いちまいきしょうもん 一枚起請文 法然の著で、 晩年の念仏りょうが述べられている。 建暦2年 (1212) に臨終の病床にあった法然が源智に与えたもの。 内容は2段に分かれる。 第1段では、 自身の念仏は、 一般に行われているのすがたを観ずる念仏や、 学問をして念仏の意義を知って称える念仏ではなく、 ただ南無阿弥陀仏と申せば往生せしめられると信じて称えているほかにはないといい、 三心しゅもそこにこもっていると専修念仏の極意を述べ、 このほか、 奥深いことがらを知ろうとすれば本願の救いからもれると誡められる。 次に、 第2段では、 念仏を信ずるものは、 いかに学問をしたものであっても愚鈍の身にかえって念仏すべきであるといわれている。
 奥書には、 法然自身の領解はこのほかに別になく、 滅後の邪義をふせぐために、 所存を記したのであるとその由来が示されている。