じょうどしんようしょう 浄土真要鈔 2巻。 存覚の著。 ¬真要鈔¼ ともいう。 元亨4年 (1324) 存覚35歳のとき、 了源の求めによって著されたもので、 問答を通して浄土真宗の要義を詳論している。 安心あんじん上の問題を種々含んでいる ¬浄土文類集¼ (著者不明) という書がもととなっており、 存覚はこの書の疑義のある点を修正し、 浄土真宗の正統な立場より論を展開する。
 本末二巻に分かれ、 本巻冒頭の総論にあたる部分において、 まず一向専修念仏けつじょう往生の肝心といい、 その旨趣を善導法然親鸞の伝統の上に論じてている。 以下巻末にいたるまで14の問答を展開して、 親鸞の浄土真宗の一流は、 平生へいぜいごうじょう不来迎を肝要とする旨を主として説示されている。 まず第一問答においては平生業成、 不来迎の宗義について明らかにし、 第二問答において、 その理由として第十八願第十八願成就文について論じている。 末巻に至って、 まず第三問答においては現生不退について論証し、 第四問答では、 ¬観経¼ 下品下生一生造悪の者が臨終善知識にあい、 往生をとげるのは、 平生業成の義と矛盾しないことの釈明がなされている。 第五・六問答においては第十八願文の十念成就文一念について釈し、 平生業成と一念往生について詳論している。 第七・八・九問答において臨終来迎は念仏のやく諸行の利益かについて論じ、 第十問答は念仏と諸行の利益の相違について明らかにしている。 第十一・十二・十三問答においては、 胎生化生報土化土について分別し、 最後の第十四問答においては、 善知識について論及している。
 本書には広略2本がある。 広本は本願寺派本願寺蔵永享10年蓮如書写本が、 略本は大谷大学蔵 (浅野氏旧蔵) 建武5年書写本、 石川県専光寺蔵存如・蓮如書写本などが、 それぞれ伝存する。