じねん 自然 人為的なものに対して、 人為をからず、 おのずからそうなっていること。 この場合は 「自ずからしかり」 と読む。 また、 親鸞は 「自ずから然らしむ」 と読み、 人間のはからいを超えた阿弥陀仏のはからいによる救いをあらわす語とした。 一般的には次の3種に分類される。 ①業道自然。 善悪の行為によって因果法則どおりに結果を生ずること。 「自ずから然り」 という意にあたる。 ¬大経¼ 「五善五悪」 (五悪段) の用例の多くはこの意であるが、 親鸞は 「自然」 の語をこの意で用いることはない。 ②願力自然。 「自ずから然らしむ」 という他力の意。 阿弥陀仏の本願力を信じ、 願力にまかせる行者は、 何のはからいもなく本願力によって自ずから浄土往生せしめられることをいう。 ③無為自然。 さとりの世界は有無の分別を離れ、 分別による限定を超えた絶対無限の境地であることをいう。 親鸞は③の場合も、 「自ずから然り」 という静的なものではなく、 「自づから然らしむ」 という動的な救済活動の根源としての意味をもつものとする。