じょうどさんぎょうおうじょうもんるい 浄土三経往生文類 1巻。 親鸞の著。 ¬三経往生文類¼ ともいう。 書名の 「三経往生」 とは大経往生、 観経往生、 弥陀経往生の三つをいう。
大経往生とは、 ¬大経¼ にもとづいて阿弥陀仏の第十八願の法を信じ、 現生に正定聚に住して真実報土の往生をとげることであり、 これを難思議往生という。 ここでは、 第十八願・十一願の願文や成就文によってそれが示され、 さらに ¬論註¼ の文で助顕されている。
観経往生とは、 ¬観経¼ 顕説の教えにもとづいて、 自力心をもって諸善万行を修し、 方便化土に往生することであり、 これを双樹林下往生という。 ここでは、 第十九願の願文と成就文、 第二十八願の成就文、 ¬悲華経¼ の文によってそれが示され、 さらに ¬往生要集¼ の文によって報土と化土の違いがあらされている。
弥陀経往生とは、 ¬小経¼ 顕説の教えにもとづいて、 自力の称名を行じ、 七宝の牢獄といわれる疑城胎宮に往生することであり、 これを難思往生という。 ここでは、 第二十願の願文・成就文によってそれが示され、 「定善義」 や ¬述文賛¼ の文で助顕されている。
このように本書は、 いわゆる三願・三経・三往生という真宗教義の基本を簡潔に述べたものである。
なお本書には広略の二本があり、 略本は、 建長7年 (1255) 親鸞83歳の時に著されたもの (本願寺蔵親鸞真跡本) が現存する。 広本は、 略本と ¬如来二種廻向文¼ とが統合整理されたものと考えられており、 大経往生の部分で第十七願の願文や成就文等が加えられている。 康元2年 (1257) 親鸞85歳の時に書写されたもの (興正派興正寺蔵鎌倉時代伝親鸞真跡本) が現存する。