いちねんたねん 一念多念 一念義多念義のこと。 またこれらをめぐる教学論争を一念多念のじょうろんなどという。 一念義は、 浄土往生信心ひとつでけつじょうする、 または一声の称名で決定するとし、 その後の称名を軽視する。 多念義は、 一生涯、 数多くの念仏を称え、 臨終来迎らいこうをまって浄土往生が決定すると主張する。 一念義と他念義の論争は、 法然の存命中からみられ、 その示寂後も続いた。 法然の門下である隆寛は ¬一念多念分別事¼ を著して、 一念や多念に偏執してはならないと諭した。 親鸞の門下にもこの論争が生じており、 親鸞は、 隆寛の ¬一念多念分別事¼ を註釈した ¬一念多念文意¼ を著し、 また ¬御消息¼ 第41通などで、 一念多念の争いが誤りであることを示している。