法雲寺旧蔵書写本)、 本願寺派本願寺蔵蓮如書写本、 茨城県聖徳寺蔵室町時代書写本などがある。